衆議院

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第9号 令和5年2月9日(木曜日)

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令和五年二月九日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 小林 鷹之君 理事 中山 展宏君

   理事 古川 禎久君 理事 堀井  学君

   理事 牧原 秀樹君 理事 大西 健介君

   理事 後藤 祐一君 理事 青柳 仁士君

   理事 赤羽 一嘉君

      伊東 良孝君    伊藤 達也君

      石破  茂君    今村 雅弘君

      岩屋  毅君    衛藤征士郎君

      奥野 信亮君    亀岡 偉民君

      熊田 裕通君    下村 博文君

      杉田 水脈君    鈴木 貴子君

      鈴木 隼人君    田中 和徳君

      辻  清人君    土屋 品子君

      平沢 勝栄君    古屋 圭司君

      牧島かれん君    三谷 英弘君

      宮下 一郎君    宗清 皇一君

      八木 哲也君    山本 有二君

      鷲尾英一郎君    金子 恵美君

      鎌田さゆり君    源馬謙太郎君

      神津たけし君    堤 かなめ君

      西村智奈美君    藤岡 隆雄君

      本庄 知史君    森山 浩行君

      吉田はるみ君    渡辺  創君

      池畑浩太朗君    高橋 英明君

      早坂  敦君    掘井 健智君

      岬  麻紀君    庄子 賢一君

      中野 洋昌君    鰐淵 洋子君

      斎藤アレックス君    田中  健君

      高橋千鶴子君    宮本  徹君

      緒方林太郎君    たがや 亮君

    …………………………………

   財務大臣         鈴木 俊一君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   農林水産大臣       野村 哲郎君

   経済産業大臣       西村 康稔君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     松野 博一君

   国務大臣

   (復興大臣)       渡辺 博道君

   国務大臣

   (こども政策担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   小倉 將信君

   国務大臣

   (新しい資本主義担当)

   (全世代型社会保障改革担当)           後藤 茂之君

   国務大臣         高市 早苗君

   財務副大臣        井上 貴博君

   外務大臣政務官      秋本 真利君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            山中 伸介君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        吉住 啓作君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     角田  隆君

   政府参考人

   (総務省統計局長)    井上  卓君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    辺見  聡君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  平形 雄策君

   政府参考人

   (農林水産省畜産局長)  渡邉 洋一君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月九日

 辞任         補欠選任

  岩屋  毅君     鈴木 貴子君

  奥野 信亮君     杉田 水脈君

  山本 有二君     宗清 皇一君

  藤岡 隆雄君     鎌田さゆり君

  本庄 知史君     堤 かなめ君

  吉田はるみ君     神津たけし君

  渡辺  創君     金子 恵美君

  阿部  司君     岬  麻紀君

  池畑浩太朗君     早坂  敦君

  掘井 健智君     高橋 英明君

  斎藤アレックス君   田中  健君

  宮本  徹君     高橋千鶴子君

  櫛渕 万里君     たがや 亮君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 水脈君     奥野 信亮君

  鈴木 貴子君     岩屋  毅君

  宗清 皇一君     山本 有二君

  金子 恵美君     渡辺  創君

  鎌田さゆり君     藤岡 隆雄君

  神津たけし君     吉田はるみ君

  堤 かなめ君     本庄 知史君

  高橋 英明君     掘井 健智君

  早坂  敦君     池畑浩太朗君

  岬  麻紀君     阿部  司君

  田中  健君     斎藤アレックス君

  高橋千鶴子君     宮本  徹君

  たがや 亮君     櫛渕 万里君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 公聴会開会承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和五年度一般会計予算

 令和五年度特別会計予算

 令和五年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 令和五年度一般会計予算、令和五年度特別会計予算、令和五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、公聴会の件についてお諮りいたします。

 令和五年度総予算について、議長に対し、公聴会開会の承認要求をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、公聴会は来る二月十六日とし、公述人の選定等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣府子ども・子育て本部統括官吉住啓作君、復興庁統括官角田隆君、総務省統計局長井上卓君、厚生労働省職業安定局長田中誠二君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長辺見聡君、厚生労働省保険局長伊原和人君、農林水産省農産局長平形雄策君、農林水産省畜産局長渡邉洋一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 これより一般的質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。西村智奈美君。

西村(智)委員 おはようございます。立憲民主党の西村智奈美です。

 旧統一教会の名称変更問題について、下村博文元文部科学大臣の参考人招致を要求しておりますが、いまだに理事会では協議が続いているということで、お認めいただいておりません。これではやはり、自民党と旧統一教会との関わり、政治との関わりについて事態が明らかにならない。大変深刻だと思いますので、引き続き理事会での協議を強く要請いたします。委員長、お願いします。

根本委員長 理事会で協議します。

西村(智)委員 原子力発電所の運転期間延長問題について質問をいたします。

 私は、そもそも、福島第一原発事故のあの経緯を見まして、原発ゼロを一日も早く実現すべきだという立場でございます。ところが、今回、政府は、十分な議論もなく、ウクライナの状況などを理由といたしまして、長期的なエネルギー政策とは無関係なところで、無関係な問題を運転期間の延長の理由にするなどしております。大変こそくだと私は思います。

 この方針転換にはいろいろな問題がありますけれども、今日は運転期間の延長に絞って質問をしたいと思います。

 今日は、原子力規制委員会委員長山中さんにお越しいただいております。昨日、規制委員会が開催されて、そこでこの運転期間の延長が諮られたところ、石渡明委員が六十年の運転制限を原子炉等規制法から落とすのは安全側への改変とは言えないと反対意見を述べて、決定が保留されたという報道がございましたが、これは事実でしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 昨日、二月八日に開催されました原子力規制委員会において、原子力規制庁より、高経年化した発電用原子炉に関する安全規制の概要案に関するパブリックコメントに対する考え方の了承及び当該概要案の決定を付議いたしました。その際、各委員からそれぞれ意見を伺ったところ、石渡委員より、運転期間の制限を落とすのは安全側への改変とは言えない等の理由から、反対意見が述べられました。

 このため、私としては、議論を続けていくことが望ましいと考えまして、更に委員の間で議論をすることとし、概要案の決定については、今回、見送りとすることといたしました。

西村(智)委員 私も、石渡委員が指摘されているとおり、やはり安全側への改変とは言えないということは同じ考え、意見でございます。

 そもそも、原子力発電については原則四十年、そして最長六十年という運転期間のルールがあったわけでありますけれども、辻元清美参議院議員の質問主意書でも取り上げているんですけれども、平成二十四年の二月七日に、当時の細野環境大臣が、原発の運転期間を原則四十年としたということで、その理由、根拠を述べております。

 その答弁、かいつまんで申しますと、四十年で原子炉の脆化が始まると。データを取っていると、急激に冷やしたときに脆化がいつの頃から、何といいますか、高くなるかというか強くなるかということで、四十年から脆化が始まるということでの答弁があります。

 そもそも、四十年からもうそういうふうに脆化が始まると指摘されているわけですけれども、この細野大臣の答弁、これは現在も有効でしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 御指摘の平成二十四年二月七日の国会審議において、当時の細野大臣が、運転期間を原則四十年とした根拠として、既設炉の許認可申請において、原子力圧力容器に中性子が照射されることで弱くなる現象について、想定年数を四十年として申請していることなどを挙げ答弁されたことは承知しております。

 一方で、平成二十四年六月五日の国会審議において、当時の細野大臣は、四十年がたてばそのときから急に危険になるわけではないと答弁されたことも承知しております。

 また、現行法の提案者から、四十年は政治的な数字であり、科学的な知見に基づいて決定された数値でもないとの答弁もあったと承知しております。

 いずれにいたしましても、平成二十四年当時、国会の審議においては、技術的見地を含め、幅広い観点から議論が行われた上で立法されたものと認識しております。

 なお、科学的、技術的見地から申しますと、運転年数が長くなればなるほど中性子照射による劣化は進んでまいりますが、発電用原子炉施設の設備、機器等の劣化に関しましては、使用履歴や保守管理の状況などにより、それらの進展は一様でなく、運転開始から四十年というのは、一律に壊れやすくなるというものではございません。

 運転延長認可制度のこれまでの審査実績を見ましても、四十年の時点で中性子脆化による劣化を懸念しなければならないようなデータが示されているわけではございません。

 また、許認可申請時の耐用年数四十年について言えば、設備、機器等の設計上の評価を行うために用いられたものであり、原子炉の寿命そのものを示しているものではございません。

西村(智)委員 いや、今の答弁、大変驚きました、私。これが規制委員会の委員長の御答弁かと。

 安全性を確保するというのが、その見地から物を言っていただくというのが規制委員会の委員長であられるはずなのに、何かとうとうと、四十年たったら云々とか、いろいろなことをおっしゃいましたけれども、では伺いますが、四十年と四十五年を比べて、どちらの方がより脆化が進んでいると、それははっきり言えますよね。どうですか。そこは御答弁ください。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 年数がたてばたつほど中性子による劣化は進んでまいります。ただし、いずれにいたしましても、私ども原子力規制委員会では、安全規制を行う上で、基準をしっかりと決め、その基準を満たしたもののみ運転を許可する、基準を満たさなければ運転を許可しないという、今、四十年の運転延長認可制度を実施しているところでございます。

西村(智)委員 余り四十年の話に持っていくと六十年の話ができなくなりますので、六十年の方に移りますけれども、現在のスキームで最長六十年を限界としております。その根拠についてお尋ねいたします。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 平成二十四年当時の国会審議において、日本での高経年化技術評価で、運転開始後六十年を見通した経年劣化の評価を行っていること、米国の事例として、運転許可の更新は一回につき二十年を超えない期間としていること等を考慮した結果、最大二十年の延長規定が設けられた旨の説明があったと認識しております。

西村(智)委員 原子力規制委員長にお尋ねしますが、そうしましたら、その六十年期限の根拠、経年劣化の評価というのは、誰がどう判断して、それで六十年というふうに変更するんでしょうか。

山中政府特別補佐人 現行制度においては、四十年の運転延長認可申請が事業者からなされて、その申請に基づき、原子力規制委員会が評価をし、審査をして、認可の判定をしております。

西村(智)委員 現在のスキームでも、こういうふうにちょっと分かりにくい説明であるのを、さらに、六十年を超えて運転することを認める。しかも、先ほどの規制委員会の委員長の御答弁を伺えば、個々の炉で判断するんだというふうにおっしゃっていますけれども、でも、四十年から四十五年、例えば四十五年から五十年、こうやって年数が進んでいくごとに脆化が進むということは、先ほど委員長もお認めになりましたよね。なりましたよね。うなずいておられます。

 やはり、こういう中で、今ある六十年、最長六十年というのを超えて、さらに、そこから先の運転まで、極端な話を言えば、七十年、八十年、九十年と運転ができるというスキームに変更するというのは、私は原子力規制委員会としての責任放棄ではないかと思うんですけれども、委員長、いかがですか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 運転期間の延長に関しましては、原子炉等規制法において、運転期間に関する定めと高経年化した発電用原子炉の安全規制に関する定めがセットで規定をされております。このうち、運転期間に関する定めにつきましては、令和二年七月に決定した見解のとおり、原子力利用の在り方に関する政策判断であり、原子力規制委員会が意見を述べるべき事柄ではないと考えております。

 一方で、経済産業省が現在検討されている運転期間に関する定めがどのようなものになろうとも、原子力規制委員会としては、高経年化した発電用原子炉に関する安全規制を厳格に実施できるよう、必要な検討を行っているところでございます。

西村(智)委員 今の御答弁を伺っても、私は、原子力規制委員会は責任放棄しているのではないかと言わざるを得ません。

 放射能を浴びない自動車でも、飛行機でも、皆さん、六十年を超えて使おうという発想になりますか。ならないですよね、普通は。

 日本は福島第一原発事故を経験しました。そして地震の多い国であります。海外の状況とも全く違うところがあります。原発を使い続けること自体に疑念がありますけれども、六十年を超えて使用しようとする今回の政策決定は、私は容認できません。そのことを申し上げておきます。

 次の質問に移ります。

 知床観光船の事故についてです。

 昨年の四月に、知床で遊覧船、観光船の事故が発生をいたしました。二十六名の方が、お亡くなりになったり、まだ行方不明ということでございます。船会社の責任が重大であるということは確かにそのとおりだというふうに分かるんですけれども、行政に全く責任がないのかということについては、私、ずっと疑問に感じてまいりました。

 そんな中で、昨年の十二月十五日に運輸安全委員会からの報告書が出ております。経過報告ということで、最終報告ではないようでありますけれども、その中で、沈没の直接の原因として、船首の方の甲板にあったハッチが開いて、そこから水が入ったということが沈没の原因であったというふうに指摘をされております。

 なぜハッチが開いたのか。これはまだ運輸安全委員会の経過報告には明確には示されておりません。もちろん、船長が何らかの理由で開けて閉め忘れたとか様々な可能性はあると思いますけれども、ハッチが確実に固定できない状況であったというふうにはされております。

 このハッチの状況は、事故の三日前ですか、日本小型船舶検査機構が検査で入っております、その検査で発見できていれば事故が防げた可能性はあるというふうに私は考えるんですけれども、大臣はどのようにお考えですか。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、この知床遊覧船事故でお亡くなりになられた方々と御家族に対して心からお悔やみを申し上げますとともに、事故に遭遇された方々、そしてその御家族に心からのお見舞いを申し上げます。

 日本小型船舶検査機構による検査の現場におきまして、合理的な理由なく国と異なる検査が行われており、その結果、機構の携帯電話やハッチカバーに関する検査方法が十分でなかったことについては重く受け止めております。機構が実施していた不十分な検査方法については、携帯電話やハッチカバーに関するものを含め、既に見直しを行い、その強化を図ったところでございます。

 また、実際の機構の検査現場の国による点検も実施しております。私も、現場に行ってそれを確認いたしました。さらに、検査の実効性の更なる向上のため、機構に対して、現場における検査実態について総ざらいするよう指示したところでございます。

 このような痛ましい事故を二度と繰り返さないよう、知床遊覧船事故対策検討委員会における検討を踏まえ、機構に対する監督強化を含め、小型旅客船の総合的な安全対策について、国土交通大臣として、私自身責任を持って主導し、実施してまいりたい、このように決意をいたしております。

西村(智)委員 この検査では外観を見ただけであったと。大型船への国による検査では、当然、ハッチを開けたり閉めたりという確認はする。だけれども、JCIの検査は外観を見るだけということで、内規があったということですかね、その存在が指摘をされている。今、大臣も部分的に御答弁になりました。

 それから、船からの連絡手段については、携帯電話の通話可能範囲については、船会社側からの自己申告で認める、実際には確認をしなくてもよいと。例えば、エリアがどうなっているとか、実際にそこから通じるとかという確認をしないまま、自己申告で認めるということも内規で規定されていたと。大臣もさっき部分的に御答弁になりました。

 国土交通省がこうした内規の存在を知らなかったということですけれども、国土交通省が監督する団体が、結果としてこのような重大事故を招くずさんな内規を基に検査をしてきたということ、この責任は私は国土交通省にあると思います。

 大臣、遺族の心情に寄り添った御答弁をもう一回お願いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、ハッチカバーの件でございますけれども、機構の検査の現場では、ハッチカバーの検査において、ハッチカバーに腐食、亀裂等がないこと及びハッチとハッチカバーとの間に隙間がないことが確認できた場合は、締めつけ装置、クリップの作動確認を省略しておりました。このクリップの作動確認を省略していた機構の検査方法は、水密性の確認方法として十分ではなかったことから、ハッチカバーの締めつけ装置の作動確認を必ず実施するよう、検査方法の見直しを指示し、本年一月一日より改善されたところでございます。

