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第6号 令和5年2月3日(金曜日)

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令和五年二月三日(金曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 小林 鷹之君 理事 中山 展宏君

   理事 古川 禎久君 理事 堀井  学君

   理事 牧原 秀樹君 理事 後藤 祐一君

   理事 青柳 仁士君 理事 赤羽 一嘉君

      青山 周平君    伊東 良孝君

      伊藤 達也君    石破  茂君

      今村 雅弘君    岩屋  毅君

      衛藤征士郎君    奥野 信亮君

      亀岡 偉民君    熊田 裕通君

      小泉進次郎君    小泉 龍司君

      櫻田 義孝君    下村 博文君

      鈴木 隼人君    瀬戸 隆一君

      田中 和徳君    津島  淳君

      辻  清人君    土屋 品子君

      葉梨 康弘君    平沢 勝栄君

      古屋 圭司君    牧島かれん君

      松島みどり君    三谷 英弘君

      御法川信英君    宮下 一郎君

      八木 哲也君    保岡 宏武君

      山口  壯君   山本ともひろ君

      山本 有二君    鷲尾英一郎君

      阿部 知子君    井坂 信彦君

      大西 健介君    源馬謙太郎君

      近藤 和也君    櫻井  周君

      中谷 一馬君    西村智奈美君

      藤岡 隆雄君    本庄 知史君

      森山 浩行君    吉田はるみ君

      渡辺  創君    阿部  司君

      池畑浩太朗君    住吉 寛紀君

      掘井 健智君    三木 圭恵君

      日下 正喜君    庄子 賢一君

      中川 康洋君    中野 洋昌君

      福重 隆浩君    鰐淵 洋子君

      斎藤アレックス君    鈴木 義弘君

      宮本  徹君    本村 伸子君

      緒方林太郎君    櫛渕 万里君

    …………………………………

   総務大臣         松本 剛明君

   法務大臣         齋藤  健君

   外務大臣         林  芳正君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   文部科学大臣       永岡 桂子君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   農林水産大臣       野村 哲郎君

   経済産業大臣       西村 康稔君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   環境大臣         西村 明宏君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     松野 博一君

   国務大臣

   (デジタル大臣)     河野 太郎君

   国務大臣

   (復興大臣)       渡辺 博道君

   国務大臣

   (こども政策担当)

   (少子化対策担当)    小倉 將信君

   国務大臣

   (新しい資本主義担当)

   (経済財政政策担当)   後藤 茂之君

   国務大臣         岡田 直樹君

   財務副大臣        井上 貴博君

   外務大臣政務官      秋本 真利君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  黒田 秀郎君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  吉川 浩民君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  原  邦彰君

   政府参考人

   (財務省主計局長)    新川 浩嗣君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    住澤  整君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            池田 貴城君

   政府参考人

   (文化庁次長)      杉浦 久弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  佐々木昌弘君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            鈴木英二郎君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           藤原 朋子君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  平形 雄策君

   政府参考人

   (農林水産省畜産局長)  渡邉 洋一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           木原 晋一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           恒藤  晃君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           門松  貴君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            小林 浩史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官)  鶴田 浩久君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            木村  実君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局長)        長橋 和久君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  天河 宏文君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  塩見 英之君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    石井 昌平君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策統括官)           上田 康治君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  増田 和夫君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  川嶋 貴樹君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  町田 一仁君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月三日

 辞任         補欠選任

  今村 雅弘君     細田 健一君

  熊田 裕通君     山本ともひろ君

  土屋 品子君     山口  壯君

  平沢 勝栄君     櫻田 義孝君

  古屋 圭司君     保岡 宏武君

  三谷 英弘君     津島  淳君

  山本 有二君     瀬戸 隆一君

  源馬謙太郎君     櫻井  周君

  藤岡 隆雄君     近藤 和也君

  本庄 知史君     中谷 一馬君

  吉田はるみ君     阿部 知子君

  渡辺  創君     井坂 信彦君

  阿部  司君     三木 圭恵君

  池畑浩太朗君     住吉 寛紀君

  庄子 賢一君     日下 正喜君

  中野 洋昌君     中川 康洋君

  鰐淵 洋子君     福重 隆浩君

  斎藤アレックス君   鈴木 義弘君

  宮本  徹君     本村 伸子君

同日

 辞任         補欠選任

  櫻田 義孝君     松島みどり君

  瀬戸 隆一君     青山 周平君

  津島  淳君     三谷 英弘君

  細田 健一君     今村 雅弘君

  保岡 宏武君     古屋 圭司君

  山口  壯君     土屋 品子君

  山本ともひろ君    熊田 裕通君

  阿部 知子君     吉田はるみ君

  井坂 信彦君     渡辺  創君

  近藤 和也君     藤岡 隆雄君

  櫻井  周君     源馬謙太郎君

  中谷 一馬君     本庄 知史君

  住吉 寛紀君     池畑浩太朗君

  三木 圭恵君     阿部  司君

  日下 正喜君     吉田久美子君

  中川 康洋君     中野 洋昌君

  福重 隆浩君     鰐淵 洋子君

  鈴木 義弘君     斎藤アレックス君

  本村 伸子君     笠井  亮君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     御法川信英君

  松島みどり君     小泉 龍司君

  吉田久美子君     庄子 賢一君

  笠井  亮君     宮本  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  小泉 龍司君     葉梨 康弘君

  御法川信英君     小泉進次郎君

同日

 辞任         補欠選任

  小泉進次郎君     山本 有二君

  葉梨 康弘君     平沢 勝栄君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 委員派遣承認申請に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和五年度一般会計予算

 令和五年度特別会計予算

 令和五年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 令和五年度一般会計予算、令和五年度特別会計予算、令和五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。

 三案審査の参考に資するため、来る十日金曜日、新潟県及び福岡県に委員を派遣いたしたいと存じます。

 つきましては、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、派遣委員の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 これより一般的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官黒田秀郎君、総務省自治行政局長吉川浩民君、総務省自治財政局長原邦彰君、財務省主計局長新川浩嗣君、財務省主税局長住澤整君、文部科学省高等教育局長池田貴城君、文化庁次長杉浦久弘君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官佐々木昌弘君、厚生労働省労働基準局長鈴木英二郎君、厚生労働省子ども家庭局長藤原朋子君、農林水産省農産局長平形雄策君、農林水産省畜産局長渡邉洋一君、経済産業省大臣官房審議官木原晋一君、経済産業省大臣官房審議官恒藤晃君、経済産業省大臣官房審議官門松貴君、中小企業庁事業環境部長小林浩史君、国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官鶴田浩久君、国土交通省国土政策局長木村実君、国土交通省不動産・建設経済局長長橋和久君、国土交通省都市局長天河宏文君、国土交通省住宅局長塩見英之君、海上保安庁長官石井昌平君、環境省総合環境政策統括官上田康治君、防衛省防衛政策局長増田和夫君、防衛省整備計画局長川嶋貴樹君、防衛省人事教育局長町田一仁君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。津島淳君。

津島委員 自由民主党の津島淳でございます。

 皆さん、おはようございます。(発言する者あり)ありがとうございます。両方から声援をいただきまして、大変光栄に存じます。

 実は、十一年の議員生活キャリアの中で、私の予算委員会の質問というのは初めてだったので、非常にありがたい機会をいただいた。理事の皆さん、改めて感謝を申し上げます。

 また、今日は、国土交通行政を中心に、日本列島を俯瞰しながら、時にあたかも地上に舞い降りるかのように個別の問題を取り上げてまいりたい、そのように考えております。閣僚の皆様、よろしくお願いいたします。

 では、まず、国土形成計画について、早速質問に入っていきたいと思います。

 現行計画が、対流促進型国土の形成、重層的かつ強靱なコンパクト・プラス・ネットワーク、こういう目標の下で、今、その計画の下で国土の形成というものが順次進められているかと存じます。

 おおむね、この国土形成計画というのは十年のスパンでの長期計画でありまして、平成二十七年に現行計画が策定されたと記憶しておりますので、そろそろ改定の時期というふうに承知をしております。

 政府、国交省におきましても、令和三年より、有識者の会議をまず立ち上げられて、その有識者会議において、「国土の長期展望」というものをまとめられております。それを拝見いたしました。

 その中では、真の豊かさを実感できる国土というものを目標とされ、ローカル、グローバル、ネットワーク、この三つの視点を挙げておられます。大変重要な視点だと思っております。

 私なりに考えて、今後の国土を考える上で必要なキーワードというのは、まず、災害であるとか、安全保障環境の悪化とか、そういったものを踏まえて、安全、安心ということがあるでしょう、あるいは、いろいろな働き方、いろいろな価値観というものがある中で、多様性であるとか、あるいは共に生きる共生、こうした観点も必要、何より、国土として快適であること、あらゆる人々が喜びを感じられる、そういう日本でなければいけない。そして、多くの人が行き交い、そして多くの人が交流する、対流というものを促進していく、こういったキーワードが大事だろうと思っております。

 さて、こうした点を踏まえて新たにまとめられる国土形成計画においては、まず、地方が元気になる、希望が持てる、そういったメッセージ性を込めるべきだ、私はそういうふうに考えておりますが、国土交通大臣の見解をお伺いします。

斉藤(鉄)国務大臣 まさに地方が元気になることが日本全体が元気になること、しかし、その地方は今、人口減少で大変な危機的な状況にある、まずこういう認識に立っております。

 地域に不可欠なサービスを維持し、人々が安心して暮らし続けていけるような、人口減少下にあっても、デジタルを徹底活用しながら、市町村の区域にとらわれず、官民が連携した新たな地域経営の発想により地域生活圏を形成していくことが、地方を元気にしていく、そのまず根幹だと思います。

 こうした考え方から、地域の力を結集して地域交通の利便性向上や再エネの地産地消といった地域課題に取り組む事例も出てきており、今後、デジタルを活用した医療、健康などの取組も進展するものと考えております。

 これらを含め、地方の活力を取り戻し、未来に希望を持てる国土の将来ビジョンを示していけるよう、今年の夏の新たな国土形成計画の策定に向けて議論を深めてまいります。

津島委員 大臣、ありがとうございます。

 地域生活圏という言葉が出てまいりました。その地域で営みを続けていけるかどうか、こうした点で、どのような地域、国土というのが必要なのか。我が党においても、国土形成計画の議論というものを積極的に進めてまいりたいと思っております。ありがとうございます。

 次の質問に移ります。

 次は、戦略的海上保安体制の確立と防衛省・自衛隊との連携強化についてお尋ねをしたいと思っております。

 昨年十二月に、いわゆる防衛三文書、新たな国家安全保障戦略等、策定がされました。それに合わせて、海上保安能力強化に関する方針、こちらを見直されました。それは関係閣僚会議で決定をされたところであります。

 この新たな方針におきましては、戦略的な国内外の関係機関との連携、支援能力の強化ということが新たに項目として掲げられております。この国内における関係機関というのは、何といっても防衛省・自衛隊との連携が不可欠でございます。

 これは、平時において共同訓練を行うこと、あるいは、日々のオペレーションにおいても、例えば、海上保安庁が配備した無人航空機による、シーガーディアンですね、これらの情報については当然分析をして活用していく、この情報というのも大事なリソースですので、これも共有を図るとか、こうした点が考えられると思います。

 一方で、海上保安庁というのは、海上保安庁法第二十五条におきまして、純然たる警察機関として規定をされております。有事を想定した場合に、我が国周辺海域で、防衛力というか、自衛権の行使の主体たる自衛隊と警察権の行使主体であるところの海上保安庁、どのように任務を果たしていくのかという観点、これも重要なことであります。

 そして、自衛隊法第八十条では、有事の際の防衛大臣による海上保安庁の統制ということが規定をされている。じゃ、実際にどのようにやるのか、統制要領ということの策定というのが喫緊の課題ではないかと思っております。

 まず、国土交通大臣にお尋ねしたいのは、こうした観点、海上保安能力の強化、特に防衛省・自衛隊との連携についてお尋ねをします。そして、浜田防衛大臣には、防衛省として、今の統制要領というところ、どのようにお考えになっているか、それぞれお尋ねをいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 昨年十二月、新たな方針が決定されまして、大型巡視船等の大幅な増強のほか、国内外の関係機関との連携強化などを行うことが決定されました。

 特に、委員御指摘のとおり、海上保安庁と自衛隊との一層の連携強化は重要であると考えておりまして、平素から自衛隊との情報共有や各種訓練を行うとともに、昨年導入した無操縦者航空機に関しても連携することとしております。

 なお、海上保安庁は、防衛大臣の統制に入るような有事においても、警察機関として、海上保安庁法に規定された所掌事務の範囲内で、自衛隊との適切な役割分担の下、船舶の救難等の人命、財産の保護等の業務を実施することになると考えております。

 引き続き、平和で豊かな海を守り抜くため、関係府省とも十分に連携し、海上保安能力の強化にしっかりと取り組んでまいります。

浜田国務大臣 海上自衛隊と海上保安庁は、平素から情報共有、そしてまた連携に努めているところでありますけれども、武力攻撃事態における対応も含めて、連携強化することは極めて重要であると考えております。

 そのため、海上警備行動命令が発令される事態を想定した共同訓練は、引き続き実施をしていきます。そしてまた、武力攻撃事態を想定した共同訓練も、早期に実施してまいりたいというふうに考えております。

 また、自衛隊法第八十条に基づく武力攻撃事態における防衛大臣による海上保安庁の統制要領、これは既に作成に向けた作業を実施しており、引き続き、作業を進めるとともに、共同訓練において検証していきたいというふうに考えております。

 新たな国家安全保障戦略においても、これらの取組を進める旨は明記したところでありますし、いわゆるグレーゾーン事態、グレーゾーンの事態だけでなく、武力攻撃事態も含めて、あらゆる事態における海上保安庁を始めとした関係機関と自衛隊の連携強化を図って、しっかりとこの国の領土、領海、領空を守っていきたいというふうに考えております。

津島委員 お二方の大臣、ありがとうございました。

 浜田防衛大臣におかれましては、御退出されていただいて結構でございます。ありがとうございます。

 海上自衛隊とそれから海上保安庁が連携して任務に当たっているという例は、海賊対処行動に実はもう実例があるわけですね。現実に今、第四十四次派遣でアデン湾に護衛艦「まきなみ」が、私の地元大湊からアデン湾に向かっているところであります。そこには当然、海上自衛官と海上保安官、一緒に乗っているわけであります。

 この第四十四次派遣の無事の任務の完遂と全員の帰国というものを本当に心から祈るばかりであります。

 今後におきましても、両者の連携というものをしっかり図っていただきたいと思います。

 次に、国土強靱化についてお尋ねをいたします。

 主に、現行計画の実行と、それから次期計画についての考えというところでございます。

 皆さん御承知のように、風水害というものが最近激甚化し、なおかつ頻発化しております。毎年のように災害が起きている、そういう状態であります。

 一方で、大規模地震というものが切迫をしている。首都直下型地震や南海トラフ地震に加えて、千島海溝沖地震あるいは近畿圏の直下型地震、こうしたいろいろな地震のリスクというものが言われ、また、津波災害というのも懸念されております。

 また、今まさに冬であります。豪雪地帯、私の地元のような青森とかそういったところのみならず、これまで雪が降らなかった地域で大雪が降って、大きな交通障害だとか、あるいは人命が損なわれるというような事態も起きております。この豪雪災害で亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた皆さんにお見舞い申し上げますが、こうした災害というものが相次いでいる日本、そして、災害とともに歩んで、生きていかなければならない、その定めを背負った我が国であります。

 令和二年に閣議決定された防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策、これに基づいて、今、流域治水対策、道路ネットワークの機能強化対策、そして、予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策などを推進し、災害被害の低減の効果というものが出てきております。そして、今後もその事業というのを進めていかなければなりませんし、その事業の効率化を図る上では、実際の作業においてデジタル化ということも不可欠でありましょう。

 しかし、そうした効率化を図ったとしても、この国土強靱化で対象となる事業というのは非常に幅広く、多くございますので、これは着実に実施していくけれども、完成には一定の時間を要する。更なる計画というものを策定をして、引き続き取り組んでいかなければならないと私は思うわけです。

 そして、なぜ次期計画ということを私は強く申し上げるのかというと、今、建設業を始め、その関連産業、幅広く、そして裾野が広いと言われる建設関連産業において、人材の確保、養成ということが一つの課題なんですよね。さらには、設備投資ということも進めていただきたいし、喫緊の課題でもある。そのためには、やはり事業の継続性というもの、予見可能性を高める必要がある、そういう観点から私は申し上げております。

 そこで、早期に次期国土強靱化の基本計画の策定というのが必要ではないかということであります。

 そこで、斉藤大臣に、現行国土強靱化計画の推進についてのお考え、そして、次期基本計画についてのお考えをお尋ねをします。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、現行の五か年加速化対策に基づきまして、国土交通省におきましては、まず、先ほど委員も言及していただきましたけれども、一つに、流域治水、それから地震、津波対策、大雪対策、それから二番目に、インフラ老朽化対策、そして、デジタルを活用した気象予測高度化や、施工の効率化、省力化などの対策を重点的かつ集中的に実行しているところでございます。

 この結果、例えば、河道掘削やダムの事前放流などで、ハード、ソフト両面にわたる取組により大規模な被害を未然に防止するなど、一定の効果を発揮していると思っております。一方、実施予定の箇所もまだ残っておりまして、気候変動による降雨量の増加等も予測されているため、取組の強化が必要だと思っております。

 この五か年加速化対策後も、中長期的かつ明確な見通しの下、継続的、安定的に取組を進めることが重要である。また、地方でそういう体制を支えてくださっている民間の皆さんをやはり支えていかなくてはなりません。

 そういう観点から、現在、政府において検討している新たな国土強靱化基本計画の策定に向けて、関係省庁と連携しつつ、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

津島委員 ありがとうございます。

 地域の建設業ということをお触れいただきました。相次ぐ災害において、イの一番に現場に駆けつけるのは、その地域の建設業の皆さんであります。その方によって道路啓開がなされて、いよいよ、人命救助から、あるいは復旧復興、そういう流れになっていくわけで、やはり、そういった観点でも、身近な、命を守る、大事な大事な役割を担っている方々だ、そういう観点も忘れてはならないのだと思っております。

 その地域の建設業の方が、まさにその国土強靱化の事業をやっていただいている、そのさなかに直面しているのが、現在の物価高騰という課題であります。

 次は、物価高騰対策についてお尋ねをしてまいります。

 適切に公共事業を遂行していかなければならない。しかし、物価高騰が、結果、予算の枠を早くに消化してしまい、予定した事業が遂行できないなどということが懸念をされているわけであります。一方で、今ほど私が問題提起をしている、やはり地域の建設業の持続可能性ということも考えていかなければいけない。

 そこで、現状、物価高騰、どういう状況なのかと私もいろいろ調べてみました。

 一般社団法人建設物価調査会の調べというものがあって、これで、昨年、二〇二二年十月段階の数字を、二〇一一年平均を一〇〇とした場合の指数で表した場合、二〇二二年十月は一三七・二、大臣はうなずいていらっしゃるので、その数字は把握されていらっしゃるのかもしれません。国交省の最近の調査というので見てみますと、一月の状況というのは、高止まりの状況がそのまま続いているというふうに承知をしております。そういう状況であると事業の執行ということがスムーズにいかないおそれがあるということは、先ほど申し上げたところであります。

 そこで、私から提案を申し上げ、お考えを伺いたいのは、公共事業において、まず、適切な価格転嫁に向けた取組を進めていただいて、担い手の働き方改革や処遇改善というものを図って、地域建設業の持続可能性を高めること、これが必要不可欠であると思います。

 国の直轄事業というものは、いわば国の裁量で価格転嫁ということにきちっと対応できるわけですね。発注段階におきまして資材の価格の動向を適切にまず反映すること、それでもなおかつ増嵩した部分については、事業の完了時において適切に精算を行うということ。この点、直轄事業は、もう本当に国の判断ですぐできることであろうと思っています。

 私が申し上げたいのは、地方自治体が実施する事業、そこに国の補助が入っている補助事業なんかの場合、こういった事業におきましても適切な価格転嫁がなされるように、社会資本整備総合交付金等できちっと手当てをする、このことも大事じゃないか。是非、その点も踏まえて、お考えをお聞かせ願いたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 現下の建設資材などの高騰に関しましては、先ほど津島委員からございましたように、直轄工事においては、最新の単価を予定価格に反映する、また、請負代金金額の変更規定、いわゆるスライド条項の適切な運用に努めているところでございます。これを、地方公共団体、ひいては民間の工事についても、きちっと、そういう形になるようにしなくてはいけないということで、地方公共団体に対して、しっかりと、国がやっているような形で地方公共団体もやってほしい、また民間団体に対してもそのような要請をしているところでございますが、地方公共団体に対して交付金等の措置も考えてみてはどうかという御提案につきましては、検討させていただきたい、このように思います。

 また、工期の適正化などによる働き方改革や、インフラ分野のDXなどによる生産性向上の取組を推進していきたいと思っております。

 さらに、処遇改善に関しましては、公共工事設計労務単価について、必要な費用を適切に反映し、物価上昇を超える賃上げにつながるよう取り組んでいきたい、このように決意しております。

津島委員 ありがとうございます。

 我が党におきましても、この価格転嫁というのは、国土交通分野のみならず、幅広く、中小企業政策としての観点からでも、BトゥーBそれからBトゥーC、そういった様々な局面においてどのように進めるべきかということを、今後もしっかり議論していきたいと考えております。引き続き、よろしくお願いします。

 では次に、物流の方の課題について取り上げてまいります。二〇二四年問題と物流効率化についてでございます。

 令和四年四月一日より、自動車運転業務従事者へ、時間外労働の上限規制と改正された改善基準告示を適用してまいります。この二〇二四年問題というのを簡単に言えば、そこで物流への影響が生ずる。具体的には、ドライバーの所得低下と離職が増えるのではないかという懸念、運送事業者の売上げが減って業績が悪化するということに対する懸念、そして、全体として、日本の物流、輸送力が低下して物流が滞るのではないかという懸念、これがいわゆる二〇二四年問題であります。

 そこで、トラック協会のホームページ等を調べてみますと、七百二十七社に対してアンケートしたものだと思っておりますが、時間外労働年九百六十時間超えのドライバーのいる比率というのは全体で二七・一%、約三分の一。長距離のドライバーに限っていえば、四八・一%、半分なんですね。当然、働き方改革や御本人の健康ということを考えれば、余り働き過ぎはよくないんだけれども、じゃ、厳密にこれをやっていくと、日本の物流が停滞をするという懸念は当然あるわけであります。

 実際、実例をちょっとお話しした方が委員の皆さんに御理解いただけるのかと思って、いろいろ、私、実例を考えてみました、二つほど。

 一つは、じゃ、私の地元大間からマグロを積んで豊洲の市場に向かうといたします。大体、大間から東京まで距離にして約八百十四キロ。トラックで行けば、天候による前後はありますけれども、大体十一時間から十二時間だと承知しています。その場合に、今の、改善基準告示、連続四時間走ったら大体三十分は最低休憩してくださいねという話。そうすると、最低三回休憩しますから、一時間半、余計に見ておかなけりゃいけないんですね、所要時間、ということであります。

 後ほど、この点、加藤大臣にもお尋ねするので、岡山から東京豊洲までシャインマスカットを積んで運ぶ場合もちょっと考えてみました。距離約六百七十八キロ。ちなみに、六百七十八キロというのは、青森市から東京も同じ距離。青森インターから川口の出口、つまり、東北自動車道の距離でいうと大体六百八十キロ。同じくらいと言ってもいいと思います。大体、トラックで九時間から十時間。そうすると、四時間運転して三十分休憩ということは、最低二回休憩で、一時間、余計に見ておかなきゃいけないということであります。

 ここで、荷主が休憩時間というものを考慮せずに、この時間までに届けてくれよと言った場合には、運送業者さんとすれば、それはできませんと言えればいいけれども、言えない。ということは、二人ドライバーで、交代して休みなしで走らせていくかということをやらなければいけない。じゃ、二人分の運賃をいただけるのかというと、なかなかそれも厳しい。そういうのが実態だということ、これを地元のトラック業界の方からお聞きをしています。

 つまりは、荷主が時間的な余裕というものに理解を示していただくか、もう一つはドライバー二人分の運賃を払ってくれるか、荷主の理解は不可欠だということです。

 この取組、理解というものを広げるというのは、BトゥーBの世界じゃなくて、BトゥーCでも必要だと思うんですね、Eコマースが広がってきていますから。

 だから、私から提案申し上げたいのは、消費者の皆さんに、最終荷主である、着荷主である消費者の皆さんに輸送モードを選んでもらう、モーダルセレクトという考え方はできないものか、そこに利用者へのインセンティブというものを組み合わせて、なるべく輸送事業者に負荷がかからない形というものをつくれないか、つまり、輸送手段の最適化というものを図っていけないかということであります。

 こうした点も踏まえて、国土交通大臣、斉藤大臣には、二〇二四年問題への対応と、物流の改善と生産性向上に向けての対応についてのお考えをお伺いします。

 加藤厚労大臣には、荷主企業に対し労働基準監督署から適切な配慮というものをお願いをしていただきたいということ、国民に広く適正な宅配サービスの利用を呼びかけるということ、あるいは、災害など予期し得ない事象に遭遇した場合、その対応に要した時間というのを除くというのが新設規定としてできております、こうしたことを周知すること、こうした取組をしっかり進めていく必要があると思いますが、この点についてのお考えをそれぞれお伺いをいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 国土交通省では、平成三十年に改正された貨物自動車運送事業法を活用いたしまして、標準的な運賃の周知、浸透、荷主等に対するこの法律に基づく働きかけや要請、それから、官民連携による標準化や生産性向上の推進などに取り組んでいるところでございます。

 また、経産省や農水省と共同で検討会を開催し、荷主や消費者も巻き込んだ、より実効性のある措置を検討しております。

 引き続き、これらの省庁、業界団体と連携して、働き方改革の実現と安定的な輸送サービスの確保に努めてまいりたいと思います。

加藤国務大臣 岡山の実例まで出していただきまして、ありがとうございます。

 一番課題になるのは、多分、九州から東京が非常に高い、長い。そういったことも前提に、いろいろ議論を重ねてまいりました。

 その中で、今委員御指摘のように、自動車運転、特にトラック運送の場合、他の産業に比べて長い労働時間、これはやはり、持続可能性というか、持続的に、健康の面からも含めていろいろ課題がある、それを改善していく、ただ、それは事業主だけではなかなかできないので、荷主の協力が必要だというのはまさにおっしゃるとおりでございまして、国土交通省を始め関係省庁と連携しながら、事業主と荷主の協力によって長時間労働の改善が図れるよう、これまでも取り組んでまいりました。

 また、令和六年四月から、時間外労働の上限を九百六十時間とする上限規制に加えて、改善基準告示も改められるわけであります。その中において、拘束時間がございまして、これまでの十六時間が十五時間とされますが、他方で、その拘束時間の考えの中において、災害や事故等の予期し得ない事象への対応に要した時間、これを拘束時間から除くということが可能だということも明らかにさせていただいておりますので、そうしたことも含めて、円滑な施行に向けて、運送事業のみならず、荷主の関係者にも周知を図っていきたいというふうに思っております。

 加えて、昨年十二月から、長時間の恒常的な荷待ちを発生させないことなどについて、労働基準監督署から荷主に対して要請する取組も開始したところでございます。

 こうした取組、それから一般の消費者にというお話もございましたが、そうしたことも念頭に置きながら、自動車運転をされる方の長時間労働の改善がしっかりと図っていけるように、環境整備にも取り組んでいきたいと考えております。

津島委員 時間が参りました。

 小倉大臣には子育て政策と住宅政策についてお尋ねをしたかった、あるいは地域公共交通について取り上げたかったんですが、月曜日以降の同僚議員の質問という機会に委ねたいと思います。

 どうもありがとうございます。

根本委員長 これにて津島君の質疑は終了いたしました。

 次に、中川康洋君。

中川(康)委員 おはようございます。公明党の中川康洋でございます。

 本日は、予算委員会での質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。

 私は、現在、公明党において総務部会長の任を預かっておりますので、本日は、特に地域や地方に関する課題、この点について何点か御質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 初めに、地方財政の健全化についてお伺いをいたします。

 令和五年度の地方財政計画を見ますと、一般財源総額は六十二・二兆円と過去最高額を確保するとともに、地方交付税総額につきましても、リーマン・ショック後最高額となる十八・四兆円、これを確保いたしております。また、実質的に地方の赤字地方債であります臨時財政対策債につきましては、平成十三年度からの発行以来初めて一兆円を切るとともに、財投からの繰入れで賄っている交付税の特会借入金につきましても、当初の償還計画を〇・八兆円上回る一・三兆円の償還を示し、残高の縮減、これに努めております。

 このように、来年度の地方財政計画は、増やすところは増やし、そして減らすところは確実に減らすという大変バランスのいいものとなっており、私はこの計画を高く評価したいと思います。

 そこで、総務大臣に伺いますが、地方財政計画につきましては、地方の自主性を更に高めるという観点からも、この健全化の流れを今後も堅持し、でき得るならば更に加速をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。大臣の決意も含めた御答弁を願います。

松本国務大臣 中川先生におかれましては、日頃からの御支援、また、本日も御質問いただきまして、誠にありがとうございます。

 私も、総務大臣に就任以来、国会におきまして地方行財政を御支援いただく先生方を中心に多くの方々から、また地方自治体の皆様から、地方の財源確保、財政の健全化、しっかり取り組むように強い御要請と激励をいただいてきたところでありまして、御期待に応えられるようにとの決意を持って予算編成にも取り組んできたところでございます。

 その結果、今、内容についてはお話をいただきましたが、令和五年度の地方財政対策におきましては、地方の重要課題に対応するために必要な経費を充実した上で、一般財源総額と交付税総額について、前年度を上回る額を確保することができたかというふうに思っております。

 なお、この機会に御説明をさせていただければと思いますが、地域のデジタル化について、地域デジタル社会推進費を五百億円増額しておりまして、この増額分について、マイナンバーカードの交付率も活用して、カードを利活用した取組に係る財政需要を的確に普通交付税の算定に反映することとしております。

 マイナンバーカードの交付率の交付税への反映については幾つかありますが、増額分の五百億円についてであり、この五百億円についても、基礎的な部分は各自治体に一律にお配りをした上で、一部を反映した形にさせていただいているということ、そして、この地域デジタル社会推進費によりまして、マイナンバーカードの利便性の向上など、DXが推進されることを期待しているということも併せて申し上げられたらと思っております。

 御評価をいただいたところではありますが、臨時財政対策債の発行の大幅抑制、交付税特別会計借入金の償還の前倒しなど、地方財政の健全化も取り組ませていただきました。

 今後とも、地方自治体が住民のニーズに的確に応えつつ行政サービスを安定的に提供できるよう、必要な財源を確保するとともに、臨時財政対策債の発行を抑制するなど、地方財政の健全化にも努めてまいりたい、そのような決意で取り組んでまいりたいと思います。

 ありがとうございます。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 大臣には、非常に丁寧な御説明をいただきまして、ありがとうございました。

 私も地方議会出身でございますけれども、やはり地方の自主性を高めていく、これは非常に大事な視点でございまして、そういった意味においては、今回、臨財債が一兆円を切ったというのは、私は、行く行くはゼロでもいいんじゃないかと思っていますが、その辺を本当に評価するところでございます。

 これからも、税収動向にもよりますけれども、この動向を是非とも堅持していただきたい、さらには加速していただきたい、こういった御要望を申し上げたいと思います。

 続きまして、二点目には、今大臣にも少し触れていただきました、住民サービスの向上に向けたマイナンバーカードの更なる活用、ここについてお伺いをいたします。

 マイナンバーカードの申請数ですが、私が聞いております直近の数字として、一月の二十九日の時点で既に八千五百二十万件を超えており、人口に対する割合も実に六七・七%となっております。

 この申請数は、これまで公明党が一貫して強く推進をしてきましたマイナポイント制度、これが後押しになったのとともに、これまで地道に、かつ丁寧にお取り組みをいただきました地方自治体の皆様、さらには総務省やデジタル庁の御担当の皆様の御努力の結果であり、関係の皆様には、この場をかりて、心より感謝を申し上げます。

 しかし、このマイナンバーカード、幾ら申請数が増えても、ただ持っているだけでは余り意味がございません。その内容を、やはり次に大事になってきますのは、活用という部分でございます。私も今、マイナンバーカードを持っておりますけれども、余り活用しているという状況ではございません。

 そこで、大臣に伺いますが、マイナンバーカードの普及については、申請数もさることながら、これからは、現場での活用の機会をいかに増やしていくのか、具体的には、国民の皆さんにマイナンバーカードが便利だと実感していただけるメニューと活用の機会をいかに増やしていくか、これが重要と考えますが、どうでしょうか。大臣の御答弁を願います。

河野国務大臣 ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、これからは利便性の向上が非常に大事になってまいります。

 マイナンバーカードを保険証代わりに使っていただくことができるようになりました。医療費、薬剤情報、あるいは通院の履歴、特定健診の情報、こうしたものの閲覧もできる。

 また、ふるさと納税、これもオンラインで完結するようになりました。そして、来週の月曜日、二月六日からは引っ越しサービス、これが始まりますので、転出届はオンラインで完結し、転入予約もできるようになります。さらに、これは自治体で、図書館カードですとか、あるいは公共施設の鍵代わりに使っていただく。福祉タクシーの乗車券、あるいは高齢者割引、こうしたものにも使っていただく。

 様々な活用のケースが出ておりますので、これをデジタル庁としてもしっかりと、総務省と一緒になって横展開をしていきたいと思っております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 この内容については両大臣にお答えいただきたいというふうに思いましたが、今、河野大臣にお答えをいただきました。

 やはり、これから大事なのは、国民の皆さんに便利だと思っていただける、この実感を得ていただくかどうかだと思います。ETCなんかでも、やはり最初はなかなか普及が進まなかったんですけれども、皆さんがこれは便利だという瞬間からぐっと伸びた、こういった状況がございますので、その御努力をお願いしたいというふうにも思っております。

 それでは次に、マイナンバーカードの活用の一例として、本日は、北海道の北見市などを先例として、現在全国の自治体でひたひたと広がっております書かない窓口の推進、これについて御紹介をしたいと思います。

 これは、来庁者が窓口で申請書などを記入しなくても、マイナンバーカードの活用や職員の聞き取りなどで簡単かつ効率的に行政手続の申請ができる窓口支援の取組であり、導入した自治体では、手続時間の短縮や、さらには職員の業務の効率化につながるのとともに、利用した市民からは、例えば、分かりやすいとか簡単だったなどの大変うれしい声が寄せられております。

 政府は、現在、DX及びGXを政策の柱に、地域におけるデジタル田園都市国家構想の社会実装、これを進めていただいておりますが、私は、自治体における書かない窓口につきましても、その構想実現の一つとして、さらには、高齢者や新規転入者に優しい窓口の実現という観点からも、交付金も積極的に活用する中、力強く支援をしていくべきと考えますが、いかがでしょうか。大臣の御答弁を願います。

河野国務大臣 マイナンバーカードが普及するにつれて、多くの行政の手続がオンラインで、スマホで完結できるようになりますが、スマホを使わない、使えないという方にとってみれば、やはり窓口に来ていただくことが必要になります。

 その際、今まではいろいろな手続、書類を書いていただいておりましたけれども、住所ですとか生年月日ですとか、そのほか今まで御記入いただいていたものは既に市役所が持っているわけで、それをまた書いてもらうというのは、これは行政の怠慢と言わざるを得ないと思いますので。

 本人確認ができれば、今日はこの手続と口頭で言っていただければ手続がどんどん進められるようにしていきたいと思っておりますし、情報の連携がそのために進むということは、市役所の方の業務も便利になっていく、効率化されていく、市役所の側にもメリットは非常に大きいと思っております。

 現在、デジタル庁では、尾崎大臣政務官をリーダーに、この書かない窓口を全国展開しようということでプロジェクトを動かしておりますので、ここはしっかり、全国の皆様にメリットを享受していただけるように、頑張ってまいりたいと思います。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 大臣には非常に前向きな御答弁をいただいたと思っています。これで更に地方自治体において書かない窓口が広がっていくんじゃないかなと思っています。

 実は、私ども公明党は、昨日、まさしく北見市の御担当の方とオンラインで結びまして、書かない窓口の勉強会をさせていただきました。二〇一二年からこの改革に取り組んだということでございましたけれども、本当に、市民の方からも、分かりやすい、簡単だったという声とともに、職員の皆さんの業務改善、また効率化につながっておる、こういったお話をいただいたところでございます。

 やはり、申請に行っていろいろな窓口を回らなければいけない、こんな状況があるわけですけれども、北見市のキャッチフレーズは、書かない、回さない、漏らさないという、これは非常に大事だなというふうにも思っております。これは是非とも横展開をしていただきたいということでございますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 そうしたら、三点目、デジタル変革に対応したデジタルインフラの更なる整備について、何点かお伺いをいたします。

 この件につきましては、具体的には、革新的かつ高度なデジタル技術の推進と、また、住民に身近なデジタル基盤の整備、この二つの視点からお伺いをしたいと思います。

 初めに、革新的かつ高度なデジタル技術の推進につきまして、総務省は、昨年の臨時国会でNICT法を改正いたしまして、恒久的な基金を造成するのとともに、ビヨンド5G技術の推進を始め、量子インターネット、さらにはAI技術の研究開発など、新たな挑戦ともいうべき戦略的な取組を進めていただいております。

 私は、これらの取組につきましては、将来的に世界のデジタルマーケットを牽引する可能性を秘めたものであると思いますし、民間企業や大学等とも連携を図りながら強力に推進していく必要がある、このように考えますが、いかがでしょうか。

