衆議院

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第15号 令和5年2月28日(火曜日)

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令和五年二月二十八日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 小林 鷹之君 理事 中山 展宏君

   理事 古川 禎久君 理事 堀井  学君

   理事 牧原 秀樹君 理事 逢坂 誠二君

   理事 後藤 祐一君 理事 青柳 仁士君

   理事 赤羽 一嘉君

      青山 周平君    伊東 良孝君

      伊藤 達也君    石破  茂君

      今村 雅弘君    岩屋  毅君

      衛藤征士郎君    大岡 敏孝君

      奥野 信亮君    加藤 竜祥君

      亀岡 偉民君    工藤 彰三君

      熊田 裕通君    下村 博文君

      鈴木 隼人君    田中 和徳君

      辻  清人君    土屋 品子君

      古屋 圭司君    牧島かれん君

      三谷 英弘君    宮下 一郎君

      八木 哲也君    山本 有二君

      鷲尾英一郎君    大西 健介君

      源馬謙太郎君    西村智奈美君

      藤岡 隆雄君    本庄 知史君

      森山 浩行君    吉田はるみ君

      渡辺  創君    阿部  司君

      池畑浩太朗君    掘井 健智君

      庄子 賢一君    中野 洋昌君

      鰐淵 洋子君  斎藤アレックス君

      宮本  徹君    緒方林太郎君

      吉良 州司君    櫛渕 万里君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   総務大臣         松本 剛明君

   法務大臣         齋藤  健君

   外務大臣         林  芳正君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   文部科学大臣       永岡 桂子君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   農林水産大臣       野村 哲郎君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      西村 康稔君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    西村 明宏君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     松野 博一君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (デジタル改革担当)

   (消費者及び食品安全担当)            河野 太郎君

   国務大臣

   (復興大臣)       渡辺 博道君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     谷  公一君

   国務大臣

   (こども政策担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   小倉 將信君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   後藤 茂之君

   国務大臣

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)

   (経済安全保障担当)   高市 早苗君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (地方創生担当)

   (規制改革担当)

   (クールジャパン戦略担当)

   (アイヌ施策担当)    岡田 直樹君

   財務副大臣        井上 貴博君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局長)            市川 恵一君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   海部  篤君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          藤江 陽子君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    角田 喜彦君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           川又 竹男君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官)  鶴田 浩久君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  塩見 英之君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  堀田  治君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  増田 和夫君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  川嶋 貴樹君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十八日

 辞任         補欠選任

  亀岡 偉民君     青山 周平君

  平沢 勝栄君     伊東 良孝君

  古屋 圭司君     工藤 彰三君

  三谷 英弘君     加藤 竜祥君

  緒方林太郎君     吉良 州司君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     亀岡 偉民君

  伊東 良孝君     平沢 勝栄君

  加藤 竜祥君     三谷 英弘君

  工藤 彰三君     古屋 圭司君

  吉良 州司君     緒方林太郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和五年度一般会計予算

 令和五年度特別会計予算

 令和五年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 令和五年度一般会計予算、令和五年度特別会計予算、令和五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として外務省総合外交政策局長市川恵一君、外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長海部篤君、文部科学省総合教育政策局長藤江陽子君、スポーツ庁次長角田喜彦君、厚生労働省社会・援護局長川又竹男君、国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官鶴田浩久君、国土交通省住宅局長塩見英之君、国土交通省港湾局長堀田治君、防衛省防衛政策局長増田和夫君、防衛省整備計画局長川嶋貴樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 これより締めくくり質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。堀井学君。

堀井委員 おはようございます。自由民主党の堀井学でございます。

 質疑の機会を与えていただいた皆様方に心から感謝を申し上げたいと思います。

 約一か月間にわたり、質疑に関しては十分な時間も確保され、与野党共に、政府の考えを問いただし、答弁をお聞きして、互いに認識を深めることができました。

 今国会、焦点となっていた防衛予算や少子化対策。傾聴に値する質疑。対案を自ら示し、提案型の質疑。なるほど、すばらしい、賛成と思わず声に出る質疑や、この国会の未来を真剣に考えるからこそ、この場での真剣な総理への質疑。与野党を問わず、拍手が起こる場面もありました。

 また、地方公聴会、中央公聴会。それぞれの分野で御活躍されている方々の直接のお話を聞くに当たっては、地方経済の現状の認識を深めることと、防衛、少子化等の専門的な知見や、深掘りをされた問題点の指摘や改善策など、大所高所から御指導をいただきました。改めて公聴会に御協力いただいた皆様方に感謝を申し上げます。

 質疑時間が限られておりますので、最初に三点指摘させていただきたいと思います。

 一点目でありますが、エネルギー資源高騰は待ったなしの対策が必要です。

 特に、電気、ガスについては、もう既に執行されている予算に加えて、追加経済対策、継続した支援措置が必ず必要になると考えます。予備費の活用など、素早く柔軟な対応を求めたいと思います。家庭のエネルギーコスト増大による家計の圧迫は消費を落ち込ませます。企業においては賃上げをしたくてもできない状況が続きます。特別高圧、プロパンガス等、多くの議員から政策の公平性を問う質疑がありました。与野党国会議員からの指摘を重く受け止めていただき、新しい対策を検討し、早期に国民に示していただくようお願いを申し上げたいと思います。

 一点目の関連で、二点目は総務省にであります。

 地方自治体も、エネルギーコスト増大で苦しむ声が聞かれます。節電や節約をすることができない北国のロードヒーティングや、上下水道など平時では目に見えない行政サービスの継続が財政に重くのしかかっているようであります。総務省には、この点、目くばせをした予算措置をお願いを申し上げたいと思います。

 三点目の指摘は農林水産省にであります。

 この予算委員会でも、酪農、畜産の危機について多くの質疑がありました。今の支援措置だけでは離農に歯止めがかからない状況であります。事態は相当深刻と受け止めていただきたいと思います。今最も国の支援が必要とされる、国家の最重要課題の一つであります。農業者が明日に希望を見出せる追加の支援措置を、農林水産省には、迅速に検討し、早期に実行するよう強く求めたいと思います。

 三点目の指摘が終わりましたので、質問に移らせていただきたいと思います。

 総理にお尋ねを申し上げます。

 なぜ今、我が国は防衛予算の拡充を図らなければならないのか、いま一度、総理から国民に御説明をしていただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 北朝鮮による度重なるミサイルの発射など、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で、政府の最も重要な責務として、国民の命、平和な暮らし、そして我が国の領土、領海、領空、これは断固として守り抜かなければなりません。

 今回の防衛力強化の検討に際しては、国民の命を守り抜けるのか、極めて現実的なシミュレーションを行いました。率直に申し上げて、現状、十分ではないと認識をしています。

 このシミュレーションを踏まえた最優先課題として、可動率向上や弾薬、燃料の確保、主要な防衛施設の強靱化、スタンドオフ防衛能力の強化、そしてミサイル防衛システムと反撃能力を組み合わせた統合防空ミサイル防衛能力の強化、宇宙、サイバー、電磁波等の新たな領域への対応、そして南西地域の防衛体制の強化など、必要となる防衛力の内容、これを積み上げ、防衛費の規模を導き出しています。

 引き続き、同盟国、同志国との連携をしつつ、こうした取組によって我が国の抑止力、対処力を向上させ、武力攻撃そのものの可能性を低下させていく、こうした取組が重要であると考えております。

堀井委員 ありがとうございました。

 国民の生命と財産を守り、領土、領海、領空を断固として守り抜くこと、力による現状変更は許さないこと、同盟国、同志国と連携をし、抑止力をもってこれを対処する、国家の意思、政府の国民を守るための断固たる決意、これを今、近隣諸国を始め世界に示す総理の並々ならぬ覚悟は必ず国民に伝わると思います。引き続き、丁寧な御説明をよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 続いて、少子化対策についてであります。

 総理には、日本の子供、子育て政策の大転換を図り、日本の未来を救った総理大臣として歴史に名を刻んでいただきたいと私は強く思っています。世界から少子化対策は日本をお手本にと言わしめる、日本の窮地を脱した政策による成果と結果を残さなければなりません。この問題の解決にも、防衛予算拡充と同様に、覚悟と決意が必要になります。

 年明け早々に小倉大臣に指示を出され、三月まで取りまとめを行い、六月の政府の骨太方針に盛り込むと答弁を何度も丁寧に繰り返されておりますが、与野党の質疑者からは、個別具体的な方針が政府から示されず、皆さん気持ちがもやもやっとしているのだと思います。

 私は、岸田総理、小倉大臣の答弁を聞いて、日本の少子化対策の本格的な政策の開始時期は、令和六年、二〇二四年四月からスタートするのだと私は受け止めております。この議論については、多くの国民が、いつから始まるのか、対象となる世帯や若者たち、これからお産を控える方、妊娠中の方が、岸田総理の少子化対策に注目が集まっていると言えます。

 政府の異次元の少子化対策、次元の異なる少子化対策の本格的な開始時期と、その必要性、重要性、国民にいま一度、力強く御説明をお願い申し上げます。

岸田内閣総理大臣 子供、子育て政策は、最も有効な未来への投資であり、最優先の課題であると申し上げています。後回しすることはあってはならないということで、最近でも、不妊治療の保険適用ですとか、出産育児一時金の大幅増額、伴走型支援と十万円の経済的支援の一体的実施、これを先行させて取り組んでいるところです。

 また、今の社会に必要な子供、子育て政策の検討に当たっては、何よりも優先されるべきは子供、子育ての当事者の声だと考え、先日も、福井県、石川県また岡山県にもお伺いをし、経済的な観点や将来のキャリアの面から結婚や子育てに対し不安を持っておられる若い世代の皆さんとお話をしてきました。

 こうした様々な不安を取り除き、誰もがストレスを感じることなく子育てをできる社会にしなければなりません。子育て当事者の方々からいただいた声を切実な実情として受け止め、子供、子育て政策として充実する内容を具体化し、こども家庭庁の下で、六月の骨太方針までに将来的な子供、子育て予算倍増に向けた大枠を提示すると申し上げています。

 本格的な開始時期ということですが、この六月の骨太の方針において予算倍増に向けた大枠を提示した後、それ以降については、できる限り速やかに本格的な取組を行っていきたいと考えております。

堀井委員 ありがとうございました。

 開始時期の明確な提示というのが必要なんだと思います。

 続いて、パネルを準備しておりますので、資料を御覧いただきたいと思います。

 私は今年で五十一歳、妻は四十九歳、結婚して二十六年目を迎えます。余談でありますが、銀婚式には愛する妻から悲願のかつらをプレゼントしてもらいました。私は幸いにも、妻の母体に恵まれ、子供は五人授かることができました。政治家になる前に五人授かり、当時の年収は四百五十万円のサラリーマンでありました。

 民主党政権の子ども手当提案時、赤線が引かれているところを御覧ください。私は既に五人の子供が生まれておりまして、年齢は十一歳、九歳、五歳、三歳、一歳でありましたから、当時の議論としては、これはすばらしい、是非実現してほしいと個人的には思っておりました。特に、裏づけとなる財源確保については、政府の埋蔵金、事業仕分など、注目をして見ていた一人であります。

 一人に対して一か月二万六千円、五人に換算すると一か月十三万円、年間百五十六万円。これは、国会の議論の結果、満額支給とはなりませんでしたが、その半分の、支給された七十八万円は、子ども手当、子供たちのために大変ありがたく使わせていただきました。

 少子化対策がどの程度効果をもたらすことができるか。この国の少子化問題を明確に探る必要があります。

 私の子供たちが生まれたときの政権は、自公政権のときです。時の政権がどこであろうと、愛し合う新婚さんにとっては、余り子づくりには関係ありません。子供が生まれなかった理由を政策推進の誤りだと指摘する者がおりましたが、私と妻は、所得制限も、子ども手当も、児童手当も、政策の微々たる変更を気にして子供を産む産まないを判断したわけではありません。出生届出を出し、母子手帳をもらい、初めて市役所から通知が来て、こんな支援があるんだね、ありがたいねと思う程度であります。

 これまで予算委員会では、各党、少子化対策の活発な議論がなされました。責任はその時々の政権にあるのではなく、全ての政治家にあるのです。今、ここから、日本の未来を変える少子化政策を皆さんでつくろうじゃありませんか。

 私の両親は第一次ベビーブームの世代、私は第二次ベビーブームの世代です。日本には残念ながら第三次ベビーブームが起こらなかったわけであります。その第三次ベビーブームの子供たちが、私の子供でいうと、これは青で塗り潰されている二〇二三年の現在を見ていただきたいと思います、二十五歳、二十三歳、十九歳、十七歳、十五歳です。長男、長女は結婚をして子供を産む適齢期になっています。だからこそ、私は、今なんだ、この機を逃してはいけないんだと、私は政府の方針を受け止めております。第四次ベビーブームの波を、ここにいる皆さんで起こしていかねばなりません。

 私自身の政策のよしあしの目安は家族の中にあります。この今の政府の方針が話題にも上らなければ論外、子供たちが、俺も早く結婚して子供を産もうかなと、私の子供たちから言ってもらえれば合格ではないかと考えております。

 そこで、小倉大臣にお伺いをいたします。

 専門家の意見、識者の見解も大事ですが、実際の多子世帯の親の意見も聞いていただければ幸いです。前大阪府知事の橋下さんは子供七人と聞いています。各省庁も調べれば何人もいるかと思います。三月まで一か月ありますので、私に声がかかれば、いつでも参ります。

 多子世帯の意見を聞く機会についてと、もう一つ。

 パネルの赤四角が、それぞれの子供が大学、専門学校進学のときとなります。その頃は、実は、自分又は妻の両親の面倒を見る時期にも差しかかり、マンションや家を購入していればローンの佳境を迎える時期です。最もお金がかかる時期は実は子供が十八歳以降であり、この時期の対策強化は、各党、各議員共通して質疑がありました。

 各省庁の取りまとめを行うのが小倉大臣でありますが、バランスの取れた少子化、子育て対策づくりの決意を併せて伺います。

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますので、答弁を求めることなく、これにて堀井君の質疑を終了いたします。

堀井委員 是非、多子世帯の意見も聞いていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて堀井君の質疑は終了いたしました。

 次に、庄子賢一君。

庄子委員 公明党の庄子賢一でございます。どうぞよろしくお願いします。

 早速質疑に入らせていただきたいと思います。

 一点目は、電気代の高騰の問題、特に介護施設等での状況についてお尋ねをさせていただきます。

 先週総務省が発表いたしました本年一月の消費者物価指数、これは、対前年同月比で四・二%増という高い水準、四十一年ぶりの高水準ということでございました。ちなみに、私の地元仙台市は四・九%、非常に高い状況になっています。

 特に、中でも、十の主要費目のうち、光熱費、これが一三・〇%ですので、一般の御家庭ももちろんですけれども、特に、多くの方々が暮らしていらっしゃる介護高齢施設あるいは障害者施設、こうした施設の運営法人の皆様からは悲鳴が届いている状況でございます。

 介護施設は、特に、この新型コロナウイルスの感染拡大期間の中で、利用者の皆さん、利用控えがございましたので減収傾向にあって、そこにこの電気代の高騰です。夏場よりも冬場の方がたくさん電気を使いますので、非常に負担が大きいということでございました。

 実際に、宮城県の岩沼市や仙台市の施設に伺って、詳しく聞いてまいりました。ある大きな介護施設なんですが、令和三年一月の電気代は一か月で約百五十万円、それが今年一月の電気代は三百三十七万円、二倍以上に跳ね上がっております。いわゆる報酬単価とか利用者の御負担によって何とか運営しているこうした法人は、ほかに収益を稼ぐ部門がありませんので、自分たちの努力ということではもうのみ込むことができない、そういう厳しい状況になっております。

 もちろん、国としても何も手を打ってこなかったわけではありませんで、去年の九月だったと思いますが、電力・ガス・食品等価格高騰支援地方交付金、六千億円ほど措置をしていただいて、県、市町村を通じて様々な業界団体に配っていただいておりますけれども、しかし、そこからもう半年もたっています。

 また、東京商工リサーチが発表しておりますレポートによると、この一年間で休廃業した介護施設は四百九十五件、倒産も含めると六百件を超えていて、史上最多ということでございました。そのリサーチの分析によると、国の財政支援の効果が薄らいでいるのではないかという指摘があって、今後ますます厳しい状況になるであろうという指摘がなされておりました。

 総理、これは余り時間的な余裕はないんだろうなというふうに思っておりまして、政府として、しかるべき予算規模を早急に手当てをして、こうした介護施設等への支援、力強く是非押し出しをお願いをしたいと思います。御答弁をお願いします。

岸田内閣総理大臣 これまで、コロナ禍の中にあっても、介護施設や障害福祉施設の利用者に対して必要なサービスが安定的、継続的に提供をされるよう、感染者が発生した場合の緊急時の人材確保や施設の消毒、清掃に要する費用等の補助に加え、一時的に人員や運営の基準を満たすことができない場合にも報酬を減額しないなど、報酬上の柔軟な取扱いを実施してきました。

 また、介護施設等を含め、コロナ禍における物価高騰の影響を受ける事業者等に対しては、これは委員の方からも御指摘がありましたが、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金を活用して、各都道府県や市町村において支援を行っており、既に多くの自治体で介護施設等に対する支援を実施し、又は実施に向けて前向きな検討をしていただいているものと承知をしています。

 そして、その中で、政府としては、先日、二月二十四日に物価・賃金・生活総合対策本部を開催し、総合経済対策、補正予算の執行を更に加速するとともに、例えばエネルギーに関して、電力の規制料金の改定申請に対して、四月という日程ありきではなく、厳格かつ丁寧な査定による審査を行うなど、関係大臣に更なる取組を指示したところです。

 物価の動向、国民生活、事業者への影響、これについては引き続き注視をしつつ、与党とも連携し、機動的な対応、これを考えていかなければならないと思っています。

 是非、今後とも、動向をしっかり注視した上で対応を考えてまいります。

庄子委員 地方を預かる全国知事会などからは、介護報酬を臨時的に引上げをしてでもこのことに対応してもらいたいという要望が出ています。地域の実情を最もよく知るそうした知事の皆様が、介護報酬を引き上げるという、ふだんだったら絶対言わないようなことまで言わざるを得ない、こうした厳しい状況だということを是非認識をお願いを申し上げたいというふうに思います。

 介護の施設のことを伺いましたので、関連をして認知症対策についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 二〇二五年には七百万人に達するというふうに言われております。この認知症は、いわゆるファーストタッチがとても大事で、早めに見つけ出し、早めに医療機関につなげていくこと、これで、自分が望む生活を送れる可能性が広がってまいりますので、初期の段階の初動が非常に大事だということだと思います。

 我が党も推進をしてまいりました初期集中支援チームというチームがありますが、二〇一九年には全国の市町村に配備が完了しております。限られたマンパワーですが、医療、介護の専門職の皆様が一軒一軒家庭訪問をしながら、その方、その家庭に合った対応を約六か月間、初動段階、集中的にサポートをするという仕組みで行ってきていただいています。

 ただ、社会保障審議会の介護保険部会等の議論を見ますと、そろそろ、役割あるいは効果、こうしたものの見直しも必要ではないかという議論が出ているようでありまして、私も、この初動体制がもっと強化されるのであれば見直すことは全然問題ないというふうに思っているんですけれども、この認知症の対応、非常に重要だというふうに思っておりまして、人的資源の充実、あるいは他職種との一層の連携強化、また、改めて、新たな初動の支援体制の仕組みづくりなど、政府として、より効果的な取組を是非お願いを申し上げたいと思いますが、厚生労働大臣の所見を伺います。

加藤国務大臣 御指摘のように、認知症の発症を遅らせ、また、認知症になっても希望を持って日常生活を過ごしていく、そのためにも、初期の段階で医療や介護サービスにつなげていくことが非常に重要であります。

 そのため、認知症初期集中支援チームは、医療や福祉の専門職が、認知症が疑われる方やその家族を訪問し、アセスメント、家族支援等の初期の支援を包括的、集中的に行い、自立生活のサポートを行うチームであり、大綱には、全ての市町村に設置するとされているところであります。

 しかしながら、大綱で二〇二五年の目標を四万件と示しておりますチームの訪問実人数は、令和三年度で約一万六千四百人にとどまっております。お話ありました社会保障審議会介護保険部会でも、「その機能や役割、自治体の規模、人員体制等に応じた活動状況を把握し、今後の事業の在り方について検討を行う必要がある。」と指摘をされているところでございます。

