衆議院

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第10号 令和5年2月13日(月曜日)

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令和五年二月十三日(月曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 小林 鷹之君 理事 中山 展宏君

   理事 古川 禎久君 理事 堀井  学君

   理事 牧原 秀樹君 理事 大西 健介君

   理事 後藤 祐一君 理事 青柳 仁士君

   理事 赤羽 一嘉君

      伊藤 達也君    石破  茂君

      今村 雅弘君    岩屋  毅君

      衛藤征士郎君    大岡 敏孝君

      奥野 信亮君    亀岡 偉民君

      熊田 裕通君    下村 博文君

      鈴木 隼人君    田中 和徳君

      辻  清人君    土屋 品子君

      平沢 勝栄君    古屋 圭司君

      牧島かれん君    三谷 英弘君

      宮下 一郎君    八木 哲也君

      山本 有二君    鷲尾英一郎君

      荒井  優君    逢坂 誠二君

      源馬謙太郎君    西村智奈美君

      馬場 雄基君    藤岡 隆雄君

      本庄 知史君    森山 浩行君

      吉田はるみ君    米山 隆一君

      渡辺  創君    阿部  司君

      伊東 信久君    池畑浩太朗君

      空本 誠喜君    掘井 健智君

      佐藤 英道君    庄子 賢一君

      中野 洋昌君    鰐淵 洋子君

      斎藤アレックス君    田中  健君

      宮本  徹君    緒方林太郎君

      櫛渕 万里君

    …………………………………

   総務大臣         松本 剛明君

   外務大臣         林  芳正君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   文部科学大臣       永岡 桂子君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   農林水産大臣       野村 哲郎君

   経済産業大臣       西村 康稔君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     松野 博一君

   国務大臣

   (デジタル大臣)     河野 太郎君

   国務大臣         小倉 將信君

   国務大臣

   (新型コロナ対策・健康危機管理担当)       後藤 茂之君

   内閣官房副長官      木原 誠二君

   財務副大臣        井上 貴博君

   外務大臣政務官      秋本 真利君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  黒田 秀郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  溝口  洋君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  室田 幸靖君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  實國 慎一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  吉川 浩民君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  池田 達雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   志水 史雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 實生 泰介君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 竹谷  厚君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 池上 正喜君

   政府参考人

   (財務省主計局長)    新川 浩嗣君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    角田 喜彦君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         八神 敦雄君

   政府参考人

   (農林水産省輸出・国際局長)           水野 政義君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  平形 雄策君

   政府参考人

   (農林水産省畜産局長)  渡邉 洋一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房長) 藤木 俊光君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            小林 浩史君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        岡村 次郎君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十日

 辞任         補欠選任

  伊東 良孝君     大岡 敏孝君

  今村 雅弘君     細田 健一君

  鰐淵 洋子君     吉田久美子君

  宮本  徹君     笠井  亮君

同日

 辞任         補欠選任

  細田 健一君     今村 雅弘君

  吉田久美子君     鰐淵 洋子君

  笠井  亮君     宮本  徹君

同月十三日

 辞任         補欠選任

  吉田はるみ君     荒井  優君

  渡辺  創君     米山 隆一君

  阿部  司君     空本 誠喜君

  池畑浩太朗君     伊東 信久君

  庄子 賢一君     佐藤 英道君

  斎藤アレックス君   田中  健君

同日

 辞任         補欠選任

  荒井  優君     馬場 雄基君

  米山 隆一君     渡辺  創君

  伊東 信久君     池畑浩太朗君

  空本 誠喜君     阿部  司君

  佐藤 英道君     庄子 賢一君

  田中  健君     斎藤アレックス君

同日

 辞任         補欠選任

  馬場 雄基君     吉田はるみ君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和五年度一般会計予算

 令和五年度特別会計予算

 令和五年度政府関係機関予算

 派遣委員からの報告聴取


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     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 令和五年度一般会計予算、令和五年度特別会計予算、令和五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官黒田秀郎君、内閣官房内閣審議官溝口洋君、内閣官房内閣審議官室田幸靖君、内閣官房内閣審議官實國慎一君、総務省自治行政局長吉川浩民君、総務省自治行政局選挙部長森源二君、総務省自治税務局長池田達雄君、外務省大臣官房長志水史雄君、外務省大臣官房審議官實生泰介君、外務省大臣官房審議官竹谷厚君、外務省大臣官房参事官池上正喜君、財務省主計局長新川浩嗣君、スポーツ庁次長角田喜彦君、厚生労働省健康局長佐原康之君、厚生労働省医薬・生活衛生局長八神敦雄君、農林水産省輸出・国際局長水野政義君、農林水産省農産局長平形雄策君、農林水産省畜産局長渡邉洋一君、経済産業省大臣官房長藤木俊光君、中小企業庁事業環境部長小林浩史君、国土交通省水管理・国土保全局長岡村次郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。米山隆一君。

米山委員 それでは、立憲民主党・無所属会派を代表して質問させていただきます。

 まず、オリンピックについて伺います。

 昨年秋、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会元理事の高橋氏が総額二億円にも上る賄賂を受け取ったとして、高橋氏のみならず、AOKIの青木氏、またKADOKAWAの角川氏らが贈収賄罪で逮捕されるという衝撃の事件がありました。

 ところが、今度は、二月八日、さらに、組織委員会大会運営局元次長の森泰夫氏ほか、電通のスポーツ局長だった逸見氏、フジテレビ制作会社のフジクリエイティブコーポレーション専務の藤野氏、イベント会社セレスポ専務の鎌田氏らが独禁法違反、不当な取引制限の容疑で逮捕されるという衝撃の事件が起こりました。

 極めて憂慮すべき事態だと思いますし、また、オリンピック担当相であった遠藤大臣、丸川大臣、鈴木大臣、櫻田大臣、橋本大臣、各大臣らの方々の責任も免れないものと思います。

 永岡文科大臣、そして、今ほど名前を挙げさせていただきました、オリンピック担当大臣でもあり、またオリンピック全体の経費について責任を負っておられる鈴木財務大臣の受け止めを伺います。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 個別事案の刑事手続の具体的内容につきましては、文部科学省として申し上げることは差し控えたいと思っております。

 その上で、東京オリンピック・パラリンピック競技大会をめぐる一連の事案で仮に不正があったとすれば、誠に遺憾であると考えているところでございます。

 今回の事案につきましては、現在、刑事手続中であり、また、東京都においても契約手続等に関する調査を行っているところと承知をしております。

 文部科学省としては、それらの状況の推移を注視しながら、しっかりと適切な対応を図ってまいります。

鈴木国務大臣 東京オリンピック・パラリンピック競技大会担当大臣を一年七か月やりまして、そして、二〇二〇年東京大会の成功のために一生懸命努力したつもりでございますが、そういう私にとりましても、東京大会のテスト大会をめぐる入札について仮に不正があったとすれば、本当に遺憾であり、また残念に思っているところであります。

 その上で、不正によって大会経費が膨張していたかどうかにつきましては、まさに今後捜査等によって明らかになるものだ、そのように考えているところであります。

 いずれにいたしましても、オリンピック関係経費にかかわらず、限られた財源を有効に活用することは極めて重要でありまして、歳出の効率化に引き続き取り組んでまいりたいと思います。

米山委員 今ほど財務大臣、経費の膨張につながったかどうかはこれからだというふうにおっしゃられたんですけれども、この問題、元々といいますか、そもそも多くの警鐘が鳴らされてきた問題だと思います。

 まず、二〇一三年に作成された立候補ファイルでは七千三百四十億円だったはずなんですよね。ところが、この予算には建築工事の設計や撤去費用等、警備や輸送費等がほとんど計上されていない、ある種、意図的に小さくされたんじゃないかというようなことも言われるような予算であったわけなんですが、それが二〇一九年の十二月にいきなり倍増で、一兆三千五百億円と発表されました。ところが、さらに、二〇二二年六月、終わった後ということですけれども、公表されましたら、また増えていて、一兆四千二百三十八億円。さらに、まだこれで終わらなくて、十二月二十一日に会計検査院が検査したところ、更に二割増で、結局、最終的な総予算は一兆六千九百八十九億円で、うち国が四千六百六十八億円を負担すると。どんどんどんどん増えていくという、非常にずさんな経過をたどっております。

 かつ、これが最後まで分からなかったんです、私たち、済みません、組織委員会が悪かっただけですとおっしゃられるのかもしれませんが、オリンピックが開催された年である二〇二一年の五月十二日の文部科学委員会で、我が党の斉木武志議員が組織委員会と民間企業との間の業務委託契約書を示して、委員会の方も、政府参考人の方も、これは本物です、本当にこの契約書は事実ですと認められました。この中において、何と、ディレクターの最高日当が三十五万円であると。しかもそれが、それは本当に忙しいときは、確かにこういうディレクターみたいな方というのは全経費を含むから、場合によってはなくはないのかもしれませんけれども、でも、どう考えてもそんな業務がないようなときに何日間も何日間も計上されている。

 だから、このとき、これはちゃんと検証しなきゃいけないじゃないですかと国会で言ったにもかかわらず、組織委員会の副事務総長の布村参考人がひたすら正当だと言い募る、また、政府の方々も全くこれについて特段の検証をしないということをしたことが、結局、今回の事件につながったのだと思います。

 ですので、それは、オリンピックは当面はないんだと思いますけれども、これからもいろいろな国際イベントがございます。是非、その再発を防止するために、今回のオリンピック経費がなぜここまで膨張したのか、また個別の契約が本当に正当だったのかをきちんと検証すべきだと思うんです。

 それについて、常に、こういう質問をしますと、刑事手続中だから駄目ですと言うんですけれども、それは関係ないんですよね。別に、刑事手続は刑事手続で粛々とやっていただければいい、こちらの、政府のおかしいところは政府のおかしいところできちんと検証するというのは全然両立できることだと思うんです。

 是非していただきたいと思うんですが、永岡文科大臣の御所見を伺います。

永岡国務大臣 オリンピック問題の再発防止策につきましての意見ということでございますが、スポーツ庁とJOCが中心となりまして、今後の大規模な国際競技大会等の運営の透明化、公正化を図るための指針案を策定するため、昨年十一月にプロジェクトチームを立ち上げました。その下に、専門的又は中立的立場の弁護士や公認会計士で構成される作業チームを設置をいたしまして、検討を進めてまいりました。

 作業チームでは、組織委員会の元職員からのヒアリング、またパリ大会等の海外事例、さらには、東京都が実施をいたしました談合報道に関する調査の状況報告等も参考にいたしまして調査分析を行い、今月十日に指針案として公表をさせていただきました。

 具体的には、組織委員会等が時限的な組織であるといったやはり特有の事情等を考慮いたしまして、今後、組織委員会等が適切な運営を行う上で遵守すべき原則、規範として、理事会ですとか、あとは情報公開の在り方などに関する十一の原則を規定をしております。

 文部科学省といたしましては、引き続きまして今後の刑事手続等を注視してはまいりますけれども、この指針案につきましては、スポーツ界や経済界から広く意見を伺いまして、更に議論を深めて策定してまいりたいと考えているところです。

米山委員 今の御回答は、私の質問に答えていないんですね。

 せっかくオリンピック委員会にヒアリングしました、専門家を交えてヒアリング、結構ですよ。でも、それを単に指針として出しているだけ。もう一切そのときの責任を問わずに、具体的には何があったかも言わずに、もう全部捨象した最後の、指針で示しました、だからもう再発しませんと、そういうことを繰り返したら、それは、だって、次の人も、次、私たちが何か談合したって、賄賂を受け取ったって責任追及されないんだ、ヒアリングされたら、またそれは伏せられて、次回また頑張ろうねと言ってくれるんだ、そう思いますでしょう。全然再発防止にならないんですよ。

 ちゃんと、ヒアリングした内容を示して、どこがどう悪かったのか、誰がどう責任を取るのか、やってください、その意図は、意思はありますかと聞いているんですけれども、意思があるかないかをお答えください。イエスかノーかでお答えください。

永岡国務大臣 今後、不正行為が明らかになりまして、仮に国費が過大に支出されている場合には返還を命じるなど、これは法令等にのっとって厳正に対処をしてまいります。

米山委員 これも相変わらず答えていないんですけれども。

 それは、刑事手続で有罪ですといいますか、明らかに不正があります、それで明らかに膨張しています、それは返せというのは、それは当然ですよ。刑事手続を取られるのも当然です。

 でも、組織としての問題があったというのは、そのほかにもあるわけですよ。それは刑事まではいかなくたっていろいろ問題がある、そういういろいろなものの積み重ねの上に刑事手続というのはあるんですから、ちゃんと検証して、仮に、刑事手続とまでは言えなくても、こういうまずいところがあった、こういうまずいところがあった、それはこの人の責任だって、ちゃんとやってくれるんですか、くれないんですかと聞いているんですが、相変わらず何も答えられないので、つまりやってくれないということですね。

永岡国務大臣 今回の事案につきましては、現在、申し訳ありません、やはり刑事手続中でございます。具体的内容につきましては、文部科学省としては申し上げることは差し控えさせていただきたいと思っております。

米山委員 つまり、しないということで、非常に残念です。何せ、刑事手続だからって、しないでいい理由もないし、しちゃいけない理由もありませんので。

 次に、また同じことで質問させていただきますけれども、ちなみに、この事件で逮捕された主要人物である高橋氏、森氏のいずれもが森喜朗元会長の後ろ盾、権威づけを利用していた、そのように報道されております。

 これは、私もその組織委の中でどうだったのか知りませんけれども、お話をお伺いする限り、森喜朗さんという非常に絶対的な権力のある方がいて、しかし、その人はもちろん、御年齢からも、まあまあ正直、いろいろな経緯からも、御本人がそんなにリーダーシップを発揮できるわけでもない。そうすると、実務を担当しているどなたかが、陰の、虎の威をかるキツネのように、それを使っていろいろなことをしてしまう、それが起こったと思うんです。

 これは本当に、その組織委員会においてちゃんとした実務的責任を取れる人をトップに取らずに、あたかも自民党内の論功行賞のような形で会長を決めてしまった、そういう組織運営がこの問題の根幹にあると思うんですけれども、大臣、御所見を伺います。

永岡国務大臣 お答えいたします。

 森元組織委員会の会長におかれましては、IOCとの深い信頼関係が築かれるとともに、開催都市の東京都、また、政府、スポーツ団体など様々な関係者との調整に御尽力をいただいたところでございます。

 とりわけ、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして史上初となります一年延期となった大会開催に道筋をつけられるなど、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の成功に向けて大変御尽力されたと考えているところでございます。

米山委員 これはもうこれで終わりにしますけれども、是非、きちんと検証していただくと同時に、ちゃんと実効性のある再発防止策をつくっていただきたいと思います。日本の信用にも関わる問題でございますので。

 次に、「安倍晋三 回顧録」について御質問させていただきます。

 私は、安倍元総理とは政治的意見を異にしておりましたが、一方で、私が初めて自民党から国政選挙に出て落選した後に、初めて支部長に就けていただいたのは当時の安倍晋三幹事長でございまして、その後、何度かお話しする機会もありました。今は立場が異なりますが、もちろん、平成、令和の大宰相として畏敬の念を持っております。

 今般の質問は、決して、過去をほじくり返すとか、また故人を傷つけるという意図ではございません。安倍元総理御自身の言葉を葬儀の場で岸田総理が引用したことがこの回顧録で書かれているんですけれども、総理大臣というのは、たたかれて、たたかれて、やっと形をなす鍛造品であると。職を辞し、天命を全うしてなお後世の評価を受けることで、その連綿と続く日本の政治をよりよきものとできると考えておりますので、この質問をさせていただきます。

 それでは、次の資料九をお願いいたします。

 安倍元総理は回顧録の中で、非常に一貫して、財務省は増税のために政権を引きずり降ろす、財務官僚は、目先の政権維持しか興味がない政治家は愚かだ、やはり国の財政を預かっている自分たちが一番偉いという考え方だ、国が滅びても、財政規律が保たれてさえいれば満足だなどと言っておられるのですが、鈴木財務大臣、これは本当でしょうかね。

鈴木国務大臣 米山先生が御指摘になられたことも含めまして、財務省あるいは財務省職員の姿勢について安倍元総理が回顧録にいろいろな記述をされておられますことは承知をしております。

 今となって安倍総理の心を推察することもなかなか限界があって、はっきり分からないわけでありますけれども、先日、二月の八日でありましたが、この委員会におきまして、岸田総理が、内閣として、財務大臣の下に財務省をしっかりとコントロールして、内閣としての政策目標を達成するために努力する、これがあるべき姿だと思いますと答弁をいたしました。私もそういう思いでありまして、財務省という一つの省庁がやはり時の内閣の方針の中でしっかりと政策目標を達成するために努力をするということ、それが基本であるべきだ、そう思っております。

 また、財政健全化のことについてもお話がございましたが、財政演説でも述べさせていただきましたが、財政は国の信頼の礎だ、私はそう思っております。責任ある経済財政運営を進めることで、豊かな日本社会を次の世代にしっかりと引き継ぐ、このことが重要であり、財務省の一つの使命である、そのように考えております。

米山委員 そうしますと、基本的には、財務省、安倍元総理の御指示の下にいろいろなことをされていたということだと思うんですが、それは資料十一をお願いいたします。

 安倍内閣では、二度にわたって消費増税を延期しております。一回目の延期後、総理は再び延期することはないと言っていたんですが、二〇一六年の伊勢志摩サミットで世界経済クライシスをうたい、先送りを打ち出して、総選挙に勝利を収めました。

 この回顧録の中で、かなりはっきりと、このクライシスは消費増税延期のための演出であったとお書きになっておられるんですね。そうしますと、安倍総理の御指示の下、先ほど財務省は勝手にやったんじゃないと言いましたので、安倍総理御指示の下、世界のクライシスがあると、実際はないのに、G7各首脳にうそをついたということになるかと思うんですが、こちら、本当でしょうか。外務大臣に御見解を伺います。じゃ、財務大臣、どうぞ。

鈴木国務大臣 事実関係を申し上げますと、二〇一六年のG7伊勢志摩サミットの世界経済セッションにおいて、参加した首脳間で世界経済のリスクについての認識を共有し、G7伊勢志摩首脳宣言において、新たな危機に陥ることを回避するため、適時に全ての政策対応を行うことによって、現在の経済状況に対応するための努力を強化することということで一致をした、そのように承知をしております。

 サミットの中において、それぞれの首脳間での協議がなされて、そして、結論としてそういうものが成ったというわけで、私から見て、消費税増税延期のための演出であったかどうかということは、ちょっと私からは何ともコメントをいたしかねます。

米山委員 世界経済に危機があったということは、財務省担当だと思うんですけれども、財務省は、このとき、じゃ、世界経済に危機があると思ってそのようなペーパーを各首脳に配ったということでよろしいですね。

鈴木国務大臣 二〇一六年のG7伊勢志摩サミットにおいて、リスクをしっかり認識し、適切な対応を取ること、この重要性を指摘する目的で検討がなされた、そういうふうに承知をしております。

 政府部内の検討経過における詳細については、お答えは従来も控えさせていただいているところであります。

米山委員 政府の中の詳細はいいんですけれども、当時、世界経済クライシスだったと思っていた人は極めて少ないんですよ。回顧録の中でも、メルケルさんなんかも、そうですかと言っていたとかと書いてあるわけなんです。

 それについて、財務大臣、全くそれは知りませんと言えませんということですと、これは、日本が世界にうそをついたということが固定してしまう。この回顧録、出ているわけですからね。もちろん外国の人も読めるわけですから、それが固定してしまうんですけれども、それでいいんですね。否定されないんですね。御見解、このとおりの事実があったということでいいんですね。

鈴木国務大臣 G7伊勢志摩サミットにおいて、この首脳宣言において、それが一致したものということで発表されているということでありますので、そうした議論がG7首脳の間で共有されたということになっているんだと思います。

米山委員 もう押し問答になりますので、これで終わりにしますけれども、この経過、極めて衝撃的であり、極めて残念だと思います。

 それでは、資料十二、お願いいたします。

 次は、これは、今問題になっている、次元の異なる少子化対策にもつながる話なんですけれども、安倍元総理の回顧録の中で、幼児教育無償化に当たって、毎年の大規模な給付なのでとにかく財源が必要ということで、消費増税分をこれに充てるために、財源を確保したと言っております。

 私自身は、もしかして鈴木大臣も同じかもしれないんですけれども、毎年多額の費用を要する予算については財源が必要だ、そうだと思います。税財源、きちんとした安定財源が必要だ、それは私は同意します。

 ところが、今般、防衛費の増税につきましては、必要な四兆円強のうち一兆円は増税されるとおっしゃられている、事実上言っていると思うんですけれども、増税されると言っているんですが、残り三兆円、これは正直、あれは安定財源でも何でもないわけです。本来それは、一般会計に戻されるものであるとか、国有財産を売っ払ったものとか、単に、たった今しかありません、今後分かりませんという財源でしかありません。

 鈴木大臣、改めてなんですけれども、幼児教育無償化において、やるには財源が要ると思って増税した、増税を実行した、そして、次元の異なる少子化対策にも様々な財源が必要だと言っている。何で防衛費だけ三兆円もの財源が突如出てくるんですか。その違いは何か、御説明ください。

井上副大臣 お答えいたします。

 委員から御質問の、幼児教育の無償化と今回の防衛費の違いについて御質問がございました。

 幼児教育無償化につきましては、平成二十九年に閣議決定をいたしました政策パッケージにおいて、当時予定をいたしておりました消費税率八%から一〇%への引上げによる増税分の使途を見直すことにより、その財源を確保いたしました。

 今回の防衛力抜本的強化についても、将来にわたって維持強化していくため、これを安定的に支えるために裏づけとなる財源が不可欠であり、しっかりとした財源確保が必要という観点で、幼児教育無償化の際の対応と同様だと考えております。

 その上で、国民の皆様の負担をできるだけ抑えるべく、歳出改革等の取組に加えて、特別会計からの一時的受入れや国有財産の売却などにより、必要な財源の四分の三を確保いたしました。それでも足りない四分の一については、将来の世代に先送りすることなく、令和九年度に向けて、今を生きる我々の世代の責任として、税制措置での御協力をお願いしたいと考えております。

 こういった点につきまして、国民の皆様方にこれからも丁寧に御説明をしたいというふうに思っております。

 以上です。

米山委員 全く分からなかったんですけれども。今のは回答になっていませんからね。

 今のは単に一兆円の部分は増税していますと言っているだけであって、三兆円について安定でないことは何も説明していないので、つまり、説明できるものが何もないということだと思います。また、与党からは、やじとして、分かりやすかったとおっしゃられましたけれども、与党の皆さんも全く説明できるものがない、そういうことかと思います。

 資料十三をお願いいたします。

 ちなみに、こちら、安倍総理、なぜ増税の延期は二年半だったのですかというところで、一九年十月に先送りしたのは、一九年夏の参院選を終えてから増税した方がいいという観測からでした、私と今井尚哉秘書官で経済と政局の戦略を練った上で決めたのですと、これもまたはっきり書いておられるわけなんですね。

 つまり、これは、自民党政権においては、増税というのは、選挙を勝つために適当に期限をずらすと。実際、防衛増税に関しましても、恐らくは目の前の統一地方選であり、若しくは、いつあるか分かりませんけれども、衆院選の影響を避けるためなんでしょうかね、増税すると言いながら期限を決めていないんですけれども、これはどういうことなんでしょうか。

 財務大臣にお伺いしたいんですけれども、これからもこういうふうに、まさに防衛増税、時期が決まっていないんですけれども、政局で一番有利になるように、自民党が一番勝てるように増税のタイミングを決めるんでしょうか。御所見を伺います。

鈴木国務大臣 安倍総理の回顧録にある増税の時期と選挙の時期についてのお尋ねだと思いますが、回顧録の中でなぜそのように書かれているのか、私は知り得る立場にはありません。

 消費税率一〇%への引上げ時期を二〇一九年十月一日に延期をするということとしたのは、新興国経済の陰りなど、世界経済が様々なリスクに直面をして、日本経済も個人消費に力強さを欠いた状況にあることなどを総合的に判断した結果である、そういうふうに承知をしております。

 増税は国民の皆様に御負担をお願いするものでありますので、その実施のタイミングは、経済情勢等、様々な要素を十分に勘案して、適切に判断するべきものであると考えております。

米山委員 これも通り一遍の回答でございますが、非常に残念なところでございます。

 最後に、私の選挙区の出身であり、極めて高名な、そして御党の宰相であります、安倍元総理とは全く異なる人生を歩んだ田中元総理の言葉を紹介させていただきます。これは有名ですが。

 私が田中角栄であります。皆さんも御存じのとおり、高等小学校卒業であります。皆さんは全国から集まった天下の秀才で、金融、財政の専門家ばかりだ。かく申す小生は素人ではありますが、とげの多い門松をたくさんくぐってきており、いささか仕事のコツは知っているつもりであります。これから一緒に国家のために仕事をしていくことになりますが、お互いが信頼し合うことが大切だと思います。したがって、今日ただいまから、大臣室の扉はいつでも開けておく。我と思わん者は、今年入省した若手諸君も遠慮なく大臣室に来てください。そして、何でも言ってほしい。上司の許可を取る必要はありません。できることはやる。できないことはやらない。しかし、全ての責任はこの田中角栄が負う。以上。こう言ったわけです。

 もちろん、田中角栄氏自身も毀誉褒貶のある人物で、全てこの言葉のとおり責任を取ったのかどうか、定かではございません。しかし、今の政府、本当に責任を取られない。安倍元総理のような大宰相にして、全部財務省の責任だと言う。そんなことをしていては、本当にこの日本の行く末がどうなってしまうのかと思います。日本の輝きは取り戻せないと思います。

 是非、責任ある政治運営をしていただくことを心よりお願いをいたしまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございます。

根本委員長 これにて米山君の質疑は終了いたしました。

 次に、本庄知史君。

本庄委員 立憲民主党の本庄知史です。どうぞよろしくお願いをいたします。

 私も、まず、安倍元総理の回顧録について質問をさせていただきたいというふうに思っています。

 私も一晩かけて読ませていただきました。かなり読み応えのある本だったと思います。この本自体は安倍元総理個人の著書ですけれども、今の、あるいはこれまでの政府の方針や説明と矛盾をする点がいろいろと散見されます。そういう観点から、特に外交関係を中心に何点か質問してまいりたいというふうに思います。

 その前に、まず、守秘義務との関係について少し確認をさせていただきたいと思います。

 官房長官、この回顧録は、かなり具体的、詳細に、首脳会談や国際会議でのやり取りについて書かれています。大臣規範には、「秘密を守る義務」という項目がありまして、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない、国務大臣等の職を辞した後も同様とする、このように規定をされておりますが、この回顧録が安倍元総理の守秘義務違反に当たらないということをまず確認させてください。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 お尋ねの安倍元総理の書籍に関わる対応を含め、個々の行為が大臣等規範の趣旨に反するかどうかは、各大臣等が、具体の事案に即し、その趣旨を踏まえ、自らにおいて適切に判断すべきものであります。

 以上でございます。

本庄委員 では、ちょっと違う角度から守秘義務についてお伺いします。

 配付資料の一番下、インタビュアーによる謝辞という項目があります。ここに、北村滋前国家安全保障局長、第一次内閣から蓄積してきた資料の提供を始め、インタビューの全てを支えてくれました、それがなければ、このような形で歴史的かつ実証的な回顧録が世に出ることは不可能だったと。

 これは、インタビュアーの読売新聞の橋本五郎さんと尾山さんがこのように謝辞の中で書いているんですけれども、そこで、官房長官、そして外務大臣にも確認をしたいと思うんですが、この回顧録の出版に当たりまして、外務省やあるいは国家安全保障局が安倍元総理や北村前局長の退任後に保秘のかかった外交記録などを提供したり、あるいは、安倍元総理や北村前局長が官邸や安保局から機密文書を持ち出したりということはなかったということでよろしいでしょうか。確認をお願いします。

根本委員長 内閣官房内閣審議官室田幸靖君、ちょっと事実関係を説明してください。

室田政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの書籍に対しまして、北村氏が監修という形で関与をされているということを承知しておりますけれども、北村氏がどのような形で外交、安全保障に関しましてこの書籍の監修ということで関わったのかにつきまして、私ども、全く承知をしておりません。

 また、当方、現時点で確認した限りにおきましては、私ども、退任後に北村氏に対して秘密情報の提供等は行っていないということでございます。

根本委員長 外務省大臣官房長志水史雄君、関連ですね。

志水政府参考人 お答え申し上げます。

 北村前国家安全保障局長の退任後に、同局長に対して外務省から秘密情報を提供したとの事実は確認されておりません。

本庄委員 先ほど、お一人目の答弁、承知していないという趣旨のことがあったんですが、謝辞の中に資料の提供と書いてあるんですよ。

 北村前局長がこの本の出版に当たって聞き手の皆さんにどういう資料を提供したのか、きちっと確認すべきじゃないですか。官房長官、いかがでしょうか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 現時点で、北村前局長等に対しヒアリング等を行わなければならないような法令違反の疑いは生じていないものと認識をしております。

本庄委員 では、官房長官、お伺いします。

 では、この本に書かれていることは守秘義務に反するものはない、そういう理解でよろしいですね。今の御答弁だとそう解さざるを得ないんですが、いかがでしょうか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 まず、私自身が、先生が今提示をされました書籍に関して、全てを読んでおりませんので、その中の内容に関して政府の立場としてコメントすることは差し控えたいと思います。

本庄委員 御本人はお忙しいと思いますので、私も一晩、徹夜で読みましたが、官房長官はお忙しいと思いますので、事務方でも結構ですから、内容を精査して、守秘義務違反に当たるものがないのかどうか、北村元局長に守秘義務違反の資料提供などがなかったかどうか、きちっと確認して、そして御報告いただきたいんですが、いかがでしょうか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 先ほどお答えをさせていただきましたけれども、大臣等規範において、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならないとの規定に当たるかどうかについては、大臣等が自ら適切に判断すべきものとされております。

 あわせて、北村前局長等に対しては、先ほど政府参考人からお話があったとおりでございます。

本庄委員 北村さんは、大臣規範ではなくて、国家公務員法ですね。

 きちっと局長本人から事情聴取したんですか。答弁してください。

室田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申しましたとおり、北村氏がこの本の監修に関わりましてどのような形で関与したのか、具体的なところは、私ども、承知をしておりません。

 したがって、現時点におきまして、北村氏による法令違反の行為等の疑いというようなものが確認をされているという状況にございません。そのような事態におきまして、民間におられる方に対して事情聴取をするという段階にはないというふうに考えております。

本庄委員 承知していないのに確認できないというのは、よく分からない答弁です。

 辞めても、守秘義務は残ります。きちっと本の中身を精査した上で、この謝辞に書かれている資料の提供に問題がなかったかどうか、政府としてきちっと調査、確認した上で、予算委員会に御報告をいただきたいと思いますので、委員長、よろしくお願いいたします。

根本委員長 理事会で協議します。

本庄委員 それでは、本題に入っていきたいと思います。

 まず、日ロ関係、北方領土に関してですが、配付資料の一、このパネルにも書かせていただきました。

 回顧録百八十三ページなんですけれども、北方四島、四島一括返還を主張することは、永久に北方領土が戻ってこなくてもいいということと同義だなど、安倍元総理は、日本の北方領土交渉の基本方針が四島一括返還だ、そして、それでは交渉が進まないので、歯舞、色丹二島を明示した日ソ共同宣言を基礎にして交渉することにした、こういう趣旨のことが繰り返されていますね。

 ただ、私、これはちょっと事実と違うんじゃないかというふうに思います。

 配付資料の二を御覧いただきたいと思います。外務省のホームページからの抜粋ですが、北方領土、北方四島の帰属に関する問題を解決して平和条約を早期に締結するという一貫した方針を堅持している、帰属の問題を解決するということが一つですね、そして、その上で、我が国への帰属が確認されるのであれば、実際の返還の時期、態様については柔軟に対応する、これは今外務省のホームページに書かれています。四島一括返還ということは、どこにも書かれておりません。

 そして、これまでの政府の答弁や説明を、私の知る限り、四島一括という方針ではなかったというふうに認識をしています。私は、安倍元総理が本の中で繰り返している四島一括という方針は、政府の方針ではないし、事実と反しているというふうに思いますが、外務大臣、いかがでしょうか。

林国務大臣 今委員がおっしゃいました、回顧録で故安倍総理が述べたとされている過去の交渉の経緯に関する事柄につきまして、政府としてコメントすることは差し控えますが、いずれにしても、北方領土は、我が国が主権を有する島々であり、我が国固有の領土であります。政府としてこの立場に変わりはなく、平和条約交渉の対象は四島の帰属の問題であるというのが我が国の一貫した立場でございます。

本庄委員 外務大臣、ちょっとおかしなことをおっしゃると思うんですけれども、今るるやり取りをした結果、守秘義務違反に当たる情報漏えい等はない、こういう話ですね。ということは、この本の中で安倍元総理がしゃべっていること、おっしゃっていることというのは、これを前提に答弁していただかないと話が進まないんじゃないですか。

 安倍元総理が御自身の言葉で、四島一括返還、こういうふうに述べておられるんですね。これは外務省の方針とは違いますねという事実を確認しているんですが、いかがですか。

林国務大臣 先ほども申し上げましたが、回顧録で故安倍総理が述べたとされている過去の交渉の経緯に関する事柄については、政府としてはコメントすることは差し控えたいと考えております。

本庄委員 私が聞いているのは、外務省、日本政府の北方領土の交渉の基本方針が四島一括返還なんですか、このことを聞いています。日本政府の方針をお答えください。

林国務大臣 先ほど後段で申し上げましたとおり、北方領土は、我が国が主権を有する島々でありまして、我が国固有の領土でございます。政府としてこの立場に変わりはなく、平和条約交渉の対象は四島の帰属の問題であるというのが我が国の一貫した立場でございます。

本庄委員 では、確認しますけれども、返還の時期、態様については柔軟に対応する、これは日本政府の方針で間違いありませんか。

池上政府参考人 お答え申し上げます。

 旧ソ連時代、我が国は北方四島の一括返還を実現して平和条約を締結するとの方針で交渉をしてまいりましたが、ロシアが一九九一年後半以降提示してきた姿勢を踏まえまして、北方四島の我が国への帰属が確認されれば、我が国として、実際の返還の時期、態様及び条件については柔軟に対応する考えを取ったという経緯がございます。

 いずれにせよ、先ほど大臣からも答弁申し上げましたとおり、北方領土は、我が国が主権を有する島々でありまして、我が国固有の領土であります。政府としてこの立場に変わりはなく、平和条約交渉の対象は四島の帰属の問題であるというのが我が国の一貫とした立場でございます。

本庄委員 さすが事務方はしっかりとした答弁をされますね。そのとおりです。ソ連崩壊までは四島一括ということを基本としてやってまいりましたが、それ以降は、時期や態様を柔軟に対応するということで、一括だという方針ではなかったということですね。

 したがって、安倍元総理がこの本の中で述べておられる、日本の方針が四島一括だから前に進まない、だから二島から話を始めるんだということは、間違った事実に基づいたインタビュー若しくは当時の外交政策だったというふうに言わざるを得ないわけです。

 一九五六年、日ソ共同宣言において歯舞、色丹二島が明記をされ、その後、四島が領土問題の対象だということに外交努力の積み重ねで到達したわけですね。それをまた一九五六年に戻してしまったわけですね。これは、安倍外交、いろいろな評価、検証がありますけれども、私は、この日ロ関係、北方領土交渉、本当に深刻な影響を後世の日本外交に残してしまったというふうに考えています。

 こういった点は、この回顧録も含めて、しっかりと政治レベル、そして歴史家においても検証していただきたいし、仮に事実に反する前提に立って外交政策が進められていたとすれば、そのこと自体もしっかりとした検証が必要だというふうに私は思います。

 関連で、次の方に進みます。

 回顧録三百三十一ページ、安倍元総理は、さらにこうおっしゃっている。

 二〇一八年十二月、ブエノスアイレス会談は、翌年六月に大阪で開かれるG20首脳会議での二島返還の合意を目指す、こういう考えで一致した、日ロが最も近づいたときだった、本当に二島返還の合意に向けたチャンスだった、このように回顧録の中に書かれています。

 さて、では、当時の会談の記録がどうだったかということです。

 配付資料三、先般のシンガポールでの、一九五六年共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速させるとの合意を踏まえ、ここからですね、日ロ双方は、河野外務大臣及びラブロフ外務大臣を交渉責任者とし、その下で森外務審議官及びモルグロフ外務次官を交渉担当者とすることで一致、更に交渉を加速させることを確認ということなんですね。

 これは、どこにも、次の大阪G20サミットで合意を目指すということが出てきません。このとき一致したとされるのは、河野大臣とラブロフ大臣が交渉責任者であること、そして森外務審議官とモルグロフ外務次官が交渉担当者、これで一致した、こういう発表、説明でありました。

 そこで、外務大臣にお伺いしますが、これは当時の公表資料に記述がありませんけれども、大阪で合意をすることで一致をしたということ、これは意図的に説明をしなかったんでしょうか、それとも、そういう事実がなかったということなんでしょうか。いずれでしょうか、お答えください。

林国務大臣 回顧録で故安倍総理が述べたとされている過去の交渉の経緯に関する事柄については、政府としてコメントすることは差し控えたいと思いますが、いずれにいたしましても、先ほど申し上げたように、北方領土、これは我が国が主権を有する島々でございまして、我が国固有の領土であります。政府としてこの立場に変わりはなく、平和条約交渉の対象、これは四島の帰属の問題であるというのが我が国の一貫した立場でございます。

本庄委員 外務大臣、もう一度お伺いしますが、このブエノスアイレス会談において、翌年の大阪で開かれるG20サミットで二島返還合意を目指すということで日ロ双方が一致をしたという事実はあったんですか、なかったんですか。安倍元総理の回顧録の記述にかかわらず、この事実についてお答えください。

林国務大臣 回顧録については、先ほど申し上げたとおりでございます。

 個々の会談等について、従来申し上げていること以外の、それ以外のことを申し上げるのは、外交に関することでございますので、差し控えさせていただきたいと思います。

本庄委員 現職の外務大臣が、国会で、あるいは国民に説明ができないということであれば、それは事実としてなかったのか、若しくは秘密なのか、どっちかじゃないんですか。いずれにしても、この安倍元総理の回顧録の中における発言は問題ありだ、こういうふうに受け止めざるを得ませんが、外務大臣、それでよろしいんですか。

林国務大臣 繰り返しになって恐縮でございますが、回顧録で故安倍総理が述べたとされている過去の交渉の経緯に関する事柄につきまして、政府としてコメントすることは差し控えます。

本庄委員 ここは国会ですから、しっかりと中身のあるものを用意してしゃべっていただきたいと思います。

 河野大臣、今は担当ではありませんが、この当時、外務大臣でいらっしゃったんじゃないかと思うんですが、安倍元総理が回顧録の中で述べている、G20大阪サミットで日ロが返還の合意を目指す、こういう話でブエノスアイレスで一致した、これは事実ですか。

河野国務大臣 所管外でございます。

本庄委員 当時の外務大臣として事実関係を確認しております。

河野国務大臣 所管外でございます。(発言する者あり)

根本委員長 じゃ、国務大臣河野太郎君、もう一度答えてください。

河野国務大臣 現在、所管外でございます。

本庄委員 事実じゃないことを元総理がおっしゃっていた、あるいは、言ってはいけないことを元総理がおっしゃっている、こういうことになってしまいますが、よろしいですか、河野さん、河野大臣。

河野国務大臣 所管外でございます。

本庄委員 今私がるる質問した事実関係について、政府として統一見解をしっかり出していただきたいと思います、事実関係について。

 委員長、よろしくお願いいたします。

根本委員長 理事会で協議します。

本庄委員 それでは、歴史認識問題に移りたいというふうに思いますが、回顧録からの抜粋で、百六十一ページなんですけれども、安倍元総理が戦後七十年談話について、まず村山談話の誤りを正すことだ、このようにおっしゃっているんですね。

 そこで、官房長官、お伺いしますが、村山談話は、閣議決定をされ、岸田内閣含め歴代内閣が引き継いでいる総理談話だというふうに思いますが、岸田内閣も安倍元総理同様に、村山談話は誤りだった、こういう認識をお持ちになっているんでしょうか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 まず、御指摘の回顧録において故安倍元総理が述べたとされている事柄につきまして、政府としてコメントすることは差し控えたいと思います。

 その上で申し上げれば、戦前から戦後にわたる歴史認識につきましては、戦後七十周年の内閣総理大臣談話で発表しているとおりであり、政府としてその立場に変わりはありません。

本庄委員 村山談話は誤りではない、これでよろしいですか。御答弁をお願いします。

松野国務大臣 繰り返しになりますが、御指摘の回顧録において故安倍元総理が述べたとされている事柄について、政府としてコメントすることは差し控えたいと思いますが、その上で申し上げれば、岸田政権としても、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでおり、今後も引き継いでいく考えであります。

本庄委員 全体の中に村山談話が入ってはいると思いますが、どこが入って、どこが入っていないのか、判然といたしません。今の答弁はここ十年ずっと続いている答弁ですけれども、しっかりとした中身のある答弁、是非、官房長官、お願いしたいと思います。

 時間もありません、関連で、回顧録二百六十九ページ、河野大臣、これは外務大臣当時の記述ですが、安倍元総理はこのようにおっしゃっています。

 彼が外相に就任して最初の記者会見をする前に、私は彼を執務室に呼んで、お父さんと全く違う立場でやってくれ、河野談話のコの字も言うなよと言ったのです、戦後七十年談話にのっとって対応していくと言ってくれ、彼は見事にその方針でやりました、原発ゼロも封印した。

 こういうことなんですが、河野大臣、これは、所管というよりも、事実として本当なのかどうなのか、お答えいただきたいんですが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 外交方針は所管外でございます。

本庄委員 外交方針ではなくて、外務大臣時代に河野大臣が安倍元総理に、河野談話のコの字も言うな、こういうふうに言われたのかどうかという事実関係を伺っております。お答えください。

河野国務大臣 外交方針は所管外でございます。(発言する者あり)

根本委員長 国務大臣河野太郎君。

河野国務大臣 外交方針は所管外でございます。

本庄委員 配付資料の四、当時の、就任時の河野外務大臣記者会見、記者二人から、河野談話についてどう考えているかを聞かれました。そのお答えは、慰安婦問題に関する我が国の立場は、総理が戦後七十年の談話でおっしゃられたこと、それと、両国政府が確認をした日韓合意にある、それ以上、私がつけ加えることはないと。同じようなことを二回繰り返されていて、安倍元総理が外務大臣就任時に河野大臣に話した内容と全く平仄が合っている、こういうことなんですが、これだけ見ると、安倍元総理のお話、事実なのかなというふうに思いますが、河野大臣、いかがですか。

河野国務大臣 所管外でございます。

本庄委員 河野大臣、ホームページに、河野談話は内閣の意思だ、これは配付資料の六に書いてあります。歴代内閣は踏襲している、このように書かれております。河野談話は内閣の意思、こういうことで、今のホームページでもまだ書いていらっしゃいますが、よろしいですか、そういう認識で。

河野国務大臣 所管外でございます。

本庄委員 河野大臣の基本的な考え方を伺っております。お答えください。

河野国務大臣 外交は所管外でございます。

本庄委員 河野大臣の、衆議院議員河野太郎さんの公式ホームページにこのような記載がなされているということは事実ですか。

河野国務大臣 確認してみないと分かりませんが、過去、載っていたことはあると思います。

本庄委員 それでは、河野大臣、この安倍元総理回顧録の中に、原発ゼロ封印ということも出てまいります。

 先週の二月の十日に、今の政府の話ですが、GX実現に向けた基本方針が閣議決定されました。その内容は、原発を最大限活用する、廃炉原発の建て替えを具体化する、最長六十年だった運転期間を延長する、原発推進に大きくかじを切るものですが、これは、河野大臣、閣僚として署名をされています。

 今回も閣僚なので原発ゼロを封印したということでしょうか、それとも、考え方を変えて、原発ゼロから原発推進に考え方を変えられたんでしょうか。この閣議決定に署名をした理由、明確にお答えください。

河野国務大臣 エネルギー政策は所管外でございます。

本庄委員 今、所管のことではありません。御署名されていますね、閣僚として。署名されていますね。その署名された理由について伺っております。

河野国務大臣 政府方針でございますので、署名いたしました。

本庄委員 つまりは、原発ゼロを封印した、こういうことですか。

河野国務大臣 エネルギー政策は所管外でございます。

本庄委員 質疑時間が参りましたので、最後に一問だけ財務大臣にお伺いして終わりたいと思います。

 安倍総理回顧録の中で、民主党政権の間違いは多いが、決定的なのは東日本大震災後の増税だ、こういうふうに書いていらっしゃるんですね、震災復興の増税が民主党政権の間違いだったと。

 これは、まず第一に、自民党も賛成をしてこの増税は決めたと思います。将来になるべく借金を残さずに、幅広く国民の皆さんから復興支援をしていただく、こういう趣旨だったと思います。これは、自民党も当時賛成している。その上で、この復興財源を事実上防衛費に回す、こういう政策を今取られているわけですね。

 大臣、復興増税は間違いだったんでしょうか、お考えを伺いたいと思います。

鈴木国務大臣 私も被災地の出身でありますが、まさに未曽有の大変な大災害であって、これを早く復興させるということは国民的な一致した考えであったと思いますし、そのためにその財源をしっかり求めなくちゃいけないという判断は正しかったのではないかと思っています。

本庄委員 ありがとうございます。

 所管のデジタルと厚生労働大臣に質問ができなくて、大変申し訳ございませんでした。また改めて、是非お願いしたいと思います。

 今日はありがとうございました。

根本委員長 これにて本庄君の質疑は終了いたしました。

 次に、源馬謙太郎君。

源馬委員 立憲民主党の源馬謙太郎です。今日もよろしくお願いいたします。

 まず初めに、荒井元秘書官についてお伺いしたいと思います。

 荒井秘書官は問題発言がありまして更迭をされたわけですが、その後も度々官邸や自民党本部に荒井元秘書官が訪れて何やら仕事をしている、こういうような目撃もございます。もう辞めたのに、引き続き官邸に来させて何か仕事をさせるというのはおかしいと思うんですが、いつ、どのぐらいの頻度で官邸や自民党本部に行ったんでしょうか。官房長官、お願いします。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 荒井元総理秘書官が後任の秘書官への引継ぎのために官邸に入構していることは承知をしています。引継ぎは後任の秘書官の業務の状況に応じて行うものであり、具体的な日にちや頻度については承知をしておりません。

源馬委員 引継ぎはある程度必要だと思うんですよね。いつ頃まで引継ぎをする予定なんですか。つまり、いつ頃まで荒井秘書官は官邸に出入りする予定なんでしょうか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 後任の秘書官が円滑に業務遂行を行うに当たって必要な範囲で引継ぎをしているものと理解をしています。

源馬委員 問題があって、厳しい対処をするといって退任させたわけですから、余り長々と、常識の範囲内で、例えば三月になってまでも出入りしていろいろほかの仕事をしているんじゃないかと疑われるようなことがないようにしていただきたいと思いますが、それはそれでよろしいですか、官房長官。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 先ほど申し上げたとおりでありますけれども、後任の秘書官が円滑に業務を行うに当たって必要な範囲で引継ぎをしているものでありますから、例えば、何日までといった期間としての区切りはなかなか難しいのではないかというふうに考えております。

源馬委員 さすがに来年度になるということはないですよね、官房長官。最後、それだけお願いします。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 これは先ほど答弁をさせていただいたことに尽きるわけでありますが、例えば、その時期にあって、どうしても前任者からの意見を更にお聞きする必要があるという判断もあるかもしれません。そういった場合には、その時点での引継ぎ業務というのが存在するんだと思います。

源馬委員 いろいろと荒井元秘書官が携わられていた仕事は多岐にわたるというふうに聞いていますが、例えば答弁を書いたり総理のスピーチを書いたりとか、そういうことが続くようでは退任したことになりませんし、必要があれば呼ぶんだというのであれば、是非、北村さんも呼んでいただきたいというふうに思います。

 官房長官はこれで結構です。

 それでは、私もまず最初に、安倍晋三元総理の回顧録について少しお伺いしたいと思います。

 配付した資料の中にあると思いますが、イージス・アショアについて、イージス・アショアが頓挫したのは防衛省のミスであった、当時、河野防衛相が相談に来たので、配備の中止は了解したが、米側とは全く調整していなかった、だから、配備計画は中止するけれども、当面は、つまりつるした状態だという苦しい説明をしなくてはならなかったと。つまり、撃った後のブースターが敷地内に落ちると防衛省は説明していたのに、そのことをアメリカ側と何のやり取りもしていなかった、調整をしていなかった、こういう記述がありますが、防衛大臣、これは事実ですか。

浜田国務大臣 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増している中で、防衛省として、イージス・アショアの配備を急ぐ必要があると考えたため、米側との協議は、それを踏まえた安全対策の検討を地元説明と並行して実施することとなりました。結果的に、地元に約束していたブースターを演習場内又は海上に落下させるということが実現できないこととなったことから、令和二年六月、むつみ演習場及び新屋演習場を含む二十か所の国有地について、配備を断念いたしました。

 この断念が結果的に関係各方面に大きな影響を与えてしまったことを踏まえれば、防衛省としては、この点について反省すべきと考えております。

 なお、断念配備の決定については、しかるべきタイミングで米側に伝達をしております。

 その後、令和二年十二月、イージス・アショアに替えてイージスシステム搭載艦二隻を整備することを正式に決定し、現在、引き続き検討を実施しているところであります。

 なお、御指摘の回顧録について、政府の立場から一つ一つ論評するものではないことについて御理解いただきたいと思います。

源馬委員 敷地内に落ちないということが分かったということだったんですが、それを分かった後も米国と調整せずにいたために、安倍元総理はすごく苦労したと回顧録の中でおっしゃっているわけですよ。防衛省は何にも米側と調整しないから自分がやらなきゃいけなくて、オバマにどうやって言ったらいいんだみたいなことはすごく苦労した、こういう記述がありますが、米側と調整しなかったというのは、防衛省、事実かどうか、教えていただきたいと思います。

浜田国務大臣 先ほども申し上げたところもあるわけでありますけれども、我が国の防衛に空白を生まないことがないように、代替の検討を進めたところであります。その結果、先ほど申し上げた艦艇二隻を整備することを決定したところであります。

源馬委員 そうしましたら、別の質問をさせていただきたいと思います。ひとまずこの回顧録はおいておきたいと思います。

 秋本外務政務官に伺いたいと思います。

 今回の質問に当たって事前に通告しました。レノバ社に再確認して、さらに、私が提出した資料、今日お配りしていますが、一枚目は、株式会社レノバの当時の取締役、A氏と書いてあるところが、政務官が献金を受けていたエストリオの代表取締役の方、A氏が取締役として載っています。この資料を事前に黒塗りなしでお渡しして、確認した上で答弁してくださいと言いました。

 三ページ目、四ページ目にあるのは、これはリサイクルワンとありますが、これはレノバ社の名称変更をする前の名前です。ここにもそのA氏が取締役として、創業メンバーとして関わっていた。これも黒塗りなしで政務官にお見せしています。

 さらに、三つ目、五枚目ですね、これは大量保有報告書というものですけれども、このA氏がレノバ社の株を大量に保有しているとする報告書の写しです。こちらにお名前も載っています、A氏のお名前。そして、連絡先が、このとき退社していると言っていますが、株式会社レノバの連絡先になっている。この資料も事前にお見せをしております。

 その上でお伺いしたいと思いますが、レノバ関係者から献金などを受けたことはありますか。

秋本大臣政務官 前回の予算委員会でもお答えしたとおりでございまして、ありません。

源馬委員 レノバの会社の創業者だったA氏、それはこの資料でお認めいただけますか。そして、取締役も務めていた、それも、この資料を御覧になって、その事実はお認めいただけますか。

秋本大臣政務官 今月九日の答弁でも申し上げたとおりでございまして、二日及び三日の答弁までに、エストリオ社につきましてレノバ社と関係があるのか、レノバ社に改めて直接問い合わせたところ、御指摘の人物も含めて関係がないとの回答を得たため、この内容を踏まえて答弁を行ったところでございます。

