衆議院

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第3号 令和5年1月31日(火曜日)

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令和五年一月三十一日(火曜日)

    午前八時五十八分開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 小林 鷹之君 理事 中山 展宏君

   理事 古川 禎久君 理事 堀井  学君

   理事 牧原 秀樹君 理事 逢坂 誠二君

   理事 後藤 祐一君 理事 青柳 仁士君

   理事 赤羽 一嘉君

      伊東 良孝君    伊藤 達也君

      石破  茂君    今村 雅弘君

      岩田 和親君    岩屋  毅君

      上杉謙太郎君    衛藤征士郎君

      小田原 潔君    奥野 信亮君

      亀岡 偉民君    熊田 裕通君

      下村 博文君    杉田 水脈君

      鈴木 隼人君    田中 和徳君

      谷川 とむ君    辻  清人君

      土屋 品子君    平沢 勝栄君

      古屋 圭司君    細田 健一君

      牧島かれん君    三谷 英弘君

      宮澤 博行君    宮路 拓馬君

      宮下 一郎君    八木 哲也君

      山本 有二君    鷲尾英一郎君

      荒井  優君    大西 健介君

      城井  崇君    玄葉光一郎君

      源馬謙太郎君    神津たけし君

      長妻  昭君    西村智奈美君

      藤岡 隆雄君    太  栄志君

      本庄 知史君    森山 浩行君

      山岸 一生君    山田 勝彦君

      吉田はるみ君    早稲田ゆき君

      渡辺  創君    阿部  司君

      池畑浩太朗君    岩谷 良平君

      遠藤 良太君    小野 泰輔君

      奥下 剛光君    金村 龍那君

      藤田 文武君    掘井 健智君

      守島  正君    庄子 賢一君

      中野 洋昌君    鰐淵 洋子君

      浅野  哲君  斎藤アレックス君

      志位 和夫君    宮本  徹君

      緒方林太郎君    北神 圭朗君

      櫛渕 万里君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   総務大臣         松本 剛明君

   法務大臣         齋藤  健君

   外務大臣         林  芳正君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   文部科学大臣       永岡 桂子君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   農林水産大臣       野村 哲郎君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      西村 康稔君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    西村 明宏君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     松野 博一君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (デジタル改革担当)

   (消費者及び食品安全担当)            河野 太郎君

   国務大臣

   (復興大臣)       渡辺 博道君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     谷  公一君

   国務大臣

   (こども政策担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   小倉 將信君

   国務大臣

   (新しい資本主義担当)

   (経済財政政策担当)   後藤 茂之君

   国務大臣

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)

   (経済安全保障担当)   高市 早苗君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (地方創生担当)

   (規制改革担当)

   (クールジャパン戦略担当)

   (アイヌ施策担当)

   (行政改革担当)     岡田 直樹君

   財務副大臣        井上 貴博君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            山中 伸介君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  溝口  洋君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中田 昌和君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 石月 英雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 林   誠君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    中込 正志君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          藤江 陽子君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            池田 貴城君

   政府参考人

   (文化庁次長)      合田 哲雄君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         村山  誠君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          飯田 祐二君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            小林 浩史君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月三十一日

 辞任         補欠選任

  衛藤征士郎君     上杉謙太郎君

  亀岡 偉民君     岩田 和親君

  下村 博文君     谷川 とむ君

  鈴木 隼人君     宮路 拓馬君

  山本 有二君     杉田 水脈君

  源馬謙太郎君     太  栄志君

  藤岡 隆雄君     玄葉光一郎君

  本庄 知史君     長妻  昭君

  吉田はるみ君     早稲田ゆき君

  渡辺  創君     城井  崇君

  阿部  司君     小野 泰輔君

  池畑浩太朗君     奥下 剛光君

  掘井 健智君     岩谷 良平君

  斎藤アレックス君   浅野  哲君

  宮本  徹君     志位 和夫君

  緒方林太郎君     北神 圭朗君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     小田原 潔君

  上杉謙太郎君     衛藤征士郎君

  杉田 水脈君     山本 有二君

  谷川 とむ君     細田 健一君

  宮路 拓馬君     鈴木 隼人君

  城井  崇君     渡辺  創君

  玄葉光一郎君     藤岡 隆雄君

  長妻  昭君     本庄 知史君

  太  栄志君     荒井  優君

  早稲田ゆき君     吉田はるみ君

  岩谷 良平君     掘井 健智君

  小野 泰輔君     藤田 文武君

  奥下 剛光君     金村 龍那君

  浅野  哲君     斎藤アレックス君

  志位 和夫君     宮本  徹君

  北神 圭朗君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     亀岡 偉民君

  細田 健一君     宮澤 博行君

  荒井  優君     神津たけし君

  金村 龍那君     守島  正君

  藤田 文武君     阿部  司君

同日

 辞任         補欠選任

  宮澤 博行君     下村 博文君

  神津たけし君     山田 勝彦君

  守島  正君     遠藤 良太君

同日

 辞任         補欠選任

  山田 勝彦君     山岸 一生君

  遠藤 良太君     池畑浩太朗君

同日

 辞任         補欠選任

  山岸 一生君     源馬謙太郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和五年度一般会計予算

 令和五年度特別会計予算

 令和五年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 令和五年度一般会計予算、令和五年度特別会計予算、令和五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官溝口洋君、内閣官房内閣審議官中田昌和君、外務省大臣官房審議官石月英雄君、外務省大臣官房参事官林誠君、外務省欧州局長中込正志君、文部科学省総合教育政策局長藤江陽子君、文部科学省高等教育局長池田貴城君、文化庁次長合田哲雄君、厚生労働省雇用環境・均等局長村山誠君、経済産業省経済産業政策局長飯田祐二君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄君、中小企業庁事業環境部長小林浩史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 昨日の岡田克也君の質疑に関連し、長妻昭君から質疑の申出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。長妻昭君。

長妻委員 おはようございます。立憲民主党、長妻昭でございます。

 まず総理にお伺いしたいのが、育休中のリスキリングを後押しするというような御発言がありました。これは男性の育休中というのを想定された御発言ですか。

岸田内閣総理大臣 委員の御指摘は、先日の本会議での私の発言についての御指摘かと思いますが、あの私の答弁、発言の趣旨は、あらゆるライフステージにおいて、リスキリングということについて希望する方があれば、それに対応するような環境整備を行うことが重要であるということを申し上げました。

 よって、育休において、男性であれ女性であれ、ただ、育休の間、大変厳しい状況にあるということは十分理解いたしますが、それでも希望する方があれば、そういった希望には対応していくことも考えていかなければならない、このように申し上げました。現実にそうした希望があるかどうか、これは御本人の判断であると考えております。

長妻委員 男性の育休中、これはいろいろな調査がございますが、ある調査では、取るだけ育休、男性三人に一人が育休を取っても家事、育児が二時間以下だ、こういうデータもありますし、先進国で一番男性が家事、育児にかける時間が少ない、これも少子化の大きな原因だと言われております。

 もし政府が、総理の発言が、男性を想定して、育休中時間があるだろうからみたいな発想であれば、これは厳にその発想を変えていただきたいんですね。女性がケアを担うものだ、こういうような発想を捨てることからこの少子化対策というのは進むというふうに思いますので、是非、育休中のリスキリングというようなことではなくて、そこできちっと育休の趣旨をやはりよく分かっていただいて、政府は取り組んでいただきたいというふうに思います。

 そして、子ども手当、これは十数年前に民主党政権で設立したわけでございますが、簡単におさらいをいたしますと、これまでは児童手当ということがございまして、小学生まで所得制限が入ったものが支給をされていたのを、二〇一〇年、民主党政権で、中学生まで支給する、そして一律一万三千円を所得制限なしで中学生までのお子さん全員に支給する。

 子供一人一人の育ちを社会全体で応援する、こういうような理念で始めたわけでございますが、しかし、その後、自民党から、この採決のときもそうなんですけれども、罵詈雑言といいますか、相当な批判があって、ばらまきだ、やれ所得制限をかけろ。あるいは、参議院の採決のときには、私大臣だったんですけれども、自民党のある女性参議院議員がこういうことをおっしゃったんですね。愚か者めが、このくだらぬ選択をしたばか者どもを絶対に許しません、こういうやじを飛ばして、これは今だったら、皆さんが与党で我々が野党でこんなことを言ったら、皆さんがもう許さずに大変なことになったと思うんですね。

 本当に当時、もうとんでもない罵詈雑言をかけられ、そして本当にえげつないような話がたくさん言われたわけでございますが、そして、挙げ句の果てに、これは私もびっくりしたんですが、Tシャツですね、この愚か者めがというふうに書いたTシャツを自民党の公式グッズで千五百円で発売していたと。当時の広報委員長が、ネット上にいっぱい映像が出ていますけれども、広報委員長がそれを着て非常にはしゃいでいるような写真も出ているわけでございまして、私は、これは是非反省していただきたいと思うんです。

 十年たって自民党が変わったと、異次元の対策ということで、私はそれを信じたいんですよ。信じたいんですが、きちっとした反省と総括がなければ信じられるわけないじゃないですか。

 総理、一言、反省の弁を述べていただきたい。

岸田内閣総理大臣 御指摘の子ども手当をめぐりましては、大変激しいやり取りが行われた、そのとおりだと思います。

 そして、こうした政策については、その趣旨や財源を始め、様々な議論を尽くしていかなければならないと思います。

 ただ、その際に、ただいま委員が御指摘になったような発言、行動、こうしたことについては、やはり、前向きな発言をする際に、その節度と、そして相手に対する敬意、こうしたものを決して忘れてはならない、こうしたことであると思います。

 こうした御指摘の点等については、その行動、節度あるものであったかどうかということについては、我々は改めて振り返らなければならないと思いますが、議論の中身ということについては、しっかり議論を行っていく、こうした前向きな姿勢はこれからも大事にしていきたいと考えます。

長妻委員 反省はないんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 今申し上げたように、議論は大事であったと思います。ただ、その議論を行う際の態度、発言等において、節度を超えていたのではないか、こういった御指摘については謙虚に受け止め、反省すべきものは反省しなければならないと思います。

長妻委員 これは、態度もそうなんですけれども、発想もそうなんですね。

 私たちは、この子ども手当を創設するときに、子供の育ちを社会全体で応援する、そういうことを申し上げましたら、自民党から、これはポル・ポト政権か、社会で子供を育てるというのはスターリンか、こういうような発言も出まして、自民党の当時の理念というのは、一義的には子育ては家庭でなされるべきものだということでございまして、私たちは、もちろん家庭というのは重要ですけれども、同時に、どちらが優先ではなくて、社会全体としても応援する、こういう理念なわけですね。是非、その理念も本当に転換したのかどうか、私は大きな疑問があるわけです。

 私たちは、この子ども手当を創設をしたその後に、これは中学生までだったんですけれども、その後のプランとしては、高校生まで子ども手当を延ばしていく、そして金額を増額する、こういうようなプランを持っていたわけですが、これが自民党政権になって頓挫をして今日に至っているということなんです。ですから、深刻な反省をしていただきたい。

 この十年、自民党政権が少子化対策を遅らせた、こういう自覚はありますか、総理。

岸田内閣総理大臣 この十年、子供、子育て政策を遅らせたのではないかという御指摘でありますが、この十年、振り返りましても、保育の受皿整備ですとか、幼児教育、保育の無償化など、様々な取組が進められてきました。そして、その間、この少子化対策関係の予算、これは大きく伸びております。そして、成果としても、保育所待機児童数、平成二十九年、約二万六千人いたこの待機児童、昨年は三千人まで減少するなど、そうした取組の成果もあったと思います。

 ただ、少子化の背景には、個々の方々の結婚ですとか出産ですとか、子育ての希望の実現を阻む様々な要因があります。こうした多くの方々の希望に沿えるような社会が実現していない、こういったことについては改めて振り返り、これからを考えていかなければならない点ではないかと考えます。

長妻委員 子育て支援をやってきたという話なんですが、これは数字が物語っているんですね。私は、この十年間で、本当に少子化対策が停滞したというふうに強く思っているんです。

 簡単に言うと、小粒で的外れだということだと思うんですね。小粒という意味は、やはり予算が少な過ぎる。子育てにかける予算、GDP比で一・七%ぐらいなんですね。これはヨーロッパの半分ぐらいしかございません。防衛費はGDPの今後二パーにするということで、もし子育て予算が増えなければ、防衛費の方がGDP比で大きい。G7を調べましたら、今時点でアメリカだけなんですよ、防衛費の方が子育て予算より大きい国というのは。これは是非、いびつな今の予算を、この子育て予算を大幅にやはり増額をしていただかなきゃいけない。これが小粒という意味なんですけれども。

 その中で、一つだけちょっと提案を申し上げたいんですが、これは、実は民主党政権のときに厚生労働省に申し上げて、それぞれの、ゼロ歳から八十歳までの一人の人間が、国民が、一体どれだけ給付を受けて、そして税金を含めた負担があるのか、これは義務教育も給付の中に入っておりますけれども、こういう表を作ったんですね。

 これはお分かりのように、見ていただきますと、高齢者のところはすごく大きくなっているんですね。ただ、これでも、OECD、先進国の中では低い方なんです、高齢者の方でも。それにも輪をかけて、高齢者と比べると相当子供が薄い。これは圧倒的にOECDの平均から見ても低いわけでございます。

 私たちが提案を特に、総理、したいのは、いろいろ総理も考えておられると思うんですけれども、これは、幼稚園、保育園無償化、あるいは義務教育というのは学費はかかりません、いろいろな教材はかかりますけれども。それで、中学を卒業した後なんですね。これは一応、高校の授業料無償化にもなっていますが、まだまだ不十分ですし、中学までは児童手当が出るんですよ、今、所得制限はかかっているものの。中学から卒業すると、がくっとなくなるんですね、ゼロになっちゃうんです、児童手当が。

 それで、ここを見ていただくと、少し小さいんですけれども、中学を卒業して高校に入ると、給付ががくっと減るわけですね。下の方の負担を見ていただきますと、負担も、教育費を含めてがくっと負担が上がるわけですね。下に伸びるほど負担が上がるわけで、高校になると急に家計が苦しくなるんですよ、総理。

 そういう意味では、児童手当、名前は私たちは子ども手当に戻してほしいとは思うんですが、児童手当でもいいでしょう、名前は。その児童手当を高校生まで延ばしていく、これが私は本丸の一つだと思うんですね。少子化対策は、後でも申し上げますが、もう一つ重要なことがあるんですけれども、まず給付でいうと、やはり児童手当というのが一つ効くんですよ、少子化対策には。

 そういう意味では、総理、高校まで児童手当を延ばすということも検討の選択肢に入っているということを明言いただきたいんですが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の児童手当が最後に見直されてから十年たちますが、その間、少子化をめぐる社会経済の環境、これは随分と変化をしています。これまで子供、子育て政策として重視されてきた政策の中身も変化している。より経済的支援を重視してもらいたいという声が強まっているなど、政策に対する期待、ニーズも変化している、こうしたことであります。よって、それに対応して政策を考えていかなければならないと思います。

 今、内閣においても、児童手当を始めとする経済的支援の充実、これも柱の一つとして取り上げているわけですが、その中で、今、内容の具体化を急いでいます。高校までやるかどうかも含めて、具体的な内容については、今の政府の考え方、経済的な支援とサービスの充実と働き方改革を始めとする制度改革、この三本と、さらには教育、こうした柱立ての中で、今言った、経済社会の変化の中で今求められる子供、子育て政策は何か、これを具体化するという取組を進めています。

 御指摘の点も踏まえて、政府として、内容の具体化を進めていきたいと考えています。

長妻委員 そうすると、確認ですけれども、高校までの、児童手当を延ばすということも含めた検討ということでよろしいんですね、今おっしゃったように。

岸田内閣総理大臣 今、具体的な内容については予断を持って申し上げることは控えなければなりません。あらゆる選択肢について検討をするということであります。御指摘の具体的な点について、やるとかやらないとか、今の段階で申し上げることは控えます。

長妻委員 高校まで延ばすことは拒むものではないわけですね、検討の対象として。

岸田内閣総理大臣 予断を持って、それをやるとかやらないとか、今申し上げることは控えなければならないと思います。

 今、内容の具体化に向けて作業を始めているところです。是非具体化、急ぎたいと思います。

長妻委員 防衛費は、私たちも、増強するところは増強しなきゃいけないという立場ですけれども、中身が分からず、まず二倍にするがありき。これは中身がちゃんとあるのに、やるかやらないか分からないと。二倍にすると子育て予算、おっしゃっているとしたら、何に使うんですか。二倍といったら相当な金額ですよ。高校までの、延ばすということについて、是非含めていただきたい。

 児童手当が最後に見直されて十年って、見直されたんじゃない、改悪したわけですね、自民党が。それでここまで遅れたわけです。

 そして、もう一つ、少子化対策で的外れというのは、これは少子化の原因なんですね。

 もちろん、子育て世帯への予算が少ないというのもありますけれども、これは、五十年前に、御夫婦が産むお子さんの平均が二・二人でした。今はどうでしょう。今は平均一・九人です。これは、減ったとはいえ、激減はしていないんですね。

 ただ、結婚率、未婚の方、これがすごく増えているわけで、今、男性の三人に一人が五十歳時点で一度も結婚されていない、生涯未婚率というのが三〇%ぐらいなんですよ。そういう意味では、なぜなのか。

 これは、三十代、四十代、男女共に、親と同居されている方が六割を超えているんですね。こんな先進国はありません。やはり、親と住まざるを得ない状況もあるわけですね。

 そうすると、親と住んでおられる同士がカップルになると、世帯分離して、結婚されますから、新しく家も借りなきゃいけないということで、生活レベルが確実に下がる方が多いわけですよ。やはりこれも政治が何とかしなきゃいけない。

 当然、不安定な雇用、これは直さなきゃいけない。さんざん私たちも法案を出していますので、是非やっていただきたいんですが、それと同時に、もう一つ圧倒的に足りないのは、住宅政策なんですよ。これは先進国で、ほとんどないに等しいんですね、日本は。しかも、日本の家賃や住宅取得費というのは、先進国で最も高い国のうちの一つなんですよ、日本は。ここら辺を是非集中的にやっていただきたい。

 今やっているんじゃないかという声もありますけれども、例えば住宅確保給付金、これは十三万件だけなんですね。住宅セーフティーネット制度というのがありますけれども、これはびっくりしました、年間三百戸しかない、三百戸。そして、こどもみらい住宅支援事業、これはリフォーム補助が十九万戸、新築が十一万戸しかない。そして、子育て支援型共同住宅推進事業というのは、これはびっくりしますけれども、十九棟しか対象がないということで。

 イギリスとかフランスは、国民の二割ぐらいが住宅支援を受けているんですよ、全国民の二割ぐらいが。相当な踏み込んだ住宅支援、特に結婚される方々に対する住宅支援を国として率先してやる、こういうことを是非明言していただきたいんです。

岸田内閣総理大臣 おっしゃるように、若い方々の賃金を上げ、そして住宅の充実を図る、こうした取組は、希望する方が結婚をし、そして子供を持つという希望をかなえられる上で大変重要な要素であると認識をしています。

 住宅政策、おっしゃるように、日本において他国と比較して大変厳しい状況にあるということ、これはしっかりと認識しなければならないと思います。

 我が国において、従来から、長期固定融資支援ですとか、若年夫婦や子育て世帯を対象とした省エネ住宅の取得支援ですとか、あるいは賃貸住宅についても、公営住宅において様々な条件をどんどん緩和していくとか、様々な取組は進んでいますが、おっしゃるように、思い切った更なる支援が必要だという認識は持ち、この子供、子育て政策、広い意味での子供、子育て政策の一つとして住宅ということも考えていくことは重要な視点ではないかと思います。

 是非、先ほど申し上げました大きな柱立ての下に、今、具体的な政策の中身を具体化しておりますが、こういった視点も大事にしていきたいと思います。

長妻委員 そして、私たち立憲民主党は、もう何度も何度も以前から、これは全て議員立法を出しているものなんですね。私たちの子育て政策の主なもの、高三までの全ての子供に児童手当月額一万五千円を支給する、公立小中学校の給食無償化、国立大の授業料無償化と私立大学生、専門学校生の負担軽減、保育士、幼稚園教諭等の処遇改善、子供コミッショナーで子供の権利を保障する。

 私たちは、単にその所得制限を今外すとしたらば、茂木さんは外すとおっしゃいましたけれども、同時に、税の累進を強化するというのもやはりセットでやらなきゃいけないと思っているんですよ。

 日本は、税の再分配機能がG7の国で最低です。アメリカより低いんですよ、日本の税の再分配機能は。どうしても自民党は富裕層にすごく優しい政党だというふうに私は思うんですけれども、やはり、一億円年収超えると所得税が下がるなんておかしいじゃないですか、日本の珍現象。こういうような累進を強化するというのをセットでやはりやらなければならないというふうに考えておりますので、よろしくお願いをいたします。

 次に、もう一つ、これも過去、民主党政権が取り組んできたことなんですが、年金の問題ですね。消えた年金問題。我々が大騒ぎしなければ、自民党はずっとほっかむりして、いまだに解決しなかったでしょう。結局、今日まで、年金の記録が戻ったのが、一千五百八十二万人の方が戻りました。一人二記録戻った方もおられます。そして、生涯年金で二・八兆円お戻しをしました。紙台帳も全部照合をいたしました。

 こういうようなことなんですが、ただ、生きている方への対応というのは一定程度したんですけれども、その後に取るはずだった、亡くなった方への対応というのがほったらかしになっているんですよ。自民党政権は、もう消えた年金問題はほとんど関心がなくて、誰かちゃんとやっているんですかね。やっていないというような役所の話です。

 これは検索の画面があるんですけれども、これも我々が政権のときに強く言って、持ち主不明の、消えた年金の記録を検索する、ねんきんネットで今検索できるようになっているんですね。是非、国民の皆様にも申し上げたいのは、これは検索していただきたい。アクセスキーを年金事務所に行って、もらって、あるいは手続を取って郵便で送ってきて、それで基礎年金番号と一緒に入力するとねんきんネットにログインできますので、そして、どなたでもこの持ち主不明記録を検索できる。生年月日と名前を入れるということで、記録があるなしが分かる。

 しかもこれは、PRをほとんどしていないんですね。総理、知っていましたか、こういう検索できるというのを。

岸田内閣総理大臣 ねんきんネットという言葉は聞いたことはありますが、具体的にこれを操作したことはございません。

長妻委員 これは、是非、ちょっとPR不足なので、しかも、亡くなった方の記録も検索できるようにしているんですよ。

 これは西日本新聞の記事にも出ていましたけれども、ある方が、試しにお母様の、全然心当たりないけれども、亡くなったお母様を入れて検索したらヒットして、八百万円戻ってきたと。相続できますので、三親等までであれば。

 そういうような、亡くなった方も検索できるというのをPRしていないわけで、これは徹底的にやはりPRしてもらわなきゃ困るし、そしてもう一つは、実は、亡くなった方の記録というのはほったらかしになっているんですね。亡くなった方の記録は、名前も住所も分かっている記録もあるんですけれども、これについて働きかけしていない。郵便も送っていない。御遺族へということで郵便を送ればいいのに。

 だから、私は指示したのは、サンプル調査してほしいと。三百ある年金事務所に、訪問をして、お亡くなりになった方、もしかしたらそこに御親族が住んでいるかもしれないので、試しにやってみてほしいと申し上げたんですけれども、いかがなりましたか。

加藤国務大臣 まず、ねんきんネットを活用した検索をしっかりPRしろと、これはしっかりさせていただきたいというふうに思っておりますし、また、委員からも御指摘ありましたが、検索上、必ずしも適切なデータが出てこない場合もあるということですから、その辺についてもどういうことができるか検討していきたいと思っています。

 それから、これまで私どももいろいろと年金の解明に向けて努力をしてまいりました。当初、五千九十五万件あったものが、令和四年では、解明された記録、三千三百四十一万件であり、令和三年でも二十万件ぐらいやっているところであります。

 今お話がありました御遺族の方については、これまで、ねんきん特別便等の送付対象にはしてまいりませんでしたが、一人でも多くの方の記録の回復につなげていくため、年金受給に結びつく可能性があると考えられる記録の中から、日本年金機構において、まずはちょっとサンプル調査を実施して、その辺がどうなっているのか、それを踏まえて今後の対応を検討したいと考えております。

長妻委員 サンプル調査というのを明言されたので、是非していただきたい。

 そして、もう一つ、さっきもちらっと触れましたけれども、これは欠陥があったんですね、この検索システムに。つまり、ここで検索しても、既にもう受給している記録も出てきちゃう、別に問題のない記録も出てきちゃう、こういう欠陥があった、これは事実ですか。

加藤国務大臣 御指摘のように、検索対象で出てきて、中には既に支給された年金に関する記録が一部含まれておりまして、そうした検索結果を踏まえて年金事務所に行ったら、結果、支払われていた、こういった事態があったということは承知しています。

長妻委員 じゃ、これは必ず直していただきたい。

加藤国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、せっかく検索したいという中で混乱を招くということですから、まず状況をしっかり精査して、どのような対応ができるのか検討して、日本年金機構にその旨を指示しているところであります。

長妻委員 もちろん持ち主不明記録も検索できますので、今の時点でも是非活用をしていただきたい、そして早く直していただきたい。

 最後に、天下りの問題なんですけれども、これも、民主党政権のときに天下りを徹底的に根絶しようというふうに取り組んだわけでございます。ただ、これは自民党政権になってまた戻っちゃっているんじゃないかということなんですね。

 例えば、一つの例として、国民年金基金というのがありますね。これは、国民年金が少ない方が、国民年金基金という民間のこういう団体があるんですけれども、そこに上乗せ掛金を払うと年金が少し増える、こういう非常に重要な制度なんですけれども、この掛金がお給料なんですね。この職員、幹部のお給料の原資は掛金なんですけれども、支部長だけ限定してみても、三十八人支部長がおられるんですが、そのうち三十五人が事実上の天下りになっちゃっている。日本年金機構からの退職者が横滑りで三十四人、厚労省から一人ということ。

 これは、民主党政権のときに、国民年金基金も公募しろということで、公募をさせたんですね。ところが、もう今こんな状態ですよ。天下りについて、税金の無駄遣いについても、ほとんど言わないじゃないですか、今の政権は、天下り、けしからぬとか。官僚の皆さんにとっては、ここについては心地いい政権だという声も聞こえてきますけれども、そんなことじゃ駄目なんじゃないですか。

 これは、年収が最大約一千三百万円ということなんですよ。退職して仕事を探すのは大変じゃないですか、普通の方々は。でも、こういう方々は、横滑りで、いい職に自動的に就ける。こういうような実態を変えていただきたい。

 確かに公募は形的にはしているんですが、公募のところの要件が、三十年以上勤務している、民間あるいは公的組織、そして、年金の経験がある。そうしたら、三十年以上といったら退職者、そして、年金の経験といったら、日本年金機構の経験者にほとんど限定されるじゃないですか。そのために作った要件だという内部の方のお話もあるわけですので。

 この公募、本当に公募していただきたい、そして要件を変えていただきたい、異次元に変えていただきたいと思うんですが、いかがですか。

加藤国務大臣 今お話がありました全国国民年金基金の支部長については、公募を実施した上で採用されているところでありますが、ただ、例えば公募における倍率を見ると一・〇九倍、こういう状況であり、実際の支部長も、今委員の御指摘のある状況でもあります。

 今後の公募において、全国国民年金基金において、まず、募集要項で、今、三十年という勤務期間要件、これを見直していく。また、年金に関する業務経験が必須であるかのように見受けられるので、そこを、そう取られないように記載内容を見直していくこと。また、公募に対してより多くの応募があるように、民間求人サイトへの登録等を行うとともに、民間金融機関等への働きかけも引き続き行っていく。こうした取組をこれから行っていくというふうに承知をしております。

長妻委員 私たち立憲民主党は、一つ一つ、こういう問題についても、指摘をして是正をさせるということをしてまいります。

 国民の皆さんの中で、本当に適材適所で、やはり、こういう基金なども、民間の、国と関連はありますけれども民間ということで、多くの団体があるわけですよ。民主党政権のときに公募したわけですね、公募に変えたわけですけれども、これがまた自民党政権になって戻っちゃっている。これは是非徹底的にチェックしていただきたい。そして、退職された方も、民間の方でも、適性があればそういう職に就いて一定の処遇を受ける、そちらの方が組織も活性化するし、国にとってもプラスじゃないですか、総理。

 最後、是非、この天下りについても総点検する、公募を隠れみのにした事実上の天下りを総点検するという宣言をしていただきたいと思うんですが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 天下りについては、適材適所で人材を活用する観点、また組織の活性化という観点からも、これは絶えずありようについて見直していかなければいけない課題であると思います。

 委員の今御指摘になった国民年金基金の公募についても、要件が適切ではない等の御指摘がありました。こうしたありようにつきましても、他の組織も通じて絶えず見直していく姿勢、これは重要だと思います。是非、内閣としても、そういった姿勢を大事にし、具体的なそれぞれの所管の団体等のありようについて、いま一度点検をし、確認をしていきたいと考えます。

長妻委員 終わります。

 しっかりお願いします。

根本委員長 この際、玄葉光一郎君から関連質疑の申出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。玄葉光一郎君。

玄葉委員 玄葉です。

 まず、外交であります。

 政府は、国家安全保障戦略の中で我が国の国益を定義をしています。主権と独立の維持、開かれ安定した国際経済秩序、そして普遍的価値、国際法に基づく国際秩序、この三つ、端的に言えば。私は、これは基本的に賛同いたします。特に、国際法に基づく国際秩序を擁護することの重要性、これは私も、この間、この場でもそうですし、国会の場で何度も申し上げてきたことであります。

 他方で、今日、ある意味、注意喚起というか、一言申し上げておきたいなと思ったのは、やはり時代が変わってきて、冷戦、そしてポスト冷戦、グローバル化、その結果として、どうしても各国、国内で格差が広がって、また国家間でも分断というものも起きているような状況ではないかというふうに思っています。そんな時代の中で、普遍的価値、私は賛成ですけれども、ただ、余り価値、価値、価値、価値観外交を強調し過ぎると、上から目線の価値の押しつけのように、例えば価値観の違う友好国に映るんじゃないかということを私たちは気をつけなきゃいけないなというふうに思っています。

 例えば、総理はグローバルサウスという言葉を使われましたね。アジア、アフリカ、中南米などに多いと思います、いわゆる中間国。この中間国を、これはとても複雑ですから、どう取り込むかということは私たちにとって最重要課題だと思います。最近は、いわばグローバルサウスの盟主だなんということを、ある意味、胸を張る国も出てきているわけでありますので、やはりこのことを私は冒頭申し上げておきたいなと思ったんです。

 例えば、民主主義という価値、これはとても重要な価値です。だけれども、やはりいろいろ調べてみると、民主主義国って世界でもまだ少数なんですよね。スイスの研究所の調査だと、民主主義国とそれ以外で分けると九十八対百七だそうであります。これで、二項対立で民主主義対専制主義ということを余り言い過ぎると、やはり専制主義だとか権威主義国同士が結束しちゃう、こういうことがあると思うので、やはりこのことを私は警鐘として、岸田総理も外務大臣が長いですからよく御存じだとは思いますけれども、そのことに十分注意をしなければならないと思いますけれども、総理大臣はいかがお考えですか。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘の点、考え方、これは外交を進める上で大変重要な考え方であると思います。

 今、国際社会における様々な課題に向き合うに当たって、国際社会をどれだけ一致協力させるか。分断が進んでいると言われている中でありますので、なおさら国際社会全体の協力が重要になってくる、こうした時代であると思います。そして、その際に、御指摘のグローバルサウス、中間国をいかに共に協力する仲間に引き入れることができるかどうか、これは外交を動かす上で大変重要なポイントになるということを私も強く感じています。

 そして、そうした国々との協力を考える際に、御指摘の、自由とか民主主義とか人権とか、こうした普遍的な価値、これはもちろん貴いものであると思いますが、このグローバルサウス、中間国においては、こうした自由とか民主主義という考え方についても、歴史的背景とか文化的背景とか、これは様々でありますので、我々が先進国の感覚でこうした普遍的な価値を一方的に押しつけることはグローバルサウスを逆に遠ざけてしまうことにもなりかねない、こうした点はしっかり頭に置いておかなければなりません。

 普遍的な価値に加えて、例えば、力ではなくしてルールというものを強調していくなど、グローバルサウスとのつき合いにおいて様々な工夫をしていかなければならない、このことを強く感じています。

玄葉委員 バイデン大統領はどうしても、例えば、ロシアと向き合うときに、民主主義対専制主義とか権威主義と二項対立にしがちだというところが率直に言うとあると思うんです。そこに日本の独自の役割があって、私、今おっしゃっていただいたような考え方はとても大事で、やはり価値も大事なんです。大事なんだけれども、むしろこれからの時代は、価値よりも原則とか最低限のルールとかということを強調する外交にした方がいい。

 だから、私は、もう七、八か月前から、ロシアとの向き合い方も、国際会議なんかで申し上げるのは、最低限のルールを守る国対それすら守れない国、こういう言い方をあえてするようにしているんですね。そういう姿勢が、グローバルサウス、中間国を取り込む上で大事なんじゃないかということを改めて申し上げておきたいと思います。

 一つだけ、開かれた国際経済秩序という国益、先ほど申し上げましたけれども、及び日本の役割というものを考えたときに、一つお尋ねしておきたいというのは、TPP。

 TPPは、いわば日本はお世話役というふうに申し上げてもいいと思うんですけれども、このTPPに対する中国と台湾の加入申請、これをどう扱うかというのは、私は日本独自の役割の発揮のしどころという側面があるのではないかというふうに思っておりますけれども、岸田総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、現在のCPTPPですが、これは自由で公正な経済秩序を構築するという戦略的な意義を有し、市場アクセスの面でもルールの面でも高いレベルの協定であると考えています。

 そして、それに対しての中国、台湾が加入を希望しているという問題についてですが、中国の貿易慣行に関しては様々な意見があると理解しており、中国が協定の高いレベルを完全に満たすことができるかどうか、これをまずしっかり見極める必要があると考えます。

 そして、台湾についても同様にしっかりと見極める必要がありますが、我が国にとって、基本的な価値を共有し、緊密な経済関係を有する極めて重要なパートナーである台湾ということを考えますと、加入申請に向けた様々な取組を公にしてきている、こうした台湾の具体的な取組等を考えますときに、我が国としては、そのような台湾の申請を歓迎しているということを従来から申し上げています。

 いずれにせよ、高いスタンダードをしっかりとクリアできるかどうかということを見ながら、既に参加している国々ともよく相談していかなければなりません。その際に、我が国としては、戦略的な視点、そして国民の理解、こうしたものもしっかり念頭に置きながら、この加入問題について取り組んでいかなければならないと考えます。

玄葉委員 これは、一言で言うと、日本外交のてこになり得る問題だというふうに思っていますので、おっしゃるとおり、高い水準を満たすということが大前提でありますけれども、うまくハンドリングしていただいて、いわば国益である開かれた経済秩序、ひいては緊張緩和も含めて、野心を持ってこの問題に向き合ってもらいたいと思います。

 もう一言いただけますか。

岸田内閣総理大臣 CPTPPをてこにして、そして好ましい環境の実現につなげていくべきではないか、こういった御指摘がありました。そういったことも含めて、先ほど申し上げました戦略的な視点が大事だというふうに申し上げました。

 我が国の国益のありようということも考えながら、戦略的にCPTPPについても考えていきたいと思います。

玄葉委員 次に、防衛です。

 私たちの考え方を簡単に御紹介をさせてください。

 先月、年末にまとめております「外交・安全保障戦略の方向性」であります。

 専守防衛に徹しつつ、時代の変化に対応した質の高い防衛力を着実に整備をする。ミサイル防空能力の強化、長射程化を含むミサイル能力の向上。戦い方が大きく変わっておりますので、宇宙、サイバー、電磁波、そしてドローンなどの無人機、無人船、ロボットの導入、そして継戦能力、原発を含めた重要施設の防護など、抑止力、対処力を強化をして、さらに国民保護に万全を期すということであります。

 厳しい安保環境を踏まえて、防衛力強化という方向性は同じで、一定の防衛費増額は理解をいたしますが、他方で、年四兆円もの大幅な増額に対しては、急に背伸びをし過ぎているのではないか、身の丈を超えているのではないかという認識でおります。あれもこれもとなっていて、戦略的な合理性や費用対効果について事前に十分な検討がなされていないのではないか、そういう認識を持っています。

 今日は取り上げませんけれども、費用対効果など、今後、各装備について国会の場でしっかりと検証していきたいというふうに考えております。

 次に、反撃能力であります。

 まず、政府の打ち出した反撃能力の保有、行使につきましては、これまでも申し上げてきましたけれども、第一撃における先制攻撃リスク、ここには懸念があります、戦争をしかける側に回るリスクがあります。存立危機事態における反撃能力の行使も、昨日、岡田さんが取り上げました。

 他方、いわゆる反撃能力一般につきましては、ここに保有、行使の三条件ということを書かせていただきましたけれども、必要性と合理性、専守防衛の枠内の三条件に合致をしなければならない。つまり、三条件に合致する反撃能力の保有、行使は認めるけれども、合致しない、それは認めない。つまり、三条件に合致する、認め得る反撃能力の保有、行使もあれば、そうでないものもあるというのが私たちの正式な考え方でございます。そして、政府からは、この必要性、合理性についてクリアカットな説明がなされなければならないということでございます。

