衆議院

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第4号 令和5年2月1日(水曜日)

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令和五年二月一日(水曜日)

    午前九時四分開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 小林 鷹之君 理事 中山 展宏君

   理事 古川 禎久君 理事 堀井  学君

   理事 牧原 秀樹君 理事 逢坂 誠二君

   理事 後藤 祐一君 理事 青柳 仁士君

   理事 赤羽 一嘉君

      伊東 良孝君    伊藤 達也君

      石川 昭政君    石破  茂君

      石原 宏高君    今枝宗一郎君

      今村 雅弘君    岩田 和親君

      岩屋  毅君    衛藤征士郎君

      奥野 信亮君    亀岡 偉民君

      菅家 一郎君    工藤 彰三君

      熊田 裕通君    下村 博文君

      鈴木 隼人君    瀬戸 隆一君

      関  芳弘君    田中 和徳君

      平  将明君    武部  新君

      辻  清人君    土屋 品子君

      平沢 勝栄君    古屋 圭司君

      牧島かれん君    三谷 英弘君

      宮下 一郎君    務台 俊介君

      宗清 皇一君    八木 哲也君

      山本 有二君    鷲尾英一郎君

      大西 健介君    落合 貴之君

      源馬謙太郎君    堤 かなめ君

      西村智奈美君    伴野  豊君

      藤岡 隆雄君    本庄 知史君

      森山 浩行君    吉田はるみ君

      渡辺  創君    阿部  司君

      池畑浩太朗君    漆間 譲司君

      掘井 健智君    庄子 賢一君

      中野 洋昌君    鰐淵 洋子君

      斎藤アレックス君    宮本  徹君

      緒方林太郎君    仁木 博文君

      櫛渕 万里君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   総務大臣         松本 剛明君

   法務大臣         齋藤  健君

   外務大臣         林  芳正君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   文部科学大臣       永岡 桂子君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   農林水産大臣       野村 哲郎君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      西村 康稔君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    西村 明宏君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     松野 博一君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (デジタル改革担当)

   (消費者及び食品安全担当)            河野 太郎君

   国務大臣

   (復興大臣)       渡辺 博道君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     谷  公一君

   国務大臣

   (こども政策担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   小倉 將信君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   後藤 茂之君

   国務大臣

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)

   (経済安全保障担当)   高市 早苗君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (地方創生担当)

   (規制改革担当)

   (クールジャパン戦略担当)

   (アイヌ施策担当)

   (国際博覧会担当)    岡田 直樹君

   財務副大臣        井上 貴博君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            山中 伸介君

   会計検査院長       森田 祐司君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  齋藤 秀生君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  吉川 徹志君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    渡邊 国佳君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     由良 英雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 石月 英雄君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河邉 賢裕君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    中込 正志君

   政府参考人

   (文化庁次長)      合田 哲雄君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           恒藤  晃君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          畠山陽二郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            小林 浩史君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            瓦林 康人君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  丹羽 克彦君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  上原  淳君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  久保田雅晴君

   政府参考人

   (観光庁次長)      秡川 直也君

   政府参考人

   (環境省大臣官房地域脱炭素推進審議官)      白石 隆夫君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  松澤  裕君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  川嶋 貴樹君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月一日

 辞任         補欠選任

  今村 雅弘君     岩田 和親君

  岩屋  毅君     務台 俊介君

  奥野 信亮君     関  芳弘君

  亀岡 偉民君     今枝宗一郎君

  熊田 裕通君     工藤 彰三君

  下村 博文君     菅家 一郎君

  鈴木 隼人君     石原 宏高君

  辻  清人君     宗清 皇一君

  牧島かれん君     瀬戸 隆一君

  三谷 英弘君     平  将明君

  山本 有二君     武部  新君

  藤岡 隆雄君     伴野  豊君

  渡辺  創君     落合 貴之君

  池畑浩太朗君     漆間 譲司君

  緒方林太郎君     仁木 博文君

同日

 辞任         補欠選任

  石原 宏高君     鈴木 隼人君

  今枝宗一郎君     石川 昭政君

  岩田 和親君     今村 雅弘君

  菅家 一郎君     下村 博文君

  工藤 彰三君     熊田 裕通君

  瀬戸 隆一君     牧島かれん君

  関  芳弘君     奥野 信亮君

  平  将明君     三谷 英弘君

  武部  新君     山本 有二君

  務台 俊介君     岩屋  毅君

  宗清 皇一君     辻  清人君

  落合 貴之君     堤 かなめ君

  伴野  豊君     藤岡 隆雄君

  漆間 譲司君     池畑浩太朗君

  仁木 博文君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     亀岡 偉民君

  堤 かなめ君     渡辺  創君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和五年度一般会計予算

 令和五年度特別会計予算

 令和五年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 令和五年度一般会計予算、令和五年度特別会計予算、令和五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官齋藤秀生君、内閣官房内閣審議官吉川徹志君、警察庁刑事局長渡邊国佳君、復興庁統括官由良英雄君、外務省大臣官房審議官石月英雄君、外務省北米局長河邉賢裕君、外務省欧州局長中込正志君、文化庁次長合田哲雄君、厚生労働省健康局長佐原康之君、経済産業省大臣官房審議官恒藤晃君、経済産業省産業技術環境局長畠山陽二郎君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄君、中小企業庁事業環境部長小林浩史君、国土交通省総合政策局長瓦林康人君、国土交通省道路局長丹羽克彦君、国土交通省鉄道局長上原淳君、国土交通省航空局長久保田雅晴君、観光庁次長秡川直也君、環境省大臣官房地域脱炭素推進審議官白石隆夫君、環境省地球環境局長松澤裕君、防衛省整備計画局長川嶋貴樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。平将明君。

平委員 自由民主党の平将明です。よろしくお願いをいたします。

 党の方では、デジタル政策とか、あとウェブ3PT、AIPTの座長をさせていただいております。また、今年から、自民党の新しい資本主義実行本部、岸田総理が本部長を務めていらっしゃる本部でまた事務局長を務めさせていただきます。

 今日は、デジタル分野における国家の課題を中心に質問をさせていただきたいと思います。

 まず、ウェブ3に関してですが、なぜ我々が、ウェブ3PT中心に、ウェブ3、ウェブ3と言っているのかといったところについてお話をさせていただきたいと思いますが、そもそもこれは、自民党で言うと、ウェブ3と言うけれども、1と2はどこ行ったとよく言われるんですね。

 ちょっと簡単に説明しますと、ウェブ1・0というのは、要は、インターネットの世界でメールでやり取りができたり、ウェブサイトで世界中の情報が取れるようになりました。しかも、通信料はほぼほぼかからない形でですね。

 これがウェブ1・0とすると、ウェブ2・0はGAFAの世界ですね。プラットフォーマーの世界で、これは、個人が世界に発信できるようになりましたので、ある日、そのタレントを見出されて世界的スターになったり、あと、地方の個人経営のレストランとか観光名所が世界的に有名になって、世界からお客さんが殺到するということも起きましたけれども、一方で、プラットフォーマーに情報が集中をしたり、富の偏在になったり、あとは、SNSを通じて過激な意見が両論盛り上がって、社会の分断につながったりしている。あとは、GAFAと言われるところは株価も高いんですが、ほぼほぼそこにいわゆる付加価値が集中をするというのがウェブ2・0の世界であります。

 そこで出てきたのがウェブ3ということで、自律分散型ということで、イメージでいうと、ベースはブロックチェーンです。ブロックチェーンの上に暗号資産が乗っていたり、その上にNFT、ノンファンジブルトークンみたいなのが乗っていたり、さらには、メタバースと初日に総理の答弁がありましたけれども、メタバースも、そういったトークン、ファンジブルトークンとかノンファンジブルトークンが組み込まれた、トークンエコノミーが組み込まれていると、ウェブ3になります。その組織を、全体を動かすのがDAO。

 これはワードを説明していると時間が終わっちゃうので、分からなかったら後でグーグルで調べていただきたいと思いますが、そういう世界観です。

 それで、なぜウェブ3を日本がやるべきかというのを、是非資料を見ていただきたいんですが、伊藤穣一さんが作っているグラフが一番分かりやすいというふうに思います。

 これは、バリューがどこから生まれるのかというレイヤーの構造ですけれども、ウェブ2・0とウェブ3と書いてありますが、さっき言ったウェブ2・0というのは、この真ん中のアプリケーションレイヤーが厚いんですね。要は、ここはGAFAです。GAFAで、ここがみんな付加価値を持っていっちゃうんですね。

 それで、プロトコルレイヤーというのが薄いのは、これはTCP/IPとかというもので、このプロトコルは余りもうからない、アプリケーションがもうかる。上に乗っかっているコンテンツは、動画サイトでも何でもそうですけれども、個人が出していますが、実際、収益はGAFAなどのプラットフォーマーがほとんど持っていっちゃうというのがウェブ2・0の構造です。

 ウェブ3の構造は、プロトコルレイヤーが分厚いんですね。ここはブロックチェーンです。ですから、ここはビットコインが発行されていたりイーサリアムが発行されたりしているので、分散型のブロックチェーンで動いていて、トークンを発行しますから、マネタイズしやすいので分厚いです。

 一方で、アプリケーションレイヤーは薄いんですね。これは、オープンシーとかの手数料とアップルストアの手数料を比べれば、十分の一ぐらいになります。

 ここで注目してほしいのは、一番上のコンテンツの、IPレイヤーが分厚いんです。これはNFTなどを使ってマネタイズしやすい。日本は、このコンテンツ、IPレイヤーがめちゃくちゃ強いんですよ。漫画とか、アニメとか、ポップカルチャーとか、食とか、あと地方の観光の体験だとか。

 私も地方創生の副大臣を石破大臣の下でやっていましたが、ずっと今まで持っている問題意識は、日本の持っているそういったコンテンツとか地方の価値、観光の価値が安過ぎる、国際価格から見て。だから、この価値をいわゆるグローバル化する、価値を最大化することによって、日本のポテンシャルを最大化することができる。なので、ウェブ3と言っているわけであります。

 こういうことを考えて、やはりウェブ3をどんどん活用することが日本の勝ち筋でありますから、その環境を整えていくことが大事であって、ですから、年末で税調でもいろいろな対応をしていただきました。まだ足りないところがありますので、引き続きやっていくということです。

 ただ、世界は、暗号資産の暴落、要は、世界中がインフレになって、中央銀行がいわゆる金融政策を引き締めていますから、金余りの時代は終わった。ですから、短期でお金もうけしようといって暗号通貨に突っ込んでいた人はみんな引きました。さらには、アメリカでスキャンダルがあって、今、クリプトウィンターと言われて、すごく盛り下がっているんです。私自身は、更に言うと自民党のウェブ3PTは、暗号資産が上がった下がった、売った買った、もうかった損したというのは興味ないです。基本的に、ブロックチェーンが生み出すこの機能に着目をしています。

 実際、日本は今どう見られているかというと、アメリカでは、取引所の問題があって、いろいろなことが指摘されていますが、日本の取引所は世界で一番安全ですね。マウントゴックス事件とかコインチェックの事件を経て、金融庁がしっかりと管理体制をつくりました。更に言うと、ステーブルコインという法定通貨とペッグをした通貨、これも、法律を作りましたので、今世界で一番進んでいます。

 暗号資産というと、波が激しい、ボラティリティーが激しいんですが、法定通貨とペッグをしたステーブルコインが出てくると、かちっとしたDAOの組織ができるようになります。多分、今取り組んでいる円のステーブルコインは、世界中で使えるステーブルコインになると思います。

 さらには、そのウェブ3の全体の組織をDAO、非中央集権型自律型組織といいますけれども、このDAOをちゃんと使えるように、我々PTで、議員立法で法制化をしようと思っています。結果、一周回って、世界の先頭に、今、日本が立つチャンスにあります。

 更に言うと、さっき言ったこのウェブ3のコンテンツ、IPレイヤーが強いということは、地方創生にウェブ3が活用できるということですし、クールジャパン政策にウェブ3が活用できるということです。

 更に言うと、地方創生は、ふるさと納税という政策ツールがあるので、このふるさと納税とNFTを組み合わせて、人を呼び込むとか、地域の価値を最大化するとか、グローバルなところで、転売をしてもクリエーターとかサービスの提供者にちゃんとフィーが入ってくる仕組み、中間の転売ヤーがもうかる仕組みじゃなくて、真面目にやっている人にちゃんと還元する仕組みもできますので、こういうことを考えると、日本が持っている様々な課題を解決するのに、こういったブロックチェーンの技術、ウェブ3を使った技術が有効だというふうに思っております。

 是非、このように、ウェブ3を活用して日本の課題を解決していただきたいと思いますが、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 今、委員の方からウェブ3について様々説明がありました。

 こうしたウェブ3という技術を使うことによって様々な可能性が期待されるということで、例えば、DAOということを考えましても、同じ社会課題に関心を持つ人々が新しいコミュニティーを組成する、そういったことができるのではないかとか、それから、NFTについてもお話がありましたが、クリエーターの収益を多元化するとか、あるいはロイヤリティーの高いファンの維持、取り込みが可能であるとか、様々な期待があります。

 これを、おっしゃるように、クールジャパンですとかそれから地方創生に活用する、クールジャパンや地方創生に向けて強力なツールにする可能性、これは誠に大きいということなんだと思います。

 デジタル庁におきましても、Web3・0研究会という研究会で議論を行って、既に昨年報告書をまとめていますが、その中で、新しい技術であるがゆえに、既存の制度との適合性への懸念などから自治体や事業者が技術活用をちゅうちょする場合が想定されることから、相談窓口設置の必要性、こうした内容が指摘をされています。

 まずは、こうした相談窓口の設置を行うことによって、技術活用に向けた課題の集約、これを進めることが大事だとされていますし、おっしゃるように、自民党においてもこうした議論を進めていかれるということですので、党においての議論も踏まえつつ、政府として、この分野をクールジャパンや地方創生に生かしていくためにどのような支援をしていくべきなのか、こうしたことを考えていかなければならないと認識をしております。

平委員 是非、国家戦略としてウェブ3に取り組んでいただきたいと思いますし、新しい技術が出てくると、レギュレーションのデザインをやはり迅速にしないといけないということと、あと、税制のデザインをしっかりしなければいけないということですので、是非一緒に頑張っていきたいと思いますので、総理の方も是非よろしくお願いをいたします。

 サイバーセキュリティーについてお伺いしたいと思います。

 サイバーセキュリティー、高市大臣は党でリーダーシップを発揮されて取りまとめをされていましたが、どんどん深刻化していく。それで、取り組む範囲もどんどんどんどん拡大をしていく、技術も、攻撃側の技術がどんどんどんどん飛躍的に上がっていくということだというふうに思っております。ですから、これを担当する政務も、本当に短い期間でアップデートしていかないと対応できないということだと思います。

 以前は、サイバーセキュリティー、私も担当副大臣をやったことがありますが、オリンピック・パラリンピック担当大臣についていたんですね。オリンピック・パラリンピックのときに、やはり世界から攻撃されやすい。ただ、そのスキームがあったものですから、デジタルに土地カンのない人が担当大臣になるということがよくあって、この反省から、反省からと言っちゃいけないですね、この教訓、教訓からもおかしいですね、デジタル大臣ができたときに、サイバーセキュリティーと一緒にくっつけたわけですよ。

 なのですが、今回は、組閣において、国家公安委員長と兼務というふうになりました。これも、ランサムウェアだとかいろいろな犯罪が起きますから、ここも重要なんですが、これだけじゃないですよね。

 まず大事なのは、ランサムウェアがあります、あと、重要インフラを守らなければいけません。デジタルガバメントを進めていますから、デジタルガバメントの守りも固めなければいけない。更に言えば、安全保障ですよね。ハイブリッド戦争になりましたから、どうやってこのサイバー戦を勝ち抜いていくのかという安全保障。さらには、テロ対策。さらには、ディスインフォメーション対策ですね。外国から民主主義に介入をしていく、世論を外国からSNSを通じて操作をしよう、こういうことにも対応していかなければいけません。アクティブディフェンスという言葉も出てきました。

 では、具体的にどこまで何をやっていいのかというのも、これは詰めていかなければいけません。ホワイトハッカーも育成をしなければなりません。日本のリソースは足りないです、少ないです。是非、警察とか防衛とかデジタル庁で縄張争いをしている余裕はありませんので、かちっと司令塔をつくって、全体を網羅して取り組んでいただきたいというふうに思います。

 そういった観点から、官房長官にお伺いしたいと思いますけれども、そういう全体的なサイバーセキュリティーの政府の司令塔は官房長官でよろしいんですねという話と、あとは組織、今NISCもいろいろやっていますけれども、NISCだけではとてもじゃないですけれども対応できません。NISCの機能拡張も含めて抜本的な体制強化を図るべきだと思いますけれども、官房長官、いかがでしょうか。

松野国務大臣 平先生にお答えをさせていただきます。

 先生御指摘のとおり、サイバーセキュリティーは様々な府省庁にまたがる課題であり、政府一丸となって取り組むことによって、自由で公正かつ安全なサイバー空間の確保を図っていくことが重要であると認識をしております。

 こうした観点から、サイバーセキュリティーに関する施策を総合的かつ効果的に推進するため、サイバーセキュリティ基本法に基づき、官房長官である私を本部長とするサイバーセキュリティ戦略本部が設置されており、政府全体で取り組む三年間の諸施策の目標等を盛り込んだサイバーセキュリティ戦略の取りまとめ等を行っています。

 また、昨年十二月の国家安全保障戦略においても、サイバー安全保障分野での対応能力を向上するため、政策を一元的に総合調整する新たな司令塔組織を設置するとともに、外国による偽情報等に関する情報の集約、分析、対外発信の強化等のための新たな体制を政府内に整備することとしたところであります。

 私としては、これらの課題について、関係閣僚とも協力しつつ、政府一丸となって取り組んでまいります。

平委員 官房長官、ありがとうございます。

 あともう一つは、同盟国、同志国との連携がすごく大事だと思います、特にサイバーセキュリティーにおいては。

 この間、平井初代デジタル大臣、牧島かれん前デジタル大臣と一緒にオーストラリアに行ってまいりましたけれども、サイバーセキュリティーの話をしてまいりました。オーストラリアも、特にディスインフォメーション対策などは、本当に、法律を作って、しっかり対応をしています。

 これから、ロシアのウクライナの侵略戦争を見れば、ハイブリッド戦争になってくるわけで、これは日本一国のリソースでハイブリッド戦争をしかけられたときに到底守れるとは思えません。ですから、同盟国、同志国との連携も強化をしていかなければいけない。究極的にはファイブアイズだと思いますが、とてもじゃないですけれども、法律ができていませんので。

 ただ、我々ローメーカーは、しっかり、何が足りないのかというのはやはり意識をして、これから議論していく必要があるというふうに思っています。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 社会保険料百六万円の壁ということで、手元に資料がありますが、これは初日に萩生田政調会長から指摘があった問題とその解決策について、ちょっと続きをやらせていただきたいというふうに思います。

 資料を見ていただけると、これはもう皆さんもよくよく御承知のことだと思いますが、配偶者になっている方が年収百万円を超えると、ある一定程度、社会保障料でいうと百六万ですけれども、そうすると社会保険料の負担が来て、さらには家族手当がなくなるなどして、こういった瞬間、これから働いても所得は逆に減る。これをイコールにするには、多分百三十五万、百四十万ぐらいまで働き続けないとこの壁が越えられないという問題があります。

 今、大変な人手不足になっているわけですが、アンケートを取ると、これは民間シンクタンク調べですけれども、もしこういった、仮定の話ですけれども、負担増がなければ、もっと働いて、もっと収入を得たいと思いますかというアンケートで、とてもそう思う、まあそう思うと答えた人が八割いるわけであります。

 今何が起きているかというと、人手不足です。時給を上げます、時給を上げると、働く時間が少なくなります、この壁を越えちゃいけないので。ですから、働き控えが起きます。人手不足が更に進みます。なので、時給を上げます、そうすると更に時間を削るという無間地獄に今なっているんです。これはかなり抜本的な制度改革が必要ですが、今すぐ、なかなかその制度改革ができるかどうかというと、これは結構議論があるところだと思います。

 そこで、提案は、この年収の壁を一時的に給付したらどうなるかという話です。これは、給付をして、要は上がっていって、保険料で下がりますよね、それから働き続けるとまた元に戻って、そこから上に上がってくる。ここの崖ですよね、崖をどう越えるかという話ですけれども。

 それを、例えば、頭の体操で、その分を給付しますというと、二枚目を見ていただきたいんですが、経済効果でいうと、一番下の、総額二・九兆から四・七兆ぐらいの経済効果があります。

 もう一枚めくって、三番目ですけれども、この崖を埋めるために、給付するためにかかる国家予算はおおむね六千億円。今、三番の資料を言っています、おおむね六千億円かかるんですが、これを試算すると、企業側も社会保険料を払いますので、換算すると、社会保険料の歳入増は一・一兆円、負担が六千億円なので、ネットで六千億円、社会保険財政はよくなる。更に言うと、所得が増えますので、さっきのGDPのみならず、多分、消費税も増えるんだというふうに思います。

 これは、確かに、この間、総理の答弁では、フェアかどうかという観点もすごく大事ですが、この無間地獄を取りあえず脱出する。さらに、これは時限でよくて、これから時給が上がっていきますので、五年ぐらい時限でやると、時給が上がってきて、みんなもう向こう岸にたどり着いているんですね、この崖に橋を渡してあげなくても。ということもありますし、例えば、五年の時限立法の間に抜本的な制度改革をするというやり方もあると思います。

 いずれにしても、時給は上がる、人は減るという、この負のスパイラルを何とかしなきゃいけないと思います。今、現場はすごく人手不足です。是非、こういうことも踏まえて対応されたらいかがかと思いますけれども、いかがでしょうか、総理。

岸田内閣総理大臣 パートタイム労働者や非正規雇用労働者の方々について、本人の希望に応じて活躍し、収入を増やしていけるようにすることが重要であり、いわゆる壁の問題、百三十万円の壁等の壁の問題への対応のみならず、正規、非正規の間の制度や待遇面の差の改善、非正規雇用労働者の正規化、こうした幅広い取組を進めていかなければならないと考えています。

 その中で、委員御指摘の壁の問題、基本的には、百三十万円の壁については、これを意識せず働くことが可能となるよう、短時間労働者への被用者保険の適用拡大を進めてきたところであり、いわゆる百六万円の壁についても、最低賃金の千円以上への引上げによって解消されていくものであると見込んできたところでありますが、それでも、被扶養者が扶養から外れて被保険者に転換するという時点に至りますと、やはり、社会保険料が生ずるために就労調整を行う、ちゅうちょする、こうしたことがある、これは指摘のとおりだと思いますし、この問題意識、共有をいたします。そこで、私自身も施政方針演説で、こうした壁の問題について、制度を見直すと申し上げました。

 そして、委員の方からは、その見直し、すぐにはできないから、一時的に補填をする、こういったことはどうかという御質問をいただいたわけですが、それに対して、予算委員会初日、萩生田政調会長にもお答えしたように、被扶養者でない単身世帯の方々との間の公平という問題はある、こういった点は指摘はさせていただきました。

 しかし、いずれにせよ、問題意識、受け止めて、政府としてどんな対応ができるのか、今申し上げた考え方に基づいて、これは幅広く対応策を検討してまいりたいと思います。

平委員 前向きな御答弁をいただきました。

 本当に現場は、ウィズコロナの中で経済が回り始めて、例えばホテル、旅館とか飲食のところは、ファシリティーがあるのにフルに動かせないという状態が続いていて、この無間地獄が、更にスパイラルが進むと、更に人が減るということになっています。

 ですから、こういった意味では、緊急避難的な措置であっても、歳入歳出ではプラスです。ですから、このミクロの不平等感というのもすごく大事ですけれども、全体で見たら国全体に裨益をすることだというふうに思います。なかなかこれは官僚のロジックからは出てこないので、政治家が判断をしないと前に進まない問題だと思います。是非、前に進めていただきたいと思います。

 次に、DFFTに向けた取組について、デジタル大臣にお伺いをします。

 今、日本が結構低迷しているのは、物づくりですごくリードしたわけですよね、その後、世界は何で稼いだかというと、金融で稼いだわけですよね。日本は、バブル崩壊の後と、あと何か競争力強化とかフィンテックがやはり若干弱かったかなと思います。ここに乗り遅れました。そのうちにデータで稼ぐ時代が来て、さっきのウェブ2・0の世界が来たんだけれども、ここでも乗り遅れたんですね。

 これから、データ・ドリブン・エコノミーというのを考えると、例えば工業製品、車はみんなコネクテッドカーになっていって、それがIoT端末になって、車から吸い上げられるデータから付加価値が生まれるんです。ですから、そういった意味では、データ・ドリブン・エコノミーにおいて、データがどう流通するかというのは物すごく大事。

 さらに、我々は、個人情報はしっかり守らなければいけません。国によっては、全く個人情報を守らない国もあります。ですから、我々は、パーソナルデータはちゃんと守る、そうじゃないところは流通させるものと守るものを仕分をする。そういった共通のルールを世界でどれだけ共有できるかで、日本企業が世界で活躍するフィールドが決まるわけですね。

 ただ、一方で、西側も、ヨーロッパはGDPR、個人情報をすごく守りましょう、アメリカは比較的イノベーションを重視しましょうといって、意外とばらばらなんです。

 ですから、こうやって自由と民主主義と基本的人権を守りながらデータの価値を最大化するためには、データ・フリー・フロー・ウィズ・トラスト、これは安倍総理が提唱した考え方ですけれども、これは非常に大事で、是非、ヨーロッパ、アメリカと、それぞれの国と日本がやはりリードしてDFFTの世界をつくって、さらに、インドを巻き込んで、ASEANを巻き込んでというふうなことが重要になると思います。

 G7の会議でデジタル大臣会合があると思いますが、このDFFTの取組に対して、デジタル大臣から答弁をいただきたいと思います。

河野国務大臣 データ流通、しかも国境を越えたデータ流通が非常に重要だというのは、だんだん、各国、共通認識があると思います。

 今委員からお話がありましたように、ヨーロッパはプライバシーを重視するGDPRというルールを確立しておりますが、アメリカはデータの流通の自由を重視する。全くヨーロッパとアメリカが方向が違っている中で、米欧で二人で議論をしても、どっちかが勝つとどっちかが負けたということになって、なかなか議論が進まない。その中で、日本がそこの間に入っていって、しっかり国際的な方向性を決めていくというところに対する期待感はあると思います。

 ヨーロッパとアメリカがすぐに同じルールにするというのはこれは無理ですので、今、日本が考えているのは、国際的な枠組みをつくって、そこに事務局を置いて、まずは、各国、各地域のデータ流通の規制に関する最新の情報を集めたデータベースをまずその国際的な枠組みで作ろう、それによって、いろいろな国に出ていこうとする中小企業が、そこを見ればまず何をやらなきゃいけないかというのがすぐに分かる。それを第一歩として、G7、そして同志国、あるいはグローバルサウスを巻き込む、データ流通に関する一つのレジームをつくっていきたい、そういう話を今回の海外出張でしてまいりました。

 かなり各国の賛同が得られたと思いますので、これをG7のデジタル大臣会合で取りまとめ、首脳会議でエンドースをしてもらう、そういう方向に動いていきたいというふうに思っております。

平委員 ありがとうございます。是非、DFFTを進めていただきたいと思います。

 あとは、DFFTも、よくよく見るとウェブ2・0なんですよね。ここに自律型、分散型のウェブ3の波がざぶんと今来るので、このウェブ3がどういう影響をDFFTに与えるのかというのも注視をする必要があって、実は、ウェブ3、ちゃんとしたウェブ3は専制国家は乗りにくいんですね、影響力を及ぼすことができないので。ですから、ちょっとそういった掛け算も是非していただきたいと思います。

 済みません、時間がもうなくなっちゃいましたので、防災担当谷大臣、ちょっと指摘だけさせていただいて、あと一分ぐらいなので、終わりたいと思いますが、防災掛けるIT、是非進めていただきたいと思います。

 例えば、地震が起きました、瓦れきの下に誰がいるのか、GPS情報を民間は持っているけれども、その民間が持っている情報を役所に出していいのかどうか問題があって、それも、いろいろなアプリがあるわけですよね、食べに行くアプリもあれば、マッチングアプリもあると思います。

 ですから、そういったレギュレーションをしっかり整備をして、みんなスマホを持っているわけですから、適切にそういったGPS情報を使って救助ができるとか、あとは、地震が来て通信が途絶しますので、いわゆる成層圏を太陽光パネルで三か月も六か月も飛んでいる基地局だとか、更に言うと、ウクライナで使われているコンステレーション衛星とか、こういったものを使わないと、首都直下型地震とか南海トラフが来たときに、何か防災対策で、スマホに振ったはいいけれども通信できませんみたいなことができますので、そういったところを是非検討していただきたいと思います。

 済みません、質疑時間が来ましたので答弁はまたということで、ありがとうございました。

 質問を終わります。

根本委員長 これにて平君の質疑は終了いたしました。

 次に、石原宏高君。

石原(宏)委員 自民党の石原宏高でございます。

 早速質問に入りたいと思います。

 二〇一九年、私は、環境副大臣として、その年の台風十五号、十九号の災害廃棄物の処理に当たり、気候変動により大型化する台風、その被害の拡大の現状を目の当たりにいたしました。また、伊豆諸島、小笠原諸島を選挙区に持つ国会議員として、気候変動による水温の上昇によって海藻等が減少して、イセエビやトコブシや魚の収獲が激減しているという現状のお話を漁協の方に聞いてまいりました。そのような経験から、気候変動対策のためのカーボンニュートラルの必然性を強く実感し、また、自民党の環境・温暖化調査会の事務局長として、政府への提言も取りまとめてまいりました。

 一方で、長く続くデフレ、また、コロナ禍、エネルギー不安、そして物価高騰などで、日本経済に不安定要素が多々あります。未来への不安を口にされる中小企業の方も私の選挙区におられますけれども、そんな今だからこそ、ピンチをチャンスに、気候変動対策をむしろばねにして日本経済を成長させる、そんなGXが必要だと私は強く確信しております。

 本日は、そのような観点から質問をさせていただければというふうに思います。

 まず、岸田総理にGX戦略への決意をお伺いしたいと思います。

 総理は、施政表明演説において、GX、グリーントランスフォーメーションは、脱炭素と、エネルギー安定供給、そして経済成長の三つを同時に実現する、一石三鳥の戦略であるというふうに述べられました。そして、それを実現するために、国による二十兆円規模の先行投資により、官民で十年間で百五十兆円超の投資を引き出すカーボンプライシングを段階的に引き上げて投資を前倒し促進するなど、我が国が始まって以来の大胆で画期的な決断を下されたというふうに思います。

 これまで、環境問題や脱炭素への取組は欧州主導で、残念ながら日本はその後塵に拝してきた感は否めませんが、しかし、今回の総理の決断によって、初めて、我が国がこの問題について主体的に取り組み、むしろ世界をリードしていくんだという意気込みをお示ししたというふうにも言えると思います。

 総理のおっしゃるGXという経済、社会、産業、地域の大変革に取り組むに当たっての御決意を改めてお伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 まず、昨年二月のロシアによるウクライナ侵略によって、世界的なエネルギー危機と言われる中、エネルギーの安定供給、これが世界的な大きな課題となってきています。近年は、多くの国において脱炭素に重きを置いて検討を進めてきましたが、これからは、エネルギー安定供給と脱炭素、これをいかに両立させるか、これが多くの国にとって課題となっています。そのためにも、経済、社会、産業、地域等の大変革であるGXを加速し、そして経済成長につなげていきたいと考えています。

 今般新たに取りまとめた成長志向型カーボンプライシング構想に基づいて、日本全国において、今後十年間で百五十兆円超のGXに関する官民投資を実現するために、国が先行して、複数年の計画を立てて、そして、二十兆円規模の投資促進策、これを行ってまいります。

 また、二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向けて、アジアにおいては四十兆ドルを超える大きな資金需要があるという試算があります。このアジアの成長と、そして脱炭素に向けた取組を支援し、我が国の成長にもつなげていく、こうした考えに基づいて、昨年来提唱してきたアジア・ゼロエミッション構想、これを今年の春から具体化し、そして動かしていきたいと考えています。

石原(宏)委員 ありがとうございます。

 次に、国内のカーボンプライシングについて質問をしたいと思います。

 政府は、本通常国会において、GX推進に関する法律を用意されるというふうに伺っております。その中で、炭素に対する新たな賦課金の導入、また、電力事業者に対する排出権取引制度の導入が実施されるというふうに聞いております。

 一方、これに先立ち、民間企業による排出権取引であるGXリーグが二〇二六年より本格稼働をいたします。これらの取引の将来像についてお教えをいただけますでしょうか。

 また、制度が本格的に稼働すると、炭素価格も様々な形で決められることになります。まず、民間GXリーグにおける炭素価格、第二に、政府が電力業者と決める炭素価格、さらに、諸外国における炭素価格などです。将来的にこれらの炭素価格の関係はどうなっていくというふうにお考えになっているのか、お聞きしたいと思います。

 最後に、多くの国民の方々が、カーボンプライシングが導入されると負担が増えるのではないかというふうに心配をされています。その中で、国民が最も気にしているのは、このカーボンプライシングと電気料金だというふうに思います。将来の、国内のカーボンプライシングが導入されたときの電気料金は今後どうなっていくというふうにお考えになっているのか、お伺いいたします。

西村(康)国務大臣 お答えします。

 まずは、成長志向型カーボンプライシングということで構想を今練っているところでありますけれども、企業がまずGXに取り組む期間を先に設けて、先に取り組んでもらう。その後に、電気料金に賦課される、今賦課されておりますFIT賦課金とか、あるいは石油石炭税などエネルギーに係る負担の総額、これを中長期的に、増えないように、減少させていく中で導入をしていく考えであります。

 企業が先にGXに取り組む期間においてGX投資を前倒ししてもらうということで、再エネ、原発などの脱炭素電源の低コスト化、それから、化石燃料に要する費用や安定供給に伴うリスク低減、そして、水素、蓄電池など新たな市場立ち上げ、こうしたことを通じて、国民にも恩恵がある制度としていきたいというふうに考えております。

 そうした中で、炭素価格についてでありますけれども、国内の炭素価格につきましては、今年度、東京証券取引所でカーボンクレジットの市場取引実証を実施しております。これまでの相対取引から取引所取引とすることで、実際に炭素価格の市場が形成されつつあります。具体的には、省エネのクレジットで八百円から一千六百円、再エネクレジットで一千三百円から三千五百円ということになっておりますが、御指摘のように、来年度から試行を開始するGXリーグにおける排出権取引、その後の発展段階におきましても、このカーボンクレジット市場での価格形成を想定をしております。

 ちなみに、先行している欧州では、排出権取引制度を二〇〇五年から導入しておりますけれども、一トン当たり約八十ユーロということで、一万円ぐらいの価格になっております。こうした諸外国においても炭素価格の形成の動きがあります。

 これらの動向を踏まえながら、二〇二六年度からの排出量取引制度の本格稼働におきましては、炭素価格における予見可能性を高めるために、国内外でのこうした炭素価格、あるいは国際的な炭素の国境調整措置が様々議論されていくことになると思いますので、そうしたことを踏まえながら、取引価格の価格帯をあらかじめ示す制度設計を検討しているところであります。

 いずれにしましても、中長期的に負担の総額が増えないように制度設計をしていきたいというふうに考えております。

石原(宏)委員 ありがとうございます。

 是非、カーボンプライシングが入ると国民負担が増えるんじゃないかというところの説明をしっかりとしていただければと思います。

 次に、カーボンニュートラルのための原子力発電の位置づけについて質問をさせていただきたいと思います。

 資源の乏しい日本においてカーボンニュートラルを実現するためには、現実的に、私は、原子力の利用は不可欠だというふうに考えます。

 先般、英国保守党の環境関連議員とのテレビ会議において、英国における原子力発電の今後について、私、質問をいたしました。

 これに対して先方からは、原子力を将来の英国のベースロード電源として見たときに、そこには課題と可能性の両方がある、ただ、既存原発が二基、二〇三〇年に寿命を迎えるため、新しいものに置き換えないといけない、プロジェクトごとに一つずつやるとコストがかかるので、UAEや韓国の状況を見た上で、また、小型モジュール炉をロールスロイス社が造りたいと言っている、米国の企業も造ることに関心を示している、可能性としては、これから四基から八基ぐらい造っていく、恐らく四基になるけれども、そうすればベースロードとなる十四ギガワットを確保することはできるという回答がありました。イギリスは、原子力発電に対する前向きな姿勢を感じました。

 また、EUにおいても、原子力発電はカーボンニュートラルを実現するためのトランジション期の重要な電源であるとの合意がなされました。

 そこで、伺いたいと思います。

 米国、EU、英国等主要国で、カーボンニュートラル実現のために原子力発電をどのように位置づけているのか、日本政府はどのように認識しているのか、お伺いいたします。

 また、本年四月に札幌市で行われるG7気候・エネルギー・環境大臣会合において、カーボンニュートラルの実現のための原子力利用について議論をされるおつもりがあるかどうか、御質問させていただきます。

西村(康)国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘がありました米国、英国、イギリスですね、それからフランスなどにおきましては、カーボンニュートラル実現のための重要な技術として原子力発電を位置づけているところであります。

 具体的には、米国におきましては、二〇二一年、バイデン政権で二〇五〇年の温室効果ガス排出ネットゼロ実現を方針として掲げておりますが、その実現に向けて、革新炉への大規模な研究開発投資を進めているところであります。私自身、今年の最初に訪米いたしまして、エネルギー省のグランホルム長官と日米での連携を深めていくということで確認をしたところであります。

