衆議院

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第13号 令和5年2月22日(水曜日)

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令和五年二月二十二日(水曜日)

    午前八時五十八分開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 小林 鷹之君 理事 中山 展宏君

   理事 古川 禎久君 理事 堀井  学君

   理事 牧原 秀樹君 理事 逢坂 誠二君

   理事 後藤 祐一君 理事 青柳 仁士君

   理事 赤羽 一嘉君

      青山 周平君    伊藤 達也君

      石破  茂君    今村 雅弘君

      岩田 和親君    岩屋  毅君

      衛藤征士郎君    大岡 敏孝君

      奥野 信亮君    柿沢 未途君

      亀岡 偉民君    熊田 裕通君

      下村 博文君    杉田 水脈君

      鈴木 隼人君    田中 和徳君

      高木 宏壽君    武部  新君

      谷川 とむ君    辻  清人君

      土屋 品子君    中村 裕之君

      古屋 圭司君    細田 健一君

      堀内 詔子君    牧島かれん君

      松島みどり君    三谷 英弘君

      宮下 一郎君    務台 俊介君

      盛山 正仁君    八木 哲也君

      山下 貴司君    山本 有二君

      若林 健太君    鷲尾英一郎君

      荒井  優君    泉  健太君

      大西 健介君    源馬謙太郎君

      神津たけし君    堤 かなめ君

      西村智奈美君    野間  健君

      藤岡 隆雄君    本庄 知史君

      森山 浩行君    山田 勝彦君

      吉田はるみ君    渡辺  創君

      阿部  司君    池畑浩太朗君

      漆間 譲司君    遠藤  敬君

      小野 泰輔君    掘井 健智君

      庄子 賢一君    中野 洋昌君

      鰐淵 洋子君  斎藤アレックス君

      玉木雄一郎君    宮本  徹君

      緒方林太郎君    福島 伸享君

      大石あきこ君    櫛渕 万里君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   総務大臣         松本 剛明君

   外務大臣         林  芳正君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   文部科学大臣       永岡 桂子君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   農林水産大臣       野村 哲郎君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (GX実行推進担当)   西村 康稔君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   環境大臣         西村 明宏君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            河野 太郎君

   国務大臣

   (少子化対策担当)    小倉 將信君

   国務大臣

   (経済再生担当)     後藤 茂之君

   国務大臣

   (経済安全保障担当)   高市 早苗君

   国務大臣

   (地方創生担当)     岡田 直樹君

   財務副大臣        井上 貴博君

   内閣府大臣政務官     鈴木 英敬君

   外務大臣政務官      秋本 真利君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            山中 伸介君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  加野 幸司君

   政府参考人

   (内閣官房国家安全保障局審議官)         高村 泰夫君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)         内田 幸雄君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 吉岡 秀弥君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      藤本 哲也君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局長)            市川 恵一君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            千原 由幸君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            田中 誠二君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         高橋 孝雄君

   政府参考人

   (農林水産省畜産局長)  渡邉 洋一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           龍崎 孝嗣君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          畠山陽二郎君

   政府参考人

   (経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長) 新川 達也君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            瓦林 康人君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局長)        長橋 和久君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 堀内丈太郎君

   政府参考人

   (観光庁次長)      秡川 直也君

   政府参考人

   (原子力規制庁次長)   金子 修一君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  増田 和夫君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十日

 辞任         補欠選任

  今村 雅弘君     平沼正二郎君

  奥野 信亮君     川崎ひでと君

  下村 博文君     神田 潤一君

  土屋 品子君     務台 俊介君

  平沢 勝栄君     藤井比早之君

  古屋 圭司君     土田  慎君

  中野 洋昌君     平林  晃君

  石破  茂君     小森 卓郎君

  衛藤征士郎君     斎藤 洋明君

  田中 和徳君     石原 正敬君

  山本 有二君     高村 正大君

  本庄 知史君     野間  健君

  渡辺  創君     阿部 知子君

  鰐淵 洋子君     福重 隆浩君

  斎藤アレックス君   鈴木  敦君

  岩屋  毅君     上田 英俊君

  神田 潤一君     石井  拓君

  藤井比早之君     塩崎 彰久君

  大西 健介君     谷田川 元君

  西村智奈美君     山田 勝彦君

  森山 浩行君     井坂 信彦君

  高村 正大君     中曽根康隆君

  斎藤 洋明君     石橋林太郎君

  藤岡 隆雄君     堤 かなめ君

  鈴木  敦君     田中  健君

  上田 英俊君     山下 貴司君

  川崎ひでと君     加藤 鮎子君

  塩崎 彰久君     穂坂  泰君

  中曽根康隆君     佐々木 紀君

  野間  健君     近藤 和也君

  福重 隆浩君     日下 正喜君

  石橋林太郎君     保岡 宏武君

  加藤 鮎子君     今枝宗一郎君

  源馬謙太郎君     佐藤 公治君

  山田 勝彦君     山井 和則君

  平林  晃君     吉田 宣弘君

  宮本  徹君     田村 貴昭君

  緒方林太郎君     北神 圭朗君

  佐々木 紀君     加藤 竜祥君

  佐藤 公治君     湯原 俊二君

  日下 正喜君     鰐淵 洋子君

  庄子 賢一君     中川 宏昌君

  吉田 宣弘君     金城 泰邦君

  土田  慎君     山口  晋君

  阿部 知子君     おおつき紅葉君

  堤 かなめ君     野田 佳彦君

  山井 和則君     青山 大人君

  吉田はるみ君     城井  崇君

  金城 泰邦君     平林  晃君

  鰐淵 洋子君     吉田久美子君

  加藤 竜祥君     東  国幹君

  穂坂  泰君     鈴木 貴子君

  谷田川 元君     小熊 慎司君

  平林  晃君     金城 泰邦君

  吉田久美子君     河西 宏一君

  田中  健君     鈴木 義弘君

  北神 圭朗君     福島 伸享君

  山下 貴司君     五十嵐 清君

  井坂 信彦君     馬場 雄基君

  城井  崇君     米山 隆一君

  近藤 和也君     山岡 達丸君

  野田 佳彦君     中川 正春君

  中川 宏昌君     山崎 正恭君

  青山 大人君     小宮山泰子君

  小熊 慎司君     福田 昭夫君

  池畑浩太朗君     赤木 正幸君

  河西 宏一君     日下 正喜君

  金城 泰邦君     中野 洋昌君

  田村 貴昭君     赤嶺 政賢君

  福島 伸享君     吉良 州司君

  石井  拓君     小田原 潔君

  石原 正敬君     瀬戸 隆一君

  山岡 達丸君     山岸 一生君

  阿部  司君     堀場 幸子君

  赤木 正幸君     岬  麻紀君

  掘井 健智君     藤巻 健太君

  鈴木 義弘君     西岡 秀子君

  五十嵐 清君     古川 直季君

  米山 隆一君     末次 精一君

  藤巻 健太君     沢田  良君

  堀場 幸子君     池下  卓君

  岬  麻紀君     浅川 義治君

  日下 正喜君     佐藤 英道君

  馬場 雄基君     吉川  元君

  湯原 俊二君     伊藤 俊輔君

  浅川 義治君     奥下 剛光君

  池下  卓君     一谷勇一郎君

  沢田  良君     遠藤 良太君

  山崎 正恭君     國重  徹君

  吉良 州司君     仁木 博文君

  務台 俊介君     泉田 裕彦君

  おおつき紅葉君    奥野総一郎君

  小宮山泰子君     道下 大樹君

  末次 精一君     篠原  孝君

  福田 昭夫君     中島 克仁君

  山岸 一生君     菊田真紀子君

  遠藤 良太君     金村 龍那君

  西岡 秀子君     斎藤アレックス君

  東  国幹君     若林 健太君

  小田原 潔君     勝目  康君

  古川 直季君     本田 太郎君

  山口  晋君     西野 太亮君

  伊藤 俊輔君     末松 義規君

  中川 正春君     階   猛君

  泉田 裕彦君     土屋 品子君

  今枝宗一郎君     奥野 信亮君

  勝目  康君     下村 博文君

  小森 卓郎君     石破  茂君

  鈴木 貴子君     平沢 勝栄君

  瀬戸 隆一君     田中 和徳君

  西野 太亮君     古屋 圭司君

  平沼正二郎君     今村 雅弘君

  本田 太郎君     岩屋  毅君

  保岡 宏武君     衛藤征士郎君

  若林 健太君     山本 有二君

  奥野総一郎君     渡辺  創君

  菊田真紀子君     本庄 知史君

  階   猛君     藤岡 隆雄君

  篠原  孝君     吉田はるみ君

  末松 義規君     源馬謙太郎君

  中島 克仁君     大西 健介君

  道下 大樹君     西村智奈美君

  吉川  元君     森山 浩行君

  一谷勇一郎君     阿部  司君

  奥下 剛光君     池畑浩太朗君

  金村 龍那君     掘井 健智君

  國重  徹君     庄子 賢一君

  佐藤 英道君     鰐淵 洋子君

  赤嶺 政賢君     宮本  徹君

  仁木 博文君     緒方林太郎君

同月二十一日

 辞任         補欠選任

  奥野 信亮君     瀬戸 隆一君

  土屋 品子君     深澤 陽一君

  古屋 圭司君     石川 昭政君

  本庄 知史君     早稲田ゆき君

  渡辺  創君     山崎  誠君

  掘井 健智君     美延 映夫君

  庄子 賢一君     浜地 雅一君

  斎藤アレックス君   浅野  哲君

  石破  茂君     田所 嘉徳君

  西村智奈美君     吉田 統彦君

  藤岡 隆雄君     小山 展弘君

  吉田はるみ君     金子 恵美君

  阿部  司君     漆間 譲司君

  浅野  哲君     長友 慎治君

  宮本  徹君     笠井  亮君

  衛藤征士郎君     國場幸之助君

  下村 博文君     石橋林太郎君

  源馬謙太郎君     緑川 貴士君

  山崎  誠君     鎌田さゆり君

  早稲田ゆき君     柚木 道義君

  池畑浩太朗君     山本 剛正君

  美延 映夫君     早坂  敦君

  長友 慎治君     田中  健君

  今村 雅弘君     渡辺 孝一君

  岩屋  毅君     宮路 拓馬君

  田中 和徳君     上杉謙太郎君

  大西 健介君     寺田  学君

  漆間 譲司君     足立 康史君

  山本 剛正君     高橋 英明君

  中野 洋昌君     輿水 恵一君

  笠井  亮君     高橋千鶴子君

  石橋林太郎君     塩崎 彰久君

  深澤 陽一君     勝目  康君

  金子 恵美君     梅谷  守君

  鎌田さゆり君     田嶋  要君

  小山 展弘君     石川 香織君

  早坂  敦君     吉田とも代君

  浜地 雅一君     稲津  久君

  緒方林太郎君     北神 圭朗君

  瀬戸 隆一君     三反園 訓君

  寺田  学君     大西 健介君

  緑川 貴士君     岡本あき子君

  柚木 道義君     長妻  昭君

  足立 康史君     和田有一朗君

  高橋 英明君     阿部 弘樹君

  吉田とも代君     掘井 健智君

  高橋千鶴子君     穀田 恵二君

  三反園 訓君     田畑 裕明君

  田嶋  要君     大島  敦君

  吉田 統彦君     篠原  豪君

  鰐淵 洋子君     河西 宏一君

  穀田 恵二君     宮本 岳志君

  北神 圭朗君     緒方林太郎君

  石川 昭政君     杉田 水脈君

  上杉謙太郎君     東  国幹君

  勝目  康君     松本  尚君

  山本 有二君     小寺 裕雄君

  森山 浩行君     櫻井  周君

  宮本 岳志君     本村 伸子君

  長妻  昭君     馬淵 澄夫君

  東  国幹君     田中 和徳君

  小寺 裕雄君     山本 有二君

  國場幸之助君     衛藤征士郎君

  塩崎 彰久君     下村 博文君

  杉田 水脈君     古屋 圭司君

  田所 嘉徳君     石破  茂君

  田畑 裕明君     奥野 信亮君

  松本  尚君     土屋 品子君

  宮路 拓馬君     岩屋  毅君

  渡辺 孝一君     今村 雅弘君

  石川 香織君     藤岡 隆雄君

  梅谷  守君     吉田はるみ君

  大島  敦君     渡辺  創君

  岡本あき子君     源馬謙太郎君

  櫻井  周君     森山 浩行君

  篠原  豪君     西村智奈美君

  馬淵 澄夫君     本庄 知史君

  阿部 弘樹君     池畑浩太朗君

  和田有一朗君     阿部  司君

  稲津  久君     庄子 賢一君

  河西 宏一君     鰐淵 洋子君

  輿水 恵一君     中野 洋昌君

  田中  健君     斎藤アレックス君

  本村 伸子君     宮本  徹君

同月二十二日

 辞任         補欠選任

  今村 雅弘君     岩田 和親君

  衛藤征士郎君     若林 健太君

  奥野 信亮君     細田 健一君

  亀岡 偉民君     谷川 とむ君

  下村 博文君     青山 周平君

  鈴木 隼人君     中村 裕之君

  辻  清人君     高木 宏壽君

  土屋 品子君     堀内 詔子君

  平沢 勝栄君     盛山 正仁君

  宮下 一郎君     務台 俊介君

  山本 有二君     山下 貴司君

  大西 健介君     野間  健君

  藤岡 隆雄君     荒井  優君

  渡辺  創君     泉  健太君

  阿部  司君     遠藤  敬君

  池畑浩太朗君     小野 泰輔君

  掘井 健智君     漆間 譲司君

  斎藤アレックス君   玉木雄一郎君

  緒方林太郎君     福島 伸享君

  櫛渕 万里君     大石あきこ君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     下村 博文君

  岩田 和親君     今村 雅弘君

  高木 宏壽君     辻  清人君

  谷川 とむ君     武部  新君

  中村 裕之君     鈴木 隼人君

  細田 健一君     奥野 信亮君

  堀内 詔子君     松島みどり君

  務台 俊介君     杉田 水脈君

  盛山 正仁君     柿沢 未途君

  山下 貴司君     山本 有二君

  若林 健太君     衛藤征士郎君

  荒井  優君     神津たけし君

  泉  健太君     渡辺  創君

  野間  健君     大西 健介君

  漆間 譲司君     掘井 健智君

  遠藤  敬君     阿部  司君

  小野 泰輔君     池畑浩太朗君

  玉木雄一郎君     斎藤アレックス君

  福島 伸享君     緒方林太郎君

  大石あきこ君     櫛渕 万里君

同日

 辞任         補欠選任

  柿沢 未途君     平沢 勝栄君

  杉田 水脈君     宮下 一郎君

  武部  新君     亀岡 偉民君

  松島みどり君     土屋 品子君

  神津たけし君     山田 勝彦君

同日

 辞任         補欠選任

  山田 勝彦君     堤 かなめ君

同日

 辞任         補欠選任

  堤 かなめ君     藤岡 隆雄君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和五年度一般会計予算

 令和五年度特別会計予算

 令和五年度政府関係機関予算

 主査からの報告聴取


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     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 令和五年度一般会計予算、令和五年度特別会計予算、令和五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官加野幸司君、内閣官房国家安全保障局審議官高村泰夫君、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官内田幸雄君、内閣府大臣官房審議官吉岡秀弥君、公正取引委員会事務総局経済取引局長藤本哲也君、外務省総合外交政策局長市川恵一君、文部科学省研究開発局長千原由幸君、厚生労働省職業安定局長田中誠二君、農林水産省大臣官房総括審議官高橋孝雄君、農林水産省畜産局長渡邉洋一君、経済産業省大臣官房審議官龍崎孝嗣君、経済産業省産業技術環境局長畠山陽二郎君、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長新川達也君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君、国土交通省総合政策局長瓦林康人君、国土交通省不動産・建設経済局長長橋和久君、国土交通省自動車局長堀内丈太郎君、観光庁次長秡川直也君、原子力規制庁次長金子修一君、防衛省防衛政策局長増田和夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 本日は、少子化対策及び金融政策など内外の諸情勢についての集中審議を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。盛山正仁君。

盛山委員 おはようございます。自由民主党の盛山正仁です。

 まず、予算委員会で発言の機会を得ることができましたことに対し、理事の先生方を始めとする関係者の皆様に御礼を申し上げます。

 早速ですが、岸田総理に質問をさせていただきます。

 さて、先日来、日本銀行総裁の人選に関連して、この十年間の我が国の経済と金融政策について様々な評価がマスコミをにぎわせています。失われた十年と厳しい評価をされる方もいらっしゃいますが、私はそのようには思いません。

 パネル一を御覧ください。

 民主党への政権交代がなされた二〇〇九年七月の日経平均株価は約一万円でありましたが、第二次安倍政権発足直前の二〇一二年十月には約九千円に下落しております。その後、いわゆるアベノミクスによって、新型コロナウイルス感染症が中国から世界に拡大し始めた二〇一九年十二月には十年前の二倍以上の二万四千円まで上昇しております。新型コロナが我が国で深刻な影響を及ぼしたために緊急事態宣言を発令した二〇二〇年四月には二万円に下落しましたが、先月には二万七千円と新型コロナ感染症発生時点よりも高い株価となっております。

 名目GDPについても、十年前には五百兆円を割り込んでおりましたが、今では五百六十一・三兆円と新型コロナ感染症が拡大する前よりも高い数値となっております。

 米ドル・円の為替については、十年前には七十九・六円と行き過ぎた円高と言われておりましたが、第二次安倍政権の発足以降、急速に是正されました。昨年二月のロシアによるウクライナ侵攻の結果、原油その他の資源価格が高騰し、円が売られて、昨年十月には一時百五十一円台になるほど円安が進行しましたが、先月には百三十・四円と落ち着きを見せております。

 また、パネルには記載しておりませんが、倒産件数は、二〇一二年の月千十件から、二〇二二年には月五百三十六件へと大幅に減少しております。

 次に、このパネル二を御覧ください。

 名目雇用者報酬については、二〇〇九年の七月から九月期に二百五十三兆円であったものが、二〇一二年の十―十二月期には二百五十・七兆円に低下しておりました。それが、新型コロナ前の二〇一九年十―十二月期には二百八十九・七兆円になり、直近の二〇二二年の十―十二月期には二百九十七・五兆円と上昇しております。

 雇用者数について見ると、二〇〇九年七―九月期に五千五百十二万人、二〇一二年十―十二月期には五千五百五十一万人であったものが、新型コロナ前の二〇一九年十―十二月期には六千六十八万人となり、新型コロナの影響によって減少しましたが、直近の二〇二二年の十―十二月期には六千五十四万人にまで回復をしております。

 また、賃上げ率につきましても、直近では二・〇七%と処遇の改善がなされております。

 パネルには記載しておりませんが、完全失業率は、二〇一二年十二月の四・三%から、二〇二二年十二月には二・五%に減少し、有効求人倍率は、二〇一二年十二月の〇・八三倍から、二〇二二年十二月の一・三五倍に上昇し、雇用環境が大幅に改善しております。

 この二つのパネルを御覧になると、デフレからの脱却、経済の回復、行き過ぎた円高の是正、株価の上昇、雇用環境の改善が達成されたことはデータ上明らかであります。そういう点で、経済そして雇用環境は大きく改善したということでございます。

 次に、パネル三を御覧ください。この左側のGDPのグラフを御覧ください。

 先ほど、国内について御説明をしました。国内だけを見ておりますと、経済は好調に見えます。しかしながら、今野党の方からも御意見が出ておりますが、国際比較をすると、主要欧米諸国に取り残されております。我が国は、いわゆるアベノミクスで成長軌道に乗ったというふうに感じられておりますが、欧米とは成長のスピードが違います。また、ここには記載しておりませんが、二〇一〇年には、中国が我が国を名目GDPで追い抜いて世界第二位の経済大国になり、我が国は世界第二位の座を四十三年ぶりに譲り渡して第三位に転落しているのが現状であります。

 そこで、岸田総理にお尋ねをいたします。

 経済力がなければ、我が国の将来はありません。我が国を他のG7諸国と比べて見劣りがしないようにするためには、あらゆる政策を総動員する必要があると考えます。経済競争力のある魅力のある国にするために、どのような取組をしようとされているのか、お伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、委員御指摘のとおり、この十年間における経済政策によって、デフレではない状況をつくり出し、GDPを高め、そして雇用の拡大を実現しました。

 しかし一方で、日本を新たな成長軌道に乗せていくためには、急速な少子高齢化による国内市場の縮小、そして労働市場と企業組織の硬直化、そして既存の市場におけるシェア重視の経営体質など、日本経済の様々な構造問題を背景とする設備投資や人への投資の遅れといった課題に正面から取り組む必要があるとも認識をしております。

 こうした長年の構造問題を解決するため、新しい資本主義では、気候変動などの社会課題を成長のエンジンとし、民間だけに任せるのではなく、官が呼び水となる投資を積極的に行うなど、新たな官民連携を進める。また、これにより成長分野における設備投資や人への投資を促し、成長と分配の好循環を実現していく。こうした取組を進めなければならないと思っています。

 あわせて、構造的賃上げに向けた取組を進めることで消費を押し上げ、内需を拡大するとともに、国内での産業基盤の強化と相まって、優秀な人材が国内に残り、活躍していく日本経済、これを実現していくことも考えていかなければなりません。

 これらの政策を総動員する形で、日本を経済競争力のある魅力的な国としていきたいと考えます。

盛山委員 次に、雇用環境の改善について伺います。

 二〇一八年六月には働き方改革推進法が成立し、二〇一九年四月から施行され、働き方改革が進められています。また、施行が猶予されていた建設、自動車運送等の分野についても来年四月から適用されることになっております。

 高年齢者雇用安定法も改正されて、六十五歳までの高年齢者雇用確保措置の義務化、さらに七十歳までの高年齢者就業確保措置が努力義務化されるようになり、日本の六十から六十九歳の高齢者の就業率は欧米に比べて高水準となっています。また、完全失業率も、欧米に比べて日本は低水準となっています。

 しかし、このパネル三の右側の名目賃金のグラフを御覧ください。賃金の上昇は欧米に大きく差をつけられています。インフレ率が欧米に比べて低いとはいうものの、賃金が上がらないようであれば、魅力のない国になり、世界から取り残されていきます。また、日本の優秀な人材は海外に流出していきます。

 総理にお尋ねをいたします。

 経済団体や労働組合と協議を重ねておられますが、諸外国に負けない労働市場を確立するために、我が国の雇用環境の改善に向けてどのような取組をされているのか、お伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 この十年間の取組の結果、生産年齢人口は大きく減少する中でも、女性や高齢者等の多様な労働参加が進み、雇用者数全体が約五百万人増加するなど、雇用においての成果があったと考えています。

 他方、賃金については、諸外国と比べ上昇が緩やかであり、また、同じ職務であるにもかかわらず日本企業と海外企業との間に差が存在しており、賃上げは待ったなしの課題であると認識をいたします。

 政権交代以降、着実に積み上げてきた土台の上に持続的に賃金が上がる構造をつくり上げるために、五年一兆円の政策パッケージを活用した、意欲ある個人に対するリスキリングによる能力向上支援、また、職務に応じてスキルが適正に評価され賃上げに反映される職務給の確立、そして成長分野への円滑な労働移動を進める、こうした三位一体の労働市場改革に官民連携で着実に取り組んでいくことを考えています。

 本年六月までに労働市場改革の指針を取りまとめ、これに基づく施策を着実に実行していくことで、意欲ある個人の能力を最大限生かしながら、企業の生産性を向上させ、更なる賃上げにつなげる構造的賃上げを実現していきたいと考えています。

盛山委員 次に、安全保障、外交についてお尋ねをします。

 二〇〇九年七月の、普天間基地の移設を最低でも県外の方向で行動するとの発言で日米関係が悪化し、二〇一〇年九月の中国漁船の海上保安庁船舶への衝突事件及び二〇一二年九月の尖閣諸島の国有化によって日中関係が悪化し、二〇一二年八月には李明博韓国大統領による竹島上陸によって日韓関係が悪化いたしました。

 日本外交は停滞し、東アジアの緊張感は高まっておりましたが、第二次安倍政権の発足以降、地球儀を俯瞰する外交で各国との関係改善が図られました。

 二〇一三年十二月には、国家安全保障会議が内閣に設置され、首相、官房長官、外務大臣、防衛大臣の四大臣会合等が積極的に開催されるようになりました。また、同月に特定秘密保護法が制定され、行政機関における特定秘密の漏えいを防止する措置が取られました。さらに、同月、新防衛計画の大綱が策定され、緊張する東アジア情勢を踏まえて、諸外国との連携、協調をより一層推進することとなりました。

 二〇一五年四月には、日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドライン、これを再改定し、同年九月に平和安全法制関連二法を成立させ、日米を中心とする西側諸国との連携の強化が図られました。

 二〇一六年八月にはTICAD6で、自由で開かれたインド太平洋、FOIPを提唱して各国の賛同を得、世界の平和、発展を日本が主導するように存在感を増してまいりました。

 二〇一七年に米国が離脱したTPPは、日本が主導的な役割を果たして、CPTPPとして合意を実現し、二〇一八年に発効し、関税の撤廃や紛争解決等の自由貿易の推進に貢献しています。

 二〇一九年にはG20を初めて日本で開催し、大阪宣言を採択しております。

 昨年、二〇二二年二月二十四日にはロシアによるウクライナ侵攻が開始されました。ゼレンスキー・ウクライナ大統領から、日本が中心となってウクライナの自由と平和を守る国際的な枠組みを構築してほしいとの叫びを受け、我が国は、自由、民主主義、法の支配、人権を守ることが重要であると、あらゆる機会に世界に向けて発信を続けています。

 二〇二二年五月には経済安全保障推進法を成立させ、同月には、日米豪印首脳のクアッドで、力による一方的な現状変更を許すことはできない、新型コロナ、気候変動、インフラといった様々な喫緊の課題についての協力の推進と、安全保障だけではない、経済も含めたFOIPの理念を推進することが再確認されました。

 二〇二二年十二月には、国家安全保障戦略等のいわゆる戦略三文書を策定し、我が国を守るのはまず我々であると国民の皆様に安全保障についての認識を高めていただき、防衛費の増額とそのための増税を含む負担について盛り込んだ来年度予算案をまとめ、現在、国会で審議がなされているところです。

 本年は我が国がG7の議長国であることから、岸田総理は一月九日から、フランス、イタリア、イギリス、カナダ、アメリカと各国首脳を歴訪され、五月に開催される広島でのG7サミットに向けて準備を進めておられます。

 また、先週末にはミュンヘン安全保障会議に林外務大臣が出席され、ミュンヘンで林外務大臣主催のG7外相会議が開催され、ウクライナを含む国際情勢と安全保障について議論がなされたところです。さらに、ぎくしゃくしている日韓関係の改善に向けて大詰めの折衝をされております。

 第二次安倍政権の発足以降、着実に一歩一歩、様々な課題に取り組み、検討を進めてきたからこそ、我が国の存在感が世界の中で高まり、他の諸国から、政治的に安定した日本の考え方を聞きたいというふうに変わってきております。

 岸田総理は、一時期を除いて、外務大臣、自民党政務調査会長と、この十年間ずっと政権を支えてこられるお立場におられたからでしょうが、日本の置かれている状況を的確に判断され、これまでの政権ではなかなか進展させることができなかった大きな懸案について、この一年半という短期間で成果を上げてこられた、このことについては後世評価を受けることになるのではないかと存じます。

 総理にお尋ねをいたします。

 戦争絶対反対とおっしゃる方や、安全保障強化は賛成であるが増税は反対とおっしゃる方が少なからずおられます。広く国民の皆様に、我が国が置かれている世界の現状や自由、民主主義、法の支配、人権を守る必要性について御理解を深めていただかなければならないと存じますが、総理の危機意識を共有していただけるようにどのように取り組まれるのか、お伺いをします。

 また、更にもう一問、平和と安全を守る国際的な枠組みの構築に向けてどのように取り組まれるのか、お伺いをしたいと考えます。

岸田内閣総理大臣 パワーバランスの歴史的変化そして地政学的競争の激化、こうしたものに伴って、国際秩序は重大な挑戦にさらされています。我が国は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面しています。

 そのような中、御指摘のように、自由、民主主義、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持強化することの重要性がより高まっていると考えます。

 かかる情勢認識の下、我が国としては、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持強化し、インド太平洋地域における平和、安定、繁栄を確保していく、このため、日米同盟を基軸としつつ、ASEANや欧州を含む同志国とも連携し、日米豪印の取組等も活用しながら、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取組を戦略的に推進していかなければなりません。

 そして、こうした外交を進めるためにも、我が国自身の防衛力、安全保障環境の整備、こうしたものは外交の裏づけとなるものであり、こうした外交、安全保障を一体的に進め、総合的な安全保障を考えていく、こうした取組は重要であると認識をいたします。

 そして、その際に、国民の皆さんの理解、そして後押しのある外交、安全保障ほど強いものはありません。さきに述べたような情勢認識、あるいは必要となる安全保障政策の在り方について国民の皆さんに丁寧に説明を行い、できるだけ多くの方々の理解を得るための努力を尽くし、国民と共にある外交、そして安全保障を進めていくことが重要であると認識をしております。

盛山委員 ありがとうございました。

 今お尋ねをしました経済の回復と安全保障、外交だけではなく、二〇一九年には二〇五〇年のカーボンニュートラル目標を決定してグリーントランスフォーメーションを進められていること、新型コロナウイルス対策についても欧米に比べ着実に対策が講じられていることなど、この十年間で日本の経済は拡大し、世界における存在感が高まっていることは明らかであり、失われた十年との批判は当たらないと申し上げたいと思います。

 次に、少子化対策についてお伺いをします。

 パネル四を御覧ください。

 我が国の人口は、二〇〇八年に一億二千八百万のピークを打ちまして、人口減少の局面に転換しています。二〇一八年の死亡者数百三十六万人ほどから出生者数九十二万人ほどを引いた自然減は四十四万四千人ほどです。人口の自然減は初めて四十万人を超えました。

 二〇一九年の出生数は八十六万五千人ほど、死亡者数は百三十八万人ほど、自然減は五十一万六千人ほどで、自然減が初めて五十万人台に上りました。五十万人ということは、政令指定都市が一つ消滅するという規模になります。

 最新の国勢調査である二〇二〇年には日本の人口は一億二千六百十五万となり、二〇〇八年に比べ百九十三万人、つまり二百万人近い人口が減少しております。

 二〇二一年の出生数は八十一万二千人ほどで、六年連続で過去最少を更新し、自然減は六十二万八千人ほどと六十万人台に上っております。二〇二二年、昨年の出生数は八十万人台を割り込むと予想されているところです。第一次ベビーブームの一九四九年の出生数は二百九十六万七千人ほど、約二百七十万でありました。現在ではその三分の一以下となっているわけです。

 また、国立社会保障・人口問題研究所の推計では、二〇四五年に人口は一億六百四十二万人に、二〇二〇年から比べると約二千万人減少するということです。高齢化率は二八・六%から三六・八%に上昇し、三分の一以上の国民が高齢者となる、そういう状況になっていきます。

 二〇〇八年から二〇二〇年までの人口減少が約二百万人、ところが、二〇二〇年から今後二〇四五年までの減少が約二千万人に上ります。これまでの十倍の人口が減少いたします。つまり、日本の置かれている状況が大きく変わるということです。

 また、人口動態で見ますと、十五歳から六十四歳までのいわゆる生産年齢人口が七千五百万人から五千六百万人ほどに約二千万人減少します。六十五歳以上の高齢者率は、三千六百万人から、逆に、三千九百万人に増加をいたします。総人口だけではない、この人口動態の変化というものに着目する必要があります。生産年齢人口が二千万人減少することで、例えば社会保障制度の課題など、より一層深刻になるということです。

 一方、世界に目を向けますと、一九五〇年以降、日本の人口は十番以内でありましたが、二〇二〇年にメキシコに抜かれて世界で十一番目となっております。

 二〇二二年十一月に世界人口が八十億人に達しまして、二〇八〇年代に約百四億人のピークを打つと国連が発表しております。二〇二二年末には、中国の人口が約六十一年ぶりに減少して十四億一千百万人ほどとなり、インドが十四億二千二百万人で世界一となっております。

 日本では、二〇一三年四月には、保育の受皿が約二百四十万人、申込者数は約二百三十万人で、待機児童数は約二万二千七百人でありました。二十五歳から四十四歳の女性就業率は六七・七%でしたが、その後の保育所の整備等により、二〇二二年四月には受皿が約四割拡大して三百二十万人となり、申込者数は約二百八十万、待機児童数は逆に約三千人に減少し、女性就業率は七八・六%と大幅に改善しております。

 パネル五を御覧ください。

 二〇二〇年の全国平均の合計特殊出生率は一・三三で、人口問題研究所の推計の前提は二〇四五年に一・四四に回復するというものです。しかしながら、これでも人口を維持する二・〇八よりも低く、二〇二〇年以降の新型コロナの影響を考慮すると、今後の人口はこの予測よりももっと下振れするのではないかと思います。

 先ほど述べましたように、我が国では保育所等の子育て環境を改善してまいりました。このようにハードの施設整備等を進めることは必要ですが、私はソフトの意識改革を進めることが重要であると考えております。出生数が減少したフランスでは、非嫡出子への差別をなくすことを含めて様々な支援策が講じられた結果、出生数が回復いたしました。

 公務員に四週六休制を導入したのが一九八八年四月、金融機関が完全週休二日制に転換したのが一九八九年二月、公務員が完全週休二日制に移行したのは一九九二年五月でした。

 私は、一九八一年にパリの経済協力開発機構、OECDに出向し、夕方六時にぴたりと終わり、夫婦のどちらかが保育所に子供を迎えに行って、家族で夕食をすることが当たり前の生活であるという現実に直面してびっくりいたしました。接待等の会食は昼が基本で、夜はプライベートの時間でした。赴任する前の私は駆け出しでしたが、上司が帰るまで役所で遅くまで残るのが当たり前で、土曜日も半ドンといって出勤しており、日が暮れるまでに役所を出ることができればラッキーという感じでした。多分、岸田総理も就職された頃には私同様に、平日は残業、土曜も出勤されていたのではないかと思います。

 そのような状況でしたので、OECDに赴任したときには、余りの違いに驚きました。二年後に帰国するときには同僚から、OECDに残ればよいではないか、なぜそのような状況の日本に戻りたいのかとあきれられたぐらいです。

 もちろん、先ほど述べましたように、我が国でも女性や子育て支援を含む諸施策が講じられた結果、労働環境、子育て環境は大幅に改善しております。M字カーブと呼ばれた状況は改善され、女性就業者数は増加して、先ほど述べましたように、二〇二二年平均で、二十五から四十四歳の女性の就業率は七九・八%へと変化してきています。しかし、男女が共に子供を育て、家事を分担するというところにまで、いまだ国民の意識は変わってきてはいないのではないでしょうか。

 私は二十五歳、妻は二十四歳で結婚しました。早く結婚したからでもあり、家内の実家の近くに住んで何かと支援を受けることができたから、四人もうけることができたと考えております。総理にも三人のお子さんがいらっしゃいますが、経済的な理由だけではなく、子育てに対する職場、社会の理解等が進んでいかなければ出生数の改善は難しいのではないかと感じております。希望する子供の数と現実の子供の数にギャップがあるのは、そのためではないでしょうか。

 子供と共に過ごす時間は、大切で、楽しく、かけがえのない時間です。子供を育てることを通して学ぶことも、交流の範囲が広がる、子供がいることによってキャリア等にマイナス面があるということを補うプラス面があるのではないかと考えております。カップルが希望の数のお子さんを持てるような環境を整えることが肝要であると存じます。

 総理にお尋ねをします。

 本年四月にこども家庭庁を設置し、これまでにない少子化対策に取り組まれるということですが、どのような施策を進められるのか、お伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 子供、子育て政策は最も有効な未来への投資だと思います。個々の政策の内容あるいは規模面、もちろんこれは大事でありますが、委員御指摘のとおり、これまで関与が薄いと指摘されてきた企業あるいは男性、さらには企業社会、高齢者、独身も含めて、社会全体の意識を変えることが重要であり、子供、子育てを応援するような、次元の異なる少子化対策を実現したいと考えています。

 こうした問題意識の下、こども家庭庁の設置を待たずに、先般、一月六日ですが、こども政策担当大臣に、児童手当を中心とした経済的支援の強化、幼児教育や保育の量、質両面からの強化、全ての子育て家庭を対象とした支援の拡充、そして、育児休業制度の強化を含めた、働き方改革の推進とそれを支える制度の充実といった基本的な方針に沿って検討を指示したところです。

 御指摘のように、本年四月にこども家庭庁が新設されますが、このこども家庭庁の下で子供、子育て政策の抜本的な強化に取り組んでいきたいと考えており、まずは、基本的方向性等を踏まえて、こども政策担当大臣の下、子供、子育て政策として充実する内容を具体化し、六月の骨太方針までに将来的な子供、子育て予算倍増に向けた大枠を提示したいと考えています。

盛山委員 ありがとうございました。

 次に、地域の活性化についてお伺いをします。

 このパネル六を御覧ください。

 二〇二〇年から今後二〇四五年までに、約二千万人、一六%の人口が減少するのですが、都道府県別に見ますとこのようになります。

 この黄色の枠の数字を御覧ください。全ての都道府県において総人口が減少する見込みですが、秋田県は三七%、青森県は三三%、一方、東京都は三%、愛知県は九%と、人口規模の小さな地方部の県では減少幅が大きく、都市部では減少幅が小さくなっています。

 緑の折れ線を御覧ください。十四歳以下の人口。赤の折れ線、こちらは十五歳から六十四歳の人口です。これは全ての都道府県で減少します。特に秋田県、青森県の減少幅が約五割となっています。一方、オレンジの折れ線の六十五歳以上人口については全ての都道府県で増加しますが、沖縄県や東京都では三割以上増加する予測です。

 パネル七を御覧ください。

 二〇二〇年と二〇四五年の都道府県別の総人口と六十五歳以上人口を比較しております。上から順に、総人口が少ない順に記載しておりますが、二〇四五年には、総人口に占める六十五歳以上人口の割合が四〇%以上の道県は十八道県となります。

 高齢化率で二〇二〇年の全国平均は二九%で、一番高齢化が進んでいる県が秋田県で三七%です。二〇四五年には、全国平均が現在の秋田県と同じ三七%で、秋田県の場合には五〇%、人口の半分が高齢者となる予測です。人口も、二〇二〇年の九十六万人が、二〇四五年には六十万人に秋田県は減り、人口の半分が高齢者となる予測です。青森の場合には、二〇二〇年の人口百二十四万、高齢化率三四%が、二〇四五年には八十二万人、四七%となる予測です。

 なぜこのように地方において高齢化が進展し、人口が減少するのでしょうか。私は、大学進学時に大都市へ、就職時に大都市へと、若年層が地方から大都市に移動するからだと思います。

 以前は、男性が都市に移動しても女性は地方に残っておりました。一九七五年の「木綿のハンカチーフ」という歌は、そのような別れを描いて大ヒットとなりました。しかし、今では、男女共に大都市へ移動し、地方の若い層が減少し、その結果、少子高齢化、人口減少が加速化されていると考えています。

 それでは、なぜ、就職時に、大学進学時に地元を離れることになるのでしょうか。私は、希望する職種、勤務条件の企業がなくなってきていることがその背景にあるのではないかと考えております。企業にとって、支社、支店を設置するかどうか、現在ある支社、支店を廃止、統合するかどうかは、その地域の経済力、将来性が大きな判断基準となると思います。

 二〇一五年に北陸新幹線長野―金沢間が開業し、東京―金沢間が約二時間半で結ばれ、その結果、新幹線開業前と比較して、金沢駅周辺の地価は二倍になり、昨年、西九州新幹線が武雄温泉―長崎間で暫定開業すると、二〇一六年の着工前と比べまして、長崎駅周辺の地価は二・三倍になっております。

 大学や企業が地方都市に拠点を置いて活動するためには、高速交通サービスが不可欠です。新幹線、高速道路、空港、港湾等のインフラだけではなく、高速交通サービスの提供がなければ地方都市の未来はなくなると考えております。