 また、御指摘の人物がレノバ社の創業時のメンバーの一人であることを知っているかということでありますけれども、仮にそうだったとしても、私が面識を持った時点ではレノバの関係者ではなかったわけでございます。

源馬委員 レノバ社に再確認していただけましたか。今回、私は通告で、レノバ社に確認の上、答弁してくださいというふうに言いましたが、レノバ社に再確認していただいたんですか。どなたに再確認したか、教えてください。個人名は結構ですけれども、どういうお立場の方か。

秋本大臣政務官 お求めがありましたので、改めて確認をしましたけれども、関係性がないということでございました。

 どこにということでございますけれども、うちの事務所からレノバの広報に問い合わせたものだというふうに思います。ただ、私自身が直接問い合わせたわけではないので、普通に考えて、事務所から広報に問い合わせたものだというふうに思われます。

源馬委員 いや、ちゃんと調べて答弁してくださいと通告しているんですよ。

 しかも、普通に考えてとおっしゃいましたが、普通に考えて、創業者であり、取締役を長く務めた方であり、大量の株を持っている方、特別顧問もやっている方、これは普通に考えたら関係者じゃないですか。政務官、どうですか。

秋本大臣政務官 御指摘の人物でございますけれども、献金を受け始めてから今回の報道に至るまで、レノバ社の特別顧問等であったことは全く承知しておりませんでした。実際、エストリオ社からもレノバ社についての言及はございませんでした。

源馬委員 これまで知らなかったということですけれども、今はもう御存じですよね。これだけさんざん私も取り上げて、特別顧問だったという事実をお伝えしているし、資料を事前にお配りしているとおり、レノバ社の創業者であったという事実、それはもう今は、当時知らなかったけれども、今はそうだということはお認めになりますね。

秋本大臣政務官 当時は認識は全くございませんでした。先生のおっしゃるとおり、今現在はと言われれば、それは認識しております。

源馬委員 じゃ、関係者ということは今は認識しているということでよろしいですね。今は関係者であるということは認識していますね。

秋本大臣政務官 現在は先ほど申し上げたとおり認識しておりますけれども、御指摘の人物がこれらの役職を務めていたとしても、レノバ社自身が御指摘の人物及びエストリオ社との関係を否定している以上、エストリオ社が関係企業であると第三者が、私も含めて第三者が認定することは困難ではないかというふうに思っております。

源馬委員 今、大事な答弁の修正があったと思いますが、エストリオ社が関係企業かどうかは聞いていないんですよ。それは多分、レノバ社は関係企業じゃないと言ってもおかしくないなと思います。

 ただ、エストリオ社の代表取締役であるA氏がレノバ社の関係者かどうかということを聞いているので、エストリオ社が関係企業ではないと今御答弁がありましたが、そうではなくて、今はもう、そのA氏はレノバの関係者だということはお認めになりますね。

秋本大臣政務官 これは、レノバが否定しているわけですよね。関係がないと言っている以上、第三者が認定をするのは難しいのではないかなというふうに思っております。

源馬委員 財務大臣にお伺いしたいんですが、金融商品取引法百六十六条で使われている会社関係者というのがあると思います。これを全てお読みいただくのは大変だと思うので、当該上場会社の役員、代理人、使用人その他従業者、あるいは株主、これはこの会社関係者に当たりますか。

鈴木国務大臣 今先生が一例を挙げられましたけれども、上場会社等の役員、代理人、使用人その他の従業者、このほかにもあと四つばかり項目がございますが、金融商品取引法第百六十六条の会社関係者に該当すると聞いております。

源馬委員 もう一回財務大臣にお伺いしたいんですが、この定義に当たっているのに、その会社の広報の人に聞いたら、いや、関係者じゃないと言い張れば、ここから外れるんですか。

鈴木国務大臣 これは法律の的確な判断であるわけでありまして、事務方から聞いた方がしっかりとした判断ができると思いますが、先ほど申し上げた項目を含めまして、これは、法律を解釈するに当たって、金融商品取引法第百六十六条の会社関係者になるということであります。

源馬委員 だから、法的にも、当該の会社が関係ないと言ったら関係なくなっちゃうんじゃなくて、きちんと定義もあって、さっきも言っている株主でもあるし、顧問も、そして役員、取締役も務めている、創業者である。関係者じゃないですか。そんなに意地を張らなくてもいいと思います。関係者じゃないですか。

 当時はそう思っていたけれども、今は、これだけ財務大臣の御答弁も聞かれたら、関係者でよろしいですね。

秋本大臣政務官 まず、金商法につきましては、外務省の所掌する法律ではないため、私からお答えするのは差し控えたいと思いまして、先ほどの鈴木大臣からの答弁のとおりではないかなというふうに思います。

 その上で申し上げれば、御指摘の人物が発行済株式の三%以上の株式を保有していたとしても、私が献金を受け取ったのはエストリオ社からであり、そのエストリオ社は三%を超えていないものというふうに承知をしております。

源馬委員 関係者から献金をもらったことはありますか、レノバの関係者から。日本語で一回、英語で二回、これまで否定していましたけれども、ありますか。今の御認識で結構です。レノバ社の関係者から企業献金を受け取ったことはありますか。

秋本大臣政務官 先ほど来申し上げておりますとおり、今月冒頭の予算委員会の答弁までに、エストリオ社につきましても、レノバ社と関係があるのか、レノバ社に直接問い合わせているわけであります。その際に、御指摘の人物も含めて関係性がないとの回答を得たため、この回答の内容を踏まえて答弁を行いました。当事者であるレノバが否定している以上、第三者が認定をするのは難しいのではないかなというふうに思います。

 さらに、今回の答弁に先立っても再度レノバ社に確認をいたしましたが、経営上、業務上の関係は一切ないというふうに聞いております。

源馬委員 何でそこをそんなに一生懸命頑張るのか分からないんですけれども、別に、経営上の関係があるかどうかとか、少しずつ変えてきますけれども、そんなことを聞いているんじゃなくて、Aさんが誰が見たって関係者だと思いますよ。多分、この部屋にいる人はみんな、秋本政務官以外はみんな、関係者だろうなと思うんじゃないですかね。与党の先生にも聞いてみたいですけれども。それを関係者じゃないと言い張ることにそんな大きな……。

 答弁を修正されたらいいんじゃないですか。関係者から献金を受けていたというだけなわけですから、別に、すぐさまそれが法に違反するとか、そういうことではないわけですから、答弁を訂正されたらいかがですか。

秋本大臣政務官 まさに先生が後段おっしゃったとおりであるというふうに思いますけれども、一方で、当事者であるレノバ社自身が御指摘の人物及びエストリオ社との関係性を否定している以上、エストリオ社が関係企業であると第三者が認定することは難しいのではないかというふうに思っております。

源馬委員 じゃ、訂正はしないということでいいですか。

秋本大臣政務官 訂正するしないではなくて、当事者であるレノバ社自身が御指摘の人物及びエストリオ社との関係性を否定しているわけでございますから、エストリオ社が関係企業であると第三者が認定することは困難であるというふうに思っております。(源馬委員「するかしないかと聞いているのに」と呼ぶ)

根本委員長 じゃ、もう一度質問してください。

源馬委員 はい。

 訂正されますか、されませんか。

秋本大臣政務官 従来の答弁を踏襲しているということでございます。

源馬委員 じゃ、訂正はされないということですね。

 じゃ、レノバの株の取引について伺いたいと思います。

 このように、今答弁があったように、政務官に関係者かどうかと聞いているこのことだけでも、レノバ社が関係がないと言ったから関係があるとは言えないとか、よく分からないことを繰り返す政務官ですから、やはりちゃんとこれは明らかにしておきたいと思うんですけれども、レノバ社の株を購入したのはいつで、売却したのはいつですか。

秋本大臣政務官 まず初めに、国土交通大臣政務官の在任中に株式の取引は行っておりません。

 その上で、政府の役職にない一議員が株取引を行うことは適法でございまして、御指摘の株取引につきましては、資産等報告書等に適切、適法に記載をしております。このことは衆議院事務局にも確認しておりまして、また、本件に係る税務処理につきましても適切、適法に対応しております。

 したがって、個別の株取引の詳細につきましては答弁を差し控えさせていただきたいというふうに思います。

源馬委員 何も、政務官ではなく、一政治家がただ株を取引するということは確かに問題ないと思うんですが、政務官が国交政務官としてその当時は株を保有していなかったかもしれないけれども、洋上風力に関して非常に熱心に働きかけて、そのおかげで入札方法なんかも変わった、こういう事実があるので、やはり購入した日と売却した日を明らかにするべきじゃないかということなんですね、政務官御自身のためにも。

 少なくとも、上場する前に購入したということはないですね。

秋本大臣政務官 先ほども申し上げたとおり、個別の株取引の詳細については答弁を差し控えたいというふうに思いますけれども、その上で申し上げますが、それはございません。

源馬委員 そう考えると、政務官に就任される直前、二〇一七年に購入したんだと思います。このグラフであるとおり、まだ当時は五百円ぐらいの株価でした。売買は政務官就任時代はせず、売却したのは政務官を退任した後ということでした。

 政務官を退任して株価は大分大きく上下しているわけですが、どの時点で売却されたんですか。

秋本大臣政務官 国土交通大臣政務官時代の株取引はございません。また、個別の株取引の詳細については答弁を差し控えたいというふうに思います。

 その上で、さきの先生とのやり取りの中でもお話をしたと思うんですけれども、二〇二一年に選挙がございまして、その際に資産報告を我々はしていると思いますが、その際には記載をしていないわけでございます。

 さらに、先生がルールを改正してとおっしゃっている時系列をあえて申し上げますけれども、ルール改正は二〇二二年二月以降でございまして、全くリンクしていないという点は申し上げておきたいというふうに思います。

源馬委員 二〇二一年には保有していなかったということなので、それ以前ということですね。

 第一ラウンド公募開始、これが二〇二一年十一月だったわけですが、このときからぐうっとレノバ株が上がっていくわけですよ。この十一月、十二月あたりに売り抜けていれば、非常に大きな、六千円ぐらいですかね、当時、五百円だったのが六千円ぐらいになっている、こうなっています。

 だからこそ、どこで売ったのか、もうちょっと明らかにした方がそういう疑いを持たれないで済むわけですから、別にそれは適法にやっていたとしても、所管している政務官をお務めのときの関係がある企業から株を買っていたわけですから、そこは売却の時期も明らかにされた方がいいと思います。いつ売却されましたか。

秋本大臣政務官 繰り返しになって大変恐縮でございますけれども、適法、適切に処理をしております。

 個別の株取引の詳細につきましては答弁を差し控えたいというふうに思いますが、先生とのやり取り、予算委員会でのやり取りの中で、先生の方から、相当大きなキャピタルゲインをゲットしたのではないかというようなお話がありましたので、その点については、私、以前の予算委員会でお答えをしたというふうに思います。

源馬委員 先ほどから政務官は、この議場にいる誰もがおかしいなと思うことを平然と言っているわけですね。みんなが関係者と思っているのに関係者じゃないと言い張ったりする。その政務官が適法、適正に処理していると言っても、本当かなとやはり思われるわけですよ。ですから、ここはしっかり明らかにした方がいいと思います。

 是非委員会に報告していただきたいと思いますので、委員長、お取り計らいをお願いします。

根本委員長 理事会で協議します。

源馬委員 今回、その株は売った後ですけれども、ルールが変更されたわけですね。そして、このルールが変更されて、政務官、一般論でいいですけれども、第一ラウンドは価格が安い業者が取った、第二ラウンドは価格の評価の割合がルールが変更されて相対的に下がった、結果的に価格が高い業者が落札できる可能性が高まったと思うんですけれども、そうやって生まれた価格差、この電気料金としての価格差は誰の負担になりますか。

秋本大臣政務官 先生も御存じだと思いますけれども、洋上風力の札入れは、第一ラウンドにつきましてはFITで行われております。一方で、第二ラウンドにつきましてはFIPという全く別のやり方で入札が行われておりますので、一概にその価格差について比較することは非常に困難であるというふうに思っております。

源馬委員 価格差についての比較じゃなくて、それは簡単なことで、価格が高くなれば国民の支払う電気代が高くなるということなんですよ。それだけお答えいただければよかったんですが。

 やはり、公示されてから、入札が公示されているにもかかわらずルールを変更するというのは、よっぽどあり得ないことだと思います。経産省にも確認しましたが、そういう例は聞いたことがないというふうに言っていました。例えば、土木工事とかそういうもので訂正とか、例えば工期の時期や文字の修正、追加とか、地域の追加とか、そういうことは間々あることだけれども、ルールの変更自体をしちゃうというのは極めて珍しいと業界でも驚きを持って迎えられました。下手をしたら、自分が応援してもらっているこうした再生エネルギー企業の皆さんに有利なように働きかけたとすれば、あっせん利得にもつながる大変大きな問題だと思います。

 ところで、政務官はこの回顧録を読まれましたか。

秋本大臣政務官 読んでおりますけれども、最後まではまだ読み終わっておりません。

源馬委員 この回顧録に、重要なのはルール作りなんです、勝負はルール作りに参加することなんです、例えばスポーツでいえば、ノルディック複合で日本人選手が前半のジャンプでリードして後半のクロスカントリーで逃げ切って勝ったら、ジャンプの点数の比重を下げるルール改正が行われてしまう、露骨な日本潰しですよ、そういう意味であらゆる分野でルール作りに参加しないと駄目なんですと。

 まさに今回そうじゃないですか。大手企業が有利だと思われた、勝っちゃった。想定していたのと違う。じゃ、ルールを変えてやれ。まさに今回のことだと思いますけれども、このルール作りが大事なんだということについて政務官はどうお考えですか。

秋本大臣政務官 第一ラウンドの開札よりも前に第二ラウンドというのはスタートしているんですね。その際に、第二ラウンドというのがスタートした後に第一ラウンドの開札があったわけですから、その開札を受けて、時の経産大臣そのものが、その結果を見て驚いて、これはちょっと考えなきゃいかぬよねというような趣旨の発言を閣議後会見でしているわけです。経産大臣そのものがそのようにおっしゃっているわけです。その後に、国会の中でいろいろな議論をして、経産省がいろいろと考えて、国交省とも協議した上で、ルールが改正されたものというふうに思っております。

 私は、そのときにはもう閣外におりましたので、一議員としていろいろな場面で自分の主張をしたということでございます。

源馬委員 その経産大臣に強く予算委員会の公の場で迫っていたのが政務官じゃないですか。ユーチューブを私も見ましたけれども、すごいですよ。すごい勢いで本当に怒っていらっしゃって、怖いなと思って。本当に怒っていらっしゃったから。それを実現したわけじゃないですか。

 外形的に見て、やはり、レノバの関係者から献金を受けながら株を保有して、その会社あるいはほかにも献金をもらっているようなそういった人たちが有利になるように、公示が始まっているのにルールを変えろ変えろと物すごい勢いで迫って、そして変えてしまった、こういうことがあるわけですから、あっせん利得、あるいは、上場前ではないということだったのでインサイダーではないかもしれませんが、利益誘導、あるいはさっきも言った国会での虚偽答弁の疑いもあるわけですから、しっかりとこれからも説明をしていただきたいと思います。

 その他、地元の自民党関係者の方からもいろいろなお話を伺っていますので、いろいろまだまだあるのではないかと思います。

 そして、さっきちょっと政務官は触れられましたが、前回私が質疑に立たせていただいたときに、これは前回の秋本政務官の本庄委員への答弁の議事録ですが、昨日、あたかも百万、一千万を超えるような多額の売却益、キャピタルゲインを得たというような誤解を招きかねない表現をしましたけれども、これは私のことですね、さっきもそういうようなことをおっしゃいましたが、私はそんなことを言ったかなと思って議事録を見ましたら、どこにもそんなことはありませんでした。訂正してください。

秋本大臣政務官 多額のキャピタルゲインを得ているのではないかという趣旨に対する答弁でございます。

源馬委員 百万とか一千万とか、全然、巨額とか、何にも言っていません。売却益を得た、キャピタルゲインを得たのではないかなんという表現もしていません。今訂正していただけないなら、議事録を確認して正式に後ほど撤回して修正していただけますか。それとも、今ここで訂正されますか。

秋本大臣政務官 あたかも不正が前提で株取引をして多額のキャピタルゲインを得たのではないかというような趣旨の質疑をされたというふうに私自身は思っておりまして、それに対する答弁として先日のような答弁を返したということでございます。

源馬委員 私はそんなことを言った覚えがありませんので、もう一回議事録を確認した上で、どこの部分がそれを言っているのか、委員会に提出していただけますか。委員長、お取り計らいをお願いします。

根本委員長 理事会で協議します。

源馬委員 あと、さっきもおっしゃっていましたが、百万、一千万と言いますけれども、私は本当にこんな額は何にも言っていないんですが、つまり、百万はもうけていない、そういうことでこの百万にこだわりがあるんですか、政務官。

秋本大臣政務官 個別の株取引の詳細につきましては、答弁を差し控えたいというふうに思います。

源馬委員 しっかり説明責任を果たしていただきたいと思います。

 防衛大臣には防衛関係をもう少し伺いたかったんですけれども、済みません、またの機会にさせていただきたいと思います。

 終わります。

根本委員長 これにて源馬君の質疑は終了いたしました。

 次に、空本誠喜君。

空本委員 日本維新の会の空本誠喜でございます。

 本日は、食料安全保障、エネルギー安全保障の観点から、お米の消費拡大、そして、高効率かつ低炭素化された石炭火力についてお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず、お米の消費拡大について官房長官の方にお聞きしたいと思います。

 我が国の食料自給率を向上させる最も即効性のある政策というのは、米の消費拡大であるというふうに考えます。そして、瑞穂の国である我が国、この農業を復活させる最も効果的な政策は、これもまた米の消費拡大であると考えます。

 今お配りの資料の図表一、世界の小麦の生産量と輸出量、上段でございますけれども、示しておりまして、小麦の輸出量の三割はウクライナ、ロシアが占めておりまして、今のウクライナ情勢を踏まえますと、今後、世界的に小麦は高騰するし、逆に、食料安全保障の観点から世界的に大きな問題になるというふうに考えます。

 また、下の図表二でございますが、昭和四十年と平成三十年度の食料の消費構造の変化を示しています。その比較をしています。米の消費減少というのが食料自給率の下落の原因となっているということを示しています。米を食べなくなったことによって食料自給率が大きく下がってきたということは明らかでございます。

 農林水産省は、令和十二年度の食料消費見通しと生産努力目標というのを掲げられていますが、ここで米の消費目標というのは掲げていません。農水委員会等でいつも質問させていただいたんですが、やはり米の消費というのが一番重要であります。

 平成三十年度の一人当たり米の年間消費量五十四キロ、令和十二年の見通しでは五十一キログラムに下落するということでございます。自給率は下がっていくことは明らかでございます。

 官房長官や、また私たちが生まれた昭和三十年代後半、食料自給率は七〇%以上ございました。これを支えていたのは米の消費です。昭和四十年頃の食料自給率、七三%ありました。また、年間の一人当たりの消費、百キログラムを超えていました。一九九〇年代に入りましても、七十キログラムを維持していました。そのときの米の価格も、六十キロ当たり二万一千六百円とか、二万円を超えていました。

 今ここで百キロまでに戻せということは厳しいと思いますけれども、年間一人当たり六十キロとか七十キロとか消費するように頑張れば自給率は必ず上がる。また、米の価格も上がって、農家の方も、米作りもこれからまだまだ維持できるというふうに考えます。

 そこで、我が国のトップである内閣総理大臣自ら、国民の皆様に対して米の消費喚起を促す、直接訴えかけるということがやはり一番大きな政策ではないかなと考えます。総理大臣の生の声で、米を食べてくださいとか、もう一膳とか、そして、我が国の食料安全保障を守るために、農業を守るために、笑わないでください、これは本気なんですよ。守るというか、農業を守るのは米の消費拡大なんですよ。泥臭くてもいいじゃないですか。米をもっともっと食べてくださいと総理大臣自らが国民に語る、これが一番大きな政策、いえ、これは農業政策全体を大きく変えるものであります。

 官房長官、いかがでしょうか。御見解をお願いいたします。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 食料を将来にわたって安定的に確保していくためには、国内で生産できるものはできる限り国内で生産していくことが重要であると考えております。中でも、主食である米の国内生産を持続可能とする観点から、米の消費拡大は重要と認識しています。

 米の消費拡大に関しては、農林水産省における様々な取組に加えまして、文部科学省と農林水産省の連携による米飯学校給食の推進や、地域の和食文化の保護、継承、文部科学省、厚生労働省及び農林水産省の連携による食生活指針の中での米飯食の推奨などを進めていると承知をしています。

 また、昨年四月六日の農林水産委員会では、空本委員から、米の消費喚起に内閣を挙げて取り組むべきとの御質問をいただいていますが、その後、内閣府と農林水産省の連携により、政府広報を活用したテレビ番組やラジオによる情報発信などを積極的に実施してきたところであります。

 米の消費拡大については、引き続き政府全体としてしっかり取り組んでまいります。

空本委員 内閣を挙げてやっていただけるということでございますが、やはり総理自ら生の言葉でというか、訴えかけていただく、これが一番の広報であります。是非よろしくお願いいたします。それによって、食料安全保障、また、休耕田の問題とか鳥獣被害とか、農業政策全体の予算も削ることができますので、是非官邸としてよろしくお願いいたします。

 ここで官房長官、ありがとうございました。

 続きまして、エネルギー安全保障に係る石炭火力、それも、高効率かつ低炭素化を果たしている石炭火力についてお伺いしたいと思います。

 COP26のグラスゴー気候合意において、様々な、締約国に対する項目が要求されています。読み上げますと、温室効果ガスの低排出のエネルギーシステムへの移行。クリーン電力の展開とエネルギー効率に対する措置の迅速なスケールアップ、拡大展開。変わらない石炭火力発電のフェーズダウン、逓減。非効率な化石燃料補助金のフェーズアウト。

 そこで、昨年十二月二十二日、環境委員会におきまして、私、環境省と経済産業省の官僚の皆さんに確認したところでございますが、図表三に掲げております、今、資源エネルギー庁、NEDOが電力会社と一緒に進めて始動している、まさに実用化してきた石炭ガス化複合発電、IGCC、石炭ガス化燃料電池複合発電、IGFC、超超臨界圧、USC、先進超超臨界圧、A―USCは、このグラスゴー合意に適合した、温室効果ガス排出を抑えた高効率かつ低炭素化された石炭火力発電であるというふうに御回答いただいたと考えています。

 従来の火力発電では、単位キロワット当たり、日本の平均は八百六十三・八グラムCO2を排出する、IGCCやIGFCでは約七百グラムとか六百グラムとか、明らかに排出削減が行われています。

 また、国が実用段階までもう来ておりますので、このIGCC、IGFC、A―USC、これは安全保障の観点からやはり進めるべき発電システムだろうと考えますが、経済産業大臣、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 お答えします。

 石炭火力についてであります。まさに御指摘のように、非効率な石炭火力のフェーズアウトを着実に進めると同時に、次世代化、高効率化を進めていく方針であります。

 こうした方針の下、二〇三〇年に向けて安定供給を確保するということも含め、石炭の発電比率をできる限り引き下げていきますけれども、当面、超超臨界圧と言われるUSCなどの高効率な石炭火力発電を活用することとしております。

 御指摘のIGCC、石炭ガス化複合発電、あるいはIGFC、石炭ガス化燃料電池複合発電ですけれども、高い発電効率と環境性能を誇る次世代型の火力発電システムであります。IGFC、これが一番高効率なんですけれども、お地元広島県の大崎上島で実証実験をやっておりまして、私も視察に行ってまいりました。

 こうした技術の研究開発を引き続き推進していくほか、二〇五〇年に向けては、水素、アンモニア、それからCCUS、出てくるCO2を回収をし、リサイクルをしていくような、活用していくような、そうした技術も活用することで脱炭素型の火力に置き換えていく、こうした取組を推進していきたいと考えております。

空本委員 ありがとうございます。

 やはり、一生懸命開発しているもの、これは、研究開発も含めて、後押しをしていただきたいと思います。時間があれば、あとアンモニア発電だとか、それについて所見を私も述べたいと思いますが。

 まず、そこで、配付資料の図表の四にありますが、石炭火力発電によるCO2の排出量の国際比較でございます。左から、インド、中国、米国、そして我が国の石炭火力の発電のシステムを示しておりまして、CO2がどのくらい排出されるものか、国際比較をしたものでございます。

 その中で、やはりインドを始めとする新興国のCO2の排出量というものが大変大きな問題であるというふうに考えますが、例えば、インドのモディ首相も、二〇三〇年までに再生可能エネルギーに由来するような電源を五〇%以上作り込んでいくというか、高い目標を掲げていらっしゃいますが、やはり非効率な石炭火力というのが新興国はたくさんございます。

 その中でも、二酸化炭素の排出量は、先ほど、単位キロワットアワー当たりの数字を出していますが、インドでは千二百ぐらいございまして、我が国の先ほどのIGFCの二倍、IGCCの一・七倍、超超臨界圧の一・三倍ぐらいございまして、やはり、インドだけではないですが、人口の多い国、例えばインドであれば十四億人の人口を抱えるということでございますので、日本の十倍。そういった中で、これからもCO2排出、二酸化炭素排出というのは新興国でますます大きくなる可能性がございます。

 そこで、世界的に、現実的に急務なのは、新興国の排出量抑制、CO2を抑制すること。ならば、技術的に先進的な我が国の立場としては、温室効果ガスの排出量の少ないような、先ほど申し上げました、高効率な低炭素化を図っている石炭火力発電、IGFC、IGCC、こういったものをインフラとして輸出する、若しくは技術協力、技術提携を行っていく、これが世界のCO2を一番減らす特効薬であろうと考えます。

 もちろん、OECD輸出信用ルールがありまして、すぐには対応できないということも承知していますが、ワールドワイドに考えたときに、大規模な二酸化炭素排出の抑制、これは先ほど来申し上げていますが、IGCC、IGFCといったものを新興国、インドを始め多くの国々に技術提携、技術協力していくこと、これが、重ねて申し上げますが、温暖化対策の最も迅速かつ効果的な手段であるというふうに考えます。この地球を救う一番早い方法だと思います。

 そして、こういう事実を、我が国だけではなくて、今度広島でサミットが行われます、G7の国々、またEUの諸国の皆さん方に理解を深めていただくということも大変重要ではないかというふうに考えます。

 政府、経産省、官邸として、この日本の優れた技術をインド、新興国に対して提供する、若しくは技術供与、技術協力する、こういったことを進めていく、また、改めて、G7各国、EU各国に働きかけをする、こういったことはいかがでしょうか。大臣よりお答えをお願いいたします。

西村(康)国務大臣 石炭火力発電の輸出についての御質問でございます。

 二〇二一年六月のG7コーンウォール・サミットにおける首脳コミュニケに基づいて、排出削減対策が講じられていない石炭火力発電への政府による新規の国際的な直接支援は二〇二一年末で終了ということになっております。

 その上で、御指摘のIGCCやIGFC、高い発電効率と環境性能を誇る次世代型の火力発電システムでありますので、こうした状況を踏まえて、我が国としては、G7各国やEUと議論しつつ、新興国の事情やニーズを踏まえて、あらゆるエネルギー源、技術を活用した現実的な二酸化炭素の排出削減に向けた対応をしていきたいというふうに考えております。

 私自身、昨年インドネシアで開催されましたG20のエネルギー移行大臣会合や、あるいは年初のダボス会議などに出席をいたしまして、エネルギー危機の状況から脱却するための、まさに実効的な、現実的な措置を迅速に講じることの重要性を訴えてきております。

 我が国としては、エネルギーの安全保障ということとカーボンニュートラル、この両立を目指す、各国の事情やニーズを踏まえた多様なエネルギートランジション、これを資金面、技術面、人材育成面から積極的に支援していきたいと考えておりますし、G7でも現実的なエネルギー移行についてしっかりと議論していきたいというふうに考えております。

空本委員 ありがとうございます。是非、働きかけをよろしくお願いいたします。

 それでは、スキーの大先輩であります鈴木大臣にお伺いしたいと思います。

 今、金融機関の、石炭火力、新設の火力に対してのファイナンスに対しては大変厳しい状況にあるかなと。慎重な立場であるというふうに考えますが、実は、昨年、私の友人であります、全国地方銀行協会の会長で千葉銀行の米本頭取と、プライベートで表敬訪問させていただきまして、雑談の中で、新設石炭火力への金融機関のファイナンスというのはどうなんだろうなという話をしたときに、やはり、SDGsの問題とか、EGS、環境、社会、企業統治の観点からなかなかというふうな話もございました。

 しかし、グラスゴー合意に基づけば、適合した、温室効果ガス排出量も少ない、高効率、低炭素化が図られた石炭火力については、やはり、開発しているメーカーや電力、こういったところに対して金融機関のファイナンスというのは大変重要であって、我が国の重工業また電力産業にとってとても重要だと考えます。

 そこで、温室効果ガスの少ない高効率な石炭火力に対する国内開発を後押しする、また、先ほども申し上げました、インド等への、新興国へのインフラ輸出、これを進めるに当たっては、やはり金融機関のファイナンスというのが大変重要でありまして、推し進めていかなければならない、これが現実的な解決策であろうと考えますが、金融庁として、金融機関に対してどのように働きかけを行いながら、また、金融ファイナンスをどのようにお考えか、鈴木大臣からお答えをお願いいたします。

鈴木国務大臣 地球温暖化、これはグローバルな課題であるため、途上国も含めてトランジションを進めていくことが不可欠であると考えております。

 金融機関におきましては、グローバルな視点も含め、顧客企業の気候変動対応を金融面から支援していくことが重要であると考えます。高効率な石炭火力を含め、石炭火力の新設、開発へのファイナンスを行うか否かについては、これは金融機関の経営判断に委ねられるものでありますけれども、一般論として申し上げますれば、火力電源の高効率化に向けたファイナンスもトランジションファイナンスに該当し得ると考えられます。

 いずれにせよ、どのような技術を活用して脱炭素の実現に向かうのかも含め、金融機関と企業との積極的な対話を期待をしているところであります。金融庁といたしましても、関係省庁と連携をしつつ、こうした対話を活性化するための検討会、これを開催をし、トランジションの在り方などについて議論を進めているところであります。

 こうした取組を通じて、金融機関によるトランジションファイナンスを後押ししていきたいと考えております。

空本委員 大変前向きなお答え、ありがとうございます。

 やはり、我が国の電力産業というのは、今、原子力も含めてでございますが、安全性は高めなきゃいけない、そしてCO2削減も努めなきゃいけないけれども、国民に対して理解を求めなきゃいけない。そういったときに、やはり国が、政府がしっかり後押ししていただかなければいけないと思っております。アンモニア発電、こういったこともございますが、そういった意味で、金融庁そして経済産業省挙げて、しっかりと取組をお願いしたいと思います。

 今日はありがとうございました。

根本委員長 これにて空本君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久でございます。

 私は、大阪第十九区というところで、関西空港の周りの泉州から来させていただきました。以前、予算委員会で御質問させていただいたときは、大阪十一区といいまして、枚方、交野の選挙区なんですけれども、本当に、十増十減じゃないですけれども、まさしく国替えして、また国会に復帰させていただきました。

 前の選挙区と今の選挙区とを見てみますと、やはり大阪の中でも本当にいろいろな顔がある。各議員の皆様は各地域から来られたわけなんですけれども、政府は、地域を元気にすること、地方を元気にすること、つまり、地方分権がやはり国をこれから変えていく一つの大きな手段であることは、多分共通認識だと思います。

 我々日本維新の会も、地方政党である大阪維新の会から発祥していますので、この地方分権を本当に推し進めていきたいという観点から、まずは御質問させていただきます。

 地方分権改革によりまして、国と自治体は上下関係じゃなく対等の関係、国の法律あるいはそれに基づく政令に根拠がなければ、自治体に指示したり命じたりすることはできなくなった。国が発する通達は、特に拘束力があるわけでなく、法律上は助言と位置づけることになっておりますし、国は自治体が助言に従わなかったことを理由に不利益な取扱いをしてはならない、その旨が、地方自治法にも、二百四十七条三項というところで明記されております。

 そんな中で、国地方係争処理委員会というのがありますけれども、国と自治体の新しい関係を保障するために設けられました。学者によっては、この委員会が本当に地方分権改革の一番の功績ではないかという指摘も学者の中にはあるわけなんですけれども。

 ただ、ちょっと気になるのは、国と自治体が対等の関係であることを制度的に保障するのであれば、国地方係争処理委員会、こういった地域のことは、私も所属している総務委員会、総務省が管轄ということですけれども、この国地方係争処理委員会、総務省に今属しているわけなんですけれども、もっと俯瞰的に見るために、各省庁横断的にいくためには、直轄であったり内閣府であったり、そういったところも考え得るのではないかなと思うことなんです。

 ここはやはり、制度の問題なので、官房長官、総務省に属しているんですけれども、ほかのところに属す、もうちょっと上というわけじゃないですけれども、総務省に属していることは適切かどうか、お考えをお聞かせください。

    〔委員長退席、中山委員長代理着席〕

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 国地方係争処理委員会は、地方自治法に基づき、地方公共団体に対する国の関与の適法性等を公平中立な立場から審査し、勧告等を行う機関であり、各省庁に横断的に関わるものであります。このため、総務省設置法により、国と地方公共団体の連絡協調、他の行政機関の所掌に属しない行政事務等の遂行を任務とする総務省に設置されているものであります。

 総務省には第三者機関として設置をされており、委員会の委員の任命には国会の同意が必要です。また、委員の身分保障があることなどを通じて、組織としての独立性や職権行使の公平中立性は十分に確保できるものと考えています。

伊東(信)委員 官房長官、ありがとうございます。

 制度のことで官房長官にお聞きしましたけれども、それはよく分かりましたので、官房長官への御質問はここまでにさせていただいて。

 では、総務大臣にお聞きもしたいと思うんですけれども、結局、国と地方とのそういった係争の中で、総務省が当事者になる場合もあるということです。

 先ほど、選挙区が関空の近くになりましたけれども、泉佐野のふるさと納税の問題で、二〇一九年五月十四日で、総務省は泉佐野市についてふるさと納税の対象団体としての不指定をしまして、泉佐野市は六月十日に、国地方係争処理委員会に対して、本件不指定の取消しと、地方税法での該当条文規定による指定をすべきであるとの勧告を求める審査を申し出たわけなんです。

 総務大臣は、再度の検討を行ったけれどもこの不指定を維持するという通知、回答があったわけなんですね。結局は、本件不指定の取消しを求めて提訴しまして、最高裁においてこの不指定を取り消したという経緯があったんですけれども。

 委員会の、審査の申出に対して総務省に出した勧告は、総務省による泉佐野市不指定の根拠の欠如を指摘するものだったんですね。委員会の勧告を受けた上で総務省が行った検討は、告示第二条第三号について、要は、ふるさと納税の趣旨に反する方法により、他の地方団体に大きな影響を及ぼすような募集を行いというような理由で、この不指定を維持するものであったんですけれども。

 結局、国地方係争処理委員会の勧告を受けた総務省の検討は、当該委員会の審議における論旨から相違してしまったわけなんですね。結果的に、この委員会は実効性を損なうものであるということで、総務省としては、この国地方係争処理委員会の勧告の実効性を増進する立場であるわけなんですけれども、この方策が適切だと言えるでしょうか、総務大臣、お願いいたします。

松本国務大臣 方策とおっしゃいましたのは、勧告の実効性といったような趣旨でというふうに質問を理解をさせていただいておりますが、改めて、先ほど官房長官にも御質問いただいた点、重複するところは割愛をいたしますが、御案内のとおり、総務省は、設置法において、第三条で、行政の基本的な制度の管理及び運営を通じた行政の総合的かつ効率的な実施の確保というのも業務でありまして、やはり、各省庁に横断的に関わるものを総務省が所管をすることもあり得ると私は理解をしております。

 その上で、第三者性を確保することは必要である、必要な確保はされているというふうに理解をしております。

 その国地方係争処理委員会の勧告について、この取扱いということでありますが、御承知のとおり、国地方係争処理委員会につきましては、勧告を受けた国の行政庁は、勧告に即して必要な措置を講じる義務を負うこととされており、各大臣が講じた措置を委員会に通知しなければならないとされておりまして、このように、勧告一般における尊重義務よりは強い義務が課される、このような制度になっていると理解をいたしております。

 さらに、国の行政庁が講じた措置に不服があるときには、高等裁判所に対し、国の関与の取消しを求める訴えを提起できることとされておりまして、係争処理手続全体として実効性が確保されているというふうに考えられるのではないかと思っております。

 委員が御指摘になりましたように、各大臣が行った地方への関与、これの効果を覆すような、拘束性のある権限を委員会が持つ、委員会に与えられる、そのことを与えるかどうかということについてでありますけれども、国の行政事務は各大臣が分担管理することが原則とされておりまして、この原則に対する重大な例外となることとなります。

 そのようなことから、裁定でなく勧告の制度として今設けられていることが適当であるというふうに考えております。

    〔中山委員長代理退席、委員長着席〕

伊東(信)委員 そうなんですけれども、総務省自体が本件におきましては係争当事者という事例があったわけなんですね。そうなると、制度設計を客観的に進めていく上ではやはり望ましくない影響も及ぼしているのではないかなと思います。

 ここは中での話でしっかりと議論してほしいんですけれども、国地方係争処理委員会の勧告について、法的拘束力、こういったこともやはり検討に値するのではないかなと思うんですけれども、総務大臣のお考えをお知らせください。

松本国務大臣 先ほど申し上げましたように、様々な国の制度、仕組み等を総合的に検討しつつ、さらに、国係争処理委員会そのものが、制度を設けた以上はやはり機能することが必要であるということは、私どももそのような考えでいるわけでありますが、国の仕組みとを総合的に考えた結果、現在の仕組みに到達をしたものというふうに考えておりまして、今お話があったように、更なる効果を与えるかどうかということ、また、私どもも様々な御議論を承ることはもちろん否定するものではありませんけれども、現段階で、国として新たな検討をするかどうかという段階にはまだ至っていないというのが率直なところでございます。

伊東(信)委員 なるほど、分かりました。

 恐らく、大臣の御答弁の中にも、問題意識はあるけれどもまだそこの議論はされていないということだとは思うんですけれども、結局のところ、この国地方係争処理委員会自体は、本当に学者の中では地方分権の中の最大の功績だと言われているにもかかわらず、こういった事例もあるので、しっかりと考えていただきたい。

 やはり、見え方によっては、国と地方が最後は司法の場まで行くというのは余り望ましくないということで、最高裁の判決は、本件不指定を、総務省の不指定を違法として取り消すものであったんです。

 松本大臣が就任される以前の話ですけれども、本当に、この当該判決について大臣としてどのように捉えているかというのをちょっとお答えいただければと思います。

松本国務大臣 伊東委員にお答え申し上げたいと思います。

 まず、国地方係争処理委員会におきまして、確かに、当該委員会は総務省に制度上置かれておりまして、他方では、今御指摘があった案件では総務省が当事者であるというお話でありましたけれども、官房長官から御答弁申し上げましたように、国の組織上は総務省でございますが、十分に第三者、独立性を担保する形で委員などの身分についても確保されていると理解をしておりますので、その点については是非御理解をいただきたいと思います。

 その上で、今お話があった判決についてでありますが、既に委員から、これまでの経緯について先ほどもお話がございました。

 令和元年度から、対象自治体を、過度な返礼品競争が行われたことを背景に、国が指定する制度が入った。そして、その後、総務大臣が泉佐野市を不指定とし、これに対して泉佐野市から国地方係争処理委員会に審査の申出が行われ、委員会からは総務大臣に対して、私どもとしては、再度の検討を行った上でその結果を理由とともに泉佐野市長へ通知をするようにと勧告を受けたと理解をいたしておりまして、勧告のとおり、指定基準の適法性など、総合的、多角的に改めて検討して、不指定とする判断を維持するとともに、その結果を理由とともに泉佐野市長へ通知したわけでありますが、泉佐野市が提訴をされて、大阪高裁においては総務省の主張が認められましたけれども、令和二年の最高裁判決については、指定基準に係る告示の一部が地方税法の委任の範囲を超え違法、無効と判示され、大阪府泉佐野市に対して行った不指定処分が取り消されたというふうに承知をいたしております。

 もちろん、本件、一連の係争処理手続の中で異なった判断が示されたという意味では難しい事案ではないかというふうに思いますが、総務省としては、最高裁判決を真摯に受け止めなければならないと思っております。

 その上で、当然でありますが、指定基準に係る告示は改正し、不指定としていた泉佐野市ほか三団体を指定するなど、速やかに必要な対応を行ったというふうに認識をいたしております。

伊東(信)委員 総務大臣、ありがとうございます。この地方分権及び委員会に関しましては、あしたからの総務委員会でもまた、もし機会があれば御議論させていただきたいと思うんですけれども。

 ちょっと時間もあれなので、今年の十月に導入されるいわゆるインボイス制度に関してちょっとお聞きしたいことがありますので、残された時間、御質問させていただきます。

 日本維新の会としましては、複数税率を導入する以上は、インボイス導入そのものには賛成でございます。

 ただ、議論の中で、昨年十二月十六日に税制改正大綱、そして十二月二十三日に閣議決定されたように、本当に、経過措置についていろいろ決まっております。十二月であってもやはり改善するべきところは改善しようというところは評価するんですけれども、さてさて、ここで元々定められた三年間は、つまり令和八年の十月までは免税事業者からの仕入れについては八〇%控除可能で、令和十一年の十月までは免税事業者からの仕入れにつき五〇%控除可能というものなんですけれども、財務大臣、この定められている控除率と期間というのはどのように決定されたか、教えてください。

鈴木国務大臣 先生御指摘の経過措置につきましては、十年間という比較的長い、長期で分かりやすい経過措置を用意した上で、この十年間を四年、三年、三年に三分割をいたしまして、簡素な仕組みとしつつも、仕入れ税額控除の制限を段階的に行うことでインボイス制度の円滑な移行を図ることとしているものであります。

 このうち、仕入れ税額控除の制限につきましては、激変緩和に配慮するという観点から、軽減税率制度の導入から最初の四年間は全額控除可能、次の三年間は八割控除可能、最後の三年間は五割控除可能としまして、徐々に控除を減らしていく仕組みとしております。

 これらの割合、いわゆる刻み方につきましては、様々な考え方があるとは思いますけれども、本経過措置においては、事業者の方にとって分かりやすく簡素な仕組みとする観点から、八割及び五割という割合を設定したものと承知をしております。

伊東(信)委員 分かりやすいという意味では分かるんですけれども、特に何らかの資料に基づく計算式があったりとか、そういうような根拠があるというわけではないと分かったんですね。

 それで、インボイス導入後に、経過措置に関して、十二月以前と以後のやつがありますけれども、じゃ、当の事業者はどのような対応をしているのかということを今後やはり調査していって、そこでまた変更というような余地も考えられると思うんです。

 西村経産大臣、そういったインボイス導入後の経過期間中に事業者がどのように対応するかについて、今後調査していくことは可能かどうか、お答えください。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、今、インボイス制度、複数税率の下で適正な課税を行うために必要なものであるということで、制度の円滑な移行の観点から、今御説明あったような経過措置が講じられているわけであります。

 その上で、インボイス制度導入による中小企業の取引への影響についてでありますが、中小企業団体などからもその状況を丁寧に伺うと同時に、中小企業庁として、取引への影響について、書面調査などを活用して、実態の把握に努めていくこととしております。

 あわせて、理解を深めてもらうために、関係省庁と連携して、独禁法や下請法などのQアンドAを作成をし、周知に努めております。これによって、政府として、制度導入に伴い、免税事業者に対して、一方的な価格の引下げや、課税転嫁しないことを理由とした取引の一方的な打切りが行われることのないよう、適正な取引の遵守を促していきたいと思っております。

 昨年の十二月の与党の税制大綱におきましても、必要に応じて柔軟な対応策を講じていくと書かれておりますので、経産省としても、今後も、中小企業、小規模事業者の皆様の声をしっかりと聞きながら、政府一体で連携して、丁寧に課題を把握しながら、きめ細かく対応していきたいと考えております。

伊東(信)委員 最後に、財務大臣、これをまたフィードバックしたものを財務省として考えることはできるのか。同じように、新たな経過措置の二割も根拠はないと思うんですけれども、この場合、本当に事業者にとってどっちを選んでいいか分からないということで混乱しているので、そういったフィードバックに対して財務省として対応する可能性はあるのか。最後にお答えください。

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますから、答弁は簡潔にお願いいたします。

鈴木国務大臣 先ほど経過措置については御説明を申し上げたところでございますが、この経過措置に限って言えば、この流れがもう既にスタートをしているわけでありますので、途中で変更することは、これまで計画的に移行への準備を進めてきた事業者の間に混乱をもたらし、かえって制度の円滑な移行が妨げられるおそれがあるのではないか、そういう意味では適切ではないと考えております。

 しかし、大切なのは、事業者の方々がいろいろと不安や様々な懸念を持っておられるわけでございますので、そうした中小企業者の方々の様々な思いについては耳を傾けて、課題を把握していくこと、これは極めて重要なことであると思います。

 制度の内容、趣旨を丁寧に説明しながら、政府一体で連携して、きめ細かく対応していきたいと思っております。

伊東(信)委員 時間なので終わります。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて伊東君の質疑は終了いたしました。

 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党の田中健です。よろしくお願いします。

 先週、酪農対策について農林大臣にお伺いをいたしました。今、七重苦の現状、本当に大臣は分かっているんだろうかということを、質疑を聞いた酪農家さんから声が届きました。また、ミニマムアクセスについても、絶対に量を守らなきゃならないと。これについても、専門家からも、そんなことはない、絶対に量を守らないとという約束はないから、訴えられることもないんじゃないかというような指摘もいただきました。

 是非、農政のプロの大臣でございますから、国民に寄り添う答弁であってほしいと思いますし、また、農業従事者、酪農従事者が前向きになるような答弁をお願いしたいと思っております。

 前回の続きとなりますが、酪農経営安定のために、今後の対応について伺いたいと思っています。

 酪農の対策については、経営安定策として、加工原料乳生産者の補給金制度や経営安定の対策事業の制度は今あるのは存じていますが、今回のような飼料高騰というものはコストに係るということで補填がされずに、大変苦境に立たされています。

 肉用牛や養豚における価格保証制度のような、生乳版のマルキン制度というのが必要ではないか、また、そういったものを求める声も出ておりますが、どのように大臣はお考えでしょうか。

野村国務大臣 田中委員にお答えを申し上げたいと思いますが、前回も申し上げたと思うんですけれども、酪農につきましては、相対的に乳価が低い加工の原料乳に対しまして、先ほどお話がありました、加工原料乳生産者補給金等を交付して酪農家の経営の安定を図っているのが、これは北海道を中心にですけれども、やっております。

 生乳は、食肉のような卸売市場での取引ではなくて、生産者団体とメーカーが直接話合いをして、その交渉によりまして価格が決まります。したがいまして、今年、このような状況でありますので、団体と乳業メーカーが交渉いたしまして、乳価で十円、それから加工原料乳も十円、期中で値上げを十円ずつしたところでありまして、こういうのは非常に珍しいことでございますが、こういう期中で上がったわけであります。

 仮に、マルキンのような制度を講じた場合、補填による支援を前提とした価格交渉がひょっとすると行われるのではないかとやはり危惧されまして、正常な取引が行われなくなる可能性があることから適当ではない、こういうふうに思っておりまして、直接交渉というようなことも、ほかの畜種なりあるいは作目ではやっていません。酪農だけが直接交渉をやって、自分たちのいわば乳価の値段を決めてもらっているというのが現状でありますので、是非これは継続をさせていただきたいと思っているところです。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 この件については、平成二十九年の百九十三回の国会で、まさに先ほどの二つの制度ができる畜産経営安定法の一部法改正案の議論の中で何度か質疑がされておりまして、その中で、農水委員会の参考人質疑の中でも、専門家の方から、経営の安定を図るという観点からは、牛マルキンや豚マルキンと同様に、粗収益と生産費の差額に応じて補填をするということが、酪農家のマルキン制度が必要ではないかという提言もこの時点でされているんですけれども、是非、制度創設を前向きに検討していただきたいと思います。

 もう数年たっておりますけれども、検討というのは農水省の中でなかったんでしょうか。改めて伺います。

渡邉政府参考人 お答えをいたします。

 大臣からも説明がございましたとおり、酪農につきましては、加工原料乳の生産者補給金等といった措置によりまして、酪農家の経営の安定を図っております。

 生乳でございますけれども、競り取引で価格が決まるわけではございませんで、直接の交渉により価格が決められますので、競り取引で価格の決まる牛肉ですとか豚肉の場合は、コストとの比較をして、差額の一部を補填するということが成立いたしますけれども、直接の交渉で決まる乳については、そういった対策になじまないというふうに考えているものでございます。

田中(健)委員 それでは、違った観点で、食料安全保障の観点からいいますと、今、牛を処分して補助金を出すような政策を進めておりますけれども、逆に、家畜単位当たりの基礎支払い、一頭当たりの基礎支払いができないかというようなことも考えております。国内生産を確保して、そして酪農家をある意味支えていくというような考えにつながるかと思うんですが、このような対策について、大臣、考えを伺います。

渡邉政府参考人 お答えをいたします。

 基礎払いというものが酪農の場合どのようなものか、ちょっと理解がなかなかできないところもございます。

 酪農につきましては、畜産経営安定法に基づく対策、それに各種の予算措置などを行っておりますので、そういった対策を引き続きやっていきたいというふうに考えてございます。

田中(健)委員 じゃ、大臣は、お考えはいかがでしょうか。

野村国務大臣 今、局長の方からも答弁いたしましたけれども、やはり、今の酪農家の皆さん方、あるいはほかの畜産もそうですが、厳しいのは、餌価格が非常に上がったというのが第一の原因でございまして、これらにつきましては、総理の方からも、第三・四半期と同じような形で何とかできないか検討しろ、こういうことを言われておりますので、現在、省内で検討しているところでございます。

田中(健)委員 餌ということがありましたけれども、コロナショックやウクライナの危機の中で、不測の事態があれば、お金を出しても餌も買えない、餌も海外に頼っているところが多いですから、餌も買えなくなるんじゃないかという、今、心配の声が上がっているんです。これは酪農だけではなく、農業一般であります。そうでありますから、酪農も私たちはしっかりと守っていく、支えていく、そういった、是非、食料安全保障からの観点で考えていただきたいという私の質問でございましたが、次に行かせていただきたいと思います。

 この食料安全保障、先ほども議論が少しございましたけれども、政府でも、農水省でも検討会が立ち上がっています。しかし、断片的な飼料への補填や、当面の飼料の原料の調達先の確保というのが行われているのは分かっておりますけれども、今突きつけられているのは、そもそもの食料や種や肥料や飼料、こういったものを海外に過度に依存し過ぎじゃないかということであります。国民の命をこのままでは守れないんじゃないかという心配であります。それなのに、いまだ自由化を進めることが第一義的であるかのような議論が続いていることであります。

 農業政策の目玉、今回、総理からは輸出の振興、デジタル化ということが掲げられましたけれども、空本議員も先ほどありましたけれども、食料自給率、これは三八%ということで、日本にとっては、今、世界での食料危機が叫ばれる中、やるべきことというのは、優先順位といたしましては、やはり国内生産の確保、どのように維持していくか、促進していくかということではないかと思いますが、大臣のお考えを伺います。

野村国務大臣 お答え申し上げます。

 食料は人間の生活に不可欠でございまして、食料安全保障は、生産者だけの問題ではなくて、これは、消費者も含めた国民一人一人に関わる国全体の問題だというふうに思ってございます。

 他方で、近年の我が国の食料安全保障上のリスクが高まっていることを踏まえれば、安定的な輸入と、それからもう一つは、全てを自給できるということではございませんので、適切な備蓄を組み合わせつつ、国内で生産できるものはできる限り国内で生産していくという、その必要性がございます。このため、年末に策定しました食料安全保障強化政策大綱に基づいて、食料や生産資材の輸入への過度な依存を低減していくための構造転換が必要だというふうに思ってございます。

 したがいまして、人口減少に伴う国内市場の縮小なり、あるいは農業者の減少、あるいはまた高齢化が進む中で、輸出促進なりあるいはまたデジタル化に取り組むことは、我が国の生産基盤を強化して、食料安全保障の強化につながるものと考えているところでございます。

