衆議院

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第15号 令和6年3月1日(金曜日)

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令和六年三月一日(金曜日)

    午後五時三十一分開議

 出席委員

   委員長 小野寺五典君

   理事 上野賢一郎君 理事 加藤 勝信君

   理事 島尻安伊子君 理事 橋本  岳君

   理事 牧島かれん君 理事 奥野総一郎君

   理事 山井 和則君 理事 漆間 譲司君

   理事 佐藤 英道君

      井出 庸生君    伊東 良孝君

      伊藤 達也君    石破  茂君

      今村 雅弘君    岩屋  毅君

      衛藤征士郎君    越智 隆雄君

      奥野 信亮君    金田 勝年君

      亀岡 偉民君    後藤 茂之君

      平  将明君    塚田 一郎君

      中川 郁子君    西銘恒三郎君

      平沢 勝栄君    古屋 圭司君

      牧原 秀樹君    宮路 拓馬君

      山本 有二君    若林 健太君

      渡辺 博道君    井坂 信彦君

      石川 香織君    大西 健介君

      小山 展弘君    階   猛君

      藤岡 隆雄君    山岸 一生君

      米山 隆一君    早稲田ゆき君

      一谷勇一郎君    奥下 剛光君

      金村 龍那君    林  佑美君

      藤田 文武君    守島  正君

      赤羽 一嘉君    伊佐 進一君

      金城 泰邦君    角田 秀穂君

      宮本  徹君    田中  健君

      緒方林太郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   総務大臣         松本 剛明君

   財務大臣         鈴木 俊一君

   厚生労働大臣       武見 敬三君

   経済産業大臣       齋藤  健君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   防衛大臣         木原  稔君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   新藤 義孝君

   財務副大臣        赤澤 亮正君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  小杉 裕一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  小柳 誠二君

   政府参考人

   (内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長)   馬場  健君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中溝 和孝君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   林  伴子君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   片桐 一幸君

   政府参考人

   (こども家庭庁成育局長) 藤原 朋子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官)            内山 博之君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            山田 雅彦君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         堀井奈津子君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 鹿沼  均君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    茂木  正君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            山本 和徳君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  稲田 雅裕君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  大和 太郎君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月一日

 辞任         補欠選任

  田中 和徳君     中川 郁子君

  若林 健太君     西銘恒三郎君

  奥下 剛光君     藤田 文武君

  林  佑美君     金村 龍那君

  守島  正君     一谷勇一郎君

  金城 泰邦君     伊佐 進一君

同日

 辞任         補欠選任

  中川 郁子君     田中 和徳君

  西銘恒三郎君     若林 健太君

  一谷勇一郎君     守島  正君

  金村 龍那君     林  佑美君

  藤田 文武君     奥下 剛光君

  伊佐 進一君     金城 泰邦君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和六年度一般会計予算

 令和六年度特別会計予算

 令和六年度政府関係機関予算

 主査からの報告聴取


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     ――――◇―――――

小野寺委員長 これより会議を開きます。

 令和六年度一般会計予算、令和六年度特別会計予算、令和六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、各分科会主査から、それぞれの分科会における審査の報告を求めます。

 第一分科会主査牧島かれんさん。

牧島委員 第一分科会について御報告申し上げます。

 その詳細につきましては会議録に譲ることとし、ここでは主な質疑事項について申し上げます。

 まず、内閣所管については、女性宮家の創設等の課題、拉致問題解決に向けた政府の取組、

 次に、内閣府所管については、令和六年能登半島地震における被災者支援、ジェンダー平等に向けた社会変革の必要性、子供、子育て支援、養育費をめぐる課題及び支援、賃上げをめぐる課題及び取組、沖縄本島北部及び離島の振興、薬局の規制緩和の在り方、

 次に、防衛省所管については、紛争時における情報戦への対応の強化、令和六年能登半島地震における自衛隊の災害派遣の特徴及び教訓等であります。

 以上、御報告申し上げます。

小野寺委員長 第二分科会主査宮路拓馬君。

宮路委員 第二分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、総務省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、いわゆるNTT法の改正及び今後の情報通信の在り方、政治資金問題、インターネット投票の検討状況、災害時における偽情報の拡散防止対策、SNSにおける成り済ましやインターネット上での誹謗中傷への対応策、消防団の担い手確保に向けた取組、郵政事業の価値と根本的な見直しの必要性等であります。

 以上、御報告申し上げます。

小野寺委員長 第三分科会主査牧原秀樹君。

牧原委員 第三分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、法務省、外務省及び財務省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、日本酒の振興及び輸出促進の取組、令和六年能登半島地震における液状化被害に対する財政支援の在り方、我が国の財政政策の在り方、ガザ地区への人道支援の状況、核兵器廃絶に向けた取組、外国人の受入れの在り方、離婚協議中の親子の面会交流等であります。

 以上、御報告を申し上げます。

小野寺委員長 第四分科会主査井出庸生君。

井出委員 第四分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、文部科学省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、次期学習指導要領の内容、教員不足に向けた対応、学校施設の環境改善、部活動の地域移行に関する取組、少人数学級を早期に実現する必要性、経済格差と知能の格差との関係及び教育の在り方、小学校における英語必修化の課題等であります。

 以上、御報告申し上げます。

小野寺委員長 第五分科会主査橋本岳君。

橋本委員 第五分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、厚生労働省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、訪問介護従事者等への支援や処遇改善、医師の地域及び診療科における偏在の是正、時代に即した労働基準法制の見直し、外国人に対する生活保護の支給の法的根拠の必要性、化学物質過敏症への合理的配慮、原爆被爆者の救済に用いられる認定基準の妥当性、戦没者遺骨収集及び返還事業の加速化等であります。

 以上、御報告申し上げます。

小野寺委員長 第六分科会主査伊東良孝君。

伊東(良)委員 第六分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、農林水産省及び環境省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、農林水産業における担い手確保の取組、食料・農業・農村基本法の改正、スマート農業の導入における課題、災害時の原子力規制委員会の情報発信の在り方、災害で生じたコンクリート塊の海洋活用、熊本県阿蘇地域の地下水保全の取組、水俣病患者の救済等であります。

 以上、御報告申し上げます。

小野寺委員長 第七分科会主査上野賢一郎君。

上野委員 第七分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、経済産業省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、半導体産業に対する支援の必要性、戦略分野国内生産促進税制における諸課題、企業の脱炭素社会実現に向けた取組、令和六年能登半島地震で被災した事業者のなりわい再建に向けた継続支援、伝統的工芸品産業の振興、スポーツビジネスの推進、電力安定供給に向けた制度の再設計等であります。

 以上、御報告申し上げます。

小野寺委員長 第八分科会主査佐藤英道君。

佐藤(英)委員 第八分科会について御報告を申し上げます。

 本分科会は、国土交通省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、令和六年能登半島地震における復旧復興対策及び国土強靱化対策、離島振興及び地域住民の生活支援、地方における鉄道網の維持、バス運転者不足問題への対応、統合型リゾート用地に係る不動産鑑定評価の在り方、高速道路に係る料金制度の検討状況、不動産特定共同事業法による適切な投資家保護の在り方等であります。

 以上、御報告を申し上げます。

小野寺委員長 以上をもちまして各分科会主査の報告は終了いたしました。

    ―――――――――――――

小野寺委員長 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官小杉裕一君、内閣官房内閣審議官中溝和孝君、内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長馬場健君、内閣官房内閣審議官小柳誠二君、内閣府政策統括官林伴子君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長片桐一幸君、こども家庭庁成育局長藤原朋子君、総務省自治行政局長山野謙君、厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官内山博之君、厚生労働省職業安定局長山田雅彦君、厚生労働省雇用環境・均等局長堀井奈津子君、厚生労働省保険局長伊原和人君、厚生労働省年金局長橋本泰宏君、厚生労働省政策統括官鹿沼均君、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官茂木正君、中小企業庁事業環境部長山本和徳君、国土交通省港湾局長稲田雅裕君、防衛省地方協力局長大和太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野寺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小野寺委員長 本日は、内外の諸課題についての集中審議を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。西銘恒三郎君。

西銘委員 自由民主党・無所属の会の西銘恒三郎でございます。

 質問の機会をいただきまして、心から感謝を申し上げます。

 まず、沖縄県のうるま市石川での自衛隊訓練用地の整備計画について、防衛大臣にお伺いしたいと思います。

 先週の土曜日、県連大会に向けて、自民党沖縄県議会、県連の役員と国会議員団の意見交換の場がありました。そこで、どうも少し、このうるま市の自衛隊訓練用地の件で違和感を感じていたものですから、ちょっと心配でありました。

 去る二月の二十七日の沖縄県議会で、自民党沖縄会派や地元うるま市の選挙区出身で自民党県連会長の県議が、このうるま市石川での自衛隊訓練用地の建設計画について、県議会の場で、白紙撤回するよう政府に求めるという発言が出たり、あるいは、一刻も早く要請行動を行いたい等々の発言をしております。

 私どもの沖縄県連の県議会の会派の仲間でありますから、自衛隊の訓練用地の整備計画の必要性については認めていると思っているんですが、現場で何が起こっているのか分かりませんけれども、その反対運動が起ころうというときに、選挙区の県議の県連会長の発言あるいは会派長の発言、あるいは、今日ですか、地元うるま市の中村正人市長が沖縄防衛局に白紙撤回を申入れした等々の声が届いております。

 そこで、防衛大臣にお伺いしたいんですけれども、このような深刻な地元の声を受けて、ここでは駄目ですよというふうに見えるんですけれども、詳細、経緯も深く認識していないんですが、この地元の状況を見ると、これはちょっと保革を超えた動きになりかねないなと非常に危惧をしておりまして、このうるま市石川での自衛隊訓練用地の整備計画の候補地の再検討も含めて、防衛大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

木原国務大臣 うるま市石川におけるゴルフ場跡地の件で御質問いただきました。

 我が国が戦後最も厳しく、そして複雑な安全保障環境の中で、防衛省としましては、防衛力整備計画に基づいて、南西地域の防衛体制を強化する一環として、令和九年度までに、沖縄に所在する陸上自衛隊の第十五旅団を師団化するという計画でございます。これに伴って、沖縄本島において追加的に発生する訓練や物資の集積等の所要を満たすことが必要になるものと考えております。このような観点から、先般、防衛省は、うるま市における訓練場の整備計画を地元に御説明させていただいたところです。

 この訓練場整備計画に関しては、我が国の防衛を全うする観点とともに、住民生活との関係を重視するとの観点から、取得後の土地の利用の在り方について、改めて更に検討を行っているところです。

 そして、直近の今お話を伺いました。ただいまの西銘委員のそういった御指摘を重く受け止めて、これからの検討をまた進めてまいりたいと思っております。

西銘委員 私どもの仲間ですから、自衛隊の訓練用地の整備計画の必要性は認めているであろうと私も確信をしております。

 どうも、県議会の状況、地元の状況を見ると、この場所ではいけないというふうに見えるのでありますが、地元の市長さん、あるいは県議会の仲間、要請行動を、議会の合間を見て東京に来たいという話も出ておりますので、そのときには、要請行動団が上京した場合には、木原防衛大臣、是非とも面会をするべきだと思っておりますが、面会していただけますか。

木原国務大臣 自衛隊の施設やまた在日米軍の施設の安定的な運用、あるいは部隊活動の円滑な実施に当たっては、これはやはり地元の御協力が必要不可欠である、そういう認識でございますので、私としましては、地元の皆様方に直接伺う機会を持つことは大変重要だと思っています。

 これまでもできるだけそうした機会を追求してきたところですが、今後、そのような、今御指摘のような御要請が、お申出をいただいた際には、今お話ししたような認識の下で、もろもろの日程も踏まえながら、しっかりと調整はさせていただきます。

西銘委員 予算委の理事の島尻安伊子先生の選挙区ですから、要請団が来るときには安伊子先生が支部長として先頭に立つと思いますが、是非とも、受けて、現場の声を聞いた上で、県等を含めて話合いの場が持てることをお願いしたいと思います。

 次に、申し訳ありませんけれども、順序として四番目の、GPIFの運用状況について総理にお伺いしたいと思います。

 総理は、日頃から、貯蓄から投資へという言葉を発言しておりますし、総理御自身の内閣一丁目一番地の、好循環社会で、物価上昇を上回る賃金上昇の好循環社会をつくるということを何度も何度も繰り返し発言をされております。