 また、もう一方の視点であります住民に身近なデジタル基盤の整備につきましては、デジタル環境における地域偏在をなくすという視点が非常に重要でございまして、これまで通信環境の脆弱性などでデジタル格差がありました、例えば過疎地、離島、また山間部など地理的な不利な地域において、今後はデジタルの恩恵をあまねく享受できる環境を実現するために、例えば光ファイバーでありますとか5G、この必要なデジタルインフラを着実に整備していくこと、これが重要と考えますが、どうでしょうか。

 この二点について御答弁願います。

松本国務大臣 ありがとうございます。

 まず、先ほどの話、両大臣に答弁をということでございましたが、おっしゃるとおりで、好事例の横展開、大変重要だと思っておりますので、河野大臣とも、デジタル庁と総務省がしっかり連携して取り組ませていただきたいと思っておりますし、また、自治体のDXにおきましては、これも御指摘がありましたように、住民の方々の利便性向上は大変重要でありますが、同時に、職員にとりましても負担の軽減につながることで、前向きに職員がまた新たな企画立案などができるようになることが望まれると思っております。

 その上で、御質問を二点頂戴いたしました。

 御指摘のとおり、総務省では、次世代の情報通信インフラであるビヨンド5Gを始め、量子通信やAIなど、最先端技術の研究開発などに取り組んでいるところでございまして、特にビヨンド5Gは、二〇三〇年代のあらゆる産業や社会活動の基盤となることが見込まれるもので、5Gの特徴を更に高度化するほか、新たに、従来の電気処理から光処理にすることにより通信ネットワークの消費電力を大幅に削減する超低消費電力や、従来の地上基地局に加えて衛星やHAPSを活用して、山間地域、離島、海上、上空なども含めた通信カバレッジの拡張などの機能の実現が期待されるところであります。

 お話をいただいておりますように、昨年の臨時国会でお認めいただいた情報通信機構の新たな基金も活用して、光ネットワーク技術や非地上系ネットワーク技術といった我が国が強みを有する技術分野を中心に、重点的に支援を行っていく考えでございます。令和四年度内にはNICTに基金を造成し、その後、速やかに戦略的プロジェクトを組成し、お話がありましたように、各関係方面等に対しまして強力に支援をしていきたいと考えております。

 二点目。おっしゃるとおり、人々がどの地域に住んでいても情報を手に入れられる環境、これを豊かで安心なものにすることは大変重要なテーマであるというふうに考えております。

 そのため、デジタル基盤の整備を通じ、デジタル環境における地域間の格差をなくす視点が大切であることは御指摘のとおりでありまして、総務省では、昨年三月にデジタル田園都市国家インフラ整備計画を策定しまして、今、これも御指摘がありました、例えば光ファイバーについては二〇二七年度末までに世帯カバー率九九・九%などの整備目標を掲げるなど、光ファイバーや5Gなどの住民に身近なデジタル基盤の整備の加速化に取り組んでいるところでございます。

 これも御指摘がございました、特に過疎地や離島、山間部など、地理的に条件が不利な地域での整備については、補助金による支援を行うとともに、自治体や通信事業者等で構成される地域協議会を開催し、個々の地域の実情を踏まえた整備を進めております。

 また、先ほどビヨンド5Gについて答弁申し上げましたが、衛星通信サービスなどを含めて、将来的には、新しい技術に関する研究開発の成果を生かして、条件不利地域の環境整備を進めてまいりたいと考えております。

 引き続き、地域の声を丁寧に伺いながら、国民の誰もがデジタル化の恩恵を実感できる社会の実現に向け、全力で取り組んでまいる決意でございます。

 ありがとうございます。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 やはり山間部、僻地というのは、費用対効果の問題はあるんですけれども、そこは関係ないと思うんですね。これだけデジタル社会をつくるということでございますので、そこはしっかりと強力に推進していただきたいと思います。

 ここでもう一点確認したいのは、先ほどは環境の整備というところを申し上げましたが、環境の整備とともに、人の整備につきましても大事な視点かと思いますので、御質問申し上げます。

 デジタル庁は、現在、誰一人取り残さないデジタル社会の実現に向け、高齢者などデジタルに不慣れな人に対してスマホの使い方やオンライン行政手続などを丁寧に教えるデジタル推進委員の任命、これを進めていただいております。

 私は、このデジタル推進委員につきましても、人の整備という観点から、今後は更にその配置の拡大を行いまして、デジタルに不慣れな人に対する支援体制、これをこれまで以上に強化していくべきではないか。これは私の母を見ていても本当に実感をいたしますので、力強い御答弁をいただきたいと思います。大臣、よろしくお願い申し上げます。

河野国務大臣 おかげさまで、デジタル推進委員、一月末で二万三千人を超えて任命をさせていただいております。

 マイナンバーカードを保険証にどういうふうにひもづけたらいいのか、あるいは、先ほど申し上げましたいろいろな自治体のアプリ、これからもデジ田交付金を使ったアプリが続々と出てまいります。健康アプリ、交通アプリ、こうしたアプリの使い方、これもしっかりと使っていただかなければいけませんので、デジタル推進委員の皆様にしっかりと、そうしたアプリの使い方を含め、それぞれの地域でトレーニングをやっていただきたいと思っておりますし、今委員からお話がありましたように、デジタル推進委員の人数の拡大、あるいは、この拠点に行けば誰かいて使い方を教えてくれる、そういう環境にしていきたいと思っておりますので、これからもしっかり頑張ってまいりたいと思います。

中川(康)委員 ありがとうございます。

 デジタルの推進には、やはり環境の整備と人の整備という、この二つの視点がすごく大事だと思うんですね。特に、高齢者の方でありますとか障害をお持ちの方、これは最初の一歩が大事だと思うんです。この最初の一歩のところで分からないとなると、やはりそこから前に進まない。この最初の一歩でこういった推進委員の方々が教えていただくと、そこからぐっと進んでいく。そんなに難しいことをみんな知りたいというわけではございませんので、こういったところが、やはり全国において、あそこに行けば推進委員さんに会える、こんな相談が聞ける、こういった社会をおつくりいただきたいなと思っております。

 では、続きまして、ちょっと郵便局の問題を少しお伺いしたいと思っております。特に、今回は、住民に身近な拠点としての郵便局の新たな活用、ここについてお伺いをいたします。

 総務省は現在、人口減少や少子高齢化、またデジタル化や自然災害への対応といった地域課題の解決に向けて、郵便局と自治体の連携に取り組む、こういった実証事業を行っていただいております。

 地域の偏りなく全国に二万四千局存在する郵便局は、窓口業務や配達などを通して住民と接する機会が多く、やはり、信頼を寄せる地域の住民、これも少なくございません。郵便局がこうした強みを生かして自治体と連携をして住民サービスなどの新たな役割を担うということ、これは地域課題に貢献する新たな郵便局の姿として、私は大変重要なことじゃないかなと思っております。

 そこで、総務省にお伺いをしますが、住民に身近な拠点としての郵便局の新たな活用について、これまで実証事業を行っていただいておりましたが、そこにとどまらず、今後どのように展開をしていくというふうに考えておられるのか、ここの部分、答弁を願いたいと思います。

松本国務大臣 郵便局は、地域に身近で公共的な存在として、あまねく全国に設置をされておりまして、少子高齢化や人口減少が進展する中で、郵便局が地域において果たす役割はますます重要になってきている、このように認識しております。

 総務省では、今お話しいただきましたように、令和元年度からは、郵便局と自治体などとの連携による高齢者の見守りや買物支援などの実証事業を進めてきたところでございます。

 そして、郵便局の強みを生かした地方活性化の一層の促進に向けて、昨年十月に、省内にも部局横断的に取組を検討するプロジェクトチームを創設するとともに、情報通信審議会郵政政策部会において、デジタル社会における郵便局の地域貢献の在り方について諮問し、御審議をいただいているところでございます。

 これらの議論の中間取りまとめを踏まえまして、現在、郵便局ネットワークを生かした住民の利便性向上と更なるマイナンバーカードの普及に向けまして、市町村が指定する郵便局と市町村をオンラインでつなぐことにより、郵便局において市町村による本人確認を行えるようにする制度改正の検討などに取り組んでいるところでございます。郵便局でのマイナンバーカードを活用した証明書の自動交付サービスの導入に係る経費について、市町村に対する地方財政措置等を講じることとしております。

 今後も、これらを含めまして、郵便局が自治体の行政サービスの窓口としての役割を果たす取組や、地域の生活支援、災害対応など地域の課題解決に貢献する取組を着実に進めてまいりたいと思います。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 やはり、郵便局の新たな役割、これは非常に大事だと思っていまして、今お話にありましたとおり、マイナンバーカードの交付なんかも郵便局でできる。今、やはり役所に行かないといかぬというところで、地域によっては、申請はしたけれども取りに行くのが大変だという方がおるんですね。これが身近に郵便局でも交付できる、これは非常に大事なことでございまして、そういった法改正をしていただきたいなと思いますし、私、郵便局というのは、我が国に残る数少ないユニバーサルサービスだと思いますね。

 ですから、今日、離島とか山間部と言っていますけれども、一度郵便局がそこで廃止されたら、これはもう復活は無理だと思います。そういった意味においては、そのためにも、新たな役割をどう課していくのか、こういった部分を検討いただくことは非常に大事かなと思っています。

 様々な改革をされますけれども、その改革とともに、前に前に新たな役割、そうしたところを推進していく、こういった視点をよろしくお願いしたいと思います。

 そうしたら、最後に、地域脱炭素につきまして、環境大臣にお伺いをしたいと思っています。二点お願いをします。

 環境省は、昨年より、二〇三〇年度CO2四六%削減及び二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向けまして、地域で意欲的に脱炭素に取り組む地方公共団体等を支援する地域脱炭素移行・再エネ推進交付金事業、これを展開していただいております。私は、この事業につきましては、地域脱炭素を推進する上で大変重要な取組というふうに考えておる一人でございます。

 この事業につきましては、二〇二五年までのおおむね五か年で全国で百か所の脱炭素先行地域の選定を目指す、このようになっておりまして、昨年までに既に四十六件が、二回の選定がございまして、選定をされております。

 今後は、更なる選定も含めまして、この事業をどのように展開し、そしてかつ、これを実効性あるものにしようとしているのか。この部分、来年度以降の予算規模も含めまして、大臣にお答えをいただきたいと思っています。

 さらには、脱炭素先行地域は、全国百か所の選定が最終目標ではなく、二〇三〇年以降、この百か所を起点に、全国で多くの脱炭素ドミノ、横展開を起こしていくこと、これを更なる狙いとしております。

 少し先の話になりますが、これは重要な取組でもありますので、この脱炭素ドミノ、いわゆる横展開、環境省としては具体的にどのように展開していこうとイメージしているのか。この点、御答弁いただきたいと思います。

西村(明)国務大臣 中川委員から今お話のございました脱炭素先行地域につきましては、御指摘のように、これまで二回の選定を実施いたしておりまして、来週から第三回の募集が始まります。新たに地域間連携や施策間連携等に係る重点選定モデルというものを設定いたしまして、より多様なモデルの選定に努めてまいりたいというふうに考えております。二〇二五年度までに少なくとも百か所の選定を進めてまいります。

 そして、その支援策であります地域脱炭素の推進のための交付金につきましては、令和四年度予算においては二百億円でございましたが、令和四年度の第二次補正予算と令和五年度予算を合わせて四百億円を計上いたしておりまして、以降も必要額の確保に全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。また、各府省庁の間の支援策も活用して、重点的な支援を行っていく予定でございます。

 こうした脱炭素先行地域における先進的で質の高いモデル的な取組につきましては、環境省から広く情報発信を努めると同時に、地方環境事務所に今年度創設した地域脱炭素創生室によるきめ細やかな伴走支援も行っていくことで、地域脱炭素の今御指摘のあった横展開をしっかり図ってまいりたいというふうに思っております。

中川(康)委員 ありがとうございます。

 GXの取組というのはいろいろあると思うんですけれども、地域で脱炭素をどう進めていくのかという部分においては、やはり環境省が持つ役割というのはすごく大きいんだと思います。

 そういった意味においては、地域環境事務所、今までは余り、地域と触れるときというのは少なかったと思うんですが、職員も増員をしてしっかりと対応していく、こんなお話もいただいたところでございます。

 三回目が来週からということでございますけれども、今まで選定されなかったところが、やはり更に意欲を持ってブラッシュアップしながら申請していただいているということを聞いていますので、いい内容ができればなと思っていますし、予算についても、令和四年度二百から令和五年度、補正を合わせて四百。私、これは六百、八百という方向にやはりどんどん増やしていくべきじゃないかと思っています。

 今日は財務大臣もおられて、あえて答弁は求めませんけれども、そういった議論があったということだけは頭の隅に置いておいていただければなというふうにも思います。

 さらには、脱炭素ドミノ、ここが私は大事だと思いますので、横展開をどう広げていくのか、こういった部分も、今からイメージしながら、百か所で終わっちゃうということではなくて全国にあまねく広がっていく、こういった視点、よろしくお願いをしたいなと思っています。

 もう一点お伺いをいたします。地域脱炭素実現に向けた計画づくり支援事業、こういったものがございますが、ここの部分を最後にお伺いしたいと思います。

 これは先ほどの脱炭素先行地域とは少し違いまして、地域再エネ導入の例えば計画策定とか地域脱炭素に向けた人材の育成を支援するなど、地方自治体がこれから地域脱炭素に取り組むためのいわば入口となるメニューを並べた、大変重要な事業でございます。

 しかし、この計画づくり支援事業、昨年募集を行った令和三年度補正並びに令和四年度予算では、予想をはるかに超える申請があり、実は、不採択の自治体が続出をいたしました。

 繰り返しになりますけれども、この事業は、地方自治体がこれから地域脱炭素に取り組むためのいわゆる入門となるような、大変に重要な事業であると私は思っております。ゆえに、間違っても、入口で脱炭素の取組に対する意欲をそいでしまうようなこと、これがあってはいけないというふうに思っております。

 そこで、大臣に伺いますが、来年度の地域脱炭素実現に向けた計画づくり支援事業については、やはり十分な予算を確保するとともに、最大限地方の要望に応えていく、この姿勢が大事だと思いますが、大臣の答弁を願います。

西村(明)国務大臣 地域に根差した再エネの最大限の導入を進めていくためには、地方自治体が再エネ導入の意欲的な目標を設定して、そして実効性の高い計画を策定するということが重要だというふうに考えております。

 環境省では、地方自治体による計画づくりを支援する補助事業として、今年度以上に地方自治体からの高いニーズにお応えすべく、前回から増額をいたしまして、令和五年度当初予算案と令和四年度補正予算で合わせて三十億円を計上しているところでございます。

 この事業を活用いたしまして、地方自治体の高い意欲といったものを引き出していくと同時に、引き続き、必要な予算額の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 当然、これは審査がありますので、何でもかんでも認めるということにはならないわけですけれども、しかし、やはり地方がこれから地域脱炭素を進めていくという入口で、その意欲をそがないような、そういった状況は大事だと思っています。そういった意味においては、来年度の予算を増していただいているということ、非常にいい御答弁をいただきました。

 これは、予算があるからないからじゃなくて、これからどんどんどんどん現場ではその機運が高まってくると思いますし、二〇三〇年四六%削減、また、二〇五〇年カーボンニュートラルというところを考えますと、やはり、地域でどういった機運、さらには動きを出すか、これは私、非常に大事な視点だと思いますので、そこのリーダーシップを環境省に取っていただく、ここが大事だと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 もう財務大臣は理解していただいていると思いますが、あえて答弁はここで求めずに、それは後陣の私どもの公明党の質問に委ねたいと思っております。

 本日は、公明党を代表いたしまして、地方とか地域に根差した、その視点で何点か質問をさせていただきました。私ども公明党は、これから地域視点、現場視点、こういった部分で様々な内容を提案させていただき、頑張ってまいりたいというふうに思っております。そのことを最後にお約束申し上げ、公明党を代表しての質問を終わります。

 大変にありがとうございました。

根本委員長 これにて中川君の質疑は終了いたしました。

 次に、井坂信彦君。

井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。

 六年ぶりに予算委員会に立たせていただきます。浪人も長かったものですから、この六年分の思いを込めて質疑をさせていただきます。

 質問の前に、文部科学大臣に、昨日の質疑の確認をいたします。

 我が党の柚木議員が、昨日、この予算委員会で、卒業式に子供たちはマスクを外して参加できる可能性があるということでよいですかと質問した。対して大臣は、マスクをしたい子はマスクをして、マスクは外すと家庭で決めた方はマスクを外しての参加となろうかと思いますと明快に答弁をされました。そして、その昼のテレビニュースで、卒業式のマスクは家庭の判断と大々的に報道されたわけであります。

 ところが、大臣は、昨日午後に突如会見を開き、決めたという事実はございませんと記者に釈明をし、委員会の発言を修正したと、これまたテレビに繰り返し報道されました。

 昨日の答弁をまず正式に撤回、修正していただきたいのと、やはり大事なのは、結局どうなるのか。我が家も二人、卒業式に出る子がおります。このままでは家庭も学校も混乱するばかりです。結局、卒業式のマスクは家庭任せなのか、それとも学校任せなのか、あるいは政府が方針を出すのか。どうなるのか、お答えください。

永岡国務大臣 井坂委員にお答え申し上げます。

 先月二十七日の政府の対策本部の決定におきまして、マスクにつきましては、行政が一律にルールとして求めるのではなく、個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断に委ねることを基本として検討するということとされております。昨日の柚木議員からの御質問にも、その趣旨をお伝えして、お答えしたということでございます。

 同時に、本部決定でございますが、マスクの取扱いの検討に関しましては、やはり、感染症状況等も踏まえまして行います、そして、今後早期に見直し時期も含めてその結果を示すとされているところでございまして、現時点では、卒業式のマスクの取扱いにつきまして決めたという事実はございません。

 いずれにいたしましても、文部科学省といたしましては、政府全体での検討を踏まえまして、卒業式等を含めた学校におけますマスクの着用に関し、今後どのような対応をしていくか、速やかに検討してまいりたいと考えております。

井坂委員 まず、昨日の答弁とはもう全然違うことをおっしゃっているということで、これは素直にまず撤回していただきたいと思います。

 まず、明快に撤回してください。これはもう意地を張るところじゃないと思いますので、お願いします。

永岡国務大臣 昨日の委員会におけます柚木議員への質問に対しまして、先月二十七日の政府対策本部決定において決定された、行政が一律にルールとして求めるのではなく、個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断に委ねることを基本として検討するという方針に従いましてお答えを申し上げたところでございます。

 以上です。

井坂委員 いやいや、全く答えていない。撤回されるということですね。

永岡国務大臣 私の柚木議員に対します答えというのは、行政が一律にルールとして求めるのではなく、個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断に委ねることを基本として検討するということの方針に沿ってお答えしたものでございます。(発言する者あり)

根本委員長 永岡大臣、方針に沿ってお答えした、お答えした内容を言ってください。そして、それに対してどう対応するか。

永岡国務大臣 したがいまして、方針に沿ってお答え申し上げましたところでございますので、答弁を撤回、それから修正するつもりはございません。

井坂委員 教育のトップとしてちょっと恥ずかしいと思いますよ。そんな意地を張るところじゃないと思います。

 私、卒業生の親として答弁を聞いてみたんですけれども、やはり分からないんですよ、おっしゃっていることが。

 端的にお伺いしますが、結局、卒業式のマスクについては、政府が何らかの方針を出すんですか、それとも出さないんですか、それはいつまでに決めるんですか。

永岡国務大臣 マスクの取扱いの検討に関しましては、感染状況も踏まえまして、しっかりと本部決定がなされるというふうに考えております。

井坂委員 ちょっとよく分からないですけれども。はっきりしていただきたいと思います。また、早く方針を出してください。

 本日はお聞きしたいこともたくさんありますので、本日の質疑に入ります。

 自民党政権の失われた十年で少子化対策がいかに停滞をしたのか、昨日までの予算委員会で議論が繰り広げられました。この十年間で少子化は加速し、総理自らが、社会機能を維持できるかどうかの瀬戸際とおっしゃるぐらい日本は追い込まれています。気づくのが十年遅かったわけですが、それでも我々は異次元の少子化対策を始めなければなりません。

 少子化対策は大きく二つ。一つは、望む人が皆いかに結婚できるようにするか、そしてもう一つは、望む人が皆いかに子供を産み育てられるようにするか。結婚の方も重要で、若い世代の収入アップをしなければ結婚は増えませんし、また、収入よりも、非正規労働を減らして仕事の安定性を高める方が結婚は増えるというデータもあります。

 しかし、本日は時間も限られておりますので、もう一つの、望む人が皆いかに子供を産み育てられるようにするかに絞って議論いたします。

 まず、財務大臣に、N分N乗方式について伺います。

 自民党の幹事長がN分N乗方式を言い出して、にわかに議論が活性化しました。家族が増えれば増えるほど所得税率が下がるというフランスの制度で、すばらしい考え方だと思います。ただ、日本でN分N乗方式をやったらどうなるか具体的に考えると、N分N乗方式も悪くないが、もっと少子化対策、子育て支援に役立つ別の税制があると思うので、提案をしたいと思います。

 N分N乗方式とは、所得を家族の人数Nで割って、本来のN分の一の所得に対応する低い税率で所得税を払うという方式です。所得税が多いほど税率が高くなる中で、例えば、所得四百万で四人家族だったら、その四百割る四の、四分の一の百万円のときの低い税率を四百万円に掛けるということで、結婚して子供が増えれば増えるほど低い税率が適用されて、税金が少なく済むので、結婚や子育ての動機や支援になるという制度です。この考え方は大賛成であります。

 しかし、このN分N乗方式には一つ弱点があります。配付資料を御覧いただきたいと思いますが、このグラフは、実際に年収幾らの人に幾らの所得税率が適用されるかというグラフです。四人家族の場合、年収六百五十五万円以下だと、もう最低税率の五%が適用されるわけです。

 財務大臣に伺いますが、このグラフによれば、年収六百五十五万円以下の四人家族は税率が最低の五%なので、N分のN乗方式を導入しても税率は変わらないということで、年収六百五十五万円以下の場合は、子育て支援の効果もなく、結婚して子供を産もうというインセンティブ、動機にもならないという理解でよろしいか、伺います。

鈴木国務大臣 先生の御指摘のとおりである、そのように思います。

 少し述べさせていただきますと、いわゆるN分N乗方式につきましては、子供を含めた世帯構成人数に応じて課税所得を分割して、より低い税率を適用するため、子育て世帯に有利となる仕組みであると理解はしております。

 このように、世帯の所得に応じて適用される税率が平均化される仕組みであることから、納税者全体の約六割に最低税率である五%の税率が適用されている我が国の状況においては、井坂先生御指摘のとおり、多くの方が、N分N乗方式に移行してより低い税率を適用されるというメリットを受けることができません。一方で、高所得者層の片働き世帯は大きなメリットを受けることができることになり、世帯構成や片働き、共働きなどによって生じるメリット、デメリットの差異をよく考える必要があると思います。

 我が国にN分N乗方式を導入することについては、このような点につきまして慎重な検討を行うことが必要であると考えております。

井坂委員 まあ、別に高所得者に有利であっても、その高所得者の方が子供をもう一人増やそうかなと思っていただければ少子化対策にはプラスだとは思うんです。

 ただ、N分N乗方式が残念なのは、子育て世帯の大半を占める中所得、低所得世帯にとって全く減税にならないということで、したがって、高所得者からの税収がN分のN乗方式では大きく減る割には、少子化対策や子育て支援の効果が余り十分でない。

 N分N乗方式も一定の効果はありますが、同じだけ大規模な減税をするなら、子供一人当たり年間何十万円減税しますと所得にかかわらず一定の金額を減税して、子供が二人なら減税額は二倍になる、子供が三人なら減税額は三倍になるという方が、高所得だけじゃなく、中所得も低所得の人にとっても、子育てに必要なお金が手元に残るし、子供を増やす経済的な余裕が出てくると思います。

 財務大臣に伺いますが、中所得者と低所得者が減税をされないN分N乗方式よりは、所得に関係なく子供一人当たり一律の減税を人数分した方が子育て支援や少子化対策の効果が高い、比較をすれば高いと考えますが、大臣の見解を伺います。

鈴木国務大臣 税制による措置、それからまた手当による措置があるんだ、こういうふうに思います。

 そして、少子化対策として税制上の措置を講じた場合、子育て世帯の税負担がより軽減されることが認められる、その一方で、例えば課税最低限の方々には効果がない、元々の税負担の大きい高額所得者に有利となり得るといった懸念点、先ほど申し上げたところでありますが、あると思います。

 一方で、給付による支援をした場合、税を納めていない方に対する支援が……(井坂委員「大臣、それは多分、次の答弁だと思います」と呼ぶ)あっ、次の質問。

 収入に着目をして、それによって税の負担を調整するという、そういう御提言であったと……(井坂委員「定額減税」と呼ぶ)定額減税、そういう御提言であったと思います。

 それについては、今の税体系を変えていくということでございますので、歳入の面あるいは公平性の面、そういう面からの検討をまずしなければいけないんだ、そういうふうに思います。

井坂委員 大臣が次の答弁もされたので私も申し上げますが、N分N乗よりは、子供の人数分定額減税をした方が幅広い、低所得者から高所得の方まで恩恵がある、子育て支援や少子化対策の効果が出ると思います。これは一般論として、自民党の方も、それはそれが正しいんじゃないのとおっしゃっていましたけれども、そのとおりだと思います。

 ただ、定額減税の唯一の弱点は、低所得で納税額が少ない方は、子供をたくさん産むと、今度、減税額の方が納税額より増えてしまうと、それ以上減税の効果が出てこないという弱点がありますから、じゃ、定額減税より更にベストなのは、子供の人数分の定額給付なのではないか、これもまさに大臣が先回りして答弁されたとおり、一般論としてはそうだと思います。

 そこまで来ると、結局ベストなのは、子供の人数分だけ一律の給付金を手渡す方式ということで、まさに、これこそ自民党がかつて否定した子ども手当であり、また、所得制限なしの、しかもきちんと拡充された児童手当そのものだと思います。

 立憲民主党の試算では、二〇一二年に自民党が児童手当の所得制限を導入してしまってから、毎年百六十五万人の児童が給付額を減らされて、そして、減らされた給付額の総額は一・一兆円にも上るわけであります。(発言する者あり)そうなんですよ。ずっと受け取れていないんです。今でこそN分N乗方式とか、自民党からもそういう声が出ていますけれども、これまで、こうして所得制限を導入して、完全に少子化対策や子育て支援に逆行することをやってきたわけであります。

 そこで、こども政策担当大臣に伺いますが、児童手当の所得制限撤廃と対象年齢引上げについてです。

 児童手当の所得制限撤廃と、それから対象年齢の十八歳までの引上げは、立憲民主党が繰り返し質疑や提案を行い、昨年三月にはそのための法案まで提出をいたしました。政府がようやくそういうことを決めるのであれば、遅かったけれども、あの手この手で議論、提案してきてよかったというふうに思います。

 大臣に伺いますが、我々が提案をしてきた児童手当の所得制限の撤廃と、それから対象の十八歳までの引上げを、政府もいよいよ実施するということでよろしいか、お伺いいたします。

小倉国務大臣 委員からいろいろ御指摘をいただきました。

 平成二十四年に児童手当の所得制限が付されたときに、同時に、〇―二歳児への支給額の引上げ、さらには、まさに委員の御指摘どおりだと思いますが、多子世帯である第三子以降への支給額の引上げも行われました。こういったことと加えまして、それ以降も幼児教育とか保育の無償化、こういった現物給付に力を注いできたということでありますので、児童手当だけではなくて、子育て支援策の拡充については、全体で捉える必要があるんだろうというふうに思っております。

 その上で、総理も申し上げておりますとおり、それから十年がたちまして、経済社会情勢というのは大きく変化をしておりますので、もう一度その児童手当を中心とした経済的な支援の在り方について検討していかなければいけないということで、総理から御指示をいただきまして、私の下で関係府省会議を開催をさせていただいているところであります。

 まさにこれから、様々な有識者を加えましてヒアリングを行って、三月末にたたき台を出すわけでありますので、それに向けてしっかりと議論をしたい。それまでの間は、個別の政策というよりも、三月末のたたき台でしっかりとしたパッケージでお示しをすることが、子育て世代の不安の払拭につながると思っておりますので、そこまでしっかりとした議論をしたいというのが担当大臣の思いでございます。

井坂委員 これは、昨日、一部、所得制限の撤廃と十八歳までの引上げ、政府内で決めたと報道があったんですけれども、全然決まっていないということなんですかね。

小倉国務大臣 今申し上げたとおりでございまして、関係府省会議、一月に立ち上げさせていただきました。まさにこれから、子育て当事者や有識者をお招きをして意見を承って、三月末にたたき台を出すというのがスケジュールでございますので、意見を聞く前に政府が特定の政策について決めるということは一切ございませんし、報道は事実ではございません。

井坂委員 これは、児童手当の所得制限撤廃とか十八歳までの引上げ、これぐらいは当然たたき台には入るだろうと思っているんですけれども、それすら入らない可能性もあるということですか。

小倉国務大臣 繰り返し申し上げておりますとおり、予断を持ってこの時点で何が入るとか何が入らないと言うことは控えたいというふうに思っております。

 ただ、これはもう昨年来申し上げておりますように、児童手当の今後の在り方としては、所得要件ですとか年齢要件の在り方、さらには多子世帯への支援ということが論点になってございますので、そういった論点も当然、関係府省会議の中で議論をしていくということでございます。

井坂委員 大臣、さすがにたたき台にも入らなかったら、たたき台に入ったって財源が秋冬に手当てできなくて実施できないものもたくさん出てくるはずですから、たたき台にすら児童手当の所得制限撤廃、十八歳引上げが入らなかったら、これはさすがに、異次元どころか、最低限どころか、私は最低限以下だと思いますよ。絶対入れてくださいね。これはもう、強くというか、当たり前のこととして要望しておきます。

 もう一つ、少子化対策、子育て支援を邪魔してきた国の制度について厚生労働大臣に伺います。

 私は神戸市が選挙区ですから、隣の明石市の泉房穂市長と昔から親しくさせていただいております。明石市は、十八歳までの医療費無料化を市独自でいち早く実現をしました。今や兵庫県内では、ほとんどの自治体が十五歳までの医療費無料化、そして二十八の自治体が十八歳まで医療費無料化と、どんどん広がっています。

 その泉市長がずっと怒っているのが、国民健康保険の減額調整という仕組みであります。子供の医療費は、小学生が三割負担、乳幼児が二割負担で、残りは国と県と保険料で負担します。ところが、明石市のように三割や二割の自己負担を自治体が補助して医療費を無料にした場合、国は本来負担すべき国庫負担を減らしてしまい、自治体の負担が更に増えるという仕組みになっています。

 大臣に伺いますが、少子化対策と子育て支援のために自腹を切って医療費を無料化した自治体に対して、国が負担金を減らして自治体にペナルティーを与えるような国民健康保険の減額調整は今すぐやめるべきだと思います。伺います。

加藤国務大臣 今、国民健康保険の減額調整措置についてお話がありました。

 これは、市町村が行う医療費助成により窓口負担が軽減される場合、国保財政に与える影響、結果的に受診行動が変わるといったことですね、そうした中で、限られた財源の公平な配分等の観点から、増加した医療費分の公費負担を減額調整する、そういう趣旨であります。

 ただ、実際、未就学児までを対象とする医療助成については、平成三十年度以降、減額調整措置の対象外としたところでございますが、更なる見直しについては、現在の財政、助成内容に地域差もある、限られた財源の、今申し上げた公平な配分等の観点から課題があるものというふうに考えております。

    〔委員長退席、中山委員長代理着席〕

井坂委員 ちょっと、こども担当大臣に伺いますが、医療費無料化をした自治体に対して国の負担金を減らしてペナルティーを与えるというのは、これは、少子化対策、子育て支援に逆行して、やる気のある自治体を邪魔しているだけだと思います。今すぐやめさせるか、せめて三月の少子化対策のたたき台にこのペナルティー廃止を入れるべきではないですか。

小倉国務大臣 当然、子供政策の充実を進めるに当たっては、地方の声、意見というのは大変重要だと思っております。ですから、地方団体との間で、こども家庭庁発足後に定期協議を行うことを決めておったわけでありますけれども、先般、準備会合を開きまして、地方三団体からそれぞれ御意見を伺ったところであります。

 繰り返しになりますが、個別の政策というよりも、むしろ三月末のたたき台において、パッケージで子育て世代当事者に対して安心できるようなものをお示しをするということでございますので、ここで、先ほど来繰り返し申し上げておるように、やるやらないと言うことは差し控えさせていただきたいと思いますが、一つ言えますのは、地方団体から出てくる声というのは十分に尊重しなければいけないということでございます。

井坂委員 知事会、市長会も、これはみんなそろって、もういいかげんやめてくれと言っていることですから。実際、担当の方に伺うと、このペナルティーで国の負担が減って浮くお金は僅か三十億から四十億だと聞いていますよ。この程度の最低限な決断もできずに、何が異次元の少子化対策か、何が瀬戸際の危機感かというふうに思いますから、これも是非やっていただきたいと強く申し上げます。

 続いて、少子化対策における国と地方の役割分担について、またこども政策担当大臣に伺います。

 政府は、今、少子化対策の財源を一部、地方自治体に求めようとしていますが、これは間違いです。所得制限のない児童手当とか、かつての子ども手当のような一律の現金給付は、これはベーシックインカムとして国が行うべき政策だと思いますし、同じように、現物給付やサービスの無料化といったベーシックサービスも、これは国が一律に行うべきで、今みたいに自治体が自腹で競争しているのは、大変ゆがんだ状況だと思います。

 大臣に伺いますが、特に、既に多くの自治体が実施している子供医療費の無料化、それから保育料の無料化、そして給食費の無料化、これは国がすべきベーシックサービスだと考えますが、大臣の見解を伺います。

小倉国務大臣 お答えいたします。

 国と地方の役割についてお尋ねがありました。

 少子化対策、子供政策の具体的な実施を中心的に担っているのは、地方団体、地方自治体でありまして、国が地方自治体の取組状況を把握をし、取組を促進するための必要な支援等を行うと同時に、現場のニーズを踏まえた地方自治体の先進的な取組を横展開をし、必要に応じて制度化していくことは大変重要であるというふうに思っております。

 何がベーシックサービスであるかどうかというのは、今委員のお考えを披瀝をしていただきましたけれども、一義的に決めていくのは難しいんだと思います。例えば、幼児教育、保育の無償化を実施した際には、国が、幼児教育、保育に関しては、やはりベーシックサービスとして国が担うべきだという判断の下で実施をしたんだろうと思いますし、何がベーシックサービスかどうかというのは、やはり時代によっても変わり得るものだというふうに思っております。

 そういう意味では、一義的に国と地方の役割というのを決めることは難しいと思いますが、いずれにせよ、先ほど申し上げたように、地方団体、地方自治体の声を丁寧に聞きながら、子供政策のたたき台について、しっかりしたものを作ってまいりたいと思います。

井坂委員 大臣、何がベーシックサービスかというのはそれぞれ考え方はあると思いますよ。だから、私は私の考えを明確に、この三点はベーシックサービスで国がやるべきじゃないですかと明確に申し上げた上で、大臣の見解を伺ったんですよ。

 やはり、今日何のために議論をしているかというと、大臣が三月にたたき台に何を入れるかを決めていくわけですよね、今から。だから、大臣の見解も伺うし、これは絶対入れるべきなんじゃないかということを我々も提案をして、それを同意いただきたいと思って議論していますから、今、何も見解をおっしゃっていないじゃないですか、一般論をおっしゃっただけで。何がベーシックサービスなんですか、大臣のお考えは。

小倉国務大臣 見解は申し上げたつもりでありますし、ベーシックサービスについても、先ほど申し上げたように、例えば幼児教育とか保育の無償化をした際には、国が責任を持って行うということでありますし、今後どうなるかに関しましては、予算の規模もさることながら、実際に実施をするのはそれぞれの地方自治体でありますので、ベーシックサービスとして国が定めた場合には、全国津々浦々、それぞれの自治体が実施できるかどうかというのも慎重に検討しなければいけないというふうに思っておりますので、先ほど申し上げたように、この場で個別の政策について、これがベーシックサービスに当たり得るかということを申し上げるのは非常に難しいのではないかというふうに思っております。

    〔中山委員長代理退席、委員長着席〕

井坂委員 大臣、先ほど三点、この三つぐらいはということで申し上げましたけれども、特にその中でも、せめて小学校に入る前の乳幼児の医療費ぐらいは、これは国が無料化すべきじゃないですか。

小倉国務大臣 厚労大臣からもお話があろうかと思いますが、先ほど来、繰り返しになりますように、私が総理から指示を受けて今開催をしている関係府省会議、これは三月末にたたき台を発表させていただきます。

 繰り返しになりますけれども、ここにおいて様々な方の御意見を伺いながらやはりパッケージとして提示をする、個別の政策について、これを入れる、入れないというのは、まだヒアリングを行っていない段階で申し上げていくのはやはり適当ではないというふうに思っておりますので、繰り返しになりますけれども、三月末のたたき台においてしっかりとしたパッケージをつくってまいりたいというふうに思っております。

井坂委員 大臣、今ここで決定してくれとは言っていないんですよ。今後、ヒアリングもあるでしょうし、プロセスは分かりますよ。ただ、やはり何のために議論をしているかというと、少なくともそれはベーシックサービスだと思うけれども、でも、これからこういうプロセスでやっていくから今ここでは決められないぐらいは答弁してくださいよ。全く個人の価値観、考えをお示しになっておられないと思いますよ。

 もう一点伺いたいのが、保育料無料化。保育料無料化も、まず、せめて二人目の子供の保育料無料化、これは実際、明石の市長もおっしゃっていましたけれども、子供をもう一人産むかどうか迷っている夫婦には非常に効果的であることが分かっています。

