衆議院

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第8号 令和4年11月29日(火曜日)

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令和四年十一月二十九日(火曜日)

    午前八時五十八分開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 小林 鷹之君 理事 中山 展宏君

   理事 古川 禎久君 理事 堀井  学君

   理事 牧原 秀樹君 理事 逢坂 誠二君

   理事 後藤 祐一君 理事 青柳 仁士君

   理事 赤羽 一嘉君

      青山 周平君    伊藤 達也君

      石破  茂君    今村 雅弘君

      岩屋  毅君    衛藤征士郎君

      奥野 信亮君    金田 勝年君

      亀岡 偉民君    後藤田正純君

      國場幸之助君    鈴木 隼人君

      田中 和徳君    辻  清人君

      土屋 品子君    中根 一幸君

      平沢 勝栄君    古屋 圭司君

      牧島かれん君    三谷 英弘君

      宮下 一郎君    八木 哲也君

      山本 有二君    鷲尾英一郎君

      渡辺 博道君    大西 健介君

      源馬謙太郎君    末松 義規君

      西村智奈美君    藤岡 隆雄君

      本庄 知史君    森山 浩行君

      山岸 一生君    山田 勝彦君

      山井 和則君    吉田はるみ君

      米山 隆一君    渡辺  創君

      阿部  司君    池畑浩太朗君

      掘井 健智君    庄子 賢一君

      中野 洋昌君    吉田 宣弘君

      鰐淵 洋子君  斎藤アレックス君

      宮本  徹君    緒方林太郎君

      仁木 博文君    櫛渕 万里君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   総務大臣         松本 剛明君

   法務大臣         齋藤  健君

   外務大臣         林  芳正君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   文部科学大臣       永岡 桂子君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   農林水産大臣       野村 哲郎君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      西村 康稔君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    西村 明宏君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     松野 博一君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (デジタル改革担当)

   (消費者及び食品安全担当)            河野 太郎君

   国務大臣

   (復興大臣)       秋葉 賢也君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     谷  公一君

   国務大臣

   (こども政策担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   小倉 將信君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   後藤 茂之君

   国務大臣

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)

   (経済安全保障担当)   高市 早苗君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (地方創生担当)

   (規制改革担当)

   (クールジャパン戦略担当)

   (アイヌ施策担当)    岡田 直樹君

   財務副大臣        井上 貴博君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  齋藤 秀生君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   水野  敦君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          藤原 章夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官)            浅沼 一成君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 哲也君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  増田 和夫君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  川嶋 貴樹君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  町田 一仁君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官)    土本 英樹君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十九日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     八木 哲也君

  三谷 英弘君     國場幸之助君

  山本 有二君     青山 周平君

  源馬謙太郎君     山岸 一生君

  藤岡 隆雄君     末松 義規君

  本庄 知史君     山井 和則君

  吉田はるみ君     米山 隆一君

  庄子 賢一君     吉田 宣弘君

  緒方林太郎君     仁木 博文君

  大石あきこ君     櫛渕 万里君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     山本 有二君

  國場幸之助君     三谷 英弘君

  八木 哲也君     石破  茂君

  末松 義規君     藤岡 隆雄君

  山岸 一生君     源馬謙太郎君

  山井 和則君     本庄 知史君

  米山 隆一君     山田 勝彦君

  吉田 宣弘君     庄子 賢一君

  仁木 博文君     緒方林太郎君

  櫛渕 万里君     大石あきこ君

同日

 辞任         補欠選任

  山田 勝彦君     吉田はるみ君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和四年度一般会計補正予算(第2号)

 令和四年度特別会計補正予算(特第2号)


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     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 令和四年度一般会計補正予算(第2号)、令和四年度特別会計補正予算(特第2号)の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官齋藤秀生君、内閣府政策統括官水野敦君、総務省自治行政局選挙部長森源二君、文部科学省初等中等教育局長藤原章夫君、厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官浅沼一成君、経済産業省大臣官房審議官田中哲也君、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君、防衛省防衛政策局長増田和夫君、防衛省整備計画局長川嶋貴樹君、防衛省人事教育局長町田一仁君、防衛装備庁長官土本英樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 これより外交等内外の諸課題についての集中審議を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。國場幸之助君。

國場委員 自由民主党の國場幸之助です。

 本日は、貴重な質問の機会を誠にありがとうございます。

 今や、戦後最大の安全保障の危機に世界は直面しております。いかなる事態でも我が国の平和と国民の生命を守り抜くことは、政治の最大の責務です。

 周辺国の軍事的脅威に対抗できる防衛力の抜本的強化を、NATO諸国の国防予算の対GDP比目標二%以上を念頭に、五年以内に実現をする、これは国政選挙における国民への公約であり、米国を始めとする国際社会への国家としての約束でもあります。

 そして、防衛力の強化には必要な中身を積み上げていくことが重要ですが、日本を守る最後のとりでは自衛隊です。まずは、自衛隊の処遇改善や、施設の老朽化、耐震基準を超えた隊舎の改築など、現場の自衛官の士気に直結する身近なところにも十分に配慮をお願いしたいと思います。

 直接の自衛権行使を担う正面装備品に焦点が集まりますが、弾薬や弾薬庫、燃料、通信、部品の共食い解消、指揮所や作戦部等、重要施設や装備品の地下化、そして、滑走路や港湾機能が破壊された際に緊急復旧できる機能等にも力を入れるべきです。

 そして、安全保障の緊迫が増す南西諸島、奄美、沖縄県への配備や訓練に際しては、丁寧な説明と国民保護等への取組に格段の配慮をお願いしたいと思います。

 総理の答弁をまずお願いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 安全保障環境が急速に厳しさを増す中にあって、全ての自衛隊員が能力を十分に発揮し、士気高く任務に専念できるよう、生活、勤務環境の改善、そして処遇の向上、これはまず喫緊の課題であると思います。

 また、自衛隊があらゆる事態において各種活動を継続的に実施できるように、十分な数量の弾薬の確保、装備品の可動数の増加、また地下化等の自衛隊施設の抗堪性の向上、こういった取組が重要となってきます。

 加えて、御指摘の南西地域の防衛体制強化、これは喫緊の課題であり、安全保障環境に即した部隊配置を推進してまいります。その際、引き続き、地元の皆様に丁寧に説明を行っていくとともに、国民保護にも万全を期してまいります。

 年末の新たな国家安全保障戦略等の策定に向けて鋭意議論を進めているところですが、是非、御指摘の点についてもしっかり取り組んでいきたいと考えております。

國場委員 ありがとうございます。是非よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、北朝鮮による相次ぐミサイル発射の対応についてお尋ねをします。

 北朝鮮のミサイル発射は、我が国への差し迫った危機です。今年に入ってから三十四回、六十七発の発射と過去最多でございます。

 現状のミサイル防衛であるイージス艦とPAC3体制では、北朝鮮の高度化、複雑化した飽和攻撃、変則軌道、極超音速への迎撃は困難となっております。

 さらに、発射の場所やタイミングが、移動する列車や潜水艦や水中など、複雑化し、事前予測や情報収集も極めて難しくなっている現状を冷静に国民と共有しなければなりません。引き続き、迎撃能力の向上は不可欠です。

 同時に、守るべきは国民の生命であり、国家の平和である以上、周辺国の急速に高まった軍事脅威に対抗できる政策判断、つまり、反撃能力は必要です。また、その能力を選択肢として保有することが抑止力の向上につながります。

 憲法との関係ですが、従来の専守防衛、憲法の枠内の自衛権の発動である点を確認することも重要です。我が国への攻撃のおそれでもなく、現実にミサイルを撃たれたという被害が生じた時点でもなく、武力攻撃への着手の段階で反撃は可能という立場は、昭和三十一年の国会答弁から変わっておりません。あくまでも、平和国家という国是は変わらないし、変えてはいけない。

 今回の反撃能力の保有は、政策的には保有してこなかった歴史的経緯がありましたが、いかなる事態でも国民の命と我が国の平和を守り抜くためには反撃能力の保有の検討が必要になったのだと、総理の言葉で改めて説明をお願いします。

岸田内閣総理大臣 まず、いわゆる反撃能力は長い歴史のある議論です。しかし、昭和三十年代と比べて、ミサイル技術、これは大きく進化しており、この反撃能力の議論はまさに現代的な議論であるとも思っております。

 急速なスピードで変化、進化しているミサイルなどの技術に対しても、国民の命や暮らしを守るために十分な備えができているのか。ミサイル迎撃能力の更なる向上だけでなく、いわゆる反撃能力を含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に今検討しているところです。

 この検討は、憲法及び国際法の範囲内で、日米の基本的な役割分担を維持しつつ進めており、与党間の協議も踏まえつつ、政府として年末までに結論を出していく方針であります。

國場委員 あくまでも専守防衛の枠を超えない、その上で、現実的に国民の生命、国家の主権、平和を守る、この枠内であるということをしっかりと検討した上で前に進めていただきたいと思います。

 続きまして、官房長官にお尋ねしたいと思います。

 Jアラートの正確性と迅速性といったシステムの向上は必要ですが、最も大切なのは国民からの信頼性でございます。五年前にJアラートが発動した際、実際に避難した方が一割もいなかったということが調査で明らかになっております。今回も調査結果を、調査をしていると思いますけれども、その結果を明らかにしまして、五年前と比較検討、分析をし、今後の避難訓練や意識の向上に努めていただきたいと思います。

 二点目には、シェルターの整備についてでございます。

 ミサイル防衛に関しましては、まさにJアラートとシェルター、国民保護、これはしっかりと連携をさせながら進めていくことが大切であると考えております。我が国にミサイル防衛が必要なのは、隣国に核兵器搭載可能なミサイル技術が現実に整備されつつあるという現状があります。迎撃能力、反撃能力は必要ですが、同時に、国民全体を守るシェルターの整備も真剣に考えていかなくてはなりません。

 その最前線は沖縄県です。現実に、今年の八月の四日、我が国の排他的経済水域内に、沖縄の近海に中国から五発の弾道ミサイルが撃ち込まれました。これは絶対に許されるべきではありません。石垣市、竹富町、与那国町は、シェルター整備の要請が正式に出ております。

 そして、沖縄本島では、この十年以上、内閣府沖縄担当部局と沖縄県が鉄軌道の実現への可能性調査を行い、ルート案まで完成しております。その内容は、人口が密集する中南部では地下鉄の計画が多くあります。

 平時においては公共交通機関として活用し、万が一の際には公共シェルターとしての機能を持つ整備計画として、その実現に着手していただきたいと思いますが、官房長官からの答弁をお願いします。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 政府としては、今回、Jアラートによる情報伝達が行われた地域の住民の方々を対象として、五年前と同様、我が国上空を通過した弾道ミサイル発射当日の意識、行動等についてアンケート調査を実施しているところであり、今後、結果を取りまとめた上で公表する予定であります。

 この調査結果を踏まえつつ、少しでも実際の避難行動等につながるよう、弾道ミサイルを想定した住民避難訓練の実施等にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

 武力攻撃を想定した避難施設については、まず、緊急一時避難施設の指定の促進に取り組んでおり、委員御指摘の地下駅舎の指定は、令和四年十月現在で五百十六駅に対してなされるなど、指定が進んでいるところであります。

 他方、沖縄については、内閣府において、沖縄振興を担う立場から、沖縄振興特別措置法の規定に基づき、沖縄における新たな鉄軌道等の整備の在り方について、これまで調査を実施してきたところであります。

 この調査は、駅舎等を避難施設として利用することを想定して進めているものではありませんが、いずれにせよ、これまでの調査において、依然として費用便益比等の課題が残されていることから、引き続き調査を行っていくものと承知をしております。

國場委員 シェルターに関しましては、平時のときにいかに活用していくのか、こういう視点も大切だと思っております。北欧のフィンランド等でも、公共の体育館やプールの地下化、こういったものが、平時において活用し、有事においては公共シェルターとしての活用がありますので、そういう海外の事例も参考にしていきながら、南西諸島における安全なシェルターの検討というものにもしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 続きまして、事態認定と国民保護についてお尋ねをします。

 国民保護は、武力攻撃事態、武力攻撃予測事態等と事態認定されて、国民保護計画の発動が宣言されますが、自衛隊は主たる任務である我が国の主権と平和を守る役割が優先です。国民保護は自治体や指定公共機関や予備自衛官の招集などで担っていくのでしょうが、事態認定された緊迫された状況下で、特に多くの有人離島を持つ我が国で現実に適切に機能していくのか、事態認定と国民保護との連携に課題がないのかについて、お尋ねをします。

松野国務大臣 住民の避難等の国民保護措置が必要となる状況とは、少なくとも我が国に対する武力攻撃が予測される事態と評価される状況であると考えられます。このような状況においては、政府は、速やかに武力攻撃予測事態の認定を適切に行うとともに、国民保護法を適用し、国、地方公共団体、指定公共機関等が連携して国民保護に当たることになります。

 いずれにせよ、有事の際に住民の避難等をできるだけ早く実現するためには、平素から関係機関が連携して必要な訓練、検討を進めることが重要であり、政府としても、地方公共団体等との連携の推進、改善策の検討などにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

國場委員 ありがとうございます。

 特に指定公共機関等は安全確保ができなければ国民保護に従事することはできないという現場の声もありますので、適切な対応というものに取り組んでいただきたいと思います。

 最後に、防衛産業に関わる中小企業支援について、防衛大臣にお尋ねをします。

 防衛産業は我が国の防衛力そのものです。しかし、限定された市場と低い利益率の長期化で撤退企業が続くなど、我が国の防衛産業は危機にあります。プライム十五社のみならず、約一万社とも言われる防衛、造船産業そして関連する中小企業にも、適正取引や価格転嫁や、機微技術を扱う事業者へのサイバーセキュリティー対応など、政府がより深く、手厚く関与する責任があると思いますが、防衛大臣からの答弁をお願いします。

浜田国務大臣 防衛産業は多数のベンダーから成るサプライチェーンを構成しております。その数は、例えば護衛艦では約八千三百社になり、この中には多数の中小企業が含まれております。

 防衛省としては、技術の優位性を確保し、重要性の高い装備品等の早期装備化など検討する一方で、近年、防衛事業からの撤退に見られる、国内の製造体制の弱体化、製造設備の老朽化、サプライチェーン上のリスク、そしてまたサイバー攻撃の脅威といった課題が顕在化しております。

 こうした課題に対処するために、防衛省としては、中小企業を含むサプライチェーン全体を対象とした対策を更に進める必要があると考えており、新たな国家安全保障戦略等の策定のための議論等において、各関係省庁とともに抜本的な対策を検討してまいりたいと考えております。

國場委員 ありがとうございます。

 最後になりますけれども、岸田政権が目指すまさに防衛力の抜本的強化というものは、戦後日本の外交・安全保障政策にとって大きな転換でもあります。大局観、歴史観、そして国民への丁寧な説明も含めて、しっかりと岸田政権が歴史的な大役を担っていただきますよう、私もまた与党の一員としてしっかりと支えていくことをお誓い申し上げまして、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて國場君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)委員 おはようございます。公明党の吉田宣弘でございます。

 早速ではございますが、この度の岸田総理の外遊について質問をさせていただきます。

 岸田総理は、今般のASEANの開催地、カンボジアのフン・セン首相と首脳会談を実施されました。明年は、日本とカンボジアが外交関係を樹立してから七十周年の節目の年に当たります。この度の首脳会談をきっかけとして、両国関係が一層飛躍することを強く期待いたします。

 さて、公明党は、山口那津男党代表が一九九一年にカンボジアを訪問し、地雷の被害状況を自身の目で確認したことをきっかけに、カンボジアにおける地雷除去支援に取り組んでまいりました。先日も、山口代表は、カンボジア地雷対策センター、CMACのオム・プムロ副長官と懇談し、日本の地雷除去支援などをめぐって意見交換を行ったところでございます。

 そして、この度、岸田総理は、日・カンボジア共同記者会見で、日本が長年協力してきた技術を用いて、カンボジア地雷対策センターがJICAとともにウクライナに対して地雷探知機の使用訓練を実施することは、国際社会への力強いメッセージであるとお述べになられておられます。私は、この取組は将来国際社会から高い称賛を受ける、そのように確信をしております。

 一方、地雷除去の国際貢献の足下で、カンボジアでは、オタワ条約に基づき除去すべき地雷と不発弾が国土の中にいまだ九百平方キロメートル残っている、しかし、年間に除去できる面積は百五十から二百平方キロメートルであり、この能力は世界屈指ではありますが、二〇二五年の条約の履行期限まで極めて厳しい状況が続いているとのことでございました。

 そこで、これまでのカンボジアにおける地雷除去支援の取組について日本政府の支援を紹介していただきますと同時に、これからの支援も更に充実していくべきだと考えますが、岸田総理のお受け止めをお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 我が国は、カンボジアにおける地雷除去のために、一九九九年以降、カンボジア地雷対策センターに対して、地雷除去機などの機材供与など、累次にわたる協力を実施してきております。

 現在は、本年三月に決定した無償資金協力によって、カンボジアで最も地雷汚染が深刻なバッタンバン州における二〇二五年までの地雷ゼロを目指した地雷除去活動の実施、これを支援しております。

 カンボジアでは、こうした国内の地雷除去を進めるとともに、近年では、日本の支援により蓄積された地雷除去に関する知見を第三国へ共有する、こうした取組にも力を入れております。

 そして、御指摘の日・ASEAN関連首脳会議の際の日・カンボジア首脳会談では、私とフン・セン首相との間で、ウクライナを含む第三国における地雷対策に協力していくこと、このことで一致をいたしました。

 我が国としては、今後、このような支援も充実させていくことで、カンボジアだけではなくして、世界規模で平和のための活動へつなげてまいりたいと考えております。

吉田(宣)委員 岸田総理、力強いお話、ありがとうございます。地雷を除去しなければ復旧も復興も何も始まらないということを、是非とも、もう御理解いただいていると思いますが、取り組んでいただきたいと思います。

 さらに、プノンペンの地で、岸田総理は、アメリカのバイデン大統領と会談の後、日米韓の首脳会談に臨まれ、その後、韓国の尹錫悦大統領との会談を行ったとお聞きをしております。

 日米韓首脳会談の後、インド太平洋における三か国パートナーシップに関するプノンペン声明が発出されました。日米韓がインド太平洋の海域におけるいかなる一方的な現状変更に強く反対すると明記し、北朝鮮による核実験は国際社会による力強い確固たる対応により対処されるとのメッセージが発出されたことを、私は高く評価し、強く支持いたします。

 この点、NATOと違い、日米韓は集団安全保障体制を構築しているわけではありません。したがって、現状の枠組みで日米韓の協力関係を強化するためには、日韓の協力関係の強化が不可欠です。

 残念なことですが、日米韓の枠組みは日韓関係の悪化により二〇一七年九月から二〇二二年の六月まで五年ほど途絶えたとの報道もございました。自由で開かれたインド太平洋の実現のためにも、尹大統領の誕生を契機に、日韓関係は強化されなければなりません。

 そこで、尹大統領とはどのような会談が行われたのかについて、この会談の成果と併せて、総理の答弁を求めます。

岸田内閣総理大臣 北朝鮮による前例のない頻度や態様での挑発行為が続き、更なる挑発も想定されることは、日本及び韓国を含む地域の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威です。このような状況の下、日韓、日米韓で緊密に連携していくことの重要性、ますます高まっております。今般の日韓首脳会談は、そのような情勢を踏まえて、ASEAN関連首脳会議の機会を捉えて実施したものです。

 会談では、尹大統領との間で、北朝鮮問題や自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて連携していくことを確認いたしました。また、尹大統領からは、拉致問題について改めて支持を得たところです。

 そして、旧朝鮮半島出身労働者問題に関しては、私と尹大統領からそれぞれの外交当局に対し、協議の加速を、今年九月、指示を出しました。この指示を受けて進められている協議の進展を踏まえつつ、懸案の早期解決を図ることで改めて一致をした、会談の中でこういった一致を見たということであります。

 なお、これを受けて、先週、十一月二十四日ですが、日韓局長協議が実施されたところです。

 引き続き、我が国の一貫した立場に基づき、韓国側と緊密に意思疎通を図っていきたいと考えています。

吉田(宣)委員 よろしくお願いしたいと思います。

 次に、日中首脳会談について質問をいたします。

 日本の固有の領土である尖閣諸島周辺における中国の行動や近年の軍事体制の強化など、日本と中国との間には懸念材料が存在することは確かです。しかし、この懸念材料を悪化させない知恵、これを両国が模索することが大変に重要だと思います。台湾有事も起こさせない努力が必要です。

 日中首脳会談に先立ち、米中首脳会談が行われました。バイデン大統領は、競争が紛争に変化してはならないことを繰り返し述べ、米国と中国は責任を持ってこの競争を管理し、開かれたコミュニケーションラインを維持しなければならないと強調されたとのことでございます。至極真っ当な発言であると支持を申し上げたいと思います。そして、日本もこの姿勢を基本とすべきであると考えます。

 公明党は、先輩方が日中国交正常化に大変な尽力をされた歴史を持っております。その尽力の結果、日中平和友好条約が締結をされました。したがって、日本と中国は友好国であります。本年は日中国交正常化五十周年の節目の年であり、この年に岸田総理と習近平国家主席の会談が実現したことを歓迎いたします。関係各位の御努力に敬意を表します。

 日本と中国は、これからも友好国として、協力して両国関係を発展させていかなければなりません。日中が建設的で安定的な役割を果たすことが、地域や国際社会の平和と安定、繁栄につながります。

 対面での会談は実に三年ぶりでございます。この機会を、会談を新たな一歩として、その後の対話の広がりに結びつけていく必要があると考えます。

 そこで、この度の会談で両首脳は何を確認し、岸田総理は確認された事項をどのように進めていくおつもりなのか、御答弁をお願いします。

岸田内閣総理大臣 習近平中国国家主席との初めての日中首脳会談では、日中関係の大局的な方向性とともに、課題や懸案、そして協力の可能性について、率直かつ突っ込んだ意見交換を行いました。

 その中で、私からは、尖閣諸島を含む東シナ海情勢、中国による我が国近海への弾道ミサイルの発射等の軍事的活動について深刻な懸念を表明するとともに、安全保障分野における意思疎通の強化で一致をいたしました。

 また、経済や国民交流の具体的分野で互恵的協力は可能であること、さらに、青少年を含む国民交流を共に再活性化させていくことでも一致をし、こうした分野でのハイレベルの意思疎通を強化していくこと、このことでも一致をいたしました。

 日中間には、現在でも、様々な可能性とともに、数多くの課題あるいは懸案がありますが、今後とも、首脳レベルを含めてあらゆるレベルで緊密に意思疎通を行い、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案も含めて対話をしっかり重ねて、共通の課題については協力をする、こうした建設的かつ安定的な関係の構築を双方の努力で進めていきたいと考えております。

吉田(宣)委員 是非よろしくお願いします。

 あらゆる層での対話、そして意思疎通、交流、これが緊張を緩和し、平和に向かって歩みが進めていける、そのように私は思っておりますので、どうかよろしくお願いいたしたいと思います。

 最後の質問になりそうでございます。

 岸田総理は、G20バリ・サミットにおいて、明年、日本がG7広島サミットを主催することを紹介し、国際保健をその重要課題の一つと位置づけたいとの考えをお示しするとともに、将来の健康危機への対応に資する国際的な枠組みの強化に取り組んでいく旨お述べになられたとお聞きをしております。

 国際保健、グローバルヘルスは、公明党が特に力を入れて取り組んできた分野です。そして、岸田内閣も、国際保健分野に対する手厚い支援策を実施してきたと承知をしております。公明党は、その取組を高く評価し、強く支持しております。

 今般のG20バリ・サミットを受け、明年の広島G7サミットに向けて、岸田総理は国際保健にどのように取り組んでいかれるのかについてお聞かせいただきたく存じます。

岸田内閣総理大臣 国際保健は、人々の健康のみならず、経済、社会、安全保障にも直結する重要な課題です。このため、我が国は、特にユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成に向けて、国際社会を主導してきました。

 今般のG20バリ・サミットにおいても、G20の間で国際保健分野における協力、これを改めて確認いたしました。また、私からは、来年のG7広島サミットでも国際保健を重要課題の一つと位置づけ、引き続きこの分野でリーダーシップを発揮していくことの決意を表明いたしました。

 G7広島サミットで具体的にどのような成果を目指すかについては、今後、G7メンバーとも相談してまいりますが、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成に向けて、将来の健康危機に対する予防、備え、対応の強化に資する国際的な枠組みの強化、また、新型コロナで後退した国際保健課題への対応、こうしたものを主導していきたいと考えております。

吉田(宣)委員 コロナウイルス感染症という世界的な課題を、世界で一緒に取り組んで克服をしていく、そして備えていく。これは、我々人類が、歴史の経験上、未来の世代にわたって是非実施していかなければならない、そういった貴い取組であると思っております。

 是非、岸田総理には、G7広島サミットに向けて、強いリーダーシップとともにこの課題に取り組んでいただきますことを心からお願い申し上げて、時間が参りました。私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて吉田君の質疑は終了いたしました。

 次に、末松義規君。

末松委員 立憲民主党の末松義規でございます。

 まずもって、この質問の機会をお与えいただいた関係者の皆様に心からお礼申し上げます。

 さて、総理、最近、G20、APEC、ASEAN関連会議や二国間会合、本当にお疲れさまでございました。私は二十五分しかないので、総理から簡潔な答弁をお願い申し上げます。

 まず、防衛の三文書、これについてお伺いしますけれども、総理の方は今この防衛三文書の取りまとめに入っておられていますけれども、私たち立憲民主党も、ずっと、多数の専門家を交えて極めて真剣な議論を頻繁に重ねて、政府の三文書発表の前に、十二月、立憲民主党の報告書を公表しようと考えています。