 先ほども申し述べさせていただきましたけれども、今回、この国会に法案改正もさせていただこう、このように考えております。小型旅客船の総合的な安全対策につきまして、私自身が主導し、責任を持って対応してまいりたい、このように思っております。

西村(智)委員 今の御答弁でも、やはり私は納得できないですね、済みません。

 これからのことは、それはちゃんとやっていただきたいです、大臣が責任を持って。だけれども、国土交通省が監督する団体、それが、結果として、こんなずさんな内規を基に長年検査を行ってきた。それで、乗る人たちは安全だと思って乗っているわけですよ。この責任を国土交通大臣としてどう考えるのか、そのことについて御答弁いただけませんか。

斉藤(鉄)国務大臣 運輸安全委員会の経過報告に示された沈没に至るメカニズムと日本小型船舶検査機構による検査との関係を含め、事故原因については運輸安全委員会において今後更に調査分析を進める予定であることから、責任の所在についてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 しかしながら、機構の携帯電話やハッチカバーに関する検査方法が十分でなかったことについては重く受け止めております。機構の検査業務の改善を図ることが、機構を監督する国土交通大臣としての責任を果たすことであると考えておりまして、全身全霊でしっかりと取り組んでいきたいと思っております。

西村(智)委員 今の答弁で、よしという声が自民党の方から聞こえたんですけれども、ちょっと信じられないですね。

 内規があったことについて反省はありませんかということなんですけれども、何度やってもこれは同じ答弁で、本当に残念です。本当に残念でなりません。このままで本当に改善なんかできるのか、ここは強く申し上げます。

 ちょっと順番を変えまして、次に、高市大臣に多様性に関して質問をさせていただきたいと思います。

 高市大臣、私たち、超党派のLGBTに関する議員連盟がありまして、二〇二一年の春に、私と稲田朋美衆議院議員とで長い間交渉しまして、私たちは差別解消法案というのを既に国会に提出しています。ですから、私たちとしては、その差別解消法案の成立を一日も早く実現したいというふうに思っていますが、なかなか他党の方の、特に自民党さんの賛同が得られないので、超党派の議連で、私と稲田さんとで議論をして、自民党さんの持っておられた理解増進法案の骨子案、これについて議論をして、一本に最後まとまりました。

 私も言いたいことはいろいろあったし、これでは不十分だという思いは本当に強かったんですけれども、ないよりはましということで合意をしたんですね。それで、他党に、ほかの党は全部持って帰ったんですけれども、自民党さんだけは途中で審議が止まってしまって、総務会預かりということになっているんです。

 最低限、この理解増進法案だけは、私は国会で通るべきだというふうに思っているんです。高市大臣はどういうふうにお考えですか。

高市国務大臣 性的指向ですとか、また性自認に関して、偏見があるというようなことはあってはならないと思っております。ですから、私は、理解増進そのものについては賛成でございます。

 ただし、おととしの総裁選挙に出馬をいたしましたときに、原案についてはまだ慎重な議論が必要だという意味で反対の意を表明しましたのは、当時、LGBTの当事者の方からお話を伺いました。そのときに、企業の努力といったところで、これがこのままで通ってしまったら、自分たちがかえって企業に採用されにくくなるのではないか、こういった懸念のお声もありましたので、当時、まだ自民党で結論は出ておりませんでしたし、現在も自民党で結論を得ていないと承知をいたしておりますので、文言について十分な調整が必要な段階なんだろうと考えております。

西村(智)委員 ちょっといろいろ話が何か混ざっちゃったような気がするんですけれども、自民党の案には、理解増進法案には賛成、私と稲田さんとでまとめた超党派の案にはまだまだ議論が必要、こういうことでしょうか。

高市国務大臣 済みません、私は自民党の案は読んでおります。その中で、当事者の話を聞いたときに、やはり、就職で不利になるのではないかという懸念の声がありましたので、そういった論点も詰めた上でということで、当時は慎重な立場を取らせていただいておりました。

 まだ自民党内で結論は得ていないと思います。

西村(智)委員 ということは、自民党さんが取りまとめた理解増進法案にも、高市大臣は当時は慎重な立場であったということでよろしいでしょうか。

高市国務大臣 自民党が党議決定をするまでには、政調会の部会で議論をして、全会一致か若しくは部会長一任を取り付け、その後、政調審議会で全会一致が基本でございます。その後、総務会で全会一致が基本で、そこで初めて党議決定をされます。

 まだ党議決定には至っていないと承知をいたしております。まだ論ずべき論点が残っているということなんだろうと思っております。

西村(智)委員 済みません、意図的かどうか分からないんですけれども、話がちょっとこんがらがっているんですが、自民党さんがまとめた理解増進法案というのは多分あるんだと思うんです、骨子案。それをもって、私と稲田さんとで、超党派の議連で交渉してまとめた、タイトルは理解増進法案というのがあるんです。

 だから、理解増進法案も、自民党オリジナル案と超党派案とあるんですけれども、高市大臣は、どちらに賛成、あるいはどちらに慎重でしょうか。

高市国務大臣 済みません、その超党派案の議論に私自身が参加をしておりませんでしたので、それでは、例えば企業の努力のところがどういう書きぶりになっているのか、こういったことを教えていただければと思います。

 ただ、現在、閣僚の立場でございますので、岸田内閣として何かを決定したということではございません。

西村(智)委員 理解増進法案というのは、元々、本当は、ほとんど中身は自民党さんの条文なんですよ。そこに一文書き加えたものが超党派の案なんですけれども。

 先ほど、企業から採用が難しくなるというお話がありましたけれども、この間のいろいろ議論がある中で、逆に、今、日本の中で、大手の、例えば上場しているところとか、LGBTフレンドリーといいまして、逆に多様性がないことが経済活動にはマイナスだという声が結構上がっていて、これは日本社会の中でもようやく、ようやくじゃないな、もう本当に結構大きな声になってきているんです。

 経済安全保障を進めていく上でも、人権デューデリジェンスですとか、いろいろな考え方、国際機関などで言われておりますけれども、そういったことからしても、やはり、企業の皆さんが採用しにくくなるというのがちょっと私は、ごめんなさい、その方と直接やればいいんですけれども、大臣はその声をどういうふうな思いでお聞きになったんでしょうか。

高市国務大臣 確かに、今、大企業を中心に人権への意識は高まっております。私が担当する経済安全保障でも人権デューデリジェンスにつきまして理解が広まりつつあります。

 他方で、日本の企業数の中での九九・七%が中小企業でもございます。その中で、まだまだ人権への意識を浸透させていかなければならないなというのが現在の私の課題でございます。

 私が当事者からお話を聞きましたときには、特に、中小企業が多い中で、様々な負担、そういったことを、例えば設備上の負担ですとか、社内で社員教育もしっかりやらなきゃいけない。それは当然、各企業、御理解をいただけるとは思うんですけれども、取っかかりのところで、自分たちの就職が不利になる、採用したくない、こういった気持ちが働いてしまっては困るので、そこのところを十分詰めてほしいというお話でございました。

西村(智)委員 そこがまた、ですから、社会が変わってしまうという岸田総理の答弁と結局何か根っこは同じかなというふうに思うんですけれども。

 少なくとも、私は、やはり経済のことを考えても、多様性がこれだけ言われている社会の中ですから、まさに担当大臣が先頭に立って多様性を経済活動の中でも担保していこうというふうに、私は先頭に立つべきだというふうに思うんですよね。

 企業の努力、ちょっと済みません、私も理解増進法の中でどういうふうな書き方になっていたか、今にわかには思い出せないので本当に申し訳ありませんが、でも、企業の努力ですから。やらなきゃいけない、要するに義務規定だったらいろいろあるんでしょうけれども、努力してくださいということは、これは私は、まさに働く人たち一人一人の人権、あるいは企業の利益ということを考えても、やはり大臣から、そこは一緒にやっていこうよというふうに言ってしかるべきじゃないかというふうに思うんですけれども、どうでしょうか。

高市国務大臣 経済安全保障担当大臣としては、人権DDにつきましては、できるだけ多くの企業にしっかりと認識をしていただきたく、その努力は続けております。

 そしてまた、いわゆる性的指向ですとか、また性自認の問題、これにつきましては、私は、それをもって不当に何か差別をされたり偏見を受けるということはあってはならない、だから、理解を増進するということについては大いに賛成でございます。

 ただ、それを企業に、私の現在の担務の立場で浸透させていくというのが、必ずしも私の権限の中でできるのかどうかということは分かりませんが、しかし、人権に対する考え方というのはしっかりと企業が持たなければ、世界市場の中でやはりビジネスチャンスを失う、そういったリスクもあるということは十分に承知をいたしております。

 自民党が作った案、それからまた合意された案にしても、全て、やはり条文ベースで、自民党内では本当に条文ベースで丁寧に議論が行われると思いますので、これは党議決定を待ちたいと思っております。

西村(智)委員 今の御説明、大変、何というか、ダブルスタンダードだなというふうに思いました。企業にはそういうふうに求めていくけれども、自分として求めることはしない。何か、これだと、どういう立場での担当大臣なのかなというふうに思います。

 同性婚について伺いたいと思います。

 大臣は、同性婚についてどういうふうにお考えですか。何度も申し上げますけれども、これは人権の問題でもありまして、やはり、異性間でできる婚姻を、他の同性パートナーのカップルにも認めようという考え方。もう既に全国のかなりの数の自治体でパートナーシップ条例などの制度が導入をされていて、その人口カバー率は、もう六割ぐらいだというふうに言われています。結構、社会も進んできていて、私は同性婚を法制化したいというふうに思うんですけれども、高市大臣はどういうふうにお考えでしょうか。

高市国務大臣 同性婚制度を導入するかどうかということについては、現在、岸田内閣では何ら決まったものはございません。

 私個人の考え方をここで述べるのは不適切かもしれませんけれども、憲法二十四条の解釈も含めて、これは非常に難しい問題だと思っております。様々検討するべき事項もありますし、岸田総理がおっしゃっておりますとおり、地方自治体でのパートナーシップ条例の動向など、こういったものも見ながら、そして、まだ裁判で係争中の案件でもございますので、こういったことも見ながら論点整理が進んでいくんだろうと考えております。

西村(智)委員 私たちは、既に婚姻平等法案というのを国会に提出しております。

 それは違憲ではないということ、憲法には反しないということで、令和三年の二月二十五日に予算委員会の第三分科会で尾辻かな子委員が質問しましたときに、衆議院法制局から答弁がありました。すなわち、日本国憲法は、少なくとも、同性婚を法制化することを禁止はしていない、すなわち、認めているとの許容説は十分に成り立ち得るというふうに答弁している。また、憲法十三条や十四条等の他の憲法条項を根拠として、同性婚の法制度化は憲法上の要請であるとするような考えなどは十分に成り立ち得るということで、衆議院の法制局、ちゃんと答弁をしております。

 また、このところ出ている各地の同性婚に関する訴訟でも、憲法、法の下の平等、あるいは二十四条の第二項、これに照らして、違憲である、反するというような判決も出ておりますので、是非、そこのところはよくよく知っていただいて、共に、本当に一人一人の人権を守るための議論をさせていただきたい。強く申し上げて、時間になりましたので、質問を終わります。

根本委員長 これにて西村君の質疑は終了いたしました。

 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 立憲民主党の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 私たち立憲民主党は、自由と多様性を重んじる、そういう政党です。そして、あらゆる差別を決して許さない、そういう強い信念を持って日々活動させていただいているということを冒頭申し上げさせていただき、そしてまた、今日は、西村智奈美先輩に続きまして、私も女性でありますけれども、続きます鎌田さゆり議員、そして堤かなめ議員と、今日は女性がバッターで質疑をさせていただきます。しっかりとジェンダーの視点で質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 冒頭、トルコ、シリアの大地震により被害に遭われた皆様にお見舞い申し上げますとともに、犠牲になられた皆様方に哀悼の意を表したいと思います。

 私も、福島県の人間でございます。東日本大震災原発事故を経験いたしまして、あのときもうさぎ年、十二年たちまして、今年もうさぎ年ということですけれども、本当にこの間、多くの方々がまだ避難を余儀なくされている状況から、いかに少しでもふるさとの復興再生を前進させていくかということで苦しんできました。

 そういう私たちの、福島県民の思いというのがありますが、残念ながら、自民党の麻生副総裁、本当に私たちのその心というものを全く無視している、あるいは、原発事故があった、そういう状況というのを全く考えない、そういう発言をされていることに驚きました。

 今年一月十五日、自民党の麻生副総裁、福岡県での講演会において、原子力発電所について、最も安く、安全で安心な供給源とした上で、原発は危ないというが、死亡事故が起きた例はゼロだと発言いたしました。

 本日、お越しいただいています松野官房長官も、記者会見でこの発言について質問を受けて、原発で死亡事故がある事実を述べられていると報道されています。ですから、全く間違った言葉をおっしゃっている。死亡事故が起きた例はゼロだ、ゼロではないです、まずは。

 それから、東日本大震災原発事故では、この福島の原発事故があったことによって関連死となった方々が多数おいででございます。福島県では二〇二二年三月三十一日現在の数字ではありますけれども、震災関連死の数が二千三百三十三名でありまして、震災によって直接亡くなられた方の数を超えているという状況です。原発事故で多くの方が亡くなったんです。そのようなことを全く無視した形でのこの発言、新たな安全神話を生み出そうとしているのか、そうとも感じます。

 そこで、まず松野官房長官に伺いたいと思いますが、この麻生副総裁の発言についての御所見を伺いたいと思います。

松野国務大臣 金子先生にお答えをさせていただきます。

 まず、個別議員の発言につきましては、政府として詳細を把握しておらず、お答えをすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 その上で申し上げれば、放射線とは直接関係ないものの、原子力発電所の敷地内での労働災害による死亡事故や、東日本大震災による震災関連死も発生しているところであります。

 いずれにせよ、原子力発電所における安全は重要であり、死亡を伴う事故はあってはならないものと考えています。政府としても、痛ましい事故が発生しないよう、安全最優先で取り組むよう事業者を指導してまいりたいと考えております。

 また、福島県における震災関連死は岩手県や宮城県などの他県に比べ多く、これは原子力発電所事故に伴う避難等による影響が大きいと考えられます。震災に関連してお亡くなりになる方がいらっしゃるのは、誠に心が痛みます。

 こうした震災関連死を防ぐために、被災者の方々の住まいや生活の再建の後押しとともに、孤立防止や心身のケアに取り組むことが重要であると考えております。

 被災自治体の取組を政府としても支援しており、震災関連死の防止に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 原発事故による死者をめぐっては、亡くなられた方々の数ということもありますけれども、高市経済安全保障大臣、自民党政調会長だった二〇一三年六月、これも神戸市での講演で、東京電力福島第一原発で事故が起きたが、それによって死者が出ている状況ではないと発言して、大変な非難を受けまして、そして高市大臣はその発言を当時、撤回し、陳謝しました。これは当然のことだというふうに思っているんです。

 今の松野官房長官の答弁ですと、何とも言えないということなんですね。ただし、麻生さんは、総理大臣経験者、そして今、副総裁、岸田総理の後ろ盾として影響力を持つと言われている方であります。原発の積極活用へかじを切った政権を後押ししたいのではないか、だからこういう発言につながっているのではないかとも言われている。