 国は既に、三歳から五歳の保育料無料化と、それから住民税非課税世帯のゼロ歳から二歳の保育料無料化は既にやっているので、残るは住民税を払っている世帯のゼロ歳から二歳だけということになっています。ここの部分も、今次々と、二人目のゼロ歳から二歳の保育料の無料化を実施する自治体が増えてきていて、いずれ医療費無料化と同じように多くの自治体が提供するベーシックサービスになると思われます。

 大臣に伺いますが、このゼロ歳から二歳児の、せめてまずは二人目以降の保育料無料化も、国がベーシックサービスとして行うべきではないでしょうか。

小倉国務大臣 これも先ほど来の繰り返しになると思います。私はここに子供政策の担当大臣として立たせていただいております。これが国のベーシックサービスであるということを申し上げた時点で、そこを国が提供する責任も生じますので、そんなに簡単に、ベーシックサービス、これが当たる、これが当たらないと言うことは非常に難しいのではないかというふうに思います。

 その上で、これも繰り返しになりますが、三月末に、個別の政策ではなくてパッケージとしてお示しをさせていただきます。その際に、幅広く議論を進めていき、そして、子供政策や子育て政策として充実する内容を具体化をしたいというふうに思っております。

 保育料の二子以降の〇―二歳児の無償化についても承知をしております。まさにこれこそ、非課税世帯の無償化ですとか、あるいは、課税世帯においても一部利用料の減免というのを国が行っているからこそ、それぞれの自治体で上乗せで二子の無償化というような、そういったこともしていただけているんじゃないかというふうに思っております。

 まさにこの三月末に向けて検討するわけでありますが、ただ、住民税非課税世帯を対象とした理由といたしましては、三歳から五歳児に関して広く国民が幼稚園や保育園等を利用しているのに対して、〇―二歳児の保育利用は約四割にとどまっていること、あるいは、イギリスやフランス、韓国といった諸外国においても、所得制限を設けずに無償化が進められているのは三歳から五歳児の幼児教育であること等もございます。こういった事情も踏まえながら議論をしていく必要があるのではないかというふうに思っております。

井坂委員 ありがとうございます。

 こども政策担当大臣にもう一点伺いたいんですが、政府は今、やはり、先進的な自治体主導で新しい子育て政策、少子化対策をやってほしい、それを、横展開も政府が後押しするし、本当にいい政策は国全体の制度として制度化していく、こういうことはおっしゃっています。

 それはそれで、そのやり方も分かるんですが、一つ足りないなと思うのが、横展開と、それから、いいものは制度化に加えて、やはり、最初に先進的な自治体が取り組んでいるときにも、これはいいかもなと思う時点で、国全体で制度化するのはこれは大変なことですけれども、まず少数の自治体がやっている段階で、いいものは国が二分の一補助するとか、そういうことをやっていただきたいんですね。

 今どうなっているかというと、どこの自治体も完全自腹で先進的な施策をやっているんですよ。本当に自腹で全部やってやって、いつ国が認めてくれるとも分からないことを延々やって、周りの自治体もだんだんついてきて、だんだん国もやらなきゃなとなってくる。このパターンだと、やはり先進的な自治体は息切れすると言っています、ずっと自腹でやるのは。

 だから、地方主導でやるとおっしゃるのであれば、やはり、主導している先進的な自治体にまず二分の一補助をする、そういう制度もこれは絶対必要だと思いますが、いかがですか。

小倉国務大臣 地方自治体を国としてどういうふうに支援をしていくかということでございます。

 少子化対策、子供政策につきましては、地方自治体が行う結婚支援の取組ですとか子育てに温かい社会づくり、機運醸成の取組などを支援をする地域少子化対策重点推進交付金というものがございます。

 また、地方創生に向けた地方公共団体の自主的、主体的な事業等に対して支援を行うデジタル田園都市国家構想交付金などによりまして、おっしゃるような地方自治体の先進的な取組を支援をさせていただいております。

 また、こども家庭庁の準備室といたしましても、例えば、子供の居場所づくりのモデル事業ですとか、あるいはいじめを社会で解決をするモデル事業、こういったものを今年度の補正予算や来年度の当初予算に盛り込んでいるところであります。

 そういった意味では、補助率はともかく、先進的な取組をしている自治体を積極的に子供政策においても応援をさせていただきたいという思いは一緒でございます。

井坂委員 大臣、ありがとうございます。

 続きまして、文部科学大臣に大学授業料の無料化について伺います。

 ベーシックサービスで忘れてはならないのが、高等教育、すなわち大学等の授業料の無料化であります。

 日本の大学の費用における国からの公費と、それから親や学生が出す私費の割合は、公費三割、私費が七割、こういう割合になっています。一方、OECDの先進国平均は逆で、公費が七割、そして親や学生が出す私費は三割。平均でそうなっていますから、日本は、大学授業料無料化などで公費負担を仮に倍増しても追いつかないような状況になっています。

 大臣に伺いますが、OECD先進国平均並みの公費負担七割を、大学の費用に関して公費負担七割を目指すべきではないですか。

永岡国務大臣 井坂委員にお答えいたします。

 確かに、少子化の様々な要因の一つに教育費のことが指摘されているということは承知をしております。

 そこで、文部科学省も、令和二年度から、真に支援の必要な低所得世帯の学生等に対しまして授業料等の減免と給付型の奨学金の支給を行います高等教育の修学支援新制度を実施をしております。

 さらに、令和六年度から、多子世帯や理工農系の学生等の中間層へ対象を拡大することとしておりまして、具体的な制度設計を進めているところでございます。同制度の中間層への拡大、これは、教育に係る経済的な負担軽減、これは大変取組が重要でございますし、また、教育の機会均等にこれからも努めてまいりたいと思っております。

 そして、今お話のありましたOECDによります教育費の国際比較等に係る報告書においては、これは令和二年度の修学支援新制度の導入の影響が加味される以前の数値を用いておりますので、その点につきましては御留意いただければと思っております。

井坂委員 奨学金等々で今からどんどん公費の割合を増やしていくということですから、ちょっとまだ、今お聞きしている範囲の規模ですととても私費三割ということにはならないと思いますから、是非頑張っていただきたいというふうに思います。

 続きまして、少子化対策や子育て支援、また大学授業料無料化などの財源について、これは主に財務大臣に伺いたいと思います。

 今日は、こども政策担当大臣が三月までに少子化対策に効果的な政策のたたき台を、これはたたき台ですから、まず財源は気にせずに作るということを任されているということを承知しておりましたので、本日は多くの政策を提案をさせていただきました。しかし、これらを全て実現するには、それなりの財源が必要となります。

 私は、少子化対策の財源として、一部は国債を発行してもよいと考えている立場であります。国民一人が一生に払う国税は約五千万円です。そして、国民一人が一生に払う社会保険料も五千万円、また地方税はおよそ三千万円であります。この合計一億三千万円は、少子化対策をして人が生まれてこなければ絶対に入ってこない税収あるいは保険料収入でありますから、そのごく一部を少子化国債とか教育国債を返す財源に充てるというのは、これは検討してよいことだと思います。(発言する者あり)ありがとうございます。与党からも、いい考えだという応援をいただきました。少なくとも、返す当てがない赤字国債よりはよっぽど健全な借金だというふうに思います。

 財務大臣に伺いますが、少子化対策に対して国債も一つの重要な財源と考えているのか、それとも少子化対策には国債を一切使うべきではないと考えているのか、どちらですか。

鈴木国務大臣 子供政策、大変重要であると思っております。

 小倉大臣から先ほど来御答弁がありますように、今後、こども家庭庁を中心に、具体的な施策について検討がされていく、そういうふうに承知をしております。そこで決まります恒久的な施策につきましては、やはり恒久的な財源が必要である。そして、この子供政策を強力に進めていくために必要な安定財源については、国民各層の理解を得ながら、社会全体での負担の在り方を含め、幅広く検討を進めていく必要があると考えております。

 そして、井坂先生からは、その際国債も一つの選択肢ではないか、そういう御指摘がございましたが、財務省の基本的な国債に対する立場でいいますと、やはり確実な償還財源、そういうものが重要であって、確実な償還財源を確保しない中での国債を発行することで費用を賄うこと、これは今以上に借金を子供世代に背負わせることになりますので、これは責任ある財政運営とは言えないのではないかと考えます。

 そしてまた、確実な償還財源の裏づけをもって国債を発行するとしても、利払い費等が発生する中であえて国債で賄わなければならない必要性等についても十分に検討する必要があるのではないかと考えております。

井坂委員 あえて国債を発行しなければいけない必要性と大臣はおっしゃいましたけれども、私は逆に、国債を発行せずにできる程度の少子化対策をやったぐらいでは、これは問題解決しないし、異次元どころか最低限の成果しか出ないということを危惧する立場であります。

 私は、三人子供がおりますから、やはり次の世代にツケを残さないということは強く思っている一人であります。ですから、本当に、幾らでも借金したらいいとかそんな立場では全くなくて、ちょっと今から、少子化国債とかを発行しても財政が破綻しないためにどういう工夫をしたらいいかということをお話をしたいと思います。

 少子化対策は投資だといって、どんどん国債を発行して、人口が増えれば将来入ってくるはずのこれだけ税収があるんだといって、それを、大半を前倒しで使ってしまっては、財政は破綻します。

 そこで、財政破綻を防ぐための仕組みとして二つ。一つは独立財政機関、そして二つ目がエビデンスセンター、この二つを設けてはどうかということであります。

 独立財政機関は、政府から独立した財政の専門家集団が、政府の目標などに忖度せずに、リアルでシビアな財政の将来推計を行う組織です。OECD加盟国三十六か国中、二〇一九年時点で既に二十八か国に独立財政機関が設置されて、そのうち三分の二は、三権から独立しているか、あるいは行政府が設置をしている形になっています。大体三分の一ぐらいが立法府で設立をしています。

 伺いますが、このことを本会議で泉健太代表が聞いたときには、国会に設置するパターンでお聞きをしたので、それは国会でお決めくださいという答弁だったんですが、私は、会計検査院と同じように、政府側できちんと独立させて設置すべきだという立場であります。

 だから、この点について、独立財政機関、やるべきじゃないかというふうに伺うと、政府の答弁は、いや、経済財政諮問会議がありますと言うんですね。でも、経済財政諮問会議は、目的が、総理のリーダーシップ発揮のためにと明記されている組織で、内閣府の中に設置されていて、しかも、経済財政諮問会議の委員は、総理が任命して、いつでも解任ができるということで、独立財政機関みたいに幹部の任期が法律で定められて、身分が保障されて、何でも言えるという世界の独立財政機関とは全く真逆の組織なんですよ。

 財務大臣に伺いますが、経済財政諮問会議があるということは、独立財政機関をつくらなくてよいという理由には、今申し上げたように、全くなりません。改めて、正面から、日本にもいいかげん独立財政機関が必要ではないかという私の質問に正面から答えていただきたいと思います。

鈴木国務大臣 井坂先生の御質問のとおり、私どもといたしましても、独立財政機関と、それから今主に活用しております経済財政諮問会議が全く性格を一つにするものではないということは、これは了解をしているところでございます。

 しかし、我が政府といたしましては、今日も、経済財政諮問会議において、専門的、中立的な知見を有する外部の学識経験者なども参画する形で経済財政運営についての議論を行っているところであります。

 重要なことは、お尋ねのような独立財政機関を設置するか否か、そういう手段ではなくて、経済財政運営の方針について専門的、中立的な知見も含め様々な観点から検討を重ねることであって、その上で、決定した方針に従い、政府一丸となって経済再生と財政健全化の両立に取り組むことである、そういうふうに考えます。

 政府といたしましては、今ある組織を有効に活用していくことでこうした目的が果たされるものと考えておりまして、私も財務大臣という立場で議論に参画して、しっかりと務めを果たしてまいりたいと考えております。

井坂委員 財務大臣、もう一つ。

 財政が持続可能かとか、国債をどこまで発行してよいかというようなことを独立財政機関で厳しく見通すだけでなくて、少子化対策の効果が本当に出ているのかどうかとか、そういったことを科学的に検証するエビデンスも必要になってきます。

 イギリスには、ホワット・ワークス・センターという独立した専門機関があって、要は、ホワット・ワークス、何が効き目があるのかということだけを専門的に調査する機関なんですけれども、エビデンスの収集、また、エビデンスが収集できる政策実行の設計、そして、エビデンスを政策選択に活用するお手伝いを行っています。

 日本も、このようなエビデンスセンターを設けて、科学的根拠に基づいて少子化対策始め各種の政策を取捨選択すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 一般論で申し上げますと、井坂先生が御指摘のとおり、政策の策定に当たりましては、客観的な将来推計あるいはエビデンスを活用すること、これは重要なことである、私もそのように思います。

 そして、現状、将来設計につきましては、例えば、内閣府におきまして、経済財政諮問会議の議論を踏まえた上で、過去の実績や足下の経済状況に基づく想定の下で経済や財政の見通しが策定されておりまして、そうした見通しを踏まえて適切な経済財政運営に努めているところであります。

 また、エビデンスの活用につきましては、厳しい財政状況に直面する中で、限られた資源を有効に活用していくため、政府としてEBPMの推進に取り組んでいるところであり、財政当局といたしましても、予算執行調査や行政事業レビューなどによる検証結果を予算に反映をさせるなど、様々な取組を行っているところでございます。

 今後とも、関係省庁と連携しつつ、将来推計、エビデンスも活用しながら、それぞれの政策課題や効果を可能な限り把握した上で、予算の重点化、効率化を図っていきたい、そのように考えているところでございます。

 そして、井坂先生からは、具体的に、専門の組織をつくったらいいのではないかということでありますが、それにつきましては、既に実施されている各種取組との重複等を避ける観点から、慎重に検討する必要があるのではないかと考えております。

井坂委員 時間が参りました。

 本日は、少子化対策に効果的であると思われる政策、またそのための財源の確保の仕方、そして財政規律の維持の助けになる幾つかの提案をさせていただきました。

 特に、こども政策担当大臣には、三月にたたき台を作っていただくところにやはり本当にいろいろ入れていただきたいと思っておりますから、是非、瀬戸際で、異次元とおっしゃるなら、本気で少子化対策に、かつてない政策と、そしてかつてない規模の財源を投入していただきたいということを最後に強く申し上げて、本日の質疑を終わります。

 どうもありがとうございました。

根本委員長 これにて井坂君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 立憲民主党の阿部知子です。

 本日私がいただきましたお時間は二十分ですので、本来の届出のある質問に移りたいのですが、冒頭、永岡大臣に、皆さんが大変御懸念しておられるマスクの問題で一つだけ確認をさせていただきます。

 子供たちの卒業式、入学式のシーズンも迫ってまいっております。その中で、今後そうした行事において、例えばマスクについて、文科省として統一的な見解、指導をなさるのか、検討をされているとすれば、いつをめどであるのか。伺っておけば、教育現場もそれに応じた対応ができますでしょうし、そういうことは必要としないというのであれば、それも一つの考え方でありますので、今の段階で永岡大臣のお考えを教えていただければと思います。お願いいたします。

永岡国務大臣 阿部委員にお答えいたします。

 政府の対策本部決定におきまして、マスクの取扱いの検討に関しましては、感染状況等も踏まえまして行いまして、今後早期に見直し時期も含めてその結果を示すとされているところでございますので、現時点では、卒業式などのマスクの取扱いについて決めたという事実はございません。

 いずれにいたしましても、文部科学省といたしましては、政府全体での検討をまず踏まえまして、卒業式等を含めた学校におけますマスクの着用に関して、今後どのような対応をしていくかについて検討してまいりたいと考えております。

阿部(知)委員 では、今伺いました限りにおきましては、今後、本部の検討状況を見ながら更に検討をされていくということで、現段階では決まっておらないということでよろしいでしょうか。

 大臣が、昨日ですか、御答弁の中で、マスクを外す外さないは御家庭の方針によるというふうにお答えになったことで、そのように決まっているのかなと受け止めた向きもあろうかと思います。そこについてはいかがでしょう。決まっておらないということで、前日の御答弁、少しそごがあると思いますが、いかがですか。

永岡国務大臣 阿部大臣、今私がお話し申し上げましたように、政府としては決めてはおりません。

 しかしながら、私が昨日申し上げましたのは、政府の対策本部決定におきまして、行政が一律にルールとして求めるのではなくて、個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断に委ねることを基本として検討するというところからのお話になっております。

阿部(知)委員 これは大変に難しい問題で、御答弁の撤回かどうかということが問われておるという指摘もありますけれども、私から見れば、現場が混乱しないように、是非、子供たちは、例えば学校行事でもその学校の取決めに従わねばならないという大きな制約を背負っておりますので、早い時期に方針を明確にしていただけること、心からお願いを申し上げます。

 では、次の、本来の質問に行かせていただきます。

 私は、この間、立憲民主党を中心に、失われた十年、非常に、子育てについても経済においても日本が元気をなくしていることに、この十年を検証しようという意気込みでこの予算委員会に臨んでおると思います。

 私は、今日お尋ねしたいのは、失われた十年のみならず百年を失うことになるのではないかという問題、既に永岡大臣には先般申入れをいたしましたので御存じのことと思いますが、神宮外苑の、特にイチョウ並木の伐採ということも含めて、外苑の再開発には多くの懸念の声が上がっております。

 冒頭、まず大臣にお伺いしたいのは、平成二十四年になると思いますが、文化庁において、近代の庭園・公園等の調査に関する検討会ということを設けられて、この中で、神宮外苑、内苑、一体的に保存し、また各自治体には名勝指定というような、保存のための、いわゆる誘ってそうしていただけるような施策が必要というふうに取りまとめられていると思います。

 今日お手元の資料に、一枚目、お届けいたしましたのは、大正十五年となっておりますが、これは明治神宮の内苑、外苑が、いわゆる風致地区に指定されまして、内苑と外苑を結ぶ道路も含めて一体的に風致地区といたしましょうと。これは日本で初めての風致地区の指定でございました。指定することによってそこの風致を守っていこうということで、古い資料でありましたが、皆さんに是非お目通しいただいて、そして、ここに明治神宮外苑志と書いてある、シは志という字を取ってございます。これは、明治神宮外苑並びに内苑を、どのようなものとして、内苑は神社となりますから、外苑も含めて、志を持って後世に伝えていこうかという意味で、明治神宮外苑志、志という字が取られたと伺っておりますが、そうした経緯を持つ場所であります。

 先ほど私がお尋ねしたい平成二十四年の文化庁の調査、この背景と意味、意義について、永岡大臣の御見解を伺います。

永岡国務大臣 お尋ねの報告書につきましては、自治体によります近年の庭園そして公園等の文化財としての調査を推進するために、文化庁に設置をいたしました有識者会議において平成二十四年に取りまとめ、また周知、普及を図ってきたところでございます。

 この報告書は、自治体が文化財の指定等の可能性のある近代の庭園等の存在を認識をし、そして具体的な調査を進めていただくことを趣旨としているところでございます。各自治体において調査した結果、文化財としての価値が明らかとなれば、所有者等との調整を進めていただきまして、地元自治体で文化財の指定等の保護措置につなげていただくことを期待しているものでございます。

 お尋ねの神宮外苑のイチョウ並木につきましては、当該報告書では文化財指定等の可能性のある重要事例とされております。また、その後の地元の調査の進展を伺っていないため、申し訳ございませんが、現時点でも同様に重要事例であるというふうに考えております。

阿部(知)委員 ただいま大臣の御答弁にありましたように、この明治神宮の内苑、外苑は、共に重要事例として、この平成二十四年の文化庁の調査では重要事例という言い方で指定をされております。並木ということに関しては、全体、一次選定にあったもの八十三件のうち、特に重要なもの五件の中にこの並木が入ってございます。

 大臣が言われたように、各自治体は自分の自治体にあるものの歴史的、文化的価値をなかなか見出し得ない場合もあるので、この全国調査をしていただきまして、各自治体にも、こういう調査結果でしたよというふうに文部科学省の方、文化庁の方からお伝えいただいたものだと思います。その認識は今も変わっておられないということも確認させていただきました。

 実は、神宮内苑、外苑で総体十三万五千二百三十二本の木を、これが設立されるときに植えてございます。そのうち約七割の九万八千七百四十八本が献木、日本各地から木が寄せられた。みんなの思いを寄せて造った内苑並びに外苑であるということであります。

 ところが、そうした地域が昨今、特にこの十年どのように変遷してきたかということを少し皆さんと御一緒に考えてみたいと思います。

 二〇一二年頃からいわゆる国立競技場の改築ということが持ち上がりまして、最初はザハ・ハディドさんの非常に奇抜なデザインの競技場がコンペで一位を取られましたのですが、経費が高い等々でその後見直しがなされまして、結局、現在のような形の国立競技場とは相なりました。

 この国立競技場の改築のときに既に千五百本の木が切られておりまして、これは明治公園というところの見直しで、明治公園を立体都市公園にするという名目で、面積を少なくしてしまって立体化するということで、実は続いていろいろな問題が起きております。

 では、パネルをお願いいたします。

 皆さんのお手元には同様なものをお配りしてございますが、一番右の端に国立競技場、これは今現在どのようにプランが出されているかですけれども、その横にラグビー場、これが新しく移ってくる。元々ここはラグビー場もあるんですけれども、それが移ってきて、同時に、秩父宮公園と言われている方の周辺には三本ののっぽのビルが建つ。八十メートルから百九十五メートルまで、非常に高いビルが建つ。その真ん中に球場が移ってくるという計画であります。

 風致地区なのに何でこんな高いにょきにょきができるんだろうといろいろ調べてみますと、これは、最初の国立競技場をいわば改築するときに風致地区の高さ制限も外されておりまして、以降、高い公園、高いビルができるような形になり、今日に至っております。

 斉藤国土交通大臣にお伺いしたいと思うのですが、私は、都市公園の計画あるいは都市計画が見直されることはあると思うのですが、この地域のこの見直しというのは、結果的に、高層ビル街にして、緑は伐採して、結局、都市にとっても望ましくない方向ではないかと思うのです。

 全てはそれは東京都の選択であるという言い方もできますが、例えば、立体都市公園制度という国の制度を使って、最初の国立競技場のところの明治公園の見直しがされて、伐採がされて、風致地区の高さ制限まで変えられてしまう。呼び水になったのではないかと。あるいは、秩父宮の方のこっち、手前の三つののっぽビル、ここは、秩父宮公園の公園指定を外しまして、のっぽのビルができるようになりました。

 いかに都市計画が各自治体に委ねられているというものの、やはり、公園のありよう、都市のありよう、これから非常に、私は、日本を代表する、顔の東京ですから、これはとてもマイナスだと思いますが、斉藤大臣の御所見をお願いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 都市公園は、良好な都市環境を形成し、市民のレクリエーション活動の場、災害時の避難場所となるなど、都市において多様な役割を担っております。

 御指摘の立体都市公園制度は、市街地の中心部等において、土地の有効利用を図りつつ、他の施設と一体的に整備することにより、効率的に都市公園の整備を進める制度として平成十六年に創設されました。

 東京都においては、園路や広場、植栽などが再整備され、競技場利用者だけでなく、散策などで訪れる人々の憩いの場となることや、バリアフリー動線が確保されるなどの観点から、神宮外苑地区の明治公園で立体都市公園制度を活用しているものと承知しております。

 また、御指摘の明治神宮外苑地区における風致地区については、東京都が風致地区条例を制定して対応しているところですが、風致の維持に有効な手段である地区全体の一定の緑化を図ることを条件に、一部のエリアの高さの基準を運用により緩和したもの、このように承知しております。

阿部(知)委員 一部の緩和でこんなになっちゃうんですね。私はそれが問題なんだと思います。

 そして、次の、下の方に描いてあります図を見ていただくと、今のイチョウ並木が横に描いてございますけれども、そのそばにのっぽビルができると、イチョウ並木は一番下になるくらい、高いビルができてしまいます。

 このことについて、本当は環境省にもお伺いをしたいと思いましたし、野球場を並木の近くに持ってくることで騒音の公害もございますのですが、時間の不足で、大臣には申し訳ありませんが、永岡大臣に最後に一問です。

 冒頭にお伺いした名勝指定、私は、やはりこの外苑を残すということは、先人の知恵であり、多くの国民が願ってきたことだと思います。今、ここのイチョウ並木の保存、十一万人以上の署名が集まり、海外からも多様な声が寄せられております。

 二十四年の文化庁の調査以降、ほとんど自治体との対話はなかったのではないかと思うんです。ここまで進んでしまうまでの失われた十年だとすれば、やはり積極的に、名勝指定は自治体からお申出のあるものですが、待っていますよ、文化庁は待っています、これが日本の名勝なんですよという、その思いを是非自治体にももう一度お伝えいただきたい。

 私は、いろいろ伺いましたが、当局として具体的な働きかけはないように思いましたので、これを機に、是非、百年の歴史のイチョウ並木、それから明治天皇と昭憲皇太后を畏怖する流れ、大きな国民の気持ちのつながりでありますので、是非、名勝指定の働きかけ、働きかけというか呼びかけ、待っていますというのをお願いできませんでしょうか。

永岡国務大臣 文化庁では、文化財指定等の可能性があることを従来よりお伝えはしてきているところでございます。

 イチョウ並木につきましては、まずは、地元自治体におきまして、保存と開発が両立できますように、所有者等の関係の検討、調整をしていただくことが必要であると考えておりまして、まだ現時点では整っていないものと承知をしております。

 本日、阿部委員から、神宮外苑のイチョウ並木につきまして、当該報告書におきまして重要事例であることなどの御指摘をいただきました。こうした本日の国会でのやり取りを文化庁から地元自治体にもしっかりと伝えてまいりたいと思っております。

阿部(知)委員 よろしくお願いします。

 木は切られてしまえば、植え替えても、それまでのまた長い年月がかかります。是非よろしくお願い申し上げます。終わらせていただきます。

 では、少しの時間があるので、環境大臣、恐縮です、来ていただいて。せっかくですから、残りの時間を使わせていただきます。

 先ほど早口で申し上げましたけれども、野球場が並木のそばに来ると、騒音が、特に近くの住宅、八十メートルの近くに住宅があって、騒音が増大する、あるいは、先ほど申しましたイチョウ並木だけじゃなくて、切られる木の数はそのほかにもたくさんあると思います。

 ヒートアイランド現象、温暖化、今、木は切るべき時期なのかどうか。大臣の個人の思いでも構いませんので、お述べいただけたら幸いです。

西村(明)国務大臣 今、阿部委員から御指摘あったように、気候変動、そしてまた温暖化等々に関しましては、自然という、また樹木、非常に重要なものでございます。

 今御指摘いただいておりました、仮称、神宮外苑地区の市街地再開発事業、これに関しましては、都において適切に対応するものだと思っておりますけれども、環境省といたしましても、都から相談があった場合には、必要な情報や助言をしっかりと提供してまいりたいというふうに考えておりますし、よりよい環境の保全、そしてまた自然環境の保全といった観点から、一般論として申し上げますと、様々な条件やまた課題があるという中で、環境へ最大限配慮した事業の実施というものを期待したいというふうに考えております。

阿部(知)委員 環境アセスについて、多くの専門家から、今のアセスについて問題が多いという指摘が出ているさなかです。国から命ずることはできなくても、よりよいアセスの在り方等について、是非環境省としてもお取り組みいただきたいと思います。

 終わらせていただきます。ありがとうございます。

根本委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。

 次に、近藤和也君。

近藤(和)委員 石川県能登半島の近藤和也でございます。今日はよろしくお願いいたします。

 私たちは、今、失われた十年をどうやって取り戻していこうかということで議論を進めさせていただいています。

 かく言う私自身、昭和四十八年生まれでございます。今年で五十歳、第二次ベビーブーマーの一番多い年になります。そして、十年前といえば、二〇一二年で政権転落をして、私自身も落選をして五年間浪人をしていたんですが、私自身、失われた十年、失われた五年だと思っておりますし、初当選させていただいたとき、当時の民主党政権のときには三十五歳でございました。

 あのときに、子ども手当や高校授業料無償化がばらまきだと言われなければ、どれだけ今の少子化、少し改善していたのかという思いもありますし、戸別所得補償制度についても、いまだに多くの農家の方々が、復活してくれという声をたくさん聞いています。

 いろいろな荒廃地が増えてきている中で、この失われた十年をどうやって取り戻していくのかということは、私たちも厳しく指摘をしていきたいと思いますし、提案もしていきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 そして、その上で、異次元という言葉もキーワードになっていると思います。このことについては、恐らく、与党、野党共に、この異次元という言葉の解釈は、それぞれ入り乱れているのかなというふうに思っています。

 異次元で思い返す、最近でいけば、異次元の少子化対策ですね。そして、その前でいけば、一番最初の元祖でいけば、異次元の金融緩和でございます。そして、北朝鮮に対しては、異次元の圧力をかけるという表現も二〇一七年当時にありました。

 正直なところ、私は、異次元、今の、三次元の話をしていきましょう、二次元や四次元や五次元や、訳の分からない別世界ではなくて、今の世界の議論をしていきましょうと。これは恐らくは、多くの国民の皆様が望んでいらっしゃることだろうというふうに思います。無理に別の世界の話をするのではなくて、今でき得ること、そして今反省しなければいけないこと、よく以前は悪夢の何とか政権ということが言われましたけれども、少なくとも、私たちは、この十年を振り返れば、かなり失われてきたのではないかというような苦しい思いがございます。

 私自身の石川三区というところは、二百八十九の選挙区の中で下から二番目なんです。人口減少、本当に激しいです。どんどんどんどん小学校、中学校、高校がなくなっていく中で、どんどんどんどん人が少なくなっていく中で、みんなで肩を寄せ合って、頑張って生きています。その中には、与党も野党も関係ないんだというぐらいで力を合わせていますので、どうか真摯な答えを政府の皆様には求めていきたいというふうに思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 先週の、一月の二十四、五、六日、この日本列島を大寒波が襲いました。私の石川県能登半島を中心として、大規模な断水、一万一千軒にも及ぶ大規模な断水が起こりました。五年前にも同じようなことが起きてしまったんですが、また起きてしまいました。なぜこのような事態になったと考えるのか、厚労大臣、お願いいたします。

加藤国務大臣 地元を含めて、水道管の凍結、破損で断水が発生をしたところでございますが、地方自治体や日本水道協会等で連携して、復旧作業、断水中の応急給水に全力で取り組み、昨日、二月二日、断水が全て解消したと承知をしております。

 今後、水道事業者から今般の断水の発生原因を聴取する等、課題の把握に努めたいと思っておりますけれども、これまでも、空き家の水道管が凍結、破損することで漏水が発生して水道水が不足し、断水につながる事例も大変多かったということから、国交省と協力をして、水道事業者と市町村の空き家担当部局との連携強化も図っているところでございます。

 実際、冬場、凍結して破損する場合もございます。これについては、水道事業者に対して事務連絡をするなど、その対策の広報にも取り組んでいるところでございます。

近藤(和)委員 厚生労働省から様々な事務連絡が行っているということも、私自身も各自治体に確認をいたしました。石川県内では十九の自治体がありまして、十の自治体に聞きました。そして、その中で、この事務連絡、去年の十二月一日、そして今年の一月二十日、そして一月の二十三日にも、もう直前に送っていただいている、これもすごく私はよかったというふうに思っています。

 ただ、一方で、この事務連絡の中身と解釈が自治体によってかなり違っていたなというふうに感じています。

 この事務連絡については、十二月一日のものについては、空き家に対しての止水栓を止めるという文言が明確に入っていないんですよね。ちなみに、平成三十年三月三十日に出されたものには、「空き家の止水栓をあらかじめ閉止しておくなど空き家を想定した対応が重要である。」ということが書いてあります。私は、せめてこの中身をしっかりと今後新しいものに書いていった方がいいのではないかなというふうに思います。

 ある自治体の方では、毎年来ていてもう慣れてしまっているということも答えとしてありました。そして、ある自治体では、民事の対応になるから深入りできないという担当者もいらっしゃいました。

 実は、そうではないですよね。厚生労働省の認識としては、空き家のところも各自治体が積極的に、防災の前の減災ですよね、この対応ができるという解釈をされておられると思いますが、現場ではそうなっていない。ちなみに、十の自治体で聞いたところ、はっきりとここは空き家だというところで、分かっているところで止水栓を閉めたというところは一つしかありません。僅か一つなんです。ということも含めて、厚労省の思いが各自治体に伝わり切っていない。

 そして、各自治体の首長さんの判断、これも大変重いと思います、後でどういうことを住民の方に言われるか分からないですから。でも、そこをしっかりと行政が一歩踏み込んで、止水栓を閉めるということで、ほかの住民の方が助かるんです。

 五年前に石川県もありましたが、今回十年に一度の大寒波と言われていますけれども、十年、二十年に一回あるだけでも、水が止まるということは命に関わることでございます。今回、七尾市には火力発電所があるんですけれども、そこでも何とか水を使うところを制限していただいて、大規模断水、本当の大規模になるところを止めていただいた。電力会社の方もそういう大変見えない苦労もしていただいているわけです。

 ですから、でき得ることを、ちゃんと国の思いを自治体と共有していく、伴走していく努力をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今委員お話のありました空き家等の対策についても、去年の十二月一日、事務連絡等も出させていただいているところでありますが、また、今回も適宜いろいろな、給水管の凍結等による断水被害の防止について周知も行わせていただき、また、一般家庭に対しても呼びかけもさせていただきました。

 また、さはさりながら、こうして断水が起きているというのは事実でございますから、これについては、先ほども申し上げたように、まずは課題の把握に努めながら、その結果も含めて、より効果的な対策について検討を行っていきたいと思っておりますし、また、空き家ということであれば、ふだんから把握していないとなかなかその対応ができないんだろうと思いますので、そうしたことも含めて、しっかり検討させていただきたいと思います。

近藤(和)委員 答弁としてはしっかりしているのかもしれないですけれども、もうちょっと心を込めていただきたいなと思います。

 本当に田舎はつらい思いをしていますし、例えばですけれども、ある集落が断水をして、お水を取りに来てくださいというところが、高いところにあるんですよ。お年寄りの方がつるつるのところに上りに行けない。そして、六キロの水を持つということも、両手に持つなんということもあり得ないわけです。そして、防災無線も音が聞こえないとか。それで言われたのが、区長さんや班長さんが定時に連絡に回ればいいと住民の方は言っていたんですけれども、その区長さんや班長さんも七十歳、八十歳なんですよ。雪でふぶいている中に数時間置きに連絡なんてできないんです。

 こういうつらい地域の実情を是非とも感じていただいて、恐らく厚労大臣も地方だと思うので、是非とも地方の気持ちを受け止めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、国交大臣に伺いますが、今回、この空き家ですよね。私のところでいけば、最大で二〇%以上の空き家率なんです。もう五軒に一軒。本当に田舎でつらいです。政治活動をする人間はよく分かっているんですけれども、ここが空き家かどうかというところも、草がぼうぼうだとか。でも、意外と戸が重いところに人が住んでいらっしゃったりとか。

 そういう空き家についてですが、今、空家等対策の推進に関する特別措置法の中で、所有者の責務として適切な管理の努力義務をしてくださいとあるんですね。

 今回の断水、漏水を防いでいきましょうということも含めて、各自治体から、漏水を防ぐために頑張ってくださいね、あなたたちのためにもやってくださいねということをさんざん言っているんですが、この適切な管理の努力義務というのはかなり曖昧ではないかな、所有者が認識しない限りは届かないと思うんです。周りに迷惑をかけてしまうということですよね。

 こちらについてはどう克服をしていくのか、対応を考えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 私の実家も島根県の山村で、邑南町という町なんですが、必ず十一月頃連絡が来まして、必ず元栓を閉めてくださいという連絡が来ます。もし帰れないんだったら村で勝手に閉めますけれども、その場合は御連絡くださいというふうな、地方自治体でも大変な御努力をしていただいておりますが。

 その地方自治体がどこが空き家かということの問題と、それから、その持ち主の努力という問題でございますが、所有者に対して空き家のリスクを国や地方公共団体等から周知し、空き家は傷みが早く、資産価値も低減することなどを理解してもらう普及啓発ということが大事だと思っておりまして、そこをしっかりやっていきたいと思います。また、所有者が行うべき管理の具体的な内容や方法を国において示すことを検討し、所有者に主体的な管理を促していきたい、このように思います。

近藤(和)委員 自治体の方々も日々御苦労されていらっしゃいますので、その判断の負担を減らしていっていただけるようにまた努力をしていただけたらと思います。

 国土強靱化ということが言われてもう十年ですけれども、地方は強靱化どころか弱体化していっていますので、そこを何とか残った方々で力を合わせて生きていけるように努力を私たちもしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。

 それでは、厚労大臣、国交大臣、質問は以上でございますので、外していただいて結構です。ありがとうございます。

 それでは、農業の問題に入ります。

 酪農がいかに厳しいかということは、恐らくは、一次産業に関わっている方以外、多くの方々が今認識をされてきているのではないかなというふうに思います。

 私ども立憲民主党も、昨年の四月の段階に、泉代表が石川県の河北潟の酪農団地を訪れまして、現場視察そして意見交換が行われました。去年の四月です。

 ちなみに、この河北潟は、簡単に御説明しますと、約五十年前に干拓事業が行われて、そして、さあ営農スタートだといったところでお米が余って、お米ではなくて、スイカだ、レンコンだ、酪農だということで、これらが中心に行われているところです。酪農に関しては、十一軒の農家、そして千五百頭の牛を飼育している、石川県内の五五%の牛乳を生産している、そういった地域でございます。