 日本は大都市だけで成り立っているのではありません。地方が元気でなければ、日本全体としての将来、今後の発展はないと思います。経済成長、人口増加のこれまでとは大きく状況が異なっているのです。海外からの働き手を受け入れること等も含め、地域と日本の競争力を高めていくためには、これまでのスキームにとらわれない政策推進が必要であると考えます。

 また、デジタルトランスフォーメーションを進めるためにも、バーチャルだけではなく、リアル、現実の地域活性化が必要です。

 道路、橋梁、トンネル、公共交通サービスや、電気、ガス、水道のライフラインを含め、何でもかんでもこれまでと同水準の公共サービスを提供することは困難な時代になってきていると存じます。これまで以上の地域の衰退を食い止め、発展を目指すために何が必要か、どこまでを維持するのか、提供するのか、また、今後の発展のために何をしなければならないのかについて、国と地域が協力をして取り組まなければならないと考えます。

 総理にお尋ねをいたします。

 総理は、デジタル田園構想、デジタルトランスフォーメーションを進めておられますが、地域の活性化に向けてどのような施策を進めるのか、お伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 地方における少子高齢化や人口減少、これは深刻な課題であり続けています。特に、就職や進学を契機として、十代後半から二十代の若年層の東京圏における転入超過、これは依然継続しているというのが現状です。地域の活性化に向けてこうした課題に対応することが重要であると考えます。

 こうした認識の下に、昨年十二月にデジタル田園都市国家構想総合戦略を策定し、地方に仕事や人の流れをつくる、この観点から、地方拠点強化税制等による企業の地方移転の推進、また、地方創生移住支援事業等を活用した移住の推進、また、魅力的な地域をつくる観点から、地域交通のリデザインなど公共交通ネットワークの整備、あるいは道路、港湾などのインフラ分野におけるDXの推進、こういった施策を行うこととしております。

 デジタルの力も活用しながらこうした取組を推進し、全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会を実現することで、東京圏への過度な一極集中の是正、あるいは地域の活性化、こうしたものを図ってまいりたいと考えております。

盛山委員 ありがとうございました。

 大都市圏だけではなく、地域がどのようにこれからもしっかり発展していくことができるのか、是非、総理だけではなく、関係省庁全ての皆様に、そしてまた地方公共団体の皆様と連携をしてお取組をしていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

根本委員長 この際、中村裕之君から関連質疑の申出があります。盛山君の持ち時間の範囲内でこれを許します。中村裕之君。

中村(裕)委員 おはようございます。自由民主党の中村裕之です。

 質問の機会をいただいたことに心から感謝を申し上げまして、早速質問をさせていただきます。

 私は今、自民党の文部科学部会長を務めております。岸田内閣が掲げる人への投資に大きな期待を持っている一人であります。教育は国家百年の計でありまして、岸田内閣の人への投資に期待をしているところでありますが、まず初めに、GIGAスクール構想について伺ってまいります。

 総理は二月十日に、埼玉県戸田市の小学校に視察にいらっしゃったと伺っております。一人一台端末を活用した授業を御覧になって大変に感銘を受けたということも聞いておりますけれども、一人一台端末、非常に大きな教育成果を上げていると思いますが、総理の視察の感想をお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、今月十日ですが、埼玉県戸田市の戸田東小学校を訪問した際に、一人一台端末をフル活用して、地域や学校の課題を調べ、解決策をプレゼンテーションする様子などを見学し、その際に、子供たちの大変生き生きした目が印象的であったと振り返っています。また、若い先生方とも意見交換をさせていただきました。戸田市のような取組を特定の自治体の先進事例で終わらせるのではなく、これを全国に展開させていくことが必要である、こうしたことも感じてきました。

 GIGAスクール構想、これは、御指摘のように、今の政権が掲げる人への投資、あるいはデジタル田園都市国家構想の実現の上で重要な政策であると認識をしています。全国の学校が一人一台端末を日々の授業で当たり前のツールとして使えるよう、全国にGIGAスクール運営支援センターの設置を進めるなど、国の責任の下、自治体と連携しながら、GIGAスクール構想、これを力強く進めてまいります。

 そして、この際に、端末の更新の在り方等の課題についても、政府として、自治体と連携しながらこれにしっかり対応していきたい、このように考えています。

中村(裕)委員 全国に展開をしていくことが必要だということを感じられたということであります。

 私も、二〇一九年、文部科学大臣政務官を務めているときに、佐賀県の小学校に視察に行きました。教室の中で五、六人のグループをつくって、それぞれ協力をしてプログラムを組み立てて、教室の中にペッパー君がいまして、プログラムができたらペッパー君につなぐと、ペッパー君が御挨拶をしてくれる、正しければ。それで歓声が沸くんですね。

 一方、つくば市の小学校に行ったときは、流暢な、本当にすばらしい英語で御挨拶をしてくれまして、いやあ、すばらしい御挨拶でしたねというふうにお話をしましたら、子供たちが、タブレットの動画を見ながら勉強しましたというふうにおっしゃっていました。

 私も、その経験を通じて、これはもう全国の小学校、中学校で一人一台タブレット環境を構築すべきだということを決意して、ちょうど二〇一九年の十月に消費税の一〇%の改定がありましたから、その後には必ず大規模な補正予算を組むはずだから、そこで一人一台端末の予算を取っていこうということを、文部科学省の職員の皆さんにも呼びかけまして、旗振り役を務めさせていただきました。

 柴山大臣にも命を受けて、財務省の皆さんともその必要性の議論をさせていただいて、安倍総理が決断をしてくれました。そのときに、安倍総理は、国家の意思としてこれを導入するという言葉を使って、導入の決断をしてくれたわけです。本当にうれしく思ったところであります。

 現在は、まだまだ地域間格差があったり学校格差があったりしますけれども、総理、想像してみてください。いずれ数年のうちに、総理が御覧になったような授業が全国の全ての小学校で日常的に行われるようになるということであります。これはすばらしいことであります。これに勝る人への投資はないのではないかというふうに私は思っているんです。

 自民党では、文部科学部会の中に学校DXPTを置いて、田野瀬座長の下に、自治体や教育関係者から今ヒアリングを行っているところです。令和六年度には、先進的な自治体は端末の更新を迎えて、新しい端末に切り替えなければなりません。それに向けて、個別最適な学び、そして統合的な学びを進める上で、一人一台端末は教科書と同じマストアイテムだということを教育者の皆さんはおっしゃっていますし、これが自治体ごとの財政力格差で差があってはいけないということも指摘をされています。

 そこで、総理の決意を伺いたいんですが、GIGAスクール構想は、政府が責任を持って持続的に推進をしていくべきだと考えます。決意をお話しいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、委員御指摘のように、GIGAスクール構想、これは政府の責任でこの構想をしっかり進めていく、こうした基本的な考え方は重要であると思います。

 そして、先ほど申し上げた戸田市における視察においても指摘をされました、そして委員の方から今触れられました端末につきましても、これは取組が進められる中にあって、更新時期を間もなく迎えることになってくる。

 この更新等について、自治体の財政力等において格差が生じてはならない、こういった御指摘、こういったこと等についても、政府がしっかり受け止めることによって、自治体と連携しながら取組、対応を進めていきたいと考えます。

中村(裕)委員 総理から本当に前向きな答弁をいただいて、感謝を申し上げます。

 戸田の小学校の視察では、総理は、若い教職員の方と意見交換をされたというふうに伺っています。車座で、有意義な時間をお持ちになったと思いますが、今、教師のなり手不足が指摘をされていて、問題になっています。学校現場にはできるだけ優秀な方々に教師として勤めていただきたいというふうにも思っているところでありまして、教師の処遇の抜本的な改善と働き方改革を進める必要があるわけであります。

 総理は、視察後の記者会見で、勤務実態調査の速報値の結果を踏まえて、骨太方針に方向性を示すことを目指す、こういうふうに発言をされていますけれども、改めて、教師の処遇改善の重要性、働き方改革への総理の決意をお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、戸田東小学校においては、若い先生方と学校における働き方改革などについて意見交換を行いました。教職の魅力をより向上させ、優れた人材を確保するために、教師の処遇改善と学校における働き方改革等を一体的に進めていくこと、このことの大切さを改めて感じた次第です。

 学校における働き方改革については、これまで、小学校における三十五人学級の計画的な整備や、高学年教科担任制の推進等の教職員定数の改善、ICTを活用した業務効率化、そして教師をサポートする外部人材の配置の充実等に取り組んできたところですが、御指摘のように、今年の春に勤務実態調査結果の速報値を公表することを予定しており、この結果を踏まえて、骨太方針に方向性を示すことを目指して、働き方改革を加速化し、処遇の改善等を通じた教育の質の向上、これに取り組んでいきたいと考えています。

中村(裕)委員 春には勤務実態調査の速報値が出ます。それを見て骨太方針に盛り込んでいくということは非常に重要なことだと思います。党の方もそれに向けて準備を進めていきたいというふうに思います。

 次に、永岡大臣にお伺いしたいと思いますが、不登校の小中学生が増えています。新型コロナ感染症の影響もあるというふうに分析をされていますけれども、不登校が二十四・五万人に及んでいます。その人数、増加率とも過去最高の状況であります。これは何とか対応していかなければなりません。

 永岡大臣は、早速、対応の方針を自ら示しまして、有識者の皆さんとの議論を始めていると承知をしております。その方向性には、不登校特例校の拡充などで様々な方向性が示されていますけれども、中でも、一人一台端末を活用して子供たちの小さな声、心の声を把握して可視化をする、そして、その上で、不登校になる前に、不安を抱える子供たちを事前にサポートすることによって不登校になることを予防していこう、そういったことを示されていて、私は画期的な提案だというふうに思っているところであります。

 どのような仕組みを考えていらっしゃって、不登校対策をどのように進めていこうと考えていらっしゃるか、永岡大臣のお考えを、国民の皆様にも分かるようにお伝えいただければと思います。

永岡国務大臣 中村委員にお答え申し上げます。

 昨年度、小中学校におきます不登校児童生徒数が、今おっしゃっていただきましたけれども、二十四万五千人でございました。過去最多となったこと、これを踏まえまして、全ての不登校の児童生徒が支援を受けられるよう、不登校特例校の設置促進等の体制整備。また、一人一台端末の活用等によりますデータに基づく不登校の兆候の早期発見、そして早期支援。それから、全ての児童生徒が安心して学べる学校づくりによります予防的な不登校対策の推進。この三つを柱にいたしまして、誰一人取り残されない学びを保障する、そのための不登校対策の検討、これを進めているところでございます。

 一人一台端末を用いました心と体の健康観察、これは既に複数の自治体で実施をされているところであります。例えば、子供たちが毎日、一人一台端末のアプリを使いまして気持ちや体調を入力する、それから、先生に相談をしたいことがあればその旨を入力する、そういうことなどによりまして、教職員が児童生徒の変化にいち早く気づいて、そして早期の支援につながる、そのことが可能になるという効果が期待できると考えております。

 こうした取組も含めまして、不登校対策についても、こども家庭庁とも連携をいたしまして、有識者等の御意見も伺いながら、今年度をめどにまとめるべく、今速やかに検討を進めて、可能なことから順次実行していく、そういうところでございます。

中村(裕)委員 可能なところから順次実施ということでありますが、そういった一人一台端末を活用して子供さんの心の状況、不安などをいち早く察知して、チーム学校として対応していくと、子供たちの安心も非常に高まるんだと思います。是非、この取組は、一部の学校の取組にとどまらず、全国一律にやっていただきたいというふうに思います。これからの、また骨太方針等々、私たちも提案をしてまいりたいと思いますので、大臣にも御努力をいただければと思います。

 教育問題についていろいろ触れてきましたけれども、岸田総理、人への投資、一人一台端末環境は本当に効果的ですので、是非よろしくお願いしたいと思います。

 次に、酪農対策について伺います。野村大臣にお伺いしてまいります。

 配合飼料が歴史的に高騰し、そして子牛の販売価格も大幅に下落をしているというダブルパンチのために、離農する酪農家が出てきています。私の地元でも、牛乳の廃棄が始まっているというふうに聞いています。本当に残念なことであります。

 この牛乳の対策については、野村大臣は日頃から、販売価格に転嫁することが基本なんだということをおっしゃっていて、私はそれは正論だと思っています。しかし、新型コロナの関係もあって需要が低迷し、そして、学校給食でも使われている牛乳を大幅に値上げするというのはやはりなかなか困難なことでありまして、今そういった中で酪農家の皆さんが御苦労されているということであり、将来にも不安を持っている状況にあるわけであります。

 農林水産省は配合飼料価格安定制度を持っているわけでありますけれども、戦争と感染症というダブルの複合災害が、ちょっとないようなことが今起きていて、この制度の効果を大きく損なっている状況であります。

 この食料安全保障が脅かされているとも言える現状を何とか転換をしていかなければならないと私は感じていまして、これは特別な対策が必要だというふうに、大臣、私は思いますが、野村大臣、お考えをお聞かせください。

野村国務大臣 中村委員にお答えを申し上げます。

 酪農経営は、配合飼料価格の高騰によりまして、あるいはそのほかの要因もあるんですが、生産コストが急激に上昇をしているというのは承知いたしておりまして、特にその中でも、畜産の中でも酪農については、生乳需給の緩和やぬれ子価格、先ほどもありましたけれども、低下もありまして厳しい環境にあるということを十分認識しておりまして、また、この委員会でも、各党からこういった厳しい環境の御示唆がございました。おたくの北海道からも農水省の方に何人も陳情にお見えになっておりますので、そうしたことに応えていかなければならない、こんなふうに思っております。

 配合飼料の高騰に対しましては、これまでに、異常補填基金への累次の積み増しのほか、第三・四半期にトン当たり六千七百五十円の補填を行う特別対策も実施をしてまいりました。

 第四・四半期につきましても、こうした状況を踏まえまして、総理の方から御指示をいただきまして、一月二十四日の物価対策本部で指示をいただいたわけですが、その指示の中身は、第三・四半期の配合飼料コストを抑制する対策を継続するということで、生産者の皆さんが安心して経営継続を見通せるよう、具体的な対策を現在検討しているところでございます。

 また、先ほどありました基金の制度の在り方につきましても、様々な御意見をいただいております。高止まりすると補填が出ないじゃないか、こういったような御意見もいただいておりますので、幅広い関係者の意見を聞きながら、どのような対応ができるか、現在検討を進めているところでございます。

中村(裕)委員 野村大臣、ありがとうございます。

 第三・四半期の対策を第四・四半期にも継続するということを検討中ということでありますが、是非継続をしていただきたい、そのことをまず申し上げますし、従来の制度が、長期間の高止まりになると非常に効果が薄れてしまうことから、その対応についても是非早期の検討をお願いしたいと思います。

 続いて、カレントアクセスについて伺います。

 乳製品のカレントアクセスについては、本予算委員会でも議論があったところでありますが、総理からは、法的義務の範囲内で何ができるかを考えて議論を進めたいという答弁があったところです。また、大臣からは、脱脂粉乳には相当量の在庫があるので、脱脂粉乳の輸入量は減っていくのではないかと発言されたとも伺っております。

 十三・七万トンのカレントアクセスを減らせばいいじゃないかという議論もあるようですけれども、カレントアクセスは加工原料乳補給金単価の財源にもなっていますので、やみくもに減らせばいいというのはちょっと乱暴な話になるわけであります。

 そこで伺いますけれども、国内在庫が積み上がっている脱脂粉乳の輸入を今後も続けることには、酪農家の理解は得られないと思います。野村大臣は、今後、乳製品のカレントアクセスの扱いをどのようにされる考えか、伺います。

野村国務大臣 お答えを申し上げます。

 現在、乳製品のカレントアクセスにつきましては、毎年度、生乳換算で十三万七千トン、これはもう委員も御承知のとおりでございますが、乳製品がございます。この中には、バター、脱脂粉乳、ホエー等について、国家貿易の下で輸入の機会を提供する、輸入の義務じゃありませんが、機会を提供するという義務を負っておりまして、今年度は、一月までの入札の結果、生乳換算で十二万七千トン、残りが、あと枠が一万トンあります。

 こういったことで、落札済みでありますので、残りの輸入枠としてどうするか。計画では、バター六百二十六トン、あるいは脱脂粉乳四百二十九トンの入札を行う予定でございました。

 しかしながら、今委員指摘のとおり、脱脂粉乳は在庫が積み上がっている状況でありますので、改めて検討をし直しまして、今年度においては今後脱脂粉乳の入札は行わない、こういう形で省内で結論を得ているところでございまして、国内の乳製品の需給を見ながら、脱脂粉乳以外の乳製品について、所要の入札を行ってまいります。

中村(裕)委員 大臣、ありがとうございます。

 残り一万トンのうちの脱脂粉乳の入札は行わないということは表明されました。少し、少しというか、本当にありがたく思います。令和五年度においても、そのような適正な判断を続けていただければというふうに思います。

 次に、経済産業大臣にお伺いします。

 大臣に行おうとしましたが、時間が来ましたので、おわびを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

根本委員長 この際、中山展宏君から関連質疑の申出があります。盛山君の持ち時間の範囲内でこれを許します。中山展宏君。

中山委員 自由民主党の中山展宏です。

 今日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 今日は、聞き慣れない言葉かもしれませんが、細胞性食品についてお伺いしたいと存じます。

 再生医療の技術を活用して、動植物の細胞を培養し、増殖して、加工した食品のことで、お肉であれば培養肉とも言われます。また、この細胞培養によって、牛肉、豚肉、鳥肉を始め、魚やエビ、魚介類、さらには毛皮や皮革、木材等を製造しようとする分野は、広く細胞農業と呼ばれています。

 我が国は人口は減少しておりますが、世界人口は現在約八十億人、二〇五〇年あたりには約百億人に近づくと予測されております。それに従って食料需要も増大してまいります。加えて、途上国、新興国の経済発展によって、豊かな食生活の上で、食肉の消費志向も進むと考えられています。

 昨日、産学官連携によるフードテック官民協議会が公表したフードテック推進ビジョンにおいて、世界の食料需要は二〇五〇年に二〇一〇年比で一・七倍になると想定されており、増大するたんぱく質源等の需要への対応が必要である、また、地球の限界を意味するプラネタリーバウンダリーの九つの項目のうち、気候変動、生物多様性、土地利用変化、窒素・リンの四項目で限界点、境界を既に超えている、農林水産業、食品産業が利活用してきた土地、生物資源などの自然資本の持続可能性に大きな危機が迫っていると記述されています。

 地球環境への負荷を抑え、持続可能な食料供給を目指して、今、米国、シンガポール、イスラエル、オランダ、イギリス、中国、韓国など、海外においても細胞農業への研究開発投資が旺盛になってきています。我が国でも、大学の研究室と連携したスタートアップが誕生しています。

 そこで、まず、フードテック官民協議会が昨年十月から検討を進め、昨日決定されたフードテック推進ビジョンの概要と、とりわけ細胞性食品に関わるロードマップについて、農林水産省から御説明願います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 食品分野の新しい技術を活用したフードテックは、世界の食料需要の増大に対応した持続可能な食料供給の実現などの観点から重要な技術であり、昨日のフードテック官民協議会におきまして、今後の目指す姿や必要な取組などを整理したフードテック推進ビジョンとロードマップが策定されました。

 ビジョンにおきましては、今後目指す姿として、世界の食料需要の増大に対応した持続可能な食料供給を実現する、食料産業の生産性の向上を実現する、個人の多様なニーズを満たす豊かで健康な食生活を実現することを明らかにし、具体的な取組として、プレーヤーの育成、マーケットの創出を進めるところとしたところでございます。

 また、ロードマップにおきましては、それぞれのテーマごとに、取り組むべき具体的な課題を工程表として整理しております。

 委員から御指摘がございました細胞性食品につきましては、安全性や表示等、多くの課題が現在進行中のため、今後の期限を明示するには至っておりませんが、それらの課題について調整が進み次第、何らかの期限を示すことを検討してまいります。

中山委員 今おっしゃっていただいたように、まだ進行中で、なかなか、ロードマップ、いつまでにということが記述ができない状況だと思いますが、是非、研究開発に平仄を合わせながら、これは随時また御検討いただきたいと思います。

 フードテック官民協議会では、いわゆる大豆ミートと言われるような植物由来の代替たんぱく質のことも検討されておりますし、今、昆虫食、我が国では、イナゴを食べたり蜂の幼虫を食べたりとか、古来からもありますが、コオロギパウダーをどのように動物性のたんぱく質として活用していくか、こういった議論もされているかと思います。

 また、経済産業省においては、バイオ物づくりとしてバイオ技術を注目されているということでありますから、政府を挙げてしっかり前に進めていただきたいと思います。

 ただ、日本では、日本企業によって培養された鳥肉のささみやフォアグラを、私も拝見をいたしましたが、今のところ、研究開発に従事をする研究当事者でないと試食することは控えなければならない状況であります。

 他方、二〇二〇年にはシンガポールで、培養鳥肉のチキンナゲットが既に販売許可が承認され、実際に販売をされています。米国においては、昨年十一月に、FDA、米国食品医薬品局が、ある企業の細胞性食品の安全性、これも一社だけですが、確認をしたところであります。

 そこで、加藤厚生労働大臣にお伺いをしたいのですが、食経験のない未知の食品の安全性の確認の考え方、そして安全性の確保の措置をどのように行っていくか、お尋ねをしたいと思います。

加藤国務大臣 今お話がありましたように、大豆ミート等の植物由来のたんぱく質食品、いわゆる代替肉、これは既に国内で流通をしておりますけれども、培養肉は現時点で国内では流通しておらず、生産技術を含め、研究開発段階にあると承知をしております。

 厚労省としては、厚生労働科学研究により、安全性に関する科学的知見の収集を努めているところでございますので、引き続き、この研究開発の状況、安全性に関する科学的知見、また、先ほど海外のお話がありましたが、海外の国際的な動向を注視しつつ、専門家の御意見も踏まえながら、安全面でどういった対応が必要なのか、これを更に検討していきたいと考えております。

中山委員 国連の食糧農業機関、FAOとWHOの下にあるコーデックス委員会、食品の規格を議論する委員会においても、食品安全に係る国際基準について議論が進められようとしています。そこにもしっかりコミットしていただきたいと存じますし、また、細胞性食品が市場へ出されるときは、消費者にとって紛らわしくない食品表示をしなければなりません。

 消費者、また食品安全の視点から、河野大臣の御見解を伺いたいと思います。

河野国務大臣 昨年の九月に、私も培養肉の研究室を視察をさせていただきました。残念ながら試食まではできませんでしたが、結構可能性はあるんだろうと思います。

 委員おっしゃったように、もう既にシンガポールなどで、実際にこうした培養肉、細胞性食品が消費者にも供されているということを考えますと、消費者庁としても、様々、国際的な動向をしっかり見極めた上で、厚労省がやられる安全性に関する確認、こうしたものを経て、消費者に分かりやすいような表示というものを考えていかなければならないと思っております。

 もう既に大豆ミートのようなものが、これは内閣府の食堂でももう普通に出ておりますが、こういうものが、誤解がないように、どのような表示をしたらいいのか、そういう議論もございました。

 しっかりと、この細胞性食品についても、安全性の確認がなされて市場に出回るようなときには、表示をしっかりやっていくように努力してまいりたいと思います。

中山委員 是非よろしくお願いいたします。

 ここで、加藤大臣と河野大臣は御退席いただいて結構ですので。

 動物性たんぱく質の供給は、既存の畜産業をベースに、調和していくことが大切だと思います。現在、先ほど中村委員からの御指摘もありましたけれども、飼料価格の高騰であったり、国内においての牛肉、豚肉、鳥肉の自給率、それぞれ、三〇%台後半、そして豚肉は五割程度、鳥肉で六割強というところだと思います。ただ、穀物飼料も鑑みると、全体として一割以下になってくるんだと思います。

 そういう中で、我が国にはすばらしい畜産物のブランドがあります。細胞性食品、培養肉を作るに当たっては、種細胞が必要です。種細胞は、やはり畜産の既存の培われたブランドが武器になっていくんだと思いますが、これから、総理から、細胞農業の展望について御所見をいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘の細胞性食品を含め、食品分野の新しい技術を活用したフードテック、これは、世界の食料需要の増大に対応した持続可能な食料供給の実現などの観点から、重要な技術であると認識をしております。

 そして、御指摘にもありましたが、昨日、産学官の協議会において、フードテックの推進に向けたビジョンとロードマップが取りまとめられたということです。

 今後のフードテックの推進に当たっては、農林水産省、厚生労働省、消費者庁等の関係省庁が連携をし、オープンイノベーションとスタートアップの創業を促進するとともに、安全確保の取組や表示ルールの整備など新たな市場をつくり出すための環境整備を進めて、日本発のフードテックビジネスを育成し、日本と世界の食料、環境問題の解決、さらには日本経済の発展に貢献していく取組を後押ししていかなければならないと考えています。

中山委員 ありがとうございます。力強い、是非、後押しをしていただきたいと思います。

 後段、経済安全保障の話に移る前に、中国には生物安全法という法律がもう施行されています。中国は、我が国のヒト遺伝資源及び生物資源に対し主権を有すると言っています。人個人の遺伝情報も国が主権を有するということになります。ひいては、生物資源、牛や豚や鳥の資源の遺伝情報であったり細胞も、彼らにとっては国家が有するということになります。

 いずれこの細胞性食品が世界で流通することになろうかと思いますが、そのときのために、しっかり国際ルールを、我が国からしっかり価値観を基にした外交を展開していただいて、国際ルールを育んでいただきたいと思います。

 それでは、経済安全保障について質問をさせていただきます。

 経済安全保障上の貿易管理、サプライチェーンの再構築は、日本企業にとって本当に大変な作業が控えていると思います。主に輸入に関わるサプライチェーンリスクに対応するため、特定重要物資、半導体や蓄電池、クラウド、天然ガス、重要鉱物、航空機や船舶の部品など十一物資が指定をしていただきました。

 他方、輸出管理の面では、昨年十月七日、米国の半導体に関わる対中輸出、エンドユース規制が強化をされ、先端半導体そのものはもとより、製造装置、設計ソフト、技術も含まれています。

 半導体に限らず、先端技術や知財機微情報を扱う分野においての米国と中国を取り巻く経済環境のデカップリング、場合によってはパーシャルなデカップリングかもしれませんが、我が国経済が成長軌道を堅固に進展するために、本邦企業における、安全保障に資する、そういった考えの、時代の要請を踏まえた経済活動の予見可能性を、これは官民一体で対話をして戦略的な協議を行うことが要諦であると考えますが、本邦企業の予見可能性を高める、予見性確保にどのように努めていくか、ここは西村大臣にお尋ねをいたします。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、従来に増して、経済安全保障、この考え方が非常に重要になってきております。

 そうした中で、機微技術へのいろいろな懸念が高まる中、経済安全保障上の懸念が高まる中、我が国におきましては、まさに御指摘の戦略的に不可欠とも言える重要な技術を開発し、そして、それを保有し、守っていく、そうした施策におきまして、米国を始めとする同志国と緊密に連携しながら対応しているところであります。

 そうした中で、御指摘の米中による技術覇権をめぐる対立も激化をしておりまして、機微技術の範囲が従来の軍事関連技術にとどまらず、新興技術や半導体など基盤技術にも拡大しているところであります。一方で、米中両国による輸出管理の域外適用によって、御指摘のように、我が国の多くの企業の事業環境にも影響が及ぶと懸念の声が上がっているものと承知をしております。

 こうした状況を踏まえまして、経産省として、両国を始めとして様々な場面で、事業の予見可能性や競争環境の公平性確保に向けて申入れをしてきているところであります。

 また、産業界に向けては、法令遵守の範囲を超えて過度に萎縮する必要はない、仮に不当な対応を求められることがあれば政府が前面に立って支援するということをお伝えしておりますし、様々な国の措置の詳細に関する説明会の開催など、積極的、そしてタイミングを見て適切な情報発信を行ってきているところであります。

 引き続き、産業界ともコミュニケーションをしっかり取って、御意見も丁寧にお聞きをしながら、基本的には、米国を始めとする同志国と緊密に連携して対応してまいりたいというふうに考えております。

中山委員 ありがとうございます。

 中国は、米国にとっても、我が国にとっても、大事な貿易相手国であります。

 私、ルール形成戦略議員連盟で事務局長を仰せつかっておりまして、過去にも何度も、このデカップリングの在り方については、議論を甘利明会長の下でさせていただいております。ハイエンドなものとローエンドのものに分けるとか、様々な考えがありますが、いずれにしても、これは議論自体が機微だと思いますけれども、丁寧な、民間の事業者の皆さんに対して、予見可能性が高まるように、お願いをしたいと存じます。

 次に、今報道で報じられておりますが、沖縄本島の北に位置する伊是名村の無人島、屋那覇島の約半分を中国系企業が取得したと報じられています。この無人島は、屋那覇島は、重要土地調査法の注視区域の対象外ではありますが、安全保障上危惧されると、これは伊是名村の村長もおっしゃっておられます。

 こういった、無人島に限らず、都心のマンションや、京都、熱海、軽井沢といったところの不動産、また宿泊施設、そして、コロナ禍で、最初は受診抑制等々で医療機関も経営が非常に困難だった、そういった医療機関に対してであったりとか、技術力はあるけれども事業承継の難しい地方の中小メーカーの方々に対して、中国人の富裕層や、日本法人であるけれども中国系企業による取得の話が見られます。

 この取得の際の資金決済に、いわゆる、世俗的な言い方ですが、地下銀行の存在が言われています。

 地下銀行というのは、中国と日本に、両方に支店があったり本社があったりとかする、いわゆる貿易商社が多いと言われますが、中国の方が日本の土地を買う場合に、中国の支店若しくは本社の方で人民元を渡して、そして、同じ、同一の企業である日本の支店若しくは本社の方で、そちらは日本円で、例えば無人島の所有者、日本人の所有者に代金を支払う。疑似的に為替取引が行われる、疑似的に送金がされている、そういった状況になっています。

 疑似的な送金、疑似的な為替取引でありますから、鈴木大臣、まず、このような取引、把握することができるのでしょうか。

鈴木国務大臣 いわゆる地下銀行を通じました疑似的な送金につきましては、報道等によりましてその存在が指摘されていること、それは承知しておりますが、一般論として申し上げますと、国内で送金等の為替取引を業として営む場合には、銀行としての免許あるいは資金移動業者としての登録が必要でありまして、それらを得なければ、これは違法な行為となるわけであります。

 そこで、先生お尋ねの、そうしたものが把握可能かということでございますけれども、率直に申し上げまして、こうした違法な送金の実態を把握するというのはなかなか難しいという現実がございます。しかし、仮に外部からの情報提供などによってそうした事実を把握した場合には、捜査当局と協力をしながら必要な対応をしっかりと取っていく、そういうものであると考えております。

中山委員 是非そこは強力にお願いをしたいと存じます。

 それでは、最後の質問をさせていただきます。

 高市大臣にお伺いをいたします。

 今回の公聴会の中でも、陳述人から超限戦の話が出ました。触れていただきました。この超限戦という言葉は、一九九五年ですかね、中国の国防大学の教授が書かれた本のタイトルであります。限りのない戦い、境がない戦いということであります。

 まさに、平時と有事の境がない、軍民融合、これは、戦わずして勝つ、いかに経済力、経済術を使って侵食をしていくかということが要なんだと思っています。その領域は、フィジカルなサイバー空間、宇宙や海洋、深海まで進んでいくということになります。また、極地においてもその領域に入っているということでありますし、科学や金融、そして個人情報も含むデータ、さらには、今、情報戦、認知戦がございます。今、私たちの内面の浸透まで含めて経済安全保障の分野であると思いますが、大臣の今後の取組についてお願いいたします。

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますので、大臣の答弁は要しないことにしたいと思います。

中山委員 一言だけで結構です。済みません。

根本委員長 一言でお願いします。

高市国務大臣 はい。

 情報保護、またデータ保全、こういった分野については、国家安全保障戦略、閣議決定されたので、しっかりと体制を整えてまいります。また、セキュリティークリアランスに関しましても、できるだけ速やかに検討作業を進めることといたしております。

根本委員長 簡潔にお願いします。

高市国務大臣 私が所管する宇宙関係になりますけれども、宇宙空間を活用した情報収集能力の強化も進めてまいりますし、偽情報に関しました体制整備、新たな体制整備を通じて、しっかりと我が国の安全保障のための取組を進めるということは非常に重要だと考えております。

中山委員 ありがとうございました。終わります。

根本委員長 これにて盛山君、中村君、中山君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 本日は、三十分という限られた時間でございますが、私は、国民の皆様が今直面する切実なテーマについて質疑をさせていただきたいと思います。私は重箱の隅をつつくような細かい質問はいたさないと思っておりますので、大変僭越でございますが、閣僚の皆様におかれましては、どうか、国民の皆様の痛みに思いを凝らし、寄り添った、決意あふれる、明快な答弁をよろしくお願いを申し上げます。

 まず最初に、エネルギー価格高騰対策について質問させていただきます。

 このエネルギー価格というのは、国民の生活を苦しめ、また、産業活動を著しく停滞させてしまう大変大きなテーマでございます。昨年秋、我が党の山口代表を先頭に、岸田総理に直接お会いをさせていただき、これまで前例のない踏み込んだ支援対策をどうか講じてほしいということを申し入れさせていただきました。

 その話も受けていただき、昨年の第二次補正予算では、従来の取っておりましたガソリン、軽油、灯油対策に加えまして、電気・ガス料金の値下げに踏み込む思い切った対策、六兆円を超える大きな予算が計上されたわけでございます。

 地元を回っておりますと、二月の電気料金の請求が今来ているときでございまして、多くの皆さんから、一月は年末年始ということもあって大変料金も高くなっていたけれども、二月はもう明らかに、国による激変緩和措置によって値引きが充当されていると。

 実は、私自身も調べましたら、電気代は、私の家で、一月で四千七百円以上減額となっております。単価でも、キロワットアワー当たり三割減、単位三十円以上だったのが二十二・五円になっておりました。

 ちなみに、ガス代につきましても、この一月、二月請求分は八千円以上引き下がったということでございまして、確かな効果を実感しているところでございますが、まだ、こうしたことが十分、よく承知されていない、認知されていない方もたくさんいらっしゃいますので、是非、経産省におかれましては、告知をよろしくお願いしたいと思います。

 このように、電気料金がようやく一服をしたという感じでありますが、しかし、関西電力と九州電力を除いた電力各社が、四月以降、規制料金を三〇%から四〇%値上げをしたいとの申請が出ているという報道がございます。こうした報道に、多くの国民の皆様は大変不安に感じていらっしゃっております。

 今回の電気料金、ガス料金の値下げに踏み込む補正予算の措置というのは、国民の生活を守るため、中小企業の経営を守るために行ったものであって、電力会社の経営を助けるためではないはずです。ここは明確に一線を引いてもらわなければ、せっかく国民の生活のために六兆円もかけて踏み込んだ対策が、結果としては、電力会社の経営を助けて、国民が割を食らうというのは、これは明らかにおかしい。

 電力会社を救済するなら、政府の責任でしっかりと別の対策を講じることが筋だと思いますし、せっかくの電気代、ガス代の料金値下げの措置を、まさにそこから吸い上げるというのは、私はとんでもない話だというふうに思います。

 これから認可の申請について経済産業大臣の下で審査が行われるものと承知をしておりますが、まず審査を厳格に行うということは当然のこととして、今、国民の皆様は大変苦しんでおります。年金暮らしの高齢者の皆様が、一月これだけ電気・ガス代、生活のライフラインそのものが上がるというのは、まさに死活問題でありますので、こうした国民の皆様の痛みが分かる政治、大変大切だと思いますので、まず、西村経産大臣のこの審査に対する厳格な姿勢と、そして、これに対する、問題に対する大臣の見解を聞かせていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

西村(康)国務大臣 問題意識はまさに共有をしておりまして、委員と同じ思いを持っております。

 まず、この電力・ガス料金の激変緩和策、負担軽減策、これは全て国民の皆さんの負担軽減に使うということでありますので、何かこのお金が電力会社の経営支援に使われるということはありませんので、このことはしっかりと確認しながら進めていきたいというふうに思っております。

 その上で、御指摘のありました電気料金値上げについての申請が出ておりますけれども、まさに、燃料調達の価格、その見通しが確かなものかどうか、高く見積もっていないか、あるいは、経営効率化、改革がしっかりと行われているかどうか、こうした点も含めて厳格に審査をしていきたいというふうに考えております。

赤羽委員 ありがとうございます。公共料金の部分について、価格転嫁を国民に押しつけないということを明確に答弁をいただいたものだというふうに思います。

 次に、LPガス料金について御質問をさせていただきます。

 各地に足を運びますと、地方に行けば行くほどLPガスの地域というのが大変多いことを実感しております。そこに住まわれる方々は、都市ガスは料金が下がっているけれども、LPガス、下げてもらわないと本当に大変だという声を聞かせていただいております。

 LPガスの利用者世帯数を調べさせていただきますと、全国で二千二百万世帯、これは全世帯数の四五%を超えるんですね。国民の半分近くがLPガスの地域でございます。

 このLPガス地域は特に地方部に多い。都市部においても、都市部の中でも郡部ですとか離島はほとんど全部LPガスの地域です。大臣の淡路島も恐らくそうではないかというふうに思っております。

 公共料金、特に生活インフラの最重要の電気代、ガス代の中で、ガス料金が地域によって、その恩恵を受ける地域があれば、ない地域がある、これは余りにも、公平性の観点という意味では、やはり手を入れなければいけない、私はそう思っております。

 昨年秋の補正予算で、この点について、私自身、質問に取り上げさせていただき、総理からは、地方創生臨時交付金の活用で対応したいという御答弁をいただきました。

 今回、その答弁をいただいて、現状はどうなっているかということを調べさせていただきましたが、昨年九月二十日に国から各地方自治体に対しまして、総額六千億円の電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金の交付限度額が通知をされたとのことです。その際に、推奨事業メニューにはLPガス料金の支援というものは入っていなかったということでございます。

 その後、十一月八日、これは恐らくこの国会での補正予算案の審議の結果を受けて、LPガス利用者への支援もこの推奨事業メニューに追加されるということが通知をされたということでございます。

 しかしながら、この地方創生臨時交付金の配分というのは非常に限られておりますし、使い勝手もいいということでございますので、九月に示された段階で多くの地方自治体がその配分の使途を決めてしまっている。ですから、十一月八日の段階でLPガスの対策に使えますよと言っても、現状はもう財政的に使える余地がないというところが大半だというふうに聞いております。

 パネル、資料をお示しさせていただきたいと思います。

 資源エネルギー庁の調査結果によりますと、地方創生臨時交付金を活用してLPガスに特化した支援を実際行っているのは、全国で六県。北から言いますと、栃木県、茨城県、愛知県、兵庫県、広島県、大分県、この六つの県にしかすぎません。事業化は不可能だという回答は実は十一県もございまして、そのうちの十県が、その理由として、もう予算が枯渇をしてしまっている、他の用途に使ってしまっているから今更LPガスには使えない、これが現実なんです。四十七都道府県のうち、たった六つの県でしか対応がされていないというのが現実でございます。

 そして、去る二月九日に、三十九名の全国都府県の知事の皆さんから、LPガス料金についても、電気料金、都市ガス料金の価格高騰対策に準じて、国が消費者の負担軽減策を講じること、何とかしてもらいたいという緊急要望が提出をされたと承知をしております。うちの党にも来ましたし、政府にも提出をされているはずでございます。

 私は、知事の皆さんというのは、我々国会議員よりも、より地元に密着をして、一人一人の国民生活に対して責任を取られている立場です。その方たちが、三十九名の知事がそろってこうした緊急要望をされる重みを今の政府がどう受け止めるかというのは大変重要なことだ、私はそう思っています。

