衆議院

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第11号 令和5年2月15日(水曜日)

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令和五年二月十五日(水曜日)

    午前八時五十五分開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 小林 鷹之君 理事 中山 展宏君

   理事 古川 禎久君 理事 堀井  学君

   理事 牧原 秀樹君 理事 大西 健介君

   理事 逢坂 誠二君 理事 後藤 祐一君

   理事 青柳 仁士君 理事 赤羽 一嘉君

      秋葉 賢也君    伊藤 達也君

      池田 佳隆君    石破  茂君

      今村 雅弘君    岩屋  毅君

      上野賢一郎君    衛藤征士郎君

      大岡 敏孝君    奥野 信亮君

      亀岡 偉民君    菅家 一郎君

      工藤 彰三君    熊田 裕通君

      下村 博文君    杉田 水脈君

      鈴木 隼人君    瀬戸 隆一君

      田中 和徳君    辻  清人君

      土屋 品子君    鳩山 二郎君

      平沢 勝栄君    古屋 圭司君

      牧島かれん君    松島みどり君

      三谷 英弘君    宮下 一郎君

      八木 哲也君    山本 有二君

      鷲尾英一郎君    荒井  優君

      梅谷  守君    枝野 幸男君

      源馬謙太郎君    西村智奈美君

      野間  健君    馬場 雄基君

      藤岡 隆雄君    本庄 知史君

      森山 浩行君    山岸 一生君

      吉田はるみ君    米山 隆一君

      渡辺  創君    阿部  司君

      池下  卓君    池畑浩太朗君

      奥下 剛光君    沢田  良君

      杉本 和巳君    早坂  敦君

      藤巻 健太君    掘井 健智君

      守島  正君    庄子 賢一君

      中野 洋昌君    鰐淵 洋子君

      斎藤アレックス君    前原 誠司君

      笠井  亮君    宮本  徹君

      緒方林太郎君    櫛渕 万里君

      たがや 亮君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   総務大臣         松本 剛明君

   外務大臣         林  芳正君

   財務大臣         鈴木 俊一君

   文部科学大臣       永岡 桂子君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   経済産業大臣       西村 康稔君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   国務大臣         河野 太郎君

   国務大臣

   (こども政策担当)

   (少子化対策担当)    小倉 將信君

   国務大臣

   (経済再生担当)     後藤 茂之君

   財務副大臣        井上 貴博君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  齋藤 秀生君

   政府参考人

   (内閣官房内閣情報調査室次長)          柳   淳君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   林  幸宏君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 野村  裕君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  吉川 浩民君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  池田 達雄君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局長)            市川 恵一君

   政府参考人

   (財務省主計局長)    新川 浩嗣君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           川又 竹男君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            小林 浩史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官)  鶴田 浩久君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局長)        長橋 和久君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  塩見 英之君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 茂木  陽君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  増田 和夫君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  川嶋 貴樹君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十五日

 辞任         補欠選任

  岩屋  毅君     瀬戸 隆一君

  大岡 敏孝君     杉田 水脈君

  亀岡 偉民君     菅家 一郎君

  熊田 裕通君     工藤 彰三君

  鈴木 隼人君     松島みどり君

  平沢 勝栄君     秋葉 賢也君

  三谷 英弘君     上野賢一郎君

  源馬謙太郎君     荒井  優君

  本庄 知史君     枝野 幸男君

  森山 浩行君     野間  健君

  渡辺  創君     馬場 雄基君

  阿部  司君     沢田  良君

  池畑浩太朗君     杉本 和巳君

  掘井 健智君     藤巻 健太君

  斎藤アレックス君   前原 誠司君

  宮本  徹君     笠井  亮君

  櫛渕 万里君     たがや 亮君

同日

 辞任         補欠選任

  秋葉 賢也君     鳩山 二郎君

  上野賢一郎君     三谷 英弘君

  菅家 一郎君     亀岡 偉民君

  工藤 彰三君     池田 佳隆君

  杉田 水脈君     大岡 敏孝君

  瀬戸 隆一君     岩屋  毅君

  松島みどり君     鈴木 隼人君

  荒井  優君     米山 隆一君

  枝野 幸男君     本庄 知史君

  野間  健君     森山 浩行君

  馬場 雄基君     渡辺  創君

  沢田  良君     守島  正君

  杉本 和巳君     池畑浩太朗君

  藤巻 健太君     早坂  敦君

  前原 誠司君     斎藤アレックス君

  笠井  亮君     宮本  徹君

  たがや 亮君     櫛渕 万里君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     熊田 裕通君

  鳩山 二郎君     平沢 勝栄君

  米山 隆一君     梅谷  守君

  早坂  敦君     池下  卓君

  守島  正君     奥下 剛光君

同日

 辞任         補欠選任

  梅谷  守君     山岸 一生君

  池下  卓君     掘井 健智君

  奥下 剛光君     阿部  司君

同日

 辞任         補欠選任

  山岸 一生君     源馬謙太郎君

同日

 理事大西健介君同日理事辞任につき、その補欠として逢坂誠二君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 分科会設置に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 分科会における会計検査院当局者出頭要求に関する件

 分科会における政府参考人出頭要求に関する件

 令和五年度一般会計予算

 令和五年度特別会計予算

 令和五年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事大西健介君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に逢坂誠二君を指名いたします。

     ――――◇―――――

根本委員長 令和五年度一般会計予算、令和五年度特別会計予算、令和五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、分科会設置の件についてお諮りいたします。

 令和五年度総予算審査のため、八個の分科会を設置することとし、分科会の区分は

 第一分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、デジタル庁、復興庁、防衛省所管及び他の分科会の所管以外の事項

 第二分科会は、総務省所管

 第三分科会は、法務省、外務省、財務省所管

 第四分科会は、文部科学省所管

 第五分科会は、厚生労働省所管

 第六分科会は、農林水産省、環境省所管

 第七分科会は、経済産業省所管

 第八分科会は、国土交通省所管

以上のとおりとし、来る二月二十日及び二十一日の両日分科会審査を行いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、分科会の分科員の配置及び主査の選任、また、委員の異動に伴う分科員の補欠選任並びに主査の辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次いで、お諮りいたします。

 分科会審査の際、最高裁判所当局から出席説明の要求がありました場合は、これを承認することとし、その取扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、分科会審査の際、政府参考人及び会計検査院当局の出席を求める必要が生じました場合には、出席を求めることとし、その取扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 次に、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官齋藤秀生君、内閣官房内閣情報調査室次長柳淳君、内閣府政策統括官林幸宏君、内閣府大臣官房審議官野村裕君、総務省自治行政局長吉川浩民君、総務省自治行政局選挙部長森源二君、総務省自治税務局長池田達雄君、外務省総合外交政策局長市川恵一君、財務省主計局長新川浩嗣君、厚生労働省社会・援護局長川又竹男君、厚生労働省保険局長伊原和人君、中小企業庁事業環境部長小林浩史君、国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官鶴田浩久君、国土交通省不動産・建設経済局長長橋和久君、国土交通省住宅局長塩見英之君、防衛省大臣官房審議官茂木陽君、防衛省防衛政策局長増田和夫君、防衛省整備計画局長川嶋貴樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 本日は、安全保障及び少子化対策など内外の諸情勢についての集中審議を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。石破茂君。

石破委員 おはようございます。自由民主党の石破茂であります。

 総理、その後、お具合はいかがですか。私も、もう何年前になりますか、政調会長のときに、やはり内視鏡のちょっとした手術をしたことがありましてね。お医者様のお許しを得て、その日のうちに党本部に出勤したりしていて、後が結構つらかったです。やはり後が結構大変ですので、どうぞお大事になさってください。周りの皆様方もよくお支えいただくようにお願いを申し上げておきます。

 総理と私は同じ昭和三十二年生まれで、同じ時代を生きてきました。総理の政治の師は故大平正芳元総理であるというふうに承ったことがあります。私にとっての政治の師は故田中角栄元総理でありました。

 田中角栄先生が、日中戦争に従軍しておられたのですけれどもね、御存命中に、あの戦争に行ったやつがこの世の中の中心にいる間は日本は大丈夫だ、あの戦争に行ったやつがこの世の中の中心からいなくなったときが怖いんだ、だからよく勉強してもらわなければならぬのだというふうに語っておられました。

 私は、ずっと、議員になって以来、安全保障というものをライフワークの一つとして取り組んでまいりました。及ばずながら勉強もしてまいりました。それは、角栄先生のこの言葉がずっと胸にあるからであります。

 敗戦後、既に七十八年になりました。十五歳で少年兵として昭和二十年に従軍された方も、よわい九十を超えておられる。御存命で、まだお元気な方も随分おられるとは承知をいたしております。しかし、この世の中の中心からはほとんどの方がリタイアされた。我々はその時代に生きているということをよく認識をしなければいけないと思っております。

 限られた時間でありますので、恐縮でありますが、本会議形式になって恐縮ですけれども、冒頭、私から思いを申し述べさせていただいて、総理に御答弁をまとめてお願いしたいと思っております。

 通告はしてございますが、全部お答えいただかなくても結構です。安全保障について答えるというのは物すごく細心の注意を要することでありますし、何を言ってもいいというものではございません。そのことは、私も、何度も答弁に立って、よく承知をしておるつもりであります。

 そういう意味で、質問申し上げますが、冒頭、思いを申し述べさせていただきたいと思っております。

 総理は、記者会見において、戦後安全保障政策の大転換だというふうにお述べになりました。これは一体何を意味するものなのだろうかということであります。そして、それに続けて、専守防衛は堅持する、非核三原則は堅持する、平和国家としての歩みは変わらない。平和国家としての歩みは変わらないというのはそのとおりでありますが、専守防衛はそのままである、非核三原則はそのままである。では、一体何が大転換なのだろうかということであります。

 そして、国民の多くの皆様方は、防衛費の増額というものに肯定的な方も大勢いらっしゃいます。そのことは確かだ。しかし、なぜ大幅に増額をするのか、なぜ二%なのか、なぜ四十三兆円なのか。それは、きちっとした積み上げがあり、どのように安全保障環境は変わったのかということをきちんと国民の皆様に御説明をし、得心をいただく、それが我々政府・与党の責任であるというふうに私は考えておるところでございます。

 確かに安全保障環境は大きく変わった。冷戦が終わって、いわゆる相互確証破壊というのが揺らぎが生じ、あるいは崩れたと言ってもいいかもしれない。そして、去年の今頃、私も含めて、常任理事国の核保有国であるロシアがウクライナに侵攻するということを予測できた者はほとんどいなかったと思います。しかし、それが現実のものとなった。北朝鮮はミサイルの発射を繰り返し、NPT体制というものに揺らぎが生じていることも事実だと思っております。中国の軍拡はとどまるところを知らない。確かに安全保障環境は大きく変わっているということを認識はいたしております。

 しかしながら、今日のウクライナは明日の台湾、台湾有事は日本有事というような、そういうような思考というものを余り簡単にすべきものではないと私は認識しています。

 専守防衛について伺います。

 専守防衛の定義は総理も私もよく承知をしている。ここにいかなる軍事合理性があるのだろうかということであります。

 私は、防衛二法成立以来の国会の議事録も一応全部読んでみた。専守防衛ということが、さて、憲法の理念に立脚したものであるということ、そして、相手から攻撃を受けて初めて自衛力を行使するというものであること、これはよく承知をいたしております。しかし、この専守防衛というのは、軍事用語辞典を引いてみてもどこにも出てこない。これは軍事用語ではございません。ある意味で政治用語と言ってもよいものであります。

 では、これに、専守防衛というものを貫徹することが、我が国の独立と平和、国民の生命、身体、財産を守るために最も適当なものであるという理論的な説明ということがなされたことは一度もないのであります。

 かつて、竹田五郎さんという統幕議長がおられました。当時は統合幕僚会議議長といっていました。空将であります。自衛官の最高位の方だ。この方が、ある雑誌のインタビューに答えて、専守防衛というのは極めて難しい防衛姿勢である、国土が戦場になるリスクもある、そして、同じ効果を得ようと思えば物すごくお金がかかるのだというふうに雑誌のインタビューに答えられました。鈴木善幸内閣の頃であります。防衛庁長官は大村襄治先生であったと記憶をいたしております。事実上解任になりました。

 その二年前のこと、陸将でありましたが、栗栖弘臣さんという統幕議長がおられました。この方が、有事法制がなければ自衛隊は超法規的に動かざるを得ない、だから有事法制をきちんと整備をしなければならぬという発言をしました。この方も事実上解任になりました。

 私は、こういうのが正しい文民統制の在り方だと思っていないのです。制服組、いわゆる軍人、日本でいえば自衛官、実際に私も安全保障には随分関心を持ち、それなりに勉強もしてきました。しかし、命を懸けて、自衛隊員の服務の宣誓どおりに、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって職務の完遂に務め、もって国民の負託に応える、その言葉のように船に乗ったこともなければ、飛行機に乗ったこともなければ、戦車に乗ったこともない。命を懸けてその職務を全うするのが自衛官たちであります。

 私は、軍事専門家たる自衛官が国会においてきちんと証言ないしは答弁することが正しい立法府による文民統制の在り方だと思っています。制服を着た者が国会に来ないことが正しい文民統制だと私は全く思っておりません。

 その上で、専守防衛というのはいかなる軍事的合理性を持つものかということは検証できていないのです。

 ある方がこのように言っておりました。専守防衛というものの本質は持久戦である、いかにしてアメリカが来援するまでの間持ちこたえるかということが大事なのだと。それはそうでしょう。でも、そのためには、人員、燃料、弾薬、食料、これが十分でなければ持久戦を戦うことはできない。そして、我が国は国土の縦深性を欠いておりますので、国民保護ということを徹底していかなければ、それは専守防衛なぞというものは貫徹できるものではございません。

 かつて自衛隊でこんな川柳がはやったことがあるそうです。たまに撃つ弾がないのが玉にきず。冗談ではない。だけれども、そのような川柳が歌われるような、そういうような時代がありました。今そうであってはならないとは思っております。

 専守防衛というのは極めて難しい。これをどうするかということであります。専守防衛ということを説明するときに、必要最小限度という言葉が使われますね。必要なのは分かる。じゃ、何が最小限度なのだということ。これをきちんと測るような便利な物差しが世界のどこにもあるわけではございません。ここからここまでは必要最小限度よと。装備もそうです、権限もそうです。

 必要最小限度だからという言葉を使うのは、自衛隊は戦力ではない、なぜ戦力ではないか、必要最小限度だからだ、必要最小限度だから戦力ではない、戦力ではないから陸海空軍ではない、こういうロジックが使われますね。私もそのような答弁をしたことが何度もございます。

 この専守防衛という考え方と、自衛隊は戦力ではない、軍隊ではない、このロジックは非常によく似ているのですね。だけれども、北朝鮮に対して必要最小限度のものが中国やロシアに対して必要最小限度かといえば、そんなことはあり得ないのだ、防衛力というのはそんなに簡単に増勢できるものではないのだということであります。

 脅威というのは何なのか。それは、相手国を侵略しようという意図と能力の掛け算ですよね。掛け算だから、片っ方がゼロならば、幾ら掛けても答えはゼロなんですよ。総理が御指摘のように、平和国家としての歩みは変わらないと。我が国は決して他国を侵略することはない、その強い意思を持つことが一番肝要なのだというふうに私は思っておるところでございます。

 私は、軍事大国になることはあってはならないと思います。防衛力は節度を持って整備をされなければなりません。当然のことであります。

 しかしながら、軍の組織維持とかそういうことが自己目的になったことが我が国にはなかっただろうか。

 私はよく若い人たちに言うのですけれども、今、参議院議員になっておられますが、猪瀬直樹さんの「昭和十六年夏の敗戦」という本があります。昭和十六年夏、昭和二十年夏じゃない。昭和十六年に、当時の大日本帝国政府は、今のキャピトル東急ホテルの辺りに総力戦研究所というシンクタンクをつくった。あらゆる情報が彼らには与えられた。二十代、三十代、主に三十代ですね、陸軍、海軍、ありとあらゆる官庁、同盟通信、日本銀行、その最も優秀な人間を集めて、日本とアメリカの国力がどれだけ違うかということを全部開示をして、今でいうシミュレーションをやった。昭和十六年夏に答えが出た。いかなる理由があってもこの戦争だけは絶対にしてはならない、必ず負けると。そのとおりになりました。顧みられることはありませんでした。それぞれの軍の組織防衛ということが先行したことを私は否定できなかったと思っています。

 そういうような防衛力増強があってはなりません。しかしながら、その上でどのように防衛力を増勢していくかということはよく注意深くやっていかねばならぬことであります。

 アメリカと日本の盾と矛との関係はどうなるのだ、日本が反撃力を持つということは矛を持つことになるのではないのかというお話があります。しかしながら、有名な船田防衛庁長官答弁、鳩山総理のものを代読されたものでありますが、ほかに取るべき手段がないということで、座して死を待つことが憲法の予定するところではない、そのとおりであります。

 私が長官のときに、被害が起こってからでは遅過ぎる、おそれがある段階では早過ぎる、どの時点ならば防衛力を行使できるかといえば、それは着手の時期であるというふうに申し上げました。どこかの国が日本に向けて攻撃をしかけるという明確な意図があり、ミサイルが直立をし、燃料の注入が始まれば、もうそれは後戻りできない段階に入ってきたのだ、それをたたくことは許されるという答弁をいたしました。それは今でも生きていると思っています。しかしながら、今や、固体燃料だ、トレーラーで移動する、いつ、どこから撃つのか分からない。その理屈は今でも通用するかといえば、そうでもないのです。

 敵基地攻撃のときの、反撃能力を行使するときの法的構成というのはきちんと構築をしておかねばなりません。そして、そのためにどんな能力を持つかということもきちんとつくっておかねばならないことなのであります。

 そして、トマホークを一括購入するという報道がございます。トマホークは、御存じのとおり、原理は飛行機ですから、時速八百五十キロしか出ない。多くの燃料を積まねばならない。速度も遅い。では、それが本当に反撃力として有効なものなのだろうか。

 我が国が持ってはいけないとされるのは長距離爆撃機であり、ICBMであり、攻撃型というものが仮にあるとすれば航空母艦だ。じゃ、弾道ミサイルはどうなのだ。それを持つということも、私は選択肢の一つとして考えるべきだというふうに考えております。

 次に移ります。

 拡大抑止力を強化するというのはどういうことだ。

 防衛三文書を私も子細に読みました。核共有という言葉が出てこない。

 広島サミットがあります。核なき世界、それは理想です。しかしながら、オバマ大統領のプラハの演説は、核なき世界というようなことは言っているが、私が生きている間は実現できないだろうとも言っている。戦略核を削減するという話は出てくるが、戦術核についての言及はどこにもない。

 故安倍総理が何を考えておられたか知る由もございませんが、核共有というのは、核兵器を共有することでもない。管理権を共有することでもない。そして、使用の決定を共有するものでもない。共有するものは何か。核抑止によるリスク、効果、それを共有するのであり、意思決定に至るプロセスを共有する。それがニュークリアシェアリングの本質だと私は思っているし、非核三原則に抵触しない形でもそれは可能なものだと思っています。お考えはいかがなものでありましょうか。

 そして、抑止力を維持するためには、ミサイルディフェンス、この精度を上げていかねばなりません。

 いろいろな理由があって、イージス・アショアの計画はキャンセルになりました。いろいろな考え方があったけれども、報道によれば、スーパーイージスというものを建造すると。それが予算にものっている。私はこの考え方を強く支持するものではあります。これは実現させたいと思っている。

 だけれども、去年の夏だったと記憶をしますが、こういう構想があるというのが報道されました。大きな船、これを建造するのだ。私はこれは一体何だろうかと思いましたね。速度も遅い。その船を守るために、潜水艦も要ればイージス艦も要る。それは一体、どうしてこんな構想が出てくるのだというふうに思いました。

 今回、防衛装備庁、陸海空、統幕、そして内局、一体となって、じゃ、どうするんだという議論が行われた。スーパーイージスというものを、二年遅れになるけれども建造するということになった。これは急がねばならない。そうでないと、ミサイルディフェンスに穴が空く、私はそう思います。

 そうやっていかねばならないのだが、福田内閣のときに、防衛省の在り方というものをきちんと検討し直しました。そのときに、運用が統合ならば防衛力整備も統合だということを決めました。そのような組織も構築するということも決めました。

 防衛装備庁をつくって、いい働きをしていただいています。しかしながら、まだ十分ではない。陸海空の要望をホッチキスで留めたようなもの。個別最適の総和は決して全体最適にはならないのです。節度ある防衛力整備を考えていかねばならない。そして、納税者に誠実な防衛力整備をしていかねばなりません。

 今、C2という国産輸送機があります。あれは一〇式戦車が運べません。載るけれども、重過ぎて飛べないのです。私は、輸送機というのは大きければ大きいほどいい、遠くまで飛べれば飛べる方がいい、そのように思っています。なぜ、一〇式戦車が載らないそういうような輸送機を造ることが正しいのか。なぜ、C17という米軍の輸送機を中古でもいいから使わないのか。

 私は、作戦というものを念頭に置いて、朝鮮半島と台湾と、起こる有事は全く違いますからね。どなたか予算委員会で指摘されておられたように、台湾有事だけれども五条事態にならないということはあり得るのです。朝鮮半島有事のときは朝鮮国連軍の地位協定が動くのです。事前協議の在り方が全く違うはずであります。作戦を念頭に置いた防衛力整備の体制というものが必要だというふうに考えております。

 統合司令官の創設、当然のことであります。アジア太平洋軍の司令官のカウンターパートがいない、そのこと自体がおかしなことだったと思います。これは急ぐべきです。そして、将来的には、日米の合同の司令部みたいなものも念頭に置くことは、つらいことだけれども、考えねばなりません。これを急ぐ必要があると思うが、いつまでに立法化されるか。そして、それをどこに置くんだ。市ケ谷なのか、朝霞なのか、横須賀なのか、そんなことを言っている場合ではない。この創設は一刻も早くお願いをしたいと思っております。

 もう一つ、国民保護です。

 我が国のシェルターの整備率は〇・〇二%だ。北欧の国々はほとんど一〇〇%。イスラエルもスイスも一〇〇%。アメリカでも五〇%を超えている。いざというときに国民を守るシェルター、この整備がどうしても必要だ。地下鉄の駅に逃げても、そこには、断水しているかもしれない、トイレはどうする、食料はどうする、医薬品はどうする、換気装置はどうする。これは急ぐのです。憲法改正も何も関係ない。

 かつて、防空法という法律があって、大勢の人が死んでいった。空襲があったらば市民は逃げてはならない。火を消せ。焼夷弾がバケツリレーで消えるはずはない。私は、そのときの発想と同じことをやってはならぬと思っているんです。いかにして国民を守るか、そのことについて、強い決意、そして実行が必要だというふうに考える次第であります。それをやらないで、私はそれで国民保護が果たせるとは思っておりません。

 最後に一つ、気球について申し上げておきます。

 自衛隊法八十四条、これは極めて難しい法律であります。警察権なのか、自衛権なのか。治安出動は、海上警備行動とは法律の立て方が違うのです。気球は航空機なのか。撃墜することはなぜ可能なのか。いかなるROEを作るべきか。そういうことをきちんと検証していかなければ、これは実効性を持ち得ないものであります。能力もそう、法律もそう、常にそれに備えておくことが、私は安全保障において最も肝要なことだというふうに考える次第であります。

 以上、申し述べました。総理の御見解を承りたいと存じます。

岸田内閣総理大臣 様々な御指摘をいただきました。

 まず、冒頭、田中元総理のお話を挙げられ、世代が替わり、時代が変わる、だからこそ今を生きる我々の責任は大きいという御指摘がありました。私もそのとおりだと思います。

 今、世界はポスト冷戦期が終わったという時代認識が盛んに言われています。また、グローバル化を進めれば私たちの世界は幸せになると信じていた時代、これに対しても、経済安全保障の議論等において様々な疑問も呈されている、こういった時代を迎えています。そして、国連の安全保障理事国であるロシアがウクライナを侵略するということによって国際秩序が問われている。そして、今、東アジアにおいても、急速なミサイル技術の進歩等において不透明な状況が指摘をされている。

 この中で、私たちは、日本の国民の命や暮らし、そして繁栄を守っていかなければいけない。改めて大きな責任を感じます。だからこそ、今、防衛力の強化について大きな議論になっていると認識をしています。

 そして、その防衛力の強化も、従来の伝統的な防衛力の強化の議論だけにとどまらず、外交、安全保障あるいは経済等、総合安全保障と言われるような、国全体のありようが問われる、こういった防衛力の強化の議論をしていかなければいけない、こうした時代の中にあるんだと思っております。

 その上で、いろいろ御質問いただきましたのでお答えをしなければいけませんので、ちょっとお答えする方に入らせていただきたいと思いますが、まず、冒頭、専守防衛について御指摘がありました。

 まず、私は、平和国家として専守防衛に徹し、そして非核三原則を堅持する、この基本方針は今後も変わらないと思います。

 安全保障の観点からこれについてどうかという御指摘はありましたが、やはり、先ほど言いました総合安全保障ということを考えますときに、周辺国あるいは同志国、同盟国から我が国の安全保障の姿勢というものが十分理解されるということが重要だと思います。そういった点から、我が国の基本的な姿勢という意味で、私は、専守防衛、非核三原則、こういった姿勢は今後もしっかりと維持していかなければならないと思っています。

 そして、その上で、現実的なシミュレーションを行い、様々な議論を積み上げて、現状では十分でなかったミサイルや弾薬についても、必要な装備あるいは数量を積み上げた。つまり、専守防衛等の基本的な原則を維持しつつ、防衛力の抜本的強化など安全保障政策の実践面を大きく転換する、これらの取組によって自衛隊の抑止力、対処力を向上させる、こうしたことで大きな転換を図っていくというのが基本的な考え方であります。

 そして、トマホーク等についても御指摘がありました。

 これについては、我が国に侵攻している艦艇や上陸部隊等に対して脅威圏外から対処するスタンドオフ防衛能力を抜本的に強化する、こういった考え方に基づいて導入を考えているわけですが、我が国に導入するトマホーク、御案内のとおり最新型であります。迎撃を回避する飛翔も可能とするなど、様々な観点から評価した上での導入を考えているということであります。

 また、核政策等についても御指摘がありました。

 米国の拡大抑止は、我が国の安全保障にとって不可欠です。拡大抑止の信頼性、強靱性の確保、向上のため、日米2プラス2や拡大抑止協議を含め、日米間で一層緊密に連携していきたいと思いますが、核共有については、非核三原則や原子力基本法を始めとする法体系との関係からは認められず、政府として議論することは考えていない、これが基本的な考え方であります。

 そして、それ以外にも、シェルターについても御指摘がありました。

 従来より、シェルターの重要性、委員は御指摘をされておられましたが、現在、緊急一時避難施設の指定促進に取り組んでいるわけですが、二〇二一年度から二〇二五年度までの五年間を集中的な取組期間として、例えば地下駅舎は昨年十月までに五百十六か所を指定しているなど、様々な取組を進めているところであります。

 また、常設の統合司令部の設置についてですが、国家防衛戦略において記述されているように、統合運用の実効性を強化するためには、陸海空自衛隊の一元的な指揮を行い得る常設の統合司令部を速やかに創設する必要があるということで、準備を進めたいと思っていますが、日米間の協力について御指摘がありましたが、まずは、我が国の陸海空自衛隊の一元的な指揮のために常設の統合司令部を速やかに設置するということであり、現在においても日米間の様々なレベルで緊密な連携をしていきますが、この連携については一層強化していくということであり、こうした考え方を整理した上で取組を進めているところであります。

 そして、それ以外にも、統合的な防衛力整備ということについて御指摘がありました。

 要は、防衛力整備を統合的に行うということについて、その組織論ということについて様々な御意見がある、これは十分承知をしておりますが、三文書の作成に当たっては、防衛力の抜本的強化に向けた積み上げや、その実現のための自衛隊の体制について、内局と各幕僚監部が一丸となって統合的な運用構想を前提に議論を積み重ねた、このような作業を行ったと承知をしております。

 そして、イージス・アショアの配備プロセスについても御指摘がありました。

 反省すべき点も多かったと認識はしておりますが、一方で、ロフテッド軌道で打ち上げられた弾道ミサイルや同時複数の発射などに対応するために、高い迎撃能力を持つイージスシステム搭載艦は非常に有用な装備であり、海上自衛隊の負担軽減に留意しつつ整備を進めていく、こうしたことを考えております。

 あと、残りにつきましては、ちょっと答弁、十分でなかったかもしれませんが、基本的に、冒頭委員からありました、今の時代の重要性、これを認識し、そして、先ほど申し上げました、総合安全保障の観点から我が国の防衛力を強化することは、今の時代に生きる我々にとって大きな責任であるということを強く痛感しながら、こうした取組を進めていきたいと考えております。

石破委員 終わります。ありがとうございました。

根本委員長 この際、松島みどり君から関連質疑の申出があります。石破君の持ち時間の範囲内でこれを許します。松島みどり君。

松島委員 自民党の松島みどりでございます。よろしくお願いいたします。

 私は、内政について質問をさせていただきます。

 中小・小規模事業の皆さんが、自分の自宅など、そういった個人の資産を個人保証として、担保として差し出さなくても金融機関からお金を借りられるようにする、これは、私が初当選以来のずっと追いかけてきた政策課題でございます。

 二〇一四年、経産副大臣だったときには、会社経営と個人の生計をきちんと分離している健全経営の中小・小規模事業に対しては、経営者保証を取らないで金融機関が貸出しをするというガイドラインの作成にも携わりました。そして、新規融資に占める経営者保証に依存しない融資の割合は、二〇一五年度の一二%から、二〇二二年度上期は三三%にまで高まりました。しかし、まだ少数派であります。私はこれを一〇〇%に近づけたいと考えております。

 例えば、事業承継に際して、三十代、四十代の方がサラリーマンを辞めて親の会社を継ごうかと思っても、小さいときから、親が個人保証に苦しんで、例えば、うちは破産したら家具にも全部赤紙が貼られて持っていかれるんだよなんて親からずっと言われたりしていたら、やはり親の後を継ぐのを二の足を踏みます。そしてまた、配偶者が、絶対にそんな危険なことはやめてと止めます。そういって、黒字を出しているけれども事業承継できない、そんな会社も現れているのです。

 この問題について、金融庁は、金融機関に関する監督指針を改正し、金融機関が経営者保証を求める場合には、きちんと事業者に対して説明をする、説明責任を課す、安易に経営者保証は求めないようにする、そういう監督強化をすることを昨年末決定しました。四月から実施すると伺っております。

 一方、中小企業庁は、事業所が信用保証の際に上乗せ保証料を払えば、金融機関に個人保証を求められないで済む、そういった制度を新しくつくろうとしています。

 岸田総理、新しい資本主義の一環として、これらを後押しする、その意欲を是非語ってください。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、経営者保証については、円滑な事業承継を阻害する、あるいはスタートアップの創業をちゅうちょさせる、こういった要因になっているなど、多くの課題が指摘されてきたところです。

 こうした課題の解消に向け、政府は昨年末に、経営者保証改革プログラム、これを策定して、金融機関による保証徴求手続に対する監督を強化するとともに、経営者保証を徴求しない、創業者向けの新しい信用保証制度を創設するほか、保証料の上乗せ負担により経営者保証の解除を選択できる信用保証制度の創設、これを検討する、このようにしたところであります。

 これらの取組を通じて、金融機関による経営者保証に依存しない融資慣行の確立を加速させ、企業による新たな投資を促すことで、新しい資本主義が目指す成長と分配の好循環、これを実現していきたいと考えております。

松島委員 ありがとうございます。是非、これをどんどん進めていっていただきたいと思います。

 次に、多くの中小・小規模事業の皆さんが今直面していらっしゃる問題についてであります。

 コロナが始まった初期の頃、二〇二〇年五月頃から、中小・小規模事業に対して、いわゆるゼロゼロ融資、金利ゼロ、無担保という融資が百三十七万件、二十三兆円実行されました。その返済が今年の五月から本格化してまいります。

 しかし、飲食店やホテルは、宴会が余り入らないで、例えば、私なども経験がありますが、昨年暮れの時点では新年会が予定されていたけれども、年が明けて中止になった、そういうところが相次いだりして、まだ厳しい状況が続いています。さらに、ファッションとか靴とか、外出、お出かけ関係の製造業も、原材料高も加えて、厳しい状況にあります。私の耳には、今あのゼロゼロ融資を返せと言われたら、うちの会社は潰れるしかない、そういった悲鳴も聞こえてまいります。

 そこで、このゼロゼロ融資の返済を更に猶予する、そうしたための制度を経産省が発足させました。西村大臣、簡潔に御説明ください。

西村(康)国務大臣 松島委員御指摘のとおり、コロナの影響の長期化、あるいは原材料高に加えて、御指摘の民間ゼロゼロ融資の返済本格化を迎えるなど、中小企業の状況は引き続き厳しい経営環境にあるというふうに認識をしております。これに対しまして、コロナ借換え保証制度、返済期間を長期化させて、その間に収益力改善に取り組む、こうした機会を提供するものであります。

 本制度を利用することで、元本の返済猶予が最長五年、それから借換え期間は最長十年間に設定することができます。ただ、これまでの利用実態を踏まえると、多くの中小企業が、大体、御自身の経営力などを考えながら、二年程度の返済猶予期間を設定する、そうしたケースが多いものと考えられます。また、本制度は、保証料を〇・八五%から〇・二%まで引き下げるなど、補助を措置しております。

 あわせて、各自治体が国からの交付金などを財源に独自に措置しております低利融資、これを活用することで、事業者の負担が大きく軽減されます。例えば、お地元の墨田区では、金利を〇・二%まで引き下げているというふうに聞いております。

 さらに、本制度は、売上高が前年との比較で五%以上減少していることが本来の利用条件ですけれども、御指摘ありました、例えば、飲食業とか旅館、ホテル、理美容、それから靴の製造業などにつきましては、経産大臣が指定しております業況が悪化している業種に該当するため、セーフティーネット保証五号の認定を受けることでも利用が可能となります。これを利用すると、前年比の売上高、五%以上減少するという条件ではなく、コロナ前との比較で、売上げが正常だった頃の、高いレベルのところと比較で売上高が減少している事業者も対象になります。

 この制度につきましては、先月十日より開始したところでありますけれども、開始後一か月間で既に約四千五百件もの申込みを承諾済みであります、本借換え保証制度であります。

 引き続き、中小企業の資金繰りに万全を期していきたいと思いますし、こうした制度も活用いただきながら、中小企業の事業の継続そして発展をしっかりと後押ししていきたいというふうに考えております。

松島委員 どうもありがとうございました。

 中小・小規模事業の皆さんが、コロナの期間は何とか乗り切ったけれども、その後に経営破綻に陥った、そういったことがないように、しっかりと応援をお願いいたします。

 さて、岸田政権は異次元の少子化対策を掲げていらっしゃいます。大賛成です。

 そこで、今日は、生まれてきた子供に関連する手当てというのとは別の視点で、少し質問をさせていただきたいと思います。

 将来、妊娠、出産を望む女性が気づいたときには妊娠しにくい体になっていたというような事態を招かないように、厚生労働省、文科省、内閣府が合同で、一昨年、不妊予防パッケージをまとめました。その中に、学校健診の調査票に月経痛の有無についての質問を追加する、そして、その結果、必要な児童については産婦人科医に連絡していろいろと調べてもらう、そういうような項目がございます。

 中学、高校時代から生理痛が非常に厳しかったり生理が異常に多かったりした場合に、それを誰にも相談できず放置する、そういったことがありますと、子宮内膜症や子宮筋腫にかかるおそれもあります。これらの病気は不妊の原因ともなるとされています。

 不妊予防パッケージにあるこのプログラムを実施されていただいているでしょうか、文科大臣。

永岡国務大臣 松島委員にお答え申し上げます。

 不妊予防支援パッケージを踏まえまして、児童生徒等の月経随伴症状等の早期発見につきましては、都道府県教育委員会等に対しまして事務連絡を発出しております。

 この事務連絡の中で、健康診断を実施する際の保健調査票等に月経に伴う諸症状について記入する欄を設けること、そして所見を有する児童生徒等を的確に把握をし、そして健康相談や保健指導を実施したり、また、必要に応じて産婦人科への相談や治療につなげたりすることなどの取組を学校に求めております。

 具体的な取組事例といたしましては、保健調査票によります児童生徒の症状の把握、保健便りを活用した月経に伴う諸症状の解説やその対処法の周知、また、保護者に対しまして、産婦人科への受診の必要性を理解をさせ、受診を促すといったものがあると承知をしております。

 文部科学省といたしましては、各学校におきましてこうした取組が行われるよう、必要な取組に努めてまいります。

松島委員 ありがとうございます。

 本人と保護者と学校と産婦人科医、しっかりとチームを組んでいただきたいと思います。

 次に、私自身が自治体の成人式に招かれたときに、毎年、大体コロナの前でしたけれども、これまで次のように話をしてきました。

 それは、私は、人生で、そこそこやりがいのある人生を送ってきたけれども、ただ一つできなかったことがある、それは子供を産み、育てるということですというふうに自分のことを自己紹介した後に、成人式の会場を見渡して、この中に、子供は欲しくないという人もいるだろうし、そういう人はそれで、そういう考えもあっていいと思います。ただ、将来子供は欲しいとか欲しくなるかもしれないと思っている人たちは、次のことを、医学的に言われていることを知ってほしい。女性の平均寿命は延びたけれども、卵子の寿命は延びていない、三十五歳ぐらいのままである、そういうふうに医学の世界では言われています。三十代後半になると妊娠しにくくなるというふうに言われているわけです。もちろん、元気で自然に三十代後半から四十代にかけて出産される方もいらっしゃるし、不妊治療を経て子供を授かる方もいらっしゃいますが、医学的にはそういう年齢のことが言われているということを申し上げるわけです。

 こう話すと、ざわついていた成人式の会場はさあっと静まります。こういうことも十代のうちにしっかりと教えてほしいと思います。

 先ほどの健康診断の結果の話もそうなんですが、学校が産婦人科医や助産師さんの力をかりる仕組みをつくって、進めていただきたいと思います。文科大臣、いかがでしょうか。

永岡国務大臣 松島委員の経験からの御質問、大変重く受け止めているところでございます。

 妊娠や出産に伴います健康課題につきましては年齢や生活習慣などが関わることにつきまして、これは高等学校において学習することとなっております。

 高校の教科書におきましては、妊娠のしやすさには、特に女性の年齢と関係をしていること、三十代の半ばからは妊娠の可能性は急減し、四十代以上になると治療を行っても妊娠、出産は難しくなることなどが記述をされているところでございます。これらに加えまして、文部科学省といたしましては、関係省庁と連携をいたしまして、産婦人科医やまた助産師さんなどの外部講師の活用を促しているところでございます。