 特に敵地攻撃論あるいは反撃論についてお伺いしますけれども、私が考えますに、こういう敵地攻撃論ですか、これは専守防衛に立った日本の抑止力強化という概念からは非常に意味があると思うんですが、実際論として、仮に、自民党が言うような、反撃対象範囲を相手国のミサイル基地とか指揮統制機能等を含むものとすると、日本が現実に反撃した途端に五倍返しとか十倍返しのリアルな再攻撃を受けて、戦争状態に突入するのは必至と思うんですね。そして、戦争はどんどんエスカレートしていくことになるんです。

 私は、実は、外交官時代、イラクのバグダッドに勤務していて、イラン・イラク戦争に巻き込まれて、ぞっとするような体験を何回もやったんです。そういう実感から、もう本当に、戦争ということも、あるいは戦争を回避するということに真剣に取り組まないと、この国は危ないと思っているんです。

 ある米軍筋の方と話したときに、日本の議論を聞いていると、要は、反撃をしますというふうな、そしてその後がどうも見えない、何か相撲の試合を見ているような感じがすると。相撲というのは、力士が全力で数十秒間試合をする、そして倒れた方が負けたということで、それで勝負は終わるんですけれども、戦争というのは、それからいろいろな戦略の中でやっていくのが戦争論だろう、あるいは防衛論だろう、ここを抜きにして、その十分な議論なしに進めていっても意味がないんじゃないかと言われて、私もはっとしたわけでございます。

 この前、国会の議員会館の中で、日本外交政策学会という中で、台湾の有事の前段階でのポリティコ・ミリタリー・ゲームをやったんですね。そのときに私は日本の総理役をやらせていただいたんですけれども、議論を一日かけてやったんですけれども、そのときの一番の私の実感は、日本という国は、戦争状態に入ったらこれは終わりだな、だから、いかに戦争を回避する、そういったことに傾注をしていかないと本当にまずいと思ったんですね。

 具体的に、私の方で今までの議論を見ていて、だから反撃論というのを示しましたと。でも、その後のいろいろな防衛論がないということ、これは思考停止、要は、何か無責任な思考停止に陥っているような気がしてなりません。

 そこを本当に、具体的に言えば、例えば、もし戦争という、エスカレーションになった場合、米軍との戦争遂行の共同対処の戦略とか、あるいは日本の戦争の被害の限定をやっていく方策とか、戦争終結、そういったシナリオとその想定、さらに議論、こういったものをやっていかないと、どうも、日本の本当の意味での防衛というものがなされないと私は感じるわけですよ。

 そこで、資料をちょっと見ていただきたいんですけれども、この一枚目の資料、表向きなんですけれども、これは中国艦船と一緒にロシアが行ったボストークと言われる軍事演習、これは今年の九月なんですよ。これは、日本の近辺を、ずっとロシアと中国の艦隊が一緒になって、こういう軍事訓練をやっている。

 特にロシアと中国というのは、今年九月の半ば、プーチンとそれから習近平というトップが、中央アジア、サマルカンドで会談を行って、お互いの国の核心的な利益については、これはお互いに支援し合う、こういう協定というか、共同宣言というか、やっているわけですね。

 とすると、もし台湾有事が起こるようなことになった場合、やはり日本と韓国、日米ですね、これが、下手をしたら、我々と対峙するのは、まあ軍事シナリオになった場合ですよ、中国とロシア、それに北朝鮮、この三方が我々と対峙するような最悪のシナリオになる危険性があると思うんですけれども、そういった想定というのは総理の方でどのように考えておられますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、反撃能力については、今、国民の命や暮らしを守り抜くために十分な備えができているかという観点から、あらゆる選択肢を排除せずに議論する、この反撃能力もその議論の中で議論を行っているということであります。

 そして、この反撃能力によって、その後、様々なリスクがあるのではないか、こういった指摘がありました。まず、反撃能力そのものの議論は、あくまでこれは抑止力を高めて、そしてミサイルなどによる攻撃の可能性を一層低下させる、これが基本的な考えとしてあります。

 そして、外交努力が重要だという御指摘もありました。当然のことながら、平和と繁栄に向けて外交努力を尽くすということがまず大前提としてしっかりなければなりませんが、こうしたしっかりとした防衛力を持つということは、外交努力における説得力を増す、この努力の裏づけとなる、こういったことにもなるということで、こうした議論を行っています。

 そして、その後のことについて考えていないのではないか、さらには、三方に対峙することになるのではないか、こう指摘がありました。ですから、こうした指摘についてもしっかり応えられるように、反撃能力の議論は、国家安全保障戦略を新たに策定する、この大きな文脈の中で反撃能力についても議論をしている。こうした安全保障環境の変化、あるいは、こうした有事が起こった後、どう対応していくか、こうした大きな文脈の中でこの反撃能力も議論する、これが新しい国家安全保障戦略を議論する中でこの議論を行うことの意味であると考えています。

末松委員 私が申し上げたことに対して半ば答えておられますけれども、要は、今、その全体としてという中が、本当に戦争という有事が起こって、その後でどうするのかということも踏まえた形での一番最初の反撃論、これを考えていかないと、本当に日本を危うくするということになりますので、是非そこはお願いしたいと思います。

 同時に、私は、ポリティコ・ミリタリー・ゲームをやっていて、国会の議員会館で数十人の方とやったんですけれども、やはり政治家がしっかりといて、そこで専門家と一緒になって、そのチームでやっていく、そういったシナリオ及びそれに対するいろいろな、様々なシナリオをぶつけていく、これは極めて重要と思います。そういった目利きというか、あるいはたくみみたいな、そういった防衛の実際にやっていく方々を育てていかないと、これは単にミリタリーの方だけじゃなくて、本当に政治家が一緒になってやっていく、これは極めて重要だと思いますので、そこは、私、質問じゃなくて要請でございます。

 今の反撃論、これについて公明党さんの立場をお聞きしたかったんですが、斉藤大臣しかおられませんので、そこについてお願いを申し上げます。公明党の議論がどういうふうになっているか、お願いしたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 いわゆる反撃能力を含めた防衛政策についての御質問でございますが、私は公明党を代表する立場ではございませんし、また、国土交通省が所管する以外の項目でございますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

末松委員 昔、平和の党と言われていたので、そこについては、是非、平和に基づいた議論をまたよろしく、私は期待をしておりますということを申し上げます。

 そこで、今の議論の続きですけれども、戦争シナリオになったら、本当に日本というのは破滅だなということを私も感じているわけですけれども、じゃ、いかに戦争を回避するかということについて、私は、二点重要だと思っておりますけれども、一点が、まず台湾、有事の際、台湾が独立するというような動き、これは封じていかなければいけないなと。

 この前、岡田幹事長が総理に質問したときに、台湾の独立は支持しないということははっきりおっしゃらなかったと私は記憶しておりますので、そこはバイデン大統領も習近平国家主席に、台湾の独立は支持しないとはっきりおっしゃられているので、総理の口からも、まず一点、それをはっきりおっしゃっていただきたい。

 二点目は、この大きな背景に、米中の覇権争いというのかどうか、それはいろいろと言い方はあるでしょうけれども、米中対立が非常に深刻になっている。そこは、何か国際的な会議体、例えば、政府の方ではFOIPとか言われるのかもしれませんけれども、日中韓米、さらにはクアッド、さらにはASEANとか、あるいはヨーロッパの方々も含めた、そういう米中の深刻な対立に冷やし玉をぶつけるような、そういう対立の緊張緩和を、解くようなメッセージを不断に、そこは我々として国際的に努力をしていかなきゃいけない、そう思うんですが、その点いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、台湾につきましては、日本にとって、基本的価値を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーであり、大切な友人です。

 我が国は、台湾との関係は、一九七二年の日中共同声明を踏まえ、非政府間の実務関係として維持していくこと、また、台湾海峡の平和と安定は重要であり、台湾をめぐる問題は対話により平和的に解決されることを期待する旨、これまで一貫して表明しております。

 要は、一九七二年の日中共同声明から我々の立場は全く変わっていないということを申し上げています。

 そこで、台湾独立を支持しないとはっきり言えということでありますが、これは、外交上は、どういった言葉遣いをするか、どういった説明をするか、これは極めて大事であります。我が国として、一九七二年の日中共同声明から今日まで対応は一貫している、変わっていない、これを今申し上げた形で説明をしています。我が国の立場は、こうした説明の仕方を維持していくことが重要であると考えています。

 そして、関係国、同志国との関係、あるいは周辺国との関係ということで申し上げるならば、台湾海峡の平和と安定を確保するため、我が国として、その重要性について、中国側にも直接しっかり伝えております。そして、米国を始めとする同盟国、同志国とも緊密に連携しながら、各国共通の立場として明確に発信をしており、これからもこうした外交努力は続けていきたいと考えております。

末松委員 外務省の資料に、バイデン大統領が台湾独立は支持しないというふうに明言していると私は資料を読んだものですから、そこは日本もそういう形で、外交的な、表現というのは、それは確かにあると思います、私も外交官をやっていたからそこは分かっていますけれども、その台湾の独立の動きが非常にそこはそういう大きな紛争のきっかけになるということを踏まえてやっておられることは、趣旨は理解いたしますけれども、是非そこははっきり言っていただく必要があると思っています。

 次に、深刻なサイバー攻撃に対する対応についてお伺いをいたします。

 日本もサイバーセキュリティ法というのがあって、資料にございますように、裏面に、下の方に、私の方の問題意識が、サイバー攻撃というのは武力攻撃に当たるのかということが問題意識であったものですから、この答弁がしっかり、ほかの答弁にも書いてありますけれども、一般的に言って、組織的、計画的な我が国の重要インフラ等への深刻なサイバー攻撃は武力の行使に当たり、我が国としては自衛権を発動できる、その立場だと。

 その立場は今も変わりはないかということを、イエスかノーだけでお願いします。

岸田内閣総理大臣 一般論として申し上げるならば、今御指摘があった要件、サイバー攻撃のみであっても、深刻な被害が発生し、また、相手方による、組織的、計画的に行われている、こうした場合には武力攻撃に当たり得ると考えております。

末松委員 これを確認した後で、また資料の裏面の上の表なんですけれども、ウクライナ紛争以降、これはマルウェアというサイバー攻撃の感染拡大に関する注意喚起ということで、非常にやはり伸びていて、ここが本当に、この前も、国民生活の中で、政府機能に対する攻撃があったとか、あるいは金融機関を含む様々な攻撃、あるいは病院等にあって、それで国民生活が、例えば公的機関が機能不全に陥ったり、あるいは預金が引き出せないというようなことがあったり、病院のカルテが見られなくなったとか、本当に国民生活へ深刻で多大な機能障害が出ている。それも、ウクライナ戦争以降、更にそれが拡大しているというふうに言われているわけですけれども、これに対処をしなければいけないということでございます。

 私の方は、ある国が日本に対してサイバー攻撃をしかけていくという場合、国が名のってやるということはあり得ない話なので、いろいろな個人的な形で分散して攻撃をしていく。そういうことに対して、やはり問題は、攻撃の主体が特定できない、時期が特定できないとか、様々な問題があるわけです。

 ですから、そういったことにきちっと全部網をかけて、深刻な日本に対するサイバー攻撃、これは日本に対する武力攻撃だ、だから自衛権の発動の要件にもなるんだということを明らかにした方がいいのではないかと思うわけです。

 サイバーというのは、別に人を殺傷するわけでもなければ、物理的な機能を破壊していくことではありませんので、例えば、トランプ大統領が以前、米国に対するサイバー攻撃イコール米国に対する宣戦布告だと言ったんですね。これと同じような形で、岸田総理が適切なタイミングで、日本に対する重大かつ深刻なサイバー攻撃は日本に対する武力攻撃の着手とみなす、こういう言い方、だから自衛権発動の対象になるんだという形で、まずはそういったところを、日本のサイバー攻撃に対する抑止力、この抑止力を高めるという意味で私は非常に重要なことだと思いますけれども、いかがでしょうか。これは提案です、個人的な見解にもなりますが、提案です。

岸田内閣総理大臣 今の御提案は、要は、サイバー攻撃に対する日本の対応、考え方を広く国際社会に対して公言する、宣言する、こうしたことが必要ではないか、こうしたことでありますが、政府としては、二〇一九年の日米2プラス2で、一定の場合にはサイバー攻撃が日米安保条約第五条に言う武力攻撃を構成し得る、このことを確認しております。その中で、閣僚は、国際法がサイバー空間に適用されるとともに、一定の場合には、サイバー攻撃が日米安全保障条約第五条の規定の適用上武力攻撃を構成し得ることを確認した、この2プラス2においてこういった確認を行っています。

 これらはもう公にされているところであり、日本の考え方は様々な形で国際社会に示してきていると考えています。これからも、こうした説明は行っていきたいと考えます。

末松委員 そこはもうちょっとインパクトのある形で、世界に対してあるいは日本に対して悪行をなすサイバー攻撃、この連中に対する、予防を含めて、強いメッセージを再度出されることを私は望みたいと思います。

 と同時に、これも個人的な見解にもなりますけれども、サイバー先進国のアメリカを中心として、友好国とともに国際的な強固な機関をつくって、例えば、サイバー攻撃の攻撃主の特定あるいは処罰、さらに、報復とかあるいは反撃とか、そういったことを国際的に協力をしていって、そういう国際的なネットワーク、これをつくるべきだと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、サイバー攻撃に対処するために我が国の体制、能力を整備すること、これはもちろん大事でありますが、それに加えて、欧米を始めとする同志国と緊密に協力するということ、これも重要であると認識をします。

 そして、その具体的な在り方については、まさに新たな国家安全保障戦略等を策定する中で議論をしっかり進めたいと思っておりますし、その上で、サイバー空間の脅威に具体的にどう対処していくのか、そうした方策についても具体化していきたいと思っております。

末松委員 是非、そういった国際的ネットワークを、本当に我々の友好国と一緒に強力に進めていっていただきたいということを改めて申し上げたいと思います。

 最後に、ちょっと時間がなくなったので、なかなか、指摘にとどまるかもしれませんけれども。

 岸田総理として、資産所得倍増論というものを掲げておられるわけですけれども、今の現状を考えると、バイデン大統領に約束したと言われる防衛費の負担、倍増とも言われていますけれども、そういうことが本当に国民の、多分、増税なのか、まさか借金という話はできないと思いますけれども、あるいは社会保障の費用を削って、そしてやっていかれるのか、そこは分かりませんけれども。

 高い物価と、それから円安とか、国民生活が非常に疲弊しているし、給料は上がらないし、年金は下がっていくしと、非常に厳しい状況なので、そういった意味で、資産所得倍増論と言ってもリアル感がないんですね。むなしく聞こえるわけですよ、私には。

 そこは、我々立憲民主党がずっと主張してきた一人一人の生活安全保障という、この基本的な視点の方がより適切だということを申し上げて、時間切れとなりましたので、この辺で終わります。

 どうもありがとうございました。

根本委員長 この際、渡辺創君から関連質疑の申出があります。末松君の持ち時間の範囲内でこれを許します。渡辺創君。

渡辺(創)委員 立憲民主党・無所属、宮崎一区の渡辺創でございます。

 今日、当選一年、予算委員会で初めての質問をさせていただきます。

 総理、政治活動を始めて、私、十三年ですけれども、今日、こうして総理に質問できることを本当に心から渇望して長く活動してきましたが、本当に残念ですけれども、まず、政治への信頼が問われている秋葉大臣の件から始めなければならないというふうに思っています。

 今、岸田政権は、この国の全体が、安全保障それから脱炭素、子供関連など、新たな国民負担を強いる可能性もある大きな課題に直面をしています。だからこそ、岸田政権は、国民と堂々と向き合うことのできる資格を有しているのか、その信頼に堪え得るのかということが問われているというふうに思います。

 その支障となっているのが、既に三人の大臣がお辞めになりましたけれども、閣僚の皆さんを取り巻く各種の疑惑ということになると思います。残る秋葉大臣の疑惑をしっかり問うことも、野党の議員として国会に送り出していただいている者の責務と肝に銘じて質問をしてまいりますので、どうかよろしくお願いをいたします。

 まず、秋葉大臣にお伺いします。

 多分、大臣にとってはとても残念なことだと思いますが、昨日、宮城県知事が次のように発言をされたそうです。秋葉大臣の報道が事実ならば、国民にしっかりと、自身が、秋葉大臣御自身がという意味ですね、自身が説明をすべき、自身の問題で国会が空転しているということを捉えて責任を果たすべきだとおっしゃったそうです。また、知事は、この週末ですね、先週の末、大臣が福島視察をキャンセルしたことについて、福島は宮城よりいまだに大変な状況にある、何よりも優先で視察をした方がよかったと述べられたそうであります。

 東日本大震災の被災地の一つでもあり、大臣の地元である宮城県の知事がこういうふうにおっしゃっていらっしゃいますが、どう受け止めていらっしゃいますか。

秋葉国務大臣 お答えさせていただきます。

 本当に様々な、お一人お一人のお声があることを承知しております。そうした声に謙虚に耳を傾けて、皆さんの期待に応えられるように、しっかりと頑張ってまいりたいと思います。

渡辺(創)委員 今の答弁を聞いている限り、本当に真摯に受け止めているというふうには思えないんです。

 復興担当大臣として、被災地の一つでもあり、大臣の地元である、恐らく大臣も、だからこそ復興にもこだわって取り組んでこられたと思うんですが、その宮城県知事が、大臣が視察を御自分の弁明のためにおやめになった福島県の方々を思って、こう発言されていらっしゃいますよ。

 先ほどの答弁で本当にいいんでしょうか。もう一度、そのところをうまく、きちんと捉えていただいて、御答弁いただきたいと思います。

秋葉国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 今回、国会で様々な御質問をいただいております。そういった御質問に誠意を持って丁寧にお答えしなければならないと考えまして、日程を十二月の十八日に変更させていただいたところでございます。この日程を変更させていただいたことに関しましては、本当に関係者に御迷惑をおかけしたと思っておりますので、心からおわびを申し上げたいと思います。

 今後につきましては、こうした御迷惑をかけることがないように、これまでも、既に二十三回、現地に足を運んで、八月、九月、十月と取り組んでまいりました。もちろん今月も被災地に足を運んでおります。現地現場主義の下、やはり現場の生の声を聞いていく、これが復興大臣の最も重要な仕事でなければならない、このように考えておるところでございまして、これからも現地現場主義で、現場の方々のお一人お一人のお声というものに謙虚に十分耳を傾けて、施策にしっかりと反映をさせていきたい、それが私の責務だと認識しているところでございます。

渡辺(創)委員 あえてもう一度確認したいと思いますが、現時点で、御自分が持たれている疑惑の説明を優先した、それももちろん、総理からも指示が出ています、きちんと説明を尽くさなきゃいけないことですが、それを優先して、大臣として本来果たすべき役割の方を後回しにした。誤った判断であったというふうに今思われていませんか。今の時点での判断、間違いであったと思うのではないか、そこを確認したいと思います。

秋葉国務大臣 繰り返しになりますけれども、復興大臣として、常に現地、現場の生の声を、あくまでもとことん被災者に寄り添って、本当に福島の課題はとりわけ中長期的な課題がまだまだ山積しております。また、被災の自治体によってもその状況が様々異なるわけでありまして、しっかりとそうした被災者にあるいは被災地に寄り添う姿勢で、真摯にそしてまた謙虚に取り組んでまいりたいと考えております。

渡辺(創)委員 残念ながら、全く質問したことには聞いていただけていないので、少なくとも、このことを明らかにしようという野党の質問に対しては全くもって誠実な姿勢ではないということだけははっきりしたというふうに思います。

 次の質問に移りたいと思います。

 まず、端的に伺いたいと思いますが、大臣、車上運動員としての活動が疑問視されている二人の秘書の方々、本当に選挙カーに乗っていたのでしょうか。乗っていないのではないかというふうに声が聞こえておりますけれども、本当に乗っていたんでしょうか。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 様々な疑問について、この予算委員会の場で真摯にかつ誠実にお答えをさせていただいているところでございます。今まで皆さんからの質問に十分答えているかどうかは分かりませんけれども、知り得る限りで謙虚にお答えはしているところでございます。

 そして、今お尋ねの件につきましても、N秘書それからI秘書は、車上運動員として各々八日間、六日間従事していたと聞いておりまして、このことはもう何度も申し上げているとおりでございます。

渡辺(創)委員 私よりも年上の大臣にこんなことを言うのは失礼ですが、誠実に対応しているかどうかは受け止める側が考えることなので、大臣が誠実に対応していると自らそんなに繰り返しおっしゃることではないような気がします。できれば、誠実なら、聞いたことに率直に短くお答えいただきたいというふうに思います。

 昨日配信のフライデーデジタルの報道で、秋葉大臣について更に疑惑が深まったわけであります。報道によると、昨年の衆議院選挙で秋葉大臣の車上運動員を務めた方の証言が記載をされておりますが、いわゆるウグイスという、車上からアナウンスを行う方の証言です。記事によると、今回の疑惑の中で車上運動員を務めたとされる秋葉大臣の秘書の方二人が選挙カーに乗車していたのかと問われて、ウグイスの方は、私がいた日では乗車はなかったというふうに証言されているようです。

 選挙時の収支報告書や大臣のこれまでの説明、今もありましたけれども、その説明を総合すると、秋葉大臣の車上運動員の方は、最短でも六日間はどの方も乗車されていることになります。その上で、今も御答弁ありましたが、秘書の方は二人、八日間と六日間乗車したということですので、もう言うまでもありません、衆議院選挙は十二日間ですから、証言された方が仮に最短の六日間の乗務であったとしても、一人の方は二日間は重なっていないとおかしいということになるわけです。

 これまでの大臣がおっしゃってきたことの信頼性が今大きく揺らいでいますが、大臣、本当に誠実な答弁を続けてこられたんですか。弁明はありませんか。

秋葉国務大臣 まず、前提として申し上げておきますけれども、車上運動員というのは一日四人まで乗車できることになっております。それの十二日間ということにまずなりますので、事実関係を申し上げたいと思います。

 その方の、報道で私も承知をしたわけでございますけれども、どなたの御証言かは存じ上げませんけれども、ウグイス嬢というのは基本的に交代で乗車してもらっておりまして、同じ方が毎日乗車していたわけではございません。

 いずれにしても、N秘書、I秘書からは、車上運動員としてそれぞれ八日間、六日間しっかりと従事していたということを聞いている次第でございます。

 事実関係については、正直に誠意を持ってお答えをさせていただいているところでございます。

渡辺(創)委員 さっき、重なるはずですねというのは指摘したので繰り返しませんが、記事中の方の証言によれば、証言の方は、秘書さんたちのことをそれぞれ秘書さんとちゃんと認識されていたようですので、区別もちゃんとついていらっしゃるようです。

 証言によれば、両氏は選挙カーとは別に自分の車で動いていた、そして、二人の秘書さんは車上運動員とは別に個人演説会や街頭演説会の会場運営等を行っていた旨の発言が記載されています。

 大臣、やはり本当に秘書さんたちは車上運動員としての活動があったのでしょうか。もし事実と異なるのであれば、そろそろ修正をしないと大変なことになるというふうに思いますけれども、本当にお二人の秘書さんはそれぞれ八日間と六日間、車上運動員としての活動に専念していたんですね。事実誤認であったりとか誤りはありませんか。

秋葉国務大臣 お答えさせていただきます。

 事実関係として、これまで申し上げてきたとおりでございます。

渡辺(創)委員 分かりました。

 私どもの仲間が調査をしたところ、宮城県選挙管理委員会には、昨年の衆議院時の車上運動員の活動予定などを事前に登録した公文書が保管をされているということであります。この記録は、二人の秘書の方々がそれぞれ、御自分のことですので、開示請求を求めれば出るということであります。

 確かに個人に関わることですが、プライベートに深く関わるものではないはずです。大臣が御指示をされ、場合によっては説得をされて、そのお二人に開示を行うように求めていただきたい。そして、その文書を公開をいただければ、大臣がおっしゃってきたことを補完的に証明する材料になるのではないかというふうに思います。

 このことは既に理事会でも指摘をしているということのようでありますので、大臣が進んで公開すれば済む話ですから、是非やっていただきたい。御自分のためでもあると思いますので、お願いいたします。

秋葉国務大臣 今委員から初めて具体的な質問を伺いましたので、事実関係をよく精査して、お答えできることが可能であれば、しっかりとお答えをしてまいりたいと思っております。

渡辺(創)委員 大臣が本気で誠実にやれば出るものだと思いますので、可能ではなく、可能ですので、お願いいたします。

 もう一つ、昨日の配信で深まった疑惑があります。昨日も追及がありましたけれども、影武者の疑惑です。

 同誌の報道には、元支援者の証言が掲載をされています。要約をすると、秋葉大臣の陣営では県議時代から影武者を使っていた、当時は弟さんがお務めだった、その後、国政に転じた後も秋葉二号に扮した方が選挙カーなどで有権者にアピールをした、大臣と同じように眼鏡をかけていれば、極端に太っていなければ資格があったと。私は資格がないかもしれませんけれども、そういう二号の方がいらっしゃったそうです。少なくとも秋葉四号までは存在したというふうに記事の中で出ております。

 大臣、これまでは、次男の方がたすきを着けた以外に影武者など存在しないと説明をされてきましたが、事実と違うんじゃないでしょうか。県議時代からの秋葉陣営での伝統的な選挙運動の手法になっていたんじゃないんでしょうか。いかがですか。

秋葉国務大臣 これにつきましても、昨日の委員会で聞かれたわけでございますが、私の次男については、三日間有給休暇を取って応援に来たということで、これは本当に本人の判断だったようですけれども、御指摘を受けてすぐにたすきを外したと聞いております。