 一言で言うと、私たち福島県民としても、福島でのあの東電福島第一原発の事故というものは、矮小化されるか、あるいはなかったことにされるのではないかと思っています。

 官房長官、いかがですか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 内閣としての原子力発電所内の安全管理に対する考え方、また震災事故関連死等に対する考え方は、先ほど答弁をさせていただいたとおりであります。しっかりと、申し上げた方針の下に、安全管理に全力を尽くしてまいりたいと考えております。その中で、個別の議員の発言に関して、政府としてここで申し上げるのを差し控えたいという趣旨で申し上げました。

金子(恵)委員 これ以上言っても同じ答弁になってしまうので時間がもったいないんですけれども、ただ、ここで、私は、この質問をさせていただいた意味というのは間違いなくあるというふうに思っていまして、これまでも、本当に、人の命とか人権を本当に大切にしないような発言が自民党の中からは出てきている、あるいは今の政権の中から出てきているということでありますので、今、官房長官がしっかりと、例えば関連死が増えないように、そういう方々を増やさないようにきちんと対応するような、そういう趣旨のことはおっしゃったけれども、なぜかそれも私は信じることができないという悲しさを感じています。

 今、政府内で、本当に、先ほど来お話がありました、西村先輩も質問されたんですけれども、どうしても原発を積極活用ということになっていきますが、やはり安全、安心とは言えませんよね。そして、原子力関連施設ということであれば、間違いなく、今まで、亡くなった方々がいる、死亡事故が発生しているということですから、このような間違った、原子力あるいは原発で亡くなった方がいないような、そんな発言をして、それで最終的には新たな安全神話をつくり上げる、そういう方向だと思いますので、それだけは私たちは許してはいけないというふうに思っていますし、そんな安全神話、またつくらないでください。そのことによって福島県民は今も苦しんでいる。是非お願いしたいと思います。

 政権が昨年末にまとめました原発に関する新方針、GX実行会議のGX実現に向けた基本方針ですけれども、その三ページには、事故への反省と教訓をいっときも忘れず、安全神話に陥ることなく安全性を最優先することが大前提と言っているんです。

 お願いします。これで、安全神話に陥ることなくと言っている。これ、よろしいですよね。官房長官、一言お願いします。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 内閣といたしましても、先生の御出身県であります福島の復興は国の最重要課題であり、福島の現状に寄り添いながらエネルギー政策を進めていく考えであります。

 また、御指摘にあったとおり、原子力については、安全神話に陥ってしまった東京電力福島第一原子力発電所事故の反省を踏まえ、いかなる場合もゼロリスクはないとの認識に立ち、安全性の確保を最優先として取り組んでいく考えであります。

金子(恵)委員 福島の復興を担当していただいている渡辺復興大臣、今のやり取りを聞いていただきまして、大臣、再登板ということでもありますので、福島県民の考え方ももちろん分かっていると思います。

 今まで、ちょっと私も福島県民、福島県民とばかり言ってしまいましたけれども、これはもう日本全国の問題だと思っています。世界の問題だというふうにも思っています。なぜならば、福島県民の我々は、全国各地に今も避難をしている状況で、県外避難者、二万一千人以上いるということでもあります。

 どうお考えになられますか。安全神話をつくり上げようとするようなそういう発言が与党内にあるということをどう考えますか。

渡辺国務大臣 金子恵美先生にお答えを申し上げます。

 二回目の登板ということで、復興大臣として、真っ先にまず福島の内堀知事に会ってまいりました。福島の状況について、しっかりと私自身は現場を見ながら認識をしているところでありますが、原発の関係につきましては、今、松野官房長官のお話にあったとおりでありますけれども、まずは、少なくとも、原発については安全性というのが最優先だ、私はそのように思っております。

 そして、私の立場は、あくまでも、現在の福島における原発事故によって被災された皆さん方をどのようにフォローしていくかというところが重点だというふうに思っておりまして、現実に被災された皆さん方にどのような形でサポートをするかというところに私の立場として中心の役割があるというふうに思っております。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 一度原発事故が起きれば、多くの人たちが避難を余儀なくされる、そして関連死に至ることもあるというようなことを、福島の原発事故から教訓として学んでいただいているはずです。東電福島第一原発は、今も廃炉技術さえ確立されていない、燃料デブリの取り出しさえできない、ALPS処理水の問題もある、そして、毎日、廃炉作業員の方々が本当に御苦労されてそこで働いているということを忘れてはいけないというふうにも思います。

 原発は、簡単に安全、安心と言えるものではない。どんな安全対策をしてもやはり危険なものだということで、そういう認識を持って扱うべきものだというふうにも思っています。

 さて、国連の人権担当特別報告者であるダマリーさんが、昨年十月に、来日して十二日間の調査をして、調査を終えた段階で会見をされました。

 今避難をされている方々の話ではありますけれども、強制か自主かの区別は取り除いて、権利や必要性に基づいた避難者への支援を継続すべきだということもおっしゃっていました。またさらに、帰還の意思がないと判断されたら避難者統計から外すということを今政府が、復興庁はやっているわけなんですけれども、避難者数を少なく見せようとしている、そういう何か意図が働いていないのかということも大変心配をされているのではないかというふうにも思っていますし、実際にこのダマリーさんが国連人権担当特別報告者としてお越しになって、調査を十二日間されたということはよかったことだというふうに思っています。

 今年に入ってその報告がなされることだというふうに思いますけれども、このことも含めまして、やはり避難者の方々をしっかりと支援し、継続をしていくということはとても重要な課題でありますけれども、改めて復興大臣に、子ども・被災者支援法に基づいて支援を継続することも含めまして、どのような支援をこれからまた進めていくのかというのをお伺いしたいと思います。

渡辺国務大臣 現在、福島第一原発の被災者支援については、指示避難者であるか自主避難者であるか、帰還の意思があるか又はないかを問わず、全ての被災者に対して行われることが大変重要だ、そのように思っております。

 このため、復興庁においては、被災者支援として、復興公営住宅の整備を支援するとともに、住宅、生活再建に関する相談や、被災者の生きがいづくりのための心の復興事業などに取り組んでいるところであります。また、避難先で過ごす方に対して、全国、今お話ありました二十六か所、生活再建支援拠点を通じて、生活の再建や安定に向けた相談対応や交流会などの取組を実施しているところでございます。

 これまでも、子ども・被災者支援法を踏まえながら、関係省庁が連携して必要な施策を推進してきたところであり、今後とも、被災者の方々の声に耳を傾けながら、できる限りの支援を行ってまいりたいと思います。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 自主避難をされている方々も含めて、県内外に避難をされている方々の支援はもちろん継続するということでありますけれども、今の政府の考え方として、今回、福島復興再生特措法、この改正案も提出されたわけですね。今国会で成立を目指すということではありますけれども、考え方としては、帰還を促す、戻そうとするということですよね。ですけれども、例えば、そのふるさとが、全部除染をして、そして元に戻すわけではない。意向を聞いて、その周りだけ除染をして、そして環境整備をしていく、これが政府の考え方なんですね。

 これを見ていると、まずは、なぜ帰還支援、帰還を促すということだけをしていこうとするかということと、これもやはり実際に、原発事故を矮小化していくという、そういうことが根っこのところにあるのではないかというふうに思うということと、やはり、忘れ去られないように、県内外に避難されている方々の支援をしっかりとやっていく、特に県外避難者ですよね、その方々の支援を継続するということで、実際に、先ほども申し上げました、国連の調査をしてくださったダマリーさんの御指摘でありますと、やはり住宅支援の打切りというのは大きかったんじゃないか、問題だったんじゃないかというふうにも言っていますので、是非、そこも含めて、いろいろな形での、いろいろな声があると思いますので、しっかりと支援を継続していっていただきたい。

 そのために、議員立法の子ども・被災者支援法、これは私も法案提出者の一人ですけれども、これを作り上げたという経緯がありますので、よろしくお願いいたします。

 実は、昨年の福島復興再生特措法改正案で、福島国際研究教育機構というものも設置されるということで、今年の四月、もう間もなくですけれども、仮事務所がオープンということになっています。

 この福島国際研究教育機構というのは、実際には、国外からも研究者をお迎えしたいということで、そういう方向で動いているわけなんですね。ただ、私は、大変残念なんですけれども、海外からの研究者を本当に招き入れることができるのか分からないと思っています。それは、研究の内容というよりも、日本の今のこの状態、状況、日本が人権を大切にしないで、多様性を認めない国であるとか、もしそう思われているとしたらば、国際的には本当に遅れている国日本になぜわざわざ移り住もうとするのか、私はこれはちゅうちょする研究者というのは出てくるというふうにも思うんです。

 昨日、岡本委員がこの場でもおっしゃっていましたけれども、G7の中でも、同性婚とかパートナーシップ制度、これを持たない国というのは日本だけです。これは本当に大きな問題だと思っています。こうやって、本当にいろいろな意味で人権意識も薄い、そういう国、多様性を認めない、そういう国というふうに思われているとしたらば、せっかく福島にも少しは光を当てようとしているこの研究教育機構でありますけれども、そこは成功しないんじゃないかと思うんですが、その多様性について、いかがでしょうか。

渡辺国務大臣 福島国際研究教育機構、F―REIといいますけれども、ここの立ち上げが四月一日からという形になっております。この研究機構の内容に当たっては、多様な人材を受け入れられるような体制づくりはしていきたいというふうに思っております。

 特に、現在の段階では委託研究が中心でありますので、直接的な研究者を招き入れるということはまだありません、今の段階では。今後、国内外の優れた研究人材の確保を進める中で、若者や女性の積極的な登用を考えていたり、彼らが活躍しやすい魅力ある研究環境を整備してまいりたいというふうに思っております。

 令和二年度に取りまとめられた国際研究拠点に関する有識者会議の最終取りまとめにおいても、女性が活躍できる研究環境の整備を図り、優れた女性研究者を招聘することの重要性や、製品開発についても、女性も考慮することで市場が広がるなど経済成長にも資する取組が海外では広がっているといった指摘がなされているところであります。

 国内外の多様なバックグラウンドを持つ研究者や職員がF―REIで活躍できるよう、障害者への配慮を含めた施設のユニバーサル化や意識醸成などを積極的に進めることで、人材の多様性の観点でも世界に冠たる取組となるよう目指してまいりたいと思っております。

金子(恵)委員 是非よろしくお願いいたします。

 農業政策について伺いたいと思いますが、野村大臣には、農業者戸別所得制度について誤った認識を持たれていたということが最近の予算委員会のやり取りの中で分かりました。極めて残念なことだというふうに思います。

 最終的にはもちろん大臣は発言を訂正されましたけれども、大臣、JAの御出身でもあって、ずっと農水畑で頑張ってこられて、そして今大臣です。こういう認識を、間違った御認識を持っていらっしゃる方が今の自民党の中にいる、政権与党の中にいらっしゃって、そして最終的には、私たちの農業者戸別所得制度というものが、看板を替えて、少し縮小はされていったけれども、最終的にはもう廃止になっているわけなんですね。そういう方向になってしまっている理由が誤った認識ということであれば、極めて残念なことだというふうに思っていますし、これは私は、やはり失われた十年と言わざるを得ないんです。

 この失われた十年の中で、基幹的農業従事者は本当に減った、農地も減った、これは間違いのないことで、もしこの戸別所得補償制度が継続されていたら、もしかするともっと、もしかするとではなく私は確信をしていますけれども、農業を取り巻く環境は今ほど厳しいものには絶対なっていなかったというふうにも思います。

 その中で、特に女性の力というのは私は大きいと思うんです。今、資料の方、皆様のお手元にありますけれども、例えば、ちょっと下の方の資料を先に見ていただくと、女性の経営への関与別経常利益増加率というのがあります。これは全て農林水産省の資料から出させていただいていますので御理解いただきたいと思うんですけれども、女性経営主又は女性が役員、管理職である場合というのは、女性が経営に関与しないよりもこれだけ高い増加率、経営利益増加率は高いということが分かっているんですね。

 やはり女性の力というのはすごいなというふうに思うんですけれども、ただ、一方で、農業において女性は基幹的農業従事者の四割を占める重要な役割を担っているんですけれども、その割合がとにかく、十年前、二〇一〇年は四四%だったものが、減少し続けていて、二〇二二年の数値では四割を割り込んで三九・二%になっているんですね。

 そしてまた、更に言うと、この資料の上の図を見ていただくと、女性の基幹的農業従事者数の推移、見ていただきますと、これは、男性はもちろん三五%減少しています。でも、もっと減少しているのが、四七%の女性なんですね。こんなに差がある。

 先ほど申し上げましたように、女性が関与した方が、例えば農業の六次化も、これもうまくいくんじゃないか、経営がうまくいくんじゃないかということが分かっていながらも、でも、女性の農業者の活躍の場というのは減ってきているということになるんです。これも、今の農政の何か過ちがあるんじゃないですか。最後の質問になってしまいますけれども、答弁をお願いします。

野村国務大臣 お答え申し上げます。

 今おっしゃいましたように、女性の方々が基幹的従事者の四割を今現在は占めておられまして、特に加工だとか販売、こういうところで女性が活躍をされている。女性が元気なところは地域が元気だと我々はよく言って回っておりますが、そういった意味では、女性の活躍というのは大変農業には大事であります。

 ですから、このために、農水省としましては、地域のリーダーとなる女性農業経営者の育成、あるいは、男女別のトイレや更衣室等の確保、育児と農作業とのサポート活動等を支援して、女性が活躍しやすい環境整備に向けて取り組んでいるところでございます。

 今後とも、女性が輝いて、そして地域の経済を活性化する大きな力になっていくように、女性の活躍を後押しを是非していきたいというふうに思っております。

 私の地元でも、女性の皆さん方の集まりで、女性クラブ、これは生産牛の女性の集まりなんですが、非常に活気があります。ですから、いい牛をつくっておられる。そういったようなことも、全国各地にもいろいろな事例がございますので、そういうものを横展開をさせていきたい、こんなふうに思います。

金子(恵)委員 令和五年度の予算案計上額が八千五百万円で、これで女性農業者の支援をするということですが、これはまだまだ全然足りないのじゃないかというふうに思っておりますので、しっかりとこれから取組をしていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて金子君の質疑は終了いたしました。

 次に、鎌田さゆり君。

鎌田委員 宮城二区、鎌田さゆりです。

 本日、我が党会派は女性バッターで、私、女性の三人目のバッターとして臨ませていただきます。よろしくお願いします。

 まず、加藤厚労大臣に伺います。

 日本の医療技術、そして医療機器、日進月歩の中、命に別状はないという報道に触れますと、いわゆる重症心身障害という政治課題と向き合うまで、実はそこで安堵してしまっていたのがこの私なんですね。

 でも、交通事故、虐待、超未熟児で生まれる赤ちゃん、ネグレクトなど、命は助かった、けれども、その人や家族が重い障害と向き合うところ、その次、その向こう側、そういうところまで思いをはせることはございますか。伺います。

加藤国務大臣 いろいろな状況があると思います。例えば、事故で、本当に、まずは生きていてほしいという思い、そして、医療の関係者が本当に努力をいただいて命はつなぐことができた、しかし、じゃ、従前どおり働いたり動くことができるか、そこまでいかないということ。あるいは、出産においてもそういった状況もあると思います。やはり、そこへ思いをはせながら、また、逆に言うと、医療の進歩の中でそうした事例も増えてきているというのは、これは事実だと思います。

 そうしたことをしっかり我々は受け止めながら、状況も把握し、そうした御本人、そして御家族が、そうした状況、いろいろな、例えばハンディ等があるにしても、自分らしく生きていける、こういう環境、あるいは、御家族がそれぞれ一緒に過ごしていける環境、こういったことをつくっていくことが大事だというふうに思います。

