第1号 令和6年12月5日(木曜日)
本国会召集日(令和六年十一月二十八日)(木曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。委員長 安住 淳君
理事 井上 信治君 理事 牧島かれん君
理事 岡本あき子君 理事 奥野総一郎君
理事 山井 和則君 理事 三木 圭恵君
理事 浅野 哲君
伊藤 達也君 稲田 朋美君
鬼木 誠君 国光あやの君
河野 太郎君 後藤 茂之君
小林 茂樹君 齋藤 健君
高木 啓君 田中 和徳君
谷 公一君 土屋 品子君
寺田 稔君 西銘恒三郎君
平沢 勝栄君 深澤 陽一君
古屋 圭司君 山下 貴司君
山田 賢司君 今井 雅人君
大島 敦君 大西 健介君
神谷 裕君 川内 博史君
黒岩 宇洋君 近藤 和也君
酒井なつみ君 階 猛君
本庄 知史君 米山 隆一君
早稲田ゆき君 青柳 仁士君
空本 誠喜君 前原 誠司君
長友 慎治君 橋本 幹彦君
赤羽 一嘉君 大森江里子君
河西 宏一君 櫛渕 万里君
田村 貴昭君 緒方林太郎君
令和六年十二月五日(木曜日)
午前八時五十五分開議
出席委員
委員長 安住 淳君
理事 井上 信治君 理事 齋藤 健君
理事 牧島かれん君 理事 山下 貴司君
理事 岡本あき子君 理事 奥野総一郎君
理事 山井 和則君 理事 三木 圭恵君
理事 浅野 哲君
伊藤 達也君 稲田 朋美君
鬼木 誠君 小野寺五典君
国光あやの君 河野 太郎君
後藤 茂之君 小林 茂樹君
高木 啓君 田中 和徳君
谷 公一君 土田 慎君
土屋 品子君 寺田 稔君
中曽根康隆君 西銘恒三郎君
平沢 勝栄君 深澤 陽一君
古屋 圭司君 向山 淳君
森下 千里君 山田 賢司君
今井 雅人君 大島 敦君
大西 健介君 神谷 裕君
川内 博史君 黒岩 宇洋君
近藤 和也君 酒井なつみ君
階 猛君 下野 幸助君
辻 英之君 西川 将人君
野田 佳彦君 本庄 知史君
松下 玲子君 米山 隆一君
早稲田ゆき君 青柳 仁士君
阿部 圭史君 岩谷 良平君
空本 誠喜君 萩原 佳君
前原 誠司君 村上 智信君
長友 慎治君 橋本 幹彦君
古川 元久君 赤羽 一嘉君
大森江里子君 河西 宏一君
福重 隆浩君 山崎 正恭君
櫛渕 万里君 田村 貴昭君
田村 智子君 緒方林太郎君
…………………………………
内閣総理大臣 石破 茂君
総務大臣 村上誠一郎君
法務大臣 鈴木 馨祐君
外務大臣 岩屋 毅君
財務大臣
国務大臣
(金融担当) 加藤 勝信君
文部科学大臣 あべ 俊子君
厚生労働大臣 福岡 資麿君
農林水産大臣 江藤 拓君
経済産業大臣
国務大臣
(原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当) 武藤 容治君
国土交通大臣 中野 洋昌君
環境大臣
国務大臣
(原子力防災担当) 浅尾慶一郎君
防衛大臣 中谷 元君
国務大臣
(内閣官房長官) 林 芳正君
国務大臣
(デジタル大臣)
(規制改革担当) 平 将明君
国務大臣
(復興大臣) 伊藤 忠彦君
国務大臣
(国家公安委員会委員長)
(防災担当)
(海洋政策担当) 坂井 学君
国務大臣
(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)
(共生・共助担当) 三原じゅん子君
国務大臣
(経済財政政策担当) 赤澤 亮正君
国務大臣
(クールジャパン戦略担当)
(知的財産戦略担当)
(科学技術政策担当)
(宇宙政策担当)
(経済安全保障担当) 城内 実君
国務大臣
(沖縄及び北方対策担当)
(消費者及び食品安全担当)
(地方創生担当)
(アイヌ施策担当) 伊東 良孝君
財務副大臣 斎藤 洋明君
政府特別補佐人
(内閣法制局長官) 岩尾 信行君
政府参考人
(内閣官房防災庁設置準備室次長)
(内閣府政策統括官) 高橋 謙司君
政府参考人
(内閣府男女共同参画局長) 岡田 恵子君
政府参考人
(こども家庭庁成育局長) 藤原 朋子君
政府参考人
(総務省自治行政局長) 阿部 知明君
政府参考人
(総務省自治行政局選挙部長) 笠置 隆範君
政府参考人
(法務省民事局長) 竹内 努君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 大河内昭博君
政府参考人
(外務省北米局長) 有馬 裕君
政府参考人
(厚生労働省保険局長) 鹿沼 均君
政府参考人
(厚生労働省年金局長) 間 隆一郎君
政府参考人
(厚生労働省政策統括官) 朝川 知昭君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 宮浦 浩司君
政府参考人
(農林水産省農産局長) 松尾 浩則君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 河野 太志君
政府参考人
(中小企業庁事業環境部長) 山本 和徳君
政府参考人
(国土交通省都市局長) 内田 欽也君
予算委員会専門員 中村 実君
―――――――――――――
委員の異動
十二月五日
辞任 補欠選任
田中 和徳君 向山 淳君
谷 公一君 中曽根康隆君
深澤 陽一君 小野寺五典君
酒井なつみ君 野田 佳彦君
本庄 知史君 下野 幸助君
米山 隆一君 松下 玲子君
青柳 仁士君 村上 智信君
空本 誠喜君 岩谷 良平君
前原 誠司君 阿部 圭史君
長友 慎治君 古川 元久君
赤羽 一嘉君 山崎 正恭君
田村 貴昭君 田村 智子君
同日
辞任 補欠選任
小野寺五典君 森下 千里君
中曽根康隆君 谷 公一君
向山 淳君 土田 慎君
下野 幸助君 辻 英之君
野田 佳彦君 酒井なつみ君
松下 玲子君 西川 将人君
阿部 圭史君 前原 誠司君
岩谷 良平君 萩原 佳君
村上 智信君 青柳 仁士君
古川 元久君 長友 慎治君
山崎 正恭君 福重 隆浩君
田村 智子君 田村 貴昭君
同日
辞任 補欠選任
土田 慎君 田中 和徳君
森下 千里君 深澤 陽一君
辻 英之君 本庄 知史君
西川 将人君 米山 隆一君
萩原 佳君 空本 誠喜君
福重 隆浩君 赤羽 一嘉君
同日
理事上野賢一郎君及び島尻安伊子君十一月二十七日委員辞任につき、その補欠として齋藤健君及び山下貴司君が理事に当選した。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
理事の補欠選任
国政調査承認要求に関する件
政府参考人出頭要求に関する件
予算の実施状況に関する件
予算の実施状況に関する件(石破内閣の基本姿勢)
派遣委員からの報告聴取
――――◇―――――
○安住委員長 これより会議を開きます。
理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
委員の異動に伴い、現在理事が二名欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○安住委員長 御異議なしと認めます。
それでは、理事に
齋藤 健君 及び 山下 貴司君
を指名いたします。
――――◇―――――
○安住委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
予算の実施状況に関する事項について、議長に対し、国政調査の承認を求めることとし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○安住委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
――――◇―――――
○安住委員長 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。
去る十一月十九日、予算の実施状況に関する実情調査、令和六年能登半島地震及び奥能登豪雨による被害・復旧状況等調査のため、石川県に委員派遣を行いましたので、派遣委員を代表いたしまして、私から調査の概要について御報告申し上げます。
派遣委員は、私を団長として、理事井上信治君、奥野総一郎君、山井和則君、三木圭恵さん、浅野哲君、委員齋藤健君、西田昭二君、山下貴司君、近藤和也君、河西宏一君、櫛渕万里さん、田村貴昭君の十三名であります。
報告に先立ちまして、改めて、今般の地震及び豪雨によりお亡くなりになられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に衷心よりお見舞いを申し上げます。
それでは、調査の概要について御報告申し上げます。
まず、輪島市において、馳石川県知事から、堆積土砂撤去に係る支援、奥能登豪雨に係る住宅の応急修理の期間延長、復旧復興に向けた財政支援等十一項目の要望を受けた後、復興の進捗状況、復興計画の策定状況などについて意見交換を行いました。
次に、輪島市町野町及び久手川地区において、国土交通省から、河川周辺の被害状況及び復旧状況について説明を聴取した後、被害現場を視察しました。
最後に、輪島市山岸町にある仮設住宅において、坂口輪島市長から、被害状況、被災家屋の解体状況、復興に向けた予算規模等について説明を聴取した後、仮設住宅に避難された住民の方々と、仮設住宅における生活環境、なりわい再建に向けた取組、集落の集団移転等に係る財政措置の必要性などについて意見交換を行いました。
以上が調査の概要であります。
今回の調査では、地震と豪雨といういわば二重災害の甚大な被害を目の当たりにし、被災地の復興に向けては、長期間にわたる国の切れ目のない支援が必要であることを改めて認識いたしました。
当委員会といたしましても、充実した予算審議を通じて、被災地に対する支援を速やかに進めていく必要があると痛感した次第であります。
最後になりましたが、今回の調査に御協力をいただきました皆様に心から御礼を申し上げまして、報告とさせていただきます。
この際、お諮りいたします。
派遣地からの要望事項につきましては、これを本日の委員会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○安住委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔要望事項は本号末尾に掲載〕
――――◇―――――
○安住委員長 引き続き、予算の実施状況に関する件について調査を進めます。
本日は、石破内閣の基本姿勢についての集中審議を行います。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房防災庁設置準備室次長、内閣府政策統括官高橋謙司君、内閣府男女共同参画局長岡田恵子君、こども家庭庁成育局長藤原朋子君、総務省自治行政局長阿部知明君、総務省自治行政局選挙部長笠置隆範君、法務省民事局長竹内努君、外務省大臣官房審議官大河内昭博君、外務省北米局長有馬裕君、厚生労働省保険局長鹿沼均君、厚生労働省年金局長間隆一郎君、厚生労働省政策統括官朝川知昭君、農林水産省大臣官房総括審議官宮浦浩司君、農林水産省農産局長松尾浩則君、経済産業省大臣官房審議官河野太志君、中小企業庁事業環境部長山本和徳君、国土交通省都市局長内田欽也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○安住委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○安住委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小野寺五典君。
○小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。
さきの総選挙におきまして、我が党は与党で過半数にも満たないという大変厳しい結果となりました。今まで、私ども自民党、公明党で過半数を得るということで、例えば政策をつくるにしても、自公で取りまとめ、国会の御審議をいただくということで済んでおりましたが、今回のこの結果は、私ども、野党の皆さんとも協力をしていく、そのような熟議の議論が必要だと改めて感じております。
まず、総理にお伺いいたします。
今回の結果を受け、少数与党として、政策協議はどのようにあるべきかということ、そして、この選挙結果、その多くの原因となりましたいわゆる政治資金、政治不信の問題、このことについて総理としてどのように受け止め、そして、特に政治改革の中で、企業・団体献金を含めた改革についてのお考えをお伺いしたいと思います。
○石破内閣総理大臣 自由民主党の小野寺政調会長にお答えを申し上げます。
やはり、今度の選挙結果というものは、国民の率直な、なかんずく自由民主党に対する厳しい御叱正であったというふうに考えております。
そのことを本当に我々は謙虚に厳粛に受け止めながら、別に多数を持っているとか持っていないとかそういうことではなくて、やはり、議会の場というのは、最終的に、いろいろな方々の御意見を承って、最もいい結論を出すということ、そして、この場だけで決めればいいのではなくて、主権者である有権者の皆様、あるいは有権者ではなくても国民の皆様方に、いかにして御納得をいただくかということが極めて大事なのだということを改めて思っておるところでございます。
私どもといたしまして、答弁に当たっては本当に誠心誠意、変な言い方かもしれませんが、お願いですから分かってくださいなという、そういう姿勢が必要なのだと思っております。
なかんずく、今回が、政治と金、あるいは政治のインフラそのものに関わる議論が多いんだろうと思っています。ということは、要は、政治のインフラに与党も野党もないわけで、民主主義のコストとは何だろうか、それは一体誰がどのように負担するのが正しいのだろうか。
私も議員になって三十八年になりますが、当選一回のときに、リクルートで、ずっと政治改革の議論を当選一回、二回としてまいりました。そこにおいて、本当に、民主主義とは何か、そのコストとは何か、それは誰が負担をするのがあるべき姿なのかということを随分議論しましたが、それがまた同じような形で戻ってきているんだろうと思っています。
与党も野党もなく、民主主義の健全な発展のために、私どもも謙虚に承りながら議論をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
○小野寺委員 まず、政治改革、信頼を取り戻すということが何よりも大切であります。是非、たとえ政治を志す人たちがお金がなくても、縁故に政治家がいなくても、それでも志でしっかり政治に参加できる、そのような体制を是非与野党で考えていただきたい。そして何より、やはり政治と金の問題、特に企業・団体献金の問題については、国民の皆さんが納得いく形の結論を得ていただきたい、そのように思っています。
政治改革の議論については、この後の山下議員の質問の中に譲りたいと思っていますので、私は主に経済対策についてお話をしたいと思います。
今総理からお話がありましたが、今回、私ども、少数与党として、実は政調会長として、各党に今回の経済対策についての様々な協議をお願いいたしました。立憲民主党さんとも行いましたし、維新の会さんとも行いました。そして国民民主党さんとも行いました。その中で、繰り返し議論をしていく中で、例えば国民民主党さん、あれ、よくよくお話を聞いてみると、これは私たちと同じ考えを持っているんじゃないか。
実は、自民党は今までずっと、賃金と所得を上げるということ、これをずっと一貫してやってまいりました。国民民主党さんは、手取りを増やす、そういうことをやってまいりました。よく考えてみると、私どもがやってきたのは、とにかく賃金を上げていくということ。賃金を上げるということで、結果としてこの間の手取りが増えていくという、これが私たちが考えてきたことです。
今回、国民民主党さんも手取りを増やすと言っていますが、ちょっと私たちと違うのは、同じ手取りを増やすのでも、所得が上がらないんだったら、むしろ税金や社会保険料を下げていって、これで手取りを増やしていくというお話だったと考えます。ただ、これをもしやっていくと、ずっと税金は減っていくし、社会保険料、年金も将来不安になるということで、やはり手取りを増やすためには、私どもは、所得を上げていくということ、最終的にはこれを上げていくということが一番大切だと思っています。
そして、手取りを上げる、所得や賃金を上げるということで私どもが議論する中で、ちょっと衝撃なことが分かりました。
先月、十一月の下旬ですが、政府から出された統計です。実は、これは企業別に見た労働分配率という表ですが、この図の二を見ていただきたいと思います。
二〇〇一年と二〇二三年を比較して、日本の大企業、営業利益は、二〇〇一年は十七・一兆円、そして二〇二三年は四十三・五兆円と、相当上がっています。また、その下の5にあります経常利益、これも二〇〇一年は十五・三兆円、そして二〇二三年は六十四兆円になっているんです。すごく増えているんです。
ところが、人件費、2を見てください。二〇〇一年は五十二兆円、二〇二三年は五十三・七兆円、この二十二年間でほとんど増えていない。では、このもうけはどこに行っているのか。恐らく、海外投資に行っているかもしれないし、企業の内部留保かもしれません。
そしてもう一つ、一番下の6、配当です。配当が、三・一兆円が二十五・七兆円になっています。
私は、今まで日本の経営者というのは、社員を大切にする風土がずっとあったと思っていました。ところが、今この表を見て、残念ながら、そのもうけが働いている人に行くのではなくて、むしろ株主や、あるいは内部留保、海外投資に行っているのではないか。これをしっかり直さなければ、私は、本当の意味で賃金も所得も上がっていかない、そう思っています。
そして、こちらの図の一を見ていただきたいんですが、実はその性格は大企業ほどあるんです。大企業ほど、どんどんどんどん、もうけを賃金に使っていない。そして中小零細は、やはり、もうかったものはしっかり人件費として還元をしている。これをしっかり回していくことが私は大事だと思っています。
考えてみると、例えば、自動車王と言われたフォードさん、この方は日当を二ドルから五ドルに当時上げたそうなんです。何でいきなりこんなに給料を上げたか。自分たちが造っているT型フォード、この自動車を、造っている社員が、給料をしっかりもらって買えるようにする。実は、車を買えるようになって、車がまた売れる。そして、車がたくさん売れるから、どんどんコストが下がって、また買いやすくなる。これで実は自動車王国ができていったわけです。
そして、私たち日本でも、例えば経営の神様と言われる松下幸之助さん、この人は、賃金を上げて社員の待遇をよくする。そして、その社員が冷蔵庫や洗濯機やテレビを買えるようにする。これでぐるぐる回っていったんです。
実は、賃金を上げることは、結果として自分の会社のプラスになる。これを今まで日本の経営者や世界の経営のリーダーはやっていました。もうけが出たとき、誰のおかげでしっかりもうかったか。当然、投資家も必要です。そして、優秀な経営者も必要です。ですが、何より必要なのは、懸命に働いている労働者なんです。この人たちの賃金と所得を上げていないから、今の好循環がまだ回り切っていない。私は、是非このことをしっかりお願いしたい。
とともに、実は、大企業だけで支えられているわけじゃないんです。総理も私も大好きな一〇式戦車。戦車は、千の会社が集まってその部品や素材を提供しているからセンシャなんです。関連企業は千あるんです。この人たちの、例えば、素材費が上がった、人件費が上がった。発注した分も、この値上がり分を想定して上げていかなければ、最終的には中小零細企業の賃上げにもつながらない。
是非、この好循環を回すために、どのような政策で、大企業がある面では抱えている多くの利益や、そして、今まで海外にしか向いていなかった投資を国内に向けるか。そして、何より賃金を上げていくか。その考え方について、石破総理にお伺いいたします。
○石破内閣総理大臣 今から四十年近く前のことですが、もう覚えていらっしゃらない方、御存じない方もおられると思いますが、バブル経済というのがあって、これは一体何だろうと思いましたね。私は当選一回、二回でした。世の中が浮かれに浮かれて、盛り場からタクシーを止めるのに、一万円札をひらひらさせても止まらなかったなんという、そういう極めて不思議な時代がありました。
バブルが崩壊をした、その後、経済は少し持ち直すのですが、リーマン・ショックというのがあった。それで物すごく自己防衛的になっていったんだろうと、私自身、体験として思っております。給料は上がらないんだけれども、雇用は守るから皆さん我慢してねということがあったのではないだろうか。そして、下請の皆さん、孫請の皆さん、あえてそういう言葉を使いますが、十分なお支払いはできないけれども、一緒に頑張っていこうねということがあったのではないか。
新しい商品、新しいサービス、お金を出してもこの商品を買いたいな、お金を出してもこのサービスを受けたいな、そういうものに対する投資が余り行われなくて、結果として、魅力的な商品、魅力的なサービスが生み出されなかったのではないか。GDPというのは、結局、付加価値の総和でございますので、それが余り伸びないということが起こったんだろうと思っております。
一時的にそういうことがあったとしても、それがずっと長く続いてきた。委員御指摘のように、そこにおいて労働分配率が決して上がらなかったということだろうと思っておって、それはそれで、我々として反省をしなければいけないことではないかと思っております。中小企業は一生懸命頑張って上げるんだけれども、大企業においてそうではない。中小企業は一生懸命上げたんだけれども、それは、防衛的な賃上げというのがあって、結構、中小企業の皆様方は、ここまで上げないと誰も来てくれないよということが起こっておったのではないか。
私どもは、今までの経済政策で、そのときはよかったけれども、それをずっと続けてきたことはどうだったんだろうねということに対して、これから先、コストカット型の経済から、付加価値をつけていく形の付加価値創出型の経済というものを日本中に広げていく。
そしてまた、製造拠点というものを、サプライチェーンの維持ということから考えても、どれだけ国内に戻ってくるか、そして、国内においてどれだけ投資を増やすかということを全般において考えていかねばならないというふうに私自身考えておるところでございます。
○小野寺委員 今回の賃上げに関しては、資本金百億以上の企業の例を取ると、その企業がもうかった分の一部、例えば一億円を給料のアップに使うということになれば、法人税、本来払う税金のうち三千五百万が控除になるということがあります。この賃金に回す部分、法人税を控除する中で、是非、少しでも給料に回るということにお力をいただきたい、そう思っています。
そしてもう一つ、こういう企業は確かに賃金が上がっていくんですが、例えば、地域で私どもが日頃お世話になっている医療機関の看護師さんや薬剤師さん、あるいは介護でお世話になっている介護士さん、子供たちがお世話になっている保育士さんや幼稚園の先生、こういう方々の給料、賃金というのは、実はこういう経済で決まるのではなくて、私どもが医療の報酬や介護の報酬、そして保育所その他に出す公的なお金をしっかり積まないと、この方々の賃金は上がっていかないんです。是非こういうところにもしっかり目を配るということ。
そして、今回、重点支援交付金の中でこの支援ができるというふうに聞いていますし、保育士さんは今回、去年と比べて一〇%以上の賃上げになると聞いています。是非、今回の補正予算をしっかり後押しする中で、このような皆さんにも給料を上げる体制を取っていただきたい、そう思っています。
そしてもう一つ、安住委員長も私もそうでありますが、宮城の地方の出身であります。ですから、農林漁村の人たちの所得、経済がよくなることが実は地方経済の最も重要なポイントになります。
ところが今、現場を見ると、例えば農業、ようやく今年は米価がある程度安定した価格になりました。でも、来年、しっかりこのような米価が維持できるのか。確かに、一時、米不足、米高というお話がありましたが、農家の方々の所得は、実は米や農産物を売って得るわけです。やはり一定の価格がないと、農家の方々も仕事を続けられない。
そしてまた、今、問題は畜産です。枝肉価格ががくっと下がった。そのために子牛の値段ががくっと下がった。今、農家の皆さんは赤字覚悟で出荷するんです。工業用品であれば、こんなに物価が上がった、原材料が上がった、だから値段はこのぐらい、これ以上安かったらもう作らないし、売りませんと言えるんです。でも、一次産品、農産品は、作ってしまったら、育ててしまったら、後は競りで売るしかない、赤字でも売るしかない。これが私は一次産業が抱える大きな課題だと思っています。
今、米や畜産の問題、これにしっかり手当てすることも私は農家や漁業者、農業者の大事な賃上げになると思いますが、農林水産大臣にこの政策についてお伺いしたいと思います。
○江藤国務大臣 小野寺先生にお答えをいたします。
先生におかれましては、自民党の農林インナーでずっと一緒に苦労してまいりましたし、米政策におきましては米の責任者を務めていただいておりましたので、本当に畜産のことについても米についても一緒に苦労してきた仲でありまして、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
まず、畜産について申し上げますが、非常に厳しいです。非常に厳しいです。昨年、保証基準価格を五十六万四千円まで上げました。大変喜ばれました。しかし、それでもまだまだ足りないということで、いわゆる六十万円事業、この隙間の六十万円については、今、法的な根拠はありませんが、農家の方々にはお配りをさせていただいております。しかし、それで十分なのかということを考えなければなりません。
ですから、私も、たまたまこういう立場になりましたので、畜産県でありますから、保証基準価格は今の水準で十分なのか、それから六十万円事業もこの水準で十分足りているのか検討したいというふうに考えております。
そして、何よりも大事なのは、やはり出口。これはあらゆる農業政策にとって大事ですが、出口政策、米もそうですし、畜産もそうです。やはり売らなければなりません。ですから、今回の補正予算におきましては、昨年度の補正の三倍以上の百七十億円を用意させていただきました。
今までは、いわゆるロイン系、サーロインだけ支援をしていました、ホールに対しても支援はしていましたけれども。しかし、肉というのはサーロインだけではありませんから、ほかの部位についても支援の対象にする。卸のお金を上げて、それで店頭の価格を下げていただいて、そして消費者の方々が手に取りやすい価格で売っていただく、買っていただく。
私、テレビを見ていて、今ちょうどブラックフライデーじゃないですか。そうしたら、消費者の方々は、安ければ和牛を買うわけですよ。テレビではサシの入っている肉は人気がないんだとか言う人もいますが、そうではなくて、手に取れる範囲の価格になれば、やはり買いたい方はたくさんおられる。
そして、石破総理がこの間、習近平国家主席とお会いになったときに、日本の和牛の輸入の再開を、是非再開してほしいということを言っていただきました。すばらしい御提案だったと思います。これができれば、今、日本の和牛の輸出量というのは大体九千トンぐらいしかないものですから、和牛全体で十七万トンですから、もし、十四億人のあのでかい国が日本の和牛を買ってくれる、五万トンでも十万トンでも買ってくれるなんということになれば、ちょっと想像がつかないような価格帯になる。
やはり、出口政策として、国内で消費を拡大することももちろん大事ですが、海外のマーケットも積極的に開拓していかなきゃいけないと思っています。
米政策について若干申し上げれば、先生が一番御苦労された水活ですね。水活については、私も一緒に苦労した立場として、やはり根本的に見直そうと思っています。根本的に見直します。しかし、その結果は、農家の方々にとっても納得のいくもの、そして、税金を使うわけですから、納税者である国民の方々が、なるほどね、食料安全保障を確立するためにはこれは必要だねと、やはり納得のいくものにしなきゃいけないと思っています。
なかなか難しい作業ですので、大臣になって次の日からずっとこの作業に取りかかっておりますが、まだしばらく省内で時間がかかります。自民党にもまだお示しをしておりません、内容については。そして、お示しした後は、熟議の国会ですから、国会でしっかり皆様の御意見を伺って、いいものにしていきたいというふうに考えております。
○小野寺委員 私ども、やはり農家の皆さんの所得も増やすということ、これもとても大事です。是非、応援してまいりますので、よろしくお願いいたします。
そして、先ほど石破総理が、四十年前はバブルだったというお話がありました。私は、四十年前、初めて社会人として、県の職員として仕事をスタートしました。当時は自治労の組合員でもありました。そういう意味では、あのとき、実は給料は毎年上がっていたんです。多いときにはボーナスが年三回出たんです、公務員であっても。それだけやはり経済が、民間がいい、そうすれば人事院勧告で公務員の給料も上がっていく。公務員の給料が上がると、商工会や商工会議所、農協や漁協の皆さんの給料もそれに合わせて上がっていくわけです。
全て好循環で回していくことが大事なんですが、ただ、その中で、今回、例えば、賃金の上昇に恩恵を受けない方、低所得者の方、年金だけで生活をされている方。ただ、こういう方々は、むしろ物価高の影響だけを直撃を受けています。ここにしっかり手当てをするということが、私ども、大変大事だと思います。
そのために必要な額を積み上げた中で、今回、交付金や様々な重点支援金等があると思いますが、この重点金を設けた目的について、総理に伺いたいと思います。
○石破内閣総理大臣 それは、委員御指摘のとおり、賃上げの恩恵に浴さない方はおられるわけですよね。そういう方々に物価上昇の影響を少なくするということがもう究極的な目的だと思っております。
そういう、世の中、物価が上がったね、でも給料も上がっていく、よく言われるように、物価上昇を上回る賃金上昇というのを実現しようと思って我々はやっているわけですが、賃金で暮らしておられない方々は物価だけ上がっていくわけで、そういう方々に暮らしが苦しくなったねというような思いをさせてはならないということが主な視点だと私は考えておるところでございます。
○小野寺委員 今回は、低所得者の方々に一世帯三万円、子供は二万円ずつ加算とか、あるいは重点支援交付金で、地方自治体がしっかり使って、私ども国がしっかり手当てできないところは地方自治体が手当てをしていく、そのような対応の交付金が入っていますので、是非これをしっかり使っていただきたいと思います。
そしてもう一つ、今、経済、景気をぐるっと回そうという中で、現場で聞こえている声が人手不足です。
例えば、慢性的な人手不足の分野、飲食業や小売業、ここで、例えば都市部を見れば、多くの学生さんがアルバイトとして仕事をしっかり担っていただいています。ところが、いわゆる百三万円の壁、これがあるので、親の扶養との関係で働くことを控えてしまう、こんな例があります。
あるいは、主婦の皆さんは百六万円、百三十万円、むしろ社会保険料の壁があって、それがあるために抑制して、働かない、働けない、そういう状況があります。
さらに、現役世代と同じようにしっかり働ける高齢者の方々は、在職老齢年金という、いわば一生懸命働けば働くほど一緒にもらっている年金が減らされる、こういう制約があるので、では、これ以上働いても手取りが増えないからやめておこう、こういう制度もあります。
私どもは、もし働けるのであれば、働きたいのであれば、この方々がしっかり働けるような環境、それが百三万の壁や百六万、百三十万の壁でありますし、また、全世代、働ける人に是非働いていただきたいと思えば、在職老齢年金の改正もあると思います。
是非、みんなが働ける、働きたい人がしっかり働ける、この体制を取るための、いわゆる百三万円の壁、このことについて、総理のお考えをお伺いいたします。
○石破内閣総理大臣 これは、我々与党あるいは国民民主党さんと、この百三万円の壁については、水準をどうするかという議論はまだこれからになるんだと思いますが、これはとにかく変えていくんだということで合意をしているというふうに承知をいたしております。
委員御指摘のように、この政策の目的というのは一体何なのよということであって、もう年末になります、いろいろな学生の方々のアルバイトというものも、壁にいっちゃうからもう働くのをやめようということになりますと、さあ、この忙しい年末どうするんだいというお話になるわけで、これによってどれだけの労働力が労働市場に出てくるのか、あるいはどれだけ所得が増えていくのか。
そして、それが税金の問題なの、社会保険料なのと。税金の問題と社会保険料の問題というのはそもそも本質が違うので、社会保険料を取られちゃうからもう働くのをやめようかなということになると、でも、社会保険料を払って、それが将来社会保険として返ってくるわけで、それは、税金を取られちゃうという言い方は私は余り好きではないが、それとは違うんじゃないのということだと思っております。
改めて、今回、百三万円だの百六万円だの、こんなに壁があるのよね、あるいは崖もあるのよねということであって、相当に複雑で分かりにくいということなんだろうと思っております。
委員が冒頭御指摘になったように、今最大の問題は人手不足なのであって、いかにしてこの人手不足を解消し、働く意欲あるいは働く力、そういうものをお持ちの方々は年齢、性別に関わりなく目いっぱい働くようにしていくという社会をつくるということがまず第一の目的でなければならないのではないか。それによって手取りが増え、そしてまた将来の不安が解消される。
やはり、個人消費が伸びていかないのは、今消費しちゃうと将来どうなるか分からないから、手元に持っておこうと。むしろ、個人消費が伸びないのは、高齢者の方よりも若い方々が伸びないのは、それは今使っちゃうと将来が不安だよねということがあるわけで、そういうものを総合的に考えていきながら、分かりやすい、何のための制度なのかということを構築してまいりたいと考えております。
