衆議院

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第14号 令和5年2月27日(月曜日)

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令和五年二月二十七日(月曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 小林 鷹之君 理事 中山 展宏君

   理事 古川 禎久君 理事 堀井  学君

   理事 牧原 秀樹君 理事 逢坂 誠二君

   理事 後藤 祐一君 理事 青柳 仁士君

   理事 赤羽 一嘉君

      伊東 良孝君    伊藤 達也君

      石川 昭政君    石破  茂君

      今村 雅弘君    岩屋  毅君

      衛藤征士郎君    小渕 優子君

      大岡 敏孝君    奥野 信亮君

      亀岡 偉民君    熊田 裕通君

      小泉 龍司君    下村 博文君

      杉田 水脈君    鈴木 隼人君

      瀬戸 隆一君    田中 和徳君

      津島  淳君    辻  清人君

      土屋 品子君    古屋 圭司君

      牧島かれん君    松島みどり君

      三谷 英弘君    宮下 一郎君

      八木 哲也君    山口  晋君

      山本 有二君    鷲尾英一郎君

      荒井  優君    梅谷  守君

      大西 健介君    源馬謙太郎君

      神津たけし君    長妻  昭君

      西村智奈美君    藤岡 隆雄君

      本庄 知史君    森山 浩行君

      山岸 一生君    吉田はるみ君

      渡辺  創君    阿部  司君

      池下  卓君    池畑浩太朗君

      早坂  敦君    堀場 幸子君

      掘井 健智君    伊藤  渉君

      庄子 賢一君    中野 洋昌君

      鰐淵 洋子君  斎藤アレックス君

      長友 慎治君    宮本  徹君

      緒方林太郎君    仁木 博文君

      櫛渕 万里君    たがや 亮君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   法務大臣         齋藤  健君

   外務大臣         林  芳正君

   財務大臣         鈴木 俊一君

   文部科学大臣       永岡 桂子君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   農林水産大臣       野村 哲郎君

   経済産業大臣       西村 康稔君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   国務大臣

   (少子化対策担当)    小倉 將信君

   国務大臣

   (新型コロナ対策・健康危機管理担当)       後藤 茂之君

   内閣官房副長官      木原 誠二君

   財務副大臣        井上 貴博君

   政府参考人

   (内閣官房就職氷河期世代支援推進室次長)     吉岡 秀弥君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    松下 裕子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 石月 英雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 林   誠君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河邉 賢裕君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           藤原 朋子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    辺見  聡君

   政府参考人

   (厚生労働省人材開発統括官)           奈尾 基弘君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 中村 博治君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  村井 正親君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官)  鶴田 浩久君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局長)        長橋 和久君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  塩見 英之君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  上原  淳君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 堀内丈太郎君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十七日

 辞任         補欠選任

  伊藤 達也君     津島  淳君

  大岡 敏孝君     杉田 水脈君

  鈴木 隼人君     小渕 優子君

  平沢 勝栄君     松島みどり君

  古屋 圭司君     石川 昭政君

  三谷 英弘君     山口  晋君

  藤岡 隆雄君     荒井  優君

  吉田はるみ君     山岸 一生君

  渡辺  創君     長妻  昭君

  阿部  司君     池下  卓君

  掘井 健智君     早坂  敦君

  中野 洋昌君     伊藤  渉君

  斎藤アレックス君   長友 慎治君

  緒方林太郎君     仁木 博文君

  櫛渕 万里君     たがや 亮君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     古屋 圭司君

  小渕 優子君     鈴木 隼人君

  杉田 水脈君     瀬戸 隆一君

  津島  淳君     伊藤 達也君

  松島みどり君     小泉 龍司君

  山口  晋君     三谷 英弘君

  荒井  優君     神津たけし君

  長妻  昭君     渡辺  創君

  山岸 一生君     吉田はるみ君

  池下  卓君     堀場 幸子君

  早坂  敦君     掘井 健智君

  伊藤  渉君     中野 洋昌君

  長友 慎治君     斎藤アレックス君

  仁木 博文君     緒方林太郎君

  たがや 亮君     櫛渕 万里君

同日

 辞任         補欠選任

  小泉 龍司君     伊東 良孝君

  瀬戸 隆一君     大岡 敏孝君

  神津たけし君     梅谷  守君

  堀場 幸子君     阿部  司君

同日

 辞任         補欠選任

  伊東 良孝君     平沢 勝栄君

  梅谷  守君     藤岡 隆雄君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和五年度一般会計予算

 令和五年度特別会計予算

 令和五年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 令和五年度一般会計予算、令和五年度特別会計予算、令和五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房就職氷河期世代支援推進室次長吉岡秀弥君、法務省刑事局長松下裕子君、外務省大臣官房審議官石月英雄君、外務省大臣官房参事官林誠君、外務省北米局長河邉賢裕君、厚生労働省健康局長佐原康之君、厚生労働省職業安定局長田中誠二君、厚生労働省子ども家庭局長藤原朋子君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長辺見聡君、厚生労働省人材開発統括官奈尾基弘君、厚生労働省政策統括官中村博治君、農林水産省経営局長村井正親君、国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官鶴田浩久君、国土交通省不動産・建設経済局長長橋和久君、国土交通省住宅局長塩見英之君、国土交通省鉄道局長上原淳君、国土交通省自動車局長堀内丈太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 本日は、外交・防衛及び少子化対策など内外の諸情勢についての集中審議を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小渕優子君。

小渕委員 自由民主党の小渕優子でございます。

 予算委員会も大詰めとなってきております。そのような貴重な機会に質疑をさせていただきますことを感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 限られた時間でありますので、早速質問に入らせていただきます。

 まず、賃上げについて伺いたいと思います。

 昨年二月のロシアによるウクライナ侵攻以降、急激な物価上昇が続いています。

 私は、自由民主党で組織運動本部長をしております。日頃から、我が党に友好的な団体、五百四十三ほどの団体と意見交換をさせていただきます。先日、総理にも、各種団体協議会、御出席をいただきまして、ありがとうございました。そのような意見交換の場で、この物価高、エネルギー高騰についていろいろと、大変だ、苦労が多い、厳しいよというようなお声を日頃から聞いているところであります。

 現在、春闘が行われておりまして、大企業の中にはもう一歩を踏み込んで大幅な賃上げを表明している企業も出てきています。一方、働く人の七割を占める中小企業は、元々経営体力が弱い上に物価高によるコスト増で利益が圧迫されており、賃上げの余力がないとの声が聞かれています。また、非正規雇用が働く人の四割にも達する中で、こうした人たちが取り残されるのではないかという不安の声があります。

 しかし、長年の賃金の停滞から脱却をして賃上げを実現していくということは、これは不可欠なことであると考えます。賃上げを大企業のみならず中小企業や非正規に波及をさせることが重要です。

 政府におかれましては、様々な取組を行っていると承知をしておりますが、中小企業、非正規雇用の方々の声、どのように酌み上げていかれるのか、そして、現在取り組まれていることにつきまして、その効果、成果はどのくらい上がっているのか、厚生労働大臣からお伺いいたします。

加藤国務大臣 中小企業の賃上げに向けて、生産性向上を図りながら、それぞれの中小企業が賃上げをできる環境をつくっていくということが大事だと考えております。

 例えば、業務改善助成金、これの拡充を昨年十二月から行いました。その結果、前年同期と比べますと二倍以上の申請数になるなど、中小企業の賃上げにも一層寄与しているものと考えております。

 また、非正規の皆さん方の賃上げについては、最低賃金をできるだけ早期に全国加重平均千円以上になることを目指して取り組むことに加えて、労働基準監督署と労働局が連携して、同一労働同一賃金、これの徹底を図りたいと考えており、既に昨年十二月からそうした取組を進め、今後更に強化をしていきたいと考えています。

 また、キャリアアップ助成金においては、事業主が行う非正規雇用労働者の賃金の引上げ、あるいは正社員転換の取組を支援をしているところであります。昨年の四月から今年の一月までにおいては、一・四万人の方の賃金の引上げ、また八・七万人の方の正社員化に結びついているというふうに考えております。

 引き続き、こうした制度のPRを図りながら、より、中小企業に賃上げ、あるいは非正規雇用の皆さん方も含めた賃上げがしっかり進んでいけるように徹底をしていきたいと考えています。

小渕委員 ありがとうございました。

 やはり、中小企業、非正規雇用の方々の賃上げ、これが大変大事だと思っております。引き続きしっかり後押しをしていただきたいと思います。

 賃上げを実現する上でもう一つの課題は、男女の賃金格差の解消です。

 こちらのパネルを御覧ください。

 日本の男女賃金格差は、フルタイムだけを見ても、男性を一〇〇とすると女性が七七・五でありまして、G7諸国ではこれは最低であります。男女賃金格差の大きな要因の一つは、相対的に賃金水準の低い非正規雇用における女性の比率の高さとも言われています。現在、非正規雇用の中で女性の占める割合は七割になっています。

 次のパネルを御覧ください。

 総務省の労働力調査によりますと、非正規で働く方に、何で非正規を選んだんですかと聞くと、都合のよい時間に働きたいから、あるいは、家事、育児、介護等と両立をしやすいからという答えが返ってきます。特に、この部分、家事、育児等というところに注目をしていただきたいのですけれども、男性は一・三%に比べて女性は一六・二%と、十二倍にもなっています。

 女性は働きやすさの観点から積極的に非正規を選んでいると指摘をする方もおられるんですが、確かにそういった希望をされる方もいらっしゃるかと思います。しかし、本当は正社員として働きたいが、長時間労働や転勤などという今の正社員の働き方では家事や育児を両立できないために非正規を選ばざるを得ないという方も多いのではないでしょうか。なので、このデータの裏側にある声というものにも、しっかりその気持ちを酌み取るということが大事ではないかと考えます。

 正社員の長時間労働について、これは今後しっかり見直していくということ、そして、これも当然でありますが、家事、育児、介護というものは女性だけが担うものではないということはしっかり指摘をしておきたいと思いますが、その上で、勤務時間や働く場所など、働き方の柔軟性を高め、正社員でも無理なく働けるようになれば、これは女性の選択肢が広がっていきます。希望する人が正社員になることができることで、男女の賃金格差の解消につながります。

 安定した収入、そして柔軟な働き方、これが得られれば、おのずと子供を持つハードルも下がってくるのではないかと考えますと、賃上げ、これと働き方と少子化対策、これは相互に関係してくるものと思います。物価高で苦しむ今だからこそ、全ての人にとって賃金が上がり働きやすい環境をつくること、これは待ったなしであります。

 是非、総理にお伺いをしたいと思います。こうした点につきまして、是非、政労使会議を開催をしていただきまして、この政労使会議の場で、労働の質の向上、賃上げはもちろんですけれども、労働の質の向上、そうしたことにも突っ込んだ議論をしていただきたいと思いますが、賃上げに向けての総理の御決意をお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、賃上げは新しい資本主義の最重要課題であると申し上げております。まずは、この春の賃金交渉に向け、物価上昇を超える賃上げに取り組んでいただくべく、政策を総動員して、そして環境整備に取り組みます。

 これから春闘のピークを迎えるに当たりまして、既に大企業を中心に賃上げの力強い動きが出てきていると承知をしていますが、今後、御指摘のように、中小企業あるいは地方の春闘が本格化してくる中で、これらの企業にも波及させていくことが重要であると考えています。

 政府としても、今御提案がありました政労使での会議を含め、労使とのコミュニケーション、これを取りながら、賃上げの動きを経済全体に広げるべく具体的に調整してまいりたいと思っています。

 また、誰もがいつでもどこでも希望する働き方を選択できるよう働き方改革に取り組むことは、日本経済あるいは社会の多様性を担保するために重要でありますが、あわせて、子供、子育て政策を進める上でもこれは重要な課題であると認識をいたします。

 今後の労使を交えた議論において、働き方改革についても是非御意見を伺いたいと考えています。

小渕委員 ありがとうございます。総理から大変力強い御答弁をいただきました。しっかり、最優先課題であります賃上げについて、また働き方改革につきまして、私自身も全力で取り組みたいと考えております。

 話題は大きく変わりまして、日中関係について質問させていただきます。

 昨年は日中国交正常化五十年という節目の年であり、本年は日中平和友好条約の締結から四十五年であります。まさに今、日中関係も半世紀に一度と言えるような岐路に立っているのではないかと考えています。

 まず、日中間の経済のつながり、またコロナ前の人的な交流、これを見ますと、本当にかつてないほどの緊密化を見せています。しかし一方で、日中関係が直面する課題と懸案、これもこれまでにないほど際立っています。また、日中を支える民意の基礎、これは極めて脆弱でありまして、例えば中国によくないという印象を持っている人は九割に達しています。

 また、国際環境に目を転じると、米中関係の緊迫、北朝鮮情勢、ウクライナ情勢など、日中関係を取り巻く状況というものは激変をしています。こうした中、尖閣を含む東シナ海情勢は悪化の一途をたどっており、日本周辺での中国による軍事的活動も活発化をしてきています。当然ながら、我が国として毅然とした対応をしていく必要があります。

 他方、同時に、意図しないエスカレーションによって現場や日中関係全体のコントロールを失うような事態は、これは回避をしていかなければなりません。

 大変難しいかじ取りが必要になってくると思いますが、こうしたことをどのように確保していくのか、外務大臣の見解をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 今、小渕委員からお話がありましたように、日中両国間は、隣国であるがゆえに様々な問題があるわけでございます。尖閣諸島をめぐる情勢を含む東シナ海等における力による一方的な現状変更の試み、またロシアとの連携を含む中国の我が国周辺での軍事活動の活発化等は、日本を含む地域と国際社会の安全保障上の深刻な懸念事項であるわけでございます。

 こうした課題また懸案について主張すべきは主張していくとともに、課題や懸案があるからこそ率直な対話を重ねていくということが重要であると考えております。

 日中間でも昨年十一月に首脳会談が行われまして、安全保障分野における意思疎通の強化で一致してきております。私自身も、二月二日に秦剛外交部長との電話会談、また、先般ミュンヘンで行われました王毅外事工作委員会弁公室主任との会談でも、日中間の課題、懸案について我が国の立場を明確に伝えたところでございます。

 こうした中で、二十二日でございますが、四年ぶりに日中安保対話が開催をされまして、日中防衛当局間における海空連絡メカニズムの下での日中防衛当局間ホットラインにつきまして、本年春頃の運用開始に向けて引き続き日中両国で調整していくこと、そして、日中間の様々な対話の枠組みを重層的に活用して、安全保障分野における日中間の意思疎通を継続、強化していくということで一致をしたところでございます。

 今後とも、首脳、外相レベルを含むあらゆるレベルで、不測の事態を回避するため、中国側との意思疎通を緊密に行いまして、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めてまいりたいと思っております。

小渕委員 ありがとうございます。

 大事なことは、その場その場の感情論になるのではなく、日本にとっての国益を考え、長期的な国益を冷静に、かつ戦略的に考えつつ日中関係を構築していくことではないかと思います。外務大臣には引き続きリーダーシップを取っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 続きまして、経済と人的交流について伺いたいと思います。

 現在、日本にとって中国は最大の貿易相手国であり、中国には約三万一千件の日本企業の拠点があります。これは米国の約三・五倍になります。日中の経済関係がもう既に深く絡み合う中で、日中経済関係を適切な形で拡大をさせていくこと、更に言えば、日本経済が中国にとって不可欠の存在であり続けることは、日本の中国に対する戦略的な強みとなるものであり、日本の経済安全保障を強化するものであります。

 現在、中国では、多くの日本企業の方々がまさに最前線で戦っておられます。これらの方々を適切な形で支援していくことも大変重要なことであると考えます。

 また、日中間の人的交流、こちらも大切だと考えます。新型コロナウイルス前は、年間で千百万人の方々が訪日をされていました。インバウンドによりまして、日本全体、特に地方は経済的に潤うというだけでなく、中国の方々の対日観を変える意味で、これは大きな戦略的意義があったかと思います。ただ、新型コロナにより、こうした人的交流が大幅に縮小をしています。

 しかし、私は、今年こそ、この交流を再スタートさせるチャンスではないかと思っています。私は今、日中友好議員連盟のメンバーの一人であります。議員交流、議員外交はもちろんのことでありますけれども、青少年交流、地方同士の交流、あるいは文化、スポーツの交流、そうした交流を今年加速していく必要があると考えます。

 経済の分野、人的交流、これを進めていくことは、国益の観点から日中関係を考えたときに不可欠であり、極めて重要であると考えますが、外務大臣の見解をお伺いいたします。

林国務大臣 今お話がありましたように、中国は日本にとって最大の貿易相手国でありまして、日本企業による対中投資、これは極めて多く、今お話がありましたように、中国進出の日本企業拠点数、二〇二一年時点ですが、三万拠点以上と、国別の海外拠点数としては圧倒的に多数でございます。

 昨年十一月の日中首脳会談で、岸田総理と習近平国家主席との間で、経済の具体的分野で協力を後押ししていくことで一致をいたしました。同時に、岸田総理から、そのために透明、予見可能かつ公平なビジネス環境の確保、これを通じまして日本企業の正当なビジネス活動、これが保障されることが重要である旨、述べたところでございます。

 二月二日の秦剛外交部長との電話会談においても、私から、中国側の適切な対応を改めて強く要請をしたところでございます。

 こうした中、二十二日に日中経済パートナーシップ協議、これも開催をいたしました。

 また、私が議長を務める日中ハイレベル経済対話及び日中ハイレベル人的・文化交流対話の早期開催に向けて日中首脳間で一致をしておりまして、そうした対話等の機会を通じまして、中国との経済関係、これを日本全体の国益に資するような形で、対話と実務協力を適切な形で進めていく考えでございます。

 人的交流ですが、今お話がありましたように、新型コロナウイルス感染症の影響で訪日中国人数は減少したわけでございますが、昨年十一月の日中首脳会談で一致をいたしましたとおり、青少年を含む両国の国民交流、これを再活性化させていくために引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

小渕委員 ありがとうございました。

 林大臣もそう遠くない時期に訪中をされるのかなと承知をしております。いろいろな交流また経済の発展、そうしたものをしっかり後押しをしていかなければならないと考えております。

 最後に、総理にお伺いをしたいと思います。

 先ほど私は、日中関係についてはまさに半世紀に一度という岐路に立っていると申し上げましたが、同時に、日中関係はその時代その時代で常に大きな困難に直面をしてきた、そういう意味では、そのこと自体は実は何ら新しいものではないと考えます。

 日中両国は、制度も国情も異なる隣国であり、つき合い方が難しいということは当然のことであり、これまでもずっとそうであったかと思います。そうした中で、先人たちは、戦略的な視野と政治的な勇気を持って、果敢にリスクを取りながら、二か国関係を理性的かつ戦略的にマネージしてきました。総理が現在唱える建設的かつ安定的な関係の構築という方針も、こうした先人たちの努力の積み重ねの上にあるものと考えます。

 その上で、昨年十一月の初の対面となったバンコクでの日中首脳会談では、日中関係全体に前向きなモメンタムをつくり出されました。そのような中で、総理の日中関係に対する今後の全般的な戦略方針につきまして、改めてお伺いをしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、日中両国は、委員が御指摘のように、様々な可能性がある一方で、数多くの課題あるいは懸案に直面している、このように感じています。同時に、国際社会の変化の中で、日中両国、これは、地域そして世界の平和と繁栄に対して大きな責任も有する、こうした二つの国であると思っています。

 昨年十一月の習近平国家主席との日中首脳会談では前向きなモメンタムが得られたものと考えておりますが、今後は、このモメンタムを維持しながら、主張すべきは主張し、そして責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案を含め、首脳間を始めとする対話をしっかり重ねていきたいと思います。そして、共通の課題については協力も考えていく、こうした建設的かつ安定的な関係を構築していきたいと思います。こうした関係を日中双方の努力によって構築していくことが重要であると考えています。

小渕委員 ありがとうございました。

 日中関係は、本当に、粘り強く、忍耐強くやっていかなければならないことだと思います。次の世代にしっかり平和な日本を、平和な社会環境を残していくために、今の世代の我々がしっかり汗をかいていかなければならないと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

根本委員長 この際、古川禎久君から関連質疑の申出があります。小渕君の持ち時間の範囲内でこれを許します。古川禎久君。

古川(禎)委員 赤坂七丁目に、高橋是清翁記念公園というのがございます。かつて高橋邸のあった場所であります。昭和十一年二月二十六日、ちょうど八十七年前の昨日です、当時大蔵大臣であった高橋是清は、青年将校の凶弾に倒れました。二・二六事件であります。

 高橋財政といえば何か積極財政の代名詞のように言われることがあるのですけれども、私の理解するところでは違います。その時々の状況に応じて、財政出動したり緊縮に転じたり、柔軟かつ大胆、機動的な財政運営、これを高橋財政と呼ぶというふうに私は考えます。高橋是清は財政の手綱を、締めるべきときには迷わず、ひるまず手綱を引きました。二・二六の非命に倒れたのもそのせいだっただろうというふうに思っています。

 ところで、財政を機動的に動かすためには、財政に余力がなければなりません。我が国にはもう財政の余力はほとんどありませんけれども、それでも、可能な限り財政健全化を目指して努力を続けていかなければなりません。

 加えて、日本の財政が国際社会あるいはマーケットからどのように見られているか。二〇一一年以降、日本国債の格付は、数年に一度のペースで引き下げられてきました。この先、日本国債がどう評価されるのか、私たちはこのことに決して鈍感であってはなりません。

 長期にわたって財政出動を続けてきた今だからこそ、身の丈に合った歳出になっているか、野方図な振る舞いになってはいないか、この点、政府も国会もしっかりと自ら検証しながら、規律ある財政運営を目指す、これはマーケットの信認を得るために必要な努力だと思います。鈴木財務大臣のお考えをお聞かせください。