 現行の大綱は二〇二五年まででありますので、大綱の見直しの検討の中で、各種の指摘も踏まえて、事業の在り方についても検討していきたいと考えております。

 また、そうした取組のみならず、認知症の初期の段階から相談しやすい体制の整備、これについても努めていきたいと考えております。

庄子委員 どうぞよろしくお願いをしたいと思います。大臣おっしゃっていただいた、相談しやすい体制、これは非常に重要だと思っておりますので、また引き続き御質問させていただきたいと思います。

 三点目でございますが、いわゆる地方ローカル線の存続の問題というのが非常にクローズアップをされております。地域の公共交通、これが非常に関心が高いというふうに思っております。

 一日の乗客数二千人未満の路線というのは、一九八七年当時、全体の一六%程度でございましたが、二〇二〇年にはこれが三八%に増えておりまして、非常に、鉄道各社、路線の維持に苦心をしているところでございます。

 そこで、今回、閣議決定をしていただいておりますけれども、地域公共交通活性化再生法の改正案、これが示されておりまして、どうしたことを行っていくかというと、自治体や事業者の要請に基づきまして、再構築協議会、これを設置をすることができるということが決まっています。自治体と事業者の間に国もしっかり関与をして、この地域公共交通の存続、これをどうしていくのかということを協議することになっております。

 人口減少、地域の空洞化にあえいでいる地方、地域、この東京のような都市部とは全く違う交通事情でございまして、この地域公共交通の存廃問題というのは、暮らしに直結をする大きな課題でございます。是非、岸田総理の言葉で、国として、政府として、地域の足を断じて確保する、地方を守っていくということを、強いメッセージとしてお話をいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 地域の公共交通は、地域住民の生活や経済活動を支える不可欠なサービスであり、地方の活性化を図っていく上で重要な社会基盤であります。一方、人口減少等による長期的な需要減に加え、新型コロナの影響により大変厳しい状況にあると認識をしています。

 こうした状況を受けて、地域の関係者が連携そして協働し、地域公共交通のリデザインを進め、利便性、持続可能性、生産性を高めていく、こうした必要があります。

 このため、委員御指摘の地域公共交通活性化再生法案を国会に提出したほか、令和四年度第二次補正予算及び令和五年度当初予算案において、地域公共交通に係る事業、これを大幅に拡充しています。

 国として、こうした制度や事業を活用して公共交通サービス全体の維持、確保を図り、そして国民の暮らし、これを守っていかなければならない、こう認識をし、今後とも取組を進めていきたいと考えています。

庄子委員 ありがとうございます。鉄道を取るか、バスを取るか、そういう選択ではなく、地域、地方を残すということが主眼だと思いますので、是非お取組をお願いを申し上げたいと思います。

 もう一点、この再構築協議会におきまして、地域公共交通の在り方を協議し、これが合意した場合に、協議会は再構築方針という方針をまとめてまいります。この方針に基づいて、地方公共団体がインフラ整備を行う際に、国としては、いわゆる社会資本整備総合交付金、社総交、これで支えますというスキームになっております。

 社総交は非常に使い勝手もいいんですが、この地域公共交通だけに使うものでは当然ありませんで、道路にしても、港湾、治水、下水道、海岸、都市公園等々、非常に需要が大きい、幅が広いわけですので、この社総交のしっかりとした財源の確保、場合によっては積み増し等も含めて措置をしていく必要がある。そうしないとこの地域公共交通を守ることができなくなってくる、こういうふうに思っておりまして、斉藤国交大臣の御所見を伺いたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 令和四年度補正予算及び令和五年度予算案におきまして、御指摘の社会資本整備総合交付金に、新たな基幹事業として、地域公共交通再構築事業を追加いたしました。また、交通分野のDXやGXに財政投融資を活用するなどの新たな枠組みを含め、総額約千三百億円を計上し、質、量共に充実した予算を盛り込んでおります。

 今年を地域公共交通再構築元年としたいと思っております。

庄子委員 終わります。ありがとうございました。

根本委員長 これにて庄子君の質疑は終了いたしました。

 次に、森山浩行君。

森山(浩)委員 立憲民主党、森山浩行でございます。

 コロナ禍発生から三年、二月三日、ダイヤモンド・プリンセス号の乗客だった皆さんが追悼の集いを行われました。きちんとした検証を求めている中でありますけれども、そんな中、あした、三月一日から外国のクルーズ船の再開がされます。

 国交省は、中間報告から業界のガイドラインを経て十一月に再開を決定、そして、ついこの間、二月二十四日にようやく関係者の説明会を開き、三月一日に再開ということです。

 専門家を交えた議論、検証で安全確保はできているのか、また、今後の検証について問います。

斉藤(鉄)国務大臣 国土交通省では、ダイヤモンド・プリンセス号の事案を受け、専門家によりクルーズの安全、安心確保について御検討いただき、その結果を、クルーズの安全・安心の確保に係る検討・中間とりまとめとして、二〇二〇年九月に発表させていただきました。

 その後、国内クルーズが再開され、国際クルーズについても、感染拡大予防策について関係業界と検討を重ねてまいりましたが、昨年十月の水際措置の見直しを受け、全国の港からの強い要望もあり、業界団体により運航再開に必要なガイドラインが策定されたところでございます。

 このガイドライン策定を受けまして、国土交通省は、感染症の専門家等の意見を確認するとともに、関係省庁とも協議した結果、運航再開に必要な安全対策が取られていると判断できたことから、昨年十一月十五日、受入れ再開を公表いたしました。

 運航再開に当たりましては、各クルーズ船社が寄港する港の関係者と受入れに関する協議を行い、合意を得ることとなっております。現在、二月二十日に受入れ協議が調った清水港を始め、全国でクルーズ船受入れのための協議が進められているところでございます。

 国土交通省としては、引き続き、関係省庁やクルーズ船社、寄港地の港湾管理者としっかり連携しながら、安心してクルーズを楽しめる環境づくりを推進してまいりたいと思っております。

森山(浩)委員 国交省は中間報告止まりなんですね。五月八日に新型コロナ自体を二類から五類へというような形になって、また、感染症対策では、総理直下で組織を提案されているというような状況でもあります。

 私、船員が食事を運ぶ、あるいは空調の構造とフィルターの問題、テレビの半日後に船長からの連絡があった、あるいは、各国大使館から連絡や差し入れが届く中、それと比較して日本の政府の対応など、当時、船内から携帯電話で多くの情報をいただいておりました。

 不安だ、心配だ、感染するかもしれない、そういうような乗客の皆さんの思いもしっかりと受け止めた上で、再開後に発覚するような問題も、あるいは課題も踏まえ、今の御説明だと、政府と港湾関係者、それから船社との話合いということですけれども、当時の乗客の皆さん、多くの資料も持っておられます。しっかりお話を聞いた上で、今後の検証の在り方、総理に問います。

岸田内閣総理大臣 ただいま国交大臣から答弁させていただきましたように、令和二年九月に中間取りまとめを行いました。そして、業界団体において感染拡大予防ガイドラインが策定され、昨年十一月、国交省において国際クルーズの受入れ再開を公表したということでありますが、今後につきましては、国際クルーズ運航、この再開後、一定程度知見や、また経験が蓄積された段階で、国交省において適切に検証を実施するものであると承知をしています。

 そして、一方で、昨年六月、新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議において、ダイヤモンド・プリンセス号の事案等を踏まえた検証を行い、入院等の調整時における国の権限の明確化など、広域的な調整が円滑に行われる仕組みづくりが必要である旨の取りまとめがなされました。そして、昨年十二月、感染症法の改正、これが行われたところです。

 政府としては、こうした検証等の状況を踏まえて、安心してクルーズを楽しめる環境確保、これを図っていきたいと考えております。

森山(浩)委員 総理、安全と安心は違うと思います。やる人たち、船主あるいは港、政府ということだけではなくて、乗客の皆さん、いろいろな思いを持ってこの間おられる。また、電車と違って名簿もちゃんと、しっかりしてありますから、しっかり話を聞いた上で、次の対策に生かしていただきたいと思います。

 東京五輪汚職、六社の起訴に発展と言われております。

 そもそも、テスト大会の入札で、桁が違う本大会の事業が随意契約でついてくるということ、考えられないわけですけれども、民間と公共の仕事の仕方が違うというようなことも踏まえて、国際イベントの透明性を高める、そういったガイドラインを作るべきだと考えています。

 また、今回の検証について、文科大臣は捜査の推移を見守るということでとどまっていますけれども、捜査の進展に合わせて、きちんと役所側、政府側の体制をつくって検証をしなければならないと考えます。

 関西万博あるいは札幌オリンピックなども控えているという状況の中で、本番が終わったら終わりというようなことではなく、今後についても生かしていけるような検証チームをつくるお考えはありませんか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の事案につきましては、既に刑事手続中であることから、その過程の中で事実は明らかになっていくものだと認識をしております。

 現在、スポーツ庁等が設置したプロジェクトチームにおいて、組織委員会の元職員からのヒアリングや東京都の契約手続等に関する調査の状況報告等を通じて、大会組織委員会のガバナンスの実情や課題を把握するとともに、海外の事例も参考にして調査分析を行い、今月十日に、再発防止の観点から組織体制の整備について規定した今後の大会運営のための指針案、これを公表した次第です。

 今後、スポーツ庁において、スポーツ界や経済界から幅広い意見を聴取して更に内容を充実し、三月中に指針を策定する予定であり、この指針に基づいて、今後の大会運営における組織体制や取組に生かしていくものであると承知をしております。

森山(浩)委員 何か人ごとなんですよね。これは大きな問題ですよ。国際イベントを日本でやったら汚職があるんじゃないかというようなことにならないように、きちんと検証をすべきだ、もっと強いリーダーシップを持ってやっていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 カルト宗教の二世の問題。

 政府は、統一教会解散命令請求の前提としての四回目の報告徴収を準備中だということですけれども、二十二日、霊感商法等対応ダイヤルを引き継いだ全国統一教会被害対策弁護団、第一次集団の申入れがありました。

 これまでたくさんのヒアリングを我々もしてまいりましたけれども、特にカルト二世の問題というのは、窓口の相談が少ない、表に出にくいというところがあります。これは、当然、親がいるわけですから、難しいですよね。

 総理、実態調査をきちんとかけて、対策につなげるべきではありませんか。

岸田内閣総理大臣 相談体制ですが、現在、法テラスの対応窓口を始め各種の相談窓口においては、旧統一教会問題等に関し、宗教二世の方からも、金銭的トラブルや心の悩み等、様々な相談が寄せられています。弁護士、心理の専門職等の知見を活用するなどして、個々の相談事案の問題解決を支援しているところです。

 また、消費者庁においては、新法の本格施行に向けた準備を進めているところ、まずは着実に法を運用し、さらに、法運用の過程で明らかになった課題については、運用実績を踏まえ、より実効的な救済策が講じられるよう、必要な検討を行ってまいります。

 委員の方から、宗教二世の方々、いろいろお立場上相談しにくい、こういった事情もあるのではないか、こういった御指摘がありました。政府としては、こうした相談対応や新法の運用等を通じて、宗教二世に係る被害実態、これを把握し、そして、御指摘のような点も含めて様々な分析を行った上で、関係機関が連携して包括的な支援体制の一層の強化を図るなど、被害の実効的な救済に万全を尽くしてまいりたいと考えております。

森山(浩)委員 宗教二世、カルト宗教二世という部分については、特に表に出にくいということを意識してしっかり取り組んでいただきたいと思いますし、この委員会でも合同結婚式の話も出ています。そのときに更に持ち出しがないように、我々も法案を提案していますので、財産保全というような部分も含めて対応をしていこうではありませんか。

 予算の話を続けます。

 今回、非ODAの他国軍支援の枠組みを新設されるという形になっています。これまで積み上げてきた、日本は軍事支援はしないというブランド、安心感というものによって、日本人や日本のNGOが攻撃対象にならないといったことが言われてまいりました。こういったブランドが崩壊するのではないか、このようなおそれがありますけれども、外務大臣、いかがですか。

林国務大臣 本支援でございますが、我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に置かれる中で、我が国にとって望ましい安全保障環境を創出するためには、我が国自身の防衛力の抜本的強化に加えまして、同志国の安全保障上の能力、抑止力を向上させることが不可欠である、こういう考えから、創設をする方針を示したものでございます。

 本支援は、平和国家としての歩みを引き続き堅持しつつ、同志国のニーズに応えていくことを大前提としておりまして、予算が承認された暁には、そのための実施の方針を定めた上で支援を行っていく考えでございます。

森山(浩)委員 紛争において、助太刀をするというのは一番嫌われる役割です。紛争をやっているときに、相手方につきやがったというような形になって憎まれるというようなことがあってはなりません。

 平和にするために軍事支援というのは、ちょっとパラドックスのように聞こえますが、総理、どうやって説明しますか。

林国務大臣 この支援を実際に実施するに当たりましては、実施の方針として、防衛装備移転三原則、また同運用指針の枠内で支援を行うこと、そして、国際紛争との直接の関連が想定し難く、本支援の目的の達成にとって意義のある分野に限定して支援を実施すること、そして、国連憲章の目的及び原則との適合性の確保等について定めていく、そういう考えでございます。

森山(浩)委員 それでも軍事支援というような表題になるわけですけれども、総理、それでいいんですか。

岸田内閣総理大臣 今、外務大臣から説明させていただきましたように、日本のODAに関する取組について、基本的な考え方については従来と変わるものではないと認識をしています。

 ですから、他国からどう見られるかが問題だという委員の指摘、これはそのとおりだと思います。我が国のODAに対する基本的な方針は変わらないということ、これをいかに国際社会にしっかりと説明をしていくのか、現実的な対応を考えていく上においても、その点は変わらず重要であると思います。

 是非、日本のODAのありよう、日本の外交にとって大変重要なツールであるODAのありようについて、国際社会に対する説明責任をこれからもしっかり果たしていきながら取組を進めることが重要であると認識をいたします。

森山(浩)委員 ODAの重大な変更ということにならぬよう、しっかりこれは議論をしていきたいと思います。

 厚労大臣、生活保護制度というのは、困ったときにもらいやすく、自立をしやすいという制度にすべきですけれども、福祉事務所から親族に援助の可否を問う扶養照会の問題。

 実際の援助につながるのは千人とか一万人に数名と言われる一方、親族との元々薄い縁が完全に切れてしまうなどの悪影響から、当事者が二度と福祉事務所には相談しないという例も枚挙にいとまがありません。

 首都圏、一都三県の自治体議員の調査によると、自治体によって扶養照会をしているかどうかという率、九〇%を超えるところから数%にとどまる自治体まで、大きなばらつきがあります。

 現在、厚労省では扶養照会に関する実態調査をしていないということですけれども、これは調査すべきじゃないでしょうか。また、扶養照会制度を廃止するか、あるいは、例えば当事者本人の同意などの条件を明確化して、自治体間の格差をなくすべきと考えますが、いかがですか。

加藤国務大臣 扶養義務者の扶養が保護に優先して行われることは、生活保護法に明記されている基本原理であります。

 そして、この扶養照会、これは必要な手続でありますが、そこにおいて金銭的援助が可能との回答は、国による調査で約一・五%にとどまっておりますが、他方で、金銭的援助が行えない場合であっても、例えば定期的な訪問、病院への送り迎えといった援助を受けることができれば、生活保護受給者の自立の助長につながり、そうした点でも意義はあると考えております。

 その上で、扶養照会が自治体において適切に実施されることは大変重要であり、令和三年には、扶養義務者本人に対する直接の照会を省略できる場合などについて、通知、事務連絡を改正し、扶養照会の取扱いの明確化を図ったところであります。

 こうした扶養照会の取扱いについては、引き続き周知徹底を図るとともに、国の監査において監査対象自治体の状況を確認しております。課題がある場合には、要保護者に寄り添った対応がなされるよう指導を行うことで、現場での対応を徹底していきたいと考えています。

森山(浩)委員 元々薄い家族の縁が切れちゃうんです。これは相談をしないというようなところにもつながっている。

 また、逆に、保護家庭の高校生のアルバイト、これも、大学進学のためだったら貯金は許されるけれども、留学だったら駄目だとか、アルバイトした分は保護費にマイナスになるというような取扱いにもなっています。

 自立をするのに対してモチベーションが下がるようなこれらの制度、これは、ほかの部分も含めて、出せないようにするとか、いろいろな工夫はあるでしょうけれども、貯金ができるようにして自立を促す、百万たまったら、二百万たまったら自立しましょうよというような制度にしていくというようなことも含めて、入口は入りやすく、出口は出やすい、このような生活保護制度にしていくべきだと考えます。

 総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 扶養照会の意味については、今、厚労大臣から答弁をさせていただきましたが、こうした扶養照会の趣旨の徹底を図るということがまず重要だと思いますし、あわせて、その趣旨を徹底した上で、現実的なありようとしてどうあるべきなのか、その実際の運用等について、絶えず現実に合っているのかどうか等を考えていく、こういった努力は、自治体を始め、関係者に絶えず続けてもらわなければならない姿勢だと思います。

 その議論の中で、委員御指摘の点等においてどうなのか、これを検討する中で、扶養照会のありようについて、関係者で考えていきたいと思います。

森山(浩)委員 やはり、やっていることと副作用の大きさを考えた上で検討いただきたいと思います。

 インボイスの問題です。

 十月、インボイス導入ということで、取引からの排除のおそれ、あるいは個人事業主や中小企業の特に過重な事務負担、それからシステムの周知期間といった心配あるいは苦情が数多く寄せられています。財務省はこれに対応できるんでしょうか。

 あるいは、大臣は、インボイス制度は複数税率の下で適正な課税を確保するために重要なものですという答弁をされています。そもそも、逆進性の解消にならない複数税率である軽減税率を入れてまで消費税を一〇%に増税したということが問題でありますけれども、これについて、数多くの企業の経営相談を受けておられる税理士の団体の皆さんからも、一貫して廃止を訴えておられるところでもあります。

 個人事業主あるいは中小企業、これを機に仕事をやめるというような声も届いておりますけれども、これに対し、財務大臣は、これまで各委員会で、十月実施、これを明言されています。

 十月の延期あるいは中止、総理、考えるべきではありませんか。

鈴木国務大臣 インボイスに移行するということに対しまして、森山先生から御指摘のような中小・小規模事業者の方々の御心配があること、これは財務省としても真剣に受け止めておりまして、政府一体で連携してきめ細かく対応することとしております。

 具体的には、免税事業者を始めとした中小・小規模事業者の取引について、独禁法、下請法等の取扱いの明確化や、各事業者団体への法令遵守要請、書面調査や下請Gメンといった取組を通じて、取引環境の整備に政府を挙げて取り組んでおります。

 また、令和四年度補正予算においては、持続化補助金について、インボイス発行事業者に転換した場合の補助金額の五十万円一律の引上げ、IT補助金について、インボイス対応のため、より安価な会計ソフトも購入できるよう補助対象の拡大、そして、中小企業団体による相談体制の整備のための予算措置など、様々な支援策の充実を盛り込んでおります。

 さらに、制度移行後も六年間は、免税事業者からの仕入れであっても一定の割合を控除できる経過措置を設けているほか、令和五年度の税制改正におきまして、免税事業者がインボイス発行事業者になった場合の納税額を売上税額の二割に軽減する三年間の負担軽減措置、一定規模以下の事業者の行う少額の取引について、インボイスの保存がなくとも帳簿のみで仕入れ税額控除を可能とする六年間の事務負担軽減措置などを講じることとしておりまして、きめ細かく対応してまいりたいと思います。

 先生からも御指摘ございましたが、政府の立場、インボイス制度、これは複数税率の下で適正な課税を確保するために必要なものでありまして、予定どおり本年十月から円滑に実施することができますように、引き続き、関係省庁で連携しながら万全の対応を図っていきたい、そのように思っております。

森山(浩)委員 努力されているのは知っています。ただ、不安は消えていません。

 総理、延期、中止、あるいは軽減税率、もうやめようよということはありませんか。

岸田内閣総理大臣 様々な声、不安の声が関係者の中からもあるということは承知をしております。

 ただ、先ほどからやり取りの中でもありましたように、インボイス制度、これは複数税率の下で適正な課税を確保するために必要なものであると認識をしております。

 そして、そうした不安の声があるからこそ、今財務大臣から答弁させていただきましたような様々な工夫を積み重ねてきました。昨年発表した総合経済対策の中においても支援策を用意しました。そして、今御審議いただいている令和五年度予算案の中においても負担軽減策を盛り込ませていただいています。

 十月の実施ということですが、本年十月の制度の実施に向けて、これを円滑なものにするため、今後も、何ができるのか、これを検討しながら、円滑な実施に向けて、政府として万全な対応を続けていきたいと思っています。