田中(健)委員 幾つか論点がありました。

 消費者もということでありましたけれども、今、消費者は大変に食に対して意識が高まっています。農水省としても、みどりの食料戦略を進め、有機栽培や、また新規農業者を増やそうということを努力しているのも本当に理解をしています。そして、自分たちの作った有機米を学校給食に使おうだとかいった声もあることも承知しています。

 しかしながら、今大臣からも、その後にありました輸出促進、確かに輸出を促進するのは大変結構なことではあるんですけれども、一方で、ちょうど三日に輸出額の発表があったんですけれども、一兆四千億を超えた、過去最高を記録したと大々的に宣伝しているわけです。確かにいいことではありますが、中身を見ると、輸出品の半分以上は食料加工品、つまり、原料は海外から輸入しているわけです。どのようにして食料の国内生産を増やすかということに鑑みれば、今言った、額を声高に叫ぶのではなく、さらに、五兆円を次は目標だと言うのではなくて、是非、地に足の着いた議論をしていただきたいと思っています。

 質問としましては、この農林水産業の食品輸出額、一兆四千億円ですけれども、これがいわゆる農林水産業と直結した指標だと思われてしまうと、私は勘違いをされてしまうんじゃないかと思っていますので、正確な、今の農林水産業がこれだけ輸出をしている、そして成長しているというような指標に変えられないかというようなところと、あとは、この五兆円という目標がどのように特に安全保障という視点で寄与するのかということを大臣がお考えになっているのか、お聞きをしたいと思います。

野村国務大臣 お答え申し上げます。

 今委員の方からございましたように、昨年度の輸出額は一兆四千億に達しまして、過去最高でございます。このうち、今おっしゃいました三六%の五千億が、五千五十二億でありますが、これが加工食品の輸出となっております。

 しかしながら、加工食品といえども、日本の原料を使っての加工というのもあります。例えば、日本酒が相当伸びたんですが、四百七十五億円で、前年比でいきますと一八%伸びました。焼酎のように、ほとんど、原料を使用しているのが、日本のいわば酒米を使って輸出しているわけですから、こういったようなものもありますし、また、輸入原料を使う場合でも、食品製造業が輸出により収益を上げることで、併せて国内の原材料の買手としての機能が地域で維持強化されていくということももう一つはあるわけであります。

 したがいまして、私どもは五兆円に向けて今輸出を伸ばしておりますが、そのほかの食品製造業者は雇用の創出あるいは地域経済の振興の観点からも大変重要でございますので、加工食品も含めて、輸出を推進していくことに意義があるというふうに思ってございます。

田中(健)委員 時間となりましたので、終わります。ありがとうございました。

根本委員長 これにて田中君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 まず、官房長官にお伺いをいたします。

 旧優生保護法に基づく強制不妊手術について、熊本地裁が憲法違反とし、国に賠償を命じました。国は不当にも控訴しましたが、地裁での原告勝訴は初めてであります。

 資料を配っておりますが、今後、二月二十四日、三月六日、三月十六日、三月二十三日、六月一日と相次いで判決を迎えます。

 松野官房長官は、昨年二月大阪高裁、三月東京高裁の判決を受け、記者会見で、判決について重く受け止め、一時金の水準を含め、国会と相談し、対応を検討したい、こうおっしゃいました。

 しかし、一年たちましたけれども、何にも進んでおりません。被害者は高齢であります。この一年の間にも亡くなられた原告の方がいらっしゃいます。解決へ一刻の猶予も私はならないと思います。

 松野官房長官、速やかな全面解決へ、官邸が責任を持ってイニシアチブを発揮すべきではありませんか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 旧優生保護法一時金については、令和四年六月に、超党派の優生保護法下における強制不妊手術について考える議員連盟が開催され、厚生労働省から一時金の支給状況等について報告を行うとともに、今後の対応の在り方について検討をお願いしており、また、原告、弁護団らとの意見交換も行われたと承知しています。政府としては、国会の御議論を注視してまいりたいと考えております。

 また、そうした中でも、まずは一時金の支給対象者が確実に請求を行うことができるよう取り組むことが重要であると考えており、厚生労働省において、昨年七月に都道府県、十二月に都道府県及び関係団体に対して改めて積極的な周知、広報を依頼するとともに、昨年八月に都道府県、九月に関係団体に対して、医療機関、障害者施設等における旧優生保護法に関連した資料について保存期限を問わず保存を継続するよう、改めて依頼したところであります。

 今後とも、着実な一時金の支給に取り組んでまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 判決を重く受け止めといいながら、進んでいないんですよね。

 国会に丸投げだと駄目だと思うんですよ。国会に丸投げして、議連での会議は開かれましたけれども、自民党の中で意見がまとまらずに、全然進まない状況なんですよ。自民党の中で意見がまとまらないんだったら、それこそ官邸が責任を持ってこの問題の解決に当たるというのが判決を重く受け止めるという立場なんじゃないですか。

 許し難い非人道的な人権侵害を、国会も、そして政府も行った責任があるわけですよ。その責任をどう果たすのかというのが問われていると思うんですね。

 これからどんどん判決が出ますよ。毎回、記者会見で問われると思いますよ。是非踏み込んで、速やかな全面解決のための指示を出していただきたいと思うんですね。是非この点を総理と相談してください。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 一時金支給法に基づく一時金の水準等を含む今後の対応の在り方につきましては、一時金支給法が、超党派の議員連盟において取りまとめられ、平成三十一年四月、議員立法により全会一致で成立した経緯や、東京高裁判決、大阪高裁判決等では一時金の金額を超える認容額が示されたこと、これらを踏まえまして、政府としては、国会における御議論の結果を踏まえて対応を検討すべきものと考えています。

 政府としては、国会の御議論に可能な限り協力させていただくとともに、一時金を円滑かつ確実に支給することで、その責務を果たしてまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 国会の議論に可能な限り協力するんじゃなくて、国会の議論が自民党の中で進まない状況になっているわけですから、総理が指示をするしかないと思うんですよね。ですから、その点を総理と是非相談してくださいと申し上げているわけですよ、この点。もうペーパーは読まなくていいですから、総理とも相談する、この一言、いただけませんか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 先ほど答弁をさせていただきましたとおり、この一連の経緯に関しまして、超党派の議員連盟の先生方による取りまとめがあり、議員立法により全会一致で成立した経緯もございますので、まずは国会の御議論をお進めをいただきながら、それを踏まえて、また政府として対応させていただきたいと思います。

宮本(徹)委員 本当に、しっかりやはり政府としての責任を果たしていただきたいと思います。

 同時に、与野党の皆さんにも呼びかけたいと思うんですね。この法律というのは、戦後直後に議員立法で全会一致で作られた法律なんですね。そういう点でいえば、国会自身にも重い重い責任がある問題だと思っております。それを、原告の方が亡くなっていく中で、全面解決に向けて責任を果たさないというのは、私は、立法府にいる一人一人が、それでいいのかということを自問自答しなきゃいけない問題だと思います。是非皆さんにも、速やかな全面解決へ、共に責任を果たすことを心から呼びかけたいと思います。

 続きまして、もう一問の方に行きます。官房長官、退席していただいて結構です。

 研究者の雇い止め問題についてお伺いいたします。

 文科省の調査では、三月末に無期転換権が発生する、十年を迎える有期雇用の研究者一万二千人のうち、五千人が雇用契約が未定で、一千人が契約を結ぶ予定がないということが明らかになりました。理研では、世界初の最先端の研究を担っている四十代の研究者が、再就職先が決まらず、韓国の企業に就職することになったと報じられました。

 博士課程に進む人が今急減しておりますが、目の前で先輩がいなくなっていく、こういう事態を放置していたら、研究職に希望が持てるはずがありません。今の大量雇い止めの問題というのは、日本の科学研究基盤を掘り崩していると言わなければならないと思います。

 加藤大臣にお伺いしたいと思います。

 文科省のアンケート項目にありながら文科省が公表していない項目がありまして、それを資料でいただきまして、資料の三ページ目につけております。特例ルールの対象者に対して、就業規則等で更新回数の上限や通算勤続年数の上限を設けている大学、研究開発法人が四七・六%に上っているわけですね。事実上の無期転換逃れになっているんじゃないかと思います。この雇用上限の撤廃を働きかけなきゃいけないと思います。

 とりわけ、無期転換ルールが法律でできた後に就業規則を変えて雇用上限を設ける不利益変更をしていないのか、そして、不利益変更をした就業規則を二〇一三年に遡及適用して、この三月末で不当に雇い止めをしようとしているのか、これを調査して是正指導する必要があると思うんですが、加藤大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 まず、一般論として申し上げますと、無期転換ルールの適用を意図的に避ける目的で、無期転換申込権が発生する前に雇い止めを行うことは、労働契約法の趣旨に照らして望ましくないと考えているところでございます。

 その上で、大学や研究機関の雇用管理は、まず、各法人が法令に基づき適切に対応すべきでありまして、文部科学省から、これまで累次にわたり、労働契約法の趣旨や好事例の周知徹底が図られていると承知をしております。

 その上で、厚労省としては、文科省等を含む関係省庁と連携し、無期転換ルールの制度の内容、趣旨の周知等を進めるとともに、労働契約法に照らし問題のある事案を把握した場合には、都道府県労働局において、これまでも啓発指導を行ってまいりましたし、今後とも啓発指導等を行っていきたいと考えております。

宮本(徹)委員 これは徹底的にやっていただきたいんですよね。

 本当に多くの研究者の皆さんが、今大変な事態に置かれているわけでございます。今も、来年度の雇用が決まらずに、一生懸命、どうにかしてくれということで交渉を続けている方々がいらっしゃいます。

 文科大臣にもお伺いしますけれども、大学についても、そして研究法人についても、所管は文科省であります。さらに、国立大学法人、研究開発法人でいえば、文科大臣には適法に法人運営をさせる責任も法律上あると思います。私大も含めて、しっかり体制を取って、個別に働きかけて雇い止めをやめさせる、この責任を果たしていただきたいと思うんですが、いかがですか。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 無期転換ルールの適用を意図的に避ける目的でいわゆる雇い止めを行うことは、労働契約法の趣旨に照らしまして望ましくないと考えております。

 研究者等の雇用管理につきましては、各機関におきまして法令に基づき適切に対応する必要がございます。文部科学省といたしましても、周知徹底を図るとともに、今般の調査結果を踏まえまして、改めて各機関に適切な対応を求めているところでございます。

 特に、昨年九月時点におきましては今後の雇用契約の見通しが未定の方が約四割である点については、各機関におきまして、状況の把握、説明、相談などに取り組んでいただくことが必要と考えております。

 文部科学省といたしましては、昨年九月に調査を行うとともに、昨年十一月そして今年の二月に各機関に適切な対応を求める通知を発出するなど、累次にわたりまして働きかけを行ってきておりまして、引き続きましてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 通知を出しているのは知っているんですけれども、通知を見ても全然正されていないわけですよ。

 実は、今日の午後も、理研の雇い止めになる皆さんが院内集会を開かれているわけですよね。その中でも本当に悲痛な訴えが行われております。

 ですから、通知を出しておしまいにするんじゃなくて、一つ一つの大学や研究機関に対して、どうなっているんだ、法律の趣旨に基づいてちゃんと研究者の未来を守ってくれ、そして研究者の未来を守ることが日本の研究力にとっても大事なんだ、こういうことをしっかりやっていかなきゃいけないんですよ。通知を出しておしまいというんじゃなくて、ちゃんと大臣が、人も配置して、しっかり責任を果たす必要があるんじゃないですか。いかがですか。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 独立行政法人でございます理化学研究所におきましては、法人の自主性、自律性の下に運営されることが基本でございまして、労働契約法令に基づきまして、引き続き適切な人事運用を行っていただきたいと考えております。

宮本(徹)委員 そういう法人任せの対応をしていたら、研究者の雇い止めは止まりません。これを放置していたら、毎年毎年、十分の一の任期付の研究者に同じことが起きるんですよ。一年目にしっかり対応を取らなきゃ駄目なんですよ。その責任を果たさないと、本当に日本の研究力はこのままどんどんどんどん低下しますよ。

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますから、おまとめください。

宮本(徹)委員 この問題の解決に責任を果たすこと、あわせて、この問題の根本的な解決のためには財源の確保も必要ですので、その点もしっかり責任を果たしていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。

根本委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。

 次に、山本有二君。

山本(有)委員 今日は、下水サーベイランスというテーマで御質問させていただきたいと思います。

 コロナが二類から五類に移行されました。私は、これは適切な措置であるというように認識しております。しかし、国民の中には、これを不安である、ちょっと安心できないという人もたくさんおいでるようであります。

 まず、コロナの感染情報ですけれども、HER―SYSという一元管理システムを通じて、医療機関や地方自治体からの感染者数の報告を受けて、これを都道府県別に、毎日、感染者数の最新情報を見ることができました。

 さて、これを継続できるかというと、継続できない。これは中止になってしまうわけであります。そうすると、何か代替措置はあるの、こういうように聞きますと、定点観測、季節性のインフルエンザと同じ扱いをするということでございます。

 しかし、全国五千の医療機関からの報告、その集計をしましても、患者の数の集計で、医療機関に限られます。週に一度、国立感染症研究所のホームページにこれを公表する、これだけで国民の皆さんが安心できるかという問題に対して、私は、下水サーベイランスを今こそ活用すべきではないかというように御提案を申し上げます。

 資料一を御覧ください。この資料一は感染者の構成図です。

 一番下が全ての感染者。次に、下水サーベイランスで確認できる感染者。この場合、無症状の方や検査を受けていない方の感染も把握できます。そして、陽性の報告者あるいは検査による陽性者。ここから上の人だけを今までは報告することができておったわけでございます。そして、それから、その一部分、病院に駆け込んだ方だけが、これが報告されるということに変わるわけであります。下水サーベイランスの方がカバーする人口が多いということが、この一つの肝でございます。

 そんな意味で、私は、下水サーベイランスを活用することが、一つの大きな、二類から五類への不安解消になるというように思いますが、厚生労働省の御所見を頂戴します。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 感染症法上の位置づけが五類感染症に変更される場合、今後の感染動向の把握につきましては、去る二月九日の厚生科学審議会におきまして、どのようにサーベイランスを行っていくのか議論をしております。

 この中で、これまでの全数把握を終了し、御指摘のインフルエンザ定点を基本とする定点把握へ移行すること、そして、患者等の報告を補完する目的で、例えば血清疫学調査でありますとか下水サーベイランス研究を引き続き実施しまして、多様な手法による重層的、多面的な流行状況の把握体制を構築すること等の今後の方針について御議論いただいたところでございます。

 御指摘の下水サーベイランスにつきましては、新型コロナ対策に活用するために検証を進めることが非常に重要であると考えておりまして、関係省庁で下水サーベイランスに関する推進計画に基づき、現在取り組んでいるところでございます。

 このうち、厚生労働省におきましては、推進計画に基づき、国立感染症研究所において、人ではなく下水検体からの新型コロナの検出方法、あるいは下水ウイルス濃度とそれから地域の感染状況の相関関係、これの分析等の調査研究を行ってきております。

 ここの中で、成果と課題とあると認識しております。

 まず、成果でありますけれども、国立感染症研究所における調査研究におきましては、患者数が少なかった流行の初期、これは二〇二〇年の夏頃でありますけれども、下水ウイルス濃度と感染者数の相関は当時は認められず、感染者数の予測は困難でありましたが、最近の調査研究では、両者に有意な正の相関関係がありまして、下水流域の感染状況をモニタリングできる可能性が示唆されております。

 一方で、課題もあるかと考えております。これは、仮に下水サーベイランスを運用するとした場合には、一つは、正の相関はありますが、下水中のウイルス濃度と感染者数の定量的な関係が不明、これは例えば、下水中の濃度が二倍になったからといって、患者数が二倍になるのか四倍になるのか、そこら辺がまだよく分からないというところ。それから、下水中のウイルス濃度は、降雨による流量の変化など下水固有の要因の影響を受けること。これは例えば、雨がたくさん降りますとウイルスの濃度が薄まってしまいますので、こういったことについてどういうふうに考えていくのか等々の課題があると認識しております。

 いずれにしましても、厚生労働省としては、現在、内閣官房で実施しています令和四年度の実証事業の結果が本年度末にまとまることも踏まえまして、新型コロナの監視体制の強化にどのように下水サーベイランスを活用できるのか、引き続き、関係省庁と連携して検討してまいりたいと考えております。

山本(有)委員 答弁ありがとうございました。

 さすがに真面目な日本の官僚の代表であります。ちょっとでも食い違うと、これは採用できない。

 しかし、この三枚目の紙を御覧いただきますと、札幌市の例でございます。

 札幌市も下水サーベイランスというのを既に実施しておりまして、まず、インフルエンザウイルスにも活用できているという点のメリット。その上の新型コロナウイルスに至りましては、正の相関関係、先ほどの局長さんの答弁のように、全く一致はしませんよ、しかし、トレンドというのが確実に分かる。こういうようになっておるから使えるというように私は思います。

 そこで、この札幌市の資料の一番下、数値データだけでなく、解釈について簡単なコメントをつけて市ウェブサイトで公表しています、こういうように書いてあります。物すごく役に立っているようであります。

 次のページ、養父市の例を御覧いただきたいと思います。

 右肩に写真がありますけれども、この赤い写真は、市庁舎を夜、ライトアップします。これは、ウイルスの濃度が高濃度で注意してくださいというサインだそうです。それから、緑の方は低濃度。これ以外に黄色もあるそうでございます。というように、市民本位の情報提供ということが功を奏しているわけでございます。

 こういうように、市町村でも頑張ってやっているわけでありますので、私は、厚労大臣に是非お願いしたいのは、下水サーベイランス、これについて早く実現、採用していただけないかな、こう思っておるところでございます。御所見をよろしくお願いします。

加藤国務大臣 今局長からるる事務的な説明をさせていただきました。

 流行状況の把握について言えば、特に定点観測に移行する中で、様々なデータを活用して感染の実態把握をしていくことが必要でありますし、下水サーベイランス、今お話がありましたように、活用できる可能性がある。

 下水サーベイランスに関する推進計画に基づいて、これまでも関係省庁、国交省とも連携しながら取り組んできているところでございますので、まずは、先ほど最後に申し上げましたけれども、今年度末に取りまとめられる、これは内閣官房が実施した実証事業の結果を踏まえて、下水サーベイランスの有用性、課題、これをしっかりと整理するための調査研究、これを続けていく必要があると考えておりまして、令和五年度においてもそうした方向で調査研究を進めながら、新型コロナのサーベイランス、この下水サーベイランスを含めてどういう形で行っていくことがいいのか、引き続き検討させていただきたいと考えています。

山本(有)委員 検討だけでなく、早くやってほしいと再度申し上げます。

 それから、次の五枚目の資料、これを提示させていただきます。

 下水サーベイランスのコスト面のことでありますが、私がざっと考えたところ、PCR検査をこれまでやってこられたわけですが、年間どれぐらいかかるか、これを厚労省のホームページから推測いたしますと、年に三千六百億円かかっておったんじゃないかな、こう思います。右は、下水サーベイランスの費用を算出してみました。三十一億円で済むわけであります。これぐらい費用が少なくてカバー率が多いということは、是非早く採用すべきだというように思います。

 次に、国交大臣にこのことについてお伺いいたします。

 下水道というのは、古くからヨーロッパであったわけでありますが、全世界的には、先進国以外ではそんなに普及していないと思います。いわば先進国だからこそ下水がきちんと管理されている、そこのいわゆるストック効果。あるものを活用するわけですから、新たに何かするわけじゃありません。しかも、それで、下水技術というのは世界トップレベルで、かつサーベイランスの検査技術というのが、今、日本が精度として世界一だそうです。

 これを活用しないと、我々国民としましてはストック効果をいただけないというように思いますが、国交大臣の御所見をいただきます。

斉藤(鉄)国務大臣 日本の汚水処理のカバレッジは九〇%を超えております。そういう意味で、大変、下水を活用するということは有意義なことだと思っております。

 下水サーベイランスは、下水中のウイルス濃度を分析することを通じて、都市域全体の感染傾向を把握するものでございます。これまで国土交通省では、調査検討委員会を設置いたしまして、下水サーベイランスを活用する際の下水道管理者としての役割等を示したガイドラインを作成するなど、取組を進めてきたところです。

 国土交通省としては、この調査検討委員会での御議論や、現在内閣官房を中心に行われている実証事業の結果を踏まえて、必要に応じてガイドラインの見直しを行うなど、下水サーベイランスの活用に向けて積極的に協力してまいります。

山本(有)委員 内閣官房で実証実験をやっている、そして加藤大臣がお答えになりましたように、今、検討して採用するかどうかを決めるというような時期であります。

 しかしながら、実証実験に加わった、例えば先ほどの札幌市、あるいは石川県小松市、あるいは兵庫県養父市、全員の皆さんが、これを継続したい、実験だけで終わることは嫌だ、市民がもうそれを活用している以上はやめられないといって、例えば札幌市の来年度予算は五千六百万円の費用を計上しているそうです。そう考えていくと、市町村が勝手にやればいいというような立場は、私は、コロナという感染力の強い、かつまた変異する性質のあるものに対して、少し丁寧さを欠くのではないかなというように思っております。

 そこで、厚労大臣、札幌市で五千六百万の単独事業をやらせるのではなくて、例えば二分の一というような補助事業をやってあげればどうかというように思いますが、御所見をいただきたいと思います。

加藤国務大臣 現状は、先ほど申し上げたように、内閣官房での実証研究等を踏まえて今後どうしていくのか、まさに前向きに検討させていただきたいというふうに思っておりますが、ただ、引き続き、令和五年度においても、厚労省と国交省、連携して調査研究を継続することとしております。

 そうした中で、札幌市のようなサーベイランスを継続する自治体と協力をしていきながら、まさにそこでデータが取れるわけでありますから、そういった意味で、調査研究の中でどういう協力ができるのか、よく当該自治体、また国交省とも連携しながら対応していきたいと考えています。

山本(有)委員 海外の例を申し上げますと、アメリカは、おととし五百か所の下水サーベイランスを実施しておりました。それが今年千二百、倍以上、箇所を増やしました。EUは、おととし三百であったものが、今年千四百で、アメリカを抜きました。

 北海道大学の北島准教授によりますと、アメリカでもEUでも、防衛という感覚でサーベイランスをやっているというわけでございます。どういうことかといいますと、インフルエンザにも使える、薬剤耐性菌にも使える、さらに、実は大量破壊兵器の生物化学兵器、サリンや炭疽菌でも応用が認められるというようなことですから、アメリカやEUは必死になっております。特に、EU加盟国はウクライナ国境と隣接している箇所がいっぱいあります。その危険において、EUは過敏になっております。

 二〇二二年、去年のEU指令で、全てのメンバー国に、二〇二五年までに下水サーベイランスを導入することを求めるというように、EUの決定がございます。

 それを受けての話でありますが、資料の最後のページに、G7の、去年のサミットの保健大臣声明を載せてあります。その一番下に、下水サーベイランス調査等を通じ、二〇二四年までに変異型を含むSARSコロナ2、ポリオウイルス、インフルエンザウイルス等の感染性病原体監視の展開、これを国際合意するということでございまして、何と日本もこれに署名しております。加藤大臣、知っておりましたか。署名しているんです。

 今年、広島サミットがあるわけでありまして、こういうことを考えていきますと、どうしても、やはり世界基準、こういったものに追いつくためには、日本でもこの下水サーベイランスをいち早く採用して、五月八日に五類になるわけでありますから、そして広島サミットがあるわけでありますから、この決断を早くされた方が私はいいと思いますけれども、加藤大臣の御所見をいただきます。

加藤国務大臣 下水サーベイランスについては、先ほど申し上げたとおりで、まさにどう取り扱えるか、関係省庁とも連携して検討していきたいというふうに思っております。

 また、今年はG7の広島サミットもございます。そういった中で、国際保健を重要な課題の一つとして位置づけることとしております。また、G7の、長崎で保健大臣会合もございます。サーベイランスに関する課題も含めて議論を行い、将来の健康危機への予防、備え、対応に係る国際的な枠組みの強化、こうしたことについてしっかり議論をし、当然、日本は議長国でありますから、その主導を図っていきたいと思っています。

山本(有)委員 下水サーベイランスというのは、私は様々メリットが多いと思います。

 去年の十二月に、国連生物多様性条約締約国会議が開かれました。そこで、生物多様性が損なわれれば、感染症の脅威が増す、ウイルスなどの病原体を持つコウモリの生息域が変化したり、病原体を媒介するネズミやダニが増えたりする、それによって人類は果てしない脅威にさらされる。

 ですから、たとえ五類にしましたといえども、別にこれで感染力が落ちたり毒性が消えたりするわけじゃありませんので、私は、これを正しく恐れて、やはり下水サーベイランス、これにこだわっていきたいと思っております。

 以上でございます。ありがとうございました。

根本委員長 これにて山本君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐藤英道君。

佐藤(英)委員 公明党の佐藤英道です。

 通告の順番を若干変えながら質問させていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。

 初めに、少子化対策についてお伺いをさせていただきます。

 何としても、少子化対策をしっかり行い、少子化を食い止め、未来に希望を持てる日本をつくらなければならないと思います。

 日本の少子化対策は、欧州と比べ、児童手当などの家族政策が弱いことはデータでも明らかであります。こうした状況を打破するために、社会全体で子供を育むという子育ての社会化を大きく前に進めるべきであります。特に、子供が生まれる前の段階で子供を持ちたいという熱望が湧き出てくるような、いわゆる湧き水政策を積極的に打ち出していくべきと考えます。

 子供が生まれると手厚い支援が受けられ、経済的にも生活が豊かになるような大胆な政策を実行すべきと考えますが、見解を伺います。

小倉国務大臣 お答えさせていただきます。

 昨年、議員立法により成立したこども基本法におきまして、第一条の目的規定で、「社会全体としてこども施策に取り組むこと」、第三条の基本理念におきまして、「こどもの養育については、家庭を基本として行われ、父母その他の保護者が第一義的責任を有するとの認識の下、これらの者に対してこどもの養育に関し十分な支援を行う」ことが定められております。ですから、委員のおっしゃるとおり、社会全体として子供施策に取り組むことは非常に重要な考えだ、このように認識をいたしております。

 これまで、私自身、若者や有識者からお話を伺っている中で、若い世代が結婚しない理由の一つとして、結婚した後に子供を持つという希望が見出しづらいからではないかとのお話も伺ってまいりました。今まさに子育てをしている方々への支援を充実することは、これから結婚しようとする若い世代が結婚や出産に希望を持てる社会をつくることにつながる、このように理解をいたしております。

 ただいま、総理の御指示を踏まえまして、私の下で関係府省会議を開催いたしまして、鋭意ヒアリングを行っているところであります。この取りまとめに当たりましては、社会全体の意識を変え、子供、子育てを応援するものとなるよう、個別の施策ではなく、ライフステージを通じた施策のパッケージを示す必要があると考えております。

 引き続き、様々な意見に耳を傾けながら、三月末を目途として、子供、子育て施策として充実する内容を、佐藤委員がおっしゃる湧き水政策として具体化されるべく力を尽くしてまいりたい、このように考えております。

佐藤(英)委員 是非、涌き水政策に取り組んでいただければと思います。

 今お話がありましたけれども、少子化の要因の一つとして、非婚化や晩婚化の問題もあります。その原因には、若者の不安定な就労形態や経済的な厳しさがあると指摘されています。最低賃金の引上げ、非正規雇用労働者の正社員化、同一労働同一賃金、働き方改革など、若者を取り巻く雇用環境の改善に向けた積極的な取組が急務であります。

 また、無料の職業訓練と月十万円の生活費等を支給する求職者支援制度など、公的職業訓練の充実も不可欠であります。

 さらに、結婚時に必要な資金を支援する結婚新生活支援事業の対象の拡大や、子育て世帯に低廉な家賃の住宅を確保するなどの経済的な支援策、民間事業者などとも協力し、出会いの場や相談体制を充実させるなど、総合的な結婚支援体制の構築に国を挙げて全力で取り組むべきと考えます。

 これら結婚支援に関連する若者政策について、大臣の見解を伺います。

小倉国務大臣 お答えいたします。

 若い世代の結婚をめぐる状況を見ますと、男女共に多くの方がいずれ結婚することを希望しつつも、適当な相手に巡り合わない、また結婚資金が足りないなどの理由で、その希望がかなえられていない状況にございます。

 このため、結婚の希望が希望する年齢でかなうような環境を整備することが重要と考えておりまして、こちらも委員が御指摘をいただきました、まず、雇用の安定など若い世代の経済的基盤の安定を図るための支援、そしてまた、出会いの機会、場の提供、結婚資金や住居に関する支援などの地方公共団体が行う取組の支援などに取り組んでいきたいと思っております。

 前者の雇用の安定等々につきましては、厚労省等ともしっかりと連携して、若い世代の働く場づくりでありましたりとか所得の向上、こういったことを政府全体として検討できるように、私どもも様々な意見を聞いてまいりたいと思います。

 後者の出会いの場、機会の提供等々につきましては、例えば、内閣府におきまして、地域少子化対策重点推進交付金を令和四年度第二次補正予算において前年度の約三倍に増額をいたしまして、結婚に伴う家賃、引っ越し等の経費の支援に関するメニューの対象世帯の所得要件の緩和や、出会いの機会の創出等に関するメニューの補助率の引上げ、また、結婚支援コンシェルジュ事業の追加といった施策の充実を行ったところでございます。

 こうした私どもの施策が地方公共団体を通じてお使いいただけるようにしっかりと周知に努めていくと同時に、引き続き、結婚を希望する方々がその希望をかなえられるような環境整備に取り組んでいきたいと思っております。

佐藤(英)委員 是非よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 次に、子育て世帯の親の働き方改革についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 加藤大臣、現在の制度では、短時間勤務が認められるのは子供が三歳になるまでとされております。これを就学前に当たる五歳までに引き上げて、子育て中の全ての方々が柔軟な働き方を選択できるようにすべきではないでしょうか。大臣の見解を伺いたいと思います。

 あわせて、政府は、再来年までの目標として、男性の育休取得率を三〇%に引き上げると掲げられております。この早期達成に向けて全力で取り組むべきと考えますが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 希望に応じて男女共に仕事と育児を両立できる社会の実現を図る、これは極めて重要なことであります。

 昨年末の全世代型社会保障構築会議の報告書においても、子育て期の長時間労働の是正、また、労働者のニーズや個々の職場の状況に応じた柔軟な働き方を可能にする仕組みについて検討すべきとされたところでございます。

 厚労省では、本年一月より、有識者による研究会を立ち上げて、今後の仕事と育児の両立支援制度について議論をさせていただいておりますが、そうしたときにも、子供を持つ親の働き方にどういうニーズがあるのか、今、お話もありましたように、更に五歳まで引き上げるということ等を含めて、あるいは、できるだけ残業しない働き方を望む、いろいろな要望もございます、そうした要望をしっかり分析をし、まず論点整理を行った上で、今後の制度の在り方についてしっかり議論をさせていただきたいと考えております。

 また、男性の育児休業の取得の促進については、希望する期間取得できるようにすることは重要な課題であり、昨年十月から産後パパ育休も制度として導入されております。その着実な実施を図るための周知啓発を行っていくこと、あるいは、労務管理の専門家による中小企業等への相談支援や、企業の取組を支援するセミナーの開催、さらには、男性が育児休業を取得しやすい雇用環境整備に関する中小企業事業主の取組への助成金の支給、こういった取組をこれまでも進めているところでありますが、更にこういったことの活用を一層図っていくことなどを通じて、二〇二五年までに男性の育児休業取得率を三〇%とする政府目標、その達成に向けて全力で取り組んでいきたいと考えております。

佐藤(英)委員 是非、加藤大臣、リーダーシップを発揮されて、特に、短時間勤務、子供が三歳になるまでを、是非就学前に当たる五歳まで引き上げていただくようにお願いを申し上げたいと思います。

 次に、女性の方々が安心して働き続けられるようにするためには、女性特有の健康課題を解決し、また、健康を守るための休暇を取得しやすくする取組も極めて重要であると考えます。

 法的に位置づけられているものの取得率が一%にとどまっている生理休暇、妊娠中のつわりや体調不良、不妊治療や不育症、流産、死産などを理由とした、こうした休暇を取得しやすくするとともに、乳がんなど、女性特有のがん治療と仕事の両立ができる環境整備をしっかりと進めていくべきであります。

 また、あわせて、性別を問わず、更年期に体調不良となっても休暇などが取得できる制度を創設し、生涯、希望すれば働き続けられる環境を整備していくことも重要であります。

 これら健康と休暇取得に対する大臣の見解をお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 やはり、女性特有の健康課題を解決して、女性の方が安心して働き続けられるようにしていく、そのための職場環境をつくっていくということは非常に大事でありまして、厚労省としても、働く女性の健康応援サイトなどにおいて、企業や働く女性向けに、生理休暇制度の活用、つわり、不育症、流産、死産等の場合に母性健康管理措置等による休業が可能であることなど、様々な情報を提供して周知啓発を図っていきたいと考えております。

 また、不妊治療のための休暇については、企業において休暇制度などを設けた上で、実際に労働者に利用させた中小事業主に対する助成を行うなどの支援を行っております。そうした助成制度があることをしっかりと知っていただいて、まさにそうした制度の導入を図っていただくべく努力をしていきたいと思っております。

 さらに、乳がんなど、女性特有のがんを始め、病気の治療と仕事の両立支援については、事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドラインを設けております。その周知啓発。さらに、患者である労働者に寄り添い、主治医と会社をつなぐ役割を果たす両立支援コーディネーターを養成し、主治医と会社の三者によるトライアングル型支援の体制の構築も進めているところでございます。

 さらに、商工会、同業組合等の事業者団体が小規模事業場等に対して治療と仕事の両立支援を含む産業保健サービスを提供する活動については、その活動の費用の一部を助成をさせていただいております。こういったこともしっかりと周知を図り、その活用を進めていきたいと思っております。

 さらに、更年期に関する休暇については、更年期における体調不良の際に利用できる休暇制度の導入が従業員の方の離職防止や安心につながっているという企業における取り上げるべき事例、こういったものをしっかりと紹介するそうした事例集も作成をしておりまして、そういったことの周知を図って特別休暇制度の導入促進を進めさせていただきたいと思っております。

 こうした取組を総合的に推進し、女性の皆さん方が、特有の健康課題を含め、様々な環境にある労働者の方々が安心して働き続けられる、このために更に取組を進めていきたいと考えています。

佐藤(英)委員 是非ともよろしくお願いしたいと思います。

 次に、子供、若者の意見表明権についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 子どもの権利条約には、生命、生存及び発達に対する権利、子供の最善の利益、差別の禁止と並び、子供の意見の尊重イコール子供が意見を表明し参加できる権利が大きな柱の一つに立てられております。この権利はこども基本法にも位置づけられていますが、子供や若者が社会に対して自分の意見を表明し、政策に反映する場と仕組みを確立することが必要であります。

 このために、各自治体には子供若者議会を設置することが必要だと公明党は考えておりますが、子供や若者の意見を引き出し、合意形成を支援するファシリテーター、いわゆる進行役の育成、普及も進めるべきであります。

 こうした取組について政府もしっかりと後押しをしていただきたいと思いますが、見解を伺います。

小倉国務大臣 佐藤議員の御指摘は非常に重要だと思っております。

 子供や若者の意見や考えを正面から受け止めることができる初めての組織となれるよう、今年の四月、こども家庭庁の発足に向けてしっかり準備をしてまいりたいというふうに思っております。

 それを踏まえまして、御指摘いただきました昨年の議員立法でありますこども基本法におきまして、まず、基本理念として、子供の意見の尊重が掲げられ、国や地方自治体が子供施策に子供の意見を反映する措置を講ずることが規定をされております。

 こども基本法の施行に向けまして、現在、先進自治体や諸外国の事例も参考にしながら、子供、若者が意見を言いやすい環境づくり等の調査研究を進めておりまして、その中では、御指摘いただきましたように、子供、若者の意見を引き出す役割を担うファシリテーターの重要性についても指摘をされているところであります。今年度末に当該調査研究の成果を報告書に取りまとめ、地方公共団体にも広く周知をし、参考にしていただければと考えてございます。

 また、今後更に子供、若者から広く意見を聞くための仕組みを構築し、各府省庁に活用を促していくとともに、子供、若者から意見を引き出すファシリテーターを養成するためのプログラムの作成に係る調査研究などを実施することにいたしております。

 引き続き、様々な工夫を凝らしつつ、子供や若者の意見の政策への反映に向けて取組を全力で進めてまいりたいと思っております。

佐藤(英)委員 よろしくお願いしたいと思います。

 次に、ヤングケアラーの支援について伺います。

 まずは、ケアラーが孤立することなく当たり前の社会生活を送れるよう、ヤングケアラーやダブルケアラーも含め、介護者を支援するための施策を総合的に推進すべきであります。

 埼玉県でのLINEを通じた支援や、兵庫県でのお弁当を無料で届ける事業、群馬県高崎市では家事代行サポーターの無料派遣など、各地で様々な取組が始まっています。こうした支援が全国に広く行き届くよう、取組の強化が急がれます。

 ヤングケアラー等の不安や悩みを受け止める相談支援や家事支援等を行う体制整備について、政府は更に全力を挙げて取り組むべきと考えます。現在までの取組状況や今後の見通しを伺います。

加藤国務大臣 ヤングケアラーあるいはダブルケアラーの皆さん方が家族の介護等の負担で自らの日常生活に支障を来している、こういう課題をしっかりと認識し、関係機関、関係団体がしっかりと連携を図りながら、そうしたケアラーの皆さんが孤立化することのないよう、社会全体で支えていくということが重要だと考えております。

 支援コーディネーターの配置等の体制整備に対する支援事業や、家庭を訪問し、不安、悩みの傾聴や家事、育児の支援等を行う事業等について、全国の自治体にもその取組を促し、また、そのための支援制度もつくらせていただいているところでございます。

 ただ、いろいろな支援制度やいろいろメニューがあるものですから、これをうまく使い勝手のいいものに、あるいは、しっかりと周知を図って、一つ一つ一々申請しなくてもトータルとしてやっていけるとか、いろいろなこともこれから考えていかなきゃいけないんじゃないかと思っております。

 さらには、ヤングケアラー、ダブルケアラーの皆さん方も様々な課題を実は抱えておられます。一つの課題だけではない。そうした皆さんを適切に支援できるよう、属性を問わない相談支援等を行う重層的な支援体制事業、これを令和三年四月から実施をしておりますけれども、そうした事業はまだ一部の市町村にとどまっておりますから、更にその取組を広げていかなければならないと考えております。

 引き続き、ヤングケアラー、ダブルケアラーの方々に対して、関係機関、関係団体がしっかりと連携を図りながら、社会全体でそうした皆さんの課題解消に向けて支えていく体制、この構築づくりにしっかり取り組ませていただきます。

佐藤(英)委員 よろしくお願いしたいと思います。

 さて、私の地元北海道では、毎年、札幌市内でさっぽろレインボープライドというイベントが開かれております。これは、セクシュアルマイノリティーへの差別などの問題を通して、不当な差別や不平等、誤った偏見と闘う全ての方々に勇気と希望を送ろうというイベントであります。私は、前職の北海道議会議員時代から昨年の第二十二回に至るまで、可能な限り参加し、札幌の町を一緒にパレードし、行進してまいりました。

 去る二月十日、我が党の山口代表がプライドハウス東京レガシーを訪問し、当事者の方々から、性的指向によって差別を受けた体験など、切実なお声を伺いました。G7でLGBTQに対する法制度がないのは日本だけであることを真摯に受け止め、差別根絶を目指す第一歩となる理解増進法案について、今国会で成立させるべきだと語られました。

 G7広島サミット前に早期成立が求められる理解増進法案について、まず大臣の御見解を伺います。

 また、あわせて、共生社会担当大臣である小倉大臣におかれましては、是非とも性的マイノリティーの皆さんの生の声を直接聞かれることが必要なのではないでしょうか。見解を伺います。

小倉国務大臣 お答えいたします。

 LGBT理解増進法につきましては、各党においても提出に向けた準備が進められていると承知をしておりまして、政府としては、まずは、こうした議員立法の動きを尊重しつつ、見守ってまいりたいと考えております。

 もとより、性的指向、性自認を理由とする不当な差別や偏見は決してあってはならないと私どもは考えております。政府といたしましては、多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる社会の実現に向け、引き続き、様々な国民の声を受け止め、しっかりと取り組んでまいります。

 御指摘いただきましたG7サミット、さらには関係閣僚会合を控え、こうしたことを改めて国の内外に対して丁寧に説明をしていく、このような努力を続けていかなければならず、政府全体として取組を進めてまいります。

 また、御指摘のとおり、私も、共生社会担当大臣といたしまして、当事者を含め、社会各層の様々な御意見を受け止めることが非常に大切であると考えておりまして、具体的に誰がどのような形で話を伺うかについては、政府全体としてこうした検討を進めてまいりたいとも考えております。

佐藤(英)委員 是非、当事者の方々の生の声をお聞きになっていただければと思います。

 次に、認知症の方や御家族の方々への支援策についてであります。

 二〇四〇年には八百万人、高齢者の五人に一人がなるとも言われている認知症は、誰もが当事者になる可能性のある重要な問題です。国会では、認知症基本法の早期成立を目指し、議論が進められておりますが、御本人や御家族が安心して暮らせる共生社会の実現に向けて、認知症に対する理解の促進とともに、認知症サポーターの養成や、認知症に関する電話相談の充実も図るべきと考えます。また、アルツハイマー薬、認知症薬でありますけれども、レカネマブが今年中の承認を目指しているなど、治療薬などの研究開発の推進も大変に重要であります。

 これら認知症に対する取組について、大臣の御見解を伺います。

加藤国務大臣 認知症については、令和元年六月に認知症施策推進大綱を決定をさせていただき、それに基づき、認知症の発症を遅らせ、認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指し、認知症の方や家族の視点を重視しながら、共生と予防を車の両輪とした施策を推進することとしております。

 地域や職域などで、認知症の方や家族に対してできる範囲での手助けをする認知症サポーター、これを引き続き養成をしていく。令和四年の十二月末では一千四百三十万人の方がそのサポーターになっていただいておりますが、更にそれを広げていく。さらに、市町村がコーディネーターを配置し、認知症の方や家族の支援ニーズと認知症サポーターを中心とした支援者をつなぐ仕組みであるチームオレンジの取組、こうした取組を進めることによって、認知症への理解の促進、また認知症の方と家族への支援、これに取り組んでいきたいと考えています。

 また、認知症や介護に関する相談については、全国の地域包括支援センター、認知症疾患医療センターでの対応に加え、民間団体などで行われている電話相談の活用を含め、より相談しやすい体制の整備に努めてまいります。

 また、認知症の治療薬については、認知症施策推進大綱に基づき、研究開発を推進しております。今委員からお話がありましたが、エーザイが開発したアルツハイマー型認知症の新たな治療薬レカネマブについては、先月、我が国において薬事承認申請がなされております。引き続き、PMDAにおいて有効性、安全性等について適切かつ迅速な審査を行っていきたいと考えております。

 認知症になっても希望を持って暮らしていける社会、その構築に向けて、引き続き認知症施策推進大綱に基づく総合的な取組を進めてまいります。

佐藤(英)委員 次に、健康ポイント、ボランティアポイント制度について伺います。

 高齢者の方々などが健康づくりやボランティアなどに参加するとポイントがたまり、たまったポイントを地域で活用できるボランティアポイント制度について伺ってまいりますが、本年の一月、二月にかけまして、私自身、地元北海道の函館市や苫小牧市の取組を視察させていただきました。高齢者の方々の社会参加や地域貢献を推進するとともに、高齢者自身の介護予防にもつながる有益な取組であり、実施する自治体が増えれば、介護費用の抑制や高齢者の方々の孤立防止にも効果が期待をされるのではないかと思いました。

 更なる導入促進に向けて、実施自治体の好事例を一層周知するなどの普及促進策を是非とも強化すべきと考えますが、大臣の御見解を伺います。

加藤国務大臣 ボランティアポイント制度、これは、市町村が行う地域支援事業における一般介護予防事業の一つのメニューとされているわけでありますが、高齢者の介護予防や社会参加を促進するため、高齢者が通いの場等における介護予防に資する活動への参加、ボランティアなどを行った場合に、市町村から商品等に交換可能なポイントを付与するものであります。

 このボランティアポイント制度を導入する市町村の数は年々徐々に増加をしているところでありまして、令和二年度においては全体の約三分の一程度の市町村において導入がなされておりますが、令和三年三月に、制度を効果的に展開している先駆的な市町村の事例も掲載した制度導入・運用の手引きも公表させていただきました。こうしたものを活用して、さらには制度導入を検討している市町村への伴走支援なども行うことによって、ボランティアポイント制度の更なる普及促進を図っていきたいと考えています。

佐藤(英)委員 よろしくお願いします。

 最後に、賃上げについて伺ってまいりたいと思います。

 特に短時間労働者や非正規雇用の方々の賃金にダイレクトに影響しやすい最低賃金についてですが、昨年の十月の改定では、最低賃金は全国加重平均で九百六十一円と、政府目標の一千円にあと一歩のところまで来ました。最近の物価上昇率を見れば、昨年十一月が三・七%、十二月は四%、現下の情勢では今後も更に上がっていく可能性が否定できません。

 仮に最低賃金を来年度三%に引き上げれば、二〇二四年十月には一千十九円と、一千円を超えることになります。全国加重平均一千円超の早期達成を目指し、来年度の最低賃金については、中小企業への支援を拡充しながら、物価上昇率を上回る引上げを実施すべきです。見解を伺います。

加藤国務大臣 最低賃金引上げを行っていく上においては、特に中小企業において賃上げが行われやすい環境をつくっていくことが大事であります。

 厚労省では、事業場内で最も低い時間給を一定以上引き上げるとともに、生産性向上に資する設備投資等を行った場合に支給される業務改善助成金について、最低賃金が相対的に低い地域における事業者に対する助成率の引上げ、特に、最低賃金引上げへの対応が困難と考えられる事業場規模三十人未満の事業者に対する助成上限額の引上げなどの拡充を実施したところであります。また、政府全体でも、事業再構築、生産性向上と一体的に行う賃金の引上げへの支援等も行っているところでございます。

 最低賃金の具体的な引上げ額については、消費者物価指数のみならず、地域における労働者の生計費、賃金、企業の賃金支払い能力のデータを総合的に勘案しながら、公労使三者構成の最低賃金審議会で議論し、決定していただくこととなっております。

 そのためにも、まずは賃上げしやすい環境整備を先ほど申し上げたような施策を活用してしっかりつくり上げ、景気また物価動向を踏まえ、できる限り早期に全国加重平均が千円以上となることを目指して引上げに取り組んでいきたいと考えております。

佐藤(英)委員 終わります。

根本委員長 これにて佐藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 最後三十分、よろしくお願いいたします。

 まず最初に、内閣総理大臣秘書官についてお伺いをいたしたいと思います。

 内閣総理大臣秘書官というのは、特別職の国家公務員であります。特別職の国家公務員については、通常の一般職の国家公務員と違って、内閣法においてそれぞれ個別に規定があるんですが、守秘義務についてなんですけれども、ほかの内閣官房にいる特別職の国家公務員には守秘義務が準用されているんですが、内閣総理大臣秘書官について守秘義務の規定がないんですね。

 調べてみると、大日本帝国憲法発布前の一八八七年に出された勅令、官吏服務紀律の守秘義務がありますという説明でありました。この理解でよろしいですか、官房長官。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 官吏その他政府職員の服務等に関する事項につきましては、昭和二十二年に制定された国家公務員法の規定が適用せられるまでの官吏その他政府職員の任免等に関する法律の規定によりまして、その官職につき、国家公務員法の規定が適用されるまでの間、法律等をもって別段の定めがされない限り、従前の例によることとされています。

 特別職の国家公務員については、国家公務員法の規定が現在なお適用されていないため、特別職の職員のうち、内閣総理大臣秘書官など、先ほど述べた法律が施行された昭和二十三年一月に存していた職にある職員の服務に関しては、他の法律等に別段の定めがない限り、なお官吏服務紀律の適用があると解されています。

 国家公務員法については一般職の国家公務員に適用されているものであり、内閣総理大臣秘書官については、守秘義務に関する規定を含む官吏服務紀律が適用されることから、内閣法において国家公務員法を準用する規定を設けることはなされていないものと承知をしています。

緒方委員 そうなんです、その理屈なんですよね。けれども、官房長官、百三十六年前の勅令ですよ。しかも、大日本帝国憲法が始まる前のものですよ。これがそのまま適用されるのでいいのであれば、国家公務員法も要らないし、内閣法でそれぞれ、例えば国家安全保障局長とか、そういった方に守秘義務の準用も要らないわけですよね。

 昨今の内閣総理大臣秘書官の中には、どうもお口が軽いのではないかと言われている秘書官がいるような話もよく聞きます。日本国憲法下で作られた法令できちんと守秘義務を課すべきではないかと思います。当該内閣総理大臣秘書官にもいい意識づけになるんじゃないかと思いますけれども、内閣法の改正、いかがですか、官房長官。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 内閣法においては、内閣危機管理監等については、国家公務員法の服務の根本基準、上司の命令に従う義務、信用失墜行為の禁止、秘密を守る義務に係る規定が準用されていますが、官吏服務紀律においてもそれらの服務に関する定めがなされており、守秘義務については、国家公務員法の規定と官吏服務紀律の規定とで、その内容に差異はないものと解されていると承知をしています。

緒方委員 これ以上余り言いませんけれども、百三十六年前の勅令で守秘義務がかかっていると多分本人は思っていないはずですよ。怪しい方がおられるようにお伺いをいたしておりますので、これは内閣法の改正も含めて取り組むべきだということを述べた上で、次の質問に移りたいと思います。

 次に、我が国の安全保障について、まず、財政の面から鈴木大臣にお伺いしたいと思います。

 第二次世界大戦後、英国は大量の戦時国債を抱えました。それを抱えた結果として、政策的に、低金利政策を実施して、債務の利払いを抑え込んでいったんですね。これを金融抑圧と専門用語で言われます。その間に、経済成長とインフレによって債務の負担を軽減していったというのが、これがイギリスの歴史であります。

 私は、今の日本の経済を見たときに、実は同じことをやっているのではないかという気がいたします。日本は、今、金融抑圧の状態にあるんじゃないですか、財務大臣。

鈴木国務大臣 緒方先生から、第二次世界大戦直後のイギリスの状況と我が国の今の状況を重ねてどうなのかという御質問があったと思います。

 今の日本の状況でありますが、金融政策の具体的な手法につきましては日銀に委ねられるべきという考えでございますが、現在の金融緩和、これは、経済を下支えし、賃金上昇を伴う形で持続的、安定的な物価安定目標の実現を目指すものであると承知をしております。したがいまして、国の債務負担を軽減する等の国債管理上の目的から金融緩和が行われているとの指摘は当たらないのではないかと思っております。また、政府としても、日銀が国債を買い入れるとの前提に立って財政運営を行うことが適切であるとは考えておりません。

 その上で、最近の歴史的な低金利の継続によって、国債発行残高が累増する中にあっても利払い費が増えないという状況が続いてきたのは事実でありますが、同時に、金利上昇による利払い費の急増リスクが大きくなっている、そういう認識もしているところでありまして、政府として、市場や国際社会における中長期の財政の持続可能性への信認が失われることのないように、経済再生と財政健全化の両立に努めていきたいと考えております。

緒方委員 何となく、そういうのを金融抑圧と言うのではないかなと思いましたが。

 そういう状況の中、一九五六年、いわゆるスエズ動乱が起きたんですね、第二次中東戦争。エジプトのナセルによるスエズ国有化に対して、イギリス、フランス、イスラエル対エジプトということで、激しく戦争になりました。

 当時のイギリスのアンソニー・イーデン首相は、巨額の戦費を投入いたしますが、深刻なるポンド危機を起こしています。第二次中東戦争は、結局、当時の米ソ双方から理解を得られず、外交的には大敗北であり、失意の下、イーデン首相は退陣をしていきます。結果として、残ったのは、ポンド危機と、そして大英帝国の更なる没落でありました。