 この株価が最高値を更新したという状況の中で、将来世代のために運用されているGPIFの積立金の運用状況につきまして、総理の口から国民の皆さんに、どうこれが国民の生活に、将来の年金に関わっているのかというところを含めて御説明をいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 GPIFにおける年金積立金の運用実績ですが、二〇〇一年度に自主運用が開始しています。そこから二〇二三年十二月までの累積で申し上げますと、収益額はプラス百三十二・四兆円、そして収益率はプラス三・九九%となっており、長期的に見て、運用収益は着実に積み重ねていると認識をしています。こうした積立金運用による運用収益の増加、これは将来の受給者の給付水準の改善に資するものであると認識をしています。

 引き続き、効率的かつ安全な積立金の運用が行われるよう、GPIFと連携して取り組んでまいりたいと考えております。

西銘委員 最近発表があった出生数も七十五万と過去最低になっている、あるいは、将来、年金を負担する世代が、若い世代が人口減で少なくなっていくという中にあって、この積立金の運用が、積立金が増えていくということは、将来、若い世代の保険料の負担の軽減にもつながるという理解でよろしいんでしょうか。総理にお伺いします。

岸田内閣総理大臣 給付の部分については受給者にとってプラスに働いていく、こうした結果につながるものであると認識をしております。

西銘委員 次に、好循環社会の実現に向けて、総理が自ら政労使の場で、意見交換の場で、賃上げへの協力を率先して総理自ら呼びかけているという行動を高く評価をしております。

 私は、そういう行動が、例えば、一国の総理ですから、国境の島の与那国島であったり、北海道の地域の利尻島であったり、あるいは離島振興地域であったり、こういう離島の地域、地方という言葉で一くくりにして表現をしておきますが、こういう政労使の意見交換の場が全国津々浦々で行われていて、好循環社会実現に向かって総理の思いが全国で動いているのかというところを少し御説明いただけたらありがたいです。

岸田内閣総理大臣 賃上げは岸田政権において最重要課題であり、我が国全体で賃金を引き上げていくためにも、地方を含めた賃上げの実現、これが不可欠です。

 このため、先般の政労使の意見交換において、私から厚生労働大臣に対しまして、地方版政労使会議の開催を一層積極的に進めるよう指示を出したところであり、現在、各地方において賃上げに向けた政労使の意見交換、これが進んでいます。現在、三十六の都道府県において既に開催が行われておりますし、残り十一の県におきましても開催が予定されている、こういった状況にあります。

西銘委員 与那国島とか石垣、宮古とか離島の島々に行くと、なかなか好循環社会の賃上げが肌で感じにくいという印象を受けております。そこの場で保育とか医療とか介護の現場で処遇改善がなされると、そういう好循環社会の流れがより感じやすいのかなという思いで見ておりますが、保育、医療、介護の現場で、現実的な好循環社会実現に、現状どうなっているのか、総理から御説明をお願いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘の離島あるいは山村等の地方も含めて、医療、介護、保育分野における賃上げを始めとする人材確保への対応、これは極めて重要であると考えており、政権においても公定価格の見直し、これを政策として掲げ、実行してきたところであります。

 そして、令和六年度の診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬の同時改定におきましては、令和六年度のベースアップ分として二・五%の賃上げに向けて、医療、介護、障害福祉の現場で働く幅広い職種に対応した、物価高に負けない賃上げの実現に必要な水準、こうした水準の報酬の改定率、これを決定したところであります。

 そして、この改定率の決定を踏まえて、一月十九日に関係二十六団体に対して私自身直接要請を行いまして、実効的なフォローアップを含めた具体的な報酬改定の内容、これをお示しさせていただきました。

 この結果として、こういった取組が進むよう、何よりもこうした取組が周知されるよう努力したいと思いますし、保育につきましても、民間給与動向等を踏まえまして、令和五年度人事院勧告を反映した更なる処遇改善、この対応を行ってまいります。

西銘委員 是非、総理が力を入れている好循環社会の実現に向かって、全国津々浦々で取り組んでいるということをもっともっとPRしていただけたらと思います。

 もう一点、地方の中小企業などでは価格転嫁の交渉が厳しいのかなというふうに私は理解しておりますが、総理が、その指針、価格転嫁の交渉の指針を、全国周知の徹底的な方針を図っていくという、前回、補正予算の質問をしたときにそういう答弁をいただきましたが、現状、地方での価格転嫁交渉について御説明をいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 力強い賃上げを中小企業や地方に広げていくためにも、賃上げの原資の確保の鍵となります労務費を含めた適切な価格転嫁、これを全国で促進していくことが重要であり、それに向けて、例えば、発注企業の価格転嫁の状況の公表ですとか、下請Gメンによる調査ですとか、パートナーシップ構築宣言の推進による機運醸成、さらには全国の下請かけこみ寺等を通じた相談対応、こういった取組を進めております。

 そして、こうした労務費の適切な転嫁、昨年十一月に指針を策定し、そして、一月二十二日の政労使の意見交換の場においても、この指針に沿った行動の徹底、これを産業界に対して私自身直接要請をいたしました。さらには、関係省庁から九州経済連合会など地方を含む千八百七十三の業界団体を通じて、全国に及ぶ会員企業に対して、こうした指針の周知徹底を行い、フォローアップを行っている次第であります。

西銘委員 ありがとうございます。

 最後のシェルターの件、質問できませんでしたこと、準備していただいたのに、感謝申し上げます。

 終わります。

小野寺委員長 これにて西銘君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 公明党の伊佐進一です。

 本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 政治と金の話をさせていただきます。

 私は二〇一二年初当選でございまして、それは、自公が下野しまして、本当に、その後でも自公が一緒になって相当の苦労があったというふうに先輩からも伺っております。でも、この苦労を乗り越えて政権を奪還する、この選挙が二〇一二年でございました。そういう意味では、私自身は自公政権でずっと仕事をさせていただいて、また、地元でも政権与党の代表という思いでずっと活動をしてまいりました。

 ところが、最近、地元を回っておりますと、この週末もそうだったんですが、何と言われるかというと、例えば、公明党はクリーンなイメージがあったのに今は一緒に見えるという言われ方をします。また、公明党はいつまで自民党と一緒にやるのかというようなことまで言われます。

 私は、これからも一緒にやるんだと思っています。というのは、政権を担当する能力があるのは自民党だけだ、自公政権だけだ、ここは確信を私はしております。そういう意味では、だからこそ、自民党には本当に変わっていただかないと困るというふうに思っております。今のままでは、国民の皆様から自公政権が見放されるという思いでおります。

 ただ、今回の政倫審の開催に向かうどたばたを見ておりますと、本当にこの危機感が自民党の皆さんの中で共有できているのかと不安に思ってしまいます。もしかすると、時が過ぎれば世の中は忘れるというふうに思っていらっしゃる、こういう幹部の方も一部いらっしゃるんじゃないかという疑念もあります。

 自民党の政治刷新本部の中間取りまとめ、これを見させていただくと、会計責任者が逮捕、起訴された場合には、その団体の代表を務める議員も処分というふうにあります。中間取りまとめの段階ですら、自民党自らこう示していただいている。

 それであれば、今回、事務総長を歴任された政治家の方々、政倫審で今弁明されていらっしゃいますが、この機会の後に一定の処分が必要だというふうに思っております。説明責任、そして必要な処分、そうでないと、これから幾ら改革案を議論したところで、どうせまた何かあったらうやむやにするんやろうというふうに国民の皆さんに思われてしまう。

 連立与党の公明党でありますが、あえて総理に申し上げます。国民の皆さんに対して、また、自民党自身に対してもけじめをつけるという意味で処分が必要だというふうに思いますが、総理の御決断をいただきたいというふうに思います。

岸田内閣総理大臣 まず、自民党の政治資金の問題に関しまして、国民の皆さんから大きな疑念を招いていること、こうしたことで多大な御迷惑をおかけしていることを心からおわびを申し上げなければならないと思います。

 その上で、派閥の事務総長等に対して処分をするべきではないか、こういった御質問をいただきました。党としても、政治責任についてしっかり判断しなければならないと考えています。

 検察においては、今回、収支報告書の不記載があった派閥のいずれについても、証拠上、収支報告書の作成は代表者兼会計責任者を含む派閥事務局が専ら行っており、捜査の結果、派閥幹部の関与は認められなかった旨、検察は発表しているわけでありますが、他方で、一般論として、政治家である以上、刑事責任の有無とは別に、事案の内容等に応じて、相応の道義責任、政治的責任、これは生じるものであると考えております。

 派閥の事務総長を含め、あるべき政治責任についてはこれまでも申し上げておりますが、これまで把握された事実関係や関係者による説明責任の果たし方を踏まえつつ、党として判断してまいりたいと考えております。

伊佐委員 はたから見ていて思いますのは、派閥、これは特定の派閥の問題なんですというふうに思っている方もいらっしゃるかもしれません。ただ、地元の方に、恐らく、自民党の皆さんも帰られて、私は何派って分かりますかと聞くと、有権者の多くの方々は、多分知らない方が結構いらっしゃるんじゃないかなと。

 つまり、派閥は関係ないといいますか、もっと言えば、我々も含めた、政権与党も含めた問題だというふうに私は思っております。我々も同じく地元に帰ると、本当に厳しく地元で批判をされます。だから、この危機感を、総理御自身だけではなくて、幹部の皆さんも含めて自民党内でしっかりと共有をしていただいて、一致団結して政治改革に当たっていただきたいというふうに思っております。

 次に、時間もありませんので、少し社会保障の話をさせていただきたいというふうに思っております。

 介護報酬改定についてですが、これまで政府は地域包括ケアというのを進めてまいりました。つまり、在宅ということで、この在宅という観点では、当然、訪問介護が重要なプレーヤーとなります。ところが、今回の介護報酬改定では訪問介護の基本報酬は引き下がりました。その理由の一つとして、訪問介護の収支差益がプラスに出ていたからというようなことが理由として挙げられております。

 ただ、厚労大臣、私は前回の予算委員会でも申し上げたと思いますが、訪問介護の収支がプラスになっているのは、支出が減ったからなんです。その支出が減ったのは、人件費が減っている。つまり、人が集まらないから、どうしようもなく支出が減って、それがプラスに出てしまっている。だから、このままいきますと、人も集まらないし、しかも報酬も引き下げられた、にっちもさっちもいかなくなる、こういう状況であります。

 これからの大事なポイントというのは、例えば、介護の賃上げにつながる処遇改善加算、これは訪問介護事業者ではほとんど取れていない事業者が多いです。だから、まず、せめてこの処遇改善加算を取っていただけるような環境づくりが大事だ。これは取りやすい、本当に手続も簡素にすべきだし、また、早期に受けられるような制度にすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

武見国務大臣 訪問介護を始めとした介護現場において介護職員の賃上げを実現できるように、小規模事業者も含めて、処遇改善加算の更なる取得促進に向けた環境整備が重要であるという同様の認識を持っております。

 このため、御党の指摘もいろいろございます。厚生労働省としては、取得要件の中でも導入に時間がかかると考えられる賃金体系の整備等について、令和六年度中に規程等の整備を誓約することで要件を満たすとすることのほか、モデル賃金体系等の分かりやすい見本を示すこと、それから、加算を取得していない事業所向けに、大幅に記入事項を簡素化した一枚の申請様式を作成することなど、配慮措置を講ずることとしております。

 こうした取組を通じて、訪問介護を含め、加算未取得の事業所が新規に加算を取得することや、あるいは、加算を取得している事業所も新たな処遇改善加算の体系に早期に移行することについて、オンラインを用いた個別相談等も行いながらしっかりと支援をして、介護職員の賃上げにつなげてまいりたい、かように考えております。

伊佐委員 武見大臣、ありがとうございます。

 今回、本当に思い切ってやっていただいた。誓約するだけで、体制整備ができなくても要件を満たすとか、あるいは一枚だけの申請書にするとか、非常に画期的にやっていただきました。

 ただ、やはり根本的な問題は、なぜそもそも基本報酬を下げないといけなかったのかというところです。つまり、こんな加算で取れますじゃなくて、そもそも基本報酬をなぜ上げられなかったのかというところです。ここは、社会保障と財政の根本的な問題があるというふうに思っております。