 そして、ここでは、時間の関係で、その必要性について基本的なところだけ取り上げたいと思います。

 政府は、この反撃能力の必要性について、二つの文書、三文書では、ほとんど詳しい説明は残念ながらございません。六十ページあるうち、一ページだけ割いて説明をしているだけでございます。つまりは、一言で言えば、北朝鮮からのミサイル攻撃に対処することが必要の全てのような記述になっているように思います。

 そこで、幾つかのことだけ確認をさせてください。基本的なことです。果たして、この反撃能力というのは、北朝鮮によるミサイル攻撃だけを想定しているのか、それ以外の国からのミサイル攻撃も想定しているのか、お答えをいただけますか。

岸田内閣総理大臣 まず、反撃能力については、特定の国や地域を念頭に置いたものではないということは言うまでもありません。そして、現実、我が国へのミサイル攻撃の脅威に対して対応することを想定した三文書の内容にはなっていると思います。

 そして、それ以外の事態においてこれを使うことがあるのかということでありますが、これについては、先ほど委員御自身もおっしゃったように、反撃能力、これは専守防衛の範囲内で対応する、これは当然のことでありますし、何よりも、武力行使の三要件、これを満たさなければならないわけであります。必要最小限、あるいは他に適当な手段がないこと、こうした要件等もしっかり満たさなければならないということでありますので、これは、今、現実を考えますと、まずはミサイル攻撃に対する対応が現実的に考えられる課題であるということで考え方を整理しているということであります。

 他のケースの場合は、他に適当な手段がある等、武力行使の三原則に合致しているかどうか、これをしっかり確認した上でこうした手段を行使するということになるんだと考えます。

玄葉委員 いや、北朝鮮からの弾道ミサイル対応だって今おっしゃった武力攻撃の三要件を満たさなきゃいけませんから、これは、北朝鮮によるミサイル対応だけではなくて、他国からのミサイルも対応するし、ミサイルだけではなくて、例えば爆撃機とかあるいは無人機とかそういったことに対してもこの反撃能力は私は当然行使し得ると思って書いているのではないかと想像するんですけれども、そういう理解でよろしいですね。

岸田内閣総理大臣 まず、北朝鮮以外のミサイル攻撃に対してもこうした対応を考えることになる、これはそのとおりであります。

 そして、ミサイル攻撃以外のケース、爆撃機等のケースについても、武力行使の三原則、この三原則に本当に合致するかどうか、これをしっかり確認をする、必要最低限のみならず、他に手段がない、こうした点も考えた上で使用する手段を考えていくということであります。

 反撃能力についても、理屈上、その原則に基づいて、その範囲内で対応を考えていくということであります。

玄葉委員 いや、これはある程度きちっと言わないと抑止も働かないと思うんですよね。

 だから、仮に、日本、特に島嶼部に例えば武力侵攻があって、他国から戦闘機が来たり艦船が来たりしていて、それに対して、その他国の母港だとかに対して反撃能力を行使する、こういうことというのはあるわけですよね、当然。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げましたが、個別具体的に対応を考えます。その際に、具体的な武力攻撃に対して、必要最小限であり、そして他に手段がないという武力行使の三要件、これをしっかりと厳密に適用しなければならないと申し上げています。戦闘機の飛来に対して、本当に反撃能力、これしか手段がないのかどうか、これを厳密に考えた上で現実に対応しなければならない、このように申し上げています。

玄葉委員 その上での反撃能力の行使は否定しない、こういうことでいいですね。

岸田内閣総理大臣 具体的な対応は個別具体的に考えなければいけませんが、考え方は今申し上げたとおりであります。

玄葉委員 これは昨日も出ていましたけれども、例えば平和安全法制のときは、例えば米艦防護であるとかあるいはペルシャ湾の機雷掃海だとか、ある意味分かりやすい例示を幾つか出して議論したわけです。

 ですから、私、今回の反撃能力の議論も、昨日は岡田さんが、存立危機事態における反撃能力の行使の形態を例示してほしい、こういうふうにたしかおっしゃったと思いますけれども、やはり幾つかの分かりやすい例示を、細かく出さなくていいですよ、出してもらえませんか。

岸田内閣総理大臣 分かりやすい説明は大事であり、そのための分かりやすい例を示すということは考えられると思います。しかし、委員おっしゃるように、より具体的な個別の事態について、この場合はこうする云々までは示すことは安全保障上考えられないと思っております。

玄葉委員 是非、分かりやすい例示をこれから出して、議論を深めたい。だって、あの三文書には本当に一ページだけ、北朝鮮のミサイル対応しか出ていないので、それじゃもう議論にならないし、総理だってこの場でしっかり議論を深めるとおっしゃっているので、分かりやすい例示を是非出してもらいたいと思います。

 次の点ですけれども、この政府の三文書を熟読いたしましたけれども、足りないところがあると思っています。

 そのうちの一つは海底ケーブルなんですけれども、これは、我が国と外国のインターネット回線の九九%は海底ケーブルでございます。三文書のどこにも記述がございません。切断されれば、被害は甚大です。少し沖合に出れば丸裸です。かつての大戦では、ドイツの海底ケーブルはイギリスによって切断をされました。冷戦中は、アメリカの潜水艦がソ連の海底ケーブルから情報収集をしておりました。

 これは、切断リスク、傍受リスク、もっと言うと、陸揚げ局、陸揚げ局というのはケーブルを陸地に引き揚げるときの拠点ですけれども、陸揚げ局のシステムへのサイバー攻撃、こういったことも含めてしっかり検討しているのかどうか、対処の仕方を。総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 海底ケーブルの重要性、これは委員御指摘のとおりであります。そして、国家安全保障戦略には、そうした用語自体、そのものは使われておりませんが、「多岐にわたる分野において、政府横断的な政策を進め、我が国の国益を隙なく守る。」という記載の一環として、海底ケーブルの防護にもしっかり取り組んでまいります。

 政府においては、通信事業者と連携し、ケーブル切断時に備えた海底ケーブルの多ルート化、あるいは障害発生時の連絡体制、事業者間の連携体制の確立、そして、特に問題になるのが陸揚げ局、陸に揚がってくる部分ですので、警察による陸揚げ局の警備の強化、こうした取組を行っているところであり、引き続き、安全確保に向けて必要な対策を取っていきたいと考えます。

玄葉委員 安保三文書の検討プロセスで、この問題をきちんと検討した形跡がない。だから、多分、文書に一行もない、言葉もない。だから、これはしっかり、総理、安保という観点で、多分、総務省のレベルではやっていると思います、安全保障という観点で、国家全体から見渡したときに、総点検をする。今申し上げた切断リスク、傍受リスク、あとはサイバー攻撃リスク、この三つについてしっかり総点検してもらいたいというふうに思います。

 このことが最たる例なんですけれども、例えば軍備管理だとか国民保護なんかも、率直に言うと通り一遍になっているんじゃないかなと。

 昨日の原発防護も、議論の中で、私、総理が何で答弁しないのかよく分からなかったんですけれども、原発の大きなリスクというのは使用済核燃料です。例えば三・一一のとき、私は、被災地で、当時、閣僚兼政調会長でしたけれども、そのときに最大のリスクは何だったかというと、あのとき、四号機の使用済核燃料のプールの水がなくなったら東日本全体が失われるんじゃないかと言われたんです。

 だったら、使用済核燃料を乾式キャスクに入れたらいいんじゃないですかと昨日言ったわけですよ。それに対して、何か、ミサイル攻撃を守るから大丈夫だみたいな答弁になっちゃっていて、いや、総理がきちっと指示して、乾式キャスクに入れましょうとリーダーシップを取ったらいいと思いますよ。

岸田内閣総理大臣 昨日言いましたのは、貯蔵プールであれ乾式キャスクであれ、原子力規制委員会の新規制基準、世界最高水準の規制、これをクリアしなければならないという点については同じであるということを申し上げました。どの方式であれ、基準をクリアしないものは使えないということを申し上げた次第であります。

玄葉委員 違うんですよ。総理、使えなくたって、実際に、例えばF1なんて、あれは点検中ですからね、この間の三・一一のときの四号機というのは動いていなかったんですよ。それで使用済核燃料を冷やしていたんです。だから、そういうものをきちっと乾式キャスクに入れましょうと言っているだけなんですよ。

岸田内閣総理大臣 乾式キャスクを否定しているわけではありません。基準をクリアすることが大事だということを申し上げております。

 ですから、どういった方式であっても、原子力規制委員会の規制をクリアすることが大事だということを申し上げていますので、乾式キャスク自体を否定しているものではありません。

玄葉委員 だから、総理、それを進めてください、是非。

西村(康)国務大臣 総理から答弁があるところですけれども、規制委員会は、プールの貯蔵であっても乾式キャスクであっても、安全基準に差はないということで両方とも認められておりますので、私ども、それは両方ともやっております。

 ただ、乾式キャスク、今後のものについて、乾式のキャスクを使うものについては経産省も補助を上乗せするなど、それを進めているところであります。

 いずれにしても、PAC3などの訓練も含めて、安全防護については、関係省庁と連携して万全を期していきたいというふうに考えております。

玄葉委員 PAC3も、実は、いわゆるイージス艦で撃ち漏らしたミサイルをPAC3で最後に撃ち落とすことになっているんですけれども、原発を守るための配置になっていないんですよ、全然。

 ですから、原発防護という観点から、きちっともう一回点検をしてもらいたいということでございます。

 話題を変えたいと思いますが、復興財源のうち、特に復興税の活用について、私も、つらかったけれども正面から御負担をお願いをした責任者の一人として、これは一言申し上げておかなければならないというふうに思っております。

 二・一%上乗せして二十五年間、時限措置なわけです。これはちなみに、昨日、個人の負担は増やさないとおっしゃっていましたけれども、当然ですけれども、二〇三七年、ある時期からは所得税の増税になって負担は増える、これは確認ですけれども、そういうことですよね。

岸田内閣総理大臣 復興特別所得税を考える際に、現下の家計の負担増にならないという点を重視しました。おっしゃるように、二〇三八年度以降につきましては、引き続き課税が続くわけですので、その分負担が続く、増える、これは御指摘のとおりだと思います。

玄葉委員 これは、目的はやはり復興のためにつくったので、勝手に延長しないでほしいというのが私の率直な思いでございますけれども。

 同時に、これも確認なんですけれども、将来、延長された復興税の課税期間の終了後、この二・一%全てを防衛財源に使う、つまりは、復興税からすれば、ひさしを貸して母屋を取られるみたいな、あるいは防衛財源からすれば、ひさしを借りて母屋を乗っ取るみたいな、そういうことというのはあり得るんですか。

岸田内閣総理大臣 制度として設けた結果として、御指摘のようなことになるんだと思っております。

 ただ、これの大前提は、復興財源には影響は及ぼさないということであります。当初の復興に確保するべき財源については期間の延長等を通じてしっかり確保した上で、こうした制度についても工夫をお願いできないかということを考えております。

玄葉委員 今のお話は、ある時期からは二・一%全てを防衛財源にしていくということですから、少なくとも、指摘のとおりということはそういうことだと理解しましたが、それは違うんですか。

岸田内閣総理大臣 この二・一%全てを防衛財源に振り向けるものではありません。御指摘のように、高さを下げて、その下がった分を防衛予算に振り向けることができないか、こういったことを考えております。これは復興財源に充てるのが終了したならばその全部を防衛に回すという仕組みにはなっていないと理解をしています。

玄葉委員 当面、復興財源に支障がない、これは私、分かります。ただ、長い将来にわたってそうかというと、必ずしも絶対とは言い切れないのではないか。なぜかというと、令和八年以降の復興財源は決まっていません。実際にどのぐらいかかるかも決まっていません。拠点外を全部除染する、結構お金がかかります。

 今まで復興財源というのは、復興税、税外収入、決算剰余金、歳出改革、これでつくってきました。今回の防衛財源と全く同じです。防衛財源にそれらを使っていくということになると、結果として、将来にわたって絶対に復興財源に支障が出ないとは言い切れないんじゃないですか。大丈夫ですか。

岸田内閣総理大臣 復興の取組については、必要なものは政府としてしっかり確保し、復興事業を進める、こうした方針で取り組んできました。そして、税制改正大綱を見ましても、東日本大震災からの復旧復興に要する財源については引き続き責任を持って確実に確保することとするとしております。

 必要なものについては国が責任を持って財源を確保し、復興事業を進めていく、これが基本であると認識をしています。

玄葉委員 時間が来ましたので、最後、指摘だけにいたしますけれども、東京二十三区、一昨年初めて転出超過になったのに、転入超過にまた戻っちゃったというニュースを今朝やっておりました。

 私、去年、この場で、異次元と言うと語弊がありますけれども、分散社会をつくるためのいろいろな提言をさせていただいた記憶があります。コマツ建機の例を挙げて、本社を東京から石川に移したら、実は少子化対策にも大変効果があったという話もさせていただきました。

根本委員長 玄葉光一郎君、申合せの時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。

玄葉委員 後との関連で調整しますから、心配ありません。

 是非、指摘だけにいたしますけれども、少子化対策をするためにも、それこそ分散型社会をつくるための施策を大胆に講じてもらいたい。私、そのことをやはりどうしても総理に申し上げたい。あのときに、私立大学の一部、学部だけでもいいから例えば地方に誘導したらどうかということを言いましたけれども、是非そんなことも含めて考えていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

根本委員長 この際、早稲田ゆき君から関連質疑の申出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。早稲田ゆき君。

早稲田委員 立憲民主党の早稲田ゆきでございます。

 通告をしておりますが、順番を変えまして、旧統一教会の関連から総理に御質問させていただきます。

 この間、文部科学省が宗教法人法に基づいて質問権を行使し、そしてまた厚生労働省も、養子縁組あっせん法違反の疑いということで、今いろいろ、行政指導も二回行いました。

 その中で、大変、被害者の方たちからは、昨年末、被害者救済法ができたにもかかわらず、統一教会、教団の方では、国会の新法という大きな、与野党を超えて成立をさせたことをあざ笑うかのように、国会をばかにするかのような発言が新年も続いていると承知をしております。

 その中で、端的に伺います。

 被害者の方たちが救済されるように、一日も早く、そのためには総理の決断が必要です。総理に端的に伺いたいのは、宗教法人法に基づく解散命令請求を急ぐべきではないか、とにかく早い時期に。そして、これまで様々な、解散命令請求に該当することはもう積み重なっております。だからこそ前に進めてほしい。とにかく、これがなければ被害者の方たちは救われません。

 解散命令請求に向かって進んでいるというメッセージを是非出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 スピード感を持って取り組まなければならない、これは御指摘のとおりだと思います。法律に従って最大限の努力をしていかなければいけない、これは当然のことだと思っています。

 報告徴収、質問権の行使、今、既に三回にわたり行使をし、資料の提出を求めてきましたが、それだけに頼るのではなくして、弁護士団体や様々な関係者の皆様方を通じて情報収集をするなど、関係省庁を挙げて、あらゆるルートで情報を収集する中で、具体的な証拠や資料を、客観的な事実を明らかにしていくという観点から、収集を行っています。是非、こうした作業を進め、法律に従って対応してまいります。

 いずれにせよ、スピード感を持って適切に対応していかなければならない、これは御指摘のとおりだと思っています。

早稲田委員 情報収集に当たっている、スピード感を持ってということでありますから、早い時期に解散命令請求も視野に、視野にというか、これを進める、早い時期に出すということを、総理、きちんとおっしゃっていただきたい。

 というのは、自民党議員とこの教団との関係、これが言われております。そしてまた、統一地方選挙に向けて、千葉県連など自民党の十二県連については旧統一教会との関係を調査しないということまで共同通信等で報道もされております。まさか、そうしたことを総理がおもんぱかってというか、そういうことで手を緩めるということは絶対にないですね。

 早い時期に解散命令請求を出していただくということ、それでよろしいですか。確認させてください。

岸田内閣総理大臣 まずは、自民党の対応については、従来から申し上げているように、未来に向けて当該団体と関係を絶つということであります。これを今、地方組織にもしっかりと伝達した上で、具体的な方策について意思疎通を図っている、こういった状況にあります。

 委員御指摘のように、そういった事情をおもんぱかって何か考えるなどということは全くあり得ません。政府として、スピード感を持って、法律に従って手続をしっかり進めてまいります。

早稲田委員 スピード感を持って、本当に進めていただきたい。そうでないと、被害者の方たちは救われません。

 それでは、養子縁組あっせん法についても伺いたいと思います。

 これにつきましては、加藤厚労大臣のリーダーシップの下、昨年から早い段階で行政指導に入りました。でも、手詰まりだと報道がされております。

 これについて、どうでしょうか。私は、今朝も、養子になられたという方からお話を伺いました。大変自分も苦しい思いをしているけれども、もうそれは仕方がないが、とにかく次のそういう苦しむ人を出してほしくない、教団は反省もしていない。本当にそのとおりです。

 それで、これは教団の本であります。「神の子を迎える喜び 妊娠・出産・育児」という本であります。これを読み上げさせていただきます。

 なぜこれを読み上げるかというと、教団の方では、養子縁組あっせんは各家庭がやっている、全く教団は関与していないと言っています。本当でしょうか。

 この中身を御覧ください。養子縁組の詳細、養子縁組の恵みということで、第八章にわざわざ、百六十一ページからずっとこれが百七十九ページまで書かれています。

 特にその中で見なければいけないのは、「養子縁組の承認」というところです。「養子縁組について両家が合意したら、所属教会を通して、必ず日本の家庭連合本部の家庭教育局に報告が必要です。」と書かれています。つまり、両家だけ、それでは駄目で、養子縁組式を済ませた後に報告してはいけない、指示しているんですよ。縁組後じゃ駄目だと指示しているんです。そして、「それぞれが「養子縁組申請書」を作成し、所属教会に提出します。」、提出まで指示しているんです。組織的、そしてまた長年にわたりやられている継続性、これがこの本だけでも分かるんです。

 これは古い本ではございません。昨年の十月に改訂がされております。今、これは全然、これについても、やめるというわけでもないし、そのまま残っている、使われている本であります。

 そして、「日本の家庭連合の会長の承認を頂けたら、所属教会の家庭部長に連絡が入ります。」と書かれています。さらに、「「養子縁組」については、会長に承認を頂いています。」とまで書かれています。

 それから、ここに書かれているのは養子縁組式であります。儀式もやってくれ、これで正式に養子縁組が成立ですよ、まさに組織的じゃないですか。

 総理、どう思われますか。これが個人のものなのか、教団が指示して組織的にやっていると思わざるを得ない、そういうふうに私は思いますけれども、総理の認識を伺います。

加藤国務大臣 まずは、養子縁組に当たるかどうか。

 統一教会における養子縁組については、厚労省は二回質問をさせていただきました。また、様々な情報も厚労省に来ております。そうした情報を捜査当局に提供させていただいて、関係機関とも連携して情報収集等を継続しているというのが今の現状であります。

 また、今お示しがあった資料、あるいは統一教会自体が出している本もございます。そうした本から見ると様々な問題があるということで、私どもの方から先般行政指導をさせていただいたということでございます。

早稲田委員 総理に伺います、認識を。

岸田内閣総理大臣 今、厚労大臣からありましたように、これまで二度にわたり、信者間の養子縁組に関する質問書を送付し、回答を得たところでありますが、情報収集、これは継続をしていると承知をしております。

 こうした情報収集の状況をしっかり見守った上で、適切に対応していかなければならないと考えます。

早稲田委員 私が総理に伺いましたのは、これを見て、組織的であるというふうに認識されませんかということを伺ったんです。総理の認識を伺います。個人ではなくて、教団としてやっているのではないかと誰もが思うと思いますが、お答えください。

岸田内閣総理大臣 今申し上げたように、情報収集を続けており、そして告発の有無等について判断をしなければいけない、今現在、そういう段階であります。私がその段階で何か申し上げることは控えなければならない、これは当然だと思っています。

早稲田委員 それでは、是非、この被害者の方たちの声、総理も聞いていただきました、昨年。ですから、その被害者の方たち、特に宗教二世の方たち、養子に出された兄弟がいる、そういう方たちの声もお聞きになった上で、今、情報収集を進めていただいているということではありますけれども、スピーディーにしていただかないとなりません。

 それから、養子縁組あっせん法違反であれば、これは刑事罰でありますから、特に解散命令請求に大きな重要な要件となると考えますが、総理の認識を伺います。

岸田内閣総理大臣 養子縁組のあっせんについての処罰については、委員御指摘のとおりであります。

 そうしたものも踏まえて、政府として、具体的な情報を収集し、具体的な資料あるいは証拠、これに基づいた、客観的な事実に基づいた、法律にのっとった対応をスピード感を持って行っていきたいと思います。

早稲田委員 今、そのとおりだとおっしゃったのは、法令に違反するというところには刑事罰であるから該当するということの確認でよろしいですね。

 そういたしましたら、このことについては、やはり解散命令請求につながる大きな要件でありますから、先ほど来、総理は、スピーディーにとおっしゃっています。是非そうしていただかないと、教団の対応は本当に国会の立法も無視したような形で、ばかにされている、国会が。だから、今、総理がリーダーシップを取って早くやっていただかないと、このような状況がずっと続いていては救済されません。だから、私はこれを何度も申し上げております。

 そして、今朝も、私も養子の方からお話を聞きましたけれども、やめると宣言もしてほしいと。何にも教団はしていません、この養子縁組について。あっせんについては、反省も、それから謝罪もしていない、教えも変えていない、そのような状況が続いているわけです。総理の判断しかございません。

 ですから、スピーディーにやっていただくということを何度もおっしゃっていただきましたので、この解散命令請求については着々と進んでいるということでよろしいですね。最後に伺います。

岸田内閣総理大臣 解散命令請求については、先ほど申し上げましたように、今手続等を続けているところでありますので、具体的に申し上げることは控えなければならないと思いますが、一般論として申し上げれば、養子縁組あっせん法に違反する行為は法律違反となることから、宗教法人法八十一条一項一号の「法令に違反して、」ということに該当し得るものでありますが、同号の解散命令の要件に該当するためには、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められることが必要であり、法令違反に係る具体的な事実関係を踏まえて、宗教法人法の規定に基づき個別事案に応じて厳正に判断される、こういう考え方に基づいて取り組むものだと認識をしております。

 是非、こうした考え方に基づいて、スピーディーに対応を考えていきたいと思います。

早稲田委員 確認をさせていただきました。ですから、スピーディーに判断をしていただくように、切にこれを強く要望いたします。

 次のコロナの質問に移ります。

 コロナの感染症法の分類見直しでありますが、これについては、五類に移行することが、五月八日ということも出まして、決定をいたしました。

 これについてですけれども、これまで二類感染症として、入院勧告であるとか、大変私権の制限などもあった段階でありますから、一定これは理解をするものですし、私たちも修正案を出しました。

 しかしながら、その前提には、やはり、積み残された課題をどのように改善していくのかということ、一足飛びではないと思っています。ですからこそ、今、この今までの三年間を振り返る必要があるのではないかと思います。

 昨日の感染は二万一千四百二十六人、亡くなられた方は二百六人でありました。そして、第八波では、四か月間で亡くなられた方の死亡者数は過去最多となりました。また、今月だけで一万百二十四人と、これも、一万人を超えたのは最多で初めてであります。

 こうしたことを一つ一つきちんと私は総括をして、そして改善の手だてを考えていくべきだと思っています。

 岸田総理が就任されてから、第五波の後、後半、それから六波、七波、八波では、亡くなられた方は四万九千九百十六人であります。そして、三年間の死者数ということでいえば、六万七千六百三十九人の方が残念ながら亡くなられております。

 オミクロンになって非常に致死率が下がった、重症化が下がったということばかりがクローズアップされますが、これだけ多くの方が亡くなっているということは事実であります。そしてまた、平均寿命も下がっているということも言われております。

 それを見ても、岸田総理が就任されてから、この全体、三年間と比べても、四万九千九百十六人は何と全体の七三・八%を占めています。非常に大きな数字です。

 そのことについて、そしてまた、時間がないので質問を一緒にいたしますが、高齢者のクラスターが大変、ひどいときは千件もありました。そして、今もまだこの状況は、少しずつ改善されても、その抜本的な改善にはなっておりません。

 この二点、私は、きちんと反省をして、この教訓を生かすべく総括をするべきだと思っておりますが、これを総括していただきたい、そして次の教訓に生かしていただきたいということを強く要望したいんですけれども、総理のお考えを伺います。

岸田内閣総理大臣 まず、コロナの感染拡大によってお亡くなりになられた方、そして御家族の方々に心よりお悔やみを申し上げます。

 そして、今日までのありようを振り返りますときに、新型コロナの発生以降、国民の命と暮らしを守る観点から、感染拡大と社会経済活動のバランスを取りつつ、科学的知見やエビデンスを重視し、コロナ対策に最大限取り組んできました。

 こうした取組により、これまでのところ、新型コロナの人口当たりの感染者数等は他のG7諸国と比べても低い水準に抑えられていますが、今委員御指摘のように、死亡されている方の数は大変多いということ、これはしっかりと認識しなければなりません。

 死亡者数の増加については、専門家の分析によれば、特に第八波の感染拡大を分析した場合に、感染者のうち八十代以上の高齢者の占める割合が多いこと、また、冬場は基礎疾患が悪化する時期であること、こうしたことも重なり死亡者数の増加につながっている、こういった指摘があります。

 よって、先ほど委員から御指摘がありました五類感染症への位置づけの見直しでありますが、公費支援とか医療体制など様々な措置を行う、また、医療現場の混乱等を回避するために段階的な移行が重要である、これは当然でありますが、今の専門家の指摘を考えますときに、高齢者等の重症化リスクの高い方々に配慮しながら具体的な内容を考えていく、こうした配慮も必要であり、こういった点も念頭に置きながら検討、調整を進めていきたいと考えております。

早稲田委員 パネルを御覧ください。これは、分かっている高齢者の方々の数字と全体の死者数を合わせたものであります。

 しかしながら、報道によれば、これはなぜはっきりしないかというと、年代別の死者数をきちんとカウントをしていない、それから、どこで亡くなったか、高齢者施設なのか自宅なのか、そういうこともきちんと把握をしていないわけです。ですから、今私が持っている数字で作ったものはこの数字、このグラフになりますけれども、でも、本来はもっと、九割以上の方が七十代以上だという報道もございまして、ほとんどが高齢者なんです。

 そうすると、先ほど来おっしゃっていますけれども、総理がおっしゃった、リスクの高い高齢者の方、そして特に持病のある方、その方たちをどう守るかということが、六、七、八でもこれが改善できなかったということなんです。そうじゃないでしょうか。

 ですから、私は、高齢者の施設に対しての医療のアクセスももっと早くやるべきだし、検査キットは大変十分に無料で配布をしていただいている、これはとてもありがたいと現場の方たちはおっしゃっています。でも、医療従事者に診ていただけないうちに、そして、やはり病院の入院基準というと非常に厳しいわけです、だから、持病でなっていても、肺の方の、肺炎ではない、パルスオキシメーターの数字がまだそれほど低くないということで入院ができない、そういう方たちが大変苦しい思いをされて亡くなるということにもなっていますし、更に申し上げれば、この数字に出てこない、高齢者の方たちがその後体調が回復しなくて亡くなるというケースも非常に多いと私は訪問医療者から伺いました。

 そういうことも含めて、是非、医療の体制の整備ということを、高齢者の方たち、リスクのある方たちに特につながるようにこれを改善していただかないと、弱者切捨てになってしまうのではないかと私は非常に懸念をしています。

 是非そこのところはもっと、五類に切り替えるということにおいてもやっていただかないと、五類に切り替わったからといって、医療を診ていただく方、コロナを診ていただく方が激増するとは思えないんです。これは現場の先生方もおっしゃっています、なかなか、いろいろな制約があってできないと。ですから、なおさら、そこのところを知恵を絞っていただきたい。

 そして、医療にアクセスできない高齢者の方が亡くなるということがないように、これを政府を挙げて考えて、国がリーダーシップを取ってやっていただきたいということを強く要望いたします。

 それから、マスクのことでございます。

 マスクの着用基準については、外のスポーツイベントについては方針が出されました。しかし、今の話もずっと続いておりますけれども、高齢者の方が集まるような、持病の方がいらっしゃるような、例えば病院、それから介護施設、そうしたところのマスクの着用ルール、やはり私は、ガイドラインのようなものを、緩い形でも政府としてメッセージを出すべきだと思います。

 今でも、マスクは自己責任なんでしょう、だから病院に行ってもしないといって、非常にそこでトラブルになる。看護師さん、それからまた事務職の方たちが苦労されています。

 だから、そういうハイリスクの方たちが集まりやすい、密集するようなところではやはり協力を願うというようなことを政府から出していただきたいと思いますが、そのことについて総理のお考えを伺います。

加藤国務大臣 今御指摘の点には、有識者の方からも、例えば、ハイリスク者を守るために、高齢者施設における感染拡大を防ぐことができるよう、地域の支援も得つつ、感染対策に取り組むべき等々の御意見もいただいておりますので、今後のマスクの取扱いについては、基本的には、委員御指摘のように、個人の判断に委ねることを基本とするとともに、政府においては、着用が効果的な場面を周知するという方向で検討していきたいと考えておりますが、引き続き、関係者の御意見を踏まえて、できるだけ、時期も含めて、早期にその検討結果を明らかにしたいと考えております。

早稲田委員 答弁が総理と変わらないのではないかと思いましたので、このことについては早く、これも速やかに、緩やかなルールでも示していただきたい。病院の関係者、それから高齢者施設の関係者が本当に疲弊をしております。そうでなくても、この方たちが水際で守っているからこの程度で今なっているわけですから、そこのところを踏まえていただいて、ルールをやはりしっかりやっていただきたいと思います。

 それともう一つ。一方でですけれども、マスクの着用については、やはりケース・バイ・ケースということも非常に重要だと思います。

 特に、子供のマスクの着用について、これもいろいろこれまでも議論をされておりますけれども、私から特に申し上げたいのは、給食のときの黙って食べる黙食、これについて文科省も通知を出していただいています。元々黙食とは言っていないんだという御説明もいただいています。でも、現場はそうはならないんです。大声でしゃべらないで食べてくださいねということが書いてあれば、もうそれは、黙って食べた方がリスクとしては軽減されるという判断なんでしょう。ですから、やはり現場ではそういうふうにはなっていないところが多いわけです。

 ですから、この給食の黙食についても、やはり、識者からも言われておりますし、政府の対策本部の方でも、子供の成長、発達に留意をすることということも書かれておりますので、これについて、是非これは、みんなで楽しく食べるように段階を踏んで変えていきましょうということをメッセージを出していただきたいのと、もう一つは、卒業式前に、是非、これは保護者からの大きな要望もございます、マスク着用のルールの緩和をしていただきたい。

 これは、三年間、子供たちは、友達の顔もほとんど見ない、行事も全然ない、その中で卒業式というのは本当に最後のイベントです。ですから、そこのところを、マスクを着用しなくてもいいんだということを、やはり国としても子供たちの緩和についてはメッセージを出していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

根本委員長 内閣総理大臣岸田文雄君、時間が迫っておりますので、簡潔にお願いします。

岸田内閣総理大臣 はい。

 まず、学校給食の件ですが、おっしゃるように、文部科学省が作成している衛生管理マニュアルについては、必ず黙食することは求めておらず、その旨が学校に伝わるよう、事務連絡等を通じて、文部科学省から教育委員会、学校等へ周知を図っていきたいと思います。

 そして、卒業式前のマスク着用の緩和を進めるべきだという御提案があるわけですが、学校におけるマスクのルールについても、子供に関して発育、発達の妨げにならないよう配慮が必要との指摘があることも留意しつつ、感染状況等を見ながら、専門家とも相談し、できるだけ早くお示ししたいと思います。

早稲田委員 これで終わりますが、総理の方からも、黙食をしなくても大丈夫だというメッセージを今ここでもしっかりと言っていただいたということを認識いたしました。卒業式前に是非マスクの緩和ということも前に進めていただきますよう強く要望いたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

根本委員長 この際、城井崇君から関連質疑の申出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。城井崇君。

城井委員 立憲民主党の城井崇です。

 質問の機会をいただき、誠にありがとうございます。

 防衛増税の話の前にまず税金の無駄遣いの見直しが先だという率直な国民の声が日増しに大きくなっています。特に、政府基金や予備費での大盤振る舞いは目に余るものがあります。

 今回は、この税金の使い方見直しの一つとして、政府基金の見直しによる政策財源の確保について、岸田総理に質問をいたします。

 この基金ですが、中長期には運営がしやすい、成長分野への投資にも活用される一方で、かなり効率の悪い運営もありまして、やはり国民から見えるようにすること、透明性の向上が必要です。

 資料とパネルを御覧ください。

 私たち立憲民主党では、政策課題発掘チーム、通称りっけんチェックというものを結成いたしまして、全部で七つのテーマ、七ユニットをつくって、一つは、国民が自分事に感じること、まだ世に出ていないこと、そして、国に資料があって国が調べるべきことを念頭に置きながら、各政策分野での調査を進めています。

 政策基金を調べるユニットもつくっています。ここでは、令和四年度公益法人等に造成された基金の執行状況一覧表にある国の基金の百八十基金事業を調査しています。

 今回は、この基金の残高や収支、管理費の金額や比率、業務執行状況に着目して、幾つかの基金を取り上げて、具体的に問題提起と改善提案を総理に申し上げたいと思います。

 まず、総理に確認します。

 令和四年度第二次補正予算で造成された五十基金事業約八・九兆円、これは昨年、我々の問合せがスタートで明らかになった数字でございました。このうち、令和四年度末、つまり今年度末までに結局使われない金額があるということを政府から聞きました。

 総理、この金額、結局幾らでしょうか。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 令和四年度第二次補正予算で造成された五十の基金について、個別に各府省に確認いたしましたところ、十六基金について基金団体に交付済みであり、その他についても年度内に基金団体に交付される予定と承知をいたしております。

 なお、基金については、各年度の所要額があらかじめ見込み難く弾力的な支出が必要な事務事業について、中長期的な視点の下、合理性や現実性のある見通しを立てて措置するものであるため、必ずしも当該年度中にその全てを執行するものではございません。

 また、既に基金団体に交付済みの基金については、案件の公募に向けた準備を行うなど、それぞれ手続が進められているものと承知しておりますが、それぞれの基金の状況は様々であり、個別の基金の状況については各府省にお尋ねをいただきたいと思います。

城井委員 総理、今の答弁の中に大きく問題が二つあります。

 一つは、そもそも年度内中に事業を動かさないのにお金だけ積んでいる、積み過ぎている、こういう問題があります。二つ目には、今準備とおっしゃいましたが、では、準備をしている事業が、今回の八・九兆円の中で、基金を積んだ中で幾つあったかというのを、直接政府の担当の役人さんから一つずつ聞いたんです。そうしたら、実際に、例えば広く募集をします、募集のための準備に入りましたという省庁が一つだけありました。でも、それ以外は、結局、事業本体は動かないまま四年度末を迎えるというのが各省庁からの説明だったんです。

 本来、補正予算でつける予算というのは急ぐもの、緊要性が大事だというのは、これまでも国会でも確認してきましたよね。でも、急ぐんだったら、なぜ急ぐかきちんと説明が必要だというふうに思います。

 もし借金だけ積み上げて使わない基金を積んだら、その分の利子を国民が負担をせねばならなくなります。もし準備が必要なら、準備の分だけ補正予算で確保して、そして、来年度以降使うものは来年度の予算で計上するというのが、これが筋じゃないですか。それを、準備も本番もひっくるめて、先ほどの説明だと、では何の準備をしているのか、何に使うのかも全く分からない状況なわけです。

 準備の分なら準備だけ、そして、来年度使う分は来年度に計上、こういうふうに筋を通すべきだと思いますが、総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、委員御指摘のように、様々な基金があり、そして、その基金の中に、基金はできているけれども事業がまだ動いていないとか、また、準備段階にあるとか、公募等の手続が進んでいるとか、様々なケースがあるんだと思います。

 これは、事業の性格によって、どういった取組からスタートするかということによるんだと思いますが、少なくとも、これは、基金に資金を積み、事業に取り組むということを政府として明らかにするということが大きな意味があり、民間は、そうした事業に対する予見可能性や今後の見通しについて確認することができる、物事が動き出す大きなきっかけになるという点はあるんだと思います。

 基金を早急に立ち上げることによって、こうした民間の予見可能性や、民間の投資、動き、これがスタートするということから、できるだけ早く基金を積むということは意味があるんだと思います。

 そういった点から、スタート時点において、実際にお金が動くまでタイムラグがあるというケースはあると思いますが、ただ、委員御指摘のように、これは余り長いということは適切ではないと思います。

 適切に、できるだけ早く、立ち上げた以上は事業を動かすよう努力をしていく必要はあると考えます。

城井委員 政府の方針決定がしっかりはっきりしていれば、今年の四月以降の予算執行に仮になったとしても、予見可能性は十分高められるというふうに思います。ここをごっちゃにするので、結局積み過ぎた基金が増えているということに結果としてなっています。

 この必要以上にお金を積み過ぎているという問題を少し指摘したいと思います。

 資料とパネルを御覧ください。

 私たちも、政府のルールに照らして、基金をどれぐらい積み過ぎているかというのを調べてみました。令和三年度末の基金残高と基金事業として必要な額等との差額を出してみました。この差額は、つまり、積み過ぎているお金という話であります。