 ただいまの質問につきましても、私の実の弟あるいはほかの方々についての御指摘ですけれども、私は一切そのような事実は承知しておりません。

渡辺(創)委員 承知していないかではなくて、聞けば分かることだと思いますので、事実があったのか、ないのかをお答えいただけませんか。大臣が承知していないかではなくて、事実があったのか、なかったのか。弟様に聞けば分かることだと思います。

秋葉国務大臣 事実関係につきましては、私自身は承知しておりません。

 今初めて具体的な質問を伺いましたので、念のために聞いてみたいと思いますけれども、スタッフからの聞き取り調査を始め、私の記憶もしっかりと思い出すように努力をしましたが、まずそのような事実は承知しておりません。

渡辺(創)委員 承知していないというのと事実がないというところの区別が非常に大臣は曖昧な気がするんですよ。

 関係者の方々にお電話をして聞けば分かる程度ですから、発言中です、今とは言いませんが、せめてお昼休みの時間に電話をして確認いただければ、午後の締め総のときには明らかになることじゃないかと思いますので、是非確認いただきたい。大臣、どうですか。

秋葉国務大臣 何度も繰り返しになって恐縮ですが、そのような事実はないというふうに聞いております。

渡辺(創)委員 済みません、こんな場で繰り返したくないですが、承知していないと聞いているんですじゃなくて、事実がないんですか。はっきりと答弁ください。事実がないと言い切れるんですか。

秋葉国務大臣 お答えさせていただきます。

 そのような事実はないと聞いておりますので、そのような事実はないというふうに認識しているところでございます。

渡辺(創)委員 はい、分かりました。

 影武者の件、もう一件聞きます。

 次男の方の件です。もう触れるのもかわいそうな気がするんですが、写真によると、秋葉賢也と書いたたすきに加えて、小さく次男と上に書かれたたすきをされていたようですが、これは御次男が御自分で東京からお持ちになったんでしょうか。また、若しくは、スタッフの方に、こういうのを自分が着けるから作るようにと指示をされたたすきなんでしょうか。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 たすきの作製者についてのお尋ねでございますが、次男自身の判断だったようですが、すぐにスタッフに指摘を受けて外したと聞いております。(渡辺(創)委員「いや、作ったのは誰ですかと聞いているんです」と呼ぶ)作ったのは、たしかたすきは二本かなんか、ちょっと本数までは聞いておりませんけれども、複数多分あったと思いますので、それに自分で書いたということだと思います。

渡辺(創)委員 今御答弁の中で、自分で書いたということでしたか、次男の方が自分で次男と書いたということなんですね。分かりました。

 少なくとも、私も中学生、高校生の息子がおりますけれども、政治家の子供というのも迷惑をかけて大変だなと思うことがあるんですが、大臣、そんなことはないと思いますけれども、まさか自分の汚名から逃げ切るために、御家族にこういう御迷惑をかけているということはないだろうと信じて、質問を進めたいというふうに思います。

 別の問題に移りますけれども、大臣の政治団体の収支報告書を点検しますと、秋葉けんや後援会それから自民党宮城県第二区総支部、共に登録政治資金監査人は同じ方です。

 言うまでもありませんが、政治資金監査制度は、閣僚などをめぐる政治と金の問題が相次ぎ、国民の政治不信を招いたことを受けて、国会議員が関連する政治団体は、平成二十一年度の収支報告書から、全ての収支について領収書を保存するとともに、外部の専門家の監査を受けることが義務づけられたわけであります。この監査人の方は、所定の研修を受けて登録した税理士さんや公認会計士、弁護士さんなどが務めています。

 先ほど申したように、大臣の主な政治団体である秋葉けんや後援会と自民党宮城県第二区総支部は、同じ方が監査人を務めています。どちらも国会議員関連団体として監査人の監査が必要ですが、不思議なことに、後援会の方は、少なくとも過去三年間、監査料が支払われた形跡がありません。党の第二区総支部の方は、毎年十二万円プラス消費税分と思われる監査料が支払われている一方で、後援会の方はなぜ監査料の支出がないんでしょうか。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 今委員から十数万円の支払いがあったという御指摘をいただきましたが、政党支部の方から後援会の分もまとめて支払っていたと聞いております。

渡辺(創)委員 大臣、それは褒められた対応ですかね。別の政治団体ですよね。秋葉大臣に関係するとはいえ、政党の支部と秋葉後援会は別の政治団体です。

 今までの国会答弁の中でも、政治経済研究所について、大臣は繰り返し、大臣の活動のためにできているような団体だけれども、関係ない団体だと繰り返してきました。

 この二つの団体は別団体ですよ。それぞれの監査料はそれぞれから払うのがオーソドックスだと思いますが、誤った認識だったというふうに認めた上で、これからはやらないとか、修正すべきだという発言はありませんか。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 今委員からも指摘がありましたように、監査人が同一人物であったことからまとめて支払っていたと伺っているところですけれども、これからは選管ともよく相談をして適切に対応してまいりたいと考えております。

渡辺(創)委員 選管にも確認しましたが、無償提供として記載をするのが正しいやり方ですよ、大臣。

 この監査人の方は、これ自体は違法行為でもありませんが、大臣の支部に毎年、政治献金、十二万円ずつされている方ですよね。一定の大臣との関係性もあるという方なんだろうからこそクリアにこういうこともやっておくべきじゃないですか、だから疑われることが出てくるんじゃないかということだけ御指摘を申し上げたいというふうに思います。

 ほかにもいろいろ聞きたかったんですが、大臣に一つお伺いしたい。

 政治経済研究所のことですけれども、これは六百万円寄附をされていますよね。でも、大臣の政党支部、六百万円が出たところですが、ずっと見ていると、直近三年間では、年間の寄附総額は令和元年が二百三十万、令和二年が六十万、令和三年が六十万、このぐらいですよ、寄附でほかに出しているという額。つまり、六百万の寄附というのは極めて大きな寄附ですよね。政党交付金じゃなかったとしても、大事な政治資金です、政党の。それを六百万も出しておきながら、今までの答弁を聞いていると、大臣は余り関心がなかったように見えるんですね。

 六百万は、一生懸命生きている人の一人の年収を超えるぐらいの額ですよ。その額を出しておきながら、そのお金の行方に全く興味や関心がなかったというのは、一般の国民感覚からは遊離しているんじゃないかと思いますが、改めて考えて、そこはおかしかったなと思われませんか。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 お尋ねの政治経済研究所は、私が設立した政治団体ではなく、他の代表者が設立した団体であり、もう既に解散した団体でありますけれども、二〇一七年というのは総選挙があった年でございまして、当時、私も当選六回ということで、義兄が……(渡辺(創)委員「それは昨日も聞きました」と呼ぶ)いや、そのいきさつですね。東京でもしっかり足場をつくってやっていったらいいんじゃないかというような進言をいただき、次の選挙までの四年間を考えて、見合いの額を寄附したというふうに認識しているところでございます。

渡辺(創)委員 次の、これからの時期の見合いの額を気にして出したのであれば、六百万円の行方は気にならなかったということの方が国民感覚からすれば外れているんじゃないかなというふうに私は思うんですけれども、この件はもう聞いても出てこないと思うので仕方ありません。

 総理にお伺いをしたいというふうに思います。

 総理の著書「岸田ビジョン」の序章、初めの部分のところを改めて読みましたけれども、こう書いてあります。岸田ノートにメモを書く効用を述べた後に、リーダーとしては、更にそれに加えて国民の心に届く説明が非常に重要だと肝に銘じています、これまでの自民党政権に対して国民が懸念を抱いた問題があれば、それもできる限り情報公開をして、徹底した説明を行いたい、その愚直な繰り返しでしか国民の信頼を得ることはできないと思うからですとあります。

 総理、今ずっと聞いていただきましたけれども、秋葉大臣の説明は、できる限りの情報公開ですか。徹底した説明になっていますでしょうか。むしろ、もう、果たして説明を続けたからといって国民の信頼が得られるという状態でしょうか。国民の不信がやればやるほど増すだけではないかというふうに思いますが、総理の御見解を。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、私も、著書の中で、政治家の信頼ということを大事にする、そのためには愚直に説明責任を果たし続けなければならない、このように申し上げました。

 今も秋葉大臣が様々な指摘に答弁をいたしましたが、引き続き、指摘、疑念があるということであるならば、これは説明責任を尽くすべく努力を続けてもらわなければならない、このように感じています。

 愚直に説明責任を果たしていくことは重要であると認識をしております。

渡辺(創)委員 残念ですね。総理がもう少しある種の当事者意識を持ってお答えいただくことを期待したんですが、致し方ないと思います。

 秋葉大臣については、宮城県内の事務所の問題、さらには、政治研究所の資金が何に使われていたかという問題、家族への資金還流の疑惑など、本当にこれまでいろいろ出てきました。これだけ多種多様な話が出てくるというのは同じ政治家として大変残念としか言いようがありませんけれども、まるで疑惑の、信頼失墜のコンビニエンスストアのようでございます。品ぞろえがよくて、新しいものが次から次からと出てくる。本当にこの状況は残念だとしか言わざるを得ないというふうに思います。

 次の質問に移りたいと思います。

 子供関連予算の倍増についてお伺いをします。

 総理は、昨年の総裁選の際に示された、重要政策の一つである子供関連予算の倍増というふうにおっしゃってきました。昨日の質疑の中でも、その重要性については最重要政策の一つというふうに答弁をされたところであります。多くの国民が期待をしているというふうに思います。

 少し振り返りますが、子供、子育て支援と密接に関係する少子化問題に関しては、少子化社会対策基本法が施行されたのが二〇〇三年でした。翌年には最初の少子化対策大綱が閣議決定されたものの、二〇〇五年には合計特殊出生率が一・二六まで低下し、この辺りを契機にこの国は少子化対策に真剣に取り組み始めたという状況だったというふうに思います。実は私、当時政治部の記者をしておりましたが、少子化担当、猪口さんや高市さんが大臣だった頃にやらせていただいておりました。

 その後、合計特殊出生率自体は僅かに持ち直しながら、また再び下降に入って、昨年は出生数が八十一万人という大きなショックを受けているところであります。国民が安心して子供を産み育てられると思う環境が今ほど必要とされているということはないというふうに思います。

 ただ、残念ながら、この二十年間、この国の政治は少子化対策には結果を出してこれなかった。これは自民党政権だけではなく、間に入った民主党の政権も含めて、結果を出してこれなかったのは一緒だと思っていますので、日本政治全体で捉えるべきことだというふうに思っています。

 総理は来年度の骨太方針で予算倍増の道筋を示すというふうにおっしゃっていますが、それでは、令和六年度の予算で倍増を実現すると理解をしていいでしょうか。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、私は従来から、こども家庭庁を発足させ、そこで何が現代の子供政策として必要なのか、この政策について整理をした上で、そして、この政策を支えるための負担を社会全体でどのように負担をしていくのか、こういった議論を進めていく、そして予算倍増については来年の骨太の方針で大きな方向性を確認すると申し上げました。

 それは別に、翌年全部その予算を賄うということを申し上げているわけではありません。今後、中長期的に、子供政策を整理した上でそれを賄う負担の在り方を明らかにしていく、これをこれから中長期的に社会全体で賄っていく道筋を明らかにするということを申し上げた次第であります。

渡辺(創)委員 自民党総裁としての一期目の間に実現するのであれば、令和六年度までに倍増を実現しないと形にはならないということ、多くの国民の皆さん、期待して待っているので、早く安心して継続的な仕組みができ上がることを待っていると思いますので、そのことを意識していただきたいと思います。

 実は、私ども立憲民主党は、本日、緊急の子供対策に限定した補正予算の組替え動議を日本維新の会と共同で出す予定でございます。

 パネルを御覧いただきたいと思いますが、記載がありますように、出産費用の無償化や養育費立替え払い制度の導入、児童手当の特例給付の復活、学校給食の無償化、奨学金の返済減免と制度拡充などを求めたいというふうに思っています。是非、与党の皆さんにも、安心して子供の誕生を待つという環境を国民のためにつくるために、御理解をいただきたいというふうに思うところです。

 私たちは、十月三日に開会された臨時国会、補正予算もなかなか出てこないという中で、きちんと議論を重ねて、今、物価高の中でも子育て世代の負担を緊急的に軽減するとともに、今後の安定的、継続的な子育ての支援策の在り方を示す内容であるものを作ってまいりました。是非、与党の皆さんも受け止めていただきたいと思います。

 一つだけ伺いたいと思いますが、義務教育段階での給食の無償化、次のパネルになりますけれども、文科省の各種の調査を基にして文科省に出していただいた数字を基にすれば、パネルにありますように、四千三百八十六億円で実現できるとなっています。

 もちろん、これ自体大きな額でありますが、今回の補正予算案で、たくさんの基金に使い道が明瞭ではない資金が大量に積まれていることや、大幅な予備費があることを考えれば、政治の決断一つでできることではないだろうかと思います。義務教育期間九年間の子供たちがひとしく受けられる支援となります。是非踏み出していただきたい。

 総理のお考えを伺いたいと思います。いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 学校給食費につきまして、多くの御家庭において、国民の皆さんの中で大きな関心事であるということ、これは私も強く感じております。

 そして、学校給食費については、国としては、生活保護による教育扶助や就学援助によって支援を実施しているわけですが、そもそも学校給食費の無償化については、既に地域の実情に応じて実施している自治体もあり、そもそも、学校給食法の趣旨を踏まえて、学校の設置者である各自治体において判断していただくべき課題であるというのが政府の立場であります。

 そしてその中で、今般の物価高騰に対しては、政府において、三月、四月、七月、九月、累次の対応を講じており、地方創生臨時交付金の活用を促すなどにより、九九%の自治体において学校給食費の値上げが抑制されている、保護者の負担軽減が進んでいる、こうした取組は進んでいると認識をしております。

渡辺(創)委員 地域の実情が給食の問題でそれほど違いがあるとは思えないんですね。国民の実情を考えて、子供たちを守るためを考えれば、自治体に任せるのではなく、政府が判断をすればいいことだというふうに思います。

 経産大臣にはLPガスのことを質問したいと思っておったんですが、時間が参っておりますので、また改めての機会にさせていただきます。大変失礼をいたしました。

 どうもありがとうございました。

根本委員長 この際、山井和則君から関連質疑の申出があります。末松君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山井和則君。

山井委員 山井和則です。

 三十分間、統一教会の被害者救済法案について、岸田総理に質問をさせていただきます。質問通告、きっちりさせていただきますので、その質問通告に従って質問しますので、岸田総理、御答弁をよろしくお願いをいたします。

 元々は、この被害者救済の法案、高額悪質献金規制の法案、今国会は難しいんじゃないかという話でしたけれども、与党も岸田総理も決断をしていただきまして、与野党協力して是非成立させたい、そういうところまで来たこと、また、与野党協議にも応じてくださって、今四党で与野党協議を私たちが提出しました議員立法も踏まえてしていただいていること、私は本当に感謝をしたいと思っております。

 そういう意味では、被害者救済については与党も野党も関係ありませんから、本当に被害者ファースト、二世の方を含めた被害者の方をいかに救済できるか、その観点から建設的な質問をさせていただきたいと思います。

 今日に至るまで、私たちは、約二十数回党のヒアリングを開いて、そのうち十数人の当事者の方からお話をお聞きしてまいりました。岸田総理も三人の方から話を聞かれたということですけれども。一言で言うと、献金地獄、借金地獄、家庭崩壊、自殺未遂、不登校、自己破産、様々な悲劇がこの統一教会への悪質献金によって起こっております。今回の法案によって、そのことを何とか根絶をせねばと思います。私自身も二十二人の被害者の方と直接お目にかかって、一人平均二時間話を聞かせていただいております。そういう中で、是非とも大きな解決につながる法案にしたいと思っております。

 そういう中で、今日の最初のフリップですけれども、岸田総理のリーダーシップの下、与野党協議を通じて法案を作成、閣法にしてくださっていることは一歩前進とは思うものの、ここにもありますように、残念ながら、岸田総理、今のところですけれども、評価は非常に低いんです。

 先週、十一月二十一日、全国霊感商法対策弁護士連絡会が出されました声明文、今日の配付資料の中にございます。その中によりますと、家庭連合による加害行為の実態に即していないため、その被害救済にはほとんど役に立たない。また、家庭連合による被害は、困惑しないで行う献金が多く含まれるのであり、困惑類型として規制だけでは不十分であり、正常な判断ができない状態に乗じた勧誘、つまりマインドコントロールによる勧誘ですね、規制対象とすべきであると。

 また、二十三日の日には、仮名でありますが、山本さんや高橋さんを中心に、六人の被害者の方、二世の方を中心に、記者会見をされました。ここは本当に当事者の方々の悲鳴であります。このままでは私たちは救済されません。さらに、どうおっしゃっているかというと、政府案では被害者の救済の範囲が限られており、かえって政府案では規制されない行為を統一教会側に指南しているようにも捉えられかねません、被害者救済法でなく統一教会救済法になってしまいますと。

 今の印象ですよ、今の印象ではこういう印象があるんです。当然、岸田総理にはそんなことはないという反論があると思いますので、今からその反論をお聞きし、よりよいものにしたいと思います。

 前回に続き、今日も、橋田達夫さん、傍聴にもお越しをいただいております。このフリップにもございますように、「息子の命まで奪われた」「妻の入信で家庭崩壊」ということで、つまり、約一億円の献金を奥様がされた、それで家庭崩壊、離婚をされまして、残念ながら息子さんも自ら命を絶ってしまわれたという、一番、本当に言葉に尽くし難い、悲惨な被害であります。

 それで、今日はもう一人、中野容子さん、仮名の方にも傍聴にお越しをいただいているんですけれども、一般論で話をしても仕方ありませんので、こういう実例を踏まえながら、それを一般論として、今回の救済法案の対象になるのかという議論をしたいと思うんですね。

 この橋田達夫さんの被害においては、これは質問通告しておりますとおり読み上げますと、実例として、奥さんの田んぼ売却などによる一億円の献金などが原因で、家庭崩壊し、夫婦離婚され、お子さんが自ら命も絶たれましたが、入信以降は特段不安をあおられず、教義を刷り込まれた結果、外形的には困惑せず自主的に献金されている。外形的には自主的なんですね。

 そこで、岸田総理、お聞きします。

 一般論として、入信する当初に不安をあおられて困惑して、その状態が続いた中で、田んぼを売り、一億円献金をし、家庭が崩壊したが、献金する段階では、自らは困惑はしていないと認識するなど適切な判断ができずに献金したという、このようなケースは政府案の対象になるんでしょうか。岸田総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 法律の適用ですから、これは個別具体的な事案について考えなければいけないわけではありますが、政府内の議論においては、御指摘のように、入信当初に不安をあおられる等で困惑をし、そして、その後は自分が困惑しているか判断できない状態で献金を行ったとしても、その状態から脱した後に本人が主張して取消権を行使することが可能な場合はあると考えております。

 そして、そのような場合に対応するため、霊感等による知見を用いた告知の取消権は、追認できるとき、すなわち、実は不当な勧誘を受けて困惑して行った寄附だったと気づいたときから三年間は取り消すことができるものとする、こうした議論を行っております。

山井委員 非常に重要な答弁だと思います。つまり、献金したときには自主的に献金したつもりだけれども、実は当初に、地獄に落ちる、悪霊がついている、そういうことで不安をあおられてした献金については、今もおっしゃったように、もちろん個別のことは答弁できないとはいえ、取消権、禁止の対象になり得る、これは非常に重要な答弁であります。

 それで、もうお一方、中野容子さんの被害ですね。今日もお越しをいただいております。余りにも悲惨過ぎます。八十六歳のお母様が一億円以上の献金。

 まず、読み上げます。二〇〇五年二月、三百万円、九月、二千三百万円、十月、千五百万円。二〇〇六年十一月、二千万円、十二月、千二百万円。二〇〇七年、千三百万円。二〇〇八年、果樹園を売って三千八十四万円。二〇〇九年、果樹園を売って二千七百三十万円。二〇一〇年、果樹園を売って七百二十五万円。それで、この後、五年後に、娘さんが帰省したときに話を聞いたら、統一教会に入っていたということを初めて聞いた、娘さんは。それで、お母さんは、こんなにお金に困ったことはない、もう嫌だ、生活していけないとおっしゃったということなんですね。

 これは、岸田総理、明らかにおかしいですよね。一億円以上、どんどんどんどん献金していって、自分の生活費がなくて苦しんでいる、助けてほしいと娘さんにすがっている。

 ところが、このことに関してちょっとお母さんが疑問を投げかけたら、何が起こったか。統一教会が念書を書きましょうと言ってきたわけですね。つまり、あっ、これはやばいな、高額献金だから取り消せと娘さんたちが言ってくる可能性があるなと、先手を打ったんじゃないかと。

 つまり、世界平和統一家庭連合に対して行ってきた寄附ないし献金は、私が自由意思によって行ってきたものであり、違法、不当な働きかけによったものではありません。貴団体に対し、強迫、公序良俗違反等を理由とする不当利得に基づく返還請求や不当行為を理由とする損害賠償請求など、裁判上、裁判外を含め、一切行わないことを約束します。

 これは、実はほぼ定型です。全国で、脱会しよう、あるいは献金返金をされそうなケースが起こったら、この念書にサインをさせ、かつ、ビデオ撮影までされているわけです。

 その結果、残念ながら、この仮名の中野容子さんのケースも、地裁でも高裁でも敗訴、つまり、自主的に献金した、本人の意思だとなっているんですね。

 岸田総理、そこで、質問通告に従って御質問しますが、一般論として、入信当初に不安をあおられて困惑して、その状態が続いた中で、果樹園を売却し、一億円以上献金し、生活困窮したが、献金の段階では自らは困惑はしていないと、認識せず、自主的に献金した旨の念書に署名した場合は、政府案の救済対象、取消しや禁止の対象になるのか、御見解をお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 まず、被害を受けられている方をどの範囲まで救えるかという部分につきまして、先ほど申し上げたように、入信当初に不安をあおられるなどで困惑し、その後は自分が困惑しているか判断できない状態で献金を行ったとしても、その状態から脱した後に本人が主張して取消権を行使することが可能な場合はあると政府としては考えております。

 また、これは取消権の対象ではありませんが、家族の生活維持のために事業を継続していくのに必要な資産を処分して寄附資金を調達することを求める行為、これを禁止いたします。そして、これに抵触する場合は、勧告、命令等の行政措置の対象といたします。さらに、寄附の勧誘を行うに当たって、寄附する者やその家族の生活の維持が困難な状況に陥ることがないようにする配慮義務として規定をいたします。

 これらの禁止規定や配慮義務に反するような不当な寄附勧誘が行われた場合、取消しの対象でなくとも、裁判実務において最も活用されている民法上の不法行為の認定、そして、それに基づく損害賠償請求、これは容易になり、更に実効性が高まると考えております。

 その上で、念書についての御質問がありました。もちろん、これは個別具体的な事例に即して判断するものではありますが、政府内の議論として、寄附の勧誘に際しての法人等の不当勧誘行為により、個人が困惑した状態で取消権を行使しないという意思表示を行ったとしても、そのような意思表示の効力は生じないと考えられるということであります。

 むしろ、法人等が寄附の勧誘に際して、個人に対して念書を作成させ、あるいはビデオ撮影をしているということ自体が、法人等の勧誘の違法性を基礎づける要素の一つとなり、民法上の不法行為に基づく損害賠償請求が認められやすくなる可能性があると判断をいたします。

山井委員 これは非常に重要な答弁ですね。今まで念書、ビデオを撮れば、統一教会側は怖いものなしで、裁判に勝ったり、あるいは裁判をさせなかった。しかし、今、岸田総理が答弁したように、大体、宗教法人が寄附をもらって、いざとなったら、念書を書きなさい、ビデオで自主的に献金したと話しなさいと言うこと自体、自分たちが半ばだましているということを認めているような話なんですね。そのことを、今、政府を代表して、岸田総理も御答弁いただきました。

 ですから、この法案が成立したときに、はっきり言いまして、恐らく統一教会側は、自主的な献金です、自由意思の献金ですという念書を書かせたり、そのビデオを作成する可能性はあるんです。しかし、今、岸田総理が答弁されたように、これはもうはっきり言って逆効果です。そういうことをすること自体がやましい、だました危険性があるからですよね。本当に自主的に献金してもらったら堂々としていたらいいということです。これまた非常に、今、岸田総理、重要な答弁をされたと思います。

 次に、この思考パターン。これは被害者の二世の方で、デビルさんという、今すばらしい活動をされているんですけれども。統一教会の被害の本質は、このデビルさんの思考パターンの変化、これにあるんです。

 つまり、入信するときは、家族が不幸になるよ、救われないよ、地獄に落ちるよと言って恐怖をあおるんです。ところが、これで一旦マインドコントロール、洗脳してしまうと、次には、先祖の供養のため、因縁のために献金するという献金をする段階になって、更に信仰が進むと、使命感、世界平和のために使われると信じ切って献金しているから、このときには完全に、喜んで自主的に献金しているんですね。

 今日の議論の中で、岸田総理から、例えば中野容子さんのお母さんのケースも、果樹園を売ったのは世界平和に献金するためですと言っているんだけれども、実はそれは自主的じゃなくて、元々最初の段階で恐怖を植え込まれて、マインドコントロールされているからということで、今日の岸田総理の答弁で、当初にそういう不安をあおられたりするのも今回の取消し、禁止の要件に入ると。これは非常に重要なことだと思います。

 そこで、改めてお聞きしたいんですけれども、統一教会がどういう典型的なケースをやっているかというと、法人が寄附の勧誘をする際に、最初に接触してから寄附するまでの間という解釈でよいのか。つまり、ビデオセンターで統一教会というのを隠して、正体を隠して不当に教義を教え込まれ、そして、その数年後に高額献金に持っていくわけですね。その数年後にその教義に基づくものとして献金を勧誘される場合も規制対象になるという理解でよいか。