鈴木国務大臣 日本の財政状況につきましては、諸外国に比べまして債務残高対GDP比が高いなど、極めて厳しい状況にあります。さらに、これまでのコロナ対応でありますとか累次の補正予算の編成等によりまして、足下、過去に例を見ないほど厳しさを増している状況であります。

 もちろん、危機に対しての必要な財政出動はちゅうちょなく行わなければなりませんが、同時に、古川先生御指摘のとおり、市場や国際社会における中長期的な財政の持続可能性への信認、これは失われることがないようにしなければなりません。

 今後とも、財政規律をしっかりと意識しながら、歳出歳入両面の改革の取組を続け、経済再生と財政健全化の両立に取り組んでいく必要があると強く考えているところであります。

古川(禎)委員 ありがとうございました。

 ここにいる私たちには大変重い責任があります。国民に対する責任、将来世代に対する責任であります。自戒を込めて申し上げるならば、目の前にある危機を見て見ぬふりをせぬこと、これが大事だというふうに思います。

 さて、ロシアによるウクライナ侵攻が始まって一年がたちました。ロシアの蛮行は重大な国際法違反、そして恐ろしい戦争犯罪であります。断じてこれを許すことはできません。

 私は、歴史は一本の大河のようなものであると思います。とうとうたる流れは、時によどんで、時に激流となって、渦を巻き、逆流することもあります。けれども、大河には必ず本流があります。例えば、戦争の違法化、戦争は違法である、これは歴史の本流だと言っていいと思います。

 第一次大戦、第二次大戦、ひどい惨禍を経験して、国際社会はこれまでも、不戦条約あるいは国連憲章、国際人道法といった、戦争を禁じる国際法理を、一歩ずつですけれども、積み上げてまいりました。その努力をいとも簡単に踏みにじったのがロシアです。けれども、ロシアの力による一方的な現状変更も、無辜を殺りくする戦争犯罪も、核の威嚇も、所詮、本流を攪乱する激しい渦、逆流にすぎません。歴史の本流に逆らって成功を収めることなどできません。

 改めて、ロシアが即時に攻撃を停止し、部隊をロシアに撤収させ、この重大な戦争犯罪の責任を取ることを強く求めるとともに、一日も早く平和が戻ることを強く願います。力による一方的な現状変更は、世界のどこであれ、認められません。

 いわゆる台湾有事が起きた場合、かなりの確度で日本は巻き込まれます。いや、日本こそが戦火に焼かれる可能性があります。だからこそ、絶対に戦争を起こさせない、これが我が国の唯一の選択肢である、そのためのありとあらゆる外交努力を尽くす、そうした視点を持って安全保障を考えたいと思います。

 まず、東シナ海の火種、尖閣問題です。

 一九五一年のサンフランシスコ平和条約第三条に基づいて、アメリカは、尖閣諸島を含む琉球諸島及び大東諸島などをアメリカの施政下に置きました。そして、一九七二年の沖縄返還で、尖閣諸島を含むこれらの諸島を日本に返還しました。国際法上、尖閣諸島は疑いようのない日本の領土です。沖縄返還協定第一条の二の琉球諸島及び大東諸島の範囲について、同協定第一条に関する合意議事録において、緯度、経度をもって明示されています。

 林外務大臣に伺います。

 この合意議事録において示された、アメリカが日本に返還した琉球諸島及び大東諸島の範囲の中に尖閣諸島は含まれている、この認識で間違いありませんか。

林国務大臣 琉球諸島、大東諸島に関しましては、沖縄返還協定の第一条の一におきまして、米国は、同条二に定義する琉球諸島及び大東諸島に関し、サンフランシスコ平和条約第三条の規定に基づく全ての権利及び利益を日本国のために放棄する旨が規定されております。

 沖縄返還協定第一条二に言う琉球諸島及び大東諸島の範囲については、今委員からお話がありましたように、同協定の合意議事録の第一条に関する規定におきまして、緯度、経度をもって明示されておりまして、その中に尖閣諸島は明確に含まれております。

古川(禎)委員 尖閣諸島に関するアメリカ政府の発言に変遷があることには、あえてここでは触れませんが、アメリカが日本に返還した琉球諸島及び大東諸島の範囲の中に、尖閣が明示的に含まれているのは動かぬ事実です。尖閣は、日本の正当な領土です。

 二〇二〇年六月十五日、トランプ政権下のポンペオ国務長官は、記者会見でこう語りました。中国に領有権の主権を侵害されている世界中の全ての国を米国は支援すると語っています。バイデン政権においても、尖閣に日米安保条約第五条が適用されることが確認されています。また、日米両首脳は、尖閣に対する日本の長きにわたる施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対すると表明しています。

 総理に伺います。

 日本政府は、こうしたアメリカ政府の立場をどのように受け止めていますか。

岸田内閣総理大臣 まず、我が国固有の領土である尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題は、そもそも存在していないというのが我が国の基本的な立場であります。

 その上で、米国政府は、尖閣諸島に関する日本の立場を十分理解し、尖閣諸島をめぐる情勢について、我が国の側に立って緊密に連携していくとの立場であると理解をしています。

 このことは、昨年五月の日米首脳共同声明において、バイデン大統領が、日米安全保障条約第五条が尖閣諸島に適用されることを改めて確認をし、両首脳間で、尖閣諸島に対する日本の長きにわたる施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対することを改めて表明をし、また、本年一月の日米共同声明でも、日米安保条約第五条が尖閣諸島に適用されることをバイデン大統領が改めて確認するなど、これまで累次の機会に日本の防衛に対する揺るぎないコミットメントが表明されている、このことからも明らかであると考えます。

 また、これらは、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増しているという現状認識を踏まえ、日米同盟の抑止力を引き続き強化する意思が明確に示されたものであり、非常に意義あることであると認識をしております。

古川(禎)委員 日米両政府の間では、これまでも多くのやり取りがなされていると思います。今アメリカは、統合抑止、つまり、同盟国と一丸となって立ち向かうという世界戦略を打ち出していますが、それならば今まで以上に日米間の意思疎通は大事になると思いますので、お互い言いたいことを言う、言うべきことを言う、そんな強固な信頼関係を確立していただきたいと思います。

 次に、東アジアにおけるもう一つの不安定要因、台湾海峡情勢について伺います。

 台湾に関する我が国政府の立場は、一九七二年の日中共同声明第三項で示されています。当時、田中総理、大平外相とともに日中交渉に参画した栗山尚一元外務事務次官、元駐米大使は、日中共同声明第三項について、こう述べています。台湾海峡の両岸の当事者間の話合いによって平和的に解決されるというのが我が国の希望であり、その結果、台湾が中華人民共和国に統一されるのであれば、我が国は当然これを受け入れるということだ、日中共同声明第三項は、当事者間の平和的話合いが行われている限り、台湾問題は第三者が介入すべきではない中国の国内問題と認識するなどと述べています。

 総理に伺います。

 一九七二年の国交正常化当時と現在では、中国の影響力始め国際情勢は大きく様変わりをいたしております。台湾問題は、もはや中国の国内問題だとは言い切れません。台湾海峡の平和と安定は、国際社会共通の関心事項であって、力による一方的な現状変更は受け入れられないという強いメッセージを中国にもしっかりと伝え続ける必要があります。総理の御所見をお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 まず、台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障はもとより、国際社会全体の安定にとっても重要であり、台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのが、我が国の従来からの一貫した立場です。

 政府としては、こうした立場を中国側に直接伝えるとともに、各国共通の立場として明確に発信していくことが重要であると考えています。

 この観点から、昨年十一月の日中首脳会談において、私から習近平国家主席に対して、また、先日の日中外相電話会談においても林大臣から、台湾海峡の平和と安定の重要性について改めて強調したところです。

 また、一月のバイデン大統領との日米首脳会談を始め、米国やG7との間においても、台湾海峡の平和と安定の重要性について当方より指摘を行い、各国首脳との間で一致しており、これを対外的にも発信をしています。

 引き続き、両岸関係の推移を注視しつつ、しっかりとこのような外交努力を続けていきたいと考えています。

古川(禎)委員 安保三文書を読みました。日本の国益と目標を明らかにして、外交、防衛、経済といった総合的な国力という考え方に立った戦略文書です。私はこれを評価します。

 特に共感した部分を読み上げます。「第一に外交力である。国家安全保障の基本は、法の支配に基づき、平和で安定し、かつ予見可能性が高い国際環境を能動的に創出し、脅威の出現を未然に防ぐことにある。」このくだりは、まさに我が意を得たりの思いがいたしました。

 世界は、ロシアのウクライナ侵攻によって変わりました。安保理常任理事国の一角であるロシア自身によって、国連憲章の精神は踏みにじられました。したがって、第二次大戦後の国際秩序は崩壊したと言っていいかもしれません。

 しかし、それならば、私たちは未来に向けて新しい国際秩序を建設していかなければなりません。

 日本政府は、去年のロシアの侵攻後、ウクライナへの支援、避難民の受入れ、国際刑事裁判所への付託、ロシアへの経済制裁、これらを速やかに決断し、速やかに実行しました。日本政府が人道主義、法の支配、ルールに基づく国際秩序の旗印の下に迅速果敢に行動したことを、国際社会はしっかりと見て、よく知っています。私は、日本には新しい国際秩序づくりに参画する十分な資格があると考えます。

 総理にお伺いします。

 私は、日本が筋の通った主張、言動を貫いて、法の支配を主導して、これからの世界秩序の建設に参画するべきだと考えています。

 今年、日本はG7議長国であります。安保理の非常任理事国にもなりました。今こそ日本は、新しい国際秩序を建設するメインテーブル、センターテーブルに座って、積極的かつ建設的な役割を果たすべきだ、そう考えますが、総理のお考えをお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 まず、委員御指摘のように、現在、国際社会は歴史的な転換点にあると私も感じます。そして、我々が奉じてきた自由で開かれた安定的な国際秩序、これが重大な危機にさらされている、これが現状であると考えます。

 こうした中で開催されるG7広島サミットでは、力による一方的な現状変更の試み、あるいはロシアが行っているような核兵器による威嚇、ましてやその使用、これはあってはならないものとして断固拒否しなければなりません。そして、法の支配に基づく国際秩序を守り抜く、こうしたG7の強い意思を力強く世界に向けて示していく、こうした場にしたいと考えています。こうした考えに基づいて、G7議長国として議論をリードしていきたいと考えます。

 また、我が国は、本年、安保理の非常任理事国も務めます。今年から来年、二年間、非常任理事国を務めるわけですが、世界の平和と安定に向け、国際社会が直面している様々な課題に対し、積極的かつ力強く対応していきます。国連の機能が今問われている、その中にあって、安保理改革を始め、国連の機能回復という観点からも、非常任理事国として積極的に議論をリードしていきたいと考えています。

古川(禎)委員 ありがとうございました。終わります。

根本委員長 これにて小渕君、古川君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉でございます。

 引き続き、予算委員会集中質疑、質問をさせていただきます。

 まず、この予算委員会においてこれまで累次にわたり議論がされてきました我が国の人口問題、少子化対策、これは広い意味で安全保障にも関わる大変重要な課題であると思います。

 厚生労働省によりますと、二〇二二年の出生率は、八十万人を初めて切る、七十七万人程度ということが言われております。百万人を切りましたのが二〇一六年。実に昭和四十九年、一九七四年には二百万人を超えておりました。更に遡りまして、団塊の世代の皆様は約二百七十万人出生されております。それから約八十年弱、七十三年、七十四年で、四分の一程度にまで出生率が下がっている。

 その意味において、少子化対策は極めて重要でございまして、これまで議論をされております子育てのいわゆる支援策の強化と併せて、私は、雇用の安定、賃金の上昇、これも極めて重要だという観点でまず御質問させていただきます。

 その中で、今日冒頭の小渕優子委員からも御質問がありましたとおり、雇用の七割を支える中小・小規模事業者の賃金引上げを可能にするためには、下請取引の取引価格の適正化を進めていかなければなりません。

 この取引価格の適正化は、賃金上昇において極めて重要な要素でありまして、昨年末、公正取引委員会が十三社・団体の名前を公表いたしました。下請企業との間で原材料高によるコスト増を取引価格に転嫁するための協議をしなかったとして名指しをされた企業、団体であります。日本商工会議所の会頭は、こうした事例が氷山の一角にすぎない可能性があると示唆をしたと報道されています。

 独占禁止法の運用方針には、一つ、受注企業と発注企業の価格交渉の場で価格転嫁の必要性について協議しない、又は、価格転嫁の要請があったのに拒否し、その理由を回答しない、このいずれかの場合で取引価格を据え置けば、優越的地位の濫用に該当するおそれがあると明記をしております。

 現場を歩かせていただいて、特に小規模事業者の方とお話をしますと、こんなお話を聞きます。価格転嫁の要請をすると、拒否はされないが、様々な理由説明を要求される。そして、小規模事業者の立場からすると、その理由説明をされると実質的に価格転嫁に応じてもらえないという状況がある。一方で、価格を下げるとき、これは書面による一方的な通知だけで済まされてしまう。

 今、コスト高が大変厳しい状況の中で、徐々に上がり始めているものの、まだ、取引先によっては、実にリーマン・ショック以降、いまだに取引価格は上がっていないという声も残念ながらお伺いをします。

 そこで、現在、下請Gメンの増強など、取引価格の適正化に向けて、これまでも粘り強く取組を進めていただいているということは承知をしております。その上で、もう一重の強化が必要ではないかというふうに考えています。

 そこで、一つ提案ですけれども、例えば、各種団体にも協力をいただいて、業界ごとに主な取引の適正価格について検討をし、目安、あるいは適正価格とは何なのか、その考え方を示すなど、取引価格の適正化に向けてもう一歩踏み込んだ取組を行わなければ、我が国全体の賃金上昇はままならないと言わざるを得ないと思いますけれども、西村経済産業大臣の御答弁をお願いいたします。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、雇用の七割を占める中小企業、特に小規模な事業者の皆さんの賃上げを進めていくためには、生産性向上への支援も重要でありますけれども、同時に、まさに御指摘のありました価格転嫁への取組は何より重要だというふうに認識をしております。全く同じ問題意識を持っております。

 その上で、御提案のありました適正価格の目安や算定方式自体の設定でありますけれども、価格の相場観形成が期待できる一方で、各企業の製品の品質等に応じた価格設定や交渉が難しくなるという懸念もあります。

 公正取引委員会による独占禁止法に関する指針におきましても、業界団体による適正価格の目安等の指針では、具体的な数値等を用いての価格に関する算定方式等の設定は独占禁止法に抵触し得るともされているところであります。この点は慎重な検討が必要だというふうに思っております。

 ただ、他方で、経産省といたしまして、下請振興法の振興基準におきまして、取引対価は、合理的な算定方式に基づき、下請事業者の適正な利益を含み、十分に協議して決定するものという適正価格の考え方をお示ししております。これを各業界別のガイドラインや自主行動計画に反映させた上で、まさに調達現場での実践を要請しているところであります。更にこの考えを広げていきたいというふうに考えております。

 その上で、中小企業の取引適正化に関しましては、もう御案内のとおりでありますが、毎年九月、三月に価格交渉促進月間を実施しております。その結果を踏まえた各社ごとの情報公表、あるいは親事業者の経営陣に対する指導助言も行ってきておりますし、御指摘の下請Gメンも三百名に増強しております。また、パートナーシップ構築宣言の拡大と実効性向上にも取り組んでいるところであります。

 特に来月、三月、もうすぐ来ますけれども、この月間では、これまでの倍になる三十万社の中小企業に対してフォローアップ調査を行う予定でありまして、今後更に深掘り、強化を行っていく考えであります。

 いずれにしましても、御指摘のありました公正取引委員会とも連携をして、適正な利益が下請企業にしっかりと残るよう、適正な価格での取引になるよう、価格転嫁対策に全力で取り組んでいきたいというふうに考えております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 まさに雇用の七割を支える中小・小規模事業者の賃金アップを可能に、これはもう本当に国を挙げてやらなければ、そもそも生産年齢人口が減少する中で、賃金の国際的な比較で、格差によって、徐々に我が国では海外の方も選ばれなくなってきているという話も現場でお伺いをします。これも非常に大事な課題ですので、きめ細かく、現場にまで今大臣が御答弁いただいた内容が伝わるように、引き続きの御努力をお願いしたいと思います。

 続きまして、少しこの賃上げについて、業界別に見ていきたいと思います。

 次に、建設業界の賃上げについて、パネルを御覧いただきながら質問させていただきたいと思います。

 二月九日には、私ども、斉藤国交大臣のところへ、国土交通部会として、防災・減災、国土強靱化の着実な推進と建設業の担い手の確保に向けてと題して、公共工事設計労務単価の引上げについて要望させていただきました。

 国交省においては、二月十四日に発表された、本年三月、あさってから適用される公共設計労務単価、これは全国全職種単純平均で、棒グラフの赤い方ですけれども、前年度比五・二%引上げ。十一年連続で引き上げられておりまして、二〇一二年度比で六五・五%引き上げていただいております。これは、ある意味賃上げを国を挙げてやっている中で、非常に、公共工事についてですけれども、優秀な取組といいますか、着実な賃上げを牽引していただいていると思っています。

 同様に、設計業務等、工事じゃなくて設計、こちらもこの約十一年間で四〇・四%の引上げ。さらに、現場でよく聞くんですけれども、国交省ですと営繕がつかさどっていただいていますが、建築保全業務単価、ビルクリーニングとか警備とかこういうところの単価も、実はこの十一年でトータルで三〇・七%引き上げていただいています。つまり、発注側の単価は引き上げていただいている。

 しかし一方で、このグラフにある緑色の折れ線グラフは、主に下請として現場を支えてくださる建設技能者の賃金を示しておりますが、引き上がってはきているものの、発注側が引き上げている単価ほどまだ上がっていないと言わざるを得ないわけであります。

 十年以上に及ぶ労務単価の引上げが着実に、現場の建設技能者、建設現場も人手不足はこれからますます深刻化しますから、賃金を上げるための上昇につながるよう、また、あわせて設計、あるいは先ほど出てきた建築保全業務、ビルクリーニングとかビルの外側の掃除をされるガラス外装クリーニングとか、また警備業、こうしたところも同様に賃金水準の上昇につながるよう、特に民間発注、民間発注の建築関係工事、ここが一番届きにくいんです。ここに届くように、発注単価の適正化の取組をより一層強力に推進していただきたいと思いますが、斉藤国土交通大臣の答弁をお願いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 委員御指摘のとおり、あさって三月一日から、公共工事設計労務単価、前年度比プラス五・二%、今、十一年連続で上昇させていただきます。

 今般の公共工事設計労務単価の上昇は、これは全国の現場の実際の賃金を調べて、上げるものでございます。ですから、実勢が上がっている、こういう意味でございまして、賃上げに向けた官民一体となった機運醸成や様々な取組が建設業界における賃上げに結びついたことによる成果である、このように認識しております。

 委員御指摘の、では、赤い棒グラフは上がっているのに緑の折れ線グラフはそれほど上がっていないではないか、その差はどこなんだ、こういう御指摘かと思いますが、実は、赤い棒グラフはいわゆる公共工事で働く現場の労務単価で、折れ線グラフは専ら民間で働く現場の方々を含む毎勤統計から取っておられますけれども、現場でございます。

 ということは、公共工事で我々は先頭に立ちますが、その流れが、いわゆる地方公共団体発注の工事、また民間工事にまで波及していないということの表れかと思います。

 これから、まさに地方公共団体における適正価格での公共工事の発注とダンピング対策、それから、民間工事においても適正な請負代金での下請契約の締結の促進といった、発注者と元請、元請と下請の間での労務費等の経費が適正に計上され、支払われるための取組をこれからも引き続き進めていきたい、そして好循環を生んでいきたい、このように思っております。

    〔委員長退席、中山委員長代理着席〕

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 まさに公共工事、特に国、国交省が発注している工事、これは着実に上がっています。働き方改革も来年四月から始まりますので、週休二日なども視野に入れながら、まだまだ不十分ですけれども、そういう取組は進んでおりますが、繰り返して申し上げますが、民間発注の工事、ここが肝であります。そして、世の中の建設工事のボリュームとしてはそこが一番多いので、そこに対する更なる波及を力強く進めていただきたいと思います。

 同様に、物流業界についてもここで少し質問させていただきたいと思います。

 特に貨物自動車運送事業法については、既に議員立法によって標準告示運賃というものも令和二年四月に示させていただいて、つまり、これは、あるべき運賃はこうですよということを国が示して、運賃が適正化されていくように取組を後押ししているわけです。

 この状況は、少しお伺いをしようと思いましたけれども、時間の関係があるので飛ばさせてもらって、この物流業界が、運賃の適正化と併せて、今、二〇二四年問題ということを抱えています。これは実は物流だけではありません。何が起こるかというと、働き方改革が二〇二四年四月から始まりますので、人手がただでさえ足りないのに、働く人の時間が制限される、さあ、どうする、こういう話です。

 二〇二四年四月以降、例えば物流業界でいきますと、年九百六十時間の時間外労働の上限時間が適用されます。さらに、自動車運転者の労働時間等の改善のための基準、改善基準告示について、細かい話ですが、年間拘束時間上限を原則三千三百時間とするなどの見直しが行われます。それによって、労働時間削減のために具体的な対応を行わないと輸送能力が不足する、つまり、経済の血流である物流の能力が不足することが指摘をされています。

 既に、国交省を中心に、経産省、農水省御一緒に、持続可能な物流の実現のための検討会というものを開かれておりまして、一月十七日には中間取りまとめをしております。

 この中間取りまとめによると、来年の四月以降、コロナ前の二〇一九年と比較して、不足する輸送能力はどのようになると指摘されているか。大臣の答弁をお願いいたします。

    〔中山委員長代理退席、委員長着席〕

斉藤(鉄)国務大臣 この中間取りまとめでは、何も対策を取らない場合、輸送能力が二〇二四年度には一四%、二〇三〇年度には三四%不足するおそれがある、このように指摘されております。

