第18号 令和6年5月20日(月曜日)
令和六年五月二十日(月曜日)午後一時開議
出席委員
委員長 小野寺五典君
理事 上野賢一郎君 理事 加藤 勝信君
理事 島尻安伊子君 理事 橋本 岳君
理事 牧島かれん君 理事 奥野総一郎君
理事 山井 和則君 理事 漆間 譲司君
理事 佐藤 英道君
井出 庸生君 井上 貴博君
井原 巧君 伊東 良孝君
伊藤 達也君 石破 茂君
今村 雅弘君 越智 隆雄君
奥野 信亮君 金田 勝年君
亀岡 偉民君 木村 次郎君
熊田 裕通君 後藤 茂之君
坂井 学君 鈴木 貴子君
田中 和徳君 平 将明君
塚田 一郎君 冨樫 博之君
平沢 勝栄君 藤丸 敏君
三ッ林裕巳君 宮路 拓馬君
山本 有二君 若林 健太君
渡辺 博道君 井坂 信彦君
石川 香織君 落合 貴之君
小山 展弘君 酒井なつみ君
櫻井 周君 階 猛君
野田 佳彦君 藤岡 隆雄君
山岸 一生君 吉田はるみ君
米山 隆一君 早稲田ゆき君
青柳 仁士君 林 佑美君
藤田 文武君 堀場 幸子君
守島 正君 山本 剛正君
赤羽 一嘉君 金城 泰邦君
中川 康洋君 塩川 鉄也君
宮本 徹君 古川 元久君
緒方林太郎君 福島 伸享君
…………………………………
内閣総理大臣 岸田 文雄君
法務大臣 小泉 龍司君
財務大臣 鈴木 俊一君
環境大臣 伊藤信太郎君
財務副大臣 赤澤 亮正君
政府参考人
(内閣法制局第一部長) 木村 陽一君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 高橋 謙司君
政府参考人
(内閣府孤独・孤立対策推進室長) 江浪 武志君
政府参考人
(総務省大臣官房総括審議官) 海老原 諭君
政府参考人
(総務省自治行政局長) 山野 謙君
政府参考人
(総務省自治行政局選挙部長) 笠置 隆範君
政府参考人
(法務省民事局長) 竹内 努君
政府参考人
(国土交通省国土政策局長) 黒田 昌義君
政府参考人
(環境省環境再生・資源循環局次長) 角倉 一郎君
予算委員会専門員 齋藤 育子君
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委員の異動
五月二十日
辞任 補欠選任
石破 茂君 冨樫 博之君
岩屋 毅君 鈴木 貴子君
衛藤征士郎君 三ッ林裕巳君
牧原 秀樹君 藤丸 敏君
宮路 拓馬君 坂井 学君
山本 有二君 井原 巧君
大西 健介君 吉田はるみ君
小山 展弘君 櫻井 周君
藤岡 隆雄君 野田 佳彦君
山岸 一生君 酒井なつみ君
米山 隆一君 落合 貴之君
奥下 剛光君 山本 剛正君
林 佑美君 青柳 仁士君
守島 正君 堀場 幸子君
角田 秀穂君 中川 康洋君
宮本 徹君 塩川 鉄也君
田中 健君 古川 元久君
緒方林太郎君 福島 伸享君
同日
辞任 補欠選任
井原 巧君 山本 有二君
坂井 学君 宮路 拓馬君
鈴木 貴子君 井上 貴博君
冨樫 博之君 石破 茂君
藤丸 敏君 牧原 秀樹君
三ッ林裕巳君 木村 次郎君
落合 貴之君 米山 隆一君
酒井なつみ君 山岸 一生君
櫻井 周君 小山 展弘君
野田 佳彦君 藤岡 隆雄君
吉田はるみ君 大西 健介君
青柳 仁士君 林 佑美君
堀場 幸子君 藤田 文武君
山本 剛正君 奥下 剛光君
中川 康洋君 角田 秀穂君
塩川 鉄也君 宮本 徹君
古川 元久君 田中 健君
福島 伸享君 緒方林太郎君
同日
辞任 補欠選任
井上 貴博君 熊田 裕通君
木村 次郎君 衛藤征士郎君
藤田 文武君 守島 正君
同日
辞任 補欠選任
熊田 裕通君 岩屋 毅君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
予算の実施状況に関する件(国内外の諸課題)
――――◇―――――
○小野寺委員長 これより会議を開きます。
予算の実施状況に関する件について調査を進めます。
本日は、国内外の諸課題についての集中審議を行います。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として内閣法制局第一部長木村陽一君、内閣府政策統括官高橋謙司君、内閣府孤独・孤立対策推進室長江浪武志君、総務省大臣官房総括審議官海老原諭君、総務省自治行政局長山野謙君、総務省自治行政局選挙部長笠置隆範君、法務省民事局長竹内努君、国土交通省国土政策局長黒田昌義君、環境省環境再生・資源循環局次長角倉一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小野寺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○小野寺委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。坂井学君。
○坂井委員 自由民主党の坂井学でございます。
本日は、まず、政治資金規正法についてからお伺いをしたいと思います。
我が党の一部派閥の政治資金問題をめぐり、我が党は、国民から多くの御批判をいただいており、結果、信頼を失い、また政治不信も深刻化しております。国民から信頼を回復するためには、再発防止の取組が大切です。
その点、今般の問題の舞台となった派閥の政治資金パーティーについて、既に党のガバナンスコードで明確に禁止するとともに、派閥そのものについても、岸田総理自らが宏池会の解散を決められるなど、いわゆる派閥政治からの脱却を先頭に立って断行されております。
私自身は、二十年ほど前に政治活動を始めて以来、一貫して無派閥として活動を続けてまいりましたので、着実に派閥政治からの脱却が実質的に実現をすることを望むものであります。
その上で、先週金曜日、我が党として、政治資金規正法の改正法案を国会に提出をいたしました。この法律案は、今般のような事態を二度と起こさないためにどのような政治改革が必要か、これは政調審議会でも一日では議論が終わらず、二日にかけて開催し、議論をするなど、真剣な議論が行われた結果であります。
法律案には、政治家の監督責任の強化、いわゆる連座制の導入、また、収入も政治資金監査の対象とするなど、外部監査の強化、オンライン化による透明性の向上、政治資金パーティーの公開基準の引下げ、いわゆる政策活動費の使途公開に加え、国会議員関係政治団体から寄附を受けた後援会などの政治団体の透明性確保といった内容が幅広く含まれておりますが、一方で、週末からのメディア報道においては、国民の厳しい評価も報じられているところでございます。
そこで、同法案について総理の見解を伺います。
○岸田内閣総理大臣 自民党においては、今回の事案を真摯に受け止め、反省をし、そして政治と金の問題に対する抜本的解決策を示さなければならない、こうした思いで議論を行い、今委員からも紹介がありましたように、政治家の責任の強化、外部監査の強化、あるいはオンライン化による透明性の向上等、従来から申し上げてきた取組に加えて、政策活動費の透明性の向上、また、政治団体間の資金のやり取りの透明化、さらには、政治資金パーティーにつきましても、購入者の公開基準額の引下げ、あるいは銀行振り込みの徹底、これは幅広く取組を示しました。
そして、こうした改革の方向性については与党においても合意ができており、実効性のある再発防止策、改革案、これを条文の形でお示しできたものであると考えています。
今国会で、この規正法の改正、これを確実に実現していかなければなりません。そのために、引き続き公明党とも力を合わせ、野党の御意見も伺いながら、特別委員会での議論、真摯に対応してまいりたいと思います。政治の信頼回復に努めてまいります。
○坂井委員 総理のその意気込みを是非形にしていければと思っております。
次に、身寄りのない独居者にまつわる問題についてお聞きをしたいと思っております。
昨年、予算委員会の質疑の中で、この問題の対応の検討を総理から厚労省に指示をいただいて以降、総理の御理解もあって、今年度は、十分とは言えないまでも予算がついて、二件のパイロット事業がスタートしたり、身元保証事業者と呼んでいたものを高齢者等終身サポート事業者と呼び換えた上で、事業者ガイドラインをまとめて、現在パブコメにかけているなど、昨年まで政策課題に上がっていなかった課題が確かに動き始めたところであります。
自民党内におきましても、昨年、加藤勝信社会保障制度調査会長の下、この問題を担当するPTも発足し、政府に提言すべく、現在、取りまとめ作業を進めております。
この議論の中、この解決に向けて対応していく一つの方向性として、いざというときに発生する仕事量を減らしていくというものがあります。家族がいるならば特別意識せずとも知っていると思われる、例えば親戚の所在であるとか、彼らの連絡先であるとか、また、その他、本人の意向などですが、これらを赤の他人が調べるということは、大変な作業量になっているということが指摘をされております。
横須賀では、熱心な行政職員が、独居者等、当人が書き込んだこういう情報を紙ベースで保管をし、必要が来たら活用をしており、全国から注目されているところであります。しかし、例えば私の地元であるような三百七十万都市の横浜で、紙ベースというわけにはいきません。
そこで、その作業量を減らすため、そのようなデータを事前に本人が平時に登録しておく情報登録プラットフォーム的なシステムが求められていると考えます。そして、何よりこれは、当の御本人の意思を実現させるためにも有効なんです。
というのは、今、エンディングノートというのが指摘をされて、多くの方が準備もされておろうかと思いますが、準備をしていても、このエンディングノートを見つけてもらえずに、結果として、生前の準備が生かしてもらえなかったという事例なども聞いております。
ですから、このような事前の対応が周りの人たちの仕事量を減らすのに有効だということや、また、本人の意思を死後実現するのにも有効だということもまだ周知されていない状況と認識しますので、このプラットフォームへの登録を推奨する中で、元気なうちの事前対応の必要性啓発にもつながりますし、また、実際に、直接的な独居者の課題のみならず、介護、医療、両分野においても効率化が期待される中、このシステム開発と同時に個人情報を登録するわけですから、その運用条件を厳格に決めていくことが求められると考えますが、御見解をお伺いいたします。
○岸田内閣総理大臣 岸田内閣においては、独居高齢者を含めた高齢者等の生活上の課題に取り組んできており、私自身が議長を務めました、認知症と向き合う「幸齢社会」実現会議において議論を重ね、昨年末ですが、取りまとめを行いました。
これを受けて、現在、身元保証や日常生活支援、死後事務等を契約に基づいて行う事業者に関する高齢者等終身サポート事業者ガイドラインの策定に向けて取り組んでいるところです。
そして、委員御指摘の身の回りの情報や生活に関する情報を登録するプラットフォームについては、議論の中で、個人情報の問題など、課題があるということは承知をしておりますが、安心して年を重ねることができる幸齢社会づくりを進めていく中で、引き続き、どのような対応が可能なのか、御指摘のプラットフォームについても検討してまいりたいと考えます。
○坂井委員 昨年も、総理から前向きな御答弁をいただいたのが一つのきっかけとなって、かなり動いてきたところでございますので、今回も期待をし、共にこれを進めてまいりたいと思っております。
次に、能登地震の復旧に関して、公費解体の申請に関しましてお聞きをしたいと思います。
この公費解体の申請ですが、建物の相続権利人全員の同意が必要になっている。権利が複雑になっている物件の多い能登では、今後、このことが公費解体申請の遅れの要因になると指摘されております。
馳石川県知事も、相続人が百人を超えるケースや、それからブラジルにいるケースなどを具体的に紹介しながら、法律により首長の免責措置を取って申請の簡略化をと古賀政府非常災害現地対策本部長に要請したということをお聞きしておりますが、この要請に対しての御見解と、間違いなく遅れの要因となるだろうと想定するこの課題に対して、宣誓書方式というのはいまだ一件も採択、使われていないということでございまして、この上に重ねて、政府の現段階で考える対策というものをお聞かせをいただきたいと思います。
○伊藤国務大臣 お答え申し上げます。
公費による解体の申請に当たり、法定相続人などについて全員の同意が取れない場合は、いわゆる宣誓書の提出を受ける方法が考えられます。また、戸籍などの調査を行っても、共有者について全員又は一部の所在が分からない場合は、民法の所有者不明建物管理制度を活用する方法も考えられるなど、幾つかの選択肢があると考えてございます。
所有者が確認できない事情や対象家屋の状況などの個別具体の事情を勘案し、各市町において適切な対応を選択していただけるよう、引き続き、公費解体・撤去マニュアルの周知や、現地に常駐する環境省職員による支援を全力で行ってまいりたいと思います。
また、被災者支援の観点から、地震による被害が大きかった地域を管轄する地方法務局において、倒壊又は流失した建物に関し、登記官が職権による滅失登記を行う予定でございます。
こうした取扱いも踏まえ、公費による解体の加速化に向けてどのような取組、支援が可能か検討の上、速やかに対応を進めてまいりたいと考えております。
○坂井委員 なかなか、残念ながら、抜本的な解決策に直結するというようなお話はなかったかなと思うんですが。
所有者が分からない場合はまだしも、分かってしまって、しかも連絡がつかない、いることが分かっていて連絡がつかないというのが大変困るということも聞かれておりますので、引き続き、現地の様々な状況を把握をしながら、迅速な対応をお願いをしたいと思います。
次に、相続に関してちょっとお伺いをしたいと思いますが、先ほどお伺いした身寄りのない独居者に関わる課題に関しても、それからただいまの公費解体の同意集めのハードルにしても、よく考えると、実は、ほとんどつき合いのない人が多数相続権を持っているということ、それが起因をしているということが分かると思います。もっと直接的に言うと、兄弟への相続権が、その子供に当たるおい、めいに引き継がれることが原因だと現場関係者から指摘をされております。
元々、身寄りのない独居者に関わる課題が昨今注目されてまいりましたのも、支援をしてくれる家族がいることを前提とした今までの制度が、家族の在り方が変容することにより、十分機能しなくなってきたからでもあります。つまり、親、兄弟、子供という関係においても支援をお願いできないという事例が圧倒的に多くなっているわけです。
ましてや、おいっ子、めいっ子が面倒を見るということは、もちろんないわけではありませんが、それよりも、個別のプライベートの話や頼み事ができる関係にない、会ったことがない、若しくは、中には存在も知らないといった関係にある人の方が多いわけで、そういうおい、めいでも、相続が発生すると、当然、権利者となりますから、無視できない存在となって、手間や時間、費用がかさむこととなっている事例も多いわけであります。
現場からは、現状に困った影響はほとんど与えないのではないかと思われるので、兄弟の相続権は、おい、めいには引き継がれないことにしてほしいといった声が上がってきており、黙っていても、おい、めいに相続権が引き継がれる現在のたてつけから、本人が遺言等により示したことによって相続権が引き継がれる形に変更した方が、家族の在り方が変わってきている現状にそぐうのではないかとも考えられますが、法務大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
また、もう一つ、このような現場での事例や状況を付した上で、法制審の議論の俎上にのせていただくことはできないかということも御要望したいと思いますが、いかがでしょうか。
○小泉国務大臣 現行の民法におきましては、子及び直系尊属がいない場合には兄弟姉妹が相続人となるとした上で、その兄弟姉妹が先に死亡していた場合には、その子であるおい、めいが代襲して相続人となる旨を規定しております。その理由でございますが、一つ、被相続人が相続の基礎となるような交流を持ち得るのが通常おい、めいまでと考えられること、また、相続人が存在しなくなると、相続財産が国庫に帰属することになってしまう、こういった点を考慮したものでございます。
その上で、生前に疎遠であったおいやめいに財産が承継されることを避けたい場合には、本人がその旨遺言をするという方法もあるわけでございます。