○小野寺委員 おっしゃるとおり、まず、今、経済成長のためには労働力が必要だ。そして、それを阻害している壁がある、これをまず突破するということ。そしてもう一つ、やはり、そうはいっても、手取りを増やして、収入を増やして経済を回していくということも大切になります。
今回、今いろいろな議論を、国民民主党さん、公明党さん、三党でやっている中で、例えば、今の百三万円を百七十八万円にすると、中央、地方合わせた税収が七、八兆円減ってしまう、そういう懸念もある。だけれども、やはりどこかで手取りを増やしてあげたい。でも、どの層に手取りを増やすべきか。
それは、手取りが増えたら、これはすぐに必要だからと使っていただく、こういう子育てや若い世代の人たちは、もらったお金はすぐに使うので、それがぐるぐる回って経済の乗数効果につながり、税収に戻ってきます。片や、たくさんもらっている方が、税金が下がって多少手取りが増えたとしても、どちらかというと、それはそのまま貯蓄に回ってしまう。
私は、同じような政策を打つのであれば、重要な人たちに、そして経済につながる、そういう人たちにしっかり手を打っていただきたい。その精緻な議論を私どもも各党と協力してやってまいりますし、政府としてもしっかりとした方針を出していただきたい、そのように思います。
さて、次に、地方創生の考え方に移っていきたいと思います。
実は、地方創生一・〇というのは、私思うのは、中央から地方に、東京にあるものを地方に分散する、東京にあるような形で地方にもそういうものがある、どうもそんな考えを私自身は持っておりました。ただ、今回、石破総理は地方創生二・〇というお話をしています。実は、地方創生、その一つのポイントになる事例、それを少し、今日、御紹介をしたいと思います。
実は、岸田政権になってから、サプライチェーンの強化のために、半導体や蓄電池、DX、GX、バイオなど、様々な国内投資の支援策の強化をしております。
このパネル、一例でありますが、令和五年の補正予算により既に動き出している国内の投資案件の一覧です。国の支援により、半導体を始め、蓄電池、省力化投資など、実はこんなに全国に広がっています。
例えば、TSMCも出資したJASM熊本工場、いよいよ今月にも本格的な生産が開始すると聞いていますし、九州には半導体関連企業が集積し、その経済効果は二〇二二年から十年間で約十一兆円以上と言われています。実際に人手不足も起きています。熊本以外にも、北海道のラピダス、広島のマイクロンなどで半導体投資が進んでいますし、蓄電池は群馬や福岡、データセンターは北海道や香川など、各地で計画があります。
私は、地方創生の一つの考え方として、地域の特性を生かして、日本全体として勝ち筋を見定め、稼ぐ力を高めていく、それが地方から出ていく、これが大切だと考えています。そのためにも、今回の補正予算の中には、投資を促進するAI・半導体産業基盤フレームなど、様々な支援策があります。
では、これだけ日本全国で、今、経済成長の芽が地方から出ていく、この先どういうふうになるんだ。実は、その未来を考える上で参考になるのが、私は、アメリカの企業進出の例だと思います。
今回、世界的に活躍している米国の企業の本社がどこにあるかというのを調べてみました。世界に名立たるアマゾン、あるいはフェイスブックのメタ、テスラ、モデルナなど、大企業が実は全米各地の都市から育っています。決してワシントンやニューヨークに一極集中しているわけじゃないんです。これ以外にも、本当に小さな町でも、例えば、世界で小売のトップを占めるウォルマート、これはアーカンソー州のベントンビル、人口六万です、ここに本社があります。アフラックはジョージア州のコロンバス、人口二十万。キャタピラーはイリノイ州ピオリア、人口十一万。マイクロンはアイダホ州ボイシ、人口二十三万。
実は、世界的なアメリカの企業は、地方に展開し、数万から数十万の都市に本社があって、それに伴う産業が集積しています。このアメリカの多様性は、今後の地方創生を考える上で、私は大変参考になると思います。
私も実は実体験があります。三十年ほど前、大学の教員をしていました。そのとき、アメリカの地方自治の研修のために、ミシガン州のバトルクリークという市、この市役所で研修をしました。人口五万の市です。ですが、そこには実はケロッグ、私どもがコーンフレークでお世話になっている世界的企業の本社があります。
市長に聞いたんです、何で世界企業のケロッグがここに本社があるんですかと。そこで言われたのは、企業にとって一番大切なのは、大切な優秀な人材を集めること、いかに集めるか、そのためのヒントは住みやすくすることだ、教育や文化、福祉を充実させる、住みやすいところに企業が逆に言うと育ち、そこで集積していくんだと。
私は、今、地方創生二・〇の一つの大きなヒントがここにあると思います。是非、私ども、今回の地方創生の様々な交付金、これを使って、将来、日本の経済を引っ張ってくれる世界企業、それが各地から出ること、それをしっかり後押しさせていただきたい、そう思っています。
総理は地方創生の初代大臣もされました。是非、この地方創生二・〇、そのお考えについてお伺いしたいと思います。
○石破内閣総理大臣 十年前、私、初代の地方創生担当大臣を拝命をいたしました。二年務めました。そのときに、今委員御指摘の、別に本社じゃなくてもいいんだけれども、東京でなくてもいい機能はなるべく地方に移しましょうねということをやってみたんです。
それで、隗より始めよという言葉がいいかどうか分からないけれども、中央政府がやらないと、それを民間にだけお願いしても難しいよねということで、中央省庁の地方移転というのもやろうとしました。成果として、確かに、文化庁の京都移転でありますとか、工芸館の金沢移転でありますとか、幾つかはできました。でも、その後が続かない。
本社の地方移転も、有名なお話は、コマツの、小松市に移転した。行ってみると分かりますよね。本当に小松に、発祥の地ですから、溜池にもありますが、それが小松に移転しました。
出生率も上がりました、婚姻率も上がりました、女性の方々の幹部登用も非常に増えました、いい例なんだよねということがあるんだけれども、何で後が続かないんだろうかということを考えてみたときに、東京に来た方が格好いいからということはないと思うんです。やはり国会が近いから、いろいろなお役所、霞が関が近くにあるから。ほかに何か合理的な理由があるかというと、余り合理的な理由はないのですね。
私、地方にいろいろなものを移転したいと言っているのは、自分のノスタルジックな感情で言っているわけではなくて、例えば、出生率も地方の方が高いですということがある。でも、婚姻率が一番高いのは東京なのです。そこが出生率が一番低いです、よって、人口がどんどん減りますみたいなことが起こっておって、いろいろなものを地方に移転をするということは、委員御指摘のようないろいろな状況が整っているからなのですが、それが全国的に広がっていかないということは、やはり何か構造的に問題があるんだろうというふうに思っております。地方に移転した方が経済合理性があるというふうに納得していただけるような、そういう仕組みが必要なんだろうというふうに思っております。
明治維新のとき、そしてまた敗戦後、いろいろなものを東京に集めた方が手っ取り早かったということがあると思うんです。これから先、その限界が来たのが平成という時代だったと思っておりますので、皆様方のいろいろなお知恵もいただきながら、日本の在り方そのものを変えていく、そういうようなプロジェクトが地方創生二・〇だというふうに私は考えておるところでございます。
○小野寺委員 私の持っているイメージは、東京にあるものを地方に移すということではなく、東京にある企業が地方に分散するのではなく、地方発の企業、様々な国の支援で、地方から今、どんどん世界に出ようとする企業を更に押し上げて、東京を見なくて、地方からそのまま世界を見る、そういう会社、企業、これがどんどん出ていくことを今回の地方創生の交付金で後押しする、それを是非お願いしたいと思っています。
さて、もう一つ大切なことは、やはり能登への支援であります。
私も、先月十三日、石川県を訪問しまして、馳知事から、地震、豪雨被害の復興の進捗状況を聞いてまいりました。先ほど、安住委員長が行かれたときに伺った知事からのお話、それも私どももしっかり受け止めております。
復興支援につきましては、予備費も合わせて約一兆円を既に積み上げていますので、ある程度十分な予算はあるとは思うんですが、ただ、現地に行って聞いてみますと、堆積土砂の撤去の問題、あるいは復旧復興に関わる人員不足、対応すべき課題はたくさんあります。
やはり今回は、地震に加えて豪雨という二重の被害があった、過去にない事例であります。安住さんも私も東日本大震災の経験をしています。そのときにも、石川県の皆さん、能登の皆さんにも助けていただきました。少しでもお役に立てるように頑張っていきたいと思いますが、是非、石破総理、この能登の復興に寄せる思いについてお伺いしたいと思います。
○石破内閣総理大臣 コロナがようやっと収束に向かって、何年ぶりかに親戚が帰ってきたね、家族が帰ってきたね、久しぶりにいいお正月だったねという最中にあれは起こったわけですよね。みんな本当に大変な衝撃を受けたと思う。そして、ようやっと立ち直るかなというきっかけが見えたらあの大雨で、私、地震のときも大雨のときも現場へ行きましたけれども、何で自分たちだけがこんな目に遭わなきゃいかぬのだという話があるわけで、そこは、二つのやり方があるんだろうと思っています。
大雨も地震も防ぐことはできないんだけれども、予知、予測の体制を上げていくことは可能なのではないだろうか。そして、災害を防ぐことはできないんだけれども、その後に起こることは全て人災なのだというのは、かつて阪神・淡路大震災のときに後藤田正晴先生がおっしゃったことですが、避難所の体制だって、正直言えば、百一年前の関東大震災のときとほとんど何にも変わっていない。本当にこれでいいのかということでございます。
事前にいろいろなものを予報する、予知をする、そういう体制を上げていく。そして、防げないんだけれども、その後、一番困難な中にいる人たちに一番温かい手を差し伸べなくて何がそれが国家だというふうに私は思っておって、そういうことを今までも内閣府防災担当はいろいろな省庁の皆様方と協力してやってきましたが、やはりそれを、専任の大臣を置いて、防災庁というものをつくってそういう体制をつくっていくのが、災害大国というのは変な言い方ですが、被災大国と言った方がいいのでしょうか、そういう日本の、世界に対して、そして国民に対して果たすべき使命だと考えております。
○小野寺委員 まずは今目の前にある能登の被災を受けた人たち、そしてまたそれを復興しなきゃいけない人たち、ここに寄り添って最大限の支援をしていただきたい。そして、私どもはそのための予算を今回この補正予算の中にしっかり入れていますので、まずは今の対応をしっかりしていただきたい、そう思っています。
その上で、今総理が言及されました防災庁について、少しお話をしたいと思います。
もう東日本大震災から十三年九か月が過ぎました。私ども、そうはいっても、あのときの経験、今でもしっかり覚えています。そして、復興庁を始め多くの皆さんに支援をいただきましたが、実はこの復興庁という役所、本当にお世話になっておりますが、各省庁から、ある面では出向で成り立っています。数年すると元の役所に戻る、あるいは退職をしてしまう。復興庁や防災関係の部署には、確かに震災や様々な災害の記録は残っているんです。記録は残っているけれども、職員として、そのときの体験や経験、これは残念ながら引き継がれていない。
私は、何よりも大切なのは、災害が起きたら、速やかに初動で、何が必要だ、次はこれだ、あれが足りなくなる、これは一々記録を見て何だっけでは間に合わないんです。やはり記憶と体験が受け継がれる、そういう役所が必要だ。そういう意味で、私は、この防災庁という役所は重要だと思っています。
とても残念なのは、今回の能登のあの災害の状況、避難している方の姿を見て、十三年前に私たちが経験したときと何も変わっていない。体育館の中に皆さんビニールシートを敷き、段ボールを敷き詰めて、そこで避難をされている。それが長期間にわたっている。一体あの震災の教訓は何だったんだ。その後、熊本の震災もありました。いつも災害のたびに私たちが見る光景は同じです。もうこんなことを二度と繰り返してほしくない。
そして、この国は数年に一回災害がある国になりました。是非、今回、防災庁をしっかりつくって、記録だけじゃなくて、体験や様々な記憶を職員が受け継ぐ、そういう体制にしていただきたいと思いますが、総理のお考えを伺います。
○石破内閣総理大臣 十三年前の思いは、小野寺委員も私も一緒です。
私、あのときは野党の政調会長でございました。無理を頼んで、女川の避難所に一晩泊めていただいたんです、一時間、二時間見ただけじゃ分からないから。朝、結構日が上がるのが早い時間だったな、とにかく、何で私たちがこんな目に遭わなきゃいけないの、お願いに行って、国交省に行ったら農水省に行ってくれ、農水省に行ったら経産省に行ってくれ、何なんだこれは。一つの役所で全部ワンストップで済むような、そういう体制が何でつくれないんだと罵声を浴びましたよ。だから、あのときに小野寺委員にも大変お世話になった、復興庁の設置法案というのを一生懸命みんなで書きましたよね。それは自分たちの手柄とか、そんなことを申し上げるつもりはありません。
内閣府防災担当の方々は本当に一生懸命やっているんだけれども、二年たったら元の役所に帰っていくわけで、やはり災害とか防災とかいうものは、御指摘のように、経験の蓄積がなければ駄目だ、知識の蓄積がなければ駄目だ、伝承がなければ駄目だということだとするならば、日本国中どこで何が起こっても、条件が悪くて財政が悪ければひどい目に遭っても仕方がないなんて、それは国家のやることではないのであって、それを国家としてきちんと対応する体制をつくるために、専任の大臣を置き、専門のスタッフがあり、それで、そこでずっと経験と知識を蓄積していく。
そういうような、強大な権限を振るうつもりはございません、その防災庁というものを、また皆様方の御意見も賜りながら、よりよいものにしていくことが私どもの責任だと思っております。
○小野寺委員 まず、目の前の能登の復興を手がけ、そして、その際、しっかり防災庁を組み上げていく。私ども、しっかりその協力をさせていただきたい、そう思っています。
次に、外交、安全保障についてお伺いしたいと思います。
アメリカ、トランプ政権に再びなることになりました。私は、前トランプ政権のときの防衛大臣として、アメリカと直接向き合った経験もございます。大変手ごわい人だと思っています。しっかりとした備えをお願いしたい。
そしてまた、アジアの周辺を見れば、北朝鮮、私どもは拉致問題を何としても解決したい、その課題でありますが、その北朝鮮は、今度はロシアと組んで、事もあろうにウクライナでロシアの味方として戦うなんという状況になっている。本当に、アジアの安全保障環境は大変厳しい。
この中で何より大切なのは、日米同盟をしっかり結んでいくこと。実は、安全保障戦略を、私ども、特に私は自民党の安全保障調査会長でありましたから、皆と一緒に作り上げた立場でもあります。そのとき、一番衝撃を受けたのが、ゲストにお招きしたアメリカの元情報機関のトップの方が、日米同盟の最大のウィークポイントは日本のサイバー能力の低さだということ。そして、これは残念ながら今でも続いております。
今回、私ども、能動的サイバー防御ということで、政府にいち早くこの整備を、法整備も含めてやっていただきたい、これをお願いしていますが、現在のサイバー防御の進捗状況について、総理に伺います。
○石破内閣総理大臣 その問題はもうずっと昔からあるお話でございます、サイバーなんて言葉がはやる前から。ですから、これは法整備をきちんとしなければならないというふうに思っております。
状況は今委員御指摘のとおりであって、日本が一番弱いのはこの分野である、そのためには法整備もしなければならない。これは、平大臣を担当大臣といたしまして、法整備のために、早急に法案を取りまとめて、国会における御審議を賜るようにいたしたいと思っております。
○小野寺委員 実は、このサイバーの問題、私ども、大変深刻に受け止めております。
例えば、ロシアがウクライナに侵略をするとき、私どもは、こんな時代にロシアがウクライナに侵略するはずがないと思っていた中で、なぜかアメリカやイギリスは、確実に、いつ侵略をする、こういう情報をつかんでいました。後から見たらこれが正しかった。この情報はどこからもたらされたか。実はサイバーでの情報収集と報告を受けております。
また、今の戦争は、初めからミサイルや攻撃機が来るんじゃないんです。それに先立ってサイバーでの様々な攻撃がある。これを受けて、実はその後に武力行使があります。確実にサイバーでの予兆を探知しないと、相手の攻撃、相手の武力行使を未然に防げない。この分野の能力を大変高めることは重要です。
そして、サイバーの分野の情報を進めるということになると、憲法二十一条、ここにも配慮する必要があります。非常に難しい法整備となりますが、私は、是非これを一日も早くしっかり進めていただきたい、そのように思っています。
もう質問時間があと僅かとなりましたから、最後の締めくくりにさせていただきますが、私どもは、やはり今回は熟議の国会です。少数与党として、これから補正予算もあります。その先の本予算もあります。また、各法案もあります。この法案の審議に当たっては、私どももしっかり案を作ってまいります。そして、それを野党の各党とも協議をし、取り入れられるところはしっかり取り入れ、だけれども、やはり難しいところは、ここは考えが違う、最終的に、これは国会の場で、公開の場で議論をして、そしていいものを作っていく、この姿勢を貫いていきたいと思います。
そして、何よりも、賃金を上げる、所得を上げる、全ての世代、そして年金世代の皆さんにもしっかりと手を差し伸べる、これが最大の私たちの仕事だと思っています。
そして、石破総理にお願いしたいことがあります。
私は、長い間、石破総理をずっと見てまいりました。国民の皆さんの人気がある姿も見てまいりました。なぜ石破総理が人気なのか。私は、人の話をよく聞く、そして、じっくり相手と向き合う。さらに、ちょっとオタクなところもある。何か身近な存在、この人だったら私たちの意見を聞いてくれる、この人だったら同じ目線、近くにいるおじさんとよく似ている。これが実は、私は国民の皆さんから親しまれる石破さんの姿だと思います。ですが、総理、今総理になって約二か月がたちます。残念ながら、そのよさが出ていないと思います。
私がお願いしたいのは、原点の石破茂に戻って、SPの方が怒るかもしれないけれども、地方に行って、車座でじっくり話を聞いて、酒を酌み交わして、お叱りをしっかり受けて、そして、それを腹にずっと据えて、この国の形をしっかり考えていく。
チャーチルは、難しい問題に直面したとき、チャーチルの伝説映画で見たら、一人で地下鉄に乗る。そして、そこにいる地下鉄の人からいろいろな声を聞いた、お叱りもいただいた、でも、それで私は大きな決断ができたと。
今やるべきことは、この国会の議論も必要です、役所の意見を聞くことも大事でしょう。ですが、石破茂本来の、地方を回って、車座でいろいろな声を聞いて、その思いを共有して、是非いい日本の政治にしていただきたいと思います。
質問を終わります。
○安住委員長 この際、山下貴司君から関連質疑の申出があります。小野寺君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山下貴司君。
○山下委員 自由民主党の山下貴司です。
本日は、総理を始め、政治資金の適正化、そして憲法改正、また夫婦と家族の氏、姓の問題、また地方創生のための産業用地の確保の問題について伺います。
まず、政治資金の適正化について。
総理、いわゆる政治と金の問題は、国民の政治に対する信頼を根底から揺るがしました。特に、昨年から今年にかけて東京地検特捜部に摘発された我が党に対しては、国民からの厳しい批判があり、先般実施された総選挙においても有権者の皆様から厳しい審判が下されました。
私は、議員になる前、東京地検特捜部検事をも務め、与野党の政治家を通じてその職務の対象としてきたものであります。また、党改革実行本部事務局長として、党として初めて、幹事長など役員任期の制限や党ガバナンスコードの制定など、前例のない党改革のお手伝いをしてまいりましたが、なおこのような問題が起きたことは極めて無念であり、情けない思いをしております。
しかしながら、本当に無念で情けない思いをしているのは国民の皆様であり、私は、党所属の一人として、心からおわびを申し上げます。
総理、今国民は、石破政権が本気で政治改革をしようとしているのか注視しております。年内を目途に政治資金規正法改正案が審議されようとしているということも伺っておりますが、こうした政治資金規正法改正を含む政治改革を石破総理がリーダーシップを取って本気でやろうとしているのか、その決意を是非お示しいただきたいと思います。
○石破内閣総理大臣 それは今与野党でいろいろな御議論をいただいておるところでございますが、これはいつまでもだらだらやっていていいものでもないし、参議院まで引っ張ってもいいというものでもないのだと私は思っています。
これは、政府としてあれこれ議会に対して申し上げるべきこと、政党に対して申し上げるべきことではありませんが、成ろうことであれば、年内に法改正まで含めてきちんと結論を出したいということをお願いをいたしたいし、政府としてお手伝いをできることがあればそれをやってまいりたい。私も自由民主党総裁として、委員を始め、あるいは、本当にずっと政治改革を三十八年前から一緒にやってきた渡海紀三朗代議士が本部長を務めます政治改革本部、やはり私も渡海代議士もそうですが、これをやらなければ何のために政治家になったんだという思いがございます。
そして、民主主義というのは何なのか、それを誰がコストとして支えるのが正しいのか。今、小野寺議員の質疑の中にもございましたが、いわゆる世襲でなければできないとか、あるいはお金持ちでなければ、知名度の高い人でなければ、官僚でなければ、それはおかしいでしょうということだと思うんですね。民主主義はそういうものであってはならないのであって、そもそも民主主義というのは何なんだというところからきちんと議論を突き詰めて、さはさりながら、年内に法改正も含めて与野党で答えを出すということを是非お願いをいたしたいし、総裁として、政府として、できる限りのことをしなければならないと思っております。
○山下委員 総裁としての決意を伺いました。そして、国会全体としてやらなければならない、これはもちろんでございます。
ただ、やはり触れざるを得ないのは、この今回の選挙、投票日直前に明らかになった非公認者に対する二千万の提供問題であります。私も報道に接して天を仰ぎました。我々はまず、自民党もやはりこうしたことが二度とないように正さなければならないと思っております。
こうした厳しい批判を受けた二千万問題のようなことを二度と起こさないような自民党に、総理、やっていただけるということを、是非決意をお話しいただきたいと思います。
○石破内閣総理大臣 それは、党として、これは間違いなく合法のものである、そして、そのお金は選挙に使ってはならないということをきちんと明文でそれを支給するときに明らかにしたものでございます。
ただし、先ほど来委員が御指摘になるように、これが世の中にどう見えますかということ、そして、それがお金の使い方として本当によかったですかということを、我々はもう一回謙虚に反省をしてみなければならないことだと思っております。
○山下委員 合法かどうかではなくて、国民が理解できないことについては、やはり虚心坦懐に、我々は謙虚に受け止めるべきだと思いますし、総理には、総裁としてそのリーダーシップを取っていただきたい、そのように思っております。我々自民党はしっかりとやらせていただきたいと思っております。
ただ、元特捜検事の経験からすれば、史上最高額規模の不記載事件である陸山会事件を引き合いに出すまでもなく、政治と金の問題は、与野党を通じて根深い問題であり続けました。
配付した資料二の、総務省が公表している政党及び政党支部の収益のデータによると、政党交付金だけで全ての費用を賄っている党は一つもありません。配付資料にあるように、交付金で賄っている割合は、自民党は約三〇%、立民は四五%、国民は四〇%、維新は約五〇%であり、それ以外の政治資金は、パーティーや新聞発行などの事業収入や寄附で賄っているわけであります。自民、立民、国民、維新とも、個人寄附の割合は六、七%、あるいはそれ以下にすぎないわけであります。
現実に、先週公表された令和五年政治資金収支報告書、この場におられるメディアの皆さんが調べてもらえば分かりますが、立民を含めて野党の皆さん、野党の幹部の皆さんも、昨年までは盛んに政治資金パーティーを行い、企業・団体献金を受け取っておられました。一方で、個人献金の大半が議員自らの名義の寄附であったり、あるいは特定の個人や会社経営者に偏っている例は与野党を通じて認められました。これらのことに関しては、政治改革特別委員会でいずれ明らかになると思います。
ただし、これはお金もうけが目的なのではなくて、東京と地元の二拠点で人件費を含めた事務所経費を捻出するなど、しっかりとした政治活動をするためであると私は理解しております。そして、今回の政治資金規正法の再改正についても、原点に立ち返って議論を重ねる必要があると考えております。
政治資金規正法は、収支の状況を明らかにする、その判断は国民に委ねる、政治資金の拠出に関する国民の自発的意思を抑制することのないようにするということであり、判断は有識者たる国民に委ねるというのが基本としています。だからこそ、禁止を意味する規制、制するではなくて、正しく規律する規正の文字を当てられているわけであります。
そして、政治資金パーティーや企業・団体献金の禁止が問題になっています。
これは主なG7国について表にいたしましたが、これらの国で、政治資金パーティーを一律に禁止している国はないと承知をしております。
そして、これは総務省当局に聞きますが、企業・団体献金を直接的にも間接的にも一切禁止している国があるのか、お答えください。
○笠置政府参考人 国立国会図書館の調査ということでお答えを申し上げます。
企業・団体献金というお話でございましたが、調査によりますと、四か国を御紹介申し上げますが、イギリス、ドイツにおきましては企業・団体献金は可能でございます。アメリカやフランスにおきましては、企業・団体献金は禁止をされているものの、アメリカにおきましては、企業、労働組合等が政治活動委員会、PACを設立し、その役員等がそれを通じて寄附を行うことは可能でありまして、また、フランスにおきましては、これは現地の論文でございますが、団体を結成して企業から資金を集め、政党、政治団体に組織変更することで事実上可能となるといった論文の記述があったというふうに承知をしております。
○山下委員 こうしたしっかりとした精査の上で、やはり慎重に考える必要があるんだろうというふうに思います。
政治資金パーティーに関しても、フランスでは、参加者が食事代を支払う、対価を伴う収益については、寄附とは別に雑収入として認めている。その処理が企業ができるのかどうか、問題もあります。こうしたこともやはり十分に調べないと、これは与野党を通じた問題であると思っています。
また、政策活動費について、これは、我が党でも、政策活動費については廃止するとしつつ、最終的な支出等については基本的に全て公開することとなるが、外交上の秘密やプライバシーあるいは営業秘密を害するおそれに配慮すべき場合など、一部の限定された支出については公開の方法については工夫が必要と述べています。
これは、私は外交官をやっていまして、もっともだと思うんですね。ワシントンで外交官をしていた当時、インテリジェンスコミュニティー、つまり諜報機関が何を注目するかというと、この政治家に誰が献金をしているのか、あるいはこの政治家は誰と会っているのか。特に、例えば台湾など外交関係のない国とやる場合に、国がお金を出すわけにいかない、そして誰と接触するわけにいかない。そういったときに、やはりこうしたものは公開するというのは、国民だけじゃなくて世界中のインテリジェンスに公開するということでもありますから、総理、あるいは検討する過程で自民党自身の言葉として、そうした点もしっかりとお伝えをしなければなりません。
そうしたことも含めて、石破総理におかれては、先ほど述べた決意に従って政治改革を断行することを望んでおります。
次に、憲法改正に対する姿勢について伺います。
私は、自民党において、野党時代に起草された自民党憲法草案の起草を始め、石破総理ほど憲法改正に取り組んできた政治家はおられないと思います。所信表明演説において、総理は、国会による発議の実現に向け、今後、憲法審査会において建設的な議論を行い、国民的な議論を積極的に深めていくことを期待するとおっしゃいました。
我が党は、今年三月の党大会において、憲法改正に向けた条文案を作成する、憲法改正実現を目指すとの運動方針を掲げ、具体的には、自衛隊の明記、緊急事態対応、合区解消・地方公共団体、教育の充実の四項目について条文イメージ、たたき台素案を作成し、実現に向けて取り組んでおります。
この点、憲法審査会の会長が立憲民主党の枝野幸男議員になったことから、自衛権をめぐる憲法論議が進まないのではないかと懸念する声があります。私はそうではないと考えています。
実は、憲法九条に関して具体的な条文案を作成したのは自民党だけではありません。枝野幸男審査会会長もそうであります。
これは、憲法審査会長となられた枝野幸男議員が文芸春秋二〇一三年十月号で公表した「改憲私案発表 憲法九条 私ならこう変える」と題する改憲私案であります。
この中で枝野議員は、現行憲法九条一項、二項を維持した上で、新たに九条の二以下を設けて、自衛権の行使や、総理大臣が実力行使の組織の最高指揮官となることを憲法上明記することを提案しています。
配付資料三の最後のページを見ていただければ分かりますが、石破総理の発言を引用して、枝野議員は、他国が日本に照準を向けたミサイルが発射準備を整えた場合、急迫不正な武力の行使の着手があったとして、自衛権の行使が可能だ、弾が入っていると思われる拳銃を突きつけられたら、正当防衛として反撃してよいように、その発射を阻止するのに必要最小限の行為は、自衛権の行使として認められるべきなどと、事実上、敵基地攻撃能力を認めるような主張もされておられます。枝野会長は、この論考について、あくまで私見としつつ、本稿は従来の民主党の方針とそごはありませんと述べておられます。
これは十年前の論文ですけれども、政治家の憲法に対する姿勢が僅か十年で変わることはないはずであり、そうだとすれば、枝野憲法審査会長を始め旧民主党の皆さんも、憲法九条の具体的案文案を基に建設的な議論を行うことを否定するものではないと思います。
総理、野党にもおけるこうした考えも含めて、自民党総裁として、憲法改正に対する姿勢を伺います。
○石破内閣総理大臣 自民党には、平成二十四年憲法改正草案というのがございます。起草委員長は、今防衛大臣をお務めの中谷代議士でございました。私は予算委員会の野党の筆頭をやっていましたので、九条部分だけ担当いたしました。野党のときに、本当にかんかんがくがくの議論をしてああいうものを作った。また、今委員御指摘のような今の自民党の考え方もある。
私は、憲法改正というのは、本当にきちんとした議論をして、よく言われるように、主権者たる国民が国民投票で判断できる、これも国民の権利の実現でございますので、そういう環境をいかにつくるかが我々の仕事だと思っています。いろいろなお考えがあるでしょう。でも、今、主権者たる国民に判断を仰げるような状況になっていないのは、それはやはり国会に責任があるのだと思っています。私は、主権者の権利をきちんと実現するために我々国会はその責務を果たすべきだと考えております。
○山下委員 与野党を通じて建設的な議論をやりながら、しっかりと国民のための憲法改正を議論していきたいと思っております。
次に、夫婦と家族の姓の問題について伺います。
女性活躍を進めるに当たり、結婚前の姓で活動、活躍していたのに、結婚後、旧姓を使えないという問題については、政府全体で取り組む必要があると考えております。この切実な声も聞いていますし、私も二人の娘がおります。
そして、これは政府全体で取り組む必要があるということに関して伺いたいのです。これからは、法律用語上は別氏制度ということですが、一般用語に倣って別姓制度と申します。
夫婦別姓制度の議論の経緯については、この示すパネルのとおりであります。このように、現行民法は夫婦同氏制度を採用しています。そして、平成八年、法制審の答申で選択的夫婦別姓制度が提示されましたけれども、その後、最高裁大法廷判決で、平成二十七年、令和三年と二度にわたり、家族の呼称を一つに定めることには合理性が認められることなどを理由に、夫婦同氏は合憲との判断が下されています。
そして、パネルにあるように、直近の内閣府の調査によれば、旧姓の通称使用の法制化などをすれば、合計約七割の回答者が夫婦同姓制度の維持を支持しております。
こうした最高裁判決や世論調査もやはり私は無視できないと思います。そして、女性が自分らしく旧姓を使用するための唯一の解決策が選択的夫婦別姓制度かは、しっかりと検討する必要があると思います。
私は、法律家個人として見れば、むしろ、現在唱えられている選択的夫婦別姓制度については、究極の選択を迫る制度であり、硬直的な制度ではないかと考えるものであります。