 それから、イギリスでありますけれども、御指摘のように、二〇二一年、当時のジョンソン政権におきまして、二〇五〇年の温室効果ガス排出ネットゼロ実現に向けまして、将来の原子力実現基金の創設を含むネットゼロ戦略を発表しておりまして、二〇五〇年に原子力発電を二五%を目指すということとされております。

 フランスにおきましても、フランスはそもそも、現在も電力の約七割を原子力からでありますが、マクロン大統領が、二〇五〇年のカーボンニュートラル達成に向けて、六基の革新軽水炉を建設する意向を表明されております。私も、先日、リュナシェ・エネルギー移行大臣と会談した際、日仏の協力連携を確認したところであります。

 このように、先進主要国各国におきまして、カーボンニュートラル実現に向けまして原子力発電を重要な技術として位置づけております。次世代革新炉の開発、建設に向けた取組をまさに進めていく中で、我が国としても、こうした同志国との戦略的な連携の下に、次世代革新炉の研究開発を推進してまいりたいというふうに考えております。

 このような背景の中で、本年四月のG7、札幌におきます気候・エネルギー・環境大臣会合でありますけれども、カーボンニュートラル実現とエネルギーの安全保障の両立に向けて、まさに原子力の重要性について議論をし、国際連携の強化につなげていきたいというふうに考えております。

石原(宏)委員 ありがとうございます。

 やはり私は、資源のない日本にとって、カーボンニュートラルを実現するためには、ある程度原子力を利用していかなければいけないと思いますので、多くの国民の方もそういう考え方に私は変わってきているのではないかというふうに思います。

 次に、二酸化炭素の排出削減の成果の国際移転に関するルールについて御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 GX実現に向けた基本方針案にも、GXを推進するためのSAFやEメタンについての国際ルールの形成についての記載があります。先ほど話をした英国保守党の議員団とのテレビ会議でも、EUの炭素国境調整措置について、日英で連携して対応していきたいという発言もありました。排出削減の成果の国際移転についてどのようなルールが形成されるのか、今後の我が国の国益に直結する問題ではないかというふうに思います。

 これまで日本は、物づくりの技術はあってもルール作りは苦手というふうに言われてきました。しかし、排出権取引については、JCMという国際的にも注目されるメカニズムにより、パリ協定の六条の構築に主体的に関わってくることもできました。

 政府には、その経験を生かしていただいて、SAFやEメタンなど合成燃料のカウントルールの形成を主導し、価格支援やプロジェクト支援を積極的に行って、世界に先駆けて社会実装をしていただいて、そのためには、まず、今年のG7においてこれらの燃料について議論し、コミュニケにも記載されるように是非働きかけていただきたいというふうには思いますが、とはいえ、国際ルールの形成には時間がかかりますので、まずは二国間の、特に、具体的なプロジェクトが進む米国との間で、省庁の垣根を越え、政府が一体となってルール整備を主導していっていただきたいと思います。

 そこで、質問させていただきます。

 まず第一に、JCMがうまくいった理由は何だと政府として考えられておられますでしょうか。また、SAFやEメタンなどの合成燃料の国際的なカウントルールについて、今後どのようなことが起きていくというふうにお考えでおられるのか。また、今年のG7でカーボンニュートラルのための国際ルールの形成について議論をされるのか。お聞かせください。

西村(明)国務大臣 今御指摘ございましたJCM、二国間クレジット制度、これは、途上国などのパートナー国に脱炭素技術を普及させて、そして、それによって得られる温室効果ガスの排出削減量を双方で分け合う仕組みでございます。途上国にとっては脱炭素技術を普及させることが可能となります。また、我が国にとりましても排出削減量が得られて、双方ウィン・ウィンの取組になることから、これまでJCMが進展してきたというふうに考えております。

 また、合成メタン等の国際的な活用を進めるためには、JCMと同様に、ウィン・ウィンの取組を進めることが重要だというふうに考えています。このため、具体的なプロジェクト、これをまず進めて、これによって得られる温室効果ガスの排出削減量を算定して、そして、日本とパートナー国に適正に配分して、国際的に検証可能な形で進めて実績をつくっていく、このことが重要だというふうに考えております。

 今年四月のG7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合の機会も活用しまして、JCMを含む世界全体の脱炭素化に向けた市場メカニズムの活用や、カーボンニュートラルのための国際ルールの形成に向けた議論、これを引き続き主導してまいりたいというふうに考えております。

石原(宏)委員 日本は技術があるからこそ、私はルール作りを主導していくことができると思いますので、是非、環境省、経産省、外務省、連携しながら、このルール作り、リードしていっていただきたいというふうに思います。

 次に、環境技術の中で私が大変注目しているペロブスカイト太陽電池について、ちょっと舌をかみそうになるんですけれども、質問をさせていただきたいと思います。

 日本には優れた環境技術が幾つもありますが、その中でも私が最も期待しているのが、積水化学や東芝が開発しているペロブスカイト太陽電池です。ペロブスカイト太陽電池は軽量で、シリコンとレアメタルも不必要で、既に高い交換効率を実現しています。

 太陽光発電を推進しても、よく言われるのは、もうかるのはパネルを製造する中国だけだというような御批判もあります。私は、経済成長につながる環境対策としての観点からも、このペロブスカイト太陽電池が国内で製造して普及することは大変大きな意義があるというふうに思います。

 我が国におけるペロブスカイト太陽電池の現状と今後の課題についてお教えをいただきたいと思います。また、特許を取っていないので、中国に生産拠点がつくられようとしているというようなうわさもお聞きします。ペロブスカイト太陽電池に関しての他国での取組についてどのように政府で把握されているのか、お教えをいただきたいと思います。

西村(康)国務大臣 お答え申し上げます。

 まさに御指摘のように、ペロブスカイトは日本発の技術であります。次世代太陽電池技術として大変注目をされているものであります。

 私も先週末、つくばの産総研に行ってまいりまして、まさに軽量で、軽くて柔軟性のあるこのペロブスカイトを実際手に取って、見て、また、研究開発の現状もお聞きをしてきたところであります。

 御指摘のように、耐久性が弱い屋根にも軽いですから置けますし、壁面にも柔軟性がありますのでつけれるということで、そうした設置困難な場所にも設置できるということで、まさに新しい技術であります。

 さらに、御指摘のように、海外に依存する既存のシリコン系の太陽電池とは違って、ペロブスカイトはその主な原料がヨウ素でありまして、ヨウ素は国内で生産されております。日本が世界第二の産出量を誇っているわけであります。このため、特定国からの原料供給状況に左右されることなく、より強靱なエネルギー供給構造を実現できるということであります。

 まさに御指摘のように、各国とも製品化に向けて研究開発競争を激化させているところでありますけれども、我が国におきましては、グリーンイノベーション基金を活用しながら、研究開発から社会実装までを一気通貫で支援するということと併せて、御指摘のように、国内のサプライチェーン構築を見据えて、ペロブスカイトの早期実用化に取り組んでいきたいという方針でございます。

石原(宏)委員 是非、非常に期待している技術ですので、国内での生産と普及を、経産省、応援をしていただいて、進めていただければと思います。

 次に、環境大臣に脱炭素の国民運動についてお伺いをしたいと思います。

 自民党の環境・温暖化対策調査会の事務局長としてヒアリングを重ねる中で、川口市の商工会議所の会長から、カーボンニュートラルの意義がまだまだ国民に浸透していないという御意見をいただきました。

 その一方で、私も環境副大臣、環境委員長なんかを務めましたので、環境省は五年ごとに気候変動影響評価報告書というのを出しております、なかなか読む人がいなくて、私も抜粋を読んでいる中で、その中では、例えば、日本の国産の昆布の種類が温暖化で激減するような記載もされております。

 さきにお話をしたように、台風の被害も大型化して拡大をして、さらに、私の伊豆諸島のイセエビが捕れなくなっているようなお話もさせていただきましたが、現場で気候変動の被害に苦しむ方がおられて、この報告、事実が国民に実感を持って受け入れられていないのではないか。だからといって、気候変動は怖いというような形で宣伝をして国民の負の感情をあおっても、生産的な議論はなかなか難しいんじゃないかと思います。

 脱炭素エネルギーの安定的な供給や、脱炭素型の製品やサービスの開発普及を進めるには、政府主導で世論をリードするだけではなくて、企業、自治体、国民の皆様に、脱炭素エネルギーや脱炭素型製品を自ら選んで、そして購入していただく、そんな意識改革、また行動変容が不可欠だというふうに考えております。

 環境大臣に、カーボンニュートラルの実現に向け、国民のこの意識改革、国民運動について、どのような施策を考えられているのか、お伺いしたいと思います。

西村(明)国務大臣 カーボンニュートラルの実現に向けましては、今、石原委員御指摘のように、国民の皆様の意識改革、そしてまた行動変容、これは不可欠でございます。それも、今国民の皆様は気候変動に対して様々な知識もお持ちですけれども、何をしていいのかというものも含めて小さな意識は持たれていると思いますけれども、これを大幅に、意識そしてまた行動を変えていくということが重要であろうというふうに考えております。

 このため、昨年の秋に、脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動というものを立ち上げまして、これには、企業、自治体等と一緒になって、まず気候変動の影響を分かりやすくお伝えする、そして、脱炭素につながる製品、サービスを選択することによって家計が浮いて、余暇が生まれますよといった暮らしの将来像をお示しする、そして、こうした国民の豊かな暮らしづくりを、企業、団体、自治体と一緒になって力強く後押しをしていこうという活動を今しております。

 具体的には、民間事業者等による脱炭素型の製品やサービス、こういったものを約百五十件をPRしておりますし、また、省エネ住宅やクリーン電力、サステーナブルファッション、デジタルワークなどのプロジェクトキャンペーン、これを、五百者以上の参画による官民連携協議会といったもので検討を指示しているところでございます。この官民連携協議会も、昨年の十月に立ち上げて、それ以降、十一月、十二月、一月と、毎月のように開催をいたしております。

 今後は、G7等のこういった機会を捉えて国際的にも提案、発信して、国内外で新たな消費、行動の喚起と市場創出につなげていきたいというふうに考えております。

 今お話ししたように、国民運動、脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動、非常に長くて覚えられないし、国民の皆さんもすとんとそれが入ってこないというふうに考えておりまして、もっと短い言葉で、そしてすとんと胸に落ちるような、そういった短い愛称、ネーミング、こういったものを考えて、そして普及して、意識改革、行動変容につなげてまいりたいというふうに考えております。

 こうしたネーミング、愛称をこれから募集してまいりたいというふうに考えておりますので、いいものがありましたら、是非御提案をいただければというふうに思っております。

石原(宏)委員 ありがとうございます。

 是非国民運動を盛り上げていただいて、意識改革と行動変容が脱炭素社会を実現するために重要だと思いますので、よろしくお願いいたします。

 残すところ二分ぐらいになってしまいましたので、ちょっと質問をこの辺で終わりたいと思いますけれども、少し時間を残してしまいますが。

 実は、今日は私の父の命日でございまして、ちょうど一年がたちます。父も環境庁長官を務め、そして都知事のときには排ガス規制などに取り組み、また、太平洋の島にも行って、海面が上昇しているということで、都知事のときにも、この気候変動問題、早く主張をされておりました。そんな父の命日にこの予算委員会で環境問題について質問の機会をいただいたことを、本当に、根本委員長始め理事の皆様に、このことを心から感謝を申し上げたいと思います。

 そして、私もだんだんだんだんこの環境問題がライフワークになってまいりました。金融機関から政治家に転じたんですけれども、金融とも非常に密接に連携しておるものですから、これからもしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

 残り五十秒ぐらいでありますけれども、本当に、質問の機会をいただきましたことを心から感謝申し上げまして、少し早いですけれども、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて石原君の質疑は終了いたしました。

 次に、宗清皇一君。

宗清委員 おはようございます。自由民主党の宗清皇一です。

 質問の機会をいただきまして、心から感謝を申し上げます。ありがとうございます。

 早速質問に移らせていただきます。

 今日は、予算、税制等について、あと少子化対策ですね、そういったことについて質問していきたいと思います。

 今年の予算を見ますと、我が国の課題であります安全保障環境を踏まえた予算になっております。防衛関係費も増額になっておりますし、また、少子化対策、子供政策、GXの投資などが措置されていますので、これはいずれも日本の将来を左右する重要な課題でございますし、その課題に対して成果を出していこうという予算であるというように受け止めています。

 一方、財政の方なんですが、私は、単年度だけで財政を見るべきものではないと思っています。しかし、これは単年度の積み重ねであることも事実であります。財政の肝は、持続可能かどうか。我が国の財政が与える影響は様々なところがありますけれども、為替の信認であったり国債の信認であったり、国際社会や市場から信認を得ている状態を保つことが重要であるというように考えます。

 一方で、財政のことを議論すると、よく緊縮財政派のレッテルを貼られて攻撃を受けることもあるんですが、私は、財政は持続可能な状態を保ち続けることが重要であるというように考えております。それは決して緊縮財政とは言わないわけであります。そして、どのような理屈を並べても、政府・与党には財政の信認を得るための努力が求められるわけであります。その視点から質問させていただきたいと思います。

 一方で、日本経済はこの三十年間にわたって低迷を続けてきたわけでありまして、世界第三位の経済大国の地位は確保はしているものの、例えばドイツと比べましても、二〇〇〇年代の初頭までは日本の名目GDPはドイツの約二倍程度であったものが、最近ではその差がなくなってきていたり、一人当たりの名目GDPを見ても、二〇〇〇年には世界第二位であったものが、二〇二二年には三十位まで転落している、こういう状況であります。

 日本経済の長期低迷については、様々な分析もありますし、複合的な要因があると理解をしていますけれども、日本が経済成長しないのは政府の支出が伸びなかったからだ、こういう主張もあるわけです。しかし、そのロジックだけを考えたら、じゃ、政府が支出さえすれば経済成長するのかということも考えられますし、緊縮財政をしてきたのなら何でここまで財政が悪くなってきたのかという疑問も残るわけです。

 ここで確認をさせていただきたいと思いますが、我が国の財政は各国と比べて緊縮財政であったのか、財政支出をしなかったから低成長であったのか、経済成長をしている国、各国と比較して、客観的な事実があれば教えていただきたいと思います。

鈴木国務大臣 経済低迷の原因が緊縮財政であったのではないか、そういう指摘があるというお話でありましたが、IMFの統計を見てみますと、我が国の債務残高対GDP比、これは二五九・四%でありまして、百八十五か国中、残念ながら最悪の水準にあるわけであります。このことを踏まえますと、これまでの財政政策が緊縮であったとは言えない。そのようには考えておりません。

 その上で、経済低迷の原因ということでございましたが、我が国では、バブル崩壊以降、生産年齢人口が減少する、その中で、企業は投資や賃金を抑制をする、消費者も将来への不安などから消費を減らさざるを得なかった、その結果、需要が低迷をいたしましてデフレが加速するという悪循環が生じたことで経済の低成長が続いてきた、そのように承知をいたしております。

 政府といたしましては、まずは、足下の課題、新型コロナや物価高騰などの課題、これを乗り越えるとともに、少子化対策や投資の促進、賃上げにも全力で取り組んで、経済をしっかり立て直していかなければいけないと考えております。

 そして、宗清先生御指摘になられましたが、同時に、市場や国際社会における、中長期的な財政の持続可能性、これへの信認が失われることがないように、財政健全化もしっかりと進めていくことで、経済再生との両立を努めてまいりたいと思っております。

宗清委員 この間、様々な財政措置をしてきたにもかかわらず日本経済の成長力が高まらなかった、この現実を私たちは真摯に受け止めて、歳出の中身もしっかり見直して、成果を出していく必要があるというように考えます。

 ですから、私は、財政は規模ありきじゃなくて、やはり中身なんです、これは当然なんですが。目指すべきは民需主導の経済成長でありますし、家計や企業の活力を引き出す経済対策が必要であるというように思います。

 あと、規模について申し上げると、財政の規模を考えるときに、よく補正予算の議論で、最近、GDPギャップに注目をして、このギャップを財政支出で穴埋めすべきという議論があることは承知をしているんですが、しかしながら、供給と需要の差を財政支出で埋め合わせるといった考え方は、支出の効率的な再配分、これも抑制しますし、経済の成長力を低下させてしまう可能性もあります。

 なお、このGDPギャップにつきましては、潜在GDPをどのように推計するのかという問題もありますし、推計主体、内閣府や日銀等によって推計の計算方法も変わりますし、推計のタイミングによっても試算結果が大きく異なることもある。基本的には過去のトレンドに基づく推計となりますので、実現可能なGDPの最大値を推計したものではない。あくまでマクロの推計であって、業種ごとの需要動向の違いを勘案しているものでもない。また、コロナ禍において見られたような、過去のトレンドとは全く異なる形で供給力が低下したり、そういったことがタイムリーに反映されるわけではありません。

 このように、GDPギャップの推計値は大きな幅を持って見るべきだろうというように思います。経済状態の変化を判断する上で、GDPギャップの推移を一つの参考指標として用いることはあり得たとしても、その絶対値に基づいて財政支出の規模を判断することはそもそもなじまないと考えますけれども、見解をお聞かせください。

鈴木国務大臣 宗清先生御指摘のとおり、GDPギャップの推計値につきましては、前提となるデータや推計方法によって結果が大きく異なるために、相当の幅を持って見る必要がある、そういうふうに思います。

 その上で、一般論として申し上げますと、財政出動に当たりましては、GDPギャップだけではなくて、我が国や世界を取り巻く社会経済情勢や我が国が抱える課題など各種の要素を考慮した上で、規模ありきではなく、必要な政策をきちんと積み上げることが重要であると考えております。

 例えば、昨年策定をいたしました総合経済対策におきましても、世界経済の減速リスクを十分視野に入れつつ、足下の物価高騰など経済情勢の変化に切れ目なく対応し、新しい資本主義の加速により日本経済の再生を図るために、必要な個別施策を積み上げたものとしております。

 財政は国の信頼の礎でございますので、引き続き、足下の経済状況に機動的に対応しつつ、財政健全化にも取り組むことで、責任のある経済財政運営に努めてまいりたいと考えております。

宗清委員 御答弁ありがとうございます。

 安倍元総理が積極財政派であった、だからもっと財政支出をするべきではないかという御主張を私もよく聞くんですが、でも、私の理解では、安倍元総理は、優先してやるべき国の課題を解決するために二度も消費税の増税を行っておられる総理だと思います。時の総理としては非常に厳しい政治判断をしてこられたと思いますし、その財源を使って、社会保障を充実させたり、年金の安定財源にしたり、保育の無償化に使ったり、必要な財政を確保されたというように理解をしています。

 私たち政治家は、やはり逃げずに、こういった歳入歳出両面から、知恵を出してしっかり頑張っていく必要があると思いますし、また、税収がしっかり上がるような経済対策、成長にも取り組んでいかなければならないと思います。

 政府には、今後とも、PBの黒字化の目標をしっかり堅持をしていただいて、同時に、これは達成をしていただくように御努力をお願い申し上げたいというように思います。

 次に、少子化問題について質問したいと思います。

 我が国の最大の課題は少子化と人口減少だというように私は思います。総理も、我が国は社会機能を維持できるかどうかの瀬戸際であると、強い危機感を述べられています。事実、この数年間の人口推移を見ると、五十万人とか六十万人以上の規模で人口も減っているわけであります。また、長期的なトレンドを見ても、婚姻件数や出生数は減少傾向が続いていますし、加えて、新型コロナの影響で結婚活動や妊娠活動にも少なからず影響があったと言われていますし、昨年の出生数が八十万人を下回るというように言われています。

 総理は、子供予算を将来的には倍増するということを掲げられておりまして、今年の予算を見ましても、出産育児一時金につきましては八万円引き上げられて五十万円にされていますし、妊娠時から出産、子育てまで一貫した伴走型相談支援と、妊娠届出や出生の届出を行った妊婦さんや子育ての御家庭に対する経済的な支援、これは約十万円、措置もされていますので、できるだけの取組をやっていただいているというように理解をしています。

 少子化の対策には、結婚、妊娠、出産、子育てというそれぞれのステージがございます。そこをしっかりと充実をさせていく必要があると思いますけれども、予算のみで申し上げればですけれども、少子化社会対策基本法が施行された二〇〇三年の家族関係社会支出、これは主に就学前の教育、保育、児童手当等を含んでいるんですが、三兆円強だったんですね。それが、消費税が五%から八%に上がった二〇一四年には六兆円を超えて、現在は十兆円を超える規模になってきています。この数字には各地方公共団体がやっている医療費の無償化等は入っておりませんので、これを入れますと更に大きくなってきているわけです。国も地方自治体も少子化対策に今まで大きな予算をかけてきたにもかかわらず、残念ながら状況は改善をされていない状況です。

 先ほど申し上げたように、保育、児童手当等の支援策は、予算規模を見ても一定充実をしてきたと考えますけれども、従来の考え方ではない、それこそ総理が御発言されている異次元の考え方で取り組まなければ手遅れになってしまうというように思います。

 本日は、結婚ということに着目をして、一つ御提案していきたいと思います。

 出生率の低下の原因の一つとして、内閣府の資料なんかも拝見すると、やはり未婚化、晩婚化が進んでいることが原因の一つである、また、結婚している方の世帯はおおむね二人ぐらい子供を産んでいただいているということが分かります。国立社会保障・人口問題研究所の資料を見ても、平均出生子供数は夫婦の結婚年齢が高いほど少ない傾向がある、結婚年齢の上昇、いわゆる晩婚化は夫婦の平均出生子供数を低下させる効果を持つというふうに書いてあります。

 他方、結婚と出産というのは、当然ですけれども、個人の価値観であり、自由な選択だということは理解します。しかし、いろいろな調査を見てみると、若い方々が将来的には結婚を望んでいるというのは、いろいろな民間調査も含めて書かれてあるわけですね。

 結婚を希望されている方々への対策、早く結婚したいなと思うような対策、早く結婚したいと考えている方々も多くおられますから、この対策を、ここを重点的に徹底的に大きな予算を投じてやる、それこそ異次元の対策をやれば一定の効果が上がるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

小倉国務大臣 お答えいたします。

 未婚化が低出生の背景にあるというのは、宗清委員御指摘のとおりだと思います。

 若い世代の結婚をめぐる状況を見ますと、男女共に多くの方がいずれ結婚することを希望しながら、他方で、適当な相手に巡り合わない、また資金が足りないなどの理由でその希望がかなえられていない状況にございます。

 このため、結婚の希望が結婚する年齢でかなうような環境を整備することが必要でありまして、例えば、厚労省における雇用の安定など若い世代の経済的基盤の安定を図るための取組とともに、内閣府におきましては、出会いの機会、場の提供、結婚資金や住居に関する支援などの地方公共団体が行う取組を地域少子化対策重点推進交付金により支援をさせていただいております。

 この交付金につきましては、令和四年度第二次補正予算におきまして、前年度の約三倍に増額をし、結婚に伴う家賃や引っ越し等の経費の支援に関するメニューの対象世帯の所得要件の緩和ですとか、出会いの機会の創出等に関するメニューの補助率の引上げ、結婚支援コンシェルジュ事業の追加といった、施策の充実を行ったところであります。

 引き続き、結婚を希望する方々がその希望をかなえられるためには何ができるのか、その環境整備に取り組んでまいりたいというふうに思います。

宗清委員 御答弁ありがとうございます。

 もう一つ提案をさせていただきたいんですが、少子化社会対策大綱というのがありまして、実効性ある少子化対策を進めるには、住民に身近な地方公共団体が、地域の事情に応じて、結婚、妊娠、出産、子育てしやすい環境の整備に取り組んで、国がそのような地方公共団体の取組を支援するということが書かれてあります。

 でも、実際は、国でやっていること、都道府県でやっていること、市町村でやっていることが混同しているというか混在していて、それぞれ押し合いへし合いみたいなところもあって、これは都道府県でやるべきだ、市町村でやるべきだという議論になるわけです。財政力によって、できることの差が生じてきているという問題があります。

 私は、この際に、ナショナルミニマムとしてどこまでやるのか、また、やらなければならないのか、都道府県や市町村、シビルミニマムとして、どの範囲まで自治の裁量に任せてやってもらうかという根本的な議論、役割分担ができていないと思うんですね。子育て支援、例えば医療費の無償化政策でも、各自治体、やっていただいていますけれども、これは、よそがやったからうちもやらなあかんというようなサービス合戦的なことになって、財政を圧迫しているところもあります。

 ですから、この際に、少子化対策というのは、当然国だけではできませんし、地方自治体、もっと言うと民間も、全て、オール・ジャパンでやらないとできません。まずは、私は総理にリーダーシップを取っていただいて、国と地方自治体の役割分担について議論を整理する場が必要ではないかというように思いますけれども、総理の御答弁をお願いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 少子化対策あるいは子供政策、この具体的な実施を中心的に担っているのは地方自治体です。地方自治体の取組状況を把握し、取組を促進するための必要な支援等を行うとともに、現場のニーズを踏まえた地方自治体の先進的な取組、これを是非横展開して、必要に応じて制度化も考えていく、こうした取組が重要だと思います。

 そして、少子化対策、子供政策に関し地方自治体との連携を強化するため、例えば、四月に発足するこども家庭庁においては、国と地方との定期的な協議の場を設けることとしておりますが、これに先立ち、先日、こども政策担当大臣の下で準備会合を開催したところです。

 こども家庭庁において、地域の実情に応じて少子化対策に取り組んでいる地方自治体との情報共有あるいは対話を丁寧に行って、政策の充実に取り組んでまいりたいと考えております。

宗清委員 是非、少子化対策は、先ほど申し上げたように、国だけではできませんし、お金だけの問題ではなくて、国と地方自治体の役割分担をしっかり、特に都道府県と市町村の役割分担、こういったことを整理をしていく必要があるだろうというように思いますので、総理のリーダーシップを是非期待をさせていただきたいと思います。

 そこで、視点を変えて、今、保育所を利用せずに家で、御家庭で子育てをしていただいている方が一定数いられると思います。私も、地元でよくお母さんのお話をいろいろ聞いてきて、御家庭で子育てをされるのは本当に大変だな、御苦労があるんだなと思います。

 御家庭で子育てをされている方々は、主に、特にゼロ歳、一歳、二歳の方々だったら、保育サービスのような公的補助を受けずにいるわけで、当然、今、仕事をほとんどの方がお辞めになっている、収入が途絶えるということになりますので、私は、こういった方々にもっとスポットを当てて、これは具体的なことは私は持ち合わせていないんですが、この際、大きな支援策を講じていく、離職をされている方が安心して二人目、三人目を産んでいただくような環境をしっかりつくっていくということも大事だと思いますけれども、小倉大臣の見解を聞かせていただきたいと思います。是非やっていただきたいと思うんですが。

小倉国務大臣 お答えいたします。

 宗清委員御指摘のとおり、家庭で子育てをしている方も保育所等を利用しながら子育てをしている方も共に、子育ての負担を軽減をし、希望する方については第二子以降も子供を産み育てていくことができるよう支援をしていく必要があると思っております。

 このため、例えば、経済的な支援として児童手当の支給、伴走型の相談支援、育児休業ができる環境の整備、また、家庭で子育てをしている方についても保育所を定期的に利用できるモデル事業の実施などに取り組んでいるところであります。

 ただいまちょうど子供政策の強化についても政府としても検討しているところでありますので、こういった方々にしっかりとスポットを当てた政策は何ができるか、考えていきたいというふうに思っております。

宗清委員 是非、小倉大臣のリーダーシップを、異次元の対策をお願いを申し上げたいと思います。

 最後、少し要望もあるんですが、一旦仕事を辞められた方が、お二人若しくは三人子育てを頑張られたら、数年とか十年ぐらいなかなか会社で働く機会に恵まれないわけですね。希望される方、正社員で働きたいと思う方も多いと思うんです。今、スキルアップのためだとか資格取得のための支援を政府もやってくださっているのは理解をしていますけれども、そのときからちゃんと賃金の保障をしていったり、これは一気通貫でセットで、就職までセットで後押しをしていく、お金の保障をしていく、こういったことも、一段踏み込んだ対策を是非やっていただきたいと思いますので、御検討をお願いしたいと思います。

 最後の質問なんですが、大阪・関西万博について提案を申し上げたいと思います。

 万博の開催までもう八百日ということでございます。会場建設も本格的に始まりますが、今日は二つ御提案を申し上げたいと思います。

 一つは、新しい資本主義実現会議で決定されたスタートアップ育成五か年計画、ここには大阪・関西万博でのスタートアップの活用が書かれています。

 我が国のスタートアップは、アメリカや中国等に比べて非常に劣っているというのが現状です。日本経済を力強く成長させていくためには、勢いのあるスタートアップをつくり出していくことが必要であります。

 そこで、大阪・関西万博は未来社会の実験場をコンセプトに掲げているわけでございまして、その万博の機会を利用して、我が国のスタートアップに対して国内外の投資家の認知度をしっかり高めてビジネスチャンスにつなげていくような、スタートアップが、万博会場の内外、外もですけれども、参画できるような仕組みをつくっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。これが一点目です。

 二点目は、万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」ということになっています。これは、誰一人取り残さない社会の実現に向けた国際開発目標であるSDGsのコンセプトと一にしているわけです。二〇二五年はSDGsの目標年である二〇三〇年の五年前に当たるわけですけれども、二〇三〇年の目標達成だけでなくて、その先のビヨンドSDGsの姿を世界に示す場として万博を活用すべきではないかなというように考えています。

 また、それを実現させるために、世界中からたくさんの方々が万博会場にお見え、日本中に来られるわけですから、万博の会場内だけではなく、日本全国にテーマ別に国際会議、展示会、見本市、シンポジウムを積極的に開催をしてもらって、またビジネスマッチングの機会を全国の自治体や企業、団体の皆さんとつくっていけば、万博のメリットを全国が享受できるということにもなりますし、同時に、そこでビヨンドSDGsの姿を日本から世界に発信をしていける。そうすれば我が国のプレゼンスの向上につながると思いますけれども、岡田大臣の御見解を聞かせてください。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 宗清委員御指摘のとおり、未来社会の実験場をコンセプトとする大阪・関西万博をスタートアップが飛躍する機会とすることは極めて重要と考えます。

 今回の万博では、我が国のスタートアップの取組などを世界に発信すべく、昨年十二月に改定したアクションプランにおいて、会場内でスタートアップによる入替え制の展示やイベントを実施することなどを新たに盛り込み、検討を進めてまいります。

 また、大阪・関西万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマの下、一人一人が可能性を最大限発揮でき、こうした生き方を支える持続可能な社会の構築も基本的な考え方と位置づけておりまして、これは国連のSDGsと合致するものでありますので、万博開催の二〇二五年を、SDGs、またビヨンドSDGsに向けた取組を加速させる年としたいと思います。

 具体的には、万博開催時に、地球規模の課題を週単位で設定するテーマウィークを導入しまして、日本各地でシンポジウムやビジネスマッチングを実施し、世界の人々と対話、行動をする機会を提供することとしております。

 また、万博開催に先立ち、小中学校での授業を通じて万博とSDGsについて理解を深める教育プログラムを提供することとしておりまして、関西圏を中心に既に百八十二校に参加をいただいており、これからも一層の増加を目指したいと思います。

 こうした取組を通じて、大阪・関西万博を、SDGs、さらにはビヨンドSDGsの達成に貢献するものにしていきたいと考えております。

宗清委員 御答弁ありがとうございました。

 是非私も、地元が大阪なんですけれども、この万博を成功をさせていきたいと思いますし、最近、暗いニュースばかりで、日本は駄目じゃないか駄目じゃないかみたいなニュースがありますので、この大阪・関西万博で日本の国を元気にしていきたい。

 今、課題山積のこの時代に、課題解決先進国である日本の姿を国内外の方々に示す絶好の機会だと思いますので、私も、万博成功に向けて、微力ですけれども、岡田大臣をしっかりお支えして、お手伝いをして、力を尽くしていくことをお約束を申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。

 今日は、質問の機会をいただきまして、心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。

根本委員長 これにて宗清君の質疑は終了いたしました。

 次に、庄子賢一君。

庄子委員 公明党の庄子賢一と申します。

 今日は初めての質疑の機会をいただきましたので、総理始め大臣の皆様にはよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 まず一点目でございますけれども、今政府が最も力を入れて取り組んでいかなければいけない課題の一つ、これが、物価高騰を乗り越える中小企業の賃上げだというふうに思います。この点は、我が党の石井幹事長もさきの本会議の代表質問で質問させていただいておりまして、いわゆるコスト高を反映した価格転嫁、あるいは取引の適正化、そしてDX等を使った生産性の向上、こういったことを通じて是非中小企業の賃上げを支えるべきという、そうした問いかけをさせていただいて、総理からも大変前向きな御答弁をいただいておりますので、この点、是非前に進んでもらいたい、いい方向に行ってもらいたいなという思いがございます。

 ただ、一方で、足下の数字を見てみますと、先頃、大手の生命保険会社が全国約九千二百社の中小企業を対象としてアンケートを行いました。そうしたところ、賃上げを行います、こう回答した事業者は三四%、逆に、しません、意向はあるけれどもできません、こう答えているのが三二%でございました。

 また、昨年九月、政府が行いました価格交渉推進月間、このフォローアップの調査結果によりますと、これは高木政調会長もこの場で質疑をいたしましたが、五八%の企業は価格交渉を発注元企業とできている、こう答えている一方で、四割の企業は、何らかの理由で交渉をしない、あるいはできない、こう答えておりまして、総理始め政府が中小企業の賃金上昇というふうに強く訴えていただいているのと少し対照的に、現場にはまだ乖離があるなというふうにも思います。

 実際、地元に戻って中小企業経営者の皆さんといろいろ意見交換をいたしますが、いや、気持ちは分かるけれども、とてもそんな環境にないよという声とか、国は現場を分かっているのかという厳しいお叱りをいただくこともございますし、また、企業単独の努力ではいかんともし難い構造的な問題もございます。下請、孫請、ひ孫請みたいなところにいくと、この企業での従業員の賃金アップ、給料を上げるということが非常に現実味に乏しいということも事実としてあるだろうというふうに思っておりまして、こういう厳しい環境の中で、中小企業の賃上げを具体的に実行していくということは非常に難事中の難事、このように私は思っておりまして、この間総理が本会議あるいはこの委員会でもるる御答弁をいただいております政策を総動員すること、これはもちろんですし、さらに、そうした政策を深掘りし、また横出しをしながら、熱量を持ってこの賃上げに取り組んでいただきたい。

 改めて総理に、中小企業の賃上げに向けました現実的な対応、またお気持ちをお聞かせいただきたいと思います。

    〔委員長退席、堀井委員長代理着席〕

岸田内閣総理大臣 中小企業の賃上げ、重要であるのはもちろんですが、しかし、委員御指摘のように厳しい状況にあるということ、これはおっしゃるとおりだと思います。

 そのためにも、価格転嫁と生産性の向上、これが重要であるということを申し上げてきており、これまでも、価格交渉促進月間、あるいはパートナーシップ構築宣言の拡大等による価格転嫁対策、そして賃上げ促進税制の抜本拡充、そして事業再構築補助金あるいはものづくり補助金、IT導入補助金などによる生産性向上支援などに取り組んできたところですが、こうした取組を更に強力に進めなければならないということで、昨年の総合経済対策の中において、価格転嫁対策をより実効的なものにするために、中小企業における下請Gメン、公正取引委員会、こうした組織、人員の大幅増員を行うとともに、先ほど申し上げたものづくり補助金や事業再構築補助金などの生産性向上のための支援、これを更に強化するべく約八千億円措置をした、こうしたことでありました。

 そして、こうした支援と併せて、事業者の皆さんがどのように具体的に取り組むべきなのか、事業者への寄り添った対策が重要であるということで、商工団体への専門家の配置に加え、新たに指導員向けの研修を用意するなど、相談体制の強化、こうしたものも対策の中に盛り込んだ、こうしたことでありました。

 政府としては、こうした政策パッケージを総動員する形で、中小企業の賃上げの環境整備に向けて引き続き努力を続けていきたいと思っております。

庄子委員 是非お願いを申し上げたいと思います。

 これは質問ではありませんけれども、数字だけちょっとお示しをしたいのは、中小企業税制が、賃上げ税制がございます。この税制を使って賃上げができている企業はどのぐらいあるのか、中小企業庁から少し数字をいただいたんですけれども、令和二年度が直近のデータなんですが、九万三千社。中小企業全体の中では約二・六%程度しか、ある意味、この税制を使った賃上げというのはできていない。

 もちろん、中小企業というのは黒字企業ばかりではありませんから、そもそもこの税制が使えない企業もありますけれども、周知の徹底とか、総理がおっしゃる相談体制、伴走型支援、こうしたものを通じて、税制も使いながら、中小企業の賃上げ、具現化を是非お願いを申し上げたいというふうに思います。

 次に、我が国の農林水産業の未来像、これを総理がどういうふうに描いていらっしゃるか、とりわけ今日は農業について、総理御自身のお言葉で生産者の皆様にもメッセージをお届けをいただきたいというふうに思います。

 我が国を取り巻く農業の環境の厳しさは言うまでもありませんので、ここでは省きますけれども、農業の未来をつくるためにどうあるべきなのかということは、国会の議論でも少しそのエッセンスは出ていると思っておりまして、収益力をアップするためにより集約化をするということ、あるいは、六次化を通じて高付加価値化をしていくということ、そして、需要を掘り起こすためにオール・ジャパンで輸出を強化するといったこと、こうしたことが既に頭出しをされております。

