衆議院

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第5号 令和5年2月2日(木曜日)

会議録本文へ
令和五年二月二日(木曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 小林 鷹之君 理事 中山 展宏君

   理事 古川 禎久君 理事 堀井  学君

   理事 牧原 秀樹君 理事 逢坂 誠二君

   理事 後藤 祐一君 理事 青柳 仁士君

   理事 赤羽 一嘉君

      秋葉 賢也君    伊東 良孝君

      伊藤 達也君    石破  茂君

      今村 雅弘君    岩屋  毅君

      衛藤征士郎君    奥野 信亮君

      亀岡 偉民君    神田 憲次君

      熊田 裕通君    櫻田 義孝君

      下村 博文君    杉田 水脈君

      鈴木 隼人君    田中 和徳君

      高木 宏壽君    辻  清人君

      土屋 品子君    中村 裕之君

      平沢 勝栄君    古屋 圭司君

      牧島かれん君    三谷 英弘君

      宮下 一郎君    八木 哲也君

      山本 有二君    鷲尾英一郎君

      荒井  優君    大西 健介君

      源馬謙太郎君    鈴木 庸介君

      田嶋  要君    西村智奈美君

      藤岡 隆雄君    本庄 知史君

      森山 浩行君    柚木 道義君

      吉田はるみ君    渡辺  創君

      阿部  司君    赤木 正幸君

      池畑浩太朗君    一谷勇一郎君

      掘井 健智君    庄子 賢一君

      中野 洋昌君    鰐淵 洋子君

      斎藤アレックス君    長友 慎治君

      宮本 岳志君    宮本  徹君

      緒方林太郎君    櫛渕 万里君

    …………………………………

   総務大臣         松本 剛明君

   法務大臣         齋藤  健君

   外務大臣         林  芳正君

   財務大臣         鈴木 俊一君

   文部科学大臣       永岡 桂子君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   農林水産大臣       野村 哲郎君

   経済産業大臣       西村 康稔君

   国土交通大臣

   国務大臣         斉藤 鉄夫君

   環境大臣         西村 明宏君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     松野 博一君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (消費者及び食品安全担当)            河野 太郎君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 谷  公一君

   国務大臣

   (こども政策担当)

   (男女共同参画担当)   小倉 將信君

   国務大臣

   (新しい資本主義担当)

   (スタートアップ担当)  後藤 茂之君

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (デジタル田園都市国家構想担当)         岡田 直樹君

   財務副大臣        井上 貴博君

   外務大臣政務官      秋本 真利君

   国土交通大臣政務官    西田 昭二君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        吉住 啓作君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    渡邊 国佳君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    金子  修君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 林   誠君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 宮本 新吾君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局南部アジア部長)      有馬  裕君

   政府参考人

   (外務省経済局長)    鯰  博行君

   政府参考人

   (財務省主計局長)    新川 浩嗣君

   政府参考人

   (文化庁次長)      合田 哲雄君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  榎本健太郎君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           川又 竹男君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  大西 証史君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         山田  仁君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            瓦林 康人君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  塩見 英之君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  堀田  治君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官)    土本 英樹君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     高木 宏壽君

  奥野 信亮君     杉田 水脈君

  下村 博文君     神田 憲次君

  土屋 品子君     櫻田 義孝君

  平沢 勝栄君     秋葉 賢也君

  山本 有二君     中村 裕之君

  藤岡 隆雄君     荒井  優君

  本庄 知史君     田嶋  要君

  渡辺  創君     柚木 道義君

  阿部  司君     赤木 正幸君

  掘井 健智君     一谷勇一郎君

  斎藤アレックス君   長友 慎治君

  宮本  徹君     宮本 岳志君

同日

 辞任         補欠選任

  秋葉 賢也君     平沢 勝栄君

  神田 憲次君     下村 博文君

  櫻田 義孝君     土屋 品子君

  杉田 水脈君     奥野 信亮君

  高木 宏壽君     石破  茂君

  中村 裕之君     山本 有二君

  荒井  優君     鈴木 庸介君

  田嶋  要君     本庄 知史君

  柚木 道義君     渡辺  創君

  赤木 正幸君     阿部  司君

  一谷勇一郎君     掘井 健智君

  長友 慎治君     斎藤アレックス君

  宮本 岳志君     宮本  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 庸介君     藤岡 隆雄君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和五年度一般会計予算

 令和五年度特別会計予算

 令和五年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 令和五年度一般会計予算、令和五年度特別会計予算、令和五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑に入ります。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣府子ども・子育て本部統括官吉住啓作君、警察庁刑事局長渡邊国佳君、法務省民事局長金子修君、外務省大臣官房参事官林誠君、外務省大臣官房参事官宮本新吾君、外務省アジア大洋州局南部アジア部長有馬裕君、外務省経済局長鯰博行君、財務省主計局長新川浩嗣君、文化庁次長合田哲雄君、厚生労働省医政局長榎本健太郎君、厚生労働省社会・援護局長川又竹男君、厚生労働省老健局長大西証史君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官山田仁君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君、国土交通省総合政策局長瓦林康人君、国土交通省住宅局長塩見英之君、国土交通省港湾局長堀田治君、防衛装備庁長官土本英樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。八木哲也君。

八木委員 おはようございます。自由民主党、八木哲也でございます。

 この機会を与えていただきました理事の皆さんに感謝申し上げたいと思います。

 さて、今年からNHK大河ドラマ「どうする家康」が始まりました。毎週毎週、どうする家康、どうする、どうすると難問にぶち当たっております。この壁を乗り越えながら、ついには天下を取るわけであります。

 「どうする家康」の経済効果は、愛知県で三百四十億円と試算しております。隣の岡崎市では七十億円と試算しております。家康の始祖である松平親氏は、豊田市松平町であり、家康に関する史跡もたくさんあるにもかかわらず、経済効果のおこぼれがほとんどなく、残念に思っているところであります。

 さて、国会が始まり、連日多くの議員が質問に立ち、どうする総理、どうする、どうすると質問をしておられます。

 さて、私は、新しい資本主義、その中でもグリーントランスフォーメーション、GXについて、どうする大臣と質問をいたします。

 さて、総理は、施政方針演説で新しい資本主義について述べられました。官と民が連携し国家間の競争に勝ち抜くための経済モデル、重要物資や重要技術を守り強靱なサプライチェーンを維持する経済モデル、これまでの経済システムが生み出した負の側面である様々な社会課題を乗り越えるための経済モデル、三つの経済モデルを示されました。

 これらの経済モデルを進めるにおいて大切なことは、国民の皆さんが生活の豊かさを実感できることであります。そのためには、ウェルビーイングの視点、その哲学が必要ではないでしょうか。

 自民党では、ウェルビーイング計画推進特命委員会が二〇二〇年十月から議論、研究を重ねているところであります。近年においては、会社経営や自治体運営や日本青年会議所などの団体、組織において、ウェルビーイングの概念を中心の柱とすることが出始め、その成果が顕著に出ているところでもあります。

 GDPが客観的な豊かさを示す指標とすると、GDW、グロス・ドメスティック・ウェルビーイングは主観的な豊かさを示す指標で、相互補完的な関係にあるわけであります。

 新しい資本主義において、ウェルビーイング、生活の豊かさの視点をどう位置づけておられるのか、お聞きしたいと思います。

後藤国務大臣 八木委員にお答えを申し上げます。

 新しい資本主義におきましても、GDPといった経済指標を見るだけではなくて、経済成長とその果実の適正配分を通じて、国民一人一人が健康で幸せを実感できる経済社会の実現を目指すことが重要だというウェルビーイングの考え方は、重要な要素であると考えています。

 このため、昨年六月に策定した新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画におきまして、新しい資本主義を貫く基本的な思想の一つとして、国民の暮らしを改善し、課題解決を通じて一人一人の国民の持続的な幸福を実現することを掲げまして、ウェルビーイングの考え方を位置づけているところでございます。

 また、岸田総理の施政方針演説でも、様々な社会課題を乗り越えるための経済モデルとして新しい資本主義を掲げ、官民が連携し、社会課題を成長のエンジンへと転換し、社会課題の解決と経済成長を同時に実現する、持続的で包摂的な経済社会をつくり上げていく旨表明をいたしております。

 新しい資本主義の実現に向けた取組を加速しまして、成長と分配の好循環や国民一人一人の持続的な幸福を実現してまいりたいというふうに考えております。

八木委員 経済成長のキーワードの一つであります、先ほど申し上げましたGX推進について質問をいたします。

 二〇五〇年カーボンニュートラルの目標に向けて、産業競争力強化、経済成長を実現するために、官民合わせて今後十年間で百五十兆円、政府として二十兆円、GX経済移行債を発行するとあります。

 大型投資であります。慎重に、精密に、早急に着手しなければなりません。戦略分野を特定し、集中的に投資すべきと考えますが、その投資の具体化、規模、そしてそのタイムスケジュールについて。そして、投資をするわけでありますので、その効果把握として、CO2はどれだけ減少するのか、また経済効果をどれほどに試算しているのか。

 莫大な投資によって技術イノベーションが図られることを期待しておりますけれども、それはその企業の中だけのものではなく、先端技術をカーボンニュートラルに取り組む諸外国の企業にも積極的に協力し、お互いの経済効果を生み出す、このことが大切であると思いますけれども、そのことについてお答えいただきたいと思います。

西村(康)国務大臣 お答え申し上げます。

 二〇五〇年カーボンニュートラルを見据えまして、経済、社会、産業の大変革でありますグリーントランスフォーメーション、GXを加速させるべく、御指摘のように、少なくとも今後十年間で官民協調で百五十兆円超のGX関連投資を実現する必要があります。

 私が担当大臣としてGX実行会議で各省と連携しながら取りまとめをいたしました基本方針では、官民一体で百五十兆円超のGX投資を実現させるべく、成長志向型カーボンプライシング構想の下、国が先行して二十兆円規模の投資促進策を実施するという方針を明確にしたところであります。

 政府資金の対象につきましては、経済成長と排出削減のいずれにも貢献する分野への活用を検討しております。例えば、水素、アンモニアを含む非化石エネルギー、あるいは製造業の省エネ、燃料転換など、先進的な研究開発を想定しているところであります。

 現在、法案の提出に向けて準備しているところでありますが、具体的な投資先、スケジュールについては、今後、更に詳細に、御指摘のように慎重に、そしてまた大胆に投資をすべく、検討を進めていきたいと思っております。

 また、御指摘の投資評価の検証につきましても、GX投資の進捗状況、それからグローバルな動向、経済への影響などを踏まえ、進捗評価を実施し、必要な見直しを行っていきたいというふうに思います。

 あわせて、各国、様々取組を進めておりますし、大きな投資が必要となってきますので、同志国とも連携をしながら進めていきたいというふうに考えております。

八木委員 技術開発、技術イノベーション、これは時間が一番勝負だ、こういうふうに思いますので、スピード感を持ってやっていただきたい、そういうふうに思います。

 次に、GX実現に当たって、先ほど質問しました大型投資を必要とする大企業だけで実現できるものではありません。取り組める体力のある一社だけが取り組むのではなく、サプライチェーン全体として取り組むことが重要であります。

 サプライチェーン全体としてのトップ企業の推進責任と、サプライチェーン全体のカーボンニュートラルの取組と評価、これまでを含めてどのようにするのか、その考え方をお聞きしておきたい、こういうふうに思います。

西村(康)国務大臣 大変重要な御指摘だと思います。

 産業の競争力を維持強化することと、カーボンニュートラルの実現を同時に達成するためには、御指摘のように、大企業のみならず、中小企業を含めたサプライチェーン全体でのGXの取組を支える官民での環境整備が不可欠だというふうに考えております。

 こうした考えの下、カーボンニュートラルに向けた移行にいち早く取り組む六百社以上の企業群から構成されますGXリーグにおきまして、自らの排出削減だけではなく、サプライチェーンでの削減についての取組をこのGXリーグの参画の要件としておりますし、また、下請中小企業振興法の振興基準への下請事業者の脱炭素化に係る取組の追加、あるいは、パートナーシップ構築宣言の更なる拡大を進めているところであります。

 こうした取組を通じまして、大企業が先頭に立って、中小企業も含めたサプライチェーン全体での脱炭素化を牽引するよう促進するとともに、GXに取り組む中小企業に対して、補助金など様々な支援策を総合的に講じてまいりたいというふうに考えております。

八木委員 ありがとうございます。総合的に評価していくということであります。

 なぜこの質問をするかといいますと、やはり、九九・七%が中小企業であります。その中小企業が何をやればいいのかということを明確にしていく必要が私はあると思います。

 サプライチェーンのトップレベルの企業は、技術力とか資金力がありますので、それに対応できていると思いますけれども、末端の中小企業は、GXの理解はできても、技術力、資金力でなかなかついていけないのが現実だと私は思います。

 例えば、私は、二十四年間、自動車部品メーカーで技術屋として働いておりました。この会社で今扱っている部品の中で小さい部品は何だ、こういうふうに聞きましたら、ワイシャツのこのボタンぐらいのワッシャーであります。そのワッシャーは一個幾らだと思いますか。一円にも満たないんですよ。五十八銭であります。そして、その利益は十四銭であります。そういうものを一生懸命作っているメーカーがたくさんあるということであります。

 車一台の価格は百万単位でありますけれども、一円にも満たない部品が欠けても、車は完成しないのであります。今、半導体が不足しているといって生産調整をしております。ユーザーの皆さんには、一年待ち、そういうことで大変御迷惑をおかけしておりますけれども、そういう部品も大事でありますが、やはり、そういう一円にも満たない部品を、汗水垂らして、家族を養っておる、この現実。そして、それらがなければ車はできないという、このことを我々は認識していなければいけないのではないか、そういうふうに思います。

 そのような部品を作っている中小企業を私は多く見てきました。現状の経営を維持するだけできゅうきゅうとしている現実があります。電気料金アップ、原材料アップなどなど、経営を圧迫する要因はたくさんありまして、設備投資まで資金がなかなか回らない。GX、カーボンニュートラル、脱炭素、どうする、どうする、困っているのが現実であります。

 これらの中小企業のGX投資の支援を、私は、いま一段と強化していかなければ、全体のサプライチェーンとしての責任が果たせないような気がしてしようがない。この辺について、その強化策について、経産省のお考えをお聞きしておきたいと思います。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、日本の経済を支えていただいているのは中小企業そして小規模事業者の皆さんであり、その厚みこそが日本経済の強さだというふうに私も思いますし、今御説明ありましたとおり、一つの部品がないと車はできない。コロナの担当大臣の折にも、コロナでアジアの国から何か一つ届かないからできないということもよくお聞きしました。まさに、八木委員の切実な声、今、身にしみて感じているところであります。

 御指摘のように、GX実現のためには、排出量全体でいいますと約二割を占める中小企業も含めた産業全体での取組が重要であります。

 このため、令和四年度、今年度の第二次補正予算におきまして、例えば、ものづくり補助金においてグリーン枠を拡充をいたしておりますし、また、省エネ補助金につきましても複数年の投資計画に切れ目なく対応できる仕組みを創設をしております。それから、事業再構築補助金のグリーン成長枠につきましても、中小企業の皆さんの使い勝手がよくなるように、例えば、研究開発期間を二年から一年に短縮するなどの要件緩和も行っております。

 そして、こうした支援策がより効果的に的確に中小企業の皆さんに届くように、中小機構における相談窓口の設置、あるいは専門家によるエネルギー使用の改善アドバイスの実施、支援機関から中小企業への支援策も、積極的に働きかけるプッシュ型の支援も行っているところであります。

 こうした支援によって、例えば自動車分野、お話がございましたけれども、エンジン部品の中小サプライヤーが新たに電動車部品の製造に挑戦するといった取組を後押ししているものというふうに承知をしております。

 引き続き、今のお話もしっかりと頭に置きながら、中小企業が取り残されることのないよう、GXへ向けた取組をしっかりと支援してまいりたいというふうに考えております。

八木委員 ありがとうございました。

 そこの中で、私は自動車産業に携わってまいりました。今後のモビリティーの在り方等につきましてGXの観点から質問をしたい、こういうふうに思っております。自動車産業のモビリティー、電動化の方向性とインフラ整備についてであります。

 その前に、一月二十七日、突然、トヨタ自動車の豊田社長が引退の記者会見をいたしました。私もびっくりしました。何でこの厳しい時期に社長の座を次に渡すんだろう。いろいろ考えてみました。そして、いろいろな情報を私自身取らせていただいて、いろいろ解析すると、やはりこれは大英断だったと私は思います。

 豊田社長は、かつて、自動車産業は百年に一度の危機ということを、もう数年前から言われておりました。自動車が登場してから約百年になります。ガソリンエンジンから百年たち、カーボンニュートラル、地球温暖化の大きな問題がこの地球を席巻し始めているわけであります。このカーボンニュートラルの時代に入り、ガソリンエンジンに代わる駆動システムに移行せざるを得ない、こういうモビリティーに携わる企業として当然の責任であると思います。

 しかし、その駆動システムをどのように変えていくのかということが大事でありまして、今、世界はEV化の戦略に押されているような気がしてならない。果たしてそれが私は正解なのかどうか、疑問を持っているところでありますし、まだまだ解析していかなければいけない部分があるのではないか、私はそう思います。世界に先駆けてHVを出した、PHVを出した、そしてFCVを出した。そして、それだけが全てを解決するわけではない、さらにEVが出てきたわけであります。

 また、Eフュエルとか合成燃料とか、いろいろなモビリティーの方向性はあると思います。それぞれの可能性はまだあると思いますので、そのところをどういうふうに、経産省として高い視野から見てどういうふうにするのか、その辺が大事でありまして、確かに、企業はそれで成長していかなければいけませんので、いろいろな方法を模索はしていくと思います。しかし、それが時代に合っていなければならないわけであります。自動車産業に関わる五百五十万人の雇用も確保していかなければいけないということも常に頭に入れていく必要があるのではないでしょうか。自動車産業を取り巻く厳しい環境を乗り越えて更に成長し、日本経済を牽引していかなければならないと私は思っております。

 そのための自動車産業の電動化の方向性と、そして、それをするには、車だけができればいい問題ではありません。そのためのインフラ整備、道路を含め、また、EVならば電気スタンドを造り、そしてFCVなら水素スタンドを造り、そういうインフラを整備していく、このことも非常に大事なことであります。

 経産省として、その辺についてどのように考えていくのか、その辺のお答えをいただきたいと思います。

西村(康)国務大臣 お答えします。

 自動車のカーボンニュートラルの実現に向けましては、電気自動車、燃料電池自動車、あるいは燃料の脱炭素化など、様々な解決策があるものというふうに思います。それぞれに技術的な課題、あるいはインフラ整備の状況などがありますので、道は幾つかあるものというふうに思っております。このため、二〇三五年までに乗用車新車販売で電動車一〇〇%という目標を掲げ、多様な選択肢を追求することとしております。

 その実現に向けまして、技術面では、グリーンイノベーション基金も活用しながら、次世代電池、モーターに加えて、水素、Eフュエルなど、今後の競争力の鍵を握る技術のイノベーションを促していきたいというふうに思いますし、先ほど御指摘がありました、世界の動きが非常に速いですから、スピード感を持って是非対応していきたいというふうに考えております。

 また、足下では、その電動化社会を支える充電設備や水素ステーションの整備に向けて、令和四年度補正、そして御審議いただいております五年度当初予算を合わせて三百億円を計上しております。こうした予算の拡充を通じて設備の導入等を加速していきたいというふうに考えておりますし、また、水素ステーションにおきましては、官民の協議会において今後の商用車向けの需要に対応した整備の検討などを進めているところであります。

 これらの措置を通じて、国内市場での電動車の普及も生かしながら、我が国自動車産業が引き続きグローバル市場をリードし、それが世界全体のカーボンニュートラルにも貢献していくことができるよう、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに思います。

 言及のございました豊田社長、是非、より高い、より広い見地から、引き続き日本の自動車産業を牽引していただければというふうに御期待申し上げているところであります。

八木委員 ありがとうございました。

 GXは、産業界だけではありません。最終的には国民全体がそういう動きになっていかなければならないわけであります。そうしたときに、どのように国民運動、また地方自治体においては市民運動をしていくのかということが大事なキーワードだと思います。

 実は、昨日も我が党の石原議員が、国民運動について質問がありましたので、重複しないような質問をいたしますけれども、環境省は、国民運動を推進することは重要施策に位置づけておられます。その上で、各自治体が身の丈に合った脱炭素の取組というものを展開していかなければいけない。そうしたときに、全国民がそのことをベクトルを合わせてやるにはどうしたらいいのか。それは、政府が旗を振るだけではなくて、自治体が、一番身近な市民に対してどのような指針を出していくのか、旗を振っていくのか、このことが私は大事だ、こういうふうに思います。

 そこで、環境省は脱炭素先行地域を選定しておりますけれども、今、どれほどの規模になっているんでしょうか。そして、それは全てを網羅しているわけではありませんので、その後、どのように更に深掘りしていくのか、横展開していくのか、そのことについてまずお聞きしておきたい。

 そして、あわせて、豊田市では、脱炭素先行地域に選定されておりませんけれども、今年の一月に、とよた・ゼロカーボンアクションを、市民と事業者と行政が一体となって環境配慮行動を実践するという市民運動に着手いたしました。それは、ここにも資料がありますけれども、やはり市民の皆さんが、これならやれる、まずこれなら第一歩を進める、こう思っていただけることが大事だと思います。そのやり方は各市町によって違うと思います。

 その各自治体の独自な取組の必要性と、その支援についてどのようにしていくのか、お伺いをしたいと思います。

西村(明)国務大臣 八木委員がまさに環境大臣政務官のときにお進めいただいておりました各自治体のゼロカーボンシティー宣言、これの推進が、今、具体的な形となって取組に進展しているところでございます。

 まず、環境省では、地域、暮らしのGXといたしまして、脱炭素と地方創生の同時実現、これを目指す脱炭素先行地域を少なくとも百か所選定することといたしておりまして、現在、四十六の提案を選定しているところでございます。

 豊田市には応募いただいておりますけれども、是非、次回に向けて御提案を更にブラッシュアップしていただければというふうに思っております。個別の中身に関しましてはここでお答えするわけにはいきませんけれども、しっかり中身を精査していって、豊田市ほどの力のある自治体であれば、更なる高みを目指した御提案をいただければというふうに思っているところでございます。

 この脱炭素先行地域の中には、町内会が中心となって住民の太陽光発電や蓄電池の導入を進めてエネルギーを地産地消する取組、また、商店街と連携して省エネ行動に対してエコポイントを付与することによって市民の行動変容を促す取組、こういった、市民が主体的に脱炭素に取り組む提案を選定しているところでございます。

 こうした脱炭素先行地域に対しまして、地域脱炭素の推進のための交付金を始めとした各府省庁の支援策も活用して、重点的に支援を行っていく予定でございます。

 さらに、今御指摘ありました、脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動や、五百者以上が参画する官民連携協議会を通じて、こうした地域の取組の浸透や、自治体、企業、団体等の連携を促進して、市民の行動変容、ライフスタイル変革、これをしっかりと後押ししてまいりたいというふうに考えております。

八木委員 ありがとうございました。

 時間になりましたので、以上とさせていただきます。どうもありがとうございました。

根本委員長 これにて八木君の質疑は終了いたしました。

 次に、熊田裕通君。

熊田委員 おはようございます。自由民主党の熊田裕通でございます。

 昨年十二月で、ちょうど、名古屋からこの国政へ送っていただいて丸十年を迎えさせていただき、初めて、いよいよ、ようやっと、この予算委員会で質問させていただく機会をいただきました。委員長始め理事、委員の皆様に心からまずもって感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

 我が国は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の真っただ中にあります。その中において、防衛力の抜本的強化を始めとして、最悪の事態をも見据えた備えを盤石なものとし、我が国の平和と安全、繁栄、国民の安全、国際社会との共存共栄を含む我が国の国益を守っていかなければなりません。

 昨年末、国家安保戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画の三文書が閣議決定されました。それに先立ち我が自民党は、安全保障調査会において合計二十回、約二十時間にわたり、国民の命と平和な暮らしを守るため、ヒアリングや論点整理など、徹底的な議論を行った上で、昨年四月、党の提言という形で取りまとめをいたしました。また、自民、公明両党においても、年末にかけて合計十五回、約四十時間の議論を積み重ねてまいりました。私も、小野寺会長の下、安保調査会事務局長として汗もかかせていただきました。

 政府は、今後五年間、総額四十三兆円の防衛費により、我が国を守る一義的な責任は我が国にあるとの認識の下、刻々と変化する安全保障環境を直視した上で、必要な改革を果敢に、果断に断行、遂行し、我が国の安全保障上の能力と役割を抜本的に強化することになりました。

 本日は、防衛力そのものと位置づけられた国内防衛生産、技術基盤、防衛装備移転についてお尋ねをいたします。

 今後、開発、生産する装備品は、その多くが国内企業の生産するものでなければなりません。私の地元愛知で生産をしている航空機やミサイルについても、製造に関与する企業が数百社あり、サプライチェーンを形成しております。これらの企業は、それぞれの分野で世界トップレベルの技術を持ち、防衛産業のみならず民間航空機製造や宇宙産業を支える日本の製造業の宝でもあります。

 諸外国と異なり、我が国は、武器生産のための工廠や国営企業は持っておりません。サプライチェーンを支える多数の企業が、しっかりと技術を維持し、生産を行い、その後のメンテナンスなど防衛事業に関与し続けることがなければ、防衛費を増額しても、防衛力の強化にはつながりません。防衛装備品を安定的に調達する観点から、サプライチェーン全体をしっかりと維持強化することが不可欠であります。そのためには、各装備品についてサプライチェーンの全体像を把握し、問題点やリスクがあれば取り除く努力をしていくことが求められると考えます。

 装備品のサプライチェーンの現状と対応の方向性についてどのようにお考えになっているのか、お答えをお願いします。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省におきましては、平成二十七年以来、サプライチェーン上に存在するリスクを把握するため、これまで六十九品目の装備品につきまして、防衛関連事業者に対するサプライチェーン調査を実施しているところではございますが、あくまでもボランタリーベースでの調査であることから、必ずしも実効的な調査とはなっていないということでございます。このため、より有効なサプライチェーン調査を行うことが必要であると考えているところでございます。

 一方で、防衛装備品等のサプライチェーンにつきましては、事業撤退や外国への依存に伴いまして、安定的供給が脅かされるリスク、サイバーセキュリティーのリスクなど、様々な課題があると承知しているところでございます。

 こうした課題に対応するため、防衛装備品等の安定的な製造等を確保するための供給網の強靱化やサイバーセキュリティーの強化に早急に取り組む必要があると認識しているところでございます。

熊田委員 ありがとうございます。

 資本主義経済において、企業が産業に参入、撤退することは自由であります。しかし、期待できる利益率が低く、マーケットに将来性が見込めない産業には、撤退する企業があっても、新規参入は見込むことはできません。近年、住友電工や横浜ゴム、ダイセル、横河電機など、航空機用部品を製造する企業が防衛事業から相次いで撤退していると承知をしております。

 相次ぐ国内企業の防衛事業からの撤退の原因をどのように分析をして、いかなる対応を今後お考えになるのか、また、新規参入を促すためにどのような施策をお考えか、お示しをいただきたいと思います。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛事業から近年撤退する企業が相次いでいることは、委員御指摘のとおりでございます。撤退の理由につきましては、企業ごとに多岐にわたりますが、多くの企業から、防衛事業が上げる利益率が低いということにつきまして御指摘をいただいているところでございます。

 防衛省は、今後、企業の生産管理に係る努力の評価等に基づきまして最大一〇%の利益率に加えまして、最大五%のコスト変動調整率を付加して予定価格を算定する方式を導入するほか、防衛省内の調達事務を改善するなどにより、企業の適正な利益の確保を推進してまいる所存でございます。

 また、装備品等の安定的な製造等を確保する観点から、撤退企業から他の企業に円滑な事業承継が行われるよう、所要の措置を検討してまいります。

 防衛産業の新規参入促進といたしましては、中小企業等が防衛事業に新規参入する機会を創出するために、防衛省・自衛隊や防衛関連プライム企業と中小企業等との間のマッチング事業というものを平成二十八年度から実施してきております。

 防衛省といたしましては、引き続き、優れた技術や製品を有する中小企業等を発掘、活用させていただきまして、防衛産業基盤の強靱化、サプライチェーンの強化に積極的に取り組んでまいる所存でございます。

熊田委員 防衛力の発揮に不可欠な装備品は、有事においても供給が継続されなければならないということは当たり前のことであります。国内企業から調達されることが望ましいと考えます。国内企業が事業継続や新規の参入を望むように、力強く持続可能な防衛産業を構築していただかなければなりません。

 防衛力整備計画には、防衛生産、技術基盤の強化、装備移転の推進といった政策を実施するために、必要な予算措置等、法整備等を行うとありますが、具体的にどのような措置を行っていくのか、お答えをください。

浜田国務大臣 防衛省は、令和五年度予算案において、防衛生産基盤の強化のために約一千四百六十三億円、研究開発のために約八千九百六十八億円を計上しております。

 具体的には、防衛生産基盤の維持強化のために、サプライチェーンの強靱化、サイバーセキュリティーの強化、そしてまた事業承継の円滑化、そして防衛装備移転推進、そしてまた防衛特有の従来の技術の維持向上に係る取組等を、施策を講じてまいりたいと考えております。

 また、技術的優越を確保するために、民生分野の先端技術を取り込む施策を講じるとともに、スタンドオフ防衛能力、HGV等対処能力、そしてまた無人アセット防衛能力、次期戦闘機の開発といった分野に集中的に投資してまいります。

 さらに、防衛生産基盤の維持強化のための施策を令和五年度から実施するため、必要な法整備を行いたいと考えております。現在、本通常国会への提出に向けて調整を行っているところであります。

熊田委員 ありがとうございます。

 三文書を策定する議論に大きな影響を与えた出来事として、ウクライナへのロシアの侵略を挙げることができると思います。もうすぐ開戦から一年になりますが、ウクライナは自国を防衛すべくこの瞬間も懸命に戦いを続けております。

 米国や欧州を始めとする国際社会は、これまで、ウクライナを支援するため、対戦車ミサイル、装甲車、りゅう弾砲などを供与してきました。また、最近では、米国やドイツが戦車の供与を決定し、バイデン大統領やショルツ首相はウクライナへの全面的な支援を継続することも表明いたしました。このような米国や欧州諸国の姿勢に、自由と民主主義、国際秩序や法の支配を力による現状変更から守る覚悟を感じます。

    〔委員長退席、中山委員長代理着席〕

 我が国は、地理的な条件が異なりますが、国際法違反の力による一方的な現状変更は断じて許容してはならず、また、ウクライナで起きていることはこのインド太平洋地域でも発生し得るとの認識の下で、我が国としてもウクライナ支援を行っていく必要があります。

 防衛装備移転三原則と自衛隊法百十六条の三の枠組みの下で、これまでに、自衛隊の装備品や物資を不用決定した上で、防弾チョッキ、防護マスク、防護衣、小型のドローン、民生車両等をウクライナに提供してきましたが、現在の制度では、他国の戦車供与のように殺傷力のある装備品等は移転できないため、国際法上不法な侵略を受けているウクライナの防衛という目的であっても、より幅広い装備品等を提供することはできません。

 防衛装備移転は、単に装備を他国に移転するということではなく、安全保障政策上、力による一方的な現状変更を未然に防ぎ、我が国にとって望ましい安全保障環境を主体的につくり上げていく、また、国際法違反の侵略等を受けている国への支援のため、重要な政策ツールであります。

 政府は、与党間の議論を行った上で、九年前に防衛装備移転三原則を決定し、防衛装備移転の道を開きました。これにより、イギリスや豪州などを始め、米国以外の有志国との共同研究や装備、技術協力が活発化した一方、完成した装備品の移転の事例はフィリピンへの警戒管制レーダーの移転一件のみと聞いております。

 我が国からの装備移転により、東南アジア諸国の海上防衛能力を向上させることが地域の平和につながると考えておりますが、現在の制度では、仮に、我が国と協力関係のある国が我が国の技術を信頼して護衛艦や潜水艦の移転を求めたとしても、国際共同開発、生産を除けば、我が国はそれらを完成品としてそれらの国に移転することもできません。

 現在の制度でも、直接的な殺傷や破壊を行わないような防衛装備品であっても、救難、輸送、警戒、監視、掃海という五つの類型に当てはまらなければ、諸外国に移転することができません。したがって、例えば、我が国に対して練習用航空機や訓練用装備品の要望があったとしても、現行制度の下では移転はできません。また、通信機材や音響観測艦も移転することができません。さらに、施設整備のためのドーザーや人道的側面の強い地雷を除去するための装備品すら、現在の制度では移転することはできないのです。

 ロシアのウクライナ侵攻のみならず、中国の東シナ海での活動の活発化、台湾に対する軍事的圧力、南シナ海における軍事拠点化といった軍事動向、北朝鮮の急速なミサイル能力の向上を含めた核・ミサイル開発など、今後、最も厳しく複雑な安全保障環境に置かれる中で、我が国も自国の平和は自国で守るという強い意思と行動が求められております。

 そして、我が国の平和を守る上で第一に重要なことは、何より、力による一方的な現状変更を許容しない環境をつくり上げていくことです。

 もうしばらくで質問に移ります。

 厳しく複雑な安全保障環境の中で、できるだけ多くの国とともに……(発言する者あり)早めに終わります。法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を強化し、さらに、同盟国、同志国間のネットワークを重層的に構築するとともに、それを拡大し、抑止力を強化することが重要であります。

 東南アジア、南西アジアには、インドを始めとして、その防衛力の根幹である防衛装備品の多くをロシアや中国から輸入している国家があることも現実です。これを踏まえれば、装備移転について、殺傷性があるかないかという防衛装備品の性質に着目するのではなく、国という点に着目して、移転先が安全保障上我が国として関係を深めていく国であるかどうかということから装備移転を考えていく方法もあるのではないかと私は考えております。

 国家安保戦略及び国家防衛戦略では、安全保障意義の高い防衛装備移転や国際共同開発を幅広い分野で円滑に行うため、防衛装備移転三原則や運用指針を始めとする制度の見直しについて検討するとあり、今私が申し上げたような問題意識を踏まえながら、我が国が今後より幅広い移転をしっかりと実現できるよう、早期にしっかりと見直しを進めていきたいと考えております。

 また、制度の見直しに加えて、装備移転において、相手国が求める価格や取得時期を踏まえた細やかな調整や、移転の見返りとして求められるオフセットへの対応など、これまで経験が浅い我が国には様々な課題があると聞いております。

 先ほど申し上げた装備移転の意義を踏まえ、官民一体となって、政府が装備移転を主導する姿勢を明確にして、これらの課題を解決していく必要があると考えますが、防衛大臣の認識をお伺いいたします。

    〔中山委員長代理退席、委員長着席〕

浜田国務大臣 装備移転は、力による一方的な現状変更を抑止して、また、我が国にとって望ましい安全保障環境を創出するため、また、国際法に違反する侵略などを受けている国への支援等のために重要な政策手段であると考えます。また、防衛力そのものである防衛産業の維持強化にも効果的と考えております。

 防衛装備移転三原則やその運用指針を始めとする制度の見直しについて、委員の御意見も受け止めつつ、防衛省としては、関係省庁とともに与党と調整を丁寧に進めながらしっかりと検討してまいりたいと考えております。

 また、委員御指摘のとおり、装備移転には様々な課題があるということを我々考えております。政府が主導して、官民一層の連携の下に装備移転を推進していく考えでございます。

熊田委員 私の持ち時間は十時五分でありますけれども、本来、形式上は十時までとなっておりますので、早めに終わらせていただきたいと思います。

 今回、私は、この三文書の改定に向けた議論の中で、四十三兆円の積み上げを多くの皆さんと一緒に、理解をしていただきながら、議論を進めてまいりました。

 私自身の考えでありますが、誠に残念だったのは、年を明けたこの国会から、積み上げの中身を丁寧に国民の皆さんに、議論をして、中身を理解していただくという流れができるものだと思っておりましたが、残念ながらその前に、必要な財源という話で、増税という議論までされることは、私は大変残念でなりません。まずは多くの中身を、この防衛力の強化の中身を国民の多くの皆さんに理解をしていただく中で、その中で増税という議論が進んでいく、そうあるべきではなかったのかなと、私は個人的にはそんな思いであります。