鎌田委員 加藤大臣、いよいよ、第七期の障害者福祉計画、そして第三期の障害児福祉計画、この告示予定、四月と、目前に迫ってまいりました。インクルーシブの理念の下で、地域には医療福祉拠点のセーフティーネットが欠かせない現状は、ただいまの御答弁の中からうかがい取ることはできます。ですので、この認識は共にいただけるものと信じて、パネル一と資料一を御覧いただきたいと思います。

 重症心身障害の場合、この真ん中の、お手元の資料はモノクロなんですが、申し訳ございません、真ん中の赤いところ、脳性麻痺、ここから派生する、運動障害、知的障害、排せつ障害、嚥下障害、呼吸障害など、医療的ケアが必要となる場合が多いのが実情なんです。これは大臣もちゃんと御認識をいただいていると思いますので、続けてまいります。

 続けて、パネル二と資料の二を御覧ください。

 厚労省によりますと、平成十七年以降、医療的ケアの児童数、医療的ケア児数、これはもう増加の一途です。皆様のお手元の資料には令和三年の分も配付をさせていただいております。増加の傾向をたどっています。そして、このパネルには、人工呼吸器を、在宅で装置を装着をしている患児数、子供ですね、こちらのグラフも示させていただいております。とにかく増える一方なんです。

 命をつないで生きているということ、これは喜ばしいことです。ですが、こうやって医療的ケアを受けないと生きるということと向き合えていけない、そういう方々が地域には非常に多くなってきているというこの現実から目をそらしてはいけないと私は思います。

 令和元年の厚労省によります調査、医療的ケア児者とその家族の生活実態調査では、多い順に申し上げますと、経管栄養が七四・四%、喀たん、唾液などの吸引が六九・〇%、気管内挿管、気管切開四一・八%などになっています。

 大臣、資料の三枚目も御覧ください。医療的ケアを必要とする重症心身障害児者が地域において在宅医療を継続するためには、日常的、医療的、そして最終的なセーフティーネットが必要になるんです。これらのセーフティーネットを、全国で、地域の拠点として、医療と福祉の両面をカバーしている拠点がそこを支えているんだということ、ここについて、大臣、私が今るる申し上げましたけれども、共通の認識を抱いていただけますでしょうか。

加藤国務大臣 通所や入所の障害児支援サービスについては、各市町村が支援ニーズを把握して障害児福祉計画を策定して、計画的な整備を推進するとされております。

 重症心身障害児については、この間、支援を行う事業所への報酬を充実し、体制整備を促進し、また、医療的ケア児については、令和三年九月に施行された医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律を受けて、医療、保健、福祉、教育等の関係機関が連携して、地域で医療的ケア児と家族を切れ目なく支える体制の整備を進めているところであります。

 先ほど委員からお話がありました第三期の障害児福祉計画、これは令和六年度から令和八年度ということでありますけれども、においては、特に重症心身障害児や医療的ケア児について、そのニーズをより丁寧にきめ細かく把握をし、必要な対応を進めていく、そして、各都道府県が医療的ケア児センターを設置し、支援の総合調整を担うコーディネーターを配置するなど、より一層の支援体制の構築を進める、こういった方向で、現在、社会保障審議会障害者部会において御議論いただいているところでございます。

 こうした議論、また計画を踏まえて、医療的支援の必要性が高い子供さん、そして御家族が安心して地域で生活できるよう取り組んでいきたいと考えています。

鎌田委員 今、把握という言葉をおっしゃいました。私から申し上げれば、率直に申し上げれば、遅過ぎる。今まで、把握をしろということを、把握してくださいということを厚労省は発信してこなかった。私は遅いと思います。でも、ここは百歩譲って、まず把握をして、そしてそのニーズに合った対応を取っていただきたい。

 そこでなんですけれども、資料の四枚目に、現場の、地域の声として、資料として書かせていただきました。

 これまで、施設イコール収容というイメージが強かったです。これは事実です。皆様の中にもきっとそういう感覚があったと思います。でも、大臣、今後は地域で、在宅支援における地域の拠点という捉え方に、医療療育園だったり、医療と福祉にまたがっている施設が、地域の拠点、今その計画で把握をしていく、そして、それからは地域に、拠点として医療的ケアを担っていける、そういうものが必要なんだという、施設イコール収容ではなく、地域の拠点という感覚、認識に変えていきませんか。これは、イエスかノーかで短くお答えいただきたいです。

加藤国務大臣 先ほど申し上げました医療的ケア児支援センター、これはまさに、医療的ケア児及びその家族の相談に応じ、又は情報の提供若しくは助言その他の支援を行うとともに、医療、保健、福祉、教育、労働等に関する業務を行う関係機関等への情報の提供等を行う機関ということでございます。こうした支援センターを各都道府県がしっかりと設置をし、現在は三十八都道府県が設置をしているということでありますけれども、各都道府県で設置をしていただいて、まさに今言われるような拠点としてその機能を発揮するようにしていきたいと思います。

鎌田委員 私の地元の宮城県では、重症心身障害児者に特化して受け入れる医療療育園、私の宮城県ではたった一つです。そこの医療療育園は、増築増築、継ぎ足し継ぎ足し、そして待機されている方が非常に多い。そこの院長先生の悲痛な気持ちも込めて、私は今日、代弁にここに立っています。

 ですから、そういった現場に、よかったら大臣、今度宮城県にいらっしゃっていただいて、私、御案内しますから、医療療育園を見てください。これだけのニーズがあって、これだけ保護者の方々が高齢化していって大変な状況になっているという現場を是非、厚労大臣、見ていただきたいな。これは希望だけにとどめますけれども。

 鈴木財務大臣に伺います。

 今、厚労大臣とやり取りさせていただきました。社会や時代がどんなに変わろうとも、ハンデの有無にかかわらず、子供は社会の宝です。財務大臣におかれましても共通の御認識をお持ちいただけると私は考えますが、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 今、いろいろなお子様についての御質問がありまして、やり取りを伺わせていただいております。大変重要な課題でありまして、私も共通の認識を持たせていただきたい、こういうふうに思っております。

 特に、少子化対策、こども家庭庁もできますが、特に私が心配しておりますのは、急速に少子化が進んでいるということでありまして、昨年の出生数は八十万人を割り込んだということで、もうこれは先送りのできない課題である、そういうふうに考えております。

 これにつきましては、総理も政権としてしっかり取り組んでいくということでございますので、共通の認識を私も持ち、また、財務省といたしましても、こども家庭庁や厚生労働省などとよく議論をしてまいりたいと思います。

鎌田委員 財務大臣、力強い御答弁をいただきました。共通の認識、ありがとうございます。

 少子化担当大臣、ごめんなさい、お越しいただいたんですが、今の議論を、やり取りを聞いていただいて、是非、こども家庭庁、四月からですので、たくさん申し上げたいことがあったんですが、済みません。ありがとうございます。期待をしていますので、頑張ってください。

 順番を変えまして、予定の三番目の秋本外務政務官の件について質問させていただきたいと思います。

 まず、改めて確認なんですけれども、先週の予算委員会で、源馬委員それから本庄委員の質問、レノバ関係者から献金を受けたことはあるか否かに対して、秋本政務官、答えはノーでございます、献金を受けてございませんと御答弁なさっていました。

 今日、この場において変更はありますか。

秋本大臣政務官 ございません。

鎌田委員 変更はないんですね。はい。

 では、株式会社エストリオという会社は御存じでしょうか。

秋本大臣政務官 はい、存じ上げております。

鎌田委員 お手元に資料六として三枚、御覧ください。三部というふうに申し上げた方がいいですか。秋本外務政務官が代表を務めていらっしゃいます自民党千葉県第九区総支部が、株式会社エストリオさんから、二〇一八年から二〇二〇年にかけて、合計百八十万円、寄附として受けていらっしゃいます。これは間違いないですね。

秋本大臣政務官 はい、委員御指摘のとおり、二〇一八年から三年間、六十万円掛ける三ということで、二〇一八、二〇一九、二〇二〇と、合計百八十万円ということになります。

鎌田委員 今、エストリオを御存じで、そして寄附を受けていることをお認めになりました。

 株式会社エストリオの代表取締役の方なんですけれども、レノバの創業メンバーで、二〇〇一年から二〇一六年にかけて取締役をなさっている方ですよね。

 秋本外務政務官、先週の御答弁、事実と違う答弁となりませんか。これは虚偽答弁の疑いまで出てきますよ。どうでしょうか。

秋本大臣政務官 先日の予算委員会までに、エストリオ社につきまして、当事者でありますレノバ社に直接お問合せをさせていただきました。その際、レノバ社から関係性がないという答弁をいただいたため、この回答内容を踏まえて答弁を行ったということでございます。

鎌田委員 そうなんですか。レノバとエストリオ、関係性は一致しています。レノバが関東財務局長宛てに提出した大量保有報告書を見ますと、エストリオ代表取締役のこの方、レノバの大株主ですよ。さらに、確認できるのは、秋本外務政務官の政党支部に寄附をしていた当時は、この方、レノバの特別顧問でいらっしゃるんです。

 明らかに先週の答弁、これは事実と違いますよ。虚偽に当たりますよ。訂正した方がよろしいと思いますけれども。

秋本大臣政務官 繰り返しになり大変申し訳ございませんけれども、先日の答弁までにレノバ社に問合せをしたところ、当事者であるレノバ社の方から、御指摘の人物、会社も含めまして、関係性がないとの回答を得たわけであります。

 また、献金を受け始めてから今回の報道に至るまで、レノバ社の特別顧問等だったことにつきましては、私自身は全く承知しておりませんでした。実際、エストリオ社からもレノバ社について言及があったことが一度もありません。

鎌田委員 知らなかったということで、責任は自分にはないと。先週の答弁は事実と違うことを言ってしまったということは認めないということなんでしょうか。

 おかしいですよ。エストリオさんの登記簿でも確認できますよ。登記は二〇一七年九月十三日です。この前の年までは、この方は、創業から長きにわたってレノバの取締役なんです。そして特別顧問だったんです。何でこの方から寄附を受けるようになったんでしょうか。

 先ほどの寄附の計上簿、皆様の資料です、これを見ても、エストリオが寄附を始めたのは二〇一八年の十月二十五日、秋本政務官が二〇一八年十月四日に国交政務官を退任された直後なんです。レノバからの寄附、ございません、これはうそでしょう。レノバやエストリオ、関係ない、これもうそです。お認めになられた方がいいです。

 先週のあの答弁、明らかに虚偽答弁になりますよ。レノバ関係者からちゃんと寄附をもらっているということをお認めになった方がよろしいと思います。

秋本大臣政務官 繰り返しになり大変申し訳ございませんけれども、当事者そのものであるレノバに確認をしたところ、関係性がないという回答をいただいているわけであります。

 また、御指摘の献金でございますけれども、献金を受けた際には、政治資金規正法に基づく最低限の欠格要項というのがありますよね、量的あるいは質的というような感じで。それらについては違反していないという誓約書の提出を当支部につきましては求めており、今回の献金につきましては、法的には何ら問題ないものだというふうに認識をしております。

鎌田委員 大体、普通、献金を受けるときに、ありがとうございますと。そして、領収書も発行して、寄附控除に当たるかどうかの選管の手続もします。今の答弁を聞いていると、レノバのその方、知らないかのような発言ですけれども、ちゃんとお知り合いで、寄附をいただける関係だったんですよね。だから、レノバからの、先週のその答弁は事実と違うということを申し上げているんです。

 レノバの株の購入、買い増し、売却の年月日、これも示されていません。だから、秋本政務官は、その献金も合法だったし、自分が国交政務官のときにレノバと何か関係があってということを疑われている、それは潔癖だ、私は何も悪いことはしていないんだというんだったら、堂々と、このレノバ株の購入、買い増し、売却の年月日、お示しになられたらいいじゃないですか。

 そして、先週の答弁、それは違かったんだということをお認めになられた方がよろしいと思います。いかがですか。

秋本大臣政務官 繰り返しになりますけれども、当事者であるレノバが関係がないと言っているわけであります。私も、慎重を期すために確認をしたわけであります。当事者が関係がないというふうにおっしゃっている。

 そして、御指摘の人物が特別顧問や大株主であるとの事実は承知しておりませんでした。その上で、御指摘の人物が仮に特別顧問や大株主であったとしても、レノバ社自身が御指摘の人物及びエストリオ社との関係性を否定している以上、エストリオ社が関係企業であると第三者である私が認定することは困難ではないかというふうに思います。

鎌田委員 政務官、エストリオとはどうやって知り合ったんですか。

秋本大臣政務官 記憶が定かではありませんけれども、記憶は定かではありませんが、覚えている範囲の中で言えば、うちの秘書がエストリオ社と縁を紡いでいただいたというふうに思っております。

鎌田委員 記憶が定かでない、うちの秘書が、何か昨年の臨時会からこういう答弁は続いています。これは、先週の答弁が事実かどうか、もしかしたら虚偽の答弁じゃないか、そして今、エストリオの代表取締役の方とレノバの大量株の保有の方と同じであったか知らない。全く説明責任を果たしていません。これは秋本政務官のきちんとした説明責任がなされないと、外務政務官ですからね、今。私はこれは必要だと思います。

 明確にしていただかないと困りますので、秋本政務官、再度お尋ねします。

 今、あなたは、記憶が定かじゃない、エストリオと知り合った時期。でも、献金等は秘書を通じてとおっしゃった。いかにも御自身は関係がない、責任がないかのような御答弁でした。それは、政治家はやるべきではない、矜持に反すると私は思います。きちんと、エストリオとの関係、それから先週の答弁、これは事実と違うということを認めるべきだと申し上げます。再度答弁を求めて終わりたいと思います。

秋本大臣政務官 委員も私も政治家ですから、自分でいろいろな会合に行って直接お会いする方もいれば、秘書がいろいろなところで縁を紡いできてくださって私自身の縁が増えるということも、当然いろいろな形であるわけであります。

 また、繰り返しで申し訳ありませんけれども、当事者であるレノバが関係性を否定しているわけでございまして、先ほども申し上げたとおり、第三者である私が、当事者が否定している以上、関係があるかどうかについて何かを確認する、認識するということは非常に難しいことなのではないかなというふうに思います。

鎌田委員 終わります。ありがとうございました。

根本委員長 これにて鎌田君の質疑は終了いたしました。

 次に、堤かなめ君。

堤委員 皆様、こんにちは。立憲民主党の堤かなめです。

 三・八、三月八日は国際女性デーです。その一か月ほど前ではございますが、今日は、立憲女性デーとして、質問者は全て女性となっております。ジェンダー平等、多様性の尊重が今の日本に最も必要なものの一つであるという立場から、質問させていただきます。

 まず、超少子化について小倉大臣に質問します。

 政府は二〇一五年に、戦後初めて、ようやく出生率の数値目標を掲げました。この政府目標、達成されたのでしょうか。

小倉国務大臣 予算委員会の場でも申し上げたとおり、政府としては出生率を目標として掲げてございません。

 と申しますのは、出生率を目標として掲げますと、それぞれの御家族や個々人に対して特定の価値観の押しつけ、あるいはプレッシャーを与えることになりますので、そういった趣旨を踏まえまして、出生率、出生数を目標として置いていないということでございます。

堤委員 希望出生率一・八という政府目標は掲げたんじゃないんですか。

小倉国務大臣 我々の少子化対策の大きな目標は、子供を持ちたいと希望する方のその持ちたいという希望をかなえることにございます。結果として、算数というか、機械的に算出した数字が希望出生率の一・八ということでございますので、これは目標ではなくて、あくまでも希望する人が全て子供を持てた場合の結果ということになるんではなかろうかと思います。