森山(浩)委員 この時期になっても不安は消えないということですから、改めて、延期、中止、求めたいと思います。本当に、これは生殺与奪を握っているんですよ。中小企業は本当にやめちゃいますよ。本当に考えていただきたいと思います。

 さて、広島サミット。

 広島の原爆記念碑の碑は、一九五〇年に浜井信三市長が決定したもの、「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」と。日本語ではこれは分かりにくいですが、「ウィー シャル ノット リピート ジ イービル」というような形になっています。

 岸田総理、五月に首脳をお連れするに当たり、この碑文の意味を各国首脳にお伝えするということ、これは重要と考えます。

 浜井市長の碑文決定に大きな影響を与えたのが、一九五〇年、浜井市長、大橋長崎市長、中曽根康弘議員などの国会議員、石坂東芝社長など七十名による欧米歴訪。このときに、スイスのMRA世界大会でドイツとフランスの和解の現場を見、英独仏伊の首都を歴訪。また、ドイツのアデナウアー首相などと会談をし、アメリカのアーリントン墓地を訪れた経験に基づいて、この碑文を決めたのだと言われています。

 この碑文、浜井市長がこれらG7諸国を歴訪して学んだということ、以下の深い意味を伝えることが重要と思います。核兵器の使用は、イービル、絶対悪であるということ。それから、この碑の前に立つ全ての人々、ウィーですので、全ての人々が、犠牲者に対する戦争という過ちを認め、平和を共に築く責任があるということ。ウクライナでの戦争が続く中での広島のG7の意味というのは、平和に向けて日本ならではの発信を行う機会であると考えます。

 この提案に対し、政治家としての総理の意見を問います。

岸田内閣総理大臣 御指摘の原爆記念碑の碑文ですが、地元広島の人間ならよく知っていますが、戦後、この碑文が設置されてから何度か、碑文論争という形で、碑文の意味について議論が行われてきました。

 そして、この碑文の意味することについては、広島市が作成したものですので、政府の立場からコメントすることは行ってきておりませんが、御指摘があった碑文を建立した当時の浜井市長の回想録によれば、碑文の前に立つ全ての人が、人類の一員として過失の責任の一端を担い、犠牲者にわびることこそが世界平和の確立につながるという思いが込められているとされています。また、広島市のウェブサイトによれば、この言葉は、全ての人々が原爆犠牲者の冥福を祈り、戦争という過ちを再び繰り返さないということを誓う言葉であるとされています。

 この碑文の中身についてはいろいろな議論があったわけですが、少なくとも、これから行われますG7の広島サミットにおいては、核兵器の惨禍、これは二度と起こしてはならないという思いを世界に向けてG7の首脳が共に発信する、このことは重要であると思います。

 特に今、ロシアによるウクライナ侵略の中で、ロシアによる核兵器による威嚇あるいは使用、これが懸念される、この現実を前にしているわけですから、そういった意味でも、今申し上げたような発信をG7サミットで行うことは重要であると認識をしております。

森山(浩)委員 私も広島県人会なんですが、広島出身の首相であります。今回のG7をしっかりと生かして、平和の発信をしていただきたいと思います。

 LGBTです。

 不当な差別という表現を多用されています。不当でない差別はありますかと役所にお聞きをしましたら、今まで例が出てきていない。

 社会において差別という言葉は、使ったときには不当なのだということだと思いますけれども、これは誤解を与えますから、差別という言葉に改めるべきではありませんか。

岸田内閣総理大臣 一般的に、差別には、それが使われる前後の文脈の趣旨などから、取扱いに差異を設けるといった意味、あるいは、平等に取り扱うべきにもかかわらず平等でない取扱いを行うこと、また、不当に権利利益を侵害する行為、この差別という言葉を使う場合に、前後の文脈から様々な意味、いろいろなニュアンスがあると承知をしています。そのため、その趣旨をより明確化するために、不当な差別という言葉を使っていると承知をしています。

 いずれにせよ、性指向、性自認を理由とする不当な差別、偏見、これはあってはならないと考えており、政府として、多様性が尊重され、人権や尊厳が大切にされる、こうした社会を実現するためにしっかりと取り組んでいきたいと考えています。

森山(浩)委員 不当でない差別の例を教えてください。

岸田内閣総理大臣 今申し上げたように、前後の文脈によってニュアンスが微妙に変わるからして、より徹底させる意味から、不当な差別という言葉を使っていると承知をしています。

森山(浩)委員 広辞苑に大小の差別という事例が載っているんですよ。物を大小で分けるときに差別というのを使うんだとなっているけれども、これは人間に使ったら、大小を差別しては駄目じゃないですか。不当な差別なんです。不当だから差別なんです。これは、社会においてはその使い方が一般的でありますので、誤解を与える表現はやめていただきたい。

 婚姻は両性の合意に基づいて成立する、憲法二十四条の解釈について、これが同性婚を否定するものだというような意見もあるようですが、公明党北側副代表は憲法改正不要と表明していますけれども、総理の見解はいかがですか。

岸田内閣総理大臣 憲法第二十四条第一項は、婚姻は、両性の合意にのみ基づいて成立すると規定しており、当事者双方の性別が同一である婚姻の成立、すなわち同性婚制度を認めることを想定していないというのが政府の考え方です。

 政府においては、想定されていないということを超えて憲法二十四条第一項が同性婚制度の導入を禁止しているのか、許容しているのかについて、特定の立場に立っているわけではない、これが政府の立場であります。

森山(浩)委員 禁止はされていないということでございます。

 内閣府の調査に比べ、十代のLGBTQは、NPO法人リビットさんの調査によると、孤独感八・六倍、自殺を考えた、自殺未遂で約四倍、不登校経験が半数以上というような状況に置かれています。OECDの調査では、三十五か国で最下位のトルコに次ぐ三十四位と言われており、今回、理念法であるLGBTの理解増進法というものがいったとしても、これは順位が上がるものではありません。理念法であって、実効のある対策がないからです。

 実効性ある対策のため、私たちが提出をしております議員立法、差別解消法案、この必要性について、総理の御所見を問います。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げましたが、性的指向、性自認を理由とする不当な差別や偏見、これはあってはならないと考えておりますし、政府としては、多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる社会の実現に向けて、引き続き、国民の声を受け止め、しっかり取り組んでいきたいと考えています。

 その中で、御質問は、まずLGBT差別解消法案ですが、差別解消法案については、昨年の通常国会で野党から衆議院に提出され、継続審議になっていると承知をしています。

 そして、超党派の議連の議論の中からLGBT理解増進法案という法案が議論されるようになり、これについては、自民党においても、政調の性的マイノリティーに関する特命委員会が中心となって法案を検討してきたと承知しており、引き続き、提出に向けた準備を進めること、これを確認している次第です。

森山(浩)委員 G7最下位、恥ずかしいですよ。理解増進、こんなものは当然やるべきだし、当然、実効性のある差別解消法、これも、障害者も差別解消法という形でようやく前に進んでいったところがあります。これも不当な差別解消法じゃありませんから。

 最後に申し添えて、質問を終わります。

根本委員長 これにて森山君の質疑は終了いたしました。

 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。

 子育て予算のことについてお伺いをいたします。

 先日、ここの予算委員会で長妻委員から、二〇一二年の六月に社会保障・税の一体改革に関して三党で合意した内容についての紹介があり、また、それについての質疑がありました。

 この確認書によりまして、保育士の配置基準、これを変えようということで、三千億円を速やかに措置するということを確認をしていた。しかし、その後、二〇一五年の子ども・子育て支援新制度が始まりましても、この約束、十年たちますけれども、まだ果たされておりません。特に一歳児と四、五歳児、ここの職員配置の改善が全く行われていないということであります。

 長妻委員の指摘によりますと、二〇二一年の保育事故は年間で二千三百四十七件、統計方法が新たになった二〇一五年以降最多ということであります。お亡くなりになった方が五人、骨折件数が千八百八十八件、極めて深刻。子供の命、子供の安全、こういった問題に直結する私は問題であるというふうに思っております。

 大砲かバターかという論争は常にあるものかというふうに思いますけれども、新年度予算を見ますと、防衛費と比べて子供予算、増えていないですよね。防衛費は五・四兆円から六・八兆円、二六%の伸び。ところが、子供予算は四・七兆円から四・八兆円、ほんの僅かな部分。しかも、ほんのちょっとしか増えていない子供予算の中でも子供の安全に関わる部分がこうやって置き去りにされているというのは、私は大変大きな問題だと思っております。

 昨日の長妻委員への答弁で、総理は、この配置基準の見直しについて、優先順位を考える中でというふうに答弁をされました。つまり、配置基準の見直しは優先順位が低いから後回しになってきたということだと受け止めざるを得ないんですけれども、子供の安全や命に関わる予算の優先順位を総理は低くしたということですか。確かに、幼児教育の無償化、保育の無償化は大事なテーマではありますけれども、子供の安全を置き去りにしたということですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の、二〇一二年の三党合意に基づくいわゆる三千億円問題、保育の質の向上の部分についてですが、これについて、昨日も質疑の中で申し上げましたが、その後の社会のニーズの中で、待機児童の受皿の充実と、そして幼児教育、保育の無償化、それらに取り組んできたということを申し上げました。

 保育士の処遇改善についても、様々な取組を進めることによって、累計で一八%、これは三党合意の際には給与の改善は二%でありましたが、結果として累計一八%の給与改善を進めてきた、こういった取組を行ってきたところであります。

 今後とも、社会のニーズに応じて、こうした保育の質の向上についてもしっかり取り組んでいくということは併せて申し上げさせていただきました。

 今、子供、子育て政策を整理し、パッケージで示すということを申し上げています。この取組の中で、保育の質の向上の部分についても取組をしっかり考えていきたいと思っています。

西村(智)委員 聞いてもいないことには答えをいただきましたけれども、肝腎の部分についてはお答えをいただいておりません。

 その後の社会のニーズの変化、ニーズは確かにいろいろあったでしょう。幼児教育の無償化、保育の無償化、私たちも時間があってお金があったらやりたいと思っていたので、賛成をいたしております。だけれども、子供の安全ということについては、社会のニーズがいかに変わろうとも、やはり最優先で取り組まなければいけないことじゃないですか。どうしてこれが優先順位が低くなったんですか。もう一度御答弁ください。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、十年前の議論から、その後、取組として、予算は間違いなく増強しました。そして、このニーズに応じて、幼児教育、保育の無償化、こうしたことに取り組んできました。

 子供の安全に関わる部分を後回しにしたのではないかという御指摘がありましたが、処遇改善についてはしっかり取り組み、一方、御指摘は、配置基準、こちらの部分にもしっかり手をつけるべきであったということを御指摘になったんだと思いますが、その部分についても、これから政策のパッケージを示す中で、政府としてもしっかり考えていくということを答弁させていただいております。

西村(智)委員 処遇改善のことは私は聞いておりません。聞いていないことに長々と御答弁され、そして、安全は、これは待ったなしなんですよ。三千億でやると。十年前の約束ですよ。これを相変わらず置き去りにして、防衛の方を極めて突出させた予算編成とするということは、私は大変おかしいことだと思っております。

 一月の三十日、この予算委員会が始まりました冒頭に、岡田委員の方から、トマホーク、一体幾つ、幾らで買うのかただしました。一か月たって、ようやく昨日、後藤委員の質問に対して、四百発であるという、予定だというふうに答弁がありました。

 では、伺います。この四百発ということにした根拠、なぜ四百発なんですか。お答えください。

浜田国務大臣 今回の防衛力の抜本的強化の検討に際しては、国民の命を守り抜くのか、極めて現実的なシミュレーションを行い、トマホークを含めたスタンドオフミサイルについて、必要な数量を導き出しております。

 国産のスタンドオフミサイルを必要な数量整備するためには一定の時間を要することから、そこまでの間に十分な能力を確保する必要があります。このため、国産ミサイル開発、生産のスケジュールや製造能力を踏まえて、トマホークを四百発取得する予定であります。

 トマホークの取得予定数については、大変関心の高い事項であることや、米国の議会プロセスの一環として、売却する可能性のある最大数量が公表されることを踏まえ、我が国として最大購入数量をお示しすることとしたものであります。

西村(智)委員 一二式は、トマホークと同じ二〇二六年度の配置予定、納入予定になっていますよね。今の答弁、違うんじゃないですか。

 総理、もう一回答弁してください。

浜田国務大臣 間違って答弁はしていないつもりでありますが。

 基本的に、始まるとすればということで、我々とすれば、この一二式を造るまでの間に、トマホークを購入することによって補填をするという考え方でおります。

西村(智)委員 よく分からないんですよね。同じ年度、二〇二六年度に、昨日これは後藤委員が示された資料ですけれども、トマホーク、二〇二六年度納入予定、一二式能力向上型、これは二〇二六年度に配備予定ということになっているわけですよね。同じ年度じゃないですか。

 私は、百歩譲ってトマホークが要るとしても、やはり、何で来年度、こんなに一気に巨額の予算措置が必要なのか、本当に疑問なんですよ。二〇二六年に納入する、早くということであったとしても、二〇二六年、今から三年後ですよ。三年後だし、それに比べて保育の充実は、さっきも言いましたけれども、十年以上たなざらしなんですよ。それなのに、何でトマホークはこんなに急いで巨額を投じるという予算になったんですか。

 大臣はいいです、総理から答弁をお願いします。

岸田内閣総理大臣 先ほどの質疑のやり取りの中で、二〇二六年に一二式も配備されるのではないかという御指摘がありましたが、これは二〇二六年から配備が始まるということであります。完全な必要とされる数を十分確保するには時間がかかるということであり、こうした国産ミサイルの開始、生産のスケジュールあるいは製造能力を踏まえて、トマホーク、これを取得する必要があるという判断でトマホークの購入を考えているということであります。

 そして、いずれにせよ、こうしたミサイル体制を充実させるためには時間がかかります。だからこそ、今から備えなければならないということで、それぞれの取組を進めていくということであります。

 子供、子育て予算、そして防衛力の強化、これはどっちを優先させるというものではないと考えています。二者択一ではないと思います。共に国民の命、暮らしにとって大切な予算であるということで、共に充実を図らなければいけない課題であると認識をいたします。

西村(智)委員 今、重大な答弁をされたと思いますよ、私。子供の安全も大事だというふうに言われましたけれども、十年も置き去りにしている安全のための保育の配置基準の見直し、では、これは何で今回やらなかったんですか。

 これは、もし、今年度予算でやらなかったということで、二〇二一年のデータで、もう既に二千三百四十七件も保育事故が起きている、亡くなっている方が五人もいらっしゃる、骨折した方が千八百八十八件もある、こんな事故、改善しておけば防げたかもしれないという事故が起きたら、では誰が責任を取るんですか、総理。答弁してください。

岸田内閣総理大臣 子供、子育ての中で、安全、安心に関わる部分、これが重要であるということは御指摘のとおりだと思います。その中にあって、具体的な政策、予算の優先順位について考えてきた。今日この時点で安心、安全に不安があるということについては重く受け止めなければなりません。

 是非、だからこそ、この包括的なパッケージ、政策のパッケージ、しっかり示す中でこうした課題にも取り組んでいきたいと申し上げております。

西村(智)委員 もう重く受け止めていただくのは十分ですから、早く予算措置をしてください。本当に、どうやって責任を取るんですか、万が一事故が起きたら。受け止めていないで行動をお願いします。強く求めます。

 保育士の処遇改善、さっき総理が答弁されましたけれども、ここで私は質問したかったんですよ。今回の予算で保育士の処遇改善、どのくらい行われますか。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げたように、累計でプラス一八%の給与改善を進めてきたところですが、保育所等の運営費のうち処遇改善に係る予算額のみを取り出した試算は行っておりませんが、令和四年人事院勧告に準拠したプラス二・一%の給与改善の所要額は約三百億円であり、機械的に計算すると、プラス一八%の給与改善の所要額、約二千五百億円になると承知をしております。

 また、これとは別に、技能、経験に応じた月額最大四万円の給与改善を平成二十九年度から行っているというのが現状であります。

西村(智)委員 ちょっと質問の仕方を変えればよかったと思うんですが、新年度の予算では三%ですね。全産業平均と比べても、実は、保育士それから介護職員の方、まだまだ八万円くらいの開きがあります。

 これは政府も以前答弁しているんですけれども、他の産業、民間の給与の伸びと合わせて介護職員、保育士の給料を上げていくというふうに答弁しておられました。ということは、いつまでたってもこの八万円の開き、なくなっていかないんですよ。

 これは、保育士の全産業平均との差、給与の差、これを縮めるつもりは総理はないということですか。

岸田内閣総理大臣 こうした保育士等の処遇改善、いわゆる公的価格と言われる処遇改善の部分ですが、これについては、政府として、公的価格検討会議において引き続き議論をすることになっています。この公的価格の処遇改善に向けて、引き続き努力を続けてまいります。

 その中で、今言った民間との格差についても議論をし、そして、改善に向けて努力していきたいと考えます。

西村(智)委員 また検討使に戻ってしまわれたわけですね。ここでも結論も出ないし、方向性も出さない、議論に委ねるということで単なる先送りをしている、これが繰り返されてきた失われた十年だというふうに強く申し上げたい。

 次に、統一教会について質問をいたします。

 自治体議員の調査ですね、私、二月の一日と十五日に質問をいたしました。都道府県連と党とで意思疎通を行っていると、全く同じ答弁をいただいていたところだったんですが、昨日、山岸委員への答弁では、いろいろ述べられながらこういうふうに答弁している。党として方針を通知した時点で既に公認、推薦を終えている都道府県に対しては、これは自民党の皆さんはみんな知っていることだとは思うんですけれども、宣誓書を徴取する、あるいは県連の方から新たに確認の文書を発出するということなんですけれども、県連の方から確認の文書を発出するだけの県連もあるということですか。これはちょっとずさんだと思うんですよ。

 発出するだけでは、本当に断ち切ったかどうか、確認にならないんじゃないですか。これで本当に十分ですか、総理。

岸田内閣総理大臣 統一教会との関係については、これは様々な状況における本人の判断、認識、すなわち心の問題であることからして、実態把握については、我が党だけではなくして、各党とも議員本人の報告に基づいて実態把握を行っている、こうしたものであると認識をしています。

 そして、統一地方選挙を前にして、自民党としては改めて、各地方組織に通知を行い、選考プロセスの中に、旧統一教会の関係を持たないという条件をプロセスの中にしっかりと組み込む、こうした取組を行い、公認、推薦の認定を行うということを行いました。しかし、既に通知を行った段階で公認、推薦を終えている都道府県連については、宣誓書、あるいは文書を送付する、こうした確認を行ったということを申し上げました。

 文書で十分なのかということでありますが、大事なのは、未来に向けて関係を絶つかということであります。これについて、都道府県連として、こうした確認の文書を発出した上で、各議員の状況についてしっかりと状況を把握していくことは重要であると思います。そして、必要であるならば、これは議員本人から過去等についても説明をしていく、こういったことによって各地方組織において政治の信頼回復に向けて努力する、これが重要であると認識をしています。

西村(智)委員 いろいろおっしゃいましたけれども、つまり、一言で言えば、都道府県連任せになっているんですよ。党本部、岸田総裁は、この件については直接リーダーシップは何も発揮しておられません。

 だったら、しているということであれば、じゃ、どの県連で本当に宣誓書を取っているのか、あるいは、どの県連でどういう内容の確認を取っているのか、それをちゃんと発表していただけませんか、総理。

岸田内閣総理大臣 選考プロセスに盛り込んだ県連、そして宣誓書を発出した県連、そして確認の文書を発出した県連、それぞれ対応を行っていると承知をしております。

 具体的に、今手元で、どの県がどこだという資料はありませんが、今回の統一地方選挙によって県議会議員選挙と地方議員選挙を行う全国の県連においては、対応を全て行っていると承知をしています。

西村(智)委員 各党の取組にまでお詳しい総理が、自分の党の中のどういう県連がどういう取組をしているのか答えられないというのは本当に驚きですね。

 国会議員については、少なくとも人数と内容については全て御公表になったわけですよ、細田議長は含まれておりませんでしたけれども。自治体議員についても、少なくとも、関わりがあった人が何人いるのか、この県連では何人ですというところまで明らかにしていただく必要が私はあると思うんですよ。でなければ、未来に向けて関係を断ち切るときれいな言葉だけ言われても、本当かなという思いでこのまま統一選挙に突入することになりますよ。少なくともそのくらいは公表してもらえませんか、総理。