 形だけで、地方自治体の対応に任せるではなくて、ここは政府の意思として、LP地域、全体の四五%なんですから、そこに対する地方創生臨時交付金は傾斜配分をする。こんなことは政治の決断でできるはずですよ。そのことは、是非、総理、総理の決断で実行していただきたいと思いますが、どうでしょうか。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘の六千億円の電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金でありますが、これは、LPガス料金支援への活用も働きかけたわけですが、委員御指摘のような自治体の状況であるということについて、政府としては、今後引き続き自治体の執行を後押しする努力は続けていかなければならないと思いますが、その結果として、この地方の状況、これは注視した上で適切な対応について考えていく、引き続き、この問題を国としてもしっかり受け止めて適切な対応を考えていく、こういった姿勢は取り続けていきたいと思います。

赤羽委員 今回、この質問のやり取りをするときに、事務方からも、七千件の申入れのうちLPガスについては三十件しかなかったと。これは、書類上ですとその必要性がないというふうに判断しがちなんですね。

 しかし、やはり今、総理の答弁にあるように、本当はどうなのかということで一歩踏み込んで、直接ヒアリングをしてもらいたいんです。そうしたら、いろんな理由があって、実は使いたかったんだけれども、もう既に使途を決めてしまったからとか、財源に余裕がないからという話は必ず出てきますから。

 我々だって、政治家は全国いろいろ散っていて、多分、大臣の皆さんだって、多くが地元でそうした声を受けているはずなんですよ。その声を受けて何のリアクションもしない政治というのは、あってはならないはずなんですよ。国民の声を聞いたら必ず政策として実行する、これがやはり責任ある政権だと思います。

 今、総理もそうした思いを酌んでいただいて御答弁をいただきましたので、是非丁寧な対応をしていただきたい。これは必ず実現していただきたい。私、この一問だけ、答えが出るまで三十分間全部使おうというぐらい腹をくくって、こう思いましたけれども、是非、総理は誠実な人柄、信頼していますので、形として、よろしくお願いをしたいと思います。

 次は、観光、交通業への支援をテーマとして移りたいと思います。

 私は、国土交通大臣を退いてから公明党の観光立国推進議員懇話会の会長ということを務めさせていただいて、全国各地で観光地の皆様の生の声を聞かせていただいております。

 率直な意見として、やはり三年以上に及ぶコロナ禍の打撃というのは大変深刻です。私も大臣で足を運んだときは、もう前年比、コロナ前の比較でいくとマイナス九〇%とか、ほとんど客がいなくて休業しているとか、極めて深刻な状況が続いておりまして、このダメージというのは短期間のカンフル剤じゃなかなか回復できないというのが彼らの率直な意見です。

 分かりやすく言いますと、百室の旅館は百室以上のお客さんが取れないんです。これは当たり前のことです。今回も全国旅行支援事業とか様々な需要喚起策でありますが、それに輪をかけて人手が不足をしていて、現実には、部屋数の七割から八割予約を入れる、二割、三割はお断りせざるを得ないというのが現状だと。ですから、どこに聞いても継続的な支援をお願いしたいということなんです。

 加えて、資金繰りも大変でして、装置産業ですから、多くの健全な旅館、ホテル事業者も、多くはローンを借りながら仕事をしている、これは当たり前です。このコロナ禍で、いわゆるゼロゼロ融資もその上に重ねて融資を借りておりますので、その返済も始まっている。このことについてはいろいろやり取りもあって、政府としても万全の対応を取るということでございますが、結局は、こうした状況を何とか持ちこたえられるようにしなければいけない。

 私、日本の各地を回りますと、いずれの地も観光資源は宝の山のようにあるんですね。これを磨き上げると多くの誘客が可能ですし、多くの地方というのは、少子高齢化、人口減少化、過疎化が進んでいますが、そこにお客さんとして来てくれた人たちが関わりを持つ、関係人口、交流人口、やがて定住人口に進む。私は、まさに地方創生の切り札は、観光業が本当にそれを担う、大変有力な産業だというふうに思っておりますし、加えて、インバウンドも再開をし始めております。私は急速にインバウンドは戻るというふうに見込んでおりますので、そのときに大事な宿泊業とか観光業の皆さんたちが経営ができないような状況にあってはならないというふうに、私はそう思っております。

 加えて、かつてのGoToトラベル予算も、感染がちょっとひどくなって使えなかったということもあって、年度を越せなくて五千億近い予算が不用で処理されてしまっております。これを何とかカムバックしてほしいという声も強いですし、先日の中央公聴会で、全国の旅館ホテル生活衛生同業組合の代表の皆様の発言でも、何とか頑張るから、どうか全国旅行支援事業は今年度で終わりにせずに、よく状況を、我々の声を聞いていただいて、継続的にお願いをしたい、しっかり頑張りたいのでよろしくお願いしますという切実な声もあったところでございます。

 これは観光庁を所管しておる斉藤国土交通大臣に、そうしたこと、私は、とにかく業界の、現場の生の声を聞いて、適切に、また決断をもって踏み込んだ対策を取っていただきたい、こう思いますが、その決意を聞かせていただきたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 観光がこれからの日本の地方創生の柱だ、全く同じ認識でございます。

 昨年十月十一日に開始いたしました全国旅行支援につきましては、非常に多くの方々に御利用いただきまして、十月から十二月までの日本人国内宿泊者数はコロナ前を上回る、非常に大きな観光需要の喚起につながってまいりました。こうした効果も踏まえ、国土交通省としては、引き続き、措置された予算を十分に活用して、全国旅行支援を着実に実施し、予算がなくなり次第終了することとしております。

 事業主体である都道府県においては、現時点で全国旅行支援の適用期限を年度内までとしているところですが、年度末の予算の状況等、一定の要件を満たした場合、四月以降実施することは十分可能であると考えております。

 他方、この全国旅行支援の在り方については、業界の皆様から全国旅行支援の継続的な実施を求める声がある一方、今後は国の需要喚起策に頼らずむしろ自立的な経営を目指すべきとの声もあるなど、様々な声があると承知しております。

 国土交通省としましては、全国旅行支援の今後の取扱いについて、こうした様々な声も聞きながら、予算の執行状況、旅行需要の動向等も踏まえて対応してまいりたいと思います。

 また、たくさんのインバウンド、また国内旅行のお客さんが来ていただくよう、観光地の魅力をアップする、いわゆる高付加価値化事業、これはこの五年度予算案の中にも組み込ませていただきました。

 しっかり支援をしていきたいと思っております。

    〔委員長退席、中山委員長代理着席〕

赤羽委員 大臣の答弁で一つ気になったことがありまして、そんな訳知りのような業者っていないですよ、役所が作った文章かもしれませんが。率直に言って、確かに高付加価値化事業の方が永続的だし、ためになるというのは、それは理性を持って考えればそうなんですが、そんな余裕がある状況じゃないということを、是非大臣が生の声を聞いていただきたいということを強く要望したいと思います。

 次に、賃上げです。トラック運賃、ドライバーのことについて聞きたいと思います。

 トラック物流は、言うまでもなく、経済活動並びに国民生活にとっては、なくてはならない重要な社会インフラです。人間の体に例えて言えば血液のようなもので、見えないけれども、なくてはならない大切なものでございます。このコロナ禍でも、現場でのコロナの感染リスクを乗り越えていただいて、立派にその使命を果たしていただいた、私はまさにエッセンシャルワーカーそのものだというふうに考えておるところでございますが、この業界も労働環境が極めて厳しくて、長時間労働でありますし、ドライバー不足は深刻です。

 ところが、いわゆる二〇二四年問題、時間外労働時間の上限期間が適用されるということも直面をしておりまして、先日の自民党の質問にもありましたが、二〇三〇年には約三割を超える荷物が運べなくなってしまうという深刻な状況がもう目の前に来ているということなんです。

 こうしたことについて、全日本トラック協会も大変危機感を持って、これまでは、貨物自動車運送事業法の改正ですとか標準約款の改正を通じまして標準運賃を設定したり、また、荷物の搬入のため待たされている時間は別にしてくれとか、また、荷物の搬入の労賃も全部運賃に込んでいる、これは切り分けてほしいと。こうしたことを、法的な整備は進めておりますけれども、なかなか現場ではうまくいっていないというのが現状であります。

 加えて、トラック業界自体も、六次下請、七次下請と多重構造が相まって、ドライバーの運賃値上げがなかなかかなわないというのが実情でございます。

 最近改正された貨物自動車運送事業法では、この中に、画期的でありますが、荷物の所管である経産省、農林水産省、厚生労働省の責務も法定化されておりますので、この法定化されている責務をしっかり果たしていただきたい、こう思うわけでございます。

 国交省だけの取組、私も大臣としていろいろやりましたけれども、大変限界がある。荷主はなかなか言うことを聞いてくれない。ですから、是非ここは総理の強いリーダーシップで、関係の、今の所管大臣、国交大臣、経産大臣、農水大臣、厚生労働大臣がしっかりと団結をして適正な運賃の実現を働きかける、政権として一丁目一番地の最重要のテーマと捉えて取り組んでいただきたいと思いますが、総理の御決意をよろしくお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 トラック運送業についてはそもそも中小企業が多いことから、荷主などに対する交渉力、これが弱い状況であり、安定的な物流を確保するため、適正な運賃を収受できる環境を整備することが重要だということを強く認識をしています。

 このために、政府においては、令和三年末に、関係省庁連携による転嫁円滑化施策パッケージ、これを取りまとめたところですが、これに基づいて、これは委員の方からも御指摘がありました、国交省において、適正取引、経営改善の指標となる標準的な運賃の周知、浸透を図るとともに、適正な取引を阻害する行為を是正するため、積極的な情報収集を行い、荷主に対し関係法令に基づく要請等を行っているほか、価格転嫁推進に係る関係省庁において、下請代金法あるいは独占禁止法などの法執行による取引適正化、これに取り組んでいるところです。

 そして、委員の方から、荷主側の業界の関係省庁等も連携して取り組むべきだという御指摘をいただきましたが、現在、荷主の更なる取組を促すために、不適切な商慣習の是正等に向けた規制的措置等の導入に向け、荷主側の業界の所管省庁も含めた関係省庁で連携をし、適正な取引の実現に向けた対応、これを加速化していく、こうした取組を進めているところです。

 政府全体としてこうした取組を進めて、トラック運送業の適正な運賃収受を推進していきたいと考えています。

    〔中山委員長代理退席、委員長着席〕

赤羽委員 本来、荷主と物流事業者というのは、平等なパートナーシップの関係にあるのが当たり前だと思っています。ややもすると、圧倒的に荷主が強い立場ということが続いてまいりましたので、ここは是非改善をしていただきたいと思いますし、国交大臣におかれましては、業界の多重構造を直すというのはやはり業界の責務だと思いますので、しっかりと御指導いただきたいと思います。

 残された時間、短時間でございますけれども、二月十日に閣議決定をされましたグリーントランスフォーメーションの実現に向けた基本方針について、何点か確認をさせていただきたいと思います。

 まさに様々なエネルギー制約の中で、エネルギーの安定供給の確保と脱炭素社会の実現を両立するというのは大変難しい問題であるというふうに承知をしております。

 しかし、私たち公明党は、そうした、二〇五〇カーボンニュートラルで化石燃料の火力発電は駄目だという制約と、加えて、ロシアによるウクライナ侵略ということを受けてエネルギー自給率を上げなければいけないという制約と、そして何よりも、東京電力福島第一原発事故という史上初めての最大の事故を受けた制約、この三つの制約の中で、我々公明党は、やはり、様々な困難はありますけれども、基本は、原発に依存しない社会を軸にエネルギー政策を構築するべきだということで申入れをさせていただいたところでございます。内容は、申入れをしておりますので簡単に申し上げますと、四つの柱がある。

 一つは、まず、徹底した省エネをする、無駄な電力は使わない。二つ目は、再エネの主力電源化の実現。これは様々なバリアがありますので、その障壁を取る、政府を挙げて取っていただきたい。三つ目は、当面の電力確保のために、火力発電の脱炭素化、低炭素化、これを進めていただきたい。水素、アンモニウムを使って頑張っていただきたい。四つ目は、これも当面の電力確保で、やむを得ず既存の原発は活用せざるを得ないけれども、極めて抑制的に活用するということでございます。

 その原発について何点か確認を申し上げたいと思いますが、総理には、まず、今のエネルギー基本計画に定めてある、原発そのものは低減させる、低減していく、この方針は、政府としてGX実行計画のどこでも変えないというふうに認識をしておりますが、もう一度明確にお答えいただけますか。

岸田内閣総理大臣 まず、福島の復興、これはエネルギー政策を進める上での原点である、この認識は、今の内閣においても変わることがない大前提であると考えています。

 そして、GX基本方針においても、福島イノベーション・コースト構想による新産業の創出など、福島の復興再生に全力で取り組む方針や、原子力の利用に当たっては、事故への反省と教訓をひとときも忘れず、安全神話に陥ることなく安全性を最優先とすることが大前提であること、これを明記しているところです。

 そして、第六次エネルギー基本計画において、原子力について、必要な規模を持続的に活用していくとともに、原発依存度を可能な限り低減という記載をしており、GX基本方針においても、この方針は変わりはありません。

赤羽委員 それでは、経産大臣にちょっと端的にお伺いしますが、福島後に、全基、規制委員会による安全審査を行っていまして、もう既に二十四基が廃炉を決定しております。この廃炉を決定したやつを再稼働させることはないという点が一つ。

 二つ目は、四十年プラス二十年という現行の運転期間のルール。これは、審査期間で、止めていた期間の例外はあるものの、四十年プラス二十年のルールというのは今度の電気事業法の中で法定化をして維持する、このことを確認したい。

 四十年プラス二十年ルールの下で、運転期間が実質的に終了すれば、それは全て廃炉にする。

 この三つについて、簡潔に、時間内でお答えいただければと思います。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、原子炉等規制法に基づく廃止措置計画の認可が行われた原子炉は二十四基、これはいわゆる廃炉ですけれども、事業者により既に廃止措置に向けた作業が始められておるものと承知をしております。

 今後廃炉となる原子炉も含めて、廃炉が決定された原子炉が再稼働することはありません。このことを申し上げたいと思います。

 それから、将来における安定供給の選択肢の確保に向けて、現状の四十年プラス二十年という枠組みを維持しつつ、震災以降の法制度の変更など他律的な要素によって停止していた期間に限り、運転期間の計算、カウントから除外することを盛り込んだところであります。言い換えますと、実質的に稼働している期間が最大六十年ということになります。この内容については法律案にも明記する方向で検討を進めておりますので、御理解いただければと思います。

赤羽委員 時間が参りますので、もう質問できません。規制委員長に出席いただき、申し訳ございませんが。いわゆる六十年を超える高経年化炉の安全規制ができていないという指摘がありますので、ここについて、もうアクションが始まっていると思いますので、しっかりしたものをつくっていただきたいということを要望し、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて赤羽君の質疑は終了いたしました。

 次に、泉健太君。

泉委員 立憲民主党・無所属の泉健太でございます。

 総理に質問させていただきたいと思います。

 総理、これまで、我々立憲民主党は予算委員会で様々な指摘を行ってまいりました。

 例えば、予算委員会冒頭、玄葉光一郎議員が質問をして、政府の国家安全保障戦略、防衛三文書で、海底ケーブル、このことを取り上げました。政府の中で議論がなされてこなかったのではないか、そういう形跡が見られない、そして実際に文書の中にも載っていない、こういう指摘をさせていただいた。今、確かに海底ケーブルというのは非常に大事でありまして、場合によっては通信が途絶をしたり、あるいは通信が傍受をされたりする可能性がある、極めて重要だという指摘を立憲民主党からさせていただきました。

 また、同じく、原発防護。この原発の防護ということについても、今皆さんはPAC3があるというふうには言っているわけですが、原発それぞれの防護をできるという配備には今なっていないわけであります。日々防護ができているわけではない、こういう問題も具体的に立憲民主党から指摘をさせていただきました。

 そのほかにも、我が党の馬場議員が、例えば、子供予算よりも防衛予算を優先させて、子供予算を後回しにしているんじゃないか、それは予算の推移を見れば明らかだという話をした。

 そして、西村智奈美議員などは、選択的夫婦別姓ですとか、あるいはLGBT当事者の皆さんが望む差別解消法。理解増進法は、我々、超党派でまとめてはいますが、当たり前の話であって、誰もそれで十分だとは思っていないものです。あくまで、実際に差別を受けている、これが多くの当事者の切なる今の状況でして、だからこそ、差別解消法、そしてやはり同性婚の法制化、これを求めるというようなことも我が党からは言わせていただいている。

 こういうふうに具体的に指摘をしているわけですが、総理、この中で何か一つでも、取り組む、やる、変える、修正する、その思いを持っているものはありますか。

岸田内閣総理大臣 今、様々な課題について御指摘をいただきました。こういった御指摘を国会の議論の場でいただき、政府としての考え方を説明させていただく、国民の皆さんにそうした課題を理解していただく上でも重要なやり取りであったと思います。

 具体的な課題、御指摘、挙げていただいた課題について、一つでもやる気があるのかというお話でありますが、それぞれについては、それぞれの課題の議論の中で、政府としての考え方あるいは取組は御説明をさせていただきました。

 それぞれの指摘はしっかり受け止めた上で、政府として、それぞれの課題、国民の皆さんの理解を得るために取組を進めていく、この基本的な姿勢は大事にしていきたいと思っています。

泉委員 今の答弁は、是非、今日こうしておられる予算委員全ての皆様に、そして全国民の皆様に、今の総理の答弁、やはり改めて聞いて認識をしていただきたいと思うんですね。

 どういうことかというと、国会論戦というのは何のためにあるのかという話なんですよ。総理は今おっしゃった。自らおっしゃいましたよ、総理。理解を求めて説明をして、理解を求めるだけだと。

 これは、結局は、我々、議論をして物事を深めて、例えば、いい指摘があれば政府の側がそれを修正するだとか、そういう考えになるんだったら分かる。でも結局は、何を指摘しても、防衛三文書も変えない。これは、そもそも国会の、後ろで秘書官がこうやって笑っていますよね。まあ、あきれますよ、本当に。荒井秘書官はいなくなったけれども、いまだにそういう秘書官が後ろにいるんですね。総理、どうですか。

 もう、さっきからひどいものですよ、まだ質問が始まって数分、この状況で。さっきも、同性婚の話をしたら、首を横に振り始めた。そして今は、防衛三文書の話をしたら、今度は二人、顔を見合わせて、あり得ないのような話をしている。総理、あなたは後ろを向けないから見ていないけれども、驚きですよ、本当に。そんな官邸なんですか、総理。

 総理、国会の論戦というのは、私は、けんかを売るためにだとか、どっちかの政党に得になるようにとかという話をしているんじゃないんです。

 そもそも、総理が国会に、国会が始まる前に政府で閣議決定したことを諮るわけです。諮ったものについて指摘をしているときに、結局、総理は、あなたは、理解を求めて説明をする、それだけなんですよ。じゃ、何にもならないじゃないですか。平行線じゃないですか。

 受け入れて、時には修正する、そういうことでよろしいですね。

岸田内閣総理大臣 まず、おっしゃるとおりだと思います。

 私の内閣になってからの国会での議論のありよう、是非振り返っていただきたいと思います。

 もちろん、基本的に、政府として責任を持って予算ですとか法案を出しています。その責任を持って出した予算、法案あるいは課題についてはしっかり説明をさせていただく、これが基本ではありますが、様々な課題において、御指摘をいただき、そして政府としてもそれを検討した結果、ありようについて、政府の対応について検討し直した、こういった課題も幾つもあったんだということ、是非振り返っていただきたいと思います。

 そして、そういったことこそ国会のあるべき姿であると考え、この国会の論戦を大切にしていきたいと思っているところであります。

泉委員 繰り返しますが、では、海底ケーブル、このことについては防衛三文書に盛り込まないということですか、そして、同性婚あるいは差別解消法、実現はしないということですか、するんですか。

岸田内閣総理大臣 まず、安全保障の三文書につきましては、一年間の議論の結果取りまとめたものでありますが、具体的な課題全てについて網羅的に盛り込んだというものではありません。当然のことながら、我が国の安全保障の基本的な考え方を柱としてまとめたものであります。

 これを基本としながら、さらに、具体的な必要な装備ですとかあるいは取組、これについてはこれからも引き続き政府として検討を続けていく、日米同盟を始め、関係各国との協力を始め、様々な努力を続けていく、こういった姿勢は大事だと思っています。

 そして、御指摘の同性婚、夫婦別氏制度、それからLGBT理解促進法につきましては、それぞれ、政府・与党としての対応は様々でありますので、それぞれについて政府として議論を深めることが重要だということを申し上げています。それぞれの状況に応じて議論を深めていく、この方策を考えていきたいと思っています。

泉委員 今の答弁を聞いていただいて、本当に訳が分からないというふうに思っている方は多いと思いますよ。なかなか本当に、具体的な提案をしても、結局、国会が始まる前に決めたことだから、政府の方針だからと、全くその文言を変えようとしない。これでは、私は、残念ですが、議論は深まらないと思います。

 我々はよく失われた十年と言いますけれども、いろいろなものが失われているわけですよね。

 例えば、ワクチンの開発能力なんというのも、これは一つの例ではないかと思います。ワクチンは、まさに二〇一〇年の民主党政権のときに、国家安全保障の観点から、生産体制の強化ということを提言をしています。しかし、自民党政権で、メッセンジャーRNAワクチン、この開発予算もカットされて、計画は凍結になっております。

 また、日本の風力発電メーカー、これももう具体的に、自民党政権下では国内市場の拡大が見込めないということで、三菱重工ですとか日本製鋼、また日立が撤退をした。そういう意味では、産業の競争力だとか産業の可能性というものも、実は自民党政権で残念ながら失われてしまったということなんですね。

 人に目を向ければ、世界は成長していますが、日本は停滞をしてきた、格差も広がってしまっている。生活不安と将来不安から消費の低迷が続いて、実質賃金も失われているということであります。

 そして、先ほど話をしましたが、先進国では、こうした同性婚ですとかはもうもはや当たり前ですね。そして、例えば多文化共生、こういうものも当たり前。それに比べて、やはり日本の多文化共生、多様性、世界の活力、人間の活力を高める取組という意味でも、私は、残念ながら、それが自民党政権では動かなかったし、失われ続けてきたというふうに思います。

 そこで、立憲民主党がビジョン22というものを作っているわけですね。改めてこのビジョン22ということでいえば、一つの項目、全ての人に安心のベーシックサービス。これはやはり、先ほど話をしたように、格差が広がって、生活の不安、健康の不安というものを考えたときに、いつ何どきでも困ったときには福祉が受けられる、介護が受けられる、医療が受けられる、そういう状況をつくろうじゃないかというのが立憲民主党の姿勢なんですよね。

 そして、二つ目、公平な税制と再分配、これで格差と貧困の少ない社会へ。

 総理、たしか総理も再分配と、かつて、総裁選のときぐらいですかね、言っていたような気はしますけれども、一億円の壁というのも総理はおっしゃっていましたよね。この一億円の壁の解消はどうなりましたか。何か年収三十億円以上の層に何かを強化したと伺いましたが、総理、お答えいただけますか。

岸田内閣総理大臣 一億円の壁について御指摘がありました。

 これは、従来から申し上げているように、こうした課題については、与党税制調査会での議論を続けていくということを申し上げてきました。その結果として、その取組の一環としまして、昨年末、与党税制調査会で御議論いただき、そして一定の対応が図られた、こうした結果を出したと認識をしています。

 こうした課題についても引き続き取組を進めていかなければなりませんが、御指摘の課題等を考えますときに、市場等への影響など様々な影響も勘案した上で、どれだけ前進を図るのか、丁寧な議論が必要だと認識をしております。

泉委員 総理、改めて、年収三十億円以上の層に対策を講じた、そして一定の結果を出した、結果を出したと言いましたね。

 ちなみに、その対象者は何人でしょうか。そして、総理、この一億円の壁対策はこれで終わりというおつもりですか、それとも更に進めますか。

岸田内閣総理大臣 今申し上げたように、これで終わりというものではありません。こうした課題について、市場の影響等もしっかり考えながら、格差の問題、分配の問題という観点から議論は続けていきたいと思っています。

泉委員 総理、対象を答えておりません。

岸田内閣総理大臣 二百人から三百人程度を想定していると承知をしております。

泉委員 全国民一億二千八百万人のうち、三十億円以上の年収の方、それは、その方お一人お一人はお仕事を頑張って財を築き上げた、私はそれは評価を当然するべきものだと思いますが、政府の打った対策が対象二、三百人のものであったということで、これで、私は、再分配、総理が最初言っていた一億円の壁対策が今この結果であるというのを大変残念に思うわけであります。

 そして、このビジョン22の中で、人への投資。これは、我々、教育の無償化、これも訴えているし、何より子供、子育て予算というのを増やしていかなければいけない、まさにそれが人への投資であります。

 そして四番目、環境と成長が調和する。これこそ、先ほど言った、自民党政権で、残念ながら風力発電の方は日本企業が撤退してしまった。ですから、今、日本各地の、洋上も含めて、どんどん建とうとしている風力発電は、残念ながら外国産だということなんですよね。これは本当に残念です。

 立憲民主党は、実は、産業政策、経済政策、非常に力を入れたいと思っていまして、まさにこの環境分野は広げていきたい市場なんです。そして、できればというか、むしろ国産のやはり風力発電を造ろうじゃないか、これを何とか復活させたいと思いますよ。省エネだってそうです。住宅断熱だってそうです。やればもっともっと広がるこの省エネ、再エネの市場があって、地域の工務店だって仕事ができるものもたくさんある。

 残念ながら、自民党政権ではそれができなかったし、やはり総理に認識していただきたいのは、GXの中で、今やGXは何ですかとなったら、結局、原子力発電所の最大限の活用というところにスポットが当たってしまっている。こうなるとどうなるかというと、残念ながら、それであれば、再生可能エネルギーの市場はそうさほどは伸びないねという話にやはりなってしまうんですよ。そこは是非、最大限再生可能エネルギーを伸ばす、私たちはこの戦略を取っていきたいと思います。

 そして、一極集中から分散型社会へ。やはり地域の農業、地域の物づくり、地域の子供たち、お年寄り、皆さんを大事にしていく、こういう姿勢で我々はやっていきたいと思います。

 そして、全ての方に居場所と出番のある多様な社会。そして、分断社会を終わらせる。このやはり六番、七番あたりは、先ほど話をしたように、外国の方々との多文化共生も、今日も朝の新聞に出ていましたが、日本の労働市場というのは、一年間に七十万人の方が、年齢でというか、高齢者として市場から退出をされていくという状況になっていくそうですね。そういう中で、外国人の方をお呼びをするといっても、それだけの人数を補充するのが大変難しいというふうにも言われています。

 そういった意味では、我々は、外国の方々も大切にこの国に働き手として受け入れなければいけないし、そのときには、働き手ではなく、一人一人が、当然、人間でありますから、自分自身のそれぞれの人格や性的指向を含めて守られるということが日本の国内になければ、為替相場の関係もありますけれども、日本の賃金水準が高いなんという時代ではなくなってきているということを考えれば、これはもう日本が選ばれない国になってしまう、こういうやはりおそれ、懸念もある。だからこそのこの立憲民主党のビジョン22なんだということをお伝えをさせていただきたいと思います。

 さて、次に、予算全体についての議論をしたいと思います。

 予算の表をお出しをさせていただきます。

 今国会、子供国会とか子育て国会とかという話があるとしたら、残念ですが、これは間違いです。

 予算を御覧ください。今我々が議論している令和五年度当初予算案、前年比でいうと、防衛関係費はプラス二六・三%です。こども家庭庁予算は、これは実は、去年もというか、ほぼ変わらない四・八兆円でして、プラス二・六%。まさに桁が違うってこのことなんですね。二六%、片や防衛費が。そして、子供予算は二・六%、これしか増えていないのに、政府は非常にうまく子供問題を取り上げて、子供国会かのように今話を持っていっている。しかし、全然、実はこの予算、上がっていないんですね。これがよく分かった。

 だからこそ、改めてですが、防衛の問題を取り上げなければいけませんし、そして、子供予算に対する本気度、これをやはり総理には問わなきゃいけないわけです。

 ちなみに、総理、この二六%と二・六%という比較だけすると本当にがっくりきてしまうわけですが、今、政府が来年の予算として議論している子供予算はこれしか増えない、ちょっとしか増えないものなんだけれども、せめて、今、子供を産もう、あるいは子育てをしている、そういう方々に勇気づけをしていただきたいと思います。改めてですが、児童手当の所得制限の撤廃、これは実現していただけますね。

 というのは、総理、六月に出しますとか三月にたたき台を出しますとか言っていますが、そんなスピード感じゃ駄目なんですよ。

 ちなみに、私たち立憲民主党は、国会の中で維新の皆さんと一緒に法案を出しました。これは所得制限を撤廃する法案です。やればできるんです。

 やればできるだけじゃなく、何が変わるかというと、二月分から給付が可能なんですよ。もう今月分から給付が可能なんです、この法案を通せばですよ。総理がうにゃうにゃうにゃうにゃと迷って、そして後で出すなんと言っている間に、二、三、四、五、この四か月分ですか、年に三回支給だと思いますので、その二月分からまさに出せるわけなんです、我々政治が決断をすれば。決断と実行なんですよ。

 我々は野党だから、やれることは限られますよ。野党としてやれることとしての最大限は、まさに法案を出して、あとは与党の皆さんにも賛同していただきたい。だって、これは与党の皆さんだって、茂木幹事長だって、公明党だって賛成なんじゃないですか、総理。反対じゃないですよね。反対じゃない、反対じゃない、反対じゃない、反対じゃない、反対じゃない、みんな賛成です。

 二月からやりませんか、総理。これは決断してください。

岸田内閣総理大臣 まず、児童手当の見直しということについては、かつて三党合意に基づいて見直しが行われてから十年がたちました。その間、経済社会も大きく変化する中で、必要とされる政策も変化していく、こういった中で、今改めて議論が行われていると認識をしています。

 児童手当について、もちろん、政府としても、このありようについてしっかりと見直していく、こうした基本方針は示しているわけですが、一つの政策だけで、この子供、子育て政策、これを全体を論ずることはできないということを再三申し上げています。政策をパッケージで示すことこそ、こうした子供、子育て政策を考える上で大事である。個々の政策あるいは中身、これだけで子供政策を論じてしまうということではあってはならないというのが基本であったはずであります。

 是非、ほかの政策も含めてどのように組み合わせるのか、そして、それに対して、しっかりとした安定財源についてもどう考えるのか、これをしっかり整理した上でお示しをしたいということを申し上げています。

 この政策のパッケージが重要だという考えに基づいて、骨太の方針に向けて今取組を進めている、これが政府の方針であります。

泉委員 本当に、パッケージで示すから……(発言する者あり)今、何かすごいやじでしたね。自民党のやじも本当にひどいものですね。

 話を戻しますが、この児童手当の所得制限撤廃は一千五百億円なんですね、所要は、地方分も含めてですけれども。総理、これまでの予算委員会の質疑でも、GDP比で倍増ということも質疑の答弁で言われましたね。これは、そういった意味でも、あるいは、N分N乗なんというのも与野党で議論されていますが、これだって、財務省の資料でいえば、所要が四兆円から五兆円の話ですよ。それは、それぐらいの予算規模を我々は当然考えているわけです。

 これは、総理が、我が党の馬場議員の質問に対して、更に倍増しようと申し上げていると。GDP比の、子供、子育て予算、二%を更に倍増しようと申し上げていると、総理、国会の中では言ったんですよ。言ったんです。だけれども、総理、言ったからこそ副長官が訂正したんですからね。そこはよく認識してください。

 ただ、副長官が訂正をしたからといって、これは当然許されるものじゃない。それは恐らく総理が一番分かっている。やはり、国会での発言を取り消さないわけにはいかないし、全く修正しないといったって、議事録を見たら、誰が見たってそうなんだから、またここで、総理、国語の勉強をしなきゃいけないのかという話なんですよ。社会を変えてしまうみたいな話の、その国語の勉強をするんじゃなくて、ちゃんと真っ当に答えてもらいたいわけです。

 じゃ、総理、改めてですが、総理は、この倍増というものは何を指しているのか、明らかに言ってください。

 総理、前回の答弁ですよ。家族関係社会支出は二〇二〇年度の段階でGDP比二%を実現しています、そして、それを更に倍増しようではないかということを申し上げていると。言っています、言っていますよ。言っていますから、じゃ、これを改めて、総理、説明してください。

岸田内閣総理大臣 御指摘の国会でのやり取り、これは、防衛力強化と子供、子育て政策、これを比較した上で、防衛力強化と比較しても、子供、子育て政策への取組、これは決して見劣りしないという議論を行ったわけであります。御指摘の点についても、子供、子育て政策を進めた上で、そして、それを更に倍増しようではないかと申し上げていると申し上げています。

 今まで申し上げていると言ったことは、子供、子育て予算の倍増ということであります。だから、今までの予算に子供、子育て予算を倍増させるわけですから、決して防衛力と比べても見劣りしないということを申し上げているということであります。

 そして、倍増の意味は何かということでありますが、これについては、従来から申し上げているように、まずは子供、子育て政策、今の時代において何が求められるのか、内容をまず具体化して整理をした上で、それに必要な財源について考えていくということを申し上げています。ですから、中身がまだ、今整理している、中身を整理している、この段階でありますので、予算の方だけそのベースを先に申し上げるということは、今までの国会答弁と比べても矛盾することになると考えています。

 GDP比についてもありましたが、今までも、少子化対策関係予算ですとか、こども家庭庁関連予算ですとか、こういったものを例に挙げながら、これらも念頭に置きながら、今、政策の中身を具体化し、その上で、必要な予算についても整理をし、そして、予算倍増に向けての道筋を、骨太の方針、六月までに示す、これを申し上げている次第であります。

泉委員 総理、これは、総理が恐らく経営者だと失格ですよ。従業員、社員に向かって給料を倍増しますと言ってみたら、倍増は何か分かりません、いろいろな基準があります、こんなことを言って、倍増だけ、社員たちにあなたたちの給料を倍増しますよと言うのは、それは何ですか社長と怒られますよ。全くいいかげんな話。

 今こうしてパネルを出していますが、今まさに総理が言ったように、何を二倍にするかで全然額が違うんですよ。全く違う。こども家庭庁の予算四・八を倍増するのと、家族関係社会支出を倍増する、これは全く違いますよね。にもかかわらず、なぜ倍増だけ使うんですか。意味が分からないじゃないですか。倍増させたい、でも大本がどれか分からない、これは後から決める。じゃ、何の倍増なんですか。全くこれは意味不明ですよ。

岸田内閣総理大臣 まさに、今の時代に求められる子供、子育て政策、この政策をしっかりと整理した上で、それをベースにして倍増を目指すということを申し上げているわけであります。

 これは、まず中身を具体化しないと、それに伴う予算がどれだけ必要なのか、このベースははっきりしない、これは当然のことであります。ですから、今申し上げた様々な予算はありますが、整理した上で、今政府として、子供、子育て政策に必要な政策、しっかりと整理をした上で、その予算の倍増に向けて大枠を示したいと考えています。

泉委員 これはもう何か、予算の審議として全く破綻していますね。まさに、倍増ありきというのはこういうときに使うんだなと本当に実感いたします。中身も決まっていないし、どこから何を倍増するかも決まっていないけれども、倍増するという言葉だけを言っている。それはこれから決めるというんですから、それで予算を賛成してくださいとよく言えますね、総理。本当にびっくりいたしますよ。

 総理、国会の答弁をそれでも修正しないというのは、さっき私、冒頭お話をしたように、何のメンツにこだわっているんですか。こんなこと、防衛三文書を修正してほしい、我々はやはり変えてもらいたいことは変えてほしいと言うし、国会の中で誤ったのであれば、変えればいいじゃないですか。実に簡単な話ですよ。それを無理やりへ理屈でごまかしたら、今度は、やはり総理、考え方が疑われますよ。もっと真摯な姿勢で、普通に、これは言い過ぎた、こうじゃない、まだ決まっていない、だから修正させてくれと言えばいいんじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げました大枠、倍増に向けての大枠を示す、これは骨太の方針であります。今年の予算において倍増ということを申し上げているわけではありません。これは従来から申し上げているとおりでありますし、そして基本的な考え方、これは何度もこの予算委員会で申し上げてきました。

 今、こども政策担当大臣の下で政策を整理をし、たたき台を作って、六月に向けて政策を整理をする、そして、その必要な予算について、社会保障との関係ですとか、あるいは国と地方の関係ですとか、様々な観点から、社会全体でそれをどう支えるか、これをしっかり整理した上で倍増の枠組みを示す、こうした考え方、何度となく予算委員会で申し上げてきたとおりであります。その方針を今進めたいということを申し上げている次第です。

泉委員 本当に倍増ありき、中身はないけれども倍増ありきというのはよく分かったし、そうやって予算の組み方をしようとする。これは恐らく、防衛費も多分にそういうところがあったんじゃないかと思いますよ、無理やり一生懸命その後メニューを作りましたけれども。本当に今、予算の規律というものが失われていると感じますし、改めて、総理が、よくソフトだ、誠実だと言われはしますが、頑固な方だなと。私は、本当に頑固な方だなと思いますね。国会の答弁ぐらい、間違えたものぐらい修正すればいいのにと、そのことはお伝えしたいと思います。

 さて、安全保障の問題に移りたいと思います。

 まず、トマホークの購入ということで、私、この間、懸念をしているというか、大変ある意味残念に思うのは、国会の中でも議論をしようと思ったときに、それが防衛費におけるいわゆる秘密に当たる、省秘とか特定秘密とか様々ありますが、それに当たるものは、機密や機微情報、これは国会の中で一定コントロールされるのは当然のことだと思います。ただ、じゃ、何が機微情報で何が機密なのかというところについては、改めて、国会と政府で一緒にもう一回考え直した方がいいんじゃないかというふうに考えています。

 これはちょっと字は細かいんですけれども、中身を言いますと、これはアメリカ国防総省が議会に対して出している資料なんです。ジャスティフィケーションブックといいまして、正当性を証明する、説明する資料ということで、議会に出すんですよ。

 例えば、アメリカ、これはトマホーク、今回日本が買おうとしているブロック5なんですけれども、二〇二三年にということで、ちゃんと、買う弾の数、そして額、当然、単価も分かるようになっているんですよ。

 例えば、二〇二三年でいきますと、ちょっと字が細かいんですが、弾は四十発、アメリカは軍事会社から、兵器会社から買うということになっているわけですね。しかも、それだけじゃなくて、あと数年後、二五、六、七についても、ちゃんと、何発買います、幾ら払いますというのが書いてあるわけなんです。

 私、日本の防衛省に確認をしました。トマホークの弾数は、秘密です、トマホークの購入額は、秘密です。これは何なんですかね。

 トマホークの母国はアメリカですよね。母国アメリカでは普通に公開されている。これは、実は、総理、ネットで見られるんですよ、インターネットで。それぐらい公開性、透明性が高くて。

 しかも、この表の下に説明とか形状というところがあるわけですね。ここにいろいろなことが書いてあって、トマホークについては、様々、例えば、これらのアップグレードは、二つの新しいアンテナと関連するケーブル、新しいミッドボディーカバー、後部構造と後部カバーの変更などを行いますなどなど、ちゃんと、何を変えてブロック4からブロック5になったかまで書いてあるわけです。そして、重さだとか長さ、巡航速度、こういったものの表記もなされているものなんですね。

 これは、総理、考えませんか。日本の国会で、何でもかんでも防衛省で秘密秘密といって、弾数はと聞いてもそれすら答えられない。

 一方で、新聞報道で五百発と出ているんですよ。これは防衛省の省秘だと言うんだったら、防衛省内で、違反に当たる、捜査をしなきゃいけなくなるんじゃないですか、もしこんなことであれば。しかも、弾薬庫がどこどこに十棟できるだとか、そんな話までどんどんどんどん漏れているじゃないですか。

 国会の中だけ形骸化して、国会の中だけ何にも建前で物事が伝わらない。居並ぶ安全保障に知見のある国会議員たちも、全くまともな議論ができないじゃないですか。国権の最高機関ですよ。私は、この状態は是非改めるべきだと思います。