 児童生徒が妊娠、出産などに関し正しい知識を身につけることができるよう、学習指導要領等に基づく着実な指導の実施に努めてまいります。

松島委員 ありがとうございます。

 受験に出ない科目というのは余り教科書を読まないこともあるので、是非、子供たちの印象に残るように指導をしていただきたいと思います。

 次に、厚生労働省の問題です。

 若い女性がかかることに特徴がある子宮頸がんのワクチン接種について質問させていただきます。

 昨年四月、小学校六年生から高校一年の女子に対する子宮頸がんワクチンの接種についての積極的勧奨が九年ぶりに再開されました。積極的勧奨というのは、自治体が該当する女子たちに案内を出して、内科や小児科で接種してもらう、無料である、そういう内容であります。その上の九歳分、つまり二十五歳以下の女性たちにも、キャッチアップ接種期間というのが三年間あります。

 日本では、年間一万一千人の女性が子宮頸がんにかかり、およそ二千八百人が亡くなっています。それも、若い方たちです。二十五歳から四十歳までの女性の死亡原因の第一位は乳がん、次いで子宮頸がんという状況が続いております。そして、たとえ死に至らなくても、子宮頸がんの治療で毎年一千人の患者さんが子宮を失い、子供を産めない体になっております。

 ワクチン接種で防げるがんは、唯一、この子宮頸がんだけです。おまけに無料。ところが、昨年四月から九月まで、つまり再開後半年間にワクチンを打ったのは、小五から高一の全女子およそ二百六十万人のうち、僅か十六万三千人にすぎません。是非、加藤厚生労働大臣からもPRしていただきたい。簡潔にお願いいたします。

加藤国務大臣 今委員からお話がありましたHPVワクチンの接種の積極的勧奨を昨年四月から進めております。接種対象者本人また保護者の正しい理解が進み、ワクチン接種の検討、判断をしていただけるよう、ホームページでQアンドAを掲載する、リーフレットをお配りをする、そうした中で、子宮頸がんの原因の五〇%から七〇%を防ぐ、そういった有効性があること、また、HPVワクチンの安全性について特段の懸念が認められないと厚生科学審議会等で指摘されているという安全性、こういったことについてしっかりと情報提供していきたいと考えております。

 また、特に、この四月から、新たに九価、これまでに比べて対象が広がったHPVワクチンの定期接種も開始することになっております。さらに、HPVワクチンに対して、様々な媒体を通じて、より多くの皆さん方がまずは積極的に検討していただけるように、周知、広報を図っていきたいと考えています。

松島委員 是非、若い方々、そしてまた若いお母さんたちにも分かるようにアピールをしてください。

 次は、ちょっと、すんなりいかないかもしれない話なんですが、児童虐待による死者数は、厚生労働省の統計で分かる限りで、令和二年度の一年間に四十九人でした。年齢別に見ると、ゼロ歳児が三十二人、六五%を占めています。トップです。その半数が、生後零か月で虐待というか、殺されています。

 つまり、この年にあった事件の一つが、公衆トイレで出産後すぐに、用意していたビニール袋にその子を入れて公園の植え込みに隠した、遺棄したという具合に、望まぬ出産、それも周囲に知られたくない出産が元で、ゼロ歳児に対する親による、殺すということが起こっているのです。これまでの厚労省の十八回の児童虐待についての調査の中で、毎回同じような傾向が出ております。

 こうした出産をした中には、中学生以下の女子や高校生も含まれています。厚労省の調査では、令和三年度、出産には至らなかったにしても、人工中絶をした十五歳以下の女の子が三百七十一件に上っております。もちろん、この数字以外にもあるかもしれません。

 そこで、緊急避妊薬を、是非、薬局や薬剤師のいるドラッグストアで買えるように改めてほしいのです。現在は、医師の診察を受けて処方箋をもらわないとこの薬は手に入りません。緊急避妊薬、いわゆるアフターピルは、避妊に失敗、又は避妊せずに性交を行った、その後七十二時間以内に飲むことによって妊娠を防ぐ飲み薬です。性暴力に遭ったときにも真っ先に対応しなければならないものです。

 性暴力に遭ったり、暴力とまでは言えなくても、何となくセックスに応じてしまった、もし妊娠したらどうしようと頭が真っ白になった小中高校生にとって、産婦人科医院のハードルは余りにも高過ぎます。そしてまた、医療行為については、未成年は親の同意を得なければいけませんから、一人でお医者さんに行っても処方してもらえません。性交後七十二時間が勝負だというのに、こういう状況があります。

 もし家庭内性暴力、つまり、実の父親だとか、母の新しい夫、母の恋人といった人が加害者の場合、被害者には母親には言えないという心理が働くのが常でありますので、いよいよ難しくなります。

 そうこうしているうちに、時間だけ過ぎていきます。妊娠検査薬はドラッグストアで手に入りますから、それを使って自分が妊娠していることが分かる、しかしどうしようもない。地獄の日々だと思います。

 そうした中で、家族あるいは保健の先生に話せる人間関係があれば人工中絶ということになり、それもできなければ、望まぬ出産、隠して出産ということになってしまいます。

 こういったことは極端な例かと思われるかもしれませんが、大人の女性でも似たような立場で苦しむことはあると思います。

 経口避妊薬は、既に九十以上の国で、ドラッグストアや薬局で処方箋なしで、薬剤師さんに相談するということで購入することが可能になっています。G7諸国では、日本以外は全ての国でそのようになっております。

 本当に子供が欲しくなったときに産みやすい心身、心、体でいるためにも、妊娠中絶や望まぬ出産を減らすためにも、ましてや嬰児殺しをなくすためにも、厚生労働大臣、是非解禁していただきたいと思います。このことは少子化対策にも関連することだと思います。よろしくお願いします。

加藤国務大臣 緊急避妊薬のスイッチOTC化について、いわゆる処方箋なしで薬局で買えるということについて、そのニーズも踏まえて厚労省の検討会議で御議論をいただき、薬剤そのものの有効性、安全性に加えて、薬局等における適正販売、また適正使用が確保されるか等、様々な視点から議論をいただきました。

 その議論を踏まえて、昨年末から一月末までの間に、スイッチOTC化した場合の課題と対応策についてパブリックコメントを実施をいたしました。パブコメを通じて、スイッチOTC化をした場合の販売体制や性教育の必要性など、様々な御意見を頂戴をいたしました。

 そうしたことでお示しいただいた課題、また対応策を整理した上で、三月末頃を目途に、検討会で改めて議論をしていただきたいと考えております。

松島委員 分かりました。是非急いでいただきたい。

 そして、その中に出ました性教育ということについては、それも危惧はあるだろうと思いまして、先ほど文科大臣に、学校現場と産婦人科医、助産師さんがいろいろな協力をして、妊娠や性に関することの指導もしてほしいということを申し述べた次第でございます。

 最後に、空き家対策について申し上げます。

 現在、日本中には、およそ三百五十万戸の空き家があります。その多くは相続によるもので、遠いところに住んでいたり、親の遺品を片づけるのがおっくうだったり、あるいは、都会で、私の地元、東京スカイツリーから歩いて何分というような、更地にすれば売れるのに、それなのに、解体費がかかるとか面倒だとかいって、取りあえず空き家にしておこうか、空き家のままにしておこうかという、取りあえず空き家になっているのが実情です。そうこうしているうちに、倒壊の危険のある空き家が増えてまいります。

 現行の空き家対策措置法に基づき、これまで七年間で、危険とか悪臭とか、とことんひどい空き家については、四百八十二件が代執行という形で取り潰されるなどしました。また、区市町村長の命令、勧告などに基づき、およそ十四万三千件が所有者により除却、除却というのは解体し取り除くことですけれども、除却や修繕などの対策が取られました。しかし、増加のペースには到底追いつきません。

 区市町村は、税務当局から固定資産税の情報を手に入れることができます。それで持ち主が分かります。一方、地元の不動産屋さんは、あそこはもう長年誰も住んでいないな、買って、更地にするか改修するかして売りたい、でも持ち主が分からないといった、困っているというか、悩みを抱えています。

 そこで、区市町村が所有者の意思を確認して、個人の情報ですから、確認して、それを売る意思があるということでしたら、空き家の情報を地元の不動産業の団体に知らせる、そして、その家又は土地を必要としている人の手に渡るようにできないでしょうか。

 中には、私の地元などの住宅密集地の中に、接道不十分で再建築不可という物件もあります。こうした空き家は、自治体が除却を働きかけるだけでなく、防災上、延焼防止のための公園として管理する、その代わり固定資産税を免除するとか、あるいは、もう安い価格で自治体が買い取ってしまうという方法もあると思います。防災に役立つ、地震や火災のときに役立つわけですから、国の補助も考えていただきたいと思います。

 空き家対策の強化、斉藤大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 松島委員おっしゃるとおり、空き家の活用を進めるためには、自治体の御理解をいただきながら、所有者が分からないために空き家を活用できずにいる民間事業者に対して、自治体が把握する所有者情報を提供するということは非常に有効な取組だと思います。

 国土交通省では、所有者本人から事前に同意を得るなど、情報提供の手順等を定めたガイドラインを作成しております。こうした取組の推進を自治体に働きかけてまいります。

 また、こうした空き家活用に伴う自治体の事務負担が軽減できるよう、自治体をサポートする民間法人制度、NPOとか、こういう創設を検討し、自治体から、空き家の活用を希望する民間事業者に対し、所有者情報の円滑な提供を進めてまいります。

 それから、後段おっしゃいました密集市街地の老朽化した空き家を取り壊して、その跡地を防災広場として整備、管理するということは、空き家対策とそれから市街地の安全確保の両面から非常に有効だと思います。一番いいのは自治体が買収してそれをやるということなんですが、そうでなくても、所有者から土地を無償で借り受け、固定資産税を非課税として、自治会等と連携して防災広場を整備、管理する方式も大変有効でございます。

 国としても、整備費への支援や事例の横展開、これは神戸市や京都市で既に行われております、そういう事例の横展開をしっかり図ってまいりたい、このように思っております。

松島委員 どうもありがとうございました。是非、空き家が増える勢いの方がすごいわけですから、頑張って、活用するための方法を考えていっていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

根本委員長 この際、上野賢一郎君から関連質疑の申出があります。石破君の持ち時間の範囲内でこれを許します。上野賢一郎君。

上野委員 自由民主党の上野賢一郎でございます。本日はよろしくお願いいたします。

 総理におかれましては、手術直後ということで、お見舞いを申し上げたいと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、日銀総裁の人事につきましてお伺いをいたします。

 政府が昨日、次期総裁候補として国会に提示をされました植田和男教授は、昨年七月の日経新聞への寄稿で、現在の異例の金融緩和は微調整に向かない枠組みだ、インフレ率の少しばかりの上昇に対し政策を正常化方向へ微修正すると一種の約束破りになってしまう、米国などに見られる需要サイドの強い動きによるインフレは日本では今のところ発生をしていないなどと指摘をされています。

 報道後の今月十日には、記者団に対し、現在の日銀の政策は適切だ、現状では金融緩和の継続だと語っておられます。

 黒田総裁の異次元緩和は、デフレではない状況をつくり出すなど一定の効果を発揮したとされる一方で、市場機能や財政規律の観点から永続は難しく、出口を探らなければならないという見方もございます。

 そうした中で、性急な金融緩和の引締めには慎重と見られる植田教授の御提示でございます。また、初の学者出身者の提示となりますが、一昔前の大蔵省と日銀OBのたすきがけと言われた極めて内向きの論理ではなくて、世界を強く意識した人事だと推察をいたします。実際に、欧米の中央銀行トップには、FRB議長の、後にノーベル経済学賞を受賞されたバーナンキ氏を始め、一流の経済学者がトップを務められる場合が多いと承知をしております。

 そこで、総理にお伺いをいたしたいと思います。

 今回の人事案決断に至った理由及び国会で同意された場合に新総裁に期待されることにつきまして、総理のお考えをお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、金融政策の具体的な手法については、これは日銀に委ねられるべきだと考えておりますが、政府と日銀は、密接に連携しながら、経済、物価情勢に応じて機動的な政策運営を行い、そして、構造的な賃上げを伴う経済成長と物価安定の目標の持続的、安定的な実現、これを図っていくべきであると考えています。

 日銀には、引き続き、政府との連携の下、経済、物価あるいは金融情勢、こういったものを踏まえて適切な金融政策運営を行われることを期待しているところですが、その中で、日銀の総裁、副総裁候補の選定に当たっては、今申し上げた基本的立場を踏まえて、構造的な賃上げを伴う経済成長と物価安定目標の持続、安定的な実現に向けて取り組まれる方を念頭に、金融市場に与える影響なども十分に注意を払いつつ、検討を行ったということであります。

 加えて、リーマン・ショック後は、主要国中央銀行のトップとの緊密な連携、また、内外の市場関係者に対する質の高い発信力、受信力、こうした点が格段重要となってきている、こういった点も十分考慮して人選を進めたところです。

 こうした観点から、国際的にも著名な経済学者であり、理論、実務両面で金融分野に高い見識を有する植田和男氏を最適任と判断し、日銀総裁の候補者として選任をした次第であります。

上野委員 ありがとうございます。

 今後、私どもも所信を十分に拝聴させていただきたいと思います。

 続きまして、薬の関係につきまして質問させていただきたいと思います。

 我が国におきましては、従来から、世界最高の医療が提供されている、そういった評価がございます。国民もそのように認識をしていると思います。しかしながら、その状況に疑義が生じているのではないかと考えます。医薬品の分野についてであります。

 必要な人に必要な医薬品を届ける、先進国であれば当然のことが困難になっているのではないでしょうか。ドラッグラグ、承認が遅れるだけではなくて、ドラッグロス、そもそも国内に入ってこない、そういった懸念があります。

 世界で新たに開発をされました医薬品のうち国内で未承認の薬の割合は、二〇一六年を底にして上昇に転じています。二〇二〇年現在で七二%に上っております。その半数は抗がん剤や希少疾病用の医薬品など、他国で特に医療上必要性が高いと優先的に承認をされる、そのような薬であります。

 この未承認薬の増加の要因は、日本市場に魅力がないこと、度重なる薬価改定で予見性が低下をしていること、新興バイオ企業が日本に進出をしないことなどがその大きな要因かとは思いますが、そこで、加藤大臣にお伺いをいたします。

 薬価の観点からでございますが、欧米ではその重要性や効果が高く評価をされている薬剤について、日本国内における未承認薬が増えている現状に鑑み、創薬のイノベーションを薬価の上でもしっかりと評価をしていく、そのような仕組みが必要と考えますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まず、薬価制度でありますけれども、今委員御指摘のイノベーションを推進していく、同時に、国民皆保険という制度、これを持続可能なものとしてしっかり守っていく、この両立を図ることが必要であります。

 イノベーション推進の観点からは、特許期間中の新薬のうち革新的なものについて、新薬創出加算という制度があり、薬価の引下げを緩和する仕組みとしておりますが、令和五年度薬価改定では、今御指摘のような、国内における未承認薬が大変増えているということも踏まえて、臨時特例的な対応として、イノベーションに配慮する観点から、新薬創出等加算の加算額を増額し、対象となる品目について従前の薬価と遜色のない水準としたところであります。

 さらに、革新的な医薬品や医療ニーズの高い医薬品の我が国への早期上市を図る観点から、流通や薬価制度など幅広い課題について議論すべき場所として医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会を立ち上げ、昨年九月から検討を進めさせていただいております。

 今後の薬価制度の在り方について、この場において議論を深め、またさらに、関係者の御意見もいただきながら、検討を進めていかなければならないと考えています。

上野委員 今の有識者検討会でございますが、この四月に一定の報告をされるというふうにお伺いをしております。我々もしっかり注視をしていきたいと思いますが、その中で、今申し上げたイノベーションの件、是非よろしくお願いをしたいというふうに思います。

 海外で承認をされている難病の筋萎縮性側索硬化症、いわゆるALSの薬につきまして、患者団体の皆さんが、先月、国内での早期承認を求めるおよそ一万人の署名を国に提出をされています。ALSは、全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病で、根本的な治療法は見つかっていません。アメリカとカナダでは、昨年、レリブリオという新たな薬が承認をされていますが、国内での早期の承認を求められたものであります。

 進行性の難病は時間との闘いであり、命に関わる切実な思いで新薬を待ち望んでいらっしゃる患者さんがいらっしゃいます。このような思いに、政府はどのように応えていくのでしょう。既に欧米で承認をされた薬剤のうち、進行性の難病で患者団体等からも強い要請がある我が国の未承認薬については、早期の使用が可能となるように、更に踏み込んだ対応を検討すべきではないでしょうか。加藤大臣の御見解をお伺いをしたいと思います。

加藤国務大臣 我が国で使用のできない医療上必要な医薬品や適応を解消する取組として、平成二十二年から、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議、これを開催しております。まず、患者団体や学会から医療上の必要性の高い医薬品の開発に関する要望をまず受け付ける、その医薬品の海外における承認の状況、対象疾患の重篤性や他の治療薬の有無等について検討を行い、その上で、製造販売業者に対して開発の要請等を行う、こういう仕組みとなっております。

 委員今お話がありました、昨年九月に米国で承認されたALS治療薬であるレリブリオについては、この検討会議の枠組みの中で、開発企業の公募等を行えるよう、現在、具体的な要望書類の提出に向けて、患者団体から相談をいただいているところであります。

 また、未承認薬となっている革新的医薬品の迅速な導入については、先ほど申し上げた有識者検討会、ここにおいてしっかりと議論をさせていただきたいと考えています。

上野委員 ありがとうございます。

 今御紹介がありました検討会議、非常に有益な仕組みだと思います。これをしっかり活用していただきたいと考えますが、ただ、いかんせん、時間がかかり過ぎるという指摘もあります。一般的に、実際に医薬品を提供するまで四年とか五年とか、あるいはそれ以上かかるというようなケースもあるというふうにお伺いをしておりますので、もちろん、安全性の観点は重要ではございますが、患者の皆さんの思いにしっかり応えるためにも、そのスピードアップ、政治のリーダーシップで是非発揮をして、実現をしていただきたいというふうに思います。

 世界では、スタートアップ企業が医薬品開発の主流となっています。アメリカでは、新規医薬品の約半数がスタートアップ企業での開発によります。我が国では二%にすぎないわけであります。我が国でバイオ分野で新薬開発を進めているスタートアップは百社に満たないと言われていますが、アメリカでは二千五百社存在をしています。我が国でこれまで上場したバイオベンチャーは三十社、時価総額は八千億円でありますが、アメリカでは四百社以上、時価総額は九十五兆円です。百倍以上の圧倒的な差がついていると言わざるを得ません。

 まずは、我が国発の創薬スタートアップの成功事例を多数生み出すことが必要であろうかと思います。創薬力の向上に向けた総理の決意をお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 製薬産業は、国民の健康、医療の向上に寄与する、これは当然重要な役割を果たすわけですが、それとともに、今後の経済成長の中核となる重要な産業であるとも考えています。

 政府としては、我が国の製薬企業が世界に通用する革新的な医薬品を生み出し続けるため、創薬スタートアップに対する研究開発から実用化までの総合的な支援、また治験環境等の創薬基盤の整備、こうしたことによって、製薬業界とも緊密に連携しつつ、我が国の創薬力の強化に向けた取組、これを強力に進めていきたいと考えております。

上野委員 総理の強いリーダーシップを期待をしたいというふうに思います。

 がん検診につきましてお尋ねをしたいと思います。

 我が国のがんの死亡者数、直近三十八万人で年々増加をしておりますが、高齢化の影響を除いた年齢調整の死亡率で見ますと、諸外国と同様に死亡率は減少をしています。二〇一〇年と比べ、約二割減少している状況です。がん対策推進基本計画での目標は全体としては達成をされている状況ではありますが、一部のがんでは欧米より減少率が鈍かったり、あるいは子宮頸がん、これは逆に増加に転じております。

 死亡率を更に減らしていくためには、がん検診の受診率の向上が課題だと思います。

 米国では乳がんや子宮頸がんの検診受診率は八〇%程度でありますが、日本では四〇%にとどまっています。都道府県の格差も大きくて、例えば、山形県は五大がん検診のいずれも全国トップクラスでありますけれども、残念ながら、関西圏はそれよりも三〇%以上低いなど、差が顕著であります。

 コロナ禍の中での受診控えも心配される状況でありますが、更なるがん検診の受診勧奨対策が必要だと思いますが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 我が国におけるがんの年齢調整死亡率、これは様々な医療現場の皆さんの御努力もあって減少傾向にありますけれども、例えば、欧米諸外国と比較して、大腸がん等については減少が鈍い、あるいは子宮頸がんなどについてはむしろ増加に転じている、こうしたがんもございます。そうした背景には、ワクチン接種等々の問題に加えて、今委員御指摘の、がん検診の受診率が低いという課題がございます。

 こうしたがん検診の受診率が低いということに対して、国としては、市区町村ががん検診の受診率向上のために、郵送や電話などによる個別の受診勧奨、再勧奨やがん検診のクーポン券の配付等、こうしたことを実施する場合の支援を行っておりますが、加えて、都道府県間でも結構受診率に差がございます。

 これは上野委員からもいろいろと御支援いただきました、令和二年度から令和四年度にかけて実施した大規模実証事業、この結果を踏まえて、令和五年度から、市区町村が、受診率向上に効果的な受診勧奨策、例えば、一々受診できる医療機関を探すのではなくて、ある窓口から見るとその地域で一遍に見れる、そして予約ができる、こういった有効な勧奨策、これを実施する場合の支援、これも新たに行うこととしているところでございます。

 また、新型コロナの対処による受診控えもございました。これに対しては、がん検診は必要な外出だということをしっかり周知をさせていただいているところであります。

 さらに、来年度から第四期のがん基本計画に入るわけであります。より高い目標を位置づけた上で、更なる対策の実施に取り組んでいきたいと考えています。

上野委員 ありがとうございました。引き続きお願いをしたいと思います。

 現在、自民党政調の物流調査会で、当委員会委員でもございます今村雅弘会長の下で、私も事務局長を担わせていただいております。

 物流は、国民生活や経済活動を支える不可欠な社会インフラであります。しかしながら、ドライバーの労働時間は全産業より二割多く、賃金は一割低いという厳しい状況です。人材不足が顕在化をしています。Eコマースの発展によって宅配個数は年間で五十億個まで急増しており、長時間労働に拍車をかけています。

 このような状況の中、二〇二四年の四月から時間外労働時間の上限規制が適用をされます。いわゆる二〇二四年問題です。民間団体の試算では、二〇三〇年には約三割超の荷物が運べなくなるとの試算もございます。物流業界の構造改革を進め、安定的な物流供給を確保していくことが喫緊の課題だと考えます。

 課題は多岐にわたりますが、大きく申し上げて、働く環境の改善、生産性の向上、モーダルシフトの推進、これらを三位一体の政策として強力に進める必要があると考えています。

 まず、働く環境の改善では、不適切な商慣習の是正が必要になります。ドライバーが荷主さんによって長期の待ち時間を強いられたり、契約にはない荷役や陳列作業まで無償で行わされたり、このような物流に関わる不適切な商慣習を断固変えていくことが必要だと思います。荷物を送る側、受け取る側、双方の荷主も含めたルール作りを法律を作ってでも強力に進める必要があるのではないでしょうか。

 また、運送事業法で時限的に規定をされております標準的な運賃制度は、賃金向上などに効果を発揮をしています。しかしながら、約五割の事業者しか今のところ届出がない状況であり、今後、延長を検討すべきだと思います。

 さらに、生産性向上の観点からは、中継施設を設置して乗り継ぎ運行を行ういわゆる中継輸送、これが今徐々に広がりつつありますし、各社での共同輸配送、こうしたものも有効な手法としてよく取り上げられるわけでありますが、こうしたものを実際に更に普及させていくためには、やはり中小が多いですから、財政面も含めた強力な支援措置が必要だというふうに考えます。

 以上、法制面と財政面、この二点につきまして、物流の関係で国交大臣のお考えをお伺いをしたいというふうに思います。

斉藤(鉄)国務大臣 二〇二四年問題、来年の四月でございます。このため、国土交通省では、経済産業省、農林水産省と共同で有識者による検討会を開催しております。荷主や消費者も一緒になって、より実効性のある措置に取り組めるよう検討しているところでございます。

 具体的には、先日、検討会の中間取りまとめを公表させていただきましたけれども、この中でも、先ほど上野委員御指摘の貨物自動車運送事業法に基づく標準的な運賃制度、これをもっと徹底させるべきだ、したがいまして、この延長等の所要の対応、それから、今例示もございました不当に待たされるというような不適切な商慣習の是正等に向けた規制的措置、それから、デジタル技術を活用した共同輸送、共同配送や、物流拠点ネットワークの形成等に対する支援について検討を更に深めていくということとされたところでございます。

 この中間報告を受けまして、また最終的な報告が出るかと思いますが、今後とも、関係省庁、産業界と連携して議論を深め、先ほどおっしゃいました制度面や財政面での対応を含め、社会インフラとして必要不可欠な物流機能の確保に万全を期してまいりたい、このように思っております。

上野委員 ありがとうございました。

 これから最終報告、取りまとめをされるということでありますが、申すまでもありませんけれども、二〇二四年問題というのはまさにあと一年余りの間に必ず起こり得るわけでありますので、やれるものはすぐやる、そういう姿勢で是非御対応をお願いをしたいというふうに思います。

 そのほか、様々な課題があります。今申し上げた以外にも、例えば、今、高層マンションが非常に都心部では増えておりますが、マンションに一個の荷物を届けるだけで三十分以上時間がかかってしまったり、あるいは、置き配とか宅配ボックス、いろいろ選択肢はあるんですが、そうした高層マンションでは、宅配ボックスが朝一でもういっぱいになってしまう、そういった状況もあるというふうにお伺いをしております。そうすると、今度はマンション、建築物の方もいろいろと考えていかなければいけないということもあろうかと思います。

 また、今では翌日配送というのはもう当たり前になっております。それどころか、数時間後に新鮮な野菜が届いたり、そういった状況、サービスも広がりつつあります。やや過剰な印象を持っておりますけれども、そうしたニーズも一方である中で、二〇二四年問題がちゃんとできなければ、当たり前に荷物が届くという今の状況が全く機能しない、物流が機能しないというような状況になってしまいますので、そうした観点も踏まえて、国交省の方でしっかりと御議論いただきたいし、党の物流調査会におきましても、今村会長の下、これから精力的に関係者の御意見を聞いて政策を取りまとめ、政府の方にぶつけていきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。

 それでは、最後の質問に移らせていただきたいと思います。建設業の関係でございます。

 申すまでもございませんが、社会資本の整備あるいは維持修繕の担い手、建設業の皆さんはそうした担い手であるわけでありますし、災害時には最前線で地域社会の安全、安心の確保を担うなど、地域の守り手でもございます。国民生活や社会経済を支える役割を担っていただいていると思います。

 そうした担い手の皆さん、実は昨日、国交省の方で、来年度の公共工事の設計労務単価、これの大幅な引上げが発表されました。物価上昇を上回る引上げだというふうに認識をしております。私どもが政権に復帰をした後、十一年連続でこの公共工事の設計労務単価については着実に引上げが実施をされてきたところでございます。

 このような取組を含め、まさに建設業の皆さんの、建設業の担い手の確保、それから処遇改善、こうした課題にどのように取り組まれるのか。今後の対応も含め、国交大臣としての御見解をお伺いをしたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 処遇改善の柱は、やはり、まず給与だと思います。

 昨日、今年三月から適用される公共工事設計労務単価を公表いたしました。前年度比プラス五・二%と十一年連続の上昇となり、最近の物価上昇を上回る大幅な引上げとなりました。

 今般の公共工事設計労務単価の上昇は、私とそれから建設業四団体との意見交換会などにおきまして、官民一体となって賃上げに向けた機運醸成を進めてきたことに加えまして、安定的な公共事業予算の確保、それから適正価格での公共工事の発注とダンピング対策、それから適正な請負代金での下請契約の締結促進などの様々な取組が建設業界における賃上げに結びついてきたことと、このように認識しております。

 今後、この流れが地方公共団体や民間の工事にも広がり、技能労働者の賃金水準の上昇につながる好循環が持続できるよう、官民一体となった取組の一層の推進に努めてまいります。

 建設業においては高齢化が進展しており、若い人の入職確保により将来の担い手確保を進めることが喫緊の課題でございます。引き続き、関係業界と連携しながら、賃金上昇を始めとした現場の技能労働者の処遇改善、それから公共工事での週休二日の確保等の働き方改革などをしっかり進め、建設業を若い人たちが魅力を感じて入職していただける産業にするように、強く頑張っていきたいと決意しております。

上野委員 ありがとうございます。力強い御説明をいただきました。是非よろしくお願いをしたいと思います。

 今、選挙制度改革で、与野党の抜本協議が始まりました。先般の区割り法の改定の中で、次の国勢調査までの間に一定の結論を得るように努力をするというようなことが盛り込まれたところであります。

 現在の区割りの見直しの中で十増十減は行われておりますが、これからますます東京一極集中が強まるというふうに思いますし、現実的にも、二倍に収めるのが現在の小選挙区の定数の中では非常に困難になってくるというのは確実だと思いますので、もう答弁は求めませんが、この抜本協議を是非国会としていい方向に進められるように、我々もしっかり努力をしたいと思います。

 質疑時間が参りましたので、これで終了させていただきます。ありがとうございます。

根本委員長 これにて石破君、松島君、上野君の質疑は終了いたしました。

 次に、中野洋昌君。

中野(洋)委員 兵庫八区、尼崎市選出、公明党の中野洋昌でございます。

 早速、通告に従いまして質問をさせていただきます。

 本日、主に少子化対策について質問をさせていただきますが、冒頭は総理に、原子力発電につきまして、一つ質問をさせていただきたいというふうに思います。

 現在、脱炭素そしてエネルギーの安定供給確保ということで、再エネの最大限の導入に加えまして、安全確保を大前提とした原子力の活用、例えば原子力発電所の運転期間、こういうものについても議論を行っているところであります。

 原子力の利用そして安全ということで二つに立て分けて、利用期間としては、予見し難い理由による運転停止期間を除いて、現行の最大六十年の制限という枠組みを維持し、そして、年数のたった高経年の原子炉については、安全規制は更に厳格化をする、基準が満たされなければ当然六十年より前にもう動かなくなる、こういう政府から説明を受けております。

 他方で、先日の原子力規制委員会では一人の委員から反対意見が出たとも伺っており、本当に大丈夫なのか、こういう不安の声もいただいているところであります。

 制度がどうなるのか、もっと分かりやすく丁寧に説明をする必要があると思います。是非、総理御自身からも、国民の不安を払拭できるような、しっかりと説明をいただきたいと思います。総理、いかがですか。

    〔委員長退席、中山委員長代理着席〕

岸田内閣総理大臣 先日閣議決定いたしましたGX実現に向けた基本方針において、原子力に関し、安全性の確保を大前提として、運転期間は最長で六十年に制限するという現行制度の枠組みを維持した上で、一定の停止期間に限って除外を認める、こうしたことを盛り込みました。

 あわせて、原子力規制委員会では、発電用原子炉設置者に対して、運転開始後三十年を超えて運転しようとする場合、十年を超えない期間ごとに設備の劣化に関する技術的評価を行い、基準適合性を確認する厳格な制度案、これを取りまとめたところです。

 そして、委員御指摘のように、十三日の原子力規制委員会の会合において、高経年化した原子炉に関する安全規制制度について議論がなされ、一人の委員が反対されたものの、独立した原子力規制委員会として丁寧な議論がなされた上で、合議制の下で多数決により決定された、このように承知しております。

 しかしながら、厳格な制度の下、高い独立性を有する原子力規制委員会により、経年劣化への対応も含めて安全性が確認されなければ原子力発電所の運転ができない、こういった仕組みが大前提である、このことは全く変わりはありません。

 こうした政府の考え方について、国民の皆様に必ずしも十分伝わっていないとの御指摘については、これを十分真摯に受け止め、今後、国会審議を含め様々な機会を生かして、政府を挙げて、安全最優先であることを始めとして、今回の制度の趣旨について丁寧に説明を行ってまいりたいと考えております。

中野(洋)委員 エネルギーをめぐる問題につきましては、また今後もしっかり議論をしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 少子化対策について、まずは総理に伺います。

 今国会、総理から、次元の異なる少子化対策ということで表明もございました。昨年の出生数は七十七万人ぐらいではないかというお話もありまして、まさに危機的な状況であります。

 パネルを御覧いただければと思うんですけれども、私ども公明党も、こういう問題意識から、昨年、子育て応援トータルプランということで発表させていただきました。結婚から妊娠、出産、そして子供が育ってしっかりと巣立つまで、やはり、それぞれのポイントポイントではなくて、これをトータルでしっかり支援をする、総合的に支援をしていかないといけない、こういうことを訴えさせていただいております。

 若い世代の皆さんともそれぞれの地域で意見交換もしてまいりまして、現役の子育て世帯からは、是非この子育て政策、総合的に充実をしていっていただきたい、こういう大変に強い期待もあるわけであります。現在、今の段階では、総理のおっしゃるこの次元の異なる少子化対策、具体的にこうするという姿はまだ見えていないわけでありますけれども、今までの子育て支援策は、やはり、分野が限られていたであるとか、支援規模が十分でなかったであるとか、いろいろな評価もございます。是非、それを払拭する規模の対策を幅広い分野でしっかりと実現をしていただきたい、こういう思いでございます。

 改めて、総理の御決意をお伺いしたいと思います。

    〔中山委員長代理退席、委員長着席〕

岸田内閣総理大臣 子供、子育て政策は最も有効な未来への投資だと申し上げております。個々の政策の内容あるいは規模面、もちろんこれは大事なことでありますが、これまで関与が薄いと指摘されてきた企業や男性、さらには地域社会、高齢者や独身も含めて、社会全体の意識を変えて、子供、子育てを応援するような、次元の異なる少子化対策を実現したいと考えております。

 こうした問題意識の下、一月六日の日ですが、こども政策担当大臣に対しまして、児童手当を中心とした経済的支援の強化、そして、幼児教育、保育サービスの量、質両面からの強化、全ての子育て家庭を対象としたサービスの拡充、そして三点目として、育児休業制度の強化を含めた働き方改革の推進とそれを支える制度の充実、こうした三点の基本的な方向性を指示したところです。

 まずは、こうした基本的方向性を踏まえて、こども政策担当大臣の下、子供、子育て政策として充実する内容を具体化し、六月の骨太方針までに将来的な子供、子育て予算倍増に向けた大枠を提示したいと考えております。

中野(洋)委員 政策の具体的な取りまとめに向けまして、我々公明党もしっかりと提案もしてまいりたい、また、それもしっかり受け止めて、また政策を実現をしていただきたいということを改めてお願いを申し上げたいというふうに思います。

 続きまして、子供医療費の無償化についてもお伺いをいたします。

 先ほどお示しをしました子育て応援トータルプラン、ライフステージに応じた、ライフステージトータルの支援ということで、例えば、児童手当の拡充、これはしっかり十八歳まで延長していただきたい、また、所得制限も撤廃し、金額もしっかり拡充をする、こういうことも訴えさせていただいておりますが、あわせて、子供医療費、これも大変御負担が大きいということで、これは地方自治体としっかり連携をしながら、これも高校三年生まで全国一律で無償化を是非実現すべきである、こういうふうに考えております。

 これは、現在、それぞれの自治体がしっかり頑張っていただいて、予算も確保、我々公明党も地方議会ともしっかり連携しながら進めておりますが、自治体によってばらつきが大きいという現状もございます。

 次のパネルを見ていただければと思うんですけれども、全国の自治体でいろいろな医療費助成を進めてまいりました。例えば、私も地元が兵庫県でありますけれども、各自治体で何とか予算を確保していただいて、これを、最初は乳幼児というところからスタートしましたけれども、小学校、そして、何とか中学校もしっかり支援をしよう、そして、高校までしっかり拡充をしていこうということで実現をしてきております。

 他方で、これを各自治体が推進をするに当たりまして、以前から課題となっておりますのが、子供医療費を現物給付で減免をした自治体について国からの補助金は逆に減ってしまう、こういう減額調整措置というものがあるということでございまして、このグラフで見ますと、小中学生、所得制限があったりなかったり、いろいろなケースはあるんですけれども、九割近い自治体、この赤い数字で示されているところですね、合計すると、小中学生については九割近い自治体が何らかの現物給付を行っている。ということは、この分、国から公費が減らされている、こういう状況でございます。

 公明党も強く主張いたしまして、未就学児についてはこの減額調整措置というのは廃止となっておりますけれども、ここまで支援が広がっている、こういう現実を踏まえまして、更にこの廃止の範囲を広げていくべきではないでしょうか。

 そして、例えばこの子供医療費は一つの例でございますけれども、子育て政策というのがやはり自治体間によっていろいろな格差がある。この自治体はこれはやっているけれども、この自治体はやっていない。こういう格差を是正をする方向の対策を是非取っていただきたい、なるべく全国一律にしっかり行っていけるような方向を目指していただきたい、このように考えますけれども、総理の見解を求めたいと思います。

岸田内閣総理大臣 今委員の方から御指摘がありましたように、子供医療費については地方自治体において無償化の取組が進められているものと承知をしております。こうした中で、国としては、未就学児までを対象とする医療費助成について、全国の自治体での取組状況を踏まえ、平成三十年度以降、国民健康保険の減額調整措置の対象外としたところです。

 子供政策は、実務を担っている地方自治体との連携を強化することが不可欠であると考えており、先月には、小倉大臣の下で、子供政策に関する国と地方の協議会の場の準備会合を開催し、地方自治体からの御意見も伺っています。その際に、地方自治体から、基礎自治体の中で地域間格差が出てくることはないように今後留意してほしい、こういった意見もいただいたところです。

 こうした地方自治体の御意見も踏まえつつ、まずは、こども政策担当大臣の下で、子供、子育て政策として充実する内容、この具体化を進めていきたいと考えております。

中野(洋)委員 総理からも、基礎自治体の格差が広がらないように、そういう自治体の声もあったということも御紹介をしていただきました。是非その方向で検討いただきたいと思いますし、特に、減額調整措置、実態を是非調査を、よく見ていただいて、昔からの経緯が様々あっての措置であるということは承知をしておりますけれども、やはり実態にそぐう、そして、全国そして各自治体が足並みをそろえてこうした支援ができるように是非お願いをしたい、改めてお願いを申し上げる次第でございます。