 これから国会がまだ続きます。防衛大臣を含めて、丁寧に国民の皆さんに、必要のある防衛力の強化だということを一人でも多くの国民の皆さんに御理解をいただくように、これから大臣が中心となって丁寧に御説明をしていただくことをお願いをし、御期待を申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて熊田君の質疑は終了いたしました。

 次に、森山浩行君。

森山(浩)委員 改めまして、よろしくお願いいたします。立憲民主党の森山浩行でございます。

 ただいまの質問者の方から、防衛増税について、国民への説明、また我々野党への説明が足りないばかりか、どうも与党の中でも説明が足りないというような思いがにじむような発言がございましたけれども、官房長官、与党内での議論というのは十分なされたのでしょうか。

松野国務大臣 森山先生にお答えをさせていただきます。

 いわゆる安保三文書に関しての議論でありますけれども、従来より総理から答弁をさせていただいておりますが、一年間にわたりまして議論を重ね、当然のことながら、与党の皆さんのお考えもお聞きをしながら進めてきたものでございます。

森山(浩)委員 議院内閣制というのは、事前に与党の中で様々な議論を尽くしているので、この国会の場においては野党に時間が多く与えられるというような形になっておるかというふうに思いますが、今のような形で思いの発露をされる、しかもまた、質問はしにくいというような形で独り言のように言われたというのを見て、ちょっとびっくりいたしました。

 残念ですけれども、政権の不祥事についてお尋ねをいたします。

 今日は総理出席ではございませんので、翔太郎秘書官の件ではなくて、松野官房長官。御自身の政策秘書さんが先月二十八日に酒気帯び運転で検挙され、辞表を提出されたという会見をされたと報道されております。この方、長官とはどのような御関係ですか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 政策秘書でありました。また、縁戚関係でもございますが、個人のプライバシーの問題もありますのでこの場では差し控えさせていただきますが、予算委員会の審議上必要な事項ということであれば、委員長の御指示に従わさせていただきます。

根本委員長 指示に従うというのはどういうことですか。

松野国務大臣 私が答弁をさせていただきました趣旨は、縁戚関係ということでございますが、更なる説明が必要ということであれば、その御指示に従いたいと思いますということです。(発言する者あり)

根本委員長 じゃ、説明してください。

松野国務大臣 政策秘書であり、縁戚関係を更なる説明ということでございますれば、義理の弟に当たります。

森山(浩)委員 私、会見あるいは報道の資料を見たんですよね。何か、政策秘書ですという形でしれっと説明をされていたように見えました。

 弟さんですよね。弟さんであるということはやはり最初に言うべきことであって、こういうような近しい方がこのようなことを起こされたということで、きちんとお謝りになれば、それはそれできちんと説明はつくんだと思いますけれども、なぜ今まで黙っておられたんですか。

松野国務大臣 先ほど申し上げたとおり、政策秘書の立場として、公設秘書の立場として、これはあってはならないということで、国民の皆さんにおわびを申し上げ、そして私の方からも厳しく指導した上で本人がその職を辞した、衆議院に関して辞表を提出したということでございまして、そのときに、職制上の責任論としての話を、謝罪をさせていただきましたので、私との個人的な関係が縁戚に当たるということが、謝罪の前提としてすべきものであるかどうかという考えには私は至りませんでした。

森山(浩)委員 官房長官は危機管理の責任者です。情報というのは、隠してしまうと、出てきたときに、何でそういうことになっていたのかと。

 この間の予算委員会の議論でも、翔太郎秘書官がなぜこれだけのことを言われているかというと、総理の御長男だからですよね。そういうことを考えると、やはり国民感情からしても、何か悪いことがあって隠していたんじゃないかというような疑念を持たれるようなことは控えていただきたいと思いますし、ちょっとここは認識を改めていただきたいと思います。

 さて、昨日、本委員会で岸田総理が、パートタイムや非正規雇用の労働者が配偶者控除の対象外になったり社会保険料を負担をする百三十万円などの年収の壁、百六万円の壁もあるわけですけれども、対応策を検討すると答弁をされております。

 担当大臣として、加藤厚労大臣は、それを受けて、いつ頃、どんな形で検討し、結論を出そうとお思いになるか、あるいは、何か課題等、今思いつくことがあればお知らせください。

加藤国務大臣 今お話があった百三十万であり百六万円の壁ということでありますけれども、一つは、百三十万円の壁について、意識せずに働くことが可能になるよう、その解消に向けて、まず、短時間労働者の方への被用者保険の適用拡大を逐次進め、さらに来年も、五十まで引き下げるということをさせていただくということであります。

 また、最低賃金の引上げ、賃金水準が上がるということによってもその解消につながるものということでこれまで取り組んできましたが、ただ、他方で、やはりどうしても、その壁があって労働時間を短縮しておられるという方もいらっしゃる。それを踏まえて、総理も、例えば施政方針演説では、女性の就労の壁となっているいわゆる百三万円の壁や百三十万円の壁といった制度を見直すということを申し上げられたわけであります。

 この論点を議論する際に、課題とおっしゃいましたけれども、一つは、被扶養者でない単身の方、同じように働いている方、そこのバランスをどうするのか、あるいは、国民健康保険、国民年金の加入者のうち、百三十万円や百六万円未満の、基準未満の収入であっても保険料を負担している方もおられますから、やはりそこに課題があることはそうだけれども、同時に、社会保障という点では、特に公平性というのは非常に大事だというふうには考えております。

 ただ、そうしたことも念頭に置きながら、適用拡大を始めとした取組を進めていくということを中心に、更にどういう対応が可能なのか、更に議論は深めたいというふうに思っています。

森山(浩)委員 この問題というのは、労使共に困っているという人が目の前にいる問題でございますので、是非前向きに取り組んでいただきたいと思います。

 提案です。

 教員の働き方改革、問題になっております。仕事が多過ぎて子供と接する時間が取れないという本末転倒ともいうべき勤務実態に対して、教員の人数を増やそうにも、近年、有資格者の数との関係でも限界があります。

 教員に対して仕事を押しつけるだけではなく、様々な形で学校で働いたり関わってくれる人を増やそうという方向で、例えば、私は、現在各学校に一人置かれている学校事務職員を、学校全体の事務だけでなく教員の書類作りや総務的な仕事などを引き受けるような形で増やすべきだと考えていますが、永岡文科大臣、学校事務職員、増やせるといいですね。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 学校事務職員の定数につきましては、法令に基づきまして算定されておりますが、これまでも計画的に改善を行ってきたほか、近年では、事務機能の強化のための共同学校事務室の設置促進等のための加配定数の充実も図ってきております。

 令和五年度の予算案におきましても、こういった加配定数の改善を盛り込んでいるところでございます。

森山(浩)委員 実は、このアイデア、明治大学の飯田泰之教授も提唱されておりまして、地方創生でUターン、Jターン、Iターン、これを促していくためには、そもそも、第一次産業を目指す人たちに訴えるのが基本で、これについては、漁業できますよ、農業できますよ、林業できますよ、こういうパンフレットもたくさんあるかと思います。

 しかしながら、そうではない、都会と同じような働き方、それに加えて、都市にも多い事務仕事、これに引き続き従事するという形で田舎暮らしができないか、子育て世代にアピールをする職場があると訴える必要があるというもので、そこにうってつけなのが学校事務職員ということで、事務職で仕事をしながら、例えば、生活費はそんなにかからない、あるいは二時間も満員電車に揺られて通勤しなくてもいい、だから多少給料が下がってもそれで夫婦で生きていけるよね、こういうようなアピールができるのではないかということでございますけれども、岡田大臣、地方創生のメニューで検討されませんか。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 人口減少、少子化が深刻化する中で地方の活性化を図るためには、地方への移住、定住を推進し、都会から地方への人の流れを生み出すことが重要でございます。

 そのような観点から、優秀な人材が地方に興味を抱き、地方で活躍の場を見つけて地域に貢献することは、地方創生や東京圏への過度な一極集中の是正につながると考えております。

 一つの考え方というか手法として、地方創生関係交付金というものがございますけれども、これは学校事務職員、公務員に対する給付は対象外となっております。しかしながら、地方創生に資する教育分野の取組やデジタルによる学校教育の効率化、高度化の取組などは自治体によって支援の対象となり得ますことから、引き続き、地方のニーズや御意見を踏まえて、各地方公共団体の取組を後押しできるように取り組んでまいりたいと思います。

森山(浩)委員 また、返礼品競争になっているふるさと納税、これの問題についてはまた議論をしたいと思いますけれども、このメニューに対して、本来の制度趣旨であります政策メニューを推進をするという中で、例えば、学校に対してうちの市は使いたいんだというようなことをアピールするというようなこと、こんなことも推進できるかと思いますが、松本総務大臣、いかがですか。

松本国務大臣 ふるさと納税は、御案内のとおり、ふるさとやお世話になった自治体への感謝の気持ちを伝え、税の使い道を自分の意思で決めることを可能とするものとして創設された制度でありまして、そのような中で、ふるさと納税制度を通じて受け入れた寄附金の使途については制度の趣旨を踏まえて各自治体において御判断をいただくものということで、個別のテーマについてコメント申し上げることは差し控えたいと思いますが、自治体の中にはクラウドファンディング型のふるさと納税を始め、寄附金の使い道をあらかじめ明示して募集を行う事例があるということは承知をしております。

 今も教育のお話でございましたが、例えば遠距離通学の支援であるとか、そのほか教育に関する取組のための寄附金を募集している自治体があるというふうには承知をいたしております。

 なお、ふるさと納税の制度が普及する過程で過度な返礼品競争が行われたことなどを背景に、本来の制度趣旨から逸脱しているという御指摘もありましたので、令和元年にふるさと納税の対象となる自治体を国が指定をする制度を導入をいたしまして、返礼割合を三割以下かつ地場産品とすることといった基準が定められて、各自治体においては法令に定められた基準の下でふるさと納税の取組が行われていると承知をしております。

 これまで、現行制度においては、指定期間中の基準不適合を理由に指定を取り消すことができますが、指定期間の終了間際に不適合が発覚した場合には実務上指定の取消しが困難となっておりました。このことを踏まえて、令和五年度税制改正においては、より公平な制度とし、その適正な運用を図る観点から、最大二年前までの基準不適合まで遡って取消し事由とする改正を行うこととしているところでございまして、現在、法案提出の準備を進めているところでございます。

 今後とも、各自治体と納税者の皆様の御理解をいただきながら、ふるさと納税が適正に運用されるように取り組んでまいりたいと思いますし、私ども総務省としては、地方創生に資することが望まれるというのはおっしゃるとおりかというふうに思います。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 これは政府全体で検討をし、取り組んでいただく中で、地方での仕事をつくる。学校というのはどんな田舎にもありますから、そういうような形で、UJIターンをやりたいなと思う人に後押しができるようにしていただきたい。

 一挙両得のお話じゃないかと思いますけれども、官房長官、お願いできますか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 UIJターンの促進による地方創生の促進については、一次産業のみならず、各地方には公立学校の事務職員など様々な事務職のポストがあり、就職できる事務職のポストが増えれば、UIJターンの促進につながるものと考えております。

 政府としては、ふるさと納税の活用や地方へのUIJターンの支援、魅力的な地域をつくる取組を進め、地方への人の流れをより強いものとし、今後とも地方創生の促進に取り組んでまいりたいと考えております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 さて、我が党では、失われた十年政策検証プロジェクトチームを立ち上げ、この間の自公政権で、主に七分野を中心にどのようなことが行われてきたのか、そして、これからどうするべきなのかということで、本日から本格的な検証をスタートすることといたしました。

 パネルがあります。児童手当の所得制限の撤廃、今回言い出していただいていますけれども、この間、実現をしていない。そして、その背景には、統一教会のいわゆる反対といった強い意見も見られます。選択的夫婦別姓は党内での議論がまだ詰まっていないというようなことになっていますが、これについても、自民にいわゆる確認書というような形で、選挙のときに、こういうのは慎重にせいというようなことを交わしていたというような報道もありました。同性婚、これについても実現をしていないというようなことで、非常に象徴的なテーマを中心にパネルを作らせていただきましたけれども。

 毎日新聞で、文鮮明先生マルスム選集ということで、文鮮明さんが一九五六年から二〇〇九年、信者に向けて説教した言葉が韓国語で記され、各巻三百ページから四百ページで、二〇一二年まで六百十五巻が発行されたというようなもの、そして、既に絶版になっていて日本語版はないというものが、勝手にサイトに上がっていたということで、これを見つけ出されまして、統一教会に確認をしたところ、中身は本物であるということを聞いた上で、これを訳しながら、特集でこの間記事を書かれております。

 岸首相のときから私が日本の政界に手を出したというような振り返りであるとか、中曽根のときに百三十人の国会議員を当選させたというようなこと、あるいは安倍派を中心とした更なる関係強化というようなことも書いてある。

 ということで、非常に多くの記述があるわけですけれども、これは、例えば、中身をしっかりと収集をされて、これまでどんなことがあったのかということ。安倍前総理も亡くなりました。そして、もう既に鬼籍に入られた方もたくさんいる。長年の関係があるというふうに細田議長も密室での話でおっしゃっているという話でございます。

 先日、この委員会で派閥の離脱の話なども与党議員からもされていますので、派閥の話もどうかなと思っていたんですが、ちょっと聞かせていただきますが、安倍派の幹部であります官房長官御自身、これまで、細田議長あるいは安倍元総理、この選挙の差配であるとか、あるいは統一教会とのつながりというようなものを見聞きされたことはありますか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 故安倍晋三元総理、また細田議長等々、派閥の先輩として、当然のことながら、選挙戦においても御指導いただいておりますが、森山先生から今御指摘があった旧統一教会との関係において、何らかの動きをされているということは私は承知をしておりません。

森山(浩)委員 何か、安倍派を中心に狙っているというような発言もあったりするわけですけれども、では、そういうことは、長官御自身もお答えになっていますけれども、選挙を手伝ってもらったり、あるいは何らかのやり取りをして、あるいはこの人に手伝ってやってくれと頼んだりとかということもありませんね。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 先生から御指摘があった団体との関係はございません。

森山(浩)委員 というようなことであるんですけれども、政策的な部分で非常に多くの影響を受けているのではないか、あるいは、いわば、そういう人たちとおつき合いをしていたら、こんなふうに言ったら喜んでもらえるかなといったものも含めての発言があるのではないかということで。

 「WiLL」という雑誌、二〇一〇年七月号ですけれども、子ども手当によって民主党が目指しているのは、財政を破綻させることだけではなく、子育てを家族から奪い去り、国家や社会が行う子育ての国家化、社会化です、これは実際にポル・ポトやスターリンが行おうとしたことですというふうにありますけれども、官房長官、このように思われますか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 御指摘の安倍元総理の発言は、私自身、その場にはおりませんでしたので、直接コメントすることは差し控えさせていただきます。

 なお、個々具体の政策の例示になりますけれども、済みません、この後の……(森山(浩)委員「子ども手当の政策は、国家化、社会化で、ポル・ポトやスターリンが行おうとしたことですというふうに思われますか」と呼ぶ)

 済みません、失礼をいたしました。先ほど申し上げましたとおり、その場にはおりませんで、どういった文脈、議論の中で出た発言かも承知をしておりませんので、コメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

森山(浩)委員 では、次に行きましょう。「WiLL」に載っているけれども、その場にいなかったのでと。では、その場にいたやつにしましょうか。

 「バラマキ政策撤廃の第一歩。」という、これは、自由民主党、平成二十三年八月四日、政務調査会長石破茂さん。いらっしゃいますかね、あっ、今日はいらっしゃらないんだ。ということで、政務調査会長がまとめられて発表されている公式な文章でございます。「「子ども手当」の撤回は、家庭を基礎とする我が国の自助自立の精神に真っ向から反した「子どもは社会で育てる」との民主党政策の誤りを国民に広く示すこととなり、大きな成果であったと考えます。」。

 当時どのように考えておられたか、そして、現在どのように思うか、これは分けてお知らせいただければと思います。官房長官。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 平成二十四年度の児童手当の見直しにつきましては、民主党、自民党、公明党の三党合意に基づき、子の父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本認識の下、社会としてもそれを支援していくという旨が改正法の目的において規定をされております。したがって、子育てについての責任という点については、これが当時合意された基本認識であると考えております。

森山(浩)委員 それは多分、誤解に基づくもので、家庭を中心として社会で関わっていこうというのが当時の民主党の政策であったと思いますが、現在、子ども手当、まあ児童手当という名前になっていますけれども、所得制限撤廃を検討していくというフェーズに来ている中で、このときの、子供は社会で育てるという政策の誤りを国民に広く示すこととなり大きな成果というふうなことというのは、今の認識とは違いますか。

松野国務大臣 先ほど申し上げたとおりでございますけれども、当時の三党による基本合意でございまして、その基本合意の考え方は、現状においても引き継がれているものと考えております。

森山(浩)委員 基本合意については、予算を人質に取って、このぐらいだったら何とかのんでくれといって与党側の民主ものんだというような経緯があったと思いますが、ここに書いてあるのは、自民党さんが民主党の政策を打ち破って、我々は勝利したというような中において、子供は社会で育てるの部分というのは間違っていて、所得制限は撤廃してはいかぬのだという趣旨だと思いますけれども、これの考え方はどうですか。

松野国務大臣 まず、政府の立場として答弁に立たせていただいておりますので、それぞれの党の見解に関して私がここでコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 政府の立場としては、先ほど来申し上げた合意の下に行われてきた施策、この認識を引き継いでいるということでございます。

森山(浩)委員 じゃ、次に行きます。

 児童手当、子ども手当の変遷です。

 ちょうど民主党政権の二年間だけ所得制限が撤廃をされました。その後また復活をするわけなんですけれども、どうでしょうね、この十年前とは状況が変わったという認識ですか。

松野国務大臣 状況に関しては様々な分析があるかと思いますが、まず、少子化自体が進行している、大変な危機的な状況にあるという認識でございます。

森山(浩)委員 前のことはどうか分からないですけれども。

 公明党の山口代表が、昨日、会見をされまして、今は財源をどうするかを議論するよりも、何をどのようにやるか中身についてしっかり議論した上で、あるいは、公明党はそもそも児童手当の所得制限には反対だったというようなことで、与党内で押し切られたんだというようなことをおっしゃっているようでありますけれども、斉藤大臣、この変遷を見て、現在、どのように思われますか。

斉藤(鉄)国務大臣 私、今、公明党を代表する立場で答弁する立場におりませんので、答弁は控えさせていただきます。

森山(浩)委員 まあ、押し切られちゃったんだということですけれども。

 じゃ、次のパネルに行きましょうか。

 この児童手当の所得制限の復活で少子化が進んだという可能性があるのではないかと試算をしました。ゼロ歳から三歳未満が、月額一万五千円のところを特例給付でマイナス一万円、三歳から小学生については、第一子、第二子と第三子以降で違いますが、五千円あるいは一万円、そして、中学生については、月額一万円のところを五千円というようなことで、厚生労働省それから内閣府の資料を足し算しまして、それを計算をしました。人数を掛けてみました。全体でおよそ一・一兆円、これが支給されていたはずの金額です。

 そして、その一・一兆円ということで減額をされていた分、途中で、中学から高校に行こうと思っていたけれども突然切られたというような人もいるというようなことでありますし、その間、じゃ、もう一人子供と思っていた人が、これは中産階級というか中所得者の皆さんも多いわけですから、三人目の子供は無理だなというふうに断念をされた方も実際いられるということですけれども、この状況を見て反省はありますか、官房長官。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 過去十年間についての御指摘について、これまで政府においては、保育の受皿整備、幼児教育、保育の無償化などを進めてきました。少子化対策関係の予算額は大幅に増加し、例えば、いわゆる保育所待機児童数が大きく減少するなど、一定の成果があったと考えています。

 一方で、少子化の背景には、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が絡み合っており、児童手当の所得制限といった個別の政策だけによる出生率への影響を取り出してお答えすることは難しいことは御理解をいただきたいと思います。

 他方で、社会経済情勢が大きく変化するとともに、取り組むべき政策の内容も変化をしてきます。効果的な対策の在り方を検討し、まずは、子供、子育て政策として充実する内容を具体化してまいりたいと考えております。

森山(浩)委員 子育て政策というのは息の長い政策なんですね。子供を産もうかどうか考える、そのときに、ここから先どのぐらいお金がかかるだろうか、だから、このぐらい、もう一人産めるな、無理だなということを判断するその大事な時点で、十年にわたってこの手当がなかったということについて、これは非常に大きな責任があると思いますよ。一人当たり八十数万円、二人いたら、あるいは三人いたらと考えると、これは大きな影響があったのではないかと思います。

 それに加えて高校無償化の問題です。高校無償化の部分についても、所得制限を入れることにより六十万人の高校生が不支給になり、毎年、不支給額は七百億円、九年間で六千三百億円が不支給ということになっておりますが、文科大臣、子ども手当、児童手当の所得制限が撤廃を検討するという中で、高校無償化についてももちろん検討をいただけますね。

永岡国務大臣 所得制限の撤廃という、子供手当それから児童手当につきましては、所管ではございませんので、発言は差し控えさせていただきたいと思っております。

 高等学校等の就学支援金につきましては、平成二十六年度に制度改正をいたしまして、支給対象を年収九百十万円未満の世帯とさせていただいております。所得制限を設けることで捻出をいたしました財源をやはり有効活用して、私立の高校等へ通う生徒の就学支援金の加算拡充などの低所得者世帯への支援を拡充をしたということでございます。

森山(浩)委員 ほかの政策とも平仄を合わせていくということでいうと、高校無償化あるいは大学の問題も含めて、検討しないという理由はないと思いますけれども、これはここから先に向けて検討をいただけますか、文科大臣。

永岡国務大臣 少子化等の様々な要因の一つに教育費のことが指摘されておりますので、文部科学省といたしましても、今後とも、教育に係ります経済的な負担の軽減、これにはしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

森山(浩)委員 児童手当そして高校無償化、この所得制限により、一・七兆円以上ものお金が、本来子育て世代に行くはずだったものが、この十年行かなかった。まさに失われた十年というところで、皆さんおっしゃっている、いわゆる次の世代への投資、あるいはこどもまんなか社会ということ等を考えると、ここから先、過ちては改むるにしかずということでございます。

 これまでの反省及びこれからの検討をしっかりしていただきたいと思いますが、官房長官、お願いします。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 岸田内閣としても、この少子化対策というのは、最重要課題として今取り組ませていただいております。その中において、様々な、総合的なパッケージとして今政策づくりを進めているところでございます。先生の問題意識とこの問題の方向性については、思いを一にする、同じ方向性であるというふうに考えております。

 所得制限等につきましては、これは一般論として申し上げれば、その時代時代の社会的なニーズの問題があり、他の政策との比較検討、バランスの問題があり、財源等の問題等もございます。総合的に判断をしてまいりたいと思いますが、いずれにしても、最重要課題である少子化対策に、内閣として、総合して積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

森山(浩)委員 済みません、今、見過ごせない言葉が。時代時代によって変わるとおっしゃった。では、二〇一〇年に比べて、現在、子育て環境、変わっている部分は何ですか。

松野国務大臣 私が先ほどの答弁で申し上げた、時代の要請、ニーズについてという発言でございますけれども、先生お聞きをいただいたとおり、所得制限についての考え方、あの文脈の中において、その判断の要素として申し上げたことでございます。

森山(浩)委員 そのときに、我々は、子供は家庭を中心としながらもしっかり社会で支えるべきだというのに対して、総理はポル・ポトだとかいうようなことを言っている。私、同期の、初当選、小泉進次郎議員がいますけれども、彼の最初の国会質問だって、子ども手当、何だというようなことになっています。今、何かインターネット上でバズっているようですけれども。

 本当に子供たちのためにしっかりと大人が責任を果たすという部分でいうならば、子供を社会で支えるのは駄目だというような考え方、お金が足りないから待ってくれという話なら分からぬでもない、そこは優先順位をつけながらやっていく。でも、お金がないからというのではなくて、そもそも社会で支えるのはおかしいなんというような主張をされるという部分については、これは、自民党の皆さんには猛省をしていただきたい。

 私も、当時この場にいた者として、あのひどい議論、子供は自分で育てるべきだ、自助だ、さっき書いていましたね、自民党のあの勝利宣言の中に、自助なんだぞというような話を言ってしまったというようなことも含めて、きちんと反省の上で今回の提案にしていただきたいと思います。これは総理大臣もまだ反省の弁を述べていません。大きな問題だと思っています。引き続き行きたいと思います。ありがとうございます。

 済みません、デジタル庁始め行けなかった人、済みませんでした。

根本委員長 これにて森山君の質疑は終了いたしました。

 次に、柚木道義君。

柚木委員 立憲民主党の柚木道義でございます。

 質疑の機会をいただき、ありがとうございます。また、各大臣、省庁の皆様、ありがとうございます。

 ちょっと通告、統一教会問題がメインにはなるんですが、それ以外の、五項目のうちの四項目の行けるところをちょっと先にやって、統一教会の方に行きたいと思いますので、順番として、五輪談合の疑惑の問題から入って、育児休業給付金の所得上限撤廃、マスク着用の流れまで行って、統一教会問題、あと残りの流れで行きたいと思いますので、担当大臣、それぞれよろしくお願いいたします。

 永岡大臣、今朝の報道等にも出ておりますが、オリンピック、五輪組織委員会の元次長、立件の方向で捜査が進んでいて、私も、ちょっと今朝の報道を見て、これはもう本当に、前回、文科委員会でもこの問題はやりましたけれども、あのときの文科大臣の答弁からフェーズは完全に変わりましたね。

 元次長、談合を認める意向と、当時は認めていなかった、容疑を否認していましたが、認めた上で、談合の共同正犯として立件する方針で今捜査が進んでいるということですね。これは、文科大臣、もう国民のオリンピックへの信頼は地に落ちました。

 当初七千三百億円ですか、結果的には一兆六千四百四十億円ですか。そして今、これだけ本当に、コロナ、物価高、ダブルパンチ、増税の議論まで出ている中で、この金額、これだけあったら異次元の少子化対策、どれだけのことが実現できるんですか。もちろんワンショットだから単純な比較はできませんが、給食費の無償化、例えば小中高完全無償化で五千三百億円程度ですね、あるいは授業料無償化についても、これだけの金額があればかなりの部分実行していける。

 こんな中でのこの談合ですから、是非、ちょっと文科大臣に伺いたいのは、みなし公務員でもある元次長が談合を認める意向で立件される、こういう事態に至っていることへの認識と、そして、まさにみなし公務員であった元次長が落札企業に顧問契約して顧問料をもらっていた、これは、五輪を食い物にするにもほどがあるんじゃないですか。このこと、不適切だったんじゃないですか。このことへの認識も含めて御答弁をお願いいたします。

永岡国務大臣 柚木委員にお答えいたします。

 私も報道を見て大変驚きました。やはり、テスト大会をめぐります入札疑惑で仮に不正があったとすれば、本当に本当に許されないということと考えております。オリパラの競技大会を始めといたしますスポーツの価値を大きくおとしめるものと、やはり、大変、これはもうあってはならない、そう考えております。

 文部科学省といたしましては、今後の公正取引委員会等の調査を注視しながら、適切な対応を図っていきたいと考えているところでございます。(柚木委員「顧問料」と呼ぶ)

 大変申し訳ございません、顧問料につきましても同等でございます。これは、しっかりと捜査、調査をしていただいて、その結果……(柚木委員「適切なの、顧問料をもらうこと」と呼ぶ)顧問料は、そうですね、はい、分かりました。これは……

根本委員長 その場でやり取りしないで、きちんと質問してください。(柚木委員「いや、通告しているから」と呼ぶ)そうしたら答弁してください。

永岡国務大臣 はい。

 顧問料につきましては、やはり、みなし公務員ということを考えれば不適切である、そう考えております。

柚木委員 これは詳細に通告していますからね、大臣、ちゃんと答えてくださいね。紙もちゃんと用意されていると思いますから。

 もう一つ、この五輪の関係で伺いますが、これは、五輪組織委員会は解散をされましたが、今のような五輪談合の捜査が進んでいる中で、ガバナンス体制の在り方等のプロジェクトチームですね、これが設置をされて、今議論をまさにされていると。

 まさに、今回の問題こそ最大のガバナンスの欠如ですよね、大臣。まさにこのガバナンス体制の在り方についての検討プロジェクトチーム、ここで、これは当然捜査、公判、進んでいきますよ、しかし、注視するだけではなくて、まさに同時進行でこのガバナンス体制の在り方、しっかりと議論をして、そして、国民の皆さん、地に落ちた五輪への信頼、これを回復すべく、これは今月中にも指針、何らかの方向性、中間報告でもいいので出してくださいよ。答弁をお願いします。

永岡国務大臣 柚木委員おっしゃいますように、やはり、オリンピックに対する国民の不信感というものは大変大きくなっているかと思っております。

 現在、スポーツ庁とJOCが中心となりまして立ち上げましたプロジェクトチームにおきまして、今後の大規模な国際大会の運営の透明化そして公正化を図るための指針案の検討を行っているところでございます。

 そして、その作業チームにおけます検討状況も踏まえつつ、指針案につきましては、二月中に公表ができるように予定をしているところでございます。

柚木委員 二月中に公表ということですから、まさに今回のあり得ないガバナンスの欠如、これも踏まえた方向性が二月中に出される、これは初めての答弁だと思いますので、注視しておりますので、しっかりとしたものを出してください。

 こういった状況にあって、二〇三〇年の冬季五輪招致について、これは、札幌市長さんも、まさに市民、道民、国民の理解が得られなければ前に進められないという認識で今いらっしゃると思うんですね。

 これは、国としても、当然、国民の税金もかかるわけですから、冬季五輪の招致に対して、今こういう状況にあって、国民の理解は得られる、得られているというお考えですか。どういう認識でいらっしゃいますか。

永岡国務大臣 これは、二〇三〇年の冬季オリンピック・パラリンピックの招致活動につきましては、昨年の十二月の二十日、札幌市とJOCが今後の進め方の見直しを公表されました。今後、プロジェクトチームで取りまとめます指針を参考にいたしまして、必要な検討を行い、札幌市民を始め国民の皆様の支持を得られるよう丁寧に説明をしていくことが大切だと考えております。

柚木委員 今のままでは到底国民の理解は得られないと言わざるを得ません。アスリートの皆さんは本当に頑張ってされているので、私もそこは応援しているんですけれども、まさに国民の理解が得られる状態を、どのように信頼回復できるのか。今後のまさにこのガバナンス体制のプロジェクトチームの議論、方向性も含めて、懸かっていると思いますので、しっかりとしたものを出してください。お願いします。

 マスク着用について、厚生労働大臣あるいは文科大臣に伺います。

 二類から五類になって、五月八日以降の様々な体制変更というのはもちろんあるわけですが、直近で、私も娘が小学校を今年卒業です、卒業式の案内が来ましたよ。現場は、早く方向性を出してくれないと、卒業式に保護者、生徒は写真撮影があるわけですね、じゃ、マスクどうなのと。

 現場に、個人判断はそれはそれでありですけれども、その判断したことによってトラブルが起こるとか、せっかくの人生一回の卒業式で。そういうようなことになってもいけませんので、まず、厚生労働大臣、この間、まさに感染症部会、アドバイザリーボード、そして対策本部等でこのマスク着用の緩和についての議論もなされてきたと思いますが、少なくとも、例えば卒業式は、三月ですよね、マスクなしで子供たち、生徒さんは迎えられるのか。それに間に合うように、しっかりと指針、方向性、個人判断というのもありですけれども、それを個人や現場に丸投げということではなくて、一定の方向性を出していただきたいと思いますが、その時期も含めて、厚労大臣、お願いします。

加藤国務大臣 マスクの考え方については、先般二十七日の政府対策本部決定で、屋内では基本的にマスクの着用を推奨するという現在の取扱いを改めて、行政が一律にルールとして求めるのではなく、個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断に委ねることを基本として検討するという方向性を示させていただきました。あわせて、各個人の判断に資するよう、政府はマスクの着用が効果的な場面の周知も行うとしたところであります。

 具体的にどの時期かというのは、やはり足下の感染状況などもしっかり見ていく必要があるわけでありますので、状況も見据えながら、今後早期に、見直しを、時期も含めて、その結果をお示ししていきたいと思っておりますし、今お話がありましたように、卒業式のことも含めて、子供さんに関する、発育、発達の妨げにならないよう配慮が必要だという指摘もありますから、その辺を踏まえて、できるだけ早期には判断していきたいと考えております。また、今お話があれば、例えば卒業式ということになれば、二月の二十八日にやったから三月一日に間に合うというものではなくて、一定の準備期間が必要だということも承知をしておりますので、その辺もしっかり念頭に置いて検討したいと思います。

柚木委員 文科大臣に伺います、今の答弁を踏まえて。私、昨日も含めて、学校現場から様々な声を伺っています。もちろんマスクだけじゃないですよ。

 このマスクの問題について、今、厚労大臣が最後に言われたところがポイントで、三月の卒業式で、二月の終わり頃に、何か全国の小中高、大学、幼稚園等、文科省から通知が来ても対応できませんよ。もう既に来ていますよ、我々PTAに案内が。でも、マスクのことは一言も触れられていませんよ。ですから、逆算すると、例えば、普通二、三週間前ぐらいには来てくれないと周知できませんよ、保護者、現場。

 これは、時期、少なくとも来週中ぐらいには、厚生労働省の中でも、恐らく感染症対策の部会なりアドバイザリーボードなり何らかの形で、やはりそこが決めてくれないと各省庁は動けませんからね、出ると、私、昨日の通告のやり取りではそういう感触も持っていますから、それを踏まえて、直ちに、それこそ来週中ぐらいですよ、本当に。文科省の中でも並行で議論してもらって。

 そして、具体的なお願いを幾つか例示します、現場から聞いているので。

 現場のせいにならないように、幼稚園だったり小中高、大学、個人の判断が、それが尊重される。着けている人が、おまえ、病気なのかと、マスク警察の続きみたいにならないように、外している人が、おまえ、外しちゃ駄目だろうと、どっちも自由だけれども、そういうことが尊重される。現場に丸投げせずに、例えば教育委員会などが、子供たちに言葉だけで説明しても、低学年の子とかはなかなか家で説明できませんからね。例えば文書など、チラシなど、現場に作らせるんじゃなしに、教育委員会などがちゃんと発行するなどして子供に持ち帰ってもらうとか、そういうことが二月中に行われないと、現場は大混乱しますよ。

 是非、そういったことも含めて、マスク着用緩和の時期、そしてその内容、御答弁をお願いします。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 卒業生を持っている柚木議員ならではの、やはり深刻な、また、大変緊張感を持った御質問であったかと思っております。

 私も、三月の初めに高等学校の卒業から始まりまして、三月中、ずっと卒業式が続く、そういう中にありまして、やはり、卒業式にマスクの着用をするかどうか、これが、先生おっしゃいますように、現場での教師の責任とならないようにということでございますが、確かに私もそう考えております。

 そして、私の方から、文部科学省の方から各教育委員会の方に指示を出すということになりますが、もう既に決まっておりますように、やはり、マスクをする、しないというのは個人で考えるというふうなことで、厚生労働省の方からも、また、会議の方からも言われております。それをもちますと、やはり、子供たちのことでございますので、学校の中でマスクを外すかどうかというのは、個人というよりも、家庭での御議論というのが非常に大きな要素を占めると思っております。

 そのことで、学校でマスクを外すかどうか、卒業式でマスクを外すかどうか、これはやはり、この着用に関しましては、今後、対応、これは速やかに検討してまいるということで頑張ってまいりますので、よろしくお願いいたします。

柚木委員 ということは、端的に伺いますが、早期に決めて学校、教育現場に周知されるんですが、卒業式に子供たち、学生さんたちはマスクを外して参加、出席、保護者も含めてできる可能性があるということでいいですか。

永岡国務大臣 卒業式でのマスクの着用に関しましては、今の指針におきますと、やはり、御家庭での御議論を含めて、個人個人が、マスクをしなければ嫌だ、出席したくないというお子さんはマスクをし、そして、マスクは外して行きますと御家庭で決められた方はマスクを外しての参加となろうかと思っております。

柚木委員 今、現場の方も御覧になっていると思いますから、現状での私の理解は、保護者も生徒も職員も個人の判断だと。本当に現場でトラブルが起こらないことを願うばかりです。ですから、個人の判断である場合に、どちらでもいいという、個人の判断が尊重されるという趣旨の通知なりガイドラインは是非示していただきたいと思います。