委員御指摘のように、確かに核家族化という形で家族の在り方が変わってきています。多様化も進んできている。そのことはしっかり視野に収める必要はありますが、現時点で、おいっ子、めいっ子を一律にこの今の制度から外していくということについては、やはりこれは国民のコンセンサスが得られるだろうか。そういった問題点も多く指摘されているところでございますので、委員の御指摘の点も、我々、同じ問題意識を持ちながら、視野に入れながら、相続法制の適切な在り方について引き続き考えを深めていきたいと思います。
○坂井委員 時間の関係もございます、最後の質問になろうかと思いますが、最後は、これまた地震の関係、能登地震の、能登地域の二地域の居住について御質問したいと思います。
今、地震の関係でライフラインが途切れるなどの関係で、七千人近くの方が二地域で居住を余儀なくされているということを、これも馳知事が発言をいたしております。石川県では、石川県特定居住登録制度などの創設を検討している一方で、国にも支援を要請をしております。
そこで、こういった議論は、いわば実体験者、実際に二地域で居住していた方々から求められている住民票の分割や二重の住民登録といったような議論なども深めることになって、こういった件からも有効だと思いますので、この二地域居住の推進、この議論、進めるべきかと思いますが、お伺いをしたいと思いますし、もう一点、具体的に二地域居住ということになると、課題になるのが移動の交通費であります。ここがかかるということが一つの課題になりますので、自家用車利用者への補助や、被災者への割安な定期券などの発行という支援もお考えいただいたらどうかと思いますが、共にお伺いをしたいと思います。
○岸田内閣総理大臣 まず、委員の問題意識、これは二地域居住を含めて大変重要な問題意識だと思います。
そして、具体的な御提案をいただきましたが、現状においては、域外避難者であっても、避難先においてマイナンバーカードを活用して、コンビニで住民票等の取得ができるような措置、あるいは罹災証明の申請、交付、被災者生活支援金の支給など、行政サービスを受けられる、こうした関係機関の連携、これを行っているところであり、同時に、被災地においては、域外避難者の方も希望すれば八月までに仮設住宅に入居できるよう必要な戸数を確保する、こういった支援を行っています。
しかしながら、それでも多くの方が、果たして戻ってくるんだろうか、不安を抱えておられる方、これも多いと承知をしています。こうした不安を受け止めるためにも、県が示そうとしている創造的復興という方針の下で、単にインフラの復旧だけではなくして、持続可能な地域ビジョンの実現に向けて国としても支援をしていく、こうした県への支援も併せて行うことが重要であると認識をしております。
○坂井委員 石川県も、具体的な事例や具体的な要望をそろえて、国への、支援も今検討しているということでございますので、どうぞその節には真摯に取り上げていただいて、対応をお願いをしたいと思います。
私の質問は終わります。ありがとうございました。
○小野寺委員長 これにて坂井君の質疑は終了いたしました。
次に、中川康洋君。
○中川(康)委員 公明党の中川康洋でございます。
本日は、政治改革及び政治と金の問題について総理に伺います。
初めに、国民の信頼に向けた総理の決意と覚悟について伺いたいと思います。
公明党は、今回の政治と金の問題に対しては、終始一貫して、国民の信頼を取り戻す、また、清潔な政治を実現するという強い信念の下で、一月の政治改革ビジョン、四月の要綱発表、また政倫審の議論に挑んできました。
今週からは政治資金規正法改正の議論に移りますが、この規正法改正そのものは今回の問題の目的そのものではありません。今回の規正法改正はあくまで手段であり、本来の目的は、今回の改正により我が国において清潔な政治を実現すること、また、不正を許さない政治を実現することであり、更に言えば、我が国の政治に対する国民の信頼をいま一度取り戻し、その信頼の下で力強い政策を推進することであります。
総理は、今国会において規正法を改正して終わりというのではなく、今回の政治と金の議論の本来の目的である清潔な政治を実現する、また、国民の信頼を取り戻すという強い覚悟があるのか、改めて総理の強い決意と覚悟をお聞かせ願いたい。
○岸田内閣総理大臣 まず、信なくば立たず、国民の信頼なくして政治の安定はなく、政治の安定なくして政策の推進もない、これが基本的な考え方です。
今回の一連の事案を受けて、自民党としてこれを深刻に受け止め、そして何よりも真摯に反省をしなければならないと思います。そして、その上で、具体的な取組を進めていかなければならない。
今、国の内外に先送りできない重要な課題が山積している。国民の暮らし、安全、安心を守り抜く政策を進めるためにも政策の停滞は許されない、信頼を回復するために全力を尽くさなければならない、強く感じております。
これまで私自身、党の取組として、いわゆる派閥解消を始めとする党改革、外部の弁護士を交えた聞き取り調査等の可能な限りの実態解明、そして、政治責任を明らかにするための厳正な処分、これを一つ一つ進めてきたわけでありますが、今、この再発防止という観点においては、政治資金規正法の改正、何としてもこの国会において実現をしなければならない、このように思っています。
こうした取組を一つ一つ進めるとともに、国民の生活や命、安心、安全が懸かった政策、襟を正して実行していく、結果を出していく、これらを同時に進めることによって、政治の信頼をしっかりと回復できるよう努力してまいります。
○中川(康)委員 総理、何回も言いますけれども、今回の政治改革、規正法の改正がこれから始まりますけれども、これは、改正して、はい終わりということではない。やはり大事なのは、今回の改正によって清潔な政治を実現できるかどうか、また、不正を許さない政治を実現するか。さらには、今総理が言いましたけれども、国民の信頼を取り戻して政策を実現できるかどうか、これがすごく大事だと私ども公明党も感じております。
そして、その実現に向けて最も大事なのは、トップの熱量なんですね。このトップの熱量が感じられるかどうか、そこを、私は、国民は見ていると思いますので、是非とも、国民の信頼回復を、総理、必ず成し遂げていただきたいというふうに公明党は強く感じるものであります。
次に、自民、公明による先般の取りまとめについてお伺いをします。
今回の自民、公明の取りまとめについて、私たち実務者は、十回にわたる協議の場を持ち、毎回、けんけんがくがくの議論を交わしてきました。正直申し上げますと、時には、なぜこの思いが伝わらないのかとか、この内容が理解いただけないのかというふうに思ったこともあります。しかし、五月九日には、七項目の一致点と二項目の方向性における実効性ある改革案、これを取りまとめることができました。
この取りまとめの具体的特徴は、一つには、公明党も改革の一丁目一番地と捉える政治家の監督責任と罰則強化の明記であり、確認書の提出義務であります。この確認書については、我が党がどの党にも先駆けて提案をしたものであり、内容は公明党案そのものであります。
また、二つには、当初、自民党が引き続きの検討事項としていたパーティー券の公開基準の引下げと政策活動費の使途の公開について、その方向性を明記したことであります。
これら二点の特徴も含めて、今回の取りまとめでは、外部監査の強化やデジタルによる透明性の向上、さらには寄附の移動による厳格な規制の適用や個人情報の保護、また第三者機関の活用の検討など、これまで公明党が一月に示したビジョン、さらには四月に発表した要綱のほぼ全ての内容が含まれております。
総理も、二月の予算委員会で、我が党の中野洋昌議員の質問に、いわゆる連座制の議論を中心に、御党の案については参考になるものであるというふうにお答えをいただいておりますが、今回の取りまとめの内容の中身の多くは、まさしく、公明党が産み育て、自民党に対して旅に出したようなものでございます。
そこで、総理に伺いますが、総理は、この政治資金規正法改正における自民、公明の取りまとめ、これをどのように評価しているのか、この点、お答えをいただきたいと思います。
○岸田内閣総理大臣 政治資金制度改革については、委員がまさに今御指摘になられたとおり、与党間で、真摯で、そして活発な協議を進めていただきました。その結果として、お互いの問題意識が共有でき、改革の方向性を取りまとめていただいたと受け止めています。
そして、自民党としても、御党と合意した方向性に基づいて条文を作成し、そして衆議院に提出をしたところであります。
先ほども触れさせていただきましたが、御指摘の政治家の責任の強化と併せて、外部監査の強化、オンラインによる透明性の向上、さらには政策活動費の透明性の向上、政治資金パーティーにつきましても公開基準の引下げなど、幅広く実効性のある再発防止策、改革案、これをお示しできたと思っております。この与党の協議の重要性を改めて感じているところです。
今国会で、この法律、何としても成立させなければなりません。引き続き、御党とも力を合わせて、また、野党の意見も伺いながら、特別委員会での真摯な議論を行い、そして政治の信頼回復につなげてまいります。
○中川(康)委員 総理も始め、我々議員も、今回の議論、熱量を持って議論してきた、与野党を問わず、そんな思いでおります。
当初の自民党案では、パーティー券の公開基準の引下げも、さらには政策活動費の使途の公開も、また寄附の移動による規制の厳格な適用も、全てこれは引き続きの検討事項であり、当初の改正項目には入っていなかったわけなんです。それを公明党が粘り強く訴え、引き上げてきたからこそ、今回の取りまとめにも、さらには自民党の改正法案にも入ったわけであります。
仮に、実務者の協議の過程において我が党が諦めていたら、さらには譲歩していたら、この重要な改革は、この取りまとめに、さらにはこの改正案には入ることはなかった。このことをあえて総理を始め皆さんには私どもとして伝えておきたい、このように思うわけでございます。
ここからは、じゃ、今回の改革の重要な点について、具体的に総理にお答えをいただきたいと思います。
初めに、代表者である政治家の監督責任について伺います。
今回の一連の議論の中で、国民の多くが不審に感じたことが、いわゆる政倫審などで連発された、私は知らなかった、秘書が勝手にやったという無責任な言葉であります。この私は知らなかったという言葉は、これまでも政治と金の問題の中で何度も何度も聞かされてきた言葉であり、国民が最もうんざりする発言であります。
ゆえに、今回の取りまとめでは、代表者である政治家の監督責任を明確にするとともに、その監督の内容も具体的に明記をし、さらには確認書の提出も義務づけました。当然、確認を怠った場合は、監督責任として罰金刑に処され、公民権停止になります。
しかし、ここで私たちが一義的に狙っているのは、何も政治家を何人も何人も捕まえることではなくて、厳しい監督責任を課すことによる不正な行為に対する抑止力の向上、抑止力を高めることであります。その上で、違反があれば罰するのは当然であります。
公明党は、今回の改正により、少なくとも、これまでにも連発された、私は知らなかったという言い逃れはできなくなると考えるのとともに、これまで許されてきたトカゲの尻尾切りなど、政治家に甘い状況はこの際一掃されるべきと考えますが、いかがでしょうか。総理の強い覚悟と見解を伺います。
○岸田内閣総理大臣 現行の政治資金法においては、会計処理、収支報告に関して代表者の責務が何ら具体的に規定されておらず、会計責任者に任せていたなどの説明が多数なされ、今回の一連の事案でも問題とされたところであり、このような状況を一掃しなければならない、こうした強い思いは、自公とも、そして私自身も強く共有しているところであります。
この点、御党と合意した方向性に基づき提出した自民党案では、収支報告に関して、代表者の会計責任者を監督する責務を新たに規定しており、平素からの監督や、会計帳簿等の随時、定期の確認、報告書提出時の説明、確認、確認書交付など一連の手続、これをまず具体的に定めています。
その上で、収支報告書が法律に従って作成していることを確認せず確認書を交付することを処罰の対象とした、こうしたものであります。
これにより、代表者たる政治家の責任が明確化され、適切に責任が果たされなかった場合には厳正な責任追及が可能となり、国会議員の言い逃れを許さない、再発防止の観点からも実効性のある制度になっていると考えております。
○中川(康)委員 今回、いわゆる連座制というふうに言っているわけですけれども、これは公職選挙法の連座制とは違う、要するに、形式的に本人が処罰されるものではないというところは、これは明確に言っておきたいと思います。
これは、与野党の議論の中でそこがちょっと混同している部分もあるわけですけれども、しっかり、今回の政治資金規正法というのは、いわゆる連座制、連座制に準じた内容だということであります。
その上で申し上げたいんですが、実は公明党は、当時民主党政権であった二〇〇九年に、政治家の監督責任やいわゆる連座制を強化するための政治資金規正法の改正案を提出をしております。当時は、民主党の鳩山氏の献金偽装問題とか小沢氏の陸山会問題があったときであります。
しかし、時の民主党政権は、口では改正の必要性を言いながら、全くリーダーシップを発揮せずに、最終的にはこの改正案、審議未了、廃案となったわけなんですね。
仮に、あのときに公明党が提出したこの改正案を成立をさせ、いわゆる連座制の強化や、政治家の監督責任を強化していたら、私は、今回のこの問題は起きなかったのではないか、このようにも感じる一人でございます。なぜあのときに改正できなかったのか。公明党は、与野党全ての政党会派に対して、そのことをこの場で強く申し上げておきたいというふうに思います。
次に、政策活動費の使途の公開についてもお伺いします。
この政策活動費については、何度も言うように、公明党は、これまでこの政策活動費というものを議員個人に出したことは一度もございません。一部報道で、公明党があたかも政策活動費を出していたかのような報道がありましたが、それは皆さん、明らかな誤報であります。
この政策活動費については、少なくとも二〇二二年の収支報告書を見ると、自民党を始め立憲民主党や国民民主党、日本維新の会が議員個人に出しており、これまで支出していた全ての政党にその具体的使い道を聞いてみたいと思いますが、この場は特別委員会ではなく予算委員会なので、その議論は別の場所で行いたいというふうに思います。
この政策活動費は、その使途が事実上不明のまま多額のものが使われていたということで、国民の不信が強い状況があります。
また、この取りまとめの議論の中で、当初自民党は、支出する政党の側がその目的を示して議員個人に支払うという案を示していたが、それは単なる目的の公開であり、支払いを受けた議員側が何に使ったかは全く見えないため、公明党は、少なくともその支払いを受けた議員の側が明細の提出をするなり報告を行うなど、何らかの行い、行為、作業をさせるべきであるということにこだわったわけでございます。
最終的に、今回の取りまとめでは、支払いを受けた者がその使途を報告し、収支報告書に記載するという内容でその方向性がまとまったわけですけれども、このことにより、これまで全くのブラックボックスであった使い道が今後は明らかになってくると私は考えます。
今回、国民の大きな不信の一つであった政策活動費については、当然、政治活動の自由とのバランスを保ちながら、これまでのブラックボックス化された状況を今後更に開くべきであるという強い姿勢で臨むこと、これが必要と考えますが、総理の決意を伺います。
○岸田内閣総理大臣 政策活動費については、御党と合意した方向性に基づいて、政策活動費について支払いを受けた者がその使途を報告し、収支報告書に記載するという案、これをお示しいたしました。これによって、政策活動費がどのような目的で、いつ、幾ら使用されたのかが収支報告書上明らかになることになり、政策活動費の透明性向上が図られ、国民の疑念の払拭に資する制度になっていると考えております。
しかし、国民の理解をいただけるよう、政策活動費の取扱いについて引き続き真摯な議論を行ってまいります。(発言する者あり)
○小野寺委員長 御静粛にお願いいたします。
○中川(康)委員 何度も申し上げますけれども、公明党は議員個人に対してこの政策活動費を渡したことは一度もないんですよ、一回もない。