 そして、統一教会の典型的被害である、正体を隠して教義を教え込み、その教義に基づく責任感や義務感に基づいて支払われる献金、これについても取消しや禁止の対象にすべきと考えますが、岸田総理、いかがでしょうか。質問通告のとおりであります。

岸田内閣総理大臣 まず、現在検討中の新法案では、不安を抱いていることに乗じて勧誘を行う場合を取消権の対象とすることを検討しているわけですが、これは、入信当初だけでなく、その後の献金についても当てはまると考えております。

 そして、正体を隠してという御指摘がありました。寄附適正化の仕組みにおいて、寄附の勧誘をする際にと記載しているのは、法人が当該寄附の勧誘を行う場合に、個人と接触してからその個人が寄附を行うまでの間にという趣旨であります。

 委員御指摘のようなケースについては、検討中の政府案において、寄附の勧誘を行う法人等を特定できる事項を明らかにすること等を配慮義務として定めることによって、これに反する行為があった場合に、不法行為に基づく損害賠償請求による救済が容易になると考えています。よって、正体を隠すというようなことは、これに反するということになるわけであります。

 そして、悪質な勧誘行為による被害が、取消権だけでなく、実際の裁判実務で最も活用されている不法行為に基づく損害賠償請求を通じても適切に救済されるようにしてまいりたいと考えております。

山井委員 取消権の対象にもなり得るということですが、今、岸田総理から、裁判をすれば取り消せる可能性があるということなんですけれども、私も二十二人の二世を中心とする被害者の方の相談に乗ってまいりましたけれども、裁判するとなると、何年もかかるし、弁護士費用もかかるし、さらに、親が幾ら献金したかとか、領収書も出していない、その記録もなかなか教団に言っても出してもらえない、そういうことで、裁判は大変な苦労があるんですね。そういう意味では、これを、どうやって簡単に被害を防いでいくかというのが重要なんですけれども。

 そこで、次、小川さゆりさんを始めとする多くの二世の方々が今、声を上げておられます。先週二十三日にも、先ほども言いましたように、山本さん、高橋さん、デビルさんとか、様々な方がですね。

 どういうことかというと、例えば、小川さゆりさんも、高校の、アルバイト料二百万円を没収され、その時期、御両親が献金をしていたということや、ほかの方は、黙って子供のカードローンで献金をされた、黙ってですよ。そういうケースはごろごろあるんです。カード摂理というんですけれども、自分が献金できなくなったら親戚から借りてきてやりなさい、子供のカードを使って献金しなさいということが一般的に行われていて、いまだにお子さんたちは親が勝手にやった献金の借金を抱えて苦しんでいるんです。

 そういう意味では、この二世の方々が、はっきり言いまして、統一教会の教団側からもかなりの嫌がらせや迫害も受けておられるんですよ。そう受けながらも発言しておられるのは、もうこれ以上、苦しむ二世を、終わりにしたい、この法案で何とか救済、再発防止してほしいという願いなんですね。

 ところが、では、二世の被害者の方々はどうおっしゃっておられるか。このままでは私たちは救済されません。その理由、簡単なんです、岸田総理。

 岸田総理、先日、三人の被害者の方に会ってくださったということですけれども、その中に二世の方もおられたと思うんですけれども、恐らく二世の方も。

 今回の政府の法案の債権者代位権という制度では、扶養家族しか返金請求が、それも少額しかできないんですよね。

 岸田総理、三人面会された中の、二世の方、おられると思うんですけれども、扶養家族の方っておられましたか、面会された中に。

岸田内閣総理大臣 たしか、お会いした方々は全て成人されておられましたので、扶養家族ということには当てはまらないのではないかと記憶しております。

山井委員 そこなんです。今、二世で困って声を上げておられる方は、扶養家族の方はほとんどおられないんですよ。ですから、政府の、一部返金できるのは扶養家族だけというのでは全く救済されないんです。

 私も二十二人の方にお目にかかりましたが、二十一人は扶養家族ではありませんでした。残り一人は学生さんでしたけれども、学生さんが弁護士を雇って債権者代位権を行使して教団に要求するということは無理です、はっきり言いまして。

 ということは、今回の法案は、ストレートに言いますと、二世の被害者のためには、残念ながら、今のままでは全く使い物にならないんですよ。扶養家族の人はほとんどいないんですから。

 それで、今、岸田総理が、いや、そんなことはないと言ってくださったので、私もその答弁を期待しているんですけれども。そうしたら、扶養家族以外の人は、どうやって献金に対して返金請求、返金要求はできるんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 債権者代位権は、自らの権利を守るために必要な限度で他者の権利の行使を認める制度です。今回の新法案でこれを活用しやすくすることで、家族らの被害救済につながると考えています。

 また、元扶養家族についても、扶養家族であった期間の扶養債権に基づいて代位権の行使が可能である、こうした専門家の意見もあります。

 また、債権者代位権の適切な行使により被害回復等を図ることができるようにするための支援は重要であると考えており、法テラスと関係機関が連携した相談体制の整備など、支援の在り方を検討することによって適切な行使を考えていきたいと思います。

 これに加えて、寄附の勧誘に当たって、寄附者やその配偶者、そして扶養家族の生活維持を困難にすることがないようにすること、これを配慮義務の中に規定をしています。この配慮義務に反して法人等が配偶者や扶養家族自身の権利を侵害していると認められる場合には、配偶者や扶養親族自身の損害について民法上の不法行為の認定が容易になる、より返済を求める金額を充実させることができる、こうした考え方に基づいて救済を考えていく、これが新しい法案の基本的な考え方であります。

山井委員 裁判に訴えたら、民法の不法行為で、七百九条で勝てるかもしれないと言うけれども、統一教会の二世の方々は、統一教会の親の高額献金で人生がたがた、ぼろぼろになっている方々も多くて、一部幸せな方ももちろんおられると思いますけれども、その結果、裁判なんか起こせないんですよ。生活に困っている方が多いんです、はっきり言いまして。親の献金の借金を、親の献金、自分のローンでされて、借金を返したり、統一教会は年金保険料も余り払わずに献金しなさいと言っているから、親は無年金だという人が多いんです。自己破産の人もいるんです。年金のない親の老後も二世の背中にかかってきているんです。そういう人たちが裁判するということは、残念ながら非現実的なんですね。

 それで、岸田総理、今、じゃ、扶養家族でなかったら、元扶養家族の人は扶養の頃の扶養のお金を請求できるということですが、例えば三十代、四十代の人が、自分が扶養家族だったときの十数年間の扶養のお金というのは、遡って請求できるんですか。

岸田内閣総理大臣 個別具体的な案件については今確定的に申し上げることは申し上げられませんが、今、先ほど申し上げた考え方に基づいて法律の適用を考えていくという議論を、政府としてこの議論をしているということを説明させていただきました。

 そして、今委員の方から、現実問題、困窮されている方々、裁判なんか起こせないではないか、こうした指摘がありました。だからこそ、先ほども一部触れましたが、適切な権利の行使が大事だという観点から、政府として支援することが重要であると考えています。

 法テラスと関係機関が連携した相談体制を整備し、そして、そういった方々を支援する体制、これを用意することによって、法律を適用し、そして権利を行使することがより現実的に可能になる、こうした体制をつくっていくことが重要であると政府としては考えております。

山井委員 幾ら相談に乗っても、生活が苦しいわけですから。そして、今、扶養の費用の件をおっしゃいましたけれども、これは月数万円なんですね。扶養による債権というのは、月数万円ぐらいしかお金が返ってこない。

 あるいは、これは無資力要件というのがあって、献金した親が持家があったり資産や年収があったら対象外ということで、これは弁護団の方々も、ほとんどこの債権者代位権は使える人はいないでしょうということを言っているんです。

 これはすぐにとは言いませんが、今回の法案審議の中で、今日言いたいのは、二世の被害者の、扶養家族以外はほとんど救済されません。先ほども言ったように、月数万円のお金が何年分か出たとしても、献金は一千万とか一億なわけですから、そんなことでは抑止力にならないんです。

 それで、岸田総理、今日、残念なことに、私、弁護団の弁護士の方に是非ここに来てもらって、一緒に、参考人として答弁してほしいと言ったんですけれども、残念ながら、与党から何らかの理由で反対されて、来てもらえませんでした。

 そこで、岸田総理にお願いがあるんですけれども、やはり、三十年以上統一教会と、一番被害者に寄り添って闘ってこられた方々というのは、やはり弁護団の方々なんですね。すばらしい方々です。はっきり言って、むちゃなことはおっしゃいませんので、この国会で、衆議院で来てもらえないのであれば、是非今週中にでも弁護団の方とお目にかかっていただきたいんですよ。何でかというと、統一教会の、一番、悪辣な手口、そういう手口を熟知している方々なので、是非今週中にでも……

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますから、おまとめください。

山井委員 弁護団の方にお目にかかって話を聞いていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

根本委員長 内閣総理大臣岸田文雄君、手短にお願いします。

岸田内閣総理大臣 弁護団の方々の今日までの努力には心から敬意を表し申し上げます。

 そして、法案作成に当たっては、様々な関係者の意見、当然、政府として伺い、様々な形でそういった意見を酌み上げるべく努力をしてきました。どの方にお会いして、どの方にお会いしないか、これは改めて申し上げませんが、引き続き、法案を作成し、提出し、成立を図るわけですが、そして、それを施行するに当たっても、関係者の意見はこれからも丁寧に聞かせていただくような努力は続けていきたいと思います。

根本委員長 山井和則君、簡潔にお願いします。

山井委員 前回も、被害者に会って話を聞いていただきたいと言ったら、聞いてくださいましたので、是非弁護団の方にも会ってください。

 ありがとうございました。終わります。

根本委員長 これにて末松君、渡辺君、山井君の質疑は終了いたしました。

 次に、青柳仁士君。

青柳(仁)委員 日本維新の会の青柳仁士です。

 今、ウクライナ危機や周辺国の動向を受けて、かつてないほど多くの国民の皆さんが防衛力の強化に対しての賛意を示している状況です。様々な世論調査を見ますと、およそ七割ぐらいの方々が、今ここでしっかりとした防衛力をつくるべきであるという意見を示しておられます。

 まず冒頭、総理にお伺いしたいんですが、今回、そのような中で、国家安全保障戦略を含むいわゆる安保三文書の改定に当たって、これは十年に一度の非常に重要な安全保障戦略の改定ということになりますが、国民の皆さんが一番期待しておられることは何だと思いますか。

岸田内閣総理大臣 安全保障環境が厳しくなる中にあって、政治が本当に国民の命やあるいは暮らしを、そして繁栄を守ってくれるかどうか、守れるかどうか、これが大きな関心事ではないかと思います。

青柳(仁)委員 大きくはそのとおりかなと思いますが、政治が、あるいは国民の代表である総理始め、我々もそうですけれども、しっかりとこの国を守ってくれるのかどうかということだと思います。

 そのような中で、一方で、今、先ほど別の質疑でもありましたが、中国とロシアの艦艇が共同で日本海をぐるぐる回っていたり、あるいは、北朝鮮が様々なミサイルを開発しております。先ほど総理も御答弁でおっしゃっていましたけれども、ミサイルの技術進化というのは日進月歩の状況でして、北朝鮮であっても、いろいろなミサイルをただ撃っているように見えますが、変則軌道のものであったり、発射する場所が特定できないものであったり、音速の五倍を超える速度で飛んでくるもの、あるいは、一度に十発、二十発というのを撃ってくる。こういった様々な工夫を凝らして、こちらのミサイル防衛網を突破しよう、こういうことが日々進化し続けているわけであります。

 こういったことに対して、やはり国民の多くの皆さんが不安に思っている、それがこの七割の防衛力強化をしてほしいという声につながっているものだ、このように考えております。

 そういった中にあって、やはり国民の生命と財産を守る最大の責任者でもあり、また、自衛隊法に基づく自衛隊の最高指揮官は、内閣総理大臣、岸田総理です。そうした立場から、少なくとも、例えば北朝鮮、あるいは他国からのミサイル攻撃は全て日本の防衛網で撃ち落とすことができるから、皆さん安心してほしい、こういうことを胸を張って国民の皆さんに言うことができますか。

    〔委員長退席、中山委員長代理着席〕

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、ミサイルに関する技術、急速なスピードで変化、そして進化をしています。迎撃がより難しくなっているということは事実であります。

 その中で、まずはこうした脅威に対応するため、PAC3の能力向上などの取組を継続していくとともに、衛星コンステレーションなどの新たな手段の活用も考え、ミサイル迎撃能力を更に向上していくことに努めているわけですが、こうした取組が進化するミサイルの技術にしっかり追いついていけるかどうか、これを我々はしっかり考えていかなければいけないということで、ミサイル迎撃能力の向上だけではなく、いわゆる反撃能力を含め、あらゆる選択肢を考えていかなければいけない、こうした議論を今行っているということであります。

 是非、こうした議論を行うことによって、進化するミサイル技術に後れを取ることのないように、国民の命や暮らしを守るべく、政治の責任を果たしていきたいと考えています。

青柳(仁)委員 今の御答弁で、ミサイル技術の進歩に後れを取らないようにというお話があった。これは、要するに、今は後れを取っているということを認めているに等しいと思うんですが、ただ、これはある程度やむを得ないことでして、やはり攻撃する側の方が技術進歩が速いのは当たり前です。それに対する、対処の技術進歩はそれに追随するものである。これは防衛力を考える上で、ある意味、科学技術というものを考えれば当たり前のことだと思います。つまり、ミサイルに完全な防衛というのはやはり不可能だと思います。

 こういった中で、多くの国民の皆さんは、一発ミサイルを撃ち込まれて、実際に被害が出て、家が壊れて、誰かの生命とか財産が失われた後にやり返してほしい、こういうふうに思っている人は私は誰もいないというふうに思っています。

 ですから、ミサイル防衛を考えるときには、迎撃システムとかシェルターとか、そういった話も重要なんですけれども、それよりも、反撃力を保有することによって一発目の攻撃を思いとどまらせることということがやはり何よりも大事だというふうに考えております。

 こういった中で、年末までの安保三文書改定において反撃力に関する議論が続けられているわけでありますが、特に我が党は、抑止力という観点から反撃力の保有というのは必要不可欠だというふうに考えておりますが、総理の見解をお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、政府としては、反撃能力を含め、あらゆる選択肢を排除せずに、年末までに、議論を続け、結論を出していきたいと思いますが、反撃能力の詳細については議論の最中でありますので、今この時点で申し上げるのは控えなければならないかもしれませんが、まず基本的に、他国が我が国に対して攻撃をすることを思いとどまらせるような日本の備えを用意していく、すなわち、おっしゃる抑止力、こうしたものを充実することによって他国の攻撃を事前に防ぐという考え方、これは重要な考え方であると我々も認識をいたします。

    〔中山委員長代理退席、委員長着席〕

青柳(仁)委員 反撃力の中身に関する議論は様々あると思います。昨日、我が党の馬場伸幸代表の質疑でも、岸田総理から以前本会議でいただいた御答弁をもう一度繰り返させていただいて、是非我が党と、党首間での議論も含む意見交換等を行わせていただいて、その中でお話しいただければと思っておりますが、一方で、抑止力ということを考えたときには、もう少し踏み込んだ議論が必要だろうと思っております。

 まず、反撃力、これを行使するためには、現在憲法九条の下で認められている自衛のための武力の行使ということに該当する、このように理解しています。ここは政府答弁とも同じ、政府の見解と同じだと思います。間違っていたら教えてください。

 その中で、現在、いわゆる新三要件と言われるものに該当する場合、自衛のための武力の行使ということになるわけですけれども、三つ目の要件に、必要最小限度の実力行使にとどまるべきことという言葉が入っております。しかし、防衛力において必要最小限度ということを強調することは、周辺国に対して、日本の抑止力を小さく映すのではないかと考えております。

 抑止力が重要となる中で、必要最小限を強調する必要はないのではないかと思っておりますが、例えばここを必要不可欠と言い換えてみるなど、様々な考え方があろうかと思いますが、総理の御見解をお伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 まず、平和安全法制の成立によって、我が国における武力の行使の要件はいわゆる新三要件となっており、我が国の武力の行使は新三要件に基づいて行われると認識をしております。

 そして、武力行使の新三要件では、我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること。これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと。そして、御指摘の、必要最小限度の実力を行使すること。この三点ということになっています。

 そして、防衛力の抜本的強化に関する検討は憲法及び国際法の範囲内で進められており、政府としては、必要最小限に関する見解、これを変更する考えはありません。

 そして、これまでも、必要最小限の実力行使の具体的限度、これは定義はもちろん変わりませんが、具体的な限度については当該武力攻撃の規模ですとか態様に応ずるものであり、一概に述べることは困難である。すなわち、要は、定義は変えませんが、ミサイル技術の進歩等において、具体的な態様、これは絶えず考えていかなければいけない、こうした考えの整理をしていると承知をしております。

青柳(仁)委員 今の御答弁いただいた政府見解はもちろん承知しているんですけれども、私が問題だと思っているのは、他国に対してどう見えるかということなんです。

 必要最小限度しかやりませんというのは、これは国民向けの説明、あるいは国内向けの説明だと思うんですよね。憲法の中で自衛隊というものがなぜ存在していて、それはどこまでの行為が許されるのかということを説明するための、ある意味内部的な話なわけです。それの是非というのは当然あります。我が党は憲法九条を含む憲法改正の提案もしておりますので、そこの是非というのは当然政治の場ではあり得るわけですが、現在の政府の見解に基づけば、まあそのとおりだろうというふうには思います。

 ただ、他国が見たときにどう思うかというのが抑止力だと思うんです。相手から攻められても必要最小限しかやり返しません、こう言うことは、どう考えても外から見れば怖くない。怖くなければ、これは攻めようという。攻撃を思いとどまらせよう、そういうものにはならない。抑止力というのは相手がどう思うかですから、こちらが実際にどういう武器を持っているかとかどういう武力を持っているかではなくて、それについて相手がどう思うかですので、相手にとって、必要最小限、必要最小限と繰り返し言うのは、これは別に憲法上に書いてある言葉でもありませんから、そういうことはどうなのかなということを思っています。もっと言えば、我が党としては、これは必要不可欠なというようなことで言い換えても特段問題はないというふうに思っております。

 一方で、今御答弁ありましたとおり、とはいえ、この自衛のための必要最小限度の実力の具体的な限度というのは、その時々の国際情勢や科学技術等の諸条件によって変化するというのは、これまでも政府答弁で何度もあったものかと思います。

 であるならば、かつて、ほかの答弁の中で、例えば政府は、ICBM、攻撃型空母、長距離爆撃機等、こういった武器を名指しして、こういうものは保有することができないという答弁をしているわけなんです。

 ところが、必要最小限度ということの定義が変わっていくのであれば、別に、そのとき、今この瞬間において、これが持てません、こういう武器を持つことができませんと言う必要がまずない。それから、言うことによって他国にどう思われるか、これをやはり考えるべきだと思います。それから、今、サイバー攻撃なんかの議論の中で言われておりますが、今の科学技術は、どういうものが攻撃に使えて、どういうものが防御に使えるか、これを明確に線引きすることなんてできないんです。できますか。

 そういうものに関して、今この瞬間の必要最小限度はこれであるから、今名指ししたようなこういう武器は持つことが日本としてできないんです、こんなことを言う必要はないと思うんですけれども、保有可能な武器やその使用方法について、自ら内向きに制約を設けるべきではないと思うんですけれども、総理の御見解をお伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 まず、先ほども答弁させていただきましたように、従来から、憲法上我が国が保持し得る防衛力は自衛のための必要最小限度でなければなりませんが、その具体的な限度については、その時々の国際情勢、軍事技術の水準その他の諸条件により変わり得る相対的な面を有する、このように解しております。

 そして、ICBM等の例示、これは適切ではないのではないか、こういった御質問でありますが、これまで、政府は、憲法第九条との関係において、性能上専ら相手国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられる、いわゆる攻撃兵器の例として、ICBM、長距離戦略爆撃機、攻撃型空母、こうしたものを保有することはいかなる場合にも許されないとの見解を示してきました。

 この文脈において、政府の見解、これは変更する考えはないというのが政府の立場であります。

青柳(仁)委員 ですから、その変更する考えのない政府の立場がおかしいということを申し上げているんです。

 要するに、攻撃を専ら専門にしているものである、それはどうやって判断するんですか。誰が判断するんですか。

岸田内閣総理大臣 今申し上げたように、性能上専ら相手国の国土の壊滅的破壊のために用いられる、いわゆる攻撃的兵器、このように申し上げております。

 これに該当するものの例として幾つか挙げているわけですが、こうした攻撃的兵器、これは憲法九条との関係において許されないと判断しております。この文脈で挙げている例示は、これを変える、変更するということは考えていないと申し上げている次第であります。

青柳(仁)委員 何でもいいから武器を持てとか、そういう危険なことを言っているわけではありませんで、科学技術の進歩が非常に著しいので、先ほどミサイルの話がありましたよね。それに相応するような防衛力を、科学技術を持たなきゃいけないという話は先ほど御答弁がありました。

 また、そういったものを、やはり最初の答弁で、国民の皆さんも是非聞いていただきたいんですけれども、一番最初、私は、胸を張ってこういう今の北朝鮮のミサイルを防げますかというふうに聞いたんですけれども、それに対するお答えはありませんでした。それは、答えられるわけがないからです。実際に胸を張って答えられないからです。無理なんですよ。

 だから、そういう中で、先ほど来からの話で、だから相手に一発目を思いとどまらせるような反撃力が抑止力として必要だということを確認したにもかかわらず、いや、これは攻撃力だから持てませんとか、今の御答弁を聞いても、なぜそれが専ら相手国の壊滅的な破壊にのみ用いられるというふうに言われるのか、よく分からないです。

 ICBMにしたって、それは、皆さんの考え方としては、核弾頭を載せればそれはそうですよ。でも、何を載せるか。あれはただのロケットですよね。だから、使い方によっても違うし、科学技術の進化によっても違います。これは法制局にも確認をしましたけれども、その使い方をもって一概には言うことはやはりできないんですよ。この辺はしっかりとやはり考えていただきたい。

 では、なぜこういうことを申し上げるかというと、私、十二年前にアフガニスタンに二年間暮らしておりました。当時から紛争中でして、残念ながら自衛隊を派遣できませんでしたので他国の軍隊に守られておりましたが、その際に、戦力の均衡という話がありました。

 当時は、アフガン軍というのは非常に弱い、そして反政府勢力のタリバン軍というのが非常に強くて、二週間に一遍ぐらい市街戦が起きたり、あるいは自爆テロが起きたり、私も何度か巻き込まれました。

 そういう中にあって、ある私の友人のドイツ人将校が、アメリカは常にそこから撤退したかったんです、たくさんの犠牲者が出ている、そして派兵の費用も非常に高い。そういう中で、できるだけ早く引きたい。でも、アフガンとほかの国際社会がちょっとそれは待ってくれということを言っていた。それで、そのドイツ人の現場の将校は何と言っていたかといったら、今彼らがいなくなったら、あっという間にカブールは陥落すると。これは、戦力が今拮抗しているから動かない。腕相撲みたいなものなんです。

 腕相撲というのは、真ん中でぐっとつながっている。これは止まっているわけじゃないんです。お互い力を入れているから止まっているわけです。どっちかが力を緩めたら、あっという間にやられてしまう。

 そういった中で、ただ、彼は、当時は、とはいえ、カブールの町では普通の経済活動も行われていました。普通に友達と笑ったりお酒を飲んだり、お酒は飲めませんが、御飯を食べたりはしておりました。そういう町を見て、オオカミ少年のように言われておりました。あの人の言っていることはちょっと脅かしているだけだ、そんなに必要ないんだ、武力はと。

 ところが、二〇二一年の八月に何が起きたか。アメリカのバイデン大統領がアメリカ軍を撤退させると言ったのが四月。八月末までに完了させるというその完了を待たずして、八月の十五日にカブールは陥落しました。しかも、七月の段階で、バイデン大統領は、カブールの首都が落ちることはないと国際的に公言していたんです、にもかかわらず。

 だから、先ほどの腕相撲の例えじゃないですけれども、こっちが圧倒的に強い力があれば、真ん中で静止することができるんです、あるいは対等の力を持っていれば。日本は専守防衛ですから、相手をばたんと倒したりはしません。しかし、こっちに倒されないためには、相手よりも強い力を持っていなきゃいけない。それが抑止力だと思うんですね。

 ここは、今回これだけ多くの国民の皆さんが防衛力の強化に賛成をしてくださっている、そして国家安全保障戦略を含む三文書の改定を行えるという千載一遇の機会が訪れている中で、今はバランスを取るところじゃないと思うんです。

 我々が本当に恐れなきゃいけないのは、戦争をしたがっているんじゃないかとか、そういうプロパガンダ的な批判ではなくて、将来の私たちの子供たちや孫たちがきちんと安心して暮らせる、心配しないで生きられる日本をつくることだと思うんですね。そのために必要な防衛力、今しっかりと整備していただきたい、このように考えております。

 こういったことは、国家の安寧と国民の平和な暮らしを預かる政治が果たすべき最低限の役割だと思いますが、総理の個人の御見解をお伺いできればと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、先ほども申し上げたように、政治として国民の命、暮らし、繁栄を守るというのは最も重要な責務であり、自らの防衛力の強化についても、あらゆる選択肢を排除せず、具体的に、現実的に考えていかなければならないと思います。

 そして、自らの防衛力を充実させることと併せて、国際社会において多くの同盟国、同志国と連携をすることによって平和を守っていく、こういった姿勢ももちろん大事であります。