 復興庁で四事業、農林水産省で二十事業、経済産業省で五事業、国土交通省で十事業、環境省で五事業、防衛省で一事業、計四十五の基金事業で合計一千五百七十七億八千五百万円というのが、上回っていた数字、つまり、基金に積み過ぎている、政府の基準に照らしても積み過ぎているという数字でした。

 総理、この点、基金残高が基金事業としての必要な額等を上回る基金について、各省別に、是非総理の認識を教えてください。幾つあって、上回っている金額、合計が幾らだったか。お願いします。

岡田国務大臣 御答弁申し上げます。

 御指摘の各府省が作成、公表している令和四年度基金シートにおいて、基金の保有割合が一を上回る部分を、各府省にも確認の上、機械的に算出いたしましたところ、全体で、七府省、計四十六基金事業、約千四百五十七億円であり、そのうち国費相当額は約千四百三十六億円になったところであります。

 なお、平成十八年に閣議決定した補助金等の交付により造成した基金等に関する基準では、保有割合を算出することとしておりまして、保有割合が一を大幅に上回っている場合には、国庫への返納など、その基金の取扱いを検討することといたしております。

 この保有割合の算出に当たっては、今後の使用見込みについて、これまでの実績を反映した事業見通しを用いておりまして、また、社会経済情勢の変化や緊急時対応等のため所要額を残置、残しておく必要もある場合もございます。そのため、保有割合が一を上回る基金残高の全てを直ちに国庫に返納することはせず、個別に基金を取り巻く状況を踏まえた検討を行うこととしていることを御理解賜りたいと存じます。

城井委員 そうなると、結局、政府が決めた基金事業に必要な額ですよと言っておきながら、超えても、いや、これはといって別の言い訳をつけて見逃すということだと、では、基金事業に必要な額と最初に設定したその基準というのは何なんですか。意味がないというふうに思います。

 総理、今ほどの、岡田大臣からありました一千四百三十六億円が国費相当分でした。これは多分初めて明らかになったと思います。国のルールに照らして超えている金額です。この国費に由来する部分、運用収入も含めてですが、基金規模を国の基準に合わせてきちんと適正にしていくという観点で、これは国庫返納は可能だというふうに考えます。そして、国庫返納したその分、子供、子育ての関連予算に充てるなど活用を図るべきだと考えます。

 総理、御見解をお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 今、岡田大臣からの答弁で、基金の保有割合、すなわち今後必要と見込まれる額に対する基金残高の割合が一を上回る部分が、全体で、七府省で四十六基金事業、約一千四百五十七億円あり、そのうちの国庫相当分が今御指摘の一千四百三十六億円ということであります。

 ただ、大臣の方からありましたように、一を大幅に上回っている場合には、国庫への返納など、基金の取扱いを検討するということにしておりますが、社会経済情勢の変化あるいは緊急時対応、そういった理由がある場合においては残置する必要がある場合もある、これを判断していくんだという答弁がありました。

 過大であると認める場合、国庫返納を行うということを考えていかなければならないわけでありますが、是非、具体的な対応については個別具体的に考えていかなければなりません。そして、この資金をどう使うのかということについても、これは国民の理解を得ながら、幅広く検討していく課題であると認識をいたします。

城井委員 総理、そうなると、結局各省庁の判断に委ねられてしまうわけです。ルールをルールとして持っておきながら、各府省の判断で変えましたということがまかり通ると、では、元々持っていた基準というのは何ですかと。保有割合一という基準を持っていながら、そこは機能しないわけです。

 もう一つ御指摘したいと思います。では、政府はちゃんとチェックしてきたのかということであります。

 資料とパネルをお願いします。

 二〇二三年一月二十五日付で、政府の行政改革推進本部から、基金の返納状況についてというものが発表されています。点検対象は百三十七基金、余剰資金等の国庫返納状況として、令和四年度国庫返納予定額は二百五十一億円、令和五年度国庫返納予定額は二千五百三十一億円、総額で二千七百八十二億円との情報が公開をされています。

 私どもで調べましたところ、先ほど申した過剰な基金の積立てがあるのに、今回の国庫返納の対象に入っていない基金事業が三十九基金事業ありました。政府の行政改革推進本部の発表では、農水省の二事業、国交省の三事業、環境省の一事業の、計六事業しか国庫返納対象に入っておりません。

 政府発表の国庫返納予定額は二百五十一億円。しかし、先ほどの国庫に相当する分で超えている金額は一千四百三十六億円です。皆さん、この差です。この積み過ぎた一千四百三十六億円に照らすと、本当に僅かな国庫返納にとどまってしまっています。

 なぜ、過剰な基金残高を持つ基金の三十九事業を見逃しているのか。総理、このまま放っておかないですよね。過剰な基金の積立ては正すべきです。再点検が必要ではないですか。

 総理、お答えください。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 公益法人等に造成されている基金については、毎年度、各府省が基金シートを通じて自己点検を行うほか、政府全体としての再点検を実施し、使用見込みの低い資金の国庫返納などを進めております。

 基金の点検においては、直近では、令和三年度で国庫返納を決めた額は五千四百三十五億円、令和四年度に国庫返納を決めた額は二千七百六十三億円でありまして、この二年間で合計八千億円以上の返納を進めております。

 委員御指摘の二百五十一億円については、これらのうち、令和四年度に実際返ってくるというか、令和四年度を返納時期としている部分でございまして、この二年間に決めた返納額と比べるとき、必ずしも過少とは申せないのではないか、このように考えております。

城井委員 サイズだけでは判断できないんですね。

 総理、令和五年度の返納予定額も把握されていますね。

岸田内閣総理大臣 今、岡田大臣からもありましたように、基金の国庫返納に当たっては、行政事業レビューの枠組みの下で、社会経済情勢の変化や緊急時対応なども考慮しつつ、各基金の状況を踏まえ、使用見込みの低い資金は返納等を実施しており、本年度の点検の結果、新たに二千七百六十三億円が国庫返納される予定となりました。

城井委員 その令和五年の返納予定額の中身なんです。

 大きくは三つ、デジタル基盤改革支援基金、百七十八億円余り、新型コロナ特別利子補給事業、九百二十三億円余り、そして新型コロナ民間制度融資利子補給事業、一千四百二十七億円、合計で二千五百二十八億三千百万円になりますが、これらは、事業が終了したり事業終了見込みに伴う国庫返納で、行政改革を特別にやったというものとは思えないんですね。むしろ、デジタル基盤改革支援基金は、令和二年度に基金造成したばかりでして、もう国庫返納なのかと。基金を積み過ぎだったんじゃないか、見積りが甘過ぎだったんじゃないかという疑いすらあります。

 こうした事業終了、あるいはその見込みの部分を差し引きますと、そのほかの政府基金で国庫返納に努力できた令和五年分というのは幾ら残ったかといいますと、約二億三千五百万円しか残らなかったんです。先ほどの一千四百三十六億円にはほど遠い金額であります。

 総理、これでは不十分です。先ほどの政府基準を超えている一千四百三十六億円を念頭に、もう一回作業やり直しの指示を出すべきだと思います。総理、いかがですか。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 基金につきましては、城井議員の御認識も受けて、これは目的に従って適切に執行を行うように、結果として使用見込みの低くなった基金は国庫に返納することが重要だと我々も当然考えてございます。

 このため、各府省自らが基金の執行状況等を継続的に把握し、執行の改善や使用見込みの低い資金の国庫返納につなげるPDCAのサイクル、これを適切に回して、その状況が明らかになるよう不断に取り組んでまいりたいと考えております。

城井委員 これまでの取組が足りないので、政府基準に照らして、超えている分をちゃんとしましょうよということを申し上げています。

 もう一点、個別の基金でも具体的な指摘を申し上げたいと思います。

 新しくつくろうとしている基金にも問題があります。防衛省が装備移転のために新たにつくる基金についてです。

 今国会審議見込みの防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律案の中で、装備品製造等事業者に対する財政上の措置その他の措置として、装備移転仕様等調整計画に係る取組の支援というのがあります。

 具体的には、認定を受けた計画に係る助成金の交付等を行う指定装備移転支援法人が指定され、その法人への基金の造成が行われるという内容です。要するに、友好国への装備移転のお手伝いということであります。

 しかし、ここで一つ問題が見つかりました。

 幾つの案件を扱うか、どのくらいの費用がかかるかを防衛省に聞きました。防衛省は分からないと答えました。まさかと思いました。幾ら基金に積むのかと聞きましたら、四百億円。扱う件数もかかる費用見込みも国会や国民に示せない段階で、正直言って当てずっぽうに、四百億円もの規模の基金を積むとのことです。これは不適切です。

 仮に防衛力強化の一環で目的に正当性があったとしても、こんな見積りも説明できないようなものを見逃していたら、税金でやりたい放題です。

 総理、基金に積むこの四百億円の見積り根拠、当然把握されていますよね。総理からお答えください。

浜田国務大臣 装備移転は我が国にとって望ましい安全保障環境を創出するといった目的を実現するために重要な政策ツールであるとの認識の下、今般、装備移転を安全保障上の観点から適切なものとして円滑に実施するため、基金を造成し、装備移転に取り組む企業への措置を講じるものであります。

 その上で、件数や積算根拠等について、現在我が国が諸外国から受けている装備移転の引き合いを踏まえ、令和五年度予算案において四百億円を計上しているものでありますが、具体的な案件、内容について、相手国との関係もあることから、お答えできないことを御理解いただきたいと思います。

 防衛省としては、この措置を通じて、官民一体となって装備移転を円滑に実施していく考えであります。

城井委員 結局、今までの装備移転の実績は、一国、一件だけでした。それを踏まえて、今ほどの説明で、他国との関係があるということだと、では、事前に国会はその内容をどのようにチェックしたらいいのか。今の説明では分からないですよ。国民に対しても、では四百億円必要だという必要性を説得できる内容になっていないということは強く申し上げたいというふうに思います。

 総理、今の説明でよろしいんですか。

岸田内閣総理大臣 基金に関して、国会における説明あるいは情報公開、これは重要である、これは言うまでもないわけであります。

 そして、基金への予算措置に関する資料については、予算審議において御活用いただけるよう、これまでも、求めに応じて、予算措置額、新規造成か既存基金への積み増しか等を明記した一覧表を提出させていただいていると承知をしております。各基金事業の予算措置の必要性についても、国会において予算を審議いただく中で、それぞれの担当省庁により丁寧に説明をしているところです。

 また、基金の執行状況については、PDCA強化に向けた取組として、行政事業レビューの枠組みの下で、基金残高や支出額等を示した基金シートを毎年度作成、公表し、使用見込みの低い資金は返納等を実施している、こういった次第でありますし、また、今年度から、新経済・財政再生計画工程表二〇二一に基づき、国家課題に取り組む基金事業について、原則として四半期ごとに支出状況、基金残高等を公表する、こうした取組を行っております。

 ただ、委員の挙げられた安全保障、防衛に係る基金については、先ほど防衛大臣から説明があったように、相手国との関係等を考えてみた場合に、具体的にこの四百億の中身について、明細について申し上げることは難しいという説明をさせていただいております。

 これは、中身に応じて適切な説明方法というものがあるんだと思います。この防衛、そうした公表できる限界はもちろんあるわけですが、その中にあって、様々な形でこの実態について国会に説明をしていく、こういった努力は必要とされておりますし、また、全体としては、今申し上げた様々な取組を進めて、できるだけ透明性に努めているというのが現状だということであります。引き続き、説明を続けていきたいと思います。

城井委員 行政事業レビューや基金シート、そして国民への説明という答弁が今ありましたが、今の取組では、基金に行ったお金が入った後の動きは追えないんですね。ですので、総理、やはり基金に関する行政監視を強めるべきだというふうに私は考えます。

 特に、これまでも、基金の額すら国会で議論されていないケースもございました。例えば、令和三年度にガソリン補助金を支給するために設置された基金の財源は、これは必要だったんですけれども、でも、予備費の使用、そして予算の移用や流用など、基金への支出として国会での議決を経ているとはとても言い難い予算措置がありました。

 この基金関連の予算については、国会で十分な審議を行った上で議決することで、基金への行政監視を強めるべきです。具体的には、予算提出時に、新規の造成や既存基金への積み増しを行う必要性、金額等を明記した資料をつけるとか、そうした予算措置が明示された上で予算が国会で議決されるようにすべきだというふうに考えます。

 総理、やっていただけますか。

根本委員長 財務大臣鈴木俊一君、簡潔にお願いします。

鈴木国務大臣 予算審議に当たりまして、予算を御審議をお願いしている立場から申し上げますと、基金についての説明をしっかり果たしていくこと、これは非常に重要である、先生の御指摘のとおりであると思います。

 予算措置としまして、基金の新規造成や既存基金への積み増しを行う場合には、予算書の国会提出時に合わせまして国会に提出する各目明細書にその旨の記述を行っているところであります。

 加えて、一覧性のある資料といたしましては、これまでも、これはお求めがあった場合でありますけれども、それに応じまして、予算措置額、新規造成か既存基金への積み増しか等を明記した資料を提出させていただいております。

 今後とも、国会や国民の皆様に丁寧な情報を提供できますよう様々な工夫を検討いたしまして、基金の透明性確保に取り組んでまいりたいと考えております。

城井委員 基金の見直し、不十分だということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

根本委員長 この際、後藤祐一君から関連質疑の申出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。後藤祐一君。

後藤(祐)委員 立憲民主党の後藤祐一でございます。

 まず、物価高についてお伺いしたいと思います。

 電気代が高くて困るという声、全国から寄せられておりますが、これは東京電力の場合で示しておりますけれども、一般家庭、二百六十キロワット時使う標準家庭の場合、二〇二〇年十二月には六千三百六十七円だったんですね。これが昨年九月には九千百二十六円、四三%上がっている、これが今の価格です。これを税金を使って二割ぐらい下げるという激変緩和対策事業というので、その後二割ぐらい下がって七千三百六円になるんですが、その後、今、料金認可申請、値上げ申請というのが来ていて、東京電力の場合二九%、北陸電力は四六%引上げという物すごい値上げ申請が今なされているところですが、これが上がると、九千九百十七円というふうに五月支払い分からなるんですが、ここまでよくマスコミで説明されていますが、この後、政府の二割補助というのがなくなると、一万一千七百三十七円まで上がっていくわけです。

 この二月に二割分ぐらい、税金を使って補助が入るので、ああ、少し、一息ついたというのを感じるかもしれませんが、これは皆さん、ぬか喜びですから。これはこれでありがたいんですが、その後、料金認可申請、更にそれ以上上げる、つまり、二割下がって三割上がるというのが来ることになっているんです。

 これは総理に伺います。

 これは、この二割引下げというのは、激変緩和措置として税金を使って行われるわけですが、通常、激変緩和というのは、三割一気に上がるのを、それは激変だから、三割にならないで一割上がるように、つまり、三割上がるところに二割の補助を入れて一割アップに収めるというのが普通、激変緩和で、これは何で二割下げてから三割上げるんですか。

岸田内閣総理大臣 まず、電力各社の電力料金の申請については、御指摘のケースも含めて、全国で様々な申請が行われています。それが二割を超えている、こういった御指摘であります。

 これは、まず、仕掛け、仕組みとしましては、全国平均の家庭においての値上がり分に相当する分を値下げするということで二割とさせていただいております。公平性の問題等を鑑み、それから事務の効率性の問題に鑑みて、二割とさせていただいています。

 ただ、まず第一に、これは申請に先立って、今年の一月から引下げを開始する、先行引下げを行うという点、さらには、各社とも様々な申請を行っておりますが、申請の為替レート一つ取りましても、一ドル百四十円程度のレートが用いられていると承知をしています。為替等大きく変動している状況を踏まえて、何を基準とするのが適切なのか、今後、審査の段階で、専門家にも相談しながら、この基準についてもしっかりと審査をした上で、値上げ申請についても判断をしていく、こうした取組も進めていきたいと考えております。

後藤(祐)委員 それは後でする話なんですが。質問に答えてください。激変緩和になっていないじゃないですか、二割下げてから三割上げちゃったら。

 これは一月検針分ですから、国民の皆様、二月の支払いから二割下がるんですけれども、二月に二割下がって、統一地方選挙を迎えるわけですよ。それで統一地方選挙が終わった後の四月検針分、五月支払い分から三割、北陸電力だったら四五%上がるわけですよ。統一地方選対策じゃないですか。どこが激変対策なんですか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、値上げ申請に先立って、先行して引下げを行うということでありますし、先ほど二割、平均家庭で二割程度引き下げるということを申し上げましたが、これは電力の使用量によってその額は増えるわけであります。特に、冬場において使用量が増えた場合には、その値引きの額、これは増えるという仕組みになっています。

 電力を多く使う大勢の家庭においてそのメリットは大きくなるなど、制度として様々な工夫をし、激変緩和に資するような制度設計を行っているということであります。

後藤(祐)委員 何で先にやるんですかという答弁はないですね。やはり苦しいんですね。

 これはうがった見方かもしれませんが、去年の二月ぐらいから電力会社は苦しかったんですよ。燃料費調整制度という、為替と原油相場が上がったら自動的に料金を上げられる制度が、五割分しかできないので、上限に張りつく会社が二月、三月ぐらいから出てきて、そうすると、赤字がどんどんたまっていくわけですよ。本当はもっと早く値上げ申請したかった可能性を、もしかしたら、まあまあ、統一地方選より後にしてくださいというところまでやったんじゃないかとは言いませんが、そこも含めて非常に選挙的なタイミングになっているなということは御指摘申し上げておきたいと思います。

 先ほど、この話についての答弁だと思うんですが、今、大手電力会社、二社はしていませんけれども、七社申請が出てきているんですけれども、この前提となっている為替レートが百三十七円レベル、これが十一月末ぐらいに出してきた五社ですね。あと、東京電力などは百四十円、北海道電力百四十四円ということなんですが、これは原油の相場もこの頃の方が高かったわけです。今日の一ドルレートは大体百三十円ぐらいです。

 これは、燃料費が上がったから料金値上げなので、この査定の中で、為替だとか原油価格ですとか、LNGとかあるかもしれないけれども、それを踏まえた査定をすることで適切な電気料金ということにすべきじゃないですか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、各社の申請の中身は一ドル百四十円程度の為替レートが用いられております。まさに、今回の値上げ申請は、燃料価格の高騰、それから円安などが主な要因であります。

 この燃料価格、為替など、大きく変動しておりますので、なかなか予想するのは難しい、設定するのは難しいところでありますけれども、標準的な料金水準のまさに設定に当たっては、査定に当たっては、専門家の意見も聞きながら、できる限り国民の皆さんにも納得していただけるような水準となるよう、しっかりと審査をしたいというふうに思っております。

 その上で、いずれにしても、基準価格が、標準的な料金水準が設定されるわけですけれども、実際、払う場合には、その燃料費調整制度、御案内のとおりでありまして、各月の数か月前の為替レートや燃料価格が反映されますので、料金改定後も、為替レートが改善したような、円高の方に行ったような場合には、それに伴う費用低減の効果が自動的に料金に織り込まれることにもなります。

後藤(祐)委員 これは踏まえてやっていただけるという答弁だと理解しました。これはしっかりやっていただきたいと思います。

 続きまして、麦の値段ですが、これは、パスタですとかパンですとかカップラーメン、お菓子、いろいろな値段に影響するわけですけれども、日本の制度というのは、輸入小麦は、全部政府が一旦買い取って、それをメーカーなどに卸しているんですが、その値段は政府で決められるわけですね。これは、大体半年置きに値段を決めているんですが、去年の十月、価格が相当上がってしまう想定だったものですから、据置きにしました。これ自体は一つの判断だと思いますが、問題はこの次なんです。

 今度の四月の値段を決めるに当たって、前回据え置いちゃったので、本来は過去半年分の相場を見て次の半年のお値段を決めるんですけれども、実は、国際相場、小麦は下がっているんです、相当、この黒い線ですけれども。一年分見ちゃうと、去年の前半、四月から九月までの高いお値段のやつが入っちゃうんですよ。これは、原則に戻して、去年の十月から、今度の三月かその前の月か分かりませんが、直近の半年分で計算すれば、小麦の価格は少し抑えられるんじゃないんですか、総理。

野村国務大臣 ただいまの御質問にお答えしますが、委員おっしゃるように、小麦は、四月と十月に価格を決めて、業者さん……(発言する者あり)はい、分かりました。

根本委員長 簡潔に答弁ください。

野村国務大臣 小麦は、通常は六か月間、先ほどの質問にありましたように、買い付け価格を反映するところでございましたが、ウクライナ侵略の影響を受けて、急騰に対する緊急措置として、半年分じゃなくて算定期間を一年間に延長して実は平準化してきたわけでありますが、小麦の買い付け価格は、昨年六月以降、下落いたしました。これは、ウクライナ侵略前の水準近くで今現在推移しておりまして、緊急措置の結果、次回、四月の改定では、緊急措置を講じなかった場合の急激な価格変動を回避できる見込みとなっております。

 今後につきましては、引き続き、小麦の買い付け価格の動向を注視し、価格の予見可能性や小麦の国産化などの食料安全保障の面も勘案しつつ、適切に検討をしてまいります。

後藤(祐)委員 お答えになられていないんですが。

 次、総理に伺いたいと思いますが、これは政府が決められる価格なんです。そんなにないですよ。ただ、余り安くして減収が出ちゃうと、これを財源にして、国内の麦対策の予算の財源になっていたりするので、そこはちゃんと確保しなきゃいけないんです。

 ですから、これこそまさに、我々は余りいいと思わないけれども、物価高騰対策予備費なるものが、五兆円積み増しているんですよ。それを使うのにちょうどいいじゃないですか。これは穴が空いたってせいぜい三百億なんですよ。これは総理の御決断です。この予備費を使って、もし穴が空いたらそれは一般会計から埋めればいいんだから、半年分の国際相場を見て四月の小麦の値段を決めるべきじゃないですか、総理。

岸田内閣総理大臣 今農水大臣から答弁させていただいたように、次回、四月の改定では、緊急措置を講じなかった場合の急激な価格変動を回避できる見込みである、委員が御指摘された状況であります。

 そして、今後については、最後、農水大臣が言った部分が大切でありまして、価格の予見可能性と加えて、今、小麦の国産化を進めています。国内で小麦を生産する方々を推奨しているわけでありますので、海外から入ってくる価格について様々な取組をすることはそういった方々にも影響が出るわけでありますので、その点も総合的に判断した上で価格というものを考えていかなければならないと思います。

 ですから、急激な価格変動、これは回避していかなければなりませんが、今言った点も含めて、政府として価格についてどう考えていくか、これを考えるという点は重要であると認識をいたします。

後藤(祐)委員 もちろん、平時の通常の価格のときにそんなことをしちゃいけませんよ。ですが、小麦というのはロシアとかウクライナがまさに大生産地なわけで、国際的に逼迫しているわけですから、値段が高いときにはやはりよくお考えになって、三月の前半のところでこれは決まると思いますので、農水省に任せるんじゃなくて、総理の御判断としてやっていただきたいと思います。

 次、年金について行きたいと思いますが、年金のマクロ経済スライドというものがあります。これは、簡単に計算しますと、例えば二〇二三年四月からの年金を幾らにするかという計算は、二〇二二年の一月から十二月の物価変動率、これは二・五%なんですけれども、そこから、マクロ経済スライド分、つまり、長い目で見て年金財政がもつようにしましょうねという、言ってみればカットされる分が〇・三%分あって、さらに、二〇二〇年、二〇二一年はこのマクロスライドをやっていないキャリーオーバー、宝くじのキャリーオーバーはうれしいですけれども、このキャリーオーバーは勘弁していただきたいんですが、この〇・三%分があって、〇・六%差っ引かれて、二〇二三年四月からの年金は一・九%上がることになっています。つまり、物価上昇率よりも年金上昇率が低いという形になるわけですが、これは今、きついわけですよ、お年寄りにとっては。さっきの電気代も上がっているし。

 ちょっと調べてみました。今、お年寄りにとっての物価というのは、世の中全体の物価とちょっと違うんです。特に光熱水費、まさに電気代ですとか、こういったものは、若い世代よりも、ずっと一日家にいますから、使うんですよ。あとは、生鮮食料品を含めた食料品の占める家計の割合が高いんですよ。

 これは、統計を調べて、お年寄り物価上昇率というのを、私、作ってみました。そうしますと、この赤い方がお年寄り物価上昇率、六十五歳以上の世帯の方の、一か月何を買っているかというものをウェートをつけて計算すると、直近でいうと四・三%。全体の平均は四・〇%ですから、〇・三%ぐらい違います。去年の暦年で見ても、この年金を決める額の前提となっている二・五%よりも〇・三%ぐらいお年寄り物価上昇率は高いんですよ。これを踏まえた形でやるべきじゃないですか。

 更に言うと、この一年全体を取ってしまうと、さっきの麦の話と同じです、この赤と青のグラフを見てください、去年の一月とか二月というのはそこまで物価上昇率は高くなかったんです。まだ一%台とかだったんですが、この十一月、十二月は四%ですよ。今、足下では四%増のところから始まっていくわけですよ。ですから、もうちょっとリアルタイムに物価上昇率に合わせた年金改定率にしないと、お年寄りはもたないですよ、総理。

 ですから、この物価上昇率については、キャリーオーバーをやめろというのももちろんなんですが、お年寄り物価上昇率を使うべきじゃないか。そして、直近の例えば四か月の物価上昇率を使えば、全部の世帯を平均しても三・六五で、一・一五%も違うんですよ。お年寄り物価上昇率で、直近四か月だったら三・八六%。これだったら三%以上の年金改定率になるんですよ。

 これは、お年寄りにとにかく上げればいいという話をしているんじゃないんです。物価が下がるときは逆に厳しい数字になりますから、年金というのは長い目で見て均衡することが大事ですから、これは、短期で取ったら得するときも損するときもあるので、長い目で見れば均衡する話ですから。今まさに、物価のことを考えても、今の三つの提案、キャリーオーバーをやめろ、お年寄り物価上昇率を使え、そして一年じゃなくて四か月ぐらいの直近の物価上昇率を使うべきだと思いますが、いかがですか。

加藤国務大臣 公的年金制度について、今、後藤委員からもお話がありましたように、まさに若い方の保険料を上げない中でどうバランスを図っていくのか。そういった中で、今御指摘のあったマクロ経済スライド等の制度が導入されることによってその実現を図っているわけでありまして、したがって、今回、先ほど委員お話があったように、物価の上昇率に対して、過去のキャリーオーバー分、あるいは今年度のマクロ経済スライド分を含めて年金の改定率を計算をさせていただいている。これはまさに、今申し上げたように、バランスを取っていくということであります。

 それから、世帯主が六十五歳以上の世帯の令和四年の消費者物価指数は、総務省の発表では、前年比プラス二・九%と、ベースになっている率よりも高くなっているわけでありますけれども、しかし、先ほど申し上げたように、受給される側とやはり負担される側のバランスをどう図っていくのか。したがって、受給者である高齢者のみならず、支え手である現役世代、その消費実態、そういったものも勘案する必要があると考えておりますし、また、今お話があったような形を採用することによって年金財政にどういう影響を与えるのかというのを慎重に議論する必要があると思っております。

 さらに、四半期ごとの改定ということでありますけれども、改定すると、例えば国民年金の保険料をその都度都度改定するわけでありますから、そういったことにすると、また現役世代の負担というものもかかる頻度が上がってくるという問題がありますし、また、正直言って、日本年金機構等、相当な処理が発生するということでありますから、事務処理の正確性といったような課題もあるということで、そうした議論も慎重に検討する必要があるというふうに考えております。

後藤(祐)委員 円高になったとき、原油が安くなったときは、逆にお年寄り物価上昇率の方が低いんですよ。長期的には、これはプラマイ・ゼロですからね、大臣。

 あと、手続と言いますけれども、だからマイナンバーカードとかやっているんじゃないんですか。マイナンバーカード、あれだけ使ってくださいって、こういうことをリアルタイムに物価上昇とかに対応できるために進めているんじゃないんですか。何のためにやっているんですか。

 では、次に行きたいと思いますが、岸田翔太郎総理秘書官の話に行きたいと思います。

 昨日、山井議員の質問に対して、お土産を買っていた、閣僚に買っていたというふうに総理がお答えになったので、今日、朝、各大臣の閣議後記者会見で答弁がいろいろありました。少なくとも十人の大臣、ちょっと呼び捨てで申し訳ありませんが、松野さん、加藤さん、河野さん、高市さん、斉藤さん、小倉さん、松本さん、永岡さん、西村さん、谷さんという各大臣が、総理からお土産をいただいたと答えていたり文字で出したりされておられますが、総理、これは全部の大臣にお土産を買ったんですか。どんなものを、幾らぐらいのものを買ったんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 全大臣に買ったと承知をしております。

 具体的な内容については控えますが、いずれにせよ、私自身のポケットマネーで買ったということは間違いないところであります。

後藤(祐)委員 何でこれを聞いたかというと、これは官邸の機密費とかを使っていたらえらい問題だから聞いたんです。でも、今総理から、ポケットマネーから買ったということなので、何を買ったかというよりは、税金で高いものを買っていたらそれは問題だから、だから聞いたんですよ。ポケットマネーということであればお土産を買うというのもあると思いますが。

 今日答弁されたうちの二人の大臣は、この質問を受けて、プライベートなことなので控えるというお答えをされていますが、つまり、これはプライベートのお土産を買うために、岸田翔太郎総理秘書官が館用車を使ってハロッズデパートに行ってお土産を買ったということですよね。うなずいていらっしゃいます、総理。

 プライベートなお土産を買うことは総理秘書官の公務ですか。公私混同じゃないですか。

岸田内閣総理大臣 総理秘書官の中で、政務秘書官という立場においては、事務秘書官と役割を分担しながら総理を補佐するという立場にあります。総理のお土産を買うということについても、誰がやるかということを考えた場合に、政務秘書官が対応するというのは現実あるんだと思います。そういった形でお土産の購入を行ったと認識をしております。

後藤(祐)委員 総理秘書官がお土産を買うこと自体はあるでしょう。ただ、これは総理秘書官の公務ですかと聞いているんです、総理。

岸田内閣総理大臣 政治家としての総理のお土産を購入する、これも政務秘書官の本来業務に含まれ得ると考えます。

後藤(祐)委員 つまり公務ですか。

岸田内閣総理大臣 本来業務、すなわち公務であると思います。

後藤(祐)委員 プライベートなお土産を買うことは公務なんですか。本当ですか、総理。いや、買うのはありだと思いますよ。ちゃんと公務をしていて、空いている時間にお土産を買うのはいいけれども、これは公務というのは、総理、いかがなものですかね。

 最後、残った時間、闇バイト強盗事件に行きたいと思います。

 フィリピンから四人の方、移していただく方向で進んでいることは、どんどん進めていっていただきたいと思いますが、これはそもそも、二〇一九年に、フィリピンから日本に電話をかけてくる特殊詐欺事件で三十六人の身柄の引渡しがあったんですが、四人は身柄引渡しができなくて、その残った四人が、全部じゃないかもしれませんけれども、今回のやっていた人だという報道があります。

 この二〇一九年の特殊詐欺事件のときに、渡辺容疑者と今村容疑者を含む四人の方、引渡しをフィリピンに求めたんですか。強く求めるべきだったんじゃないんですか、総理。

谷国務大臣 お答えいたします。

 御指摘の者につきましては、警視庁が特殊詐欺事件で逮捕状を取得しているところ、現在、フィリピンの入管施設に収容されているものと承知しており、フィリピン当局に対し、強制退去の要請を行っているものと承知しております。

 他方、御質問の強盗等事件に関しましては、これまでに警察において多数の実行犯を検挙し、全容解明に向けた捜査が進められているものと承知しておりますが、これらの者が強盗等へ関与しているか否かを含め、現在捜査中であるものと承知しております。

後藤(祐)委員 いや、答えていないんですけれども。

 過去の話ですから。二〇一九年の特殊詐欺事件のときの四人の方に対して、この四人もちゃんと日本に移すようにと強く求めたんですか、それで残っちゃったから今回の強盗殺人が起きたんじゃないんですかと聞いているんです。

谷国務大臣 四人の、四人といいますか、身柄引渡しを求めている、フィリピン側にはもちろん求めています。それは、特殊詐欺事件で逮捕状を取得しております、取得して、フィリピン当局に求めているということでございます。

後藤(祐)委員 いや、今回の話じゃなくて、二〇一九年のときの話ですよ、大臣。分かっていますか。

 今回は向こうの法務大臣も積極的なことは言っているし、二〇一九年の特殊詐欺事件のときに、この四人についても日本に移すよう強く政治レベルで求めたんですかということを聞いているんです。

谷国務大臣 先ほどから御答弁申し上げているとおり、二〇一九年の特殊詐欺事件で逮捕状を取得して、フィリピン当局に求めていることは事実であります。

後藤(祐)委員 堂々巡りなので、二〇一九年の特殊詐欺事件のときに、この今回名前の挙がっている四人の方について、日本に対して身柄を移すように政治レベルで求めたかどうかの資料提出を要求します。

根本委員長 理事会で協議します。

後藤(祐)委員 最後に、この特殊詐欺から強盗、殺人まで含めた強盗に事件の中心が移ってくる、これはえらい話なんですが、昨日、これについて総理は、宅配業者を装う不審な訪問者に注意することなど防犯対策について情報発信を徹底していくこと、これがまず第一だと思いますと答弁していますが、確かにそういうことに気をつけるのはあるでしょうが、オレオレ詐欺的な特殊詐欺は、電話で言われてもATMで振り込むな、これを徹底するのはすごい大事ですけれども、もういざとなったら人をあやめてもいいという覚悟で来る強盗犯に、なかなかこれは一般国民は対応できないですよ。

 狛江の事件のときには、千葉県警から東京の調布署に対して、大塩様のお宅を特定して、一月十九日午後二時四十六分頃、情報提供があって、その二時間半後に現場到着したと伺っていますが、この情報提供をもっと徹底してやるべきじゃないですか。そして、こういった実行役への連絡、これはテレグラムを破るのは大変かもしれないけれども、ここを捜査として徹底してやるべきじゃないですか、総理。

岸田内閣総理大臣 今、全容解明に最善の努力をしている、こういった状況でありますので、その具体的な対応についてはそれをしっかり確認した上で考えるべきだとは思いますが、ただ、委員の問題意識は共有いたします。

 国民の皆さんがこういった事件を前に大変大きな不安を感じている、このことは政治の立場から重く受け止めなければならない。情報提供、あるいは様々な注意喚起など、どんなことができるのか、こういった観点から具体的な対応を考えていくことは重要であると認識をいたします。

後藤(祐)委員 終わります。ありがとうございました。

根本委員長 これにて岡田君、階君、山井君、逢坂君、長妻君、玄葉君、早稲田君、城井君、後藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、青柳仁士君。

青柳(仁)委員 日本維新の会の青柳仁士です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 防衛費増額を理由として岸田政権が進める今回の増税について質問をさせていただきます。

 まず、このパネルをちょっと見ていただければと思いますが、こちらは財務省からいただいた資料です。

 ちょっと分かりにくいんですけれども、一番下のラインから二番目のライン、ここが五・二兆円、現在の防衛費のラインということになります。今回の防衛費の増額によって、一番上の、八・九と書いてありますが、八・九兆円になるということです。したがいまして、これを引き算で、三・七兆円分、財源が必要ですという政府の説明であります。

 このうち、この真ん中の矢印を見ていただきたいんですけれども、足りない三・七、これを丸めて政府の方は四兆円程度と言っていますから四兆円と言わせていただきますが、この四兆円のうち、一番上の赤いところが税制措置で行います、そして二番目の黄色いところが防衛力強化資金、要するに、基金のようなものをつくりまして様々な予算をかき集めますということを言っています。それから、最後の青いところ、これが節約しますということで、決算剰余金の活用、決算時に出てくる余ったお金あるいは税収の上振れ分を入れるということ、それから最後に歳出改革ということで予算そのものを減らしていく、不要な予算をカットしていく、こういう説明であります。

 これは財務省からもらった資料ですから、その説明で正しいと思うんですけれども、総理に確認させていただきたいんですが、この資料が提出されたのは十二月の十六日、令和五年度の与党の税制改正大綱の発表のときでした。このときにも総理は様々な記者会見等で、この一番上の赤い部分、税制措置に関しては国民の皆さんの負担をお願いしなければならないという趣旨のことをおっしゃっております。また、先日の本会議の我が党に対する答弁でも、同様のことをおっしゃっております。その内容は、与党の税制改正大綱によりますと、法人税、所得税、たばこ税の増税ということになっております。

 まず、認識として、この一番上の赤い部分、四兆円のうちの一兆円に関しては増税によって賄う、こういう意向であるということでよいか、これについてお伺いします。

岸田内閣総理大臣 おっしゃるように、御指摘の点については、法人税、所得税、たばこ税で賄います。

青柳(仁)委員 この点、実は非常に重要でして、まずここで明らかにしたいのは、岸田総理あるいは政府・与党は増税をしようとしているということです。

 これは、いろいろなところで説明しているけれども、いつも言われるのが、いつ具体的に増税をしますと言ったのかが明らかにならないことが多くて、以前から申し上げていたとか、財源措置を取るということはこのときから言っていたとか、いろいろ言われるんですけれども、実際、どこで明確に増税をするというふうに言ったのかが分からないまま議論が進んでいることがこれまで多かったものですから、今日はテレビにも映っておりますし、この国会という場で総理大臣の口から増税を行うということをおっしゃいましたので、まずはそれについて確認をさせていただきます。