 そして、去年の四月の段階で言われたのが、後継者不足ですね、きついからということですが。そして、牛乳の消費が減っている、せっかく生産した牛乳を廃棄しなければいけない。飼料高、燃料高は経験にない高騰を見せている、これまで一番きつい状況。去年の四月の段階です。そして、牛乳、豆腐、卵は物価の優等生などと言われているが、安く抑えられている乳価などを上げてもらわないとやっていけない。三十年やっているけれども、今が一番つらい、今後続けられるのは蓄えのある人だけだ。コスト割れ、水より安い牛乳、夢と希望を持って入植したが、もう限界だ。そしてまた、環境規制が厳しい、さらには、クラスターの条件を緩くしてほしい、飼料が手に入らない、こういった声をいただきました。

 そしてその上で、より委員の皆様にも、現状の酪農家がどういった状況なのかということで、資料一を皆様御覧いただければと思います。

 資料一、ある酪農農家さんの収支ということで、お手元にお配りをいたしましたが、こちらは、本当は詳しく、月次損益計算書というものをいただきまして、少し数字を抜き出したものでございます。経営実態が分かりやすいようにということで、こちらの資料をお配りをいたしました。過去五年間分、ちなみに、今年はまだ半期、去年の十一月まででちょうど半期ということで半分の数字になっていますが、倍をイメージしていただければ分かりやすいと思います。

 やはり顕著なのが、令和二年の飼料費ですね。四千九万円が、令和三年度でいけば五千二百七十五万円で、一千二百万円増えています。そして今年度、まだ半分ですけれども、倍をしていただければ五千六百万ということで、この二年間の間で四千万が五千六百万円に増えているという状況です。売上げは大体横ばいということでございます。

 そして、水道光熱費については、令和二年が五百十三万、令和三年が六百十二万、そして今年、倍をしますと八百六十万ということで、五百万が八百万円に増えているということです。

 そして、やはりつらい数字といいますのが、この隣の隣、売上高損益金額、これは企業でいう粗利と考えていただいて結構です。粗利は、平成三十年からいけば、一億一千万の売上げで粗利は一千七百万ですねというイメージはつくと思うんですね。令和元年も、一億一千万の売上げで粗利は一千五百万だということは分かると思うんですが、令和二年一千四百万、令和三年八百六十万。何と、今年に至っては、粗利の段階で赤字だということです。本当にもうやっていけないと思います。

 その中で、この隣の隣、営業損益であったり価格補填金収入など、こちらも対策していただいているのは分かるんですけれども、かなり苦しいですよね。

 そして、この雑収入のところ、それぞれあるんですが、雇用事業であったり、皆さんで飼料を作って、その受託のお金で雑収入を得ながら、そして別の仕事もしながら、この最終損益のところの赤字を減らしているということです。ただ、最終損益は赤字でございます。

 ちなみに、平成三十年より前は黒字だったそうなんですけれども、酪農に関わる別事業を、やはり稼いでいかなきゃいけないということで、そこから、この平成三十年、令和元年などは赤字になっているということなんですけれども、元々黒字の経営体が、現在では、最終損益どころか、営業損益どころか、粗利の段階で赤字だ、こういう苦しい状況になっています。

 是非とも、野村大臣、これらのことを受け止めて、今までやっている対策で十分なのかどうか、少し答弁をお願いいたします。

野村国務大臣 近藤委員に御答弁申し上げます。

 畜産の中でも酪農が一番厳しいというのも我々も認識をいたしておりまして、特に酪農経営は、配合飼料価格の高騰、これは全畜種なんですけれども、特にぬれ子価格が今千円ぐらいしかしていないという、非常に低落でありまして、厳しい経営環境にあると承知いたしております。

 生産コストの上昇は乳価に適切に反映していくことが基本でありますので、生産者団体と乳業メーカーとの交渉で、飲用向けについては昨年十一月から十円上がりました。そしてまた、今年の四月からは、加工乳向けについても十円引き上がったということであります。

 さらに、生産コストの五割を占める飼料の価格高騰については、先ほどおっしゃいましたけれども、これまでも、予備費などを活用して総額一千二百億円の支援を行ってきているほか、また、金融対策などでも総合的に支援をしているところでございます。

 また、生産者団体におきましては、厳しい生産、需給の状況を踏まえて、苦渋の決断だったと思うんですが、抑制的な生産に踏み切っておられて、自らできるだけ抑制していこうということをされておるようでございまして、国としてもこれを後押ししようということでやっております。

 また、第四・四半期の餌でありますけれども、一月から今年の三月いっぱいの餌につきましても今非常にまた高止まりしているわけでありますが、総理の方から指示がありまして、第三・四半期と同様の対策を講ずるべしということで、これは一応、三月いっぱいで締めてみないと分かりませんけれども、四月になったらまたそれの補填があるということにもあるわけであります。

 いずれにしましても、非常に厳しい状況であるということは十分認識をしているところでございますので、いろいろな対策も今後検討させていただきたいと思っております。

近藤(和)委員 いろいろな対策というところにプラスアルファのものがあるのかどうか、ここは真剣に考えていただきたいと思います。

 価格補填金のところでも、ちなみに、令和四年度のところは十一月に百六十四万、一括で支払われているんですけれども、大体六十万から七十万ぐらい毎月赤字を今出していっている状況です。そして、この方は、大体今までは二千数百万円負債を抱えていらっしゃったんですが、コロナのときにセーフティーネット融資で一千五百万、満額で借り入れて、そして、その部分で支払いをしていっているという状況です。

 本当に聞くとつらいんですけれども、例えば、餌屋さんへの支払い、そして診療、獣医さんへの支払い、そして放牧料などを滞納しているそうです。もう払えないそうなんですよ。その方もつらいですし、餌屋さんや獣医さんなども含めてお金も入ってこないわけですから、来年、再来年という話ではなくて、一月、二月、どうやって生き延びていくかというところをもっともっと真剣に考えていただきたい。

 酪農の方も含めて、連鎖倒産というのがあり得るということでございますので、今までのメニューにない部分も含めて考えていくべきだと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

野村国務大臣 先ほども申し上げましたように、畜産の中で一番やはり厳しいのが酪農経営だろうなというのはもう十分理解をいたしておりまして、先ほどもちょっと申し上げましたように、総理の方からも、一月から三月の餌代についても三・四半期と同じような対応をしてほしいという指示がございましたので、そういったことを併せながらやらなきゃいけないし、さらにはまた、農家の皆さん方あるいは団体の皆さん方、自らいわば抑制的な乳の搾り方をされておりますので、これについても国の方での後押しもしていきたい、こんなふうに思っておりまして、国も何らかの対策をそれらについてもやっていきたい、こういうふうに考えております。

近藤(和)委員 何らかのというところでプラスアルファがあるのかどうかなんですけれども、先ほど申し上げましたように、餌代のところ、やっていただくのはありがたいんですけれども、それを織り込んでもしんどいということなんですよね。そして、牛を減らしていくということも苦渋の決断だと思いますけれども、それも含めた上で今がしんどいということでございますので、もう少し気持ちを入れていただきたいと思います。

 そして、これは実は、酪農だけではなくて、そして農業だけではなくて、ほかの産業にも似たことが言えるんですけれども、例えば、私の地域では、ブドウ農家の方がどんどんやめていって、共同での水利、水の利用が抜け落ちて、皆さんがやめられると、競争相手がいなくなって売れていいよねということではなくて、仲間が減ることによって利用料が跳ね上がっているという実態がございます。そして、別のショッピングセンターでも、店舗が抜けていくことによって共益費の負担がどんどんどんどん残った人に増していっているという苦しい実態があります。

 以前であれば、残存者利益ということがあったと思います。生き残った者がほかのマーケットを奪い取るということで、よかったと思うんですが、今は、残存者負担といいますか、むしろ、生き残ることが、負担が増して、生き地獄は言い過ぎかもしれないですけれども、余計に苦しくなってきているという実態があります。

 そして、この酪農家の方にも言われたのが、ふん尿処理施設の負担もどんどん増えてきて、たまたまこの河北潟は、今は皆さんがやめていないので、この負担金が全体としては増えていても、抜け出ることによっての増加はない。それでも、今全国で酪農をやめるという動きがどんどん出てきていますよね、大臣。数字、把握されていますかね。ちょっと数字の方を言っていただいていいですか。

野村国務大臣 ほかの党の先生方からも、これだけ酪農家がやめたぞというような御示唆もいただいておりますし、全国的に、二月一日で実は統計を取るんですが、それが発表されるのはまだ後のことなものですから、全国的に離農していかれている酪農家の皆さんの実態を早急に調べろということを今指示しているところでございますので、またまとまったら報告をさせていただきたいと思います。

近藤(和)委員 いつまとまるんでしょうか。

野村国務大臣 いつというのをなかなかお約束できないんですが、できるだけ早くということで、通常でいきますと、畜産統計調査は二月一日時点のやつが出てきますのは七月なんです。これじゃ遅いということは申し上げておりますので、現在、数値としてどのような把握ができるか、鋭意内部で検討をさせているところでございまして、可能な限り早く出したいと思っています。

近藤(和)委員 可能な限り早くお願いいたします。

 何百軒か分からないですけれども、一軒一軒に家族がいる、地域の方がいらっしゃるということですから、ちゃんと把握、急いでしていただきたいと思います。

 そして、その上で、先ほどの、残った方、少なくとも、ふん尿処理施設などもそうですし、ほかの水利なども、一次産業に関わる、農林水産分野に関わることだけでも、共同での施設利用の負担が増えてきているということに対して、恐らく何ら手だてがないと思うんです。そこに対して、私は、新たな、生き残った方へ、何とか更に生き延びてくださいという手を打つべきだと思いますが、いかがでしょうか。

野村国務大臣 農水省としましては、こうしたいろいろな形での今の畜産の状況を鑑みまして、四年度補正予算などでいろいろ講じてはおりますが、将来の農業を担う意欲のある農業者に対しては、経営規模の大小や、法人あるいは家族経営の別を問わず、幅広く支援をしていきたいとしているところでございます。こうした支援をしっかりと講じることによって、農業全体として力強い農業構造の実現に努めてまいりたいと思っているところでございます。

 なお、借入れ後の様々な理由により当初予定した返済が困難となった場合には、金融機関において既往債務について返済猶予等の条件変更の対応が可能でありますので、まずは金融機関に御相談をいただきたいと思っております。

近藤(和)委員 借入れの繰延べのところは質問しておりませんが、でも、御配慮いただいてありがとうございます。気持ちは一緒でございます。

 その上でなんですが、残られた頑張っていらっしゃる方々へ、仲間がやめていかれることに対しての負担を何とか軽減していくようなものというのは今はないということなんでしょうか。そして、私は、それに対して考えてくださいということを質問したので、そのことに対してお答えください。

野村国務大臣 これは酪農に限らずほかの部門でもありまして、共同でやっておられて、それでリタイアされた、そうすると、その分の方々の負担というのがほかの残った方に行くというのは、これは酪農だけの問題じゃなくてほかにもあるわけでございますので、畜産については、共同利用施設の利用者減に伴う利用者負担の増加の支援を行うことは、ほかの農業の部門も比べまして、なかなか難しいのではないかな、こんなふうに思います。

近藤(和)委員 財務大臣、お聞きいただいたように、酪農の問題だけではなくて、一次産業だけではなくて、ほかの産業にも同じことが言えますので、今後、内閣として考えていっていただきたいと思います。答弁は求めません。

 それでは、続きまして、乳製品等のカレントアクセスについて伺いますが、昨日、そして先日、逢坂議員、そして緒方委員からも質問がございました。法的義務は何なのかということの質問に対しまして、輸入機会の提供であって、量ではないという答弁をされました。これで間違いないでしょうか。

野村国務大臣 先日来お話を申し上げておるように、これは、法的義務の内容ではなくて、数量について輸入機会を提供する、こういうことでございます。

近藤(和)委員 数量についての輸入機会であって、量を輸入しなければいけないということで、私の質問に対して、はいということでいいんですよね。はい。

 それでは続けますけれども、では、入札不落が起きているということに対してはどう受け止めていますでしょうか。

野村国務大臣 これは酪農の話ですかね、それとも、お米の話ですかね。酪農ですか。

近藤(和)委員 はい、酪農でいいです。

野村国務大臣 酪農の場合は、今のところそういったような落札ができなかったというのはないんですけれども、お米の場合は今三回ぐらい生じておるところでありますが。

 委員に申し上げますけれども、入札機会を提供しておりますが、これはなかなか、入札が全部完成しているというか、入札が済んだというところは、一年間の期間でありますので、まだ今からもやっていきますので、最終的に、以前というか、入札で予定の数量が余ったということは今のところないんだろうというふうに思っております。

近藤(和)委員 大変甘いと思います。

 これはメッセージ性ということもあるんですけれども、今落札のところのお話がありましたが、ちなみに、一月二十日の脱脂粉乳については、入札数量七百四トンに対して、応札二百七十五トン、そして落札二百七十五トン、三九%でございます。そして、十一月十六日、昨年ですね、七百五十トンの入札数量に対して、応札数量四十六トン、落札数量四十六トン、落札率は六%でございます。そして、昨年の一月の段階でも、一月十三日でも、入札数量七百五十トン、それに対して応札は百十五トンで、落札数量は九十二トン、落札率は一二%です。

 このことについて、どうなんでしょうか。

野村国務大臣 ちょっとデータが取り寄せるのが遅くなりまして、済みません。

 今調べていきますと、委員おっしゃるように、全て落札というふうにはなっておりませんで、落札率が相当やはり低いときもありました。これは全て落札とは限っておりませんでした。

近藤(和)委員 全てが落札ではないということであれば、不落ということでよろしいんでしょうか。そうであれば答弁を直していただきたいと思いますが、お願いします。

野村国務大臣 月々に見ますと不落というのがありますけれども、これは一年間の期間における入札ですから、まだ今後、需要が増えて、数量が当初の予定どおりの数量に達するということもあり得るということもありますので、そのこともまた御理解をいただきたいと思います。

近藤(和)委員 不落は起きていないと言われて、一年たって満たせていればいいじゃないかという大臣の答弁ですけれども、一つ一つでいけば不落なんじゃないですか。そこをはっきりさせた方がいいと思いますが、いかがでしょうか。

野村国務大臣 委員おっしゃるように、九月と十月の入札でバターの不落が発生いたしておりましたが、その後、国際価格が落ち着いて、その結果、十一月以降のバターの入札では、輸入バターの方が国産バターよりも有利な状況となり、全量が落札されております。

近藤(和)委員 バターのことは聞いていないんですよ。脱脂粉乳のことを聞いているんですよ。

 そして、バターの方は私も確認しています。一月二十六日は一〇〇%です。そして、十二月十五日は九九・九%なんです。そうなんです。

 私は、バターのことを聞いているのではなくて、脱脂粉乳のことを聞いているんです。大臣、答弁をお願いいたします。

野村国務大臣 委員おっしゃるように、脱脂粉乳につきましては不落の月があります。しかしながら、これはまだ全部終わったわけではありませんので、入札が。これまでの間、落札があれば、この充当、満額、満了と呼びますか、全て落札が済むということも想定されます。

近藤(和)委員 今マイク外で言われたことを、もう一度こちらで答弁をお願いいたします。

 不落はあったということですね、現時点では。先ほどの答弁を訂正してください。

野村国務大臣 さっきから申し上げておりますように、現在までの不落があったことは十分承知しておりますが、まだ期間があるわけですから、これは全部落札できるように努力をしてまいりたい、このように思っておりますので。

 現時点では、おっしゃるように不落があります。しかしながら、これは一年間を通しての入札でございますので、まだ期間があるということで、全て入札でやっていきたい、こんなふうに思っています。

近藤(和)委員 機会の提供は十分にしているわけですよ。そして、今、この乳価の低迷の中で、しかも脱脂粉乳の在庫が積み上がっている段階で、輸入している場合じゃないでしょう、もうちょっとおらっちゃのこと見てくれというのが酪農家の答えなんですよ。それを、いずれ一〇〇%、全部やりまっせというのは私は違うと思いますし、不誠実だと思います。もう一度、答弁をしっかりとお願いいたします。

野村国務大臣 お答え申し上げますが、一回の入札で不落になったこともあって、この不落については、輸入機会の提供義務を果たしたと解釈することは困難で、関心国にとっては、これはなかなか受け入れてもらえないというふうに思っております。

 したがって、これからも予定されております数量についての入札は、やはり行っていかざるを得ない。これはWTOでのもう決まり事でありますから、幾ら残ったにしても、不落だったから、もう、じゃ、やめたよという話にはなりません。

近藤(和)委員 機会を提供するという努力を私はしていると思いますので。

 その中で、令和元年から見ても、例えば令和元年八月二十二日であれば、落札率六三%、最初の数量、入札の数量に対して〇・七二倍の競争倍率。その次の十月であれば、落札率七八%、競争倍率一・二四なので、最初の数量よりも多い数量が来ているんですよ。今は、最初の入札の、これだけ入札しますよということに対して何分の一かしか来ていないという状況ですから、以前から努力はしていたとしても、今も努力はしていると。あくまでも落札というのは結果でありますから、そこを私はごまかしてはいけないと思います。

 大臣、いかがですか。

野村国務大臣 何遍も言うようでございますけれども、これは、あくまでも輸入の機会を提供する義務を負うているわけでありますので、それが入札という仕組みでありますから、そのことについては、今後もやはり我々はちゃんとルールどおりやらざるを得ない、こんなふうに思っております。

 少なかったから、あるいは落札が低かったから、じゃ、これをやめようということは、なかなかこれは難しいというふうに思っております。

近藤(和)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、輸入の機会の責任を負うということは分かりますが、少なくとも、農林水産省とすれば、酪農家の方々の生命財産を守っていく、国内産業を守っていく、そちらの義務をしっかりと果たしていただきたいということで、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて近藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主党の櫻井周です。

 本日も、予算委員会で質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 貴重な時間ですので、早速質問に入らせていただきます。

 アベノミクスと、それから異次元の金融緩和が始まって十年が経過いたしました。黒田総裁は、二年で物価上昇を二%、物価が上昇すれば賃金も上昇するというふうに言っておりました。しかし、結果は、異次元の金融緩和でも物価は上がらず、そして十年目にして、ようやく物価は上がっても、賃金は上がらずということで、暮らしは厳しくなるばかりです。

 異次元の金融緩和は異常な金融政策であった、壮大な社会実験は失敗に終わった、まさに失われた十年です。この十年を無駄にしてしまったというだけでなく、今、日本の金融市場は官製相場になってしまって、市場機能を取り戻すということが喫緊の課題になっております。金融政策を正常化するという大きな宿題が残っております。

 我々は、この異常な金融政策は将来に大きなツケを残してしまうというふうに強く警告をしてまいりました。安倍元総理は、この道しかないと言って突っ走ってしまいました。このアベノミクスで積み上がった大きなツケ、片づける必要がございます。

 ではどうすればいいのかということについては、実は、本日午前中に立憲民主党の泉健太代表が新しい金融政策について記者会見を行い、説明をしたところです。本日は、この新しい金融政策に基づいて質問をさせていただきます。

 まず、直近の具体的な課題から申し上げます。イールドカーブコントロールの見直しについてでございます。

 日本銀行は、たくさん、五百兆円を超える国債を保有しておりますが、評価損、評価損益について、昨年の三月末時点で四兆円以上のプラス、利益があったわけなんですが、昨年の九月の末時点では八千七百四十九億円のマイナスに転落をしております。

 そして、昨年十二月の金融政策決定会合において、長期金利の変動幅を従来のプラスマイナス〇・二五%程度からプラスマイナス〇・五%程度に拡大するというふうになりました。この結果、十年物国債の金利は〇・二五%から約〇・五%に上昇いたしました。すなわち、債券価格は下落をしております。

 本日、日本銀行の黒田総裁にも来ていただいております。

 このイールドカーブコントロールの見直しによる日本銀行保有の国債の含み損、お幾らでしょうか。日銀保有の国債の簿価と時価と評価損、それぞれお答えください。

黒田参考人 昨年十二月にイールドカーブコントロールの運用の一部見直しをした後、十年物国債を中心に国債金利が上昇しておりまして、昨年十二月末時点での日本銀行の保有国債の評価損は約八・八兆円となっております。具体的に申し上げますと、簿価が五百六十四兆一千億円、そして時価が五百五十五兆三千億円ということでございます。

 もっとも、日本銀行では保有国債の評価方法として償却原価法を採用しておりますので、評価損が発生、拡大したとしても期間損益には影響しないという形になっております。

櫻井委員 今御答弁いただいたとおり、評価損が八兆八千億円ということになっております。

 確かに……

根本委員長 櫻井君、申合せの時間が過ぎておりますから、おまとめください。もう過ぎていますから、おまとめください。あと、午後に時間がありますから。

櫻井委員 はい、分かりました。

 そうしましたら、この後、続きの質問は昼休み明けにいたします。

根本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

根本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主党の櫻井周です。

 先ほどの続きの質問をさせていただきます。

 午前中は、日本銀行の金融政策の中のイールドカーブコントロールの見直しということで、評価損が発生したというお話をさせていただきました。御答弁もいただきました。

 そのことについて、日本銀行、八兆八千億円の評価損はあるけれども、これについては、日本銀行は満期まで持つから時価評価はしない、簿価評価なんだということで、この含み損が、表にというか、財務諸表に反映されることはない、そういうお話でございました。

 しかし一方で、日本銀行の純資産、これは昨年九月末、上半期の部分を見ますと、五兆円ということになっております。

 そこで、日本銀行の黒田総裁、お尋ねをいたします。

 とはいえ、純資産を上回る評価損ということになりますと、日本銀行の財務の健全性は大丈夫なのかと心配になりますが、大丈夫でしょうか。

黒田参考人 先ほど申し上げましたとおり、日本銀行として、保有国債の評価方法としては償却原価法を採用しておりまして、評価損が発生、拡大したとしても期間損益に影響しないということを申し上げました。

 そうした下で、やはり、管理通貨制度の下では、通貨及び中央銀行の信認、これは適切な金融政策運営によって物価の安定を図ることを通じて確保されるものであるというふうに考えておりまして、もちろん、財務の健全性にも留意しつつ適切な政策運営に努めてまいりたいと思いますけれども、実は、諸外国でも量的緩和を十年以上続けてきて、今、金融の正常化が始まっておりまして、時価評価をしているオーストラリア準備銀行などでは債務超過になっているわけですけれども、FRBとかECBは我が国の場合と同じような、類似したような評価方法をしておりまして、債務超過になっておりませんけれども、恐らく、赤字になるという可能性はあると思います。

 いずれにいたしましても、量的緩和ということによって金融緩和をしてきたということが、その後の金融正常化の中で影響が出るということは事実ですけれども、それによって中央銀行あるいは金融政策の信認が失われるということはないというふうに考えております。

櫻井委員 今、黒田総裁からいろいろ御答弁いただきましたが、ただ、日本銀行の場合、諸外国と比べても残存期間の長いものを持っているということが、より問題を難しくしているんだと思います。

 ちょっと視点を変えまして、金融担当大臣にお尋ねをいたしますが、実質、金利を引き上げたことになりますが、民間の金融機関も、国債を含め債券を保有しているわけです。それによって含み損が発生しているのではないのかというふうに考えるところですが、この含み損について、どういう状況なのか、それから、財務の健全性は大丈夫なのか。この点について、御説明をよろしくお願いいたします。

鈴木国務大臣 民間金融機関が保有する有価証券、これは、例えば円建てか外貨建てか、あるいは債券か株式か、債券の場合は満期までの期間はどの程度かなど多様でありまして、その評価損益は、有価証券の性質に応じ、内外の金融経済情勢などの様々な要因の影響を受けて変動をすることでありますので、日本の金融政策の影響のみを取り上げてお答えすることは困難であると思っております。

 一方で、昨年十二月期決算を現時点で公表している銀行全体では、株式の含み益などの影響もあって、有価証券の評価損益全体はプラス、つまり評価益が出ている、そのように承知しております。

 いずれにいたしましても、金融庁としては、現在の金融経済情勢の下においても、我が国金融機関は全体としては十分な自己資本を有しておりまして、金融システムは総体としては安定をしている、そのように評価しております。

櫻井委員 続きまして、イールドカーブのゆがみの是正についてもお尋ねをいたします。

 資料一を御覧いただきたいと思います。これは、一月三十日の予算委員会におきまして、階委員から、質問で使った資料でございます。

 このゆがみを直すために、ゆがみといいますのは、十年のところでぽこっとへこんでいる。普通、イールドカーブというのはなだらかになるはずのものなんですが、十年のところでぽこっと下にへこんでいるのは、日本銀行がそのように、金利を抑えつけるためにぐっと押しているから、この部分がへこんでいるという状況です。

 このへこみを直すために〇・二五%から〇・五%に引き上げたということなんですが、ただ、引き上げても、結局のところ、これを正すことはできていないというのが状況だというふうに認識をしております。

 この点について、黒田総裁は、階委員からの質問に対して、共通担保資金供給オペも活用しながら機動的な市場調節運営を行うことで、今後、市場機能は改善していくというふうに答弁をしております。

 ここでちょっと、共通担保資金供給オペレーションと聞き慣れない言葉がありますが、これは、日本銀行に差し入れられた国債などを担保として、民間金融機関に低利で固定の金利で一定期間資金を貸し出す、その貸し出したお金で国債を買ってください、こういう仕組みなわけです。

 そこで、ちょっと総裁にお伺いをいたしますが、この共担オペでイールドカーブのゆがみを是正できるんでしょうか。

黒田参考人 一月の金融政策決定会合で拡充した共通担保資金供給オペは、オペを利用した金融機関が裁定行動を行うことを通じて、現物国債の需給に直接的な影響を与えることなく、現物市場以外の市場も含めて、長めの金利の低下を促す仕組みであります。

 国債買入れについては、現在も指し値オペを含めて継続しておりますけれども、国債買入れと拡充した共通担保資金供給オペを有効に組み合わせることによって、金融市場調節方針と整合的なイールドカーブの形成を促していくことができるのではないかというふうに考えております。

櫻井委員 総裁はそのように御説明されますが、要するに、日本銀行が民間の銀行にお金を貸して、そのお金で日本の国債を買ってください、これまでは日本銀行が自分で買っていたのを、民間銀行に代わりに買ってもらうということなわけなんですよね。

 これは、ただ、何がより問題を大きくするかといいますと、日本銀行の場合は、先ほどおっしゃられたように、簿価評価だから、満期まで持っているから、評価損を計上しなくて済む。でも、民間銀行は、民間金融機関は時価評価なので、金利が上がれば評価損が発生しちゃうんですよね。

 先ほどのグラフでお示ししたとおり、イールドカーブのゆがみが是正できなかった、まだゆがみが残っちゃっている状態ということは、将来的には、このゆがみを直すために更なる金利の引上げというのが必要になってくる場面、こういう可能性も否定できないと思うんですよ。

 そのときに、では、民間金融機関が抱えて、日銀が買ってくださいといって民間金融機関が買った国債、評価損が出ちゃったらどうするんですか、こういう問題が出てくるわけです。

 あと、それから、共通担保資金供給オペ、共担オペについて、例えばマーケットの反応はどうかといいますと、日本経済新聞の報道によりますと、金利押し下げの効果は薄れていくとのさめた見方も多い、こういう表現もありますし、また、日銀は五年物の共担オペを実施したが、それほど強い結果ではない、こんな評価にもなっているわけなんです。

 ということは、またちょっと総裁にお尋ねをいたしますが、結局、民間銀行に日本国債を買ってもらった、その後、金利を引き上げたら、評価損を押しつけることになっちゃいますよね。協力してくれた民間金融機関のはしごを外すことになって、これはひどいと思うんですけれども、そういうリスクはどのようにお考えなのか。それとも、協力してくれた金融機関、義理をちゃんと果たすためにこれ以上金利を上げないということになると、イールドカーブのゆがみを放置するということになってしまいます。

 どちらに行っても大変なんですけれども、問題をどんどんどんどんややこしくしていると思うんですが、総裁、いかがですか。

黒田参考人 先ほど申し上げたとおり、国債の買入れも引き続き続けておりますし、また、共通担保資金供給オペも行い、両者の組合せを通じて適切なイールドカーブの形成が促されるというふうに思っております。

 なお、共通担保資金供給オペをどの程度利用するのかとか、あるいは調達した資金の使途などは、利用先の金融機関が適切なリスク管理の下で判断されるものであるというふうに考えております。

櫻井委員 今、民間金融機関が適切に判断される、要は自己責任でやれということで、はしごを外すかもしれませんよと。そんなふうに言われたら、おいそれと国債を買ったりできなくなるから、ますます共担オペの効果が薄くなっていくのではないのか。要するに、無理に無理を重ねているからこういうむちゃくちゃなことになってしまっているのではないのか、やはり根本から正していかなければならないということをまず申し上げて、一つ目の質問を終わらせていただきます。

 続きまして、二つ目の質問、物価と賃金の関係について質問させていただきます。

 まず最初に、経済財政担当の後藤大臣にも質問させていただきます。

 大臣はブラウン大学の御出身というふうにお伺いしておりますけれども、私もブラウン大学ですので、先輩、よろしくお願いいたします。多分、国会議員の中では余り多くないと思いますので、よろしくお願いします。

 一月二十三日の衆議院本会議での岸田総理の施政方針演説において、持続的に賃金が上がる構造をつくり上げるというふうに発言をされております。それから、第二次安倍内閣以降でも、賃金引上げというのを優先的に取り組む政策として掲げておりました。そこで、その結果どうだったのかというのを復習させていただきます。

 資料二を御覧ください。

 主要国の平均賃金の年収の推移を見ますと、一番太い線が日本でございますが、日本はずっと横ばいということで、全然上がっておりません。米国やそのほかヨーロッパ諸国は順調に伸びている。お隣の韓国も順調に伸びておりまして、もう日本は平均賃金でも韓国に抜かされているという状況でございます。

 それから、資料三を御覧いただきます。

 これは、一九九七年を一〇〇として、そこからどれぐらい成長したかということを見ております。日本は何とマイナスでございます。ほかの国はそれなりに成長しているのに、日本だけマイナスという状況です。

 それから、資料四を御覧いただきたいと思います。

 これは、昨年の三月三日、経済財政諮問会議の資料四の一ということで添付されていたものです。これは私が作ったのではなくて、政府が作ったものです。全世帯所得分布ということで御覧いただくと、これは一九九四年と二〇一九年を比べております。この所得分布を見ると、全体的に左に寄っている。所得再配分後であっても約百三十五万円左側に移っているということは、それだけ貧しくなっているということでございます。

 次に、資料の五を御覧いただきたいと思います。

 これは、労働生産性と実質賃金の関係を示しております。労働生産性が上がれば賃金も上げられる、そういう説明はよく出ております。政府の方でもされることがありますし、民間の有識者もそのように言われることがございますが、実は、労働生産性は上がっているんですが、実質賃金は上がっていないんですね。

 それから、資料六を御覧いただきたいというふうに思います。

 これは、資本金十億円以上の企業の売上高、給与、配当金、設備投資等の推移を示しているものですが、企業の利益はどうかというと、一九九七年を一〇〇としたときに三二八ですから、三倍以上増えております。よく、企業の収益が上がれば賃金も上げられるというような説明のされ方をされますけれども、現実は、企業の収益は上がっているんです。では給料はどうかといいますと、九七、減っているんですよ。企業はもうかっているのに、全然給料は増えない。

 では、そのお金はどこに行ったのかというと、配当金が七倍以上増えている。それから、内部留保も三倍以上増えている。それから、そうはいっても、役員の分は四割ぐらい増えているということで、これは全然従業員には還元されていないというのが現状でございます。

 こうした現実を踏まえて、経済財政担当大臣にお尋ねをいたしますが、他の先進国はそれなりに実質賃金が上昇しているのに、なぜ日本だけ賃金が上がらないのでしょうか。特に、岸田内閣になって実質賃金は二・五%低下しております。これは、毎月勤労統計で昨年十一月分が、二週間ぐらい前でしたか、公表されておりますけれども、十一月と十一月で前年同月比で比較すると、マイナス二・五ということになっております。

 それから、労働生産性は上がっているのに賃金が上がらないのは何ででしょうか。企業収益は上がっているのに人件費が増えないのは何ででしょうか。お答えください。

後藤国務大臣 今るる櫻井委員から資料に基づいて御指摘ありましたけれども、我が国の一人当たりの実質賃金は、過去二十年間、他の先進国と比較して伸び悩んできたということはそのとおりだと思います。

 この要因については、諸外国では経済成長とともに賃金が上昇してきた一方で、我が国においては、バブル崩壊以降の長引くデフレと低成長等を背景として、企業は賃金を抑制し、家計は消費を抑制した。その結果、需要が低迷して、デフレと低成長が継続するという悪循環に陥ったことが挙げられると思います。こうした悪循環の中で企業の行動が慎重化しまして、収益増加や生産性上昇に見合う労働分配が行われず、賃金が伸び悩んできたものと認識をいたしております。

 また、足下の賃金につきましては、賃上げのモメンタムが継続拡大する中で、名目ベースでは前年比でプラスとなっておりますけれども、これまでの原材料価格の上昇や円安の影響等を受けまして、物価が賃金を上回る伸びで上昇することによりまして、足下、実質ベースでマイナスとなっているということだと思います。

 こうした中で、やはり成長と分配の好循環を実現していくためには、物価上昇に負けない継続的な賃上げが必要である。そういうことで、企業の生産性を向上させて、その向上した生産性の果実を更なる賃上げにつなげる構造的な賃上げが必要だ。そのことで、リスキリングによる能力向上、日本型の職務給の確立、成長分野への円滑な労働移動というような三位一体の労働市場改革に官民連携で取り組むこと。

 また、成長重点分野に官の投資を呼び水として民間投資を大胆に喚起するとともに、生産性や付加価値を向上させるとともに、適切な価格づけを通じてマークアップ率を高めて、物価上昇に負けない賃上げや、コスト上昇の転嫁のできる適切な支払いをしっかり確保していく。このような連続的な拡大ができる、そういう経済へと変えていかなければいけない、そういうふうに考えています。

櫻井委員 原因分析はされた上で、先ほど、どういう取組をするかというお話でした。

 この説明、おおよそ、表現の仕方は違っても、内容についてはこの十年間同じことをずっと言われているのではないのかというふうに思います。結局、十年間やって成果が出なかったんじゃないですか。何か足りないものがあるんじゃないんですかということをまず申し上げたいと思います。

 そこで、資料八をちょっと用意させていただきました。これは民間のシンクタンクとかではないですよ、経済産業研究所、政府の機関でございますが、そこの森川正之さんという方が、日本の労働組合と生産性について検討されております。実証分析されているんです。

 森川さん、実はこの後、御出世をされて、今、経済産業研究所の所長をされているということなので、是非、予算委員会に来て御説明くださいと。これは非常に重要な点で、これまで政府がなかなか注目してこなかった点で、賃上げ要因、こういうところを改善すればいいんじゃないですか、生産性を向上できるんじゃないですかというお話を聞けるかと思ったら、今回、それは駄目だということで、この資料八をつけさせていただいたところです。

 要旨はここに書いてあるとおりなんですが、更に一言でまとめますと、労働組合が存在することが賃金にはプラスの影響がある、労働生産性にもプラスの影響がある、こういうことでございます。賃金にプラスの影響があるというのは分かりそうな気がしますが、労働生産性にもプラスの影響があるということで、これは貴重な知見だと思います。

 一方で、あともう一つ重要な点として、一月三十日の予算委員会におきまして、逢坂誠二理事が異次元の少子化対策について問うたところ、少子化の大きな原因として、若い世代の皆さんの職が不安定、若い世代の皆さんの収入が少ない、これらを原因として指摘をしました。これに対して、岸田総理は、雇用の安定を図り、経済的基盤を確保することが重要なんだ、そういう答弁もされております。

 逆に言えば、賃金が上がらない原因は、非正規雇用の増加、特に派遣労働の増加によって、労働組合の交渉力が低下したというようなことにあるのではなかろうか。自民党内閣が賃上げに取り組むと言いながら賃下げ要因になるような政策を実施してきたことが、実質賃金が上がらない、そういう原因になっているというふうに考えます。

 今日は、雇用の話になってまいりますから、厚生労働大臣にもお越しいただいております。

 このように我が国の実質賃金が上がらない原因、どのように分析されていますでしょうか。

加藤国務大臣 全体的な説明は今、後藤大臣の方からあったというふうに認識をしておりますが、それに加えて、今委員から派遣労働のことがございました。

 派遣労働者については、役員を除く全雇用者に占める割合は二〇二二年の平均で二・六%ということですから、全体の賃金水準に与える影響は限定的と考えておりますが、ただ一方で、キャリア形成が図られにくい、こういった面は指摘をされているところでありますので、派遣労働者の待遇改善の観点から、同一労働同一賃金、あるいはキャリアアップ措置の導入など、こうした必要な制度整備をこれまでも行ってきたところであります。

 その上で、今後の対応については、もう後藤大臣がおっしゃられましたので、重複しますから省かせていただきますけれども、まさに今申し上げたように、もちろん、派遣じゃなくて正規で働きたいという方に対しては、それをしっかり応援していくということと同時に、派遣で働く方が、その立場がしっかり守られていく、また、キャリアアップが図られていけるように、我々としても取り組んでいきたいと考えています。

櫻井委員 結局、派遣労働という働き方ですと、なかなかキャリアアップを図っていくといっても図れなかったというのが、小泉構造改革以降の十年、二十年の結果だったんじゃないでしょうか。

 結局、同じことの繰り返しでは成長できない、この先も成長できないということになってしまいます。ですから、派遣労働を一般工場労働ですとか事務、そういったところまで広げてしまったのが間違いだったということを認めて、それを一旦白紙に戻すということが必要だということを御提案申し上げます。