 そして、周辺国や同盟国、同志国から我が国の防衛力を強化することを理解していただくためにも、透明性を持って自らの防衛力の充実について説明をする努力、これも併せて求められると思います。

 そして、その説明を行う際に、当然のことながら、憲法あるいは国際法に準じたその範囲内での対応であるという基本線、これは重要な基本線であると思っています。

 是非、そういった観点から、我が国の防衛力をどう考えるのか、国家安全保障戦略の中で、こうした国際連携も含めた我が国の安全保障の在り方をしっかり体系的に整理することが重要であります。

 その際に、透明性を持って説明する際に、憲法等の考え方、これはしっかりと説明していく。その際に、先ほど申し上げましたような政府の姿勢は重要であると認識をし、説明努力を続けていきたいと考えています。

青柳(仁)委員 八割方、私、特におっしゃっていることに異論はないんですよ。

 それで、今おっしゃった話で、憲法を守るという、別に、私がこれまで発言した内容で憲法に違反するようなことは一つもありません。また、それを踏み越えるようなことを党として提言するつもりもないんです。言っているのは、それの政府解釈ということについてお話をしているわけです。そこはちょっと明確に申し上げておきたいと思います。

 それから、政府解釈ですから、政府の解釈の仕方で変えられるわけです。何よりも大切なことは、今の国民の皆さんが抱えている不安だとか、将来の子供たちの、孫たちの世代の安心、安全というのを守ることだと思いますので、国際社会との連携、協調が必要、それはそのとおりだと思いますよ。それは当然だと思います。ただ、それらを踏まえた上で、やはり、しっかりとした決意を持ってここはやる必要がある、そういうことを申し上げているわけです。

 それから、よく、そういった防衛力の話をする前に話合いだとか外交だとか言う人が時々いるんですけれども、私は、この考え方は根本的に間違っていると思っていまして、これは外交が大事か防衛が大事かじゃないんです。両方大事なんです。防衛というのは、外交の努力を尽くした最後の最後に残念ながら必要になってしまうものであり、また、外交交渉というのは、あらゆる面で防衛力の裏づけなしになんかまとまりません。

 ですから、意味がよく分からないそういう机上の空論みたいなところに惑わされることなく、是非、国民と、そして将来の世代のことを考えていただきたいと思っております。

 次に、補正予算についてお話を伺いたいと思います。

 今回の政府の総合経済対策と補正予算には、幾つもの目的が掲げられております。

 こうした中で、まず総理にお伺いしたいのは、国民が今回の総合経済対策と補正予算に一番求めているものは何だと思いますか。

岸田内閣総理大臣 今回の総合経済対策、そして補正予算の大きな柱として、政府としては、物価高騰、円安による影響に対する対応、そして二つ目として構造的な賃上げ、そして日本経済成長のための改革と投資、この三本を掲げております。

 まずは目の前の物価高騰等にしっかり対応してもらいたい、しかし、それと併せて持続的な賃上げ、これを実現してもらいたい、そして、何よりも日本の経済を再生してもらいたい、こうした点が、国民の皆さんから、こうした対策に対する大きな期待ではないかと考えております。

青柳(仁)委員 今、一番大事なものは何ですか、求めているものは何だと思うかと聞いたんですけれども、三つぐらいお答えいただいてしまったので。恐らく、一番最初に挙げていただいた目の前の物価高、円安、こういった苦しい経済状況、生活状況に対する対応ではないかと思うわけなんです。

 しかしながら、今回の総合経済対策を見ていくと、これは効果はありますか。ほとんど今年度中に執行されないような予算が非常にたくさん含まれております。例えば、文部科学省の研究関係の独法に関する基金とか。使い道はいいんですよ。使い道として、将来的な理系人材を増やしていくための、工学部の設置だとかそういったもの。その方向性はいいんですけれども、これは、聞き取りしてみたところ、今年一円も使われないそうです。来年度執行できるかも分からないぐらいのスピード感です。

 それから、すぐに効果が出ないようなものもたくさん含まれています。例えば、経済産業省の補助金で、省エネ設備更新で五百億円、住宅断熱設備投資で九百億円といったお金が積んでありますが、まず、住宅断熱設備導入のお金を出すまでに、今年はまず無理です。そして、来年度入れたとして、本当にその設備ができるか。再来年ぐらいにできたとして、そこから実際に電力料金に反映させるとか、電力の供給量を下げるための効果が出るのは数年先になると思います。

 それから、そもそも物価高とか円安と関係ないものも相当多く含まれています。例えば、防災・減災、国土強靱化というところに書いてある大雨予測精度向上とか、これは今全然関係ないですよね。

 こういった中で、政府の総合経済対策と補正予算というのは即効性がないと思うんです。即効性がなくて、円安とか物価高に対してこれを止められるようなものには全くなっていないと思うんですけれども、即効性があると思いますか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、今回の総合経済対策は、目の前の物価高騰に対する対応と、構造的な賃上げと、そして日本経済再生ということをその目的として掲げています。

 特に三本目については、今すぐお金は使わないというような御指摘もありましたが、基金等々で方向性を示すことによって、民間の投資は今からスタートいたします。政府が基金等によってこの分野という大きな方向性を示すことによって、民間が動き出す。これはもう今すぐから、今すぐこれをスタートさせなければいけない、こういった危機感に基づいて用意した施策であります。もちろん、目の前の物価高騰についても、エネルギー、食料を中心に様々な施策を用意いたしました。そして、賃上げも大事だということで、施策を用意しました。

 この三つの中で緊急性を要するものを吟味し、今回の総合経済対策を作成したというのが政府の姿勢であります。

青柳(仁)委員 その三つの目的というのは政府が掲げているものであって、本当に国民が求めているものですか。

 最近の、最新の世論調査で、岸田政権の支持率というのは、共同の数字でいうと三三%です。国民の三割しか支持していないんですよ。これは、何か聞く力とおっしゃっていますけれども、本当に国民の言うことを、考えていることを聞いていますかという気がいたします。

 こういった経済再生の話、先ほどありました、これを出せばすぐに動き出せるんだと。でも、項目を見てください。脱炭素だとかイノベーションだとか、去年もおととしもずっと政府が言っていたことですよね。何で今言うんですか。今言う必要ないですよね。

 それからもう一つ、本当はお伺いしたかったんですけれども、補正予算というのはそもそも何だか御存じですか。財政法第二十九条にこう書いてあります。御存じですか。法律上又は契約上の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出又は債務の負担を行うため必要な予算の追加を行う場合にのみ認められる予算です。これはどこが緊要なんですか。では、経済再生は去年言っておけばよかったじゃないですか。

 それで、実効性のない、今使われない予算が物すごくたくさんあるわけなんですけれども、この点については、やはりどれだけ強弁されても誰も理解しないと思いますよ。まだ質問していませんので。

 そういうことを申し上げても、何度も、政府としてはこの三つの目的です、三つの目的と。だが、その三つの目的は理解を得られているんですか。物価高や円安に対するしっかりした対策が取られていない、こういう総合経済対策、補正予算で、本当に国民の声に応えているとは私は少なくとも思えません。

 これは質問しようと思ったんですけれども、時間がなくなりましたので、もう一つ。

 例えば、こういう基金というスキーム自体が、私はこれはあり得てはならないと思うんですけれども、今、防衛費の議論があります。安定財源が必要だから増税しますみたいな話があります。でも、安定財源が必要なんだったら、では、その防衛費の基金か何かをつくればいいじゃないですか。五年間で四十兆円ですよね。今回の総合経済対策が二十九兆円ですよね。お金があるときにそこに基金をつくって、五年間それで執行させたらいいじゃないですか。何でそういうことはやらないんですか。

岸田内閣総理大臣 総合経済対策については、今の時点で、物価の状況、円安の状況、そして雇用の状況、そして、日本の経済、エネルギーの安定供給が重要だ、サプライチェーンの見直しが至急に求められる、こうした事態に対応するための総合経済対策であります。

 そして、防衛力については、先ほど来議論しておりますように、個別具体的な防衛力の議論、反撃能力を始めとする議論と併せて、我が国全体の安全保障の体系を国家安全保障戦略の議論の中でしっかり整理しようという議論を、年末に向けて議論を進めてきた、これが今日までの取組でありました。

 これはそれぞれ重要な取組であり、防衛力の方につきましては、内容と予算とそして財源について年末までに結論を出す、こういったスケジュール感を従来から申し上げてきました。よって、総合経済対策の議論とそして防衛力の議論、これは一緒にするべき議論ではないと考えています。

青柳(仁)委員 いや、今、防衛力の議論と全く一緒にしていませんので。今、お金の話をしているんですよ。財源の話で、これだけいいかげんな基金の積み方を、これは五十個もあるんですよ、今回、基金。

 皆さん、これを見てください。基金での予算措置というのは、何か今当たり前のようにやっていますけれども、これは二〇二〇年にいきなり増えた話なんですよ。しかも、八・九兆円。めちゃくちゃなことをやっているんですよ、今、政府は。こんな基金、今までなかったんです。今までなかったことを初めてやっていて、そして、そのやり方は、総合経済対策、緊急対策で今の円安、物価高に対応しなきゃいけないと言いながら、ここに積まれた基金のほとんどは、今年一円も出ていきません。こういう予算の使い方をしていたら、こんなものは国民の信頼なんて得られないと思いますよ。

 そして、今、総合経済対策のときにはこれだけいいかげんな基金の積み方、お金の積み方をしておきながら、では、防衛力が大事だ、先ほど申し上げました、七割ぐらいの国民の皆さんが賛成している。だから必要だ、では財源が必要だと言ったら、それは安定財源が必要だから増税が必要ですねみたいな話が出てくる。こんなばかな話はないですよ。片やこんないいかげんなことをやっておいて、もう片方では何か増税しか手段がないみたいな、こんなばかな話はないと思います。

 なので、最後に……

根本委員長 委員、申合せの時間が過ぎておりますので、おまとめください。

青柳(仁)委員 はい。

 防衛力に関しても、そして基金の使い方についても、しっかりとこれからも我々は指摘をし続けたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 質疑を終わります。

根本委員長 これにて青柳君の質疑は終了いたしました。

 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 国民民主党の斎藤アレックスでございます。琵琶湖のある滋賀県から参りました。

 本日は、防衛政策について質問させていただきます。

 早速ですけれども、本日、防衛大臣にも来ていただいていますので、ミサイル防衛についてお話を伺っていきたいと思います。

 本日は、イージス・アショアの代替として今検討が進められているイージスシステム搭載艦というものについて、本当にこれが整備として妥当なものなのかということを伺いたいと思います。

 こちらは現場の自衛官の方あるいは制服組の方から大変評判が悪い、そういった計画になってしまっているというふうに伺っております。また、予算に関しても膨れ上がっていて、陸上に配置する予定だったイージス・アショアに対しても大変予算が膨れ上がっているというようなことも報道されていますけれども。

 まず、防衛大臣に端的に伺いたいんですけれども、このイージスシステム搭載艦の整備に幾らかかるのか。整備だけではなくて、その後の維持も含めて、今判明している、推計できているものについて伺いたいですし、また、現場の自衛官から評判が悪い、大変な負担になることが懸念されているということに関してどう受け止めているのか、そういった政策の妥当性についても伺いたいと思います。よろしくお願いします。

浜田国務大臣 まず、今御指摘をされた件について、イージスシステム搭載艦の導入経費については、令和五年度に実施する設計を通じて船体建造費等が精緻化されること、そして、防衛機能や通信システムなど、追加となるFMS装備品について米国政府と協議を行っていることなど、このような要素を踏まえて精査する必要があり、現時点で一隻当たりの導入経費をお示しすることは困難であると考えております。

 そしてまた、今委員からお話のありましたイージスシステム搭載艦については、イージス・アショアの代替策として、令和二年十二月十八日の閣議決定において導入を決定したものであり、北朝鮮の弾道ミサイルによる脅威に対して、我が国の弾道ミサイル防衛力の抜本的な向上を図ること、そして、海自イージス艦が北朝鮮に対するBMD任務に専従させざるを得ない状態を解消し、他の任務等に従事する余裕をつくることを目的とするものであります。

 特に、北朝鮮による弾道ミサイル能力の強化等を踏まえれば、我が国の長期にわたる切れ目なく防護し得る体制が必要であり、加えて、ロフテッド軌道や同時発射された複数のミサイルにも対処できる能力を含めた弾道ミサイル防衛能力の向上を図っていく必要がございます。

 このため、防衛省としては、今お話にありましたように、BMDを基本とするイージスシステム搭載艦二隻の整備を進めていくため、詳細について検討しているところであります。

 こうしたことから、イージスシステム搭載艦の整備に向けた取組は、我が国の対処力、抑止力の一層の強化につなげることを目的としたもので、適切であると考えており、引き続き、予算編成の過程で検討してまいりたいと思っております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 ミサイル防衛を強化をするための対策が必要であるということは私も同感でございますけれども、これを、イージス・アショアの陸上用のレーダー、発射装置などをもう契約してしまったから無理やり船に載せてそして浮かべようということで本当にいいのかということは、これまでも国会でさんざん議論されてきましたけれども、今改めて検討すべき時期に来ているのではないかと思っております。

 その理由は二つございます。

 一つは、まず、国際情勢が大きく変化したことでございます。今まで、今おっしゃったように、北朝鮮のミサイルへの脅威に対処するということをおっしゃっていまして、もちろんそれもそうなんですけれども、改めて、政府からはおっしゃりにくいのかもしれませんけれども、中国の脅威、台湾有事への懸念、こういったものも一層検討に踏まえながらミサイル防衛の体制を考えていかなければならない。

 二〇二〇年の十二月にイージスシステム搭載艦というものが決まってから二年近くがたちますけれども、その間にも大きく国際情勢は変化している、ロシアがウクライナに侵略している、そういったこともありますので、もう一度今検討し直すべきではないか。

 もう一つは、先ほども少しおっしゃっていましたけれども、変則軌道であったり、HGV、極超音速で飛行する飛翔体に関しては、北朝鮮もそうですし、ロシアもそうですし、そして中国も、中国に関しては、この極超音速ミサイルを搭載した爆撃機を沖縄と先島諸島の間を飛行させる、こういったことも行っているというふうに私は情報をいただいておりまして、こういった中、改めて、本当にこの二隻の船を新しく造って、しかも個艦防衛能力も乏しくてターゲットになりそうな、そして乗組員の負担も重いような、そんなものを造って、そして大量のお金がかかる、一部の報道では、合計で二隻で一兆円近い、これまでで最も高い装備品になるのではないか、そういったことも言われている中ですので、もう一度立ち止まって考える必要があると思うんですけれども。

 そもそも、中国に対する脅威、中国からの脅威、南西諸島に対する攻撃の危険性、こういったものが高まっているということを受けて、ミサイル防衛の在り方を再検証し直す必要があると思うんですけれども、その点、防衛大臣、いかがでしょうか。

浜田国務大臣 御指摘の点、我々とすれば、今後とも、PAC3の能力向上などの取組を継続していくとともに、衛星コンステレーションなどの新たな手段の活用も考えて、ミサイル迎撃能力の更なる向上に努めてまいりたいと考えております。加えて、ミサイル迎撃能力向上だけでなく、いわゆる反撃能力も含めて、あらゆる選択肢を排除せずに検討して、年末までに結論を出していきたいと思っております。

 そしてまた、今御指摘のあったこのイージス艦の件に関しましては、更に今我々の方も検討をさせていただいて、今おっしゃられたいろいろな問題点を解決するための努力をしているところであります。

斎藤(ア)委員 私も、報道で聞いていますと、イージスシステム搭載艦、とても大きなものになりそうだったので、それだと危険だという議論があって、小さな船に変更するということで、ほとんどイージス艦と変わらないものが新たに二つできるような、そういった可能性もあるのではないかと思っています。

 幾らイージス艦を増やしても、やはり、洋上で対応するということであれば、二十四時間切れ目のない対応というものは極めて困難になってしまいますし、だからこそのイージス・アショア、陸上配備型だったわけですから、もう既にやろうとしていたことができなくなっているわけですので、そして、脅威の対象も変わってきている、国際情勢も変わってきている。

 改めて、こういったミサイル防衛の在り方、総合的に検証し直す必要があると思うんですけれども、今までの議論も踏まえて、総理大臣に、そういったミサイル防衛の在り方について再検証をする、そういったことが必要でないか、お受け止めを最後に伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 ミサイルの技術が急速に進化している中で、迎撃がより難しくなっている、その中で、ミサイルの迎撃能力、委員御指摘のイージスシステム搭載艦を始め様々な対応が今検討されているわけですが、それに加えて、ミサイル迎撃能力の向上だけでなく、あらゆる選択肢を排除せず議論しなければいけないということで、新しい国家安全保障戦略の議論が行われています。この中で、ミサイル迎撃能力だけではなくして、こうしたミサイルに対してどう対応していくのか、こうした全体像をしっかり議論することが重要であると考えております。

斎藤(ア)委員 いま一度このタイミングで再検証を求めて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて斎藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 昨日、総理は、二〇二七年度軍事費、GDP二%を指示されました。軍事費倍増、中身は敵基地攻撃能力の保有であります。これまで憲法九条の下で歩んできた日本の在り方をひっくり返すもので、許されないと思います。

 まず、財源についてお伺いします。

 先日まとめられました国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議報告書では、「戦前、多額の国債が発行され、終戦直後にインフレが生じ、その過程で、国債を保有していた国民の資産が犠牲になったという重い事実があった。」と指摘して、「国債発行が前提となることがあってはならない。」としております。岸田総理は同じ認識ですか。

岸田内閣総理大臣 防衛力の抜本的な強化に向けて、この五年以内に緊急的にその強化を進める必要があると考え、その予算のためには、財源がないからできないというのではなく、様々な工夫が必要であるということを申し上げてきました。

 他方、令和九年度以降も、将来にわたり維持強化していかなければならないわけですので、まずは国家の責任として歳出改革に最大限努力する、そして、それを行った上で、これを安定的に支えるための財源を考えていくという考えに基づいて取組を進めてまいります。

 このために、年末に、緊急的に整備すべき五年間の中期防衛力計画の規模、将来にわたり強化された防衛力を安定的に維持するための令和九年度に向けての歳出歳入両面での財源確保の措置、これを一体的に決定していきたいと考えています。これを昨日、私から防衛大臣、財務大臣に指示を出した、こうしたところであります。両大臣で調整を加速させたいと思っています。

宮本(徹)委員 国債ということをおっしゃらずに、安定財源ということをおっしゃるわけですけれども、有識者会議の報告書は、「国民全体で負担することを視野に入れなければならない。」「幅広い税目による負担が必要」としております。

 仮に、軍事費倍増を増税で賄おうとしたら、国民一人当たり四万円以上、四人家族で十六万円の増税ということになります。この物価高で実質賃金も下がっている中、総理は、軍拡のために幅広い税目で増税をやろうというんですか。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げました、まずは歳出改革に最大限努力する、これは、有識者会議の報告書においても、基本的な姿勢として大事だということが指摘をされています。政府としては、その努力をいたします。

 しかし、その上で、令和九年度に向けて安定的な財源確保を考えていかなければならない。その際に、様々な工夫を必要とされると考えます。様々な財源についてしっかり精査した上で、年末に向けて結論を出していきたいと思っています。

宮本(徹)委員 その様々な工夫の中には、増税を否定されないというわけですね。

岸田内閣総理大臣 今、議論を行っています。私が断定的に申し上げることは控えます。しかし、年末に向けて結論を出してまいります。

宮本(徹)委員 増税を否定されないということなわけですよね、今の答弁では。

 昨年の総選挙や、あるいは今年の参議院選挙で、総理は、幅広い税目で増税をするなんてことは一言も公約されていないですよ。そのことの自覚はありますか。国民は、選挙で岸田政権に対して、軍拡増税を行う白紙委任状など一切与えておりません。この下で、数の力で軍拡増税を決めて押し通すというのは許されないんじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 選挙に際しても、我が国の防衛力を国民の命、暮らしを守るために充実させていく、この必要性は訴えたと記憶しております。

 こうした、防衛力を充実させる、国民の命や暮らしを守るために、今、あらゆる選択肢を排除せず、新しい国家安全保障戦略の策定に向けて議論を行っています。それを裏づけする予算、財源について、年末まで議論を行い、結論を出していきたいと考えています。

宮本(徹)委員 選挙で確かに防衛力の強化を訴えられましたけれども、その財源については、年末まで検討するということしか選挙のときはおっしゃらなかったわけですよ。軍拡のために増税するなんて、一言もおっしゃっていないんですよ。

 代表なくして課税なしというのは議会制民主主義の根本ですよ。この物価高騰であえぐ国民生活にのしかかる軍拡増税を選挙で公約もせずに決めていくなど、断じて許されないということを申し上げておきたいと思います。

 その上で、政府・与党が軍事費を倍増して保有しようとしているのが、長距離巡航ミサイルなど敵基地攻撃能力であります。これまで政府は、憲法九条の下で持てる防衛力というのは我が国を守る必要最小限度なんだ、専守防衛なんだ、そして、他国に脅威を与える軍事大国にはならないんだ、攻撃的兵器は持てないと言ってきたわけです。これを覆そうとしているわけであります。

 総理、日本が攻撃能力を保有すれば、相手国は当然、それを上回る強力な攻撃力を日本に向けていくことになるんじゃないでしょうか。結果として、日本への脅威は増していくんじゃないでしょうか。この敵基地攻撃能力保有が安全保障のジレンマに陥るリスクというのを、総理はどう認識されているんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 我が国において国民の命、暮らしを守るために何が必要なのか、これをしっかりと検討をし、そしてそれを充実させていく、これは政治の責任として、誠に重要な責任であると考えています。そして、その際に、憲法、国際法を始めとする様々な規範の範囲内で議論をするということ、これは当然のことであります。

 そして、安全保障のジレンマについて御指摘がありましたが、そうした安全保障のジレンマを防ぐためにも、防衛政策の具体的な考え方、これを透明性を持って周辺国に説明をしていく、こうした努力が必要だと思っています。

 是非、国民の安心のために、具体的に防衛力について考え、そしてそれを実際に充実させなければいけないと思っていますが、あわせて、国際社会の協力を得るためにも、透明性を持って説明をする、その際に、憲法あるいは国際法との関係、これについても適切に説明することは重要であると認識をしています。

宮本(徹)委員 幾ら透明性を持って説明するといっても、これまで専守防衛を宣言してきた我が国が攻撃能力を保有していくということになれば、相手国は日本に攻撃の意図があると思うのは当然のことですよ。

 軍拡競争になれば際限ありませんよ。中国のGDPは日本の三・七倍ですよ。軍拡競争の道を続ければ財政的にもたないのは日本であり、国民の暮らしです。先がない道じゃありませんか。

岸田内閣総理大臣 これは再三申し上げておりますが、我が国の憲法に基づく基本的な安全保障の姿勢、専守防衛を始めとする基本的な姿勢は全く変わりません。その範囲内で、最大限、国民の命や暮らしを守るために我が国としてどのような防衛力を用意しなければいけないか、こういった議論を続けています。

 国際社会の、そして周辺国の理解を得るためにも、憲法や国際法、あるいは日米同盟の基本的な役割分担等、従来の姿勢はしっかりと維持をしている、その範囲内での対応であるという、こういった説明を行うことは重要であると認識をしています。

宮本(徹)委員 専守防衛とおっしゃいますけれども、集団的自衛権の行使としても敵基地攻撃能力は、できると言っているのが岸田政権じゃありませんか。

根本委員長 宮本徹君、申合せの時間は過ぎております。簡潔に。

宮本(徹)委員 平和外交こそ必要だということを申し上げまして、質問を終わります。

根本委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。

 次に、仁木博文君。

仁木委員 有志の会の仁木博文です。徳島一区です。

 総理、一区というのは、全国、小選挙区で、県庁所在地を含むわけでございまして、私の選挙区も、例外に漏れず、一区でございまして徳島市という県庁所在地を含みますが、面積二千平方キロメートル、そして山が多く占めます。

 それで、今回の、岸田政権、補正予算の内容を見まして、GXという言葉が躍っていますけれども、二酸化炭素を排出していく、そういう抑制政策というのに対する予算はあるわけですけれども、山のように、二酸化炭素をより吸収する、そういう吸収して固定していくようなことに対する山の価値、山というのは、山があるから川があり、そして水源がある、また、山があるから、林業政策、そして様々な、空気を涵養したりということがあります。

 岸田総理は、この山の役割、機能というのをどのようにGXという観点から捉えられていますか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、カーボンニュートラル、脱炭素を実現していくと同時に、社会課題の解決としてGXをしっかり推進していかなければならない、このように認識をしています。

 その中で、我が国の国土の七割を占める森林は、温室効果ガスの吸収源として地球温暖化の防止に貢献しており、GXの実現に向け、森林吸収源対策等を加速化していくことは重要であると認識をしております。

 地域の脱炭素化、流域、水力発電、都市における木材利用拡大など、省庁の縦割りを排して、総合的に森林吸収源対策等のGX、加速していきたいと考えます。

仁木委員 国家予算はその政権の思いの表れだとも思いますが、今回、補正にはそういうことがほとんど山に対して向かない、そういうふうなことを感じておりますので、今回、この私の質問をもってして、やはり岸田政権も、GXという言葉の中でも、山に対してより関心を持って、お金、あらゆるポリシーミックスでいくようにしていただきたいということを訴えたいと思います。

 今日、このパネルは、森林環境譲与税ですね、これが始まっております。今、準備金で回しておりまして、お手元の資料のように、今、例えば令和三年度の約四百億円の使い道がまだ決まっていないというような資料も、地元、徳島新聞の状況で示しております。