伊藤(渉)委員 お聞きいただいたとおり、輸送能力が足りなくなるということです。

 これから、徐々にコロナが明けて、経済活動を活発化させていこう、賃金を上げていこう、そういうお話をこの国会でもしている真っただ中で、経済の血流である物流能力が不足をする可能性がある。極めてゆゆしき事態だというふうに考えています。

 そこで、荷主の理解がまた極めて重要なので、西村経産大臣にお伺いします。

 我々の生活の中で根づきつつあるEコマース、スマホ等で買物ができて大変便利ですので、コロナ禍の中でも利用が拡大をしております。その多くが、我々ユーザーとしては自然に見逃していますけれども、送料無料と書いてありますね。でも、物を運んでいる人がただで働いているはずはありません。

 そういう状況を考えると、運賃とは、本来、車両から、発地への、運送の対価であって、その間に、積卸しに係る費用、発地や着地で待つ時間、あるいはそれに付随する業務、高速道路の料金の実費、これが本来は別途で支払われるべきと、もうこれは示されているんですけれども、理解されている荷主の方はまだまだ少ないと言わざるを得ないと思っています。

 特に、こうした物流の対価とは何か、そのことを荷主に理解していただくことは大変重要だと思いますけれども、その理解促進のための取組、西村大臣に答弁をお願いいたします。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、消費者への再配達であったり、あるいは荷主企業の少量発注等による積載率の低下などが物流への負荷をかけているものというふうに承知しております。

 御指摘のとおり、物流を支えるドライバーが適正な対価を受け取る必要性について、荷主企業や消費者の認識を向上させていくことが重要であります。

 物流の対価としては、運送業務の対価である運賃のほかに、御指摘のありました荷積み、荷降ろし、あるいは検品などの附帯業務といった料金が発生するわけでありますし、この点については、国交省におきまして、運賃と料金の区別、これを明確化するよう、荷主企業の理解、協力の呼びかけを行ってきたものと承知をしております。

 多くの荷主を所管する経産省におきましても、国交省と連携しまして、こうした制度の内容等について、所管する荷主企業などへ周知を行ってきたところでありますが、引き続き、荷主企業の協力を得られるよう、しっかりと取り組んでいきたいと思います。

 そして、二四年度からのトラックドライバーへの時間外労働の上限規制の適用を控え、国交省、農水省と共同でまさに御指摘の検討会を開催し、不適切な商慣習の是正などに向けた規制的措置等の導入や、物流効率化の推進に向けた環境整備など、実効性のある措置を検討しているところであります。

 是非、こうした取組を通じて、持続可能な物流の実現に向けて万全を期していきたいというふうに考えております。

伊藤(渉)委員 この物流業界も、今みたいな状況ですので、なかなかやはり、残念ながら、賃金も上がらない、人手が不足をする。今の状況でも輸送量が不足をする、これで人手が不足をしたらどういうことになるか。経済そのものの供給制限になる極めてリスキーな話ですので、是非とも力を入れてお願いをしたいと思います。

 そこで、最後になりますけれども、総理に、この二〇二四年問題の解決に向けて、一つは今申し上げた物流の生産性の向上、また、労働環境の改善を通じた担い手確保の取組、また、トラックなどのみならず、鉄道などいろいろな、いわゆるモーダルシフト等によって各トラック輸送量の適正化を進めていくなど、その課題は多岐にわたります。こうした取組も、賃金の上昇、人手不足の解消、ひいては経済活動の供給制限を回避するために、非常に重要な政策課題であります。

 物流政策を担う国交大臣、荷主への働きかけを担う経産大臣、今日はお呼びしておりませんが農水大臣、これらの大臣との連携を密にして、物流業界の二〇二四年問題の解決に向けて、総理のリーダーシップを是非とも発揮をしていただきたいと思いますが、御答弁をお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 御指摘のとおり、トラックドライバーに対する時間外労働規制の適用を受けて、物流の停滞が懸念されているいわゆる二〇二四年問題の解決に向けて、長時間の荷待ちや契約外の荷役作業の是正等を通じた生産性の向上、担い手確保、そしてモーダルシフト等、輸送効率化、これらが喫緊の課題となっています。

 このため、政府として、適正な取引を阻害する行為を是正するため、荷主に対し関係法令に基づく要請等を行うとともに、経営改善の指標となる標準的な運賃の周知、浸透を通じた労働条件の改善、そしてモーダルシフトや物流DXなど、輸送効率化などに取り組んでおります。

 さらに、現在、荷主の更なる取組を促すため、不適切な商慣行の是正等に向けた規制的措置等の導入に向け、物流政策を担う国交省と荷主を所管する経産省、そして農水省、これらで連携をし、適正な取引の実現に向けた対応を加速しているところです。

 こうした取組を積極的に進め、二〇二四年問題の解決に向けて、関係省庁で一層緊密に連携をし、政府一丸となって取り組んでまいりたいと思います。

伊藤(渉)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

根本委員長 これにて伊藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、長妻昭君。

長妻委員 立憲民主党の長妻昭でございます。よろしくお願いをいたします。

 まず、自民党に厳重抗議をしたいんですけれども、今日使うパネルのうち二枚のパネルについて、中身がおかしいということで、全部基本的に駄目だということで、結果として使えなくなったんですね、二枚のパネルが。私も予算委員会で数々質問をさせていただいていますが、これほどの経験はほとんどございません。一体、岸田総裁、自民党、どうなっちゃったんでしょうか。

 例えば、一枚、自民党に拒否されたパネルは、タイトルが国会軽視の岸田内閣の決定プロセス、こういうことで、予算委員会の総決算として今までの答弁をチェックするということで、こういうことを書いたんです。全体が確定するまで検討中と国会で示さず、そして閣議決定をする、修正せずに賛成を求める。まさに防衛予算、そうじゃないですか。そして、子育てについても、全然中身を言わないで、それで三月末に概要を決めて六月に閣議決定、そして修正しない。

 このパネルをなぜ、本当のことだから拒絶したのかと疑わざるを得ないんですよ。こういうことは絶対やめていただきたい。これは質問権の侵害にも当たると思うんですね。

 そして、もう一つのパネル、拒絶されたものは、「反撃能力とは?」というタイトルをつけまして、ミサイル、上陸部隊、戦闘機、サイバー攻撃、こういうことをお伺いしようとしたパネル、これも拒絶されました。

 これほどの経験というのは、私も長年予算委員会で質問させていただいて、全否定で二枚のパネルを拒絶なんていうのはほとんどありません。これは総理、ちょっと、自民党総裁になってから、何か特にこういう言論統制を、国会でも野党のパネル等をチェック、強化しよう、こういう方針に変わったんですか。そうでなければこれは撤回してください、総理。

岸田内閣総理大臣 当然のことながら、私の政権になってから国会における様々な資料の取扱いについて変化があったなどということは承知しておりません。

 具体的なこの資料の中身、私は承知しておりません。しかし、これは予算委員会の理事会の現場において、理事の間でこの資料を精査した上で、この議論を進めるに当たって適切なのかどうか、これを御判断いただき、その結果として取扱いが決まるものであると思います。衆議院の予算委員会の理事会のこの判断、これは尊重しなければならないと思います。

 いずれにせよ、こうした予算委員会の理事会での判断に基づき、政府としては、予算委員会の場において誠心誠意、説明責任を果たしていきたいと考えています。

長妻委員 誠心誠意、説明責任を果たしていないから、自民党の方も忖度して、総理に余り質問を、説明を促さないように野党の質問をコントロールしているとしか思えないんですよ、総理。

 ちょっとこういうことは、自民党、やめていただきたい。これまで経験していないことですから、私どもが。過度な言論統制のようなことは厳に慎んでいただきたい。

 そして、この十年間、少子化対策を拝見しておりますと、これは時間が止まったようなんですね。まさに失われた十年じゃないかと。

 民主党政権のときに、初めて高校の授業料無償化を実現をいたしました。今、少し後退をしてしまいました。そして、初めて中学生までの児童手当も実現をいたしました。これも、自公政権になって少し後退をしてしまいました。

 そしてもう一つ、三党協議というのを、総理も御記憶あると思うんですけれども、これが、非常に懐かしいんですが、二〇一二年の六月に、社会保障・税一体改革に関する確認書という、当時のものです。本当は直筆のサインがあるんですけれども、これは政府の方でワープロで打ったものを提供いただいたのでございます。

 民主党、私も、長妻昭、入っております。自由民主党、加藤勝信さん、今の厚労大臣、サインしております。公明党は石井啓一さんということで、鴨下さん、細川先生は引退されましたけれども、こういう形で三党合意をしたんですね。

 そのときに、非常に重要なのは、保育の配置基準を変えよう、これは変えなきゃいけないということで、そこで、三千億円の予算を速やかに確保しようと。これを受けて、その後、八月に、附帯決議が自民党、公明党、民主党で結ばれました。三千億円について速やかに確保の道筋を示すとともに、今後の各年度の予算編成において、財源の確保に最大限努力するものとすると。ただ、残念ながら、民主党政権はその年に下野してしまったんですね。

 私ども、自公とあらあら、暗黙の了解なのは、翌年とか、遅くても一、二年でやりましょう、こういうことでこれを締結したわけでございますので。

 今、四歳、五歳児は、一人の保育士さんが三十人のお子さんを見ているということで、ヨーロッパの倍以上です。ヨーロッパ諸国の、欧米の倍以上なんですね。これは、膀胱炎が職業病だと言われているんですね。トイレに行けない、お子さんが事故に遭ってはならないということで。園庭に出られないように鍵をしている、そういうようなところもございますので、総理、このぐらいは速やかにやるということをここで是非明言していただきたいんですが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、委員御指摘の〇・三兆円超の事項については、平成二十四年の自民、公明、民主の三党が賛成した子ども・子育て関連法において、保育等の質、量の充実を図るために一兆円程度の財源が必要であり、消費税の引上げにより確保される〇・七兆円程度以外の〇・三兆円超については、速やかに確保の道筋を示すとともに、財源の確保に最大限努力するものと附帯決議がなされたものであると承知をしています。

 その後、自公政権においては、政権交代以降、少子化対策の予算額、これは大きく増加させてきましたが、その内容については、当時の社会のニーズ等を踏まえて、保育の受皿整備、あるいは幼児教育、保育の無償化、こうした支援を優先させてきた、こうしたことであります。

 その上で、御指摘の三千億円、〇・三兆円超の質の向上についても、例えば、保育士等の処遇改善については、メニューに盛り込まれたプラス二%を上回るプラス六%、人事院勧告準拠分九%等と合わせて累計一八%、給与改善を進められるなど、この質の部分についても様々な努力が行われている、こうしたことであります。

 今、政府としては、包括的なパッケージをお示ししたいと申し上げていますが、委員御指摘の幼児教育の質の強化についても、是非、この包括的なパッケージの中で、今のニーズを踏まえてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。これから示す包括的なパッケージの中で、今、こども政策担当大臣の下で具体化を進めている内容の中で、この幼児教育、保育の質の強化についても取り組んでまいりたいと考えています。

長妻委員 これはまさに失われた十年じゃないですか。総理、いろいろおっしゃいましたけれども、微修正なんですよ、全部。今でも保育士さん一人当たり三十人を見ているんですよ。これは実は七十五年間変わっていないんですよ、我が国では、この基準が。

 事故が起こる背景も、私はこういうことが大きいというふうに思います。事実、最新のデータで、二〇二一年の保育事故が二千三百四十七件、現在と同じ集計方法の二〇一五年以来最多です。そのうち、お亡くなりになった方が五名、骨折が、一年間ですよ、千八百八十八件あるということで、これはもう待ったなしなんですよ、総理。

 包括的とおっしゃいますけれども、これは十一年前の合意なんですよ。今回の異次元の少子化対策の前の話なので、これは特出しで、このぐらい、総理、前向きにやります、この方向でやります、この答弁を是非していただきたい。この方向でやりますと。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、十年前の合意が行われた後、子供、子育て政策の中で、様々なニーズの変化の中で、優先順位をしっかり考えた上で、保育の受皿とか、あるいはこうした幼児教育、保育の無償化、これに優先的に取り組みながら、今、委員の方から、微修正だと言いましたが、こうした課題にも取り組んできた。この十年間の中で、何を優先すべきかという議論の中でこういった政策が進められてきたということを申し上げました。

 そして、今、包括的なパッケージの中で、今申し上げたように、御指摘の点も踏まえて、政府として、内容を、政策の中身を具体化する中で、こうした課題にもしっかりと向き合ってまいりますということを申し上げた次第であります。

長妻委員 これは、少子化対策なんですけれども、事故なんですよ、事故につながりかねないんですよ。これは安全の問題なんですよ。これは優先順位最優先で十一年前、これを結んだわけでありまして、これは本当に、これさえ今明言できなかったら、異次元というのは、これはまやかしじゃないですか。本当に国会というのを軽視している。何にも言わないで、そして閣議決定して決まりました、修正しません、多分そういうパターンではないかというふうに思います。

 次に、倍増なんですね。これも総理がおっしゃった少子化対策倍増ということで。これは私、ちょっとテレビを見てびっくりしたんですが、木原官房副長官が「深層NEWS」でこういうことをおっしゃったんですね。子供予算というものは、子供が増えればそれに応じて予算が増えていく。それはあれですよね、児童手当を配っているお子さんが増えれば児童手当の予算は増える。もしV字回復して出生率が本当に上がってくれば、割と早いタイミングで倍増が実現される。子供が倍になるんですかね。

 これは、総理、こういう根拠に基づいて倍増とおっしゃっていたんですか。どうですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のテレビ番組における木原副長官の発言ですが、これは、このやり取りの中で、子供、子育て予算の倍増の基準や期限を尋ねられ、まずは何が有効で何をやるべきかという政策の中身をしっかり整理したいと述べた上で、効果的な予算の必要性を訴える中で、いつ予算の倍増がなされるかについては、今決まっているものではないが、なるべく早く達成できるよう努力したい旨を述べたと理解をしており、これは、発言全体としては、これまでの政府の説明とそごがあるとは考えておりません。

 御指摘の箇所についても、子供が増えれば予算は倍増するということは申し上げていないと認識をしています。倍増の期限を問われた際に、子供が増えればそれに応じて予算が増える面もあるという社会保障予算の特性を紹介した上で、出生率のトレンドによって倍増が実現するタイミングが変わり得る、こうしたことを紹介し、それゆえに効果的な予算の中身を考えることが重要である、こういった趣旨の発言であったと認識をしております。

長妻委員 今、自民党の理事からも本人に聞けという話がありましたので、ちょっと本人に聞いてみます。

 木原さん、今、総理の答弁はちょっとごまかしているんですけれども、木原さんに聞きたいのは、V字回復して出生率が上がれば、割と早く倍増が実現されると。つまり、お子さんが増えれば、それは予算は増えますよね、例えば児童手当だったら配る相手が増えますから。これはそういう趣旨をおっしゃったわけですか。

木原内閣官房副長官 私のテレビ出演時の発言についての御質問であります。

 まず、番組の中で、子供予算倍増に関する御質問をいただきました。私から、まず、何が有効で何がやるべきことかということを、ラインナップをしっかり整理をしたいとお話をさせていただきました。それに対しまして、再度、予算倍増の基準等について御質問をいただきましたので、何が効果的な予算かというのを皆で議論をして、そしてまず効果的な使い方ということを決めたいと重ねて申し上げたところであります。その際、なぜ効果的な使い方が重要かということを説明するために、今一部パネルでお示しをいただいている部分でありますが、その部分をお話をした次第であります。

 私たちが目指すのは、まさに、希望される方が子供を持ち、ストレスなく安心して子育てできる社会ということでありますが、そうであれば、これから強化する施策や充実する予算の内容は、実際に国民の皆さんにとって安心感や希望につながって、その結果として出生率の向上にも資するものである必要がある、すなわち効果的な内容でなければならない、そのような思いを持ってお話をさせていただいた次第であります。

 これに対しまして、再度、御質問がありましたので、今、何年までにということは申し上げにくいとした一方で、いずれにしてもなるべく早く達成できるように努力をすると申し上げた次第であります。

 そして、今総理からも御答弁いただきましたが、子供が増えれば予算は倍増するというようなことは申し上げておりません。倍増の時期について問われた際に、社会保障予算の特性として、子供が増えればそれに応じて予算が増える、そういう面もあることを紹介した上で、出生率のトレンドによって倍増が実現するタイミングが変わり得るということを御紹介させていただきました。だからこそ、繰り返しになりますが、これから強化する施策、充実する予算、効果的な中身にするべきだということを申し上げたということでございます。

長妻委員 これはちょっと完全に、今、ごまかしの答弁ですね。

 木原さんはこういうこともおっしゃっているんですよ。少子化対策で子供が増える、つまり効果がなければ、倍増と言ってもいつまでたってもできない、こういうこともおっしゃっているんですよ。数、出生率が上がれば割と早いタイミングで倍増が実現される、これは本当に基礎的な認識が間違っているんじゃないでしょうか。

 国立社人研の報告によると、最も楽観的な調査でも、お子さんは、残念ながらですけれども、百年間減り続けます。生まれるお子さんの数も百年間減り続けます、一番楽観的な指標でも。ですから、私どもが言っている少子化対策というのは、お子さんの減るスピードを減らす、こういうことで下支えしないと日本が大変なことになるというふうに申し上げているんです。

 お子さんは、残念ながらですけれども、増えないんですよ、ここまで来てしまったらば。ということは、これは永久に二倍というのはできないじゃないですか、総理。お子さんは、増えることというのは、残念ながらないんですね。私どもは、その減るスピードを遅くする、これは政府もそういう発想なんですよ、総理。ということは、今後、永久にというか、百年間は倍増できないということになりかねませんよ、総理。

岸田内閣総理大臣 木原副長官の発言については、ただいま本人からも説明がありましたように、倍増の期限を問われた際に、子供が増えればそれに応じて予算が増える面があるという社会保障予算の特性を紹介した上で、出生率のトレンドによっては倍増が実現するタイミングが変わり得る、こうした発言であったと理解をしています。

 そして、予算を倍増させる、これは、国の予算の内容とか規模を強化すること、まず、この内容、規模を強化することが前提であると認識をしています。予算をしっかりと充実させることにより、そして、社会全体の意識の変革を含め、異次元の政策を講じていく中で少子化のトレンドを反転させていく、これが基本的な考え方であると認識をしています。

長妻委員 これはそういうレトリックであれば、例えば、社会保障費を毎年五千億円ずつ予算は増えます、増やしますと言えば、これは増えますよね、自然増で、高齢化が進んで高齢者が増えると、高齢者の、お支払いするお金が増えますから。でも、サービスは同じなわけですよ。こういうちょっと詐欺に近いような発想なんですよね、これは。詐欺に近いような話なんですよ、総理。

 じゃ、総理、お伺いしますけれども、倍増ということで、本当に期待している人が多いわけですね。祈るような気持ちで国会審議を聞いておられる方もいらっしゃるということで、例えば大学の学費もどんどんどんどん増えている。今、大学生の半分が奨学金を受給しているんですよ。ほとんどが返さなきゃいけないということで、何百万も借金を抱えている。ある大学の先生がおっしゃっていました。教え子が結婚しようとしたら、向こうから、数百万の借金を持っている人とうちの娘を結婚させるわけにいかない、こういう話を言われた、こういう話も聞いているわけでございまして、そうしたら、総理、じゃ、倍増というのは、GDP比で倍にするのか、絶対金額を倍にするのか、それはどちらなんですか。

岸田内閣総理大臣 まず、先ほどの木原副長官の発言については、委員が今まさにおっしゃったように、高齢者が増えれば高齢予算が増える、こうした社会保障予算の特性について触れた上で、倍増の時期は動くことがあり得る、そういう説明をしたと理解をしています。

 そして、今の委員の質問は、子供、子育て予算の倍増のベースは何なのか、GDPなのか何なのか、ベースは何なのかという質問でありますが、これは、従来から申し上げているように、この子供、子育て予算、今の現代社会において求められている子供、子育て予算というものは何なのかということを、まず、こうした金額的な充実と、そしてサービスの充実と、そして働き方改革を始めとする制度的な拡充と、この三つについて小倉担当大臣に今整理を指示しているところでありますが、これと併せて、委員おっしゃったように、教育の部分、これも子供、子育て政策の中に入れなければならないということです。

 ですから、これがまず整理されてこそ、ベースというのが決まるんだと思います。中身を決めずして、最初から、GDP比幾らだとか、今の予算と比較でどうか、数字ありきではないということを従来から申し上げています。この予算をしっかりと整理した上で、この予算が今これだから、将来に向けて、倍増に向けての大枠をしっかり示していく、こうした考え方を従来から再三申し上げさせていただいております。

長妻委員 これはおかしいですよ、テレビを見ておられる方、ラジオを聞いておられる方もそう思うかもしれませんけれども。金額が言えないと。これは再三再四おっしゃっていますけれども、じゃ、ベースは、GDP比で倍にするのか、絶対金額を倍にするのか、これはまた別の話じゃないですか、総理。何でそのベースも言えないんですか。

 先ほど、社会保障の特性ということで、高齢者が増えると自然増で予算が増える話をおっしゃいました、私も言いましたけれども、これはだから、基礎知識がないということを申し上げたじゃないですか。お子さんは、残念ながらですけれども、ここまで少子化対策をサボっていたツケで、お子さんは増えないんですよ、絶対数は。増えないんですよ。ということは、この考え方でいくと、倍増どころか、むしろ予算が減ってしまいかねない、そういうような話じゃないですか。倍増なんか全然話にならないということじゃないですか、総理。