 これは前の予算委員会でも総理とも議論させていただきました。今の社会保障の財政というのは、高齢化の伸びの範囲に、たたいてたたいて節約をして抑えなきゃいけない。つまり、何かやろうと思ったら何かを我慢しなきゃいけない、こういうゼロサムゲームがそもそもの問題なんじゃないか。だから、施設系の報酬を増やそうと思ったら訪問介護が我慢する、こういうことが起こるわけです。

 今回の報酬改定で、物価や賃金が下がるデフレ経済下では今までのこの枠組みでよかったかもしれませんが、今は物価も上がる、賃金も上がる。こういう中で、インフレ経済下では新しい枠組み、ルールが必要だ、別枠でするべきだ。

 公明党は、衆議院だけじゃなく、参議院の予算委員会でも同じように質問をさせていただきました。そのときの総理が答弁されたのはこうでした。まず、目の前の予算編成に向けては基本方針を維持します、ただ、将来に向けて様々な選択肢を我々としては考えていかなければなりません、御指摘も踏まえながら、未来に向けてこの議論を深めていきたい、こういう答弁でした。今回はこれでいきますと。

 未来に向けた議論というのは、まさしく今年がそのタイミングです。歳出の目安、これは三年ごとの財政フレームがありますが、この財政フレームはこの夏の骨太で決まります。今度こそ、この社会保障の歳出の目安、ここから、賃上げと物価高は別枠で考えるべきだというふうに思いますが、総理の答弁を求めたいと思います。

岸田内閣総理大臣 骨太の方針において定められた二〇二二年度から二〇二四年度までの三年間の社会保障関係費の歳出の目安は、そもそも、経済、物価動向等を踏まえ、その方針を継続することとされてきたものですが、二〇二四年度予算においては、委員の方からも御指摘がありましたように、診療報酬改定等において、医療、介護等の現場で働く方々の、物価高に負けない賃上げの実現に必要な水準の報酬の改定率とするなど、経済、物価動向の見通し等を踏まえた必要な措置を講じながら、社会保障関係費について、歳出の目安に沿って、実質的な伸びを高齢化による増加分に収めることができたところです。

 そして、委員の御指摘はこれからの部分でありますが、今後の社会保障関係費の歳出の目安の在り方については、もちろん重要な政策の選択肢を狭めることはあってはなりません。それから、歳出改革の継続の必要はしっかり踏まえていかなければなりません。その上で、委員の御指摘の点等も踏まえ、経済、物価動向を注視して、どんなフレームをつくるのか、この議論をこれから深めていきたいと考えます。

伊佐委員 総理、ありがとうございます。

 総理、私は、やはり持続可能性も当然大事だというふうに思っております。ただ、持続可能性というと、それは担い手の持続可能性というのも一つの大事な観点だというふうに思っておりますので、是非そこも、しっかりとこの議論の中で深めていただきたいというふうに思います。

 あと少しになりましたので、最後、万博の話を経産大臣に伺いたいというふうに思っております。

 昨年の予算委員会で質問させていただいたのは、なぜ万博を開催するのか、この目的意識が国民の皆さんとなかなか共有されていないんじゃないかというような話をさせていただきました。

 大阪府、大阪市が取ったアンケート、これは昨年末なんですけれども、万博に行きたいという人が三三・八%。これは一年前から七%下がっているんです。更にその前からも、どんどん毎年下がっていっているんですよ。普通なら機運醸成で上がっていかなきゃいけないのに、毎年下がっていっているんです。これは大きな問題だ。

 何でこうなるかというと、やはり、大阪府市が今、万博協会のボードメンバーになっていただいていますが、ここがしっかりと計画、運用してほしい、だから、国は管理監督をしっかりやるべきだということを前回も申し上げました。

 もう時間がないので余り長くは申しませんが、例えば、三百五十億円のリングがあります。このリングがつながると中に工事で入れなくなるかもしれないというようなことを、日本建設連合会の会長も、ここはしっかり連携が必要だという発言があったりとか、あるいは、省エネでやりますと言っていても、結局は業者が逼迫して間に合わないので一部理念を妥協するとか、こういうような状況になっています。

 依然様々な指摘がありますので、この万博協会、また大阪府市と連携して、管理監督責任をしっかりと果たしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 様々な御指摘をいただいているのはよく分かっています。私も、昨年経済産業大臣に着任して以来、この万博については、自分自身、しっかりと監督をしていかなくちゃいけないという決意の下に今大臣として仕事をさせていただいております。そもそも、万博特措法に基づいて博覧会協会を指定し監督する立場に私もあるものですから、しっかりとやっていきたいと思っています。

伊佐委員 ありがとうございます。

 工事が実際に間に合わないという中で、例えば、バックヤードの問題とか、どうやってバックヤードを確保するかとか、こういうところも、実は大阪市の土地なのにIRの工事があって、そこのところは本当は使えるんじゃないかとか、いろいろな様々な観点がございます。こういうところもしっかりとまた大阪市とも連携をしていただいて、国として責任を持って進めていただきたいというふうに思っております。

 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて伊佐君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤田文武君。

藤田委員 日本維新の会の藤田文武でございます。

 昨日から通告していまして、こういう状況でばたばたとしていまして、これも本当に国民の皆さんからするとよく分からないと思うんですね。これは昭和スタイルの日程闘争。我々はもうそれは降りています。ですから、しっかりと質疑で問題点をあらわにする、そして、政倫審も含めて誠実にお答えいただくということで問題解決をしていかないといけないと思うんですね。

 ただ、立憲さんがやっていることは、我々は賛同して一緒にやるというところまではやりませんが、政府の方、又は自民党も私は問題だと思いますね。

 というのも、そもそも、この時間の確保で、水曜日の政倫審が飛んだからじゃないんですか。だから、先に出てきていただいたらよかったんですよ。だから、総理がもっとリーダーシップを発揮して、最初は出てこないと言った、五人出てくると言った、公開、非公開、ぐだぐだして、最後、二人になって、全員出なくなって、総理が俺が出ると言ったから全員出て公開になったんですよ。そのせいで一日ずれて、今日は深夜になるんちゃうかとかいう話になっているし、立憲さんはもう一回何か出さはるとかそういう話もあって、これはえらいことになりますよ。だから、全て、総理の決断又は党内のマネジメントを早めにやっていただいたらもっと進んだというふうに私は思います。

 その上で、政治改革について、昨日もやり取りさせていただきましたので、少しその続きをしたいと思います。

 今回の裏金事件、組織的に長年にわたって意図的にずっとやってきたこの悪習を断ち切るということには、私は全容解明がまずは必要で、これは皆さんおっしゃいますけれども。御党のことですから、党で何らかの区切りをつける、処分の話も出ていますから、処分をするならする、それは党が違いますから勝手にやっていただいたらよろしいですけれども。それで、再発防止をする。

 その再発防止には、我々は、そういう局所的なことだけじゃなくて、法改正も含めて、又は政治の在り方も含めて取り組んでいきましょうと。それはすなわち、三十五年前の平成元年の政治改革大綱ではそういう思想の下に書かれたんじゃないんですか、皆さんの先輩が。だから、それを是非ともそこまでの射程を持ってやりましょうというのが我々のスタンスでございます。

 昨日、今日の朝かな、報道が出ていましたけれども、うちの遠藤国対委員長と浜田国対委員長がいろいろ話をしたということで、政治改革に関する特別委員会を設置して、徹底的にそこで政治改革の議論をやって今国会中に結論を出しましょう、行けるところまで、政治の在り方まで含めて議論をやりましょうということを、進むという報道が出ていましたけれども、総理から、確実に、政治改革に対する特別委員会をつくって、座組をつくって進めていくという御決意をいただけますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、本国会中に法律改正はやらなければならないと考えています。

 具体的な議論の場をどうするかということについて私から具体的に申し上げることは控えなければならないと思いますが、今回の一連の事件を見ますときに、一つは、政治家自身の責任の取り方、会計責任者だけではなくして政治家がどのように責任を取るかという問題、そしてもう一つは、政治資金の透明性が問われている。この二つが大きな問題であるからして、自民党としましても、一つは、政治家自身の責任の厳密化、さらには、外部の監査等の導入、そして三つ目は、デジタル等を使った資金の透明化、この三点を法律という形で実現することが重要だという議論を進めています。

 是非、今国会で法改正ができるように、自民党もその議論に向けて自分たちの考えをまとめてまいります。

藤田委員 ありがとうございます。

 昨日、総理が弁明書をお読みになられました。その中に、あるべき政治資金規正法の改正についても、党の政治刷新本部の政治資金規正法改正ワーキンググループに対して指示をしたということが記載されていて、今おっしゃられたようなことが書かれています。

 いわゆる三つなんですね。一つが連座制の話ですね。政治家本人が責任を取りましょうということ。それから、外部監視、第三者機関とかいろいろやり方はあると思いますけれども、しっかりチェックを果たそう。それから、デジタル化をしましょう。この三つを指示したと書いてあるんです。お読みになられておっしゃられました。

 その三つ、私は賛成します。いいと思います。ただ、今の答弁を聞き、そして昨日の弁明を聞くと、恐らくこの三つが落としどころなんだろうという持っていき方にしか感じないんですよね。

 我々が言っているのは、そして、今国会で議論されてきたのは、もう少し広い範囲ですよ、総理。政治と金の問題を元から断つ、そして、いわゆる政治の古い慣習を断っていく、そのためには、もちろん心の部分もありますよ、倫理観。でも、制度として、より厳しく、政治家が、民間の皆さん、民間企業と同様に厳しくチェックを受け、そして民間水準で当たり前と思われるところまで行き着かないと、私は誰も納得しないというふうに思います。

 例えば、我々もずっとこの数年間言い続けてきていますけれども、文通費ですね、旧文通費。これは公開しましょうよ、もうそろそろ。これはずっと野党もみんなそろって言っています。公明党さんも言ってくださっています。自民党の中にもテレビ討論で言っている方はいっぱいいますよ、そろそろやったらいいんじゃないかと。

 だから、文通費をやるということ、総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 自民党の政治刷新本部の中間取りまとめの中で、まず、運用面で自民党自身が対応できること、先ほど申し上げた問題点に対して自民党としてできることは自民党としてすぐやるということをまず明記した上で、制度面、要は、法律改正等を必要とする部分についても自民党として真摯に議論に向き合っていく、こういった内容を取りまとめたところでありますが、委員の今の御指摘、調査研究広報滞在費、この部分については、まさに各党共通のルールの議論でありますので、法律改正の議論になると認識しています。

 是非、中間取りまとめに明記したように、自民党としてもこの議論に真摯に参加してまいります。

藤田委員 中間取りまとめは、派閥の件があって、党内ではルールを作っていろいろ取り組みますということと、それから、各党の意見を聞いて法律の議論はやりましょう、そういう内容だったと思うんですね。

 弁明書は、私は改めて問いたいんですけれども、三つ、先ほど申し上げた連座制と外部監査、それからデジタル化、この三つを指示したというふうになっていまして、これは恐らく進むんだと思います。これは、その他の政党も恐らく提案に入れていましたので進むと思いますよ。だから、やったらいいと思います。

 ただ、そこの射程の狭さでいいんですかということを申し上げていまして、ここで終わるつもりはない、射程は更に広くて、政治改革全体をやるべきだというお考えを是非示していただきたいと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げた三点については、今回の事件を振り返る中で、再発防止ということにおいて最低限やらなければならない課題であるという認識の下に、そして、それも法律改正に基づいてやるべきであるという認識の下に、ワーキンググループに対して作業を指示した、こういったことであります。

 政治改革全体ということであるならば、より幅広い議論が必要である、これは今委員がおっしゃったとおりだと私は思います。政治改革全体の議論、政治資金そのものもありますし、選挙制度を始め、国会の運営の在り方を始め、政治改革をめぐる議論には終わりがないと我々は思っております。

藤田委員 前向きなのか後ろ向きなのか分からない答弁でしたが、私は、三十五年前の自民党が作られた政治改革大綱は、そこには、実務的なものも書いてあったけれども、もう少し思想があったし、もっと政治をちゃんとやっていこう、そもそもちゃんとやっていこうという思いは少しは見て取れたと思いますが、でも、中間取りまとめにも、総理の弁明に出てくるこういう記載からも、そこまでの射程があるというふうに全く感じないんですよね。私はやっていただいた方がいいんじゃないかなと思うし、岸田総理のすごく歴史に残る大改革にしていただいたらいいんじゃないかなとさえ思うんです。