今回、一部の野党は、この政策活動費に対して、例えば全面開示とか廃止だとか言っていますけれども、そのようなことを主張するのであれば、その前に、少なくとも二〇二二年の収支報告書に示されたこの政策活動費の使い道を全て明らかにしてから言ってもらいたいですよ、うちは使ったことないんだから。特別委員会ではそのことを、私ども公明党、必ず聞いてまいりますので、今から御準備をしておいていただきたいというふうに思います。(発言する者あり)何回も自民党には言っています。
○小野寺委員長 御静粛にお願いいたします。
○中川(康)委員 一つ飛ばしまして、最後に、調査研究費、旧文通費の改革についてお伺いをいたします。最後に、このところに対しての総理の意気込み、これをお願いしたい。
この旧文通費の改革については、公明党も一月の政治改革ビジョンの中で、その使途の明確化、公開、また未使用分の国庫への返納について明記をしております。総理もこの件については、四月の予算委員会で、自民党としてこの議論を再開することを指示したところであり、積極的にこの議論に参加してまいりたいと答弁をしておりますが、公明党は、この調査研究広報滞在費、旧文通費の改革についても、今回の政治改革議論の中で必ず成し遂げなければならないテーマであると考えております。
最後に、この旧文通費の改革について、総理の改めての強い覚悟をお伺いします。
○岸田内閣総理大臣 調査研究広報滞在費、いわゆる旧文通費についても、国民の理解を得られるものにしていくこと、これは重要であり、先日、委員が御指摘になられたように、我が党幹部に対して、旧文通費の性格の整理を踏まえた支出可能経費の確定、そして支出の公開の在り方等、これまでの一連の旧文通費改革における残された課題について各党会派間で議論を再開するよう、これを指示したところです。
指示をしている以上は、各党会派で共通のルールを取りまとめ、残る改革、これを着実に進めていく考えです。議論が早期に深まっていくよう、我が党としても積極的に議論に参加してまいります。
○中川(康)委員 この件につきましても、今回のこの政治改革の議論の中では、政治資金規正法とともに必ず成し遂げなければならない課題だというふうに公明党は考えております。ゆえに、公明党は、これまでもこのことを主張してまいりましたし、一月の公明党の政治改革ビジョンの中にも明記をさせていただきました。
この旧文通費の改革についても総理の強いリーダーシップを期待するのとともに、これは、場所は特別委員会ではなくて別の場所かもしれませんが、与野党各会派の中での議論をし、しっかりと成案を成していきたい、このように公明党もしっかりと決意をいたしておるわけでございます。
今回は、総理に対して、特別委員会を前にして、いわゆる政治改革の問題について具体的に何点か、特に重要な項目についてお伺いをさせていただきました。公明党は、今回の政治改革、必ず成し遂げる、この強い決意で今後の議論にも参加をしていくことを申し上げ、公明党を代表しての質問を終わります。
大変ありがとうございました。
○小野寺委員長 これにて中川君の質疑は終了いたしました。
次に、野田佳彦君。
○野田(佳)委員 立憲民主党の野田佳彦でございます。
私は、今日、このチャンスをいただいて、どういう質問を組み立てようか悩みました。ウクライナ、中東、東アジアの情勢。あるいは、農政の基本法である法制の今改正がこの国会では議論になったように、食料の安全保障の問題なども大事だと思っていました。けれども、政治と金の問題に絞って今日は質問をしたいというふうに思います。
論語でも、孔子が、政治に大事なものというのは兵と食と信と説いていますが、あえて一番大事なものは何かというと、信であると。民衆の政治に対する信頼であります。先ほど総理も信なくば立たずという言葉を使われました。まさにその言葉を胸に、国民の信頼回復のために、今、全力を尽くさなければいけないときではないかと思います。
去年の臨時国会が閉会をしたその夜、総理は、火の玉になって、政治改革の先頭に立つと宣言をされました。御記憶にあるだろうと思います。その十二月十三日から、今年、通常国会が始まったのは一月二十六日でありますけれども、この間にもっともっと事態の把握に努めるべきだったと私は思います、真相の解明に。
党としての調査が不十分だから、国会に入ってからもその解明が必要であるということで、裏金に関わった議員を政治倫理審査会に十八年ぶりに招致をする、そういう形態を取らざるを得なくなりました。
なかなか動かないので、トップバッターで現れたのは総理でございました。これは二月二十九日でしたね。その政倫審のときに質問に立ったのも私でございます。
ところが、総理がトップに立ったけれども、衆議院では、政倫審の出席呼びかけは五十一人が対象でしたけれども、出てこられた方は安倍派、二階派の幹部六人だけです。参議院は、三十二人出席要求、自民党もその議決に賛成をしていましたけれども、でも、出席された方は三人、弁明は三人。八十数人の裏金に関わった議員のうち、弁明をして説明責任を果たそうとした人が、果たしたかどうかはちょっと別ですが、出席した人は九人だけなんですね。
この現状をどう思いますか。事態の解明に一生懸命頑張っている自民党ですか。説明責任を果たそうとしている自民党ですか。総理のお考えをお聞かせください。
○岸田内閣総理大臣 まず、委員御指摘のように、昨年十二月から今国会開会までの間、実態解明、もちろん第一に重要な課題でありますが、当時、検察による捜査が続けられている中にあって、実態把握に向けて様々な困難もあったわけでありますが、党として、政治刷新本部を立ち上げて、実態把握に努める様々な取組を続けてきました。そして、その後、国会が開会された後、政倫審等での弁明も議論になるなど、様々な形で実態解明の努力が続けられることになったわけであります。
そして、委員の方から、今、政倫審での出席、限られた人数に終わっている、これで解明に向けて積極的なのかという御指摘でありますが、実態解明に向けて説明責任を果たしていくこと、これが重要であるということ、これは間違いありません。実態を最もよく知る当事者、議員が、様々な形、会見等を通じて説明責任を尽くしていかなければならない、そして、今後も置かれた立場を振り返りながら説明の機会を捉えなければならない、このように思います。
ただ、御指摘の政倫審ということで申し上げるならば、政倫審の場、これは、規定上、政治的そして道義的責任の有無を審査する場であり、弁明を行うか否か、これは議員の意思が尊重されるということになっています。こうした国会のルールに基づいて政倫審は運用されるものでありますが、しかし、今後とも、公判の行方等、実態把握に向けては党としても強い関心を持って努力を続けていきたいと考えています。
○野田(佳)委員 ルールはそのとおりなんですけれども、志ある議員は説明責任を果たすために政倫審を含めて出席しようと呼びかけたのは総理じゃないですか。呼びかけて九人じゃ寂しいじゃないですかということを申し上げたいんですね。
現役の議員だけではなくて、OBの方も、この裏金づくり、経緯であるとか背景をよく分かっている方がいるのではないか。安倍元総理がキックバックをやめろという指示をしたけれども存続をした経緯にも関わったのではないかなどと、森元総理のお名前が出るようになりました。
それを踏まえて、四月上旬に総理は電話で聴取をした、調査をした。それを踏まえて、この予算委員会でも我が党の岡田幹事長も質問をしたりしましたね。
そのときはどんなやり取りかというと、岡田幹事長からの質問があって、それに対して総理のお答えが、慣行がいつから始まったかについて、森先生が直接関与したという証言を得られなかったということを答弁をされているんです。聴取記録はあるのかと言ったら、記録はございませんと。記憶はございませんは耳にたこができるぐらい聞いてきたけれども、記録にございませんは新鮮な響きがあって驚いたんですが。考えてみれば、それはちゃんとした調査じゃないなと思いました。
そのちゃんとした調査じゃないなということを森元総理御自身が総合雑誌でいろいろお話をされているじゃないですか。御体調はいかがですかとか、強いてお伺いすることはありません。具体的な質問はなかったとおっしゃっているんですよ。これじゃ、御機嫌伺いですよ、調査じゃないですよ。
では、違うと言うんだったら、でも、これは天下の文芸春秋で言っていますよ。二百四十分間のインタビューですよ。現総理と元総理のやり取りが、こんなに国民の受け止めが違うようなやり方というのは、私は逆に政治に対する不信感をあおることになると思います。現総理と元総理ですよ。
ならば、もう一回きちんと再聴取をした方がいいと思いますが、いかがでしょうか。
○岸田内閣総理大臣 雑誌報道の一つ一つについてコメントすることは控えますが、私は、従来から申し上げておりますように、森元総理、国会の議論の中にあっても、関与の有無について様々な指摘がありました。疑念も呈されました。こういったことから、私から森元総理に対して、一連の事案と森元総理の関係、これは国民の皆様の関心を踏まえて聴取を行いました。(発言する者あり)
○小野寺委員長 御静粛にお願いします。
○岸田内閣総理大臣 これまで、国民の疑念を踏まえて、不記載の慣行等がいつから始まったかなど、これを私自身、直接森総理に伺いました。その上で、森総理の具体的な関与は確認できなかったと申し上げています。
森元総理の関与については、政倫審の弁明等においても質問が行われてきたところであります。それらも踏まえて、推測の域を超えて、具体的な森元総理の関与の確認、これはできていないと思っています。
よって、私自身として再聴取等は考えていないと思っております。
○野田(佳)委員 雑誌とか報道の一つ一つには云々と言いましたけれども、文豪の菊池寛の作った歴史と伝統のある、最も権威のある総合雑誌で、そこに、私もいろいろ寄稿したことはありますけれども、覚悟を持って原稿を書いているし、覚悟を持ってインタビューに出ますよ。あなたも多分そうだと思いますよ。
それに、初めて多分対することになったフリーのジャーナリストと、森元総理はインタビューを受けて、タイトルは、裏金問題の真相を語る、二百四十分ですよ。二百四十分ですよ。
総理は、それに比べて電話で御機嫌伺いみたいな話。違うと言っているけれども、森元総理はそう言っているわけだから、もう一回きちんと再聴取をするというのは私は筋だと思うんです。
やらないと言うんだったら、これはしようがないです。そうしたら、これは既に理事会で議論になっているかもしれませんが、森元総理の、参考人としてお呼びをして、お話をお伺いしなければいけないと思います。御協議いただけるでしょうか。
○小野寺委員長 理事会で協議いたします。
○野田(佳)委員 私も、元総理になってから国会に呼ばれるのは嫌だなと思うんですよ、本当は。だから、こんな先例はつくりたくないんです。元総理を呼ぶと大変でしょう、岸田さんだって、嫌でしょう。こんなことしたくないんですよ。だから、あなたが直接もう一回聴取して、皆さんにきちっと報告をしてもらう方が望ましいんですが、ノーと答えたから、今申し上げたような参考人招致をお願いせざるを得なくなったということであります。
次に入りますけれども、真相究明も十分じゃないから、処分も曖昧だったんですよね。処分は、これは質問じゃないんですけれども、一言は申し上げなきゃいけないと思うのは、裏金に関わった議員の未記載額が五百万未満は処分なしだったんですね、処分なし。党の処分はなかったじゃないですか、四十数人は。一円たりとも税逃れができない、インボイスなどで、という国民に比べて、何で五百万未満だったら、これは処分なしは不思議なんです。
五百万以上は、これは対象、三十九人が処分でした。三十九人のうち、十七人は戒告じゃないですか、戒告。戒め告げる戒告です。漢字で書くときついような感じだけれども、イメージだけれども、要は、こらっでしょう、めっでしょう。こらっや、めっで、処分ですか。それで済む話ですか。こんなの処分じゃないと思いますよ、私は。
その上で、問題は、それらを経てこれからどうするかなんですよ、これからどうするか。先ほど来議論になっている政治資金規正法の改正を、抜け穴のないように抜本的な改正をするというのが、これは政治改革特別委員会の務めだと私は思います。
四月十一日に設置されたので、私は志願して入りました。入ったんだけれども、ずっと開店休業なんですよ。この短い首を長くして待っているのに、連休が明けても開かれない。それは、先ほど来公明党の方もおっしゃったけれども、与党内の協議も長過ぎて、ようやく自民党案なるものが金曜日にまとまったんでしょう、党内手続を経て。ようやく今週の半ばぐらいから特別委員会が開かれるんでしょう。遅過ぎませんか、遅すぎる。ほかの党はみんな考え方をまとめているんですよ。一番遅かったのが自民党ですよ、一番遅かったのが。
一番遅い上に、中身が一番薄っぺらいと私は思いますよ。大体、遅いというのは変じゃないですか。当事者なんだから、裏金問題の。ということは、深い反省の下で、こういうことが起こらないようにという案をいち早くまとめて、一番シャープな案をまとめて、是非、他党の皆さん、御理解、御協力くださいというのが筋じゃないですか。
一番遅くて一番内容のないものを出す、これは反省がないんじゃないでしょうか。いかがですか。
○岸田内閣総理大臣 政治資金改正の議論について、我々自民党の考え方、まずは与党として公明党の皆さんとの協議を行いました。先ほどの質疑の中にもあったとおりであり、与党で真摯な議論を行い、方向性について合意をした上で、法の条文作成に臨んだ次第です。その際に、諸外国の状況ですとか、あるいは他の制度との均衡ですとか、様々な観点から議論を行い、条文をまとめた次第であります。
遅いということであり、また、中身がないという御指摘がありましたが、中身においても、こうした過程を経ることによって、先ほど来申し上げてきたように、政治家の責任の強化、透明性の強化等、再発防止に向けて実効的な案を提出することができたと考えています。
これから特別委員会において、各党の議論とも突き合わせながら、この国会において結果を出していきたいと考えております。
○野田(佳)委員 一つ一つはこの後、落合議員が取り上げていくと思いますけれども、例えば政策活動費は、これは大玉の改革案、改革の対象じゃないですか。あの二階元幹事長のときは五年間で約五十億円使った、渡されたとされている。これは使途を報告しなくていい、渡し切りのお金じゃないですか。現幹事長にも十億円近く支出をされていますよね、政党からは。
これは、巨大なブラックボックスですよ。巨額なブラックボックス。そのブラックボックスを自民党は幾つかの小さなブラックボックスに分ける。そこにシールが貼ってあって、調査研究費とかなんとかと。大きなブラックボックスが小さなブラックボックスになって、ようやく五十万円以上は公開しようみたいな話にはなってきたそうだけれども、他党に比べて一番このテーマでも及び腰ではないですか。
人の党のことを言っちゃ悪いですけれども、例えば総理・総裁を狙っている幹事長だったら、こんなにおいしい軍資金はないと思いますよ。党内力学的にも、こんなことやっちゃいけないんじゃないですかねと私は思います。
これはだから別にしても、やはり内容は一番薄過ぎると思います。顔を洗って出直してこいと、たんかを切りたくなるぐらいです。だけれども、会期末、六月二十三日までだから、そんなこと言っていられないから、議論を進めなければいけませんけれども。
例えば、じゃ、企業・団体献金、これは全く触れていないですね、自民党案。これはなぜですか。
私も総理も九三年初当選じゃないですか。あの平成の政治改革に一年生議員として関わっていますね。
九四年に政治改革関連法が成立した中で、政治資金規正法も与野党の合意で成立をしました。その一番大きな目玉というのは、国民の税金を原資とする政党交付金を導入する、その代わり、特定の業界や団体の影響力が強まって政策がねじ曲げられる可能性があるとされていた企業・団体献金は廃止をしていく方向であるというのがセットだったと記憶をしています。だから、政治家個人に対する企業・団体献金はなくなりましたよね、そのときに。残念ながら、政党本部と支部は残した。これも五年後に見直しをする規定だったんだけれども、ずっと今日まで来ているということなんです。
平成の政治改革の積み残しである企業・団体献金に全く触れないというのは、これは、これまでの改革の一連の歴史からして、私は信じることができないんです。いかがでしょうか。