 既に、日本の国債の対GDP比率はとんでもないことになっています。有事になれば、国債を大量に発行して、戦闘を継続していかなくてはなりません。しかし、戦争したわけでもないのに、今、金融抑圧状態にある現下の日本の財政状況での継戦能力というのはいかがお考えでしょうか、大臣。

鈴木国務大臣 有事に陥るということは外交努力等で避けなければいけないわけでありますけれども、しかし、万が一有事に突入した場合の日本の国債発行余力でありますとか、それから財政余力、今の財政状況の中で大丈夫かという御心配である、こういうふうに思います。

 やはり、しっかりとした経済財政の基盤、これを平時から維持強化していくこと、これは有事の際の継戦能力の確保も含む国家安全保障の観点からも重要である、それは御指摘のとおりであると思います。

 この点、昨年十二月に閣議決定されました国家安全保障戦略におきましても、そこにはこう書かれております、「我が国の経済は海外依存度が高いことから、有事の際の資源や防衛装備品等の確保に伴う財政需要の大幅な拡大に対応するためには、国際的な市場の信認を維持し、必要な資金を調達する財政余力が極めて重要」、そう記されておりまして、政府としても十分認識しているところであります。

 その上で、政府としては、これまで、経済を立て直し、そして財政健全化に取り組んでいくという経済あっての財政の考え方に基づいて、新型コロナウイルス対策、物価高騰など足下の経済状況に機動的に対応してまいりましたが、国の信頼の礎であります財政状況、これは累次の補正予算でありますとかコロナウイルス対応等によりまして一層厳しさを増している状況にあります。

 先生がお尋ねの、国債の発行余力はどれくらいあるのかという点について、定量的にお答えすることは難しいわけでありますが、有事であっても日本の信用や国民生活が損なわれることがないようにし、御指摘の継戦能力を確保するためにも、平時から財政余力を維持強化しておくことが不可欠でありまして、引き続き歳入歳出改革の取組を続け、経済再生と財政再建化の両立に取り組んでいきたいと考えております。

緒方委員 まず、官房長官、大丈夫であります。もし他用ございましたら、退席いただいて結構であります。ありがとうございました。

 財務大臣に、先ほど私、イギリスの歴史を話させていただきましたが、歴史に学ぶことは非常に重要だと思います。本当に、スエズ動乱の後のポンド危機とか、そういったことからしっかり学んでいただきたいと思います。

 続きまして、防衛大臣に、昨今のバルーンについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 アメリカ、さらにはカナダの上空でも撃墜したということで、破壊措置が取られたということでありますが、この対応について、日本ではどうだという話をさせていただきましたら、事前のレクで、自衛隊法第八十四条、領空侵犯に対する措置により行うということでございました。しかし、同条の規定は、「着陸させ、又はわが国の領域の上空から退去させるため必要な措置を講じさせることができる。」というふうに書いているのみであります。これの解釈によって、急迫不正の侵害があり、これを排除するために武器を使用するほかないといった場合についてのみ武器を使用することが可能であると、いわゆる正当防衛、緊急避難ということであります。

 しかしながら、私、考えてみたんですけれども、日本の上空、領空ですね、領空の中にああいった怪しげなバルーンみたいなものがあるときというのは、急迫不正の侵害があるかないかにかかわらず、日本の主権国家としての意思として、ああいったものに破壊措置命令を出すことができるような法制度を整えることが私は重要なんじゃないかと思います。現時点では、急迫不正の侵害があるときに、武器を使わないとこれが排除できないというときにのみあれを破壊することができるとなっているわけですが、これでは不十分だと思います。

 自衛隊法の改正によって、仮に急迫不正の侵害がないバルーンであってもそれに破壊措置命令を出すことができるような、あくまでもできる規定ですね、そういうふうにすべきではないかと思いますが、大臣、いかがですか。

浜田国務大臣 自衛隊法の第八十四条に規定する航空機は、国際民間航空条約を踏まえたものであるところであります。この同条約の附属書の定義において気球は航空機に含まれることから、外国の気球が我が国の許可なく我が国領空に侵入すれば、自衛隊はこれを領空侵犯機として対処をいたします。

 また、対領空侵犯措置の任務に当たる自衛隊機は、自衛隊法第八十四条に規定する、委員御指摘のとおり、必要な措置として武器を使用することができます。

 個別具体的な状況にもよることから、一概にお答えすることは困難でありますが、無人のものによる領空侵犯の場合の一般論として申し上げれば、国民の生命及び財産を守るために必要と認める場合には所要の措置を取ることができると考えております。

緒方委員 つまり、日本の上空を飛んでいるとき、すべからく日本の自衛隊が対処して、それを排除する、破壊をするというようなことができるわけではないというふうに今答弁したように聞こえましたが、大臣、いかがですか。

浜田国務大臣 無人機や気球といった多様な手段による我が国の領空への侵入のおそれが増す中で、国民の生命及び財産を守るため、また我が国の主権を守るため、国際法規及び慣習を踏まえて、より一層厳正に対処していく考えでおりますが、先生のそのお考えというのは我々としても頭に置いておかなければならないと思っております。

緒方委員 今、少し念頭に置きたいということでありました。

 皆さん、是非考えていただきたい。正当防衛とか緊急避難のときであれば破壊措置命令を出すことができるということですが、そうでないバルーンが飛んでいる可能性というのは決して否定されないわけですね。例えば、領海の上を飛んでいるだけとか、けれども、主権がそこに、日本にあるわけですよね。それを排除することが、常に排除するかどうかというのは、それは政府の判断だと思います。しかし、排除することができるという規定ぐらいは置かないと、私は主権国家としておかしいのではないかと思いますので、少し考えてみたいということでありましたから、大臣に検討を慫慂したいと思います。よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、日台有事についてお伺いをいたしたいと思います。

 仮に、台湾有事が生じたと仮定して、しかしながら、ロシアとウクライナ間の戦闘のように米軍が直接関与しない場合、そんなことがあり得るのかと思うかもしれませんけれども、安全保障や危機管理の要諦は想定できないことを想定するということでありまして、米軍が直接関与しないときというのは、重要影響事態にも、ましてや、存立危機事態にも当たらないんですね。

 となると、日本としてできることがほとんどないか、あるとしても、極めて限定的なのではないかというふうに思うわけでありますが、大臣、いかがですか。

浜田国務大臣 いわゆる台湾有事、又は米軍が参戦しない場合といった仮定の御質問にはお答えできないことを御理解願いたいと思いますが、その上で、台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障はもとより、国際社会全体の安定にとっても重要であります。台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのが我が国の従来から一貫した立場であります。

 また、一般に、我が国の対応は個別具体的な事態の状況によって決まるものであり、現時点でお答えできませんけれども、いずれにせよ、憲法、国際法や国内法令に従って、あらゆる事態に適切に対応できるよう、具体的な対応を考えていきます。

緒方委員 いろいろな想定を置きながら法律を作っているので、仮定の議論ができないというのはちょっとおかしな感じがしますが。

 もう一度簡潔にお伺いします。

 重要影響事態にも存立危機事態にも当たらないときというのは、日本の自衛隊が出ていくことができるツールというのは極めて限定的か、ほぼないか、そういうことではないかと思いますが、大臣、いかがですか。

浜田国務大臣 いかなる事態が重要影響事態や存立危機事態、武力攻撃事態に該当するかについては、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、政府が、全ての情報を総合して客観的、合理的に判断することとなるため、一概にお答えすることは困難であります。

 いずれにせよ、我が国を取り巻く安全保障環境が急速に激しさを増す中で、政府として、いかなる事態にも対応できるよう、平素から体制の整備に努め万全を期していくことは当然であると思います。

緒方委員 安保について、安保三文書ができた後は国会で大いに議論してほしいということでありましたが、これだと議論にならないですね、大臣。また、予算委員会は続きますので、ほかの方にもこの点を詰めていただければと思います。

 さらに、台湾有事についてお伺いをさせていただきたいと思いますが、仮に、台湾有事が起きて、そして米軍等が今回は関与をして、そして日本の米軍基地から出動するとき、これは日米安全保障条約第六条に基づく岸・ハーター交換公文による事前協議の対象となります。

 岸内閣総理大臣とクリスチャン・ハーター国務長官による交換公文で、こういった日本の基地から出ていくときというのは、交換公文の中で協議対象となるということになっておりますが、これは日本が同意を与えることが前提でしょうか、大臣。

林国務大臣 台湾有事という仮定の御質問にお答えをすることは差し控えますが、一般論として申し上げますと、今お話のあった岸・ハーター交換公文によりまして、日米安全保障条約の第五条の規定に基づいて行われるものを除き、日本国から行われる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用は、事前協議の対象であるというふうにされておられるところでございます。

 ここに言う戦闘作戦行動でございますが、昭和四十七年の政府統一見解におきまして、その典型的なものに言及した上で、そのような典型的なもの以外の行動については、個々の行動の任務、態様の具体的内容を考慮して判断するよりほかないというふうにされているところでございます。

 ある行動が戦闘作戦行動に該当するか否か、これは、政府統一見解の基本的な考え方に基づきまして、実際の個々の行動の任務、態様の具体的内容を考慮して判断することになると考えております。

緒方委員 しかし、これだけ台湾有事、台湾有事と言っている中で、こういった事前協議がアメリカから来たと仮定するときに、要するに、これを断っているということは、日米安全保障条約が崩壊をするということであります。

 そう考えたときに、今の答弁は結構重要でありまして、この岸・ハーター交換公文による協議対象となるときにもイエスと言わない可能性を残すということですね、大臣。

林国務大臣 先ほど申し上げたように、事前協議の対象になるかならないか、これについての昭和四十七年の政府統一見解というのがございまして、なるものの典型的なものに言及した上で、そのような典型的なもの以外については、個々の行動の任務、態様の具体的内容を考慮して判断するよりほかない、こういうことになっておりますので、一概に、同意をしないとかするとか、協議の対象である、ないということを最初から決めて対応するということではなくて、先ほど申し上げましたように、具体的内容を考慮して判断するということになります。

緒方委員 もう一度だけお伺いさせていただきます。

 しないという可能性があるということですか、大臣。

林国務大臣 繰り返しになるかもしれませんが、協議の対象であるかどうかということについての先ほど統一見解を御披露させていただきました。

 戦闘作戦行動について、典型的なものに言及した上で、それ以外について、考慮して判断するよりほかないということですから、考慮して判断した結果、それは事前協議の対象であるかないかということがそこの時点で判断をされるということでございます。

緒方委員 余り私は時間がありませんので、最後、対北朝鮮についてお伺いをいたしたいと思います。

 日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化を図るというのはよく使われる表現なんですが、今でも、諸懸案を包括的に解決しないと日朝国交正常化交渉に入らないという、そういう趣旨なんでしょうか。

 普通に考えると、別のやり方があると思うんですね。日朝国交正常化交渉をやりながらこれらの問題の解決を図るという選択肢も大いにあり得ると思うんですけれども、この決まり切った表現の解釈についてお伺いしたいと思います、林大臣。

林国務大臣 立場については今御説明があったとおりでございますが、日朝関係の今後の在り方を両首脳の議論の結果として記しました日朝平壌宣言というのがございますが、ここには、国交正常化の実現に至る過程においても、日朝間に存在する諸問題に誠意を持って取り組むという旨の記載がございまして、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決するまで北朝鮮と国交正常化交渉を行わないということではないというふうに考えております。

緒方委員 続きまして、私、安倍総理の時代から岸田総理に至るまで、どうしても理解できない表現の中に、前提条件なしで会う用意があると、先方と。その表現がすごく気になるんです。

 ちょっと人間と人間との関係を考えてみると分かるんですけれども、利害が対立している者同士で、向こうから前提条件なしで会うよと言われて会いたくなる人は多分いないと思うんですよね。そう思いませんか、皆さん。

 外交の常識として、いろいろと条件をつけながら最終的に会うことが確定するわけであり、今の、前提条件なしで本当に動くと思っているのであれば、その姿勢は極めてナイーブなものだと思います。これはお鉢を単に相手に預けているだけであって、むしろ会う可能性を閉ざしているだけなんじゃないかというふうに思うわけですが、林大臣、いかがですか。

林国務大臣 我々がこういうふうに申し上げること、申し上げていることについて北朝鮮側がどう受け止めているかということについては、当然、お答えすることは差し控えたいと思います。

 条件をつけずにという表現でございますが、これは、北朝鮮の核、ミサイル、そして最も重要な拉致問題の解決に向けて、相互不信の殻を破って、金正恩委員長と直接向き合うという決意をより明確な形で述べたものでございます。

 我が国としては、日朝平壌宣言に基づいて、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決して、不幸な過去を清算し、日朝国交正常化、これを目指していく考えでございます。

緒方委員 しかし、国内に向けては、今言ったように、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を解決するんだと強い意思を示しているわけですよね。けれども、向こうと向き合うときに、これだけ国内で言っているにもかかわらず、いや、前提条件はないですと。単なる不信感をあおっているだけですよね、それは。そう言われて会いたくなるかというと、多分会いたくないんだと思うんですよね。

 少し問いを、更問いということでやらせていただきたいと思いますが、仮に北朝鮮側から様々な条件をつけられたとしても、日本としては前提条件をつけずに会う用意がある、そういう理解でよろしいですか、大臣。

林国務大臣 仮定の話にお答えすることはなかなか難しいし、差し控えなければならないと思っておりますが、条件をつけずにというのは、北朝鮮の核、ミサイル、そして最も重要な拉致問題の解決に向けて、相互不信の殻を破って、直接向き合うという決意を明確な形で述べたものである、先ほど申し上げたとおりでございます。

 日朝の両首脳によって合意をされた二〇〇二年九月の日朝平壌宣言、これに基づいて、諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化を目指す、この方針には何ら変わりがないところでございます。

緒方委員 全然お答えになっていなかったんですが、北朝鮮から条件をつけられても、こちらは前提条件なしで会う用意があるということなんですかということをお伺いしております、大臣。

林国務大臣 北朝鮮とのやり取りの中身につきましては、今後の交渉に影響を及ぼすおそれがあるために、明らかにすることは差し控えたいというふうに思います。

緒方委員 私は余り時間がないんですが、ちょっと、これは通告なしですけれども、林大臣にお伺いしたいのが、日朝平壌宣言、日朝平壌宣言と言われますが、日朝平壌宣言の中で今でも守られている部分というのはあるんでしょうか、大臣。

林国務大臣 先ほど申し上げましたように、我々としては、合意をされましたこの日朝平壌宣言に基づいて、諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化を目指す、この方針には何ら変わりはないということでございます。

緒方委員 もう私は時間がないので、最後にもう一個だけ。

 日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算し、日朝国交正常化を図るというこの手順と、前提条件なしで会いますという、その二つをセットにするときに、日朝外交が動きそうなダイナミズムがどこにもないんですよね。停滞している原因は、このメッセージの発し方に原因があるんじゃないかと思います。単にやる気がないだけじゃないですかね、大臣。

林国務大臣 外務省にもおられた緒方委員のお言葉ですから、拳々服膺して受け止めたいとは思いますが、我々としては、この合意された日朝平壌宣言に基づいて、諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化を目指す、この方針には何ら変わりがないところでございます。

緒方委員 なかなか難しいですね。本来、こういった議論、どんどんどんどん予算委員会でやるべきだと思います。

 私は、時間が終わりましたので、これで終えさせていただきます。ありがとうございました。

根本委員長 これにて緒方君の質疑は終了いたしました。

 各大臣は御退席いただいて結構でございます。

    ―――――――――――――

根本委員長 この際、三案審査のため、去る十日、第一班新潟県、第二班福岡県に委員を派遣いたしましたので、派遣委員からそれぞれ報告を聴取いたします。第一班牧原秀樹君。

牧原委員 新潟県に派遣された委員を代表いたしまして、団長に代わり私からその概要を御報告申し上げます。

 派遣委員は、根本匠委員長を団長として、理事堀井学君、大西健介君、赤羽一嘉君、委員鈴木隼人君、田中和徳君、細田健一君、宮下一郎君、鷲尾英一郎君、西村智奈美君、藤岡隆雄君、池畑浩太朗君、笠井亮君、櫛渕万里君、私、牧原秀樹の十五名であります。

 去る十日、現地において、亀田製菓株式会社を視察し、関係者から説明を聴取いたしました。

 次いで、新潟市において会議を開催いたしました。

 会議におきましては、一般社団法人新潟県商工会議所連合会会頭福田勝之君、日本労働組合総連合会新潟県連合会事務局長小林俊夫君、新潟県十日町市長関口芳史君及び新潟大学名誉教授立石雅昭君の四名から意見を聴取いたしました。

 まず、福田陳述人からは、地元経済の状況、賃上げ、価格転嫁対策、GX、DX人材不足への対応等、令和五年度予算に対する要望などの意見が、

 次に、小林陳述人からは、物価高騰対策やセーフティーネットの強化、中小企業が賃上げしやすい環境の整備などの意見が、

 次に、関口陳述人からは、雪害対策、十日町市における文化、観光及び移住者増と地域活性化の取組などの意見が、

 最後に、立石陳述人から、福島第一原子力発電所事故の検証、令和五年度予算におけるGX政策の論点

などの意見が述べられました。

 次いで、各委員から意見陳述人に対し、生活困窮者支援の在り方、奨学金返済の減免の必要性、再生可能エネルギー推進のために政府が取り組むべき課題、若年人口流出の歯止めや対策、観光資源の有効活用、我が国の原子力政策の問題点などについて質疑が行われました。

 以上が会議の概要でありますが、議事の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はそれによって御承知願いたいと存じます。

 なお、今回の会議の開催につきましては、地元関係者を始め多数の方々の御協力をいただき、極めて円滑に行うことができました。ここに深く感謝の意を表する次第であります。

 以上、御報告申し上げます。

根本委員長 次に、第二班古川禎久君。

古川(禎)委員 福岡県に派遣された委員を代表いたしまして、その概要を御報告申し上げます。

 派遣委員は、私、古川禎久を団長として、理事小林鷹之君、中山展宏君、後藤祐一君、青柳仁士君、委員岩屋毅君、奥野信亮君、土屋品子君、三谷英弘君、八木哲也君、森山浩行君、吉田はるみ君、吉田久美子君、斎藤アレックス君、緒方林太郎君の十五名であります。

 去る十日、現地において、株式会社山口油屋福太郎を視察し、関係者から説明を聴取いたしました。

 次いで、福岡市において会議を開催いたしました。

 会議におきましては、福岡県知事服部誠太郎君、日本労働組合総連合会福岡県連合会事務局長矢田信浩君、株式会社Branches代表取締役権藤光枝君及びトリゼンフーズ株式会社代表取締役会長河津善博君の四名から意見を聴取いたしました。

 まず、服部陳述人からは、学校におけるICT教育の推進、半導体の需要増加を踏まえた人材の育成、確保、ベンチャー企業の創出及び拠点化の推進、脱炭素化に向けた水素の利用拡大、宇宙ビジネス、バイオ産業の振興、福岡県における新型コロナウイルスを始め、新興感染症に対する関係法令、一元的、組織横断的な体制の整備などワンヘルスの推進などの意見が、

 次に、矢田陳述人からは、中小企業における原材料高騰などを受けた価格転嫁、取引の適正化、賃金格差の是正に向けた関係法令の拡充、最低賃金全国平均千円の達成、賃金の底上げに向けた国の後押し、子育てをめぐる伴走型相談支援の体制強化、衣食住や医療、教育などへの支援、教職員の業務負担の軽減や長時間労働の是正の必要性などの意見が、

 次に、権藤陳述人からは、保育所スタッフの賃上げ、いわゆる百三万円の壁の問題などを受けた働き方の課題、男性の家事、参画を進める仕組みの必要性、障害のある子供を始めとする、困難な子供たちとその家族への支援、保育士不足の解消、労働環境の改善に資する子育て支援員などの適正な配置の必要性などの意見が、

 最後に、河津陳述人から、鳥インフルエンザによる食品、流通業界などにおける様々な課題、飼料、燃料費などが高騰する中、鶏ふんなどの処理の問題やそれらを活用した肥料事業などのSDGsの取組、飲食業界におけるインバウンドの現状及び人手不足などの課題

などの意見が述べられました。

 次いで、各委員から意見陳述人に対し、福岡県におけるベンチャー企業の創出及び拠点化に向けた工夫、アジアに近い福岡県の地理的特性を生かした経済活性化への取組、中小企業における賃上げに向けた支援に関する課題、教職員の超過勤務の扱いなど給与形態、労働環境をめぐる課題、少子化が静かなる有事と言われる中での、産前産後における課題、病児保育や一人親世帯などに対する支援の在り方、飲食業界などにおける外国人材の受入れに関する課題などについて質疑が行われました。

 以上が会議の概要でありますが、議事の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はそれによって御承知願いたいと存じます。

 なお、今回の会議の開催につきましては、地元関係者を始め多数の方々の御協力をいただき、極めて円滑に行うことができました。ここに深く感謝の意を表する次第であります。

 以上、御報告申し上げます。

根本委員長 以上で派遣委員からの報告は終わりました。

 お諮りいたします。

 ただいま報告のありました第一班及び第二班の現地における会議の記録は、本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔会議の記録は本号(その二)に掲載〕

    ―――――――――――――

根本委員長 次回は、来る十五日午前八時五十五分から委員会を開会し、集中審議を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十三分散会

     ――――◇―――――

  〔本号(その一)参照〕

    ―――――――――――――

   派遣委員の新潟県における意見聴取に関する記録

一、期日

   令和五年二月十日(金)

二、場所

   ホテルオークラ新潟

三、意見を聴取した問題

   令和五年度一般会計予算、令和五年度特別会計予算及び令和五年度政府関係機関予算について

四、出席者

 (1) 派遣委員

    座長 根本  匠君

       鈴木 隼人君   田中 和徳君

       細田 健一君   堀井  学君

       牧原 秀樹君   宮下 一郎君

       鷲尾英一郎君   大西 健介君

       西村智奈美君   藤岡 隆雄君

       池畑浩太朗君   赤羽 一嘉君

       笠井  亮君   櫛渕 万里君

 (2) 意見陳述者

    一般社団法人新潟県商工会議所連合会会頭    福田 勝之君

    日本労働組合総連合会新潟県連合会事務局長   小林 俊夫君

    新潟県十日町市長    関口 芳史君

    新潟大学名誉教授    立石 雅昭君

 (3) その他の出席者

    予算委員会専門員    齋藤 育子君

    財務省主計局主計官   佐久間寛道君

     ――――◇―――――

    午後零時二十九分開議

根本座長 これより会議を開きます。

 私は、衆議院予算委員会派遣委員団団長の根本匠でございます。

 私が会議の座長を務めさせていただきます。

 この際、派遣委員団を代表いたしまして一言御挨拶を申し上げます。

 当委員会では、令和五年度一般会計予算、令和五年度特別会計予算及び令和五年度政府関係機関予算の審査を行っております。

 本日御意見をお述べいただく皆様方におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようよろしくお願いいたします。

 それでは、会議の運営につきまして御説明申し上げます。

 議事は、全て衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長の私が行うことといたします。発言される方は、その都度座長の許可を得ていただきますようお願いいたします。

 なお、意見陳述者の皆様から委員への質疑はできないことになっておりますので、御承知おき願います。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、意見陳述者の皆様からお一人十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答え願いたいと存じます。

 なお、御発言は着席のままで結構でございます。

 それでは、本日御出席の方々を御紹介いたします。

 まず、派遣委員は、自由民主党の牧原秀樹君、堀井学君、鈴木隼人君、田中和徳君、細田健一君、宮下一郎君、鷲尾英一郎君、立憲民主党・無所属の大西健介君、西村智奈美君、藤岡隆雄君、日本維新の会の池畑浩太朗君、公明党の赤羽一嘉君、日本共産党の笠井亮君、れいわ新選組の櫛渕万里君、以上でございます。

 次に、本日御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。

 一般社団法人新潟県商工会議所連合会会頭福田勝之君、日本労働組合総連合会新潟県連合会事務局長小林俊夫君、新潟県十日町市長関口芳史君、新潟大学名誉教授立石雅昭君、以上四名の方々でございます。

 それでは、まず福田勝之君に御意見をお述べいただきたいと存じます。

福田勝之君 ありがとうございます。

 まずもって、我が新潟市でこのような機会をいただきましたこと、厚く御礼を申し上げます。

 日頃、代議士の皆様方におかれては、経済振興を始め、国民生活の向上に向け、多大なる御尽力を賜っておることを感謝申し上げます。

 私からは、主に地元の景況、また、中小企業、小規模事業者の支援と地域振興関連について意見を述べさせていただきます。

 御高承のとおり、エネルギー、資材価格の高騰、そして突然のロシアのウクライナ侵攻、そして円安などの要因によりまして、悪いインフレが拡大し、経営を取り巻く環境の先行きを予測することは、現時点において大変困難な状況にあります。

 こうした中、新潟県内の昨年における倒産件数及び負債総額はいずれも前年比増となっており、倒産のうち、新型コロナ関連が大きく増加している状況であります。

 また、コロナ禍にあって、長引く売上げ、受注減少により、また一方でゼロゼロ融資を含む借入金過多、債務超過の現実があり、返済に対応できるか懸念される事業所も多く見られるのが実情であります。

 さらに、経営者の高齢化に伴う事業承継も大きな問題となっております。特に中小企業、小規模事業者においては、インボイス制度の対応ができずに、事業承継以前の段階で廃業してしまうことも懸念されておるところであります。

 このような中ではございますが、余り暗いことを言っても仕方ないので、新潟における明るい話題の一端を御紹介させていただきます。

 今年五月にG7財務大臣・中央銀行総裁会議が開催される予定となっております。新潟を国内外に発信する絶好の機会として、我々も頑張っていきたいと思っております。

 また、四半世紀に及ぶ関係者の熱心な取組の結果、佐渡の金山の世界遺産登録実現もあと一歩というところまで来ています。

 加えて、地域航空会社でありますトキエアの年内中の就航も見通せる状況となりました。観光振興、地域振興という面で、地元経済界としても大いに期待をしているところであります。

 それでは、令和五年度予算に対する意見について、八つの項目について述べさせていただきます。

 まず、賃上げと価格転嫁についてであります。

 雇用の七割を占める中小企業の賃上げは非常に重要であり、私は基本的に、賃上げできる企業は賃上げすべきという考えでありますが、そのためには、当然、かかる経費等を価格に上乗せして利益を出し、原資を確保していく必要があります。

 ところが、実際のところ、企業間での価格交渉の段階で賃上げを断られたり、飲食店などでは、値上げにより客離れが進むのではないかという恐れから賃上げをためらったりと、思うように価格転嫁が進んでいないのが現状であります。

 経済三団体では、取引価格の適正化に向け、パートナーシップ構築宣言を推進し、比較的大きな企業に対して協力を呼びかけております。宣言企業も一万八千社を超えているところであります。

 政府、国からは、是非とも、中小企業、小規模事業者が値上げをする勇気が持てる方向性の打ち出しと、さらに、防衛的賃上げではなく、自発的かつ持続的な賃上げにつなげていくための取引価格適正化を是非強力に進めていただきたいと考えております。

 二番目は、スタートアップ、イノベーション創出の推進についてであります。

 持続可能な経済成長に向けては、地域に良質な仕事と雇用を新たに創出していく視点が欠かせません。

 新潟においては、スタートアップ、ベンチャー企業、教育・研究機関等が集まり、イノベーションを共創する場としてNINNOという施設が創設され、若手経営者を中心に、国の補助金等も活用させていただきながら、各種の取組が進められております。

 今後も更に、社会課題の解決を成長につなげる重点分野への長期的かつ計画的な支出や税制などの支援により、中小企業の成長期待と起業意欲を高め、民間の国内投資を強力に後押ししていただきたいと思っているところであります。

 三番目に、GX、DXの推進についてであります。

 これらの取組に関しては、必要性を大いに感じているところですが、中でもDXを始め、Xがつく取組を推進するには、ハード面もさることながら、何よりも知識に富み、企業に寄り添って指導助言ができる人材が必要であります。

 皆様御案内のとおりと思いますが、特に地方においては、こうした専門人材の不足が顕著であり、それらの育成はもとより、育った専門人材がその地域や企業にしっかりと定着できるような政策、施策の構築と予算の更なる拡充をお願いしたいと思っております。

 私ども商工会議所、全国にございますが、五百十五の会議所でそれを独自に、専用人材を地方の会員にセミナーとかそういう形でやれるというのは、本当に、大きな商工会議所だけでございます。地方の小さな商工会議所にとりましては、専用人材を頼むこと自体が大変な大きな負担になっておりますので、是非御支援を賜りたいと存じます。

 四番目は、事業再構築、事業承継の促進についてであります。

 ウィズコロナやアフターコロナ、最近では、ビヨンドコロナ、共生し、かつ乗り越えていく、と呼ぶことも多いようですが、コロナ禍を契機に、新業態への転換など、規模、業種にかかわらず、企業にとっては新たな挑戦が求められるようになってきました。

 先ほどの創業、スタートアップやデジタル化による生産性向上を含め、事業再構築、事業再生、再チャレンジ、事業承継、第二創業、しかしながら、事業再構築にはリスクを伴う投資や費用負担が伴うことから、補助金等の支援策の拡充及びビジネス環境整備への予算づけをお願いします。

 また、事業承継につきましては、私ども商工会議所もお願いして、大きな抜本的な改革をしていただきました。ただ、なかなか、いろいろな制約がある中、税制改正や制度改正の問題になるとは思いますが、法人版事業承継税制の特例措置の恒久化及び事務負担の軽減、簡素化につながる政策、施策の構築を望んでおります。

 五番目は、国土強靱化のための都市整備の促進でございます。

 これは、特に新潟の場合は、一昨年ですか、大きな雪の被害で何千台の車が渋滞したということが起きております。今年も大変、十二月には大変なことになりました。これは、我々が雪を降れ降れと言っているわけじゃないんですけれども、そういうのが自然の脅威でございますので、それについてはますます力をいただければと思っております。

 六番目は、ゲートウェー機能の強化であります。

 この三年間、インバウンドを全部止めまして、日本の地域のゲートウェーが機能していなかったわけでございますが、これから急速にそれが戻ってくることを期待しておりますが、そのゲートウェーの機能については、今まで以上に集中的な投資をしていかなければ新しい形はできないと思っております。それについては、是非国のお力添えをいただきたいと思っています。

 七番目が観光再生の推進ですが、これは、人口減少の中で、交流人口の増加の起爆剤として期待されるのが観光であり、中でもインバウンドについては、新潟を含め各地方において、かなり以前から官民挙げての取組が進められております。

 しかし、御案内のとおり、東京、大阪、京都というゴールデンルートから外されている地方にとっては、これからが大きなチャンスであると思っております。

 そういう意味では、各地の観光予算につきましては、是非予算をつけていただくのはもちろんですが、そういうプロを是非地方に送り込んでいただければ幸いと思います。

 八番目、最後でございますが、コロナウイルスへの対応についてでございますが、皆様大変御苦労されておりますが、私どもとしては、五月には確実に五類に移行してほしいと考えております。これこそが最大の社会経済対策になると考えているところでございます。

 以上、思いつくまま意見を述べさせていただきましたが、趣旨を御理解いただき、政策と予算に反映いただきますよう、何とぞよろしくお願い申します。

 私からは以上でございます。(拍手)

根本座長 ありがとうございました。

 次に、小林俊夫君にお願いいたします。

小林俊夫君 ただいま御指名をいただきました連合新潟の小林です。

 私たち連合新潟は、新潟県に働く十二万人の労働者で組織をしております。

 本日は、このような場で私たち連合新潟の意見を表明する機会をいただきましたこと、感謝をいたします。ありがとうございます。

 さて、私たちが暮らす新潟県ですけれども、県の報告によれば、人口は、一九九七年の二百四十九万一千八百七十四人をピークに減少を続けています。現在では二百二十万人を下回る状況となっております。また、十五歳から六十四歳の生産年齢人口、こちらにつきましても、一九八五年の百六十三万七千六百五十七名をピークにこちらも減少を続け、現在では百二十万人を下回っている状況です。

 雇用労働者数は約八十三万人、このうち約三割がパートタイム労働者というふうになっています。

 私たち連合新潟は、十二万人のスケールメリットを生かしまして、新潟労働局や新潟県、各市町村に対し、働く者、生活者、納税者の立場から地方行政施策に対し政策制度要求を行い、私たちの声を反映していただけるよう取り組んでいます。また、各行政が主催する委員会、審議会などにも参画をさせていただき、意見を述べさせていただいております。さらに、経営者団体とも毎年懇談会を通じ意見交換を行っています。

 しかしながら、地方行政が取り組める施策だけでは、私たちが目指す、働くことを軸とする安心社会の構築はできません。地方における働く者、生活者の声を私たちが選んだ国会議員の皆様を通じて国会の場に届け、そして国会審議の場に委ねることになります。

 そのような現状からも、本日、私からは主に三点について意見を述べさせていただければというふうに思います。

 まず一点目ですが、物価高騰対策並びにセーフティーネットの強化であります。

 先ほどから出ておりますように、日本は、長引くコロナ禍に加え、ロシアのウクライナ侵攻に端を発した供給制約によるエネルギー価格の更なる高騰と急速な円安による物価高により、家計や企業経営、とりわけ低所得者や価格転嫁が難しい中小企業などに甚大な影響を与えています。迅速で的確な対策が求められていますが、無論、新潟県も同様であると思います。

 連合新潟は、二〇二三年、今年の春季生活闘争において、物価高も加味した賃金引上げの交渉を経営層と行いますが、物価上昇局面における総合的な対策として、物価上昇が生活に与える影響が特に大きい低所得者への機動的な支援の継続が必要であります。

 新潟県の人口の三分の一を占める新潟市の二〇二二年十二月の消費者物価指数は、総務省が発表した数値によると、天候による変動が大きい生鮮食料品を除いた総合指数が二〇二〇年を一〇〇として一〇三・二となり、過去最高を更新しました。これは前年同月と比べ四%上昇し、上昇率としては、消費税率が五%に引き上げられた一九九七年以来、二十五年ぶりに四%台というふうになりました。

 生活者、特に低所得者の生活実態は厳しさを増しています。引き続きの支援をお願いするとともに、支援の規模や時期については、政策効果の検証を含め、今後の物価上昇を前提とした予算を編成した上で、早急な対応をお願いいたします。

 また、格差社会、貧困社会の是正、セーフティーネットの強化として、生活困窮者自立支援制度が本来の役割と機能を果たせるよう、同制度の拡充、体制整備も必要です。コロナ禍以降増加した相談、支援により相談員、支援員が疲弊し、相談崩壊を招かないよう、新型コロナウイルス感染症セーフティネット強化交付金、こういったものを活用し、相談員、支援員の人員体制の強化をお願いをいたします。

 加えて、生活困窮者自立支援事業は、人が人を支える、こういった制度であることに鑑み、事業を担う相談員、支援員が誇りを持って安心して働けるよう、雇用の安定と賃金水準の大幅な引上げなど処遇の改善や、研修の充実などスキルの向上を支援するための措置もお願いをいたします。

 続いて、二点目となります。二点目は、経済の好循環のための、中小企業が賃上げしやすい環境の整備についてということになります。

 二月八日の日本経済新聞によれば、日本の原材料価格上昇分などの価格転嫁は、欧米各国と比較し、五割にとどまっているとのことです。原材料価格などの上昇による負担が中小企業により大きくかかっていることが問題です。賃上げの原資を確保するためにも、物価高に対しては、適切な価格転嫁によるサプライチェーン全体でのコスト負担が必要です。しかし、このサプライチェーン全体でのコスト負担は、一企業労使では対応が困難です。パートナーシップ構築宣言の取組を政府、経営者団体とも熱心に進められておりますけれども、その実効性の確保が重要です。実効性を確かなものとするためにも、下請Gメンの増員、公正取引委員会、中小企業庁の執行体制強化の必要があると考えます。

 また、取引には、このような価格交渉だけでなく、働き方の適正化も含まれています。正当な理由がないまま労務の提供を求めたり、急な発注にもかかわらず短納期を求めるなど、受注側が時間外労働、休日労働で対応せざるを得ない、こういった発注側の優越的地位の濫用は、下請法の違反に当たる場合もあります。中小企業への時間外労働の割増し率がこの四月から引き上げられることも踏まえ、企業のコスト増となる要因を増やさないためにも、下請法の遵守が求められるところです。

 以上、中小企業の賃上げ環境整備に向けた、下請法遵守のための取組強化をお願いをいたします。

 最後に、三点目となりますが、若年層を取り巻く課題としての奨学金問題について述べさせていただきます。

 現在、日本の奨学金は給付型よりも貸与型が多く、奨学金返済のために結婚や出産をためらう若者が多数います。返済困難に陥っている若者を救い、将来に希望を持てる社会を実現するためには、奨学金の経済負担を軽減し、貸与中心から給付中心の奨学金制度を早期に実現することが求められています。連合新潟も構成団体として活動している新潟県労働者福祉協議会は、中央労福協などと連携し、取組を進めているところです。

 私たちが行っている運動の一部を少し紹介させていただきます。

 現在、新潟県労働者福祉協議会の構成団体である新潟ろうきん財団では、新潟県の高校生に月一万円の給付型奨学金事業を行っています。これには年間百三十件ほどの応募がありますが、新潟ろうきん財団の財源の関係から給付を受ける高校生は三十件と、拡充ができない状況にありました。

 この状況を改善するため、県労福協では、新潟県内の若者たちの夢の実現に寄与することはもちろん、奨学金問題解決の一助となるよう、昨年、給付型奨学金事業の拡充に向けた寄附を募りました。

 連合新潟傘下の組合はもちろん、県労福協の構成団体、労働金庫の会員など幅広い協力があり、現在四億円を超える寄附が寄せられ、本年四月から百件の給付ができる運びとなりました。

 現在、大学に通う学生の奨学金の利用は半数に上っています。大学での学びを終え、社会人となったときから多額の奨学金返済を抱えた若者がいます。異次元の少子化対策を打ち出している政府ですけれども、少子化対策は幼少期に限ったものではありません。予算委員会での審議を通じ、これらの支援についても論議をいただけるようお願いをいたします。

 私からは以上となります。(拍手)

根本座長 ありがとうございました。

 次に、関口芳史君にお願いいたします。

関口芳史君 十日町市長の関口芳史と申します。

 本日は、このような機会を私どものような比較的小規模な自治体にも設けていただきまして、誠にありがとうございます。

 お手元に資料をお届けしております。大きく三つの項目についてお話をさせていただきます。なお、当市の概要につきましては、資料の一ページを御参照ください。

 それでは、資料の二ページであります。まず、一つ目の豪雪対策についてでございます。

 当市は、中心市街地におきましても積雪が二メートルを超える全国有数な特別豪雪地帯でございます。毎年の除雪作業には大変苦労いたしております。

 その反面、せっかくの雪を貴重な資源として捉えて、令和二年度には、「究極の雪国とおかまち 真説!豪雪地ものがたり」というストーリーが日本遺産に認定をされたものでございます。

 そんな当市の財産にもなり得る雪ではありますが、やはり大変であることには変わりはございません。昨年度、一昨年度は、二年連続で例年にない大雪に見舞われました。

 令和二年度におきましては、災害救助法が適用されまして、要援護世帯千四百二世帯に対する屋根の雪下ろしなどを緊急的に実施をいたしました。また、令和三年度は除雪費が過去最高額となるほどの豪雪となりましたが、交付金の追加配分に加え、臨時特例措置などの財政支援をいただき、厚く感謝を申し上げます。

 また、重要な生命線であります道路施設を維持するための防災・減災、国土強靱化につきましては、平成三十年度から始まりました三か年緊急対策に続き、五か年加速化対策として継続いただいたことで、橋梁などの計画的な維持修繕に加えまして、消雪パイプ、また流雪溝など、冬でも通行しやすい道路整備につながっております。この対策が終了いたします令和七年度以降も、引き続き対策を講じていただくようお願いを申し上げます。

 一方、道路以外の雪対策といたしまして、克雪住宅化への継続的な御支援に加えまして、令和三年度からは、新潟県知事を会長とする全国積雪寒冷地帯振興協議会による要望活動などが実り、除雪時の死傷事故防止に向けました豪雪地帯安全確保緊急対策交付金が新たに創設されるなど、雪国の安全、安心な生活を支えていただいていると実感しているところでございます。

 しかしながら、道路除雪費におきましては、労務単価がこの十年間で約六割上昇しているため、年々増加をいたしております。加えて、住宅の克雪化が進んでいる反面、いまだ屋根の雪下ろし中の転落死傷事故が毎年発生していることから、今後も交付金や臨時特例措置などの財政支援はもとより、令和五年までの時限措置であります豪雪地帯安全確保緊急対策交付金の恒久制度化など、支援の拡充が必要と考えております。

 また、一昨年は災害救助法が適用されましたが、同様の豪雪でありました昨年度につきましては法の適用には至らず、県条例の適用にとどまったわけであります。また、現場におきましては、屋根の雪下ろしを担う人材確保が大きな課題となってきております。こうしたことから、法適用期間の延長や、また現場の負担軽減など、要援護者、高齢者の誰もが豪雪地でも安心して暮らせますように、地元市町村の判断が生かされるような柔軟な制度運用につきまして特段の御配慮を賜りますようにお願いを申し上げます。

 次に、大きな二つ目の文化観光の取組についてであります。お手元の資料三ページを併せて御覧をいただきたいと思います。

 バブル崩壊後、昭和の終えんの頃より、基幹産業であります着物産業が当市において衰退していく中、豊かな自然を生かしたリゾート開発などの取組によりまして観光客を呼び込む施策を実施をしてまいりました。ここ数年は、地域の文化を理解し、その価値を見出すような旅行者が増えてきたと感じております。

 平成十二年に、地方創生を目的といたしまして大地の芸術祭を開始をいたしました。地域の方たちと協働し、芸術を基軸に置いた全く新しい取組は、様々な苦労がございました。着手から四半世紀がたった今、北川フラム総合ディレクターの卓越した見識の下、日本でも有数の国際芸術祭に成長し、直近の第八回展では五十七万人を超える入り込みがございました。

 芸術祭がスタートした平成十二年は新潟県から、そして第五回展となります平成二十四年からは文化庁の絶大なる御支援をいただいて実施をしてまいりました。多額の経費が必要なため、財源確保の営業活動に積極的に取り組んでまいりました。その結果、企業版ふるさと納税を始めとする県内外の企業様からの寄附など、多くの皆様に支えられてきております。

 国内の自治体では同じ北川ディレクターを擁する姉妹芸術祭が増えてまいりましたし、今後は国外での同様な動きも期待をされるということであります。また、SNSを中心に芸術祭ファンは着実に増加をしております。

 そして、日本経済団体連合会からは、地域協創プログラムのパートナーに選んでいただきました。経団連が目指す地域協創に資する取組に対し、参加企業から応援いただく仕組みでありますが、双方にメリットがある、とても価値のあるものと考えております。経済界の皆様から、地域を元気にする取組として認めていただき、大変誇らしい気持ちでございました。

 ポストコロナの時代においては、インバウンドを含め、この取組は、ほかの自治体でも大いに取り組むことができるやり方ではないかと感じております。当市のように地方創生に取り組む自治体に対しまして、今後とも特段の御支援、御配慮を賜りますことをお願い申し上げます。

 最後に、三つ目であります。地方への移住者増と地域活性化の取組についてであります。お手元の資料四ページを併せて御覧をいただきたいと思います。

 地域おこし協力隊制度におきましては、全国に先駆けて受入れをスタートいたしましたが、これまで八十九人が着任し、七割以上の隊員が当市に定住するなど、パイオニアとしての注目を集めていると感じております。この定住率が高いことは、起業や、また住宅取得等への支援など、国の制度を最大限に活用させていただいた成果であるというふうに考えております。厚く御礼を申し上げます。

 協力隊の卒業生には、クラフトビールの製造会社を創業された方もいらっしゃいますし、また、後輩隊員をサポートする一般社団法人を立ち上げたりと、それぞれの技能と人脈を生かし、地域の新たな担い手として頑張ってくれていただいております。この度、この一般社団法人の取組が令和四年度ふるさとづくり大賞の団体表彰、総務大臣賞を受賞いたし、大変ありがたく感じております。

 さらに、国の令和五年度予算案におきまして、協力隊の募集経費への上乗せ、また、現役隊員のサポート経費を追加するなど、協力隊制度を拡充していただくことに重ねて御礼を申し上げます。

 一方で、平成二十六年度から、移住者に対する独自の助成制度として、ふるさと回帰支援事業を実施をいたしております。この制度は東京圏に限らず幅広く移住者を支援しており、コロナ禍による地方回帰の流れやテレワークの普及促進もあったため、コロナ禍の令和二年度におきまして百五十二人、令和三年度で百六十六人、今年度も、今現在百二十六人と着実に移住者の増につながっております。

 しかしながら、市独自の助成制度におきましては毎年約五千万円の一般財源が必要となっており、さらに、国が地方への人の流れの創出を更に強く推し進めていただいていることも踏まえまして、地方の取組に対する特段の御配慮をお願いをするものであります。

 最後になりますが、こうした取組が地方のそれぞれの自治体の中で共有をされて、十日町市が提供するこうした取組が一つのモデルとなりますように愚直に尽力してまいる所存でございます。御理解、御支援のほどをお願い申し上げて、私からの意見陳述とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

根本座長 ありがとうございました。

 次に、立石雅昭君にお願いいたします。

立石雅昭君 私の方から、資料に沿って意見を述べさせていただきます。

 御承知の方もおられるかと思いますけれども、一九九五年の兵庫県南部地震の後、日本の各地の原発立地県を回ってきて、なぜ日本にこんなに原発が多いのか、そのことを痛感をして、その後、特に地盤問題に関わっていろいろと発信をしてきました。今回、改めて、GXというふうに呼ばれているこの問題を中心にして、予算案の問題について考えてみました。

 私は、特に二〇一一年の福島原発の事故を基にして、県民本位の福島の復興なくして原発回帰、新増設はあり得ない、そういう立場で今日は意見を述べます。

 福島原発事故から間もなく十二年になります。今、政府として何をなすべきなのか、三つの点を述べております。

 福島原発事故の収束、廃炉、これに全力を挙げるべきなんだ。事故当初、三十年から四十年とされた廃炉工程。最も困難が予想される燃料デブリの取り出し、具体的にいつどのように始まるのか、見通しもない。いまだに緊急事態宣言がそのまま、いつ解除されるのか、見通しもない。

 二番目、事故の被災者はこれを救済する。ところが、いまだに、支援が次々と打ち切られている、これが現実ですよね。

 汚染水、これはたまり続けていますが、住民、国民の合意のないまま、海洋放出という手段だけが先行しているというふうに見えます。根本的な対策を是非ともお願いをしたい。

 この一番目の課題に関して、二月七日、福島復興再生特別措置法、この改正案、これが閣議決定されましたが、基本的には変わっていないというふうに私は思っています。

 二つ目のポイント、新潟で進めてきた福島原発事故に関する三つの検証、この意義を改めて強調しておきたいと思うんです。

 図をお示しをしております。新潟県は、二〇一八年来、この三つの検証、この三つの検証というのは、これまで東京電力の福島原発事故に関わって設置されてきたいろいろな検証委員会、この中でも大きく欠落していた住民、国民の視線でもって事故を見直してみようということで、健康と生活、あるいは避難、こういうものをやった委員会です。

 現在のところ、既に三つの報告が出ています、二ページ目にありますが。これまでの事故調査委員会では不十分だった、被害を被った住民、国民の視線で事故を検証したということに大きな意義があるというふうに思います。技術委員会、生活分科会、避難委員会から三つの報告が出ています。是非ともこれはお読みをいただきたい。

 技術委員会の報告の中で、これは私が二〇二一年まで技術委員の一人でありましたので、事故当初、東京電力はなかなかメルトダウンという用語を使わなかった。なぜなのか。これは、五年間も、メルトダウンということをマニュアルでちゃんと、こういう事象になればメルトダウンだ、こういうマニュアルがあったのに、それを隠していた、そういうことで、この技術委員会の議論の中で明らかになりました。さらに、水素爆発、これを、東京電力も、ほかの調査委員会も東京電力の言うままに、どこで起こったかということを、技術委員会では改めて、東京電力の主張は間違っている、科学的根拠がないということを明らかにしました。

 冒頭に言ったように、今回の三つの検証というのは、住民、国民の視線でもって分析されて、特に生活と避難、この分野では大きな役割を果たしてきたというふうに思いますが、これはお読みをいただければいいと思います。

 これも二月七日、最後に注のところにありますが、新潟県内三十市町村、ここによる原子力安全対策に関する研究会で、情報、避難、こういう点で強い懸念が示された。そういうことで、是非とも、この三つの報告、今、最後の健康分科会から報告がまとめられようとしていますが、是非ともお読みをいただきたいと思います。

 その上で、今回出されている令和五年度の予算のポイント、この点について言及をしておきたいと思います。

 カーボンプライシング、なぜこれをすぐに導入しないのか、よく分からない。将来これを導入する、それを担保にして当面国債を発行する、これは、本当にそれで将来的に禍根を残さないでいけるのか、誰が責任を負うのか、はっきりしない。私は、すぐにでもカーボンプライシング、これを導入をして、新しい方向のエネルギーというものを考える必要があるんじゃないかというふうに思うのが、最も、特に予算案の中での大きな問題です。

 この点で、幾つか今回、グリーントランスフォーメーションに関わって、幾つかのパブリックコメントというのが行われましたよね。これは非常に難解です。全国から千七百というふうに言われていますけれども意見が寄せられたということですけれども、これは一般の国民にもほとんど分からない、そういう内容だというふうに思うんです。改めて、国民に意見を公募するということはどういうことなのか、これを是非とも考えていただきたい。

 あわせて、急遽行われた、資源エネ庁、これによる各地域での説明会、このときに何と言ったか。意見交換会での意見、国民から出された意見はGXの基本方針には反映しません、こんなことをある意味堂々と言ったわけですよね。これは何のために、じゃ、説明会を開いたんだ。本当に腹立たしい感じを受けましたが、こういうやり方は本当に国民の不信を買うだけなんだ、そういうふうに見ていただきたいと思います。

 それから、いろいろ言われる次世代あるいは革新という用語、これは全然次世代でも革新炉でもない。基本的には、現在のこの軽水炉、これの延命の策でしかないというふうに思います。私は、この次世代というものについては、撤回を求めたいというふうに思っています。

 以上、私の方から、主にGXに関わった部分を、予算案について再考をお願いをしたいということです。

 以上です。どうも失礼しました。(拍手)

根本座長 ありがとうございました。

 以上で意見陳述者からの御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

根本座長 これより委員からの質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。鈴木隼人君。

鈴木(隼)委員 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。東京の選出の衆議院議員でございます、鈴木隼人と申します。

 今日は、四名の陳述人の先生方、お忙しい中、こうしたお時間をいただき、貴重な御意見を聞かせていただきまして、本当にありがとうございます。

 それでは、早速でございますが、質疑の方に入らせていただきたいと思います。

 まず、福田会頭にお伺いをさせていただきたいと思います。

 お話にもありましたように、原材料費、またエネルギーの価格の高騰、こういうことを踏まえますと、やはりどう考えても価格の転嫁というのは不可欠であろうというふうに考えております。

 この価格転嫁で考えたときに、新潟県下の産業界において、転嫁の今後の見通しはどのようにお考えか、また、新潟の商工会議所連合会として何か独自のお取組をお考えでしたら、その辺りについてもお聞かせいただけたらと思います。

福田勝之君 ありがとうございます。

 価格転嫁の見通しにつきましては、実は、新潟県の場合は、製造業の部分においては、大体、大手企業の下請さんが多いんですね。だから、そういう部分においては、大手さんが動けば、それなりに地域を守っていけます。

 ただ、大手企業さんがいない、簡単に言ったら農業ですね、農業は、実は、じゃ、米の値段が上がっているのか、原材料が何なんだというと、現実問題、米を運ぶ運搬賃も上がっているわけですね。そういうものをどうやって転嫁できるかというものについては、もちろんJAさんもいますし、我々もいますけれども、おいしい米、新潟を一歩踏み出して、それを消費者に分かってもらう、そういうことをやっていかなければ、今までと同じものをお渡ししていたんじゃ値上げはできない。