現在主張されている選択的夫婦別姓制度は、選択すれば、必ず親の一方、どちらかは子と氏が異なる家族別姓制度であります。必然的家族別姓制度と言っても差し支えないと思います。そして、選択しなければ、旧姓を法律上の姓としては使用できないんです。通称使用しかないんです。この今主張されている制度は、家族別姓か、旧姓を法律上の姓として使用することを諦めるかという究極の選択を迫るというものであります。
法務省に伺いたいんですが、現象面としてこういうふうな結果になるということについて、ちょっと法務省当局の見解を聞きたいんですが、どうでしょう。
○竹内政府参考人 お答えいたします。
平成八年の法制審議会答申に従いますと、現象面としては委員御指摘のとおりであると認識をしております。
○山下委員 実際は、別姓に反対されている女性、あるいは男性もそうですが、話を聞くと、子供と別々の姓になるのはつらいということと、旧姓を引き続き使用したいだけなのに、家族の姓まで別々になるのは嫌だ、そういう声もあります。そういうニーズにこの選択的夫婦別姓制度は応えられていないんです。
この問題は、これから結婚するカップルだけの問題じゃありません。遡及適用されますから、経過措置によって、一年、二年は既に既婚の者も含めて全国民がその旧姓に復するかどうかという問題、これに直面するわけであります。だからこそ、我々はしっかりとした議論をしなければならないと思います。
私は、旧姓を婚姻後も法律上使用できるようにすべき、つまり、通称よりも更に上の、法律上の呼称として使用できるようにするという旧姓の法的使用の問題と家族全体の姓をどうするかという問題というのは、必ずしも一緒に論じなければならないものではなくて、切り分けて考えるということも十分考えられるということと思っております。
例えば、総裁選でも一部の方が主張されておられましたけれども、現行の家族同姓制度を維持しつつ、旧姓を、通称のみならず法律上の姓として、その選択により公的文書においても使えるという制度、これも、例えば今マイナンバー制度を使えば可能であるというふうに考えております。
こうした家族の姓の問題について、石破総理の見解を是非伺いたいと思います。
○石破内閣総理大臣 それは、今おっしゃるように、いろいろな可能性があって、でも、私は昨日も参議院の本会議で答弁を申し上げたんですが、やはり前の姓を変えなければならないということに対して物すごくつらくて悲しい思いを持っておられる方々が大勢いることは、決して忘れてはならぬことだと思います。それは女性が九五%であるが、男性もそういう思いの方もいらっしゃるでしょう。そういう方々のそういう思いをどうやって減らすことができるだろうかということを我々は考えていかねばならないと思っております。
と同時に、そうはいっても、じゃ、法律上通称が使えるように段階が上がったとしても、だけれども、やはり事実婚というのは続くのではないだろうか、そのときに遺贈とかそういう関係はどうなるのかという身分法上の問題もありますので、これはいつまでも引きずっていいお話だと私は思っておりません。
そこにおいてどうするかは各党で御議論いただくことですが、ずっとこれがいつまでも続いていくという状況は、国会としてあるべき姿ではないのかもしれない。そこは、我々は、それぞれの立場はありますよ、国民に対してどういう責任を果たすかということを各党は考えて、国民に対して答えを出す責任がある。いついつまでにということは私は立場上申し上げません。ですけれども、そこはきちんと答えを出すのが国民に対する我々議員の責任だということを申し上げているところでございます。
○山下委員 確かに、そういった姿勢をやはり国会全体で持つことが大事だと思うんですよね。ただ、要するに、究極の選択を迫る制度一択だということに限るのかということは、やはり慎重に考えなければならない。これは各党が知恵を出してやらなければならないというふうに思っています。
次に、地方創生のための産業用地の確保について伺います。
先ほど小野寺委員のお話にもありました。アメリカでは、大企業がいろいろな地方に本社を持っているという話がありました。
そして、我が日本では、やはり地方創生で最も効果的なのは、例えば、地方における企業誘致であるとか、地方において企業が拡張できるとか、そういったことでありますけれども、特に、地方では産業用地が足りないということであります。これは日経新聞でも広く報道されたりしております。企業の国内回帰の動きも盛んになる中、こうしたことが喫緊の課題であろうと思います。
昨年、国土計画が岸田内閣の下で改定され、その中の国土利用計画では、今後十年で産業用地を一万ヘクタール増やすということになりました。私の地元の岡山市では、産業用地の確保のため、産業用地に関する開発許可を緩和する取組などをしておりますが、こうしたことについて是非横展開をしていただきたいと思っておりますが、国交大臣、短くいただけますか。
○安住委員長 これは申合せの時間が過ぎていますので、最後の答弁でいいですか。
○山下委員 はい。
○安住委員長 では、手短に。
○中野国務大臣 委員御指摘のとおり、地方創生のためには、産業用地の確保は大変重要でございます。国土利用計画でも、令和十五年に十七万ヘクタールが工業用地の目標ということも指摘のとおりでございます。
国土交通省では、昨年十二月に、産業用地の確保に向けまして、市街化調整区域における開発許可の柔軟化、あるいは土地利用転換の迅速化に関しまして自治体が取り得る措置を周知したところでございます。
岡山市におきましては、先月、企業用地の確保に関する運用指針が策定をされました。国交省の周知の内容を踏まえた迅速な対応であると思います。かつ、基準を明確化し、事業者に分かりやすいものとしていると承知をしております。
○安住委員長 手短に。
○中野国務大臣 こうした取組を関係地方公共団体に対して適切に周知するなど、産業用地の確保に努めてまいります。
○山下委員 終わります。失礼しました。
○安住委員長 時間外の質疑は厳に慎むようにお願いします。
これにて小野寺君、山下君の質疑は終了いたしました。
次に、野田佳彦君。
○野田(佳)委員 おはようございます。よろしくお願いします。
今日、こういう形で総理と対峙して、大変感慨深いものがあります。十二年前は、私がそちらに座っていました。そして、十二年前は、山井さんの席に石破筆頭理事がおられました。奥野さんの席には小池百合子次席理事がいらっしゃいました。という、そうそうたるメンバーに連日鍛えていただきました。今日は、御恩返しの一本を始めたいと思います。
まず、共通認識、共通の危機感を持ちたいと思います。
おととい、尹錫悦大統領が四十四年ぶりに非常戒厳宣言をされました。四十四年前というと全斗煥大統領のときですね。私は大学を出たか出ないかの頃ですが、あの頃の緊迫した状況を思い出します。今回も、六時間後に解除しましたけれども、弾劾されるかどうか、今、緊迫した政局だと思います。これが日韓関係にどういう影響を及ぼすのか。
十一月十六日にリマで首脳会談をされていますよね。そして一月には、また、総理は訪韓をする予定だったというふうに聞いています。来年は日韓国交正常化六十周年という節目であって、政治、経済、文化、芸術、いろいろな面で交流を深める大事な年でありますけれども、この日韓関係にどういう影響が出てくるか。
それからもう一つ、とても心配しているのは、北朝鮮の動向なんです。総理も御案内だと思いますけれども、北朝鮮は十月に憲法を改正しているんですね。どんな改正かというと、韓国を、統一の対象ではなくて、今度は敵対国と位置づけているんですよ、敵対国と。それに連動しているか分かりませんけれども、韓国と北朝鮮を通じる道路を二つ破壊したり、昨日も映像が出ていましたけれども、開城の工業団地に伝わる送電線を壊したり、何か妙な動きが続いているんですね。これは要注意だと思います。
という中での、東アジアの安全保障情勢なども含めて、総理は今どうやって御覧になっているか、まず御見解をお伺いしたいと思います。
○石破内閣総理大臣 これは、恐らくと言っていいのかどうか、安全保障の状況が根底から変わるかもしれないという危惧の念を私は抱いております。もちろん、そうだと断定するつもりはございません。ただ、今までのいろいろな前提がこれから先変わるのかもしれない、そういう危惧の念は持っております。
それは、抑止力とは何だろうかということに最終的には帰着をするのだろうと思っています。北朝鮮が核を持つということの恐ろしさとは一体何だ、それがまた、ICBMのようなものの技術を会得したとするならば、そこにおいて根本的にいろいろな条件が変わってくるのではないか。
そして、委員御指摘のように、北朝鮮の動向というものを考えたときに、朝鮮半島において有事が起こることと、あるいは台湾海峡、その周辺において起こり得ることと、我が国にとって適用される条約、そういうものが変わってくるはずなのです。国連軍をどう位置づけるかというお話もございます。
そういうものを、もう一回、能力的に、あるいは法制面で、あるいはオペレーションで、与野党ございませんので、考えていかねばならぬのではないか。何か事態が起こって、どうしよう、どうしようと、そのときになって六法全書を引いていてどうするということだと思っております。そこは委員とも今までもいろいろな議論をしてまいりましたが、これから先もそういうものをしていきながら、我が国の安全保障体制を、かけ声だけではなくて、本当にきちんとしたものにしていきたい。
長くなって申し訳ありませんが、六十周年を来年は迎えるわけで、日本においても六十周年を、祝うというのか、本当に意義をかみしめるというのか、そういうようなことをやりたいと私は今でも思っています。それがかの国においてどうなのかということも、我々は日本のことだけ考えてはいけないのであって、そういうような年にするべきだと思っております。
この後の状況がどうなるか予断を許しませんので、これ以上の言及は差し控えたいと存じます。
○野田(佳)委員 次元の違う、ちょっと今、危機的な状況に入りつつあると私は思うんですね。
今、韓国の話をしましたけれども、北朝鮮がロシアに急接近しているじゃないですか。金正恩総書記が去年ロシアに行って、そして首脳会談をやっていますね。今年は六月に、二十数年ぶりに、今回はプーチン大統領が平壌に行って、事実上の軍事同盟を結びました。六月に署名して、十一月に批准しましたね。
こういう動きと連動して、今ロシアが使っている砲弾の半分以上は北朝鮮製だと言われている。北朝鮮の軍需工場は今フル回転です。加えて、それだけではなくて、ついにロシアに派兵までして、ウクライナとの戦闘にも関わっているとも言われている。
これは、単なるウクライナの問題だけではなくて、この軍事同盟というのは、朝鮮半島有事があるならばロシアが参戦する可能性が出てくるわけです。という、事態は大きく変わっているんですよ。
これは、私は、むしろ北朝鮮主導で動いているのではないかと思います、むしろ。その狙いは、さっき総理がおっしゃったとおりですよ。多分、相当な技術供与を求めているんじゃないですか、見返りとして。ICBMの大気圏再突入の技術とか。あるいは、北朝鮮はSLBMを持っていますよね、潜水艦から発射するミサイルは持っている。これに原子力潜水艦の建造技術が加わったら、鬼に金棒になってくるんです。
こうして、いわゆる核先制をできる国、アメリカに対して、という技術を求めているというのが私は一番の見返りじゃないかと見ているんですが、総理、いかがですか。
○石破内閣総理大臣 それはいろいろな可能性がございます。今委員がおっしゃることを私は決して否定をいたしません。
相互確証破壊、いわゆるMADという理論は、相手が、理性的だと言っていいかどうか分かりませんが、合理的な判断をすることを前提といたしております。九・一一のときにもこの場で議論をしたことですが、合理的なあるいは理性的な判断をあえてしない国家主体であれそうでないものであれ、それがそういうような能力を持ったときに何が起こるのか。そこにおいていかにしたら抑止力が利くかということを考えるときに、懲罰的とか報復的とか、何となく言葉は物騒ですが、そういう抑止力だけではそれを止めることはできないのではないか。
そのときに、やっても意味がないですよという拒否的抑止力をいかに持つべきかということを、相手が何をやるか分からぬねというときにはもっときちんと突き詰めて考えることが世界の中では大事なことだと私は思います。
○野田(佳)委員 ちょっと少し見解が違うんですけれども、ある意味、北朝鮮は北朝鮮なりの合理的な、理性的な判断だと思うんです。
核先制攻撃の能力を持つ、これは韓国、日本だけへの脅しじゃなくて、アメリカ本土に対する脅しですね。そうなったときに初めて軍備管理のいわゆる交渉ができる、あるいは和平条約につながる交渉が。対等な相手になるための核開発であり、あるいはミサイル開発なんです。ある意味、北朝鮮にとっては合理的なんですよ。それは、国民は分かりませんよ、金王朝存続のためには合理的な判断なんですね。それを今まさに、その手前まで来ているのではないのか、そこに対して危機感を私は持たなければいけないと申し上げたいです。
これは私の原体験なんですけれども、一九九一年だったと思いますが、その頃、自民党の中では金丸信さんが実力者で、そして、一緒に、社会党では田辺誠さんが実力者で、お二方が大変蜜月関係にあったときに、日朝国交正常化交渉の機運が高まっていたんです。総理も覚えていらっしゃると思います。まだ拉致問題とかが明らかになっていない頃なんです。
そのときは私は千葉県の県会議員だったんですけれども、そのときに、全国の地方議員団が訪朝をする機会をつくっていただいたんですね。千葉県から三人行くことになりまして、自民党、社会党、私は一人会派の無所属だったんですが、入れていただきまして、それで訪朝しました。北朝鮮に行ったことはありますか。ありますか。
私は、忘れられない経験というのは、その頃は金日成主席の頃なんです。北側から板門店に行ったんですよ、板門店に。その前に、さんざん悲惨な戦争の記録映画、朝鮮戦争の記録映画を見せられて、おばあちゃんが亡くなった孫を抱いて泣いているところとか、たくさんの死体が転がっているとか、それをさんざん見たんですね。さんざん見て、北側からあの板門店に入って見ると、どういう印象を持つか。
国連軍がいますけれども、韓国とアメリカ中心です。米軍の兵士が物すごい怖いんですよ、見て、北側から板門店に行くと。屈強な、大きな、特に黒人の兵士が多かったんですけれども、みんなマイク・タイソンに見えましたね。ぐらい、悲惨な記録映画を見た後で、どうもうで怖い相手がアメリカなんです、やはり。
後ろの方から、カメラでばしばしと写真を撮っていて、ピースサインを送ってくるにぎやかな観光客の一群がいるんです、東洋人の一群。これは日本人なんですよね。
これが、私は、北朝鮮から見た、特に権力者から見える心象風景じゃないかと思います。アメリカというのはやはり怖い存在。その怖い存在と交渉をして、自分たちが認められて、そして体制が存続するようにすること。後ろでピースサインをしているような人たちは関係ないんですよ。
というような構図の中で、今その足場ができつつあるというのではないかと思うんです。その辺、いかがお考えですか。
○石破内閣総理大臣 その御見解には私は完全に同意をいたします。そういうことなんだろうなと思っています。
先ほどちょっと言い方が間違えていたかもしれませんが、非合理的だと思わせる合理性というのがあるんだろうと思っているのですね。相手が何をやるか分からないということがどれほど恐ろしいかということなのであって、そのときに私たちが持つべき抑止力は何だろうかということを議論したいということを申し上げたところでございます。
恐らく心象風景はそういうものだと思っております。私も北朝鮮に一回だけ行ったことがあるのは、御指摘がありました金日成、建国の父と言われておりますね、それはソ連が送り込んだということが大体定説なのですが。その八十歳の誕生日だということで、拉致問題も顕在化はしていなかった、核実験もしていなかった、ミサイル実験もしていなかった。金丸訪朝、田辺訪朝があったときに、私は自民党の当選二回生でした。見た体験は、多分、野田委員と同じものを見たのだろうと思います。
いかに日本人に我々はいじめられてきたかということ、そして金日成主席がどれほど英雄的であったかということ、そしてどれほど個人崇拝が進んでいるかということ、そういう国が世界の中にあるのだということを我々はよく認識をしなければならないのであって、米兵の後ろでピースサインなんかしている場合ではない。
もちろん、そういう方がおられるのは平和のあかしかもしれないが、我々政治に携わる者、安全保障に携わる者は、最も厳しい状況を想起しながらいろいろな政策を立てていかねばならないのであって、立場は違いますが、委員とそういう議論ができれば本当にありがたいことだと思っております。
○野田(佳)委員 という危機感を持たなければいけないときに、当然日韓は緊密な協力を取らなければいけないんですが、韓国の国内政局がこういう混乱した状況になっている。
そして、日韓のみならず、日米韓での対応が大事でありますけれども、トランプ次期大統領は、ちょっと予測不能な外交方針になりそうじゃないですか。また韓国や日本の頭を飛び越えて三回目の米朝首脳会談なんてことにならないように、緊密な連携をしながらの私は対応をしてほしいと思うんですが、日韓、日米韓、今おっしゃったような危機的な状況の中の強化の在り方というのは、どうお考えですか。
○石破内閣総理大臣 日韓は今、予断を許しません。しかし、韓国がどうなっていくか。国内的には非常な批判あるいは反発があっても、尹錫悦大統領が、いろいろな日韓関係の改善、それが大韓民国の国益だという信念の下に進めてきた。私どもは、そういう尹錫悦大統領の努力というものを損なうようなことがかりそめにもあってはならないのだと思っております。それが一つ。
日米間におきましては、やはり、本会議でも申し上げましたが、国益が違うので、そこは、違うところは違うということをきちんと申し上げていかねばなりません。
日米同盟が、日本のみならず、この地域にとってのみならず、米国にとってもいかなるメリットがあるものかということはきちんとお示しをしていかねばならぬのであって、日本が一方的に守っていただくので、向こうの要求というものは本当にいろいろな事情があったとしても受け入れねばならない、そういうような立場を取る向きもないとは私は言わないが、そうではないのだということだと私は思っております。
トランプ大統領が、ある意味合理的な判断、それは損か得かという功利的な意味ではございませんで、損か得かという判断は、非常に怜悧な判断をする方だと思っております。
そのことをよく認識しながら、私どもとして、日本国の国益と合衆国の国益が両立し、それが世界益になるのだということを臆さず言っていくことは大事なことだと考えております。
○野田(佳)委員 同様の認識を、是非、つかさつかさの、特に防衛大臣、外務大臣にもお願いをして、特に韓国の場合、防衛のトップも何か弾劾されそうですけれども、逆に、事務当局を含めて緊密な連携を取ってほしいというふうに思います。
ここまでは、ある程度共通認識、危機感を共有できるテーマとして御質問させていただきましたが、ここからちょっと少し違ってくるのではないかと思うんですね。
特に違ったなというのは、十月九日の党首討論のときに、いわゆる裏金問題の解明について討論させていただきました。総理は、自民党総裁選挙のさなかには、新しい事実が出てきたら再調査をするというお話でしたので、党首討論のときに、安倍派の幹部と、そして安倍派の会計責任者の主張の違い、これが出てきたことについて再調査を求めました。
もう一回、少しおさらい的に申し上げさせていただきたいというふうに思いますけれども、二〇二二年の四月に、御存命だった安倍元総理が、安倍派の幹部を集めてキックバックは中止するように指示をして、そして、しばらくの間中止していますよね。七月に元総理がお亡くなりになった後、八月に幹部が集まって協議をして再開をしたのではないかと言われていました。
それについて、政治倫理審査会で安倍派の幹部の皆様に御出席をいただいて、そして弁明をしていただきましたけれども、結論が出ていないとか、そういうことが決まったことはないというお話を全ての方がされました。考えてみると塩谷さんだけ違ったと思いますけれども、ほかの方はそういうお話のされ方をしました。
一方で、安倍派の会計責任者の方が、今年の六月の東京地裁の公判の中で、幹部の協議があったということ、そこでキックバックの再開が決まったということ、決まった後に各議員に伝達をしたということを証言をされました。
そして、九月三十日、判決が下されまして、安倍派幹部の言っていたことと違って、会計責任者のおっしゃっていたことが事実認定された。
新しい事実が認定されたので再調査したらどうですかということを党首討論で何回も言いましたけれども、なかなか、むにゃむにゃ言うだけで、うんと言ってくれなかったんですね。
今日、改めて聞きますけれども、この問題について党として再調査するお気持ちはあるかどうか、総裁として御見解をお伺いしたいと思います。
○石破内閣総理大臣 それは何が問われているかというと、政治資金規正法の……(発言する者あり)きちんと物を申し上げております、よくお聞きください。政治資金規正法の趣旨は、公開性、透明性ということだと思っております。不記載ということになっちゃうと、それは公開もなされなければ透明でもないということなのであって、問われておるのは、まさしくそこの違法性なのだというふうに考えております。
御指摘の裁判においては、そのこと自体が争われたわけではございません。そこの問題について、では検察において、これは大変な権力と強制力を持つ検察において捜査をして、犯罪というものは出てこなかったわけでございます。それを党として調べることの限界もございますし、そこにおいて新たな事実が判明したというふうには私自身認識をしておりません。新たな事実が出れば、それは党として調査することもございましょう。現状において、そのような認識を私は持っておるものではございません。
○野田(佳)委員 裁判所が事実認定をした証言ですので、これは新しい事実だと思います。これを事実でないと言ってしまったら、これは司法は成り立たないと思います。非常に司法の判断は、やはり国会として受け止めるべき、政治として受け止めるべきだと思います。ということがあるとするならば、安倍派の幹部が主張したことは一体どうだったのかということが問われるんですよ。
ここは第一委員会室ですよね。政倫審をやったのは、衆議院の場合は、隣の隣の第三委員会室でありました。ここの部屋よりはもうちょっと狭いですよね。映像で全体を映されていないから分からないんですけれども、第三委員室には、四方に、永年勤続表彰、二十五年以上の政治家の肖像画が貼られています。
そして、映像には出ていなかったんですけれども、私も政倫審で質問に立つ側になりましたけれども、私がこうやって質問しますよね。弁明する側が石破総理の位置だとしますよね。私の真後ろには、安倍元総理の肖像画があったんですよ、安倍元総理の。安倍元総理の肖像画の前で、もしかすると、安倍派の幹部の皆さんは、会計責任者と違う証言をしているということは、うそをついていた可能性があるということじゃありませんか。これはむしろ自民党の皆さんも、そんなことでいいのかと思っていただかなければいけないと思いますよ。
だとすると、それは、もしかするとうそをついた可能性があるならば、そうした皆さんを、もう一回、本来ならば予算委員会で証人喚問をするようなことも視野に入れながらも、一回法廷で証言をされた安倍派の会計責任者の方、松本淳一郎さん、参考人として予算委員会に招致をしてほしいと思いますが、委員長、お取り計らいをお願いします。
○安住委員長 御提案の案件については、理事会で速やかに協議します。
○野田(佳)委員 ありがとうございます。
それでは、いわゆる裏金の問題も含む政治と金のような不祥事を起こさないために、我々は改革の本丸は企業・団体献金の禁止だと思っています。
その企業・団体献金の禁止について、一貫して、残念ながら反対の立場というか、慎重な立場でありますね、自民党は。
いつも、企業・団体献金の、政治活動の自由は認められていて、企業・団体献金も、献金できるんだ、寄附できるんだという主張をされる根拠が、八幡製鉄の政治献金事件を岸田前総理もおっしゃっていました、石破総理もよく取り上げられますけれども。この最高裁判決がこの正当性の根拠になっているんでしょうか。お尋ねいたします。
○石破内閣総理大臣 それは、判決が正当性の根拠だということを申し上げておるわけではございません。そこにおいて述べられている判決理由というものを引いて、こういう考え方もある。
つまり、法人が、別に、大企業かどうかは別として、それが実際に投票することは法人としてはできません。しかしながら、納税というものは果たしておるわけであって、納税者としての法人がその意思を示すということにおいて、投票はできるわけではございませんので、そこにおいて、献金というものをすることによって、納税者であるからには、そこにおいての意見を申し述べるということが、ある意味、政治献金という形になって表れているということだと私は思っておるところでございます。
○野田(佳)委員 じゃ、あえてこの判決を、余りこういう古い証文を出してお話をされない方がいいと思いますよ。なぜならば、一九七〇年の判決ですけれども、この判決には、巨額寄附に伴う金権政治の弊害には立法政策で対処すべきという判断も下されているんです。
この一九七〇年の最高裁判決の後に、ロッキード事件があったり、時系列でいうと、リクルート事件など、政官業の癒着を象徴する、その仲立ちを事実上企業・団体献金がしているというような事案がいっぱい発生をしたから、だから、企業・団体献金の見直しをしようとすることが度々起こったんじゃありませんか。
ということは、是非、これは認めていただけますよね。立法政策として企業・団体献金の禁止ということはあり得るということは、これは御理解いただけますか。
○石破内閣総理大臣 昭和四十五年の判決でございます。
私も委員も、同じ昭和三十二年生まれでございますから、中学一年生とか二年生とか、そんな頃ですが。やはり、学校で、法学部じゃなくても、一般教養で、法学で八幡製鉄事件というのは習ったと思います。私も、随分、憲法学の授業で出たりしたものですから勉強した覚えがございます、遠いかなたの話ですが。
要は、そこにおいて述べられているのは、一体何がその淵源であるかというと、憲法第二十一条、表現の自由というものがこの根拠になっておるということでございます。
委員が、余り古い証文を出してくるんじゃないよという御指摘ですが、憲法の解釈というのはそんなに簡単に変わるものだと私は思っておりませんで、企業の政治献金というものが、あるいは団体の政治献金というものが正当づけられる根拠は憲法第二十一条の表現の自由ということは、それは時代によって変わるものだと思っておりません。
そしてまた、企業・団体献金というものが、政党助成金が入ることによって、それはもうなくすことになったのが合意だよねという言説があちらこちらでなされることでございますが、そうではないのだと。五年ごとにきちんと見直しましょうということであって、いろいろな事件があって、そのたびそのたびに見直しもなされてきた、そして今日に至っておる。だけれども、そこの附則はなお生きておるということでございますので、そこをどのように考えるかということが議論の根幹だと思っております。
○野田(佳)委員 九三年、九四年の頃の政治改革の議論に今入ってこられましたので、じゃ、私もそこに話を移していきたいと思いますけれども。
一九九四年に政治改革関連法が成立をいたしました。あのときは、石破総理は当選三回だったんですかね。私は一回生なんです。与党と野党の立場が違ったと思いますけれども、共に政治改革を実現しようという意味においては、方向性は一致していたと思うんですけれども。
あのときに、いわゆる政党助成金を導入するための政党助成法、政党交付金、一人当たり二百五十円、当時はコーヒー一杯分と言っていましたけれども、二百五十円、国民に御負担をいただいて、政党の活動を助けていこうという。
その法律とともに政治資金規正法の改正が行われて、企業・団体献金については廃止の方向で改正が行われましたよね。それは、企業・団体献金、政治家個人は受けてはならないということになりました。
そして、今、附則に、総理がおっしゃったとおり、五年後の見直しの規定があったんです。五年後の見直し規定を受けて、あのときは、だから細川内閣のときだったんですが、五年後は小渕内閣。小渕内閣のときに、五年後に見直しを出して、政治家個人が持っている資金管理団体で企業・団体献金を受け付けることを駄目にしたんですよね、五年後見直しをしようと。
一方で、その五年見直しの中には政党に対するものも入っていたんですが、残念ながら、政党に対しての企業・団体献金の見直しって、ずっとずっと附則には入ったまま、見直しされないままに今日来ているという解釈をしなければいけないんじゃないですか。ということは、政党や、特に今、政党支部でいっぱい受け付けていますよね。これにも、この問題に切り込んでいかなかったら、三十年前の改革の精神を忘れたことになると私は思うんです。
当時はいろいろあったけれども、与野党で合意をしたわけじゃないですか。合意をしたこと、賛成をした法律については、当時関わっていた政治家として、責任を持って対応しなければいけないんじゃないですか。総理だけじゃなくて、村上先輩もいらっしゃったし、中谷さんもいらっしゃったし、岩屋さんはちょうどお休みだったんですかね。
ですけれども、あのときいろいろ立場があったけれども、それは、細川さんと河野さんが、最後、お互いが、当事者同士が合意して、二人とも今、企業・団体献金は何でやめないんだと言っていますよ。責任ある当事者が、トップ同士がそう言っているわけですから、我々はやはりそのとき関わった以上、責任を持って三十年前の宿題を片づけようじゃありませんか。いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 これまた委員と議論したいと思っているんですが、私どもの原点は平成元年の自民党政治改革大綱だと思っております。それは、伊東正義政治改革本部長、後藤田正晴代理の下で、私ども、当選まだあの頃一回でしたが、政治改革大綱というのを書きました。
今回もう一回読み直してみて、企業・団体献金を廃止すべきだということは全く書いていない。そのときから我々の立場は一貫しておるのですが、禁止よりも公開ということだと思っております。
それは、政治資金規正法の第一条、第二条の趣旨からしても、禁止よりも公開だということだと思っております。これは、政治資金規正法の第一条というものが規定していること、そして第二条が規定しているもの、それは、いかにして有権者の判断に委ねるだけの透明性、公開性を確保するかということだと思っております。
そこについての認識に恐らくややそごがあるのではないかと思いますが、一九九四年の政党助成法成立時に、政党助成金を導入する代わりに企業・団体献金は廃止の方向となったというようなことは、そういう事実は実際にございません。そこのところの認識を統一していかないと、これからの議論が食い違うと思っております。
○野田(佳)委員 これは、今、政治改革大綱のお話をされましたけれども、大綱が作られた後に法改正の議論をしているんですよね。そのときに企業・団体献金の禁止の問題というのがやはり議論の俎上に上ったということじゃありませんか。だから、時系列でいうと、大綱はあったけれども、やはり世論が厳しくなって、自民党も対応せざるを得なくなったんですよ。
なぜならば、例えば九三年で、今、経団連が献金のあっせんをやっていますよね。あのとき経団連は、九三年、やめたんですよ、企業・団体献金をやめた。当時の、平岩さんがトップだったと思います、平岩外四さんが。何と言ったかというと、公費助成と個人献金でやっていくべきだと言っているんですよ。そういう世論を踏まえて、政党助成法と政治資金規正法の改正が行われたんじゃないですか。
そういう背景を忘れちゃ私はいけないと思いますよ。その時代背景の中で我々は立ち会って政治改革をやったわけですから、もう一回、この原点はごまかさないで、忘れないで、きちっと対応していきましょうよ。いかがですか。
○石破内閣総理大臣 ごまかすつもりは私は全くなくて、要するに、民主主義のコストは誰が負担するのがよろしいのかと。これは御党の前身である旧民主党においても同じ議論が行われたんだろうと思っています、新聞報道を拝見する限り。
やはり、政党助成金に過度に依存する政党運営というのはいかぬのではないかということ。つまり、国民の浄財であり、当時コーヒー一杯分、二百五十円と言われました。それは貴重な浄財です、大切に使わなければなりません。ただ、政党の運営というものが、過度に公的な資金に依存すること、つまり、六割、七割というのを過度というのです、それは。そうなったときに、本当に政党の在り方として正しいのだろうか。
そして、じゃ、政党助成金と自分のお金でやるとするならば、やはり、私たちがその頃、古い話になって恐縮ですが、鳩山由紀夫さんや武村正義さんと一緒にユートピア政治研究会という不思議な名前の勉強会をつくって、一年に幾らかかるんだいということをやってみたら、一億円ということで、みんなひっくり返って驚きました、そんなにかかるんだと。
じゃ、民主主義のコストは何であり、どの分が公的助成に値をするのかというお話をいたしました。意欲と能力のある者が、個人の負担に過度に依存することなく国会であろうが何であろうが出てこれるという環境がどうすればつくれるかということでありまして、私はあえて事実を歪曲して物事を考えているつもりはございません。政治資金規正法一条、二条の趣旨に、もう一度きちんと共通認識を持とうではないかということを申し上げておるものでございます。