 さっき文通費の話をしました。文通費は、結局ボールは各党にお任せするというふうに投げられましたが、ほかにも、企業・団体献金の廃止、政策活動費のこともずっと問題になっています。それから、パーティー券の販売についても、元々は、企業・団体献金もそうですけれども、しがらみが根深く政治に突き刺さって、それがいびつな構造を生んでいるんじゃないかということをよくしようという観点からいうと、やはり販売制限の話をしていかないといけないと思うんですね。

 こういったところまでやるということを総理から前向きな答弁をいただきたいんですけれども、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の点、例えば政治資金パーティーの公開性の向上という議論、これは従来から問題点として指摘をされてきました。こういった議論も当然行われると認識いたしますし、企業・団体献金については、予算委員会の場で何回も申し上げてきたように、これを廃止するという議論については、最高裁の判決とか、また、まさに委員が御指摘になられた平成元年の政治改革大綱の中にあっても、法人の寄附というのは民主主義政治において重要な役割をしている、こういった指摘もありますので、まずは、先ほど言いました、透明性を高める、あるいは政治家の責任を厳格化する、こういったことを通じて企業・団体献金についてもまずは取り組んでいくべきである、その上で、民主主義のコストをどう賄うかという議論の中でその存在そのものも議論していく、それが順番ではないかというふうに申し上げています。

 それから、政策活動費、これにつきましても度々議論が行われました。政治活動の自由に関わる問題だと申し上げてきておりますが、今回の事案については、厳密に政策活動費が何か法律に触れたということ、これが確定的に指摘されているものではないと認識しています。

 しかしながら、国民の政治に対する信頼、透明性の向上、こういった点から、各党共通のルールとして政策活動費についても議論することは当然ある、こういったことを申し上げている次第であります。

藤田委員 私が申し上げているのは、総理はよく再発防止のためにとおっしゃいます。昨日お聞きしたときに、清和会のことをお聞きしました。ヒアリング調査については再発防止を目的としているんだと。要は、犯人捜しをするつもりはないと。いつから始まった、誰が指示したということ、ちょうど裏で今やっていますけれども、そういうことじゃなくて再発防止を目的としているんだという私は逃げをされたというふうに見ているんですね。

 でも、本来であれば、全容をまず総理が把握するというのが一番大事じゃないですか。そして、それに原因があって、その上で、党に何らかの処分ないし対応があり、そして再発防止が次じゃないですか。

 そうしたときに、国民の感情としては、今回の事案は確かにパーティーの件です。でも、そのパーティーの裏金を、いや、政策活動費だと思ってもらっていたと言い訳する議員がたくさん現れ、そして、恐らく、そこから示唆されることは、政策活動費が現金配りされていたんじゃないか、そういう疑いですよね。

 そういうことを断たないといけないんじゃないかというところまでもう既に話は広がっていて、私は、そういう目線で網羅的に、国民の皆さんの負託に応えるために政治と金の問題を根本から断とうよというのが今回の機会じゃないですか。私は、これをうやむやにして、先ほど総理がおっしゃられ、私が整理して三つ挙げた連座制と外部監査とDXだけをやった場合、また同じことが三十年先送りになるという危惧を抱いております。

 今日お話しいただいた内容を私なりに解釈すると、文通費はできればやりたくない。企業・団体献金の廃止は、そもそも政党交付金が導入されたときにやめようと言ったけれども、でも、政党支部という、私もその支部を持っていますよ、政党の支部、つまり、ほとんど個人の後援会と同じように運用ができる政治団体では受けられるから、だから抜け道になっている。それは、企業も政治参加するために必要だと胸を張ってそれは許容する、その議論はしないということですね。そして、政策活動費については、そもそも今回の件はパーティー券の件だから、その再発防止には努めるというところにとどめようとしていて、更に広げて政策活動費までの議論はしたくないというふうに感じざるを得ないと思いますが、総理、もし御返答があったら、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、自民党の聞き取り調査について、再発防止を目的としたものだという御指摘は当たらないと思います。

 昨日申し上げたのは、実態把握のためにも聞き取り調査を行ったわけですが、少なくとも再発防止という点においては様々な実態が把握できた、ですから、この聞き取り調査は無駄だという議論は当たらないということを申し上げたわけであります。

 そして、再発防止ということで申し上げるならば、先ほど申し上げた点は、まずやらなければいけない点だと申し上げておりますが、それ以外の点を議論しないと申し上げてはおりません。先ほど来申し上げておりますように、それぞれについて、まず再発防止の点は最優先でやりたいと思いますが、それと併せて、当然、議論の場ができるわけでありますから、御指摘の点についても各党各会派としっかり議論を行う、これは当然のことであると思っております。

藤田委員 ありがとうございます。ちょっと前向きな答弁に変わりました。

 私は、ここまで来たら、総理の御自身のお考えを聞きたいなと思っていて、私も、政策活動費を、党幹部なので運用させてもらう立場で、領収書は全部あるんですよ。そういう運用をしているんですけれども、何千万というのが収支報告に記載されますよね。それが何に使っているか分からないという状態が今適法なんですよ。だから、それはおかしいから変えようというすごくシンプルな問いを私らはやっているんですが、それはそのままでいいというふうに思っていらっしゃるんですか。

岸田内閣総理大臣 政治資金については、長年の議論の中で、政治活動の自由と国民の政治に対する信頼、透明度を高めるという二つの要請の中で議論がずっと積み重ねられて今日に至っていると認識しています。

 御指摘の点についても、これは決して自民党が決めたものではなくして、各党各会派との議論を積み重ねた上で今日に至っているわけでありますので、是非これについても議論を行いたい、このように申し上げている次第であります。

藤田委員 その言い方をされると、予算も全ての法案もみんなで議論して決めています。ただ、多数が、与党が決めますから。

 だから、政策活動費については、私は率直に今の運用がおかしいとも思うし、そういう領収書にひもづかないものがたくさんある、そして、チェックも受けないというものを撤廃していくということを全て網羅的に洗い出してやっていくという覚悟が必要なんだろうというふうに思います。

 それから、昨日の続きを少しだけ最後にやらせてもらいたいんですが、昨日の会は、皆さん、その他の五人の方が政倫審は出てこないんじゃないかというコンディションの中で、総理が、自分が自ら出る、しかも公開で出ると。もしかしたら総理お一人だったかもしれません。だから、総理は総裁として出るとおっしゃられたので、総裁というのはトップですから、その組織内に起こっていることにお答えする、そういう義務がある方だと思って私は質問をさせていただいて、だから清和会のことを聞かせてもらいました。

 そこで分かったことは、今日も昨日もいろいろ聞いていましたけれども、清和会は、誰があの長年続いたスキームを考えたかは分からない、いつ始まったか分からない。安倍総理が亡くなられる前にやめようと言って、もう一度、これは残そうと意思決定されたから残っているんですけれども、その意思決定がどういうふうに行われたかは分からない。それは、今、岸田総理は多分把握しておられない、そこまで踏み込んで調査できていないという趣旨の答弁だったと昨日は理解しているんですね。

 私は、それはしていただいた方がいい、トップマネジャーとして、自民党の経営者としてやっていただいた方がいいというふうに思っているんですね。じゃないと、どこで突っかかりが起こって、どこでおかしくなったのか分からないじゃないですか。だから、それをやっていただきたいと思うんです。総理が主導して、又は総理の誰か腹心でもいいんですけれども、総理の指示でそれが明らかになるようにやる方がいいと思うんですが、それは必要ないと思われるか、必要だと思われるか、もう一度お答えいただけますか。

岸田内閣総理大臣 まず、捜査権等がないという制約の中で、党としても実態を把握しなければいけない、こういったことで聞き取り調査等の取組を進めてまいりました。そして、御指摘の、聞き取り調査をもって全て調査が終わったなどということは申し上げておりません。事実、政倫審の議論も今続いているわけでありますし、そして、関係議員の収支報告書の修正、これも修正作業が今続けられています。そして、それに伴って説明責任も果たしていかなければならない。

 こういった状況が続くわけでありますので、党としても、政倫審を始めあらゆる機会を通じて実態把握に努める、これを続けていくことは重要であると考えています。

藤田委員 今のお話を聞くと、これは価値観の違いかもしれませんが、私は、党のマネジメントとしては非常に稚拙というか、日程闘争にまで至っているトリガーを引いてしまっているそのマネジメントは非常にまずいなと思うんですね。今のお話だったら、説明は続くんだと。ずっとこの不祥事の説明をやり続けるんですか。

 私は、自分たち自らがしっかり調査して、国民が納得できるまで、このうるさ型の野党の皆さんも納得するまで、そこまでやったか、そして、改革も自民党がここまで踏み込んできたかということをやらなかったから、この三十年、停滞したんじゃないかとさえ思っているんです。

 だから、政倫審でよく説明してくださったと思った国民は一人もいないと思います。私もそれに出席させていただいて質疑に立ち、そう感じました。ですから続いていっちゃうんですよ。いいんですか、自民党の皆さん、これはずっと続きますよ。

 だから、徹底的に浄化しようという覚悟を、私は維新の会ができるまで自民党を応援していたんですけれども、かつての自民党がどうだったかは分かりませんが、情けないなと思って見ています。

 そして、同じく党の、まあ、いろいろな不祥事もありますよ、それを治める立場だから、その難しさも分かった上で、徹底的にそれを自らやっていただきたいということを申し上げて、今後もこの話は続いていくというふうなことを申し上げて、次に行きたいと思います。

 予算委員会で私が立つのが今日で最後なので、今日は安全保障、それから経済、それから最後に、時間が間に合えば社会保障まで行ければというふうに思っております。

 まず、安全保障環境は大変厳しくなっておりまして、激変しております。防衛費の問題だけじゃなくて、乗り越えないといけない課題が多々ございます。

 その中で、最近非常に注目度の高いのは、今日はやりませんが、インテリジェンスの話、それから、今日この後に質問させてもらう防衛装備の話、それから、アクティブサイバーディフェンス、セキュリティークリアランス、たくさんあるわけですけれども、今日は、防衛装備とアクティブサイバーディフェンス、特にサイバー安全保障についてお伺いしたいと思います。

 先週、青柳議員が総理に質問させていただきました。昨年、日本、イギリス、イタリアで次期戦闘機の共同開発、グローバル戦闘航空プログラムに関する条約を締結しました。昨今の国際環境を踏まえたら、国際共同開発において第三国への直接完成品輸出を許容していくべきというふうに主張させていただいて、お考えを聞いたところ、総理は、戦略上、防衛装備の共同開発や生産、自国やパートナー国での完成品の調達に加えて、第三国移転の推進が重要であること、そして、力による一方的な現状変更を抑止する、望ましい安全保障環境を創出する、これらの目的のために重要な政策手段となるという認識を示されました。私はそれに賛同します。

 ただ、年末からの動きを見ていると、本来、この二月末に一定の結論を得て前に進んでいくのかと期待しておりましたが、これはストップしています。先送りになっております。改めてそこについての見解をいただけますか。

岸田内閣総理大臣 おっしゃるように、防衛装備品の共同開発の完成品を第三国に移転するということ、これは国益にかなうものであると考えており、これは前向きに政府としては考えています。そして、それについて今、与党で調整を行っております。

 そして、一昨日開催された与党の政調会長間での協議においては、考え方や方向性についてかなり距離が縮まってきましたが、国民の理解を得るという面で課題が残っていること、そして、一方で、速やかに合意を得るべく努力していくこと、この点については一致したと報告を受けております。

 速やかに結論が得られるよう、直接移転に係る必要性を国会の場等も通じて丁寧に説明を続けていきたいと考えます。

藤田委員 今重要な答弁をされたのでもう一度確認しますが、報道等も既に出ていますけれども、公明党さんとの連立政権において、公明党さんがかなり足を引っ張られているというようなニュアンスの報道が結構出ていますね。

 実際に見ていると、山口代表は、二月にとらわれる必要はないと十二月に既におっしゃられ、そして、一月を越えてでありますけれども、装備移転を通じ第三国や地域の安全保障政策に日本が積極的に関わっていくことはこれまでやってこなかった政策であると否定的な見解も示された。

 それから、同じく一月には、日英伊が共同開発を決めた一昨年、二〇二二年のことですけれども、その時点で、第三国は前提にしていなかったと政府自身も認めているじゃないかという非常に抑制的なコメントもされているし、北側副代表も、二月末に結論を出すということではないと思っている。