 ちなみに、このトマホーク・ブロック5を四十発調達をするということ、アメリカですが、これは今、今日の時点の為替でいうと一発五・四億円だそうですね。そういうふうにちゃんと出ているということで考えると、総理、改めてですが、この防衛省の秘密の扱い方、指定の仕方、これは、今日、防衛大臣はいませんが、防衛大臣が一応自衛隊法では定めることになっているんですが、かつて、特定秘密保護法のときに、山田宏議員がこんな議論をしているんです。

 防衛大臣が最後にこれは防衛機密として指定するというのを決める立場にあるんですけれども、では、防衛大臣が却下した例はあるのかと聞いたら、ないと言っていましたと。課長クラスがぽんと、これは秘密を決めれば、上の方へ上がっていって、それを却下するなんということはほとんど起きていないと。こういうことだとそれは思いますよ。政治の側が一個一個、これは秘密、これは秘密じゃないなんというのは、まさか自分たちで見てという話にはならないわけです。

 でも、そうなると、何でもかんでも、日本の自衛隊・防衛省は秘密扱いを過度にしてしまっているんじゃないか。ここをやはり、総理、変えようというふうに提案をしたいと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、冒頭御指摘があったトマホークに関する米国国防省の公表ですが、これについては、こうした指摘がありますが、我が国において、装備品の性能等について、例えば、レーダーの探知距離、それからミサイルや弾薬の数量、こうしたことについて公表すれば、自衛隊の探知能力、継戦能力が明らかになる、そして自衛隊への対処要領の検討が容易となる、こういったことから、従来から明らかにしていない。

 他方で、戦闘機の航続距離、最大速度、輸送機の最大離陸重量、戦車の最高速度、艦艇の排水量あるいは速力、これらについては、具体的な防衛能力を明らかにすることとならない範囲で明らかにしている。これは物によって使い分けているというのが現状です。

 御指摘のトマホークの数量につきましては、こうした現状の中で大変関心の高い御指摘でありますので、トマホークの数量等について改めて政府で検討したいと思います。

泉委員 是非検討していただきたいと思います。これは小銃の弾数じゃないですからね。是非こういったことを明らかにする。できるところは議論ができるような状況にしていくというのは大事だと思います。

 総理、なぜ私がこういうことを言っているかというと、これまで、自衛のための必要最小限の実力ということがよく国会の中で議論になりますね。そのときに、内閣法制局の長官は必ずこういう答弁をするんです。自衛のための必要最小限度の実力の具体的な限度については、毎年度の予算等の審議を通じて、国民の代表である国会において判断されるほかない。まさに、この予算等の審議を通じて国会で判断するしかないんですよ、一つ一つの、ある意味、兵器の妥当性というものは。

 じゃ、そのときに、この文章を、総理、どっちの観点で読むかなんです。毎年度の予算等の審議を通じて、国民の代表である国会において判断されるほかない。これは、政府の出したものをベースに採決だけするんだったら、野党は負けますよ。全く何もできない。なんだけれども、国会でまともに実質的な議論をするというふうにこれを解釈していただければ、やはり情報が必要だというふうになるんだと思うんです。これが国会で判断されるということは、あとは与党の多数で採決すれば通るんだから、政府の今までどおりの秘密の運用でいいですねという話になってしまう。総理、うなずいていただきました。

 是非、やはり、改めて、国会に情報をもっと出せないかということについては検討するということでありました。

 是非、委員長にもお願いしたいと思うんです。

 これは国会の審議の在り方にも関わる問題ですので、是非、改めて院として、政府に対して、防衛情報の中で、当たり前ですけれども、機微情報、機密ということに配慮をしながらも、しかし、各国が出しているような情報については出すというようなことの整理をしていただいて、これを政府に求めていただきたい、理事会でお諮りいただきたいと思います。

根本委員長 理事会で協議します。

泉委員 例えば、ドイツなどでは、議会が設置をするシンクタンクがありまして、SWPという、国家安全保障研究所、こういうところが政府の防衛予算を検証する、そういう取組もあります。あるいは、オランダなんかは、二千五百万ユーロ、三十六億円以上の物件、案件については議会の個別の承認を必要とする。こういう様々な各国の、安全保障の機密ではあるんだけれども、いわゆるシビリアンコントロール、民主的統制、これをちゃんと行おう、国民に対する説明責任を持とう、こういう考え方で、実はやはり議会も取組をしているんですね。

 是非、総理には改めてこれをお願いしたいと思いますが、一点だけちょっと質問したいことがあります。

 今の段階では二千百十三億円という数字だけであって、何発買うとは言わないという現状でありますが、改めてです。このトマホーク、先ほどの国防総省の資料でもそうなんですが、年度によって単価がどんどん変わっていくんです。やはりレベルアップしていきますから、単価は上がってくるわけです。そのときに、トマホーク、我が国は、この二千百十三億円の範囲で買うことを考えているのか、価格が上がったら弾数を減らすという考え方なのか、それとも予算そのものを増やすのか、これをお答えください。

岸田内閣総理大臣 予算については、当然ながら、国会での御審議をいただくための数字を提出させていただいています。そして、具体的には、具体的な契約を結ぶ際に、そのときの様々な条件に基づいて具体的な数字が決められることになると思います。そして、それとの比較において適切に政府として対応していく、こうしたことになると認識をいたします。

泉委員 ちょっと、全く今分からないですね。弾数を減らすといったら、これはこれで防衛に穴が空く、政府の想定している防衛に穴が空く話ですから、それはそれでいかがかと思いますから、もう少し明言をされるのかなと思ったわけですが。

 これはやはり単価が増える、為替にも随分よりますからね、総理。ですから、基本的には、政府が想定している弾数をそろえるんじゃないんですか。当然じゃないですか、それが。それは明言できないといったら、それこそ何を諮っているんですかという話じゃないですか。

岸田内閣総理大臣 おっしゃるように、状況によって、単価が上がる場合、下がる場合、当然考えられます。契約の時点でその数字は決まってきます。下がった場合、これは予算の範囲内ということになるんだと思います。上がった場合にどうするか、これは、政府として適切に判断をし、どのようにそれを賄うのか考えていく、一般論としてはそういうことになると考えます。

泉委員 今ほども、実は後ろの石破委員もお話をされていたんですが、秘密会の開催ですね。これもやはり、国会だけで秘密会といっても、政府の方もいろいろ対応しなければいけないと思いますから、政府そして国会双方で、必要なものはより突っ込んだ話をするということであれば秘密会の開催ということも、これまで言われてきましたが、なかなか実は開かれておりません、是非そういったことも検討していただきたいなと思います。実質的に、やはり民主的統制のためにこの国会が果たす役割というのは大きいわけですし、それを大きくしなければいけないと私は考えます。

 さて、次に、存立危機事態について確認をしたいと思います。

 国際司法裁判所は、一九八六年のニカラグア裁判というものの中で、集団的自衛権の行使のためには、まず、武力攻撃を受けたその国が攻撃を受けた旨を表明するということ、そして、当然ながら、要請をする、第三国に対して援助要請をするということが要件とされています。

 我が国もその考え方、要は、我が国がもし存立危機事態でということになった場合には、それは、他国からの要請があって、他国が明確に攻撃を受けたということをもってして我が国としては対応するということでよろしいですね。

岸田内閣総理大臣 我が国の場合、存立危機事態という言葉を使っていますが、その適用に当たっては、あくまでも我が国の判断で適用を考えるということになるんだと思います。

 これは、我が国に密接な関係にある他国に対する攻撃が生じるわけですが、それをもって自動的に存立危機事態が発生するというものではありません。我が国の存立、あるいは国民の生命財産、そして幸福追求の権利が根底から覆されるような明白な危機が存在する場合に、こうした事態を認定するわけですから、これは他国からの要請ではなくして、我が国の判断ということになるんだと思います。

泉委員 三要件の話じゃなくて、国際法の話をしているんです。国際的には、集団的自衛権を行使するためには、その攻撃を受けた国からの表明と支援要請が必要なんですよ、国際法では。日本もその立場に立つんですねと聞いているんです。三要件の話じゃないです。

岸田内閣総理大臣 当然、国際法、国連憲章に従って対応いたします。国連憲章第五十一条、個別的自衛権、集団的自衛権行使の際には、これは国連に対する報告が必要となります。その手続に従って対応するということだと認識をしております。

泉委員 ここは、いまいち話をずらされているので、後ほどまた確認をしたいと思います。

 そして、このパネル、存立危機事態。

 我が国がいつ攻撃、反撃をするかという議論はよく行われるんですが、今日はあえて違う観点からの議論をしたいと思います。というのは、相手国がどう判断するかというところを私は見詰めてみたいと思うんですね。

 我が国は、そういった条件、要件を満たしたときに、武力攻撃発生などが起きた後に、存立危機事態にもし政府が移るとなるならば、対処基本方針を作成する、閣議決定をする、国会での承認をする、そして実際の行動に入るということになるわけですが、この間というのは、相手が攻撃してくる可能性は確かに否定はできないわけなんです。

 ただ、そのときに、林外務大臣が今年の二月六日、こう言っているわけです。我が国がやむを得ず反撃能力を行使する場合には、国際社会には我が国の考え方を丁寧に説明していく考えでありますが、同時に、平素から諸外国に対して、反撃能力を含む我が国の安全保障政策、これを透明性を持って説明してまいりたいと。説明が必要なんです。

 その意味では、どこか我々に関する国が攻撃を受けた、その国から要請が出た、日本としても存立危機事態を、ではやろうということになったときに、じゃ、敵国、相手国からすると、日本がいよいよ動いたと。日本が動いたということで、当然、存立危機事態を発すれば、それは我が国に対して、攻めてくるというふうに思ってしまう可能性があるのではないかと考えます。

 それがないようにするということであれば私はいいと思うんですね。要は、存立危機事態を発するとしても、イコール武力攻撃、反撃ではないということである、これを明確に、改めて言っていただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 済みません、質問の趣旨、ちょっと最後、よく理解できなかったんですが、存立危機事態に対して、我が国が反撃をするかもしれない、その際に……(泉委員「存立危機事態の手続をしているときに向こうが攻撃してくる可能性がありますよね」と呼ぶ)

根本委員長 泉健太君、質問はきちんと言ってください。

泉委員 存立危機事態の手続というのが、国会の承認もありますから、どれぐらい時間がかかるのかという、当然、その問題があるわけです。ただ、周辺国が、まさかですが、我々が存立危機事態の手続を始めたことをもって我々に意思があるというふうにある意味誤解をして、我々に対して攻撃をしてくるようなことがあってはならない。これはそうですよね。

 ですから、改めて、平時から説明をしていくのであれば、我々は、存立危機事態イコール武力行使ではないと。我々がですよ、我々が存立危機事態を認定したからといって、そのときにすぐに日本の側から弾を撃つ、日本の側から反撃をするということではないということでいいですね。

岸田内閣総理大臣 手続を進めているという最中のことをおっしゃっているんでしょうが、存立危機事態という事態を検討するに当たって、まず、我が国と密接な関係にある他国に対する攻撃が、武力攻撃がもう存在しなきゃいけない、そして、そのことによって我が国の存立や国民の命に明白な危機が存在する状態が存在しなければならないわけですから、そこから、それに対して我が国は対応していくということですので、これは当然、武力行使ということについて、三要件を満たしたならば、我が国として、しっかり対応をしていくことは考えていかなければならないと思います。手続の最中だからといって、対応を止めるというようなことはないんだと認識をしております。

泉委員 今のお話だと、そうすると、存立危機事態はもう既に何らかの形で攻撃を受けた後なんだから、存立危機事態を、手続を始めるということはもう武力攻撃がセットだということを総理は今おっしゃったわけですね。そうすると、恐らく、存立危機事態の手続を始めた途端に、相手国は我が国を狙う可能性があるということには多分なっていくんだろうなということが確認ができました。

 そのほか質問したいこともあったわけですが、時間も来ましたので終わらせていただきますけれども、是非、総理、この予算委員会の質疑にちゃんと意味を持たせるために、やはり、修正するべきは修正する、時には変えるという姿勢は是非持っていただきたい。そうじゃなければ、説明を一方的に聞かされて、理解しろと言われるだけだったら、これは何の議論にもならないですよ。

 このことをお伝えして、私の質問を終わります。

根本委員長 この際、吉田はるみ君から関連質疑の申出があります。泉君の持ち時間の範囲内でこれを許します。吉田はるみ君。

吉田(は)委員 立憲民主党の吉田はるみです。

 今日は、岸田総理に初の質問になります。この国を愛する一市民として、明るく伸びやかな日本にしたい、その立場から、真摯に議論をさせていただきます。

 総理、先週の十七日金曜日、LGBTの当事者の方々とお会いされたと承知をしております。切実なお声もお聞かれになったんじゃないかなと思うんですが、早速もう、何だかあの会の後に、本当に総理はLGBTの差別を禁止する理解増進法をやってくれるんだろうか、本気が感じられないという声が漏れています。

 アリバイづくり、見せかけ、パフォーマンスと言われないためにも、総理、この国会中にLGBT理解増進法を成立させるとおっしゃっていただけないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 LGBTの当事者の方々と直接お会いをさせていただきました。

 まず、委員の方からアリバイづくりではないかという御指摘がありましたが、決してそんなことはありません。

 お話を聞かせていただく中で、様々な具体的な悩みについてお話を聞かせていただきました。家族に理解されず、誰にも相談できないですとか、心が許せる人間関係がつくれず孤独であるとか、あるいは、性的マイノリティーの方は自殺におけるハイリスク層でもある、こういった御指摘もありました。それぞれ切実な思いだと強く受け止めさせていただいた、こういった次第であります。こういったことを受けて、取組を進めなければならない。

 LGBT理解増進法については、自民党としても、引き続き提出に向けた準備を進める、このことを確認をしています。これは、期限をいつまでということは区切らせていただいてはおりませんが、是非、こうした思いをしっかり受け止めた上で、まずは、この理解増進法の取扱いについて、しっかり自民党としても考えていきたいと思っています。

吉田(は)委員 期限を区切らずというのがどうしても気になるんです。というのは、一部報道では、これは統一地方選挙の後にするんじゃないかという報道まで出てきています。あれ、何か、選挙で御協力いただいているある特定の、何か思想の影響でもあるのかなとか、結局、選挙を、これを政争の具にしているのかなという批判が、総理、出てしまいますので、是非ここを区切っていただきたいんですね。

 心の重みというのは、誰もが自分らしくありたい、そして生きられる日本にしたい、これは当然の権利であり、それを政治家が止めることはできないと思います。

 そこで、伺います。

 これは二〇二一年、前回の総選挙のときの自民党のマニフェストでございますが、この中にもはっきりと書いてあります。LGBTに関する立法、速やかに制定して、そして、多様性を認め、寛容な温かい社会を築きますと。立法して、やるよということを明言しているわけですから、これはやらなかったら公約違反になります。真剣に、是非、総理にはこれをやっていただきたいというふうに思います。

 これだけ、何か期限を区切らない、何となくやっているふうには見える、でも前進しない。そこに大きく、ちょっと自民党の中に浸透している何か考えがあるのではないかと思いまして、いろいろ調べてまいりました。

 それで、これは、統一教会創設者の文鮮明氏の言葉として天聖経に載っている言葉です。

 今、アメリカでレズビアンやホモセクシュアルやゲイのようなものが起きています、それは罪です、罰を受けなければなりません、これは自分勝手な愛です、すればするほど、破壊されていくのです、破壊をもたらすのです、人間破綻、家庭破綻、子女破綻、国家破綻、世界破綻、宇宙破綻をもたらすのです、破壊されれば自然になくなります、人間がそうなるときは、この人類が滅亡するのです。

 私は、この言葉を見て、本当に言葉を失いました。総理、LGBTは罪ですか。罰を受けなければいけませんか。

岸田内閣総理大臣 当然のことながら、そういったことはありません。

吉田(は)委員 是非、そうであれば、今、LGBTの方、理解増進法の方は進んでいる、もう一つ進んでいないのが同性婚に関してです。

 総理も今おっしゃっていただいたように、自分らしくある、多様性を尊重する。であれば、そのLGBTの方々同士が、愛する者同士が一緒になりたいと思う、これも当然のことだと思います。

 これはたくさんの反対があるというような間違った認識がありますので、世論調査の結果をお示しさせていただきたいと思います。直近です。二月二十日、FNNの世論調査、同性婚賛成、七一%。そして、二月二十一日に発表になりました朝日新聞の調査では、認めるべきだ、七二%。圧倒的な支持率です。

 そして、注目していただきたいのがこちら、年代別になっています。総理、十八歳―二十歳、二十代、賛成が九一・四%、そして三十代の方は八八・八%です。

 これを、ただ単に、そうなんだよね、若い人にはそれを支持する人が多いんだよねで終わらせないでください。これの意味するところは、総理、この年代の方々は、これから結婚を考える、結婚を視野に入れている方が一番多い年代です。結婚のことは、結婚をする当事者が、その意思が一番反映されるべきだと思います。であるからこそ、同性婚、これを認める日本にすべきではないですか。総理、お答えください。

岸田内閣総理大臣 同性婚につきましては、従来から申し上げているように、国民生活の基本に関わる問題、国民一人一人の家族観とも密接に関わる問題であり、全ての国民に幅広く関わるものであると認識をしています。

 しかし、私自身、同性婚をめぐる議論を否定しているというものでは全くありません。私自身、これ、反対だということは一度も申し上げておりません。

 ただ、今申し上げたように、幅広く関わるものであるからして、国民各層の意見、国会における議論の状況、同性婚に関する訴訟の動向、あるいは、地方自治体におけるパートナーシップ制度の導入あるいは運用の状況、こうしたものについて注視をしていく必要がある、このように考えているということを申し上げさせていただいております。

吉田(は)委員 議論をする、議論をする、検討をする、これだけがこの予算委員会で聞かれるとしたら、私はとても残念だと思います。是非、本当に前進する議論をさせていただきたい。

 その意味で、先ほど、前半の中でありました、二十代の方が東京に一極集中している、東京にいらっしゃる方が多くなっている。私はこれを聞いてぴんときました。それはこういうことなんです。

 今、私も地方の出身なんですけれども、自分らしくいられるかと。自分がLGBTの当事者であって、そして、それをカミングアウトしたい、また、愛する人と一緒にいたい。でも、もし自分が、受け入れてくれなかったら、なかなかそこにいられないです。でも、東京は、このLGBTに関して、当事者の方も多いですし、そこに行ったら自由になれるんじゃないか。今の若い方々は、自分らしくありたいと思う世代なんです。是非その声を、私は、総理、尊重していただきたい。本当に心からお願いを申し上げます。

 そしてまた、今、地方自治体の動きも、実は、遅れているのは永田町だけになっています、総理。自治体で、今、パートナーシップ条例を制定し、人口カバー率、日本全国六〇%がパートナーシップ条例で婚姻を目指していこうという方向になっているんです。この地方の声も、総理、どのように受け止められますか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げました国民の議論、国会での議論と併せて、自治体におけるパートナーシップ制度の導入の状況、これもしっかりと今後の議論の参考にしていかなければならない、このように考えております。

吉田(は)委員 これは、今全国放送で放映されていると思うんですけれども、本当に地方の自治体の皆さんも注目しています。総理が今、まさに岸田カラーを出して、そして、ああ、岸田さんがこうやってくれているから変わるぞということを、メッセージを発していただくことが、本当に大きな意味があると私は思います。

 違いは対立ではありません。違いは力にしなければいけない。それが新しい多様性の形だと私は思いますので、是非これは与野党を超えて進めていくべき問題だと思います。

 そんな中で、じゃ、何で停滞しているのか。ここを総理、これも是非自民党が調べていただきたいことがあります。

 これはまた二〇二一年の総選挙のときに、自民党の衆議院議員と旧統一教会が推薦確認書というものを署名しています。この中にLGBTのことも、慎重にというのがあるんですね。これ、四名の方がサインしたとあるんですけれども、本当に四名なんですかね。これは、ちゃんと本当に自民党として調査したんでしょうか。せっかく、せっかくというか、本当に勇気を持って、書きましたと言った四名の方が、ある意味損をしないように、きちんと自民党の中でそれを調査し……

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますので、おまとめください。

吉田(は)委員 はい。

 一体誰がというところを調査していただきたいということを申し上げて、済みません、時間になりましたので、午後の議論につなげさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

根本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

根本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。吉田はるみ君。

吉田(は)委員 午前に引き続き、岸田総理、どうぞよろしくお願いします。立憲民主党の吉田はるみです。

 総理、本年五月七日に、旧統一教会が韓国で合同結婚式を行うそうです。このコロナ禍を経て、かなり大規模になり、そして、その結婚式には韓国の方に現金を持っていくというようなことも聞いています。

 ただ、そこには、先日、私たちも合同ヒアリングをしたんですが、新たな被害が発生しないか、それを私たちは心配をしております。私自身は、信教の自由は最も守られるべき権利の一つと考えます。しかしながら、他者を不幸にすること、これはあってはなりません。

 そこで、二〇〇四年にはこの判決が出ていること、総理、御存じでしょうか。旧統一教会の合同結婚式への参加の強要は違法とする最高裁の判決が出てきております。もちろんこれは、この五月七日、韓国で開催予定の旧統一教会の合同結婚式にも、もちろん強要ということがあってはいけないというふうに思いますが、その認識でよろしいでしょうか。総理、お願いいたします。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘のように、過去の合同結婚式については、二〇〇二年に東京地裁において違法があるという判決が示され、その後、控訴、上告が棄却され、二〇〇四年二月に当該判決が確定したものと承知をしております。

 御指摘の今年五月七日に開催予定とされます旧統一教会の合同結婚式については、詳細は承知をしておらず、コメントはいたしかねますが、一般論として、参加の強要があった場合には違法になり得ると認識をいたします。

吉田(は)委員 そういうようなことが起きてからでは遅いと思います。

 私のところにもいろいろな声が届いているんですけれども、その中で、皆様の配付資料八になります、「韓国に渡った女性信者たち」ということで、「教団が決めた結婚 今も七千人」「農村で厳しい生活 夫から暴力 帰国費用なく」、このように、大変苦しんでいる女性の方々が多いのも現状でございます。

 総理、去年の臨時国会で新法が成立しまして、高額悪質献金、違法だということになっています。こういうような現状を聞いて、この五月七日の旧統一教会の合同結婚式、どのように感じられますか。短く一言でお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 五月七日の合同結婚式については、詳細は承知しておりませんが、過去の裁判の判決等を振り返りますときに、こうした、参加の強要、これがあった場合には違法になり得る、このように認識をしております。

吉田(は)委員 本当に、あってはいけない、その前に対応をするのが私は政治の責任だと思っています。

 そこで、改めて解散請求に関してお伺いしたいんですけれども、解散請求というと、その宗教を壊してしまうような、何かそんな印象を持たれる方もいると思うんですが、この解散請求というのは、ごめんなさい、解散命令というのは、宗教法人としての法人格がなくなるということで、これは文化庁にも確認しました、宗教活動は続けられるそうです。そして、宗教法人のメリットの一つは税制優遇、また、収支報告書には監査も必要ないということで、一般の企業の人からしてみたら、ええっ、監査必要ないんですか、じゃ、何書いてもいいのかななんていうふうに思ってしまうようなメリットがあるわけです。

 ただ、総理、この状況で、物価高、本当に国民生活が苦しい中、防衛費の予算、ここの倍増のところには、増税するかもしれない、こんな逼迫しているときに、総理が、総理自らおっしゃいました社会的に問題が指摘されている団体にこの税制の優遇を与えること、これは国民の理解は得られるでしょうか。私は、これは到底得られないのではないかと思います。質問権も三回行使しています。もう速やかな解散請求をすべきと思いますが、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 宗教法人については、法律上の権利義務の主体として、宗教法人としての法人格を有する、また、税法上の公益法人として税制上の優遇措置を受けられること、こうしたメリットがあると承知をしておりますが、いずれにせよ、そうした法人についてどのように取り扱うのか、これは法に従って政府としては対応しなければなりません。

 宗教法人法八十一条に基づいて、文部科学大臣の下、法律が適切に適用され、対応していくことが重要であると認識をいたします。

吉田(は)委員 まさに法に基づいてというところでは、届出のない養子縁組、このことに関して、本まで出ています。これは組織的にやっていないなんという言い逃れができるんでしょうか。質問権も、結局、出てきたこと、全くこの国会には示されません。私たち、知る由もない。そしてまた、出てくるものは、一体それが本当なのか、不都合なものは出さなくていいんじゃないか、こういう疑惑まで持たれているわけです。これが丁寧な説明責任を果たしているとは、私は、申し訳ないですけれども、思えません。

 そこで、もう一つ、すっきりしないなということが、総理、ございます。旧統一教会及び関連団体との一切の関係を持たない方針について、これは自民党の皆さんもよく御存じだと思いますが、ガバナンスコードが改定されました。ただ、二〇二三年の一月二十二日、東京新聞の報道によりますと、自民党の十二県連が旧統一教会との接点や関係遮断の意思を確認しないという方針であると。どうも、そこから進展はあったようです。

 総理、ここから、関係を遮断しないとか、結局こういうあやふやな関係のまま統一地方選挙に突入することが、私はあってはいけないと思うんです。是非、自民党の総裁として、この現状をしっかりと確認していただきたい。今、総理の現状把握を教えてください。

岸田内閣総理大臣 自民党においては、旧統一教会及び関連団体と一切関係を持たない方針であることを踏まえて、ガバナンスコードを改定し、その方針について党所属全国会議員及び全国都道府県連に対して通知をしたところであり、これを徹底してまいります。

 そして、特に統一地方選挙に当たっては、今申し上げた通知を発した時点で公認、推薦候補者を選定していなかった地方組織においては、選定プロセスの中で、旧統一教会との関係を持たないことを条件として加える、こうした取組を行いました。そして、既に公認、推薦候補者を選定していた地方組織においても、改めて候補者から宣誓書を提出させる、あるいは確認の文書を送付するなど確認を行っております。

 引き続き、党本部と各都道府県連の間で緊密に意思疎通を図りながら、選挙において、政治の信頼回復のために努力を続けていきたいと考えております。

吉田(は)委員 では、公認を得られた方が、もしそれが分かったら公認を外すということでよろしいですね。

岸田内閣総理大臣 公認候補、当然のことながら党の方針に従ってもらわなければなりません。

吉田(は)委員 もし、それで統一選、通っても、その後でも、その関係が分かったら自民党籍を外すということでよろしいですね。

岸田内閣総理大臣 関係と一言で言いましても、どのような関係であったのか、本人の認識あるいは状況等において適切に判断しなければなりません。政治の信頼回復という点において、国民の皆さんから理解されるような対応を自民党としても考えていきたいと思います。

吉田(は)委員 まさに信頼なんです。ガバナンスコードと民間企業でいったら、きちんと監査をし、それを徹底します。そのガバナンスコードを施行する前に、きちんと自分たちの行動を見直します。でも、自民党さんは、この自分たちの行動を見直すこと、自治体議員の調査もしない。これではまさに、民間企業、また一般常識から私は外れていると言わざるを得ないと思います。

 この徹底なくして統一地方選挙に行くということがないということを、総理、是非お約束していただけないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げた形で、統一地方選挙に向けても、公認、推薦の発出に当たって、統一教会との関係、未来に向けて絶つというこの方針を徹底するべく、自民党として、全国の地方組織と党本部の間で意思疎通を図っています。徹底をしたいと思います。

吉田(は)委員 総理がしっかり答えてくださったこと、信頼したいと思います。

 是非、これからまたこの国会で盛んな議論が、まさに真摯な議論が行われることを願いまして、質問を終わります。

 ありがとうございます。

根本委員長 この際、源馬謙太郎君から関連質疑の申出があります。泉君の持ち時間の範囲内でこれを許します。源馬謙太郎君。

源馬委員 立憲民主党の源馬謙太郎です。

 今日もよろしくお願いいたします。

 ちょっと通告の順番を変えまして、まずは、我が国の税金がミャンマーの軍系企業に流れているという問題から取り上げたいと思います。

 二〇二一年にミャンマーでは国軍によるクーデターが起きまして、それから二年が経過しました。当初二年の予定だった非常事態宣言が延長されて、この八月に行われる予定だった民政に向けた総選挙、これも実施が事実上不可能になってきている。大変ゆゆしき状況にあると思います。

 二〇二一年に起きたこのクーデター以降、少なくとも二百七十七人の子供を含む三千人弱が殺害をされた、そして一万七千人以上が拘束をされている、こういう状況がミャンマーで続いております。

 こうした中で、我が国の税金を使ったODAで、そのお金が国軍側に流れているということが明らかになったわけです。

 この事業は、バゴー橋という橋の建設に関わる事業なんですが、総額で七百億円ぐらいのODA、これは円借款でやっています。ここから少なくとも二・六億円のお金が、一次コントラクターの日系企業のY社という会社から、軍が保有する企業であるMECに支払われているということが明らかになったわけです。この原資は、当然日本の税金です。

 今、防衛費を増額しようとしていて、増税になるかもしれない、国民に負担をかけている、そういう状況で、我々の税金が、人権侵害どころか虐殺なんかにも関与している軍に渡っている、これは到底理解されないと思います。

 まず、政府に見解を伺いたいんですが、このMECが軍系企業であるという認識は政府は持っているのか、伺いたいと思います。

林国務大臣 今お尋ねのありましたミャンマー・エコノミック・コーポレーション・リミテッド、MECでございますが、軍系企業というふうに認識をしております。

源馬委員 政府も認識をして、お金が流れているのを今止めていない状況だと思います。

 総理に見解を伺いたいんですが、こうした状況で、我々の税金が国軍に流れている、このことについての総理の御見解を伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘の事業については、主契約企業とその下請であるMECとの間で締結されている契約上、これを解消する場合には、MECに対する多額の違約金支払いが生じることとなります。国軍への資金流入をできるだけ防ぐためにも、既存の契約に基づくMECへの必要最小限の支払いはやむを得ないと政府としては考えています。

 主契約企業が二〇一九年十一月にMECとの間で下請契約を締結し、事業を実施していることについて、クーデター後の二〇二一年三月に、主契約企業から外務省、JICAに対し報告があったと聞いております。

源馬委員 まず、二〇一九年十一月に契約したということなんですけれども、その前々月に、実は国連の事実調査団が、このMECは国軍の経済的利権に絡んでいるという報告をもう既に出しているわけですよ。その後にY社がこのMECと契約を結んだ。それをチェックできなかったことも、私は政府の怠慢だったというふうに思います。

 さらに、今総理は、事業を止めてしまうとY社が多額の違約金をMECに払わなきゃいけない、それだったら、今、二・六億円もう既に払っているけれども、それをどんどん払い続けた方がいいという御認識のように聞こえましたが、実際、幾ら違約金がかかるんですか、外務大臣。

林国務大臣 ちょっと今手元に数字がないので、確認して、また御報告させていただきます。

源馬委員 事前にレクを受けたら、外務省は、その契約内容も把握していないと言うんですよ。違約金が本当にかかるかどうか分からないじゃないですか。どういうふうにそれを判断して、違約金がかかると言っているんですか。

林国務大臣 今の御指摘のMECとの下請契約に基づく支払いについては、主契約企業から日本政府に対し、国軍への資金流入をできるだけ防ぐためにも、今後MECとの間で新規契約を締結しないという前提で、既に支払い義務のある分を支払うこととしたという報告を受けております。

 政府としては、既存の下請契約に基づき工事を再開することとしたという企業の判断を尊重しておりまして、引き続き、情勢の推移等を注視しつつ、本事業が適切な形で実施されるように、主契約企業からの相談に応じていきたいと考えております。

源馬委員 ただその主契約企業が言ってきたことをそのままうのみにするというのは、政府の対応としてどうなんでしょうか。しかも、我々の税金が国軍に渡っている、そこは認識をしているわけですから、いや、契約を打ち切ると違約金がかかるんですと言ったら、幾らかかるのか、それは当然把握すべきじゃないですか。

 実際にどういう契約をしているか、把握しているんですか。

林国務大臣 我々と主契約企業の間の、その先の下請であるMECとの間の締結されている契約、これは企業情報でございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

源馬委員 そういうことじゃなくて、把握しておくべきだという話なんですよ。税金で、ODAを使うわけですから。それを把握しないで、その企業の言いなりに、では違約金がかかります、それだったら、二・六億円払ったけれども、これからもどんどん払い続けようなんというのは、私は、怠慢を通り越して、ひどい対応だというふうに言わざるを得ないと思います。

 契約を確認すれば、多分、民間企業の契約というのは、例えば災害とか戦争とかが起きたときのフォースマジュールというのが大体あるわけですよね。それがあるかないかも確認していないわけなんですよ、外務省にレクを受けましたが。それでは、本当に取りやめできるかどうか分からないじゃないですか。しかも、一年間はこの橋の建設をやめていたわけですよね、Y社が。その間は当然支払われていないんですよ、MECに。ですから、そうした止めるということはできるはずなんです。

 総理、こういう、国軍にお金が回っているという事業、一旦ちょっと建設をストップして、ストップしている間は国軍にお金が流れないわけですから、そして、ちゃんと契約内容を把握したりして、もう一回日本の対応を検討し直した方がいいんじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 今、委員とのやり取りを聞いておりまして、まずは実態をしっかり把握することが大事だと思います。実態を把握した上で、その実態に基づいて適切に対応すべきだと考えます。

源馬委員 それでは、今総理のお答えになったとおり、外務省、しっかり契約内容も把握して、その上で、違約金が幾らかかるのか、そういったこともきちんと把握する、そういうことでよろしいですか、外務大臣。

林国務大臣 ODA事業の実施に当たりましては、政府としては、先方政府と主契約企業の間の契約までは把握しておるわけでございますが、主たる契約企業、主契約企業が下請としてどの企業を選ぶかについて、また、どのように工事を進めるのかが最も適切かという観点から、これは主契約企業が決めるものであって、基本的に主契約企業の裁量に委ねられているものでございます。

 その上で、今総理からお話がありましたので、我々として、できる限りの対応をしっかりやってまいりたいと思っております。

源馬委員 きちんとやっていただきたいと思います。

 外務大臣は、去年の十二月の答弁で、国軍を利することがないよう十分留意した上で実施しているものでございます、こう答弁もされているわけですから、もっと、これは留意が全然足りない、確認も足りない、しっかりと調査をして、委員会に報告していただきたいと思います。

 委員長、お願いします。

根本委員長 理事会で協議します。

源馬委員 この問題、なぜこのタイミングで大事かというと、これからサミットがあるわけですね。日本は、本件について国連の特別報告官からも名指しで批判をされているんですよ。しかも、人権が今度のサミットでは大きなテーマになる。

 これは総理も御認識されていると思うんですけれども、サミットで今度、ウクライナでたくさんの人の命を奪っているロシアに対する批判も恐らくされるわけですよね。そういうときに、議長国である日本が、ほかの国はMECに対する支援やミャンマーに対するODA支援をやめているのに、我が国が国軍にお金を流している。こういう状況で議長を務めるサミット、恥ずかしくないですか。ロシアに制裁と言っておきながら、ミャンマーの軍事政権に金を流し続けているというのは、到底、国際社会で理解されないと思います。

 日本は人権意識が非常に低いというイメージが、もう既に、これは定着してしまうと思うんですよ。先ほどもありましたけれども、同性婚の法律もG7で唯一ない、LGBTに関する法律もない。そして、人権侵害を防ぐためのマグニツキー法も、G7で日本だけない。

 是非、G7の前にこれらをやっていただきたいと思いますが、総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 日本として、そしてG7の議長国として、国際社会に対して、日本が人権、自由、民主主義、法の支配、こういった普遍的な価値を重視している国であるということをしっかり示していく、これは当然重要なことだと思います。

 是非、そうした考え方を示すべく、議長国として努力をしなければならないわけですが、その際に、具体的な課題について、日本としてどのように対応するのか、一つでも前進するよう努力を続けていきたい、このように思います。

源馬委員 何か、結局やらないんだろうなというような答弁でした。

 しかも、こういう状況で、今日の報道ですけれども、自民党の麻生副総裁がミャンマーの国軍から名誉称号と勲章を受けたという報道がありました。このタイミングで、どうなんですか。総理、御認識をお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 内閣の立場からは、御指摘の点について十分承知をしておりません。事実関係を承知しておりませんので、たちまち今、コメントをすることは控えます。

源馬委員 好ましいことだと思いますか、この状況で、総理。

林国務大臣 二十日にミャンマー国営メディアが今委員の御指摘のあったような報道をしている、これは承知をしておりますが、今総理からもお答えがありましたように、今回のミャンマーによる叙勲については、個人として勲章を受章したものと承知しておりまして、政府としてはコメントする立場にはないと考えております。

源馬委員 いや、それは、でも、大きな影響があると思いますね。

 ちょっともう一つだけ細かいことを外務大臣に伺いたいんですが、このMECという会社はアメリカの制裁対象になっているんですね。ですから、米ドルで送金することができないはずなんですが、今回、日本のY社からの送金は米ドルで行われております。これはアメリカが一時的に制裁を除外したということだと思いますが、まさか政府としてアメリカにそういったことを働きかけていないですよね。

林国務大臣 二〇二一年の三月でございますが、MECが米国の制裁対象に追加されております。主契約企業は、MECへの支払いにつきまして、米国の財務省の外国資産管理室、OFACでございますが、ここから個別の承認を得たものと承知をしております。

源馬委員 そんな個別の民間企業がアメリカ政府に許可を得られるんですか。政府の働きかけがあったというふうに考えるのが普通だと思います。

 こうした問題が起こるのも、やはり企業が、コントラクターが下請企業と契約するときに、そこに無介入だからこういう問題が起きるんだと思うんですよ。しっかりチェックをして、どういう企業と下請契約を結んでいるか、これは調べた方がいいはずなんですね。

 こういうことについても、人権侵害が起こらないかということを、マグニツキー法という、さっきもちょっと言いましたが、世界各国は結んでいる。我が党もこれは法案を出しました。

 岸田総理も総裁選のときは非常に前向きな御発言をされていたと思いますが、これは是非前に進めていただきたいと思いますけれども、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のマグニツキー法については、従来から日本においても議論が行われていると承知をしています。具体的な法律を作るということについては、引き続き議論が行われていると承知をしています。

 日本として、こうした考え方については、人権を重視するという考え方は、当然のことながら前向きに捉えております。具体的な法律については、引き続き、議院の中での議論をしっかり踏まえて、対応を考えていきたいと思います。

源馬委員 先ほどの泉代表の質疑のときにもありましたが、自民党の総裁選のときは何かいろいろいいことをおっしゃって、何かそれを進めようみたいな話ですけれども、どんどん変わっていっちゃったところがたくさんあると思います、このマグニツキー法もそうですし。そこはしっかり、変わらずに、言っていたことをやっていただきたいと思います。

 それから次に、防衛力の人的基盤について伺いたいと思います。

 国家防衛戦略の中で、防衛力の抜本的強化には、途中ちょっと中略しますが、抜本的強化には人員の増加が必要となるが、あわせて、人口減少と少子高齢化を踏まえ、無人化、省人化、最適化を徹底していく、こういう記述があります。

 一見当たり前のことを言っているように見えますが、実は、装備を増強するに伴って人員をもっと増やさなきゃいけないんだけれども、増やせない現実があるから、それを何か最適化とか言って言い訳しているだけのように思います。

 五年で四十三兆円にするという、膨大な防衛費を増額して、当然、装備が増えれば、それに係る人員が必要になってくる。しかも、新しい装備も入ってくるわけです。その上で、防衛力整備計画を見ても、定員の増は、ほぼ横ばいで据え置く。

 本当にこれで、防衛大臣、日本の防衛は大丈夫なんですか。人的基盤、人員を増やさない、装備だけ増えていく。これで本当に日本の防衛は大丈夫なんでしょうか。

浜田国務大臣 防衛省としては、自衛隊の体制強化の観点から、令和五年度予算案において、サイバー領域、宇宙領域における防衛体制、及び南西地域における防衛体制、並びに周辺海空域の防衛体制等の充実強化に向けて、千七百六十九名の実員の増員を計画しているところであります。