○岸田内閣総理大臣 企業・団体献金の議論、この国会に入りましても予算委員会等で度々この大きな議論が行われてきました。そして、その議論の中で、政治団体の収入については、多様な考え方の多くの出し手による様々な収入、これを確保することが、政策立案における中立性、バランスの確保において重要であるという考え方、これを私も申し上げてきました。
そして、委員の方から、初当選の頃の政治改革の議論がありました。
その際に大きな存在でありましたのが、自民党としても取りまとめた政治改革大綱でありましたが、その大綱の中にあっても、自由主義経済において、法人というもの、企業というもの、これは重要な役割を果たしているからして、法人による寄附を禁止する理由はない、このように明記をされているわけですし、また、度々引用された最高裁の判決においても、企業は政治活動の自由の一環として寄附の自由を有する、こうした判決も引用されました。
さらには、今回の事案において、企業との癒着によって行政、政策がゆがめられた、こういった事実が指摘されているものではありません。
こういったことから、全面的に企業・団体献金、禁止することはない、こういった議論をこの国会において開会から行ってきたと記憶しています。
そして、政党助成金との関係、政党助成金導入によってこれらを廃止するというはずではなかったかという御指摘でしたが、私も初当選時代を思い返していますが、あの当時、政党助成金、平成六年の政治資金規正法の一部を改正する法律案、これによって導入されたわけですが、その議論の中にあっても、政党助成金と他の収入、企業・団体献金や個人献金を始めとする他の収入のバランスが大事であるという議論を行ったのを記憶しています。そうした議論が行われた結果、現状の制度ができ上がっていると認識をしています。
こういった経緯を考えますときに、企業・団体献金、これは、禁止するものではなくして透明度を上げるべきである、これが今回の事案に対する再発防止として最も重要であるという考え方に基づいて、自民党の案をまとめた次第であります。
○野田(佳)委員 よく判決の話をされますけれども、それは五十年前の話なんですよね。その五十年前の判決もあったけれども、三十年前の政治改革には議論の俎上にのせたんですよ。経緯をよく踏まえて、時系列を追っていかなければいけないと思いますよ。
今、断片的な記憶でおっしゃっていましたけれども、企業・団体献金廃止。これは、一番責任ある立場で、政治改革法を与野党で合意したときに、細川総理と河野自民党総裁が万年筆を交わしてサインをし合いましたよね。そのサインをし合った河野洋平自民党総裁は、去年、衆議院のインタビューを受けて、年末に公表されていますけれども、公費助成が実現したら企業献金は本当に廃止しなきゃおかしいと言っていますよ。
あなたの断片の記憶よりも、当時の責任者がそう言っているんだから、重く受け止めるべきじゃないでしょうか。
○岸田内閣総理大臣 まず、最高裁の判決について、五十年前の判決ではないかという御指摘でありますが、この判決は平成に入ってからも度々引用されています。判決は変更されていない、この判決は引き続き尊重されるものであると思っています。
そして、政党助成金の導入における議論でありますが、間違いなく、あのときの議論、政党助成金とのバランス、企業、団体や、あるいは個人献金とのバランス、これが大事であるという議論を行ったと記憶しています。政党助成金に全て頼ってしまっては、政党の自由という観点において、国との関係、これは適切なんだろうか、あるいは企業、団体、あるいは個人、それぞれ政治活動の自由がある中にあって、政治との関わり、これを維持していくことは大切なことなのではないかなど、こういった議論が行われたこと、これは確かに記憶をしています。
実際、こうした政党の政治活動の自由ということを考えた場合に、国との距離感、あるいは様々な政治主体との距離感、これをバランスを取るということは大変重要であると考えています。
政党の資金のありようについても、多様な存在、多様な立場の人間からそれぞれ政治資金等の支援をいただく、こういったことによって政治活動のバランスを取っていくという考え方、これは貴重な考え方であると思いますし、これは今でも変わらないと私は思っています。
○野田(佳)委員 この話はもっとやりたいんですけれども、もうちょっと深掘りをしたいテーマがあるので切り替えていきたいと思いますが、それは、二月二十六日の予算委員会でも、集中審議でも、二月二十九日の政倫審でも取り上げましたけれども、総理御自身の政治資金パーティーについてであります。
まず、事実関係からお尋ねしますけれども、総理の政治資金管理団体、新政治経済研究会、ここにいつもパーティーの収入が記載をされますけれども、令和五年分の収支報告書は既に提出をされましたか。
○岸田内閣総理大臣 御指摘の新政治経済研究会、これは国会議員関係政治団体でありますので、五月末までに収支報告書を提出することが求められています。現在、最終的な精査を行っていると承知をしています。
○野田(佳)委員 去年は五月二十二日に提出していて、その前は五月二十三日ですから、まさに提出寸前なんだろうというふうに思いますが。逆にだから、数字一円たりとも正確ではなくても、でも概数については御説明をいただけるものと思いますし、金曜日の午前中に通告しているから御準備をいただけたと思いますので、順次これから進めていきたいと思いますけれども。
新政治経済研究会の令和五年分の収入金額及び政治資金パーティー収入額は幾らでございましたか。
○岸田内閣総理大臣 政治資金について公開すべきもの、これは、政治資金規正法に基づいて他の政治団体と同じ時期に公平に公開する、こうしたものであると考えております。これから政治資金報告書を提出し、そして法律に基づいて同時に公開されるものであると思います。
令和五年度分の収入金額についても、適切な時期に他の政治団体と合わせて公開されるものであると認識をしております。
○野田(佳)委員 全くお答えにならないということですか。公表されるのは十一月ですよね。それまで待てということですか。じゃ、これ以上、これは質問できないんですけれども。
なぜこれを聞いているかというと、政倫審で、私は、政治資金パーティー、総理はやるべきじゃないという立場で食い下がって質問をしました。押し問答になりましたけれども、総理は在任中はパーティーをやらないと最後明言されましたよね。これは皆さんも御覧になっていると思います。
じゃ、在任中パーティーをやらないことを踏まえた収支報告書はどういう形になるかというのに関心があるんです。数字は言わなくていいです。どういう形でまとめようとしているのか。
例えば申し上げますよ、去年の十二月八日開催予定だった第三十七回新政治経済塾広島、これは延期しましたね、直前に。でも、お金はもう集めていたと思います。これはどういう収支報告にするのか。同じく、十二月十五日開催予定だった第四十三回岸田文雄と国政を語る会、これもたくさんパーティー券を売っているはずですが、これは、じゃ、どういう収支報告にするのか。
私は、任期中やらないということは、中止をしたと判断をしているんです。中止という考え方に沿った報告なのか。いや、そうじゃないよと、まさかとは思うけれども、総理を辞めたら開催するんですよと。それまで延期するというようなことなのかによって、全然書き方が違うんですよ。
どういう方針で収支報告書、未開催のパーティーについては対応しようとしているんですか、したんですか。
○岸田内閣総理大臣 御指摘のパーティーについては、まず、昨年十二月、延期する旨を参加予定であった方々に連絡をし、そして、委員御指摘のように、二月の二十九日、政倫審において、在任中は政治資金パーティーを開催しないということを明らかにさせていただきました。その後、関係者等に対して、在任中開催しないということを伝えながら、どう対応するか、個別に相談させていただいている、調整させていただいている、こういったことであります。その中で、希望される方に対しては返金を始めている、こういった対応を行っています。
そして、政治資金収支報告書においては、収入を記載することと併せて、令和六年度以降に延期の旨を記載することになると考えております。
○野田(佳)委員 延期の旨を記載する。中止ではないんですか、それは、中止では。延期の旨を記載する。
これは、中止の書き方というのはあるんですよ。中止でも、お金を集めてしまったらそれは収入で、集めた分を書かなきゃいけないですね。でも、中止をする場合にはお返ししなきゃいけない、今おっしゃったように、個別に相談をしながら。返金する。対価を支払っていただいたわけですから、催物をやらなかったらそれは返さなきゃいけない。
返すときというのは、これは政治団体の支出に記載しなきゃいけないですね。それは、支出は一万円以上公開ですよ、一万円以上。これは稲田さんがそういうやり方をしましたね。それを今やっていらっしゃるということで理解してよろしいんですか。
○岸田内閣総理大臣 パーティー券を購入いただいた方、関係者の方々と対応を今相談しているところですが、その中で、相手の確認が取れたところは返金を始めているということであります。
いずれにせよ、令和六年度中にこの作業を終えることになります。結果としてどのような結果になるのか、これは来年度の収支報告書の公表の時点で明らかになると考えています。
○野田(佳)委員 よく分からない、それは。私は、中止の解釈の場合の書き方のお話をしました。
延期の場合の書き方ももちろんあるんですけれども、延期でも、入ってきたお金というのはやはり収入として書かなきゃいけないはずですね、未開催であっても。それはそういう形にしているんですか。
○岸田内閣総理大臣 もちろん、返金したものは、その返金した額、これを明らかにして、六年度の収支報告の中で明らかにしなければなりません。その作業について、購入者、関係者と今調整、相談をしているということであります。
○野田(佳)委員 今調整しているなんてあり得ないでしょう。だって、去年もらったお金を今調整している。報告書だって五月末提出でしょう。出す寸前じゃないですか。
では、せめて教えてください。例えば、十二月八日の広島で開催予定だったものは、売上げは幾らだったのか。買った方はどれぐらいだったのか。その方々と今調整しているということですよね。これぐらい言えるでしょう。
じゃ、十二月十五日のパーティーの方はどうか。売上げは幾らだったのか。対象はどれぐらいの方なのか、説明をしている対象の方。それはいかがですか。
○岸田内閣総理大臣 十二月八日予定だったパーティーについては、先ほど申し上げたように、これはルールに従って公表すべきものでありますが、延期されたままになっているという状況を考えますと、これは信頼確保のために、この場でも明らかにしなければならないと思います。約一千二百五十万円であります。
○野田(佳)委員 東京の方はどうなんですか。
○岸田内閣総理大臣 三千二百万円です。
○野田(佳)委員 広島のパーティーは、大体千数百万です、いつもは。そして、買ってくださる方が大体五百人ぐらいですよ。東京の場合は、三千万から三千五百万ですよ、例年。買ってくださる方は千人ですよ。
ということは、千五百人の方にきちんと説明をして、中止をするのかどうなのか。お返しするけれども、それはお名前が出ますよと。献金としてもらうならば、それはまた発表の仕方は違いますよと。丁寧にやらなきゃいけないんだけれども、丁寧にやってきて、今報告書を出す段階なのに、何でそんなに明確に説明できないんですか。
私は、もう時間がなくなりましたからいいですけれども、自分の約束をされたこともきちっとそれも説明できないんじゃ駄目だと思いますよ。やはり、改めて、政権交代なくして政治改革はなしと改めて思いましたことを申し上げて、質問を終わります。
○小野寺委員長 この際、落合貴之君から関連質疑の申出があります。野田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。落合貴之君。
○落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。
今朝、我々は、国民民主党、そして無所属の有志の会の皆様とともに、政治資金透明化法案を提出いたしました。それから、我が党が単独で、政治資金パーティーを禁止する法案も提出をいたしました。
資料一、そしてパネル一を御覧ください。
我々は、今回のことを発端に、今まで、この三十年間積み残してきた問題もあります。それも含めて、しっかりと本気の政治改革を実現しようということで、四つの法案を準備いたしました、特別委員会に向けて。
まず一つ目は、本日共同提出しました政治資金規正法等を改正する政治資金透明化法案、それから二番目に、もう既に維新、そして国民民主と一緒に提出をしました、旧文通費の使途を報告する、そして公開する法案、そして三番目、今日単独で提出しました政治資金パーティーの禁止をする法案、そして四番目、これは二年前に提出をしております企業・団体献金を禁止する法案、この四つで今後の特別委員会での議論に臨む予定でございます。
それで、先ほど総理は、答弁でも、自民党案、これは金曜日に提出をされていますが、実効性ある改革案ができましたというふうにおっしゃっております。でも、提出した直後から、テレビとか新聞で、これは大丈夫なのと書かれているわけですけれども、本当に国民の皆様が実効性があるというふうに思う案だと、総理、思っていますでしょうか。
○岸田内閣総理大臣 政治資金規正法の改正、これは、法律の立場から今回の事案の再発防止を行う、このために重要な法改正であると考えています。その再発防止という観点において、実効性のある案が提出できたということを申し上げています。
そもそも、政治資金規正法の改正については、政治家の責任の強化と外部監査の強化、そしてオンライン等による透明性の向上、この三つが重要だということを申し上げてきましたが、それに加えて、政策活動費、あるいはパーティーの透明性、さらには政治団体間の資金の移動の適正化など、この国会で指摘された様々な課題に対して具体的な内容を盛り込んだという意味で、実効的な案が提出できたと申し上げています。
是非、これから、特別委員会の議論の中で、各党と議論を深めていきたいと考えています。
○落合委員 先ほどの質問にもありましたが、国民が信頼するような、そういう制度改正を行わなかったら、あらゆる政策も強力に進めていくことはできません。これから日本のために必要な政策を推し進めていくためにも、この一か月、二か月の論戦、これは非常に重要なことであると思います。
九〇年代に冷戦が崩壊して、バブルが崩壊して、それなのに、政治改革の話がずるずるずるずる続いて、結局、ほとんど実効性あるものが行われず、そして、経済の分野でもほかの分野でも有効な施策が打てなかった、これが失われた三十年の原因、発端となっているわけです。同じ間違いを絶対に繰り返しちゃいけない。
政策活動費ですとか大玉はまだここに載せていないんですが、細かい部分でも非常に、私は、抜け穴がたくさんある、緩い部分がたくさんある、極めて不十分だというふうに思います。
これは、よく考えてみると、裏金を指摘されている議員、先ほども処分が甘いんじゃないかとありました。駄目よと怒られた戒告を抜かすと、離党勧告二名、党員資格停止が三名。八十人以上が裏金を指摘されているにもかかわらず、ほとんどの議員は、一割にも満たない議員しかちゃんとした処分を受けなかったわけでございます。八十人以上というのは、自民党の国会議員の数で割り算すると、五分の一いるんですよ、疑惑の議員が。その人たちが注意を受けたぐらいで残っている中で、再発防止策、それから政治とお金のルールを議論して答えを出す、これでいい答えが出るとは思えません。
では、具体的に見ていきたいと思います。
まず、パーティー券についてです。
政治資金パーティーというのは、利益率の問題ですとか、実際に参加する人が少ないですとか、そういうことが言われていますが、そもそも、政治資金集めパーティーというのは、ただのパーティーではありません。政治資金を集めるためにするパーティー、要は献金と似ているわけです。
本来であれば、献金と公開水準を合わせなければ、公開度の低い、透明度の低い方にお金が寄っていってしまいますので、政治資金集めパーティーも、寄附と同じように、公開基準を同じ水準で定めていかなければなりません。寄附は、年間で合計して五万円を超えると、寄附者が公表されます。金額も公表されます。それから、寄附者の住所ですとかも公開がされるわけです。