 その上で、今度、黒田総裁にも御質問させていただきます。

 物価が上がれば賃金も上がるというふうに言っていましたが、現実は、物価が上がっても賃金は上がらない、実質賃金は低下しているというのが現状でございます。

 そもそも、物価と賃金の相関関係について、賃金が上がれば、国民の購買力が上がって、そして需要が高まって、そして物価も上がる、こういう因果関係は成り立つというふうに思います。しかし、物価が上がったからといって賃金が上がる、そこは限らないわけでございます。この因果関係を逆に捉え続けてきたことが、この十年、アベノミクス失敗の原因ではないでしょうか。

 日本銀行はそれをどう考えているかというと、最近の展望レポートを読みますと、賃金引上げとか、しかも労使交渉とか、そういう言葉が繰り返し出てくるようになっているんです。十年前にはなかった言葉です。日本銀行の焦りがここににじみ出ているのではなかろうかというふうにも思います。

 黒田総裁、改めてお尋ねをいたしますが、物価と賃金の因果関係を逆に捉えていたことが、十年かけても賃金が上がらなかった、異次元の金融緩和が失敗した理由と考えますが、いかがでしょうか。

 そして、無理に物価を上げようとして異常な金融緩和を継続した結果、悪い円安を招いてしまって、物価だけが上昇し、実質賃金が低下してしまった。結局、当初の狙いとは逆の結果をもたらしたんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

黒田参考人 日本銀行は、二%の物価安定の目標の持続的、安定的な実現を目指して金融政策を運営しております。その実現に当たっては、物価だけが上昇するのではなく、経済が改善する下で、賃金の上昇を伴う形で実現することが重要であるというふうに考えております。

 これまでの大規模な金融緩和は、経済、物価の押し上げ効果をしっかり発揮してきておりまして、その下で賃金も緩やかに増加しております。先行きも、経済活動全体が回復していく下で、労使間の賃金交渉において、労働需給の引き締まりや物価上昇率の高まりを反映し、賃金上昇率も高まっていくというふうに見ております。

 日本銀行としては、現在の金融緩和を継続して、我が国の経済をしっかりと支えることで、企業が賃上げをできる環境を整えることが極めて重要であるというふうに考えております。

櫻井委員 ちょっと、因果関係を逆に捉えていた、それで失敗したということに対してお答えがないのと、それから、結果、逆のことが起きているんじゃないですかということについて、改めて答弁をお願いいたします。

黒田参考人 一九九八年から二〇一二年までのいわゆるデフレ期におきましては、物価は下がる、ベースアップはない、成長はほとんどゼロということでありました。二〇一三年の量的・質的金融緩和以降、経済が回復し、成長も戻り、賃金も物価も上昇し始めたんですけれども、御承知のとおり、いずれも一%未満ということで、二%の物価安定の目標を安定的、持続的に達成するということに至っていないということは、まさにそのとおりでありまして、その点では大変残念に思っております。

 足下の物価上昇は、これも御承知のとおり、輸入物価が異常に上がって、その消費者物価への転嫁が進んで、足下で四%程度の上昇になっているわけですけれども、既にこの輸入物価の上昇率は低下してきております。したがいまして、今後、今年度の半ばにかけて、物価上昇率はだんだん下がっていくというふうに思っております。

 他方で、賃金につきましては、今年度はかなり上昇するというふうに見ております。その理由としては、一つには、労働市場が大変タイトになっております。過去十年間、四百万人を超える新たな雇用が生まれるということで、非常に労働市場に対して労働供給が進んだわけですけれども、今や女性の就業率も米国を超えておりますし、労働市場のタイトさは完全に史上最高の状況になっております。

 景気が回復しつつある、それから労働市場が極めてタイトである、そういうことで、現在、労使共に賃金上昇を、上回るような賃上げを目指して交渉しているというのが現状です。ですから、これがどういうふうになるのかは、もちろん今後の労使交渉次第ですけれども、今、足下でそういった状況が生まれつつあるということは我々もよく認識しております。

櫻井委員 結局、二回質問したけれども答えていただけないというのは、答えられないということなんだろうと思います。因果関係が逆になっていた、だから失敗したということだと思います。

 ではどうすればいいのかということについて提案をさせていただきますが、ちょっと、答弁をいただくと時間がなくなってしまうので、私の方から一方的に、四点提案させていただきます。

 政府にできる賃上げ政策として、まず、先ほど申し上げたとおり、派遣労働制度、これは一旦白紙に戻す。非正規雇用であっても少なくとも直接雇用にするということで、一定のちゃんとした雇用関係を結ぶことが賃上げの要因になるというふうに考えます。

 二点目、残業代の未払い、サービス残業、これは徹底的に禁止をする。労働基準監督署の体制強化により、違法な残業、未払い、これをなくしていくということ。

 それから三点目、介護等の福祉従事者の賃金の引上げ。この分野は人手不足が深刻なわけですから、賃上げにより人手不足を解消する。そうすることによって、毎年十万人いると言われる介護離職、これも解消していくということで、これは高齢世代だけじゃなく働く世代全般に重要なことだというふうに考えます。

 四点目、最低賃金の引上げ。最低賃金で働く方々だけでなく、賃金全体の底上げにつながります。

 この四点、これは政府がやる気になればすぐできることです。是非やっていただきたいということを提案させていただいて、ちょっと済みません、時間がないので。

 では、答弁をお願いいたします。

加藤国務大臣 まず、派遣労働制度の廃止でありますが、これはそもそも、ILOの百八十一号条約を踏まえて、中身は、労働者派遣を含む民間の労働力需給調整事業の運営を原則全ての業務で認めるとともに、これを利用する労働者の保護を目的とするというものでございますが、この条約を日本も批准し、そして、それをベースに、対象業務は原則自由化するけれども保護をしていくということでかじを切ったところでありますので、そこにおけるキャリアアップ措置の導入など、必要な労働者の保護、これをしっかり進めていきたいと思っております。

 それから、残業代未払い禁止、これはもう当然であります。賃金が適切に支払われることは当然でありますので、残業代の不払いについては、労働基準監督署において監督指導を実施し、労働基準法等の法違反に対しては是正を図らせ、悪質な事業所については、捜査の上、書類送検を行うなど厳しく対応しているところでありますが、今後ともそうした姿勢で臨みたいと思います。

 介護、福祉職員の処遇改善については、給与を恒久的に三%引き上げるための措置など、これまで累次の処遇改善を講じてまいりました。まずは、この処遇改善策をより多くの事業所で実際に活用していただけるよう更に取組を進めるとともに、現場で働く方々の処遇改善、業務の効率を通じて負担軽減をしていきたいと思います。

 最後に、最低賃金の引上げについては、賃金が低い労働者の方の労働条件の改善につながるものでもあります。できるだけ早期に全国加重平均が千円以上となることを目指して引上げに取り組み、そのための環境をしっかりつくっていきたいと考えております。

櫻井委員 時間になりましたので、発言はこれで最後にさせていただきます。

 あと、最後、インボイス制度について一言申し上げさせていただきます。

 先ほどの昼休みの間に、インボイス制度に関する超党派の議員連盟の院内集会がございました。いろいろな課題があるということで問題があるということで、悲痛なお声をお聞きしております。是非、財務大臣にもその声を聞いていただきたいと思います。

 その中で、特に大きな問題として先ほど指摘されていたのは、インボイス制度の発行事業者の公表サイト、これは個人情報がだだ漏れだということで、昨年、この問題を改善するために一旦サイトを閉じて改善をしたはずなんですが、実は改善できていなかったという指摘がございます。

 ぱっと見た感じ、直っているように見えるんですけれども、簡単なプログラムでこれを破ることができるという指摘がございましたので、是非、大臣、これの改善をよろしくお願い申し上げて、要望とさせていただきます。

 本日は、ありがとうございました。

根本委員長 これにて櫻井君の質疑は終了いたしました。

 次に、本庄知史君。

本庄委員 立憲民主党、本庄知史です。

 千葉県第八区、柏市、我孫子市選出です。浜田先生、そして官房長官、同じ千葉でお世話になっております。よろしくお願いいたします。

 まず、昨日の源馬議員の御質問に続いて、PFASの問題についてお伺いをしたいと思います。有機フッ素化合物、PFAS。

 まず、環境大臣、このPFASの何が問題なのか、そして人体に及ぼす影響をどのように評価をしているのか、お答えをお願いいたします。

西村(明)国務大臣 まず、今御指摘のありました有機フッ素化合物、PFAS、これにつきましては、今、人体への影響というお話がございましたが、現時点におきましてはその有害性についての知見が不十分でございまして、目標値や基準につきましても、国際的にも様々な科学的な議論が今行われているというふうに承知しております。

 一方、関係自治体や地元住民の皆様方から、PFASに関する不安や、また目標値や基準の検討等の対策を求める声が上がっておりまして、こうした状況を踏まえて、先月、二つの専門家会議を設置いたしたところでございます。

 引き続き、この専門家会議で議論を深めていただいて、その結果を基に、国民の皆様の安全、安心のための取組を進めてまいりたいというふうに考えております。

本庄委員 担当大臣としていかがなものでしょうか。

 事実関係で申し上げると、まず、これは今、条約それから法令で製造や使用が禁止をされています。そして、二〇二〇年に、暫定目標値ということで、水質管理ですけれども、PFASの一種、代表的なものであるPFOSそれからPFOAというこの二つを合わせて一リットル当たり五十ナノグラム以下にせよ、こういうことで、基準も、暫定ですが、設けられているわけですね。

 これはやはり、一定の人体に対する影響、これは発がん性があるというふうによく言われてはおりますけれども、そういうことを踏まえてこういう条約での禁止、あるいは水質管理での暫定の目標値、こういうことが定められているんじゃないでしょうか。これからゼロから検討しますというものではないと思いますが、いかがですか。

西村(明)国務大臣 本庄委員御指摘のとおり、非常に、人体に影響があるかどうかということで、今、環境省としても、令和二年から要監視項目に指定しておりまして、要監視項目というのは、御承知のとおり、完全に影響があるという科学的知見が出た場合は環境基準によってしっかりとチェックするわけですけれども、その前段階の要監視項目に今入れている中で、ただ、そうした目標値等々は科学的知見がまだ米国やWHOを含めて確定していないということで、それを早急に、迅速に定めて、そして安全性を確認してまいりたいというふうに考えております。

本庄委員 影響があるかないかではなくて、あるんだけれども、どのくらいの摂取だと影響が出るのか、こういう話じゃないかと思うんですね。基準の問題だと思います。

 今、実際、全国で調査をしていますと、かねて、米軍基地の周辺あるいは古い工場の周りが非常に数値が高い、こういう話がありました。近年でも、二〇二一年度ですけれども、全国千百三十八地点を調査をして、十三都道府県八十一地点の地下水などで暫定の数値を超えている、こういう状況です。

 加えて、配付資料の二ページ目を御覧をいただきたいんですが、これは東京新聞一月三十一日ですけれども、「八五%に「健康被害恐れ」」ということで、これはどういうことかというと、東京都の多摩地域の市民の方々が専門家と一緒になって血液濃度の検査をした。そうすると、アメリカの基準に照らせば八五%が基準値をオーバーしている、こういう状況が起きているということですね。これは実は、沖縄でも通常値の三倍ぐらいの数値が出ている、こういうふうに言われております。

 この状況について、環境大臣はどのように受け止めていらっしゃるんでしょうか。

西村(明)国務大臣 今委員御指摘のように、非常に重要な課題だということで、ただ、予断を持って数字を決めたりということはできませんので、今、米国を含めて、先ほど申し上げたWHOも含めて、しっかりとした科学的知見をできるだけ早く確定して対応していかなければならないということで、専門家会議を立ち上げているところでございまして、ともかく迅速にやるというのが大前提でございます。

本庄委員 迅速にということが非常に大事だと思います。

 配付資料の一ページ目、これは環境省の資料ですけれども、専門家会議の設置ということで、二つ設置されております。まだ一回ですか、二回ですか、やったばかりで、立ち上がりも遅いなと言わざるを得ないんですが、二つ。一つは水質、水の数値の専門家の会議、そしてもう一つが総合的な戦略の会議ということです。

 総合戦略と言い出すと、これは大きな風呂敷ですから、少し時間がかかると私は思うんですね。したがって、まずは、水質、ここの基準値が今暫定で五十ナノとなっているものが適切なのかというところを、早急に科学的な知見をもって答えを出すべきだと思うんですが、これはいつ頃結果を出せるんでしょうか。

西村(明)国務大臣 できるだけ早くそれはやっていかなければならないと思っておりますけれども、水質の方の専門家会議につきましては、先ほどから申し上げているように、WHOや米国などの国際的な状況、また食品安全委員会における評価などもしっかりと加味しながら評価していかなければならない点もありますので、取りまとめの時期については、現時点では、水質に関しては、今ここで申し上げる状況にはございませんが、できるだけ急いでやるようにという話はしております。

 ちなみに、総合戦略の方は、これからこれも取り進めて、夏頃を目途に一定の取りまとめをしていただきたいとは考えております。

本庄委員 水質の方は、この暫定の数値というのが、もう三年ほど暫定で来ているわけですね。急に始めたわけではありませんので、本当に一日でも早く、しっかりと暫定が取れたものを是非出していただきたいというふうに思います。

 実は、今日、環境省にPFASの予算がどのくらいついているかと問合せをしたんですが、先ほどになって、よく分からないと。分からないという意味は、いろいろな化学物質の関係予算の内数だ、そういう扱いなんですね。

 でも、どれだけ人の体に影響があるかというのが分からない、この恐ろしさをやはりもっと大臣は受け止めていただきたいんですね。ダイオキシンあるいはアスベスト、最初はそうでもないと思われたものが実は大変なことだったということは幾らでもあるわけで、是非これは危機感を持って取り組んでいただきたいとお願いをしたいと思います。

 同時に、官房長官、これはやはり、私、環境省だけで対応できる問題ではもはやないんじゃないかというふうに思います。昨日も、米軍との関係あるいは基地との関係ということで、外務省、防衛省との関係がありました。水という意味では、厚生労働省も関係をしております。食品という意味では、食品安全委員会。そして、もしこれが土壌まで行っていれば、農作物ということで農水省も関わってくるわけですね。

 これは環境省一省を中心とやるのではなくて、やはり官邸あるいは内閣官房できちっと横串で調整をして、リーダーシップを発揮して取り組んでいただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 有機フッ素化合物の問題につきましては、その有害性などに関する科学的知見を収集、評価した上でリスク管理を徹底していくことが重要であり、関係省庁が緊密に連携しつつ取り組んでいるところであります。

 例えば、従来より、PFOS等を含有する泡消火薬剤の保管ですとか環境汚染防止などに関する技術上の基準を、環境省を始め関係省庁が共同で定めてきたところであります。また、現在、環境省と厚生労働省が合同で、科学的知見に基づく、今環境大臣の方から答弁がありましたけれども、水質の目標値等の検討を行っているところであります。

 このように、課題に応じて関係する省庁が緊密に連携し、政府一体となって有機フッ素化合物の問題に取り組んでいく考えであります。

本庄委員 関係省庁緊密にというのはよくある言い方ですけれども、やはり、是非、官房長官、陣頭指揮を執っていただきたいと思います。

 これは、アメリカではホワイトハウスが中心になって今対応していまして、バイデン政権の最重要政策の一つになっているんですね。基準も、さっき日本が五十ナノと言いました。アメリカは七十でしたけれども、これを大幅に引き下げるという今方向を打ち出していて、これから議論して決める、こういう流れになっております。

 分からないから暫定でしばらく時間をかけるということではなくて、やはり、これは危機管理だ、そういう認識で是非官房長官はリーダーシップを取っていただきたいというふうに思います。答弁は結構ですので、是非よろしくお願いをいたします。

 PFASについては以上ですので、官房長官、そして環境大臣、ありがとうございました。

 次のテーマ、秋本外務大臣政務官の問題に移らせていただきたいと思います。

 昨日の源馬議員の本委員会での質疑について、自民党千葉県第九選挙区支部事務所、秋本さんの事務所が市街化調整区域に違法建築の状態で建っているということについて、何度も、事実関係を確認中だという御答弁がありました。その後、何か分かったことはありますでしょうか。

秋本大臣政務官 引き続き、土地及び建物の貸主に事実関係を確認中であります。

 昨日の源馬委員とのやり取りの後、事務所の建物は、貸主が建てたものではなく、もちろん私が建てたわけでもございません、貸主も違法建築物であるという認識はないということが分かりました。もちろん私も認識はありません。

 お尋ねの、市街化調整区域にあることをいつ知ったかということでございますけれども、事務所の方でも更に確認を進めさせていただきました。事務所の建物が市街化調整区域に所在することを知った起点は依然明らかではありませんが、遅くとも二〇一七年八月には認知していたということでございます。

本庄委員 一七年八月ということは、その後、衆議院選挙がまたあって、そこでプレハブを建てているわけですが、市街化調整区域で建築できないということを知りながら、どうしてまたプレハブを建ててしまったんですか。

秋本大臣政務官 プレハブというのは、これは市街化区域内であっても区域外であっても、申請をした場合は建てることができます。

 プレハブの建築に際しましては、昨日も申し上げましたとおり、事務所から施工業者に依頼をいたしました。施工業者から建築確認の申請を千葉市に対して行ったため、事務所の関係者は申請書類を取り扱う立場にはございませんでした。

 一方で、プレハブにつきましては、今申し上げましたとおり、施工業者から千葉市に対して申請を行い、きちんと都市計画法上の申請及び建築確認の取得を済ませており、法律上は何ら問題がないものということでございます。

本庄委員 二〇一七年八月に事務所の方が市街化調整区域であるということを把握をされた。プレハブは法令上建てられるとしても、元々あった事務所は違法状態にあるということが明らかになった。この段階で秋本さんには報告がなかったんですか。

秋本大臣政務官 今委員の方から、建物が違法状態にあるではないかという指摘がございましたが、その点につきましては、今現在におきましても確認中でございまして、確定しているわけではございません。

本庄委員 報告があったかどうか、お答えいただけていないんですが。

秋本大臣政務官 大変申し訳ありません、報告というのは、具体的には。

本庄委員 先ほど、二〇一七年八月に事務所として把握をした、遅くとも把握をしたというお話がありましたので、そのことについて秋本さんには報告はなかったんですかということです。つまり、事務所が建てられないかもしれない市街地調整区域なのだという報告はなかったのかということです。

秋本大臣政務官 冒頭申し上げた認識という点は、事務所から報告が今、あったかどうかというふうに聞かれましたが、事務所の認識ではなく私自身の認識の話でございまして、二〇一七年八月時点に私自身が認知したということをここで答弁させていただいたということでございます。

本庄委員 それはどうして知ったんですか。

秋本大臣政務官 外部からの指摘があったからということでございます。

 この外部からの指摘について具体的にお話ししてもよろしいでしょうか。(本庄委員「手短に」と呼ぶ)

 よろしいということですので。具体的に、二〇一七年の八月にマスコミから、市街化調整区域なのではないか、あるいは、特別な理由がない限り建築物が建てられないのではないかといったような趣旨の指摘がございました。

 このため、同月中に当該建物に入っていた私の事務所を別の場所に仮移設しました。この件につきましては、千葉県の選管に確認していただければ確認が取れるはずであります。

 都市計画法上の申請及び建築確認の取得を行うべき建物の所有者、これは建物の所有者にその責務がありますので、事実関係の確認及び疑義の是正を私の方から、私の事務所の方から求めました。しかし、建物の所有者は、古くからある建築物なので法律上問題ないとの反応を示されました。

 さらに、建物の所有者以外の第三者、つまり私は第三者、借りている側でございますので、建築確認が取られていることを確認するのは困難であったため、貸主側が問題がないとおっしゃっていましたので、事務所を元の当該建物に戻したということでございます。それ以降、特段の御指摘等はなかったため、今回の報道が出るまで違法建築物との認識はなかったということでございます。

本庄委員 そうしますと、今は何を確認中なんでしょうか。

秋本大臣政務官 今は何を確認中だということでございますけれども、まずは、私からすると、貸主にどういうことだということを問い合わせなければならないわけであります。問い合わせた結果、先ほど来答弁したとおり、貸主側も違法建築物だという認識はなかったということでありますので、なぜかというと、私が建てたわけでもないし、貸主が建てた建物でもないわけであります。私に貸しているオーナー、大家さんも、買った建物なんですよね。しかも、直接建てた方から買ったわけではなくて、転売に転売が重ねられてきて、元々建てた人にたどり着くまでに相当何度か遡らなければならないということになっておりまして、元々の建てた建築主が誰で、一体いつ建てたのかということについてしっかりと調べないとということで、今、全てその流れを、一連の流れを全て確認をしているということでございます。

本庄委員 秋本さんは国土交通大臣政務官もやられているわけで、最初の一七年八月の指摘を受けたときに、もっときちっとやはりお調べになるべきだったというふうに思います。

 今の確認中というもの、私、そんなに時間がかかる確認ではないと思いますので、速やかに確認をして、是非委員会の方にまた御説明をお願いしたいと思います。委員長、よろしくお願いします。

秋本大臣政務官 引き続き、土地及び建物の貸主に事実関係を確認をいたします、先ほど申し上げたとおり。

 確認をいたしますが、確認の結果を待つことなく、事務所を市街化調整区域外に可及的速やかに移設する方向で指示をいたしております。

 今回の報道で多くの皆様方をお騒がせしてしまったことを大変深く反省しているところでございます。今後このようなことが一切ないように、しっかりと注意して進めてまいりたいというふうに思っております。

本庄委員 対応を速やかにしていただきたいですが、いずれにしても、確認すると国会でおっしゃったことについてはきちっと国会で報告していただきたいというふうに思います。理事会で御協議をお願いします。

根本委員長 理事会で協議します。

本庄委員 時間も限られていますので、もう一点の株取引の関係で、昨日、大臣の在任中には一切取引をしていなかったということですが、レノバ株以外に売却若しくは譲渡をしたと思われるものがありますが、具体的には、イビデン百株、オリエンタルランド二百株、エナリス三百株、日本テレビ百株、これらもいずれも政務官在任中ではないということを確認したいんですが、よろしくお願いいたします。

秋本大臣政務官 委員御指摘の銘柄でございますけれども、私、国交省に取引をしていないという証明書を出しているんですよね。その証明書を見ても、その株式、動いていないんですよ。だから、どうして委員の方からこの銘柄を指摘されるのかというところについても私は分からないんですけれども。

 いずれにいたしましても、もちろんですけれども、この銘柄に限らず、全ての銘柄について国交大臣政務官時に取引は一切していないということを明言したいというふうに思います。

本庄委員 そうであれば、日付が分かるものを、少なくともレノバについては、是非出された方がいいんじゃないかと私は思います。

 最後、もう一つだけ、秋本さんにお伺いします。

 昨日、レノバの関係者から献金などを受けたことはあるかと問われて、答えはノーでございますと、二回、ノーでございますとおっしゃいました。正確を期すため日本語で答えていただきたいんですが、レノバの関係者から献金を受けていないということでよろしいでしょうか。これはパーティー券も含めて御回答ください。

秋本大臣政務官 献金は受けてございません。

 パーティー券につきましては、今まさに、通告なく、今本当に突然言われたので私も驚いてしまったんですけれども、通告もなかったものですから、調べてないというのが現実でございます。申し訳ございません。

本庄委員 昨日も質問取りに外務省と国土交通省から合わせて十人ぐらい来られて、答弁体制は万全だったと思うんですが、寄附について聞かれるときは、普通、パーティー券についても答弁を用意しますけれどもね。では、また後日、是非教えてください。確認をお願いいたします。

 では、秋本さん、以上で。ありがとうございました。

秋本大臣政務官 パーティー券についてですけれども、パーティー券というのは、御存じのとおり、一定金額以上購入された方というのは報告することになっていますよね。少なからず、そういった形で報告していなければならないという金額を買ってもらったということは、今の時点で記憶としてありません。

 さらに、昨日、源馬委員の方から、確認をして委員会に報告をするようにと言われたことがございました。それにつきましては、私が二〇二二年の二月に予算委員会の第七分科会で萩生田大臣に対して制度改正を迫った、それによって制度を改正した、その改正されたルールはレノバルールというふうに呼ばれている……(発言する者あり)レノバ方式というふうに呼ばれているということで、それで、私が、そのレノバルール、レノバ方式という形でルール改正をしたことによって、その後、レノバの株を売却をし莫大な利益を得たのではないかという指摘がございました。この事実関係について調べて報告しろというふうに言われております。

 このことについて確認をいたしましたけれども、まず、事実関係を申し上げますが、令和四年二月の予算委員会時点で、私は、当該レノバの株式を一株たりとも所有しておりません。このことは、直前に選挙がございましたから、資産報告書を見てもらえれば分かるというふうに思います。

 したがって、ルール改正時に当該株式を持っていませんから、売却するなんということができるはずがございません。そうであれば、ルール改正が利益誘導であったという指摘は、明らかに事実に反します。

 昨日、あたかも百万、一千万を超えるような多額の売却益、キャピタルゲインを得たというような誤解を招きかねない表現をされましたけれども、政務官就任前に四百株からスタートした一連のレノバ株に関連する株式の売買において、全ての取引で得た損益の合計額は到底そのような額には満たないということを報告したいというふうに思います。

本庄委員 聞いていないことで時間を使わないでいただきたいですね。

 このルール改正の前に、レノバ株は大きく価格を下げております。入札に負けたからですね。そのことだけ最後に申し上げておきたいと思いますので。

 次の話題に……(発言する者あり)大事な話なので、次、安全保障でお願いします。(秋本大臣政務官「今、本庄委員から、その後株価が下がったとおっしゃっていますけれども、レノバ株の株価が下がったのは、第一ラウンドで取れなかったときでございまして、二〇二一年の十二月でございます。今私が話した……」と呼ぶ)

根本委員長 外務大臣政務官秋本真利君、もう結構です。

本庄委員 済みません、お待たせしました。

 それでは、安全保障について、特に反撃能力の問題についてお伺いをしていきたいというふうに思います。

 まず、配付資料ですが、最後のページですね。

 岸田総理は、五年で四十三兆円の防衛費、その根拠として、現実的なシミュレーションを行って、必要とされる防衛力の内容を積み上げ、規模を導き出した、このように御説明になっています。国会でも答弁をされています。

 それで、どんな現実的なシミュレーションがあるんだろうと思って、私、防衛省に問い合わせたら、出てきたのがこの紙一枚なんですね。これが防衛省の現実的なシミュレーションのエッセンスなんですか。十三ページですね。防衛大臣、お答えください。お願いします。

浜田国務大臣 防衛省は、従来から、将来の防衛力の在り方を検討する過程で自衛隊の能力を評価するためのシミュレーションを行って、能力の不足等を検証しております。

 今般の国家安全保障戦略の策定に際しましても、相手の能力と新しい戦い方を踏まえて、想定される各種事態への対応について、戦力評価等を通じた分析を行ったところであります。

 例えば、侵攻部隊によるミサイル攻撃、戦闘機等による航空侵攻、艦艇部隊による海上侵攻といった状況を想定して、自衛隊がどのように対応するか検証することを通じた、我が国への侵攻に対処するために不十分な自衛隊の機能、能力の評価に加え、宇宙、サイバー、電磁波の領域や、無人アセットを用いた非対称な戦い方、ハイブリッド戦のような新たな戦闘様相などを踏まえた将来の防衛力の検討などの様々なシミュレーションを行いました。

 こうしたシミュレーションを通じまして、スタンドオフ防衛能力、弾薬等の整備や防衛装備品の可動数向上等の持続性、強靱性を始めとする防衛力の抜本的強化の七つの重視分野等を導き出したところであります。

 今後、新たな国家安全保障戦略等に基づいて、自衛隊が国民を守る責務を完遂し、国民の期待と信頼にしっかり応えられるよう、防衛力の抜本的強化の実現に向けて着実に取り組んでまいりたいと考えているところであります。

本庄委員 お答えいただけていないんですが、このいただいた紙一枚をなぞった程度の御説明ですけれども、これ、四十三兆円という巨額な税金の使い道の根拠となっているシミュレーションということですね、総理の御説明によれば。

 是非、こういう紙切れ一枚ではなくて、もちろん表に出せないものがいろいろあるのは理解しますが、もうちょっときちっとした説明資料として、是非この予算委員会に出していただきたいんですが、いかがでしょうか。

浜田国務大臣 今私がお答えしたことが一応我々のシミュレーションに対してのお答えでございますので、それで御理解いただければと思います。

本庄委員 理解できませんので、理事会で御協議をお願いします、資料の提出についてですね、このシミュレーションの。

根本委員長 では、それを含めて、理事会で協議します。

本庄委員 それでは、専守防衛と反撃能力行使について防衛大臣にお伺いをいたします。

 この反撃能力は、日本に対する直接の武力行使がなされ、これに対する反撃を行う場合ですけれども、この相手国領域に対するミサイルによる反撃ですけれども、反撃の対象というのは、ミサイルの基地、あるいはミサイルの発射源に限られているんでしょうか。それ以外の場所も想定されているんでしょうか。

浜田国務大臣 基本的に、この一九五六年の政府見解に言う誘導弾等の基地とは、必要最小限度の措置を例示して述べられたものであります。

 反撃能力の行使対象については、攻撃を厳格に軍事目標に対するものに限定するといった国際法の遵守を当然の前提とした上で、ミサイル攻撃を防ぐのにやむを得ない必要最小限度の措置の対象を個別具体的な状況に照らして判断していくものであります。

本庄委員 そうすると、ミサイルの発射源以外も標的になり得る、こういう理解でよろしいですか。

浜田国務大臣 繰り返しになりますけれども、反撃能力の行使対象については、攻撃を厳格に軍事目標に対するものに限定するといった国際法の遵守を当然の前提とした上で、ミサイル攻撃を防ぐのにやむを得ない必要最小限度の措置の対象を個別具体的な状況に照らして判断していくものだと思います。

本庄委員 そうすると、個別具体的に照らしてやむを得ない事情があれば、発射源以外も標的にはなり得る、こういうお考えだということですね。

 もう一つお伺いをしたいんですが、この反撃能力の行使の場所なんですけれども、これは日本側は、日本の領域あるいは公海上からの反撃、ミサイル攻撃ということに限定をされているんでしょうか。それとも、相手の領土や領海に入ってまでも攻撃をできるということをお考えになっているんでしょうか。お答えいただきたいと思います。

浜田国務大臣 今般、政府としては、スタンドオフ防衛能力等の自衛隊の能力を活用して反撃能力を保有することといたしました。

 長射程のスタンドオフミサイルにより自衛隊員の安全を確保しつつ遠方から対処できるという選択肢がある中においては、現実の問題として、相手国の領域内という自衛隊員にとっては危険な範囲の外から、すなわち相手国の領域外から対処することが基本になると考えます。

本庄委員 基本だということは、そうではない場合もあり得るということでしょうか。

浜田国務大臣 政府は、従来から、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣することは、一般の自衛のための必要最小限度を超えるものであって憲法上許されないが、仮に他国の領域における武力行動で自衛権発動の三要件に該当するものがあるとすれば、憲法上の理論としてはそのような行動を取ることが許されないわけではないと説明してきており、この考え方に変更はありません。

 その上で、現実の問題としては、長射程のスタンドオフミサイルにより自衛隊員の安全を確保しつつ遠方から対処できるという選択肢がある中においては、相手国の領域内という自衛隊員にとって危険な範囲の外、すなわち相手国の領域外から対処することが基本となると考えております。

本庄委員 私ども立憲民主党も、今の我が国が置かれている安全保障環境、それから周辺国のミサイル能力の急激な向上、こういったことについては十分認識をしております。したがって、ミサイルの長射程化、あるいはその能力の向上ということは十分議論に値する、こういう前提で議論はしております。

 ただ、他国の領土、領海、領空、ここに入ってまでも反撃能力を行使するということがあり得るんだとすれば、ここはやはり、大臣、これは政策として明確に否定をされておいた方がいいんじゃないでしょうか。

浜田国務大臣 反撃能力は防衛出動時に無条件で行使されるものではなく、武力攻撃を受け、さらに、自衛のため万やむを得ないと認められない限り行使されません。仮に万やむを得ず反撃能力を行使する場合であっても、必要最小限の行使にとどまるものであると考えます。

本庄委員 内閣法制局長官にも今日来ていただいておりますが、自衛隊の海外派兵の禁止、海外における武力行使の禁止ということは、憲法九条の根幹に関わる部分で、最もゆるがせにできない部分だというふうに思います。

 反撃能力はその例外的なものだというふうに理解をしますが、今の防衛大臣の御説明だと、状況によっては他国の領域内での反撃能力行使もあり得るということですが、法制局長官、これは、法制局としては従来の憲法解釈の枠内だということなんでしょうか。そうであれば、それが海外派兵禁止の例外になる理由についてお答えください。

近藤政府特別補佐人 お答えをいたします。

 今委員が御指摘のように、従来から、いわゆる海外派兵については、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって憲法上許されないとお答えをしてきておりまして、その上で、他国の領域における武力行動で武力の行使の三要件に該当するものがあるとすれば、憲法上の理論としてはそのような行動を取ることが許されないわけではないとお答えしてきているところでございまして、反撃能力の行使の問題についても同じ枠組みの中で判断されるべきものだと思います。法理上はそういうことになろうかと思います。

本庄委員 では、海外派兵にも例外があって、要件を満たせば自衛隊が他国の領土、領海、領空にて武力を行使することは可能だ、こういうことでよろしいですか。確認させてください。

近藤政府特別補佐人 お答えいたします。

 反撃能力について、具体的に海外派兵を伴うようなものが必要なのかどうかというところは、私ども、ちょっと判断をしかねますので、それがあるとかないとかいうことは申し上げられませんが、例えば、安保法制の議論があったときに、機雷の掃海のときに例外的に他国の領海に自衛隊を派遣して掃海をする、いわゆる観念上は海外派兵的に当たるんですけれども、それは例外的に認められるという答弁を当時し、事例としてたしか御紹介したことがあったと思います。

本庄委員 その答弁、私も記憶をしておりますが、安保法制のときの安倍総理の答弁だというふうに思うんですね。そして、そのときの安倍総理は、領域外での武力行使に該当する行動としては掃海が唯一だ、例外は考えていない、このように答弁をされておりました。

 防衛大臣、いかがでしょうか。この安倍元総理の当時の答弁を否定されるということですか。

浜田国務大臣 これは、我々にすると、今、先ほど答弁したとおりでございまして、我々はあくまでもこの考え方を踏襲しつつ今までお答えをしてきているところでありますので、我々とすれば、この考え方に変更はありません。

本庄委員 よく確認していただきたいと思います。安倍総理も、憲法上できないと言ったのではなくて、政府として、それ以外の海外での活動を考えていない、ホルムズが唯一の例外だ、こういう趣旨で答弁をされたんじゃないかと思うんですね。是非、これはまた今後議論させていただきたいというふうに思います。

 もう一つ、今のちょっと関連で確認をさせていただきたいんですが、三十一日のこの委員会で玄葉議員がいろいろと質問をした際に、これは総理の答弁で、戦闘機あるいは艦船から攻撃を受けた場合に、その戦闘機の空港あるいは艦船の港湾基地、ここにミサイルを撃つ、そういう形での反撃ということも排除されないというような趣旨の答弁をされたと思うんですが、この点について確認させてください。

浜田国務大臣 岸田総理は、反撃能力を含む我が国の武力行使は、武力の行使の三要件を厳密に適用しなければならず、他の手段がない、そしてまた必要最小限の自衛の措置を個別具体的な状況に即して判断すべきものと考えていることを述べられました。また、本当に反撃能力、これしか手段がないのか、これを厳密に考えた上で現実に対応しなければならないと述べているところであります。

本庄委員 この議論、従来からありますけれども、これまでの答弁は、他国による武力攻撃を排除をする、航空機であれば、追い払うあるいは撃墜するというようなことを想定していたと思うんですね。

 今回、部隊ではなくてミサイルという手段になったので、他国にまで要は追撃をしていって攻撃をするということがより容易になっているわけです。やはりここは従来の考え方よりも更に慎重な、抑制的な考えを取らないと、自衛隊そのものが、派兵をして、追いかけていって、上陸をするというようなものとは全く状況が違うと思うんですね。そこは是非、防衛省の方でも運用の際によく考えていただきたいというふうに思いますし、もし今のような、他国の港湾やあるいは空港まで反撃して、追撃的に反撃できるんだ、こういうことになれば、これはまた反撃能力の趣旨が私は少し変わってくると思うんですね。

 お配りしたものに、反撃能力について、三ページですね、資料ですが、国家安全保障戦略がありますが、ここに書かれていることは、パラでいうと三パラですけれども、二つの目的が書いてあります。一つは、武力攻撃を抑止するということですね。この点については理解をする人も多いかと思うんです。そして、もう一つ言っていることは、反撃というのは更なる武力攻撃を防ぐためだということだと思うんですね。したがって、他国の領域まで追撃をして、反撃ミサイルを撃ち込むというようなことまで果たして想定されているのかというと、私は非常に、この戦略の文言を見る限り、疑問に感じています。この点については、また引き続き議論させていただきたいというふうに思っています。

 時間がありません。着手についてちょっと確認をさせていただきたいと思います。

 今のちょっと続きになりますけれども、政府は、反撃能力について、武力行使の三要件を満たして初めて行使をされる、武力攻撃が発生していない段階で自ら先に攻撃をする先制攻撃は許されない、こういうふうに言っていて、この戦略の中にも書かれています。

 他方で、従来から、三要件の武力攻撃の発生については、着手という概念で、現に発生はしていないけれども発生したものとみなして防衛出動をしたり武力行使をするということは可能だ、こういう解釈を取ってきたと思うんですが、ミサイル攻撃に対する着手というのは一体どういうことを考えていらっしゃるんでしょうか。何をもって着手だというふうに考えるんでしょうか。

浜田国務大臣 政府は従来から、どの時点で武力攻撃の着手があったと見るべきかについては、その時点の国際情勢、攻撃国の明示された意図、攻撃の手段、態様等によるものであり、個別具体的な状況に即して判断すべきものと考えてきております。