 ただ、今回も、実は午前中、中小企業の皆さんと話をしていたんですが、大手の皆さんがどんどん上げていかれます。それは、一緒になって上げるわけにはいきませんが、我々のできる範囲で上げていこうという気持ちは、新潟県の産業の方は皆さんお持ちであります。

 ただ、新潟県の人は本当に我慢強いところがありまして、そういう意味では、上げたいんだけれどもまだぎりぎりまで我慢するというところがあって。ただ、地域というのは、観光だとかそういう産業がまた復活してくれば、二次的に、自動的に上がってくるんですよね。だから、そういうのをじっと待っているというのが現状だと思っていますし、会議所としては、先ほどつい言ってしまいましたが、勇気のある値上げ運動。片一方では、商工会議所としては、各中小企業の皆さんに、自分たちの感覚、考え方を変えよう、自己改革が必要だ、値上げしたら断られる、そういうのをやめようということを、今、運動として動かしております。

 新潟県としては、会員の皆様に聞くと、今のところ、値上げしたという企業もあるんですけれども、なかなか浸透していないのは、実際、そうです。それは、本当にコロナは終わるのとか、本当にインバウンドがいっぱい来るのというのがありますので、例えば、先ほどちょっと最後にお願いしましたけれども、五月に五類に確実に変えていただくとか、そういう、先がきちっとすれば、やればできる県民性でありますので、それを我々は期待しています。

 ただ、どうなるか分からないよ、分からないよといって、できるだけ頑張って値上げしても、周りは上げないよという話になると、おかしくなるんですね。そこら辺は、これから我々会議所としては皆さんと連携しながらやっていこうと思っているところでありますので、決して、会員が、値上げできなかったら廃業するということは、大体、正直言って、後継者がいないのでおやめになる会員が多いものですから、それは我々としては引っ張っていくつもりでいます。

 何か、お答えになっているかどうか分かりませんが。

鈴木(隼)委員 ありがとうございます。

 勇気ある値上げと言っていただいたこの意気込みに、やはり大都市圏からも後押しをさせていただけるように、国会の方でもしっかりと後押しをさせていただけたらというふうに思っております。

 次に、関口市長にお伺いをさせていただきたいと思います。

 先ほど来御意見をいただいた中でも、やはり人口流出、これが非常に大きな地域の課題になっているというふうに私も認識をいたしました。

 この人口流出への対策として、先ほども幾つか新しい取組について御紹介をいただきましたけれども、これまでやられてきた対策の中で、これが一番効くんじゃないかといったようなものがあれば、是非教えていただけたらと思います。

関口芳史君 いろいろなことを重ねてまいりまして、本当に複合的に今やってきたわけでありますけれども、やはりUターン、Iターンの皆さんの注意を引いていただくために、いろいろな作戦はやってきました。

 高校卒業の段階で一遍出てしまうという大きな課題があるんです、私どもの場合には。ほかでも同じじゃないかと思いますけれども。一遍出た方を、もう一遍やはり帰ってくるというときのきっかけになるのは、やはり、そのふるさとが元気になっているとか、戻った先輩が活躍しているとか、そうした部分というのが長い目で見ると効いていたんじゃないかなという感じがします。

 そういった観点でいくと、地域おこし協力隊の諸君というのはIターンの方が多いんですけれども、そうした方が、もう十二年来の歴史が積み重なってきまして、ふるさとに戻った人もいますし、Iターンで来た人もいますが、そういった方が活躍している姿なんかを発信していくことが、やはり一番効果があるんじゃないかなという気がします。

 これも大地の芸術祭の取組になりますけれども、サッカーの女子チームができたんです。農業をやりながら、体もトレーニングしながら、北信越リーグの二部で頑張っていたんです。昨年優勝しまして、今度北信越の一部に上がるFC越後妻有というチームができたんですけれども、そこに十三人かな、若い女性が来て活躍しています。

 彼女たちの例えばそういった発信なんかが、非常にビビッドに若い方若しくは地元で頑張っているお父さん、お母さんたちに伝わって、そうしたことが、娘さんとか息子さんに、こんなに頑張っている子たちがいるよ、帰ってきて仕事がないばかりじゃないんだよ、いろいろな先輩たちがそういう実績ができているよ、そういうふうな宣伝効果といいますか、そうしたものが何か非常にこの頃いい感じになってきているなと感じていますし、これからもそうしたもので変化が起こり得るんじゃないかなという、そんな感触を得ております。

鈴木(隼)委員 ありがとうございます。大変イメージの湧くお話でした。

 やはり、じゃ、そこに移住しようかなと考えたときに、そこで暮らすことのイメージが自分の中でできなければ、じゃ、一歩踏み出そうということにはならない。そこで、やはりUターンの方は元々そこに住んでいた方だし、あるいはIターンの方に関しても、既に移住をして成功している方というか、そういう方の情報をきめ細かく発信をすることで、自分にもできるかもしれないなとか、自分に合っているかもしれないなとみんなが思える、そういう情報発信に努められているということで、本当に重要なところをついていただいているような気がいたします。

 これから、是非、お取り組みの事業がもっともっと実績を積み重ねていかれることを心から祈念を申し上げます。

 それでは、小林事務局長にお伺いをしたいと思います。

 セーフティーネット、生活困窮者支援について言及をいただきました。私もこの分野は本当に大事だと思い、また私自身も力を入れて取り組んでいる分野でありますので、是非、少し深掘りの御意見をいただけたらというふうに思っておりまして、この生活困窮者支援に当たっての一番本質的なところはどういうところなんだろうか、どこに切り込んでいけば真に困窮者の人たちを救えるんだろうか、その辺り、もし、小林事務局長、もう少し掘り下げた御意見をいただけそうであればお願いしたいと思います。

小林俊夫君 ありがとうございます。

 生活困窮者支援事業というところにつきましては、連合新潟が主体的に実は取り組んでいる事業というよりは、同じ会館内にあるパーソナル・サポート・センター、それからライフサポートセンター、こういったところと連携をしながら取り組んでいるところなんですね。

 生活困窮者支援事業は、委員も御存じのように、目的はその方の自立支援になります。なので、あくまで困っている方をそのまま助ければいいのか、例えば住宅がない方に住宅を与えればいいのか、食料に困っておられる方に与えればいいのか。多分、それだけで済む話ではなくて、本来的には、そこから更に一歩進んだ、就労支援であったりとか、そういったところまで踏み込んで、やはり自立を促す。そして、最終的には、恐らく今まで税によりとか補助金、助成金等により困窮者事業の中で助けていただいた人は、今度は逆に納税者の側に回るというんでしょうかね、そういったところまで自立支援をしていくということが大切だというふうに思っています。

 本質的なところと言われると、直接私どももそこの方々と面識があるわけではないので、なかなか委員の御質問に的確に答えることは難しいのですが、いろいろ話を聞く中で、今回のせっかくの場面ですのでお話をさせていただければ、生活困窮者の自立支援の事業の中で、先ほども言いましたが、相談員、支援員の中の、処遇の問題もそうなんですけれども、やはりスキルをいかに維持していくかという問題もあります。

 二〇一五年に生活困窮者支援事業の法律が制定をされて、その後、そこに委員として入られた方々は、初任者研修のような形で、やはりその制度趣旨に見合ったアドバイス、支援ができるような教育を受けます。ただ、その後、八年たちますが、例えば新潟、我々のところでいうと、スキルアップのような研修というのが行われていないんですね。

 やはり、経験を積むということにつれて、様々事情も変わってきます。例えば新潟市であったり、また別の町村部であったりすれば、そもそも生活困窮の内容も変わってくる。都市部とやはり町村部では変わってくる。ここに対するフォローをしていくのに、どういうふうな形がいいのか。市町村によって対応が変わってくるということになるとまた問題ですし、一定のところのスキルはやはり維持をしながら、さらに、その件数であったり、様々な場面でスキルが変わっていくということはあるかもしれませんけれども、最低限はやはりそろえていかなきゃいけない、こういうこともあると思います。

 その上で、やはり、支援を求める方々に対して適切なアドバイス、支援をしながら自立を進めていただく、こういったことが必要かというふうに思います。

 ですので、先ほども述べましたけれども、是非、研修なんかもそうですし、それからあと、さっきも言いましたが、人が人を支える制度ですので、是非、相談員、支援員が誇りを持って働けるような職場環境を、是非一回、またそういった方々と意見交換もしていただければというふうに思いますけれども、私からはそういった点でちょっと発言をさせていただければというふうに思います。

 以上です。

鈴木(隼)委員 ありがとうございます。

 まさに私の問題意識と同じようなことをお考えになっていただいているんだなということを、お聞きしながら共感をさせていただきました。

 というのも、自立支援を行うに当たっては、本当に、何か一つ、これを助ければ何とかなるというものではなくて、やはりロングスパンで伴走的に、私、伴走型という言い方をするんですけれども、伴走的に支援をしていかなければならないし、全人的に見ていかなきゃいけないものだというふうに思っています。

 本当にいろいろな困難が絡み合って、もうほぐすのも難しい、自分の力ではほぐせないようなものを、付き添ってあげて、一つ一つその糸をほぐしていってあげる、そういう作業が必要になる。そういう意味で、すごく息も長いし、全人的なということだと思うんです。

 そこで、関口市長にお伺いしたいと思います。

 今申し上げたような生活困窮者の自立支援を行う場合に、そういった伴走型の支援が非常に重要になってくると思いますし、また、困っている人に手を挙げてくださいと言っても、なかなか手を挙げてくれない人もたくさんいるじゃないですか。だから、そういった意味で、アウトリーチというのもすごく大事になってくると思うんです。

 だけれども、このアウトリーチにしても、伴走型の支援をするにしても、やはり、地域によって支援の体制が整っていたり、あるいは整っていなかったりというような、それは行政の内部資源としてもそうだと思いますし、外部資源で考えても、都市部に行けばそういう貧困支援のNPOみたいなのがたくさんあったりするけれども、やはりそういうのがない、少ない地域もあったりします。

 そういったことを考えたときに、今、十日町においてはどういう状況なのか、課題があるとすれば、国としてどういったサポートをさせていただく必要があるのか、その辺りを教えていただけたらと思います。

関口芳史君 都市化が進みますと、やはり孤立しがちな方も増えていくんじゃないかと思いますけれども、十日町市の場合には、一部そういう傾向も見られ始めておりますけれども、まだ昔の村の論理といいますか、しきたりといいますか、そうしたものがしっかりあるところもあるかもしれませんね。

 例えば、民生委員を選ぶ。今、なかなか選ぶことができないというふうな課題があるというふうに伺いますけれども、十日町市においては、おかげさまで今回も全員再任をいただいて、つまり、地域の要支援だとかそうした皆さんに対してコミットしていただける人たちが何とか集まるような状況であります。

 内部の市役所の中でも、いろいろな組織ももちろん、これは国の法律に従って準備をしていますし、また、我々とキャッチボールしていただける市役所外部のNPOでありますとか、そうした法人なども立ち上がってきています。

 そういった意味で、こんなことを言ったらあれなんですけれども、例えば二十年くらい前までのそういった組織というのは、地域に密着した縦の支援体制といいますか、そういったものが多かったんですけれども、今、政策ごとに横につながって、例えばNPOだとかそうしたものがあって、生活困窮だとかそうしたものを熱心に解決して、そのことで、しかも、ちゃんと法人としても運営ができるようなものが十日町市でもできつつあるかな、そういうふうに思っています。

 ですから、我々だけで本当に回るのは大変な作業なんですけれども、そういったキャッチボールできる相手ですよね、新たに設立されたそうしたNPOだとか、あと民生委員の皆さんだとか、そうした方々とのキャッチボールをちゃんとできる体制づくりというのが我々が本当に目指すべき方向だと思っていまして、ですから、もちろん市役所内でも頑張りますけれども、そういった組織だとか人材を育てていただけるような施策、そうしたものがこれから特に必要になってくるんじゃないかな、そのように感じております。

鈴木(隼)委員 ありがとうございます。

 時間があと恐らく一、二分ぐらいしか残っていないと思うので、また関口市長に、重ねてで恐縮ですけれども、端的に御質問させていただきます。

 先ほど、防災、減災に関する御発言をいただきました。私、この防災、減災の分野というと、災害関連死、非常に重要だというふうに思っておりまして、そのためにも避難所環境の整備というのも非常に重要だと思っているんですが、その辺りのこれまでのお取組と、また、今後に向けた意気込み、一言お聞かせいただければと思います。

関口芳史君 私どもも、中越大震災、そして東日本大震災の翌日の長野県北部地震などを経験しています。そういう中で、避難所をいかに運営すべきだったかというふうな気持ちは本当に、いろいろと経験を踏まえて、勉強させていただいています。

 やはり、最初の三日間とよく言われますけれども、それまでの間をどのように地域で頑張っていただけるかというのが一番大事だと思うんですね。そのために何ができるかというので、いろいろな機材の補助だとか、そうしたものはやっていますし、また、いろいろな避難所の改編などもこの数年間で大きく進めさせていただきました。

 なので、経験、まあ、したくない経験ですけれども、そうしたものをしっかり生かして、我々の公助が届くまでの間、地域で何とか踏ん張っていただけるような、避難所運営とかそうしたものができるようにこれからもしっかり準備していきたい、このように思っています。

鈴木(隼)委員 終わります。ありがとうございました。

根本座長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。どうぞよろしくお願いいたします。

 まずは、今日の四人の陳述人の皆様、本当に貴重な御意見を拝聴いたしまして、誠にありがとうございます。いろいろなことを学ばせていただき、また、更に教えていただきたいと思うこと何点かについて質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、小林陳述人に伺いたいと思います。

 福田会頭の方からもお話ありましたけれども、やはり、このところの物価高、経済活動にも、また、暮らしている生活者の皆さん、労働者の皆さんにとっても、本当に大変な状況だと思います。物価上昇分を賃金の上昇が上回ることができないということですので、これは実質的には減収になっている。年金生活者の皆さんもそうなんですけれども、本当に大変な状況だと思うんです。

 ほかの国も確かに今回のウクライナ紛争などを背景にして物価は上がっているんですけれども、ほかの国はちゃんと賃金が上がっているんですね。日本だけが、よく見られるグラフがありますけれども、韓国にとうとう抜かれてしまって、日本はG7プラス韓国の中で見ても賃金が上がっていない唯一の国になってしまったということです。

 このことを、まず小林参考人の立場からどういうふうに見ていられるか、お考えか、伺いたいと思います。

小林俊夫君 ありがとうございます。

 なかなか難しい質問ですけれども、日本の実質賃金、日本の賃金だけが世界から上がっていないというところの原因については、これまでの取組、政策、制度も含めていろいろなものはあるかというふうには思いますが、今回の私たちの連合の春闘でいえば、世界に見劣りしている賃金水準、それから物価高に負けない賃金の引上げ、それからいわゆる格差の是正、底上げ、こういったものを念頭に、五%の賃金引上げをと。これは、定期昇給相当分も加え、それからベア相当分、これを合わせて五%と言っています。

 今年は、まあ今年はという言い方も変ですけれども、賃上げ、賃上げ、賃上げ、芳野会長も言っていますが、もうここに尽きるんだというふうに思っています。

 これまで連合は、二〇一四年から毎年、定期昇給相当分に加えて、賃金改善分、いわゆるベアも要求をしてきて闘ってきました。そして、連合内でいえば、一定の賃上げはできているというふうに理解をしています。一四年から八年間、賃上げ闘争をやってきましたけれども、この八年間で、恐らく平均すれば一万円程度は、同じ年、例えば三十五歳で見たら、その年三十五歳になる、この八年間、恐らく給与は一万円程度は上がっているはずなんですね。

 ただ、これが世の中全体に波及をしているかといったら、連合の組織率、労働組合の組織率というところもありますし、なかなか労使交渉ができない、労働組合がない、こういったところは、経営者の方で自分たちの会社の経営を見ながら賃金を決定していくということになるんでしょうから、なかなか賃金が上がってこない。

 加えて言えば、いわゆる非正規と言われるパート労働者の方々、こういったものも増えてくると、平均で見れば、当然、賃金は少し、上がってこない、こういったことも見られるのかなというふうに思います。

 ですので、別に手前みその話をするわけじゃないですけれども、ある程度、労働組合があり、組織化された人たちで労使交渉ができるところは、これまでの間も負けないぐらい交渉もしてきて、賃金の上昇も伴うように頑張ってきたけれども、なかなか労働組合がない、交渉ができない、そういった人たちがやはり八割ぐらいいますので、そういったところも鑑みていくと、日本の実質賃金というのはなかなか上がっていっていない、こういったことも言えるのではないか、こういうふうに思うところであります。

 以上です。

西村(智)委員 ありがとうございます。

 おっしゃるように、非正規雇用の方々が今や働く人たちの三人に一人、もうちょっと今、割合が上がっているかもしれません。そうしますと、全体的にやはり賃金分布は下がってくる。

 これは、昨年の三月に経済財政諮問会議が出したデータがありますけれども、一九九四年と二〇一九年を比べると、働き盛りの三十五歳から四十四歳、四十五歳から五十四歳、ここまでの年収区分の人たち、中央値がそれぞれ、百万ぐらい、そして二百万円近く、ずっと下がっているという実態があるんですね。

 日本の慣行、慣習からいいますと、やはり結婚して子供を持ってというのが一般的ですから、まずはそこに至るまでの、家庭を持てないというところが、私はこの少子化の背景にあるのではないかというふうに思っています。

 そんな中で、連合新潟さんが、フェアワーク推進センターですか、それを設置して活動しておられるというふうにお聞きしました。ちょっとその内容について簡単にお話をいただければと思いますのと、それから、先ほど、生活困窮者自立支援事業に関して、ライフサポート事業ですか、やっておられるということです。そこでの活動を通して見えてくる、まさに新潟県内の実態、実情、例えば、一人親の方が駆け込んでこられたときにどうなのか、今日寝るところがない人たちがどういうふうにそこに至るまでに経路をたどってこられているのか、そういったいろいろな事業から見えてくる実態について、ちょっと簡単に御説明、御紹介いただければと思っております。

小林俊夫君 まず、最初に紹介をいただきましたフェアワーク推進センターというのは、そもそもが連合新潟で持っていた非正規労働センターというものから、二〇二一年の十月の二十九日に衣替えをしたものです。

 当初は、非正規労働センターということで、まさに名前のとおり、雇用労働者の中でも非正規に関わる方々の労働相談を中心に受けているセンターだったんですが、実態は、大きく、労働者を取り巻く環境は変わりました。非正規のみならず、今、外国人労働者の方とか、それから、曖昧な雇用と言われるところですよね、コロナ禍の中で、この人は一体労働者なのか、それとも一人親方なのか、ちょっと実態がよく分からない、持続化給付金に当たるか当たらないかみたいな話も多分あったかと思いますけれども、こういった人たちの相談窓口になろうじゃないかということでフェアワーク推進センターの方を立ち上げさせていただいて、はや、大体一年四か月ぐらい活動を続けてきています。

 主なところとすれば、これまでのところ、大きなところでいうと、そのきっかけにもなりましたけれども、やはり外国人労働者の方々の労働相談というものも受けています。国名を挙げたりするのはちょっとどうかと思いますので挙げませんけれども、やはり大きな問題は、賃金の不払い、こういった問題で駆け込まれて、連携をしながら、厚生労働省のあれは外国人支援機構ですか、労働局か何かの範疇なんですか、そこのところと連携をさせてもらいながら対応しました。

 なお、余談になりますけれども、こういう場で余談を言っちゃいけないかもしれないですけれども、そこで外国人労働者の方々と話をさせていただいて、結局、雇用主との関係もあるので、引き続きその場面で、その会社で働くことの継続が難しいという結論になって、県外に行くことになったんですね。支援実習機構だったかな、あそこの仲立ちもあって。そうしたら、皆さん、喜ばれるんですよ。何でそんなに喜ぶんですか、新しいところで働くからですか、新しい雇用主になるからですかと聞いたら、行った先が最低賃金が新潟より高い、こういうふうに言われるんですよね。

 やはり、外国人技能実習生ですけれども、実態はやはりなかなか報酬も重要なファクターになってきますから、まさかそんなことで喜ばれるなんて全く思ってもいなかったんですけれども、そんなこともあったということで、やはり、外国から見るとそういった視点というのも、非常に、新潟県にそういった労働者を呼び込むというのは重要なんだなということは感じたところがあります。

 それから、ライフサポート事業については、県内七地域でライフサポート事業をやってきたんですが、今、長岡市というところに、一か所に集約をさせてもらっています。そこで県内各地から電話相談を受けたり、実際に相談対応をやっているんですが、その中の、新潟県の実態を表すようなというのは、とてもここでお話をできるような状態でもありませんし、事細かく私も覚えているわけではないので、済みません、そこのところは御勘弁をいただければというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。

西村(智)委員 ありがとうございます。

 福田陳述人にお伺いしたいと思います。

 私も、経済活動を通して地域社会への貢献をする、そして平和の実現を目指していく、その活動の先頭に立ってくださっている商工会議所連合会の皆様には、深く敬意を表します。

 この間、日本経済は、アベノミクスという、言ってみれば大きな方向性の流れの中で、異次元の金融緩和に始まり、トリクルダウンを目指しての政策が十年間続いてまいりました。私も地域の方々といろいろお話をさせていただいて、どうもこれが新潟の経済のためによかったというふうな結論を私は得られておりません。

 本当に皆さん頑張っておられるんだけれども、アベノミクスという大きな政策の流れというか固まりが、言ってみれば、例えば経済によい影響があった、本当に新潟の経済がよくなったというふうにお考えかどうか、アベノミクスの功罪について、会頭のお考えを伺いたいと思います。

福田勝之君 ありがとうございます。

 アベノミクスの功罪と言える知見がないのであれですけれども、ただ、いろいろな形で会議所活動をしていく中で、実は、私は、前の会社のとき、皆さんも御存じですかね、国債が八%なんですよ。国債が八%なのに、なぜ、景気は何でよかったのか。金利がどんどん下がっていくときに、特にマイナス金利が出たときに、日本商工会議所の、金融機関の方もいらっしゃいます、日銀とも意見交換しました。要するに、金利が低いということは、実は働く気力がなくなっちゃうんですよね。これ、僕はデフレマインドと言っていますけれども。

 要するに、よく、働くと、銀行に金利を払うためにやっているのかというのが一時期はやりましたけれども、そうじゃないです、自分の夢のために金利を払うんです。人からお借りをするわけですから。ところが、倍返しだとか、雨が降ったら銀行は傘を下ろすとか、そういう風土があって、それが結局、若手の中に責任というものをちょっとなくしてきたのかなというのが、実は、じくじたる思いがあります。もう少し早め早めにそういう声を大きくすべきだったのかなという気はしています。

 例えば、シンガポールへ行くと、百円ショップはないんです。日本は、実は、こういうことを言うとダイソーさんに怒られますけれども、百円ショップというのは、貴重なものまで百円ショップにできちゃったんですね。そういうものが、文化の大切なものまで百円ショップで簡単に作っちゃった。ぱっと見ると、メイド・イン・チャイナと書いてあるんですけれども。そういうのが、ここが、失われた十年の本質ではないかなと僕は思っています。

 先ほど最低賃金の話もありましたけれども、商工会議所としては、最低賃金というのは法律で決めるので、全員やってくれというものなので、会議所としては、企業によっては、小規模企業でもう出せないという部分があるので、ある程度一定的な形を、その代わり、どうすれば賃金を上げられるかという方に方向転換して一生懸命やっていますけれども。

 確かに、今、小林さんがおっしゃったように、最低賃金が上がっているところでうれしいと。でも、そういうところは結構、環境的には厳しいと思います。

 だから、新潟のいいところは、確かに最低賃金はCランクかもしれませんけれども、人間が我慢強くて、そこら辺がいいのかなと。だから、逆に、僕は、僕も新潟県人ですけれども、やる気になれば、新潟県人というのは、ブルドーザーの大臣がいましたので、動かせるという希望は持っています。

 そういう意味では、我慢できた、新潟県の話ですれば、いい、新潟の若者に経験すべき時間を与えてくれたのかなと。本当はよくないんでしょうけれども、それが次のばねになる。

 ですから、事業承継の話なんかは徹底的に会議所はやったわけです。若者たちが次の世代を担う。県も一生懸命、NINNOとか、市も新しいDXに取り組んでいますので、それが実装化されて実現することを非常に期待しているところであります。

 済みません。以上です。

西村(智)委員 ありがとうございます。

 実は、今日のこの公聴会の前に亀田製菓さんに、委員会で、みんなで、委員長の下、視察といいますか見学に伺って意見交換をさせていただいたんですけれども、そのときに人手不足の話になりまして、やはり、高校の新卒の方でも、今もう、新卒と同時に県外に出ていく方々がかなりいらっしゃる。これは大変深刻だと思います。

 また、特に介護や子育て、保育の現場で働く人たちも、新潟県内で資格を取るんだけれども、県外に出ていってしまう、こういったことも私もよく見聞きしておりますので、やはり、私は、賃金の底支えというのは非常に重要だと思っております。

 最後、一点だけ。済みません、関口市長に伺いたいと思います。

 今日のお話ではなかったんですけれども、関口市長は、市内での電力消費、これを、三割を再生可能エネルギーで賄うという目標を掲げておられるというふうに伺っております。松之山温泉の地熱バイナリー発電、これは世田谷区と協定か何かを結ばれているんでしょうか。そういったことで、非常に積極的に県外の自治体ともそういうエネルギー面での協力、交流もしていられるということなんですけれども、非常にすばらしいことだと思います。

 今後、再生可能エネルギーをもっともっと進めていく上で、政府が、あるいは政治が改革していくべき、例えば規制とかあるいは予算の使い方とか、そういったものが、今思うことがありましたら、ちょっと教えていただきたいと思います。

関口芳史君 ありがとうございます。

 水の力とか、地熱でありますとか、またバイオマス、森林が周りにたくさんありますから、そういったものを使って、できるだけ、エネルギー換算で、電力換算で、使われているエネルギーの三割を再生可能エネルギーに転換したいという目標を、平成二十四年ですかね、に新たに立てまして、それはもう一切下ろさないということで頑張っています。

 一つは、そういったこともあって、いろいろなプロジェクトが市内に来ていることは事実ですね。例えば木質バイオマス発電なども、いろいろなところでチャレンジがあったが、結局断念して、じゃ、十日町市で、最後、やりたいと。今、二つ案件を抱えて走っています。

 いろいろ課題があります。土地も必要なので、できれば農地に造りたいということで、優良農地を犠牲にするかどうか、そういう判断もしなきゃいけないところもありますし、あと、例えば、電気を送るための、電力会社に何か払わなきゃいけない送電の接続のためのコストがあるんですけれども、それが非常にはっきりしないといいますか、一時は二億円かかると言われて、でき上がったら数百万円で終わったとか、はっきりしないんですよ。多分、余り電力会社としてはやりたくないのかなというふうに思うんですけれども、そういったところで、前提条件が整わないとゴーできないという案件は確かにたくさんありますね。

 なので、その辺のところ、作った電気をちゃんと送れる、送電網に乗せることがスムーズにいくようなこともとても大事なポイントになっているんじゃないかというふうに感じております。

西村(智)委員 時間ですので、ありがとうございます。

 立石陳述人への質問の時間がありませんでした。申し訳ありません。

 ありがとうございました。終わります。

根本座長 次に、池畑浩太朗君。

池畑委員 今日は、こういった機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私は兵庫県から参りました。

 まず、早速ではございます、時間が短いので質問をさせていただきたいと思います。

 まず、福田陳述人にお聞かせいただきたいと思います。

 西村委員も先ほどお話をされましたけれども、亀田製菓に、こちらに来る前に見学させていただきました。そのときにも、賃上げをしたり、働く環境を整えても、なかなか人が来ないんですというお話をいただきました。

 いわゆる大手と言われている企業は、人材獲得のために大幅な賃上げを行うと表明されております。一方で、中小企業においては、なかなか賃上げする余力がないというふうなお話を福田会頭もお話しされていました。日本商工会議所の副会頭でもあられますので、いろいろな全国の状況も聞かれていると思います。

 先ほどからお話もありますように、新潟の方は我慢強いというお話をされておられました。私も上杉鷹山公が大好きで、いろいろな会社をするに当たっても、その鷹山公の思いを会社に練り込んだものでありますけれども。

 その中で、福田会頭は、中小企業を守り抜くというふうに書いておられますけれども、どのようにすれば多少なりとも大手との格差拡大を防げるというふうにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

福田勝之君 ありがとうございます。

 我々、会社の立場でいくと、大手との格差を縮めるという発想ではございません。中小企業の伝統や技術というものを次の後世につながせていく、まさにサステーナブルなための企業の存続ということに特化しているわけでございまして、大手さんと格差を縮めようといったって、まず無理ですから。

 ただ、そういう意味では、自分たちの持っている技術を、例えばA社にくっついていたらP社とくっつけないというのが今までの日本なんです。サプライチェーンと言うとちょっと聞こえはいいんですけれども、要は情報漏えいも大問題という話で、A社の本当の技術がB社でもC社でもD社でも使えるんだ、それでやっとその中小企業が生き残っていけるんですよね。私どものつき合っているお客様でも、日産、ホンダ、トヨタと全部つき合っている会社もあるんですけれども、そういうことができるまで、中小企業という人たちが育つための応援をしていこう。

 ただ、実際問題は、私ども商工会議所から見ますと、中小・小規模事業というのは、五人の町工場とか、飲食店の方でもホテルの方でも、そんなに何百人も抱えていて人材的にいっぱいいるというわけじゃないので、それを、IT化だとかそういう形を、技術を提供することによってその部分を埋めていこうというのが、先ほどお話ししたDXだとかそういう話なんですけれども。

 さっき、亀田製菓さんが、若い人が集まらないというんです。実は、私ども、新潟県知事から、若者が集まるのは給料が高いところだというんですけれども、本当なんでしょうかね。

 やはり、結局、うちの会社はこれだけいいことをやっている、いいことというか、きらきらやっているんだ、若手がどんどんどんどん意見が、物が言えるんだという会社、本当を言うと、中小企業はそうなんですよね。百人もいるわけじゃないですよ、五人、十人しかいないから、五人、十人の社員の話を聞けるような経営者であってほしいというのが僕らの目標なんですけれども。そういうふうなためには、知識を伝えなきゃいけない。ITなんて、イットなんて言ったら終わりですからね。そういう意味では、そういう部分を、商工会議所を通じてそういう社長を増やしていきたいというのが本音であります。

 ちょっと答えにはなっていないかもしれないんですけれども、是非そういうふうにやっていきたいなと思っています。

 以上です。

池畑委員 ありがとうございました。非常に分かりやすかったです。

 なぜ私がこういった質問をさせていただこうと思ったのかといいますと、我々は日本維新の会というところなんですけれども、民間の企業さんたちはいろいろな努力を当然のごとくされますし、今、賃金を上げたからといって本当に来るんですかねというふうなお話もいただきました。我々は、やはり、そういったところで、民間の企業の方々が努力をされるように、地方自治体も含めて行財政改革をしっかりしなければいけないんじゃないかという政党でもあります。

 そこで、市長にお伺いをしたいと思います。

 その中で、市長は、今日お話しされませんでしたけれども、三十三億円ぐらいの財源を大分捻出をされたということも見させていただきました。その流れをつくろうとしたきっかけをお聞かせいただきたいと思います。

関口芳史君 行財政改革を、私どもも合併市町村でして、平成十七年に五市町村が一緒になりました。その合併から四年後に私は市長に就任したんですけれども、やはりそのときにびっくりしたのは、市税が約六十億、それがほとんど人件費に行っている、そういう現実でありまして、これはいかにもよろしくないだろうというふうな思いがありました。

 合併効果を一年でも半年でも一か月でも早く出せば、その分のものというのは貯蓄といいますか蓄積に回れるわけですから、例えば人件費の削減なんかも、当初は、ゆっくりとやろう、合併特例期間を有効に使ってやろうというふうな話がありましたが、それはそうじゃない、もう早めにあるべき姿に到達しようということで、かなりぎしぎしやりました。組合の皆さんとも議論しながら相当やりましたけれども。

 そういうふうな中で、まず最初のきっかけというのは、合併して、あたかも合併しなかったかのごとくの合併特例期間というのを活用して、できるだけ早く本来あるべき姿に行こうじゃないか、そんなような意気込みでいろいろな行財政改革に着手いたしました。

池畑委員 財源を捻出されたその三十三億でどのような活動をされたかというのは、具体的にはちょっと分かりませんけれども、今御説明をいただきました、こういう芸術の町に切り替えていこうというお話の中で、いろいろな取組をされていらっしゃったと思います。

 その中で、法人のふるさと納税のことについて触れられているんですけれども、法人のふるさと納税は、やはりなかなか、これからいろいろな意味で、八千億近く集めている状況ではあります、国が、国というか、状況でありますけれども、その中で、結構、他党の質問なんかにもあったんですけれども、中間業者が随分間に入っていろいろなコンサルタントをされている現状があると思います。多分、市長のところでもそういうことがあるかもしれませんけれども、企業版のふるさと納税も含めまして、随分やはり使い勝手がいいものだというふうに思います。割合的に幾らかというわけではないんですけれども、そういった中間業者さんを入れる必要も市長のところではないんじゃないかなというふうに思いますけれども。

 こういった取組をする中で、文化庁さんの予算も入りながら、企業版のふるさと納税も入りながら、かなり大規模に取り組まれていると思いますけれども、ふるさと納税について思うところをちょっとお聞かせいただきたいと思います。

関口芳史君 ありがとうございます。

 それでは、お答えします。

 企業版ふるさと納税は、これは返礼品もありません。私どもに、今は市の計画に載っている事業を目がけて寄附していただけることはできると思いますけれども、スタートのときには、私どもの方で選んだ幾つかの、こんなプロジェクトがありますというものに対して御支援をいただいてきました。その中の一つが、先ほどの大地の芸術祭というプロジェクトがありまして、それに向けてたくさんの御支援を法人からいただくことができました。損金算入のレベルもどんどんどんどん上がってきましたので、使い勝手のいい制度にどんどん変えていただいているので、本当にありがたく思っています。

 それと別に、個人向けのふるさと納税については、私はちょっと別の考えを持っていまして、本当の、まさにふるさとだから応援したい、Uターンはできないけれども、気持ちを、ふるさと納税という形で支援する、若しくは、その自治体の政策よし、これは頑張れ、それだったら応援する、このような形の、ふるさと納税ができ上がった当初のものだったと私は理解しています。

 そういう中で、若干手前みその話なんですけれども、新潟県下で十日町市のふるさと納税額というのは、最初、スタートは、低レベルだったですけれども、非常に順位は高かったんですよ。そういう中で、でも、途中から全く違うものに変質してしまいましたね、個人向けのふるさと納税は。

 私は、このことに関しては、非常に本来の趣旨から余りにも離れてしまっているので、果たしてこれをずっと継続するのがいいのかどうかという思いをすごく持っています。それはすごく持っています。

 いろいろな御意見があるのは十分分かりますし、あれなんですけれども、やはり当初の、まさにふるさとを応援したいという気持ちだとか、その政策よし、頑張れというふうなものに少しずつ変えていかないと、もう本当に、ともすると、御自分の税の有意な仕組みを御存じない方が何となくネット上でお買物しているような感覚でどんどん買って、その税の控除が十分ないとか、そんなような状況すら起こっている可能性があるので、そういったところは、私は、もう一遍、この制度の趣旨、そういったものをみんなで考え直すところに来ているんじゃないかな、そのように感じております。

池畑委員 私も、実際そう思っております。やはりふるさと納税の本質のところは、今もうまさに関口市長が言われたことだというふうに思います。

 返礼品とかそういったことに対しては、まあまあ、地元の業者さんにとっては、今、福田陳述人にもお話をいただきましたけれども、努力をされる一方、制度としてそういったことがいいかどうかの部分に関しては、やはり、こういった国際芸術会に対してみんな取り組んでやろうという思いが本来のものじゃないのかなというふうに私自身も思いますし、関口陳述人からこんなに明確に答えが返ってくると思っていなかったので、ちょっと用意していた答えが全然違うところへ行ってしまいましたけれども、しっかり取り組まれているというふうに私は思っておりますし、そういった考えを持って取り組まれていることに敬意を表したいというふうに思います。

 その中で、ちょっとしつこいようなんですが、これは西村委員からもございましたけれども、今、西村委員からは電力のことについてお話しでしたけれども、今、関口陳述人のいろいろなプロフィールの中で書いてあるんですけれども、国に対しては具体的な制度改革等というようなところがありました。

 やはり本気で地方の取組、これは日本維新の会だけに限られることではないと思いますけれども、赤字をどうにかして黒字に転化していくということはどこの自治体も考えていることだと思いますけれども、大阪では吉村知事が先頭に立って、自分たちの、身を切る改革とよく言われますけれども、給料を削減していく、そういうことも含めてなんですけれども、いかに財源を確保していくか。最初にありました三十三億円の確保をし、それが呼び水になって、これから何かこの町で取り組んでいくことはないかということでスタートができるような状況になったと思います。

 私たちが、国に対して規制改革をというふうに言われている市長また陳述人の姿勢に対して、何かできることはないのかなと。この豪雪地帯でいろいろと予算をつけていただいていますという説明をいただきましたが、それ以外に、しっかりと、規制改革はここをすべきだということがありましたら、お話をいただきたいと思います。

関口芳史君 さっきお答えした中では、例えば、災害救助法の適用時におけるいろいろな、要援護世帯だとか高齢者世帯に対して支援をしていくわけです。災害ですから、やるんですけれども。

 そのことに対して、先ほどもちょっとお話ししましたが、令和二年、三年と非常に豪雪が続いていたんです。二年度は、国の御支援をいただいて、災害救助法が適用された中でいろいろな活動ができたんですけれども、三年度はそれができなかった。きっと、いろいろなことでお金の使い方が余り、ちょっとやり過ぎなんじゃないかというふうなことを国の方で考えられたのかなというふうにちょっと感じましたよね、そのときに。二年度は、赤羽国土交通大臣に御視察いただくような、そんなような。三年度も、それよりももっとコストがかかった年なんですけれども、その年はそういったことはできない、災害救助法は適用しないというふうな、そういったことになってしまったんですけれども。

 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、特にそういう高齢者だとか弱者に対して、安心して住んでいただけるような地域にしなきゃいかぬわけです。十日町あたりですと、豪雪なので、雪さえなければね、いいところなんだけれどもね、そういう、特に高齢になればなるほど、そんなような思いが募ってこられる方が多い。そして、御夫婦で雪のないところに静かに転居される、家を壊して出られる、若しくはお子様がいらっしゃるところに行かれるというような、そういう悲しい現実があるんですけれども。

 ですので、特に災害時に匹敵するような、そういう厳しいようなときには、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、現場の感覚といいますか、その辺のところを是非十分に見ていただいた中で、いろいろな措置ができますように御配慮いただけると本当にありがたいかな、こんなように感じております。

池畑委員 ありがとうございます。

 やはり我々も、そういった取組をされている自治体の皆様、そして、福田陳述人におかれましては、やはり働く者として、どういったことに改革をしてこれから進めていこうとして考えておられるか、そういったところをしっかりとお聞きしながら、我々としても何かできることを見つけていきたいというふうに思っております。

 小林陳述人と立石陳述人にはちょっと質問する時間がなくなってしまいましたけれども、私たちも、立石委員が説明をいただきました、また小林委員が説明いただきましたことに対してはしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思いますので、今後とも御指導をよろしくお願いいたします。

 以上でございます。

根本座長 次に、赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 本日は、四名の意見陳述人の皆様方におかれましては、恐らく急な呼びかけにもかかわりませず、大変お忙しい中御出席を賜り、そして現場からの率直な御意見を開陳いただいておりますこと、まず心から感謝を申し上げたいと思います。

 今日は、この地方公聴会、三年ぶりなんですが、まず、新潟で開催させていただいたというのは、私なりの受け止めとしては、やはり、地方創生、地方が頑張っていただかなければいけない、首都圏一極集中を是正することが非常に大事だということが、一つの大きな、背景にあるんだというふうに思っております。

 私自身も、国土交通大臣の二年余り、そして今、公明党の観光立国推進会議の座長ということで全国の地方を回らさせていただいておりますが、どの地方に行っても共通することは、少子高齢化、人口減少化が進んでいて、やはり過疎化という傾向になっていく。その中で、大変厳しい状況の中で皆さん大変頑張っていらっしゃっていただいております。

 他方で、新型コロナウイルス感染症という、三年にも及ぶ未曽有の感染症という大変厳しい制約があったわけでありますが、しかし、そのコロナ禍の影響で、実は、働き方が随分変わっております。毎日出社をしなくていいテレワークが相当まだ実施をされておる企業もありますし、リモート会議が随分やられている。その中で、住まい方も変化が出ている。

 国土交通省は、毎月、東京都への流入人口と東京都からの流出人口というのはデータを取っておりますが、コロナ発生の年の五月から、基本的には逆転現象で、流出人口が超過をしているという現象がかなり続いておりました。

 そうした中で、恐らく、私は、住まい方が変わり、仕事の仕方が変わる中で、国民の皆様の価値観が随分変わっていくのではないかと。今までは、高い家賃を払い、ローンを払いながら狭い都心のマンションに住んでいたという生活から、環境のいい広い住宅、また、自分の趣味も兼ねるようなことができる、いわゆる二地域居住ですとか地方移住。こういうことというのは非常にいい傾向だと思いますし、地方創生という観点からいうと、やはり、大変厳しい中でありますが、こうしたコロナ禍というのを変毒為薬するというか、起死回生のチャンスとして捉えていただくということは非常に大事なのではないか、こう思います。

 私は、地方での会議でそうした現象の説明をして、例えば、軽井沢なんというのも大変人口が急増し、不動産も実は大変値上がりしているみたいなこと、事例を話すと、多くの人は、それは軽井沢は特別なところだから、こう言われるわけですが、いや、軽井沢だけじゃないと。

 実は、十日町の話もよくさせていただきまして、十日町市というのは、大変な豪雪地帯でありますし、新幹線も通っていない。本当に大変厳しい状況の中でありますけれども、先ほどの御報告もありましたが、コロナ禍の年で百五十名以上の地方移住者を受け入れている、また、地域おこし協力隊のうちの七割の方が定住をしているというのは、私は、大変驚異的な数字だというふうにびっくりしているところでございます。

 大地の芸術祭というのは、恐らくこれは日本の先駆けの国際芸術祭、世界にも通用する国際芸術祭で、私の知人も、全然、私が別に紹介したわけじゃないんですけれども、大地の芸術祭を見に行って、毎回毎回来ているというリピーター、大変多くなっている。十日町のファンになっている、その中で、定住したりとか二地域居住を選んでいる、こういった傾向なのではないかな、こう思います。

 こうした大変厳しい条件の中で、こうした関係人口というか交流人口を増やし、定住者を増やしているその秘訣というのは関口市長に改めて確認をさせていただきたいと思いますし、加えて、移住者と地元の人たちのコミュニティーがうまくいっているのかなということも少し心配になっておりまして、そうしたことについて、ざっくばらんな話で結構でございますので、よろしくお願いしたいと思います。

関口芳史君 ありがとうございます。

 本当に、コロナ禍で移住者が増えたというのは私どももちょっとびっくりしました。でも、決して私どもだけの傾向ではないと思います。親しい市長さん、町長さんなどとお話ししますと、そうした傾向は全国にもたくさんある、そのように思います。

 その中で、やはり、地域おこし協力隊のお話もいただきましたけれども、最初、協力隊の諸君が入ってきてくれたとき、意外にどんどん来てくれたなと思ったんですよ。そのときに、やはり大地の芸術祭をやっている越後妻有だから、十日町だから志望しましたという方が意外に多くて、それは非常にありがたかったかなというふうに思います。

 現代アートという非常に分かりにくいものを活用しての地域おこしというのは、本当にいろいろな苦労もありました。議会に、議員さんに御理解いただくのに大変なことがたくさんあったと先輩からも聞かされておりますが、ある程度軌道に乗り出したら、少しずつ市民の自信にもつながりつつあるように思います。

 子供たちも、非常にコミットしてくれている学校も増えておりまして、多分、それこそ、進学したり就職したりして市外に出たときも、おまえのところはどんな町と言われたときに、大地の芸術祭をやっている町だよというふうに言ってくれている子供が少しでも増えてきているんじゃないかなというふうにちょっと感じているところであります。

 移住は、本当に簡単にはできないなというのはずっと思っています。

 でも、十日町市に入ってくる人口というのは、年間、転入者が多分七百数十人ぐらいだと思うんですね。そのうち百六十人ぐらいの方が、要は私たちが用意している補助事業を活用して入ってきてくれているんです。それは先ほどお話しした数字です。

 なので、その補助事業を利用しないで入ってきている人たちも、ビジネスのことの、転勤で来ている人ももちろん入っているわけですけれども、その補助事業を活用している人というのは、やはりそうじゃない、ちゃんと意思を持って戻ってきてくれる、若しくは、目指して、十日町を選んでくれている方なわけですから、それは本当にありがたく思っています。赤羽委員おっしゃるとおり、やはりコロナの影響が大きくて、今までよりも倍以上にそういった動きが出ているのは大きいと思います。

 移住コンシェルジュというものをつくって、総合的に、住まいのこと、仕事のこと、子育てのこと、また各種補助金、困り事があった場合なんかに対応できるものをつくりました。すぐ拡充しました。これも国からの御支援をいただいてやっていますが、ここに、また、そこで働く人たちも移住者です。そういう非常にいい循環が、特にこの二年間、三年間、できつつあるというふうに思っています。

 シェアハウスなども用意しました。御存じかもしれませんけれども、ドイツ人の、古民家再生を頑張っていらっしゃる方が十日町にいらっしゃるんですけれども、その方の集落内に造ったり、あと、それこそ、地域おこし協力隊で大活躍して、総務省さんからもよくお声のかかるOBがいるんですけれども、その方の周辺の集落にもシェアハウスなどを市の方で用意しまして、お試しでちょっとだけでも住んでくださいと。そこでテレワークをやって過ごしましょう、新しい仕事を探しましょうなどというチャレンジも、徐々に成果は出てきているふうに思っています。

 最後に、たくさんの空き家があります。お年寄りが出ていかれる、空き家がまた増えましたというリポートが本当に毎月毎月上がってくるんですけれども、その空き家をしっかりと次の世代に渡す必要があると思っていまして、空き家バンクもかなり機能し始めています。

 そういうふうな一つ一つの積み重ねなんですけれども、委員おっしゃるように、このコロナ禍になって、本当に厳しい三年間だったですけれども、ある意味、そこを逆手に取って、地域振興のためにしっかりやらないかぬと思っていますし、仮に、ポストコロナの時代になってコロナが元に戻っても、私は、もちろん東京に戻る方もいらっしゃるでしょうけれども、そうじゃなくて、もう考え方というか働き方、発想、生き方を大きく変えた、特に若者が増えたと思います。その人たちのしっかりと受皿となって、より楽しい人生を一緒に過ごせるようになればいいな、そのように感じております。

赤羽委員 ありがとうございます。

 今、最後の方にお話が出ました空き家の活用というのは、恐らくこれも全国の大変な大きな課題でして、この通常国会で国交省から法改正の予定をしていて、空き家を柔軟に活用できるようにとか、子育て世帯で一軒家に住みたいという方もたくさんいらっしゃいますし、また、災害のときの避難所の代わりにという形もできると思いますので、それもしっかりとまた御指導いただきたい、こう思います。

 あと、福田会頭から冒頭お話もございました観光について。

 地方創生というのは、やはり観光というのは最大の産業の一つだと思いますが、日本の観光というのは定点主義というか、広域化をなかなかしないんですね、広域化が。

 先ほど、新潟も、佐渡の金山というのも、これはもう本当にすばらしい遺産だと思いますが、先ほどの十日町のお話の中でも、世界の、大地の芸術祭だけじゃなくて、私、個人的にはへぎそばとか大好きですし、そうしたものもあるし、長岡は長岡で、花火でも百万人も集められる花火は多分日本有数のところだと思いますし、そうした、あと、八十里峠越えという、これは私、仕事で少し関わった、福島との、ああしたところも観光道路にもなり得るわけで、観光の資源というのは本当に眠っているんですね。

 そこをどうオーガナイズするかというのは、実は私、商工会議所のような形で、トータル的に、県だけじゃなくても、もっと方面でもいいと思うんですけれども、そうしたことをやればまだまだ数は来ると思いますし、トキエアも大変、やはりアクセスもすごく大事ですし、インバウンドも始まると、日本のすばらしさというのは国際評価も定まっていますので、私、増えていく一方だと思っておるんです。

 それこそ、まさに観光の再生こそ地方創生につながると思っておりまして、そうした意味で、是非、大所高所の立場から、商工会の連合会頭という立場から、本業とは少し違うかもしれませんが、そうした観光へのお取組の決意というかお考えを簡潔にコメントいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

福田勝之君 私、銀行のとき、ホテル担当をやっていたものですから、それであれなんですけれども、観光というのは、基本的に周遊ができないと駄目なんですよね。石見銀山さんがどう評価されているかは別にして、あそこ一点だけ観光地にしても行って帰ってくるだけになっちゃうので、ぐるっとその周りを周遊できるように体制をつくるというのが大事であって。

 本当のことを言いますと、佐渡の金山の県民代表を仰せつかったときに、よく、一瞬浮かんだのが、佐渡に二度行くばかというのがあったんですけれども。

 たまたま、ミシュランのグリーンガイドブックって御存じだと思いますけれども、ミシュランのツーリスト用のガイドブックなんですが、新潟県に十四か所あるんですね、一つ星かあれですけれども。それは全部佐渡島なんです。逆に、例の、ホテルを立て直されたあの方が、佐渡島に行って、一週間たってすぐ帰ってきちゃった。それで、やはり佐渡は無理ですねと言われたんです。どうしてですかと言ったら、住民の方が、自分たちの自然とかそういうものを守りたい、だから余り観光客が来ると町が汚れるという意識をお持ちだったと。

 だから、もちろん、旅の恥はかき捨てという言葉が日本語にはありますけれども、それをきちっと守って、本来の、観光客も一緒になってその地域を守っていくというふうに切り替えていかないと駄目だと思うんですよね。

 金銀山が観光客が増えると、新潟市としては、何で新潟市に泊まってくれないのという、これからまた週休二日がどんどん進んで、長期休暇が欧米並みの形になるとは思いませんが、そういうふうになってくれば、佐渡へ行ったら帰りに新潟に寄ってみようといって周遊に回していかないと、地域が一緒になってやってくれないというのが本音だと思っていますので、会議所は十六、新潟にありますが、その人たちと連携して、本当の観光は地域でつくっていかなきゃいけないということで、頑張っていきたいと思います。ありがとうございます。

赤羽委員 どうもありがとうございます。

 それで、次に、先ほど会頭からも関口市長からもお話に出ました防災・減災、国土強靱化についてでございます。

 いっときは、公共事業がたたかれて、大変公共事業費も削られた時代がありましたが、やはり、近年の気候変動の影響もあって、災害が激甚化、頻発化し、被害も相当最大化している。そんな中で、何とかしなければいけないと。

 私も、実は、災害対応で二年間で百十二か所の地方を視察したぐらい、災害続きでありました。その中で、流域治水という新しい治水対策も考えたりしながら、今、防災・減災、国土強靱化の五か年の加速化対策ということで、総事業費十五兆円、新年度の、今議論しているこの予算案にも相当入っております。

 このことについての評価と、また、これが終わってからどうするのか。三年終わったときに毎回財務省とやり合わなきゃいけなくて、そういうことじゃないだろうと。もうちょっと中長期的じゃないと国土の強靱化というのは進めないので、これは今、自民党の佐藤信秋先生なんかと一緒に、私も座長になって、法改正をして、一定の事業費が中長期的に確保できるような仕組みを考えているわけであります。

 そうしたことについて、御本業でも大変これまで災害のたびにお世話になっておりますが、そうしたことへの評価について、手短にいただけたらありがたく思います。

福田勝之君 ありがとうございます。

 公共事業が悪だといったときに、言っている意味がよく分からなかったんですけれども、高速道路を造ったって熊が走ってくる、次の世代に借金を残していいのか。国債がどうのこうのという議論は言うつもりはありませんが、あれば、次の子たちは、それをどうしようと考えます。

 ただ、東京一極集中を考えると、地方の道路は要らないようになっちゃうんです。だから、東京一極集中が止まらない限り、山間部の地すべりは永遠にこの気象の中で出てくる可能性があります。