堤委員 何かちょっとごまかしていらっしゃるような感じがしますよね。八年たっても全くこれは達成できていません。その兆しすらありません。

 図一を御覧ください、資料の一ですね。

 出生数と合計特殊出生数の推移でございますけれども、この赤線のところを御覧いただけませんでしょうか。戦後七十数年がたっております。ずうっと減少しています。本当に変わっていないんですね、この減少傾向。そして、この十年間、この十年間は超少子化です。

 超少子化というのはどういうことだか、小倉大臣、お答えください。

小倉国務大臣 超少子化という定義自体は、多分それをおっしゃる方のそれぞれのお考えがあってのことだと思いますが、一般論で言えば、我が国で少子化が進行しており、これについてはやはり、総理も申し上げているとおり、先送りの許されない、待ったなしの課題である、こういうふうには認識をしております。

堤委員 超少子化というのは、人口学者がきちんと定義しています。一・五未満を超少子化というわけです。担当大臣がこういう基本的なことも御存じないというのは、ちょっと残念でございます。超少子化に対して本当に意識が、切迫した緊張感があるのかなと疑わざるを得ません。

 そして、この十年間、ずっと超少子化なんです。脱却できていないんです。この十年間の少子化対策は失敗だった、失われた十年だったと小倉大臣、お認めになりませんか。

小倉国務大臣 お答えをいたします。

 これまで政府において、保育の受皿整備、幼児教育、保育の無償化など、ライフステージに応じた支援を進めてまいりました。少子化対策の関係の予算額は、平成二十五年度の約三・三兆円から、令和四年度には約二倍の六・一兆円へと大きく増加をし、例えば、いわゆる保育所の待機児童の数につきましては、平成二十九年の約二・六万人から、昨年は約三千人まで減少するなど、一定の成果があったと考えております。

 少子化の背景につきましては、個々人の結婚や出産、子育てへの希望の実現を阻む様々な要因が絡み合っておりまして、個別の政策だけによる出生率への影響を取り出して答えることは困難だというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、個々人の方の、子供を持ちたいとおっしゃっている方のニーズをしっかりと酌み取って、現時点において、そういった方々の希望をかなえるような、そういった支援をしっかり考えていくことが重要だというふうに思っております。

堤委員 是非、産みたいと思う人の希望をかなえるようにしていただきたいと思いますが、一定の成果はあったかもしれませんけれども、この数字。政治は結果責任です。この十年間、超少子化だった、この厳然たる事実は、ちゃんと向き合っていただきたい、大臣として、反省していただきたいと思っております。超少子化というのは、国難、有事ともいうべき事態ということなんです。

 ところで、小倉大臣、明石市の泉房穂市長のお話を聞かれたり、本を読んだりされたことはございますでしょうか。

小倉国務大臣 就任して間もなくだったと思います。経済同友会主催のラウンドテーブル、子育てに関するものがございまして、私も冒頭、御挨拶、御講演を申し上げましたが、その場のパネリストの一人としていらっしゃって、そのときに話を伺いました。

堤委員 明石市は、子供予算を十年で二倍に増やして、出生率は一・七。一・七ですから、超少子化を脱却しています。そして、十年連続人口増。商店街が元気になり、市税が八年連続増加しています。つまり……(発言する者あり)そう、すばらしいんです。本当に、少子化対策、子供予算を倍増するということは、経済成長にもつながるということではないでしょうか。

 その増加した分の市の税金で、高齢者や障害者の施策を充実して、全ての人に優しい町を実現した。全ての子供たちを町のみんなで本気で応援すれば、町のみんなが幸せになるんだ、お金がないではなくお金をつくるんだ、明石市でできたことは国でもできる、そんなふうにおっしゃっています。政府も十年前に着手すべきだった、失われた十年だったと私は思います。

 また、二〇一八年にIMFは、日本の少子化に対して、日本がきちんとした改革を行わない限り、人口増によって、今後四十年で実質GDPが四分の一、四十年で実質GDP四分の一です、二五%減少してしまう、そういうふうな試算もしています。やはり国難、有事なんですね。そして、少子化対策は経済対策でもあるというわけです。

 どうやって、この失われた十年、十年の失政を取り戻すのか、小倉大臣、お願いいたします。

    〔委員長退席、中山委員長代理着席〕

小倉国務大臣 委員は、少子化対策、子供施策と経済対策、強く関連づけておっしゃっていましたが、私は、実際に子供を持ちたいと希望してそれに向けて御努力されている方は、何も日本の経済のためにそういった行動を取られているわけではなくて、あくまでもそれぞれの人生の目標をかなえるためにやられていることだと思いますので、余り、経済の成長と少子化対策や子供施策の需要というのを強く結びつける、あるいはそれ自体を目標とすることについては、やはり抑制的でなければいけないというふうに感じております。

 そういった考えの上で、現在、総理の御指示を踏まえて、私の下で開催をしておりますこども政策の強化に関する関係府省会議において、総理から示された、児童手当を中心とした経済的な支援の強化、第二に、幼児教育や保育の量、質両面からの強化と全ての子育て家庭を対象とした支援の拡充、第三に、働き方改革の推進とそれを支える制度の充実、この三つの基本的な方向性に沿って、有識者と子育て当事者、若者などからヒアリングを行っておりまして、こうしたヒアリングに基づいて、三月末にはしっかりとしたたたき台をお示しをしたいというふうに考えております。

堤委員 私も全く同じ思いです。経済対策じゃないんです。それは結果なんですよね。みんなが産みたいと思える、その希望を満たすことができれば、結果的にそういう経済成長もする。

 だから、お金がない、予算が足りないではなくて、まず先に子供予算をちゃんとつけて、そして、しっかりした、安心して産める、ここに来てよかった、明石市長が本当に言っていました、みんなから、市長、ありがとう、子供が産みやすい町をつくってくれてありがとうと言われると。本当に、十年前はそうじゃなかったけれども、十年たったらそう言われるようになったとおっしゃっていました。私は本当に感動しました。そういう意味でも、希望をかなえる。かなえられないのはなぜなのか。

 資料の二を御覧ください。積極的に結婚したいと思わない理由についてでございます。

 まず一つが、一番多いところが真ん中あたりの赤丸のところです。結婚に縛られたくない、自由でいたいからというものです。これはやはり、結婚が魅力的ではない。少子化の大きな原因の一つは、非婚化ということです。結婚をなかなかしない。今うなずいてくださっていますけれども、結婚しようという気持ちにならない。希望をかなえるということよりも先に、結婚が希望ではない。結婚している人を見ても、大変そうだなと。女性も、本当に髪を振り乱して仕事をして、働いて、二重三重の負担を背負って、あんなにはなりたくない、そんなふうに思っている人が多いからじゃないでしょうか。(発言する者あり)幸せな人ももちろんいます。そういう人を増やしていきたいと思います。

 それで、この青印のところです。下から四番目の、仕事、家庭、育児、介護を背負うことになるからということですけれども、このようなベーシックサービスの充実、立憲民主党は掲げていますけれども、このサービスについての充実はどうされるのでしょうか。

小倉国務大臣 先ほど申し上げたところにも一部かぶりますけれども、まさに、家事、育児の負担を軽減をするためにこそ、保育の受皿整備や幼児教育、保育の無償化を、今の政権、あるいはその前の政権の下で着実に実施をしたわけでございますし、この先を見ましても、まさに育児負担というのは非常に大きなものがございますので、そういったものにつきまして、伴走型相談支援ということで、産後ケアや産前のケア、一時預かりといった、そういった様々な施策を充実をさせていこうということであります。

 さらには、産後パパ育休制度もスタートいたしましたが、まさに、男性の育休、育児の参加を促進をすることによって、女性の皆様方の育児や家事の負担を軽減するという取組も着実に実施をしているところでございます。

堤委員 それって、異次元じゃなくて、低次元じゃないんでしょうか。子育て予算倍増、やってくださいますか。

    〔中山委員長代理退席、委員長着席〕

小倉国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、関係府省会議の下で、私が座長でございますが、まず、三月末までにたたき台を作らせていただきます。それを踏まえまして、今度は、四月以降、総理の下で議論を更に深めまして、六月の骨太の方針のときに、子供予算の将来的な倍増に向けた大枠をお示しをするということになってございます。

堤委員 昨日、藤岡議員も質問しておられましたけれども、そのときの答弁、一年前に私が前任の野田大臣にした、御答弁と全く同じなんですね。内容をまず考える、そして六月にようやく骨太の方針を出される。結局、六月ってもう国会は終わっていますよ。なぜ六月までかかるんですか。この一年間何をされていたんでしょうか。

小倉国務大臣 この一年間何をされてこられたのかということでありますが、まさに、昨年の八月に私が着任をして以来、こどもまんなかフォーラムや有識者会議を開催をさせていただきまして、子育て当事者、あるいは子供、さらには有識者の方々から、今後の子育て政策の充実の方向性についてお伺いをしてきたところでございますし、予算におきましても、先ほど申し上げたような伴走型支援と併せまして、出産・子育て応援交付金、こういったものを実施させていく中で、子供施策の充実を図ってきたところだというふうに考えております。

堤委員 先ほどから見ていますように、戦後からずっと少子化、少子化になってきて長いんです。この間にもう、何をすべきなのか、することは分かっているんです。いろいろな審議会が開かれて、有識者会議が開かれて、計画が作られ、白書が作られてきたんです。今から検討して、内容を検討、それじゃ遅いんです。すぐに実行していただきたい、そのことを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて堤君の質疑は終了いたしました。

 次に、岬麻紀君。

岬委員 さて、ここまで、本日は女性デーということだということが分かりました。私も女性ではございますが、政党は替わりまして、日本維新の会、岬麻紀でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、一年前に当委員会におきまして岸田総理に初質問をいたしました就職氷河期世代の支援について、その後の経過、また今後の見通しについて伺っていきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 さて、もう皆様もよく御存じのように、就職氷河期世代というのは、一九九三年から二〇〇四年に学校を卒業して就職活動を行った世代でございます。年齢でいいますと五十一歳から四十前あたりまでということで、まさに四十代がすっぽりと入っている、働く世代でございます。第二次ベビーブームに生まれた方が含まれています。しかし、大変多くの人口ですから、受験等、物すごい競争を強いられてきました。あの時代は何だったんだろうというほどでございます。

 いざ社会に出よう、就職しようと思ったときにはバブルが崩壊し、大変狭き門となり、苦労を強いられています。まさに失われた三十年、大きな落とし穴、時代にのみ込まれてしまったと言っても過言ではありません。

 この失われた三十年というのは、社会だけではなく、一人一人の人生の失われた三十年と言っても過言ではないのではないでしょうか。これは、個々の優劣だったり、個人が頑張ったか、努力をしたかといった問題ではないです。ですから、社会全体で、国としてもしっかりと関わり、今後支援をしていくことが強く求められます。まさに政治の役目であり、出番だと思っております。

 それでは、早速でございますが、現在、令和四年度の就職氷河期世代支援プログラム、進行途中ではありますが、今年度の最終的な数字、総務省の統計資料、五月頃に発表されると伺っておりますが、まずは今年度の進捗状況、実績等を教えていただけますでしょうか。お願いいたします。

後藤国務大臣 今委員の方から、就職氷河期世代の広がりとその課題の深さについての御指摘がありました。そうしたことで、今、就労や社会参加の支援に集中的に取り組んでおります。

 今年度の施策の実施状況のお尋ねでございますけれども、ハローワークの職業紹介により就職氷河期世代が正社員に就職した件数、四月から十二月までの実績で約八万八千件でありまして、昨年度の同時期の実績を上回るなど、成果を上げているところと考えております。

岬委員 ありがとうございます。

 今、今年度の実績ということで御答弁いただきました。

 政府は、令和四年六月七日閣議決定されました経済財政運営と改革の基本方針二〇二二におきまして、今年度までの三年間、集中取組期間に加えまして、二〇二三年度から二年間を第二ステージということで、正規雇用者約三十万人の増加目標を掲げていらっしゃいます。今お聞きしますと八万八千件ということで、遠く及んでいないのですが大丈夫でしょうかと、少し心配にもなります。

 また、令和四年十二月二十七日には、骨太方針二〇二二の方針に基づきまして、就職氷河期世代支援に関する新行動計画二〇二三が示されました。

 これまでの三年間に及ぶ集中取組期間を政府はどのように捉えているんでしょうか。また、就職氷河期支援の支援策、一定の成果は上がったという評価をされていると答弁がございましたが、この三年間にわたる支援をどのように評価をされているのか、改めてお聞かせください。

後藤国務大臣 先ほど、今年の途中までの状況について御報告申し上げましたが、今委員の方から、正規雇用を三十万人増やす目標について、二〇二〇年以降の新型コロナ感染症の拡大によりまして雇用情勢が非常に厳しくなったことを背景に、二〇二一年度までの二年間の実績は、トータルで、二〇一九年から三万人増という数字になっております。

 三年目となる二〇二二年の暦年の実績は今年五月をめどに公表したいと考えておりますけれども、政府としては、今後とも、昨年末に策定した就職氷河期世代支援に関する行動計画二〇二三に基づきまして、就職氷河期世代支援にしっかりと取り組んでいきたいと思っております。

岬委員 ありがとうございます。

 令和三年十二月二十四日の就職氷河期世代支援に関する行動二〇二一と、今年掲げられました新行動計画二〇二三、見比べますと、厚労省のキャリア形成・学び直し支援センターの推進であるとか、ハローワークの就職支援コーディネーターを百十二人から百四十二人に増員するなど、追加項目があったと思うんですが、ただ、これはびほう策のような気もしまして、基本的に同じ政策を延長しているだけのようにも捉えられます。

 実際に、この新行動計画二〇二三では、これまでの取組をどのように検証して、どんな課題を見つけて、さらに、それを解決するためにどんな対策を講じて、それがどのような成果や効果が上がると見込まれているのか、具体的に教えてください。

後藤国務大臣 就職氷河期世代支援に当たっては、第一ステージ、三年分につきまして、過去二年間の個々の実績等をよく検証、評価を行いまして、PDCAサイクルを回しながら、三年目に当たる今年度の施策の評価も行った上で、五月にはプラットフォームを開催しまして、そこでも総括的な検証を行いたいと思いますけれども、御承知のように、昨年末に氷河期世代支援に関する新行動計画二〇二三を作っております。

 その中におきましては、二〇一九年の骨太方針に就職氷河期世代支援プログラムという形でしっかりとした政策パッケージをお示ししているのに基づきまして、相談、教育訓練から就職までの切れ目のない支援、あるいはより丁寧な寄り添い支援、そうしたことに取り組むという施策の骨格自身は特に変わらないわけではございますけれども、その中で、特に検証の中で実績が上がっているという評価のあったもの、そうしたものへの重点化、それから学び直しのニーズに一層きめ細かくしっかり対応すべく、施策の強化を行うという形で対応いたしております。

 具体的には、過去二年間で約二十万人の正社員就職を実現をして、実際に成果を上げておりますハローワークの体制強化を行うこと。それから、二番目に、例えば就職氷河期世代支援に取り組む地方自治体等を後押しする交付金、地域就職氷河期世代支援加速化交付金でございますけれども、その中での成功事例である、複数の自治体の連携による地域支援だとか、一体的な支援だとか、そうしたものを後押しをする。三番目に、キャリア形成、学び直しを総合的に支援するためのセンター、これを全都道府県に、今十九ほど設置されておるんですけれども、これを全都道府県に新たに設置する。それから、国家公務員や地方公務員について、就職氷河期世代の採用促進ということで取り組んでおりますけれども、ここに、独立行政法人等での採用促進にも取り組む。そうしたことを重点的に強化をしていくという形で対応を行っているところであります。