今回、自民党案は、パーティー券購入の透明性を高めるということで、十万円というふうに打ち出しています。でも、これはよく見てみると、年間十万じゃないんですよね、一回当たり十万。今までのルールでは二十万です。では、倍の回数をやれば、今までと一緒ということですよね。それから、例えば、一か月に一回パーティーをしている方もいらっしゃいます。十二回やったら百二十万まで、一年間パーティー券を購入、実質的に寄附をしていても氏名も出てこない、そういう改革案なわけでございます。
これで本当に透明性が高まっているんでしょうか。これはどうにでも、同じ水準で、要は二倍やれば同じことになるわけですが、これで透明性が高まっているんですかね。
総理、いかがですか。
○岸田内閣総理大臣 パーティー券の購入者の公開基準額の引下げによる大口購入者の公開など、政治資金パーティーの透明性を向上させること、これは政治資金の信頼性を担保し、政治資金の重要性について国民の理解を得る上でも大変意義あるものであると考えています。
その上で、委員の方から、今、寄附との比較について御指摘がありました。
まず、寄附というのは対価性のないものです。対価性のない寄附と、対価を徴収して行われる政治資金パーティー、これは性格がおのずと違うものでありますから、透明性、公開基準、これは同じ額にしなければならない必然性はないと考えています。
その上で、我が党としては、パーティー券販売の実態、一枚当たりの相場ですとか一人当たりのパーティー券購入数等を踏まえつつ、分かりやすく明確な基準額として十万円超という額が適当である、このように議論を行い、考えた上でお示しをした、こういったことであります。
○落合委員 対価性があるからというふうにおっしゃっていますが、対価性がないから申し上げているんです、ほぼないので。これはもう報道されているじゃないですか。指摘も受けていますよね。来ないことを前提に買っていたら、これが今、当たり前になっている。だから、利益率が九割ぐらい。利益率十割が寄附、利益率九割がパーティー、これはほぼ一緒じゃないですか。大臣、対価性があるんですか、利益率九割。
○岸田内閣総理大臣 基本的な法律的な位置づけ等は、先ほど申し上げたとおり、異なるものであります。
対価性九割という御指摘がありました。しかし……(落合委員「利益率九割」と呼ぶ)失礼、利益率九割という御指摘がありました。この中身についても、政治資金パーティーによって様々であります。
いずれにせよ、寄附と政治資金パーティー、これは異なるものであり、それぞれにおいて適切な公開基準が定められることが現実的であるということを自民党としては考えています。一枚当たりの相場ですとか一人当たりのパーティー券の購入枚数ですとか、こういった現実を踏まえつつ、分かりやすい基準額として十万円をお示しした、こういったことであります。
○落合委員 利益率十割の寄附と、利益率九割のパーティーはほとんど変わらないんです。
だから、九〇年代の終わり、企業・団体献金が禁止されたとき、自民党内はパーティーの数が増えましたよね。透明性を寄附の方は確保したら、今度はパーティーの方でお金を集めなきゃということでシフトしたわけです。私も、当選してから十年ですけれども、受かったばかりの頃、特に与党の先輩方から、お金を集めるのは寄附よりもパーティーの方が事務的にも簡単だから、そっちの方がやりやすいよと。これは我々の政治の世界では結構当たり前の話ですよね。建前でここで答弁するべきではない。ここは本気で議論する場なんです。そういうときなんですよ。
ほかにもパーティーにはいろいろな問題が、政治資金集めパーティーにはあります。
例えば、寄附は、外国人、外国企業から買収されないように、外国からは寄附を受けることはできません。しかし、パーティー券は買ってもらうことができます。これは外国からの買収リスク、政策がお金で買われちゃうリスクがあるんじゃないですか、総理。
○岸田内閣総理大臣 政治資金パーティーというものは、寄附とは性格が異なるものであると申し上げております。
パーティーについては、対価性を求めるものであります。その分、幅広い方々に参加する道が開かれている、これが今日までの実情であると考えています。
外国人との関係についても、寄附と政治資金パーティーとにおける違い、これは考えていかなければならないと思っております。
○落合委員 いろいろな種類から収入の幅を持たせたいんだったら、先ほどから申し上げているように、寄附と同じ開示基準にしてください。
それから、今のように、パーティー券を誰が買っているか、幾ら買っているかほぼ分からない状況であれば、全体のパーティーの中の何割、外国人がパーティー券を買っているか分からないわけですよ。問題があると思いますよ、我が国の政治の主権を保っていくためにも。これはそのまま放置していていいんですか。
○岸田内閣総理大臣 政治資金パーティーの公開基準についての考え方は、先ほど申し上げたとおりであります。
そして、これについては、与党の中でも議論が行われました。そして、これから特別委員会においても政治資金パーティーをめぐる公開基準等については議論が行われるものであると承知をしています。御指摘の外国人のパーティー購入も含めて、特別委員会の中で各党で議論を深めていく、このことが重要であると考えます。
○落合委員 ちなみに、パーティーのこういう開示基準の問題をたとえ議論したとしても、岸田方式のパーティーをこのまま続けていたら、しかもそれがスタンダードになったら、誰が購入者か、十万円でも二十万円でも関係ないんです。全くもって骨抜きになってしまいます。
このパーティーの件の最後の質問ですが、もう岸田方式のパーティーのやり方はやめる、それから、各議員にもこれはやっちゃいけないと呼びかける、それでよろしいですね。
○岸田内閣総理大臣 今御指摘のパーティー、私の内閣総理大臣就任を祝う会への御指摘だと思いますが、これまで答弁しているように、この祝う会は、知事以下地元の政財界の皆様が発起人となって開催していただいた純粋な祝賀会であり、法律に従い開催したものであると認識をしております。
ただ、その中で、私の事務所の人間がお手伝いをしたことをめぐって疑念の目が向けられていること、これは極めて不本意なことであります。
今後は、何か私のために開催していただくような会を事務所として認識した場合には、その趣旨を十分確認するなど、疑念を持たれかねない会合が開かれることがないようにいたします。
○落合委員 透明度ゼロのパーティーを総理が率先してやっているんです。こういうことは、もう今回の指摘で気づいたからやめますぐらい言ってくださいよ。
それから、もしパーティーの基準をいろいろ厳しくしたとしても、これをみんながやったら意味がなくなるんです、ルールの。これはまた取り上げますので、総理が率先して透明度ゼロのパーティーをやっている、こういう国であってはおかしい、いけないということを指摘させていただきたいと思います。
次に、政策活動費に移ります。
これは、主に幹事長が政党から使い道を公開しなくてもいいですよということで受け取っている、自民党の場合は一年間で大体十億円ぐらい、二階さんは五年間幹事長をやられていましたので、五十億近く受け取っているということでございます。
我々立憲民主党は、これはやめた方がいいんじゃないかということで、自主的に二年前にやめました。しかし、政党の運営は特に支障なくできています。工夫をしてやろうと思えばできるものです。
これは、何か五十万円以上は公開しますというようなことをおっしゃっていますけれども、ちゃんと領収書を五十万円以上は開示するんでしょうか。
○岸田内閣総理大臣 今回の自民党案では、政策活動費について、支払いを受けた者がその使途を報告し、収支報告書に記載することとしており、政策活動費の透明性向上に資するものであると考えています。
そして、五十万円以上ということでありますが、これは、党の支出の実態を見ますと、少なくとも、党役職者に支出されるいわゆる政策活動費については、五十万円超の場合で十分把握できるものであると考えております。
そして、領収書を取るのかという御質問でありますが、支払いを受けた者が報告するということでありますが、その報告の仕方については、それぞれの政党、内規において定めることになると考えております。
○落合委員 では、この自民党の公開するというのは、具体的にどういう公開をしてくださいという案を作ったんですか。
○岸田内閣総理大臣 そもそも、政策活動費というものは、党勢の拡張、そして政策立案、調査研究、こういったものに使うために、党の役職者の役職に応じてこれを支出する、こういったものであります。そして、そうした政策活動費について、今回、支払いを受けた者が、使途を定められた項目に従って報告し、そして収支報告書に記載する、こういった案といたしました。
このことによって、少なくとも、政策活動費、どのような目的で、いつ、幾ら使用したか、これは収支報告書上明らかになります。今国会でも指摘されたように、政策活動費、私的流用があるのではないか、こういった国民の疑念の払拭に資する制度になっていると考えております。
○落合委員 領収書を公開しないのに、これに使いましたというのは、どうやって国民が、これを本当に使っているなというのが分かるんですか。自民党は自主的に公開するんですか。
○岸田内閣総理大臣 政策活動費については、この国会において予算委員会等で度々議論を行いましたが、政策活動費の使途の公開は、政治活動の自由との関係において、例えば、個人のプライバシーですとか……(発言する者あり)
○小野寺委員長 御静粛に願います。
○岸田内閣総理大臣 あるいは企業の営業秘密、さらには、政党の戦略的な運動方針が他の政治勢力や外国に明らかになる、こういったおそれへの配慮が重要だという議論を度々させていただきました。一定程度、公開になじまない、こういった事項も政策活動費の中にはあるんだということを説明させていただきました。
領収書を明らかにしろということでありますが、今申し上げたような点、公開になじまない点、これも配慮しなければならないとした場合に、領収書を全て添付、公開した場合、具体的な支払い先が明らかになってしまいます。
こうした、先ほど言った懸念とのバランスにおいて、政策活動費の公開、どの程度公開していくのか、こういった議論の下に自民党案を作りました。政治活動の自由と、そして国民に対する内容の公開、このバランスの中で適切な制度をつくっていくべきだというのが自民党の考え方であります。
○落合委員 それは、五年間で五十億を、全額見せられない使い方をしているわけではないですよね。全額見せられない使い方をしているんでしょうか。
○岸田内閣総理大臣 見せられないという意味ですが、要は、法律に違反するようなことをしているかという御指摘であれば、それはそういったことはありません。法律に合致した形で政治資金が使われる、これは当然のことであります。
○落合委員 我々の案は全面的廃止です。でも、全額で開示するべきだという野党の意見もあります。基本的に、全部国民に分かるようにするというのが基本である。
与党だったら、官房長官が官房機密費を持っているじゃないですか。それでいろいろ、外交ですとか国のためにやるんじゃないですか。官房長官も秘密の財布を持っていて、幹事長も秘密の財布を持っていて、官房長官と幹事長は違う派閥が代表者を送る。そうやって自民党政治をやってきたんじゃないですか。
五年間で五十億も、全く国民に開示をしない、おかしいです。九割開示できるんだったら、九割開示するという案も出なかったんですか。
○岸田内閣総理大臣 まず、官房機密費と政策活動費、これは全く目的の違う、異なったお金であります。それぞれ、内閣の政策遂行におけるお金と、そして党における党勢拡大等に使われるお金、全く制度として異なるものであります。
そして、政策活動費については、先ほど来申し上げておりますように、政治活動の自由との関係において、個人のプライバシーや営業秘密、さらには、政党の活動が公になることの不都合、こういった点にも配慮しなければならないお金であるということ、これは国会において度々御説明をさせていただいています。
しかしながら、公にする、少なくとも私的流用等はあり得ない、こうした国民の疑念にしっかり応えるための公開の在り方について、自民党として案を取りまとめました。
先ほど申し上げたように、自民党案によって、いつ、誰が、どのようにお金を使ったか、こうした目的や、それから時期や金額等について明らかになる、これは国民の疑念の払拭につながる制度であると認識をしております。
○落合委員 時間が参りました。
国民に言えないようなことをやってきた方々に、厳しい案などは作ることができない。だからこそ、我々の案をベースに議論するべきであるということを申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。
○小野寺委員長 これにて野田君、落合君の質疑は終了いたしました。
次に、青柳仁士君。
○青柳(仁)委員 日本維新の会の青柳仁士です。
教育無償化を実現する会との共同会派を代表して、質疑をさせていただきます。
まず、政治資金規正法改正案の与党案についてですけれども、総理が国民の信頼を回復するに足る案を出すというふうに繰り返し申されておりましたので、与党案、心待ちにしておりました。随分時間がかかりましたので、いいアイデアが出てくるのかと思いましたら、絶望的にお粗末な案が出てきたな、このように思っております。この期に及んで、よくこんな恥ずかしい案を出せたなと、驚きを通り越して、あきれております。産経新聞、毎日新聞などの世論調査でも、この案を評価しないと答えている国民の皆さんが七〇%を超えております。
何がおかしいかということを具体的に申し上げますが、まず、今回の裏金事件の問題を矮小化していると思うんです。小さく小さく捉えている。
先ほど公明党からも指摘がありましたけれども、国民が求めているのは、今回の一連の裏金事件で明るみになった政治と金の汚い関係を一掃することなんです。なのに、総理あるいは自民党は、派閥の政治資金パーティーという非常に小さいところに問題を限定して、また、その中の収支報告書の不記載という、それだけに、その再発防止の話だけをしようとしている。これはもう明らかなごまかしだと思います。
だから、出てくる内容というのが、パーティー券の銀行振り込みだとか、収支報告書のオンライン化だとか、あるいはコンプライアンス研修、こんなほとんど意味のないようなものばかりです。それから、外部監査の拡充も、これは今、支出の目的は見ていないわけです。連座制も、やって当たり前ですよね。民間企業で不正が起きたときに、社長が責任を取らないで、経理部長だけが責任を取るなんて、そんな会社はありませんよ。どうでもいい、当たり前の案をもったいぶって出してきて、やっている感を出しているだけだ、このように捉えております。
一方で、先ほど来から様々な指摘がありますが、本丸となるところは全てスルーしている。企業・団体献金は一切触れていません。政策活動費は今、穴だらけです。
総理は、前回の予算委員会で私が質問をさせていただいたときに、政治資金規正法改正をこの国会会期中に実現する、私自身が先頭に立って取組を進め、自民党を信じてよかったと思ってもらえるような信頼回復を果たさなければならない、これは有権者の前で語った言葉ですね、これと同様の趣旨のことを表明されております。
総理として、今回のこの自民党案で本当に国民の信頼回復ができると考えているんでしょうか。
○岸田内閣総理大臣 今回の事案を受けて、自民党として真摯に受け止め、反省しなければならない、これは当然のことでありますが、そのための道のりは決して平たんなものではなく、そして、幾重にも乗り越えなければならない課題があります。
今回の事案を受けても、まずは検察による刑事責任が問われ、自民党自身として党則、党規約、ガバナンスコードを変え、自民党自身が責任体制を明らかにして、いわゆる派閥の解消を行うなどの取組を行い、その上で、本人の説明責任に加えて、自民党としての、外部の有識者も入れた聞き取り調査等を行い、そして国会での議論にも臨み、その上で、政治責任を問うための処罰を行った、こういった取組を行ってまいりました。そして、今度、国会においては、再発防止という観点で政治資金規正法の改正に臨まなければならない、特別委員会での議論に臨む所存であります。