 このため、我が国がミサイル攻撃を受ける場合に、攻撃国のいかなる活動がミサイル攻撃の着手と判断されるかについても、今申し上げた考え方に沿って、個別具体的な状況に即して判断するものであり、一概にお答えすることは困難だと思います。

本庄委員 建前論はそうなんでしょうが、現実には、ミサイル発射というのは、列車あるいは移動車両あるいは潜水艦というようなところから発射が想定をされる。あるいは、その後、移動してしまって、反撃しようにも目標物がもうそこにはない、場合によっては、どこから撃ったかもよく分からない、こういうこともいろいろ考えられるわけですね。

 そう考えますと、実際上、ミサイル攻撃において着手という概念を持ち出すということは相当困難じゃないかと私は思うんですね。したがって、この着手の概念を、ミサイル攻撃においては適用するというのは私は望ましくない、適切ではないというふうに思いますが、最後に御答弁をお願いします。

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。

浜田国務大臣 御指摘の反撃能力の行使に関して、現実の問題として、相手側のミサイルの発射、特に第一撃を事前に察知し、その攻撃を阻止することは難しくなってきていることは事実であります。こうした状況も踏まえて、国家安全保障戦略においても、ミサイル防衛網によって、飛来するミサイルを防ぎつつ、相手からの更なる攻撃を防ぐために、我が国から有効な反撃を相手に加える能力を保有すると記載したところであります。

 その上で、具体的な対応について更に明らかにすることは、我が国の手のうちを明らかにすることから、安全保障上控えるべきと考えております。

 いずれにせよ、反撃能力は憲法、国際法、国内法の範囲内で運用されるものであり、専守防衛の考え方を堅持していきたいと思っております。

本庄委員 ありがとうございました。

根本委員長 これにて本庄君の質疑は終了いたしました。

 次に、三木圭恵君。

三木委員 日本維新の会の三木圭恵でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず初めに、昨年の十二月に、安全保障委員会の視察派遣で青森の八戸と三沢に行ってきました。様々視察させていただいて、大変有意義な視察でございました。海上自衛隊と海上保安庁の連携であるとか、F35Aのタッチ・アンド・ゴーであるとか、そういった様々なものを見せていただきましたが、その中で私は一番衝撃を受けたのは基地内の隊舎でございます。

 基地内の隊舎は築五十二年が経過して、コロナ対策とはお伺いしましたが、三沢の基地の四人部屋は、ビニールシートでコロナ対策で仕切っていて、まるで野戦病院のようで、その上、寒冷地ということがあって冷房がついていない。このような待遇が、自衛隊員、青森といえども、夜、熱帯夜、何日もあります。また、夜勤務して昼間睡眠を取らなければいけない自衛隊員が、西日が当たる部屋で、当然、遮光カーテンでもないんですね、普通のぺらぺらのカーテンです、そのカーテンの中で休憩を取らなければならない。そのような状況が基地内の隊舎で、八戸でも三沢でも見られました。

 それから、それだけではなくて、自衛隊の施設は耐震遅れで、四割が旧基準で、うち八割が耐用超えということになっております。

 かように自衛隊の方は我慢をしてきたと思うんですけれども、防衛費の増額ということで、初めて、私たち、増額になったからこの隊舎を見てもらいたいんだということで、見せていただきました。

 浜田防衛大臣にお伺いいたしますけれども、この隊舎についてどう思われますか。どうお考えで、これは何とかしていただけるんでしょうか。

浜田国務大臣 これまで、八戸や三沢基地を含む寒冷地域の隊舎には冷房設備を設置してこなかったところであります。近年の最高気温の上昇や熱中症発症の危険度を考慮し、令和四年三月に、これら地域にも冷房の設置が可能となるよう隊舎の整備基準を見直し、逐次整備を進めているところであります。

 今般策定された国家防衛戦略において、全ての隊員が高い士気と誇りを保ちながら個々の能力を発揮できる環境を整備する必要があるとの考えに基づき、生活、勤務環境の改善を推進していくこととしており、令和五年度予算案では、隊員の生活、勤務環境の改善に関わる経費として、前年度比二・七倍となる約二千六百九十三億円を計上しておるところであります。特に、隊員の健康にも直接影響があり、部隊からのニーズも高い空調は最大限対応しており、前年度比十七倍となる約四百二十九億円を計上しております。

 委員に御視察いただいた八戸及び三沢基地についても、令和五年度予算案等に必要な経費を計上し、しっかりと対応してまいります。

 引き続き、全ての隊員が士気高く任務に専念できるよう、環境の整備に向けた取組を重点的に推進していきたいと考えております。

三木委員 是非とも早急によろしくお願いをいたします。

 それで、私はなぜ、この予算委員会、この大事な場で自衛隊の隊舎のことを持ち出したかというのは、ほかにもいっぱいあるんですよ、自衛隊が様々、予算がつかないばかりに、GDP比一%に抑えられているがために、自衛隊が経費削減をして、非常な努力をして我が国の守りを務めてきたという現実がございます。

 例えば、私が聞いた話だと、演習に行くのに、高速道路を使えば二時間ぐらいで行けるところを、経費節減のために一般道を使って行く、六時間、七時間かけて演習場まで行く、そういった経費の節減も聞いております。

 また、GDP比一%に抑えられていたがために、例えば給与体系、現場で頑張っている制服組でない自衛隊員の方の給料、最終給料を、例えば制服組のキャリアの方よりも上に来るような、そんな給与体系にしたいと考えたこともあったけれども、GDP比一%に抑えられている以上、例えば、人事院勧告でほかの公務員がお給料が上がっても、自衛隊だけ上げられないというような状態も起きてくるんじゃないか、そういったことで、そういう給与体制に変えられなかった、こういうお話もお伺いしております。

 それで、防衛費が増額になったと、とても喜ばれたと思うんですよ、自衛隊の方とか。こういう経費削減してきたこと、やっと自分たちもまともに生活ができる、寝泊まりができる、そして演習も行ける、きっちりとした防衛として国民の皆様方に認めていただいたんだ、そういうふうに思ったと思うんですよね。

 でも、これは、蓋を開けてみたら、一兆円増税するということじゃないですか。増額には、国民の皆様方、御理解いただいていると思うんですね、八割、九割の方々が。でも、増税に対して皆さん反対なんですよ。それは、自衛隊に対する反対じゃなくて、政府に対する反対ですよ。

 でも、今政府が提案しようとしている財源確保法は、今の段階ではまだ入っていませんけれども、所得税を、復興特別税を二・一%から一・一%にして、残りを防衛費の財源に充てるというような法案になってくると思うんですね。

 今回この法案が通って、その次に財源法が通って、そうしたら復興特別税のやつも変えなくちゃいけない。そういった様々な手続をしている間に、防衛費が増額するということに対して、自衛隊は様々、国民の皆様方の理解を得るために今まで努力をしてきたんですよ。経費も削減して、つらい中でも文句を言わず、国の守りのために我慢してきたわけですよね。

 夏には盆踊り大会を開いて、音楽隊を結成して様々な行事に行って、住民の皆様方、国民の皆様方に理解を求めようとして一生懸命頑張ってこられたわけじゃないですか。東日本大震災のときには、冷たい水に胸までつかって、着替えたけれども、乾かない自衛隊の服をもう一回着て、それで国民の皆さんの救助に当たったり、遺体の回収に当たったり、そういう任務も果たしてきたわけじゃないですか。それを、自衛隊員の方々に、一兆円のために、増税という重荷を負わせるんですか。浜田大臣にお伺いいたします。

浜田国務大臣 今御指摘のあった点については、我々政府として考えた中で、一つ考え方があるとすれば、やはりこれは、我々、常に国民のために頑張っている自衛隊員でありますが、今回のその中にあるのは、やはりもう一歩考えを進めてみれば、我々のこの国をしっかりと守ってくれている自衛隊員に対して、その応分の負担というものをまた考えていただくという意味もあろうかと思うわけであります。

 その点については、いろいろな予算の立て方があろうかと思いますので、我々とすれば、今政府として提案していること、これが今の、現状、我々としての思いであります。

三木委員 浜田防衛大臣にこの御答弁をいただいたのは、やはり私は、自衛隊員の気持ちを思って、浜田大臣も、苦しいけれども、これは政府の方針なんだからということをしっかりと御答弁いただきたかったんですね。

 今、ウクライナがロシアに侵攻されて、台湾有事も五年後と言われていたのが三年後じゃないかとか、そういう記事がある中で、国民感情の中では、やはり安全保障をきっちりしなきゃいけないという思いがあると思います。だけれども、平和なときに戻ったら、防衛費の増税でいいのかという議論、多分、国民の皆さんの感情の中に、自衛隊は応援しているけれども、増税でいいのかというのは出てくると思うんですね。これは国民感情です、理屈じゃないので。

 これは、財源確保法でやるということは、復興特別税と同じように、所得税のところに、源泉徴収とかに、確定申告したら、どういう名前になるのか私は分かりません、防衛費になるのか安全保障税になるのか防衛税になるのか分かりませんけれども、常に目にするような形で出てくるわけですよ。

 だからこそ、私は、自衛隊員の方々の今後のお気持ち、そういったものを、志高くこの国を守っているのに、自分たちは税金でそういうふうに賄われているというような負い目を感じないように、防衛大臣の方にお願いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。これはもう御答弁は結構です。

 続いて、財源確保法について、鈴木大臣にお伺いいたします。

 防衛費の増額の手法、この五年間、中期防で、五年間で四十三兆円確保するというのが防衛費の予算の立て方だというふうに思っておりますが、そのために基金を創設して税外収入を積み立てるということで、財源確保法、今国会に提案をされております。

 その上、二七年からですか、二四年度以降、段階的に増税する、一兆円、不足分、毎年四兆円の財源、これから毎年必要になってくる分の、三兆円分は歳出削減や税外収入で賄って、一兆円を増税するというふうに聞いております。

 それでは、お伺いしますが、この五年間の中で確保した三兆円の部分、これは恒久的な財源ですか。

鈴木国務大臣 今回、財確法、財源確保法をお願いするのも、本当に、今の制度の中では防衛費に充てられない、例えば外為特別会計、外為特会等からも持ってくるとか、そういうことで、相当ぎりぎりまで頑張って、財源を集めてする、そのための財確法でございます。

 今御指摘のように、防衛の強化というのは、これは最重要課題であるわけでございますけれども、そういうぎりぎりの対応の中でやって、残りの四分の一、これは一兆円に当たる部分でございますが、それを税制措置でやらせていただきたい、こういうことでございます。

 財確法についての質問でございますが、そこの裏には、本当に無理をして、四分の三を、言葉は悪いですが、かき集めているという実態があるということを御理解いただきたいと思います。

三木委員 今、様々御答弁いただきましたけれども、四兆円のうち三兆円分は様々かき集めたと今おっしゃいました。確かに、決算剰余金であるとか、それから外為の特別会計からの繰入金とか、こういったものは恒久的に毎年毎年積み立てられるものかもしれませんけれども。

 例えば、コロナ予算に積み上がった積立金や基金等の不用分の国庫返納、これは〇・一兆円、〇・二兆円、それから〇・一兆円程度というふうに試算されていますね。だけれども、これは六年後もあるんですか。六年後から十年後までもこのお金があるんですか。

 例えば、国有財産の売却収入、大手町プレイスの政府保有分の売却収入とあります。これは〇・四兆円程度というふうになっておりますけれども、次の五年間もこういう売却は必ずあるんですか。そしてまた、売却があったとしても、これは四千億かどうか分からないですよね。一兆円で売れるかもしれない、二兆円で売れるかもしれない、そういう財産があるかもしれませんよね。

 この五年間もたっていないのに、まだまだ足りている部分でこれまでいけそうなのに、どうして、一兆円だけが恒久的に必要だから増税する、三兆円の分は、五年間はプールしているけれども、六年目から十年目はどうか分からないのに、これは恒久財源を充てないで、何とかかき集めるとおっしゃっている。

 これは、私は三兆円ありきだと思います。予算委員会の中で、いろいろな議員さんが言っています、いろいろな委員さんが言っています。三兆円ありきでしょう、何で四兆円、歳出削減しないんですか、構造改革しないんですか、行政改革しないんですか、みんな言っている。一兆円だけが税収で、恒久財源で賄って、あとの三兆円はどうなるか分からないようなお金も入っているじゃないですか。

 これは恒久財源ですか。国有財産の売却収入、大手町プレイスの政府保有分の売却収入四千億は恒久財産ですか。六年から十年後も必ずこういう財産があるんですか。お伺いします。

鈴木国務大臣 防衛予算を強化、防衛力を整備をするということで様々な工夫をいたしました。

 そして、財確法の中にも書くことになっているわけでありますけれども、防衛力強化資金というものを一般会計の中につくります。これは、防衛費、整備以外には一切使えないというものでございます。そして、先ほどお話がございましたとおり、国有財産の売却でありますとか外為特会等からの繰入れでありますとか、そういうものをそこにプールをいたします。

 まさに、この防衛力強化資金というものが、これが安定財源である、そういうことでございます。(発言する者あり)失礼しました、恒久財源。

三木委員 恒久財源だということなんですね、じゃ、三兆円の部分、今まで言われていた。私も、決算剰余金とか特別会計、外国為替資金特別会計からの繰入れとか財政投融資特別会計からの繰入れは恒久財源かなというふうに思いますけれども、コロナ予算より積み上がった積立金とか基金等の不用分の国庫返納なんて恒久財源じゃないですよね。資金に積み立てるのは、これは五年間の分ですよね。五年間で四十三兆円ですよね。違うんですか。

 じゃ、六年後から十年後はどうするんですか。六年から十年後の、例えば四十三兆円プラス今までの、GDP比二%分が要るというふうになっているじゃないですか。中期防でまた新たに計画が出てきますよね。その計画も何兆円で出てくるか分かっていないのに、どうして一兆円だけ恒久財源を充てるんですか。しかも、先ほど言いました財源確保法、これは、法律で通ったら、もうこのままずっと変えられない法律ですよね。なぜ、この一兆円だけこれでやるんですか。

 それと、もう一つお伺いしていいですか。

 例えば、パッケージで政策を提案すると岸田総理はおっしゃいました、この予算委員会の中で。例えば防衛費は防衛費のパッケージ、だから足りないところは財確法で措置する、これがパッケージだとおっしゃった。

 例えば異次元の子育て支援、ちょっと話が変わりますけれども、これはどういうパッケージかといったら、私は消費税だと思うんですよ。消費税の中にちゃんと書いてありますもの、少子化対策って。

 でも、こうやって様々パッケージ、パッケージで提案されてきて、今の構造を変えないで、足りないところは増税、足りないところは増税としていったら、最後、日本は増税ばかりで、国民の皆さん、税金を払ってあっぷあっぷになっちゃいますよ。違いますか。

鈴木国務大臣 税制でお願いする部分があるわけでありますけれども、それにつきましても、国民の皆さん方に対する負担をできるだけ小さくするという、そういう努力をしているところでございます。

 例えば、法人税につきましては、付加税を上乗せするわけでございますけれども、控除額をかなり取りまして、全企業の六%の企業体だけが課税の対象になる、そして、所得税率に引き戻しますと、一%の負担をお願いするという具合に、非常に対象を絞り、負担の額も一定のものに抑えて、そうした国民の皆様方の負担というものをできる限り縮小する、そういうような工夫をしているところでございます。

 東日本大震災に係る財源にいたしましても、一%増やしますが、今の家計に考慮して一%引き下げる、ただし、二〇三七年で終了するものを二〇三八年以降も継続をしていなければならないことは確かでありますが、それによって、東日本大震災復興に関わります財源をきちっと守っていく、それは必ず確保する。

 そういうことで、相当、税制でお願いすることにつきましても、対象あるいは規模等について非常に工夫をさせていただいているということで、こういうことを御説明しながら国民の皆様方の御理解を得たい、そのように思っております。

三木委員 岸田総理が、我が党の阿部司委員の御答弁の中で、与党として、閣議決定という形でまとめた内容を予算あるいは法律という形で国会に提出させていただき、国会で議論をしていただくとあります。

 閣議決定した内容が、税として一兆円を確保する、それは所得税と法人税それからたばこ税、この三つの税金で確保していく。そして、それから、今おっしゃいました復興特別税、二〇三七年までというものを十四年間延長するということで、国民の負担は、今現在払っている金額は変わりませんよという御説明だったと思うんですけれども、払う期間が長くなったら一緒ですよね、負担、増えていますよね。そういうのを詭弁というんじゃないですか。私はそう思いますね、本当に。

 それで、国会で審議をしていただく、それで最終決定だと思うんですね。まず、今国会で出ている財源確保法、これを審議して、これが採決になって、これが通る。それから、その次の段階として、適正な時期に、所得税から、復興特別税を二・一%から一・一%に引き下げる法案を出す、これは復興特別税の方ですよね。それから、防衛費の確保の方で所得税一%、これを国民の皆様にお願いする法案を出す。つまり、法案三つ通って始めてこれは実現するんですよね。そうですよね。

 でも、私、非常にびっくりしたのは、自民党のホームページにもう、防衛力強化に係る財源確保のための税制措置って全部載っていますよ、決まったみたいに。どういうことなんですかね。

 これは、与党と、政府で閣議決定しているから、自民党さんは与党ですから、浜田防衛大臣も鈴木財務大臣も政府の一員ですから、自民党の方じゃない、自民党としての答弁はできないとおっしゃるかもしれないけれども、便利ですよね、岸田さんにしたって、総理大臣で政府の方で首相だけれども、だけれども、自民党の総裁ですよね。同じ人物なのに、ここに立ったら政府としてしか答弁しない。こういうのを私はごまかしだと思うんですよ。三つも法案を通さなきゃいけないのに、もう決まったみたいにホームページに書かれたら、国会の審議を軽視しているとしか思えないじゃないですか。違いますか。

鈴木国務大臣 一か所訂正させてください。

 先ほど、法人税率に換算すれば一%程度だと言うべきところを所得税と言ってしまったようでありますので、そこを訂正させていただきます。

 今の三木先生のお話ですけれども、日本の政治というのは議院内閣制でございます。ですから、あたかも決まったようにとおっしゃいますけれども、まず、自民党におきましても、与党において政策決定プロセスがございます。最終的には総務会というものがあって、総務会を通らないと国会に法案が提出されない。

 そういうことで、議院内閣制でありますから、与党において審議をしていただいて、今、先ほど私がここで申し上げたような方針が与党の税制調査会で決定をされ、そして、それに基づいて来年度の税制改正大綱が決められている、こういうことでありまして、議院内閣制ですから、これは当然のことで、どの法律だってそういうことですよ。

 何かそこに疑問があるという御質問を伺って、ちょっと驚いている次第でございます。

三木委員 驚いている次第とおっしゃいましたけれども、私の方が驚きですよ。

 じゃ、何で国会を開いているんですか。与党と野党といったって、野党の提案がよかったら、それを取り入れてちゃんと変えていく、国民の皆様方に納得していただく、説明をしていただく、それが国会じゃないですか、国会の審議の場じゃないですか。

根本委員長 では、財務大臣鈴木俊一君。

三木委員 いや、私、聞いてないです。済みません、質疑時間がもうあと三分しかないので、私、ほかのことも聞きたいので、申し訳ないんですけれども。

 台湾有事について一点だけ。

 台湾有事においてどのようなシミュレーションをされているのかということを、私、非常に危機感を持って感じております。もうあと三分ですので、浜田防衛大臣に御答弁いただく時間もないかもしれませんけれども……(発言する者あり)いや、本当に、済みませんけれども。邪魔しないでください。

 台湾有事、台湾有事と言うけれども、中国が仮に台湾に攻めてきた、台湾を統一しようとしてやってきた、だけれども、日本に一歩も手を触れなかった場合、尖閣諸島、今、台湾有事は日本の有事と言われている多くの方々は、台湾に来たら尖閣も取りに来るよ、そういう想定だと思うんですよ。でも、もしも尖閣に中国が来なかったら、日本は手出しできない。例えば、アメリカも来るのが遅れたとか、アメリカも来ないとか、そういう状況になった場合、では、日本は一体、台湾にどんな支援がしてあげられるんですかということを私は常々思っています。

 今の防衛装備品移転三原則では、台湾に何も送ることはできないと思うんですよ。ウクライナに送るのだって、大変な努力をして、浜田防衛大臣が知恵を絞って、要項を書き換えて送られたというのをどこかの記事で読みました。でも、ウクライナと台湾では距離も違うし、台湾が日本に対して持っている期待感も違うし、台湾は日台友好だと言っているし。そのときに日本が何ができるのかということを、もう今から法改正や解釈の変更をしてやっていかないと間に合わないですよ。

 それを、浜田防衛大臣、どう思っていらっしゃるか、お聞かせください。

浜田国務大臣 政府としては、台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障はもとより、国際社会の安定にとっても重要であります。台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのが従来から一貫した立場であります。

 その上で、我が国の対応は、一般に個別具体的な事態の状況によって決まるものであり、現時点でお答えができないことを御理解いただきたいと思います。

 いずれにせよ、我々、憲法、国際法、国内法令に従って、あらゆる事態に適切に対応できるよう、具体的な対応を考えてまいりたいと思います。

三木委員 浜田防衛大臣、御答弁ありがとうございます。

 やはり、普通の国交がある国ではないということだと私は、台湾は特に、思います。国連でも国として認められていない地域だ、日本もそういうふうなおつき合いの仕方をせざるを得ない地域だと思います。

 だけれども、そこで有事が起こった際に、日本が、日本国として台湾に何を、どんな支援を、どんな手を差し伸べられるのかというのは、もう今から考えて遅くないと思いますので、是非ともそれはきっちりと考えていただいて、まあ御答弁の内容は明かしていただけないのかもしれませんけれども、きっちりと中の方で議論を深めていただきたいと思います。

 鈴木財務大臣には、最後、御答弁いただけなくて申し訳ございませんでした。議院内閣制を理解していないというわけではなくて、野党の意見も取り入れた上でやはり国民の皆様方の増税ということは考えていただきたいということを申し述べたかっただけでございますので、よろしくお願いを申し上げます。

 日本維新の会は、この増税には反対でございます。

根本委員長 これにて三木君の質疑は終了いたしました。

 次に、住吉寛紀君。

住吉委員 兵庫県姫路市よりやってまいりました、日本維新の会の住吉寛紀でございます。

 今国会は、防衛費の財源について大変注目が集まっております。我が党は、先ほど来ありますが、この国を守るため、そして将来世代にすばらしい日本を引き継ぐために、また、先ほど三木委員の質問でもございましたが、この国を守る自衛隊の処遇改善、こういったことに対して、防衛費の増額自体については反対ではございません。その一方で、財源について疑問が生じているということは、これまでの我が党の質疑においても認識していただいていると思っております。

 昨今の国会情勢を見るに、年末に大型補正予算が組まれ、使わない莫大な予備費を積み上げるといったずさんな財政運営がなされております。それにもかかわらず、今回の防衛費のために増税すると言っておりますが、もっと予算の無駄を省けるのではないか。我が党は、身を切る改革を行い、行財政改革を進めていく考えですが、政府も同様に進めていくべきだと考えます。

 また、防衛費確保のために、歳出改革、決算剰余金の活用、防衛力強化資金で対応し、残りの一兆円強は税制措置を講じるとしております。我々は、増税なくして一兆円は捻出できると先日来の予算委員会でも主張してまいりました。コロナ対策費の自然減や補正予算の精査、また、景気回復や経済成長による増収、未使用の基金、国債償還ルールの見直し、政治家の身を切る改革、行財政改革などをして、それでもなお捻出できないのであれば、初めて国民にお願いするというスタンスでございます。

 その前提において、今回の税制措置の案では、法人税、たばこ税、復興特別所得税にスポットが当たっております。その中でも、復興特別所得税について質問していきたいと思います。

 そもそもの前提として、この復興特別所得税、これは何のために創設されたのか、その目的について確認させてください。

鈴木国務大臣 復興特別所得税は、平成二十三年に成立いたしました特別措置法に基づきまして、その目的は、東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源を確保するための特別措置として創設されたものと理解しております。

住吉委員 東日本大震災の復興を手助けするためということなんですが、そもそも、復旧復興とは何か、どうなったら復旧復興したと言えるのか、そのゴールについて定義があるのか。

 復旧復興のグランドデザインを設けて、ここまで達成したら復旧復興したというゴール、これを示すべきではないかと考えておりますが、その定義について、政府の見解、これをお願いいたします。

渡辺国務大臣 被災地の復興につきましては、現在、令和三年度から七年度の第二期復興・創生期間以降における東日本大震災からの復興の基本方針に基づきまして、政府一丸となって取り組んでいるところでございます。

 復興に当たっての考え方でありますけれども、この基本方針に示されているように、単に被災地に人が戻ることを目的にするのみならず、魅力あふれる地域を創造することで、コミュニティーを再生し、持続可能で活力ある地域社会をつくり上げていくことが重要であると考えております。

 こうした考えの下に、これまで、住まいの再建やインフラ整備、産業、なりわいの再生といった様々な復興施策を進めてきたところであります。

 被災地の方々はもとより、復興に関わる様々な関係者の御尽力によりまして、例えばでありますが、令和二年十二月には災害公営住宅や高台移転による宅地造成が完了し、また、令和三年十二月には復興道路、復興支援道路が全線開通をしたところであります。

 復興は着実に被災地域については進んでいるところもありますが、その一方で、被災者の心のケア等、まだ残された課題があり、被災者に寄り添いながら、きめ細かく対応していく必要があると思います。

 あわせて、人口減少や産業空洞化といった全国の地域に共通する課題を抱えている被災地においては、地方創生を始めとする政府全体の施策の総合的な活用を図ることも重要であります。

 また、原子力災害被災地域においては、いまだ多くの方々が避難生活を余儀なくされており、国が前面に立って中長期的に対応していくことが必要であります。

 ALPS処理水の処理に伴う対策、帰還困難区域の避難指示解除に向けた取組、福島国際研究教育機構、いわゆるF―REIの設立に向けた取組、このような課題に対して、このような様々なニーズに対応しつつ、本格的な復興再生に向けて取り組んでいく所存でございます。

 被災された方々お一人お一人が安心して暮らせる日常を取り戻し、希望を持って生活できるよう、引き続き政府一丸となって取り組んでまいりたいと思います。

住吉委員 本当に、非常にまだまだ、復興というと、時間がかかるものだと思います。

 両大臣の答弁ですけれども、この復興特別所得税、これは東日本大震災の復旧復興のために、全国民から、お願いをして特別に徴収されているものであると認識しております。

 仮にそうであれば、例えばですけれども、今大臣がおっしゃったようなグランドデザイン、これが前倒しに達成できれば、それはもちろん全国民からの負担を取り除いていく、そういったことも、廃止すべき性質のものだと私は認識しておりますが、それで間違いないのか、それとも、未来永劫取り続けるんだというようなものなのか、見解をお願いいたします。

鈴木国務大臣 復興特別所得税でありますが、先ほど申し上げましたとおり、東日本大震災からの復興のために必要な財源を確保するための特別措置として創設されたものであり、二〇一三年から二〇三七年までの二十五年間、所得税額に対しまして税率二・一%の付加税を課す時限措置であるという意味において、恒久的にある税ではないということであります。

住吉委員 恒久的ではないということでございます。

 一方で、防衛費の確保の手段について、復興特別所得税、これを一%引き下げて、所得税額に対して新たな付加税を一%課す案というのが取り沙汰されております。

 この場合、復旧復興が終わったので復興特別所得税を一%程度引き下げた、それとは別で所得税額に対して一%を課すという部分、この部分は新たな増税ということに考えますが、その認識でよろしいか、政府の見解をお願いいたします。

鈴木国務大臣 今般の税制措置のうち、所得税につきましては、所得税額に対して、当分の間、税率一%の新たな付加税を課す一方で、復興財源の総額を確実に確保するために、課税期間を延長することで、復興事業に影響を及ぼすことのないようにしつつ、復興特別所得税の税率を一%引き下げることといたしております。

 こうした措置によりまして、新たな付加税と復興特別所得税を合わせた付加税率は二・一%と現在と変わらない水準であるため、現下において負担増にならないような仕組みとしているところでございます。このようなことを丁寧にこれからも御説明をして、国民の皆様に理解をしていただきたいと思っております。

 二〇三八年以降については、負担が継続するという意味においては、今までになかった負担をお願いするということにはなるんだと思います。当面は負担の額は増えないということであります。

住吉委員 国民の負担が一緒だからいいだろうというような答弁は、余りにも上から目線な気がします。

 実際に、三七年にはもうなくなっている可能性があるものをわざわざ延ばしたということです。それは、もちろん被災地で苦しんでいる方のために必要な措置かもしれませんが、それは、国民に対して負担を更にお願いしている。実際、三七年で終わっていたものが更に追加されるということは、これは誰がどう見ても増税だと思うんですけれども、その認識でよろしいか、再度答弁をお願いします。

    〔委員長退席、中山委員長代理着席〕

鈴木国務大臣 繰り返しになるかもしれませんけれども、先ほど申し上げたような、家計の負担増にならないよう配慮しているところでありますが、二〇三八年以降も付加税が続くということにより負担増となるではないかという御指摘は、先ほど私が答弁したとおりでございますが、これについて、総理もこの委員会で述べられておりますが、経済成長と構造的な賃上げの好循環を実現することで、税制措置による国民の負担感を払拭できるように、政府として努力してまいりたいと思っております。

住吉委員 私は、増税かどうかということを質問させていただきました。ちょっと、次の質問の答弁をおっしゃっているのかもしれませんが。

 一%程度引き下げて期間を延長するということは、国民により長く我慢を強いるということになると思いますし、うがった見方をしますと、この復興特別所得税、これは恒久的に取り続けるんじゃないかなというような思惑を感じます。もうあるものだ、国民にお願いして、特別に徴収して負担をいただいているというようなことじゃなくて、それは、政府側からすると、これはもうある財源だというような、非常に上から目線を感じます。

 恒常的に今後取り続ける思惑を感じますが、このような対応自体が妥当かどうか、政府の見解をお願いいたします。

鈴木国務大臣 先ほど申し上げましたとおりに、復興特別所得税、これは期限が、時限措置であるという意味におきまして、恒久的にある税とは考えておりません。

 したがいまして、復興に必要な財源が確保される、復興が終了するということなんでしょうか、そうしたときにおいてはこの復興特別所得税はなくなるものだ、そういうふうに理解しています。

住吉委員 そもそも、この復興特別所得税は、繰り返しになりますが、東日本大震災で被害のあった地域を全国民の負担で早期に復旧復興させるというものですが、そのような復旧復興のための税金を今回下げて、さらに新たにしてほかに転用しているような、そういうやり方を取っている、又は、この期間を延長するということはそもそも復興特別所得税の趣旨に反するのではないかと考えますが、御所見をお願いいたします。

鈴木国務大臣 先ほど来から申し上げているところでありますが、復興特別所得税につきましては、現下の家計の負担増にならないよう、その税率を引き下げるとともに、課税期間を延長することとされておりますが、その延長幅につきましては、復興財源の総額を確実に確保するために必要な長さとされているところであり、復興事業に影響を及ぼすことのないようにしております。そのため、復興特別所得税を防衛費に流用しているという御指摘は当たらないものと考えております。

 こうしたことについて、国民の皆様方に御理解を深めていただけますように、しっかりと説明を行ってまいりたいと思っております。

住吉委員 国民の皆様は恐らく理解されないと思っております。負担が一緒だから結局一緒だろうというような形ですけれども、本来なら、三七年までみんなで頑張っていこうよということで国民にお願いしたのではないのでしょうか。

 そういったところから、恒常的に税金が取れるから、これをうまいこと組み合わせて流用できるような仕組みをつくっているとしか私は思えません。流用でもない、増税でもないというようなことは明らかに当たらないのではないかと思っております。

 国民が、なかなかこの点については、大臣は先ほど来より理解してもらうと言っておりますが、理解できないと思いますよ。増税でもない、流用でもない。本来、東日本大震災のために国民が一致団結して納めているものを目的外に使っているということは、これは、ある意味、詐欺に近いようなことかもしれません。言葉はちょっと失礼ですけれども、そういうような形だと思っております。

 ちょっとそれについて、大臣、もう一度御答弁、お考えをお願いします。

    〔中山委員長代理退席、委員長着席〕

鈴木国務大臣 国民の皆さんに御理解が得られないということが、一番、どの政策を遂行するに当たってもあってはならない、国民の皆さんに御理解いただくということが大切なことだと思います。

 今回、令和九年度以降の安定的な財源を確保する、約四兆円をずっと続けていくために、ぎりぎりの対応をして何とかその四分の三は手当てをしたとしても、どうしてもそれでは手当てできない四分の一、これが約一兆円に当たるわけでございますが、それについて税制措置でお願いしなくてはならない。その中に、今先生から御指摘があります東日本大震災復興の特別税もあるわけでございまして、政府としては、とにかく国民の皆様方にこの税制による対応を御理解いただき、何とか協力をしていただきたい、そういう思いで、御理解がいただける努力をしっかりとしなければいけないと思っております。

住吉委員 我が党からも、ずっと本会議から質問がございました。四兆円あって、三兆円は何とか捻出できるけれども一兆円は捻出できないというのは、余りに理解ができないところでもございます。

 例えば、我々の国会議員の歳費も八月からアップしております。そういった努力もまだしていない。議員の身を切る改革、これは大阪の方では本当に本気でやってきた改革で、さらには、府民にも多くの負担をお願いしてやってきたところでもございますが、そういった身を切る改革をやっていない状況でそういったことが出るというのは、非常に残念なところでもございます。

 ちょっと時間もございませんので次の質問に行きたいと思いますが、少し阪神大震災のことについて質問したいと思います。

 私は、兵庫県姫路市が選挙区ではございますが、阪神大震災のときには被災地の神戸に住んでおりました。家の前は焼け野原になり、親戚や友人も亡くしました。また、小学校四年生でしたが、この小学校も全壊して、卒業まで仮設校舎で過ごしていた、そんな地域でございました。

 神戸の町並み自体はきれいになりましたが、多くの被災者の心の傷は完全に癒えることはございません。心の傷もそうですが、兵庫県の財政的な傷み、これは実はまだ残っているということも事実でございます。

 阪神・淡路大震災からの創造的復興のため、実は、事業総額約十六兆三千億円の復興計画を立てて、そのうち、兵庫県の負担というのは約二兆三千億円でした。当時の兵庫県の一般、特別会計を合わせるとほぼ同等の額で、一年分の事業を全て県単独で行うのと同等の負担だったわけでございます。県債管理基金を取り崩して、さらには、兵庫県は一兆三千億円もの県債を発行しました。そして、一兆三千億円を約三十年間で返していくわけですから、ほかの都道府県にはない、非常に重たい、年間約五百億円であったり六百億円程度の負担が重くのしかかります。

 この間、兵庫県は、投資的な事業、これを相当に抑制してまいりました。それの尻拭いは言うまでもなく県民です。本来ならやった方がいい事業や行政サービスも、財政的な理由で、あれも駄目、これも駄目という形で抑制されておりました。そして、この震災関連県債については、あと十年近く返済していかなければなりません。

 ちょっと資料の順番が前後しますが、資料三を御覧ください。

 これは先日、阪神・淡路大震災から二十八年を迎える前日の、今年の一月十六日の神戸新聞の朝刊でございます。兵庫県を始め関連の市において、震災関連の債権が二〇二一年度ベースで三千八百三十二億円残っているというような状況でございます。

 続いて、資料一と資料二の方を御覧ください。

 資料一は阪神・淡路大震災のときの国からの支援、資料二は東日本大震災のときの国からの支援です。

 最初に申し上げておきますが、東日本大震災の支援が間違っていると言うつもりは毛頭ございません。同じ被災地選出の議員として、共に復興を推し進めていきたいという気持ちを持ち続けております。

 資料一の赤い囲みのところ、これが地元負担というふうになっております。国はその当時、財源を確保する特例法を早期に成立され、補助率のかさ上げなどをやっていただいているということには感謝しておりますが、最大で地方が五二・五%負担する状態となっております。一方で、東日本大震災においてはほぼ一〇〇%国が負担するというスキームになっており、非常に大きな差が生じております。

 災害とはいつどこで起きてもおかしくないわけでございますが、被害を最小限に抑えていくこと、これはもちろん行政の役割ですが、復興も当然行政の役割となっております。一度発生した災害で、国の制度の違いによって、あるエリアでは長期間にわたって住民に尻拭いをさせ続けるということは、なかなか納得できるものではございません。

 先ほど来より議論しておりましたが、復興特別所得税、これをある意味防衛費に流用するというのであれば、今なお財政的に苦しんでいる被災地の負担を減らしていくことも必要であり、この本来の趣旨からしても国民の理解も得られると考えますが、御所見をお伺いいたします。

鈴木国務大臣 復興特別所得税の税率引下げを含む税制措置、これは先ほど来お話をさせていただいていますように、防衛力の抜本的な強化を安定的に支えることを目的としたものでありまして、この防衛力強化のために確保した財源を他の経費に充てることは適当ではないと考えておりますが、先生御指摘の阪神・淡路大震災の復旧復興関連事業のために発行した震災関連の県債、市債につきましては、その元利償還金に対して交付税措置を講じるなど、被災自治体の財政運営に支障が生じないよう対応しているものと承知をいたしております。

住吉委員 支障が生じないと言っておりますが、大きく生じているのが現状でございます。

 これをまた十年間かけて返していかないといけないということで、兵庫県は、職員の数も三割削減したり、また報酬もカットしたりして、本当に多くの、また県民にも多くの負担を求めているわけですので、これは今言って、ではやりますとはならないとは思いますが、また今後に引き続いて議論させていただきたいと思っております。

 ちょっと、最後一問だけ、日銀法について質問させていただきます。

 昨日、我が党は日銀法の改正案を衆議院に再提出させていただきました。一方で、日銀総裁の同意人事、非常に、マクロ経済の観点からも、世界中からも注目されているわけでございます。