 そういうことで、厚労大臣、一点だけ伺いますが、今、現場はこれでやっているんですね。屋内、マスクの着用をお願いしますとなっているんですね、距離が確保でき会話をほとんど行わない場合を除き。しかし、今後は、じゃ、現場、いろいろな各省庁もこれに基づいてやっていますから、少なくとも、この屋内におけるマスク着用の、現在、厚生労働省として、これをみんな参考にいろいろな業界団体もやっていますから、これは今月中に変更される、こういう理解でよろしいですね。お願いします。

加藤国務大臣 ちょっと済みません、それは今、配っているやつですかね。(柚木委員「ごめんなさい、皆さんからもらったやつだから、大臣御存じかと」と呼ぶ)

 少なくとも、その下の、これは今、私たちがマスクの着用についてお願いをしている、屋外は原則不要、屋内は基本的には着用してくださいということ、これはもちろん変更するということであります。

柚木委員 ありがとうございます。

 これも、各業界団体、例えば乗り物でいえば国交省とか、いろいろなそういう皆さんが、ルールをこういうものに基づいて、厚生労働省はこれを今月中に変えるということですから、文科省、教育現場も、これを踏まえて早急な指針をお示しいただきたいと思います。

 育休給付金の所得上限の撤廃について伺います。

 これは昨日も、まさに今日も議論されました百三十万円の壁、これはまさに、一定期間は国が社会保険料を穴埋め、要は拠出するということも含めて、課題はあるにせよ検討するということですから。

 私、今日の通告をしていた中で、まさに育児休業給付金の所得上限撤廃についても、これは社会保険料でやっている中で、これは私も、最近できていませんが、イクメン議連に厚労大臣、加藤大臣も来ていただいたことがありますが。まさに育休取得の最大の壁は、三つの壁があるんですね、お金の壁、制度の壁、意識の壁ということを申し上げてきましたが、このお金、育児休業給付金なんです。男性の最大の育休を取らない要素はお金なんですね。四割ですよ。

 しかも、これは異次元の少子化対策でいえば、休日に家事、育児に参画する夫とそうでない夫との間で、第二子が生まれる確率一対八、一倍にしたとき八倍なんですよ。八倍の格差がある。これは私たちも身につまされる話ですよね、土日、休日、家事、育児。

 そういう中で、児童手当を、所得制限なし、拡充するにしたって、そこに至るまでに育休を取らなきゃいけませんよね。産休、育休がありますよね、普通。

 そこを取っていただけるという意味において、是非これは、加藤大臣、所得制限、これはもう撤廃するんだ、社会全体で子育てをするんだ、こういう方向感に、これは是非、育児休業給付金の所得上限の撤廃、この考え方を共有をいただいて、政府・与党が。西村大臣はちょっと違うみたいですけれども、是非、政府・与党、共有いただいて、そして所得上限の撤廃、さらにはその先、給付率一〇〇%。我が党の泉代表も代表質問でも提案しておりますから、そういった流れに向けて、例えば目標を、例えば男性の育休、三〇%を今目標に政府は取り組んでいる。そうしたらどれぐらいの社会保険料の拠出が、ほかに休業、失業給付手当、再就職のための様々な支援がありますから、どういう社会保険料の中での給付になっていくのか試算もしていただいて、是非これは所得上限撤廃について前向きに進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 ちょっと私の誤解かもしれませんが、児童手当の場合は、所得があればもらえない。別に、育児休業給付は、当然その間給与はないわけですから、もらえるももらえないもない、じゃ、それをどういう基準で出すのかということであります。やはり、これは雇用保険制度でやっていますから、失業した際の給付等、これは均衡を図る必要があります。

 今、柚木議員のお話でいくと、失業手当もそういう話になれば、これはやはりバランスがどうなのかということになると思いますし、またまた、そもそも保険制度ですから所得の再分配という機能もございますので、そういった意味で上限を設けさせていただくので、これを制限を撤廃するということについて、まさにこれは労使の保険料で運営している雇用保険全体の運営の中で議論すべき話ですが、これは私はやはりちょっと慎重に議論すべき話、その点についてはですね。

 ただ、おっしゃるように、育児休業をどう取得していくのか。

 実は、我が国の育児休業制度というのは、国際的に見てもかなり優れている、こういう評価はいただいているものの、それが使われていない、特に男性において使われていない。それは我々は共有しているところでありますので、産後パパ育休なども使ってそれを推進していく。

 さらに、先般も御意見いただきましたけれども、企業から更に出していただく、これについては、たしか賃金の控除制度を使えるとか、こういったことを含めて、より活用していただけるように我々も取り組みたいと思います。

柚木委員 是非、これは私たちまさにイクメン議連からのお願いもあって、当時、田村大臣時代に、休業給付、二分の一を三分の二まで引き上げる法改正があったわけですね。その後、まさに一〇〇%に向けて、今の前の加藤大臣のときに私たちお願いをして、会にもお越しいただいた記憶がありますので、そのときも、まさに今おっしゃった課題はあったんだけれども、つまり、社会保険料の中で、雇用保険料の中で。しかし、三分の二に引き上げていただいたわけですから。

 考え方としては、まさに、児童手当にしても、これは要は現金給付、現金、お金の問題。だから、児童手当を受け取る前に、子供が生まれて子育てに至らないとそうならないわけですから、是非、この最大の壁である育児休業給付金の上限、これは例えば四十五万ぐらいの月給以上の人は、百万円であろうが上限は三十万ぐらいですからね。それは、共働きならまだしも、そうじゃなければ取りませんよ、男性は。取れない、取りたくてもというのはありますよ。それは、お子さんの数も多かったり、いろいろな形で支出も多ければ余計に。

 そういう実態もありますので、大臣、是非そこは前向きに、少なくとも、所得制限全廃ではなくても、段階的な緩和とか、あるいは、百三十万円の壁でも一定期間は社会保険料を穴埋めをするということを検討するということですから、まさに、そういう意味では、この育休給付金の部分についても同じような形でちょっと検討、シミュレーションを、試算をしてみたいという形で、もう一言、最後いただけませんか。

加藤国務大臣 やはりそこですね。やはり社会保障というのは、すごく公平というのは大事だ、再分配機能というのはすごく大事だなというふうに思っておりますので、また、試算の話がありますが、試算するに当たっても、いろいろな前提もあろうと思っておりますし、私どもは慎重に検討すべきものだというふうに考えています。

柚木委員 是非お願いします。

 それでは、統一教会の方に入りたいと思います。

 まず、私、ちょっと本当に、資料の一ページ目にもつけておりますが、読売新聞さんの報道、驚きました。

 昨日、我が党の西村委員の質問に総理は、この「旧統一教会告発 見送りへ」ということについては、これは事実ではなく、情報収集を継続しているという答弁をされましたが、加藤大臣、是非これは、明確に否定をするだけじゃなくて、こういう事実でない報道がされるのであれば、まさにこれは、もう本当に、怒って、今まさにやっているのに、何でこういう違うメッセージを発信するようなことになるんだという、抗議をするぐらいだと思いますよ、報道に対しても、事実無根ということであれば。

 是非、加藤大臣としては、まさに、養子縁組のあっせん、これは、事業法違反の疑いもあって、行政指導までしているわけですね。今日、資料にもつけていますけれども。これは明確に、この報道は事実でないと、まずこれは否定をしていただけますか。いかがですか。

加藤国務大臣 昨日も西村委員の質問に対して総理が答弁されていますが、今委員御指摘のように、告発見送りといった事実は全くございません。

柚木委員 ということは、まさに今後、今、三度目の、解散命令請求に向けて文化庁が質問権行使を行っているさなかです。そして、法令等違反、解散命令請求の要件に当たり得るわけですから、このあっせん、養子縁組事業法違反であることがですね。是非これは、厚生労働大臣、警察庁、今日も来ていただいていますが、連携をして、解散命令請求に間に合うスケジュール感で調査、捜査していただいて、今ちょっと、無理だよというやじが飛んでいるんですけれども、捜査しているのかとこれから聞くわけですから、調査をしっかりしていただいて。

 じゃ、この三十一件について、法施行後の、旧統一教会が認めているこの三十一件について厚生労働省はどう調査したんですか。それぞれに当たったんですか。その上で刑事告発をする、これぐらいのことをしっかりやってくれないと、もう人生むちゃくちゃになっている人が、私たち、たくさん、この間、国対ヒアリング等でも聞いてきましたよ。子供のためじゃなくて、教団存続のためじゃないですか。聞かれましたか、大臣。養子縁組当事者の声。自分が何が悪かったんだ、どこに落ち度があったんだと。

 是非、刑事告発に向けての調査、解散命令請求に間に合うスケジュール感でお願いしたいと思います。いかがですか。

加藤国務大臣 私もいろいろと声は聞かせていただいております。

 まさに今やっているのは、関係機関、もちろん、捜査当局には、我々が保有している情報、これはしっかり提供させていただいております。引き続き、連携し、そして様々な情報収集、これは、旧統一教会に対して質問状を二回し、回答を得ただけではなくて、関係者からもいろいろなお話も聞いております。

 引き続き、そうしたものもしっかり収集しながら、しっかりとした対応を図らせていただきたいというふうに思っております。

柚木委員 私、気になるのが、厚生労働省はやる気で、本気でやってくれていると思うんですよね、刑事告発も視野に。

 警察の方、今日、谷国家公安委員長もお越しいただいていますが、この報道によれば、告発対象時期に縁組した養親らから証言を得られておらず、情報を得られておらず告発見送りへという、こういう記事ですよ。

 警察、捜査してくださいよ、この三十一件。捜査しているんですか。捜査を本気でしてください。御答弁お願いします。

谷国務大臣 お答えします。

 お尋ねのことにつきましては、厚生労働省から情報提供を受けていることから、警察においてそれを踏まえて適切に対応するものと考えておりますが、個別の事案に関することであることから、具体的な内容についてお答えすることは困難であることについても御理解を願いたいと思います。

 いずれにいたしましても、警察としては、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づき適切に対処するものと承知しております。

柚木委員 この後、ちょっと関連するところで、もう一回、国家公安委員長、聞くかもしれませんから、地方自民党県連さんとの統一教会の関係、この後、文科大臣に確認しますが、ちょっともう一回聞くかもしれませんから、質疑、聞いておいてください。

 法務大臣にもお越しいただいておりまして、ありがとうございます。

 私も厚生労働委員会時代から本当に敬愛する大臣でありますので、しっかりやっていただいていると思うんですが、民法上も未成年者の養子縁組には家裁の許可が必要で、家裁の審査というのは、まさにこの三十一件、法施行後、ちゃんと審査されたのか。

 実は、一月五日、救済法施行後の、まだ、法務省、霊感商法の相談ダイヤル、私たちも承知していませんが、間もなく上がってくると思いますが、その一か月前の十二月分については、まさに養子縁組の相談についても上がってきているんですよね。

 したがって、二点通告しておりますが、家裁の審査が十分だったのか、この三十一件。さらに、いまだにそういう相談が上がってきている、その養子縁組の相談内容、これらをまさに厚生労働省、警察、捜査当局、こういったところと情報共有をいただいて、刑事告発に資する形で、是非しっかりと法務省としての役割も果たしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 まず一問目ですけれども、個別の事案において裁判所が判断したことの当否につきまして法務大臣としてお答えをすることはやはり差し控えるべきだろうと思っておりますが、柚木委員でございますので、あくまでも一般論としてお答えしますと、民法によれば、未成年者を養子とする養子縁組をする際には原則として家庭裁判所の許可を得る必要があります。これは、子の利益に反するような養子縁組を阻止することを目的としておりまして、家庭裁判所においては、養子縁組が子の利益に合致するかどうかという観点から、個別具体的な事案に応じて養子縁組の許可、不許可を判断しているもの、そういうふうに承知をしております。

 それから二問目ですが、御指摘のとおり、法テラスに寄せられた相談には養子縁組に関する相談は含まれているものの、実は違法な養子縁組のあっせんが疑われるような相談は現時点では把握をしていないというのが実情でございます。今後、そのような相談が寄せられた場合には、当然のことながら、厚生労働省や警察庁に対し適切に情報を提供するなど、万全を尽くしてまいりたいと思います。

柚木委員 法務大臣、ありがとうございます。

 法務大臣はここまでで結構ですので、もしあれだったら御退席いただいて結構です。

 あと、永岡大臣、この中で最後に通告をしております部分、先にそっちをやります、旧統一教会から、関係団体から、家庭教育を応援、支援する条例等の制定、さらに、それを国で法制化する、そういうような一連の動きがあって、昨日通告しておりますが、各全国の地方議会から、まさに条例が制定をされ、さらに、そういったことと並行して国に対する意見書が出ていると思いますね。これは、細かいあれは結構ですから、各自治体の名前、それぞれ御答弁をお願いします。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 これは、では……(柚木委員「自治体の名前だけでいいです」と呼ぶ)はい、分かりました。

 これは、愛媛県今治市議会、そして愛媛県の西条市議会、長崎県の平戸市議会、静岡県の浜松市議会、熊本県の上天草市議会、愛知県の一宮市議会、以上でございます。

柚木委員 これは国会で初めて答弁されたと思います。これはしかも、文書保存期限内、一年で確認されたものですから、私は、それ以外にも当然あると思っております。

 さらに、この間、私たち、国対ヒアリングで、まさに家庭教育支援条例等の制定、把握している自治体が十一県七市、十八の自治体で条例制定されている。これを、実は、統一地方選挙候補予定者公認、推薦をめぐる自民党県連さんの対応、この意思を確認しない十二都県、あるいは今後調べたりする方針のところ、これと重複するところが大変多いです。

 例えば、愛知、和歌山、岡山、熊本は確認しない、関係遮断の意思を。まさに入っていますよ。あるいは、今後調べるところ、茨城、群馬、埼玉、石川、福井、長野、静岡、三重、徳島、愛媛、長崎、大分、宮崎、鹿児島。既に調べているところも含めて今後調べるところですから、これだけの自民党都道府県連がまさに関係しているんです、条例制定、意見書、要望。

 大臣、まさにこれは、選択的夫婦別姓もそうですが、この家庭教育応援条例や意見書などの自治体議会の動向が国の政策に、この家庭教育を応援する、国で制定化する、これは影響していると言わざるを得ないと思いますけれども、そういう認識でよろしいですか。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 一般論といたしまして、政府における政策の企画立案というのは、国民、有識者、議員、そのほかの幅広い関係者の意見を積み重ねた上で進められていくものでございます。

 家庭教育支援につきましては、教育基本法の十条二項に基づきまして、文部科学省においては、有識者や自治体、関係者などの意見も踏まえて進めております。御指摘のような政治的な影響があったかということは考えておりません。

 また、自治体も、それぞれの責任と判断の下に、教育基本法の理念に基づきまして施策を進めていると考えておりますので、旧統一教会によります政策的な影響の有無の調査というようなこともちょっと考えてはおりません。

柚木委員 これは総理が、地方選前に、まさに関係遮断に向けて、言うことを聞いていないんですから、自治体、都道府県連が。皆さんも言うことを聞かせられていないんだから。努力すると言っているんだから、違うことを言っちゃ駄目ですよ、文科大臣。まさにこういう政策的な影響を遮断するための、ちゃんと検証、検討を文科省でやるぐらいのことを言ってくれないと。ちょっと河野大臣に来ていただいているので。これは引き続きやりますよ、この問題は。

 そして、河野大臣、今日はありがとうございます。

 前回の被害者救済法で大変、私、本当に感動する御答弁をいただきまして、普通は、法律が通る前に、法律の検証をする検討会を立ち上げするなんという答弁、私も二十年間聞いたことがありません。しかし、それを答弁いただいたんですよ、大臣は。大英断ですよ。役所の原稿にはそんなことは書いていなかったはずです。それを受けて、是非伺いたいと思うんですね。

 今回の被害者救済法、確かに宗教二世を救うためには、例えば、親御さんが献金していても、マインドコントロール下にあれば本人承諾できませんから、私たちは、四親等以内の親族が了承すれば、特別補助制度を使って、これ以上親子断絶にならないように。そうじゃないと、未成年だったら、親権剥奪、喪失、非常にやはりハードルが高いんですね。

 ですから、こういったことの成果がちゃんと上がるかどうか、こういったことを、検討会を直ちに立ち上げていただく、こういう形でやり取りをして御答弁をいただきましたが、今日、お願いは、それは当然そうなんです、一月五日施行、そして四月一日から罰則措置のあるものも、一年以内施行も施行していただける。これも私たちがお願いしたとおりになっています。しかし、それを、法律の運用状況を待ってだけだと、やはり検討会の立ち上げがちょっとまだ先になっちゃう。

 一日千秋の思いで、宗教二世、小川さゆりさんを始め被害者の皆様、見守っています、この答弁も。ですから、是非、二段階でもいいと思うんですね、ツーステップでも。まずは今月中とか今年度中とかに検討会、これを立ち上げて、まさにこれは、参考人である全国弁連の阿部弁護士も、同趣旨の、私が申し上げたようなことを意見陳述されていますし、まさに河野検討会の座長であった河上先生も、成年後見人制度など、まさに財産管理のための制度が必要だというようなことも述べておられますので、是非、そういう特別補助制度も含めて、財産権との問題があるのであれば、じゃ、何ができるのか、こういったことを、直ちに検討会を立ち上げて、その枠組みを決めて、議論を始めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 新法を国会で成立させていただきましたので、行政措置あるいは罰則に関する部分は公布から一年以内に施行ということになっております。なるべく早くそこの部分を施行させたいと思いまして、四月一日に施行できるよう、準備をするように消費者庁に指示をしたところでございます。この四月一日からの法の施行の状況を受けて、この法律について足らざるところがあるかどうか、しっかり検討していきたいというふうに思っております。

柚木委員 ちょっと時間がないので、本当はもう一つ聞きたいんだけれども、ちょっとマイナカードの方を、ごめんなさい、厚生労働大臣の方に聞きます。

 マイナ保険証も非常に、スケジュールどおり進んでいなくて、ちょっと、今日、河野大臣もお越しなんですけれども、半年間、二三年三月、年度末の義務化を猶予するわけですね。二四年秋に一本化を目指しておりますが、しかし、本当にそれが実現をし得なかったとき、まさにこれは中医協の中でも、地域医療に支障を生ずる等、やむを得ない場合の必要な対応については、その期限も含め、必要な検討を行うこととなっておりますので、これは是非、更に半年延ばしても間に合わない場合に、例えば再延長する。

 なぜならば、例えば、医療機関が保険診療できないとか、そうしたらもう廃院するとか、そういうことも実際あるし、起こってもいますし、患者は全額自己負担とか十割負担とかになりかねませんから、そういったことにならないように、まさに、二四年秋に一本化、仮に一〇〇%にならない場合でも、医療機関が保険診療できて、患者さんが十割自己負担にならないような形での診療が受けられる、こういう形での御対応をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 委員おっしゃっているのは、オンライン資格確認の導入のことだと思います。

 本来であれば、四月の原則化、義務化に向けてそれぞれの皆さんに御努力をいただいて、かなり割合は上がってきたところでありますが、なかなかシステム整備に間に合わない等の医療機関もあるということで、遅くとも本年九月末までの経過措置を設ける一方で、導入支援のための財政措置も延長し、同時に、システムの事業者の方には更なる導入の加速をお願いをしたところでございます。

 今のペースでいきますと、本年九月末までに大体全ての施設への導入は十分可能と見込んでいるところでありますが、今おっしゃったように、いろいろな事情があれば、それは個別ごとに適宜判断していく。まさに、当該医療機関の責に及ばない、こういった事情があれば、それは個別に勘案していくということは当然のことだと思います。

柚木委員 持ち時間が来たので終わって、お願いだけ最後に一つ。

 本当は、これの中の、今日、資料にもつけておって、結局、ガイドラインを改定しましたので、それを評価していると厚労大臣は言われていましたけれども、評価して、見直して、どう受け止めたのかについても今後公表してください。それをお願いをして、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて柚木君の質疑は終了いたしました。

 次に、田嶋要君。

田嶋委員 立憲民主党の田嶋要でございます。

 今日もエネルギー政策で質問させていただきます。

 今、失われた十年という言葉が大分言われるようになってきましたけれども、子供手当の所得制限に限った話ではないというふうに私も感じております。

 お配りした資料の八を御覧をいただきたいと思います。林外務大臣、お越しでございますが、その前々々任者の河野外務大臣が、二〇一八年、国際会議の場で演説をなさっております。河野さん、今いらっしゃらないですね。

 それを読みますと、二〇一八年ですから、第二次安倍政権から相当時間がたっておるわけでございますが、再生可能エネルギーの導入では世界から大きく遅れている日本、再エネをめぐる現在の状況は嘆かわしい、世界の趨勢から目を背け、変化を恐れて現状維持を優先した結果と。これまでの日本の失敗は、制度の硬直的運用、世界的な太陽光や風力の劇的な価格低下を日本は享受できていない。最後のところで、現在の日本の現状は嘆かわしい、このように強調されております。ただ、最後の締めくくりに、今後、日本は新しい思考で再エネ外交を展開し、世界の動きを正しく理解し、長期的視野に立った一貫した対応を取っていく、このように二〇一八年の段階でおっしゃっております。

 これが私の思いと一番重なるこの十年間の自民党政権の下での状況認識だというふうに私は思っておりますが、西村大臣、通告しておりませんけれども、反省していますか。

西村(康)国務大臣 GXの関係の会議でも、経産省として、これまでの取組、様々な課題を乗り越えてこれなかった点、これは、再エネについても、また原子力についても、エネルギー安定供給、そしてできる限り安定的、安価なエネルギーを供給していくという点で、様々な課題があったことは事実でありますし、乗り越えてこれなかったことも事実であります。それを、全て課題を整理して、今般新たにGXの大きな方針を、基本方針を定めたわけであります。

 その中で、再エネも最大限導入をしていく、また原子力も活用していく。そうした中で、エネルギーの安定供給と、そして価格をできる限り安定的に提供していく、同時に脱炭素化を図っていくということを実現をしていきたいというふうに考えております。

田嶋委員 西村大臣、全く結果を伴っていないということではないと思うんですよ。

 ただ、やはり茂木さんがおっしゃったように、まずかったことはまずかったと、この内閣の一員であられた外務大臣がですよ、国際社会に向かって、嘆かわしい日本の状況、繰り返しこうやって強調されておるんです。これはもう失敗ですよね。大臣、こうやって書いているじゃないですか、これまでの日本の失敗はと。もう林さんに聞くのはいたしませんが、西村さん、やはりこの十年が痛いんですよ。

 お配りした資料の三ページにお戻りください。世界の再エネ電力割合、九〇年から二〇二〇年。

 九一年にドイツはFIT制度が始まっていますね。日本は遅れること二十年、二〇一二年、私たちの政権のときに全量買取り制度が難産の末に誕生しました。そのとき西村さんは野党筆頭理事でいらっしゃったわけでありますが。以来、今日まで、この今の成績表を御覧いただいて、下の方に日本があるわけであります。一番上から二番目のデンマークも、一九九〇年の時点では日本より低い再エネ率だった。デンマークがFIT制度を導入したのは、日本よりも三十三年早いタイミングでデンマークも導入している。

 まさにこれを見ると、本当に力を入れてやってきたか、私たち立憲民主党との大きな差はそこにある。本当にこの十年間、日本は、所得制限の問題ももちろんそうですけれども、このエネルギーの分野で、本当に大きいことを、大きい悔いが残る十年であったというふうに思いますが、西村さん、反省しているかどうかということだけお答えください。

西村(康)国務大臣 私も、御指摘のように、野党筆頭理事で、条文の修正も含めて対応させていただいたFIT法でありますけれども。FIT法の効果もあって、東日本大震災の震災直前、震災前に再エネ比率約一〇%でありましたけれども、二一年度、約二〇%まで倍増してきております。

 日本は国土の七〇%が森林であるという中で、ドイツやスペインの約二倍の面積、パーセントであります。そうした中で、平地面積当たりでは例えばドイツを超える太陽光を導入してきておりますし、着床式洋上風力の日本の設置可能面積は、進んでいるイギリスと比べて約八分の一、そうした中で、FIT法、そして今般もまた新たに、昨年末に洋上風力の入札を開始しておりますけれども、そうした取組を進めてきているということで、私ども、最大限導入に努力してきましたし、これからも最大限導入していく、そのための様々な対応をしていきたいというふうに考えております。

田嶋委員 元大臣が失敗だと断言しているものを、現経済産業大臣はお認めになっていないということだと理解をいたしました。

 それでは、こうした十年を経て、昨年の末にGXというものが突然現れたわけで、国民みんな戸惑っている状況であります。このGXというのは何のことかといえば、ちまたでは、原発トランスフォーメーション、原発のGだというふうに呼んでいるわけでありますが。これが、日本の岐路に立たされている、失敗を十年続けてきたその暁に、今回こういう政策を掲げて始まっているわけでありますが、一切国民に対しては丁寧な説明がない状況であります。私は大変危惧をしている。半導体は言うに及ばず、今日まで本当に一連の、日本の国力が弱まり続けている中で、この原発政策、大きな転換を図るということが本当に日本の未来のためになるのか、そのことを考えなければいけないと考えております。

 そこで、お尋ねします。

 エネルギー基本計画には、原発への依存度をできる限り小さくしていくというふうに書かれてあるんですが、この方針も撤回ですか。

西村(康)国務大臣 まず、コロナ禍から需要が回復して、エネルギーの価格がLNGを中心に非常に上がってきた、そこに来てロシアによるウクライナ侵略があって、まさに安定供給が非常に重要な課題、これは世界的な課題となってきている。そうした中で、私ども、エネルギーの安定供給と脱炭素化、GXを進めて、カーボンニュートラルを実現していく、そのために、あらゆるエネルギー源、これは再エネも原子力も含めて活用するということが重要であるというふうに認識をしております。

 そうした中で、御指摘のエネルギー基本計画でありますけれども、おっしゃるとおり、可能な限り原発依存度を低減するという方針があります。と同時に、カーボンニュートラルを実現していくために、必要な規模を持続的に活用していくということも明記をしております。

 したがって、私ども、基本計画の下で、今回のGXの方針を決めたものというふうに認識をしております。

田嶋委員 国民はその二つのメッセージはすっきりしないと思いますよ、矛盾しているんじゃないかと。限りなく低減していくといいながら、新増設だ、リプレースだといって、革新的原子炉だといって、今の目の前の再稼働の話を超えた、運転延長から、新設、増設から、そういう話を一緒くたにして、GXといって始まっているわけですね。それは矛盾するんじゃないですかね、西村大臣。一体この国を、エネルギーという意味で、どっちに連れていきたいんですか。

西村(康)国務大臣 私どもは、国民生活そして経済を守っていくために、維持していくために、発展させていくために、エネルギーの安定供給と、できる限り安価な、安定的な価格での提供、これに責任を持っております。と同時に、気候変動にも対応しなければならない、カーボンニュートラルも進めなきゃいけない。そうした中で、原子力は重要な位置づけにあるというふうに認識をしております。

 そうした中で、GX基本方針でも示しておりますけれども、二〇三〇年の原子力比率二〇から二二%の実現を目指して、運転期間の延長、あるいは廃止を決定した炉の次世代革新炉への建て替えを行っていくとの方針を示しているところであります。

 一方で、原子力規制委員会の厳しい審査を経て認可を受けたものしか運転できないというのはもう大前提でありますので、稼働するのは、そうした審査を経て認可を得たもの、その上で地元の御理解も得たものということであります。したがって、廃炉になったもの全てを建て替えるというわけでもございません。

 更に言えば、震災前、東日本大震災の前と比べて原発依存度が増加をすることは想定をしておりません。これまで、私ども、基本計画の中で示した原発依存度低減という方針と矛盾するものではないというふうに認識をしております。

田嶋委員 原発依存度をできる限り小さくしていくわけですから、可能であればゼロでいいということでいいですね。そうであれば、私たちと目指す方向は一緒なんですよ。やってみなきゃ分からないじゃないですか。

 今かなり専門家の間では、エネルギー全体の中の電力に関しては、やはり二〇五〇年、自然エネルギー一〇〇%、そういう声は強まっているんですよ、むしろ。

 だから、できる限り、できる限り小さくしていくとおっしゃっているんだったら、理想はゼロでしょう。そういうことでいいんですか。今の政府もそういう考えでいいですか。

西村(康)国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、可能な限り原発依存度は低減するという方針を示すと同時に、安定供給、そしてカーボンニュートラルを目指すという中で、必要な規模を持続的に活用するという方針も明記をしております。

 これは、原発ゼロを目指すということを意味しているわけではございません。この方針は、GXの基本方針でも変わることなく、これまで政府の方針として原子力発電ゼロを目指すということを決めたこと、そうしたことをしたことはございません。

 いずれにしましても、安定供給とカーボンニュートラルを目指していく中で、可能な限り原発依存度は低減する中にあっても、必要な規模を持続的に活用していくとしてきた従来の方針に変更はございません。

田嶋委員 私たちは、もうモデルをシミュレーションもしながら、有識者の御意見をたくさんいただきながら、二〇五〇年、もちろんそれよりもできる限り早く、そうした、原発に依存せずとも自然エネルギーで賄っていくことは十分可能だ、そういう結論を得ています。もちろん挑戦しなきゃ分からないですよ、いろいろなハードルはある。

 だけれども、今の政府というのは、できる限り依存度は下げると言いながら、ずっと原発は使っていくよ。非常に国民にとって分かりにくいですね、どこに行きたいかが分からない。加えて、先ほどのグラフのように、この三十年間、本気になってやってきたかが問われるんですよ。

 総理が本会議場でこういう答弁をされました。我が国は、低い自給率、そして高い中東依存、加えて再エネ適地が限られると。

 再エネ適地は限られているんですか。まあ、山を切り崩したメガソーラーのことを暗におっしゃっているのかもしれない。だけれども、やれることをとことんやって、それこそ河野太郎さんがおっしゃったように、やっていないうちから、こういう状況で本当に遅れてしまって恥ずかしい。

 国土交通大臣、どうですか。斉藤さん、再エネの適地、限られていますか。洋上風力、屋根上ソーラー、いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 令和三年に閣議決定されたエネルギー基本計画においては、国として再生可能エネルギーの最大限の導入を図ることとされております。

 このため、国土交通省では、所管する事業やインフラにおいて、太陽光、洋上風力、水力、バイオマス、このバイオマスは下水バイオマスでございますけれども、等の再生可能エネルギーの積極的な導入を促進しているところでございます。

 再生可能エネルギーの適地に関しましては、まずは、委員御指摘の屋根置き太陽光発電については、地域ごとの気候や建築物の立地条件が影響するため、例えば、雪の多い、積雪により冬季は発電できない多雪地域、それから、屋根面積に限りがある都市部の狭小地など、設置に不向きな場合もありますが、これらも考慮しながら導入を拡大していくことが重要と考えております。

 また、洋上風力発電につきましては、四方を海に囲まれた我が国において、海洋のポテンシャルを最大限生かすことが重要と考えており、海域ごとの風の状況や漁業等の利用状況等も考慮し、経済産業省と連携しながら導入促進に取り組んでおります。

 今後においても、国土交通省として、インフラや事業ごとの特性を最大限生かしながら、再生可能エネルギーの一層の導入促進に取り組んでまいります。

田嶋委員 答弁が長いですね。

 再エネ適地は限られていませんよね。まだ緒についたばかりですよ。やれていないこと、山ほどありますよね、大臣今おっしゃっていただいたとおり。洋上風力はもう無限ですよ、海の場所が。屋根上ソーラー、グーグルマップで見てください、ほとんど載っかっていないから、今でも。

 双肩に大変大きな仕事がかかっていますので、是非頑張っていただきたい。原子力政策は真逆を向いた御党の代表として、是非内閣の一員で頑張っていただきたいと思うんですよ。再エネ、省エネは国土交通省の役割が極めて大きいですから。

 ただ、五年も遅れてしまった住宅断熱、本当にあれも悔いが残る。残念です。本当に失敗です。しかし、今から前を向いて頑張っていただきたいと思います。

 農水大臣にお尋ねします。

 農水大臣も、適地が限られていると思いますか。どうですか。ソーラーシェアリングという話をずっとしていますけれども。まあ、経産省は全くやる気がないけれども、農水省は少し姿勢が変わってきましたね。

 私の提案としては、今、国土面積のうち四百万ヘクタールほどが農地ですよね。その中でビニールハウスという構造物がどのぐらいの割合を占めているか。大体一%なんですよ。そうですよね。イメージとして、あのビニールハウスが全国で置かれている程度の、まずはソーラーシェアをやっていこうじゃありませんか、集中的に。どのぐらいの発電量が作れるんですか、それによって。お答えください。

野村国務大臣 田嶋委員の御質問にお答えを申し上げます。

 今、日本のハウス面積というのは四万ヘクタールあります。ですから、これに、ハウスの上に全てソーラーを載せるというのはなかなか難しい面が、いろいろな面からあります。

 今、大変、豪雪が今年はあったんですが、これで潰れたハウスというのが、まだ最終的な被害額は決まっておりませんけれども、相当出ました。四年前は、関東の大豪雪で、二万棟、ハウスが潰れました。

 したがって、ハウスは非常に、台風常襲地帯の南九州とかというのは大変強固なハウスを建てているんですが、全てのハウスにというのは非常に無理があるというふうに思います。(田嶋委員「発電量をお答えください」と呼ぶ)はい。

 ですから、今委員がおっしゃいましたように、ハウスの設置面積は四万ヘクタールですけれども、これに全てソーラーを載せるというのは非常に無理があるというふうに思います。

田嶋委員 発電量をお答えくださいと申し上げたんです。

 いいですか、大臣。私の申し上げたのは、今のハウスの屋根を全部ソーラーにしろと言っていないんですよ。今のハウスの面積と同じぐらいのソーラーシェアをまずは日本でやりませんかと言っているんです。それは僅か一%ですよ。それでも大きいですよ、もちろん。

 おっしゃっていただいたので。群馬県のファームドゥさんというすばらしい会社は、ビニールハウスの屋根がソーラーになっていまして、光が半分だけ透過するんですよ。だから、発電もしながら、下のビニールハウスも、野菜、いろいろなものを作っていらっしゃいました。

 それももちろんありです。ただ、雪国とかいろいろな事情がありますから、別にソーラーを全部ビニールハウスでやれと言っているわけじゃないんです。

 ただ、いずれにしても、一%、農地面積の一%相当で、私が答えを言いますけれども、三%から四%の総発電量に占める割合の電気をつくれる。大臣、それ、役所から聞いていますよね。ちょっと時間がないから、もういいです。そういうことなんですよ。そういうことなんです。

 だから、まずは手始めに、ソーラーシェアというのが農家の皆さんにとってはイメージが湧きにくいし、抵抗も感じるし、だから、今既にある農地の、農家の構造物、ビニールハウスに見立てて、それと同じぐらいの面積を全国でまずつくる。そこからスタートするんですよ。そうすれば、それこそ、この十年間やってこなかった取組をやることで、まだまだ再エネの適地なんていうのは幾らだってあるんですよ。人の手の入った平らな土地ですからね。山林を切り崩してというところは問題だと思います。

 西村大臣、これは誰が振りつけしたか分かりませんけれども、総理大臣にこういうことを言わせるのはおかしいと思いますよ。適地が限られています、そうじゃないでしょう。これからもっとやらなきゃいけないということを、もう一回、覚悟をお聞かせください。

西村(康)国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、国土の七割が森林ということで、これはドイツやスペインの約二倍でありますし、それから、平地面積当たりでは、ドイツやイギリス、フランスなども上回って太陽光を導入してきております。また、着床式洋上風力の設置可能面積が洋上風力が進んでいるイギリスの約八分の一という中でも、洋上風力の拡大に取り組んでいるところであります。

 御指摘のように、やれること、我々としても、農地、営農型の太陽光の導入拡大など、あるいは、私の地元でもやっていますけれども、ため池で太陽光を張り巡らすということも含めて、できる限り、農水省とも連携し、また各省とも連携しながら進めていきたいと思いますが、一方で、再エネの導入に向けては、太陽光、風力の出力変動に対応するための調整力の確保であったり、あるいは系統の整備であったり、周辺の地域住民の理解であったり、様々な課題を乗り越えていくことが必要であります。