 それから、山口代表は、二月に入られても、国際共同開発した完成品の第三国への直接移転という意味で政府の重要な政策変更である、なぜ変更する必要があるのか十分に議論が尽くされておらず、国民の理解が得られる状況には至っていない。

 こういうようなことで、共同開発まではいいけれども、第三国移転には否定的であると、この数か月、何度も何度も抑制的に言ってこられています。

 これがもうまとまって、前に進むというさっきの御発言でよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 与党におけるこの問題の議論は、昨年来、ワーキンググループをつくって議論を続けてきました。そして、その結果として、与党の中に様々な意見があるという御指摘はそのとおりだと思いますが、その上で、私自身、山口代表と直接お話しする中で、この議論をワーキンググループから両党の政調会長レベルに引き上げて議論を行おうということで合意し、そして議論を行い、そしてその上で、先ほど紹介させていただいたように、一昨日、両党の政調会長間の議論において考え方、方向性についてかなり距離が縮まってきた、国民の理解を得るべく引き続き努力すること、そして速やかに合意を得るべく努力をしていくこと、この点について両党の政調会長で一致したということを報告を受けている次第であります。

 是非この議論を、結論を得るべく、引き続き深めていきたいと考えています。

藤田委員 分かりました。その件については私も賛同します。

 次に、サイバー安全保障についてであります。

 背景を少しだけ御紹介すると、ロシア、ウクライナの件においても、ロシアは相当なサイバー攻撃、サイバー戦略を持ってアプローチをしてきたということが明らかになってきています。

 侵略開始の一年以上前から、ウクライナの政府機関、重要インフラの情報システムに、ネットワークにどんどんどんどん侵入して破壊的なサイバー攻撃の準備は進めてきた。一年以上前からです。それから、侵略開始の一か月前からは破壊的サイバー攻撃が開始され、特に、前日には約三百のシステムを対象として大規模な攻撃が実施されました。そして、侵略当日にはウクライナを含む欧州地域をカバーする衛星通信を使用不可にしたというサイバー戦が既に序章として行われて、戦争に突入していっているという世界の現実がございます。

 侵略開始後も、物理的な攻撃とサイバー攻撃の組合せというのが通常になってきているというのがまずは世界の安全保障環境の現状であるということの認識は多分同じだというふうに思います。

 そして、サイバー攻撃の現状を見ると、昨年カナダのブラックベリー社がまとめた報告書によると、二〇二二年の九月―十一月という期を切り取った場合に、同社が検知したサイバー攻撃約百七十六万件のうち、日本が標的になったものは何とその中の八%もあって、アメリカに次いで二位だった。アメリカは攻撃の対象になりやすいから多いのは分かりますが、日本もそうなっている。それは、確かに重要な国であるとともに、守りが弱いんじゃないかとなめられている可能性もある。そういうことで、先回りして整えないといけないというのが今の時代の要請であることは間違いないと思います。

 イギリスの国際戦略研究所がまとめた主要十五か国のサイバー防衛能力分析によると、日本は、三グループに分けて、一番上がアメリカですね、真ん中があって、一番下に位置しているわけであります。一部の分野を除けば重大な弱点を抱えているというランキングに位置しているわけであります。

 それで、このサイバーについて、今課題は確かに整理されていまして、NISCがありますね、内閣サイバーセキュリティセンター。このNISCは、改組して更にちゃんと統括してオペレーティングできる権限を持った司令塔をつくっていこうという課題意識があるわけでありますけれども、例えば、今の現状は課題があるというふうに政府資料にも明記されているんですけれども、今、現状でいうと課題があるというからには、例えば、さっき申し上げたような、幾つかのシステムに、そして省庁横断的に民間含めて波状的に攻撃が来た場合に、統括してそれをディフェンスする司令塔となるような機能がないので、統括して対処できるんですか、できないんですか、今の現状でいうと。あしたそれが起こった場合、できるんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、現状に対する認識、そして、我が国がこの問題において出遅れているという御指摘、これは政府としてもしっかり受け止めなければならないと思いますし、だからこそ、国家安全保障戦略において、サイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させる、こういった目標を掲げている次第です。

 NISCについては、発展的に改組して、一元的に総合調整する新たな組織を設置することにしておりますが、委員の御質問は今の段階で十分対応できるのかということでありますが、もちろん、我が国の安全保障、国民の命や暮らしを守る責任は今この瞬間もずっと担い続けていかなければならない課題ですから、今のNISCの陣容において最大限対応するというのが我が国の現状であると認識しています。

藤田委員 失礼しました。通告文に明記していませんでしたが、昨日、準備室の方とかなりディスカッションさせていただいて、その内容の話を今お聞きしたんです。

 要するに、今総理がそれはできないんですと答えるのもリスクなので、別にいいんです、そこまではっきり答えていただかなくても。ただ、今のNISCの権限では、例えば省庁横断的に問題が起こる、例えば金融庁の金融システムと港湾と様々分かれていますよね、そういうところに攻撃が起こった場合に、一元的に情報を管理し、そして民間も含めて指揮をし、対応するということが法的にも組織権限的にもできないということなので、向こうが、一つのチームが波状的に攻撃してきた場合はほとんど相手にならないというのが現状です。質問者である私の理解としてということでエクスキューズしておきますが。

 ですから、そういう統括機能をつくらないと駄目だよねという課題は既に明記されていて、そして、それをつくりましょうということで、昨年一月三十一日にサイバー安全保障体制整備準備室というのが立ち上がりました。これは非常に応援しているんですけれども、ちょっと手間取っているのか、歩みが遅いんじゃないかという御批判が様々な報道機関からもニュースで出るような形になっております。

 例えば、一年たって、多分やらないといけないことは幾つかあって、幾つかまたがる法整備をどうしていくかということ、それから、実際に組織をどういうふうにして権限をどこまで持たせるかという組織論の話、そして人材の話、幾つかあると思うんですが、その辺りの整理はどの辺まで進んでいるのか。

 一月から既に一年以上たって有識者会議一つ開かれていないんですね。私はかなり心配しています。なぜならば、今の現状でいうと相当危うい状況で、統括的に司令塔をつくらないといけないという課題があるにもかかわらず、ないんです。だから、今かなり危ないんです。これを早くつくらないといけないんです。今どのようになっているかお答えいただけますか。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、昨年一月三十一日に内閣官房にサイバー安全保障体制整備準備室を設置して実現に向けて検討を進めているところですが、その第一段階として、まさに今現在御審議いただいている令和六年度予算において、サイバーセキュリティー対策の強化のためにNISCの予算や人員の大幅な増額、増員を行いたい、このように考えているところであります。

 そして、能動的サイバー防御の実現に向けた法案については、現行法令との関係等を含め、様々な角度から検討を要する事項が多岐にわたっているものと認識しておりますが、可能な限り早期に法案をお示しできるよう検討を加速しているところであります。

藤田委員 ありがとうございます。

 これについては私は物すごく必要性を感じていて、アクティブサイバーディフェンスの話は憲法議論にもつながりますから、早く表の議論に入らないといけないと思っています。ですから、ある程度課題整理をしっかりしていただくことにもっともっとプッシュしていただいて、整理したものをたたき台として表の国会議論に進んでいただきたいということを申し上げたいと思います。

 それから、これを扱うのは人ですから、能力の高い人が必要です。世界水準にまでこれを持っていかないと、世界のトップレベルまで持っていかないと意味がありません。そのときに、サイバー人材というのは非常に難しい、つまり確保が難しいという現実がございます。

 そのときに、一点お聞きしたいのが、採用で、やはり公務員の給与体系で雇用していくというのは非常に難しいので、今までは、ちょっと工夫していただいて、特定任期付職員であるとか、そういうことでかなり柔軟性を持とうとしてくださっていることは理解しています。

 しかしながら、国会法の三十五条で、簡単に言うと、国会議員の給与より、官僚のトップである事務次官、つまり官僚の給与は下でないといけないという法律があるんですよね。だから、短期であれ、例えば、サイバー人材で非常に優れた人がいて、数千万の報酬で例えば五年間スペシャリティーを発揮してもらうというような働き方は不可能なんですね。

 私は、この国会議員の方が官僚の皆さんよりも高くないといけないというルールは要らないと思っているんですね。例えば、会社の社長よりも高いCTOがいる会社は全然ありますよ。そういう専門職について敬意を払い、報酬も措置するということは私はあってしかるべきだと思うんです。今で言うと、二千万ぐらいを上限として世界トップレベルの人材を集めないといけないというオーダーを採用担当者にしないといけないわけです。これは私は無理だと思いますね。たった二千万ですかというのがこのトップレベルのサイバー人材のマーケットであります。

 この点についてどのような問題意識を持たれているか、総理からいただけますか。

岸田内閣総理大臣 まず、この分野において我が国の能力、レベルを国際的なレベルまで引き上げるという際に人材が大事だという認識は、御指摘のとおりだと思います。

 そして、現状の人事ですが、NISCにおいて、当然のことながら、関係省庁からサイバーセキュリティー対策等の経験が豊富な職員を受け入れ、研修等、更なる高度化を図る、これは行っているわけでありますが、外部から専門的な知識経験を有する者を任期付職員として採用する、又は非常勤職員として民間企業等から幅広く人材を採用する、こうした工夫をしているわけですが、まさに委員御指摘のように、収入の制限等がある、それで世界レベルの人材が集められるかという問題意識については、サイバーセキュリティーに関する調査、分析、監査等の業務の推進に当たって、必要な経費を措置し、民間企業に委託、外注することで極めて高度なサイバー人材に担当していただく、こういった取組を進めており、そして、それをまさに御審議いただいている予算案に必要な予算として計上させていただいている、こうしたことであります。

 こうした民間企業など外部の高度専門人材を活用しつつ、サイバーセキュリティー対策を強化していきたいと考えています。

藤田委員 今、すごく重要な御答弁をいただいたと私は思いました。

 経営上、確かに、社内の人事システムに合わないハイスペックな人を雇うときに、業務委託みたいな形でやることは実際にあります。それを使うというようなニュアンスだったと思うんですね、外注したり、法人に委託したり。

 私は、両方やった方がいいと思っている立場です。つまり、内製化も一定すべきで、その内製化する中で雇用していくには、政府機関で働ける、でも報酬は安い、民間の方が三倍であるみたいな環境の中で、今は手足をかなり縛られた状況で採用担当者に採用してこいと命令を出している状況なんですね。私はそれは結構かわいそうだなと思っていて、志で来てくれ、政府での経験というのを買って来てくれといって採用活動をしないといけないというふうな形なので、非常に重要な意思決定なんです、私からすると。

 だから、もう少し柔軟性、つまり、上限をもう少し外して給与設定ができる、そういう分野はサイバーだけじゃなくてほかにも実は何個かあって、そういうような仕組みを今こそ国家としてつくるべきじゃないかという本質的な問いなんです。総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 委員の問題意識は、サイバーセキュリティーの分野に限らず、我が国の様々な分野において世界に伍してレベルアップを図っていく、急速に様々な技術が進化する中にあって日本のレベルを引き上げていく、こういった取組において共通して問題となる部分であると思います。

 ですから、サイバーセキュリティーの部分ももちろんでありますが、我が国の人事の在り方としてどうあるべきなのか、こういった議論を行うことは重要であると考えます。

藤田委員 議論するだけじゃなくて、これは政治的な話なんですよ。政治家が方向を示さないと、今は枠内で最大限工夫をしてもらっていると私は官僚の皆さんと議論して思いました。非常に工夫してくださっているのは伝わりました。でも、それはやはり政治で突破しないといけないんじゃないかなという問題意識を持っていますので、総理、是非お願いします。

 次に行きます。経済をやります。

 株価について、まず新藤大臣と議論したいと思います。

 日経平均はバブル以来最高で調子がいいです。実際に、例えば経済の質疑でいうと、株価もいいし、少し需要も増えてきたしというようなことをいい情報として言っていただける。私は悪いことじゃないと思うんですけれども、まず、株価がバブル以降最高を更新しているということについての受け止めをいただけますか。

新藤国務大臣 経済状況や今後の企業活動への期待、こうしたものが反映された上で株価が史上最高を突破した、これは心強いことだ、このように思っています。

 しかし、三十年前の株価水準を超えたといって、我々とすれば、市場関係者も含めてそれをおっしゃる方はいますけれども、でも、実態でチェックすれば、アメリカは同じ三十年間で十四倍です。それから、ドイツは十倍、フランスも四倍、イギリスも三倍。私たちは一倍ですよね。