 こういったことも繰り入れていく中で、今、私が問題にしたいのは、このパネルにもありますように、令和六年度から、まさに全国に、国民、千円からです、徴収して、それを分配していくんですが、その配分の三〇%が人口割というのは、かなりこの趣旨からいうとおかしいと思います。過去にも与党議員がこのことを指摘しておりますので、これはいきなり改正というわけにいかないけれども、やはりそういうことを目指して、例えば人口割のこの三〇%をもっと減らすということをお考えになっていただきたいということ。

 あと、お手元の資料にあるんですけれども、海にも実は葉緑素を持って炭素を固定する海藻、これは、昆布とかヒジキとかワカメとか、いろいろあります。これは海産物として健康にいいだけでなくて、もし、こういうブルーカーボンなるものを、政権が目を見据えて、こういった、環境譲与税みたいな、名前を変えてこういったスキームに組み入れていただけるのであるならば、これは漁業の業界においてもかなり、海産物の売上げのみならず、こういった環境税として収入になる、そういう、日本の国土が変わっていくと考えるわけでございますけれども、総理はその辺はどのようにお考えでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、森林環境譲与税、総額の五割を私有林人工林面積、三割を人口、二割を林業就業者数等により譲与しています。これは、財源として様々な活用は進んでいますが、都市や山林にかかわらず、譲与税が活用されていない自治体があるという指摘があります。

 譲与基準の見直しについては、この活用状況を更に検証する必要があり、令和六年度に森林環境税の課税が開始されることを踏まえて、引き続き、譲与税の積極的な活用を促していきたいと思います。

 そして、その中で、海洋について御指摘がありました。

 いわゆるブルーカーボンという考え方でありますが、森林環境税は森林の整備等の財源に充てるため創設された税でありますので、譲与税の使途に、海藻等の海洋生態系に拡充する、これは適当ではないと思います。

 一方で、ブルーカーボンについては、重要な気候変動対策でありますので、吸収量の評価法を含め関係省庁で今検討していることであり、ブルーカーボンの活用に向けては、別途これは議論を更に深めていきたいと考えています。

仁木委員 ありがとうございました。よろしくお願いします。まさに山が動く政策をお願いしたいと思います。

根本委員長 これにて仁木君の質疑は終了いたしました。

 次に、櫛渕万里君。

櫛渕委員 れいわ新選組、東京二十二区の櫛渕万里です。

 総理にお聞きいたします。

 先週二十三日、カンボジアで拡大ASEAN国防大臣会議が開かれました。戦争のさなかにロシアも参加し、台湾環境などの問題もめぐって極めて重要な会議でした。

 アメリカは国防長官、中国も国防大臣が出席、参加する十八か国はほぼ大臣がそろい、三か国は代行か次官でした。しかし、日本だけ、防衛大臣でもなく副大臣でもなく政務官の派遣だったのはなぜですか。その真意を簡潔にお答えください。

岸田内閣総理大臣 国際会議、もちろん重要であります。

 しかし一方、我が国においては、大切な補正予算の審議、国会が続いております。この両方に対応する、総合的な判断から出席者を決定したというのが政府の方針であります。

櫛渕委員 国民に対して、反撃能力の保有が必要だ、増税してでもミサイル強化が要るんだとしながら、危機回避のための外交努力を放棄しているんじゃありませんか。ひたすら抑止力、軍事力を拡大するスタンスで突き進んでいるようにしか見えません。

 防衛費をGDP二%に増額するとすれば、日本は、ロシアを超えて世界第三位の軍事大国になります。国民的議論もなしに、地域の緊張を高める可能性もあって、かえって日本を危険にさらすおそれも考えられます。

 れいわ新選組は、専守防衛と徹底した平和外交、そして核なき世界、この先頭に立つことで地域の安定をリードする、このことを公約にしています。

 昨日は、総理と、核兵器禁止条約について議論させていただきました。

 今日は、もう一つパネルをお持ちしました。

 北東アジア非核兵器地帯構想、いわゆる3プラス3です。総理は御存じと思いますが、一言で言えば、核兵器、核保有国三か国は、非核地帯となる日本、韓国、北朝鮮の三か国に対し、核兵器の攻撃や威嚇は行わないという保証を与えるものです。核によらない安全保障の枠組みをつくることができます。

 いや、北朝鮮は無理でしょうと思われるかもしれません。しかし、二〇一八年の南北宣言や米朝合意に立ち返ることができれば、北朝鮮を含む核のない朝鮮半島をつくることに合意しています。

 時間はかかるかもしれませんが、不可能ではない、これが外交じゃないでしょうか。

 東北アジアや東アジアには、地域の安全保障について話し合う多国間の枠組みがありません。

 総理、3プラス3、取り組むおつもりがあるか、一言、お願いいたします。

岸田内閣総理大臣 地域の安全保障について様々な議論を行うことは重要であると思います。

 ただ、御指摘のこの非核兵器地帯構想については、やはり何といっても核兵器をめぐる信頼関係が基盤とならなければなりません。その際に、核兵器をめぐる透明性こそ信頼の基盤であると思います。

 ここに書いてある国の中には、透明性において極めて後ろ向きな国も含まれています。信頼の基盤がまだできておりません。是非、信頼の基盤をつくった上でこういった議論が行われるような状況を実現していきたい、その上での議論を進めていきたいと考えています。

櫛渕委員 信頼をつくるのも外交の役割だと思います。

 地域の全体の利益となるような戦略的な外交、徹底した平和外交、今こそ日本が取り組むべき、主導する役割はあると考え、総理に強くそれを求め、終わります。

 ありがとうございます。

根本委員長 これにて櫛渕君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時五分開議

根本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 これより締めくくり質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。森山浩行君。

森山(浩)委員 立憲民主党の森山浩行でございます。

 まず、統一教会の問題です。

 逢坂委員からの質問に対して、統一教会、社会的に問題がある、さらに、反日的な部分については、私とも自民党とも考え方は違うと、今、総理うなずいておられますけれども、そのような御答弁がありました。

 先日、毎日新聞で報道された六百十五巻に及ぶ統一教会創始者文鮮明氏の発言録というのがありまして、二〇〇四年、岸首相のときから日本の政界に手を出した、一九八九年には、自民党の安倍派などを中心としてなどのような文言が書かれております。

 二〇〇四年、世界日報社「美しい国 日本の使命 久保木修己遺稿集」、これは日本の統一教会の初代会長だそうですけれども。この二年後に、安倍元首相が「美しい国へ」という本を書いている。あるいは、二〇一二年五月号「世界思想」という雑誌ですけれども、「戦後憲法の終焉 今こそ日本を取り戻そう」。これが、二〇一二年十二月、衆議院選挙の自民党のスローガン「日本を、取り戻す。」というような形で、大変シンクロするような形で、中身の方まで、これは統一教会側が自民党に合わせたのか、自民党側が統一教会と一体となってきたのかという部分があるかと思いますが。

 一九八四年十一月、アメリカに、文鮮明さんを、脱税容疑で起訴されているのに、逮捕が不当だとして釈放を依頼するということで、岸元首相が米レーガン大統領へ書簡を出している。これは、外務省、関わっていますかという話をすると、確認できませんというお答えがありました。

 一九九二年三月、これで、有罪が確定しますので、入管法で入国資格のない、犯罪を犯したということで入国資格がない文鮮明さんが、特別入国許可というのをわざわざ出しています。日本になぜ来なきゃいけなかったのかというと、自民党内の議員連盟でお話をするためだと。これは参議院で、国会で既に議論をされていることでありますけれども。

 総理、自民党だけでなくて政府も、統一教会にいろいろ左右されてきた、あるいは政策がゆがめられてきたという事実があるのではないかと思いますが、調査していただけませんか。

岸田内閣総理大臣 まず、前段の一九八四年の書簡についてですが、御指摘のような報道があること、これは承知しております。ただ、報道されている書簡は、あくまでも、一九八四年当時ですので、当時、岸元総理、一民間人の立場でいらっしゃいました。一民間人であった元総理による書簡であると認識をしております。

 自民党においては、これまで再三申し上げておりますように、過去の関係、八項目に分けて詳細に点検、報告し、新たな接点が判明した場合には、その都度、追加的に報告、説明を行い、今後は関係を持たない、これを徹底すること、これを方針としています。これは、全国都道府県連にも通知し、徹底をしているところです。

 そして、後段の入国の経緯につきましては、これは法務大臣の方から答弁させていただきたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 お尋ねの文鮮明氏の入国につきましては、入管法第十二条に規定されている上陸特別許可によるものと承知しています。

 上陸特別許可は法務大臣の裁量的な処分でありまして、この年、平成四年につきましては年間千二百件以上出されておりますが、その許否判断に当たりましては、個々の事案ごとに、上陸を希望する理由、該当する上陸拒否事由の内容、上陸拒否事由が発生してから経過した期間、内外の諸情勢その他諸般の事情を総合的に考慮して行っております。

 文氏の当時の入国状況についてはつまびらかではないんですが、当時の国会における答弁などによりますと、入国目的が朝鮮半島及び北東アジアの平和の在り方について我が国の国会議員の会の方々と意見交換をすることにあったこと、それから、過去米国において所得税法違反により一年を超える刑に処せられていたものの、当時はそれから既に七年が経過していたこと、一週間程度の短期間の滞在であり布教活動はしないとの誓約がなされていたことなどの諸事情を総合的に考慮した結果、上陸を認めたものと承知をいたしております。

森山(浩)委員 というような事実があったということで、カルト宗教と政治との関係という部分については、また年が明けてからも議論をしていきたいと思います。自民党内の調査と併せて、政府内で、どのようなことがあったのかというのはいま一度調査をお願いしたいと思います。

 被害救済法案です。

 政府案の第一条、この法律は、法人等による不当な寄附の勧誘を禁止するとともにとあります。法人等という中には、任意団体は入りますでしょうか。

河野国務大臣 法人格のない団体も当然含まれます。

森山(浩)委員 法人格のない団体も当然含まれるということで、これは何を心配したかといいますと、今、統一教会については解散請求というような段階に進む可能性があるということで、宗教法人ではなくて宗教団体となったときにもこれの対象になるのかということで確認をさせていただきました。ありがとうございました。

 さて、秋葉大臣の話でありますけれども、午前の中でちょっと気になりました。視察をやめて国会の準備をしていたということについては、やはり後悔はありませんか、間違っていたと思いませんか。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 八月十日に入閣をして以来、もう三か月以上たつわけでございますが、この間、福島県、宮城県、岩手県、現地現場主義を掲げながら、本当に生の声をできるだけ多く聞こうということで、二十三回足を運ばせていただいたところでございます。

 そういった中で、今回、中間貯蔵施設を視察する予定でございましたけれども、国会でも先生方から、立憲民主党の多くの先生方から御質問をたくさんいただいたところでございますので、こういった点について丁寧に、正確なことをできるだけ詳しく御答弁をしたい、そういう観点から、今回、日程変更させていただきまして、今のところ、十二月の十八日に訪問させていただくことになっております。

 今回の件で関係者の皆様に本当に御迷惑をかけたことにつきましては、本当に真摯に謝罪をしたいと思っております。そして、二度とこうしたことがないように職務に精励をしてまいりたい、このように考えております。

森山(浩)委員 後悔もしていないし、反省も、反省はされていますね、間違っていたとも思っていないということだと思います。

 昨日、私、宮城県選管に電話をしまして、それ以来やり取りをしてきたんですけれども、車上運動員の件です。秘書さんが車上運動員になっているという部分については、書類が宮城県選管に残っていました。これを見せてもらうということで、取り寄せようということになると、本人が言っても情報公開請求やらしなきゃいけなくて時間がかかるということで、閲覧ならできるということで、今、理事会で諮っていただきまして、間もなく到着するということですので、その後ということだと思います。

 十一月二十五日の後藤委員の質問のときですけれども、五十嵐さんですかね、I秘書につきましては、昨年、まさに選挙の年に入社したばかりでございますので、まだ後援会の皆さんとの人間関係も十分でないことから、そうした電話は、あったかもしれませんけれども云々というふうな答弁がございます。

 秋葉けんや活動報告、ライブドアブログ、二〇二〇年六月、「避難の丘」ということで、若林区担当秘書、五十嵐さんが記事を書いておられます。

 その年に入社したということは二一年という意味だと思いますが、これはどういうことでしょうか。

秋葉国務大臣 五十嵐秘書について、その年に入所したというふうにお答えしたということでございましたが、正しくは、五十嵐秘書にとって初めての選挙だったということでございます。ちょっと、入った年を、二、三年しかたっていないということの認識で答えたのかどうかあれですけれども、入ったばかりだったという認識でお答えしたんですけれども、正確には、五十嵐秘書に、I秘書にとっては初めての選挙だった、こういうことでございます。

森山(浩)委員 虚偽答弁ですよ。

 そういう言い切りの答弁をずっとする大臣であれば、こんなこと言いません。でも、大臣は、思っていたとか、認識しているとか、かなり慎重な言葉を使って答弁をされています。その中で、これははっきり言っているんですよ、まさに選挙の年に入社したばかり。これは虚偽答弁じゃないですか。(発言する者あり)

 委員長、済みません、時計を止めてください。

根本委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

根本委員長 速記を起こしてください。

 森山委員、もう一度質問をしてください。

森山(浩)委員 はい。

 この答弁は、虚偽答弁ですね。

秋葉国務大臣 お答えさせていただきます。

 やはり、私にとって、I秘書というのにとって初めての選挙が昨年の総選挙でした。このことは事実でございます。ですから、私の思い込みが強かったのかもしれませんけれども、初めての選挙だという認識が強かったことから、誤って、昨年入所したというふうに勘違いして答えてしまったのかもしれません。

 あくまでも、I秘書にとっては初めての総選挙の体験だったことは事実であります。

森山(浩)委員 何でこんなに細かいうそをつくんでしょうね。虚偽答弁を認めればいいじゃないですか、間違っていたんだから。

 さらに、統一教会との、関係ないんだというようなこともありました。

 マスコミ向けに明日の予定というのを、我々選挙のとき出します。これは、出したものだということで入手をしたものですけれども、十月二十六日火曜日、八日目、若林パワー結集大会という一日の予定表がありまして、これは大臣の日程表だと思いますが、候補者、一時半、平和連合、桂市民センターと書いてあります。

 十月二十六日、選挙中ですけれども、この予定は間違いありませんね。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 選挙中のそうした日程表については、私どもには残っていないというふうに伺っておりますので、委員が御覧になっているのはどういった資料に基づいているのかも存じ上げませんし、少なくとも、私が旧統一関連の関係団体が主催した催しに出席した覚えはございません。

森山(浩)委員 じゃ、選挙中の十月二十六日に、平和連合、桂市民センター、これには出席をしていないということでいいですね。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 繰り返しになりますけれども、私どもの事務所には、そうした、大体選挙が終わりますと関係書類というのは大体処分することが多うございますので、そういう意味で残っていないというふうに、まず書類については聞いております。

 ですから、委員がお手持ちの資料が事実関係に基づくものなのかどうか、そのことも不明ですし、私自身は覚えがございません。

森山(浩)委員 この書類はどうかというのはまた明らかにしていきたいと思いますが、以上で終わります。

根本委員長 これにて森山君の質疑は終了いたしました。

 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 今の続きをやりたいと思いますが、では、この二〇二一年十月二十六日十三時半から泉区桂市民センターでの平和連合の集会には出席していないということでよろしいですね。もう一回、はっきり言ってください。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 繰り返しになりますけれども、私どもの事務所にはそうした選挙期間中の書類が残っておりませんから、今となっては確認のしようがございませんけれども、私自身は、そうした催しに出たかどうか、今ここで断言することは難しいと思っております。

 なぜならば、少なくとも、当時は統一教会関連の問題というのは一切起こっていませんから、委員も恐らく御存じだと思いますけれども、私どもは、選挙期間中あらゆる会合に、呼ばれれば喜んで出席をさせていただいているわけでございまして、その選挙期間中どんな会合に出席したのか、全て覚えているわけではございませんし、今となっては、事実関係、しっかりと確認できるかどうか、もう一度関係スタッフにも当たってみたいと思いますが、資料は残っていないというふうに聞いているところでございます。

後藤(祐)委員 二つ確認したいと思います。

 では、昨年の衆院選の選挙期間中に平和連合の集会には出ていないということでよろしいですね。具体的な日は覚えていないかもしれないけれども、記録もないかもしれないけれども、選挙期間中に一回でも行っていたら、何日だったかは覚えていないかもしれないけれども、行ったことぐらい覚えているはずでしょう。覚えていますか。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 先ほども答弁させていただきましたとおり、かなりの数の会合、集会に選挙中は出席をさせていただいております。かなりの数の集会に出席をさせていただいておりますので、どういった集会に出たかという正確なことはもちろん覚えておりません。

 少なくとも、今御指摘いただいた会合に出席したという覚えはございませんし、また、少なくとも、当時は、去年の総選挙は十月でございましたので、旧統一教会との、今問題になっているようなことは起こっておりませんでしたので、それがそういった関連の団体かどうかということについても、全く私は覚えておりません。

後藤(祐)委員 日にちも場所も時間も特定して、しかも、平和連合の会合に一回でも行っていれば、それは覚えていますでしょう。覚えていないと出てきちゃいましたよ、総理、また。

 あともう一つ確認したいと思いますが、本当に、選挙本番期間中の記録、残っていないんですか。何日目には誰がどこへ行った、候補者はこういうところを回っている、街宣車はこういうところを回っている、駅ではこういうビラ配りをやっているとか、そういうことを書いたような、何か分かりやすくしたようなものを大体作るものなんですけれども、そういったものはないということですね、大臣。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 今委員がおっしゃったように、通常、そういったものは選挙中には作っておりますけれども、選挙終了と同時に、事務所の手元にあるものは大体処分しているというふうに聞いております。

 ただ、私どもの関係者が持っているかどうかについてまでは、私どもではそれは分かるはずがございませんので、お答えは、なかなか関係者以外のものについては分かりませんが、事務所で保存している分についてはないというふうに聞いております。

後藤(祐)委員 関係者というのは誰ですか。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 例えば、選挙カーの日程表の場合には運転手さんなどにも渡しておりますから、そういった運転手さんがたまたま保管しているというケースなどは考えられるかもしれませんが、今私がお答えを申し上げたのは、手前どもの事務所では保管はしていないということを確認しておるところでございます。

後藤(祐)委員 総理、記録がない、記憶がない、山際大臣と全く同じですよ。

 もう一つ聞きます。

 統一教会の集会、もう少し前にもあったんですよ、前回私がここでしたときの、日にちが特定できました。衆院選のちょっと前です。昨年の二〇二一年九月十九日、若林区内で、宮城野区、若林区の統一教会の信者さんたちが集まる場があって、秋葉大臣はそこで挨拶されているんじゃないんですか。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 今委員が御指摘になった話は初めて伺いました。改めて確認はしたいと思いますが、しかし、去年の選挙戦当時、統一教会関連の問題はまだ顕在化しておりませんでしたので、今となってはよく分かりませんけれども、恐らくなかったのではないかと自分では思っているところです。

後藤(祐)委員 それは是非確認して、この委員会に提出していただけますか、大臣。

秋葉国務大臣 出席したかどうか、イエスかノーかでお答えするということの理解でよろしいでしょうか。

 しっかりと確認をして、イエスかノーでお答えをさせていただきたいと思います。

後藤(祐)委員 確認ですが、十一月二十五日、関連団体の会合に議員本人が出席して挨拶したということはなかったということでよろしいですねと私は聞いたんですが、大臣はそのとき、私が記憶している限りにおいてはなかったと認識しておりますと答弁しておりますが、なかったということでよろしいですね。もう一回確認です。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 私が知り得る限り、そのようなことはなかったと認識しておりますし、また、当時、今問題になっているような旧統一教会の団体だというようなところとおつき合いをしたような記憶もございません。

後藤(祐)委員 記憶がそろそろよみがえってきているんじゃないんですか、秋葉大臣。日にちが二つ特定されているんですよ。

 さて、先ほどの宮城県選管に、この二人の公設秘書がいつ車上運動員として働いて報酬をもらったのかという日付、これは残っていたということが分かりました。そして、閲覧できるということも分かりましたが、秋葉大臣、今日午前中に、秋葉大臣の事務所の方だと思いますが、宮城県選管に行ったんでしょうか。そして、そこで閲覧させてもらえたということでよろしいですか。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 本日午前中からの断続的な理事会で、何というんでしょうか、車上運動員の活動的なものの資料について御協議をいただいているというふうに聞いているところでございます。

 今お求めのございました車上運動員の活動日程に係る記録につきましては、委員会から求めがあれば、宮城県の選挙管理委員会に提出した届出書につきまして、事務所から情報公開の請求の手続をさせていただきたい、このように考えております。

 なお、宮城県の情報公開条例によりますと、今日の午前中、スタッフに確認していただきましたけれども、開示の手続は、請求があったときから十五日以内に行われるものと伺いました。ですから、もし提出ということであれば、私どもの方でそうした手続も取らせていただきたいと思っております。

 私の方で承知している限りにおきましては、報酬支給予定の届出書ではないかと思います。最初、理事会の方から、活動日誌とかということを伺ったんですが、そういったものは届け出てはいないということでございますので、この資料というのは、車上運動員や事務員等を、報酬を支払う可能性のある日付を事前に届けるもので、実際に搭乗した日付が記載されているものではないそうであります。

 いずれにいたしましても、原本は提出済みでありますので、手元にございませんので、しっかりと情報公開請求をさせていただいた上で公開をさせていただきたいと思っております。

後藤(祐)委員 先ほど筆頭間の協議の中でも明らかになったんですが、宮城県選管は閲覧できるということなんですね、秋葉大臣の事務所が行けば。閲覧してもらいましたか、閲覧させてもらいましたかと聞いているんです。

秋葉国務大臣 先ほどの、活動日誌みたいなものはないということでしたが、届出書、これはあるということを私どものスタッフも確認させていただいた上で、情報公開請求の対象になるということでしたが、閲覧できるかどうかということにつきましては、今初めて伺いましたので、そのことはまだ確認をしておりません。閲覧できるかどうかはまだ確認しておりません、私どもの事務所では。

後藤(祐)委員 閲覧できることは確認できております。それを前提に筆頭間で議論しております。閲覧できるんですが……(発言する者あり)閲覧できるんですよ。総務省がそう言っています。

 総務大臣、閲覧できるということでいいですか。

松本国務大臣 御通告をいただいてありませんでしたので、各都道府県選管における閲覧、情報公開の取扱いについて、必要があればまた具体的に確認をして、事実関係を御報告させていただくようにしてまいりたいと思います。

後藤(祐)委員 これは筆頭間でも確認できているんですね、閲覧できるんですよ。なので、選管へ行ったときに閲覧できるという話になっているんじゃないですか。閲覧してもらわなかったんですか。時間を遅らせるために、十五日かけていたら国会が終わっちゃうじゃないですか。時間稼ぎのための情報公開請求じゃないですか、それでは。

 では、今からでも閲覧に行って、その場で写メを撮って送っていただいて、今日中に提出いただくということでよろしいですね。約束してください。

秋葉国務大臣 この委員会のお求めにはこれまでも誠実に対応し、いろいろな領収書を始め公開をしてまいりました。ですから、手元にあるもので公開できるものは公開したいと思っておりますので、間違いなくこの届出書は公開をさせていただきたいと思います。

 ただ、今私が申し上げたのは、閲覧が誰ができるのか、私どもの事務所だったらできるのか、第三者でもいいのか、手続がどうなのか。これは本当に承知しておりませんので、確認をして、もし私どもの事務所で閲覧はできるのであれば閲覧をして、大体書いてある内容はこうだったということを報告もしたいと思いますし、また、私どもが聞いているのは、情報公開の対象にはなるそうですけれども、どの部分までを公開するかということについては選挙管理委員会の判断になるということで伺っておりますので、ですから、そういう意味で、正確性を期した方がいいというふうな意味で申し上げているところです。

 少なくとも、時間稼ぎとかということではなくて、閲覧を誰ができるのか、そして、そこの部分で、閲覧をしたとして、どこまでのことを提示するのか。恐らく、コピーができるのかというような点、委員からは先ほど写メという話がありましたが、私の知る限り、コピーとかが取れないのであれば恐らく写真、カメラの撮影も当事者であっても難しい可能性もございますので、いずれにいたしましても、どういった手続で閲覧が可能なのか、一度きちっと調べてみた上で手続をさせていただくのがベストだというふうに思っております。

 何度も言いますが、私自身は、いつでも提出をさせていただきたいと思っております。

後藤(祐)委員 総務大臣が知らないようなことをよく御存じですね、閲覧の仕組みを。私の知っている限りコピーはできないとか写真を撮れないとか、閲覧の仕組みを御存じだったということですか、大臣。

秋葉国務大臣 いや、私の認識をお話ししただけであって、正式な閲覧の手続というのはまだ伺っておりませんので。

 それができるのであれば、何度も申し上げますように、至急、誰ができるのか、私どもの関係者だったらできるのか、あるいは第三者ができるのか、そういうことも含めて私は存じ上げませんので、ですから、閲覧ができた場合にしっかりとそれは報告をさせていただきますけれども、そこで閲覧したことがどこまで、どういう取扱いになるのかということも含めて、誠実に対応させていただきたいと思いますし、何度も繰り返しになりますが、私自身は、是非出させていただきたい、このように思っております。

後藤(祐)委員 閲覧できるかできないか、今大臣は御存じですか。

秋葉国務大臣 私は本当に正直に申し上げているつもりなんですが。

 閲覧の制度の仕組みがどうなっているのかというのを本当に確認していないものですから、ですから、閲覧ができるのであればもちろん閲覧させていただきたいということを先ほどから申し上げております。ただ、その閲覧した内容の取扱いがどうなるのかという点についても確認が必要だという意味で、先ほど申し上げているところでございます。