 いずれにしても、二〇三〇年度に三六から三八%まで拡大するという方針を明確にしておりますので、再エネ適地を含めて様々な課題を乗り越えていきながら、最大限導入に向けて是非取り組んでいきたいというふうに考えております。

田嶋委員 適地が限られているんじゃなくて、適地を見つけ出す知恵がないんですよ。努力が足りないと思います。民間は、いろいろな工夫をしながら、いろいろなところで今広げてくれているんですよ。是非、再エネ適地が限られているなんていうことを金輪際言ってほしくない。やれていないじゃないですか、十年間、やれていない。世界で一番低い水準に今とどまっているんですよ。

 むしろ、原発の適地はあるのかということの方がやはり課題ですよ。

 資料の四を御覧ください。アメリカには百基ぐらいの原発がありますけれども、ほとんど全てがロッキー山脈の東側ですよ。西海岸には二基しかないんです。これは昔から言われていることでありますが、これを見ても、原発の数。

 しかし、日本に本当に安心して稼働できる場所があるのか。やはり非常に厳しいものがあると思います。

 西村大臣、そうした中で、なぜそこまで原発にこだわるのか。原発なしで自然エネルギー一〇〇%の日本を、二〇四〇年、五〇年、一緒に追求しようじゃありませんか。全力でそれに傾けることで開かれていくと思いますよ。何でそこまで原発にこだわるのか。

 加えて、資料の五を御覧ください。もうコスト的に勝負はついているんですよ、コスト的に。有名なグラフですね。以前、予算委員会でも使わせていただきましたけれども、改めて。

 日に日に原発は高コストになっているんです、特に三・一一以降ですけれどもね。だけれども、今でもコストが上がっている。イギリスでも、今、一兆円から二兆円に近づいているといいますよ。風力も太陽光も、量産効果で更に下がってきている。

 こういう状況の中で、中長期的に原発に頼るということは、国民負担が物すごく上がっていきますよ。西村大臣、それは当たり前のことですよね、だって、コストが上がっているんだから。そうですよね。だから、革新的と言おうが何と言おうが、もう勝負にならないんですよ、国際社会において。日本は大体遅れるから、少しタイミングがずれるかもしれないけれども、もう決まっているんです、変えようがないんです。

 何でそんなに原発にこだわるんですか。国民の皆さんにちゃんと説明してください。

西村(康)国務大臣 まさに、ロシアによるウクライナ侵略で電力需給が逼迫した、また、世界的にエネルギーが足らなくなり、価格が非常に高騰した。まさに、エネルギーの安定供給、これは、国民生活、産業、これをしっかりと維持し、そして発展させていくために、私ども、エネルギーの安定供給と安定的な価格で提供していくことに責任を持っているわけでありますので、そのためにあらゆる選択肢を追求していく。その中には、再エネの最大限導入もあります。原子力も、必要なものはしっかりと活用していくという方針であります。

 そうした中で、適地についても御指摘がありましたけれども、まさに世界で最も厳しいと言われる原子力規制委員会の基準、これは、私も幾つも地域を視察をいたしましたけれども、まさに竜巻に対応するために鉄の網を全てにかぶせていく、あるいは電源、水源、こうしたものを二重三重に用意をしていく、本当に厳しい、地層についても厳しい審査を行われております。それに合格したものしか稼働できないということでありますので、そうした安全対策の抜本強化も行いながら、エネルギーの安定供給、そして安定的な価格の提供をしていきたい。

 様々試算がありますけれども、国際的な水準でIEAが電源別の発電コストの国際試算も行っております。原子力は再エネと比較しても必ずしも高いものではないということであります。

 私ども、責任を持って、安定供給と安定的な価格での提供、万全を期していきたい、全力を尽くしていきたいというふうに考えております。

田嶋委員 初めて聞きました。

 ラザードも、それからアメリカ政府も、ブルームバーグも、いろいろなところが出していますけれども、もう勝負はついているんですよ。

 経済合理性がないことに政府がのめり込んでいって、民間を巻き込んで、最後に国民負担が物すごく跳ね上がる。未来が予測できますよ。十年、こうやって失われているのに、更にそこから失敗が始まる、そんなことは私は放置できないと思います。今、分岐点ですから。

 是非、西村大臣、経産省出身の大臣は二十数年ぶりか三十数年ぶりか知りませんけれども、余り同質に染まらずに、是非、もう一度立ち止まって考えていただきたいんです。ここが分かれ道ですよ、本当に。自然エネルギーの国をつくりましょうよ。

 地理的にも地政学的にも日本はリスクが大きい。先ほどのアメリカの賢明な判断、分かりますよね。西海岸には原発は造らないんです、基本的に。地理的にも地政学的にも、もう今、みんな知っているじゃないですか、ウクライナのことで。日本ほど、日本海側に原発たくさん並べて。おかしいと思いませんか。

 余り私がしゃべっちゃいけないということで、次の質問に行きたいと思います。林大臣、お越しいただいておりますので。

 先ほど河野大臣の数年前の演説、御紹介しました。資料の七を御覧ください。今年のIRENA、同じ国際機関の外務省の政務のスピーチですね。ひどかったよという外部からの声がいっぱい来ているんです。林さんがお話ししたわけじゃないですけれども、ちょっとショックですよ。河野太郎さんが言っていたことと、この演説と、向いている方が真逆ですね。自分たちをやはり謙虚に反省して、だけれどもこれから頑張ると言っていた話と、これは何か、自分たちのやっていることは間違っていないんだ、正しいんだという、言い訳と正当化の演説に読めます。

 原発がベースロード電源の役割を担うと再エネ導入が更に進む。

 本当ですか。九州の方では、原発を再稼働すると再エネがどんどんストップさせられているんですよ、行き場もなく、補償もなく。

 太陽光、風力いずれにおいてもコストは大幅に低下した。しかし、それは地理的、経済的条件で異なり、一様には論じられない。

 世界中で下がっているじゃないですか。

 そして、最後。林さん、ちょっと質問しますけれども、最後に。自動車の製造、使用を含めたライフサイクルの比較。電気自動車のCO2の排出量、ガソリン車の排出量と比較し必ずしも少ないとも言えない。

 こういう認識を政府の公式発言として国際社会にさらせば、ああ、井の中のカワズだなということになりませんか。林さんだったらこんなことは言わないよね。どうですか。

 資料をもう一つ御覧ください。一応つけておきました。車に関してですけれども、資料の九ですね。

 林大臣、いかがですか。これを今、日本の政府が対外的に発信している。間違ったメッセージをばんばん流していると思いますよ。いかがですか。

林国務大臣 これは、高木外務大臣政務官がこのスピーチをされたわけですが、この部分について、自動車の製造、使用を含めたライフサイクルの比較で、電気自動車のCO2排出量、これは既存の内燃機関を用いた自動車のCO2排出量と比較し必ずしも少ないと言えないと指摘されている、こういうことに言及した上で、持続可能なサプライチェーン全体の脱炭素社会を実現するために、ライフサイクルアセスメントの観点から、製造過程で脱炭素化とそのための公正なルール作りの必要性、これを指摘しているところでございます。

 国際エネルギー機関のIEAの二〇一九年の報告書にも、ライフサイクル評価を行った場合、EVのCO2排出量、これは内燃機関を用いた自動車のCO2排出量と比べてそれほど差がないと指摘をされております。

 政務官の発言は、こうした指摘を踏まえて、そういう指摘があるというふうに言及した上で、脱炭素化を実現するためにルール作りをしなければいけない、こういうスピーチであったわけでございます。

田嶋委員 気候変動にしたって、温暖化なんて起きていないと言っている科学者だっているみたいですから、それは探せばどこかにいるでしょう。

 でも、林さんがよく御存じのとおり、ノルウェーは八割以上の販売は電気自動車ですよね。日経新聞が二年前に、いつの間に後進国になったのか、そういう記事を書いて、電気自動車も日本はすごく遅れている。みんな心配しているじゃないですか。それが現実なんですよ。

 それが大宗の懸念なのに、それと全然違う方向で、何かそれを否定するようなメッセージを国際社会に日本政府が出してどうするんですか。再生可能エネルギーや省エネルギーや、そうした新しい時代をつくることに非常に後ろ向きな私は印象を持ちました。

 もう一つ、対内的にも非常に心配です。資料の十を御覧ください。小学生向けの教材のような感じがいたしますけれども、これはエネ庁の関係団体が作っているんですね。

 丸をつけたところ。太陽光の短所を一生懸命強調しています。地熱発電の短所も一生懸命強調しています。原子力、すごいすごいといって、リサイクルもやって。何が問題かは何も書かない。何が問題かも何も書かない。いろいろな対策をしているんだね。

 そして、極めつけがあるんですよ。これは最後のページ、おさらいクイズ。よく親切丁寧にここまでやるなと。おさらいクイズのQ2、太陽光や風力の短所は何。こうやって子供に刷り込むんですか。ステルスマーケティングというやつじゃないか、これは。

 西村大臣、私、本当にこれは、原発を何とか元気にしていきたいという気持ちはあるんでしょう。だったら、一番大事なことは、安全性はもちろんだけれども、新潟などでよく言われる信頼の回復じゃないですか。大臣、そうですよね。これはどう思いますか、今のちょっとかいつまんで説明したところ。どうですか。

西村(康)国務大臣 議員の皆さん方も是非このパンフレットを全て見ていただきたいと思いますけれども、原子力につきましても、安全性の、安全管理が物すごく難しいという点も十ページを見ていただくと、皆さん、お手元にないと思いますけれども、これはしっかり書いております。

 それぞれのエネルギー源に長所があり短所がある。太陽光についても風力についても、それぞれ短所があるのも事実であります。そうした中で、エネルギーの安定供給と脱炭素化を同時に進めていくために、原子力のみならず、こうした再エネについても最大限導入をしていきますし、様々長所、短所があることを理解をしてもらうというためにこれは作られているわけであります。

 また、さっきの価格の話がありましたけれども、既存のものをしっかり活用するという中で、例えば関西電力、九州電力などは、再稼働が進んでおりますので、料金値上げの申請を今回は行っておりません。そうしたことも含めて、安定供給と安定的な価格で供給していくということ、私ども責任を持って進めていきたいというふうに思っております。

 いずれにしましても、御指摘も踏まえまして、いろいろな御意見を伺いながら、引き続き適切に広報を実施して、それに取り組んでいきたいというふうに考えております。

田嶋委員 こういうパンフレットを作って、三・一一の記憶も余りない子供たちに誤った知識を植え付けさせるのはやめてください。もう少し中立、フェアにいきましょうよ、中立、フェアに。本当にこそく、そういうふうに思いますよ。それが印象ですから、国民の、これを見た印象。やめた方がいいですよ。提案しておきたいと思います。

 もう時間ですので、財務大臣、済みません。

 原発を考える上で、これまで一体幾ら国民のお金を使ってきたのか、調べていただいたのではないかと思いますので、教えてください。

鈴木国務大臣 原子力にこれまで費やした歳出について、政府としてその累計を整理しているものではありませんが、例えば、電源立地交付金や原子力関連の研究開発などを含むエネルギー対策特別会計の中の電源開発促進勘定の歳出額につきましては、その全額が原発に関連しているわけではありませんけれども、旧電源特会時代を含め、令和三年度までの四十八年間の決算額を機械的に合計した場合には、約十三兆円となります。

 また、この特会の原子力損害賠償支援勘定を通じて、被災者賠償等に充てるための、令和五年一月までに原子力損害賠償・廃炉等支援機構に交付された額は、約十・四兆円と承知しております。

田嶋委員 最近十兆円単位の会話が飛び交うので余りぴんとこないかもしれないけれども、現在価値に直したら十三兆円どころじゃないですよね、今から五十年近く前からずっとお金を使っているわけだから。

 だから、今本当に分岐点だと思います。これからもそうやって国民のお金を使い続けて、一体いつまで原発をやるんですか。目の前の電気代の値上がりで再稼働という議論とは違いますから。どさくさに紛れて、これからずっと原発、そういうことではなくて、本当に新しい挑戦を始めていきたい。自然エネルギー社会、二〇四〇年、五〇年、公明党さんもそうおっしゃっている。そういう社会、つくれますよ。みんなで同じ方向を向いてそうした社会を実現する、そのことが私は何より大事だというふうに思っております。

 質問を終わります。ありがとうございました。

根本委員長 これにて田嶋君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

根本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。吉田はるみ君。

吉田(は)委員 立憲民主党・無所属の吉田はるみです。

 本日は、異次元の少子化対策に関して深掘りをさせていただきたいと思います。

 まず、この失われた十年、少子化対策、本当にできることがたくさんあったと思うんですけれども、まず、少子化担当大臣の小倉大臣に伺いたいと思います。二〇二三年に向けた骨太方針、どのようなタイムスケジュールでお考えでしょうか。

小倉国務大臣 お答えいたします。

 まず、年初、総理から御指示がございました。こども政策の強化に関する関係府省会議を開くということ、そこにおいて、三つの柱、第一に児童手当を中心とした経済支援の強化、第二に幼児教育や保育の量、質両面からの強化と全ての子育て家庭を対象とした支援の拡充、最後、三番目、働き方改革の推進とそれを支える制度の充実でございます。その基本的な三つの方向性に沿って、有識者、子育て当事者、若者などからヒアリングを行いまして、まずは私の下で三月末をめどにたたき台を策定いたします。そのたたき台を踏まえて、四月以降、総理の下で更に検討が深められ、六月の骨太の方針までに将来的な子供、子育て予算倍増に向けた大枠を提示することとさせていただきます。

 その後、いわゆる概算要求基準が夏頃に閣議了解をされ、それを踏まえ、関係府省による概算要求が行われ、そして、予算編成過程を経て、令和六年度政府予算案が閣議決定されるものと承知をしております。

吉田(は)委員 ありがとうございます。

 私、今、小倉大臣の話を伺いながら、遅いなという感じがするんですね。

 骨太方針ということで、相当な期待が高まっているわけなんですけれども、私、改めて見てみました。骨太方針は二〇二一年もできていました。そして、二〇二〇年もありました。今大臣がおっしゃったような項目、入っているんですね。あれっと思いました。

 今回、三月に意見を取りまとめ、六月に骨太方針として出る、来年の、二〇二三年の予算に反映されるんだということでわくわくしていたんですけれども、あれっ、三年もうやっているじゃんと思ったんですよ。ああ、この中で、成果が一つだけありましたね。こども家庭庁、これだけはできた。それ以外って何か。

 小倉大臣、二〇二〇年、二〇二一年、そして今回取りまとめる骨太方針、何が違うんでしょうか。

小倉国務大臣 毎年度、骨太の方針におきましては、少子化対策、子育て政策、それぞれ記載があったものと承知しております。

 そういった毎年の骨太の方針に従いまして、例えば待機児童の解消を目的といたしました保育所の整備等々が着実に進んできたものと承知をしておりますし、来年度の予算について申し上げれば、補正でもう既に組んでおりますが、伴走型相談支援の充実とともに出産・子育て応援交付金という制度もスタートいたしました。

 そういう意味では、毎年毎年、子供政策の拡充というのは骨太の方針に記載をされ、それに基づいて着実に政策が進んでいくものは進んできたと思いますが、年初、更に加速をせよという総理の指示がございましたので、今年度は特に、今申し上げた三つの方向性に沿ってしっかり検討を進めていくということだと承知をしております。

吉田(は)委員 小倉大臣、ありがとうございます。更に加速をするということで。

 そこで、異次元のという対策に関して、大きな異次元に当たることがあります。それは選択的夫婦別姓、この実現ではないかと私は感じます。えっ、違いますか。今、自民党の方から、ええっという声が上がりましたけれども、反対なんですね。自民党は反対だということが、今この議場の中からも出てきましたけれども。

 では、まず小倉大臣に伺います。

 フランスの出生率は一・八八、その少子化対策でも大変参考になることがあるわけですけれども、その中で、生まれてくる子供たち。結婚に関するところが今ハードルになっているという指摘がこの委員会でもされています。その中で、半数以上が事実婚や法律婚に基づかない、そういった形で出産されているケースが多いわけです。これは私、今の時代、多様でそして自由な家族の在り方、これが大きく貢献していると思うんです。

 小倉大臣、選択的夫婦別姓、女性の活躍、これにちょっとキャップをかけ、そして少子化対策のネックになっているというような認識はございますか。

小倉国務大臣 子育て政策においては、家族の在り方いかんにかかわらず、全ての子育て家庭ないし子供をしっかりきめ細かく応援をしていかなければいけないということはあるんだろうというふうに承知をいたしております。

 今のお尋ねにつきましては、私、男女共同参画担当大臣も兼ねておりますので、男女共同参画担当大臣の立場として申し上げれば、今御指摘のあった選択的夫婦別姓制度は広く国民全体に影響を与えるものでありまして、現在でも国民の間には様々な議論があると承知をしております。それゆえ、この制度の導入については、しっかりと議論をし、より幅広い国民の理解を得る必要があると考えております。

 第五次男女共同参画基本計画におきましても、選択的夫婦別姓制度を含め、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方に関し、国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、司法の判断を踏まえ、更なる検討を進めることとされております。

 男女共同参画担当大臣としては、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方について、十分な理解の下で国民の皆様方に充実した議論をしていただけるよう、議論の土台となるような情報提供等を積極的に行うことで後押しをしてまいりたいというふうに考えております。

吉田(は)委員 小倉大臣、本当に、ちょっと今残念な気持ちになっちゃいました。私、当選一期目です。原稿を読んでいません。メモは見ています。こんな大事な質問に、今、多くの日本の女性の皆さんが注目していますよ、大臣の回答。それを文章を読み上げるというのは、とても残念です、私は。本当に、心からどう思っているのか、これを私は大臣に伺いたかった。これが異次元の少子化対策、そして選択的夫婦別姓に対する立場。誰がハードルになっているのか、これから解明していきましょう。

 では、これまでの選択的夫婦別姓に関する経過を伺いたいと思います。

 法務大臣、何年前から審議をされ、そして、これまで何回国会の方にその法案が提出されることがありましたでしょうか。短くお答えください。

齋藤(健)国務大臣 吉田委員の御質問でありますが、回数について事前に質問通告がなかったので、調べてからということで、よろしくお願いします。

吉田(は)委員 詳しくしました。是非、役所の方に聞いてください。

 今まで二回、政府の方から平成八年と平成二十二年、国会に提出されるということがありました。法制審議会、一九九一年から動いています。もう二十七年たっています。実際、議員立法という形で、このように、一九九七年から法案提出がもう八回も行われているわけです。それなのに、今、法制審議会の方でも、導入に向けて検討しましょう、法改正、その案も法務省は作っているんですよ。大臣、是非ここをしっかりと御認識いただけたらと思います。

 ちょっと法務大臣にお伺いしたいと思います。

 今回のこの選択的夫婦別姓、これを導入するに当たっては、担当の所管ということですが、二〇二一年の総選挙の際のNHKの候補者アンケート、これによりますと、齋藤大臣は選択的夫婦別姓に反対というふうに答えていらっしゃいますが、今もそのお気持ちは変わりありませんか。

齋藤(健)国務大臣 せっかくのお尋ねではあるんですが、今日は法務大臣としてこの場に立たせていただいておりますので、この政府の立場は、私、堅持をしていきたいと思っています。

吉田(は)委員 今、政府の立場とおっしゃいました。政府の長は岸田総理です。岸田総理のお立場は御存じでしょうか。

 岸田総理はちょうど、自民党の有志でつくられた、選択的夫婦別姓制度を早期に実現する議員連盟の呼びかけ人になっていらっしゃいます。総理が望んだら内閣は力を合わせそれを実現するということで、法務大臣、よろしいでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 総理も、総理になって、そこで改めて政府の立場を堅持しているということではないかと思います。

吉田(は)委員 政府と個人と何が違うのか、私にはまだはっきりと分かりません。

 自民党総裁が今この国の総理大臣なわけですけれども、その自民党総裁選があったのが二〇二一年九月です。この総裁選の直前の二〇二一年九月十五日、BS―TBSの番組で、岸田総理はこんなふうにコメントをされています。選択的夫婦別姓、導入を目指して議論すべきだとおっしゃっています。これは総裁選に向けての各候補者がコメントした中での言葉ですから、やらなかったら公約違反になりませんか、総裁選の。

 そして、来年、今、岸田総理は次の総裁選を目指していろいろ頑張っていらっしゃるんじゃないかと思うんですが、この問題をたなざらしにしたまま、このまま進むことは、それは私はできないというふうに思います。

 改めて、小倉担当大臣にお伺いします。

 選択的夫婦別姓、岸田総理もこのように、議員連盟でも、そして総裁選においても、積極的な立場を取っていらっしゃいます。小倉大臣も、NHKの候補者アンケート、前回の総選挙でのアンケート、御自分が何と答えていらっしゃったか覚えていらっしゃいますか。

小倉国務大臣 お答えをいたします。

 私も一人の国会議員でありますので、一国会議員としては様々な議連に参加をし、自分の考えの下で様々な議論をしてまいりました。

 ただ一方で、法務大臣も申し上げたように、今この場では男女共同参画大臣として答弁させていただいておりますので、同制度に対する私の思いをここで述べるのは控えさせていただきたいというふうに思っております。

吉田(は)委員 アンケートの内容を覚えていらっしゃらないんじゃないですか。こんなに大事なこと、自分の御回答。

 もう一度お伺いします。NHKのアンケートで、選択的夫婦別姓、賛成、反対、どのようにお答えになりましたか。

小倉国務大臣 先生もよく御存じだと思いますが、たくさんいろいろな報道社からアンケートが来て、項目も報道社によってまちまちですので、自分がそれ一つ一つについてどうお答えしたかというのは詳しく承知をしておりません。事前に通告がありませんでしたので、ここで正確にお答えすることはできませんが、ただ、どういう聞かれ方をしていたのか、それぞれのアンケートについては承知しておりませんが、おおむね賛成という立場ではお答えしていたというふうには理解しております。

吉田(は)委員 小倉大臣、確かに、あのときにはたくさんのアンケートが来ます。でも、選択的夫婦別姓や同性婚、LGBTQの差別、これはとても大事な、今、時代の中で注目されている項目です。是非、自分のお立場というのは御認識いただきたいなというふうに思います。

 今、政府として、あるいは内閣として、大臣として、コメントするのは控えたいというふうにおっしゃっていますが、歴代の男女共同参画の大臣の発言を私は見てみたんですよ。はっきりと大臣の時代におっしゃっていますよ。橋本担当大臣のときにも議論を進めるべきだというふうにおっしゃっていますし、大臣の立場だから言えないというのは、これはちょっと私には言い訳に聞こえます。まさに、担当大臣だからこの大事なところを言ってほしいというふうに思います。

 では、先ほどもちょっと自民党さんの方からわあっと、反対という感じの意見が来たんですけれども、これだけ議連もあり、議論も進んで、法制審の中でもそういう答弁があり、改正案まで出て、二十七年を経ているのに、なぜ進まないのか、考えてみました。

 私はこんな共通点があったのは怖いなというふうに思ったんですけれども、皆様の手元資料五ページ目を御覧ください。世界平和連合、項目、ジェンダーフリーが蠢動、専業主婦狩り、夫婦別姓、過剰性教育、家族崩壊策を持ち込む。次です。家族崩壊策持ち込む。また、伝統的家族観の破壊を助長する。

 小倉担当大臣、選択的夫婦別姓を導入すると家族は崩壊するとお考えですか。

小倉国務大臣 人それぞれいろいろな考え方があると思いますけれども、一般的にそういうことはないというふうに思います。

吉田(は)委員 ありがとうございます。

 今、崩壊することはないという言葉を聞いてほっといたしました。でも、それを信じている、またそういう思想が政治の中に入り込んできている、まさに旧統一教会の思想と一緒のところがあるわけです。

 どうしても選択的夫婦別姓は駄目だという方の中には、戸籍が、戸籍法が維持できないんだというようなことをおっしゃる方もいます。

 齋藤法務大臣、これは通告しています。戸籍法上、何か問題がございますか。戸籍にそれぞれ別のお名前での記載も、あるいは同じお名前での記載でも、こういったことはできますよね。

齋藤(健)国務大臣 戸籍は、日本国民の親族的身分関係を登録、公証する唯一の公簿であり、仮に選択的夫婦別氏制度が導入された場合でありましても、その機能や重要性が変わるものではなく、そのことによって大きな問題が生じるとは考えておりません。

吉田(は)委員 今のはとても大事な答弁だったと思います。

 戸籍法が壊される、家族が壊される、だから駄目だといったことを、今、小倉大臣が否定してくださり、そして齋藤大臣が否定してくださいました。もうハードルはないはずです、この選択的夫婦別姓導入に関して。

 でも、今までもたくさんの抵抗がありました。ちょっと地方の声を聞いてみたいと思います。これも、齋藤法務大臣、私は通告しております。自治体からの意見書ですね、選択的夫婦別姓を議論しましょう、そして前に進めましょう、そういった意見書が請願課の方に届いているはずです。賛成と反対、その数を教えてください。

金子政府参考人 お答えいたします。

 地方議会から提出された意見書について、その数をお答えします。

 平成二十六年四月一日から本日まで、地方自治体の議会から法務省に提出された意見書のうち、選択的夫婦別氏制度の導入を求める意見書は百四十五件、選択的夫婦別氏制度の導入について議論することを求める意見書が百六十二件、選択的夫婦別氏制度の法制化に反対する意見書が六件、旧姓の通称使用の拡充を求める意見書が十六件でございます。

 請願についてもお聞きになったかもしれませんが、国に対する請願については各議院に対して行われるものでございますので、法務省としてはお答えすることができません。

 以上です。

吉田(は)委員 今数字が出ましたけれども、賛成が圧倒的です、三百以上です。その方向で議論してほしい、こういう意見書が出ているわけです。

 私の方でもそれを整理してみました。配付資料の十ページから十三ページになります。ここに一覧があります。委員の皆様の御地元、いかがでしょうか。私の地元杉並区では、しっかり入っているんですね。

 こういう形で、地方自治体の議会の中でもこういった意見書が採択されている。この事実をしっかり受け止めなければいけないと思うんですよ。結局、採択して請願で出され、国会に来たら何かたなざらしとか塩漬けとか、これは地方自治体の議会を尊重していないことだと私は思いますので、この点、しっかり対応していただきたいんです。

 これもまた問題です。丸川珠代大臣、当時の男女共同参画大臣です。その任に当たっていらっしゃるときに、丸川珠代当時の大臣はこんなことをおっしゃっています。地方自治体の議会の選択的夫婦別姓の意見書に賛同しないでほしいということで、五十名の自民党の議員さんの連名で、四十の地方自治体の議長宛てに意見書を出しているんですよ。

 小倉大臣、今、ある意味同じ立場にあるわけですが、この行動をどう評価されますか。

小倉国務大臣 丸川大臣のこの行動は、大臣としてではなくて、一国会議員として行われたというふうに考えております。当然、では私がやるかというと、私はやりませんけれども、ただ、それぞれの議員の考えに立った行動だというふうに理解はしております。

吉田(は)委員 私には、大臣にあるときの発言と、一政治家の発言、何か説明が二転して、どのときに大臣として発言をし、どのときに政治家として発言するのか。ここの議場にいるときには大臣として発言し、ここを出たら政治家としての発言ということでしょうか。ちょっと分かりやすく説明をいただきたいと思います。

小倉国務大臣 それは正確にはお答えできませんが、少なくともこの議場で御質問をいただいてお答えするときには、これは私の個人というよりも、役職である担当大臣として御質問いただいているということですから、少なくとも議場で御質問いただくときのお答えというのは、大臣としての立場になるのかなというふうに思っております。

吉田(は)委員 本当に、私たちはばか者で愚か者なのかなと、何だか情けない気持ちになることもありますけれども、でも、決してそんなことはないと思います。

 司法の側も、この選択的夫婦別姓に関して、大変重要な判決文を出しています。

 これは、広島高裁で出されました判決文。この中で、このように書かれています。選択的夫婦別姓制度の導入について、現在の社会情勢等を踏まえた真摯な議論を行うことが期待されているものと考える。この中には、地方議会から出された意見書をきちんと受け止め、そして今の社会情勢を勘案し、婚姻、そういったものを議論する国会でこれを議論し進めていく、そういう責任があるというような御指摘と私は受け止めました。

 このように、本当に、止めているのは国会ではなくて、自民党さんじゃないですか。違うというなら、どこに原因があるんでしょうか。また、その止まってきた原因には、家族の崩壊を招く、あるいは今こうした女性の社会進出、この現状を分かっていない、そういった考えがその根底にあるのではないかと思います。

 今の若い世代はどうでしょうか、過去に縛られることを望んでいますか。また、誰かの価値観を当てはめられることを望んでいるんでしょうか。若い世代の皆さんは、そういったことから自由になりたいと思っているはずです。

 異次元の少子化対策、そして、思い切った骨太方針。小倉大臣、岸田総理もそして小倉大臣もここは賛成の立場でいらっしゃいます。統一教会では細田議長が安倍総理に報告しますとおっしゃいましたけれども、そういうことは報告しなくて私は結構だと思うんですが、この件、是非、岸田総理に御報告いただけないでしょうか。

小倉国務大臣 この件というのは分かりませんが、先ほど、平成八年、二十二年に提出を目指したけれども成立をしなかった、平成二十二年はたしか民主党政権だったと思います。それぞれの政権与党内で様々な議論があって断念したということでありますから、何も自民党に限った話ではないのかなというふうには思っております。

 これについてでありますが、当然、少子化対策につきましては、様々な御意見を承って、よりしっかりしたものを三月末に、検討せよというのが総理の指示でありますので、総理の指示の下で、担当大臣としてしっかり議論を積み重ねてまいりたいというふうに思います。

吉田(は)委員 通り一遍ではなく、本当に変わったんだという姿を見せる、これはとても大事なポイントになると思いますので、お若い大臣として、本当に岸田総理からも期待を集めていらっしゃる小倉大臣だと思いますので、是非お願いしたいと思います。

 もう一つ、この選択的夫婦別姓には重要な点があります。これは経済の面からです。この点、皆様御認識いただいているのかどうか、ちょっと伺いたいと思います。

 財務大臣、済みません、これは通告していないんですが、もしお答えになれるようでしたらお答えいただきたいと思います。

 貯蓄から投資へということで、今、経済政策が行われています。その投資の中には、こういったジェンダーに関するインデックスファンド、これがあることは御存じでしょうか。

鈴木国務大臣 済みません、存じ上げません。

吉田(は)委員 大臣、是非これは御注目いただきたいと思います。

 今、世界のファンド、投資の二七%以上は、ジェンダー、そして気候、こういうインデックス、ESG投資に関するところになりまして、日本はまだ数%というとても残念な状況でもあります。

 このESG投資の中にも、ジェンダーギャップインデックス、ジェンダーフリーインデックス、こういうものがあります。世界から日本への投資を呼び込むためにも、実は、この選択的夫婦別姓を始め、ジェンダーギャップ、これが日本経済の停滞のところにも関係しているんだということを御指摘させていただきたいと思います。

 持ち時間があと少なくなりましたが、最後に一つ重要な点を指摘させていただきたいと思います。

 子供たちのことです。でも、なぜかこのパネルは、「新たな防衛力整備計画に関する財源確保の具体的内容」というところになっています。

 今、二の、コロナ予算により積み上がった積立金や基金等の不用分の国庫返納、この中に、国立病院機構及び地域医療機能推進機構の積立金の不用見込みの国庫返済というのが一千億円あります。

 これは、私もレクを聞いて愕然としました。通常、国立病院の積立金は、五年積み立て、そこで不用分は取り崩してもう一度病院機構に使えるというものなんですけれども、四年で取り崩したいとおっしゃっているんですよ、今、この予算で。四年で取り崩すために、わざわざ、財源確保法、これを改正する法案を今回、国会に提出しています。なぜ、そこまでして防衛費にこのお金を充てなきゃいけないんでしょうか。私にはその理由が分かりません。

 そして、今、赤で囲んでいるところですが、そのほか、中小企業支援、また緊急小口資金、これはコロナになったときに中小企業そして個人を支えるために使われた支援金でございますけれども、その残りを全部足し上げますと四千億円です。

 これは給食の無償化に使えると思いますが、文科大臣に伺います。是非、子供たちのために、全国一斉、無償化できます。大臣のお考えを聞きたいと思います。短くお願いします。

永岡国務大臣 給食費につきましての御質問でございます。

 無償化すべきというお話でございますが、学校給食費の無償化につきましては、学校の設置者と保護者との協力によりまして学校給食が円滑に実施されることが期待されております。これは学校給食法にのっとった言葉でございます。その趣旨を踏まえまして、設置者でございます自治体において適切に御判断をいただけると思っております。

 なお、今般の学校給食におけます食材の高騰費に対しましては、地方創生の臨時交付金、それを充てまして、各自治体、一生懸命頑張ってその対策に今対応していただいているというところでございます。

吉田(は)委員 他人事ではなく、文科省も是非ここは力を入れてほしいです。今、ここにも所得制限があります、給食費。是非、この給食費の無償化についても、小倉大臣、よろしくお願いします。

 それを申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

根本委員長 これにて吉田君の質疑は終了いたしました。

 次に、源馬謙太郎君。

源馬委員 立憲民主党の源馬謙太郎です。今日はよろしくお願いいたします。

 ちょっと質問の順番を変えて質問させていただきます。

 まず初めに、入管法改正案についてお伺いします。

 一月十二日の報道によりますと、今国会で提出予定の入管法改正案が、二〇二一年のときの与野党の修正協議から大分後退したものになる、そういう報道がありました。難民認定申請の回数の制限ですとか、それから退去命令違反の罰則期間の短縮、原則六か月の収容上限など、様々な与野党の修正協議があって、調う寸前まで行ったものがありましたが、今回のこの報道によれば、修正協議になる前の原案の内容にほぼ戻ってしまったという報道がありましたが、修正協議は踏まえない予定でよろしいでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 大変恐縮なんですけれども、まだ法案については検討中でありますので、その具体的内容がこうなるとかいうことをこの場でお答えするのはちょっと困難でありますが、現行入管法下で生じている送還忌避、長期収容問題というのは、我々は早期に解決すべき喫緊の課題だというふうに考えています。

 他方で、人道上の危機に直面していて真に庇護すべき者を確実に保護する制度の整備というものも、これまた重要な課題の一つと考えていますので、入管制度全体を適正に機能させ、保護すべき者を確実に保護しつつ、ルールに違反した者には厳正に対処できる制度とするためには、こうした現行入管法下の課題を一体的に解決する法整備を行うことが必要不可欠であると考えていますので、この考えの下で、法務省としては、必要な法改正の早期実現に向けて全力を尽くしてまいりたいと思います。

 また、様々な経緯がありましたので、それもきちんと踏まえながら対応していきたいと思っています。

源馬委員 きちんと踏まえると最後御答弁があったと思いますので、この与野党協議、これは本当に与党と野党が真剣に協議したものですから、是非、その内容はしっかり踏まえていただきたいというふうに思います。

 そもそも、この入管法が非常に話題になり、そして与野党修正協議が調う寸前まで行った背景には、やはりウィシュマさんのあの事件があったことが背景にあると思います。今回の、これも報道ベースですが、ウィシュマさんが申請しても認められなかった経緯を踏まえて、医師の意見を聞いたり、健康状態に十分配慮して判断するという内容が盛り込まれるのではないかというような報道がありましたけれども、そもそも、医師の数の不足とか医師の意見がどうのこうのではなくて、何が実際に行われていて、どこに問題があったのか、それをどうやったら解決できるのかということがないと、あるべき法改正はできないというふうに思います。

 今度、二月十五日には民事訴訟の口頭弁論があると聞いていますが、政府は年末にウィシュマさんのビデオを証拠提出する方針を決めたというふうに聞いていますが、これは、法廷で二百九十五時間分の五時間を流すことになるんでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 訴訟における証拠調べの実施をどうしていくかということについては、裁判所が判断をするということになると承知をしておりますので、政府としては、法律に従い適切に対応していくということに尽きるのではないかと考えています。

源馬委員 裁判所でどういう扱いにするかということは裁判所が判断するかもしれませんが、このビデオの中身を国会では一部に見せられましたけれども、やはり、何が実際に起きていて、どこに問題があったのか、そして、責任がどこかにあるのであればその責任をどう取っていくのか、そういったことを検証した上で、あるべき法改正をしていただきたいというふうに思います。