岬委員 ありがとうございます。

 プログラムが、しっかりと取り組まれていることももちろん理解ができます。PDCAというお話もございました。もちろん、相談から就職、そしてそこにミスマッチが起こっていないかという検証、そして離職や定着というように進んでいると思うんですけれども、では、このプログラムに乗ってこない方に関してはどうでしょうか。なかなか一歩を踏み出せない方々にどのような支援の手があるのか、そこを確認していきたいと思います。

 様々な支援策はありますけれども、実際には、社会に対してもう諦めてしまっているであるとか、自己肯定感が低くなっている、若い頃にキャリアを積むことができなかった、時代や社会から置き去りになってしまったと、非常に自分自身の人生に諦め感というものが漂っている世代でもあるのではないでしょうか。

 時は金なりと申します。失った時間、人生は取り戻せません。その中で、今後の人生の時間をいかに生きがいを持って、そしてやりがいを持って働いていただけるか、こうしたことに光を当てていくことこそ、政治が求められている、そして政治の役割だと、もう一度強く申し上げておきたいと思います。

 それでは、ここで、二月五日、日経新聞にも就職氷河期に関する記事がございましたので、資料一を御覧ください。皆様のお手元にあると思います。

 この中に、就職氷河期世代の採用に関して、未経験だから諦めてしまったということが実例として挙がっています。

 となると、未経験でもいいんだよ、無資格でも大丈夫なんだよというような、チャレンジをしやすくしていくということも必要ではないでしょうか。不安を少しでも軽減して、まずはチャレンジをしていただける、相談に足を踏み込んでもらえる、一歩進んでいただける、そのような施策も必要だと考えています。これは特別な人だけではなくて、多くの方がこのような葛藤を抱えているのではないでしょうか。

 次に、資料二でございます。こちらは、就職氷河期世代に関する進捗状況というものが表になっております。

 ここの中で、不本意非正規雇用労働者というものと、その下には、不本意以外の非正規の職員、従業員とありますけれども、この数字にとらわれてはいけないのではないかと思うわけです。なぜならば、不本意というのは、自分の中で、もっと、私、僕は活躍できる場所があるのではないか、もっと適した場所があるんじゃないかと、ある一定の意欲があるというふうに感じられます。しかし、不本意以外ということは、不本意とも感じずに非正規雇用というところに甘んじている、低賃金の中で、自分のやりたい仕事ではなくても甘んじているという方が多く含まれている数字ではないかと予想をしております。

 また、ここの次の欄の無業者という部分があります。これは、非労働力人口のうちの家事も通学もしていない方、二〇二一年で三十九万人いるということが表されています。

 さて、ここで質問です。そうした方々に一人でも多く必要な支援が届くことが必要だという前提の中で、前向きに、意欲がない方、意欲が導かされていないという方、そういった前段階にある方に対してどのようなアプローチができるのか、どのような手を差し伸べることができるのか、お考えでしょうか。教えてください。

後藤国務大臣 今委員から御指摘があったように、希望を持って、意欲を持って社会により参加をしていただけるように、しっかりと働いていただけるような状況をつくっていくということは非常に重要だと思っております。

 できるだけ多くの方に、例えば、先ほど御説明したような就職氷河期世代支援について知っていただく、あるいは、そうしたものを利用することによって、正規雇用や、あるいは、より積極的な就労ができるようになった成功事例、そうしたものを共有していただく、そういうことは大変に大事だというふうに思っています。

 是非、私もやってみようと思っていただけるように、例えばツイッターや、インターネット広告、ラジオ広告等、広報活動にも取り組んでおります。もちろん、引きこもり状態にある方のアウトリーチだとか好事例集の作成とかいうこともやっておりますけれども、委員が特に今重点的にお尋ねになった点について言えば、希望される就職の実現などの成果を積み上げて好事例を発信していくことで、社会全体で就職氷河期世代をしっかりと支援していこうという機運を、ますます醸成を図りながら、意欲を失っている方々にも支援策をしっかり届けていけるように、利用しようと思っていただけるように取り組んでいくことが大切だというふうに思います。

 より効果的、効率的な支援を行っていけるように、取組の強化を図ってまいりたいと思います。

岬委員 今お話にありました、機運を高めるというのは大変重要な部分だと思います。全体を通して、そうか、自分でもできるんだ、まだまだチャンスがあるんだ、そのように思っていただけるように、広くSNSなどを通じてというお話もありましたように、お進めいただきたいと切に願っております。

 さらに、次は就職後のフォローアップということもお聞きしたかったのですが、時間の都合がありますのでこちらは割愛をさせていただきまして、非正規雇用に対しての、いま一度、人材育成であるとか教育という部分に次は質問を移らせていただきます。

 日本全体で、非正規従業員が雇用者の約四割を占めています。これは大変に大きな数字ではなかろうかと感じております。にもかかわらず、収入の水準は正社員の六から七割程度と抑えられています。就職氷河期世代だけでなく、その下の世代も、非正規雇用という方が大変多くなっています。

 この非正規雇用は約二十年で四割強増えている状況でございますが、このままですと、不安定な収入ということで、なかなか機会がなく、結婚ができなかったり、また家族を形成できなかったりというような、自立ができていかないということにもなりかねません。また、年金の加入率も低くなりまして、老後の問題や、また老老介護の問題など、様々な社会問題にも通ずる問題ではないでしょうか。

 そこで、今回の国会でも賃上げの議論が活発にされていることは承知をしております。政府も構造的な賃上げを掲げていらっしゃるんですが、雇用者の約四割にも及びますこの非正規労働者、フリーターであるとか派遣であるとか、こういった方は続出しております。そういった方の人材育成の機会が非常に少ないという問題、そして、スキルだけではなくて、その方々の自信を持たせるための、そういったプログラムも必要だと思います。

 賃上げアップにきちんとつなげていけるような人材育成の取組、どのような見解をお持ちでしょうか。教えてください。

加藤国務大臣 非正規で働く方々に対して、今委員御指摘の様々な課題がある中の一つとして、正規の雇用労働者と比べて能力開発の機会が乏しい等の課題がございます。非正規雇用労働者も含めて、誰もが主体的にスキルアップを行うことができる環境整備が大事だと思っております。

 厚労省としても、非正規雇用労働者も含め、労働者等が主体的に教育訓練を受講し、修了した場合には、教育訓練給付によりその費用の一部を支給する、また、企業が行う労働者のスキルアップ支援の取組を人材開発支援助成金において支援することにより非正規雇用労働者の人材育成を支援をしてきたところであります。

 加えて、非正規雇用労働者のスキルアップを通じた処遇改善、また正社員化を推進していくために、昨年策定しました総合経済対策に基づき、人への投資の政策パッケージを五年で一兆円に拡充する中で、キャリアアップ助成金を拡充し、また、訓練後に非正規雇用を正規雇用に転換する企業への支援を強化したところでございます。

 こうした取組を通じて、非正規雇用の方々が本人の希望に応じて自らのスキルをアップし、そしてそれが、会社の中でなのかあるいは転職したのかというのはともかく、適正な処遇、また希望に沿った働き方につながっていけるように、政府としてしっかり後押しをしていきたいと考えています。

岬委員 ありがとうございます。

 もちろんスキルも重要ですけれども、やはり、その人のやれること、やりたいこと、そして人柄といったものも加味して、働きやすい環境になっていくための教育ということも大変必要だと感じております。

 次に、雇用の流動化という部分、私ども日本維新の会も日本大改革プランでもうたっておりますけれども、労働市場の流動化ということで、昨今では職務給のモデルというものが提示されております。

 そもそも、就職氷河期世代と言われている方々は、新卒採用のところでつまずいたことによって、その後のキャリア形成ができなくなってしまった、キャリア構築の機会を失ってしまったということが今なお尾を引いているということが大変問題です。

 一つ、職務給モデルの質問は飛ばさせていただきますけれども、職務給モデル、これは、表面的なモデルや制度を整えるとともに、先ほども申し上げているような、社会全体で、人々が意識、また常識の枠組みを変えていくことこそ必要なのではないかと思っております。問題解決、是非とも進めていただきたいと思っております。

 それでは、最後の質問となってしまいますが、まず、職歴だとか経歴だけではなくて、先ほど申し上げたように、人柄ですとか適性が評価される、生かせる環境を開拓して、また、風土をいかにつくっていくかが大事だというお話を何度も申し上げております。この職務給モデルというのもその一つのきっかけになるとは思いますが、日本を立て直す大事な人材育成、そして人材の活用、これが就職氷河期世代に大変多く含まれているということを踏まえまして、加藤大臣、最後に、この計画をいかに進めていくか、その目指す方向、いま一度決意をお願いいたします。

加藤国務大臣 まさに、それぞれの方がスキルアップをされたり、またその方々の思い等がしっかり受け止められ、その職場において、また新たな職場が生まれてくる。そういった意味で、雇用の流動化を図ることが非常に大事だというふうに思っております。

 そのため、厚労省では、令和五年度予算案において、より高い賃金で新たに人を雇い入れる企業の取組を支援をしていく、新規事業に従事する労働者のリスキリングへの企業を通じた支援、個人向けの学び直し支援策として、労働者等が主体的に教育訓練を修了した場合の費用の一部を支給する教育訓練給付の対象講座の拡充などを行うとともに、職業情報提供ネット、いわゆる日本版O―NETの整備など、転職や就職に資する情報提供の充実等に取り組むことによって円滑に労働移動が行われる、それぞれ皆さんが主体的に選択をしていただける、こういった環境をしっかり整えていきたいと思っています。

岬委員 ありがとうございます。

 さきに申し上げました風土改革というのは、当事者、そして企業側だけではなくて、それを支えている家族もまだまだ、日本のこれまでの年功序列であるとか終身雇用といったような、そういった雇用形態に、概念を強く持っている方々も多くいらっしゃいます。転職ですとかキャリアアップに家族も後押しができるような、ブレーキを踏まなくて済むような、そういったリスク回避をしながら政策を進めていただければと考えております。

 本日は、大臣、ありがとうございました。

 以上で終わります。

根本委員長 これにて岬君の質疑は終了いたしました。

 次に、早坂敦君。

早坂委員 日本維新の会、早坂敦でございます。

 本日も、質問の機会をいただき、心より感謝いたします。

 まず冒頭、今月六日に発生したトルコ・シリア大地震では、多数の死者、負傷者が出ています。心から哀悼の意を表します。

 早速質問させていただきますが、東日本大震災からの復興について何点か質問させていただきます。

 来月で東日本大震災から十二年がたちます。渡辺大臣で十五人目の大臣です。秋葉前大臣は、風評被害の払拭と風化の防止という二つの風と戦うとおっしゃっておりましたが、御自身があっという間に風のようにいなくなってしまいましたね。過去最短の復興大臣でしたが、復興軽視、被災地軽視と言われても仕方がないでしょう。渡辺大臣、二度目の登板ですが、意気込みと課題についてお聞かせください。

渡辺国務大臣 では、お答えをさせていただきます。

 東日本大震災から間もなく十二年たとうとしております。委員既に御存じであろうと思いますけれども、この間、被災地の皆様方は大変御努力をしていただきまして、復興に大変着実に進んできたところもございます。しかし、いまだに避難生活を余儀なくされていらっしゃる方もいらっしゃる、そういった地域は様々であります。

 特に、地震、津波地域では、住まいの再建やインフラの整備などおおむね完了している一方で、心のケアや水産業の加工の売上げ回復等のまだ残された課題があり、被災者に寄り添いながら、きめ細かく対応していかなければならないというふうに思っております。

 また、原子力災害被災地域では、いまだに多くの方が避難生活を余儀なくされております。国が前面に立って中長期的に対応していくことが必要であります。特に、ALPS処理水の処分に対する対策、また帰還困難区域の避難指示解除に向けた取組、福島国際研究教育機構、いわゆるF―REIの設立に向けた取組など、新たな課題や多様なニーズに対応しつつ、本格的な復興再生に向けて取り組んでいく所存でございます。

 私は二回目の登板ということであります。復興を確実に進めていく一方で、今残された課題があることをしっかりと認識をし、取り組んでまいりたい、そのように思っております。

早坂委員 渡辺大臣、ありがとうございます。

 昨年の通常国会の予算委員会では西銘前大臣に力強い言葉をいただき、去年の臨時国会の復興特では秋葉大臣からも力強い言葉をいただきましたが、渡辺大臣、どうにか、二度目の登板ですが、しっかりやっていただきたいという思いでございます。

 続きまして、復興の総仕上げについて、ちょっと質問が前後しますが、第二期復興・創生期間以降における東日本大震災の復興基本方針において、地震、津波被災地域においては復興の総仕上げの段階と位置づけられています。確かに、ハード面においてはほぼ震災以前の状況に戻りつつあります。しかし、本当に総仕上げで、そしてその段階であるのでしょうか。

 二〇二一年二月十三日には福島県沖地震が起こり、震度六強を観測、昨年三月十六日、同じく福島県沖を震源とする震度六強の地震が発生し、ここ数年、繰り返し同地域が被災しております。修繕したばかりの建物が、これから新たにやり直そうという矢先に、次から次へと震災に見舞われて、皆さんの身も心もぼろぼろです。そして、新型コロナの感染が追い打ちをかけております。本当に復興の総仕上げと言えるんでしょうか。大臣、お考えを伺います。

渡辺国務大臣 まず、政府の基本方針についてもう一度御説明をさせていただきます。

 先ほど申し上げました、十二年経過しているわけでありますけれども、各地域の進捗状況は、まさにそれぞれの地域によって本当に違っているなというふうに私自身も感じておりますし、様々な復興施策を今まで進めてきたところであります。

 基本方針の中においては、地震、津波地域では、住まいの再建、復興まちづくりがおおむね完了しというふうに書いてあります。第二期復興・創生期間において、国と被災地方公共団体が協力して被災者支援を始めとする残された事業に全力を挙げて取り組むことにより、復興事業がその役割を全うすることを目指すという意味において、復興の総仕上げという言葉を使って位置づけているというところでございます。

 一方で、原子力災害被災地域の復興再生には中長期的な対応が必要であり、基本方針においても、第二期復興・創生期間以降も引き続き国が前面に立って取り組むこととされているところであります。

 また、今委員御指摘のように、被災地においては、令和三年福島県沖地震、令和四年福島県沖地震など、東日本大震災以降も相次ぎ災害が発生しているところでございます。こうした度重なる災害によって被災地の方々の復興に向けた希望が失われることのないように、東日本大震災の被災地域であることも踏まえて、通常の支援に加えた各種支援措置を講ずるなど、政府一丸となって対応に当たっているところでございます。

 いずれにしましても、私、復興大臣として、引き続き、現場主義に徹して、被災地に寄り添いながら復興に全力を挙げてまいりたい、そのように思っております。

早坂委員 ありがとうございます。

 東日本大震災の余震とも言われています昨年の三月十六日、実は、私も被災地を視察させていただいたんですが、津波がなかったということと、あと、死者が少なかったということで余り問題視されていないのかなというのも私は考えるんですが、実は、大型のショッピングモールとか、要はやはり壁とか屋根が落ち、あと旅館とかも本当に営業が再開できるような状態じゃないというのが実情でありまして、そして、やはり次の日からどうやって生きていこうか、どうやって暮らしていこうかという方々が、すごいお声を聞いてまいりました。是非とも、またこのような地震があるかもしれませんので、大臣、そちらの方も考慮していただきたいという思いでございます。