 その上で、日本維新の会、我が党は、この増税の、政府の、岸田政権の方針を撤回してほしいと思っております。そういった立場から今日は質問をさせていただきます。

 このグラフですけれども、まず、四兆円必要な財源のうち一兆円を増税でということですけれども、これはちょっと、よく考えると、もしも今回必要な予算が三兆円だった場合、一番上のこの赤い部分は要らない、すなわち増税は必要ないという認識でよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 計算からいうとおっしゃるとおりなのかもしれませんが、まず、数字ありきの議論はしておりません。まず、国民の命や暮らしを守るためには何が必要なのか、この厳しい複雑な安全保障環境の中で現実的に考え、それを積み上げた結果、これだけのものが必要になる、そういったことを申し上げたわけですから、その積み上げの結果、これだけの予算、令和九年度以降は年間約四兆円の資金が要るということを判断したわけですので、今言ったように、三兆円になったらこれはなくなるのではないかというものではなくして、物の考え方として、必要なものを積み上げて、その結果、数字が出てきた、それに対してどう対応するのか、これを考えたというのが議論の順番であります。

青柳(仁)委員 当たり前ですので分かっております。そういうことを聞いているのではなくて、今回必要な予算というのは、積み上げたら四兆円になりました、それは分かりました。ただ、これは堂々巡りなのでもう聞きませんが、三兆円であったならば、財源は増税でなくても確保できるわけです。できるわけですよね。これは絵を見れば分かるわけです、誰でも。

 つまり、何が言いたいかというと、政府・与党の説明というのは常に、防衛費の増額は必要です、なぜなら、ウクライナ危機を見ても分かるとおり、我々のこの日本を取り巻く安全保障環境は非常に厳しいものがある、これを強化する必要があると。だから、防衛費の増額には、昨年末の国会でも七割の国民の方が賛成をしておりました。これは、だから、自分たちの身を守るため、大事な予算だから、国民も負担を負うのは仕方がないですよねというような説明の仕方なんです。

 ところが、もしその額が三兆円だったら、増税は要らないわけです。つまり、増税が絶対に必要ではないんです。この予算額が四兆円だから必要なわけであって、防衛費の増額をすることと増税をすることというのはイコールじゃないんです。まず、このことをちょっとはっきりさせたいと思います。

 その上で申し上げたいんですけれども、今、家計でも、エネルギーの価格、電気代、上がっていますよね。絶対に必要な経費が上がったときに、普通はどう考えるか。これは、家計だったら予算を切り詰めるんです、節約するんです。節約して、何か無駄遣いはないかな、その上で、出せる予算を考えていくということが普通の考え方です。財源というのは、節約をして捻出すべきなんです。新しい財源を考えるときに、国民の負担を考えるのは最後でなければいけないんです。

 こういった中で私が思いますのは、三兆円だったらと言いましたけれども、逆に言うと、これでいうと、この黄色の部分と、まあ黄色の部分は何だかかき集めますという話ですから、節約というのはこの青い部分です、水色の部分のことを言っているんですが、決算剰余金の活用と歳出改革、すなわち、この節約の部分がもっとぐっと上に上がってきたら増税は必要なくなる、こういうことですよね。

 ですから、その際に、ではどういう財源があるかということを考えてみたんです。

 例えば、昨年、会計検査院がコロナ対策費で一体年間幾ら使っているのかということを試算をしまして、そして発表をしております。これは公開されている資料です。コロナ対策費は、令和二年度と三年度だけで百十三兆円計上されています。ちなみに、百十三兆円という予算がどれぐらい大きいかというと、今年の令和五年度一般会計歳出は過去最高ですが、百十四兆円です。およそ一般会計と同じぐらいの金額が二年間で使われている。すなわち、予算の半分ぐらいの金額になっている。

 そして、先日、岸田総理は、五月八日以降、新型コロナを二類相当から五類に変えると言いました。これは五類に変わると何になるかといいますと、緊急事態宣言等の行動制限ができなくなります。したがいまして、経済は通常に戻りまして、今まで給付していたお金や補助金等々が不要になるわけです。こういった予算が百十三兆円あるわけなんですね。これは、年間にすると大体五十兆、五十五兆から五十六兆ぐらいですね。今、国民の皆さんに負担を求めているのは一兆円です、年間。五十分の一です。これは、何で出ないんですか。

 これは財務省にお伺いしたいんですけれども、このコロナ対策費、令和二年と三年で百十三兆円積んでいます。この三年間で非常に多くのお金が積まれていますが、これは、今後の行動制限等がなくなって、五月八日以降、五類になって経済が通常化してくれば、基本的には要らなくなってくる予算である、こういう理解、あるいは大幅に減少してくる予算であるという認識でおりますが、この認識で正しいでしょうか。

鈴木国務大臣 一般論で申し上げますと、確かに、ここ三年ばかり足下でコロナ感染症拡大によりまして財政需要は大分伸びておりまして、その分予算が膨らんでいるというのは事実であります。確かに、ここの部分が収束に向かっていけば、それに関わる部分の予算措置というものは必要なくなってくる、こういうふうに思います。

青柳(仁)委員 そういう財務大臣からの御答弁でしたけれども、総理、いかがですか。五十分の一の費用、五十倍ですね。今、国民の皆さんにお願いしようとしている一兆円の百十三倍、年間にすると五十六倍、七倍の予算がこれから必要なくなってくるという財務大臣の御答弁でしたけれども、これでも増税は必要ですか。

岸田内閣総理大臣 例えば、五月八日から五類感染症へ位置づけるという方針を今確認していますが、五類感染症と位置づけられるのに伴って、新型コロナウイルス感染症対策本部は廃止され、特措法に基づく緊急事態措置や蔓延防止等重点措置等は行うことがなくなるため、これらの措置に伴い実施していた飲食店に対する協力金等の給付あるいは補助、これは不要となります。

 また、これまでのコロナ感染事業の中には、感染症法上の位置づけの変更に直接影響されない措置があります。例えばワクチンの接種ですとか、それから病床確保料の取扱い、こういったものがありますので、この辺も整理をしていく必要があると思いますが、いずれにせよ、不要となった個別のコロナ対策費は、決算剰余金となるものがあった場合、これは防衛財源として活用されることが想定をされます。

青柳(仁)委員 私が言っているのは決算剰余金の話じゃないんです。歳出削減の話をしているんです。

 決算剰余金は、今積んだ予算が余ったらという話ですね。私が言っているのは、今年と去年で、二年、三年で百十三兆円積んでいるわけですよ。このままいけば、その予算を今後も積み続ける予定なんですよ、コロナが収束しなければ。だから、その予算が要らないですよねという話をしているんです。剰余金は入れるのは当たり前です。それも今その計画の中に入っているのも知っています。

 ですから、この非常に多額の予算を出せたんですよね、だって。コロナ禍だからという理由で、増税しないで出したんですね、五十倍のお金を。何でこの一兆円だけは出せないんですか、増税をしないと出せないんですか。コロナ禍だからというので、この五十倍の、年間五十兆円に関しては増税なしで出せたじゃないですか。何で今回、この一兆円というのは出せないんですか。

鈴木国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、ここ三年、コロナの関係で予算が膨らんだわけでありますが、財源を見てみますと、それは国債をもって措置をしたということであります。

 防衛費については、これからずっと継続的に続くものでありますから、安定財源をもってこれに対応していくというのが政府の態度であります。

青柳(仁)委員 国債で賄っているものは非安定財源ということでよろしいですか。

 それであれば、例えば、財務大臣御本人がおっしゃいました、今回のこの予算委員会の最初の会議で、令和五年度予算の具体的に重要な項目として、これはそのまま読み上げますが、新たに策定された国家安全保障戦略等の下での防衛力の抜本的な強化やその裏づけとなる財源の確保、本年四月に新たに設置されるこども家庭庁を司令塔とした子供、子育て支援の強化、GXの実現に向けた成長志向型カーボンプライシングによる民間投資を支援する仕組みの創設、デジタル田園都市構想国家の下での地方公共団体のデジタル実装の加速化や地方創生に資する取組への支援ということを名指ししておりますが、今年度予算は先ほど申し上げたとおり百十四兆円、うち六割が国債です。

 今申し上げた財源の多くの部分は国債になるわけですけれども、最初の一つを除いて、じゃ、このGXの実現に向けた取組、地方公共団体のデジタルトランスフォーメーションの話、ましてやこども家庭庁においては、職員も配置するし、建物も造るわけです、造るかどうか分かりませんが、その維持費も必要なわけです。これらは非安定財源の国債で賄うということでよろしいですか。

鈴木国務大臣 今の財政状況の中で、現状、そうした税収で賄えていないというのは事実であります。それを賄うということにおいては国債に頼らざるを得ないという現実があります。

青柳(仁)委員 だから、安定財源でなければならないような、こうしたこども家庭庁という組織そのものの予算であったりだとか、グリーントランスフォーメーションのような、新しい資本主義を含めた成長戦略の柱になっているようなものだとか、こういうものも全部含めて国債で賄っている、非安定財源で賄っているわけですよね。でも、これらは本当は安定財源じゃなきゃ駄目ですよね。どうしてこの問題だけは安定財源だから増税ということになるんですか。だったら、これらに関しても増税しなきゃいけないんじゃないんですか。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の様々な課題について、財源は様々であります。

 例えば、GXにつきましても、GX移行債というものを発行して、その後回収するという形になっていますし、子供予算については、これまで従来から申し上げているように、子供政策の具体化をして、中身によって財源を考えていかなければならない、社会保険との関係、国と地方との関係、給付と負担との関係など様々な点を検討して、それぞれきめ細かな財源を考えていかなければならない、こういったことでありますし、また、防衛費に関しては、これは国民が老若男女どんな立場であってもひとしく裨益する大変重要な課題でありますので、こうした財源をしっかり確保する、そのための安定財源、これを皆でどう支えていくかを考えていかなければならない、こういった課題であると考えています。

 それぞれ、課題の中身、性格に応じて適切な財源を考えていくというのが現実であると思っています。

青柳(仁)委員 ですから、今最後に述べられた、なぜ防衛の予算に関しては安定財源でなければならないかという理由、いろいろおっしゃっていましたね、ひとしく国民の人たちに裨益をするとか。今私が申し上げたこども家庭庁とかはひとしく皆さんには行かないんですか。GXによる経済成長は国民にひとしく裨益しないんですか。まさに今言ったこと自体が、安定財源の説明と、それは増税でなければならないという理由になっていないんですよ。

 これは何でこういう苦しい説明になるかということを申し上げると、要するに、財務省はそんな考え方で予算編成をしていないからですよ。

 私も、かつて外務省の技術協力予算というのを作っていたことがあります。そのとき、さんざん予算書も書きましたし、財務省の主計局にも足を運びましたけれども、歳入と歳出を突き合わせて、これは国債で賄っているものだから、安定財源でなければならないとか、これは税収で賄っている分であるとか、だからこういう使い道をするんだとか、そんな検討をしたことは一度もありません、今も、やられているとはとても思えないんですけれども。

 これは財務大臣にお伺いいたしますけれども、例えば、令和五年の歳入のうち、税収は約六割ですね。歳入と歳出の額は一緒ですね、当たり前ですね。そうすると、歳出のうち安定財源で措置している六割というのはどれなんですかね、非安定財源で措置している四割というのは一体何なんですかね。そういう考え方で予算編成をしたことがあるのか、あるいは、そういった計算を現在、財務省、しているのかいないのか、お答えください。

鈴木国務大臣 まず、先生がおっしゃったような考えの下での予算編成はしておりません。具体的に申し上げますと、予算の制度として、歳出と歳入の全てを個別にひもづけをするというわけではございません。

 その上で、予算編成に当たりましては、従来より、骨太の方針等に基づきまして、財政規律の方針を定めつつ、真に必要な財政需要に対応するための恒久的な歳出を大規模に増加させる場合には、これに対応した安定的な財源を確保することで個別に対応してきているところでございます。

青柳(仁)委員 だから、最終的には個別に対応しているという話ですから、全然、財務省として、あるいは政府として、今回の防衛費の増額が増税でなければならないという理由には全くなっていないんです。ですから、私はちょっとそのことを申し上げたいと思います。

 午前中の時間がなくなりましたので、以上で終了させていただきます。午後にもう少し時間をいただいていますので、続きをやらせていただきます。

 質問を終わります。

根本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

根本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。青柳仁士君。

青柳(仁)委員 日本維新の会の青柳仁士です。

 午前中に引き続きまして、質疑をさせていただきます。

 午前中の質疑、途中で終わってしまいましたので、ちょっとおさらいをさせていただきますが、私から申し上げたのは、まず、今回、防衛費の増額を理由にした岸田政権が進めている増税は必要ないのではないかということを申し上げました。

 その理由は、今ある防衛費の増額に必要な四兆円のうち、三兆円までは増税以外の財源を確保した、そして、一兆円に関しては増税すると今さっきテレビの前で岸田総理に言っていただきました。ですから、今私が申し上げたのは、もしも防衛費の増額が三兆円で済んでいたのであれば、まず、増税は必要ないということだと思うんですね。それは当然ですね。ただ、もっと簡単な方法は、この表でいうと水色の部分、歳出削減をもっとしっかりやっていけば増税は必要ない、四兆円以上の財源があれば増税は必要ないのではないかということを申し上げました。

 その具体的な例として、例えば、コロナ対策費は令和二年と三年度だけで百十三兆円計上されておりますから、これら、一年間に直すと、今回必要な、国民の皆さんに負担を求めようとしている増税の一兆円の五十倍の金額ですから、これが二類相当から五類になっていけば今後減少していく、大幅に減少していくということに関しては財務大臣からも御答弁をいただきました。

 ですから、その予算を使えば増税は必要ないのではないかということを申し上げたところ、安定財源ですので、新たな税制措置、増税が必要なんだというお答えでしたので、私の方で申し上げたのは、今年の、令和五年度の通常予算百十四兆円のうち六割が国債であって、そういう、安定財源でなければならない、まさに財務大臣がこの委員会で冒頭おっしゃっていた、こども家庭庁に必要な予算、これは全ての国民の皆さんの家庭、子供、家庭に関する予算ですよね。そしてまた、これは組織もつくる、人も雇うというものですね。それから、GXの実現やデジタル田園都市国家の下での地方公共団体のデジタル化等、これは全部恒常予算、安定予算が必要なはずなんですけれども、実際には国債で賄われている、なぜならば、財務省はふだんそういう物の考え方をしていないからだと申し上げました。

 財務省というのは、歳入と歳出は別のものとして管理しておりますから、この歳出の項目についてはどういう歳入、つまり、税収でなければならないとか、あるいはこれは国債であってはいけないとか、そういう考え方で歳出を考えていないからなんです。

 ですから、いろいろ御答弁いただきましたけれども、私は一つも納得いっておりませんで、なぜ今回、この赤色の部分、一兆円のところは増税でなければならないのか。これは、国民の皆さんに本当に申し上げたいのは、防衛費の増額に賛成の方は多いと思います。でも、防衛費の増額と増税はセットじゃないんです。防衛費の増額がもし三兆円以下だったら、この絵を見ていただければ分かるとおり、増税は必要ないんです。あるいは、三兆円ではなくて四兆円の財源が確保できるなら増税は必要ないんです。その具体的な例を申し上げました。

 コロナ対策予算というのは、あくまで一例です。ほかにもたくさん不要な予算があるから、こういうことを申し上げているわけなんです。

 例えばですが、毎年予算額として、例えば今年であれば百十四兆円、政府は予算を積み上げておりますけれども、この予算、政府の方は御存じのとおり、毎年全額使われるわけじゃありません。使い残しがあるわけですね。これを不用というわけですけれども、財務大臣にお伺いします。去年の決算での不用額というのは幾らになっていますでしょうか。

鈴木国務大臣 令和三年度決算におけます不用額は、六兆三千二十八億円であります。その上で、こうした不用額のほか、税収の上振れなどで歳入が増えたこと、これは三・九兆円です。そして、特例公債の発行を、この増えたことによって抑制をする、これはマイナス八兆円でありました。

 こうした結果などによりまして、最終的な純剰余金は一兆三千八百十一億円となっているところでございます。これが令和三年度決算におけます不用額であります。

青柳(仁)委員 一兆円以上余っているわけですよ。今、国民の皆さんに求めようとしている増税は一兆円ですよ。これだけでも同額が出てきているわけです。

 ちなみに、今、差っ引いてお答えいただきましたけれども、不用額と一般に言われる、歳出における不用額、これを決算書から引っ張ってまいりました。令和三年度が六・三兆円、令和二年度が三・九兆円、令和元年度から平成二十五年度あたりは大体一・四兆円から一・八兆円まで、安定的に推移しております。ここに安定財源があるじゃないですか。使っていない予算があるじゃないですか、一兆円以上、ここに。こういうものをしっかり繰り入れることを考えずに、安定財源だから増税をしなければならないと。

 冒頭申し上げました。どうしても必要な予算ができた場合というのは、家計で考えたら、普通は節約するんです。今出している予算を節約して何とかならないかというのを、血眼になって無駄を探すのが普通なんです。まず、それを全力でやっていただけませんか。

 ほかにもあります。不用額も、これは一例なんです。

 例えば、先ほど立憲民主党の城井議員が御指摘されていましたね。補正予算で積んだ基金、八・九兆円あります。岡田大臣から要領を得ない答弁が返ってきましたけれども、十六個、今、五十個の基金のうち十六に交付済みである、こういう御答弁でした。ということは、三十四は未交付ですね。未交付、していないということは、一円も使われていないということですね。当たり前ですよね、交付していないんだから。

 こういう予算というのは、一体何なんですか。補正予算として緊急に必要だったんですよね。財政法上、緊急で必要なもの以外は積めないはずですから、補正予算は。それが今年使われていない。いっぱいあるじゃないですか、八・九兆円。先ほど、幾ら使ったのかというのはお答えになりませんでしたけれども、恐らく、この交付済みの十六団体もほとんど使われていないんじゃないですか。これは、私は個別に省庁に後で確認してみたいと思います。

 それから、ほかにもあります。

 例えば、岸田政権は新しい資本主義を中心とした成長戦略というのを示しています。ここに、補正予算等、毎年毎年大量の税金を投入し続けているわけですけれども、これだけ投入しているんだから、中長期的な経済成長を起こしていかなきゃ駄目じゃないですか。当たり前ですよね。

 これは以前、財務省と議論して、今日は聞きませんけれども、したときに、経済成長をすれば税収は上がるんです、税率を上げなくても。当たり前ですよね、母数が大きくなるんですから。だから、経済成長を安定的に起こしていけば安定財源になるじゃないかと言ったら、経済は上がったり下がったりするからと言うんですね、余り安定しないと。

 安定的に成長していないのは日本だけなんです。世界は安定的に成長しているんです。見てください、これを。三十年間で、一九九三年からのおよそ三十年間で日本の経済規模は一・一倍にしかなっていませんけれども、この間にフランス、ドイツ、イタリアは倍になっています。カナダとアメリカは三・四倍、韓国は四・六倍、中国は二十八・七倍になっているんです。成長戦略がうまくいっているからです。

 これだけ大量の税金を使って、毎年毎年、成長戦略を自民党政権が打ち続けてきて、これしか成長していない。これは、単に政権運営がまずいんじゃないですか。だから、安定財源として経済成長を堂々と言えないんじゃないですか。

 今年は、コロナ禍から回復してきた需要がだんだんと出てきて、日銀の予測によると、景気が緩やかに回復してきていると言われています。去年もそうでした。その中で、令和四年度の補正予算での税収というのは、当初六十五兆円から六十八兆円ということで、三兆円増えています。経済成長が起きれば、この三兆円、更に増えていく、あるいは安定的に財源となっていくんじゃないんですか。

 今、国民に求めようとしているのは一兆円ですよ。三兆円あれば足りますよね。いろいろな例を申し上げましたけれども、一つ一つ取っても、増税の必要なんてないじゃないですか。

 昨日の萩生田議員への答弁の中で、総理は、今この一兆円の増税というのは目安である、それ以外の財源を全力で積み上げていくというような御答弁をされていました。積み上がって四兆円を超えたら増税というのは必要なくなる、こういう認識でよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 昨年末閣議決定したように、四兆円をどう賄うのか、四分の三について、今まさに委員が御指摘になられたような経済成長、あるいは不要となったお金、これを、決算剰余金、あるいは今度創設する防衛力強化資金、こういったものを通じて積み上げていく、このことによって、そしてさらには歳出改革を行うことによって、四分の三、これを賄っていこうということを確認をしています。そして、その上で、残り四分の一について税制措置をお願いする、こうしたことであります。

 そして、その積み上がり方によっては、令和六年度以降令和九年度までの間、適切な時期、複数年かけて段階的にこの税制措置を行っていく、このスタートの年については柔軟性を持たせるという仕組みにしたということであります。

 この閣議決定した枠組みに従って、税制について考えていきたいと思っています。

青柳(仁)委員 時間なので終わりにしますけれども、今の答弁にあったとおりです。冒頭、総理は増税をするとはっきりおっしゃいました。そして、これだけ増税が必要ないという証拠を数字で申し上げているにもかかわらず、増税はやめないと最後におっしゃいました。

 我々日本維新の会は、この方針を撤回させるために、全力で反対させていただきます。

 以上で質問を終わります。

根本委員長 この際、小野泰輔君から関連質疑の申出があります。青柳君の持ち時間の範囲内でこれを許します。小野泰輔君。

小野委員 日本維新の会、小野泰輔でございます。総理始め閣僚の皆様、よろしくお願いいたします。

 私は、エネルギー政策についてお伺いをさせていただきます。たくさん質問を用意してございますので、早速始めさせていただきます。

 まず、電気代の高騰ということについても後ほど触れさせていただきますが、この資源の高騰、円安によって、今、我々は非常に厳しい状況に置かれています。

 資料を御覧いただきたいんですけれども、貿易収支ですね、この間、財務省が発表したばかりですけれども、過去最高の赤字額、二十兆円近くということになっております。

 そういう中で、エネルギーの占める割合というのが三分の一にも上っていますし、また、昨年の金額ベースでも二倍に上っているということで、いかに我が国経済にとって非常に大きなインパクトがこの燃油高あるいは円安であったかということがあります。

 私はやはり、貿易収支が長らく日本は豊かだったんですが、これから赤字国家になっていくということが、私たちは資源のない国ですから、これから非常に厳しい状態があると思います。まず、こういう状況がこれから訪れるんだということについて、財務大臣、どういうふうに御認識されているか、お伺いしたいと思います。

鈴木国務大臣 今月発表いたしました令和四年の貿易統計においては、輸出額は九十八兆一千八百六十億円、輸入額は百十八兆一千六百四十二億円となりまして、輸出額から輸入額を差し引いた金額は、過去最大の十九兆九千七百八十二億円の赤字となったところであります。

 過去最大の貿易赤字となった要因は、種々あると思いますが、令和四年の輸入額は過去最高となっておりまして、品目別に見ると、原粗油や石炭などの鉱物性燃料の輸入が急増していることから、先生御指摘のとおり、エネルギー価格の高騰の影響が一因であると考えております。

 今後の貿易収支につきましては、鉱物性燃料を始めとする資源価格の動向など、様々な要因に左右されるために、確たることをここで申し上げることはなかなか難しいわけでありますが、いずれにいたしましても、今後の輸出入の動向、これにはしっかりと注視をしてまいりたいと思っております。

小野委員 これから円安がますます進む可能性もあるんですね。やはり我々が、貿易収支が赤字になると、当然、日本の経済も落ちていく、そして、どんどんお金を払って、円を売って、物を買っていかなきゃいけないということで、この状態をやはり放置してはいけないんだ、そういう中でのエネルギー政策というのを我々は考えなければいけないと思います。

 今、日本のエネルギーはほぼ八割近く石油資源に頼っているということで、これの脱却が必要です。そういう中で、エネルギー自給率も同時に考えなければいけません。

 経産大臣にお伺いしますが、エネルギー自給率は日本は今幾らなのかということをお答えいただきたいと思います。

西村(康)国務大臣 エネルギー自給率についての御質問でございます。

 震災前でも二〇%でありましたけれども、震災直後には六・五%程度まで低下をしまして、足下では、令和三年度の速報値で一三・四%となっております。

小野委員 非常に厳しい状態だと思います。

 よく食物自給率については学校で教わりますよね、それも四割を切っているということでございますが。これは、今日、テレビでも御覧いただいている方も多いと思いますけれども、我々のエネルギー自給率は、先ほど大臣がおっしゃったように、もう一三%、そして、原発が物すごく動いていた時代でも二〇%にすぎなかったということで、これをどうやって上げていくのかというのは、これは政治の責任だというふうに思うんですが、今までなぜこれだけ上げられなかったのか、そして、今のこの状態をどういうふうに認識されているか、総理にお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、我が国のエネルギー自給率が御指摘のような低さにとどまっている基本的な要因としては、まず、我が国自身、すぐ使える資源というものがない、こういった国です。また、山や深い海に囲まれている、こうしたことによって再エネ適地が少ないという地理的要因もあります。こういった条件の中で、エネルギー自給率が基本的に低い、こうした条件の中にあります。

 その中でできるだけエネルギー自給率を引き上げていかなければならない、これが我が国にとっての課題ということであります。それに向けて、こうしたエネルギー自給率の低さというのは、今我々が直面しているエネルギー価格の高騰にもつながりますし、そして、更に行きますと、エネルギー途絶リスク、エネルギーそのものが日本に不足してしまうというリスクにもつながるということですから、これは国家的課題として取り組まなければならない。

 そこで、エネルギーについても、あらゆるエネルギー源を活用するべく追求することを考えていかなければならない、そういった発想の下で、エネルギー安定供給と、そして脱炭素、この両立を図るべくエネルギー政策を進めていこうとしているのが、我が国の基本的な今の考え方です。

小野委員 総理、頑張っていただきたいと思うんですね。これは、歴代の、どういう政権であろうとなかなかうまくいかなかった問題でもあります。そして、我々は、さきの大戦でもやはりエネルギー不足というのが非常に大きなネックになったということもありました。人類が生きていく上でエネルギーは大変必要なものですし、それを海外に頼り切りということがずっと続いていては、これからどういったことが起こるか分からない時代になって、国民の安全を確保する上では、これは政治が役割を果たしているという状態ではないと思いますので、是非、あらゆる手段を使っていただきたい。

 私ども日本維新の会は、もちろん再エネをしっかりやっていくことが重要だと思いますが、原発の再稼働、これも、これは規制委員会の新しい基準をしっかりとクリアしたものについても迅速にやっていくことが必要だと思います。

 規制委員長にお伺いをしたいというふうに思います。様々な努力をされていることは承知をしていますが、改めて、再稼働の審査をスピードアップさせるための工夫というものはどういうことをやっていらっしゃるのか、お考えを知らせていただきたいと思います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子力の利用に当たりましては、安全が確保されることが大前提でございます。原子力の安全の追求については妥協は許されません。審査は、その安全について判断を行うものであります。現場で直接安全の確保に当たる事業者と十分な議論を行い、共通の理解を得るべく双方が納得いくまで議論することが不可欠であると考えております。疑問や曖昧な点を残したまま判断を下すようなことは決してあってはなりません。

 その上で、審査プロセスの改善は、もとより原子力規制委員会として強く望むところでございます。原子力事業者経営層との意見交換を行い、原子力規制委員会において今後の審査の進め方について議論を行い、審査を進めているところです。

 審査を進める上での工夫としては、できる限り手戻りがなくなるよう、事業者の対応方針を確認するための審査会合の頻度を高く開催しております。また、原子力規制委員会からの指摘が事業者に正確に理解されていることを確認する場を設けまして、必要に応じて文書化などを行う取組を行っております。

 いずれにいたしましても、審査を着実に進めていくためには双方の努力が必要であり、引き続き、安全の確保を最優先に審査プロセスの改善を図ってまいります。

小野委員 ありがとうございます。

 事業者側からのリクエストにも真摯に応えていただいて、改善はしていただいているというふうには理解しているんですけれども、常に努力を続けていただきたいと思います。先ほど申し上げたように、我々が自分で発電できる、エネルギーを作り出せる資源をしっかり安全に有効活用する、そのための努力を、規制する側、そして事業者側も、責任を持ってやっていくということが必要だと思います。

 その上で、審査会合というのはオープンの場で行われますけれども、私は、アドホックな、ざっくばらんなところでコミュニケーションをするというのは、やはり人間である以上大事だというふうに思っていまして、それは、文字起こしで後で公開するというようなことを担保した上で、やはりもっともっと融通が利くような、そして審査に疑義を生じさせないような仕組みというものを工夫をしていただきたい。そのために必要な予算であれば、これは本当に安い価格ですから、そういったものをどんどんどんどん利用する。そのための予算も環境省が積んでいくということも是非お願いしたいというふうに思っております。

 そこで、原発を再稼働を進めていくというのは非常に大事な政策だと思っていますが、昨年秋、西村大臣、非常に思い切った発言をされたというふうに私は感じておりました。原発を一基動かせると、大体、LNGの使用量百万トンぐらいに相当するんだというようなことをおっしゃっていました。

 今、私は西村大臣にもうちょっと踏み込んだ発言をしていただきたいなと思うんですが、例えば、原発がどれぐらいあと稼働が進めば電気代がこれだけ負担が軽くなりますよというようなことを、是非おっしゃる気はないのかということをお伺いしたいと思います。

西村(康)国務大臣 お答えします。

 一基動かせば百万トン輸入しなくて済むという、さっきの貿易収支への改善もありますし、一昨年から非常にLNG需給が逼迫しておりましたので、国際需給への影響も、それが緩和できるということも勘案しながら、そういうことを申し上げましたけれども。

 料金については、各電力会社の電力構成、燃料費、人件費など様々なコストの積み上げで決まってきておりますので、今回の申請についても、値上げ幅については各社で異なっておりますし、原発が再稼働した場合の電気料金への影響についても、不確定な要素が多いため、なかなか試算をするというのは困難なんですが、原子力発電所の再稼働が進み、火力発電の燃料費が抑えられれば、電力料金の抑制につながる、寄与するものと理解をしております。

 その上で申し上げれば、原発、原子力の再稼働が進んでおります関西電力、九州電力、四国電力、これらにおけます規制料金算定上の原子力の発電量の比率が、関西電力が二三%、九州電力が三九%、それから四国電力が一九%となっておりまして、これまで、規制料金の水準、あるいは燃料費調整制度による値上がり幅は、他の電力会社よりも低く抑えられてきています。また、関西電力と九州電力は今回値上げの申請をしておりません。さらに、四国電力において値上げ申請がありますけれども、その幅は他の電力会社よりも低く抑えられております。

 ちなみに、関西電力は、二一年度、原子力比率は想定よりも高い二八%でありますが、その関西電力は、二〇一七年に高浜三号機、四号機が再稼働したときに三%の値下げ、また、二〇一八年、大飯の三号機、四号機が再稼働したときに、それを踏まえて四%の値下げを行っております。

 いずれにしましても、安全性をしっかり確認した上で再稼働を進め、安定的な電気料金の実現を目指していきたいというふうに考えております。

小野委員 私が言おうとしたことも全部大臣に答えられてしまいましたけれども、化石燃料に頼っている電力会社なのか、それともある程度原発が動かせている電力会社なのかということによって、電気料金に非常に大きな差が出てきてしまっている。午前中にも御質問がありましたけれども、そういった状況の中で、例えば、関西電力のユーザーの方よりも、六月からは、東京電力の管内のユーザーの方は七割も値段が高い電気料金を払わなければいけないというようなことになります。

 これはもちろん、政府が、一生懸命再稼働を頑張ってくださいというようなことも当然後押しをする、あるいは電力会社自身が努力することも大事だと思いますけれども、この差を、本当に生活が苦しい方々に対してどういうふうに手当てしていくんだということが、既にこの間の補正予算で電力料金の補助金というのを政府もお決めになっていますけれども、これはそのままでいいのかどうか。二割ということで、それは下がりますよと、午前中も御質問ありましたけれども、それについてもっともっと考えなければいけない。本当に必要な人に、困っている方々に届くような仕組みというものをやはり考えるべきだろう。

 これからタイムリーに状況は変わっていきますので、ウクライナ情勢もそうです、そして円相場に関してもこれから流動的でございますから、是非、先ほど青柳委員からもありました、たくさんの予算を積んでいるわけですから、どのような形で予算を使うのがいいのかどうかということについても今国会で議論していければいいんじゃないかというふうに思っております。

 そして、原発に関しては、今国会で法案が政府から提出される予定ですけれども、運転期間の延長ということで、従来の四十年プラス二十年、それに加えて、稼働していなかった時期を加えて延長できるようなこと、これを御提案をされるということですけれども、昨年から岸田総理も、原発のリプレースというところにも踏み込んで御発言をされていますが、私は、この四十年プラス二十年と、あと止まっていた期間だけで本当に更新まで入れたときに足りるのかどうかということも、非常に難しい問題があるのではないかというふうに思いますけれども、そこについての西村大臣の御認識を伺いたいと思います。

西村(康)国務大臣 御指摘のとおり、次世代革新炉の開発、建設までには相応の時間が必要となってまいります。そのため、エネルギー安定供給確保の観点から、既存の原子力発電所を可能な限り活用しつつ、再稼働を進めていくということが不可欠であります。

 年末にお示ししましたGXの基本方針においては、高経年化に対する立地地域の不安の声、それから東電福島第一原発事故の反省、こうしたことを踏まえて、現行制度と同様に、運転期間は四十年、そして延長を認める期間は二十年とした上で、一定の停止期間に限って延長を認めるということにいたしました。

 運転期間の延長を含め、既存の原子力発電所を着実に運営していくことは、次世代の革新炉の開発、建設といった将来の投資に向けた経営基盤の安定にも資するものと考えております。次世代革新炉の実用化に向けては、研究開発を加速すると同時に、今後の投資が可能となるような予見可能性の向上に資する事業環境整備にも取り組んでいきたいというふうに考えております。

 その上で、二〇三〇年、二〇%から二二%の原子力発電を我々は想定しておりますけれども、再稼働と運転期間の延長で何とかこれを達成できるものというふうに想定をしているところでございます。

小野委員 非常にこれは難しい問題だと思いますが、現実に即した検討を、是非、逃げずに、丁寧な説明を行っていただきたいというふうに思います。

 次に、高レベル放射性廃棄物の最終処分場の問題と賠償制度、原子力損害賠償の問題について御質問しようと思いましたが、ちょっとやはり時間がなくなってきました。ここは、私どもも今国会でもう一回法案を出し直すということで考えておりますので、そのときに是非御質問をさせていただきたいと思います。

 次に、原発だけではなくて、やはり我々は再エネもしっかり取り入れていくことが大事だと思っています。太陽光も、二〇一九年に六・七%、それから二〇二〇年に八・五%、二〇二一年には九・五%と順調に伸びてきてはいるんですが、二〇三〇年まではまだまだ、一四%から一六%ということで、もうちょっと頑張らなきゃいけないかなと。

 そういう中で、なかなか、今、山林開発とかで崖崩れが起こるとか、太陽光に関しては地域も忌避しているところがあるというふうに思いますが、そういう中でどうやって伸ばしていくのかということを一層考えていく必要があると思います。

 例えば、農家の皆さんにとっては、これは所得保障の観点から、本当に、農地に、耕作放棄地だけじゃなくて、どんどん増やしていくべきだというふうに思いますが、これは立憲民主党の菅直人元総理もいつもおっしゃっていることであります。私も全てそれを同意するわけではありませんけれども、ただ、経産省と農水省の関係がどうも余りしっくりいっていないなというのを、その議論をいつもお聞きして思うんですね。

 もっとこれを本気で進めるための導入策というのを、経産省、どうお考えでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、太陽光発電につきましては、二〇三〇年度に現在の約二倍の一四から一六%に拡大する目標を掲げております。再エネの最大限の導入のためには、安全面、防災面、景観、環境への配慮、影響、こうしたこと、地域の懸念に適切に対処していくこと、対応していくことも重要だというふうに考えております。

 現在、事業規律の強化に必要となる関係法案の提出に向けて進めているところでありますが、その上で、農地を活用した太陽光発電でありますけれども、導入ポテンシャルの拡大につながるということで、再エネ主力電源化の一翼を担うものであります。特に営農型太陽光発電は、営農と発電の両立による地域活性化の効果、御指摘のような効果もあるというふうに認識をしております。

 加えて、私の地元淡路島もため池が大変多いんですが、ため池を活用した太陽光も進められております。こうしたものについても、導入ポテンシャルの拡大につながるものというふうに期待されているところであります。

 今後、二〇三〇年の目標に向けて、地域と共生した太陽光発電の導入拡大を進めるため、引き続き、農林水産省としっかりと連携して取り組んでいきたいというふうに考えております。

小野委員 ありがとうございます。

 時間が非常に少ないんですが、農水省としてどう進められるか、簡潔に、農水大臣、お願いいたします。

野村国務大臣 小野議員にお答えを申し上げたいと思います。

 農地を活用した再生可能エネルギーの導入を進めていくに当たりましては、優良農地をやはり確保しなければならない、これは熊本におられたことからよくお分かりいただいていると思いますが。

 一方で、この営農型の太陽光発電は、売電収入は入ってくるんですけれども、非常に難点があります。それは何かといいますと、農地に支柱を立てなきゃならないというのが一つあります。もう一つは、日照が遮られるということで、作物が育たない。

 こういったようなマイナス面もあることでございますので、営農と発電の両立に十分配慮をしながらやっていかなきゃならないんですけれども、現在までのところは、大体八百七十二ヘクタールということで、大体、規模を見ていきますと、二十アールにしかなっていないんです。