 だから、総理、答えていただいてもいいんですけれども、GDP比なのか絶対金額なのか、それについて多分お答えにならないと思うので、ちょっと次の質問に行きます、時間もないので。

 あり得ないですよ。GDP比なのか絶対金額なのか答えられない。それを答えていただけますか。どっちなのか答えていただけますか。ちょっと、答えていただけますか。短く、じゃ、どちらなのか答えていただくのであれば、御答弁いただきたい。

岸田内閣総理大臣 さっきから申し上げているように、数字ありきではないということを申し上げている。(長妻委員「数字を言っているんじゃない、ベースを言っているんだよ」と呼ぶ)違う。ベースになる政策をまず精査する、そして、その政策の予算を倍増しようと言っているわけですから、これは、政策を整理せずして数字をまず挙げろ、これは無理な話であります。これは従来からそう申し上げております。

長妻委員 これは本当に、私、本気度を問うというふうにこの予算委員会の二日目、申し上げましたけれども、本気じゃないですよ、これは。やる気がないんじゃないでしょうか。

 そして、こちら、これも気になる発言なんですね、総理の本気度が疑われる。社会保障費というのは、子供、子育て政策については、防衛費と違って、全ての国民が裨益するのではない、地域とか、あるいは職業、立場によって、政策によって裨益する方々は変わっていきますと。

 つまり、少子化対策は、全国民の皆さんが、裨益というのは、辞書によると、補って利益を与えることとありますので、利益、全ての国民の利益じゃなくて、例えばお子さんを持っている方とか、一部の利益なんだという御答弁をされているんですけれども、これは間違いですからね、総理。こういう答弁だから予算がゆがむんですよ、少子化対策が後回しになるんですよ、総理。

 この答弁を是非撤回していただきたいんですが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 今の御指摘は、ミスリードな御意見ではないかと思います。

 この議論は、是非、どういった議論の中で行われた議論かを考えていただきたい。あれは、財源、丁寧な財源を考えていく、こうした議論の中で行われた議論であります。

 もとより、少子化対策、子供、子育て政策、これは、少子化が進む中で社会機能を維持することができるかが問われている緊迫した課題であると申し上げています。社会経済の持続可能性に関わるという問題において、全ての国民に関わる問題だということを基本的に申し上げています。

 その上で、この御指摘は、財源の議論の中で、防衛費との違いの議論になり、防衛費の場合は、老若男女、地域においても、あらゆる立場においても、国民がひとしく裨益する課題であるということを申し上げた上で、子供、子育て政策において直接裨益するのは、政策によって、地域、あるいは職業、あるいは立場によって裨益する方々が変わってくる、よって、この政策の財源を考えるためには、こうした直接裨益される方々が様々であるからして、きめ細かな財源を考えていかなければいけない、よって、社会保険との関係とか、国と地方の関係とか、様々な関係について丁寧に財源を考えていく、こうした議論を行ったのが御紹介いただいたやり取りであります。

 その部分だけ捉えて、社会全体に関わっていないと私が言ったというような御指摘は当たらないと思っています。全体に関わる課題でありますが、財源については、今指摘したような特性があるからして、丁寧な、きめ細かな財源の議論を行いたい、このことを申し上げた次第であります。

長妻委員 全然、同じじゃないですか、私が言ったことと。全然ミスリードでも何でもないですよ。これは総理がおっしゃったことで、その財源について、ありていに言うと、防衛費は全国民に利益があるから皆さんに負担してもらいましょう、ところが、少子化対策は特定の人に利益があるので特定の人に負担するような仕組みを考えましょう、こういうような趣旨の話をおっしゃっているだけじゃないですか。ですから、そこが違うということなんですよね。

 お子さんが生まれると、やはり結果として経済あるいは財政にもプラスになる、特に社会保障にもプラスになるわけで、お子さんのおられない方含めて全国民にプラスになるというのも、二〇二〇年五月の少子化社会対策大綱に書いてあるじゃないですか、総理が就任する前。総理が就任してからこういう発想に変えたんですか。厳にこの発想を撤回をしていただきたいというふうに思います。

 総理は、手法でいいますと、新しい政策を発表する際に、説明とか手続とか、あるいは代替案とか、こういったものについて丁寧にしっかり示していく、そして、大きな政策転換においては、政治家たるもの、謙虚でなければいけない、そして丁寧でなければいけない。(発言する者あり)そのとおりだという話がありましたが、これは誰が発言された言葉か御存じですか、総理。

岸田内閣総理大臣 今御指摘の発言が誰の発言か、すぐには分かりませんが、私自身の考え方と一致している発言であると認識をいたします。

長妻委員 これは、総理が、民主党政権で野党自民党だったときにそういう発言をされて、民主党政権をぼろくそ追及をしていたわけです。

 当時、見てみますと、相当、我々、情報開示をして、密約から何から表に出して、丁寧に説明したつもりです。こんな、岸田内閣の今回のように、何にも言えないというような姿勢ではなかったと思います。総理が追及、徹底してしていた話が今返ってきているわけなので、少しは表に出していただきたいということも強く申し上げます。

 そして最後に、反撃能力について一点お伺いをいたしますと、今回、閣議決定によって、十二月十六日に反撃能力が、失礼、これはパネルが禁止されているので出せませんです、自民党によって、出すなということなので。反撃能力について解禁されましたけれども、一体どの部分が解禁されたのかというのをお伺いしたいんですよ。

 ミサイルの反撃能力は解禁されている、当然、武力行使の三要件に合致すればということでございますけれども、じゃ、敵国に対する戦闘機による爆撃、敵国に対する上陸作戦によって敵の基地を破壊する破壊工作、こういうものについても解禁されているというふうに私は事務方から説明を受けたんですが、ただ、今は想定していないということなんです。

 今は想定していないけれども、要件に合えば反撃能力の範疇に入るんだ、こういう説明なんですが、総理、これは明確にそれを説明いただけますか。

岸田内閣総理大臣 長射程のスタンドオフミサイルにより遠方から対処できるという選択肢がある中においては、現実の問題として、有人機等ではなく、スタンドオフ防衛能力を活用して相手国の領域外から対処することが基本となると政府としては考えております。

長妻委員 ですから、戦闘機による敵国の爆撃、上陸作戦、これも、反撃能力、解禁された範疇には入っている、今回は当然想定されていないけれども、そういうことでよろしいんですね。

岸田内閣総理大臣 反撃能力については、現時点では、現実的な選択肢として、スタンドオフ防衛能力の活用を念頭に置いています。

 その上で、今後の自衛隊の能力や将来の技術革新の可能性などによっては、弾道ミサイル等による攻撃を防ぐためにやむを得ない必要最小限の防衛の措置として、効果的かつ現実的な対応能力がスタンドオフ防衛能力以外にもあり得ることは否定できないと考えています。

長妻委員 これは私どもも、安全保障、反撃能力についても全否定はしておりません。必要な防衛力増強というのはめり張りをつけてやるべきだ、特にインテリジェンス分野など。

 ただ、今の政府の説明の仕方、国会が閉じてから閣議決定をいきなりするとか、明確に、こういうことなんだということをきちっと説明をしていただきたいんですね。

 今総理がおっしゃっていただいたように、解禁された反撃能力というのは、その中には戦闘機による爆撃や上陸作戦、こういうのも含まれる、否定はしないというふうに私は聞きましたので、そういうふうに理解しましたので、よろしいですね、総理。

 時間が来ましたので、これで終わります。どうもありがとうございました。

根本委員長 この際、山岸一生君から関連質疑の申出があります。長妻君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山岸一生君。

山岸委員 東京都練馬区からやってまいりました、立憲民主党、山岸一生です。

 早速質問に入ってまいります。

 総理、私は総理の言葉を分析をしておりまして気がついたことがあります。最近、総理、言葉の選び方が変わりました。

 去年の今頃、岸田総理は、検討、検討ばかりおっしゃるので、検討使なんていうあだ名がついておりました。ところが、最近めっきり検討とおっしゃらなくなりました。何が増えたのかなと調べてみましたらば、検討が減った代わりに増えた言葉、説明でございました。おととしぐらいは、検討が説明の二倍ぐらいあったんですけれども、昨年の臨時国会から、説明が検討の二倍ぐらいというふうに、随分と変わりました。

 総理、何で最近、説明という言葉をたくさんお使いになるんでしょうか。教えてください。

岸田内閣総理大臣 何で説明が増えたかということについては、私自身は明確な理由は持っておりません。

 それぞれ丁寧に国会において説明を尽くす中で、適切な言葉を自分自身選んでおりますが、その結果であると考えます。

山岸委員 総理、御認識、逆なんですよ。増えているのは説明という単語であって、中身の説明をこの国会で全然おっしゃっていない。

 今、長妻議員とかがやったような、子供予算の倍増、そのベースは何ですか、それ一つお答えにならないし、あるいはLGBTの問題や、あるいは統一教会の問題、こうしたことも、説明、説明とおっしゃるけれども、一切中身のある説明をおっしゃっていない。

 総理、水戸黄門様の印籠じゃないんですからね。説明と言ったら説明したことになるなんて話はないわけでありまして、国民が知りたいのは中身の説明です。

 それで、私、今日、二十五分時間をもらっていますので、総理、お願いがあります。せめてこの二十五分間だけでも、説明という単語に逃げないで、中身の説明をしてもらえませんか、お願いいたします。

岸田内閣総理大臣 説明という言葉を使わないで説明しろということでしょうか。

 ちょっと、具体的にそれができるかどうか分かりませんが、要は、ポイントは、より中身を答弁しろということかと思います。

 内容によって、最大限政府としての考え方を国民の皆様にも聞いていただけるよう努力をいたします。

山岸委員 では、是非、早速、中身の御説明をお願いしたいことがございます。

 昨日、自民党大会が開催されました。私は大変残念な思いで拝見しておりました。特に、旧統一教会の問題や、LGBT差別禁止あるいは理解増進、こうした法案をどう説明されるのか。一切言及がありませんでした。

 これだけ政治不信を招き、日本の国際的信用も失われている問題でございます。しかも、これらは自民党の組織の内部に問題の大半が起因をしている案件です。党内に対して総理の決意を明確に発信する場である党大会で、そこで一言もおっしゃらないということは、これは総理の本気度が疑われると思います。

 総理、なぜ、この二つのテーマ、触れなかったのか、理由を説明願えますか。

岸田内閣総理大臣 予算委員会の場で内閣総理大臣として自民党大会の内容について申し上げるのは控えるべきかもしれませんが、先ほど、しっかり、中身が大事だという御指摘もありました。あえて申し上げさせていただきたいと思いますが、自民党党大会としては、党大会全体で国民の皆さんに対してどのような発信を行うのか、これが大事だと思っています。

 ですから、私自身の思いを申し上げる、御挨拶の中で申し上げる、これももちろん大事ではありますが、党大会において幹事長を始め党幹部それぞれがどのような発信をするのか、それを、全体を分担する形で、全体として自民党の思いをしっかり伝えることが重要であると思っています。

 統一教会の問題については、茂木幹事長の党務報告の中で、悪質な寄附等の被害救済について、不当な寄附の勧誘を禁止する新法を制定したこと、また、ガバナンスコードの改定を行い、活動の社会的相当性が懸念される組織、団体との関係を遮断する指針、これを明確にした、こういったことについて説明をさせていただきました。

 また、LGBTについてですが、これは、御指摘のようにLGBTという言葉自身は使ってはおりませんが、包摂的な社会の重要性、あるいは多様性の重要性、こういった用語を使う中で、こうした課題についても重要であるという思い、これを伝えさせていただきました。

 いずれにせよ、私の挨拶のみならず、党幹部それぞれの発信の中で御指摘の旧統一教会あるいはLGBTについても申し上げたところでありますし、いずれにせよ、この二つの課題については予算委員会においても度々御質問をいただいております。自民党の基本的な考え方については度々御説明させていただいてきたとおりであります。

山岸委員 まさに、党がどのような発信をするかと総理おっしゃいましたけれども、まさにそれを役割分担して、総理が、総裁が言うべきテーマではない、いわば優先順位を下げたということじゃないですか。

 これでは、総理、じゃ、もう一個お聞きしますけれども、党大会、昨日たくさん自治体議員の方が見えていると思います。その中には、前回の選挙で統一教会から、あるいは関連団体から支援をもらったという方も当然含まれていると思います。

 昨日の党大会では、参加に際して、旧統一教会との関係遮断、誓約書、こういったものは提出をされたかどうかというのは確認をされたんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 旧統一教会との関係については、未来に向けて関係を遮断することが重要だということを確認した上で、自民党党本部としてガバナンスコードを改定し、それを全国の都道府県連に対しまして通知をし、徹底をさせているところです。

 そして、統一地方選挙前に、地方議員に対しましては、昨年こうした通知を出した時点でまだ公認、推薦候補を決定していない都道府県においては、その公認、推薦の選考プロセスの中に統一教会との関係を遮断する、こうした要素をしっかり盛り込んで選考を行う、こうした取組を行いました。

 また、党としての方針を通知した時点で既に公認、推薦等を終えている都道府県に関しては、公認、推薦候補から宣誓書を徴取する、あるいは県連の方から新たに確認の文書を発出するなど、一人一人の議員に対してこの方針を徹底する、こうした取組を行っています。

 なお、六つの県連においては、今回地方議員選挙が行われない東北等六つの県におきましては、時期がずれるということでありますので、今行ったのは四十一都道府県ということであります。

山岸委員 つまり、地域事情によって、あるいはその方の役職によっては、昨日時点では統一教会と関係を断ち切ったということを証明できていない議員も当然おられたわけです。そういった方々を前にして、総理が一言もこの問題にお触れにならない、これでは到底、統一地方選に向けて関係を絶つことは期待できないということは、まず申し上げておきたいと思います。

 今日、子供予算の議論をさせてもらおうと思っておりました。

 先ほどの長妻議員とのやり取りの中で非常に気になる答弁がございました。予算倍増の根拠について、先ほど総理はやり取りの中で、数字ありきではないと御答弁されました。

 これは、もしかして、倍増の単位は円ではない可能性もあるんですか。例えば、政府が取り組む政策の項目の数が倍になるとか、関わる職員の数が倍になるとか、そういうことすら決まっていないということなんですか。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 六月の骨太の方針において示すのは、間違いなく予算倍増の大枠であります。そして、それを示すためにも、今必要とされる子供、子育て政策、これをしっかり精査し、具体化していくことが重要である、中身を確定することが重要である、そして、その裏づけとなる予算について将来的な倍増に向けての大枠を示していこうということを申し上げております。

 おっしゃるように、項目とか、そんなことを申し上げてはおりません。予算について申し上げております。

山岸委員 全く倍増の根拠が、今に至るまで明らかにされない、この一か月間予算委員会で議論をして、いまだに明らかにしないものが、果たしてこれから先しっかり中身が出てくるのか、到底理解が、納得できない。

 今、木原官房副長官の発言の問題、先ほど議論されていましたけれども、総理も政府の方針とそごがないとかばっておられて、なぜそこまで守られるのかなと私疑問に思ったんですが、こういう理由があるんだろうなと想像します。

 そもそも木原副長官の発言、これは総理にも責任の一端があるんじゃないでしょうか。冒頭申し上げたように、総理は、説明、説明とおっしゃるばかりで、全然中身を説明されない。なので、今、総理側近の方々が、周辺の方々が、総理の真意はこういうことなんですよということをあちこちで説明している。その説明が次から次へと失言につながっているというのが今、起きている現状ではないでしょうか。

 パネルを御覧ください。

 是非思い出してください。荒井前総理秘書官のLGBTをめぐる差別発言。これは総理の、社会が変わってしまうという発言が発端になって、その真意を説明する中で飛び出したものでございました。そして、今回の木原官房副長官。これも総理の当委員会における、GDP比なのか何なのか、倍増のベースということの発言を説明する中で出てきた話でございました。

 総理、御自分の説明が不十分だから、周りが何とかそれを取り繕おうとしてかえっておかしなことになっている、こういう御認識、総理御自身の腰が定まっていないから混乱をもたらしている、そういう反省は国民に対してありますか。

岸田内閣総理大臣 私自身の説明が足りないという御指摘をいただきましたが、子供、子育て政策については、今年の初めから、通常国会冒頭から、三月末までにたたき台を作った上で、六月の骨太の方針に向けて予算倍増への大枠を示したいということを申し上げてきました。一貫してそのように説明をしています。

 そのスケジュール感に立ったならば、今の時点で個別の政策はどうかと言われても、今の全体の整理の中で御指摘の点も踏まえてしっかりと中身を具体化してまいりますとしか申し上げることはできないわけですし、予算倍増の根拠は、まさに必要とされる政策が並べられて、それの予算が幾らかを確認した上で、その倍増を目指して大枠を示すということを行っていかなければいけない。今の時点では、これは当然のことを申し上げていると思っています。

 是非、六月に向けて大きなスケジュール感を示させていただいているわけですから、その中で具体化の議論を進めていきたいと思いますし、その過程において、国会においてできるだけ説明責任を果たしていきたい、このように思っています。

 私の説明が不十分だから周辺の発言が指摘をされているという御指摘ではありますが、私自身の説明は今年の初めから一貫して大きな方向性について申し上げさせていただいており、これは適切な説明であると認識をしております。

山岸委員 確かに総理は一貫しております。一貫して説明にならない説明をされている。だからこういうことが起きているということなんです。

 次のパネル。

 同じように、理解できない説明がもう一点ございます。先ほども少し議論がありましたけれども、裨益をする。子供、子育て政策、誰がメリットあるのということで、さっき総理は答弁の中で、防衛予算と子供の予算、分けて説明をされていました。私、この説明、大変違和感があります。

 もちろん、個別の政策を切り出せば、何歳児から何歳児までに給付をするというものは特定の方にしかメリットがありません。だけれども、それが回り回って社会全体の持続可能性につながっていくから国民全体にメリットがあるんだよ、こういう説明をしていたはずです。

 それは、でも、防衛費も同じであって、例えばアメリカから高いミサイルを買いますという政策それ自体は、アメリカの軍需産業にしか金銭的なメリットはありません。だけれども、総理の説明では、それを通じて、僕は若干考えが違いますが、しかし、そのことによって国民全体の安全が守られるんだ、こういう整理ですよね。

 この点では、子供予算も防衛費も、たてつけは同じじゃないですか。一個一個の政策は、受益者、お金が回る人は限られているかもしれないけれども、全体で見れば、社会全体にメリットがあるんだ。

 これはダブルスタンダードじゃないですか、総理、違いませんか。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げましたが、子供、子育て政策も、これは社会経済の持続可能性につながる大きな課題である、よって、国民全て、男性も企業も地域社会も高齢者も、そして結婚されていない方々も含めて全てに関わる課題であるということで、この問題の重要性を指摘し、取り組んでいこうということ、これは今年の通常国会の所信においても申し上げたとおりであります。

 御指摘の点については、財源についての議論の中で出てきたやり取りであります。財源ということを考えた場合に、これは、防衛費の場合は、どの地域においても、そしてどういった立場の人にとっても、国の安全が守られるということは裨益するものであると考えています。

 ただ、社会保障、個別の政策ということを考えた場合には、個別の政策によって立場や地域や年齢等によって裨益する方々は様々であるからして、財源についてはそれぞれ丁寧に財源を考えていかなければいけない、こういった違いはあるのではないか、こういったことを説明させていただいたわけであります。

 子供、子育て政策が社会全体にとって重要な課題である、この認識は再三申し上げています。しかし、財源をこれから考えていくに当たって今言った丁寧さは必要なのではないか、こうした違いについて説明をさせていただいた次第であります。

山岸委員 岸田総理の答弁は、私、これは安倍総理のときより後退していると思いますよ。二〇一九年、パネルに示していますけれども、安倍総理もこう答弁されています。社会保障、ここで社会保障には当然少子化は入っていますけれども、社会保障は国民全てが人生の様々な段階で受益者となり得る、こういうことを言ってきた。でも、総理は、殊更に、全員がメリットがあるわけじゃないということばかりおっしゃる。これは明らかに答弁は後退している。

 私が申し上げているのは、政治の本気度が問われるポイントだからなんです。

 私は、地元の練馬に帰ると、年配の方からいつもこう言われます。山岸さん、子供の議論大事だけれども、年金どうなの、医療大丈夫なの。多分これは与党の先生方も皆さん同じだと思います。こういうときに、私はこう答えています。もちろん年金を守っていきます、でも、そのためにこそ、子供たちが生まれ育っていく社会環境をつくっていく、そのことが回り回って年金、社会保障の安定化にもつながっていくんだ、みんなにメリットがあるんだということを申し上げております。

 世の中には、子供がいる家庭もあれば、まだいない御家庭もあれば、子育てを終えた家庭もあれば、お一人様もいらっしゃいます。私自身はまだ子供がおりません。そういった幅広い方々に対して我々政治家が理解を広げていかなければいけないときに、総理御自身が、子供予算というのは個別に見たら一部の人間しかメリットがないからと言ってしまったら、こんなことで予算倍増なんか永遠にできるわけないですよ。総理、答弁を撤回すべきではありませんか。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 全く私はおかしなことを言っているとは思っておりません。

 先ほど申し上げたように、子供、子育て政策、この全体は、社会の持続性に関わるものであり、そして今委員が御指摘になられました、いろいろな立場の方々にも様々な形で巡り巡ってこの政策の影響が及んでいく、社会全体がこうした取組の重要性をしっかり認識しなければいけない、こういったことを再三申し上げています。

 子供、子育て政策全体はそういうものだと思っておりますが、その中に含まれる個別の政策を考えた場合に、そしてその財源を考えた場合には、この政策によって丁寧にきめ細かく財源もどうあるべきなのかを議論する、こうした丁寧さが必要だということを申し上げているわけです。