 また、次、大臣の御出身は、今、地元は千葉県ですよね。それで、震災の影響を受けました。そして、千葉県の被災地も四年前に訪問してもらっていますよね。そして、茨城県も同様、被害を受けています。東京も、液状化の問題など様々な被害を受けていました。

 震災により影響を受けたのは東北三県だけではありません。確かに、被害が甚大なのは東北三県です。特に、福島県の原子力災害被災地域においては、今もなお大変な状況が続いています。よく、東北の復興なくして日本の復興はないと言われておりますが、東北だけじゃないんですよね。千葉や茨城なども含めた東日本の復興なくして日本の再生はないと言う方が正解ではないでしょうか。

 東北三県以外の復興状況、今後の備えなど、どうなっているか、見解を伺います。

渡辺国務大臣 お答えいたします。

 私自身、千葉県の出身でございますが、前回復興大臣のときに、千葉県及び茨城県の復興状況を視察してまいりました。大臣として初めてだということでありました。

 現状を見ていったときに、ハードの部分は、やはりかなりもう進んでいたという認識であります。特に、千葉県においては液状化現象、そして旭市においては津波被害ということでありましたけれども、ハード部分はかなりもう進んだという状況でありました。

 東日本大震災、この問題については、被災三県のみならず日本全体の中で、とりわけ東北を始め関東まで影響していることは事実でございます。こういった各県の状況を、実際にお邪魔をして首長からお話を聞いてきたということで、私自身は、復興の一番の基本は、現場に行くことが一番大事だというふうに思っておりますので、まず現場主義を徹底して、そういった形で進めてきたところであります。

 東日本大震災という今までにない未曽有の災害から我が国を立て直していくためには、まず復興庁という組織を立ち上げたわけですよね。その特別の予算措置をまた講じているわけでありますが、政府は一丸となって全力を挙げて復興に取り組んでいかなければならない、そういった思いで現在も復興事業を進めているところでございます。

 こうした中において、地震、津波被災地域、これは先ほど申し上げましたとおり、インフラはかなり進んでおります。ところが、心のケアや水産加工の売上げの回復等、残された課題はまだございます。こういった問題にきめ細かく対応していかなければならないというふうに思いますし、原子力被災地域においても、実はまだまだ、帰りたくても帰れない地域があるということでございますので、国が前面に立って中長期的に取り組んでまいりたい、そのように思っております。

 また、ALPS処理水の関係もございますが、この問題については、実際には今まで風評対策をもうしっかりとやってきたのでありますけれども、水産関係の対策の拡充にも取り組んでいるところであります。

 具体的に申し上げますと、実は令和四年には福島県だけだったんですけれども、令和五年度においては、青森、岩手、宮城、福島、茨城、千葉という形で水産関係の対策の拡充に取り組んでいくということでございます。

早坂委員 ありがとうございます。

 是非とも、東日本の復興なくして日本の再生はないと言い換えていただきたいという思いと、また、私も宮城、東北出身の国会議員でございますからしっかり取り組んでまいりますが、その中で、どうしても、私、納得いかないということがありまして、復興特別所得税についてちょっとお伺いいたします。

 防衛費増額のために復興特別所得税を財源の一部とする案が有力視されておりますが、突然で大変びっくりしております。一兆円という額が先行して、しかも唐突に出てきた感じです。

 元々、復興特別所得税は、東日本大震災から復興を支えるのが目的で、国民の皆様の御理解をいただき、これまでやってまいりました。その目的税である復興所得税を防衛費の財源に充てることは全く目的外使用で、その財源を転用されることは大変筋が通っていないと思いますが、いかがでしょうか。もし同じ枠組みで税を徴収するのであれば、新たな法律を作る必要があるのではありませんか。大臣、お願いします。

鈴木国務大臣 復興特別所得税でございますが、これにつきましては、現下の家計の負担増とならないように、その税率を引き下げて、それとともに、課税期間を延長することとされておりますけれども、その延長幅につきましては、復興財源の総額を確実に確保するために必要な長さとされているところでありまして、復興事業に影響を及ぼすことがないようにしているところであります。そのため、復興特別所得税を防衛費に流用しているとの御指摘は当たらないものと考えております。

 さらに、廃炉や福島国際研究教育機構の構築など、息の長い取組につきましてもしっかりと支援できるよう、引き続き、責任を持って、必要な財源、これを確保してまいります。

 国民の皆様に、そして私も岩手県の山田町、被災地が地元でございますので、被災地の皆様に御理解を深めていただけますように、引き続き丁寧に説明をしてまいりたいと思っております。

早坂委員 いや、余りまだ納得しませんが、流用をしていないというのは、僕はそんなことはないかなと思います。

 そして、あと、私は、痛税感を抑えるためではないかと思ってなりません、税に対する痛みのことですけれども。法律を作って新たに税負担をお願いするよりは、期間は延長されても税負担は今と変わらないでしょうが、納税者の痛税感は抑えられるのではないかと思います。それも一つの狙いだとすれば、本当にこうかつなやり方だと思います。

 本当に必要な税ならば、今後の自衛隊をどうしていくのか、どう組織を変えて日本を守っていくのか、そのために何がどのくらい必要なのかということを国民にしっかりと説明した上で増税の必要性をお願いするのが順番でないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 防衛力の抜本的な強化につきましては、昨年一年間、政府内で議論をいたしまして、そして昨年末に、この総枠等について、どれぐらいお金がかかるのか、そういうことも含めて決めたところでございます。

 この総額を決めるに当たりましても、真に実現性それから有効性等を考えながら、必要な防衛力装備を積み上げてきたわけでございまして、その結果がああした規模の新たな防衛力整備に係る規模になっているということを是非御理解いただきたいと思います。

早坂委員 ありがとうございます。

 私たち日本維新の会は、復興を支えるための税金が防衛費に転用されることは反対です。被災者の感情にも御配慮を是非いただきたいと思うとともに、日本維新の会は身を切る改革を実践しております。まずは国会議員自ら範を示さないと、国民の理解を得るのは難しいのではないでしょうか。

 次に、時間がもうないので、最後の質問になるんですが、復興大臣、もう一つ、先ほどの大臣の意向はすごい伝わりましたが、復興大臣がやはり交代する、ころころ替わることについて最後にちょっとお尋ねしたいんですけれども。

 総理大臣は、各閣僚に、閣僚全員が復興大臣であると認識を共有しということをおっしゃっておりましたが、その認識は本当に共有できているんでしょうか。

 結果はどうか。最短の復興大臣が誕生し、そのほか三人の閣僚が更迭されました。世間では震災の風化が危惧されておりますが、最も風化が激しいのは閣僚の皆さんではないかと思ってなりません。先頭に立たなければならない復興大臣がころころと替わって、やっと被災地の皆さんと心が通じ合い始めた頃、交代してしまっているのが現状です。

 総理の言う、被災地に寄り添い、各省庁の縦割りを排し、現場主義に徹したきめ細やかな対応が本当にできているんでしょうか。総理の言葉が形骸化してはいないでしょうか。

 復興大臣がころころ交代すること、そして弊害は何だとお考えでしょうか。是非ともお考えをお願いします。

渡辺国務大臣 お答えいたします。

 復興大臣がころころ替わるということの御懸念でありますが、そのとおりだというふうに思います。まずは、被災地との信頼関係は一番大事だと思います。

 私自身は二回目の登板でありますけれども、やはり、被災地に寄り添っていくためには、被災地をまず行かなければならない、被災地の皆さん方のお話を聞かなければならないということで、現場主義に徹底をしております。さらに、そこには、被災者の皆さん方の声をしっかりと聞く、被災者に寄り添っていく、これが本当に大事だというふうに思っておりますので、今までのそういった御懸念を払拭するために、私自身は全力で復興に取り組んでまいりたい、そのように思っております。

早坂委員 ありがとうございます。

 先ほども言いましたが、私も宮城、東北出身でございます。そして、私、三月十一日が誕生日なんですね、東日本大震災。それを天命に思いまして、そして、しっかりと、風化することなく、東日本の復興に取り組んでまいることをお誓い申しまして、私の質問を終わりにします。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて早坂君の質疑は終了いたしました。

 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党の田中健です。

 今日は、農水大臣に酪農対策について伺いたいと思います。

 酪農家の置かれている現状、今、七重苦とも言われています。一つが生産資材の暴騰、二つ目が農産物の販売価格の低迷、三つ目が副産物収入の激減、四つ目が減産要請、五つ目が乳製品の在庫処理の多額の農家負担金、六つ目が大量の乳製品の輸入、七つ目が赤字補填等海外では当たり前のようにある政策がないということであります。

 この委員会でも数々指摘が続いていますが、酪農家の経営環境というのは危機的状況にあります。私の地元、富士山の富士宮でございますけれども、昨年一年間で五軒の酪農家が離農そして廃業に追い込まれる事態となっています。

 乳製品の需給の緩和というのは、そもそもこれは酪農家の責任ではなく、畜産クラスター事業による増産誘導又はコロナ禍による在庫増が主な要因とも言われています。搾るな、牛を処分しろではなく、政府が増産を促して、他国のように買い上げて、また、国内外の援助にも活用するような取組ができないでしょうか。それによって、消費者も助け、在庫も減り、そして今の食料危機にも備えられると思っています。

 具体的に質問を伺います。

 国内で八万五千トンと言われております脱脂粉乳の過剰在庫、この解消について、どのような対策を考えていらっしゃるでしょうか。

野村国務大臣 お答え申し上げます。

 委員おっしゃいましたように、脱脂粉乳の在庫が十万トンになろうとした時期がございましたが、現在、生産者の皆さん方あるいは業界の皆さん方がそれぞれ資金を出し合って、できるだけ脱脂粉乳の在庫を抑えよう、こういったようなことをしていただいておりまして、今、少し減りつつございますが、生産者と乳業者が協調して、飼料への転用など脱脂粉乳在庫を低減させる取組を行っておられまして、これを国も後押しをしようということで、今度、三月から、事業によって国も後押しをしていくということを今検討しているところでございまして、脱脂粉乳が一番やはり在庫が積み上がって問題が惹起したということになっていると思います。

田中(健)委員 取組は、やっていることは存じております。農畜産の振興機構、これを使って、昨年度も脱脂粉乳の過剰在庫を何とかしようという取組をしました。しかし、この一年で一割強しかまだ在庫解消できていません。やはり需要ギャップも解消されたわけでもないんです。何かほかの転用や活用が必要ではないかと思っています。

 そんな中で、戦後を思い出しますと、日本の子供たちは給食で脱脂粉乳を、私の両親世代もいただいてきたということを聞いています。これは、昭和二十四年から三十九年まで十五年間、日本はユニセフからの脱脂粉乳の援助を受けて給食を提供をしていました。今、政府の中ではODAの倍増ということが大きな話として挙げられていますが、是非、そうであれば、脱脂粉乳を始めとした食物を海外の援助に使えないかということを考えてほしいんです。

 これは役所から聞きましたが、要請がないということを言われました。要請がないと、残念なんですけれども。実際、飢えに苦しむ人が世界で八億人もいると言われていて、食料難と言われている中、日本でこれだけ余っている脱脂粉乳をどのようにして活用できるか。是非、要請がないからという消極的なそういった感じではなく、農水大臣のリーダーシップで、これは平和外交にもつながるかと思いますので、活用を検討していただけないでしょうか。伺います。

野村国務大臣 今委員おっしゃいましたような、余っている脱脂粉乳があるならば海外への援助に使えばいいじゃないか、こういう御議論はあちこちで聞かされておりますが、海外への食料援助につきましては、被援助国などからの要請に基づいて実は実施されるものでございまして、現在のところ、我が省としては脱脂粉乳への要請があるとの情報には接しておりませんが、我が省でもニーズ等の情報収集に努めるとともに、外務省を始め関係省庁と連携して対応してまいりますということでございまして、林外務大臣とはそのことについてもお話をしておりますが、今までのところは外国からの要請が来ていない、こちらからのプッシュ型の支援というのはなかなか難しいということでございます。

田中(健)委員 また要請がないということで言われてしまうんですが、是非大臣のリーダーシップをもって、ユニセフでもいいと思いますし、食料危機の、たくさん取り組んでいる団体はありますから、そういうところにも積極的に関与していただければと思っています。

 そもそも、今回の大きな課題というのは、規模拡大、増頭、増産を促してきた畜産クラスター事業と、酪農家への生産抑制の呼びかけ、いわばアクセルを踏みながら、またブレーキを踏む、この両輪の、まさに矛盾するかのような政策が続いてきたことが要因とも言われています。

 この畜産クラスター事業というものをどう評価して総括をしているのか、大臣に伺います。

野村国務大臣 ちょうど平成二十六年でしたけれども、バターが不足をいたしまして、スーパーなんかの在庫が全くなくなったということで、これは国内の生産基盤を強化していかなきゃならないということでこのクラスター事業をスタートさせたわけであります。

 これは、総合的なTPP等関連政策大綱において、畜産分野の生産基盤を強化するためにこのクラスターという事業をつくったわけでありますが、現在、収益性の向上を図る事業として、例えば、搾乳ロボットを導入した経営体で、一日一頭当たり乳量が平均で八%増加したとか、あるいはまた飼料の増産等に取り組んだ経営体では、作付面積が平均で一四%増加したというクラスターの効果というのも出ております。

 しかしながら、今委員おっしゃいましたように、一方では、そういった収量の、生産数量が非常に伸びたということでございまして、また一方で、コロナもございまして、学校が休みになったりとか、こういったような需要の減少などによりまして、不測の事態が重なってバランスが大きく崩れてきたというのが主な要因でございます。

 また、輸入飼料等の購入飼料に適度に依存するような経営体については、今般の配合飼料価格の高騰時の影響を大きく受けていると考えておりますが、このためにいろいろな対策を、予備費なり、あるいはまた補正予算等でやっていただいたわけでございまして、今おっしゃいましたこの畜産クラスターの事業におきましては、増頭や生乳生産の拡大につながる施設整備等の要望は今回はもう控えてくださいということを実はお願いをしているところでございまして、飼料増産優先枠の拡充をして、できるだけ自給飼料を増やしてほしい、こういったことでの、クラスターの事業の中身を変えながら、あるいはお願いをしながら、今やらせているところでございます。

田中(健)委員 ちょっとかみ合っていないんですけれども、畜産クラスター事業はもちろん生産基盤の拡大という大きな目的があるんですけれども、その中の主の目的としては、増頭しよう、増産しようということが政府を挙げてのかけ声ではなかったのかなということであります。

 二〇一四年に平成の酪農危機がありまして、それに伴ってできたのも今御説明いただきました。しかし、同時に、二〇一八年からは、当時七百三十万トンの生乳の量を七百八十万トンにしよう、増やしていこうという大号令がかかりました。

 つまり、政府がそのように大号令をかけたにもかかわらず、昨年の十一月で打切りになり、そして今度は生産調整しろと。これは生産者、酪農家をかなり混迷させてしまったんじゃないかというような認識で私はいるんですけれども、大臣はいかがですか。

野村国務大臣 この二十六年のときの状況はどうだったかといいますと、北海道はどんどん生産が拡大しておりました。その代わり、都府県の酪農がどんどん衰退をいたしておりまして、どうにかバランスは取れていたんですが、このクラスターによって、都府県の酪農家の皆さん方の増頭意欲が出てまいりまして、都府県も伸びてきた、当然北海道も伸びてきた。