 ですから、これは今後、農水省としては、経産省等の関係省庁とも連携しながら、地域の活性化に資する形で、営農型太陽光発電を始めとした農村、漁村における再生可能エネルギーの導入は進めていきたいというふうに思っておりますが、なかなか遅々として進まないのが実情でございます。

小野委員 済みません、もうちょっと簡潔に、もっと踏み込んだ答弁をいただきたかったんですが。

 やはり、例えば、二十ヘクタールの土地を耕作しているんだったら、その一割を全部パネルで埋めて、それで収入になる。なかなか、農家さんは今、本当に米の値段がコロナで下がって大変なんですね。それを穴埋めするために、しかも再エネを導入するということだってあり得ると思うんですね。

 系統につながっていなくたって、オフグリッドで、そこに対して、CO2を削減しているのであれば、そこをカーボンプライシングで、企業に貸した分をそこでちゃんと帳尻を合わせるということだってできると思います。政策的なイノベーションをもっと働かせていかないと、本当にカーボンニュートラルなんて達成できない。

 今、私はもうちょっと、西村大臣よりも野村大臣の方がもっともっと何か踏み込んだ答弁が来ると思っていたんですけれども、農水省がもっと踏み込んでいただきたいと思います。

 済みません、もうあと時間がありませんので、ただコメントだけさせていただきます。

 電力会社が本当にもっと気合を入れなきゃいけないと思います。例えば、小売の、大手の電力会社が、新電力の各社の顧客情報を送電会社の方のシステムを使って見ていたという問題。こんな会社に電気の高騰の補助金を入れるというのは国民の理解が得られない。しかも、もう百社ぐらい、新電力の方は潰れたりそれから撤退していたりするんですね。

 ですから、やはり私は、電力・ガス取引監視等委員会はもっと強化すべきだと思いますし、この辺は、電力会社に対してコンサルに入っている人たちも、電力会社はもっともっと気合を入れないと、本当にこの厳しい、国民の皆さん、本当に寒い中でも、そして所得がどんどん減っていく中で、電力会社がちゃんと襟を正して、そして、経産省としてもそこを緊張感を持ったような運営をしていかないと、これからの厳しい状況を政府がちゃんと正しい理解を持って乗り越えていくことはできないというふうに思いますので、この点は是非お願いしたいというふうに思います。

 GXのことについては、ちょっと時間がなくなってしまいましたが、これから法案を出してこられるということで、これも我々は、多くの問題点、議論をしていきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

根本委員長 この際、岩谷良平君から関連質疑の申出があります。青柳君の持ち時間の範囲内でこれを許します。岩谷良平君。

岩谷委員 東大阪市選出、日本維新の会の岩谷良平です。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、異次元の少子化対策についてお伺いしたいと思います。

 これは、もちろん賛成です。ただ、問題は中身です。今、総理からは、子供手当などの強化、学童保育などへの支援拡充、働き方改革という三本柱が示されておりますが、現時点ではこれがどう異次元なのかということは分からないわけです。

 今、総理の頭の中には、異次元と呼べるほどの少子化対策として、具体的な施策、一体どういうものがあるかというのを教えていただければと思います。

岸田内閣総理大臣 子供、子育て政策、これまでの政策を振り返って改めて思うことですが、個別の政策、児童手当を始め様々な政策の中身や規模、これはもちろん大事なことでありますが、こうした個別の対策を用意するだけでは結果につながらない、これはこれまでの歩みが示しているんだと思います。

 やはり、個別の政策をどう生かしていくかということを考えますと、従来、関与が薄いとされてきた男性とかあるいは企業、さらには地域社会、さらには高齢者や独身の方も、子供、子育ては、これは自分のことではないなどと思うのではなくして、やはり未来の自分たち、社会の明日が懸かっているんだという発想をみんなで持って、こうした政策を生かしていく社会の雰囲気をつくっていかないと、個別の政策を幾ら充実させても結果につながらないというのが、今日までを振り返ったときの大きな教訓なのではないかと思います。

 このように、従来、子供、子育て政策に対して関与が薄いとされた方々も巻き込んで政策を進めていく、こういった雰囲気をつくる、こうした次元の違う対策をつくるということが大事だ、これが基本的な考え方であります。

 委員御指摘のように、今、児童手当を始めとする経済面の充実と、そして様々なサービスの拡充、そして働き方改革、そしてそれを支える制度といった制度面、この三つの柱を中心に、こども政策担当大臣に検討を続けてもらっていますが、これに、さらには教育を始めとする様々な政策も組み合わせた上で、政策の具体化を進めていきたいと存じます。そして、先ほど言った、社会の雰囲気を変えていくところまで持っていけば、次元の違う対策と評価されるところまで行けるのではないか、こんな発想を持っております。

岩谷委員 おっしゃるとおり、関与が薄い方にも関与してもらうようにする。私自身、今子供が二歳なんですけれども、妻に任せ切りで、こうして東京で仕事をしていることは申し訳ないなというふうに思うわけですけれども。

 今、具体的なメニューとして上がってきているのは、出世払い型の奨学金制度の創設とか、それから、先日、代表質問で、自民党の茂木幹事長から、子供手当の所得制限の撤廃とかも上がってきていますけれども、これはもちろんやるべきですが、しかし、やはりこれだけでは全く異次元とは言えないということは私も共通認識です。

 じゃ、どういった施策をすれば異次元と言えるのか、これを御提案させていただきたいと思います。

 一番、経済的理由の中で、なかなか子供を一人、二人、三人とつくれない、やはり教育費の問題があると思うんですよね。

 パネルを御覧いただきたいと思うんですけれども、これは有名なグラフですけれども、教育機関に対する公的財政支出ですけれども、日本はOECD加盟国の中で下から二番目ということで、大変低い。すなわち、税金が教育に使われていないということです。

 じゃ、その教育費は誰が負担しているのか。家計ですね、家庭で負担をしているわけです。これは、一番下が、幼稚園から大学、大学院まで全て私立の場合、二千万以上かかると言われているわけです。一番上の場合は、幼稚園から大学まで全て国公立、それでも大学までで八百万以上、大学院まで行けば一千万以上と、これは非常に重たいわけです。なかなかこれだと、やはり、子供をつくる、あるいは二人、三人と産むということが、ちゅうちょするのも当然だと思うんですね。

 我々、この問題を解決するために、大阪で新たな公約を発表させていただきました。維新版大阪府市の教育無償化モデル、八つの無償化プラスワンということで、ゼロ歳から大学院卒業まで。

 順番にちょっと御説明しますけれども、まず一。ゼロから二歳ですね。第一子から所得制限なしで無償化、これを公約に掲げさせていただきました。

 それから、二つ目。三歳から五歳。幼児教育の無償化は、大阪市で先行してやった後、国全体に広まりました。

 三つ目、四つ目。小学校と中学校の給食。既にコロナ禍ということで所得制限なしの無償化を大阪市でやっていますけれども、今後コロナ禍が終わってもこれを継続するということを掲げさせていただきました。

 その下の方に、少し小さくプラスワンと。これは、中学生の塾代、習い事の助成です。月一万円、一人当たり、カードをお渡ししています。これを、この四月から小学校五年生から中三までに拡大します。さらに、今後所得制限を撤廃するということも掲げさせていただきました。

 下に行きまして、五番目、六番目。私立高校、公立高校の授業料無償化。これも大阪で先駆けてやって、その後全国に広まりましたけれども、残念ながら財政難の中で所得制限をかけざるを得ませんでした。しかし、今回この所得制限を撤廃するということも掲げさせていただきました。

 さらに、大学、七番目。これは大阪公立大学に限っての話ですけれども、所得制限をかけずに無償化する。

 さらに、八番目、大学院です。これも大阪公立大学に限っての話ですけれども、大学院も所得制限なしで無償化する。

 つまり、大阪では、不完全ながらも、ゼロ歳から大学院まで無償で教育が受けられる道が開かれようとしているわけなんです。これぐらいやって初めて異次元の少子化対策だと思うんですね。

 是非、総理、この大阪の無償化モデル、国でも取り入れて、国全体で一緒にやろうというお考えはありませんか。

岸田内閣総理大臣 維新版の教育無償化モデル、これを今拝見させていただきました。

 個々の政策については、様々な論点もありますし、そして地域の事情もあるんだとは思いますが、基本的に、こうして教育分野において負担の軽減に向けて思い切った政策を取り入れておられるという考え方、これは評価すべきだと思いますし、国においても、国の立場からこうした教育負担の軽減に向けて努力をするということ、これは子供たち誰もが家庭の経済事情等にかかわらず質の高い教育を受けるチャンスを平等に得るということ、これは社会の活力にもつながるわけですし、世界的に見ても、今、社会の分断が進む中で、中間層を拡充する際に、中間層の負担として挙げられるのは教育と住宅と言われています。これは、世界的に、教育に対する支援というのは、社会の一体感を考える上でも大切な課題であるという議論が行われています。そういった面からも、国として教育の負担の軽減に向けて努力することは大事であると思っています。

 そして、我が国においては、幼児教育や保育の無償化、さらには高校の授業料支援、高等教育の無償化など様々な取組を進め、そして、令和六年度からは、委員今御紹介いただきましたように、出世払い型の奨学金ですとかあるいは給付型奨学金についても中間層により手厚い形に持っていくなど、そういった取組を進めてきております。

 そして今、子供、子育て政策、これを思い切って進めようということで、内容の具体化を進めています。今申し上げた考え方に基づいて、是非、この政策を具体化し、政府として大いに盛り上げていきたいと考えています。

岩谷委員 今、一歩をまさに踏み出そうとしている、そのことは評価をさせていただきたいと思います。

 ただ、それじゃ不十分だというのが私の主張なんです。大阪は、もうその三歩、四歩先を行こうとしているわけです。我々はゼロ歳から大学院まで全ての教育を無償化するということを憲法に書き込むべきだということを主張しておりますけれども、これは、国がやらなくても、我々は大阪で独自にやっていくことを申し上げておきたいと思います。

 大事なことは、財源です。この財源、我々は、維新は大阪で、増税でやってきたわけではありません。増税せずに改革でお金を生み出し、少子化対策もそう、教育もそう、住民サービスあるいは成長戦略に投資をしてきたわけなんです。

 ちょっとパネルを御覧いただきたいと思いますが、「「維新以前」の大阪」ですね。

 二〇〇八年、橋下知事が就任されました。二〇一〇年に大阪維新の会が結成されました。今、知事をしている吉村共同代表とか、私、岩谷とか、隣にいる守島議員とか、我々当時二十代、三十代の若手がどんどんこの大阪維新に結集して、地方議員になっていったわけです。

 その当時の大阪の状況ですけれども、まさに破産会社と言われていました。実質収支は十年連続赤字。それから、負債も四兆円。もう財政再建団体に転落寸前で、財政非常事態宣言が出されていました。失業率も高かった。世帯当たりの実収入も低かった。職員厚遇問題というのも大阪市でありました。学力テストも低かった。ほかにもいろいろな数値がありますけれども、とにかく大阪がどん底でした、当時、今から十数年前。そこから我々は改革をスタートしました。

 最初にやった改革は、政治改革。大阪府議会に私おりましたけれども、三割カットですね、議員報酬。これはいまだにやっています。議員定数、前代未聞の二割削減、百九から八十八名までばっさり減らしました。今回、四月にまた府議会議員選挙がありますけれども、更に一割減らして七十九人で、人口当たり最低にするというところまでやっています。

 一方で、国会議員。我々、百二十九万円、歳費をいただいています。これは、我々維新の会は独自にカットしています。これまで国会議員団だけでも累計二億五千万円以上のカットをやってきましたし、全国の地方議員とか首長も、維新の同志は皆さんそれぞれ身を切る改革をやっています。

 ところが、ここに小さい字で書いていますけれども、コロナ禍で二割カット、国民に寄り添うということでやったはずです。しかし、昨年七月にしれっとこれは終了しています。コロナはまだ終わっていません。国民の皆さんはまだ苦しんでいます。事業者の方も多く苦しんでいます。なのに、寄り添うといってやった二割カットが、昨年七月にしれっと終了している。これはやはりおかしいと思います。

 議員定数も、今、衆参合わせて七百十三名ですが、これは今から十年前、当時野党の自民党総裁の安倍さんが、衆議院の一割削減を当時の民主党の野田総理と約束されたはずです、定数削減。ところが、いまだに実行されていないわけです、あれから十年たつけれども。これもおかしいと思います。

 そして、旧文通費と言われるお金。国会議員一人当たり月百万円、領収書が不要の問題。これは一年前に、私、総理に、領収書を我々維新は公開しています、一緒に公開しませんかと言いましたが、総理は国会のことは国会で決めるべきだという答弁をされました。

 あれから一年たって、まだ公開されていないですよね、自民党さんも。立憲さんもされていませんが、法案は一緒に出しましたから。これはやはりおかしいと思うんですね。

 総理、改めて、まず改革のスタートは、政治改革、今の約束を果たす、是非やっていただけないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 幾つか御指摘いただきましたが、まず、議員定数の方ですが、御指摘の党首討論後の、総選挙で政権交代が行われ、その後の動きを振り返りますと、平成二十五年に衆議院の定数五削減が実現をし、その後、議長の下に設置された調査会の答申や各党会派の議論等を踏まえて、平成二十八年に衆議院の定数十削減が実現をいたしました。しかし、今おっしゃった一割にはまだ達していないわけですから、これは引き続き議論を進めて削減努力を続けていく、これは大事なことであると考えます。

 それから、調査研究広報滞在費、旧文通費のお話ですが、これにつきましては、議論は引き続き続いているものと認識をしておりますが、今日までの議論の積み重ねの中で、是非、国民の皆様から御理解いただける合意に至るよう、議論を進めて結論を出すよう、各党各会派で努力をしていきたいと考えています。

岩谷委員 今、努力をしていきたいという主体的な答弁をいただいたんじゃないかと思うんですが、これは総理、自民党総裁として、自民党さんにその指示を出していただけますか。

岸田内閣総理大臣 各党会派での議論が今続いていると思います。自民党もこの議論に貢献したいと思います。

岩谷委員 今、一歩進んだ答弁をいただいたと思います。ただ、はっきり言っていただきたかったなと思います。

 やはり、これは今テレビを見ている国民の皆さんはおかしいと思っていると思います。リーダーシップを発揮して、我々と同じように領収書を公開する、定数削減もやるということを、是非リーダーシップを持ってやるべきだというふうに改めて申し上げたいと思います。

 では、ちょっと続けます。

 今、政治改革の話をしました。その後、大阪では行財政改革をやったんですね、徹底的な。出資法人、いわゆる外郭団体も半分以下に減らしました。公の施設の廃止、民営化等もやりました。公務員制度改革で天下りの禁止等もやりました。人件費をカットしたり、事業を一から全部見直して無駄なものを削っていったり、府有財産を売却したりして歳入を確保したり、とにかく、乾いたタオルを絞って、乾いたタオルから一滴を絞り出すような、そんな改革をやって、二〇〇八年から二〇一三年の五年間だけでも五千億円以上の効果額を生み出してきたわけなんですね。

 そして、その結果生み出されたお金を住民サービスとか成長戦略に投入してきてどうなったかという、次のパネルです。

 ごめんなさい、その前に、大阪市でもこういう民営化等をやって、大阪城公園とか地下鉄の民営化をやって、赤字が黒字になりましたということです。

 その増税ではなくて改革で生み出したお金を投資してきた結果、まず、府税収入も上がりました。十年連続の赤字、これが、十年連続どころか、今、十三年連続黒字になっています。地方債、実質の負債はどんどん下がってきた。将来負担比率も下がっています。

 経済も、大阪の経済、開業率も上がりました。事業所数も増えました。失業率は下がりました。求人倍率は上がりましたという結果です。

 さらに、インバウンド旅行者数、これはコロナ前ですけれども、七倍まで増えました。またコロナが終わったら増えると思います。客室稼働率も上がりました。百貨店の売上げも上がった。地価の上昇率は全国トップを記録しました。雇用も生まれ、有効求人倍率は上がったというふうに、まだ途上です、再生途上ですが、着実に大阪は今再生を果たしつつあって、そして、再来年には万博が開催できるまでになったわけです。

 我々が議員になったとき、十数年前、破産会社と言われた大阪が、徹底的な改革をやったらここまで何とか再生を果たしつつあるわけなんですね。

 総理、この我々維新が大阪でやってきた改革をどう評価されますか。そして、増税を早々と決める前に、国でも大阪のように、本当に乾いたタオルを絞って一滴を絞り出すような、そういう改革をやるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

松本国務大臣 維新の会のこれまでの改革の御評価ということでございました。

 大阪でいろいろ進めてこられた御紹介をいただいたところでございますが、先ほど教育の八つの無償化のお話もございましたが、例えば、三歳から五歳の幼児教育無償化、政府・与党の方で頑張ってやらせていただきました。小中学校が義務教育であることは申し上げるまでもありませんし、高校の授業料の無償化も、政府・与党の方で、政府においてかなり前から進めてきたことでありますし、大学についても、修学支援新制度ということで国で措置させていただいているという意味では、是非、皆様の方から、国、政府の方も頑張っていることをお伝えをいただけたらと思います。

 その上で、ここまでの大阪での改革についてお話がございまして、職員数などを削減されたということを承知をしておりますが、その結果としての行政サービスの質がどうなったかといったことも含めて、行財政運営の評価については、それぞれ議会などで議論をされておられると考えられ、また最終的には民主主義においては住民の判断に委ねられるもの、このように承知をいたしております。

岩谷委員 是非総理にお答えいただきたかったんですけれども、ちょっと時間がありませんので、次へ行きたいと思います。

 その中でも、やはり一番最初にやらなきゃいけない改革の一つは、天下り規制です。これも総理に一年前に私はお聞きしました。大阪府では原則天下りを禁止しました。ところが、国では天下りそのものは禁止されていません、組織的なあっせんの禁止とかにとどまっています。

 一例を挙げますと、結果、例えば文科省から学校法人、私立大学等への天下りですね。毎年毎年、これは十件とか二十件起きているわけです。不祥事が起こったらちょっと下がるんですけれども、すぐにまた戻るんですよね。毎年毎年天下りしている。

 その結果だと思います、これは。十八歳人口が減っているにもかかわらず、大学の数は増え続けているんですね。これは異常な状態だと思いますね。

 やはり、特定の既得権を持った組織、団体、企業と、一部の省庁、官僚、それから一部の族議員と言われる方々が結びついて、利権のトライアングルをつくって既得権を守っておられるわけです。それを断ち切る必要があるんです、改革をやるためには。それが改革のスタートです。だから、大阪でも天下りを禁止して、改革ができた。

 総理、やはり、この利権のトライアングルを断ち切るために、そして改革を進めるために、天下りの禁止はやはりやるべきじゃないですか。

河野国務大臣 予算や権限を背景とした再就職のあっせんとか、あるいは公務員のOBの口利きというのは、これはやめなきゃいかぬし、これはいかぬと思います。

 ただ、そういう不適切な行為をしっかりと規制をし、法令違反がなければ、能力、経験のある人が社会でその能力、経験を生かすというのは、これは大事なことだと思います。だから、大阪府でも令和三年度、百四十九人が人事監察委員会の承認を受けて天下りをしているわけです。

 だから、政府としては、まず、在職中に利害関係企業に求職活動をしてはいかぬとか、省庁が再就職のあっせんをしてはいかぬ、こういう行為規制をやるとともに、離職後二年間はきちんと再就職の届出をして透明性を確保する、そういうことをやってきております。

 そういうことで、不適切な、今委員がおっしゃった利権のトライアングルみたいなことにならないように、これは再就職等監視委員会がしっかり目を光らせておりますので、何か問題があればそこがきっちり対応する。そうでなければ、まだまだ働ける方にその能力をいろいろなところで生かしていただく、これは大事なことではないかと思います。

岩谷委員 大阪は、人事監察委員会が天下りそのものの適正性をチェックしています。国の方の再就職等規制委員会は、あっせんとかがないかだけをチェックしているわけです。そこは全く根本的に異なります。認識が間違っていると思いますが。

 ちょっと時間が来てしまいましたので質問を終わりますが、本当に、こういった改革をずっとやってほしいと言い続けて、それでもやってくれないならば、我らが是非、国でも大阪のような改革をやらせていただきたいと思いますし、もう一度申し上げますが、増税の前にやはりやるべき改革があるということをしっかり申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

根本委員長 この際、藤田文武君から関連質疑の申出があります。青柳君の持ち時間の範囲内でこれを許します。藤田文武君。

藤田委員 日本維新の会の藤田文武でございます。今日はどうぞよろしくお願いいたします。

 冒頭、皇室について取り上げたいと思います。

 ちょっとおさらいをしながら質疑に入りたいんですが、平成二十九年の六月に、天皇退位等に関する皇室典範特例法案、これの附帯決議がありまして、政府に対して、安定的な皇位継承を確保するための諸課題等について速やかに検討し、国会に報告するよう求めました。それを受けて、令和三年三月にいわゆる有識者会議というのが立ち上がりまして、合計十三回行われまして、十二月の二十二日にその報告書がまとめられました。

 その内容はどういうものかというと、まずは前提として、悠仁親王殿下までの皇位継承の流れはゆるがせにしないこと、それから、皇位継承の問題と切り離して、皇族数の確保を図る、そういう問題が喫緊であるということを前提として、三つの案が具体的な方策として示されました。

 その三つというのは、一つは、内親王、女王が婚姻後も皇族の身分を保持すること。それから、皇族には現在認められていない養子縁組の制度を可能として、皇統に属する男系男子を皇族とすること。それから三つ目は、皇統に属する男系男子を法律により直接皇族とすること。この三つがあったわけであります。

 令和四年、年をまたいで一月の十八日に、我々各党の代表が集められまして、政府から検討結果の報告を受けました。その際に各党に宿題をいただいて、議論してくださいねということで、意見を集約するという流れができたわけなんです。

 私、昨年の二月の七日に衆議院の予算委員会で総理に質問しました。この三つの方策というのはどういうふうに受け止められていますかと言いますと、附帯決議について示された議題について非常に丁寧に議論を尽くしていただき、バランスの取れた報告書になっていると考えている、政府としては、この報告書を尊重することとし、国会に報告した、現在、国会において検討が行われているものと承知しており、私としては、報告書がこれに資するものとなってもらいたいと考えていると、大変前向きな御答弁をいただきました。

 しかしながら、あれから一年がたちました。国会において十分議論、又は各党の議論は進んでいるとお考えか、一言いただけますか。

松野国務大臣 藤田先生にお答えをさせていただきます。

 経緯につきましては今お話をいただいたとおりでございますけれども、附帯決議においては、政府の報告を受けた場合、国会は、安定的な皇位継承を確保するための方策について、立法府の総意が取りまとめられるよう検討を行うものとされております。現在、衆参両院議長の下で検討が行われているものと承知をしております。

藤田委員 衆参両院議長の下で検討が行われるそのちょうど一年前に、各党集まって、各党でも議論してくださいねというお声がけをいただいて、我々の認識としては宿題をいただいているという、そういう認識なんですよ。我が党では、それに応えるという意味で、党内に皇室制度調査会というのを立ち上げて、私、会長にならせていただいて、議論をやりました。その上で、四月の十四日に衆院議長、十五日に参院議長に意見書を提出させていただきました。

 その内容は、この報告は、大変繊細な配慮がなされていることに加え、皇室のこれまでの歴史と整合的かつ現実的な提言をなされているということで高く評価できる、その上で、三つの方策のうち二つ目の、皇統に属する男系男子を養子縁組によってお戻りいただくということに道筋をつける案について特に評価できる、その上で、安定的な法制度として実現すべきだという提言を出させていただきました。

 この我々の、報告書に対する意見書についての御意見を一言いただきたいんですが、私、一番聞きたいのは、これから一年ぐらいたって、各党、議論は進んでいるんですかね。特に自民党さんに問いたい。その他の政党さんは余り積極的じゃない、元々積極的じゃないからまあいいとして、自民党さん、これ、一年ほったらかしにしていませんかね。私は、大変不誠実なんじゃないかと思います。座組をつくって、是非、各党議論をして、そして意見を持ち寄った上で、もちろん静ひつな環境で議論を進めるべきではありますけれども、これ、ほったらかしはよくないと思うんです。

 総理、御見解をいただけますか。

岸田内閣総理大臣 まず、委員の方から御紹介いただきましたように、御指摘の報告書については、バランスの取れたものであると考えており、それを私から昨年一月、衆参両院議長に対して報告を行った、こうしたことであります。そして、昨年の四月に御党の方で意見書を提出された、これは承知しております。

 そして、その後の取組について、報告書を提出した私の立場から、行政府の立場から、それについて評価、コメントをすることは控えなければならないと思いますが、これはほったらかしにしているのではないかというお言葉ですが、これは引き続き議論は続いているものと認識をしておりますし、議論は行われるべきものであると、これは認識をいたします。

藤田委員 今日の質疑は予算委員会ですから、行政府に対しての質問ですから、党を糾弾するというのは非常に難しいので。ただ、総理は、憲法のことも皇室のことも、総理・総裁でありますから、やはり与党の動きというのは非常に重要なんです。

 我々からすると、我々は宿題をいただいて真剣に議論しました。その上で、皆さんからも御意見をいただいて意見を集約して、それを表明させていただいた。これは誠実な対応だと思うんですよ。当たり前な対応だと思うんです。自民党さん、これを是非やっていただきたいとお願いを申し上げて、次に移りたいと思います。

 今回、防衛力の強化に伴って財源が必要であると。これは我々も先ほどから質疑者が申し上げているように賛同するところでありますが、その財源のつくり方として、増税ということを明言されたわけであります。今日はパネルを用意してきたんですが、青柳議員がかなり詳細にやってくれました。あの議論を私も聞いていても、やはり、増税に頼らなくてもいろいろな工夫をもっとできるんじゃないかというふうな御指摘をいろいろさせていただきましたが、増税は要るんだという話でした。

 私たちの考えは、もちろん歳出改革をしっかり徹底的にやる、それでも無理ならば、最終最後の手段として増税というのが上がってくるというのは、これは致し方ないかもしれないけれども、まずは、そこの議論を入口でするのではなくて、歳出削減、これをやっていかないといけないんじゃないかということでありますが、政府そして自民党が示されているのは税制措置、つまり増税するということで、その税項目は、所得税、法人税、たばこ税を増税すると。つまり、これは、今ある枠組みを変えずに、今挙げた税項目の税率を上げるということでよろしいんですか。一応、確認です。

岸田内閣総理大臣 まず、今回の防衛力強化に当たっては、まずは政府の立場から、国民の皆さんの負担をできるだけ抑えるべく努力をしなければならない、これがまず最初であるということは申し上げます。政府として、歳出改革、決算剰余金の活用、さらには防衛力強化資金の創設など最大限の努力をした上で、それでも足りない部分について税制措置をお願いする、こうした考え方に基づいてスキームを考えました。

 税制措置につきましても、現下の家計、あるいは九四%の法人には影響がない、こうした取組を用意したということであります。

 そして、その部分について、御質問は、税率を上げることで対応するのかということですが、午前中も議論が出ておりましたが、復興特別所得税の取扱い等については、単なる税率だけではなく、いろいろな工夫も加えております。そうした工夫も加えながら、全体として約四分の一について税制措置をお願いする、こうしたスキームを用意した次第です。

藤田委員 これ、税率を上げることだと思うんですけれども、何か表現ぶりがすごく工夫をされていてよく分からないんですけれども、税率を上げる、つまり増税するとおっしゃっていただいたらいいと思うんですよ、それが方針だから。その方が分かりやすいと思うんです。国民の皆さんに負担をお願いしますと正面から言っていただいた方が僕はいいと思います。でないと、議論が前に進まないので。

 その上で、もし税制措置をやるのであれば、我々は一貫して、税は個別で見るんじゃなくて税体系一体で見るべきだと。つまり、財源が必要なのは安全保障だけじゃないですよね。子育てもそう、社会保障も毎年上がっていく。つまり、税をいただいた上でどれに使うかという、その内訳というのはこの数年間で相当変わってくるんです。

 だから、一旦やはり歳出歳入全部を見直して、そして、経済にどういう影響が出るか、その裏側にある税は、社会保障もそうですから、それを含めて、一体的に新しい社会像というのを目指すにはどうかというきっかけにすべきだと私は申し上げているんですね。でも、そういう全体を見渡した大がかりな税体系一体の改革という声が全然上がらない。

 なぜ、今ある税項目の中から、このぐらいだったらまだ許容できるんじゃないかというのを探して、税率を上げようという発想にしかならないんですかね。自民党さんの中にも増税反対の人はいっぱいいるんじゃないですか。声を上げてくださいよ。

 なぜ、そういう全体を見た政策パッケージという議論にならないのか。なぜ、今上げやすいところだけ税率を上げましょうという議論にしかならないのか。お答えいただけますか。

岸田内閣総理大臣 今までも、政策とその財源との関係を考える場合に、新たに大きな政策項目を打ち出して、その大きな財源が必要ということになりますと、その政策項目ごとに支出と財源を考える、一つの完結した形で提案するということを行ってきました。

 これまでも、環境ですとか、あるいは観光ですとか、さらには、最近ではGXにおいて、大きな政策的な支出とその財源を安定的に確保する、これをパッケージでお示しするという形を取ってきました。そして今回も、防衛力強化において、財政支出とそれを支える安定財源についてパッケージで示したということであります。

 そして、全体を見通すことを考えないのかということでありますが、そうした大きな政策目的における支出においては、今申し上げた、安定財源とパッケージでお示しするということを行っていきながら、全体のバランスについては、毎年、骨太の方針等において、全体のバランスを考えながら、持続可能性への信頼を損なわないように経済財政政策を進めていく、こうした取組を政府として行ってきました。

 こういった形で、全体を見ながら、それぞれの政策課題においても安定財源をしっかり確保していく、この積み重ねを行ってきた、これが政府の基本的な考え方であります。

 このように、個別の項目における財源の問題と、そして全体のバランス、今言った形で引き続きしっかり考えていくことによって、政府としての経済財政政策の持続可能性への信頼をしっかりと維持していきたいと思います。

藤田委員 今、二つの考え方を示していただきました。

 個別政策において財源が必要、この事業をやるからこれぐらいのお金が要りますよねと。では、それ、財源はどうしますか。歳出改革もあるけれども、最終的には増税がセットされている。後で見直して、骨太とかを併せて、全体は一応俯瞰して見ていますよと。でも、前者の方がやはり強いんですよ。

 これを繰り返しているとどういうことになるかというと、新しい事業をやればやる、つまり財政措置をやらないといけない、税制措置をやらないといけない。つまり、新しい事業をやるために増税しないといけないというインセンティブしか働いていないんですよ、発想のやり方が。だから私は間違っているというふうに思うんですね。

 さっき岩谷議員から紹介があったように、簡単に増税できない、又は簡単に国債はもちろん地方ですから発行できないから、非常に財政的に苦しい中で地方自治体が財源を生み出そうとすると、無駄を徹底的に省くしかないんです。無駄を徹底的に省こうと思うと、いわゆる古くなった補助金とか、それから租税特別措置とか、そういうのを見直していくしかないんですよ。でも、そこには様々な既得権がひもづいているから政治的に非常に厳しい、だからやらないというのが、これが日本の政治構造なんです。

 だから、私、素朴な疑問として、今回、三兆円は何か工夫して捻出できるけれども四兆円は無理だから税制措置が必要だ、増税が必要だというのを、何で三兆円だったらできて四兆円ができないか、分からないんですよ。

 これは恐らく政治的なメッセージとして私は受け取っていて、既得権に切り込んで徹底的に改革をするというところまでは踏み込みません、ある程度許容されて、何となく予見できるところだけは、削れるところは削りましょう、でも最終的には増税をしなければいけないんだということが決まっているんじゃないかな、発想として。

 だから、私はその発想を逆転させたいというふうに思うんですけれども、総理、御感想があったら一言いただけますか。

岸田内閣総理大臣 まず、今回の議論は、防衛力の抜本的な強化です。

 まず、財政の高さ、どれだけの財源が必要なのかという議論において、まずは、国民の命や暮らしを守るために何が必要なのか。その際に、お金が足りないから命を守るための予算を削るという発想は取らないというのが基本にあります。この厳しい安全保障環境の中で、本当に国民の命を、暮らしを守れるのか、それに対して必要な備えができているのか、これを現実的に考えたというのがまず出発点です。

 そうした具体的なものを積み上げた上で、それに必要な予算はどのぐらいになるのか、こうしたことで、財源の高さを考え、それが、令和九年度以降四兆円という数字として表れてきたということです。ですから、この四兆円は、三兆円だったらどうか、二兆円だったらどうか、そういう数字で議論するのではなくして、内容から積み上げてきた結果である。

 それを賄うためにはどうしたらいいのかということで、政府としてまずは最大限の努力をしなければならないということで、歳出改革、決算剰余金の確保、そして防衛力強化資金という新しい枠組みをつくって、そこに様々な、国の資産を売却した際の資金ですとか、そういった税外収入を全部プールして、そして四分の三を賄うところまでいろいろな工夫を重ねた。残りの部分だけ、何とか国民の皆さんにも、今の世代で何とか賄うという考え方で御協力をいただけないか、こうしたことでスキームをつくったというのが、今提案させていただいている政府の基本的な考え方です。

 こうした議論の順番から考えて、今申し上げた形になったということです。数字を一方的に削る、削らないの話から始めたというものではないということを是非御理解いただきたいと思います。

藤田委員 今るる御説明いただいたのは、前の質疑者にも説明していた内容そのままだと思うんですけれどもね。

 いろいろ積み上げてくださったとおっしゃるんですけれども、では、歳出改革の一兆円の内訳、細かく全部出ているんですかね。出ていませんよね。何をどう削るのか、どこまで踏み込んでやるのか、内訳は積み上げていないですよね。つまり、内容は決まっていないんですよ、歳出削減の個別の内容。だから、もっとできるんじゃないですか、そこに覚悟を示さないことには歳入歳出改革と呼べないんじゃないかというのが、私の指摘です。

 次に行きたいと思います。

 総理の産業とか企業についての捉え方と新しい資本主義の考え方の整理を、ちょっと一つの事例を基にしたいと思うんですね。

 私、昨年の十月に、とあるテレビ番組に行って討論してきたんですね。その際に、自民党の政調会の幹部の方とやりました。

 視聴者からの質問で、ちょっと意地悪な聞き方だったんですけれども、構造改革というのは、物価高の中でも価格転嫁ができ、業績を伸ばし、従業員の賃金を上げられる企業だけが生き残り、そうでない企業は淘汰されても致し方ないということですかと。何か非常にテレビ討論では答え方が難しいような聞かれ方をしているのは事実だと思うんですが、そのときに自民党の先生がおっしゃったのは、健全か不健全かは別にして、淘汰はできないんです、どんなことがあってもそれぞれ皆さんが存在できる、そのために努力をしてもらう、その努力をお手伝いする、勝者の論理ではない、新しい資本主義を実現しようとしていると、非常に受けのいい答え方をされたんですね。

 私、これはうそだと思うんですよ。淘汰は起こっていますし、新陳代謝はあってしかるべきなんですよ。それを受け入れた上でセーフティーネット論というのを考えないといけないというのが我々の考え方というか、当たり前の考え方ですよね。

 これが新しい資本主義の考え方なんですか、コンセンサスなんですか。総理にまず確認したいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、新しい資本主義、これは資本主義ですから、自由な競争、市場を、マーケットをベースにした経済原理です。ですから、そういった中で様々な競争が行われる、そうしたことでありますし、おっしゃるように、その中にあっても、国民の安心、安全を考えるためにセーフティーネットというものがある、これが資本主義の基本的な考え方であると思います。新しい資本主義もその基本は変わらないと思います。

 ただ、単にマーケットや自由な競争に任せるというだけでは、格差やあるいは温暖化問題など、様々な課題を引き起こすことにつながってしまった。こういったことを考えると、この社会課題を解決するために、官民の様々な投資を集中することによって、社会的な課題の解決を成長のエンジンに変えてしまう、こういった取組で課題を解決し、持続可能性を更に伸ばしていく考え方は重要なのではないか、これが新しい資本主義の基本的な考え方です。

 競争、マーケット、これは基本だと思っていますし、だからこそセーフティーネットが大事だという基本は変わらないと思っています。

藤田委員 私も気をつけたいなと思うのは、政治家というのは、ちょっとやはり批判を受けそうなことをすごく丸めて言いますよね。淘汰とか新陳代謝は実際に起こっているから、それを受け入れた上でどうするか、それが競争戦略だと思うんですね。

 私は、賃上げとか社会保障の問題をかなり取り上げてきて、これが恐らくここから十年、二十年、一番日本の内政において大事だから、だから取り上げてきたんです。賃上げは構造に問題がある、構造的な賃上げをしたいと総理もおっしゃったので、恐らく問題意識は同じなんだろうというふうに思っているんです。

 私は、この構造的な問題は、一つはセーフティーネット論、社会保障の在り方と、それから労働市場の在り方の、二つに集約されるんじゃないかというふうに思うんです。

 どうしても賃上げ政策について、私が政府の今の打ち手について感じてしまうのは、民間に賃上げしてやってくれよというふうにお願いするという政策。お願いするのは政策じゃないと思うんですけれども、まあ悪くないでしょう、やらないよりは。お願いする。それから、リスキリング等と銘打って様々な補助金を打つ。補助金スキームがどんどん増えていく。労働市場という、労働法制には一切手をつけない。これは私は非常に問題があるんじゃないかなというふうに思うんです。