こうした取組を一つ一つ積み重ねることが大事だと思っておりますし、これで政治の信頼が回復できるかという点については、こうした政治資金の問題、まずは再発防止の観点から重点的に取り組まなければならないと思いますが、おっしゃるように、信頼回復という観点においては、政治改革、これからも努力を続けていかなければならない大きなテーマであると考えています。
○青柳(仁)委員 今回、今日は時間が少ないものですから簡潔にお答えいただけるとありがたいんですが、おっしゃるとおり、これから信頼回復をしっかりとやっていかなきゃいけません。
あしたから政治改革特別委員会が立ち上がってまいりますので、是非、この企業・団体献金、このまま入れないなんということはなしで、しっかりと議論の中に入れていただくということ、それから、政策活動費の廃止も含めた透明化をしっかりと行っていくということ、これを求めていきたいというふうに思っております。
それから、先ほど来から、再発防止、再発防止の観点とおっしゃるんですけれども、私が申し上げたとおり、非常に狭い範囲に問題を限定した場合の再発防止の話を総理はされているし、自民党もしていますので、それは国民が求めているものと違いますから、それははっきりと申し上げておきたいと思います。
それから、政策活動費について、先ほども議論がありましたが、ちょっと明らかにさせていただきたいんですが、これは今回の自民党の案をそのまま持ってきました。
五十万円を超えるものしか規制しないというのは、そうしたら、五十万円以下だったら、政策活動費、配りたい放題なのか。これもまた非常に不思議な感じがするんですけれども。
一旦それはおいておいて、五十万円以上のものであっても、これは最終的には、下の方にあるんですけれども、項目別の金額を当該政党の会計責任者に通知すればいいというだけになっておりまして、この文書の中には、領収書という言葉が一度も出てきません。
先ほどの答弁も踏まえて、今回の自民党の案というのは、各党が内規の中で領収書を出すということを定めない限り、領収書を保管し公開するということはしなくてもよい、それが認められる法案であるということは間違いないですね。
○岸田内閣総理大臣 自民党の案は、政策活動費を受け取った側が使用について報告する、このようになっています。そして、報告の仕方については、先ほど来申し上げたように、内規で定めることになると思います。
そして、その中身、領収書が求められるのかということについては、先ほど来申し上げておりますように、個人のプライバシーや企業の営業秘密、さらには政党活動が外部に明らかになる点、こういった点も踏まえて内容を考えていかなければなりません。全て領収書ということになりますと、これは、今言った点も全て明らかになってしまいます。
今言った政治活動の自由とのバランスにおいて、適切な報告のありようが内規において定められるものであると考えますし、特別委員会の議論においてもその点について議論が行われるものであると承知をしております。
○青柳(仁)委員 今の答弁、簡潔に言えば、私の言っているとおりなんです。この法律そのものでは、領収書を出すことにはまずなっていない。
それから、プライバシー等々とおっしゃっていましたけれども、それらを踏まえて、どういう提出の仕方をするか、領収書を出す、出さないかは内規で定める、こういう内容であります。ですから、内規で定めなければ、領収書は保管もしなくていいし、それから公開もしなくていいんです。
今までの自民党のやり方を見ていて、これから自民党が、これを内規で、法律で定まっていない、我々野党とこの国会で議論して、厳しい議論の中で生まれてくる条文の中に領収書というのが入っていないのに、その後、自主的に領収書を公開するような内規を作るなんて信じる人は誰もいないと思いますよ。
ですから、そこは総理が、まずは、内規ですから、党の話ですから、この法律が決まった後に内規を作る際に、できる限り領収書を公開する方向で内規を作るべきだというのを党内の方に指示していただけませんか。
○岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げました政治活動の自由と国民に対する政治資金の透明性の確立、このバランスの中で、適切な内規を作っていかなければなりません。そうした両者のバランスの中で、適切に内規は考えられるべきであると考えます。
○青柳(仁)委員 今のお答えは、一言で言うと、やる気がないとおっしゃっているようにしか聞こえません。
火の玉になって、今回、国民の信頼回復を行うと総理自身がおっしゃっているのであれば、それぐらいの、総理として、総理・総裁としてできることは全力でやっていただきたいというふうに思います。
それから、企業・団体献金の件。
なぜ、今回、企業・団体献金がこの案の中に入っていないのか。先ほど野田元総理との議論の中でもありました。企業との癒着によって政策がゆがめられたと指摘されていない、こういう理由が一つありましたが、これは指摘されていますよね。だって、リクルート事件とか佐川急便事件のときに、まさに企業との癒着によって政策がゆがめられたと指摘されたから、合法の賄賂ではないか、そういうことで議論されていたわけですよね。
それで、今回の政治資金パーティーというのは、先ほど来から質疑もありましたけれども、政治の世界の常識として、政治資金パーティーというのは企業・団体献金の抜け穴になっているというのは、公然の事実ですよね。ですから、完全に、今回のスコープの中なんですよ。今回議論すべきことのど真ん中なんですよ。なぜ、そういう表面的な言い訳ばかりして、これが入らないことになるのか、全く理解ができません。
それから、なぜこれをやらないのかという理由の中で、政治団体の収支は、多くの団体による多様性、政党助成金とほかの収入とのバランスが大事だというふうにおっしゃったんですけれども、大事なのは、多様性じゃなくて適切性だと思うんです。
単に収入源を多様化すればいいだけだったら、では、今、自民党の銀行口座にあるお金を運用したらいいじゃないですか。株式だとかいろいろなところで運用益を出したらいいじゃないですか。なぜそれをやらないんですか。多様になるじゃないですか、それで。あるいは、外国の団体から献金でも受けたらいいじゃないですか。多様じゃないですか。
単に多様にするだけだったら、幾らでも方法はあります。大事なのは、多様なことじゃなくて、それが適切かどうかですよね。だから、適切でないところからは一円も受け取っちゃいけないんです。企業・団体献金というものが適切でないのであれば、そこからは受け取っちゃいけないんです。多様にしなければならないというのは理由にならないんです。
そして、もう一つ申し上げますが、最高裁は、政治活動の自由の一環として寄附の自由を有する、こういうことを繰り返しおっしゃっていますけれども、これは、先ほども指摘がありましたけれども、そもそも五十年前のものです。五十年前にそういうことが最高裁で出ていたのに、三十年前にそれを見直そうとしたわけです。
だったら、なぜ、その三十年前の改革では企業・団体献金に網をかけようとしたんですか。五十年前のこれが生きているんだったら、それはおかしいじゃないですか。矛盾しますよね。
それから、もう一つ申し上げると、この昭和四十五年の最高裁判決、これは八幡製鉄の政治献金事件ですけれども、確かに、この中には「憲法上は、公共の福祉に反しないかぎり、会社といえども政治資金の寄附の自由を有する」、こういう判決が判決文に入っています。
しかし、その前提は、巨額の寄附は金権政治を生む、有力株主が外国人であれば外国による政治干渉の危険がある、豊富潤沢な政治資金は政治の腐敗を醸成するといった、そのときに議論された弊害を認めた上で、それらには立法政策で対処することが適当だ、こういうことを言っているんです。今まさに、立法政策で対応しようとしているんじゃないですか。誰も憲法を変えようとは言っていないですよね。
なぜ企業・団体献金が今回の議論の中に入らないんですか。総理のおっしゃった全てのあらゆる理由を聞いても全く理解できないんですが、もう一度御説明いただけますか。
○岸田内閣総理大臣 御指摘の昭和四十五年の最高裁判決、これは企業の政治資金の寄附の自由を認めるとともに、御指摘のように、弊害に対処する方途は立法政策にまつ、このようにされています。そして、その後、御指摘のリクルート事件を始め様々な事件があり、政治改革の議論が積み重ねられ、そして今日に至っています。
少なくとも、御指摘の最高裁判決、これは平成以降の判決においても度々引用されています。この判決、判例は変更されていないと認識をしております。
こうした最高裁判決、さらには、先ほど申し上げました平成元年の自民党の政治改革大綱を始め、こうした議論の中で、企業・団体献金、法人の寄附、こうしたものは禁止する理由はない、こうした指摘があります。この基本に立ってその後の議論が行われ、今日に至っている。そして、今回の事案を受けて、日本の政治として何が足りないのか、具体的に再発防止策を自民党としても考えた、こうしたことであります。
いずれにせよ、これから特別委員会において議論が行われます。各党各会派のそれぞれの案を持ち寄って、御指摘の企業・団体献金についても、政策活動費についても、どうあるべきなのか、議論を深めていきたいと考えています。
○青柳(仁)委員 ですから、今おっしゃっていた昭和四十五年の判決は、企業・団体献金をやめてはいけないなんて一言も言っていないんですよ。しかも、立法措置にまつべきと言っているので。よく条文を読んでみてください。
それが何回参照されたからといって、そこに網をかけてはいけないということにはまずならない。もしそうであれば、三十年前にそういう議論をしたことは間違っていたというんですか。なぜそれが国会でできたんですか。企業・団体献金に網をかけようとしたじゃないですか、五十年前の判決があったのに。何か鬼の首を取ったかのようにこの判決文を出して、やらなくていいようなことを言っているんですけれども、全く私は矛盾していると思いますよ。
企業・団体献金は、何かあるテレビ番組で自民党の議員が言っていましたけれども、自民党の力の源泉だそうですね。それをそがれたくないとか、くだらないことを言っているんですけれども、我々は国民の信頼回復をしようということを言っているわけですよ。そんなつまらないことは誰も考えていないですよ。よく考えていただきたい。
それから、政策活動費も、五十億円のお金を、非課税で非公開のお金を二階幹事長を始め皆さんが使っていたということを、もうやめようと言っているのに、今の自民党が出してきた案では、このまま存続しますよ、この制度。このまま使い続けられますよ。だって、これは支出の項目別の金額を出せばいいだけですもの。領収書を出さなくていいんだから、ほとんど変わらないですよ、これは。だから、今の現状を認識して、いいんですかということを私は強く申し上げたいと思います。
時間が参りましたので終わりにしますが、私は、今の議論を通じても、自民党というのは、結局、岸田総理も、どうやって国民の信頼を回復するかということではなくて、どうやって不透明な金を温存するか、こういうことを一生懸命取り組んでいるということを確信いたしました。政治改革特を通して、しっかりと我が党の主張をこれからも申し上げていきたいと思います。
終わります。
○小野寺委員長 この際、藤田文武君から関連質疑の申出があります。青柳君の持ち時間の範囲内でこれを許します。藤田文武君。
○藤田委員 日本維新の会の藤田文武でございます。
総理、今日は、時間がありませんので、二点に絞って聞きたいと思います。一点は文通費、もう一点は政策活動費であります。
今週から政治改革特別委員会の議論が実質始まります。ですから、ここで様々決まっていくわけでありますが、これまでのこのごたごたを見ていますと、総理の一言で動いてきたこともあるんじゃないかなというふうに私は一定評価する部分もありまして、ですから、総理が実質審議が始まる前に方向性をやはり示唆すべきだし、又は明言してほしいという思いの中で今日は質問をしたいと思います。
さっき青柳議員がるる政策活動費の実態について、そして、自民党案が出てきまして、我々もその説明を受けました。その穴を指摘させていただいたところでありますが、その前段で、先週の日曜日に「日曜討論」というNHKの番組がありまして、御党の政治刷新本部の分科会の責任者である鈴木馨祐議員と、我が党の青柳議員、それから、先ほど質疑に立たれた落合議員も参加された討論番組がありました。
その際に、政策活動費について鈴木議員も言及がありまして、これをちょっと確認したいんですが、自民党の政策活動費は党の財政委員会で適正に使われているかということをチェックされているから今でも問題ないんだという趣旨の御発言がありました。
私は、前回、総理と結構、自民党の党内でどういう運用がなされていて、どんなチェックがされているのかということをお聞きしたんですが、そこで私が理解したのは、総理の答弁から理解したのは、領収書のチェックはされていなくて、恐らく、ある程度、すごく曖昧に、この役職にはこれぐらいかなという権限が曖昧に付与されていて、自由に運用されていて、でも、実際のその先に何に使ったかということは誰もチェックしたことがなく、そして、それはその議員の良心に任されている、こういう理解だったんですけれども、ちょっとニュアンスが違うなと思ったわけであります。
この財政委員会等で、実際にこの先に、渡された先でどのように使われているかということを領収書も含めてチェックされているんでしょうか。改めて聞きたいと思います。
○岸田内閣総理大臣 まず、四月二十二日のこの予算委員会の私の答弁ですが、今ちょっと確認してみましたが、政策活動費については、内規、慣行等に照らして、党に代わって党勢拡大や政策立案、調査研究を行うための政策活動費を党の役職者の職責に応じて支出している、そして、内規等に照らして支出するので、その中で使途等についても確認をしている、このように申し上げました。
そして、御指摘の党の財務委員会の対応ですが、財務委員会においては、二か月に一度、党資金の収支について報告を受けるとともに、党大会に報告する決算について監査を行うこととなっており、その中で、会計帳簿等に基づき、内規等に照らして適切な支出がなされているかどうかを確認している、これが財務委員会のありようであります。
よって、私の委員会での答弁と、委員御指摘の番組での自民党の発言と、これは矛盾するものではないと考えております。
○藤田委員 分かりました。どちらも割と曖昧なので、矛盾しないということで受け止めます。
じゃ、その上で、それが適正かどうかは、領収書を見ないと適正か分かりませんよね。実際にそれを持ってきた人がこうだと言い切ったらそれで終わりというのでは、これは恐らく、私も民間企業をやっていましたから分かりますけれども、税務調査は通りませんから。これは、領収書のチェックというのが実態としてあるのか、若しくは、そういうのはなく、何となく、いわゆるさっきおっしゃられた非常に曖昧な答弁の枠内の中で適正だなというふうにしておいているのか、どちらですか。
○岸田内閣総理大臣 御質問は、今現状の対応についてかと思いますが、現状の対応は、先ほど申し上げましたように、内規に基づいて支出を行うということを確認しているということであります。領収書等の確認とは別であると考えています。
○藤田委員 領収書の確認とは別である、つまり、領収書のチェックはなされていないということでいいんですよね。
○岸田内閣総理大臣 支出の段階での確認であります。領収書というのは、実際、出したお金がどう使われたか、その上での領収書であると思います。
先ほど申し上げましたのは、党として、内規に基づいての支出について確認をしているということであります。
○藤田委員 今の御答弁から考えると、領収書のチェックはしていないんです。いいじゃないですか、していないとおっしゃっていただいたらいいと思います、今がそれが現状なんですから。まず現状を知らないとその対策は打てませんから。していないということなんですね。
それで、自民党案や政策活動費の本質に入っていきたいんですが、政策活動費は、これは私も、政党が議員にする寄附の例外規定のようなものが援用されているのかなと思ったら、それもあるんだろうけれども、もう一つ、ちゃんと明確にここ数か月の討論で定義されました。政策活動費は、党勢拡大、政策立案、調査研究、党のために使うということで支出をする、これが政策活動費であると。つまり、渡し切りの経費で、それが適切に支出されているんだったとしたら、いいですよと。