 一方で、日銀総裁の同意人事ですが、行われるのは採決のみであり、その人物の金融政策の適正性について建設的に測るというのが困難という実態でございます。候補者の金融政策等が事前に分かるようにすべきだと思いますが、政府の見解をお伺いいたします。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 任命時の国会同意が法定されましたいわゆる国会同意人事の手続については、衆参両院各会派の御議論を経て、平成二十五年に定められました衆参議院運営委員長申合せで定められています。これに基づき、同意人事案件については、衆参議院運営委員会理事会において同時に提示が行われ、その後、日銀総裁候補者等については、衆参議院運営委員会において所信聴取、質疑が行われるものと承知をしております。

 御提案の件につきましては、国会審議の在り方に関わるものであり、まずは国会において御議論をいただくべきと考えています。

住吉委員 同意人事ですので、そういったプロセスなんでしょうけれども、本当に重要な人事だと思っております。

 今の御答弁ですと、決まった候補一人に対しての質疑となりますので、対比ができない状態です。そうでなくて、もっと前広に、どういう政策を持っているのか、これをしっかりと知る必要があるのではないかと考えております。

 ちょっと残りの質問については、また委員会の方で取り上げさせていただきたいと思います。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

根本委員長 これにて住吉君の質疑は終了いたしました。

 次に、掘井健智君。

掘井委員 日本維新の会の掘井健智でございます。

 ちょっと順番を変えて、金融政策について黒田総裁から質問をしたいと思いますので、よろしくお願いします。

 日銀がこの一月三十一日に、二〇一二年当時の金融政策を決定した会合の議事録を公開いたしました。この議事録の論調から見ますと、日銀が物価目標を立てているが、達成されないと中央銀行の信認が低下するから経済にマイナスだ、また、金融政策が政治色を帯びたことで日銀に対する信頼感が低下したということが紹介されております。つまり、日銀が物価目標を持つべきではない、そして金融政策に政治が入ってくるな、こうとも聞こえるんです。

 この後、財政のことで質問していきますけれども、経済成長と財政健全化が二律背反にならないためには、順番があって、経済の目標の成果がクリアできたら次に移る、そういうことでありますから、やはり目標というのは非常に大事であると思っております。そして、政府と日銀が共有してこの政策を連携するということは正しいと思っておりますけれども、総裁、いかがでしょうか。

黒田参考人 御案内のとおり、二〇一三年一月に公表した政府と日本銀行の共同声明、これは、デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のために、政府と日本銀行が、それぞれの役割をしっかりと果たしながら、連携してマクロ経済政策の運営に当たることを示したものでございます。政府と日本銀行は、この共同声明に沿って必要な政策を実施してまいりました。その下で、我が国の経済、物価は着実に改善し、デフレではない状態を実現しました。

 マクロ経済政策の運営に当たって、政府と中央銀行が十分な意思疎通を図ることは極めて重要でありまして、日本銀行法にも規定されているとおりであります。今後も、政府と緊密な連携を図りながら、日本銀行としての責任をしっかりと果たしてまいりたいというふうに考えております。

掘井委員 ありがとうございます。

 しっかりと続けていただきたいなと思っております。

 これも一月三十一日の朝日新聞でありますけれども、白川前総裁が、米国の元財務長官サマーズ氏のコメントを紹介いたしております。日本で大規模な金融緩和の実験をやったが、インフレ率は反応しなかった、当然のように考えていたこの理論が実は誤っていたことを示唆しているというコメントがありました。

 確かに、なかなか量的緩和というのは利かないわけでありますけれども、これはやはり、余りにも長いデフレのために市場が反応しないというか、企業も設備投資もしませんし、賃金もなかなか到達しない、こういうことであると思っておるんですね。

 今、そういう中でありますから、金利を上げろでありますとか、また、先ほどの質疑にもありましたけれども、因果関係が逆という声もちらほら聞きます。

 しかし、やはり量的緩和というのは、期待インフレを、インフレ率を上げて、そして金利を下げる、企業が設備投資をする、そして雇用が生まれて賃金が上がっていくという、これはマクロ経済の基本だと思うんですね。

 これは、逆のオペレーションなんかそもそもないと思うんですけれども、今までこうやってやってきたんですけれども、この量的緩和が必要であったのか、また、今後あるのか、そして、今後どういった状態を目指すのか、これを改めて説明していただきたいと思うんです。

 また、コストプッシュインフレが今問題になって、金利を上げろという空気感になっておりますけれども、やはりこれは特殊な要因でエネルギー、また食料などが、輸入価格を、上がっておりますけれども、抑えること、円安に対応する政策は、これは全く別であると思うんですけれども、この辺を詳しく説明していただけませんでしょうか。

黒田参考人 日本銀行といたしましては、二%の物価安定の目標を持続的、安定的に達成するよう適切な金融政策運営に取り組んでおりまして、そのことは、企業収益や雇用、賃金の増加とともに物価上昇率が緩やかに高まっていくという、いわゆる好循環をつくり出すことを通じて経済の持続的な成長にも資するというふうに考えております。

 この点、これまで実施してまいりましたいわゆる量的・質的金融緩和は、政府の様々な施策とも相まって、物価が持続的に下落するという意味でのデフレではない状況を実現いたしました。また、雇用の面では、生産年齢人口が大きく減少する中でも、女性や高齢者を含めた四百万人を超える雇用の増加が見られたところであります。

 今後の金融政策運営につきましては、当然、先ほど申し上げたとおり、日本銀行は、賃金の上昇を伴う形での物価安定の目標の持続的、安定的な実現を目指して金融政策を運営してまいります。

 足下の生鮮食品を除く消費者物価の前年比が昨年十二月に四%となりましたが、これは、主として輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響によるものであります。この点、既に輸入物価の前年比のプラス幅は縮小しておりまして、その影響は徐々に減衰していくと見られます。また、今後、政府の経済対策によるエネルギー価格の押し下げ効果も加わるため、消費者物価の前年比は、来年度半ばにかけて二%を下回る水準までプラス幅を縮小していくと考えております。

 消費者物価の基本的、基調的な上昇率、これは、需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率や賃金上昇率の高まりなどを背景に、物価安定の目標に向けて徐々に高まっていくと考えますが、それにはなお時間がかかると見ております。

 加えて、海外の経済、物価情勢、あるいはウクライナ情勢、感染症の影響など、我が国経済をめぐる不確実性は極めて大きい状況にあります。こうした経済、物価情勢を踏まえますと、現在は、経済をしっかりと支え、企業が賃上げをできる環境を整えていくことが重要であり、金融緩和を継続することが適当であるというふうに考えております。

掘井委員 ありがとうございます。

 総裁、退任されますけれども、誰がなっても、日銀の都合、また財務省の都合じゃなしに、国民の目線に立った金融政策を展開していただきたい、このように思っております。

 次の質問であります。次は増税についてであります。

 増税については、正式に法案が提出されていませんので、本格的な議論はこれからであると思っておりますが、我が党の予算質疑においても、政府が増税を考えていることが明らかになりました。また、理屈からいって、増税と防衛費はセットではない、こういうことも指摘をさせていただきました。

 我々維新の会は、まず、本気で歳入歳出改革をやるという観点から増税に反対することを訴えておりますけれども、今日は、経済成長を阻害する観点から増税に反対であるという思いで議論をしたいと思っております。

 財務大臣は、これまでの財政政策の説明において、経済ありきの財政である、常々こう言っておられます。私は、この言葉を、財政健全化はもちろん大事でありますけれども、国民の生活はもっと大事である、このように理解しております。

 経済ありきの財政とは、経済成長の恩恵を受けて達成されるものであります。つまり、税収が増えるわけであります。経済成長と財政の健全化を同時にやろうとしますと、どうしても二律背反になっていきます。まずは経済を立て直すことが重要であると思います。

 増税、経済にこれは影響があると思うんですけれども、大臣、どうでしょうか。

鈴木国務大臣 一般論として申し上げますと、政府が様々な行政サービスを提供するに当たっては、その財源を確保する必要がありまして、税制による措置はその主要な手段の一つであります。そして、増税が経済にもたらす影響を評価するに当たりましては、導入されることとなった行政サービスや、それによってもたらされる便益など、幅広く見る必要がありまして、措置された税制のみを取り出して議論するのは適当ではないと考えております。

 その上で、新たな税負担を求めるに当たっては、経済社会の状況等を踏まえてその在り方を検討することが必要です。例えば、今般の防衛力強化のための税制措置について言えば、現下の家計を取り巻く状況等を踏まえまして、個人、法人への影響を最大限配慮する仕組みとすることとし、同時に、経済成長と構造的な賃上げの好循環を実現することで国民の負担感を払拭できるよう、政府として努力してまいります。国民の皆様に御理解を深めていただけますように、今後とも丁寧な説明を行ってまいりたいと思っております。

掘井委員 丁寧な説明といいますか、やはり経済はマインドなんですね。先行き増税すると分かっておったら、財布のひもがぎゅっと縮むと思うんです。これは当たり前だと思うんですね。

 次の質問です。

 我が党の予算質疑において、積み上げる必要がなくなった財源など、ほかにあるんだろうという議論をしておりますが、無駄をなくすといいますか、これまで手をつけていなかった財源を考えたいと思うんです。そして、それを見つけたら制度化できないのか、こう思っております。

 外為資金を財源に使えないかということでお伺いしたいと思います。

 昨日、金利差の剰余金、これが財源でいいのかという議論もありました。財源として適正だと答弁をされておりました。

 私は、緊縮財政も反対でありますし、また増税も反対なので、これまで手をつけていなかったいろいろな財布を見たいと思うんです。外為資金、今たくさんあると思いますけれども、まず外貨準備高、これは一体どれぐらいあるんでしょうか。

根本委員長 ちょっと止めてください。

    〔速記中止〕

根本委員長 速記を起こしてください。

 財務大臣鈴木俊一君。

鈴木国務大臣 大変失礼いたしました。

 一兆三千五百六十一億ドルでございます。

掘井委員 分かっているんですけれどもね。分かっているんですが質問しました。

 本当にたくさんありますね。これは、資料を見ていただくと、どんどん増えているんです。既に国会で議論されておりますけれども、外為の資金、特別会計の資金です。これは本体に大分お金もたまっているようなんですけれども、例えば、FBを償還して、幾らかここから財源に充てられないんでしょうか。

鈴木国務大臣 今回の税制措置をお願いするに当たりましても、その前提としてのぎりぎりの税外収入からの取りまとめ等をしておりまして、御指摘の外為特会からも相当、防衛費に繰り入れることにいたしております。

 そして、先生からは、更に財源が出るのではないか、それから、外為特会の評価益は財源になるのではないかという趣旨の御質問だったと思います。

 まず、外為特会の更なる一般会計への繰入れということについて申し上げますと、外為特会の余剰金については、令和四年度の見込額の二・八兆円の全額について一般財源に繰り入れることに加え、進行年度である令和五年度につきましても、現時点で確実に発生が見込まれる一・二兆円の全額を一般会計に繰り入れることとしておりまして、これは過去最高額の進行年度繰入れとなります。

 これ以上の金額について進行年度繰入れを行った場合には、確実に発生が見込まれる分を超えることとなり、結果として外為特会の余剰金が繰入額に満たない事態も生じかねないことから、外為特会から更に財源を捻出することは難しいと考えております。

 それから、外国為替評価損益を使えないかということでございますが、外為特会の外国為替評価損益は為替レート次第で大きく変動するものであります。例えば、令和四年三月末の外国為替評価損益は一兆円である一方、一年前、令和三年三月末にはマイナス十一・五兆円の評価損を計上していたところであります。したがって、財務省としては、その時々で変動する外国為替評価損益を裏づけとして財源を捻出することも適当ではないと考えております。

掘井委員 大臣、今の答弁はこれから質問することだったんですけれども、よく分かりました。

 相場が変動することはよく分かるんですね。しかし、これは為替介入しても、今回は九兆円と聞いていますけれども、そんなに利いていないと思うんですよ。三日ほどです。たった三日ほど。このために本当に為替介入の資金が要るんでしょうかね。これは円で直したら百七十兆円ぐらいあると思うんですけれども、ずっと積み上がっているんですね。これだけ要りますか。

鈴木国務大臣 これはやはり、経験的にこの額が決まってくるんだと思います。やはり安定的な為替相場を維持する、場合によっては為替介入をしなけりゃならないということを考えた場合に、今程度の規模が必要である、そういう判断をしているところであります。

掘井委員 足らない防衛費が一兆円、これは何とでもなると思うんですよね。

 もう時間がないので、次の質問に行きます。

 我が党の代表質問において国債償還の延長を要望した、六十年償還ルールのことであります。国債残高の六十分の一を償還財源として一般会計に毎年積んでおくという制度であります。毎年約二十五兆円を積み立てています。

 六十年の根拠について議論したいと思うんですけれども、この償還ルールが作られた当時を振り返りますと、公共施設の耐用年数がおおむね六十年であったということ、この期間内に償還を終了するという考えに基づいているとの答弁をこれまでされております。

 しかし、今では、建設材料なんかは、改良された結果、六十年を超えて、もう八十年、九十年もつんですよね。そうであるならば、八十年償還ルール、九十年償還ルール、あってもいいと思うんですけれども、大臣、どうお考えでしょうか。

鈴木国務大臣 確かに、六十年と決めたのは、道路やトンネルなどの耐用年数がおおむね六十年だから、そういう決め方でありましたから、それが、そのときに別の判断があれば変わっていたと思います。

 しかし、六十年で償還をするというルールがあるということは、これは国債の、きちっとした財政健全化の精神をその中でしっかりと体現しているものであると思いまして、国債の信用にも関わる話として、六十年で償還をするというルール、これはもう今定着をしているのではないか、そういうふうに判断をしています。

掘井委員 定着というよりも、変えてはどうだということなんですね。

 それで、今の答弁は、本当を言いましたら、建設国債の根拠を言っておられると思うんです。これは、発行根拠法で、特例国債の償還については、速やかな減債に努めるものとするとされております。特例国債も建設国債も、これは同じであると理解していいんでしょうか。

鈴木国務大臣 同じルールで償還するということです。

掘井委員 同じだと思うんですね。私、証券会社で国債をこれまで売ってきましたけれども、証券に赤字国債とか借換国債とか建設国債とか書いていませんので、これは同じだと思うんです。

 要は、国債は、最終的にはやはり財政規律だと思うんですね。国債の財政規律の議論をしたいと思います。

 今、六十年償還のルールの話をさせていただきましたけれども、特例国債の発行が、財政健全化の下で増税をする理由にされているのではないか、こう思うんです。是非国債の議論はしたいと思うんですけれども、現実的になかなか税収だけで歳出をカバーできないので、国債を発行するのは、財政の余力の範囲でならこれは構わないと思っております。

 国債の発行余力を、大臣、どう考えておられますか。

鈴木国務大臣 公債の発行余力につきましては、先日、総理が本会議でも答弁をされたところでございますが、定量的にお答えすることは困難でありますけれども、市場や国際社会における中長期的な財政の持続可能性への信認が失われることがないよう財政規律を守ること、これが極めて重要であると思います。

 そういう意味におきまして、これからも、財政規律を守るための、経済再生と財政健全化の両立を図る、国と地方を合わせたPBを二〇二五年度に黒字化するということを目標といたしまして、責任ある財政運営に努めてまいりたいと思います。

 総理の本会議での答弁のとおり、公債の発行余力、これを定量的にお答えすることは困難であるということであります。

掘井委員 要は、この余力というのは、よく大臣が言われる市場の信認のことだと思うんですね。

 この信認ということなんですけれども、これは非常に難しいと思います、もう聞きませんけれども。十年間、金融緩和をやってきたんですね。国債のほとんどは、それでも国内で極めて低金利で、安定で消化されております。これはまだまだ全然大丈夫なんですよね、市場の声を聞いたら。

 それで、これもいろいろ考え方はあると思うんですけれども、日銀総裁の答弁なんかを聞きますと、国や日銀の財政は、破綻しにくいというか、帳簿上はそうやけれども、借換国債を発行していますので破綻しないということ。それと、金利の上昇は、結局これはコントロールできるんですね、コントロールできるということ。

 これは次の質問に関連するんですけれども、ドーマーの定理というのがあって、財政規律にこれはなっているんですね、普通の先進国は。最終的には、やはり強烈なインフレを抑えることじゃないんでしょうか。そういうふうに思います。

 財政規律でありますけれども、これは、毎年の債務の伸びよりも収入の伸びの方が大きければ債務の持続性は担保されるというのが普通の先進国の考え方だと思うんです。これがドーマーの定理というんですけれども。難しく言いますと、名目GDPの成長率が、名目公債利子率、これより高いならば財政赤字は持続できるということです。これ、普通の先進国はこのたてつけでやっていると思っているんですけれども。

 要は、先ほども言いましたけれども、インフレのコントロールさえできれば国債は発行を続けることができる。日本の国はどう判断するか知りませんけれども、これは世界の常識じゃないでしょうか。

鈴木国務大臣 今、低金利がずっと続いておりますが、この低金利の状況がずっとこれから未来永劫続くということは言い切れないわけでございます。そうしたときに、国債の発行というものが今のように進むかどうかは、これは分からない。そういう中において、やはり財政規律をしっかり守っていくということが重要である、こういうふうに思っております。

 先生のそのローマの……(掘井委員「ドーマーの定理」と呼ぶ)それについては、済みません、ちょっと私、十分知見がないので、お答えいたしません。

掘井委員 最後に、時間がありませんので。

 私は、無尽蔵に国債を発行せいと言うておるんじゃないんです。ちゃんと規律を守りながらやってほしいということなんですね。

 維新の会は、再度これは言いたいと思いますけれども、まず、財源を容易に増税に頼ることに反対するということです。そして次に、財政改革をして、そこから出たお金を使っていく、こういうことであります。だから、これからも、財政改革、これをきっちりとやりながらお金を見つけていきたいと思っております。

 本日はありがとうございました。

根本委員長 これにて掘井君の質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 国民民主党の鈴木義弘です。順次質問をさせていただきたいと思います。

 まず一番目に、大きな質問になっていくと思うので、最初に通告を出したら、うちの省じゃない、うちの省じゃない、うちじゃないよという話が多かったんですけれども、少しお答えづらいところもお聞きするかもしれませんが、是非前向きな答弁をいただけたらなというふうに思います。

 まず初めに、これは私の感じている考え方なんですけれども、もう日本は既に人口減少社会に入ったのは皆さん御案内のとおりだと思うんですけれども、政策を立案したりする根本的な考え方が、戦後の復興期のときに人口がどんどんどんどん右肩上がりで伸びていく、それに基づいた制度設計をしてきているんじゃないか。でも、既にもう人口が減少している社会があって、地方ではどんどんどんどん人口流出している。それが今大きな課題になっていると思うんですけれども、その辺の、増加を前提にした法律の組立て方をそろそろ方向転換した方がいいんじゃないかと思うんですが、その点について、ひとつ御答弁いただきたいと思うんです。

 そういうふうに言って、本当は総理にお答えいただきたかったんですけれども、取りあえず、じゃ、厚労大臣に。

加藤国務大臣 個別具体的に議論した方がいいのかなと思いますが、例えば、社会保障制度の中で、年金について申し上げれば、平成十六年改革の中で、高齢化とかそうした状況を組み込んで、マクロ経済スライドを導入するとともに、若い人たちの保険料負担が一定程度以上上がらない、こういう仕組みを今運用させていただいている等々、全部が十分できているかどうかというのはまた個々に御議論したいと思いますが、そうしたものは取り込みながら、社会保障、特に今言った高齢者の関係について言えばやらせていただいていたり、あるいは、負担という関係で見ても、そうした若い方と高齢者とのバランスもよく見ながら調整していく仕組みを随時入れていったり、そうした取組をこれまでさせてきていただいたというふうに思っているところであります。

鈴木(義)委員 例えた話が少なかったと思うんですけれども。

 いろいろな各業界、分野で、資格をどんどんどんどん取ってもらうように、いろいろなアクシデントがあったからそれに対応するために法律を作って、資格を取って、許認可を与えてきたんですけれども、一人で幾つもの資格を持たないと商売ができなくなっている時代になっている。それで、人口減少がある。そういう制度設計を変えた方がいいんじゃないかという考え方なんです。

 一人で幾つも幾つも資格を取らないと自分の商売ができない。どんどん細分化させた。一時期は、ワークシェアすることによって、みんなにそれなりの仕事が分かち合えれば、人口増加のときはそれでよかったんですけれども、人口減少になったら、やはりそれでは、今度、資格を取るのに何年もかかっていくわけですね。現場で働きながら資格も取ります、そういう制度設計をそろそろ方向転換した方がいいんじゃないかという考え方なんです。

 だから、これは厚労大臣にお聞きすることではなくて、本当は総理にお聞きしたかったんですけれども、取りあえず、じゃ、次の質問にします。

 今国会で六十本ほどの法律が上程されていると聞きます。日本国内に存在している法律は何本あるんでしょうか。

 過去に各省庁に、所管している法律が運用されているのか、その法律に基づいて予算措置がなされているのか照会をかけたんですけれども、分かりませんという返答があったんです。他国と比べて、日本は閣法中心で法律が作られてきたと思うんですね。その閣法が運用されているかどうか、自分の所管している課、部、局、省だったら分かるんですけれども、ほかは分からないといったら、法律を制定している意味がないんじゃないかということですね。

 聞くところによると、今、国内にある法律はどのぐらいあるのかというのが一番の質問なんですけれども、これもお答えできる方は、よろしくお願いします。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 行政改革担当でございますが、現在、法律の総数は、法令データバンクを提供するe―Govというものの登録数で申し上げれば、二千九十七というふうに承知しております。

鈴木(義)委員 昨日それを教えてもらったんですけれども、法務省が所管していて、e―Gov、二千九十七なんですけれども、この中で運用されていないだろうというのは数本しかないんですね。数は正式には一桁だったと私は記憶していると思うんですけれども。

 じゃ、なぜそれで、私が数年前に照会をかけたときに分かりませんという答えが出てくるのかということですね。

 だから、それはやはり、毎年やってくれというのも難しいかもしれませんけれども、結局、時代の役目を終わっているような法律があるんだったら、それは不断の見直し、私たちが廃止法案を出せばそれで終わっちゃうんでしょうけれども、まずその前提として、やはり資料なり情報をいただけないことには、それが判断がつかないと思うんですけれども、もう一回そこのところを答弁いただきたいんです。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、行政の無駄や非効率を排除して行政機能を高めるためには、法律や政府の事業について、国民にとって分かりやすく、しかも、時代の変化を捉えて、意義のある効果的なものとなるように、不断の見直しを行うことが必要であると思っております。

 鈴木委員御指摘の法律の整理については、昭和二十九年に事務の簡素化などに伴い、また、昭和五十七年に許認可等の簡素合理化に伴い、また、平成十三年の中央省庁改革に向けて、整理が行われたものと承知をしております。

 今の政権におきましても、デジタル臨時行政調査会の下で四万件の法令等を点検し、デジタル時代に合わなくなったアナログ規制のうち、準備が整ったものについて、一斉に見直すための法案を今国会に提出予定と承知をいたしております。

 私、行政改革担当大臣として、法律の体系全体についてお答えを申し上げることは難しいわけでありますが、行政に関して申し上げれば、政府の全事業を対象とした行政事業レビュー等を通じて、国民への分かりやすさという観点を踏まえながら、時代の変化に対応した、効率的で質の高い行政の実現に取り組んでいきたい、また、無駄を省いて、整合性の取れた、そうした行政の運営を心がけてまいりたい、このように思いますし、鈴木委員の御趣旨を体してまいりたいと思います。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 じゃ、次に、それに関連していくんですけれども、新しい制度を次々国会で審議をして、法律を作って制度を運用していくと思うんですけれども、それを大体、聞くところによると、地方自治体で運用させる、計画を立てなさい、実行は市町村でやってくださいというものが多いんだと思うんですね。最初のうちはそれに関わる予算を措置するんですけれども、今、一括交付金という形でまとめて、その態容については首長さんの差配で予算措置ができるという制度になっていて。

 ただ、地方自治体に法律の運用を押しつけるような形になってしまって、財政力のある自治体ならいざ知らず、千七百を超える自治体の中で、本当に厳しい財政のところもあるわけですね。

 それはそれで、地方交付税の交付金、特交も含めて措置しているんだと言われれば、それで終わってしまうんですけれども、各省庁で所管しているものが、運用されているか、していないかは別としても、それを実施する市町村は一つの課で幾つもの担当をしなくちゃいけない、これが現実だと思うんです。それで、人員を増やしたくたって、財政力が乏しければ職員の数は増やせられない。これもやはり見直しをしていかなければならないんじゃないかと思うんです。

 例えば、自分のところの自治体ではニーズがないにもかかわらず、国が法律を作って体制をしなさいといったときに、その担当課を置かなくちゃいけないということですね。それは多岐にわたっていると思います。

 それについて、地方分権一括法が、たしか、記憶が間違っていなければ平成十一、二年、二、三年ぐらいだったと思うんですけれども、もう二十年以上たっているんです。今やっていることは、意外ともうその理念が忘れられちゃって、時代に逆行していることを地方自治体にやらせているんじゃないかと感じるんですけれども、それについて大臣の御見解をいただきたいと思います。

松本国務大臣 地方自治体と国ということになりますが、国民福祉の増進ということで、共通の目的に沿って、適切な役割分担の下で相互に協力する関係にあると理解をしております。

 自治体は、保健、福祉、教育、消防など広く住民生活に身近な行政サービスを担い、日頃から住民の福祉の増進のために大変重要な役割を果たしておりまして、時代の変化に即して自治体の新たな役割を規定する国の法整備もなされてきている、これは御指摘のとおりであります。

 同時に、平成十一年の地方分権一括法の制定以降、義務づけ、枠づけの見直しなど、自治体の自主性、自立性を高める地方分権改革は着実に進められてきているというふうに認識をいたしております。

 今、様々な新しい業務について、地方自治体の体制、財政などについてのお話をいただいたものというふうに理解をいたしておりますが、私どもとしては、御案内のとおり、地方財政計画を策定するに当たって、基準財政需要額を積み上げて、所要額を交付税などでカバーをさせていただいておるわけでありまして、新しい政策が展開をされるに当たっては、必要な財政需要額というのは適切に積算をして加えた上で、地方への財政基盤の確保ということに努めているところではあります。

 不断の見直しをというお話であったかというふうに思いますが、私どもも、また各省庁も、不断の見直しは心がけていかなければいけないことだという御指摘についてはしっかりと受け止めさせていただけたらというふうに思っております。

鈴木(義)委員 地元の話を聞くと、町会の役員を、自治会の役員を受けたがらない人が増えてきている。PTAも同じです。消防団も同じ。学校の関係でいけば、見守り隊、大先輩が一生懸命、朝、子供たちの見送りを、みんなボランティアです。でも、その人たちがリタイアしたときに誰がやるのか。次の世代の人たちが育っていない、地域のコミュニティーも少しずつ崩れているというふうに感じているんですけれども、それにも増して、いろいろなニーズがあるからと法律を作って、やるのは市町村でやってくれ、それじゃどんどんどんどん逆に疲弊していってしまうんじゃないかということなんですね。

 不断の見直しをするというんだったら、やはり形に見えてこないと。例えば、民生委員の方は、独居老人の人を見守りしてくれとか、いろいろな、シングルで生活されている方に行って相談に乗ってくれ、こういう業務、業務というんですかね、事業を受け持ってくれているんですけれども、でも、そういう人たちも定数に満たない。なかなかなってくれない。消防団も同じだと思うんですね。

 そういう状況の中で、一番住民の身近な自治をどうやって支えていくのか、それを担うのが総務省だと思うんですけれども、もう一度御答弁いただきたいと思います。

松本国務大臣 今お話がありましたコミュニティーについても、大変私たちは重要であるという認識の下で、様々な形でコミュニティー活動の支援について取り組んでいるところであります。また、消防についても、消防団、やはり団員の確保というのが大変大きな課題になってきているという意味で、様々な形で、処遇の改善等も含めて、団員の確保に資するような政策を進めてきているところでございます。

 不断の見直しというお話がありましたが、一つだけ例を挙げさせていただくと、御案内のとおり、法律に基づいて、自治体において計画を策定をするといったようなものが挙げられていることがありますが、昨年の骨太の方針の閣議決定におきましても、計画策定、できるだけ新設をしないようにする、策定済みの計画などの統合を可能とするなどのことを骨太の方針において記載をさせていただいて、見直しが進められているというふうに承知をしているところでございます。

 持続可能な行政サービスの提供体制を確保するということは大変重要なことであるというふうに思っておりますし、現在進めている情報システムの標準化など、地方行財政、デジタル化を進めて、自治体の人的、財政的負担を軽減をして、職員の皆様には、実際に現場に赴いたりといったような時間が増やせるようにしていくことで、地域の実情を踏まえた企画立案など、創意工夫をより発揮すべき業務に注力できるよう環境整備に取り組んでいるというのが、私ども、今の総務省の取組の方向でございます。

 今後とも、自治体が住民の福祉増進のために力を尽くすことができるように、各地域の、地方の声も聞きながら、変化に応じて適切に対処してまいりたいと思います。

鈴木(義)委員 例えば、百人で経営セミナーをやりました、百二十人経営者が集まってくれたからこの事業は成功した、そういう報告が上がったとします。私が県会議員のときに質問したんですけれども、じゃ、百二十人の経営者が翌年の県民税をどのぐらいプラスアルファで納めてくれたんですかと。そこまでやはり結果を求めていかないと、税金を投入する意味合いがないんじゃないかと思うんですね。計画は立てました、やりました、結果が出ました、じゃ、結果が出てどうなったのかというところまでやはりチェックをしていかないと、それが有益な事業だったのかどうかというのをどこで判断するのか。

 行政はどうしても、計画を立てたところで、もうそれで、やったというだけで終わってしまうんじゃないかと思うんですけれども、是非またチェック・アンド・バランスを進めてもらいたいなと思います。

 次に、社会の担い手不足、これはコロナのときからずっと言われていたんですけれども、ウィズコロナというんですか、アフターコロナ、私は、人手不足は解消しないんじゃないかと思っているんです。

 一生懸命、国、自治体とか企業や個人事業主も、見据えた取組をしているんですけれども、結局、出前をしてくれるそば屋の店主、亡くなってしまったんです、去年の二月に。出前をやらなくなっちゃったんですね。募集しても来ないんです。それが今の現実だと思うんですね。

 就職の希望者が面接に来ないというのは、どこの事業者に挨拶に行って、商売どうですかと聞いても、ほとんど同じ答えです。何でかなと自分なりにも思うんです。給料はちょっとずつでも上げていこう、そうじゃないと人が来ない。二年前だったら八百五十円で来たのが、今、九百五十円、千円、うちの方の地域はですね。それでも人が集まらない。東京なんかはもう千円超えちゃっていますから。

 完全失業率が三・六から三・八%の現行だと思うんですけれども、九六%を超える人がもう既に働いちゃっているんですよね。ほかの国みたいに一〇%も一五%も完全失業率で職を求めている人が多いというんだったら、その人たちを呼び込むというのも一つの手なんでしょうけれども、実際、もう大半の人が今何らかの従事をしている、仕事に就いているとなって、本当に、コロナ、この後、人手不足を解消していくのにどういう方策を取っていこうとお考えなのか。また今の現状認識、それをお尋ねしたいと思います。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、足下、コロナ対応あるいは物価高騰など、非常に厳しい経営状況の中で、中小企業におきましては、人手不足というものが非常に重要な課題となっております。

 昨年、第四・四半期の従業員過不足DIがマイナス二二・六ポイントということでありますので、多くの企業が人手不足を非常に重要な課題として認識しているということだと思います。

 このため、中小企業、小規模事業者が、その経営力強化や一時的な人材、人手不足に対応できるよう、兼業、副業を含む多様な形態で、就職氷河期世代やあるいは女性、高齢者など、人材の確保、活用を図るためのセミナー、マッチングなどの支援を実施をしているところであります。

 また、経営課題に応じた多様な人材確保に経営者が積極的に取り組むように、中小企業向けのセミナーの開催、あるいは関係省庁の人材関係の施策をまとめましたガイドライン策定などによって、啓発普及を進めているところであります。

 その上で、人材確保を進めていくためには、企業自身も、生産性向上とか賃上げなど、中小企業自身の魅力向上も取り組むことが必要であります。人材を引きつけていくということも重要だと思います。そのためのIT導入補助金であるとか、あるいは転嫁対策、こうしたものの環境整備を進めていくことで、中小企業の魅力向上、あるいは賃上げもしっかりと職場として取り組めるように後押しをしていきたいというふうに考えております。

 いずれにしましても、大変重要な課題であります。今後もしばらく続く課題だと思います。生産性向上あるいは転嫁対策など、しっかりと中小企業の人手不足対策に取り組んでいきたいというふうに思っております。

鈴木(義)委員 ちょっと、通告しているところから、それに、今御答弁いただいたことに関連してくるんですけれども、アベノミクスのときに物価上昇率を二%目標ということで、この九年間やってきたと思うんです。でも、資源価格や原料価格の高騰で、それが、ある意味では数字上は達成できちゃったんですね。でも、景気感や事業業績が、今年に入っていろいろな事業者の方にお話を聞きますと、二極化してしまうんじゃないかと。いいところは今でもすごくいいみたいです。悪いところはどんどん悪くなって、仕事もないし、いろいろな材料だとか電気代がどんどん上がっちゃって、苦しくなる一方。人も寄ってこない。

 その中で、今御答弁いただいたんですけれども、ITを使ったりなんなりと、今までと同じような答弁を繰り返すんですけれども、それで人が出てくるんですかということです。

 これは私の感じ方なので、違っていたら違いますよと言ってもらって結構なんですけれども、大手企業さんを中心に、資源や原料を独占支配できるような立場、有益的な地位にいらっしゃるような御商売をされているところは、コマーシャルを打って、七%価格を上げます、一〇%上げます、一二%上げます、この四月からもまた上がると思うんですね。二回も、三回も、四回も上げられる事業者もあれば、中小零細は、話を聞いていくと、材料費が上がってしまった、例えば二割だ三割だ、物によっては五割、倍になった鉄骨、骨材もあるような話も聞きます。そのしわ寄せで、申し訳ないけれども、工賃は我慢して、上げられないんだというふうに言われちゃうんですね。それでどうやって賃金を上げていけというのか。

 今までの考え方では、やはりそれは、中小零細だとか、例えば、下請だとか、孫請、ひ孫、三次、四次、五次というぐらいのところで仕事をしている方々のところは、もうひいひいしています。そこにどういう手だてをするのかというのが、今、国に求められていると思うんですけれども、そこのところを御答弁いただきたいと思います。

後藤国務大臣 今、鈴木委員から御指摘がありましたように、アベノミクス、デフレではない状況をつくり出して、GDPを高め、雇用を拡大したわけでありますけれども、ただし、大企業に比べて、その拡大ペース等について、中小企業が相当に下回っているという御指摘はそのとおりだと思います。

 また、足下では、世界的な物価高の影響による投入コストの上昇が十分に転嫁されずに収益を圧迫する中で、中小企業を取り巻く環境は大変厳しい状況にあるというふうに考えています。

 政府としては、このため、先ほど経産大臣からお答えしたような、中小企業に対する物価高の影響を和らげる対策等もやりつつ、さらに、中小企業が持続的に発展するためには、経済全体の構造をコストカット重視から拡大均衡に転換していくことが必要である。

 そのために、イノベーションや人への投資を、中小企業も含めて経済全体の生産性や付加価値を高めていくということを行うとともに、適切な価格づけを通じてマークアップ率を高めて、物価高に負けない賃上げや、コスト上昇の転嫁のできるそういう適切な支払いを確保することで、連続的に拡大が続く成長と分配の好循環を築き上げていくことが必要である。

 そういう考え方を、例えばパートナーシップ構築宣言、あるいは様々な転嫁対策も含めて、しっかりとこのような中の哲学にしていくように我々はやっていかなければいけないというふうに思っています。

鈴木(義)委員 例えば、地元でやはり金属加工を親子でやっている事業者さんを訪ねていったときに、社長、これは一個幾らと言ったとき、一日八時間働いて、請け手間、工賃を幾らもらえるんですかと言ったら、鈴木さん、二万円だと言うんです。もらえて二万五千円。えっ、それは人件費ですかと言ったら、違う。場所代も、電気代も、機械の損耗費も、油脂代も、自分たちの給料も入れて二万円。いろいろな経費を引いていって、じゃ、二十日働いたとして、一人四十万、二人で八十万。だから、もう子供には、やめたいと言ったら、俺はやらせない。これが、一番末端で商売をやっている、仕事をしている人の声だと思うんですね。

 だから、そこにどうやってアベノミクスのときに言っていたワインを注いでいくのかというのが、今までのやり方ではちょっと心もとないんじゃないかなと私は思うんですね。

 一つの提案で、これは笑われても結構ですから、じゃ、どうすれば賃金を上げられるか。私どもの党も、賃金を上げるのが一つの大目的でやっていますけれども、労働集約型の産業ほど賃金が上げづらいんです。ほかの要因でどんどん高騰しちゃっていますから原資が出てこない。元請さんになるところが請負の金額を上げてくれないから、じゃ、どこで出すかという話になったときに、これは一つの提案なんですけれども、仮払い消費税を、人件費のところも、今、人件費は仮払い消費税とはみなさないんです、そこの部分を、賃上げしたパーセンテージぐらいをまけてあげられるという、仮払い消費税みたいな形で、仮受けと仮払いで差引きできるような形で原資を生み出すのが一つ。