 だから、国土強靱化というのは、今のためじゃなくて、将来のために、あなたが地方に住むときに、地すべり、現実問題、地すべりのあるところに民家が建っているわけですよね。年末になって地すべりが、ただの雨で崩れてきて、亡くなった方もいらっしゃるわけです。

 それは、その子たちが、その人たちの場所で将来子供たちが住めるために治山治水というのはあるわけですので。今ある人は、東京のマンションで住んでいらっしゃっても結構ですけれども、さっき市長もおっしゃったけれども、やはり、今移住で来ているのは元気な人たちなんですよ。その人たちが大人になって、息子がまた東京へ行ったら、お父さん、そっちは雪で大変だから東京へおいでよと。でも、そのときに、次の若い人が入れるための、そうなんです、十年、二十年の間で、地球なんか、最大の僕らの敵ですからね、たったこの中で十年、雨が増えただけで、地すべりじゃないところが一番、いきなり滑ってきちゃう、そういうのが地球でありますので。

 その観点からいけば、一つ一つの場所をきちっと見定めて、将来ここは使えるんだという、そういうのをどんどんどんどん進めていただきたいと思っていますので、大変、そういう意味では、僕らの孫を守っていただいていると思っていますので、高く、むしろ、感謝を申し上げたいと思っています。

赤羽委員 最後に、小林参考人に確認したいんですが、奨学金の話が出ました。

 かつては、家庭が経済的に厳しくて、成績がよい子にだけしか貸与できないのが日本育英会の奨学金でした。

 私たち公明党は、この点はおかしいと、成績要件を外させていただき、誰もが、希望する人が借りられるようにした。また、その後、財源も見つけて、給付型の奨学金も始めたわけでございます。

 今、この給付型の奨学金も、拡大ということも今回の予算にも入っておりますし、また、返済も大変だということも社会問題なので、言い換えると、出世型の、給料がもらえるようになってから返済をするとか、また、地方に就職したら、その地方自治体が肩代わりで払うとか、いろいろな形が出てきております。

 それはいいことだと思うんですが、私、学生時代は、育英会の奨学金と、大学の奨学金と、ある民間企業の奨学金をもらって大学を卒業したんですが、民間企業のスカラシップは、もっと充実しなければいけないんじゃないかと思うんです。

 ですから、給付型の奨学金は出せると思いますので、新しい財源という意味では、是非、連合の皆様に、大手の企業自体が是非民間の奨学金をやるべきだということを働きかけていただきたいと思うんですが、その点についてコメントいただければと思います。

根本座長 小林俊夫君、大変恐縮ですが、申合せの時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。

小林俊夫君 簡潔に、分かりました。

 奨学金は、今、アメリカ人に聞くと、ローンと言うそうです。ローンです。奨学金は、貸与型はやめましょう。何とか給付型に持っていけるように頑張っていきたいと思います。

赤羽委員 どうもありがとうございます。

根本座長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 今日は、四人の意見陳述人の皆さん、お忙しい中、本当に貴重な御意見をありがとうございました。

 早速伺いたいと思います。

 私は、まず、新潟ということで、原発問題に関わって何点か伺います。

 冒頭になりますが、関口陳述人、先ほど雪対策ということをお話しになりましたが、柏崎刈羽原発の避難計画に関わってお尋ねしたいと思います。

 といいますのも、昨年十二月十八日からの記録的な豪雪では、北陸道が五十二時間、国道八号線が三十八時間通行止めとなって、そして多数の車両が立ち往生する。柏崎市を始めとして、四市で災害救助法が適用されたということでありまして、ちょうどそのときに、私自身、予定していた柏崎刈羽原発の視察だったんですけれども、これも、東京電力から豪雪で難しいというふうに言われて延期となりました。

 原発事故に備えた柏崎市の避難計画は、市民八万人のうち六万人が北陸道や国道八号を使って上越方面に避難する想定となっておりますけれども、柏崎市の桜井市長さんによれば、今回の場合、避難計画は全く機能しない、そして、この状況で原発事故が起こらないでほしい、冗談ではなく、これはもう祈りしかないという感じだと言われました。

 そこで、十日町市は柏崎刈羽原発の三十キロ圏内というふうに承知しているんですけれども、関口市長も一昨年九月の市議会で、大雪と原発事故が重なった場合や大規模地震によって震災被害と原発事故が同時に発生した際の避難は非常に困難なものと認識しているというふうに答弁されていると承知しています。今回の豪雪による災害を目の当たりにされて、改めて避難計画ということについてどう感じていらっしゃるか、伺いたいと思います。

関口芳史君 今回の雪は里雪でございました。柏崎市、出雲崎、ふだん、雪など降らないところですよね、ほとんど。ゴルフ場があります。あれは多分、冬でもオープンしているんですよね、柏崎のゴルフ場は。ですから、我々、一番、市域で原発に近いところは二十二キロですけれども、UPZ圏内に六千人ほどの市民が生活しています。そういう中で、もちろん、我々市民もいざというときには避難しなきゃいけないし、また柏崎、刈羽にお住まいの方が避難するときは我が市の中を通って避難される、そういうプランになっているんですよね、今、避難計画は。

 おっしゃるとおり、雪のときは大変だと思います。特に、いつも降る十日町市はもちろん除雪のレベルもそんなに悪くなく、市民がスタックするようなことというのはめったにないんですけれども、やはり余り降らない地域の特に高速道路、その下の国道との連携など、またやはり起きてしまったんだなというふうに感じましたね。

 ですから、そういった観点でいきますと、十二月から三月までの四か月、新潟県、柏崎の周辺は雪に覆われるわけでありまして、そういったことから考えると、本当に立地として一番厳しいところなんじゃないかなというふうには正直感じています。

笠井委員 ありがとうございます。

 大変御苦労があるということがよく分かります。

 立石参考人に伺いますが、柏崎刈羽原発をめぐるこの間の一連の事態についてどういうふうに見ていらっしゃるか、伺いたいと思うんです。

 七号機は二〇二〇年の九月、原子力規制委員会の全審査に合格をして、東京電力に原発を運転する適格性があるとされて、再稼働は、あとは地元同意を取り付けるというところまで来ていたというふうにされていたわけです。

 ところが、IDカードの不正使用とか、核物質防護の対策の相次ぐ不備が発覚をする。規制委員会は是正措置命令を発出して、工事が終わっているとしながら、実際は未完了のままだったり、数多くの場所で溶接の手抜き工事も発覚する。それから、昨年は建屋のコンクリートくいの損傷が確認をされて、十五年前に発生した中越沖地震の影響であることも判明した。つい先日は、三号機の審査書類に二号機の内容を流用していることが発覚をする。外部電源喪失の際のバックアップ電源、非常用ディーゼル発電機も試運転中に停止をするということで、いまだ復旧できないままということであります。

 このような状況で、一体、東京電力に原発を動かす資格があるのかということが問われると思うんですけれども、そして、その点では再審査が必要じゃないかと思うんだけれども、お考えはどうでしょうか。

立石雅昭君 ありがとうございます。

 東京電力に柏崎刈羽原子力発電所の運転能力と資格、これについては、県民みんながやはり大きな不安を抱えているわけですよ。今お話しいただいたように、次々と不祥事ばかりなわけですね。これは多分誰も反対しない、あんなところに本当に動かさせていいのかと。これは正直なところ、本当にみんな不安に思っているわけですよ。

 一昨年、二〇二一年夏前に動かすという予定でやってきたのに、今お話あったように、核防護という基本的なところで、何これと思うようなことが起こったわけですよね。その後も次々と不祥事だらけ。

 私は、例えば現場で、東京電力柏崎刈羽原子力発電所、それから規制委員会、こういうところで、現場で奮闘している人たち、ここに責任があるというわけではないというふうに思っています。しかし、それらを組織として動かしているそこの人たちの頭の構造、安全よりも金だ、この論理がやはり抜け切れていない、そこに大きな問題があるので。

 これは私は、規制委員会が、二〇一七年の十二月に、新規制基準に適合しているという判断を下したとき、一緒に、東京電力には原発を動かす能力がないとは言えないというような、何これと思うような、そういう判断を下して、能力を認めたわけです。これは改めて、本当に真剣に、東京電力に能力があるのかということをチェックしていただきたい。これは県からも要請しています。

 以上です。

笠井委員 ありがとうございます。

 そこで、立石陳述人に引き続き伺いたいんですが、昨年末の岸田政権による原発回帰と言われることへの大転換に関わってのことであります。

 岸田内閣は、本日午前、GX実現に向けた基本方針を閣議決定いたしました。この間、総理自身も、丁寧に説明とか、聞く耳ということもおっしゃってきたし、今回の問題に関わっても、国会でも答弁で、国会での活発な議論を通じて国民への説明を徹底してまいりたいというふうに言われていた矢先なわけですね。まだその議論もこれからというところで、予算委員会もやっております。

 そういうときに今回の決定がされて、先ほど陳述人もおっしゃいましたけれども、パブリックコメントをかけていたと。それに寄せられたコメントも、今回の決定と併せて政府の発表では、三千三百三件あったということなんですけれども、その多くが、例えば、原発や化石燃料頼りではなくて、省エネ、再エネこそとか、あるいは原発の運転期間延長をすべきではないということで、たくさんの意見が出ている。そういう多くの意見を一顧だにせずに、ほぼ原案どおりの中身を決めたということになっております。

 私は本当に、強くこの決定に対しては抗議したいし、撤回を求めたいと思うんですけれども、この決定のやり方についてはどのようにお考えか。福島の事故についての反省ということも冒頭お話がありましたが、反省もなく、原発推進に切り替える、転換するという決定を行ったということについての御意見はいかがでしょうか。

立石雅昭君 ありがとうございます。

 ここ最近、それこそ、閣僚会議も含めていろいろと、GXの実現に向けて前のめりに走っているという感じを受けるんですよね。

 でも、私が思うのには、この大きな転換をもたらそうとしているエネルギーの在り方、これについての、基本的には、やはり国民の合意を得て進めるという姿勢を、最も重要だと思っています。

 前のめりにならざるを得ないというか、したいというのは分かるんだけれども、しかし、あの福島原発事故を経験した日本ですよ。そこで、私は、国会での審議でも、あるいは政府としての方向にしても、すなわち、GX、エネルギーでいえば経産省、これはやはり、政府事故調、国会事故調、これを常に座右の書として置いて、議論を進めていただきたいと思うんですよ。

 そこから離れた方向というのは、もし、やろうとするならば、やはり、国民的な合意を得るために最大限努力するべき。丁寧に説明しますと言うだけで、言葉だけじゃないですか。こういう政治の進め方がいいのかと。

 それで、事故後十年、二〇二一年六月、内閣府が出した、東京電力福島原子力発電所事故調査委員会の報告書を受けた以降の措置という報告書を別個に作っていますよ。毎年出しているんですよね、これは。それに基づいて、これからどうしていくのか、そういうことをやはり国会の中でも真剣に議論していただきたいし、国民にちゃんと説明して、そして国民の合意を得た上で進めるという姿勢を貫いていただきたいと思っています。

 今回やられているものが、また束ね法案で出てくるというのは、これは何でしょうか。国民に、一つ一つの法案、こういうふうに変わるよ、変えようとしているという説明もなしに、四本も五本も一本にして進めますなんていう、こういうやり方がいつから始まったか。二〇一四年そして二〇一五年、安倍さんのところから始まっているわけですよ。

 私は、やはり、そういう法案一つ一つ、大事だからこそ、ちゃんと説明をして、そして、どのように変わるのかということを国民にちゃんと説明した上でやっていただきたい。絶対駄目だなんていうことは言いません。

 以上です。

笠井委員 ありがとうございました。

 今、束ね法案と言われましたけれども、政府が今提出しようとしているということでいえば、原子力規制委員会所管の原子炉等規制法に定める原発運転期間、原則四十年ルールを削除して、経産省所管の電気事業法に移して、規制委員会の審査期間を最大六十年プラスアルファということで、六十年超の運転を可能にしようとする。それから、原子力基本法には、原発活用による電力安定供給の確保や脱炭素社会の実現を国の責務と明記するという極めて重大な中身がありますので、今御指摘ありました、徹底して国会でもただしていきたいと思います。

 最後に、四人の陳述人の方々に一言ずつコメントをいただければと思うんですけれども、政府の政策の大転換といえば、もう一つ、岸田政権が安全保障政策を大転換するという決定を行ったということが大きな問題になっております。

 今回の決定は、歴代政権の専守防衛の立場を投げ捨てて、敵基地攻撃を保有して、射程三千キロの極超音速ミサイル購入など、来年度予算を含めて防衛費を五年間で四十三兆円にしようとしているということで、財源としては、年金あるいは医療の積立金も流用するということも含まれている。

 二月六日の予算委員会では、浜田防衛大臣が、日本が武力攻撃を受けていない下で集団的自衛権を行使して敵基地攻撃を行って、相手国から報復されて大規模な被害が生じる可能性も認めたわけであります。

 新潟を始めとして全国各地でこれに対して、大軍拡より暮らし、それから雇用、中小企業ということでの大きな声も上がり、そして、自民党重鎮の河野洋平元衆議院議長は、決してあの過ちは繰り返しませんと何十年も言い続けて、その結果がこの政策転換というのはあり得ないと年頭のテレビでも発言されている。

 私は、大軍拡反対の一点で大きく力を合わせるときではないかと思うんですが、お聞きしたいのは、政府が今回の大転換ということでやるということを自ら言われているわけですが、このことについても丁寧に説明をするということを首相を先頭に言われていますけれども、今、丁寧かつ十分な納得いく説明が国民に対してなされていると思うかどうか、この点について一言ずつ伺いたいと思います。よろしくお願いします。

福田勝之君 国民の理解においては、今まで、言い方は悪いですけれども、一般のお話で、日本は平和ぼけという話もあったんでしょうけれども、国民としては、目の前のウクライナの戦争を見せられて、現実を見せられている。そういう意味では、ある意味では賛成だし、かといって自分たちの生活も守っていかなきゃいけない。でも、もう一つ、これから日本という国が世界における外交力でどうやって変えていけるんだろうか。でも、この部分の今回の安全保障がないと、隣の変なおじさんが、飛んでくるというのを目の前で見ているわけですから。

 そういう中では、どっちがいい、どっちがいいじゃなくて、正直どっちもやってほしいんですよね。それが国民の今の気持ちだと僕は思っています。

 以上です。

小林俊夫君 丁寧な説明、十分な説明、できているとは思いません。

 以上です。

関口芳史君 変わった、大きな転換が行われたということは私どもも認識をしました。ただ、本当に今の軍備で果たしてそれで十分なのか不十分なのかというのは、これは分かりません。なので、そうしたことも含め、財源ももちろんあると思います、しっかりとまた御説明いただく中で議論を進めていただければ、そのように思います。

立石雅昭君 私も、基本的には説明が全くできていないと思っています。これ、理解できているというか、分かったという人がいるのは不思議で仕方がないですね。

 そういう意味では、ちゃんと説明をそれぞれの議会で、そして、それを通して、メディアも含めて、ちゃんと説明するという姿勢を、やはりみんなが納得できる形を追求するというのが基本的には政治の役割じゃないでしょうか。国政を担っていく以上、国民に説明する、当たり前のことです。

 以上です。

根本座長 次に、櫛渕万里君。(笠井委員「委員長、まだですよ」と呼ぶ)申合せの時間が過ぎておりますから、おまとめください。

笠井委員 まだですよね。今、これからですから、委員長。

 今、それぞれの思いを伺いました。まだ丁寧、十分ではないという御意見がたくさんあったと思うので、私は、戦争の心配がないアジアをつくることが一番政治の仕事だと思います。そして、やはり今必要なのは、戦争を起こさせない、戦争にしないということでの対話の外交ではないかというふうに思っているんですけれども、今日、皆さんの御意見を端的に伺いましたので、しっかり受け止めながら、国会でも徹底して議論して、そして平和の方向でということで力を尽くしたいと思います。

 ありがとうございました。

根本座長 次に、櫛渕万里君。

櫛渕委員 れいわ新選組の衆議院議員、櫛渕万里でございます。

 今日は、陳述人の皆様、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。

 さて、冒頭、福田会頭から、悪いインフレというお話がございました。一月二十日、一番最新の消費者物価指数、これは四%上昇、そして四十一年ぶりの高水準ということの一方で、食とエネルギーを除く総合、いわゆる欧米型コア、これはプラス一・六%にとどまるわけですね。つまり、日本のインフレが欧米ほど高くならない背景には、やはり輸入物価、この高騰ということが価格を押し上げているわけでありまして、東京大学の渡辺努教授は、例えば、日本は急性インフレと慢性デフレ、この二つの問題が同時に進行している状態だということを指摘されておられます。

 このことで三十年、日本は成長していない、そして物価と賃金が上がらないという状況が起こっているというふうに認識しておりますが、福田会頭、現場の、地方経済の立場から、もう一度、一言いただきたいと思います。

 そして、この間、そのような状況になった原因の一つに、消費税の増税、これがあるのではないか、そして緊縮財政、この中で増税が繰り返されてきたということが大変消費者マインドということを落ち込ませているというふうに受け止めております。

 消費税の廃止あるいは消費税の減税ということをれいわ新選組は訴えてきているわけなんですけれども、現場から、今のこの急性インフレとそして慢性デフレ、この中で、景気回復のためには消費税の廃止あるいは消費税の減税、そのことについて御意見をお聞かせください。

福田勝之君 日本の財政を考えないで、将来を考えないでやると消費税ゼロが一番いいのかという気もしないでもないんですけれども。消費税が不公平税制だという御意見もありますけれども、僕は別にそうは思っていないんです、世界中でやっているわけですから。

 だから、そういう中で考えてみると、今回の慢性デフレ、急性インフレというのは、輸入物価が何で上がったかというと、アメリカが勝手に、インフレになる、インフレになるといって利上げしたからです。それっておかしいんですよね。アメリカが物価がどんどん上がっていくんだったら生産量を増やせばいいんです。だって、物価が上がるというのは需要と供給が結びつかないから上がるんです。

 あれは絶対、僕は、失礼ですけれども、はっきり言って、実需じゃない。ただ数字だけで遊んでいる人間が多過ぎます。僕らの時代は、さっき言ったように、七%、八%の金利の中でも一生懸命働いてやってきたんですよ。それが、金利が一%切れている時代で、もう余り考えないんですよ、みんな。

 だから、時間がかかると思いますけれども、これから日本はゆっくりでもいいから少しずつ金利を上げていって、それが、いきなり上げると国民はついていけませんから、それぐらいどっしり腰を据えてやっていかないと、日本の本当の経済再生はもっと遅れますよね。だから、そういう形にしていかなければいけないのかなというのは思っています。

 ただ、今までの過去を幾ら言っても、もう戻せませんので、それを考えると、これから先のことを考える方が大事かなと僕は思っています。

 以上です。

櫛渕委員 御意見ありがとうございます。

 デフレから完全に脱却しないまま金利を上げて円高誘導をしますと、住宅ローンが滞って、企業の資金繰りが悪化して、倒産や失業が更に増えるという状況になりかねない、そのように私は受け止めております。

 同じ御質問を小林事務局長にお伺いしたいんですが、先ほど、世界中で消費税を上げていると言っていますけれども、一方で、日本は国民負担率が大変高いわけですね。昨年、過去最高、四八%ということで、給与が一度入ってきても、税金と社会保険料で四八%占められてしまう。可処分所得は半分しかない。そこに今物価高ですから、ここでやはり消費税減税は最低でも必要だと考えるんですが、いかがでしょうか。

小林俊夫君 給与の四八%が、いわゆる税や、恐らく雇用保険とか様々なものもみんな入っているかというふうに思います。それに加えて、消費をすることで、多分消費税というのはそこに、どちらの方に入っているか分からないんですけれども、いわゆる国税と言われるものにかなりの部分が取られているという中でいうと、消費税の議論というのは、どのようなものがいいかというのは、ちょっと、私個人の話ということはできることはありますが、やはり連合という形になってきますと、本部の方の話も出てくることですので、なかなか一概に言えることはありません。

 ただ、言えることは、やはり、将来に向かって、福祉、介護、こういったところの財源であるとか様々な要因が絡んできます。連合として、それから各構成組織なんかの話を聞いても、少し前までは、やはりこの消費税、そういったものは必要だと。これについては、私たちが将来、仕事が終わって定年退職をして、その後の自分たちの生きるところの様々な状況の中でいうと、これは必要なものではないかというふうな話は出ていたことは確かですし、消費税の廃止だとか減税だとか、そういったところに踏み込んだ議論というのはなかなかなかったというふうに記憶をしています。

 済みません、直近の状況で消費税について、この物価上昇局面で減税をするとかゼロにするとか、それについて、一生活者とすればそれはそうしていただければというのはありますけれども、やはりそれに見合う環境整備も当然必要になってきますし、それとの行って来いということもありますでしょうから、なかなか端的にこっちがいいと思いますというふうな発言はできないというふうに思いますので、そこの点は御理解いただければというふうに思います。

櫛渕委員 ありがとうございます。

 消費税は社会保障に使うということで増税が決まったわけですけれども、実質、本当に社会保障のために使われているかという率が二割少ししかないというのが実態ということもあります。一方で、法人税の穴埋めに使われているという状況もあるわけでして、しっかり、そうした現場の皆さんが、本当に社会保障のために使われているのかどうかということも、徹底的に国政の中で洗い出しが必要だというふうに受け止めております。

 続けて小林事務局長にお伺いしたいんですが、給付型中心の奨学金にというお話がありました。

 我が党は、まさに先ほど小林事務局長がおっしゃったように、これは、今現在、学生の教育ローンになっているわけですね。これの返済に約五百八十万人の若者が大変苦しんでいる。そのために結婚もできない、子供も産めない、本当にここに未来がない状況になってしまっているわけです。バイデン政権も昨年八月に、一部、学生ローンの返済を免除ということに踏み切りました。日本でもこれをやるべきだと考えますが、いかがお考えでしょうか。

小林俊夫君 その点に言えば全く同感ですね。それがもし可能であるんであれば、是非そうしていただきたいというふうに思います。

 補足をさせていただければ、先ほど私も述べたように、日本の大学生の奨学金の利用はもう約半数に上っているというふうに言われています。委員は五百八十万円という額を言われましたけれども、恐らく三百万円から五百万円ぐらい、多くの学生がローンを抱えたまま卒業する。結婚をするときに、確率二分の一ですよね。これが夫婦そろって奨学金を借りていたら、合算でその家庭にローンが残る。そういった中で、子育てだとか、そのまた子供の教育費だとか、一体どうやっていくんだ、こういった可能性も当然拭えないわけで、私とすれば、一刻も早くやはりそういった対応を、それから新たな給付型奨学金の創設、こういったところをお願いをしたいなというふうに思います。

櫛渕委員 ありがとうございました。

 次に、関口市長にお伺いしたいと思います。

 先ほど笠井委員が複合災害についての避難経路、同じ質問を実はさせていただこうと思ったんですが、御意見ありがとうございました。

 関連して、ちょうど柏崎刈羽にいる友人が、やはり先日の豪雪のときに本当に三日間閉じ込められたという状況で、避難経路のこと、そしてずっと立ち往生、二十キロも続いたということについて、本当に悲鳴の声を上げておりました。

 そこで、その友人が言っていたのが、長岡国道事務所の職員の数であるとか、あるいは除雪車の数がこの二十年間減ってきているんじゃないか、アウトソーシングになっているんじゃないかということで、ちょっと数を調べました。

 そうしたところ、正規職員はやはり、二十年前百十五人だったのが、令和四年は八十六名に減っているんですね。除雪車の保有数というのはほとんど変わっていない、現在九十車ぐらいなんですけれども。

 この辺、事実上、自治体の首長さんとして何かお感じになっていることはありますでしょうか。アウトソーシングの弊害みたいなものとか、あるいは国土交通省やNEXCO東日本について要望みたいな御意見があれば、是非お聞きしたいと思います。

関口芳史君 長岡国道事務所のみならず、国交省の地方の組織をちいちゃくしないでほしいという要望は、私ども新潟県市長会のみならず、全国市長会でもずっとやってきました。ようやく、多分昨年か、もうちょっと前かな、そのぐらいで底を打って、地方の整備局の人員が増え始めたというのを聞いて安堵しているわけですけれども、でも、まだ、当然ながら平成の最初のところの数字には全然ほど遠いという状況だと思っています。

 やはり直営部隊の強みというのは本当にあるんですね、おっしゃるとおり。そうなんです。もちろん、除雪業者さんと連携しながら運用していくわけです。我々も同じことをやっています。ですけれども、やはりそのバランスというのは非常に重要だと思っていまして、大事な、動かなきゃいかぬときにしっかりと行動できるようにしていくべきだと思っています。

 特に、余り雪が降らないところの、エリアの除雪業者さんというのは、やはり、設備投資とか人材確保というのが、それは豪雪地帯に比べれば少しそのレベルが下がってしまうのはしようがないと思うんですね。

 ただ、そういうわけにいかないので、特にこの頃の気候変動によって雪の降り方がちょっとおかしくなっていますから、そういった観点で、要は、我々が連携する地元の除雪業者さんたちもしっかりと設備投資できるような施策を国において是非していただきたいと思いますし、直営部隊の増強、あと地方整備局の増強ですね。あと、地方整備局間のいろいろな、助け合う、そういう仕組みもどんどんよくなっているというふうに伺っているんですけれども、そうしたことも是非お願いしたい、こう思います。

櫛渕委員 ありがとうございます。

 では、続けて立石名誉教授にお伺いしたいと思います。

 資料をいただきました。県民本位の福島の復興なくして原発回帰、新増設は認められない、本当に私もそのとおりだと思います。

 そして、一方、政府はGX基本方針ということを今日閣議決定したわけですけれども、八日の日、二日前に、原子力規制委員会で、原発運転の期間、原則四十年を六十年、延長する方針を受けて、石渡委員という方が、これは御専門は地震や津波の審査の担当の方ですけれども、反対意見を述べられた。そこで、規制委員会の中では反対意見が出たので決定できなかった。けれども、今日、基本方針を閣議決定したと。全くめちゃくちゃなプロセスを踏んでいるというふうに映るわけですが、御意見をお聞きしたいと思います。

 石渡委員はこのように言っておられます。運転期間の制限、これは規制委員会から経産省に所管が移るわけですけれども、そのことについて、科学的、技術的知見に基づいて人と環境を守ることが規制委員会の使命だと思う、そして、運転期間の制限を落とすのは安全側の改変とは言えない、このような反対意見を述べられておりますが、同じ分野の御専門の立石陳述人から御意見をお聞かせください。

立石雅昭君 御質問ありがとうございます。

 石渡さんは、私が属していた地質学会、かつて会長もされた方ですし、私よりも少し若いんですけれども、非常によくできる人です。ただ、ああいう発言をして、私、大丈夫かなというふうに実は思ったんです。これからすごい圧力がかかるだろうと。耐えられるかどうかなという思いもあるんですけれども。

 内容的に言えば、確かに、私は、今の原子力行政、明らかに、科学技術的に大丈夫かどうかという議論ではなくて政策判断が先行している、これが実態で、先ほどのGXもそうですけれども、やはり、日本の今の行政というものが、科学技術的な、原子力について言えば安全性の問題、あるいは国民の生活、こういうところから離れて、経済発展、この論理だけが先行しているのではないか。いや、そうじゃないという言い方もあるかもしれない。それならそれで、ちゃんと説明していただければいい。

 この原発の問題について言うと、余りにも政策的な判断が先行し過ぎて、福島を忘れてしまっているんじゃないか、これが私の思いです。

 以上です。

櫛渕委員 ありがとうございます。

 先ほど、笠井委員の発言のお答えの中でも、国民合意が必要だ、前のめりだというお話がありました。

 規制委員会そして規制庁は、やはり、三・一一の事故の直後、これまでの安全神話ということを反省して、規制と推進を分けたんですね。そして独立性を持った省庁をつくった。ここの分離ということが根幹のはずですけれども、今回の閣議決定の中ではこれは結局、経産省の所管、推進側の所管に戻るというようなことを、私も認めるわけにはいかないというふうに思っております。

 そして、その国民合意ということで一つお伺いしたいんですが、県の方でも検証委員会というのがあるということを陳述されました。そして、ここで報告書が出たというふうにお聞きをしています。ただ、ここの報告書について、例えば、タウンミーティングであるとか、おっしゃっていた県の中の住民合意であるとか、こういったものはあったんでしょうか。

 一方、総括委員会というのが存在するということをお聞きしておりますが、二年以上開かれていないという声も聞かれております。その点、いかがでしょうか。

立石雅昭君 私の資料の図にもありますけれども、最後のまとめをするのは検証総括委員会。二〇一八年の一月に設立されてから、その間、たった二回しか開かれていないという状況ですよね。

 これは、県が任命をしたそれぞれの委員の人たちが、やはり原発に関わって自分の言いたいことをきっちり言える、そういう環境をつくるということがまず基本だと思うんですよ。

 確かに、委員長と運営の方向をめぐって、まとめの方向をめぐって意見が違う、これはあるでしょう。しかし、ほかの委員の人たちも含めて、委員会をちゃんと開いて、そこで意見交換をして方向を決めていけばいいことであって、それが新潟における原発を進めていく上で私は必要な方法だというふうに今でも思っています。

 意見の相違というのはどうしたってあるわけですから、そのことを承知の上で、しかし、みんなで議論して進めていくということをやはりちゃんとやってもらわないと、何のために総括委員会を設けているのかよく分からない。意見が合わないから開きませんというのでは、これは駄目だというふうに私は思っています。

 以上です。

櫛渕委員 ありがとうございます。

 県民合意、国民合意、これがとても大切であるというふうに受け止めました。原発再稼働の布石を打つようなプロセスの在り方はいけないというふうに私も思います。

 あと三十秒ぐらいありますか、委員長。

根本座長 ちょっと、申合せの時間が過ぎておりますので、もうおまとめください。

櫛渕委員 はい、分かりました。

 最後、関口市長にお聞きしたかったんですが、じゃ、一言だけ。済みません。

 安保三文書で敵基地攻撃能力の保有ということで、これは、日本が攻撃されていなくても他国を攻撃することがあり得る、その場合、他国から再度攻撃されるかもしれないというときに、国民保護法の下で、住民の避難あるいは施設ということへの責任はやはり首長ということになるわけですけれども、この三文書決定に当たって、こうした、佐渡にはレーダーの基地もあるわけですけれども、首長に説明あるいは意見を聞くというようなプロセスはありましたでしょうか。そして、この決定についていかがお考えか、一言、済みません、時間がない中ですが、お聞かせください。

根本座長 それで、時間がもう過ぎておりますので、簡潔に。申し訳ありませんが。

関口芳史君 そのような説明といいますかということはなかったと思います。

櫛渕委員 ありがとうございます。

 終わります。

根本座長 以上で委員からの質疑は終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 意見陳述者の皆様におかれましては、御多忙の中、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただき、誠にありがとうございました。

 また、この会議開催のため格段の御協力をいただきました関係各位に対しまして、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

 これにて散会いたします。

    午後三時十五分散会

    ―――――――――――――

   派遣委員の福岡県における意見聴取に関する記録

一、期日

   令和五年二月十日(金)

二、場所

   ホテル日航福岡

三、意見を聴取した問題

   令和五年度一般会計予算、令和五年度特別会計予算及び令和五年度政府関係機関予算について

四、出席者

 (1) 派遣委員

    座長 古川 禎久君

       岩屋  毅君   奥野 信亮君

       小林 鷹之君   土屋 品子君

       中山 展宏君   三谷 英弘君

       八木 哲也君   後藤 祐一君

       森山 浩行君   吉田はるみ君

       青柳 仁士君   吉田久美子君

       斎藤アレックス君   緒方林太郎君

 (2) 現地参加議員

       阿部 弘樹君

 (3) 意見陳述者

    福岡県知事       服部誠太郎君

    日本労働組合総連合会福岡県連合会事務局長   矢田 信浩君

    株式会社Branches代表取締役      権藤 光枝君

    トリゼンフーズ株式会社代表取締役会長     河津 善博君

 (4) その他の出席者

    財務省主計局主計官   河口 健児君

     ――――◇―――――

    午後零時三十一分開議

古川座長 これより会議を開きます。

 私は、衆議院予算委員会派遣委員団団長の古川禎久でございます。

 私が会議の座長を務めさせていただきます。

 この際、派遣委員団を代表いたしまして一言御挨拶を申し上げます。

 当委員会では、令和五年度一般会計予算、令和五年度特別会計予算及び令和五年度政府関係機関予算の審査を行っております。

 本日、御意見をお述べいただく皆様におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようよろしくお願いいたします。

 それでは、会議の運営につきまして御説明申し上げます。

 議事は、全て衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長の私が行うことといたします。発言される方は、その都度座長の許可を得ていただきますようお願いいたします。

 なお、意見陳述者の皆様から委員への質疑はできないことになっておりますので、御承知おき願います。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、意見陳述者の皆様からお一人十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答え願いたいと存じます。

 なお、御発言は着席のままで結構でございます。

 それでは、本日御出席の方々を御紹介いたします。

 まず、派遣委員は、自由民主党の中山展宏君、小林鷹之君、岩屋毅君、奥野信亮君、土屋品子君、三谷英弘君、八木哲也君、立憲民主党・無所属の後藤祐一君、森山浩行君、吉田はるみ君、日本維新の会の青柳仁士君、公明党の吉田久美子君、国民民主党・無所属クラブの斎藤アレックス君、有志の会の緒方林太郎君、以上でございます。

 なお、現地参加議員といたしまして、日本維新の会の阿部弘樹君が出席されております。

 次に、本日御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。

 福岡県知事服部誠太郎君、日本労働組合総連合会福岡県連合会事務局長矢田信浩君、株式会社Branches代表取締役権藤光枝君、トリゼンフーズ株式会社代表取締役会長河津善博君、以上四名の方々でございます。

 それでは、まず、服部誠太郎君に御意見をお述べいただきたいと存じます。

服部誠太郎君 皆様、こんにちは。福岡県知事の服部誠太郎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 古川団長を始め、衆議院予算委員会派遣団の皆様におかれましては、国会開会中、お忙しい中に福岡県においでいただきまして、このように公聴会を開催をいただき、厚くお礼を申し上げます。

 また、こうして貴重な意見陳述の機会をいただきまして、誠に感謝を申し上げる次第でございます。

 国の令和五年度予算案におきましては、地方交付税、一般財源総額とも前年度を上回る額を確保いただいておりまして、地方自治体の安定的な財政運営への御配慮に対し、まず感謝を申し上げたいと思います。

 私は、この福岡県を飛躍、発展させていく、そして、誰もが安心してたくさんの笑顔で日々を送れる、そんな福岡県にしていくために新しいチャレンジが必要であると考えまして、人財の育成、また、世界から選ばれる福岡県の実現、またそのための成長産業の育成、そしてワンヘルスの推進という、大きく三つのチャレンジを掲げているところでございます。

 本日は、せっかくの機会でございますので、これらについてお話をさせていただきます。

 まず、世界を視野に、未来を見据えた新しい一歩を踏み出すためのチャレンジといたしまして、何より重要なのは、国においても人への投資ということを打ち出されておりますが、福岡県の未来を開き、担っていく人財の育成であると思います。全ての基礎は人であり、人こそが宝であると考えております。このため、人財の財は、財産の財、宝という字を当てさせていただいております。

 まず、この中でも、教育のDX、ICT教育の推進でございますが、今年度、本県では、県立高校における一人一台タブレットの整備に着手をいたしまして、所要額約二十八億ほど、タブレットだけで所要となったわけでございますが、昨年十二月に約四万六千台の配備を完了いたしました。これは単年度で行ったところでございます。次年度以降、ICTの強みを生かして、子供たちに多様な学びの機会を県内どこでも提供していきたいと考えておる次第でございます。

 今後とも、学校のICT環境の統一的な整備及び効果的な活用が推進できますように、国におきましては、維持管理経費、これは我々も十億円ほど、毎年維持管理のコストがかかるだろうと見ております。あるいは、タブレット等の更新、またICT支援員、技術的な支援体制というものが各学校において必要でございます、このICT支援員の配置に係る費用、こういったものに必要な財源につきまして、補助金によって確保していただきますようお願いを申し上げたいと思います。

 次に、同じく人材といたしましては、半導体人材の育成、確保の問題でございます。

 今、世界的な半導体需要が増加をいたしておりますし、TSMC熊本進出ということが決定をいたしております。こういったことを背景にしまして、既に人材の獲得競争は非常に激しく厳しいものがございます。

 本県でも、半導体の関連企業は四百社ほどございます。特に、三菱電機さんあるいはローム・アポロさんなどパワー半導体において世界シェア上位を占める企業、また、画像センサーのソニーさん、あるいは半導体製造装置の安川電機さんなど、また、それに関連する中小企業もたくさん立地をしておるわけでございます。こういった国内企業の育成というものは極めて重要であると思います。このための人材が必要なわけでございます。

 こういったことから、本県といたしましても、九州経済産業局さんが新設されました九州半導体人材育成等コンソーシアムに参画をいたしております。

 また、今後、県といたしまして、今、福岡産業科学技術財団というのがございますが、県の財団でございますが、こちらが運営しておりますシステム開発技術カレッジというものを持っております。これは二〇〇一年から稼働いたしておりまして、これまで二万一千人の方がここで研修を受けておられますが、LSIの設計等について勉強されておる。ここを抜本的に見直して、半導体講座の拡充、中小企業における人材育成等もできるように、人材育成の強化に取り組んでいきたいと思っております。

 是非、こうしたコンソーシアムの取組の着実な推進、また、こういったカレッジなどにおきます半導体講座の拡充のための財政支援もお願いをしたいと思っております。

 それから、成長産業の創出という点でございますが、やはり、将来への発展の種をまき、芽を育てるための施策、極めて重要でございます。

 本県では、ベンチャー企業、いわゆるスタートアップの販路拡大あるいは資金調達を支援するため、フクオカベンチャーマーケットというものを一九九九年から毎月開催をいたしておりまして、これまでに約二千七百社の企業が登壇をいたしております。六割は県内、三割強が県外、海外からも三%ほどになっております。

 昨年七月、九州大学さんの協力を得まして、財務、知財等の知見ある高度経営人材を登録する、そしてベンチャー企業とのマッチングを支援いたします福岡県大学発ベンチャーCXOバンクというものを立ち上げました。

 また、令和七年四月には、日本で唯一の拠点が東京にございますが、CIC、ケンブリッジ・イノベーション・センター、この福岡進出がほぼ決定をされております。これを契機として、グローバルなベンチャー創出拠点の構築を目指しております。実は、今朝もCICのCEOが県庁をお訪ねいただきまして、ボストンからお見えでございましたが、いろいろな構想についてお話をさせていただいたところでございます。

 国におかれましては、海外資本による国内ベンチャーに対する投資促進のため、県が実施いたします誘致活動に要する経費でありますとか海外投資家の招聘費用などについて、財政支援を是非お願いをしたいと思っております。

 それから、グリーン水素の問題でございまして、水素はカーボンニュートラルのキーテクノロジーでございます。本県では、これを成長の機会と捉えまして、水素による経済と環境の好循環、グリーン成長を推進するために、昨年八月、福岡県水素グリーン成長戦略を策定をいたしました。

 特に、水素利用拡大に向けて、FCトラック、水素トラックの輸送実証を令和三年度に実施をいたしました。今年度は県内物流事業者へFCトラックの導入支援に取り組んでおりますが、このトラックが三トントラックで六千万円いたします。ディーゼルトラックですと定価ベースでも一千万。非常に価格差が大きゅうございまして、ここについては国においても補助制度が設けられてはおりますが、これはEVやあるいはプラグインハイブリッド等、また、トラックのみならずタクシー等も対象となっておりますので、是非、財政支援の充実、それから普及に向けて高圧ガス保安法等の規制の見直しを、これは水素ステーションの話でございますが、お願いをしたいと思っております。

 それから、宇宙ビジネスも本県は取り組んでおりまして、衛星コンステレーションの構築に向けた取組を行っております。

 九大発のQPS研究所が打ち上げておりますSAR衛星は非常に世界トップの性能を持っておりまして、既に衛星画像の政府調達も決定をいただいております。この衛星は、県内十七の物づくり中小企業が造っておるという下町衛星でもございます。

 非常に今後、宇宙ビジネスというものは裾野が広く、期待が持てるわけでございますが、是非、国におかれましては、コスト低減のためにも、国産ロケットの打ち上げ回数の増加、またこういったデータの継続的な政府調達、また衛星データを活用した民間ビジネスに対する支援をお願いをしたいと思っております。

 それから、バイオについても、本県は二〇〇一年からバイオバレープロジェクトというものを進めておりまして、県内には二百社を超えるバイオ関連企業が既に集積をいたしております。令和三年六月には、内閣府の地域バイオコミュニティ第一号に認定をされました。

 我々、次世代創薬、また再生医療、スマートセル、機能性表示食品、この四分野を中心に取組を進めておるところでございますが、更なるバイオベンチャーの集積、成長を促しますため、産学官の共同研究、また、地域が大学等と連携して設置をいたします実証機関に対する継続的な財政支援をお願いをしたいと考えております。

 それから、もう一つの柱が、ワンヘルスというのがございまして、これも説明いたしますと長くなりますが、人の健康と動物の健康、環境の健全性の三つを一つの健康として捉えて、一体的に守っていこう。これは、新型コロナあるいはSARSなども全て動物由来でございまして、こういった人獣共通感染症に対抗するためのものでございます。国会におかれましても、今、議連の検討が進められるとお伺いいたしております。

 我々も、ワンヘルスを推進をしていく、また、福岡県をワンヘルスの世界的先進地にしていきたいという取組を進めておりますので、是非ともこれに対する支援、また、九州知事会としても国に対し要望しておりますアジア新興人獣共通感染症センターの九州への早期設置をお願いを申し上げたいと思います。

 時間が超過して申し訳ございませんでした。今回の国の予算も最大限活用させていただきまして、本県の成長、発展の歩みを進めていきたいと思いますので、先生方の御理解とお力添えのほどを何とぞよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。(拍手)

古川座長 ありがとうございました。

 次に、矢田信浩君にお願いいたします。

矢田信浩君 御指名いただきました、略称でございますが、連合福岡の矢田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、私たち連合福岡の意見を表明する機会をいただき、感謝をしております。

 連合はビジョンとしまして、「働くことを軸とする安心社会 まもる・つなぐ・創り出す」を掲げております。目指す社会は、誰もが公正な労働条件の下、多様な働き方を通じて社会に参加でき、社会的、経済的に自立することを軸とし、それを相互に支え合い、自己実現に挑戦できるセーフティーネットが組み込まれている活力あふれる参加型社会であります。

 本日は、働く者、生活者の立場、そして地方の立場から、連合が目指す社会像の実現に向けました、お配りしております一ページに記載しております三つのテーマについて、課題認識や意見等を述べさせていただきたいと思います。

 では、一つ目のテーマでございます中小企業への支援について、取引の適正化と中小企業への各種支援について述べさせていただきたいと思います。

 まず、取引の適正化についてであります。

 これから本格化していきます春季生活闘争におきまして、賃金引上げの方向性は労使が一致をしていると認識をしております。とりわけ中小企業においては、賃上げ原資の確保は不可避であり、価格転嫁、取引の適正化に関する取組はこれまで以上に重みを増しています。関係省庁におかれましては、下請Gメンや取引の適正化に向けて取り組んでいただいており、感謝をしているところであります。

 連合福岡は、そのような状況を踏まえ、全国的かつ緊急的な社会へのアピール行動に取り組んでいるところであります。加えまして、配付資料二ページ、三ページにございます連合が作成をしておりますパンフレットを連合福岡内の各構成組織へ配付することに加えまして、公正取引委員会や県内の各経営者団体の皆様へ要請行動を展開している状況であります。

 そこで、取引の適正化について二点、意見、要望させていただきます。

 一点目は、この取組を更に全国各地域、中小零細企業へ広げるために、多様な取組が必要だというふうに考えております。これまでに増して関係省庁による取引適正化宣言や具体的な適正取引に関します活動の情報発信をいただくことは、他業種、他地域への波及につながると考えています。

 二点目は、買いたたきやしわ寄せなどの優越的地位の濫用による不公正な取引の是正、とりわけ原材料価格高騰などによる取引価格改定の問題は、多くの取引事例が問題として発生をしているところでございます。このような状況を踏まえますと、取組の強化は必須と考えております。

 次に、中小企業への各種支援についてであります。

 関係省庁によります賃金引上げや人材育成など様々な観点の支援メニューを整備し、諸施策を展開いただいておりますことに感謝を申し上げます。

 連合福岡としましては、関係する構成組織へ周知活動を実施するとともに、労働組合の立場から、経営側への情報共有などについて取り組んでいるところであります。

 しかし、実態としましては、それらの施策が広く浸透できておらず、十分に利用、活用できていない企業があるものと考えています。その点を踏まえ要望となりますが、中小企業への各種支援の利用促進につなげるため、改めて中小企業の窮状などを把握し、支援策を検討する体制や環境の整備をお願いしたいと考えております。

 二つ目のテーマでございます、低所得者への支援に資する格差是正の取組について述べさせていただきます。

 二〇二三年の春闘における連合の賃金引上げ要求の考え方に、分配構造の転換につながり得る賃上げという視点がございます。格差是正の取組が重要と考えております。賃金格差の拡大に関しまして、中小企業における賃金格差の進行は、賃金水準の低下、並びに有期、短時間、契約等などの低賃金層で働く人の増加によるところが大きいと考えております。加えまして、賃金格差は男女間においても実在することから、企業規模間、雇用形態間、男女間の三つの視点から格差の是正について取り組む必要があると考えます。

 連合福岡としましては、配付資料の四ページ目にございます指標一、二、三により格差是正に取り組みますが、とりわけ指標二につきましては、福岡県内の連合福岡構成組織の組合員賃金データを集計し、策定をしております。広く周知することにより、中小企業の労働組合における賃金要求構築に活用いただくとともに、地域の賃金相場の形成と波及につなげるべく取り組んでおります。

 また、最低賃金につきましても、賃金の底上げ、底支えの観点から重要と考えています。特に企業内最低賃金については、最低賃金の協定を締結する企業の増加、その水準向上が地域別最低賃金にも波及するものと考えています。

 そこで、関連する意見、要望を二点述べさせていただきます。

 一点目は、格差是正に向けた取組の一環として、同一労働同一賃金や女性活躍推進に関する関係法令拡充のお願いです。

 一例としまして、女性活躍推進法においては、昨年、男女間賃金格差の開示を義務づけるなど、格差是正につながる施策を設けていただいておりますが、それぞれの関係法令の趣旨と実態とをチェックする、これが不可欠であります。法の趣旨実現に向けた取組についてお願いしたいと思います。

 二点目は、連合が目指す最低賃金の全国平均千円の達成、賃金の底上げに向けた国の後押しをお願いいたします。加えまして、最低賃金の地域間格差は、都市部への人口流入を招き、地方の衰退につながるおそれがあると考えておりますので、早期の是正に努めていただきたいと考えています。

 最後に、三点目のテーマ、子供たちへの支援について述べさせていただきます。

 連合福岡では、毎年、福岡県に対する政策、制度要求を策定し、提出させていただいております。その項目を作成するに当たりまして、組織内でアンケートを行っております。その集約結果から、多くの声が寄せられている子育て及び教育に関する項目二点について申し上げます。

 一点目は、安心して子育てができる環境整備についてです。

 現状では、子供を産み、育てるには多くの費用が必要となります。所得の著しい増加が見込めない状況を踏まえ、子育てに伴う精神面も含めた不安払拭に向けた支援の必要性はこれまで以上に高まっていると考えます。

 そこで、要望です。

 伴走型相談支援においては、とりわけ一人親家庭の課題の把握により、母子・父子自立支援員を中心としたアウトリーチ型の相談支援体制の強化をお願いいたします。また、子育てについては、衣食住に加え、病気や教育に付随するものなど多岐にわたる課題があることから、教育費の無償化や医療費に対する財政負担を始めとしました、将来にわたり安心して子供を育てることができる環境整備をお願いいたします。

 二点目の教育環境の整備についてであります。

 教育環境に目を向けますと、教員の確保が大きな課題であると認識をしています。教員の確保に向けては、社会的にも課題となっている教職員の業務負担の軽減や長時間労働の是正が非常に重要であると考えます。

 その対策として、四点について要望いたします。

 一、就業前教育から中等教育までの教職員の配置数や定数の改善。

 二、教育の長時間労働の是正に向けた給特法の抜本的見直しによる学校の働き方改革の推進。

 三、ICT支援員の確保に向けた外部人材の活用を含む育成政策と財政措置。

 四、学校における部活動の地域クラブ活動への着実な移行に向けた国による各団体との折衝や教育制度の具体的な改革。

 以上をお願いいたします。

 国では、令和五年度予算において、子供、子育て支援強化に向けた子供政策や、教員が授業等に注力できる環境などの対策等を打ち出していただいたことに期待しているところであります。地域における実態を踏まえていただき、是非とも推進、御注力いただけますことをお願い申し上げまして、私からの意見とさせていただきます。

 どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)

古川座長 ありがとうございました。

 次に、権藤光枝君にお願いいたします。

権藤光枝君 ただいま御紹介いただきました株式会社ブランチェスの代表をしております権藤と申します。

 本日は、このような機会をいただき、本当にありがとうございます。

 私は、福岡県、それから兵庫県、また沖縄で事業を行っておりまして、保育園事業、それから児童発達支援事業、それから子供の在宅医療などを支える仕事をやっております。全ての人が優しさと強さに包まれ、愛情に満ちた世界へという大きなビジョンを持って経営をさせていただいておりまして、その一起業家としての意見を述べさせていただきます。

 まず、本日、大きく三つ意見を述べさせていただきたいと思います。

 一つ目、働き方についてですけれども、基本的態度の中で示されております構造的な賃上げということは、私も大賛成でございますが、ただ、中小企業で限りある資源の中からどうやって賃上げを行っていくかということは、本当に大きな課題となっております。

 賃金の引上げが進むことは、非常に、働き手にとっては大変よいことだと思っております。特に、物価の高騰などが続いておりまして、経済的な負担がかなり増えているという、本当に生の声をよく耳にしております。ただし、パートスタッフなどから意見をもらうと、賃金を引き上げると働く時間が減るということ、そしてまた、企業としては、結果的に更に人員不足になるというような負のサイクルに陥ることも想定されております。また、働きたいパート職員などの女性にとっては、百三万円というような壁が大変大きな壁となっております。

 これを社内アンケートで行いましたところ、今後、四月以降、週二十時間以内のパート、扶養内で働き続けるか、またフルタイム勤務にするかなどを迷っている人がかなり多いという現状です。理由は、二十時間を超えることで社会保険料などの負担が増え、手取りが減ること、時給が上がるのはうれしいけれども、働く時間が減ることで、働く環境のスタッフ同士の情報交換が減る、また、保育園事業をやっておりますので、日頃関わる子供たちとの関わる時間が減ることで、働く上の事実上の悩みも増えるということを聞いております。

 また、短時間保育で保育園に預けているスタッフもおります。更に時間が減ることで、子供の保育時間が短時間保育になってしまうということ、給与だけではない面での弊害なども見えてくるかなと思っております。

 また、保育園を運営する側でいうと、短時間保育の設定なども見直しが必要になってくるのではないかなと思います。この辺りについては、一企業ではなかなか取り組みにくいところにはなりますので、是非国の支援もお願いしたいところです。

 もちろん、社会保険の加入など、年金がもらえる、傷病手当がある、手厚くなるというメリットは大変多いというふうな意見がある一方、扶養から外れるということで、子育てをしているお母さんたちの世代は、家事の負担、子供の病気のときなどの送り迎え、近くに頼れる家族がいないことなど、時間の余裕が更になくなるということも不安の一つだという声が聞こえております。

 また、旦那さんの会社から出ている扶養手当、家族手当などの支援がなくなるということも、経済的な不安につながっているのではないかなと思っております。

 さらに、男性の家事、育児参画は、この女性の働き方に大きな影響があると思っております。

 ジェンダー指数について、よく御存じとは思います。二〇二二年の日本の総合スコア〇・六五、順位は百四十六か国中百十六位と言われておりまして、ほぼ横ばいとなっております。先進国の中でも最低レベルということです。教育、健康、経済、政治の分野では、教育と健康については上位を示していると言われておりますが、一方で、経済と政治の分野では最低レベルということがずっと続いていると思われます。