○野田(佳)委員 じゃ、その共通認識を持つためにも、企業・団体献金をやはり議論の俎上にのせるために、自民党の法案の大綱が出てきましたけれども、企業・団体献金は全く入っていませんよね。これはおかしいじゃないですか。
そもそも政治改革本部で十一月に総理が指示したときには、企業・団体献金の在り方について検討するようにと指示を出していますよね。指示を出しているのに、その痕跡がない法案の大綱が、要綱が出てきました。
しかも、指示を出したときも、私は指示の出し方がおかしいと思うんですが、年内決着とさっき言っていましたけれども、この問題については何か時間の区切りをつけないと言っているんですよ。最初からこの問題に向き合おうという気がないんじゃないですか。
だから、今、報道によりますと、企業・団体献金については、第三者機関の判断に委ねるために、来年以降に結論を出そうというような動きになっている。来年以降というのは、じゃ、誰が責任を持つんですか。お互いに、私が党のトップである間、総理が総理の間に決めなかったら意味がないんじゃないですか。
しかも、第三者機関に何で判断を委ねるんですか。これだけ議論してきて、我々も法案を提出してきたんですよ。第三者機関の専門家に委ねるんじゃなくて、政治改革特別委員会を開くんだったら、専門家の意見が聞きたいんだったら、参考人でいいんじゃないですか。
何で来年まで延ばすんですか。年内に企業・団体献金の問題も含めて決着をつけようじゃありませんか。
○石破内閣総理大臣 各党で御議論いただいているときに、いついつまでということを私として申し上げることは適当だと思っておりませんが、いつまでも引き延ばしていいというものではございません。年内ということを私が随分強調しておるのは、そこは各党の御議論ですから、いついつまでにということを政権与党の最大党の総裁が、あるいは総理大臣たる者が申し上げるべきだと思いませんが、いつまでも引き延ばしていいなぞということは全く思っておりません。
そしてまた、その内容を第三者機関に委ねるということを申し上げたことも一度も私どもはございません。そこにおいては、各党が、いかにあるべきか。企業・団体献金が非常に重要なテーマであるということは我が党のメンバーもみんなよく承知をいたしております。そして、民主主義は誰が支えるべきなのかということを政治改革本部において真剣にここまで議論をいたしております。そして、取りまとめの渡海本部長というのは、本当に政治改革をやるためにこの任期というものを絶対に全うしたいという意識を共有をいたしておるところでございます。いいかげんなことをするつもりはございません。第三者に決めてもらおうなぞということを申し上げているわけではございません。
ただ、昨日私どもが提示いたしましたのは、そこにおいて、例えば、政活費というんですか、政策活動費。少し議論はずれますけれども、政活費は例えば廃止します。だけれども、そこにおいてどうしても出せない部分もございましょう。それはもう政活費とは言わないのだけれども、どこに設けるかはこれから議論のあることですが、それの正当性については第三者機関に判断をしてもらいましょうと。そういう意味で申し上げておるのであって、企業・団体献金について第三者に御判断をいただくというようなつもりはございません。
○野田(佳)委員 じゃ、報道は間違っていた、いわゆる専門家も含めて第三者委員会的なものをつくって検討してもらうというのは、これは違うと。政治家として、それぞれの各党が判断をして、そして意見交換をして決めていく。しかもそれは、年内が我々は望ましいと思っていますけれども、その基本姿勢であるということは確認してよろしいですか。
○石破内閣総理大臣 それは民主主義のインフラの話でございますから、第三者の方々の御意見を聞くということは当然ございますが、最終的に各党の合意であり、そしてまた法律が必要なものであれば国会の議決によるのは当然のことでございます。
○野田(佳)委員 もちろん最後は国会で議決するんですけれども。
じゃ、この問題だけ先延ばしをするということはしないと約束してもらえますか。もし、したいと言うんだったら、せめて期限を示してほしいんですよ。いいとは言いませんよ。だけれども、参議院選挙以降だとか、五年とか十年たって、見直し事項はありながら今回まで引っ張ってきちゃったテーマですから。それは、最低限いつまでにということを是非お答えいただきたいと思います。
○石破内閣総理大臣 それは、議論の熟度を上げ、頻度を上げ、どれほどそれが煮詰まっていくかということ。当然でしょう、議論をやっているわけですから。そこにおいて、党利党略とか自分たちの思惑でそんなものを延ばしていいなぞということを考えている者は我が党にはおりません。
それは、どれだけ頻度が上がり、どれだけ熟度が上がり、そこによっておのずからいついつまでというのは定まってくるのであって、私どもとしてこれを引き延ばそうというような考えを持っている者はございません。
○野田(佳)委員 もうとっくに一年前から議論をやっていたのに、まだ結論が出ないというのは、私は許し難いと思います。
終わります。
○安住委員長 この際、大西健介君から関連質疑の申出があります。野田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。大西健介君。
○大西(健)委員 立憲民主党、大西健介でございます。
私は、ただいまの野田代表の質問に続けて、政治改革について聞いていきたいと思います。
先ほど野田代表からも指摘があった、安倍派の幹部の政倫審での証言と、そして会計責任者だった松本事務局長が裁判で証言したことが食い違っているということがありました。
こちらのパネルを御覧いただくと、先ほど、二〇二二年の八月二十二日の協議、会合で還流の再開が決まったというふうに裁判では証言しているけれども、政倫審では、そのときは結論が出なかった、これは食い違っているという話がありましたけれども、私は、もう一つこの証言の中で注目したいのは、二〇二二年の八月の協議で還流の継続が決まった後に、幹部らが所属議員らに周知をし、それを待って還流を実施した、こういう表現があるんですね。
ということは、安倍派の議員は、幹部から何らかの形で連絡を受けているはずなんです。例えば、それはメールだったのか電話だったのか、あるいはどういう内容の連絡を受けたのか、そういうことがあるはずなんです。それを、是非、党所属の、清和政策研究会に所属していた議員に確認をするように、自民党総裁として党に調査を指示していただきたいと思いますけれども、総理、いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 それは、還流というもの、キックバックとかいろいろな言い方をされておりますが、そのこと自体が違法なのではございません。違法なのは、それを公開しなかったという点にございます。
今までそういうことをやっていたんだけれども、私は見たわけではないので全く存じませんが、安倍晋三元総理、清和研の会長だったんでしょうか、その頃は、詳しくは存じませんが、それの御指示によってそういうことはやめるということを連絡をしたということ自体は、それは当然なされるべくしてなされたことであって、そのことについて何か調べなければならないものだと私は認識をいたしておりません。
○大西(健)委員 いや、発言がうそかもしれないということもありますし、還流というものは、そもそも、だから、還流して、それを収支報告書に書かなかったわけですよ、そういう処理をなぜしたのか、誰が指示したのか、そこが一向に明らかになっていないところに問題があるわけで、裁判の証言と政倫審で言っていることが違うわけですから、改めて私は自民党として説明責任が問われているというふうに思います。
もう一方、これに関連してなんですけれども、参議院では、これまで政倫審への出席を拒んでいた裏金議員二十七人が一斉に出席の意向を示しています。来年の参議院選挙に向けてみそぎの場にしようと考えているんだったら、これは全くの筋違いだというふうに言わざるを得ないというふうに思いますけれども、総理は、参議院の本会議の答弁で、来年の夏の参議院の公認について、衆院選と違う対応を行うことは現時点では考えておりませんと答弁をしましたけれども、衆院選のときは、説明責任が十分果たされたかが判断の一つの基準になったというふうに考えています。
そこで、政倫審での説明ぶりを見て公認するかどうかの最終判断が行われるのではないかというふうに見られていますけれども、このまさに安倍派の事件では、さっきから言っているように、うそをつけば偽証罪に問われる裁判の証言と政倫審で弁明したことが食い違っているんですよ。ですから、政倫審で、先ほど野田代表も言われましたけれども、うそをついていた可能性があるんです。そういう意味では、政倫審に出席したからといって、結局そこでうそをついたら何の意味もないですよね。だから、政倫審に出席したということだけをもって説明責任が果たされたということには私はならないんじゃないかと思います。
あわせて、昨日の参議院の政治倫理審査会の幹事懇では、出席意向を示している二十七人のうち二十三人が非公開を求めたのに対して、自民党の佐藤正久筆頭幹事は、首相さえも非公開では内容を知るすべがない、当然国民にも分からないと述べました。そうですよね、非公開だったら、そこでどういう説明がなされたのか、総理も分からないじゃないですか。
ですから、これでは国民に対する説明責任を果たしたことには私はならないというふうに思いますが、総理、そう思いませんか。
○石破内閣総理大臣 それは、いやしくも国会の政治倫理審査会という場でうそをつく者がいると私は思っておりません。それは、そういう場に臨む、実際に政倫審というもの、私も自分が呼ばれたことはありませんけれども、自らの意思によって政倫審に行って自らの立場を述べるというところにおいて、誤りを述べる、偽りを述べるということがあると私は思っておりません。
そして、そこに出さえすればよいなどということを考えているものでもございません。そこにおいて何が議論されたかということは、それが公開されないとしても、それを主権者として、あるいは同僚議員として知るすべというのは当然あるわけでございます。
そうしますと、そこにおいて何が述べられたのか、そして、公認すべきか、すべきではないか、基本的に党内のことでございますので、私がここで独断をもって言うことはできませんが、衆議院、参議院で違いがあるということは、私は本来あるべきではないと考えております。
○大西(健)委員 再度申し上げますけれども、裁判の証言は、偽証罪が懸かっている裁判で証言しているんですよ。政倫審は弁明ですからね、自分が思っていることを言っているだけ。でも、食い違っているから、先ほど野田代表からは、じゃ、国会に来ていただいて、まず参考人としてお話をいただきましょうという話をしましたけれども、そういう意味では、やはりうそをついている、食い違っているんですから、どっちかがうそをついているんです。
それから、もう一つ言うと、確認ですけれども、今のお話であれば、非公開であっても、これは説明責任を果たしたということになるんですか。非公開では、先ほども言いましたように、総理も知れないし、議事録も残らないんです。これで説明責任を果たしたということで公認するということは私はないというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 それは、政倫審の委員がその当該議員の弁明を聞いているわけですよね。そこにおいては当然我が党の委員もおるわけでございます。そこにおいてどういうことが話し合われたのかということ、そういうことは当然了知をする機会はございます。
そしてまた、この場に、証人喚問とか、いろいろな御指摘が先ほど来、野田代表からも委員からもございますが、それは、今委員長が理事会においてというふうにおっしゃいましたように、国会の御判断というものに我々はきちんと従うのは当然のことでございます。
○大西(健)委員 委員が聞いているからいいという問題じゃなくて、国民に対する説明責任を果たすということだと思うんです。
そうだったら、逆に言うと、委員が聞いているからいいんだというんだったら、公開すればいいじゃないですか。だから、総理から、総裁として参議院の議員に対して、公開で弁明するように指示すればいいんじゃないですか。いかがですか。
○石破内閣総理大臣 当該議員がどのように考えて非公開ということを望んだのかということを私は現在存じません。それは、それぞれがどのように考え、それを公開するかしないかというのはそれぞれの審査会の御判断でございますから、今、私が予断を持ってああのこうのということは申し上げません。
○大西(健)委員 やましいから、やはり公開したくないんじゃないんですかね。
次にちょっと移りたいんですけれども、私がこの予算委員会で自民党の主要派閥のパーティー券収入が収支報告書に書かれていないということを指摘したのが昨年の十一月二十日なんです。それから一年がたちました。
私どもは、当初から、まず実態解明、そして次に責任者の処分、その上で再発防止だということを言ってきたんですが、一年たっても、さっきから言っているように、誰がいつからこんなことを始めたのか、何のために始めたのかというのは全く明らかになっていないんです。
当時は、捜査中だとか公判中ということを理由に答弁を拒否するような場面が見られました。ただ、先ほど言ったように、司法の判断が下った今、犯罪に当たるかどうかという観点ではなくて、我々立法府の立場から実態解明をきちんと行い、国民に対する説明責任を果たさなければならないんじゃないかというふうに思います。それがあってこそ、本当の意味での実効性のある、私は再発防止策が取られるんだというふうに思っています。
この点、旧二階派についても、政治資金規正法違反、虚偽記入の罪に問われた元会計責任者、永井被告の有罪が確定をしています。安倍派の裁判では、松本氏は独断で還付することはないと述べていますけれども、二階派についても還流や中抜きを会計責任者だけの判断で決められるとは私は到底考えにくいというふうに思います。実態解明のためには、二階派の会計責任者だった永井氏にも国会に来てもらって話を聞く必要があると思います。
委員長、志帥会の元会計責任者、永井等氏の参考人招致を要求いたします。
○安住委員長 御提案のあった件については、速やかに理事会で協議をいたします。
○大西(健)委員 次に、企業・団体献金について、野田代表の質問に続けて聞いていきたいというふうに思うんです。
先ほどのやり取りでもありましたし、それから、先日の本会議でも総理は答弁されていますけれども、企業・団体献金の禁止が政党交付金の前提にはなっていなかった、そういうものではないというふうにさっきから答弁されています。ただ、それは、当時自民党の総裁であった河野洋平元議長が言っていることと明らかに異なっているんです。
河野議長のオーラルヒストリーというのが出ていますけれども、ここに、パネルに抜粋をしました。
まず、初めのところで見ていただきたいんですけれども、細川総理とのトップ会談で決めたのは、小選挙区制でいくという話と企業献金をやめるということで、これが政治改革の車の両輪だったと河野さんは言っているんです。今はその片方しか回っていないと。
それから、少し下の方に行っていただくと、公費助成が実現したら企業献金は本当に廃止しなきゃ絶対におかしい、五年後に見直すと法律の附則に書いたのにスルーしたと。
それから、少し戻っていただいて、企業献金禁止と公費助成はトレードオフの関係、こう言っているんです。まさにトレードオフの関係ですよ。ですから、前提だったんです。公費助成が実現したら企業・団体献金はやめるというトレードオフの関係だと、当時、当事者だった河野元議長がこう言っているんですよ。
ですから、総理の企業・団体献金禁止は政党交付金の前提でなかったという答弁は是非撤回していただきたい。ルールを守る自民党には、企業献金と政党交付金の二重取りはやめて、この三十年前の約束を守っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 私は、細川総理と河野総裁がその議論を、かなり夜遅くまででしたよね、十一時、十二時までだったと思います。雪が降る日でした。私は当選三回でした。ずっとそれを見ていたのは、今でもありありと覚えております。おられなかったのは大勢おられるかと思いますが、そういうような状況を体験しておる一人でございます。
そのときに、これで公的助成が入ったので企業・団体献金はなくなるという意識を持った者は、少なくとも自由民主党にはいなかったと思っています。
つまり、それは、誰が民主主義のコストを負担するのが正しいのかというお話を先ほどからいたしておりますが、公的助成だけで運営される政党なぞというものが、本来、民主主義の政党としてあっていいと私は思いません。
そしてまた、じゃ、自分のお金だけという話になりますと、もちろん、政治にかかるお金、選挙にかかるお金というのは随分減りましたよ。私たちが中選挙区で出ておった頃は、五当四落なんという言葉が本当にありましたからね。五億円使えば当選だが、四億円では落選なんというのは本当にありましたよ、それは。そういうものは本当に劇的に減りました。減らす努力はどんどんいたしてまいりますが、それでも、ある程度のお金は選挙にもかかります、政治にもかかります。じゃ、それを自分で出しなさいねなんということになったらば、よっぽどの資産家でなければ選挙になんか出られません。
公的助成だけに頼るのもおかしいし、財産がなければ駄目というのもおかしいし、じゃ、その間を誰が負担すべきなのかというのがこの議論の本質なのであって、個人が出したからよい、企業、団体だから駄目だという前提に立つことは、私はそもそも誤りだと思っております。
〔委員長退席、奥野委員長代理着席〕
○大西(健)委員 公的助成だけで政党が運営されるというんじゃなくて、個人献金に切り替えていこうというのが当時の話だったんだというふうに思いますね。
それと、明らかにその当時の当事者がトレードオフの関係だと言っているんですから、自民党の総裁ですよ、それが言っているんだから、明らかに私は今総理の言っていることは食い違っているということを指摘せざるを得ないというふうに思います。
それから、もう一つ河野議長は大変重要な御指摘をされていて、それは、企業・団体献金について、企業献金が多いから税制を始めとしていろいろな政策がゆがんでいる、庶民から企業の方へ政策のウェートがかかって、企業献金が政策のゆがみを引き起こしている、こう言っているんですね。
企業献金が政策をゆがめているというこの認識は、当時、経済界にも共有されていたんです。当時の亀井正夫住友電工会長は、企業献金はそれ自体が利益誘導的な性格を持っていると述べております。また、当時の石原俊経済同友会代表幹事は、企業が議員に何のために金を出すのか、投資に対するリターン、株主に対する利益を確保するのが企業だから、企業が政治に金を出せば必ず見返りを期待する、こう述べています。
石破総理は、本会議で、避けなければならないのは、献金によって政策がゆがめられていることと答弁しましたけれども、企業献金自体が利益誘導的な性格を有していて、政策をゆがめるおそれがあるというのは、当時の自民党総裁も、そして経済界もそれはもう認めていた話なんです、三十年前に。だから、今更何を言っているんだというふうに私は思うんですけれども、いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 今御指摘の亀井正夫さん、経団連の会長でしたか、私は随分と議論はいたしました、亀井さんとも。その頃、民間政治臨調というのもありまして、そこに亀井さんも何度もお越しになり、私ども若い議員たちもそこに足を運んで、随分と議論をいたしました。
それは、資本主義社会そのものが悪だと決めつけることがおかしいように、企業・団体献金そのものが悪だというお話にはなりません。それが事の本質なのであって、企業が企業として存続をし、その利益を実現することによって資本主義社会は回っている。
しかしながら、それが、Aという会社が甲という代議士に幾ら出したかということが常に分かる、Aと甲の関係だけではなくて、Aという会社が、甲乙丙丁、何でもいいんですが、どれほど出しているんだろうかということが主権者たる有権者の目にきちんと明らかになって、そんな政党にはもう入れるのはやめよう、そんな候補者にはもう入れるのはやめようというのが主権者の権利としてきちんと行使をされるということが大事なのではないだろうか。
企業は、それぞれの利益の実現のために、企業もそれなりに私的な存在ではありますが、同時に、資本主義社会を構成する大事な主体でございますから、そこは、その利益のためにやることそれ自体を悪だと決めつけたら、この社会は成り立たないと私は思います。
〔奥野委員長代理退席、委員長着席〕
○大西(健)委員 悪だとか善だとかいう話ではなくて、今の話の流れから、さっきの、これも野田代表との議論でありました八幡製鉄政治献金事件の話が出てくるんだと思いますけれども、この判決というのは、企業は憲法上の政治活動の自由を有するんだ、こういう話なんですけれども、ただ、これは、先ほど来言われているように半世紀前の判決で、その後に、一九九六年に南九州税理士会政治献金事件の最高裁判決というのが出ています。ここには何が書かれているかというと、政党に金員を寄附するかどうかは、選挙における投票の自由と表裏を成すもので、会員各人が個人的な政治的思想、見解、判断等に基づいて自主的に決定すべき事柄であるというふうに書かれているんですね。
つまり、企業が政治活動の自由を有するということから、ストレートに企業が政治献金の寄附をすることができる自由が私は導かれるものではないというふうに思います。
それから、もう一つ言えば、先ほど憲法の話を総理はされましたけれども、私も法学部ですからいろいろな憲法の本を読みましたけれども、多くの学生が読む芦部先生の基本書というのがありますけれども、芦部先生はこう言われています。
強大な経済力と社会的影響力を持つ会社に、定款所定の目的と関わりない行為まで、社会通念上、期待ないし要請されるものないし社会的実在として当然の行為だとして、自然人と同じく政治的行為の自由を無限定に憲法が認めると解するのは、行き過ぎであり妥当ではない、多額の献金が、選挙の結果だけではなく、国民個々の選挙権その他参政権の行使そのものに大きな影響を及ぼすことは、否定し難いことであろう、これが憲法学者の言っていることなんですよ。
ですから、お金をたくさん寄附することによって、ある種、個々の選挙権、参政権の行使そのものに影響を与えるというのが憲法学者の言っていることなんです。
それから、さらに、私が今日お示しをしたいのはこちらなんですけれども、これは、一九九三年の十一月の二日、衆議院の政治改革に関する調査特別委員会というところに参考人として出席した岡原昌男元最高裁長官がこういうことを言っているんです。
これを御覧いただきたいんですけれども、企業献金の問題につきまして、例の昭和四十五年の最高裁判決がございますけれども、この昭和四十五年の最高裁判決というのは八幡製鉄政治献金事件です、あの読み方について自民党の中で非常にあれをルーズに読みまして、その一部だけを読んで企業献金差し支えない、何ぼでもいい、こう解釈しておりますが、あれは違いますと言っているんですよ。それから、本来営利団体である会社でございますから、非取引行為、つまりもうけにならぬこと、これをやることは株主に対する背任になります、もし見返りを要求するような献金でございますと涜職罪になるおそれがありますと。これは当たり前ですよね。会社はもうけるためにやっているんですから、もうけにならないことをやったら背任だし、何か見返りを求めたら、これは贈収賄的な意味合いを持つ。それから、もう一つ、あの判決を基に取って、企業献金は何ぼでもいいというふうな考え方はやめてもらいたいと言っているんです。
もっと衝撃的なのは、一番下のところですけれども、元最高裁長官は、あれは助けた判決だと言っているんですよ。どういうことかというと、当時、企業献金が当たり前という風潮の中で、ほぼ全部の議員がひっかかるような判決は出せないので、現実に追随する形で出した判決だと言っているんですよ。
したがって、企業・団体献金の根拠としてこの八幡製鉄政治献金事件の最高裁判決を持ち出すのは、私は不適切にもほどがあると思いますけれども、総理、いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 私は委員より一世代上なのですが、やはりこの八幡製鉄事件というのは法学部の学生はみんな習ったものだと思っております。私どもの時代は、宮沢、清宮の憲法の時代、教科書の時代でございましたが、やはりこれは習いました。
この岡原さんも全体を読まないと、一部だけこれも取り出して議論すると間違えちゃう危険性があるんですが、私たちは何ぼでもいいなんということを言ったことは一度もございません。無限定でも構わないなんぞということは全く思っておりません。自由民主党がそういうふうに企業献金によって左右される、そういう政党だと思われるのは極めて心外なのでございまして、私どもは、そこは公開性というものをだからきちんと担保しなければいけないということを申し上げているわけでございます。
今、とある大学の先生が、ねじり鉢巻きというのか、ねじりバンダナというのか、私はよく存じませんが、本当に一生懸命誠実に、一生懸命努力をなさって、朝から晩までかどうか、私は見たわけじゃないから存じませんが、本当に誠心誠意努力をされて、ああいうものが出てきて、こういう議論になっているということは、私はよく承知をいたしております。
だけれども、それでは政治資金規正法の一条、二条の趣旨に合致をするかといえば、そうではない。あの先生のような大変な努力というものがなくても、納税者、有権者がそれをきちんと理解できる、一目瞭然、大西産業なら大西産業、石破代議士なら石破代議士でもいいんですが、どの企業がどの議員に対して幾ら出したか、企業に着目しようが政治家に着目しようが、それが一目瞭然に分かるようなシステムをつくらなきゃいけないと我が党が申し上げているのは、まさしく政治資金規正法の趣旨に合致したいからなのであって、岡原さんのおっしゃることを私は否定をするつもりは全くございません。個人的にも存じ上げておりますが、立派な方だと思っております。
ただ、私たちは、繰り返しになりますが、何ぼでもいいとか、そんなことは申し上げておりません。非常にルーズに読んでいるということがないように、私は八幡製鉄事件の判決文も全部読んでみました。一部だけ読んでそこだけを取り上げるというのは、私は議論として余り正しくないと思っております。
○大西(健)委員 今、何ぼでもいいとは言っていないという話がありましたけれども、じゃ、実態はどうなっているかという話にちょっと話を移していこうと思っているんです。
経団連は、会員企業に献金額を割当て、あっせんする形で長らく自民党の政治活動を支えてきました。先ほど野田代表も指摘をされましたけれども、平岩外四会長時代の一九九三年に一旦このあっせんを廃止しました。その後、二〇〇四年に政策評価に連動する形で献金への関与を再開し、そして、なぜか民主党政権の間は中断をして、そして二〇一四年に献金を再開させているんです。
経団連は何と言っているかというと、民主主義を維持していくにはコストがかかる、これは先ほど来総理が言っていることですよね、企業がそれを負担するのは社会貢献の一つだと説明しているんですけれども、私は、この社会貢献という理屈は、テレビを御覧になっているおよそ一般の国民の感覚からは違和感しかないと思います。経団連は、各政党の政策を評価して各社に献金を促す形を取っていますけれども、対価を要求する献金は、もうその時点で社会貢献じゃないと私は思います。
それから、経団連の政策要望に応えたか否かを献金の判断材料にすること自体が、それこそ政策を金で買っているというそしりを私は免れないのではないかと思いますけれども、総理、どう思われますか。
○石破内閣総理大臣 そういうそしりを受けないように、私どもは、だから透明性、公開性を上げていかなければならないということをずっと申し上げておるところでございます。
今度の政治改革の議論は、もちろん企業・団体献金をどうするかというお話もございますが、そこをデータベース化することによって、誰でも一目瞭然、容易に分かるようにすることによって、そういうようなそしりを受けることがないような仕組みをきちんとつくっていくということが大事なのだと思っております。
経団連の会長も皆さん人格識見が立派な方ばかりでございますが、平岩会長は平岩会長のお考え、あるいは亀井正夫会長は亀井正夫会長のお考えというのがあろうかと思います。あるいは、旧民主党時代に米倉会長という方がいらっしゃいました。その旧民主党時代に、じゃ、経団連とどういうような関係にあったかということを私は昔新聞で読んだ覚えがございますが、要は、民主党がよくて自民党が悪いとか、自民党が悪くて、逆のことを申し上げるつもりはないのですけれども、本当に民主主義のコストは誰が支えるべきかということ、立場が変われば言うことが変わるというのがあってはなりません。きちんとそれは歴史的に検証しないで、その場その場の思いつきで物を言ってはいけないということを私は自重自戒しておるところでございます。
○大西(健)委員 先ほど来言っているように、私は、透明化すればそれで済むという話じゃなくて、やはり政策をゆがめる可能性があると思っているんですね。
それで、経団連は寄附の呼びかけを自主判断としていますけれども、会員企業からは、経団連から言われれば横並びでそれに従わざるを得ないという本音が聞こえてきます。
例えば、熊谷組政治献金事件の控訴審において、当時の社長が陳述書の中で、自民党に寄附する理由として、次のように述べています。熊谷組が国民政治協会からの寄附の要請を断った場合、その情報は日建連加盟会社に直ちに伝わり、熊谷組の信用に関するネガティブ情報として業界内で利用され、激しい受注競争の中で極めて不利に働くおそれが大きかったと。
つまり、民主主義の維持のために社会貢献で献金しているんですよではなくて、献金しないとどうなるか分かっているよなという、そういうプレッシャーの中で仕方なく献金しているんですよ。
実は、二〇〇六年の十二月ですけれども、不良債権で公的資本の注入を受けた銀行は、一時企業献金を自粛していたんですね、これを二〇〇六年に再開しようとしていたんです。そのときに、安倍総理は、国民の理解を得ることができないとして、自民党は大手銀行からの政治献金を当面受けない、こう表明されたんです。これは立派なことですよね。二〇〇六年で、実際に主要銀行が献金を再開したのは二〇一五年だから、それから九年間、自民党は自粛していたんです、受け取るのを。
私は、こういう前例があるんだから、コロナ禍の影響や物価高で業績が悪化している企業も多い中で、裏金問題による国民の政治不信の高まりを真摯に受け止めて、経団連会員企業からの献金の受取を当面自民党は自粛されてはいかがですか。
○石破内閣総理大臣 それは少し議論に飛躍がございませんか。
公的助成を受けた、あるいは公的資金の注入を受けた、それは住専の事件のときの話か、あるいは金融危機の話かもしれません。私はあのときのこともよく覚えておりますが、そうやって国民の負担によって経営危機を免れたという会社から政治献金を受けるということは、それは世間様の理解が得られることだと私は全く思っておりません。そういう意味で、安倍当時の総裁の判断は正しかったと思っております。
それと経団連全部を一緒にされるということは、そこは議論としてやや飛躍があるのではないかと思っております。
○大西(健)委員 でも、先ほど言ったように、物価高、それからコロナ禍で苦しんでいる企業がある中で、そして、この今の政治不信をつくり出したのは自民党じゃないですか、だから、その自民党がしばらく企業献金の受取を自粛しますというのは、前例があるわけですから、私はあり得る選択ではないかというふうに思います。
じゃ、各党がどれぐらい企業・団体献金を受け取っているのかを見てみたいと思います。
これはパネルを御覧いただきたいんですけれども、ここにある、自民党のところにある政治資金団体というのは、いわゆる国民政治協会というものですけれども、これは令和四年分の数字ですけれども、約二十四億四千七百万円献金を受けているんです。企業・団体献金ですよ。ほかの主要政党は、こういう政治資金団体みたいな寄附はほとんどありません。
そして、政党本部や支部への献金で見ても、自民党が約五十五億四千二百万円、公明党が五千二百万円、立憲民主党は約二億八百万円、国民民主党が約一億四百万円となっており、政党と政治団体を合わせると、これは単純に足すとですけれども、自民党に約八十億円、巨額の、群を抜いた献金が自民党に流れ込んでいるんです。これは全体の九割を超えています。九五%を超えています。つまり、企業・団体献金禁止は、これは取りも直さず自民党の問題なんです。
経団連も、社会貢献というんだったら、ほかの政党にも寄附すればいいじゃないですか。していないんですよ。自民党以外の政党は、自民党に比べればはるかに少ない額しか企業・団体献金を受け取っていません。
つまり、自民党さえ企業・団体献金をやめようと言えば、もうこの問題は解決するんです。総理、決断しないですか。
○石破内閣総理大臣 ごめんなさい、私は不勉強で、熊谷組のお話をなさいましたね、私はその判決をよく読んでおりません。
ただ、私どもは、自民党に献金しなければどうなるか分かっているんだろうなみたいな、そのような手法を取ったことはございません。私どもとして、そういうことをやって、それが世間の理解が得られるとは全く思っておりません。
それは、選挙というのはそんなに甘いものではありませんし、有権者の監視の目というのは非常に厳しい。私自身、この中で一番選挙の回数をやっているはずですので、十三回やって、そのことはよく分かっております。有権者の目というのをそんなに甘く見てはいけないということはよく承知をいたしておるところでございます。