 これは類似した事案が実はありまして、二〇一四年の茨城県の入管施設で収容中のカメルーン人男性が亡くなった事件、これを発端にこの議論はあったわけですが、救急搬送すべきだったのに怠ったとして過失を認定したわけですね。そういう判断がされました。それから十年間、これもやはり人権問題でいろいろ疑義を持たれることもある我が国の、失われてしまった十年、その一つの原因をつくったのではないかというふうに指摘をしておきたいと思いますので、法改正、なるべくいいものにしていただきたいというふうに思います。

 続いて、秋本外務政務官にお伺いしたいと思います。

 今日お配りした資料にグーグル・ストリートビューの写真があると思いますが、これは秋本政務官の事務所、自民党千葉九区支部ということでよろしいですか。

秋本大臣政務官 まず初めに、このような形で多くの方々に御心配をかけていることを真摯に謝罪をしたいというふうに思います。

 質問に対する答えでございますけれども、そのとおりでございます。

源馬委員 この事務所は市街化調整区域にありますか。

秋本大臣政務官 本件の土地及び建物の貸主に対して、まず事実関係を確認中であります。

源馬委員 じゃ、政務官はここが市街化調整区域にあるかどうか分からないということでよろしいですか。

秋本大臣政務官 今、御質問を受けた点も含めて、事実関係を確認中でございます。

源馬委員 政務官が御存じかどうかを伺っているので、それを確認するということはおかしいと思います。政務官が御存じかどうか。

秋本大臣政務官 今現在という点でいいますと、調整区域だということを認識しております。

源馬委員 じゃ、今まで知らなかったんだけれども今は知っているということなのか、ずっと事務所を使われているときから知っていたんですか、どちらですか。

秋本大臣政務官 改めて、今、その点については事実関係を確認中であります。

 質問の趣旨としてですけれども、調整区域に仮に建物が建っていたとしても、直ちに違反になるわけではないわけであります。そういった点も含めて、事実関係を確認中であるということでございます。

源馬委員 事実関係を確認するということじゃないと思うんですよね。政務官がいつから知っていたのか、ここは市街化調整区域であるということをいつ知ったのか、それを伺いたいと思います。

秋本大臣政務官 今現在は認識しているということでございます。(源馬委員「だから、いつからか」と呼ぶ)

 いつからということについては、明確には分かりません。

源馬委員 これは、建築主がもちろん対象であって、市街化調整区域にこうした建物を造ると、申請せずに建物を造ると都市計画法や建築基準法の違反になるということなんですね。ただ、借主も事情を知っていて借りていたとしたら都市計画法違反になると思います。なので、いつ政務官が知ったのかを伺いたい。いつですか。

秋本大臣政務官 今お尋ねのことにピンポイントでお答えするとすると、今現在も事実関係を確認中であるということでございます。

源馬委員 じゃ、今は知っているけれども、いつから知ったか確認中という、よく分からない、御自身のことだと思うんですけれども。

 借りた時点では知っていましたか、この事務所を。

秋本大臣政務官 先ほども答弁したわけでありますけれども、調整区域であったとしても直ちに違法になるわけではないわけでありまして、昭和四十五年の七月三十一日以前に建っていた建物等は、幾つかの条件を満たしていれば、調整区域であっても直ちに違反にはならないわけであります。

 ですから、その点も含めて事実関係を確認中であるということであります。確認中であるということであります。(発言する者あり)

根本委員長 秋本外務大臣政務官、いつから知っていましたかということですので、お答えください。

秋本大臣政務官 そういった意味では、存じ上げませんでした。

源馬委員 借りたときには知らなかった、最初に借りたときには知らなかったけれども、いつ自分が知ったか分からない、確認中ということなので、それが確認できたら委員会に報告してください。いつ秋本政務官自身が知ったのかを確認できたら、委員会に報告してください。委員長、よろしくお願いします。

根本委員長 理事会で協議します。

源馬委員 もちろん、知っていたら直ちに違反になるかならないかということではなくて、やはり申請を出さないといけないんですね。それを出していないと違反になる、これは明確だと思います。

 ところで、政務官は、同じ敷地内に、選挙のときにプレハブの事務所を建てませんか。

秋本大臣政務官 プレハブを建てて前回選挙を行いました。

源馬委員 プレハブを建てるときは建築許可申請しませんでしたか。

秋本大臣政務官 私自身が手続をしたわけではないので、選挙という中で、たくさん、皆さん分かると思いますけれども、多くの時間を選挙運動に使っているという中では、事務的な作業につきましては事務方が行っておりまして、その点につきましては、私自身、今、現時点でもはっきり認識しておりません。

源馬委員 前回の選挙のときとおっしゃいましたが、その前も使っていませんでしたか。複数の方から聞きましたけれども、一回だけですか、プレハブを建てたのは。

秋本大臣政務官 たしか前々回もプレハブを建てて選挙を行ったというふうに記憶しております。

源馬委員 じゃ、是非これも、建築許可申請、そのとき出しているかどうか確認したら、その結果を委員会に報告していただきたいと思います。

根本委員長 理事会で協議します。

源馬委員 ちなみに、こういうプレハブを建てるときは、市から開発行為又は建築に関する証明書というのが出されます。この同一の住所は市街化調整区域とされて、こういうのが出ています。恐らく御存じだったのではないかというふうに思いますので、しっかり調べていただきたいと思います。

 それから、政務官、私、これを通告して、昨日、外務省の方から問合せがありました。最初、何で外務省の方が政務官の事務所について関心があるのか分からなくて聞いてしまいましたが、これは外務省に答弁を用意してもらっているんですか。

秋本大臣政務官 今現在、私は外務大臣政務官でございますので、全ての公の場での発言につきましては、私、当然それとうちのスタッフ、それと外務省の方でしっかりと打合せをした上で答弁をさせていただいているところでございます。

源馬委員 我々も、なるべく官僚の皆さんに負担をかけないように、通告を余り遅れないようにしようとか、いろいろ言うじゃないですか、与野党で。御自身のことで外務省の職員を何か、答弁を用意させて、その方が負担をかけていませんか。もう御自身のことは、役所の人じゃなくて、御自身の事務所で今後準備したらいかがですか。

秋本大臣政務官 私も、そういう意味では、我が省の職員に多大な負担をかけてしまっているということについては、じくじたる思いでございます。大変申し訳なく思っております。

 しかし一方で、外務大臣政務官という公の立場でございますので、国会で皆様方に真摯に答弁するためには、外務省のお力もかりてしっかりと答弁を作成しなければならないと思っておりますので、今後も、私、そしてうちのスタッフ、そして外務省としっかりと答弁をすり合わせて作成をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。

源馬委員 なぜ外務省の職員の皆さんと答弁をすり合わせないといけないのかよく分かりませんが、負担はなるべくかけないようにしていただきたいと思います。

 それから、同じ報道で、政務官時代に株を購入していたのではないかという報道もありました。

 政務官、たしか御自身の御著書の中で、ちょっと一個まず確認させていただきたいんですが、私も国交大臣政務官として、新法、これは洋上風力新法の起案に携わりましたというように書かれています。これは事実ですか。

秋本大臣政務官 はい、おっしゃるとおりでございまして、私が外務大臣政務官の時代にこの新法を……(源馬委員「国交大臣」と呼ぶ)大変失礼いたしました、国土交通大臣政務官の時代にこの法案の作成をしていた。

 残念ながら、法案の提出時は、私はもうそのときは大臣政務官ではありませんで、国交委員会で、逆に議員として国交省に質問させていただいたという経緯もございます。

源馬委員 国交政務官として再エネ関連事業に非常に熱を注いだ政務官が、その再エネ事業をやっている関連企業の株を大量に購入していたのではないかという報道ですね。

 ちょっと時系列でいろいろ資産等報告書などを、政務官のを拝見いたしました。

 政務官になられたのは二〇一七年八月ですね、政務官になられました。二〇一六年の所得報告書には、レノバ株、レノバという会社の株は記載されておりません。それで、二〇一七年八月に政務官になって、その年、選挙がありましたので、十月の資産等報告書では、レノバ株四百株、新規に購入したということになっております。そして、二〇一七年に、新たに取得する株ということで書かれているものは該当なく、二〇一八年の十月に政務官を退任されるんですが、その二〇一八年の資産等補充報告書では、株式会社レノバの株を二千二百株買い増しております。

 なので、四百株は二〇一七年の一月から十月にかけて、二千二百株については二〇一八年中の購入だということが見えるんですけれども、具体的に、このレノバ株四百株を購入したのは何年の何月何日ですか。

秋本大臣政務官 まず、国土交通大臣政務官の在任中に株式の取引は行っておりません。

 その上で、政府の役職にない一議員が株取引を行うことは適法でございます。

 御指摘の株取引につきましては、資産報告書等に適切、適法に記載をしております。このことは衆議院事務局にも確認をいたしました。また、本件に係る税務処理についても適切、適法に対応をしております。

 したがって、個別の株取引の詳細につきましては答弁を差し控えさせていただきたいというふうに思います。

源馬委員 それが分からないから、いつ購入したのかということを伺っているわけです。

 いつ四百株購入して、二千二百株買い増したのはいつですか。

秋本大臣政務官 改めて申し上げますが、国土交通大臣在任中に株の取引は行っていないということを明言しているわけでございます。国土交通大臣政務官の在任中に株式の取引を行った事実はございません。(発言する者あり)

根本委員長 ちょっと止めて。

    〔速記中止〕

根本委員長 速記を起こしてください。

 源馬謙太郎君。

源馬委員 そうしましたら、レノバ株、最初に四百株買ったのは、政務官になる前ですか、後ですか。あと、二千二百株買い増したのも、政務官になる前なのか、政務官を退任した後なのか、教えてください。

秋本大臣政務官 まず、先ほど来申し上げているとおり、国土交通大臣政務官の在任中に株式の取引は行っておりません。

 その上で、本件株式を購入したのは国土交通大臣政務官就任前でございます。また、売却したのは国土交通大臣政務官退任後でございまして、在任中に株式の取引は、繰り返しになりますけれども、一切行っておりません。

源馬委員 売却したのは退任した後ということですが、売却して利益は出ましたか。

秋本大臣政務官 先ほどの答弁の繰り返しで大変申し訳ないんですけれども、政府の役職にない一議員として株の取引を行うことは適法でございます。

 御指摘の株取引につきましては、資産報告等にしっかりと記載をしております。衆議院の事務局にも確認をいたしました。本件に係る税務処理につきましても適切、適法に対応しております。

 したがって、個別の株取引の詳細につきましては答弁を差し控えさせていただきたいというふうに思っております。

源馬委員 資産等報告書、拝見しましたが、売却したときの利益というのは書かれておりません。唯一あったのが、マイナス百六十八万円、上場株式の事業、譲渡所得、二〇二〇年、これだけでした。

 私の見落としなんでしょうか。記載していますか。事業や譲渡所得ということで、記載されていますか。何年の収支報告書に記載されているか教えてください。

秋本大臣政務官 私も委員も議員でありますから、資産等報告書、記載しているというふうに思います。

 その中で、先生も御存じだと思いますけれども、確定申告の写しを写すような形になっていますよね。その中で、証券会社で特定口座を開設した際、証券会社で源泉徴収を行うように手続をいたしました。そのため、国税局のホームページにも記載があるとおり、上場株式の売却益につきましては、源泉分離課税をされており、納付するべき税額は源泉分離により完納されているため、確定申告書には記載をしなくてもよいことになっておりますので、記載をしておりません。そのため、確定申告書にないものを報告書に写すというルールになっておりませんので、記載をしていないということでございます。

源馬委員 ちょっとそこは、私、今すぐ分からないので、詳しくそれはまた今度伺わせていただきたいと思います。

 政務官は、御自身でもおっしゃるとおり、再エネ事業というのに非常に御関心が高くて、一生懸命取り組んでおられるというふうに思います。

 令和四年の予算委員会第七分科会で、政務官は質問に立たれていますね。ここで、質問のしょっぱなに、洋上風力の入札が昨年末開封されましてと。

 済みません、ちょっとその前に背景を説明しますと、秋田と千葉、三か所で洋上風力発電の事業の入札が行われた。これは、最終的に落札したのは、三菱商事が落札しました。

 このことを受けて、政務官は非常に怒っているわけですね。最初から、洋上風力の入札について聞きたいんです、結論ですけれども、私、この質問を通じて、大臣に是非理解いただいて、二回目の、次の入札ですね、第一ラウンドじゃなく第二ラウンドの入札、もう既に公示している二回目の公募から評価の方法を変えろと迫っています。再三、評価の方法を変えるべきだというふうに言っていますね。価格だけで決めるなと。ちょっと言葉遣いは違います、価格だけで決めてはいけないと。さらに、大規模事業者じゃなくて新興企業が多数入れるような仕組みにすべきだと、要するにですね。

 そういうようなことを執拗に、当時、萩生田大臣ですが、迫っておりまして、最終的に、何と、萩生田大臣も、ちょっと検討しますみたいなことになって、結果的に、もう既に公示が始まっている、入札が始まっているのに、公示が始まっている段階でその評価のルールを変えることに成功しました。これはやはりちょっと利益誘導なんじゃないかなというふうに思いますね。

 これはどういう背景だったのか、簡単に御説明して、あっ、ちょっと時間がないので、やはり結構です、済みません。

 それで、新たに変わった評価方法というのが、業界ではレノバ方式と呼ばれているんですよ。大臣が株を大量に買って利益を出したレノバという会社の、レノバ方式と呼ばれています。

 これは実際に、日経エコロジーという記事でも書かれています、評価方法が変わったことについて。

 三菱が全部取ったけれども、大企業にはちょっと不利なような中身になる。第一回目に応札した企業は九団体あったんだけれども、新ルールへの意見を表明したが、ほとんどがその変更は不要だと否定的だったということです。特に大手企業は、制限がかかるとスケールメリットを追求しづらくなり、開発意欲がそがれると懸念を示したと。

 そういう中であえてレノバ方式に変更した。これは利益誘導じゃありませんか。

秋本大臣政務官 まず、私が最も主張したのは、安さもいいよね、安さも必要だけれども、やはり早く運転開始するのも必要だよねという点であります。今御指摘のあったレノバ方式というのは、私は何を指しているのか分かりません。

 さらに、委員の方から、容量を制限するということについて非常に業界から評判が悪かった、それなのに秋本さんが言って制度改正をさせたんじゃないかという御指摘がありましたけれども、その点につきましては私も反対をしています。

源馬委員 本当に政務官が御存じないなら、この日経エコロジーの記事をちょっと引用しますと、レノバ方式のように早期に準備をしておいて早く開始する、そういう企業が一つの勝ち筋になりそうだと。こういう分析もあるわけですよ。

 しかも、政務官は、レノバだけじゃなくて、いろいろな新興の再生エネルギー事業者からお金もたくさんもらっていますよね。過去三年で二千五百万円。こういった企業が、レノバだけじゃなくて、入りやすいような評価方式に、公示されているにもかかわらず急に変わった。

 ところで、もう一点伺いたいんですが、レノバの関係者から献金などを受けたことはありませんか。

秋本大臣政務官 まず、制度改正ですけれども、制度改正したのは経産省であります。私、そのときはただの一議員でございまして、国会で質問をして、大臣に制度改正をしてくださいと、これは公の場で質問していますから、議事録も残っていますけれども、それも含めて、経産省が総合的にいろいろな点を勘案して制度改正をしたのではないかというふうに推察をいたします。

 献金の件でございますけれども、質問の件でございますけれども、答えはノーでございます。

源馬委員 質問していないことはなるべく答えないでください、時間もありませんので。

 レノバ関係者から献金は受けていないということですね。よろしいですか。政務官、うなずいていただくだけで結構です。

秋本大臣政務官 ノーということでございます。

源馬委員 何でそこだけ英語になるんですか。

 じゃ、もう一個伺いますが、この同じ予算委員会の分科会で、政務官はこう言っているんですよ。私は、安倍政権の頃に、それこそ、安倍総理そして菅官房長官にお願いをして、この洋上風力の法律を作るために国交省に政務官として行かせていただいたという経緯が実際にあるんですと。これは本当なんですか。

秋本大臣政務官 正確を期しますと、その年に訴えて国交省に行ったわけではありません。

 かねてから、やはりこの国に洋上風力に関する新法というものは絶対に必要だと強い信念を持っておりましたので、そのためには、一議員として何度も政府に働きかけをいたしました、しかし残念ながらそれが達成できなかった中で、やはり自分が政府の中に入っていくということが一つの近道なのではないかということで、当時、委員がおっしゃったような思いを持ちまして、そういう主張をしていたということは事実でございます。

源馬委員 加えて、さっきの入札の方法にちょっと戻りますけれども、このことについても、大臣は、国交政務官時代に、自分がその第一ラウンド、第二ラウンドを含めて、三か所の洋上風力発電事業、この選定過程とかも含めて策定段階に関わってきた人間として、自分が主張してきたことが通らなかったので、じくじたる思いがあって、結果が出た後に、やはり第二ラウンドは是非変えてもらいたいと強く言っているじゃないですか。実際に大臣政務官が関わってきたわけですよね、最初のルール作りに。それだから、ここまで言ったら、影響を与えたということになりませんか。

秋本大臣政務官 もう時間がたっていますので、当時の内側の話をしてもいいと思いますが、当時、経産省と国交省の間で法案の味つけ、つまり何をもって落札者とするのかというところについていろいろと議論をいたしました。その中で、簡単に言えば、経産省は価格を重視したい、国土交通省としては、価格のみならず定性的な面についてもしっかりと評価をするべきだ、また運転開始時期についてもしっかりと評価をするべきだという中で、両省のせめぎ合いがございました。その結果、私個人の思いとしては、経産省にかなり押し込まれてしまったなという思いの中で、じくじたる思いがあったということでございます。

源馬委員 引き続き、この問題はまた確認させていただきたいと思いますが、外形的に見れば、安倍総理と菅官房長官に直談判をして政務官になった秋本政務官が、再エネ事業を一生懸命やって、二千五百万円も新興企業から献金を受け、レノバの株も買い、そして、そうした新興企業が落札しにくいようなルールを公示後に変えてくれと声高に国会の場で訴え、それが理由か分かりませんが、結果的に変わって、そしてその後レノバの株を売ってということがあると思いますね。

 ここはしっかりと、また今後ちょっと確認させていただきたいと思います。

 済みません、たくさんの大臣に今日来ていただいて。ちょっと、まず皆様にお伺いしたいと思うんですが、林大臣、浜田大臣、谷委員長、鈴木財務大臣にお伺いしたいんですが、昨日の我が党の落合議員の質疑で、議員が世襲するとき、政治団体を世襲すると、無税で、非課税で事実上の相続ができちゃうのではないか、これはやはり機会の平等にも反するのではないかという議論がありました。それぞれ、今申し上げた大臣は、世襲されていると思いますが、政治団体もそのまま世襲されましたか、御自身のとき。

鈴木国務大臣 ちょうど三十三年前のことでありまして、当時のことを知る者ももういないわけでありますが、私の記憶をたどってみますと、父親が代表を務めていた政治団体の代表を私に替えたということはありませんでした。ありません。

林国務大臣 私が最初に参議院に出てきたときには、まだ父が衆議院議員でございました。そういうこともあって、父である林義郎衆議員からは政治資金団体や政治資金を引き継いでおりません。

浜田国務大臣 私もしておりません。

谷国務大臣 昨晩、この通知がありまして、急いで調べてみました。

 調べた限りでは、平成十五年の秋、初めて選挙に出た年でございますが、新たに谷公一後援会という政治団体を設立しました。あわせて、その年の秋、政治団体、自民党兵庫県第五選挙区支部の代表者を私、谷公一とさせていただいたということであります。

源馬委員 ありがとうございます。

 それでは、残りの時間で有機フッ素化合物、PFASについて伺っていきたいと思います。

 一月三十一日の報道で、専門家が市民団体と行った血液検査があったわけですが、国がこれまで行った調査の三倍の濃度の有機フッ素化合物、総称してPFASが検出されたということが公表されました。これは、アメリカなんかでは非常に厳しい指針が出されているが、日本ではようやく専門家会議を設置して、これから対策を強化しようということだと思います。

 このPFASは、米軍関連施設から検出されることが多い、これは泡消火器の成分に含まれているということで、ああいった大規模なところでは液体ではなく、粉ではなく泡の消火器を使うためということなんですが、これについて米側とどういうような取決めをしているんでしょうか。

林国務大臣 PFASでございますが、これをめぐる問題につきましては、これまでも米国の環境保護庁、また国防省含めて、様々なレベルで米側とやり取りをしてきております。

 在日米軍は、これまでも、PFASの漏出が起こった際には、日米間の合意に従いまして日本側に通報を行ってきております。また、漏出が発生した際には、環境補足協定などに基づきまして施設・区域内への立入り等を実施してきております。

 米軍施設・区域内外の環境対策、これが実効的なものになりますように、環境省を始めとする関係省庁と連携して取り組んでまいりたいと考えております。

源馬委員 漏出して、それが周りの環境に影響を与えるということももちろんあると思うんです。ですから、漏出したときには連絡をもらうということは、これはいいと思うんですが、血中濃度にこれだけ蓄積しているということは、何かぽろっと漏出しちゃったときに被害を受けるではなくて、恒常的に影響が、水なりで体内に入っているということだと思うんですね。

 米国の国防授権法ですとかPFASに関するタスクフォースでは、米国内の米軍関係施設、約七百の施設に全部調査をして、どこが危険かという評価と除染をするというふうに聞いていますが、この結果を外務省はちゃんとアメリカ側からもらっているのか。さらには、同じような調査を米側が日本にある米軍基地内でもやるということなのか。その点、確認させていただきたい。

林国務大臣 米国とは、PFASに関して様々なレベルで情報交換や議論を行っております。日米合同委員会の下に環境分科委員会というのがございますが、こういった場も含めまして、米側からは最新の状況について情報提供を受けております。

 先月行いました日米2プラス2においては、環境に係る協力を強化するということも確認しておりまして、引き続き、関係省庁と連携しながら、米側と緊密に協力してまいりたいと思っております。

源馬委員 日本国内にある米軍基地でも、米側による同じような評価、除去、行われるんですか。

浜田国務大臣 米国の国防省において、現在、PFAS対策措置及び海外の米軍基地への影響について議論を行っているところであると承知をしています。

 引き続き、関係省庁と連携しながら、米側の取組状況について、情報収集も含めて、米側と緊密に協力していきたいと思っております。

源馬委員 米国は、自国内の施設ではもうやって、しかも厳しい指針を出してこのPFASに対して取組をしているわけですから、是非、日本国内も、何か米国優先で、日本国内の基地はちょっと二の次ねみたいなことにならないように、しかも、米軍施設から漏出、あるいは恒常的に出ている可能性があるわけですから、ここはしっかり、対等な日米関係なんでしょうから、しっかりと主張していただいて、日本の環境も守っていただきたいというふうに思います。

 そのことを申し上げて、質問とさせていただきます。ありがとうございました。

根本委員長 これにて源馬君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤木正幸君。

赤木委員 日本維新の会、赤木正幸と申します。

 本日は、貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日は、電力・ガス料金について、そしてスタートアップ支援について質疑させていただきます。

 私は、以前、町づくりに力を入れた不動産ディベロッパーに勤めていたこともあったりとか、私自身でも不動産会社、再エネ会社を営んでいたこともあって、この電力とかガスのビジネスに関わっている知人が非常に多いです。そして昨今、電気、ガスの値上げ、その見通しに対する危機感というのは、これは事業者だけじゃなくて、私の地元の方々、事業を行っている方々、非常に相当なものです。電気・ガスショックと言ってもいいぐらいの心情を日々寄せていただいています。

 ですので、だからこそというわけではないんですが、本日の質疑においては、できるだけポジティブな、未来が明るくなるような、積極的な御回答をいただきたいと考えておりますので、是非よろしくお願いいたします。

 まず最初の質問として、この電気・ガス料金の現状をどのように認識して、なおかつ、なぜゆえこのような状態に陥っているかという原因の部分について、経済産業大臣より御見解をいただけますでしょうか。

西村(康)国務大臣 お答えします。

 現在、ロシアによるウクライナ侵略等によって、世界的にエネルギー価格が高騰しております。また、日本の場合、為替の影響もございまして、日本の燃料の円建て輸入価格が高騰しております。具体的には、特にLNG、石炭の輸入価格について、この一年間で、それぞれ、LNGは一・六倍、石炭は二・四倍となっております。

 こうした燃料価格の高騰が電力料金、都市ガス料金などの上昇につながっておりまして、一年間で、家庭向けの電気料金は約三割、産業向け電気料金は約五割、ガス料金につきましては、家庭向けは約三割、産業向けのガス料金は約九割上昇しているという状況でございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 まさに、客観的なデータを見ても、値上がりもせざるを得ない状況だということは私も認識はしているんですけれども。ちょっと、西村大臣のもう率直な現場感覚として、日本中いろいろなところに行かれて、私も隣の選挙区ですので、いろいろなところに行く先々、西村先生の影を追っかけているようなぐらい、いろいろなところへ行かれているので、ざっくばらんに、実感値として、どういった状況だと認識されているかをお聞かせいただけますでしょうか。

西村(康)国務大臣 まさに先ほど申し上げたとおり、この一年間でかなりエネルギー価格が上がっているものですから、家庭においても、また中小企業においても、非常に悲鳴に近い声も聞いているところであります。特に、中小の電気をよく使うような企業は、最初は自由価格で契約して安かったのが急激に上がってきたということで大変な思いをしたというのを、昨年かなり多くの事業者の皆さんからお聞きをしました。

 そうしたことも踏まえながら、今般、電気料金、ガス料金の激変緩和策ということで、この一月の使用分から、ですから、二月の支払いから値引きをしていく仕組みを導入したところであります。特に家庭では、冬になって、この一月、二月は非常に需要量が増えるものですから、できるだけ早くやろうということで、この一月分から対応することにいたしました。

 しっかりと、支援策、行き届くように、着実に実行してまいりたいというふうに考えております。

赤木委員 ありがとうございます。

 私もまさに同感であり、大臣のまさに実感に共感させていただいております。言われるとおり、迅速に、即効性のある対策が必ず必要と考えております。まさに、この対策を失敗すると日本の復活がより困難になると、非常に大きな懸念を、危機感も抱いております。

 そこで、この具体的な対応策、今後の目標も含めて、もう少し具体的に御回答いただけますでしょうか。西村大臣より、よろしくお願いいたします。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、値上がりして非常に厳しい状況にある方々に対しまして、足下の対策として、補正予算において激変緩和策ということで、この一月分から、平均的な負担増が約二割と見込まれることを踏まえて、その水準と同程度の値引きを、公平性、迅速性の観点から実施をさせていただくことにしております。

 さらに、中長期的には、やはり、エネルギー、こうした危機に強い構造にしていかなきゃいけないということで、需要側、供給側、それぞれで対策を講じることにしております。

 省エネ対策、これも三年間で五千億円の支援をしていくことにしておりますし、また、再エネ、原子力など、脱炭素電源の転換を促進するということ、過度な化石エネルギー源の依存から脱却していく、中東に依存度も高いわけでありますので、そうしたことを含めて、エネルギー危機にも耐え得る強靱なエネルギー需給の構造をつくっていくということで取り組んでいきたいというふうに考えております。

赤木委員 まさに足下の対策としては、電気、ガスの小売事業者を通じて値引きを行うということを私も認識しているんですけれども、これは、もっとダイレクトにできないものかなというふうに考えております。

 そもそも、小売事業者さんが九百五十、千社近くある中で、ちょっと言い方はあれなんですけれども、中抜きされていないかとか、実際、やはり、エンドユーザーである国民の皆様が、結構、不安とか、非常に分かりづらさを感じられているというところも、これが今後の、次のお金の、お金を出すことの歯止めというか、心理的なストッパーにならないかというところを結構気にしております。実際、私も駅に立っていて、電気の使用量のお知らせを渡されて、どこが安くなるのというのを、かなり具体的に皆さん気にされていたりしますので。

 ちょっとここで質問になるんですが、この小売事業者を通じた値上げではなくて、例えばエンドユーザーの料金をダイレクトに値下げするという意味で、例えば再エネ賦課金を下げるとかといったような、そういった方策というのは考えられていたりされないんでしょうか。西村大臣、よろしくお願いいたします。

西村(康)国務大臣 私ども、検討に当たっては、消費者の皆さん、国民の皆さんへの直接給付、あるいは、おっしゃった、御指摘があったFITの賦課金の停止など、様々な選択肢の中で議論を重ねてきた結果、公平性、迅速性、そして、御指摘のあった、中抜きなどされないというような仕組みも含めて、そういった観点から今回の仕組みを提示をさせていただいて、補正予算でお認めいただいたところでございます。

 御指摘の再エネ賦課金の徴収停止につきましては、家庭の電気料金の値上がりを賄うことが、それだけではできないわけであります。今回、それを上回る支援策を出しているわけでありますし、また、賦課金は、小売事業者が需要家から回収して、それをOCCTOと呼ばれる電力広域的運営推進機関に納付する仕組みになっておりまして、非常に複雑な仕組みになっているものですから、実際に小売事業者が値引きをしたかどうかというところの反映されているかどうかというところも、実は中抜きの問題も生じるわけであります。

 そして、これを停止した場合、監視する体制も含めて、そうした構築が必要になってまいりますし、法改正も必要になってくるということで、私ども、迅速性そして公平性の観点から、今回の激変緩和策を行うこととしたわけであります。あわせて、再エネ特措法に基づく現行の制度を着実に推進していくという必要性もございます。

 いずれにしましても、御指摘の中抜きがないようにするために、値下げを行うための約款、契約の変更内容、それと、需要家に対する販売実績を確認して交付をするということにしておりますので、いわゆる中抜きを発生させない仕組みにしております。加えて、実際に需要家に対して値引きをしっかりやっていることを抜き打ちで直接確認することも行う。こうしたことを通じて不正の防止を図っていきたいというふうに思っております。

 いずれにしても、今月の請求から、しっかりと皆さんに分かるようにしながら、着実に、確実にお届けできるように実行していきたいというふうに考えております。

赤木委員 まさに実際に値引きということ自体も大事だとは思うんですけれども、やはり国民の皆様が心理的に公平に扱っていただいていて、それでもって次のお金を使って投資するとか消費をするという、そこのムードを何とか冷やさないようにしていただきたいと考えております。

 ところで、電気料金に関しては地域格差も発生していると私も認識していまして、いろいろな要因はあるとは思うんですけれども、今、値上げの申請を行っている小売事業者は、結構、原発を稼働していないエリアが多いのかなと認識します。

 これは、先日、日本維新の会の小野議員も指摘していますが、例えば、中長期的に見て、新基準を満たしている原発の再稼働を、すぐとは言わないにしても、ちょっとでも早めるといったことを御検討されていたりはしないんでしょうか。西村大臣、御回答をよろしくお願いいたします。

西村(康)国務大臣 御指摘のとおり、原子力発電所の再稼働が進み、火力発電の燃料費が抑えられれば、電力料金の抑制に寄与するものというふうに考えているところであります。

 原子力発電所の再稼働につきましては、規制委員会の安全基準をしっかりと守らなきゃいけないということで、その認可を得たものについて、それを大前提にして、地元の理解を得ながら進めていくというのが政府の方針であります。

 着実に再稼働に向けて全力で取り組んでいきたいというふうに考えておりますが、昨年末には、再稼働に向けた関係者の総力を結集するということで、具体的な取組として、地域の理解活動、避難計画の策定、充実、これに向けた国の支援体制を強化をしていくということ、それから、消費地域も含めて国民との双方向のコミュニケーション、これを深化、充実させていくこと、また、安全マネジメントの改革、あるいは、審査対応に向けた産業界全体での連携強化などを盛り込みました行動指針案を取りまとめたところであります。速やかに実行していきたいというふうに考えております。

赤木委員 まさに中長期的な不安というのを払拭するためにも、一日も早く実行していただきたいと考えております。

 そして、今日御回答いただいたものは昨年の十月の閣議決定された総合経済対策に基づいていると認識しているんですけれども、そこからやはり三か月たって、現状は更に悪くなっているのかなと感じております。

 実際、私も、御意見いただくんですが、秋以降、電気代が上がる、ガス代が上がるからお金をためておかなきゃいけない、こういった心配も受けているんですけれども、是非、今後のこの現状を踏まえた追加の対策について勇気を得られる前向きな御回答を、今日一番前向きに回答していただきたい部分なんですけれども、お願いできますでしょうか。西村大臣、お願いいたします。

西村(康)国務大臣 御指摘のとおり、輸入燃料価格の高騰などを背景に各社から値上げの認可申請が出てきているところでありますけれども、現在、電力・ガス取引監視等委員会において審査を行っております。厳格に審査をしていきたいというふうに思っておりますし、政府としては、まずは、今月の請求から反映される値引きの緩和策、これをしっかりと執行に取り組んでいきたいというふうに考えております。

 同時に、先ほど申し上げました事業者の省エネの設備への支援、あるいは、家庭の断熱材とか、リフォームのときのそうした省エネ型の住宅に変えることの支援、こうしたもので、これは国交省、環境省とも連携して行っておりますので、そうした取組も進めたいと思っておりますし、再エネ、原子力の推進も進めていくということで、需要、供給双方で強い構造にしていくということで取り組みたいと思っております。

 その上で、九月より先のことでありますので、どういうふうに国際情勢がなっていくか、また、国際的な石油あるいはLNGの価格がどんなふうになっていくか、こうしたことも予断を持ってお答えすることは困難でありますので、何とも言い難いところはありますけれども、今後も、経済状況、そうした価格動向も見ながら、関係省庁とも連携しながら、臨機応変に様々な対応をしっかりとやっていきたいというふうに考えております。

赤木委員 是非とも、九月以降、秋以降の値下げの金額を一日も早く、もうちょっと、大きな値下げをするとかという具体的なアナウンスを国民一同待っていますので、是非よろしくお願いいたします。

 次に、ちょっと話は、電気、ガス、続くんですけれども、とにかく国民は相当しんどい状況になっていることを、今日の御答弁も含めて、政府として認識されていると確認させていただきました。

 こういった苦しい状況にもかかわらずに、更に追い打ちをかけて、むち打つような増税をやはり進められるのかどうかについて、鈴木財務大臣より御見解をいただけますでしょうか。

鈴木国務大臣 安全保障環境、大変厳しさを増している中におきまして、防衛力を五年以内に抜本的に強化をして、さらに、将来にわたって維持強化をしていくこと、これは我が国にとって極めて重要な課題であると思っております。

 この恒常的な政策課題を安定的に支えるため、令和九年度以降、裏づけとなる毎年度約四兆円の財源をしっかり確保することが必要となります。その際、国民の御負担をできるだけ抑えるべく、歳出改革などの行財政改革の努力を最大限行っていくこととしており、それでもなお足りない約四分の一については、年末の税制改正大綱で決定したとおり、将来世代に先送りすることなく、令和九年度に向けて、今を生きる我々の将来世代への責任として、税制措置での御協力をお願いいたしたいと思っております。

 その上で、整合性のお話がございましたが、委員御指摘のように、現在、物価高や電気・ガス料金等の高騰によりまして負担が増加している家庭の負担増にならないように、御指摘の所得税につきましては、所得税額に対し、当分の間、税率一%の新たな付加税を課す一方で、復興財源の総額を確実に確保するために課税期間を延長すること、それを行って復興特別所得税の税率を一%引き下げるといった十分な配慮をすることとしておりまして、政策として整合性が取れていないということはない、そのように考えております。

赤木委員 まさに増税の前にやれることはまだまだたくさんあると我々日本維新の会も考えておりますので、最善を尽くしていきたいと考えています。

 ここら辺で、ちょっとスタートアップの支援の話に話題を変えさせていただきます。

 これは私、実は、こっちもそうなんですけれども、私自身がまさにスタートアップ型の起業を経験していまして、当事者として課題感を持つとともに、大きな期待を持っています。

 スタートアップというと、グーグルとかアマゾンとか、かなりきらきらして、億万長者になれそうな、すてきな響きがあるんですが、実態は、かなり恐ろしい、でも楽しい世界です。

 まず、手弁当で始めますね。何とか資金を調達したら、次に何をするかというと、赤字額と銀行の残高をにらめっこしながら、次の資金調達に奔走するという、かなり泥臭い世界です。ただ一方、やはり新しい技術とかチャレンジができる可能性にあふれた世界であり、やはり日本の力を復活させるためには絶対的に育成支援すべきと考えております。