 また、防衛力整備計画において、必要な人材を確保するために必要な施策を盛り込んでおり、これに基づいて、令和五年度予算案には、採用広報のデジタル化、オンライン化、そしてまた、地方協力本部の体制強化等といった募集関連の事業として約二十七億円を計上しているほか、生活、勤務環境の改善をこれまで以上に推進するために、前年度比二・七倍となる二千六百九十三億円を計上しておるところであります。

 また、予備自衛官についても、常備自衛官を効果的に補完し得るよう、その役割を再整理した上で……

根本委員長 防衛大臣、簡潔にお願いします。

浜田国務大臣 年齢制限の緩和、生業と両立しないような訓練期間の設定といった観点から、現行制度の見直しを行っております。

 今般設置した防衛省・自衛隊人的基盤強化に関する有識者検討会の提言もいただきながら、自衛隊の人的基盤について抜本的に強化してまいりたいと思っております。

源馬委員 聞いたことに答えていただきたいと思います。

 そういうことを言っているんじゃなくて、そもそも、これだけ防衛装備品を増やして、防衛費も上げて、その規模を二十五万人程度の人員で本当に賄えるのかということなんですよ。

 GDP比の二%にすれば、インドを抜いて、防衛費の比較でいえば、世界三位の規模になるわけです。インドでは三百万、中国では二百五十万、アメリカも百四十万の兵力があって、そのぐらいの規模の防衛費になるのに、日本だけ二十五万人で本当に大丈夫ですかということなんですよ。

 大臣、いかがですか。

浜田国務大臣 我々とすれば、今御指摘のあった点については、当然これは、既存の装備品の能力の向上、そしてまたシステム更新等々、弾薬の整備、維持、整備部品の確保、施設の抗堪性の向上、そしてまた、新たな装備品の取得につながらない事業も多く含まれておるのも事実であります。

 抜本的強化に当たっては、既存部隊の見直し、民間委託等の部外力の活用、そしてまた、戦闘様相の変化を踏まえた旧式装備品の用途廃止、早期除籍等、戦車、火砲の数量減や、省人化、無人化装備の導入の加速等による所要人員の削減などの取組を推進して、現在の自衛官総定数を維持したまま、防衛省自らが大胆な資源の最適配分をすることについてもしっかり取り組むことで、所要の人数増に対応してまいりたいというふうに思っております。

源馬委員 いや、もう到底足りないと思いますよ。この規模の防衛費で、二十五万。そして、平成三十年の中期防のときから人件費というのはほとんど変わっていないわけですよ。ですから、人員は変わらない。一方で、装備の契約などに充てる物件費、これが二・五倍になっています。一人当たり二・五倍の仕事をするということになりませんか。そんなこと、本当に可能なんでしょうか。

 しかも、先ほど防衛大臣おっしゃいましたが、防衛力整備計画の中に、足りない部分の補完のために予備自衛官制度を使うというふうに言っています。予備自衛官なんか、もっと充足率が足りないんですよ。即応はもう五割程度、予備自衛官も七割程度。

 どんな訓練をしているか御存じですか、大臣。うなずいていただくか、否定していただくかで結構なんですけれども、予備自衛官の訓練。御存じなんですね。

 私、御存じだったら、この予備自衛官を今の制度で常備の補完に充てるなんて、到底不可能だと思います。大体、五日間の訓練で、体力測定とかをやったり反復横跳びとかをやるんですよ。さらに、使いもしない銃の解体とか射撃訓練、年に一回だけ。何の役に立つんですか。私、語学の英語でしたけれども、英語の訓練なんか一切やりません。米軍とやり取りする想定なんじゃないんですか、予備自衛官というのは。

 こういう制度を常備の補完にするというのは不可能だと思います。大臣の御見解を伺いたいと思います。

浜田国務大臣 委員御指摘のとおり、予備自衛官の今の訓練というのはそういうことでありますけれども、我々、予備自衛官は、有事のみならず、災害発生時を含む各種事態の際に招集され、自衛官として、後方地域の警備や後方支援等の任務に従事する補完防衛力としての役割が期待されているところであり、基本教練、射撃検定、体育訓練等の共通訓練も実施してきているわけでありますので、今後、保有する特技や技能を生かした職務訓練について実施していくところでもあるわけであります。

源馬委員 全く危機感がないなと思います。これだけ莫大な防衛費、そして装備をそろえて、今の人数のままいく。充足率はいつも足りない。そして、更に充足率の低い、言ってはあれですけれども、今の訓練内容では到底使えると思えない予備自衛官制度、これで補完していく。これでも足りないと思います。

 さらに、防衛省にレクを受けまして、今年度、人員確保のために新たな施策、どういうことをやるんですかと聞いたら、メタバースで何か採用活動をするとか、全然、ちょっと方向性が違うし、危機感が全くないんじゃないですか。本当に、これだけの人員を必要とするときに、新しくメタバースで採用活動をやってみようなんて、全くそれは、ちょっととんちんかんな方法だと思いますね。一つのアイデアでも、それで足りると思いますか、本当に。

 これだけ少子化が進んで、民間企業ですら、ちゃんと雇用を確保できるか分からない。そして、自衛官に必要な適性な年齢層がどんどん減っていく、そもそも人口自体がどんどん減っていく。待遇もよくなくて、民間企業に勝てるはずがないこの状況で、一方で装備は大幅に増える。でも、人は必要。

 結論、どうするんですか、総理。これは、各国がやっているみたいに、徴兵制の制度とかをやって必要な人員を確保していく、そういう方向に進んでいくことは決してないと断言していただけますか。そして、こういう制度を使わずに、本当に必要な、各国と見合う人材を確保する方法を是非総理に教えていただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、徴兵制等は考えることはありません。

 その上で、限られた人材をどのように有効に活用していくのか。能力向上、働き方改革等、様々な観点から、人的な資源を安全保障の分野において活用すべく、最新の技術も活用しながら体制をつくっていく、これが基本的な考え方であると認識をしております。

源馬委員 私は大変強い危機感を覚えています、本当に大事なところを政府がちゃんと見ているのかなと。やはり人員は必要ですよ。それをどう確保していくかというのは、今、策も解もないんじゃないかなというふうに思いました。精神論で何とか今の二十五万人で回していくんだなんというのは、まさに戦前と一緒で、必要な人員というのはしっかり確保していく、そういう方向でやっていただきたいと思います。

 最後ですが、秋本政務官と鈴木政務官について伺いたいと思います。

 鈴木内閣府政務官は、国から公共事業を受注していた会社十社から一千万円以上の献金を受けていた。返金したとはいえ、違法の疑いがあるわけです。十年も知事を務めた方が地元の企業でそれを知らないというのはにわかに信じ難い、そういう状況だったと思います。

 秋本政務官は、更にいろいろなことがありまして、昨日の分科会で我が党の大西委員からも質疑がありました。総理は御覧になっていないと思いますが、これまでも国会で虚偽答弁と疑われるような答弁を繰り返したり、利益誘導の疑いがあったり、事務所の違法建築問題があったり、さらには、公設秘書の給与から私設秘書の給与を実質払っていた、そういう疑いや、複数の秘書に複数回数、自分自身に寄附をさせる、自分の政党支部に。そんな、本当に、秘書給与法の明らかな違反ですよ。こんなことをやっている人、秘書の人も、たまたま一人だったら分かりますが、複数の秘書がそういうことをやっている。これはやはりひどい。政務官辞任どころか議員辞職しなくてはいけない、そういう案件だと思います。

 総理、これまでも四人の大臣が実質更迭され、政務官も辞められました。任命責任、これは五人プラス更に二人だと、本当に、相当任命責任は重いと思いますが、御自身の任命責任について、そして両政務官のこれまでの説明責任は十分かどうか、総理の御認識を伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 これまでの大臣辞任につきましては、当然のことながら、私自身、任命責任を感じておりますし、だからこそ、国政に支障が生じないように、一層緊張感を持って努力をしなければいけない、このように感じております。

 そして、御指摘の秋本政務官そして鈴木政務官につきましては、事実関係、国会の質疑を通じて説明をしてきていると承知をしております。これは、政治家としての責任において、引き続き適切に説明することが重要であると認識をしています。政治家として、信頼を重視する観点から、説明努力を続けてもらわなければならないと思っています。

源馬委員 政治家としてもそうですが、政府の一員であるからには、是非、もうこれ以上ひどかったら辞任させていただくようにお願い申し上げまして、質問にさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

根本委員長 この際、本庄知史君から関連質疑の申出があります。泉君の持ち時間の範囲内でこれを許します。本庄知史君。

本庄委員 立憲民主党の本庄知史です。千葉八区、柏市、我孫子市選出です。

 二度目の議論となりますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 質問に入る前に、本日の午前中の我が党の泉代表の質疑の中で、同性婚について取り上げた際、総理の真後ろの、そちらの秘書官、首を横に振ったり、笑ったりしていた、質疑中に泉代表からのそういう指摘がありました。

 お昼の時間に通告をいたしまして、この当該秘書官に事実関係を確認の上、午後、総理から御説明をいただくようお伝えをしましたが、御答弁をお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 午前中の質疑において、私自身、総理大臣として、LGBT、同性婚の問題等について泉代表と真剣に議論させていただきました。

 その際に、私の後ろで御指摘のような点があったという御指摘を受けたわけでありますが、そうした事実について、昼休みの時間、確認をさせていただきましたが、そういった事実について、私自身は確認することができませんでした。

 いずれにしましても、秘書官たちも、私と同じ認識で職務に当たってもらわなければなりません。この予算委員会でのやり取りの中で、私自身も、先ほど申し上げました、真剣に議論に臨みましたが、秘書官においても同じ思いでこの予算委員会の審議に臨んでもらわなければならないと強く思っております。

本庄委員 お昼に通告したのは、もちろん、総理、後ろに目はありませんので、当該秘書官御本人に確認をしてくださいということで、真後ろの、そして右から四人目の方、指定までして、通告をいたしておりますが、確認いただけていないんでしょうか。

 何なら今、いつも後ろを振り返ってお話しになっていますが、今御確認いただいても構わないんですけれども、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 確認はできておりません。

 いずれにせよ、御指摘のような点があることについては、そうした指摘を受けること自体、これはあってはならないわけであり、緊張感を持って対応しなければいけないと改めて強く思っております。

本庄委員 なぜ、今確認できないんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 昼休み時間、笑ったという指摘を受けたわけですが、その笑ったということについて確認ができていないということであります。

本庄委員 確認をしていないだけじゃないんですか。中継で国民の皆さんも御覧になっているんですが、総理、今の御答弁でいいんでしょうか。

 知られたくない、笑っていた、首を横に振っていた、そういう事実が明らかになってしまうので、あえて確認ができない、そういうことではないんですか。

 これは、前の荒井秘書官がLGBTの皆さんに対する差別発言で辞めるということになった、その後のことだけに、私たちも重大な関心を持って、あえてこの貴重な時間を使ってお聞きをしております。誠実に御答弁ください。

岸田内閣総理大臣 笑ったという事実は確認できておりません。

 しかし、こうした指摘を受けること自体、この予算委員会の審議に影響を与えるわけでありますから、これは問題である。是非、緊張感を持って、気を引き締めて対応しなければいけない、これを強く指示をしたいと思います。

本庄委員 笑っていただけではなくて、同性婚の話のときに首を横に振っていた、このこともお伝えをしております。

 国民の皆さんに申し訳ないので、このことはこれ以上、お聞きをここではいたしませんが、事実関係を確認をして、理事会に御報告をいただきたいと思います。

 委員長、よろしくお願いいたします。

根本委員長 理事会で協議します。

本庄委員 それでは、本題の質問に入ってまいります。

 まず、二月十三日のこの委員会の質疑で、河野大臣、私の質問に、所管外だと言って、十二回答弁拒否がありました。極めて遺憾だと思いますね。事前にきちっと通告もして、そして河野大臣のかつて外務大臣在任中の問題や、安倍元総理と二人で話した内容について確認をいたしました。所管外と言って逃れられる質問ではなかったと思います。

 私は河野大臣のツイッターをブロックされておりまして直接確認できないんですが、閣僚は所管外のことに答弁できないというふうにお書きになっているそうなんですね。しかし、そんなルールはありません。もしそんなルールがあるんだったら、例えば閣僚の政治資金の問題なんかについて国会で質疑できなくなりますね。

 総理、これは国会審議、民主主義の基本に関わる問題だと思います。是非しっかりと説明責任を果たしていただきたい。このことを最初に申し上げた上で、最初の質問を申し上げたいと思います。

 健康保険証、そしてマイナンバーカードとの一体化の問題です。

 私は、マイナ保険証や医療のデジタル化に反対をしているわけではありません。問題は、一体化したくない人や一体化できない人をどうするか、こういう問題です。

 昨年の秋に、突然、大臣の発表で、それまで希望すれば交付するとされていた保険証を完全に廃止するということになりました。国民の多くの皆さんが戸惑い、そして不安を感じておられます。

 まず、総理に端的に御質問したいんですけれども、マイナ保険証にメリットがあるとしても、だからといって、なぜ今の健康保険証を廃止しなければいけないんでしょうか。明確にお答えください。

岸田内閣総理大臣 健康保険証を廃止しマイナンバーカードと一体化することによって、患者の方自身にとっても、健康、医療データに基づいた適切な医療を受けることができるなどメリットがあるわけですが、一方で、医療機関、薬局にとっても、正確な情報に基づく医療提供ができる、さらには、スタッフの確認事務が減少するなど様々なメリットがある。また、保険者にとっても、過誤請求による事務処理負担が減少する、保険証等に係る事務手続が減少するなど、それぞれメリットがあります。

 そして、こうしたメリットは、カードに保険証が一体化されて、それがベースとなって活用される、成果が出てくる、こういったものであると思います。そういった観点から、今回、健康保険証とマイナンバーカードの一体化、これを政府として目指していきたいと考えた次第であります。

本庄委員 私、丁寧に質問をしたつもりなんですが、マイナ保険証のメリットは理解しています、患者側にとっても、医療機関側にとっても。しかし、希望していない人や今のままでいいと言っている人も含めて、今の保険証を廃止してしまう、その必要性についてお聞きをしています。

 当事者からしてみれば、お国の余計なお世話なんじゃないでしょうか、今のままでいいよという人は幾らでもいます。私も地元で、おじいちゃん、おばあちゃんから、ポイントもらえるからマイナンバーカードを取ろうかなと思っているけれども、紙の保険証しか近所のお医者さんは使えないし、どうしたものかな、こういう相談をよく受けますよ。そういう人たちをまさに追い込んでいくような今のやり方が、私はいかがなものかな、そういうふうに思っているんです。

 明確に答えてください。なぜ今の保険証を廃止する必要があるんですか。

岸田内閣総理大臣 先ほど様々なメリットを申し上げましたが、医療機関、薬局、さらには保険者、この立場からした場合に、様々な事務処理負担の軽減等を考えた場合に、書類とマイナンバーカード、両立することによって、逆に事務処理の効率化が落ちる、負担が増える、こうしたことも考えられます。一本化してこそマイナンバーカードのメリットが生きるという認識の下に一本化を考えた、こういった次第であります。

本庄委員 それは医療機関側から見たメリットですね。私が繰り返し伺っているのは、患者側から見た今の保険証を廃止する必要性です。

 恐らく答弁書はお手元にないんでしょう。事務方に幾ら聞いても、この答え、もらったことはありませんので。

 違う角度からお伺いしたいと思います。

 先般、デジタル庁が中間取りまとめというのを発表しました。そして、マイナンバーカードによってオンライン資格を受けることができない人、こういう方々に、資格確認書、基本は紙、丁寧に書いてあります、これを保険者に確認をするということで、保険証に代わるものとして資格確認書というものを新たに作って発行する、こういうことになっております。

 これは、今の健康保険証と何が違うんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 これは、要は、カードによるオンライン資格確認、これが基本であります。そして、オンライン資格確認を受けることができない状況にある方について、本人の申請に基づき発行される資格確認書により被保険者資格を確認する、こういったこととしております。

 あくまでも、マイナンバーカードを紛失した、あるいは更新中、こうしたケースにおいて資格確認書を発行する。こうした対応を、マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会において、今月十七日に公表した中間取りまとめにおいて確認をした、こうした次第であります。

本庄委員 それは今の紙の保険証でもできるんですよ。オンライン確認というのはできるんです。ですから、新しくできる資格確認書と一体何が違うのかと。

 今の保険証、マイナ保険証、そして資格証明書、さらに資格確認書。私もこれを覚えるだけでも大変なんですが、四番目の新しいものを、これはまたお金もかかるんじゃないですか。私は本当にこういう無駄なことはやめた方がいいというふうに思います。

 時間も限られておりますので、少し具体的な話をさせていただきたいと思います。

 パネルの二ですね、お手元にも配付資料があると思います。これは、大井町そして岡崎市のホームページから、健康保険証とマイナンバーカードの記載事項変更のサンプルということで用意したものなんです。

 上段、健康保険証ですが、性同一性障害の方が本名や性別を表面に記載したくないという場合に、裏面参照という形で、裏に記載ができます。保険証はこういう柔軟な対応をしています。表面の氏名を通称名にすることも容易にできます。

 ところが、マイナンバーカードはどうか。これは下段、下の方ですけれども、住民票と同じ、つまり戸籍上の本名と性別が必ず表面に記載をされる、こういうことになっているんですね。裏面には記載できません。これは施行令で決まっています。

 また、性別を変更したい場合、このときも、マイナンバーカードの場合は戸籍上の性別を変える必要がありまして、裁判所への届出が必要です。性別適合手術も必要になる。こういうことで、相当ハードルが高いということなんですね。

 さらには、この変更した履歴が御丁寧に表面に記載をされるというルールになっているんですね、氏名や性別を途中で変えてしまうと。

 ということで、性同一性障害の方々からすると、このマイナンバーカード、マイナ保険証を使うと、そのたびに戸籍上の本名、性別あるいは変更の履歴を他人に見せなきゃいけなくなるということで、これは精神的な苦痛も察するに余りあるわけです。

 そこで、総理にお伺いしたいんですが、仮に来年秋に健康保険証を廃止してしまうのであれば、それまでにマイナンバーカードの氏名、性別の記載方法や変更方法について、LGBTや性同一性障害の方々に配慮した形に変えるべきだと私は思うんですね、今の四角四面のやり方ではなくて。少なくとも今回できるとされている資格確認書は保険証並みの柔軟な対応が必要だと思います。是非、総理の御見解をお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 マイナンバーカードの券面に性別の記載があることについては、カード創設当初にLGBTの皆様から御心配の声をいただいていたため、カード交付開始以来、カード交付時に、性別欄をマスキングするカードケース、これを配付しております。

 マイナンバーカードの券面記載事項については、御指摘の件を含め、本人確認のためのカードの在り方として重要な事項であり、関係者の意見を伺いながら丁寧に検討を進めていくべき課題であると認識をしております。

本庄委員 いつも検討で、大変残念なんですが、マスキングと言われても皆さんすぐ分からないかもしれませんが、要は、ビニールの袋に入っていて、少しそこに目隠しがついているというものです。総理も御覧になったことはあると思うんですね。カードそのものには直接関係のないものです。

 私は、カードの記載の方法、ルール、きちっと変えるべきだと思いますし、申し上げたように、保険証の代わりに発行されるという資格確認書は少なくとも今の保険証並みの柔軟な対応を是非するべきだと思いますが、総理、御答弁をもう一度お願いします。

岸田内閣総理大臣 資格確認書における氏名、性別の表記を含む具体的な記載事項については、マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会において、現行の健康保険証における取扱いを踏まえつつ今後検討する、このようにしております。

 LGBTの方々への配慮を行うことは重要であると考えており、氏名、性別の表記方法についてどのような工夫ができるかを含め、丁寧に検討をしてまいります。

本庄委員 検討は結構ですが、少なくとも今の保険証が廃止をされてしまう来年の秋までに、きちっと新しいルールにのっとったカードが手元に届く、そういう日程感で検討をしていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。

 次の安全保障の方に話を移したいと思います。

 先日のこの予算委員会で我が党の岡田幹事長、玄葉議員より、反撃能力行使の分かりやすい事例を示してほしい、こういう発言がありましたが、さっきも泉代表からも少し言及がありました。岸田総理はそのとき、基本的な考え方を分かりやすく図式等で説明することはあり得る、こう答弁されましたが、いまだに何も出てきておりません。一体、いつ示していただけるんでしょうか、反撃能力の事例ですね。

岸田内閣総理大臣 国会での議論、また国民の皆様への説明を考えた際に、分かりやすい説明、これは重要であり、分かりやすい例を示す、御指摘のような図等を活用した形で説明を行うこと、これは重要だと申し上げました。

 今、具体的に、どのような説明が分かりやすいものか、この調整を進めているところであります。

本庄委員 この委員会で質疑が出てから、もう二週間ですか、三週間ですか、随分時間がたって、間もなく予算の、衆議院も山場を越えてという段階になって、調整だとか検討だということはやめていただきたいと思います。

 これは、四十三兆円の防衛費の使い道とセットの議論なんですね。そして、政府が安全保障政策の大転換だとおっしゃっている、その肝のところですよ。憲法の海外派兵禁止の原則の例外として許容する、そういう中身なんですね。相当丁寧な議論をしなくちゃいけないと思います。

 そしてさらに、国会との関係でいえば、基本は事前承認です。ただし、このミサイルに関しては、スピード感からいうと事後になる可能性が高いと思うんですね。

 となれば、やはり国会審議の中で、いろいろな類型とか事例とか、いろいろなものを示して、あらかじめ議論しておかないと、何でもかんでも白紙委任で、後はよろしくといったって、これは国会として役割を果たせないと思うんですね。

 委員長、これは、安保法制のときに内閣官房が作成をして与党への説明をしました。さらに、これに基づいて国会でも総理始め閣僚が事例として答弁をしています。この程度のものはいつでも出せると思うんですね、今だって。是非、政府からきちっとした事例を出していただくよう、理事会でお取り計らいをお願いします。

根本委員長 理事会で協議します。

本庄委員 さて、パネルの五、存立危機事態、つまりは限定的な集団的自衛権との関係についてお伺いしたいと思います。

 日本自身が攻撃を受けていないけれども、それと同じぐらい日本が危ない、存亡の危機に関わるというときには、武力行使あるいはミサイル反撃ができる、こういう話です。

 昨年末に政府が閣議決定した国家安全保障戦略には、前段に反撃能力とは何かという説明があった上で、反撃能力の政府見解というものが示されています。憲法上可能だとした一九五六年の政府見解。これは、平和安全法制の武力行使の三要件の下で行われる自衛の措置にもそのまま当てはまる、このように書かれていますね。つまりは、限定的な集団的自衛権の状況、存立危機事態の状況において、日本自身が攻撃を受けていなくてもミサイル反撃が可能だ、こういう見解です。

 そこで伺いますが、先ほど私がお示しした四つ、政府全体でいえば事例は八個、安保法制のときに、集団的自衛権、存立危機事態の事例として示されました。この八つの事例には、この考え方は当てはまる、つまりは三要件を満たせばミサイル攻撃が可能となる、そういう理解でよろしいんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 反撃能力の行使、すなわち我が国として武力を行使するわけでありますが、その際に三要件を満たすということ、これは必須のことであります。

 そして、反撃能力はミサイル攻撃を想定しております。現実問題、他に手段がない、必要最小限の手段であるということ、これもしっかり満たしたものでなければ、反撃能力、これは行使することができないものであります。

 こうした条件を全てクリアするということをしっかりと理論上確保することが重要であると考えます。

本庄委員 明確には答弁されませんでしたが、可能性はあるんだ、こういう答弁だと理解しました。

 ミサイルだとおっしゃいましたが、例えば機雷掃海をしているときに、ペルシャ湾、ホルムズ海峡で。どこからかミサイルが発射をされる、攻撃を受けてしまうという可能性ももちろんあるわけですね。あるいは、ほかの幾つかの事例でいえば、日米共同でミサイル警戒監視行動をしているときにミサイル攻撃に遭うということも想定されるわけで、結局は存立危機事態においても日本はミサイルをもって反撃をすることができるんだ、こういう御答弁だと私は今理解しましたが、それでよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 存立危機事態において、すなわち我が国と密接な他国が攻撃を受けた場合、自動的に存立危機事態の発動につながるというものではありません。あわせて、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険、これが存在しなければ、存立危機事態の要件を満たすことはないということであります。

 こうした要件と、先ほど申し上げました、他に適当な手段がない、あるいは必要最小限の実力行使にとどまるということ、こういった条件を満たすことが必要であると考えます。

本庄委員 なぜ私がここにこだわっているか。そもそも存立危機事態というものの定義が非常に曖昧だということです。

 その端的な事例を申し上げます。パネル四のホルムズ海峡の事例ですが、このホルムズ海峡での武力行使、機雷掃海がなぜ許容されているかというと、本来は他国領域では日本は武力行使をしないというのが憲法上の大原則で、その例外です。

 なぜその例外が認められるか。存立危機事態だからなんですが、武力攻撃を受けていないにもかかわらずこれが認められている理由は、深刻なエネルギー危機、あるいは国民生活への死活的な影響、石油が途絶するとそういうことになってしまって日本は大変なことになる、だから、日本自身は攻撃を受けていないんだけれども武力の行使ができる、こういう論理なんですよ。こういう論理なんですね。

 したがって、エネルギー危機や生活の死活的な影響ということをもって反撃能力を認められる、法理上は。こういう話になるんですが、総理、それでよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 存立危機事態については、先ほど申し上げたとおりであります。他国が武力攻撃を受けたといって自動的に存立危機事態に該当するというものではない。何よりも我が国の存立、あるいは国民の命等に明白な危険がある、こういった事態であるということが存立危機事態の要件となっています。こうした要件をしっかり確認するということで、なおかつ、他に手段がない、必要最小限、こういった要件も満たすということにおいて存立危機事態は発動することができると考えています。

本庄委員 総理、このペルシャ湾、中東での機雷掃海は、今総理がおっしゃった定義に該当すると政府は説明してきています。したがって、存立危機事態、そして、武力行使、機雷掃海ができる、こういう話ですね。そうですね。

 となると、ミサイルの反撃も、ここでは、こういう状況であればできますよ、こういうことになるわけですね。自動的かどうかはともかく、可能ではあるわけですね。

岸田内閣総理大臣 どのような事態が発生するか、要は、それに対して、他に適当な手段がない、必要最小限である、こういった条件も満たした上であるならば、論理上それはあり得るんだと思います。

本庄委員 これが満たしているというのが政府の見解です。したがって、今の総理の答弁を踏まえれば、こういう状況であってもミサイル攻撃が可能だ、こういうことになります。

 次、パネルの六に行きます。

 これは、安保法制の議論の際の当時の岸田外務大臣の答弁。日米同盟に基づく米軍の存在、活動は、我が国の平和と安定を維持する上で死活的に重要であり、米軍に対する武力攻撃は、新三原則、新三要件ですね、あるいは存立危機事態に該当する可能性が高い、こういう話なんですね。日米関係にひびが入る、傷がつく、だから存立危機事態だ、そう言っているのに等しいような御答弁だと私は理解をいたします。

 その事例として国会でも出てきたのが、日本上空を通過をしてグアムやハワイに飛んでいくミサイル、これを迎撃できるかどうか、これが議論されました。安倍総理は、できる、そうじゃないと日米大変なことになる、こういう答弁もありました。これはまだミサイルの迎撃なんですね。

 ただ、ミサイル反撃能力を有した段階になると、これは相手国の本土にまでその反撃が可能になるというのが今の政府の立場ですよね。相当に攻撃対象の範囲が広がってしまうというふうに私は思いますけれども、総理、御答弁をお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げたように、存立危機事態の要件、そしてさらに武力行使の三要件、これを全て満たす必要があります。

 範囲が広がるということでありますが、ミサイル攻撃以外の場面において、ほかに本当に対応する手段がないのか、こういった点を厳密に考えていくことは重要であると思います。決して無制限にその範囲が広がるものではないと認識をしています。

本庄委員 否定できないと思います。なぜなら、存立危機事態に該当すると言い続けてきた事例を私は紹介をし、そこで反撃能力も使えるんですねということを確認しているわけです。要は、要件は整っちゃっているわけですね。

 最後に、時間が来ました、今の議論を続けたいんですけれども、一点だけ。日米安保条約における事前協議制度。

 これも非常に重要な問題なんですね。残念ながら、今回の国家安全保障戦略の中では一言も言及をされておりません。しかしながら、在日米軍基地から米軍が戦闘行動に出るということは、その後の日本に対する報復行為なども考えれば、日本自身が武力行使をするのに等しいぐらいの重要、重大な判断、そして、国会や国民に対する説明が私は求められると思うんですね。

 ところが、この日米間で取り決めた条約と交換公文以外の明文化されたルールは何もないんですね。誰が決めるのか。総理は最終責任者となっていますが、決定者とはなっていません。閣議も、やるのかやらないかもはっきりしていないんですね。国家安全保障会議も開いたり開かなかったり、国会への説明もするのかしないのか、国会答弁を聞いていても両方おっしゃっているんですね。結局、何も決まっていないんじゃないでしょうか。

 私は、事前協議のルールについて、あるいは仕組みについて、国内そして日米間のきちっとした明文の規定を設けるべきだと思います。最後に、このことを御質問して、御答弁をお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 事前協議に関する事項は、これは行政府の専権に属するものであり、事前協議の諾否の決定、これは政府の責任において行われます。

 かかる前提の下、事前協議を受けた場合に、原則として閣議に諮って決定することとしておりますが、緊急閣議も招集し得ないような場合には、内閣総理大臣と外務大臣、防衛大臣といった限られた者の協議によって対応することも排除されないというのが従来からの政府の立場です。

 その上で、行政権を担う内閣の長である内閣総理大臣が事前協議の諾否を決定する最終責任者であるとの政府の考え方、これは従来から変わっておりません。

 また、事前協議の諾否の決定につき、事態によっては国家安全保障会議に諮ることもある、こうしたことについて国会で政府として答弁をさせていただいております。

本庄委員 今の御答弁を聞いただけでも、決まったものはなくて、そのときそのときに応じて対応する、そういう御答弁でした。少なくとも、政府の中の問題であっても、明文だけはきちっとしていただきたいと思います。

 終わります。

根本委員長 この際、逢坂誠二君から関連質疑の申出があります。泉君の持ち時間の範囲内でこれを許します。逢坂誠二君。

逢坂委員 逢坂誠二でございます。よろしくお願いします。

 総理、私は昔、三年間自衛隊の募集事務を担当していたことがありまして、募集事務所の皆さん、今は地本といいますけれども、一緒に学校に行ったり、職場に行ったりして、随分自衛隊員の募集をやりました。結構しんどいんですよね。

 それで、今回、防衛予算、今年の予算でいうと五・二兆、それが令和九年度には八・九兆に増えるということで、多くの人が、やはりこれで、予算が増える中で、人員の確保、大丈夫かというところは相当心配しているんですね。ただ、私は、やはり人員の確保はいろいろ大変だけれども、我々の立場としては、これは徴兵には明確に反対だというふうに考えております。

 先ほど総理からもそういう話があったかと思うんですけれども、徴兵に我々は明確に反対なんですが、総理、それでよろしいですね。

岸田内閣総理大臣 徴兵というようなことは全く考えておりません。

逢坂委員 それでは、その点、明確に確認をさせていただきましたし、我々の思いも伝えさせていただきました。

 そこで、総理、私は今、非常に心配していることがあるんです。それは、防衛のことも少子化のことも心配なんですが、この間の日本の国会、相当に異常な状況だと私は思っているんですよ。

 それは、公文書。不都合な公文書は捨てる、不都合な公文書は書き換える、不都合な公文書はあってもないと言い張る、国会でうその答弁を繰り返し言う、そして、さらにまた、統計についても、書き換えたんじゃないかというような疑惑もある。こんなことをやっていたら、総理、日本の民主主義は壊れますよ。これは、余りこのことは大っぴらに議論にならないんですけれども、個別の事案ではいっぱい議論になっていますけれども、これが今、日本の霞が関、国会に蔓延をしている。異常な事態だ。

 そこで、総理、岸田内閣においては、公文書の廃棄はしない、隠蔽はしない、書換えはしない、統計の書換えもしない、国会でうそはつかない、それでいいですね。

岸田内閣総理大臣 まず、結論から言うと、おっしゃるとおりだと思います。

 公文書管理、情報公開、これは国民の行政に対する信頼の根幹です。政府において、これまでルールに基づく公文書の公開等に取り組んではきましたが、様々な公文書をめぐる問題、これは指摘を受けて、公文書管理の適正化に向けて、ルールの明確化、チェック体制の整備など、更なる取組も実施をしてきました。これは引き続き、公文書の適正な管理を徹底していくとともに、取組を通じて情報公開の一層の充実を図り、行政の説明責任、これを果たすべく適切に対応してまいります。

逢坂委員 二〇〇七年だったと思いますが、当時の福田康夫総理から私に連絡があって、公文書管理法を作りたいんだ、逢坂さん、協力してくれないか、こういう連絡が来ました。なぜか福田当時の総理は、私が公文書管理に非常に関心を持っているということを知っていたようでありまして、それで、当時、上川陽子さんと私で、一緒に公文書管理法を何とかしようということで作業を始めました。今日ここにいる西村智奈美さんとか、枝野幸男さん、それから、もう参議院を引退されましたけれども松井孝治さんなんかも入って、公文書管理法を国会へ出そうということでやったんですね。最終的に成立したのは麻生内閣でしたけれども、成立をして、二〇一一年の四月、これが施行されました。

 だから、私自身は、公文書管理については相当並々ならぬ思いを持っています。アメリカの公文書館も行きました。フランスも行きました。ドイツも行きました。世界で一番古いポルトガルの公文書館も行きました。それから見ると、日本の公文書管理というのは、実は決して褒められたものじゃないんですよ。

 それで、総理も先ほど、公文書の改ざんしないし、廃棄はしないし、そういうことを言いましたけれども、その具体的な取組として、例えば森友の問題、加計学園の問題、桜を見る会の問題、毎月勤労統計の問題、これはずっと国会の中で疑惑、疑惑、疑惑でやっていて、いまだに公文書はちゃんと開示されていない、議事録も開示されていない。これら、一斉に岸田総理の下で開示してはいかがですか。どうですか、総理。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げましたが、公文書をめぐりましては、様々な事案において様々な指摘を受けて、ルールの明確化、チェック体制の整備、こういったことに取り組んできました。何よりも信頼のために、国民からの信頼のために重要だという観点からも、こうしたルールに基づいて適切に対応することが重要であると考えています。

逢坂委員 森友、加計、桜、これら開示するというふうには明言されませんでした。

 でも、総理、これはしっかり開示した方が総理の信頼は高まりますよ。内閣の支持率も上がりますよ。これは、もう今日はこの点、これ以上言いませんけれども、情報公開は、実は民主主義の力なんですよ。情報公開をしっかりすれば、実は公務員の皆さんもやる気が出るんです。なぜか日本の社会は、情報公開すれば困るとか、駄目だとか、そう思っている人が多いんですけれども、そうじゃないですよ。これは、情報公開、しっかりやるということを、総理、心がけていただきたいと思います。

 実は、我々、超党派の議員で、国会にも予算情報が余りにも少な過ぎる、だから国会の中に独立して予算の問題をきちんと議論できる、予算の情報をしっかり手にできる、そういう独立機関をつくろうというような議連もあるんですね。私もそのメンバーですし、松本総務大臣もそのメンバーですし、松本さん、議連の会合に来ていませんでしたか。まあ、いいでしょう。それから、古川さんがその事務局長なんですね。

 だから、民主主義、国会で議論する上では、先ほど泉代表からも話がありましたけれども、実は国会に今、何の情報も来ていないんですよ。だから、しっかりこれから情報を出すということを強くお願いをしたいと思います。

 そこでなんですが、岸田総理は、公文書の改ざんはしない、国会での答弁もきちんとすると言っているんですが、実は岸田内閣でもでたらめが行われているんです。安倍政権の残した負の遺産、これは非常に大きいと思います。

 まず、今日、原子力規制庁の次長ですか、来てもらっていますけれども、昨年の夏から原子力規制庁では、規制委員会でまだ正式に議論もしていないのに、エネルギー庁と原子力規制庁でこっそりと打合せをしていた、こういうことが昨年末明らかになりましたけれども、何の打合せをしていたんですか。

金子政府参考人 昨年夏の原子力規制庁と資源エネルギー庁とのやり取りについてですが、政府のGX実行会議が開催された翌日の七月二十八日に、資源エネルギー庁から私どもに連絡がありました。GX実行会議での総理の御指示を踏まえて、経済産業省として原子力発電所の運転期間の見直しについて検討を開始する旨が原子力規制庁に伝達されたことが発端でございます。

 経産省での運転期間の見直しの検討は、原子炉等規制法の高経年化した発電用原子炉の安全規制の規定に影響を与える可能性がありますので、私ども事務方としては、経産省での検討の方向性あるいはその進め方について情報伝達を受けて、原子力安全規制に関する準備を我々としてしておくことが必要と考えましたので、資源エネルギー庁から伝達される検討状況を聞きおく、あるいは、原子力規制委員会の所掌に関することを先方の作成の資料案から除いていただくといったようなやり取りをしておりました。

逢坂委員 総理、規制委員会で正式に議論する前に、実はもうエネ庁と規制庁がこういうやり取りをしているんですね。それで、今、規制に関する議論という言い方をしていましたけれども、どうも、聞いてみると、規制に関する議論ではなくて、法改正、その議論をしているようなんですね。

 総理、まずお伺いしますけれども、こうしたことを隠れてやる、これは適切なことですか。

岸田内閣総理大臣 原子力規制庁と資源エネルギー庁の面談について、関係行政機関が関係する政策について必要に応じて情報交換を行うこと、これは業務の一環として当然であると認識をしております。

 原子力規制制度の変更を伴う判断が必要な場合には、公開の原子力規制委員会の場での議論の上、決定されることとなるため、規制委員会の独立性に問題が生じるとは考えておりません。

逢坂委員 問題が生じることではない。総理、事前に隠れてやっていたのは適切だと思っているわけですか。とんでもない話ですね。

 実は、これには後日談というか、原子力規制委員会とエネ庁が陰でこそこそやっているということを把握していたNPOがありました。このNPOが十二月の一日、情報公開請求したんですね。そうしたところ、規制庁は何と言ったか。事前に検討した経緯が存在しない、そういうふうに電話連絡があって、情報公開請求を修正するように、こういう話がこのNPOにあったそうです。要するに、最初から隠すつもりでこういうことをやっているんですよ。これでも適切なんですか。

 先ほど私は言いましたよ。不都合な公文書を隠す、こんなことをやっちゃいかぬよということなんですけれども、こういうことをやっているんですよ。総理、いかがですか。それでも適切なんですか。

岸田内閣総理大臣 そういった事実を隠そうとしたという点については、私も今初めて聞きました。承知しておりません。

 ただ、先ほど申し上げたように、関係行政機関が関係する政策について必要に応じて情報交換を行う、これは業務の一環であり、この点については当然であるという認識を先ほど申し上げました。

逢坂委員 私は、関係行政機関が話をするということはあり得ると思います。ただ、透明性と独立性を確保するために必要なことがある。それは、公開の場でやること。仮に公開できないとするならば、きちんと記録を残しておくこと。誰が何を言ったか、どういうことを決めたか、いつ話をしたか。これは、記録が残っていないと、談合だと言われても仕方がないんですよ。

 そこで、規制庁にお伺いしますが、この事前の、私は談合だと思っているんですが、七回、規制庁ではこれをやったというふうに言っていますが、この記録、議事録、参加者、どんな話をしたか、残っていますか。

金子政府参考人 御指摘の七回の記録につきましては、その当時、まだ記録をつけるような運用をしてございませんでしたので、面談の記録等については、文書としては残ってございません。

 その後については、記録を作って、公開をさせていただいております。

逢坂委員 要するに、総理、最初から隠すつもりでやっているんですよ。記録も残していないんですよ。

 これは、通常の役所と役所のやり取りと違うんですよ。原子力を推進する側と原子力を規制する側、ここには明確な実は線引きがあって、特に規制する側、独立性強く、ほかの何にも影響されない、そういうことが十二年前の教訓だったんじゃないんですか、総理。