 続きまして、若者政策ということで伺いたいというふうに思います。

 先ほどのいろいろな子育て政策について地元でも若い世代の皆さんと意見交換をしたときに、まず真っ先に出た意見が、子育て支援といっても、そもそも結婚をするというところまでたどり着かないというのが現実です、そういう意見がございました。

 これもパネルを見ていただければと思うんですけれども、若い世代の皆さんの就労の状況であります。グラフを見ますと、二〇〇〇年代以降、正規雇用の若者の方の割合というのは非常に下がってきているということがよく分かると思います。特に、学歴別に見てまいりますと、例えば高卒以下という方で見ますと、今もう、男性でいうと八割程度という状況、そして、未婚の女性に限りますと、かなりまた不安定になっておりまして、五割強という、正規雇用の割合がいない、こういう状況でございます。こうした中で、どうしても未婚率が上昇してきてしまう、こういうことであります。

 やはり、若い世代の皆さん、子供を産むのであればしっかりと育ててあげたい。その中で、経済的な負担が非常に大きいので、今の経済状況であれば子供が持てない、あるいは子供を持つのはリスクなのではないか、こういうお声もいただくことも多くなってきておりますし、そもそも、こういう、今、ライフプランも多様になってきておりますけれども、例えば二十歳から二十四歳という非常に若い世代の結婚されていない方のうち、何人子供を希望されますかというアンケートで、子供を産むつもりはない、あるいは分からない、こういう回答の方が約四割に上っている、こういうことでありまして、子供を産むということがそもそもライフプランの中に入っていない、こういうお声も強くなってきているというのが現実であります。

 やはり、若い世代の皆さんが安定した就労に就いて、希望を持って将来を設計できる、こういうことが非常に大事であるというふうに思います。是非、少子化対策の中に、この若者政策というのはしっかりとした柱として位置づけて対策を取っていただきたいと思いますけれども、小倉大臣の答弁を求めたいと思います。

小倉国務大臣 少子化の問題は、結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が絡み合って生じているところであります。中野委員御指摘のとおり、若者の経済的な不安定さですとか、家事、育児の負担が依然女性に偏っている現状など、希望の実現を阻む障壁を一つ一つ取り除いていくことが非常に重要であると考えております。

 グラフでお示しをいただきました非正規間格差でございますが、若い世代の非正規雇用労働者の未婚率は、特に男性で正規雇用に比べて顕著に高くなっておりまして、雇用の安定を図り、経済的基盤を確保することで、若者が将来にわたる展望を描けるようにすることが重要だと考えております。

 結婚を希望する若者が安心して結婚できるような環境整備につきましては、厚生労働省において、若者の経済的基盤の安定に向けて、希望する若者の正社員化支援や同一労働同一賃金の遵守の徹底等に取り組んでいただいているものと承知をしております。

 私といたしましては、関係省庁としっかり連携をして、委員御指摘のとおり、若い世代の結婚や出産、子育ての希望がかなえられるトータルな環境整備に努めてまいりたいというふうに思っております。

中野(洋)委員 こども家庭庁も発足をいたしまして、小倉大臣、このままいけば御担当と思います。やはり、子供政策だけではなくて、子供、若者政策担当である、こういう思いで是非進めていただきたいと思いますし、先ほど厚生労働省で具体的な取組を進めているということも小倉大臣から少しお話をしていただきました。

 希望する若者が正規雇用で安定就労ができるように、こういう取組、また、そもそもやはり非正規の方の処遇の改善、これも具体的な取組を進めていく、今までやってきていただいていると思いますけれども、今回、次元の異なる少子化対策という中で、これを更に進めていく、こういう必要もあると思います。

 これも、厚生労働大臣に御答弁を是非いただければと思います。

加藤国務大臣 委員御指摘のように、雇用の安定を図り、経済的基盤を確保し、若者が将来にわたり展望が描けるようにしていくということが非常に大事だと思います。

 正社員として働くことを希望する若者については、わかものハローワークなどにおける安定就労に向けた就職支援、あるいは就職後の職場定着支援、また、正社員への転換などを行う事業主へのキャリアアップ助成金による支援等の取組を進めておりますが、さらに、昨年策定いたしました総合経済対策に基づき、訓練後に非正規雇用を正規雇用に転換する企業への支援の強化も図ったところであります。

 また、非正規雇用の働き方を自ら選択する方もいらっしゃいまして、そうした方に対しては、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の不合理な待遇差の解消が重要であります。同一労働同一賃金の徹底のため、新たに労働基準監督署と連携し、待遇差が問題となり得る事案を把握し、労働局の指導につなげる取組を昨年十二月から開始をし、この一月からは全国でも展開をさせていただいているところでございます。

 こうした取組も通じて、非正規雇用労働者の正社員化、そして処遇改善、こうしたことを通じて若者の皆さんの経済的基盤の確保、これにしっかりと取り組みたいと思います。

中野(洋)委員 若い世代の方の不安定就労の問題というのは、私も、公明党の青年委員会ですとか、あるいは就職氷河期問題のプロジェクトチームもさせていただいておりました。これは何度も取り上げさせていただきまして、例えば、若者雇用促進法という法律も作りましたり、また、厚労大臣からもお話がありました同一労働同一賃金、これの実現ということも、法改正も進めてまいりましたけれども、これをどうやって形にしていくのかというところがやはりこれからだというふうに強く思っております。全国でいろいろな取組を一月からスタートもされるという先ほど答弁もございましたので、しっかりとこれを進めていただきたいというふうに思います。

 続きまして、若者政策の推進に当たってということで、今年の四月から、こども基本法、これがいよいよ施行ということであります。こども家庭庁も設置ということであります。

 私、この法律を作るときも、議員立法ということで、提案者ということでやらせていただいておりましたけれども、子供、若者政策を推進をするということで、大きく変えていかないといけないという当時の議論でございましたのが、当事者である子供や若者の声をしっかり聞いていく、それを、聞くだけではなくて具体的な政策に反映をさせていく、こういうプロセスをしっかり各政策でやっていく必要があるんだ、これがこども基本法を考えたときの大きな考え方の一つだったというふうに思います。

 例えば、私の地元の例で恐縮なんですけれども、兵庫県の尼崎市で、若い世代の声をしっかり聞いていこうということで、今、中学生ですとか、あるいは中高生、大学生、いろいろな皆さんの声を聞いていく、こういう取組を実は続けております。ユースカウンシルということで、これを市の政策に反映できないか、こういうことを進めているわけであります。私も実際に現場に行かせていただきまして、高校生、大学生の方もいらっしゃったんですけれども、中学生ぐらいのかなり若い方もしっかりといろいろな御意見を言っておられました。

 伺いますと、こうした声を聞くという取組、今政府の方でも子供、子育て政策をする中で、やはり現場の、総理も声を聞くんだということでおっしゃっていただいておりますけれども、どうしても、声を聞くことが割と形式的になってしまいがちだということを言っておられまして、若い世代の方もやはりよく状況を分かっておられますので、やはり、形式的に聞くだけであれば形式的な意見しか出てこないということなんですね。やはり、ユースワーカーのような、しっかりと子供や若者の意見をうまく引き出すようなそういう職員の方も配置をされていたり、それをうまく政策にまとめ上げるような、そういう議論もしていったりということで、かなり工夫もしておられたというふうに思います。

 こうした点も参考にしながら、これから、こども家庭庁ができましたら、いろいろな大綱を作ったりとか今後の政策の中で、子供、若者の声を、じゃ、どう聞くのかということを具体化していかないといけないというふうに思います。それをどう進めていかれるのかということについて、小倉大臣のお考えをお伺いをしたいと思います。

小倉国務大臣 先ほど中野委員から大変重要な御指摘をいただきました。

 こども家庭庁というと、どうしても子供を対象にしている組織というふうにイメージされがちでありますが、心身の発達段階にある者は広く子供と捉えております。十代はもとより、二十代の方も私どもこども家庭庁のしっかりとした支援対象だと思っておりますので、子供若者庁のつもりで今年の四月に向けて発足の準備を進めたいと思っております。

 また、中野先生からは、地元の尼崎のユースカウンシルを始めとした様々なお取組を紹介をしていただきました。まさに、子供、若者の意見を真っ正面から聞くというのは、自己肯定感や有用感の国際的に見て低い我が国の若者が、まさに一緒に社会をつくっていくことによってそういった自己有用感や肯定感を高めていくという意味でも非常に重要な取組であると思っております。

 この基となったこども基本法の議案提案者として尽力をいただきました中野先生には敬意を表しつつ、こども基本法の施行に向けて、現在、尼崎市を始めとする先進自治体や諸外国の事例も参考にしながら調査研究を進めているところであります。今年度末に調査研究の成果を報告書に取りまとめ、関係府省や地方公共団体にも広く周知していきたいと思っております。

 こども家庭庁におきましては、まず、小学生から二十代までの一万人規模の子供、若者から子供政策に対する意見を聞く新たな事業をスタートさせていただきます。今年度内に、全国の子供や若者に様々な方法で周知をいたしまして、参加を呼びかけたいと考えております。

 それと同時に、様々な立場に置かれた声の上げにくい子供が意見を言いやすい環境づくりですとか、聞く側の姿勢の改革、子供や若者の意見を引き出す、ユースサポーターの話もありましたが、ファシリテーター等人材の養成などに係る更なる検討も進めさせていただきたいと思います。

 こども家庭庁が、形式的ではなく、子供や若者の意見を正面から受け止めることができる組織となれるよう、引き続き、様々な工夫を凝らしつつ、子供、若者の意見の政策への反映に向けて取組をしっかりと進めてまいります。

中野(洋)委員 小倉大臣から具体的な進め方ということも含めて御答弁をいただきまして、是非よろしくお願いをしたいと思います。

 続きまして、男女による性別役割分担意識の是正ということをテーマに質問をしたいと思います。

 これも、子育て応援トータルプランの、今回一つの大きな公明党が訴える政策の柱ということにさせていただきました。いまだに男性が仕事、女性が家事、育児という役割分担をするという根強い意識というのは残っているというふうに思っております。

 しかし、今や、女性の一番望む、意見の多いライフプランとしては、育児や子育て期も含めて、仕事と家庭を両立しながら働き続けたい。一時期は、子供を産んだら仕事はしばらく辞めるですとか、専業主婦になるですとか、そういうプランだという御意見も多かったんですけれども、今は、やはり両立をして働き続けたい、こういう希望が一番強いということもデータでも出ております。

 ですから、男女共に、自立できる収入を得て生活ができるようにという、これは働き方の見直しも必要でございますし、あるいは社会保障の在り方、こういうことも含めて、やはり幅広い議論というのが必要になってくるというふうに思います。

 子育て世帯からは、やはり家事、育児の負担が女性に偏っている、こういう状況であると、子供を産むと、しかし仕事を続けてキャリアアップをする、こういうことは難しい、こういう御意見もあるわけであります。

 子育て世帯が育児と仕事の両立をするということでは、やはり現在、多くの方が短時間勤務、短時間労働を取り入れておられます。それに加えまして、私、コロナ禍で多くの企業がテレワークというものにも取り組みました。短時間の勤務に加えまして、テレワークの活用なども含めて、やはり柔軟な働き方をしっかり推進をしていく、こういうことが両立をするためには大事であろうというふうに思っております。また、それをすることで、男性の家事、育児参加。これも、日本は先進国の中では男性の家事、育児参加というのが非常に少ない、こういうこともございます。こうしたことも促進ができると思っております。

 また、こうした柔軟な働き方というものをしっかり活用しようと思いますと、どうしてもほかの方に仕事の負担が偏るですとか、なかなかそういう、実際に制度をつくってもどうしても活用しにくい、職場では活用しにくい、そういう御意見もいただくわけであります。

 それもございますので、やはり、そういう職場環境がしっかりつくれるような、こういう支援、事業所に対する支援というのもやはり併せて行って、トータルにやっていかないとなかなかこういうことが進んでいかないのではないかというふうに思います。

 厚生労働省の方でもこうした柔軟な働き方の推進ということを更に進めて検討していただきたいと思いますけれども、厚生労働大臣の答弁を求めます。

加藤国務大臣 希望に応じて男女共に仕事と育児を両立できる社会の実現、大変重要でございます。

 昨年末の全世代型社会保障構築会議の報告書においても、子育て期の長時間労働の是正、また、労働者のニーズや個々の職場の状況などに応じて、時短勤務、テレワークなどを組み合わせた柔軟な働き方を可能とする仕組みについて検討すべきとされております。

 こうしたことを受けて、厚労省でも、本年一月、有識者による研究会を立ち上げ、今後の仕事と育児の両立支援制度について、先ほど委員がおっしゃいました、まさに対象となる世代がどういう思いを持っておられるのか、どういうニーズを持っているのかといった現状の分析、そして論点整理を行っており、今後の制度の在り方について議論を深めていきたいと考えております。

 また、男性が子の出生直後に休業を取得して、主体的に育児、家事に関わり、その後の家庭内の育児、家事分担につながっていけるように、昨年十月から施行されております産後パパ育休の着実な実施のための周知啓発を行っていく。

 また、今委員から御指摘がございましたが、男性が育児休業を取得しやすい雇用環境を企業内で整備をしていく。また、実際その方が育児休暇を取る場合に、代替していただく労働者の方が必要でありますので、育児休業取得者の業務を代替する労働者の確保等に関する中小企業主の取組への助成金の支給あるいは内容の充実を図っているところでございます。さらには、企業の取組を促進するセミナーの開催、こうしたことを取組をさせていただいております。

 まだまだこうした制度があることが十分周知されていない部分もありますので、各企業の皆さんにもしっかり周知を図り、こうした取組が更に進み、働く方々が希望に応じて仕事と育児の両立ができる、こうした職場環境の整備を進めていきたいと考えています。

中野(洋)委員 時間もあと五分となってまいりました。

 育児期の支援ということで伺いたいというふうに思います。

 仕事と家庭の両立の支援ということもございましたけれども、どうしても収入が仕事から離れてしまって減少していく。育児休業なども、現実には出産を機に離職をされる方も多いということで、なかなか、出生数を分母とすれば、五割程度の方しか活用ができていないというふうな現実もございます。あるいは、元々非正規雇用の方やフリーランス、自営業の方など、様々なケースが考えられるというふうに思っております。

 働き方にかかわらず、育児期に経済的な支援が受けられるということは、少子化対策として非常に重要というふうに考えております。残りの時間が四分ということでございますので、これは私から御要望ということで、しっかりお願いをさせていただきまして、しっかりと対策をまた考えていただきたいということを要望をさせていただきます。

 最後に、出産・子育て応援交付金ということで質問をさせていただきます。

 このパネルにもございましたとおり、今いろいろな支援がございますけれども、ゼロ歳から二歳の時期の子育ての支援が非常に手薄である、こういうことが言われておりまして、我が党も強く主張しまして、昨年創設をしたところであります。

 これは、子育て家庭に寄り添った相談支援、もちろんオンラインや電話等も含めた柔軟な形でやっていただくことを想定しておりますが、これと、いろいろな経済的支援を一体的に行うという事業であります。物を購入をするときもありますし、子育てサービスを使うということもございます。

 しかし、この子育てサービス、産後ケアであるとか、一時預かりであるとか、あるいは家事の支援といった、非常にこれを使って助かった、こういうお声も多い一方で、自治体によってサービスが受けれたり受けれなかったり、こういう、状況も様々でありますので、是非、希望する方全てがこうした子育てサービスを利用できるような取組を進めていただきたい。そして、この交付金自体、今、妊娠、出産時ということでございますので、これは是非、一歳、二歳、こういうところまでしっかり拡充をしていただきたい。併せて総理にお願いをしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 子育て家庭を対象としたサービスの拡充、これは重要であり、一月のこども政策担当大臣への指示の中にも、伴走型支援、産後ケア、一時預かりなど、全ての子育て家庭を対象としたサービスの拡充を進めること、これを基本的な方向性として盛り込んでおります。

 また、昨年十二月に取りまとめられた全世代型社会保障構築会議報告書では、ゼロ歳から二歳児へのきめ細やかな支援が提言もされています。

 そして、御指摘の出産・子育て応援交付金ですが、こうした観点から、先般の経済対策において、先行的に、支援が手薄なゼロ歳から二歳児に焦点を当てて、妊娠時から出産、子育てまで一貫した伴走型相談支援の充実を図ることと併せて、継続的に行うこととしたものです。

 更なる支援については、自治体における実施状況やどのような施策が効果的であるかといった観点から議論する必要があると考えておりますが、いずれにせよ、まずは、こども政策担当大臣の下、三月末をめどに、子供、子育て政策として充実する内容をパッケージとして具体化し、六月の骨太方針までに将来的な子供、子育て予算倍増に向けた大枠を提示したいと考えております。

 是非、御党とも連携をしていきたいと考えます。

中野(洋)委員 ありがとうございます。しっかり公明党は国と地方連携して子育て支援を進めてまいりたいと決意を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて中野君の質疑は終了いたしました。

 次に、枝野幸男君。

枝野委員 間もなく、一か月足らずで、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から十二年になります。

 改めて、大切な人を亡くされた皆さんにお悔やみを申し上げます。また、原発の被害者の皆さんを中心に、今なお、生まれ育ったところ、あるいはなじんだふるさとに戻れない方、あるいは、なりわい、生活、コミュニティーの再建に御苦労されている方、風評被害に苦しんでいらっしゃる方にお見舞いとおわびを申し上げます。二度と同じことを起こしてはいけないという固い決意の下にお尋ねをさせていただきます。

 今、原子力発電所の稼働期間の上限についていろいろ注目をされていますが、そもそも、原則四十年、延長しても二十年とされてきた、こうした稼働期間の上限はなぜ設けられたんですか。

岸田内閣総理大臣 運転期間については、原子力発電所の利用の観点から一定の制限を設けた、こうした議論の結果定められたものであると認識をしております。

枝野委員 利用の観点ですか。安全性じゃないんですか。

 あらゆるものは時間がたてば劣化します。もろくなります。弱くなります。そして、原子力発電所が劣化して事故につながってはいけない。だから上限を決めているんじゃないんですか。

岸田内閣総理大臣 六十年という制限については、安全性の観点から設けられたものでありますが、今これについて議論が行われ、利用の観点から、一定の停止期間について除外を認める、こうした考え方について議論が進められていると承知をしております。

枝野委員 まだ除外の話は、延長の話はこれから聞くんです。

 最近、この安全性について、つまり、原子力発電所が、何年もたてば、時間がたてば、弱く、もろくなる。それはあらゆるものがそうですから、そうです。原子力発電所が時間がたてばもろくなるということについて、科学的に新しい知見が何かあったんですか。

岸田内閣総理大臣 利用の期間について議論が行われているわけですが、ただ、安全性については、期間がどうであっても、絶えず、独立した原子力規制委員会の基準に適合したものでなければ運転できない、この原則は従来から変わっていないと考えています。

枝野委員 今の総理の議論では、延長した上限だって要らないじゃないですか。その都度、原子力規制委員会の基準に、他の基準で満たされれば、永遠に使い続けてもよくなっちゃうじゃないですか。

 違うんですよ。原子力発電所の場合は特殊な事情があるんですよ。使用し始めたら、原子炉の内部を見たり、触ったり、あるいは周辺に近づいて検査をしたりということが、少なくとも他のものと比べたら飛躍的にできないんですよ。道路や橋、トンネル、それでも経年劣化して、基準に基づいてやっていたはずなのに、チェックが不十分で、トンネルが崩落して人の命が失われるという大変残念なことがありました。原子炉の場合は、外に出ている橋やトンネルなどと違って、原子炉の中は見られないんです、動き始めてしまったら。だから、安全性を最大限取って、最長期間、しっかり守らなきゃいけないんじゃないですか、総理。

岸田内閣総理大臣 まず、先ほど委員からも御指摘がありましたが、今回の原子力発電所の高経年化に関しては、これは新たな科学的あるいは技術的知見の存在を踏まえて改正するものではありません。これは、構造的なエネルギー需給の逼迫への対応といった利用政策の観点から、運転期間について定めを設けて、これに対応した形で安全規制を厳格にしようとするものであります。

 従来から、この運転期間については、安全の観点から定めが設けられておりましたが、これについて、今申し上げた利用政策の観点からこれを議論しているわけですが、その中にあっても、安全性の観点は、先ほど申し上げました原子力規制委員会の基準をクリアしたものでなければならない、これは全く変わらないという形で維持をされております。

枝野委員 私が申し上げたとおり、原子炉の中は見られないんですよ。触れないんですよ。安全性を確認するといったって、外からできる安全性のチェックというのは限定されているんですよ。だから、四十年たったら使うのやめましょうと。しかも、高放射能を浴び続けているわけです、原子炉は。これによってどれぐらい劣化が進むのかというのは、人類は初めて経験しているわけですから。前例がないんです、基本的には。今使っている、ここまで使ってきた僅かな期間の知見しか。だから、安全性を最優先して上限を切っているんです。

 今総理は、安全性よりも利用を優先したと事実上お認めになりました。もう二度と世界最高水準だなんて言わないでください。なぜならば、四十年、六十年というこの基準の下でも東京電力福島第一原発事故は起こったんです。そのときよりも、安全よりも利用を優先して、その安全についての基準を緩めるんですから、世界最高水準ではない。違いますか。

岸田内閣総理大臣 安全より利用を優先するという指摘は当たらないと思っております。安全性大前提ということは全く変わらないわけであります。

 そして、利用期間についても、最長で六十年に制限する、これは現行の枠組みを維持いたします。その原則を維持した上で世界最高水準の安定基準を適用していく、安全最優先であるという考え方は変わらないと思っております。

枝野委員 通して御覧いただいた方は、事実上総理が安全よりも利用を優先したという答弁をされたというのは御理解いただけたと思いますが、一点だけ聞きます。

 内部の安全性について、つまり原子炉の内部の安全性などについて新たにチェックすることができるんですか。四十年前、五十年前と同じように、原子炉の中についてはチェックできない、その状況は変わらないんじゃないですか。何をチェックするんですか。長くなった分、劣化が、もしかすると思っているより進んでいるかもしれない、原子炉の内部について。それをチェックするやり方、総理、教えてください。

岸田内閣総理大臣 ですから、運転期間については最長で六十年に制限する、この現行の枠組み、これを維持すると申し上げております。その上で、原子力規制委員会の基準をしっかりクリアする、この大方針は変わらないと申し上げております。

 最優先であるということは全く変わらないと考えています。

枝野委員 うそをつかないでください。原則は変わらないかもしれないけれども、しかし、現実に、例えば使用を停止している期間については四十年の計算の中に入れない、六十年の中に、計算に入れないということは、これが五十年、六十年、七十年、八十年と続く、延長されることは客観的にはっきりしているじゃないですか。まずこの一点から見ても、今の政権の原子力政策は全く十二年前の教訓を無視していると言わざるを得ない。

 次に、総理は、我が国は山と深い海に囲まれ、再エネ適地が限られているという実態がありますと繰り返されています。どういう根拠に基づいているんですか。

岸田内閣総理大臣 御質問は、再エネ、可能エネルギーの適地が少ないということについて、どういう根拠でという御質問でありましたが、日本は国土の約七割が森林であり、これは再エネを推進するドイツやスペインの約二倍です。また、海底地形が急峻な日本では、着床式洋上風力の設置可能面積が、洋上風力の導入が進んでいるイギリスの約八分の一と見込まれております。こうした状況を見る中で、再エネ適地が少ないという議論が行われていると承知をしております。

枝野委員 そういう偏った認識だから、この十年、再エネの拡大が残念ながら遅れてしまったんだと私は言わざるを得ないというふうに思っています。

 御指摘のとおり、森林面積が大きいということで、メガソーラーをやろうと思ったら、それは不利かもしれません。それから、遠浅の海が少ないということで、大型の洋上風力をやるためには、それは不利かもしれません。でも、メガソーラーも大型の洋上風力も再生可能エネルギーの中ではごく一部ですし、そして、むしろ、本来我が国でやらなければならないのは、小規模分散型の再エネこそがやらなければならないことだし、そして、この小規模分散型の再生可能エネルギーということでは、実は我が国はむしろ適したところがたくさんあるんです。

 一つには、まず、そもそも人口密度が高いということで、消費地に近いところで、そして小規模の分散型の再生可能エネルギーをやっていく。例えばビルや建物などの屋根の活用、全く進んでいないじゃないですか。

 それから、数少ない平地かもしれないけれども、そうしたところについては、農業と両立させたソーラーシェアリングの議論は、我が党からもいろいろ申し上げていますが、全然進んでいないじゃないですか。更に申し上げると、これはやり方は難しいんですが、現実に今、耕作放棄地が残念ながらたくさんあります。耕作放棄地を減らしていくということは必要かもしれませんが、現に存在している耕作放棄地を活用することも全然進んでいません。更に申し上げれば、高速道路などの道路用地や鉄道の用地などを活用すれば、まず太陽光だけでも山ほど土地があります。

 それから、森林が多くて急峻な地形が多いというのは、これは確かにメガソーラーには不利かもしれません。そして、我が国は、実は再生可能エネルギーというのは水力もあります。大規模水力は、かなり適地はもう活用されているかもしれませんが、日本の農業地は、実は平地のように見えても、多くの農業者の皆さん、一次産業の皆さん、御苦労されて、それなりの傾斜のある地域を活用して、それを田畑にこれまでうまく活用してきています。そこに勾配があるんですから、小水力には物すごい適しているんです。これが全く活用されていません。

 こうした小規模分散化された再生可能エネルギーが、適地があまたあるのに、大規模なメガソーラーとか大規模洋上風力に目が行っているというこの感覚が再生可能エネルギーの発達を遅らせたという感覚はありませんか。

岸田内閣総理大臣 委員がおっしゃるように、大規模発電のみならず、分散型電源の導入、これが大事だという点、これはおっしゃるとおりだと思います。

 先ほど申し上げた日本の様々な制約の状況の中にあっても、我が国の電源構成に占める再エネの比率、二〇一一年度の一〇%から、二〇二一年度には二〇%を超えて、十年で倍増しております。平地面積当たりではドイツを超える太陽光を導入してきた、こういった実績もあります。

 その上で、二〇三〇年度に再エネ比率三六%から三八%という目標を掲げて努力を続けている。そして、その中で、具体的には、建築物や住宅の屋根への太陽光発電の設置促進、洋上風力の導入拡大、そして、全国規模での系統整備や海底直流送電の整備、こういったものを着実に進めて三六%から三八%を目指す、これが我が国の方針であります。

 そして、委員の方から営農型太陽光発電について御指摘がありました。

 これは営農と発電の両立を通じた地域活性化の効果もある有用な取組であると承知はしておりますが、一方で、出力変動に対応するために必要な調整力の確保、農地等における系統の整備、こうした課題を克服しなければならないという課題もある中で、こうした取組を引き続き推進し、先ほど申し上げた再エネ比率三六%から三八%、これを目指すというのが我が国の基本的な姿勢であります。

枝野委員 何年たったら経年劣化で駄目になるか分からないけれども、利用のために利用期間を延長するということはやりながら、もちろんソーラーシェアリングなどに壁があるのは、困難があるのはよく分かっていますよ、でも、それを乗り越えるのが政治じゃないでしょうか。

 そもそもが、総理御自身がその適地は限られているとわざわざおっしゃっているんですよ。しかも、その理由が大規模なんですよ。この間、やはり既存の大電力に対する配慮をし過ぎていることが、再エネが思ったとおりに伸びてこなかった原因じゃないでしょうか。

 現に、送電網を有する既存電力会社の多くで、新電力の顧客情報を不正閲覧をしたり、それから、顧客の囲い込みを進めるカルテルなどの不祥事が相次いでいます。何のために発送電分離をしたんですか。

 送電網を中立化させることによって新電力がどんどん加わってくる、これによって小規模分散型の再生可能エネルギーがどんどん加わってくる、何しろそれをやったときの経産大臣ですから。そのためにやったんですよ。

 ところが、その送電網と経営上明確な分離が不十分だったがために、その大電力会社が新電力の顧客情報を不正に閲覧をする、こんなばかなことが起こっているし、こんなことを許してきていた経産省、この十年。私は失われた十年と言わざるを得ないというふうに思っています。その反省はありませんか。

岸田内閣総理大臣 当然のことながら、送電網をめぐる不正、これはあってはならないわけであります。こうしたことはあってはならないということで、これを指摘し、そしてあるべきルールにしっかりと戻していく努力をしていかなければいけない、これは当然のことだと思います。

 御指摘をしっかり受け止めて、こうしたルールの適正化に向けて努力を続けていく、これが政府の役割であると認識をしております。

枝野委員 あってはいけないことが、残念ながらこの十年間の中では、しかも、一社起こったんじゃないんです、既存大電力のほとんどがこうした不正を行っていたんです。こうした客観的な事実を率直に反省しなければ、再生可能エネルギーの拡大は私は進まないと思っています。

 逆の方向も見てみたいと思います。

 我が国に原子力発電所に適した場所なんてあるんですか。

岸田内閣総理大臣 我が国における全国の原子力発電所では、これまで長い期間をかけて地元の皆様の御理解を得ながら地域の協力の下に立地や運転を進めてきた、こういった歴史を積み重ねてきました。

 これは、何か機械的に、地域の人口ですとか様々な条件を判断して適地を判断する……(発言する者あり)

根本委員長 御静粛にお願いします。

岸田内閣総理大臣 こういったことで取組を進めてきたものではないと考えています。

 どの地点であっても、防災対策の不断の見直し、充実を進め、不安の払拭に取り組んでいくことこそが、我が国のエネルギーの安定供給を支えてきた立地地域に対する政府の責任であると認識をしています。

 こういった形で我が国においては原子力発電所の設置場所を考えてきた、これが今日までの歴史であると認識をしております。

枝野委員 原子力発電所に適した地域があるかということには全くお答えいただいていません。

 立地地域の皆さんの御理解をいただいたことによってここまで原子力発電所を活用できてきた、少なくとも十二年前までは、それを私も必ずしも否定的には捉えておりませんでした。そういった意味では反省があります。そして、そのことによって、少なくとも十二年前までは、我が国の電力の安定供給に一定の効果をもたらしてきた。

 ただ、そのことによって立地地域の皆さんには大変な御負担をおかけをしてきたし、現に、福島の原子力発電所の周辺の皆さんには大変な御負担をおかけをしているというのが今の客観的な状況です。

 本当に適した地域があるのか。原子力発電所、万が一事故が起これば、周辺三キロとか周辺五キロじゃないんですよ。半径十キロ、二十キロ、三十キロ、五十キロ、いや、農業の被害を考えたら、関東平野にも来ました。そして、御承知かもしれませんが、私は当時存じ上げませんでしたけれども、当時、十二年前、専門家の皆さんは、燃料プールの隣のところの水がたまたま燃料プールに流れ込んだ、そのことがあったのであそこで止まりました、そのこともあったので止まりました、しかし、それがなくて、あの事故が更に拡大をしていたら、関東平野に人が住めなくなるような影響を与えていたとまで言われています。

 他国のことですから、他国が主権に基づいて原子力発電所を造ることについて私たちが何か言うことではないかもしれません。しかしながら、ロシアとか中国とかアメリカ合衆国とか、周辺十キロ、二十キロ、三十キロ、人がほとんど住んでいないような広い土地をこうした国々で持っています。こうした国々でそうした土地に原子力発電所を造っても、万が一の場合でも、そのことによる影響は比較的小さいものにとどまるかもしれません。それでも、風に乗って放射性物質が遠くまで飛ぶということを私は考慮すべきだと思いますが、それでも、少なくとも福島で起きたような大変悲惨な事態というのは防げます。

 日本にそんな場所ないじゃないですか。どこに造ったって、周辺に山ほどの人がいるじゃないですか。そして、現実に事故は起こるんです、起こったんです。次に起こったときには、もっと更に広域な地域を、更に長期にわたって利用できないということが起こるかもしれません。にもかかわらず、日本に原子力発電所に適した土地があるとは私は思わないんですが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、福島第一原発事故について、我が国として様々な反省、これはいっときとも忘れることはできない、こうしたことであります。そして、そのためにこそ、安全神話に陥るということはあってはならない、こうした反省をしっかりと今後も胸に刻んでおかなければなりません。

 どんな事態においてもしっかり対応できるような安全性と、避難計画と、様々な基準をしっかりクリアすることによって、原子力の将来について考えていく。この安全神話にとらわれないという考え方については、これからもしっかりと政府として胸に刻み、努力を続けていきたいと思います。

 そうした反省の下に、今後とも安全最優先で取り組んでいくというのが政府の方針であります。

枝野委員 適地はどこかということについては全く答えていただいておりません。適地はないんです。日本では無理なんです、この狭い国土にたくさんの人が住んでいる国では。

 そして、安全神話とおっしゃいますが、安全神話に戻ってしまっているから、いや、五年や十年利用期間を延長しても事故は起こらないだろうなという、安全神話そのものじゃないですか。

 東京電力福島第一原発事故が過酷事故となった原因はいろいろあります。もちろん最初の原因は津波ですが、なぜ大きな事故になったのか、直接的、本質的な原因を総理はどう認識されていますか。

岸田内閣総理大臣 東電福島第一原子力発電所において炉心溶融に至った直接的な原因は、津波により全ての交流電源が喪失し、原子力を冷却する機能を失ったことであると認識をしております。

 そして、事故の根源的な原因として、事故後に国会に設置されたいわゆる国会事故調が公表した報告書の中では、規制当局が専門性において事業者に劣後していたこと等から事業者のとりことなり、原子力安全についての監視、監督機能が崩壊していた旨指摘をされていると承知をしております。

枝野委員 これはいろいろな視点があるかもしれませんが、私の視点からは、冷やせなくなったら壊れるんですよ、原子力発電所は。冷やすための電力が喪失をした、津波によって。そして、冷やす機能が全く止まってしまった。これが、今の技術の下であれば、どんな原子炉も、冷やすことができないと、どんどんどんどん過熱をして、どんどんどんどん周辺の、例えば格納容器とかを溶かしていって、放射性物質が外に出ていくということになってしまうんですね。

 これは、外から水を注ぎ込むということは、実はローテクなんですよ。非常にシンプルな技術なんですよ。原子炉そのものは、ある意味で最先端の技術です。原子力の応用というのは、それこそ最先端の技術です。ここについては技術進歩はあるかもしれません。でも、外から大量の水を注ぎ込んで冷やし続けるというのは、実はローテクなんですよ。実はこれを、止める、破壊するということに対して安全性を高めるというのは、実は困難なんですよ。不可能なんですよ、あえて申し上げれば。いろいろな外的要因が重なったら、水が止まってしまったら、どんなに立派な原子力発電所を造ったって同じような事故は必ず起こるんですよ。

 そこでお尋ねをしたいんですが、原子炉そのものへの武力攻撃に備えても、原子炉そのものを頑強にして、例えば、ミサイルが飛んできたって、はじいて、原子炉そのものは壊れませんといっても、通常兵器で周辺地域を破壊しまくって、水が供給できなくなる、外部電力が供給できなくなる、あるいは、ゲリラ部隊が周辺に侵入してきて、そうした水の供給とか電力の供給をストップする、こういうことができれば、同じような事故は起こってしまうんですよね。そうすれば、日本に対して核ミサイルなんか使う必要はないんですよ。それこそ冬の時期、北風の時期に、日本海側の原子力発電所の周辺を通常兵器で水が供給できないようにぶっ壊してしまって、供給を続けることを妨害し続ければ、放射性物質が、例えば、北の方であれば関東平野、西の方であれば琵琶湖にどんどんどんどん流れ込んで、水を飲めなくなって日本は崩壊するんですよ。

 財政危機の中で防衛費を二倍にしなければならないほどの深刻な事態であるならば、このように外敵に対して非常に脆弱な原子力発電所を早くやめるのが安全保障のために最優先の一つじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 まず、原子力発電所を始め、こうした重要施設を、海外からの、他国からの武力攻撃から守る、この基本的な考え方がまず重要だということで、防衛力の強化を考えております。

 そして、防衛力を強化するということ、例えば反撃能力を始めとする様々な防衛力の強化、これは、我が国に対する武力攻撃をちゅうちょさせる、要は、我が国の対処力そして抑止力、これを高めるために行うというものであります。こうした攻撃を未然に、行わせないためにも、こうした防衛力を強化することが重要であるということを申し上げています。

 その上で、原子力発電所については、原子力規制委員会が、様々な関連法令あるいは同計画に基づいて、原子力発電所の運転停止を原子力事業者に命じるなど、緊急の事態に対して様々な対応を用意をしている。そして、それに対して避難等の対策もしっかり用意をしていく、こうした構えになっていると認識をしております。

 我が国に対しての武力攻撃は、そもそもそういったものが発生しないよう最大限の抑止力、対処力を維持するという基本的な考え方、これが重要であると考えています。

枝野委員 防衛力の増強の必要性についてはまだ聞いていないんですよ。

 原子力発電所、こんなに脆弱じゃないですか。今回のいわゆる安保三文書で言ったような、遠方からのミサイル攻撃なんかしなくたって、実は、例えば、要するに民間を装ったようなゲリラ部隊でも、私は、原発に対する水と電力を、供給を一定期間止めて事故の状態にすることは簡単にできると思いますよ。それは、残念ながら、今、そのための警備体制、知っています、私も十二年前、経産大臣で、それを所管していたんですから。

 だけれども、基本的には、原子力発電所そのものを守っても、周辺からの水と電力が止まったら事故になるんですから。そこを止めることは、基本的には著しく困難な、非常にリスクの高いものを、しかもリスクの高い日本海側にこんなにたくさん造っちゃったんですよ。それは早くやめないと、やめるといったってここから何十年もかかるんですから。安全保障上の大変なリスクであるということを申し上げた上で、反撃能力の話に参りたいと思います。

 今日は時間がなくて質問はしませんが、そもそも、今回、防衛予算を二倍にすると。今までがよっぽど少なかったんだなと勘違いしている国民の皆さんがいらっしゃるので、我々にとっては常識なんですが、あえてテレビの前でお伝えをしておきたいんですが、ストックホルム国際平和研究所によると、日本の安全保障予算を各国の軍事予算と比べたときに、二〇二一年の実績でも、アメリカ、中国、インド、イギリス、ロシア、フランス、ドイツ、サウジアラビアに次いで、既に世界の九位なんです。トップテンに入っているんです。これを二倍にしたら、アメリカ、中国に次いで三位、イギリスやロシアやフランスやドイツよりも大幅に大きくなるんです。というのが防衛予算を二倍にするということの客観的な意味だということをまず最初に申し上げておきたいというふうに思います。