岸田内閣総理大臣 統一地方選挙に向けて、自民党として、公認、推薦の過程の中で、未来に向けて関係を絶つということをしっかり確認するということを申し上げています。

 そして、過去、どのような関係があったかについて調べろという御指摘かと思いますが、それについては、統一教会との関係においては、様々な場面において、本人がどのような認識をし、どのように関わったか、最後は心の問題であるということから、どの党もそれぞれの議員の申告に基づいて状況を把握しているということであると認識をしております。

 よって、過去についても、地方議員において、その過去の関係についても、それぞれの議員が説明をすることによって有権者に対して信頼を回復するために努力をする、これがあるべき姿であると認識をしております。

西村(智)委員 各党みんな自主的な申告でというふうにおっしゃいましたけれども、もちろん我々もそういうふうには申告は求めました。それだけでなくて、いろいろなマスコミさんから情報が来たりします。ジャーナリストの方からも情報が来たりします。それについてもちゃんと調査は行ったんですよ。

 自民党は、国会議員に対しても自己申告ということで調査はしていない、自ら、アウトリーチといいますか、外に手を伸ばしてやる調査というのはやっていないんですよね。そういうところが自治体議員に対してはまた更に甘く、人数も公表しない、どの県連がどういう対応をしているのかも公表しない。このまま統一選挙に入っちゃったら、みんな、有権者の皆さん、不信の目で見られますよ。明らかにすべきだと思います。

 総理、もう一回お願いします。

岸田内閣総理大臣 委員の御指摘のようなマスコミ等からの御指摘については、それぞれの議員がそうした指摘についてしっかりと説明責任を果たすということで党としてそれぞれの対応を促し、そして行っているということであります。地方議員においてもそれが基本であると思っています。

 そして、各県連の対応について、今手元にその資料がないということでお答えをしておりませんが、各県連の対応についてもしっかり確認をして明らかにしていきたいと思っています。

西村(智)委員 では、その資料を理事会の方に提出していただくように協議をお願いいたします。

根本委員長 理事会で協議します。

西村(智)委員 昨年十一月二十八日の予算委員会で、私は、旧統一教会の名称変更問題について質問をいたしました。今日も下村元大臣、そちらの委員席にお座りになっておられるので、理事の皆さんが参考人で認めてくださればこの問題を明らかにできるんですけれども、今日も拒否されてしまいました。大変遺憾であります。

 このような中で聞かなければいけないんですけれども、永岡大臣、改めてお伺いいたします。

 十一月二十八日の予算委員会での質問に対して、下村元文科大臣の関与がこの名称変更に関してなかった、関与はなかったと認識しているという答弁をされたんですけれども、何を根拠にこのときこういう答弁をされたんでしょうか。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 旧統一教会の名称変更につきましては、宗教法人法の規定に従いまして手続を行い、その審査の過程において法的な検討を重ねた結果として、本件は認証すべき案件であると事務的に判断したものであります。政治的な関与はなかったと認識をしている次第でございます。

 このことにつきましては、担当の宗務課におきましても、当時の資料の内容の確認を行うとともに、当時の担当者から聞き取りを実施をしたところによっても、当時の文部科学大臣からの指示はなかったとのことでございました。

西村(智)委員 永岡大臣は、直接その資料を御覧になりましたか。また、当時の担当から直接話を聞きましたか。

永岡国務大臣 そういう報告は、当時の宗務課の担当というところからは聞いてはおりません。私が八月の十日に就任をいたしまして、そのときの宗務課の担当から聞いたものでございます。

西村(智)委員 当時の担当から、聞いていない。

 資料は確認したんですか。

永岡国務大臣 資料等は確認しておりません。

西村(智)委員 何も確認せずに、大臣はこの委員会で、関与はなかったと認識しているという答弁をされた。大変無責任だと思うんですけれどもね。

 ちょっと、じゃ、伺いますが、当時の資料、それから当時の担当に話を、今の人が何か聞いたか見たか、何かしたんでしょうかね。当時の資料を提出をお願いしたいんですけれども、理事会で協議いただけませんか。

根本委員長 理事会で協議します。

西村(智)委員 この間、こうした資料については一切出てきていないんですけれども、大臣がここまで自信を持って、関与はなかったというふうに認識していると。何にも資料も見ていないし、当時の人から話も聞いていないのにここで答弁をされたんですから、それは明確に出していただく必要は、私は更に強まったというふうに思います。

 次に、全国霊感商法弁護士連絡会、こちらの方、本当に三十年にわたる旧統一教会との戦い、これをやってこられた皆さんですけれども、二〇一五年の三月に名称変更について文科省に申入れをしていますね。その直前の旧統一教会の幹部会で名称変更することを決定した。ただ、この名称変更を仮に認めると新たな被害者を獲得することにつながる、あるいは被害回復請求を抑制する目的で行われるものであるというふうに考えられるということで、文科省にはやらないでくれと、端的に申し上げれば、そういうふうな申入れがありました。

 この申入れ書は、下村大臣のところまで届きましたか。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 二〇一五年三月に全国弁連から旧統一教会の名称変更の申請を認証しないことを求める申込書、これは受け取っております。

 当該申込書につきまして、当時の文部科学大臣に報告していたかどうかは、確認はできておりません。

西村(智)委員 今、そこに下村大臣いらっしゃるので、永岡大臣、下村元大臣に聞いていただいて、それで答弁していただけませんか。あるいは、与党がすぐ参考人で認めてくださっていれば、下村大臣、お答えしたいですよね。

 ちょっと、認めていただけませんか、理事。確認していただきたいと思います。お願いします。

根本委員長 じゃ、速記を止めてください。

    〔速記中止〕

根本委員長 速記を起こしてください。

 じゃ、速記を暫時止めてください。

    〔速記中止〕

根本委員長 速記を起こしてください。

 文部科学大臣永岡桂子君。

永岡国務大臣 お答え申し上げます。

 名称変更等につきまして政治的関与はなかったと認識をしているわけでございまして、このことにつきましては、当時の担当の宗務課において、当時の資料の内容の確認を行うとともに、当時の担当者から聞き取りを実施したところによっても、当時の文部科学大臣からの指示はなかったと私は宗務課から聞いているところでございます。

西村(智)委員 私は、指示のことについては聞いておりません。申入れ書が下村大臣のところまで届いたのかというふうにお伺いしましたら、確認できないということなんですよね。下村大臣はそちらにいらっしゃるから、参考人を認めていただければ、これはこんなに時間を費やさなくたっていいわけですよ。私だって、ほかのことを、質問したいことはたくさんあるんですけれども。

 では、下村大臣のところまで確認できなかったということなんですけれども、誰に聞いてそういうふうに確認をされたんですか。

永岡国務大臣 当時の宗務課にいた方々に調査をいたしまして、そして、それを私が報告として受けたわけでございます。

西村(智)委員 直接聞いていないんですよ。

 それで、確認できなかったということなんですけれども、では、どうして大臣まで上げなかったのか。下村さん、本当に答弁していただければいいんですけれども。では、仮に大臣まで上がっていなかったとしたら、どうして大臣まで上げないという判断をしたんですか。誰がそこの判断をしたんですか。

永岡国務大臣 どうしてと言われましても、私の方ではお答えすることはちょっと不可能かと思っております。

西村(智)委員 これは重要な話なんですよ。

 全国弁連が申入れをして、名称変更は認めないでいただきたい、受け取らないでいただきたいというふうに書いてある申入れ書、これを、大臣宛てになっているわけですよ、名前は、当然ですけれども。それが何で大臣の、仮に上がっていないとすれば、どうして上がっていないということを大臣自身が確認もせず、下村大臣のところまで届いたかどうかは確認できないと、どうしてこういう矛盾した答弁ができるんですか。

永岡国務大臣 宗教法人法上、形式上の要件を備えた申請、これは名称変更になりますけれども、所轄庁におきまして受理をされる必要があります。そして、所轄庁は、申請を受理した場合に、宗教法人法に基づきます審査を行い、要件を備えていると認めたときは認証する旨の決定を行う必要があります。

 旧統一教会の名称変更につきましては、このような宗教法人法の規定に従いまして手続を行い、その審査の過程によって法的な検討を重ねた結果として、本件は認証すべき案件であるとの事務的に判断したもの、そういうふうに認識をしている次第でございます。

西村(智)委員 何度も同じ答弁をされるんですけれども、私は聞いていませんし、つまり、今の話でも、文科省は行政上の措置として、申請を受け取らないように、要するに出させないように、十八年間かな、してきたわけですよ。それを、突如として、二〇一五年、受け取った。しかも、全国弁連から申入れ書が届いているのに、それを大臣のところに上げたのかどうかすらもお答えにならない。こういったことすらも確認できなくて、どうして下村大臣の関与がなかったというふうに答弁ができるのか、私は甚だ疑問であります。

 もう一つ伺います。

 十一月二十八日の私の質問に対して、永岡大臣は、下村大臣からの指示はなかったとのことでございました、これは指示ですね。指示があったんじゃないですか、関与していたんじゃないですかということを質問したときに、下村大臣からの指示はなかったとのことでございました、聞き取りをした結果というふうに永岡大臣は当時答弁されたんですけれども、その後、岸田総理が、同じ趣旨で私が質問いたしましたら、ちょっと前段がいろいろあるんですけれども、こういうふうに答弁しているんです。下村大臣が直接その情報に接していたかどうか、関与していたかどうか、これは確認できないと考えております。

 永岡大臣は指示はなかったということで答弁している、岸田総理は関与していたかどうか確認できない、こう答弁をしている。これはどっちが正しいんですか。

岸田内閣総理大臣 共に同じ趣旨のことを答えていると理解しています。確認できないからなかったということであります。

西村(智)委員 詭弁ですね。真逆のことを答えておられます。

 これは、こういうふうに、やはり本当のことを隠そうとすると答弁がぶれるということなんですよ。私、このことについては、引き続き、下村元大臣の参考人招致を行っていただきながら、明らかにしていきたい。

 そうでないと、もう今も五十人の方が集団で旧統一教会と交渉を始めております。被害総額が五十人で約十六億円と言われております。だけれども、この五十人の中に入った方々というのは本当に一握りだと思うんですよね。これだけ多額の被害を生んで、しかも二世の皆さんは大変辛酸な思いをしておられる。こういったことについては引き続きただしていきたいと思います。

 次に、原子炉の安全性について伺います。

 私は、冒頭申し上げますが、一日も早く原発ゼロを実現したいという立場です。

 その上で、先日、気になるやり取りがございまして、岸田総理が、あえてなのか、原発運転期間については最長で六十年に制限する、この現行の枠組みを維持すると、二回答弁しておられるんですよ。これは事実と異なるミスリードな答弁だというふうに思います。

 つまり、停止期間は除外するわけですよね、その条件をきちんと説明せずに、六十年という制限は、これは維持するというふうに言っている。停止期間を除外するということを隠している、こそくな答弁だと私は思うんですけれども、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 先日閣議決定したGX実現に向けた基本方針において、現行制度と同様に、運転期間は四十年、延長を認める期間は二十年との期限を設けた上で、原子力規制委員会による厳格な安全審査が行われることを前提に、一定の停止期間に限り、追加的な延長を認める、これを明記したところです。

 これを受けて、先日の質疑で、実質的に稼働している期間は最長六十年ということになるとの趣旨を答弁したものであります。これは、こうした実態を踏まえた答弁であったと認識をしております。

西村(智)委員 運転期間を、除外するということをちゃんと説明しないといけないんじゃないですか。これは、テレビで見ている視聴者は勘違いしたかもしれないですよ。最長六十年という原則、ああ、変わらないんだなと思った視聴者、いらっしゃったと思いますよ、私。

 これは、じゃ、この停止期間を運転期間に含めるということなんですけれども、二月の九日に、予算委員会、私も質問をいたしました。

 当時、規制委員会で、この運転期間の変更について石渡明委員が反対意見を述べられて、ちょうどその採決ができなかったとき、タイミングだったんですけれども、その後、一週間後ぐらいですか、また委員会が開かれたときに、今度は採決が行われて、でもやはり石渡明委員は反対をしておられる。その理由の一つはこういうことなんです。審査を厳格に行うほど高経年化した炉を運転していくことになる。分かりますか。つまり、長く休めば休むほど、そのまま運転期間が延長されていくということなんですよ。

 私、これはやはり問題だというふうに思います。つまり、審査を厳格にちゃんと行えば、審査が長引けば、長引くに従って運転期間が延びていく。矛盾していますよね。

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますから、おまとめください。

西村(智)委員 このことについて、まず前段、審査をちゃんとやれば停止期間が長くなって運転期間が長くなるということは事実ですね、総理。

岸田内閣総理大臣 運転期間という言葉ですが、先ほど申し上げたように、実質的に稼働している期間は最長六十年になるということ、これを申し上げた次第です。

 いずれにせよ、原子力規制委員会の安全確認がなければ運転できない、これは大前提だと申し上げた上で、実質的に稼働している期間は最長六十年、こういった趣旨を答弁させていただいたということであり、これは実態に即した答弁であると認識をしております。

西村(智)委員 時間になりましたので、大変残念ですが、最後に一言だけ。

 石渡明委員は、運転を停止した期間は六十年にプラスするという案は、我々が安全のため審査を厳格に行い、長引けば長引くほど運転期間は延びていく、これは非常に問題だというふうにおっしゃっています。私も全く同じ思いです。

 ですから、この予算案、今後出てくる法案、本当に大問題だということを申し上げて、私の質問を終わります。

根本委員長 これにて西村君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部司君。

阿部(司)委員 日本維新の会、阿部司です。

 まず初めに、総理にお伺いします。

 異次元の少子化対策について、何をいつまでに達成するのか、異次元という言葉に見合う目標を国民が理解できる形で明示すべきと考えます。異次元の少子化対策の具体的な達成目標をお伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 これは、一月に子供、子育て政策に取り組むということを申し上げて以来、再三申し上げております。今の時代における子供、子育て政策、何が必要なのかをいま一度しっかりと厳選し、内容を具体化しようということを申し上げており、子供、子育て担当大臣において、内容の具体化、今、作業を進めているところであります。

 そして、六月の骨太の方針に向けて、政策をしっかりとパッケージで示した上で、その予算、相当する予算、これをどのように社会全体で維持していくのか、支えていくのか、これをしっかり明らかにし、そしてその予算を倍増するために大枠を示していく、こうした方針を再三申し上げさせていただいています。

 今、子供、子育て政策については、そうした方針に基づいて取り組んでいく、これが政府の目標であります。

    〔委員長退席、中山委員長代理着席〕

阿部(司)委員 繰り返し、そういった御答弁かなと思って、非常に残念に思っておるんですけれども。

 私も二歳の息子がおりまして、今日も保育園に送ってからこちらにやってまいりました。これまでの子育て政策ですね、保育園、待機児童の解消ですとか、非常にこちらも助かってはおりますけれども。しかしながら、待機児童何人だとか、また、出産一時金を増やすだとか、個別の事務事業レベルの目標設定を幾らやっていても、私は少子化問題は解決しないんじゃないかなと思っております。ですから、例えば五年以内に少子化の状態を反転させるですとか、具体的な大きな目標設定が必要になってくるかと思います。

 公聴会にもお越しいただいた柴田先生がおっしゃっていましたけれども、二〇三〇年頃から二十代の人口が現在の倍速で急減をすると言われております。子供を持ちたい若者が結婚、出産、育児をしたいと思えるようになるまで一定の時間がかかることから、逆算すると、今回、今、今このタイミングこそが少子化を食い止めるラストチャンスだと言われております。

 少子化対策の具体策は今おっしゃったように三月末に示すとのことですけれども、今国会で私は、課題が認識されてから三十年、様々な取組をしてきたにもかかわらず一向に少子化に歯止めがかかっていない現状を直視すべきだと思いますし、この結果から政府の少子化対策は失敗であったと率直に認めるべきだと述べましたが、内閣委員会での政府答弁は、これまでの少子化対策について一定の成果があったと総括するものでありました。私は、少子化対策の総括も検証も不十分だと考えております。

 そこで、具体的に少子化対策を詰めていくに際しましては、総括、検証を確実に行った上で、個別施策に関してより適切なKPI設定をしまして、各施策が少子化にどの程度寄与するのか、こうしたことを示していくことが非常に重要だと思いますけれども、小倉大臣、御見解をお伺いいたします。

小倉国務大臣 お答えいたします。

 委員御指摘のように、結婚、妊娠、出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因を取り除くため、それぞれの施策について目的を定めて取り組むことは極めて重要と考えておりますが、他方で、少子化の背景には、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が複雑に絡み合っておりますことから、一つ一つの施策による出生率への影響を取り出してお示しをすることは難しいと考えております。

 こうした中、現在でも、少子化社会対策大綱の施策に関する数値目標を設定をしておりまして、進捗状況の確認もしてございます。例えば、委員が御紹介をいただきました保育所の待機児童数は、ピーク時の二・六万人から令和四年は三千人まで減少しておりますし、女性の継続就業率は、平成二十七年の五三・一%から令和三年は六九・五%まで改善などの進捗が見られます一方で、例えば男性の育児休業取得率など、一定の進捗はあるものの、まだまだ改善の余地があるものと認識をしております。

 こうした中、今お示しをしたような少子化社会対策大綱の施策に関する目標や指標を適切に設定をし、その進捗を効果的に検証していくことは大変重要であるという認識は共有をいたしております。

 まずは、総理が申し上げたように、三月末を目途としてたたき台を取りまとめた上で、施策の目標や検証の在り方についても議論を深めてまいりたいというふうに考えております。

阿部(司)委員 是非、検証、結果、しっかり振り返って、反省をした上で適切な目標設定をしていただきたいと思うんですが。

 この少子化、いわゆる合計特殊出生率、これの向上というのが大事になってくるかと思うんですが、有配偶率と有配偶者出生率に分解できるものと思います。この数値、要は、結婚の数、カップルの数を増やしていくのか、それとも、今御結婚されている方々から生まれる子供の数を増やしていくのか、どちらかしかない。ですから、どちらをどの程度改善させていくのか、向上させていくのか、ここを曖昧にしたままですと、効果的な少子化対策にならないと思います。

 ここを是非意識してやっていただきたいと思うんですが、私、さきの内閣委員会で、少子化対策として特に未婚化の問題、ここに重点を置くべきだと訴えたんですけれども、この未婚割合の上昇、有配偶者出生率の減少の背景には、収入の減少、経済の見通しに希望が持てないことなどがあるとされています。

 可処分所得を高める上では、我々日本維新の会も再三申し上げておりますが、構造的な改革、社会保障の在り方を変えていく、労働市場改革に踏み込んで経済成長を目指していくこと、これが重要かと思いますけれども。

 特に、中でも教育費の負担が非常に子育て世代にとっては重い。結婚や子供を持つことをためらわせる大きな要因になっていると考えられます。

 皆様、配付資料の一を御覧いただきたいんですけれども、文科省の調査でありますが、大学入学から卒業までにかかる費用が文理医歯薬別にまとめてあります。国立大学で二百四十万円強、私立文系四百万円、私立理系で五百四十三万円となっておりまして、大学だけでもこれだけの費用がかかり、ましてや小中から私立に行ったり、習い事や塾代まで含めると、大変な額になることは容易に想像がつくかと思います。

 こうした結果、子供を持つとすれば、将来大学に行かせたい、しかし、大学までの学費を考えると子供は一人までにしておこうかな、さらには、そこまでの経済的な負担はできないし、子供のために生活レベルを下げるのは嫌だから、また、子供を不幸な目に遭わせたくないから結婚はやめておこう、こうした思考ループになるのも無理はないかなと思います。特に、世界を見ても、子育てに力を入れる東アジアの国々、中国、韓国、台湾、同じような傾向にあると言われています。

 私たち日本維新の会は、家庭の経済状況によらず誰もがチャレンジできる社会に向けて、大学までの教育無償化を訴えています。大阪では、幼児教育から、所得制限つきではあるものの、大阪公立大学の授業料無償化まで実現をしております。

 大学までの教育無償化は子育てに係る経済的な負担を減らして結婚や出産のハードルを下げることにつながると考えますが、こうした観点から、少子化対策の具体化に当たっては大学までの教育無償化を検討すべきと考えますが、総理、教育無償化をやりませんか。

    〔中山委員長代理退席、委員長着席〕

岸田内閣総理大臣 子供たちの誰もが家庭の経済状況にかかわらず質の高い教育を受けられるチャンスが平等に与えられるようにするため、これまで、幼児教育、保育の無償化など、安定財源を確保しつつ、様々な負担軽減策を行ってきたところですが、その上で、出生動向基本調査によれば、理想の数の子供を持たない理由として、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからと回答した方が相当数いるということ、これを承知しております。