 そこで、最初の質問になるんですが、日本のスタートアップの業界をどのように認識して、またさらに、なぜゆえこのような状態になっているか、これはスタートアップ担当大臣より御回答、御見解をいただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。

後藤国務大臣 スタートアップは、社会的課題を成長のエンジンに転換して持続可能な経済社会を実現する、新しい資本主義の考え方を体現するものだというふうに位置づけておりますし、スタートアップ担当大臣というのを設けて、今必死に取り組もうと思っている課題でございます。

 我が国のスタートアップについて赤木委員から御質問がありましたけれども、多様な挑戦者は生まれてきているとは思いますけれども、開業率やユニコーンの数など、米国や欧州に比べて低い水準で推移しているというのが現状でございます。

 具体的に言えば、米国の調査会社によれば、ユニコーンの数、これは、米国で六百三十三社、欧州では百四十七社の一方で、日本では六社にとどまっています。また、開業率については、米国の八・五%、英国の一〇・五%と比較して、日本は五・一%と、開業率においても非常に低い水準にとどまっているわけでございます。

 このような現状の背景としては、例えば、人材の観点ということから見ますと、起業というもの、それを望ましい職業選択と考える人の割合では、中国は七九%、米国では六八%であるのに対して、日本では二五%と非常に低い水準にあります。また、資金という観点で、ベンチャーキャピタル投資額を見ると、米国では三十六・二兆円、それから日本は二千三百億円、非常に小さい水準にあるということが分かります。それから、出口という点からいって、スタートアップに対するMアンドAの件数につきましても、米国の千四百七十三件、英国の二百四十四件に比べて、日本は六十件と少なくて、大企業とのオープンイノベーション、連携も進んでいない、こういうことが挙げられると思います。

 政府としては、このような現況を打破していくために、これを喫緊の課題と捉えて、昨年十一月にスタートアップ育成五か年計画を作成いたしまして、人材、ネットワークの構築、資金供給の強化と出口戦略の多様化、オープンイノベーションの推進を三本柱とする取組を一体として強力に推進しております。

赤木委員 ありがとうございます。

 まさに今御回答いただいたとおりで、私もちょっと補足資料を配らせていただいているんですけれども、結構、日本は、イグジットというか出口が、MアンドA比率がやはり低いとか、そもそも開業率が低いというのはあると思います。

 これは、実際、後藤大臣が、多分いろいろとスタートアップされている人たちとか資金を出されるベンチャーキャピタルなんかと直接お会いされる機会が多いと思いますが、個人的に、もうざっくばらんに、やはり日本のこの環境というのはどんなふうに感じられているかというのを、ちょっと個人的な御意見、御感想をいただけますでしょうか。

後藤国務大臣 スタートアップを取り巻く環境でございますけれども、スタートアップへの投資額は過去五年間で二・三倍に拡大しまして、多様な挑戦者も生まれてきている、そういう意味では相当に改善が図られてきているという認識は持っております。

 例えば、我が国においても、大学院生がバイオ物づくりの技術を開発しまして創業したスタートアップがユニコーンに成長している例もありますし、また、高専の学生さんが視覚障害者向けにAIを活用した自動点字翻訳エンジンの会社を起業するというような形など、若い人たちの熱気や活気を肌身で感じることができる、そういうことを実感として持っております。

 ただ一方で、彼らを含めたスタートアップの創業者、起業家から話を伺うと、例えば、学生にとって起業のハードルが高いため、もう少しチャレンジの後押しをしてほしい、あるいは、ディープテックは研究開発に長期かつ大規模な資金を要するために資金運用が非常に苦しい、日本はMアンドAが少なく、大企業がスタートアップを買収することによって変革が起きるといった形の成長が少ないので、そうしたものがどうしても必要だというような意見を伺っておりまして、対応すべき点も多いという実感であります。

 これらの課題に対応するために、先ほども申し上げたスタートアップ育成五か年計画を策定したところでありまして、日本にスタートアップを生み育てるエコシステムをつくり上げて、若い力を伸ばしていきたいと思います。

 そして、私の気持ちを率直に申し上げれば、若い人のスタートアップ挑戦の成功事例をつくる、そのことによって、自分もやってみよう、面白そうだ、そういう若い人の起業家精神、アニマルスピリッツというものに火をつけていきたいというふうに感じています。

赤木委員 まさにスタートアップの人たちと接すると希望に満ちあふれていますので、すごい、モチベーションも上がりますし、ただ、ちょっと緩い格好をしていて、年配の方とはちょっと話が合わないかもしれないんですけれども、まさにそのチャレンジスピリッツをぐっと後押ししていただきたいと考えております。

 私も、今御回答いただいたスタートアップ五か年計画、熟読させていただいていて、かなり全般的な、網羅的な対応をしていただいているというふうに感じているんですが、一方で、これは私の意見になってしまうんですが、一点集中するという方法もあるのかなと考えております。やはり、どこかで一点集中することで、世界に追いついていく、もっと追い越していくというような方法もあると思います。

 例えば、私の地元の兵庫県では、特段ユニコーンにこだわらずに、やはりスモールスタートアップとか、地場に根差したスタートアップを育成したりとか、あと一方で、神戸市自体は、やはり高度医療に特化したものなんかを何とか支援しようとしていたりしますので、是非そういった各地方のエリアと連携を取っていただければと考えております。

 ちょっともう時間も迫ってきたので、一点だけ言わせていただくと、やはり人材の問題でいくと、流動性がないとなかなか、スタートアップだけを育成しようとしても、ほかから人が流れ込んでこないと考えております。これは、維新の会の藤田幹事長も先日指摘させていただきましたが。

 特に、失敗しても再チャレンジできる環境としては、スタートアップの創業者だけじゃなくて、働く従業員も結構泥沼になってから首を切られるみたいな形になることが多いので、いい意味で解雇のルールを明確化して、関係者が再始動しやすいような環境を是非整えていただきたいと考えております。

 一点、西村大臣に準備していたんですが、ちょっと私の持ち時間も来たようですので、本日の質問を終了とさせていただきます。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて赤木君の質疑は終了いたしました。

 次に、一谷勇一郎君。

一谷委員 日本維新の会の一谷勇一郎です。どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、静かなる有事、人口の減少について質問をさせていただきたいと思っています。

 経済成長するためには、やはり人口も必要だと思います。今、家庭に子育ての負担がある、これはできるだけ軽減をしていくことが重要だと考えています。また、社会ができるだけ子育てについて広く受け入れていく。幾ら予算をつけても、やはり子育てをしている方々が社会に任せてもいいというふうな気持ちにならなければその予算は生きてこないですし、政策も生きてこないというふうに思います。そのためには、我々がやはり適切な政策を打って、世の中が、子供を育てるのを社会に少し任せてもいいというような雰囲気づくりが必要ではないかなというふうに考えております。

 そういったことを踏まえて、小倉大臣に御質問をさせていただきます。

 人口が増え、そして経済が発展していく、そういった、将来、どのようなイメージを持っておられるか。そのイメージに向かって次の政策を打ったり我々が仕事をしていくと思うんですが、そういったイメージを、お考えのイメージをお聞かせいただけたらと思います。

小倉国務大臣 お答えをいたします。

 今委員がおっしゃった問題意識というかイメージ、私も基本的には同感をいたしております。

 社会全体の意識が変わって、皆が子供、子育てを応援するようになることで、結婚、妊娠、出産、子育てに希望を持つことができ、男女が互いの生き方を尊重しつつ、主体的な選択により、希望する時期に結婚をし、希望するタイミングで希望する数の子供を持てる社会をつくることを目指しております。

 そうした社会は、子供や子育て当事者を始めとする国民のウェルビーイングを高めることに加えまして、委員おっしゃった静かなる有事とも言われております少子化を食い止めると同時に、一人一人が自らの希望に応じて社会で活躍ができるようになる、そんな我が国の社会経済が、より包摂的かつ持続可能なものになるというふうにも考えております。

 以上です。

一谷委員 ありがとうございます。

 そういった社会をつくるために今できることとして、私は、産前産後ケアの充実というのは図っていかなければならないと思います。

 昨年の十月に加藤厚労大臣に産後ケアの質問をさせていただいたときに、とても重要な事業であり、それを広げていかなければならないという言葉をいただきました。また、昨年に比べて令和五年度の予算は拡充をされております。また、二〇二四年には全国に産後事業ケアを配備するということが計画に定められていると思います。

 私は、いろいろな産後事業のケアを回りましたけれども、残念ながら、単独で産後ケア事業の黒字を出している事業所には出会ったことがありません。

 これは、規模の原理も働かないです。私が知っている年間六百ケース産後ケアをされているところでも、黒字にならないです。それどころか、ショートステイという泊まりのサービスを提供すればするほど赤字になっていく。そして、一人二人でやっておられる小さな産後ケア事業所ももちろんそうです、単独で黒字にならない。何とかやっていけるところは、やはりそのほかに事業があるということですね。産科があったり、訪問の看護ステーションがあったりということです。

 私は、事業単体で黒字にしなければ産後ケア事業は広がらないというふうに考えております。痛ましい事件も起きておりますので、やはりこの産後ケア事業を広げていかなければならないというふうに思うんです。

 これからこども家庭庁でこれは引き継がれると思うんですが、小倉大臣に質問をさせていただきます。産後ケア事業を今後どのように考えておられるか、御回答いただけたらと思います。

小倉国務大臣 お答えさせていただきます。

 産後ケア事業については、昨年末に取りまとめられました全世代型社会保障構築会議の報告書の中で、産前産後ケアの体制の充実を図ると同時に、利用者負担の軽減を図ることが課題の一つとして掲げられました。私自身も、昨年、産後ケアを行う施設を訪問いたしまして、現場の声も直接伺いました。その重要性を改めて認識したところであります。

 これまでも政府は運営費の補助単価の見直しなど本事業の充実を行ってまいりましたが、さらに、来年度の予算案におきましては、非課税世帯を対象に実施をしていた利用料減免支援について、所得のいかんにかかわらず、産後ケアを必要とする全ての産婦を対象とすることとしておりまして、これにより利用者の増加につながり、ひいては事業者の経営状況の改善に資するものと考えております。

 ただ、委員も、利用者が増えてもなかなか黒字転換をしないという御指摘もございました。そういったものも含めて、事業実施に当たっての課題把握のため、自治体から事業者への委託料など、産後ケア事業の実態につきまして、厚労省が現在、自治体に対して調査を行っているところであります。

 こうした調査によって把握された現場の実態や、子育て当事者、関係団体、事業者からの様々な御意見、御要望を踏まえまして、こども家庭庁が厚労省から産後ケア事業も含めて引き継いだ後も、安心して出産、子育てができる環境整備について、引き続き担当大臣として取り組んでまいりたいと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 厚生労働省が昨年実態調査をしたというのは、実は昨日、厚労省にお聞きをしました。調査も終えたというふうに聞いております。

 私は、昨年の厚労省の質疑で、是非、調査をするならば、自治体だけではなくて、実際に事業をしている事業所にもヒアリングを行っていただけませんかというふうなお願いをしたんですけれども、残念ながら、自治体から事業所の方に聞くということになっておるそうです。まだ確認はしていないんですが、そういうふうに回答をいただきました。

 やはり、実態は現場に行かなければ分からないですし、現場の方、本当に産後ケアをされている方々に話を聞くというのも非常に重要だというふうに思いますので、是非、次の調査ではそこをしていただけたらなというふうに思っております。

 また、今、非課税世帯の方が受けやすくなる、それも予算に入っておりました。確認をさせていただきました。ただ、支援が必要な方全てに対して産後ケアを受けられるということになっています。この、支援が必要というところに、私はすごく壁を感じます。

 なぜかといいますと、メンタルヘルスで弱っている方が区役所や市役所の窓口へ行ったときに、これは職員の方が悪いと言っているわけではないんです、なかなかこの人に産後ケア事業が必要かというところは分かりにくいのではないかなというふうに思うんですね。ですので、私としたら、やはり希望される方全ての方が産前産後ケアが受けられるということが必要になってくるのではないかなと。それが、家庭の負担を軽減させて、そして社会で子育てを担っていくというような雰囲気づくりにもなってくるのではないかなというふうに思います。

 これは、実は私、実体験から申しております。私も、上の子供と下の子供の差が九歳開いていまして、妻が次の子供を産むときにかなり負担を感じたということもありますので、その辺も踏まえて、社会でやはり子供を、引き受けていくと言うと言葉がちょっとあれですけれども、そういう雰囲気づくり、産後ケアも含めて、御回答いただけたらと思います。小倉大臣、よろしくお願いします。

小倉国務大臣 ありがとうございます。

 委員の御指摘のとおり、我々は、全ての産婦にとって、やはり潜在的に産後ケアは重要だと考えております。だからこそ、先ほど申し上げたように、来年度の予算案におきましては、これまで非課税世帯のみを対象にした利用料減免制度を、全ての産婦を対象にすることにしたということであります。

 確かに、私も現場からお話を伺っておりますと、非常に日本の妊産婦の方にとってみれば、産前産後のケア、産前も含めて、敷居が高いという話を伺います。何か問題を指摘されたら困るということで、面接を受けるための準備をされているような妊産婦もいるようでありまして、やはり本来は、包み隠さず今のそれぞれの悩みや不安を面接でおっしゃっていただけるような、そういう環境をつくっていくことが重要なんじゃないかというふうに強く感じております。

 そういう意味では、政府としても、必要なというところを強調せずに、それはもう皆さんで判断をしていただいて、全ての妊産婦が気軽に相談をしていただけるような環境をしっかりつくっていきたいというふうに考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 今、小倉大臣が言っていただいたとおり、子供を預けるということに対して心理的な壁があるというのは、実は私も現場でお聞きをしております。そういった調査のデータを今日探してきたんですが、なかなか見つからなかったので、あえて小倉大臣からそういった御答弁をいただけたことは非常にありがたいなと思っております。何とか私は希望される方が全て受けられるような、そういった産後ケアになっていけばなと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、今は少子化の話でしたが、これにセットとは言いませんけれども、少子高齢化の問題があります。高齢化の問題について質問をさせていただきます。

 二〇二五年、二〇四〇年、この大きな問題も差し迫っております。特に、介護人材の枯渇というか足らなさというのは、介護は第七期、第八期と計画が続いておりますが、来年の第九期の計画にもやはり人材が足らないということを言われております。

 少しデータをお話しさせていただきますと、これは二〇一九年対比ですけれども、来年、二十二万人の介護従事者の方が必要になります。そして二〇二五年、これは一つのターニングポイントですが、団塊の世代の方が後期高齢に入っていかれる、介護従事者が更に必要になる、そのときに何と三十二万人必要だということです。そして二〇四〇年、私は団塊ジュニアですが、我々が高齢医療に入っていく場面では、何と六十九万人足らないという数字が出ております。

 これに対してどのように対策を取っていくのかということと併せて、もう一つ問題は、地域で介護を担っていくということは、主になるのは訪問の介護のサービスだと思いますが、その訪問介護サービスで働いておられる従事者の方の年齢が、私、令和三年の介護労働実態調査、全て計算をしてきましたが、六十歳以上の訪問介護の方が三三・七%です。そして、七割以上の方が、七六%の方が女性ということになっています。この方も、あと何年かすれば、やはり現場で働くことも難しくなってくる。

 こういった状況を踏まえてどういった対策を取っていかれるのかということを、加藤大臣にお伺いをさせていただきます。

加藤国務大臣 数字については、今委員から御指摘がありましたように、第八期介護保険事業計画で将来必要な人数をお示しをさせていただいております。

 なかなか、現状でもそうでありますけれども、これから更にそうしたところでの人材のニーズが高まるということで、介護人材の確保、これはまさに喫緊の、将来のみならず現代においても、課題だと認識をしております。

 この人材確保に向けては、まずは処遇改善、これまで累次の処遇改善をやってまいりました。それから、どうしても介護職のイメージというのがいろいろあるわけですけれども、そのイメージアップ。また、多様な人材が参入をしていただける。例えば高齢者でも、若干の研修を積んでいただいて入っていただく。そしてもう一つは、離職をいかに防止をしていくかということで、処遇改善もありますけれども、様々な職場環境を変えていく。特に、最近、ICT化とかロボットの導入。さらには、人材を育成していくというために、介護福祉学校に通う方々の修学資金、これを貸付けをする。

 こうした取組をさせていただいて、端的に言えば、今ある方が辞めないようにしていただく、できればいろいろな方に入ってきていただく、また、若い方がチャレンジしていただける、こういう環境をしっかりつくっていく、それによって引き続き人材確保を図っていきたいというふうに考えています。

一谷委員 ありがとうございます。

 やはり処遇改善というのが非常に重要だと思いますので、これは後でまた質疑をさせていただけたらと思います。

 この一つの解決策として、私が考えるのは、やはり家庭介護も増えてくる。介護保険というのは、社会に介護を、家族だけに任さない、介護の社会化ということで、介護保険ができたのは非常にインパクトがあって、日本のアイデンティティーは変わったというふうに思います。自分の親を他人に見てもらっていいという、そういった、考えが変わった大きなターニングポイントだったと思います。

 それに少し逆行はするんですが、これだけ人材が枯渇して、訪問介護の求人倍率は十六倍に近い状況です。そして、そこで働いておられる方は非常に高齢に近くなっている。そういったことを考えますと、現金給付、これは例がドイツにあります。そして、我々、介護保険はドイツを少しモデルにしてつくったところもあると思うんですが、制度創設期はこういった現金給付についても考えがあったということなんですが、当初は、現金給付をしてしまうと、最も大事なサービスの拡大が起きないのではないかということで、見送られたと聞いております、この資料を読んでですね。

 そして、そこから四年たちまして、二〇〇〇年から四年たって平成十六年ですね、二〇〇四年。これは社会保障審議会介護保険部会から抜粋をしてきましたが、サービスは非常に拡大をしたということになり、なのでもう現金給付は必要ではないんじゃないかという議論になりました。

 元々は、介護保険制度で、介護保険を納めているんだから、サービスが受けられないことはやはりよくないのではないかということで、現金給付があった。そして、サービスが拡大したので、現金給付はなくてよくなる、要らないんじゃないかということになりました。

 ただ、現状は、これから先、働く方がいなくなってきて、ケアプランを作ってもサービスが提供できないということになれば、家庭介護がやはりもっと拡大してくるのではないか。そういったときに、このドイツの例を少し参考にして、現金給付をするというのも一つの手ではないかなというふうに思います。幸い我々、ケアマネジャーさんというケアプランを作るプロもいますし、家族介護といっても、そういったプランを作ってもらって現金給付をするということにすれば、他人の目も入ってきます。

 そういった、制度を少し柔軟に変えていくということを少し考えているんですが、その点について加藤大臣に御答弁いただきたいと思います。

加藤国務大臣 今、一谷議員が、介護保険制度の創設、それから途中における見直しと、ずっと振り返ってお話をいただきました。

 特に、介護の保険制度を最初につくるとき、一つはサービスがこれから供給を増やしていかなきゃいけないかなというのと、それを現金給付すると結果的に家族に介護をいわば押しつけてしまう、固定化してしまうんじゃないかということで、かんかんがくがく議論があって、結果的には導入が見送られ、そして、令和元年のときにもまたそういう議論を社会保障審議会の介護保険部会でもしましたが、やはり結果的にそのこと自体が、特に当時、介護離職という問題、これを増加させてしまうんじゃないか、こういったことで、適当ではないとされたところであります。

 やはり、介護の足らないところをどうするかというところと、まさにそれは介護離職と裏腹の関係になりますので、介護離職を防ぐというためには、先ほど申し上げたような努力をやはり我々はしっかりやっていく。

 あるいは、介護現場における、いわば生産性という言葉をよく使いますが、ICTとかロボット等を使って効率化できる部分は効率化し、そして本来の対面が必要なところにより手厚くしていくというめり張りをしっかりやっていく。

 それからもう一つは、さはさりながら、例えば自宅で訪問サービスを受けている方もおられるわけですから、そういった方においては、やはり家族の方が何かしら介護をされている、物理的にされている。そういった方々に対する相談を受けたり、そういった支援をしていく。

 さらには、どうやったら仕事と介護が両立できる職場環境がつくれていくのか、こういったことに対する支援、こういったことを今やらせていただいていますけれども、そういったものも組み合わせながら、これからの介護の需要が増えることに対して、介護離職を防ぎながら対応できる、そういう体制をつくっていきたいというふうに思っています。

一谷委員 ありがとうございます。

 私も、民間時代、かなりICTの導入というのをさせていただいたんですが、実際なかなか進んでいないのが現実ではないかなというふうに思います。

 やはり、二〇二五年の一つのターニングポイントを目の前にして、本当に、今までの取り組んできたことがうまくいかないというところも少し認めるところもあって、大胆な方向転換も必要ではないかなというふうに思いますし、確かに家庭介護が定着するのはよくないですが、例えばドイツのように一年間のうち何週だけ認めるとか、この新型コロナで、やはり我々、私も介護事業所を経営していますが、もうサービスできないとなったときに、そのときだけ家族介護に現金給付があるような、そういった柔軟なことも少し考えていかなければならない時期に来ているのではないかなというふうに思っております。

 先ほどありました処遇改善の件なんですが、まさに、昨年の二月三日、私がここで初めて質問させていただいたのが介護人材の処遇改善の話でした。九千円上がるということで、当時非常に話題に上ったんですが、今、処遇改善をしていただいて、介護人材の方の給与はそんなに大差はないというふうに考えております。

 ただ、物価の高騰で、他の産業の賃金が上がってきた場合に、この処遇改善加算というのは介護に直接関わる方の加算であって、その介護に直接関わる方を支える、例えばドライバーさんであったりとか、食事を作っていただける方であったりとか、書類を書いてくださる方については、この処遇改善加算は、昨年の加算で、三分の二ベースアップすれば三分の一はそういった方に支給できるというふうになっておりますけれども、やはりこれは少しこの物価の高騰に対しては足らないのではないかなと。スーパーなんかも非正規の社員の方の七%の賃金アップとか、そういうことが出てきていますと、やはりそこへ転職していってしまって、より介護の人材が足らなくなるというようなことになるのではないかと思うんですが、そのことについて大臣にお伺いをさせていただきます。

加藤国務大臣 昨年二月から、介護職員の方の給与改善のため三%程度引き上げるということでやらせていただき、それは、今委員御指摘のように、主は介護職員でありますが、それ以外、介護の現場で働く方々にも一定の改善を行うことができる、柔軟な運用をさせていただいています。ただ、この制度を活用しているところが必ずしも我々が想定したほどまで行っていないという現実がありますから、そこをいかに上げるかという努力をまずしなきゃいけないというふうに思っています。

 さらに、介護職員以外の職種も含めて処遇改善の措置が給与にどう反映されているか、これをしっかり把握をする、そのための検証をしていきたいというふうに思っております。その上で、こうした処遇改善措置が実際に職員の賃金のアップにつながっているのか、こういうのをどう見える化していくのかということ。

 あわせて、今お話がありましたように、ここに来て物価の高騰等に伴う賃金の引上げが求められている、そういう事情も含めて、更に処遇改善等。あるいは、先ほどICT、なかなか活用が進まないと言っておりますが、しかし、さはさりながら、こうしたものをより活用している現場もありますので、そういったものを横展開をしながら業務の効率化を図っていく。そういったことを一緒に進めていかなきゃならないと思っています。

一谷委員 ありがとうございます。

 確かに処遇改善加算を取っておられない事業所も多いんですが、その原因の一つに、書類を作るということに対して非常に手間がかかる。三段階ありますので、非常に手間がかかっております。これは行政側のコストも非常にかかるというふうに思いますので、ここは思い切って、事業所はいただいた処遇改善加算は全て働いていただいている方の給料に支給をしないといけないということになりますので、直接給付でいいのではないかなというふうに思っています。

 我々日本維新の会がベーシックインカムという話をしておりますが、まさに介護業界の、福祉業界のベーシックインカムというような考えも、私は、自らが経営をしながら非常にこの書類を作るのに苦労しておりますし、そこにスタッフを一人割かないといけないということ、そういったことを考えると、これも大胆な改革をしていただけたらいいのではないかなというふうに考えております。

 時間が押し迫ってまいっておりますので、少し質問を飛ばしていただきまして、鈴木財務大臣にお伺いをさせていただきます。

 今後、団塊の世代が後期高齢となり、社会にとっても家庭にとっても介護の負担は増えてまいります。少子化を解決するには、介護の負担が増えた状況で更に育児が行える環境を働き盛りの世代にやはり提供していかなければならないのではないかなと思います。私自身も、今子育てをしながら、もうすぐ両親の介護も、団塊ジュニア、四十八歳ですけれども、やらなければならないなということはひしひし考えております。その一方で、日本の経済の成長のためには、やはり、働き、社会参加し、経済成長に寄与できる女性の方にも積極的に働いてもらえるような制度をつくる必要があると思います。

 N分のN乗方式は、所得税の世帯課税は、一つ一つの家庭の働き方を柔軟に調整できるとともに、扶養する子供や高齢者がいる家庭の税負担を軽減し、子供が巣立てば再び税負担をお願いする制度です。これを導入することで、実際に育児、介護を担っている家庭の負担の軽減と、女性を中心に全ての人の働き方の多様性の実現に近づけるというのが私の考えであります。

 大臣にお伺いをしたいんですが、こういった考えの中で、このN分のN乗方式についてお考えをお聞かせいただけたらと思います。

鈴木国務大臣 我が国の所得税制でありますが、終戦後の家制度の廃止でありますとか、それから夫婦別産制とした家族制度の改正を背景といたしまして、個人単位課税とされて以降、課税単位としては個人単位を維持し、その上で、個人の所得に応じて異なる税率を適用する累進課税の仕組みを採用しております。

 したがって、世帯全体として同じ所得を稼得する場合におきましても、その世帯に属する個人ごとの所得に応じて個人ごとに異なる税率が適用されるようなときには、世帯全体としての所得税額も異なることとなります。

 一谷先生御提案のいわゆるN分のN乗方式は、現在の個人単位課税を、世帯単位の所得に対して課税する世帯単位課税に改めるものであることに加えまして、世帯の所得に応じて適用される税率が平均化されるために、N分のN乗方式に移行した場合には、現行制度より共働き世帯に比べて片働き世帯が有利になることや、我が国では納税者全体の約六割が最低税率である五%の税率となっていることが実態である中で、この層に対する恩恵は限定的である一方で、高い税率が課せられている高額所得者に税制上大きな利益を与えることになるなど、様々な課題があると承知をしております。

一谷委員 ありがとうございます。

 考えをシンプルに、お子さんが多いほど恩恵を受けられるというような考え方でいいのではないかなというふうに思います。

 時間になりましたので、本日の質問を終わらせていただきます。誠にありがとうございました。

根本委員長 これにて一谷君の質疑は終了いたしました。

 次に、池畑浩太朗君。

池畑委員 日本維新の会、池畑浩太朗でございます。予算委員会では三回目の質問になります。私は、兵庫県の西播磨、中播磨が選挙区でありまして、農業、林業、水産業と、第一次産業が盛んな地域であります。

 早速、質問させていただきます。

 食料安全保障について質問させていただきます。まずは、消費者の立場に立って質問させていただきます。

 昨年から農林水産委員会で九回、予算委員会で二回、昨年七月頃から質問させていただいた内容で、粗飼料とか、飼料の高騰が急激に始まったというお話をさせていただきました。高騰する以前より、畜産農家や酪農家に対してしっかりとした対策を生産者の立場で質問をさせていただいたつもりでございます。消費者の立場からは、オーガニック給食や有機農業について質問させていただきました。

 食料、食品の高騰が今は大問題になっております。牛乳、卵、鳥肉、豚肉など、食品の高騰に拍車がかかっております。また、別の角度からこれらの価格を見ますと、今まで長らく価格を維持していたこともすごいことでありまして、生産者や周辺事業の努力があったと思います。

 その中で、昨日も櫛渕委員の方から質問もありました食料・農業・農村基本計画、令和二年三月の策定でありますけれども、令和十二年度に四五%まで上げるということでありました。

 私は、農業高校出身で、農業大学校出身で、農業高校の実習教員を九年務めてまいりまして、その後、兵庫県議会議員を二期務めさせていただきまして、農業関連の質問でほぼ一本やりでやってきました。衆議院に当選して以来、これもまたずっと農業関連で質問させていただいていまして、考えてしまうことが改めてありました。実は、政府は、食料自給率を上げない理由がほかに何か外的要因であるのではないかと疑ってしまうぐらいです。

 そこで、外務大臣も経験され、また、現在、消費者担当大臣でもあります河野大臣にお聞きしたいと思います。

 消費者の立場からも大事だというふうに私は思っております。日本国は、食料自給率を一〇〇%、本気で目指さない理由があるのでしょうか。また、大臣御自身は、食料自給率にさほどこだわる必要はないと思われているでしょうか。

 河野大臣の見解を二点お聞きしたいと思います。

河野国務大臣 消費者の立場に立ってみれば、食べたいもの、好きなものを、安心して、リーズナブルな価格で食べられる、これが一番いいんだというふうに思います。

 食料自給率をどうするか、これは所管の農水大臣にお尋ねいただきたいと思います。

池畑委員 答弁いただきまして、ありがとうございます。

 そこで、河野大臣の答弁を受けて、農林水産大臣に質問させていただきます。同じ質問であります。自給率一〇〇%を本気で目指さない理由があるのでしょうか。また、大臣自身は食料自給率にさほどこだわる必要はないと思われているでしょうか。簡潔に二点、お聞きいたします。

野村国務大臣 池畑委員に御答弁を申し上げます。

 我が国の人口は一億二千万人というのはもう御存じのとおりでありますが、これだけの人にたらふくというか満杯に食べていただくためには、国内生産でこのことを賄うとした場合は、現在の三倍の農地が必要になります。それで、日本の限られたこの国土面積で一〇〇%を国内で自給するということは、大変無理があるし困難だと考えております。

 その上で、将来にわたって安定的に食料を確保していくためには、やはり国内で生産できるものはできる限り国内で、そして不足する分につきましてはやはり輸入をせざるを得ない、こういう考え方でございまして、基本法におきましても、国内生産の増大を基本にしつつ、そして輸入と備蓄を組み合わせることで国民のおなかを満たしていく、そういう輸入の安定化や備蓄に対して取り組むことも重要だと考えているところでございます。

池畑委員 大臣、ありがとうございます。

 やはり国土の問題もありますし、いろいろと私も県議時代から質問させていただいていますとおり、県議の時代は国で対応してくださいということが多くありましたし、国では、なかなかそういった国土の件、そしてまたいろいろな、働いていく面で、なかなか働く方、働き手が見つからない、いろいろな点があると思います。

 そこで、戸別所得補償問題について、経営所得安定対策とされておりますけれども、かなりこれはしつこく質問させていただいておりましたが、十二月初旬に農林水産委員会で質問させていただきました。

 酪農経営改善緊急事業で早期に経産牛をリタイアさせて一定期間に生乳の生産抑制に取り組む場合は奨励金十五万円の交付があるということを質問させていただきましたら、野村大臣からは、現場の自主的な取組を後押ししているものでありますと。一部報道では、牛乳が余っているから成牛を殺せということなんですかという質問に対して、私は、一気にその段階で離農するのではないでしょうかというお話をさせていただきましたら、当然、農林水産省の答弁は、離農させるつもりなどありませんという答弁をいただきました。

 しかしながら、私が質問させていただいた当時、百七十戸ほどの離農者でありましたけれども、この委員会でも逢坂委員が質問されておりましたけれども、現在では四百戸を超えております。離農が促進しているとしか私は思えません。

 畜産業を継続してやっていこうという企業努力をしている酪農家さんからは、電気代のコストを考えるとか、いろいろな技術や、メーカーが提案してくるようであります。その中で、よい技術と巡り合ったとしても、生産者が二分の一、生産者負担ということが不変であります。この制度は、この制度というのは戸別所得補償、安定のやつなんですけれども、食料安全保障の観点から、これは有事も平時もなく、農地や牧場、漁場を守るために必要とされると思います。

 急には、有事が来たからといって農作物を生産できるわけではありません。国民が生き残るために食料を外国から買って済ますわけにはいかないと私は思っております。

 野村大臣にお聞きいたします。

 自給率を高めるためにも、戸別所得補償制度、経営所得安定対策又は食料自給率確立補助金、これは名前は何でもいいんですが、戸別所得補償制度に関わるものは恒久的に必要だと思われませんでしょうか。

野村国務大臣 お答え申し上げます。

 我が国の農政におきましてはいろいろな制度をつくっております。先ほどおっしゃいました、民主党政権のときは戸別所得補償制度がありました。これは米に限っての話であったわけでありますが、私どもはそのとき野党でありましたので、全ての農作物の所得補償なら分かるけれども、何で米だけなんだ、法律を早く作ってくれということをお願いしながらやってきたことがありましたが、三年間の政権の間に、他の法律は、米の法律も出てきませんでした。

 したがって、我々、今までやはりやってきたのは、それを支える制度でつくっていこうということで、委員が先ほどおっしゃいました酪農におきましても、あるいはまた牛や豚におきましても、マルキン制度というのをつくって、そして、販売価格が生産費を下回った場合は、そこについては補填しようじゃないかという制度を今やっておりまして、酪農につきましては加工原料乳の補給金をつくっておりまして、これによって、加工原料乳生産者補給金の制度で酪農の方は何とか支えている、こういう状況でございます。

 また、麦、大豆なんかも、実は、余り多くの方は御存じないんですけれども、我々はよくゲタを履かせているということを言っております。これは当然、標準的な生産費とそれから販売価格の差額の一部を補填するということで、そんな大したことはないんだろうと思われているかもしれませんが、例を申し上げますと、今年でいきますと、小麦は六十キロ当たり六千三百四十円、それから大豆は九千八百四十円、ゲタを履かせているんです。それはなぜかというと、先ほど言いましたように、標準的な生産費と販売価格の差額の一部を補填するということで、畑作目の直接払いという形で支給しているわけでありまして、この金額をちなみに参考までに申し上げますと、今年の予算でいきますと、ゲタ対策で、麦あるいは大豆を合わせまして千九百八十四億円であります。

 ですから、相当の金をつぎ込みながら下支えをしているというのが実態でございまして、そのほか、御存じのように、収入保険制度もつくって、これにつきましても相当農家の皆さんの加入は進んでまいりました。

 また、それぞれの根拠法に基づいてつくっておりますので、農業者に交付金を交付しているものでありますが、今後とも、これらを着実に実施していくことによりまして、国内農業の生産基盤を強化してまいりたい、こういうふうに考えております。

    〔委員長退席、中山委員長代理着席〕

池畑委員 ありがとうございます。

 いずれにせよ、農家に戸別に所得を補償していく流れをつくっていかなければならないというふうに思っております。我々日本維新の会も、結成当時からこの政策を挙げさせていただいております。

 そこで、今、野村大臣の答弁もいただきました。しっかりといただきました。ありがとうございました。財務大臣にお聞きしたいと思います。

 当時の、平成二十五年から、先ほどから申し上げております、ネーミングはちょっと変わっておりますが、経営所得安定対策を同じ仕組みで、戸別所得補償で実施されてきました。国民にとっては非常に大事だというふうに思いますが、この委員会でも今回はよく出てまいります基金の積み上げについて、我が党の青柳議員、小野議員からも質問がありました。他党からも、特に農林水産省では、二十事業四百八億円もの、他省庁よりも額が多いのではないかという指摘もありました。

 実際は、農林水産省としても、基金の積み上がりが何千億もございます。その中で、運営実態の中で、例えば目につきますのが、貸付機械取得基金だとか、そういったものが積み上がっております。先ほども御紹介をさせていただきましたが、農家は二分の一対応、大きな投資は、大きな自己資金を持つ農家にしか無理であります。具体的には、電気代を削減する機械、先ほど紹介させていただきましたが、二億円程度。自己資金一億円を出せる農家はごく僅かであります。

 何でもかんでも補助金を出せばいいというわけではありません。しかし、きちんと現場を確認しておられます県や市、JAさん、地域をよく把握しておられますから、連帯しながら、そういった積立てをしている基金を、全額補助を含めた具体的かつ前向きな財政出動が私は必要だというふうに思っております。