そして、先ほどのお話の、社会貢献ということをおっしゃいました。私は、その言葉にはやや違和感がございます。企業が、営利企業であります以上、利益を見返りと全くせず献金をするということは、それ自体がおかしなことでございますので、そこは自律的にいろいろな判断をしながらやっていることであって、株主の利益、そして公的な存在である、私企業であってもですよ、その存在の意義というものを経営者も株主もそこはよく考えてやっており、そういうものを逸脱をすれば、当然、社会からそれにふさわしい制裁を受けるということだと思っております。
○大西(健)委員 テレビを御覧の皆さんにも、なぜここの企業・団体献金は廃止というのをここまで自民党が嫌がるのかというのは、これは明らかですよ。自民党の問題なんです、ほかの党はほとんど受けていないんですから。
ですから、我々は企業・団体献金を禁止する法案を提出しますので、是非公開の場で熟議をお願いをしたいというふうに思います。
残りの時間で政治改革以外のことについてもお聞きをしたいんです。
まず、ガソリン減税ですけれども、先日閣議決定した総合経済対策の中では、旧暫定税率の廃止を含め、自動車関連諸税全体の見直しに向けて検討し、結論を得る、こう書かれています。これを受けて、自民党税調では、今年は結論を得ることを見送り、来年に改めて議論する方向で検討していると報道されていますけれども、ガソリン減税については、来年に先送りすることなく、今年中に検討して結論を得るべきだと考えていますけれども、石破総理、いかがですか。
○石破内閣総理大臣 まさしくそれは今各党の税調会長間で議論がされておることであって、政府としていついつまでにということを断言することは差し控えさせていただきます。
○大西(健)委員 私は、これは先送りすべきじゃないと思います。
そして、このことについては、総合経済対策で、時期が書かれていないだけじゃなくて、検討し、結論を得るとしか書かれていないんですね。旧暫定税率の引下げや廃止の方向も何も書かれていない。
つまり、検討したけれども、旧暫定税率は現行のまま維持しますよ、こういう結論もあり得るということでよろしいんでしょうか。
○石破内閣総理大臣 結論を総理大臣たる私が申し上げることは適当ではございません。
ただ、私は、防衛庁長官あるいは防衛大臣、農林水産大臣のときからそうなのですが、政府の文書において、「検討するものとする。」という文書を作ったことはございません。やはり検討して結論を得るということであって、その結論はこうであるということを私の立場から申し上げていることはいたしません。
○大西(健)委員 旧暫定税率は、道路特定財源として上乗せ課税が行われてからもう既に五十年以上がたっている。二〇〇九年の一般財源化によってもう課税環境はなくなっていますから、地方財政への影響というのはこれは措置しなければなりませんけれども、その上で、私は、もうこれは廃止すべきだということは重ねて申し上げておきたいと思います。
続けて、自動車に関しての質問なんですけれども、二〇一九年、安倍総理は、トランプ大統領と日米貿易協定締結で合意をしました。この日米貿易協定は二〇二〇年一月に発効していますけれども、そのときの日米首脳間の共同声明において、自動車・自動車部品については、関税撤廃がなされることを前提に、具体的な撤廃時期等については交渉していこうということが確認をされているんですね。ところが、バイデン政権になって、協議、これは止まったままなんです。
トランプ次期大統領と近く会談されるのではないか、そういう機会があるんじゃないかと思いますけれども、是非総理、この自動車・自動車部品の関税撤廃を求めていただけますか。
○石破内閣総理大臣 それは、当然、合衆国の次期政権と、我が国の国益を実現するためにいろいろな交渉を行うことは当然のことでございます。
○大西(健)委員 私は、そこはちょっと不安があるんですよね。
日米貿易協定で、アメリカは、乗用車とピックアップトラックにかけている関税を撤廃の例外としています。ですから、米側の自由化率は、現状では六〇%にとどまっている。外務省は、撤廃される自動車関税を含めて計算すれば、米側の関税撤廃率は九二%ぐらいになるので、これは国際ルールに違反していないと説明していますけれども、逆に言えば、このまま放置しておくと、FTAを締結する場合に必要とされる貿易金額の九〇%以上という関税撤廃の国際的な目安を満たしていないことになります。
自由貿易協定を引っ張っていかなければならないアメリカと日本が、国際ルールに反するFTAをそのままにしておいて、法の支配だとかルールの重視なんということは、私は言えなくなってしまうんじゃないかと思います。
ただ、一方で、トランプ大統領は、大統領選挙でも自らをタリフマン、関税男と自称して、関税は最も美しい言葉だ、こういうことを言われていますので、トランプ大統領が本気で自動車・自動車部品の関税を撤廃する気があるんだろうかと私はちょっと懸念をするんですけれども、総理、ここは大丈夫ですか。
○石破内閣総理大臣 それは、私は、関税が一番美しい言葉だというのは、相当に不思議な感じを持って聞いたのですが、やはりそういうアメリカ・ファーストというんですか、合衆国の国益実現のためならば何でもするぞ、その象徴が関税であるということはよく承知をいたしておるところでございます。
まだ政権も発足をしておりませんので、今から予断を持ってはそういうことについて言及はいたしませんが、当時そういうやり取りがあったことは承知をいたしております。
いずれにいたしましても、日本の国益実現のために守っていかねばならないものはございます。合衆国と意見が違うものも当然ございます。そうしますと、これから先、我が国として、日本国の国益を体して協議をし、議論をしていくという、一般論で恐縮でございますが、そのように考えております。
○大西(健)委員 私も全くそのとおりで、是非、日本にとって自動車・自動車部品の問題というのは大変大きな問題ですし、それから、先ほど来議論になっているような賃金を上げていくという上でも、その賃金を引っ張っていくのが自動車業界、自動車産業ではないかというふうに思いますので、この関税の話は本当に大きな問題だというふうに思いますので、立場は違えど、総理、これはしっかりトランプ大統領にも言っていただきたいというふうに思っております。
ちょっと時間がないので最後の質問はやめますけれども、今日、議論させていただいても、ずっと総理は、選挙を通してルールを守るということを言われてきました。やはり私が総理に求めたいのは、ルールを守る、それから約束を守るということだと思います。
子供たちも国会の議論を見ています。ルールを守るということは当たり前のことです。約束を守るということは当たり前のことです。三十年前に、やはり政党交付金を入れて、企業・団体献金をなくして個人献金に軸足を移していこうね、こういう約束だったんですよ。そして、やはりこのルールをしっかり守って、約束を守っていく、そういう政治を是非石破総理には自信を持ってやっていただきたいとお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
○安住委員長 この際、階猛君から関連質疑の申出があります。野田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。階猛君。
○階委員 立憲民主党の階猛です。
本日は、石破政権になって初めての予算委員会ということで、貴重な質問の機会です。
私も、石破さんと同じく、地方の県庁所在地を地盤としております。また、銀行員の出身でもあります。政治理念の部分とか政策の部分で相通ずる部分もありますが、今日は、その中でも、地方で特に深刻な人手不足の問題について、先ほど小野寺委員も取り上げていましたけれども、そこを中心に私は質問をしていきたいと思っております。
ある調査機関の調査結果によりますと、これから年々働き手が地方を中心に減っていく中で、働き手の需要の方はむしろ高齢化によって増えていく、ないしはそれほど減らない、こんなことであります。すなわち、エッセンシャルワークと言われる医療や介護、物流とか交通、小売といった分野は、高齢化によって労働力の需要が増えていくわけです。
その結果、どういう働き手不足になるかといいますと、全国の推計値、五年後、二〇三〇年では三百四十一万人の働き手不足。これは、総理の御地元、中国地方の現在の全就業者の規模に匹敵するそうです。そしてさらに、今から十五年後、二〇四〇年には、更にその三倍以上の千百万人の働き手不足というような推計結果が出ているわけです。これは本当に衝撃であります。
この働き手不足をいかに解決するかという観点から、今日は議論をさせていただきたいと思います。
そこでまず伺いたいのが、地方の創生。
石破首相が初代の地方創生担当大臣として、まち・ひと・しごと創生本部を立ち上げたのが十年前。そのときに掲げた大目標は、東京圏一極集中の是正でした。具体的には、二〇二〇年時点で東京圏から地方への転出、転入を均衡させるというものでした。地方の働き手不足を改善する観点からも、極めて重要な目標です。
しかし、当時は東京圏へは十万人程度の転入超過だったのが、直近ではむしろ増えています。目標から遠ざかっているわけです。目標の達成時期も、政府の中では、当初の二〇二〇年から二〇二四年、さらには二〇二七年度と、二回も先送りになっています。
総理はさきの所信表明演説で、地方創生二・〇、こういった今風の表現を使い、本部の名前を新しい地方経済・生活環境創生本部に変えました。地方創生交付金を二倍にするということも言われました。ただ、東京圏一極集中の是正という言葉は出てきませんでした。
そもそも、二倍にするという地方創生交付金で何をするのか。私どもが民主党政権のときに作った行政事業レビューシートを見れば書いてあります。私、今回見ましたけれども、配付している資料の七ページにも出しておりますけれども、この行政事業レビューシートの記載は非常に曖昧かつ漠然としていて、何を目指しているのか分からない。これでは、幾ら表紙と看板をつけ替えても、やっている感は見せられるかもしれませんけれども、本気度は感じないわけです。
私は、今回、地方創生交付金を二倍にするというならば、二〇二七年度に東京圏から地方への転出、転入を均衡するということをここで明言して、行政事業レビューシートの到達目標にもそのことを明記すべきだと考えますが、総理、いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 御趣旨はよく理解できます。
そのとおりになるかどうか分かりませんが、今後、今の委員の御指摘はきちんと踏まえながら、私自身やっていきたいと思っております。
正直申し上げて、もう十年たちましたが、東京への集中というのは全く止まっていない。これは、どこかに誤りがあったんだろうと私自身反省をいたしております。
それを考えるときに、全国四十七都道府県、千七百十八市町村ございます。これは、どの年代の、男性なのか女性なのか、どこが東京に行ったきり帰ってこないのかということを一つ一つミクロで見てみなければいけないんだろうと思っております。
同じ地方の県庁所在地でございますが、盛岡と鳥取と比べてみた場合に、私からすると、盛岡というのはすごいね、新幹線が走っているよという話になるわけですよ。済みません、私どもの地元というのは、それは私の努力が足りないんでしょうけれども、新幹線はおろか、電車というものが来ていないのですよね。ディーゼルカーが今でもぶっ飛ばしているわけでございますけれども。
では、いろいろなインフラが整ったならば人が集まるかというと、そうではないので。私の一番の危機感は、若い女性の方々が東京に出たきり帰ってこないというのが実に多いのでございます。それは十八歳と二十二歳です。どうやったならば、別に若くなくてもいいのですが、女性の方に選んでいただける地方をつくることができるかということを霞が関で考えても、多分答えは出ないんだろうと思っています。盛岡のことは盛岡でなきゃ分からないし、一関のことは一関にいなきゃ分からないし、花巻のことは花巻にいなきゃ分からないので。
そこで、どうして我が町は人がいっぱい出ていくのか、国の責任は何であり、地方でできることは何かということを踏まえながら、今委員の御指摘が実現できるかどうか、よく検討させてください。決して等閑視するつもりはございません。
○階委員 是非、やはり地方に丸投げするのではなくて、国も責任を持ってやるということで、目標に明記するようにお願いします。
そして、これも所信表明演説に関連しますが、物価上昇を上回る賃金上昇ということを一方ではおっしゃり、また、今回の所信表明の前の所信表明だったと思います、二〇二〇年代に全国平均千五百円という最低賃金目標、これもお示しになられました。私は、これが整合するのかどうかちょっと微妙だなと思っています。
と申しますのも、二〇二〇年代に全国平均千五百円という最低賃金を達成するには、毎年毎年これから七%以上の上昇率を達成していかなくてはいけないわけですね。先ほど小野寺先生もおっしゃっていましたけれども、中小企業が粗利が少なくて労働分配率が高いわけですよね。ここにとっては、七%以上毎年毎年賃金を上昇させるというのは負担が大き過ぎると私は思います。人手不足を解消しなくちゃいけませんけれども、人手不足を解消する前に廃業や倒産が続出してしまっては元も子もないわけです。
七%もの賃金上昇を毎年続ける、要は物価上昇を上回る賃金上昇が大事なわけですから、総理は、物価上昇がそんなに大変な状況が続くとお考えになっているんでしょうか。この辺りの整合性が私はよく分からないので、教えていただけますか。
○石破内閣総理大臣 それは為替の水準がどうなるかということもございます。同時に、価格を転嫁していかないと経済は回らないので、価格が転嫁できないので、中小企業の経営が苦しくて賃金が上がらないということもございます。
ですから、私は、物価上昇というものを悪だとは捉えておりません。それは、賃金が上がり、きちんと価格が転嫁をされ、それぞれの企業が回っていくように、それはある程度、ある程度というか、本来実現されなければならないことだと思っています。
では、そんなに賃金が上がると思っているのかという階委員の御指摘でございますが、今最も賃金が安いところというのは、どこかとは申し上げませんが、九百五十一円だったと思っております。九百五十一円でそのような労働者が年間二千時間働くといたしますと、その年収は幾らになりますかというと、百九十万になるわけですね。これはワーキングプアというようなカテゴリーに入るんだと思っています。
そうすると、やはりそれだけの、ワーキングプアからきちんと脱していくためには、七%の賃金上昇というのは必要なことだ、やり遂げねばならない。これは委員と私の共通認識だと思いますが、そうすると町に倒産があふれ、失業者があふれるかというと、そういうことには相なりません。
御指摘のように、今、求人状況というのは地方の方がより深刻でございますので、もちろん、企業が倒産とか廃業に追い込まれず、どんどんどんどん増えていけばいいのですが、より生産性の高い、そういう企業が集中していくということも、当然、経営者の方々の困窮というものを避けるということを同時に考えながら、新しい企業経営の形というものは、ただただ付加価値の向上、そして労働者の幸せの実現ということを第一に考えて行われるべきだと思っております。
中小企業がどうなってもいいなどということを申し上げるつもりは全くございません。しかしながら、本当に高い賃金上昇を実現していかないと、ワーキングプアというものは決して解消されない。年収百九十万円という状況があっていいことだとは私は全く思っておりません。
○階委員 私も賃金上昇を否定するわけでもないけれども、物には限度があるということと、一方で、物価上昇も否定しないとおっしゃいましたけれども、現在進んでいるのは、今総理がおっしゃるようなよい物価上昇というよりも、コストプッシュ型の物価上昇なわけですよ。もっと言えば、輸入物価が上昇することに伴う物価上昇ですから、これは決していい物価上昇とは言えない。
そこで、この輸入物価上昇の原因、それから、その根本的対策に関して総理の見解を伺いたいと思いますが、先ほど言いました、私は、大事なことは、物価上昇を上回る賃金の増加、すなわち実質賃金の増加だと考えております。物価上昇を抑えれば、これほど急激に最低賃金を上げるような目標は必要ないと私は考えています。
物価上昇の主因、これは輸入物価の上昇であるし、その原因は二つあって、一つは内外の金利差、これは日銀の金融政策で超低金利が続いていることがもたらしたものです。もう一つの原因は貿易赤字、しかも、キャッシュフローベースの赤字、これは食料とエネルギーの海外依存率が高いことがもたらしています。
こうした輸入物価上昇の原因に関する私の認識、これについて御同意いただけるのかどうか、そしてまた、この輸入物価上昇に対してどのように対策を打っていくのか、総理の見解をお願いします。
○石破内閣総理大臣 私は、その時々にふさわしい政策というのがあるんだろうと思っております。その時期にはふさわしくても、それをずっと続けていくことによって、負の側面が顕在化してきちゃったという政策はあるのだろうと思っております。
円が物すごく高かった時期、やはりあのときは企業経営は苦しかったです。労働者の生活は苦しかったです。いかにしてこの円高を是正するかということについては、多くの国民の皆様方のコンセンサスが得られていたと思っております。それを円安に導くように、私どもが再び政権をお預かりするようになってからそういう政策を講じてまいりましたし、多くの御支持もいただいてまいりました。
それをどこまで続けるべきであったか。その間に、それに甘んじて、構造改革、三本の矢でも三本の的でもいいのですが、その三つ目が必ずしも実現されなかったということについては、私自身、反省を持っておるところでございます。
○階委員 二つの要因があるということについては否定されませんでしたので、それに沿ってお話を進めたいと思うんですが、私の考えですけれども、まず、円安による物価上昇を抑えるためにやるべきこと、これは政府と日銀が金融政策を正常化する方針を示すことだと思っています。そして、内外金利差が今後縮小していくという見通しを市場に与える、これが必要だと思っています。
かねがね主張しておりますが、我々立憲民主党としては、政府と日銀の共同声明を見直して、もはや目標とする意味を失った二%の物価安定目標を削除して、金融政策を正常化する、こういったことに資する内容を書き込むべきだと思っておりますが、いかがでしょうか。
○赤澤国務大臣 二つの要因について、ちょっと私の方でも、若干、補足といいますか……(階委員「短くお願いします」と呼ぶ)はい、分かりました。
まず、金融政策については、具体的な手法は日銀に任せていることはもちろんでありますし、アコードでやってきていますが、今、結論だけ申し上げれば、物価目標二%に現在着実に近づいていっています。それは、ここ最近の物価上昇率を見ていただければ、その目的に近づきつつあることは、もう数値の結果明らかです。私、財務副大臣のときも、それから現在も、まさに金融政策決定会合に出席する立場ですので。
コストプッシュ型の物価上昇ではなくて、生産性向上とかに引っ張られるものに移りつつあるという今大事な段階、まさに今が分岐点で、我々が賃金と投資が牽引する成長型の経済に行けるかどうかの瀬戸際という認識を持っております。しかしながら、今は超低金利という状態ではありますが、物価目標については実現しつつあるという日銀の認識を我々は共有をしております。
加えて、エネルギーの関係も含めた貿易赤字、そして、まさにコストプッシュインフレの原因になるものですけれども、これについても、今回の経済対策の中で、単に電気、ガスとか、あるいは燃油といったことに手を打つだけでなくて、エネルギー消費が少ない、経費が少しでも将来的に抑えられていくような方向でドライブをかける、そういう対策についても我々は目配りをしているところでございます。
以上、二つお答えさせていただきたいと思います。
○階委員 総理からも御答弁いただきたいんですが、政府と日銀の共同声明。金融政策の手段は日銀です。ただ、目標を定めるのは、共同声明で、政府も関与することはできる。これを見直すお考えがあるのかどうかというのが一点。
そして、今、赤澤大臣からは、エネルギーの自給率を高める方策について御説明があったと思います。確かに、エネルギーについては、GX移行債ですか、こういったものを発行して自給率を上げようとしています。二十兆円も新たな国債を発行して、様々な事業で企業を後押ししているわけですね。
他方で、もう一つ、貿易赤字の要因である食料品、これについては、食料自給率が三八%なのに、エネルギーのような大胆な予算をつくって自給率を高めようとしていないのではないですか。その部分について、エネルギー同様、もっと大幅に予算を増やすべきだと思います。
食料自給率を高めるための予算大幅増額、そして前段の共同声明の見直し、二点について総理の見解をお願いします。
○石破内閣総理大臣 現在のところ、共同声明を出す予定はございません。
私どもは、日銀と密接な連携を取っていくことは大事なことだと思っております。しかし、それは主従関係にあるわけでも何でもございませんので、連携は取りつつも、共同声明を出すということについて、具体的な考えはございませんし、そのつもりはございません。
政府として、適切な為替水準とは何かということは、それは考えていかねばなりません。しかし、そのことについて余り軽々な発言を取るべきだとも思っておりませんので、そこは御理解を賜りたいと思っております。
食料自給率が三八%というのは、私は政務次官も副大臣も大臣もやりましたが、やはりこれは独立主権国家として正しい在り方だとは思っておりませんし、二月の予算委員会で私、当時の岸田総理に質問いたしましたが、安全保障という以上、それは、消費者の選択によって数字が大きく変わる自給率という概念も一つの考え方かもしれないが、人間が生存に必要なカロリーとはどれぐらいであり、それをどのように満たしていくべきかということについて、もう一度きちんと見直すということも選択肢としてあり得るのだろうと思います。
そこは江藤農林大臣の下で、あるいは皆様方との議論をいただきながら、主権独立国家としての自給率というよりも、自給力とは、やはり耕地面積であり、そしてまた農業者の人口の持続的な継続ということであり、いろいろな農業インフラ、そういうものから総合的に判断をしていくべきものだと思っております。
そのために必要な予算というのが何であるか。やはり世界の中で、国家予算を使って農地を減らし、農業生産を減らしているという国はございませんので、私どもとして、もう一度そこはよく議論したいと思っております。
○階委員 農業の点については、この後、同僚議員が質問しますのでこの辺りにしますけれども、共同声明については、やはりこれが今の円安による物価高をもたらしている大きな理由になっていますので、ここは是非考えていただきたい。
賃金を上げることは大事ですけれども、賃金が幾ら上がっても物価に追いつかない、実質賃金がマイナスだと意味がないわけです。我々はむしろ実質賃金をプラスにするということを政府と日銀が共同で目指すということを訴えておりますので、是非この点も議論を重ねて前向きに進めていっていただきたいと思います。
さて、その上で、人手不足の根幹の話、年収の壁に移ってまいりたいと思います。
このパネルは、各種年収の壁を掲げたものです。
百三万と百六万、これは住民税と所得税、いわゆる税の壁ですね。これは壁を越えても本人の手取りは減りません。他方で、百六万と百三十万、こちらは壁を越えると社会保険料の負担で手取りが減る。しかも、百六万と違って、百三十万の方は、手取りが減るだけではなくて、手取りが減った分に見合った給付もないということで、ダブルパンチなわけです。そして、保険料の負担も、百六万と百三十万では、百六万の方は事業主の負担もあるので相対的に低いんですが、百三十万の方は全部自腹で保険料負担なので負担も重いという違いもあります。
こうしたことから、我々は、いろいろな年収の壁がある中でも、一番働き控えにつながり、働き手不足を招いている要因である百三十万の壁について、抜本的な対策を講じるべきだと考えております。
そこで、総理に伺いますけれども、今私が申し上げたような認識、各種の壁の中で総理が最も重要なものは何の壁だと思っていますか。お願いします。
○石破内閣総理大臣 何が重要で、何が重要ではないかということを申し上げることはいたしません。
ただ、この百三十万円の壁とも、あるいは御党的な言い方をすれば百三十万円の崖というのか、それはおっしゃるように、では、それによって何が得られるのということがなくて、人間は経済合理的な動物でもございますので、それがきちんと負担をしていただくに値するかといえば、それは合理的なのかどうかということの検証は必要だと思っております。
○階委員 百三十万円の崖についてこれから議論を進めていきたいと思いますけれども、そろそろ時間も迫ってまいりましたので、続きはまた昼休みを挟んでお願いしたいと思います。
ありがとうございました。
○安住委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時五十九分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○安住委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。階猛君。
○階委員 午前中の質問は、最後、数ある年収の壁の中で、百三十万円の壁、これは、壁というよりも、百三十万を超えたところで手取りががくっと減るという意味で崖ともいうべきものですが、この百三十万円の崖が重要だよねということで総理もお認めになった、そこから話を始めさせていただきたいと思います。
この百三十万円の崖をどうやって見直しをしていくかということで、代表質問の総理の答弁がありました。
こちらを御覧になってください。社会保険の適用に関する百三十万円の壁につきましては、当面の対応として、被扶養者認定を円滑化するといったくだりがあります。
この被扶養者認定の円滑化なんですけれども、例えば、御主人が会社員で、その扶養に入っているパートで働いている奥様がいたとします。その方が百三十万円を超えたとしても、それが一時的な収入変動であれば、パート先の事業者が証明書を出して、それを旦那さんの勤める会社の健康保険組合の方でそうですかということで認めてくれれば、引き続き扶養に入っていられるというものだと思います。
ところが、これの実績を、私たちももう二、三週間前から当局に確認しておるんですが、全くまともな答えが返ってこない。これが果たして効果があるんだろうか。この間、健康保険組合の方にも伺ったら、働き控え解消の効果があるかどうかよく分かりませんとおっしゃっていましたよ。
これは本当に意味があるんでしょうか。実績はないと思っているんですが、どうでしょうか。総理、お答えください。
○石破内閣総理大臣 私は、全く意味がないというふうには思っておりません。そういうふうな取組を今進めていくことによって、効果を実感していただけるように私どもとして努めておるところでございます。
今、実際、実例をお示しになりましたが、ここのこういう方がこういうことで困っておるんだよということがあれば、是非御教示を賜りたいと思っております。
○階委員 現場の声はいろいろ聞いていますので、またお伝えしたいと思います。
そして、当面への対応は今申し上げたこと。その上でということで、真ん中あたり、就業調整を行っている労働者が希望に応じて働くことができるよう、制度的な対応を図ることも重要というくだりがありまして、そこの中で、被用者保険の更なる適用拡大といったことについて議論を進めて、成果を得るべく努力といったようなくだりがありますね。
この被用者保険の更なる適用拡大というのも、既に経済界からもいろいろな御批判が出ておるかと思うんですが、私たちも、これが果たして働き控えの解消につながるのか、むしろ働き控えを促進するんじゃないかという危惧を抱いております。
というのは、被用者保険の更なる適用拡大というのは、もうちょっと具体的に言うと、週二十時間を超えたところで、被用者の方は、年収や業種にかかわらず、社会保険加入をしなくてはいけなくなる。そして、企業規模要件も撤廃するので超零細企業でも入らなくてはいけなくなるということで、これは対象が約二百万人という数字も聞いておりますが、約二百万人の被用者の手取りが減る二十時間の壁が新たにできることになるわけですね。
これで果たして働き控えは減るんでしょうか。むしろ増えるのではないかと思うわけですが、総理、どうでしょうか。
○石破内閣総理大臣 ですので、現在、被用者保険の適用の範囲見直しにつきまして、御指摘のような企業規模要件、あるいは賃金要件などにつきまして、年金部会で議論を行っておるということも御案内のとおりでございます。
これは結論がやがて出るものでありますけれども、今、成案についてどうなるということを申し上げる段階にはございません。いろいろな御意見があることはよく承知をいたしております。
私どもとして、使いやすい制度、そして、これが社会保障制度の永続性というのか持続可能性というのか、それを高めるものであり、加入しておられる方々が本当にメリットを実感していただけるということを併せて心がけねばならないことだと思っております。
○階委員 被用者の方は、働き控え、私はなるべくそういうことは起きない方がいいと思っています。なぜならば、先ほども言いました、被用者保険に入ることで、将来の年金が増えたり、傷病者手当というのももらえるからです。
ただ、一方で、事業者側、特に零細企業、今、ただでさえ最低賃金も上がってきて、先ほども言いましたけれども、人件費の負担が上がってくる中で、中小零細企業が、社会保険料の負担も加わるということになりますと、仮に働き控えは起きなくても、働かせ控え、二十時間の手前で、社会保険料負担を負えないからここで働きを抑えてほしいというような、事業者側の働かせ控えが起きてしまう可能性もあると思うんですね。その結果、中小零細企業の経営が立ち行かなくなって、倒産とか廃業とかリストラ、こういったものが増えていくのではないか。
これが地域経済に打撃を与えるといった危惧も抱くわけですけれども、こういったことも考えて、ここに、先ほど申し上げました企業規模要件の、被用者保険の更なる適用拡大とありますけれども、これについては慎重に考えるべきだと思っておりますが、総理、いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 今、階委員御指摘のようなことが起こるとすればそれこそ本末転倒で、何のためにやっているかよく分からないねということになってしまうわけです。事業者の立場に立ってみれば、今委員御指摘のような、そういう懸念もあるというふうに承知をいたしております。
であらばこそ、我々として、導入までの準備期間、ここは十分に取っていかねばならないと思っています。準備期間はちゃんと取りましょうねと。そしてまた、こういう制度がありますよということについての周知、広報というものをやっていきたいと思っています。また、事務が当然煩雑になりますので、事務手続に対する支援ということもやらねばなりません。
もう一つは、まさしくそういうことが御懸念の中核かと思いますが、そうなった場合に経営はどうなっていくんですかということがあるんだろうと思います。
もちろん会社というのは、経営者あるいはそこに働く方々、両方がウィン・ウィンの関係でなければ意味がないのでありますけれども、その経営に対します支援というものについて、これから手だてを講じてまいりたいと思っております。具体的に、こういうことがなされるべきだという御提案があれば承りたいと存じております。
○階委員 では、提案に移っていきたいと思います。
これは、最低賃金が上がることによって百三十万円の崖による働き控えが生じやすくなっているということを具体的に示したパネルになります。
十年前の最低賃金、全国加重平均七百八十円でした。このときは、週約三十三時間働いても百三十万円に達しなかった。逆に言うと、週三十時間以上働けば厚生年金に入りますので、百三十万円に達する前に厚生年金に入れたわけですね。
今、最低賃金は上がって、今年でいうと千五十五円です。これですと週約二十五時間しか働けない。ということは、週三十時間、本来だったら事業者の負担がなく国民年金あるいは国民健康保険で働ける方が、年収の壁を気にして働き控えをする時間が五時間ぐらいというふうになってまいります。
そして、これから石破首相が掲げている二〇二〇年代千五百円ということになってまいりますと、五年後に百三十万円に達するのは、週約十七時間で達してしまう。すなわち、三十引く十七で十三時間は働き控えが生じてしまうということになってしまうわけです。
これをどうやって働き控えを防ぐかということで我々は考えた、それがパネルの四です。
三十時間働きたくても働けない、働いてもらいたくても働いてもらえない、この悩みを解消して人手不足を緩和していくためには、百三十万円の壁を越えて被用者に発生する国民年金、国民健康保険の保険料負担を給付で埋める、そして手取りを右肩上がりにする、こういう仕組みが必要ではないかと考えております。
総理の見解をお願いします。
○安住委員長 ちょっと、政府側の少し認識を聞きたいから。
では、厚労大臣が手を挙げているので、手短に。
○福岡国務大臣 御党の法案の取扱いについては国会で御議論いただくところですし、先生はまた提案者でもいらっしゃるので、内容についてまた詳細があれば教えていただきたいんですが、御提案いただいた法案だけを拝見させていただくと、相当程度実務が煩雑になることを解決することが必要であることに加えまして、一部の方の保険料を公費で補填するということになりますから、社会保険制度が相互互助の考え方を基盤としている中で、一部の方々の保険料を負担するということがいかがであるのかということ。また、事業主の保険料負担分は、医療や年金の給付を通じて労働者を支えることが事業主の責任であることから、そこに対してもどう考えるのか。また、公費の補填を受けずに保険料を支払っていらっしゃる方もいらっしゃいますから、その公平性をどうするのか。