 今回、子供、子育て政策の様々な制度について、こども政策担当大臣の下、充実する内容を具体化することとしておりますが、これと併せて、教育についても、今の社会において必要とされる施策に取り組んでまいりたいと考えています。

阿部(司)委員 総理、先日、東京都の足立区で、医学部で三千六百万円、その他学部で八百三十万円を上限とした子育て支援の給付を打ち出して、異次元と非常に話題となっていると言われております。

 大学を出て、百万、二百万という負債、奨学金を背負いながら社会に出ていく若者が大きな困難を抱えて問題となっておりますけれども、教育費の負担を減らしていくことが結婚や希望する数の出産につながると思いますので、異次元の少子化対策というのは、社会全体に子育てを応援しようというポジティブなメッセージを発していくこと、これは非常に重要だと思いますし、総理もそういった思いを持って異次元というふうにおっしゃっているとお伺いしましたので、社会の空気を変えるためにも、教育費無償化、是非やっていただきたいと思います。

 次に、児童手当の撤廃についてちょっとお伺いをしてまいりたいんですけれども。

 子育ては将来大きな富を生み出すための投資であります。保護者の所得にかかわらず、社会全体で子育てを支援すべきとの考えに基づき、先日、私たち日本維新の会は、立憲民主党と共同で、児童手当の所得制限撤廃に関する法律案を提出いたしました。児童手当の所得制限撤廃については与党内にも賛同する声が多いと聞いておりまして、各会派の議員の皆様には、是非とも法案に御賛同いただきたいと思います。

 自民党内では、茂木幹事長が児童手当の所得制限撤廃を主張しているところでありますが、一方で、萩生田政調会長が、少子化対策としては児童手当の所得制限撤廃よりも新婚世帯への住宅支援を優先すべきと発言したと伝わっております。

 自民党の方針がどちらに向かっているのか大変分かりにくいんですけれども、党総裁としての御見解をお伺いします。

岸田内閣総理大臣 結婚した御家庭において理想の子供の数を持てない理由として、例えば、先ほども紹介させていただきました、子育てや教育にお金がかかり過ぎる、それ以外にも、自分の仕事に差し支える、また、これ以上、育児の心理的、肉体的な負担に耐えられないなど、子育てに関する理由で子供を持てないといった方も相当数いるというのが現実だと認識しています。

 このため、様々な子育て家庭に対する経済的支援の充実は少子化対策の観点からも重要であると考えており、その政策の在り方について、自民党内でも、今委員の方から御紹介がありました児童手当の所得制限撤廃という意見や住宅支援の重要性を指摘するなど、様々な意見があるということについては承知をしております。

 その中で、政府としても、急速に少子化が進み、社会機能を維持できるかどうか瀬戸際と呼ばれる状況にある現状をしっかり受け止めつつ、効果的な対策の在り方など、多角的な視点を持って検討する、これが重要であると思います。

 御指摘の様々な課題も含めて、やはり中身が重要であるという認識に立って、パッケージとして具体化をしていく、こうした作業を進めていきたいと考えています。

阿部(司)委員 私、ほかのことをやるから、児童手当の所得制限を撤廃するというのは、やらない理由を探しているだけだと思うんですね。ですから、私、いわゆる新婚さん向けの住宅手当にしても児童手当の所得制限撤廃にしても、両方やればいいと思うんですけれども、総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げました児童手当のありようについても、先ほど申し上げましたパッケージの中で考えてまいります。

阿部(司)委員 次に、財源に関してお伺いをしてまいりたいと思います。

 総理は、少子化対策に並々ならぬ決意を示されて、一月の施政方針演説では、六月の骨太方針までに、将来的な子供、子育て予算倍増に向けた大枠を提示すると述べられました。二月十五日の予算委員会では、家族関係支出は二〇二〇年度でGDP比二%を実現した、更に倍増しようと申し上げていると述べられております。進行する少子化に対する危機意識を持って、これまでにない規模の予算を投じて少子化対策を実施しているものと私自身受け止めております。

 こうした中で、また、さきの内閣委員会でも松野官房長官に質問させていただいたんですが、松野官房長官は、少子化対策は期限、規模ありきでなく、必要な子供政策を議論して三月末に具体策を示すとしまして、その期限、財政規模には触れませんでした。先ほどからの総理の御答弁もそうかと思いますけれども。

 官房長官は、そのとき、将来的に少子化対策の財源に消費税を充てることを否定をされませんでした。今は考えていないけれども、将来的には分からないといった趣旨の御答弁をされたと理解をしておりますが。

 異次元の少子化対策に向けて、仮に現行予算倍増となりましたら十兆円規模の追加財源が必要になるのではないかと思います。現時点で相当の財源が必要と見込まれる中で、一向に財源の議論がない、財源論を避けているように見えるというのは、いささか、私自身、無責任に感じるんですけれども、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 子供、子育て政策の中身を具体化した上で、必要な予算がどれだけ要るのかを確認し、それを倍増する大枠を示すということを申し上げています。よって、具体的な政策、これを今整理しているところでありますので、今の段階で、倍増というのはあとどれだけ予算が必要になるのか、今の時点で申し上げることはできないということを申し上げています。

 是非、そうした政策を具体化した上で、それに見合う予算について考えなければいけませんが、子供、子育て政策の財源ということについては、やはり、社会保障との関係ですとか、国と地方の関係ですとか、そして委員も御指摘されました教育の現状、こういったものも考えた上で財源を考える、すなわち社会全体でどのようにこの政策を支えていくのか、これを予算において考えることが重要だということも申し上げてきました。

 そうした整理をした上で、予算倍増に向けて大枠を六月の骨太の方針において示していきたいと考えています。

    〔委員長退席、牧原委員長代理着席〕

阿部(司)委員 ちょっと分からなかったんですけれども、倍増と言っている中で、予算ありきではないという御答弁を繰り返されておりますけれども。本気で少子化対策をするのであれば、たくさんのお金がかかるわけですね。その財源はどこから出てくるのか。一兆円なのか、五兆円なのか、十兆円なのか、大体の、項目を出してからとおっしゃっていますけれども、大体これぐらいかかってくるといったときに、じゃ、お金はどうするんだと考えるのが普通だと思うんですよ。

 そこで、その財源は、じゃ、どこから出てくるのか。捻出するには、相当の歳出削減努力ですとか改革が必要になってくるはずだと思うんですよ、増税に頼るのでなければ、社会保険料の負担を増やすのでなければ。少子化対策をするというのに、現役世代の手取りが減るようなことをやるというのであれば、それは本末転倒であります。

 財源を捻出するには、小手先ではない、抜本的な制度改革に手をつけていく必要が今こそあると思うんですよ、これは前も申し上げましたけれども。いわゆる、複雑な、労働者の方々に優しくない税制の改革もしなくちゃいけないですし、世代間で不公平な状態の社会保障の改革も進めていかなくちゃいけませんし、三十年間日本の成長を停滞させてきた規制の改革もしなくちゃいけないと思うんです。我々日本維新の会は、先送りしないでそうした改革を進めていくべきだということをこれからも訴え続けていきたいと思います。

 次に、防衛力の強化についてお伺いをいたします。

 先日、予算委員会におきまして、私は、国民は防衛費の増税に納得しておらず、防衛費の増額により何がどう変わるのかも分からないでいるとお話をいたしました。これに対し、総理は説明不足をお認めになられまして、国会での議論を通じて国民への説明責任を果たしていくと述べられました。

 しかし、これまでの国会での論戦を通じても、防衛費増額によって何が充実し、昨日、トマホーク四百発の話がありましたけれども、何が充実して、どのように防衛力の強化がなされているのかというのが、国民にとっても現時点で非常に漠然としていて、イメージすることができていないように思うんですね。

 ですから、国民に分かりやすい形で、五年後の国防、安全保障の姿を示すべきだと思いますけれども、総理、御見解をお願いします。

    〔牧原委員長代理退席、委員長着席〕

岸田内閣総理大臣 今委員が御指摘になられた、五年後の姿を国民に分かりやすく説明するべきだ、これはおっしゃるとおりだと思います。

 そもそも、今回の防衛力強化の検討に際しては、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で国民の命を守り抜けるのか、こうした極めて現実的なシミュレーションを行いました。率直に申し上げて、現状は十分でないということを申し上げております。

 そして、このシミュレーションを踏まえた今後五年間の最優先課題として、可動率の向上や弾薬、燃料の確保、主要な防衛施設の強靱化、スタンドオフ防衛能力の強化、ミサイル防衛システムと反撃能力を組み合わせた統合防空ミサイル防衛能力の強化、宇宙、サイバー、電磁波等の新たな領域への対応、南西地域の防衛体制の強化、こうした必要となる防衛力の内容、これを積み上げてきたわけです。

 今後五年間にわたり予算を確保して、五年後の二〇二七年までに、我が国への攻撃が行われたとしても、まずは我が国が主たる責任を持って対処できるよう、防衛力を緊急に強化するということの必要性をこれからも説明していきたいと思っています。

 これらの取組によって我が国の抑止力、対処力を向上させる、これは当然でありますが、あわせて、同盟国、同志国との連携を強化することによって他国からの武力攻撃そのものの可能性を低下させる、こうした取組であるということを丁寧に説明していきたいと考えています。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 しっかり、こういう脅威がある、こうした弱点をしっかり改善していく、補強していく、そうしたレベルで国民に分かりやすく丁寧に説明をしていただきたいと思います。

 次に、防衛費の増税に関するお話に入ってまいりたいと思います。

 配付資料二を御覧ください。

 こちら、何度も出てきている図になりますけれども、この図を見ていただければ分かるとおり、我が党の青柳議員も再三当委員会でも指摘をさせていただきましたが、そもそも防衛費増額の規模が三兆円であれば増税は不要です。また、新型コロナウイルスの位置づけが二類相当から五類相当に変更されますと、令和二年度、三年度の百十四兆円計上されていた対策費は大幅に減額することができまして、増税しないでも防衛費の増額に十分に対応できるかということを青柳議員からも指摘をさせていただきました。

 こうした指摘に対しまして、いまだに説得力のある説明が行われていないと受け止めております。

 また、歳出削減の余地もまだまだあるものと考えております。増税ありきで物事を進めていこうというこの姿勢については、私は、私ども日本維新の会といたしましても、断じて認めるわけにはまいりません。

 こうした中で、政府の示す歳出削減についても、より具体的な歳出削減努力のプロセスをお示しいただくべきかと思いますけれども、こちら、財務大臣、お願い申し上げます。

鈴木国務大臣 阿部先生御指摘のとおり、防衛力の抜本的強化の財源確保に当たっては、国民の皆さんに御負担をお願いするという以上、政府として徹底した行財政改革の努力を行うこと、これは必要である、そのように思っております。

 その中で、歳出改革について申し上げますと、令和六年度以降におきましても毎年度の予算編成過程で徹底した歳出改革を継続することで、令和九年度時点において、対令和四年度比で一兆円強を確保することとしておりますが、そのイメージ図にも書いてあるとおりであります。

 この水準は、五年間の年平均で〇・二兆円強の歳出改革を継続することに相当いたしますが、歳出改革の努力の具体的内容は、今後の各年度の予算編成プロセスにおいてこれを具体化していくこととしております。

 また、説明を尽くすという観点からは、今後の各年度における歳出改革の努力の具体的な内容を国民の皆様にしっかりと説明していくことが必要でありまして、今後ともしっかりと対応してまいりたいと思います。

 その上で、先生から先ほど、コロナが収束に向かえば、今までコロナ対策費に当たっていた額は使わなくなっていくので、その分使えるのではないか、そういうお話でございましたが、コロナ対策費は、その大宗は国債で手当てをしているわけでありますので、これが少なくなれば当然国債の発行額を少なくしていく、少なくなったのを、それを使うとなれば、その分国債を発行して対応しているということにほかならないわけでありますので、その点はしっかりと踏まえなければいけないと思います。

阿部(司)委員 しっかり歳出削減努力をしていただきたいと思います。

 また、内閣官房ですとか総務省におきましては、EBPM、いわゆるエビデンスに基づいた政策の評価、事業評価というものも取組を進めておられるとお伺いをしておりますが、この事業評価、しっかりここも取組強化の方をしていただきたいと思います。

 防衛費の財源について、総理は、一兆円不足をするというところ、この財源は増税で行うという姿勢はこの委員会でも繰り返し述べられてまいりましたけれども、日本維新の会は、党所属の国会議員そして地方議員が、自らの歳費、報酬の一割から三割を被災地などに寄附をする、身を切る改革を続けております。

 まず、全ての国会議員が身を切る改革を、増税するのであれば身を切る覚悟を国民に示すべきと考えております。私たち日本維新の会は防衛費の増税に明確に反対でありますが、これだけ厳しい経済環境の中で国民に増税をお願いするというのであれば、その前に、まずは総理そして大臣の皆様が率先して身を切る姿勢を示して更なる給与削減をすべきと思いますけれども、総理、今ここで、身を切る、給与削減、明言いただけませんか。

岸田内閣総理大臣 議員歳費については、これは各党会派の間で議論いただく事柄であるとは思っておりますが、総理、閣僚の給与削減については、内閣として行財政改革を引き続き着実に推進する観点から、第一次岸田政権発足時も、そして第二次岸田政権発足時においても、総理大臣にあっては月額給与及び期末手当の三〇%に相当する額、そして国務大臣にあっては月額給与及び期末手当の二〇%に相当する額、これらをそれぞれ国庫に返納すること、これはもう既に申し合わせております。

 いずれにせよ、委員おっしゃるように、あらゆる行財政改革の努力、身を切る努力、これを行う、これは税制措置を行うに当たっての大前提であると思います。こうした努力をこれからも引き続き続けながら、丁寧な説明を行うことが重要であると思っています。

阿部(司)委員 総理、閣僚については申合せで閣僚給与の削減をできると聞いておりますので、増税を言い出すのであれば、更なる削減で国民にしっかりその意思を示していただきたいと思います。

 時間がちょっと少なくなってまいりました。総理、ウクライナ侵略から丸一年経過しましたが、G7議長国として武力による現状変更は絶対に許さないという強い意思を示すためにも、サミット前にキーウ訪問を実現すべきと考えますが、総理、キーウに行かれますか。

岸田内閣総理大臣 G7サミットにおいては、法の支配に基づく国際秩序の堅持、これをG7各国とともに確固たる決意を世界に発信しなければならない、こういった議論を議長としてリードしなければならない、このように思っています。

 その中で、御質問のウクライナ訪問について、現時点では何も決まっておりませんが、諸般の事情も踏まえながら、引き続き検討を行ってまいりたいと思っています。

阿部(司)委員 最後に、財源確保について改めてお伺いします。

 今般、地方交付税については、臨財債の二年連続の発行抑制、そして地方交付税特別会計借入金の繰上償還が行われるなど、我々の主張に沿った対応がなされていることに一定の評価をさせていただいておりますが、こうした中で、防衛費増、異次元の少子化対策について多額の財源が必要になってくることを考えなければなりません。

 防衛費は既に増税の方針を示されています。さらに、プラスして異次元の少子化対策の財源、こちらも今不明になっておりまして、しっかり示していく必要があると思います。

 そして、この防衛力強化、少子化対策という大きなテーマを推進するために、仮に増税が必要と判断するのであれば、解散して国民に信を問うべきと考えますが、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、防衛力の抜本的強化、また子供、子育て政策、これらは我が国にとりまして先送りできない重要な課題であると認識し、取組を今進めております。これと併せて、原発やGXなどのエネルギー政策、これについても政府として取組を進めていきたいと思いますし、何よりも、賃上げを始めとする経済の好循環の回復に向けて、経済政策、新しい資本主義、これをしっかりと進めていく、これも我が国にとって先送りできない課題であると認識をしています。

 このように、今、大きな歴史の転換点に当たって、大きな課題、先送りできない課題に向けて、今、政府として取り組み、国会においても議論をお願いしているということであります。

 こうした様々な課題について取り組む中にあって、どのタイミングで国民の皆さんに信を問うことが適切なのか、これを考えていかなければなりません。これまで累次申し上げているように、何について、どのように国民の信を問うかについては、時の内閣総理大臣の専権事項でありますので、適切に判断していきたいと考えております。

阿部(司)委員 終わります。ありがとうございました。

根本委員長 これにて阿部君の質疑は終了しました。

 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 国民民主党の斎藤アレックスでございます。

 会派を代表いたしまして、この締め総の質疑をさせていただきたいと思います。

 私たち国民民主党は、今国会も、賃上げ国会ということで、賃上げ政策、そしてもう一つは子育て支援政策、それに加えて防衛政策に関して、この予算委員会の場でも様々質問をさせていただきました。本日は、締めくくり総括質疑ということでございますので、これまでの質問でお答えいただけていない点、改めてお尋ねをして、岸田政権の方針を確認をしていきたいと考えております。

 まず、最近特に、やはり不安なのが子育て支援施策の岸田政権の姿勢でございます。官房副長官の発言がこの予算委員会でも問題になりましたけれども、改めて伺いたいのが、岸田政権として、日本の子育て、教育関係の公的予算が少ないという認識を持っているのか、少ないからこれを増やさなければならないという認識を持っているのか、この根本的なところを、まず、岸田総理、お伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 急速に進展する少子化により、昨年の出生数は八十万人を割り込むと見込まれ、子供、子育て政策の対応は、待ったなしの許されない課題であると思います。

 そして、他国に比べて少ないと認識しているかという質問でありますが、他の先進国と比べた場合、各国ごとに全人口に占める子供の数等が様々であり、また、国により国民負担率が異なることから、単純にこれを比較することは、数字で比較することは適当ではないと思っています。

 ただ、冒頭申し上げたように、現状、我が国の少子化の状況あるいは子供、子育て政策への対応、これは待ったなしで充実させなければならないと考えており、以前から申し上げているように、その充実に向けて、まず内容を具体化した上で、予算をしっかりと、それに見合う予算について考え、そしてそれを倍増するべく大枠を示していく、こうした取組を六月の骨太の方針に向けて確実に進めていきたいと思っています。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 増やしていくということはおっしゃっていただきましたけれども、これまで財務省が繰り返してきた、日本は子供の数が少ないんだから、この教育予算、子育て予算でいいんだというレトリックは、もう変えていただきたいというふうに考えております。

 これではどんどんと縮小均衡に陥っていくだけで、少子化対策にもならないし、子育て環境の充実にもつながらないので、やはり他国に比べて、特にほかの先進国、欧州先進国に比べて少ないんだという明確な危機感を、是非とも、新たな、異次元と言うんですから、そういった思いで取り組んでいただきたいと思います。

 もう一つやはり気になるのは、官房副長官の発言に関連してなんですけれども、総理の言う子供予算倍増というものは、出生率が改善して子供が増えるから子育て予算が増えるんだということではないですよねということを確認したいんですけれども、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の点、簡潔に言うと、じっとしていて子供が自然に増えるのを待つなどということを決して申し上げているのではないということを強調したいと思います。

 現状に対して強い危機感を持って、まずは、政策あるいは予算、これを拡充していくことが重要である、そのことによって少子化のトレンドを反転させる、こうしたことを目指していかなければならない。今それに取り組んでいかなければ、日本の経済社会の持続可能性、これを維持することが難しくなってしまう、こうした強い思いを持って政策に取り組んでいるというのが、子供、子育て政策に対する政府の考え方であります。

斎藤(ア)委員 是非とも、官房副長官を含めて、政権内でその意識、じっとしていれば、あるいは子供が増えたら結果として予算が増えるんだではなくて、しっかりと予算を増やして、子供が産みやすい環境、安心して育てられる環境をつくるんだということを皆様で共有していただきたいと思います。

 その上で、改めてもう一度お伺いいたします。所得制限に関してでございます。

 最近の政府・与党からの発信を聞いていますと、所得一千万円を超えた豊かな暮らしで、高級外車を乗っていて、何か子育て支援をするのは余分だみたいな、そういった思いも聞こえてくるんですけれども、本日も私の友人たちもこれを見てくれていると思いますが、所得一千万円を超えて、子供二人、三人いたら、決して余裕のある生活なんてできません。

 改めてお伺いしたいんですけれども、所得制限を撤廃しませんか。それに加えて、少なくとも、まずは障害児福祉向けの所得制限をすぐに撤廃しませんか。総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 子供、子育て政策の在り方については、所得制限を含め、様々な意見があると承知をしています。

 社会経済状況が大きく変化する中にあって、重点的、抜本的に取り組むべき子育て支援政策の内容、これも変化しているというのが現実だと思います。だからこそ、今求められる政策について具体化し、整理した上で、予算を考え、倍増を考える、こうした取組が重要であると認識をしています。