 この積立基金を、先ほどから申し上げております経営所得安定対策、戸別所得補償、又は食料自給率確立補助金、そういった形でまずは置き換える手だてはありませんでしょうか。財務大臣にお聞きしたいと思います。

    〔中山委員長代理退席、委員長着席〕

鈴木国務大臣 農林水産関係の基金についてお話があったわけであります。

 昨年末の補正予算におきましては、例えば、配合飼料の価格高騰対策や、それから施設園芸向けの燃料高騰対策などのための基金事業向けの予算を計上しておりますけれども、これらは、経済対策に掲げられた施策を迅速かつ効率的に実施するため、それぞれ必要な金額を精査をした上で措置をしたものでありまして、その基金残高を他の施策へ活用することについては、それは考えていないところであります。

 その上で、農業経営の安定と政策課題につきましては、主に食料の安定供給を図ること等について、先ほど野村大臣から御説明が、御答弁がございました様々な施策を講じているところでありまして、農林水産省とも連携をして、引き続き必要な対応を行ってまいりたいと考えております。

池畑委員 やはり、しっかりと出すところには出していく、そして、前向きな財政出動が必要だというふうに思っております。

 日本維新の会としても、この戸別所得補償、適用範囲の適正化をずっと訴えておりますけれども、やはり、使うべきは使って、そして迅速に対応していくということは大事だというふうに思います。今、財政組替えができないというお話でありましたけれども、そういった枠を超えて、頑張っている農家に対してきっちりと今必要な金額を出していく、そういったことも考えていただきたいと思います。

 次に、全く、ちょっと方向性を変えまして、初めて厚生労働大臣に質問させていただきますけれども、医療の安全対策についてであります。

 地元のお医者様からも、この質問をさせていただくに当たり、お話を聞かせていただきました。四つの医師の偏在解消プラスワンということも聞かせていただきました。お医者様の働き方改革の問題であったり、地域医療の大切さを認識した上で質問させていただきたいと思います。

 まず、そもそも、日本には、医療事故、医療過誤による死者、けがをされた方の統計は取っていないということでありますけれども、その認識と、誰がどのような基準をもってこの医療過誤、医療事故と評価するのか、お聞かせいただきたいと思います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の医療事故による死者ということについては、医療事故自体、具体的には医療法の中で定義をしているものでございまして、医療事故調査制度というものの中で把握をしているところでございます。

 医療事故調査制度におきます医療事故の定義でございますけれども、医療法第六条の十におきまして、医療機関に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であって、当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかったものというふうにされておりまして、医療機関の管理者がその対象を判断する、そういったような仕組みになっているところでございます。

池畑委員 今、説明をいただきました。ありがとうございました。

 例えば、こんなことはないと思いますけれども、執刀経験の少ない手術を行い、何年も入院が必要な事故になってしまった場合、また、多くの医療過誤を起こしてしまっているお医者様が、県をまたいで転勤することもあると思います。そのときに、転勤することによってほかの病院でも第二、第三の医療過誤を犯しかねないと私は思っております。国民にとっても不利益だと思います。

 お医者様でも、経営にたけている先生、いろいろな知識や情報をお持ちの先生、そして世界的に技術をお持ちの先生、たくさんおられると思います。

 特段、私は、勤務医の先生に、技術に関して、いい悪いではなくて、第三者評価の情報開示を勤務先でもすることが必要ではないかなというふうに考えております。お医者様の個人的な情報というわけではなくて、技術的な情報であります。ある一定の情報開示によって、その経営者、院長、経営者の幹部の方は経営判断もしやすいのではないかというふうに考えております。また、未然に医療過誤も防げるのではないかとも思っております。

 そういった情報開示は、経営者や病院の幹部の方々にはそういう、まず、情報開示をする仕組みはあるんでしょうか。していないなら、法制化も含めて必要だと思われるでしょうか。見解を大臣にお聞かせいただきたいと思います。

加藤国務大臣 冒頭でおっしゃっておられたように、岡山で農業を学ばれて、岡山で教鞭を執られて、農業問題に精通されている池畑委員から医療の御質問もいただきまして、ありがとうございます。

 今お話があって、確かに、我々、病院にかかるときに、やはり安全なというか、安心して医療にかかれる環境をつくっていくということはとても大事だと思います。

 そういった意味で、残念ながら、様々、医療事故が発生をしているわけでありますが、やはり、それを教訓として、そして、それをお互いが、いわゆるヒヤリ・ハットをいかに防止するか等から始まって、それを共有化して、そういう事故を全体として防いでいく、それが先ほど局長から説明した医療事故調査制度ということで、この制度はまさにそうした、お互いが学習をし合っていくという意味においては、しっかり経験を出してもらうためには、やはり、懲罰的なものであっては、これはなかなか出てこない。それから、やはり匿名性も求められる。そして、さらには、例えば規制機関や罰則を立てる厚労省が直接言ったのでは、やはりなかなか言ってくれないので、今、医療機関が別途、医療事故調査・支援センターを経由してやっているという、こういう経緯でございますから、そもそも匿名性で行われていますし、個人を特定するというのはできない仕組みになっております。

 その上で、じゃ、それとは別のという意味であると、なかなか、医療の現場で、医療事故といっても、今、チーム医療ということで、いろいろな方が参加しながら、しかも、医療そのものが複雑化、高度化されている中で、誰がそこで原因になったのかというのはなかなか分かりにくいというのが実態のところでありますし、じゃ、一体誰がそれを判断するのか等、非常に難しい問題があるのかなというふうに思っております。

 もちろん、厚労省も医療の処分をしております。例えば罰金以上の刑に処せられる等、これについては処分を行い、その処分に応じてそれぞれ公表させていただく仕組みはつくらせていただいているところでありますが、いずれにしても、医療がより安全で安心した形で国民の皆さんに提供できるように、我々もいろいろ工夫はしていかなきゃいけないと思っております。

池畑委員 大臣、答弁ありがとうございました。

 やはり、厚労省が直接各病院に言って何かということはなかなか難しいとは思います。

 私も、現場のお医者様からお話を聞かせていただきましたときに、やはり、私自身も病院の先生にかかるときに、手術はしたことはありませんけれども、この先生が担当の先生ですというお話を聞かせていただきましたら、ああ、そうなんだなということしか私たち患者の立場ではないと思っています。

 でも、その後に、いろいろな手術の状況もありますし、今、大臣からもお話ありましたように、いろいろな個別の案件がある中で、やはりスタンダードの基準というのができないかもしれません。でも、私としては、しっかり、その先生方のお話を聞かせていただいた中で、そういった情報開示をする場面は、患者にはなくてもいいかもしれませんが、そこを運営する経営者の方々が、きっちりと、この先生がどのような経緯でこの病院に来たのかということを把握しまして、ちゃんと認識をした上で手術をしていただく、そういった仕組みは絶対必要でないかというふうに私は思っております。

 今後も、この問題に関しては、私自身は、この予算委員会で質問させていただきましたのは一つきっかけにさせていただきまして、私自身も勉強させていただきながら、次は委員会も含めまして質問させていただきたいと思っております。

 これからは、今、大臣からもお話をいただきましたけれども、農業一本やりで県会議員時代から質問させていただきましたが、こういった医療の問題、これは食に関してもつながっていくものであります。今、河野大臣からも答弁いただきましたけれども、やはり、食がしっかりしなければ、この農業に関しても続きながら、食料自給率が上がったとはいえ、体にとって悪いものを摂取していくことというのは、余りいいことではありませんし、未病にもつながっていかないというふうに思っておりますので、私は、これからも、日本維新の会の中でこの農業をしっかりと頑張っていくために、質問も続けていきたいというふうに思います。

 今日は、質問の時間、あと一分でありますけれども、質問を終わらせていただきたいと思いますが、これから、私自身も、この農業の、食料安全保障の問題も含めまして、しっかりとこの地域で活動してまいりました。今、一つだけ質問の中でお話がありましたが、今、一部、農林水産大臣からもお話をいただきましたけれども、私の中では、予算が余っているのであれば、きっちりと使っていく、そして、基金として積み上がっているものも、これから使うんだということが決まっているのであれば、それもずっと公開をしていく。そういったことの中で、きっちり経営をしている農家に対して二分の一補償ではなくて、全額補償も各市や県に向かって提案ができるように頑張っていっていただきたいというふうに思っております。柔軟に財務大臣も考えていただきたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 これで質問を終わらせていただきます。

根本委員長 これにて池畑君の質疑は終了いたしました。

 次に、長友慎治君。

長友委員 国民民主党の長友慎治です。

 本日は、大きく三つ、賃上げ、地方創生、そして食料安全保障について質問をさせていただきます。

 まずは、賃上げについてです。

 私たち国民民主党の玉木代表は、一月二十六日の代表質問で、今国会を賃上げ実現国会にしようと訴えました。アメリカでもヨーロッパでも韓国でも賃金が上がっています。なのに、日本だけ、この三十年近く給料が上がっていません。この賃金デフレが日本経済の最大かつ本質的な課題と考えるからこそ、我が党は給料が上がる経済の実現を公約として訴え続けてきました。

 さらに、昨年二月のロシアのウクライナ侵攻以来、原油の高騰などにより、三十年ぶりの物価高となっています。であれば、賃金も三十年ぶりの上昇にしないと、国民の生活は苦しくなるばかりです。賃金が上がらないと、消費も落ち込み、年金も上がりません。だからこそ、労使のみならず、政府もあらゆる政策を動員して賃上げの流れを支援することを強く望みます。もはや賃上げは、それぞれの企業の労使交渉の枠を超えて、日本経済最大の課題となっています。

 そこで、まず担当大臣の基本認識を伺います。なぜ日本はこの三十年間、賃上げができなかったのでしょうか。加藤厚生労働大臣にお聞きします。

加藤国務大臣 申し上げるまでもなく、我が国、バブル崩壊以降、長引くデフレ等を背景に他国と比べて低い経済成長が続いているわけであります。

 この間、企業は賃金を抑制し、消費者も将来不安もあって、賃金も上がらないということから消費を抑制し、需要が低迷し、そして結果的に国内市場が魅力あるものでなくなることから、企業も投資をむしろ海外で展開し、国内の投資が抑制されていく。結果として、先ほど申し上げた低成長が続くという環境になってきているわけでありますし、同時に、企業にとってみると、なかなか国内の賃金を引き上げる余力が余りない、そして、賃金が伸び悩み、今御指摘のあったように、他国と比べて賃金の伸びの低い状況が続いているというのが今の現状だと思います。

長友委員 大臣、ありがとうございます。

 大臣もおっしゃいましたように、企業が人件費をカットする方向で動いたということに私は端を発しているんだというふうに理解しておりますが、この賃金のアップについて、企業間では労使交渉が行われるわけでございます。

 労使交渉を例に出すと、賃金はベースアッププラス定期昇給によって上昇します。そのうち、ベースアップについては、経営者側は生産性の範囲内で行うべきという立場になります。一方、労働組合側は生産性を上げるためにベースアップを行うべきという理論で交渉を行い、結果として、オイルショック以降はほぼ物価上昇率の近辺で上がってきました。その傾向は今も変わってきていないと思っています。

 それにもかかわらず、この三十年近く賃金が上がってこなかったのはなぜか。その理由の一つは、確かに物価が上がらなかったからではありますが、実はベア以外の、定期昇給が劣化してきたことに原因があるのではないでしょうか。

 これまで多数を占めていた正規労働者が減少し、定期昇給という概念のない非正規労働者が労働者の約四割を占めているのが今の日本です。かつてGDPの七割近くを占めていた個人消費は、現在は五割台に落ち込んでいます。個人消費、需要を喚起するためにインフレ手当も必要です。しかし、非正規労働者の賃金が上がっていくための定期昇給の仕組み、例えば職務給制度などについてしっかり考えていく必要があると考えます。また、そのことが非正規労働者の処遇改善問題の取組にもつながっていきます。

 今国会で賃上げの機運が出てきたことは大歓迎です。その上で、何度も言いますけれども、非正規労働者や派遣社員の賃金をどう上げていくのかが重要だと思います。

 岸田総理は、代表質問に対する答弁で、非正規雇用労働者の賃上げについては、最低賃金の引上げや同一労働同一賃金の遵守の徹底、希望する方の正社員化支援等に取り組むと発言されました。

 この同一労働同一賃金の遵守の徹底にどのように取り組んでいかれるのか、また、正社員化の支援とは具体的にどのような施策を講じるのか、伺います。

加藤国務大臣 同一労働同一賃金の遵守でありますけれども、私が前に厚労大臣をしたときに、この同一労働同一賃金を含む働き方改革関連法案等も成立をしていただいて、今、逐次施行されているわけでありますが、実際にそれがきちっと現場現場において徹底していくために、現在、新たに労働基準監督署と労働局が連携をして、どっちかといえば労働基準監督署も一緒になって、そうした同一労働同一賃金の遵守であり、まだなっていなければ、なるようにしっかり進めていくというのが一つであります。

 それから、非正規雇用から正社員転換については、キャリアアップ助成金等を使ってしっかりと、特に中小企業の皆さん方を支援をしていくということで、その内容の充実等も図っているところでございます。

長友委員 大臣、ありがとうございます。キャリアアップ助成金と、それから労働基準監督署でしっかり現場に浸透していただけるところまでやっていただくというお取組の御説明をいただきました。

 ところで、岸田総理が昨年九月、ニューヨーク証券取引所で講演した際に、日本企業にジョブ型の職務給中心の給与体系への移行を促す指針を二〇二三年春までに官民で策定することを明らかにされました。その際、総理は、年功序列的な職能給をジョブ型の職務給中心に見直すと発言されています。専門的なスキルを給与に反映しやすくして労働移動を円滑にし、日本全体の生産性向上や賃上げにつなげる狙いだと理解をしています。

 職務給は、個々の職種の専門性や業務の難易度を重視する制度で、年齢や勤続年数、職務の遂行能力を評価する職能給とは異なります。

 岸田総理は、一律ではなく、仕事の内容に応じたジョブ型の職務給を取り入れた雇用システムへ移行させると語っていらっしゃいましたが、このジョブ型の職務給を取り入れた雇用システムとは具体的にどのような内容なのか、担当大臣に聞きたいと思います。

後藤国務大臣 賃上げは新しい資本主義の最重要課題でありまして、意欲ある個人の能力を最大限生かしながら、企業の生産性を向上させ、更なる賃上げにつながる構造的賃上げを実現すべく、まず第一弾としては、意欲ある個人に対するリスキリングによる能力向上支援をしっかり行って、そして、御指摘のあった、職務に応じてスキルが適正に評価され賃上げに反映される日本型の職務給を確立する、そして成長分野への円滑な労働移動を進めるという三位一体の労働市場改革に官民連携で着実に取り組んでいくということで考えております。

 委員御指摘の職務給の確立については、職務に必要なスキルとそれに見合う給与体系を明確化することで、労働者自らの希望に従ってリスキリングを行った上で、成長分野への企業間、産業間の労働移動を行えるようにしたり、企業内であっても新たな職務に就けるようにする環境を整備するもので、これによって賃上げが行われる構造をつくる必要があると考えています。

 そのために、本年六月までに、従来の年功賃金から、職務に応じてスキルが適正に評価され賃上げに反映される日本型の職務給への移行を推進するために、日本企業に合った職務給の導入方法を類型化してモデルをお示しする労働移動円滑化のための指針を取りまとめてまいりたいと考えています。日本企業に合った職務給、職務給を一度にではなく順次導入するとか、職務、スキルだけではなくて個々の能力の高さを勘案するといった自由度を入れるとか、そういう形で日本の企業に適用できる、現状に合った形の職務給の導入方法を類型化してまいりたいというふうに考えております。

長友委員 ありがとうございます。

 日本人に合った職務給のモデル、そしてそのプログラムであったりが示されるということですので、それを六月まで、まあ早く知りたいというのが気持ちなんですけれども、しっかり、必ず賃上げにつながる中身にしていただくための議論をまた引き続きさせていただきたいと思っています。

 それでは、次の地方創生について移らせていただきます。

 地方創生とは、東京一極集中を是正し、地方の人口減少に歯止めをかけ、日本全体の活力を上げることを目的とした一連の政策です。二〇一四年九月三日の第二次安倍改造内閣発足後の記者会見で発表されて以来、八年以上がたちました。

 コロナ禍で地方に移住する人が増えた時期もありましたが、総務省が今年一月三十日に公表した二〇二二年の人口移動報告によると、東京都は転入者が転出者を上回る転入超過が三万八千二十三人となり、新型コロナウイルス禍で過去最少だった二〇二一年の五千四百三十三人から三万人以上増えたという報道がございました。三年ぶりに増加した形となっています。社会経済活動が次第に再開したためで、再び東京一極集中の傾向が強まったと言えるのではないでしょうか。埼玉、千葉、東京、神奈川の東京圏の転入超過は九万九千五百十九人。政府は二〇二七年度に転入者と転出者を均衡させる目標を掲げていますが、私は難航するというふうに感じているところです。

 コロナ禍で一般的になったリモートワークの広がりから、二拠点移住や地方移住も選択肢となりつつあるというのは地方にとっては明るい材料です。その上で、本質的に地方でも稼げる仕事や職場があるかどうかが東京の一極集中を是正するかできないかの肝ではないでしょうか。都市になぜ人が集まるのか、そこに稼げる魅力的な仕事があるからにほかなりません。

 私の地元宮崎の高校生の県内就職率、最下位かワースト三位に常に入っています。その理由を高校生に聞いたところ、県外に出た方が給料がいいからという回答が多い。また、親からも県外で稼いでこいと言われたと答える高校生がたくさんいます。実際、大規模な製造業種が他県と比べて少ないので、就職希望者は首都圏や京阪神地域に流出しているのが実態です。

 また、隣の熊本県に二〇二四年稼働予定の半導体世界最大手TSMCの熊本工場がエンジニアの採用を今開始しているところでございますが、それを見ると、新卒の初任給は大卒で二十八万円となっていました。大学院卒修士課程の方は三十二万円、大学院卒の博士課程の方は三十六万円が初任給。

 今、熊本の菊陽町は、運送や倉庫業の進出も活発化し、さらに、従業員や建設作業員向けの住宅や店舗需要が増加しています。菊陽町は全国一位の地価上昇率となり、どんどん若い人たちが押し寄せて、近隣の自治体にも波及効果が出ている状況を目の当たりにしているところです。

 つまり、門前町や炭鉱町などを例に挙げるまでもなく、稼げるところが町になるわけです。地方でのスタートアップの促進や働きたいと思える会社を地方にどれだけ増やせるか、稼げて魅力的な仕事を生み出していくためにも地方の支援が大切だと私は考えているわけです。

 そこで、岸田総理が施政方針演説で触れた地方の基盤産業の活性化について、具体的施策を担当大臣に伺いたいと思います。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 長友委員は、かつて宮崎県で、中小企業の新商品開発や販路開拓など地域に根差した産業の振興にお努めになったと伺っております。日本経済再生のためには、そうした努力を重ねて地方の所得を引き上げ、地域の活性化を図ることが不可欠であろうというふうに考えております。

 このため、デジタルの力も活用しつつ、地方の基幹産業の質や生産性を大きく向上させるとともに、地域発のイノベーションの創出にも取り組むことで、地域を支える産業の振興や起業を促すことが大事であると認識しております。

 こうした認識の下、昨年十二月にはデジタル田園都市国家構想総合戦略を策定したところでありまして、この中で、地方の基幹産業の活性化に向けて、例えば、スマート農林水産業の推進や農林水産物の輸出促進等による稼ぐ地域づくり、また、観光DXの推進による観光産業の生産性向上、観光地経営の高度化、事業者間、地域間の観光に関するデータ連携の強化を通じた広域での収益最大化、さらには、地域の中小企業が稼ぐ力の源にもなる、地方大学を核とした産学官連携やイノベーションの促進、こうしたことの具体的な施策を位置づけたところであります。

 これから、この総合戦略に基づいて、こうした取組を着実に実施し地方の所得を引き上げる、稼ぐ力を強くして地域活性化を図ってまいりたいと考えております。

長友委員 大臣、ありがとうございます。

 地方にイノベーションを起こして産業の振興をしていく、そして力強く稼げる地方にしていくと答弁いただきましたので、そのとおりになるように私たちもしっかり取り組まないといけないと思うところではありますが、デジタル田園都市国家構想総合戦略のお話が出てまいりました。

 その中で、政府は、二〇二七年度までで、東京圏の転入超過を二七年度に解消して東京一極集中を是正する目標を掲げていらっしゃいます。その東京一極集中が本当に是正するのかというところが地方創生の、私の中での一番大きなテーマだと考えているんですが、この具体的な施策について、大臣、お伺いできますでしょうか。

岡田国務大臣 お答えいたします。

 先ほど長友委員からも御指摘がありましたとおり、東京圏の転入超過数は、二〇一九年の数字で約十四・六万人であったものの、二〇二二年には約九・四万人と、三年間で約五・二万人減少したところであります。

 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響にも左右されているということはやはり留意しなければいけないところでありまして、先ほどお話がありました、総務省が今年一月三十日に公表した住民基本台帳人口移動報告によりますと、二〇二一年から見れば、東京圏は約一・四万人増加し、東京都は約二・三万人増加しているということで、これまで積み重ねてきた努力の上にコロナの要因も加わって転入超過数は減ったわけでありますけれども、これがまた戻っていかないように最大限の努力をしなければいけないと思っていまして、そこには、進学や就職を契機にして、十代後半から二十代の若年層における東京圏の転入超過が依然として継続しておるということも踏まえて、地方への人の流れを重層的で力強いものにすることが、そして稼げる地域をつくることが何よりも大事であろうと思っております。

 そのために、新たな総合戦略では、地方への人の流れをつくることに加えて、地方に仕事をつくるということを重要な柱の一つに掲げたところであります。

 具体的には、二〇二一年には首都圏の企業転入、転出動向が十一年ぶりに転出超過になった、首都圏から出る会社の方が上回ったという民間調査結果もありますことから、こうした流れを更に加速化させるために、企業の本社機能の配置見直しなど、企業の地方移転の更なる推進を図る。そして、デジタル田園都市国家構想交付金で、これはかなり思い切ったわけでありますが、移住における子育て世帯加算額を子供一人当たり最大三十万円から百万円に増額するなど、地方移住に対する一層の支援や、テレワークによる転職なき移住の更なる推進を図ってまいる。こうした具体策を尽くして目標を達成をしてまいりたい、このように存ずる次第であります。

長友委員 大臣、ありがとうございます。大臣からは、力強く、地方で稼げる仕事をつくるということをおっしゃっていただきました。

 よく、地方創生で語られるときに、テレワークということが出てきます。東京の仕事を地方でできるようにするというのがリモートだったりテレワークになるんですけれども、実は、私が地元にいてテレワークされる方を見ていて感じることがあります。これは、テレワーク、極端なことを言うと、日本じゃなくて海外でもできることになるわけですよね。そうなったときに、地元にお金が落ちるかというと別に落ちるわけではないんですね。

 日本じゃなくても外国でもできるようにするということではなくて、地方では稼ぐということにちゃんと向き合った地方創生に取り組んでいただきたい。やはり、地方に本社を置く企業、地方の地元企業の一社一社がちゃんと稼げるような施策を考えてほしいというふうに思います。私も一緒に考えてまいりますので、どうぞ、地方のためによろしくお願いいたします。

 最後、食料安全保障について質問をしたいと思います。

 賃上げから地方創生までの話をこれまでさせていただきました。その地方創生の基幹産業の活性化の中で、農林水産業の話も先ほどいただきましたけれども、私の地元宮崎県の基幹産業は農業なんです。賃上げ、賃上げと言うと、企業に勤めている人の給料を上げることに焦点が当たりがちですけれども、日本の食料安全保障を支えてくださっている農林水産業の皆さんの所得を上げることも喫緊の課題です。

 特に、今は資材が高騰し、価格転嫁ができない中で、農家さんたちからは悲鳴が上がっています。新型コロナウイルスのマスクやワクチンの問題で、安全保障とは、国民が必要としているときに必要なものを供給できる能力だということが分かりました。国家とは供給能力だということを私たち国民は見せつけられたと思っています。

 しかし、今の日本の農業を見ると、一九七〇年代には五〇%台を維持していた食料自給率は三八%まで低下してしまいました。生産者が高齢化し、担い手が見つからない、後継者が見つからない地域が全国に広がっています。ますます、私たちの命の源である食料の供給能力が落ちかねません。その原因が、農業で稼げるイメージが持てないからではないでしょうか。

 先ほどの東京一極集中の是正の質疑の際も、都市部になぜ人が集まるのか、そこに稼げる魅力的な仕事があるからと述べさせていただきました。門前町や炭鉱町など、稼げるところが町になるという事例を出させていただきましたけれども、やはり農業を稼げる産業に国の責任で転換させていくことが至上命題です。

 地方の農家の担い手不足が深刻な状況の中、農家の賃上げ、所得のアップこそ必要だと考えますが、農林水産大臣の見解を伺います。

野村国務大臣 長友委員に答弁申し上げます。

 宮崎市と鹿児島は農業でいわば生産が潤っているという状況でありまして、先ほどおっしゃいました担い手不足というのは宮崎にはないんじゃないかと思うぐらい宮崎にも若い人が多い、また私の鹿児島にも非常に多いのでありますが、これを、だから今、基本計画を作る段階で分析をさせてみました。

 これは、一くくりで後継者不足ということを余り言って、もうこの先真っ暗だぞということを皆さんが受け止めるとよくないので、作目別、地域的に、高齢化が進んでいる、あるいはまた担い手がいないというのを分析してみてくれと言いましたら、面白いデータが出てきました。

 それは、おたくの宮崎のように、施設園芸、これが一番若いんです、五十代です。それから、次が養豚です。これもまた宮崎が一番多いわけですが、これも五十代が平均年齢。ですから、そういうふうにして、六十八歳だ、七十歳だという、後継者不足の話が出ますのは、実は稲作地帯です。ここはもう七十を超えています。ですから、六十八歳というのは、特に水田地帯、米作地帯が高齢化が進んでいるということが言えるんだろうと思います。私の鹿児島でもおかげさまで後継者もできつつありますし、特にやはり畜産を中心にした県というのは後継者不足ということは余り起こっていないようでありまして。

 そういう意味では、先ほどおっしゃいました所得だけの問題なのかなということも思いますし、所得が上がればそれは当然後継者もどんどん増えてくるんだろうと思うんですが、それよりも何よりも、田舎に住みたいという若い人たちも、出身県の人じゃなくて、よそから、特にやはり都市部から入ってこられる方々が多いんです。ですから、そういう意味では、所得を確保するためにも、やはり若い人たちが入ってほしいなと思うときがあります。

 もう一つは、所得だけではなくて、先ほど、やはり地域での生きがい、あるいは生活の様式、こういったものに対して都会の方々の憧れというのもあるのかなというふうに思いますが。

 いずれにしましても、農業の場合は、自分たちで販売金額を決められないというところがやはり一番大きなネックになっておりまして、唯一これができるのが酪農だけなんです。これはもう御存じのように、指定団体という団体とメーカーが交渉して、そして今年の乳価は幾らにしようというのは酪農だけなのであります。ほかのものはほとんど市場なり相対での取引価格で決まってしまうということでありまして、これを是非、そういうものを所得向上につなげていくにはどうすればいいのかということもあります。

 一番は、何といいましても、コストを販売価格に上乗せした形での価格設定というのが一番望ましいわけでありますが、外国の事例も参考にしながら、今後、所得向上に向けて、価格が形成されるには何が必要か、こういったことも農水省の方で十分検討させていただきながら、検討を更に進めてまいりたい、かように思っているところでございます。

長友委員 大臣、ありがとうございます。細かい分析も踏まえて、私も勉強になりました。

 その上で、最後、一問質問させてください。

 私たち国民全員が健康的な生活を送るために必要な食料を必要なときに供給できることは、国の最も大切な責任だということを認識しております。担い手がいないとか、若い人がなかなか農業に入らないということで農作物の供給がストップするようなことがあっては、私たちの命に関わることになります。だから、食料については十分な計画的備蓄が絶対に必要です。

 必要なものは必要なときに必要な分だけ市場で調達すればいいという考えがどれだけリスクであるかということが、私たちは、パンデミック初期の医療資源の枯渇や資材の価格高騰で思い知りました。マスクや防護服のようなどこでも作れるものは賃金の安い海外にアウトソースすればよいという合理的に判断してきた政策のせいで、たくさんの方々が亡くなりました。どこでも誰でも作れると思われていたものが、実はどこでも作れるものではなかったということです。

 私たち日本人はこのことに気づきました。だからこそ、農業も、エネルギーも、医療も、目先の経済合理性ではなく、安全保障の観点から見直すべきだと考えています。

 その上で、日本の全国各地で農業、漁業、林業に携わり、私たち日本人の食の安全保障に懸命に奮闘いただいている農林水産業の生産者を政府としてどのように守っていくのか、時間がありませんが、大臣のお考えをお聞きしたいと思っております。

野村国務大臣 私ども、農政の大きな柱の中に、今おっしゃいましたように、農家の所得をどう確保していくかというのがやはり最大の目的になってきておりまして、これは事農家だけの問題ではない、食料の安全保障というのは消費者にとっても大変大事な問題でありますので、消費者の理解も得ながら、先ほど申し上げました、どう価格を設定していけるのかということがやはり今後重要になってまいりますので、一番いいのは、ほかの加工産業みたいな形でコストを販売価格に上乗せできるような何かそういった仕組みというのは、なかなか、先ほど言いましたように、酪農だけは交渉をして価格決定できるんですけれども、ほかのものは市場原理での取引価格でしかない、こういう状況ですから、どういう方法ならば今後取り組めるのかということを十分検討をさせていただきたいと思います。

長友委員 以上で終わります。ありがとうございました。

根本委員長 これにて長友君の質疑は終了いたしました。

 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 今日、三十分、よろしくお願いいたします。

 まず、質問に入る前に、委員長にお願いをしたいことがあります。

 我々の机の上にあるカラーコピーの山。これ、お金もかかりますし、環境にもよくないし、何といっても古臭いということがありまして、今はもうデジタルの時代ですから、見直すように一度考えていただけないかと思いますが、委員長。

根本委員長 理事会で協議します。

緒方委員 それでは、質問に移っていきたいと思います。

 質問の順番を変えまして、最初は、野村大臣、乳製品のカレントアクセスについてお伺いをいたしたいと思います。

 先般、逢坂委員の方からも質問がありましたが、生乳ベースで十三・七万トンという数量の、バターとか脱脂粉乳とかで輸入しているわけでありますが、国家貿易で全量輸入をしていると。それで、岸田総理、何と答えたかというと、法的義務があります、法的義務がありますという答弁でしたが、さすが岸田外務大臣、外相経験者でありまして、あれは輸入機会の法的義務があるということです。

 国内対策上、国家貿易で全量輸入していることはよくよく知っておりますけれども、WTO農業協定上は、輸入義務はなく、輸入機会の法的義務があるということでよろしいですね、大臣。

野村国務大臣 緒方委員に御答弁申し上げます。

 乳製品のカレントアクセスにつきましては、農林水産委員会等でもいろいろ皆さんの方から御質問があるんですが、これはもうガット・ウルグアイ・ラウンドでの交渉の中で全体のパッケージとして決めてあることでございまして、一九八六年から一九八八年までの基準期間の平均輸入量である十三万七千トン……(発言する者あり)

根本委員長 進めてください。質問者はもう一度。じゃ、その後、質問してください。

野村国務大臣 はい。

 乳製品のカレントアクセスにつきまして、これにつきましては、これは全てガット・ウルグアイ・ラウンドのときの、米と一緒でございまして、ガット・ウルグアイ・ラウンドでそういうような、契約とまではいきませんけれども、合意がなされまして、そして今日まで至っているところでございまして、これはもう現在の消費量に見合う輸入量となるように見直しを図るべきではないかという委員の多分御質問だと思うんですけれども。

緒方委員 それでは、質問したいと思います。

 野村大臣、全量輸入しなくてはならないということが国際条約に書いてありますか、大臣。WTO農業協定に全量輸入しなきゃいけないという規定がございますか、大臣。

野村国務大臣 それは、ガット・ウルグアイ・ラウンドの議定書に……(発言する者あり)

根本委員長 じゃ、速記録、止めてください。

    〔速記中止〕

根本委員長 速記を起こしてください。

 農林水産大臣野村哲郎君。

野村国務大臣 乳製品のカレントアクセスにつきましては、WTO協定に基づき我が国が負う法的義務の内容は、その数量に対して輸入機会を提供する、こういうことでございます。

緒方委員 つまり、輸入義務ではないということですね。よろしいですね、大臣。

根本委員長 大臣、ちゃんと聞いてください。

 もう一度言ってください、今お座りになられたから。

緒方委員 大臣、十三・七万トンの数量を輸入しなくてはいけないという義務があるわけではないですね、大臣。

野村国務大臣 先ほど申し上げましたように、我が国が負う法的義務の内容は、その数量に対して輸入機会を提供するということでございます。

緒方委員 だから聞いているんです。その数量を輸入する義務はないですね、大臣。

野村国務大臣 輸入数量の義務はありません。

緒方委員 国家貿易で、けれども、全量輸入しているわけですね。

 何で全量輸入しているかというと、国内の需給に影響を与えないためだというふうに政府は言っておられる。国内の需給に影響を与えないというのは何かというと、内外価格差があるからですよ。内外価格差があるから、その需給に影響を与えないようにするために日本が国家貿易で全量輸入しているというのが、これが理屈になっているはずです。

 現在、内外価格差が解消してきています。実際に、入札を打っても不落がたくさん出ています。条件が変わりました。制度を見直すべきだと思いませんか、大臣。

野村国務大臣 内外格差があるから、国家貿易として国が一元的に輸入をする、こういうことでございます。

緒方委員 現在、内外価格差がすごくなくなってきているんですね、米も乳製品も。実際に、入札を打つと不落が山のように出ているんです、乳製品も米も。

 こうなったときには、日本の今の仕組みの前提が大きく変わっているわけですから、今の仕組みを見直すべきではないですか。北海道の農家の方、みんな聞いていますよ、大臣。

野村国務大臣 内外格差がなくなっているということは認識をしておりませんで、むしろ、米なんかは内外格差が今拡大をしつつありますし、乳製品につきましても、いろいろそれは、国によって内外格差が出ていることは、もう事実であります。

緒方委員 少なくとも、アメリカの米、アメリカの乳製品との間での内外価格差はかなり解消してきている。だから入札で不調が出ているんじゃないですか。

 大臣、認識、間違っていますよ。いかがですか。

野村国務大臣 先ほども申し上げましたように、米についていきますと、米国産の米が上がっているということも、委員も先ほどおっしゃいましたけれども、これは、アメリカの干ばつ等の影響によって直近の価格が高水準で推移していることは承知いたしております。

 他方、米国産中粒種も幾つかの品種があり、また、国内における仕向け先も異なる中で、日本産米と価格差は様々であります。国としては、国産の加工用米の品質に近い米国産中粒種については、国内における実需者の加工用需要を満たせるよう、その潜在的なニーズを見込んで輸入をいたしているところでございます。

緒方委員 米と乳製品、少しごっちゃになっていますけれども。

 昨年の米の輸入については、三回、入札不調を出しています。そして、乳製品についても、かなりアクセスの全量輸入枠を満たすのに苦労したというふうに聞いております。

 実際には内外価格差が解消してきているので、売れなくなってきているんじゃないですか、大臣。

野村国務大臣 アメリカの米の価格と直接比べるわけじゃなくて、輸入する場合はタイの長粒種の相場との関連でやっているわけでありますので、それによってアメリカとの価格差は出てきているということであります。

緒方委員 じゃ、提案したいと思います。

 入札で不落が出たとき、これは一旦きちんと輸入機会を提供しているわけですね。不落が出ているわけですよ。けれども、日本は、二回も三回も、更に買ってください、買ってくださいということで国内に仕向けているんですね。この必要はないと思います。一回不落が出たら、もうこれで入札を打ち切るというのでいいと思いますけれども、大臣、いかがですか。

野村国務大臣 お答え申し上げますが、特に国内のやはり業者さんからは実需者のニーズというのがありまして、アメリカ産のこの米が欲しいというのがあるものですから、一回で落札できないときにはまたかけていく、もう一回機会を与えていくというやり方をしているんですけれども。最終的には、今後またどうなっていくか分かりませんが、いずれにしても、二回、三回がおかしいじゃないかという御質問なんですけれども、国内の実需者がそれに対するニーズがあるということから、やはりやらざるを得ないということであります。