 本当に繰り返しになりますが、私自身は、是非提出をさせていただき、皆さんの御疑念を払拭させていただきたい、このように思っております。

後藤(祐)委員 もう両筆頭間で、閲覧ができることが分かり、どういう形だったら見せてもらえるのかということも確認の上、それを今日中にやってもらうということで筆頭間で合意しているんですよ。だから、閲覧ができること、そして、やり方は多分ルールが決まっていると思いますよ、でも今日中にできるということで筆頭間で合意しているんですよ。

 ですから、これに基づいて、今日中に出していただくということでよろしいですね。

秋葉国務大臣 お答えさせていただきます。

 私は本当に誠意を持ってお答えしているつもりでありますが、閲覧のことは、今初めて伺ったのは事実でございます。私が理事会での協議事項として伺っておりましたのは、活動実態報告書というものを提出できないのか、こういう御協議をいただいているということしか伺っておりません。閲覧については、今初めて伺いましたので。

 そもそも、閲覧については、情報公開の対象かもしれませんけれども、誰が閲覧できるのかといった点も含めて不明でございますので、できるのであればそういう対応をさせていただきたいし、情報公開の請求にのっとって、是非公開をさせていただきたいということも先ほどから申し上げているところでございます。

後藤(祐)委員 是非、これは閲覧できるので、しかもすぐできるそうですから、今日中に出してください。これは参議院の進め方にも非常に関わってきますので、大臣の対応が国会全体に影響しますので、至急対応を、もうこれは見ているでしょうから、ちゃんと地元ですぐ対応するようにしてください。

 そうなると、この二人の公設秘書が去年の選挙期間中何をしていたのかが大事になるんですが、まず、西さんという公設第一秘書は泉区の担当、五十嵐さんという公設第二秘書は若林区の担当ということでよろしいですか。それぞれお二人が、選挙期間中、具体的にどういう活動をしていたかということを出していただけますか。

秋葉国務大臣 お答えさせていただきます。

 まず、ですから、閲覧の件に関しては、誰ができるのかということも含めて検討させていただかなければいけませんし、私ども、できるんだったら、もちろんやらせていただきます。

 それから、具体的な活動内容についても、これまでも丁寧にお答えをさせていただきましたとおり、車上運動員として登録した日には車上運動員に専念していたと聞いておりますし、それ以外の日には選挙活動を行っていた、このように聞いているところでございます。

後藤(祐)委員 最初の質問、西公設第一秘書は泉区の担当、五十嵐公設第二秘書は若林区の担当でよろしいですか。

秋葉国務大臣 お答えさせていただきます。

 それはそのとおりでございます。

後藤(祐)委員 そうすると、例えば、西公設第一秘書は泉区の担当ですから、泉区で、いろいろな、つじ立ちをする、練り歩きをする、あるいはいろいろな偉い方が来て集会をする、こういったときに対応しているということでよろしいですか。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 繰り返しになりますが、車上運動員として登録していた日には車上運動員の仕事に専念していたわけでありまして、それ以外の日には選挙活動は自由ですから、今委員が御指摘いただいたようなことも多分行っていたんだろうと思われます。

後藤(祐)委員 そうすると、例えば、西さんは泉区の担当なのに、車上運動員として街宣車に乗っている日は、大きな集会があっても、練り歩きとかがあっても、そこには一切参加しないで違うことをやっていたということですか。

秋葉国務大臣 繰り返しになりますが、車上運動員として登録した日には車上運動員の仕事に専念したと伺っているところでございます。

後藤(祐)委員 これは、日にちが出てきたところで、この続き、もしかしたら参議院でやっていただきたいと思いますが。

 最後に、今日午前中、たすきの話がありました。影武者たすきは誰が作ったのかという質問に対して、御次男の方が次男と書き加えたという答弁をされていますが、ということは、元々秋葉賢也と書いてあるたすき、つまり、本人のたすきそのものに次男と、次男の方が書き加えて、いわば大臣のたすきそのものに書き加えて着用したということですか。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 そのようなことだったというふうに報告を受けているところでございます。

後藤(祐)委員 総理、もうこれは更迭すべきだと思いますが、いかがですか、最後。

岸田内閣総理大臣 幾つか御指摘がありました。

 前段の旧統一教会の関係については、閣僚について、自ら点検、調査を行い、新たに接点が見つかった場合には説明責任を尽くすように、そして将来に向けて関係を絶つように、これを前提に職務に専念していただいております。

 そして、後段の閲覧については、今やり取りを聞かせていただきました。秋葉大臣の方で適切に対応されるものだと思います。

根本委員長 後藤祐一君、もう持ち時間は終了しております。

後藤(祐)委員 はい。

 ありがとうございました。真実を明らかにしてください。

根本委員長 これにて後藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、池畑浩太朗君。

池畑委員 日本維新の会、池畑浩太朗でございます。

 令和四年度第二次補正予算に関して、締めくくり質疑をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず最初に、防衛費の増額の財源についてお聞きをさせていただきたいと思います。

 北朝鮮からのミサイル、また日本周辺の防衛に関しましては、国民の中で、しっかりと取り組んでいってほしい、アンケートなんかでも多くの国民が関心を持っております。また、防衛費の下、現場で頑張る自衛官に対する敬意を表してやみません。

 その中で、昨日行われました予算委員会において、我が党の馬場代表から指摘もありましたけれども、防衛費の負担を最初から国民に求めるということは順序が違うというふうに思っております。

 まず、国民に負担を求めるのであれば、議員定数の削減であったり、約束を守って、二〇一二年のですね、この場で約束をされた議員削減だとか、やはり我々が求めております交通費、通信費の削減、使途の透明化、到底それで捻出をされるわけではございませんので、行財政改革を徹底的に行っていく、そういうことで捻出するべきと考えますけれども、改めて総理のお考えをお示しください。

岸田内閣総理大臣 まず、防衛力の抜本的な強化に向けて、その中核となる防衛費については、五年以内に緊急的にその強化を進める必要があると考えます。そして、その財源につきましては、まずは歳出改革に最大限努力するということを申し上げております。その上で、安定財源について議論を進めてまいります。

 年末に、緊急的に整備すべき五年間の中期防衛力計画の規模、そして、将来にわたり強化された防衛力を安定的に維持するための令和九年度に向けての歳出歳入両面での財源確保の措置、これを一体的に決定をいたします。こうした内容に沿って調整を進めるよう、昨日、私から防衛大臣、財務大臣に対して指示を出したところであります。年末に向けて、与党との協議も進め、結論を出したいと考えています。

池畑委員 ただいま総理からもありましたけれども、昨日、馬場代表の答弁の中で、安直に増税を実施しないということで、今、指示をいたしましたというお話をいただきました。馬場代表の方からもありましたとおり、この防衛費の問題を早急に議論をしていただいて、増税なしで手当てを進めるところからスタートをしていただきたいというふうに考えております。

 続きまして、次の質問に移らせていただきます。

 日本維新の会では、本年十月二十一日に、物価高騰等に関する総合経済政策を取りまとめさせていただきました。最終消費者への直接支援に重点を置いて、事業者支援では、生産コストが上昇する一方で価格転嫁が遅れている中小企業の下支えに重点を置くこととしております。

 我が党の小野泰輔議員の方から、昨日の予算委員会にもありましたけれども、業界に対しての補助金より減税がふさわしいのではないか、配るよりも、そもそも集めないことを基本とするべきと指摘をさせていただいております。

 この際、物価高騰対策として、給付金や補助金よりも公平で需要喚起に資するとされている減税を行うべきというふうに考えておりますけれども、総理の減税に対する考え方と、行財政改革や規制緩和を推進していく考えがありましたら、具体的なスケジュールがもしありましたらお示しをいただきたいというふうに思います。

岸田内閣総理大臣 こうした物価高騰に対して、総合経済対策等でどう対応するかということにおける考え方でありますが、政府としては、足下の物価高騰の要因は、基本的にはエネルギー、食料品を中心とした物価高であり、こうした分野に重点を置きながら、これまで、スピード感を持って、きめ細やかな対応を重層的に行っております。

 御指摘のように、給付金、補助金、こうした手法ももちろん交えながら、三月、四月、あるいは七月、九月、様々な政策を重層的に用意をしてきたところです。その上で、十月、総合経済対策を取りまとめたということであります。

 こうした政府の対応における考え方でありますが、他方、生活支援などを経済対策として減税によって対応すべきではないか、こういった御指摘につきましては、減税ということになりますと、元々負担の少ない方への効果が小さい、こうした問題点があります。現状に対応するに当たって、減税で対応するということを政府としては考えていないということであります。

 そして、行財政改革についての御指摘ですが、新型コロナ、物価高騰に直面する中で、これまでの累次の補正予算の編成等により財政状況はより一層厳しさを増している、これは御指摘のとおりであります。こういったことを踏まえれば、行財政改革を始め歳出歳入両面での改革を進め、責任ある経済財政運営を進めていく、こうした考え方は重要であり、政府としても、こういった観点から行財政改革を進めていく努力を続けていきたいと考えます。

池畑委員 努力も、スケジュールを具体的に立てていくということも大事だというふうに思います。

 今、総理からもお話がございました。なかなか減税という方向性ではないかもしれませんけれども、そういったことが満遍なく国民に対してできることではないかなというふうに考えております。

 次に移らせていただきます。

 カーボンニュートラルの実現に向けた取組について質問させていただきたいと思います。

 まず、脱炭素社会、これも馬場代表からもございました。二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向けた取組が行われております。明るく早くやるをモットーにと、昨日、馬場代表の方からもございましたけれども、まず、実現に向けた取組そのものが、産業構造の変革や地域の社会の姿を変えてしまうほどのパワーを持っていると思います。

 何度も申しますけれども、早くやるべきだというふうに考えます。世界に先駆けて脱炭素のイノベーションを進めて、日本発の新たなビジネスを世界に展開していくことが必要だと考えますが、そのためには、今後、具体的にどんな取組をまずされるのか、示していただきたいというふうに思います。

 昨日、馬場代表が、神戸大学の方で、CO2の削減、二酸化炭素を食べるという技術があるというお話もありましたけれども、具体的にメタン排出削減なども取り組まれていると思います。その中で、グローバル・メタン・プレッジに係る考え方としてお聞きをしたいと思います。

 経済フォーラムの中でバイデン大統領が言及をされましたけれども、家畜の消化器官内の由来から発生する牛のげっぷなどの排出されるメタンガス、これは車や工場などで排出されるものも全体的に含めての割合で、先ほどの牛のげっぷなどが四割にも達しております。牛が食べる飼料とか、また、大きく削減の研究をすることで、そもそも排出の少ない血統を選び出すこともできます。

 是非、大臣、抽象論とか決意表明でなく、具体的な行動に移すべきだというふうにまずは考えます。いつまでに誰にどんな指示を出し、いつまでにどんな成果を考えておられるのか、具体的にお示しをいただければと思います。

西村(康)国務大臣 お答え申し上げます。

 二〇五〇年カーボンニュートラルを目指して、おっしゃるように、何か苦しい脱炭素ではなく、未来の成長につながるような、将来に希望を持てるような、そういう明るい脱炭素を是非進めていきたい。これは日本の経済社会、社会構造を含めて、グリーントランスフォーメーションを進めていくわけですが、是非そういった方向性を打ち出していければというふうに思います。

 そのためには、おっしゃるような革新的な技術開発と実装が不可欠であります。十年先を見据えたグリーンイノベーション基金による研究開発を進めておりまして、さらには、社会実装まで見据えた支援をしっかりと行っていきたいというふうに考えております。

 御指摘のバイオ物づくりにつきましては、水素酸化細菌という、CO2を原料にプラスチックやたんぱく質、燃料を作るという、まさに革新的な技術であります。岸田総理も御覧いただいたと思いますし、私も神戸大学の現場を見させていただきました。まさにゲームチェンジャーとなる、日本のことを化石賞とか言っている人たちの鼻を明かしてやるぐらいの、そのぐらいの技術につながるというふうに思っております。

 今年九月には約千八百億円のプロジェクトを決定したところでありますし、さらに、今回の補正予算案でも、バイオ物づくりで三千億円計上させていただいております。そして、御指摘のメタンについても、このバイオ物づくりの技術も活用できます。微生物の力で培養肉を作る、あるいはカシミヤの繊維を作るということも可能になってきておりますので、牛やヤギの飼育が不要になるということで、メタン排出量の削減も期待できます。

 こうした革新事業を是非進めながら、日本のカーボンニュートラル、そして成長につながる、そうした取組を進めていきたいというふうに考えております。

池畑委員 ありがとうございました。

 一見、SDGsとかメタンガスとか、そういったことの排出削減ができなさそうな農業界、畜産業界などが取り組む意義もあるというふうに考えます。新たな産業を創造するという観点からも、大臣の御地元である淡路島の子牛の生産、プラスアルファの産業として考えられていくのではないかなと。だから、全国でもこういうものが普及できるというふうに思っておりますので、是非、しっかりとスケジュール感を持って取り組んでいただきたいと思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 旧文通費について、本会議で、我が党の藤田幹事長からの質問に総理はほぼゼロ回答でありました。そこで、我が党は、十七日、使途公開と残金返還を義務づける歳費法の改正案を立憲民主党、国民民主党とともに提出をさせていただきました。公明党も前向きであるというふうにお聞きをしております。

 国民に納めていただきました税金の使途を透明化し、不用分を国に戻すのは当然のことであります。なぜ自民党はできないのでしょうか。自民党には旧文通費の使途等による内規はあるのでしょうか。使途などを含めて、各議員の裁量に任されているのでしょうか。自民党の総裁でもあります総理に質問させていただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 自民党には、調査研究広報滞在費の使途を定める内規は存在いたしません。しかし、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律、いわゆる歳費法の規定に従い、国政に関する調査研究、広報、国民との交流、滞在等の議員活動を行うために使用されるべきであると我々も認識をしております。

 そして、こうした調査研究広報滞在費の扱い、これは議員活動の在り方に関わる重要な課題であるからこそ、今、引き続き、使途公開等について与野党間で議論が続いているものであると認識をしております。これは全議員共通のルールを策定するということでありますので、是非、各党各会派における真摯な議論を通じて合意を得ていただくこと、これが重要であると考えています。

 その上で、私自身も、国会議員の一人として、合意に従って対応していきたいと考えます。

池畑委員 時間ですので、最後に、我々は、今総理からもいただきましたけれども、しっかりと議員自身がこれから自覚を持って取り組んでいかなければいけない話だと思っております。

 まず、予算、二十九兆円もございますが、その中で、我々は、日本維新の会として、将来への投資というものが大事だというふうに考えます。給食費の無料など、将来への予算立てが必要だというふうに思っております。必要不可欠なこと、やはり将来に対してもきちっと投資をしていく予算を組んでいくべきだというふうに思います。

 時間でございますので、これで締めくくり質疑を終わらせていただきます。

根本委員長 これにて池畑君の質疑は終了いたしました。

 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 国民民主党の斎藤アレックスでございます。

 短い時間ですので、早速総理に質問をさせていただきたいと思います。

 本補正予算で電気料金の引下げが実現される見通しであるということは評価をさせていただきたいと思いますが、一方で、この補正予算には問題もあります。

 まず一点目ですけれども、他の野党の皆様からも問題視する質問があった、基金の創設、積み増しに関して、この補正予算でやる必要があるのか。急がなければならないということですけれども、投資する先も決まっていない基金を組んで、また、積み増して、そして見せ金のように用意していくことが本当に緊要性のある補正予算の組み方なのか。これは、私たち国民民主党の議論の中でも疑問視する意見がたくさんありました。

 改めてこのことを総理にお伺いしたいんですけれども、野党からあったようなこの問題点を指摘する声をどのように受け止めているのか。改善が必要であると思っていないのか、また、チェックする体制をしっかりと国会でも、チェックする機会を国会でも基金について設けるような、そういった対応を考えていただけないか、御答弁をお願いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 補正予算に盛り込まれる事業について、緊要性の要件を満たすかどうかということにつきましては、基金事業であるかどうかではなくして、それぞれの事業内容等に応じてその内容を個別に判断する必要があると考えています。

 今般の補正予算では、日本経済の再生に向けて、経済安全保障や先端半導体の生産基盤整備など様々な課題に対応する基金事業に対する予算措置を講じております。こうした課題に向けては、複数年にわたる事業である、あらかじめ所要の予算を確定することが難しい、なおかつ機動的に対応しなければいけない、こうした基金の特性、これをしっかり生かす形でこうした予算を用意することが必要である、こういった判断が行われているところであります。

 これを一日も早くスタートすることによって、民間企業の大きな方向性を示すことにもなる。今、コロナ禍を乗り越えて、世界的な物価高騰の中で経済再生を実現するために一日も早くこうした取組をスタートさせる、こういった緊要性を感じているからこそ、こうした基金という形でこういった事業をスタートさせていく。我々としては、政府としては、そういった考え方に基づいて予算を用意したということであります。

斎藤(ア)委員 基金の必要性、半導体などへの投資の必要性はもちろん認識するわけですけれども、それと同時に、財政民主主義も当然大事なことでございます。総理大臣には、そういった意見にも耳を傾けていただき、政策実現はしっかりとしていただきたいですけれども、我々野党の意見にもしっかりと耳を傾けていただき、慎重な政策実現を行っていただきたいと思います。

 そして、最後にもう一つ。

 今回の電気料金の引下げは評価をいたしますけれども、一方で、また補助金形式のような形で無駄な経費が発生したり、あるいは事業者の利益の補填に使われたりする可能性、危険性があるのではないか。この点、非常に危惧をしておりまして、引き続きチェックをさせていただきたいと思いますが、その点に関して、総理大臣としてもしっかりと注意を払いながら政策実行していく旨について御発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 今回の電気料金などの料金の高騰に対する支援につきましては、できるだけ利用者に直接実感してもらえるような取組を進めなければいけない。要は、具体的には、請求書等を通じて、具体的にどれだけ支援が行われているか、これを明らかにする、こうした仕組みをつくりました。こういったことを通じて、事業者等に支援がとどまってしまう、利用者にまで届かない、こういったことが起こらないように制度としても工夫をしたということであります。

 委員の問題意識は大変重要であります。今後とも、政府の取組として、御指摘の点もしっかり念頭に置きながら、国民から理解される制度構築に努めていきたいと考えます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございました。終わります。

根本委員長 これにて斎藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 統一協会の被害防止新法についてお伺いをいたします。

 今、霊感商法対策弁護士連絡会の皆さんが政府の法案に対しての修文、修正を求める記者会見をやっているというお話を伺っております。

 政府は新たに、法人等に対する配慮義務で、寄附の勧誘に当たって、自由な意思を抑圧し、適切な判断をすることが困難な状況に陥ることがないようにすることなどを設けました。

 しかし、この配慮義務には強制力はありません。取消しの対象にもなっておりません。損害賠償請求の手助けになるといっても、民事裁判で何年も何年もかかるということになります。

 被害防止のためにも、迅速な救済のためにも、配慮義務ではなくて禁止行為にすべきではありませんか。

河野国務大臣 政府として、将来に向けて不当な寄附の勧誘による被害を繰り返さないために、被害救済、再発防止のための寄附適正化の仕組みを構築するべく準備をしているところでございます。

 新法案では、現行の日本の法体系の中で許される限り、最大限、禁止行為や取消権の対象とする方向で検討しております。

 具体的には、社会的に許容し難い悪質な寄附の勧誘行為を禁止するとともに、不適切な勧誘行為を受け、困惑した中で行われた寄附の意思表示には瑕疵があることから、寄附者を保護するため取消しを認めるという考え方に基づいて条文の整理を行っているところでございます。

 さらに、寄附の勧誘に当たっての配慮義務を規定するという二段構成を取ることを検討しておりまして、これにより、配慮義務に反するような不当な寄附勧誘が行われた場合、民法上の不法行為の認定やそれに基づく損害賠償請求が容易となり、更に実効性が高まるものと考えております。

 これらに加えて、子や配偶者などが、扶養債権に基づき、寄附者本人の取消権を代位行使できるようにすること、法テラスと関係機関が連携した相談体制の整備等を支援する、こうしたことについて規定していきたいと思っております。

 こうした方針で、与野党の御議論も参考に、しっかりと、こうした将来の被害を防ぐ、あるいは救済ができるような、実効性のあるものにしていきたいと思っております。

宮本(徹)委員 聞いたことに一切答えていないんですけれども、配慮義務ではなくて禁止行為にすべきではありませんかということを聞いているわけですよね。

 現行の法体系の中でぎりぎりということをおっしゃいますけれども、配慮義務の中身というのは、この間の民事裁判で、いずれも不法行為、違法だと判決が重ねられてきた中身であります。これは禁止行為にするのが自然ですし、そうすれば取消権の対象にもなり、速やかな救済につながる、そして被害の拡大防止にもつながるんじゃないですか。これは是非、禁止行為にしてください。

根本委員長 国務大臣河野太郎君、簡潔にお願いします。

河野国務大臣 禁止行為の対象とする場合、行政措置や刑事罰の適用にもつながるものであることから、現行の日本の法体系に照らせば要件の明確性が必要となります。他方、不適当な寄附のありようは様々なものが想定され、一概に要件を規定することができません。

 このため、禁止行為と配慮規定の二段構成を取ることで実効性を高めるというふうに考えております。

宮本(徹)委員 仮に刑事罰にし難いという立場に立っても、取消しの対象にするという判断は私はできると思いますよ。

 総理、全国弁連の皆さんが今日、様々、記者会見で新たな提案をしていますので、それを盛り込む検討を是非していただきたいと思います。よろしくお願いします。最後、総理、一言。

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますので。

岸田内閣総理大臣 これは、実際の裁判を考えた場合に、配慮義務を規定するということによって、配慮義務に反するような不当な寄附勧誘が行われた場合、民法上の不法行為の認定、そしてそれに基づく損害賠償請求、これが容易になります。これは実効性を高めることになると考えます。

 そういった意味で、この配慮義務、先ほど、禁止行為の対象とする場合、行政措置や刑事罰の適用につながるものであるから、現行の日本の法体系に照らせば要件の明確性が必要になると河野大臣からも答弁させていただきました。こういったこともあるからして、配慮義務を規定するということにしたわけですが、このことの意味は決して小さくないということを申し上げております。

根本委員長 宮本徹君、もう申合せの時間が過ぎております。

宮本(徹)委員 時間になりましたので、終わります。

根本委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。

 次に、櫛渕万里君。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。

 締めくくり総括に当たり、申し上げます。

 補正予算の審議でも、様々、旧統一教会と政治家の関わりが取り上げられました。個々の政治家の問題に話がすり替えられていますが、問題の本質は、我が国の民主主義と法の支配に対する深刻な政治的危機ではないかということです。

 長く政権を担ってきた自民党、中でも、憲政史上最長の首相である安倍元総理が、反社会的なカルト宗教と深く関わり、国の政策を左右してきたのではないかという疑惑です。

 れいわ新選組は、国会に調査特別委員会を設けて調べることを、この間、提案してきました。幾ら新しい法律を作っても、過去の真相が究明されなければ、再び同じような問題が起き、被害者が生まれ、政策も法も社会もゆがめられかねません。

 岸田総理、自民党総裁として、旧統一教会問題の調査特別委員会を国会に設置することについて、イエスかノーかでお答えください。

岸田内閣総理大臣 国会に調査特別委員会を設置するか、これは国会でお決めいただくことであります。

 その上で、行政の立場で申し上げるならば、行政の政策決定に当たっては、幅広く国民の皆様の意見や要望を聞くとともに、関係省庁、有識者、専門家、議員との議論など、様々なプロセスを経て政策を決定します。そして、自民党ということもおっしゃいましたが、自民党においても、同様のプロセスや、さらに、多様な意見を有する国会議員同士の度重なる議論、これを経て政策を決定しています。

 特定の団体の影響によって全体の議論がゆがめられる、こうしたことはないと考えております。

櫛渕委員 問題はないと言えることが明らかなのか、是非調査をお願いいたします。

根本委員長 これにて櫛渕君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして令和四年度補正予算両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

根本委員長 ただいままでに、立憲民主党・無所属、日本維新の会の二派共同による、渡辺創君外一名から、また国民民主党・無所属クラブの斎藤アレックス君から、またれいわ新選組の櫛渕万里君から、それぞれ、令和四年度補正予算両案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出されております。

 この際、各動議について提出者より順次趣旨の弁明を求めます。渡辺創君。

    ―――――――――――――

 令和四年度一般会計補正予算(第2号)及び令和四年度特別会計補正予算(特第2号)につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

渡辺(創)委員 立憲民主党・無所属の渡辺創です。

 私は、立憲民主党・無所属及び日本維新の会を代表し、ただいま議題となりました令和四年度第二次補正予算二案を撤回のうえ編成替えを求めるの動議に関して、その趣旨を御説明いたします。

 まず、編成替えを求める理由を申し述べます。

 令和四年度第二次補正予算においては、長期化する新型コロナウイルス感染症や物価高騰の影響など、国民生活を取り巻く厳しい経済状況を踏まえ、特に若者や子育て世代に対し、より具体的で効果的な対策を講じる必要があると考えますが、政府における対策は全く不十分です。

 したがって、我々は、若者、子育て世代への支援を抜本的に拡充するため、令和四年度第二次補正予算の編成替えを提案いたします。

 次に、編成替えの概要を御説明いたします。

 第一に、安心して妊娠、出産できる環境を整えるため、出産費用の実質無償化を図ります。

 第二に、養育費の不払いが子供の健全な成長を阻害することのないように、養育費の立替え払い制度を導入します。

 第三に、児童手当の特例給付に係る所得制限によって特例給付を受けられない世帯に対して、相当額を給付することで、所得制限の実質的な撤廃を図ります。

 第四に、家計の経済的負担の軽減を図るため、公立の義務教育段階の子供の給食費を無償化します。

 第五に、奨学金の返済について、当面支払いを猶予し、有利子奨学金については利子を減免します。同時に、修学に必要な最低限度の生活費も確保できるよう、給付型奨学金や授業料減免の制度を拡充します。