 その中で、委員の方から、少なくとも障害児支援に関しては所得制限を撤廃するべきだという御指摘がありました。障害児支援に関しては、今現状、障害児支援に関する福祉サービス利用等に際しては、利用者に一定程度その費用を御負担いただいています。例えば補装具費支援制度においては、高所得者には全額負担いただくこととしていますが、それ以外の場合は、所得に応じた自己負担額を設定し、過剰な負担とならないようにしています。そして、更に様々な配慮をすることによって、現在、利用者の九割の方は負担率が平均二%程度になっている、こういった現実があります。

 負担をいただくことの意味等も考えた上で、この現状についてどのように考えるか、これは、今後、政策のパッケージを示す中でしっかりと考えていきたいと思っています。

斎藤(ア)委員 次に、賃上げについて何点か伺いたいと思います。

 私も総理にお伺いをさせていただきました最低賃金についてでございます。

 我が党が申し上げている全国一律だとか、そういったことに関しては本日は伺いませんので、端的にお伺いをさせていただきたいのが、今までも最低賃金は引き上げられてきています。この引上げのスピードを一段と加速していくんだということを是非とも総理からも明示していただきたい、御発言いただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、最低賃金については、今年度、過去最高となる全国加重平均で三十一円の引上げ、これを行いました。そして、私自身、これまでも、できる限り早期に全国加重平均千円以上となることを目指し引上げに取り組むとともに、全国加重平均千円以上となった後も引上げに向けた努力を続けていく、繰り返し申し上げてきたところです。

 今後とも、景気あるいは物価動向、これを踏まえて最低賃金の引上げに努力してまいります。

斎藤(ア)委員 是非とも、最低賃金近傍で働く労働者、非正規雇用が増えていて、日本で大変今多くなっています。こういった働く人たちの希望を生み出していくためにも、最低賃金の更なる引上げ、そして具体的な目標を明示しての取組、お願いしたいと思います。

 もう一つ、賃上げ政策についてお伺いいたします。

 こちらも、この予算委員会で取り上げました年収の壁問題でございます。

 私からは、年収の壁問題を取り払うためにも、一時的に給付を行ってでも、この年収の壁問題、突破をすべきではないかということを申し上げました。もちろん、根本的には社会保険改革を行うんだ、そういった約束の下でしないと、これは単身世帯の方あるいは配偶者扶養を行っていない方に不公平なものになってしまいますので、そういった前提ではございますけれども、こういった突破給付を行うべきであるということを申し上げました。

 突破給付のことはもちろん考えていただきたいんですけれども、それ以外でも構いません、労働力不足や賃上げを阻んでいる社会保険料を始めとする年収の壁の問題、これに対する対策を速やかに行うべきだと思いますけれども、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の年収の壁の問題については、私も施政方針演説において制度を見直すということを申し上げました。

 例えば、百三十万円の壁の問題については、これを意識せずに働くことが可能となるよう、短時間労働者への被用者保険の適用拡大を進めてきたところですが、それでもなお、被扶養者について、扶養から外れて被保険者に転換するところで社会保険料が生ずるために就労調整が行われる、こういった指摘があるわけですので、被扶養者でない単身世帯との公平性には留意しなければならないと思いますが、政府として、幅広く対応策を考えていきたいと思っています。

斎藤(ア)委員 時間がないので、一つ、あと財政についてお伺いしたいと思います。

 税のお話でございます。

 一億円の壁というお話、これは岸田総理も総裁選のときにおっしゃっていたことだと思います。金融所得を総合課税にして、年収一億円を超えたところで、だんだんと逆に所得の税率が下がってしまうというこの不公平の問題を是正すべきだ、税制の公平性の観点も、また財源の観点でも、この一億円の壁を乗り越えるための総合課税などの取組を行うべきだと、我々国民民主党も、元々総理大臣がおっしゃっていたことと同じ考えなんですけれども、この検討は進んでいるんですか。これは、総理、まだやるつもりはあるのでしょうか。お伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 いわゆる一億円の壁と呼ばれる問題については、税負担の公平性を確保する観点から、市場への影響も踏まえ総合的な検討を行うということにし、与党税制調査会で議論を続けてもらっていたということでありますが、令和五年度税制改正において、一億円を超える所得の実態等も踏まえつつ、極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置を導入することとしたところであり、これによって税負担の公平性の確保に向けて一定の対応は図られたものだと認識をしています。

 しかし、こうした問題については引き続き取組を続けていかなければならないと認識をしています。

 市場等への影響など様々な影響も勘案した上で丁寧な議論が必要だと認識しており、また、金融所得の総合課税化という御議論もありますが、税制の中立性、簡素性、適正執行の確保などの観点から、総合課税でなく分離課税が導入された、こうした経緯も踏まえて、今後について考える必要があると認識をしております。

斎藤(ア)委員 予算委員会を通じて、丁寧に、真摯に答弁いただいているふうではあるんですけれども、やはり実施と決断が重要になってきますので、是非とも今後それをお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて斎藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 総理、今国会にかかっている予算は、安全保障政策の大転換の予算であります。しかし、野党の皆さんが様々指摘されましたけれども、総理はちゃんと説明してきたでしょうか。ほとんど何も明らかになっていないんじゃないですか。明らかになったのはトマホークミサイル四百発、これぐらいじゃないですか。敵基地攻撃能力、集団的自衛権行使の際、どういうふうにやるのか、例示すら示されていないわけですよ。

 総理、この予算委員会で安全保障政策の大転換について説明が尽くされた、こうお考えですか。

岸田内閣総理大臣 防衛力の抜本的強化、安全保障政策については、予算委員会の質疑の中で、質問を受けたことについては丁寧に説明するよう心がけてまいりました。

 今後とも丁寧な説明に努めてまいりたいと考えています。

宮本(徹)委員 いや、丁寧に説明を受けたなんて思っている議員は、この中にほとんどいないですよ。与党だってそうだと思いますよ。

 その上で、大軍拡予算の根拠についてお伺いします。

 国家安全保障戦略では、二〇二七年度において、予算水準が現在の国内総生産、GDPの二%に達するよう、所要の措置を講ずるとあります。

 GDP比二%という数字の根拠はどこから来たんですか。

岸田内閣総理大臣 まず、防衛力の抜本的強化の内容の積み上げと併せて、これらを補完する取組として、海上保安能力やPKOに関する経費のほか、研究開発、公共インフラ整備など、総合的な防衛体制を強化するための経費、これを積み上げました。この積み上げの考え方が大前提であります。

 一方で、NATOを始め各国は、安全保障環境を維持するために、経済力に応じた相応の国防費を支出する姿勢を示しており、我が国としても、国際社会の中で、安全保障環境の変化を踏まえた防衛力の強化を図る上で、GDP比で見ることは指標として一定の意味があると考えております。

 このため、二〇二七年度において、防衛力の抜本的強化とそれを補完する取組を併せ、そのための予算水準が現在のGDP比二%に達するよう所要の措置を講ずることにした、これが二%に対する考え方であります。

宮本(徹)委員 積み上げで出したら、何ぼという具体的な数字になるわけですよね。それに対して、GDP、経済力に見合ったという言い方を今されましたけれども、だったら、別に今の一%でもいいわけですよね。

 二%という数字がどこから出てきたのか。これは元々、アメリカがNATO諸国に対して二%を求めて、二〇二〇年度に、アメリカのエスパー国防長官がNATO以外の同盟国に対しても二%の防衛力の整備を求めた。その後に、自民党の選挙公約にも二〇二一年から、GDP二%、これが入ったわけですよね。

 数字を積み上げた、積み上げたということを言っていますけれども、実際には、アメリカがGDP二%というのを求めてきて、その要望に応えた、規模ありき、こういう予算になっているんじゃないんですか。

岸田内閣総理大臣 防衛力の抜本的強化については、現状で国民の命や暮らしを十分守れるのかどうかという現実的なシミュレーションを行いました。そして、率直に言って現状は十分ではないという認識に基づいて、拡充を考えたということであります。

 そのために積み上げを行い、一方で、世界各国が、今の不透明な国際情勢の中で、国際社会の平和と安定を守るために自ら責任を果たし、そして自らの防衛力を強化するということを考えた場合に、GDP比で考える、GDP比を一つの指標として考えている。

 こうした国際社会の状況を考えますときに、日本も、自らの責任を果たし、国際社会の平和と安定に貢献をしていく、こういった姿勢を示すという点において、GDP比で自らの防衛力を考えるということも意味があるということを考え、こうしたことを併せて、二〇二七年度にGDP比二%に達するよう所要の措置を講ずることとした、これがGDP比の考え方の基本であると思っています。

宮本(徹)委員 世界各国とおっしゃいますけれども、二%というのは、アメリカの同盟国の世界の話なんですよね。中国と南シナ海で領有権争いをしているフィリピンの軍事費はGDP一・〇四%ですよ。マレーシアは一・〇六%ですよ。永世中立国のスイスはGDP比〇・七一%、オーストリアはGDP比〇・八%。別に、二%以外の国は幾らだってありますよ。アメリカの中国包囲網の肩代わりとしての大軍拡にすぎないということを厳しく指摘しておきたいと思います。

 次に、子育て予算についてお伺いいたします。

 総理は子育て予算倍増とおっしゃるわけですけれども、倍増の基準も中身も分からずじまい。私は、とても採決できる状況じゃないと思うんですよね。

 私は、基本的質疑で、教育の無償化、障害児福祉、子育て支援、所得制限の撤廃を求めてまいりました。どの所得制限も大変深刻な問題があります。

 この週末も、子供を大学に進学させることができなかったというお話も聞きました。それから、障害児福祉、医療の所得制限では、放課後デイサービスの必要な利用日数を我慢したり、必要な補装具の買換えを我慢したり、きょうだい児が進学を我慢したり、こういう深刻な実態があります。

 あるいは、高校の給付型奨学金の対象は住民税非課税世帯となっているわけですけれども、小学校で就学援助を利用していた多くの人が、よりお金のかかる高校で支援がなくなってしまう、こういう問題があります。私立高校の無償化の所得制限を超える世帯からは、私立高校という選択肢はない、公立高校の受験も、学力から見て確実に受かるところを受験して、第一志望のところにチャレンジできない、こういう声も聞いています。

 総理からこの様々な所得制限撤廃について確たる答弁がないわけですけれども、事態の深刻さを総理自身が是非把握していただきたいと思うんですよね。それぞれの所得制限で当事者がどういう困難に直面しているのか、是非、総理自身が当事者の話を聞くべきじゃありませんか。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 それぞれの所得制限、それぞれの制度において当事者の話を聞くべきであるという御指摘をいただきました。

 数多くの様々な制度において当事者の方々がどのように考えているか、それを把握することは重要であると考えています。障害児福祉の所得制限など御指摘がありましたが、それぞれについて、目的や支援方法に応じてそれぞれの制度に所得制限が設けられている、こうした状況の中で、実際としてどれだけの負担が生じているのか、こうしたことについて把握をしていくことは重要だと思います。

 先ほども別の委員への答弁の中で申し上げたように、障害児支援に係る福祉サービスについては、きめ細かい配慮を行うことによって、利用者の九割は負担率が平均二%程度となっている、こういった現実もあります。この辺も踏まえて、どう対応していくのか、丁寧に整理をしたいと考えます。

宮本(徹)委員 是非、当事者の話を聞いて判断をしていただきたいと思います。

 その上で、最後ですけれども、同性婚、LGBT差別禁止についてお伺いしたいと思います。

 総理も、当事者のお話を聞いて、この間、認識を深められていることだと思います。

 総理、同性カップルに法的な結婚を認めないというのは、国が同性愛者を差別している、こういう認識はございますか。

岸田内閣総理大臣 憲法第二十四条第一項は、婚姻は両性の合意のみに基づいて成立すると規定しており、当事者双方の性別が同一である婚姻の成立、すなわち同性婚制度を認めることは想定していない、これが政府の考え方であります。

 したがって、少なくとも、同性カップルに公的な結婚を認めないことは、国による不当な差別であるとは考えておりません。

宮本(徹)委員 当事者の皆さんのお話、何を聞いたんですか。婚姻の平等を実現してほしいというお話を聞いたんじゃないんですか。同性婚を実現していないことそのものが差別なんだ、こういう声を総理はお聞きになったんじゃないんですか。

岸田内閣総理大臣 先ほど憲法との関係で申し上げましたが、御指摘のように、様々な関係者の方々からお話を聞きました。そうした話を聞くについても、丁寧な議論が必要だということを強く感じました。

 今後とも、国民の皆さんの様々な声ですとか、国会における議論ですとか、さらには同性婚に関する様々な裁判の結果ですとか、さらには地方自治体におけるパートナー制度の実施の状況ですとか、そういった点もしっかり念頭に置きながら議論を行っていきたいと思っています。

宮本(徹)委員 国民の声を聞いたりとか、自治体のパートナーシップ制度の状況を聞いたりだとか、いろいろ見ながらということをおっしゃいますけれども、国民の意見という点でいえば、総理も、この間、ここで議論になって、あるいは世論調査を見られているとおり、圧倒的にもう同性婚は認めるべきだという世論になっているわけですよね。もう決着が国民的にはついていると思いますよ。それから、自治体のパートナーシップ条例についても、人口のカバー率は六〇%まで来ている、もう多数になってきているわけですよ。

 そして、裁判の動向ということをおっしゃいましたけれども、これについても、この間、二〇二一年の札幌地裁の判決、これについては、同性カップルに法的効果を認めないのは差別的取扱いに当たる、憲法十四条違反と言いました。昨年十一月の東京地裁の判決でも、憲法二十四条二項に違反する状態にある、こういうことは指摘されているわけですよね。

 国会における状況も、自民党を除けばみんな賛成ですよ。自民党の中だって、賛成の方は少なからずいらっしゃると思いますよ。

 私は、総理が決断して、同性婚を認める法案を閣法として出す、そして自民党が党議拘束を外して採決すれば、サミットまでに実現できると思いますよ。是非、総理、挑もうじゃありませんか。

岸田内閣総理大臣 同性婚制度の導入については、これは国民生活の基本に関わる問題、国民一人一人の家族観とも密接に関わる問題であり、その意味で、全ての国民に幅広く関わるものであるという認識を申し上げています。

 だからこそ議論が必要であるということで、先ほど申し上げました様々な意見や議論や裁判や、あるいは様々な制度の導入、運用の状況、しっかり注視していきながら議論を進めていきたいと考えています。

宮本(徹)委員 国民の中の議論は熟しております。

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますから、おまとめください。

宮本(徹)委員 熟していないのは自民党の中です。

 総理の決断を求めて、質問を終わります。

根本委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉良州司君。

吉良委員 有志の会、吉良州司です。

 今日も本会議形式の質問、お許しいただきたいと思います。

 今日は、国力の低下、そして大国意識、政策の優先順位について総理に質問したいと思っていますが、その前に、林外務大臣のG20参加問題について、何が何でも参加していただきたいと思っています。

 貿易立国、そして投資立国、そして世界的なサプライチェーン構築国、そしてG20は大事な新興国、グローバルサウスとの対話の場、そしてG7の議長国としての下地づくりという意味合いも含めて、これに参加しない選択肢は私はないと思っています。何が何でも参加していただきたいということを冒頭申し上げます。

 さて、国力についてでありますが、皆さん方のお手元に、七分でこんな資料を出すかと皆さんが思われたと。とても中身に入る時間的余裕はありませんので、武士の情けで、後でじっくり読んでいただいて、私の問題意識を閣僚の皆さん、そして予算委員の皆さんと共有していただければと思っています。

 この三十年間、ほかの先進国が緩やかな経済成長を続けて、GDP、名目GDPを二倍近くから三倍近くまで拡大している中、日本だけが横ばい、停滞して、相対的な国力の低下というのは著しいものがあります。総理が物価高の問題について、ウクライナ戦争のせいだというようなことを言っていますけれども、これは違います。この三十年間にわたる日本だけが低迷し続けている結果、また、大規模、異次元と言われる金融緩和の結果、実は物価高が生じているという認識が必要だと思います。

 私の問題意識は、この間、自民党政権が、ともすれば、言い方は極端ですけれども、大本営発表、アベノミクスによってこんなに経済がよくなった、こういう発表をし続けて、結果的に国民は大国意識を持ったまま、しかし、残念ながら、データが、数字が語るものは、日本は今や最も貧しい先進国。この問題意識を持たない限り、この先、幾ら新しい資本主義だ何だということを国民に訴えたとしても、国民には響かないと私は思っています。

 そういう意味で、この三十年間の長期経済低迷による国力の低下、これを我々はきちっとデータと向き合い、そして、総理にお願いしたいのは、是非、総理会見の場で、このようなデータ、数字を国民に示しながら、ここまで国力が落ちている、だから、この国力を回復するためにはこういう政策が必要なんだ、これを、データを基に国民の理解を得て、そしてその政策遂行の同意を、了解を得ていく、このプロセスを踏んでいただきたいと思っています。

 そうしないと、今回の今予算案についても、私が思うのは、国力が十分なとき、財源が十分にあるとき、今回提案されている例えば防衛力の増強、防衛費の増額、これは、私自身ずっと自主防衛力が、増強が必要だということを訴えてきた人間でありますので認めますが、果たして今の我が国の国力に見合った防衛力の増強、防衛費の増額なのか。

 そのときに、台湾有事は日本有事だという問題意識とその備えは私は重要だと思っていますけれども、じゃ、ロシアが、北朝鮮が、中国が直接対日侵略をしてくる可能性がどれほどあるのか、そこについては精緻な分析、冷徹な分析が必要だと私は思っています。その上で、国力に見合った防衛力の増強、防衛費の増額ということを考えていただきたいということを思っています。

 昨日も、古川予算委筆頭が財政問題について、挙がっておりましたけれども、きちっと己を知るということが大事だというふうに思っています。

 その上で、これだけ国力が低下した中で、再度国力を回復していく、いろいろな政策があると思いますけれども、いろいろな政策課題の中で我々がやるべきは、子供たちへの教育、そして、この前言いましたけれども、子育て支援の充実、こういった、小泉総理ではないですけれども、米百俵、ここに国家経営資源を集中投資して、今は苦しいけれども次の世代に国力回復を託していく、このことが重要だと思っていますけれども、総理の見解を伺います。

岸田内閣総理大臣 我が国は、一九九〇年代のバブル崩壊以降、長引くデフレ等を背景に、他国と比べて低い経済成長が続きました。この間、企業は投資や賃金を抑制し、消費者は所得の伸び悩みなどから消費を減らさざるを得ず、需要が低迷し、デフレが継続する、こうした悪循環が続きました。その中にあって、アベノミクス、これは、デフレではない状況をつくり出し、そしてGDPを高め、雇用を拡大した。

 こうしたことを指摘させていただいた上で、その成果の上に、新しい資本主義の下、官民が連携して社会課題を成長のエンジンへと転換していく、こうした必要性を申し上げています。

 企業が収益を上げて、成長分野への投資とともに労働者に給与としてその果実を分配し、消費が伸び、更なる経済成長が生まれる、こうした成長と分配の好循環、これを実現し、持続的な成長につなげていく、こうした取組を進めなければならないと思います。

 その上で、御指摘のように、子供、子育て政策、そして防衛力の抜本強化、しっかりと進めていきたい。これらを並行して進めることが、今、我々には求められていると認識をしています。

吉良委員 まだ大本営発表の域を出ていないと思います。デフレは、デフレそのものが原因ではなくて、長期の経済低迷の結果、デフレなんです。

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますから、おまとめください。

吉良委員 はい。

 きちっと国民に、データに基づいて、日本のありのままの姿を見せることによって、国民に必要な政策の理解を得ていく、このことをお願いをして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて吉良君の質疑は終了いたしました。

 次に、櫛渕万里君。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。

 僅か四分ですが、GX基本方針についてお聞きいたします。

 総理、ウクライナ戦争では、原子炉がいわば人質になっています。これは人類で初めてのことであり、国境を越えて人々が不安と恐怖の中にいるこの現在進行形の事実にこそ、我々はしっかり目を向けるべきです。つまり、原発は最大の安全保障リスクになるということです。

 このパネル、当委員会で度々出してまいりましたけれども、このように、岸田政権は、防衛費を増額して五年で四十三兆円、多くの攻撃用武器を買い、増税までして日米で戦争に備える、いわば有事の想定をしているんですね。