そういった様々な課題があるというふうに承知していまして、法案上からは、慎重な検討が必要かというふうに承知しております。
○石破内閣総理大臣 今、厚労大臣からお答えをしたとおりなんですが、そこの部分を公費で補填するということが、全体から見て本当にそれが公平なことなんでしょうか、そしてまた、そこの財源をどこに求めるのでしょうかということが問題としてあるんだろうと思っています。
確かに、そこを補填をすることによって楽になる方々もおられる、そこは認めます、そうだろうと思います。ただ、それが本当にほかの人たちとの公平性でどうなのか、そこに幾らかかるのであり、そこの財源をどこに求めるかということの御提案をまた承らせていただきたいと考えます。
○階委員 まず、財源ということなんですが、我々の試算では約七千八百億円という財源です。国民民主党さんが百三万円の壁を百七十八万円に引き上げると七、八兆円かかるということですから、その約十分の一。そして、なおかつ、我々の案というのは、先ほどのパネルも見ながら、両方見ていただきたいんですが、年収が上がっていくと公費による給付の額が減っていく仕組みになって、二百万のところでゼロになる、こういう仕組みなんですね。
ということは、最低賃金がこれからどんどん上がっていくということになりますと、給付の額は減る。給付の額が減り、なおかつ、それまで給付を受けた方が、年収が上がってきて、そして事業主の了解も得て正社員に変わって厚生年金をもらえるようになると、その人たちは自ら保険料も納めるということになってきます。ですから、長い目で見ると、厚生年金の加入者が増えて、年金財政、あるいは組合健保の財政、健康保険の財政にも寄与するということになってくるわけです。
公平性ということもおっしゃいましたけれども、我々は、今百三十万円の壁の手前で逡巡している人たちだけではなくて、既に百三十万から二百万のゾーンにいる方々についても給付は行うということを言っております。それも含めて、トータルで財源は一兆円ぐらいで済むという試算も出しております。こういういろいろなところに配慮をした上で、我々も財政については考えているということを申し上げたいと思っております。
我々は、やはりこれからの時代、総理もおっしゃっていますけれども、何か先日の講演のビデオ、ユーチューブで拝見しました。お手元の資料の八ページぐらいにつけさせていただきましたけれども、総理がこれから目指すという賃金格差の是正であるとか、非正規雇用の正規化の推進とか、女性のL字カーブの解消とか、そういったことにも資するのが私たちの考え方です。
年収が低い段階で、短時間の非正規のところで厚生年金に入るのではなくて、年収を壁を気にせずどんどん上げていって、その最後のところで厚生年金に入るという、スムーズに厚生年金に移行する仕組みをつくるということは、働き手不足の解消にもつながりますし、そして財源的にも、先ほど申し上げました、最終的には財政的にもプラスに働いてくるということですから、私はこれは是非やるべきだと考えております。
どうでしょうか、総理。
○石破内閣総理大臣 最終的にはそういうことになる可能性を私は全く否定はいたしません。
そこにおいて、一兆円というのも相当のお金でございまして、それがどの時点で均衡するものであるのか、そして本当にそれが働き控えというものを解消することにつながるのか、そこにおいて労働者が何をメリットとして、何をインセンティブとして働くことになるのかということを、財源と公平性というものを念頭に置きながら今後議論させていただきたいと思っております。
○階委員 是非、建設的な議論をさせていただきたいのと、あと、今申し上げているとおり、被用者にとっては、年収が増えていって、最後、厚生年金、組合健康保険に入るわけですから、事業主側については、年収が高くなってくると、その段階で社会保険料負担が発生します。
この部分についても、我々は既に案を国会に出しておりまして、中小企業、すなわち、なかなか経営的な余裕が乏しい中小企業については、正社員を増やした場合に発生する社会保険料負担、これを半減するという法案も既に国会に出しておりまして、解散・総選挙後、また新しくバージョンアップしたものを出すべく、今党内で議論を進めております。
こうしたことも行うことによって、本人も無理なく厚生年金に加入できる、そして事業主側も無理なく厚生年金に加入してもらうことができる。そして、目下の最大の課題である働き手不足の解消にもなってくる、女性の活躍にもなる、非正規雇用を正規雇用に変えていくことにもつながる、L字カーブの解消にもなる。こうした多面的な効果、全体に配慮した政策を我々は掲げております。
是非これは、我々立憲民主党と与党の皆さん、あるいはほかの野党の皆さんとも前向きな議論をさせていただきたいのですが、総理、いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 本日の質疑の冒頭でも申し上げましたが、我々は、多数を持っているのでそれで押し切ろうなどということは考えておりません。
まさしく今、階委員がおっしゃるようなことが、我々が少数であり、そして、我々として当然、提案はさせていただく。もちろん、野党はいろいろな党のお立場がありますが、そこにおいて議論が交わされて、要は、どの党にとってとかいうことではなくて、本当に国民にとってこれが最もよいものだと納得をいただく、そして、使用者の側にとっても被用者の側にとってもそれがプラスになる。
私は疑り深い性格なのかもしれませんが、全てのことがうまくいくなんということは世の中にあるのかねという気は正直言っていたしておるのでございます。ですから、それぞれまたいろいろなリスクがあって、それは一体何なのか、それを解消するために皆でそれをどうやってシェアをしていくかという観点が必要だと思っておりまして、今後の議論に、是非ともお願いをしたいと思っておるところでございます。
○階委員 私はむしろ、総理を後押ししているというか、足を引っ張るんじゃなくて、総理を後押ししていると思っているんですよ。
というのは、最低賃金を上げていきたいわけでしょう。そうすると、必然的に、年収の壁に達する労働時間が短くなるわけじゃないですか。その中で働き控えが増えていくとなると、これは最低賃金を上げても労働不足は解消しないですよね、働き手不足は解消しないですよね。だからこその提案なんですよ。
最低賃金を上げたいという総理に対してむしろ我々が後押ししている、そういう思いで提案しているので、是非、総理の主導で、協議の場を早速つくるように党内に指示をお願いできませんか。
○石破内閣総理大臣 これは我が党の中で、それぞれの部署において議論をいたしております。ですから、それは政務調査会長あるいは幹事長、その判断がございますが、それは、繰り返して申し上げますが、我が党の立場がどうのこうのという話ではなくて、本当にそれが、最低賃金も上げる、そしてまた制度の永続性にも資するということであれば、その御提案をきちんと議論させていただいて国民にお示しするということにやぶさかではございません。
党の方針について、今ここで私が断定的に申し上げることはいたしません。
○階委員 党の総裁ですから、一声かけていただければ動き出すと思います。是非そのことをお願い申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○安住委員長 この際、岡本あき子さんから関連質疑の申出があります。野田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。岡本あき子さん。
○岡本(あ)委員 立憲民主党・無所属の岡本あき子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日、私からは、多様性という観点で、石破総理の基本姿勢について質問させていただきたいと思います。
まず最初に、一昨日、十二月三日に、イギリスBBCが、世界の人たちに影響を与えた百人の女性を公表いたしました。困難を乗り越え、人を奮い立たせた女性の一人に、神戸市の鈴木由美さんが選ばれました。この方は、旧優生保護法下、障害を理由に、十二歳のときに不妊どころか子宮摘出の強制手術を受けさせられ、裁判の原告として長く闘い、国家賠償をかち取った方です。
鈴木さんを始め、当事者の方々の勇気はもちろん、彼女たちを支援する個人、団体の皆様がいたからこその闘い、これに私はまず敬意を表したいと思います。
立法府の一員として、そもそも旧優生保護法を立法してしまった私たち国会の責任は非常に重たく、改めて被害者におわびを申し上げたいと思います。
私たちは、十月の臨時国会で、補償金等の支給等に関する法律、これを成立させました。石破総理になって初めての立法、そして、来年一月には施行を迎えております。
総理として、改めて、被害に遭われた方々へのおわびの言葉、そして補償金支給を、対象者に確実に、そして迅速に届けてくださる、その決意を伺いたいと思います。
○石破内閣総理大臣 今御指摘の、鈴木様ですか、BBCが選ぶ今年の百人ですか、私もそれは拝見をいたしました。
これを見て、私自身、立法府の一員として、あるいは国の立場にある者として、それは心からおわび、おわびだけでは済まないと思っておりまして、それはあえて謝罪という言葉を使わせていただかねばならないものだというふうに思っております。本当に申し訳のないことだったと深くおわびを申し上げる次第でございます。謝罪申し上げる次第であります。
その上で、旧優生保護法につきまして、あるいは旧優生保護法の存在を背景として多くの方々が心身に苦痛を受けられてきたということについて、執行の在り方として政府の責任というのは重大だということで、このように申し上げたところでございます。
本年十月八日に、御指摘のように、旧優生保護法補償金等支給法が、これは全会一致でございますが、可決、成立をしたところでございまして、このことはもう本当に、あのときのことですから、日程に全然余裕がなかった、その中で衆参両院の意思が速やかに示されたというふうに考えております。
ということで、これを踏まえて、私どもとして、補償金の支給というものが着実に行われますように、準備を含め、施行の準備に万全を尽くしていきたいということを思っております。それが実際に謝罪、おわびというものを具現化する、そのための方途だというふうに考えておるところでございます。
○岡本(あ)委員 是非、本当に対象の方に、皆さん御高齢の方が多いですから、確実に、そして速やかに届くように、私たちも全面の協力をいたしたいと思います。ありがとうございます。
さて、次からは、石破総理が総理になる前に堂々とおっしゃっていたことと、総理になってから、御意見、御発言、政府の方針、ちょっと変節をしてしまっているのではないかという心配の下に、私から幾つか質問させていただきます。
ちょっと順番を変えさせていただき、先に選択的夫婦別姓について伺わせてください。
午前中、議論がありました。午前中の御答弁で、総理からも、議論がいつまでも続く状況は国会としてあるべき姿ではないのかもしれないと御発言されていらっしゃいます。
これは、前回、資料で下の段ですけれども、一番下からいくと、家庭が崩壊するという何だか分からない理屈がある、私はやらないという理由がよく分からないと御発言しています。それから、真ん中ですが、姓が選べないことによってつらい思いをしている、不利益を受けている、そういうことは解消されねばならない、これは御答弁でもおっしゃったと思います。そして、総裁として議論は急いでもらいたいという意思表明はしたいとおっしゃっております。午前中は、各党とおっしゃいました。
石破総理、自民党の総裁でもあります。是非、この議論を急いでもらいたいという意思表示、党の中でまず始めていただけませんか。お答えください。
○石破内閣総理大臣 それは、議論のための議論をいつまでもしておっても仕方がないわけで、私どもは結論を得るために議論をしているのであって、議論のための議論をしているつもりは全くございませんし、我が党にそのような考え方はないものと承知をいたしております。
ですが、やはりそれはいかがなものかという方も我が党の中に確実にいらっしゃるわけで、そうなった場合に、本当に家庭というのはどうなっていくのだろうか、あるいは、兄弟の間で氏が違うということをどう考えるんだということについて、本当に強い問題意識を持っておられる方がおられることも事実でございます。私はそれを等閑視するつもりは全くございません。ですから、結論を得るために議論をしているのだということの認識は、再度党内で共有をいたしたいと思っております。
今更言うまでもございませんが、やはりもう一度、新しく当選された方々もおられますので、結論を得るために議論をしている、そして、我が党は責任政党としてそのことに答えを出さねばならないということは、もう一度党内で共有したいと思っております。
○岡本(あ)委員 是非、来年、通常国会で結論を出しませんか。議論のための議論ではないという御答弁、本当に私も同感です。
そして、選挙を終えて新しい体制になっているという御発言もありました。選挙のときの毎日新聞のアンケートでは、当選したメンバーで六五%が選択的夫婦別姓制度、これに賛成をしております。当選をした、今衆議院にいる国会議員の六五%がアンケートでは賛成をしていらっしゃるんですね。
是非、それこそ今の体制で、しっかり通常国会で、私たち、今までずっと何回も何回も廃案にさせられた選択的夫婦別姓の法案、再度提出をしようと考えております。是非、通常国会で結論を出す、その思いはございませんか。
○石破内閣総理大臣 今日二番目の質疑者でありました我が党の山下議員から、また新しい論点というか視点というか、提示が……(岡本(あ)委員「新しくないですよ。全然新しくない」と呼ぶ)ごめんなさい、視点の提示がございました。その点について、こういう考え方もあるんだねということをみんなが認識をすることは必要なことだと思っております。
ですから、いつまでも議論をするとか、そういうことは政党としてあるべきだと私は思いません。しかしながら、それに異論を唱える方々も、それではというふうに納得していただけるような努力はしていかねばならないと思っております。
通常国会ということを断定はいたしません。これは断定すべき立場におりませんので、私として。ですから、そういう認識を共有をしながら、答えを出すために議論をしているのだという認識を皆が持ちたいというふうなことを先ほど来申し上げておるところでございます。
○岡本(あ)委員 石破総理の発言のところでは、総理になる前までは、やはり結論を得たいと思っていたんじゃないかと私は受け止めていたんですけれども、総理になってしまってから、かなりブレーキがかかっているんじゃないかと思わざるを得ません。石破茂らしさが感じられないと私は思っております。
先ほど、新しい情報というか、新しいとおっしゃいましたが、子供の氏のことも今までもさんざん議論にはなっておりました。私からすれば、では、事実婚のお子さん、当然、御両親の名字、どちらか一方しか名のっておりませんので、実在として、親と名字が違うお子さんがいらっしゃいます。この方々にちゃんと声を聞くとか、内閣府が法務省と取ったアンケートは、一般の大人に聞いているんです。その結果、子供がかわいそうという一定の数字があるというアンケートは出ておりますが、子供さん自身の声は全く聞いていないんですね。せっかくこども家庭庁もできて、子供の意見表明権もある、そういう環境が日本の中でも整ってきている中では、しっかり議論していただきたい。
それから、新しい情報なのかどうかは別ですが、経団連、それから経済同友会からも、緊急に今年、経団連からは六月、経済界から要望が出ました。要望の緊急度合い、一丁目一番地だとおっしゃっているんです。何が必要なのか。経団連さん、十年前は慎重でした。でも、ここに来て、国際社会の中ではやはり緊急なんだと言っております。通称使用では限界があります。
特に、国際社会、これはアンケート、困った場面がありますが、小さいですけれども、資料八、上から三番目に、外国に行って入国をするときに、ダブルネームを持っているということでトラブルになっているんです。戸籍の名前と、今、パスポートにも旧姓が載っておりますが、国際的には、括弧つきの名字なんて書かれているパスポートを持っている国はございません。この括弧の表示は何だ、一般的に使っている名字だと説明をすると、ダブルネームを持っていて使い分けをする日本人がいるのかというトラブルが起きているんです。これは、日本人の九五%が夫の名字を名のっている方が多いと総理はおっしゃいましたけれども、女性の方が、結局、この入国のトラブルに遭う場合がございます。
私も、パスポートを取ったときに、宮城県のパスポートセンターから、大切なお知らせ、別名を併記した場合、資料九ですね、御自分で説明してくださいとなっているんですよ。ひどくないですか。一応資料は作ってくれたようですけれども、こちらが求めると初めて出してきますが、まずは御自分で説明してくださいという状況なんです。
名字を二つ持たざるを得ない状況は、通称使用しかできないとなっているから、こういうことが起きると思います。そして、日本人の女性が出入国でトラブルになって、ダブルネームで使い分けをしている日本人の女性がいるという評判が立つことは、私は、日本の国益も損ねると思っています。速やかに結論を出すべきだと思います。
改めて、通常国会で結論を求めていただきたいと思いますし、法制審、一九九六年からもう二十八年たっているんです。議論のための議論ではなくて結論を出すというのであれば、通常国会で結論を出しませんか。もう一度、総理のお考えを伺います。
○石破内閣総理大臣 もう二、三年前のことになるかと思いますが、この選択的夫婦別姓制度についての、超党派だったかもしれません、我が党だったかもしれませんが、私は勉強会に出たことがありまして、そのときに、たしかキャスターの安藤優子さんだったと思いますが、これがいかに海外においていろいろと不便なことになるのかというお話を聞いて、すごく感銘を受けたことをよく覚えております。
ですので、そういうような実際に御不便を感じられる方、ましてや自分で説明してくださいなどというのは、行政の姿勢としては余り親切なものだと思っておりません。
ですので、いつというめどを私の立場で今申し上げることはいたしません。しかしながら、それがいかなる結論であるにせよ、答えを求める、答えを出すのが議会でございます、政党でございますので、その使命というものはよく再認識をしたいと思っております。
その時期というのは、特に経済界の方々がそういうふうにおっしゃっておられる、そして、不便に思っておられる方がこれだけおられる。
同時に、今委員が御提示になりましたように、では、子供さんはどう思っているんだいという調査を、私が不勉強なせいかもしれませんが、実は見たことがございません。子供がかわいそうだと親が思っている。では、お子さんたちがどうなんだろう。兄弟で違うという場合に、お子さんたちがどういうふうに考えておられるのか。いやいや、それはそれで、僕は僕、私は私なんだけれども、やはりこの家の子供なんだよねという一体感があれば、それはそれでよいという考え方もあるでしょう。いやいや、それではやはり家庭が崩壊するという考え方もあるでしょう。
いずれにしても、お子さんの意見を聞いたということを私は正直承知をしておりませんので、そういう視点も必要だ。それが、答えを出すときに、こういう意見も聞いた、こういう意見も聞いた、こういう意見も聞いたということが必要なのだと思っておりまして、御意見はよく承りました。
○岡本(あ)委員 私も、何年前でしたか、三年前ですかね、アンケートを取られたときに、やはり子供の意見を聞いてくれと言ったんですが、残念ながら、政府の方は聞き入れてくれませんでした。
是非それは取り組んでいただきたいですし、それも含めて、やはりこれは、私は、国際的な評価でいくと、ダブルネームを持っているということ自体が国際的に見るとあり得ない。ちょっと別な名前を使って、本名ではやれない何かをやろうとしている人が入国してくるんじゃないかと思われることは、本当に心外でございます。
是非、速やかに結論を出す意味でいくと、やはり通常国会で決断しましょうよ。もう一回お答えください。
○石破内閣総理大臣 それは議会で決めることですから、私は自由民主党総裁であると同時に内閣総理大臣でございますので、議会でお決めになることにいつということを申し上げる立場にはございません。
しかしながら、このお話には、本当に熟議、公開というのを尽くした上で答えを出すという時期、それは本当に、いつになるか分かりませんよということであってはいかぬのであって、でも、それを調えるだけの環境、今委員がおっしゃいますように、では、子供の意見を聞くべきだ、今は聞いていないということになりとせば、恐らくそうなんでしょう。では、そういうのをいついつまでにできるんだ、どれだけの方々にどうやって聞くんだということも含めまして、いつということは申し上げませんが、答えを出すために議会はあるということはよく認識をしておるところでございます。
○岡本(あ)委員 残念ながら、それは前向きとは全く思えません。やはり喫緊の課題だと、特に経済界が求めております。
先ほど申し上げましたとおり、やはり経済においても国益においても、日本の信頼を損ねるようなことはあってはならない。その意味でも、是非、通常国会、そして、石破茂さんは自民党の総裁であります。是非、そこの点を踏まえて、自民党さんが判断をすれば、少なくとも各党、ほかの党は大方、賛成の方の方が圧倒的、公明党さんも賛成ということは表明をされていらっしゃいます。そのことも踏まえると、速やかに判断をしていただきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
では、次に、もう一つ、石破総理の態度のところで、マイナ保険証について伺ってまいりたいと思います。
総裁選のときは、健康保険証の廃止ですね、期限が来ても、納得しない人がいっぱいいれば、現行の健康保険証併用も選択肢として当然だとお答えになっていたと思います。就任後は、御本人の判断も含めて、十二月二日で新規の発行が終わってしまいました。
なぜ変わられたんでしょうか。お気持ちをお聞かせください。
○石破内閣総理大臣 総裁選のときに、何しろこの間は九人も出ましたからね、我が党の総裁選というのは。いろいろな人がいろいろな意見を言う、それはそうあるべきものだと思っております。そこにおいて、では、当選をさせていただきました、そこにおいて掲げました政策が、私は当選をしたのだからこのとおりにやるということにはなりません。(発言する者あり)いや、なりません。いや、ええっと言う方が問題で、失礼、私はそう思う。
では、そこで当選をしたら、自分が掲げたこと、全て我が党はこれでやるというようなことを私どもの党はやったことがございません。私は何度も、総裁選挙というものは、自分が出る出ないは別として、経験をいたしてまいりました。私が当選したのだから私が選挙中に言ったことを全部実現するぞということは、それは私は一度も存じません。
我が党の中でそれをどう考えるのか。例えば、この後御議論があるのかもしれませんが、アジア太平洋地域における安全保障の在り方とか、日本とアメリカの地位協定とか、そういうことも掲げました。それは、党においてそのような組織を求めて、総裁はこういうことを言って当選もした、だけれども、我が党の中にはいろいろな意見があるわけで、それを議論として取り上げるという仕組みがあるのは我が党のいいところだと思っております。
ですから、このマイナ保険証につきましても、本当に不便を感じる方がないようにしていかねばならないのであって、何か、今、いっぱいいますよという不規則発言がありましたが、では、それがどういう方であり、どういうような不便があるのかということをきちんと知ることは、政権をお預かりする党として当然のことだと思っております。
そういうことがないように、一人でもそういうような御不便を感じる方がないように、私どもとしては誠実な姿勢を持って臨みたいと考えております。
○岡本(あ)委員 政府が保険証廃止を決めたのが二年前です。二年たってきております。石破総理は、今年の総裁選挙のときに、大方が納得していなければと発言したのは、やはり納得していない状況が二年たってまだ残っているという認識の下に御発言をしたのではないかと思います。
そして今、では、大方が納得しているのか、不安がないのか、トラブルがないのかと言われると、例示をさせていただきます。
私、このマイナ保険証の不安、不信の原因は三つあると思っているんです。
一つは、元々、医療DX、私は推奨派です。どんどんやるべきだと思います。ところが、患者さん、国民にとって、医療の質の向上とか医療費削減とか、目に見える恩恵をまだ感じ取っておりません、ほとんど。高額医療で十万円以上医療費がかかっているよという人は一部あるかもしれませんが、特に御高齢の方、障害がある方、お子さん、弱い立場の方が、どちらかというとデメリットを受けている状況です。
そして、二つ目の理由とすると、まだ利用率は一五%にしか伸びていないのに、安易に、健康保険証廃止という脅しのような手法でマイナンバーカード普及を推し進めました。私は、これは悪手だと思います、悪い手だと思います。
そして、三つ目、この後触れますけれども、健康保険証と同じ機能を持っているのに、わざわざ資格確認書という名前をつけた様式を作っております。資格確認書、これは健康保険証と機能は全く一緒なんですけれども、健康保険証はなくしますという言い方をずっとしていることが一番不安をあおっていると思います。
結果とすると、マイナ保険証にしていないので、資料二ですね、医療にかかれなくなっちゃう、最悪、無保険になっちゃうんじゃないかと心配をしている声があります。マイナンバーカードは任意で、自分は持ちたくないんだが、薬局で、次に持参してください、十二月から使えませんときついことを言われる。
そして、顔認証エラーとか負担割合が間違っているとか、システム上の問題もありますが、下から二番目、黒丸表示の発生頻度が多いんです。名前で黒丸が出たり、あと、なぜか住所で、「●城県」、私も宮城県の出身ですけれども、宮城県なのか茨城県なのか分からない。こういう表示があり、特に旧字体を使われる方は、自分の名前が黒丸表示で、しかも、黒丸のままでいいと政府が説明していることに対して、非常に不愉快に思っていらっしゃいます。あと、介護施設に通わせている方も心配ですが、施設管理者が、マイナンバーカード自体を預かることがとても責任を持てない、こういう不安が今もあるんです。
幾つか解決策を示してくださっておりますけれども、全く国民に届いていませんし、実効が上がると思えないような伝わり方になっているというのは、私とすると、非常に残念でなりません。
石破総理に答えてほしいんですが、これをもっても、不安は少なくなっている、減ってきている、大方納得してきている、そう思われますか。
○石破内閣総理大臣 それは、制度を御存じないので不安なのか、制度を御存じの上でなおこれでは駄目だとお思いなのか、それとも御存じいただけるような立場におられないのか、いろいろなケースがあるんだろうと思っております。
実際問題、私は、もうこれで十分だなどということを申し上げるつもりはございません。周知徹底にも随分と努力をいたしてまいりましたが、なお不便を感じておられる方、制度を御存じでない方というのがおられることはよく承知をいたしております。分かっていただけるように更に督励はいたしてまいりたいと思っています。
そしてまた、委員が御指摘になりましたように、医療のDX化というものは進めていかなければなりませんが、それは、医療の効率化というのが、医療費を減らすということが自己目的なのではないのであって、いかにして質を上げていくかということ、そういうことが目的なので、そこの誤解もないように私どもは努力をいたしてまいります。
○岡本(あ)委員 では、少なくとも、この資料三、十二月二日から健康保険証は発行されなくなります、マイナンバーカードを御利用ください、これは、十二月二日のテレビのニュースを見ていましたら、医療機関でまだ掲示しているんです。これはやめるべきだと思います。多分政府の方は、やめて、資格確認書が出ますよということを、周知を始めていると思うんですが、今もこれが医療機関や薬局で貼られて、これを見ると、マイナンバーカードがないと、健康保険証は一年間だけでもう終わっちゃうよと、不安をあおっていますよね。
先ほども申し上げましたとおり、残念ながら、この間、マイナンバーカードを普及したいがための悪手として、健康保険証を廃止するという決断をしたんじゃないかと私は思います。
もう一つ、結論からすると、この八種類の、マイナ保険証、現行保険証、資格確認書、それから資格確認情報のお知らせ、資料四ですけれども、手続でどれかを選んで、医療の受付もこれの処理をしなきゃいけない。デジタル化のはずなのにかえって書類を増やす、これも問題です。
そして、資格確認書と健康保険証、これは、前、委員会で聞いたら、機能は変わらないと答弁いただきました。資格確認書じゃなくて、健康保険証と名のっていいんじゃないんですか。そして、私たちは、復活法案、立憲民主党は提出をしています。健康保険証として、同じデザインの、発効期日だけ新たに入るぐらいの違いで、サイズも、デザインも、裏面も同じでございます。機能も同じだという答弁をいただいています。資格確認書という名前じゃなくて、健康保険証のままでいいんじゃないか。
それを踏まえると、私たち立憲民主党が提案している健康保険証復活法案、これを採択するだけで十分安心を届けられるんじゃないでしょうか。
総理、お答えください。
○石破内閣総理大臣 それは、資格確認書といいますけれども、一体何の資格を確認するんだいという話でございまして、政府として正しいと思っても、使う人が混乱するようであってはいかぬと私は思っているんですよ。私は、行政というのは最高のサービス産業だと思っていまして、周知というのが大事で、名前は、それはもう御党がおっしゃいますように、復活とか今のまま、いろいろな議論はあるでしょう。
ですけれども、要は、世の中の人が分かっていない制度はないのと一緒だというふうに私は思っているのですね。いかにして分かっていただけるか。今の制度の周知徹底が今で十分かといえば、先ほどおっしゃった、ポスターがまだ掲示されているよということがあるとすれば、それを出しているのは政府が出しているわけで、少なくとも公の立場として出しているわけで、それは貼ってあるけれども、制度を変えたからそれでいいんだということには相なりません。周知の努力は一層いたしてまいります。
○岡本(あ)委員 資格確認書、おっしゃったとおりです。何の資格確認書か分からないじゃないですか。いわゆる健康保険証だと言い切ってくれればそれで結構なんです。いわゆる健康保険証、機能も一緒です、デザインも一緒です、裏面も一緒です、使える先も今までの健康保険証と一緒です。いわゆる健康保険証ですと言ってもらえませんか、総理。
○石破内閣総理大臣 それは、マイナ保険証でございますので、物は違うものでございます。
一緒のものだと言うことはかえって誤解を増長いたしますので、そういう言い方はいたしません。
○岡本(あ)委員 多くの国民は、マイナ保険証はマイナ保険証だと思います。資格確認書が健康保険証と一緒だということが分からないんです。資格確認書は、いわゆる健康保険証と一緒です。それを通していただければと思いますし、これからも、私たち、健康保険証の方が分かりやすいですよね、この声を出していきます。(発言する者あり)
今、発言がありました。そもそも、マイナ保険証はマイナンバーカードに載せるものですので。マイナンバーカードは、法律上も任意です。全員持つものではありません。健康保険証は、皆保険ですので、マイナ保険証を持てない方が必ず存在するんです。その方々に、資格確認書という、全く聞いたことの、しかも何の資格かも分からないような伝え方ではなくて、いわゆる健康保険証ですよ、安心してください、これを伝えるべきだということをお伝えします。
最後に一点、同性パートナーについて伺いたいと思います。
これも、LGBTQへの御理解は、石破総理、おっしゃっていたと思います。
最高裁判決が三月に出まして、犯罪被害者給付金に同性パートナーも事実婚として含めるということが判決として出ました。
今、政府で、多分、同様に対象になるものがあるのかどうか調べていらっしゃると思うので、この点、総理に、年内にも速やかに、各省庁、対象になるものがあるかどうか、指令を出していただきたいことと、改めて、同性婚の法制化、取り組む決意はございませんか、伺います。
○石破内閣総理大臣 御趣旨はよく理解をするところでございます。
この同性婚の導入というものは、親族の範囲、また、そこに含まれる方々の間にどのような権利義務関係を認めるかという、割と国民生活の基本に関わる点でございます。その点をよく精緻に検討していく必要があると思っております。
同性婚が認められないことによって、そういう方々がどういう思いを持っておられるのかということも、私自身はそういう方々のお声は聞いて承知をいたしております。そういう方々の人権というものは最大限に尊重されなければならない、当然のことだと思っております。
しかしながら、それを認めるということは、いろいろと今までの権利関係に相当な変更を認めることになりますので、そういう点の精査はしていかなければならないと思っております。
時期等についてここで明言はいたしませんが、それによっていろいろな負担を持っておられる方々、そういう方々のお声を等閑視することはいたしません。
○安住委員長 時間ですよ。
○岡本(あ)委員 はい。