 極めて将来に明るい希望がなかなか見出せないよという声が多い農業の未来像を総理はどのようにして強くしていくお考えなのか、率直なお言葉をいただきたいと思います。

    〔堀井委員長代理退席、委員長着席〕

岸田内閣総理大臣 まず、地方を元気にしてこそ日本の経済、社会は再生するという考え方に基づいて様々な施策を進めています。

 その中にあって、御指摘の農業、これは大変重要な存在となってきます。国民への豊かな食の提供、あるいは多面的機能の発揮を将来にわたって確保するために、農業、農村の活性化、これは極めて重要です。

 そして、今、世界規模の食料危機の中にあります。食料安全保障の強化は緊急の対応が必要である、これは日本のみならず世界的な重要な課題と今なっています。このために、肥料、飼料、そして主要穀物の国産化の推進など、食料安全保障の強化、これを図りつつ、スマート農業や更なる輸出拡大支援などを強力に推進していく、こうした取組を進めてまいります。

 そのことによって、農業を、次世代に引き継がれるよう、夢を持って働ける、そして稼げる産業にしていく、こうしたことを目指していきたいと思います。こうした取組によって、農業を、女性や若者を含めた様々な人材が意欲や誇りを持って活躍できる、こうした魅力のある産業にしていかなければならない、そして、そうすることによって農業や農村の未来が見えてくるんだと信じて取組を進めていきたいと考えます。

庄子委員 総理は非常に前向きな御答弁をいただいたと思っています。

 特に、女性の就農ということについて申し上げれば、私の地元宮城県の農政部では、県内の女子大学生をツアーにお連れして、女性就農者とマッチングをさせながら収穫体験とか六次化体験などをさせていって、アンケートを取ると、その女子学生が、実際にツアーに行ってみた後、就農への意欲、農業をやってみたいという声が非常に高まっているという事例もありますので、是非そうした取組を重ねていっていただきたいと思いますが、次は、農水大臣に担い手の問題についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 二〇〇七年、品目横断的経営安定対策によりまして、全国に集落営農が組織化されました。これで担い手の育成に弾みがつくのかなというふうにも思いましたが、残念ながら、世代交代や担い手といった問題については今も課題として残ったままだと思います。

 この集落組織も二〇一七年ぐらいをピークにだんだんだんだん減少傾向になっておりまして、二〇二〇年から二一年にかけては全国で五百もの組織が解散あるいは統廃合ということになってきて、この集落営農組織のより広域化あるいは深掘りした支援なども今後必要なのかもしれませんが、一方で、資料をお配りしているとおり、成果を上げている地域もございます。福島県の例を地元の新聞を通じて御紹介をさせていただいております。

 二〇二二年度、福島県では新規就農者が過去最高の三百三十四人となりました。個人の就農とそれから雇用型就農が大体半々です。四十五歳以下の若者が八割以上、そして女性が八十八名、二七%ということになっておりまして、非常に、一年一年積み上げてここまで来たというのは県の担当者のコメントでもございまして、国と地方と、そして系統団体等の協力で、新規就農者というのはまだまだ伸びる余地があるということを思っております。

 ここは是非大臣に、政策を総動員した形で、新規就農者の獲得に向けた意欲、是非コメントをいただきたいと思います。

野村国務大臣 御答弁を申し上げますが、先ほどこの新聞を見せていただきまして、福島はすごいな、こんなふうに思いました。

 私も福島に行きましたときに大変感心しましたのが、被災地でありましたが、若い人たちが八人ぐらい、法人経営のところで一生懸命働いていました。一人一人に将来はどうするのと言ったら、私たちも農業で独立をさせていただきたい、こんなことを言っておられましたので、これから福島は本当に楽しみだな、こんなことを思ったわけです。

 実は、私の鹿児島でもこういった取組が進んでおりまして、ある地方のピーマン農家が、部会が五十人ぐらいまで減ったところがありましたが、今、百二、三十人に増えております。これは県外からの方がほとんどでございまして、夫婦で入っておられます。

 そういったものは、今、さっき委員おっしゃいましたように、これは団体、それから行政、そしてまた地域の皆さん方の協力でこういう方々が定着をしていく。こういったようないろいろな形での、福島の事例もそうですし、私の鹿児島のピーマン農家の拡大も、後継者の拡大も、そういったところで地域のみんながサポートして就農を手助けしている。

 そのときに聞いたのが、今現在、スマート農業も導入しているんですが、それによって相当時間ができてき出したということを言っておられました。特に奥さん方が、子供の学校のことまで私どもが行けるようになったということで、大変そういったいろいろな形での先駆的な取組をさせていただいておりますので、是非、後継者の皆さん方が定着するように、そして希望と活力が出るように、先ほど総理の方からもありましたように、明るい未来が開けるような農業に持っていく必要があるんじゃないかというふうに思ってございまして、今回の補正予算、いわゆる食料の安全保障を確保するための補正予算、八千三百億計上させていただいておりますので、これらを活用しながら、こういったような新規就農者の育成も手がけてまいりたい、こんなふうに思っております。

庄子委員 大臣の御地元の話も引用していただいて、是非その言葉のとおり推進をお願いしたいんですが、一点だけちょっと御要望させていただきます。

 国の新規就農者の総合対策で、いわゆる経営の開始資金、それから就農準備資金、これは前の年の年収要件がありまして、世帯合計で六百万円以下でないと対象にならないという、そうしたハードルがあります。地元からは、世帯全体ではなくて、例えば就農を希望する個人の年収六百万円に切り替えるとか、あるいは、どうしても世帯でなければいけないというのであれば、六百万円ではなくて一千万円程度に緩和するとか、ハードルを下げてもらいたい、これだけ担い手が厳しいよと言っているのにどうしてこんなものが残っているのという御指摘もあります。

 この点について、いかがでしょうか。

野村国務大臣 お答え申し上げます。

 その話を聞きまして、それはおかしいんじゃないのか、いろいろ生活費確保の観点から支援が必要なケースもあるので、六百万ということで線引きするということはいかがなものかということも内部で検討しておりましたが、実は一つ、委員からのこういった御指摘があったものですから聞いてみましたら、地方自治体の判断により交付対象とすることは可能だ、これは市町村なり県なりが判断していただければ可能でありまして、既にそういった実績もあるということでございますので、早速農水省としても県の方とも話を是非させていただきたい、こんなことを思ってございまして、これらの点も含めて先生のお話を中心に丁寧に現場で説明して、そして、真に支援が必要とする方々にこういったようなことができるように是非してまいりたいと思っております。

 全く六百万で打ち切られるというのは、多分、県の方なりあるいは市町村がおっしゃったのか分かりませんが、これは話をすれば分かる話でありますので、農水省の方も支援をさせていただきたいというふうに思います。

庄子委員 そういう地方に裁量権があるのは分かっているんですけれども、地方の立場からいえば、国でこういう数字がきちっと出ちゃうとなかなか越えられないんですよ、地方は。それは理由が必要ですから。これは国がちゃんと変えてもらわないと、大臣がおっしゃるほど簡単に地方が地方の裁量権で取っ払ったりはできていませんので、このことは強く主張し、この後の委員会でもまたこれはやらせていただきたいと思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。

 食料安保という問題でも少しお話をさせていただきたいと思いますが、余りにも国産ではなく海外に依存したものが多いと、やはり、今回のように飼料、肥料の高騰の中で、既存のいわゆる激変緩和対策だけでは支援し切れない、根本的な支援にはならないということが明らかになったんだろうと思います。

 そこで、国産のトウモロコシ、子実用トウモロコシにちょっとスポットを当てて伺いたいというふうに思っております。

 御承知のとおり、濃厚飼料のトウモロコシはほとんどが海外の輸入でございます。それが今回の、畜産、酪農、養豚、養鶏、こうした農家を窮地に追いやっているという原因の一つにもなっています。

 そこで、この子実用トウモロコシなんですが、この利点、メリットは何かといいますと、ほかの土地利用型の作物に比べて労働時間が極めて短くて済むという問題。それから、中山間地にあっても耕作放棄地を防ぐ、水田機能を生かしたままで作付ができるという利点。それから、他の作物の輪作体系の中に入れやすいということですね。トウモロコシを植えた後、例えばソバを植えると、今度は収量が上がるといった効果なんかも指摘をされております。

 この間、私の地元の宮城県大崎市、JA古川に行ってまいりました。ここは先進的に子実トウモロコシに取り組んでいて、去年は残念ながら大雨被害もあったので目標収量にいかなかったんですけれども、全国から注目も集めて、視察も相次いでいるそうでございます。課題は何かということで伺ってきました。

 この子実用トウモロコシでいうところの課題の一つですが、やはり、生産を始めてから日が浅いので技術的にちょっとまだ確立ができていないので、収量が安定しないこと。それから二つ目、乾燥施設や保管倉庫、コンバインといった施設や資機材、これがまだ整備が整っていないこと。それから、輸入トウモロコシは関税の関係で、輸入のものと国産のトウモロコシを混ぜて販売することができないので、子実用としてかなりのロットがそろわないとなかなか商流に乗りにくいということ。四点目は、収入保険はあるけれども共済がないという点。こうした課題を伺ってまいりました。

 いわゆる食料自給率の向上に貢献し、そして水田機能の保持にも貢献できるこの子実用トウモロコシの供給力の拡大というのは、非常に国としても優先的に取り組んでいかなくちゃいけないテーマではないかと思っておりまして、この点を大臣から、簡潔にで結構でございますので、是非この供給力拡大に向けた取組を伺いたいと思います。

野村国務大臣 それでは簡潔にお答え申し上げます。

 質問として三つ四ついただきました。

 まず一つ、収量が安定していないというのは、確かに導入してからまだ日も浅いものですから、ただ、それでも、一千ヘクタール、おかげさまで拡大してまいっておりますので、こういったことは、収入が安定するような、そういう技術なりあるいはまた開発、そういったものについても生産技術実証への支援をさせていただきたいというのが一つ。

 二つ目は収穫機械でありますが、これは、今、既に収穫機械につきましては、汎用型のコンバインでアタッチメントをつけさえすれば収穫できるようになっておりまして、実際にこれを使っておられる方も多いようであります。いわゆる米を収穫するアタッチメントと同じでありまして、これを子実トウモロコシにも使えるというのが一つ。

 それから、乾燥保管施設につきましても、これは整備をするということで、今回、補正予算でも計上させていただいているところでございますので、是非こういったことも御活用をいただければと思う次第でございます。

 それから、もう一つが難点というか、ちょっといろいろ御苦労いただかなきゃならぬのかなと思っているのが、いわゆる輸入トウモロコシと子実トウモロコシを混用して、そして飼料としてやっていくということでありますが、これは税関長の確認が必要なんです。

 それは、量が、横流れするということはないんでしょうけれども、そういったことが、やはり、税金がかかっている輸入トウモロコシでありますので、それに国内の子実トウモロコシを混ぜてやりますと、増えていきます。それを横流しされてしまうと、いわゆる脱税みたいなことになっていきますので、税関長の確認をいただいて、そしてそれで了解をいただければ可能だということでございますので、既に飼料会社の方ともその辺の話は今しているところでありますので、ひとつそういう行政庁との手続のところは確実にやっていただきたい、こんなふうに思っているところでございます。

庄子委員 ありがとうございます。

 次の話題に移ります。総理に福島の特措法のことで一点お尋ねをいたします。

 今国会に、福島復興再生特措法の改正案、予算関連法案として提出予定でございます。今回のこの法案は、いわゆる帰還困難区域に特定復興拠点という拠点を設けて、そこで新しいまちづくりをするということ、これまで取り組んできたことに続いて、今度は、この拠点外にお住まいだった皆様がふるさとに帰りたいという御希望があった場合に、その願いを帰還という形でかなえるために、市町村長が、これはまだ仮称ですけれども、特定帰還居住区域、この区域を設定するということができるというのが柱になっております。

 一定の要件、つまり、除染をすれば線量が下がる、あるいは元いた場所で生活再建ができる、こういった要件を基に、市町村が作る再生計画の中にそれらを組み入れ、帰還する方々を組み入れて、最終的には総理大臣がこの計画を認定する、こんな仕立てになっているわけでございます。

 思えば、この原子力事故からはや、はやといいますか、間もなく十二年経過をいたします。この間、いわゆる帰還困難といって、もう二度と再びふるさとに戻って住むことができないだろうと思われていたところに風穴を開けて、希望すれば御帰還ができるという道を開いたという意味で、非常にこの法律案は大きな意味を持つと思いますし、この間御尽力をいただいた皆様には本当に心から敬意を表したいというふうに思っております。

 申し上げたいことは、この十二年で避難された皆様の高齢化がかなり進んでいるということでございます。時間的な余裕はありません。二〇二〇年代をかけて帰還をというふうに国はしているわけですが、余り時間的な余裕はないということを改めて申し上げたいと思っておりまして、総理には二点ここでお尋ねをさせていただきたいというふうに思っております。

 一つは、そのスピード感です。御答弁しにくいというのはよく分かった上で、しかし、全国で避難をされている方が、ようやく帰還のめどがついたという方々にとってみれば、一刻でも早く戻りたいというのが率直な心情ですから、ここから三年も四年もかけるいとまはありません。

 一体、帰還の開始時期をどのぐらいにしたいと総理は願って、思っておられるかということを一点伺いたいのと、帰還を希望した方は市町村が作る再生計画の中に必ず入れて、必ず帰還ができるのか、それを政府としても担保できるかということについて、是非御答弁をいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、東京電力福島第一原子力発電所の事故から委員おっしゃるように間もなく十二年近くになるわけですが、事故によりいまだに多くの方々が避難生活を余儀なくされていること、まずこれを重く受け止めます。

 そして、自宅に帰りたいという切実な思いに応えていくべく、特定復興再生拠点区域外について、二〇二〇年代をかけて、帰還意向のある住民の方々が全員帰還できるよう、帰還に必要な箇所を除染し、避難指示解除を行う政府方針を二〇二一年八月に決定をいたしました。そして、その政府方針を実現するため、福島復興再生特別措置法の改正案を今国会に提出することを予定しているわけです。

 今申し上げたように、帰還意向のある住民の方々が全員帰還できるように、この法律を提出し、今申し上げた方針を実現するために、政府一丸となって対応してまいりたいと思います。

 そして、スピード感、一日も早くという思い、これは政府としてもしっかり受け止めなければなりません。具体的なスケジュールを申し上げることは今すぐにはできませんが、しかし、できるだけ、スケジュール感も含めて、一日も早い帰還が実現できる見通しを政府としても示しながら、自治体とも協力しながら、具体的な取組を一歩一歩、スピード感を持って進めていきたいと考えております。

庄子委員 ありがとうございます。是非そうした見通しを早く御提示をいただければ幸いでございます。

 一つ質問を飛ばしてしまって申し訳ありませんが、道の駅のことについて、時間の関係で伺わせていただきます。

 今や道の駅は重要な地方創生のプレーヤーでございまして、一九九三年に誕生したわけでございますが、誕生した当時はいわゆるドライバーの休憩場所程度だったんですけれども、この三十年の間に、年間で二百万人から三百万人集客ができる、いわゆる休憩場所ではなくて、通過点ではなくて、観光の目的地にもなっている道の駅が出てきております。今触れた福島でも、飯舘あるいは浪江といった道の駅が復興再生のシンボリックな存在として頑張っていただいているわけでございます。

 また、この道の駅は防災の役割も非常に重要視をされておりまして、実際、政府として、国としても、防災道の駅、三十六道県に対して三十九か所だったかと思いますが、選定をしていただいておりまして、災害が起こった場合の自衛隊や警察の活動拠点、あるいは救援物資の保管や分配といった機能を持たせるということになっています。

 さらには、市町村のいわゆる防災計画の中で拠点として位置づけられている道の駅は全国で七百ございます。千二百の道の駅のうちの七百ですから、相当数でございます。

 問題は、この道の駅、いわゆる防災計画の拠点にはなってはいるものの、BCPができていない。これは、BCP策定済みのが大体一割程度、さきに触れた三十九の防災道の駅でさえ十四か所しかありません。

 この防災機能を実質的にどう強化させるのか、これを国がどう支援するのかということを一点伺いたいのと、三十年経過していますので、かなりハード面でも老朽化が目立ってきているところがありますので、こうした道の駅のソフト、ハード両面にわたります支援、国としてどうお支えをいただけるか。そして、非常に集客力がある先進的な道の駅を、これを次のステージ、いわゆる地方創生のステージにどう推進力としてつなげていくのか、モデルケースをどうやって国としてつくっていくか、この辺をトータルして斉藤国交大臣に御答弁をいただきたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 道の駅の防災、それから老朽化、そしてモデルづくりについて御質問いただきました。

 まず、防災拠点としての機能強化についてですが、災害時の電力、通信、水などを確保するための財政的な支援、これを行っていきたいと思っておりますし、BCP策定の基本的な考え方をまとめたガイドラインの周知などを通じて各道の駅における取組をしっかりサポートして促進してまいります。

 それから、二点目の老朽化についてでございますが、国土交通省の財政的な支援に加えて、施設のリニューアルに活用できる各省庁の予算メニュー、例えば、充電施設については経産省の支援メニューがございます。こういう好事例を分かりやすく、各省庁、いろいろな省庁にわたっております、こういうことを分かりやすく紹介して、老朽化が進行している各道の駅を丁寧に支援してまいります。

 そして、三点目のモデルづくりです。今年度から、二か所の道の駅で、利用実態のデータ分析や地域との意見交換を行いながら、道の駅を中心とした地域全体の一層の活性化を目指すモデルプロジェクトを開始したところであり、今後、このプロジェクトで得られたノウハウを全国に展開してまいりたいと思っております。

 国土交通省としては、引き続き、道の駅の設置者や道路管理者の御要望をよくお聞きしながら、関係各府省庁とも連携して、道の駅に求められている様々な機能強化への取組を強力に進めていきたいと思っております。

庄子委員 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 最後に、病院前診療のことについて伺ってまいります。

 平成三年四月、六会派の共同で、救急救命士法案に対しまして附帯決議を採択をしております。それは、医師が救急用自動車等に同乗して必要な処置を行う方式(ドクターカー方式)、これを推進し、救急医療体制の一層の充実を図ることという附帯決議を採択をしております。一分一秒を争う重症患者に対して、医療機関ではなく現場で医師が治療を行うこと、これは、救命率の向上はもちろん、術後の後遺症を抑制する効果も期待されるわけでございます。

 現在、全国では、二百五十七台のドクターカーが年間約三万件の要請に応え、運用されております。先日、党の会合にお招きをいたしました八戸市民病院の今先生によれば、この八戸市民病院では三台のドクターカーを保有し、最新のものは人工心肺、ECMOを搭載して、心肺停止患者には車中でECMOを着ける手術を行っているということでございまして、都市部ではなくて、地域にあっても患者さんの社会復帰をさせるんだ、こういう強い信念を伺って感動いたしました。

 課題についてでございますが、このドクターカーは各医療機関の自主事業となっておりまして、いわゆるボランタリーでやっていただいているということでございます。ドクターカーの有用性や課題について、したがって国として整理が、また類型化ができておりません。

 こうした課題がございますので、今年度から始めていただいております調査研究事業、この結果を踏まえながら、かつて我が党がドクターヘリを推進し、国民の命を守るということに大きく貢献ができておりますように、救急医療、病院前医療の目的をより果たすべく、このドクターカーの普及促進についても是非国として取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 ドクターカーについては、地域の実情に応じて有効に活用していただくため、ドクターカーを導入する救命救急センターが車両の購入や運転手の確保に要する費用について、必要な財政支援、これは一九七七年から実施をし、現状は先ほど委員がお示しをいただいたとおりであります。

 そうした中で、今年度から、ドクターカーの運用事例等に関する調査研究事業を行っております。将来の運用改善に向けた分析を行うため、様々な地域における運用方法の利点など、ドクターカーの運用実態についてまずは詳細に把握をさせていただき、そして、その結果も踏まえてガイドラインを作成していきたいと思っております。また、必要に応じ、現在の補助制度の在り方そのものについての検討も進めていきたいと考えております。

庄子委員 ありがとうございます。

 最後、時間がありません、御指摘だけさせていただきたいと思います。

 この病院前診療に関連すると思っておりますが、いわゆる車両を活用したオンライン診療、この普及ということについても、医師不足、あるいは、高齢ドライバーの免許返納みたいなことがあってなかなか医療機関に通うのも大変だという声も強まっておりまして、こうしたいわゆるモバイルクリニックといった取組についても一層国として踏み込んで、医療難民あるいは服薬難民、こうしたことを解消すべく、全力でお取り組みをお願いを申し上げ、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて庄子君の質疑は終了いたしました。

 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。

 昨年末に、旧統一教会被害救済に関しまして、改正法案それから新法が成立いたしました。大変内容は不十分なものだというふうに言わざるを得ませんが、救済に向けた第一歩であるというふうに評価をし、引き続きこの法律の実効性が高まるように我々としては取り組んでいきたい。また、残された課題、すなわち、宗教二世の皆さんの被害救済、あるいは違法な養子縁組、こういったものへの対応、そして、政治と旧統一教会、とりわけ旧統一教会と自民党との関わりについては、引き続き明らかにしていく必要があるというふうに考えております。

 その中で、私、前回予算委員会の質問に立ちましたときに、名称変更の問題について質問をいたしました。下村元文部科学大臣の参考人招致を求めたんですけれども、理事会では継続協議ということになっておりまして、まだ認めていただいておりません。下村委員、そちらにいらっしゃいますので、よろしければそちらに移動していただいて、私の疑問に是非答えていただきたい。

 委員長、引き続き協議をお願いします。

 また、自民党の理事の皆さんにも、もう委員室にいらっしゃるわけですから、是非下村元大臣に答弁の機会を与えていただき、国民の疑問にはっきりと答えていただく、その場をつくってくださるようにお願いをいたします。大変、今日、来ていただけなかったことは残念でございます。

 委員長、引き続き協議をお願いいたします。

根本委員長 理事会で協議します。

西村(智)委員 さて、厚労省の方では、養子あっせんについて、この間、質問を行っていたということでございました。

 今朝の報道でちょっとびっくりしたんですけれども、この件についての刑事告発をできないという判断を政府がしたというふうに報道されておりますけれども、これは事実でしょうか。私たちもいろいろヒアリングをしておりますけれども、政府がそのような判断をしたというふうには認識をしておりません。総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 報道について私も承知しておりますが、報道にあった告発見送りといった事実はございません。

 旧統一教会における養子縁組については、厚労省において保有している情報を捜査当局に提供するとともに、関係機関とも連携して引き続き情報収集等を継続していると承知をしております。

西村(智)委員 承知しました。

 次に、私、やはりこの間、本会議に出席するのがちょっとどうしたものかなと思うことが多いんです。つまり、細田議長が旧統一教会との関わりについて、国民の皆さんの前で明確にお話しにならない。紙対応であったり、あるいはクローズドの議運のメンバーの皆さん、各党一人ずつですか、お呼びになっての懇談会という形で、これでは国民の皆さんは何も分からない。まして、私たちだって直接伺いたいことはたくさんあるんですけれども、開会のベルをいまだに細田議長が押しているということについて、私はどうかなというふうに思うんです。

 もちろん、議長ですから敬意を払わなければいけないというふうには思うんですけれども、議長としての責任の果たし方ということでいえば、私は全く不十分だというふうに申し上げざるを得ません。総理御自身はどういうふうにお考えになりますか。

岸田内閣総理大臣 細田議長について、御自身と旧統一教会との関係については、これまで書面による説明を公表されたほか、先月は、与野党の代表者に対して懇談形式の質疑に応じる形で説明されたものと承知をしております。

 細田議長の説明責任の果たし方ですが、まず、細田議長のお立場は三権の長たるお立場です。立法府のトップにいらっしゃるわけですから、行政府の私の立場から立法府のトップに対しては、やはり今後とも御自身の判断で対応されるべきものであるということを申し上げざるを得ません。是非そうしたお立場で適切な御判断をされるものであると考えます。

西村(智)委員 総理、もう少し、自民党選出の議長の方でいらっしゃるので、きちんとはっきり言っていただかないと。このような中途半端な姿勢ですから、自民党本体がやはり旧統一教会との関わりを絶っていないんじゃないかということにつながっているんだと私は思うんです。

 この間、総理は、自民党のガバナンスコードを改定して、それを県連、地方組織の方に通知をして取り組んでいるというふうに答弁もされておられます。

 しかし、これも報道の調査、共同通信の調査ですけれども、その配信記事によりますと、今年の四月にあります統一地方選挙で、立候補予定者の公認、推薦をする際に、自民党の十二の県連が旧統一教会との接点や関係遮断の意思を確認しない方針であるということが報道されております。これが事実であるとすれば、自民党の地方組織は旧統一教会との関わりを絶とうとすらしないということだと思うんです。

 自民党は自治体議員の調査も行っておりませんよね。自治体議員で本当に旧統一教会との関わりがどのくらいあったのか、我々は調査を行いました。しっかりと調査を行うべきじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、自民党においては、昨年九月に、各議員の点検、報告を受けて、八項目に分類した結果を取りまとめて、これを公表いたしました。新たな接点が判明した場合には、各議員それぞれがその都度追加的に報告、説明を行っている、こうした対応を取っています。

 そして、大事なことは、未来に向かって関係を絶つことであるとして、委員御指摘のように、ガバナンスコードを改定し、その方針を徹底するべく、所属国会議員、そして全国都道府県連に通知をし、そして徹底を図っているところです。

 そして、今おっしゃるように、マスコミのアンケート等の報道はありますが、こうした方針を徹底するべく、統一地方選挙に向けて、党として全国の都道府県連と意思疎通を図り、具体的に党の方針を徹底するためにはどうあるべきなのか、様々な取組を、今、意思疎通を図りながら検討している、こうした状況にあります。県連によっては文書でその意思を確認する等、様々な対応を今工夫しているということです。是非、全国の都道府県連としっかり意思疎通を図りながら、具体的にどう徹底するのか検討を続けていきたいと思っています。

西村(智)委員 今現在、自民党の地方組織は関係が断ち切れていないということを総理は今御答弁になりました。

 私は、自治体議員の調査を行ってください、行うべきではないですかということについて質問したんですけれども、それについては答弁をいただけませんでした。総理、どうですか。

岸田内閣総理大臣 今回の、統一教会との関係についてどのように公表するかということですが、基本的に今回の問題については、その当時、本人がどのように認識していたのか、どう考えていたかなど、言ってみるならば、心の中の問題に関わる課題でありますので、これは自民党だけではなくして、どの政党も、本人からの報告、申出、これを基盤としてその実態を明らかにしている、こうした状況にあるんだと認識をしています。自民党も同じく、それぞれの公表、報告、これをベースにして取りまとめを行いました。

 地方においてそれをどうするのか、これを、今、意思疎通を図りながら検討している、こうしたことであります。是非、それぞれどういった形で今言った課題を明らかにし、そして国民の信頼を取り戻すのか、これを考えていかなければならないわけです。統一地方選挙前にそれを今具体化するべく、努力をしているということであります。

西村(智)委員 国会議員に対しては、六項目ですか、八項目ですか、調査を行いましたよね。なぜ同じことが自治体議員にできないのか、甚だ不思議であります。これは、やはり強くもう一回申し上げておきたいというふうに思います。

 このところ、子供手当ないしは児童手当のことでいろいろな議論がありました。本会議質疑、それからこの予算委員会でも三十日、三十一日、いろいろな意見がありました。総理からも少し前向きな御答弁もいただいたというふうに思っております。他方で、この子供手当については、やはり旧統一教会の関わりを私は疑わざるを得ません。

 振り返ってみますと、二〇一〇年の七月、安倍元総理が雑誌の座談会でこういうふうに言っておられました。子供手当によって民主党が目指しているのは、途中略しますが、子育てを家庭から奪い取り、子育ての国家化、社会化です、これは、実際にポル・ポトやスターリンが行おうとしたことですというふうに語っています。この発言についての是非、論評は、今は行いません。

 それに先立って、これは雑誌の記事が二〇一〇年の七月なんですけれども、二〇一〇年の三月、「世界思想」といいます、世界平和連合、これは旧統一教会関連の団体ですね、ここの機関誌の三月号でこういう記事があります。「「子供手当」親子切り裂く」「子育てを「社会全体」に還元することによって、家族の自助努力を奪って依存体質を植え付け、子供自身にも「親に育ててもらった」という感謝の念を失わせていく。」そして、「所得制限も設けず現金給付するのは社会保障の理念から逸脱しており、社会主義思想というほかない。」所得制限を設けず現金給付するのはいかぬというふうに書いてあるんです。

 所得制限の導入、これをしたのは、総理、やはり旧統一教会の関係に影響を受けていませんか。

岸田内閣総理大臣 そうした影響を受けているということはないと思います。

 我が党の政策は、そうした一つの団体によって決定されるものではありません。課題によっては、何年もかけて国民の意見を聞き、そして、議員や専門家そして関係省庁とも議論を積み重ね、そして、議員の議論におきましては、課題によっては、一日三時間も四時間も、そして何日もかけて議論を行った結果として決定するものであります。一部の団体の意見がそのまま採用されるということはあり得ないと信じております。

 児童手当、その所得制限の話についても、あれは、平成二十四年、児童手当の見直しにおいて、民主党、自民党、公明党、三党の合意に基づいてこの改正が行われたものであり、その際にも、父母その他保護者が子育てについての一義的な責任を有するという基本的認識の下に、児童を養育をしている者に児童手当を支給することにより、家庭等における生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的とする、これは三党で基本認識として合意をした、こういったものであると承知をしております。

西村(智)委員 あのとき、予算を通さない、人質に取られたんですよ。

 それで、私は、当時は、控除から給付へ、そして普遍主義、この考え方で、やはり子供手当というのは所得制限を設けずにやる、そして、子供の育ちを、もちろん家庭が第一義ではあるんだけれども、社会全体で応援していくという考えで導入をしたんですね。

 是非、総理、そこまでおっしゃるのであれば、所得制限を撤廃するというのは、オプションの一つではなく、ちゃんと実行してください。そして、私たちが求めている拡充、これも是非やっていただきたい。強く要望をいたします。

 次に、選択的夫婦別姓に移ります。

 総理は、選択的夫婦別姓や同性婚など、私たちが求めてきた政策について質問するたびに、こういうふうに答弁される。現在でも国民の間に様々な意見があることから、しっかりと議論をし、より幅広い国民の理解を得る必要があると。政策の是非に触れることなく、国民の間に様々な意見があることのみを理由に先送りするという答弁を、これは、衆参本会議、あるいは予算委員会、ここで、総理在任中に十三回、十三回繰り返してこられました。

 国民の間の様々な意見に大変お詳しい総理ということで、質問をしたいと思います。

 例えば、総理、自民党の中に、選択的夫婦別姓に対して多数の賛成の議員がいるということは御存じですか。

岸田内閣総理大臣 もちろん、自民党の中に、賛成する議員、議員連盟もありますので、そういった議員が存在することは承知をしております。

西村(智)委員 団体として、どういった団体が反対をしているか、御存じですか。

岸田内閣総理大臣 反対している団体も幾つかあると思いますが、今たちまち、どの団体というふうに挙げられる手元の資料はございません。

西村(智)委員 名前を出して恐縮ですが、創価学会の考えは御存じでしょうか。あるいは、神道政治連盟の考えは御存じでしょうか。

岸田内閣総理大臣 それぞれのお考えがあることは承知しておりますが、今ここで、具体的に、それぞれの考え方、簡潔に紹介する資料が手元にありません。

 それぞれ様々な意見がある、当然のことであります。

西村(智)委員 第二次安倍政権の時代に、岸田総理、外務大臣をお務めになられましたが、その後、総理は何という役職に就いておられましたか。

岸田内閣総理大臣 その直後は、自民党の政務調査会長を務めておりました。

西村(智)委員 自民党内でも意見が分かれる重大な問題。そして、私が今挙げたような団体、こういったところの考えも知らずに政調会長をお務めになれるんですか。

岸田内閣総理大臣 まず、それぞれの課題において、それぞれの団体の考え方、これはそれぞれ様々でありますので、一つ一つの課題について、その団体の考え方は複雑に絡み合っています。これについて、今、具体的に公の場で紹介するほど正確に手元に資料がないということを申し上げた次第であります。

 そして、大切なことは、党内あるいは世の中において、一つのテーマにおいてどのような考え方が存在するのか、全体を把握することであると思っています。党内はもちろんでありますが、御指摘になられました選択的夫婦別氏制度につきましても、政府における内閣府の調査一つ取ってみても、本当に様々な考え方があるんだということを感じているからこそ、委員御指摘のように、国民の間に様々な意見がある旨私が答弁をしてきた、こういったことであると思っています。

 現在の制度である夫婦同姓制度を維持した方がよい、二七%、現在の制度である夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用について法制度を設けた方がいい、四二%、そして、選択的夫婦別氏制度を導入した方がいい、二八%、こうした世論調査等もしっかり頭に入れながら国民の考え方を把握していく、こうしたことも大事であると考えております。

西村(智)委員 先ほどの世論調査は、以前も問題になりました、質問項目が途中で変わっちゃったんですよ。賛成の人が少なく出るような質問項目に変わっちゃったんですよ。そういう誘導した世論調査をもって答弁されても困ります。

 国際勝共連合は、選択的夫婦別姓反対というふうに明言をしています。これだけ旧統一教会と自民党との関わりが明らかになったんですから、私は、国民の皆さんが求めている、本当に強く求めている、政治と旧統一教会との関わりを絶つというそのあかしのためにも、選択的夫婦別姓、もう一日も早く検討して前に進めていくべきだというふうに思います。

 法制審の答申が出てからもう二十七年になります。四半世紀以上も前に答申が出ているのに、なぜこれは、国民の間に様々な意見があるということだけでここまで検討を引き延ばされるんでしょうか。待っている人たちもたくさんいます。

 是非、総理、期限を区切って、この法制審の答申に沿った法提出、していただきたいと思いますけれども、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 委員の方から、選択的夫婦別氏制度について自民党が旧統一教会の影響を受けているというような発言がありましたが、それはないということはまずしっかり確認させていただいた上で、そういった課題について、先ほどもアンケートを紹介させていただき、それは意図的な作用が働いているというようなこともありましたが、こうしたアンケートについても、絶えず、公平中立であるということを心がけながら、いろいろな工夫が行われているということであると承知しておりますし、そういったものをしっかりと参考にしていくことは重要だと思っておりますし……(発言する者あり)

根本委員長 御静粛に。

岸田内閣総理大臣 引き続き、こうした全体を把握した上で、政策については考えていかなければいけない。

 いずれにせよ、自民党の中にも、おっしゃったように、様々な意見があります。議論は続いていると認識をしております。

西村(智)委員 統一教会との関わりを絶つということのあかしをやはり見せていただかないと、幾ら未来志向でこれから絶ちますというふうに言われても、私たちは確認ができません。

 次に、LGBTに関する法制について伺います。

 私ども、何度もLGBT差別解消法案を国会に提出してまいりました。不備、不足があるのであれば、国会でしっかりと議論をして、修正もやぶさかではない。しかし、これも、本当に悩んでいる、待っている人たちがたくさんいる、そういった思いで、早く届くようにというふうに考えてまいりました。

 超党派の議員連盟がありまして、そこで、二〇二一年の春に、野党側は私、与党側は稲田朋美衆議院議員、この二人が交渉を行いまして、一本の法案にまとめたんです。

 私たちも言いたいことはいろいろあったし、恐らく与党の側からもいろいろあったんでしょうけれども、たくさんのみ込んで、本当にたくさんのことを私はのみ込んで、理解増進法という一本の法案を出す、そのところまで合意をいたしました。

 各党持ち帰って、みんな、党内審査が終わって、賛成ですということだったんですけれども、自民党だけがなぜか途中で審査が止まっちゃったんです。総務会預かりということになっていて、それ以降、一年半、もう二年近くたちますけれども、何も動いたという話がありません。これはどういうことなんでしょうか。

 超党派議連でまとめたものをたなざらしするということは、これは事実上成立させるつもりがないということですか、総理。

岸田内閣総理大臣 まず、性的指向や性自認を理由とする不当な差別や偏見はあってはならないと考えています。多様性、あるいは人権、尊厳、尊重されなければならない、当然のことであります。

 その上で、今御指摘になりました理解増進法案の取扱いでありますが、自民党の取扱い、委員御指摘のように、私も総務会預かりになったという経緯は承知をしております。

 議論が続いているものと認識はしておりますが、その後どうなったかということについて、いま一度、確認をしてみたいと思います。

西村(智)委員 今年は、日本はG7の議長国です。G7の中でLGBT法制がないのは我が国だけです。しっかりと、少なくともG7までには成立をさせるということを是非党内に指示してください。

 それから次に、同性婚について伺います。

 国際勝共連合、ちなみに、先ほどのLGBTについてですけれども、文鮮明氏はLGBTは罪だというふうに言っているんですね。国際勝共連合は、同性婚の合法化には断固反対という意見表明をしております。

 総理は、衆参本会議で、我が国の家族の在り方の根幹に関わる問題であり、極めて慎重な検討を要するというふうに答弁しています。慎重な、しかも、極めて慎重な検討を要するということは、総理は反対なんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 おっしゃるとおり、極めて慎重に検討すべき課題であると私は思い、発言をしております。

西村(智)委員 これは人権の問題なんですね、同性婚の合法化というのは。

 そういうふうに、極めて慎重な検討を要するという形で逃げ続ける。それは、先ほどの選択的夫婦別姓の議論でもそうです。逃げ続けるというのは、私はひきょうだというふうに思います。

 私は、同性婚や選択的夫婦別姓、進めたい、成立させたいというふうに思っているので、こういうことは言いたくありませんけれども、総理、反対だったら反対だというふうに、はっきり言っていただけませんか。その場で、何か逃げようとして、そして、検討が必要だとか、国民の間に様々な意見があるとかいうことを理由に逃げるというのは、私は政治家としていかがかというふうに思います。