 そこで、いわゆる反撃能力、敵基地能力、いわゆる安保三文書の話なんですが、敵基地攻撃能力、反撃能力そのものについては、一九五六年二月二十九日の政府見解で、憲法上、法理的には可能であるとされてきました。この見解を私は支持します。それどころか、今でも反撃能力は持っているんじゃないですか。

 航空自衛隊が有する九三式の空対艦誘導弾など、これは、空対地ミサイルに簡単に援用できるんですよ。だって、潜水艦を目がけて撃つことになっているので、目標を潜水艦じゃなくて陸地にすれば空対地ミサイルになるんですよ。これを搭載している航空機の航続距離と、日本はあれを持っていますよね、空中給油機。ユーラシア大陸まで届くんですよ、この飛行機、相手から撃ち落とされなければ。

 つまり、ユーラシア大陸の陸地を、日本の自衛隊はミサイルを撃ち込む能力を現に持っているんです。違いますか。防衛大臣でもいいですよ、これは。

浜田国務大臣 今お話にあった点については、我々とすれば、航続距離というものとしては、それは所有はしておりますけれども、我々、この状況においては、戦術的に考えれば、その飛行機だけを行かせて撃つというようなことはあり得ないので、そういった意味においては、戦術的に考えたときに、そういった状況をつくらないというのが原則でありますし、我々、そもそも、自衛隊を海外に出すというようなときには、これは当然のごとく、武力攻撃事態の際にしか考えられないことでありますので、現状として、今ここでお答えすることは困難でありますけれども、今御指摘の距離でいうのであればそうかもしれませんが、決してそれが即そのまま使えるということではないと思います。

枝野委員 戦術的にあり得ないのは私もそう思いますし、今の時点で防衛大臣がそうとしかお答えになれないのもよく分かるんですが、能力としては今でも、ユーラシア大陸に、日本はミサイルを撃ち込もうとすれば、できる能力はあるんですよ。

 なので、ここで、今回、議論の論点が実はみんなずれていると私は思っていて、いわゆる敵基地攻撃能力がここでの問題じゃないんですよ。問題になっているのは、実は今回は、相手のミサイル攻撃に対して、スタンドオフ防衛能力としてのミサイルで反撃をする、これで敵の基地を攻撃するというこの部分が、今回、安保三文書に書かれているんです。ここについて心配をしているんですよ、みんな。

 どこに心配の本質があるか、総理、お気づきになっていますか。

岸田内閣総理大臣 どこに問題の本質があるか気づいているかという御質問ですが、委員の問題意識は、今の話だけではちょっと理解はできません。

 まず、少なくとも、今の防衛大臣の答弁にあったように、反撃能力というのは、能力だけではなくして、運用システムを始め、的確にこれを運用できるかどうか、これが大事だと。そのシステム全体、能力とシステムと両方合わさったものである必要があるという認識は私も持っております。

枝野委員 問題意識を少なくとも共有されていないなというのが分かったので。いや、いいんですよ、共有していないことは、そのこと自体は当然かもしれないんだけれども、だから、国民の中に一定の、やはり強い批判と不安があるのはなぜかということを御理解をいただいていないなということなんですが。

 これは、やはり、先制攻撃になってしまうおそれが、今までとは、飛躍的に高くなっているんですよ、比べて。

 いいですか。従来の、ミサイルによる攻撃でない場合には、日本は幸い島国ですので、日本を攻撃するかもしれないというのは、船でやってくるんですよ。日本の領海に近づいてきたら警告を発しますよね。何なんだおまえら、日本の領海に勝手に他国の船が入ってくるなと警告しますね。警告に対してやり取りがありますね。それらを無視してやってくるわけですよね。船の場合には日にち単位で、時間的余裕があるんですよ。

 これは、航空機の場合でも、それこそ、ミグの、函館空港へのと、年末にテレビでやっていましたけれども、見ましたけれども、飛行機でも少なくとも分単位、時間単位ではあるわけですよ。飛行機が日本の領海に向かって飛んできたら警告を発して、それに対して警告を無視してやってくる。そこがまさに弾を撃とうとしているのかどうか。これは客観的に自衛隊も分かる。そして、それを例えば官邸に伝えて総理大臣が判断する時間もある。そして、それを国際社会に対しても、今どこかの国が日本に対してこうやって攻めてこようとしている、こういう客観的な状況だ、だからこれに対しては反撃しなきゃいけないんだということになるわけです。

 ただ、ミサイルは違うんですよね。先ほど石破さんがおっしゃっていたとおり、今や液体燃料じゃないですよね。固形燃料で、そして移動するわけですよ、ミサイル発射基地。どこかで日本に向かって、いや、初めから日本に撃つぞ、あと三日後に撃つぞみたいな警告がある場合は、これこそ例外として別かもしれない。しかし、一般的に、残念ながら、国際紛争って突然起こったりするわけですよ。それが、あるとき突然どこかの国がミサイルを撃ちました、どうも日本を狙っているかもしれない。下手すると秒単位ですよね、それに対して撃ち返すのかどうかという判断は。これは間違っているかもしれないわけですよ、残念ながら。

 弾道ミサイルで、日本の超高度を通り抜けているものだから、日本に落ちるのか、通り過ぎてから警告が鳴ったとか、そこのところは、日本にもうちょっと高度の低いミサイルが飛んでくる場合にはちょっと意味が違うかもしれないけれども、本当に日本を狙っているのか、それとも日本の近海に対して威嚇をしているのか分からないわけですよ。少なくとも、客観的、外形的には分からないわけですよ。

 間違って、日本に向かって撃っていると思って、日本がスタンドオフミサイルで撃ち返したら、他国の領土に対してそのミサイルが着弾したら、向こうから飛んできたミサイルは領海の外だったということはあり得る。こんな間違いを起こしたら大変なことになるわけですよね。そうでしょう。そのリスク、飛躍的に高いわけです。

 いや、正しかったとしても、いや、日本の方が先に撃ったんだと。それこそ、船でやってくる、飛行機でやってくる場合と違って、外形的には向こうが先に攻めてきたんですという証拠を国際社会に見せるための時間的余裕とかというのは物すごくないわけですよ。

 そうすると、気をつけないと、まさに今のウクライナだって、やはり、ロシアがひどいというのをみんな分かっているから国際社会が支えてくれる、支えているわけです、我々も。これは、プロパガンダ合戦になりますよね、国際紛争のときには。

 これは、万が一、いや、日本の方が先に撃っただなんという泥仕合になったら、国際社会、まあ、アメリカは助けてくれるかもしれないけれども、国際社会から孤立するかもしれない。こういうリスクが、ミサイルに対してミサイルを撃ち返すという場合の、実行の着手の時期によっては物すごくリスクが高いというか、今までとは比較にならない問題になるんだと。うなずいていただいたので、まず、防衛大臣、違いますか。

浜田国務大臣 反撃能力の行使に関して、現実の問題として、相手側のミサイルの発射、特に第一撃を事前に察知してその攻撃を阻止することは難しくなっていることは事実であります。

 こうした状況も踏まえて、国家安全保障戦略においても、ミサイル防衛網により、飛来するミサイルを防ぎつつ、相手からの更なる攻撃を防ぐために、我が国から有効な反撃を相手に加える能力を保有すると記載したところであります。

 その上で、具体的な対応について更に明らかにすることは安全保障上控えるべきであると考えますが、いずれにせよ、反撃能力は、憲法、国際法、国内法の範囲内で運用されるものであり、先制攻撃が許されないことは言うまでもありません。

 今、枝野委員からの御指摘の点等々、いろいろな場面場面において、我々、これに対応しなければならないと思っておりますし、今後、そういったことも、今ここで御説明することは困難でありますけれども、しっかりと対応を考えてまいりたいと思っております。

枝野委員 一概に言えないというのは分からないではないんですけれども、結局、今の政府の見解は、そのときの国際情勢や相手国の明示された意図、攻撃の手段、態様など様々な事情を勘案して判断する必要があるので、一概には言えず、個別具体的に判断すべきものであるにとどまっているんですよ。分からないではないんだけれども、だから、もしかすると、向こうがまだ撃っていないのにこっちが撃っちゃうんじゃないかというのは、国際社会にもある意味では不安を与える可能性があるわけですよね。

 そこは、原則としてをつけるのかつけないとかとありますけれども、例えば、我が国の領土、領海等に着弾することが不可逆的になり、不可逆的、僕は大事なことだと思います、不可逆的になり、かつ、そのことが外形的に明確になったときという基準を作って、何か困りますか、総理。僕は、こういう基準を作って、こういう状況のときには、同じところから二発目、三発目が飛んできたら困るから、その基地を壊すのは仕方がないよねというのは、私はかなりの国民の皆さんに理解を得られると思うんだけれども、今の基準で何か困りますか。

岸田内閣総理大臣 まず、今の議論で、先制攻撃あるいは着手の時期、これは技術的に大変判断が難しくなっている、こうした議論でありましたが、そもそも、この先制攻撃とか着手の時期というのは国際法の議論の中でも学説が幾つかに分かれていますので、これを具体的にどう判断するか、各国においても様々な違いがある。こういった現実があって、難しいものであるということは御指摘のとおりであります。

 しかし、その中にあっても、おっしゃるように、国際社会に対して、日本は国際法違反をしていないということをしっかり説明しなければいけないわけですから、そのために一定の基準を作っていくということ、そこまでは委員のおっしゃる点、これは理解できるわけですが、ただ、どういった場合にどう対応するか、手のうちを事前に明らかにしておくということについては、これは安全保障の観点から控えるべきものではないかと考えます。

枝野委員 手のうちをさらす、全部さらすわけにはいかないというのは、安全保障だから、私もよく分かるんですけれども、私が尋ねたような基準、私が示したような一例で手のうちをさらすことになりますか。

 だって、そもそも日本はアメリカから、トマホークでしたっけ、大量に買いますと。どういう能力を持っているか、世界中の国々はみんな分かっているわけでしょう。そうしたところに対して、最初の攻撃に対してはミサイル防衛でやるということを言っているわけでしょう。それに対して今のような基準を言ったからといって、別に手のうちをさらすことには何にもならないと思うんです。

 これを、総理、早く言うことが大事なんですよ。国民に不安を与えずに、国民の間の世論の分断をつくらず、なるほど、ここまでなら仕方がないということで国民が幅広く一致をしないと、安全保障というのはやはり力を持たないんですよ。

 そういう意味で、やはり説明が私は決定的に足りないし、説明がずれているということを強く危惧するし、今すぐ答えを出せとは言いませんが、だけれども、少なくともこの衆参の予算をやっている間に、予算委員会をやっている間ぐらいには、少なくとも、原則としてとつけていいですよ、国際社会、どんな事情があるか分からないから。原則として、我が国の領土、領海に着弾することが不可逆的になり、かつ、そのことが外形的に明確になったときは、我が国はスタンドオフミサイルを使って敵基地攻撃することはあり得る、これを言って何が困るのか。困るのならもっと具体的に、そんな、手のうちをさらすじゃなくて、ちゃんと説明をしていただきたい。

 あとの二点は多分イエスと答えていただけるという期待の上でお尋ねしたいんですが、どこを目標に日本からミサイルを撃つのか。軍事目標という言い方をしているんですが、はっきりしているようなはっきりしていないような、しているので、もう一回私は確認をしたいと思いますが。

 結局、ミサイルの発射を止めることが目的ですよね。したがって、我が国に着弾し得るミサイルの発射装置に対して攻撃をするんですよね。ここに限定して困りますか。困らないですよね。どうですか。

浜田国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、ミサイル技術が急速に進化をし、また、既存のミサイル防衛網だけで完全に対応することが難しくなりつつある中で反撃能力の保有を決定したところでありますが、その検討に際しては、国民の命を守り抜く、必要な防衛力の内容を積み上げておるところであります。

 反撃能力の行使の対象や具体的状況については、実際に発生した状況に即して、武力の行使の三要件に基づき、やむを得ない必要最小限度の措置に個別具体的に判断をしていくことだということになると考えております。

枝野委員 だから、何で曖昧にするんですか。

 日本に対して第二弾、第三弾とミサイルを撃ち込まれ続けるのを、手をこまねいて見ているわけにはいかないというのが、元々の一九五六年の政府見解の根拠だし、私もそれはそう思いますよ。それがどれぐらい効果を持つかは別としても、そのときにはちゃんとそのミサイルの発射を食い止めるための能力を持っていますよというのは一定の意味はあると僕は思うんですが、だったら、ミサイルの発射装置に対して破壊行為を行うということでいいじゃないですか。

 あえて僕は発射基地と言っていませんよ。なぜかといったら、可動式で今できるから、発射装置ですよ。発射装置を目標とする、それ以外は目標にしないと言って何か困りますか。

浜田国務大臣 政府は従来から、何が対象となり得るかについては、法理上、誘導弾等による攻撃を防ぐのにやむを得ない必要最小限度の措置か否かとの観点から個別具体的に判断されるものと説明しているところでありますが、この考え方は反撃能力においても同様であります。

 他方、どこでも攻撃してよいというものでは当然ありません。攻撃を厳格に軍事目標に対するものに限定するといった、国際法の遵守を当然の前提とした上で、ミサイル攻撃を防ぐのにやむを得ない必要最小限度の措置の対象を個別具体的な状況に照らして判断していくものと考えております。

枝野委員 何でそんな防御的なのか。

 僕は、先ほどの相手方の武力攻撃の着手についての話にしろ、今の、攻撃目標がミサイルの発射装置ということに限定しろという話も、本当は文書に、安保三文書を改定して、そこに、文書に明記したらいいと思うんですよ。そうすればみんな安心するじゃないですか。ああ、ここまでしかやらないんだと、内外が安心するじゃないですか。

 これは憲法解釈についての政府見解じゃないんですから、国際状況の変化あるいは軍事技術の変化によって、また状況が変化して、こういうケースのことも想定しなきゃならないとなったら、それは改定すればいいじゃないですか、閣議決定で。

 だから、今の段階では想定されるのはこれだよねということで、できるだけ具体的に示し、軍事状況や、特に軍事技術の変化に応じては変更はあり得るで。でも、現時点ではここだということで。軍事大国にしようとしていないんだと本当に思っているならば、あるいは、皆さんがそう思っていても、結果的に後で利用されるリスクはあるわけですから、だから、そういった利用、拡大がされないように限定すべきじゃないかということを私は申し上げているんです。

 もう一点だけ聞きましょう。

 安保三文書に記述された反撃能力は、日本に対するミサイル攻撃に対する、ミサイルによる反撃のことしか書いていないんですよね。そうですよね。ということは、反対解釈として、先ほど私が例に挙げたような、日本の航空機が空対地ミサイルを抱えて他国の領土に行くみたいな、ミサイルに対してミサイルで反撃する以外のことは現時点では想定していないという反対解釈でいいんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 反撃能力については、武力行使の三原則に従ってこれを行使するかどうかを判断するということになります。

 ですから、現実問題、必要最小限で、他に手段がないという条件を考えました場合に、航空機等の攻撃を考えた場合にその条件を満たすことになるのかどうか、これは議論になるんだと思います。

 当面、具体的なミサイル技術の状況を考えますときに、三文書として想定している反撃能力を記載しているということであります。

枝野委員 武力行使の三要件自体が安倍内閣のときに変質させられているということを、我々はこの失われた十年の間に経験をしているわけですよ。だから、武力行使の三要件に合致するかどうかということでは、何の具体的な基準も示していない。そんな中で、今回、こういう変更を、少なくとも国会からは、去年の秋の臨時国会では、どういう議論が進んでいるのですかという質問をしても、政府は、いや、今内々検討中だからと何も答えないで、いきなり結論が出て、国会に来ているわけですよ。

 それで、今のように、こうやって限定して理解していいんですよねと聞いても、今のような答えしかしない。じゃ、どこまで拡大するか分からない。それじゃ不安で仕方がないと思われる方がたくさん出るのは当たり前なんです。

 そのことを最初に、先ほど私、総理に、何を危惧しているのか、国民がということをお尋ねしたんですが、その本質を全く理解されていないということは、私はよく分かりました。大変残念ですし、それは、安全保障について、余り国論が、私は分裂することはよくないと思っているので、何とかきちっと、政府として、今考えているのはここまでだし、これは今の世界の軍事状況から考えたらやむを得ないですよね、必要最小限でしょう、ここまではということを、必要最小限の中身をきちっと、ここまでなんだということを、私は、できるだけ示す姿勢をまずは示すべきだと。

 繰り返しますが、全部細かく示せとは言いませんよ、それは安全保障ですから。でも、全く示そうとしない姿勢は、私は論外だと思っています。

 最後に、時間がありませんが、一点だけ。

 政府も賃上げに積極的になったことは歓迎したいと思うんですが、これは、アベノミクスの誤りを認識した、トリクルダウンは起こらない、だから、やはりちゃんとボトムアップで、幅広く国民の賃金、所得を上げることで消費を伸ばす、こうでないと景気はよくならないんだ、私は何度も国会でそう申し上げてきましたが、ようやくそれを御理解いただいたということでいいですね。

岸田内閣総理大臣 アベノミクス、これは再三申し上げておりますが、デフレでない状況をつくり出した、GDPを高めた、雇用を拡大した、これは成果があったと思います。

 この成長の果実を賃金に結びつけ、そして賃金の引上げが消費につながる、そしてそれが次の需要を引き出していく、この好循環をつくることが大事だということで、アベノミクスの取組の上に立って、是非、新しい資本主義の下で構造的な賃上げを実現したいと申し上げているのが今の政府の方針であります。

枝野委員 大企業の一部はアベノミクスの恩恵を受けて、今年、賃上げが大幅にできるかもしれない。それは労働組合に頑張ってもらわなきゃいけない。

 だけれども、コロナがありました。まず、コロナによって、先ほど与党の皆さんから、この間、中小零細企業、傷んでいて、融資の返済、待ってくれと与党の皆さんから出るような状況ですよ。こういうところ、賃上げ、果実、どこにあるんですか、果実。ほとんどないじゃないですか。

 いや、コロナの前の時点ですら、大部分の中小零細企業は、実は果実なんか得ていないんですよ。果実を得ていない、利益が上がっていない、さらに、この三年間、ますますひどい状況になっているところが大部分。大企業ですら、交通運輸であるとか観光関連とかのところは、全然、大打撃ですよ。何とか、せめて物価上昇分ぐらいは取らないとと頑張っておられるわけですよ。その状況の中で、何の果実を分配するんですか。

岸田内閣総理大臣 おっしゃるように、我が国の雇用の七割を占める中小そして小規模事業者の賃上げ、これは大変重要な課題でありますが、賃上げするその果実、どこに求めるのかということでありますが、価格転嫁対策として、政府が申し上げております、中小企業庁における下請Gメン、公正取引委員会の大幅な増員等、さらには、親事業者の様々な実態調査、これは、すなわち、サプライチェーンの中で価格の転嫁を通じて賃上げの原資を確保できるよう、こうした環境を整備していくことが重要であると申し上げております。

 もちろん、個々の企業、中小企業においても、生産性の向上に向けて、事業再構築補助金、ものづくり補助金等、様々な挑戦を後押しするための支援、これは八千億円措置していますが、個々の努力と併せて、サプライチェーンの中で、親事業者とともにその成長の果実をどのように分配していくのか、これを考えてもらいたいということで価格転嫁の取組をお願いしている、こうしたことであります。

 こうした形で賃上げの原資を確保できるよう、環境整備を進めてもらうことが重要であると考えております。

枝野委員 今、もう天気予報に入ったので、テレビで御覧になっていないと思いますが、多分、中小零細企業の経営者の皆さんは唖然と聞いていたと思いますよ。公正取引委員会、価格転嫁。大企業と下請、孫請、中小企業、取引先の力関係。公取の人員を百倍ぐらいに増やしてもらわないと、それは論外ですよ。そんなもの全然機能しないですよ。

 それを、全く絵に描いた餅で、実態的に合っていない。いや、ちゃんと下請、孫請、中小零細企業を守りましょうだなんて、安倍内閣だって言っていたじゃないですか。言って、できていないじゃないですか。ずっとこれは課題なんですよ。

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますから、おまとめください。

枝野委員 そのことを申し上げて、残念ながらこれについての大きな成果は期待できない、やはり抜本的な経済政策の転換が必要だということを申し上げて、同僚議員に時間を譲りたいと思います。

 ありがとうございました。

根本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

根本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。

 この際、西村智奈美君から関連質疑の申出があります。枝野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。西村智奈美君。

西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。

 旧統一教会の被害対策としては、昨年末、悪質な寄附を規制する法律が、大変不十分な内容ながら、成立をいたしました。

 私たちは、引き続き、二世信者の皆さん、被害者の皆さんの救済などに向けて、この法律の実効性を上げることと、そして新たな立法の必要性について引き続き模索をしていく、その決意であることを冒頭申し上げます。

 さて、この旧統一教会の被害に関しましては、文科省の方で、現在、質問権が行使をされている。これについては、私は、解散命令請求、これを視野に入れた質問権の行使だというふうに認識をしております。

 宗教法人の解散というのは、何も団体として解散を求めるということではなく、現在受けている税制上の優遇措置、これをなくすという意味での解散なんですね。

 ですから、一日も早くこのことをやるべきだというふうに思いますけれども、永岡大臣、現在行使されている質問権というのは、これは解散命令請求を視野に入れたものであるという理解で間違いないでしょうか。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 旧統一教会に対する報告徴収、質問権を行使しているのは、旧統一教会や信者等の行為に関する不法な行為責任を認めた判決が多数あり、民事裁判の判決において認められた損害賠償額も多額に及ぶことなどから、法令違反による広範な被害や重大な影響が生じている疑いがあると認められるからでございます。

 いずれにいたしましても、報告徴収、質問権の効果的な行使等を通じまして、旧統一教会の業務等に関して、具体的な証拠や資料などを伴います客観的な事実を明らかにするための対応を、しっかりと法律上にのっとりまして、必要な措置を講じてまいりたいと考えております。

西村(智)委員 今日は河野大臣をお呼びしていないんですが、消費者庁の霊感商法に関する有識者の検討会議、ここの報告書では、解散命令請求も視野に入れて質問権を行使する必要があるというふうに書かれています。

 文科省は、この検討会の報告書に反した形で質問権を行使しているということですか。解散命令請求を視野に入れた質問権の行使であるべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

永岡国務大臣 法令違反によります広範な被害や重大な影響が生じている疑いがあると認められることで、質問権の行使に至っているところでございます。

西村(智)委員 解散命令請求を視野に入れた質問権行使だというふうには絶対におっしゃらないんですね。これは私、非常に、政府の姿勢としてはいかぬというふうに思います。これだけ団体の反社会性が明らかになったにもかかわらず、税制の優遇をいまだに続けている。これは一刻も早く、私は、裁判所に請求をしていただきたい、そのことを強く申し上げておきます。

 総理、私、二月一日に予算委員会で、自治体議員の調査、旧統一教会との関わりについて、地方議員の皆さんにも調査をすべきではないですかというふうに質問をいたしました。総理は、そのことについて明確にはお答えにならなかったんだけれども、都道府県連の地方組織を通して検討していきますというふうには御答弁になりました。

 いつまでに結論を出してくださいますか。

岸田内閣総理大臣 統一地方選挙に当たって、自民党、党本部の基本的な考え方を徹底するために、地方組織との意思疎通、行っております。

 そもそも、議員と旧統一教会との関係については、様々な情勢における本人の判断、認識、すなわち心の問題であるからこそ、各党とも議員本人による報告に基づいて実態把握を行っているものと考えております。

 そして、自民党としては、昨年九月にその結果を取りまとめました。そして、結論として、自民党においては、旧統一教会及び関係団体との一切関係を持たない方針であること、この方針を踏まえてガバナンスコードを改定し、その方針を党所属の全国の国会議員、そして全国都道府県連に通知をし、これを徹底してきたところですが、統一地方選挙に当たっては、党本部と各都道府県連の間で緊密に意思疎通を図り、党としての方針を具体化する、こうした手続について意思疎通を行っている最中であります。

西村(智)委員 二週間前と全く答弁が変わっておりません。二週間、検討し続けている。いつまでに結論を出していただけますか。

 これは、国会議員に対しては、調査ではないけれども自己点検という形で、皆さん自己申告という形で一応のまとまりは出たわけです。自治体議員、地方議員に対しては何も行わないまま、地方組織との協議をやっていますということで、このまま統一地方選挙に突入するということにはまさかならないですよね、総理。

岸田内閣総理大臣 全国の都道府県連と意思疎通を図っておりますが、県連によっては、党の方針を文書で確認するなど、様々な具体的な対策を講ずることを決定している県連もあります。状況は様々であります。

 その中で、それぞれ党の方針を徹底するためにどうあるべきなのか、こうした意思疎通を行っている、こうした状況であります。

西村(智)委員 そういうふうにやっている組織があるということは分かります。

 報道によれば、しかし、十二の県連が何の取決めもしていない、何の報告もしていないということなんですけれども、このまままさか統一地方選挙に突入してしまえば、報告、申告すらできない自治体議員が自民党の中には多数おられるというふうに推測せざるを得ないんですけれども、それでもよろしいんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 マスコミにおいて様々なアンケートが行われていることは承知をしております。しかし、その中で、党としては、全国の都道府県連、地方組織と意思疎通を図っています。そして、具体的な対応について決定をする、そうした県連も増えてきております。

 是非、こうした作業を進めることによって有権者の皆さんの信頼を得ること、これが何よりも重要であると思います。そうしなければ、選挙において厳しい批判にさらされてしまう。そういった状況の中で、是非、政治の信頼回復のために、都道府県連と党の間において意思疎通を続けていきたいと考えております。

西村(智)委員 政治には信頼が大切、そのとおりだと思います。ですけれども、今のままでは、自民党と旧統一教会が本当に関わりを絶てているというふうに言うことは、判断することはできません。是非、早急に、やらない県連があるんだとすれば、それは総理自らそのことについても公表していただく、そのぐらいをやっていただかないといけない問題だというふうに申し上げておきます。

 次の議題に移ります。

 結婚した夫婦が、希望する場合に、別の姓、別の名字を名のることができるようにしたい、そういう声が実はかなりあります。全体の数から見ればそんなに多くはないかもしれません。

 しかし、今、結婚した際に名字を変えるのは圧倒的に女性です。九六%が女性です。大変煩雑だとか、あるいは自分が失われるような気がするとか、いろいろなお声がある中で、希望すれば別々の名字を選ぶことができる、もちろん希望すれば一緒の名字を選択してもいい、そういう制度を私は実現をしたいというふうに思って、前回、総理に質問いたしました。

 このことは、一九九六年、もう今から約三十年前に法務省の審議会がそのための法律改正案を作ってまとめたんですけれども、政府は国会に提出をしておりません。

 私たちも、議員立法として、ならばということで、一九九七年から二十二回、二十二回ですね、議員立法として法案提出をしておりますけれども、自民党が反対して、議論すらできずに廃案になるということがずっと繰り返されてきております。

 数は少ないかもしれないけれども、選択的に別の氏を選ぶことができるという仕組みを待っている人はおられます。

 総理は、この件について、国民の間に様々な意見があることから、議論をしていくんだというふうに答弁しているんですけれども、総理就任以降十三回、同じ答弁を繰り返しておられるんですね。

 総理は、この望めば別の氏を名のることができるという制度をつくることに賛成ですか、反対ですか、どちらですか。

岸田内閣総理大臣 選択的夫婦別氏制度の導入、法制化については、委員御指摘のように、国民の皆さんの間に様々な意見があるから、この理解のために議論を進める必要がある、このように考えていると申し上げてきました。

 そして、賛成ですか、反対ですかという御質問ですが、私は、私自身は、反対ということは一度も申し上げたことはありません。これは、価値観や心に関わる問題であるからして、議論が必要だということを申し上げてきているわけであります。自民党の中にも議員連盟が存在し、議論が行われているところであります。こうした状況を注視していきたいということを申し上げております。

西村(智)委員 反対だと言ったことはない、初めてその答弁をいただきましたけれども、では、総理、ここは総理の指導力を発揮していただいて。待っている方はいらっしゃいます。

 私、この仕組みをつくるからといって、全ての人に別の氏を名のってほしいなんということは思っていません。選ぶことができるんですからね。別の氏を選びたい人はそうすれば結構だと思いますけれども、そうじゃない人はそうしなくてもいい。この制度をつくることに何が総理はひっかかって、進めようということにはなっていないんですか。

岸田内閣総理大臣 要は、国民の皆さんの中に様々な意見があるから、議論が重要だということを申し上げております。

 自民党の中にも、議員連盟の中で、賛成する、賛成の活動をしている議員もいる、これはそのとおりであります。こうした議論があるからこそ、こうした、国民の幅広い理解につなげるために議論を深めることが重要であるということを申し上げている次第であります。

西村(智)委員 様々な意見があるから議論をすると、今日で十五回目の答弁、同じ答弁をいただくことになってしまいました。

 総理、今のお話を伺っていると、国民の中にもそれは様々意見はあると思います。何か心配なことがある、その気持ちは私も分かります。ですけれども、重ねて申し上げますが、全ての人にそうしろというふうに言っているのではない。むしろ、今の話を聞いていると、国民の間の意見の相違もさることながら、自民党の中の意見の相違があるから提出できないというふうに聞こえるんですけれども、そういうことなんですか。

岸田内閣総理大臣 自民党の中で議論がある、その背景には、国民の皆さんの中においても様々な議論がある、こうしたことであると認識をしています。

 国民の価値観ですとか心に関わる問題でもあることから、議論を深めることが重要だということを再三申し上げている次第であります。

西村(智)委員 だとすれば、いつまでに検討をされるんでしょうか。

 総理、この間、検討、慎重に検討、極めて慎重に検討、幅広く意見を聞いて検討、検討という言葉のバリエーションがすごくたくさんあるんですけれども、結論が出ましたということが、私、聞いたことがないんですよ。いつまでにこの件、期限をつけて、総理が指導力を発揮して結論を出してくださいますか。

岸田内閣総理大臣 これは、国民の皆さんの価値観や心に関わる問題であるから、議論を深めることが重要だと申し上げています。

 今、検討するという言葉を使ったとおっしゃいましたが、委員との議論においても、こうした選択的夫婦別氏制度の問題、LGBT理解増進法の問題、同性婚の問題、こうした様々な課題について議論を行ってきました。その中で、国民の議論の深まり具合は様々であります。その状況に合わせて検討という言葉も私は使い分けてきたと考えております。

 是非、それぞれの課題における国民の理解の深まり具合をしっかり見ながら、政治としてしっかり判断していく、これが重要であります。いつまでに結論を出せ、そういう課題ではないと考えております。

西村(智)委員 検討に種類があるけれども、検討する、何だったんでしょう、今の答弁は。つまりは、結論を出すつもりがないということでしょうか。この困っている方々をいつまでも放置するということですか、総理。

 これはもう三十年近くになるんですよ。三十年近くもう議論をしてきて、まさに議論してきたわけですよ。法制審の答申が出るまで、法案がまとまるまでも、それは当然議論があったわけです。さらに、一九九六年からもまた、法案がまとまってからも議論してきているわけです。一体いつまで待てばいいのか、本当に待っている人たちはそういう気持ちですよ。

 同じ答弁をまた繰り返すだけになる、これは、十五回、今の答弁でもう二十回くらいになりましたか、慎重に、国民の間に意見があるので議論するということ。

 そして、最後にもう一回聞きますけれども、やはり、総理自身が賛成か反対かということを言っていただいて議論が始まるんです。議論するというのはそういうことだと思うんですけれども。

 どうですか、総理、もう一回。総理自身は賛成ですか、反対ですか。

岸田内閣総理大臣 賛成、反対については、先ほど申し上げたとおりであります。私自身、反対と申し上げたことはありません。だから、議論が大事だということを申し上げております。

西村(智)委員 指導力がないということですかね。なかなか言えないんでしょうかね。本当に。

 次に、また二週間前に質問した件について伺いたいと思います。

 二月の一日、私は、男性と男性、女性と女性で結婚したいという方がいたら認める制度をつくったらどうですかという質問をいたしました。それに対して総理は、社会が変わってしまうという答弁をされたんですね。こちらがその答弁です。黄色いところが、社会が変わってしまうと書かれている部分です。

 この答弁については後でまたゆっくり質問したいと思いますが、まず、荒井秘書官の件について、発言について、私の思いを、伺いたいと思います。

 荒井元秘書官の発言は、この、社会が変わってしまうという答弁をかばうために行われた、かばうように行われた発言だというふうに思います。

 その発言は差別発言であったということはもちろん問題なんですけれども、荒井秘書官自身が、言ってみれば、同性愛、男性と男性、女性と女性、お互いに好きになるというこの問題の前提を私は理解していないというふうに思って、大変残念に感じました。

 隣に住んでいるのも嫌だ、見るのも嫌だ、そういうふうに発言されたようですけれども、荒井秘書官はそのときに、もしかしたら自分の同僚に、あるいは会見で取材している記者さんの中にそういう当事者がいるかもしれないというふうに、想像力を働かせなかったんでしょうか。当事者が見えにくい問題だということを私は指摘したいと思います。極端な話、例えば荒井秘書官の息子さんが同性愛者かもしれません。お父さんに言えなくて、悩み、苦しんでいるかもしれません。そのときに、見るのも嫌だと言われたら、息子さんはどういう気持ちになるでしょうか。

 最近は公表する方も増えてきて、それは当然、よいことだというふうに思います。ですけれども、多くの公表できない方、言えない方、言えずに悩んでいる方、こういった方々がいるというのがこの問題の前提なんです。こうした問題だということ、総理も同じように認識してくださっていますか。

岸田内閣総理大臣 私自身も、世の中において、様々な考え方、立場の方がおられる、そういった方を差別するようなことがあってはならない、これは当然のことだと思います。

 御指摘の荒井元秘書官の発言についても、政府の考え方とは全く相入れない、言語道断の発言であるということで、厳しく対応をし、そして改めて、不快な思いをさせてしまった方々に私自身もおわびを申し上げた、こういった次第であります。

西村(智)委員 当事者が見えにくい問題であるということは、総理も認識していますか。

岸田内閣総理大臣 委員が今おっしゃったような形で、なかなか言い出すことができない、結果として見えにくい問題になってしまう、こうしたことが実際であると私も認識をいたします。

西村(智)委員 いわゆる当事者と言われる方々、これはいろいろなグラデーションもあるんですけれども、大体人口の一〇%くらいは当事者がいらっしゃるんじゃないかというふうに言われています。そうした現実を総理としてしっかりと認識してくださった上で、この後の答弁をお願いしたいと思います。

 この発言に移ります。

 二月の八日に、我が党の岡本あき子議員がこの発言の趣旨について質問いたしました。

 総理は、そのときに、この、社会が変わってしまう、つまり、これは何かといいますと、私が、いわゆる同性婚ですね、男性と男性、女性と女性が法律的に結婚をするということを認める、その制度をつくってはどうですかということを質問したときに、総理は、全ての国民にとっても、家族観や、価値観や、そして社会が変わってしまう、こうした課題でありますというふうに答弁をされました。この、社会が変わってしまうという言葉に対して、岡本あき子議員がネガティブな意味なのではないかというふうに問うたところ、総理は、これはネガティブな意味で申し上げたものではないというふうに答弁されていたんです。

 私、二月一日のこの答弁があったときに、本来であれば、もっと追いかけるべきだったと思います。

 今日、改めて総理に伺いますけれども、これはやはりネガティブな発言だと思うんですよ。たまたま、このことについて今日質問しようと思っておりましたら、東京新聞の今朝の朝刊で、金田一秀穂先生、日本語研究の第一人者であるということ、私もおじいさんとかの辞書を使わせていただきました、この杏林大学名誉教授のコメントが掲載されていて、この答弁は明らかに否定的ニュアンスを表しているというふうに日本語研究の第一人者がおっしゃっておられました。

 総理、この発言、答弁、撤回すべきだと思うんですけれども、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 私の使った言葉がネガティブに受け取られたとしたならば、これは反省しなければいけない部分があるかとは思います。

 是非あのときのやり取りを振り返っていただきたいと思いますが、これは国民生活の基本に関わる問題である、あるいは家族観とも密接に関わる問題である、社会に関わる問題であるから議論が大事だ、社会が変わってしまうから議論は大事だということを申し上げたわけであります。議論を否定する意図は全くありませんし、是非、議論を行った上で、この問題についても国民とともに考えていこうということを申し上げたわけであります。

 ですから、いきなり、変わってしまうから否定をしたというのではなくして、変わるから議論をしましょうという趣旨で発言した、これを是非御理解いただきたいと思っています。

西村(智)委員 答弁は、私、全部読んでおりますけれども、やはりこれはネガティブというふうに読むのが言語的にも日本語的にも恐らく正しい。

 私も、いろいろ考えてみました。社会がという言葉を使ってポジティブな動詞をつけると、おかしな文章になるんですね。例えば、どういうことかというと、社会が豊かになってしまう、おかしいですよね。社会が発展してしまう、おかしいですよね。ネガティブな動詞をつけると、これはしっくりくるんですよ。社会が混乱してしまう、社会がすさんでしまう、これはしっくりくるんですよね。

 総理、そこまでおっしゃるのであれば、金田一先生もおっしゃっていますから、社会がというのを主語にして、てしまうという言葉を使って、何かポジティブな例文を作っていただけませんか。

岸田内閣総理大臣 ネガティブかポジティブかは別として、変わってしまうという結果をもたらすから議論を深めることが大事だという形で、そういう表現をするということはあり得ると思います。

 私の表現が不十分だということについて、御指摘は謙虚に受け止めたいと思いますが、あのときの発言の趣旨、社会が変わる課題であるから議論を深めたいということを申し上げたということ、このことは、決して否定的でもなければ肯定的でもない、そういった発言であると私は思っております。

西村(智)委員 であるとすれば、やはりこの発言は撤回した方がいいと思うんです。私は今、総理に、この、社会が変わってしまうという言葉を撤回する最後のチャンスをここに今出したわけですけれども、総理は撤回されなかった。本当に残念です。

 この同性婚、同性同士で結婚できるということを法制化するとします。恐らく、そんなに、法律的な結婚をしようという人は、皆さんがびっくりするほどたくさんは出ないんじゃないかと私は思うんですね。社会も崩壊しないし、全ての国民にとって家族観や価値観は変わらないということを、私は先ほどの選択的夫婦別姓の話でも申し上げましたけれども、当事者にとってはそれは大きな変化、意味のある変化かもしれないけれども、そうじゃない方にとってはそうではない。