 労働法制のことは後でやるとして、社会保障について、私はこれまでも指摘してきたんですが、セーフティーネットの在り方は、やはり個人をどう救っていくかということに着目し、それに移行していくべきだと思うんです。

 企業はもちろん、いい人材にたくさん賃金を払って、そして生産性を上げて、やりたいと思いますよ、みんな。でも、それができないインセンティブが市場に働いているから、だからできないという現実がある。だから、企業が賃上げしやすい、企業のためにやっているようで労働者のためになる、そういう政策を私はやるべきだと思うんですね。

 つまり、企業の負担が重過ぎるんじゃないか、直接個人に国が支援してセーフティーネットをしいた方が労働市場が流動化するんじゃないかというのが、我が党、そして私の考え方なんですね。

 その上で、勤労者皆保険とか全世代型社会保障について質問したいと思います。

 全世代型社会保障検討会議が、年末、十二月十六日に報告書をまた出していただいています。そこに働き方に中立な社会保障、働き方に中立なというところから、もうここでは、私も何度も確認しましたが、雇用の在り方に中立な社会保障制度、つまり雇用形態に関係なく中立な社会保障をつくるというふうに質疑でもやりましたが、やっとここでも明言されました。はっきりしていいと思います。

 その上で、三つ出てくるのが、短時間労働者の被用者保険の適用、これは今、企業の規模要件があります。小さい企業は免除されていますね。これは早急に実現を図るべきというふうに提言されています。それから、個人事業主の非適用業種の解消、常時五人以上を使用する個人事業所、関係なく全部適用しましょうということですね。それから、週労働時間が二十時間未満の短時間労働者、全部適用しましょうと。

 そういう三つの方向性、企業要件は廃止、個人事業所、小規模でも関係なし、それから短時間の人も全部入れていきます、これをやるという方向でこの検討会議の報告は出ていますが、これは、企業、特に中小企業、頑張っても賃金を上げにくい環境にある中小企業は物すごい負担ですけれども、やるということでよろしいですか。

加藤国務大臣 一定の要件を満たす短時間の労働者に対しては、被用者にふさわしい保障の実現、社会保障の機能強化の観点から、平成二十八年十月から被用者保険の適用を拡大し、去年の十月からは従業員百人超、来年の十月からは従業員五十人超ということとしているところであります。

 この適用拡大に当たっては、まずは、今お話がありましたように、事業主にとっては社会保険料の負担が増加するということもございます。そういった意味で、被用者保険の適用に関する正確な情報、また、そのことを通じて企業にどういうメリットがあるのか、こういったことを分かりやすく説明し、理解を得ながら進めることが非常に大事だと考えております。

 令和二年の年金制度改正法による被用者保険の適用拡大の実施に当たっても、今申し上げた制度の周知、企業への専門家の派遣等の支援に加えて、中小企業事業主への助成などを通じて環境整備を行っているところであります。

 今後、今回の適用拡大による影響も検証しながら、同時に、関係者の理解を得つつ、更なる、先ほどお話があったような形での適用拡大に向けて取り組んでいきたいと考えております。

藤田委員 るる御説明いただきましたが、やるということで。いいと思うんです。何か事業があったら増税を検討する、そして、企業、中小企業の負担は増えていくという方針であるということを明確にしていただいたから、よかったんじゃないかなと思います。

 その上で、私は、やはり本丸は、働き方に中立な社会保障というのは、働いている人皆さん漏れ落ちることなくセーフティーネットを準備しましょうという入口の議論なんですよ。でも、そこにたどり着くまでに何年かかるんだろう、いや、多分たどり着かないんじゃないか、だから、考え方又は方針が間違っているんじゃないか、そういう論点で議論をしたいんですね。それは、フリーランスやギグワーカーについてのところです。

 ここに出てくるのが、労働者性が認められないフリーランス、ギグワーカーに関しては新しい類型を検討する、その上で被用者保険の適用を図ると書いてあるんです。労働者性が認められないのに被用者保険を適用するということなんですよ。これ、可能ですかね。

 実際、これは可能ですかという議論を、私、そんなことをやるんだと思ってびっくりして、一年ぐらいたって、早く概念を整理してくださいと言いまして、中間報告で、前回ではないですよ、前々回の中間報告で、何か中途半端な、また検討しますみたいな文言が出てきて、今回は、労働者性が認められない人に被用者保険を適用すると書いてあるんですよ。これは意味不明なんですけれども、実際に考え方の整理は進んでいるんですか。いかがですか。

加藤国務大臣 今お話がありましたように、昨年の十二月に取りまとめた全世代型社会保障構築会議の報告書で、まずは、現行の労働基準法上の労働者に該当する方々については、その適用が確実になるよう、必要な対応を早急に講ずる、他方、労働者性が認められないフリーランス、ギグワーカーに関しては、働く方々の実態や諸外国の例なども参考としつつ、引き続き検討を深めるべきとされたところであります。

 こうした指摘を踏まえて、フリーランス、ギグワーカーについては、その被用者性の捉え方などの検討を深め、必要な整理を行い、社会保険の適用の在り方について議論を着実に進めていきたいと考えております。

藤田委員 諸外国の例を見ながらこれから検討すると言って、また今日御答弁いただいたんですけれども、もう一年たちました。

 ここに簡単な方の事例が書いてあるんですよ。労働者性が認められる人はちゃんと認めて、適用拡大しましょうねということが書いてあるんですね。その上で、認められない人はどうするか検討しますというふうな書き方なんですよ。

 労働者性を認めるかどうかというのは、もうかなりたくさんの判例が積み上がっていて、例えば、フリーランスとか業務委託でも、半ば社員のような指揮命令系統にあり、ほとんどの収入をその会社から得ているような労働者性のある人というのは、既にもう判例が積み上がっていて、労働者性が認められて、適用しなさい、社会保険も入れてあげなさい、社員扱いしなさいというのは、これは当たり前なんですよ。それを改めて書いてあるんだけれども。本丸は、労働者性が認められない人。つまり、多様な働き方がこれから進んでいくわけです。それを一つ一つ、労働者性があるかないかを認めるかどうかということを検討していくという不毛なことをやろうとしていて、私はそれは反対なんですね。

 それをなぜ言っているかというと、一番最初の話に戻るんですけれども、それをやり出すと、賃上げ、マイナスになりますよ。企業の肩の荷を下ろしてシンプルにしないと、そして労働移動がしっかり起こるようにしないと、全然賃上げインセンティブが働かないんですよ。間違った方針を出すと、労働市場がゆがむんです。そして、社会保障にも少子化にも影響するんです。

 だから、これを本当に危惧していて、一年、こんな簡単なことに結論が出せず、そもそもの目的は、漏れ落ちる人をなくす、働いている人皆さんにセーフティーネットを提供するという目的なのに、それが達成できるか分からない回り道をずっとしているというのに本当に私は危機感を覚えます。

 だから、私たちが提言しているように、企業中心の社会保障から個人にセーフティーネットを転換すべきだ。それが、税と組み合わせるならば、給付つき税額控除やベーシックインカムといったような、そういう発想に転換しないことには駄目なんだ。

 よく分かります。さっきの淘汰の話は、総理はやんわり否定していただきましたが、新しい資本主義を聞いておられる仲間の皆さんは、恐らく、さっき自民党の先生がおっしゃられたような雰囲気を感じておられるんだと思います。

 それはどういうことかというと、私たちは、企業の肩の荷は下ろして、その代わり個にセーフティーネットをしっかりと準備して競争政策をやりましょうという考え方で、それがチャレンジのためのセーフティーネット。でも、政府は、企業にどんどん負わせて、賃上げインセンティブも半ば妨げてしまっていて、でも、潰れそうになったら淘汰、淘汰はかわいそうだからできるだけしないでおこうねと、お茶を濁すわけです。これで経済成長できるのかなと。

 そして、そういうふうに来た三十年間じゃないんですか。さっきデータがありましたけれども、全然GDPが他国に比べて成長しない。チャレンジのために意識が向かないような、そういう経済構造になっているんじゃないですかということを本質的に問いたいんですね。

 その一つの事例として、違う話題で一つ聞きたいんですけれども、リスキリング、これは方針転換したのかなという文言が施政方針演説でありました。企業経由となっている在職者向けの支援を個人への直接支援中心に見直しますと。

 私、これは去年やりました。企業経由でどんどんいわゆるリスキリングをやると、自分のところで雇っている社員をリスキリングして、流動化でどんどん外に出ていってほしいと思う経営者はいません。だから、流動化を妨げるんですよ。でも、個人にやると別です。だから、政策目的を、流動化をちゃんとやりましょうというインセンティブを働かせるというんだったら、明確に個人にした方がいいと指摘させてもらいました。

 今回、それなのかなというような文言が出てきたんですが、これ、御見解をいただけますか。

後藤国務大臣 今、藤田委員からいろいろ御指摘がありまして、これまでの日本の雇用制度におきましては、新卒一括採用ということで、移動は、労働者の意向というよりも会社主導で決められていた。そういう中で、労働者のリスキリングを行うということのために、会社主導で決められた移動や、あるいは人事政策に従ってリスキリング、キャリア形成が行われてきたということだろうと思います。

 これに対しまして、新しい資本主義におきましては、構造的な賃上げを経済構造を変える中で進めていかなければならない、そういうことでございますので、職務に応じて、労働者本人の意向が尊重されて、例えば企業間や産業間の労働移動も含めて、労働者自らが職務やリスキリングの内容を選択していく制度に移行する必要がある。そのためには、現在、在職者向けの学び直しの政策の七五%が企業を通じたものであるものを、二五%の個人の直接支援の分をぐっと大きくしていく必要がある、そのことを述べているわけでございます。

 それから、一つ私聞いていて申し上げたいと思ったのは、新しい資本主義においては、事業の統廃合やMアンドAなどの企業再編も含めて、新陳代謝を進めていくということ、生産性や付加価値の向上を進めていくということは、これは重要なことだと思っています。そのために、いろいろな政策手段も講じていく。

 だから、今申し上げたことも含めて、先生がおっしゃっているような就業構造や経済構造全体を含めて改革的に取り組んでいく、そういう思考でございます。

藤田委員 今、後藤大臣から御説明いただいたリスキリングの考え方の方針転換ですか、これは、私、正しいと思います。企業を通じてやるよりも、個人に直接やる方が雇用の流動化に資する、これはそのとおりだと思うんですね。

 同じ考え方なんですよ、社会保障やセーフティーネットも。企業を通じてやるより、個人にターゲットを絞って個人のセーフティーネットを強化すべきで、そうすると新陳代謝が起こったり、又は、この二年間コロナで事業家も大変でした、労働者も大変でした。そういったときにセーフティーネットが、個につながるセーフティーネットを用意できている国家像になっていれば、社会システムになっていれば、困らなかったんですよ。でも、そうじゃないから企業を守り続けるしかなくて、そして新陳代謝が、危機的な状況は仕方ないけれども、危機を乗り越えた後も新陳代謝が起こらないという産業構造になっているというのが問題だというふうに思うんですね。

 そこから、少し労働市場の話で確認だけさせておいてもらいたいんですが、私、雇用問題の問題は労働市場の流動化であり、そして、それの中心的課題は正規、非正規の格差是正、これをやっていかないとというお話を前回もさせてもらいました。

 そこで総理にお願いしたのが、職能給とか労働移動とかいろいろな、助成金とかリスキリングとか言っていますけれども、最終結果目標をつくってほしいと。それは、正規、非正規の格差をどれぐらい是正するのか、正規労働者の労働移動をどの指標を見てどの程度まで持っていくのか、そして何年以内に、そして、労働市場全体での賃金水準はこうするべきなんだ、したいんだという結果目標に注目すべきであって、五年で一兆円とか、使うことの目標はもう要らないんですよ。まあ、それはあってもいいんだけれども。最終結果目標があって使う額が決まるということなんですけれども、これ、検討してKPIを示すというふうに言っていただきました。

 これは、いつまでに、どのKPIを示していただけるのか。これは、趣旨、答弁、継続かどうか、教えていただいていいですか。

後藤国務大臣 これまでも、非正規雇用労働者に占める不本意非正規雇用労働者の割合を低下させること、また、一般労働者の転職入職率を引き上げるなどのKPIの設定を進めてきました。更なるKPIについて、委員からの御指摘もありましたけれども、この六月に労働移動円滑化のための指針という指針を取りまとめることにしておりまして、そうした中において、いろいろな角度からKPIの設定を検討してまいりたいというふうに考えております。

藤田委員 ありがとうございます。

 これを受けて、ちょっと同じような議論をしたいんですけれども、少子化の現状です。

 少子化対策、異次元、次元の異なる、やるということは賛同します。その方向性の決め方。その方向性があって、様々な事業に様々な、例えば補助金とか、そういうものが入っていくんですよ。

 なので、私はこれは、まず現状把握を先にさせてもらった上で議題に入りたいんですが、出生数それから出生率というのは、もうこの三十年間、本当に下がり続けて上がってこない、反転しないという状況で、OECDの出生率の、三十八か国中、今三十五位なんですね。ずっと低位です。つまり、少子化対策というのは他国に比べても余りうまくいっていないという現実を受け止めるべきで、もっと言うならば、二〇〇七年に少子化対策担当大臣ができて、様々な事業をやってきました。でも、それから十五年たって、結果はこれです。結果は全然他国に比べて出ていないというのをまず受け止めた方がいいんです。

 その上で、私、一つこれは提案したいし考えてほしいなと思うのは、結局、少子化でいうと、いろいろな指標があるんですね。後で聞きますが、第四次少子化社会対策大綱の施策に関する数値目標の進捗状況というのが出てきて、様々な、例えば、認可保育所どうしますかとか、フリーターの数どうしますかとか、働き方の中で、男性の育児休業どうしますかとか、もっと言うと、マタニティーマークの認知度どうしますかとかということが指標を取られています。

 個別の事業の検証をするのは別に悪いことじゃないので、いいと思いますよ。いいと思うんだけれども、でも、これは中項目の目標ですよね。では、少子化対策はうまくいっているかうまくいっていないかといったときに、国際標準で見たら、出生率、出生数をやはり見られるわけですよ。

 少子化担当大臣、そこで、少子化担当大臣が設置されて十五年、少子化担当大臣の、又は異次元のとおっしゃられた総理の一番大切な、上位にある結果目標は何ですか。それをお答えいただけますか。

小倉国務大臣 お答えいたします。

 少子化対策の最大の目標は、結婚や子供を持つことについての希望をかなえることであると考えております。

 したがいまして、少子化社会対策大綱におきましては、少子化対策の基本的な目標として、希望出生率一・八の実現ということを掲げさせていただいております。

藤田委員 ありがとうございます。

 一・八を超えてくる、これはいつまでに、そして出生数はどういう状況ですか。

小倉国務大臣 議員御指摘の出生数そのものを目標にすることが適当であるか否かにつきましては、結婚や出産は個人の選択に関わる問題でありますことから、慎重な検討を要するのではないかと考えております。

 先日、私もスウェーデンに行ってまいりまして、担当官と意見交換をさせていただきました。彼らも、出生率は目標ではなく結果であるというふうに説明を受けておりまして、国際的にもこうした考え方が一般的ではあるというふうには伺っております。

藤田委員 これは賛否あって、私も、結果目標を示すということについての見解をこのタスクフォースがいろいろ整理をしていて、今おっしゃられたとおりであるんですが、結局、この少子化対策で、多分、総理がずっと演説でもおっしゃられているように、この人口動態が予見されている中で、これを反転させなければならないというわけなんですね。

 だから、私は、勇気を持って結果目標をばんと明示するということも一つありなんじゃないかなと思うんですね。それは、なぜならば、出生数や出生率に結果目標を置かないと、大項目を置かずに中項目の目標を頑張ると、結果、個別目標だけを追い求めて、予算をどう使うかという議論がずっと行政の中で行われるようになってくるんじゃないか。だから、結果をやはり出すということに政治はコミットしないといけないんじゃないか、こういう問題意識があります。

 それは労働市場のことも同じなんですね。労働市場もやはり、幾ら使うんだ、どこを強化するために幾らの予算を取るんだということに終始するのは、もうそろそろ終わりにすべきなんじゃないかなというふうに思うというのが私の意見です。

 その上で、さっき申し上げたような、異次元のというところでいうと、我々は、大阪でいうと、すごく財政的制約があるけれども、教育の無償化というのをとことん、全国で一番進んでいるぐらいやって、メッセージを出したいということをやってきました。そういう子育て政策、少子化対策を、是非総理にもやっていただきたいと思います。

 その上で、茂木幹事長からも、N分のN乗という話がございましたね。我々は、子供の数が増えれば増えるほど税が控除されるというN分のN乗方式、フランス型ですが、これについてはマニフェストにずっと掲げてきて、一つ有効な政策じゃないかというふうにお示ししてきたわけでありますが、このN分のN乗方式について御見解をいただけたらと思います。

鈴木国務大臣 N分のN乗方式についての見解ということでありますが、我が国の所得税制、これは、終戦後の家制度の廃止でありますとか、それから夫婦別産制とした家族制度の改正を背景といたしまして、個人単位課税とされて以降、課税単位としては個人単位を維持して今日に至っております。その上で、個人の所得に応じて異なる税率を適用する累進課税の仕組みを採用しております。

 したがいまして、世帯全体として同じ所得を稼得する場合におきましても、その世帯に属する個人ごとの所得に応じて個人ごとに異なる税率が適用されるようなときには、世帯全体として所得税額も異なることとなります。

 先生御指摘のいわゆるN分のN乗方式は、現在の個人単位課税を、世帯単位の所得に対して課税する世帯単位課税に改めるものであることに加えまして、世帯の所得に応じて適用される税率が平均化されるために、現行制度からN分のN乗方式に移行した場合には、共稼ぎ世帯に比べまして片働き世帯が有利になること、また、高額所得者に税制上大きな利益を与えることなど、いろいろと課題があると承知をしています。

藤田委員 いろいろ課題があるとおっしゃっていただきましたが、これは私は有効な政策の一つなんじゃないかなと思います。

 所得制限のところ、ちょっと一個飛ばしていたんですけれども、今回、児童手当、所得制限をなくしましょうという話がありました。

 我々も、政策思想を整理すると、給付においては、政策目的が明確であれば所得制限は要らないというふうに思うんです、全てにおいて。なぜならば、所得制限を児童手当に付与しているということは、高額所得の人が一つの再分配機能として得し過ぎてしまうからという、そういうロジックも一つ働いていて、つまり、逆を返せば、再分配の仕組みというのがそもそもちゃんとワークしていたら、個別政策の所得制限というのは要らないというふうな整理になるんですね。

 給付の所得制限を私たちは全廃すべきで、それを基に、さっき申し上げたように、セーフティーネットの在り方を整理して、税制で再分配をもう一度ちゃんと整えていく、税と社会保障、そして労働市場の一体改革をやるべきだというふうに思うんですが、所得制限の今申し上げた考え方について、御見解があればいただけますか。

小倉国務大臣 現在の所得制限がある児童手当については、御案内のとおり、平成二十三年の三党合意におきまして、所得制限だけではなくて、〇―三歳児のところですとか三歳児以降のところの給付額の引上げと同時になされたものと承知をしております。

 他方で、児童手当については、見直しが行われましてから十年が経過をしまして、さらに、少子化が進展するなど社会経済情勢が大きく変化をすると同時に、これまで取り組んできた政策強化の方向性から、今後重点的、抜本的に取り組むべき子育て支援政策の内容も変化をしているところであります。

 そういった中で、先般、総理から、児童手当を中心とした経済的な支援について御指示をいただいたところでございます。

 その取りまとめに当たりましては、社会全体の意識を変えて、子供、子育てを応援するものとなるよう、個別の政策ではなく、ライフステージを通じた政策のパッケージを示す必要があると考えております。

 今後幅広く議論を進めていきますことから、現時点では個別の政策の是非を述べる段階にはないと考えておりますが、こうした様々な意見に耳を傾けながら、三月末を目途として、子供、子育て政策として充実する内容を具体化をしてまいりたいというふうに考えております。

藤田委員 ありがとうございます。

 ちょっと、最後、一問だけ総理に、端的に。

 憲法改正、これを任期中にやると。これは発議から六十日から百八十日必要なので、スケジュールを決めないとというのを私たちはずっと言ってきました。この具体的なスケジュールを決めるべきだ、そして、それに当たっては項目を決めていかないといけないんですけれども、スケジュールを決めるべきだという我々の意見に対して、一言、見解を最後にいただけますか。

岸田内閣総理大臣 私自身、自民党の総裁選挙を通じて、任期中に憲法改正を実現したいと申し上げてきました。憲法改正、先送りできない課題である、こうした考え方にいささかも変わりはありません。

 そして、スケジュールを決めることについてどうかということですが、私の立場、内閣総理大臣の立場から憲法改正の進め方や内容について具体的に申し上げるのは控えなければならないと申し上げてきました。幸い、国会での議論、さきの臨時国会においても、憲法審査会において活発な議論が行われてきました。是非、この初の発議に向けて、国会での議論の中でそのスケジュール感も共有しながら前に進めてもらう、こうした前向きな取組は期待したいと思っております。

藤田委員 総裁の任期中にということは、スケジュールを決めないと絶対無理ですから。まあ、言葉は選んでいただきましたが、賛同しているというようなニュアンスと私は受け取りました。

 ありがとうございます。

根本委員長 これにて青柳君、小野君、岩谷君、藤田君の質疑は終了いたしました。

 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。

 本日は、四十六分間という時間をいただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、私、大きく三つのテーマを準備させていただきました。一つは所得制限、今も議論がありましたが、所得制限撤廃に関する議論、そしてもう一つは、現在本当に国民の皆様が困っている電気代高騰対策、そして最後は賃上げということで、まずは所得制限から入りたいというふうに思います。

 我々国民民主党、所得制限撤廃に向けた問題提起は、今から六年前の二〇一七年の臨時国会で、当時の矢田わか子参議院議員が問題を提起したところから活動をスタートしております、もう実に六年目に入っておりますが。その後、二〇二一年の衆議院選挙公約、そして二二年の参議院選挙公約でも、この所得制限の撤廃を訴えてまいりました。昨年末には小倉大臣にも、時間を取っていただきまして、この所得制限撤廃の必要性について申入れを行わせていただいたところでございます。

 また、本日になりますが、本日の午前中に、こどもに係る公的給付の所得制限の撤廃に係る施策の推進法案、そして、障害のあるこどもに係る公的給付の所得制限撤廃法案というものを提出をさせていただきました。また、給付に対する非課税措置の法案も併せて提出をさせていただいておりますので、これは今日は取り扱いませんが、是非、後ほど御覧いただきたいというふうに思います。

 そして、一月二十五日、先週の衆議院本会議で、自民党の茂木幹事長、また、翌二十六日には公明党の石井幹事長が所得制限撤廃を政府に求めた、これは大変我々も歓迎をしております。

 まず最初の質問ですが、児童手当に係る所得制限について、与党が求められましたけれども、先日の代表質問で与党二党の幹事長から撤廃の声が上がったことは我々としても歓迎しております。与党側からこのような要請が上がったことの重みを総理はどのように受け止めているのか、また、小倉大臣にも同様に受け止めを伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 平成二十四年に児童手当の見直しが行われてから十年たつわけですが、その十年の間に経済社会は大きく変化をいたしました。

 そして、子供、子育て政策ということに関しましても、待機児童対策がこの中心であった時代から、おっしゃるように、様々な経済的な支援を求める声が強まってきている。

 こうした政策に対する評価やニーズも変わってきている、こうした中で、今、児童手当の所得制限撤廃について、与党を始め多くの関係者から声が出ている、こうした状況が現在の状況であると認識をしています。

 そして、今、政府としては、子供、子育て政策の具体化に向けて今取り組んでいるわけですから、こうした時代の変化と、そして、今与野党を通じて出てきている様々な声にしっかりと向き合いながら、政府としての方針を具体化していかなければならない、こうしたことであると思っています。

 これからこの具体化を進めようとしているときに、今結論を申し上げるわけにはいきませんが、こうした時代の変化とこうした多くの声について、政府として大きな関心を持って、注視した上で、政府の方針を決定していきたいと考えます。

小倉国務大臣 お答えいたします。

 先ほど総理が答弁申し上げましたとおり、平成二十四年に児童手当が今の制度になってから、様々な環境の変化があったと思います。この間、保育所の整備ですとか、幼児教育、保育の無償化、様々な現物給付の充実が図られる中で、現物給付と現金給付のバランス、これをどう考えるべきかという、新たなそういう問題意識もこの十年の間に浮上してきたのではないかというふうに考えております。

 そういった環境の変化を捉まえまして、児童手当を中心とした経済的な支援の強化を三本柱のうちの一つとして検討せよというような今総理の指示をいただいております。

 その取りまとめに当たりましては、先ほども申し上げたように、個別の施策ではなくて、ライフステージを通じた施策のパッケージをお示しをする必要があると思っております。

 浅野委員にも内閣委員会におきまして度々御質問いただいて、御意見を伺っております。御党からも提言をいただいたところでありますが、今後、私の、関係府省会議の下で、有識者のヒアリングも含めて幅広く議論を進めていきますことから、現時点では個別の施策の是非を述べる段階にはないというふうに考えております。

 ただ、今後も様々な意見に耳を傾けながら、三月末を目途として、子供、子育て施策として充実する内容を具体化をしてまいりたいというふうに思っております。

    〔委員長退席、牧原委員長代理着席〕

浅野委員 お二人ともありがとうございました。

 もちろん、今日はこの予算委員会の最初の質疑の機会ですから、今日結論を伺おうというつもりはございません。ただ、今後のこの予算委員会での議論であったり、あるいは各委員会での議論に備えて、基本的な考え方を今日確認させていただければというふうに思いますし、やはり、私は、重みをどう認識するかというふうに質問させていただきました。その意図は、今、時代の変化、あるいはニーズの変化、情勢認識、政府内でも変わっているということを聞かせていただきました。

 それと同時に、先週の与党各幹事長からの発言によって、日本全国でこの所得制限撤廃を求める子育て中の皆様からの期待も一気に膨らんでいる状況だという、この国民の注目あるいは希望といったものが今膨らんでいること、これが本当の重みだと思います。

 是非、この国民の期待の重さを十分御認識いただいて、今後の政府内での検討、そして国会議論にも当たっていただきたいということをまずお願いをさせていただきたいと思います。

 そして、今日、児童手当はここまでですが、子供、子育て、教育に関する所得制限というのは児童手当ばかりではありません。それ以外にも、幼児教育の無償化、高校の無償化、大学の無償化、そして奨学金、また障害児に対する支援など、幅広い分野でそれぞれ所得制限制度というのが設けられておりまして、今日はその中でも特に、貸与型奨学金に係る所得制限の是非、そして障害児を持つ御家庭に対する所得制限の是非について、この二点について議論を深めてまいりたいと思っております。

 その前になんですが、ちょっと、先ほど維新の藤田幹事長も、N分のN乗方式について質疑をされておりました。私も同じ質問を準備していたんですが、せっかくですので、N分のN乗という制度がどういう制度なのか、簡単に御説明してから質問に入りたいと思います。

 パネルを準備いたしました。

 こちらは、ごく簡単に、片働きで年収千二百万円の御家庭の例と、共働きで、夫が九百万円、妻が三百万円という収入を得ている御家庭をモデルケースにして、どのくらいの所得税が取られているのかというのを分かりやすく表にしたものになります。

 片働きの御家庭については、年収は千二百万円なんですが、課税所得は七百六十二万円、そして、これに対する適用税率は二三%になりますから、所得税額は百十二万円ということになります。

 一方、共働きの御家庭の場合は、こちらに書いてありますように、それぞれ適用税率が二〇%と五%というふうに分かれておりまして、合計の所得税額は六十六万円というようになります。

 ですから、高所得者、そして片働きの御家庭の方が納税額は多く、N分のN乗方式を適用した場合に、下がる幅が大きいということなんですね。

 まず、今日伺いたいのは、先日、総理は、先ほど財務大臣もそのように答弁されていましたが、共働き世帯に比べて片働き世帯が有利になること、あるいは、高額所得者に税制上大きな利益を与えることになることから、課題が多いという答弁をされていました。私は、そこは見解の相違なんですが、共働きかそうでないかによって、その世帯の税負担が変わる方が不公平だという立場を取っています。

 ですので、改めて、どのような点で有利になるというふうにおっしゃったのか、より具体的な説明を求めたいと思います。

    〔牧原委員長代理退席、委員長着席〕

岸田内閣総理大臣 どういった場合に有利になるのかということですが、そもそも、我が国の所得税制、これは個人単位の所得に応じて異なる限界税率を適用する、こういった仕組みを採用しています。よって、個人で見ますと、同じ課税所得を得ている場合には、共働き世帯と片働き世帯とで適用される税率は変わらないということになるわけですが、一方、世帯で見た場合、世帯全体で同じ課税所得を得ている場合でも、共働き世帯と片働き世帯、個人ごとに適用される税率が異なるとき、世帯全体の所得税率は変わるということです。

 委員がお示しいただきました資料を見ますと、これは、年収、片働きと共働きとN分N乗がありますが、個人単位で異なる限界税率を適用する、要するに、所得が高くなると課せられる税金は多くなるわけですから、片働きの場合、千二百万の収入を得ている、共働きの場合、九百万と三百万ですから、より所得の高い片働きの方に対する課税が高くなる可能性が高くなるわけです。

 そして、N分N乗ということになりますと、片働きとN分N乗、これは変わらないわけですが、共働きは夫の所得、高い方が九百万ですから、税率は下がるということになります。

 そういった意味で、共働きより片働きの方の税負担、これが、N分N乗にした場合、負担の軽減が大きいということを申し上げた、こうしたことです。

 いずれにせよ、基本的に、税の負担の軽減が高額所得者により及ぶということになりますので、このN分N乗という方式を考えた場合に今言った現象が生じてしまうという意味で、先ほども財務大臣から同様の評価を申し上げた、そうした課題があるということについて指摘をさせていただいた、こうしたことであると認識をしております。

浅野委員 いま一度このパネルを見ていただきたいんですけれども、今総理が説明したとおりなんですが、片働きは現時点で、このケースだと百十二万円納税をしています。それに対して、N分N乗に切り替えた場合には四十八万円になりますので、マイナス六十四万円なんですね、納税額が六十四万円分減るということになります。共働きの場合は六十六万円から四十八万円に減りますから、マイナス十八万ということで、おっしゃるとおり、減り幅は片働きの方が大きいわけです。ですから有利だとおっしゃったんですが。

 私は、改めて、日本の我々の、給与をいただいてそれを生活に充てる場合、家族の単位でやはり管理をします、一つの生計共同体というのが家族だというのが日本の一般的な形であろうかと思いますから、ですから、個人で納税額を決めるという日本の税制のこれまでの在り方なんですけれども、ここもまた考え方の転換をすべきじゃないかというのが我々の考えになります。

 もう一つ。片働きの方が減税幅が大きいからこれは不公平だというのは、今の状態を起点にして考えるからであって、片働きでも共働きでも、同じ家族構成で同じ年収であれば同じ納税額でいいじゃないか、これこそが公平じゃないか、こういう考え方に立てば、これがまさに国民目線の考え方だと思っております。

 ですから、先ほど財務大臣からも、このN分N乗方式は課題が多いというふうに答弁もありましたけれども、これは、まだまだ国会で議論すべき、国民世論の声をいただきながら、我々がしっかりとこれからの税制の在り方を議論すべき一つのテーマだと思いますので、是非この問題意識は今日共有をさせていただきたいというふうに思っております。

 続いて、ここから所得制限の話に入っていきますが、まず総理の基本認識を伺いたいと思います。

 子どもの権利条約というものがありますけれども、パネルの二番を御覧いただきたいと思います。こちらにありますように、子どもの権利条約には四つの原則がございます。

 一つは、命を守られ成長できること。そして二つ目は、子供にとって最もよい選択、最善の利益を提供されること。そして三つ目が、子供の意見の尊重、意見を表明し参加できること。そして四つ目、差別の禁止。ここを少しフォーカスをしていきたいんですが、赤字で書いてありますように、全ての子供は、子供自身や親の人種や国籍、性、意見、障害、経済状況などどんな理由でも差別されず、条約の定める全ての権利が保障される。

 こういったことが、子ども権利条約の四原則になっています。そして、我が国は一九九四年にこの条約を批准しております。

 この条約にある四つ目の原則、親の経済状況で子供を差別しないという概念が意味するところについて、総理の見解を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

岸田内閣総理大臣 まず、子どもの権利条約、四つの原則をお示しいただきました。

 四番目の原則に対する理解ということですが、おっしゃるように、条約の第二条の第一に、御指摘がありますように、人種や国籍、性、意見、障害、さらには財産、こうしたものにかかわらず、差別なしに同条約に定める権利を尊重し確保する旨、これが規定されております。

 一方、児童の権利条約第二十六条第一に、自国の国内法に従い、この権利の完全な実現を達成するために必要な措置を取ることを規定するとともに、同条第二において、資力及び事情並びに児童によって又は児童に代わって行われる給付の申請に関する他の全ての事項を考慮して、与えられるものとする。

 これらの規定は、個別の児童が置かれた状況を考慮して必要な措置を取ると定めているものであり、我が国の御指摘の様々な所得制限等の措置、これについては、今御指摘をした点も含めて、この条約が定める義務を誠実に履行してきているものであると認識をしております。

浅野委員 我々は、やはりそこをもう一歩踏み込むべきだという立場を取っています。

 やはり、現場からいただいた声をこれから御紹介もいたしますけれども、現に今、親の経済力によって、様々な支援を受けられずに将来の選択肢を狭められてしまっている子供であったり、あるいは、日々生きることに対するハードルがより高くなってしまっている子供たち、その親御さんがいらっしゃいますので、この先は具体的な話をしてまいりたいと思います。

 最初のテーマは、貸与型奨学金に関する所得制限についてであります。

 昨年十一月十六日の内閣委員会で、私、貸与型奨学金について世帯年収で利用制限が設けられていることについて質問をさせていただきました。そのとき、政府からは、学生は定職に就いておらず、学費は親が負担していることが多いので、親の所得を基準としているんだという答弁があったんですね。

 ただ、親の所得が一定程度を超えれば、じゃ、不自由なく進学できるのか、奨学金がなくても学校に通えるのか、そういうことかというと、そうではない。

 実際に現場からいただいた声を二つだけ紹介をさせていただきます。具体例です。

 まず、一方目は、三人のお子さんを持つお父さんで、今、所得制限で子供たちが奨学金を借りられない状況の方であります。

 所得制限にかかりそうなのは、遅く子供ができたからです。ほかの同僚と生涯年収では変わらないのに、理不尽だと思います。博士課程まで出て、就職と結婚が遅くなったことも関係しています。進学したこと自体を後悔しそうです。所得制限は、仕事やキャリアアップに頑張る親に不利に働き、勤労意欲のみならず進学意欲までそぐものではないでしょうか。これが一人目の御意見です。

 もう一方、子供が三人いる御家庭です。

 上の子は現在大学受験を頑張っていますが、受験校を決めるときに、奨学金が借りられず、かなり進路の幅が狭まることに愕然としました。まず私立は無理で、国公立でも遠方の大学は無理。格安の寮にも所得制限で入れません。結局、近くの国公立しか選択肢に残りませんでした。親の年収が少し高いだけで子供の進路が自由に選べないなんておかしい。学びたい意欲のある子供には、貸与型奨学金ぐらい所得制限なしで貸してほしいです。これは返ってくるお金です。こういった御意見をいただきました。

 このように、所得制限基準を超えている世帯でも、実際には、多くの経済的制約の中で困っている学生とその親御さんたちがいらっしゃいます。

 そもそも、政府が現行の奨学金制度で想定している奨学金で支援すべき学生というものがどのような学生になるのか、この支援対象となる学生のイメージについて、まず伺いたいと思います。

 また、奨学金制度の制定時から時代は変わり、学ぶ意欲のある子供の多様な環境あるいはニーズに対応するために、個別に申請承認を行う方法は取れないのか。

 これについて、政府の答弁を求めたいと思います。

永岡国務大臣 浅野委員にお答え申し上げます。

 これまで文部科学省では、意欲と能力のある学生が経済的な理由により進学、修学を断念することがないよう、奨学金がなければ進学等が困難な低所得世帯の学生に対する支援を中心に、奨学金制度の充実に取り組んでまいりました。

 一方で、有利子奨学金につきましては、世帯年収が一千万を超えても貸与を受けることが可能であります。これは大部分の世帯が対象となっております。

 御指摘のように、世帯年収が基準を超えるような学生につきましても、個別に審査をすることで貸与を可能にすることは、やはり、財源や、数十万人規模の審査を個別に行う困難さから、慎重な検討が必要と考えております。

浅野委員 例えば、今御紹介した御家庭も含めて、特に今、コロナ禍になりましてから、将来お医者さんになりたいとか医療従事者になりたいというお子さんが増えているというふうに聞いています。医学部に進みたいといったときに、本当に今、学費、高いですよね。年収が千二百万あったとしても、子供が二人、三人いたら、その将来お医者さんになりたいという子供は、公立でしか選べないということに本当になっているんです。

 ですから、個別の事情を勘案するという努力は、是非、是非、文科大臣、今の答弁で、難しい、慎重に検討しなきゃいけないとおっしゃいましたけれども、これは政府の責任で、この国の将来のために頑張らなきゃいけないところだと思います。