 トランプ前大統領、あるいはプーチン大統領、私は、政治家としては政策は全く相入れませんけれども、お二人は、少なくとも反対だというふうに言っている点だけは、私は岸田総理よりもましだというふうに思います。逃げないでいただきたい。いつまでに検討するのか、明言をしてください。

岸田内閣総理大臣 政治家として、考え方、判断を明らかにするということ、これは大事なことではありますが、これはテーマによってそれぞれ使い分けなければならないと思っています。

 今委員が御指摘になられたテーマ、これは、それぞれの人間の生き方、家族観、考え方に関わるものですが、あわせて、こうした制度を改正するということになりますと、日本の国民全てがそれによって大きな関わりを持つことになる、社会が変わっていく、こういった問題でもあります。

 全ての国民にとっても、家族観や、価値観や、そして社会が変わってしまう、こうした課題であります。だからこそ、社会全体の雰囲気、全体のありよう、こうしたものにしっかり思いを巡らした上で判断することが大事だということを申し上げております。これは、こうした価値観や心に関わる問題、こうした問題については、今申し上げた丁寧さは必要であると私は思っております。

西村(智)委員 はっきりおっしゃらないということであれば、これはやはり選挙でしっかりと判断をしていただく以外にないと思います。待っている方がたくさんいます。その声を是非、過小評価しないでいただきたい。

 次に、リスキリングについて伺います。

 私、この間、育休中のリスキリングという一連のあの流れを見ていて、やはり元々の、総理、参議院本会議での答弁を撤回すべきじゃないかというふうに思うんです。総理は本会議で、あの議員の質問に乗ってリスキリングのPRをしちゃったんだけれども、あれはやはりやるべきではなかったというふうに思うんですね。

 子育ては、実際には、体力はきついし、ぼろぼろになるし、本当に、新たなことを勉強しようという、それは、中には、環境が整ってそういうことを考えることができる人もいらっしゃるとは思うけれども、多くの方々は、そういったことを考える余裕もないということなんですよ。私もそうでした。

 社会から取り残されるような焦り、そして夜眠れない、そういった中で、本当にどうしようかと思っているところに、やはりあのとき総理が答弁すべきだったのは、そういった方々へのサポートとして、産前産後ケアあるいは一時預かり、それはしっかりやります、まずはそれをしっかりやった上で、その上で、対象となる方にはリスキリングということもありますね、こういう順番で答弁すべきだった。だけれども、寄り添う答弁が全くなかったんですよ。そうは思いませんか。

岸田内閣総理大臣 参議院本会議での答弁については、質問が出たわけですが、それに対して、私は、人生のあらゆるステージにおいて、本人が希望したならばリスキリングができる、こうした公的な支援は大事である、こうした社会でなければならない、こうしたことを申し上げた。これは議事録を是非見ていただきたいと思いますが、こういったことを申し上げました。

 そして、基本的に、産後、育休の状況、大変な、精神的な、肉体的な負担の中にある、それは私も、三人の子供の親として、経験として、強く感じます。そういった状態の方に対して支援が大事だということ、委員のこの御指摘はそのとおりだと思います。

 本人の希望、どう生きたいかということに対して、妨げにならないように、政府として様々な支援を考えていく、こうしたことは大事だと思っております。

西村(智)委員 岸田裕子さんが文芸春秋の対談を受けておられて、ワンオペ育児だったというふうに吐露しておられました。

 私は、三十日、予算委員会で、午前中と午後、総理は二回、同じ答弁をされた、釈明ですね、釈明の答弁をされたんですけれども、経済的、時間的、それから精神的、こういったことはおっしゃったんですけれども、午前と午後、どちらの答弁からも、身体的というのが抜けていたんですよ。本当は分かっていないんじゃないか、本当にがっかりしました。

 身体的というふうに、抜けた理由は何ですか。

根本委員長 内閣総理大臣岸田文雄君、申合せの時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。

岸田内閣総理大臣 私は、あらゆる面から見て大変だということを申し上げました。事実、今の答弁には、間違いなく、体力的にもと申し上げました。

 あらゆる方面から見て大変だということを強調したいために、かような発言をしたということであります。

西村(智)委員 私は、育児中のリスキリング以前の問題として、そもそも、新しい資本主義のグランドデザイン等にあるリスキリングは問題があるというふうに思っています。

 また、今日は、原発の運転期間延長について質問したいと、原子力規制委員会委員長にもお越しいただいておりましたが、時間がなくなりました。また次の機会に質問をさせていただきます。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて西村君の質疑は終了いたしました。

 次に、渡辺創君。

渡辺(創)委員 立憲民主党、宮崎一区選出の渡辺創でございます。

 今日は、まず、宗教法人法に関連する問題から質問をしてまいります。

 昨年の臨時国会に続き、旧統一教会の問題、さらには宗教と政治の関係などが大きなテーマとなっています。私は、この間、宗教という本来は人の心に安寧を与えながらそれぞれの歩む道を指し示すものが大きく揺らぐという状況に、何ともやりきれない気持ちを覚えてきました。

 宗派を問わず、宗教者には多くの尊敬する方々がいらっしゃいます。多くの理解を得ながら真摯に宗教活動に取り組む方々や宗教団体には、実にもどかしい気持ちを抱えていらっしゃる方がたくさんいるのではないかというふうに思うところです。

 私たちには、真面目に、真摯に取り組む宗教活動の尊厳を傷つけるような考えは全くありません。ただ、宗教団体を隠れみのにした社会問題には、きちんと向き合う社会であるべきだというふうに考えています。

 そのような中で、昨日、一月三十一日でありますが、産経新聞に、「「休眠」宗教法人悪用恐れ 義務報告未提出一・五万団体」「宗教法人 税優遇で標的 不透明売買、「闇市場」流出も」との見出しの記事が掲載をされました。

 記事では、宗教法人法で、年一度、所管庁である国や都道府県に対して提出が義務づけられている事務所備付け書類を未提出の宗教団体が全国で一万五千法人以上に上るとした上で、そのような宗教法人の一部が休眠化していると指摘されています。さらには、このような休眠状態の宗教法人が、事実上の売却の対象となり、宗教法人の優遇などを生かして、脱税などに利用されているおそれがあるというふうに指摘している内容であります。

 記事中には、脱税をもくろむ人だけではなくて、暴力団関係者の購入の意向などもあるという旨の証言が、宗教法人の売却を仲介する業者のものとして掲載をされているほか、売却が数千万円という取引の相場なども掲載をされています。

 仮にこの記事による指摘が事実であれば、本来の宗教法人のあるべき姿ではなく、宗教法人を隠れみのにして、金もうけが中心となり、不透明なお金の動きに加えて、場合によっては犯罪に関わるお金の温床になっている可能性があるのだとしたら、これは実に深刻な問題ではないかというふうに考えるところです。

 そこで、一つ一つ確認をしていきたいのですが、記事の中でも指摘されている、宗教法人に提出義務のある事務所備付け書類、これは宗教法人法二十五条で定められているものです。具体的には、役員名簿、財産目録、収支計算書などになります。

 提出しております資料一を御覧いただきたいのですが、令和二年中提出期限分でいうと、国所管分が一千百四十七法人中二百三十三法人、都道府県所管分でいうと十七万九千三百九十七法人中一万二千七百九十八法人が未提出という状況です。全国で一万三千三十一法人、つまり一割ほどが未提出という状況だったということが分かります。

 これらの法人は法律で定めた義務を果たしていないということになるわけですが、未提出の場合、所管庁はどのように対応するのか、文部科学大臣にお伺いします。

永岡国務大臣 渡辺委員にお答え申し上げます。

 文化庁におきまして把握しているところによりますと、直近の十年間で、文部科学大臣所轄の宗教法人の書類の提出率は平均して九四%、そして、都道府県知事所轄の宗教法人につきましては平均しまして九二%と認識をしております。

 文化庁では、未提出法人に対しまして、提出義務が生じましてから二か月間提出がなかった際の督促書の送付をしております。そしてその後、三か月以内に提出がなかった際には、再度の督促書の送付と電話での督促をしております。その後、提出がなく、また提出義務が生じてから一年を経過した際には、過料を科すよう裁判所への通知を行っているところでございます。

 以上です。

渡辺(創)委員 もう一度資料一を御覧いただきたいと思うんですが、国所管分の令和元年、令和二年は、例年に比べて数字が明らかに落ち込んでいます。提出率が八四・四%、七九・九%と一〇ポイント以上の落ち込みですが、その理由を文科大臣、御説明ください。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 文部科学大臣の所轄の宗教法人におけます事務所備付け書類の提出率、ごめんなさい、大変申し訳ありません。(発言する者あり)大変申し訳ございません。

 備付け書類の提出率、これは令和元年度が八四%になっておりますし、また、令和二年度が七九・七%となっております。平成三十年度の提出分以前と比べて確かに低くなっております。その背景といたしましては、新型コロナの影響によります宗教法人の負担軽減の観点から、文化庁の提出の督促を控えたということがありまして、提出率が低くなっているということでございます。

渡辺(創)委員 都道府県はやっているんですね。しかも、全ての宗教法人に、出さなくていいですよ、コロナで大変だからと言うなら分かりますよ。でも、出しているところはちゃんと出しているのに、出していないところにだけ催告をしない、出してくださいという作業をやらないというのは、極めて不平等だと思いますし、これはコロナを理由にしたただの怠慢じゃないですか。都道府県はやっているんですよ。

 しかも、さらに、この先ですよね。催告をしていない、出してくださいとやっていないということは、本来、それでも出さないところに対しては過料を求めているはずですが、過料を裁判所に求めるという作業も、この二年間、国はやっていないということでしょう。国の怠慢だと思いますが、いかがですか。

永岡国務大臣 事務所の備付け書類の提出に関しましては、宗教法人法に基づきまして行う必要がございますので、令和三年度の提出分につきましては、従前どおりこれは運用するとともに、令和元年度及び令和二年度の提出分につきましては、再度督促をしていきたいと考えております。

 文部科学省といたしましては、宗教法人法に対しまして、事務担当者向けの研修会の場を通じまして、書類の提出の義務について改めて周知徹底を図りまして、提出率の向上に努めてまいりたいと考えております。

渡辺(創)委員 聞いているのは、改めて求めるという話じゃなくて、二年間やらなかったことをどう今評価しているんですか。やるべきことではなかったのかということだけ、端的にお伺いできませんか。

根本委員長 文化庁合田次長、まず、事実関係だけ説明して。

合田政府参考人 委員長に御指名いただきましたので、お答え申し上げさせていただきます。

 先ほど大臣からお答え申し上げたとおり、新型コロナの影響による宗教法人の負担軽減の観点から督促を控えたということでございますけれども、ただいま御指摘をいただきましたように、宗教法人には提出義務がございます。したがいまして、再度督促を図っていきたいというふうに考えているところでございまして、私どももその点、しっかりと対応させていただきたいというふうに考えております。

 コロナの対応で督促を控えたということについては、私どもも、宗教法人の提出義務の観点でなお対応すべき点があったということは御指摘のとおりかと存じます。

渡辺(創)委員 聞いたことに答えていただければと思います。

 もう先に進みます。

 今回の記事で指摘されているように、宗教法人の売買、売却というのは、本来、宗教法人法で想定をされていない行為だと思います。活動実態が果たせなくなったのであれば解散をし、新しい宗教法人をつくりたい場合は、宗教法人法に基づいて設立の認証を受ければいいわけであって、所管庁として文科省の認識を確認したいんですが、この理解でよろしいですか。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 宗教法人がその役割を終えた場合には、自主的に解散をすることを想定をしております。当該法人格を放置したり、全く別の目的達成のために代表役員等の地位を第三者に移転したり、また、法人の運営を継続することは想定をしておりません。

渡辺(創)委員 今御答弁にあったとおりです。しかし、実態としては、半ば堂々と売買されているわけですね。インターネット上には、宗教法人の売買を税制上の優位性から解説するサイトがあったり、あっせんをするようなサイトというのも現実に存在をしています。

 ここまで指摘したように、本来の目的を失ってしまった宗教法人が休眠化し、法律上の課題があるために、今、文科省も、脱法的な行為というふうに恐らく考えているはずですが、法人格の売買が横行してしまっている。そのことが結果として、宗教法人の優遇を温床にする形で、脱税やマネーロンダリングなどが誘発されている、若しくは、そのことをメリットと考えて法人格を手に入れようとするような不届き者も出てくるというのが現状なわけです。

 私は、ただの可能性の話をしているのではなくて、実際にこの枠組みを悪用した事件は過去にも起きていますし、今回も様々話を聞きましたが、そういう実態は確認されています。

 文部科学大臣に確認をしますが、所管庁として、休眠宗教法人が売買され、違法行為に悪用されているとの実態をどのように認識しているか、対処の可能性や課題についても御答弁ください。

永岡国務大臣 御指摘のような違法行為の把握につきましては、宗教法人の宗教活動を所轄庁に報告させることにつながるおそれがございます。信教の自由の観点から、実態を把握することは困難でございます。

 一方で、不活動の宗教法人を放置すると、第三者により法人格が不正に取得され、脱税や営利目的などの行為に悪用されるなどの問題につながるおそれがございます。

 このため、文化庁では、都道府県知事及び包括宗教法人向けの対策会議の開催や、不活動宗教法人対策の手引、また、事例集の作成をしております。

 それから、不活動対策推進事業の実施等の取組を継続して行っておりまして、所轄庁におきましては、合併や任意解散の認証、そして解散命令の請求等が行われた結果、過去十年間で五百法人の整理が行われております。

 文部科学省といたしましては、今後とも、宗教法人の信教の自由に十分留意をしながら、効果的な不活動宗教法人対策を進めてまいりたいと考えております。

渡辺(創)委員 今、大臣の答弁で、実態を把握することは困難というふうにおっしゃいました。

 宗教法人法、もちろん、御答弁あったように、信教等の自由の関連で、所管官庁といってもなかなか難しさがあることは重々に分かっています。

 しかし、なぜこのことを指摘しているかというと、簡単に困難と言っていいかですよ。

 さっき議論になりましたけれども、年に一回出すべき書類の提出すら求めることを、言ってみれば横着して、出すべき書類を出しなさいという作業までしなかった文化庁が、簡単に、こういう年に一回の書類の提出、さらには、例えば、規約の見直しのときには、それを機会にして状況を少しでも把握するという努力をするべき立場なのに、簡単に困難と言っていいのかということを問うているわけですよ。

 やるべきことをやらずに簡単に困難だと言う文化庁の姿勢が、今までいろいろ議論もありました旧統一教会の問題等とも関係してくるんじゃないかというふうに思いますので、このことを御指摘申し上げておきます。

 実は、国税庁と警察の方にも話を聞きたいというふうに思っておりましたが、ちょっと時間が厳しくなりましたので、大変失礼ですが、申し訳ありません、おわびを申し上げます。

 その上で、最後、総理にお伺いをしたいというふうに思いますけれども、私は、やはりこれはおかしな話だというふうに思うんです。

 問題があって、宗教法人法の本来の目的や狙いとは違うところで明確な脱法行為が堂々と行われている、しかもそれが犯罪につながるおそれがある。もしこのような形で事実上の宗教法人の支配が、例えば反社会的集団や外国人の影響力が大きい、強い形でなされれば、どのようなリスクを社会が背負うことになるか分からないというふうに思います。

 現行の宗教法人法での対処には、先ほども申したように、信教の自由の観点から課題と限界があるというのは重々分かっています。けれども、例えば、この話というのは平成七年の法改正の際にも様々な問題点の指摘がされていることであります。

 是非、そのことも踏まえて、宗教法人を隠れみのにしておかしな金もうけが横行するような不誠実な世の中であってはいけないというふうに思います。

 さっき大臣は、どうしようもないみたいなお話をされましたが、文部科学白書には、宗教法人制度全体への社会的信用を損なうことになるという危惧が示されています。

 私は、是非、総理に伺いたいんですが、誠実に宗教活動に取り組んでいる方々や宗教法人への対処まで厳しくするべきだと言っているわけでは全くありません。せめて、まずは、所管庁が不活動宗教法人と指定した団体が入口となるリスクが高いわけでありますから、どのような実態があるのか、関係省庁が協力して実態把握には少なくとも取り組む、そういうことをしっかり総理の指示の下、行うべきじゃないかというふうに思います。

 岸田政権は、大きな転換点にある国情を今国民の皆さんに説明をして、新たな負担も国民の皆さんに場合によってはお願いをしなきゃと言っている政権です。だからこそ、そうであるならば、このような、正直者がばかを見る、真面目に宗教活動をしている方々までが信頼を失いかねないような事態を放置していてはいけないというふうに思いますが、総理の見解をお伺いします。

岸田内閣総理大臣 今の委員と大臣等とのやり取りを聞いておりまして思いますのは、まず、本来徴取すべき書類の徴取を徹底しないことによって、不活動宗教法人を放置することにつながり、そして、第三者によって法人格が不正に取得され、脱税や営利行為等に悪用される、こうした可能性が広がるというようなことは、まず、あってはならないことだと思います。

 実態把握の部分についても、これはしっかりと徹底しなければならないと思いますし、そして、その把握をした上で、不活動宗教法人と認められたものについては、合併、任意解散あるいは解散命令請求によって速やかに整理が進められるべきものであると思いますが、やり取りの中で、十年間で整理されたのは五百程度ということであります。

 ですから、実態把握の部分と、また、実際に整理されている状況、これにつきまして、十分なのかということは強い問題意識として持たなければなりません。しかし、そのためにも、まずは法律、十分に活用されているのか、適用されているのか、これをしっかりといま一度点検した上で、法律の適用に、文部科学省においては、文化庁においては全力で取り組むよう、私の方からもしっかりと指示をしたいと思います。

渡辺(創)委員 総理から御答弁あったように、不活動宗教法人の数、やはりなかなか減っていないわけです。ですので、まずは、実態把握が難しいと担当官庁は言っているわけですから、税を扱うところも、警察もあると思います、しっかり政権で……

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますので、おまとめください。

渡辺(創)委員 はい、分かりました。

 取組をお願いしたいと思います。

 残余の質問は午後に行います。

根本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

根本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。渡辺創君。

渡辺(創)委員 午前中に引き続き質問させていただきます。

 先日の総理の施政方針演説でありますけれども、農政への言及は、農業ですね、農政への言及は僅か百二十一文字でありました。全一万千四百九十四文字のうちの百二十一文字であります。しかも、この十年間でどんどんどんどん減ってきておりまして、三枚目の資料を御覧いただきたいと思いますが、過去十年ほどの施政方針演説における農政関係の文字数を示しています。もちろん文字数が一番妥当な表現かどうかはいろいろあるかと思いますが、一つの指標だと思います。過去十年間で最低、しかも、どんどん減っていっていて、岸田政権になって特にひどく、昨年は二百三十四文字でありましたが、半減で、今年は百二十一文字であります。来年はどうなることかというふうに思いますが。

 これが岸田政権における農政の位置づけということなんでしょうか。総理にお伺いします。

岸田内閣総理大臣 文字数については御指摘のとおりであります。

 しかし、これが岸田政権における位置づけかという御質問につきましては、決してそんなことはないと当然申し上げなければなりません。農政、これは、まず地方を元気にすることが日本経済の再生だと申し上げている中で、地方における基幹産業でありますこの農業の位置づけ、大変重たいと認識をしております。

渡辺(創)委員 私は、今年の施政方針の中の文字数に注目した理由は、やはり二〇二二年の後の二〇二三年だということだと思うんです。

 昨年は、日本の食料確保に関する脆弱性が明らかになって、さらに、それが国民にも伝わった一年だったというふうに思います。ウクライナの危機で、飼料や肥料の価格、供給も不安定になって、値段も上がりました。燃料の高騰で施設園芸も大きな打撃を受けています。生産コストが上がっても、それが農業の生産者の皆さんの収入には反映されづらい仕組みがこの国には今あります。負担が偏っていることも、国民の皆さんによく分かった。さらに、その脆弱性が国民に広く伝わって、食料安全保障にも不安が高まったという一年でした。

 だからこそ、総理は、年末にも、食料安全保障強化政策大綱を策定して、政府はですね、食料・農業・農村基本法の見直しにも着手をするという指示を総理はされたんだと思います。

 だから、こういう状況だからこそ、今年の施政方針では、農政のこと、食料安全保障のこと、きちんとうたうべきであったのではないかというふうに思います。本気度の裏打ちがないように感じるんです。改めて、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 今委員の方から御指摘がありましたように、ロシアによるウクライナ侵略を受けて、今、世界規模の食料危機と言われる状況が生じています。そして、その中で、我が国においては、農業生産に不可欠な飼料、肥料の安定供給が今問われている、食料安全保障の強化に対する危機感が高まっている、こういった状況にあります。その中でありますので、委員御指摘のように、農業の存在感は一段と高まっている、これが現実であると認識をしています。

 だからこそ、政府としましても、食料安全保障の観点のみならず、肥料、飼料といった生産コストの抑制策を講ずる、物価・賃金・生活総合対策本部においても、この問題を重く受け止めて追加策を講ずることを指示を出すなど、取組を進めています。

 是非、食料安全保障強化政策大綱に基づいて、農業構造の転換を進めて、強い農業をつくっていきたいと思います。

渡辺(創)委員 何となくとしか申し上げようがないんですが、私、とても残念なのが、今日午前中の答弁、公明党の庄子議員の質問に対しても、どうしてもほかの施策に比べて、農業のこと、一次産業のこと、私、先日、宮崎県の綾町というところで懇談をしている中で、当事者の皆さんが、一次産業という言い方はやめてくれ、生命維持産業だというふうにおっしゃっていました。そのとおりだというふうに本当に思いましたけれども、そんな分野に関して、どうしても総理の答弁から迫力のようなものというか気合みたいなものが感じられない気がして、ごめんなさい、これは受け止めですから、客観的には申し上げられませんけれども、ちょっと残念な気がどうしてもしているんです。

 本当は、食料安全保障についてかなり議論をしたいと思っていました。農水大臣にもいろいろ通告しておりましたけれども、また場面を移したいと思います。

 先日の予算委員会で、自民党の鈴木議員がおっしゃっていました。もうそのとおりだと思います。有事のための平時だと思います。その区別なく、いかに国民の命を守ることは食料を守ることでもあるんだという意識をしっかり国政全体で持たなきゃいけないんじゃないかというふうに、大変強く思っているところです。

 その上で、質問としては、もう終わりの方になってしまいますが、総理にお伺いしたいんですけれども、私は、今の日本の農業の現状を考えると、戦後の日本の農政、日本政治の選択の誤りが今の現状をつくっている気がしてなりません。戦後の高度経済成長期、バブル経済期、さらには、直近のデフレの中でも、私たちは、お金があれば食料は買える、確保できるという安易な選択をこの国はしてきてしまったのではないかというふうに感じているわけです。その結果が、様々な貿易交渉でも常に農業が犠牲になり続けてきた。結果として、農産物の自由化が進んで、食料の確保という本来国家が最も大事にしなければならないことという意識がどんどん下がってしまって、極度に海外に食料を依存し、さらには、その依存度を高め続けていっても何の違和感も感じないという国家になってしまったのではないかというふうに思っています。

 もちろん、政府の立場から、様々な交渉というのは、その時々のかじ取りの難しさがあるというのは十分に想像できるところでありますが、やはり今、そして、この国は、国土を俯瞰してみれば、農用地にも限りがあるというのも現実であります。全てをこの国で賄うということは難しい国家であることも明らかです。

 ただ、その前提に立ったとしても、この状況をつくってしまったことは、やはり政治の責任だというふうに思います。もっと早い段階で、少なくとも主要穀物ぐらいは海外依存を脱する、世界情勢の影響をできるだけ低減させるような環境づくりにもし政治が本気で切り替えていたら、もっと今の状況は違ったのではないかというふうに思います。

 私はおととし通ったばかりであり、その立場に今までありませんでしたけれども、政治に関わる一人としてそこを後悔するところでありますが、総理はその点についてどういう御認識をお持ちでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、委員が今おっしゃいました、グローバル化の中で、お金があれば食べるものは買えるんだという安易な気持ちを持ったのではないかという御指摘については、これは重く受け止めなければならないことだと思っています。

 事実、食料は私たちが生きていく上で不可欠のものです。そして、今、世界的な食料危機が生じている。そして、日本国内においてもこうした危機的な状況がもし広がったとしたら日本人はどうやって生きていくのか、これを真剣に、具体的に考えなければいけない段階にまで至っている、そのぐらいの危機感を持たなければならないんだということを強く思っています。

 確かに、今の我が国の食料自給率を考えますと、海外に依存する、せざるを得ない状況ですが、それとて、もし、危機の状況の中身によっては、代替国、別の国からの輸入のルートを考える、こういったことも考えなければいけないわけですし、何よりも、我が国自身の生産体制、さらには備蓄体制、こういったものをしっかり考え、危機に対して、食料供給の確保、どのように考えていくのか、こういったことのシミュレーションも平時からやっておかなければならない、こういった危機感を持たなければならないと思います。

 危機に強い食料供給体制をつくっていく、国産化推進と併せて、農地や労働力の確保、あるいは技術の強化、こうした農業自体の強靱化、こうしたものを進めながら、食料安全保障の問題にも取り組んでいかなければならない、このように思います。

渡辺(創)委員 総理、ありがとうございました。私は今、御答弁を聞いて、認識に大きな違いはそうないのかなというふうに思ったところであります。

 ただ、やはり過去を総括するということも大事だと思うんです。やはり、今までのこの国の政治の判断が今の状況をつくってしまったということをある意味きちんと認識をした上で、この後をどうしていくのかということが大事だというふうに思っていますので、その点は、与党だけが悪いという話じゃなくて、この国の政治全体に関わってきた全ての者が責任があるというふうに思いますので、是非そこは考えたいというふうに思っています。

 その上で、もう最後にします、質問にはいたしませんが、今、総理の御指示もあって、食料・農業・農村基本法の見直しが進んでいます。有識者の方々の議論の議事録を読んでいくと、やはり、海外に依存しているということに対して大変深刻な心配をしていらっしゃる。特に、主要穀物については、直接支払いも含めて、しっかりもっと生産力を上げていくという対応をしなければならないという声がたくさん上がっておりますので、是非、これから農水省を中心に法案の見直しの作業が進むと思うんですが、大変大きな、総理の施政方針じゃないですが、転換点に立っているわけですから、この転換点に、現状を認識して、これから国民の命につながるこの国の食料をしっかり守れるという法案になりますように、我々もしっかり議論に参画していきたいと思いますので、以上申し上げまして、私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

根本委員長 これにて渡辺君の質疑は終了いたしました。

 次に、伴野豊君。

伴野委員 立憲民主党の伴野豊でございます。

 岸田総理とは、昨年の本会議場での議論からもう一年ぐらいたったなという感じでございますが、今日は三十分でございますけれども、おつき合いいただければと思います。

 今日は、社会インフラ、社会資本整備と言い換えることもできるんですが、私、言葉の意味としては若干違うと思っていますが、今日はニアリーイコールで、どちらかというと構造物や土地系に特化して、いろいろ総理の基本的な姿勢についてお聞きしたいと思います。

 できるだけ変化球は投げないように、直球勝負でいきたいと思いますので、正攻法、正論でお答えいただければありがたいかな。議論もできるだけかみ合わせたいと思っていますので、もし技術用語や専門用語があってかみ合わなくなった場合には、国土交通大臣のお出ましをいただいても結構でございますので、趣旨としてはきちっとした議論をしたいということでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 岸田総理の御経歴もちょっと調べさせていただくと、四十二歳、四十三歳の頃には建設政務次官もされていらっしゃったので、国土交通行政にも明るいんだろうと思います。その上で、いろいろお聞きいたします。

 まずは、今の我が国の社会インフラ全般における課題をどう御認識されているか、お聞きしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

岸田内閣総理大臣 我が国のインフラ全体の大きな流れということで考えますと、高度成長期以降、集中的に整備されたインフラ、建設後五十年以上経過するということになるわけですが、このインフラの老朽化がこれからますます加速化していきます。その中で、道路や鉄道網を始め、インフラを適切に維持し、管理し、そしてさらには未来に向けて更新をしていかなければならない、こうした大きな課題に直面をしています。

 国土強靱化五か年加速化対策、これはもちろん引き続きしっかり推進していかなければなりませんが、その内容においても、デジタル化等、デジタル技術の活用、こうしたものをしっかりと進めながら、計画的に点検、修繕、そして更新、こうしたものを図り、インフラの老朽化という大きな流れにおける課題に我々はしっかり向き合わなければならない、これが今の大きな流れにおける現状ではないかと思っております。

    〔委員長退席、中山委員長代理着席〕

伴野委員 まず、構造物の老朽劣化、あるいはメンテナンス等が重要であるという御認識は正しいと思います。

 その上で、では、今までの十年間が現場に本当にマッチしたやり方だったかというと、ここは私もいろいろ申し上げたいところがあります。

 例えば、国土強靱化。多分、一般の方は、このイメージが、国土をコンクリートで固めるというイメージになっちゃうんですね。これは多分、逆効果の方へ行くのではないか。それまでの政権がコンクリートから人へというのを使っていましたので、逆にそれを意識し過ぎて、ちょっとそこはきつめの表現に。いわゆる構造物の現状を言えば、せいぜい使っても、高靱性化、靱性を高める方。

 その前にやらなきゃいけない、やはり、その劣化している原因を突き詰めなければ、これは全く逆効果になることもありますので。

 是非とも、先ほども、防災・減災五か年加速、ここに国土強靱化というのが入ると思うんですけれども、防災・減災まではすっと入るんですよ。ただ、ここで国土強靱化が出てくるのは少し、これからの言葉の使い方と、国民の皆さん方にすっと腹に落ちていただくためにも、いろいろ工夫をしていただいた方が、その後の五か年がやりやすいのではないかと私は思っております。

 その中で、老朽化対策も、これはもう国を挙げてやらないと間に合いません。御案内のように、いわゆる高速道路のトンネルの剥離事故からいろいろ計画が立てられたと思いますが、鉄道トンネルではその十数年前に起きています。ですから、どんどんどんどんこれからこういうことが起きてしまいますので、起きてしまってからは遅い。

 国が直轄のところはまだいいのかもしれませんが、残念ですが、地方へ行けば行くほど、行政規模がちっちゃくなればなるほど、残念ですけれども、技術系の職員すらいないところがあります。そういうこともカバーしながらやると、つまりは、体制づくりもしっかりした上で五か年計画をどう回していくかということを考えていかないと、お気づきになっていらっしゃるかもしれませんが、コンストラクションよりも金がかかります、メンテの方が金がかかります。技術力も十数倍以上です。

 そういうことを考えると、本当に、どの時点でどういう決断をしていっていただくかというのを、もう今から考えて。もうあと二年ぐらいで終わりますよね、今の計画も、大臣、たしか。ですから、そういうことを考えて。

 ただ一方で、予備費にもたくさん積んでいらっしゃるお金があるわけですから。例えば、気象衛星の「ひまわり」の後続機種のことは、これはもうまさに防災・減災の要中の要。線状降水帯の予測が今うまくいかないということで、残念ながら、ひょっとしたら対策が遅れているかもしれないということから考えると、これこそは優先的にお金をつけても、与野党誰も文句を言わないと思いますね。

 もっと言うなら、「ひまわり」の後継機を整備する頃には、今使っているスーパーコンピューターの次ぐらいのことも考えてやらないと、これも遅きに失するということになりますので、こういうことはしっかり念頭に置いていただいて。

 地域インフラ群再生戦略マネジメントというのも立ち上げてやっていらっしゃるみたいですが、余り議論の前に出てきていないような気がしますので。つまりは、国が先駆となって、都道府県、市町村の役割分担をしっかり決めながら。もうすさまじい数の老朽劣化している構造物があります。私の地元でも、上下水道が大変だ、そういう市町の御意見もありますし、今回の寒気によってかなりの上水道、下水道が傷んでいると思いますので、是非、総理、いい意味でのリーダーシップを発揮していただければと思います。

 では、次のテーマに行きます。

 ここで、総理も所信の中で、子供ファーストでしたか、チルドレンファーストというのも昔聞きましたけれども、この言葉の意味がどう違うんですかとか、異次元と、そうじゃない、あれはどう違うんですかという、その話は今日はいたしませんが、子供さんに注目していただけるならば、是非、ハードで対応できるといいますか、社会資本として対応できるのは、やはり通学路対策。

 総理も、交通安全の席上で、五年度末までに仕上げるということをおっしゃっていただいています。このこと自体は私はすばらしいことだと思います。リーダーシップを発揮していただきたい。

 では一方で、そのように予算が組まれているのか、あるいは協力体制はどうなっているのかというところになると、これは実は平成二十四年です、民主党政権の最後の方です、御案内のように、京都だったと思いますが、大変な事故が起きました。この手の話は、忘れた頃に何とかじゃないですが、五年から七年ぐらいの間に起きてしまうんですね。ちょうど、やはり大人たちの気が緩んだ頃に出てくるんですよ。

 だから、やはり前倒し前倒しでやっていただかなきゃいけませんし、ある方が執念を持って、これは総理だと思います、徹底的に、これこそは今を生きる大人の責任だと。子供たちには何の罪もありませんよ。はっきり言って、そういうところに巻き込んでいるのは大人です。もっと言うなら、運転未熟の方もいらっしゃるし、また、お酒を飲んで運転される、この間、何かこんな話題もありましたよね、そんなような方とか、これはもうみんな大人の責任ですよ。

 危険箇所を民主党政権のときに八万件抽出したんです。それを継続して今の与党の方もやっていただいているということはありがたいことだと思っています。それが少しずつ減ってきました。

 しかしながら、その計画とスキームをつくった一番最初は、警察庁、あと文科省、国交省、この三つを同じテーブルに着かせてデータを突合させるだけで一苦労だった時代です。その頃に比べれば、今はちゃんと合同で点検をされて、新たな、七万件でしたか、抽出されたというところはいいです。それを計画的にやっていこうとされることも正解です。しかしながら、予算的に裏づけがあるかというと、ここが、ちょっとした算数につき合ってもらうと分かってしまいます。

 これはどういうことかといいますと、たしか資料にも載せてあったと思いますが、向こう三年というか、令和三年、四年、五年の予算がどれぐらいの規模であったかというのは、多分、国土交通大臣だったらすぐ数字が出てくると思いますが、あえてここは聞きません。五百、五百、補正で二百二十、そして五年度で五百五十だったと思います。この規模だったと思います。全然足りないと思います。

 それで、このペースでやっていくとどうなるか。以前、国土交通委員会で藤岡議員がそれをやってくださいましたが、やはり、もっと数字で細かく詰めていくと、もっと更にインチキがばれちゃいます。

 これは、千二百二十億つぎ込んで、一万六千八百十五終わったという報告になっているんです。では、これを是とした場合に、一か所当たり幾らだと聞くと、担当者の方は、いや、場所によって違いますよねと言う。当たり前です。だから、目の子の平均でやればいいんですよ、そういうときは。そうするとどうなるかというと、一か所当たり七百二十五万五千円というのが出てきます。これが一つの基準です。

 そして、今回の五年度のお金、総理がかけ声をかけているんですから、これを全部潰すというほどの予算がついていないと本来おかしいですよね。

 それでやると、五百五十五億ついているもので、七百二十五・五万円で割ると、七千六百五十しかできないことになります。そう言うと、役人の方は何と言うかというと、国の直轄の金だけでやっているわけじゃないから、まだありますとかと言うんですが、だから、これは目の子のざくっとした計算で、単位として合っているかどうか。

 これが残りの二万二千八百六十六に近づく金額であれば、あるいは、残ったとしても千とかだったら、それは正しいですと言いたい。だけれども、二万三千もあと残っているのに、このペースでやっていても、このペースだと一万五千少々残ります。

 こういうときに予備費も使っていいじゃないですか。誰も反対しませんよ。そうすると、最低でもあと千二百を積んでいなければおかしいことなんです。総理が五年末までにやると、いい意味での大見えを切っていただいたんですから、ほかの人たちがそれをバックアップする体制をつくらなければ、私は、それはおかしいと思います。

 それで、更に申し上げます。

 今日の資料がお手元に行きましたが、先ほど、民主党政権のときにつくったスキームだと申し上げました。これもほぼ、九九%やっていただいているから、感謝申し上げます。

 しかしながら、何が一番大事かというと、残っちゃった一%なんですよ。多分、私の計算では六百三十一あると思います。ここの具体的な案件について全部報告してくれと言っても、一年かかってもいまだに私の手元に資料は来ません。

 これは多分、大変なところばかり残っているんですよ。土地収用しなきゃいけないとか、ほかの立体交差との関係でなかなか手がつかないとか、あるんだと思います。それは認める。だけれども、これこそが政治のリーダーシップで解決しなきゃいけない。残念ながらこうした事故でお亡くなりになられた子供さんたちに少しでも報いることになるのではないかと思いますので。

 勢いは理解します。だから、財政、予算で裏づけをして、更に技術で裏づけをして。大変なところばかり残っているわけです。多分、さっき言った千二百じゃ利かないと思いますよ、用地取得なんかし出したら。だから、これこそ警察庁、文科省、国交省、それぞれの立場でいろいろな英知を結集して、どうしたらこういうところが一つでもなくなるかということを執念を持ってやっていただきたいと思いますが、総理、いかがですか。