 一九九三年に、ニュージーランドで同性婚が法制化される際に、モーリス・ウィリアムソンという議員が議会で演説をされました。一部御紹介したいと思います。

 反対する人の多くは、この法案が社会にどういう影響があるかということに関心があり、心配しているんでしょう。その気持ちは分かります。自分の家族に起こるかもしれない何かが心配なんです。

 繰り返しになりますが、言わせてください。

 今私たちがやろうとしていることは、愛し合う二人の結婚を認めよう、ただそれだけです。外国に核戦争をしかけるわけでも、農作物を一掃するウイルスをばらまこうとしているわけでもない。お金のためでもない。単に、愛し合う二人が結婚できるようにしようとしているのであり、この法案のどこが間違っているのか、本当に理解できません。なぜこの法案に反対するのかが。自分と違う人を好きになれないのは分かります。それは構いません。みんなそのようなものです。

 この法案に反対する人に私は約束しましょう。水も漏らさぬ約束です。

 明日も太陽は昇るでしょう。あなたの十代の娘は、全てを知ったような顔で反抗してくるでしょう。明日、住宅ローンが増えることはありませんし、皮膚病になったり、湿疹ができたりすることもありません。布団の中からカエルが現れたりもしません。

 明日も世界はいつものように回り続けます。だから、大騒ぎするのはやめましょう。この法案は、関係がある人にはすばらしいものですが、関係ない人には、ただ今までどおりの人生が続くだけです。

 総理、この文章を聞いての感想を是非聞かせてください。

岸田内閣総理大臣 まず、先ほどの私の発言については、肯定的なものでもなく否定的なものでもなく、議論することが大事だという趣旨で申し上げたということをいま一度申し上げます。

 その上で、今の発言については、そうした意見、これもしっかり傾聴に値するものとして受け止めなければならないと思います。一方で、それと違う意見を持っておられる方も世の中にいるというのもまた事実であります。

 ですから、この同性婚について、特に日本においてもう少し議論を深めることが大事なのではないか、議論を否定するものではない、是非、国民各層の意見ですとか、あるいは国会における議論ですとか、あるいは訴訟の動向ですとか、あるいは自治体におけるパートナー制度の運用や導入の状況ですとか、こうしたものを注視していく必要があるということを申し上げている次第であります。

西村(智)委員 まず、総理が賛否をきちんと明確にしていただくこと、そして、反対意見、私も、心配はよく分かります。心配があるのは分かります。それをこの場で議論するという、その場がこの国会なんじゃないでしょうか。

 そのことを指導する力を強く強く総理に求めて、発言を終わります。

根本委員長 この際、馬場雄基君から関連質疑の申出があります。枝野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。馬場雄基君。

馬場(雄)委員 福島二区、立憲民主党の馬場雄基でございます。

 岸田総理の御長男、翔太郎氏より年下になりますが、平成生まれとして初めて岸田総理に質問させていただきます。

 私は、東日本大震災当時は高校生、福島で被災をいたしました。福島を思い、そして将来を担う者たちの思いを背負って本日質問をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず初めに、私もこの十年を読み解きたいというふうに思っております。

 光があれば、影も当然あります。影の部分には、多くの若者たちの姿があるのではないでしょうか。

 パネルを御覧ください。

 日本の出生率を表しています。この十年、大幅に下がっております。少子化の最大の原因は晩婚化とする発言もありましたけれども、少子化の責任を若者に押しつけていただきたくはないです。

 また、次のパネルを御覧ください。

 今の若者たちの叫びそのものです。NHKさんが二月の十二日、夜七時のニュースで取り上げたものでございますが、十七歳から十九歳の調査でございます。子供を持ちたいと答えている方の割合は半数以下、四六%でございます。総理、なぜだと思いますか。ここに書かれているように、金銭的な負担、六九%、七割、この方々、つまり、経済的な苦境さが今の若者の生活を圧迫しているのではないでしょうか。

 私も、連日、話を伺います。学生からは、奨学金を二十年間ずっと返し続けていかなければならない、将来の先が見通せない、不安だ。あるいは、同世代からも、パートナーはいるけれども、非正規だから。そういう不安な声の中で、前に歩みを進み出せない若者たちがたくさんいるのではないでしょうか。

 岸田総理、先日、私もインスタグラムで見させていただきましたけれども、石川県に行かれてきたと思います。その際に見られてきたことは、光の部分もあったかもしれません。しかし、今回私が着目したいのは影の部分です。その影の声、済みません、こちらはちょっと通告はしていないんですけれども、影の部分についてどのような声を聞かれているのか、是非教えていただけないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、少子化の背景には様々な理由がありますが、その中で、特に近年においては若者の経済的苦境、これが大きな原因であるという御指摘、それは私もそのとおりだと思います。

 経済的苦境、これは様々な形で皆さんが苦しんでおられます。自らの収入もあると思います。教育費の増大もあると思います。住宅状況の厳しさもあるんだと思います。

 様々な形で経済的苦境ということを感じて、それが出産や子育てにちゅうちょする、こうしたことにつながっていく。こうした社会の風潮があるということについては、影の部分ということで様々な方々から話を私も聞いております。その点については、委員と認識を共有いたします。

馬場(雄)委員 今、様々伺わせていただきましたけれども、数字は確かに知っていられるのかもしれません、言葉は知っていられるのかもしれませんが、具体的なイメージを私は持つことができませんでした。本当に若者の声、影の部分の声に耳を傾けていただきたいというふうに思っております。

 岸田総理の中でも、経済的な苦境さ、これは認められたというふうに思います。では、この経済的な苦境さがなぜ起きるのでしょうか。それは、若者たち一人一人、個人のせいなのでしょうか。あるいは、社会そのもののせいなのでしょうか。経済的苦境というものに、しっかりと私たちは今向き合わなくてはならないと思います。

 個人か、社会なのか。パネルを御覧ください。

 御存じだと思いますけれども、そもそも日本の教育費というものは低い状況でございます。OECD諸国のこのデータを見ていただいてもお分かりのとおりでございますが、下から二番目です。

 あるいは、その下のグラフを御覧ください。家族関係支出です。この家族関係支出というものは、例えば児童手当なども含まれている、そういう予算になりますけれども、アメリカよりかは高いです。ですが、ヨーロッパ諸国と比べれば、これもまた著しく低いと言わざるを得ないのではないでしょうか。

 教育も、あるいは家族関係支出も日本は遅れてきました。若者の経済的な苦境さ、今、総理自らがそれをおっしゃっていただきましたけれども、その苦境さを表すデータが今まさにここに表れているのではないんでしょうか。

 岸田総理、若者は今不安です。将来が見通せない中で、どうしていいのか、どうすればいいのか不安なんです。子供予算倍増を掲げていらっしゃいます。でも、その中身がいまだにまだ見えてきません。

 後回しをせずに実行に移すときだと私は思います。後回しをせずに、この若者の不安、それに応えていただけないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、家族関係社会支出について御指摘がありました。

 これは、GDP比ということで資料を出していただいていますが、この家族関係社会支出については、十年前の二〇一二年度、民主党政権の時代ですが、当時一・一%、足下、二〇二〇年度では二%に増加をしています。金額ももちろんでありますが、若い人たちの子育てあるいは出産、こうした願いをかなえるために、政権においても、これまで、保育の受皿整備ですとか幼児教育、保育の無償化ですとか、様々な政策を進め、そして予算額は大きく増加してきたということであります。

 そして、そういった若い人たちの経済的苦境に応えるために、今まで、今申し上げた形で、日本においても子供、子育て予算、この充実に努めてきましたが、いま一度強い危機感を持って子供、子育て政策を考えようではないか、こうしたことを政府として申し上げています。

 その際に、経済的な支援、もちろん大事であります。しかし、様々な社会のサービスについても内容を充実しなければいけない、当然のことであります。そして、あわせて、働き方改革を始め、若い人たちの働き方にもしっかりと議論を深めて、社会全体としてどう支援をしていくか、こういったことも考えなければ結果につながらない。そして、併せて教育の充実も大事だ。こういった四点を挙げて、この取組を進めよう、こういったことを申し上げている次第です。

馬場(雄)委員 様々言われましたけれども、では、令和五年度の予算を見ていきたいというふうに思います。

 こちらのパネルを御覧ください。岸田総理がどんな国を、姿をつくろうとしているのか、この姿で分かるのではないでしょうか。

 防衛関係予算は今年度五・四兆円、しかし、令和五年度は六・八兆円。子供関係予算に至っては、四・七兆円から四・八兆円なのではないんでしょうか。増加幅で見れば、防衛関係費は一・二兆円の増に対して、子供関係予算に関しては〇・一兆円の増ではないですか。

 この状態を見て、子供、若者後回しと言われないその説明、岸田総理、できるのでしょうか。

 踏まえて、令和六年度、今四・八兆円というこの数字、例えばこれをどれぐらいにしようとしているのか。これが六なのか、七なのか、倍であれば九・六。この状態をどのくらいに今想定されているのか、是非お答えいただけないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げたように、日本における家族関係社会支出、あるいは子供、子育て予算、これは拡充に努めております。先ほど申し上げました、十年間で一・一%から二%にGDP比で伸びている。また、予算についても、平成二十五年度予算約三・三兆円から令和四年度予算六・一兆円、こうした少子化対策の予算も増やしています。

 こうした予算をしっかり拡充してきておりますが、こうしたこれまでの個別の政策のみならず、社会全体として子供、子育てを考えていく、こうした次元の違う取組をやろうではないか、こういったことを今申し上げております。

 防衛力との比較がありましたが、防衛力との比較においても、今、GDP比二%、防衛力において、防衛費について充実を図るべきではないか、こうした提案をさせていただいていますが、家族関係社会支出は二〇二〇年度の段階でGDP比二%を実現しています。そして、それを更に倍増しようではないかということを申し上げているわけですから、防衛費との関係においても、こうした家族関係社会支出、この予算は決して見劣りするものではないということ。これは、アメリカ以外はみんなそうだという先ほど指摘がありましたが、日本においても、こうした家族関係社会支出、重視しているということは強調しておきたいと思います。

馬場(雄)委員 十分であるのか十分でないのか、どちらを今認識されているのか、今の御答弁からはよく分からなかったわけですけれども、十分であるならばこのままでいいというふうな話になりますし、でも、次元の異なる、そういう子供関係予算を作っていこうじゃないかと、今始めているとおっしゃっています。どっちなのか、今の御答弁からはよく分からなかったのですが。

岸田内閣総理大臣 十分でないと思うからこそ、倍増に向けての大枠を示そうということを申し上げています。是非、六月の骨太の方針に向けて大枠を提示していきたいと考えております。

馬場(雄)委員 結局、それが示されてこないことが一番問題だというふうに思うわけです。

 三月のところで示し、そして六月の骨太の方針までに示すという言葉は、ここで何度も私も聞いてきました。ですが、この巨額な防衛関係予算を積み増していくときに、子供関係予算も同じぐらい大事で、そして、同じぐらい規模が大きなものなのではないですか。

 ここで私が不安なのは、総理、私、これはすごく不安なんです。なぜかと申し上げますと、今回、防衛関係費の検討に当たって、歳出削減や剰余金、これを活用し、捻出して三兆円を今用意しようとしておられますよね。しかし、これは全額、その全部を防衛関係費に組み入れようとされております。

 ですが、この三兆円、財務省の幹部の方もおっしゃっていましたけれども、でき得る限りの水準だと言われています。三兆円以上考えていくというのはかなり厳しい議論なのではないでしょうか。もし仮に、歳出削減で三兆円以上見えてこない、そして子供関係予算は歳出削減では厳しくて負担の方をお願いせざるを得ない、増税やあるいは社会保険料の引上げ、こういったことが考えられてくるのではないですか。

 ですが、今日の最初の話を思い出していただきたいんです。NHKのフリップで出させていただいたのは何でしたか。経済的苦境さそのものだったんじゃないですか。若者が困っていて、それを助けようとする政策が、結局、かえって若者たちを苦しめることにならないか、私は不安なんです。

 そういった意味で、今、この若者の未来を背負っている中で、私、ここでしっかりと答えをいただかなければいけないというふうに思っています。大きく言うならば、今、大きな予算が出されてきた中で、これを防衛関係費の方に使っていくのか、あるいは子供関係費、そちらの方に使っていくのか。ハンドルを右に切るのか左に切るのかの、今、岐路に立っているんじゃないんですか。

 防衛関係予算は示されました。では、子供関係予算も同時期に、私はセットで示すべきだというふうに思っております。それが数千億なのか、数兆なのか。その数字も一兆なのか、二兆なのか、四兆円増やしていくのか。倍増と言うけれども、その倍増という中身が全く見えてこないというのが一番問題なんだというふうに思うわけです。

 せめて四月の統一地方選挙までに、六月と言わず、しっかりとセットで議論させていただけないですか。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げたように、防衛費との比較を委員はされたわけですが、家族関係社会支出一つ取りましても、我が国においては、二〇二〇年度、GDP比二%に増加しています。これを更に増やそうとしています。防衛費については、GDP比二%を目指すべきではないか、今その議論をしています。

 数字的にはそういうことでありますが、これは二者択一の問題ではないと思っています。どちらかを取るという問題ではなくして、国民の命や暮らしを守る、これも大切な課題であります。我々の未来を考えた際に、子供、子育て政策、重要である、これも当然のことであります。そうした課題それぞれに対してどう政治が向き合うのか、これが今問われているんだと思います。決してこっちを優先するというものではありませんし、防衛費の様々な政府の努力につきましても、従来から申し上げているように、社会保障支出以外の部分での努力でこの三兆円の努力を行う、このように申し上げております。

 そして、子供、子育て政策については、これは、中身、今具体化しているわけですが、その中身に応じて予算を考えていかなければならない。国と地方との関係、あるいは社会保障制度との関係、様々な関係をしっかりと精査した上で、社会全体でどのようにそれを賄っていくのか、これを議論していこう、それを六月までにしっかり示していこう、このように申し上げております。

 是非、共に大きな課題、実現するために、政治の責任を果たしていきたいと思っています。

馬場(雄)委員 今のは若者に届く言葉なんでしょうか。子供予算倍増、倍増というふうに言われるたびに、恐らく子供たちあるいは子育て世代も含めて、期待していると思います。ですが、それを期待しても期待しても一向に来ないというのが、示されないというのが今の岸田政権の中身なのではないんですか。

 岸田総理、子供が少ないから産んでくれ、政府はよく言います。ですが、経済的苦境さの中で、それで苦しくなるけれども産んでくれ、しかし、産んだ後は自己責任だけれども産んでくれ、そういうふうな状態で今言われているのではないんですか。日本の少子化は、政治が本気でやればしっかりと対応できていくはずです。それを本気でやろうとしていない、これが私は失われた十年の姿なんだというふうに思うわけです。ここから先の少子化は、岸田政権の人災になるというふうに思います。

 ですが、今日はもう一つ取り上げたいので。福島県出身者として申し上げたいと思います。時間がないので最後に行きます。

 復興特別所得税を防衛費に事実上転用する方針が出されております。福島民友さんからは、自民党議員から、理解得られぬということもありますし、福島民報さんが取られたアンケート調査によれば、十代、二十代、三十代、つまり若者の皆さんが納得できると答えた人の割合はゼロ%、ゼロなんです。

 なぜ若者に理解がされないのか。そもそも、復興特別所得税のスキームは、本来は二〇三七年で一つの区切りを迎えるはずでした。その三七年以降、五〇年、これは私、五十八歳になるときですけれども、この部分の空白期間には、負担は本当は想定されていなかったはずです。これはもちろん、復興の現状によって変更はあったと思いますけれども。しかし、この将来世代にわたる負担を今総理は決めてしまうということになるのではないですか。将来を担う若者への負担をこんな形で決めていくこと、これは私は無責任だというふうに思えてならないわけです。

 総理、防衛増税と言うならば、復興所得税のこのスキームを使うのではなくて、税の在り方として、別の枠組みでしっかりと検討していただきたいというふうに思いますが、岸田総理、お願いいたします。

岸田内閣総理大臣 今の御指摘がありました復興特別所得税については、結論として、復興事業に影響を及ぼすことがないように、こうした細心の工夫を行いました。

 復興事業、委員もよく御存じだと思いますが、様々な復興事業については、復興債を発行する形で必要な資金はしっかり確保しています。廃炉作業ですとか福島国際研究教育機構の構築など、こうした必要な事業は、まずは復興債を発行して、そして様々な事業を実施していく、これが基本であります。

 そして、御指摘の復興特別所得税は、この復興債の償還に充てる財源であるということであります。よって、この高さが低くなった分、長く延びた。これは、総額が確保されれば復興債の償還には影響がないということでありますので、復興には影響が出ない細心の工夫をしたということであります。復興事業には影響ないということを是非強調して、説明をさせていただきたいと思います。

 いずれにせよ、こうした取組の御理解をいただくために、引き続き丁寧な説明を続けていきたいと思っています。

馬場(雄)委員 丁寧な説明と言うんですけれども、失礼ながら全く、全く分からないんです。

 これが、結局、現下の家計の負担にはならないというのは、幾分、今を生きる私は分かるんです。ですが、明らかに、三八年から二〇五〇年に生きる者たちにとっては、これは普通に負担になるんじゃないんでしょうか。国民に分かるように、若者にも分かるように、逃げずに、私はここは説明していただきたいというふうに思いますけれども、お願いします。

岸田内閣総理大臣 だから、これは再三申し上げているように、現下の家計の負担増にならないように工夫をしたということを申し上げております。ですから、その中で、復興事業には影響ないということも強調させていただいております。

 そして、将来の延長された部分について負担増になるということについては、経済の活性化等において御理解いただける政策をしっかり進めていく、こういった説明を従来から申し上げていると承知をしております。

馬場(雄)委員 将来世代へのツケを残しているということには、私は、変わりないというふうに思います。

 総理、子供、若者、復興に対して余りにも冷たいんじゃないですか。私は温かな社会をつくりたいというふうに思っています。若者は、子供は、将来をしょって立つ国の宝なんです。子供、若者を守れずして国は守れないというふうに思います。政治の力で若者に変化という希望の光を私はもたらしていきたい。今、時間がもう参りましたので、私も、私たち立憲民主党もその道を切り開いていく覚悟を最後に申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

根本委員長 この際、藤岡隆雄君から関連質疑の申出があります。枝野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。藤岡隆雄君。

藤岡委員 立憲民主党の藤岡隆雄でございます。

 まず、本日も、地元栃木県第四区の皆さんに心から感謝を申し上げ、そして、質問の機会を与えてくださった先輩、関係各位に感謝を申し上げて、質問に入ります。

 また、岸田総理には、まず、お体、くれぐれも御自愛くださいということは申し上げて、質疑に入ります。

 さて、異次元の金融緩和についてのお話をさせていただきたいと思います。

 失われた十年。今、私たちの目の前にあるのは、消費者物価、物価高四%という現実でございます。その中で、専門的な議論に国民の皆さんには聞こえてしまう、賃金を伴う物価上昇はまだまだ実現できていないんだ。でも、私たちにとってみれば、もう物価は上がっているんです。そういう現実をしっかり認識した上で、今、日銀の正副総裁の人事案が出ておりますが、国民の皆さんは、どういうふうに暮らしが変わっていくのか、よくなっていくのかという視点で私はすごく注目をしていると思います。

 岸田政権から、昨日、総裁として植田和男教授、そして副総裁として氷見野良三元金融庁長官、そしてもう一人副総裁として内田眞一日本銀行理事の提示がございましたが、総理は、この正副総裁の人事について、いつ頃この方針を固めて、どういう理由で決められたんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 人事の選定のプロセスについては、これは当然のことですが、申し上げることは控えます。

 そして、どういう基準でということでありますが、これについては、日銀と政府は、引き続き、持続可能な賃上げを伴う経済成長と、そして物価安定の目標を持続、安定的に実現するということ、これを図っていくべきであるという考えに基づいて適切な金融政策運営を行っていただく、このことを期待いたしました。

 あわせて、リーマン・ショック後の様々な金融をめぐる動きを考えますときに、やはり国際社会との対話力、これが求められるということ、それから内外の市場に対して適切な説明能力を持つということ、こういった点は日銀の幹部に求められるということは従来から申し上げてきました。

 そういった観点から、今回、人事案を提出させていただいた、こうした次第であります。

藤岡委員 これは、総理、いつ頃固められたんですか。

岸田内閣総理大臣 これにつきましては、二月十四日、国会に提示する、こうした日程を念頭に、昨年来、様々な意見交換を行ってきました。いつ決めたということについては、具体的な日時等については控えさせていただきます。

藤岡委員 昨年来、様々な意見交換をされてきたと今おっしゃいました。

 ちなみに、雨宮副総裁には一度打診されたんですか。

岸田内閣総理大臣 これは当然のことですが、具体的な名前を挙げてやり取りをした云々は、申し上げるべきことではないと思っています。

藤岡委員 その中で、大変やはり国民の皆さんの関心が大きいのは、適切な金融政策の運営を期待というか、念頭ということだと思いますが、黒田総裁の路線を継承されるのか、またアベノミクスを継承されるのか、これはどちらなんですか。どちらを念頭に置いて今回の人事案を提示されているんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 金融政策の具体的な手法については、これは日銀に委ねられるべきものであると考えております。そして、政府と日銀、これは連携をしっかり保ちながら、先ほど申し上げました、持続可能な賃金引上げを伴う経済成長と、物価安定の持続的な実現、こうしたものに向けて取り組んでいく、こうした連携をしっかり図っていくことが重要であると思っています。

 そして、今後の取組については、新しい総裁、幹部が様々な状況を勘案しながら適切に判断していく課題であると思っております。

藤岡委員 結局、ちょっとよく分からないんですが、金融政策の具体的な手法は、もちろん、手法については日銀に委ねられるのは、それはおっしゃるとおりですよ。でも、黒田総裁の路線を、だから、継承されることを念頭に置いた人事ですか。それはどうなんですか。

岸田内閣総理大臣 今申し上げているのは、政府としっかり連携をしていただくということ、経済、物価、金融情勢を踏まえつつ、適切な金融政策運営を行っていただくことを期待しているということ、ここを申し上げております。そして、今後、世界情勢、マーケットの情勢、どんどん変化するわけですから、その中において適切に判断をしていくことが重要であると認識をしています。

藤岡委員 だから、適切な金融政策運営を期待とおっしゃっているんですが、それはどういう期待なのか、せめてもう少し具体的におっしゃっていただかないと、これは分かりませんよ。今、長過ぎる異次元金融緩和の弊害というもの、また副作用も大変目立ってきていると思います。その中で、長過ぎる異次元金融緩和の路線がこのまま継承されるのか、非常にこれは関心が多いところでして、ここは総理、お答えいただきたいと思うんですね。どうですか。

岸田内閣総理大臣 構造的な賃上げをもたらす経済成長と、そして物価安定の持続的な実現、これを政府とそして日銀が連携して実現していかなければなりません。そのために、是非、政府と連携していただける、こうした日銀であってほしいと期待しているということを申し上げております。

 そして、今後についてどういった政策を想定しているのかという質問でありますが、これは、先ほど言いました、目標を実現するために具体的な手法を日銀においてしっかり御判断いただかなければならないと思っております。是非、今後の状況を的確に判断し、具体的な手法は日銀に御判断いただくよう期待をしております。

藤岡委員 では、ちょっと角度を変えますけれども、アベノミクスの継承ということは念頭に置いているんですか。

岸田内閣総理大臣 アベノミクスについては、デフレでない状態を実現するなど大きな成果も上がってきました。そして、それを是非、私としては、新しい資本主義によって、しっかりと成長と分配の好循環につなげていきたい、このように思っています。その中で、構造的な賃上げを含む経済成長を実現したいと思っております。そうした政府の方針も念頭に置きながら、日銀において手法を判断してもらわなければならないと思っています。

 そして、日銀においてアベノミクスを継承するかどうかということについては、マーケットの状況等もしっかりと判断しながら、対話を重ねながら、日銀として適切な手法を判断していく、こうしたことになるんだと考えております。

藤岡委員 アベノミクスの成果とおっしゃいましたけれども、例えば、今、実質賃金のデータをお示しをしますけれども、この十年間、本当に失われた十年でございますが、本当に下降傾向に一貫してあるということがまずある。それから、もう一つ見ていただきますが、一人当たりの例えばGDPの比較でも、ドルベースで見たら、世界の中で非常に日本がG7の中でも転落をしているというふうな現状もございます。

 そして、今いろいろな副作用も弊害もありますけれども、この中で、では、総理、アベノミクスの今成果の上に立ったとおっしゃいましたけれども、本当に成果は私はまだよく感じられませんけれども、成果の上に立つということは、これはアベノミクスを卒業するという意味なんですか、総理の意味は。教えてください。

岸田内閣総理大臣 デフレでない状態を実現する、GDPを拡大する、そして、雇用においても拡大をいたしました。実質賃金について触れておられましたが、非正規労働者を含む低賃金の方々の数が増えることによって実質賃金は下がったと言われていますが、雇用全体としては増えたということ、これは間違いないところだと思っています。

 そうした成果の上に立って、これを是非、成長と分配の好循環につなげる、そのために賃上げが大事だということを今申し上げております。是非、持続的な経済成長を実現するために、好循環を実現するための努力を続けていきたいと考えております。

藤岡委員 今いろいろな、おっしゃいましたけれども、実質賃金だけじゃなくて、じゃ、一人当たりの可処分所得を取っても、働き盛りの四十代の世代十年を取ってみても、本当にマイナスになっております。こういうところを考えてみても、そうした簡単な反論で成り立つものではないと私は思います。そして、実質賃金が十年下落の傾向にある。

 その中で、まさに今回の人事案について、黒田総裁の路線を継承するかというところにおきまして、今、共同声明に、物価安定目標二%、そして、これをできるだけ早期にということが書かれているわけでございます。その中で、手法は確かにそうかもしれませんが、今、この共同声明において、物価安定目標二%、そしてできるだけ早期に。

 今日、資料をお配りしておりますけれども、白川前総裁の、資料をお配りしている中の六ページ目ですが、政府は当時、二%の物価安定目標の二年での達成にこだわった、日銀は中長期だったということ、その中のせめぎ合いの中で、できるだけ早期にということになったと。

 ただ、できるだけ早期にということになりましたけれども、これでも、やはりまだまだ硬直的な金融政策運営になったという指摘があります。

 改めて、総理は、この共同声明における、物価安定目標二%と、できるだけ早期にということ、これは総理はこだわりますか。

岸田内閣総理大臣 今、日銀の総裁、副総裁の人事を国会に提示していただき、これから国会において御判断いただく段階であります。総裁、副総裁がまだ決まっていない段階で、この共同声明について内容を変える変えない、こうしたことを言及することはまだ時期尚早であると思います。まずは新しい体制のスタートを実現してから後の話であると認識をいたします。

藤岡委員 当初は異次元金融緩和、二年程度で、私も短期のことについて否定するつもりはありません。長過ぎる異次元金融緩和の中で、十年たっても持続的、安定的な物価安定目標が達成できていないという中で、このところ非常に弊害が目立っておりますよね。

 市場機能の低下。例えば、企業がお金を市場で調達しようと思うと、社債の発行に関して、なかなか、一体どのぐらいの金利が正しいんだ、指標となる国債の利回りが、金利が、一体どのぐらいが本当は正しいんだ、いや、もっと本当は高くなくちゃ困る、いろいろな、そういう中で、企業の社債発行に支障を来すような、いわゆる市場機能の低下ということが今までとは異なる形で表れたということは、これは現実を直視しないといけないと思います。

 そういう中で、まさに物価安定目標二%と、できるだけ早期にということについて、そういう市場の弊害も出てきている中で、また、円安による最近の影響で、直近までの影響で、物価高。こういう中で、物価安定目標二%と、それからできるだけ早期にを、総理はこれをこだわるかどうかというところについて、総理の御見解をお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘のETF購入あるいは国債買入れについては……(藤岡委員「いや、今、ETFの話は」と呼ぶ)じゃ、ETFの購入でいいですが、これは物価安定目標の実現のために日銀自らの判断で行っているものであり、この具体的な手法については日銀に委ねられるべきであると考えております。

 その上で、金融緩和の副作用に対して、日銀としてはこれまでも様々な配慮を行ってきたと承知をしております。例えば、昨年末の金融政策決定会合においては、金融緩和の効果をより円滑に波及させるとともに、金融緩和の持続性を高めるための決定がなされた、こうしたことを承知をしています。

 引き続き、適切な金融政策運営、日銀に対しては期待していきたいと思っています。

藤岡委員 今日、黒田総裁もいらっしゃっていただいておりますが、黒田総裁も、ただ、昨年の九月の段階で、当然、そういう長期金利の変動幅を拡大するということについて、それは利上げに当たりますよねと言って、そうですというふうに答えて、基本的には、それこそ二、三年ぐらい利上げということはないだろうと。

 そういう中で、市場機能の低下ということがあって、昨年の十二月に、いわゆる長期金利の許容変動幅の拡大ということにならざるを得なかったというふうにこれは捉えるしかないと思うんです。

 こういうところについて、異次元金融緩和の限界がやはり見えてきている。このことについて総理は認識をお持ちですか。

岸田内閣総理大臣 政府としては、構造的な賃上げを伴う経済成長と、物価安定の持続的な、安定的な実現、これを目指すべく、日銀と連携をしていきたい、このように思っています。

 それ以上については、今まだ、新しい総裁、国会において御承認いただく手続をこれから行っていただく段階ですので、具体的な政策については基本的にはもちろん日銀にお任せするべきものでありますが、私から何か申し上げるのは今の段階では控えます。

藤岡委員 もちろん、なかなか言いづらいということも分かります。しかし、大事なこれからの五年間の、日本の金融政策がどうなっていくかということになるわけです。その意味で、やはりもう少し総理の考えを語っていただく必要が私はあると思います。

 この中で、異次元金融緩和の副作用というのが本当にまだたくさんございます。

 例えば、今、これはニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストから情報の提供をいただきまして、これは最近の東洋経済等にも載っておるようなことでもございますが、日本銀行の、まさにさっき総理が先に、ちょっと申し上げたETFの、日銀の株式、いわゆる簡単に言いますけれども、株式の購入、ETFの購入によって株式の保有割合が非常に高くなっているという状況をお示しを資料でさせていただきました。

 間違っても、個別企業の批評をするつもりじゃありません。事実関係を書いているということだけは御理解をまずいただきたいと思います。間接的に日銀がこれだけの保有をしている、名立たる企業の。東証TOPIXで、約二千四百社のうちの四百七十弱ぐらい、五%以上、そして二〇%以上が二社も、いわゆる株式を保有している。

 本当に社会主義的な状況と言える状況だと思いますよ、これだけ、この状況。そして、売り圧力にもさらされないわけですから、今売らないと言っているわけですから。これが日本の成長に、また企業の生産性や成長に本当にどういう影響を及ぼしているのか、これは真摯な分析と検証が私は必要だと思います。

 そういう意味で、これは黒田総裁にお伺いしたいと思いますが、いわゆるETFの購入を始めとしたこういう取組、諸外国では私は金融政策としてほとんど見られないというふうに思っておりますが、今現状もそういう認識でよろしいでしょうか。

黒田参考人 日本銀行によるETFの買入れは大規模な金融緩和策の一環として実施しているものでありまして、他の主要国の中央銀行においてこうした事例はないというふうに認識しております。

 ただ、欧州の中央銀行の幾つかが、資産運用の目的で株式を保有している例は幾つか見られるということは言えると思います。

藤岡委員 総理、例えば経済財政諮問会議でもいろいろな指摘が既に出されていると思います。長期にわたる企業の生産性低迷というのは長期にわたる金融緩和継続の副作用もあるとか、経済財政諮問会議でもいろいろな指摘がされていると思います。こうした副作用について、総理はどういう問題意識をお持ちですか。

岸田内閣総理大臣 こうした政府、日銀の取組については、経済財政諮問会議において、金融政策を含むマクロ経済政策運営の状況、物価安定目標に照らした物価の現状と今後の見通し等を検証することとしております。専門的また中立的な知見を有する学識経験者なども参加する形で、絶えず政策の検証を行いながら、幅広く、経済財政運営、こうした議論を行ってきております。

 引き続きこうした検証を行っていくことは重要であると認識をしております。

藤岡委員 質問に本当に全くお答えをいただいていないんですね。先ほどからすれ違いが続いておりますが、なかなか答えづらいというのも分かりますけれども。

 ただ、こういう現状を、どうやってこれから、出口も探って、本当に難しいですよ、これだけ。今約四十八兆円相当です、これは時価総額にして。これをどういうふうに今後対処していくのか、本当に日本の大きな課題です。しかも、売り圧力にさらされておりませんから、この企業は。そうすると、本当にそれが、規律が働いて、今後の成長にどうつながるのかという問題もあるわけです。本当に、今、検証ということをおっしゃいました。異次元金融緩和の総括、検証を早く本当にしておくべきだったと私は思います。

 総理、諮問会議でやっているとおっしゃいますけれども、民間議員の、例えば中空麻奈議員からも、何度も、今、諮問会議で検証をと言っている。でも、全然、全く答えていませんよ。全然検証するということになっていないです。

 今この場で、異次元金融緩和の総括をきちっとやるということをこの場で表明していただけませんか。

岸田内閣総理大臣 異次元の金融緩和、総括しろ、変更を宣言しろということでありますが……(藤岡委員「変更を宣言とは言っていない」と呼ぶ)宣言と言いましたよね、今。(藤岡委員「検証」と呼ぶ)検証をし。

 いずれにせよ、これについて評価を与えるということは、先ほど来申し上げたように、特にリーマン・ショック後、国際社会との対話、あるいは市場との建設的な、専門的な対話力、これが重視している中にあって、私の立場で何か具体的に申し上げるということは、まさにおかしな誤解を招くことになってしまいます。こうした市場や国際社会の対話こそ、日銀の幹部を始め、金融政策を具体的に判断していく関係者が個別具体的に考えていかなければならない、こうした重要な課題であると思います。この場で私が何か申し上げることは控えます。

藤岡委員 いずれにしても、この十年の間に、本当にこの異次元金融緩和の、長過ぎる異次元金融緩和の総括を本当にきちっとやるべきだと思います。

 その意味で、やはり賃金上昇を伴うというところがなかなか実現をできてこなかった。これは黒田総裁も、以前、質問したときに、最初の段階からやはり触れておくべきだったのではないかという質問に対して、そうだということはおっしゃっていただきました。

 共同声明において、今後、賃金のこともきちっと触れて、そして新しく出発をするということを総理はお考えでありましょうか。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げました。新しい人事、国会に御承認いただくかどうか、今提示させていただいているこの段階で、共同声明の中身について触れることは控えます。

藤岡委員 分かりました。

 では、最後の質問に入らせていただきます。

 日銀の総裁の人事に関しまして、提示について、私は、物価安定目標二%を達成できなかった理由として、長くデフレが続いた、そして、人々の心の中にまた物価は上がっていかないだろうという思いが染みついていた、その粘着度が高かったというところで、改めて、この物価安定目標が達成できなかったということも日銀の総括検証でも語られております。

 その中で、やはり、そういう人の気持ちにまでちゃんと目配りをする、そういうことも大切だと思います。その意味で、暮らしのにおいを感じ、そして庶民感覚を持って、そういうところを今回は、正副総裁の人事において、総理はどのように考慮されたんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 そうした今委員が御指摘になられた国民の意識、感覚、こうしたものに対する発信ということも重要であると思います。先ほど、内外の市場関係者に対する質の高い発信力、受信力、こうしたものがリーマン・ショック後、格段に重要になってきているということを申し上げましたが、これは、その先には国民の皆さんのこうした金融を見る厳しい目があるんだということもしっかりと感じながら、発信力、受信力を磨いてもらいたいという思いを申し上げた次第であります。

 是非、新しい日銀の執行部にもそうした役割をしっかり果たしていただきたいと思っています。

藤岡委員 長過ぎる異次元金融緩和の総括、しっかりやっていただきたいことを申し上げまして、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

根本委員長 この際、大西健介君から関連質疑の申出があります。枝野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。大西健介君。

大西(健)委員 立憲民主党、大西健介です。よろしくお願い申し上げます。

 さて、今日も我が党の質問者から、様々な角度から、失われた十年ということで指摘がありました。二〇一三年に招致が決まった東京オリンピック、今年の九月が来ますとちょうど丸十年となりますけれども、私は、ある意味、このオリンピックというのもこの失われた十年に当たるんじゃないかと思っています。

 というのも、安倍政権、菅政権は、このオリンピックを政権浮揚として使ってきたところもあるというふうに思います。そして、菅首相は、歴史に残る大会を実現したい、こう言われたわけですけれども、今や汚れた五輪は、歴史に汚点を残す形になってしまっています。

 資料の記事を御覧いただきたいと思うんですけれども、四百億円規模の本大会業務が特命随意契約によって一社見積りとなった結果、企業側の言い値で契約金額が高止まりをしたんじゃないか、こういうことが指摘をされているわけでありますけれども、東京大会の経費は、招致が決まった段階では約七千三百億円だったのが、組織委員会の最終報告では約一兆四千億円に膨らんで、そして、会計検査院が関連経費を含めて約一兆七千億円と認定をしています。最後は、税投入などの形で、広く被害は国民にも及ぶ可能性がある。

 そういう意味で、まず、国民に防衛増税を押しつける前に、国費が過大に支出されている場合には返還を命じるということを総理にお約束いただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 東京オリンピック・パラリンピック競技大会のテスト大会関連の入札において、仮に談合等の不正行為が事実であれば、これは誠に遺憾であり、オリンピック・パラリンピック競技大会を始め、スポーツの価値を大きくおとしめると考えております。

 文部科学省において、今回の事案に係る捜査や東京都における契約手続等に関する調査の状況の推移を注視しながら、明らかになった事実に基づき、仮に国費が過大に支出されている場合には返還を命じるなど、法令等にのっとって厳正に対応するものと承知をしております。

大西(健)委員 先日、文科大臣からも答弁がありましたけれども、今、総理からはっきりと、仮に国費が過大に支出されていれば、これは返還を命じるということをお約束いただきました。

 今、スポーツの祭典がこういうことになってしまったということを言われましたけれども、このオリンピックが、夢の祭典が腐敗の祭典、汚れた五輪になってしまったことについて、改めて、総理、どう思っているかということと、捜査はしていますけれども、捜査とは別に、政府としてこのオリンピックについて、例えば第三者委員会をつくるなり検証する、こういうつもりがあるかどうか、このことを総理にお伺いします。

岸田内閣総理大臣 まずは、今の段階では、文部科学省において、捜査、東京都における調査、こうした推移をしっかりと注視し、明らかになった事実に基づいて対応していきたいと思います。