 これらの財源は、財政民主主義の趣旨に反して過大に積み上げられた新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費やウクライナ情勢経済緊急対応予備費、補正予算の緊要性の要件を満たさない支出の削減、並びに、それでもなお不足する分については特例公債の追加発行で手当てします。

 以上が、立憲民主党・無所属及び日本維新の会の編成替えの動議の概要であります。

 委員各位に本動議への賛成を強くお願いして、趣旨の説明といたします。(拍手)

根本委員長 次に、斎藤アレックス君。

    ―――――――――――――

 令和四年度一般会計補正予算(第2号)及び令和四年度特別会計補正予算(特第2号)につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

斎藤(ア)委員 私は、国民民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました政府提案の令和四年度第二次補正予算二案を撤回のうえ編成替えを求めるの動議に関して、その趣旨を御説明いたします。

 まずは、編成替えを求める理由を申し述べます。

 今年の二月二十四日に開始されたロシアによるウクライナへの軍事侵攻や記録的な円安などは、世界経済に大きな影響を与えました。特に、原材料価格やエネルギーコスト、物流コストの高騰に伴う物価高は、国民生活にとって喫緊の課題であります。政府は、こうした現在の状況を鑑み、消費者負担を可及的速やかに軽減するための所要の予算措置を講じるべきであります。

 長期にわたり停滞する我が国経済を動かすには、経済政策を積極財政に転換し、人づくりに積極的に投資して給料が上がる経済を実現しなければなりません。

 よって、国民民主党・無所属クラブは、我が国の構造的な問題、ウクライナ侵攻による経済の疲弊、ガソリン等の物価高、高騰に対し、真に国民生活を支える内容に令和四年度補正予算を替えるため、予算の編成替え動議を提案いたします。

 次に、編成替えの概要を御説明いたします。

 第一に、物価高騰から家計を守るため、インフレ手当として国民に一律十万円の現金給付を行います。なお、迅速な給付のために一律で十万円を給付した上で、一定以上の高所得者に対しては確定申告時に所得税によって課税する所得連動型給付金とします。

 第二に、ガソリン、軽油の大幅な値下げを実現します。実現のために、ガソリン、軽油のトリガー条項の凍結を解除し、ガソリン価格が三か月連続で百六十円を超えたらガソリン税を一リットル当たり二十五・一円、軽油引取税を一リットル当たり十七・一円減税する仕組みを復活させます。

 第三に、電気代の値下げを実現します。実現のために、電気料金に現在上乗せされている再生可能エネルギー発電促進賦課金の徴収を停止します。

 第四に、ガス代値下げを実現します。LPガスは重要なエネルギーインフラになっているにもかかわらず、都市ガス使用世帯に比べ、負担が大きくなっています。LPガス使用世帯に対して負担軽減策を講じる必要があります。

 以上が、国民民主党・無所属クラブの編成替え案の概要であります。

 委員の皆様におかれましては、真に国民生活を支える本動議に賛成していただくことをお願いして、提案理由説明といたします。

根本委員長 次に、櫛渕万里君。

    ―――――――――――――

 令和四年度一般会計補正予算(第2号)及び令和四年度特別会計補正予算(特第2号)につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。

 私は、会派を代表し、令和四年度第二次補正予算案を撤回のうえ組替えを求める動議について、その趣旨を説明いたします。

 政府は、二十五年続く不況に、コロナ災害、戦争による物価高という三重苦にある国民の危機的な状況をまるで認識できておらず、組替えで国民生活を守ることが必要だと考えます。財政法の趣旨を踏まえ、真に緊要な項目に限定するため、政府提案の二十九・六兆円を全額削除した上で、歳入減八兆円と歳出増の五十五・四兆円、総額六十四・一兆円の組替え動議を提出いたします。

 以下が、概要となります。

 まずは、歳入減の八兆円についてです。

 一つ目は、消費税ゼロ。十二月以降に消費税ゼロとする場合に失われる歳入七・二兆円を計上します。半数を超える人がゆとりがなくなってきたと答えていますが、国民負担を軽減して不安を解消するため、一番の政策が消費税ゼロです。

 二つ目は、ガソリン税ゼロ。税率を暫定的にゼロにする場合、失われる歳入〇・八兆円。予算を編成する財務省自身が販売価格に全額が反映されていないとする原油元売への補助金では不十分です。

 次に、追加歳出の合計五十五・四兆円についてです。

 一番目は、国民に季節ごと一律十万円の給付のうち、冬と春の分である合計二十五兆円の歳出を計上いたします。このまま物価高が続いては年が越せない、こうした国民の悲痛な叫びに応えます。

 二番目は、国民健康保険料や後期高齢者医療制度、介護保険料など毎月の社会保険料の負担について、今年度の四か月分を引き下げる四・一兆円です。健康保険料を気にして病院に行けず、体を壊す。そんな本末転倒があってはなりません。

 三番目、日本学生支援機構の貸与型奨学金の債務免除にかかる費用全額九・六兆円。巨額の借金を抱えたまま社会に出ることが、結婚や子育てなどのその後の人生に大きな影響を与えていることを見逃してはなりません。

 四番目、大学院卒業までの教育費の完全無償化に三・八兆円。幼児教育から大学院まで、お金の心配なしに学べる社会を実現する。これが本当の人への投資です。

 五番目は、介護士、保育士の月給十万円の賃上げです。これに一・二兆円。政府の九千円アップでは全く不十分です。構造的賃上げを目指すならば、公定価格で引き上げることのできる介護や保育の分野からまずは行うべきです。

 六番目、農業従事者への直接支援に〇・七兆円。所得補償や就農支援、農産物の国による買上げ、備蓄、低所得者への食料支援に活用します。ウクライナでの戦争の教訓は、食料確保の重要性。今回の措置は、自給率を五〇%まで引き上げる第一歩です。

 七番目、コロナ第八波に備える対策に四・四兆円です。医療機関への減収補填と医療従事者三十万人の臨時雇用とボーナス三十万円支給により、医療体制を強化します。感染者が増えるたびに救急医療が崩壊寸前になる。これまでの繰り返しを二度と起こしてはなりません。

 八番目は、生活困窮者向けコロナ特例貸付けの返済免除に一・四兆円。来年一月から返済が始まる緊急小口資金、総合支援資金の特例貸付けを受ける三百三十五万人の返済を免除します。困った人に借金させる仕組みが元々おかしいんです。

 九番目は、実質無利子無担保のいわゆるゼロゼロ融資の利払い免除に〇・二兆円。地域において経済はもちろん文化の担い手でもある中小企業、零細企業等を対象に、ゼロゼロ融資の利子、利払いを免除します。

 十番目は、水道光熱費の支払い免除に四・七兆円です。

 そして、最後の十一番目は、医療、雇用、年金、子育て、介護の国民負担増の回復に〇・三兆円。医療の高齢者二割負担、雇用保険料率の変更、マイナス〇・四%の年金改定、児童手当特別給付の廃止、介護保険の利用者負担二割化など、メジロ押しだった国民負担増を元に戻すことが必要です。

 以上、かかる財源は全て国債発行で賄います。将来にツケを残すのかという意見もありますが、明らかに間違いです。日本は、コストプッシュインフレではあるものの、相変わらず需要不足、供給超過の状態で、国債は安定しています。今やるべきは、需要を増やし、まずは非常事態にある国民生活を救うことです。

 今こそ、積極財政による国民負担を軽減するための諸施策について各党の賛同を求め、組替え動議の趣旨説明を終わります。

根本委員長 これにて各動議の趣旨弁明は終了いたしました。

    ―――――――――――――

根本委員長 これより討論に入ります。

 令和四年度補正予算両案及びこれに対する撤回のうえ編成替えを求めるの動議三件を一括して討論に付します。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。鰐淵洋子君。

鰐淵委員 公明党の鰐淵洋子でございます。

 ただいま議題となりました令和四年度第二次補正予算案につきまして、与党を代表して、賛成の立場から討論いたします。

 賛成理由の第一は、物価高における国民生活を守り抜く予算である点です。

 これから暖房需要が高まる冬にかけて、エネルギー価格の高騰が家計を直撃します。そこで、ガソリン等の燃油価格を抑制する補助金を来年一月以降も継続するとともに、我が党の強い主張を受け、電気代に加えてガス代の負担軽減策も盛り込まれ、総額約六・三兆円を超える予算が計上されました。

 電気、都市ガス料金については、単価を一律に引き下げる簡素な仕組みで、請求書等には抑制効果が記載されます。間接的に支援を講じるLPガスについても、ホームページ等で価格抑制効果が発信されることとなり、国民の皆様が負担軽減を実感できる制度設計が進められています。

 第二に、子育て支援が一層強化される点です。

 子育て、教育を国家戦略に。公明党の強い主張を踏まえ、妊娠から出産、子育てまで一貫した伴走型相談支援と経済的支援を一体的に行う事業を創設することとし、出産・子育て応援交付金が計上されました。実施主体となる地方の負担分について、地方交付税を増額して対応する点も高く評価しております。

 この制度は、孤立や不安を抱く妊産婦や子育て家庭に寄り添い、支えていく、恒久的な制度としてスタートさせるものでございます。公明党は、全国三千人の議員ネットワークを生かし、各地の実情、当事者のニーズに応じた制度づくりに総力を挙げてまいります。

 第三に、日本経済再生に向け、新しい成長と分配の好循環を実現する予算である点です。

 持続的、構造的な賃上げの実現が日本経済再生の鍵となります。そこで、本補正予算案には、リスキリングから転職まで一気通貫で支援を受けられる仕組みの整備や、中小企業の賃上げ、GX、DXなどの成長分野への前向きな投資を促すため、事業再構築補助金、生産性革命推進事業など、一兆円を超える中小企業支援策が計上されています。

 そのほか、園児の送迎用バスの安全装置改修支援、感染症対策、不測の事態に備えた予備費の十分な積み増しなど、国民生活の安心と安全に万全を期す予算となっております。

 以上、本補正予算案を早期成立させ、一日も早く国民の皆様に安心と希望をお届けできるよう、各委員の皆様の御賛同を求め、私の賛成討論といたします。

 なお、野党提出の三本の編成替え動議につきましては、見解を異にするため、反対することを申し述べておきます。(拍手)

根本委員長 次に、渡辺創君。

渡辺(創)委員 立憲民主党・無所属の渡辺創です。

 私は、会派を代表して、令和四年度第二次補正予算二案については反対、また、立憲民主党・無所属、日本維新の会提出の組替え動議については賛成、国民民主党・無所属クラブ及びれいわ新選組提出の組替え動議には反対の立場から討論いたします。

 今回の予算審議は、旧統一教会との関係が特に深い山際元経済再生担当大臣、仕事は死刑の判こを押す地味な役職などと発言した葉梨元法務大臣、政治資金規正法違反及び公職選挙法違反の疑いがある寺田元総務大臣と、三大臣が立て続けに辞任する前代未聞の事態が続く中、行われました。いまだ在職中の秋葉復興大臣もまた、政治資金規正法違反及び公職選挙法違反、旧統一教会との関わりなどの疑いが残されています。これら重要閣僚を任命した岸田総理の任命責任は重いと言わざるを得ません。

 予算の内容としても、国民生活を取り巻く厳しい経済状況を踏まえ、具体的で効果的な施策を講じる必要がありますが、政府案は不十分です。特に、子育て世帯や低所得世帯に対する給付は、対象が狭く、額も不十分です。

 また、予算の緊要性について、本補正予算には疑念を拭えない経費が含まれます。

 例えば、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策に係る経費は、これまで全額が補正予算で計上されていますが、長期的計画に基づいて毎年必要となる経費は当初予算で計上するべきであり、補正予算での計上は妥当ではありません。

 加えて、基金の造成、積み増しに八・九兆円もの予算が計上されていますが、本来、中長期的な課題に対応することを旨とする基金事業に、かような額が計上されることは妥当ではありません。

 さらに、ウクライナ情勢経済緊急対応予備費の新設に一兆円を計上した上で、新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費を三兆七千四百億円積み増すなど、予備費は五兆円規模となっています。かような大規模な予備費の計上は、財政民主主義の趣旨を没却しかねません。

 以上の認識に基づき、令和四年度第二次補正予算二案については反対、立憲民主党・無所属、日本維新の会提出の組替え動議については、政府予算の足らざるを補い、無駄を削る内容となっていることから賛成、国民民主党・無所属クラブ及びれいわ新選組提出の組替え動議には反対することを申し上げ、私の討論を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

根本委員長 次に、掘井健智君。

掘井委員 日本維新の会の掘井健智でございます。

 会派を代表して、令和四年度第二次補正予算案に対して反対、また、野党提出の編成替え動議に対して賛成の立場から討論をいたします。

 補正案に反対する第一の理由は、本当に必要な支出は一部にとどまり、その多くは、年度内に執行されない、不要不急の事業や支出だということであります。

 そもそも、補正予算は、財政法二十九条で、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出に限られております。しかし、今回の補正案では、基金の新設や増額に関わる支出が五十事業もあって、合計で八兆九千億円、補正総額の三割も占めております。複数年度にわたって支出されるこの基金は、今一番必要とされる、喫緊の課題である円安対策また物価高対策には何の役にも立っておりません。成長分野や人材育成のために必要だというのならば、しっかりと当初予算として計上すべきであります。

 加えて、予備費の計上が四兆円もあって、財政民主主義の観点から望ましいものとは言えません。

 反対する第二の理由は、数少ない緊急対策の中でも、そのやり方に的外れなものが目立つということであります。

 例えば、ガスや電気の小売事業者に補助金を出すことになっておりますが、価格高騰で困っている消費者を直接支援するものとなってはおりません。事業コストも高くなることが見込まれ、果たして実際どこまで消費者に恩恵が行き届くのか不透明であります。

 こうした補助金中心の支出は、既得権益を税金で保護し、政権の支持率アップや選挙目当てのばらまきのために補正予算を利用しているとの批判を免れることはできません。本当に効果的な物価対策、また生活者支援を行うのであれば、消費税を始めとする減税を行い、国民の可処分所得を増やす施策こそ決断すべきであります。

 そして、第三の理由は、成長戦略が抜け落ちており、次世代への投資が不十分な点であります。

 日本維新の会は、雇用の流動化を促す労働市場改革、そして新規参入を促す規制改革、DX促進、教育の無償化などに向けた抜本的な構造改革をパッケージで提案しております。また、組替え動議では、政府案に著しく欠けている次の世代への投資、出産費用の実質無償化、そして児童手当の所得制限の実質的撤廃、給食の無償化などを盛り込んでおりました。

 今、国民や我が国にとって本当に必要な財政支出と次世代への投資を大胆に行い、併せて成長戦略を描いていく。そのために、我が党が提出している総合経済対策の実現と、そして補正予算の組替えが必要であると強く申し上げ、私から、第二次補正予算案に対する反対、そして野党提出の編成替え動議に対する賛成の討論といたします。(拍手)

根本委員長 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 私は、国民民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました政府提案の令和四年度第二次補正予算二案に賛成、国民民主党・無所属クラブ提出の編成替えを求めるの動議に賛成の立場から討論を行います。

 日本は、四半世紀にわたり賃金が上がらない中、ロシアのウクライナ侵略の影響と記録的な円安の影響で急激な物価高が進行しており、物価高対策は国民生活と国内経済のコロナ禍からの回復を促進する上で緊急に行わなければならないものです。

 まず、物価高騰から家計を守るため、インフレ手当として国民に一律十万円の現金給付を行うべきです。

 加えて、ガソリン、軽油、電気代、ガス代の大幅な値下げを、全国規模で、できるだけ多くの消費者を対象に、分かりやすく、そして無駄な経費がかからない形で実現することが必要です。そのためには、ガソリン、軽油のトリガー条項の凍結を解除し、ガソリン減税を実現するとともに、現在電気料金に上乗せされている再生可能エネルギー発電促進賦課金の徴収を停止し、そして、LPガス使用世帯に対して負担軽減策を講じる必要があります。

 国民民主党提出の編成替え動議は、以上申し上げた大きな柱に沿って、物価高対策と現状の需給ギャップを埋める対策を行い、コロナ禍からの回復途上にある経済と国民生活の改善を強く推し進めるものとなっており、委員の皆様には是非とも御賛同いただくことをお願い申し上げます。

 政府提出の令和四年度第二次補正予算二案については、財政法第二十九条の規定により、法律上又は契約上の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出を行う場合に限り認められているところ、緊要性があるとはとても考えられない基金、ファンドの組成や積み増しがメジロ押しになっていることに加え、使途が定まっていない予備費が依然として多額に計上されているなど、問題も多く存在しています。政府には、国民民主党を含めて野党から指摘されたこれらの問題点に関して、真摯にそれを受け止めることを求めます。

 一方で、国民民主党が他党に先駆けて提案してきた電気料金の引下げ策が本補正予算には一定の規模感を持って盛り込まれているなど、本補正予算の成立による物価高対策の前進は、広く国民生活に恩恵が行き渡り、コロナ禍からの消費と経済、そして国民生活の回復を推し進めることが期待できます。

 したがって、物価高対策を更に前に進めていくことを今後一層強く政府に求めていくためにも、我が党の編成替え動議が否決された場合でも、本補正予算案には賛成させていただきます。

 国民民主党は、対決より解決、あくまで政策本位で行動してまいります。今後も、改革中道の立場から、国民のための政策を積極的に提案し、与野党問わず、是々非々で議論を行い、問題解決を目指していくことを国民の皆様にお誓いし、私の討論といたします。(拍手)

根本委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 私は、日本共産党を代表して、政府補正予算案に対する反対討論を行います。

 そもそも、補正予算は、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出等に限って組むものであります。ところが、政府の補正予算案は、最も緊要である物価高騰から暮らしを守る施策は全く不十分、その一方、緊要性がない多額の予備費や基金、軍事費などを計上しています。国民の暮らしの実情からも、財政法に照らしても、到底認められるものではありません。

 補正予算に多額の軍事費を計上し、次年度以降の歳出化経費を前倒しして盛り込むというやり方は、米国製兵器爆買いを進めた安倍政権が始めたものであります。財政法で規定された補正予算の趣旨を踏みにじるやり方です。

 しかも、今回盛り込まれている軍事費の多くは、辺野古の新基地建設や馬毛島基地建設など、米軍再編に伴う経費です。九月の県知事選で、沖縄県民は辺野古の新基地建設にノーの審判を重ねて示しております。辺野古の新基地建設は断念し、普天間基地は無条件で閉鎖、撤去を米国に要求すべきであります。また、馬毛島への基地建設に多額の予算が計上されていることは重大であります。米軍艦載機の夜間離発着訓練が種子島住民らの住環境を悪化させることは明らかであります。認めるわけにはいきません。

 また、本補正予算案には、四兆七千四百億円もの巨額の予備費が計上されています。本来、予備費は、災害等の予見し難い予算の不足に充てるものです。コロナ禍以降、巨額の予備費の計上が繰り返され、内閣が国会の審議を回避する手段となっています。国民主権の我が国において、予算は国会で審議し議決するのが原則であり、本補正予算案は、財政民主主義を踏みにじるものと言わなければなりません。

 さらに、本補正予算案に求められた、暮らしを守る支援策は極めて不十分であります。最低賃金を再改定することを決断すべきであります。賃金支払いが厳しい中小企業等には、各国でも取り組まれている社会保険料減免、賃金助成など、踏み込んだ支援を行い、速やかに全国一律千五百円を実現していくべきであります。

 公的価格、公定価格で国が責任を負っている介護、障害者福祉、保育など、ケア労働者の賃金を全産業平均に向けて引き上げるべきであります。学校給食無償化、高等教育の無償化、給付型奨学金の拡充、物価に合わせた年金引上げ、消費税減税など、暮らしを守る政治の責任を果たすべきです。

 以上指摘し、本補正予算案に対する反対討論とします。

根本委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 有志の会の緒方林太郎です。

 一九七五年、当時の大平正芳大蔵大臣は、初の赤字国債発行に際し、万死に値すると口にしました。安易に借金に頼るとき、雪だるま式に膨らみ、ツケは将来の世代が払うとの罪の意識を持ったのだと思います。

 私は決して赤字国債を全て否定するものではありませんが、本委員会での議論を聞く限り、本補正予算案の背景には、あるべき科学が存在しません。

 岸田総理、あなたは、大平正芳総理の志から学んでいない。学んだのは、田園都市構想に流行のデジタルをくっつけた、デジタル田園都市構想という正体不明の概念を生み出したことだけです。

 そして、赤字国債が膨らむことへの懸念を表明する議員が減りました。これは、民主党政権末期、毎年特例公債法を立てることをやめたことが影響しています。かつて、この仕組みについて、赤字国債を発行して後世にツケを回すことへの贖罪意識を持つようにするために、この法律を通す苦労をすることが必要なのだと言われていたそうです。けだし至言です。今や、誰もそのような意識を持たなくなりました。総理大臣が補正予算について、額ありきと平気で口にするようになったのはその証左です。

 私は当時、与党議員として、特例公債法の複数年化の法律に嫌々ながら賛成しました。今、自分自身、あのときの賛成を後悔しています。

 補正予算編成時、与党幹部は、責任を取るのは自分たちだといって、予算額の膨張を懸念する官僚を抑えたと報じられました。しかし、この予備費と基金で水膨れした予算が本当に執行されるとき、岸田総理、もうあなたは総理の座にいない可能性もあります。更に言えば、二十三兆円もの国債増発の責任を取れる人などいません。あなた方が語る責任とは、ただの選挙目当てではないですか。責任を本当に取らされるのは、今まだ生まれていない世代です。

 今、国会で改革を訴える政党が少なくなりました。円安誘導により日本を安売りしながらポピュリズムに堕したアベノミクスから続く政策体系が崩壊したのは、誰が見ても明らかです。しかし、対する野党も実は同じレールの上に乗っているのではないか。政治とは選択のアートであり、つらい選択を国民にしっかりとお願いしていく気概を持たなくてはなりません。しかし、この委員会室でその気概を感じることはまれです。今や国会は、ポピュリズムの館になったかのようです。

 私は、今の弛緩した日本経済と危機意識のない政治のてんまつを想像して、夜、震えが来ることがあります。しかし、我々は国権の最高機関の一員として、後ろを向くことは許されません。亡国の予算を乗り越え、この国を再興させるとの強い決意を述べ、私の討論といたします。(拍手)

根本委員長 次に、櫛渕万里君。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。

 私は、会派を代表して、政府提出の第二次補正予算案及び立憲、維新の動議、国民民主党の動議に反対、れいわ新選組提出の組替え動議に賛成の立場から討論いたします。

 今回の補正予算は遅過ぎます。さきの通常国会から五か月もたって、今頃ようやく出てきました。また、国民に直接届くものが少な過ぎます。二十九兆円といいますが、企業や業界中心の基金が多く、また予備費四・七兆円など、見かけだけです。

 本来、補正予算は、特に緊急に必要となった経費のはずです。なのに、物価高に苦しむ国民に届く支出は僅かしかありません。この点で今回の政府案を見ると、緊要でない支出が多く見られます。

 例えば、米軍の再編に二千九百二十四億円が計上されていることです。スーパーで一円でも安い食料を探す国民からすれば、米軍向け支出がなぜ補正予算で必要なのか、理解に苦しむでしょう。

 合計で五兆円近い予備費が積まれていることも問題です。国費支出と国の債務負担には国会の議決が必要という憲法八十五条に違反する疑いがあります。巨額の予備費の計上が常態化していることは、民主主義の観点から大きな疑問であると言わざるを得ません。

 さらに、これだけの物価高の中、当然計上されるべき事項が計上されていない。具体的には、消費税ゼロ、少なくとも減税がなされていないことは、補正予算として明らかに失格です。消費税には逆進性があって、所得の低い世帯に不利になっている元々不公平な税制です。また、過去三十年にわたって実質賃金が伸びていない大きな原因になっています。物価高が深刻化する今こそ、消費税廃止、最低でも五%減税が有効です。

 このように問題点が山積みする政府案と異なり、先ほど趣旨説明いたしましたれいわ新選組提出の組替え動議は、安心して年が越せるよう、冬、春に国民一律十万円給付、そして、学生が借金を抱えたまま社会に出ないための奨学金全額免除、また、公定価格で介護、保育士の十万円賃上げ、そして、中小零細企業を救うゼロゼロ融資利払い免除など、こうした国民が今緊急に必要な対策に絞っており、財政法上からも理にかなったものと自負しています。

 委員の方々には、特に消費税減税法案を共同提出した会派に属する皆様におかれましては、れいわ新選組提出の組替え動議に是非御賛同いただきますよう、改めてお願い申し上げます。

 以上を申し上げ、私の反対討論を終わります。

根本委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

根本委員長 これより採決に入ります。

 まず、櫛渕万里君提出の令和四年度補正予算両案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

根本委員長 起立少数。よって、櫛渕万里君提出の動議は否決されました。

 次に、斎藤アレックス君提出の令和四年度補正予算両案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

根本委員長 起立少数。よって、斎藤アレックス君提出の動議は否決されました。

 次に、渡辺創君外一名提出の令和四年度補正予算両案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

根本委員長 起立少数。よって、渡辺創君外一名提出の動議は否決されました。

 次に、令和四年度一般会計補正予算(第2号)、令和四年度特別会計補正予算(特第2号)の両案を一括して採決いたします。

 両案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

根本委員長 起立多数。よって、令和四年度補正予算両案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました令和四年度補正予算両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

根本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十六分散会


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