ありがとうございます。
石破茂らしさを貫いていただきたいということを申し上げ、質問を終わります。
ありがとうございました。
○安住委員長 この際、神谷裕君から関連質疑の申出があります。野田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。神谷裕君。
○神谷委員 立憲民主党の神谷裕でございます。
本日、この予算委員会で質疑の場に立たせていただきますことを、まずもって感謝を申し上げたい、このように思います。
石破総理がおっしゃっているように、地方は、今、本当に大事な時期だと思います。
そして、私は農政について今日は伺おうと思っておりますけれども、地方の基幹産業は、間違いなく一次産業、農業、林業、漁業ということになっております。地方創生二・〇というお話もございますが、それ以上に、いかにして農林水産省予算、こういったものをしっかりとつけていくか、私はそのことの方が重要なように思っているところでございます。
そしてまた、今日は、先ほどの岡本さんと同様に、この間の石破総理の発言、総裁選からこっちに至っての様々な農政に関する発言について、私もただしていかなきゃいけないなと思っているところでございます。
総理も御案内のとおり、一次産業、農業の皆さん方は、なかなか政策の変更に簡単に対応できるということにはなりません。右だから右、左だから左、そういうことにはならない。北海道にあっては、一年に一作、雪の中、雪がない時期にどうやって使うか、そういった農業をさせていただいているわけです。ですから、石破農政というのか、石破総理の御発言一つ一つが農業者にとって非常に重要だ、そして関心がある、だからこそ、今日はしっかりとその真意を含めてお伺いができればと思うところでございます。どうか真摯な御答弁をお願いをしたい、このように思います。
実は、今申し上げたとおり、石破総理の総裁選からこっちからの、直接支払いであるとか、あるいは米政策であるとか、そういった発言が実はかなり揺れ動いております。総裁選のときには、直接支払いであるとか、こういったことについて極めて前向きな発言をされていたように私には理解をされました。そして、先般の特別国会、ここにおいては一気にブレーキをかけたというようなイメージでございます。そしてまた、先般、おとといですか、昨日もそうでございますけれども、代表質問になりますと、またちょっとトーンが変わってきた。今度は、論議をする、あるいは議論をする、検討する、様々な言葉が飛び交っているところでございます。
そういった意味において、先ほど申し上げたように、農業者の皆さんにとっては、一体どういう方向で進むんだろうか、やはり悩ましいんじゃないかなと私には思えるところでございます。
十二月の二日でございますけれども、石破総理は、所信に対する石川議員の質問にお答えになって、米政策については、海外も含め市場を開拓し、需要に応じた政策を進めていくことが重要である、そして、今後、新たな基本計画の策定や、令和九年度に向けた水田政策の在り方の検討の中で、米政策や農業者への直接支払いの在り方についても議論を深めていく、このように御答弁をいただいております。
その真意をやはりしっかり確認をしたいと思うのでございますけれども、総理のこのお考えは、九月二十八日、このときに総裁選で総理は勝たれているんですけれども、日本農業新聞に見るように、石破氏は選挙戦で、米の増産にかじを切り、輸出を拡大すべきだと訴えた、生産拡大に伴う米価下落には直接所得補償で対応するとし、水田転作などに充てている約三千五百億円を財源とする考えを表明ということであったと承知しております。
農業者に自由に増産をしてもらい、米価下落に対しては直接所得補償で対応するという従来の考え方からはこの答弁は全く変わっているんですけれども、この考え方は転換するということでよろしいんでしょうか。
○石破内閣総理大臣 私が農林水産大臣をやっておったのは、今から十二年前のことだと思っております、十三年前かな。そのときに私が思ったのは、生産調整というのは基本的に見直すべきだということを申し上げてまいりました。
それは、四十七都道府県ございますが、一生懸命真面目に、本当はもっと作りたいのに生産調整をやっている県がたくさんあります。それによって米価というのが維持をされておるわけですが、いや、そんなものは守らない、自分は好きなだけ作るんだというのがあって、そうすると、ほかの人たちの努力の上に成り立っているお金に乗って、好きなだけ作る人が得をする、そういう不公平な制度はあってはならないと思っておりました。
ですから、生産調整というものは抜本的に見直すということを申し上げましたが、その後、政権交代が起こりまして、御党の直接支払いというのか、直接所得補償という形に変わって、それからまた政権を我々がまたお預かりをして、今日に至っておるものでございます。
猫の目農政みたいな言葉がございますが、やはり農業の特性から考えて、政策がしょっちゅう変わるのはいいことだと思っておりません。私は、世界の中で農地がどんどん増えている、農業生産が増えている中にあって、我が国の農業政策がいかにあるべきかということは、エキスパートの江藤拓さんが今農水大臣でございますので、その農水省の下でいろいろな議論がなされ、農林水産委員会で議論がなされるものだと思っております。
私自身、本当に米の消費拡大というのを十分にやってきたか、あるいは、中国においてもっと日本の米が消費されるような方策とはいかにあるべきか、そしてまた、輸出向けに増やした方に対してどういうインセンティブを与えるべきかというようなことが総合的に論ぜられるべきだというふうに思っております。
私は、日本ほど農業生産に適した国というのはそんなにあると思っておりませんで、そしてまた、急傾斜地であり、春夏秋冬、降雨、降雪があるということを最大限に伸ばしていくために、日本農業の在り方はどうあるべきかということについてまた議論をさせていただきたいと思っております。
基本的な考え方が変わったという認識は、私自身は持っておりません。
○神谷委員 今、基本的認識を変えていないというのが最後の結論だったというふうに思います。
ただ、そうしますと、今御答弁いただいたように、実は、生産調整そのものについても否定的であるというお考え方、これは今のお考えなんだろうと思うんですけれども、ただ、この答弁を読みますと、逆の答弁かなと思っていまして、石川議員への答弁の中には、需要に応じた政策を進めていくことが重要という言葉があります。これは、すなわち、生産数量目標の配分、現在は需給の見通しというんでしょうか、そういうような形の推進というような意味にも取れるわけでございます。
だとするならば、今、総理の思いは、いわば生産調整というのか、米の生産数量の配分というのか、需給の見通しというのか、これとは全く違うのだ、できることであれば増産をし、海外に輸出をし、その可能性を追求すると同時に、万が一、米価下落に当たっては、直接所得補償というのか直接支払いというのか、そういったもので対応していけばいいのではないか、これが多分従来の総理のお考えだったと思うんですけれども、その考え方は変えていないという理解でよろしいですか。
○石破内閣総理大臣 神谷委員御指摘のような考え方を私自身ずっと持ってまいりましたし、今でも基本に違いはございません。
ただし、あらゆる政策がそうなんですけれども、全国あちらこちらから選ばれておる我が党の議員、あるいはいろいろな都道府県の議会、自民党の支部、農業というのは北海道から沖縄まで千差万別でございますので、そこの意見を、総裁がこうだから全部そうだ、あらゆる政策がそうですが、そういう形に変わっていくものではございません。
ただ、私は、日本国が世界の中で、食料自給力、自給率、それは随分違う概念でございますが、これが突出して低いというのはやはり相当の問題なんだろうと思っております。
農林水産大臣のときに、ローマで行われました世界農林水産大臣会議みたいなものがございましたが、そこにおいて、たしかアメリカのかつてのブッシュ大統領の言葉が紹介されましたが、食料自給ができない国は、それは独立国とは言わぬのだ、主権国家とは言わないのだというような発言があったことをよく承知をいたしております。
つまり、腹が減っては戦はできないということをよく言われますように、防衛力の整備には今努めておるところでございますが、じゃ、ウクライナを見てもそうです、それは二年も三年も続くということに耐えられる状況なのかということは考えていかねばなりません。危機管理というのは本来そういうものだと考えております。
○神谷委員 今、危機管理の観点もお話をいただきましたが、今年の基本法の論議の際にも、食料安全保障、そういう論議がございました。その際に、今おっしゃっていただいたような自給率、自給力、こういうことの在り方についても様々な議論が展開をされました。
そういう中で、先ほども総理はおっしゃっていましたけれども、自給率、自給力、どちらが大事か、これは別にして、総理は、常々、分子、分母の関係もあるから自給力ということをおっしゃってはいるわけではありますが、ただ、もう一方でいいますと、やはり自給率というのはどうしても必要な概念だと私自身は思っておりますし、この間ずっとそれでやってきた、その経過もあります。
その上で、特にカロリーベースということで今話がされているわけでございまして、本当の不測時の際には、今千九百キロカロリーでございますが、これを維持しなきゃいけない、これをいかにして国民に提供していくか、そういう話になっているわけでございますから、だとするならば、やはりこのカロリーベースというのもどうしても必要な概念ではないかなと私には思えるわけでございます。
総理は、時に、飽食の時代にあって、中にそういった残すものも含めて計算するのはどうかというようなお考えもあるようでございますが、局面は局面としてあるとして、いかにして自給していくのか。そして、その際には、様々な指標はあると思いますが、その考え方の中で、やはり食料自給率、特にカロリーベースのもの、こういったものも絶対私は重要だと思うわけでございます。
そういった点においても、若干私は総理と私自身の考え方は違いがあるんじゃないかなと思うんですけれども、この点についてもう一回、何かお話があったら、いただけますでしょうか。
○石破内閣総理大臣 それは、今農政を預かる江藤大臣からお答えいただくべきものであって、私が自分の私見を申し述べることは適当だとは思いませんが、今年の二月二十六日に、私はその席に座って、岸田総理とこの議論はいたしました。日本で多分一番自給率が高かった時期というのはいつだろうねということを考えると、裁判官が本当に配給された食料だけで餓死しちゃったなんという、そういう時期がありましたね。あの頃が自給率が一番高かったはずなのですよ、それは。餓死者が何千人、何万人と出る、どこの国とは申しませんが、そういう国も自給率は高いのですね。それをもってして幸せとは言わない。
世の中において、私は、農林水産副大臣、当時は総括政務次官といっていましたが、日本のWTOにおける立場を世界に分かってもらおうというので、あちらこちらへ参りました。そのときに自給率の議論になりました。あるアフリカの国が、自給率が低い同士、WTOで一緒に闘おうということを私は申し上げたんです、いや、それは違う、自給率が低い理由が全く違うのだと。我がアフリカの、とある国ですが、お金がないのだ、だから土地改良もできない、品種改良もできない、かんがい排水もできない、だから泣く泣く海外から食料を買わねばならぬのだ、だから自給率が低いのだ、日本は違うだろう、そんな理由で自給率が低いわけではないだろう、自給率が低い理由が全く違う国同士が何でWTOで一緒にやれるんだといって、私はかなり叱責を受けた覚えがございます。
自給率というのは何なんだろうということはもう一回よく考えていかねばならないし、委員がおっしゃるように、私はそれを意味がない数字だと言うつもりはございません。ただ、それが、私は、農地がどれぐらい適正に維持されるか、農業者の人口構成がどれほどサステーナブルか、農業技術がどれだけ伝承されるかというのは数字になってきちんと表れるものであって、その結果が自給率というものになって表れるのだというふうに考えております。
その国が、本当に危機においても食料がちゃんと自給できる。と同時に、かつては米穀通帳というのがあった。ところが、今はないわけですよ。では、先ほど来マイナンバーカードの議論がありますが、いざというときに、買占めとかそういうことで食料の価格が高騰することがないようにどうやって供給体制を整えていくかということも併せて食料安全保障というのは議論されるべきだと思っております。
委員の御意見は、よく真摯に承ってまいります。
○神谷委員 今いろいろとるるお話をいただいたんですが、先ほど階議員のときに、自給率というか、その基盤というか農業基盤というか、やはり農地と農業者、これが大事なんだというような御答弁があったというふうに承知をしました。もちろん、これは非常に大事でございますし、この国の食料安全保障をならしめるためには、これからまさに基盤になるところでございます。
ただ、それでいいますと、悲しいことでございますが、この間、我が国では、残念ながら、農業者の数がどんどん減っている、農地もどんどん減っている、自給率も減っている。この食料基本法の論議のときには、なぜそうなっているのか、そして、今回基本法の論議で改正案が相成ったときにはこれが回復していくのか、そういったことが様々に論議をされました。
私自身は、今の形でいくとこれはかなり厳しいんじゃないかなというのが率直な思いです。現実に、今の政策体系の中でというよりは、今、現行で行っている政策、利きがいいもの、悪いもの、あるでしょう。ただ、結果として今この結果になっていることを我々はやはり十分に承知をしなきゃいけない。そして、それを反転ならしめるためにはどうするのかという議論をしていかなければならない。そのために、我々立憲民主党としては、これまでは農業者戸別所得補償であるとか、様々な施策について提案をさせていただいた経過がございます。
そういった中において、今回、総理は、直接支払いというのか、直接所得補償という言葉に言及をされています。総理がおっしゃっているこの直接所得補償、これはどういった概念の下の直接所得補償なのか、改めてお伺いできますでしょうか。
○石破内閣総理大臣 十月八日の代表質問、これは田名部匡代議員だったかと思います。私自身が所得補償政策についてややネガティブなお話をしたということを念頭に置いての御質問かと思っております。
農業者の所得を補償するという政策につきましては、様々な考え方があるんだろうと思っております。そこにおいて財源をどこに求めるべきかということもございます。どの範囲にすべきかということもあります。
そして、農業者で、いろいろな形の農業経営形態があるわけで、委員の選挙区のように、本当に専業の方、あるいは畑作主体のところ、あるいは兼業が多くて稲作主体のところ、そこは全く違うんだと思っております。どういうところを中心にして、納税者の負担によって直接所得補償というのをやるべきかということで、その地域によって、形態によって違うんだと思います。
私は、農業が、先ほど来御指摘があるように、どんどんと農業者の数は減っている、耕作放棄地はどんどん増えている、そのことをもっと私自身、内閣総理大臣としてよく認識をしたいと思っております。そして、私も、大臣も副大臣も政務次官もいたしましたが、そのときに自給率は上がりませんでした。そのことについて、なぜなのかという検証をちゃんとしてこなかったということの反省は持っておるところでございます。
そういうものについて、もう一度根幹から議論していかねばならないが、とにかく農地と農業者、それが持続可能であることが最大の目的でございます。(発言する者あり)
○安住委員長 御静粛に。
○神谷委員 その上で、今、田名部議員の質問に対してネガティブだったというお話があったんですが、実は、私は答弁の中で一番ちょっとこれは駄目なんじゃないかなと思ったのは、その答弁の中に、創意工夫や日々の努力にブレーキをかけ、農地の集積、集約化が進まなくなるおそれがあるという御答弁が入っていたんですね、所得補償を導入すると。
これはやはり違うんじゃないかなと私は思っておりまして、現に農家の皆さん方は一生懸命やっておられると思うんです。たとえ直接所得補償が入ろうと入るまいと、日々の努力にこれは変わりがないと思うんです。
この辺はやはり大変農家の皆さんにとって失礼な答弁だったと思うんですけれども、総理、いかがですか、これは。
○石破内閣総理大臣 それは議事録を御確認の上での御質問かと思いますが、あるいは私の言い方に誤解を招く点があったら恐縮ですが、私の記憶では、そういう御指摘があるというふうに申し上げたつもりでございます。
私は、農政を語る上においていろいろな見解があるということはよく承知をいたしております。ですから、意欲にブレーキをかけるとか創意工夫に水を差すとか、そういう御意見があることは事実なのです。仮にそういう政策を取る場合には、そういうことがないようにしていかねばならない。当たり前のことを申し上げたものでございます。
○神谷委員 だとするならば、総理自身はこういった考え方は取らないということでよろしいですか。直接所得補償を仮に導入したとしても、創意工夫や日々の努力にブレーキをかけるようなことはないんだ。あるいは、農地の集約、集積が進まなくなるおそれがあるんだ、こういう立場には立たないということでよろしいですか。
○石破内閣総理大臣 そういうような政策を取っている国は世界中にたくさんございます。アメリカの農業政策、ヨーロッパの農業政策、ヨーロッパの場合には国によってかなり違いますが、そこにおいてEUの共通農業政策というのがベースにあるわけでございますけれども、そこにおいて、御指摘のような、創意工夫とか日々の努力とか、そういうものにブレーキがかけられたとは承知をいたしておりません。
仮に導入するとするならば、そういうことがないように気をつけなければならないのだけれども、導入するかどうかも含めて、農政当局あるいは関係の議員の皆様方で御議論をいただきたい。私は、自分の考えを押しつけるつもりはございません。
○神谷委員 現実に、民主党政権のときに農業者戸別所得補償という制度ができました。そして、その後、御案内のとおり、激変緩和ということで当面続けていたわけです。この間にそういった事例がこの国であったとお考えなのか、その辺はいかがですか。
○石破内閣総理大臣 悉皆的に事情を存じ上げているわけではございません。ただ、私が農林水産大臣をやって、政権交代選挙というんでしょうかね、あれがあって、御党の赤松広隆さんに大臣が替わりました。そのときに、私どもが検討した政策が採用されたかどうか。私は、そこはそうでもなかったんだろうなというふうに思っております。
いずれにしても、私どもの政策が実際に実現できたわけでもございませんし、御党の政策も、効果が出るところまで継続したとも考えておりません。そこは白紙的に、いかにすれば農地が持続可能で、農業人口構成が持続可能かという観点からもう一度御議論を賜りたいと思っております。
いろいろな国の農業政策から学ぶべきところがたくさんあるのだし、自給率の向上を考えましたときに、フランスでもデンマークでもそうなのですが、どれだけ輸出を増やしていくかということが自給率の向上につながるということはございます。そういう議論を精緻に行った上でないと、やるかやらないかみたいな議論をしても、それは意味がないと思っております。
○神谷委員 伺っておりますと、今までのように全く拒否ではないのかなと。むしろ、検討するというか、いろいろ考えていく、その中にはこの直接所得補償が入ってくるという意味では、従来よりはよくなったのかなという感じはいたすわけでございますけれども、ただ、そこはやはり政策というものをしっかり見ていただきたいと思いますし、そもそも、立憲民主党というか当時の民主党政権時における農業者戸別所得補償制度は、石破総理も御存じのとおり、総理の二次シミュレーション、これについても非常に近接した考え方が取られていることは御承知のとおりだと思います。
そういった意味において、石破総理自身は、この制度についてはかなりよく御存じなんじゃないか。しかも、精緻にシミュレーションをされていたということも私は存じ上げているところでございますし、だとするならば、決してこれは排除するものでもないというふうに思うのと同時に、むしろ進めていくべきではないか。
この今の状況下、特に米価はこれだけ高くなりました。米価が高くなった上で、消費者の皆さん方に、このまま高い、高いというか、農家にとっては決して高いわけではありませんし、むしろ適正な価格だというふうに考えているところかもしれませんが、ただ、そういう意味においては、ここは二律背反、相反する関係にあるところでございまして、その中でいかにしていくか、そういうような状況の中で、価格は市場で、そして所得は納税者に、そういう考え方で進んできたんじゃないか。そのことは総理も決して否定はされないんじゃないかなと思うんです。
これについて、総理、改めて考え方はいかがですか。
○石破内閣総理大臣 当時のことを思い返してみますと、確かに、私が麻生内閣で農林水産大臣になったときに、その政策は特別なチームをつくって徹底的にやりました。何度も何度もコンピューターを回してシミュレーションをやって、この場合にはどうなんだということを示しました。
ただ、あのときに私どもは選挙で惨敗をして、政権交代というものは確実でございましたので、残務処理期間というんですかね、そのときに結論を出したんですが、農林水産大臣石破茂という名前では出しませんでした。衆議院議員石破茂という名前で、個人の責任で出したということをよく覚えております。
私は、あの計算というのは相当に自信を持っておりまして、精緻なものだったと思っておりますが、それ以来十数年がたちました。例えば、収入保険制度というものが導入されたというのは、あの頃と全く状況が違っております。あるいは、食料需給の状況も変わってまいりました。
今年の夏にお米が足りませんということが起こったのは、これは一時的な現象であるのか、あるいは構造的な問題であるのか、そこについては私は議論が必要だし、答えを出していかねばならないのだと思っております。
私自身は、米の生産というのはもっと拡大されるべきものだというふうに考えておりますし、農地はもっと有効に活用されるべきだと思っております。それが納税者の負担に資するかどうか、そこについては農政当局と皆様方の中で更に新しい数字に基づいて議論をしていただきたいと思いますし、そこに出た答えは尊重していかねばなりません。
○神谷委員 今のお答えも総合して考えますと、やはりもう一回、我々というか私どもも、立憲民主党でも、農業者戸別所得補償というか直接支払いというのか、これについて様々提案をさせていただいております。これについて、できれば一緒にというか、農業者を大事に思う気持ちは変わらないと思うので、一緒に考えていく、あるいは、我が党の提案もしっかりと聞いていただいて、見ていただいて、そして前に進めていく、これが大事なことだと思うので、是非その点はよろしくお願いをしたいと思います。
現実に、今、我が党の政策をここにちょっと掲げさせていただきましたが、特に、先ほどおっしゃっていただいたように、この国の食料安全保障の基盤は、まさに農業の基盤であるところの農業者、そして農地です。そういった意味において、そこに着目した形でのバージョンアップをした戸別所得補償というか直接所得補償を我々としては提案をさせていただきたいと思っています。
これについても是非御検討いただきたいのと同時に、また、我々は、食料自給率五〇%を目指すということを公約に掲げさせていただいています。そういったことで、しっかりと農業者に寄り添った政策をやっていかなきゃいけないと思っている思い、これは共通のものだと思いますので、是非与党さんにおいても真摯に一緒に議論していく、その姿勢を是非総理の方からも言っていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
○石破内閣総理大臣 それは、当然そうあるべきものでございます。そういうように謙虚に真摯な姿勢でやっていかねばなりません。
そこにおいてはやはり数字が大事なのだと思っておりますし、どういうような農業を、これから先、つまり、食料安全保障というものを考えましたときに、そこはやはりカロリーベースでなければいかぬのだろうと思っております。そして、食べ残しも、あるいは食べ過ぎも、それが本当に数字として入るということが安全保障という概念にそぐうものなのかどうか。私は、国際会議でいろいろ食料自給率の議論をしているときに、どこかかみ合わないものを感じてまいりました。
また、フードセキュリティーという言葉が、食料にどれだけアクセスできるかということをその本質とするものである以上、そこについては共通認識、それは数字において持ちたいというふうに思っております。
いろいろな御提案は我が党として真摯に承ってまいりたいと思いますし、目指すものは、本当に日本の農業者の幸せであり、そしてまた日本の食料安全保障の確立であるということに何ら相違はございません。
○神谷委員 ちょっと話題を変えます。
水活について、水田活用直接支払い交付金について伺いたいと思います。
先ほどの小野寺議員への答弁において、根本的に見直すという言葉がございました。これまでの答弁の中でも、水活そのものについては、様々見直すというような言い方がございます。
先般の石川議員への総理の答弁でも、令和九年度に向けた水田政策の在り方の検討とありますけれども、これは、やはりこれまでの水田活用直接支払い交付金、令和四年から令和八年、この改革期間を終えた後の令和九年以降の政策について考えていくという意味でよろしいでしょうか。
○安住委員長 時間が余りないので、端的に。
○江藤国務大臣 水活については大変な議論をいたしました。党内も大変でした。そして、国会の議論も大変でした。
そして、やはり今回何でこうなったかというと、会計検査院が、本省にも検査に入りました。九州農政局にも検査に入りました。それで水田協議会にも百九十何か所、検査に入りました。このままほっておいたら、受給された方々が、過去に遡って、給付されたお金を返還しなきゃならないような事態、これが起こりかねないということで、何とかそういう事態だけは避けなきゃならないという共通の認識で、ぎりぎりの線を狙って、水張りについても厳しい御意見があることはよく分かっております。でも、何とかこれでしのいでいこうということでやったことであります。
しかし、この結果については、私は当時は自民党の調査会長でしたけれども、じくじたる思いがありました、これで十分なのかと。そしてまた、今回、たまたま大臣になりました。この機会に、やはり根本的に、農家の方々にも納得していただける、そして納税者たる国民の方々にも、なるほどな、食料安全保障の確立の上ではこれだけの金を使うことも仕方がないなと納得がいただける内容に何とかしていきたいということで、今、省内で検討しております。
先ほど申し上げましたように、まだ自民党にも内容を知らせておりません。ですから、これからは熟議の国会でありますから、先生も理事でいらっしゃいますから、是非、農林水産委員会でも内容については御意見を賜り、いいものに仕上げていきたいと思っております。
○安住委員長 神谷君、時間がありませんから、あと一応答ぐらいで。
○神谷委員 今、農水大臣からもお話しいただきましたけれども、水田活用直接支払い交付金、これも大変重要な問題です。この問題を考えたときに、やはり畑地もそうでしょう、あるいは水田をどう使っていくかという問題もあるでしょう、そういった意味において、農家経営、所得という意味においても大きなことになるわけでございます。
どうかそういったところについても、これから我々はしっかりとまた御提案もさせていただきますし、農業者のための政策を進めていく、ここは変わらないと思うので、一生懸命我々としても提案をさせていただきます。答弁は結構です、一緒に、では、最後に一言。
○安住委員長 いやいや、もう時間がないから。
○神谷委員 ということで、頑張っていきますので、よろしくお願いいたします。
○安住委員長 時間を守りなさい。
これにて野田君、大西君、階君、岡本さん、神谷君の質疑は終了いたしました。
次に、岩谷良平君。
○岩谷委員 東大阪市選出、日本維新の会の岩谷良平です。どうぞよろしくお願いをいたします。
十二月一日に、我々日本維新の会の代表選挙が行われました。そこで、新たに、我々維新の会の代表に吉村洋文大阪府知事が就任をいたしました。また、共同代表に前原誠司議員、そして幹事長に私、岩谷良平が就任をさせていただきました。そして、政調会長には青柳仁士議員、総務会長には阿部司議員、国対委員長にはうるま譲司議員が就任をいたしました。
吉村さん、そして私、青柳議員、阿部議員は皆四十代、そして、うるま国対委員長は五十歳ということで、六名中五名が四十代、五十代ということになりました。そして、この五名に共通していることは、皆、今子育て中ということなんです。私も四歳の息子を育てております。
そんな新しい、我々、新生吉村維新の中核を担うメンバーが考えていること、それは、我が子のみならず今の日本の子供たち、その将来は、果たして子供たちが本当に幸せになれる国でい続けることができるのかどうか、そのことであります。
日本の経済は、失われた三十年の中で、GDPは中国に抜かれて久しいですが、昨年ドイツに抜かれました。来年にはインドに抜かれると言われています。また、少子高齢化の中で税と社会保険料の負担は増え続け、手取りは平均一五%減少しています。また、国民負担は一人年間平均四十万円もこの二十年で増えてしまいました。安全保障環境は戦後最も厳しいと防衛白書に書かれています。もはや子供たちにとって日本は将来に夢や希望を持てる国ではなくなったのではないか。
我々日本維新の会、新生吉村維新の会は、徹底的に次世代のための党としてこれから政治を行っていくことをまずは申し上げたいと思います。子供たちが、日本に生まれ、そして日本で育ってよかったと思える、そんな日本に再生することが、今を生きる我々大人の責任であり、また政治家の仕事であり、そして日本維新の会の存在意義であるということを申し上げまして、質問に移りたいと思います。
まず、我々維新の会、次世代のための党として、特にパネルにお示ししましたような項目、政策を重点的に行っていきたいと思っております。教育無償化、行財政改革、統治機構改革・道州制、次世代のための社会保障改革、政治改革、憲法改正。これらを順次質問させていただきたいと思いますが、時間の都合上、通告と質問順序が入れ替わったり、また、質問を飛ばさざるを得ないということを申し上げたいと思います。
まず、教育無償化についてお尋ねをいたしたいと思います。
子供たちが、生まれた環境であるとか、あるいは保護者の方の経済状況によって、行きたい学校に行けない、学びたい教育を受けられない、そんな状況は絶対にあってはならないというのが我々の考えです。
さらに、教育費が上がり続けています。この数十年間、子供一人当たりの教育費というのは、数十年間で年間平均四十万円近く負担が増えています。これが子育て中の世帯の皆さんの大きな負担となり、そして家計を圧迫しています。消費意欲が旺盛なこういった現役世代の皆さんの手取りを増やすこと、これが、個人消費を伸ばし経済を成長させるために成長戦略としても非常に重要だと考えておりますので、その意味でも教育無償化をやっていかなければならないと考えています。
今パネルをお示しいたしておりますが、これは以前にも予算委員会でお示ししました。我々が、維新の会が大阪府や大阪市でやっている維新版の教育無償化モデル、八つの無償化プラスワンというものです。ゼロ歳から大学院卒業までということで。
ゼロ歳から二歳の保育無償化。今、これは所得制限の撤廃に向けて実行中です。三歳から五歳の幼児教育の無償化。これは大阪市で先行してやり、今、国の制度となりました。小学校の給食の無償化。これも所得制限の撤廃、実現済みです。中学校給食の無償化。所得制限なし、これも大阪市で実現済み。
さらに、高校授業料無償化。これは大阪で始めた政策が全国に広まりました。しかし、残念ながら今までは所得制限がついていました。我々は今、私立を含む高校授業料無償化、所得制限なしで無償化することを大阪府で実行中でございます。
さらに、大学。全ての大学を大阪の力で無償化するということは難しいわけですが、せめて大阪公立大学だけはやろうということで、これも所得制限なしで、入学金、授業料無償化、今進めています。大学院も無償です。医学部もただです。
私は、岸田前総理にこの場で、これぐらいやって初めて異次元の少子化対策ではないんですかと申し上げましたが、残念ながら、国の方では、いまだ実現に至っておりません。
例えば、高校授業料無償化。大阪方式で、全国に所得制限なしの授業料無償化を進めた場合、幾らかかるか。我々の試算では約六千億円というふうに試算をしております。やはり財源の話になると思うんですが、会計検査院によりますと、二二年度補正予算で計上された事業のうち、少なくとも五千九百八十五億円は不用と指摘をされております。このことをおととい、我々の前原共同代表が代表質問で総理にお伺いしたところ、総理は、引き続き考えるべき課題と述べるにとどめています。
大阪では、吉村知事のトップの決断で、こうした所得制限なしの教育無償化というのが今進み始めています。是非総理にもトップの決断で、高校授業料無償化を始めとする教育の無償化を是非決断をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 現在、高校の進学率が、我々の頃とは全く違って九九%ということになっております、ほとんど全入と言ってもいい状況でございますが。そういう状況の中で、高校授業料の無償化、つまり、ほとんど全てと言ってもいい方が実際通っている中で、ここに、無償化というものにどういう意義があるだろうかということは議論の余地があると思っております。