 全体が、子供、子育て政策全体が社会全体にとって大事だということ、これはもう再三私も強調させていただいているところであります。

山岸委員 総理、また今おっしゃった、社会全体が認識すべきだと。総理、以前、我々国民がとか、国民が何とかすべきだということを言って批判されたことがありましたよね。社会全体が認識を変えなきゃいけないと総理はおっしゃるんだけれども、まず総理御自身が認識を変えていただかないと。一部の方々だけに影響があるではなくて、国民の全てのためになるんだということを、総理御自身が変えていただかないと、実現ははるか遠ざかっていくということを申し上げて、残した氷河期の問題に移ってまいりたいと思っています。

 今、年配の方のことを申し上げましたけれども、少子化対策、社会全体に利益があるんだということは、これは現役世代の皆さんにも理解、理解というか、皆さんが共感いただかなければ進められないと思います。

 私、今、四十一歳ですけれども、就職氷河期というのは大体私が一番下ですね、四十歳から五十歳ぐらいまでの世代、団塊ジュニアともほぼ重なっております。少子化との関連で申し上げれば、少子化対策が間に合わなかった世代と。過去形で言わなければいけないのは大変残念な思いですが、実際問題そういうふうに、これから少子化対策の対象から徐々に排除をされていく時期に入っております。

 私は、この世代に対して、まず政治が一言あってしかるべきじゃないかなと思っています。この十年間、政治が真っ正面から向き合っていれば、氷河期世代の少子化の現状、違ったかもしれません。正社員になって、安定した雇用環境の下で、結婚したい方は結婚し、子供を持ちたい方は望む数を持つことができたかもしれないこの氷河期世代あるいは団塊ジュニアの方々に対して、私もじくじたる思いがありますが、総理はやはり、この十年間ずっと政治の中枢におられたわけですから、一言、申し訳ないという言葉を言ってもらえませんか。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 平成のバブル景気の崩壊以降、雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った、いわゆる就職氷河期世代の方々には、不本意ながら非正規雇用で働いている方、あるいは引きこもり状態にある方など、様々な課題に直面してきた方々が含まれています。これは、個々人やその家族だけの問題ではなく、社会全体で受け止めるべき重要な課題であると認識をしています。

 そういった認識を歴代政権も持ってきたからこそ、こうした就職氷河期に対する就労や社会参加を支援する取組、二〇〇三年、若者自立・挑戦プランの策定、二〇〇六年、再チャレンジ支援総合プランの取りまとめ、二〇一九年、就職氷河期世代支援プログラムの策定など、様々な取組が行われてきたと認識をしています。

 ただ、この三年余り、コロナ禍で厳しい雇用情勢にあった、こうしたことも加わり、十分な結果が出ていないことについては、政治の立場から、至らない点についてしっかりと反省し、そして努力を続けていかなければならないと思います。

 来年度から、この就職氷河世代支援プログラムも延長させることも考えながら、支援の努力を続けていきたいと考えています。

山岸委員 延長するだけでなくて、うまくいったもの、うまくいかなかったものをしっかり検証しなければ、同じ過ちを繰り返すと思います。

 今日、時間ですからまとめてまいりますけれども、総理、結局十二回ですかね、説明、おっしゃっていました。でも、残念ながら、中身のある説明は聞けなかったと思います。

 我々立憲民主党、これからも、もっといい未来のために議論を重ねてまいります。

 ありがとうございました。

根本委員長 この際、後藤祐一君から関連質疑の申出があります。長妻君の持ち時間の範囲内でこれを許します。後藤祐一君。

後藤(祐)委員 立憲民主党の後藤祐一でございます。

 今日、子供関係予算、大いに議論になっておりますが、総理、倍増するという議論、先ほどからありますが、ここは令和五年度予算案を審議する場です。令和五年度予算においては、子供関係予算は、今年度の四・七兆から四・八兆に、〇・一兆円しか増えていない。一方で、防衛関係予算は五・四兆から六・八兆に増えています。バランス悪くないですか。その次の年度以降頑張りますというのも、それは頑張っていただければいいけれども、この令和五年度予算案に関しては、余りにアンバランス。防衛費を増やすことも必要だと思いますよ。でも、防衛費一・四兆円増やせるんだったら、例えば〇・七兆円ずつ増やすとか、そういうバランスを考えなかったんですか、総理。

岸田内閣総理大臣 防衛予算については、昨年末、三文書の閣議決定等を受けて、これから五年間かけての増強の道筋について、政府・与党の考え方を示し、そして予算についても盛り込ませていただいた、こういったことであります。

 子供、子育て予算については、先ほど来申し上げているように、今年の六月の骨太の方針に向けてこうした取組を具体化していく、こういったことを申し上げています。

 その上で、今年は四月からこども家庭庁がスタートいたします。この六月の骨太の方針に先立って、具体的な出産育児一時金の増額ですとか、さらには、伴走型の支援と経済的な支援を組み合わせたパッケージですとか、こういった取組を先行して予算に盛り込んだ、こうしたことであります。

 是非、六月の骨太の方針でしっかり大きな枠組みを確定した上で、予算についてもしっかりと増強していきたいと考えています。

後藤(祐)委員 それは再来年度以降の話でしょう。ここは来年度予算を審議する場ですよ。来年度予算は全然増えていないじゃないですか、〇・一兆円しか。やる気あるんですかという話なんですよ。

 この議論はもうこの辺りにさせていただきますが、防衛予算の一・四兆円分、これが本当に必要なものなのかどうかちょっとチェックしたいと思います。

 トマホークを始めとしてスタンドオフミサイルというものが幾つか予算計上されていますが、スタンドオフミサイルというのは遠くから目標を狙えるミサイルということだと思いますが、総理、何でスタンドオフミサイル、こんな大量に買うことになるんですか。その必要性は何ですか。

岸田内閣総理大臣 スタンドオフミサイルについては、相手の勢力圏外からの武力行使を可能とするなど、従来から基本的な重要性が指摘をされ、充実をさせてきました。

 あわせて、反撃能力の行使の議論も行われる、そうしたことを踏まえてこうしたミサイルの充実を考えてきた、これが基本的な考え方であると思っています。

後藤(祐)委員 ちょっと説明が曖昧で分からないですよね、テレビを見ている方。

 言いにくい面もあるんでしょうから、私から説明させていただきますと、第一列島線というのがあります。この沖縄諸島ですとか、ここの線ですね。これよりも西側ですと非常にリスクが高いということで、かなり離れた位置から反撃能力を行使するようにしないと、例えば尖閣を奪われた場合の反撃能力ですとか、あるいはそれ以上のこともあるでしょう、遠いところから狙うことのできる反撃能力を持つということ自体については一定程度理解はいたします。

 具体的な地理をもって説明しにくいというところは多少分かるので、補足的に説明させていただきました。

 それは理解するんですが、ちょっと買い過ぎじゃないですか。トマホークは二千百十三億円、令和五年度予算案で全額最初に払って、納入されるのは二〇二六年度。ところが、この同じ年度に、一二式、この能力向上型というのは、これも音速まで達しない、マッハ一までいかない、スピードとしてはトマホークと似たようなミサイル、これの能力向上型というのも、これは同じ年度なんですね、配備予定が。あるいは、もう少しスピードの速いやつ、高速滑空弾、これも二〇二六年度配備予定。

 これ三つ、年度、配備予定が一緒なのは間違いないですか、防衛大臣。

浜田国務大臣 そのとおりです。

後藤(祐)委員 トマホーク、令和五年度予算で二千億で買って、その次の、例えばもう一年、二年早く配備できるというのであれば、これはちょっと分からなくもないんです。

 ですが、一二式の能力向上型、これは日本版トマホークという言い方がいいかどうかはともかく、しかも飛行機だとか船からも撃てるやつですよ、地上からも撃てるやつですよ。トマホークは、これはイージス艦からしか撃たないんですよね。アメリカにおいてはいろいろな撃ち方があるそうですが、今回はイージス艦からしか撃たないそうですけれども、石破大臣、大変詳しいですからサジェスチョンを後ろからいただきますが、何でもかんでも買うのは、総理、駄目じゃないですか。

 さっきの表を見てください、最初の。子供予算は〇・一兆円しか増えなくて、防衛予算は一・四兆円増える。あるいは、この先のことを考えたときに、一年で四兆円弱防衛費を増やさなきゃいけない。そのうちの一兆円強は防衛増税で賄うと言っている。何とか四分の一ぐらい節約しようと何で考えないんですか。四分の一節約するのは、このトマホーク二千億を諦めればちょうどいいじゃないですか。

 トマホークと一二式能力開発型というのと高速滑空弾早期配備型、全部配備予定は同じ年度ですから、どれかに、一個でなくてもいいですけれども、絞るべきじゃないですか、総理。

浜田国務大臣 基本的に、我々としては、我が国に侵攻してくる、今委員から御指摘もありましたけれども、艦艇、上陸部隊に対して、脅威圏外からの抑止、排除できる必要なかつ十分な能力を保有するために、国産、外国製、各種のスタンドオフミサイルの取得を進めることとしておるわけであります。

 トマホークは、これまで米軍等の運用を通じて性能が実証された長射程ミサイルでありますし、我が国が二〇二七年度までに、五年間でスタンドオフミサイルを実践的に運用する能力を獲得するための一つの手段として導入したものであります。

 トマホークの導入を含め、我が国に侵攻が生起する場合に、我が国が主たる責任を持って対処、阻止、排除し得る防衛力を早期に構築してまいりたいと考えておるところでありますし、また、国産、外国製の各種スタンドオフミサイルの取得を進めることとしていますけれども、それらの中でもトマホークは性能が実証された長射程ミサイルであるため、二〇二七年度までの五年間でスタンドオフミサイルを実践的に運用する能力を獲得するために、信頼性の高いアセットとして大きな意義があるものと考えておるところであります。

後藤(祐)委員 ですから、二〇二四年度か二〇二五年度に配備できるんだったら分からなくないんですよ。ですが、これは同じじゃないですか、年度は。しかも、防衛大臣、もっと先の、例えば二〇三〇年代なんかは、トマホークは、ずっと買い続けるんじゃなくて、一二式になっていくんですよね、大臣。

浜田国務大臣 今、現存するものは、スタンドオフミサイルは、今まで研究をしてまいりまして、今後、二〇二五年までにこれを完成させるということでありますけれども、しかし、これから先の問題については、これから積み重ねてやっていくことになるわけでありますので、より確実なものを入れておくというのは、ここのところでは、安全性、我々とすれば、担保する意味では、今回のトマホークの購入というのは必要であるというふうに考えております。

後藤(祐)委員 だったら、トマホークに絞ればいいじゃないですか。両方は買い過ぎじゃないですか。

 そのほかにも、島嶼防衛用高速滑空弾、極超音速誘導弾、島嶼防衛用新対艦誘導弾、これは締めて六千八百二十五億ですよ。来年度予算だけですよ。この何でもかんでも買うという姿勢が防衛増税につながっているんじゃないですか。来年度は防衛増税は入っていないけれども、この調子でずっとお金をかけていくわけですから、再来年度以降、同じように、あるいはそれ以上にお金がかかってきますでしょう。

 総理、全部買うというのは買い過ぎじゃないですか。少し節約して、防衛増税を何とか妨げよう、こうしませんか、総理。

岸田内閣総理大臣 防衛力の強化につきましては、昨年来申し上げていますが、まず予算ありきで議論したということではありません。何よりも我が国の国民の命、暮らし、そして事業を守るために、この厳しい安全保障環境の中で何がどれだけ必要なのか、現実的なシミュレーションを行った結果、こうした装備について考え、そしてその裏づけとなる予算について考えた、これが基本的な考え方であります。

 今おっしゃったように、様々なミサイル、国内でも装備を進めていく、開発を進めていく、こうした御指摘はそのとおりでありますが、全体として、国民の命や暮らしを守るためにどれだけのミサイルが必要なのか、それを考えた場合に、国産誘導弾の取得数量の不足等を補うためにもトマホークを取得する必要があると考えて、こうした装備の充実を考えてきた、こうしたことであると認識をしています。

後藤(祐)委員 何を言っているか分かりますか、国民の皆さん。分からないですよね。

 しかも、上から二つ目の一二式の能力向上型は、来年度予算で、開発だけじゃなくて、量産のための予算を九百三十九億積んでいるんですよ。物すごい数を造ろうというための予算が九百億ですよ。それでも足りないからというんですか。それなりの、もっと多くの量産を目指せばいいじゃないですか、そうしたら。あるいは、それが届かないんだったら、もうトマホークにすればいいじゃないですか。これは説明になっていないですよ、総理。

 じゃ、トマホークを買うと言うんですから、聞きます。

 二千百十三億円、来年度予算に計上されていますが、これは一体、単価は幾らで、何発買うんですか。これについては、先週、泉代表が質問しましたが、答えられませんでした。アメリカの政府は、四十発で一億六千万ドル、一発大体四百万ドルということを正式に議会に対して示しています。何発で、一発幾らですか、総理。

浜田国務大臣 防衛省として、我が国が、具体的な防衛能力が明らかな形を取らないということでお示しできるか検討を行った結果、トマホークについては、最大で四百発の取得を可能とする方向で米側と調整中と回答したいと思います。

 単価については、これは、我々とすれば、今ここで公表することは控えさせていただきます。

後藤(祐)委員 米側と調整中って、これは来年度予算ですよ、今ここにかかっている。二千百十三億円の積算根拠を聞いているんです、総理。

 最大で四百発って、例えば、為替が変動するから、四百発買おうと思ったけれども三百九十発でしたとか、それはいいと思いますよ。でも、例えば百発しか買わないとかいったら、単価が全然変わってくるわけですよ。

 実際、二千百十三億円を、さっきの、アメリカの議会に示した一発四百万ドル、だから、日本円にすると五億四千万円、一発五億四千万円で割ると三百九十一発ですから、大体計算は合っているんです。だから、四百発本当に買うのであれば、大体アメリカと同じぐらいの値段になるという計算が成り立つので、それが三百九十でも三百八十でもいいですよ。でも、百発しか買わないといったら、それは四倍の値段で売りつけられているということじゃないですか。だから、そこは説明していただかなきゃいけないと思うんですよ。

 二千百十三億円という来年度予算に計上したトマホークの価格は適正であるかどうか、説明になっていないじゃないですか。総理、四百発ぴったりでなくてもいいですよ。四百発近くだということは、ちゃんと説明いただけますか。

岸田内閣総理大臣 まず、基本的に、自衛隊が保有するミサイルの弾数や単価については、これは従来から申し上げているとおり、これをお示しすれば、継戦能力が明らかになり、自衛隊への対処要領の検討が容易になる、こうした観点から公表はしてきておりません。

 しかし、トマホークに関しましては、取得予定数量について大変関心が高い事項であること、また、米国の議会プロセスの一環として、売却する可能性のある最大数量が公表されることを踏まえて、我が国として最大購入数量をお示しすることとしたものであります。

 トマホークの取得数、これは四百発を予定しているというのが我が国の方針であります。

後藤(祐)委員 最後の答弁は、四百発を予定しているんですね、最大ではなくて。最大ではなくて、四百発を予定しているということでよろしいですね、総理。

 総理の答弁を、今、総理の最後の答弁を。防衛大臣に聞いていないですよ。

根本委員長 防衛大臣浜田靖一君、ちょっとそこを正確に言ってください。

浜田国務大臣 済みません。我々とすれば、これは最大四百発ということを聞いておるわけでありますので、その数字は出せると。

後藤(祐)委員 じゃ、総理の先ほどの答弁、訂正してください。

岸田内閣総理大臣 四百発を予定している、そのように申し上げました。これが政府の方針であります。

後藤(祐)委員 じゃ、防衛大臣の先ほどの答弁、違いますね。最大じゃなくて、四百発を予定しているんですから。

 防衛大臣、答弁を訂正してください。

浜田国務大臣 基本的には、取得数については、予定は四百発でありますけれども、アメリカ側の説明では最大四百発ということであります。

後藤(祐)委員 ここは日本の議会なんですよ。アメリカ側の説明じゃなくて、日本政府として一貫した説明をしてくださいよ。

 でも、防衛大臣の答弁が違うということですね、総理。四百発を予定しているでいいんですね。例えば、これが百とか二百ということはないということでよろしいですね、総理。

岸田内閣総理大臣 いや、決して矛盾しているとは思いません。四百発を予定している、そのように申し上げております。

後藤(祐)委員 じゃ、百とか二百ということはないですね。

 いいですよ、三百九十とか、為替によって変わったとか、それはいいですよ、多少は。だけれども、四百発を予定しているという意味は、三百九十になりましたということはあるかもしれないけれども、百とか二百とかではないということでよろしいですね、総理。

岸田内閣総理大臣 四百発を予定している、そのとおりであります。

後藤(祐)委員 でも、これが百発だったら、四倍の値段のものを買わされていることになっちゃうんですよ。

 だから、百発だったら、例えば二千億円の予算が五百億円ぐらいで済んでいるという状態になるんだったら、それはそれで、そういう可能性もあるという答弁をしてくださいよ。

 つまり、百発しか買わない可能性もあるというんだったら、単価はどうなんですか。じゃ、単価を答えてください、単価を。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、基本的に、ミサイルの弾数、単価については、継戦能力等が明らかになることから明らかにしていない、これが基本的な考え方です。その中にあっても、トマホークについては大変関心が高いということ、アメリカ議会での最大取得数量について報告が行われる等の事情もあることから、我が国の政府の考え方を説明させていただいています。

 四百発の取得を目指すということを申し上げています。それ以上については内容を控えさせていただきます。

後藤(祐)委員 一発幾らで購入する予定かというのは、継戦能力って、それはお金の問題だから、すごい広い意味では確かに継戦能力かもしれないけれども、発数、弾数に比べれば、一発幾らというのは継戦能力という話じゃないですよね。

 一発幾らなのか、この委員会にその数字を出していただくよう要求いたします。委員長、お取り計らい願います。

根本委員長 理事会で協議します。

後藤(祐)委員 このミサイルをどこに配備するかという問題もあるんです。この一二式というやつは艦船とか飛行機にも載せられるんですけれども、例えばこの島嶼防衛用高速滑空弾という上から三つ目のやつ、これは地上発射限定ですよね、防衛大臣。そうですよね。そうしますと、これはどこに置くんですか。つまり、日本のどこか、島なのかどうか分かりませんけれども、どこか地上に、この高速滑空弾を置かなきゃいけないわけですけれども、ここは真っ先にやられますよ。どこの市町村がこんなものを受け入れるんですか。

 防衛大臣、この高速滑空弾、必要性は理解しますよ、スピードとかいろいろな意味で。一二式じゃ遅い、これの方が速い。この必要性は理解しますが、これだけで五百五億円、来年度予算に計上されているんですが、五百五億円かけて造り始めたら、どこの市町村も受け入れてくれませんでしたということはないでしょうね。

 外に対して言わなくてもいいですけれども、どこかに置けるという算段があって、来年度予算にこの五百五億円、計上されているという理解でよろしいですか、防衛大臣。

浜田国務大臣 現在、様々なスタンドオフミサイルの導入に向けて取り組んでいるところでありますが、現時点の予定では、先ほどお話がありましたように、地上発射型の能力向上型を考え、そしてまたトマホーク、島嶼防衛用の高速滑空弾の、三種弾のミサイルについては、納入されるのが二〇二六年度からということでございます。

 各スタンドオフミサイルの配備地については、今後検討を進めていくこととしたいと考えております。

後藤(祐)委員 総理、必ずどこかに置けるんですね。それが約束されないと、この五百五億、認められないですよ、総理。

浜田国務大臣 我々とすれば、これは当然、今この時点で場所を明確にするということは、逆に言えば、まだ決めておりませんのでこれを言うこともできませんし、そしてまた、逆に言えば、これからの時間を使ってしっかりと、これを国民の皆様方に説明していきたいというふうに思っております。

後藤(祐)委員 どこなんだということを私は求めていません、言う必要もありませんが。

 総理、令和五年度予算に五百五億高速滑空弾を計上しているんですから、どこかには置ける、地上に、日本の。これを約束してください。そうしないと、この予算を認められないですよ。

岸田内閣総理大臣 今防衛大臣からも答弁させていただきましたが、当然、購入する以上、これは配備しなければなりません。現実問題、適切に配備を考えていく、配備を行う、これは政府として、政府の責任として当然のことであると思っています。

後藤(祐)委員 今の答弁、大変重いと思いますが、イージス・アショアで何が起きたんですか。かなり有力な秋田と萩が結局駄目になって、オジャンじゃないですか。それで無理して船に載っけようとして、今、防衛省、大変迷惑していますよね。やはりそこの先のめどをつけてからお金をかけることをしないと、これは原発のごみと同じ話になりかねないじゃないですか。総理、今の答弁、重いですからね。

 次に行きます。

 存立危機事態における反撃能力、これについては分かりやすい例を示してくださいということで申し上げてまいりました。我々は、存立危機事態、つまり、集団的自衛権を行使する形で反撃能力を持つことには反対です。個別的自衛権、つまり、日本が攻撃されたときにそれ以上攻撃されないようにするために反撃能力を一定程度持つことについては、我々も必要なことだと思っています。

 ですが、例えば、これは先週、本庄さんが議論で使ったパネルですけれども、ある攻撃国と攻撃を受けた被攻撃国の間で武力攻撃が発生して、アメリカもこの戦争に参加することになって、そのときにアメリカの要請があった場合には、日本がミサイルを迎撃できる、これは安保法制のときに集団的自衛権の行使の事例として説明されました。我々は、これには反対ですが。

 この反撃能力を集団的自衛権の行使の形で行使する分かりやすい例というのを示してくださいと本庄さんは言ったはずなんです。それは、総理はこう言っているんですね。国民の皆様への説明を考えた際に、分かりやすい説明、これは重要であり、分かりやすい例を示す、御指摘のような図等を活用した形で説明を行うこと、これは重要だと申し上げました、今、具体的に、どのような説明が分かりやすいものか、この調整を進めているところでありますという答弁が、先週水曜日の答弁です。