なおかつ、政治家個人が政党からその政治資金の支出を受けた場合、それは全部ちゃんと使っていたらいいんだけれども、残額が出ると課税対象になるということも答弁の中でありました。
つまり、渡されたお金がちゃんと適正に使われているかを証明しないといけないわけなんですね。
これはちょっと拡大解釈すると不思議だなと思って法制局にも聞いたんですが、その回答は、例えば、私らでいうと三十数億円の政党交付金をいただいています。その三十数億円を全部幹事長である藤田文武名として支出して、金額の総額だけを書いても適法かというと、適法らしいんですよね。これは抜け道なんですよ、明らかに。
だから、今回のこの政策活動費問題については、やはり全部をなくす、又は、使うのであれば、適切にちゃんとした規制、キャップをかけて、そして報告をさせないと、この疑念というのは永遠に続いていくということなんですね。
自民党案はどうかというと、先ほど青柳委員から整理があったように、五十万円以下は分かりません、五十万円以上については議員本人から支出についての報告を受けるということで、領収書を取るか取らないかは党の内規で勝手にしてねと。つまり、今でいったら自民党さんはこれはやっていないわけですけれども、領収書も分からないということなんですね。
これでその支出が行われたことの適正性を判断するということはできるんでしょうか。いわゆるその運用で全く問題ないとお考えかどうかをまず聞きたいと思います。
○岸田内閣総理大臣 今回の自民党案では、政策活動費について、支払いを受けた者がその使途を報告し、収支報告書に記載することとしています。このことによって、少なくとも、どのような目的で、いつ、そして幾ら使用したか、これは収支報告書上明らかになります。
今回、政策活動費については、これは何に使ったか分からない、本当に使ったのだろうか、こういった指摘がありました。私的流用があるのではないか、こんな指摘もありました。こうした疑念に対して応える、疑念を払拭する、こういった点においては、今回の案、これは透明性向上に資するものであると考えています。
○藤田委員 今よりましなだけで、簡単に言うと、今回の自民党案は、勘定科目を幾つかつくって、そこに、例えばこの科目には何百何十何万何千何百何十何円使っていますよという報告が議員から来たら、それをそのまま載せるという案だと理解しています。でも、それが突き合わせて一円単位でぴったりと本当に使われているかということは、誰も分からないし、その報告義務もないというところで止まっているんですね。私は、それでいいんですかということを問うているんです。これだけ疑念があって、実際にその運用だったら、もう好き放題ですよ、簡単に言うと。報告したらおしまいなんですから。
そこで、我々は、案を一応出して、今度、法案提出を一応します。これは、個人への寄附という例外規定はまずなくしましょう。渡し切りの経費はなしにしましょう。その上で、政策活動費は、名前は何でもいいんですけれども、特例支出みたいな制度にして、総額は決めましょう。もう幾らでも無限には使えないようにする。それから、収支報告には、もちろん自民党が言っているような勘定科目は出しつつ、領収書もそこでは提出する。ただ、それを、第三者又は選管でもどこでもいいんですけれども、チェックをしてもらって、それは、ちゃんとしたガバナンスの下、第三者にチェックを受けてそれが通っていくというふうにしましょう。
なおかつ、今回は、案では十年後にしたんですが、少し後、先ほど総理がおっしゃられていたように、すぐには出せないものがあるんだよ、いろいろ戦略的にも又は外交秘密的にもと。それは一定理解します。であれば、数年後の公開というような運用も一つのアイデアとして出てきまして、我々もそういう内規にしました。数年後に公開するという内規にしました。
ですから、私も今それをお預かりしている立場ですけれども、勝手に使えないというガバナンスが確立されているわけなんですね。そこまで穴を塞がないといけないんじゃないですかというのがこの政策活動費の問題なんですね。
だから、一言で言うと、領収書を出させてください、そして第三者のチェックを受けさせてください、そして、それをすぐに公開又は複数年後の公開のところまで言っていただかないとこれは改革したとは全く言えないと思いますが、いかがでしょうか。
○岸田内閣総理大臣 自民党の案については、先ほど申し上げたように、政策活動費がどのような目的で、いつ、幾ら使われたか、これを明らかにする。今、自民党の実態を考えますときに、透明性の向上に大きく資するものであると考えています。
しかし、いずれにせよ、政策活動費、自民党案は今申し上げたとおりでありますが、これから特別委員会で議論を行うわけであります。これは、与党としても、そして野党の皆さんともしっかり議論を深めることによって、政策活動費、どうあるべきなのか、これはこれから議論を深めていかなければならない課題であると思います。自民党もそうした議論に貢献をいたします。
○藤田委員 自民党案はそうだけれども、今後の委員会次第では分からないというニュアンスだったかと思います。
もう一度整理すると、自民党案は、今出てきている、又は我々が自民党の担当者から説明を受けている限りでいうと、五十万円以下はもちろん分からないけれども、五十万円以上はいわゆる勘定科目みたいなものだけ議員から報告させて、それをそのまま収支報告に載せて終わりなので、それを突き合わせる機能はないんです、法律上。それを、私は一歩踏み込んで、領収書を添付させて、選管でも会計検査院でもどこでもいいんです、第三者機関がちゃんとそれは確かに数字が合っているから間違いないよねということが分かって、なおかつ公開のところまで踏み込んでほしいというのがオーダーであります。
これは、でも、どう考えても我々が言っている案の方が適切に使われますよね。そう思いませんか、総理。
もう一度お聞きします。
自民党の案でいいと思っていらっしゃるのか、いや、今私が申し上げたような案というのは、確かに適正性を担保するためには、民間でいったら当たり前のフローなんですけれども、そういうところまで踏み込む価値はあると思われるのか。今後の委員会の中で議論されていくべきものとさっきおっしゃられましたけれども、それは、今私が申し上げている議論というのは確かに価値があって、そこまでやるということも選択肢かどうか、もう一度お考えを聞かせていただいていいですか。
○岸田内閣総理大臣 自民党案については、先ほど申し上げたように、どのような目的で、いつ、幾らお金が使われたか、これを明らかにすることによって、国会においても議論された、政策活動費が何に使われたか分からない、全部使われたか分からない、さらには私的流用があるのではないか、こういった指摘に応えられる内容になっていると考えておりますが、いずれにせよ、特別委員会での議論、これからスタートするわけです。自民党案も提出させていただきました。各党と議論を深めていきたいと考えております。
○藤田委員 最初に申し上げたように、総理がぶら下がりや又は答弁で一歩踏み込んでもらうと進んできたんですよ。だから、それは私は評価したいなと思っている。
どう考えても、誰が聞いても、この自民党案ではきれいにならないんですよね。それを突き合わせる機能というのをやはりここでセットしないと、私は、自民党さん、大チョンボになるんじゃないか、すごい危機的な状況になるんじゃないかと思います。だからそれは選挙で片をつけようというのであれば、それでも構いませんが。
ただ、私は単純に、やはりそういう後ろ暗いことは法律の中でちゃんとキャップをかけていって、しっかりと制度上担保していくという時期に来ているんじゃないかというふうに思うんです。だから、総理にもう一歩踏み込んでいただきたい。
だから、この政策活動費と、それから、私がずっとセットだなと申し上げてきたのは文通費なんですね。文通費は、自民党さんの中にも、これはやっていこうという方が結構出てきています。それは何度も申し上げてきました。ですから、今動きそうな気配もあるんです。
今、総理が、今日、現時点で、この文通費についてやるべきかどうか、文通費の公開、そして残金の返納、もう二年半たなざらしになっていますけれども、これはもう致し方ない、やりましょうというのが今国会の結論にしたいわけです。そして、政治改革委員会がずっと続いていきますけれども、その後ろじゃなくて、そこの同時進行でそれを進めていただきたいと思うんですが、今の総理の文通費への向き合い方、もう一度御答弁いただけますでしょうか。
○岸田内閣総理大臣 旧文通費については、先ほども答弁させていただきましたが、先日、党の幹部に対して、旧文通費、これまでも各党で議論は行われてきました。その中で文通費の性格ですとか日割り計算等については結論が出たわけですが、まだ残された課題がある。この文通費の政策を踏まえて、文通費の支出可能経費の確定、あるいは支出の公開の在り方、こうした残された課題について議論を再開するよう指示をいたしました。
この指示をした以上、議論を突き詰めて結論を出していかなければならないと思っています。その際に、御党が以前より御指摘いただいている問題意識を踏まえて、議論が早期に深まっていくよう、我が党としても積極的に議論に参加してまいります。
○藤田委員 最後は少し前向きな答弁をいただきましたね。
これから改革がしっかり進むように我が党もやりますので、自民党にしっかりと指示を出していただきたいと思います。
以上です。
○小野寺委員長 これにて青柳君、藤田君の質疑は終了いたしました。
次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
我が党のしんぶん赤旗の報道を端緒としました自民党の裏金問題は、まさに自民党ぐるみの組織的犯罪行為と言わなければなりません。その全容解明をし、政治責任を明らかにし、金権腐敗の根を絶つ抜本的改革を実現することが必要であります。
四月、我が党の小池書記局長の質問に、岸田総理は、真相究明の努力は続けなければならないと述べましたが、その努力をしたのかが問われております。裏金問題に深く関わるとされている森元総理について、岸田総理は、直接電話をかける形で事情をお聞きした、しかしながら、引き続き森元総理の具体的な関与については確認できていないと述べておりましたが、その後の文芸春秋のインタビューによりますと、森元総理は岸田総理から裏金のことを聞かれていないという話であります。これでは国民にうそをついたということになりはしませんか。
○岸田内閣総理大臣 私は、森元総理に対する聴取、国民の関心を踏まえて、いつからこうしたシステムがスタートしたか等について直接お伺いいたしました。それを国会において私は申し上げているわけであります。
これは週刊誌の記事一つ一つに……(発言する者あり)週刊誌、月刊誌、雑誌の記事の一つ一つについて申し上げることは控えますが、私自身、国会において確信を持って答弁をさせていただいています。是非こうした取組については国会においてもしっかり御理解いただきたいと思っておりますし、また、こうした事実の解明については、これから公判においても審理が行われます。こうした国会の、審理の状況も踏まえながら、事実の解明に向けて強い関心を持って臨んでいかなければならないと考えております。
○塩川委員 どっちが本当のことを言っているのかというのを明らかにしなくちゃいけないわけですよ。安倍派だった山本一太群馬県知事も、裏金事件については、森さんが知らないはずがないと発言をしております。
森元総理の電話について、中身は答えない、記録もない、同席者もいない、こういったことでは真相解明ができるはずがありません。電話ではらちが明かないんですから、森元総理に対して自民党総裁として国会に証人喚問として出席を求めるべきではありませんか。
○岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、私自身、国民の皆さんの関心を踏まえて、森元総理に電話で聴取をいたしました。その上で、森元総理が今回の事案に直接関連しているかどうか、この点について事実として確認することはできなかったと申し上げております。
こうしたことを踏まえますときに、私自身、再聴取等は考えていないわけでありますが、証人喚問等においては、当然のことながら、国会においてこれまでの経緯も踏まえて御判断されるものであると考えております。
○塩川委員 是非、森元総理に国会においでいただいて、しっかりと説明をしてもらうということこそ、自民党総裁として岸田総理が行うべき仕事だということを申し上げるものであります。それもしないということであれば、真相解明をする気がないと言われても仕方がありません。
総理がこんなことだから、衆議院の裏金議員四十四人も、政治倫理審査会に本当に出てくるのかと。出席をするという話が一つも出てこないじゃありませんか。真相解明に蓋をする自民党では、抜本的改革もできるはずがありません。
実際、岸田総理が政治と金の問題に対する抜本的解決策という自民党の政治資金規正法を見ても、肝腎要の企業・団体献金の禁止が入っておりません。裏金の原資である派閥の政治資金パーティー収入は、形を変えた企業・団体献金であります。
自民党派閥のパーティー収入は、一九九八年から九九年にかけて三・六倍に急増いたしました。それは、一九九九年に派閥への企業・団体献金が禁止されたことをきっかけに、派閥の政治資金パーティー収入という形で企業、団体からの献金を受け取るようになったからであります。
裏金問題の大本には企業・団体献金がある。なぜ自民党案に企業・団体献金の禁止が入っていないのか、お答えください。
○岸田内閣総理大臣 これも先ほどもお答えいたしましたが、政治団体の収入については、多様な考え方、あるいは多様な出し手による様々な収入を確保すること、これは、政策立案における中立性やバランスの確保において重要であると認識をしています。
そして、過去の政治改革大綱ですとか、あるいは最高裁判決にも、法人などの寄附を禁止する理由はない、あるいは、企業は憲法上の政治活動の自由の一環として寄附の自由を有する、こうした判断もされています。全面的に禁止する理由はなく、しかし、透明性の確保によって信頼性を高めていく、こうした取組は重要であるということを自民党としては考え、この自民党案を作成した次第であります。
○塩川委員 多様な出し手の話がありましたけれども、そもそも、こういった、主権者である国民に依拠した財政活動こそ求められているときに、選挙権を持たない企業から多額の献金を受け取っていること自身が国民主権をないがしろにしているということが問われているんじゃないでしょうか。
企業にも政治活動の自由があると言いますけれども、問われているのは企業献金の賄賂性の問題であります。実際には、寄附の自由の話ではなくて、賄賂政治の自由なのではないのか、このことが問われているわけであります。
パネルを御覧ください。
そもそも、企業の政治献金は、本質的に政治を買収する賄賂であります。リクルート事件など金権腐敗政治への国民の批判を受けて、財界団体の経団連は一九九九年に献金あっせんを中止しましたが、二〇〇三年に、露骨な政策買収である政党通信簿方式の企業献金を打ち出し、金も出せば口も出すと企業献金を復活しました。
この二十年間で、大企業の求める法人税減税は基本税率で三〇%から二三・二%に引き下げられ、一方で、国民にツケを回す消費税は五%から一〇%へと増税されました。この間、自民党への企業・団体献金は四百六十四億円。まさに、こういった大企業は過去最高益が相次ぎ、巨額の内部留保が積み上がる一方で、国民は賃金も年金も上がらず、塗炭の苦しみの中にあります。
企業・団体献金が賄賂となって財界、大企業の利益を優先し、国民生活を顧みないという政治の腐敗を生み出しているのは明らかではありませんか。
○岸田内閣総理大臣 先ほど、政策立案における中立性やバランスが大事だということを申し上げました。政治団体の収入という点においてもこのバランスは大事だと思いますが、そもそも、自民党の政策立案のプロセスを考えましても、一部の政治献金によって結果が左右されるというものではないと考えます。