緒方委員 国内の影響を理由に国家貿易をやっていることになっているんですが、内外価格差が、乳製品のことについて申し上げますが、ほぼなくなりつつある中、現在、国内の需給を調整するのではなくて、アメリカの酪農農家に利益を優先的に渡すためのツールに国家貿易がなっているように見えるわけでありますが、大臣、いかがですか。

野村国務大臣 さっきは米でしたけれども、今度は酪農の、乳牛の話です。

 このカレントアクセス、酪農の場合で、乳製品でありますけれども、この機会を設定すれば、通常の場合は当該数量の輸入を行うべきものと考えておりますけれども、なかなか、国内の業者さんのニーズが違ったりとか、あるいはまた、国内の生産が、例えば脱粉なんかにしますと相当過剰になっているとかあるものですから、したがって、そういったような形を取る場合があります。

緒方委員 私、北海道ではなくて福岡選出でありますので、ネタは大体出しましたので、あとは北海道の方に頑張っていただきたいというふうに思います。

 次に、たくさん質問を用意しましたので、少子化対策についてお伺いをいたしたいと思います。小倉大臣、よろしくお願いいたします。

 今日の衆議院の予算委員会でもいろんな議論がありましたが、私、一つだけすごい疑問に思っていることがあって、少子化対策と子育て支援というのは一旦分けて考えるべきテーマではないかなというふうに思うんですね。いかがでございますか。

小倉国務大臣 お答えをいたします。

 子育て支援の充実が少子化対策の解消につながるのは間違いないと思います。実際にアンケートを取っても、理想の子供の数を持てない理由として、例えば、子育てや教育にお金がかかり過ぎる、自分の仕事に差し支えが出るから、あるいはこれ以上の育児の心理的、肉体的な負担に耐えられないから、こういったまさに子育て支援の充実とつながるような、そういう理由で子供を持てないといった方も相当数いるのも事実であります。

 片や、子育て支援が全て少子化対策かというとそうではありませんで、当然、その子供や子育て当事者のウェルビーイングの向上もございますし、男女を問わず、とりわけ女性が希望する人生をしっかり選択できるような環境整備というものもございますので、そういった様々な政策目的、複合的なものもあると思います、濃淡もあると思います、そういったものを意識しながらそれぞれの政策を実行していくということが、いずれにしても重要じゃないかというふうに思います。

緒方委員 ありがとうございました。そうなんですね。

 ただ、この二つ、子育て支援というのは福祉でありまして、少子化対策というのは社会政策であって、二つを混乱するような議論というのは私はよろしくないというふうに思うということを言いたかったんですね。

 鈴木大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、よくライフスタイルに中立的な税制という言い方がされます。ライフスタイルに税制が影響することはよろしくないのではないかということで言われるわけでありますが、平時であれば、私、そのとおりだと思います。

 しかし、今、静かなる有事です、この少子化は。私は、そんな悠長なことを言っていることはもうできないのではないかと思うわけでありまして、ライフスタイルに中立でなく、世帯を持つことが、子供を持つことが有利となる税制を考えることも、異次元の対策の中であっていいのではないかというふうに思いますが、大臣、いかがですか。

鈴木国務大臣 ライフスタイルに中立ではない税制を、今、有事であるので考えるべきではないか、こういう御指摘でありまして、これに関して言われますのはN分のN乗方式だと思います。

 この方式は、子供を含めた世帯構成人数に応じて課税所得を分配し、より低い税率を適用するために、子育て世帯に配慮した仕組みであると理解をしております。

 現在の個人単位課税を世帯単位課税に改めるものであることに加えまして、世帯の所得に応じて適用される税率が平均化されるために、現行制度からN分のN乗方式に移行した場合には、現行制度より共稼ぎ世帯に比べて片働き世帯が有利になることや、我が国では納税者全体の約六割が最低税率である五%の税率となっていることが実態である中で……(緒方委員「委員長、その説明は求めていない」と呼ぶ)

根本委員長 財務大臣、端的にお願いします。

鈴木国務大臣 この層に対する恩恵は限定的であるという課題があるということでございます。

緒方委員 私、この後、N分のNの話をしようと思ったんですけれども、そうじゃなくて、ライフスタイルに中立でない税制ということの考え方についてお伺いをいたしております、大臣。

鈴木国務大臣 これまで、御指摘のように、働き方やライフコースの選択に中立的な税制の構築という観点に立って今まで議論が行われてきたところでありまして、子供を持つ持たないという選択に中立でない税制とすることについては、今までのこの議論の流れと違うわけでありまして、幅広い観点から丁寧な、また慎重な議論が必要であると思います。

緒方委員 私、それもあり得るという答弁が返ってくると期待をしていたんですが、ちょっと残念です。

 今、フランスのN分のN乗税制の話をされました。私、フランスに二年住んでおりましたので、よく知っています。あのことについて質問をする限り、今のような答弁が返ってきて、課税単位が世帯でなくて日本では個人だからできないという答弁なんですね。それは、私、すごくよく分かっております。

 しかも、N分のN乗を推奨している方々に是非知っていただきたいのは、あれが効果を有するためには、税率が高く、そして累進性がシャープであり、そして、これはフランスの仕組みにはないんですけれども、低所得者の方に効果を持たせるためには給付つき税額控除が必要なんですね。この要件を満たさないと、実はN分のN乗方式というのは効果が限定的になるということで、これは提案された方々もよく考えていただきたいと思います。税率が高いこと、累進性がシャープであること、そして、本当に低所得者の方々に恩恵を及ぼそうとするのであれば給付つき税額控除がつかなきゃいけない、こういうことなんですね。

 これを踏まえた上でなんですが、N分のN乗が日本で難しいことはよく分かっております。そうではなくて、ただ単純に、先ほど一谷議員も最後、質問の終わりに言われましたけれども、子供が増えれば税が下がるという仕組みについて、いかがお考えですか、大臣。

鈴木国務大臣 このN分のN乗方式が、確かに、子供が増えれば課税水準が下がってまいりますから、そういうインセンティブに働く、そういう仕組みであるということは理解いたします。

緒方委員 それが難しいというのはよく分かっています、私もフランスの仕組み、よくよく存じていますので。

 そうではなくて、このN分のN乗にとらわれることなく、子供が増えれば税が下がりますというインセンティブをつくる、そういう仕組みを、一般論として、大臣、導入するおつもりはありませんかと聞いております、大臣。

鈴木国務大臣 先ほど申し上げましたのは、N分のN乗方式にですね、そのような、子供が増えればインセンティブが働く、そういうことを言ったわけです。

 これとは別に、一般論で、そういう税制が必要であるか、そういう必要性についての御質問であると思いますが、これについては、先ほど申し上げた、働き方に中立な税制の在り方という今までの議論の在り方とまた違う観点からの議論が必要である、そういうふうに思います。

緒方委員 ネガティブということなんですかね。

 結局、先ほど言ったように、多分、子育て支援を充実していけば少子化が解消するかというと、それは一部解消するところもあるかもしれないけれども、そうでないところがある。

 そして、私、岸田総理が異次元と言われたからには、これまでライフスタイルに中立な税制というのが基本だと言われてきたけれども、それをも見直すぐらいの覚悟を持って少子化対策に取り組むべきなんじゃないですかということを私は熱く語っているんです。

 もう一度、大臣、お答えいただきたいんですけれども、事ここに来れば、ライフスタイルに中立でなく、子供が増えれば税が下がる、そういう、N分のN乗じゃないですよ、そうじゃなくて、一般論として、そこまで踏み込むべきではないですかという問いをしております。大臣。

鈴木国務大臣 私は、決してネガティブな立場ではなくて、ニュートラルな立場であります。

 やはり、今までの税制の組立て、構成というものがありますから、それもやはり踏まえなければならない、そういうことを踏まえた上での議論が必要であるということを先ほど来申し上げているところです。

緒方委員 私、異次元と言われたときに、こういうことにまで踏み込むんだろうなという期待感を実は持ちました。

 最後に、少子化対策についてお伺いしたいと思います。

 今後、少子化対策にいろいろ取り組んでいかれると思うんですが、そこで用意される財源というのは、真の意味で国債に頼らない財源でやっていく、そういうおつもりでよろしいでしょうか。これはどちらですかね、鈴木大臣か小倉大臣か。じゃ、小倉大臣。

小倉国務大臣 子供、子育て政策の財源については、現在でもそれぞれについて財源のありようは様々だと思います。

 例えば、五十万に引き上がる出産育児一時金とかは医療保険から、あるいは育児休業給付金については雇用保険から。国の一般会計から出しているものもあれば、地方と国とそれぞれ出しているものもあります。すなわち、どういった子供政策を充実するかによって財源は様々だと思っております。

 だからこそ、年初、総理の指示の下で、まずは、三月末までに子供にとって、子育て世代にとって必要な政策をまず整理して、それをたたき台として発表するのが先ということなんだろうと思います。

緒方委員 国債には頼らないということでよろしいですね、小倉大臣。

小倉国務大臣 御指摘の国債につきましては、その返済に将来世代の税収等が充てられますことから、負担の先送りとなり、安定財源の確保あるいは財政の信認確保の観点から慎重に検討する必要があるというふうに考えております。

緒方委員 最後、なかなか意味の深い、意味合いの深い答弁だったなと思いますが、質問を移していきたいと思います。

 防衛費についてお伺いをいたしたいと思います。

 現在、財源として挙げられている外為特会や決算剰余金、ここら辺を、歳出改革をして防衛力強化資金を持ってきて、そして決算剰余金があって、その残りのところが税制措置だと言っているんですが、この外為特会や決算剰余金は、単に、元来入れられていた一般会計や補正予算のための国債発行をつけ替えただけにすぎないわけですよね。これを財源と呼んでいいんですか、鈴木大臣。

鈴木国務大臣 御指摘の決算剰余金が過去において補正予算の財源として活用された事例が多いと、これはそのとおり、事実でございます。

 補正予算の財源は、補正予算を編成すべき必要性が生じた場合において、その時々の税収見込みや歳出不用の見込み等を踏まえて検討するものでありまして、制度的に決算剰余金を財源とすることがあらかじめ求められているものではないわけであります。

 今回の対応におきましても、決算剰余金を補正予算の財源から防衛財源にツケ回すという意図はないところでございます。

 そして、外為特会を例に挙げますと、先生御承知のとおり、普通は、外為特会で剰余金が出ますと、三割は外為特会にそのまま留め置いて、七割は一般会計の方に繰り入れる、こういうことが基本となっておりますけれども、今回の措置につきましては、金利の上昇でありますとか、それから円安の進行でありますとか、外貨建て債券が相当上がったということで、余剰金の上振れが見込まれる状況であります。

 こうしたことから、令和四年度分につきましては、令和四年度予算で見込んだ剰余金の七割、これにつきましては今まで同様に一般財源として活用するとした上で、特会の留保分の三割と、そして予算からの上振れ、これを追加的に防衛財源として活用するということでございます。

 そして、あわせて、進行年度となります令和五年度の剰余金相当額から、確実に見込まれると思われる特例的な繰入れ、一・二兆円を見込んでいるわけでありますが、合わせて三・一兆円を臨時的な追加財源として防衛財源に充てることとしております。

緒方委員 そう言われますけれども、最近後藤大臣の下で発表された内閣府の中長期の経済見通しというか、財政収支見通しですね、この中では、外為特会分は単なる政府内の会計間の移動扱いで、収入とは位置づけられておりません。したがって、それに相当する支出分はプライマリーバランスの悪化要因であります。

 内閣府の試算においては外為特会分は財源と扱われていないわけでありますが、それでも財源と言われますか、大臣。

鈴木国務大臣 財務省としては財源だ、そういうふうに思っております。

緒方委員 後藤大臣、いかがですか。

後藤国務大臣 財政の中期試算というのは、地方、中央合わせて、トータルのものでございますので、中期試算の計算上は、財源としてはカウントはされています。

緒方委員 つまり、国全体で、地方も含めて見たときには、ただの会計間の移動にすぎないわけであって、収入と計上することは、それは大臣、少し苦しいですよ。財源と呼べないじゃないですか。ふさわしくないと思いますよ、大臣。

鈴木国務大臣 そういう御指摘でございますが、これは、国民の御負担をできるだけ抑えるべく、あらゆる工夫を検討する中で活用することとしたものでありまして、予算上は、これは何の問題もない、財務省としては財源であると考えております。

緒方委員 では、決算剰余金のうち、大きな部分を占めているというのは、国債費の金利差から出る剰余金というのが大きいです。つまり、元々一・五、六%ぐらいで予算を組んでいて、それが、金利が低かったので、その差分のところが決算剰余金として出てくるケースが多いです。

 借金返しのために用意したお金が余ったからといって、財源だというのは詭弁だと思います。大臣、これは財源と言えないんじゃないですか。

鈴木国務大臣 国債の利払い費については、将来の金利動向を正確に見通すことが困難である中で、国債の利払い財源が不足することがないよう、十分な予算計上を行っているところであります。

 このため、国債の利払い費に不用が生じることはありますけれども、一般的に、歳出に不用が生じることが見込まれる場合には、新発債の発行額の抑制に努めることによりまして、その金額が直ちに決算剰余金になるわけではありません。

 さらに、決算剰余金につきましては、引き続き、財政法上の規定のとおり、その二分の一は公債又は借入金の償還財源に充てることとしておりまして、財政健全化にもしっかりと配慮をしておるところであります。

緒方委員 一般会計に元々繰り入れていた外為特会分とか決算剰余金の分というのは、本来、防衛費相当分に相当する金額の歳出改革と一緒にならないと、財源にならないんじゃないかと。一般会計に元々入るはずだったもの、元々非常によく補正予算として使われてきたものですが、それが、今言ったように、財源として見るのがちょっと怪しいわけですよね。その分は、むしろ、財源というよりも、その分、補正予算で更に歳出改革をするとか、一般会計で更にそれに相当する部分を歳出改革をするとか、そういうことにならない限りは財源と呼べないのではないかというふうに思いますけれども、大臣、いかがですか。

鈴木国務大臣 今回は、上振れでありますとか、そうしたものを考えまして、臨時的な追加財源として確保して、その部分を防衛財源に充てるということにしているところであります。

緒方委員 よく分からなかったんですけれども、質問を続けます。

 歳出改革をこれからやっていかれるということですが、起点はどこですかね、歳出改革の。コロナでばっと膨らんだ財政のところから、そこから改革ということになるとほとんど意味がないわけでありまして、これから歳出改革をするときのその起点、それはどの辺りを見ておりますか、大臣。

鈴木国務大臣 令和四年度の当初予算の段階からです。

緒方委員 少し、まだコロナ対策等々で膨らんでいる部分があると思うんですけれども、その部分も含めて対策の起点に置く、そういう理解でよろしいですか、大臣。

鈴木国務大臣 コロナ対策費はかなり補正予算で対応いたしましたが、この起点については当初予算で考えるということです。

緒方委員 今我々が審議している予算の中にも予備費が入っているわけですよね。それも含めてということですか、大臣。

鈴木国務大臣 当初予算ですから、そういうことになります。

緒方委員 それで本当にいいんですかね。

 ということで、私の質疑時間が終わりましたので、終えさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

根本委員長 これにて緒方君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 私は、昨年十月二十四日の当委員会で、統一協会と政治の癒着、特に自民党地方議員の中に統一協会が深く浸透しているという実態を示して、この関係を断ち切れるかどうかが鍵だと指摘をいたしました。岸田首相は、党のガバナンスコードを改定し、関係を絶つという方針を明確にして、地方についても周知徹底すると答弁をされました。

 今日は総理がいらっしゃいませんので、官房長官に確認いたしますけれども、党のガバナンスコードを改定し、関係を絶つという方針を明確にして、地方についても周知徹底するという、この総理の答弁に間違いないですね。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 昨年十月二十四日の衆議院予算委員会において、委員からの質問に対し岸田総理から、関係を絶つという方針を明らかにし、自民党において、党のガバナンスコードを改定し、地方の都道府県連、全国の党所属国会議員に対し周知徹底することを用意している旨の答弁をしたことは承知をしております。

宮本(岳)委員 資料一を見ていただきたい。昨年十月二十五日の自民党総務会で改定されたガバナンスコードの新旧対照表であります。

 そして資料二が、昨年十月二十六日付で、茂木幹事長名で自民党の国会議員と地方組織に出された通知であります。

 通知は、「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係遮断について」と題されており、「国民から疑念を抱かれることのないよう、党所属の国会議員に対して、旧統一教会及びその関係団体との関係遮断を徹底し、活動を助長する行為、及び、これらの組織・団体からの不当な政治的な影響力を受けうる行為については、厳にこれらを控える方針を明確に打ち出すものです。」と書かれてございます。

 松野官房長官、統一協会及びその関連団体との関係遮断の徹底に、あなた自身が当然このガバナンスコードを遵守していなければならないと思いますし、また、閣僚はもちろん、地方も含めて自民党全体がこれは守るものだ、これも御確認いただけますね。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 この場には政府の立場として立っておりますことを御理解いただきたいと思いますが、その上で、私自身のことに対することでございますのでお答えをすれば、私も党のガバナンスコードを遵守しております。

 後段の自民党全体のことに関しましては、政府の立場としてお答えすることは差し控えさせていただきます。

宮本(岳)委員 そこで、まず西村明宏環境大臣にお伺いしたい。

 あなたは統一協会と関係を持っておられないか、そして、あなたはこのガバナンスコードを遵守するというお立場、大丈夫ですか。

西村(明)国務大臣 新たな接点を含めて、ございません。また、ガバナンスコードに関しましては、今官房長官がお話しされたのと同趣旨でございまして、遵守しております。

宮本(岳)委員 ところが、資料三を御覧いただきたいんです。共同通信の調査結果を報じた東京新聞の記事でございます。

 千葉など自民党の十二県連が統一地方選挙の候補者を公認、推薦する際に旧統一協会との接点や関係遮断の意思を確認しない方針だと報じられ、左上の表、旧統一協会側との接点や関係遮断の意思を確認しない方針の県の冒頭に宮城県が挙がっております。

 環境大臣、あなたは現在も自民党宮城県連の会長職にあるはずです。なぜ、地方選挙の候補者に対して統一協会との関係遮断の意思を確認しないんですか。

西村(明)国務大臣 官房長官がお話ししたように、ここは政府の立場としてお答えする場所でございますので、県連会長としてのお話はここですべきではないと思っております。

宮本(岳)委員 県連会長としての話はできないけれども、ガバナンスコードが県連に対して徹底されなくてもよい、こういうことになりますけれども、よろしいですか。

西村(明)国務大臣 政府の立場としてはお答えする立場にございませんが、その上であえて、そういうお問合せでございますが、県連の方に問合せをした結果、現状、候補者選定まで今行っていない、新たな候補者が決まっていない段階においては今問合せをしていないということでございました。また、今いる県議会議員を始めとした皆さんには、全てガバナンスコードを配付して、その意思を確認しているという報告を受けております。

宮本(岳)委員 途上であるという御答弁だと思います。

 浜田靖一防衛大臣、あなたは、千葉など十二県連と見出しに書かれたその自民党千葉県連の会長職にあるはずです。なぜ統一協会との接点や関係遮断の意思を確認すらしないということになっているのか、あなた自身が接点や関係を持っていないのか、御答弁いただけますか。

浜田国務大臣 私自身と統一教会の関係は全くございません。そしてまた、ガバナンスコードについては当然遵守していく立場だと思っております。

宮本(岳)委員 遵守する立場であるにもかかわらず、なぜこの共同通信のアンケートには意思を確認しないとなっているんですかね。なぜこのアンケートには意思を確認しないと千葉県連は答えているんですか。

浜田国務大臣 この件については、我々の方も、県連の方が県会議員の立候補に当たっての確認というのは、確認というか、関係を絶つという件に関しては、今後手続を、全員の確認を取るということで今進めているところでございますので、今進行中であるということでございます。

宮本(岳)委員 岸田首相が幾ら絶つとおっしゃっても、まさに大臣が県連会長を務めておられる二つの県連でこういう状況があるわけです。

 更に聞きましょう。地方自治法と公職選挙法を所管する松本剛明総務大臣は、自民党兵庫県連の常任顧問の職にあると思います。西村康稔経産大臣も谷公一国家公安委員長も選挙区は兵庫県でありますけれども、この兵庫県も実は関係の遮断を確認しないという県に入っているんですが、いかがですか、松本大臣。

松本国務大臣 私自身のことについては、これまでも委員会などでお答え申し上げてまいりましたが、これまでも接点を持たないようにしてまいりましたし、これからもそのようにしてまいりたいと思いますし、ガバナンスコードはしっかり遵守をしてまいりたいと思います。

 その上で、私自身は、先ほど県連の役職についてお話がございましたが、内閣の一員となった時点で県連の役職を退職しておりまして、現在、記事については拝見をいたしましたが、県連の方になぜそのような形の報道になったかについては確認をすることができておりませんので、内容については、詳細、ここでお答えをする立場にもなく、またお答えをすることは差し控えたいというふうに思っておりますが、先ほども御指摘ありましたように、総理が総裁として都道府県連にもガバナンスコードの周知徹底を求めておられるというふうに承知をしておりますので、組織としてはしっかりそのような形になっていくのではないかというふうに理解をいたしております。

宮本(岳)委員 加藤勝信厚生労働大臣は、岡山県連の常任顧問であります。教団の養子縁組について、厚労省は是正を行政指導する通知を出しております。昨日も当委員会で告発断念との報道をめぐって議論がありましたけれども、その厚生労働大臣が常任顧問を務めている自民党岡山県連が、地方選挙の候補者の公認や推薦で統一協会との関係の遮断を確認しなくてよいのかという問題が残ります。

 国民に疑念を持たれかねないと思いますけれども、なぜ確認しないんですか、大臣。

加藤国務大臣 まず、個人としては、私自身としては、先ほどからもありましたように、自民党の国会議員としてこのガバナンスコードをしっかり遵守していくという立場であります。

 また、県連についても、基本的に今、県連の方から私ども実態としては離れて活動させていただいておりますが、県連においてもこのガバナンスコードを遵守するということでやっておられるものというふうには承知をしています。

宮本(岳)委員 再び官房長官にお伺いします。

 松野官房長官、千葉県は浜田防衛大臣が県連会長でありますけれども、渡辺博道復興大臣も、齋藤健法務大臣も、そしてあなたも、千葉県の選出議員であります。

 統一地方選挙で、有権者は統一協会との関係も判断材料にされるはずであります。あなたのお膝元で、統一協会との関係遮断の意思を確認しないという県連にこの千葉県が入っているわけですけれども、本当に有権者に対する責任が果たせるとお考えですか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 先ほども申し上げさせていただきましたが、政府の立場として、党組織の活動に関してこの場でコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

宮本(岳)委員 千葉県連と統一協会との関係は、そんなに甘いものではないんです。

 私はここに案内状を持ってきておりますけれども、二〇一八年五月十四日に衆議院第二議員会館第一会議室で開かれた、家庭教育支援法、家庭教育支援条例の制定実現に向けての、全国地方議員連絡会議。連絡先は、当時千葉県八千代市会議員の西村幸吉氏となっております。当然のことながら、八千代市議が国会議員会館を借りることはできません。これは、誰か千葉県関係の国会議員の事務所が借りたのではないかと国民から疑念を持たれても仕方がありません。

 そもそも、自民党と統一協会との関係は、つい最近始まった関係ではないんです。また、国会議員や地方議員の一部に不心得者がいたという問題でもないんです。茂木幹事長は党として組織的な関係がないなどと語っておりますけれども、事実は全く逆で、自民党は、一九八〇年代、いや、それ以前から統一協会や国際勝共連合と組織的に深く癒着してきた長い歴史があることは、我が党としんぶん赤旗がこの間、調査をして明らかにしてまいりました。

 先月、一月二十七日に、この「自民党という絶望」という本が出版されました。石破さんもお書きになっております。この本の中で、ジャーナリストの鈴木エイト氏は、驚くべき事実を明らかにしております。

 資料四は、この本の五十五ページから五十六ページにかけての写しであります。

 「国際勝共連合関連資料」と題された、一九八七年に発生した朝日新聞阪神支局襲撃事件を捜査した兵庫県警捜査一課が作成した資料によると、日韓親善協会の中に勝共連合のメンバーを送り込み、自民、民社、商工会議所のメンバーを引き込んでいる、自民党本部の職員に十人前後の勝共連合のメンバーがいる、東力議員の秘書A氏はそのメンバーで、活発な講演会を開いていると。

 私は、この兵庫県警捜査一課資料を入手し、ここに持っております。なるほど、この資料には、本ではA氏となっている東力議員の秘書の実名もここには出ております。

 谷公一国家公安委員長に聞きますけれども、この資料は兵庫県警が作成したものに間違いないと考えますけれども、朝日新聞阪神支局襲撃事件の捜査に当たって、統一協会、勝共連合について捜査や調査を行ったことはお認めになりますか。

谷国務大臣 お答えいたします。

 お尋ねの点についてでございますが、既に公訴時効が成立している一連の事件についてのことであり、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

宮本(岳)委員 まあ、そういう答弁を予想したんですが。

 今から三十五年前の一九八七年五月三日に、朝日新聞阪神支局が銃撃され、二人の記者が殺傷される事件が発生いたしました。いわゆる赤報隊事件と呼ばれるものであります。

 警察庁、今日は刑事局長に来ていただいております。警察庁が公訴時効直前の平成十二年版の警察白書の四十ページで、広域にわたる朝日新聞記者殺傷、器物破損及び爆破未遂事件、警察庁指定百十六号事件について、どのように白書に書いてございますか。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 少し長くなりますけれども、平成十二年版の警察白書において。広域にわたる朝日新聞記者殺傷、器物損壊及び爆破未遂事件、警察庁指定第百十六号事件。昭和六十二年一月、朝日新聞東京本社に対する散弾銃発砲事件が発生したのを始め、五月に朝日新聞阪神支局において同社記者に対し散弾を発射して一人を殺害、一人に重傷を負わせる殺傷事件が、九月には朝日新聞名古屋本社の寮における散弾銃発砲事件が発生した。これらはいずれも赤報隊を名のる犯人による一連の朝日新聞襲撃事件と見て、警察庁では、同月、警察庁指定第百十六号事件に指定した。その後、さらに、六十三年三月に朝日新聞静岡支局に対する爆破未遂事件が、八月には東京都内の(株)リクルート前会長宅に対する散弾銃発砲事件が発生したため、追加指定を行った。平成十二年七月末現在、捜査中である。

 以上です。

宮本(岳)委員 この赤報隊事件の前段階で、実は、故筑紫哲也氏が編集長を務める朝日ジャーナルに、統一協会の関係者からと思われる脅迫状が届いておりました。筑紫哲也さんは、その内容の一部を一九八五年五月十七日号の朝日ジャーナル「多事争論」に書き残しておられます。それが資料五でございます。

 口にするのもはばかられるような表現でありますけれども、脅迫状の中身でありますが、「文鮮明様のためだったら命の一つや二つ捨てたっておしくない奴がおれたちの仲間には百人以上いるんだ。」「いっておくが警察はおれたちの味方だ。おれたちの操り人形だ。おれたちには岸元首相がついている。まず筑紫哲也のガキとその女房、それに臼井記者とかいう奴もその家族から殺してやる。」「アカサタンを殺すことだけが生きがいの文鮮明様の使徒より」。

 このような脅迫状が前段階で送られているわけですから、朝日新聞阪神支局襲撃事件の捜査の過程で兵庫県警捜査一課が統一協会、国際勝共連合を調査、捜査したのは当然のことだったと思います。

 兵庫県警がここまで調べ上げていた自民党本部と統一協会の癒着を、兵庫出身の谷大臣が公訴時効だから我関せずでいいのか、このことが問われますが、谷大臣、もう一度調べるべきではありませんか。

谷国務大臣 一連の事件につきましては、私は国家公安委員長として、許し難い暴挙で、こういうことは二度とあってはならないと思っております。

 ただ、先ほど御答弁申し上げましたように、公訴時効成立後に捜査を行わないというのが原則でございます。

 ただ、犯人が自ら名のり出た場合など、特段の事情がある場合には、警察として事実確認などを行うことはあり得るというふうに承知しているところでございます。

宮本(岳)委員 この事実、これらのものが示すことは、自民党と統一協会との組織的癒着なんですよね。地方にとどまるどころか、本部に十人の信者の職員がいた、こういうことでありまして。これはやはり明らかにしないとね。

 総理は昨日も、大事なことは、未来に向かって関係を絶つこととおっしゃるんだけれども、未来に向かって関係を絶とうと思えば、過去に目を閉じては未来は語れません。そして、この問題は、自民党総裁を兼ねる岸田首相でなければ、これは責任ある答弁ができないのは、官房長官、おっしゃるとおりなんです。

 委員長、統一協会問題、とりわけ統一協会と自民党の歴史的な癒着を明らかにするために、総理の出席を求めて、予算委員会の集中審議を求めたいと思いますが、お取り計らい願います。

根本委員長 理事会で協議します。

宮本(岳)委員 これだけ重大で悪質な振る舞いを繰り返し、昨年の臨時国会で救済法が成立したにもかかわらず、年が明けた今も、統一協会は、四百三十代の先祖解怨などといって、信者に一千万円を超える高額献金を迫っているという事実が先日も明らかにされました。もはや、悪質性、組織性、継続性は明瞭だと思います。

 最初の質問権の行使について判断してから、既に三か月近くが経過しております。文部科学大臣にずばり聞きますけれども、いつ解散命令を請求するのか、見通しをお答えいただきたい。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 解散命令の要件は、宗教法人法に厳格に定められております。

 解散命令を請求した場合に、裁判所における審理に堪え得るためには、法人の活動に係る十分な実態把握と具体的な証拠の積み上げが不可欠と考えております。

 そのため、報告徴収、質問権の効果的な行使等を通じまして、旧統一教会の業務等に関して、具体的な証拠や資料などを伴います客観的な事実を明らかにするための対応を、スピード感を持ちつつも、しっかり丁寧に、法律にのっとりまして、措置を講じてまいりたいと考えております。

宮本(岳)委員 総理はスピード感を持ってということを繰り返されるわけですけれども、これは本当に急ぐと思うんですね。

 被害救済法ができた後も被害は続いております。そもそも、二〇一五年の名称変更の申請の受理とその認証というのは、極めて不可解なものだったと言わなければなりません。

 文化庁は、今回の統一協会に対する報告徴収、質問権の行使の判断に当たって、二十二件の裁判において、少なくとも累計で約十四億円の損害賠償額が認められていることを挙げております。この二十二件の裁判の詳細を文化庁が明かさないので、私の事務所でほぼこれに間違いないというものを作ったんですけれども、文化庁が報告徴収、質問権の効果的な行使に差し障るとおっしゃるので、配付するのはやめました。

 では聞くけれども、文部科学省は、統一協会の名称変更が認証された二〇一五年八月二十六日当時、少なくない民事裁判の確定判決を承知していたんじゃありませんか。承知していたかどうか、お答えいただけますか。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 平成二十七年の名称変更の認証の際に、文化庁におきまして、旧統一教会の使用者責任を認定した確定判決があることは認識をしていたと承知をしております。

宮本(岳)委員 二〇一五年以前に幾らあって、以後に幾らあるかを出せと言ったんですが、ここが微妙で、出ないんですね。

 しかし、はっきりしているんですよ。全国弁連が統一協会の責任を認めた判決としてホームページで掲げている二十八件を見ても、二〇一五年八月二十六日以降に判決が下されたものは僅か三件なんですね。その大半は名称変更がされる以前のものであることは、もう間違いないんです。つまり、二〇一五年、そのときには既にそういう認識があった。だからこそ、それ以前、九回にわたって、申請の受理はしても名称変更が認証される保証はないですよということを文化庁は統一協会に伝えている、名前だけ変えるわけにいかないですよというふうに話した。そう言われれば、九回ともこれは素直に引き下がったということが言われているわけですよね。

 ところが、二〇一五年の名称変更の申請時の面談で、統一協会は態度を一変させ、文化庁からの申請の取下げの行政指導には従わない明確な意思表示をしたと、昨年十月二十六日の文部科学委員会で永岡大臣は私にはっきりこういう答弁をいたしました。これは、統一協会が申請さえ受理されれば名称変更の認証は下るであろうという確証を持って申請に臨んでいたことを示していると思います。

 この名称変更申請時の統一協会との面談、面談があったという答弁が出ているんですから、この面談に関する面談記録があると思いますが、提出していただきたい。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘のございました面談でございますけれども、情報公開法に基づきまして、宗教法人に関する非公知の事実に関するものは、公にすることによって権利を侵害するおそれがあるということでございまして、情報公開法第五条第二号イに該当するということで、不開示とさせていただいているところでございます。

宮本(岳)委員 森友問題をほうふつとさせるやり取りですけれども、面談記録での争いなんというのは本当にばかみたいなことなんですよ。あのときは、面談記録は廃棄して一つもない、そう言って拒否したんです。あなた方は、あると言いながら出さない。今の答弁、そうでしょう。おかしいじゃないですか。私は、これは絶対に出していただく必要がある。

 委員長、予算委員会の名前でこの面談記録を要求していただきたい。

根本委員長 理事会で協議します。

宮本(岳)委員 何も国会に提出しないというのであれば、国会の行政監視機能も国政調査権も果たせないわけであります。

 統一協会は、なぜ、どこからその確証を得たのか。当時文部科学大臣であった下村博文氏ではなかったのか。この異例の認証決裁がいかなる状況で行われたのか、その鍵を握るのが下村大臣へのレク資料、いわゆる下村ペーパーと呼ばれるものであります。

 永岡文部科学大臣は、昨年十月二十六日の衆議院文部科学委員会で、いわゆるこの下村ペーパーについて、その存在を認めつつ、これまた開示を拒否いたしました。資料六は、私がその文書の情報公開を求め、一月六日付で受け取った都倉俊一文化庁長官名の行政文書不開示決定通知書であります。

 下線部に理由が二つ挙げられております。一つ目の理由は、この期に及んでなお、統一協会の権利、競争上の地位を守ってやろう、そんな話なんですね。二番目の理由に至っては、異常な名称変更の認証手続に政府内で大臣がどう関わったのか、それを明らかにするために資料を要求しているのに、国の機関の内部における検討に関する情報だから出せない。そもそも国の内部の検討状況を知りたいから出せと言っているのに、国の内部の検討情報だから出さないというのは、まさに国政調査権に対する挑戦じゃありませんか。

 行政機関の保有する情報の公開に関する法律第七条には裁量的開示を定めております。大臣ならば、公共の利益、こういうことを考えて、公益を考えて開示できるわけでありますから、まさに今こそこれを適用して、開示するのは当たり前じゃないですか。永岡大臣、御答弁を。

永岡国務大臣 宗教法人の非公知の事実を含む資料を公にすることによりまして、信教の自由などの権利利益を害するおそれがあり、さらに、不開示情報に当たる資料は、一般に公務員の守秘義務によりまして保護されるべき職務上の秘密にも該当すると考えられます。

 また、公益上の裁量的開示を行うに際しましては、資料を開示することにつきまして、不開示とする理由を上回る公益上の必要性があると行政機関の長が確信を持って判断できなければならないと考えますが、本件につきましては、そのような裁量的開示を行う必要があるとは考えておりません。

宮本(岳)委員 なぜですか。大臣、なぜですか。なぜ考えていないんですか。

永岡国務大臣 宗教法人の名称変更につきましては、形式上の要件を備えた申請は所轄庁において受理される必要があります。書類上、しっかりとした書類が整っていれば、もうこれは受理されなければいけないということになります。所轄庁が申請を受理した場合、要件を備えていると認めたときは、認証するという旨の決定を行う必要があるということでございます。

宮本(岳)委員 受理はしても認証は下りないかも分かりませんよと言えば、引き下がったわけですよ。しかし、今度は引き下がらないと言ってきたということは、受理さえされれば認証が下りるという確証があったんですよ。だから、その過程を出せと言っているわけです。

根本委員長 宮本君、申合せの時間が過ぎておりますから、おまとめください。

宮本(岳)委員 はい。

 総理が幾ら信なくば立たずと施政方針演説で述べても、こんなことを解明できないのでは、国民の信頼はかち取れません。

 全て明らかにする、そして、本当に関係を絶つことを求めて、質問を終わります。

根本委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明三日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会


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