 さっき理事会に、個別的自衛権のケース、日本が直接攻撃される場合の反撃能力のイメージ図なるものは示されましたが、これは当たり前の話なんですよ。そうじゃなくて、集団的自衛権の行使のケースで分かりやすい例というのを、総理、示していただけますか。今のところ示されていません。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、反撃能力ということについて分かりやすく説明する図について、政府として調整をし、お示しをさせていただくべく努力を続けています。

 ただ、御質問は存立危機事態における反撃能力ということでありますが、存立危機事態については、まず、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生したからといって無条件に認定されるものではなくして、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合、そして、他に適当な手段がなく、必要最小限度の実力行使にとどまる場合において許容される、存立危機事態とはそういうものであります。

 こういった事態についてきめ細かく具体的な例を示すということは、これは安全保障という課題の性格上、これは適切ではないと認識をしております。

 反撃能力、基本的な能力については適切に分かりやすく説明したいと思いますが、それ以上具体的な説明については、個別具体的に判断するということでありますので、具体的な例をお示しすることは難しいと考えています。

後藤(祐)委員 安保法制のときもこれと同じような議論があって、私も委員でしたけれども、こういう具体的な例を示して、特定の国は指定しないで、それで議論が少しは深まった面があったんですよ。

 総理、これは国民に説明しないと駄目ですよ。存立危機事態における反撃能力を持つと言われたって、分からないですよ、国民の皆さん。

 じゃ、少し私がイメージしやすいものを作りましたので。これは、元々の、政府が作ったやつから一部の絵を抜いただけのものです。

 ある攻撃国が被攻撃国に対して攻撃しました。駐留かどうかは別として、アメリカ軍もこの戦争に参加する状態になりました。そして、日本に対して、この攻撃国に対して反撃能力を行使してくれとアメリカから依頼がありました。まだ日本国に対しては攻撃はありません。これがまさに集団的自衛権の行使における反撃能力の例じゃないですか。こんな例、簡単じゃないですか。こんなの、だって、白いので消すだけですよ。

 総理に聞きます。

 今の事例では、この攻撃国の領土の上にあるミサイルを日本の船から、反撃能力、トマホークなどで撃つことはできますか。

岸田内閣総理大臣 これはまさに先ほど御説明したとおりであります。

 存立危機事態における反撃能力の行使については、これは、武力行使の三要件に基づいて、他に手段がなく、やむを得ない必要最小限度の措置としていかなる措置を取るのか、これを個別具体的に判断しなければなりません。これは、要は、アメリカを始めとする我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生したからといって、無条件で存立危機事態は認定されるものではありません。今言った要件に当たるかどうかを個別具体的に判断する、こうしたことであります。

 そして、こういった場合にどう対応するのか、これを事前に明らかにするということについては、具体的にいかなるケースで我が国がいかなる対応を取るのか、これを明らかにすることになるわけですから、これは安全保障上控えるべきであると申し上げております。

 よって、存立危機事態における反撃能力、これは個別具体的に考える課題であるからして、今委員がお示しいただいた図をもって存立危機事態に認定されるかどうか、さらには反撃能力が認められるかどうか、これを簡単に説明することは難しい、個別具体的に判断するということが安全保障上の基本的な考え方であります。

後藤(祐)委員 安保法制のときは、新三要件、その三要件を満たした場合には攻撃できるという説明をしていたんですよ。

 今ももちろん三要件を満たした場合の話ですよ。存立事態になって、他に適当な手段がなくて、必要最小限度の実力行使にとどまるという場合に、アメリカから要請があれば、日本のミサイルでもって反撃能力を使って攻撃国の領土の上のミサイルを攻撃することは、三条件が整えばできますか。これを答えていただかないと、それこそ、防衛三文書を勝手に閣議決定して、国会に対して何を説明しているんですか、総理。これぐらいちゃんと説明してください。

岸田内閣総理大臣 存立危機事態における反撃能力、要は、事態認定がなされた後の反撃能力については、武力の行使の三要件に基づき、弾道ミサイル等による攻撃を防ぐために他に手段がなく、やむを得ない必要最小限度の措置としていかなる措置を取るかという観点から、個別具体的に判断をいたします。

 なお、その際に、武力の行使を行うということになりますと、国際法上、他国からの要請も必要になってくる、こうした条件も加わるんだと考えます。

後藤(祐)委員 そこも言っているじゃないですか。アメリカからの要請があった場合の話ですよ。三要件を満たしている場合の話ですよ。個別具体的な話じゃなくて、一般論として聞いているんですよ。これは、攻撃国とか、被攻撃国とか、極めて一般的なことしか書いていないですよ。個別具体的なケースじゃないですよ、国も示していないし。

 これについて、反撃能力は行使できないんですか。できないならできないと言ってください。できる場合もあるんだったらできる場合もあると答えてください。

根本委員長 防衛大臣浜田靖一君、まず答弁して。(後藤(祐)委員「いや、これは事態認定とかも絡むから、これは総理でないと答弁できないですよ」と呼ぶ)ちょっと待って。

 浜田靖一君、答弁して。簡潔に。

浜田国務大臣 反撃能力は防衛出動時に無条件で行使されるものではなく、武力攻撃を受け、さらに、自衛のため万やむを得ないと認めない限り、行使はされません。仮に、万やむを得ず反撃能力を行使する場合であっても、必要最小限の行使にとどまるものであることは、これは委員も御承知のとおりでありますし、また、先ほど平和安全法制の際の議論でポンチ絵がという話がありましたが、要するに、平和安全法制の際の議論は、我が国の憲法上、いかなる状況であって武力の行使三要件が満たされるか否かという議論があったため、事例を含めて議論をされました。

根本委員長 簡潔にお願いします。

浜田国務大臣 しかし、反撃能力の行使は、事態対処法の手続に従って武力攻撃事態等の認定がなされ、武力行使の三要件に基づいて自衛権が発動される状況において、我が国が必要最小限の自衛の措置としていかなる対応を取るかという対応措置の態様の議論であり、性質が異なるものであることは間違いのないことだと思います。

岸田内閣総理大臣 この存立危機事態における反撃能力、この議論において、理屈としてはこれは武力行使の三要件に該当するかどうかを判断するということになるわけですが、これは、他に適当な手段がない、必要最小限の実行行使にとどまる、この要件は決して簡単な要件ではありません。こうした要件をしっかりと判断した上で、要件が満たされたならば武力行使ができる、これが我が国の従来からの基本的な考え方であると思っています。

後藤(祐)委員 できるという答弁のように限りなく聞こえますが、このケースについて、ケースというかこの事例について、反撃能力を行使できるかどうか、存立危機事態における反撃能力を行使できるかどうか、政府としての見解を当委員会に提出するよう求めて、質問を終わります。

根本委員長 理事会で協議します。

 これにて長妻君、山岸君、後藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、池下卓君。

池下委員 日本維新の会、大阪府高槻市、島本町から選出させていただいております池下卓です。どうぞよろしくお願いいたします。

 今回は、海外での臓器移植の問題についてお伺いをしたいと思います。

 総理、実は、私のおばが心臓疾患でかつて亡くなりました。また、先天性等の臓器疾患等により移植を待たれる患者さんというのは、本当にたくさんいらっしゃいます。

 私は医者ではありません。資格もありません。一人の患者さんを救うことはできないかもしれませんけれども、政治の力で一人でもたくさんの患者さんをお救いしたいという具合に思って、今回は質問をさせていただきたいと思います。

 臓器移植法でありますけれども、平成九年に議員立法で成立したと承知をしております。

 現状、臓器移植についての問題は、大きく二つあると考えております。

 パネルの方を御覧いただきたいんですが、こちらの方は、各国の人口百万人当たりの臓器移植提供数です。

 こちらの方では、アメリカ、スペインといった臓器移植先進国に比べまして、日本は臓器移植提供数が極めて低いということが示されています。また、国内での臓器移植体制、この不足ということも指摘されているところです。こちらが問題点の一つです。

 さらに、そのため、国内の移植を諦めて海外で移植を望まれる患者さんというのもたくさんいらっしゃいます。ここに二つ目の問題があると感じているんですが、海外での臓器移植は、国際移植学会によりますイスタンブール宣言、こちらの方に違反しているということであります。イスタンブール宣言といいますのは、臓器売買の禁止であったりとか医療ツーリズムの禁止、また、生体ドナーの保護や保障、臓器提供及び移植の自国実施等の原則というものを呼びかけているものであります。

 そこで、もう一つパネルを御覧いただきたいんですけれども、こちらの方は、海外での臓器移植が疑われた記事というものが挙げられております。

 今月、海外での臓器移植を無許可であっせんした疑いで、NPO法人の理事長が逮捕されました。その疑惑を第一報として報じられたというものでありますけれども、問題は、この不透明なあっせんを野放しにしてきたというところがこの背景、法の不備というものがあると指摘されているところですが、総理として、このNPO法人が臓器移植法違反の容疑で送検された件につきまして、御見解と御認識というものをお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 東京都内のNPO法人が臓器のあっせんを無許可で行ったとして送検されたということ、それから、公平かつ適正であるべき臓器のあっせんを無許可で行ったということ、これが事実だとすれば、これは重大な問題であると認識をいたしますし、これは大変遺憾であると考えます。

池下委員 総理は非常に遺憾であるということを御表明されたわけですけれども、やはり私は、法の不備があるということが一番大きな問題点であると思っておりまして、議法でできたものであるということは重々承知はしております。だから、超党派でこれから国会内でも議論していかなければならないということは思っているんですけれども、政府としても、できるということはしっかりと、後でお話をしますが、していただきたいと思います。

 この無許可のあっせんの規制対象、これは脳死や心停止からの移植だけでありまして、生体移植といいますのが対象外になっている、法律でも対象外になっているというところです。ここも法の不備と言われているところでありますが、臓器移植法には国外犯規定というものがあります。現場が海外だと、どうしても、金銭の授受やあっせん、こういうところの実態について、証言や証拠というものは非常につかみにくいという現実もあります。

 そこで、海外での臓器移植について、移植元が生体か、脳死、心停止かを判別する立証といいますのは非常に困難であると私は考えているんですけれども、この点につきまして、法務大臣の方にお伺いをしたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 御質問は捜査機関の活動内容に関わる事柄でありますので、法務大臣としてお答えは差し控えるんですが、あくまで一般論として申し上げれば、捜査当局におきましては、刑事事件として取り上げるべきものについては、法と証拠に基づき、必要に応じて国際捜査共助の枠組みも活用した上で、適切に対処しているものと承知をしております。

池下委員 大臣、捜査上、非常に、詳細に答えられないというところは承知をしております。

 しかし、この捜査上困難な事象に関しまして、どういうところが問題点なのかというのは把握をしていただいているかと思います。今後、法改正若しくは省令や政令等々、対応できるところがありましたら、今回のような悲劇を未然に防ぐために、しっかりとやっていただきたいという具合に思っております。そしてもう一つ、海外での事例ですので、やはりICPOであったりとか海外の捜査機関としっかりと連携していただくようにお願いをしておきたいと思います。

 そして次に、かつて、大学附属病院のお医者さん、ドクターが海外での臓器移植に関与しているのではないかという事案がありました。この疑惑は、渡航移植の仲介業者が、患者が中国で臓器移植を受けられるよう協力をさせられたという報道があったというものでございました。

 パネルの三つ目を御覧いただきたいと思います。

 こちらの方は、当時、新聞報道にも取り上げられて、その後、厚労省からも、都道府県等を通じて、無許可での臓器あっせん業が疑われる事例について、医療機関への調査というものが行われたものであります。

 この平成二十二年の渡航での臓器移植の実態調査について、その方法や得られた結果に基づく対策を評価した上で、今回事例がありましたけれども、本件を受けた海外での臓器移植の実地調査、これをやっていくべきだと考えますけれども、加藤厚労大臣の所見を伺います。

加藤国務大臣 まさに平成二十一年、二十二年頃だったと思いますけれども、そうした事案がございまして、厚労省では、無許可での臓器あっせん業を疑われる事例について、これは平成二十二年度に、自治体を通じて、移植医療を行う大学病院等に対する調査を実施いたしました。ただ、結果、違法性がある団体は確認できなかったということで、当時は指導等の対応には至らなかったと承知をしております。

 また、今回の事案を踏まえて、患者の個人情報の取扱い、これには十分留意をする必要がございます。そうしたことを前提とした調査設計を行った上で、できるだけ速やかに、生体移植を含む海外での臓器移植等の実態を把握する必要があると考えております。その調査対象や調査内容については、速やかに検討して、必要な準備を進めていきたいと思っております。また、早期に、関係学会とも連携し、医療機関を通じた渡航移植に関する実態調査、これを行いたいと考えております。

池下委員 今、速やかにしていただくというお話をいただきましたけれども、私、これは海外で臓器移植をしたとしても、必ず、国内に戻りまして、臓器の拒絶反応であったりとか合併症のケアというものを国内でしていかなければならないということを承知しております。

 医師法の第十九条の方では、命の危険がある場合などを除き、医師法の十九条の応招義務の違反にはならないという判決、かつてこちらの方が出ているわけなんですが、ただ、医療機関に患者が来られたときに、どこでどのような手術をしてきたのかということは、必ずこれは把握できるものであると思っています。

 今回、今大臣が言われたような調査によって関与している団体が分かったとしても、厚労省は、今現在、認められた唯一の団体にしか指導することができないです。調査はしても指導ができないというのがあります。だからこそ、監督官庁である厚労省が、関与が疑われる全ての団体を監督指導できる仕組みづくりというものが必要であると私は考えているところであります。

 そこで、臓器移植に関わるあっせんや支援の団体は例えばすべからく登録制にするなど、国が日頃から監督、監視できる制度、これを設けるべきだと考えておりますけれども、厚労大臣の御意見を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 そのすべからくとおっしゃっているものの中に海外での臓器移植というものが入るとすると、これは、先ほど委員が御指摘になったイスタンブール宣言の考え方、まさに渡航移植は原則認めず、国内の移植医療の推進を認めるべき、これと背馳する、異なるということになると思います。

 したがって、それ自体、慎重な検討が必要であると考えていますが、他方で、厚労省としては、普及啓発を通じて、国民の皆さんの臓器移植に対する更なる理解の促進、また、医療施設間の連携強化などを通じて、臓器提供、移植体制の充実、こうしたことに取り組むことで、渡航移植ではなくて国内において臓器移植が適切に行える環境、これをつくっていくことが必要だと考えております。

池下委員 登録制というのは一例でありますけれども、これをやったといって、別に海外での臓器移植にお墨つきを与えるという趣旨で申し上げているわけではありません。例えば、○○ちゃん募金のように、やむにやまれぬ移植をサポートしている団体があるということも承知をしております。

 登録制は、先ほど言いましたように一例でありますが、私は、臓器売買が疑われるような活動をしている団体と、純粋に渡航移植を希望する家族をサポートするような団体、これはしっかりと明確に分けることが必要でありまして、そのためには、日頃から厚労省がそれらの団体活動に対して積極的に関与できるような仕組みづくりを是非していただきたいと思っております。

 平成九年に議員立法で成立した臓器移植法でありますが、当時の関わった議員の皆様には頭の下がる思いがいたしております。本当に、今まさに改正が必要な時期ではないかなと思っております。

 そこで、これまで法律をつかさどっていた厚労省、これまで現状の移植を取り巻く課題というものは蓄積されているという具合に思いますが、臓器移植を切望する患者さんにとってあるべき法改正、これをやるために、政府には是非その知見というものをおかしいただきたいという具合に考えておるんですけれども、岸田総理の見解をお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 臓器移植については、国民の皆様に臓器提供に関する正確な情報を発信し、国内における臓器移植が適切に行われることが重要であると認識をしています。

 このため、今回の事案を踏まえ、厚生労働省において、関係学会等と連携し、医療機関を通じた渡航移植に関する実態調査を行うこととしています。この結果も踏まえ、厚生労働省等の関係省庁において、これまでの臓器移植の課題も分析した上で、実効性のある対策を検討し、仮に今後、立法府において議員立法の議論がなされるとすれば、必要な協力を行っていきたいと思います。

 平成九年の法律成立時も、平成二十一年の改正時も議員立法ということであります。こうした議員立法の議論がなされるとするならば、政府としましても協力を行っていきたい、このように考えています。

池下委員 これで質問を終わりますけれども、議法での改正というのもあります。そして、かつて議法で提出されましたけれども内閣が改正した例も、別の法律であるという具合に考えております。政令や省令で現行法を補完するということも可能であるかと思っておりますので、切に、本当に困っている皆さんの助けになるような改正をしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

根本委員長 この際、池畑浩太朗君から関連質疑の申出があります。池下君の持ち時間の範囲内でこれを許します。池畑浩太朗君。

池畑委員 日本維新の会、池畑浩太朗でございます。

 農業高校出身、農業大学校出身、農業高校の実習教員を九年八か月務めてまいりました。兵庫県の農林水産業が全てあります西播磨、中播磨から参りました。質問させていただく機会をいただきまして感謝いたします。地元の皆さん、いつもありがとうございます。

 早速、質問に移らせていただきます。

 本日は、外交、防衛、少子化対策集中審議であります。食料安全保障と食料自給率向上について質問させていただきたいと思います。

 私が各委員会で再三質問させていただきます牛の粗飼料の高騰問題や、外国に農産物、粗飼料、飼料を依存することに危険性があるとの問題意識は、自民党、公明党、他党の方も多く質問されております。

 先週開かれました予算委員会分科会の第六分科会でも、朝九時から十八時までしっかり、休憩を挟んで座らせていただきまして、他党の農林水産、環境に対する質問もじっくり聞かせていただきました。

 その中で、当選以来、予算委員会と農林水産委員会にて、自給率向上については都度質問をさせていただいております。オーガニック給食の推進や、消費者側の方々の意見をきちっと反映させる、いろいろな角度で質問をさせていただきましたが、その中で、ほぼ結論として、自給率を向上しないといけないという理由の原因は、担い手不足と土地不足が課題であるという答弁をいただいております。

 今月初旬にも質問させていただきました予算委員会での質問の中で、食料自給率一〇〇%を本気で目指さない理由はあるのかとの質問を、目線を変えて、河野太郎消費者大臣と野村農林水産大臣に質問させていただきました。

 後から議事録を改めて見直しさせていただきました。河野担当大臣から、自給率向上についての問いに対しては、食料自給率をどうするかは所管大臣にお尋ねいただきたいと。これは、予算委員会の本庄委員の質問にも所管外でございますと十二回お答えでありましたけれども、私も、消費者担当の国務大臣として、自給率向上に対しての必要性についてきちんと再質問させていただきまして、お答えをいただくべきだったと思っています。消費者の立場には全く立っていない、やる気がないというふうに受け取りました。

 資料を今お配りさせていただいております。その資料の中に、これは、自給率三八%、現在であります、一日の必要カロリーを摂取するためにはのメニューであります。卵は一か月に一個、牛乳は五日にコップ一杯、焼き肉は二十一日に五グラム一皿、全くこれでいいんでしょうか。いけないと国民の皆さんは思われているというふうに思います。食料安全保障については、常に問題であり有事であることを意識するべきだと思います。

 野村大臣から、議事録どおり読まさせていただきますと、我が国の人口は一億二千万人で、これだけの人にたらふくというか満杯に、満腹に食べていただくためには、現在の三倍の農地が必要となる、限られた国土面積で一〇〇%の自給率には無理があると答弁をいただきました。

 総理、食料自給率向上についてお聞きするのは初めてであります。総理、農林水産省が目標としている数字ではなく、総理が考える、日本国民を飢えさせない、絶対に確保するべきとする自給率は何%必要であると考えておられますか。お答えください。

岸田内閣総理大臣 政府としては、食料・農業・農村基本法において、国内生産の増大を基本としつつ、輸入と備蓄を適切に組み合わせて食料の安定供給を確保していく、このような方針を確認しています。

 委員の質問は、私自身が、国民を飢えさせないためには何%必要か、こうした御指摘ですが、これは、具体的には、カロリーベースだけで物事を考えられる、あるいは生産額ベースだけで数字を考える、こういったものではないと思います。国民が飢えずに、そして、なおかつ元気に通常の生活を維持するためにどうあるべきなのか、こうした観点から、政府として、カロリーベースでは四五%、生産額ベースでは七五%、こうした食料自給率の目標を掲げているところです。

 こうした政府の数字についても、これまで様々な議論が積み重ね上げられた結果であると認識をしています。この数字を一つの大きな目標にして努力を続けていく、これが、政府としても、そして私自身としても目標であると認識をしております。

池畑委員 今、パーセンテージに関しては、説明をいただいてからのパーセンテージでありました。

 やはり、国民を飢えさせない、これは政治の責任であるというふうに思っております。しっかり我々も、食料の自給率問題に対しては考えていきたいというふうに思っております。またの機会に、具体的に我々からも提案させていただきたいというふうに思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 また、総理のカレントアクセスについての考え方についてお聞きしたいと思います。

 乳製品に関するカレントアクセスについて、農林水産大臣は先日、輸入を止めて、ほかの乳製品にも振り替えると答弁されました。

 約束を守って海外の信用を得ることも当然大切だというふうに思っておりますけれども、カレントアクセス自体、輸入義務ではないということは、もう皆さん承知であります。今は国内の酪農家、農家を守るべきで、輸入枠は設けられないとしっかり海外に伝えるべきだというふうに思います。G7も近い。現在の国内酪農家の事情をきちんと把握していれば、必ず伝わると思います。自給率を上げるためにも、総理、各国へ行動を起こしていただきたいというふうに思います。

 また、台湾有事や北朝鮮有事などに備えた装備に予算配分をするだけでなく、食料自給率の問題も防衛問題、国防と捉えていただきまして、同時に予算配分をしていかなければならないというふうに思っております。