    〔中山委員長代理退席、委員長着席〕

岸田内閣総理大臣 まず、子供たちが安心して通学できる安全対策を進めるというのは大人の責任であるという御指摘がありました。私も同感であります。

 そして、あれは令和三年十二月、交通安全対策に関する関係閣僚会議において、全国の小学校の通学路における安全対策が必要な箇所、約七万二千ですが、これについて、令和五年度末までに対策をおおむね完了できるよう取組を進める、このようにした次第です。委員おっしゃるとおりであります。

 そして、令和四年度からは、通学路緊急対策に関する補助制度、これを創設して予算を積み上げてきた。そして、令和五年度予算が、おっしゃるように五百五十五億ということであります。

 現時点で、令和五年度末には、道路管理者が対策すべき箇所、数字の上で八割以上において対策が完了することを見込んでいる、これが見通しであります。

 ただ、委員がおっしゃる残りの部分ですが、これの残りの部分の数字には、事業にもう着手して、事業が進んでいる部分もあります。そして、その中に、おっしゃるように、用地買収ですとか一定の時間を要する、こうした困難なものも含まれているということであります。その部分に集中しなければならない。

 関係閣僚会議での議論からスタートしたこうした取組でありますので、関係閣僚がしっかり連携をしながら、具体的に残された課題をどう乗り越えるのか、しっかり検証をさせて事業を進めたいと思います。

伴野委員 順調に進んでいるときはいいんですよ。ほぼ、さっき言った平均値ぐらいの予算でやっていけるんだと思います。

 当然、予算のかかるところが残れば残るほど大変で、だから、先ほど申し上げた六百三十一の処理の方は大変だと思いますが、ここは本当に、予算もつけながら。ある意味、六百三十一ですから、総理が、全部把握と言うとちょっと言い方はあれかもしれませんが、場所がどこがあるかぐらい気にしていただいて、あるいは、選挙区の方にあそこはどうなっているというぐらいのことを聞いてあげるぐらいの気配り、思いが出てくると、私は、これから何年かかるか分かりませんが、少しでも。

 十年かかっているんですよ、もう既に。だから、五年度中にできるというのを最初に聞いたときには、ちょっとと正直思いました、十年かかることが、手品のようにね。しかも、難しいところばかり残るんですよ、この手の話は。当然、意識的に数字を上げたいという意識もあるでしょうし。

 最初は比較的地元合意が取れやすくて、工事的にも、あの赤と緑でいっぱい塗ってありますよね、あるいはガードレールをつけるぐらいで済むところもあるんです。だけれども、現地に入ると、一信号つけるだけで、もうかんかんがくがく。子供たちのためにと言っていた人が、自分のおうちの目の前にハンプが来たとかあるいは信号がつくといったら、昨日まで言っていたことと本当にころっと意見を変えて、ここにつけてもらっちゃ困るというちゃぶ台返しが起こるのがこの世界です。

 だから、担当の方も、警察も文科も国交省も大変だと思いますよ。そういった中でぎりぎり詰めていかなければいけない。そしてまた、細かい話がたくさんある、技術的にも。

 だから、総理、是非、総理の在任中に、執念を持ってやり遂げていただければありがたいかと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘の点ですが、先ほども申し上げたように、令和三年から始まって、令和五年度末に目標をおおむね完了するということで取り組み、そして五年度末に八割以上を完成させる見込みまでは持ってきた。しかし、残ったところが大変だという御指摘、これはそのとおりだと思います。

 是非、残された部分についても、交通安全に関する関係閣僚会議でいま一度状況を共有した上で、どうしていくかを考えていきたいと思います。

 必要であれば、予算の上乗せ、これをしっかりやって対応いたします。

伴野委員 今の力強い、予算の上乗せ、是非お願いしたいと思います。

 ですから、めり張りをつけていただければいいんですよ。要らないところについているところを持ってきていただいて、全体としての総量は抑えながらも、めり張りをつけていただくだけでやれるんじゃないかと思います。ありがとうございます。

 続いて、子供たちが多く、全員とは言いませんが、夢を抱いている次世代の社会資本というものも一方であります。リニア中央新幹線です。

 総理も、デジタル田園都市国家構想というところで、しっかりその位置づけを明確にされています。総理が明確にされた以上に、この技術は裾野が広うございます。日本の中でトップクラスを走っている技術の中の一つでもあると私は思っております。

 また、これはちょうど与野党の、今の与野党ですね、政権交代したその辺りにいろいろ動いている案件ですから、当然、その当時にいた人たちは、与野党誰も、このことに逃れられない。

 一言具体的に言いますと、平成二十三年五月のJR東海に対しての建設指示は、当時の民主党政権ですから、我々の先輩の大畠さんがおやりになったことです。だから、その当時いた者、あるいはそういった経緯を踏まえている者であれば、やはりいろいろ合意を取っていっていただかなければいけない案件はあれども、着実に前に進めていただくというのは、多分、与野党、普通に考えれば出てくるのではないかと思います。

 残念ながら、令和元年五月をもって静岡県の準備工事は中断されたままです。私は別にNHKの回し者じゃないんですけれども、今ちょうど、私も毎週見ていますけれども、「どうする家康」というのがありますけれども、どうする静岡ですよ、全国的には。

 それで、客観的に今の状態がどう評価されているかというのを、私もいろいろ資料を調べて、冷静に見ました。自分なりに、ファクトかファクトじゃないかというのも一行ずつチェックして、これのほとんどは、細かいことを言い出すといろいろどちらも言い分があるでしょうから、そこまで入っていきませんけれども。

 また、今お手元にお配りしている産経新聞さんの記事です。一月二十八日の、本当にまだ先週のものです。記名記事ですから、多分記者さんもいいかげんな気持ちで書いていらっしゃらない。まあ、当たり前といえば当たり前です。

 これをお読みいただいて、まず、総理、今の御感想を。多分読んでおいていただいたと思いますので、はっきり言って、私の方で要約します。

 論点というか、着目してほしいのは、ここで書いてある言葉を使わせていただきますね。私は絶対に委員会等の場所では個人の人格や性格に関わることは一切言わない、そういう人間ですから、ここに書いてあるとおり読みます。

 ゴールポストをずらすかのように次々と新たな問題を提起される方がいらっしゃる。それからもう一つ、当然、事業主体、JR東海側も地元対応で慎重さに欠けていたとの指摘がある。こういうことで今のことが起こっているんだと推測します。

 だったら、今回、総理も御自身の大きな構想の中でこれを位置づけていただいているとすれば、年末年始も大臣や総理からもいろいろな発言があるとすれば、やはり、今、残念だけれども力を合わせ切れていない人たちを総理のリーダーシップでまとめていただいて、次世代のためにやらねばならぬことだという位置づけでそれぞれの方が考えていただくだけで、私は全然展開は違ってくると思いますし、つけ加えれば、あの三兆円の財投を入れたときも、与党の方はもちろんでしょう、野党も八割以上賛成したんですよ。だから、政治的には国家プロジェクトだと言ってもいい。

 ただ、民間企業が今建設主体でやっているから、だから、助けてやっていただけるところは助けてやっていただきながら前へ進めていただきたいと思いますが、総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のリニア中央新幹線ですが、東京、名古屋、大阪を含む世界最大級の新しい都市圏をつくろうという国家的なプロジェクトです。私もデジタル田園都市国家構想の中で重要に位置づけています。

 そして、これについては従来から、静岡工区、政府として、水資源や環境保全等の課題解決に向けた取組を進めることによって早期整備を促していく、こうした取組を続けてきたところですが、今年の私の年頭会見の中で、リニア開業後の東海道新幹線における静岡県内駅の停車頻度の増加に関する調査について、国交省において本年夏をめどに一定の取りまとめを行うことによって地元の皆さんの御理解をいただくよう努力をする、これを明らかにさせていただきました。

 この取組、是非しっかりと関係者の皆さんに説明をしながら、全体としてのこのプロジェクトを前進させる理解につなげるべく、私自身、先頭に立って努力をしたいと思います。

伴野委員 通学路に続いて、このことも前向きな、積極的な姿勢、ありがとうございます。

 さっきから国土交通大臣がこちらをちらちら見ていらっしゃって、俺にも一言言わせろと。この場はできるだけ総理だけにしたかったんですが、国土交通大臣、どうぞ。

斉藤(鉄)国務大臣 御発言の機会を与えていただいて、ありがとうございます。

 未着工である静岡工区については、国の有識者会議において大井川の水資源への影響に関する中間報告を取りまとめており、現在、工事期間中の県外流出量を大井川に戻す方策等について、JR東海と静岡県の間で協議がなされています。

 また、昨年十二月三日、地域の御理解を深めるため、大井川流域市町の首長と有識者会議委員との間で意見交換会を開催しました。参加された首長からは、水資源に関する中間報告では、中下流域の河川流量は維持され、地下水量への影響も極めて小さいとされたが、その考え方や科学的な議論が積み重ねられたことなどについて、専門家の意見を直接聞けて理解や知見が深まり、有意義であったとの声があったと承知しております。

 さらに、先ほど総理が申し上げたリニア開業後の東海道新幹線に係る調査については、先ほど申し上げた首長さんとの意見交換会の場において地元から要望の声があったことも踏まえ、しっかりと行ってまいります。

 国土交通省としましても、一日も早い開業に向けて取り組むことが重要であると考えており、今後とも、大井川流域市町など地元の皆様の御意見を踏まえながら、リニア中央新幹線の早期整備を促進してまいります。

伴野委員 国土交通大臣におかれましては、是非、省内もしっかり見ていただいて、合意形成に向けてどうあるべきかという中で、一つずつ丁寧に声を拾っていただければ。そうすると、静岡の方のみならず、日本国民全員にとって、この地区が、言ってみれば社会資本的には強くなるわけですから、それがどういう将来をもたらすかというのは、これは子供たちの将来が懸かっていることですから、この辺りも踏まえてやっていただければと思います。

 本来なら、森友の話、これはたしか国有地に戻っているかと思いますが、さらには、武力攻撃の一時避難施設について社会資本の立場からどう考えるべきかということを問わせていただきたかったのですが、もう時間が来ておりますので、これぐらいにしたいと思います。

 少し、最後に一つだけ。

 総理、この機会ですから、例の三匹の子豚のストーリーをもう一回読んでいただくと、三匹の子豚、NHK的には「ブーフーウー」、私はそれで育ちましたが、この物語の中にはすごく社会資本に関する教訓がいっぱいあります。改めて私、これを今回学びました。是非、お時間があるときに見ていただければと思います。

 ありがとうございます。

根本委員長 これにて伴野君の質疑は終了いたしました。

 次に、落合貴之君。

落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。

 本日は、この国の在り方に密接に関わります政治改革の分野についてお伺いをいたします。

 まず、冒頭伺いたいのですが、岸田総理、政務の首相秘書官に御長男を就かせています。政務の首相秘書官というのは、秘書とは違うわけでございます。官邸の重要なポジションとして、政務の総合調整をしていく、政治家とも官庁とも渡り合っていく、いろいろな政策を実行する上での内閣の要にもなる重要な仕事であると思います。

 そういう中で、最近言われているのが、官邸の情報がどこかからリークされているということですとか、総理の外遊先での話ですとか、いろいろと言われているわけでございます。

 御長男をわざわざ国の重要な役職である総理秘書官に就けた人事、これは今でも適切だというふうにお考えでしょうか。

岸田内閣総理大臣 今、総理秘書官、数ある中で、政務秘書官として二人の秘書官を採用しています。そのうちの一人として、政治家としての総理大臣の仕事を補佐するということで、政治家としての活動をよりよく知る人間を政務秘書官に位置づける、採用する、このことは大変大きな意味があると思っています。

 是非、総理秘書官をしっかりとチームとして機能させるために、その一人として、政治家としての総理大臣を支えるという立場で貢献をしてもらいたいと思っております。

落合委員 今までの政務の秘書官とは違う役割の方が、一個役職ができたような感じもしないでもないんですが。最初の方はSNSの対応などもしますという話でしたけれども、調べてみると、広報官というそういう役職もあるわけですし、何で秘書ではなく秘書官に、しかも官邸の要である政務の秘書官に御長男をわざわざ就けたのかなというのは、広く国民も疑問に思う方は多いと、私も疑問に思いますし、多いと思います。

 将来、選挙区を御長男に譲るというときのために、箔をつけるために首相秘書官にしたというような臆測、推測もあるわけですけれども、御長男に将来的には選挙区を譲ろうと、総理、お考えでしょうか。

岸田内閣総理大臣 総理秘書官の人選については、今のこの総理大臣としての活動を支えるためにどういった人選がいいのか、どういったチームを組むのがいいのか、こういったことで検討して人選を行っています。

 そして、将来どうするかということでありますが、私も、もうしばらく政治家として最善を尽くしたいと思っております。将来、先、どれだけ先か分かりませんが、そこまでまだ思いを巡らすには至っておりません。

落合委員 日本の国会議員は、海外と比べても世襲政治家が多いということは今までも言われてきました。それに対する、世襲は多くないという意見はないというふうに思います。

 世襲政治のデメリット、これは、血のつながっている身内で主要なポストを固めていってしまう、代々、こういう問題があると思います。有名な作家のある方は、作品の中でこう書いています。その国が衰退するときは、人材がいなくなるのではない、人材を活用する仕組みがなくなってしまうから衰退するのだということも、いろいろな歴史の本を書いている作家の方が書いています。

 今、いろいろ調べてみると、自民党の衆議院議員の三割以上は世襲の方でございます。閣僚の方々は半分以上、特に主要閣僚の方々は、お父さんがどんな方だかは大体の方が分かるというような状況です。ちなみに、イギリスの貴族院でさえ、世襲の割合は一割です、二〇一五年の調べ。貴族院でさえ一割です。これはやはり異常なことであると思います。

 二〇二一年、日経新聞が調査を発表していました。一九九六年に小選挙区制度が導入されて、それ以降、世襲の方の勝率は、比例復活も含めると八割、世襲じゃない候補者は三割。これは勝率が全然違うわけです。

 世襲によってリーダーへの道が閉ざされている、これが残念ながら日本の現状であり、多様な人材が活躍する国をつくっていくためには、誰にでもチャンスのある日本をつくっていくためには、政治が若い人たちの、やる気のある人たちのチャンスを妨げてはいけないというふうに思います。

 この今の政治の世襲の現状、総理、どうお考えですか。

岸田内閣総理大臣 まず、委員の方から、日本の政治における人ということで、現状についてお話がありました。

 それにつきましては、まさにおっしゃるように、選挙制度ですとか、あるいは選挙における後援会を始めとする応援のありようですとか、日本の政治文化や制度に関わる部分も大変大きいのだと思います。

 しかし、制度がどうであるにしても、やはり多様性が尊重されるということは社会の活力になると思います。より多くの方にチャンスが広がる、こうした社会をつくっていくよう努力することは大事であると思います。

落合委員 したがって、そういう政治を実現していくためには、やはり、何で御長男をそういう役職に就けるのかなと、日本のリーダーが。そういったことにはやはり気を遣うべきだと思います。

 それから、総理、そう思うのであれば、自ら、将来的に引退されるときは、世襲ということはやらないというふうにお考えになるでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、人選については、先ほど申し上げました、今の政治活動を支える上でどういったチームを組むのが最適なのか、こういったことでこの人選を行いました。

 そして、未来に向けて、今ここで約束したらどうかということでありますが、遠い将来のことについて、そして公の立場について、私が今の思いで何か物事を決めるということはあってはならないと思います。これから様々な積み重ねがあり、経緯があり、そして、その時点において、公の立場に就く人間が誰がふさわしいのか、これが判断される、これが正論であると思っています。

落合委員 世襲でない政治家も、やる気と能力があれば国会議員になるチャンスがある、そういう政治の世界にするべきだという気持ちはございますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 おっしゃるとおりです。そういう制度があり、そして風土がある、それが民主主義国家だと思っています。

落合委員 是非、今、日本の政治のリーダーなわけですから、率先して示していただければというふうに考えています。

 台湾の李登輝氏が、著書で、過去、こう述べられております。日本は自分を見失ったのではないか、その最大の原因は、アメリカや台湾と異なり、余りにも世襲制がひどくなったことにある、無名の若者が国会議員になろうと思っても、ほとんど不可能である、現在の国会議員のかなりの部分が二世と三世で占められている、戦後、日本の上昇は、無名の新人によって達成された、明治もというふうに続くわけでございます。

 我々は、今のこの現状、危機感を持って、よく考えて、この政治の世界がよりよくなるように行動をしていかなければならないと思います。

 具体的なことについて伺わせていただきます。

 政治家を世襲するときは、よく言われているのは、地盤、看板、かばん、これを初めから世襲された人は受け取ることになる。これは、世襲された人は有利になるというふうに言われるわけでございます。

 地盤というのは、後援会や、それから、地元ですとかの各団体との関係ですね、応援してくれる組織、これを引き継ぐこと。

 それから、看板とは知名度。少なくとも、男性の親子で引き継いだ場合は、名字はもう完全に何十年も前から知られているわけです。場合によっては、世襲の方が議員になっても、間違えて、その地元の中ではお父さんの名前を呼ばれているという人、そういう議員もそれなりにいるわけです。

 それから、かばんです。これはお金ですね。例えば、資金をプールしている政治団体を親子間で引き継ぐとき、普通であれば相続税とかそれから贈与税もかかるわけですけれども、無税で政治団体を、例えば代表者が替わったときは、経済的なものも引き継ぐことができるわけです。少なくとも、政治家、政治団体じゃない場合は、月百十万ですか、贈与、上限があります。相続税も上限があります。

 政治家の代表者の世襲、これについてはいろいろ考えていくべきだと思うんですが、これは問題だと、総理、思いませんかね。総理から伺えればと思います。その後、個別のことを、総務大臣も私からも指名しますので。総理、所感をお願いします。

岸田内閣総理大臣 政治団体が存続する場合に誰が代表者になるのか、これは政治団体の内部における議論で決められるものだと思います。これは政治活動の自由と密接に関連するものであります。是非、政治団体において、代表者をどうするのかを決める、これが制度の実情であると認識をしております。

松本国務大臣 私も、恐らく、一般的な分類からいえば、委員によって衰退の源とレッテルを貼られた一人だろうというふうに思いますが、国民の皆様にしっかり御評価いただけるように仕事をしてまいりたいと思っております。

 今総理からもお話を申し上げましたが、現行の政治資金規正法上は、政治団体の代表者、役員、構成員については、その選任要件や資格に関する規制は設けられていないところでありまして、政治家が引退したときなど、この政治団体については、団体でございますので、政治資金規正法の規定に基づいて規約も提出しておりますので、これに基づいて、内部の決定、存続させるかどうか、誰が代表者になるか、これを決められることだというふうに認識をしております。

 私どもは行政の立場で政治資金の制度の運用にあずかっておりますので、政治資金の制度の在り方をどのようにされるか、政治団体の規制も含めて、これについては、これまでも各党会派について御議論をいただいてまいりましたが、私どもとしては、このような在り方については各党各会派について御議論をいただくべき問題である、このように考えているところでございます。

落合委員 大臣も総理も同じような何かスタンスのような気がしますけれども、総理、初当選した選挙は一九九三年ですよね。これは政治改革が最もな争点となっていた選挙だと恐らく思います。そのとき発足した細川内閣は、政治改革担当大臣まで行政側に設置をしているわけです。行政側というか内閣がやる気になれば、もっと議論をリードできるわけですよ。それが最近、今総務大臣がはっきりおっしゃったように、各党各会派で決めてくださいというスタンスに変わってしまっているわけです。

 一九九三年から三十年たちました。三十年たって、また、政治家自らを律するという姿勢が、政治家の中でトーンが下がってしまっている。

 総理大臣、この政治団体の世襲。どこの選挙区で立候補するかを制限するのは、立候補の自由にも関わるので憲法問題にもなってしまうと思います。資金とか団体の引継ぎに関しては、税のことですとか贈与のことがあるわけです。これはある程度見直していくべきだと思いませんでしょうか。

松本国務大臣 おっしゃったように、九三年当時の議論は、私もまだ国会議員ではありませんでしたが、注目をして見てきたところでありますが、御案内のとおり、その後、様々、政治資金、選挙制度を含めて議論がなされてきておりますが、ここ数年間は、やはり、大切なことであるだけに、国権の最高機関である国会において、各党各会派において御議論をいただくことがふさわしいのではないかというのが各党各会派の共通の理解ではないかというふうに私は思っておりまして、その中で御議論をいただくべきものということで行政の立場から申し上げたというふうに御理解を是非いただきたいと思います。

 実際に、これまでも、各党会派で御議論いただいておつくりをいただいた選挙、政治資金の制度というのもあるわけでございますので、今お話をいただいたようなことについては、是非そのような形でと思っております。

 私自身も、政治家として、当然、国の政治には全ての方々にチャンスがあるべきだというお話は、おっしゃるとおりであろうというふうに思っているところであります。

岸田内閣総理大臣 政治改革という取組、これは、政治は絶えず時代とともに変化していくわけですから、絶えず政治のありようについては見直していかなければいけない、こうした政治改革に対する姿勢は維持していかなければならない、これは委員御指摘のとおりだと思います。

 この政治改革の大きな動きの中で行われた一九九三年の選挙から、ちょうど三十年目を迎えます。是非、あのときの様々な思いを思い返して、引き続き政治改革の取組は進めていかなければならない、このように思います。

 そして、具体的なこの制度の問題については、これは政治活動そのものに関わるものですから、まずは立法府においてしっかり議論を行うことが大事だと思います。その積み重ね全体を大きな政治改革の取組につなげていくことが大事だと思っています。

落合委員 政治改革を考える上で、多様な人材が政治の場で活躍するというのは肝であると思います、そういう環境をつくることですね。

 福沢諭吉も、民主主義というものを日本で説明して広めたわけですけれども、その説明の仕方は、ワシントンの子孫が大統領になるわけじゃないんだ、民主主義は、それが民主主義なんだという説明を著書に書いています。家柄で役職を決める当時の江戸時代の門閥制度、これは絶対に廃さなきゃいけないと言っています。人の上に人をつくらず、人の下に人をつくらず、この言葉につながっているわけでございます。

 今、我が党は、維新さんと一緒に政治改革を検討するチームを立ち上げました。この世襲の問題も一つ大きな論点でございます。立法作業も含めて提案をしていきますので、是非前向きに受け止めていただければと思います。

 次、企業・団体献金です。

 九三年の政治改革選挙以降、癒着やお金のかかる原因が当時の中選挙区制度だということで、選挙制度を小選挙区に変えました。それから、政治資金についても、利益誘導につながるとして、企業・団体献金を政治家個人がもらうことは禁止をしたわけです。しかし、政党はオーケーということにしました。そうしたら、政党、括弧その支部もオーケーということに、いつの間にかなっていたわけです。

 資料を配らせていただきました。政党だけではなく政党の支部もオーケーにしたことで、これは二〇〇〇年の新聞記事ですけれども、物すごくたくさん政党支部がつくられていて、各議員がみんな支部長になっているということが書かれています。

 そして、今年の一月一日現在の政党の支部の数をまとめたものが資料二でございます。桁違いに政党の支部が多い政党があるんです。それが自由民主党です。

 これだけ政党の支部を取ったら、自治体議員も含めてみんな受け取れちゃうわけですよ。企業・団体献金を禁止というのは、抜け道がつくられて、実質的には禁止していないのも同然なんです。これについて手を入れていく必要があるんじゃないですか。これは反対も多いと思います。総理の姿勢は重要だと思います。総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 自民党の政党支部のありようについては、昭和三十年、自民党が結党以来、今日まで、全国各地に地域支部を始め様々な支部組織を張り巡らしてきた、そういった歴史の上にこうした制度がつくられた、そういった結果として、この数の多いということにつながっていると認識をしています。

 理不尽に、ましてや、政治資金を得るために支部を増やすというようなことはあってはなりませんが、こうした、国民から見て政党活動として理解される組織をつくっていくことは重要であると思います。支部のありようについても、いま一度しっかり見詰め直した上で、国民の信頼につなげていく努力は大事だと思います。

落合委員 総務省が、毎年、どこの党が幾ら企業献金をもらっているかも発表しています。自民党は断トツで多いのが実態です。これは、一時期は減ったんですけれども、十年前ぐらいからどんどんどんどん、コロナのときを除いて右肩上がりで増えています。三十年前の先人たちの努力を元に戻してしまおうとしている。これは注視をしていかなければならないことだと思います。

 そもそも、この企業・団体献金が日本の予算をゆがめてきたという、そういう指摘もずっとなされてきました。百兆ぐらい予算を組んでいるのに、日本、成長していないじゃないですか、経済の面を取っても。企業・団体献金が多い業界が補助金がもらいやすくなる、一方で、企業・団体献金をしていない、例えば国立大学の運営費交付金などは年々削られてきた。だから、イノベーションが起こらず、経済成長も行われなかった。分配より成長と言いながら、成長も成し遂げることができなかった。

 これは、企業・団体献金は、よりよい予算を組むためにも見直さなきゃいけないんじゃないですか。総理。

岸田内閣総理大臣 日本の経済、日本の成長、これがどうあるべきだったか、この政策の問題、もちろん大事であります。

 しかし、委員のおっしゃった企業・団体献金、これは民主主義のコストを社会としてどう分担するか、どう支えていくかという議論です。民主主義を支えた上でどういった政策を取るかが問われるわけです。

 民主主義のコストをどう賄うか、どう支えていくか、この問題と日本の経済の成長、これを直接結びつけるということは誤解につながるのではないかと思います。

落合委員 最近のいろいろな大臣や総理の答弁を見てみたんですけれども、政党助成金と個人献金と企業・団体献金、今の民主主義のコストですね、これを何かバランスよくみたいな、そういう答弁に最近はなっているんです。

 しかし、二年半前に、河野洋平元衆議院議長がある新聞のインタビューに答えています。公費助成である政党助成金は昔なかった。この公費助成である政党助成金を導入する以上、企業・団体献金の禁止は大前提であることは当時誰もが承知をしていた。しかし、合意の直前に激変緩和が必要だという意見が出て、廃止までの五年間、猶予期間を設けることになった。しかし、あれから二十六年たっても実質的に存続しているばかりか、近年増えているという指摘をしているんです。

 総理の先ほどの答弁は、恐らく、総務省の方が書いたものを自分でアレンジして、自分の頭でかみ砕いて言ったと思うんですが、九三年初当選なんですよ。あのときの熱い議論を思い出すべきじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 あの当時も、民主主義のコストをどのように賄うのか、こういった大きな議論が行われたことを振り返っています。そして、選挙制度を変える、そしてその制度をどう支えるか、こうした議論が行われ、様々な取組は行われました。しかし、政党助成金が今日まで残っている、これはおっしゃるとおりであります。

 政党助成金と、あと企業・団体献金を制限するということと、そのバランスの中で現状があるとは思いますが、今後、このバランスをどう考えるのか、これは引き続き議論を続けるべき課題であると思います。

落合委員 私は、予算のつけ方や政治資金の在り方を含めたいわゆる自民党型の政治が、日本の成長を止め、若者の未来を阻害しているというふうに思います。私は自ら率先して、この活動を始めて十三年間、企業・団体献金を受け取っていません。興味のある若者はどんどん自分で政治活動を教えて立候補させてきました。

 日本の未来のためにも、若者が活躍していく社会をつくっていくためにも、政治家自らが律していくべきである。この企業・団体献金禁止も議員立法を提出しています。これからも議論を続けさせていただければと思います。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて落合君の質疑は終了いたしました。

 次に、大西健介君。

大西(健)委員 立憲民主党の大西健介です。

 私は、会派の基本的質疑の最後の質疑者になりますので、これまでの質問者の質問を踏まえて質問させていただきたいというふうに思います。

 まずは、児童手当の拡充についてであります。

 本会議の代表質問で、自民党の茂木幹事長が、全ての子供の育ちを支えるという観点から所得制限を撤廃するべきと考えますと質問したときには、野党席からもそうだという賛同の声が上がりました。

 一方で、民主党政権当時ですけれども、子ども手当をばらまきと批判して所得制限をつけたのは自民党であり、ほかならぬ茂木さん御本人が、過去に国会で、子ども手当はばらまき政策そのものであり、かなりのレベルの所得制限が必要と質問していたことから、どの口が言う、こういう批判もありました。

 ただ、私は、そこはぐっと我慢して、本当はここに所得制限をつけてくれるんだったら、君子豹変すという言葉もありますから、それはこらえなきゃいけないのかなというふうに思っていましたけれども。

 ところが、先日、我が党の岡田幹事長の質問に対して、茂木幹事長の質問を、総理は、一つの意見というふうに答弁しました。本当にがっかりいたしました。

 足下では、出生数が八十万人を初めて下回って、そして、そのスピードというのは国の予測よりも八年速まっているということであります。

 そこで、改めて岸田総理にお聞きしますけれども、所得制限なしの手厚い支援をずっと続けていたならばここまでひどい状態にならなかったんじゃないかというふうに、そういう可能性があるというふうに私は悔やんでいるんですけれども、総理、そのことをお認めになりますか。

岸田内閣総理大臣 まず、現在の児童手当の所得制限につきましては、平成二十三年の民主党、自民党、公明党の三党合意に基づくものであり、限られた財源の中で支援を重点化する、こういった観点から設けられたものだと思います。

 そして、それからちょうど十年たつわけですが、この十年の間に、こうした子供、子育て政策のニーズ自体も大きく変化をしました。かつての待機児童対策から、より経済的な支援を重視してもらいたい、こうした社会の変化の中で、求められる政策も変わってきた。今、求められるのは何なのか、こうした議論が十年間行われてきたんだと認識をしています。この十年間に、幼児教育、保育の無償化を始め様々な子供政策は行われましたが、その中で、経済的支援の重要性が高まっている中での議論が今行われているということであると認識をしています。

 そして、今御指摘の茂木幹事長の意見を始め様々な意見がある、これをしっかり踏まえて、今、政府として内容の具体化を進めているということであります。

大西(健)委員 私たちも、何もしてこなかったなんて言っていないんです。ただ、かつて安倍総理は、少子化を国難と言って、国難突破解散という解散まで打ったんですよ。でも、少子化は全く止まっていない。それよりも、私が言ったように、八年、国の予測を上回るスピードで速まっているんです。

 ですから、それを十年前に、十二年前に、所得制限をつけるということをしないでやっていたら違った結果になったんじゃないかということを申し上げているんですが、それさえ認めないということは、私はやはり反省が足りないというふうに思うんですね。それで、やはりこの失われた十年をしっかり総括していただきたいんですよ。

 昨日も議論がありましたけれども、資料にもお配りしましたけれども、改めて申し上げますけれども、当時、野党だった自民党は、本当にむちゃくちゃやっていたんです。この愚か者めがとあしらった、丸川珠代参議院議員が、それこそ子ども手当法の採決のときのやじですよ、これをあしらったTシャツを、自民党のオンラインショップで千五百円で販売していたと。ちなみにですけれども、当時、広報本部長で音頭を取っていたのは、先日、十八歳以下の子供に所得制限なしで一律五千円を給付することを決めた小池都知事であります。

 昨日、マスコミの取材に丸川議員が答えているんですけれども、このようにおっしゃっています。当時は、我が党でも私の発言を取り上げてTシャツを作る、それを販売するというようなこともございましたので、これは私も含めて我が党が反省すべきは反省すべきだと考えておりますと答えられました。

 昨日、総理は、この委員会での答弁で、やじなど議論を行う際の態度については反省すべきというふうに言ったんですけれども、私は、反省すべきはやじの態度ではなくて、当時、安倍さんが、丸川さんであったりとか、あるいは、後で申し上げますけれども稲田さんであったりとか、あるいは、先日、LGBTへの差別的発言で政務官を辞任した杉田水脈さんであったりとか、そういう人たちを重用して、かつ、先ほど西村委員から指摘がありましたけれども、所得制限を設けない現金給付は社会主義思想だとか、子供手当は親子を切り裂くとか言っている統一教会の教理に沿って、家庭を基礎とする精神に反するという形で、社会全体で子供を育てるという民主党の考え方は間違っているんだと党を挙げてキャンペーンを張ったこと、このことについて反省すべきなんじゃないですか。

 総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 子供、子育て政策に対する議論も、この十年余りを振り返りましても、いろんな議論が行われてきました。そして、かつては、子育ては家庭なのかあるいは社会なのか、まるで二者択一のような議論が行われてきた、そういった経過がありました。

 今、我々は、家族も含めて、社会が協力することで子育てを考えていくべきではないか、このように思っています。こうした議論の変化、考え方の変化がある中で、子供政策が見直されて、そして、更に未来に向けて今充実させようとしている、これが現状だと思います。

 そして、その際に、どのようにこの議論に参加をしたのか。そうした態度、振る舞いについて、これは節度あるものでなければならない。これはもうお互いさまであります。どの立場であっても、内容のある議論をするために、節度ある対応を政治家として求められるということを申し上げた次第であります。

大西(健)委員 私たちも家庭がまず最初にあるということは何にも否定していないんです。むしろ、二者択一の議論にしたのは、当時の自民党が、党を挙げてそういうキャンペーンを張ったんですよ。そのことをまず反省することからやはりスタートしなきゃいけないと思うんですけれども、また二者択一の話はちょっと後で言いますけれども。

 手のひら返しというのは、何も十二年前の話だけではないんです。政府・与党は、我々野党や国民の反対を押し切って、所得制限を強化して、昨年の十月から約四割の人に対する特例給付を不支給にしました。所得制限を強化しておいて、舌の根も乾かないうちにそれを復活させますというのは、それこそマッチポンプそのものだと思いますけれども、総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の政策における対応は、あれは子供、子育て政策全体の中で待機児童対策に重点を置く観点からそうした対応を取った、要は子供、子育て政策の全体の中でのバランスの問題であると認識をしています。このように、子供、子育て政策のありようの政策議論として行われた対応であると思っています。

大西(健)委員 今、総理が言ったことは、こういうことなんですよ。政府は、特例給付削減の理由として、特例給付削減分の三百七十億円を待機児童対策に回しますという説明をしたんですね。しかし、実は、児童手当の給付費というのは、子供の数が自然減していますから、二〇一八年度から二〇二〇年度の三か年だけで七百六十億円減っているんです。ですから、この分を待機児童対策に回しておけば、別に特例給付の削減なんか必要なかったんです。

 そもそも、このやり方自体が間違っているんですよ。これは、兄の小遣いを削って弟に回しているみたいなものなんです。だから、子供予算全体のパイを増やさないと意味がないんです。

 まず、確認ですけれども、今回、子育て支援の強化に当たっては、そういう子供予算の中でのやりくりみたいなことは、もう、総理、やらないということでよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 子供、子育て政策については、従来から申し上げておりますように、今もあったような様々な議論の結果、今求められる政策の中身を具体化した上で予算を考える、そして予算倍増に向けての大枠を示すということを申し上げています。同じパイの中で右から左というようなことを申し上げてはおりません。

大西(健)委員 今、議場の中で、防衛と同じかという話がありましたけれども、この間の議論を聞いていて私が心配になってしまうのはなぜかというと、やはり自民党政権の根底には子供予算より防衛費予算が優先だという考え方があるんじゃないかということを疑ってしまうからなんです。

 それで、配付資料を御覧いただきたいんですけれども、これは二〇一一年の「正論」三月号に載った対談なんですけれども、囲ってありますけれども、この中で、当時、稲田朋美元自民党政調会長はこう言っています。子ども手当分の予算を防衛費にそっくり回せば軍事費の国際水準に近づく、自分の国を自分で守ることを選ぶのか、子ども手当を選ぶのかという国民に分かりやすい議論をすべきだ、こう述べています。

 私たちは、防衛費を増やすことも重要だし、そして静かなる有事ともいうべき少子化対策も同じように重要だと考えています。子供予算を全部防衛費に回せとか、先ほど二者択一と総理は言いましたけれども、二者択一を言っているのは自民党じゃないですか。国防か子供か、二者択一をしろ、こういう考え方は我々は取るべきじゃないと思いますけれども、総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 防衛力強化と子供、子育て政策、どちらかを選ぶなどという考え方は全く持っておりません。

 だからこそ、今、国会においても、予算、法律を提出させていただき、防衛力強化についても議論していただく。また、子供、子育て政策についても、出産育児一時金の増額を始め、先行して様々な予算を提出しています。そして、これから骨太の方針に向けて大枠を示そうという議論をさせていただいております。

 共に大事です。国民の命や暮らしを守る、そして人口減少、少子化問題にしっかり取り組む。共に日本の未来の懸かった重要な課題であると思っています。

大西(健)委員 まさにそうなんですけれども、でも、自民党の政調会長までやった人がこうやって言っているんですよ。国防か子ども手当を選べ、全部子ども手当を国防費に回せばGDP二%になるぞと言っているんですよ。だから、そういう考え方をお持ちの方がたくさんいると心配になりますねということを言っているんです。

 茂木幹事長は、一昨日の都連のパーティーで、過去にこだわるのではなく未来志向で、必要なことはやっていく、いろんな意見も取り入れながら生かしていく、そういう包容力がある、柔軟な、先進的な政党で自民党はあり続けたいと挨拶されています。そう私もあってほしいというふうに願っています。

 ところが、肝腎の総理が、与党の幹事長の言っていることを一つの意見としか受け止めないことには、暗たんたる気持ちになります。

 そして、もう一つ、今何で私はこういう心配をしているかというと、そういうことを考えている人が自民党の議員の中にたくさんいらっしゃるんじゃないですかと。それどころか、現在の岸田内閣の閣僚の多くが、過去に国会で子ども手当に所得制限をつけろと発言しているんですよ。