 解消していくには、女性の働き方、社会進出ということ以上に、男性の働き方、企業の考え方というのが非常に大きな肝になっていくんじゃないかなと思っております。企業が男性の働き方や育休取得、介護休暇などを取り入れる仕組みをつくること、また、企業の風土づくりというのが大切になってきますが、こちらについても、中小企業でできることというのは大変大きな課題となっております。中小企業の人材不足にも大いに関わっていると思いますので、是非ともこの辺りについても国としての施策を考えていただきたいと思っております。

 また、二つ目に、障害児と家族支援について意見を述べます。

 子供、若者、子育て世帯への支援や少子化対策、子供の政策などの充実について、ますます前向きに取り組んでいただきたいと思っております。

 令和五年にこども家庭庁ができると聞いております。特に、困難な状況にある子供、貧困や虐待、障害がある子供や医療的なケアが必要な子供たちの支援について、更なる支援をお願いしたいと思っております。

 特に、医療的なケア児支援法というのが二〇二一年に成立をされました。国や自治体が医療的ケア児の支援を行う責務ということを明言した法律だと認識しております。医療的ケア児の子育てをする家族の負担軽減や、家族の離職を防止する目的が大きく取り上げられていると思いますが、いまだに、家族は就労が困難である、また、きょうだい児、家族の負担軽減などはまだまだ課題が多く挙げられております。

 主に、医療的なケアがある子供たちは特別支援学校に通う子が多いですが、学校への送迎は、いまだに基本的には家族、親が行っております。通学支援を行う自治体が少しずつ増えていく動きがあると思っておりますが、通学支援を更に進めていくための国の政策を強く要望させていただきたいです。

 また、各地域によってかなり格差があると思われます。自治体の努力だけでは進まないこの医療的なケア児の支援を強く要望させていただきます。

 また、医療的ケアがある子供や、難病を抱えた子供たちの家族の支援は急務だと考えております。

 一言に医療的ケアと言っても、環境は様々です。動ける医療的ケア児、人工呼吸器などが必要な医療的なケア児、一人親家庭、きょうだい児がいる医療的なケア児、そして十八歳以上の医療的なケアのある方、様々、いろいろな環境があります。

 特に、きょうだい児がいる場合は、障害がある子供に親がつきっきりになっていることで、きょうだい児としては、一人で過ごす時間が多く、親との関わりが非常に少ない、これはとても悲しいことだなと思っております。レスパイト事業など、まだ取り入れられていない自治体も多くあると思いますので、是非国としての方針を示していただきたいと思っております。

 最後に、三つ目です。保育園の配置についてです。

 保育園では、現在、園児に対して保育士の配置が決まっております。三歳以上児は二十人に対して一名、四歳以上は三十人に対して一名の配置。これは、一人で育てるのが三十人、難しいのは先生方も御存じと思っております。なので、保育園の先生たちに対しても、非常に日々の業務が多いというふうに認識しております。

 保育士の負担軽減、処遇改善などにも積極的に取り組んでいただいていることは大変ありがたいなと思っていますが、この処遇改善についても今現在三つに分かれていることなど、業務の負担はますます増えている状況です。保育士不足の解消として、保育士の配置について補助など、そして子育て支援員の配置など、もっと拡充をお願いしたいなと思っております。

 認可保育所では、年間百七十四万円程度の保育体制加算というものが出ております。ただ、これは小規模保育園には出ておりません。地域型保育事業所ということで、認可保育所との認識が違うというふうに聞いております。子育て支援員などの活躍の場が非常に少ない現状もあります。ゼロ歳から二歳までの小さなお子様をお預かりしている小規模保育園では、目が行き届かないことも多い現状でありますので、是非とも労働環境の改善、子供の安全につながるように、子育て支援員の活躍の場を設けていただきたいと思っております。

 以上です。ありがとうございました。(拍手)

古川座長 ありがとうございました。

 次に、河津善博君にお願いいたします。

河津善博君 こんにちは。私は、トリゼンフーズの代表取締役会長の河津でございます。

 グループ全体では千数百人いるんですけれども、今日は、私ども、鳥の生産もやっていますし、流通、それから飲食、通販をやっていますけれども、時間の関係上、ポイントを二つに絞って話をさせていただきたいと思っております。

 一つは、今一番話題のスポットの鳥インフルエンザ。

 御存じのように、今年は鳥インフルエンザの当たり年と言われているように、既に、現在、千三百六十三羽が殺処分になっております。千三百六十三のうちの約九〇%は卵を産む鳥、約一〇%弱がいわゆる食肉というんですかね、その殺処分が行われております。私どもは鳥肉の方なんですけれども、深刻なのは卵の方なんですね。

 御存じのように、卵が今、過去最高の値段に、昨日も発表になったと思います。この殺処分というのは、御存じのように、病気が入ったものを、そこを全部いわゆる処分しなきゃいかぬということなんですけれども、私どもの業界の中では、ここまで一気にやらなきゃいかぬのかという疑問が同業者の中から出ております。

 というのはどういうことかというと、数日前もたしか茨城で九十二万羽殺処分、もう一か所も九十七万羽。九十七万羽とか九十二万羽ということは、御存じのように、大体、卵は一日に一個産みます。ですから、九十二万個の卵のいわゆる供給が喪失するということ。これが約一千数百万羽、全国で起こっているわけですから、今、卵が、トータルからいうと約八パーから九パーの処分がなされているということ。ですから、今みたいに卵の値段が、私もこの業界に五十年ぐらい携わっていますけれども、聞いたことがない値段になっているわけです。

 問題は、殺処分をする目盛りというか、どこで殺処分するかというのは、僕は、余りにも規定のままにやられているんじゃないかな。九十七万羽ですよ。これが、一か所に九十七万羽いて、そこを殺処分ならば分かるんですけれども、数か所だと聞いております。でも、飼育をする人が、こちらにも行ったということで、もう全てだ、こうなります。これは、どこに線引きするかというのは非常に悩ましいところだとは思います。

 ただ、分かっていただきたいのは、肉用種だったら、大体、五十日の飼育ですから、三か月もすれば大体、元に戻ってきます。ところが、卵の場合は、約一年半ぐらいかけて卵を産む形になるわけですね。そうすると、殺処分にしたら、じゃ、三か月後にまた産んでくださいというわけにはいかないということも念頭に置かれて、殺処分に関しては、今もう既に千二百万羽の卵がなくなれば、千二百万個の卵が毎日出てこない。これも鑑みて、殺処分に関してもっとシビアな見方をされないと、生産者も、今後、いわゆる鶏を飼って卵を産ませよう、あるいは鳥肉も、私どもの生産者はこちらなんですけれども、養鶏場を造って鳥を飼おうという意欲がもうなくなっております。

 私どももまだ増やさなければいけないんですけれども、生産者は、この鳥インフルエンザのことを考えて、もしも病気が出たら、肉用種もそうなんです、実は卵も肉も全部補填があります。生産者には全部買上げがあります、皆さんも大体御存じ。ところが、買上げはあっても、再開するまでの期間が物すごくかかるんですよね、卵は物すごい。肉用種も同じです。約四か月から五、六か月かかります。そうすると、資金繰りを、我々が、トリゼングループが身を切ってそこの生産者に応援しなきゃいけない。これが今非常に、我々も生産者のことを考えると大変な状況だと。

 もちろん、私どもの工場も、その鳥が入ってこないんですから、もう大変な状況です。ただ、我々は企業ですから、それはほかの部分でも埋めていく努力をしなければいけませんけれども、生産者が非常に悲痛な声を上げているということを御存じいただきたいなということでございます。

 もう一つは、それから発生する、今度は鶏ふん、隣に行くと、牛ふん、豚ぷん。今の、餌価格が高くなった、それからガス代が高くなった、これはほとんど皆さん御存じなんですね。ですから、この餌代が高騰するところに補填をお願いしたい、プロパンガスをどんどんたくからガス代を何とか補填してくれぬか、それは多分、皆様方も御存じだと思いますけれども、今余り御存じないのは、鶏ふん、牛ふん、豚ぷんが、特に鹿児島、宮崎、もう待ったなしなんです。

 我々も、グループで大体一日に三万羽近く処理すると、私たちの会社だけでも月に三千トン、鶏ふんが出るんです、我々一社で。この処理に物すごく困っているわけです。この前聞いたら、やはり、豚も同じなんだ、牛も同じなんだという声が聞かれております。ですから、今、資源がないところ、御存じのように、国際肥料価格が暴騰しております。できれば、この牛ふん、豚ぷん、鶏ふんの、この鶏ふんを扱うものを、もっと日本の、科学的に研究していただいて、何も私は補助金をくれと言うんじゃないんです。この鶏ふん、牛ふん、豚ぷんを今の科学の力で何とかやる、無臭化するというような形でやれば、ここも生き返るのではないだろうか。もう本当に、鶏ふんでは私どもも困っております。

 もう一つは、私も飲食店を全国にやはり数十店舗展開しているんですけれども、インバウンドがなくなっちゃって、お客様が来ない、来ないと思っていたら、昨今は、おかげさまで、週末はお客様が私どもの店にもう入れないぐらい来られるのでほっとしているんですけれども、実は、働く人がいないんです。ですから、働く人を、外国人はどんどん集めているんですけれども、なかなか外国から入ってくるハードルが非常に高い。

 私どもも、今、ミャンマーやカンボジアやネパールや、いろいろな人を入れておりますので、是非とも、海外からのいわゆる働く人、いわゆるインバウンドをどうするかではなくて、せっかく来ていただいた方にどういう日本のおもてなしをするか。旅館業も大変だと思います。ですから、是非そういった方向に目を向けていただきたい。よろしくお願いいたします。

古川座長 ありがとうございました。

 以上で意見陳述者からの御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

古川座長 これより委員からの質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。三谷英弘君。

三谷委員 質疑の時間をいただきました衆議院議員の三谷英弘です。

 今日は、非常に参考になる御意見を本当にありがとうございました。以降、ちょっと座って質問させていただきます。

 本当に、様々なお立場から現在の様々な課題についてお話をいただきまして、まさに胸に迫るものがございました。本当にありがとうございました。

 それでは、意見陳述をいただいた順番で質問させていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、服部知事にお伺いをしたいと思いますけれども、まずは教育についてお話をいただきました。本当にありがとうございました。

 今年の一月四日の西日本新聞だったかと思いますけれども、知事が新春インタビューの中で、留学やスポーツ、スタートアップの創出などに失敗を恐れず、チャレンジする若者を応援していきたいというような発言もされていらっしゃいます。しっかりと、次の世代を担う、そういった人材を育成していくということに対する思いというのは、本当に私も大事だと思っておりますし、そのとおり応援をさせていただきたいというふうに思っております。

 特に、私は以前、文部科学大臣政務官を務めさせていただきました。そして、まさにコロナ下だったということもありまして、ちょうどいみじくも、GIGAスクール構想、まさに全国的に今、小学校、中学校で展開をさせていただきました。当然ながら、教育のICT化というものを高校でもやっていきたいというふうに思っているんですけれども、なかなか予算の関係でそうはいかない。結局、多くの自治体では、BYOD、ブリング・ユア・オウン・デバイスということで、それぞれが持っているスマホなりいろいろなタブレットを使うというようなことをやってお茶を濁しているのが現状だと思うんです。

 その中で、この福岡県が、先ほどの話によりますと、四万六千ものタブレットを準備して県立高校の生徒にお渡しをされた、これは物すごいことだなというふうに思うんですけれども、それを実現する上で一番課題だったことというのは何か、教えていただきたいと思います。

服部誠太郎君 今、三谷委員からお話をいただきました。

 まさに、やはり本県も、狭いとはいっても福岡県、いろいろな地域があるわけでございます。そういった中で、教育の格差なく、またデジタルデバイドもなく、子供たちに対してハイクラスな、ハイレベルな教育の機会を与えることが必要であるということが一つ。

 そして、今おっしゃったように、GIGAスクール構想を国が推進されまして、これによって義務教の方は整備されたんですが、ふと気がついてみますと、小中学校まではみんなタブレットでやっている。大学に行くと、もはや大学生で紙のノートを持っている人はほとんどいない。そうすると、高校だけが谷間になっておりまして、そういう中で、我々が配備しておりますタブレットは三人かあるいは四人に一台しかなく、それも結局、おっしゃったように、スマホを持たない子供さんに貸してというふうな考え方。

 ところが、やはり、いろいろな教材を活用していく上において、我々もやってみました、スマホで。しかし、やはり子供たちから非常に不評。使いにくい、見にくい、画面が小さい。

 こういうふうなことを踏まえて、やはりこれは、そして、しかも高校って三年間しかない、早く子供たちにこういうICT教育環境を整える必要があると考えまして、単年度で一気に整備しようと思ったわけでございますが、おっしゃったように、非常に多額の費用。そして、県立高校、先ほど来、私、県立学校を申し上げております、特殊教育も含めて、小学校も。ただ、私学に対する助成金も設けました。私学においても一人一台タブレットを整備していただきたいということで、これも進めております。やはり、非常に多額の財源を必要といたしますものですから、まずお金が心配。

 しかも、今後、さっき申し上げましたように、ネットワークの通信料でありますとか、いろいろなメンテナンス、また故障等もあります。更新の費用、大体、タブレット、五年から、引っ張って使っても七年使えるでしょうか。また、その中のアプリケーションの変更も必要。こういう、やはりランニングコストがかなりかかってまいります。

 是非とも、やはりそこを、義務教育ではありませんけれども、もはや今、ほとんどの子供さんたちが高校に進学をされている状況でもございます。是非、国においても財政的な支援をお願いできればと思っている次第でございます。

三谷委員 ありがとうございました。

 続きまして、矢田さんにお伺いをしたいと思います。

 先ほどのお話の中で、賃金の引上げの重要性をお話しいただきまして、私も本当にそのとおりだと思っています。特に、地方における最低賃金がなかなか高くならないということによって、本当に優秀な人材がどんどんどんどん大企業の方に行ってしまうという課題を何とか解決していかなければいけないというふうには考えておりますので、何とかしっかりと、本当にいろいろな、津々浦々でしっかりと最低賃金が上がるようにというような施策を打っていくというのは、これは極めて重要なことだと思っております。

 そういった中でお伺いをしたいんですけれども、こちらに来る前に、福太郎さん、めんべいを製造、販売されているところにちょっとお伺いをしてお話も伺ってきたんですけれども、やはり何としても、なかなか価格を、いろいろな、人件費なのか素材なのか、それを価格に転嫁することに対して、それをできるだけ消費者との関係では避けるというのは大事だと思うんですけれども、一方で、賃金をしっかりと支払っていくということを考えると、それはやはり価格に転嫁をしていくということを、ある意味、経営者の側には求めていかなければいけないんだろうとも思っているんですね。

 その上でちょっとお伺いをしたいんですけれども、特に日本では、サービスというとどうしても、安くするというのが分かりやすいサービスで、値段を上げるというと、ある意味、消費者に優しくないというような思い込みというか、そういった見え方が多いと思います。そういった中で、日本の、特に価格硬直性といいますか、それについてどのように認識されているか。

 価格を上げるということが、消費に転嫁するということが、別に消費者にとって悪いことではない。それは、なぜなら、消費者もある意味労働者だから。そういった意味で、どういうふうに価格を上げるということについて捉えていただいているのか、是非お話をいただきたいと思います。

矢田信浩君 ありがとうございます。

 答えは今おっしゃったとおりだとは思いますけれども、この長年の経済、デフレ環境が長引いたわけでありますので、しみついてしまっている状況です。転換の春闘とはいえ、なかなかここを転換するというのは難しいことだというふうには思っていますが、やはりそこに、我々、労働者、生活者の視点から、そのことで困っている方々の声を聞きながら、労使の中でそういう話をしながら、使用者、会社側の皆さん、経営者の皆さんにも理解もいただきながら、どこかでか着地点を持っていかなければならないというふうに思っています。

 これは、労働者、働くためだけではなくて、経済界、そして日本社会全体のためにもそのことに取り組まなければならないというふうに思っていますので、今、そういう世論喚起も含めて、アピール行動、連合でいいますと緊急アクションというものを全国的に展開をしています。いわゆる一つのチャンスであり、追い風になっておりますので、労働組合だけいいということを言っているわけではなくて、やはりそこについて私たちは主張しながら、全体を引き上げていこうということで考えておりますので。なかなか難しいというふうには思っておりますが、そういう取組を今していっているということでございます。

 以上です。

三谷委員 ありがとうございました。

 それでは、続きまして、権藤さんにちょっとお伺いをしたいと思います。

 先ほど来、様々な、教育といいますか、そういったものに携わる現場についてのお話もされたわけですけれども、その中で、働き方改革の中で賃上げをやっていくという話もありました。今ちょうど、国の方でも大きな課題としてこれから取り上げられていくんだろうと思っておりますけれども、百三万円の壁なり百三十万円の壁についてお話をされました。

 我が事務所でも、一生懸命働きたいという女性がいて、そして、その方にベースアップをすると、やはり年末の方でもうこれ以上働けませんといって、十二月に働けないというような形になってしまっているという現状があります。それをやはり何らか解消していかなければいけないんだろうとも思っているんですけれども、それを改めて権藤さんの方から、そこの壁の解消に向けた思いをちょっとお話しいただきたいと思います。

権藤光枝君 壁に向けた、ちょっとなかなか難しいんですけれども、年末に調整するという、やはり今、働きたい女性も非常に増えています。ただ、やはりここの壁があるから悩むというところで、一つは、壁を取っ払っていただけると振り切って働くんだろうというふうにはなってくるんですけれども、この中で負担になってくるのが、働きにも出る、今まで以上に働く時間も増える、ただ、子育て、家事の負担というのは軽減されていかないというところで、大きな壁というのはお金だけの問題ではないというふうに捉えています。

 年末調整でいうと、保育園事業をやっておりますので、先ほど配置の話をしましたが、配置は必ず守らないといけないんですね。年末になって園児が減ることはありません。なので、保育士が働けないからといって園児に来ないでくださいと言うわけにはいかないので、当然そこに対しての配置が必要になってきます。これはどうやってやるかというと、やはり企業努力になってくるわけです。

 そういった意味では、例えば正職の人への負担が増えていくとか、年末に向かってパートさんが休んでいくので、年末に向けて業務が多い中、正職のスタッフが残業が増えていく、こういう負のサイクルになっていくということは考えられるかなと思います。

 ちょっと答えになっているかどうか分かりませんが、この辺りを考えていただきたいと思っております。

三谷委員 ありがとうございました。

 様々な、もちろん壁の解消も大事だけれども、お金の問題だけじゃないという問題提起、しっかりと受け止めさせていただきました。ありがとうございました。

 それでは、河津様にちょっとお伺いをしたいと思います。

 先ほど確認をさせていただきましたところ、御社の社長と私は同じ名前でございまして、英弘ということを拝見しまして、何らかの御縁かなというふうに思って、せっかくなのでお伺いをさせていただきます。

 先ほど来話がありました、鳥インフルエンザの影響というものが物すごくあって、物価の優等生と言われてきた卵の価格が非常に今上がってしまっているという、この本当になぜなのかという話を説明をいただきまして、本当にありがとうございました。

 そのときの価格、処分したときの手当てだけではなくて、卵がまた産めるようになるまでのその間どうするのかというような問題、特に卵の場合は、産む鳥が年次を重ねれば重ねるほど卵も大きくなるというような話もどこかで聞いたこともありますので、とにかく若い鶏に産ませればいいという話ではないということはよく理解をしているつもりです。

 その中で、ちょっとお伺いをしたいんですけれども、そういった鳥インフルエンザの規制というものを直ちに緩くする、強くするとか、そういったことができるかどうかというのはよく分からないんですが、その上で、もし養鶏なり鶏卵事業というものをしっかりとやっていく、しかも諸外国と競争してやっていくという上で、海外から入ってくる鶏あるいは卵と、日本でつくられる鶏あるいは卵、それは何が違ってどこに強みがあるとお考えになっているかというのを、それは価格なのか、あるいは味なのか、そういったところについて是非教えていただければと思います。お願いします。

河津善博君 卵に関しては、御存じのように、今回の鳥インフル前までは、国際的に、価格は日本の卵というのは世界的に安い、我々が小さい頃から見ても値段が全然上がっていないと言われていますけれども、まさにこれはスケール・イズ・メリットで、どんどんどんどん大規模化してやっているというのがやはり一番大きな原因です。

 ただ、海外からという話は、やはり日本の場合はまず生食で食べますよね。卵を割って、生で食べるという文化もあるわけです。ヨーロッパあたりは、むしろ卵は一か月ぐらい置いてから、それからケーキに作った方がいいというような考え方も確かにあるんですね。ところが、日本文化の場合はそうではありません。ですから、なるたけ新しいものとなると、海外からは加工物では入ってきていますけれども、この生食分、先ほど私が言いましたように、今回だけでも淘汰が一千万以上、だけれども一〇%もないということは、それの約一億羽以上がおるということなんですよね。毎日卵を産むということなので、非常に日本人的には昔から卵を重宝して使っておりましたので、多分これは、一時的にここまで上がっても、幾らか収まってくるというふうに思っております。卵に関してはね。

 鳥肉は、非常に、何というか、使うやつが分かれているんですよ。スーパーマーケットあるいはデパートに並んでいるのは、これはほぼ国産が中心で並んでおります。ただ、焼き鳥屋さんとかから揚げとかいろいろなものが、値段を安くするものは、やはりブラジル産であるとか、今はタイ産ですね、以前は中国産があったんですけれども、そういうふうな形になっておりますので、鳥の肉の業界は非常に業界が分かれております。肉の、好むと好まざるとか、分かれておりますので。

 我々は、だから国産を大事にしたいと思っているし、輸入商社はやはり安くタイから仕入れようと思う。これはいい悪いじゃなくて、それはそれでいいんです。ただ、一時問題になったのは、海外産を国産に表示したというのは、これはもう言語道断なんですけれども、過去、我々の業界でも昔そういうのがあったし、それが、昨年のアサリもそうなので、中国産は国産の下ということが問題なわけで、そういったことを、我々業界はきちっと表示をしようということを非常に常に考えてやっております。

 よろしいでしょうか。

三谷委員 ありがとうございました。

 残された時間で、二問目、質問させていただければと思います。

 それでは、服部知事にお伺いをしたいんですけれども、先ほどの話の中で、人材育成とともに、しっかりとした新規産業の創出についての話もいただきました。聞くところによりますと、福岡都市圏では日本で一番開業率が高いというような話も伺っております。もちろん、廃業率、開業率、両方一番高くて、それだけ企業が新陳代謝をしているというような話だと思います。

 ITとか、それに限らず、最近ですと例えばゲームですとか、そういったものも非常に有名どころではありまして、ドラゴンクエストの幾つかのシリーズを手がけるレベルファイブとか、ナルトのゲームをやっているサイバーコネクトツーとか、いろいろあるわけです。本当に、ゲーム会社とかも含めてですけれども、あと、エンターテインメントも本当に今盛んだというふうにも伺っておりますけれども、そういった新規産業、ベンチャー、そういったものをどんどんどんどん創出させていく、そういったことを持続させていく、その工夫といいますか、そういったことに向けてどんなことを県全体で取り組んでいらっしゃるか。今日お話しいただいた具体的な施策ではない部分でも結構ですので、是非お話しいただきたいと思います。

服部誠太郎君 今、まず例示をいただきましたように、特に福岡都市圏中心には、やはりIT関係のベンチャー、そういった中で、ゲーム産業等でもいろいろと伸びておられる企業がある。こういったところに対しては、まず、技術的な面でいいますと、我々、島根でそもそも起こった、まつもとゆきひろさんが開発されたRubyというプログラミング言語がございます。今、軽量Ruby、いわゆるmrubyというのがございますが、これは非常に簡便にプログラミングができるというものでございます。このmrubyを使った様々な事業展開ということを支援をするということで、この関係の企業、スタートアップの皆さんのためのインキュベーション施設も設けておるところでございます。

 それから、そのほかのスタートアップにつきましては、確かに、まず一つは、やはり資金的な面、これを支援しようということで、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、ずっと我々はベンチャーマーケットというものを行っておりまして、ベンチャーキャピタルの皆さん、あるいは金融関係の皆さんとのマッチングの場を設けております。これを更に我々はグローバルなものに育てていきたい。もちろん国内のベンチャー、あるいはアジアを中心とした海外のベンチャーの皆さんと、アメリカも含めた投資家の皆さんとのマッチングの場というものにこれを育てていきたいとも思っております。

 そしてまた、スタートアップの、ベンチャーの皆さんの一つの問題というのが、非常に技術は優れておっても、いわゆる経営とか、あるいは会社が少し大きくなると労務とか、そういったことに関する人材をお持ちでない、そこでつまずいてしまうという企業も結構おありでございます。そういったことから、九州大学と一緒にCXOバンクというものを設けまして、ここにそういうふうな人材の登録をする。

 また、今やはり、特に海外投資家からの投資、出資を考えた場合には、女性の役員というものが含まれていない企業というのは、まず第一段階で落ちてしまうということになります。女性の人材の登録も含めてCXOバンクで今進めておるところで、こういった人材をベンチャーの皆さんにも御紹介をし、マッチングをしていこうということでございます。

 そういう様々な支援を行っております。

三谷委員 質問したいことはまだまだ多数ございますけれども、以上で私の持ち時間が終わりましたので、これで終了させていただきます。

 本日はどうもありがとうございました。

古川座長 次に、森山浩行君。

森山(浩)委員 森山浩行でございます。

 本日は誠にありがとうございます。

 せっかくの地方公聴会ということでございます。皆さん、福岡を代表しておいでいただいておりますので、地元ではこんな事例があるよ、いいこと、あるいは課題なんかも含めまして、具体の話をいただいてというようなことも、質問以外にしゃべり足りなかったことがありましたら、是非言っていただければと思います。というのも、やはり国会議員相手だと、国の制度にしなきゃいけないというようなことで、皆さん、ろ過した後のお話という部分も多かったかなというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、服部陳述人でございますけれども、海外資本誘致への支援というお話がありました。CICの誘致に成功されておりますので、ここの経費という部分は分かるのですが、なかなか誘致に至るというのは大変な御苦労も、あるいは、もしこんな支援があったらもっとよかったのになというようなものもあるのではないかというふうに思います。これから先、各地でも展開をしていくということも考えますと、国としてこんなことをやってくれたらいいのになというようなことがないかなと思いまして、お願いできますか。

服部誠太郎君 CICの福岡進出につきましては、我々の誘致努力の成果というよりも、やはりCICさんの方が、福岡という土地、町に着目をされて、非常にアジアへの近接性も含めて将来発展性のある土地であるという評価をされて、進出を決められました。

 我々は、このCICとも連携をしつつグローバルなベンチャー創出拠点をつくっていきたいというふうに考えておりますが、これに当たりましては、今委員おっしゃいましたように、やはり、ただそういう施設があるというだけでは駄目なわけでございます。これからも、様々な投資促進のための誘致活動でありますとか、もちろんウェブも使うことはできますが、やはり実際に福岡に来ていただいて、海外の投資家の皆さんにもフェース・トゥー・フェースで、我々の地域のベンチャーの皆さんとも話をしていただくということも必要でございます。

 こういったことにもやはり結構なお金がかかりますので、是非そういうふうな活動に対する財政的な支援というものもお願いできればと思っているところでございます。

森山(浩)委員 ああせいこうせいというよりは、工夫をするからしっかり予算をということだと思いますが。

 加えて、教育の話を幾つかいただいていたと思います。ICTの支援員というようなことで是非というような話ですけれども、学校というのは全国津々浦々、郡部も含めてありますので、ここの辺りでしっかりとフルタイムの仕事ができるようになると、Uターン、Iターン、Jターンというようなところにもプラスになっていくのかなというふうにも考えています。

 もちろん、今住んでおられる方の中でお手伝いいただく、あるいはパートタイムでもいいからそこでお仕事をいただくというようなこともあるかと思いますが、学校の中で、いろいろな方が今入れるようになってきておりますけれども、まだまだ予算は少ない。ただ、今、政府も教育予算倍増というようなことをおっしゃっているという中でございますので、こういうICTの支援員なんかで、東京から福岡に帰ってこいよというようなことも含めて、これは呼びかけをされるかなというようなところ。

 あるいは、矢田陳述人がおっしゃいました伴走型の相談支援体制という部分、これは、子供たちがその場その場でいろいろな人に相談をするということではなくて、一気通貫でしっかり相談できる体制というのが大事だなというふうにも感じましたけれども、知事という職にもいらっしゃいますので、この辺り、どのようにお感じになるか、教えていただければと思います。

服部誠太郎君 ICT支援員を活用してUIJターンというものも呼び込んではどうかというお話で、これは本当にいいアイデアをいただいたと思っております。そういうふうなICTの技術、テクノロジーにたけた方に、そういった中で、そういった方々で、豊かな自然の中で生活をしながらというふうな移住を考えておられる方もおると思いますので。

 今、我々、ICTの支援員が四校に一人配置というふうな形でやっておりますが、これを、来年度からは、ICT支援員を全県立学校に派遣をする、送り込むというふうなことでやっていきたいと思っております。やはりどうしても学校の先生方は、そういう技術面ではなかなか、私も偉そうなことを言えませんが、できないということはありますので、この体制をしっかりつくっていきたい。そのときに、県外からのそういう人材を新たに呼び込むということも検討させていただきたいと思います。

 それと、子供の育成について。

 今おっしゃったように、子供の育ち、子供について、やはり一気通貫でということ、もちろんであると思います。そういった中で、しっかりと、子供の意見表明といいますか、これを聞く体制というものは必要である。やはり子供もいろいろな環境がある、そういう中で、施設にいらっしゃる子供さんも、なかなか施設の職員の方には言いづらい点もある。子供の意見表明をちゃんと受け止められる体制というものを本県においてもつくっていくというふうに考えておりますので、またこういった点も是非政府においても支援をいただければと思っております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 最後のところで子供の意見表明権を言っていただきましたが、去年、国会でも、こども基本法という形で、権利条約から数十年たってようやく国内法ができたという状況で、子供の権利という部分についてもしっかり後押しをしていきたいと思います。

 それでは、矢田陳述人、済みません。

 せっかくの地方公聴会ということで、ふだんいろいろなことをお聞きになっているかと思います。福岡の状況、それから最低賃金の地域格差の話なんかもあると思うんですけれども、日本の中での格差も非常に大変なことでありますが、国際的なところでいうと、日本の賃金、最低賃金も含めて、落ちてきている。比較的なところでいうと、近くの国に負けてくるというようなこともあって、これも大きな問題かと思いますけれども、その辺りのところを御意見いただけますか。

矢田信浩君 ありがとうございます。

 最低賃金につきましては、私たちの中で、労働組合としてもかなり大きなテーマというふうに受け止めていますし、我々が地域において果たす役割、大変重要なものがあるという思いでこれまで取組をしております。

 おかげさまで、皆様の御協力で、一歩ずつ、目標である千円には近づいております。それはあくまでも国内の話でございますが。

 先ほど御質問いただいたのは国際比較ということでございました。単純に今比較をしますと、やはり日本の金額についてはかなり低位にある、低い位置にあるというのが実情でございまして、単純に昨年の六月レートの比較になりますけれども、例えばドイツの千七百円程度に対しまして、日本は平均でいいますと九百三十円ということになってございますから、単純に金額だけ比較しますと、かなり低位にあるということでございます。お隣韓国においても九百六十五円というレベルでございますので、ここと比較したときにはニアリーということでしょうけれども、やはり全体から見るとまだ低位だと。

 それから、フルタイムの労働者と比較した際も、その位置はやはり低位にあるということでございますので、そのことを認識もしながら、日本の中におけます働く皆さんの位置、そして、先ほどちょっと触れ忘れましたが、いかに経済を回していくか。

 日本の経済を回していかなければならないという主張をしている私たちは、最低賃金を引き上げることによって、労働組合の、全体的には丸めて二割と言われる一つの枠の中にいるメンバーだけではなく、やはり社会に対して、全体を、全ての方を助けるといいますか支え合うといいますか、そういうことでこの取組はかなりの影響度があるというふうに認識していますので、引き続き取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。

森山(浩)委員 今、枠以外の方もというお話がありました。中小企業支援などというものも先ほど言っていただきましたけれども、何か身近で具体の話あるいは課題等はありますか。

矢田信浩君 中小企業の関係については、私たちの立場からということになりますが、先ほどお願いをさせていただいた項目があります。やはり、制度等々を準備をしていただいていますけれども、なかなかそのことについての認知度というのが高まっていないという数字もあるようでございますので、そのことについて取組を国の方でしていただきたいということ。

 例えば、関係する書類の申請の手続が煩雑である、メニューが多過ぎてどういうものを使えばいいのか分かりにくい、確かにそうかなというふうに思いますけれども、そういう観点からしますと、アドバイスをしていただけるような体制の構築、そういうことに取り組んでいただきたいということ。

 さらに、いろいろな取組を国の方でも展開いただいております。例えば、リスキリングという観点の言葉が出てまいりますが、言葉として内容は理解はできたとしても、中小企業の皆さんにおかれては、それをいかに展開するか、受けていけるのか、こういう環境の整備、課題がやはりあるんだろうというふうにも思っています。

 また、いろいろな補助もいただいているということなんですけれども、有限といいますか、時間的に限りがある、こういうような状況もありますので、そういう点につきまして、改めて、先ほど申し上げた現状、困窮する状況の声を聞いていただきながら、政策の方に生かしていただく、こういうお願いを先ほどさせていただきました。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 特に、中小企業などにおいては、情報の提供、あるいは簡単な形でお願いできるというようなことでの、書類のやり取りなどの問題などもあるなと思っています。

 さて、権藤陳述人、ありがとうございます。

 子供関連のことをやられているということで、先ほどのそれこそ伴走型の相談支援体制などについてどう思われますかというところと、年収の壁の話がございました。

 特に中小企業などにおいては、社会保険料の企業負担というようなところも非常に重くて、正社員にするといってもなかなか難しい、では、アルバイトで時間を延ばすかということになると、ここにも壁があるというようなことで、先ほど、なだらかにとおっしゃった中にはこの社会保険料の話なんかもあるんじゃないかなと思うのですが、その辺りはどうお考えでしょうか。

権藤光枝君 伴走型支援についてとは、知事がおっしゃった伴走型の支援のことですか。違いますか。

森山(浩)委員 両方、矢田陳述人がおっしゃって、知事からも感想をいただきました。

権藤光枝君 済みません、ちょっと、もしかしたら趣旨が違うかもしれませんが、まず、障害児についてなんですけれども、ここは、先ほどもちょっとお話をしたように、いろいろな制度が今あるとは思うんですね。

 ただ、医療的なケアがある子供たちも様々やはり課題があって、例えば、動けるお子さん、ただ、動けるけれども医療的なケアが必要、あるいは呼吸器がついているとかいう場合、そういういろいろなお子さんに対しての支援がまだまだやはり不足をしていて、例えば、特別支援学校のバスというのは物すごく大きいんですよ。福岡でいうと西鉄バスのあの大きな、何人乗れるんでしょうね、あのバスで送迎するんですね。そうすると、朝の通学、通勤ラッシュのときにあのバスが支援学校に子供たちを乗せる、ある一定時間、そこの場所に車が止まる。そうすると、やはり乗せるのに時間もかかるし、交通渋滞にもなってくるということで、医療的なケアのお子さんたちは乗れないんですね。

 なので、肢体不自由児のお子さんとかで、車椅子のお子さんはそこに乗っていくことができるんですけれども、そのバスに看護師の配置がないので、医療的なケアのある人たちというのは乗れない。

 そうすると、お母さんたちはどうするかというと、自分の自家用車で送り迎えをするんですけれども、学校の地域のような本当に歩いて五分、十分ぐらいの距離に特別支援学校はありません。なので、皆さん、やはり十五分、三十分かけて送っていくんですけれども、朝の通勤ラッシュの時間に、後ろに医療的なケアのある子供を乗せる。ああいう子たちというのは十五分に一度たん吸引の時間というのがあって、そして、渋滞の中、学校に連れていきます。そうすると、途中でたんが詰まるので、バックミラーで子供の様子を見ながら、そうすると、たんが詰まるので顔色が悪くなっている。その渋滞の中、車を止めて何とか降りてたん吸引をするというのは不可能ということで、やはりそれを諦めざるを得ない。

 こういう子供たちの支援をもっと拡充していっていただきたいなというような形で、健康な子が通えるのももちろんそうですし、先ほどの伴走型というのももちろんそうですけれども、一人一人の御家庭の事情がやはり違う。そこについて、もっと必要なケアをしっかりやっていくということが必要なんだろうと思っています。

 あと、正社員とパートの件ですね。こちらについてもやはり様々、私もちょっと、百三万とか百三十万の壁を取っ払ったらいいんじゃないかと先ほどぱっと言った後に、しまったと思ったことがあるんですが、これも、選べるということが必要なんだろうと思います。

 やはりそれをしっかりと守っていきたいというような、働き方を守っていきたいというような方もいらっしゃいますし、それを、もう少し頑張って働きたいな、だけれども、正社員のようにばりばりは働けないという方に寄り添う、これも同じように、年齢によって、自身の年齢もそうですし、子供の成長によって違ってくると思いますので、こういうのを細かく支援をしていくということが必要なんだろうと思いますので、是非よろしくお願いいたします。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 特に、特別支援につきましては、特別支援学級であるとか学校であるとか、こういったものも、そもそも分けるのではなくて、インクルーシブで、本当に近くの学校に、同じ学級に通えるようにというのは、これは国際的にも日本が注意を受けているような分野でもありますので、これは大分、人数も要るわけですけれども、そこに向けて頑張っていかなきゃいけないなと思っているところでもあります。ありがとうございます。

 河津陳述人になりますが、ありがとうございます。

 インバウンドが駄目になって、またそれでも頑張って次、復活をしつつあるというようなお話をいただきました。

 一つは、海外から来られる方という部分もありますが、生産をされている方でいうと、食料自給率との関係というのもあると思うんですよね。もちろん、魅力的な商品を作っていただいて、これを適正な価格で売るというような形で企業が回っていくというところ、あるいは生産者が潤っていくということがあればいいのですが、それだけではない部分で、食料自給率を上げるというような観点からも投資をしなきゃいけないのかなというような思いがあるのですけれども、こういう部分についてはこういうところをバックアップすれば貢献できるよというような、もしアイデアがありましたら教えていただければと思います。

河津善博君 御存じのように、やはり食料自給率がこんなに下がってしまったので。我々、今、先ほど鶏ふんの話もしたので、餌の値段が暴騰してどうしようもないということで、国内生産を僕らも守りたいんですけれども、やはりどうしても価格差がある。それは今、国内の、やはり御存じのように、今、田んぼに行きますと、放棄耕作地がどんどん出て、ここの田んぼを買ってくれないかと言われても、それは我々は買えませんよね。いわゆるそういう、される方、ところが、なかなかその人がいない。そうすると、いわゆる休耕田になってしまって、あるいは放棄耕作地で、もう傷んでしまっている。

 これは何とか、今これだけ叫ばれているので、やはりそこに目を向けて、自給率が上がるためには、例えば畜産でも、今言いましたように、海外から餌を輸入せずに国内の米、米も今、急にここに来て、小麦の問題があると米が見直されてきているんですけれども、やはりスケールが少な過ぎるんですね。どうしても海外産と比べると、そう変わらなくても値段が高いので、ある程度国内志向は皆さん持っていらっしゃるんだけれども、その価格を上げるためには、国内のいわゆる生産基盤を上げないといけないための、いわゆるルール作りを先生方から御指摘いただいたら非常にいいのではないかなと思っております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 食料自給率二%の大阪府から参りまして、本当に日本の中でも非常に格差が大きいというか、人のいるところには食料を作る土地が十分ではなく、土地のあるところには人が十分ではないという状況も含めて、じゃ、そこの場所に行ってやろうかなという人が増えるように、また後押しをしていきたいと思います。

 ありがとうございます。

古川座長 次に、青柳仁士君。

青柳(仁)委員 予算委員会で今理事を務めております日本維新の会の青柳仁士と申します。

 本日は、地方からの現場の声をお聞かせいただきまして、どうもありがとうございました。

 私の方からちょっとまず、トリゼンフーズ株式会社の河津会長から御質問させていただきたいと思います。

 ちょっと事前にホームページを見させていただいて、私、国会議員になる前に国連の職員をしておりまして、持続可能な開発目標、SDGsの広報官というのを務めておりました。ホームページにSDGsのことがたくさん書かれていて非常にすばらしいなと思った次第なんですが、先ほど鶏ふんの話がありました。SDGsの中で非常に重要なコンセプトとして、サーキュラーエコノミーといって、ごみを出さない、ごみを再利用するという考え方がありまして、こういった中で、今、鶏ふんの利用というのも、炭化であるとか、あるいはバイオマス発電ですかね、そういったことに使うような技術も開発され、また、そういった流通も行われるようになってきていると思うんですね。こういったところの利用というのはなかなか現状難しいのか、あるいは、自社の取組としてそういったところを行っていくのはやはりハードルは高いのか、その辺りをお聞かせいただきたいというのが一つ。

 もう一つは、先ほど外国人労働者のお話がありました。労働者が足りなくて海外からの人手をかりたい、こういう声は飲食業を中心に様々なところがあるところだと思います。国としての制度の整備も進んできているところだと思うんですが、具体的に、御社のような様々なたくさんの現場をお持ちの飲食業界、たくさんの労働者を必要としている地方の会社からして、外国人労働者を入れる上でのハードルといいますか、どこがやはり難しいボトルネックになってしまっているのか。ちょっとそこは冷静な分析というよりかは直感といいますか、感じたままを教えていただけたらと思います。

河津善博君 ありがとうございます。

 先ほど言いましたように、鶏ふんは、私どもの先ほどのような三千トンみたいなので、国内でいくと物すごいんですけれども、私どもはこれを何とかいわゆる資源に変えたいということで、私は、もう会社もほとんど、先ほど言う長男、次男に譲りましたので、これを今一生懸命やっております。これは国内の問題だけではなくて、例えば台湾でも中国でもみんな、鶏ふん、牛ふん、豚ぷんには困っているわけですね。ですから、私ども、これにずっと着手していたんですけれども、やはり分かりやすく言えばうんちですから、これをどう菌を取るかということをずっとやってまいりました。

 私どもが今最新でやっているのは、鶏ふん尿を、菌をきちっと取ってしまって、いわゆる無菌状態にして、それで、横を見ると、今度は魚が捕れないということで、いわゆるこれは貧栄養。海が貧栄養になって、御存じのようにアサリのああいう事件が起こりましたけれども、現実はアサリがいなくなったというようなこと。それから、カキがもう国内では間に合わない。魚も、御存じのようにどんどん捕れなくなってきていますよね。でも、私は、先ほどSDGsを掲げていますけれども、やはり、養鶏業界の余ってどうしようもない鶏ふんを、栄養を豊富にする海に変えられないかな。

 広島大学の元名誉教授の山本先生が、日本の海はきれいになっているんだ、ただ、豊かではないと。御存じのように、兵庫県が、二、三年前ですか、下水処理場の窒素、リンの基準を緩和しましたよね。下水処理場の緩和をするなんというのは、一昔前でいくと、そんなむちゃくちゃなと思っていましたけれども、実は我々が中学校で習っています窒素、リン酸、カリは、いわゆる生き物が生きていくには大変な栄養素なんだ。そこら辺が欠けているのではないか。今、私どもは調べました。大阪湾も東京湾も物すごくきれいなんです。ところが、栄養はない。

 こういうことをしっかり政府として後押ししてもらって、私どもの商品がどうとかこうとかではありません、そういう余ってどうしようもない養鶏あるいは養豚、牛、その辺の部分を、どうやってそういったところの栄養源になるかというところを是非とも政府も考えて後押ししていただければ、資源がない国、あるいは肥料を海外から買わなきゃいけない、いろいろな部分で是非ともこれは考えていただきたいと思っております。

 それから、外国人労働者ですね。本当に、私は、三十年以上前からミャンマーにずっと毎年、何度も行っておりまして、今現在も、ミャンマーから人も連れてきております。三年前にもミャンマーにも実は出店もしました。ところが、御存じのように、二年前の二月一日のクーデターで店も閉めざるを得ない。

 ただ、私はずっとボランティアをやってきておりますので、ミャンマーからのいわゆる働き手も入れたい。ところが、ミャンマーから入れるにも、なかなか難しいんです。先ほど私がちらっと申しましたのは、そこなんです。

 私は今、ミャンマーやカンボジア、ネパールの支援もしているんですけれども、現実に行くと、なかなか、日本に来たい、いやいや、もう円安だよ、どうなのと言うと、彼らの給料って正直言って三万、五万、八万で、十万にならないんです。幾ら日本が円安だといっても、彼らから見ると非常にまだまだ、日本に来たい、来たいと言う。

 ところが、向こうから出るにも、こちらが入れるにも、なかなか入管の壁が高い。そこら辺も、むやみに入れて犯罪でもなってもいけませんので、むやみには言いませんけれども、やはり日本で働きたい、日本を目指して頑張りたい、勉強したいという人たちをどうか日本に呼んでいただきたいな。

 福岡では、約三十年以上前から、福岡の方で外国人の、十歳の子をずっと入れていっているんです。これはいわゆる青年会議所がやっているんですけれども、もう御存じのように、その子たちが今、三十歳、三十五歳、四十歳になって、福岡に行きたいということで物すごい草の根運動になっております。

 もう一つ言うと、福岡というのが今、おかげさまで全国的にも非常に元気なところなので、そういった部分の目の前の豊かさであるとか便利さ、今日も空港からバスで来られたんでしょうけれども、実は、空港から地下鉄で来られたらもうびっくりします。空港で飛行機を降りて三十分以内に天神、博多駅に着くというぐらいに交通体系もすばらしいし、東南アジアからも非常に多くのいわゆる観光客あるいは労働者の方もお見えになっております。その面では、福岡は先ほど言われたように恵まれています。

 ただ、九州全体で見ると、まだまだ非常に大変だなというところもたくさん、私も出張へ行って見てきておりますので、そういったものも含めて、外国人が、もっともっと日本に憧れて目指す人たちに対した垣根といいますかハードルを考えていただければありがたいなと思っております。

青柳(仁)委員 どうもありがとうございました。

 是非、国会の方でも、SDGsの企業の取組、また、日本や福岡に憧れを持って働きたいと思う海外の声を成長力に変えていくような仕事ができればと思っております。

 それでは、福岡県の服部知事の方にお伺いさせていただきます。

 先ほどこの資料を見させていただいて、本当に、グリーン水素だとかバイオ産業だとか、国よりも一歩も二歩も先へ行くような取組を地方でされているなということで、非常に感銘を受けたところでございます。

 今、GXだとかイノベーションとかということが国会の方でも話をされておりますが、私もこの分野は専門分野でして、今まで各国で様々な取組をさせてきていただいたところなんです。グリーントランスフォーメーションの中でイノベーションという言葉がよく出てきまして、一般に技術革新と訳されるんですけれども、これは実はそういう意味ではなくて、単に水素の技術とか新しいバイオの技術というものが革新されたことをもってグリーントランスフォーメーションと言っているわけではなくて、これは、社会の仕組み、市場の仕組みが移行していっているということをもってトランスフォーメーションと言われているのが実は本質なんですね。

 これは何かといいますと、先ほどの話じゃないですが、公共財というものがあります。今まで、例えば炭素、二酸化炭素を幾ら出してもただだったわけです。でも、それは結局、将来の世界の二酸化炭素許容量というものを不当に使っているという状態なわけですね。ですから、公共財と言われるただで手に入るもの、あるいは、社会を幾ら汚しても、それによってコストを安くできれば、ほかの会社よりも安く作れて、いいものが作れるから市場では売れるんだ、こういう市場メカニズムであると、公共財がどんどんどんどん使われていってしまって、例えば地球温暖化とか気候変動というのは止められない、こういう話があります。

 一方で、今、国会でも議論され始めましたが、カーボンプライシングというような、そういった公共財に適切な値段をつけて市場のメカニズムの中にきちんと組み込むことによって、市場競争の中で社会課題を解決していこう、気候変動のような問題を解決していこうというのがグリーントランスフォーメーションの本質であり、また、世界各国で議論され、進んでいるグリーントランスフォーメーションというのはそういうものであるというふうに認識しております。

 そういった中で、まさにこの福岡で、こういうグリーン水素の活用とか、今、クラスターをつくって、様々な企業を集めて行っていたり、あるいはバイオ産業という産業育成そのものをやっているというのは非常にすばらしい取組でイニシアチブだと思うんですが、今度はこの流れを、よりマーケットメカニズムをいかにそこにつくっていくかということ。あるいは世界のもっと大きな流れ、今、ESG投資と言われるこの業界ではもう四千兆円余りのお金が動いているわけですので、その大きな流れにどうつなげていくかというところが次のステップとして非常に重要になってきていて、それは一つの企業でできることではないので、やはり行政の後押しというものが極めて重要。地場産業においては、やはり県のイニシアチブ、支援というのが非常に重要だと思うんです。

 そういった観点から、市場との連結といいますか市場育成という観点から、今後もしお考えになっていること等があれば、今の取組の延長線上で御紹介いただければと思います。

服部誠太郎君 今、委員おっしゃいましたように、もはや今、企業の皆さんも、投資を呼び込む上において、そういうESGというものを考えない企業というのは対象外であるという時代になっておると思います。

 そういう中で、我々も、これまで様々な先端技術産業、成長産業を育てようという取組をやってまいりました。特に九州、かつてシリコンアイランドと呼ばれておった、半導体それから自動車ですね、北部九州は今、百五十四万台の生産能力を持っておりまして、これはイギリス一か国に匹敵する能力であります。

 それからまた、今もお話しいただいた水素、こういったことをやってきたんですけれども、私としても、昨年、ここを一本貫くものとしてグリーンというキーワードが必要であるというふうに考えまして、半導体にしましても、先ほど企業を御紹介する中で、パワーデバイスですね、三菱電機さんあるいはローム・アポロさん等、いわゆる環境性能に優れた先端半導体の企業が我々の地域に多い。そういうことから、半導体についてもグリーン開発生産拠点をつくっていこうという構想を打ち立て、そのための産学官の連携組織を改めて立ち上げました。

 また、自動車についても、やはり今、まさにCASEと呼ばれる百年に一度の大変革期を迎えておる。こういったことで、我々も今まで、百五十万台とか百八十万台とか、その台数、量で成長を測ってまいりましたが、これからは質に転換するということで、自動車産業についてもグリーン生産拠点をつくっていこうということで、これも新たな構想と、また推進組織を立ち上げる。

 水素についても、グリーン水素ということで、前は単に水素成長戦略と言っておったんですが、やはりグリーン水素ということでやっております。やはり水素を作る段階でCO2を出しておるグレー水素では、もうこれは評価されないということでございますので、我々の地域においても水素を作り、そしてためる、運ぶ、使う、このサイクルを確立していこうということで、今、九州大学あるいは北九州市さんとも共に実証実験というものを取り組んでおるところでございます。

 こういったことで、グリーンというものをキーワードにした、まさに先ほど環境と経済成長の好循環と申し上げましたけれども、こういったことをつくっていこうということで取組をしておるところでございます。

青柳(仁)委員 どうもありがとうございます。

 是非、予算委員会としても、知事のような優れた取組にしっかりと予算をつけていくということもみんなで考えていかなければならないんだろうというふうに考えております。どうもありがとうございました。

 続きまして、日本労働組合総連合会の矢田局長の方にお伺いさせていただきます。

 先ほどお話があった中で、値上げがなぜできないかというときに、デフレマインドという言葉を使われていませんでしたが、値下げといいますか、値段が変わらないことがしみついているというお話があって、私はこのしみついているというのが非常に重要なキーワードだと思っていまして、このいただいた資料を見てみましても、特にそれが、価格転嫁といいますか、そういうところでも、非常にしみついた取引慣行というところが極めて大きいんだろうなと。

 下請Gメンだとか様々な取組があるのは分かるんですが、不公正な取引をやめましょうとか、そういうことを言っても、私も、地元、大阪の八尾というところなんですけれども、地元でお話をいろいろ聞いてみると、日本の商習慣上、取引先に対して、そういう関係性で何十年、おやじの代からやってきているのに、なかなかここでそういう話はできないよという声が多いわけですね。