 しかし、ウクライナの戦争を見れば、有事のときに原子力が安全で安定的なエネルギーの供給電源になるというのは無謀で、ただの空想でしかありません。戦争になれば、原子炉が爆発しないように発電停止して、核燃料を安全に保管し、そうでなければ、地域が壊滅的な被害を受けるかもしれません。もしものときに稼働できず、一番役に立たないどころか、安全保障のリスクになってしまうわけです。原発新増設にお金を多くつぎ込み人員を割くなど、大きな負担にしかならないのではないでしょうか。

 GX基本方針に原子力を長期にわたって活用することが明記されており、特に問題なのが運転期間の延長です。今朝の閣議で束ね法案が閣議決定されたと聞きました。強く抗議いたします。

 なぜ、安全審査、特に未知の領域である六十年超えの原子炉ルールが決まらないままに、運転期間を延ばす法案を無理やり決定したのでしょうか。総理は、そこまでして現行法から運転期間ルールを全削除する理由は何ですか。法改正の立法事実は何でしょうか。

 時間がないので、続けてもう一点お伺いいたします。

 総理は、できる限り原子力依存度を低減していくという方針は変わらないということを繰り返し述べられております。しかし、パネルを御覧ください。廃炉が決まっているのが二十四基。現行運転ルールなら、遅くとも二〇四九年には原発は稼働しなくなる予定です。しかし、新規制ルールだと、原発依存は続いていくことになるわけですね。

 総理、なぜ、できる限り原子力依存度を低減していくと言えるのか、お聞きいたします。一点目の質問、原子炉等規制法から運転期間ルールを全削除して法改正する立法事実は何かということと併せて端的にお答えください。

岸田内閣総理大臣 まず、基本的に、昨年の二月以降、ロシアによるウクライナ侵略によって、世界のエネルギー市場、これは激しく乱高下しています。また、全世界で、気候変動への対応の一方でエネルギー供給への投資が過少となり、国際市場が中長期的に不安定化している、こういった状況も明らかになっています。

 だからこそ、政府としては、エネルギーの安定確保と、そして地球変動への対応、これを両立させなければならない。よって、あらゆる選択肢をエネルギーにおいて確保していかなければならない、これが基本的な考え方です。

 原子力の運転期間について御質問がありました。これについても、六十年という基本は守りつつ、現実に原発をどのように運転させていくのか、この現実的な対応、これを考えたということであります。

 そして、エネルギー安定供給と地球温暖化対策の両立のために、引き続き、原子力について必要な規模を持続的に活用していく方針、これを維持していきますが、原子力規制委員会における安全確認、安全が大前提である、この基本はこれからも変わることはありません。これを大前提に政策を進めていく、これが基本的な方針であります。

櫛渕委員 ウクライナがどういう状況になっているのか、そして……

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますから、おまとめください。

櫛渕委員 はい。

 各国が、今、再エネに最大投資をして、自国の自給率を上げるために大変意欲的な戦略を持っています。こうした事実も併せて是非とも見ていただきたいですし、最大六十年、決めるというのは、私はごまかしだと思いますよ。

根本委員長 申合せの時間が過ぎております。

櫛渕委員 実際、七十年、八十年と道を開くものであるということに、大変多くの国民が今危惧をしています。

 総理には、福島は、我が国初めての深刻な事故でした。そして、ウクライナは、人類初めての、原発が人質になっています。

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますから、終了してください。

櫛渕委員 このような歴史の局面で、その教訓は何かということをしっかり見極めていただいて、我が国を間違った方向に導いていただかないよう強く求めまして、私の質問を終わります。

根本委員長 これにて櫛渕君の質疑は終了いたしました。

 これをもちまして締めくくり質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして令和五年度予算三案に対する質疑は全て終局いたしました。

    ―――――――――――――

根本委員長 ただいままでに、日本維新の会掘井健智君から、また国民民主党・無所属クラブ斎藤アレックス君から、また日本共産党宮本徹君から、またれいわ新選組櫛渕万里君から、それぞれ、令和五年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出されております。

 この際、各動議について提出者より順次趣旨の弁明を求めます。掘井健智君。

    ―――――――――――――

 令和五年度一般会計予算、令和五年度特別会計予算及び令和五年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

掘井委員 日本維新の会の掘井健智でございます。

 それでは、日本維新の会を代表いたしまして、ただいま議題となりました令和五年度一般会計予算、令和五年度特別会計予算及び令和五年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議に関して、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、編成替えを求める理由を申し上げます。

 令和五年度予算三案には次のとおり問題点があることから、政府は撤回すべきであり、これらの問題点及び次の編成替えの概要を踏まえ、予算を改めて編成すべきであります。

 まず、経済成長戦略の欠如であります。

 三十年間成長が停滞している日本の経済成長を再び起こすための十分な戦略性を持った予算づけがなされておりません。少子化対策やGXなど、看板施策の名をかりた不要不急のびほう策への支出が多く、既得権へのばらまき優先の予算積み上げからの転換が図られておりません。

 次に、歳出規模と国債発行の無制限の拡大であります。

 歳出規模が増加の一途をたどり、過去最大を更新し続けております。歳出の三割を借金に頼ることが常態化しているにもかかわらず、税収の自然増分に見合う国債発行削減が行われておらず、今年度から不要になる予算額も過小に見積もられております。

 次に、財政規律の劣化であります。

 通年で必要となる実予算額に対して、当初予算の規模が小さ過ぎます。財政法が想定しない規模で補正予算の膨張が今年も予想されます。加えて、予備費や基金など、本来の財政規律を逸脱した予算措置が既成事実として積み上げられており、無制限に拡大し続けております。

 最後に、政治家の身を切る改革の欠如であります。

 防衛費の増額のためとしながら、本来は不必要な増税を打ち出し、国民に負担を求めている一方で、議員の定数削減、歳費削減、そして調査研究広報滞在費、この改革等、行政経費の抜本改革等の身を切る改革は今停滞しており、予算にも反映されておりません。

 続いて、編成替えの概要を御説明いたします。

 第一に、戦略的な予算づけと更なる歳出削減であります。

 これまでの政権運営ではほかの先進諸国並みの経済成長を起こせなかったことを反省し、前例踏襲主義を改め、経済成長の戦略の観点から、合理的に必要な予算を厳しく精査すべきであります。国会議員の身を切る改革等の行政経費を含め、更なる歳出削減を進めるべきであります。

 第二に、電気代高騰への対応です。

 世界的なエネルギーコストの上昇により、今年の春と秋に電気料金の大幅値上げが予定されております。その後の値上げにも収束の見込みは立っておりません。一方で、政府による価格対策が十分でありません。政府による追加の電気料金高騰対策をすぐさま行うべきであります。

 第三に、少子化対策です。

 異次元の少子化対策と銘打ちながら、日本の将来世代への財政支出は先進諸国の中で最低レベルにあります。児童手当の所得制限撤廃等、子供、子育てへの予算を大幅に増額すべきです。また、教育費の無償化を全国展開するための予算を確保すべきであります。

 第四に、特定予備費の削減です。

 令和五年度予算において、新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費に四兆円、そして、ウクライナ情勢経済緊急対策予備費に一兆円という巨額の予備費が計上されております。必要な場合は補正予算で対応すべきであります。予備費として計上すべきではないと考えます。

 以上が、日本維新の会の編成替えの動議の概要であります。

 委員各位におかれましては、本動議への賛成を強くお願いを申し上げまして、趣旨の説明とさせていただきます。ありがとうございます。(拍手)

根本委員長 次に、斎藤アレックス君。

    ―――――――――――――

 令和五年度一般会計予算、令和五年度特別会計予算及び令和五年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

斎藤(ア)委員 私は、国民民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました政府提案の令和五年度予算三案を撤回のうえ編成替えを求めるの動議に関して、その趣旨を御説明いたします。

 まずは、編成替えを求める理由を申し述べます。

 我が国は、長期にわたり停滞する経済、止まらない少子化傾向という深刻な問題に直面しています。これらを改善、解決するためには、給料が上がる経済に資する予算、人づくりに資する子供、子育て政策関連の予算を編成しなければなりません。

 また、ガソリン、軽油価格、電気料金等が高騰し、国民生活は大きな影響を受けているため、国民生活を支える予算編成が必要です。

 よって、国民民主党・無所属クラブは、我が国の給料が上がらない経済、脆弱な少子化、子育て支援策、ガソリン、電気、ガス等の価格高騰に対処し、真に国民生活を支える内容に令和五年度予算を変えるため、予算の編成替え動議を提案いたします。

 次に、編成替えの概要を御説明いたします。

 第一に、賃上げ税制の見直しを実施します。予算案にある税制を見直し、賃上げ税制に関しては、赤字企業、事業者が賃上げ原資を確保できるようにするため、法人税に加え、法人事業税や固定資産税もその対象に含む内容に修正します。

 第二に、子育て支援を拡充します。児童手当を始めとした子供、子育て支援における公的給付の所得制限を撤廃するとともに、岸田総理が就任時に公言した子供予算倍増の内容に修正します。とりわけ、障害児福祉に関する公的給付の所得制限は早急に撤廃します。

 第三に、ガソリン減税と電気、LPガス代値下げを実施します。実現のために、ガソリン、軽油のトリガー条項の凍結を解除します。また、電気料金に上乗せされている再生可能エネルギー発電促進賦課金の徴収を停止します。地方において重要なインフラとなっているLPガスについても所要の対策を講じます。また、インフレ手当の支給を行います。物価高騰から家計を守るため、インフレ手当として一律十万円の現金給付を行います。

 第四に、インボイス制度導入延期等を含む所要の対策を講じます。景気対策として、当分の間、消費税率を一〇%から五%へ引き下げるとともに、単一税率に戻し、今年十月に予定されているインボイス制度について、導入延期を前提にした予算案及び税制法案に修正します。

 第五に、我が国の構造的な問題を解決するために四点の対策を講じます。

 一つ目は、労働力不足、女性の社会進出の障害となっている年収の壁問題について、現行制度の正確な理解を促すとともに、年収の壁を超えて労働する場合の収入減少分を穴埋めする給付として、年収の壁突破給付を導入する内容に修正します。

 二点目は、税負担の公平性確保の観点から、一億円の壁問題を改善するため、金融所得の総合課税を含む所要の措置を講じる内容に修正します。

 三点目は、教育国債発行により財源を確保し、教育など人づくりのための予算及びデジタル化、カーボンニュートラルを柱として科学技術予算を倍増する内容に修正します。

 四点目に、防衛力強化に賛成はしますが、その財源として増税方針を組み込んでいる点を修正します。少なくとも、持続的な賃上げが定着する経済状況が実現するまでの間、増税はしない方針を盛り込んだ内容に修正します。

 五点目に、日銀保有国債の一部永久国債化、外為特会の一般会計への繰入れなどにより、財源を多様化するとともに、予備費圧縮、決算剰余金の透明化などにより、財政規律を強化する内容に修正します。

 以上が、国民民主党・無所属クラブの編成替えの概要であります。

 委員の皆様におかれましては、真に国民生活を支える本動議に賛成していただくことをお願いして、提案理由説明といたします。(拍手)

根本委員長 次に、宮本徹君。

    ―――――――――――――

 二〇二三年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

宮本(徹)委員 私は、日本共産党を代表して、二〇二三年度政府予算三案につき撤回のうえ編成替えを求める動議について、提案理由及び概要を説明します。

 二〇二三年度予算案は、岸田内閣が、戦後の安全保障政策の大転換を掲げて専守防衛をかなぐり捨て、敵基地攻撃能力の保有を宣言した安保三文書に基づき、五年間で四十三兆円という大軍拡計画を進めるための初年度予算であり、戦争国家づくり元年度予算です。予算案は、前年度比増加額六兆七千八百四十八億円の七割以上を軍事費が占めるという異常な軍拡突出予算となっており、その一方で、社会保障費の自然増一千五百億円の削減、中小企業予算や農業予算の削減など、暮らしの予算は圧縮され、国民が直面している物価高騰にも全く不十分であります。首相が掲げた子供予算の倍増は、何を倍増するのかも示せず、具体的中身のない看板だけであることを露呈しました。

 国民の生命と暮らし、平和を守り、日本経済のゆがみを正して発展を進めるため、本予算案の抜本的な組替えが必要です。

 次に、編成替えの概要について、主な点を説明します。

 第一に、大軍拡計画を撤回し、軍事費を大幅に削減します。

 長距離巡航ミサイル、トマホークの購入、極超音速ミサイルの研究開発など、敵基地攻撃能力の具体化のための予算を全額削除します。医療や年金の財源とされているものまで軍拡財源に流用する防衛力強化資金の創設を取りやめます。軍事費への建設国債の充当を撤回し、米軍への思いやり予算、辺野古新基地建設費などを全額削除します。

 第二に、物価高騰から雇用、営業、暮らしを守り、経済を立て直します。

 最低賃金の大幅引上げのために、中小企業への支援を抜本的に拡充します。消費税を五%に緊急減税し、インボイスの導入を中止します。電気、都市ガス、プロパンガス、飼料、肥料高騰に対する対策を拡充します。中小企業の過剰債務対策を拡充します。

 第三に、社会保障費の削減をやめ、拡充を進めます。

 年金支給額の引上げ、生活保護基準の引上げ、国保料の均等割の廃止、障害者、障害児の福祉、医療の無料化、介護、障害者福祉、保育など、ケア労働者の抜本的な処遇改善を実施します。急性期病床削減の地域医療構想は見直し、医療体制、保健所体制の拡充を行います。

 第四に、子育て予算を抜本的に拡充し、教育の無償化を進めます。

 学校給食の無償化、高校授業料無償化の所得制限撤廃、大学、専門学校授業料の半減、給付制奨学金の拡充を行います。教員定数の改善、保育所の配置基準の改善を実施します。児童手当の十八歳までの拡充、所得制限撤廃、児童扶養手当の拡充、子供の医療費の無料化を実施します。

 第五に、政府が進める原発の運転期間延長や再稼働の加速化、新増設など、原発回帰の政策をやめ、気候危機打開のため、再エネ、省エネを強力に推進します。

 第六に、住宅再建の支援金の引上げなど被災者対策を拡充し、防災、国民の安全を優先する公共事業に転換します。

 第七に、男女の賃金格差是正の施策を拡充するなど、ジェンダー平等を進めます。

 全県に最低一か所以上の病院拠点型のワンストップ支援センターをつくるなど、性暴力被害者支援を抜本的に強めます。

 第八に、大企業、富裕層優遇の不公平税制を改めます。

 所得税の一億円の壁を抜本的に是正し、大企業の内部留保に適正な課税を行うとともに、大企業優遇の租税特別措置を抜本的に見直します。さらに、政党助成金を廃止し、予備費を削減します。

 以上、編成替えの内容はお手元配付の文書のとおりであります。

 委員各位の御賛同をお願いし、趣旨説明といたします。(拍手)

根本委員長 次に、櫛渕万里君。

    ―――――――――――――

 令和五年度一般会計予算令和五年度特別会計予算及び令和五年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。

 我が党は、令和五年度予算案について、異次元の売国棄民予算であるとして、その問題点を指摘してきました。

 私は、会派を代表して、この予算案を撤回のうえ組替えを求めるの動議について、その趣旨を説明いたします。

 三十年続く経済不況、そこへコロナ災害、ウクライナ戦争による物価高、国民生活をこの三重苦から救うために、今こそ、国債を大胆に発行し、消費税廃止や賃上げ、季節ごとの国民一律給付、社会保険料や水道光熱費の減免などを実施すべきです。

 れいわ新選組は、政府提案予算案のうち、歳入減二十六兆円、歳入増百三十一・九兆円及び歳出減九・三兆円の組替え動議を提出いたします。

 以下が、概要です。

 まずは、歳入減の二十六兆円についてです。

 一、消費税ゼロ、二十三・四兆円減。

 二、ガソリン税ゼロ、二兆円減。

 三、GX経済移行債の発行停止、〇・五兆円減。制度設計が不十分なGX経済移行債の発行を停止する場合に失われる歳入を計上いたします。

 四、防衛力強化雑納付金の削減、〇・一兆円減。国立病院機構特別国庫納付金の四百二十二億円及び地域医療機能推進機構特別国庫納付金の三百二十四億円を削除いたします。

 また、歳入増について、特例公債の追加による百三十一・九兆円を計上します。

 次に、歳出減の九・三兆円についてです。

 一、防衛関係費の削減、四・八兆円減。新たに策定された国家安全保障戦略等に基づき対前年度比一・四兆円増となっている分の削減と、財源確保法案により創設予定の防衛力強化資金繰入金三・四兆円を削減します。

 二、予備費の削減、四兆円減。新型コロナ感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費四兆円とウクライナ情勢経済緊急対応予備費一兆円の計五兆円の予備費のうち、四兆円を減額します。

 三、GX経済移行債発行対象経費の削減、〇・五兆円減。CO2排出削減効果が不透明なグリーンイノベーション基金や原発依存社会へ転換させる次世代革新炉開発事業費など、GX経済移行債発行対象経費を削除します。

 四、マイナンバー関連経費の削減、五百七億円減。政府の強引なカード普及策は問題であるため、関連経費を削除します。

 さらに、歳出増の百十五・二兆円についてです。

 一、国民一律十万円給付、五十兆円増。全国民への季節ごとの十万円を一律給付する、春夏秋冬の四回分を計上します。

 二、社会保険料引下げ、十二・二兆円増。国民健康保険、後期高齢者医療制度、介護保険、健康保険の国民負担を軽減します。

 三、十八歳までの全ての児童へ月額三万円支給、五・八兆円増。令和五年度の児童手当関連予算は一・二兆円。十八歳までの全児童三万円給付には七兆円必要であるため、差額を計上します。

 四、よりよい教育環境を実現するため教員一・五倍増員、二・一兆円増。教育現場で起きている過労死レベルの残業、精神疾患、異次元の教員未配置の問題解決のため、現在の教員基礎定数を一・五倍に増やします。経費は全て国費で賄います。

 五、奨学金チャラ、九・五兆円増。日本学生支援機構貸与型奨学金の債務免除に係る費用全額を計上します。

 六、大学院卒業までの教育完全無償化、三・八兆円増。借金なしでも希望すれば大学院まで行ける社会を実現するための一年分を計上します。

 七、介護、保育労働者の月給十万円の賃上げ、三・七兆円増。岸田政権の介護、保育労働者の九千円賃上げでは全く不十分です。全産業平均との差額を埋めるため、月十万円を国庫補助します。

 八、農業従事者への直接支援と酪農経営安定支援、二兆円増。農業従事者への所得補償や就農支援、農産物の買上げで、国による責任での備蓄や低所得者への食料支援に活用します。我が国の食料自給率を五〇%まで引き上げる第一歩です。

 九、新型コロナ感染症対策の継続、四・四兆円増。医療機関への減収補填や医療従事者三十万人の臨時雇用とボーナス三十万円の支給を行います。

 十、生活困窮者向けコロナ特例貸付けの返済免除、一・四兆円増。一月から返済が始まった緊急小口資金、総合支援資金の特例貸付けの返済を免除します。

 十一、無利子無担保、ゼロゼロ融資の利子支払い免除、〇・二兆円増。中小企業等を対象としたこのゼロゼロ融資について、本年度からの利子支払いを免除します。

 十二、水道光熱費の支払い免除、十四・二兆円増。エネルギー価格の高騰を踏まえ、国庫補助により、水道光熱費の支払いを免除します。

 あと二つです。

 十三、医療、雇用、年金、子育て、介護の国民負担分を減らすため、〇・九兆円増。

 十四、脱原発、グリーンニューディールの実現、五兆円増。脱原発、グリーンニューディール、これを実現するため、十年間で少なくとも二百兆円の投資を行いますが、このうち、国費分五十兆円の一年分を計上します。

 今こそ、異次元の売国棄民予算を転換し、積極財政によって国民負担を軽減するための諸政策について各党の賛同を求め、組替え動議の趣旨説明を終わります。

 ありがとうございます。(拍手)

根本委員長 これにて各動議の趣旨弁明は終了いたしました。

    ―――――――――――――

根本委員長 これより討論に入ります。

 令和五年度予算三案及びこれに対する撤回のうえ編成替えを求めるの動議四件を一括して討論に付します。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。小林鷹之君。

小林(鷹)委員 私は、自由民主党・無所属の会を代表し、ただいま議題となっております令和五年度一般会計予算案外二案に対し、賛成の立場から討論を行います。

 昨年二月のロシアによるウクライナ侵略から一年が経過しました。ウクライナでは緊迫した情勢が続いており、世界的な物価上昇が続くなど、経済にも大きな影響を与えています。