 主な発言を議事録から拾って一覧にしてみましたので、御覧をいただきたいというふうに思うんですけれども。

 例えば、永岡文科大臣ですけれども、所得などの条件にかかわらず、全ての子供に同額の手当を給付するのは単なるばらまきだと言っていますね。

 それから、加藤厚労大臣。基本はまず親が、苦しいけれども頑張っていく、経費も負担していく、所得の多い世帯にも支給しなきゃいけないのか。

 そして、最も多く発言しているのが西村経産大臣なんですけれども、西村経産大臣、これは一部ですけれども、何で高額所得者にまで社会の子供の育ちのためのお金を配る必要があるんですかなどなど、繰り返し発言をされています。

 時間が限られていますので全員には聞きませんけれども、まず永岡文科大臣にお聞きをしたいと思うんですけれども、所得制限のない手当の給付は単なるばらまきであると今でもお考えでしょうか。いかがですか。

永岡国務大臣 大西議員にお答えいたします。

 ただいまのお話ですと、子供手当につきましては、私、今、文部科学大臣をやっておりますので、担当ではないということで、答弁は差し控えさせていただきたいと思っておりますが、しかしながら、今、以前の、平成の二十四年の三月に私が発言をいたしましたことにつきましては、その発言につきましては、これは平成二十四年の児童手当法の一部を改正する法律案に対します自民党の賛成答弁で行ったものでございます。

 これは、対象年齢を中学校まで拡大するとともに、手当を拡充いたしまして、所得制限を規定をするということでございますので、その当時においての批判や指摘というものをお話ししたということでございます。

 以上です。

大西(健)委員 過去に御発言されていることは間違いないんですけれども、仮に、所得制限、もうなしにしますということになったら、やはり閣内不一致になったら困りますし、当時はこういう発言をしていたけれども、今は考えが変わりました、あるいは、今はそう思っていないんだったら、それでいいじゃないですか。別に、所管のとかじゃなくて、御本人の政治家としてのお考えを聞いているんです。

 今もそう思っておられるか、所得制限をつけない給付というのは単なるばらまきだと今でも思っておられるか。いかがですか。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 文部科学大臣として、総理と担当大臣を中心とする決定の方針に、しっかりと従う所存でございます。

大西(健)委員 先ほど、私、茂木幹事長のお話を紹介しましたけれども、茂木幹事長の言っているとおりだと思いますよ。だから、過去にとらわれず、必要なことはやるということに、あるいは、先ほど来、総理も、当時と十年間で状況は変わったんだということをおっしゃっているので、別に考えが変わってもいいと思うんですけれども。

 それでは、最も多く発言している西村大臣ですけれども、ここに書き出したのは本当にごく一部なんですけれども、子ども手当に所得制限を入れろという発言を一番多く国会でされているんですけれども、それだけ強い信念を持って発言されていたのではないかと思いますけれども、茂木幹事長が言っているように、時代の変化に合わせて、これまでの主張は変えるということでよろしいでしょうか。

西村(康)国務大臣 お答えします。

 今、所得制限、一千二百万だと思いますけれども、これ以上の所得のある方は、日本全体で一割にも満たないんだと思います。

 私は、限られた財源の中で、その方々に配るよりかは、より厳しい状況にある方に上乗せをするなり、別の形で子育て支援、厳しい状況にある方への子育て支援をすべきだという考え方を今でも持っております。

 その上で、先ほど来議論がありますとおり、時代は、あるいは状況は様々変わっておりますから、政府、与党、それぞれで議論をしていく中で、私も、まあ、私の立場でどれだけ議論に参加できるかは分かりませんが、しっかりと議論をまたフォローしながら、私なりに、意見を言えるときがあれば、意見を言っていきたいというふうに思っております。

大西(健)委員 今の西村大臣の御答弁というのは、非常に率直な御答弁だったと思います。政治家として、それぞれの考えが私はあっていいと思うんですよね。これだけやはり何回も言っておられるというのは、それなりの信念を持って発言しておられるんですから、西村さんとしては今でも、自分としてはそういう考えを持っておられるということであります。

 先ほども私申し上げましたように、例えば、稲田さんであったりとか、あるいは西村さんであったり、違う考え方をたくさん持っておられる方は、今も自民党にたくさんいらっしゃると思いますけれども、そういう中で、岸田総理、改めて、岸田政権で児童手当の所得制限撤廃は可能だとお思いになりますか。

岸田内閣総理大臣 児童手当の所得制限を含め、子供、子育て政策に対しては、自民党の中に様々な意見があると思います。これをしっかりと、それぞれの信念に基づいて議論を行うことは大事であると思います。どんなに激しい議論をしたとしても、最後は結論を出し、結論が出たならば、一致結束、その方針に向かって努力をする、それが自民党のよき伝統だと思いますし、政権与党としましても、例えば閣内にあって様々な議論があったとしても、最後、決定したならば、一つの方針に基づいて努力をしていく、その方針を貫いていきたいと思います。

大西(健)委員 是非、しっかり議論して、結論を得ていただきたいと思うんですが。

 もう一つ、忘れてはならないのは、二〇一〇年に民主党政権で所得制限なしの子ども手当の支給を行う際に、我々は、控除から手当へという考え方の下で、年少扶養控除の廃止を行いました。過去の国会答弁によれば、年少扶養控除の廃止によって年収一千二百万円の層では月二万円負担が増えた、こういう答弁もあります。

 その後、二〇一一年の当時の民主、公明、自民の三党合意、先ほど来話が出ている話ですけれども、これによって、二〇一二年から夫婦と児童二人の世帯で年収九百六十万円という所得制限の基準が設けられて、それを超えるものには児童一人につき五千円の特例給付を支給することを決めました。

 そして、その当時ですけれども、二〇一一年八月二十三日の本会議では、自民党の田村憲久議員が「年少扶養控除の復活も実現していきたい」と述べています。

 ところが、この年少扶養控除は復活するどころか、岸田政権は、先ほど言ったように、それまで特例給付を受けていた子供たちの約四割を不支給にしたんです。所得制限をつけないことと年少扶養控除の廃止はセットであったはずなのに、控除を廃止して増税をしておきながら所得制限を強化するというのは詐欺同然だと私は思いますけれども、総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 これは、子供、子育て政策の様々な議論が行われ、結果として、御指摘のような判断を行い、そして方針を実行したということであると思います。これは、それぞれの議論の結果であると思います。だましたとか、詐欺とか、そういうものではないと考えます。

大西(健)委員 でも、特例給付廃止で、増税になっているんですよ、それは、所得制限をつけない子ども手当を配るから増税したんですよ。なのに、所得制限を昨年の秋、強化して、特例給付がもらえない人が出ているんですから。これは全然、詐欺みたいなものじゃないですか。

 それから、民主党政権の子ども手当は、それまで小学生までだった児童手当の支給対象を中学生までに拡大したんです。立憲民主党は、所得制限撤廃により全ての子供に児童手当を支給するとともに、今度は支給対象を高校卒業年次まで延長したいと思っております。

 そこで、資料を御覧いただきたいと思うんですけれども、これは、子供貧困問題に取り組んでいるNPO法人キッズドアの渡辺理事長が参議院の調査会で発言したものですけれども、今児童手当というのは十五歳で終わるんです、ほぼ九九%が高校進学して、その子たちは扶養されているので、稼げないわけで、十八歳まで延ばすということで、子供がそんなにアルバイトに頑張らなくてもいいということがあると。

 今、本当に経済的に厳しい家庭では、アルバイトをして家計にお金を入れなきゃいけない、そういう子供たちがいます。

 また、私は、地元の専門学校を訪問したときにこんな話を聞きました。その学校では調理師の免許が取得できるんですけれども、全国大会の代表選手に選ばれた生徒が、大会に行く旅費がないので辞退を申し出たそうです。才能があって努力した子供が経済的理由でチャンスを逃す、こういうことは私はあってはならないと思います。

 総理、今のお話を聞いていただいて、児童手当を十八歳まで延長することが必要だと思いませんか。

岸田内閣総理大臣 才能のある子供の未来をしっかりと応援するという社会でありたいと思います。

 そうした中で、どのような子供、子育て政策を用意するのか。先ほど申し上げました、様々な議論や時代の変化の中で、今求められる政策について具体化を今進めています。その中で、この児童手当のありようについてもしっかりと結論を出したいと思っています。

大西(健)委員 そのためには、やはり私たちは十八歳まで延長することが必要だと思っています。

 現在、例えば、児童二人で、年収百三万円以下の配偶者を前提にした場合には、年収九百三十三万円だと月額最大三万円がもらえるのに、それが年収九百三十四万円になると児童手当がゼロになる。年額では三十六万円の差が出て、手取りが逆転してしまいます。

 稼げば稼ぐほど手取りが減るというのはやはり不条理であって、それは子育て罰と言われても仕方がないと思います。頑張ってたくさん稼いで多くの税金や社会保険料を納めているのに支援を受けられない、そういう人たちの不満が高まるのは、私は当然だと思います。

 そして、子育て世帯間がそうした形で分断されるということは、子育て予算を増やしていこうというような運動にも困難を来すことに私はなるんじゃないかと思います。

 是非、岸田総理の決断で、児童手当の所得制限の撤廃と十八歳までの延長を実現していただきたいことを強くお願いして、次の問題に移ります。

 今回、防衛力を増強して米軍との連携を進める一方で、自衛隊への国民及び同盟国の信頼を損なう事案が起きました。海上自衛隊において、特定秘密保護法施行以来初となる漏えい事案が発生をしました。衆議院の情報監視審査会は勧告を行いました。防衛省にはこの勧告を深刻に受け止めていただいて、再発防止を図るよう強く求めていきたいと思いますが。

 漏えいが明らかになって以降も、政府の情報管理に対して不安と不信を抱かざるを得ない、そういうことが起きています。

 防衛省の発表は、漏えいした情報は、我が国周辺の情勢に関し収集した情報等に関する特定秘密と言っていますけれども、ところが、配付資料を御覧いただきたいんですけれども、これは一月十九日の新聞報道ですけれども、漏えいした特定秘密は中国海軍の艦艇の動きに関するもので、米軍から提供された軍事衛星の情報を含んでいたというふうに報じられていますが、これは事実でしょうか。

浜田国務大臣 今般、現職の幹部自衛官による秘密漏えいは、こうした情報を、我々、適切に保全管理すべき防衛省・自衛隊への国民の信頼を損ないかねないものであり、極めて遺憾であります。

 また、私ども、大西委員が所属されている情報監視審査会による勧告は、特定秘密保護法施行以来初めてのものと承知をしており、防衛省としても深刻に受け止めております。我々のこのような事案が再び発生することのないように、今後しっかりと再発防止のために努力をしていきたいというふうに考えておるところであります。

 そしてまた、重ねて御質問がございましたが、漏えいした情報の詳細については、それこそ我が国の情報収集そしてまた分析能力が明らかになるおそれがあることから、お答えは困難であると御理解いただきたいと思います。

 その上で、我が国の防衛を全うするために情報保全の徹底が不可欠であり、今後、再発防止にしっかりと取り組んで信頼回復に努めてまいりたいと思いますし、また、今おっしゃられた新聞の内容につきましては我々承知しておりますけれども、この情報について、新聞等の情報について私の方からコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

大西(健)委員 さっき言ったように、防衛省は我が国周辺の情勢に関して収集した情報としか言っていないのに、アメリカから得た情報が含まれているとか、中国艦艇の動向とか、こういう報道がなぜ出るんですか。複数の新聞は政府関係者によるとと報じていますけれども、じゃ、誰がしゃべったのか、これは調査するつもりはありませんか。

浜田国務大臣 今御指摘の点については、我々もこれを見たわけでございますけれども、今、現時点で、すぐさまこれを調査するというふうには思っておりません。これから検討させていただきたいと思います。

大西(健)委員 それを本当に調査しなくていいんですかね。

 ちょっと重ねて聞きますけれども、今回の漏えい事案に対して、米国に対してどういうルートで伝えましたか。また、米国はどんな反応がありましたか。

浜田国務大臣 今御指摘の点については、まだアメリカとの情報交換はしておりません。

大西(健)委員 これだけの、アメリカの情報が含まれていたという報道まで出ているのに、それがどこから漏れたかも調査するつもりもない、それから、アメリカにもまだちゃんと報告していないということなんですけれども。

 総理、今回、防衛力を強化して、そして日米の同盟関係も緊密にしていこうというのに、こんなことで、米軍からもし提供を受けた情報が、安易に漏らしていたということになったら、今後の同盟関係にも支障を及ぼしかねないと思いますけれども、改めて、総理の受け止めをお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 今回、特定秘密が漏えいしたことについて、まず、深刻に受け止めなければならないと思います。

 今、防衛力を強化する中にあって、複雑でそして厳しい安全保障環境に対応する際に、同盟国、同志国との連携、これは併せて重要であるということを再三申し上げています。

 そして、同盟国、同志国との連携を深めるに当たって何よりも重要なのは信頼であり、そして、その信頼の一つの大きな要素が、共有する情報をいかに守っていくか、保秘の問題であるとも思います。

 そういった点からも、この事態を深刻に受け止めて、我が国として、実態をまず把握した上でどう対応するのか、今言った観点からどうあるべきなのか、是非防衛大臣ともしっかりと協議したいと思います。

大西(健)委員 まさに同盟関係の信頼を損ないかねないことだと思いますので、是非お願いしたいと思います。

 時間がありませんので、最後に、岸田総理の政務秘書官を務める長男の翔太郎氏が、外遊に同行した際に、お土産を買うのに公用車を使っていたという問題ですけれども。

 昨日、総理は閣僚にお土産を買うのは公務だと答弁されましたけれども、閣僚の皆さんはプライベートを理由にしてお土産の中身は明かしませんでした。しかし、今日の報道では、お土産の中にはアルマーニのネクタイがあったという報道がありますけれども、事実でしょうか。

岸田内閣総理大臣 お土産の中身については、従来から申し上げているように、これは明らかにすることは控えております。しかし、いずれにせよ、ポケットマネーの範囲内で、常識の範囲内でお土産を用意したということであります。

 しかし、いずれにせよ、このように様々な指摘をいただいています。こういった指摘についてはしっかり重く受け止め、今後適切に対応しなければならないと強く思っております。

大西(健)委員 私、なぜこれを確認したかというと、海外旅行が珍しかった時代と違って、アルマーニのネクタイぐらい日本でも買えますよ。国民からは、閣僚にはお土産、国民には増税、ふざけるな、こういう厳しい声が上がっています。

 外遊で閣僚に土産を購入することについて、民主党政権で外相を務めた岡田幹事長は、無駄だと思い、私はしなかった、何らかの申合せがあってもいいと述べています。

 総理、この際、出張でお土産を渡し合うという虚礼はもうやめましょうということを閣議で申し合わせる、そういうおつもりはありませんか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、様々な御指摘をいただいています。それを内閣としてもしっかりと受け止めたいと思います。

 今、申合せの話がありましたが、こういった様々な指摘を受けて、内閣として、国民の皆さんの信頼を損ねることがないように、信頼をしっかりと大事にするためにどうあるべきなのか、考えたいと思います。

大西(健)委員 最後に、お手元に一月の総理外遊の箱日程をお配りしました。これを見ると、六日間でフランス、イタリア、英国、カナダ、米国を回るという、非常に超強行軍です。秘書官として総理と日程をもし共にしていれば、買物や写真撮影に行く余裕なんかないはずであります。

 私は、かつて在米大使館で勤務していたことがあるんですけれども、議員の訪米のロジもたくさんやりました。実際、公用車を使ってお土産の買物に同行したこともあります、私も。一方で、私も総理の訪韓、韓国に行くロジで政府専用機に乗ったこともあるんですけれども、政府専用機に同乗できる人数というのは限られていて、席も各省奪い合いなんです。

 対外発信用の写真撮影とかお土産購入のためならば、外遊に同行するのは別に翔太郎氏でなくてもいいんじゃないですか。ほかの人でもできるはずです。外遊には官邸の公式カメラマン、これがついていっているんです。大使館には派遣員という、そういうお手伝いするためのスタッフも配置されています。彼らに頼めば、こういうことをやってもらえるんです。

 翔太郎氏しかできない仕事というのは何だったのか。長男を同行させなければならなかった理由は何なのか。それこそ、箔をつけるためとか、将来、後を継がせるための経験のためだとすれば、公私混同と言われても仕方がないと思いますけれども、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 総理秘書官の中で、政務秘書官と事務秘書官、多くの秘書官の中での調整を始め、政務秘書官の役割は様々なものがあります。海外においてもチームとして動かなければならない、そういったことで、その役割があるんだと思っています。

 内閣として、総理大臣を海外に送り出す際にどういった支援体制を組むのか、そういった観点から人選が行われていると考えております。

大西(健)委員 時間が来ていますので終わりますけれども、この三日間の質疑で浮かび上がったのは、国民は岸田政権に、安倍政権、菅政権からの転換を期待したんです。でも、子供政策も防衛政策も金融政策も統一教会も、安倍政権の影を引きずっているということが浮かび上がったんじゃないでしょうか。

 私たちは、この失われた十年を取り戻すためにこれをしっかり検証していく、このことを申し上げて、私の質問を終わります。

根本委員長 これにて大西君の質疑は終了いたしました。

 次に、漆間譲司君。

漆間委員 日本維新の会の漆間譲司と申します。本日はよろしくお願いいたします。

 今日は、防衛費の増額、万博、そして空飛ぶ車、新型コロナの二類から五類への変更、この四点につきまして大きくお聞かせいただきたいと思います。

 まずは、防衛費増額における増税の決定プロセスについてお伺いいたします。

 パネルの方、昨日の予算委員会における青柳委員の質問の続きとなりますけれども、これは政府・与党の懇談会資料、十二月十六日に出されたものであります。この資料に基づいて質問させていただきます。

 昨日の青柳委員の質疑において、税制措置以外の積み上げが四兆円を超えた場合は増税の必要はなくなるという認識でいいかという問いに対して、岸田総理は、令和六年から令和九年の間の税制措置のスタートの年は柔軟性を持たせるというお答えをいただきました。

 この答えの意味についてもう少し詳細にお伺いしたいんですけれども、令和六年から令和九年の間の税制措置のスタートの年は柔軟性を持たせるという答弁の意味は、令和六年から九年の間に必ず増税をスタートさせるということでよろしいんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 昨年末、閣議決定したとおりであります。令和六年度以降において、令和九年度に向けて複数年かけて段階的に税制措置を実施することとし、そして令和九年度において一兆円強を確保する、これが閣議決定された内容であります。これに従って税制措置についても考えていきたいと思っています。

漆間委員 閣議決定された内容ということで御答弁をいただきましたけれども、これは、ちょっと再質問なんですけれども、今後の国会の議論によっては、今国会の議論によってはそれが変わることもあり得るということで、認識でよろしいんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 毎年の予算も、またあらゆる法律も同じですが、内閣において閣議決定した後に、国会に提出させていただいています。そして、それを実行する際には国会の承認をいただかなければならない。これが仕組みであり、今回もその同じプロセスを取らせていただいています。実行するに当たっては、国会において予算ですとか法律をしっかり御承認いただく必要があると思っております。

漆間委員 同じことをちょっとお伺いするんですけれども、このグラフを見ますと、令和十年以降は必ず増税しているような形になっておるんですけれども、税制措置を取っているという形になっているんですけれども、九年からにも見えますけれども、十年以降、九年以降でこの税制措置がなくなる可能性というのは、岸田総理、あると思われておりますか。

岸田内閣総理大臣 それは、未来に向けて、状況が変化し、改めて政府・与党で議論を行い、改めて閣議決定を行い、そして国会での議論が行われる、こういったことは、それはあり得ることではあると思います。

 もしそういったことになれば、状況が変化する、これはあり得るとは思いますが、今、政府としては、年末に閣議決定した内容に基づいて、今後、防衛力強化について考えていきたいと思っています。これを是非国会において与野党でしっかり御議論いただきたいと思いますし、それを通じて国民の皆さんに御理解いただけるよう、政府としても引き続き努力を続けていきたいと思っております。

漆間委員 そうしますと、これからの議論の行方によっては増税撤回の可能性もあるということで認識しておいてよろしいということですね。

岸田内閣総理大臣 今申し上げたとおりであります。多くの予算や多くの法律と同じく、閣議決定した後に、国会に提出をさせていただき、予算や法律という形で御審議をいただきます。実行するには国会の御承認をいただかなければならない、これは当然のことであります。そのために、政府としては、御理解いただけるために最善の努力をしたいと思います。

 これは、元々、税制措置ありきでこうしたスキームを作ったものではありません。政府として最大限、歳出改革ですとか、決算余剰金の活用ですとか、さらには防衛力強化資金の創設ですとか、自らの努力を最大限行った上で、足りない部分を国民の皆さんにお力添えをお願いしなければいけない、こういった考え方に基づいてスキームを作っていますし、そして税制措置も、現行の家計や法人の九四%には全く影響が出ない、こういった仕組みになっています。

 この税制措置、絵に描きますと今委員がお示ししている絵のようになるわけですが、その中身は、現行の家計の所得には影響が出ない、そして法人の九四%には全く影響が出ない、こういった中身を用意することによって、国民の皆さんに、そこだけは御協力いただけないか、こういったお願いをする、そういった中身になっています。

 こういった辺りもしっかり説明することによって、国会の御理解をいただくべく努力をしたいと思っています。

漆間委員 また同じ質問になるかもなんですけれども、税制措置のお話を今いただきましたけれども、税制措置以外の部分の財源の部分がどんどんどんどん国会の議論を通じてこれは増えていけるなということになれば、増税の撤回の可能性は出てくるということで理解してよろしいんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたとおりであります。

 これも繰り返しになるかもしれませんが、令和九年度までに複数年かけて段階的に積み上げて、そして一兆円強のお願いをしなければならない、こうしたぎりぎりの積み上げ、計算を行って、政府として提案をさせていただいています。

 それについて御理解いただけるように、先ほど言いました、現行の家計や九四%の法人には税の負担が増えないという形になっているということ、現行の家計や九四%の法人には影響が出ない内容にしてあるということも含めて、是非、説明努力を続けていきたいと思っています。

漆間委員 じゃ、ちょっと我が党として、その答弁を受けて、我が党といいますか、私が決意表明みたいな話なんですけれども、令和九年以降、この水色と黄色の部分、税制措置以外の部分の積み上げが大きくなるということをしっかり議論していって、税制措置がなくなるようにこれから論戦を張っていきたいと思います。財源のところ、しっかり議論していきたいと思います。

 これに関して、岸田総理、コメントはありますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 政府としては、先ほど申し上げたように、令和九年度に向けて税制措置を考えていかなければならないと申し上げました。

 そして、このスキーム、積み上げるに当たって、政府として、具体的にどれだけ努力ができるか、こうした検討を十分行った上でこういったスキームを作っています。これを是非御審議いただきたいというのが政府の考え方です。

 そして、その議論において御了承いただけなければ実行に移すことができない、その中であります。是非、御党を始め、国会における議論にしっかりと応えていくよう努力をいたします。

漆間委員 これは政府・与党でぎりぎりの計算をして積み上がった数であって、そういうふうに決定されたということでありますけれども、この決定のプロセスも国民に対して不誠実であると思います。

 青柳委員も申し上げましたけれども、このパネルの説明は十二月十六日で、国会の議論が終わった後であります。昨年の国会では増税は議論されておりませんでして、十二月十日、国会閉会後の数日で急に決まったと認識しております。

 防衛費増税、強化に賛成した我々日本維新の会も、そして国民も、多くの国民も、増税がセットであるというのは聞かされておりません。また、昨年の参議院選挙でもこの増税の話は一切ございませんでした。

 今、世論調査で、一月二十九日の世論調査では、防衛費増額に伴う増税前に衆議院選を行い、是非を問う必要があると七八%の人が回答しているところでありますが、選挙で認識を問うべきだと思うんですけれども、岸田総理の認識をお伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 防衛力強化については、昨年の通常国会から、内容と予算と財源、これを一体としてお示しいたしますということを申し上げてきました。

 そして、その間、政府・与党で様々な議論を行ってきたわけですが、国会においても、通常国会そして臨時国会を通じて様々な御質問を受けてきました。御党の代表を始め、御党の議員の皆さんとも、予算委員会、昨年の十一月も何度か議論させていただいたことを覚えています。

 そうした中で、国会にできる限りの説明は行ってきましたし、また、御党からの御提言もいただきました。そういったものも踏まえて、政府・与党としての考え方を年末に整理をし、そして政府として閣議決定をした、こういったプロセスを取ってきたわけです。こうしたプロセスについても御説明し、御理解いただかなければならないと思います。

 しかし、いずれにせよ、国民の信をいつ問うかということについては、防衛力だけではなくして、我が国は、原子力を始めとするエネルギー、また、まさに今これから、子供、子育て政策、これをどうするか、そして何よりも、賃上げを始めとする日本の経済、これから再生できるのか、多くの大きな課題を抱えています。その議論をする中で、いつ国民の信を問うのが適切なのか、これは、時の内閣総理大臣の専権事項であります。

 これは、そういった状況をしっかり踏まえて、適切に時期を判断していかなければならないと思っています。

漆間委員 そのとおりだと思います。

 いずれにせよ、増税撤回に向けて我々は論戦を張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、万博についてお伺いさせていただきます。

 二〇二五年大阪・関西万博の機運醸成、発信についてお伺いさせていただきます。

 今年はG7の年であります。是非、岸田総理を先頭に、G7で二〇二五年大阪・関西万博、発信していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 大阪・関西万博、私も今日まで、先日の欧州、北米五か国訪問の際も各国首脳に対して、大阪・関西万博に対する御理解と御協力、さらにはパビリオンの出展等に対するお礼、様々な形で働きかけをさせていただいてきました。

 そして、これはこれからも大事な取組であると思っており、御指摘のG7広島サミット、また、今年は全国各地でG7の関係閣僚会合も開かれます。その際も大切なPRの場であると考えております。例えば、国際メディアセンター等にPRブースを設置するとか、あるいはフォトセッションなどを開催する、万博の公式キャラクター、ミャクミャク、こうしたものを活用するとか、様々な形で大阪万博の機運を醸成していく、そういった機会にG7の場を活用することも大切な取組であると考えます。

漆間委員 是非よろしくお願いいたします。

 続いて、万博会場への子供たちの招待についてお伺いいたします。

 大阪府などは、府内の子供を万博の期間中に一回無料で招待できるよう調整しているとの報道が一昨日ございました。大阪に限らず、国でも是非同様のことをやってほしいと思いますが、いかがでしょうか。

 昨年末、岡田大臣と永岡大臣が意見交換会をされて、そこでは、修学旅行や校外学習の誘致促進に向けた連携協力が話し合われたとも聞いております。是非お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 漆間委員御指摘のとおり、次世代を担う子供たちが一人でも多く実際に万博会場に来て、わくわくするような体験を積んでほしい、このように日頃から考えております。

 そのため、政府としても、昨年十二月に改定した万博アクションプランにおいて新しく万博交流イニシアチブというものを打ち出して、その中で、永岡文部科学大臣とも御相談した上で、修学旅行や校外学習で全国百二十万人の子供たちが万博会場に訪れる、こういう目標を設定したところであります。

 万博の入場券の詳細については、これは一義的には博覧会協会が検討を進めておりますが、政府としても、目標を設定するだけではなくて、せっかく万博に子供たちが多く来れば、その子供たちがスムーズにパビリオンに入場できるなど、楽しんで参加してもらえるような工夫を凝らしていきたい、このように努力をしたいと思っております。

漆間委員 是非よろしくお願いします。

 全国の子供たち、無料招待、是非よろしくお願いいたします。一回は無料招待、よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、万博公式キャラクター、ミャクミャクさんについてお伺いさせていただきます。

 パネルを御覧いただくと、万博の公式キャラクター、ミャクミャク、さんづけでよろしいですよね、ミャクミャクさんなんですけれども、これが昨年七月に公募で選定されまして、発表されました。

 キャラクターもすごいインパクトがあって、当時は物すごい話題になったんですけれども、なかなか今このミャクミャク君の、縫いぐるみだったり、ジャンパーだったり、そういったものがちょっと少ないというふうに市民や国民の方から御意見をいただいておりまして、それについてちょっとお調べしましたところ、去年の十二月にそういうキャラクターのライセンスの申請様式がホームページで設定されたということでありますが、申請状況とか活用状況、今どんな感じなのか、お伺いしたいと思います。

 申請方法も余り皆さんに認知されていないように感じております。誰もが分かりやすい、申請しやすい申請様式の設定や広報をしっかりやっていただいて、公だけじゃなくて、民間による宣伝、普及、機運醸成を強化してほしいと思いますが、意気込み、目標を是非岡田大臣にお伺いしたいと思います。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 日本国際博覧会協会は、おっしゃるとおり、昨年十二月十二日に、大阪・関西万博の公式キャラクターでありますミャクミャクなどを活用したライセンス事業を実施するために、二〇二五大阪・関西万博マスターライセンスオフィスを開設いたしました。

 漆間委員御指摘のとおり、誰もが分かりやすい申請様式の設定は大変重要だと考えております。既に食品とか雑貨などについて、具体の会社名等は今はまだ控えたいと思いますけれども、多数の公式ライセンス商品の製造に関する申請をいただいていると聞いておりまして、申請様式は一定程度分かりやすいものと考えておりますけれども、更に工夫を重ねて、普及に力を入れてまいりたいと思っております。

 また、公式ライセンス商品の製造や販売の募集については、更に多くの方の参画促進について、SNSでの投稿や、プレスリリース、記者会見を通じて広く周知をしているところであります。

 引き続き、ミャクミャクの認知拡大などを通じて、この万博の全国的な機運の醸成、機運の醸成と言うとちょっと言葉が硬いかなと思っておりまして、ムードの盛り上げを全力で頑張ってまいりたいと思います。

漆間委員 ありがとうございます。

 是非、ムードの盛り上げ、どんどんこのミャクミャク君が使われるようにお願いしたいと思います。

 続きまして、空飛ぶ車についてお伺いさせていただきます。

 私、地元は豊中市、大阪府の豊中市というところにありまして、お隣、吹田市が一九七〇年の万博の会場でありました。地元の方々、七〇年のとき、私は生まれていないんですけれども、七〇年に生まれておられた方々が、皆さん、七〇年の万博、行ったで、会場に行ったでと。何を見に行ったのかというと、月の石を見に行った、月の石を見に行くために、何時間も並んで行列して見に行ったと皆さん口々におっしゃっております。

 二〇二五年の万博、この情報化時代の中でこんな展示会なんてはやるのかみたいな御意見もいただいておったところなんですけれども、この月の石みたいな、絶対実際に行って見てみたいみたいなものがあれば話は別であると思っております。その月の石、一九七〇年の月の石に代わる二〇二五年のものが私は空飛ぶ車なのかなと思っております。

 今日、ちょっと空飛ぶ車のパネルも表示したかったんですけれども、ある民間会社の絵で、その一社だけ、特定のやつだけ出すのはどうかみたいな理事会でちょっと意見があって今日は出せないんですけれども、未来の姿で、本当にヘリとは違う。

 よく、ヘリと一緒なんちゃうんかという意見をいただくんですけれども、基本的にはこれは電動です。電気で動くということは、ヘリのような内燃機関がないので、部品数が少なくて量産化もしやすく、コストも安いです。自動運転で、なおかつ省スペース、すごい省スペースで離発着ができる。ある空飛ぶ車の会社の社長は、コンビニの駐車場から離発着できる、そういったやつを目指しているみたいな発言もあります。

 そういったところまでは難しいと思いますけれども、是非、万博では空飛ぶ車を実現してもらって、実際に会場に来ていただいて、未来の絵姿を皆さんに体験してもらう、見てもらうということをやっていただきたいと思います。

 今回、岸田総理の施政方針演説の中にも、空飛ぶ車の文言がございました。非常に期待しております。そこで、岸田総理に、二〇二五年大阪・関西万博に向けた空飛ぶ車実装の意気込みや方向性についてお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘の空飛ぶ車ですが、大阪・関西万博のコンセプトであります未来社会の実験場、これをまさに体現するプロジェクトであると思っています。

 政府としても、昨年十二月に、万博を運営するためのアクションプラン・バージョン3、これを取りまとめたわけですが、その中においても、この万博において遊覧飛行や二地点間移動など空飛ぶ車の活用と実用化を目指している、こういったことを明記をいたしました。アクションプランに基づいて、官民一体で、運航管理技術の開発、機体の安全性の確保、さらには関連制度の整備、こうしたものに取り組んでいきたいと思います。

 是非、空飛ぶ車をこの万博において大きくアピールできる、そうした環境整備に努力をいたします。

漆間委員 是非よろしくお願いいたします。

 大阪府の吉村知事が、空飛ぶ車につきまして、第一号の社会実験のときでもいいので乗ってみたいみたいなことを言っておるんですけれども、是非岸田総理も、乗ってみたくないでしょうか、乗っていただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 もちろん、私も乗ってみたいです。そういう機会をいただければ、是非乗りたいと思います。

漆間委員 ありがとうございます。

 先ほど、増税するんだったら解散せよと言っておきながら言うのもなんなんですけれども、是非、万博の開会式にミャクミャク君と一緒に空飛ぶ車から岸田総理が降り立っていただいたらいいのかなと思っております。

 続きまして、空飛ぶ車の実用化に向けて斉藤国交大臣にお伺いしたいんですけれども、空飛ぶ車の実用化に向けて様々なハードルがあると思うんですけれども、万博協会や地方自治体、民間運航会社、機体開発の会社から今どんな要望があって、国交省としてどう応えようとしているのかについてお伺いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 空飛ぶ車につきましては、今、官民協議会を設けておりまして、いろいろな基準作りを行っております。

 今、最も早く決めてほしい基準ということで地方自治体や運航に関心を持っている事業者から言われているのが、離着陸場についての基準でございます。垂直に飛べれば狭く済みますし、斜めということであればちょっと広く取る必要がございます。御要望は、機体の特性を踏まえた基準を早期に提示してほしい、こういう要望が寄せられております。

 これらの要望への対応も含めて、国土交通省では、関係省庁や機体メーカー等から構成される官民協議会の下に設置されたワーキンググループにおいて、離着陸場に関する基準、機体や運航に関する安全基準、操縦者の技能証明等に関する基準について官民一体となって検討を進めているところでございます。

 国土交通省としては、世界中で空飛ぶ車の開発が進められている状況、今すごい競争の状況です、このことを踏まえまして、安全を確保しつつ、機体性能に即した適切な制度となるよう、引き続き検討してまいります。

漆間委員 斉藤大臣、ありがとうございます。

 特に、本当におっしゃったとおり、離発着場の基準設定というのが非常に重要であります。空飛ぶ車のメリットは、申し上げましたように、省スペースで、ビル群の中のビルの屋上だったり、コンビニの駐車場だったり、本当に人がすぐそこにいるところに着陸できたり、そういう離発着場の基準設定というのは非常に重要でありまして、今、大阪府や兵庫県ももう離発着場の候補地選定に入っていると聞いておりますので、是非、早期の設定と、柔軟な規制、規則の設定をよろしくお願いいたします。

 続きまして、万博後の空飛ぶ車の全国普及の絵姿についてお伺いしたいと思います。

 全国普及の絵姿。万博で空飛ぶ車が実現したとしても、それは都市部の活用の方法だと思うんです。元々、空飛ぶ車、構想があったときは、都市部以外の山間部だったり、いろいろな日本全国で使える姿が想定されていたと思うんですけれども、そういう都市部以外での活用の在り方についてもお伺いしたいと思います。西村経産大臣、よろしくお願いいたします。

西村(康)国務大臣 私も、月の石に何時間も並んだ一人であります。是非、大阪万博で、空飛ぶ車を始めとして日本の技術、再生可能エネルギーであったり、様々、ほかにも再生医療であったり、是非日本の技術の粋を出していただければと思いますけれども、御指摘のように、空飛ぶ車は、都市部では安全、安価で低環境負荷な都市交通サービスとして、また、地方では移動の活性化に寄与するモビリティーとして大変期待をされているところであります。万博での飛行を起点に、全国に普及させていきたいというふうに考えております。

 私の地元淡路島でも、離発着場を造ろうということで、会場と結ぶ計画もあるんです。斉藤大臣、よろしくお願いいたします。

 特に、離島や中山間地域を含め、地方において、移動、物流手段の確保、そして迅速な救急救命といった社会課題の解決に大きく寄与することも期待されますし、また、観光での活用も期待されているところであります。自治体においても、独自の構想発表や実証事業が進められております。

 経産省としても、こうした地方自治体や関連する事業者とも連携しながら、取組を後押ししていきたいというふうに考えております。

漆間委員 このように、大阪・関西万博で実現した際には、大阪・関西万博で実用化ということで民間運航会社が実際に運航していくことになると思うんですけれども、こういった大阪・関西万博のモデルを全国に広げることができるかというところについて、万博後のタイムスケジュールも含めて西村経産大臣にお伺いしたいと思います。

西村(康)国務大臣 まさに実装に向けた、空の移動革命に向けた官民協議会がロードマップを策定しておりまして、そこにおきまして、万博での飛行を起点に、二〇二〇年代後半に商用運航の拡大を図るというふうにされております。是非、この万博でのモデルを全国展開をしたいと思っております。

 その具体的なステップとして、万博での経験を生かして、二〇二五年以降、空港などでの、交通拠点と都市、観光地を結ぶいわゆる二次交通から空飛ぶ車の実装を進めていきたいというふうに思います。その後さらに、新たな交通手段として導入を拡大し、二〇三〇年代以降には、需要に応じた路線の増加、ネットワーク化を目指していきたいと思います。