 ですから、これは、一つそういった好調が見えてきたならば、我々が常に言っている、総理とともに目指しているのは、次の新しい経済のステージをつくらなければいけない。そこは、今のこの水準ではなくて違う次元を目指さなければ、日本の経済の少子高齢化、人口減少にあっての持続的な成長のためには、もっと違うステージを目指すべきだと私は考えています。

藤田委員 新藤大臣、ありがとうございます。

 実は、一問目に、バブル以来最高でしたよね、そうなんですよといって、いや、実は三十年を見たらそういうことですよ、喜ばないでくださいねというやり取りだったんですが、先に言っていただいてありがとうございます。

 今の話をグラフにするとこういう状況なんですよね。今新藤大臣が言っていただいたのは、日本はほとんど変わっていなくて、三十年前のをやっと超えたと喜んでいて、イギリスは三倍、ドイツは十一倍、そして、アメリカに至っては、アメリカのダウ平均が十五倍になっている。こういう規模感で私たちが喜んでいていいのかという問題があって、私は、最後に言いますけれども、この三十年の失敗というのは、やはり構造改革をもっと徹底的にやらないといけなかったんじゃないかという問題意識なんですね。

 三十年を幾つか紹介すると、これがGDPですね。主要国の名目GDPは、日本はずっと張りついていて、さっきの株価と同じですね、ずっと張りついていて、でも、諸外国を見れば伸びているんですという話です。

 では、一人当たりだったら違うか、生産性はどうかというと、これも同じです。ずっと一緒です。

 それから、賃金の推移ですね。実は、名目賃金はちょっと上がっていますけれども、実質賃金は物価上昇で更にきつくなっています。こういう状況で、下降トレンドは変わらないということなんです。

 それから、平均年収ですね。さっきのは非常勤も合わせていたんですが、フルタイムだけを見た場合、その他の諸外国は伸びているけれども、日本はフルタイムの報酬というのは横ばいで取り残されているということなんです。

 それから、これが可処分所得ですね。平均所得と可処分所得、どちらも下がっているんですが、この青のラインが可処分所得なので、可処分所得はどんどん差が開いていって、しんどくなっている。そして、その理由の一つは、税や社会保険料の負担が増え過ぎているからである、もう現役世代は限界である。こういうようなことになっているわけであります。

 これを打開するには、やはり本腰を入れて、三十年たっているわけです、三十年間諸外国がもしかしたら取り組んできたかもしれない、そういう英断の積み重ねによる大改革をやっていかないといけないんじゃないかと思いますが、一言、新藤大臣、いただけますか。

新藤国務大臣 まさに、これからの、この先の時代を見据えた改革が決定的に必要だと思っています。

 まずやらなければいけないのは、安定的な物価上昇があって、それはイコール製品価格が上がっていくということですよね。でも、それでも消費が弱くならない、賃金の、それを上回る上昇率がある。

 それで、物価を上げないということは、それはGDPも上がらないということですから、消費が困らないように、構造的賃上げというのは、常に物価上昇とそれを上回る賃金上昇、これを維持しながら、人が少なくても維持できる、生産性を改善するための省力化だとか省人化、それから新しいフロンティア、イノベーション、こういったものを更に徹底的に追求していく。また、市場自体をもっと大きく捉えないと、今委員が言った社会保障の国民負担が限界だというのは、所得が伸びないから厳しいわけで、所得をきちんと増やしていく、こういうことをやりたいと考えております。

藤田委員 ありがとうございます。

 今日は齋藤経産大臣も来ていただいているので、ちょっと議論したいと思いますが、私は齋藤大臣が出されているこのコラム集が大変好きで、「「三十年」 大和民族の遺伝子」というのが、私は、他党でありながら、先輩として非常に感銘を受けました。

 これはどういう内容かというと、今日は三十年スパンの話が結構出てきています、政治改革大綱も三十五年前ですから。そして、冒頭、「三十年という月日は、日本社会を変質させるには十分な時間である。そして、そのことをその時代に生きている人々はほとんど認識できないようだ。」と始まるんですが、この内容で私がすごく共感したのは、「平成の三十年間が終わり、令和の時代が動き始めた。」という章がありまして、平成の三十年は「宿題をやらなかった夏休み」だと表現されました。つまり、本来やるべき改革をどんどん先送りにしてきて三十年たってしまい、そして、休みが明けて二学期になったときにあたふたしている日本が令和なんじゃないかと危惧される、そういうお話でした。私は非常に共感いたしました。これほどまでに改革志向の方が自民党にもいらっしゃるんだと思いました。

 今日は各論を本当はやりたかったんですけれども、様々やらないといけないと思います。

 今、産業政策を所管する大臣として、この三十年を振り返ってみて、日本は本来どんな改革をやるべきだったのか、そして今から何をやるべきなのか、お考えがあったらいただけますか。

齋藤(健)国務大臣 まず、私の冊子について言及していただきまして、感謝を申し上げたいと思います。

 ただ、この冊子は、真剣には書きましたが、一議員のときに天真らんまんに書いたものでありまして、今、経産大臣として御答弁するには一定の制約があると思いますが、ただ、本質的なことはお話しできるのかなと思っています。

 私は、日本の長い歴史を見た場合に、平時において改革をするという点におきましては、先手を打って思い切って改革をするというのがどうも弱くて、改革が後手に回ってしまうという特徴があるように思えてなりません。その理由については冊子をお読みいただくしかないんですが、私が経済産業省で若い頃に経験したことに一言触れたいと思います。

 一九八〇年代から九〇年代半ば頃まで、経済的に台頭する日本を何とか抑え込みたいということで、アメリカは必死でありました。

 一九八五年には、プラザ合意ということで、日本の経常収支の黒字を縮小するためにはもう為替介入しかないということで、大胆な為替介入によって一気に円高にして、経常収支の日本の黒字を、言葉は悪いですけれども、何とか痛めつけてやれというような印象で私は受け止めておりましたし、同じ一九八五年にヒューレット・パッカードのヤング会長がヤング・レポートというのを出しまして、この中では、いかに日本をやっつけるかということで、経済界、産業界が総力を挙げてレポートを作った。

 それから、当時は、例えばMITというアカデミズムも、日本のトヨタの強みは何なんだ、どうしたらトヨタに勝てるんだということをアカデミズムまで真剣に検討して、それがどんどんどんどん日米交渉の中で我々はプレッシャーをかけられ続けるということを経験してまいりました。

 その後、日本は逆の立場になって、今度は中国などの新興国の追い上げを受ける立場になったわけです。

 この三十年間、私は、かつてのアメリカが感じて、政界や経済界やアカデミズムが必死の危機感を感じて、日本が総力を挙げてかつてのアメリカのように対峙してきたとはどうしても思えない。つまり、危機感がなかったわけではないんですが、それが微温的なものであったのではないか、だから物事は何事も思うようには進まなかった面があるのではないかと思います。

 ただ、私も政治家でありますので、ではどうするかということでありますが、今、経済産業大臣という立場になりまして、国内経済に久方ぶりの上向きの潮目の変化、これが生まれています。私にできることは、この機に一気に進められるものは進めたいということに尽きます。

 マクロ経済的には、まさに賃金と物価と成長の好循環を何としても実現したいということでありますし、産業政策的には、経済産業政策の新機軸と銘打って、急速な技術革新が進む中で、成長のエンジンとなり得るGXやDXを思い切って推進していきたいと思います。そして、将来、需要が激増すると思われる半導体分野につきましては、かつてない思い切った政策支援を行って、半導体産業にかつての栄光を取り戻したいと思っています。

 また、企業構造の在り方まで議論していく必要があると思っていて、チャレンジ精神を発揮してイノベーションを担ってくれるスタートアップをもっと大きく育てていくには何が必要か、中堅企業については、今国会に提出している産業競争力強化法で初めて定義しますが、こうした成長志向の強い企業を後押ししていく方策は何なのかなど、これまでエコシステムが弱かったのではないかと思われる分野につきましても手を加えて、成長に貢献してもらいたいと思っています。

 成長の牽引役、良質な雇用創出の担い手が育成されることで初めて、私は、前向きな形で個人の労働移動円滑化も進むし、企業の新陳代謝も進むと考えています。

 話し始めると二時間ぐらいかかりますのでこの辺にしたいと思いますが、簡単なことではないですけれども、今がまさに三十年たって二学期が始まるということで正念場だと思っていますので、強い覚悟を持って取り組んでいきたいと思っていますので、藤田幹事長にも是非御協力いただきたいと思っています。

藤田委員 齋藤大臣の思いを聞くような質問にしてしまったので、かなり長くなってしまいましたが、ありがとうございました。

 平時にどれだけ改革を性根を入れてできるかということが大事だというところから始まったことに私は共感します。

 この三十年の停滞は、私は、恐らく、政治改革を徹底的にやらなかったからなんじゃないかということも一つあるんじゃないかなと。政治が姿勢を示して徹底的にチャレンジ精神を見せていくんだということも一つの要素ではあったんじゃないかなとやはり思えてならない。今日は三十年スパンの話が非常に多かったので。

 最後に、数問もできなさそうですが、万博についてやりたいと思います。

 今の話から考えると、死に物狂いでチャレンジする人の背中を押さないといけないということなんだと思うんですね。

 今、非常に批判的なことが出ています。その中にはデマもあるし、かなり情報として微妙なものもあって、万博に関わるのが何か悪いことなんじゃないかなと思うように誘導されている方もかなりいらっしゃって、非常に心苦しく思っています。(発言する者あり)ちょっと黙っていただけますか。

小野寺委員長 静粛にお願いします。

藤田委員 例えば、猪瀬議員がブログに書いていましたが、工事の件で、もしかしたら震災復興の足を引っ張るんじゃないかという話がありますが、日本全国で経済活動をやっています。工事の日本国内の発注額は年間七十兆円ぐらいと見積もられていて、復興は二・六兆です。万博は民間投資も合わせても三千五百億ですから、これが甚大な影響を及ぼすかというのは理知的に考えるべきなんですが、感情論で語られることもあります。

 また、トイレの話、二億円のトイレ。二億円でトイレを一個造るみたいに思っていらっしゃる方もいるんですが、違います。六十あって、公共施設の投資ですると、単価平米を考えた場合に全然高くないという形で、非常におかしな言説も出てきているわけであります。

 ただ、これを……(発言する者あり)

小野寺委員長 静粛にお願いいたします。

藤田委員 三十年でいうと、使用頻度で考えたら、便器一台で考えたら二、三十年分ぐらいの利用頻度があります。

 こういうふうに、一つ一つ理知的に、おかしな議論は打ち返していかないといけないんですが、やはりポジティブな発信をしていかないといけないと思うんですね。

 それで、所管される大臣、このポジティブな情報をどう発信していくか。今まだオープンにできないこともあると思うんですが、どうやって機運を盛り上げていくか、お答えいただけますか。

齋藤(健)国務大臣 まず、何をやるのかということをよく理解してもらうことがすごく大事だと思っていまして、私は、大阪・関西万博は、ポストコロナの新たな世界、未来社会がそこに行くとのぞける、我が国のイノベーションの可能性をそこに感じることができる、そういう未来社会の実験場として是非理解していただきたいと思っています。

 具体的に言わないと分からないと思うんですけれども、私自身、万博の目玉となるプロジェクトについて一つだけ例を挙げますと、石黒浩プロデューサーが手がける最新のアンドロイド技術を使ったアバターロボットがいるんです。このアバターロボットは、石黒先生と同じ格好をしているわけですね。それでしゃべるわけです。そのしゃべる内容というのは、実は、そのアバターロボットと生成AIが今や合体していますので、石黒先生の書いた本、論文が全部インプットされていまして、石黒先生がそこにいなくても、質問すると石黒先生と同じように答えてくれる。石黒先生が言っていたんですけれども、これから大学の授業はみんなこいつにやらせようとか言っていましたけれども、そこまで技術は来ているわけですね。

 そうしますと、例えば、自分のおじいちゃんのアバターロボットがあって、おじいちゃんは亡くなったんだけれども、アバターロボットはそこにいて、かつてのおじいちゃんと同じ会話がロボットとできるとか、そういう未来がもう間近に来ているということなんですね。