 ですけれども、ここに書いてあるような不公正な取引みたいな話というのは、結構常態化していると言ってはあれなんですけれども、普通にやられているのが、今まさにしみついているのが日本の商慣行、特に中小企業だと思うんですが、そういったものをやはり変えていくというところで、価格転嫁を起こしていくだとか賃上げを起こしていくというのは、単に制度を直すというよりか、しみついた商習慣を意識を変えていくというところが非常に重要だと思うんですが、そういったもし取組等を行われていたら教えていただけないかということと、そういった点についてもし矢田様の個人のお考え等あれば教えていただけますでしょうか。

矢田信浩君 ありがとうございます。

 まず一つは、私たち、今日はパンフレットをお配りさせていただきました。これは、紹介いたしました連合が作成をしたもの、言い換えますと組織内向けということでありますから、これをいかに社会に広げていくかという役割があるんだろうと思っています。これはちょっとおいておきまして。

 組織内の中において私たちが関係者の中で調査、アンケートを行う中でも、公正な取引の中で、価格転嫁ができないという回答をいただく、その数字が一番多いんですね、先ほども少し触れましたけれども。これが実態ということを受け止めていますので、実態をどのように、今度は展開をどのようにすればいいのかというのは大きな課題というふうに思っています。

 そういう意味では、労働組合としまして、労働組合だけでできることではないというふうに思いますので、やはりここは政労使、公労使一体となって取り組まなければならない。今、先ほど触れた、チャンスであり、転換点であるということを考えますと、今、押して、押して、押していかなければならない、こういうふうに思っていますし、その役割が、私たちの中では、先輩方がつくってきた内容に加えて、経過に加えまして、皆さんも、社会もそのようになってきた。

 そういう中で、また一つの取組は、地域におけますプラットフォーム化という、私たちが、関係者の皆様、地域における経済界、服部知事の福岡県もそうなんですけれども、福岡労働局の皆さん、こういう地域の中でネットワークを張って、つくって、これでいかにこの必要性というのを理解いただけるか。さらには、パートナーシップの宣言、これをいかに増やしていけるのかということで、あらゆる手段で取り組んでいこう。

 そういう意味では、つながりをつくっていくということが非常に大事なことであり、連合が考えています、守り、つなぐ、つくり出す、この観点から取組を続けていきたいというふうに思っています。

 少し戻りますが、連合内部の中で、適正な価格でない、若しくは買いたたき、こういう実情があるという実態が分かっているということは、組織外に出ますと、先ほど触れた八割という方々が、守られていない、組織の、会社の中におられる方々というふうに、就労者の中でですね、そういう方々にいかに手を差し伸べていけるのか、こういう課題もありますので、社会にいかに広く周知をするかという課題も私たちが認識していますので、取り組んでいきたいというふうに思います。

青柳(仁)委員 どうもありがとうございました。

 ちょっと時間がなくなってしまいまして、大変申し訳ありません。株式会社ブランチェスの権藤社長にお伺いしたかったんですが、済みません、残り時間の関係上、割愛させていただきますが、御自身が感じられたというか体験された子育ての難しさというところを、御自身が起業によって解決をするということで、まさに今の若者、スタートアップたちの本当に模範となるような取組をされていると思います。

 我々も、昨年、立憲民主党と一緒に、保育園の園バスの事故で亡くなった女児の方のための法案というのを一緒に立てて、政府・与党とも話をしながら最終成立させたんですが、あのときの議論の中に、本当に問題は園バスなんだろうかという話があったんです。園のバスの中に子供が取り残されているのに気づかないというのは異常な事態で、それは園バスの安全装置があるなしではなくて、そういう労働環境にある保育園の、要するに、保育士の方が疲れ過ぎちゃっているんじゃないかとか、そういうチェックができないような体制の人繰りしかできないような状態になっちゃっていることがそもそもの問題なんじゃないかということが、かなりあの議論の中で出てきました。

 まさに今日、そういったお話をたくさん教えていただきましたので、問題意識として持ち帰って、私としてもしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

古川座長 次に、吉田久美子君。

吉田(久)委員 公明党の吉田久美子でございます。

 本日は、大変にお忙しい中で、意見陳述人の皆様には予算委員会の地方公聴会にお越しいただき、現場の視点から貴重な御意見をいただきましたこと、心から感謝申し上げます。

 私は、九州・沖縄比例区選出でありますけれども、福岡県在住ということで、公明党を代表して質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、質問に入らせていただきたいと思いますが、五月八日にコロナ感染症が五類扱いになる見通しであり、令和五年度予算は、まさしくアフターコロナ、日本再生、また福岡再生にとっても大変重要な予算となります。

 言うまでもなく、我が国の抱える喫緊の課題は、静かなる有事と言われている少子化であります。コロナの影響も加わり、国の想定より八年ほど早く少子化が加速をしておりまして、年頭より岸田総理も、異次元の少子化対策を表明、子供予算を倍増する意向を示しておられます。

 公明党は、既に昨年十一月、子育て応援トータルプランを発表しました。みんなで子育てを応援する社会の実現に向けて、希望する人が安心して子供を産み、育てられるよう、結婚、妊娠、出産から、子供が社会に巣立つまでの、切れ目のない支援の充実強化の提言をさせていただきました。

 今後、段階的に実現に取り組みたいと思っておりますが、先行する形で、これまで手薄だった妊娠期から〇―二歳児に対して、身近で寄り添って相談に乗る伴走型相談支援と、妊娠時、出産時で合計十万円の経済的支援のパッケージが実施されます。今後も、令和五年度も継続し、さらに、恒久化すべき支援だと思います。また、公明党が必要性を訴え続けてきました出産育児一時金も、この四月に四十二万円から五十万円に増額をされます。

 ほかにも、児童手当を十八歳まで拡大していきたい、医療費無償化も高校三年生まで拡大、また、未就園児でも保育園が定期的に利用できる制度の創設、さらに、これが最も皆さんの要望が高い政策でありますが、中間所得層まで大学等の給付型奨学金を拡充すべきである等々、子供や若者が希望を持って将来の展望を描ける環境整備を早急に進めていく必要があると思っております。一つ一つ、実現に向け、全力で取り組んでいきたいと思っております。

 岸田総理も公明党の子育て応援トータルプランを参考にされ、現在、小倉大臣の下、政府内で異次元の少子化対策の議論が進んでいると承知しております。

 我が国の抱える少子化問題について、本来、全員の方にお答えいただきたいんですけれども、服部知事と、保育の現場で奮闘されている権藤さんのお二人に、少子化問題についてのお考え、また、国が取り組んでいる少子化対策についての御意見、また、ほかに必要とお考えになっている支援、御提案、御要望等があれば、是非お伺いしたいと思います。

服部誠太郎君 今、吉田委員おっしゃいましたように、様々に、国においても、こどもまんなか社会というものを目指す中において施策を展開される、予算においても充実が行われるということで、大変期待をいたしておるところでございます。

 我々も、県内どの地域にあっても、子供の健やかな成長に対する切れ目ない支援が受けられる、それと、先ほども申しましたけれども、子供の意見が尊重される、こういったことを推進をしてまいりたいということでございまして、まず、組織体制としましては、新年度、令和五年度にこども家庭庁がつくられる、また、市町村においても総合的、一元的に子供施策を提供することになるということでございますので、このカウンターパートとして、県庁内に新たな課を設置するということといたしておるところでございます。こういった体制をつくるということを、取組として行おうと思っております。

 それと、やはり、先ほど来お話ございました、少子化対策と子育て支援、必ずしも一緒ではないというふうに私は思いますけれども、いずれにしましても、出会い、結婚から、それから出産、そして子育て、子供の健全な育成という、それぞれのステージに応じたきめの細かい支援というものが必要であるというふうに考えております。

 そのために、県といたしましても、これは県議会の方にお諮りをすることになりますけれども、基金を、中長期的な、出産、子育て施策を安定して打っていくということのための財源を確保しておきたいと考えまして、新たに出産・子育て安心基金というものを、令和四年度の財源の余剰といいますか、決算剰余を活用した形で基金を創設したいと思っております。

 こういった中で、特に、やはり子供さん、子供に病気やけがというのはつきものであります。そういった中で、一つは病児保育、この費用が、一日かかると大体今二千円ですか、親御さんがそこに預けるということになるわけですが、ここに預けたからといって保育料は日割りで返ってこないんですね。やはりダブルコストになることになります。そういったことで、県といたしましては、この病児保育を全額無償化をしたいというふうに考えております。

 また、子供を産みたいと思ってもなかなかできない方、これは不妊治療を受けておられます。不妊治療について、やはりこれについても、県としても、基本的な治療プラス先進医療の部分についても御支援をできないだろうかということで、新年度においてもその対応を取らせていただきたいというふうに考えているようなところでございます。

 いずれにしましても、子供の安全、健康を守って、それから子育て世帯の負担を軽減するということについては、これまでも様々、国に要望させていただいておりますけれども、先ほど子供にけがや病気はつきものだと申しました。子供医療費の助成制度、これについて、特に〇―三歳児の無料化というのは全国的に行われている状況でございますので、是非、子供医療費に関わる全国一律の医療費助成制度というものを御検討いただきたい。

 いろいろ、保険財政等々の議論はございますけれども、この子供医療費の助成を行ったからといって、現在のところ、データ的に見ると、必ずしも頻回受診といいますか、そういったものが起こっているとは思えないわけでございまして、是非とも国において御検討いただきたいと思っております。

 それから、保育士の職員配置、先ほどの送迎バスの事故のお話にも少しございましたけれども、やはり保育士の皆さんの負担というものも相当大変なものがございます。特に低年齢児の対応というのも大変でございます。この保育士の職員配置基準の見直しについても、是非、更に一歩進めていただきたいというふうに思っているところでございます。

 よろしくお願い申し上げます。

権藤光枝君 ありがとうございます。

 私も保育園を長くやっておりまして、非常にこの政策、国もどんどん、たくさん予算もつけていただいて、子供に支援していきたいというふうな考え方には、本当に感謝しているところです。ただ、個々に寄り添った政策というのはまだまだ進んでいないのかなというふうに思っております。

 今、課題であるなというふうに思っているのが幾つかあるんですけれども、まず、産前産後のうつ。

 お母さんたちは、やはりコロナの問題も大きくありますが、産前産後で体が大きく変化する中、大きく期待を膨らませて出産をするけれども、思ったようにはいかないとか、孤独の中、子育てをしていくというような、核家族も進んでいるという今の時世から、産前産後のうつというのが非常に進んでいるなというふうに、在宅医療をやっていて非常に感じております。

 このお母さんたちのうつの支援をすることが、生まれてきた子供への支援にもつながると思いますし、ここから虐待も防げるんじゃないかなというふうに思っておりますので、こういう産前産後うつの支援を拡大していただきたいなというふうに思っております。

 また、保育園の観点からいうと、ゼロから一、二歳児の無償化。

 こちらもずっと議論は進んでいるんじゃないかなと思いますが、こちらの方も是非とも進めていただいて、やはり、産んで育てたい、育てられる環境、そして経済的な支援というのが非常に大切になってくると思いますし、先ほど、パートタイムの保育士、あと働く環境のスタッフのことを話をさせていただいたんですけれども、やはり、保育料の負担であるとか、産んだ後の経済的な不安というのが大きくのしかかってくるんじゃないかなというふうに思っていますので、こちらも早い支援をお願いしたいなと思っております。

 また、先ほど園バスの事故について少し触れていただきましたけれども、こちらも本当に人の不足というのが大きな問題になっているんじゃないかなと思います。

 私の意見陳述の中でも少し述べさせていただきましたが、子育て支援員の配置というのももう少し拡充をしていただきたい。

 保育士の配置基準を見直していただくのは大前提だと思っていますが、ただ、保育士不足というところも大きな課題となっていますので、保育士の資格がなくても、同等の子育て支援員の研修をしっかり受けたスタッフが配置されるということで、この保育士の負担軽減にもなっていく。これが、やはり園バスの事故、園内での事故も当然ありますし、こういった事故を防いでいくという、大切な国の宝である子供たちの命を守っていくというのを、しっかりと国として支援をしていただきたいと思っております。

 また、人員不足のところなんですけれども、この子育て支援員の配置以外にも、外国人労働の採用というのを是非考えていただきたいなと思っております。

 弊社も、早良区の方で、インターナショナルキッズという英語の保育園をやっております。外国人が配置されるんですけれども、これは人員配置として認められません。英語を使って子供たちに保育をするというようなことをやっていて、子供たちの英語力を伸ばすということに非常に貢献していただいているんですが、人員の配置としては認められていません。

 ただ、こういう、子供が好きで、外国人で、外国から来たけれども保育園で働きたいという、ある一定のニーズはあります。現在、ウクライナから避難してきた学生を今アルバイトで採用しているんですけれども、こういった人たちの雇用を守るということも必要かなと思いますので、私は、どちらかというと、保育士の試験は日本語で受けるので、なかなか外国人は受けられない、これ、英語で作っちゃったらいいんじゃないのと実は思っていますので、こういった外国人にも日本での保育士資格に合格できるような、そういうチャンスを与えていけるというのは非常にいい制度じゃないかなと個人的には思っております。

 もう一つ、最後に、看護師の配置なんですが、特別支援学校で看護師の配置が本当に不足していて、医療的なケアのある子供たちの支援が行き届いていないという。

 ここを支援学校の先生に聞くと、看護師の採用はどんどん進めているけれども、なかなか看護師が来ないんです、人員不足なんですと言うんですけれども、その安い給料で来ますかというような形もありますので、是非こういうのを、在宅医療をやっているようなところにアウトソーシングをしていただいて、外で活躍している人たちというのは、例えば在宅でその子供たちに関わっているので、どういったケアが学校でも必要なのかというのはよく分かっていると思うんですね。こういった人たちへアウトソーシングをして、早急に、特別支援学校、それから普通の学校でも看護師の配置を拡充していただいて、インクルージョン、インクルーシブというのを進めていただきたいなと思っています。

吉田(久)委員 貴重な御意見、ありがとうございます。

 本当に、実は先日、フランスから日本にお嫁に来られた方が、日本人は先々を心配し過ぎる、子供が二十歳を超えるまで責任を持てるだろうかと、子育てに対してマイナス面ばかり見ている、責任感というか、負担感が強過ぎるのではないか、もっとマスコミも、子供のいる生活のハッピーさ、ハッピーな面をしっかりアピールすべきだ、また、親も今をしっかり楽しんだ方がいいというような意見を言われているのをお聞きしたんですけれども、生活も、その方は何とかなるものだというふうにおっしゃっておりましたので、私も、なるほど、日本人の国民性もあるのかなとは思いましたけれども。

 ただ、フランスと我が国においては、子育て環境がかなり大きな違いがあります。家事も育児も仕事もと、女性に過大な負担があること。また、残念ながら、離婚が結婚の三割を占めるという現状、シングルマザーの本当に困窮した厳しい現実を知るにつけ、なかなか結婚に踏み込めない。特に、非正規雇用が多い子育て世代にとって、女性にとって、コロナ禍は更なる収入減をもたらしておりますし、収入が減った母子家庭は五割に上ったと民間調査でも示されております。

 一人親家庭は全国で百四十万人、また、その半分が相対的貧困状態というふうに言われております。さらに、それに今の物価高が追い打ちをかけておりますけれども、この一人親世帯に対する支援、これは極めて重要だと感じております。経済的な自立支援にも国としても予算を強化しておりますけれども、みんなが子育てを応援する社会、そういうふうに転換していくことが求められると思います。

 御自身のシングルマザーとしての体験、また、経営されている保育園の利用者さんの実情等を踏まえて、一人親世帯への支援について、権藤さんにちょっとお聞かせいただければと思いますけれども、よろしくお願いします。

権藤光枝君 ありがとうございます。

 私も、シングルマザーで子供を育てました。日本でシングルマザーで子育てをすると、大体やはり貧困というか、やはり経済的な負担が女性には重くのしかかりますし、離婚して、旦那さんからの養育費というのも、私は一円ももらわず子供を育てました。払わなくてもいいという根本的な考え方が、ちょっと済みません、その男性にはあったのかなというふうに思いますが、そうやって、経済的な支援なく、一人で子育てをしている人というのはとても多いんじゃないかなというふうに思います。

 また、私、今、沖縄でも新しく会社を設立しまして運営をしておりますが、沖縄においても同じように、やはり貧困率というのはすごく高い。また、沖縄は、観光地でもありますから、夜中まで結構いろいろなところが開いているんですね。そうすると、シングルマザーで、夜遅くまでお母さんが働くと、子供は、お母さんがいないので外に遊びに行く。そうすると、やはり夜中まで遊んでしまって、なかなか勉強が追いつかず、学力も低下していく。そしてまた、早くに子供を産んで、また離婚につながるというような、そういう負のサイクルにつながっていくというのもよく耳にします。

 こういった、シングルマザーだけでなく、やはりシングルファーザーも含めて、一人親支援というのは、本当に国として支えていきたいなというふうに思っていますし、是非ともそこに取り組んでいただきたいなと、一人のシングルマザーの女性として大きく声を上げたいなと思っております。

吉田(久)委員 ありがとうございます。

 先ほどの百三万の壁とか、いろいろ壁がありましたけれども、やはり、振り切れるほど、女性が、できたら所得アップ、また経済的自立を進めていくということが私も重要だと思っておりますけれども、女性のリカレント教育、リスキリング、本当に大変重要だと認識しております。

 我が党としても、需要が多く、また年収、また時給も高いデジタル分野に、これは男性がほとんどを占めておりますけれども、ここに女性が入っていけるような後押しをということで、デジタル人材の育成、これをしっかり進めるべきだということで、国の地域女性活躍推進交付金、また、男女問わずですけれども、求職者支援制度、これにデジタルの学習ができるようなことを後押しをさせていただいておりまして、これも今全国で展開中でございます。また、起業家、スタートアップ支援も、先ほど知事からもお話がありましたけれども、重要だと思います。

 今、権藤さんが言われましたように、シングルマザーで子育て中であったとしても、自分が必要だと思ったから二十四時間営業の保育園をつくられたと。現在に至るまでは本当に様々な御苦労があったとは思いますけれども、お母さんのニーズに寄り添った仕事を、果敢に事業を取り組まれて、またそれに寄り添った事業を拡大をされているという、本当にシングルマザーの希望の星になっていらっしゃると思いますけれども、当事者だからニーズが見えるし、私は、人手不足の穴埋め的な女性活躍ではなくて、この社会全体に足りていない支援、視点を持つ女性が活躍することが、より優しい、またより豊かな社会への変革につながっていくと確信しております。

 福岡におきましても、スタートアップ、起業家を支援する体制、また、福岡女子大においてもリカレント教育を進めていただいておりますけれども、実は、福岡は女性の社長率が全国七位という、高い方から七番目という実績もございますので、しっかりここは知事に是非御支援をいただきたいと思いますけれども、何か御意見があればお伺いしたいと思います。最後の質問になります。

服部誠太郎君 今委員おっしゃっていただきましたように、我々は県としても、やはり女性のIT分野、IT産業への進出といいますか、これをしっかり進めていくという取組を令和四年度からスタートしておりまして、また、これを更に一歩進めていきたい。

 それと、やはり、女性の皆さんが、いろいろな相談ですね。女性の活躍といっても一概にいかないわけですね。いろいろな業種があり、またレベルがあり、そういうふうな皆さんが本当に相談ができる、そのためのメンターとなっていただけるような経営者の皆さんとか先達の皆さんに入っていただく、そういうカフェとか、あるいは我々とも議論をしていただけますように、ワークショップとか、そういったものも新たに設けて、そして、大いに女性の活躍を進めていきたいというふうに考えておるところでございます。

吉田(久)委員 ありがとうございました。

古川座長 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 国民民主党の斎藤アレックスと申します。

 本日は、公述人の皆様、大変お忙しい中、御意見をいただきまして、また、質疑応答に答えていただきまして、誠にありがとうございます。

 本日、四名の公述人の方から御意見また質疑応答を聞かせていただいていますけれども、やはり皆様同じような、また、日本社会が今同じような壁にぶち当たっていて、そこに対して、皆様それぞれの立場で取り組んでいただいているということをよく理解できました。人口が減っている、労働人口が減っている、少子化が進んでしまっている、また、産業の活力が失われていったり、景気回復がコロナ禍から遅れている、そういったところを皆様の様々な現場のお話から感じ取ることができました。

 私たち国民民主党といたしましても、コロナ禍からの経済回復のみならず、この三十年間の経済の低迷から脱却をするために、賃上げであったり、また価格転嫁であったり、そして人づくりへの投資、子育て支援も含まれますけれども、こういったところに今取り組まないと、既に手遅れな感がある部分もあると思いますけれども、諦めるわけにはいきませんので、早急にこういったところに取り組んでいかないといけないという思いで、国会でのこの予算質疑にも取組をさせていただいています。

 まず、連合福岡の矢田事務局長にお伺いをしたいと思います。

 一つが人手不足、先ほどブランチェスの権藤様からもありましたけれども、年収の壁にぶち当たって就業調整をせざるを得ないというお話、これは我々国民民主党も大変注目をしているというか、解決をしなければならないというふうな思いを持っていまして、一昨日、私も予算委員会の場で、この年収の壁を突破するために、一時的な給付を行って、年収の壁突破を促せばいいのではないかといった御提案をさせていただきました。

 この給付の件に関しては、党内でも様々な議論があって、もちろん、完全な、完璧な提案だとは思っていませんし、不公平な提案であるということも十分に理解しているんですけれども、それでも、やはりこの年収の壁を突破をする何かを今しなければならないという思いで、こういった提案をさせていただきました。

 改めて、今、働く現場、特にサービス業であったり観光業であったりとか、そういったところでこの就業調整、年収の壁の問題が大きくなってしまっている、労働力不足につながっているというお話があるかと思うんですけれども、是非、働く仲間の皆様から寄せられている、そういった困った声について、少し御紹介をいただければと思っております。

 それと関連して、権藤様にお伺いをさせていただきたいのが、先ほど、最初、御意見をおっしゃったときに、この年収の壁を取っ払ってしまった方がいいのではないかというふうなことをおっしゃって、その後、ちょっと言い過ぎたかもしれないということでおっしゃっていて、そういった苦悩は我々も感じていて、制度改革をしなければならないんだけれども、やはり、皆様がハッピーになる、今の状態が不公平であるという前提があるからだと思うんですけれども、改革をしようとすると、やはり、不満を持ってしまう方だとか、苦しくなってしまって逆に嫌だと思ってしまう方もいらっしゃって、この改革が進んでこなかったという背景があると思うんですけれども、もうざっくばらんに、できればこういったふうに制度を変えた方がいいのではないかと。

 まあ、取っ払ってしまうというのは言い過ぎたかもしれないとおっしゃいましたけれども、私としては、勤労者皆保険という形で、働き方に関係なく、また、家族構成に関係なく、ニュートラルな、公平な社会保険の制度というものを目指していかなければならないと考えているんですけれども、現場で、またシングルマザーとして働いていらっしゃった権藤様のざっくばらんな忌憚なき御意見をまたいただければと思いますので、続けてお願いできればと思います。

 まず、事務局長、よろしくお願いいたします。

矢田信浩君 ありがとうございます。

 先ほどいただきました各論的な質問の前に、少し触れておきたいことがありまして、働く立場のウェートを見ますと、簡単に今日は、正規と非正規というふうに呼ばせていただきますけれども、その割合、おおむね六対四ということになってございます。あるときから非正規の方々は増加をする傾向である。

 これには歴史がいろいろあります。これは時間がかかりますのでおいておきまして、やはり、非正規ということがなぜ増えてきたというよりも、現実をどう受け止めるかということを考えていかないといけないなと思っていまして、非正規ということで、大きく二つ、分かれるのかなと思っています。

 一つは、いい悪いはちょっとおいておきまして、やはり、それを好んで、事情により、好んで選んでいかれる方、そして、やむを得ず非正規になられた方、大きくは二つあるのかなというふうに思います。そこに存在している課題、私たちが取り組まなければならないのは、どちらにしても、同一労働同一賃金という観点から、対等な形をつくっていかなければならないし、先ほど冒頭で触れさせていただきましたとおり、やはりこの課題が、法律の整備等々は進んだものの、浸透できているんだろうか、こういう課題を持っているようなところでありますので、この観点が一つ課題としてあるということを申し上げておきたいと思います。

 そこで、その年収の壁という観点については、制度的には、これは、いい悪い、見方はいろいろあると思います。先ほど申し上げたとおり二つのパターンがありまして、関与している方と、していない方とあるし、それを選んでいる、選んでいない方がおられます。変えてはいけないということではなくて、変えるにしても、その内容、考え方を、いかに国民、そして使っている方、制度を使われている方々に説明をしていただけるのか。この説明責任を果たしていただかなければなかなか前に進まないのかなというふうに思っているところでありますから、ここで、いい悪いというよりも、そういう形を協議の中で、国会における審議の中で示していただければということであります。

 労働力が不足しているという観点からすると、先ほど吉田委員がおっしゃった、穴埋めではないということをおっしゃいました。まさにそのとおりであり、今時代が変わってきています。やはり働く者の立場も、年齢構成からしますと、古い考え方の方もおられたり、若しくは真反対で、新しい考え方の方もおられたり、様々でございますから、連合としても、本部の方針も含めて、そのことは、地域の中でしっかり考えていきたいというふうに思っております。

 以上です。

権藤光枝君 まず、年収の壁を突破するということで、何か一時金を出していただくとか、例えば一時給付金みたいなのも、弊社の方でも、例えば決算賞与を出しますとかいうときに、パートの人にどのように出すかというのを非常に悩みます。というのも、やはり年収の壁があるので、ぎりぎりまで働いている、一時金をもらうとオーバーします、辞退しますというような、何か変な構図になっていくんですね。そうすると、それをオーバーしないようにまた時間を減らす、イコールまた人員の不足というような、また負のサイクルになっていくわけで、一時給付金とか、もらったものに対して年収に入れないであるとか、そういったのが必要になってくるかなと思います。

 弊社で今少しやっている取組として、私自身もやはりシングルマザーですので、一人親支援というのをやっていこうということで、社内でどのぐらいの人がいるのかなというふうに調査をして、そういう人たちに手当を支給をするとか、それから、これは全者共通なんですけれども、子供の入学に応じて祝い金を出していくとか。これはもう企業努力でしかなく、この資源をどういうふうにしていくかというのは、企業が努力するしかない。ここに対して、例えば何か国の方からインセンティブのようなものがあれば、またしっかりとそれを配分していくということにもつながっていくのかなと思います。

 ただ、国からお金、原資をもらおうと思うと、先ほどちょっと触れましたが、処遇改善もそうなんですけれども、この処遇改善手当があることで保育士の給料アップ、ベースアップに大いに貢献しているので大変感謝しているんですけれども、制度が一、二、三とあって、この出し方に対して非常に時間がかかる。これがやはり業務の負担というのにも大きくのしかかっているのかなと思うんですね。ここの、一、二、三ある、この処遇改善の制度をどうにか圧縮をして、一本化あるいは二本化。これは保育だけじゃなくて、介護もそうですし、医療保険もそうですね。介護の世界でも、この処遇改善一、二、三というのが大きくのしかかっているので、ここを簡素化していくというのも一つお願いしたいなというふうに思っています。

 先ほどの年収でいうと、例えば選べるということについて、どのように選んでいけばという段階がやはりあって、皆さんに聞くと、やはり社会保険料の負担が大きいなと。一方で、やはり、将来もらえる年金は増えるんじゃないか。でも、一方、もしかしたらもらえないんじゃないの、そういう不満もあるんですね。やはり、先ほど吉田さんもおっしゃった、先々の不安要素ばかり考えるので、今できるだけ所得を増やしたい。なので、社会保険料というのは大きく負担というふうに考えているんじゃないかなと思います。

 私も、私自身シングルマザーだったので、保育料は本当に格安で、多分給食費ぐらいしか払わずに預けさせていただいたというふうに思っていますが、それ以上に、やはり労働ということで、一人で働く負担とか、そういう負担は、労働者、つまりシングルマザーとか一人親世帯には大きくのしかかってくるかなと思っています。

 もう一方で、家事負担が、やはり女性にとっては、もっと働きたいけれども、家事、育児の負担が大きくのしかかっていくんですけれども、海外に行くと、実はメイド制度とかが当たり前にあるんですね。これをもっと活用して外国人労働をもっと日本でも活躍してもらう。そうすると、働く世帯の御両親にとってはここはいいサポートになると思いますが、日本でなぜ進まないかというと、このメイドもそうですし、家事サポートに対して物すごく費用が高いんですよ。どれだけ働けばこれは払えるんだろうかと。

 賃金は上がって収入は増えるけれども、払うものも一緒、ただただいろいろな経済的な負担が増えるというふうにも言われていますので、ここに対する支援などもあったらいいなと思いますし、あと、もう国として、せめて小学校、中学校、無償化もどんどん進んでいますので、大学になるまで子供を無償化で育てますみたいな、抜本的な本当に改革みたいな、そういった、本当に改革というふうに言っていただくんだったら、こういったことで、もっともっと子育てをする、子供を産みたいというような日本にしていただきたいなというふうに思います。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 私も海外で働いている人の話を聞くと、メイドであったりシッターさんというのはすごく一般的に利用されているけれども、日本だと、コストの面もあると思うんですけれども、何かそういったものに頼ってしまってはいけないんじゃないかみたいな感覚があるのかもしれなくて、そういったところを変えていく。もちろん、支援、ブランチェス、皆様みたいな、シングルマザーの方々にも利用しやすいようなサービスをしていただく方をどんどん応援していって拡大をしていただくということも極めて重要だと思いますので、女性もしっかりと活躍していただくためには、女性ばかりが家事の負担を強いられるような社会ではなくしていかなければならないし、それに対する取り組まなければならないことがたくさんあるというふうに今改めて感じておりますので、そういったところをしっかりとこれから政策に反映させていただきたいというふうに思います。

 あと、教育の無償化に関しては、我々国民民主党も他の野党も強く主張しているところがありますけれども、やはり子供たちに対する投資というのはどんどん積極的に増やしていくべきだと考えていまして、将来の不安、子育ての不安を解消していく上でも極めて重要なのが教育費の負担を解消していくことだと考えておりますので、改めてこちらの方でもしっかりと取り組んでいきたいというふうな思いを強くさせていただきました。

 続いて、ちょっとテーマが変わってしまうんですけれども、トリゼンフーズの河津会長に少しお伺いをさせていただきたいと思います。

 私も、元々京都で働いていたんですけれども、華味鳥は大変お世話になりまして、ありがとうございました。

 あと、私は大和証券に昔いまして、大和証券もミャンマーの証券の取引所の開設などに極めて取り組んでいたんですけれども、ああいったことになってしまって、大変、取り組んでいた同僚なども落胆しているような話を聞いています。

 そういった中で、ちょっと先ほどもお話にあったんですけれども、やはり、これからますます海外から日本に来ていただいて一緒に社会を盛り上げていっていただく、労働力としてみなすのではなくて、一緒に暮らしていただいて、一緒に日本の社会を盛り上げていただくというような感覚が私は重要なのかなというふうに思っておりまして、会長は、特にミャンマーを中心にそういった交流などにもすごく取り組んでいただいていて、事業だけではなくて、町のにぎわいに、海外の人に取り組んでいただくみたいなことにも取り組んでいただいているというような記事を読ませていただいたんですけれども、こういった海外から来ていただいて一緒に社会で生活をしていく、働いていくといったときに、どういったところに気をつけなければならないのかとか、こういったところがポイントだというところがあれば、ちょっとざっくりになってしまいますけれども、お話をちょっと聞かせていただければと思います。

河津善博君 私は今、ミャンマーは三十数年行っていまして、一番僕の子供みたいにかわいがっているのは、実は、東京の新宿の都庁の前の、三井の六十階建ての一階で、華味鳥の店を彼はやっているんです。

 実は、彼というのは、ミャンマーで、孤児ではないんですけれども、非常に貧しい家庭。で、彼は、結婚するに当たっても、部族が百数十あるもので、やはり日本みたいにフリーじゃないんですね。結婚したい彼女とは結婚できなかった。

 日本に来て日本人と結婚して、そして、私がずっと仕込んでというか、教育をしていましたので、うちの養鶏場から工場から全部して、すごい能力を持っている子なので、私がもう約十五、六年以上前から彼に、その店はもう君にやるよということで、今、彼は新宿で、博多弁を話すミャンマー人ということで非常に人気になっているわけですよ。この前も、店をまたもう一つ出す。あるいは、今コロナ禍で大変だったので、本当にもう瀕死の状態だったんですけれども、やはりハングリーなんですね。

 私も、今うちで五年、十年、十五年頑張っている人たちには、今どんどんどんどん店を、もうあなたのものだよと。本音を言いますと、私ども飲食は、グレーかブラックかというように言われちゃうものですから、やはり大きな店できっちり利益が出る店はいいんですけれども、小さな店というものは、もうあなたの店だよという形に僕はしています。

 やはり、彼らも自分の店が持てたということで一生懸命働いていますし、それから、ミャンマーにも店をつくりたいということで、やはり日本人と一緒です。

 ただ、やはり分かっておかなければいけないことは、日本人と比べると非常に、全般的ですよ、先ほど私が言う子供みたいにしている彼はしっかりしているんですけれども、一般的にはやはり時間観念が非常にルーズ、それからお金にもちょっとルーズ、ですから生活もちょっとルーズ。これは、日本の男性の真面目さ、女性のおしとやかさとか、こんなのとはまた、東南アジアは、ちょっとこう言っては、上から目線ではないんですけれども、それは見てやらないと、平気で一時間半遅れて、頑張りますとか来ますから。だから、そういうことが分かって、いわゆる盛り上げてあげないと、結局彼らは、いや、もう私は信用してもらえていないとか、こうなっちゃう。

 今でも私はミャンマーの子供たちも受け入れていますけれども、昨今は御存じのようにクーデターが起こって、ミャンマーではもう明日がないというような子たちも、今はパスポートも発行できません、もう日本に来たいと思っても来られません。

 ですから、そういう、私がさっき冒頭に言いましたように、福岡というのは、特にまた東南アジアから近いわけですし、外国人がかなり今入っています。私は今ここから歩いて二十分くらいのところにいるんですけれども、近くに外国人学校が三つあります。

 私は、二〇二〇年の十二月から、町が近いものですから、いわゆる吉塚市場というのがもう衰退しているところを、いわゆる外国人を中心にした市場にしようということで今つくり上げて、よくマスコミでは取り上げられるんですけれども、まだまだ発展途上みたいな形ですので、コロナでやはり非常にみんな虐げられていますので、やっと今少し挽回になるかなと思っています。

 ただ、外国人をそういう形で、単なる働き手とかではなくて、しっかりやはり教育をして、そしてやはり思いを伝えて、見てあげないと、日本人より給料が安いからというような使い方をするとかえってうまくいかないのではないか。日本人として、単なるそういうふうな目で見られると思いますので、やはりそこは注意しなきゃいかぬと思いますね。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 私は生まれがスペインなんですけれども、スペインでも、御存じのように、時間感覚はそんな感じでございますので、やはり違いを認め合って、やはり対等というか、同じ社会の一員として海外の人に活躍いただける雰囲気をつくっていくことが、これが今後の日本の発展にも、特に、知事に本当は最後にちょっとお聞きしたかったんですけれども、アジアの玄関口として、そしてベンチャーの振興拠点として大変、福岡というのは全国的にも注目をされている中でございますので、やはりそういったアジアの力も活用していくということが極めて重要だし、そしてチャンスがあるというところだと思うんです。

 こういったアジアの力を使うための取組、コロナ禍も収束していくところだと思いますので、今後どういったふうにこの福岡のこれまでの強みを更に発展させていくのか、ベンチャー振興の観点でも構わないんですけれども、特にアジアという観点で知事が考えていらっしゃることがあれば、少し教えていただければと思ったんですけれども。

服部誠太郎君 今おっしゃっていただいたように、福岡県は歴史的にもやはりアジアとのつながりが深いところでありますし、やはりアジアの玄関口としての役割を果たしてきた。これからも同様であると思います。

 我々はやはり、アジアの活力を取り込む、そしてまた我々の活力もアジアに持っていって、そして共に発展していく、こういう姿勢が重要だと思います。

 そういった観点から様々、我々も、友好提携地域、あるいは我々の駐在事務所等も展開しておりますが、そういったコネクション、ネットワークというものも活用しながら、また、福岡で学ばれた留学生の方、あるいは働いた経験のある方、そういう人的なネットワークというのも非常に重要なものであります。これも生かしながら、展開を図っていきたいと思います。

 福岡、日本で、先ほど河津会長のお話もございましたけれども、外国人の、働きにというか来ていただく方、この方々については、やはり安い労働力だと考えてはいけないと思いますね。やはり、日本人と同じ貴重な人材であるということを基本に置いて、ちゃんとした対応を取っていくことが必要だと思います。

斎藤(ア)委員 ありがとうございました。

 これから、東京だけでなく日本の様々な場所で、ベンチャーであったり、そういったアジアの力を活用していく取組がますます重要になると思っておりますので、是非、今後とも様々な意見をいただければと思います。

 ありがとうございました。

古川座長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 最後、よろしくお願いいたします。

 四人の陳述者の皆様方、本日は本当にありがとうございます。

 まず、服部知事にお伺いをさせていただきたいと思います。

 コロナウイルスが発生してもう三年になります。当初は副知事として、その後、県知事として、コロナ対策の県の本部長として、獅子奮迅、御活躍しておられることは、北九州選出の私もよく見ております。

 一方、福岡県は、政令指定都市が二つあり、そして保健所政令市も久留米市ということで、そういうところがあって、県知事の管轄でない保健所が結構あるということとか、そういうことに代表されるように、県が非常に自治体との関係で御苦労しておられるなというふうに私には見えました。

 コロナ対策の本部長としてこれまでやってきた経験の中で、そういった市町村との関係のみならずですけれども、今後、国の法制度等々を含めて改善点ございましたら、何か思いつくことがあれば、そしてここで言っていいことを言っていただければと思います。

服部誠太郎君 コロナ対策ということの御質問かと思います。

 本当に、COVID―19の、いろいろ始まって、我々も何か手探りの中で、一体なぜこれはうつるんだろうか、そこから分からなかった。マスクも、マスクが有効なのかどうかという議論からもあった。そういう中で様々、医療の現場、また保健所の現場、こういった現場の声というものも我々しっかりと受け止めながら、対応を取ってまいりました。

 そういう中で、確かにおっしゃるように、県の圏域の保健所、それから保健所設置市、本県でいいますと、北九州市、福岡市そして久留米市がございます。やはり指揮命令系統が違うわけですね。ですから、ここのところは、やはり我々も、北九州市さん、福岡市さん、久留米市さんの保健所に直接いろいろお話をしたり指示をするというわけにはいかないというところもありまして、ちょっともどかしいところもございました。

 やはり、体制もかなり違いますし、こういったことから、今後、危機管理上の問題としても、やはり、住民の皆様の生命と健康を守るということにおいて保健所の果たす役割は極めて大きいものがございますし、また、感染症対策という点については強化を図っていかなければいけないし、指揮命令系統についても、やはり、一朝事あるときには、県知事の権限というものについて検討をいただければというふうに思っているところでございます。

緒方委員 ありがとうございます。

 続きまして、矢田さんにお伺いをさせていただきたいと思います。

 先ほどの陳述の中で、義務教育の教員に対する給特法の話がありました。意を得たりでありまして、法律には、公立の義務教育諸学校等の教育職員の職務と勤務態様の特殊性に基づき、その給与その他の勤務条件について特例を定めることとすると書いてあるわけですが、その特例を定めた結果として、給与の四%を払えば、それ以上、残業し放題みたいな制度になっている。

 これは昭和四十六年にできた制度でありまして、気がついてみたら、法律を作ったときの仕組みとその運用が異なって、実は、学校教育の場がブラック企業になっているのではないかという懸念を持つわけでありますが、先ほど陳述されましたけれども、もう少し、思いの深いところを述べていただければと思います。

矢田信浩君 ありがとうございます。

 ブラック企業ということをつけていただきました。ある意味、見方によってはそのとおりだと受け止めております。

 現状、教員の皆さんは、大変苦しい状況の中で、子供に対します教育に従事をされています。法律からしたときに、本来、その条件、クリアをもちろんされているんでしょうけれども、なかなか働き方の改革ができていないという現実。

 現在の状況を少し数字をもって説明させていただきますと、福岡県におけるデータでありますけれども、小学校が六十九名、中学校が五十九名不足しているという数字が、少し古いデータ、令和三年のデータでございますけれども、こういうような状況になっている。

 それに加えまして、これまでの、先ほど昭和四十六年とおっしゃいました、それから時間がたっている、時が流れているわけでございますが、指導要領等々が変わってきている、変化をしてきている。その変化についていけない現状がある。さらに、感染症、コロナの関係に伴います学校での生活様式の変化、そして、先ほどから話が出ておりますICT教育等の進展、推進に伴う負担というものもございます。

 こういう中で、残されたというか、現有勢力の皆さんは、シェアといいますか、仲間内で協力し合いながら取組をされております。そのことにつきましては敬意を表するところでありますけれども、そういう実態でございますので、その実態を、働き方改革という観点からいかにクリア、解決できるのかというのが、連合、労働組合としての、日本全国のナショナルセンターとしての取組の一つかなというふうに思っています。

 それで、福岡県の中でやれることを、服部知事と、ある意味連携もしながら解決したいと思いますけれども、ここには、やはり国からの支援、援助、こういうものがないとできない。先ほどの論議のとおりだというふうに思っていますので、その点につきまして御理解いただければというふうに思っています。

 よろしくお願いします。

緒方委員 恐らく、法を作った当初の頃は、義務教育の教員に対して報いる思いで作った仕組みではなかったのかなというふうに思うわけですが、気がついてみたら、ただのブラック企業に、民間の企業で多分やったらブラック企業に当たるような慣行が学校教育の場で行われているというのは、これはあってはならないことだなと私は思いましたので、一言述べさせていただきました。

 続きまして、権藤陳述者の方にお伺いをさせていただきたいと思います。

 二〇一六年に子ども・子育て法が改正をされて、企業主導型保育所が非常に充実をして、保育の量を増やすということで進んできたわけでありますが、私も、地元で企業主導型保育所、幾つも見ておりますが、制度がつくられて七年になりますけれども、だんだん、制度の不備とか、ちょっと問題があるんじゃないかなとか、これは変えた方がいいんじゃないかなとかいうことが少しずつ出てきているんじゃないかなと思って、私自身も、二〇一六年からもう七年たって、一度、制度の見直しをした方がいいのではないかなと思っているわけでありますが、思いをお聞かせいただければと思います。

権藤光枝君 企業主導型保育園については、本当に一気に進んで、実は、これは認可外保育施設というくくりなんですよね。

 そもそも私、起業したのが認可外保育施設でした。そこから小規模保育園の認可を取り、認可保育所の運営と企業主導型保育園というふうに今展開をしているところで、ただ、先ほど言った企業主導型保育園は認可外保育園なんですね。

 私たちが最初につくった認可外保育園というのは、国の支援は全くゼロ。自分たちでつくって、そして保育料をお母さんたちからいただき、そしてその保育料のみで子供たちを育て、運営をするというような感じだったんですけれども、この同じ制度が、企業主導型保育園というので、国の予算がどんとついて、一気に拡大したというような感じです。

 今までの私たちがやってきた認可外保育園というのも、やはり認可保育園に入れない子供たちの受皿だというふうにずっと言われてきて、ただ、その受皿になった認可外保育園は、認可保育園にもなれず、企業主導型保育園にもなれず、そしてだんだん衰退していって、今、お役を終わって、うちの認可外保育園も閉園するというような形になってきたんですね。

 そういった、制度のはざまみたいな、大きく制度が変わるときに、やはり今まであったものをなぜきちんと、守るというよりも、一定の水準を満たして運営をしてきて受皿になってきたところもやはり大事にしてほしかったなというふうな思いがあります。

 また、企業主導型保育園が今できて、たくさん、もう乱立しているというような状況なんですけれども、多分介護施設も同じで、一気につくるけれども、最後にぎゅっと制度が、増えた後に制度がだんだん厳しくなって、それからまた、給付にしてもいろいろなことが厳しくなるというような現状がある。なので、企業主導型保育園に対しても、今後五年ぐらいでいろいろな縛りが、もっともっと厳しくなっていくんじゃないかなというふうには思っています。

 企業主導型保育園に預けるには、企業主導型は元々、福利厚生の一つで制度があるわけですよね。なので、企業の中に保育園をつくって、その企業あるいは近隣に住む子供たちが通えるというふうに制度はなっているんですね。これは、企業の枠を半分、そして周りの地域に住む人たちの枠が半分。これを、企業のために枠を空けておきなさいというふうに今制度が変わってきていて、ある一定水準の中に枠を空けないといけない。ということは、入らないかもしれない園児の数を確保しておかないといけないんですね。

 そうすると、地域で預けたいという人たちは入れない。だけれども、企業の中で抱える従業員の子供がいつ入るか分からないけれども枠を確保しておきなさいという制度になっていて、本当に複雑になってきているのと、あと、本当に保育の現場をよく分かっているのかなという人たちが多分つくっているので、抜け穴はもう非常に多いですね。ここに関しては言いたいことは山ほどありますが。

 ただ、企業主導型保育園ができて、自由度は増して、そして、認可の保育園ではできなかった日曜祝日保育だったり夜間保育というのも企業のニーズに対してできるようになったというのは、大いに、働き手にとって、預け手にとっては非常によかったんじゃないかなと思いますが、ここの改革は、是非とも、現場で働く人、保育園の運営をやっている企業さんにしっかりとヒアリングをして、何が必要かというのをしっかり聞いた上で、制度の確立をしていただきたいなというふうに思っています。

緒方委員 ありがとうございました。

 続きまして、河津陳述人の方にお伺いをさせていただきたいと思います。

 国の方の仕組みに地理的表示という言葉がありまして、地域のブランドですよね。実際に福岡で認定されているのは、鳥でいうと、はかた地どりという名前が地理的表示として認定されているんですが、北九州に住む私からしても、何が有名かというと、私からすると、はかた地どりよりも博多華味鳥の方が何となく人口に膾炙した表現かなと思うので、地域のブランドづくりということについて言うと、これはお世辞ではなく、非常に成功しているなというふうに思います。

 これから日本が地域の地方創生とかを考えるときに、ブランドをつくっていくこと、そして、ブランドとともに付加価値を高めていくことというのはとても重要だと思うんですけれども、これまでの御経験も踏まえて、少し思いをお聞かせいただければと思います。よろしくお願いいたします。

河津善博君 今、地鶏は、御存じのように、福岡県、服部さんのところがはかた地どりをつくっていらっしゃいますよね。地鶏というのは非常に難しい問題で、特にこのコロナになって、地鶏は全国的にもうばたばた、大変な状況なんです。

 はかた地どりは、やはり福岡県であるところが支えているので、あれなんですが、私の知っているところの地鶏をつくっているところ、一定の区域、それから飼育期間、いろいろ制限もあります。

 日本の三大地鶏というのは、やはり名古屋コーチン、それから比内地鶏、さつま地鶏ですかね。問題は、値段が高いということと飼育期間が長いということがなかなか、地鶏はどうですかと言われるので、僕は、地鶏はいいんですよ、でも、百グラム、はかた地どりでも二百五十円、名古屋コーチンに至っては四百何十円するわけですね、それをしょっちゅう食べられますかという言い方をするんですけれども。

 やはり、開発するにしても、価格というか、おいしいものを食べたい、地鶏がいいとおっしゃるんですけれども、なかなかその部分が、今、はかた地どりも多分一日の処理羽数は二千数百羽です。二千数百羽ということになると、機械化もできません。

 私どもが今考えているのは、やはり、一万羽以下の処理というのは機械化ができない、そうすると、人が余計要る、コストが高くつく。私どもは今、二万五千羽、していますけれども、やはり三万羽ぐらいまで持っていきたいと思うのは、お客様はわがままですから、そういういいものと、今度は価格が安いというのがやはり両立しないといけないのです。

 私どもは、例えば鶏舎をもう今は開放鶏舎といって、これはやはり今のアニマルウェルフェアという考え方にのっとってつくっていって、それが華味鳥なんだという定義づけをしています。もっともっとこだわらなきゃいけないんですけれども、もっともっとこだわると、今度は価格を上げざるを得ない。ここの、特に博多ですので、福岡ですので、関西や関東のいわゆる所得とも違います。ですから、そういった部分というのは、非常に価格を意識した戦略、それから、こだわるところのこだわり方、この辺が非常に私自身も難しいなと思いながらやっているところでございます。

緒方委員 ありがとうございました。

 服部知事と矢田事務局長に、最低賃金についてお伺いをしたいと思うんですが、かねてから福岡県も連合の方も、時給千円ということをたしかずっと言っておられたと思いますけれども、そこに向けた思いというか道筋というか、いかがお考えでしょうか、服部知事。

服部誠太郎君 本県では、全国都道府県、唯一だと思いますけれども、最低賃金の向上について、毎年、国の方に意見書を提出してまいりました。現在、引き続きこの取組は行っておりまして、その中でも、今先生おっしゃったように、千円というものをまずは目標として掲げさせていただいて、取り組ませていただいているところでございます。

矢田信浩君 ありがとうございます。

 道のり、思いということでした。

 先ほど触れたんですけれども、私たちは労働組合でございます。その組織率が、全体で、労働組合結成組織率、約二割、一六・五%でしたか、そういう程度でありますから、丸めて八割の方は労働組合組織外におられる。全ての働く方々のために、労働組合、連合が何ができるのか、そういうことを考えますと、最低賃金という数字を引き上げることによって、それを社会に波及させ、底上げを目指す、こういう思いで取り組んでいます。それが、日本全体の経済のために、また循環のために、いい形になればということで考えております。

 人への投資ということで今後も取り組んでいきたいというふうに思っています。

 以上です。

緒方委員 私の時間はあと二、三分でありまして、聞こうと思っていたことが大体終わっちゃったんですけれども、自分自身のこういう立場の役得ということで、最後、服部知事にお伺いをさせていただきたいと思います。

 二月五日、北九州市長選挙が行われました。十六年ぶりに市長が替わりました。知事からエールを送っていただければと思います。

服部誠太郎君 北九州市は私のふるさとであります。そして、福岡市とともに、まさに我が福岡県の竜の両眼であると言っていい都市であると思いますし、県にとっての大きな成長エンジンであるわけでございます。そういう認識を持っております。

 私、一昨年の四月に知事に就任させていただきましたが、それ以来ずっと申し上げているのが、やはり、県政を進めていく、この進め方といいますか、この上で非常に重要なのは、県民に最も近い存在である市町村の皆さんと力を合わせていく、このことによって、我々、県の力を二倍、三倍にもしていくということが重要であるということを申し上げ、また、そういう取組のために、新たに市町村振興局というものも設置をしたり、いろいろな取組を行っております。

 このことは、政令市も含めてのお話でございまして、よく、全国でも、県と政令市は仲が悪い、こう言われます。しかし、本県においては、そういうことはございません。

 福岡市は高島市長、そして、現在、北九州市は北橋市長がお務めでいらっしゃいますが、両市長とも、トップ会談というものもやっておりますし、そういう場だけではなくて、コロナ対策も含めて、本当に必要な場合はお互い携帯で連絡を取り合って、朝であろうが夜であろうが、そういういろいろな意見交換、また連携を図っているところでございます。

 こういう状況でございますけれども、新しい北九州市長さんとはまだお話をしたことはございません。ただ、先ほど来、政令市の皆さんともと申し上げたのは、私も、知事に就任するに当たって、両政令市をお訪ねして、両政令市長とも直接お話をしたんですね。その上で、今のような関係を構築することができたと思っております。

 お互い、やはり、県民、市民の皆さんをど真ん中に置いて考えたときに、目指すところは同じであるということですね。地域の発展、そして、県民、市民の皆さんの福祉向上ということのために、やはりこれから私としても積極的に対話を行い、そして連携を図っていきたいと思います。

緒方委員 終わります。

古川座長 以上で委員からの質疑は終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 意見陳述者の皆様におかれましては、御多忙の中、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただき、誠にありがとうございました。

 また、この会議開催のため格段の御協力をいただきました関係各位に対しまして、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

 これにて散会いたします。

    午後三時十七分散会


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