 もう一つは、退職引当金だとか賞与引当金、引当金を認めている制度があります。そこに賃上げ引当金、ちょっと利益が出たときに引当金としてストックして、それ以外の目的には使わせないような形で、次の年度も賃上げに向けていく、そういう制度をつくっていかないと、今年はいいけれども来年は上がらない、じゃ、またどうするんだという話になっていくんです。ここ二、三年か五年ぐらいは上げていかれるような制度設計をした方がいいんじゃないかと思うんですけれども、御答弁いただきたいと思います。

西村(康)国務大臣 非常に重要な点でありまして、まさに中小企業の賃上げをどう進めていくかという点で、先ほど来、転嫁を進めるお話含めて申し上げておりますけれども、議員の御提案であります、まず消費税についてでありますが、消費税は仕入れ先に支払った消費税額を控除する仕組みということで、自社で従業員に支払った賃金上昇分を企業の納税額から減額、控除するということは、消費者の方に御負担いただくという消費税の性質になじみにくいものであるというふうに認識をしております。

 また、将来の賃金を引当金として認めるかどうかにつきましては、賃金はその期に行われた労働の対価として費用計上するというものであるため、会計の慣行に照らして、こちらもなじみにくいのではないかというふうに考えております。

 その上で、御提案いただいた税という観点からは、中小企業向けの賃上げ税制、これで令和二年度、約九万三千社が活用しておりまして、さらに、今年度から、この控除率を二五%から最大四〇%に引き上げるなどの抜本的拡充もしているところであります。

 また、賃上げ税制の活用が難しい事業者についても、令和四年度の二次補正におきまして、ものづくり補助金を始めとする生産性向上のための補助金を二千億円、さらに、事業再構築補助金を五千八百億円措置しておりまして、給与総額を六%以上増加させる、そうした意欲的な賃上げに取り組む事業者に対しましては補助上限や補助率を上乗せする措置を講じているところであります。これらも、公募を一月から行ったり、あるいは年度内に行う中で、こうした措置を取ろうとしております。

 さらに、厚労省において、キャリアアップ助成金を拡充して、中小企業が非正規の方々の賃金を五%引き上げた場合の助成額増額ということも承知をしております。

 先ほど来申し上げています価格転嫁におきましても、価格転嫁できていないという回答は二割程度あります。賃上げが難しい中小企業、小規模事業者が多くあるという現状は認識をしております。

 いただいた御提案も含め、更に賃上げに向けた環境整備、様々な知恵を出していきながら、全力で取り組んでいきたいというふうに考えております。

鈴木(義)委員 時間で終わります。

根本委員長 これにて鈴木君の質疑は終了いたしました。

 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 保育の問題について質問をさせていただきたいと思います。

 子供の命と安全を守ることは最重要の課題です。資料の一を見ていただきたいんですけれども、昨年も保育の現場で子供が亡くなるという事件、重大な事件、事故が相次ぎました。心から哀悼の意を申し上げたいというふうに思います。

 あってはならない事態が続いています。こども政策担当大臣にお伺いをします。

 この現状、そして背景、どのように認識をされているのか、お伺いしたいと思います。

小倉国務大臣 まず、保育所を含む教育、保育施設等における重大事故、いわゆる死亡又は三十日以上の治療を要する重大事故の国への報告件数でありますけれども、年々増加をいたしております。

 その背景としては様々なことが考えられ、一概に申し上げることは困難でありますが、例えば、保育の受皿整備に伴う利用児童数の増加や、国への報告の仕組みが年々定着をしてきたことも背景としてあるのではないかというふうに考えております。

 ただ、いずれにしても、保育所等における子供の安全、安心を確保することは極めて重要でありまして、特に重大な事故はあってはならないものと考えております。

 このため、内閣府としては、重大事故防止や発生時の対応に関するガイドラインを定め、周知しておりますほか、自治体からの事故報告や事後的な検証報告等を基に、国の有識者会議において再発防止策を検討し、提言として取りまとめ、周知をしているところであります。

 こうした取組に加えまして、緊急で全国への注意喚起や対策を講じることが必要な場合には、その都度迅速に対応させていただいておりまして、例えば、昨年、静岡県で発生をいたしました送迎用バスの置き去り事案におきましては、私を議長とする関係府省会議を開催いたしまして、所在確認や安全装置の装備の義務づけなどを内容とする緊急対策を取りまとめ、推進しているところであります。

 また、重大事故の防止のためにはヒヤリ・ハット事例の共有が重要でありますことから、命の危険につながりかねないようなヒヤリ・ハット事例の収集や共有などについて調査研究事業も実施をしているところであります。

 引き続き、重大事故の防止に向けまして、関係省庁や自治体と連携をして取り組んでまいりたい、こう思っております。

本村委員 残念ながら、ニュースなどに出ているものは氷山の一角だというふうに思います。

 大臣がおっしゃいましたように、こちら、内閣府の資料ですね、事故報告集計を、資料二ですけれども、二〇一五年から二〇二一年、まとめさせていただきました。

 保育園や幼稚園、こども園などの施設全体で重篤な事故は増えております。二〇一五年、六百二十七件だったものが、二〇二一年では二千三百四十七件、三・七倍に増えております。その中で、認可保育園の事故も増えております。

 顕在化してきたということもあるかというふうに思いますけれども、やはり重大な事故がこれだけ増えているということを今重く受け止めて、対策を強化しなければいけないというふうに考えております。

 背景なんですけれども、宝である子供たちの命や安全を守るためにも、発達を保障するためにも、保育士の配置基準の改善というのは緊急の課題だというふうに考えております。

 資料の三、パネルを見ていただきたいんですけれども、これは、子供たちにもう一人保育士を、声を上げている皆さんの分かりやすい表です。

 ゼロ歳児三人に一人保育士、これは二十五年前の基準です。一歳児、二歳児、保育士の配置基準は六人に一人、これは五十六年前の基準です。三歳児は二十人に一人の保育士、これは五十四年前の基準です。そして、四歳児、五歳児に至っては三十人に一人、これは七十五年前の基準です。こども家庭庁の法案のときにこの問題を指摘をさせていただきましたら、当時の担当大臣はのけぞって驚いていました。それぐらい、本当に驚くぐらい古い基準なんです。

 ここでお伺いしますけれども、この保育士の配置基準の数字の根拠、算定の根拠、これを厚生労働大臣に端的にお示しをいただきたいと思います。

加藤国務大臣 まず、一歳児以上の配置基準の根拠、これは昭和三十七年の中央児童福祉審議会における意見具申を踏まえたものでありまして、その際には、保育者一人が受け持つ子供の数を変えた場合に生じる保育面での影響や、受け持つ子供の人数による保育者の疲労度を調査した結果を踏まえて、保育者一人当たりの児童数の算出を行ったものであります。

 また、ゼロ歳児の配置基準の根拠となった昭和四十三年の意見具申の根拠は、保育者の業務内容や乳児の行動の観察を行い、保育者の業務時間や人員配置が乳児の発達に与える影響を調査した結果を踏まえて、保育者一人当たりの乳児数の算出を行ったものであります。

本村委員 中央児童福祉審議会の意見具申ということですけれども、いずれにしても、一九六二年あるいは一九六八年ということで、今の実態に合っていないものを根拠にしているというふうに思います。

 保育士の仕事量は増えておりますし、保護者のニーズだって違うんじゃないですか。大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 そうした中で、これまでも配置基準の改善にも取り組んできているところでありますし、まだ宿題として残っているわけでありますけれども、消費税分以外の財源を確保することとされるいわゆる〇・三兆円超の質の向上事項には、一歳児や四、五歳児に対する保育士の配置改善が入っておりまして、残念ながらこれは未実施となっていますが、安定的な財源を確保し、この実現に向けて検討していきたいというふうに考えております。

本村委員 その答弁がずっと続いているんです。そういう中で事故が増えているということを重く受け止めていただきたいというふうに思います。

 日本で最初に児童福祉施設の最低基準ができたのは、七十五年前の一九四八年、これはアメリカの占領下でございました。

 一九四九年、厚生省の松崎芳伸企画課長が書いた「児童福祉施設最低基準」の中では、当時はアメリカのワシントン州の基準がヒントを与えたというふうに書かれています。ワシントン州の基準では、一般的には子供十人に保育者が一人、その当時で。そして、二歳児、三歳児以下は六人に一人。これが重要なヒントを与えたそうですけれども、当時の松崎課長は、持てる国アメリカの最低基準は、持たざる我が国の最低基準ではあり得ないと書きました。それでも、やがて欧米の基準に追いつき追い越すことを理想としては持たなければならないであろうというふうに書いております。

 そういう期待を込めて、厚生大臣は、最低基準を常に向上させるように努めるものとするという規定ができたわけです。

 今どうかということで、資料の四、パネルを見ていただきたいんですけれども、三歳児、四歳児、五歳児の配置基準の国際比較でございます。

 OECDの資料ですけれども、日本は一番上になっておりますけれども、ワーストワンです。保育園も幼稚園も、先進国でこんな低い基準の国はありません。異次元というふうに言いますけれども、低次元過ぎるんです。子供ファーストじゃなくて、ワーストになっております。この低次元の状況を加藤大臣はどう考えるんでしょうか。

加藤国務大臣 他国と比較して必ずしも配置基準が十分でないという御指摘、それは十分受け止めていかなきゃならない。ただ、この日本が三十五対一というのは、ちょっと数字が……(本村委員「幼稚園も入っているんです」と呼ぶ)そうなんでしょうけれども、何が入っているのかなというふうには思っていますけれども。それからまた、ほかの国では、必ずしも有資格者だけではないというようなこともあるので、単純には比較できませんが、だからといって、我が国の配置基準を改善しなくていいということを言っているわけではございません。

 例えば、令和五年度予算案では、チーム保育推進加算で、定員百二十一人以上の保育所に保育士二名までの加配を可能とする、また、保育体制強化事業においては、登園時や園外活動時等の多くの人目が必要な時間帯における支援員の配置の充実を図る、こうしたことを逐次取組をさせていただいているところではあります。

本村委員 来年度予算の問題については後で議論をしたいと思うんですけれども、本当に不十分な予算しかつけられておりません。予算も不十分で、子供たちを大切にしてこなかった、その政治の姿勢こそ大問題だというふうに思います。

 資料の五を見ていただきたいんですけれども、パネルを作らせていただきました。

 まず、二千六百四十八人の保育士の方々の声です。子どもたちにもう一人保育士を!実行委員会の皆さんが集めたアンケートの結果です。今の国の保育士の配置基準では命と安全を守ることができないと思うことということで、アンケートを取られています。

 地震、火災などの災害時、八四%。ゼロ歳児、一人をおんぶして、一人をだっこして、じゃ、もう一人どうするのか、こういう不安を保育士の方々はいつも抱えております。お散歩のとき、六〇%、防犯上、五九%、プールなど水遊びのとき、五八%。こうしたリスクを保育士の方々が声を上げているということを重視しなければならないというふうに思っております。

 資料の六も見ていただきたいというふうに思うんですけれども、今度は保護者の方の声です。千四百六十七人の保護者の方の声です。

 現在の日本の配置基準について、とても不足、不足、どちらかといえば不足、合わせて九八%の保護者の方々が、不足しているというふうに答えています。保護者の方は、実際に足りないと感じる場面に遭遇したことがあるかということに、あるとお答えになっている方が七九・六%いらっしゃいます。

 具体的な声が寄せられておりますけれども、お散歩のときに園児だけで公園から出ていってしまったり、公園から帰ってこられない状況に直面した。特別な支援が必要な子が教室から出ていってしまい、クラスに一人しかいなかった保育士がその子を追いかけていったのを見たとき、こういうときに保護者の方々は職員が足りないというふうに感じておられます。

 今の、こういうままでいいのかということを厚生労働大臣に問いたいというふうに思います。

加藤国務大臣 保育所に求められる保育の内容について、保育所保育指針にも書かれておりますが、子供の発達について理解し、一人一人の発達過程に応じて保育をすること、子供の心身の発達及び活動の実態などの個人差を踏まえるとともに、一人一人の子供の気持ちを受け止め、援助することなどを規定しておりますので、まさに子供一人一人と関わる、そうした機会を持てることが大変重要だと思っております。

 こうした保育をしっかり進めていく観点からも、保育士の人材確保や財源確保を行いながら、累次の配置基準の改善を行ってきたところであります。

 児童の身体的、精神的、社会的な発達に必要な保育の水準を確保する観点から、引き続き、そうした面での改善に向けて更に努力をしていきたいと考えております。

本村委員 資料の八を見ていただきたいんですけれども、先ほど子供さんと関わるというお話がありましたけれども、保育者の方々は、今の国の配置基準では子供との関わりが十分できないと、七二%の保育士の方々が訴えているんです。保育指針でやるようにというふうに言われるけれども、そういう保育士の配置基準になっていない、これが大問題だというふうに思います。

 資料の七、パネルを見ていただきたいんですけれども、これも実行委員会の皆さんが、この人員配置基準ではもう限界というふうに感じたエピソード、アンケートに寄せられた保育士さんの声です。

 三歳児のケースです。国の保育士の配置基準では、二十人に一人でケアするということになっております。このイラストでは、三歳児十八人を一人でケアをしているケースです。

 このように書かれています。

 三歳児十八人を一人で担任をしていたとき、まだまだお漏らしをする子も多い中で、便の始末にかかっている間に、部屋にいる子がけんかでかみつきがあったり、椅子に上って大人の事務戸棚からセロテープを取ろうとしてテープカッターを落としてしまい、テープカッターの刃の部分で隣にいた子の頭を切ってしまい、三針縫うけがをさせてしまったことがある。

 いつも子供たちを大切に思い、本当に必死にやっている保育士さんにとって、こうした事故に遭遇するというのは、本当に胸が潰れる思いですし、心臓が止まるような、そういう思いをされております。もう一人この場所に保育士がいれば、けがをさせなくて済むのではないか、もう一人保育士がいれば、この絵の中にある子供たちの声をもっと聞けるんじゃないか、保護者の方々の声をもっと聞けるんじゃないか、そういう思いで保育士の方々は日々保育に向き合っているわけです。

 保育士の方々が、もう一人保育士を、こう思うのは当然じゃないですか、加藤大臣。

加藤国務大臣 まさに、保育士の皆さん方がそうした御努力、あるいは、時には大変な思いをしながら対応いただいている、本当に心から頭が下がる思いでありますし、また、そうした思いにしっかり応えていくというのは我々の当然の責務だと考えております。

 まさに、御指摘のように、保育士の配置基準の改善を行うということによって、子供の一人一人に対してまさにきめ細やかな保育が実現できる、そういった意味での保育の質の向上が期待をされているところであります。

 我々としても、これまでも、先ほど申し上げたように、様々な、配置基準の改善、保育士の方の処遇改善、あるいはICTの推進に伴う業務負担の軽減、こういったことを図ってきたわけでありますが、引き続き、そうした皆さんが、まさに、一人一人の子供さんを、成長に向けて取り組んでいきたい、その思いがしっかり実現できる環境整備にはしっかり取り組んでいきたいと考えております。

本村委員 それができていないから今質問させていただいて、様々なリスクがあるんだと現場から声が上がっていることを真摯に、重く受け止めていただきたいというふうに思います。

 保育士の基準、先ほど七十五年前ということを申し上げましたけれども、格段に仕事の量というのは増えているというふうに思います。この十年以内の間でも確実に仕事は増えているというふうに思いますけれども、加藤大臣、お答えをいただきたいと思います。

加藤国務大臣 具体的に保育士の方の仕事量を定量的に調査した結果はないわけでありますけれども、今保育士の方がどういう、先ほどもちょっとお示しがありましたけれども、どういう希望等々を持っておられるかというのを、平成二十五年度と平成三十年度で比較をしますと、事務、雑務の軽減が一四・一ポイント増加をしています。それから、職員数の増員に対しては九・七ポイント増加をしているということでございます。

 こうした保育現場からの声を伺う意味においても、子供の育ちをめぐる環境の変化を踏まえて、保育現場では様々なニーズが求められているということは承知をしているところでございます。また、そうした保育現場における環境の変化、ニーズの対応、そういった面について、まさに保育所、保育士が求められる役割も増加をしております。

 そうしたことに対する支援措置、これまでも取らせていただいておりますけれども、引き続き、そうした皆さんが働きやすい環境をつくっていかなきゃいけないというふうに思っています。

本村委員 今、配置基準の見直しが一番効果があるというふうに、ほかの党の方からも言っていただいたんですけれども。

 今、この十年以内に、十一時間保育が当たり前になったと。確実に仕事が増えています。保育の長時間化。保育士の長時間労働というものは、世界の各国と比べても日本は異常に長いという資料も出ております。

 この十一時間保育の問題や、ゼロ歳であれば五分ごとに午睡のチェックをしなければいけない。乳児さんの突然死症候群、こういうものを防ぐために、お昼寝の子もいるし、朝寝の子もいるし、夕方に寝る子もいるそうですけれども、息の具合を手をかざして確かめて、あるいは体に手を当てて呼吸をしているかどうか確かめて、うつ伏せ寝はないかどうかをチェックする。ミルクの対応、離乳食の対応、子供たちが寝ていても休むことはできないと。

 また、アレルギーの子供たちもいらっしゃるということで、安全配慮も必要になってきます。アレルギー対応で、四種類の粉ミルクを作るということもあるそうです。そのミルクを、一人一人間違えないように飲んでいただくということもやっている。配慮するべき子供さんも増加をしているというふうに、現場の方からの声です。

 また、バスの事故を受けて、安全計画の遂行もあります。プールの監視も厳密にやらなければいけません。子供たちが日々楽しく過ごせるように、日常の遊びなどをしながら様々やらなければいけないと。このながら保育と言われる状態の中で、多くが、事故が起きているということを専門家の方がおっしゃっております。

 いつも全ての子供たちを目に入れて迅速に対応するという努力をされておられますけれども、それでも、日々、気持ちも心も体もとても疲れている、でも休憩は取れないと。そういう中で離職も相次ぐのだというふうに思います。

 仕事は増えていて、今、保育士の配置基準を改善することがどうしても必要だということを強調させていただきたいというふうに思います。

 保育は、命、安全を守るだけではなく、一人一人発達段階が違う、個性ある子供たちの乳幼児期の発達を保障する、その大事な仕事をしていただいております。専門性がある、資格のある保育士の方々を増やすということが、やはり子供たちにとってもいいですし、保育指針が、一人一人の意欲と関心、意見を大切にして、主体性を大切にするというのであれば、やはり保育士の増員こそ必要だというふうに思っております。

 資料の九を見ていただきたいんですけれども、実際にどういう状況なのかというのを大臣に分かっていただきたいということで、委員の皆様にも分かっていただきたいということでお出しをいたしましたけれども、一歳児、二歳児を、六人を一人で見るという、右の漫画ですね。崖っ縁の保育ということで言われているんですけれども、本当は健全で充実した乳幼児期を保障したいということを願って、こうだったらいいなということでこの漫画は描かれています。

 保育実践では、一歳の子供たち、お散歩するのがいいねというふうになっているんですけれども、実際にお散歩に行くと、ばらばらの方に行って、じゃ、どうやって安全を守ればいいのか、どうやって一人一人の主体性、意欲、意見を、向き合ったらいいのかということで言われております。それが三人に一人だったら、また違う結果になるだろうというふうにも言われているわけです。

 次のページを見ていただきたいんですけれども、このアンケートを取った皆様方が、配置基準の改善を求めています。零歳児二対一、一歳児三対一、二歳児五対一、三歳児十対一、四歳児、五歳児は十五対一。そして、緊急に改善してほしいということで、一歳児五対一、三歳児十五対一、四歳児、五歳児二十五対一。

 これを是非、何よりも優先するべきは当事者の声なんだということを、岸田首相は施政方針演説でもおっしゃいました。この当事者の声に基づいた政策なんです。

 是非これは実現をしていただきたいと思いますけれども、加藤大臣、お願いしたいと思います。

加藤国務大臣 今委員からお話がありましたように、一人一人の子供にそれぞれ対応していくということ、それから、やはり、アレルギー等いろいろな状況にも対応する、さらに、ここに来て、コロナへの対応ということで、大変、保育士の皆さん方にはいろいろと御負担をおかけしているということは十分承知をしているところでございます。

 我々も、保育士の配置基準の改善は重要な課題ということで、平成二十七年には、三歳児に対する保育士の配置を二十対一から十五対一に改善し、保育所に対して、これは公定価格上の加算ということでやらせていただきましたが、保育所の約九割がその加算を実施していただいているところであります。

 また、先ほども申し上げましたけれども、いわゆる〇・三兆円超の質の向上事項に含まれている一歳児や四、五歳児に対する保育士の改善、これは残念ながらまだ実現できておりませんけれども、財源を確保して、しっかりと実施をしていきたいと思っておりますし、この予算案では、先ほど申し上げたチーム保育推進加算等をやらせていただいております。これによって、四、五歳児の各クラスで複数の保育士の配置が可能となり、二十五対一以下の配置の実現も可能ではないかと考えているところでございます。

 引き続き、こうした配置基準の改善も含めて、保育士の皆さん方の処遇改善等々について取り組んでいく、それも含めて、今、こども政策担当大臣、小倉大臣の下で、子供、子育て政策に関する中身を詰めておりますので、厚労省としても、連携を取りながら、その中身を詰めていきたいと考えております。

本村委員 一問、総務大臣にお伺いをしたいというふうに思います。

 来年度の保育士の配置改善をする加算、これは地方交付税措置を行いますねということ、そして、公立保育園も、保育士の配置、改善できますねということを確認させていただきたいと思います。短く、申し訳ありません。

松本国務大臣 御案内のとおり、公立保育所の給与費を含む運営費は、国庫負担金が一般財源化されていることから、従来の国庫負担分も含めた地方負担について、適切に地方交付税措置を講じてきているところであります。

 令和五年度において、公立保育所の運営費については、御指摘の加算分を踏まえて、地方交付税措置を講ずることとしております。

 具体的な保育士の配置については、それぞれ地方団体において、地域の実情等を踏まえて適切に判断されるものと認識しておりますが、公立保育所に係る地方交付税措置について、関係府省と連携して周知するなど、適切に対応いたしたいと思っております。

本村委員 そこで、四歳児、五歳児のクラスで保育士を配置する改善、ずっと首相も答弁しているんですけれども、ここに要件がある。保育士の平均経験年数が十二年以上で、しかも、チーム保育推進加算をやっている保育所だと。

 名古屋市の実例を見てみますと、資料の十三でお示しをさせていただいているんですけれども、例えば名古屋市でいいますと、私立の保育所は三百五十四園あるんですけれども、チーム保育推進加算を使えているのは八十八園です。そのうち、百二十一人以上の私立の保育園は二十三園しかありません。私立の保育園の六%しか使えない。

 なぜ、こんな、入口で狭めてしまうんでしょうか。もっと全ての保育園で使えるように改善するべきじゃないですか。十三億円とか四十億円とか、そんなのじゃ足りないんですよ。是非改善してください、小倉大臣。

小倉国務大臣 お答えいたします。

 御指摘いただきました保育所のチーム保育推進加算につきましては、幼稚園における加算の仕組みを踏まえまして、平成二十八年度に創設をし、令和二年度に職員の平均経験年数の要件を十五年以上から十二年以上に緩和した経緯がございます。そういった中で、百二十一人以上の定員を持つ保育所につきましては、これまでの一人のところを二人以上配置をすることができるようになったということでございます。

 他方で、委員御指摘のように、施設の規模、職員の平均経験年数や対象年齢等を問わずに更なる配置改善加算を実施することについては、人材の確保や限られた財源の効果的な活用などの観点からも議論が必要と考えております。

 いずれにしても、厚労大臣からありましたように、総理からは、保育の量、質両面からの強化を柱の一つとして、子供、子育て施策として充実する内容の具体化の指示をいただいておりますので、委員が御指摘をいただいたような様々な現場の声に耳を傾けながら、三月末をめどに、たたき台をお示しをしてまいりたいというふうに思っております。

本村委員 軍事費は二倍にもかかわらず、国際的に遅れているこの保育士の配置基準の改善は後回し、こういう政治を変えるべきだということを強く求め、質問を終わらせていただきます。

根本委員長 これにて本村君の質疑は終了いたしました。

 次に、櫛渕万里君。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。

 冒頭、まず、加藤厚生労働大臣にこれだけは確認しておきたいことがございます。

 一月二十三日、熊本地裁は、旧優生保護法での手術、これを憲法違反として、国に賠償を認める判決を言い渡しました。

 これは障害者に対して深刻な被害をもたらした国による人権侵害です。国は、控訴をせず、被害者の方々への真摯な謝罪と十分な補償、これを早急に行うべきであると考えます。

 二月六日が控訴の期限ですが、加藤大臣、これは通告しておりませんけれども、控訴はしないということでよろしいですね。

加藤国務大臣 今、法務省ともこれに対する対応を検討しているという状況でございますので、どうするかについてここで言うのは差し控えさせていただきたいと思います。

櫛渕委員 今日は二月三日です。そして金曜日ですので、事実上、今日が最終日です。もう結論は出ているかと思います。加藤大臣、控訴はしないという歴史的な判断を是非していただきますよう強くお願いを申し上げます。

 さて、異次元の売国棄民予算案において、いかに棄民であるか。今日もまずこのパネルをお出しいたしますけれども、今日は少子化対策と、そして賃上げについてお聞きをしていきます。

 まず、順番を変えまして、子供、少子化対策です。

 内閣官房の資料からも、若い世代の賃金が低い、だから未婚率の上昇や子供の数の少なさに影響している、このように自ら少子化の原因を認めているわけですね。やはり、要は賃金なんですよ。

 そして、今現状どうなのか。一人当たりの所得の中央値の推移、これはもう実に深刻で、過去二十五年で、中央値、百三十一万円も落ちています。

 さらに、次のパネルも見ていただきたいんですね。

 二十五歳から三十四歳における世帯所得のグラフですけれども、二〇一四年の中央値、これが四百九十三万円に対して、二〇一九年は五百五十万となり、上がっているんですね。しかし、よくよくグラフを見ると、五百万円くらいにある山から右は二〇一四年の青の線とほぼ重なっております。そして、山から左、この斜線の部分が大きく下がっているんですね。これはどういうことか。すなわち、五百万円より低い所得の世帯が子供を持たなくなっているんです。だから、結果として所得の中央値が上がっている、こういうことになります。

 内閣府自身も、世帯所得が五百万円未満の二十五歳から三十四歳、この世帯では子供を持つ割合が大きく低下、このように述べていますし、今の日本で、真ん中くらいの所得の世帯が、それでも経済的な理由で子供を持てなくなっている、そうしたとんでもない時代になっているということが、ここから分かります。

 一方、では、賃金が上がれば状況が改善するかというと、そうはならない現実も一つお持ちいたしました。

 このパネルを御覧ください。

 例えば、このグラフを見ると、二〇二〇年の雇用者報酬、これは給料ですけれども、この伸びに比べて、可処分所得が半分以下、これが一目瞭然です。賃上げが実現したとしても、税と社会保障の負担がこれほど大きい。つまり、肝心の可処分所得が増えなければ子供を持つ余裕はないということが分かります。

 こども・少子化担当大臣、この図を見てどうお考えでしょうか。そして、ただでさえ三十年賃金が上がらないことに加えて、給与をもらっても使えるお金は半分以下という現状をどう御認識されますか。

 そして、大臣にはこちらにお答えいただきたいんですけれども、昨日、大臣は気になる答弁をされています。子供政策の財源に国債は使うのか、このように聞かれた際、将来の税金となり、負担の先送りとなるから慎重に考えるというふうにおっしゃったんですね。

 まず一点、お聞きします。

 総理は参議院決算本会議で、我が党の大島九州男議員の質問に対し、国債は政府の負債であり、国民の借金ではないというふうに答弁されましたが、小倉大臣はどのようにお考えですか。

小倉国務大臣 まず、少子化と特に若い世代の所得との関係でありますが、少子化の背景につきましては、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が絡み合っておりますが、中でも、子育てや教育に係る費用負担の重さは、子供を産み育てたいという希望がかなわない障壁の一つとなっております。

 また、委員御指摘のとおり、若い世代の非正規雇用労働者の未婚率は、特に男性で正規雇用に比べ顕著に高くなっていることに加えまして、男性の年収別有配偶率を見ると、いずれの年齢層でも、一定水準までは年収が高いほど配偶者のいる割合が高い傾向にございます。

 このような現状を踏まえますと、子供、子育て政策の強化のみならず、L字カーブの解消などを含めた男女共に働きやすい環境……(櫛渕委員「分かりました。短くお願いします。国債についてお答えください」と呼ぶ)もういいんですか。

 構造的賃上げなどを進め、日本の未来を担う若い世代の所得向上を実現し、未来に希望を持って生きられる社会をつくることが重要だと考えております。

 国債についてでありますが、昨日申し上げたとおりであります。その返済に将来世代の税収等が充てられますことから、負担の先送りとなり、安定財源の確保あるいは財政の信認確保の観点から、慎重に検討する必要があると考えております。

櫛渕委員 総理がおっしゃったように、大臣も、国債は政府の負債であり、国民の借金ではないというお考えでよろしいですか。

小倉国務大臣 ちょっと、総理がその質問に対してどういう文脈でお答えしたかというのは、これもちょっと事前にお話をいただいていなかったので、詳細に、正確にお伝えすることは難しいかと思います。

 ただ、いずれにしても、繰り返しになりますけれども、国債につきましては、負担の先送りとなり、安定財源の確保あるいは財政の信認確保の観点から、慎重に検討する必要があるものというふうに考えております。

櫛渕委員 国債は政府の負債、つまり借金であり、国民の借金ではない、つまり資産です。なぜ、自分の借金でないものを国民が将来負担しなければならないのですか。

小倉国務大臣 私はこども政策担当大臣としてお邪魔をさせていただいております。今委員が御指摘いただいているのは、これはマクロ財政運営そのものの話だというふうに思いますので、私が担当として責任を持って申し上げることはできないと思います。

 いずれにしても、何度御質問いただいても、先ほど答弁申し上げたとおりだというふうに思います。

櫛渕委員 子供政策、この後少しやりたいんですけれども、やはり、要は財源だということはもう明らかなわけですね。ですから、大臣が財源についてどのようにお考えになっているのかということを私はお伺いしたかったということであります。

 財務大臣が午前中、確実な償還財源というお話がありました。そうであるならば、では、来年度の予算案の新規国債三十六兆円、ここにも、償還財源はもう決まっているんでしょうか。もしそれが決まっていないのであれば、来年度の事業は全部できないということになりますし、なぜ、子供に対してとか人々に対してとか、こうしたところには国債を発行しないのかということが素朴な疑問です。

 そもそも、政府の借金は返す必要が本当にあるんでしょうか。国の負債と、そして民間は違います。国と民間は違います。御存じのとおりです。国債は借換えで回していけばいいのではないですか。そして、実際に国はそうしていらっしゃいますよね。財務省自身が、日本の国債はデフォルトしない、そのように明言しておりますし、その観点に従って、私は、子供財源、異次元の少子化対策には、未来債あるいは子供国債などと名前をつけて、しっかり財源を確保していくことを求めていきたいと思います。

 私、昨年から、こども家庭庁を設置するに当たり何度も議論させていただいていますけれども、やはり、先ほどから申し上げているように、つまるところ、財源なんですよ。小倉大臣は、三月末までにパッケージでたたき台を作るとおっしゃっていますけれども、財源も三月までにお示しするということでよろしいですか。

小倉国務大臣 これも繰り返し答弁申し上げているとおりであります。

 まずは、必要な子供政策の中身をしっかりと精査して、これを取りまとめた上で、その財源につきましては、その後に、社会全体の負担の在り方、安定的にどういうふうに支えていくかということを検討させていただくということでございます。

櫛渕委員 三月末までにお示しになりますか。

小倉国務大臣 三月末のたたき台というのは、今後の日本にとって必要な子供政策は何かということについてのたたき台となっております。

櫛渕委員 もう一度聞きます。

 子供予算の財源、異次元の少子化対策、六月までにというのは分かりましたけれども、三月までのたたき台に財源は入っていますか、入っていませんか。お答えください。

小倉国務大臣 答弁したつもりでありますが、三月末のたたき台というのは、必要な子供予算についてのたたき台でありまして、その後、社会全体でどう安定的に支えていくかを検討していくということだろうというふうに思います。

櫛渕委員 では、財源は入っているということでよろしいんですね。入っていないんですか。分かりやすく答えてください、国民に対して。四月は統一地方選があるんですよ。その前に示していただかなければ、国民は正確な判断ができません。ずるいですよ、その後に示すなんて。何かそういうこそくなことはやめていただきたいんですね。

 是非、財源、三月までに、たたき台とセットで出していただくよう強く要望いたします。

 もう一つ、財源についてお聞きします。

 この三十年間賃金が上がらない、そこにコロナと物価高で、国民は三重苦なんです。まさか、国民負担でこの財源を得るつもりはありませんね。そして、特に消費税増税があるかないか、イエスかノーかでお答えください。

小倉国務大臣 これも昨日も答弁申し上げましたが、委員も御承知だと思いますが、既に様々な財源を基に今の子供政策というのは成立をいたしております。例えば、出産育児一時金であれば医療保険、そして育児休業給付金であれば雇用保険、一般会計から出ているものもありますれば、地方自治体の負担で行っているものもあります。

 すなわち、子供政策の中身が分からなければ、どう充実させていくかの方向が分からなければ、その支え方についても議論が深まらないということでございますので、その順で議論を進めていくのが適当なのではないかというふうに考えております。

櫛渕委員 大臣、政策が分からなければと言いますけれども、既に総理は、子供予算倍増と去年から言っていますよ。規模感、出ているじゃないですか。政策のメニューで決めるんじゃなくて、もう倍増だと言っていますよ、総理。

 だったら、それの財源をどうするんですか、そこに消費税増税を充てるんですか、イエスかノーかでお答えくださいと私は申し上げているんです。もう一度お願いします。

小倉国務大臣 規模感についても、総理は再三、規模や期限ありきではなくて、必要な子供予算の中身を積み上げることが重要だという答弁を繰り返し申し上げているというふうに認識をしております。

櫛渕委員 消費税増税はしないとお答えにならないのですね。可能性はあるということですね。

 政府自ら、少子化や未婚化の原因、それは賃金が低いと言っておきながら、そこで更に可処分所得を今この非常時に減らす、あり得ないと思いますよ。そして、消費税増税自体が最も最悪な方法ですよ。消費税は逆進性が高いことは御存じのとおりです。低所得者ほど負担が大きい。そして、経済的に厳しい状況にある人も。

 今、子供の七人に一人が貧困だと言われている状況が続いています。子供たちからも取る税金で、それを財源にして子育て支援や少子化対策をやる。これこそ、そもそも発想が間違っていませんか。本末転倒ですよ。

 今回の予算案では、先ほども申し上げたように、国債の話、原発推進にはGXとか言って、十年間で二十兆円の国債を発行するんですよ、経済移行債とか言って。カーボンプライシングとかいいますけれども、将来確実に取れるかなんて分からないじゃないですか。

 でも、子供はちゃんと投資をすれば確実に育つんです。そして、子供未来債とか名づけてやればいいんですよ。子供への投資は、将来の税収や、そして社会保険料、しっかり国に償還されるじゃありませんか。受益者は誰なんですか。国であり、社会です。子供に最大限投資をしていただきたい。将来の世代のツケなどというのは明らかに間違いです。分かっていますよね、財務大臣も、そして小倉大臣も分かっていると思いますよ。

 財政健全化といいながら、虐待やあるいは貧困、不登校、自殺、子供が生まれないという状況の方がよほど将来にツケを残すと私は考えます。国家の自滅であると思います。ここを国民負担でやるべきではありませんし、ましてや消費税増税でやるべきではないということを強く申し上げます。

 何度もこのことは総理へも、私は昨年から度々、消費税増税に求めては絶対に駄目だと言い続けてきました。大臣、消費税の増税と緊縮財政がこの国を貧しくしてきたんです。失われた三十年と少子化進行の三十年、これは同じカーブ、カーブが一致しているんですね。更に日本を失われた五十年にするつもりですか。

 消費増税は絶対駄目であるということはもちろん、国民負担ではなくて、積極財政で子供に最大限投資をする。この歴史の責任を是非背負って、小倉大臣には決断をしていただきたいと思います。

 さて、時間が短くなりましたけれども、賃上げに行きたいと思います。

 総理は、インフレ率を超える賃上げとか物価上昇に負けない賃上げと、かけ声はかけるんですが、企業にお願いするだけではなく、まず政府ができる賃上げをするべきです。

 そこで、お伺いします。

 総理が施政方針演説で全力を挙げますとおっしゃった公的セクター、これはどのような範囲か、具体的に、賃上げの方法はどうするのか、賃上げの額の目安はどれぐらいかお示しください。これはどちらの大臣でしょうか。

後藤国務大臣 賃上げは岸田政権の最重要課題でありまして、その推進に当たっては、民間部門だけではなく、公務員、そして公的に価格が設定されている保育、介護などの社会保障分野においても、制度に応じて民間給与の伸びを踏まえた改善等を図るとともに、見える化を行いながら、現場で働く方々の処遇改善、業務の効率化に努めます。公共事業の労働単価等についても、物価等を踏まえた改善を行う。

 具体的には、それぞれの制度を所管するところでしっかりと具体的に検討を進めてまいります。

櫛渕委員 もう時間が来てしまいましたので、次にこの話題は送りたいと思います。厚労大臣にもお聞きしたかったんですが、次で、よろしくお願いいたします。

 先に、この議場では申し上げたいと思います。

 今……(発言する者あり)

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますから、おまとめください。

櫛渕委員 新しい資本主義担当大臣にお聞きしたいんですが、公的セクターについて、担当が昨日の夜まで決まっていませんでした。

 これが現状だということを最後に明らかにし、次の質疑につなげたいと思います。ありがとうございました。

根本委員長 これにて櫛渕君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る六日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五分散会


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