 二問、お答えいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、カレントアクセスの御質問ですが、我が国は、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉の結果、WTO協定に基づき、一定数量の乳製品の輸入機会を提供する法的義務を負っていますが、農林水産省が、国内需給に極力悪影響を与えないよう国家貿易により輸入を行っており、今年度は、在庫状況を踏まえ、今後、脱脂粉乳の入札は行わないこととした、このように承知をしています。

 また、苦しい経営環境にある酪農家の負担軽減を図るため、先日の物価・賃金・生活総合対策本部において、飼料価格高騰対策として、本年四―六月期以降も見据えた激変緩和措置、これを指示したところです。国内生産者の方々の厳しい状況を踏まえて、牛乳・乳製品の輸出拡大の更なる支援や加工原料乳向け補給金の単価の引上げなどと併せて、酪農経営の安定を図っていきたいと考えています。

 そして、もう一つは、安全保障と食料安全保障の重要性についての御指摘だったと思いますが、これは、共に、我が国の存続に関わる、国民の命、暮らしに関わる重要な課題であると思います。

 食料安全保障という考え方についても政府の大変重要な課題の一つであると認識をし、これからも政府としてこうした観点から国民生活を考えていく、こうした努力を続けていきたいと考えます。

池畑委員 続いて、農林水産大臣に二問続けて質問させていただきたいと思います。

 日本維新の会は、所得補償制度、頑張る農家に、また、農業をやりたい企業にやってみようと、農家に、是非、食料自給率とともに、向上に関係していただきたいというふうに思っております。

 ある企業は、手順どおり、農業委員会に農業をやってみたいと事業計画を持って面談に行った際に、ある農業委員会ですけれども、農大か専門学校に行ってからというふうに言われたと。ほかにも、けんもほろろに帰されたということも多くありました。

 今月、議院運営委員会にて、公正取引委員会の委員長の就任に当たり、委員長の所信について質問させていただきました。JAの独占禁止法の一部適用除外について質問させていただきましたけれども、考えていないと一蹴されました。

 質問させていただきたいと思いますが、これはもう一問、重ねて質問させていただきたいと思います。

 我々、農業改革や規制改革の象徴として、農協の仕組みとか農業委員会の在り方について考えてまいりました。農協の機能はすばらしいものがありますし、しかし、いろいろな業界もそうだと思いますけれども、いろいろな業界が切磋琢磨しているように切磋琢磨することが必要ではないかというふうに考えております。

 ほかに、やはり、他業種から新規に適当に参加されても困るというふうに思っております。

 私の地元の赤穂市では、先週、兵庫県最大の、最新鋭の牧場をスタートさせていただきました。この時期に、最新の、しかも兵庫県最大の牧場がオープンするわけです。是非、総理、農林水産大臣、どちらかに視察をしていただきたいというふうに思っておりますけれども。

 国の補助があるとはいえ、民間として、大きなリスクをしょって食料生産や食料安全保障に貢献してくれています。我々も、しっかり農業委員会やJAさんと議論をしていきたいというふうに思っております。

 やはり、今、日本国民の食料を生産してくれている農林水産業の皆さんを徹底的に応援したい、そういった思いがありますが、農林水産大臣が考えられます新規就農に当たる大きな壁、大きなハードルというものは何でしょうか、教えていただきたいと思います。

野村国務大臣 今、池畑委員がおっしゃいました、新規就農者が就農するに当たって一番の問題は何か、二つぐらいあると思いますが、まだほかにもあると思いますけれども、一つはやはり資金力、農業をやっていくには初期投資というのも当然必要になってきますから、そういう初期投資の資金力、それから二つ目は、収入をどれだけ稼げるか、取れるかということで、資金についても、今の収入の面においても、新規就農者に対する農水省のいろいろな事業を組み立てていって、そして、それでもって新規就農ができるようにと思って、今頑張っているところでございます。

池畑委員 資金力と稼げる力、そして、稼げる力ということは、やはり農林水産業に携わってくれている方々の実力だったり、経験だったり、技術だったり、そういったものが大変重要だというふうに思われます。

 私も、十一回ほど農林水産委員会で質問させていただいた中で、多く、やはり担い手の方々の育成というのは大切だというふうに思っております。

 その中で、我々が考えております規制改革、農業改革をしっかりと取り組んでいただきまして、今総理からも答弁いただきましたように、防衛能力も大切なんですが、やはり食料の安全保障が両立しなければ、どれだけ予算を組んだとしても、食えなくなったら国民は終わりだというふうに思っております。

 しっかり、徹底的に質問させていただきたいというふうに思っておりますし、この食料の安全保障についてはこれからも質問させていただいて、日本国民を飢えさせない、そういった政党でしっかりと日本維新の会は頑張ってまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 質問を終わらせていただきます。

根本委員長 この際、堀場幸子君から関連質疑の申出があります。池下君の持ち時間の範囲内でこれを許します。堀場幸子君。

堀場委員 日本維新の会、堀場幸子です。よろしくお願いいたします。

 本日は、二月の二十日に立憲民主党さんと一緒に提出させていただきました児童手当の一部を改正する法律案、いわゆる児童手当の所得制限撤廃に関する法律案について御質問させていただきたいなと思っております。そして、お時間があれば、少子化についてもお尋ねしていきたいと思っております。

 代表質問で自民党さんもおっしゃっておりました児童手当の所得制限撤廃について質問いたします。

 まず、低所得世帯へお金を回した方がいいんじゃないかというような発言が自民党さんの中であるというふうに聞いております。総理、児童手当は貧困対策なのか、子育て支援政策なのか、教えてください。

岸田内閣総理大臣 児童手当は、児童手当法第一条に規定されているとおり、家庭等の生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的として支給するものであるとされています。

 こうした目的の下、児童手当は、御指摘の貧困対策のような限定的な見地から行われているものではなく、家庭等の生活の安定に寄与しつつ、児童の養育に関して経済的支援を行うことを狙いとした子育て支援策の一つであると承知をしております。

    〔委員長退席、中山委員長代理着席〕

堀場委員 そうですよね、私も子育て支援の政策だと理解しております。

 ところで、同程度の世帯収入があっても、共働きの世帯の場合は給付の対象になるけれども、片働きでは所得制限にひっかかってしまう、こういった事態が発生しているかと思います。こういった観点について、公平と言えるのかどうか、その点についてどのようにお考えか、総理、お願いいたします。

岸田内閣総理大臣 児童手当制度においては、昭和四十七年の制度発足以来、主たる生計維持者の所得を勘案することとしておりますが、これについては、世帯合算の導入を求める御意見と、導入した場合の共働き世帯への影響等があるとの御意見があり、先般は、令和三年ですが、令和三年の児童手当の見直しの際には、検討の結果、導入を見送ることとしたと承知をしています。

 いずれにせよ、児童手当については、所得制限の在り方も含め、様々な意見があると承知をしており、政府としても、急速に少子化が進み、社会機能を維持できるかどうかの瀬戸際と呼ばれる状況にある、こうした現状をしっかり受け止めつつ、効果的な対策の在り方など、多角的な視点を持って検討することが重要であると考えています。

 まずは、子供、子育て政策として充実する経済的支援の内容をパッケージとして具体化してまいりたいと思います。その中で御指摘の児童手当の在り方についても判断をいたします。

堀場委員 この制度、そもそも、年少扶養手当が廃止されて、そして子ども手当から児童手当になっていったという経緯があると思います。

 その経緯から考えると、児童手当の所得制限撤廃が必要だと考えているんですけれども、社会で子供を育てるとか、家庭で育てるとか、そういった観点の前に、私たちのお父さんとかお母さんの時代にあった制度には、所得制限がなかったんですよね。それを廃止して子ども手当とか児童手当になっていったという経緯から考えると、児童手当の所得制限の撤廃が必要だと思いますが、総理の御所見をお願いいたします。

小倉国務大臣 お尋ねの年少扶養控除につきましては、子ども手当の創設と相まって廃止をされました。御案内のとおりでございます。これは、結果として高所得者に有利な制度となっていた所得控除制度を、相対的に支援の必要な人に実質的に有利な支援を行うことができる手当に振り替えるという考え方に基づいていると承知をしております。

 ただ、いずれにしましても、総理からも申し上げたように、児童手当については、見直しが行われてから十年が経過をし、さらに、少子化が進展するなど社会経済情勢が大きく変わると同時に、これまで取り組んできた政策強化の方向性から、今後重点的、抜本的に取り組むべき子育て支援政策の内容も変化していると考えております。

 そうした考えに基づいて今まさに検討を進め、三月末を目途にたたき台をしっかりと作っていく、そういう状況にございます。

堀場委員 御答弁、非常に長くてありがたいんですけれども、総理、所得制限が撤廃が必要だと思うんですけれども、これについて端的にお願いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げました。また、今、小倉大臣からも答弁させていただきました。子供、子育て政策として充実する経済的支援の内容をパッケージとして今具体化すると申し上げています。そのパッケージの中で児童手当の在り方についても判断をいたします。

堀場委員 ところで、私どもが提出させていただきました児童手当の一部を改正する法律案では、もう一つ、検討事項ということで、子供たちに係る様々な所得制限について包括的に見直していってはどうかということをお話しさせていただいているところでございます。

 ちょっとお時間がないので、児童扶養手当についてお話をさせていただきたいと思います。

 児童扶養手当の所得制限の金額と、その根拠を教えてください。

加藤国務大臣 児童扶養手当は、所得制限限度額は、一人親世帯の家計状況に応じて給付の重点化を図る観点から、女性の所得状況などを勘案して設けているものでございます。

 例えば、全部支給については百六十万とされておりますけれども、これは、離婚等による母子家庭の母の年収の中央値、これから児童扶養手当の年額を減じた額、これをもって設定をしているところでございます。

 また、一部支給の設定根拠は、パート労働者以外の女性の一般労働者の平均年収を踏まえ、その時点からの所得の伸びを勘案して設定をしてきた、こういう経緯がございます。

    〔中山委員長代理退席、委員長着席〕

堀場委員 私も一人親ですので、ちょっとこの児童扶養手当には思い入れがあります。

 女性の平均収入というところで、今、男性の平均収入との差があるよねというところで、男女の賃金の格差を是正して同一労働同一賃金にしていこうということを目指していらっしゃると承知しております。

 それならば、せめて児童扶養手当の金額の根拠というものがもっと上がってもいいのではないかなというふうに思っています。女性の賃金の平均であったりとか、女性だからとか、そういう低い方に合わせていくのではなくて、全世代で平均の年収に合わせるとか、そういった金額設定というものをそもそも見直していく必要があるのではないかなというふうに考えているところでございます。

 同様に、障害を持っているお子さんに対する特別児童扶養手当の所得制限の金額そして根拠、簡単でいいので、お答えいただけますか。

加藤国務大臣 特別児童扶養手当は、昭和三十四年に国民年金法が制定され、無拠出制の福祉年金の一つとして二十歳以上の障害者を対象とした障害福祉年金が創設されたことの均衡を図る観点から創設をされたところであります。

 そうした経緯から、特別児童扶養手当の所得制限の額については、障害福祉年金や、同様に無拠出制の年金である母子福祉年金の所得制限の額を踏まえたものとなっているところであります。

堀場委員 障害を持っているお子さんを持つ親御さんというのは結構大変だと思います。ここが、昭和から続く所得制限という、これもまた私たちは包括的に見直す必要性があるのではないかということ、これも強く主張させていただいて、ここにもなぜ所得制限がかかっているのか、こういうところも是非どんどん議論したいなというふうに思っております。

 そして最後に、高校の無償化、これも所得制限があると思います。この金額と根拠、これも端的にお願いしたいと思います。

永岡国務大臣 堀場委員にお答え申し上げます。

 高等学校等就学支援金につきましては、平成二十六年度に所得制限を設けました。支給対象を年収約九百十万円未満の世帯といたしました。捻出しました財源を有効活用することで、私立の高校等へ通う生徒への就学支援金の加算拡充や、また、授業料以外の教育費の支援であります高校生等奨学給付金の創設などの見直しをいたしました。

 その上で、令和二年度に、私立の高校等に通います年収五百九十万円未満の世帯の生徒への加算を更に拡充するなど、支援の充実を図っているところでございます。

堀場委員 これは、子供たちから見たときに、低所得者のおうちの人たちが私立の高校にちゃんと行けるように、教育の機会を均等にするという目的でつくられたというふうに聞いています。

 でも、今、九百十万円であったり、所得制限のある家庭の子供にとっては進学を選べない状況を生み出しているんですよね。高校生になる受験をするときに、ああ、ここの学校だと受験が、ちょっと入った後お金が大変なんだな、うちの親は微妙に所得制限にひっかかるんだよね、そんなことを言いながら子供たちが学校を選んでいる。

 これは本当に教育の機会の均等なのか。そういう観点で考えたときに、高校の無償化、これはもっともっと真剣に前に進めていかなければならないのではないか。中学校三年生の子供たちにとってはかなり切実な、何か親の顔色を見ながらやっている、そういった課題になっています。

 大阪にて高校の無償化をした。これについて、ほかの地域もやっているよというふうに、様々いろいろなことを言われるんですけれども、授業料にキャップをした、上限を決めた、そういったところが特徴なのではないかなというふうに思っています。多くの学校の皆様に御協力をいただいて実現できたというふうに聞いております。

 また、前回の臨時国会で、私は総理にお尋ねをしました。出産費用の保険適用、これでも言いましたけれども、どんどんイタチごっこになっていってしまう。そういったこともありますので、様々な制度を見直していく際には仕組み自体をもう少ししっかりと見直していかなければならないのではないかなというふうに考えております。

 是非、前向きに、所得制限の撤廃をしていただきたいなと思いまして、これにて質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

根本委員長 これにて池下君、池畑君、堀場君の質疑は終了いたしました。

 次に、長友慎治君。

長友委員 国民民主党の長友慎治です。

 今国会、賃上げ実現が大きなテーマで、この予算委員会でも本質的議論を尽くしている最中だと思いますが、まだ議論されていない大切な点が私はあると思っております。それは、全国の障害就労支援継続施設での賃上げになります。

 具体的には、最低賃金以上で雇用されるA型就労支援事業所、そしてまた、作業を請け負って工賃を利用者さんがいただくB型就労継続支援事業所、二つございますが、そこで働く障害がある皆様の賃上げも、春闘を控えておりますけれども、私は大事な視点だと考えているんですが、まず、この一点、総理に伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 雇用契約の締結による就労機会の提供等を行う就労継続支援A型事業所だけでなく、雇用契約を締結せず就労機会の提供等を行う就労継続支援B型事業所で働く障害のある方の工賃についてもその向上が図られること、これは大変重要であると認識をいたします。

 政府としては、工賃の向上に向けて、これらの事業所に対して、経営力の強化や品質向上、販路開拓などの支援を実施しており、令和三年度のB型事業所における平均工賃月額は、新型コロナの感染拡大前の令和元年度を上回りました。

 現下の物価高騰の中で工賃向上の取組を更に推進するため、令和五年度予算においてはこれらの事業所への支援策を拡充することとしており、今後とも工賃の向上に努めてまいりたいと考えております。

長友委員 総理、ありがとうございます。令和五年度の予算では増額を目指していただいているということで、それも是非取り組んでいただかなければならないと考えております。

 昨年三月の厚生労働委員会で立憲民主党の山田勝彦衆議院議員も質問をされていましたけれども、全国の障害福祉事業所が加盟する団体の調査では、コロナの影響を受け、半数以上の事業所の収入が減額となり、また、約二〇%もの工賃が減額されているというのが実情です。

 B型就労支援事業所は、令和四年十月の時点で全国に一万五千を超える事業所がございます。また、そこを利用される方が三十二万人以上いらっしゃるわけです。このB型就労支援事業所で働く方々の工賃の平均時給は、二百円から三百円ということになっています。月額にすると、全国平均工賃が約一万六千円、ここから二〇%の工賃がコロナの影響等で減額されているという状況で障害がある方々は暮らしていらっしゃいます。

 利用者の皆さんは、障害年金と工賃で自立して生活する、そういうことを理念に掲げて頑張っていらっしゃるわけでございますが、コロナ禍で仕事が減少し、その上で、生活するのに必要な電気代も最近は高騰しております。生活必需品の物価高も相まって、大変厳しい状況なわけです。今の状況は、日本国憲法で保障されている、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」という憲法第二十五条が認める生存権が守られていないのではないかと見受けられるような方々も実際に目の当たりにします。

 私は地元でフードバンク支援をしておりますけれども、実際、その就労支援事業所で、通われている利用者さんにいわゆる食料をお届けするようなこともございます。そういうところで実際にお会いするんです。

 先ほど総理からございましたけれども、いわゆる生産活動の拡大事業であったり、工賃向上計画支援事業等取り組んでいただいております。ただ、事業所そのものの経営強化と販路開拓を支援するコンサル事業、もちろんそれも大事です、大事なんですが、今私が実際目の当たりにしている方々に感じるのは、直接の所得補償といった利用者さんたちの目の前の手当てです。工賃が下がった障害者の方々への目配りを是非忘れないでいただきたいというふうに思うんですが、総理の見解ももう一回、お願いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 就労継続支援A型やB型の事業所を含め、コロナ禍における物価高騰の影響を受ける事業者等に対しては、政府として電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金により支援を行っているところですが、加えて、障害者の就労支援事業所に対しては、平均工賃月額に応じた報酬設定、そして、営業活動や商品開発等を行う職員の配置に対する報酬の加算、経営力の強化に向けた専門家の派遣などにより、工賃や生産性の向上等に向けた施策も講じてきたところです。

 今後とも、こうした支援の活用等により地域の事情に応じてきめ細かい支援が行き渡るよう取り組みつつ、物価動向や障害福祉の現場の収支の状況等を注視してまいりたいと考えています。

長友委員 総理、ありがとうございます。ちょっと私が通告にないものも質問したので、答弁がちょっとずれていた部分があったかなと思いますが、私は、先ほど直接の所得補償についても是非検討いただきたいということをお伝えさせていただきました。その上で今総理は、それぞれの事業所に対する政府の手当てをお話ししていただいたところでございます。

 御指摘いただいたとおり、ガソリン代、電気代だけでなく、今、資材、物価が高騰する中で、私の地元の就労支援事業所に話を聞きますと、例えばお弁当を作って配達する事業所、弁当用の容器、割り箸代の、資材など価格が上がっています。野菜や肉、魚などの仕入れの物価も上がっているんです。配達するガソリン代も値上がりしている中で、そこで工賃アップに取り組め、取り組んでほしいというのが政府の施策なわけですね。

 現場からは、そんな中で工賃アップを求められても無理だというのが正直な思いだというふうに声を聞いております。その中で何とか工賃を上げようと、施設外の作業だけでなくて、施設内の作業も取りに行っていると。なんですが、今度、事業所の作業が増えると電気代がかさんでくるわけなんですね。障害がある利用者の皆さんと、そしてそこで働く従業員の皆さん、両方の工賃、そして給料のアップというものを取り組んでいくことが必要になっておりますので、是非その点を、政府、そして現場も一緒になって頑張っていくしかないと思っておりますので、是非後押しをいただきたいと思います。

 その中で、私もどうやって工賃をアップしていけばいいのかといつも考えているんです。地元では、私の例えば知り合いの農家さんなんかは、農福連携というものに取り組んでおります。例えば、トマトの農家さんは、選果作業、パック詰めの作業などを委託していたり、食品の加工事業というのを障害者の就労支援事業所に委託しているんですね。

 農福連携というものは浸透しつつあるんですけれども、福祉事業所とそして高齢者事業所がタッグを組む福福連携、こういうことも例えば石川県なんかは今推進しているところでございます。高齢者施設と障害者の就労施設をマッチングしたり、普及啓発活動に取り組んでいるという自治体が出てくる中で、政府のホームページ等には福福連携という言葉はないんですね。

 私は是非この福福連携ということも進めていただきたいというふうに思うんですが、担当大臣の考えを伺いたいと思います。

加藤国務大臣 その前に、個々への支援のお話がございました。

 A型自体は雇用契約でありますから、よりいい雇用契約ができるようにそれぞれ支援をさせていただく。それから、B型については、工賃アップに従って報酬が上がる仕組みになっていますから、より上がっていけるように、やはりこれを支援をしていくということが基本だと思いますけれども、更に言えば、障害者については、これまでもそうでありますけれども、次期障害福祉サービス等報酬改定がございますので、それに向けて、収支の状況あるいは昨今の物価高騰、こういったこともしっかり踏まえながら、必要な改定を行っていきたいと思っております。

 それから、御指摘の福福連携でありますけれども、これまでマッチングや研修を進め、高齢者施設における清掃、シーツ交換などの業務を就労継続支援A型やB型の事業所が担えるようにしている自治体の取組、こうした先例もあります。また、地域包括支援センターなどと連携して食事どころと居場所を提供している事例、あるいは、移動販売車で日用品等を販売しながら町と連携して高齢者の見守りを行っている事例、こうした様々な事例がありますので、厚労省としては、地域産業連携ガイドブックとして整理をし、各自治体にこうした連携の取組も参考にしていただきたいと思っております。

 今後、今、委員御指摘の福福連携を含めて様々な機会をしっかりとつくらせていただきたいと思います。

長友委員 大臣、ありがとうございます。

 私が今ちょっと考えていることを、最後、御提案したいと思います。

 フードバンクの運営をしているんですね。現在、いわゆる必要な方へお届けするときに、民間の、宅急便の会社であったり、ゆうパックを利用させていただいているわけなんですが、その配送業務を、今後、B型就労支援事業所に委託して、事業所の工賃アップに貢献したいというふうに考えております。