 委員の御質問は、政府として改めて調査する……(大西(健)委員「検証」と呼ぶ)検証する、これは、文部科学省において、今回の事案に係る捜査や東京都における契約手続等に関する調査、これを注視しながら対応していくということであります。文部科学省において、こういった事態をしっかり把握した上で対応するということであります。

大西(健)委員 文科省がやるのは当たり前だと思いますけれども、これは国を挙げて招致をして、そして国を挙げて行った一大事業ですから、やはり国として責任を持って、これだけ、関係した企業がほとんどというか、逮捕者が出ているわけです。こんなことはあってはならないことでありますので、やはり、私は、国家としてしっかり検証すべきだということを申し上げておきたいと思います。

 さて、テレビを御覧の方の中にも一月の電気料金の請求書を見て悲鳴を上げた方が多いんじゃないかというふうに思いますけれども、二月からは政府による補助が始まりますけれども、電力各社は値上げの申請を行っております。

 そこで、立憲民主党とそして日本維新の会は、国対委員長、政調会長会談を開きまして、このエネルギー価格高騰に対して勉強会をやろうということで、既に始めております。電気料金の値上げの認可は、これは経済産業省でありますけれども、消費者庁と協議をすることになっているということでございます。

 河野大臣は民放の番組で、今日、我が党の枝野委員からも指摘がありましたけれども、電力会社はカルテルであったりとか情報の不正利用をやってきたとした上で、このカルテルは家庭向けの規制料金には直接関係しないかもしれないけれども、様々な企業がそのために電力料金が上がって、それを物やサービスの値段に転嫁をしたということは当然消費者に影響が出ているので、その辺りのことも考えて、規制料金をどうするか、電力会社にきちんと検討してもらわなければならないと思っている、こういうふうに述べられております。

 カルテルをめぐっては、公取が独禁法違反で七百億円の課徴金の納付命令を出しています。値上げ額の算定に課徴金の負担が含まれないというのは、これは当たり前のことだと思いますけれども、電気・ガス価格激変緩和対策として、令和四年度の二次補正で約三・一兆円という多額の税金が電力会社に投入されることになっている中で、消費者の目線というのは大変厳しいものがあるというふうに思いますけれども、消費者担当大臣としてこの点についてどういうふうに、電力各社のこの値上げ申請にしっかりと物を言っていくのか、このことについて河野大臣にお伺いします。

河野国務大臣 公共料金の改定に当たりましては、消費者基本法におきまして、消費者に与える影響などを十分に考慮するということになっております。電気の規制料金など一定の重要な案件につきましては、所管官庁が許認可を行うのに先立ちまして、所管省庁から消費者庁に協議がなされることになっております。

 現在、電力会社七社から経産省に対して電気の規制料金の値上げ申請が行われておりますが、消費者に与える影響が極めて大きいことから、消費者の理解と納得を十分に得られるというのが、これは大事だと思います。

 料金水準が検討されている託送料金、これは正式な協議対象ではありませんが、この件につきましても、消費者庁から経済産業大臣宛てに、この託送料金の妥当性に関する疑問点の解消を要請すべき意見を二度にわたって発出しております。

 例えば、工事の発注における入札において、順位や顔ぶれが固定、シェアもほぼ一定というケースがあり、実質的な競争が確保されていないのではないか。あるいは、査定の前提となっている、これは二〇一七年から二〇二一年度でございますが、ここにおけるコストの増加傾向について十分な検証が果たして行われたのか。あるいは、資材調達や工事の発注の実務を含めた関係企業へのヒアリング、実査といった精査を行う余地があるのではないか。経営効率化のためのモニタリングの枠組みとして、利害関係者や監督官庁から独立した第三者機関の設立などの検討が必要ではないかといったことを言っております。

 今般の規制料金の値上げに関しましては、経産大臣の認可に当たって、今度は消費者庁が協議を受けるということになりますので、その立場から、値上げの理由、あるいは電力会社のコスト効率化の取組などについてしっかりと見ていかなければならないと思っております。

 また、そういう中で、先ほど御指摘ありました、カルテルあるいは顧客情報の不正利用といった、電力会社の企業倫理上、消費者の信頼を損ないかねない事案が続いているということもありますので、消費者の視点から各社の取組について確認を行うべく、先日、電力四社からヒアリングを行ったところでございます。

 今後、再発防止策などについて報告を受けるとともに、電力会社のコストについてしっかり見ていきたいと思っております。

大西(健)委員 調達コストが高いとか、そういうところへも切り込んでいただきたいと思いますし、あえて大臣がカルテルだとか情報の不正利用のことについて触れられているわけですから、そこは消費者の立場から厳しくやっていただきたいと思いますが。

 河野大臣は、二〇一二年、ブログに、東京電力の値上げに問題ありという長文を書かれています。そこでは、政府が認めた東京電力の値上げの中には、本来、消費者に値上げとして転嫁されるべきでないコストまで含まれていると厳しく指摘をしています。その一つが、全く稼働していない核燃料再処理工場に対して、電力会社が日本原燃に支払っている基本料金であって、今、勝手に電力会社が日本原燃に支払っている基本料金の支払いをやめさせたら、電力料金を下げることができるだろう、消費者は、私の電力料金を勝手に流用するなと電力会社に文句を言うべきだ、こう書かれているんです。

 今まさに、大臣は、その消費者の声を代弁する立場にあって、そしてまた有言実行できる立場におありですけれども、こういうことをやられるということでよろしいんでしょうか。

河野国務大臣 規制料金の算定に当たりまして、経産省から消費者庁に協議が参りますので、しっかりと電力会社のコスト構造を見極めて、適切かどうか判断していきたいと思います。

大西(健)委員 そこに、今申し上げた日本原燃に払っている基本料金、これは、本来、消費者が負うべきものじゃないということもしっかり言っていくということでよろしいですか。

河野国務大臣 そこは、協議の中で適切に対応してまいりたいと思います。

大西(健)委員 それでは、河野大臣には、来ていただいていますので、続けて別の質問をしたいと思います。

 昨日、防衛省は、過去に我が国領空内で確認されていた特定の気球型の飛行物体が、分析の結果、中国が飛行させた無人偵察用気球であると強く推定されるということを発表されました。

 パネルを御覧いただきたいんですけれども、これは、二〇二〇年の六月ですけれども、同じように、宮城県上空で白い球体が確認をされた。このときに、六月十九日と二十三日の防衛大臣記者会見の記録ですけれども、まず、十九日ですけれども、この白い球体について問われて、二十四時間三百六十五日、レーダーその他で監視体制を続けておりますと答えています。ところが、次が、下の方、二十三日ですけれども、どこに行ったか定かではございませんとして、日本に戻ってくる可能性はないのかと問われると、気球に聞いてくださいと答えているんですね。要は、監視していますと言っているけれども、見失っておいて、気球に聞いてくださいと言っている。

 河野大臣、三年前、こういういいかげんな対応ではなくて、当時ちゃんとこれを分析していればよかったんじゃないかなという反省はございませんでしょうか。

河野国務大臣 防衛省・自衛隊が様々分析をする内容について、これは対外的にはお答えができないものでございます。

 記者会見で、お答えを差し控えますと言うこともあったと思いますが、それもなんですから、気球に聞いてくださいとお答えをしたわけで、それは、分析の内容について対外的にお話をすることはできないということでございます。

大西(健)委員 先日は、十二回、所管外と答弁されましたが、今日はちゃんとお答えをいただきましたけれども。ちなみに、何か、過去、外務委員会で、当時の前原外務大臣に、大臣が国土交通大臣時代のことを聞かれている例があるということですので、所管外という、そういう答弁はもうやめていただきたいんですけれども。

 もう一つ、私、気になるのは、一番最後のところで、気球に聞いてくださいはまああれなんですけれども、安全保障上の問題はありませんと言っているわけですよ。でも、今回、あったからアメリカは撃墜したんじゃないんですか。それから、今、あったから、今度もしこういうものが来たときにはちゃんと対応するということを今言っているわけで、やはり当時の判断が本当に適切だったのかなというふうに思うわけであります。

 岸田総理、当時、河野大臣は、今言ったように、安全保障には影響ございませんと言い切っていますけれども、本当なんでしょうか。我が国の許可なく上空に侵入すれば、これは領空侵犯になるということも今言われておりますし、過去に白い球体が確認された周辺には、松島基地や三沢基地など、安全保障上重要な施設があります。

 岸田総理、三年前の対応が適切だったのかどうかを再検証していただいて、再度球体が飛来したときに備えて、対処要領というのをちゃんと策定すべきじゃないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。総理大臣。

浜田国務大臣 当時の河野防衛大臣は、飛行物体の所属を含めた詳細については所要の分析を経る必要があること、そしてまた、当時、国民の生命、財産に直ちに危険が及ぶような事象は確認されなかったことを踏まえ、御指摘の発言を行ったものと承知をしております。

 一方、更なる分析を重ねた結果、今般、これらの飛行物体は、中国が飛行させた無人偵察用気球であると強く推定されます。これを受け、本件について、外交ルートを通じて、中国政府に対して、事実関係の確認を求め、今後このような事態が生じないよう強く求めるとともに、外国の無人偵察気球等による領空侵犯は断じて受け入れられない旨を申し入れたところであります。

 委員御指摘のように、今後これに対してどのようにするのかも含め、今後とも検討をしてまいりたいと思います。

大西(健)委員 影響があるからこういうふうに今後はちゃんとやっていくと言っているのに、三年前、やはりもっとちゃんとやるべきだったんじゃないかと。

 昨日の防衛省の発表では、二〇一九年十一月、二〇二〇年六月及び二〇二一年九月のものを含めて、これは無人偵察用気球であると強く推定されるという判断に至ったということなので、三年前にもっとちゃんと分析をしていれば、その時点でそういうことに気づけたんじゃないかということを言っているんですけれども、総理、今防衛大臣も答弁してもらいましたので、気球に聞いてくださいとかそんなことを言って、安全保障上問題ありませんと、何も調べてもいないのにそういうことを言った三年前の判断というのは、間違いだったと思いませんか。

岸田内閣総理大臣 河野大臣の発言の趣旨については、先ほど河野大臣から説明があったとおりであります。

 しかし、結果として、今防衛大臣から申し上げたように、分析を継続してきたところ、今回、中国が飛行させた無人偵察用気球であると強く推定される、その上で、外交ルートを通じて、中国政府に対して、このような事態が生じないよう強く求める、領空侵犯は断じて受け入れられない、これを申し入れた。こうした対応を取ったということであります。

大西(健)委員 本当に、しっかり三年前に私はやるべきだったんだというふうに思います。

 次に、児童手当の所得制限について、既に野党六党一会派は、撤廃を政府に求めていく方針で一致をしております。そして、立憲民主党と日本維新の会は、両国対委員長の間で、先週、児童手当の所得制限を撤廃する法案を今国会に提出をするということで合意をしました。

 私たちは、来週にも児童手当法の一部改正案を議員立法として提出をさせていただきたいというふうに思っておりますので、提出をさせていただいたら、岸田総理、与党もこれに賛同していただけますでしょうか。

 そうすれば、児童手当というのは六月に二、三、四、五と四か月分の支給が行われるわけですけれども、二月中に法案を通せば所得制限は六月支給分からはかからないということでできるわけですから、岸田総理に早期に決断をしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まずは御指摘の法律案ですが、これは議員立法でありますので、これはまず国会において議論いただくべきものであると認識をいたします。

 他方、児童手当については、児童手当の三党合意による見直しが行われてから十年経過し、社会経済情勢が大きく変わるとともに、今後重点的、抜本的に取り組むべき子育て支援政策の内容、これも変化しています。そうした中で様々な意見があります。

 是非、政府としては、必要な子供、子育て政策、この内容を具体化してまいりたいと考えています。その中で、御指摘の児童手当の在り方についても判断をいたします。

大西(健)委員 昨臨時国会では、立憲と維新で先に旧統一教会の被害者救済法案を出して、与野党協議が始まって、短い期間で法律を成立させることができました。そういう意味では前例はあるわけですから、内容はもっとシンプルですから、総理さえ決断していただければすぐに実現できます。

 これは決断が遅れれば、前回の質疑で私は、十年で児童手当と、それから高校無償化で、一兆一千億円、もらえるべきものが所得制限がついたことによってもらえなかったですねという話をしましたけれども、これは六月支給分もまた、所得制限が解除されないわけですから、もらえない人が、本当だったら、早く総理が決断していたらもらえたものがもらえなくなっちゃうわけですから、是非早く決断をしていただきたいということを申し上げておきたいというふうに思います。

 もう一つ、これは指摘だけにとどめますけれども、先日、私、より厳しい方々にもやるべきだということで、児童扶養手当についても所得制限の緩和だとかをやるべきだと言いましたけれども、実は、これだけいろいろな子育て支援に所得制限がついているんです。しかも、これは対象も額もばらばらになっている。

 子供の育ちとか学びを保障するためには、私は、給付は一律であるべきで、子育て世代は分断すべきでないと思います。その点では、この児童手当の所得制限の撤廃というのはこれはあくまでスタート地点にすぎず、子育て支援策に係る所得制限全体を一度整理していただいて、そして抜本的に見直していただくということを是非していただきたいということを、これは要望として申し上げておきます。

 時間がなくなってまいりましたので、ちょっと最後に、まとめて、失われた十年ということで質問を用意してきましたので、これを御覧をいただきたいんですけれども。

 まず、安倍元首相は政権復帰後の最初の所信演説で、民主党政権では、外交政策の基軸が揺らぎ、その足下を見透かすように、我が国固有の領土、領海、領空や主権に対する挑発が続く、外交、安全保障の危機が生じたというふうに指摘をしました。もちろん、民主党政権の外交、安全保障、それが問題がなかったとは言いません。でも、じゃ、自民党政権になってどうなったのか。

 まずこれを御覧いただきたいんですけれども、尖閣周辺海域における中国船舶の数、これは、自民党政権と民主党政権を比べていただければ分かるとおりでありますけれども、高止まりしたままになっています。北朝鮮によるミサイル発射、これはもう一目瞭然ですね。自民党政権になってから、じゃ、どうなったのか、激増していますよ。全くもう比べものにならないぐらい増えている。

 もちろん、安全保障環境が厳しさを増している、そのことは私も分かった上で言っています。ただ、民主党のときには、挑発が続いているのは民主党政権だからだと言っていたんですけれども、自民党政権になっても変わっていないんですよ、何も。

 それから、我が国が戦後目指してきたのは、今日も話がありましたけれども、これは、軍事大国ではなくて、経済大国であったはずであります。そして、科学技術大国であったはずです。ところが、これは配付資料の方に載せておりますけれども、実は、防衛費は世界第九位から第三位まで上昇する一方で、日本の名目GDPは人口が三分の二のドイツに抜かれるかもしれない。それから、一人当たりGDPも、先ほど藤岡委員が指摘をしたように下落をし続けている。このままでは、富国強兵じゃなくて、貧国強兵になっちゃうんじゃないか。自然科学分野でも、影響力の大きな上位論文数で日本は十位圏外となって、韓国に抜かれて、科学技術大国としての基盤が揺らいでいます。

 失われた十年で最も悪化しているのは、次なんですけれども、子供や家庭をめぐる状況です。小学校におけるいじめ認知件数、暴力行為の発生件数は十年で約五倍、そして、コロナ禍の影響もあると思いますが、小中学校の不登校は九年連続で増加して過去最高になっています。DVの相談件数は二倍近くになっていますし、児童虐待の通告は約五倍に増えている。未来を担う子供たちは苦しんでいるんです。

 改めて、最後、パネルに整理しますとこういうふうになります。全てのことで、これはごく一部ですよ。前回も挙げました。実はここに、続、失われた十年と書いていたんですけれども、何か理事会でそれは書いちゃ駄目だと。でも、これは事実ですから。全部これは事実なんです。

 全部ここに書いてあるのは事実なのに、結局、この十年で、総理、ここに書いてあるように、十年で日本はよくなっているんですか。どうなんですか。どうなっているのか、これを是非、総理に感想を聞きたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まとめて様々な課題について十年間の結果だということでお示しいただきましたが、例えば、尖閣諸島周辺海域における中国海上法執行機関に所属する船舶による領海侵入は、民主党政権時の二〇一二年九月以降相次いでいるということが指摘できます。また、北朝鮮は、金正恩委員長の下、昨年一年だけで少なくとも五十九発もの弾道ミサイルを発射しています。

 このような展開は様々な要因によるものと考えられますが、いずれにせよ、我が国の政治状況によるものではなく、周辺国、地域が一方的な現状変更の試みや挑発行為を行っているものと認識をしております。

 そして、それ以外にも、経済についても、これは、政権交代以降、デフレでない状況をつくり出し、GDPを高め、雇用を拡大した、こうした大きな構図の中で経済についても考えるべきだと思いますし、社会的な指標について一部のデータからこの十年間を評価を下す、これは適当ではないと思っています。

 いずれにしても、それぞれ、日本のありようについて冷静に分析をした上で、これからどうあるべきかを考えていく、これが政治のあるべき立場であると思っています。

大西(健)委員 そのとおりですけれども、民主党政権のせいだと言ったのは安倍さんなんですよ。

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますので、おまとめください。

大西(健)委員 だから、そうじゃなくて、ちゃんと、失われた十年というのを反省して検証しましょうよ。是非よろしくお願いします。

根本委員長 これにて枝野君、西村君、馬場君、藤岡君、大西君の質疑は終了いたしました。

 次に、守島正君。

守島委員 日本維新の会の守島です。

 早速質問に入ります。

 維新の会は、地方から行政改革や身を切る改革を進め、政治における既得権打破や前例にとらわれない取組を行ってまいりました。自公の与党体制では、自らが掲げた議員定数の削減や旧文通費の改革といったものすらなかなか進めない、コロナ禍の議員報酬二割カットも元に戻したままですし、改革というのは非常に後ろ向きであると感じております。

 そうした中、現在、維新と立憲民主党で行政改革・身を切る改革プロジェクトチームをつくり、少しでも改革が実を結ぶように取組を始めておりまして、私もそこで維新側の事務局長をさせていただいております。これから様々なアウトプットを考えている次第ですが、そうした議会の改革や国会議員の身分に対することについて問いたいと思います。

 前提として、国民から理解が得られるのかという観点で、本日パネルでお示しさせていただいているように、オンライン議会の導入に関して、そして、議会を長期欠席する議員の身分、報酬の在り方に関して、あと、公設秘書の身内採用など、無資格で身内を国家公務員にすることの是非あたりを問いたいと思います。

 まず、オンライン議会に関して、昨日の本会議質疑でも話をしましたが、僕は大阪市議時代に、地方自治体で初めて、非常時においてはオンラインで議会参加ができるよう提案し、実際に全国初のオンライン委員会の規則制定を大阪市議会で実現しました。これは、政府がコロナ禍において、民間に対しては七割の出勤抑制、テレワークの推進というのを促していたにもかかわらず、当の議会では全くそうした取組がないことを問題視して動き始めたという経緯があります。

 コロナが蔓延し出しました三年前は、出席の憲法解釈が物理的な出席を前提にしているというロジックを盾に、総務省が、国会はもとより地方議会のオンライン活用にも後ろ向きだった中、地方自治法上規定されている本会議はまだしも、地方議会の規則で規定されている委員会までこの物理的出席という解釈に従えというのはおかしいということを、声を上げて総務省と何度もやり取りをさせていただきました。

 その後、総務省も、コロナで参集が難しいときに限定する形で、オンラインによる委員会出席が可能という通知を各地方自治体に出してくれました。以降も、僕が国会議員になってからも、更なるオンラインの活用ができるよう総務委員会等でさんざん訴えるとともに、総務省の通達自体が委員会やコロナ禍という状況に限定されていることを問題視して、この通知を改めるようにお願いしてきました。

 これまでは、自治体での取組状況、実施状況、課題を見てからということではぐらかされてきたんですが、さきの臨時国会において松本大臣に質問した際に、私の提案も含めて、必要な助言を総務省として行うという前向きな答弁をいただきました。

 そして、先週の二月七日、新たな通知が総務省より発出されました。これは、内容を簡潔に言いますと、地方議会の本会議の中で、一般質問におけるオンラインの活用であったり、災害や育児、介護など、委員会におけるコロナ以外の出席困難時にオンラインによる出席を認める旨が一定書かれておりまして、この通知が出たことにより、地方議会のオンライン活用の選択肢を広げる大きな前進が果たされたというふうに思っております。このことは、松本大臣始め総務省の皆さんには本当に感謝したいと思っております。

 しかし、今後も、採決に関わる地方の本会議や国会質問等でのオンライン活用など、これからまだまだ越えないといけないハードルが存在しますし、維新は、次のステップとして、地方の判断でオンライン本会議を採用できる地方自治法改正案を既に出しております。

 こうした国会質問や地方の本会議でのオンライン導入における出席の解釈とか法的課題は重々認識しておりますが、総理として、こうした改革を進める必要性をどのように感じているのか、お聞かせください。

松本国務大臣 委員からも既にお話をいただきましたけれども、総務省の方では、二月の七日に、本会議におけるオンラインの活用について助言通知を出したところでございます。

 これにつきましては、第三十三次地方制度調査会が昨年の十二月に、地方議会に関する答申を総理に提出をいたしております。この調査会におきまして、多様な人材が参画し住民に開かれた議会の実現に向け、オンラインの活用について積極的な議論が行われてきており、これを踏まえて、御指摘の助言通知を発出したものであります。

 本会議のオンライン出席についてでありますが、私どもでも、様々な、この調査会におきましても議論が行われておりますが、やはり、本会議において団体意思を最終的に確定させる上で、議員本人による自由な意思表明が疑義の生じる余地のない形で行われる、このことが必要なことだというふうに私どもは考えております。

 その上で、今お話がありましたように、表決と一体不可分の討論、質疑といわゆる一般質問を区別する形で、今回、助言通知を発出をさせていただいたところでありまして、今お話がありました本会議のオンライン出席ということについては、調査会におきましても、国会における対応も参考としつつ、一部の団体で取組が既に行われている委員会へのオンライン出席の検証も行って、丁寧に検討すべき課題、検証すべき課題というふうにされておられます。

 私どもも、この答申を踏まえて、委員会へのオンライン出席の状況や、そこで生じている課題、運用状況をよく踏まえ、国会の対応も参考にいたしまして、引き続き丁寧に検討してまいりたいと考えているところでございます。

守島委員 大臣に関しては、重々問題意識も認識していますし、これまで委員会でも討論をしてきたので十分分かっているので、これを乗り越えていくためにはやはり政治家が気合を入れてやらないといけないということで、総理に聞こうと思ったんですが、ちょっと総理の質問を、では、一回、時間がないので飛ばして。

 今日、この予算委員会の理事会で、国会においてオンラインによる出席は認められないという認識を僕自身は持っていたんです。このパネルがあるんですけれども、このパネルで、オンライン議会の国会の部分に、なしと書いていたところ、今日、予算委員会で、理事会で与党側から、視察や協議会で活用実績があるし、それは出席とみなされるから活用可能、国会においてはオンラインの活用は可能と書くようにと指摘を受けて、文言修正を先ほどさせられました。

 松本大臣、与党の議員が、国会でもオンラインを活用できる、出席として認められているという認識なんですが、その認識でいいのか、教えてください。

松本国務大臣 私、総務大臣として今ここで答弁を申し上げておりますので、国会の委員会における在り方、様式等について私の方から御答弁を今申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

守島委員 何を言っているんですか、大臣。与党の議員が言っているんですよ。これまでの議論を全然聞いていないんですよね、恐らく。自民党は、これまでの憲法解釈とか出席の議論というのをないがしろにする発言をしているんです、国会で出席はできるといって、文言訂正しろと言ったんですから。

 総務省は、明らかに、これまでの答弁で、衆議院規則を改正しないとオンラインによる出席は認められないと言ってきたのに、自民党の議員が、オンライン国会はできる、オンラインでの出席も認められる、ただし、今、事例として協議会とか視察でしかやっていないからだけだという言い方をしたんです。

 なので、ここでもう答弁はやめますが、憲法解釈とかは関係なく、自民党、与党議員がオンラインの活用は可能と言っているので、総理、そして大臣、このオンライン委員会、オンライン国会が進むように、進めてください。以上です。

 時間がないので、次の質問に移ります。

 次に、長期欠席者に対する扱いに関してですが、昨年の参議院選挙以降登院していないガーシー議員も議会でのオンライン活用を訴えていたと思いますが、我々、災害などの非常時のオンラインの活用範囲を広く求めているものの、あくまで原則は議会に出席するという立場でありまして、実際に登院していない人を擁護する気もありませんし、むしろ、長期にわたって欠席する議員に対しては厳しい対応をするべきだというふうに思っております。

 今は長期欠席者に対する規定がないため、ガーシー議員を処するに当たり、憲法五十八条二項の中で、両議院は、「院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。」という憲法の文言により対応が行われており、ガーシー議員の場合は、まさにこの院内の秩序を乱したということで懲罰にかかる可能性があると思うのですが、そもそも、国会議員には、国会が召集された場合に応じる応召義務はありますが、日々の国会、本会議、委員会への出席義務というのは、特段これは明文化されておりません。

 義務があって、それに対して違反があれば当然懲罰という話になると思いますが、そもそも出席義務という定義がないので、長期欠席した人に対して、そうした問題が出るたびに大きな議論になっているというのが現状です。

 なので、ガーシー議員のような事例に対しても、参議院もなかなか打つ手がなくて、一月三十日、出席を促す招状を発した後は、本会議にもそれでも来ないことを踏まえて、懲罰委員会にかけられる予定であるというふうに聞いています。

 今後、懲罰委員会にかけた後、どうした処分がなされるのか。また、最終的には、本会議における三分の二の同意で同議員を除名するのかという議論になってくるのだと思いますが、国会には議員の解職に対する規定がないため、ガーシー議員は院内の秩序を乱した議員という懲罰の件で取り扱われていることが話を分かりにくくしているのかなというふうに思っております。

 例えば、我が党のケースでも、元共同代表の片山虎之助議員は、病気で登院できないにもかかわらず、本人は意思表示できないから、辞めたくても辞められないという状況でした。

 こうしたことも踏まえて、意図的か非意図的かを問わず、職責を果たせることができないというのが明らかな場合、議員を失職させる可能性をしっかり担保する規定を定めることに関して、総理の見解がありましたら教えてください。

岸田内閣総理大臣 国会議員の身分ですとか報酬について、様々な議論があり得ると思いますが、これらは、国会議員の活動の根本、さらには民主主義の根幹に関わる問題であります。これについては国会において御議論いただくべき重要な課題であると認識をしております。

 政府の立場からこれについて何か申し上げるのは控え、是非国会においてこうした重要な議論を深めていただくことを期待したいと思っております。

守島委員 国会でしっかり議論していきたいと思います。

 職務遂行できない議員の扱いというのは今後も問われると思いますので、僕たちは、規定に関して考えていくべきと思いますが、もちろん、国民から選ばれた国会議員であったり地方議員という立場が簡単に奪われるというのも問題があると思いますし、その点に関しては慎重に考えるべきだというふうに思っているんですが、なので、解職、除名とまで言わずとも、歳費や手当をカットすることや支給しないルールがあれば、逮捕時とか長期欠席時に一定国民に理解いただける状況をつくれると思いますし、こうした、議員の身分の剥奪といった大きな結論に至る前に、平時から長期欠席時の議員の歳費の在り方について考えておくべきだというふうに思っています。

 ちなみに、少し前のことになりますが、元東京都議の無免許運転に絡んだ長期欠席の際に、都議会で条例の定めがないことで、自治法上の除名処分、懲罰ができずに、辞めさせられなくて報酬がそのまま支払われたということで、一般社会との議会のずれを指摘されたことがありました。それ以降、条例改正などを行い、長期欠席者に対する報酬停止を定める地方議会も多く誕生しておりまして、もちろん、大阪府市両議会でもそうした取組が行われております。

 ちなみに、国会でも、逮捕事案のたびに、このように歳費の支給に対する問題が提起され、凍結に関する議論はなされるものの、これもいろいろな、憲法とか法律の解釈の壁があり、結論を得ていない状況です。

 国会もこうした地方の動きに同調し、長期欠席者の報酬や手当に関する法律を定めるべきというふうに思っていますが、これも総理に問おうとしていたんですが、国会で議論してということで、しっかり国会で議論していきたいと思いますが、これに関しても、やはり法解釈で進まないというのは建設的じゃないというふうに思っていますので、今、立憲さんとのプロジェクトチームで、この件に関しても法制化に向けてしっかり議論しているので、提案した際にはしっかり与党にも賛同いただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。

 次に、国民感覚との乖離が最も大きいのが、議員の身内登用に関してだと思います。

 よく世襲が問題になることは多いんですけれども、私は、選挙で民主的な手続を経る以上、その点は一定ありというか仕方ないのかなというふうに思っているんですが、それより、総理の秘書官や国会議員の公設秘書に身内がたくさん採用されていることに疑問があります。

 秘書官も公設秘書も、国家公務員の身分と高い報酬を付与されることからしても、そもそも無資格で身内を国家公務員にすることができるというのが国民感情と乖離しているように思っています。

 総理の政務秘書官である翔太郎さんは、私用で公用車を使ったとか公務中に私的な買物をしたと指摘を受けておりますが、やはり、私的な生活と不可分である身内を国家公務員として近くに置いているからこそ、非難を受けやすいんじゃないかなというふうに思っています。特に、総理の場合は御自身の長男であって、一親等の近い身内を政務秘書官にしておりますが、職業的なスキルの積み上げとか関係なく、厚遇を受けるスタッフとして登用することは、やはり身内優遇に映ってしまうんですね。

 この間の答弁で、総理は、チームとして人選を考えたとおっしゃられておりましたが、任命権者の一存で決まる人事に身内を充てることは一定制限をかけるべきと思いますが、総理の考えをお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 現在、内閣総理大臣秘書官は八名置かれていますが、この八名がチームとして総理大臣の職務執行を常時サポートしています。今後も内閣総理大臣の職務を円滑、的確にサポートするためにどのようなチームを組むのか、これは総合的な観点から判断すべき課題であると考えております。

 制限すべきではないかという御指摘でありますが、内閣総理大臣秘書官でありますので、内閣総理大臣としての職務を円滑に実行するために、的確に実行するために、サポートするためのチームをどのように組み合わせてつくるのか、こういった判断に基づいて人選を行うべき課題であると認識をしております。

守島委員 総理の意見で、チームとして人事を決めたということは、選任理由はもちろん分かりましたし、総合的な観点でという総理の考えを否定する気は僕はありません。

 とはいえ、仮に身内に制限がなければ、やろうと思えば、秘書官を身内だらけ、公設秘書を身内だらけにすることだって実際に可能なんです。実際に、自民党の議員で複数の公設秘書を御自身の御子息にされている方がいますし、翔太郎さんも、総理秘書官の前は総理の公設秘書でしたね。

 法的には、配偶者以外の公設秘書採用は許されているんですけれども、私が大阪市議時代に所属した会派では、政務活動費を使って二親等以内の身内を秘書採用することを禁止していました。身内を国家公務員にできる制度は、やはり国会議員の既得権だと思います。この件に関しても立法することを検討しているので、是非前向きに考えてください。

 ちなみに、公設秘書は選挙期間中には一時失職しますが、その間、選挙に関わることはありますか。具体的には、翔太郎さんは選挙に関わりましたか。

岸田内閣総理大臣 結論から申し上げますと、選挙運動に関わっていたと認識をしております。

 公設秘書は特別職の国家公務員であり、多くの事務所において選挙運動を行っていると承知しておりますが、必要であれば、公設秘書による選挙運動の規制の是非については、国会議員の選挙運動の在り方に関わるものであるからして、国会において御議論をいただくべき課題であると考えております。

守島委員 そうなんです。やはり公設秘書は選挙とも不可分だと思っておりますので、率直にお話しいただいたことはありがたいんですけれども。

 なぜ身内に関してだけ強く言うかというと、やはり、選挙期間中に一時公設秘書というスタンスを外れるものの、当選後は、その時期の収入も含めて担保されます。選挙に関わる身内を、それ以外の期間国家公務員にして厚遇するというのは、結局、自分の陣営の懐を暖めることになるんじゃないかというふうに思っていて、なぜなら、同居するような近い家族であっても公設秘書にできるからです。これは、現職国会議員が選挙上有利になってしまう制度であり、かつ、世襲をつくるために都合よい制度になっていると考えます。

 公選法が古くて、現職が有利過ぎるという状況に関しては、これは抜本的に変えていかなければならないですが、今の自公政権ではこうした選挙制度改革というのは進まないと認識していますし、全ては無理でも、まずは、この身内を国家公務員に一存でできることに関しては、何かしら規制すべきと思います。

 僕自身の話をして申し訳ないんですけれども、僕自身も衆議院の選挙区において、自民党のライバル候補の方は世襲の方で、かつ、元父君の公設秘書をされていました。そして、現職になってからも御自身の身内を公設秘書とされていたので、そこまで公によって現職一家が養われて、選挙のノウハウが継承されて、世襲のスキームに使われることに関しては、これはいかがかと感じておりました。

 世襲自体を批判する気はないんですけれども、こうした親族の公設秘書採用という手法で、国の庇護の下、世襲される方が養われて、選挙地盤において選挙を経験できるという仕組みになっていることを考えると、これは本当に不公平なシステムだと思っております。

 こうした公設秘書の親族採用を規制する法制度づくりを目指していくべきと思いますが、改めて、この点に関して総理の考えをお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 現在の秘書給与法においては、六十五歳以上の者や国会議員の配偶者を公設秘書に採用することはできないとされています。その上で、国会議員の近親者の公設秘書への採用禁止については、過去にも議論があったということは承知をしております。

 こうした問題について、国民の感覚から見てどうなのか、そういった観点から、必要であるならば、これは国会において引き続き御議論をいただくべき課題であると考えております。

守島委員 総理、ありがとうございます。前向きな答弁をいただきました。

 僕自身、世襲に問題があると思っているわけではなく、やはり有利過ぎる制度自体に問題があると考えているので、その中でも、私的な結びつきが強い親族を公の立場たる国家公務員に一存でできてしまう秘書採用こそ、最も国民感覚と乖離しているところであるというふうに思っておりますので、この点に関してもしっかり国会で議論して、僕たちも立法作業に入りたいと思いますので、是非その際は真摯な御検討をお願いしたいと思っております。

 時間なのでもう終わりますが、総理、副鼻腔炎の手術、お疲れさまでした。僕もこれは経験したことがあって、数日はやはり出血とか伴ったりして苦しい状況にあると思うんですが、最後まで健康に留意して頑張ってください。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

根本委員長 この際、杉本和巳君から関連質疑の申出があります。守島君の持ち時間の範囲内でこれを許します。杉本和巳君。

杉本委員 日本維新の会の杉本和巳であります。総理、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 今日は、まず、トルコ、シリアの大地震について、余り触れられていないので、私の方からは、心から、亡くなられた方の御冥福と、被災された方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 それで、私ども日本維新の会、身を切る改革というのを大分言わせていただいていますが、テレビを御覧の皆様にも知っていただきたいんですが、私ども維新は、国会議員、衆議院が四十名、参議院二十一名、六十一名、このメンバーが、給料二割、ボーナス三割というような実額を最終的な手取りから集めまして、このお金を自主的に、返納できないので寄附するという形にさせていただいていますが、今回の大地震に対しても、本日の役員会で、トルコに対してそれなりのお金を、義援金をお出しさせていただくということを決めさせていただきました。また、シリアに対しては、内戦が続いているという状況の中で、私どもは、間接的に、国際機関等を通じてまたお出しするという予定であることを皆様にお伝えしたいということを申し上げます。

 また、地方議員もやはり給与に応じて身を切る改革を実行しますし、候補となるメンバーも、公認の条件としてこの身を切る改革を必ずやるということになっているというこの違いを、是非とも有権者の皆様には知っておいていただきたいとお願い申し上げます。

 さて、総理、今日は、岸田総理とは、私は勝手ながら親しくさせていただいていると思っておりますので、建設的な提案を三つさせていただきたいと思いますし、中には通告をきちっとしていないものもありますが、あえて聞いていただいて、心に留めていただいて、答弁は期待しませんけれども、期待しないというか、御用意いただいていないので、今後考えて、むしろ、アコードとかについて、日銀との協力とかについて提案をしますので、是非聞いていただきたいと思います。

 それで、時間がなくなってしまいますので、まず、総務大臣、お呼びしていますけれども、統一地方選挙と言われています。四月九日に都道府県議会、政令市、そして四月二十三日が一般市町村ということで、前半、後半と言われて、この時期に統一地方選挙と言われているんですけれども、私から見ると、あるいは地元のお一人お一人の有権者の方々から見ると、統一されているところと統一されていない地域があります。

 例えば、愛知県では、愛知県議会と名古屋市、政令市は一緒の四月九日です。しかし、私の地元の例えば一宮市だとか岩倉市は、県議会と市議会の選挙がずれていて、二度投票しなきゃいけないわけでございます。

 総務省の論理があって、これから答弁をされると思うんですけれども、今、議会改革であったり選挙改革ということを守島議員が言われましたけれども、是非ともできることを我々はやっていくべきではないかというのが、党派を超えた政治の役割だと思っております。そんな意味で、統一されていない統一地方選挙を、統一された統一地方選挙にしていただきたい。

 質問取りの人から、御党も特措法、特例法に賛成されましたと。私も賛成しています。直近はしようがないんです。しかし、四年後、総理が長くやっていただいて、そして四年後、岸田さん、やはり変えたじゃないか、うちの地元、選挙一回で済んだぞと。

 衆議院は、選挙区と比例と、そして国民審査ですね、最高裁判所の裁判官の国民審査、三回あります。あるいは、参議院も、選挙区と比例区、二回あります。一遍にやっている選挙がある中で、何で一緒にできないんですかということが、私の地元の声でたくさん上がってきています。私もそれをつくづく毎回感じますし、総務省の方に質問すると、官僚の答えなんですよ。官僚を変えていくのが我々の仕事ですから。行政を変えるのが我々政治の仕事ですから。

 そういった意味で、総務大臣からは手短な御答弁をいただいて、むしろ総理に御感想を伺えればというふうに思います。

    〔委員長退席、中山委員長代理着席〕

松本国務大臣 御質問の趣旨は、統一地方選挙の前半と後半を一本化をするという御趣旨だというふうに理解をして御答弁申し上げたいというふうに思っております。

 既に、都道府県と指定都市で首長、議員の選挙が一緒に行われているところもあるわけでありますけれども、もし一本化するとなると、都道府県の知事、議員、そして市区町村の長と議会議員、合わせて最大四つの選挙が重なるところが大変増えることになりますが、これらの団体でポスターの掲示場や投票所の確保ができるかどうか、管理、執行に支障を来すおそれもあったことを踏まえて、現在、二本でさせていただいているところでありまして、選挙のルールに関わることには各党各会派で御議論をいただきたいというふうに思っているところでございます。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘の点については、本年の統一地方選挙については、委員御指摘のように、昨年の臨時国会で全会一致により、都道府県及び指定都市と指定都市以外の市町村で選挙期間を分けて実施する法律が成立した、こうしたことであります。