 目標の着実な達成に向けて、関係省庁とも連携しながら、必要な技術開発の支援、制度の整備などを加速し、引き続き官民一体で取り組んでいきたいというふうに思います。

漆間委員 是非、大阪・関西万博モデルをレガシーとして全国に広げていただきたいと思います。

 コロナについては、またの機会にさせていただきます。

 終わります。ありがとうございました。

根本委員長 これにて漆間君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部司君。

阿部(司)委員 日本維新の会、阿部司です。

 昨日、本日と、我が党の議員から、防衛力強化については賛成、しかしながら、その財源については増税で賄うことには反対である旨、お伝えをさせていただきました。

 本日は、まず、この防衛力強化の必要性について国民の皆様に理解を深めていただくための質問、そして、多額の財源を必要としている今、我が国の財政の持続可能性を担保するために必要な改革に関する質問の、二つのテーマを取り扱ってまいりたいと思います。

 まず、総理に安全保障に関する認識についてお伺いしてまいりたいんですけれども、昨年の十二月、政府は、国家安全保障に関する基本方針である国家安全保障戦略、防衛目標の設定、達成手段等を示す国家防衛戦略、防衛力の水準達成のための整備計画、防衛力整備計画のいわゆる防衛三文書を閣議決定いたしました。

 三文書では、相手国のミサイル発射拠点などをたたく反撃能力の保有が明記され、防衛関係予算を二〇二七年度までにGDP比二%まで倍増させ、今後五年間の防衛費も四十三兆円程度とするという方針が示されました。これらは、日本の戦後の安全保障政策を大きく転換するものであります。

 近年、我が国をめぐる安全保障環境は大きく変化しております。ロシアによるウクライナの侵略、北朝鮮の核保有、度重なるミサイルの発射、中国による尖閣諸島周辺での活動活発化、緊迫の度合いを増す中台関係などなど、大変厳しいものと理解しております。

 こうした厳しい外部環境を受けて防衛力を増強するものと理解しておりますけれども、まず、総理御自身がこの安全保障環境をどのように御認識されているのか、お伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 我が国をめぐる安全保障環境ですが、まず、我が国の周辺には強大な軍事力が集中をしています。北朝鮮の核・ミサイル開発、また中国の透明性を欠いた急激な軍事力の強化、こうした戦後最も厳しく複雑なこの安全保障環境の中にあると思います。こうした事態に直面して、我が国として国民の命や暮らしを守るために現実的なシミュレーションを行わなければならない、こんな問題意識で昨年一年間取り組んできました。

 そして、その際に、これは国家安全保障戦略の中でも書いているとおりでありますが、我が国として、積極的な外交を展開することによって我が国にとって好ましい国際環境を実現していく、これが基本であります。

 ただ、そうした強力な外交には、我が国は自らの国を守れるんだという防衛力というものの裏づけもなければならないということで、防衛力を抜本的に強化するわけですが、あわせて、安全保障の世界において、これだけ科学技術が進化し、国際情勢が複雑になってくると、どんな国であっても一国のみで自らの国を守り切ることはできない、これはこうした世界の議論の常識になりつつあります。

 こうした外交、防衛力を備えるとともに、同盟国、同志国との連携をいかに強化するか、これも大きな課題だと思います。

 これらをしっかり進めることによって、我が国の抑止力、対処力、日米同盟の抑止力、対処力を合わせて、我が国自身の抑止力、対処力をどこまで引き上げられるのか、これが我が国に課せられた安全保障上の大変重要な課題であると認識をしております。

阿部(司)委員 ありがとうございます。

 我が国が防衛力を高めていくためには、今おっしゃいましたけれども、同盟国、同志国との連携が非常に重要になってくるといったお話でした。

 その際、同盟国アメリカとの関係ですね、国民の皆さんは大変気にされているかと思います。この連携が一層重要になってくると思いますけれども、そこの見解をもう少し詳しくお聞かせ願えますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 おっしゃるように、同盟国、同志国との連携がより重要になってくる中で、我が国の外交、安全保障の基軸は日米同盟であると思っています。日米同盟をより強化し、そして信頼関係を高める中で連携を深めていく、こうした体制をつくっていくことが、我が国に対する違法な武力の行使を抑制する大きな力になると考えています。

 そうした意味で、同盟国、同志国の連携が重要な中で、特に日米同盟の強化は我が国にとって重要であると認識をしております。

阿部(司)委員 今し方、総理の安全保障に関する様々な御認識を示していただきましたけれども、経済、軍事両面での中国の著しい台頭がインド太平洋地域の軍事バランスを崩し、地域の不安定要因となっております。したがって、近年の中国に対していかなる認識を有しているかというのは、防衛力の強化を考える上で非常に重要な要素であると考えております。

 この点に関して、自民、公明両党で意見の対立があって、与党間の協議を経た結果、国家安全保障戦略では、自民党が主張する脅威ではなく、中国はこれまでにない最大の戦略的な挑戦といった形で位置づけられたと理解しております。

 これに対しまして、拓殖大学の佐藤教授は、脅威という表現を避けたことがどう解釈されるかによって米中それぞれに誤ったメッセージを送ることになるという危惧を示しております。

 アメリカの政府高官が公の場で中国を脅威とする発言をしておりまして、日米の認識を同じにしておくことが重要と述べておりますが、中国の存在は我が国にとって脅威であるのか脅威でないのか、総理の御見解を改めてお伺いできますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 我が国の中国に対する認識ですが、中国について、我が国の国家安全保障戦略は、中国と我が国を含む国際社会との対話と協力の必要性に言及しつつも、現在の中国の対外的な姿勢や軍事動向等は、我が国の平和と安全及び国際社会の平和と安定の確保や法の支配に基づく国際秩序の強化にとって、これまでにない最大の戦略的な挑戦であると位置づけています。

 そして、この点については、日米関係でいうならば、米国の国家安全保障戦略というものがあります。その中においては、中国を最も重大な地政学的挑戦を想起する存在、こうした表現で位置づけていると承知しています。米側が最も重大な地政学的挑戦を想起する存在、日本側がこれまでにない最大の戦略的な挑戦、こういった表現で中国を位置づけていると承知をしています。

 これは基本的に、日米の国家安全保障戦略、軌を一にしていると認識をしておりますし、その上で、日米間においては、先般の2プラス2においても、今後、日米同盟の抑止力、対処力を強化する上での取組、こういったものを確認いたしましたし、そして、先日の日米首脳会談でも、2プラス2のやり取りを踏まえつつ、日米協力に関する具体的な協議を更に深化させようと両国首脳で指示を出した、こういったことであります。

 是非、こういったそれぞれの国家安全保障戦略に基づいて、大切な日米同盟強化に向けて協力をしていきたいと考えています。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 アメリカと日本の安全保障戦略、認識は一緒だといった内容だったと理解しております。しかし、現状を見たときに、国際社会の意見よりも自己中心的な考え方を優先して、尖閣問題など力による現状変更をしかけてくる中国に対しては、より安全保障上の脅威と位置づけて、厳しい姿勢を言って、見せていくからこそ、外交上の相手の譲歩も引き出せるのではないかなと。

 この点、我々の、維新の国家安全保障戦略タスクフォースの総理提言にも記載しておりますので、そちらを是非また御参考にしていただけたらと思います。

 総理は、これまで四年八か月にわたりまして外務大臣を務めてこられました。私は、我が国の安全保障のために必要な防衛力を整えていくことは重要であると考えておりますけれども、同時に、外交も非常に安全保障を確保していく上で重要な活動だと考えております。これも同じお考えだと思うんですけれども。

 そこで、長年外交に携わってきた総理のお考えになる防衛力と外交の関係性について、御認識をお伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 御質問は外交と防衛力の関係についてということでありますが、まず、国際社会において、日本の国益を追求するに当たって最も大事なのは積極的な外交力であると思います。そして、その積極的な外交力を展開するに当たって、裏づけとなる防衛力をしっかり持っていくことも、より外交における存在感や発言力を高める上で、これは重要な取組であると認識をいたします。このように、外交と防衛力の強化、これは一体となって大きな効果を示していく、こういったことになるんだと思います。

 加えて、防衛、外交、これは今申し上げたように、共に重要であり、密接に関係しているとは思いますが、今外交を展開するに当たっては、防衛力のみならず、総合的な国力というものが重要だという認識も強く持たなければなりません。

 総合的な国力ということに関しますと、狭い意味の防衛力だけではなくして、経済安全保障を始めとする様々な取組も重要でありましょうし、そして、こうした防衛力、外交力を支える経済力、これも大事でありましょうし、そして、外交、防衛力を支えるのに最も大きな力となるのは国民の理解だと思っています。この国民の前向きな理解や協力があってこそ、外交や防衛の力も発揮できる、こうした点も忘れてはならないと思います。

 外交と防衛の関係は今申し上げたとおりでありますし、それと併せて、総合的な国力、また国民世論を合わせた日本の全体の力、こうしたものが国際社会の中で存在感を示すことが、日本の国民の命や暮らしを守り、存在感を高める上で重要であると認識をしております。

阿部(司)委員 ありがとうございます。

 今、国民の理解が外交、防衛については非常に重要だといったお答えをいただきました。

 そこで、次に、国民の関心事である防衛費の増額によって何がどのように変わっていくのか、この点についてお伺いをしていきたいと思います。

 防衛力整備計画では、二〇二三年度から五年間の防衛費総額を四十三兆円程度としていますが、その財源について、先ほど漆間委員も申し上げておりましたが、歳出改革等で対応できない分を増税で賄うという方針が示されました。

 昨年十一月に読売新聞が実施した世論調査では、防衛力増強に賛成が六八%といった結果でした。この調査結果からは、安全保障環境の大きな変化を背景に、防衛力増強は必要とのコンセンサスが国民の中にある程度、一定できつつあると理解できます。

 一方で、防衛費増額の財源として増税の方針が公になった本年一月の読売新聞の調査では、増税による防衛財源確保に反対が六三%。賛成二八%を大きく引き離す結果となりました。すなわち、防衛力増強は何となく必要だけれども増税には反対、これが民意かなと思います。

 私たち日本維新の会は、増税には反対ということを明確に申し上げた上で、なぜこのような結果になっているかと考えると、国民に対する説明が足らないからなのではないかと考えます。増額された防衛費四十三兆円をどのように使い、その結果として、日本の防衛能力がどの程度高まり、安全保障の水準がどのように変化していくのか、国民はこの点を知りたいと思っています。

 しかし、防衛費の額が先行してしまい、中身が見えない、五年後、十年後、我が国の安全はどの程度高まっているのかを国民は知りたいけれども、全くイメージを持つことができない、これが問題なんです。

 そこで、増額される防衛費はどのような優先順位で活用し、その結果、我が国の総合的な防衛力はどの程度高まるのか、そして安全保障環境はどう改善されるのかをお伺いいたします。また、こうしたことを国民に分かりやすく伝えていくべきと思いますが、総理の御見解をお伺いいたします。

浜田国務大臣 三文書を踏まえた防衛力の抜本的強化について、今後五年間の最優先課題は、現有装備品を最大限活用するために、可動率の向上や弾薬、燃料の確保、そして主要な防衛施設の強靱化への投資に加え、スタンドオフ防衛能力といった将来の中核となる能力の強化であります。

 これらの取組は、軍事的手段では我が国侵攻を達成できず、コストに見合わないと認識させ得ることに加え、米国の能力と相まって、インド太平洋地域における力による一方的な現状変更やその試みを抑止でき、ひいてはそれを許容しないという安全保障環境を創出することにつながると考えています。

 いずれにせよ、五年間の事業や予算の内容について、国民の皆様に丁寧に進めていくことが重要と考えております。国民の皆様の期待にしっかりと応えられるよう、引き続き、防衛力の抜本的強化の実現に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。

岸田内閣総理大臣 まず、世論調査において増税に厳しい声があるということ、そして、その背景には政府の説明努力が足りていないという委員の御指摘については、これは重く受け止めなければならないと思っています。

 だからこそ、昨年一年間かけて議論をし、政府・与党として、閣議決定という形でまとめた内容を予算あるいは法律という形で国会に提出させていただき、国会で議論をしていただく、この国会での議論は大事であると思います。政府として、この国会における説明責任を果たすことを通じて国民の皆さんにも説明をしっかり尽くしていく、こうしたことは大事であると思っています。

 防衛力の中身については、今防衛大臣からも説明がありましたが、これからも具体的に、安全保障上の限界はありますが、できる限り説明を尽くしていかなければなりませんし、財源についても、まず増税ありきではなくして、歳出改革などの努力をどこまで政府が尽くしたのか、そして、その上で、足りない分について、未来の世代に先送りするのではなくして、今の時代に生きる我々が、未来の世代に対する責任としてしっかりと支えるべく努力をしていきたいという考え方についても、丁寧に説明をさせていただきたいと思っております。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 国民の理解、信頼を得ていくためには、イメージしやすく伝えていくこと、メッセージが非常に大事だと思いますので、是非ともよろしくお願いします。

 次に、財源確保と持続可能な財政運営ということでお伺いをしてまいります。

 防衛力強化も異次元の少子化対策も、多年度にわたり多額の財源を必要とするものです。我が国は、社会保障費が毎年大きな伸びを続ける中で、GX、DXなど将来に向けた投資も積極的に行っていく必要があります。

 このような行政需要に対応していくに当たって多額の財源を必要としますが、今がまさにそのタイミングですね。であればこそ、持続可能な財政運営という視点がますます重要になってくるかと思いますが、総理の御見解をお伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 重大な政策テーマを実行するに当たって裏づけとなる財政、これが重要であるということは言うまでもありません。だからこそ、これまでも、我が国において、重要な政策テーマを実行し、そして、そのために大きな財源を必要とするような場合には、必ず、財政支出と財源、これをセットで考え方を示していき、そういった政策パッケージをまとめて提示し、御判断いただく、こういった政策議論をお願いしてきました。

 今回の防衛力強化も子供、子育て政策も、これは重要な政策テーマですが、財源についてもしっかり考えを示さなければいけない。だからこそ、防衛力強化についても、政府・与党として、財源についてどう考えるのか、こうしたものをしっかり整理をして、閣議決定をして、国会に御議論をお願いしている、こういったことです。

 こういったテーマごとに財源をセットで考え方を示すという政策手法は、今までも、例えば、インバウンド、観光ですとか、あるいは社会保障ですとか、こういった大きな政策を議論する際には、議論の方法としてお願いをしてきた手法ではないかと思います。今回も、防衛力の強化も、大きな政策の中身と併せて、財源についてもセットでお示しする、完結する一つのパッケージをお示しする、そういったことを行っています。

 そして、全体のバランスをどう考えるかということについては、毎年、骨太の方針等において、今後の中長期的な財政の見通しをしっかりと明らかにした上で、日本の財政、経済財政政策が、マーケットや市場の信認、持続可能性に対する信認を失わないように、しっかりとバランスの取れた政策を進めていかなければならない、こういった点をしっかりと確認をしています。

 個別の大きな政策については、今申し上げたように、財源をセットで提出する、そうしたものを行っていくわけですが、全体については、毎年毎年、バランスをしっかりと考えて、持続可能性に対する日本の信頼を失わないような政策のかじ取りを行っていくよう努力する、こういったことによって全体のバランスを取っていく、これが今の政府の考え方であります。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 全体のバランスを取っていくといったお話でしたけれども、歳入歳出改革、これをしっかり本気でやれば、増税をする、国民に負担をお願いするという話にならないと思うんですよね。

 維新は、防衛力強化は賛成です。しかしながら、防衛費の財源を増税で対応することは明確に反対です。本会議でも、そして昨日、本日の質疑でも、ずっと議員が訴えてきましたけれども、まず、増税で対応する部分というのは、徹底した歳出削減、これで対応すべき、そして成長による税収増というものを目指すべきだと思います。

 総理は今、持続可能な財政運営は重要であって、しっかりそのパッケージを考えているので、信認を失わないようにやっているといった御回答をされましたけれども、そもそも、防衛力強化ですとか異次元の少子化対策などの大きな政策課題に対応するごとに、個別に国民に負担を要求する、また、国債を発行していく、重ねていく、こうしたようでは、財政の持続可能性というのは担保できないと思います。

 こうした状況を打開していくための政策パッケージ、先ほど来パッケージをお示ししているとおっしゃっていただいていますけれども、明確に維新と総理のおっしゃるパッケージは異なっていると思っていまして、我々は、税と社会保障と規制改革、これらを一体的に実行するという日本大改革プランというものを繰り返し繰り返しお伝えをしております。

 これは、チャレンジする成長国家をつくるという、新しいそうした社会制度をつくっていく、こうしたものになりますけれども、このプランの中で、税については、今現在、税が高率です、その中で、例外として、例えば租税特別措置が幾つも存在して極めて分かりにくい、複雑なものになっていると、現行の税制の課題を指摘しております。

 租税特別措置は、この業界にはこんな優遇、こんな補助金、助成をするというようなもので、既得権益化しているものと思いますけれども、昨日も藤田幹事長から指摘をさせていただきましたけれども、こうした分かりにくい税体系そのものをフラット化してシンプルにしていく。その上で、フローと言われる所得税ですとか法人税、この部分の公平な減税を施して、可処分所得を増やして成長軌道に乗せていく、このような全体のパッケージでの改革案をお示ししているんです。

 まず、複雑で、誰一人全体像が理解できないような現行の税制、特に租税特別措置、これをゼロベースにする検討を始めることを御提案したいんですけれども、御見解をお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 まず、基本的な考え方で、例えば、大きな財政支出を伴う大きな政策課題については、責任を持って、財源もお示しした上で提言をさせていただかなければならないという点とか、それから、財源を考える際に、まずは政府の努力が求められる、歳出改革が求められる。税収の増加によって、例えば政府のビジョンでいきますと、税収の増は決算剰余金という形で出てくるわけですから、それもしっかりと活用する。さらには、税外収入等においては、防衛力強化資金という枠組みの中に集めることによって財源を確保するとか、様々な努力を積み重ねるのがまず最初だという点については、御党の考え方と基本的にこれは一致しているんだと思います。

 ただ、おっしゃるように、政府の努力の手法ということについては考え方に違いがある。いろいろ議論しておりますと、様々な、規制改革ですとか、それから社会保障に対する考え方ですとか、こうした基本的な部分について、どういった制度にのっとって進めるべきなのか、この点については明らかに違いがあると思います。

 これは手法の問題ですから、是非、これから議論を深めることによって、どっちが結果が出るのか、どっちが国民の皆さんにとってプラスになるのか、そういった観点から議論をどんどんと深めるべきことであり、国会において、まさに堂々と論陣を張るべき課題ではないかと思います。是非、その点については、共に、考え方を国民の皆さんにしっかり示しながら、論戦を続けていきたいと思っています。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 一つ、社会保障に関するお話をさせていただきたいんですけれども、令和五年度の予算の例を取ってみると、日本の全体の国家予算が百十四兆円、そのうちの七十二・七兆円が一般歳出であり、さらに、一般歳出のうち、社会保障関係費三十六・九兆円を除いた約三十・八兆円が歳出削減の対象ということになります。よくある、財務省が出している円グラフがありますけれども。この三十兆円から一兆円を捻出していく、例えば防衛費の財源の話ですけれども、これはなかなか、それなりに骨が折れると思うんですね。

 そのときに、今、基礎年金が、保険料だけでなくて税金、消費税を財源に賄われておりますけれども、この少子高齢化で社会保障費が年を追うごとに膨れ上がってきていますから、一般会計の中でやりくりせざるを得ず、基礎年金を賄っている、充てている税金が増えていくと、結局はこの三十兆円がどんどんどんどん逼迫していって、結果的に、将来の成長に必要な予算、例えば研究開発投資、こうしたことの財源が結局逼迫してきてしまうという悪循環の状態だと思うんですね。

 そこで、先ほど繰り返し申し上げておりますけれども、我々は、税と社会保障と規制という三つの改革をセットで行うことが必要だと申し上げております。これから、持続可能な財政運営を続けながら、多額の財源を要する防衛力強化、異次元の少子化対策といった大テーマに取り組んでいくには、一部だけ、一部だけ、一部だけとやるのではなくて、単体のパーツでいじるのではなくて、全体でしっかり抜本的に改革していくべきだと思うんですけれども、これはちょっとまた平行線かもしれないんですけれども、もう一度総理の御見解をお伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 今おっしゃったのが、社会保障における御党と今の政権与党との大きな論点なんだと思います。

 今の我が国の社会保障というのは、基本的に、社会保険方式、要は事業主と本人とが保険料を拠出することで支える、こうした社会保険方式を取っている。それに対して、御党の方は、最低限の所得を保障するという形で、ベーシックインカムという考え方に立って社会保障を考えるべきだということであります。

 これはそれぞれ利点、デメリット、あるんですが、少なくとも、我々が議論するためには、現実的にこれを採用できるかどうかという点も併せて議論しなければならない。今の現状の中で、ベーシックインカムに切り替える場合の積立ての保険料の取扱いですとか、それから新たな負担についてどう考えるかなど、乗り越えなければならない課題もたくさんある。

 ですから、どっちの制度があるべき姿かという議論もしっかりやらなければいけない。しかし、現実にこれを制度変更するとしたならば、乗り越えなければならない課題は何なのか、これについても議論した上で、最終的にどっちの制度を取るべきなのか、こういった議論を国民の前でしっかりとやることが重要であると考えます。

阿部(司)委員 引き続き御議論させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。

 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 国民民主党の斎藤アレックスでございます。

 会派を代表しまして、本日は、主に賃上げ政策に関して質問をさせていただきます。

 また、本日で基本的質疑が終わるということで、明日からは一般質疑になりますけれども、やはり、総理の口から、防衛であったりとか財源であったり、また子育て支援、どういったふうにしていくのか、しっかりと説明していただく時間がまだまだ足りないと思っておりますので、与野党の理事の皆様とも相談させていただきながら、また委員長にも御差配いただきながら、しっかりと審議時間を確保していただきたいと思っておりますので、是非また今後とも御対応いただければというふうに考えております。

 賃上げ政策のところについて質問をさせていただく前に、まず、昨日の我が党の浅野議員から質問させていただいたことに関連して、確認を一点、二点させていただきたいと思っております。

 貸与型奨学金の質問のくだりのところとか、あるいはそのほかでもあったんですけれども、うちの浅野議員からは、親の所得によって子が受けられる支援、まして成人後の子供に関してもそういった制限があるのはおかしいのではないかという、そういった趣旨の質問をさせていただいたところ、本日も立憲民主党の大西議員からの質問でも回答でありましたけれども、所得制限があるのか、いいのか悪いのかという議論はいろいろあると思うんですが、文科大臣のお答えの中に、所得制限というのがおかしいとは考えていない、親の支払っている学費であるのだから、親の所得によってそれが左右されるというのは別におかしなことではないといった御趣旨の御回答があったというふうに思っております。

 私もこれはいろいろな議論があると思っているんですけれども、異次元の子育て支援とか次元の違う子育て支援というふうにおっしゃるのであれば、今の考え方から大きく変えていくという、そういった趣旨で総理も考えていらっしゃるのかなと思ったんですけれども、昨日の、あるいはこれまでの御答弁、いろいろ政府から聞いていると、余りそういったことまで考えていないのではないかというふうなことで、不安に思ってしまいます。

 家庭の責任を殊更強調してきたこれまでの子育て支援の在り方を変えて、どちらかといえば、しっかりと社会全体で子育てを支えていく、支援していくんだという方向に変えていくということが大事だと思っているんですけれども、決してそういうふうには総理は考えていらっしゃらないということなんでしょうか。

 大きな理念の転換というものまで含めて、異次元の子育て支援、こういったふうに考えていらっしゃるのかどうか。こういった部分をちょっと御確認をさせていただければと思うんですけれども、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 委員が御指摘になりました、奨学金における所得制限の議論も含めて、今日まで、子供、子育て、教育あるいは住宅を始め、子供、子育てに関わる様々な政策が積み上げられてきました。しかし、先ほども議論が出ておりましたが、この十年間だけ取ってみても、子供、子育てに対するニーズや政策の力点、これは変化しています。だからこそ、いま一度、子供、子育て政策、こども家庭庁もでき上がる今年、この内容について具体化をもう一度した上で全体を考えていこう、こうしたことを申し上げております。

 ですから、今おっしゃったような所得制限についても、大学生のことではありますが、ライフスタイルが変化した、日本の社会が変化した、婚姻年齢についても従来より随分上がることによって、大学生の親の状況も一時代前とは随分変化して、所得のありようも変わってきているとか、現実的に様々な不都合も指摘をされています。こういった変化にもしっかり目を向けた上で政策の具体化をしなければならない。

 今申し上げた点も含めて、子供、子育て政策全体の具体化をしっかり進めていきたいと思います。

斎藤(ア)委員 状況はるる様々変わるでしょうけれども、やはり、厳しい状況、子育てが大変だ、経済的に負担だということは、この三十年間、特にずっと続いてきたわけだと思いますので、冒頭の、状況変化があったから子育て支援政策を変えるというのは、私は、逆に、仮にそういう認識であるのであれば遅過ぎるのではないかというふうに考えております。

 これまでもずっと、この委員会でも、茂木幹事長の所得制限の質問があってから御意見がありましたけれども、かつての民主党政権、私はそのときは議員ではありませんでしたけれども、社会全体で子育てを支えるんだという理念の下で一貫した政策を打ち出してきたわけでございます。親の所得に基づいて制限を行う、差別を行うということはやめていこうというものも、その理念の中からしっかりと生まれてきたわけでございまして、子ども手当に関しても所得制限はないし、また、私の滋賀一区の先輩である、元文科大臣の川端達夫先生がやられた高校の無償化に関しても所得制限はなかった。

 でも、こういった政策をしてきたけれども、これもるるありましたけれども、自民党の方々からは、子育ての社会化は家庭から子供を引き剥がすような左派の政策だとか、変なレッテル張りをしたりだとか、様々ありましたが、もう繰り返しませんけれども、様々なそういった批判があって、それを大分引き戻されてしまって所得制限が復活してしまったということで、大分遅れてしまったということは、これは間違いないというふうに私も感じております。

 やはり、この子育て支援に関して、理念をしっかりともう一度見詰め直していただいて、しっかりと社会で育てていくんだ、社会で支えていくんだという、そういった理念もしっかりと入れてもらわない限り、様々な子育て支援をやったとしても、単発、単発で行われてしまって、決して問題の解決につながらないということになりかねないというふうに考えております。

 この所得制限、児童手当に関して所得制限を撤廃する、極めて結構なことでございますので、しっかりとこれは検討いただいて、早急に実現をしていただきたいと思いますけれども、これだけをやるのではなくて、様々な不安を、今、若い人たち、子育て世代の人は抱えています。これは、所得が一千万、一千二百万を超えている人も同様なんですね。こんな時代に子供たちを育ててしまっていいのかとか、こんな将来不安の時代に子を産んでしまっていいのかということを、私の身の回りの同世代の人たちも常々言っています。これは所得に関係ありません。

 経済的な支援をしていくことは極めて重要でございますけれども、その他の不安にもしっかりと応えていただく、全体的な理念をしっかりと持っていただいて、総合的にしっかりと子育て支援、子育てがしやすい環境をつくってもらわない限り、この少子化の状況は変わらないと思いますので、是非その点、この国会でも、これ以降もしっかりと我々国民民主党から様々な提言、提案をさせていただきたいと考えておりますし、与党でも早急に対策の中身をお示しいただいて、議論させていただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

    〔委員長退席、中山委員長代理着席〕

 それでは、賃上げ政策の方に質問を移らせていただきたいと思います。

 本日、皆様に資料をお配りをさせていただいていますので、資料一と書いてある表を見ていただきたいというふうに考えております。人口が減るというお話をまずさせていただきたいと思っております。

 私、今年で三十八歳になりますので、まさに失われた三十年の間に育ってきた世代でございます。ちょうどバブル崩壊が起きる、そういった頃に私はスペインから引っ越してきまして、父はスペイン料理のレストランをしていたんですけれども、バブル崩壊以降も経営はそれなりにうまくいっていたんですが、九八年、九九年ぐらいに大変日本の経済が悪くなったときにその店を閉めて、その後は母親がパートを朝から晩までかけ持ちをして家計を支えるという、そういった家計状況にありました。

 こういった苦しい家計状況に変化したという時代がこの九〇年代の末頃であって、非常に多くの方がそういった経験をされたと思います。失業率が上がって、自殺をされる方も大変増えて、根本的に日本の経済構造が変わってしまったのがこの九〇年代末でありました。

 何でこういったことを申し上げているかというと、家計が大変だったんですというお涙頂戴の話をしたいわけではなくて、私は、この人口の推計、これからを見てみますと、これまでの失われた三十年間が生ぬるく思えるかのような極めて更に厳しい状況が今後待っているのではないか、そういった危機感に駆られているわけでございまして、何としてもここに対処をしていかなければならない、そういった思いで仕事をさせていただいております。

 資料一を見てみますと、二〇二〇年頃には、大体今頃ですけれども、労働人口は大体七千五百九万人というふうになっているんですけれども、二〇五〇年、私が六十五歳になる年なんですけれども、労働人口は五千二百七十五万人と、今から三割も減ってしまうということになります。

 人口、特に労働人口が減ると、経済規模が縮小して税収も減ることになってしまいます。でも、高齢者は増えていきますので、社会保障を含めて大変厳しい状況が予想されるわけでございます。

 今、日本の防衛、安全保障環境が大変厳しくて防衛力を整備しようというお話、我々も協力をさせていただきながらしておりますけれども、日本の最大の危機は、誤解を恐れず言えば、この国内の状況であるというふうに考えております。どれだけ防衛力を整備しても、今、足下から国が溶けているような状況だと思いますので、何とかしてこの問題に対処をしていかなければならないというふうに思います。

 まず、是非、総理もこの危機的な状況を御認識の上で子育て支援の拡充などをおっしゃっているということは重々理解をしておりますけれども、もうまさに日本が崩壊の瀬戸際にある、内部から崩れ去るような、そういった状況に陥りつつある、そういった危機感をしっかりと持っていただいていて、そして、そのことに対してどう立ち向かっていこうとされているのか、この点についてお話をお聞かせいただければと思います。

    〔中山委員長代理退席、委員長着席〕

岸田内閣総理大臣 まず、防衛力の強化も、そして人口減少、少子化に対してしっかりと取り組むということも、国の基盤を維持するために重要な政策であると思います。特に、人口問題、少子化問題は、経済社会全体を通じても、持続可能性に関わる、我が国の社会が持続可能なものであり続けられるかどうか、これが懸かった重要な課題であると認識をしています。

 委員の方から数字をお示しいただきました。このように様々な将来推計の中で、我が国の人口そして労働力人口が大幅に減少していくという数字が示されているわけですが、しかし、それに加えて、こうした刻々と変わる現状の中で、例えばコロナ禍という、数年前までは思ってもみなかったこうした事態を受けて、昨年の出生率、八十万人を割り込むという数字まで示されている。こういったことになりますと、まさに、我が国が今一億二千万ほどの人口の中で社会を維持している、こうした社会的な機能を維持できるかどうか、こういったことにも関わってくる深刻な問題である。

 ですから、数字の予想がいろいろ出ていますけれども、現実はもっと厳しくなるかもしれない、このぐらいの危機感を持って取り組まなければならない、私たちの社会が持続可能なものであり続けられるかが問われる、大変重要な課題であると認識をいたします。

斎藤(ア)委員 どう対応していくのかというお話が聞きたかったんですけれども、時間がないので、ちょっと私から。

 大きな方向性として、この労働人口の減少にどう対応していくのかというのは、四つ考えられるというふうに思います。一つは出生率を改善して人口減少を食い止める、一つは移民を受け入れる、一つは労働参加率を高める、そしてもう一つは労働者一人当たりの稼ぐ力、生産性、賃金を上げていく。もう一つは何もしなくて崩壊をするということですけれども、それは選択肢ではありませんので、この四つを組み合わせる、あるいはどれかに力を入れていく、そういったことが必要だというふうに考えています。

 まず、少子化対策に関しては、経済的な理由で子育てをする権利であったり選択肢が失われつつある今の状況はとても問題だと思いますので、これはしっかりと子育て支援施策を拡充して、希望する人が子育てができる環境をつくっていかなければならないと強く思いますけれども、人口問題を解決する手段としては、やはり時既に遅しなのではないかなというふうに思います。

 第二次ベビーブーマーの方々が、私より十個以上年上の方々ですけれども、もう四十代、五十代となってしまっていて、十年前、二十年前であればということもあったのかもしれませんけれども、既にこういった出産を一番する年代の人たちの人口が大分減ってしまっていますし、そもそも、産むかどうかは、これは小倉大臣もおっしゃっていますけれども、もちろん個人の自由でございますので、これで人口問題に対処するということはやはり難しいというふうに考えています。

 海外から移民を受け入れるという話に関しては、国際競争力を高めたり産業の活性化を行う上では極めて重要な、戦略的な、取るべき手段だと思いますけれども、一千万、二千万人も移民を受け入れるということはやはり現実的ではないのかなというふうに考えております。

 労働参加率を高める部分に関しても、これまで女性の労働参加、高齢者の方々の労働参加も大変進んでいますので、そもそも人口が減る中でこれ以上というのはなかなか難しい。

 そうなってくると、やはり、一人当たりの稼ぐ力、生産性、賃金を、一人当たりの賃金をとことん上げていく、追求していく、そのことにこの国の存亡が懸かっているのではないかなというふうに私は考えております。ですので、この一人当たりの賃金を増やすという意味でも、今年の賃上げ、とても重要になると思っておりますし、中長期的にも、総理は構造的な賃上げとおっしゃっていますけれども、とても極めて重要なお話だと考えております。

 改めて総理大臣にも伺いたいんですけれども、まさに賃上げというのは、経済政策を超えて、日本の存亡が懸かった、日本の生存戦略だと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 おっしゃるように、賃上げは、様々なこれからの日本の未来の課題を考えた場合に、ポイントとなる重要な取組であると認識をいたします。

 人口減少、少子化に対して取り組む際に、今委員の方から四つのポイントが示されましたが、生産性の向上の部分において、賃上げは大変重要な課題となります。なおかつ、目の前の物価高に対して負けない賃上げを実現する、これは今年大変重要なポイントですが、これをいかに持続させるかが大事である、これが構造的賃上げの基本的な考え方です。

 是非、一人一人に対する人への投資を充実するとともに、受け入れる企業においても様々なスキルをしっかり評価できる日本型の職務給を用意する、そして円滑な労働移動が実現する、この三つをしっかりと進めることによって持続的な、構造的な賃上げを進めていく、これは大変重要なことであると思います。

 そして、人口問題においても賃上げは重要です。そして、日本の経済のこれからを考えても、賃金、人への投資が行われることによって、消費が喚起されて、次の経済の成長にもつながる、こうした好循環を実現しなければならない。そのためには、成長の方もしっかり考えていかなければなりませんが、賃上げという部分がしっかりと進んでいかないとこの好循環は実現できないわけですから、持続可能な経済を実現するという観点からも賃上げが重要であるなどなど、やはり賃上げというのは、これからの日本を考える様々な課題においてポイントになる政策であると思っています。

斎藤(ア)委員 まさに賃上げなくして日本に未来はない、そういう強い決意を持って国民民主党も誕生していますし、今も様々な提言をさせていただいております。何としても、まずは今年の賃上げ、そして中長期的な賃上げの実現に向けて全力で取り組んでいきたいし、一緒に取り組んでいければと考えているんですが、この中でやはり重要なポイントは、中小企業と、そして生産性が低くなってしまっている産業、業種、この部分をどう生産性を上げていくか、賃金を上げていくかということだと思います。

 資料の二の方に皆様も常に御覧になっていると思う表、データがあるんですけれども、左側の図というのは、日本の労働生産性はOECDの中でも今低くなってしまっている、そういった図。右側の図に関しては、中小企業で生産性が低くて、また、特に小売業であったり、宿泊、飲食サービス、生活関連サービス業で賃金、生産性が低くなってしまっているということが読み取れる、そういった資料となっております。

 ちょっと時間もないので何点か飛ばさせていただきますけれども、特にこの右側の図、中小企業で生産性が低いというところを鑑みれば、やはり、企業規模を大きくしていく、企業に成長してもらう、売上高を上げてもらう、あるいは、企業を結合、合併してもらって、再編してもらって企業規模を拡大していくということが、生産性の拡大、生産性を上げていく上で極めて重要だと考えております。

 今、政府の方でも、DXであったりとか輸出の支援であったりだとか、あるいは事業転換の支援ということ、こういったことをやっていただいていますけれども、やはり、ある程度企業規模がないと、ところでないと、そういったものの導入も難しくなるし、ノウハウの導入というのも難しくなってしまって生産性が上がらないということになりかねないと思っていますので、企業規模を拡大していくということがとても大事だと考えております。

 今後、今、中小企業政策で様々行われていると思いますけれども、やはり、生産性を上げていくためにも、企業規模を拡大していくということを主眼に置いて中小企業政策を行っていくということがこれからますます重要になってくると思っております。例えば、企業規模が拡大するということを条件に支援をしたりだとか、あるいは、企業規模が小さいことに対して優遇をするのではなくて、やはり企業が大きくなっていくことに対して優遇を行っていくとか、そういったちょっと考え方の転換が必要だと思っております。

 もちろん、零細企業であったり地場の商店であったりとか、そういった守るべき商店、企業、零細企業というのは別にあると思いますけれども、基本的に大きくなってもらうことが企業にとって重要であるので、大きくなる方に向かって様々な規制などを修正していく、そういったことが必要なのではないかなと考えておりますけれども、こういったことに関して、総理大臣、何かお考えがありますでしょうか。