 そういうことを前提にして、じゃ、自分たちは実り多い社会をどうやってつくっていくのかというのを是非私は若い人たちに来てもらって考えてもらいたいなと思うんですね。

 これは一例なんですけれども、そういうものがたくさん工夫をされておりますので、是非そういうポジティブなものを、これからだんだんと発信できるような段階になってきますので、しっかり発信していきたいと思っています。

 私は、特に、日本の将来を担っていく子供たちに万博会場に足を運んでいただきたいと思っていますので、その意味では、どういうふうにしたら子供たちにアプローチできるか、これからしっかりやっていきたいと思いますし、当たり前のことですけれども、博覧会協会、大阪府市と連携しながら、マスメディアのみならず、自治体の広報紙など、様々な媒体を活用するということも重要なので、全国的な機運醸成に努めるとともに、在外公館にも様々なネットワークがありますので、海外広報にも取り組んでいきたいと思っているところであります。

藤田委員 時間なので終わりますが、本当に日本には様々な分野でチャレンジと改革が必要であります。是非ともその第一歩として、総理、政治改革を是非前に進めていただけますようによろしくお願いいたします。

 以上です。

小野寺委員長 これにて藤田君の質疑は終了いたしました。

 次に、金村龍那君。

金村委員 日本維新の会、金村龍那です。

 教育無償化を実現する会との共同会派を代表して、質疑をいたします。

 いわゆる派閥による組織的な裏金とも言われる今回の政治と金の問題、そして、五年で十一人も逮捕者を出している現状、やはり、この政治と金の問題を根絶するためには、私は、少なくとも、自民党が選挙に勝つことだけを目的にした、この選挙至上主義のように見えてしまう現状をまさに改めていかなければならないと。逮捕者の中には、地方議員に対してお金を配り、逮捕されている。一方で、参議院議員を通して組織内議員を多く抱え、組織や団体としがらみを抱えている。ここをしっかりと解消していかなければ、少なくとも、自民党による政治と金の問題は解決をしない。(発言する者あり)ありがとうございます、御指摘。

 その上で、今回、昨日総理が政倫審に出席をされて、御発言を聞いていると、やはり、真相究明よりも、どちらかといえば再発防止に軸足があると感じました。

 今回、一月に総理自身が派閥の解散を明言しました。そもそも、派閥を通して今回の問題が起きているのであれば、派閥を解散する前にやはり真相究明にしっかりとかかるべきだったと私は感じておりますが、本当に総理は、再発防止よりも真相究明をしなければ、現状維持、微修正が続いてしまいますから、本当に真相究明をリーダーシップを取って、発揮するのか、御答弁ください。

岸田内閣総理大臣 真相究明、事実の把握、それがあってこそ説明責任を果たすことができるわけでありますし、そして、それがあってこそ政治責任を果たすこともできるわけでありますので、再発防止、もちろん大事なことでありますが、これらを総合的に進めていくことが国民の政治不信に対して政治家が真剣に向き合う態度ではないかと思います。

 ですから、事実の究明、決して軽んじているものではありません。再発防止と並行して、事実の確認と説明責任と、そして政治責任、さらには道義的な責任、これについても党としてしっかりと判断していきたいと考えています。

金村委員 やはりスピード感がなければ国民から、更に信頼を裏切ることになると思いますので、まずは真相究明に徹底して力を入れて取り組んでいただきたいと思います。

 その上で、党内の処分について少し伺わせてください。

 そもそも、党内の処分ですけれども、総理のリーダーシップ、力強い指導力を発揮して処分をすることが必要なんじゃないかという点。それから、自民党という組織にとって、やはりガバナンスをしっかり維持していかなければなりませんから、仮に罪を犯せばしっかりと処分をする。

 一方で、この間二か月余り、真相究明、再発防止、説明責任、議員個人に委ねてきたのかもしれませんが、実際には処分がなされていない、党内として。

 私は、よくよく考えてみると、もし総理が党内の議員全員を仲間だと思えば、早く処分することも、それは、その人たち、裏金議員としてリストに挙がっている人たちにとって生煮えの状態で二か月余りずっと続いているのは、これは我々外から見ると、わざと処分していないんじゃないか、半ば権力闘争なんじゃないか、そういうふうにしか見えないんですね。

 やはり、悪いことをしたら処分される、そして、処分された期間研さんを積んで、終わればまたしっかりと国民のために働く、そのためには処分がないと自民党内も動けないと思うんですよ。それを、ずっと予算委員会一か月以上通して政治改革の議論をしてきました。

 やはり、総理自ら真相究明に力を入れることと、一方で、今回リストとして挙がっている皆さんをしっかりと党として処分すること、これを期限を区切って明言することはできませんか。

岸田内閣総理大臣 処分が権力闘争等ではないかという御指摘は全く当たりません。

 先ほど申し上げたように、これは実態を把握した上で、その説明責任、政治責任、さらには再発防止、これに努めていかなければならないということでありますが、この実態把握についても、委員御案内のとおり、この事案については昨年末から大きくマスコミ等でも取り上げられるようになったわけですが、一月に入ってからも検察の捜査が行われていました。よって、その捜査の進み具合を見ないと本人も修正等の対応はできなかったわけですし、そして、捜査が進む中にあって、説明ということについても、十分説明することができなかった、制約があった、こういった実態があったんだと思います。

 そして、捜査が行われた後、それぞれ、捜査を踏まえて事実を確認した上で修正を行い、そして個別の説明を行い始めた、そして、党としても、党独自の立場で聞き取り調査も行ってきた、こういった段階を踏んできたわけであります。そして、実態把握については、今でも、今日も政倫審が行われるなど、様々な確認が行われている、こういったことであります。

 事実をしっかり確認した上で、説明責任を果たした上で、政治責任、道義的責任についても判断していく、これが順番だと思っておりますので、今言った経過の中で、しかるべきタイミングで党としても政治責任について判断をしていきたいと考えています。

金村委員 確かに、総理の話を聞くと、それもさすがにそうだなと理解は示すんですが、ただ、やはり、一つ一つのスピードが遅いと、国民からそっぽを向かれる、信頼を失う。やはりそこは国民感覚にしっかり寄り添って判断をする、決断をする必要があると思います。

 その上で、総理が政倫審に出席をされたこと、私は、外から見ていると、これそのものは、やはり自民党のガバナンスが行き届いていないのかな、結果として、総理がリーダーシップ、出席という形の決断をするしか選択肢はなかったのかなと外から見ていると感じているんですけれども、一方で、総理、派閥のことを、人事と金を切り離す、政策集団、そういう表現をされていると思うんですけれども、閣僚人事があるときに、参議院枠という言葉を我々は報道でよく見るんですね。

 私は自民党の中の議員になったことがありませんのでよく理解をしておりませんが、自民党総裁にとって、自民党参議院議員の人事権というのはあるんですか。

岸田内閣総理大臣 自民党参議院の人事権ということですが、これはまず、その人事権というのはどこの範囲までをいうのかということを確認しなければならないと思いますが、基本的に、参議院自民党の会長その他役員の人事については、参議院の自主性に鑑みて、例えば参議院自民党の会長、これは、所属参議院議員による公選、選挙によって選ばれることになっていますし、その他の役員は、選挙で選ばれた会長の推薦に基づき、それぞれ行われる、このような仕組みになっています。その今言った部分について、総裁として人事等を行っているということはありません。

 ただ、今、委員の方から、閣僚人事という部分について触れられました。閣僚人事については、最終的に、内閣総理大臣として衆議院も参議院も含めて判断するというのが現実であります。

金村委員 つまり、参議院自民党の役員人事にはほぼ権限がないと聞こえたんですけれども、何が言いたいかというと、先ほど、私、冒頭申し上げたとおり、いわゆる政治と金の問題はしがらみだ、企業、団体とのしがらみの中の一つにいわゆる参議院選挙、参議院議員の在り方。そして、私は、派閥について解散するのは少し早かったんじゃないかという指摘もいたしましたが、つまり、いわゆる衆議院と参議院をあまねくある種のガバナンスをしてきたものに、やはり派閥というものが一定機能をしていて、参議院自民党に人事権がなくなれば、総理がある種孤立をしていくことだってあり得るわけですね。

 日本の政治にとって、自民党政権から政権交代した二回は、政権交代の衆議院選挙の前に参議院が過半数を割れていますね。つまり、参議院においての人事権というのは実は自民党にとって非常に大きいんじゃないかなと私は考えています。早急にこの党の組織の在り方を、派閥をもし解散するのであれば、やはりしっかり検討いただいた方がいいかなと思っています。

 一方、先ほど我が党の藤田委員からもありました、政治改革の話になると、三十年というスパンが非常に話題になってくると。私、自民党の歴史を見ていくと、この三十年間、大きく変化したものが二つ。それは選挙制度、もう一つは連立政権。

 私は、冒頭申し上げたとおり、自民党が、やはり選挙至上主義、選挙に勝つためだけにかなり力を寄せてしまっている。だから、なかなか政治とお金の解決もしないし、一方で、改革を先送りしてでも与党でい続けることを可能にしてしまっている。

 その一つが私は連立政権にあると考えています。本来、選挙前から連立を組むのであれば、やはり合併するべきだと思うんですね。つまり、もう別の政党で連立を組み続けて、選挙制度上、やはり小選挙区制度ですから、二大政党制を志向していくことが一番あるべき姿なわけで、権力が交代しないことが腐敗につながるのであれば、やはりそこはしっかりと制度に準拠する必要があると考えています。

 この連立政権についてどのようにお考えですか。

岸田内閣総理大臣 まず、自公連立政権については、二十年以上にわたって緊密に連携をし、様々な課題、国政に関わる重要な課題について議論をし、乗り越えてきた歴史があり、公明党は重要なパートナーであると考えています。私の政権になってからも、連立を基盤に、様々な課題、先送りできない課題について答えを出してきました。

 委員の方から、そういったことであるならば一緒になったらいいのではないか、こういった御指摘でありましたが、やはり政党というのは、それぞれ歴史があり、それぞれに哲学があり、そして、それぞれ政党を応援する方々がおられます。その中で、国政を動かすということについて、共にこの思いを共有できる部分については全力で協力をしていく、これは大変重要なことだと思いますが、一方で、課題によっては、党の歴史やあるいは哲学との関係においてなかなか合意できない、こういった部分もあります。しかし、そういったときこそ、歴史や考え方の違い、お互いに刺激を与えることによって、よりよい結果を出すために丁寧な議論を行うことが重要になってくる、こういった場面もこれまでも多々あったんだと思います。この両方があることが連立政権の大切なところではないかと思います。

 全て同じ政党になってしまうということにおいては、連立政権との比較において、メリットももちろんあるとは思いますが、今言った、お互いの切磋琢磨なり刺激をし合うという部分については薄れてしまう、こういった点もあるのではないか、このように考えます。

金村委員 時間になりました。

 最後、一番長く御答弁いただいたので、非常に大切だという思いは伝わりました。ありがとうございます。

小野寺委員長 これにて金村君の質疑は終了いたしました。

 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党、田中健です。よろしくお願いします。

 子供、子育て支援金について伺いたいと思います。

 昨日、中央公聴会でこの議論が行われました。公述人からは、問題だらけだ、撤回すべきだという声がありました。また、負担が発生することを国民に真摯に説明をすべきだという声もありました。しかし、総理は、歳出改革によって財源を生み出して、国民には実質的負担はないとこれまでも言い続けています。

 ちょっと確認ですが、社会保険料負担は、二〇二三年度、今ですが、これから増えます、これは間違いないのか、確認いたします。

岸田内閣総理大臣 社会保障給付については高齢化などによって伸びてきている、これは事実でありますし、これからも高齢化は続いていくと考えております。

田中(健)委員 つまり、社会保険料負担は増えるということだと思います。

 それについては、総理は、七十兆円を、将来の社会保険料の伸びが、今言いました高齢化によって増えると。それは七十四兆円が二〇二八年に想定されていますが、その中で、それを三兆円までに抑えれば一兆円が節約できる、その一兆円を財源に充てるということで実質的には予算が増えない、このことを負担がないというふうに今もおっしゃっているとは思うんですけれども、実際、三兆円増えますし、更に一兆円とすれば四兆円が増えるわけですから、実質は、社会保険料の負担は増えているということでよろしいでしょうか。

岸田内閣総理大臣 高齢化などによって社会保障給付が伸びていること、これは今申し上げたように事実であります。支援金制度の構築に当たっては、そこからどのように変化するか、これが重要であるということを申し上げています。