 問題は四年後どうするかということですが、実際、実務を担当している方々から言わせると、四つ選挙をまとめてやるということについてどうかというような議論になり、いろいろな議論があるということを承知しております。

 ですから、いずれにせよ、四年後の統一地方選挙に向けては、その前に、選挙期日の特例法、これを制定する必要があります。その議論に向けて、選挙の管理、執行についての地方の意見ですとか各党会派の御意見を踏まえた検討が必要になると思います。物理的に可能かも含めて、是非検討する課題であると思っております。

    〔中山委員長代理退席、委員長着席〕

杉本委員 ありがとうございます。検討していただけるというか、まなざしはちょっと前向きに考えてくださっているというふうに受け止めさせていただきました。

 官僚に任せていると全く変わりませんから。いつまでたっても同じで、ああ、また統一されない統一選挙ねということが四年後に言われたら、我々はサボっていたということになりますので、是非ともお願いします。

 それで、これは答弁は求めませんけれども、期日前投票を含めて、私ども維新は、コンビニ投票であるとか、あるいは、個人的には思いますが、郵便局とか、期日前なんかの場合に郵便局とか使って。本人確認が今の選挙は逆にできていないですよね。身分証明書を出さないで、投票用紙を持っていって投票させてくれるから代理投票できちゃうみたいなことが、横行とまでは言いませんが、あったりすると聞いておりますので、そういう点で、コンビニ投票だとか郵便局投票、ひいては、エストニアじゃありませんけれども、ネット投票ができるというのがやはり民意の反映だと思いますので、是非ともそういった展望で、DXの時代ですから、そういう試行もしていただきたいとお願いをしておきます。

 それで、民意の反映ということで、あえて突っ込んで聞きますが、解散について伺います。

 問題山積、少子化対策をやらなきゃいけない、そしてまた物価高対策をやらなきゃいけない、そして、G7議長国でウクライナの問題もやらなきゃいけない。こういうことがあるので、私は当面選挙はないと思うんですけれども、総理がお決めになることなので何とも言えないんですが、安倍総理がいらしたときに、私は、六か月たったところでもう選挙のうわさが出ちゃっていたので、総理、まさか、この段階で首を切られたら私はたまったものじゃありませんと言ったら、周りの方もそうだとおっしゃって、自民党の方もおっしゃいましたけれども。

 あるなしは総理が決められるということなんですが、ポイントは、やはり、今回の予算なんかでもそうですが、増税のことが民意を問う大きなテーマになると思いますので、安全保障上、我々は維新として防衛費増額というのは当然求めておりますけれども、一方で、やはり増税をしないで行革でやっていこうというのが我々の思いでありますので。

 そういった意味で、増税をするようなことになった場合には解散もあるということを確認したいのと、安倍総理はこうやっておっしゃっていたんですね、頭の片隅にも解散はありませんと私に答えられたことが記憶にあります。現在、総理の頭の中に、解散という文字が頭の片隅にもあられるかないか、ちょっと教えていただければと思います。

岸田内閣総理大臣 国会の議論でも申し上げているように、我が国、そして、今、世界は歴史的な転換点にあると認識をしています。だからこそ、先送りできない課題に挑戦しなければいけない。

 御指摘の防衛力の抜本強化はもちろんですが、GX、我が国のエネルギーの安定供給と脱炭素を両立させるためのエネルギー政策も転換をさせていかなければいけない。さらには、新しい資本主義、賃上げを実現して、成長と分配の好循環を実現しなければいけない。そして、我が国の社会経済の根本であります少子化対策に向けて思い切った政策を進めなければいけない。

 まさに、我々は、歴史的な転換点において果たさなければいけない政治の責任を目の前にたくさん持っているわけです。この責任を果たしていく中で、適切な時期に国民の皆さんの御判断をいただく、こうした時期を考えていかなければならないと思っています。

 その時期については、内閣総理大臣の専権事項でありますので、そうした重要課題を国民の皆さんにしっかりと説明した上で、適切な時期を考えなければならないということです。

 そして、今時点で頭にあるかということでありますが、今時点、具体的な時期については全くありません。

杉本委員 率直な御答弁、ありがとうございます。本当に問題山積だと思います。

 私が勤めていた銀行に、中山素平という中興の祖の頭取がいらしたんですけれども、問題は解決されるために提起されているということでございますので、統一されない統一選挙もそうですが、少子化問題も解決されるために提起されていると思っています。

 私は、サラリーマンのとき、三十年前に、自民党の当時の税調会長に、N分のN乗方式に通ずるフランス型の子だくさん減税を入れたらいかがですかと申し上げたんですが、そうしたら、君、よく勉強しているねと言って、それで終わりました。あれから三十年です。綾小路きみまろさんはあれから四十年なんですけれども、自民党、まあ、一時民主系もありましたけれども、あれから三十年、政治は何をやってきたかということで、そういった意味では、少子化問題を取り上げていらっしゃるということは本当に大事なことだと思っています。

 さて、次に、提案ですけれども、もう一つ大事な話。日銀との協力という話なんですけれども、我が党は二月二日に、維新は日本銀行法の一部を改正する法律案というのを出させていただいて、条文の中で、その協力連携の大事さみたいなのを強調しております。

 日銀は、物価の安定並びに雇用の最大化及び名目経済成長率の持続的な上昇に係る目標並びに当該目標に基づき日本銀行の果たすべき機能及び責務等を定める協定、以下単に協定という、を政府との間で締結するものとするということで、協定という言葉まで使って、いわゆる、今、共同声明ですけれども、連携をもっと強化するべきではないかということを申し上げてきております。

 それで、総理にいろいろ聞こうと思っておったんですが、時間が多分なくなってくるので、私の問題意識は、これは通告していないんですけれども、日銀は超メタボです。もうどうしようもないぐらい太っちゃっている。何で太っちゃったかというと、量的緩和をたくさんやってきたからです。それを悪いとは私は言っていません。しかし、せめて健康な体質に変わっていくまでの肥満の状況ぐらいに持っていかないと、今五百キロある体重を二百キロぐらいに下げないと、痩せる体操をしても、いや、私、起き上がれないんですというお写真なんか見たことがありますけれども、もうそういう状態なんですね。

 一方で、政府はどうなのかというと、御案内のとおり、国と地方で合わせて千二百兆円の借金だというふうに、これは、私、財務省の片棒を担いでおりませんが、資産もありますということの中で、何とか、今出口戦略とは言わないんですが、出口戦略に通じる手段を持っていないと、新総裁ですか、今、案が出ている状態で、植田さん、頑張ってくださると私も期待したいし、今回の人事、我が党はまだどうするか、賛成、反対決めていませんけれども、たすきがけをやめられたということは、すごい人事をされたというふうに私は評価していますけれども、ただ、中身が大事なので。

 それで、協定、アコード、連携、どういう言い方でもいいんです。いずれにしろ、しっかり協力してほしいというんですけれども、具体的に何をしたらいいかというと、財務大臣、御答弁求めませんけれども、千二百兆の借金も減らしていかなきゃいけないということで、プライマリーバランスの目標というのが二〇二五年と、絵に描いた餅がありますけれども、食べる餅にしなきゃいけない。ちょっと長く、遠回しに言っていますけれども。

 何が言いたいかというと、実は、アメリカの米国債を日本国が持っています。世界で一番持っています。この持っている米国債というのは、アメリカとの日米関係、日米安全保障条約等を鑑みると、ほとんど減らせないというのが日本国の事情です。政府がこれを持っています。一方で、日本銀行は国債をいっぱい引き受けて、今、五百兆以上、六百兆近く国債を持っています。両方の資産なんですね、どっちも。難しい話で申し訳ないんですけれども。この資産を交換させるんですね、スワップするんですね。これが、円ベースに直すと大体百五十兆ぐらいあるんですけれども、それでも百五十兆なんですよ。この百五十兆を一遍に交換するのも一つの策だし、そうではなくて、一部、ちょっとずつでもやるというのも、とにかく国債の残高を減らしていくという目標が、二〇一八年の骨太の方針の二行目に、プライマリーバランスの下に書いてありますよね。そのことを実行していくということがすごく大事なんですね。

 絵に描いた餅で、プライマリーバランス大事です、守っていきますとかと言っているよりは、ああ、日本動いたぞ、日銀と連携して、岸田政権は動いたぞと言っていただくためにも、これは法的な問題があるかもしれませんけれども、資産交換を、これは通告していないから答えは多分ないと思うんですけれども、これを考えることによって、出口戦略を植田さんがやっていくに当たって、いわゆるフリーハンドというか、アローアンスというか、手段を持ち得ると。

 一方で、今、イールドカーブコントロール、金利を〇・五に抑えるというのが、売り浴びせられたりすると、またまた買わなきゃいけない、どんどんどんどん買わなきゃいけない。〇・五に抑えるとか、こういう無理な金利の調整をずっと日銀がやることによって国債が膨らんでいっている、こういう状況です。

 ですから、そういうことを、金利をしっかりコントロールしていくためにも、国債の日銀の残高を減らしてあげるということ、政府の塩漬けになっていて動かせない米国債を使うということ、これを日銀に渡すんですね。こういう交換というのが、岸田総理は長銀にいらしたから分かると思うんですけれども、そういう資産交換ですね、これを考えてはいかがかと思っていて、これがまさしく協定というか、あるいは連携というか、そういうことにつながるんではないかと思っております。

 時間がなくなってしまいますので、総理、感想だけで結構ですし、これから勉強するでも結構ですし、一つのヒントだということでも結構なんですが、出口戦略がないと言われている中で、私はこれは一つの答えではないかと思っていたんです。だから、ちょっと、是非とも御検討いただけないかということで、御感想を伺えればと思います。

岸田内閣総理大臣 御提案いただきまして、自分なりに考えてみました。

 外為特会において、外国債と短期国債と、見合いでこれを調達しているということで、両建てになっているということについてどうかとか、いろいろ技術的には考えなきゃいけない点があるんじゃないかなと想像はいたしますが、いずれにせよ、一つの御提案として興味深く聞かせていただきました。

 ただ、それについて具体的に私が何か言えば、これはまた大きな騒ぎになりますので控えますし、いずれにせよ、そうした具体的な金融政策あるいは業務運営につきましては、日銀の自主性の観点から、日銀において判断すべきものであると考えます。今後、日銀が、市場や国際社会との対話の中でどのような政策を取っていくのか、これを判断していくことになるんだと想像いたします。

 しかし、まずは、今、人事について国会の御承認をいただく段階でありますので、それを待ちたいと思っております。

杉本委員 ありがとうございます。

 もう時間がなくなってしまうので、三つ目の提案で、今度は少子化問題に行きたいんですけれども。

 総理、いろいろ考えてくださっていて、小倉大臣が三月に取りまとめて、六月の骨太の方針というのを伺っています。そこは分かりますが、正直、このままでいくと、私の心配は、まあ、野党だから敵の失敗を拍手するというのはありますけれども、そんな、もう時間はないので、とにかくいい成功例をつくっていただく必要があると思っています。

 そういった意味で、ちょっと今から出てくるのはインパクトが弱いんじゃないかなというふうに思っていて、もっとパンチのある、本当に国民の間でうわさになる、話題になる、ああ、すごいね、政府、やる気だなというようなことをされることがすごく大事だと思っております。

 そういった意味で、例としては、ハンガリーで、オルバーン政権って、ロシア寄りで、EUの中では評判よくないですけれども、少子化対策をやっていまして、四人子供を授かると、産むとですけれども、所得税ゼロなんですね。ただ、一方でローンの形を取っていて、残念ながらお子さんできませんでしたという人はローンを返せとかいうひどい話でもあったりするんですけれども。とにかく、だけれども、そこまでインパクトがあることをハンガリーはやっているわけですね。

 そういった意味で、この二〇二三年四月から、四十二万円を五十万円に出産一時金がされます。それと、出産・子育て応援給付金、十万円のクーポン、これを今年の一月からということで、五十万と十万で六十万というのはあるんですけれども、インパクト、それでも私は弱いと思うんです。

 それで、お子さんが生まれたら、一千万とかと本当は出したいですけれども、そうすると十兆かかる話になっちゃうので、まずは私、出産一時金を百万にしたらどうだと思っています。今回の予算は難しいから来年度でいいですよ。とにかく決めるんです。それで、百万にするんだけれども、これはまた厚労省が健保制度の枠内だからそんなの難しいですとかと言うんだけれども、健保制度の枠内の政治をやっているわけじゃないんです、我々は。もっと、本当に子を授かっていただいて、まず結婚していただいて、子供を授かっていただいて、産んでいただいて、この少子化の流れを、急激な減少を歯止めをかけなきゃいけないということなので、百万円に増やすという提案。

 それから、その百万円は、出産時じゃなくて、懐妊時、妊娠された時点でもう上げますよということにする。あるいは、渡し方として、我々維新では、大阪で教育バウチャーというのをやって、月一万円の塾代を十二か月やって十二万円出すというのを吉村さんはやっています。大変評判がよくて、ほかの地域から大阪に引っ越してくる方がたくさんいる。

 こういう現実も、小倉大臣、見ていただきながら、是非とも、バウチャーの形式で百万円の支給に変えていくというのを、とにかくインパクトがあることをやっていただきたい。うわさになることをやっていきたい、印象深いことをやっていきたいということなんですけれども、この点について、是非とも検討対象に入れていただきたいと思うんですけれども、大臣から短くと、総理から一言感想をお願いします。

小倉国務大臣 お答えします。

 まず、御提案ありがとうございます。

 少子化対策は、妊娠、出産時だけではなくて育児、育児といっても、乳幼児期から子供が高等教育に行くまで、切れ目のない支援が非常に重要なのかなというふうに思っております。

 御提案の出産育児一時金の増額と直接支給についてでありますが、短くということでありましたので、様々な、例えば手続が煩雑になるなど課題があるのも承知をいたしておりまして、そういった中で、三月末のたたき台までに、まさにインパクトのあるものということでありましたので、国民の皆様方に御安心いただけるような、そういったものを作るべく努力をしてまいりたいというふうに思います。

岸田内閣総理大臣 まず、今考えております出産育児一時金五十万円ですが、これは、平均的な出産費用を全て賄えるようにということで金額を設定をしております。これと見える化、それから当事者の選択できる制度を組み合わせることによって、実質的に本人の負担をゼロに近づけていく、こうした制度を考えています。

 ですから、いきなり百万円というのではなくして、現実的な金額、負担をできるだけ小さくするということで今の制度を考えています。

 それから、本人に直接支給ということになりますと、一時的でも本人の負担、立替えの負担が生じます。これとの関係において、今、制度としては、医療機関に直接払う、こういった制度に変わったという経緯があると承知をしています。

 こういったことを踏まえて、どうあるべきなのか、出産育児一時金についても引き続き議論をしていきたいと考えます。

杉本委員 厚労省の言いなりにならずに、大胆にやっていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

根本委員長 この際、奥下剛光君から関連質疑の申出があります。守島君の持ち時間の範囲内でこれを許します。奥下剛光君。

奥下委員 日本維新の会の奥下剛光です。

 本日、このような貴重な機会をいただいた党と、この場に送り込んでいただいた地元の皆様に感謝しながら、質疑をしたいと思います。

 まずは、中長期財政試算について、後藤大臣にお尋ねいたします。

 コロナ対策で財政収支は膨らみ、基礎的財政収支の赤字は一八年度の十兆円から二二年度には五十兆円に増加しておりますが、政府は、基礎的財政収支を二五年度に黒字化するというコロナ禍前からの目標を変えておられませんが、この一段と悪化した財政をどう立て直されるんでしょうか。

後藤国務大臣 一月二十四日の経済財政諮問会議において報告された中長期試算では、成長実現ケースにおいて、二〇二五年度時点の歳出自然体の基礎的財政収支、PBは、対GDP比で〇・二%程度、一・五兆円の赤字となるものの、これまでの歳出効率化努力を継続すれば、二〇二五年度の黒字化が視野に入る結果となっております。

 足下の大幅な赤字につきましては、累次の経済対策等によりまして、感染症や物価高騰などに対応するための経済下支えのための支出が大宗でございます。民需主導の成長軌道に回復していく中で、これらの経済下支えのための支出から脱却することで、PBもコロナ前の水準に戻していくことが可能と考えております。

 さらに、PB黒字化に当たりましては、潜在成長率を引き上げて、歳出効率化努力も継続化していくことが重要であります。そのため、具体的には、人への投資の抜本強化と、労働移動の円滑化による構造的賃上げや、官民連携による成長分野への大胆な投資拡大を通じて、新たな経済成長の軌道に乗せていくこと、また、ワイズスペンディングやしっかりとした安定的な財源を確保して、多年度中立の仕組みを着実に実施することが必要であると考えます。

 こうした取組を通じて、市場や国際社会における中長期的な財政の持続可能性への信認が失われることがないように、経済再生と健全化の両立に努めてまいりたいと思います。財政健全化の旗を降ろさず、その目標達成に向けてしっかりと取り組んでまいります。

奥下委員 ありがとうございます。

 役所に聞いたら、名目成長率が三パー以上を維持すると予測の下、計算しているということを聞いております。実際、名目成長率が三%を超えたのはここ二十年で一度きりですので、ちょっと甘い数字設定だと言わざるを得ないかなと思っておりますが、今言っていただいたように前向きに取り組んでいただけたらと思いますので、ありがとうございました。

 大臣におかれましては、ここまでですので、御退席いただいて結構です。ありがとうございました。

 次に、社会保険協会への天下りについてお尋ねします。

 先日、全国国民年金基金への天下りについて他党の先生が御質問されたので、そのときの大臣のお返事が、公募要件の見直しをしていくということだったんですが、その後すぐに、社会保険協会への天下り、これは日本年金機構から天下っていたという報道が出たんです。

 このお示しさせていただいたパネルですけれども、これが、「厚生年金保険制度回顧録」、財団法人厚生団というところが出した本でして、当時の厚生省の年金課長の花沢さんという方がお話しされているんです。

 ちょっと読ませていただくと、いよいよこの法律ができるということになったとき、すぐに考えたのは、この膨大な資金の運用です。これを一番に考えました。この資金があれば一流の銀行だってかなわない。今でもそうでしょう。何十兆円もあるから、一流の銀行だってかなわない。これを厚生年金保険基金とか財団とかいうものをつくって、その理事長というものは、日銀の総裁ぐらいの力がある。そうすると、厚生省の連中がOBになったときの勤め口に困らない。何千人だって大丈夫だと。金融業界を牛耳るぐらいの力があるから、これは必ず厚生大臣が握るようにしなくてはいけない。その次に、年金を支給するには二十年もかかるから、その間、何もしないで待っているというばかばかしいことを言っていたら間に合わない。

 ちょっと一部割愛させていただきまして、そして、これは強力な団体をつくってやるんだ。それも健康保険協会とか、社会保険協会というようなものではない、大営団みたいなものをつくって、政府の保険については全部委託を受ける。そして年金保険の掛金を直接持ってきて運営すれば、年金を払うのは先のことだから、今のうちにどんどん使ってしまっても構わない。使ってしまったら先行困るのではないかという声もあったけれども、そんなことは問題ではない。貨幣価値が変わるから、昔三銭で買えたものが今五十円だというものと同じようなことで、早いうちに使ってしまった方が得をする。だからどんどん運用して活用した方がいい。何しろ集まる金が雪だるまみたいにどんどん大きくなって、将来みんなに支払うときに金が払えなくなったら賦課式にしてしまえばいいのだから、それまでの間にせっせと使ってしまえというような、書かれているところがあるんです。

 これは、加入者の利益のためとか、全く考えられていないと思うんですけれども、大臣、公募要件の見直し云々の前に、厚生労働省自体にこういったことがもう潜在的にDNAとしてあるんじゃないんでしょうか。

加藤国務大臣 かつて年金の運用等でいろいろと御議論いただいて、そして、現在、管理全体は日本年金機構が社会保険庁から移行し、そして運用自体はGPIFと、これはまた別建てで運用しているという仕組みでまずやらせていただいている。

 その上で、いわゆる天下り等についても、例えば、日本年金機構について申し上げれば、退職した役員の再就職については、これは国家公務員じゃありませんから同様の再就職規制の対象にはなっていませんが、内部規定で、辞める人の情報を提供しちゃいけないとか、あるいは、辞めた後、離職後二年間は当該機構の役職員に対して職務上の行為の便宜を図るよう要求し又は依頼することを禁止する等の規制がなされているところでございます。

 また、その実態がどうなっているかということを把握するために、退職時に部長級以上であった役職員は、退職後二年以内に再就職した場合に届出を求め、公表する、こういった様々な施策を出させていただいております。

 ただ、先般御議論していただきました国民年金基金、あるいは今お話があった社会保険協会、こういったところの役職員の公募が必ずしも適正かという御指摘もいただきましたので、公募要件を幅広く設定する、そして、公募するという事実を多くの方に周知をすることによって、適正な公募が行われる、そういったことにも努力をしていきたいと考えています。

奥下委員 ありがとうございます。

 組織的な改革もそうですけれども、そもそも年金の制度自体が、我々日本維新の会は、もうスクラップ・アンド・ビルドで根底からつくり直す必要があるというふうに思っておりますので、これはもう今まで提言させてきていただいておりますのでここでは言いませんが、是非、結果として、社会保険協会、二十七都道府県に天下りをしているわけですから、今あるものは仕方ないので、この先きちんとこういったことを正していっていただきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 基準財政需要額の算定項目の一つである生活保護についてお尋ねしたいんですけれども、まず、誤解のないように申し上げておきますと、きちんと保護する、サポートすべき人はきちんとサポートする、これは当たり前です。

 そうした中で、これは私の体験談でもあるんですけれども、大阪市長の特別秘書時代、大阪市役所で、一階で、ある男性の方に声をかけられました。生活保護を申請に来たんだけれども、どこに行ったらいいんでしょうかと。地元の区役所に行ってくださいということを申し上げたんですけれども、他府県から来たからよく分からないと。それで、どういうことですかと聞いたら、どこの県とは言いませんけれども、申請に行ったら、大阪市に行った方が申請の許可が出やすいから大阪市へ行きなさいということで電車賃を渡された、それで来たというんですね。

 これにびっくりしたんですけれども、まず、こういったことが厚生省として御認識されているんでしょうか。

加藤国務大臣 まず、委員からも最初にお話があったように、生活保護制度、これは最後のセーフティーネットとして、最低限の生活を保障するものであるという位置づけであります。

 その上で、各都道府県ごとに、あるいは市町村ごとに生活保護の決定の運用にばらつきがあるんではないかというお話でありますけれども、実際、保護の実施機関である福祉事務所においては、資産や収入状況など、各種調査などを行った上で、地域の実情も踏まえて適切に判断していただいておるわけであります。

 そうした地域差の中には、例えば今お話もありました大都市の困窮者では、扶養義務者が遠隔地にいて交流が断絶している、こういった場合が多いなど、様々な要素も絡み合っているというふうに思っておりますので、一概に、当該地域、A地域とB地域において差があるということは言えないんではないかとは考えております。

 ただ、いずれにしても、適正な運営が図られていくということは非常に大事でありますので、厚労省、また都道府県等から福祉事務所に対する事務監査を行い、改善を要する点があれば指導等を行っているところでございますので、引き続き、こうした取組を通じて、生活保護行政そのものの適正な運用を図っていきたいと考えています。

奥下委員 そうしたことがあってから、当時の橋下市長が厚生労働省に対して、調査権を欲しいということで、厚生労働省といろいろすったもんだしたんですけれども、結果、調査権をいただきました。

 その結果、平成二十四年度から不正受給の調査をさせていただいて、この十年間、去年の令和三年度まで、約十五億円削減したというか、不正受給、これを摘発できて、十五億円減らせたという事実がございます。

 その中で、今、大阪市が厚生労働省にお願いしているのが、民間機関の開示義務、これをお願いしています。どういうことかというと、やはり銀行がまだ個人情報だということで開示していただけないということなんですけれども、こういった開示義務をしていただくことによって、調査もよりスムーズになりますし、調査隊の方も労力が抑えられると思うんですけれども、こういった開示義務を含めて、志ある自治体の首長さんが調査権を持たせてほしいといったときに、厚生労働省さん、今後、考えていただけないでしょうか。

加藤国務大臣 各自治体が不正受給防止に取り組んでいただけるよう、自治体が関係機関の連携協力体制を強化する場合等の財政支援を行っておりまして、大阪市においてもこれを活用し、先ほどお示しいただいたような不正受給等の決定等もやっていただいているものというふうに承知をしております。

 その上で、福祉事務所が実施する生活保護受給者に関する資産等の調査についてでありますけれども、平成二十五年の生活保護法改正で、官公署等に対しては、福祉事務所からの情報提供の求めに対する回答義務、これを設けました。しかし、御指摘の銀行等の民間企業に対しては回答義務を設けていないところであります。これは、銀行等の民間機関に対して給付事務の実施のために回答義務を課すということは、他に類例がないということ、また、全ての民間金融機関から理解を得るということはなかなか難しいといった課題がございます。

 しかし、厚労省では、自治体の資産調査が円滑に進むよう、金融機関に対し、福祉事務所からの照会への早期回答を依頼する旨の通知等、取組を行っており、これまでかなりの金融機関は御協力をいただいているというふうに思います。

 引き続き、金融機関、さらには関係団体としっかりコミュニケーションを図り、福祉事務所からの調査への協力、これをしっかりいただけるように環境をつくっていきたいというふうに思っています。

奥下委員 ありがとうございます。是非そのように御協力いただけたらと思います。

 そして、大阪市が生活保護を調査すると同時に、当時、一定の条件を追加することをお願いしました。それは、一定の労働時間を設けた者に対しては、更なる、一部給付なのか、全く働いていない方を働くことによって給付させるという条件、こういったのはどうかと提案したところ、職業選択の自由があるので労働は強制できないということで、当時、厚労省さんからのお返事だったんですけれども、大阪市においては、令和元年度におきまして、働きによる収入の増加、これが、人数でいうと千三百九十一人、二年度だと千百二十八人、令和三年度だと千百三十四人ということで、年代層でいうと二十代から六十五歳の方がほとんどなんですね。

 やはりこうやって、働く意欲、生活保護の目的の一つで自立を支援するということもあるので、是非こういったことをもう一度御検討いただけないかなと思うんですが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 生活保護法の第四条で、生活保護は、「生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。」と規定されているわけであります。本人の稼働能力を活用していただけないと判断される場合には福祉事務所から指導、指示を行い、それに従わなかったときには保護の廃止等を行うことになります。

 この稼働能力を活用しているかどうかの判断は、その方に稼働能力があるか否か、能力を活用する意思があるか否か、就労の場を得ることができるか否か、個別に判断する必要があり、御指摘のように一律に稼働能力がある生活保護受給者に一定時間の就労を義務づけるというのはなかなか難しいのではないかと考えています。

 他方、厚労省としても、生活保護受給者が早期に就労し、保護廃止につながれるような支援を行っていくことは大変重要であると考えており、就労支援事業による就労に向けた相談、助言等の支援の実施、さらには、勤労控除、就労自立給付金の支給などの取組も行っており、引き続き、受給者の方が自立に向けて対応していただける、そうした支援を含めてしっかりと取り組ませていただきたいと思っています。

奥下委員 ありがとうございます。

 地方に調査権とかを与えることによって減らせる財政需要は必ずあるということで、基準財政需要額の算定の一つで、まあ、いろいろな項目があるので、これを減らしたから地方交付税がそのままイコール減らせるというわけではありませんけれども、何が言いたかったかというと、今国会、予算委員会が始まって、我々日本維新の会、同僚の議員がいろいろな改革を提案させていただきました。国で当然改革を進めていくという総理のお答えもいただいておりますが、地方もこうやって権限を与えていただくことによって改革を進めていくので、どうぞ地方にも権限を与えていただいて、一緒に改革を進めていっていただけたらというふうに思います。

 次に質問を移ります。

 これも私が秘書時代聞いた話でございますが、大蔵大臣、財務大臣の秘書をやらせていただいたこともあって、当時の役所の方とおつき合いがあった中で聞いた話です。

 我々財務省職員は、増税が正義だという教育を受けてきていますと。どういうことですかと聞いたら、経済成長して財源が確保できるというよりも、増税をすることによって財源を確保する、財務省のおかげで財源が確保できた、そうすることによって、ほかの省庁に物が言えて、その後、各省庁の天下り先に行くことができるんだと。

 当時は本当かなというふうに思っていたんですけれども、今、財務省出身の方が、何人かそういった話もしておられます。そういった話を考えると、今回の防衛費のための増税、これは本当にそうなのかな、増税ありきの話じゃないのかなというふうにやはり思ってしまうんですが、財務大臣と総理に、この辺りお伺いしたいと思います。お願いいたします。

鈴木国務大臣 今回抜本的に強化される防衛力、これは将来にわたって維持強化していかねばなりません。これを安定的に支えるため、令和九年度以降、裏づけとなる財源、毎年度約四兆円のしっかりとしたものを確保すること、これが不可欠であると考えております。

 その財源確保に当たりましては、御指摘のように決して増税ありきというわけではなくて、総理の御指示に基づきまして、国民の負担をできるだけ抑えるべく、あらゆる工夫を検討した結果、徹底した歳出改革に加えて、特別会計からの一時的な受入れでありますとか、あるいは国有財産の売却などによって、必要な財源の約四分の三を確保したところでございます。

 その上で、どうしてもそれでも足りない約四分の一について、将来世代に先送りすることなく、令和九年度に向けて、今を生きる我々の責任として、税制措置での御協力をお願いをいたしたい、そういうふうに考えております。その際、国民の負担感をできるだけ抑える観点から、個人、法人への影響に最大限配慮する仕組みにすることにしております。

 いずれにいたしましても、国民の皆様方の御理解を得ることができますように、丁寧な説明に努めてまいりたいと思っております。

岸田内閣総理大臣 ただいま財務大臣から説明させていただきましたように、防衛力の抜本的強化に関しての財源措置ですが、これは、毎年度約四兆円を確保するに当たって、決して増税ありきではなく、行財政改革を徹底するなど最大限の工夫を行った上で、必要な財源の約四分の三、これを確保することといたしました。

 国民の皆様に御負担をお願いする以上、政府として徹底して行財政改革の努力を行うべきとの指摘、それはそのとおりであります。行政の無駄や非効率を排除し、あらゆる行財政改革の努力を尽くすことで、将来にわたって維持強化していく防衛力を安定的に支えるしっかりとした財源を確保することができるよう、最大限取り組んでまいりたいと考えております。

奥下委員 ありがとうございました。

 時間となってしまいました。浜田大臣、申し訳ございません、ちょっと時間切れなのでこれにて終わらせていただきますが、日本維新の会、総理がおっしゃる改革に一緒に、共に歩んでいきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて守島君、杉本君、奥下君の質疑は終了いたしました。

 次に、前原誠司君。

前原委員 国民民主党の前原でございます。

 質問の機会をいただきましたことに、同僚の皆様方に感謝を申し上げたいと思います。

 まず、尖閣の問題について質問いたしたいと思います。基本的には総理にお答えをいただきたいと思います。

 尖閣は、言うまでもなく日本の固有の領土であります。他方、中国も台湾も領有権を主張しております。

 中国の習近平国家主席は、二〇一六年二月二十四日に開かれた人民解放軍の最高指導機関、中央軍事委員会の拡大会議で、尖閣諸島や南シナ海の権益確保は我々の世代の歴史的重責と述べたと言われています。

 アメリカの戦略予算評価センターから二〇二〇年五月に出された報告書では、中国が米国の介入を許さないまま素早く尖閣を占領するシナリオを作成していると指摘をされております。

 総理に伺います。尖閣諸島が占領された場合、どのように対処するのか、お答えください。

岸田内閣総理大臣 当然のことながら、事柄の性格上、詳細を申し上げることは控えなければならないと思いますが、例えば、離島などに対する武装集団による不法上陸等が発生した場合には、状況に応じて、治安出動ですとか、あるいは海上警備行動等を発令して対処すること、これらが考えられます。

 政府としては、平素より、武力攻撃に至らない侵害や、武力攻撃事態を含む様々な事態を想定し、関係機関が連携して各種の訓練を行ってきており、今後とも、不断の検討を行って、対処に万全を期してまいりたいと考えております。

前原委員 その後のことなんですね。ですから、治安出動まで今おっしゃいましたけれども、ずっと占拠をされた場合、一般論で結構ですよ、日本の領土、離島が占拠され続けているという場合においては、これは防衛出動に当たるのかどうなのか、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 急迫不正の侵害が生じているなど個別具体的に判断した上で事態について判断する、こういったことになると考えます。

前原委員 後ろで石破元防衛大臣は防衛出動に当たるに決まっているじゃんということをおっしゃっていましたし、私もそう思います。

 ちゃんと答えられることが大事だと思います。もう一度ちゃんと答えられた方がいいですよ。

岸田内閣総理大臣 具体的な事態において個別具体的に判断する、この基本的な考え方は今申し上げたとおりであります。結果として事態に該当することになる、これは当然あり得ると思っております。

前原委員 当然ですよね。

 自らの国が占領されたら、最終的にはどんな手段でも取り返しに行くということは当たり前のことですから、防衛出動をかけて、そして取られたものは取り返すということは当たり前だと思いますので、それはしっかりと、まず確認をさせていただきたいと思います。この確認は次の質問へのステップでもありますので、その点は共有をさせていただきたいと思います。

 台湾の問題なんですね。台湾の問題についてでありますけれども、アメリカの中央情報局、CIAのバーンズ長官でありますけれども、今月、ジョージタウン大学で行った講演で、こう述べているんですね。習近平国家主席は、二〇二七年までに台湾侵攻を成功させる準備を人民解放軍に指示したとの情報を得ている、習国家主席は侵攻を決めていないが、台湾をめぐる習主席の野心を過小評価しないと。

 中国は、尖閣諸島を台湾省の一部だとみなしています。台湾侵攻を行うとき尖閣を除外するとは到底考えられません。ということは、台湾有事は日本有事になるという認識でよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 台湾有事は日本の有事になるかという御質問ですが、まさにこれは個別具体的に判断しなければならない課題であると認識をいたします。

前原委員 ということは、なる場合もあるということですね。

岸田内閣総理大臣 憲法、国際法、国内法の範囲内で、我が国として安全保障に対応いたします。そのルールの中において、我が国としてどのような対応をしなければならないのか、判断をいたします。

前原委員 質問に真っ正面からお答えください。

 台湾有事は日本有事になることもあり得るということでよろしいですね。

岸田内閣総理大臣 個別具体的に判断すると申し上げました。我が国の国民の命、暮らしに影響を及ぼすような事態に対して、政治としてしっかり責任を果たしてまいります。

前原委員 なぜこういう質問をしているかというと、仮定の話をしているのではなくて、二〇二七年までにあり得るんじゃないかという時間軸が削られる中で、だからこそ、五年間に四十三兆円ですか。我々は、四十三兆円という数字については、まだ中身を具体的に精査できていないので、数字ありきについては賛成をしておりませんけれども。総理に我々国民民主党も御提言をさせていただいたように、防衛力の強化、防衛費の増額というものについては賛成です。しっかりやらなきゃいけないと思っている。それは、先ほど尖閣の例で申し上げましたけれども、自分の領土を自分で守る、しっかりと領土を守り、国民の生命、財産、生活を守っていくというためには力強い抑止力となる防衛力というのは必要である、こういう認識なんですけれども。

 恐らく、日本の国民からすると、台湾と中国の間の紛争に日本がアメリカを介して巻き込まれるということについて、理解できない人が私は多いと思うんですよ。台湾は中国の一部だと思っている人もいるし、あるいは台湾は独立した国家だと思っている人もいるでしょう。ただ、中国と台湾のことでなぜ日本が戦争に巻き込まれるのか、こういう感覚の方は私は多いんだと思いますね。

 その前提で一つ申し上げたいのが、私は、こういう説明をしなきゃいけないと思うんですよ。

 アメリカが勝手に介入して、そして日本が巻き込まれる、こういう議論をする人たちはたくさんいると思うんですが、平時においてはアメリカの抑止力の中にいて、例えば、巨大な軍事力を増強している中国に対して日本が主権を守れている、あるいは航行の自由とか様々な恩恵を受けているということも説明が必要でしょう。そしてまた、北朝鮮のミサイル・核開発。これについても、アメリカとの同盟関係であるがゆえに言ってみれば抑止されているということについても説明をしなければいけない。平時にアメリカと同盟関係であることについて、我々は恩恵を受けている。

 しかし、台湾に対してアメリカが肩入れをして、そして結果として、日本が、日米同盟関係の中にある、しかも基地がある、近くにあるということで巻き込まれることについて、理解できるかどうかということを、政治はしっかりと説明していかなきゃいけないと私は思うんですね。

 CSISというシンクタンクがワシントンDCにあります。恐らく総理も、何度も行かれたことがあると思います。私も、ハムレ所長を始め、何度も意見交換をさせていただきましたけれども。今年の一月九日に、ある机上演習を行って、それを発表したんですね。

 二十四回にわたって机上演習を行って、その前提は、中国軍が二〇二六年に台湾への上陸作戦を実施した場合を想定して、結果を報告したのでありますけれども、この机上演習には米軍の元高官、軍事専門家らが参加して、そして二十四回行われた。

 ほとんどのシナリオでは、中国軍は台湾の早期制圧に失敗する、しかし、米軍や自衛隊も大きな損失を被るという結果でありました。在日米軍や自衛隊の基地は中国に攻撃される。

 最も可能性が高いとしたシナリオで行った三回の机上演習では、自衛隊の損失は、平均で航空機が百十二機、艦艇は二十六隻の損失になる。日本の米軍基地、自衛隊の基地が攻撃されて、これだけの損失が起きる、こういうことであります。

 このCSISの机上演習の前提というのは、日本は当然参加する、こういうことなんですね。その中で中国に対してどう守るかということになっているわけでありますが。

 ここで、まず個別に質問いたします。

 岸・ハーター交換公文って御存じですよね。日米安保条約第六条に基づいて、いわゆる三つのときに事前協議をしなきゃいけないと。これは一度も発令されたことはないんですけれども、例えば、部隊の変更とか配置の変更とか、それからもう一つは日本から出撃するときについては事前協議をしなきゃいけないということであります。