 その際、農林水産省が今、支援メニュー、助成金として、食品ロス削減及びフードバンク支援緊急対策事業というものを施していただいております。就労支援事業所に、例えば、賞味期限が切れている、切れていないものの仕分作業を委託するとか、配達業務を依頼したいというふうに私は考えているんですけれども、このような福福連携の推進を農林水産省も是非積極的に行ってはどうかというふうに思いますが、大臣の見解を伺います。

野村国務大臣 長友委員に答弁を申し上げます。

 農林水産省は、食品産業を所管する立場から、生産、製造された食品がそれを必要とする者に的確に渡っていくことが大変重要だと思っております。

 そこで、委員が言及されました福福連携したフードバンク活動についても、今度、四年度の補正予算でこれが計上してありまして、活用が可能だというふうに思っておりまして、現場の声をよく伺いながら、農林水産省としてもしっかり推進していきたいと思っていますが、例えばでございますが、先ほど委員がおっしゃいましたフードバンクにおける食品の受入れ、提供の拡大に必要となる倉庫等の賃借料あるいは配送費、こういったものを支援していくということで計上してありまして、二月の十日から三月七日までフードバンクからの申請を受け付ける予定にしております。

長友委員 大臣、まさに、三月七日までに、今、課題提案書の提出ということで私も出そうとしているところなんですけれども、これは今年の三月までが事業範囲になっています。四月以降も是非この事業を続けて、予算の獲得をしていただいて、そして、福福連携も対象に入りますよ、そういうことを大臣から、そして所管の農林水産省からも積極的にPRをしていただきたいと思います。そうすることによって、障害者の就労支援事業所、そして高齢者の施設の課題というのがウィン・ウィンで解決できるということが私は現場として強く感じておりますので、そのことを最後お願いしまして、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて長友君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 今日は、日本学術会議法の見直しについてお伺いいたします。

 パネルを御覧ください。

 ノーベル賞などの受賞者、八人います。本庶先生など、そうそうたる顔ぶれの皆さんが連名で声明を出しました。今回の法改正は日本学術会議の独立性を毀損するおそれと指摘し、政府に再考を求めております。

 声明は、冒頭でこう書いております。「学術は人類が手にしている崇高な知的営みであり、その発展は人類の進歩と福利を実現するための不可欠の条件です。各国にはナショナルアカデミーが存在し、それぞれの国の学術を代表するとともに、世界の学術界と連携することにより、人類の福利に貢献する国際的公共財を構成しています。成熟した先進国の政府は、ナショナルアカデミーの活動の自律を尊重し、介入しないことを不文律にしてきました。」

 総理、なぜ政府はナショナルアカデミーの活動に介入しないことが不文律となっているのか分かりますか。

岸田内閣総理大臣 独立性を尊重する理由は何かということですが、それぞれの国において、アカデミアの活動を尊重するという基本的な考え方に立っている、こうしたことから、独立性を尊重する、こうした基本的な考え方に立っているんだと認識をしています。

 ただ、それを現実に実践するための仕組みは、各国において様々な工夫が行われていると承知をしています。

宮本(徹)委員 学問の自由とも密接不可分なわけですけれども。

 学術会議も含め、各国のナショナルアカデミーは、政府と社会に対して科学的助言を行う組織です。その科学的助言というのは専ら学術的知見に基づくもので、政治権力や特定の利害から独立して人類社会の福祉につなげるものであります。学術的知見が時には政権の政策に批判的となる場合もある、だからこそ科学的助言の意味があるわけですね。政治の意向を忖度して助言を行うようになれば、学術会議は存在意義がなくなるんです。

 ところが、政府は、日本学術会議に対して、政府等と問題意識や時間軸等を共有することを新たに求めているわけであります。

 パネルの二でございますが、法改正に向けた政府の資料を見ると、新たに学術会議の活動に行政の意見を反映させるために実施する事業、これが求められております。政府の下請機関にするおつもりなんでしょうか。

 さらに、会員に求められる資質として、行政の諸課題に取り組むための広い経験や、行政、産業界等との連携による活動の業績などを設けております。これは基礎研究の分野にはなじまないと学術会議からも声が上がっております。

 総理、政府が学術会議に国費を出しているのは、学術会議の独立した活動を保障するためであります。お金を出しているから口も出すんだという考え方は、学術会議の独立性を損なうのではありませんか。

岸田内閣総理大臣 学術会議に対しまして、問題意識や時間軸等の共有、こうしたものが必要であるという考え方ですが、問題意識や時間軸等の共有とは、政府等との結論の共有を求めるのではなく、今般の見直しによって学術会議の職務の独立性は否定されないと考えています。

 他方で、問題意識や時間軸等の共有が必要であるのは、地球規模の課題や新興技術と社会との関係に関する課題など、政策立案に科学的な知見を取り入れていく必要性がこれまで以上に高まっていることを踏まえて、学術会議に期待される時宜を得た質の高い科学的助言を政府等に対して行うという役割を果たすためには、受け手側の問題意識、時間軸や現実に存在する様々な制約等を十分に踏まえながら審議等を行っていただく必要がある、こうした背景によるものであると考えています。

宮本(徹)委員 時間軸を共有するといったって、政権は次から次へと新たな政策課題を打ち出して、今だったら大軍拡ということを打ち出して、そのために軍事研究をやろう、こんな話になっているわけじゃないですか。そういうことを求めていくというのが間違いですよ。世界全体のそれが常識なんですよ。

 その上で、次の質問ですけれども、学術会議の独立性を担保するものは、自主的な会員選考であります。

 今、世界のほとんどのアカデミーの会員選考は、現会員が次の会員を推薦し選出するコオプテーション方式です。優れた科学者を選考することは、学術分野に通じた科学者以外には困難だからであります。

 日本学術会議は、現会員からの推薦に加え、約二千の学会や経済団体等に情報提供をお願いして選考を重ねて、慎重に推薦候補を決めております。ところが、政府の検討案では、学術会議が独立して行っている会員の選考について、新たに外から意見をつける選考諮問委員会を設けて、選考諮問委員会の意見を尊重しなければならない、こうしております。日本学術会議からは、学術会議の独立性を損なうとの強い懸念が表明をされております。

 総理、今、学術界全体で選ぶやり方をしているのに、なぜそこに外部から口を挟むという不透明な仕組みを設けるんですか。その狙いは何ですか。

岸田内閣総理大臣 学術会議が国費で賄われる国の機関として独立して職務を行うに当たっては、国民から理解され信頼される存在であり続けるため、活動及び運営の透明化にとどまらず、当然のことながら、活動を担う会員、連携会員の選考も透明なプロセスで行われることが必要であると考えます。

 このため、会員等以外の有識者から成る選考諮問委員会を学術会議に設置をし、選考に外部の目を入れることにより、選考プロセスの透明化を図ることが検討されていると承知をしています。学術会議においても、選考プロセスの透明化の重要性については認識が共有されているものと承知をしています。

 選考諮問委員会の設置は、選考における学術会議の独立性を損ねるものではなく、むしろ、学術会議が国民から理解され信頼されるための重要なツールになるものとして検討されていると承知をしております。

宮本(徹)委員 学術会議からは、政府の今回やろうとしていることの一番の問題の一つがこの選考諮問委員会を設けることだということでおっしゃっているわけですよね。全然問題意識は政府と共有されていないですよ、学術会議は。

 そして、プロセスの透明化ということをおっしゃいますけれども、選考諮問委員会のメンバーは、一定の手続を経て会長が任命すると書いているんですね。その一定の手続は何なのかということを幾ら学術会議が問うても、具体的な話が出てこない。その一定の手続に政府が関与する可能性についても、説明がない、否定していない状況なわけですよ。

 そして、この選考諮問委員会のメンバーは一体誰がなるのか。科学者以外の人が入って、科学的業績について評価できるはずがないわけですよ。仮に日本学術会議と選考諮問委員会の見解が一致しない、このときにどうするのかということになります。学術会議は、当然、自分たちが選んだ会員候補を推薦します。その際、内閣総理大臣は、不一致を理由に任命を拒否する、こういうことを正当化する仕組みになるんじゃないかということを学術会議は指摘しております。

 つまり、政府が学術会議の人事に介入し得る、極めて不透明な仕組みを持ち込もうとしている、こういうことなんじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 学術会議の見直しについては、学術会議においても、様々な関係者等との議論を通じて、令和三年四月、「より良い役割発揮に向けて」というものを取りまとめられ、これに基づき改革を進めているところであると承知をしており、改革の必要性や方向性については共有されているものと認識をしています。

 今回の見直しは、学術会議による「より良い役割発揮に向けて」も踏まえつつ、また、総合科学技術・イノベーション会議、CSTIの有識者議員懇談会でも御議論いただくなど、幅広い観点からの検討を進めてきたところであると聞いており、学術会議における改革の成果を着実に法律に取り込み、今後の安定的な運用を担保しつつ透明性を担保する趣旨であって、学術会議にとっても重要なものであると考えています。

 また、学術会議が国費で賄われる国の機関として独立して職務を行うに当たっては、国民から理解され信頼される存在であり続けることが必要であり、透明性の高い会員選考や活動に向けた改革が求められているものと考えています。

 いずれにしても、学術会議ともしっかり意思疎通を図りながら、引き続き議論を続けていきたいと考えます。

宮本(徹)委員 さっきから透明性とおっしゃいますけれども、私が言っているのは、逆に、今は学術会議の皆さんが選考の過程もこういうふうにやっていますよ、学術界全体の意見を集めてやっていますよと言っているのに対して、外から政府が関与し得る不透明なプロセスを設けようとしているんじゃないのかということを言っているわけです。だから、学術会議の皆さんは、自分たちの独立性が脅かされる、こう批判しているわけですよ。学術会議の皆さんだけじゃない、ノーベル賞受賞者の皆さんも大変大きな懸念を持っているわけでございます。

 それで、パネルの三でございますけれども、こう書いてありますよ。

 日本学術会議は、政府と問題意識が共有されるどころか、二月二十二日に出した日本学術会議の懸念の中では、今回の内閣府の方針と説明は、真理や理念を追求する学術の本旨を踏まえぬ近視眼的なものだ、現在のような形で法改正が強行されるなら、それは日本の学術の終わりの始まりとなりかねないことを強く憂慮する、こう言っているんですよ。

 総理、ペーパーを読むだけだったらまずいですよ。学術会議の皆さんは、本当に、このままだと日本の学術の終わりの始まりとなりかねない、大変な懸念を持っているわけです。

 ちなみに、この問題は既にサイエンスでも取り上げられて、世界にも報道される事態になっているわけですよね。

 総理、日本学術会議との合意なしに法案は提出しない、このことを断言していただけますか。

岸田内閣総理大臣 学術会議の独立性については、今回の見直しによって一切否定されるものではありませんが、学術会議が国費で賄われる国の機関として職務を行うことから、国民から理解される存在であり続けるためには、透明性の高い会員選考や活動が必要であると考えています。

 現在行っている検討は、学術会議の活動や選考の透明性を図ろうとするものであり、学問、アカデミアと政治との関係を変更するものではないと承知をしています。

 この議論については、期限ありきということではなく、学術会議と意思疎通を図りながら検討を進めていきたいと考えております。

宮本(徹)委員 先ほど総理は、期限ありきではないということをおっしゃいました。期限ありきでないということは、当然、学術会議との合意なしでは法律は出さない、こういうことでよろしいですね。

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますから。

 では、内閣総理大臣岸田文雄君。

岸田内閣総理大臣 そもそも、今回の法改正案については、今国会への提出を目指しているところではありますが、先ほど申し上げたように、期限ありきということではなく、学術会議と意思疎通を図りながら検討を進めていきたいと思っています。

宮本(徹)委員 終わります。

根本委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。

 次に、仁木博文君。

仁木委員 有志の会の仁木博文と申します。

 岸田総理、今日は、コロナウイルス感染症のことについて質疑をしていきたいと思います。

 まず冒頭に、五月八日より、新型コロナウイルス感染症、疾病分類が二類から五類に変わっていきます。

 総理、私、この前、この衆議院の予算委員会で質疑を行いましたが、改めて、経緯というよりは理由について、国民の方に説明していただきたいと思いますが、お願いします。

加藤国務大臣 まず、この決定は、十一月の臨時国会において感染症法の修正がなされ、新型コロナの感染法上の位置づけについて速やかに検討し、必要な措置を講ずることとされたこと、また、感染症法上の各種措置は必要最小限の措置とされていること、さらに、オミクロン株については、感染力が非常に高いものの、例えば、自治体からの報告では、デルタ株流行期と比べて八十歳以上の致死率が四分の一以下になるなど重症度が低下しているといった科学的な知見を基に、自宅待機等の私権制限に見合った国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある状態とは考えられないことから、行政が様々な要請に関与していく仕組みから、季節性インフルエンザ等と同様、個人の選択を尊重することを基本とするという考え方へ転換したものであります。

仁木委員 総理、私は総理に質問を求めていましたが。

 この間、三年以上続きましたコロナ禍。そして、七万二千人以上の犠牲、そして累積三万三千人以上の感染がありました。そして、社会も経済も大きく傷みました。

 そういう中で、感染症対策としては、一つの、医療とか、そういう枠組みだけではできない、エッセンシャルワーカーを巻き込んだだけでもできない、国民の協力が必要なんですね。行動変容という言葉が生まれました。国民に行動変容をお願いするのは、総理、総理自身だと思います。そういう意味で、リスクコミュニケーションということが非常に大切です。私は、そのリスクコミュニケーションのトップたる総理に御答弁いただきたかったわけでございます。

 それでは、加藤大臣の話を受けて、具体的には、コロナ以前の状態に今から申し上げることは戻るということでよろしいでしょうか。

 まず、公共交通機関、電車やバス、あるいは場合によっては飛行機、これも、コロナ以前と同じようにマスク着用なしで、あるいは飲食店も、そして、アクリル板も撤去して、元の飲食するような風景が戻ってくる。そして、もっと言うと、私が強調したいのは、自民党のこのことに関する部会でも出なかったことでございますけれども、これは、入院した患者さんあるいは入所している入所者に対して、御家族が面会できるかということなんですね。

 コロナ禍で、例えば院内感染して起こったり、あるいは病院でコロナでお亡くなりになった方が、五時間以内に納体袋に入れられて火葬場に行く。大切な家族に、お亡くなりになったときにもお会いできない、最後の別れの場ができない。これは本当に医療の上では大きいことでございます。そういう、入院したらもう家族に面会できないから、本来なら入院したら延びていた命が、もう最後までおうちでいた方がいいというふうな形になったケースもあるわけでございます。

 総理、今のことに関しまして、五月八日以降はコロナ以前の状態に戻ると、はっきりおっしゃっていただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 今回の決定ですが、オミクロン株については、感染力が非常に強いものの、例えば、自治体からの報告によれば、デルタ株流行期と比べて八十歳以上の致死率が四分の一以下となっているなど重症度が低下しているといった科学的な知見を基に、強制的な手段は最小であるべきとの観点から、行動制限等の措置の対象から新型コロナを速やかに外すべきといった専門家の意見も踏まえたものであると承知をしています。

 そして、委員の方から、幾つか例を挙げて、コロナ前に戻るのかという御質問でありますが、基本的からいいますと、様々な混乱を考えますときに、段階的に移行していくことが重要である、これは専門家からも再三指摘をされているところであります。

 公費支援、医療体制、様々な政策措置の対応について急激な負担増が生じないよう、また、医療現場の混乱等を回避するためにも段階的な移行が重要である。そして、先ほどマスクの話もありましたが、マスクについても、混み合った公共交通機関においてはマスクを着けることを奨励するなど、奨励されるべき場合、場面を政府としてもしっかりと説明するということで、段階的な移行を考えていかなければならない、こうしたことであります。

 こうした具体的な内容の検討、調整を進め、三月上旬には、より具体的な方針、これをお示ししたいと考えています。

仁木委員 総理、質問に対しての答弁がなかったのであれですけれども。

 端的に申し上げますと、今、例えば、三月十三日からマスクの着用もこの国会でもしなくてよくなるということでございまして、そこで例えばトライアルにするわけで、問題点が出てくれば、また修正もなされるかもしれないということでございますけれども、今の御答弁の内容をまとめますと。

 これは今、総理がこの国会の方で出される予定の岸田版CDCも含んだパネルでございますが、私は、研究ですね、あらゆるDXを用いたコロナ予算に対する検証はしなきゃいけないと思うんですけれども、例えば、先ほど申し上げたこのアクリル板、これは本当に、SDGsという概念で、破棄していいのか。リサイクルもあります。新プラ法も始まります。しかし、これを例えば、今後五類からまた二類に戻るかもしれませんので、そういったことも踏まえると、倉庫に置いておいて、飲食店やあるいはいろいろな職場の、それで、二類に戻ったとき、あるいは新たな未曽有のウイルスが出たときにまたそれを使うというふうにした方がいいのか。そういうことは、この岸田版CDCはしないんですよ。

 やはり、内閣府の統括庁の方とも連携しながらそういう研究をするか、そういう予算づけあるいは人員体制、それもやはり大切だと思うわけでございます。

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますから、おまとめください。

仁木委員 そういう意味で、岸田総理、このことに関しまして、私はまだ問題点がありますけれども、まずは、今要望としては、DXを推進をしていただきたいと思います。

根本委員長 もう申合せの時間が過ぎておりますから、おまとめください。

仁木委員 指摘だけに終わりたいと思います。

 それでは、委員長、ありがとうございました。

根本委員長 これにて仁木君の質疑は終了いたしました。

 次に、たがや亮君。

たがや委員 れいわ新選組のウルトラマン、たがや亮です。

 私に許されたカラータイマーは僅か四分です。四分以内に消費税とインボイスという怪獣を退治できるよう頑張ります。岸田総理、よろしくお願いいたします。

 前回の予算委員会で岸田総理は、消費税は第二法人税という主張は十分理解できていないとおっしゃっていたので、今日は是非、岸田総理に消費税の本質について理解を深めてもらいたいと思います。

 まず、内閣委員会の私の質疑にて、消費税が預かり税ではない、消費者から預かった税を利益にする益税でもないと明確に政府が認めたことで、益税論争には終止符が打たれました。

 パネル右上の図は、間接税の仕組みです。

 酒税やたばこ税などは、真っ先に大本の製造者から量や本数に応じて税金を徴収して、消費者に商品が渡るまで機械的にきれいに転嫁され、間接税という意味も分かります。ゴルフ場利用税などはその逆で、利用者から一定額を徴収して事業者が預かるという仕組みです。要するに、間接税は、大本の製造者か末端の消費者に対していずれも一度きりの課税というのがみそです。しかし、消費税は全ての取引に課税ですから、法人税と同じ仕組みになります。

 右真ん中の図は、消費税の仕組みです。

 消費税は、お酒やたばこのように量や本数に応じた税で納められないので、取引額の割合、すなわち一〇%という形で全ての事業者から徴収する仕組みです。そして、商品価格には利益も含まれていますから、消費者は直接税である法人税の一部も支払っているということになりますが、法人税を支払っているという感覚は消費者にはございません。消費税も、旧大蔵省が主張するように、法人税と同じ構造で、価格の一部として紛れ込んだ消費税なわけですから、消費者は、法人税と同じく、税ではなく、価格の一部を支払っているにすぎません。

 では、なぜ消費者が消費税を納める錯覚をするのかというと、導入当時の、商品価格プラス消費税三%という旧大蔵省の間違った指導方法が強烈に消費者に刷り込まれたからです。

 さらに、パネルの消費税と法人税の割り出し計算式を御覧ください。仕組みが酷似しています。

 消費税が法人税よりもはるかに厳しい税だと言われるゆえんは、法人税は利益のみに課税されますが、消費税は利益プラス人件費にまで課税され、なおかつ、赤字でも納めなければならない税だからです。

 また、消費税を転嫁できるかできないかは、事業者間の力関係や市場原理で価格が決まるので、転嫁ができるかは未知数です。例えば、ねじ一本十円とします。消費税を乗せた十一円でメーカーに卸せますでしょうか。そんなことをしたら、入札で生き残れません。だから、消費税はでたらめな税なんです。

 総理、以上の説明で、消費税はどこからどう見ても第二法人税です。これだけ説明して理解ができなければ、実体経済を全く理解していないと言われます。

 さらに、益税論争に終止符が打たれたのですから、複数税率による不公平を是正するとうそぶいてインボイスを進めるのは大義もなく、国民に不誠実です。インボイスは、全ての事業者をタグづけし、零細企業も含めて全ての事業者から自動的に税金を赤字でも吸い上げる、恐ろしい税制です。だから、滞納が多く、反対も多いのです。

 岸田総理、消費税が第二法人税と御理解いただけたでしょうか。そして、大義名分がなくなったインボイスを本当に導入するのでしょうか。導入するなら、大義名分は何でしょうか。総理、お答えください。

岸田内閣総理大臣 消費税は、消費税相当額が売上げ時の対価に含まれ、納税されるまで事業者の下にとどまる仕組みとなっています。

 御指摘の益税について申し上げれば、免税事業者が、仕入れの際に負担した消費税額を超えて、売上げの際に本体価格に消費税として金額を上乗せした場合には、この超えた部分については、いわゆる益税の問題が生じることになると承知をしています。

 そして、法人税、消費税、比較の資料を作られましたが、法人税、これは利益に応じて納税するという点において、基本的に消費税と異なっています。そういった点からも、第二法人税であるという指摘については、私自身、まだ理解ができておりません。

たがや委員 益税はあるんですか。これは岸田総理、もう答えは出ているんですが。不公平を是正するためにインボイス導入というのは、益税論争に終止符が打たれたことで、通用しません。

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますから、おまとめください。

たがや委員 それでもなお導入するなら、国民の皆様にちゃんと説明責任を果たしてください。大義のなくなったインボイスは即刻やめてください。国民は見ていますよ。

 最後に、政治は生活である、国民の生活が第一、これを申し上げて、私の質問を終わります。

 総理、よろしくお願いします。

根本委員長 これにてたがや君の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時八分散会


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