 そこで、情報公開請求、これを改めて行ったら、多分渋々でしょう、その打合せに使った資料が出てきましたよ。出てきたんです。これが、黒いんですよ。何を打合せしたか分からないんですよ。黒いんですよ。

 それで、しかも、一番大事なところを書かれていない。これは、法律の改正の相談をどうもしているようなんです。対外説明ぶり、対外説明ぶりというのは、国民の皆さんに説明するというところですよ。そこが真っ黒々なんですよ。

 これは総理、こんなことを許しておいていいんですか。規制と推進、もう手を組んでやっているんじゃないですか。いかがですか、総理。

岸田内閣総理大臣 そうは言われても、私自身、御指摘の点について承知をしておりませんので、どうだと言われても、その文書そのものもそうですし、そうした、情報を隠蔽しようとした動きがあったかどうかも含めて、承知をしておりません。よって、私自身、お答えする材料がありません。

逢坂委員 お答えする材料がないということであれば、どんなことが行われていたか、総理自身もしっかり、規制庁、エネ庁、両方から聞いて、事実を把握してくださいよ。私は、規制委員会の独立性はもう完全に崩壊した、そう認識せざるを得ないんですね。

 そこで、総理、お手元に資料をちょっとお配りしました。今の原子力規制庁の職員、これはどんな状況になっているかということなんですね。

 規制庁の職員、全部で千十八名おります。それで、各省からいろいろな方が来て規制庁を構成されているんですが、経済産業省から百五十七人来ています。各役所の中で一番多いんですね。原子力規制庁というのは環境庁の外局なんですけれども、環境省からは二十四名しか来ておりません。

 しかもこれが、管理職、ここになるとどうなるか。管理職、七十六人いるんですが、そのうちの三十三人、約五〇%近く、四〇%以上が、実は経済産業省からの職員なんですよ。しかも、今、原子力規制庁の長官、次長、技術のトップ、その次、その次、トップ五人が全員経済産業省の職員なんですよ。

 こんなことで、本当に規制がきちんとやれると思いますか。総理、いかがですか。

西村(明)国務大臣 今、経済産業省から非常に幹部職員を中心に多いという御指摘をいただきましたけれども、原子力の規制と利用、ここはしっかりと区分けをしなきゃいけない問題でございますので、いわゆる規制庁にはノーリターンルールというものがございます。そうしたものをしっかりと踏まえてやっておりますし、あわせて、先ほど、公開においてきちんとというお話がございましたけれども、今回、原子力規制庁がいわゆるノーリターンルールが適用されている行政機関と面談を行う際には議事概要を公開するなど、より透明性を高めるための取組、こういったものをしっかりと新たに決めたということも御理解いただきたいと思います。

逢坂委員 今までちゃんとやられていないんですよ。それから、ノーリターンルールというのは、規制庁にいて規制をやっていた人が原子力の推進部局に行ったら駄目だ、そういうルールなんですよ。今私が問題にしているのは、規制庁そのものが経済産業省の職員でもうほぼ占められている、幹部はほぼ経済産業省の職員だ、推進側の職員で占められている、これは問題なんじゃないですかという指摘なんですね。

 そこで、今回、規制委員会、原発の六十年を超えて使うということを了解をしました。委員の中には反対の人もいたようですが。

 規制庁の次長にお伺いするんですが、六十年を超える原発をどうやって検査するのかとか、どういう基準を、六十年を超える原発について規制基準を持つのか、それの議論はいつやるんですか。

金子政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力規制委員会の議論の中で、既に、基本的なラインは、これまで評価をしている高経年化の技術評価あるいはその劣化の評価というものが活用できるというような方針は決まっております。

 その一方で、更に細かな点について技術的な内容を決める必要がありますので、今日から公開の検討チームを開始をいたしまして、詳細については検討を開始したところでございます。

逢坂委員 総理、今日から詳細の検討を行うんですよ。実は、どういう規制基準にするか、どういう審査をするか、何にも議論していないんですよ。何にも議論しないけれども、運転の延長だけは決めたんですよ。これは、安全を最大限のことにするということを総理は言っていますけれども、規制の方をしっかりやらずに、利用する方だけ先に走らせているんですよ。

 次長、もう一点教えてください。五十年を超える原発の審査というのは、やったことはあるんでしょうか。

金子政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでに日本で稼働している原子炉については、五十年を超えているものはございませんので、五十年の時点の審査というのはまだやったことはございませんが、四十年時点の審査のときに、六十年までを見越して評価をしているという実績はございます。

逢坂委員 総理、実は、日本では五十年の原発の審査もやったことがないんですよ。だから、本当に審査できるかどうかという確からしさを確認しないで、今回、六十年以上使うということを決めているんですよ。これは、安全を考える上では順序が逆ではないかと思うんですね。

 それと、もう一つ、総理、分かっていただきたいんですけれども、原子炉というのはすごい鉄でできています、鋼鉄です。ところが、長い間使うと、中性子がどんどん当たって、原子炉がもろくなるんですね。原子炉を造ったときは、何か事故があったら水で冷やすしかないんですが、冷たい水、変な言い方ですが、零度の水、これを原子炉にかけても原子炉は割れることはありません。ところが、長い間原子炉を使っていくと、お湯、例えば五十度とか六十度とか、こういうお湯をかけても原子炉が割れる可能性があるんです。これを脆化という言い方をするんですが、原子炉は今こういう状況なんですね。

 だから、長い間長い間使えば使うほど脆化が進む。それを確認するために、原子炉の中に試験片というのを入れています。要するに、原子炉の構造と同じ鉄を入れて、実際に中性子を受けたその試験片を取り出して、引っ張ったり衝撃を与えたりして、脆化がどの程度進んでいるかということをやっているわけです。

 ところが、この試験片というのは数に限りがある。少ない原子炉で、私の知るところでは四個ぐらいしか入っていない。多い原子炉でも七個か八個ぐらいしか入っていないんですね。だから、運転期間を延長すれば延長するほど、原子炉の強さ、これを確認する試験片というのが足りなくなっちゃう。実際に試験できないということになるんですよ。

 そこで、規制庁、短めにお願いしますけれども、試験片が足りなくなったらどうするんですか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 監視試験片についての御質問だと思いますが、監視試験片については、加圧水型原子炉、PWRにおいては、高経年化評価に十分な試験片が設置されているものと認識しております。加えて、実際に原子炉容器が受ける照射量よりも多く照射を受ける位置に試験片を位置し、そこから得られたデータで中性子脆化について評価を行っておりますので、六十年目以上のデータでありましても、生データに基づき評価が可能であると考えています。

 また、BWR、沸騰水型原子炉については、PWRに比べて一桁以上低い中性子の照射量でありますので、高経年化の評価においては中性子照射脆化が特に問題になるとは考えておりません。

 いずれにいたしましても、PWR、BWR両方とも、事業者が行った評価がそのデータに基づいて基準を満たしているかどうか、判断をしていきたいと考えています。

逢坂委員 全くまともに答えないので、私、あの委員長と議論したくないんですよ。

 それはそうと、総理、実は試験片が足りなくなると、試験片を再生するんです。再生するというのは、小さくなった試験片に金属を継ぎ足して、もう一回中へ入れてやるんですね。これで何とかなるという考え方もあるんです。ところが、それだと、本当に最初から試験片が入っていたのと同じような影響があるかどうかというのは分からないという説もあるんです。これは分かれているんです、議論が。

 更にもう一つ。これは、実は、今回この法案を出すに当たって、パブリックコメントを政府はやっています。パブコメの中でも、私が疑問に思っているのとほぼ同じようなことを言っている人がいるんですね。試験片どうするんですかということをやっているんですが、そのときに、これはパブコメに対する政府の考え方の中にこういうのがあるんです。電力事業者から、試験片の再生が困難である場合もあるというコメントも電力事業者が言っているんですよ。だから、試験片を再生して何とかなるよという考え方もあるんですけれども、そもそも試験片を作れないと言っている電力事業者もいるんです。

 だから、総理、これは今原発の延長を決めるんじゃなくて、本当に安全に検査できるのか、検査の手法はどうなのか、そこをしっかり議論してから判断しても遅くないんじゃないですか。だから総理、これは規制委員会で反対の人が出るんですよ。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 安全の確認、これは大前提と申し上げてきておりますが、六十年目以降における技術評価については、これまで実施してきた高経年化規制の実績を土台として、今後実施される五十年の時点における評価の実績を含めた劣化評価に係る技術的な知見の蓄積を踏まえて、規制委員会に設置された検討チームにおいて、公開の場で丁寧に議論が進められるものと承知をしています。

 この運転期間延長につきまして、実際に安全が問われる場面までに、こうした取組によって、丁寧な公開の議論の場で、この技術評価についても検討チームにおいて判断が下されるものであると考えております。

逢坂委員 総理、実際に安全性が判断を下されるまでにというような話をされましたけれども、今、原発を慌てて六十年以上使うと決める必要はないんですよ。なぜか。

 今、国内で再稼働を目指している原発の中で最も古いのは、総理、何年だと思いますか。これは関西電力高浜の一号機、四十八年ですよ。六十年を迎えるまでにまだ十二年もあるんですよ。十二年、議論を十分にできるんですよ。まあ、十二年は大げさかもしれない、八年でも十年でもいいでしょう。規制基準を決めて、どうやったら審査ができるんだ、それを決めてから、大丈夫だというんだったら、ああ、そうか、法改正して延長しようじゃないかと。何も今焦って決める必要はないんですよ、まだ十年以上も時間はあるんですから。

 だから、今回の法案、閣議決定を遅らせた方が、安全に最大限配慮をした、なるほどな、岸田さんはやっぱり安全を考えているよ、そういうことになるんじゃないですか。閣議決定、遅らせた方がいいんじゃないですか、やめた方がいいんじゃないですか、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 現行の原発の運転期間については、平成二十四年当時の国会審議において、安全性に関する科学的、そして技術的見地や政策上の判断を含め、幅広い観点から原子炉等規制法に盛り込まれたものであると承知をしております。

 そして、その後、令和二年七月に、規制委員会は、原子力発電所の運転期間は利用政策上の判断であるという見解を示しています。

 そして、そうした判断、この経緯を踏まえて今回判断を行うわけでありますが、いずれにせよ、安全最優先、これは大前提であり、変わりがないということを申し上げています。安全基準をしっかりと用意する、当然でありますが、その一方で、その運行、運転期間等について、政府として、あらゆるエネルギー源の確保という観点からどのように考えるのか、将来の方向性を示しながら、並行して安全についても確認をしていく、こうした姿勢は重要であると思います。

 一つ一つという考え方はあるかと思いますが、原子力の運行そして安全、さらにはバックエンドを始めとする様々な課題、これらについて是非並行して議論を進め、結果として安全性の確保に努める、こういった姿勢が重要であると認識をしております。

逢坂委員 規制基準の内容、審査のやり方、それが明確に決まるまで閣議決定すべきではない、そのことを申し上げて、終わりたいと思います。

 松本大臣、ごめんなさい。

根本委員長 これにて泉君、吉田君、源馬君、本庄君、逢坂君の質疑は終了いたしました。

 次に、遠藤敬君。

遠藤(敬)委員 日本維新の会の遠藤敬でございます。

 総理、副鼻腔炎の手術を終えられましたけれども、花粉症はないんですね。ちょっとお聞きしましたけれども。僕も副鼻腔炎なんですけれども、花粉症と副鼻腔炎で、もうたまりません。かなり国民の生産力といいますか、僕も、ふだんからぼうっとしていますけれども、花粉症になって余計ぼうっとしているんですよね。これはやはり花粉症対策というのもかなり重要ではないかなというふうに、昨日、今日、きついですね、もうこれぐらい、花粉症に悩まされるのは毎年懲り懲りだな、花粉がなくなったらいいなというぐらい花粉症に悩んでいる方も多いのではないかと思っております。

 先ほど逢坂筆頭からもございましたけれども、私からは逆張りで、物価高とエネルギーについて少しばかり御所見をお伺いしたいと思いますが、今、国民がエネルギー高、物価高に対してどのように感じておられるか、総理の率直な今の感想で結構ですので、少し御所見をお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 エネルギー高あるいは物価高について、国民の皆さんがどのように感じているかということですが、私も、そういった国民の皆さんの声を直接聞かせていただこうということで、都内の商店街を視察したり、あるいは、経済的な困難を抱える家庭のお子さんの支援者の方々、こういった方々と車座対話を行うなど、具体的に直接いろいろな意見を聞いておりました。

 これは、国民の皆さんにとって大きな不安を感じる課題であるということを強く感じています。暮らしや、あるいは事業にも大きな影響を与えるものであるという認識を強く持っており、今後とも、物価の動向を見ながら、政府として適切な対応を考え続けていかなければならない課題であると認識をいたします。

遠藤(敬)委員 実際に、地元を歩いていますと、特に、機械を使っている、動力を使っている企業さん、お話をお伺いしますと、一千万円だった電気代が二千万円になったと。一方で、賃上げの議論もありますけれども、賃上げはしたいけれども、そういう状況じゃないんだ、自分たちの給料から、それを従業員の皆さんにお渡ししている、これが現実なんだということで、世の中の風潮とは真逆な方向に行っているということも、実際、中小零細企業の経営者の皆さんからお聞きもしております。

 そこで、電気代やガソリン代を補助し、価格を下げることは、短期的には国民生活を下支えする観点から意義は大きいと考えておりますが、他方で、国債を発行しながら価格補填をするのであれば、結局は補助した分だけ将来の国民負担になってしまう。将来の国民負担を少しでも減らすためには、安定的な安価なエネルギー供給を実現することが重要である。

 このような観点から、安全性を確保しながら、原発を積極的に利用していく必要がある。これは、安全性、先ほど逢坂委員からもありましたけれども、当然ですけれども、この状況をいかに前に進めていくかということは、先ほどの議論に重なりますけれども、改めて確認をしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 国民生活あるいは産業の基盤となるエネルギーを将来にわたって安定的に供給できる体制を構築するべく、太陽光、風力、地熱などの再エネを始め、原子力を含め、あらゆる選択肢を確保しておけるよう努力していく必要があると認識をしております。

 このため、先日閣議決定した、GX実現に向けた基本方針において、原子力について、安全性の確保を大前提に、既存の原発の再稼働や運転期間の延長、廃止決定した炉の次世代革新炉への建て替え、最終処分を含めたバックエンドに政府を挙げて全力で取り組む、こうしたことを盛り込みました。

 こうした原子力発電所の活用の取組等を通じて火力発電所の燃料費が抑えられれば、電力料金の抑制にも寄与するものであると承知をしております。

遠藤(敬)委員 まさにそうなんですけれども、ここからは我々の、議員の身分の話でもありますけれども、町を歩いていますと、電気代の請求書を見てびっくりしたというのがほぼ国民の声ではないかなと思うんですね。それで、あなた方は何をしているんですかというのが、また声も大きいんです。

 ですので、総理も御指示なさったとおっしゃっておりますし、自民党さんからも、自分たちの身分、できるだけ行財政改革、国会改革を進めていこうというお話も理解しております。これは、党派を超えてその議論はありますけれども。

 私ども、身を切る改革、痩せ我慢をしておりますけれども、ざっと、十年弱で一千九百万円弱の寄附をしております。ざっとですけれども。それはあなた方の勝手じゃないかという話ですけれども、でも、実際にそういう声はあるんです。ですので、僕からは、身を切る改革どころか、今、十増十減の議論も終わりましたから、大幅な定数削減、あんたら、それだけ議員要るのという声が多いんですね。

 これは、総理、答えられないと思うんですけれども、答えられないことを承知で申し上げておりますが、定数削減の議論というのは、協議会も立ち上がりました、各党協議会。しかし、この議論というのは、本当に、これからの少子化、人口減少に伴って、人口のバランスもありますけれども、きちっとやっていくべきだと思うんですね。

 ですので、身を切る改革も、国会改革も行財政改革も一緒になってやることによって国民の理解も得られるのではないかなと痛感しております。是非そこはよろしくお願い申し上げたいと思います。

 続いてですけれども、学術会議について質問したいと思います。

 政府は、透明化、ガバナンス機能の抜本強化を図る方向性で検討しており、今国会に関連法の改正案を提出する方針と聞いております。

 これに対して学術会議側は、独立性に照らして疑義があり、学術会議の存在意義の根幹に関わるとして再考を求めているとお聞きしております。学術会議の独立性を保障されることを大前提であるが、国民の税金で運営されている以上、時代に合った新たな学問分野からも参画を得て、透明性の高い活動を進めていただくことが国民に対する責任であるというのも当然であると思っておりますが、総理の今の認識、まだ閣議決定もされておらないと思いますが、私どもはあらゆる民間活力を見出しながら分野を広げていくということが大事だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 日本学術会議は、国費で賄われる国の機関として独立して職務を行うことから、国民から理解され信頼される存在であり続けるために、透明性の高い活動や運営が必要であると認識をしています。

 学術会議においても、科学的助言機能の強化、会員選考における透明性の向上、対話機能の強化を始め、改革の必要性や方向性は共有されているものと認識しており、学術会議ともしっかり意思疎通を図りながら、引き続き議論を続けていきたいと考えています。

後藤国務大臣 今遠藤委員から御指摘がありましたように、グローバル社会が直面している地球規模の課題や、新興技術と社会との関係に関する課題など、政策立案に科学的知見を取り入れていく必要が非常に高まっていると思います。

 一方で、今総理からも御説明させていただいているところですが、諸外国のアカデミーが民間の団体として独立して運営されているのとは異なりまして、日本の学術会議は主要先進国では唯一国費で賄われる国の機関として独立して職務を行っております。このため、学術会議が国民から理解され信頼される存在であり続けるためには、活動や運営の透明化、ガバナンス機能の強化を図っていく必要があるというふうに考えています。

 その点につきましては、学術会議におきましても、令和三年四月の「より良い役割発揮に向けて」に基づいて、同様の改革の必要性や方向性を示しているところでございます。

 その上で、設置形態については、諸外国と同じように民間の法人として独立して活動するべきではないのかという意見もある中で、政府としては、学術会議の意見も踏まえ、国の機関のまま存置した上で学術会議に必要な改革を進めていただくこととしているわけでございます。

 会員、連携会員の選考についても、これまでのコオプテーション方式を前提にプロセスの透明化を図るための見直しでありまして、学術会議の独立性に変更を加える考えでは全くございません。活動の透明化にとどまらず、活動を担う会員、連携会員の選考も透明なプロセスで行われることが、国民の理解と信頼という観点から、学術会議にとっても重要なことだと考えております。

 いずれにしても、政府としては、日本学術会議法改正案の検討を行っているところでございますが、学術会議に対し、今後とも一層丁寧に御説明を申し上げ、十分に御意見を聞きながら検討を進めてまいりたいと考えております。

遠藤(敬)委員 学術会議は主要先進国の中で唯一の国の機関ということで承知をしております。活動や運営も透明性が担保できるように、最低限の、必要だと思いますので、政府においては十分な改革を進めていただきたいと思います。

 余り時間がないんですけれども、しばらく、うちの同僚の了解を得て御質問をさせていただきたいと思います。

 円安をピンチにということで、海外進出している企業にとって事業環境を見直す契機となる、チャンスではないかということなんですけれども、国内への回帰、投資の積極的な呼び込み、また、電通の依存が明らかになりましたけれども、国内企業の市場の参入促進ですね。総理、競争力を高めること、その環境整備に力を入れることが大事じゃないかということが、一部に偏っているということなんですけれども、それを幅広に企業を育成する、そういう努力がなくてはこういう現状は変わらないのではないか。まず企業から今呼び込んでいく。

 我々地域でも繊維業界が海外に進出しましたけれども、賃金が日本は安いわけですから、是非、いかに規制とかそういうもので、戻ってこようと思う、そういう改革が必要ではないかという意味で質問させていただいております。いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の円安も含めて、国内外の経済社会環境の変化を成長のチャンスとしていくため、今こそ官民挙げて積極果敢な投資を行っていくときであると考えます。

 このために、まずは、昨年成立した補正予算で措置した七兆円規模の国内投資支援策を呼び水として、大胆な民間の設備投資を促していきます。

 昨年十二月には、経済界を代表する方々にお集まりをいただき、国内投資の拡大につなげるという決意を表明いただきましたが、来年の経済見通しでは過去最高水準の年間百兆円規模の設備投資が見込まれる、こうした考え方も示されました。

 こうした投資支援のみならず、規制見直しを含めた事業環境整備も重要です。これまで、産業競争力強化法における新事業特例制度等を通じ、例えば電動キックボードのシェアリングビジネスなど、新分野でのビジネス展開を後押ししてきました。

 今後も、規制改革を含め、あらゆる措置を通じ、我が国企業の投資の予見可能性の向上や投資環境の充実、新規参入の活性化、こうしたものを図りながら、日本の競争力を高めていくべく努力をしてまいります。

遠藤(敬)委員 要は、総理、企業が、日本に戻りたいな、日本でもう一回商売しようかという気持ちになれるかどうかということなので、是非そういうアピールを、日本でやった方が得なんだと、これは損得ですから、商売ですから、そういうところを特に際立たせていただきたいなと思っております。

 小倉大臣、時間がなかったんですけれども、一問だけ、せっかく座っていただいているから聞きますけれども、子供政策。

 異次元の子供政策、少子化ということで、僕は安倍政権のときに安倍総理にも質問をしましたけれども、このままでは少子化に歯止めがかからない。いろいろなことをやってきましたけれども、今の子供政策というか少子化対策、どこが異次元なのかよく分かりませんが、異次元の少子化対策は、僕が思うには、子供が生まれたら成人するまで国が必ず面倒を見るんだというぐらいしないと異次元にはならないと思うんです。V字回復しないと思うんですね。

 ですから、小倉大臣もいろいろと御苦労されていると思いますけれども、ばんそうこうを貼っているような張りぼてでは少子化対策は僕は無理だと思っています。是非そこのところを、政府の認識と、小倉大臣個人の考え方でもいいですけれども、せっかく座っていただいているので、最後に答えてください。

小倉国務大臣 発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 遠藤委員御指摘のとおり、社会経済情勢は大きく変化をしております。それに伴って、必要な子供、子育て政策の内容も変化していると感じております。

 総理とともに私自身、いろいろなところに足を運んでおりまして、例えば、日本一幸福な子育て県を掲げる福井県ですとか、少子化対策の奇跡の町として注目を集める奈義町を訪問いたしました。

 また、私自身、大阪府の箕面市と門真市を訪問させていただきまして、子供に関するデータ連携や、地域住民のネットワークを活用して貧困世帯に、より支援を必要としている子供や家庭を早期に発見をし、プッシュ型の支援につなげる取組について、これは新しい取組でありますが、意見交換を行いました。

 そうした中で幾つか気づきがありまして、個人が多様な人生設計の中で、委員からも話がありました、どんな人生を選択したとしても希望をかなえることができるよう、支援メニューを複数準備し、かつ柔軟に運用すること、また、地域全体で子育てを応援していこうという社会的意識の定着を図ること、施策の充実だけではなくて意識改革を両輪として進めることが大変重要であると考えております。

 三月末が目途でございますので、しっかり、委員御指摘のとおり、ライフステージに合わせた総合的な子供、子育て政策として充実する内容を具体化していくべく、しっかり力を尽くしてまいりたいというふうに思っております。

遠藤(敬)委員 小倉大臣、終わりますけれども、要は、いろいろなことをやってもなかなか難しいんですよ、この時代がですね。V字回復するのは非常に難しいと思うけれども、僕は、増税してもやるんだという決意があるということなんですけれども、それをするためには、我々の身分、我々はこれだけ身を切ってやるので、それは国の宝として子供を育てようじゃないか、その覚悟を見せるためには、国会改革や我々の身分の改革、そういうことを進めていくことによって国民に理解が深まるのではないかな。

 小倉大臣に頑張れと言っているわけじゃないですよ、これは国民全体でやらないといけないけれども、政治に対する理解が深まらないとできない、そんな思いで今日お話をさせていただきました。

 ありがとうございました。

根本委員長 この際、小野泰輔君から関連質疑の申出があります。遠藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。小野泰輔君。

小野委員 日本維新の会の小野泰輔でございます。よろしくお願いいたします。

 遠藤先輩からめちゃくちゃ時間を取られてしまいましたが、花粉症の話をしなきゃよかったんじゃないかというふうに思いましたが、その分はちゃんと仲間で穴埋めしなければいけません。遠藤先輩の時間の使い方よりも効率的にやっていきたいというふうに思っています。

 まず、先ほどから質問がございました電力の料金の高騰対策ですね。これは、我が遠藤先輩よりも、午前中の公明党の赤羽委員の方が物すごい気合の入った御質問をされていたというふうに思いますが、国民の皆さん、本当に今お困りだと思います。そういう中で、政府の方でも努力をして、電力高騰の対策を既に実施しているということで、二月からその効果が表れているということです。

 パネルを御覧いただきたいんですけれども、この二月から下がってきます。これは東京電力の場合ですけれども、ほかの電力会社でも、時期の違いはありますが、同じようなことが起こります。これから、例えば四月あるいは六月に電力料金の値上げというものを電力会社はそろって大体打ち出しております。このことによって、今グラフでお示しをしていますとおり、これから上がっちゃうんですね。これは四月までの、統一地方選の選挙対策だというふうなことをおっしゃる方もいらっしゃいますが、私はそんなことは思いません。

 ただ、やはり電力の料金が上がるということが何となく見えていて、それに対する安心できるような対策というのを政府として打っていただくことは非常に大事だというふうに思うんですけれども、そこで、この四月あるいは六月以降の対応とか、あるいは今政府の方で、これは九月までで激変緩和措置は終わりますが、その先のことについてどういうふうにお考えかということを西村大臣にお伺いしたいと思います。

 また、この対策の在り方として、我々は、電力料金の高騰だけではなくて、その中で、電力のカーボンニュートラルに結びつくような、節電の努力を促すような支援策にすべきだと。例えばドイツの場合だと、使用した電力の八割部分について補助を入れるというようなことになっているんですが、今回の政府の対策だと、電気料金、高く上がっているので、もちろんそこで節電をしようということはあるかもしれませんが。

 ただ、私たちは、立憲民主党さんとも今、毎週のように勉強会をしています。政府のこの救済策の在り方について、もっともっといいやり方があるんじゃないかということも今国会でお示しをしたいと思っていますが、そういった工夫についても考えていないのかということをお伺いしたいと思います。

西村(康)国務大臣 お答えします。

 まず、規制料金の値上げ認可の申請が各社から出ておりますけれども、出ていないところもありますが、現在、電力・ガス取引監視等委員会で審査が行われるところでありまして、どの程度の値上げ幅になるのか、これは燃料の調達価格の見通しとか経営の効率化とか、厳正に審査をしていきたいと思っておりますけれども、その上で、今回の激変緩和策は、今申し上げたとおり、値上げ申請をやるところ、やらないところはある中で、できるだけ迅速に行う、そしてまた公平に行うという観点から、平均的な負担増が春以降二割程度と見込まれることを踏まえて、その水準と同等の水準を全国一律でこの一月使用分から負担軽減することにしたところであります。

 同時に、御指摘のように、長い目で見て、やはりエネルギー価格の高騰とかエネルギー危機に強い体質にしていかなければなりませんので、省エネ対策で、三年間で五千億円、中小企業の皆さんにも二十億円の補助までするということで、この機会に省エネ型の機器に替えていく。あるいは、家庭も高効率な給湯器に替える、あるいは断熱材、断熱窓、こういったことをやっていくことで、これも二千八百億円の予算で各家庭への支援を考えておりますので、できる限りこの高騰の影響を受けない構造に変えていくことと併せて支援を行っております。

 ちなみに、ドイツのお話がありましたけれども、御指摘のように、八〇%まで、五十六円キロワットアワーという水準でブレーキをかけるということでありますが、実は、日本は、キロワットアワー当たり七円の値引きを一律にこの一月使用分から行っておりますので、各家庭の電気代は、キロワットアワー当たり三十五円程度から二十八円程度まで下がりますので、ドイツの半分だということも是非御理解いただければと思います。

 その上で、まずは、この値引き分、一月からの分をしっかりと需要家に届けることができるよう、予算執行を確実に行っていきたいと思いますし、その上で、今後の経済状況とか、また燃料の価格動向も見ながら、関係省庁とも連携しながら、これは臨機応変に、更にやるべきことがあるのかどうかを含めてしっかりと考えていきたいというふうに思います。

    〔委員長退席、中山委員長代理着席〕

小野委員 いろいろ御答弁いただきましたが、とにかく国民の皆さんが不安に思わないようなことをどんどん先出しして、例えば、選挙の直前に打ち出すとか、別にそれでもいいんですけれども、ただ、やはり先が見えるということは、国民生活、特に中小企業の皆さんにとっては大事だというふうに思いますので、それはしっかりとやっていただきたいというふうに思います。

 ただ、そうやって、電気料金の対策を補助金で打ち出すと。しかし、午前中の赤羽委員の質問でもありました、大変な気迫で怒っていらっしゃいましたが、私も同じ思いです。その電気料金を引き下げるのに補助金を入れる。どこに入れるのかといえば、今、不祥事続きの電力会社に入れるということになります。

 パネルをお示ししますけれども、大手電力会社、カルテルの疑いもあるということでございますし、そして、私はこの二番目がやはり一番許せないと思うんですね。ライバル会社の顧客情報をのぞき見して、新電力が契約を変えようというふうに努力していたものについて、その情報を全部だだ漏れさせて、そして、それを見てもう一回顧客を奪い返しに行ったというような、これは資本主義国家なんだろうか、日本はと。こんなことをやはり許していてはいけない。自由競争というものがちゃんと担保されるような世の中にしていかないと、我々の経済というのは、本当に、努力して頑張ろうという人たちを駄目にしてしまうということですので、この二番。

 それから、三番は、経産省の再エネの、これは便宜上ということもあったのかもしれませんが、ただ、だからといって法令違反をしていいわけではありません。

 こういった問題がありますが、この二と三番について、大手電力会社、何社が一体こういったことをやっていたのかということを、大臣、お答えください。

西村(康)国務大臣 まさに御指摘のような事案、これは電気事業の中立性、信頼性に疑念を抱かせるものでありまして、極めて遺憾というふうに考えております。

 そして、御質問の件ですけれども、一般送配電事業者が保有する顧客情報を不適切に閲覧していたとされる大手電力会社は、電力・ガス取引監視等委員会による調査などから、現時点で、関西電力、東北電力、九州電力、四国電力、中部電力ミライズ、中国電力及び沖縄電力の七社であったと報告を受けております。

 それから、再エネ業務管理システム不正閲覧につきましては、全ての一般送配電事業者が再エネ業務管理システムのアカウントを自社グループの小売部門に提供していたとの報告を受けているところであります。

小野委員 ほとんど全てということで、これは確信犯的なんじゃないかというふうに思います。この点については、経産省が、業界とのつき合いもあるとかということもあるかもしれません、そして、電気事業を推進する側でもあると思いますが、やはり電取が本気になってやらないと消費者の信頼回復というのはなされないというふうに思いますので、ここは全国民が注視している、そういう中で、電力料金の引上げというのも言うがままにやっていいのかということも、これは是非、西村大臣、厳しく見ていただきたいというふうに思います。

 そういう中で、電力市場改革というのは、やはり、これはまさに今議論しなければいけないんじゃないかと思っています。

 今どういう状況かといいますと、法的分離ということで、会社自体がこれは別々に一応なっているというふうにはなっていますけれども、ただ、これだけではやはり足りません。

 皆さんも電力会社の決算書を見ていただければ分かりますが、あの決算書の書き方だと、全然会社が分かれていないだろうというような書き方にもなっているわけなんですね。ですから、やはりここはもっともっと徹底をして、今回のようなことがあったわけですから、所有権分離というところまで踏み込んでこれは議論をすべき、そして検討もすべきだというふうに思いますが、この点、経産大臣にお伺いしたいと思います。

 そして、時間がないので引き続きしたいと思いますけれども、総理には、電力会社のそういった経営改革に加えて、罰則の強化、例えば、今回の顧客情報閲覧なんというのは僅か三百万円ぐらいの罰金でしかないということでもありますし、また、公取委や電取の権限強化、体制強化というところもやはりすべきであるというふうに思いますが、この点、総理のお考えをお伺いしたいと思います。

    〔中山委員長代理退席、委員長着席〕

西村(康)国務大臣 まさに、電気事業の中立性、信頼性に疑念を抱かせる、こうした事案でありますので、極めて遺憾ということで厳正に対応したいというふうに考えております。

 そうした中で、今回の事案が判明した全ての事業者に対して、その経緯や目的、原因の究明に加えて、再発防止策の報告を求めているところであります。

 また、今月十日に全ての一般送配電事業者に対して、事業の中立性、信頼性を確保するために、ログの定期的な解析等の法令等遵守のための取組に加えて、それを確実に行うための組織体制や仕組みの整備をするように緊急指示を行ったところであります。

 加えて、再エネ特措法の認定事業者の情報閲覧事案につきましては、二月六日に情報漏えいのおそれが判明した時点で、再エネ特措法上、再エネの買取り義務を行っている一般送配電事業者に付与しております全てのアカウントの利用を停止をいたしました。再エネ特措法では、一般送配電事業者に対して、法律上、情報の目的外利用を禁止しておりますけれども、今般の事案を踏まえ、経産省としても、システム上の改善を早急に行っていきたいと考えております。

 いずれにしましても、今後、各事業者からの報告を精査をし、そして一般送配電事業者の情報管理の在り方、それから経産省が保有しております再エネ業務管理システムの運用の在り方についても十分に検証して、再発防止策、これを真剣に考え、徹底をしていきたいというふうに考えております。

岸田内閣総理大臣 まず、相次ぐ電気事業者による不祥事の発覚については、電気の公正な取引を害するものであり、これは極めて遺憾であります。

 今、経産大臣からも話がありましたが、経済産業省、公正取引委員会等において事実関係の厳正な調査が行われていると認識をしておりますが、今後、それぞれの事案の詳細について事実関係の確認、検証、さらには対応、これを十分行った上で、電力市場の監視機能強化について何をするべきなのか、こうした観点から、政府としてもやるべき取組を進めていきたいと考えております。

小野委員 総理からも御答弁いただきましたけれども、やはりこれは今のままだと駄目だと思うんですよね。やはり、エネルギーをちゃんと責任を持って国民に信頼できる形で届けるための仕組みづくり、これはもう検討ということではなしに、やらなきゃいけないというふうに思います。

 ですから、これは立憲民主党さんとのエネルギーの高騰対策の勉強会でも出ている話なんですけれども、やはり、先ほど西村大臣が、これから、今起こっていることについて分析してとかいろいろおっしゃいましたが、そういうことを済んでいないうちに電力料金を上げるんですかというようなことは、これは国民の皆さんは本当に厳しい目を持っておられるというふうに思います。そのことを是非政府としても心して当たっていただきたい。電力会社がきついから、それはきついのは分かります、原価が上がっているのは当然ですが、ただ、やはり、自分たちがうみを出し切るということを総理が確信を持って確認するまでは、それはイエスとは言えないというようなことを、是非これを心がけていただきたいというふうに思うんですね。よろしくお願いします。

 大分時間がなくなってきました。

 次に、原発政策についてお伺いをしたいというふうに思います。

 六年前に、私ども日本維新の会は、原発を再稼働する際に、やはり国の責任をしっかり明確にしなければ無責任だろうということで法案を出しておりますが、ただ、ウクライナ危機とか様々なエネルギー事情の変化によって、やはり我々の政策もブラッシュアップしなければいけないであろうということで、今国会、またそれをリバイスして提出をする予定にしております。

 そういう中で、原発の運転を政府が責任持って進めるための法案、これはまだ我々も党の中で全部オーソライズはできておりませんが、ポイントだけお示しをしたいと思います。特に下の二つですね。

 これは、当初から、東日本大震災以降ずっと我が党が言ってきたことでございますけれども、原子力損害賠償。これは確かに電力会社の責任は重いんですが、ただ、やはり国策民営でやってきたというような原子力政策でもありますので、ここは賠償の確実性ということも担保するために、電力会社の有限責任化、そして国が責任を持ってやるんだということをやはり訴えるべきだというふうに思っています。

 そして、一番何より大事なのが、最終処分施設、これを確実に造ることです。この手続というものが、今、文献調査というのもやっておりますけれども、これがその後の調査に進んでいくというようなプロセスがちゃんと見えない限りは、新しい新規制基準での認可とか、あるいは、はたまた、我々もここはまだ党内の議論が済んでおりませんが、もし新増設なんということを政府が進めるにしても、それは一歩たりとも先に進ませてはいけない。やはり我々は、将来に対する責任から、核のごみ問題は、これは原発を進める立場であれ、やめる立場であれ、はっきりさせなければいけないというふうに思っております。

 そこで、総理にお伺いしたいんですが、私たち、原発を責任持って運転するのであれば、やはり国の責任を明確化すべきだという法案をこれからお示しします。そして、概要は今お話ししたとおりなんですが、これに関してのお考え、御感想があればお願いをしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 原発の活用に当たって、様々な課題に国が責任を持って取り組むという考え方、この点については御党と考え方は共有させていただいていると考えています。

 原子力に対する国民の皆様の懸念の一つが、使用済燃料の行き先が決まっていないことであるということを認識しております。原子力を進める上での重要な課題として、将来世代に先送りしないよう、我々の世代で解決に向けた対策を確実に進めることが必要です。

 二月十日には、最終処分関係閣僚会議を開催し、特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針の改定案をお示ししたところであり、政府一丸となって、かつ、政府の責任において最終処分に向けて取り組んでまいります。

 そして、原子力損害賠償制度については、平成三十年の原子力損害賠償法の改正に際し、御指摘の事業者と国の責任の在り方についても検討し、有限責任とすることには様々な課題があることから、事業者の無限責任を維持することが妥当とされたところです。政府としては、同法を中心とした枠組みに基づき、被害者に対する賠償が迅速かつ適切になされるよう、責任を持って対応してまいります。

 引き続き、エネルギー安定供給と地球温暖化対策を両立すべく、GX実現に向けた基本方針に基づき、再稼働や運転期限の延長、次世代革新炉への建て替えなどに国を挙げて全力で取り組んでまいりたいと考えます。

小野委員 賠償の方は我々ももっともっと議論していきたいと思いますが、核のごみの最終処分場の話は、総理、是非、岸田総理の時代にちゃんと進んでいるんだというような実績を出していただきたいと思います。これはやはり無責任であってはいけないというふうに思うんですね。

 これからもう一つ西村大臣にちょっとお伺いしようと思いましたが、GXの方を今回は絶対質問したいので、ちょっとコメントだけにさせていただきます。お許しください。

 原発を運用する、あるいは新増設までいくのかどうか、まだ分かりませんが、それと違って、やめる立場でも同じだと思います。電力会社の原発を扱う体力というものがやはり非常に危ないということを私はすごく感じておりまして、特に燃油高騰がそうですし、それが追い打ちをかけていますし、そもそも、長年原発が稼働しなかったことによって、財務状況が非常に悪化しているというようなこともあります。中国電力のバランスシートなんかを見ると、もう本当に目も当てられないというようなことになっているんです。

 やはり私は、これから安定した電力をしっかり国が責任を持って保証するためには、電力会社の経営改善、そして再建、あるいはてこ入れ、業界再編、そういったことも含めてやるべきだろうというふうに思っていますので。これはなかなか、原発を続けるべきだとか、それからやめるべきだという話ばかりやっているんですが、ただ、私はやはりそうではなくて、しっかり安定した経営が、企業もそうですし、国もそれを目配りをしながらやれることが必要だと思っていますので、是非これは今後とも議論していきたいというふうに思います。

 最後に、もう時間がないので、残りはGXの推進法案についてお伺いをしたいと思います。

 GXを進めるためということで、カーボンニュートラルと同時に経済成長を目指すという、その目的は私も正しいと思っていますが、政府がやろうとしていることが余りにも遅くて不十分だというふうに思っています。