 そういったような、両方、我々の見込み違いといえば見込み違いなんですが、都府県はもう少し減少していくであろうと思っておったところに、都府県の皆さん方の意欲がまた再度湧いてきまして、都府県が非常に力を入れておられるようになってきたというのが一つあります。

 それともう一つは、粗飼料が不足しているにもかかわらず、外国から輸入してこれをやるというのが、都府県の皆さん方もやり出したんです。ですから、増頭はクラスターでして、そして、餌は海外の乾燥牧草、乾牧草を輸入してやったというのがありまして、できるだけそういった粗飼料の輸入に頼らない経営を是非してくださいということを今強くお願いをしているところでございます。

田中(健)委員 大臣としては見込み違いだったかもしれないという言葉があったんですが、まさに畜産クラスター事業、適正規模が難しいと思います。なかなか将来を見通すのも難しいんですけれども、だからこそ慎重でなければならないですし、それに振り回された酪農家さんたちは、半分補助金でしたけれども、半分は金融機関借入れ、つまり借金ですから、やはり、返していくのに、今は本当にもう必死どころか、それによって倒産に追い込まれてしまうという酪農家さんがたくさんおりますので、是非、もう一度総括をしてもらって、何が必要なのかということを大臣がお示しいただければと思います。

 もう一つ、今、輸入の話がありましたけれども、違った視点での輸入、これは委員会でも議論がありましたけれども、カレントアクセスについても伺いたいと思います。

 緒方委員とのやり取りで、法的義務というのは、最低輸入義務ではなくて、輸入機会を提供するものだという答弁がありました。つまり、その数量を必ず輸入しなくてはならないという約束では全くありません。しかしながら、輸入量、十三・七万トンを設定して、毎年、全量輸入を今でも続けています。

 近藤委員の質疑の中では、大臣の発言では、脱脂粉乳などの不落の月があっても、全て落札するまで充当、満額、満了するまで努力する、一年あるのでまだ期間がある、全て入札でやっていくと、大変力強い発言があったわけですけれども、これはどこを向いて力強く言っているんだろうと、聞いていて思いました。この枠を満たさないと何かWTOに訴えられるようなことがあるんでしょうか。

 平常時ならともかく、今議論してきました、国内の脱脂粉乳がこれだけ余って、そして、七重苦で酪農家が悲痛な声を上げている中、何のために、またどうしてそこまで大臣がこのカレントアクセスを是が非でも守らなきゃならないというのが分かりません。酪農家が日本にいなくなっても輸入を続けるんじゃないかと思うような答弁でありましたので、この危機的状況の中にあってもなぜ全量輸入をし続けなければならないのか、いま一度大臣から伺います。

野村国務大臣 この問題はもう何回も、衆でも参でもあったわけでありますが、いつも申し上げておりますように、WTOの紛争解決手続に問題を惹起するかどうかは関係国の判断でありますけれども、カレントアクセス数量の輸入を行わなかった場合に提起するかについても、これは関係国が判断するものでありますけれども、我が国としては、このカレントアクセス数量について、輸入機会を提供する義務を果たすということにしておりまして、そのような立場を関係国に伝えておるところでございまして、これまで一回もこの十三万七千トンという枠を外したことはないということでございます。

 したがいまして、今やはり脱脂粉乳が、特に日本の在庫も多くなっているわけでありまして、現時点までの、若干、落札状況を申し上げますと、バターについては、これはもう九三%消化済み、それから、脱脂粉乳が四三%消化済み、そして、ホエーについては全量消化済み、バターオイルについては全量消化済みで、脱脂粉乳だけがまだ四三%しか達成していない、こんな状況でありますので、総理からの指示もありますので、これらについてどういうような対応ができるかということも今検討をしているところでございます。

田中(健)委員 時間ですから、最後です。

 十三・七万トン、全量輸入したんだと胸を張って言っていただきましたけれども、誰に向かって言っているのかちょっと分かりません。本当にこれだけ酪農家さんが苦しんで、予算委員会も見ているかと思いますが、必死になってこの現状を乗り越えようとしています。十三・七万トン、全量輸入したんだと胸を張って言うよりも、やはり酪農家さんに寄り添ってもらって……

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますから、おまとめください。

田中(健)委員 はい。

 大臣の取組を求めたいと思います。

 済みません、以上です。

根本委員長 これにて田中君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。持ち時間が十五分しかないので、答弁は簡潔にお願いします。

 岸田総理が述べた異次元の少子化対策が焦点になっています。過去最少だった二〇二一年の出生数、八十一万一千六百二十二人から、昨年は七十七万人まで急減する見込みと聞いています。

 自民党の茂木幹事長が、子供は社会が育てるとの認識の下、児童手当の所得制限の撤廃を提案しました。

 思い出すのは、民主党政権の二〇一〇年から二〇一二年までの丸二年間、子ども手当をめぐって激しい論争がやられたことです。継ぎはぎだらけの法改正が四回も繰り返された挙げ句、民自公による三党合意で、結局、子ども手当は幻となり、児童手当に戻ったのでした。資料の一にあるとおりであります。

 日本共産党は、一貫して、財源確保に努めながら、現金給付と保育所増設などの現物給付を車の両輪で進めるべきだと主張してきました。

 当時野党だった自民党は、所得制限なしの子ども手当をばらまきだと叫び、子供は社会が育てるという理念自体を否定し、家族の責任を放棄するものとまでなじったのです。

 資料の二にありますように、この理念、第一条、目的規定に、上が書き込んだところですが、「父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、」と、わざわざ書き込ませ、子育ては自己責任の社会に押し込めてきたのであります。

 事実、先行して実施した年少扶養控除の廃止などで、子育てを応援するはずが、同じ子育て世帯を狙い撃ちにした増税で、差引き負担増という最悪の結果を招きました。このことは、当時の与党だった民主党さんにもしっかりと受け止めていただきたいと思います。

 この事実を認め、率直な反省なしに、異次元どころか子育て支援など語る資格はないと思いますが、官房長官、伺います。

松野国務大臣 高橋先生にお答えをさせていただきます。

 子育て支援については、安定財源を確保しながら、これまで、保育の受皿整備、幼児教育、保育の無償化など、ライフステージに応じて必要とされる支援を進めてきたところであります。

 この結果、少子化対策関係の予算額は大きく増加し、例えば、いわゆる保育所待機児童は、平成二十九年の約二・六万人から、昨年は三千人まで減少するなど、一定の成果があったと考えています。

 一方で、少子化の背景には、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因があり、いまだに多くの方の、子供を産み育てたいという希望の実現には至っていないと認識をしています。

 少子化が更に進展するなど、社会経済情勢は大きく変わるとともに、これまで取り組んできた政策強化の方向性から、今後、重点的、抜本的に取り組むべき子育て支援政策の内容も変化しています。

 子供、子育て政策は、最も有効な未来への投資であります。個々の政策の内容や規模面はもちろんでありますが、これまで関与が薄いと指摘されてきた企業や男性、さらには地域社会、高齢者や独身も含めて、社会全体の意識を変え、子供、子育てを応援するような、次元の異なる少子化対策を実現していきたいと考えています。

 これに向けて、まずは、こども政策担当大臣の下、子供、子育て政策として充実する内容を具体化してまいります。

高橋(千)委員 まず、反省の一言がないんじゃないですか。

松野国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、少子化が更に進展するなど、社会経済情勢は大きく変わるとともに、これまで取り組んできた政策強化の方向性から、今後、重点的、抜本的に取り組むべき子育ての支援政策の内容も変化をしてきていると考えております。

高橋(千)委員 総理の答弁ほども反省の言葉が一言もなかった。まるで人ごとのような話で、世の中が変わったからみたいな話でありました。

 自民党さんが、当時、野党の時代に、ちゃんと現物給付を我々はやっていくんだということで、学校給食の無料化だとか保育士の処遇改善とかを言っていた、それを全然やっていないということを改めて指摘をさせていただきたい、このように思います。

 資料の三は、岸田総理が小倉大臣に示した総理指示のポイントであります。

 三つありますけれども、その一つ目に、児童手当を中心とした経済的支援の強化とあります。七日の関係府省会議で具体的な議論がされたと思いますが、児童手当の所得制限の撤廃や十八歳までの拡充、これは期待されているところです。今日聞くのはそこではありません。

 資料の四です。

 一人親家庭に支給する児童扶養手当、これは満額で約四万三千円なんですが、ただし、細かい所得制限があって、母一人子一人の場合だと、年収が百六十万円を少しでも超えてしまうと一部減額されます。二百万、二百五十万、三百万と小刻みな基準額があって、それを超えるたびに減額される。厳し過ぎるんじゃないですか。これを撤廃すべきではありませんか。

加藤国務大臣 児童扶養手当のお話がありましたが、一人親世帯への支援については、児童扶養手当などの経済的支援に加えて、就業支援、子育て生活支援などを含めて、一人親世帯の生活全体を総合的に支えていくことがまず必要だと考えております。

 児童扶養手当でありますけれども、一人親世帯の家計の状況に応じて給付の重点化を図る観点から、所得に応じた支給制限を設けており、平成三十年に手当を全額支給する所得の限度額を引き上げたところであります。

 見直しを行う場合には、一人親世帯等の家庭の生活の安定と自立の促進という制度の趣旨、これを踏まえて見直しをしていく必要があると考えています。

高橋(千)委員 見直しは、もちろん順次やってきたのはよく承知している、そのテンポが遅過ぎますので、追いついていませんので、これは言っておかなきゃいけないと思います。

 失礼しました、官房長官、ここで退席していただいて結構であります。

 民主党政権が誕生したときに、初めて子供の貧困率が公表されて、七人に一人が貧困家庭である、そのうち一人親家庭は二人に一人という実態が分かりました。

 ところが、あれから十年たっても、この数字はほとんど変わっていないのです。むしろ、コロナ禍で可視化されたとも言える。政治が家族の責任に追いやってきたことの証左でもあります。一人親家庭は、コロナ禍で休業や仕事を失うと、たちまち食べていけなくなる。これは、全国でフードバンクや子供食堂が七千三百か所以上にも広がっていることからも明らかであります。

 厚労大臣にも、それから小倉大臣にも問題意識を持っていただきたい。ここは時間の関係で、要望にとどめます。

 それで、異次元のとか予算倍増という言葉だけ、イメージだけが先行していますが、まだその大枠が決まっていません。まして、財源はどうなるのかという問題です。

 先行して、出産育児一時金を四十二万円から五十万円に引き上げることが決まっています。

 資料の五を見てください。その財源は、出産育児一時金を全世代で支え合う仕組みの導入。どういうことか。

 これまで出産育児一時金は、それぞれが加入している健康保険の保険者が負担していました。それに、後期高齢者医療制度からも参加するということを決めたわけです。そうすると、六にあるように、その分、後期高齢者の保険料負担が増えるということですね。このことを厚労大臣に確認をしたい。

 例えば年収二百万円だったら、今年は八万二千百円だけれども、令和六年度は八万六千八百円、その翌年は九万七百円と上がっていく。しかも、これは経過措置なので、その先は倍くらいの負担になるんでしょうか。簡潔に。

加藤国務大臣 まず、出産育児一時金の負担に関してですけれども、従前は、高齢者世代も含めて子供医療費の負担をしていた。そうした中で、生産年齢人口が急激に減少していく、更にこうした対応をしていく必要があるということで、今回、後期高齢者医療制度が出産育児一時金に要する費用の一部を支援する仕組みを導入したところであります。

 今委員御指摘のように、令和六年、七年度は費用の二分の一ということでございますので、仮にこの二分の一でなければ、当然その倍額になるので、約百円程度ということであります。

 ただ、これは平均してということでありまして、今回の見直しでも、高齢者、いわゆる負担能力に応じてということが考え方の基本でありますから、高齢者全員に一律の負担をお願いするのではなくて、低所得者層に関しては、制度改正に伴う負担の増加が生じないように配慮し、賦課限度額や一定以上の所得のある方の保険料率を引き上げる形で、今申し上げた負担能力に応じた負担、この考え方に沿って進め、そして出産に係る現役世代の負担の軽減も図っていくということで、必要な対応というふうに考えております。

高橋(千)委員 今大臣がお認めになったように、私がここに示した資料は、プラスと負担増を書いていますけれども、いずれ、激変緩和措置が過ぎれば倍になるんだということだと思います。

 もちろん、低所得者には軽減をするよと言ってはいるんですが……(発言する者あり)分からぬと言っています、倍はあれだということですが、単純計算すればそうなっちゃうということなんです。しかも、四割の方には確実に負担増になるであろうと。

 激変緩和といっても、年金生活者というのは年金は増えないんですから。年金を増やしての上だったらまだ分かりますよ。年を重ねていけば収入が減ってしまう中で、これが負担増になるんだ、そういうことなんです。

 これは、子供を社会が育てるという理念は共有されたと思いますが、それを何かいいように使っちゃっているというか、全世代が支えるということで、後期高齢者から子育て支援へと予算を移し替えているだけなんです。

 社会保障制度審議会医療保険部会の中でも、弱者が弱者をお互いに助け合うという構造だと指摘をされ、公助が撤退していいのか、高齢者も苦しい、現役世代も苦しい中で、乏しいものを分かち合って、何か足の引っ張り合いをしているような構図で、日本社会はこれからやっていかれるのかと発言がありました。国が五十万円にしますと言ったのに、その財源は各保険者に丸投げなんです。それで高齢者にも出せと。これは国が関与するべきではないか、国が決めたことだから当然だろうという意見もあったわけです。

 世代間の対立、分断政策ではないでしょうか。そうではないというなら、子育て支援の倍増予算、どこから持ってくるんですか。

小倉国務大臣 子供予算の財源の議論についてであります。その議論自体は大変重要と考えておりますが、財源を考えていくに当たっても、まずは政策をしっかりと整理する必要があると考えております。

 現在、総理の指示を踏まえまして、私の下で関係府省会議を開催をし、総理から示された基本的方向性、三つに沿って議論を進め、まずは三月末を目途として子供、子育て政策として充実する内容を具体化します。

 財源については、これも繰り返し申し上げていますが、充実する政策の内容に応じて、各種の社会保険との関係、国と地方の役割、高等教育の支援の在り方など、様々な工夫をしながら、社会全体でどのように安定的に支えていくかを考えていくことになろうかと思います。

高橋(千)委員 その関係府省会議が二月六日に行われました。そのときに、専門家からヒアリングをやっていますけれども、東京大学経済学研究科の山口慎太郎氏は、再分配は累進課税でとおっしゃって、大事なことだと思うんですが、子供がいない人、子育てが終わった人も含めて社会全体で支えるべきだ、社会保険料は一つの可能性と、今の後期高齢者と同じ考え方、ただし、主に現役世代が負担することに注意といって、消費税はそうした問題を回避できるという提案をされております。

 結局そこなのかなと。消費税は所得の低い人ほど負担が重い、逆格差があるということが指摘をされている、そうしたことを、結局、社会が育てるという言葉だけで、財源の中でそれがはっきりとなってくるんじゃないか、それでは本当の意味の少子化対策、異次元のということではないんだと言わなきゃいけません。

 総理は、防衛費の倍増も、子育て予算倍増も、国民の命や暮らしを守る、共に日本の未来の懸かった重要な課題であると答えております。未来を奪うかもしれない大軍拡予算と一緒にするべきではありません。

 本当に未来のためには、世代間の分断や子供の中に格差を生まないためにこそ予算を振り向けるべきだと述べて、質問を終わります。

根本委員長 これにて高橋君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る十三日午後一時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時一分散会


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