 公費については、令和五年度、六年度、この両年度の予算において、二年間で約〇・三七兆円程度の節減効果が示されていますが、これを十年度まで継続することで一・一兆円確保する、このように申し上げています。

 そして、保険料負担については、五年度、六年度で〇・三三兆円ですので、十年度まで引き延ばして約一兆円の軽減を生じる、この範囲内で支援金制度を導入する、このことを申し上げておりますので、高齢化が進む、これはそのとおりでありますが、その上で、支援金制度の構築に当たってどう変化するのか、これを説明させていただいているわけであり、今言ったような理屈から、社会保険料の負担は増加することはないという御説明をさせていただいております。

田中(健)委員 社会保険料の負担額は増えると思うんですね、それは高齢化によって額自体が増えますから。ですから、その確認はさせていただきたかったわけであります。それ以降のことは、それはあくまで仮定ですから、仮定に仮定を重ねても、私たちはそれが分かりませんから、是非、負担額が増えていることだけをまず確認させていただければと思います。

 そして、負担額についても確認をいたします。

 総理は、一律五百円前後ということを言い続けてきました。大臣からは千円という被保険者の話もありました。やはり、これも不信感を募らせています。国民に分かりづらいです。是非、負担がないような説明ではなく、しっかりとこの説明をしてほしいと思っています。

 昨日の西沢公述人からは、この負担率について、按分をすると料率加算は〇・三%ほどだと。そうしますと、所得に料率を掛けますと、被保険者一人当たり負担は、額が大きければ二千円ということもあり得るということが計算では成り立ちますけれども、このようなことでよろしいでしょうか。

岸田内閣総理大臣 加入者一人当たりの負担、これは月五百円弱であると説明をさせていただいているわけでありますが、それに対して、加入する医療保険制度によって、あるいは所得の多寡によって、さらには、これは加入者一人当たりと申し上げているわけですが、世帯単位でどうかというような議論もこれは交じってきていますので、かなり説明が混乱している部分があると思います。

 いずれにせよ、一人当たりの負担、五百円弱というのは、歳出改革によって社会保険料の負担の軽減効果を生じさせて、その間にこの制度をつくるわけでありますから、例えば、世帯でどうかということで、加入者がたくさんいるわけですから当然額は増えますが、一方で、加入しているそれぞれの医療保険等の社会保障の負担はそれぞれ軽減効果を生じるわけでありますから、トータルとしてこの社会保険料の軽減効果を上回ることはないということは説明させていただいています。

 そういった理屈から、世帯ごとの金額が所得であったりあるいは人数によって増えることはあっても、それを上回る社会保険料の軽減効果がその世帯なりその加入者には生じている、こういったことから、負担は増えないと申し上げているところであります。

田中(健)委員 加入者と言っていますと、子供も入ります、赤ちゃんも入ってしまいますので、それだと分かりづらくなっちゃいますので、被保険者、いわゆる一般的に働いているサラリーマンがどのくらい増えるかということを議論したいと思うんですけれども。

 昨日の新聞では、支援納付金、一兆円ということが言われていますけれども、これは按分すると、被用者保険は六千七百億円近くですね。被保険者、つまり働くサラリーマン一人当たりにすると、割ると、月額負担は千二百五十円になるということでありますから、一人当たり、加入者でいうと五百円弱かもしれないですけれども、被保険者、サラリーマン、勤労者が、これを割りますと、頭割りすると千二百五十円に計算上なりますけれども、つまり、働く勤労者の負担は五百円ではないということでよろしいでしょうか。

岸田内閣総理大臣 加入者一人当たりか被保険者一人当たりかという議論でありますが、この被保険者、雇用保険等においては、それは世帯分でありますから、何人分も保険を払う、これが現実でありますが、先ほど申し上げましたように、その一人一人について社会保険料の軽減効果、これが生じるわけでありますから、一人当たりの拠出の額が増えるならば、その保険料の負担軽減効果も大きくなるわけでありますから、その平均を考えたならば、間違いなく負担は軽減されると説明をさせていただいております。

田中(健)委員 負担率は、それは軽減されるかもしれません。額自体は増えていますから、そこを、増えるに決まっているということは理解をいただければと思っています。

 そして、そうであるならば、一日も早く保険者別と所得階層別の一覧を出していただいて、それは目安でも仮定を置いてでもいいですけれども、そうしないと、いつまでたってもこの議論を何度も予算委員会の中でして、国民も大変分かりづらいと思いますので、冒頭、公述人から、やはりしっかり説明をして、必要なものは必要だと言っていただいて、その代わり、これだけ子育てに対して政府が、国が力を入れているということを是非お示しいただければと思います。

 さらに、この子供支援金制度の導入と徴収コストについても伺いたいと思います。

 大変大きなコストになると思います。三千四百の保険者、あと四百万の企業、さらに支払基金、これだけの関係者がいるわけですけれども、一体幾らのコストがこの徴収にかかるのかということです。高齢者は二百円超だということでありますが、徴収額よりコストの方が大きくなってしまったら、これは元も子もありませんから、本末転倒です。これは、ばらつきを考えるとどのくらいになるかというのもしっかりと今から考えていかなきゃなりませんが、そのコストはどのくらいと見込んでいるんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 支援金制度は令和八年度から段階的に導入されるものですが、その施行に向け必要な経費についても、今、こども家庭庁を中心に検討を進めているところでありますが、支援金については、既存の医療保険制度を通じて医療保険料と併せて賦課徴収する、こういったことを考えておりますので、コストについてもこれは効率化されるものであると考えております。

田中(健)委員 効率化するのは分かる、幾らぐらいかかることを想定されているのかということですが、お示しいただけますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、今、こども家庭庁を中心に調整、検討しているところでありますが、従来のシステムを活用するわけですから、併せて徴収するわけですから、それなりの効率化が図られるものである、過重なものにならないと考えていると申し上げております。

田中(健)委員 是非、数字を出していただいて、また議論していきたいと思います。

 最後ですけれども、子ども・子育て拠出金についても伺いたいと思います。

 今回の支援金は、医療保険に上乗せされるのは、他の社会保険に比べて賦課対象が広いからということでこの支援金を入れたという説明をこども家庭庁から受けました。しかし、子ども・子育て拠出金は大変限定されています。厚生年金保険に〇・三六%上乗せされています。そして、対象は厚生年金の適用事業所などだけであります。ですから、整合性が、この子供支援金と拠出金がつかないかと思います。

 これについては、総理、どのようにお考えでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、支援金制度については、医療保険制度が、委員御指摘のように、賦課対象者が広い、そして、医療保険制度も世代を超えた支え合いの仕組みが組み込まれている、こういった共通点があります。それに加えて、少子化、人口減少に歯止めをかけるということになりますと、医療保険制度の持続可能性を高める、こういった受益もあるわけですので、医療保険と併せて徴収するということにしたわけです。

 一方、御指摘の子ども・子育て拠出金、これは仕事と子育ての両立を支援するために事業主の皆さんから拠出をいただく、こういったものであります。将来の労働力の確保にも資するものであり、被用者を対象とする厚生年金の徴収システムを活用して事業主の皆さんから拠出をいただく、こういったものであります。

 これはそれぞれ役割があるわけでありますので、この支援金が導入されたからといって、子ども・子育て拠出金の意義が失われるものではないと考えます。

 そして、従来、子供、子育て予算の抜本的強化に当たっては既存の予算の活用を最大限図る、こういった点も申し上げているところでありますので、この子ども・子育て拠出金を廃止する等については考えておりません。

田中(健)委員 厚生年金保険に上乗せ、医療保険に上乗せということで、企業も、また家計も、金銭的負担が物すごくこれは増えます。さらに、制度が複雑化してきて、負担と給付の関係が本当に分かりづらくなっていますので、是非説明責任を果たしていただくことを要望して、質問を終わります。

小野寺委員長 これにて田中君の質疑は終了いたしました。

 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 よろしくお願いいたします。

 昨日、過去に不記載で略式命令を受けたS元議員の裁判記録を東京地検で閲覧をいたしました。ここにコピーも持っております。裏金化していたのは、要するに、銀座や赤坂での高級飲食店での飲食が非常に多かったです。そして、御本人の供述でも、それは収支報告に載せにくいとはっきりと供述をいたしておりました。

 パーティー券の裏金そして政策活動費、いずれもそういうものではないんですか、岸田総理大臣。

岸田内閣総理大臣 今、裁判記録を御覧になったということでありますが、私自身、それは誰のどういう記録か承知しておりませんので。

 それが政策活動費等ではないかということでありますが、その実際について、私は何か判断する材料は手元に持っておりません。

緒方委員 そういうものがパーティー券の裏金や政策活動費に含まれていることはないと確約できますか、岸田総理大臣。

岸田内閣総理大臣 政策活動費については、従来から申し上げておりますように、党勢拡大、あるいは政策の、調査等に使うというものであります。

 そして、もう一つは、政治資金パーティーにつきましては、当然のことながら、政治資金規正法等、法律に基づいて使用されるものであると認識をしております。政治活動に使われるものであると認識をしております。

緒方委員 そして、もう一つ多かったのが、地元での会費、御祝儀的なものが非常に多かったです。供述の中では、誰とつき合いがあって幾ら出しているかというのがばれたくないということでありました。

 飲食についても、祝儀についても、これは財務大臣にお伺いしたいと思いますが、その程度の理由で表に出せない金であれば、所得税を控除する必要はないというふうに思いますが、財務大臣、いかがですか。

鈴木国務大臣 済みません、ちょっと質問を、ちょっと話をしていたものですから。(発言する者あり)

小野寺委員長 御静粛にお願いします。

緒方委員 飲食が高額だから表に出せないとか、誰とつき合いがあって幾ら出しているかというような、そういう地元での会費、御祝儀は出せないとか、そういうものについては所得税の控除は必要がないというふうに思いますが、財務大臣、いかがですか。

鈴木国務大臣 政治資金については、度々申し上げていますとおり、仮にそれが個人に帰属をするということであるならば、政治活動に使ったものが控除に当たって、残りは申告をして、課税をさせなければいけないということです。

 したがって、控除できないものは、政治活動以外は控除できないということです。

緒方委員 ちなみに、供述の中には、パーティー券収入がでかくなると同僚国会議員から妬まれる、表の政治団体に金があることが分かると地方議員からもっとよこせと言われる、だから裏金化したんだという話がありました。

 岸田総裁にお伺いしたい。自由民主党にはそういう文化がおありなんですか。

岸田内閣総理大臣 いずれにせよ、御指摘の点、私は判断する材料がありません。

 自民党としては、当然のことながら、政治資金規正法、法律等に基づいて政治資金を扱う、これが当然のことであると思っています。

緒方委員 旧文通費について、供述によると、副大臣になって給与を返納した結果、手元に残る収入が減った上で、派閥への納付、県連への納付、議連の会費等で生活費がつらくなってきたので、マンションの費用、社会保険料、そして公租公課を旧文通費から出していたということでありました。

 私、ここは、これがいいと全然思わないんですけれども、事実であれば、ちょっと身を切る改革にも限度があるんじゃないかなというふうに思いますけれども、岸田総理、いかがお考えですか。

岸田内閣総理大臣 いずれにせよ、御指摘の点について、私は判断する材料を持ち合わせておりません。

 いずれにせよ、法律に従って政治資金を扱うこと、これは当然のことであると考えます。

緒方委員 では、旧文通費でマンションの家賃、公租公課、さらには社会保険料を出す行為はよくないというふうに思われませんか、岸田総理大臣。

岸田内閣総理大臣 文通費の使途等につきましても、これは各党での議論の中で、議論が行われてきていると承知をしています。

 是非、各党で文通費の取扱い等については議論を続けていくべきであると考えます。

緒方委員 そういうのを見たときに、私、旧文通費の透明化というのは、これはもう不可避ではないかと思います。

 透明化の方向性については同意をいただけますでしょうか、岸田総理大臣。

小野寺委員長 既に時間は過ぎております。

岸田内閣総理大臣 先ほど来申し上げておりますように、旧文通費につきましては、各党共通のルールとして議論を続けるべきであると認識をしております。

緒方委員 終わります。

小野寺委員長 これにて緒方君の質疑は終了いたしました。

 なお、理事会での協議を踏まえ、次回は、明二日午前零時十分から理事会、午前零時三十分から委員会を開会することとなりましたので、御承知おきください。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後七時四十五分休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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