 これは、これから法案が具体的に出てきてからどんどん議論させていただきたいというふうに思いますけれども、例えば、排出権取引にしても、任意の参加というのがずっと長く続いていて、三三年にようやく本格開始ということになっていますし、また賦課金に関しても、これは石炭それから石油など化石燃料を輸入する事業者にしかかからないということで、これは国際的に見ても非常に不十分で、こんなことで効果が出るんだろうかというようなものになっているんじゃないかというふうに思いますが、西村大臣、どうお感じでしょうか。

西村(康)国務大臣 お答えします。

 カーボンプライシングの在り方については、私どももさんざん議論をしまして、経済への影響とか国外への生産移転とか、いわゆるカーボンリーケージが生じるおそれがあるということで、全体の負担は、FITで負担していただいている賦課金プラス石油石炭税でかかっている負担の合計を上回らないという、その範囲で負担をしていただきながら、かつ、早く取り組んでもらえれば負担が低く済むという、そうした期間も置く形で導入することといたしております。

 具体的には、おっしゃったように、化石燃料賦課金は二八年度、それから、発電事業者に対する有償オークションは二〇三三年度から導入をするということであります。

 その排出量取引でありますけれども、まずは、昨年九月からカーボンクレジット市場の実証を実施しておりまして、これを踏まえて四月から、これはEUと同等の水準である国内排出量の四割以上をカバーする、その六百社以上の企業が参加するということで、EUと同等の水準、EUがやっているのとですね、その水準の企業が参加をするGXリーグで排出量取引制度を試行的に開始をいたします。そして、制度の公平性、実効性を更に高めて、二〇二六年度から本格稼働するということであります。

 こうしたスケジュールをあらかじめ示すことで、早期にGXに取り組むほど将来のカーボンプライシングのコストが低くなるという仕組みをしつつ、さらに、足下からGX経済移行債を活用した二十兆円規模の大胆な投資を、先行投資、支援を行うことで、GX投資を前倒しして行うという、促していく制度としております。

 いずれにしましても、こうした仕組みの中で、我が国の強みを持つ技術で国際公約をしっかり果たしながら世界をリードしていきたいというふうに考えております。

小野委員 花粉症のおかげで、もう時間がなくなってしまいました。

 カーボンプライシング、やはり、これは国際的に通用するのかというのは本当に大事だと思うんですね。そこがちゃんとできなければ、我々、国内でつくっているメーカーさんが、ほかで売れなくなるというようなことにもなりますし、やはりそこをしっかりとやっていただく。

 私は、今回のGX経済移行債は、経産省が何か二十兆円を使いたいからやっているようにしか見えないんですね。そうじゃなくて、もっともっと爆発的に、カーボンニュートラルによって日本の経済を復活させるというような枠組みが必要だというふうに思っておりますけれども。

 済みません、もうこれ以上質問ができなくなってしまいましたので、ここから先は本会議とかあるいは委員会でやらせていただきたいというふうに思います。

 どうもありがとうございました。

根本委員長 この際、青柳仁士君から関連質疑の申出があります。遠藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。青柳仁士君。

青柳(仁)委員 日本維新の会の青柳仁士です。

 先週の土曜日に、夕方ですね、北朝鮮の大陸間弾道ミサイルが、北海道から目視で見える位置に着弾をいたしました。これは、もし核弾頭を積んでいて、そして着弾地点が少しずれていたら、函館や青森の町というのは一瞬で吹き飛んでいた、そういう非常に大きな脅威であります。

 北朝鮮のミサイルというのは、今、変則の軌道であったり、それから音速を超えるスピードで飛んできたり、あるいは発射場所を特定することができなかったり、様々なミサイルを実験的に撃っている状況です。ですから、日本のミサイル防衛システムで確実に止めることができないというのは、技術的にも、現実的にもそういう状況なんだろうというふうに理解しております。したがって、先方が、相手が撃ってこないようにするための抑止力としての反撃能力が必要である、こういう認識でおります。

 そういった中で、この予算委員会の中央公聴会が先週の十六日に開かれました。そこで、東京大学の北岡教授の方から、一つ、非常に重要な御指摘がありました。

 それは、日本の反撃能力を仮に行使する場合、これは今の技術上、向こうの発射場所が特定できない、あるいは撃たれるまでそれを把握することが難しいわけですから、そして、こちらが撃った場合には、それが向こうに届くまで時間がかかるわけですから、すなわち、何が言いたいかというと、相手の攻撃の着手を把握してその攻撃場所をたたくということは、法理的には可能であるけれども、技術的には不可能である、こういう指摘がありました。

 したがって、日本の反撃能力というのは、先制攻撃に使うことは技術的に不可能なんです。であれば、これは総理の方から、日本は先制攻撃は行いませんということを明確にしていただいたらどうか、こういう話だったんです。なぜならば、国際法上、先制攻撃は禁止されておりますし、日本は国際法を守る、そういう立場ですから、別に何も新しいことを、政府見解を述べるわけではありません。

 しかしながら、今回、気球の件でもそうですけれども、何かこちらが万が一反撃能力を行使した場合には、必ず世界中で、私も国連で昔働いておりましたのでよく分かりますが、フェイクニュースが飛び交うんです。この攻撃は日本が先にしかけた、こういうことに必ずなるんです。

 そのときに、やはり、日本は反撃能力を保有したときに、総理大臣が日本は先制攻撃はしないのであるとはっきり言っていた、こういうことを言うことが極めて重要ではなかろうか、こう考えるわけですが、今日は国民の皆さんも御覧になっています。日本の戦後の防衛の、安全保障の大転換と言われる安保三文書の改定、また反撃能力の保有ということに際して、是非、今回、今国会、この場で、総理大臣の口から、日本は先制攻撃は行わないと宣言をしていただけないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 反撃能力の行使に当たりまして、我が国は、国際法上、先制攻撃は許されませんし、先制攻撃を行うことはあり得ません。我が国の武力行使等は全て、憲法、国際法、国内法、こうしたものに従って運用されます。その点から考えても、先制攻撃はあり得ないということを申し上げたいと思います。

青柳(仁)委員 ありがとうございます。

 今、岸田総理がおっしゃったことは、本当に重要なことだと思います。これは、我が国の今回の安全保障体制の抜本的な変革の中で、様々な懸念がある、様々な御意見や懸念があることは理解します。しかしながら、一番懸念しているのは、周辺国であり、各国なんです。こういったメッセージをしっかりと出していく、これからも出し続けていくことが本当の意味での我が国を守っていくということにもつながっていくと思います。

 そして、一方で、日本維新の会は、今回の安保三文書改定の際に、党首間の議論ということで、岸田総理とも議論させていただきました。その中で申し上げていたのは、やはり、抑止力としての反撃能力が重要であるということなんです。すなわち、抑止力につながらないような中途半端な反撃能力であれば、それであれば逆に要らないのではないかということを申し上げてまいりました。

 したがいまして、今回、防衛費の増額ということがあるわけですけれども、その中では、しっかりとした抑止力につながる体制、我々は原子力潜水艦の配備といったような踏み込んだ提案もしておりますけれども、きちんと国民を守れる体制を、北朝鮮のミサイルは技術的に防げないわけですから、そういうことをしっかり考えた上での抑止力整備というのをお願いしたい。

 その際には、日本は先制攻撃はしないという一方で、逆に、先制攻撃をされたら、その際には必要最小限と言わず全力で反撃を行うということを言うことも、これは併せて抑止力としては重要だ、このように考えております。この点は特段コメント等は求めません。

 次に進めさせていただきますが、財政再建についてお伺いをさせていただきます。

 先日、大阪府が来年度予算を取りまとめました。三・六兆円です。この中では、将来の借金返済を目的とした基金への積立てに、これは減債基金というんですが、百五十九億円を計上しました。

 この基金はどういう基金かというと、大阪府が、負債といいますか借金のために、返済するために積み立てておかなければならない非常に重要な基金なんですが、これを十五年前に五千二百億円ほど、当時の府政といいますか、使い込んでしまいまして、大変な問題にこれはなりました。

 これを毎年二百五十億円ずつ、橋下徹知事、それから松井一郎知事、そして今の吉村洋文知事と、三代にわたって毎年毎年二百五十億円ずつ積み増してきて、そして今年ようやく百五十九億円プラスに転じたということです。

 言ってみれば、今まであってはならないこの赤字財政、地方自治体としての赤字財政を何とか今回元に戻すことができた。そして、穴埋め分の二百五十億円が今年度から不要になりましたので、したがって、その予算を使いながら、教育費の無償化、まさに大阪では異次元の、ゼロ歳児から大学院卒業までの無償化ということを行っている、こういうことなんであります。

 したがって、この中では、知事の、トップのリーダーシップということもこれは重要だったんですけれども、やはり、府の職員等も一生懸命取り組んできたことも非常に重要だというふうに認識しております。また、大阪府市だけではなくて、周辺市の財政再建努力も大きく影響している。さらには、大阪市はこれから、地方交付税交付金の不交付団体になる予定である、つまりは、地方交付税の交付なしに黒字経営が可能な状況になっていくということの見通しもありまして、これは新聞報道等で既に報道がされているところであります。

 こうした地方財政における財政再建、特に大阪の例について、これは総理としてどう評価されますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 大阪府においては、これまで積立て不足が生じていた減債基金について、令和五年度末に復元が完了する見込みであるということを承知をしております。これは大阪府が財政健全化に努めた結果であると考えておりますが、ただ、御質問は評価ということでありました。

 評価については、やはり、地方自治体においては、例えば大阪であったならば大阪府議会ですとか大阪府民の皆さん方が判断される、こういったことであると思いますので、私の立場から、評価については控えさせていただきます。

青柳(仁)委員 評価というのを伺った理由というのは、やはりこれは、国の方の財政でも、この血のにじむような地方自治体の努力というのを是非考えていただきたいと思うんです。

 例えば、今回の予算案、最終的に我々政党として賛否を決めなければなりませんが、いろいろ見ていますと、やはり、歳出の三割を借金に頼る状態というのが常態化しているということがあります。

 その中で、歳出は、今回の予算は過去最大ということで、増え続けている。さらに、今、国債発行も一千兆円を超えて、未曽有の額にどんどん積み上がっていっている。そして、通常予算と比べて補正予算が異常なほどに積み上がっていて、これは財政法がほぼ想定していないレベルに達していると思うんです。そして、さらには、予備費や基金といった、これも財政の基本原則からすると、かなり変則的な、逸脱していると言ってもいいようなやり方が既成事実化されてきている。そして、脱炭素、少子化対策等々、必要なことはあるんですが、本当にそれに関係しているかどうか分からないような事業にまで予算がついているというふうに、我々は細かく分析して考えております。

 さらには、先ほど我が党の遠藤国対委員長からもお話がありましたけれども、政治家の身を切る改革というのは全く不十分であると思いますので、そういった中での増税を求めるといったことも、これは非常に厳しい状況。

 国の財政規律というのは非常に末期的な状況にあるなというふうに見ております。

 日本維新の会は、必ずしも反対ばかりをする政党ではありません。是々非々で与党の政策について評価をし、そして賛否を考える政党ではありますが、今回の予算委員会を通して予算を見ている中で、どれだけ是を広げてもとても賛成できないなというのが今のところは正直な感想であります。もちろん、党としての判断はこれからということになりますが、客観的に見るとそういうことが言えると思います。

 財政再建というのは、どこでももちろん大変だと思います。しかし、大阪の例というのは、やはりトップがリーダーシップを持って、財政再建を行うんだ、そういう号令をかけ、また自らが身を切って、粘り強く進めてきた、そういう成果だと思っております。

 国の財政再建は岸田総理のリーダーシップ次第だと思っておりますので、是非その点に関してはしっかりと取り組んでいただくよう重ねてお願いを申し上げたいと思います。

 次に、コロナ対策費の削減について。パネルをよろしいですか。

 先ほど申し上げた大阪府の来年度予算、これは実は、今年度よりも千三百億円余り少なくなる見込みです。これはなぜかということなんですけれども、単純な理由なんです。コロナが、収束と言うと語弊がありますが、コロナに対する政策が変わるからですね。

 五月八日から、国は、二類相当から五類へ変える。今日の新聞に、コロナ病床は一年以内に廃止をするというようなものも、これは政府の方針として書かれていました。そういった中で、大阪府ではそれを先取りしまして、宿泊療養施設の規模縮小等の新型コロナ対策をめぐる諸費用の削減というものを今回の令和五年度の予算案に入れ込んで、そして予算額が減少している、こういうことであります。

 それがこの緑色の方なんですけれども、黄色の方を見ていただくと、ところが、国の方は、今年コロナに対する政策が大きく変わるということが分かっているにもかかわらず、昨年と同じ増加傾向、あるいは更に増えているという状況にあるんですね。

 これに関しては、前回の予算委員会で私から鈴木財務大臣に、これは、コロナ対策が進んでいって、それに対する政策が変わっていけば、こういった予算というのは一定不要になるという理解でいいかということを聞いたところ、一般論で申し上げてそうだと思いますというふうに答えが返ってまいりました。

 にもかかわらず、今回の予算はそれを加味せずに増え続けている。そして、過去最大なんですね、この予算額百十四兆円というのは、これを更新しているわけなんですけれども。

 この予算委員会というのは、来年度の予算を、まさに、このバーで言うところの令和五年度案というところを議論する委員会なわけでありますけれども、来年度の、令和五年度の予算案の中にやはり適切に、コロナの対策費、大幅に減ってくると言われております。

 これは、ちなみに、どれぐらいの額なのかというと、会計検査院の正式な、公表されているレポートによると、令和二年度と三年度の二年間だけで百十四兆円なんです。どこかで聞いた数字ですよね。そうなんです、令和五年度の予算と同じ額なんです。これは偶然ですけれども。

 ですから、つまり何が言いたいかというと、当初予算と同じぐらいの額が今までの予算の中にプラスされているのが今までの予算なんです。もちろん、補正予算を含めてということですけれども。ですけれども、今回その減少分が全く反映されていないのは非常に不思議だなと思うんですが、これは反映をさせるべきじゃないでしょうか。総理にお伺いします。

岸田内閣総理大臣 これまで、新型コロナ対策については、国民の命と暮らしを守るために、補正予算や予備費も活用し、十分な予算措置をすることで、切れ目のない支援を行ってきました。

 そして、今後、令和五年度の当初予算において、ウィズコロナへの移行が進む中で、様々な支援措置について段階的に縮小を図ることとしており、そもそも緊急事態宣言等に伴い実施してきた飲食店への協力金等の給付や雇用調整助成金の特例措置などは計上しておりません。

 そして、今後、五月八日に新型コロナが五類感染症と位置づけられることに伴い、ワクチンですとかあるいは病床確保料といった各種対策や措置の取扱いについて更に個別に整理をしていく、こうしたことを考えておりますが、こうした見直しを通じて平時への移行を図ってまいりたいと考えています。

青柳(仁)委員 ということは、コロナ対策費の多くは補正予算ですから、来年度、どこかで、まあ補正予算を組むか組まないかは今は当然言えないわけですけれども、今までの過去の流れを見れば恐らく組まれるんだろうと思うわけですが、その際には適切に反映をしていくということだと理解しております。

 また、今、段階的にとおっしゃいましたけれども、例えば、会計検査院が挙げている総務省の給付金事業、経産省の事業復活支援金、内閣府、総務省の地方創生臨時交付金、国交省のGoToトラベル事業、厚労省の助成金、これを計算してみると、ほとんど、二類から五類に移すと出なくなるようなものが多いんです。

 ですから、本来は、今この時点で相当計上されていなければやはりおかしいと思うんです。ところが、このままいくということであれば、それは補正予算できちんと反映をさせていくということでよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、今後ウィズコロナを進める中にあって、実情をしっかり把握した上で、その時点時点の予算にしっかり反映させていく、こうした取組は行ってまいります。

青柳(仁)委員 これから段階的に進めていく中で、その時点時点の予算で見ていくと。

 そしてまた、先ほど、今年度を見直しを行うとおっしゃっていましたので、つまり、来年度どれぐらい補正予算があるか分かりませんが、その中で見ていく、そこではきちんと反映させていくということだと理解いたしました。

 今、日本の補正予算というのは大変な状況になっておりまして……(発言する者あり)これは、まさに今いただきましたが、異次元の状況になっております。平成二十五年から令和元年ぐらいまでは三兆円ぐらいで推移しているわけなんです。ところが、令和二年で七十三兆円、令和三年で三十六兆円、こういうことになっているんですね。

 ですから、今の総理のお話を踏まえると、きっと、令和五年度、今年度の補正予算はきゅうっと、この赤いところになるぐらい、三兆円規模まで一気に減るんだな、こういうふうに理解しましたので、是非、これからの一年間の予算、国民の皆さんもしっかりと見ていただきたいなというふうに、今の総理のお約束がきちんと守られるかどうか、ちゃんと見ていただきたいと思うんです。

 なぜそういうことを申し上げるかというと、昨年の補正予算のときに、どう考えてもコロナと関係がない、あるいは、そこで出されていたGXだとか幾つかの項目とも、あるいは物価高対策とか、どう考えても関係ない予算も相当入っていたからこういうことを言っているんです。そういうことではなくて、コロナ対策費でこれだけ上がったわけですから、きゅっと下がるんですね。そうしたら、前回の補正予算のときに我々野党を中心に指摘させていただいたような無駄遣いというのはなくなる、そういうことだと理解しておりますので、この約束はしっかりと守っていただくようにお願いいたします。

 続いて、防衛費増額のための増税についてお聞きしたいと思います。

 一月三十一日の予算委員会で、岸田総理は私の質問に対して、これから、令和九年度以降、安定的に四兆円の防衛費増に対する財源措置が必要であるということをおっしゃって、その中の一兆円に関しては、法人税、所得税、たばこ税の増税を行うということを明確におっしゃいました。そして、私はそれに対して、日本維新の会としてのスタンスということで、撤回を求めさせていただきました。

 その際に申し上げたことは、一つは、防衛費の増額と増税というのはセットではないということです。防衛費の増に関しては、今日の冒頭にも私が申し上げたとおり、それは必要な措置だと思います。しかしながら、それがあるから増税が必要ということでは必ずしもないわけです。なぜなら、三兆円までは増税をなしで財源を負担したわけです。ですから、もしも今回の防衛費の増分が三兆円以下だったら、一兆円は要らなかったということになりますね。逆を返せば、今一兆円と言われている、増税が必要と言われているこの一兆円を、ほかの財源措置ができるんだったら要らない、こういうことだと思うんですよね。

 では、その一兆円の財源はどこにあるのか。今見た、コロナの百十四兆円がありましたね。これだけじゃなくて、そのときにも指摘させていただきましたが、毎年の予算の不用額、去年は六・五兆円です。それ以前、二十年以上、一兆円以上安定的に余っております。また、経済成長の増収分、今年は三兆円です。

 今日、朝の自民党の委員の質疑のときに、日本は安定的な成長軌道に乗ったとかいう、そういう何か質疑があったんですけれども、もしそうであれば、この三兆円の税収というのは安定的にこれから生まれてくるわけですよね。更に言えば、この三十年間、経済規模が日本は一・一倍にしか三十年前から比べてなっていないわけですけれども、この間にアメリカは四倍、中国は二十八倍になっているわけです。

 ですから、各国が経済成長戦略を出してきて、日本もそうですね、毎年毎年、経済成長戦略を出して、そこに多額の予算をつけている。にもかかわらず、経済が成長しない。これはやはり、政権運営が悪いとしか言いようがないです。

 ですから、そういった中で、経済成長の税収というのは、これは当然あるべきだし、また、去年八・九兆円積んでほとんど使われていない基金というのも、まだ各省に五十個、基金として残っているわけなんです。ですから、そういうものを使えば一兆円ぐらい出てくるんじゃないかということ。

 それから、安定財源だから税収といいますけれども、これも、財務省というのは歳出と歳入を突き合わせた予算管理なんかしていないんです。どういう歳出が税収で賄われて、どういう歳出が国債で賄われてなんということは考えてすらいないんですよ。これは実態として、事実として。

 であれば、そういう話というのはただのへ理屈にしかなりませんし、また、もしそれがへ理屈でないというのであれば、じゃ、まさに鈴木財務大臣がこの予算委員会の冒頭で言われていた、こども家庭庁による子供、子育て支援や、地方創生や、地方公共団体のデジタル化といった、誰がどう考えても安定財源が必要なものは国債でよくて、防衛費だけは安定財源の税収でなければならない、そういう理屈が成り立つということなんでしょうか。これはあらゆる面で論理破綻している。

 これは、前回の質疑のときに指摘させていただきました。何一つ納得できるお答えをいただくことができませんでした。これは国民の皆さんも同じように感じると思います。

 改めてお伺いいたしますが、この今回の一兆円の増税は、ほかに財源措置が可能です。また、国民負担が非常に大きいと思われますので、撤回をすべきではないかと思いますが、総理の御見解をお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 防衛力の抜本的な強化につきましては、令和九年度以降安定的に維持していくための財源を考えていくということで議論を進めました。

 そして、当然のことながら、まず増税ありきではなくして、国民の皆さんの御負担をできるだけ抑えるべく、行財政改革を徹底する、歳出改革、決算剰余金の活用、そして、様々な取組により確保した税外収入等を防衛力整備に計画的、安定的に充てるための防衛力強化基金を創設する、こうしたあらゆる工夫を動員して必要財源の約四分の三を確保する、このようにいたしました。

 こうした努力をした上で、それでも足りない四分の一について、令和九年度に向けて、今生きる我々の将来世代への責任として税制措置をお願いする、こうしたことを考えている次第です。

 ただ、その際に、国民負担をできるだけ抑える観点から、現下の家計の所得に負担増とならない、さらには九四%の法人にとっては負担増とならない、こうした、個人、法人への影響に最大限配慮する仕組みとしたところであります。

 こうした工夫等についても、丁寧に説明をすることによって、令和九年度以降の防衛力の安定的な維持のためにどうあるべきなのか、丁寧に説明を続けていきたいと考えております。

青柳(仁)委員 今前半おっしゃっていたことというのは、三兆円を増税以外の措置で集めまして一兆円増税しますという、一番最初に私がそれに対しての批判を申し上げているという話を繰り返しているだけですから、全く答えにもなっていないし、全く今これ、かみ合ってもおりません。

 後半の方です。

 これは国民負担にならないんだということ、これは、二月一日の我が党の漆間議員の質疑において、岸田総理は、今回の増税、所得税、法人税、たばこ税の増税は、現行の家計の所得及び法人の九四%には全く影響が出ないというふうにおっしゃいました。これは議事録を確認していただくと分かるんですけれども、全くとおっしゃっています。

 ところが、所得税の方、復興特別所得税の方は、二月三日の我が党の住吉議員の質疑のときに、鈴木財務大臣から、今回、本来であれば期日が決まっていたわけです、復興特別所得税を払わなければいけない期日というのがあって、それ以前までは払うのは仕方ないですけれども、そこから先というのは、これは、負担が継続するという意味においては、今までなかった負担を国民にお願いするということになると認識していると。これ、財務大臣と総理大臣の間で全然認識が違います。負担だとおっしゃっています。そして、まだ続くんです。

 鈴木財務大臣の言っていることの方が正しいと思います。これが国民の発想ですよ。当たり前じゃないですか。今払っているから、今払っているものが延びるだけだから負担にならないというのは、これは非常に傲慢な政治家の発想ですよ。払わなくていいお金というのはそもそも一円も払いたくないというのが普通の国民の感覚ですよ。私だって同じですよ。それはやはり、負担にならないという理屈はまずないと思います。

 それからもう一つ、法人税ですね。

 九四%は関係ないとおっしゃいましたけれども、じゃ、六%、これは財務省に、何万社あるんですかと聞いたら、十六万社だそうです。十六万社というのは、全ての上場企業とほとんどの中堅企業です。つまり、今総理が賃上げを期待している、求めている中心的な企業群です。

 日本商工会議所と東京商工会議所の今年度の与党の税制改正大綱に対する会頭コメントでこんなことを言われています。今回の増税措置は、企業の前向きな賃上げや投資意欲に水を差しかねない。

 賃上げに影響しているじゃないですか。この一兆円の増税がなければ、その分を企業から取らなければ、企業がそれを賃上げに回せば、皆さんの、国民の所得が増えたんじゃないんですか。これが賃上げなんじゃないんですか。これはどこが負担がないんですか。

 改めて、時間もないんですが、ちょっとお聞きしたい。最初の、おっしゃっていたこの二月一日の答弁です。今回の増税は、現行の家計の所得及び法人の九四%には全く影響がない、これは撤回していただけませんか。

岸田内閣総理大臣 だからこそ、わざわざ、現行の家計の所得には影響ない、これを強調しております。現行の家計には影響ない、そのとおりだと思っておりますし、法人税については、今説明したとおりであります。

 もちろん、残りの六%の企業には影響が出るわけでありますが、しかし、これは、多くの企業にとって、安全保障環境を維持する、日本のシーレーンをしっかり維持する、こうした経済環境の整備という点においても協力をいただく、こうした考え方に基づいて、一部、御協力いただく企業は存在する、これは当初から説明をさせていただいているところであります。

青柳(仁)委員 総理、そういうのを詭弁というんですよ。

 現行の家計には影響を与えない。じゃ、将来の家計には影響を与えるということをおっしゃったということですよね。それは、現行の家計には全く影響ないと言われたら、普通、影響ないのかなと思うのが国民感情だと思いますよ。いやいや将来には関係あるんだよななんて、そこまで考える人がいますか。

 それから、総理が、全く影響がないとおっしゃったんですよ。将来に影響あるんだったら、影響あるじゃないですか。それから、それは法人税のことも言っているわけです。法人税は影響があるわけですよ。だって、これは賃上げの原資になるじゃないですか。それに、価格転嫁を起こさなかったらこのインフレも乗り切れないと、去年の経済対策のときにおっしゃっていましたよね。価格転嫁を起こすためには、大企業にその資金余力がなきゃいけませんよね。これは影響しますよ、中小企業にも、国民の一般の家計にも。

 そういう詭弁でもって、まるで負担がないかのように説明をする。また、先ほど指摘したとおり、財源はほかにもあるわけです。不可避ではないんです、この増税は。

 ですから、そういった観点から、何度も申し上げますが、日本維新の会は是々非々なんです。何でもかんでも反対しているわけじゃないんです。でも、この増税はおかしいと思うから、反対させていただいております。

 以上で私の質問を終わらせていただきます。

根本委員長 これにて遠藤君、小野君、青柳君の質疑は終了いたしました。

 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 国民民主党代表の玉木雄一郎です。

 まず、このパネルを御覧ください。

 もう何度もこの委員会でも出たやつだと思いますが、私は、これを見るたびに悔しくてなりません。この二十五年間の実質賃金指数の各国比較でありますけれども、日本だけ横ばい。そして、今日少し出ていましたけれども、出生率が過去最低を記録した韓国、人口減少が日本と同じように進んでいますけれども、この四半世紀で約一・五倍、アメリカも一・五倍、イギリスも一・四倍、フランスも一・三倍、このように増えています。日本だけ、こんなに真面目で勤勉な人がたくさんいるのに、この二十五年、賃金が上がらない。私は、ここが全ての問題だと思っています。

 ですから、賃上げ実現国会にしようと総理に冒頭申し上げましたけれども、結局、頑張って就職して真面目に働けば給料が上がるんだと、その希望さえ取り戻すことができれば、学生の皆さんは奨学金を借りることも不安じゃなくなるし、結婚もできるし、望む数の子供を持つこともできるし、例えば厚生年金は報酬比例ですから、老後の暮らしも、給料が上がれば年金額も増えるので、安心になっていくわけですね。

 ただ、さすがに四半世紀これを続ければ、全ての世代で不安が広がることもやむを得ないし、結果、消費が落ち込み、そして経済が成長しないという悪循環に陥った二十五年だと思います。

 ですから、総理に是非期待したいのは、総理のおっしゃる新しい資本主義というのは、このトレンドを変える資本主義を実現することだと思うんですよ。だから、今年ようやく賃上げをしようという雰囲気が出てきたので、これを是非、何としても政治の力で、政治ができることは全部やって、実現できる、そういう環境を整えるべきだと思います。

 子育てのことを後半やりますが、我が党の伊藤孝恵参議院議員が指摘をしましたけれども、実質賃金指数の低下と出生率の低下は相関係数〇・九三です。一だとぴったりなんですが、でも、〇・九三、これは因果関係を言っていません、相関関係なので、同じようなトレンドを取っていることは事実なんです。

 だから、やはり、異次元の少子化対策をするにしても、賃金を上げるということをベースにしないと、あらゆる政策は小手先になってしまうと思うので、何としても賃金を上げる。

 基本的には労使の関係です。一企業や一産業のことに政治が首を突っ込むべきじゃないんだけれども、ただ、今は局面が違うんです。賃上げはもう一企業の労使の問題や一産業の労使の問題を超えて、日本経済最大の課題になっているんだという認識が必要だと思います。

 そこで、総理に提案です。

 政府と労働界の代表と経済界の代表、この三者が目に見える形で集まって、賃上げが必要なんだと、これは労働組合がないような中小企業や非正規の皆さんも含めて賃上げが必要なんだということを、是非一致したメッセージを出すために、いわゆる政労使会議を速やかに開催して、このメッセージを社会全体に、経済全体に今すぐ出すべきだと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、賃上げは新しい資本主義の最重要課題です。まず、この春の賃金交渉に向け、物価上昇を超える賃上げに取り組んでいただくべく、政策を総動員して環境整備に取り組んでまいります。

 当然、民間にお任せするというのではなくして、政府としても、賃上げ税制の拡充や補助金等における賃上げ企業の優遇などの取組に加え、公的セクターや政府調達に参加する企業で働く方の賃金引上げなどに取り組みます。

 さらに、構造的な賃上げを実現することによる家計の所得の増大を通じ、消費の拡大、そして持続的な成長につなげていく、こうした経済をつくっていかなければならないと思います。

 そして、御指摘の賃上げを進めるに当たって、政府として、経済界、労働界とコミュニケーションを取りながら進めていくこと、これは大切であると考えています。この点、自民、公明、国民三党の実務者協議の中でも、早期に政労使での意見交換の場を持つことを政府に求めることが確認されたと承知をしています。

 こうした点も踏まえて、政労会見も含めて、しっかりと労使の方とコミュニケーションを取りながら、政府としても国民に対してメッセージを発信していきたいと考えています。

玉木委員 確認ですけれども、政労使会議、そして総理と連合の芳野会長の政労会見、いずれも近々やるという理解でよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 もちろん、これから調整をさせていただきますが、前向きに考えていきたいと思っています。

玉木委員 これは是非やってください。

 私、先ほど申し上げたように、基本的に大手の、もう幾つか結果が出てくるところもあるんですが、集中回答日は三月十四、十五、十六なんですよ。だから、そこに向けて、今から言う政策を国がやることによって賃上げを後押しするので、より賃上げの回答をしやすくする、そういったことも三月の上旬には必要だと私は思います。

 大手が終わったら、その後、ぱたっと賃上げの報道が減るんですよ。その後のモメンタムを維持するために、先ほど申し上げた政労会見、こういうことをやりながら、総理も含めてメッセージを出していただくと、中小、労働組合がないところも含めて、やはり必要なんだ、頑張ってやろうということになるので、是非これは早期に開催していただきたいと思います。

 その上で、政治として何ができるかということなんですが、やはり電気代ですね。

 これは、ちょっと一つ具体例、実際に来たので報告しますと、ある女性の方から連絡をいただきました。お父様が認知症を発症していて、お母さんが非常に弱っている三人暮らしの女性です。正社員なんだけれども、昨年の所得は百八十八万円、毎月の手取りは十四万円。そんな中で、いつもは二万円前後で推移していた電気代が、今年の一月の請求額は七万円。手取りの半分が電気代で消えるというのは相当厳しいです、これは。政治は今、子供のことは一生懸命やってくれているけれども、子供だけでなく、女性一人で年老いた親を見ている家庭も、世帯も助けてほしい、切実な声です。

 また、中小企業の方ともよく話をしますが、玉木さん、従業員は頑張ってくれているから賃上げしたいんだけれども、できないんだと。何でかというと、電気代がすごく上がっているから。節電しろ節電しろといって従業員に徹底して、八割節電したんだけれども、請求は一・四倍で来たそうです。

 そういう中で、上げたくても上げられない中小企業もたくさんいます。そして、先ほど紹介したような、生活に困窮した方もいらっしゃいます。

 そして、本年四月以降は、電力会社によっては三割から四割上がるところもあるので、こういう苦しい生活を強いられている方を助け、そして企業の賃上げ原資を確保するためにも、予備費を活用して、更なる追加の電気代値下げをやるべきだと思いますが、総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 電力料金等に対する支援については、御案内のとおり、先月、一月の使用分から二割程度の、実際に値引きをする措置を講じているところですが、今後につきましても、引き続き、経済状況を注視して、必要な政策対応にちゅうちょなく取り組んでいく、この姿勢を政府としても維持をいたします。

 この点については三党でも協議されると承知しておりますが、是非、政府としても、今後の状況を注視しながら、更なる対応の必要性について考えていきたいと思っています。

玉木委員 総理、今、賃上げ交渉の真っ最中なんですよ。将来どうなるか、今後の経済状況を踏まえてなんですけれども、三割、四割上がることは、四月以降、決まっているんですね、地域によっては。関西電力と九州電力さんはしないということなんですが、ほとんどの地域、特に積雪寒冷地帯で、寒い地域で上がるんですよ。そのことが将来控えていたら、やはり我々も、頑張っている秘書の給料を上げようかなと思ったら、将来までは、上がるし、社会保険料がそれに上乗せされるので、厳しいんですよ。

 だから、本当に今賃上げをこの時期に応援するためには、今の時期に、やはり下げるよと。つまり、我々も要求して二割下がりましたけれども、三割、四割上がるから、吹き飛んじゃうんですよ、二割の支援策が。だから、更に追加でもう一割とか、そういった支援を、燃調費の深掘りとか、我々が提案しているような再エネ賦課金を、一割ぐらい、これは電気代にかかっていますから、取るのをやめるとか、もう一段踏み込んだ追加の支援策。

 そして、総理、もう一つは、特別高圧で、大型ショッピングモールとか、あるいはクリーンルームを持っているような半導体の製造拠点なんかは特別高圧の契約なんですけれども、ここは、何か転嫁がしやすい大手だからといって全く支援の対象になっていないんです。でも、そこが賃金を上げてくれないと全体を引っ張れないので、まさに特別高圧こそ下げてあげて、その分ちゃんと従業員に回せということを今政府がメッセージを出したら、かなり賃上げ、一、二%変わってきますよ。やりませんか、総理。

岸田内閣総理大臣 まず、電力料金については、今予定されているメニューを先月からスタートさせているところですが、先ほど来の議論にありましたように、各電力会社の電力料金の引上げ申請に対して厳しく対応していくことがまず第一だと思っています。その上で、経済状況をしっかり見ていかなければならない。

 そして、御指摘の特別高圧契約についてですが、今回のエネルギー高騰対策は、価格転嫁をすることができない最終消費者である家計などの低圧需要家を中心に、転嫁が困難な中小企業等が多く含まれる高圧需要家までを対象として広げ、そして実施をしています。

 御指摘の特別高圧契約の需要家については、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金等において支援が行われている例もあるとは承知しておりますが、こうした状況を見ながら、政策の効果、経済状況をしっかり見ながら、今後の対応について見極めていきたい、このように考えます。

玉木委員 いや、見極めるんじゃなくて、今やらないと、賃上げを応援するためには今メッセージを出すことが大事なんです、総理。

 今日、基幹労連さんという、鉄鋼とかそういう大きな、電気を結構使うような基幹産業の労働組合の皆さんから話を聞いたら、価格転嫁できているのは半分です。経産省の説明では、価格転嫁できているから特別高圧のようなところは支援策をしなくていいと思うんですが、やはり厳しくて、なかなか価格転嫁できていません。その政府の説明は現実に合っていないです。だから、よく話を聞いていただいて、やはりそこは支援して。

 やはり、賃上げに、その間、電気代に払う分が収まれば、その分を従業員に回せるので、冒頭見せた、この賃上げの横ばいのこれを、ここはトレンドを変える年なんですよ、今年は。そのために政治がやれること、政策がやれることは全部やってほしいと思います。

 もう一つ、これは公明党の赤羽先生も聞いていましたが、プロパンガスも、総理、臨時交付金もいいんですけれども、やはり国がやるべきですよ、国が。

 電気代の値下げで二・五兆円で、都市ガスで六千二百億、臨交金で六千、配っていますけれども、農業対策も風呂屋の対策も、ありとあらゆる対策をやって、余ったお金でやるのに、足りないところだらけなんですよ。

 うちの家もプロパンガスなんですよ、田舎なので。全世帯の半分弱がプロパンガスなので、ここも支援を、総理、やはりやるべきだと思います、国が。地方に任せるんじゃなくて。これも是非国が主導して、予備費を何兆円も積んだわけですから、是非やるべきだと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 LPガスにつきましては、御案内のとおり、小売価格に占める流通コストの割合が大きく、原材料の割合は小さいほか、原料であるプロパンの価格と連動している原油価格は昨年夏以降下落基調にあるために、今後の大きな価格上昇の可能性は電力や都市ガスに比べて低いと承知をしています。

 LPガスについては、小規模零細事業者が多いことから、事務負担を考慮して、事業効率化に向けた支援を行って価格抑制につなげていく、こうした取組を進めているところです。

 しかし、今委員御指摘のように、LPガスについても現状は厳しいということ、こういった声は引き続き政府として受け止めながら、先ほどの特別高圧の話もありましたし、まだまだ政府として、今の対策の中で手が届いていない部分についての御指摘はしっかり受け止めながら、上乗せで何ができるのか、これは経済状況を見ながら考えていく課題であると考えます。

玉木委員 あとはスピードなんですね、何度も言いますけれども。賃上げ交渉にそういった総理の、政府のメッセージが反映されたら、やはりそれを踏まえた、だったら、こっちが軽くなるんだったらその分従業員に出してあげようということになるので、タイミングも考えて、総理、決断を是非いただきたい。また、現場からも、特に地方の声をしっかり聞いていただきたいと思います。

 次に、防衛増税のことですが、総理は二〇二四年以降、適切な時期に防衛費増額のための増税を行うという方針なんですけれども、我々国民民主党は、安定財源の必要性は否定しませんが、持続的な賃上げが実現するまではやはり増税はやるべきじゃないと思います。何よりも、この賃上げ実現に全てを傾けるべきだというふうに思うんですね。

 賃上げを伴う物価上昇が実現すれば、確実に税収は増えます。税収というのは名目で利いてきますから。だから、賃金が上がれば、累進の所得税のブラケットも高い方に移動する人が出てくるし、何より消費税だって物価が上がれば増えるんですよ。だから、賃金上昇を伴うしっかりとした経済成長を実現すれば、まず税収が増えるのと、あと、これは指摘しておきたいのは、例の防衛の財源確保の基金、資金なんですけれども、ほとんどが外為特会なんです。これは、私、外為特会を使えと言ったから賛成なんですが、甘いんですよ。

 過去二十年間の剰余金の平均は二・九兆円です。今回、今年度、進行年度の剰余金だといって計上しているのが一・二兆円なので、平均から比べても一・七兆円少ない。三割残してこれからのリスクに備えたとしても、一兆円ぐらい、毎年追加で出ますから。外為特会を与党の人もよくチェックしてみてください。毎年一兆円ぐらいはありますから。別に一般会計に使いたいというニーズはあるものの、一兆円ぐらいはプラスで出ますので、増税、要らないです。

 ただ、シビリアンコントロールとかいろいろな意味で、私は考えるのは必要だと思うんですが、賃上げが実現するまでは安易な増税はすべきではないということを強く申し上げたいと思いますが、総理、これはどうですか。やはり賃金の上昇なんかをきちんと勘案して財政運営とかをしないと間違ってしまうので、持続的な賃上げが実現するまでは増税しないというメッセージを是非出していただきたいと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 防衛力強化の財源確保については、先ほども議論をさせていただきましたが、行財政改革の努力を最大限行った上で、それでも足りない四分の一について税制措置での対応をお願いさせていただきたい、このように考えております。