 国民の皆さんは今頑張っているんです。国公立に受かろうと思って、勉強して、頑張っているんですが、それでも、かなりのプレッシャーですよ、国公立しか行けません、これに落ちたら、あなたの行きたい学校には行けません、あなたの進みたい道には進めないんだ、こういう状況になっていますから、ここは、もう本当に、役人の皆さん、霞が関にいる皆さん、総力を挙げて、この個別の事情に対応できる力を政府にはつけていただきたい。それは是非お願いしたいと思います。

 続いて、もう少し視点を変えて、この貸与型奨学金の問題については伺いたいんですが、民法の改正というのが先般ございました。十八歳成年制度というのがもう既に施行されておりますが、十八歳成年となったことによりまして、十八歳を過ぎれば、賃貸やローンなどの契約行為も本人が可能となっています。

 そして、以前も私、御指摘をしているんですが、奨学金は、あくまでも学生本人の名義で借りて、将来その学生が働きながら返すものであって、親が返済を肩代わりするような事例というのは極めて少数派だというふうに認識をしております。であれば、十八歳の子供でも、奨学金を借りて、契約をする自由があるんじゃないか。

 更に言うと、教育基本法第四条第三項というのがございます。これは資料の三番を見ていただきたいんですが。これはパネルは準備していないので読み上げますが、「国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学が困難な者に対して、奨学の措置を講じなければならない。」教育基本法第四条三項に明記がされています。今の貸与型奨学金の運用は、この法律に照らして、合法と言えるのでしょうか。

 この二点について、答弁をいただきたいと思います。

永岡国務大臣 浅野委員にお答えいたします。

 高校卒業後、高等教育機関に入学した学生は、定職に就いている方というのはほとんどいらっしゃいません。そして、学費については親が負担をしている場合が多いことから、日本学生支援機構の奨学金貸与に係る家計基準について、原則父母の年収で審査をすることは、十八歳が成年となった場合でも合理性を失っているということは考えておりません。

 また、独立行政法人の日本学生支援機構法第三条におきまして、教育の機会均等に寄与することを機構の目的としておりまして、経済的理由によりまして修学に困難がある優れた学生等に対しまして実施している貸与型の奨学金は、教育基本法第四条第三項と整合性があるものと考えております。

浅野委員 今のは、もう本当にこれまで何回も聞いた答弁ですけれども、何か振出しに戻っちゃった感じがしますね。

 やはり、親が払うからいいでしょうというその理屈は、その理屈でこれまで来ているから、先ほど御紹介したような困っている世帯が生まれているということだと思うんですね。

 ですから、今回、所得制限撤廃の議論を、児童手当について、いろいろな党が提案をしておりますし、その声を受けて、政府内でも検討するということをおっしゃっていますので、まず、貸与型奨学金の所得制限撤廃は、やはり私や我々から考えたときに、教育基本法の理念、あるいは子どもの権利条約の理念、あるいは民法改正内容との整合性、そして何より、まず現場に、まさに今、教育の機会を得られずに苦しんでいる子供とその親御さんがいるという厳然たる事実があるわけです。

 ですから、是非このことを重く認識をいただいて、今後の検討においては、是非、是非前進をさせていただきたいということを今日は申し上げたいというふうに思います。

 時間の関係もありますので、次の障害児支援の所得制限にテーマを移したいと思います。

 こちらも、当事者の方々から少し声をいただきましたので、紹介させていただきます。

 まず一人目の方ですが、発達障害のある小学生を育てており、所得制限を受けています、放課後等デイサービスの上限額が高額なので、今、利用回数を控えていますと。また別の方、これは補装具の御利用をされている方だそうですが、車椅子や座位保持装置はぜいたく品ではなく体の一部です、補装具の全額負担は当事者を必要以上に大変苦しめていますと。これは体の一部だということですね。生きていく上では必ず必要なものだというお訴えです。そしてもう一方、そういった当事者の方から見ますと、これから子供を産む若い人たちに、もし子供に重い障害があっても、大丈夫、何とかなるよと言ってあげられません、手当てがあれば、今後子供を持つ世代にとっても安心して子供を産める環境になると思いますと。

 先ほど小倉大臣が答弁の中で言っていました、少子化対策の趣旨は、結婚や出産に希望を持てる環境をつくることだと。まさにその目的に必要な施策なんじゃないかなというふうに思います。

 最後です。

 補装具給付の予算、今、百五十四億円程度ですけれども、所得制限にひっかかって支給対象から外れている方々のボリュームを考えても、その一割と考えても、多めに見積もって二割と考えても、三十億円あれば所得制限の撤廃が補装具給付についてはできるはずだと。所得制限の対象になっているか、所得制限にひっかかっているかひっかかっていないかで、子供が使う車椅子だとか義足だとか、それを、友達は所得制限にひっかからないから新しいものをどんどん買っているけれども、使っているけれども、うちの子には使わせてあげられない。自分の手で修理をしたり、自分の手で組み立てているものを使わせている親御さんもいるというふうに聞きました。

 やはり、この補装具を始め、障害児支援に係る所得制限は是非とも撤廃していただきたいと思うんですけれども、繰り返すように、ここでは、やるやらないの答弁は求めません。是非、今後の政府内の検討において、特にこの障害児支援については、所得制限の撤廃を本気で実現に向けて考えていただきたいと思いますが、答弁を求めたいと思います。

岸田内閣総理大臣 障害児支援に関する福祉サービスの利用に際して、利用者に一定程度その費用を御負担いただいている、これが現状です。そして、その利用者負担については、所得に応じた負担限度額を設定し、その負担が過剰なものとならないこととしている、さらには、令和元年十月以降は、三歳から五歳の障害児に係るサービスの利用者負担を所得にかかわらず無償化するなど、こうしたきめ細かい配慮、これをしている、これが現状の取組であります。

 そして、委員の方から補装具について御提案がありました。こうした御提案も含めて、今後、こうした障害のある方の家庭に対する支援という観点から何ができるのか、政府として考えていきたいと思います。

浅野委員 補装具については、先ほど申し上げたように、数十億という規模で所得制限の撤廃ができる余地があると思います。是非そこは具体的に検証していただいて、実現に向けて取り組んでいただきたいですし、やはり総理、聞く力というのを以前からおっしゃっていますけれども、この当事者の声、是非聞く機会をつくっていただきたいということを求めたいと思います。

 続いてのテーマですけれども、所得制限の撤廃の話から次のテーマに移ります。小学校休業等対応助成金について質問させていただきたいと思います。

 間もなくコロナが五類に移行するという議論もございますが、それと併せて、厚生労働省では、小学校休業等対応助成金・支援金について、三月末で終了する方針を決めました。

 現在、その後継の制度として新しい制度が検討されているというふうにあるんですけれども、具体的にはどのような制度内容を想定しているのか、そして、なぜ現行制度の延長では駄目なのか、これについて厚労大臣の答弁を求めたいと思います。

加藤国務大臣 今年の四月以降運用する予定の両立支援等助成金、新型コロナウイルス感染症対応特例と申しますけれども、これは、小学校の臨時休業等に伴い子供の世話を行う必要がある労働者が特別の有給休暇を取得できる制度を就業規則等に規定をするということと、あわせて、その場合でもできる限り勤務できるよう、短時間勤務制度やフレックスタイム制度など仕事と家庭の両立を支援する仕組みについての社内周知を行った上で、労働者が特別の有給休暇を取得した場合に、一人当たり十万円、一企業につき十人までの休暇を対象に助成しようとするものであります。

 現行の、今の小学校休業等対応助成金、これは、元々スタートは、政府が、全国で一斉の学校休業、これを端緒として、子供の世話を行うために所得が減少する労働者を企業を通じて支援しようということでつくらせていただいたわけでありますが、今後は、小学校が臨時休業等した場合などの対応として、企業が職場の事情において、できる限り、先ほど申し上げたような勤務を続けられる制度を取り入れつつ、必要な場合には特別の有給休暇制度により、安心して仕事と家庭の両立を図る、こういった仕組みを中にビルトインしていただきたい。そういった意味で、その制度を新たに模様替えさせていただくということであります。

 この新しい助成制度に対して、必要な方への支援が行き届くよう、具体的な制度設計、これから進めてまいりますが、いろいろ工夫をしていきたいと考えています。

浅野委員 柔軟な働き方ができるような制度を各企業にビルトインしていただくことを要件としている点は、私は合理性があると思います。

 ただ、一点懸念があります。そういったフレキシブルな働き方をできる制度をビルトインしない企業に勤める方々が、従業員が、今後、お子さんがコロナに感染してしまったり、あるいは家族が感染して看護しなければいけなかった場合に、使える制度になっているのかどうかなんです。企業の施策、柔軟な働き方をその企業が取り入れれば、この制度の対象になるというふうに聞こえたんですけれども、万が一、その制度をビルトインしない企業が現れた場合に、そこに勤める従業員をどう守るのか。

 この点について、大臣の御所見を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 まさに今回の制度、先ほど申し上げたように、全国一斉の臨時休業ということを契機にスタートした中で、いわば臨時的な措置として講じ、やはりこれから考えると、今申し上げたような、いろいろな形で働き続ける、こうした仕組みをビルトインすることが必要だということで、今、変更させていただいたところであります。

 今後、今回は新型コロナへの対応ということでありますが、別にそれに限るわけではありません、そういう事態は。したがって、男女共に安心して仕事と家庭を両立できる環境を整備していくということが大事なことでありますので、現在、そうした問題についても有識者による研究会で現状分析、論点整理を行っているところでありますので、今後の仕事と育児の両立に関する制度の在り方、これを含めて検討をしていかなければならないと思っています。

浅野委員 ありがとうございました。

 是非、今後、この点についても、国会での充実した議論に政府としてもお答えをいただきたいと思います。

 続いてなんですが、子育ての中でよく話題にも出てきますが、男性の育休取得向上策について一問質問させていただきたいと思います。

 これは提案も兼ねていますので、是非、大臣の御見解もいただきたいと思っているんですが、育休制度が整備されている職場に勤める男性が育児休暇を取得しない理由の第一位は、給料を減らしたくないというふうに調査結果が出ております。厚生労働省の調査結果になります。

 男性の育休取得は、出産直後の母親の育児負担の軽減やレスパイト、ひいては子供を産み育てやすい環境整備に貢献をすると思っております。

 こうした育休取得率が増えてはいるんだけれどもなかなか増えにくい環境、状況の改善に向けて、私は、今回、賃上げ税制のスキームが、経産省が準備しているものとしてあると思うんですが、これを是非活用することを提案したいと思います。

 具体的には、育休期間中の方には賃金の六七%に相当する育児休業給付金が給付されますが、そこに企業側が一三%分、六七足す一三で八割ぐらいまでいくわけですけれども、この一三%分の上乗せ支給を企業が行うと、この支給した賃金については賃上げ税制にカウントできる、賃上げ税制のスキームで賃上げ相当分にカウントできるというふうに認識をしております。

 何で八割なのかというと、これを超えてしまうと、今度は育児休業給付金の部分が八割を超えた分減っていってしまうので、相殺してしまうんですね。ですから、幾ら頑張って企業が給付額を増やしたとしても、給付金の方が減っていってしまいますので、最終的に収れんするのは八割程度までが限界なんだそうです。

 ただ、給料が減ってしまうから育休が取れないんだと言っている状況を鑑みますと、この賃上げ税制のスキームを活用して企業が育休中の従業員に対して賃金の上乗せをすることで、企業側も税制控除を受けられる、そして従業員も育休を取りやすい環境になるということで、是非、この賃上げ税制のスキームを育休の促進に活用すべきではないかと思っております。

 まず、これが成立するのかどうかを、参考人、政府に確認をさせていただいた上で、加藤厚労大臣の御見解を伺いたいと思います。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 賃上げ税制につきましては、令和四年度税制改正において抜本拡充を行っております。

 大企業向けは、継続雇用者の給与が前年度比三%以上増加した場合に増加額の一五%を法人税額から控除、高い水準の賃上げや教育訓練費の増加などの上乗せ要件を満たした場合には最大で三〇%の控除を行います。

 中小企業向けは、雇用者全体の給与が前年度比一・五%増加した場合に増加額の一五%を法人税額等から控除、さらに、上乗せ要件を満たした場合には最大で四〇%の控除が行われます。

 従業員の育休期間中に企業から支払われた手当につきましては、一般的には税額控除の計算対象となる給与に含まれます。

 したがいまして、例えば、御指摘があった、企業が育休取得者に対して新たに手当を支給することで前年度と比べて給与が増加し税制の適用要件を満たした場合には、こうした手当を含む給与の支給増加額に対して一五%等の税額控除を受けることはできます。

加藤国務大臣 育児休業の取得、特に男性労働者において低い、特に、希望する方にいかに取ってもらえるようにするか、これは大変重要な視点だと思います。

 厚労省でも、育児・介護休業法の改正で、いわゆる産後パパ育休を去年の十月から導入をしたり、その周知に取り組んでいるところであります。

 今、経産省から答弁がありました、従業員の育児期間中に企業が支払った手当等が賃上げ促進税制による税額控除の計算対象となり得る、こういったこととか、あるいは、私どももいろいろと、両立支援等助成金など、男性の育児休業取得を促進するための支援制度もございますので、こういったものはしっかりと厚労省としてもその周知を図って、それぞれの企業で活用していただくように努力をしていきたいと考えています。

浅野委員 是非よろしくお願いいたします。

 残り時間が僅かとなりましたので、次のテーマに移ります。電気代の高騰対策です。

 パネルをまず御覧いただきたいんですけれども、今日の質疑の中でも、電気代の電力各社の今年春からの値上げ幅が議論されておりました。こちらにも一覧を用意しております。

 まず、今日伺いたいのは、電力会社七社が規制料金の値上げを申請しておりますが、この水準については、平均的な負担増が二割程度というふうに政府は言っているんですけれども、やはり、実際には二割を大きく超える値上げ幅となる地域もございます。そして、値上げを申請していない地域も含めて平均値を出していますので、値上げをしない地域では現状よりも値引き分が生きて値下げ効果が発生するんですけれども、そうではなくて、例えば北海道とか北陸なんかでは四割以上、四割近く値上げ幅がありますので、二割負担軽減をしただけではやはり足りないんですね。

 今日のこの前の質疑で、岸田総理は、使った分に応じて計算がされるから、使用量が大きければ、その分、補助額も大きいんだというふうにおっしゃいました。ただ、私が問いたいのは単価の問題なんです。使用量掛ける単価になります。単価の部分に地域格差がありますから、これを何とかしないと、やはり公平とは言えないんじゃないか。

 政府は、公平性と迅速性の観点から一律値下げをしましたというふうにこれまでも答弁しているんですが、ここは丁寧にやるべきところだと思うんですよ。迅速性よりも公平性、そして地域格差を踏まえた支援策を打つべきだと思うんですが、こちらについて答弁を求めたいと思います。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、値上げの申請をしているところとしていないところがありますので、平均をすると二割程度になるものというふうに思います。もちろん、この後、査定をやっていきますので、実際の値上げ幅はどのぐらいになるか、まだ確定しておりませんが。

 そうした中で、以前から答弁を申し上げていますとおり、今回の電気料金支援を行うに当たっては、既にもう足下も上がってきておりますし、それから、まさにこの一月、二月、三月、特に一月、二月ですね、需要が非常に多いということで、今月分から、二月の支払い分から下げようということで、迅速性、それと併せて公平性、全国一律にという公平性で、全国一律の値引き幅としたところであります。

 その上で、御指摘のように、地域ごとの違いという点で申し上げれば、昨年九月において措置しました電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金、これによって、地方自治体の判断によって地域の事情を踏まえたきめ細かな対応ができることとしております。

 いずれにしましても、まずは、この電気料金値引き支援を需要家に着実、確実に届けるということで予算執行に取り組みたいと思いますし、その上で、今後も、経済状況を注視しながら、関係省庁と連携しながら対応していきたいというふうに考えております。

浅野委員 時間が終わりましたが、パネルの左側の絵にありますように、九月以降、この支援幅が縮小されるような話も出ておりますので、しっかりと、その間、時間をかけてこの地域格差の問題も議論していただくことを求めて、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

根本委員長 これにて浅野君の質疑は終了いたしました。

 次に、志位和夫君。

志位委員 私は、日本共産党を代表して、岸田総理に質問いたします。

 総理が昨年十二月に閣議決定した安全保障三文書は、専守防衛という戦後の歴代政権が掲げてきた安全保障政策を根底から覆す極めて重大な内容となっています。その最大の新たな踏み込みは、反撃能力の名で敵基地攻撃能力を保有し、そのために五年間で四十三兆円という空前の大軍拡に踏み出すことにあります。

 そこで、今日はこの問題に絞って聞きます。

 まずただしたいのは、敵基地攻撃能力保有が日本国憲法に照らして許されるのかという根本問題であります。

 政府は、敵基地攻撃能力保有と日本国憲法との関係について、様々な議論を経て、一九五九年三月十九日の伊能繁次郎防衛庁長官の答弁で次のような見解を確立しています。パネルを御覧ください。読み上げます。

 「誘導弾等による攻撃を防御するのに他に全然方法がないと認められる限り、誘導弾などの基地をたたくということは、法理的には自衛の範囲に含まれており、また可能である… しかしこのような事態は今日においては現実の問題として起りがたいのでありまして、こういう仮定の事態を想定して、その危険があるからといって平生から他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器を持っているということは、憲法の趣旨とするところではない。かようにこの二つの観念は別個の問題で、決して矛盾するものではない」

 私は、本会議の質問で、この答弁を引用して、総理に、敵基地攻撃は法理的には可能だが、その能力を保有することは憲法違反という憲法解釈を変更したのですかとただしました。

 パネルにありますように、伊能答弁は、敵基地攻撃能力の保有は憲法の趣旨とするところではない。すなわち、憲法の趣旨に反する、憲法違反であると明瞭に述べています。私は、この憲法解釈を変更したかどうかを総理に聞いたのですが、総理からは全く答弁がありませんでした。

 総理、変更したか否か、端的にお答えいただきたい。

岸田内閣総理大臣 まず、結論から申し上げますと、変更しておりません。

 なぜならば、一九五六年の政府見解で、当時は敵基地攻撃能力という言葉を使っておりましたが、これについて政府の考え方を述べています。

 誘導弾などによる攻撃が行われた場合、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限の措置を取ること、そして、他に手段がないと認められる限り、法理的に自衛の範囲に含まれ、可能と述べており、そうである以上、そのための必要最小限の能力を保持することも法理上許されるとされています。

 その上で、御指摘の一九五九年の伊能防衛庁長官の答弁ですが、その答弁を改めて見ますと、要は、伊能防衛庁長官の答弁は、一九五六年の政府見解を前提にした上で、現状において、先ほど申し上げました要件にあるような、他に手段がないと認められる限りという要件に比して、現状そういったことはあり得ない、他に手段があるんだ、だから、そこでこういった能力を保持してしまっては、それは憲法の範囲を超える、こういった答弁であると認識をしています。

 しかし、その後、安全保障環境は大きく変化しています。東アジアにおける状況を見ましても、質、量共にミサイル戦力が著しく増強する中で、既存のミサイル防衛網だけでは完全に対応することが難しくなっている。米軍の打撃力に完全に依存するのではなく、自ら守る努力が不可欠になっている。こういったことで、伊能長官の答弁当時、他に様々な手段があると認識していた状況から大きく今変化をし、こうした反撃能力が、我が国の国民の命を守るために他に手段のない、そして必要最小限の措置、こういったものに当たるという憲法解釈、これを政府としては取るわけであります。

 よって、憲法解釈、基本的な一九五六年の見解、これは維持しておりますし、憲法解釈そのものを変えたというものではないと理解しております。

志位委員 私の設問に答えておりません。私は、敵基地攻撃能力の保有は憲法違反とした伊能答弁の憲法解釈を変えたのか、こう聞いたんですね。

 総理は、これまでの政府答弁で、敵基地を攻撃するための必要最小限度の能力を保持することも法理上は許される、こう繰り返し述べてきたとおっしゃいましたね。しかし、それには、他に手段がない場合にというただし書がついているんです。他に手段がある場合には敵基地攻撃能力の保有は憲法上できないというのが政府答弁だったわけですね。その状況が変わったとおっしゃる。

 しかし、その後、例えば、一九九九年八月三日の野呂田防衛庁長官の答弁では、五九年の伊能防衛庁長官の答弁について、「国連の援助もなく、日米安保条約もないというような、他に全く援助の手段がないような場合における憲法上の解釈の設例の話」だ、こう述べている。そして、次のように述べています。伊能長官の答弁は、「他に全く援助を受ける手だてがないような事態は現実の問題としては起こりがたいことから、他に全然手段がないという仮定の事態を想定して平素から我が国が他国に攻撃的な脅威を与えるような兵器を保有することは適当ではないと述べたものでありまして、その意味では、この答弁は現在でも当てはまる」、このように伊能長官の答弁を再確認しているわけであります。

 我が党は、軍事に対して軍事で対抗するのではなくて、外交の力で戦争にさせないという立場ですが、いいですか、総理、とにもかくにも、政府は、日米安保条約があるから他に全然手段がないという事態は起こり得ない、だから、平生から敵基地攻撃能力を保有することは必要最小限度を超えてしまう、憲法違反だとずっと言ってきたじゃないですか。

 総理、敵基地攻撃能力保有は憲法違反とした伊能長官の答弁と安保三文書がどう整合するのか、きっちり説明していただきたい。

岸田内閣総理大臣 御指摘の一九五九年の伊能長官の答弁、そして、御指摘の一九九九年の野呂田長官の答弁、おっしゃるように、他に安保条約があるからこうした能力は必要ないのではないか、こういった考え方に立っているわけであります。

 しかし、その後、安全保障環境は更に大きく変化し、そして複雑なものになっています。今、我が国のミサイル防衛システムだけでは国民の命を本当に守れるのか、こういった問題意識が出てきています。

 日米同盟、もちろん今も存在いたしますが、日米同盟だけで完全に抑止できるのか、やはり我が国自身も更なる努力が必要なのではないか、こうした状況の変化の中で、必要最低限、他に手段がない、こういった条件を当てはめた場合に、我が国としてこうした反撃能力についてもしっかり考えて用意することが必要ではないか、こういったことになっています。

 これが、憲法との関係でいうのならば、他に手段がない、そして必要最小限、こうした要件に当たるということで、一九五六年の政府見解に今の現状を当てはめても憲法上違反には当たらないと考えております。

志位委員 私は、どう整合するのかと聞いたわけですよ。それに対するお答えになっていない。

 それで、状況が変わったとおっしゃる。しかし、野呂田答弁でも、現実の誘導弾等による攻撃の可能性に関連しての答弁ではない、あくまでも、他に手段がある、日米安保条約という手段がある、それに基づいた答弁だというふうに言っているわけであります。ですから、整合性の説明になっていないんですよ。全くなっていない。

 更に私は聞いていきたいと思うんですね。

 安保三文書は、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とはならないとの基本方針は今も変わらないと述べています。そこで、敵基地攻撃能力保有が専守防衛と両立し得るかについて聞きます。

 政府は専守防衛をどう説明してきたか。この用語は一九七〇年代から使われ始めましたけれども、一九七二年十月三十一日、田中角栄首相は次のように専守防衛を定義しております。パネルを御覧ください。

 専守防衛ないし専守防御というのは、防衛上の必要からも相手の基地を攻撃することなく、専ら我が国土及びその周辺において防衛を行うということでございまして、これは我が国防衛の基本的な方針である。

 総理に伺います。

 非常に明瞭です。田中首相は、防衛上の必要からも相手の基地を攻撃することなく、これが専守防衛だと明言しているわけですよ。専守防衛と敵基地攻撃とは両立しないことはこの答弁でも明らかじゃないですか、総理。

岸田内閣総理大臣 まず、一言、先ほどの反撃能力については、現状の変化の中で、憲法の要件、武力行使の三要件も満たし、そして一九五六年の政府見解にも一致する、よって憲法の解釈を変えていないということは、もう一度確認をしておきたいと思います。

 その上で、今、まず田中総理の発言がありました。御指摘の田中総理の答弁は、我が国の防衛の基本的な方針として、こうした専守防衛の趣旨を説明するとともに、あわせて、相手の基地を攻撃することなくと述べているとおり、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空へ派遣するいわゆる海外派兵は一般的に憲法上許されない、こうしたことを述べたものであると認識をしております。

 そして、その上で、専守防衛ということについては、反撃能力は、武力行使の三要件に基づき、そのような攻撃を防ぐためにやむを得ない必要最小限度の自衛の措置として行使するものであり、憲法、国際法、国内法の範囲内で行うものであり、専守防衛の考え方、これは堅持をいたします。専守防衛を投げ捨てるようなものではないと認識をしております。

志位委員 これも全く答弁になっておりません。

 私は、田中首相の答弁は、防衛上の必要からも相手の基地を攻撃することはないというのが専守防衛だと定義しているわけですよ。あなた方が今やろうとしているのは、敵基地攻撃能力の保有によって、保有するけれども専守防衛だと言い張っているわけです。これは明らかに矛盾するじゃないかと聞いているんです。非常にシンプルな話です。

 防衛上の必要からも相手の基地を攻撃することはない、これでどうして敵基地攻撃ができるんですか。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げましたが、田中角栄総理の答弁、これは、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空へ派遣するいわゆる海外派兵は一般に憲法上許されない、こうしたことを述べたものである、政府としてはそういった認識を再三これまでも示させていただいております。

 その上で、反撃能力については、憲法、国際法、国内法の範囲内で行うものであり、そして、専守防衛の範囲を超えているものではない、こうした説明をさせていただいていると申し上げている次第であります。

志位委員 要するに、この答弁が、専守防衛は敵基地攻撃能力を否定していないというんですが、否定しているじゃないですか。ですから、これは全く説明になっていないんです、あなたの説明は。

 更に聞きます。

 安保三文書でやろうとしていることは具体的にどういうことか。GDP比二%以上の軍事費となれば、日本は、米国、中国に次ぐ世界第三位の軍事費大国になります。敵基地攻撃のためにどんな兵器を持とうとしているのか。

 パネルを御覧ください。

 これは、安保三文書で導入するとしている主なスタンドオフミサイル、相手国の脅威圏の外から発射する長射程ミサイルです。一二式地対艦誘導弾能力向上型、これは従来のものの射程を大幅に長くするものです。高速滑空弾能力向上型は、極超音速で飛行する長射程の滑空弾です。極超音速誘導弾は、音速の五倍以上の極超音速で飛行することにより迎撃を困難にするミサイルです。米国製トマホークは、アフガニスタン戦争、イラク戦争などで先制攻撃に使われた長射程の巡航ミサイルです。

 これらの長射程のミサイルを大量に導入、開発し、それを搭載する戦闘機、護衛艦、潜水艦を大増強する、これが政府が今持とうとしている敵基地攻撃能力であります。

 総理、こうした攻撃能力を保有しても他国に脅威を与えることはないとどうして言えるか、私は代表質問でそういうシンプルな問いを聞いたんですが、答弁がありません。端的に説明していただきたい。なぜ他国に脅威を与えることはないと言えるのか。どうでしょうか。

岸田内閣総理大臣 先ほどの田中角栄総理の答弁については、いわゆる海外派兵は一般に憲法上許されないということを述べたものであると申し上げましたが、この考え方は今も変わっておりません。

 海外派兵は今も憲法違反であるという認識に立っている、認識は変わらないということをまず申し上げた上で、他国の脅威にどうしてならないのかということでありますが、まず、防衛力の内容、規模については、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で、国民の命を守り抜けるか、極めて現実的なシミュレーションを行った上で、必要となる防衛力の内容を積み上げ、そして導き出したものであります。その結果として、御指摘のような装備を、今の厳しい現実の中で、国民の命を守るための反撃能力として必要であるという結論に達したということです。

 そして、海外からこれが脅威にならないと理解されるかという御指摘でありますが、だからこそ、国家安全保障戦略を始めとする防衛三文書の中に、まずは外交というものを掲げて、地域の平和と安定に貢献するという考え方を書いておるわけであり、そして、こうした装備が何のために必要なのか、こうしたものを国際社会にしっかり説明することが大事であるという観点を重視しているわけであります。

 今、国際社会にこうした我が国の取組について説明をし続けています。もちろん、一部、こうした内容について、我が国の内容について反論している国があるというのは事実でありますが、ほとんどの国においてこうした我が国の取組に対して批判的な声は上がっていないと認識をしております。

 是非、引き続きまして、厳しい安全保障環境の中でなぜ我が国がこうした体制を国民の命を守るために必要としているのか、そして、我が国はどういった外交政策を進めようとしているのか、こういった点について説明努力を続けたいと思っています。

志位委員 まずは外交とおっしゃいましたが、外交の姿は全く見えません。

 それから、丁寧な説明をするとおっしゃった。しかし、私が聞いたのは、他国に脅威を与えるようなことにならない、なぜかと聞いた。それに対するお答えがありません。

 一つ具体的に聞きます。この四つの長射程ミサイルの射程距離、それぞれ何キロですか。通告してありますので、総理、どうぞ。

浜田国務大臣 誘導弾の射程距離は、これを明らかにすれば我が国の具体的な防衛能力を明らかにすることとなるため、安全保障上控えるべきであり、お答えできないことを御理解いただきたいと思います。

志位委員 射程距離を明らかにしない。説明すると言うけれども、一番大事なことは説明しない。射程距離を明らかにしないこと自体が私は脅威になっていくと思います。

 報道では、一二式地対艦誘導弾能力向上型の射程は千キロ、高速滑空弾能力向上型の射程は二千キロ、極超音速誘導弾の射程は三千キロ、トマホークの射程は千六百キロとされます。中国や北朝鮮の主要都市がすっぽり射程内に入ることになります。文字どおり他国に脅威を与える兵器そのものじゃないですか。

 具体的に聞いていきます。パネルを御覧ください。

 これは防衛装備庁が作成したもので、敵基地攻撃能力を獲得した後の将来像が描かれております。ここで非常に重要な位置づけを与えられているのが極超音速誘導弾です。音速の五倍以上で飛行し、飛行コースを機動的に変えることができ、空母の飛行甲板等を撃破可能な貫徹弾頭、地上目標を面的制圧可能な高密度弾頭を持つと書かれています。

 極超音速兵器とはどんなものか。ここに持ってまいりましたが、海上自衛隊幹部学校のウェブサイトに掲載された戦略研究室三等海佐の米田光一氏の一文では、極超音速兵器について次のように述べております。

 極超音速兵器とは、飛行速度がおおむねマッハ五を超える飛翔体で、飛翔中に一定の機動が可能なものを指す。極超音速兵器の特徴は、弾道ミサイルに比べて飛翔高度が低い、飛翔体が一定の機動性を有する、及び巡航ミサイルに比べて高速である。これらの特徴が重なることにより、探知の遅れ、飛翔経路予測の困難性、迎撃時間の短縮という三重の困難を防御側に強いる。極超音速兵器は、従来の弾道ミサイルや巡航ミサイルに比して突破力に優れた兵器である。そして、こう結んでおります。中国やロシアが極超音速兵器の開発を進めていることについて、極超音速兵器の脅威に対し各国がどのように対応していくのか注目されると。極超音速兵器の脅威ということを述べているわけであります。

 極超音速兵器とは、今、軍事専門家が述べたように、マッハ五を超える超高速で飛行し、飛行コースを機動的に変えることができ、弾道ミサイルや巡航ミサイルと比較しても突破力に優れ、そして日本にとっての脅威だと言っている。

 総理、中国やロシアがこの兵器を持つことが脅威で、日本が持つことは脅威でないとどうして言えるんですか。

岸田内閣総理大臣 我が国の今回の防衛力強化について、確かに、北朝鮮を始め幾つかの国は否定的なコメントを発している、これは事実でありますが、一方で、今月私が訪問した欧州、北米、そしてG7を始めとする諸国は歓迎をしておりますし、多くの国々も否定的なことを発しているということは承知しておりません。

 そして、こうした能力について御説明がありましたが、大切なのは、こうした兵器をどう運用するかということであります。我が国は、基本的な運用の仕方として、憲法、あるいは国際法、そして我が国の国内法、これに準じて、専守防衛、これはしっかり守っていく、非核三原則は維持する、こうした考え方を再三、繰り返し繰り返し国際社会に対して説明をし続けてきました。

 こうした原則の下に我が国がこうした兵器を運用するんだということ、これに対する信頼感を本当に得られるかどうか、これが大事であり、結果として、先ほど申し上げたように、多くの国際社会は、今回の我が国の取組に否定的なコメントを発している国は少ないという状況にあるということ、これが重要であると認識をしております。

志位委員 あなたの言う国際社会というのは、結局、G7、アメリカを中心とする世界じゃないですか。そういう世界が、軍事ブロックの下にある世界が応援しているというだけのことじゃないですか。

 私が聞いたのは、これが脅威にならないとどうして言えるのかと聞いたわけですけれども、答えがない。私は、脅威に対して脅威で対抗したら、それこそ軍事対軍事の悪循環が起こる。そんなことをやり出したら、結局、核兵器を持たなきゃならなくなる。その道を取らない、日本は盾に徹する、これが専守防衛じゃないんですか。

 もう一問聞きたいと思うんです。

 総理、私の代表質問に対し、反撃能力は相手に攻撃を思いとどまらせる抑止力になるとおっしゃいましたね。それでは、敵基地攻撃能力がなぜ抑止力になるのか。それは、もし日本を攻撃したら、手痛い反撃を受け、耐え難い損害を被ることになるぞと相手を威嚇し恐怖を与えることによって、攻撃を思いとどまらせるということじゃないんですか。抑止力とは恐怖であり、威嚇じゃないですか。どうですか。

岸田内閣総理大臣 我が国の今回の対応に対して理解を示している国はG7諸国だけではありません。アジアを始め多くの国々が、こうした厳しい安全保障環境の中で我が国が対応しようとしている努力に対して理解をし、評価している、こうした声を上げているということは事実であります。

 そうした中で、抑止力、対処力を強化するということは、おっしゃるように、我が国に対して不当な武力攻撃をする国々に対する行動を抑止、対処するという意味で重要であると思っておりますし、我が国が国際社会において平和や安定に貢献するための外交力の裏づけとしても、こうしたものは重要であると認識をしています。

 こうした取組は決して他国に対する脅威にはならないということを、これからも丁寧に説明を続けていきたいと思っています。

志位委員 脅威を与えることによって抑えるというのが抑止力の基本であります。

 ここに私は持ってまいりましたけれども、防衛大学校のグローバルセキュリティセンターが出しているものでありますけれども、「日本の防衛政策と抑止」、岩田修一郎さんという防衛大学校の教授の方がかなり突っ込んだ考察を書いております。この論考は結びでこう述べているんですね。「抑止の要件の一つは敵対国に対する威嚇であり、日本の専守防衛の考え方と相容れない面がある。抑止の本質は、昔も今も恐怖である」。これは私は軍事の常識だと思いますよ。抑止の本質は、まさに、威嚇と恐怖、相手に脅威を与えることにある。

 私は、抑止力を強めるということで、相手国に脅威を与えるような敵基地攻撃能力の保有を進めながら、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないという、これは根本的に論理が矛盾していると思います。安保三文書が、専守防衛に徹しといいながら、専守防衛を完全に投げ捨てるものであることは私は明らかだと思います。

 日本弁護士連合会の意見書では、専守防衛について、「近隣諸国に対する「攻め込まれない」という「安心の供与」となって、平和的外交関係の形成・維持に大きく寄与してきた」と評価しています。そして、敵基地攻撃能力保有について、「近隣諸国に脅威と不信を呼び起こし、限りない軍拡競争に陥ることになりかねない。」と警鐘を鳴らしています。私はそのとおりだと思うんですよ。

 専守防衛を投げ捨てることは、軍事対軍事の悪循環をつくり出し、地域の緊張と対立を激化させる有害極まりないものだということを強く述べ、絶対に許されないということを表明したいと思います。

 更に進みます。

 重大なことは、反撃能力の名での敵基地攻撃能力が、米軍と自衛隊が融合するように一体化する下で行使されるということです。

 総理に確認したい。

 一月十三日に出された日米共同声明では、日本の反撃能力及びその他の能力の開発及び効果的な運用について協力を強化することを確認しています。それに先立つ十一日の日米安全保障協議委員会、2プラス2共同発表では、「米国との緊密な連携の下での日本の反撃能力の効果的な運用に向けて、日米間の協力を深化させることを決定した。」とあります。そして、日米同盟の抑止力、対処力の強化の冒頭に、統合防空ミサイル防衛、IAMDを挙げています。

 総理にこれは確認です。政府が今保有しようとしている反撃能力、敵基地攻撃能力とは、米国との緊密な連携の下で効果的に運用されるものであり、その取組の一つとして、統合防空ミサイル防衛、IAMDがあることは間違いないですね。これは確認です、総理。

岸田内閣総理大臣 まず、我が国の防衛力の強化は、他国に恐怖や脅威を与えるために強化しているわけではありません。これは、我が国に対する不当な武力攻撃に対して、対処力そして抑止力を高めるために強化していくということは、いま一度確認しておきたいと思います。

 その上で、御質問の統合防空ミサイル防衛能力ですが、これは、我が国の国家防衛戦略において、統合防空ミサイル防衛能力、これを強化し、我が国に対するミサイル攻撃については、ミサイル防衛システムを用いて迎撃しつつ、反撃能力を持つことにより、ミサイル防衛と相まってミサイル攻撃そのものを抑止していくこととしている、こうしたことですが、その際に、おっしゃるように、日米の連携は重要であります。