西村(康)国務大臣 委員御指摘のように、中小企業の生産性向上が賃上げにおきましても本当に鍵になってくると思います。

 そうした中で、まさに御指摘がありましたように、MアンドAというか、事業承継、引継ぎ、こうしたことについての支援、非常に重要だというふうに思っております。

 政府におきましては、御案内のとおり、各都道府県に事業承継・引継ぎ支援センターというものを設けております。そこによるMアンドAプロセスに関するワンストップでの支援、そして、事業承継・引継ぎ補助金による、そのプロセスの費用を支援しておりますし、また、おっしゃったように、事業を引き継いだ後の設備投資とか販路開拓、こうしたことに係る支援、費用の支援を行ってきております。それによってMアンドAのリスク低減に係る支援を行っておりますし、それに関する税制措置も講じてきております。そうした措置を講じて、規模拡大に向けた取組を支援しているところであります。

 いずれにしましても、今後とも、中小企業がMアンドAなどを通じて規模を拡大していくこと、そうしたことが円滑に進むように、生産性の向上、賃上げの実現を後押ししていきたいというふうに考えております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 続けて、また西村大臣にお伺いできればと思うんですけれども、MアンドA、事業承継、この活用というのが私もとても大事になるというふうに考えていまして、基本的に自社で成長して売上げを伸ばしてもらうというのがいいわけでございますけれども、やはり市場も小さくなってきているという中で、合併をしてもらって事業を維持してもらう、あるいは生産性を上げてもらう、企業規模を拡大してもらう、こういった取組がとても大事になると思っておりますので、MアンドA、事業承継を支援していくことが必要だと思うんです。

 一方で、今、ちまたのMアンドAアドバイザーの中には、仲介の形を取っていて、売手側、買手側、両方から手数料をもらって、それで案件を成約させるという、こういった仲介業が大変多くなってしまっています。これは別に違法ではないので、もちろん適法で、大変重要な仕事をしていただいていると思うんですけれども。

 基本的に、売手側と買手側というのは利益が相反するものでございます。売却価格が上がれば、買手側は損をするし、売手側は得をするんですけれども、その逆であればまた逆になるということで。これはしっかりと交渉してもらって、資産を精査してもらって、そして合意できるタームで合意をしてもらって売却あるいは合併を成立させるというのが当然なんですけれども、仲介であると、両方から手数料をもらってしまって、契約書も使い回しになってしまったりだとか、そして、取りあえずマッチングをさせて案件を成約させようだとか、あるいは、デューデリジェンス、資産の精査も適当になってしまったりだとか、こういったことが実際に起きているというふうなことを、私も昔MアンドAをやっていましたので、当時の同僚から聞いております。

 案件をしっかりと行っていく、増やしていくことは重要だと思うんですけれども、結果として不幸な事業承継だとか不幸なMアンドAが増えてしまう、今もあると思うんですけれども、こういったことばかりになってしまうと、MアンドAのスキームを使うのは危ないだとか、事業承継って不幸になってしまうよねとか、こういったふうな感じの印象を経営者の方に持たれてしまっては非常にマイナスだと思っておりますので、この仲介の在り方に関してはしっかりと規制も含めて見直していく、仲介ではなくてしっかりと片側にアドバイスをしてもらう、正常なMアンドAアドバイザリーの姿を中小の案件でもやってもらうということをしっかりと検討する必要があるのではないかというふうに思っているんですけれども、その点、今どのようにお考えでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘の中小企業のMアンドAについてなんですけれども、譲受け側と譲渡し側の双方の意向が分かる、それから当事者間の円滑な意思疎通を図るということができるということから、御指摘のように、両方との間で契約を結んで仲介を行う事業者が多いというふうに承知をしております。

 一方で、御指摘のとおり、そうした仲介が行われる際に、いずれか一方の当事者の利益が優先されるなどの利益相反が発生するリスクがあるということも指摘をされております。

 このため、経産省においては、令和二年の三月に、中小MアンドAガイドラインというものを策定いたしまして、契約した事業者以外からのセカンドオピニオンを許容する契約とすること、また、譲渡し、譲受け側両方から手数料を徴収しているなどの不利益情報の開示の徹底を求めるといった、まさに当事者たちがそうした利益相反に関して注意すべき事項をまとめて、周知啓発、そして注意喚起に努めているところであります。

 また、先ほど申し上げたMアンドA取引を促進するための支援……

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。

西村(康)国務大臣 はい。

 補助金につきましても、こうしたガイドラインの遵守徹底を宣誓したMアンドA支援機関に限るということにしております。

 いずれにしましても、こうしたガイドラインの周知徹底を図り、適正な中小企業のMアンドAを進めていきたいというふうに考えております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございました。また引き続き取り上げていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて斎藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 総理の進める大軍拡について質問いたします。

 国立病院機構の積立金四百二十二億円、地域医療機能推進機構、JCHOの積立金三百二十四億円を不用見込みとして返納させて、軍拡財源に流用しようとしております。

 総理に基本的なことをお伺いしますけれども、JCHOの積立金に残余があった場合、現行法ではどこに納付することになっているか御存じですか。

加藤国務大臣 各法人の個別法に基づいて、期間満了時に次期期間中に必要な業務の財源に充てるために繰越しが認められた額を除き、国庫返納することとされています。国庫に返納されます。

宮本(徹)委員 それは、国立病院機構はそうですけれども、地域医療機能推進機構法は違うんじゃないですか。

加藤国務大臣 失礼しました。

 地域医療機能推進機構は、積立金の額に相当する金額から次の中期の計画等について承認を受けた金額を控除してなお残余あるときは、その残余の額を年金特別会計に納付しなければならないとなっています。

宮本(徹)委員 総理、知っておりましたか。

岸田内閣総理大臣 それぞれの組織を規定する法律に基づいて、今厚生労働大臣の答弁があった手法で納付するということになっていると承知をしております。

宮本(徹)委員 では初めに答えていただければいいんですけれども。

 なぜ法律で、JCHOの積立金に残余がある場合は年金特別会計に入れると明記されているか、御存じですか。

岸田内閣総理大臣 その詳しい理由までは承知しておりません。できましたら、厚生労働大臣に答弁をさせます。

加藤国務大臣 これは、今、JCHOという形になっていますけれども、そもそも、スタートしたときに年金のお金を活用してこの設立を図った、そういう経緯の中で、JCHOについては年金特別会計に納付するという形になっているものと理解しています。

宮本(徹)委員 加藤大臣のおっしゃるとおりなんですよね。JCHOの社会保険病院、厚生年金病院は国民の保険料でつくられた病院なわけでございます。ですから、必要以上の積立金は年金特別会計に入れるということになっているわけですね。

 今年、年金は、マクロ経済スライドが発動されて、物価の伸びに比べてマイナス〇・六%目減りさせられるわけですよ。物価高騰の中に大きく目減りさせられる。総理、年金財源の拡充こそ必要なんですよ。年金を目減りさせながら年金財源を大軍拡の財源に流用するなど、国民の理解が得られるはずがないじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 新型コロナ対策の予算等によって積み上がった積立金のうち約〇・一兆円について、特例的に前倒しで国庫納付の御協力をいただくことといたしました。

 今般の積立金の返納、納付につきまして、この二つの独立行政法人の今期の整備計画の実行に直ちに支障を来すものではないということは承知しております。

宮本(徹)委員 いやいや、だから、余りが仮にあった場合は年金財源にしていこう、あるいは協会けんぽの支援に回していこう、そういう、年金特別会計に入れるということになっているわけですよ。

 かつて年金保険料の流用がいろいろ問題になりましたよね。グリーンピア、大臣経験者の地元に巨大な保養施設を造って大赤字になった、こういうこともあったわけですよね。年金財源の流用という点では、やろうとしていることは一緒じゃないですか。

 更に言えば、総理は本会議で、大軍拡の財源として社会保障は削減しないと述べていたわけですよ。こういう、わざわざ年金特別会計に入れると書いてあるものまで大軍拡の財源に流用するというのは大問題じゃありませんか。撤回すべきですよ。総理、いかがですか。

加藤国務大臣 今総理からお話がありましたように、こうした積立金の一部は、新型コロナ対策予算、これによって積み上げられたものであるということ、それから、これを我々検討するに当たって、診療事業については運営費交付金は交付されていないというこれまでの経緯があり、他の医療提供主体と同等の条件で競争していく必要がある、平成二十五年閣議決定で、積立金は次期期間中に必要な施設整備等の財源に充てられるよう配慮するというふうになっておりますので、したがって、本来の地域医療機能推進機構が通常の事業で行っている、そこにおいてでき上がってきた積立金、これには触れないということを前提に、こうした金額を算定したところであります。

宮本(徹)委員 いや、今わざわざ総理は、これから閣議決定しようとしている法律で、今は積立金は年金特別会計に入れるとなっているものを変えようとしているわけですよ。いいんですか。そんなことを国民は理解しないですよ。

岸田内閣総理大臣 今、特例的に国庫納付の御協力をお願いしようとしているお金、そもそも今回の新型コロナ対策の中で積み上がってきた、こうした積み上がった積立金のうち、特例的に御協力をいただくということであります。

 従来の計画に支障は来さない、こういった点については、今厚生労働大臣の方から答弁があったとおりであります。

宮本(徹)委員 その問題は後から議論しますけれども、従来の計画云々じゃなくて、もし残余があった場合は年金特別会計に入れると言っているものを何で持っていくんですか、大軍拡に。年金だって大変じゃないですか。

 コロナ予算だとか何だとか言っているけれども、これは全部、それぞれ、JCHOだって、コロナ対応で本当に現場の皆さんは大変努力して、そういう中で積み上がっていったわけですよね。それは当然、この後いろいろ言いますけれども、病院で使いたいわけですよ。それでも余りがあるんだったら、これは保険料でつくった病院なんだから、保険会計に戻していく、これが法律なんですよ。こんな法律を変えていいんですか。

 これはよく検討していただきたいと思いますよ。全然答えになっていないじゃないですか。まずいと思いませんか、総理。

岸田内閣総理大臣 これは他の予算も基本的な考え方としては共通するところがあるんだと思いますが、我々は、この三年間、新型コロナとの戦いに、あらゆる、財政的な面、様々な国民の皆さんの協力、こうしたものを総動員して立ち向かってまいりました。新型コロナ対策についても、予測不可能な事態にもしっかり備えなければならない、様々な予算を事前に積み上げて対策を講じてきました。そして、今ようやくウィズコロナの段階に移行するべく歩みを進めています。

 そうしますと、従来、予測不能な様々な要素に備えるための予算についても、用意する必要がなくなる、こういった観点から、こうした予算を活用していく、こうした取組を様々な点で行っていかなければなりません。

 新型コロナで積み上げた資金についてどう使うのか、こういった点について国民の皆さんに御理解をいただくべく努力をしていくことが重要であると思っています。

宮本(徹)委員 国民は、法律で年金財源と明記されているものを軍拡に流用するなど、絶対理解しないですよ。

 さらに、じゃ、本当にこのJCHOや国立病院機構の積立金が不用見込みなるものなのかということでございます。

 資料を御覧いただいた方がいいと思うんですけれども、JCHOの山本理事長は、積立金の六百七十五億円があっても足りない状況だと述べておられます。というのも、昨年、感染症法が改正されました。国立病院機構とJCHOは、パンデミック時の医療提供義務が課されることになったわけでございます。だから、JCHOは次期の中期計画で感染症法等の改正を見据えたハード面の改修、老朽化を進める予定です。

 省令で定めている鉄筋コンクリート造りの病院の耐用年数は三十九年です。加藤大臣、三十九年を超える病棟、外来棟のある病院、JCHO、国立病院機構、それぞれ幾つありますか。

加藤国務大臣 今おっしゃったのは税制上の年限でございますよね。税制上の年限でいいますと、建築後三十九年を超える病棟又は外来棟のある病院は、令和五年一月現在で、国立病院機構については七十七病院、地域医療機能推進機構においては十五病院と承知をしています。

宮本(徹)委員 国立病院機構、百四十病院中七十七ですから、過半数ですよね。JCHOの病院でも六十年を超えた病院もありますね。資料で厚労省の資料をつけておりますので、是非皆さんも地元の病院を見ていただきたいと思うんですよね。本当に、耐用年数も超えて老朽化した病院を使わざるを得ないという状況があるわけですよね。

 JCHOの山本理事長は、政府が感染症法等改正で体制整備を求めているだけに、社会的責任を果たしたいと述べているわけですよ。これからコロナとの共存も続いていくわけです。感染拡大の波のたびに医療提供体制は厳しくなってまいります。当事者が六百七十五億円でも足りないと言っているのに、半分も召し上げる。感染症対策を軽んじていると言わざるを得ないと思いますよ。

 しかも、国立病院機構の看護師さんの給与を見ていただきたいと思います。次の資料ですけれども、九枚目。国家公務員の人事院勧告よりも低く抑えられ、労災病院や日赤などの他の公的病院よりも低いんですね。なぜなら、国立病院機構は、筋ジストロフィーや重度心身障害、結核など、セーフティーネット医療を担っている中で、赤字病院も多いからでございます。労働組合の皆さんが団体交渉で賃上げを求めると、コロナ前は、理事者側は、積立金が八百億円必要という理由で賃金は抑えられてきたわけですよ。

 総理、この積立金を軍事費に回していったら、また国立病院機構の看護師さんの賃金抑制が続いていくんじゃありませんか。総理、いかがですか。

加藤国務大臣 その前に、先ほど三十九年と申し上げましたけれども、ただ、国立病院機構からは、例えば、病院の建物は六十五年使用できる設計となり、適切な修繕等を実施していけば更に使用が可能だという、それらにのっとって議論をさせていただいているところでございます。

 それから、今、お手元の数字、これは必ずしも、ちょっと私どもの手元の数字とは違いますけれども、例えば国立病院機構の看護師さんにおいても、例えば前年度に比べて、さらに国家公務員に対してはその水準が上がるなど、こうした処遇の改善が実施されているところであります。

 引き続き、そうした対応もしていくことも念頭に置きながら、全体を見て、今回こうした金額を国庫に納付するという形にさせていただいたところでございます。

宮本(徹)委員 今、国立病院機構の理事者側が提示している賃金改定を乗せても、まだ人事院勧告、国家公務員の水準にはなりません。私、資料をいただいておりますので、余りいいかげんなことは言わないでいただきたいと思うんですよね。

 本当に、医療や年金のための財源を軍拡に回すというのは私は撤回すべきだということを繰り返し求めておきたいと思います。

 あわせまして、今回、中小企業向けのゼロゼロ融資の基金も、残金二千億円、軍拡財源にしようとしているわけですね。

 中小企業対策費は一千七百四億円、これは今年の予算案です。前年度比マイナス九億円なんですね。今国会、我が党のみならず、多くの野党からも中小企業への賃上げ支援を求める声が上がりました。

 二〇二二年の休廃業、解散は過去二番目の高水準。物価高で大変な苦境に置かれております。しかも、これからゼロゼロ融資の返済が始まって、これも大変な重荷だという話も聞いております。

 総理、中小企業のゼロゼロ融資の基金の残金、私は、これは苦境にあえぐ中小企業対策に回すべきだと思いますよ。中小企業予算を減らしながら、大軍拡に優先して回すというのは、どう考えてもおかしいじゃありませんか。

西村(康)国務大臣 民間金融機関による実質無利子融資、ゼロゼロ融資ですね、これは令和三年三月末で終了しております。また、政府系金融機関において、申請件数が平時とほぼ同じ程度になるということで、足下の資金需要を踏まえて、令和四年九月末に申請受付を終了しているところであります。

 このため、実質無利子化の対象となる貸付状況等を踏まえて、今後基金からの支出が見込まれる最大額を算定の上、令和五年度の返納予定額としては二千三百五十億円として算出しております。

 いずれにしましても、中小企業の資金繰りについては、日本公庫による低利子融資を継続するとともに、民間ゼロゼロ融資の返済本格化に向けて、コロナ借換え保証の運用を開始するなど、引き続き万全を期していきたいと思っております。

 ちなみに、令和五年度の当初予算に加えて、令和四年度、昨年末の二次補正予算において約一兆円程度、中小企業対策も確保しておりますので、しっかりと中小企業対策をやっていきたいというふうに思います。

宮本(徹)委員 七割の中小企業が賃上げができないというふうに答えているんですよね。働いている人の七割は中小企業なんですよ。何で、ここに支援を優先して回さずに、せっかく中小企業のために積んだものを軍拡に持っていくのか。とんでもない話だと思いますよ。

 更に加えて、今回、戦後初めて軍事費のために建設国債を四千三百四十三億円発行いたします。財政法四条は、公共事業費、出資金、貸付金の財源を除いて、国債の発行を禁じております。

 資料をつけておりますが、財政法制定時の大蔵省の財政法逐条解説、こう書いているんですね。「第四条は健全財政を堅持して行くと同時に、財政を通じて戦争危険の防止を狙いとしてゐる規定である。」。これは大蔵省主計局法規課長の言葉ですよ。そして、さらに、次のページ、「戦争と公債が如何に密接不離の関係にあるかは、」「我が国の歴史を観ても公債なくして戦争の計画遂行の不可能であつたことを考察すれば明らかである、」「公債のないところに戦争はないと断言し得るのである、従つて、本条は又憲法の戦争放棄の規定を裏書保証せんとするものであるともいい得る。」。

 総理、財政法四条の立法趣旨からいって、軍事費に建設公債を充てることは到底許されないと思いますが、総理、そういう認識はございますか。

鈴木国務大臣 財政法立法時の財政法逐条解説について、これには度々御党の先生方から御質問がありまして、宮本先生も、平成二十八年に麻生前大臣に、また、本会議場でも安倍総理に御質問をされたところでございます。

 政府のこの答弁、これはもう一貫しているものでありまして、そのときと変わらないわけでありますけれども、財政法第四条は、あくまで健全財政のための財政処理の原則を規定したものであって、戦争危険の防止そのものが同条の立法趣旨であるとは考えていないところでございます。

 そして……(宮本(徹)委員「いいですよ、もう、時間がないので」と呼ぶ)はい。

宮本(徹)委員 わざわざ私は、当時の大蔵省主計局の法規課長が書いた、しかも、これ、主計局長だとかが推薦文まで書いている逐条解説ですよ、その立法趣旨を読み上げたのに、当時書かれたものを否定する。歴史の教訓を全く無視したものだと言わなければならないと思いますよ。

 大体、その逐条解説の中にもありますけれども、戦争のための大量の国債発行で、その後国民は激しいインフレで苦しんだんですよ。戦後三年六か月で消費者物価は百倍に増えたわけじゃありませんか。そして、今、国債の発行は戦時中を上回る状況ですよ。

 総理は、将来世代に先送りすることなく、今を生きる我々の責任として対応すべきということを軍拡財源の問題で増税に絡めておっしゃるわけですけれども、言っていることとやっていること、全く違いますよ。

岸田内閣総理大臣 建設国債の問題については、まさに今財務大臣が答弁しかけた部分でありますが、これは、国家安全保障戦略において防衛省と海上保安庁との連携や公共インフラの整備等が明確に位置づけられる中で、海上保安庁の船舶、あるいは空港、港湾等の公共インフラの整備が建設国債の発行対象であることから、整合性の問題として、防衛省・自衛隊の施設整備費や艦船建造費を建設国債の発行対象経費として整理したものです。

 要は、赤字国債であるものが建設国債になるわけですから、これは国債の量が増えるものではありません。これは整理のものであるということでありますので、先ほど言いました、私が言った、将来の世代にツケ回すものではない、そういった考えの下に対応したいという発言と矛盾するものではないと考えます。

宮本(徹)委員 海上保安庁が建設国債だから整合性を持って防衛省も建設国債だというのが立法趣旨に反するということを、私はわざわざ当時の逐条解説まで読み上げてお伝えしたのに、全く理解していないですね。

 最後、時間がないので、一問、少子化対策についてお伺いいたします。

 資料の最後のページを見ていただきたいと思います。数ある所得制限の中で、今、自民党が、茂木さんがおっしゃっているのは左上の児童手当だけなんですね。これ以外で最も厳しくある所得制限が教育費の支援、教育の無償化であります。さらに、深刻な問題が起きているのが障害者福祉に関わる所得制限です。異次元というんだったら、これは全部撤廃する、これが、異次元というならやるべきことだと思うんですよね。

 そして、総理は、何より優先されるのは当事者の声とこの間答弁されておられますが、子育て世代が最も求めている支援というのは教育費の負担軽減であります。私立大学の初年度納付金は百三十五万円。家計負担が異常に重過ぎます。憲法で、学ぶことというのは保障された権利であります。高い学費で進学を断念したり、奨学金返済で苦しんだり、理想の数の子供が持てない、こういう現実自体が極めて異常なことだと思うんですよね。しかも、国際人権規約の高等教育の漸進的無償化、我が党は一九七九年から政府に留保撤回するよう求め、民主党政権のときにこの留保は撤回されました。

 総理、国際公約であり、なおかつ当事者の最大の要望である教育の無償化、所得制限なく大学まで行う、これは少子化対策の柱に据えるべきじゃありませんか。これは総理にお伺いします。

岸田内閣総理大臣 今、子供、子育て政策について内容の具体化を行っています。その際に、児童手当等の経済的支援と、そして様々な支援のサービスの内容と、そして子供、子育て政策の様々な制度、働き方改革を含む様々な制度支援、こういったものについて見直すのと併せて、御指摘のように、教育、これも子供、子育て対策の大変重要な視点であると考えて、内容の具体化を進めております。

宮本(徹)委員 本当になかなか具体的な話が進まないわけですけれども、異次元の大軍拡を優先しているから、財源がないないということで、子育て支援が後回しになっているんじゃないですか。大軍拡ではなくて、暮らしの支援、子育て支援、教育無償化こそ優先すべきだということを強く訴えまして、質問を終わります。

根本委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。

 次に、仁木博文君。

仁木委員 有志の会の仁木博文です。

 総理、今日は、新型コロナウイルス感染症の疾病分類、二類から五類への変更について問いたいと思います。

 まず、この質疑の前に、私はこのことを是としていますし、賛成というか賛同している立場で質問したいと思います。

 一月二十七日に厚生科学審議会感染症部会、そして、その決定、提言となる根拠のアドバイザリーボード、総理はこの疾病分類の変更を、例えば、私の後ろに国民がいっぱいいるということを想定して、コンパクトに、どのような理由でこうなったかということを説明されますか。

岸田内閣総理大臣 もちろん、今回の決定に当たって、最終的には政治の責任として判断をしたわけですが、その前提となるのは、様々な専門家等の科学的な知見であったりエビデンスであったということであります。

 実際、今回の決定に当たっては、新型コロナの病原性、感染力、変異の可能性等について、厚生労働省の専門家会議や審議会において、新型コロナに関するデータに基づく科学的知見やエビデンスを基に議論を行いました。その議論をしっかりと政治の立場で判断させていただき、関係閣僚会議を開き、今回の決断を発表したということであります。

仁木委員 今の答弁ですけれども、ちょっと、やはりエビデンス、科学的知見と総理はおっしゃいましたが、そこを知りたいんですね。やはり、感染症である以上、感染力であったり、いわゆる致死率とかですね。この感染力というのは感染予防対策ということにもなりますし、致死率というのは治療につながりますよね。そういうことが、例えば二類というのは、治療しにくい、感染力も強い、五類というのは、季節性インフルエンザのように、感染はするかもしれないけれども、治療する手段、医療がちゃんとして、プロトコールがあるということだと思うんですけれども。

 そういうことが見えない中で、私は、総理との討論の中で、医療DXを推進していますので、どうか、これだけ多額の予算を使いました、そして、六万七千人以上の方がこの新型コロナで命を落としました、大きな犠牲と、そして、こういったエネルギーを使った形でのこのコロナの三年間でした。これを検証する意味でも、医療の側面だけでも、DX、これが始まりますので、やはり、総理、DX、デジタルトランスフォーメーションと言われていますので、例えば、今から言うことを前提にちょっと検証していただきたいと思います。

 その中で、例えば重症患者の治療ということで、私のお手元の資料、ありますけれども、例えばステージ2、肺障害期というところにおきますと、今、レムデシビルとステロイドの併用療法というのが有効性があるんじゃないかと言われております。この表でいうと、ステージ3のところは一般の病院では治療が難しいんですね。人工呼吸器に乗っけるとか、そういう話になりますので。ところが、これからは季節性のインフルエンザと同じような扱いにこのコロナウイルス感染症がなっていくわけでございますので、一般の医療の現場でもこういうステージ2の治療はしていくべきだ、そういうふうに変わっていくわけです。

 そこで、今までの蓄積で、例えば、今、特定機能病院で重症患者さんを治療しているデータがあるはずなんですね。これが、今のままですと、エビデンスの上げ、いわゆるデータの収集と分析、そしてその評価というものも学会任せとかになっていますので。これは、国がいろいろな形でお金を投じてきました。ですから、例えば患者さんの入院前とか、なかなかできないかもしれないけれども、オプトイン的に、コロナウイルス感染症が重症化する、あるいは中等症以上になった方の治療の状態というのを、医療の現場で例えば電子カルテに入力しております、大概のそういうこのクラスの病院でしたら、それをやはり研究とかに生かして治療に反映していく。そういうことをこれからやっていくことが、例えば、このレムデシビルも緊急承認したお薬なんですね、ですから、いわゆる安全性は担保されていますけれども、有効性がはっきり分かっていないわけです。

 ですから、そういった治療が本当に有効であるということを指し示し、より、これからそういったデータを基に日本のメイド・イン・ジャパンの新しい治療薬も作れる、そういうプラットフォームをつくっていくわけでございますので、医療DXも、例えば重症の患者さんの治療を得てつくっていただきたいと思いますが、総理、どうでしょうか。

加藤国務大臣 今おっしゃった、例えば臨床現場で使用された場合の治療薬、これがどういうふうに効果があるかということ、患者情報を収集して評価していくという、このことは大変大事だと思いますが、ただ、その場合、基礎疾患があるかないかとかも、御承知のように、重症度とか患者の特性をかなり細かく知らなきゃいけないということで、今すぐにはなかなか難しいというところはあります。

 ただ、こうしたデータを広く収集して総合的に分析し、そして更に今後の治療に役立てていく、そのためにも、実は先般、感染症法の改正がありまして、あのときに、所定の感染症指定医療機関の医師に対しては入院患者等の重症度に関する届出の義務化とか、あるいは、発生届等の感染症の疫学情報に関するデータについて、他のデータベースの情報との連結分析や、匿名化した上での第三者提供を可能にする、こういう措置を講じました。

 施行は六年の四月からではありますけれども、そうしたことを活用して、今回の感染症に関するデータの収集、分析、こういったものをしっかり進めていきたいと思っています。

仁木委員 この資料の示すところというのは、今、例えば、臨床兆候というところにいろいろな、血液検査で分かるパラメーターというか検査項目があるんですけれども、こういったところを、治療薬を投じて、治療一日目、二日目とか、いろいろ、その効果はどうなったかというのを、今まで、この三年間、例えば重症になったコロナ患者さんを治療していないドクターも、これはすごく参考になるわけですね。

 そういうのを、何でこれだけ岸田政権がDXと言っているにもかかわらず、そういったことを今後、まだ五月八日までには時間がありますので、今、国からそういった情報を集めるような指示を、例えば厚労大臣がするだけで現場は変わってくると思うんですね。だから、学会任せではなくて、国として、ガイドラインというか一連のプロトコールを作るためにやっていくことが、五類になったときに本当に安心して国民が医療に対して臨めると。

 世論調査をしても、四割程度の方はまだ五類変更を、特に高齢者は不安に思っている方が多いわけですね。そういうことを最初の答弁でお答えいただきたかったわけでございますけれども、そういうことを申し上げたいと思います。

 ちょっと時間がないので、次の資料を見ていただきたいと思いますが、ワクチン接種のことです。

 これは、過去に二兆四千億円、今日も防衛費の財源のことで問題になっていますけれども、八億八千二百万回を目途として財源を確保して、海外からワクチンを買いました。しかし、例えばアストラゼネカとか、返還したりあるいは台湾に送ったのもありますけれども、今、四回目、五回目の、例えば五回目とかは二価ワクチンの接種が多いわけですけれども、余剰になっている。ワクチンは期限がありますから、これは今どういう扱いになりますか。破棄されたり、どうなされるつもりでしょうか。

 このことは、ちょっと時間がないので、もう一つ質問を重ねますが、これは本当に、このデータが示すところというのは、半年たてばワクチンの効果はかなり減弱しているということなんですね。それなのに、例えば、三回ワクチンを接種していたら全国旅行支援がオーケーであったり、水際対策も、三回目接種していたら、私も一年前に三回接種が終わっていますけれども、海外渡航のハードルが低くなっている。そうではない、ワクチンを打てない方とかは、帰ってきたら例えば抗原定量検査をしなきゃいけないとか唾液のPCR検査をしなきゃいけない、その結果を待つまで空港の管理の下を出られないとか、そういう科学的エビデンスになっていないわけなんですね。

 そういうのをどうお考えか、二問お願いしたいと思います。

加藤国務大臣 期限切れになったワクチンは、基本的には廃棄をしているということでございます。廃棄の量等々に御質問があるんですが、これは最終的に全部がなった段階でお示しをさせていただいて、例えばアストラゼネカワクチンについては既に公表させていただいたところであります。

 それから、例えば水際対策でありますけれども、これは国内の医療提供体制に対する負荷を減らしつつということで、ワクチン三回接種の重症化予防効果などを勘案して、ワクチン三回接種を条件として、これを満たさない場合には出国前七十二時間以内の陰性証明の提出を引き続き求めているところでありますが、こうした取扱いについても、新型コロナウイルス、感染症法上の位置づけの変更に伴い、水際措置そのものが変わってまいりますので、それを踏まえて見直しをしていきたいと考えています。

仁木委員 いずれにしましても、例えば、今後のワクチンのことがまだ決まっていないということですけれども、来年度の予算ですね、これも、例えば季節性インフルエンザのワクチンのように、ある程度国民に負担を求めるのか。

 でも、今のところ求めない、そういう提言になっていると思うんですけれども、そうすると、例えば、事前にしっかりと政府が国民に対してリスクコミュニケーションをした上で、打ちたいという方を募るとか、それは本当に、最前線の総務省関連の、自治体の職員の方はまた大変なことになるかもしれませんが、そういうのもデジタル行政等を駆使したりして、私は、有効にお金を使うことによって、今のままだったら全国民は打たないと思うんですね。これだけでも、全国民が打つということを想定しても二千七百億円以上のお金が要るわけですから、そういったことを鑑みると、そういったワクチン対策、これもしっかりと考えていただきたいと思います。

 最後にですけれども、今後、今国会で議論の予定であります日本版CDCのお話。

 まず、最後の資料で示していますけれども、当初はアメリカのCDCのような組織を私はここでも要望していました。ところが、司令塔と研究機関が分かれるような実態になっていまして、これはやはり、私はちょっとばらばら感になってしまうんじゃないかなと思っています。

 この新しいCDC、せっかくできるわけですから、研究機関、国立感染研とNCGMの統合ということだけでは、何か今のままでもいいような気がしているんですね。だから、やはり司令塔等の機能をしっかりつけることによって、今、社会的な行動変容を国民にお願いするような事象までの研究も併せて、そしてまた予算等も勘案してできるというような形になりますので、そのことを、総理、これは閣法で出てくるわけですけれども、ちょっと、このこともまた後で議論してまいりますけれども、その辺に関しましてはどういうふうにお考えでしょうか。

岸田内閣総理大臣 日本版CDCについては、専門家組織として、政策決定に必要な質の高い科学的知見を迅速に提供する役割を担う、こうしたものであると考えております。そして、政策決定については、いわゆる日本版CDCの科学的知見を踏まえつつ、内閣感染症危機管理統括庁による司令塔機能の下、政府決定する、こうした考えに立っています。

 米国との比較、おっしゃいました。米国においても、CDCは、政策決定ではなく政策立案を主に担う役割を担っていると承知をしております。

仁木委員 議論は尽きませんので、また次回にさせていただきますが、本日はありがとうございました。

根本委員長 これにて仁木君の質疑は終了いたしました。

 次に、櫛渕万里君。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。

 昨日に引き続き、質問をさせていただきます。

 来年度の予算案について、一言で言えば、異次元の売国棄民予算であると昨日申し上げました。昨日は売国について指摘をいたしましたが、今日は、いかに棄民であるか触れていきたいと思います。

 今、国民が置かれている状況は、三十年間も給料が上がらず、その上にコロナ災害、そして戦争による物価高、いわば三重苦と言われる非常事態であるということは度々申し上げているとおりです。最新の消費者物価指数、四十一年ぶりの高水準でありますし、特に食料品は七・四%、本当に生活を直撃しています。

 まずは生活、そして国内の安全保障であると考えます。

 そこで、農水大臣にお伺いいたします。

 今日は、ここに、食料とエネルギーの自給率について、他国との比較の表を持ってきました。大臣、これは平時の数字ですよね。政府は安保三文書で有事を想定しているようですけれども、もし戦争になったら、更に自給率は下がるのではないですか。有事の際の食料供給についてどのようなシミュレーションを行っているのか。しているとすれば、その概要をお知らせください。そして、していないとすれば、行っていない理由を教えてください。簡潔にお願いします。

野村国務大臣 お答え申し上げます。

 農水省では、緊急事態食料安全保障指針というのを定めておりまして、これは、今おっしゃいました、凶作なり、あるいは輸入が途絶えて、これはどういう理由というか、今、戦争でというお話ですが、不測の事態の深刻度に応じて、レベルゼロから二までの三段階の講ずべき具体的な対策を考えております。

 それは、一つは、まず、米、小麦、飼料穀物の備蓄の活用であります。米は百万トンあります。それから麦は二・三か月分あります。そしてまた飼料穀物も百万トン。こういったものを計画的に備蓄いたしております。

 それからもう一つは、代替輸入先国からの緊急輸入。

 それからもう一つは、米や芋類といった熱効率の高い作物への生産転換。

 よろしいですか。まだあるんですけれどもね。

櫛渕委員 ありがとうございます。時間が短いので、次につなげたいと思います。

 戦争が始まってから、今農水大臣がお答えになったように、ウクライナで考えますと、もう一年に近くなる状況ですから、二、三か月では備蓄は足りない。

 そして、その手前のグレーゾーンだって問題だと思うんですね。日本は四方を海に囲まれた島国ですから、海上封鎖がされたら全国民が何日持ちこたえることができるのか、ここは総理にお聞きしたいと思います。海上封鎖された場合、何日、全国民一億二千五百万人、持ちこたえることができるのか。

 そしてもう一点、国家安全保障会議に農水大臣は入っていますか。

岸田内閣総理大臣 安全保障上の大きな危機が生じた場合、どのように食料を確保するのか、これは個別具体的に考えなければなりません。何日もつか、これは状況に応じて考えていかなければならない課題でありますが、今農水大臣からありましたように、平時から、代替国からの輸入、備蓄の活用、そして緊急的な増産、こうした不測の事態に備えた対応、これを適切に実施していく準備をしているというのが政府の現状であります。

 そして、国家安全保障戦略会議には、農水大臣は、課題に応じて、必要な場合には出席することはありますが、平素のメンバーには入ってはおりません。

櫛渕委員 そうなんですよ。国家安全保障戦略会議、ここに、四大臣、緊急会合でも入っていないですし、九大臣会合でも入っていないんですね。やはり食料というのは有事に対して一番国民にとって必要なものでありますし、そこが、国家安全保障の会議の中に大臣が入っていないというのは、私は、根本的に安全保障に対する考え方が足りない、そのように思います。やはり、戦前、国家を守って国民を守らなかったという歴史に是非学んでいただきたいと思います。

 総理、もう一度この図を見ていただきたいと思うんですが、さっき備蓄についてはお答えがありましたけれども、やはり自給率です、平時からの自給率。アメリカはもちろん、フランス、ドイツ、イギリスなどは七〇%以上、そして、この表にはありませんけれども、カナダは二二三%、オーストラリアは一六九%です。今回、防衛費を他国並みにGDP比二%を目指すというなら、食料自給率もほかの国と同じように、最低でも七〇%以上、しかも五年以内、このようにしっかりと予算の中で目標を掲げるべきではないですか。

 ところが、昨年策定された食料安全保障大綱を見ても、肝腎の自給率の目標を実は書いていないんです。そして、三年前の基本計画でも、二〇三〇年度、今から七年先、自給率、僅か四五%としか書いていません。一〇%も上がらないし、やる気がないにもほどがある。さらに、有事となればどれぐらい必要なのか。やはり、二三年と言わずに、一刻も早く一〇〇%を目指すよう、この予算、しっかり見直しをしていただきたいと思います。

 更に申し上げれば、先ほど、異次元の売国棄民予算というパネルを出しましたけれども、今年の増額分六兆八千億円の七割が、四兆八千億円の防衛費の増加分です。それなのに、国民の命を守るための農林水産予算は二兆二千六百八十三億円、今年の当初予算と比べて実はマイナス〇・四%です。

 かつて、先ほども申し上げましたが、軍事費の歳出、七割、八割に占めるのが……

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますので、おまとめください。

櫛渕委員 はい。

 かつての、戦前の歴史です。国民は、当時、食料不足で苦しんでいた。そのときに、戦艦や戦車には巨額の予算を出していたんですね。やはりこれでは、私は、棄民予算と言わざるを得ないというふうに思います。

 もう時間が来ましたので終わりとしたいと思いますが、やはり、最後、一番大事な……

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますので、簡潔にしてください。

櫛渕委員 はい。

 国防の基本方針、民生の安定です。これが国家安全保障戦略の基になっておりますので、国を守るとはあなたを守ること、私たちの理念を是非政府は取り入れていただきたい、このことを申し上げ、終わります。

 ありがとうございます。

根本委員長 これにて櫛渕君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして基本的質疑は終了いたしました。

 次回は、明二日午前九時から委員会を開会し、一般的質疑を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時六分散会


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