 他方、国内においても、急速に進展する少子化への対応、物価高に負けない構造的な賃上げを実現するための労働市場改革など、新たな経済社会の構築が求められています。

 まさに歴史の転換期と言えるような状況の中で、令和五年度予算案は、日本が直面する内外の重要課題の解決に道筋をつけ、未来を切り開くための予算となっております。

 以下、本予算案に賛成する主な理由を申し述べます。

 第一に、本予算案においては、我が国を取り巻く安全保障環境が急速に厳しさを増す中で、新たな防衛力整備計画に基づく防衛力の抜本的強化や、G7広島サミットの議長国として、普遍的価値に基づく国際秩序の維持発展のための積極的な日本外交の展開に必要な予算を確保しております。

 第二に、子供、子育て支援の拡充策として、出産育児一時金の五十万円への増額や、妊娠時から出産、子育てまで一貫した伴走型支援と経済的支援のパッケージの継続実施などが措置されております。

 第三に、物価上昇を超える賃上げの実現に向けて、リスキリングによる能力向上支援など、人への投資の推進、中小企業における下請取引の適正化や価格転嫁対策の強化などの予算を盛り込んでおります。

 第四に、GXの実現に向けて、成長志向型カーボンプライシングによる二十兆円の先行投資の枠組みを創設し、民間投資を力強く支援する予算となっております。

 第五に、活力ある地方の創造に向けて、自治体のデジタル実装の加速化や、観光、農林水産業の振興などの地方創生に資する取組を支援する予算を確保しております。

 以上、本予算案に賛成する理由を申し述べました。

 本予算案に対する委員各位の御賛同を賜りますことを強くお願い申し上げます。

 なお、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、日本共産党、れいわ新選組提出の編成替え動議につきましては、見解を異にすることを申し述べまして、私の賛成の討論とさせていただきます。(拍手)

根本委員長 次に、藤岡隆雄君。

藤岡委員 立憲民主党・無所属の藤岡隆雄です。

 私は、会派を代表して、令和五年度一般会計予算外二案については反対、また、他会派提出の組替え動議についても反対の立場から討論をいたします。

 この間の予算審議を通じてはっきりしたのは、二〇一二年の政権交代以降の我が国の失われた十年の姿です。岸田総理が自民党大会で語った前進の十年というのは大きく間違った方向の前進の十年と言えます。

 本会議で自民党幹事長が児童手当の所得制限撤廃を求めたことに関し、過去に自民党が、この愚か者めがというTシャツまで作製して所得制限なしの子ども手当に反対したことなど、日本の重大な進路を誤ったことへの真摯で十分な総理の反省はありませんでした。

 総理が子供予算の倍増とぶち上げるものの、倍増のベースを一向に示さず、総理答弁でようやく示したと思えば、官房副長官、官房長官と続いて総理答弁を大きくねじ曲げた解釈が語られました。

 岸田総理がこの答弁の撤回もせずに最後まで倍増のベースを示さなかったのは、少子化対策に対する異次元の覚悟のなさと言えます。

 総理が倍増の覚悟を有すると言うならば、少なくとも、立憲民主党、日本維新の会で共同提出した児童手当所得制限撤廃法案に賛成することを強く求めます。

 性的マイノリティーの方々に対する元総理秘書官の言語道断な差別発言が明らかになりました。それだけではなく、岸田総理自らも、社会が変わってしまうという非常にネガティブな答弁をされましたが、この答弁も撤回しないまま今日に至りました。ネガティブでないと言うならば、先進国に大きく後れを取っている状況を少しでも前進すべく、LGBT当事者の皆さんが望む差別解消法の制定、同性婚の法制化の決断をすべきであります。

 さて、令和五年度予算については、問題点は枚挙にいとまがありません。例えば、額ありきの防衛予算に関し、トマホークの弾の数について、我が党の泉代表が米国の国防総省と同様に開示すべきと求めるまで明らかにしてきませんでした。

 ようやく開示されたと思ったら、総理と防衛大臣で、何とそれぞれ、四百発の予定、また、最大四百発と食い違いを見せるなど、防衛予算の根幹部分の事実関係の正確性に大きな不安を露呈いたしました。

 存立危機事態における反撃能力行使が可能かどうかについて、最後まで分かりやすい答弁をせずに、分かりやすい事例も示されませんでした。

 私たちも、防衛費の増額について一定の理解を持っております。しかし、このような政府のずさんな状況などにおいて、五年で四十三兆円の防衛費増額のための防衛増税は直ちに撤回を求めます。さらには、復興所得税や年金財源の流用は断じて容認できるものではありません。

 さらには、五兆円という巨額の予備費計上も財政民主主義に反すると言えます。

 以上申し上げたとおり、看過し難い問題が数多く存在することから、令和五年度一般会計予算外二案については反対、他会派提出の組替え動議についても、我々と見解を異にすることから反対することを申し上げ、私の討論を終わります。

 ありがとうございます。(拍手)

根本委員長 次に、池畑浩太朗君。

池畑委員 日本維新の会の池畑浩太朗でございます。

 日本維新の会を代表して、令和五年度予算三案に反対、日本維新の会提出の組替え動議に賛成の立場から討論を行います。

 まずは、令和五年度予算の組替え動議を求める理由を述べます。

 当初予算では、既得権へのばらまき優先の予算積み上げから転換を図られていません。また、歳出規模が増加の一途をたどり、過去最大の更新をし続けています。通年で必要となる実予算の額に対して当初予算の規模が小さ過ぎます。財政法が想定しない規模で補正予算の膨張が今年も予想されています。加えて、予備費や基金など本来の財政規律を逸脱した予算措置が既成事実として積み上げられており、無制限に拡大し続けているということが、令和五年度予算の組替え動議を求める理由でございます。

 次に、予算案に反対理由について述べます。

 第一の理由は、防衛予算額に伴う財源の確保についてです。

 岸田総理は、防衛予算に関して、令和九年度以降は毎年度四兆円の新たな財源が必要となり、歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入の確保などの行財政改革の努力を最大限に行った上で、それでも足りない約四分の一については、将来世代に先送りすることなく、今を生きる我々が将来世代への責任として対応してまいりますと施政方針演説で明言されております。最初から一兆円の増税ありきとしか思えません。

 我々日本維新の会は、防衛費の増額には賛成ですが、国民に増税負担を求めることには断固反対いたします。国民に負担を求める前に、議員定数や議員歳費の削減、いわゆる旧文通費の抜本的改革等、我々政治家自身が身を切る改革を行っていくべきだと思っております。何よりも重要であると指摘させていただきます。

 反対の理由、第二は、少子化対策についてです。

 岸田総理は、六月の骨太方針の決定まで、将来的な子供、子育て予算倍増に向けた大枠を提示すると言っているだけで、具体的に財源もスケジュールも示されておりません。

 岸田総理の年頭記者会見にて、異次元の少子化対策の三本柱となる児童手当の強化、学童保育等への支援、働き方改革は、従来からの延長にすぎないと言わざるを得ません。出生率を反転させるとは到底思えません。給付に頼るだけでなく、税や社会保障の負担を軽減すべきと考えます。

 さらに、高騰する物価への適切な対応や中小零細企業への支援策についても不十分であります。

 また、歳出削減への取組が不足しております。五兆円を超える予備費の計上が果たして必要なのでしょうか。多くの重要課題が先送りされていると言わざるを得ません。

 日本維新の会は、これからも、国家国民のための政治を実現していくために、是々非々で臨んでまいります。令和五年度予算三案に対する反対討論とさせていただきます。

 以上です。(拍手)

根本委員長 次に、中野洋昌君。

中野(洋)委員 公明党の中野洋昌です。

 ただいま議題となりました令和五年度予算案につきまして、賛成の立場から討論を行います。

 令和五年度予算案は、我が国が抱える重要課題に真正面から取り組む予算となっています。

 以下、主な賛成理由を申し述べます。

 まず第一に、少子化対策、子育て支援を着実に前進させる予算となっている点です。

 出産育児一時金の四十二万円から五十万円への増額や、出産・子育て応援交付金の継続実施、専業主婦家庭など保育園を利用しない未就園児を定期的に預かるモデル事業の実施、結婚新生活支援事業の拡充など、公明党が昨年十一月に発表した子育て応援トータルプランを着実に具体化するものであると評価をいたします。

 次に、物価高から国民生活を守り抜くとともに、本格的な経済再生に取り組む予算となっている点です。

 新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費とウクライナ情勢経済緊急対応予備費の計五兆円の予備費を確保し、国民生活に万全を期すとともに、GX経済移行債の発行による民間のGX投資を支援する仕組みの創設、地域の脱炭素化の推進、デジタル田園都市国家構想を推進するための交付金の計上など、GX、DXに大胆に投資をしています。

 また、所得の向上につながる人への投資の抜本強化として、賃上げに資する価格転嫁対策の推進、リスキリングへの支援などがきめ細かく計上されています。

 第三に、安全保障、外交面の強化が図られる予算となっている点です。

 厳しさを増す安全保障環境にあって、昨年末に閣議決定した新たな国家安全保障戦略等を踏まえ、必要な防衛力を整備するための予算を確保しています。

 また、外務省予算が対前年度比四百八十五億円増となっており、外交活動の抜本強化にも全力を挙げていただきたいと思います。

 以上、本予算案への賛成理由を申し述べました。

 本予算案の速やかな成立に向け、委員各位の御賛同を賜りますことをお願い申し上げます。

 なお、組替え動議につきましては見解を異にすることを申し述べまして、私の賛成討論といたします。(拍手)

根本委員長 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 国民民主党の斎藤アレックスです。

 私は、国民民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました政府提出の令和五年度予算について反対、国民民主党・無所属クラブ提出の編成替えを求めるの動議に賛成の立場から討論を行います。

 最優先課題である物価上昇を上回る賃金上昇を実現するため、給料が上がる経済に資する予算編成は急務であります。

 日本は、人への投資と技術開発を怠ったがため、経済低迷が続き、諸外国に比べ国力が低下し続けています。その結果、国民の給料はなかなか上がらず、実質賃金は一九九六年をピークに長期的に下がり続けています。そこに、ガソリン、軽油価格、電気料金などの物価高騰や新型コロナウイルス感染症拡大等が追い打ちをかけ、多くの国民の生活は先の見えない状況に陥っています。

 さて、本予算は、そうした状況から脱却し、国家が国民を支える姿勢を明確に示す予算案にするべきでしたが、その内容は不十分と言わざるを得ません。

 また、人づくりに資する子供、子育て政策として、国民民主党は、他党に先駆け、児童手当、障害児福祉を始めとした子供、子育て予算における公的給付の所得制限の撤廃を訴えるほか、財政法を改正して、教育や人づくりに関する支出を公債発行対象経費とする教育国債を創設し、教育、科学技術予算の倍増等を掲げてまいりました。

 一方で、岸田総理が年頭会見で表明した異次元の少子化対策に必要不可欠な子育て関連予算の将来的な倍増については、増額の規模や時期など詳細を示そうとせず、道筋が見えません。これらの点からも、政府の子育て支援、少子化対策は我が党案からほど遠いものであります。

 次に、防衛力強化財源として増税方針を組み込んでいることは注視する必要があります。本来、持続的な賃上げが定着する経済社会状況が実現するまでの間、増税は回避しなければなりません。国民民主党は、防衛力強化には一定の評価をしているものの、防衛費増額については、規模ありきではなく、防衛力を強化するために必要な限度で積み上げを行い、まずは歳出の見直しや外為特会の活用等を通じて財源を補うことを求めています。

 今こそ、足下の経済の落ち込みから脱するための経済対策、そして長期経済低迷から抜け出す経済政策を実施すべきです。

 足下の経済対策としては、ガソリン価格高騰対策としてトリガー条項凍結解除によるガソリン減税、広く国民生活を支える対策として時限的な消費税減税、電気料金値上げに対して再エネ賦課金徴収停止といった所要の措置を実行すべきです。

 国民民主党は、対決よりも解決、あくまで政策本位で行動し、国民のためになる政策を実現するとの姿勢を一貫して取ってきました。今後も、改革中道の立場から、国民のための政策を積極的に提案し、政府・与党に実現を迫っていくことを国民の皆様にお約束をし、私からの討論といたします。

 以上です。(拍手)

根本委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 日本共産党を代表して、政府予算案に断固反対の討論を行います。

 本予算案は、国民の暮らしをそっちのけにして、専守防衛を投げ捨て、憲法違反の敵基地攻撃能力の保有、異次元の大軍拡を進める戦後最悪の予算です。断じて認められません。

 政府は、これまで、敵基地攻撃について、他に手段がない場合、法理的に可能だが、国連の援助や日米安保条約がある下で、平生から他国を攻撃する、攻撃的な脅威を与えるような兵器を持つことは憲法の趣旨ではないと答弁してきました。過去の答弁に照らしても、本予算案は立憲主義をじゅうりんするものにほかなりません。

 岸田政権は、安保三文書に、敵基地攻撃能力について、日本への武力攻撃がなくとも集団的自衛権として行使し得ると明記し、本予算では、トマホーク始め大量の長射程ミサイルを購入、開発しようとしています。これでは、自ら進んでアメリカの戦争に巻き込まれる道と言わなければなりません。安全保障のジレンマに陥り、地域の緊張を高め、際限のない軍拡競争になりかねません。

 さらに、五年で四十三兆円もの大軍拡の財源確保のために国民の暮らしを犠牲にすることは断じて許されません。国立病院機構や地域医療機能推進機構の積立金は、法律で医療や年金の財源とされています。年金財源が足りないといって年金を目減りさせながら、年金財源を横取りして大軍拡に流用することは国民の理解は得られません。

 今、国民が求めているのは、電気、ガス、食品、飼料を始めとする物価高騰から暮らしとなりわいを守る支援の抜本的な強化です。中小企業や非正規労働者などへの賃上げへの支援です。教育無償化や子育て支援、介護、障害者福祉などの拡充で、誰もが安心して暮らせる社会にすることであります。気候危機を打開するために、二〇三〇年代までのCO2削減目標を引き上げ、再エネ、省エネを抜本的に推進することです。岸田政権の進める原発の運転期間延長、新増設など、福島の教訓を忘れた原発回帰は論外です。

 大軍拡をやめれば、暮らしへの支援を大胆に拡充することができます。大軍拡は撤回し、国民の暮らし最優先の予算に編成替えすることを強く求めて、討論とします。(拍手)

根本委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 有志の会の緒方林太郎です。

 今回の予算に対して、反対の立場から討論いたします。

 今国会での議論を通じて痛切に感じたのは、ほぼ全てのテーマについて、真正面から答弁が返ってくるのは極めてまれということでした。岸田総理は国会で御議論いただきたいと言うものの、その本質は、国民の代表たる国会をあたかも等閑視する姿勢でした。

 芥川龍之介の「或阿呆の一生」に、ソ連のレーニンを指して、誰よりも民衆を愛した君は誰よりも民衆を軽蔑した君だというフレーズがあります。岸田総理が民衆を軽蔑しているとまでは思いませんが、その答弁から民衆への愛を感じることは少なかったというのが感想です。

 一方、野党の主張の中にも、財源の当てがなく、ポピュリスト的なものが散見されます。やりたいことのショッピングリストを並べて、確たる財源から目を背けるのは政策とは言えません。

 当会派の吉良議員は、今回の予算委で、誰もが言いたくない提案をリスクを取りながら提示をいたしました。

 耳障りのすることは誰もが言いたくありません。しかし、財源と呼べないようなものを並べることは不誠実であり、漠然とした行革というキーワードに過度に依拠した財源論は不毛です。今必要とされる金額を捻出するための行革ならば、社会保障、地方交付税、公共事業といった大玉に着手せざるを得ません。そこまでの覚悟があったでしょうか。

 私があえてこの場で言いたいのは、真面目にやろうぜということです。選挙を意識し、具体的なことを言わないまま無為に時間を徒過する岸田政権も、根拠薄弱な提案をする野党も無責任です。特に少子化は、日々、我々の国をむしばんでいます。一日一日が勝負です。もう駆け引きをしている時間はありません。そして、きちんとした案が出てきたら、我々は党派を超えてそれをしっかりと支えます。

 国防についても述べさせていただきたい。

 明らかに日本の周辺に脅威と言えるものがあり、それについて備えることは当然です。ただ、この議論は非常に難解であり、国民各位に深く理解していただくのは極めて難しいです。誤解されることの多い表現ですが、まさに論語泰伯にある、よらしむべし、知らしむべからずです。だからこそ、為政者は、その政策に信頼感を持っていただくよう努めることが必要です。その信頼をかち得る努力を岸田総理はしてきたでしょうか。小手先の答弁テクニックに走らなかったでしょうか。

 そして、安保三文書が出された後、必要なのは外交です。本来であれば、この安保三文書が出されるのと同時に必要だったのは、周辺国とどうつき合うのか、どう導いていくのかという外交のビジョンでした。岸田総理には、もっともっと外交について雄弁に語ってほしかった。私の偽らざる心境です。

 以上、厳しいことを多々述べましたが、我々有志の会は、この難局に強く立ち向かう気概、困難な選択からも目を背けない覚悟を持ちながら歩むとの決意を述べ、討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

根本委員長 次に、櫛渕万里君。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。

 私は、会派を代表して、政府提出の令和五年度一般会計予算案、特別会計予算案、政府関係機関予算案のいずれにも反対、他会派の組替え動議にいずれも反対、百十五兆円を積み増した積極財政で国民を救う、れいわ新選組提出の組替え動議に賛成の立場から討論いたします。

 我が党の山本太郎代表は、令和五年度一般会計予算案について、一言でこれを表現するなら、異次元の売国棄民予算である、そのことを指摘し、私たちは、当委員会で度々その問題を指摘してきました。

 今回の予算案は過去最大の百十四兆三千八百億円で、前年比約六兆八千億円がプラスされ、そのうち約七割が防衛関係費であり、中身は、米国の言い値で買わされた異次元のミサイル爆買いと言わざるを得ません。

 政府が反撃能力と言い換える敵基地攻撃能力は、日本が攻撃されていなくても他国を攻撃する先制攻撃に当たるものであり、事実上、我が国の専守防衛を脅威対抗型の安全保障政策へと大転換させる、形を変えた改憲と言えるものです。断じて認められません。

 この予算案では、三十年続く不況で賃金が上がらず、コロナ災害と戦争による物価高で三重苦に苦しむ国民を全く救うことはできません。それどころか、特定の人々だけを潤す戦争経済へと国民を引きずり込むおそれがあります。

 今政治がやらなければいけないことは、これを反転させて、国民生活の底上げと経済再生を最優先させること、それが本当の意味での国力の維持であり、真の国防であると考えます。

 これまで繰り返された消費税増税と緊縮財政によって、所得の中央値は百三十一万円もマイナス、先進国で経済成長していないのは日本だけです。この危機から日本を救うには、積極財政で、消費税廃止と賃上げ、そして、一律十万円の現金給付を季節ごとに行い、まず需要を増やすこと。

 そして、ゼロゼロ融資の返済を迎える中小企業経営者、奨学金という名の巨額ローンを背負う若者、過労死寸前まで働く学校の先生、年金を減らされた高齢者、命を守る労働をしているのに給料の安い保育士や介護士などを救い、誰でもが生きていてよかったと心から実感できる社会を築いていくことを目指します。

 また、三・一一の福島第一原発事故を忘れたかのように原発推進にかじを切るGX基本方針には反対し、れいわ新選組は、脱原発、グリーンニューディールで、十年間に二百兆円のグリーン投資で、毎年二百五十万人の雇用を創出いたします。

 我が党の組替え動議は、この国の未来とこの国に住む人々の希望のための予算なのです。

 委員の方々におかれましては、政府案の異次元の売国棄民予算に反対し、れいわ新選組の組替え動議に御賛同いただきますようお願いを申し上げ、私の反対討論といたします。

 ありがとうございます。

根本委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

根本委員長 これより採決に入ります。

 まず、櫛渕万里君提出の令和五年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

根本委員長 起立少数。よって、櫛渕万里君提出の動議は否決されました。

 次に、宮本徹君提出の令和五年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

根本委員長 起立少数。よって、宮本徹君提出の動議は否決されました。

 次に、斎藤アレックス君提出の令和五年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

根本委員長 起立少数。よって、斎藤アレックス君提出の動議は否決されました。

 次に、掘井健智君提出の令和五年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

根本委員長 起立少数。よって、掘井健智君提出の動議は否決されました。

 次に、令和五年度一般会計予算、令和五年度特別会計予算、令和五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して採決いたします。

 三案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

根本委員長 起立多数。よって、令和五年度予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました令和五年度予算三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

根本委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時三分散会


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