 二〇二七年に迫っているかもしれないこの状況の中で、事前協議はやられるべきだと思いますし、事前協議はあるべきだというふうに当然お考えになられますよね。

岸田内閣総理大臣 事前協議、日米安全保障条約に基づいて協議を行う、これは当然行うことであると思っております。

前原委員 当然ですよね。日本の基地から出ていくことについては事前協議は当然行うということですが、しかし、CSISの机上演習が全てだと思いませんけれども、じゃ、こういったときには日本も当然のこととして参加するということなんですけれども、事前協議を受けた場合に、ノーという選択肢はあり得るんですか。

岸田内閣総理大臣 事前協議を受けた場合というのは、米軍が日本の基地から出撃する際の事前協議を受けた場合に、ノーというのがあるのか。

 ですから、先ほど申し上げましたように、日米安全保障条約に基づいて対応することになると思います。

 我が国として、日米条約に基づいて責任を果たしていく。我が国の存立が脅かされ、国民の自由あるいは幸福追求の権利が根底から覆されるような明白な事実、こういったことがある事態においては、我が国として対応していく、こうしたことになると考えます。(発言する者あり)

前原委員 いや、答えているんですよ。それはもう、ノーはないということなんです。

 様々な政治的な反応、これは逆の立場でこんな質問を受けるとすごく重い話であります。つまりは、台湾有事に巻き込まれるかどうかということの、今判断の言ってみれば答弁をされたわけですね。そして、存立事態とか様々なことを判断してということの中で対応するということであって、なかなかノーということは言いにくいということだというふうに思うんですけれども、そして、事前協議は受けるということでありましたけれども。

 今やるべきことは一体何なのかということを考えたときに、我々、党の提言の中で、総理に対して、ガイドラインの見直しをということを申し上げましたよね。

 今、現時点においては、アメリカはガイドラインの見直しについては否定的だという話を聞いています。それは、時間軸が差し迫っている中で、ガイドラインを見直している時間はなかなかないだろう、だったら今対応できることについてしっかり対応しよう、こういうことだと思うんですね。

 ですから、今やれることは、私は、先ほど自ら伺っておいて逆説的になるかもしれませんけれども、アメリカと日本の協力関係を強化する、そして、日本のいわゆる対処能力を強化する。そして、外交としては、オーストラリア、インド、あるいはこの間来られたフィリピン、あるいはイギリスとかドイツとか、そういった国々との連携を強めて、中国のチャレンジというものが行えないような環境をつくること。これが一番私は大事なことだというふうに思いますが、これについては同意されますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 地域の安定や繁栄を維持するために、自らの防衛力の強化、これは当然重要なことではありますが、それと併せて重要なことは、外交交渉等を通じて同盟国、同志国との連携を強化していく、全体として地域の抑止力、対処力を高めていく、こうした基本的な考え方が重要であると考えます。

 おっしゃるように、関係国との間において連携を深めるべく努力をしていく、これは地域の安定や繁栄を維持するためにも重要な取組であると認識をいたします。

前原委員 これから五年間で額はどうか別として四十三兆円、政府からは四十三兆円という防衛費の増額について議論するときに、戦うことばかりが前面に出る。当然です、それは戦う能力を高めるんですから。

 やはり、ちゃんとした説明ぶりとしては、今ずっと尖閣の話から台湾有事から申し上げてきたように、やはり、そうならないようにするために、自らの抑止力を高める。アメリカだってどう判断するか分からないですよ。だって、アメリカだって民主主義国家ですから、誰が大統領になるか分からない、議会の構成がどうなっているか分からない。そういう不確定の中で、自らの国がやれることについてしっかりと努力をし、そして、先ほど申し上げたように、外交というものをしっかりやる中で、みんなで連携してやるんだよ、チャレンジをしたらそれは相当高いものにつくよといったことをしっかりと示すということが、今、私は、一番大事なことじゃないかということでありますので、自身の防衛能力の向上と外交的な努力ということを、両輪でしっかり頑張っていただきたいと思います。

 その上で、広島サミットについてお伺いしたいと思います。

 総理のお膝元で行われる広島サミットでありますけれども、これはG7以外に招待国もあると思うんですけれども、ウクライナのゼレンスキー大統領は招待されますか。

岸田内閣総理大臣 招待国については、参加国と協議した上で最終的には議長国が判断するということになりますが、今のところ具体的な招待国については確定はしておりません。

前原委員 総理はキーウに行かれる、そういった報道もありました。そしてまた、今回のG7に呼ばれるのではないかといった議論もありますけれども、総理としてはどうお考えなんですか。やはり、ちゃんと会って話をしたいと思っておられるのかどうなのか。最終的には議長国である日本の総理、岸田総理が決められるわけです。どうですか。

岸田内閣総理大臣 ゼレンスキー・ウクライナ大統領とは、一月の電話会談におきまして、先方からウクライナを訪問してもらいたいという招待を受けた、それについて検討しているということであります。

 ウクライナ情勢、今も刻々と変化をしています。そうしたウクライナの国内情勢等も見ながら、G7の議長国としてどう対応するのか、今、引き続き検討をしているところであります。

 今現在、具体的に、ウクライナ訪問をする、こういった日程は確定はしておりません。

前原委員 広島サミットで、被爆地である広島が選挙区、御出身の総理としては、やはり核軍縮・不拡散といったことは一つの大きなテーマだと思っています。

 私、今回のロシアによるウクライナ侵攻というものは、これは、ロシアにおいては、言語道断である、これはもう決して許すことはできない、国際法違反だということなんですが、二つ申し上げたいと思います。

 一つは、ウクライナが武器供与をいろいろな国にお願いをして、今まで武器弾薬を供給されている。あるいは、今度は戦車だ、いや戦闘機だ、こういうことを言い始めているわけでありますけれども。私は軍事の専門家ではありませんので、今のウクライナとロシアの軍事バランスがどうなっているのか分かりませんけれども。しかし、ゼレンスキー大統領の言うがままに武器を供与していて、軍事バランスが崩れたときに、最終的にロシアは脅しだけではなくて本当に戦術核を使う可能性があるんじゃないか、これをとどめなきゃいけないという思いを私は強く持っておりまして、そういう意味からして、G7の議長国としての日本として、NATOで今動いている部分がありますけれども、国際社会として、全体として、核が使われてはいけないという前提の中で、こういった軍事バランスというものをしっかりと議論することが必要だと思いますが、その点についてはどう思われますか。

岸田内閣総理大臣 まず、広島G7サミットにおいては、力による一方的な現状変更は許されないということ、それから法の支配に基づく国際秩序の維持を確認するということと併せて、被爆地で開催されるサミットでありますので、核兵器の威嚇、ましてや使用は絶対に許さない、核の不使用の歴史をこれからも尊重しなければいけない、こういったメッセージをしっかり出していかなければならないと思っています。

 そして、NATOにおける軍事支援等につきましては、まず、今、G7そして国際社会としては、力による一方的な現状変更、これは欧州にとどまらず許してはならないということであり、まずは国際社会がロシアに対する強い制裁とウクライナに対する支援、これをしっかり行うということにおいては一致しなければならない。NATO等における取組についても、こういった考え方において軍事面を含めた様々な支援を行っているというように理解をしているところであります。

前原委員 時間になりますので、これで質問は最後にしたいというふうに思いますけれども。

 是非、やはり核を使われるということになると、これはまた違う脅威というものが世界中に拡散をしていくということでありますので、そこをしっかりと、やはり被爆地である広島から出ておられる総理として、広島で行われるサミット、しっかりとマネジメントするという意思を持っていただきたい。

 そのことを申し上げるとともに、ロシアとのしっかりとした対話も私は持つべきだと。

 今日、これをちょっと御覧ください。今、日ロ間で、これまでの取組で、どういうふうなものが進んで、停止しているかということなんですけれども。経済でいうと、サハリン2のガスはまだ輸入しています。漁業でいうと、北海道の方々はまだ日ロの協定の下でちゃんと操業しています。そしてまた、人的な協力、カズワンの三人の御遺体の返還もありました。

 そういったことで、隣国であるがゆえに、ゼロか一〇〇かではなくて、ちゃんとしたロシアとの対話も必要だと思いますが、その点、お答えいただけますか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、基本的にはロシアに対する強い制裁を国際社会一致して行うことが重要だと考えておりますが、委員御指摘のように、日ロ、隣国であるがゆえに、御指摘のように、例えば、漁業などの経済活動、海洋における安全に関わる問題のように、隣国として対処する必要がある事項、これについては、我が国外交全体において、何が我が国の国益に資するかという観点もしっかり考えつつ、適切に対応していかなければなりません。

 そういったことから、実際、相互の大使館等を通じて、こうした事項に関する外交上のやり取り、これは日々行っております。こうした対応は引き続き続けていきたいと考えております。

前原委員 これで終わりますが、私が申し上げたいのは、総理自らが、電話会談でもいいのでしっかりと話をして、戦争をどう終結させるかということに努力をしていただきたい。

 それを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

根本委員長 これにて前原君の質疑は終了いたしました。

 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 岸田内閣は、二月十日、GX、グリーントランスフォーメーション実現に向けた基本方針を閣議決定しました。

 パネル、そして配付資料の一ページを御覧ください。

 原発政策をめぐって、昨年夏の参議院選挙までの、依存度低減から最大限活用へ、また、運転期間、原則四十年、最大六十年から六十年超の運転可能へ、さらに、新増設は想定していないから次世代に建て替えということで、原発回帰への大転換であります。

 そこで、総理、昨年十二月の、このGX実行会議での基本方針の決定を私が聞いたのは、東京電力福島第一原発を、サイト内で視察中のさなかでありました。

 被災地からは、国は事故を忘れたのか、ふるさとに戻りたくても戻れない、事故前の日本に戻してはならない、こういう強い怒りの声が沸き起こっておりました。

 伺いますけれども、総理にあの大事故の反省というのはあるんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 事故における反省と教訓、これは決して忘れてはならないものであると認識をいたします。

 東京電力福島第一原発事故からの復興はエネルギー政策を進める上での原点である、この認識、これは二月十日に閣議決定したGX実現に向けた基本方針においても変わりはないと思っています。

 基本方針においても、最後まで福島の復興再生に全力で取り組む方針や、原子力の利用に当たっては、事故への反省と教訓をひとときも忘れず、安全神話に陥ることなく安全性を最優先とすることが大前提である、これを明記させていただいております。

笠井委員 総理は今、反省を口に改めてされているわけですが、あの事故から間もなく十二年、いまだに原子力緊急事態宣言は発令中で、事故は収束もしておりません。使用済みの核燃料や廃炉から出る放射性廃棄物の処理処分を始めとして、原発をめぐる問題は何一つ解決していないではないかということであります。それなのに原発回帰と、極めて重大だと思います。

 総理、伺いますが、原子力規制委員会は、一昨日、二月十三日に、原発六十年を超える運転を認めるという新しい制度を、全会一致ではなく、異例の多数決で決定をいたしました。

 その中で、石渡委員は、科学的、技術的な新しい知見に基づくものではなく、安全性を高める方向での変更とは言えないと反対をされ、ほかの委員からも、外からせかされて議論してきたという声が上がって、山中規制委員長は、締切りがあるので仕方がない、こう言われて、決められたわけであります。

 規制委員会は独立性を持って十分な議論をしなければなりません。それを岸田政権が、今国会に基本方針に基づく法案を提出するために、それこそせかしたんじゃないかと。どうですか、総理。

岸田内閣総理大臣 原子力規制委員会においては、原子力発電所の運転期間は利用政策上の判断であるとの見解の下、高経年化した原発の安全規制を厳格に実施することができるよう、これまで四か月余りで九回にわたり、五人の委員で丁寧に議論を行ってきたものだと承知をしております。

 先週、新たな制度の取りまとめの段階で、反対の委員が一人いたことから、その場で採決はせず、今週に入り、改めて議論を重ねた上で、合議制の下、多数決により決定されたものであると承知をしております。

 この多数決による決定については、山中委員長が記者会見において、法案のスケジュールを念頭に置きつつも、四か月余りの期間をかけて制度の大枠を議論してきたものであり、規制委員会の独立性が損なわれるようなことがあったとは考えていない旨の発言があったと承知をしております。

 その上で、技術的な詳細については、今後、審査に関する基準や内規等の検討を公開で行い、丁寧に議論していく意向であると承知をしており、御指摘のような、結論を急がせたということはないと理解をしております。

笠井委員 山中委員長は、法案提出というデッドラインがあった、こう述べられているわけですね。その法案提出の期限というのは、昨年七月二十七日の第一回のGX実行会議で総理が政治決断が必要な項目を示すように指示したということからスタートして、そしてここまで来ているということであります。科学的、技術的な新しい知見よりも、いわば政治判断の、政治決断のスケジュールが優先されているじゃないか。規制と推進の分離と独立性という、事故の教訓を踏みにじるものじゃないか。

 総理、原発の安全性という大問題です。この問題をこんな扱いでいいんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 原発の安全性という御指摘でありますが、原子力規制委員会においては、運転期間に関する利用政策上の判断がどうであれ、高経年化した原発の安全規制を厳格に実施することができるよう、運転開始後三十年を超えて運転しようとするとき、また、その後十年を超えない期間ごとに、その都度、基準適合性を審査するなど、厳格な制度案を検討し、取りまとめたものであると承知をしております。

 厳格な審査を経て許認可を受けなければ運転できないのが大前提である、このことについては今後も変わりはないと承知をしております。

笠井委員 いろいろ言われましたけれども、法案提出の期限を二月下旬としたのは岸田内閣ですよ。安全性が多数決で決められるなんということは、本当に極めて重大なことで、規制委員会としても異例だということでありました。

 原発の運転期間というのは、福島の事故を踏まえて、原則四十年、最大六十年と、つまり、一回に限って四十年から二十年延長できるとして、その後は廃炉にするというものです。それ自体、当時、大議論があって、私たちは、これは問題だということも言いました。

 ところが、今回の基本方針は、それさえ変えて、審査などで停止した期間を除外をして、六十年を超える運転を可能にしております。仮に十年間停止しているということになれば、七十年まで運転が可能だと。これ自体、大問題だと思うんです。

 原子力規制委員会で、石渡委員は、このことについてこう言われています。電力会社の責任で不備があって審査が中断するなどした場合でもその分後で運転期間を延ばしてよいとするのは非常におかしいと思うと、問題視しております。審査を厳格にやればやるほど運転期間が延びるような案だ、こう言われているわけですね。

 総理も、こうした制度はおかしいと思われませんか。

西村(康)国務大臣 岸田総理からもう既に御答弁ありますけれども、仮に利用者側が、四十年を超えて六十年、あるいは六十年を超えて、止まっていた期間を申請をしても、様々な本当に世界一厳しい安全基準の下で、規制委員会がそれは安全性が確保できないと、これは十年ごとにもチェックされますし、申請のたびにやられるわけですから、そのときに安全性が確保できないとなれば運転できないわけでありますので、これは独立性の高い原子力規制委員会が安全性をしっかり確保する、審査をする、その大前提で利用者側からはそうした申請ができるという仕組みになっているということを是非御理解いただきたいと思います。

笠井委員 安全性という問題については、そんな軽く見ちゃ駄目ですよ。大体、年がたって経年していけば、物は劣化していくわけですよね。とりわけ原発というのは、極めて本当に、そういう点では、大変な問題をいろいろ抱えている。午前中の審議もありましたけれども、中が見えない中でどうなっているかという問題もある。

 福島第一原発は、事故当時、四十年でありました。そして、それ以下、四十年以下でも、美浜の三号機を始めとして、重大事故がこの間起こっている。設備劣化による事故トラブルが各地の原発で相次いでいるというのが現状であります。

 では、伺いますけれども、総理、世界に運転開始から六十年を超えた原発というのは存在するんでしょうか。

西村(康)国務大臣 IAEAが二〇二二年六月に公表した報告書によりますと、二〇二一年に既に運転を開始しており、まだ廃止決定をしていない状態にあった原子炉のうち、六十年を超えているものは存在をしません。

 しかしながら、例えば、米国では運転期間の延長回数に制限はありませんし、英国やフランスでも運転期間に制限は設けられておりません。

 その上で、現状を申し上げれば、導入実績が多い米国を例に取ってみると、これまで、六十年までの運転延長認可を取得した原子炉は九十四基ありますし、さらに、八十年までの認可を取得した原子炉は六基あるというふうに承知をしております。

笠井委員 認可とかそんな話じゃないんですよ。運転している原発があるか、六十年を超えてと言ったら、ないと冒頭言われたわけだよね。八十年超の原発、これは世界のどこにもないんです。

 そして、規制委員会の山中委員長は、これは未知の領域だ、これまで知らないような領域に入っていくというのが六十年超だと認めていらっしゃる。まして、福島原発事故を起こして収束もしていないのに、世界有数の地震、津波国で老朽原発を使い続ける、これは本当に異常だと思うんですが、総理、いかがですか。

西村(康)国務大臣 繰り返しになりますが、原子力規制委員会におきましては、まさに御指摘のような高経年化で劣化があり得るわけですので、より厳格な安全規制を導入する方針を定められたものと承知をしております。

 こうした厳格な規制をクリアできない限り、利用者側が幾らやろうと思っても安全性の確認ができない限りは運転できないわけでありますので、そのことを是非御理解いただきたいと思います。

笠井委員 テレビを御覧になっていても、今の答弁で国民は納得するか。しないですよ。

 より厳格な安全規制、これを決めたと言われるけれども、規制委員会では、六十年を超える運転をどう規制するかと、決まっていないんですよ、おととい。委員の中から、ふわっとしているという話があって、白紙のままなんですよ。

 総理がよく言われます、原発にはゼロリスクはない、こう言われるんだけれども、そう言われながら、今も原発、厳格な審査があるからいいんだと言われるけれども、六十年超を認めるということを方針でやりながら、じゃ、超えたときに、三十年から十年ごとというけれども、どうやって六十年からやるかについては決まっていないと。こんな形でやっていくとなったら、総理、これこそ安全神話じゃないですか、新しい。

岸田内閣総理大臣 六十年以降の技術的評価については、これは規制委員会において継続的に検討が進められるものであると承知をしています。

 技術的な詳細については、今後、審査に関する基準や内規等の検討を公開で行い、丁寧に議論していく意向であると承知をしており、こうした基準に従って厳格な審査が行われるものであると認識をしております。

笠井委員 西村大臣は厳格な審査をやられるからいいと言ったけれども、その中身は決まっていないと今総理は言われたんですよ、今後引き続き検討すると。こんなことで進めたら大変なことになりますよ。

 総理、国民の多くが老朽原発に不安を持っている。しかし、運転期間延長を誰が求めているかという問題になります。

 日本経団連は、昨年五月十七日の提言でこう言っています。「一定の手続きのもとで稼働停止期間を運転年限から除外する方向で、制度を見直すべき」と。六十年を超える運転期間の検討、これを求めているわけでありますが、今回の基本方針は、経団連の十倉会長や中部電力の会長を始めとして、原発推進派多数のGX実行会議などで、結局、財界、原発業界の要求に即して決めたということになるんじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 今回のGX会議の前提には、一年にわたる百回を超える専門家を中心とする様々な議論の積み重ねの結果、GX会議としての結論に至っているということであります。GX会議の一部の人間が判断したというのではなくして、一年間の議論の積み重ねの結果、GX会議の結論に至ったと承知をしております。こうした専門家の議論、重たいものがあると認識をしております。

笠井委員 そういうふうに言いながら、一年かけて丁寧と言って、昨年末に実行会議で決めたときに、政府は、これからパブリックコメントをやりますよね、国民の皆さん、意見下さいというふうに言われたわけですけれども、パブリックコメントの結果、今回のですね、閣議決定と同時に、そのパブコメの結果も公表されました。三千三百三件のうち、原発に関しては、停止期間中も劣化するため、運転期間を延長するべきではない、こういう意見を始めとして、大多数が反対です。

 私も、パブコメの意見、ここにありますけれども、これを全部見ました。相当分厚いものです。圧倒的に反対と。なぜこうした国民の声に耳を傾けないで、財界の声を聞いて、そしてこうやって進めるんですか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、十二月の二十三日から本年一月二十二日まで、三十一日間にわたってパブコメを実施いたしました。全体で三千九百六十六件、名寄せをしましたところ、三千三百三件の意見が寄せられたところであります。全ての意見について精査を行い、寄せられた意見について、約三百五十の主要な意見に区分をして、その区分ごとに具体的な意見を例示し、回答する形で、パブリックコメントの結果を取りまとめたところであります。そして、GX基本方針の閣議決定と同時に公表をいたしました。

 まず、行政手続法上、パブリックコメントで提出された意見を十分考慮することとされておりますけれども、行政手続法の逐条解説によれば、その考慮は、提出意見の内容に注目して行われるものであって、提出意見の多寡に着目するものではないとされており、過去の裁判例でも同様の考え方が示されております。

 今回のパブコメ全体では、原子力、水素、アンモニア、カーボンプライシングなどについて賛成、反対双方の意見が寄せられたところでありますけれども、これらの論点については、先ほどもありましたけれども、一年にわたって様々な形で議論を行ってきたものであります。

 一方で、原子力を活用する上で、御指摘ありましたように、東電福島第一原発事故への反省も改めて一層強調すること、あるいは、カーボンプライシングを進める上で、国民、産業界における理解醸成を進めることなど、趣旨明確化や新たな視点についても御意見をいただきましたので、こうした点につきましては必要な修正を行ったところであります。

 いずれにしましても、今回のパブコメによって、原子力について否定的な意見を持つ方々、安全性の問題あるいは最終処分の問題など、課題が解消されていないがゆえに否定的であるということが改めて浮き彫りになったところでありますので、私どもも、そうした皆さん方の不安、懸念にお応えできるようにしっかりと取り組んでいきたい、そして、分かりやすく丁寧に説明をしていきたいというふうに考えております。

笠井委員 類型化してと言われるけれども、賛成ですというのは一項目しかないんですよ。あとは反対とか、これはどうかという意見ばかりです。何のためのパブコメかということになります。

 参議院選挙が終わるや、昨年七月二十七日にGX実行会議を立ち上げて、総理の号令一下で、国民や国会に諮らずに、僅か五回、五か月で原発政策を百八十度大転換する。大多数の反対意見にもう一顧だにもせずに閣議決定というのは、結論ありきじゃないかと。

 先ほどから一年前から百回以上も丁寧にやっているんだと言われるけれども、結局、丁寧に国民の見えないところで着々と進めていた。一年前ということは、いろいろ口実をつくっているけれども、ウクライナ危機だからと言っているけれども、それより前からずっとやってきた、ウクライナ危機というのは後づけの口実じゃないかということになります。

 総理は、原発の最大限活用の理由に、日本は山と深い海に囲まれて、再エネ適地が少ないことを繰り返し挙げられております。

 パネルを御覧ください。配付資料の二です、二ページ目です。

 環境省が直近二〇二二年四月に公表した試算では、日本の再エネ導入潜在量は、年間の発電電力量実績の七倍超もここにあります。実際に事業が成り立つという事業性を考慮した、そうした試算を見ても、二倍強もあるわけですね。総理、この試算というのは当然御存じですね。

岸田内閣総理大臣 御指摘の推計については、国土面積等から機械的にポテンシャルを算出したものであると承知をしております。

 そして、御指摘のように、電力供給量全体の二倍を上回る規模となっているわけではありますが、その算出において、例えば、これは環境省も公表しているとおり、太陽光について、自治体や農家、地域住民の意向等は考慮されていない、洋上風力において、自治体や漁業者、地域住民の意向、航路や海上訓練地域等社会的な制約は考慮されていない、再エネ導入に当たって不可欠な系統の空き容量について考慮されていない、ポテンシャルを具体化するためには、大型蓄電池の電力ネットワークの配備、再エネ電力に係るコストにも配慮が必要であるなど、論点が存在するということを環境省も公表しているところであります。

 こうした条件の中ではありますが、是非、二〇三〇年度再エネ比率三六%から三八%という目標実現に向けて、政府としては努力を続けていきたいと考えております。

笠井委員 日本は、資源がないとか再エネの適地が少ないどころか、再エネ資源大国ではないか。事業性を考慮したってこれだけあるという試算があるわけです。そうしたことを生かさないで、政治の仕事としてやらないで、結局、この間、再エネが問題だという問題点ばかりあげつらうけれども、しかし、原発の持つ数々の問題点というのは何一つ解決していないんですよ。処理できない、増え続けていく核のごみをどう解決するのか、答えだってまだ出ていない。

 今こそ、そういう方向をきっぱり改めて、原発回帰ではなくて、原発ゼロを決断して、日本の豊かな再エネ潜在量を生かしてこそ政治だと。国際的なエネルギー情勢にも影響されない。純国産で、燃料費ゼロ。円安にびくともせずに、貿易収支の改善にもなる。まさに、原発回帰ではなく、再エネの大転換こそ必要だと。今回の閣議決定、撤回を強く求めて、質問を終わります。

根本委員長 これにて笠井君の質疑は終了いたしました。

 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 十一分、よろしくお願いいたします。

 岸田総理、よろしくお願い申し上げます。

 まず、防衛三文書についてお伺いをしたいと思います。

 国家防衛戦略の中で、私が読んでいて、ちょっとこれはおかしいんじゃないかなと思うくだりがあったので、そこについて御質問をさせていただきます。

 「ロシアがウクライナを侵略するに至った軍事的な背景としては、ウクライナのロシアに対する防衛力が十分ではなく、ロシアによる侵略を思いとどまらせ、抑止できなかった、つまり、十分な能力を保有していなかったことにある。」というふうに国家防衛戦略に書いてあります。

 実際に起こったことと照らし合わせてみると、実はこれは間違っているんじゃないかなというふうに思うんですか、岸田総理、いかがですか。

浜田国務大臣 私から。

 ロシアによるウクライナ侵略の背景については、委員御指摘のとおり、NATOの東方拡大に対するロシアの脅威認識といった政治的な要因が指摘されており、防衛省としてもしっかり認識しているところであります。

 一方で、ロシアがウクライナ侵略を決断した直接の契機として、軍事的な要因も指摘されております。例えば、米国中央情報局、CIA長官は、米国議会の公聴会において、ロシアが、ウクライナは弱く容易に威嚇できる、近代化されたロシア軍は最小限のコストで迅速かつ決定的に勝利できるといった認識に基づいて、ウクライナに対する武力行使に適した状況であると判断したとの見解を示しております。

 国家防衛戦略における委員の御指摘の記述は、このような様々な指摘や分析も踏まえつつ、我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙する上でどのような防衛上の課題を考慮すべきかという観点から記載したものであります。

緒方委員 複雑なロシア、ウクライナ関係の中の非常に限られた一部のところだけを取り出して、この国家防衛戦略に書いているように私は見えるんですね。結果を誘導しているように見えて、こういう記述は私はよくないと思います。

 先ほど、政治的な理由もあるというような話をされました。まさにそのとおりだと思うんです。なので、この認識をベースにその後の国家防衛戦略が書かれていっているわけですから、こういった公平性に欠けるような記述は私はよくないんじゃないかということを指摘させていただきたいと思います。

 その上で、十分な能力を保有していなかったことに理由があると国家防衛戦略に書いてあるわけですが、ここで言う十分な能力というのは何を指しているんでしょうか。これは、岸田総理。

岸田内閣総理大臣 ロシアによるウクライナ侵略について、ウクライナ軍に対する楽観的な見積りや、ロシア軍の能力向上への自信といったロシア側の要因が指摘されており、ロシアによる侵略を思いとどまらせ、抑止できなかったという意味で、ウクライナが保有していた防衛能力は少なくとも十分なものではなかったと考えております。

 ウクライナが備えておくべきだった能力については、仮定の議論となってしまうため、政府として具体的にお答えすることは困難ですが、現状を申し上げれば、ウクライナは、ロシア軍に対抗するために、例えば、携行型対戦車ミサイル、ジャベリン、高機動ロケット砲システム、HIMARSなど、各国から様々な装備支援を受け、さらに、主力戦車、レオパルト2やエイブラムス、防衛ミサイルシステム、ペトリオット、こういった装備の提供を受ける予定であると承知をしております。

緒方委員 何か、今の答弁、最初にロシアの見誤りがあってという話から、私の質問に余り答弁になっていなかったような気がするんですが。

 もう一度お伺いしたいと思いますが、今、ジャベリン、HIMARS、そして、例えば、スティンガーとか、あとドイツから供与されるレオパルト2とか、そういうものが事前にウクライナに供与されていればロシアによるウクライナへの侵略はなかった、そういうふうに理解しておられますか、総理大臣。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたのは、ロシアによる侵略を思いとどまらせ、そして抑止できなかったという意味で、少なくともウクライナの保有していた防衛能力は十分でなかった、このように申し上げました。

 そして、御質問が、どのような能力を保有していればよかったのかという御質問だったので、今ウクライナとして希望をし、そして装備を考えている具体的な装備について紹介をさせていただいた、こうした次第であります。

緒方委員 結局、余り答えになっていなかったんですけれども。結局、この記述、やはりよくないですよ、よくないと思います。誤解を招く表現なので、改めていただければと思います。

 それを踏まえて、日本の抑止力についてお伺いをいたしたいと思います。

 防衛三文書においては、抑止力という表現が非常によく出てきます。今回整備される防衛力によって何をすることで、何が抑止をされると認識しておられますか、総理大臣。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、三文書においては抑止力について様々な記述があります。

 まず、我が国への武力攻撃に対する抑止力について、総論的に言えば、我が国の防衛力を抜本的に強化することで日米同盟の抑止力、対処力や同志国等との連携が強化され、それにより、我が国の防衛に係る意思と能力を相手にしっかりと認識をさせ、そして、我が国を過小評価せず、また相手方に相手方の能力を過大評価させない、こうしたことにより我が国への侵攻を抑止すること、これを考えております。

緒方委員 それは大体そういう答弁になるだろうなと思ったんですが、相手を壊滅させる能力を持つわけではないわけですよね。限られた軍事目標を攻撃する能力を今回持つということなんですが、それで相手の攻撃を抑止できる、そういうふうにお考えですか、岸田総理。

岸田内閣総理大臣 多分、委員の御指摘は、反撃能力の部分、相手を攻撃する反撃能力の部分をおっしゃっているんだと思いますが。

 この反撃能力の部分で申し上げるならば、ミサイル防衛網により飛来するミサイルを防ぎつつ、我が国から有効な反撃を加える能力を保有する、この二つの能力によって、現状に比して、相手の戦略的、戦術的な計算を複雑化させ、日本にミサイルを撃ち込もうとする相手に、目的を達成することは容易ではない、攻撃はやめた方がいいと思わせる、こうした抑止効果が得られるものと考えて、こうした能力を準備することが必要である、こういった結論に至った次第であります。

緒方委員 先ほどから、脅威は意思と能力の掛け合わせだと言われます。今回、能力を高めるとはいえ、中国との関係での能力の差というのがまだ残るんだと思うんですけれども、そうすると、今回の防衛力整備で何をしなきゃいけないかというと、周辺国の脅威となる意思を徹底的にくじかなくちゃいけないんですね。

 今回の防衛力の整備によって相手の意思を徹底的にくじくことが可能だということでしょうか、岸田総理大臣。

岸田内閣総理大臣 我が国の防衛力の抜本的な強化によって、我が国は、国民の生命、自由及び幸福追求の権利、これをしっかり守っていかなければならない、そのために必要最小限の備えを用意する、そして結果としてそれが相手国の意思と能力をくじくことにつながっていく、こうしたことであると考えて、防衛力の強化を考えております。

 今言ったような考え方に基づいて、相手の、我が国の防衛力に関する意思と能力、これをしっかりと認識させることが重要であると考えています。

緒方委員 私は、核兵器の廃絶というのを常に追っていきたいと思っている政治家でありますが、よくよく考えてみると、核兵器国に対する抑止力というのは、突き詰めてみたところで、アメリカによる核兵器の傘ということになるのではないかと思うんですけれども、岸田総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 一般に、我が国に対する武力攻撃は、その規模、態様において様々な可能性があり得ると考えます。したがって、そのような武力攻撃の抑止を考えるに当たっても、様々な規模、態様の攻撃手法に応じて、適切な対応を取り得る体制を構築することが必要です。

 このため、核の脅威に対しては米国の核抑止を含む拡大抑止により対応することとなりますが、通常戦力に対しては、これに加え、反撃能力を含めた通常戦力による抑止力を確保していくことが重要であると考えております。

緒方委員 これで最後になりますが、もう終わります。

 中国や北朝鮮に対する抑止力はアメリカによる核の傘であり、日本による防衛力整備は、これは私、これから言うことが悪いと言っているんじゃないんです、アメリカの核抑止力をつなぎ止めるために日本が通常戦力による部分を補完する、そういうことではないんでしょうか、岸田総理。

岸田内閣総理大臣 今回、三文書をまとめて、日本の安全保障を考える際に重要な考え方は、まずは外交を通じて安定した国際環境を構築していくということ、そして、その外交の裏づけとなるためにも自らのしっかりとした防衛力を用意するということ、あわせて、外交を通じて同盟国、同志国との連携をしっかりと確保することによって、この地域の抑止力、対処力全体を引き上げていくということ、その全体をバージョンアップしていくことによって国民の命や暮らしを守っていこう、こうした考え方に立っております。これらをそれぞれバランスよく進めていくことが重要であると認識をしております。

緒方委員 いい議論だったと思います。ありがとうございました。

根本委員長 これにて緒方君の質疑は終了いたしました。

 次に、たがや亮君。

たがや委員 れいわ新選組の潜水艦こと千葉十一区のたがや亮です。

 今日は、くしくも父親の命日でして、こんな日に予算委員会の初の質疑ということで、とても感慨深いものがあります。父と一緒に質疑に臨む気持ちで頑張りたいと思います。六分一本勝負、岸田総理、どうぞよろしくお願いいたします。

 まずは、消費税に関して、大きな誤解を解きたいと思います。

 恐らく国民の皆様の多くは、消費税の免税事業者について、客から消費税を取っているのにそれを納税せず猫ばばしている、ピンはねしている、おかしいじゃないか、怒りを感じると思われるかもしれません。

 しかし、そうではありませんでした。二月十日に行われた内閣委員会の私の質問に対し、財務省は、何と消費税は預かり税ではないと認める明確な答弁をいただきました。つまり、消費税は、もらった税を利益にできるいわゆる益税ではないと認めたんです。

 資料二を御覧ください。

 消費税法の条文の一部が皆様のお手元にあろうかと思いますが、実際は、こちらにあるとおり、百四十九ページありますけれども、消費税のことを定めているのに、どこにも消費者という言葉がありません。消費者の支払い義務も、事業者が徴収する義務も全く書かれておりません。要するに、条文上は、取引したら、国は、一〇%上納しなさい、消費者に転嫁するのが望ましいが、するかしないかは事業者に任せるから、後はよろしくね、そういうずさんな内容です。

 したがって、消費税というのは、消費者が支払った税を預かった事業者が支払うという間接税ではなくて、事業者が直接支払う事実上の直接税、すなわち、第二法人税と言えます。

 更に補足すると、事業者にとっての商品価格の構成は、原価プラス利益プラス人件費プラス消費税で構成されるということになります。

 さて、そこで、インボイス制度についてですが、今まで政府は、制度導入の理由について、一貫して、税の公平性の担保のためと主張してきました。いわば免税事業者の猫ばばをなくそうという趣旨の情報操作であり、詭弁と言えます。なぜなら、二月十日の答弁で猫ばばではないと認めたわけですから、インボイス導入の大義名分が根底から崩れたので、弱い者いじめの単なる増税です。更に言えば、更なる消費税増税の下準備とも疑ってしまいます。

 パネル下段に記載していますが、インボイスの懸念事項を申し上げます。

 政府は、そもそもインボイス対象事業者数を把握できていない。おととし十月に申請をスタートさせたが理解は深まらず、申請締切りを今年三月末から九月末に延長した。一般社団法人日本中小企業経営審議会と私が直接行った地元の緊急アンケート結果は、およそ七五%が反対、分からないでした。

 なぜ反対が多く、申請が進まないのか。資料三、こちらを御覧ください。

 会計上、消費税の区分だけでもこれだけあります。インボイスが入ると、区分がこの三倍に膨れ上がると言われています。すなわち、免税事業者にとって死活問題。導入することで、事務作業、税理士費用等、それに伴う金銭負担が大変であり、経理部のない零細企業やフリーランスには過酷のみならず、免税事業者以外の負担も増大します。しかし、これをやらないと取引先に契約を打ち切られるのではないかという恐怖感が事業者に蔓延しています。

 インボイス制度が機能するためには、課税事業者の九八%以上、すなわち、ほぼ全ての参加率でなければ機能しないと専門家の指摘もございます。今のペースでは、到底その水準は不可能ではないかと考えます。

 そこで、岸田総理に質問いたします。

 零細企業や個人事業主のそのような悲鳴をどのように受け止めておられますか。その上で、政策の最終決定権者の総理大臣として、何が何でも絶対十月一日にインボイス導入をスタートさせるのか、又は、状況次第で延期や制度の見直しをすることも含めて、絶対に導入するとは言えないのか、明確にお答えください。

岸田内閣総理大臣 まず、委員の御主張で、消費税は第二法人税であるという主張についてはちょっと十分理解ができておりませんが、いずれにせよ、インボイス制度は、複数税率の下で適正な課税を確保するために必要なものです。

 インボイス制度に関する零細企業、個人事業主の方々の懸念については、様々な声に耳を傾け、政府一体で連携して丁寧に課題を把握しながら、きめ細かく対応してまいります。

 これまでも、総合経済対策において、インボイス対応のための支援策の充実ですとか、取引環境の整備に努めてきました。さらに、令和五年度税制改正において、免税事業者がインボイス発行事業者となった場合の新たな負担軽減措置、これを講じてまいります。

 こうした環境整備を行いながら理解を得つつ、本年十月の制度の円滑な実施に向けて万全の対応を図っていくというのが政府の方針であります。

たがや委員 総理、ありがとうございます。

 絶対に導入すると言えない曖昧な答弁でしたので、私の質問の趣旨からすれば、延期もあり得ると受け取りました。

 インボイスは、小規模事業者のみならず、様々な事業者、全国民に大きな影響を及ぼします。今の不景気な経済状況下でやるべきではないと思います。大義を失った単なる弱い者いじめのインボイスは廃止、景気に悪影響のある消費税も廃止……

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますから、おまとめください。

たがや委員 最後に、政治は生活である、これを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございます。

根本委員長 これにてたがや君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明十六日午前九時から公聴会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時六分散会


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