 その際に、法人税あるいは所得税等への配慮は先ほど申し上げたとおりでありますが、その上で申し上げるとするならば、税制措置の実施時期については、行財政改革を含めた財源調達の見通し、景気や賃金の動向及びこれらに対する政府の対応を踏まえ、閣議決定した枠組みの下で税制措置の実施時期等を柔軟に判断していく、これは昨年確認したとおりであります。

玉木委員 もう一回確認します。

 賃金の動向も踏まえて柔軟に、タイミングについては考えていくという理解でよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 財源調達の見通し、景気、賃金の動向、さらには、それに対する政府の対応、これらを総合的に勘案した上で、閣議決定した枠組みの下で税制措置の実施時期等を柔軟に判断していきたいと考えております。

玉木委員 持続的な賃上げは実現するということをしっかり見定めた上で柔軟に考えていただきたいということを改めて強く求めたいと思います。

 最後に、子育て支援について伺いますけれども、我々国民民主党はもう去年の六月から、三回にわたって、子育て、教育支援の所得制限撤廃法案を提出しております。

 最近、年収一千万ぐらいの人でも、高級マンションに住んで高級車を乗り回している人に支援が必要じゃないみたいなことが、発言をされている方がいましたけれども、ただ、年収一千万クラスで、都内で二人ぐらい子供がいたら、高級マンションに住んで高級車を乗り回せないと思います。

 なので、私は、ここはちょっと発想をちゃんと変えていかなきゃいけないのと、あと、多分、最近自民党の幹部の方も所得制限に対してちょっと何かトーンがダウンしている感じがするのは、世論調査をすると撤廃に反対が多かったからだと思うんですが、小倉大臣もよく見てもらいたいんですけれども、二十代、三十代の当事者世帯はやはり所得制限撤廃賛成が多いですよ。年齢が上がってくると反対が増えるので、全体として反対が多いんですけれども。ここはやはり、当事者の声をしっかり聞いて制度設計をしてもらいたい。

 その中で、障害のある子供の養育負担を軽減するために、障害児福祉の所得制限は特に速やかにやってほしいんです。特に、子供の体の一部ともなっている補装具費用の支援の予算は年間約百五十億円です。うち、所得制限で一割弱の人が対象から外れて、一割負担が全額負担になっているんですよ。逆に言えば、十五億円あれば補装具の費用の所得制限を撤廃できるんですが、社会で子供を支える、特に障害のある子供は社会で支えるんだというメッセージを出すためにも、予備費を使ってでも、あしたからでも所得制限を撤廃すべきだと思いますが、総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 障害児福祉の所得制限についての御質問ですが、障害児支援に関する福祉サービスの利用に際して、利用者に一定程度その費用を御負担いただいており、例えば補装具費支給制度においては、高所得者には全額を負担いただくこととしておりますが、それ以外の場合は、所得に応じた自己負担額を設定し、過剰な負担とならないように制度を設計しております。

 いずれにしろ、そういった点も含めて、今、小倉大臣の下で子供、子育て政策の内容の具体化を進めています。是非、これらも含めて、パッケージで考え方を整理したいと思っています。

玉木委員 すぐやってください。

 終わります。

根本委員長 これにて玉木君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 岸田政権は、中国などを念頭に、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境といって、五年で四十三兆円もの大軍拡を決め、専守防衛を投げ捨て、敵基地攻撃能力を保有するとしています。

 私は、冷静に世界を捉えて日本の進路を考えることは極めて大事だと思います。

 日中の経済関係です。パネルを御覧ください。

 今世紀初めまでは日本の最大の貿易相手国はアメリカでしたが、今は中国。輸出、輸入とも一位です。貿易額の二割以上を占めます。パソコン、家電、衣類など、輸入先の多くが中国であります。

 世界には日本企業の拠点が七万七千五百五十一ありますけれども、四割が中国にあります。私たちが着ている衣服も、日本のメーカーが中国で製造して輸入しているものも少なくありません。今、経済人の中からは、米中対立の激化と日本政府の姿勢に不安の声が聞こえてまいります。

 総理にまず基本的なことを御確認しますが、国民生活は中国経済と切っても切れない関係にある、こういう認識はございますか。

岸田内閣総理大臣 中国は日本にとって最大の貿易相手国であり、昨年の日中貿易総額は約四十三・八兆円であり、前年比で一四・三%増えています。また、日本企業による対中投資も極めて多く、例えば中国進出の日本企業拠点数、これは二〇二一年時点で三万拠点以上と、国別の海外拠点数としては圧倒的に多数となっています。

 私も、昨年十一月の日中首脳会談において、建設的かつ安定的な関係を日中双方の努力で構築していくべきであると習近平国家主席に述べ、中国との経済関係については、日本全体の国益に資するような形で、対話と実務協力を適切な形で進めていく必要があるということを確認をいたしました。

 本日、次官級で日中経済パートナーシップ協議を一年以上ぶりに開催をいたしました。このほかにも、各分野、各レベルで多層的な対話をしっかり重ねていきたい、このように考えています。

宮本(徹)委員 もう一つパネルを見ていただきたいんですけれども、輸出先で見ても、半導体製造装置、各種機械、化粧品を始め、中国の比重が高いものがたくさんあります。

 サプライチェーンでも日中経済は深く結びついております。例えば、私もiPhoneを使っていますけれども、中国で組み立てたものを輸入しておりますけれども、iPhoneの様々な部品は日本企業が供給をしております。

 先日、NHKスペシャルで、貿易データをAIで解析した結果として、日本企業にとって、現状は中国を中心としたアジアの貿易圏の中に組み込まれた存在となっています、こう分析しておりましたが、総理にもそういう認識はございますか。

岸田内閣総理大臣 アメリカ、中国との関係に日本も組み込まれているかと。(宮本(徹)委員「中国との関係で」と呼ぶ)中国との関係。

 もちろん、先ほど申し上げましたように、我が国にとりまして最大の貿易相手国は中国であり、中国にとっても世界第二の貿易相手国は日本でありますので、日中関係は、経済という点を一つ取ってみても、大変重要な関係にあると認識をしております。

宮本(徹)委員 そういう経済一つ取っても大変重要な関係ですから、中国の覇権主義的な傾向については当然懸念はあるわけですけれども、日本と中国は戦争で争うような関係になっては決してならない、この点は当然共有できますね。

岸田内閣総理大臣 おっしゃるとおりであります。

 だからこそ、昨年十一月の日中首脳会談においても、中国に対して、主張すべきことは主張し、そして、責任ある行動を求めつつも、対話を続けながら、協力をするべき課題については協力をしていく、こうした建設的かつ安定的な関係を双方の努力で構築していくべきである、これを習近平国家主席に私の方から主張をいたしました。

 対話と実務協力を適切な形で進めていく必要があると認識をしております。

宮本(徹)委員 そういう日中関係ですけれども、一方で、アメリカのバイデン政権は、国家安全保障戦略で中国を唯一の競争相手と位置づけ、同盟国との連携によって競争に打ちかつ方針を示しております。

 米中の覇権争いは、軍事的対抗と経済的対抗を結びつけて展開されております。アメリカは、サプライチェーンや貿易の面で米中経済の切離し、いわゆるデカップリングを進めております。アメリカが輸出を原則禁止する中国の企業、団体は、昨年末で六百を超えました。日本企業も、これらの企業、団体とは、アメリカ由来の製品や技術が一定の割合で含まれれば取引できません。

 さらに、アメリカは、昨年秋、半導体の輸出規制を拡大し、日本にも半導体製造装置の輸出管理に同調するよう求めております。半導体製造装置は日本が国際競争力を持ちますが、アメリカに追従したら、市場を失ってしまうわけであります。中国が対抗措置を取って、中国に依存する半導体原料の供給が止まるリスクも指摘されているわけであります。

 総理にお伺いしますけれども、アメリカの進めるデカップリング策で、日本企業にどのようなマイナスの影響が出るとお考えですか。

岸田内閣総理大臣 米中による技術覇権をめぐる対立が激化する中で、輸出管理の域外適用や報復措置を可能とする法制について企業から懸念の声があるということを承知しており、政府としては実態や影響の把握に努めています。

 そして、両国に対しては、法の域外適用等の一方的な措置や他国政府による措置が我が国企業の事業環境に悪影響を及ぼし得ることから、様々な機会を捉えて、事業の予見可能性や競争環境の公平性確保が重要であることを強く申し入れているところです。

 米中対立が続く中、日本企業に対しては、法令遵守の範囲を超えて過度に萎縮する必要はなく、仮に不当な対応が求められるようなことがあれば、政府が前面に立って支援することを伝えています。

 引き続き、米中両国への働きかけを含め、我が国企業の事業環境の維持向上に努めてまいります。

宮本(徹)委員 ですけれども、例えば半導体製造装置の輸出管理の問題については、日本政府はアメリカに追従しようとしているわけですよね。これは、半導体製造装置、もし本当にアメリカに追従していったら、中国ビジネスの半分以上がなくなる可能性がある、こういう指摘まで出ております。

 かつて、日本の半導体産業は世界を席巻しておりました。しかし、アメリカの覇権維持のために日米半導体協定を押しつけられて、大変な打撃を受けました。この愚を繰り返してはならないと私は思います。

 次のパネルを見ていただきたいと思いますが、米中対立によるデカップリング、経済ブロック化が進めばどうなっていくのか。これはジェトロのアジア経済研究所の試算であります。

 これは最悪シナリオの方を表示しましたけれども、デカップリングが行われない場合と比較して、二〇三〇年の日本のGDPはマイナス一一・六%、アメリカはマイナス一二%、中国はマイナス九・四%と、試算結果は、デカップリングを強めても、どちらの陣営も相手陣営を孤立させることはできずに、双方が打撃を受ける。一方、中立国、ASEANだとかインドなどは経済的にプラスになっていくというものでありました。

 総理、デカップリングを進めるアメリカに追従していくということは、経済的には大変愚かな道なんじゃありませんか。日本企業と国民への影響も極めて重大だと思いますが、総理、いかがお考えでしょうか。

岸田内閣総理大臣 経済におけるデカップリングにおける問題点について御指摘がありましたが、もちろん、こうした経済活動における様々な問題点も考えておかなければなりませんが、あわせて、今、経済安全保障という考え方の下に、経済と安全保障を密接な課題として取り上げ、それぞれの経済活動に反映させていく、こうした取組も進められています。

 デカップリングということにおける日本企業の利益、日本の国益、こうしたものも政府としてしっかりとコントロールしていかなければならないと思いますが、あわせて、経済安全保障の観点からこうした経済活動についても考えていく。これを併せて考えていくことが重要であると認識をいたします。

宮本(徹)委員 日本の国益、利益を考えることと経済安全保障、両方考えるんだというんですけれども、これは両立しない、反対の方向を向いているんじゃないかというのが、この間のジェトロの研究所の試算の結果だというふうに私は思うんですよね。

 加えて言えば、経済的対抗を軍事的対抗の手段にして、お互い経済的な依存関係がなくなっていけば、私は、これは戦争へのリスクも高めていく大変危険な道だというふうに思っております。それは、アメリカに追従するのではなくて、米中双方に対して対立の緩和を働きかけていく、ここにこそアジアに生きる日本の生きる道があるというふうに思います。

 その上で、アメリカは、軍事面では同盟国と中国包囲網をつくろうとしております。岸田政権も、アメリカに歩調を合わせて敵基地攻撃能力を保有、しかも、それを集団的自衛権として行使ができると安保三文書に明記しました。中国の軍拡は懸念ですけれども、敵基地攻撃能力保有で対抗すれば、緊張を高め、軍拡競争に拍車をかけます。

 今日は、福田康夫元首相の言葉を御紹介したいと思います。「このままでは日本と中国が互いに軍備を強化しあわなければならない関係になってしまう。それで両国は幸せになれるのか、それで日本はやっていけるのか、」「我々のすべきことは、有事が起こらないよう米中双方に働きかけていくことだ。日本は米中双方に明確にものをいう立場にある。」私は大変正しいことを言っていると思いますよ。

 これは元総理から総理に向けたメッセージだと思いますけれども、どう受け止めますか。

岸田内閣総理大臣 まず、日中両国の間には、様々な可能性がある一方で、多くの課題や懸念が存在しています。同時に、日中両国は、地域の平和と繁栄、世界の平和と繁栄に対して大きな責任を有している、こうした二国間でもあると考えています。

 そして、日中両国の関係の安定は国際社会にとっても極めて重要であると考えており、我が国としては、引き続き、同盟国たる米国との強固な信頼関係の下、様々な対話と協力を進めつつ、中国に対しても大国としての責任を果たすよう働きかけを行う、こうした関係をつくっていかなければなりません。

 だからこそ、昨年十一月、日中首脳会談において、習近平国家主席との間に前向きなモメンタムを確認し、中国に対して、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案を含め、首脳間を始めとする対話をしっかり重ねて、共通の課題については協力する、建設的かつ安定的な関係を日中双方の努力で構築をしていく、こうした姿勢を中国に対して確認をした次第であります。

宮本(徹)委員 そういう日中間の前向きなモメンタムを壊していくのが、今、岸田政権がやっている大軍拡路線ではないのか。だから、福田元総理は、安保三文書を見て、これで本当に日中両国は幸せになれるのか、こういうことを私はおっしゃっているんだと思うんですよね。

 日本の四倍、中国はGDPがあるわけですよね。もし、軍拡競争、こういう愚かな道に突き進んでいったら、経済的にも財政的にももたなくなるのは日本なのははっきりしているんですよね。ですから、もうそういう道は私はやめるべきだと思います。

 その上で、やはり二〇〇八年、日中首脳会談で、互いを協力のパートナーとし、互いに脅威とならない、これを確認しているわけです。その後も繰り返し確認してきているわけですから、そこに立ち返った関係をしっかり築いていくことこそ必要なんじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 まず、委員御指摘のような、中国との間において軍拡競争をやるなどということは全く考えておりません。

 我が国が今、防衛力を抜本的に強化する、その基本的な考え方は、今、日本の置かれている複雑な、そして厳しい安全保障環境の中で、我が国の国民の命を本当に守り抜けるのかどうか、これを現実的にシミュレーションした上で防衛力の強化を考えているというのが基本的な考え方です。

 そして、それは全て、憲法、国際法、国内法の範囲内で行われるものです。非核三原則、専守防衛、こうした平和国家としての歩み、これはいささかも変わるものではないということであります。これについて、多くの国々から、我が国の取組を支持する、こうした前向きな反応をいただいている、こういったことであります。

 是非、国際社会に対して、我が国の防衛力の抜本的強化とはどういう意味があるのか、そして国際社会の平和と繁栄にどう影響するものなのか、これを丁寧に説明することが重要であり、そして、そうした国際社会の雰囲気の中で、中国と、それぞれ責任を果たすべく、対話を続けていくことが重要であると考えます。

宮本(徹)委員 中国との軍拡競争を考えてやっているんじゃないというふうに言いますけれども、実際は、安保三文書で一番初めに名指しをしているのは中国じゃありませんか。そして、敵基地攻撃能力を保有するということになっているわけですから、これは幾ら説明したって、中国は自分たちに向けてのものだというふうにしか感じないわけですよ。だから福田康夫元首相はこういう警告を発しているわけであります。

 本当に平和国家の歩みを続けるというんだったら、大軍拡はやらなければいいわけであります。私は、米中双方に軍縮を呼びかけていく、これこそ日本がやるべき仕事だと思いますよ。

 米中の覇権争いが激化する中で、双方が緊張を高める行動を取っております。昨年八月に中国が台湾周辺で大規模な軍事演習を行いましたが、発端はペロシ下院議長の台湾訪問でした。バイデン大統領も、台湾への軍事的関与を強め、一方的な現状変更を促すかのような発言まで行っております。

 総理、この地域で絶対に戦争を起こさせない、そのために、米中双方に対して緊張を高めるような行動はやめるように働きかける、そして平和的な話合いの環境をつくることに力を尽くすべきではありませんか。

岸田内閣総理大臣 インド太平洋そして東アジア地域における平和と安定のために、我が国は努力をしていかなければならない。そのために、外交努力がまず求められ、その裏づけとなる防衛力が求められるということで、これからの我が国の安全保障、外交を考えていかなければならないと思っています。

 是非、こうした考え方によって、地域の平和と安定を維持する、こうした取組を進めていくこと、周辺国にもしっかりと理解をしてもらうことが重要であると思います。

 そして、こうした同盟国、同志国との関係のみならず、周辺国から我が国のこうした安全保障に対する考え方を理解してもらうことが、中国を始め多くの国々から、我が国の安全保障に対する信頼を高めていくことにつながっていくと考えます。

宮本(徹)委員 台湾の事態をめぐって米中双方に物を言うべきだという私の問いにはお答えがないわけですけれども、外交をやるのに防衛力の裏づけがなきゃいけないなんというのは、こんな論理は私は全くないと思いますよ。砲艦外交をやるのかというような話であります。

 今月、沖縄で、台湾の識者を招いて、対話によって台湾有事の回避を目指すシンポジウムが開かれました。そこで台湾の国防安全研究院の研究者がこう述べられました。東アジアには、東南アジア諸国連合、ASEANのような組織がない。いつかは、そういった組織ができたら、紛争はなくなるのではないのか。これは国防安全研究院の研究者が述べられたわけですね。私もそう思います。後ろからもそうだという声が上がっておりますけれども。

 ASEAN諸国は、地域全体で友好協力条約を結び、もめごとがあっても戦争にしない平和の枠組みをつくっております。そして、ASEAN諸国は、この平和の枠組みを中国、日本など東アジア地域に広げようと、ASEANのインド太平洋構想というのを掲げております。

 総理、日本がやるべきは、中国包囲網の大軍拡を進めるのではなくて、ASEAN諸国と一緒になって東アジアに平和の共同体をつくる、この努力をすることなんじゃないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 今、国際秩序が揺るがされていると言われている中にあって、いわゆる中間国、グローバルサウスの国々をどのようにつなぎ止めるか、連携を深めていくか、こうした点が重要だということが指摘をされています。

 その中にあって、我が国においては、おっしゃるように、ASEAN諸国、東南アジアとの関係、これが重要であり、日本としてもASEANのこの考え方、ASEANアウトルック、AOIP、こうした考え方を一貫して強く支持をしております。

 こうした考え方については、累次にASEAN首脳、各国首脳と確認をしているのみならず、米国との間においても日米共同声明等において確認をしています。

 是非、ASEANとの関係、今年は日・ASEAN友好協力五十周年の節目であり、十二月には日・ASEAN特別首脳会議を東京で開催いたします。是非、我が国のFOIPの推進とASEANのAOIPの推進、これを積極的に進めていく、こういった外交姿勢を大事にしていきたい、このように思っています。

宮本(徹)委員 AOIPを支持するというふうにおっしゃるわけですけれども、口でそう言いながら、やっていることは全然違うわけですよね。

 AOIPというのは、中国も包摂した関係をつくろうと言っているわけですよ。総理がやっていることは、アメリカの中国包囲網づくりを一緒になって進めているということでございます。排除とか対立ではなくて、中国も含めた地域全体の平和の共同体づくりこそ真剣に努力すべきだと思います。

 そして何よりも、この予算でも議論になっておりますけれども、大軍拡、このお金があれば、どれだけの暮らしの支援ができるのかということですよ。今日も、プロパンガスの話も出ました、障害児の福祉への所得制限の撤廃の話もございました。あるいは年金財源、私は奪い取って軍拡に充てるのは問題だということも指摘してまいりましたけれども、大軍拡ではなくて暮らしこそ優先すべきだということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

根本委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。

 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 十一分という短い時間ですので、端的な答弁をお願いできればと思います。

 先週の、同僚の緒方議員に続いて、防衛三文書と財政の問題について質問をさせていただきますけれども、この間、国会で様々な議論がありましたけれども、どうも答弁が抽象的であったり、機密を理由にして具体的なことを語らなかったりということで、なかなか議論が深まっていないですし、国民の皆様方に理解できるようなものになっていないと思います。

 そこで冒頭、端的にお答えいただきたいんですけれども、国家防衛戦略の中では、ロシアがウクライナを侵略に至った軍事的な背景としては、ウクライナのロシアに対する防衛力が十分ではなく、ロシアによる侵略を思いとどまらせ、抑止できなかったこと、つまり、十分な能力を保有しなかったことにあると、ある意味上から目線で言っていますけれども、総理、この防衛三文書で、それに基づく予算措置によって、日本はウクライナのようにはならないと国民の皆さんに自信を持って言えますか。端的にお答えください。

岸田内閣総理大臣 我が国の安全保障政策は特定の国を念頭に置いたものではありませんが、我が国の今現実に置かれている複雑なそして厳しい安全保障環境の中で、国民の命や暮らしを守るためには何が必要なのか、これを一年近くにわたって現実的なシミュレーションを行ったその結果であると考えています。

 そのために、今必要な装備等について議論をし、防衛三文書を取りまとめた、こうした文書であると認識をしております。(発言する者あり)

福島委員 そうなんですよ、答えていないんです。具体論が何もないんですよ。

 防衛戦略では、脅威は能力と意思の組合せであると。意思は確かに分からない。しかし、能力というのはある程度は分かるんです。何度もシミュレーションをすると言っているけれども、そのシミュレーションは本庄議員に出した紙っぺら一枚だけで、何のシミュレーションも示されておりません。

 防衛戦略で「相手の能力と戦い方に着目して、我が国を防衛する能力をこれまで以上に抜本的に強化する」と言っております。では、この相手というのは誰で、その能力とか戦い方というのは、つまり、脅威の具体的になる要素はどのようなものと認識していますか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、特定の国や地域を想定したものではありませんが、ただ、我々も感じているように、近年、我が国周辺で、ミサイル関連技術あるいは運用能力、これが飛躍的に向上しています。質、量共にミサイル戦力が著しく増強する中で、既存のミサイル防衛網だけで完全に対応することは難しくなりつつある、こうした認識の下に、反撃能力等、様々な議論を進めたということであります。

 また、あわせて、情報戦を含むハイブリッド戦の展開、あるいは、宇宙、サイバー、電磁波領域、無人アセットを用いた非対称的な攻撃など、新しい戦い方も顕在化しています。

 こうした中にあって、防衛力の構築を考えてきた、これが三文書のありようであると考えます。

福島委員 恐らく、それじゃ全く国民の皆さんは分からないと思うんですよ。

 抑止力は何かというと、相手に力による一方的な現状変更は困難であると認識させる、抑止力なんです。要するに、相手が怖いと思わなきゃ駄目なんですよ。そのためには、相手の能力がどれぐらいであり、我々はそれを凌駕する能力があるよと示さなければ、抑止力にならないんですよ。そのために、前段の脅威とは何かが特定しなきゃ、今これから予算を講じる抑止力が、果たして相手に脅威を持たせるものかどうかなんて分からないから、この議論をしているんです。

 私は、今回の予算委員会で、このシミュレーションを出さなかったことをもって審議なんて進める必要もないと思っているんですよ。もっと野党の皆さんがしっかりすれば、精緻な議論が恐らくできたんですよ。私は非常に残念に思います。

 では、本質は何にあるか。時間が短いので急ぎますけれども、このパネル、これは、日本と米国と中国のGDPの伸びと防衛費の伸びを示しております。黒がアメリカ、赤が中国、青が日本で、黒線がGDP、点線が防衛費の予算であります。結局、これを見ると、日本だけ三十年間経済が停滞しているから、安全保障環境が厳しくなっているのであって、アメリカも中国も、GDPが伸び、それに合わせて防衛予算を増やしているんですよ。

 この国家安全保障戦略の中で、国力とは総合的なものであると言っています。結局、我が国にとっての一番の危機というのは、この経済的な停滞が一番の安全保障上の危機なんじゃないですか。

 そうした中で、今回の防衛三文書を実現するための予算の枠組みというのが示されております。これは財務省が示したものでありますけれども、この赤で囲ったところ、これを、五年間で四十三兆円の予算措置を講じなければなりません。

 下の黒い枠のところは、これまでの既存の予算額です。今年は、既存の令和四年の五・二兆円に対して六・六兆円まで伸ばす、つまり一・四兆円新しい財源が必要となる。それについては、無駄遣いの削減で出たのは僅か〇・二一兆円、二千百億円です。あとは、この黄色い部分が一・二兆円。これは何かといえば、防衛力強化資金ということで、先ほど来議論になっております外為特会とか財投特会とか、コロナ予算の国庫返納、国有財産の売却などで三・四兆円のお金を出して、それのうちの一・二兆円を費やして六・六兆円にしております。

 最終的に、この四十三兆円というのは、これは、赤枠の面積全てが四十三兆円で賄われなければ、赤の、税で賄わなきゃならないんですね。

 これを見ると、さも、下のオレンジの部分の無駄遣いが最後一兆円までなると言っていますけれども、そんなに出てこないと思いますよ。皆さん、悪夢の民主党政権と言っているけれども、民主党政権と同じようなことをやろうとしているんですよ。

 あとは、決算剰余金の活用。これは、〇・七兆円程度は、毎年確かに金利を高く見積もって予算を作りますから出てくるのですから、これは出てくるでしょう。

 でも、この肝腎なのは黄色い部分です。外為特会からの繰入金は、令和四年度の決算を行えば、それは出てきます。でも、なぜか今年度、令和五年度、まだ予算すら成立していない部分の繰入金まで入れているんですよ。財投特会の繰入金はもうほぼ底が尽きて、ないということを先日財務省の方は我々の会派のヒアリングで言っていました。国有財産の売却は、戦争中、着物を売って買い出しに行くような、それと同じ話ですよね。つまり、それでもうほぼ出尽くしちゃっているんです、これから財源を頑張って出すと言うけれども。

 しかも、これらの財源は今まで何に使っていたか。補正予算を編成するときに、こうした外為特会とか、あるいは決算剰余金というのを使って補正予算を編成していたんです。この五年間に何が起きるか分かりません。リーマン・ショック、大震災、コロナのような疫病発生、そのときにこのお金を使って対策をやっていたのに、その財源すらも使ってしまったら、いわゆる財政のレジリエンスがなくなってしまう。いざというときに使うお金がない、この国は戦う前に負けてしまう、そうしたことになりかねないことを今回やっているんですね。

 さらに、その足りない分を増税すれば、ただでさえ今物価高で困っているときに、三十年間停滞した経済の停滞が続くことが、更に私はこの国の国力を低下することになって、ひいては総合的な日本の安全保障環境が悪化することになるんですよ。

 つまり、何の財源で賄うかというのはトレードオフなんですよ。軍事に使うのか経済を伸ばすことに使うのか、総合的な国力を考えて組むべきものを、今回、四十三兆円ありきで、GDP二%ありきで、逆に国力を弱らせることにつながりかねないと私は思います。

 富国強兵と言いますけれども、富国なくして強兵はないんですよ。そうした総合的な国力に立った安全保障の議論をすべきだと考えますけれども、どうですか。

岸田内閣総理大臣 総合的な観点から安全保障を考えるべきである、まさに安保三文書の中に記載された内容のとおりであります。

 そして、もう財源は出てこないという御指摘がありました。先ほど他党からは、財源はもっと出てくるから増税は要らないという議論もありました。しかし、その中にあって、政府としては、令和九年度以降の安定財源の中で、四分の三は間違いなく政府が責任を持ってしっかりと行財政改革等において財源を確保していく、こうしたことを申し上げております。その上で、この四分の一について国民の皆さんの御協力をお願いしている、こうしたことであります。

 そして、こうした防衛力の強化、これは、日本の経済の再生、諦めたなどということは全く申し上げておりません。昨年来、GXやDXや、そして新しい資本主義、賃上げをこの春の最優先課題として取り組むなど、経済の好循環を実現しようということで、経済再生の取組、これはしっかりと並行して取組は進めてまいります。

 こうした経済も含めて総合的な国力を考えていく、これが総合的な安全保障の考え方であると認識をしておりますし、政府はその考え方に基づいて取組を進めております。

福島委員 もう三十年間経済が伸びていないことを、私はまずは、長い間政権を担った身として、真摯に反省すべきであると思います。

 最後に申し上げますけれども、戦前戦後を通じて、政治の世界や経済界で活躍した永野護さん、総理も御存じかと思います。広島県出身、六人の兄弟で、全員が経営者や国会議員を務められたという方がいます。その方が、戦争に負けた九月に広島で、原爆が落ちた直後で行った講演を基にしたこの「敗戦真相記」という本があります。その中にこう書いてあります。

 聞くところによると、アメリカのニュース劇場で東京空襲の映画を上映するときに、日本なら空襲何々隊とつけるべきところ、そんな題はつけないで、科学なき者の最後という表題を付しているということです。ああ、科学なき者の最後、アメリカは最初から日本のことをそう見ており、まさにそのとおりの結果になったと言い得ましょうと。

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますから、おまとめください。

福島委員 はい。もうちょっとお願いします。

 科学兵器の差というのは目に見えるから皆納得するが、目に見えないでもっと戦局に影響を及ぼしたのはマネジメントの差です。残念ながら我が方は、いわゆるサイエンティフィックマネジメントというものがほとんどゼロに等しかったと。しかも我々の反省すべきことは、この科学なき者の痛罵が……

根本委員長 おまとめください。

福島委員 単に科学兵器や経営能力に対して言われるばかりでなく、実に軍をあれほどまで横暴にさせた日本の政治の根本的な仕組みにあるということをおっしゃっています。

 是非これを読んでください。広島の方のです。今の、この防衛三文書の決定は、大きくこの国の将来を左右します。

根本委員長 おまとめください。

福島委員 はい。

 是非、科学的に政策を考える、そのことをお願い申し上げまして、質問とさせていただきます。

 ありがとうございます。

根本委員長 これにて福島君の質疑は終了いたしました。

 次に、大石あきこ君。

大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。

 今国会で予算案が、審議が大詰めだというんですけれども、結局、何も変える気がなくないですか。

 時間がないので、質問します。

 パネルの一です。

 先日、二月十六日、予算委員会中央公聴会で、公述人として京都大学の柴田准教授が、二〇二五年までに本気の少子化対策が必要だ、これは最後のチャンスなんだと言いました。二〇三〇年代に出生率を上げるんだ、その対策は、安定した雇用、子育てする大人に時間とお金に余裕が要るんだ、例えば保育士のお給料を大幅に上げる、例えば奨学金やローンを背負わず教育を受けられる、そんな制度を最低五年くらいやって、安心して産めると若い世代に思ってもらうんだ、そのために、お金が追加で九兆円前後必要になると計算されていました。

 岸田総理は、子供予算について、防衛費との関係において取組が見劣りするわけではないという趣旨で、支出ボリュームをGDP比二%を四%に、いや、その発言は取り消しなんだと迷走しているようなんですけれども、そうじゃなくて、国民のために何をやるか、大事なことはそこではないですか。

 岸田総理、この中央公聴会での具体的な対案の公述を受けて、少子化対策の原点に立ち返り、予算案を見直されますか。イエスかノーかでお答えください。

岸田内閣総理大臣 子供、子育て政策は、最大の未来への投資であると考えています。だからこそ、本格的に子供、子育て政策、異次元の政策を進めたいということを申し上げ、今、政策の整理を行っているということであります。

 予算案ということについては、これから取り組む政策の前段階として幾つも政策を盛り込ませていただいていますが、それはそれで重要であります。しかし、これは、骨太の方針、来年以降に向けてパッケージでしっかり示していく、これが重要であると思いますし、社会の雰囲気を変えていくことと併せて、この政策をしっかりと国民の前に示していきたいと考えております。

大石委員 つまり、ノーということみたいなんですよね。抽象的にいろいろ言われても、見直さないなら、これは何のための公聴会なのか、この場もそうですけれども。公聴会の場でも、自民と公明党の委員も熱心に聞くふりをしていたんですよ。予算案を通すためのただの儀式、時間潰しですか。

 次に行きます。

 維新府政が進める大阪のカジノも、岸田総理、絶対に承認してはなりません。

 パネル三を御覧ください。

 夢洲の大阪カジノ誘致をめぐって問題が多発しています。四つにまとめました。

 不動産鑑定の違法性の疑いが出ています。収支計画の根幹が揺らいでいます。一月には住民が監査請求、二月には大阪市の議会で問題が指摘されています。これは、IRを含まない鑑定というものに瑕疵があったんだという指摘です。

 二つ目。大阪府の土壌対策の方針がいまだに決まらない中で、国に承認をただ迫るという異常な状態です。去年七月には市民が提訴、市側は、三月末まで意見表明できないと内容を隠匿しております。大阪府は、土壌対策会議を昨年十二月に開いたんですけれども、対策は引き続き検討ということで、すなわち、対策は未定と。ちなみに、議事概要は公開されておりません。

 三つ目。大阪カジノ承認の必須項目、住民合意は全くありません。住民による住民投票請求、監査請求、訴訟がやまない状況。見るに見かねてか、自民党の府議団が住民投票条例案を提出するという二月議会の動きになっています。

 四つ目。世界のカジノはオンラインに移行しており、過大な来場見込み、年間一千六百万人はあり得ない。これは元々あり得ないんですが、夢洲の隣にあります人気施設USJ、これは年間一千万人を超すのも非常に苦労されています。なので、元々あり得ない見込み。そしてインテックス大阪、これは夢洲のまた隣にある、MICEみたいなものなんですけれども、このインテックス大阪の三分の一のMICEしかない。国際競争力はないどころか、隣のインテックス大阪との競争力すらない。(発言する者あり)具体的事実ですよ。あり得ない。このような惨状。

 岸田総理、承認は余りにもあり得ませんとお伝えして、時間がないので、次に行きます。

 防衛費増額について、パネルの二です。

 二月十六日、中央公聴会での、拓殖大学の川上教授に私の方が質問をしました。バイデン政権は、アメリカと中国の対立が民主主義バーサス専制政治と位置づけている、でも、これは川上教授はフィクションと考えていますか、そのように質問したんです。次のようにお答えになりました。アメリカが自分の覇権体制を逃さないために必死になって同盟国の力を使いながら、自分の力が落ちたので、そのフィクションを守ろうとしているのだと。

 自民党政権やマスコミによって、今、中国脅威論があおられ、これは正義の戦争準備なんだ、日本国民を守るために必要なんだとの世論がつくられている。でも、防衛費増額に賛成する為政者や学者は、これはフィクションだ、作り話だと知って、資本家の利益の最大化を図る。そんな不誠実な構図の中で、アメリカの言い値で武器を買うような防衛費増額が正当化されるのは許されません。戦争に突入したら、国内経済、国民生活はぼろぼろになるだけです。

 れいわ新選組は、積極財政を唱え、国に財源はあるとしていますが、財源とは国内供給力のことにほかなりません。戦争経済はこの供給力を致命的に奪います。

 かつての日本でもそうです。戦費調達は予算全体の七割、特会で八割に上り、アメリカ、イギリス、ドイツは多くても五割程度。一たび台湾海峡をめぐって米中が激突することになれば、日本はその戦争に巻き込まれ、戻れない戦争経済に突入します。

 岸田総理、アメリカの覇権を守るためのフィクションに日本がつき合うのは許されません。防衛費増額はやめてください。いかがですか。

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますから、答弁は簡潔にお願いします。

岸田内閣総理大臣 はい。

 日本がアメリカのフィクションを守るために取組を進めているという御指摘は全く当たりません。

 我が国としては、インド太平洋、そして東アジア、日米豪印を始め様々な枠組みを通じて、法の支配や自由や民主主義、人権といった基本的な価値を共有する国々との間において平和と繁栄を維持していこう、こういった外交を進めているところであります。

 そして、我が国の防衛力強化、これは何よりも、我が国そして日米同盟を始めとする関係国との間で抑止力、対処力を強化するため、すなわち、日本に対して武力攻撃をちゅうちょさせるために抑止力、対処力を強化する、こうした考え方に基づいて強化を考えている、こうした取組であります。

大石委員 れいわ新選組は、暴走する為政者のフィクションを暴き、徹底抗戦します。

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますから。

大石委員 終わります。

根本委員長 これにて大石君の質疑は終了いたしました。

 各大臣は御退席いただいて結構でございます。

    ―――――――――――――

根本委員長 この際、各分科会主査から、それぞれの分科会における審査の報告を求めます。

 第一分科会主査牧島かれん君。

牧島委員 第一分科会について御報告申し上げます。

 その詳細につきましては会議録に譲ることとし、ここでは主な質疑事項について申し上げます。

 まず、皇室費については、皇族の減少問題、

 次に、内閣所管については、アイヌ政策推進交付金の継続及び拡大の必要性、三権分立の定義、

 次に、内閣府所管については、子供の安全に向けた取組、企業主導型保育事業の運営上の課題、防災、防犯分野におけるライブカメラの活用、

 次に、デジタル庁所管については、モバイルOSに関する競争政策、インボイス登録番号の利活用、

 次に、防衛省所管については、我が国領空に侵入した偵察気球への対応、保有を計画している反撃能力の範囲、自衛隊におけるいじめ及びハラスメント問題等であります。

 以上、御報告申し上げます。

根本委員長 第二分科会主査熊田裕通君。

熊田委員 第二分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、総務省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、ふるさと納税制度の課題、特別交付税の適正化、透明化、マイナンバーカードの在り方、サイバーセキュリティーの強化、地域公共交通確保維持改善事業費補助金を算定する際の単価の地域間格差、安保三文書の目的と国民保護、地方公共団体情報システムの標準化、共通化に対する支援拡大の必要性等であります。

 以上、御報告申し上げます。

根本委員長 第三分科会主査中山展宏君。

中山委員 第三分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、法務省、外務省及び財務省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、出入国管理及び難民認定法の改正の方向性、危険運転致死傷罪の見直し、G7広島サミットに向けた決意、台湾有事の際の我が国の対応、国連安保理改革に向けた取組、予備費の計上金額の積算の在り方、異次元の金融緩和の総括等であります。

 以上、御報告申し上げます。

根本委員長 第四分科会主査三谷英弘君。

三谷委員 第四分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、文部科学省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、教職員の働き方改革及び処遇の改善、児童の不登校やいじめ問題への対応、給付型奨学金等、高等教育の修学支援制度、社会的要請に応じた大学教育の改革、デジタル人材の育成、文化庁の京都移転、障害者スポーツの振興及び二〇二五年デフリンピック東京大会の開催等であります。

 以上、御報告申し上げます。

根本委員長 第五分科会主査牧原秀樹君。

牧原委員 第五分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、厚生労働省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、医療的ケア児者、その家族に対する支援、障害児福祉における所得制限の在り方、サウナに関する課題及び各省連携の必要性、未就学児童の入院中の付添いの課題及び対応、黒い雨などによる被爆者救済に用いられる認定基準の妥当性、物価上昇を踏まえた最低賃金引上げの必要性、戦没者遺骨収集事業の加速化のための方策等であります。

 以上、御報告申し上げます。

根本委員長 第六分科会主査堀井学君。

堀井委員 第六分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、農林水産省及び環境省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、食料安全保障に対する今後の具体的な取組、牛乳・乳製品の消費拡大策、恒常的な肥料価格高騰対策の必要性、鳥インフルエンザ被害に対する支援策、地域脱炭素の取組に向けた支援の必要性、都市にある緑地の意義及び役割、農地利活用の在り方、原子力発電所の運転期間延長の在り方等であります。

 以上、御報告申し上げます。

根本委員長 第七分科会主査小林鷹之君。

小林(鷹)委員 第七分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、経済産業省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、中長期的な半導体産業政策、自動車産業の構造転換を踏まえた支援の在り方、スタートアップの育成、リスキリング、リカレント教育の推進、電力及びガス料金高騰対策、電力安定供給に向けた制度の再構築、原子力政策における諸課題等であります。

 以上、御報告申し上げます。

根本委員長 第八分科会主査赤羽一嘉君。

赤羽委員 第八分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、国土交通省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、我が国の港湾行政の在り方、低所得者向け住宅を確保する方策、国土交通分野におけるGXの目標、空き家予防策としての住まいの終活問題への対応、津波避難タワーの現状と課題、北陸新幹線延伸計画の採算性、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策の期間延長の必要性、東京外郭環状道路陥没事故の諸課題等でございます。

 以上、御報告申し上げます。

根本委員長 以上をもちまして各分科会主査の報告は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十分散会


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