なぜならば、一つの政策をつくるに当たって、選挙区において、あるいは様々な国民の声の中で求められた課題について、必要であれば有識者や関係省庁の議論を積み重ね、自民党としても何日も議論を行った上で、他党とも協議を行い、国会での議論も行い、その上で法案等が成立する、このプロセスを考えても、一部の企業、団体の献金が全体の政策を左右する、賄賂性がある、こういった指摘は当たらないと考えています。
そうした疑念を払拭するためにも、政治資金の透明性の確保、これは重要であると考えております。
○塩川委員 奥田経団連会長は、政治に口も出すが金も出すと、まさに政策を金で買うような話をしたことが問われている。
政治改革というなら、もう一つ問われているのが政党助成金であります。
自民党は、企業・団体献金はやめないまま政党助成金を受け取るという二重取りを続けていました。九千二百五十億円もの税金がばらまかれ、自民党はその半分の四千四百五十億円を懐に入れてきた。自民党の運営資金の六三%、三分の二が税金に依存する官営政党となっている。税金にどっぷりつかっていることが自民党の堕落を生み出しているのではないのか。
我が党は、このような企業・団体献金の禁止、政党助成金の廃止、このことを是非とも今国会で実現すべきだ、このことを申し上げて、質問を終わります。
○小野寺委員長 これにて塩川君の質疑は終了いたしました。
次に、古川元久君。
○古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。
まず、総理に、総理がこれからやろうとしている改革の理念があるのかどうかについて伺いたいと思います。
今回の裏金事件のような問題が起きた背景には、平成に行われた政治改革が不十分であったり問題があった、こうしたことも一因としてはあろうというふうに思いますが、それでも、あのときは、きっかけは今回と同じようにリクルート事件などの政治と金をめぐるスキャンダルでありましたけれども、当時自民党がまとめた政治改革大綱では、冷戦崩壊や本格的な高齢化社会の到来といった当時の日本を取り巻く内外の情勢変化を踏まえて、この機会に政治の在り方を大きく変えて、それまでの派閥中心で金のかかる政権交代のない政治から、政党中心で政策本位の金のかからない政権交代可能な政治に変えようという大きな理念があって、それに基づいて改革を進めようとしたと思います。
今回も、我が国を取り巻く内外の状況を考えますと、分断と対立が激化する世界情勢や、また急速に進む人口減少といった、本当にこれは大きな情勢変化が起きています。
したがって、そういうことを考えると、単に、今回、今回のような問題の再発防止にとどまらず、平成の政治改革大綱にあったように、これからの日本の政治をどのようなものにしようとしていこうとしているのかという具体的な理念が必要だと思いますが、この間の総理、自民党の行動にはそうした理念が全く見えない。それでは、そんな改革ではとても国民は賛同するものにならないと思いますが、いかがですか、大臣。
○岸田内閣総理大臣 今回の改革の理念についてお尋ねですが、理念、あえて申し上げるならば、今回の改正、これは、政治資金制度そのものへの信頼を高め、民主主義の基盤をより強固なものにする、そのための政治改革であると思っています。
政治資金、これは、受け手、出し手、両方にとって政治活動の自由を保障するものであり、民主主義の重要な構成要素ですが、他方で、この重要な構成要素、政治資金の運用に疑義が生じると、国民の信頼が失われる、民主主義の基盤が揺らぐ、これを強く感じており、強い危機感を持っています。
理念ということで申し上げるならば、政治資金に対する信頼を守り抜くために、政治家の責任の強化、政治資金の透明化、こうしたものに取り組むとともに、民主主義の基盤をより強固なものにし、そして民主主義の健全な発展を図る、この政治資金の意義を改めて確認することによって、こうした民主主義の基盤の強化を図る、こうした努力を行うことが重要である。
理念ということで申し上げると、今言った考え方であると考えております。
○古川(元)委員 非常に小さな理念ですよね、それは。
総理、平成のときを考えると、やはり政党中心の政治にしようとしていた。本来であれば、やはり今回の問題は、私は自民党という政党のガバナンスが利いていないからこんな問題が起きたと思うんですよ。
ですから、我々が言っているような、政党法の制定を始めとする政党改革とか、また国会改革、あるいは選挙制度も、中選挙区を小選挙区に変えれば派閥はなくなると言っていたのに、なくならないで、また今頃になって派閥をやめると言っているような、そんな状況。ですから、やはり、大きな改革の理念がない中では、とても国民の理解、信頼は、回復、その第一歩を踏めないんだと思うんですね。
そこで、具体的な話にちょっと入っていきますが、政党交付金について伺います。
我々国民民主党は、当初から、この政治資金の問題で、政党を育てる、それを支援していく、政党中心の政治をするために導入された政党交付金、この交付金を使って今回みたいな問題を起こしたら、政党交付金を減額や停止できる、そういう措置を導入する、そういうことを提案しておりまして、今回、他党と一緒に出した法案でも、その中身を入れております。
政党交付金の原資は税金です。大体、ほかの、原資が税金のお金を受け取った場合に、受け取った者が何か問題を起こせば、そのお金は返還を求められるか、あるいは支給を停止されるなどのペナルティーが科されるのが普通だと思います。現に、不祥事を起こした日大は、大学のガバナンスに問題があるといった理由で私学助成が三年間にわたって停止されています。ところが、政党交付金にはそうしたペナルティーがないんです。やはりこれはおかしいと思います。
そこで、私たちは、所属議員が政治資金規正法違反等を犯して起訴された場合や、今回の裏金事件のように、政党のガバナンスがきちんと機能していないとみなされるような場合には、政党交付金を減額したり、また、交付を停止するようにすべきだと思っています。
現在、ほとんどの政党の運営が政党交付金に大きく依存しておりますので、政党交付金が減額、停止されれば、これは党運営に大きな影響が及ぶということを考えれば、問題を起こせば政党交付金が減額や停止されるよ、そういうことが、ペナルティーを科せば、やはり党としてもしっかり、ちゃんと所属議員の行動を厳しく監視、監督するようになるはずであって、不正を起こさせないための抑止効果は大きいんだと思います。
ですから、是非、我々の提案する政党交付金の減額、停止、こうしたペナルティーの導入を考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○岸田内閣総理大臣 まず、一般論として申し上げれば、政治資金規正法違反、これは厳正に対処すべきである、これは当然のことだと思います。
そして、厳正な対処の仕方の一つとして、委員の方から今提案がありました。
政党助成金、この制度は、民主主義の費用を社会全体で負担する、こういった観点から導入されたものです。政党の政治活動の自由にも関わる議論ですし、実際、政党交付金の割合、これは各党においてかなり大きなばらつきがあります。これも踏まえて、これについても、特別委員会において各党各会派で議論をする必要があると考えております。
○古川(元)委員 そういう、何でも委員会で考えてもらえばいいというところに、総理の理念がないというふうに私は申し上げたいんですよ。
次に、これも私たちが提案して、今回の提出した法案でも入れました、政治資金に関する第三者機関の創設について伺います。
国民は、この間、何度も政治と金の問題が繰り返されて、そのたびに法の不備が指摘されるのは、結局、我々政治家が自分たちで自分たちを縛るルールを作っているからだと思っているんだと思うんですね。
今回、どのような形の政治資金規正法を行おうとも、残念ながら、それでもう、これで大丈夫だ、十分だと思う国民は少ないんだと思います。多くの国民は、どうせまた抜け道があるんだろう、そういうふうに思われてしまう。恥ずかしいことですけれども、それくらい今、我々に対する信頼というのは失われている。
そうしたことを考えると、国民の皆さんの政治に対する信頼回復の第一歩を踏み出すためには、これは、政治資金に関するルールを決めることや、その決めたルールを守っているかどうかのチェック、そして、今申し上げたように、問題がある場合には政党交付金の減額、停止などのペナルティーを科す、そうした役割を果たす独立した第三者機関を、原発事故調査委員会のように国会につくるべきではないかというふうに考えますが、総理、いかがですか。
○岸田内閣総理大臣 現状の総務省また都道府県の選挙管理委員会は、政治団体から提出された政治資金収支報告書に関する実質的な調査権を有しておらず、いわゆる形式審査のみを行う、このようにされています。
これは、政党、政治団体は民主主義を支える重要な役割を有しており、本来自由であるべきそれらの政治活動に対する行政庁の関与、すなわち公権力の関与、これは必要最小限にとどめるべきという考え方に基づいております。
他方で、委員御指摘のような意見があること、これは十分承知しています。
我が党としても、今回提出した政治資金規正法改正案の附則において、独立性が確保された政治資金に関する機関の活用について、いわゆる検討条項、これを設けているところであります。
御指摘のような機関がどんな権限を持つのか、どんな独立性を持つのか、必要な体制は何なのか、秘密保持をいかに担保するか、こういった点について検討を行うことは意味があると考えております。
○古川(元)委員 検討を行うことは意味があるじゃなくて、つくるんだという、そういう意思を示していただいて、具体的なことは委員会で決めてもらいたい、そういう答弁を期待しているんです。
私たち国民民主党は、この政治資金改革、これを皮切りにして、政党改革や国会改革、そして選挙制度改革、そうした幅広い改革を成し遂げて、令和の時代にふさわしい政治の実現、そのために全党挙げて取り組むことをお誓いして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○小野寺委員長 これにて古川君の質疑は終了いたしました。
次に、福島伸享君。
○福島委員 有志の会の福島伸享です。
企業・団体献金の一点に絞って質問させていただきます。
これは多分、テレビでも細かくて映らないし、最近老眼の私は見ることができないんですが、自民党の政治献金の受皿である国民政治協会への、五万円以上の献金をした企業のリストです。九ページに及んで、千二百六十一社、約二十五億円がここに記載されております。
次は、資料二ですけれども、これは、自民党が野党だった二〇一〇年と与党になった二〇二二年で、国民政治協会の収入額を比較したものでありますけれども、個人献金は一・六から一・二へと減っておりますが、これは全体で一・五倍なんですけれども、その主要を占めているのは、やはり企業・団体献金であるというものであります。
この右側を見ると、二〇二二年に二千五百万円以上寄附した企業と五百万円以上寄附した政治団体なんですけれども、医師会が二億円、二〇二二年に寄附しておりますが、民主党政権のときはゼロ。これは、私の地元の原中先生が会長で、後期高齢者医療制度反対といって民主党政権を生んだ、そこによるものであります。
例えば石油連盟、今回のガソリン減税で大きな影響を受けているところでありますけれども、二〇一〇年はゼロでしたけれども、今は五千万円。野村ホールディングスとか大和証券、まさにアベノミクスで恩恵を受けているところは、一千万円が三千五百万円とか、三倍に上っている。あるいは三菱重工といった、真ん中の十二番にありますけれども、防衛政策によって利益を受けるところは一千万円から三千三百万円。下の方にある、政治団体をつくっている業界団体も、野党のときはゼロだったけれども、与党になったらこれだけ献金している。
なぜ野党と与党でこれだけ違うのか。やはり、いろいろ先ほど来総理は答弁しておりますけれども、これは政治活動の自由なんですか。与党だから献金している、単なる、政策を金で買う、その行為じゃないかと思うんですけれども、総理、いかがですか。
○岸田内閣総理大臣 各団体の考え方、与党に対する期待、これについてはそれぞれの判断があるのかもしれませんが、先ほど来申し上げておりますように、こうした政治団体の収入については、多様な考え方、多様な出し手、様々な収入を確保することが、政策立案における中立公正、あるいはバランスの確保において重要であると考えております。そして、政策立案のプロセスを考えても、一企業の献金が全体の政策を左右するということは、現実、あり得ないと考えております。
是非、こうしたプロセスも踏まえた上で、御指摘の点について御理解いただきたいと思います。
○福島委員 私は、先ほど来、総理の今回の政治改革の本質が全くずれていると思うんですね。民主主義の基盤の強化とかときれいごとじゃなくて、この国にとって、政治と金の問題を解決することこそが、平成の政治改革で忘れられたものを取り戻すことになって、平成の三十年間の停滞を取り戻すことになるんですね。
平成四年の民間政治臨調の発足の総会では、政治改革に対する基本方針として、「政権交代の欠如による政治の停滞、不毛な利益誘導政治による疲弊から、政党と政治家を解放し、健全な政党間競争と政策選択によって政治のダイナミズムを蘇生する」と言っております。そして、「日本の政治行政システムが、業界優位の歪な経済構造を再生産し、対外摩擦の拡大と国民の生活水準の頭打ち状態をつくり出し、その是正に対して政治がほとんど無力な事態を招いたことを知るべき」だと言っております。
そして、あの河野洋平議長もオーラルヒストリーのときに、「この頃は、企業献金が多いから」、これは令和になって言っているんですよ、「企業献金が多いから税制を始めとしていろいろな政策がゆがんでいる、庶民から企業の方へ政策のウェートがかかって、企業献金が政策のゆがみを引き起こしているから、それを止めろということだったのに、それが今またああいうふうになっているというのは、本当におかしいと思いますね。」自民党の総裁だった方がこうおっしゃっているんです。
私は、平成の政治改革の積み残しがこの平成の三十年間の停滞を招いて、アジアの二流国にまで国民生活を疲弊させているんだと考えます。その経済構造の改革の転換の遅れ、大企業、下請中小企業、この経済構造が変わらないことは、こうしたことに根幹があるんですよ。
だから、私は、自民党派閥パーティー、裏金問題を国民の記憶から忘れさせようとするこそくなびほう策ではなくて、こうした大きな観点による、とりわけ利権、金権、業界優先政治から脱却することこそ、日本の経済構造の転換や国民生活の向上につながるという大目的を抱えた政治改革を今こそ行わなければならないと考えるんですけれども、総理、いかがでしょうか。
○小野寺委員長 内閣総理大臣岸田文雄君、時間が来ております。端的に答弁をお願いいたします。
○岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、政治資金の信頼回復を通じて民主主義の基盤を強化していく、このことが、今回の取組において最も重要であると考えております。
政党助成金、これは、国からのお金だけで政治家の活動を維持するのか、政党からのお金だけで政治家は政治活動を維持するのか。そうではなくして、多様な出し手からの資金によって政治活動を支えていくことこそ、政治の中立性、バランスにおいて重要だという考え方、政党助成金導入時から議論が行われてきたと私は認識をしています。
そして、今日まで至ったわけですが、今回の事案を受けて、より政治資金の信頼性を高めることによって、民主主義の基盤、国民の理解、これを再び確実なものにして、政策課題に結果を出す政治を実現していかなければならない、こうしたことが今回の取組の最も重要とされる理念であると申し上げております。
○福島委員 総理は政治改革こそが日本の活力を生むという観点がないことがよく分かりました。
私たちは無所属ですから、企業・団体献金も政党助成金もいただかずに活動しております。それは、政治改革こそがこの国の復活の道と信じるからであります。そうした本質的な政治改革の議論をこれから委員会でさせていただきますことを申し上げまして、質問とさせていただきます。
以上です。
○小野寺委員長 これにて福島君の質疑は終了いたしました。
以上をもちまして本日の集中審議は終了いたしました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時四十五分散会