 しかし、アメリカの統合防空ミサイル防衛と我が国の統合防空ミサイル防衛、これは全く別物であり、自衛隊、米軍は各々独立した指揮系統に立って行動するわけです。我が国としては、あくまでも、自衛隊、これは憲法、国際法、国内法に従って行動していく、こうしたことであります。

 こうした日米の連携、もちろん大事ではありますが、それぞれ独立した指揮系統に従って行動するということは、我が国としていま一度確認しておりますし、これからも変わっていかないと思っています。

志位委員 抑止力についてまたおっしゃったけれども、抑止の本質は恐怖と威嚇だというのは軍事の常識です。それがなければ抑止にならない、これを私は言いました。

 今御答弁がありましたIAMDについて、これが重要な柱だということはお認めになった。しかし、日本は独自にやるんだということもおっしゃった。しかし、あなたは、日米共同宣言の中で、効果的な運用について協力を強化する、こう言っているわけですから、単独でやるわけじゃないでしょう。ですから、この問題を突っ込んで聞いていきたいと思うんです。

 元々、統合防空ミサイル防衛は、アメリカが二〇一三年頃から同盟国と一体に地球的規模で構築しているシステムですが、敵基地攻撃能力を持つことによってついに自衛隊がこのシステムに参加するというのが今起こっていることの本質だと思います。

 じゃ、アメリカは統合防空ミサイル防衛をどのように説明しているのか。ここに私は持ってまいりましたが、これは、二〇一七年四月、米統合参謀本部が作成した、対航空・ミサイル脅威と題する文書であります。この文書では、統合防空ミサイル防衛の基本原則を詳しく明らかにしております。

 パネルを御覧ください。

 この文書では、米軍と同盟国のこのシステムの一体的な運用の重要性を繰り返し繰り返し強調した上で、米軍の統合防空ミサイル防衛では、ミサイル防衛とともに、相手国の領域において攻撃作戦を行う攻勢対航空作戦、オフェンシブ・カウンター・エアが重要な構成部分となっていることを述べ、そして、米軍の基本原則では二つの点を明記しております。

 まず第一は、攻勢対航空作戦の攻撃目標です。米軍の基本原則では、ミサイルサイト、それから飛行場、指揮統制機能、インフラストラクチャーと明示しています。つまり、ミサイル基地、軍用飛行場だけでなく、指揮統制機能、さらには軍事基地を支えるインフラストラクチャー、鉄道、道路、港湾、空港なども攻撃対象になることを明示しております。

 第二は、この攻勢対航空作戦は、敵の飛行機やミサイルを離陸又は発射の前と後の双方において破壊又は無力化する。前という言葉が出てきます。そして、攻勢対航空作戦は先制的にも対処的にもなる。先制的という言葉が出てきます。つまり、公然と先制攻撃を行うことを宣言しているのがこのドクトリンであります。

 総理に伺います。

 自衛隊と米軍が協力して進める統合防空ミサイル防衛、一体じゃないと言うけれども、協力してやることはお認めになった。米軍がこういう原則を持っているということを御存じですか。御存じかどうか。

岸田内閣総理大臣 まず、最後の質問にお答えすると、米国のIAMD、御指摘のような方針を示しているということは承知しておりますが、それとて、先制攻撃、これは国際法違反であります。アメリカとて、国際法違反、これを堂々とやる、これはあり得ません。これは国際法の範囲内で対応するものであると認識をしておりますし、なおかつ、やはり基本的に申し上げたいのは、我が国がIAMDに参加する、統合される、そんなことは全くありません。

 我が国の統合防空ミサイル防衛と米国のIAMDは全く別物であり、我が国として、我が国の国民の命を守るために必要とする統合防空ミサイル防衛、これをしっかりと準備しよう、その際に日米同盟に基づいて協力を得ることはある。

 しかしながら、我が国の目的は、あくまでも、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合に我が国は武力を行使するわけです。その範囲を超えて我が国が行動することはないということも丁寧に世界にしっかり説明をしていく必要があると思っています。

志位委員 まず、アメリカは国際法に違反するようなことはしないとおっしゃった。しかし、戦後、アメリカは数限りなく国連憲章に違反した先制攻撃の戦争をやっていますよ。

 一九八〇年代にはグレナダ侵略、リビア爆撃、パナマ侵略、これらについては国連総会で国連憲章違反と非難決議が上がっている。そして、日本政府はただの一回もアメリカの武力行使にノーと言ったことがない。そのだらしのない政府がアメリカは先制攻撃をやらないと言っても、誰も信用するものではありません。

 そして、日米は別々にやるんだとおっしゃいますが、先ほど言ったように、あなたも確認したように、日米で協力して開発して運用すると合意を結んでいるじゃないですか。別々ということはないんです。

 私、それじゃ、もう一つ出したいと思うんですが、自衛隊は独立した指揮系統に従って行動するとおっしゃいますが、統合防空ミサイル防衛で自衛隊が独立した指揮系統に従って行動することがあり得るか。

 これは、米空軍が発行している航空宇宙作戦レビュー、ASORという機関誌です。二〇二二年の夏号です。米インド太平洋軍が進めているIAMD構想二〇二八についての解説が載っております。公式の解説です。

 パネルを御覧ください。その要点を書き抜きました。

 まず、ここでは、第一に、インド太平洋軍の広大な管轄で統合防空ミサイル防衛能力を高めることは米国単独では不可能であり、同盟国や友好国が絶対に重要だ、これが書かれています。

 第二に、同盟国との協力の在り方は、サイド・バイ・サイド、隣に並んでの統合ではなく、シームレス、切れ目のない融合が必要だと強調されています。融合、合金を意味するアマルガムという言葉も使っています。

 これはどういうことか。これまでの米国と同盟国との協力は、サイド・バイ・サイド、隣に並んでの統合だった。例えば、ノルマンディー上陸作戦では、それぞれの同盟国がそれぞれに上陸する海岸を受け持った。イラク戦争やアフガニスタン戦争の際にも、多国籍軍は各国の責任地域に分かれて戦った。しかし、統合防空ミサイル防衛とはそういうものじゃないと書いてある。

 ここでは、米国と同盟国とが、シームレス、切れ目のない融合をしていくことが必要だ。全てのプレーヤー、コーチが同じプレーブックを持ち、一緒に訓練し、一緒に作戦を実行し、敵からは一つのチームと見られる。そうしたシームレス、切れ目のない融合こそが求められる、そのように米軍は強調しているんですよ。これが米軍の統合防空ミサイル防衛の方針なんです。

 総理、あなたが幾ら自衛隊は独自にやると言ったって、シームレスな融合が必要だ、これが米軍の方針なんです。自衛隊だけが独立した指揮系統に従って行動するなんてことはあり得ない。あり得ない。どんな方針を持ったって、シームレスな融合と言っている。

 ですから、アメリカがこの方針に基づいて先制攻撃の戦争に乗り出したときに、自衛隊も一緒に戦争をすることになる。つまり、憲法違反であるだけではなく、国連憲章と国際法に違反する無法な戦争に乗り出すことになる。どうですか。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 様々な文書があり、様々な表現が行われているかとは思いますが、我が国は、再三申し上げているように、我が国の憲法と国際法と国内法に従って、専守防衛、非核三原則、従来の原則をしっかり守りながら、こうした拡充される最新の様々な装備を運用していく、こうした姿勢が国際社会から信用されるんだと思っています。

 アメリカのIAMDに参加する、こんなことはあり得ません。我が国独自の統合防空ミサイル防衛、これに日米同盟に基づいて協力を得る、これは当然、抑止力、対処力を向上させるために重要であると思っています。

 しかし、いずれにせよ、その中で行動する我が国の対応、これは、我が国の存立が脅かされて、国民の命や自由や幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合に限られている、武力行使の三要件、これをしっかり守って対応するんだということ、これをしっかりと繰り返し確認をし、国際社会に理解をしてもらうことこそ我が国の信頼につながると信じております。

志位委員 あなたがどう信じようと、米軍はこういう方針を持っている。だから、自衛隊が単独で行動することはできないんです。

 そして、それがもたらす結果は何か。報復攻撃による日本の国土の焦土化ですよ。

 私は、総理は敵基地攻撃兵器の配備先を明らかにしておりませんが、南西地域の防衛体制を強化することを強調しておられます。大軍拡の最前線に立たされようとしている沖縄では、万一有事となったら甚大な犠牲を被るとして、強い批判の声が上がっている。

 石垣市議会では、昨年十二月に採択された意見書で、「ここにきて突然、市民への説明がないまま、他国の領土を直接攻撃するミサイル配備の動きに、市民の間で動揺が広がっており、今まで以上の緊張感を作りだし危機を呼び込むのではないかと心配の声は尽きない。 石垣市議会は、「平和発信の島」、「平和を希求する島」との決意のもと議会活動しており、自ら戦争状態を引き起こすような反撃能力をもつ長射程ミサイルを石垣島に配備することを到底容認することはできない。」

 総理、この声にどう答えますか。そういう心配をたくさんの方が持っているんです。どうですか。

岸田内閣総理大臣 我が国の防衛力の強化、存立危機事態を始めとする様々な対応については、あくまでも、武力行使の三要件を始め、我が国の原則に従って、我が国の原則に従って行使するものであり、我が国の防衛のために行うものであり、そして国民の保護にもつながるものであると思っています。

 そして、様々な意見があること、これは丁寧にお伺いしていかなければならないと思いますが、我が国の基本的な考え方、そして装備の運用の在り方、そして国際社会の理解を得る努力、こうしたものもしっかり示しながら、国民の理解をより深めていくことは重要だと思っています。

 そして、南西地域の防衛体制を強化すること、これは今回の防衛力強化の柱の一つであると思っています。こうした考え方について丁寧に、沖縄県を始め、地域の皆様方にも説明を続けていきたいと考えています。

志位委員 沖縄県民というのは、まさに沖縄戦で四人に一人が亡くなったんです。

根本委員長 志位和夫君、申合せの時間が過ぎておりますから、おまとめください。

志位委員 その歴史の教訓を踏まえて言っている。

 そして、日本を守るためと言うけれども、日本に対する武力攻撃がなくても、集団的自衛権の行使としても敵基地攻撃はやれるとあなた方は言っている。このような動きには私たちは断固反対です。

 そして、私は、戦争の準備をすれば、戦争になる確率は大きい、もし平和を望むならば戦争を準備せよではない……

根本委員長 時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。

志位委員 平和を望むならば、平和を準備した方がいい、この評論家の加藤周一さんの言葉を訴えて、終わりたいと思います。

根本委員長 これにて志位君の質疑は終了いたしました。

 次に、北神圭朗君。

北神委員 有志の会の北神圭朗です。

 質問に入る前に、総理、先週大雪がございましたね。それで、各地、復旧作業で大変困難を極めているところもあります。私の地元の南丹市というところなんかは、ビニールハウスが半壊して農業活動にも影響が出ていますし、それから、水道管が破裂して節水を強いられている地域もある、完全に公共交通が閉ざされて孤立している集落もございますので、是非、実態調査を早急にしていただいて、支援の方をよろしくお願いしたいというふうに思います。もう十分理解いただいていると思いますので。

 今日は、外国人、外国資本、これが日本の土地を買いあさっているという問題を取り上げていきたいというふうに思います。外国資本が全部悪いということではございません。しかし、よからぬ意図を持っている外国資本、これはやはりちゃんと我が国としても防衛をしないといけないというふうに思っています。

 まずは、農地、森林のことでございます。

 総理も、それから野村農林水産大臣も、食料安全保障というものを骨太方針にも掲げている、これはすばらしいことだというふうに思います。確かに、幾ら立派なミサイルを持っても、兵糧を断たれたらこれは元も子もないということです。ですから、この食料の安全保障というのは、農山地域だけじゃなく国民全員に関わる国家の重大な使命だというふうに思いますので、これはひとつよろしくお願いしたいと思います。

 その基本は、やはり、農家の人たちが農業によってそれなりの生活が成り立つように支援するということが基本だというふうに思います。ただ、今日は、強調したいのは、それも大事ですけれども、大前提としては、農地、それから森林、いわゆる農地資源、これをやはり守っていかなければいけない。これがないと、どんなに担い手が増えたとしても、ちゃんと日本の国民を食べさせる必要量、これを生産するだけの農地というものが非常に重要だということです。

 森林もそうです。森林というのは、水を育む水源地というところがあります。これは、農家にとっては命よりも代え難い水を供給する。山が荒れたら、猿や鹿がどんどん里に下りて悪さをする。山が細ったら、川や海というのは栄養失調になって、漁業にも影響するわけです。

 いま一度、やはり農地とか山林の重要性というものを我々は再認識をすべきだ、その価値というものをやはり再認識しないといけないというふうに思っています。

 ところが、ちょっとパネルでお見せしたいと思いますけれども、これは農林水産省の調査ですけれども、近年、外国資本というのが相当、農地とか森林というものを買い始めているということです。

 この資料にありますように、大体六十八ヘクタール、うち中国というのが二十六ヘクタールですね。ヘクタールといってもよく分かりませんけれども、東京ドーム大体十四・五個分です、六十八ヘクタールというのは。中国は、二十六というのは五・五個分ぐらいですね、東京ドームの。これが農地だ。

 森林の方を御覧いただきますと、森林の調査の方がちょっと長い期間取っていて、私から見るとよりしっかりした調査なんですが、この十一年間で四・七倍に、外国資本というものが森林面積を買っている。二千六百十四ヘクタールで、東京ドーム五百五十九個分、そのうち中国が東京ドーム二百十二個分ぐらい買い占めている。

 これは、プロの方からいうと大したことないということだと思います、そんなのは全体の面積からすれば大したことない。しかし、それはそうではないんです。やはりこれは、ほとんど調査にひっかかっていない部分があります。届出をしていないところは当然数字に出ない。日本人の名義借りをして買っているところも、これも出ない。そもそもこれはなかなか把握が難しい統計なので、氷山の一角だというふうに認識すべきだと思います。閣僚の皆さんも多分、地元でこういう話はよく聞いているというふうに思います。

 こういう中で、野村大臣にお聞きしたいのは、やはりこれは危機感を持つべきだ、外資のいわゆる出資比率の規制とかこういったものを考えるべきだと私は思いますけれども、その辺、どのようにお考えでしょうか。

野村国務大臣 御質問にお答えしたいと思いますが、今委員おっしゃいましたように、外国人、外資による日本の農地の取得というのが非常に目立ってきましたものですから、農水省としては、農地あるいは森林、これらについての調査を今、毎回やっております。

 特に、農地法においては、法人の農地取得というのは、農業関係者が議決権の過半を占める農地所有適格法人というのがありますが、これは二分の一以上を日本人が持っていなけりゃ駄目だということと、それに、この法人については、取得する農地の全てを効率的に利用する、それからもう一つは、役員の過半が農業に従事する株主である、これはもう御承知のとおりだと思いますが、こういったいろいろな規制をかけてあります。

 したがいまして、地域とのつながりを持っている農業を持続的に営めない人は農地を取得することはできず、外国人の法人なりあるいは外国人が農地を取得することは基本的に難しい、こういうふうに思っておりまして、いろいろ特区もあったりするんですけれども、これについても、取得じゃなくてほとんどは借地だと。借地で農業をやっているということであれば、これは日本としても何にもそれに反対するということはないんですが、取得というのはまた別な目的があるんじゃないかということがよく言われるものですから、そういった意味では相当の制限をかけてあるということになります。

 ただ、森林につきましては、これはもう、特に地方でいえば北海道を中心にして非常に買い占められてしまったということがありまして、なかなかこれを規制するというようなことは難しい今状況でございます。

北神委員 ありがとうございます。

 農地法で規制をされているというんですけれども、実際、自らの、農林水産省の調査で出ているわけですよ。これも、さっき申し上げたように、大臣も御案内のとおり、氷山の一角であります。

 借りている事例が多いという話ですけれども、大体そういう方法で、まずは借りて、それで農業適格法人になって、そこから本格的に農地買収に走るというのが大体のパターンなので、やはり農地法も規制せなあかんし、森林法の方も、これも大臣がおっしゃったように規制がありません。事後の届出制しかありませんので、そこを是非検討いただきたいというふうに思います。

 ちなみに、出資比率は一つの案です。ただ、申し上げたいのは、ここにありますように、例えば放送法とか航空法というのは、外資比率、上限規制をかけているんです。放送法だったら五分の一未満しか認められない。航空法だったら三分の一が上限になっている。これを見ると、これらに比べて、じゃ、農地や森林というのは守る価値が劣るのかというと、私は違うというふうに思います。

 これと同じぐらいか、これはみんな、外資に乗っ取られることを防ぐための比率ですから、上限規制ですから、だから、そういった意味では、やはり命をつなぐ農地、森林というものをしっかり、外資規制がいいのかどうかは別にして、そのぐらいの危機感を大臣には持っていただきたいし、食料安全保障をやる上で、やはりこの問題も同時に解決しなければいけないというふうに思います。

 こういうことで申し上げましたけれども、これは私が勝手に言っている話ではなくて、例えば、フランスなんかは原則自由なんです。ところが、大統領の政令でいくと、これはフランスの政府のホームページそのままですよ、文言が。水源の保全、安全性、調達、これが一つ、もう一つが、食料安全保障に関わる農産品の生産、加工、流通については、大統領が指定をしたら、これは事前認可制になる。届出じゃないですよ、認可ですよ。ちなみに、フランスというのは、日本と同じように、WTOでは土地取引については何ら留保をつけていません。こういうことをちゃんとやっているんです。

 ですから、そういった意味では、アメリカなんかはもっとすごくて、連邦政府の下院議会では、名指しで、中国、ロシア、イラン、北朝鮮は、届出とかじゃない、認可制でもない、取得禁止というような法案を今提出しているところです。これは連邦政府だけじゃなくて州の方でも、先週、テキサス州では同じような法案が出されています。ほかにも十三州ぐらい検討しているという段階です。

 皆さん、冷静に考えてほしいのは、米国の食料自給率一三二%、フランスは一二五%、日本は三八%ですよ。こんなに食料が余っている国でも危機感を持っているんですから、日本はもっと真剣にこの問題を考えるべきだというふうに思います。

 これは、農地、森林だけじゃなく、土地全般の話も私は深く関わってくるというふうに思います。大体五年前から、二〇一八年頃から、欧米、ニュージーランド、オーストラリアというのは、農地だけじゃなく土地全般に対して外資規制というのを強化しつつあります。

 これは何でかと一言で言うと、中国なんですよ。私、言うのは残念ですよ。残念ですけれども、これは正直、我々もはっきり言わないといけないと思いますので、中国です。これは何で中国なのか。個々の企業は、別に悪いとか、そんな問題ではないと思います。中国人もそうです。しかし、皆さん御案内のとおり、中国というのは、企業はそれぞれあるけれども、その背後には中国共産党とか人民解放軍というのが透けて見え隠れするからですよ。それで、各国がそういう危機感を持っているということです。そういう意味では、私は、土地一般についても規制というものを考えないといけないと。

 まあ、一昨年、知っていますよ、重要土地等調査法というので、皆さん頑張っているということなんでしょうけれども、高市大臣だったら、何となく、理解してくれるというふうに思います、この問題を。ですから、やはりイギリスの方式というのは、高市先生もホームページで紹介されていますけれども、この方式は大変柔軟で、イギリスも日本と同じように、WTOの、土地取引については何ら留保をつけていませんので、これについてどうお考えでしょうか。

高市国務大臣 まず、委員の問題意識はよく分かりますし、私自身も、平成二十三年から安全保障土地法というものを作りたくて議員立法に取り組んできた歴史もございます。自民党も長年取り組んできて、最後の最後にでき上がって、閣法として出てきたのがこの重要土地等調査法です。

 最初は、やはり外資による土地の買収というものについて一定の規制をかけようといたしましたが、突き当たったのは、委員が先ほどおっしゃった、いわゆるGATSでございます。これはWTOのサービス貿易一般協定で、これに関して、日本は土地取引を留保せずに入っておりますから、内国民待遇義務が規定されておりまして、土地取得に関して内外差別的な立法を行うこと、それから相互主義的な措置を取るということは、これらの協定との関係においてできない。どうしても国際法の方が国内法より上位に来るということで、私たちは議員立法の段階で一度断念をいたしました。

 ただ、重要土地等調査法、これは機能阻害行為をまず阻止するということでございますし、ちょうどあしたからこの区域指定が、第一弾の区域指定五十八か所が施行されることになりますので。これは、日本人に限ってもいないし外国人に限ってもいない。それはなぜかというと、外国人や外国法人に限定したとしても、結局日本人や日本法人をかたってやってくるというようなこともありますので、もう日本人であれ外国人であれ、日本法人であれ外国法人であれ、その重要な施設の機能を阻害しようとするような動きがあれば、しっかりとこれを阻止する、こういう取組がまさにあしたから始まりますので、まずはこちらでしっかりと頑張ってまいります。

北神委員 それはそれで頑張っていただきたいと思いますけれども、おっしゃる法律というのは、もう釈迦に説法ですけれども、防衛施設、離島、国境、周辺一キロぐらいが対象になるんです。

 私が今日申し上げている問題意識は、本当にそれでいいのかと。農地、森林、含まれませんよ。一般の、観光資源の部分も含まれません。だから、こういったところでイギリスの方式というのは、GATSの、そのおっしゃっている同じような条件にあるけれども、柔軟なんですね。

 ここに比較、ちょっと資料にもありますけれども、要するに、イギリスの方と日本の方を比較していますけれども、対象がイギリスは全てなんです、全ての土地が含まれる。ただし、十七の戦略分野、防衛施設とかそういうのも入っています、そういうことについては届出を義務づける。ただ、それ以外、農地とか森林は届出は任意なんですね。

 でも、大事なのは、届出をしていてもしていなくても、十七分野に入っていても入っていなくても、イギリスの政府というのは、安全保障疑念があったら、その人を呼び出して、そして調査をして、場合によっては契約をさせない、あるいは無効にするという権限があります。罰則も御覧のとおり全然違います、日本と違って。これは同じですよ、日本と国際法上、条件は。さっき言ったフランスだって同じです。ですから、このやり方だったら非常に柔軟です。

 私は何も、外国資本を全部排除するとか、そんなことを申し上げていません。ただ、中国は、もう皆さんの、政府の防衛白書にもあるように、軍民融合、軍と民間が一体となって経済活動を防衛手段として考えている国ですよ、中国は。そういった国に対して全世界が危機感を持っているということなんです。

 時間があるかどうか分かりませんけれども、宗教法人にも手を出しています。文化庁、これに対してどう対策を取っているか。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 宗教法人法においては、宗教法人そのものを贈与や売買によって第三者に譲渡することはできません。一方、同法第二十二条では、外国籍を有することを役員の欠格事由としておらず、宗教法人の代表役員その他の責任役員等に外国籍の者を選任することはあり得ると思っております。

 ただし、宗教法人の事務の決定は正当に選任された代表役員等によりなされる必要があり、宗教法人法上、例えば、宗教法人の目的や名称の変更、移転などについて規則変更の認証申請があった場合、長年不活動状態であった宗教法人が突如活動を再開した場合など、責任役員等の選任に疑義ある場合には、同法二十八条第一項第二号の規定により、規則変更を不認証にすることがあり得るところでございます。

 また、不活動宗教法人を放置することは、第三者によって法人格が不正に取得され、悪用されるなどの問題につながるおそれがございまして、合併や任意解散、解散命令請求などにより速やかに整理することが必要であり、文化庁としても引き続き取り組んでまいりたいと考えてございます。

北神委員 早口でちょっと理解できませんでしたけれども、何となく分かります。要は、外国人の責任役員、宗教法人の中のね、その人がいても何もできない、基本的には。ただ、何か認証案件とかあったときに、ちょっと、これはちゃんと手続を経て役員をやっているのかとか、そのぐらいは言える、そういうことですね。

 つまり、文化庁の世界では、大臣、何もできない。農林水産省も若干危機感を持っていると思いますけれども、これも余り重い腰を動かそうとしていないので、やはりこの土地一般の規制というものをやらなければ、今の宗教法人の話でいえば、神社仏閣の土地とか文化財が外国人の手に渡るんですよ。これは無税ですから、マネーロンダリングの温床にもなりかねません。そういったことをもっと、我々もちゃんと向き合って、これはやはり規制をしていかないといけないと私は思います。

 最後に、総理に御提案ですけれども、私が言っているのは、北神一人が被害妄想で、何かスパイ小説を読み過ぎて陰謀論に染まっていると皆さん思っているかもしれませんけれども、これは、皆さん、先進国で当たり前の話です。自由主義諸国共通の危機感ですよ、皆さん。そうでしょう。

 そういう中で、私は今懸念しているのは、各国はもう既に、今申し上げたとおり、ばらばらに規制を強化していますよ。そういう、どんどん規制を周りで固められたら、行き場のない外国資本はどうなりますか。一番規制の甘い我が国に殺到しますよ。そういう可能性がある。

 だから、今度、五月に広島サミットがございます。そこに、自由主義諸国が日本と同じ思いを持って、同じ危機感を共有する国が集まります。そこで是非、総理が指導力を発揮して、これらの国と一緒に、ばらばらではなくて、この中国資本の問題についてちゃんと共通の対処法というものを検討すべきではないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 中国ということですが、中国に関しては、昨年十一月に日中首脳会談を行い、前向きなモメンタムを確認したところですが、このモメンタムは維持しながら、しかし一方で、様々な課題や懸念があります。主張すべきことは主張しなければなりませんし、中国に大国としての責任は果たしてもらわなければなりませんし、その中で、対話を重ね、気候問題等協力すべきところは協力する、こうした建設的かつ安定的な関係を双方の努力で築いていく、これが基本的な方針です。

 そして、我が国の経済安全保障については特定の国を念頭にしたものではありませんが、委員のおっしゃるこの問題意識、これは私も共有できる部分は多いと思っております。

 しかし、それに対してどう対応するか。これは、委員おっしゃるように、各国ばらばらだとおっしゃいました。要は、各国とも、それぞれの国益に対する考え方がばらばらですし、各国とも、国民性や国民の考え方、国民意識、これがばらばらであるからして、それぞれの対応ということになっているんだと思います。

 我が国も、そういった中で、共通の法律みたいなものを作るということはなかなか難しいと思いますので、我が国の国益、我が国の国民性にふさわしい対応を前向きに強化していくという道を歩んでいかなければならないんだと思います。

 ただ、その中で、御指摘の五月のG7サミットにおいては、同志国と連携できる部分はあるのではないか、こうした連携は是非議論をしていきたいと考えています。

北神委員 前向きな答弁と受け止めます。

 やはり、最後に申し上げたいのは……

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますから、簡潔にお願いします。

北神委員 はい。

 農業、特に林野、森林、これはやはり、昔、柳田国男さんという人がいましたね、農商務省の官僚です。この人、最後に言いますけれども、土地と国民を連結させるのは農業だ、土着させるのが農業だと。だから、この農業を是非大事にしてサミットに臨んでいただくことを強く要請して、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて北神君の質疑は終了いたしました。

 次に、櫛渕万里君。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。

 総理は施政方針演説で、七十七年目の歴史の転換点であると述べられました。れいわ新選組は、歴史を後戻りさせないために、国を守るとはあなたを守ることから始まる、このことを掲げて、あなたを戦争に行かせない、そして飢えさせない、このことを鉄則に、徹底的な積極財政で、この国で生きていてよかった、そう思える社会をつくっていく決意です。

 最も重要なのは、国民の命と暮らしです。

 しかし、来年度予算案を一言で表現するとすれば、異次元の売国棄民予算、このように言わねばなりません。我が党の山本太郎代表がそう指摘をいたしました。売国という言葉は、そして表現は、総理にとっては違和感があるかもしれませんが、しかし、ほかに言いようがないんですよ。

 過去最大の百十四兆三千八百十二億円。膨張分の七割を占めるのが、アメリカに要請されたと言われる防衛費の増額。中身は異次元のミサイル爆買いです。

 政府は威勢よく、反撃能力とか、そして抑止力とか言っていますけれども、アメリカから大量購入したトマホークが果たして周辺国の行動を本当に抑制できるのか疑問です。むしろ、お互いが軍拡競争となって、地域のリスクが増える悪循環に陥るのではありませんか。そして、正面から対抗する場合には、またミサイルを増やしていくんですか。そのたびに増税をしていくんですか。あり得ません。

 しかも、誰を守るものなんでしょうか。日本が攻撃されていなくても他国を攻撃する、そのことがあり得るのが集団的自衛権です。他国からの反撃として核兵器の使用まで想定しなければならない、その壊滅的なリスクについて私たちは一切何の説明も受けずに、政府は安全保障政策の大転換を決めました。

 まず、大前提として申し上げたいのは、この予算案では、三十年間賃金が上がらず、そしてそこにコロナ災害で、さらに戦争による物価高、国民はいわば三重苦の状況ですよ、そうした国民を全く守ることができない、それどころか、特定の人だけを潤す戦争経済、ここに国民全体を巻き込んでいくおそれがあるものと受け止めました。このことは今国会を通じて明らかにしていきたいと思います。

 今政治がやらなきゃいけないこと、それは、このことを反転させて、国民の生活の底上げと経済の回復が最優先、それが本当の意味での国力の維持であり、真の国防ではないかと考えます。

 政府は、この三十年、経済不況なのに消費税の増税を繰り返し、経済政策、失敗してきました。これが国防にも及ぼす影響、これを直視していただいて、れいわ新選組がずっと求めています消費税の廃止や、最低でも消費税の減税、これを今すぐ実行し、今の物価高を何としても抑えて、三重苦にある国民を救っていただきたいと思います。

 今日は外交についてお聞きをいたします。

 総理は施政方針演説で、まず優先すべきは積極的な外交の展開ですと述べています。でも、国家安全保障戦略、これを見てみますと、防衛力は五年、十年と期限を区切って、そこに方針、予算、そして財源まで示されているにもかかわらず、優先されるという外交については、何やらふわふわした抽象的な理念が書かれているだけで、具体的な方針が見当たりません。

 そこで、総理にお伺いします。特に核兵器についてです。

 先ほど申し上げたように、敵基地攻撃能力をこちらが行使をすれば、反撃は核兵器の使用、そこまで想定しなければならないからです。ミサイル軍拡競争となれば、その先にあるのは核抑止力の強化とか核共有とか、場合によっては核武装という議論にもなりかねません。

 そこで、まず、総理のおっしゃるヒロシマ・アクション・プラン、これはいつまでにどのように実現していくのか、期限と方針と予算、お答えください。

岸田内閣総理大臣 申し上げているように、我が国は、戦後最も複雑でそして厳しい安全保障環境の中にあり、その中で国民の命や暮らしを守るために、防衛力の強化、これを行っていきたいと考えています。その際に、日米同盟を始め国際社会との連携は重要であり、また日米同盟においては、我が国の国民の命を守るために、様々な抑止力、核抑止力を含めた様々な抑止力は、現状において、これは大変重要な存在であると認識をしています。

 しかし、この厳しい、核抑止力を始めとする様々な現状を、核兵器のない世界という理想に結びつけるロードマップが御指摘のヒロシマ・アクション・プランであると考えています。この現実と理想、これをどう両立させるか、これが政治の役割であると思います。

 このロードマップとして、是非ヒロシマ・アクション・プランを現実に実行していきたい、このように思っております。

櫛渕委員 まさに現実の問題だと私は受け止めています。

 総理、ウクライナを見てください。各国は戦車や武器などを次々と送っていますけれども、アメリカもNATOも、ウクライナ側に立って直接戦争に参加しようとはしていません。戦争に加わればロシアと全面戦争になり、最後は核戦争につながる可能性があるからとも言われています。

 翻って、日本はどうなのか。今回の安保三文書、これに従い、他国に日本が敵基地攻撃能力を行使すれば、その国は当然日本各地を攻撃することになります。それがエスカレートしたとき、アメリカは日本を守ってくれるんですか。日米安保条約があるといっても、結局アメリカがどうするのか、アメリカ自身の国益で当然ながら判断されます。中国を相手に戦争となれば、今度は日本が核の脅威にさらされる可能性、核戦争につながる危険性がある。それならば、その危険を取り除く外交努力こそが必要ではないでしょうか。

 例えば、このパネルを見てください。

 具体的に、非核兵器地帯条約という安全保障。世界には、実は、これだけ核抑止に頼らない安全保障の枠組みがあります。核保有国は、非核地帯となったエリアに対して、核兵器の使用も威嚇も行わないという法的な保証を与えるものです。これを核保有国がひしめく北東アジアで進める努力は、厳しくてもしてはどうか。これこそが日本の国益にかなうのではないですか。

 そんなことは日米安保条約が許すわけがない、ある限り不可能だと思われるかもしれません。しかし、実際に、アメリカと軍事同盟を結ぶオーストラリアは、ラロトンガ条約に参加することで、ロシアや中国から、核攻撃をしないと法的拘束力のある保証、これを得ています。日米安保条約と非核地帯は両立できるはずじゃありませんか。こうした徹底した平和外交の努力こそ、総理にはしていただきたいんですよ。

 更に言えば、総理は施政方針演説で、グローバルサウスに対する関与を強化すると述べました。グローバルサウスとは、まさに、この地図、東南アジアやアフリカ、中南米など南半球の国々のことですけれども、ほとんど南半球の国々、グローバルサウスは非核地帯条約を締結しています。これはまさに一九六二年のキューバ危機、これが始まりであり、そして現在は、百二十か国以上が加盟しています。

 それから六十年たった今、まさに私たちは、ウクライナ危機から戦争、ここに直面をし、今度は北半球に、核抑止に頼らない安全保障、この枠組みを広げていく新たなステージ、こうした歴史の転換点にいるのではないかと考えます。日本が米中対立の最前線で戦うのではなくて、グローバルサウスの国々と協調をして、アメリカにも中国にも働きかけていくことを日本が選ぶ、その道が必要なのだと私は思います。

 総理、私は、日本はアメリカの属国ではないと信じています。だったら、日本は独立国として、グローバルサウスの国々と非核地帯化、これを連携していくと、まず約束していただけませんか。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、科学技術の進歩と複雑な安全保障環境の中で、安全保障の世界において、どんな国であっても、一国のみで自らを守ることができない、これが現実になりつつあります。だからこそ、自らの防衛力を強化するとともに、同盟国と同志国の協力が重要であるということで、外交力の重要性を申し上げております。G7においても、核兵器のない世界に向けて、戦後七十七年間核兵器が使われていない歴史、これをしっかりと重みとして共有して、核軍縮・不拡散、G7諸国としっかりと連携を確認したいと思っています。

 そして、御指摘の、非核地帯等を設置する、これは、核不拡散ということを考えましても、大変重要な取組だと思います。だからこそ、核兵器国とともに協力をしなければならない、グローバルサウスとも協力をしなければいけない。こうした外交を展開することによって、非核兵器地帯、こういった構想が現実のものになるように、我々は努力していかなければならないと考えています。

櫛渕委員 総理から、非核地帯条約、非核地帯構想、前に進める、このような答弁を得たと認識をしています。グローバルサウスの国々、核保有国の主導ではなく、我々は、総理、広島、長崎の悲劇を知る唯一の戦争被爆国です、そこに歴史的な使命があるということは、この間、予算委員会で度々申し上げてきました。

 実際、北東アジアには核保有国が集中しています。これは前回使ったパネル、もう一度見てください、テレビで御覧になっている方。この北東アジア、特に、日本、韓国、そして北朝鮮が非核地帯となって、その三か国にはアメリカ、ロシア、そして中国は核の攻撃も威嚇もしないという法的拘束力を持つ枠組みをつくろうというものです。

 いや、北朝鮮が入っている、あれだけミサイルを撃っているんだから無理でしょうとほとんどの方が思われるかもしれない。けれども、実は、北朝鮮、核のない朝鮮半島の実現に外交的な合意を幾つもしているんですね。それは常に頓挫をしてきた。そして、今も、二〇一八年の板門店宣言、共同声明、ここの外交努力に戻るというようなことが、厳しくても、これは合意を守っていないですよ、守っていないからこそ、しっかりここに立ち戻るという周辺国からの外交努力こそが私は信頼醸成に必要なのではないかと思っております。

 今日はもう余り時間がありませんので、紹介だけにとどめますけれども、歴史的に、今年は朝鮮戦争休戦七十年目を迎えますし、そして、六者協議、ここに、復活の兆しは今全くありませんけれども、そこに戻すという視線もないのか、こうしたことを思うわけですね。これだけ我が国が核兵器の脅威にさらされるかもしれない、これは今回の安保三文書によって引き起こされるかもしれない現実なんですから、総理には是非そのことを、危機感を持っていただきたいと思います。

 私は、政治家になる前……

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますので、おまとめください。

櫛渕委員 はい。

 ちょうど冷戦が終わってから二十年近く、アジア始め八十か国で平和構築の仕事をしてきました。日本の憲法、これは本当に、いわば外交力と言ってもいい力がありました。そこに、戦争の絶えない地域から、特に尊敬やそして信頼、これが集まってきていたことを肌で感じています。

 今回の安保三文書によって、総理は安全保障の大転換と言いましたけれども、こうした海外の外交、そして信頼……

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますから、すぐにおまとめください。

櫛渕委員 このことが失われるかもしれない危機感、想像力を是非お持ちいただきまして、国益をしっかり維持をしていく、そのための徹底的な平和外交をお願いを申し上げ、私の質問を終わります。

 ありがとうございます。

根本委員長 これにて櫛渕君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二月一日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時七分散会


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