もう一つは、大阪は幾らでもお金があると私は思ったことはありませんが、大阪府あるいは大阪市という、それでも全国の中では相当に財政力が豊かなところと、そうでないところとございます。
そこで先般、六千億という数字が本会議の中で出たところでございますけれども、その六千億の内訳というのも、よくまた御教示をいただいて精査をしてみたいと思っております。この金額の問題、財政力の問題、そして、今ほとんど全入に近いという状況をどう考えるかという中で、委員御指摘の問題に答えは出していく必要があると思っております。
○岩谷委員 自民党さんのマニフェストの中でも、安定財源を確保し、高校無償化を拡大すると書かれております。また、ほとんどの野党が教育無償化を書かれている中で、なかなか明確な御答弁をいただけないことは大変残念であります。
野党の皆さんにも申し上げたいんですが、自民党さんや公明党さんがやらないというならば、我々野党が協力して、今の過半数割れの状況の中で、是非この教育無償化を共に実現しようではありませんか。野党の皆様にも御協力を申し上げたいと思います。
そして、今、財政力は大阪は豊かだからというお話がありましたが、総理、それはとんでもありません。大阪は、ほんの十数年前、破産会社と言われていました。極めて財政状況は厳しかったわけなんです。
そして、我々は、いつも自民党さんや政府が事あるごとに財源、その名の下に増税を繰り返してきたことを、増税の前にやるべき改革があるんじゃないかと訴え続けてまいりました。
ちょっとパネルを御覧いただきます。パネルの三番でございますが。
これも、大阪の話ばかりで恐縮ですけれども、大阪府の行財政改革、これは二〇〇八年、橋下知事が就任した直後ですね。二〇〇八年から二〇一三年の間に、当時の破産会社と言われた大阪を立て直すために、給与のカットであるとか、あるいは府有財産の売却であるとか、あるいは事業の見直し、さらにはいわゆる天下り先法人の削減、さらには公の施設の民営化等々、ありとあらゆる歳出削減努力をやって、五年間で約五千億円のお金をつくってきたわけなんです。
大阪だけで五年で五千億のお金を生み出すことができた、国全体で大阪並みの徹底的な行政改革をやれば六千億なんて簡単に生み出せる、これが大阪で実際に改革をやってきた我々の認識であります。
また、アメリカでは、トランプ次期大統領が政府支出の削減を検討する政府効率化省をつくり、そこのトップに実業家のイーロン・マスク氏を起用することを発表いたしております。イーロン・マスク氏は、先月、連邦政府の予算というのは約一千兆円ですけれども、少なくても行政改革によってそこから三割削減、三百兆円削減できると述べておられます。
安易に増税に頼ることなく、例えば我々が大阪でやってきたような行政改革であるとか、あるいはアメリカのように、日本版政府効率化省をつくり、民間の企業経営者をトップに据えて、歳出の削減目標額を決めた上で徹底的な行政改革を行い財源を生み出そう、そんな大胆な改革を日本でもやるべきではないでしょうか。
○石破内閣総理大臣 それは、行革の必要性というのは常にあるものだと思っております。
と同時に、行政というのは、非効率であったとしても、公平性というものが一つの大きな価値観だと思っております。どういうような人であっても行政サービスは同じに提供されなければならないということは、どうしても非効率ということを生み出しがちでございますが、それをいいことに何をやってもいいというお話には全くなりません。いかにして行政サービスの水準を下げないで効率化できるかということは、大阪から学ぶべき点もあるというふうに私は認識をいたしております。
ただ職員を削り給与を下げさえすればいいというものではなくて、大事なことは、その地域の方々が納めた税金がきちんと有効に使われているかという検証が常になされるというシステムを確立することも併せて大事だと思っております。
大阪の改革というものについて、またいろいろな御意見を賜れれば幸いでございます。
○岩谷委員 そういうことを言っているようでは、行政改革というのは進められないというふうに思います。是非、行政改革、引き続き議論をしてまいりたいと思いますが。
ちょっと時間の都合上、幾つか質問を飛ばさせていただきまして、次に、政治改革と政治と金の問題についてお伺いしたいと思います。
パネルの八番を御覧いただければと思います。これは我々の、維新の会の、維新版政治改革大綱でございます。
我々は、こうやるべきと言ったら、できることは自主的に直ちに維新独自にやるというのが我々のスタンスですから、これも我々は独自に、もう既に実行しているわけですが。
この中でも、例えば二番の旧文書通信交通滞在費の領収書公開、いわゆる旧文通費の領収書公開。これは、私、三年前、初当選をさせていただいて、初めて予算委員会で岸田総理に質問をさせていただいたときに、文通費の話をさせていただきました。文通費の領収書が公開されているのは、明らかにおかしい、公開しましょうと強く申し上げましたが、残念ながら、三年間、全く自民党さんは公開することなく今に至りました。
そして、三年たって、おととい、代表質問で我が党の前原共同代表の質問に答える形で、石破総理は年内に法整備ができるよう尽力するとお答えになりました。
民意は本当に偉大なんだなと思うと同時に、よくもまあこれまで放置をしてきたものだというふうに思います。総理には確実に文通費の領収書公開を実行することを求めると同時に、これまで公開をかたくなに拒否されてきたことを猛省を促したいというふうに私は思います。
そして、いわゆる政策活動費の廃止、四番です。
昨日、私は政治改革の各党協議会に出席をさせていただきました。自民党さんは、政策活動費は廃止すると言いながら、よく分からない例外をつくろうとされています。外交秘密等々言って、結局は抜け穴をつくろうとされているんですね。そんなことを言っているから自民党は国民の皆さんから信頼を失っているんじゃないですか。自民党だけじゃなくて、我々、政治全体が国民の皆さんの不信感を招いているんですよ。我々も本当に迷惑ですよ。
我々は、国民の皆さんの政治に対する信頼を取り戻すために改革をやるべきだと言っています。この政策活動費は抜け穴なく廃止すべきだと言っています。自民党さんが幾らこれは抜け穴じゃなくて必要なものなんだと言い張ったところで、国民の皆さんが抜け穴じゃないかと思えば、結局は政治不信を解消することはできません。
総理、シンプルに、このよく分からない領収書不要な金、廃止しませんか。
○石破内閣総理大臣 何度も申し上げますが、政策活動費は廃止なんです。そういうものはなくなる。また、抜け穴ということをおっしゃっていますが……(発言する者あり)済みません、ちょっと不規則発言で聞こえなくなるので、御容赦ください。
○安住委員長 御静粛に。
○石破内閣総理大臣 委員長がそういうふうにおっしゃっています。
政策活動費は廃止するんです。その上で、政策活動費という費目にはなりません。なりませんが、私どもとして、営業上、つまり、自由民主党から例えばある事業を請けました。あれっ、あそこの会社がもらっているんだねということが広く知れ渡ることが、その会社の不利益になることは当然ございます。あるいは……(発言する者あり)それは考えれば分かることで、あそこと取引があるんだね、じゃ、取引するのをやめようみたいな話は世の中にはいっぱいありますよ。
それと同時に、外交の面において表に出せないことってたくさんあります。いつ誰とどこで何をということで、全部出さない場合もありますし、一部しか出さない場合もございます。国益というものを考えたときに、それが出せないことがなるほどねというふうに思っていただけるもの、そういうものしか対象といたしておりません。
政策活動費は廃止です。抜け穴というような、それをいいことに自分たちが利益を得るような、そういうことを私どもは全く考えておりません。それはきちんとした監査を経て、なるほど、これは、使途はそういうものが明らかにされないことが理解が得られるものだということがないもの以外は全て公開するということに何ら違いはございません。
○岩谷委員 廃止したと言いながら、費目を変えて、いろいろと理屈をこねて残そうとしている。多分テレビを見ている国民の皆さんはそう思っていますよ。そんな長々と説明しなきゃ理解してもらえないような抜け穴を残して、本当に国民の皆さんの政治不信を解消できると思いますか。私は思いません。
昨日、政策活動費をシンプルに廃止する法案をほかの野党の皆さんとともに提出をさせていただきました。野党の皆さん、政治への信頼を取り戻すために、この法案、党派を超えて成立させようではありませんか。今回、提出に来られなかった野党の皆さんも含めて、是非、賛成をいただくことをお願い申し上げたいというふうに思います。
時間がありませんので、企業・団体献金の禁止についてお伺いをいたします。
三十年前、企業・団体献金を廃止しようとなり、代わりに政党交付金制度ができました。ところが、実際は抜け穴が温存され、実質的に企業・団体献金の禁止は行われてきませんでした。
おととい、我が党の前原共同代表から、政党交付金を受けるなら、そのバーターである企業・団体献金は禁止しなければおかしいじゃないかということを総理に問いましたところ、総理は、企業・団体献金の禁止が政党交付金の前提となっているという事実はないものと承知をしているとおっしゃいました。
三十年前、この政党交付金制度をつくった自民党の当時の総裁、河野洋平さん、こうおっしゃっていますね。企業・団体献金の全面禁止に踏み込んでいない自民党内の議論、全く意味がない、無責任な議論だ。また、企業・団体献金の議論は、九四年の時点で、三十年前の時点で終わっているはずだと指摘をされています。自民党は、二〇二三年で約百六十億円もの公費助成を受けておきながら、やめると約束した企業・団体献金のもらい方の議論をしていると批判をされておられます。
また、同じく当時総理だった細川護熙さん、こうおっしゃっています。企業・団体献金は五年たったらやめるという約束を直ちにやることが第一だ、ほごにされては困るとおっしゃっています。
すなわち、企業・団体献金の禁止というのは、政党交付金制度ができた三十年前に本来禁止すべきだったものが、いまだにずっと抜け穴として温存されてきたわけなんです。
ちょっとパネルを御覧いただきたいと思います。パネルの九番になります。
これは、企業・団体献金というのは、単なる政治資金をめぐる問題だけじゃないんです。日本の利権構造に関わる問題です。一部の既得権を持った企業や団体の皆さんが、企業・団体献金で一部の、主に自民党の国会議員や自民党さんに献金をされる。そして、一部の省庁に圧力、指示をかけ、その既得権を保護している。結果、既得権が守られ、規制改革が阻まれ、日本の経済成長が阻害をされている。結果、奪われているのは国民の皆さんの利益です。
私は、企業・団体献金の禁止というのは、政治家の政治不信を回復するのみならず、日本の利権構造を変え、日本の経済を成長させるためにも極めて重要な改革であると思っております。我々維新のみならず、ほかの野党の皆さんも、立憲民主党さんも、企業・団体献金の廃止を主張しています。改めて、総理、禁止を求めたいと思いますが、いかがですか。
○石破内閣総理大臣 私どもとして、謙虚に誠実に議論をいたします。委員にまたお考えを承りたいのですが、私どもは、そういう抜け穴ということがないように、私どもは国会の中につくりたいと思っていますが、そういうように、外交であれ営業上の秘密であれ、それを一部を伏せることが妥当なのかどうなのかということをきちんと監査をする組織を設けたいというふうに申し上げております。
そういうことがないように、私どもは無責任なことを申し上げておるわけではございませんので、そのときに、抜け穴をつくろうとしているというふうな、そういう印象操作とは申しませんが、そういうようなことは、これから法案審議の際に私どもは私どもの立場を申し上げることになります。そういうことがないように、そして、政策活動費を廃止したということの実効がきちんと上がるように、我が党として説明をいたしてまいりますので、どうかそういうような決めつけはなさらないでいただきたいと思っております。
その上で……(発言する者あり)私どもはそういうことは考えておりません。
そして、企業・団体献金というものによって政策がゆがめられたという記憶を私は持っておりません。自分自身が幾つかの省庁をお預かりをして、また、今日参っております私どもの同僚も、そういうようなことをやった者は一人もおらないはずでございます。そういうことをやったとするならば、それは必ず有権者の方々の厳しい審判を浴びるということでございまして。
また、河野総裁あるいは細川元総理の言葉を御紹介をいただきました。私は、恐らくこの中でそのときに実際に議員でおったのは私と防衛大臣だけだろうと思っておりますが、先ほどの答弁で申し上げましたように、そのときに、公的助成が入るので企業・団体献金はなくなるという認識を持った者はございません。(発言する者あり)
○安住委員長 じゃ、もう一回、岩谷さん、質問していただいて。
○岩谷委員 もう時間がないので、申し上げます。
総理、今の政策活動費の廃止に関して、本当にそんなに使い道を隠さなきゃいけないものがあるのかどうか。それは私には分かりません。一度、全部廃止して、抜け穴を塞いで、やってみればいいじゃないですか。本当に必要だったらまた議論しましょうよ、それは。まずはやめましょう。それが国民の皆さんの信頼回復にとっては重要です。
それから、企業・団体献金で政策がゆがめられていないとおっしゃいますが、少なくとも国民の皆さんはゆがめられていると思っていますよ。外形上そんなことを残すことが本当にいいことなんですか。だから廃止しようと言っているんです。
やはり、答弁を伺って、私は、自民党さんは、たとえ総理がどなたに替わっても、変われない党なんだなというふうに確信をいたしました。
我々維新の会は、これからも、次世代のための党として、徹底的な改革によって日本を再生し、次の世代にバトンを渡すということをお約束申し上げまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○安住委員長 この際、青柳仁士君から関連質疑の申出があります。岩谷君の持ち時間の範囲内でこれを許します。青柳仁士君。
○青柳(仁)委員 日本維新の会の青柳仁士です。
これまで、私、何度かこの場に立たせていただきまして、岸田元総理に質問をさせていただいた際に、こちらの与党の席から様々なやじをいただきました。そのときに、ちょっと後ろの方から、いや、それはそのとおりだろうとぼそっとつぶやく声が聞こえまして、誰かなと思って後で確認したら、石破総理でした。
本当に、この方は自民党におられながら、やはり御自身の意見を国民目線で言う方なんだなと思っていたんですが、これまでの答弁を聞いておりまして、残念ながら、そういった姿勢がだんだんなくなってきているのかなと、少し残念な気持ちでおります。
午前中の小野寺委員の質問の答弁の中で、政治改革について、総理はこうおっしゃいました。議会の場というのは、この場だけで決めればよいのではなくて、主権者である有権者の皆様、あるいは有権者ではなくても国民の皆様方に、いかにして納得をいただくかということが極めて大事なのだということをおっしゃっておりました。全くそのとおりだと私は強く賛同いたします。
永田町の論理、あるいは我々国会議員が、国会議員の中での常識で正しいかどうか、法的に正しいかどうかというだけではなくて、やはり、今日テレビも御覧になっていると思いますが、国民の皆さんから見て、これは納得できるものなのか。その視点を我々は持って法案を審議し、予算を検討し、そしてそれらを決定していくということが非常に重要だと私も同じように思いますが、従来から総理が持っておられた、個人として持っておられた国民目線の姿勢、これは先ほどの発言どおり、総理になっても変わっていないということで、ちょっと短く確認させていただけますでしょうか。
○石破内閣総理大臣 それは変わっておりません。
ただし、党をお預かりする立場として、自分の思いどおりに全て動かす、そのような党運営を我が党はいたしておりませんので、あくまで自由で民主的な自由民主党の総裁として、自分の考えを全て押しつけるとか、そのようなことをするつもりもございませんが、思いが変わることはございません。
○青柳(仁)委員 是非、石破総理の思いで自民党を変えていただきたいなと私は個人的には思います。
そして、午前中の山下委員の発言の中で、前回の総選挙の際に二千万円が、いわゆる不記載、いわゆる裏金事件で対象となった方々のところに振り込まれたということについて、石破総理はこうお答えになりました。合法だとしても、世の中にどう見えますかということが大事だ、もう一度そこは謙虚に反省しなければならない。まさに今申し上げたとおりです。法的に正しいかどうかではなくて、やはり国民の皆さんから見て適切なのかどうか、これが非常に重要だということを今日もおっしゃっておりますので、私はその言葉を信じたいなと思います。
そして、そういった観点で考えた際に、昨年の国会で、政策活動費についての議論がありました。これは我が党も国民の皆さんから大きなお叱りをいただきました。これは真摯に受け止めて反省をしたいと思っております。
我が党としては、少し前の話になりますが、自民党案では項目しか公開しないという話だったんです。ですから、今まで、例えば個人の名前があって、そこに渡し切りのお金を上げたらそこから先の領収書は公開しなくていい、ただそれを総務省の定める項目にすればいいという話に、今の現行の法律もそうなっています。それは、個人の名前が何とか広報費とか何とか製作費とかという名前へ変わるだけで、結局何も分からない。だから、維新としては領収書の公開にこだわったんです。領収書を何とか公開できないか。
そのときは、では、どんな条件をつければいいのかという中で、十年後であれば公開できるというような話で妥結をしてしまったんですが、それ自体が国民の皆さんの理解を得られるものではなかったということ。
そこをしっかりと我々はもう一度考え直さなければならないですし、そして、維新の会は、ほかの政党、野党とは、野党の一部はやっていると思いますが、我々は結党以来、やはり政治改革に関すること、そして国会議員の、あるいは議員の身分に関することに関しては、法案を提出したらその法案どおりに、まだ可決していなくても実行するということをやってまいりましたので、そうした法案を提出することに組織内としてのちゅうちょがあったことも、これは事実だろうと思います。
ですから、その点はしっかり反省をして、国民目線で、これはちゃんとした改革をやっているんだということを堂々と今国会からはやっていきたいと思います。ちょうど三日前に新体制が発足しまして、新しい体制の下でそのような政治をこの国会でやっていこうと維新の会は考えております。
そういった中で、さきの臨時国会で、政策活動費に関しては、渡し切りで個人に渡したお金というのはその先の領収書は一切公開しなくていいという、今の政治資金規正法上の渡し切りの支出を一切の条件をつけずに全て廃止をするという法案を単独で出させていただきました。そして、それとほとんど同じ内容になっておりましたので、昨日、れいわ新選組を除く、政党でいいますと野党七党共同で提出をさせていただきました。
ですから、こういった反省に基づいて、やはり私は自民党さんも一緒に反省した方がいいんじゃないかと思うんです、我々維新の会と一緒に。前回の国会の議論は、やはり国民の皆さんの理解を得られるものじゃなかった。前回の国会で成立した政治資金規正法は、国民の皆さんから見たら、やはりちょっと落第点だということだと思います。
今回我々が提出した、野党七党で提出した法案は、これは私、及第点だと思いますよ。これは何も一切の条件をつけていませんから。是非、自民党にも賛成していただきたい。
これから政治改革特別委員会、しっかり開いていただいて、先ほど、総理、議論の頻度が重要だと言っていました。是非、頻度をたくさんやっていただいて、年末までに理解を得ていただきたい、結論を得ていただきたいと思いますけれども、総理に、これは済みません、時間の問題で聞きませんが、そのようにお願いしたいと思います。
それで、内容について聞かせていただきます。
政策活動費に関しては、ただ、自民党案というのを昨日見させていただきました。我々の案と自民党案というのは、基本的な骨格は一緒なんです。政策活動費の廃止、政治団体の経費の支出は当該政治団体の役職員又は構成員に対する渡し切りの方法によってはすることができないようにするということなんです。
先ほど来から、総理は、いや、政策活動費は我が党も廃止なんだ、こうおっしゃっておりますね。ところが、自民党案と我々野党案とで違うところが一か所だけあります。何かといえば、政治団体と書いてあるところの後に括弧書きが書いてあります、自民党案には。政党本部及び支部並びに国会議員関係団体に限る、括弧閉じとあるんです。
これは何で限る必要があるんですか。これを限ったら、渡し切りの支出を、では、政党支部からどこかの政治団体に、国民政治協会ですか、お金を移したら、そこから先の渡し切りはこれまでどおり政策活動費になっちゃうじゃないですか。
いかがですか、総理。
○石破内閣総理大臣 ですから、それは我が党として、我が党の案を提出させていただきました。御党と違うところはございます。今御指摘のようなものでございます。ではそれがどうなのかということをこれから協議会で御議論いただき、最終的には法律として政治改革委員会で御議論いただくことになるのだろうと思っております。
私自身、その内容を全部承知をしているわけではございませんので、ここで断定的なことを申し上げるつもりはございません。ただ、そういうように、政策活動費という名前の下に、何に使われるか訳が分かりません、誰もそれをチェックできませんというようなことは全廃していかねばならないと私どもは思っておるところでございます。
そういうような御疑念がおありだとすれば、もちろんおありなのでしょう、それは委員会の場あるいは各党協議の場で御指摘をいただき、御議論いただきたいと思っております。
○青柳(仁)委員 これは総理が答えていただかないと。
そうしたら、お願いしたいのは、今日、国民の皆さんはテレビで見ております。国民の皆さんの見ている前でしっかりとやはり説明していただきたいんですけれども、もし今日お答えがないというのであれば。
これは、政党本部及び支部並びに国会議員関係団体に限る必要は、我々野党はないと思っております。絶対にないと思っております。だって、これがあったら、お金を移したら無限にいけるんですよ。
これは事実として言っておきますけれども、政治団体をつくるのは無限に、何個でもつくれます、誰でもつくれます。ここで言っているのは、限っていますから。政治団体から個人に渡し切りのお金を渡したとしても、それは政策活動費と同じように、そこから先の支出を出す必要はありません。政治団体に対して政党本部がお金を送金すること、渡すこと、これはできます。上限の範囲内であれば無限にできます。だから、これはもう幾らでも抜け穴ができるんですよ。
ですから、ここをしっかり認識していただいて、今の自民党案は抜け穴だらけです、明らかです。この括弧書きを是非取っていただきたい、このようにお願いしたい。
それから、先ほど我が党の幹事長の岩谷議員の質問に答えておりましたが、要配慮支出というのも、何かまた新しいスキームをつくっているんですね。これは三つぐらい項目があるんですけれども、そのうちの一つに、公開することにより国の安全、外交上の秘密その他の国の重大な利益を害するおそれがある支出とあるんです。
まず申し上げたいのは、我々は領収書の要らないブラックボックスのお金をなくそうと言っているわけじゃないですか。今までずっとそれをやってきたんじゃないですか。何で新しくそういうスキームをつくろうとするのか。これは政策活動費じゃありませんとか言うんですけれども、いや、我々は政策活動費を廃止しようとしているんじゃないんです、領収書の要らない不透明なお金をなくそうとしているんです。なぜその新しいスキームをつくるんですか。これは全く訳が分からない。
それから、外交上の秘密その他の国の重大な利益を害するおそれがある支出。私、野党第二党の日本維新の会の国際局長として、今は政務調査会長を拝命いたしましたが、国際局長としてこれまで三年間、様々な各国の要人と党として様々な議論をしてきましたが、こういうお金が必要だったことはありません。
前回の議論、前回の与野党の協議でも、何か、誰とどこでどんな話をしたかも全部公開するんですかとかという意見があったんですけれども、我々が言っているのは、領収書を公開すると言っている。領収書のどこに誰と会ったかと書くんですか。何なら、こっちが誰だったかすら書かないじゃないですか。何で領収書が出せないんですか。まず全然分からない。
それから、与党ならなおさら、それは政府としてやることなんじゃないんですか。政府として、官房機密費を使ってやったらいいんじゃないですか。
我々は、少なくとも、要配慮支出としてこんな新しいブラックボックスをこういうもっともらしい理由でつくろうとする自民党の姿勢が、先ほども言ったとおり、国民の皆さんから見て理解されないと思いますけれども、いかがですか。
○石破内閣総理大臣 これは、今政調会長御指摘のような点を是非とも議論していただきたいと思っています。
私どもは、今委員が御指摘のような、そういうすぐ分かるような、そんな小細工は弄しません。そのようなことを考えるつもりは……(発言する者あり)いや、だから、そういうふうにして決めつけないでください。
少なくとも、この議論に参加をしている私どもの党の同志は、本当に真剣にこの話を突き詰めて考えてまいって、この案を提案しているものでございます。
仮にそういうことがあったとしても、我が党の案でいけば、国会内に設けられる第三者機関によって厳格な監査を受けることになります。そこの委員は、別にそのときの政権党が任命をするものでもございません。そこはそれぞれの党からの推薦に基づいて決めるということを、私どもの案としては提案をさせていただいております。もし今委員御指摘のようなことがあるとすれば、この監査が通るはずがない。私たちはそんないいかげんなものを提案をしていないし、そんなものを皆様方がお認めになるとは思っていない。
そのためにこういうことを提案をしているのであって、また、維新の会の国際局長がどのようなお仕事をなさったか、私はつまびらかには存じません。ただ、私どもとして、いろいろな交渉もいたしてまいりました。場所だけで分かっちゃうことというのはあります。何月何日にということがあるとすれば、あるいは場所がどこであるとすれば、その道のプロが見れば分かります。そういうことが適当であるかどうかというのを判断いただくのが監査機関というものでございまして、私どもとしては、そういうようないいかげんなことをいたすつもりは全くございません。
○青柳(仁)委員 領収書の公開ができないというのはどういうことなんですかね。
だから、もっともらしい理由でそういうこと、新しいブラックボックスをつくろうという話じゃないですか、簡単に言えば、これは。そういう姿勢が理解されないと言っているんです。だから、そこはもう一度、私の指摘したポイントを真摯に聞いていただきたい、すぐにそれに反発するんじゃなくて。
それから、今、監査を受けるとおっしゃいましたが、その監査というのは、この自民党案の中にあるいわゆる政治資金委員会、括弧仮というものですよね。これは、石破総理、先ほど来からずっと政治資金規正法の第一条、第二条に書かれている趣旨のことをおっしゃっていますよね。何と書いてあるかといえば、政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするということなんですよ。
ところが、この政治資金委員会のところに、自民党案には、総務省に提出しないと書いてあるんですよ。国会内で国民が見る機会はないんです。国民の不断の監視と批判の下にさらされることはないんですけれども、その点についてどう思われますか。
○石破内閣総理大臣 これは全て、権限の淵源は国政調査権に基づくものでございます。国政調査権に基づいてやります以上、それは国民の代表者たる国会、そこが有する国政調査権に権限の淵源は全てございますので、国民の目に全く触れないというものではございません。
総務省に出すよりも、国会のそういう監視の下に置く方がよほど透明性は増すものと考えておりますし、いいかげんなことを許すような機関になるとは私は全く思っておりません。
○青柳(仁)委員 だから、国民が見る機会はないんです、自民党案では。それは事実です。(発言する者あり)そんなことはあります。ちゃんと読んでください。自分たちの作った案ですから、しっかり読んでください。国民が見る機会はありません。
そのときに、本当に国民の不断の監視になるのか。いや、選ばれた人たちが見ればいいんだ、国会議員が見れば大丈夫なんだ、それを信じていないから政治不信が起きているんじゃないですか。それを起こしたのは誰なんですか。いわゆる裏金問題で政治不信となっているときに、もう一回我々が見るから信じてくれ、これが国民の皆さんから見て全然納得がいかないんですよ。そういう感覚がおかしいとまず私は申し上げているんです。
それから、企業・団体献金にちょっと移らせていただきますけれども、総理は、企業・団体献金で政策がゆがんでいるとは思わないとおっしゃっていましたね。ということは、もし企業・団体献金で政策がゆがんでいるとしたら、岸田総理は、ゆがむことはあってはならないと私との質疑で何度もおっしゃっていました。ゆがんでいるとしたら、それはやはり問題があるというふうに思いますか。
○石破内閣総理大臣 それは、ゆがんでいることがあるとすれば問題に決まっているのであって、そんなことはないなどという、日本語にならないような答弁を私はいたしません。
○青柳(仁)委員 だとすれば、ここが争点なんです。我が党と自民党の企業・団体献金に関する違いというのは、我が党は企業・団体献金がこの日本の政策をゆがめていると思っているんです。自民党はゆがめていないと言っているんです。そこが争点なんです。まずそこを申し上げたい。
その上で、例えば、今年の二月十八日の朝日新聞のアンケート調査には、自民党の政党支部への献金企業にアンケートした結果、半数以上が国又は地方公共団体と直接若しくは間接的な取引のある業者でした。
そして、先ほど、立憲民主党の大西議員への質疑の答えで、石破総理はこんなことをおっしゃいました。営利企業、営利団体である企業が利益を全く考えずに寄附をすることはないと。
これはおかしいですよ。利益を全く考えずに寄附をすることはないんですよね。利益を考えながら国又は地方公共団体と直接若しくは間接的な取引のある業者が寄附するというのは、それは何らかの利益を求めてやっているんじゃないですか。それを与えているんじゃないですか。
ちょっと今、パネルをもう一つ例として挙げさせていただきます。
ちょっと医師会ばかり出して申し訳ないんですけれども、医師会の献金、例として出させていただきますが、令和四年の実績でいいますと、自民党に、こういう様々なスキームを使って、合計で六・一億円入っております。個人名は言いませんが、医師会が組織内候補として自民党でやられている方個人に、何と一・八億円も入っているということであります。この方は以前まで大臣をされておりましたけれども、まずこういった献金があります。
その上で、この献金が行われた年に、医師会側の方は、こういうふうに書いてあるんです。全国の医師連盟の結束でプラス改定をかち取る、診療報酬部分プラス〇・八八%が実現。献金の成果ですね。こういうお金を出して要望をして、そしてかなったらこういうふうに、献金をしてくれたこの団体の構成員の方々にこういうニュースでお知らせしているんですよ。
これはほとんどの、これは別に、医師会ばかりで申し訳ないんですが、ほかの企業、団体、同じことをやっていますよ。同じことをやっています。ですから、出し手の側が何も見返りを求めずにやっているわけがないじゃないですか、総理がおっしゃるとおり。だって、営利団体である企業が利益を全く考えずに寄附をすることはないと、さっきおっしゃっていました。そのとおりですよ。
では、その見返りを与えたことは本当に一度もないんですか。本当に彼らの要望、陳情に対して、与えているわけですけれども、自民党は一切配慮をしたことがないんですか。逆にそうだったら私は驚きますね。六・一億円もお金をもらっておきながら、何の配慮もしないんですか。それはそれで人としてどうかと思いますよ。
ちょっとその辺、お答えいただけますか。
○石破内閣総理大臣 それは、そういうものを頂戴したからこういうような利益を計らいますみたいなことはしません。
そもそも、先ほど来、何か医師会ばかり取り上げていらっしゃいますが、医師会は別に利益団体ではないわけでして、医療の公益性というのはきちんと法律によって位置づけられておるものでございます。それがまるで、あたかも医師会が自分たちの利益を得るために献金をして、自民党がそれに向けて、それを対価として利益の実現を図っているというのは、それは事実と反するものでございます。それが公益法人として、あるいは公益の団体として、例えば国民皆保険の維持とかそういうもののためにどれだけの努力をしているかということを私どもは認識をしながら、政策を遂行してきているものでございます。
それは決めつけというものであって、私どもはそういうような牽連性を持って政策を判断したことはございません。
○青柳(仁)委員 ちょっと質問にお答えいただきたいんです。
私が聞いたのは、本当に六・一億円ももらっておいて何の配慮もしていないんですかと聞いたんですよ。もし、今のお答えが、いや、それは配慮していないです、そういうお金はないんですというようなことをおっしゃっていましたけれども、だったら企業・団体献金は要らないじゃないですか。なくてもいいじゃないですか。では、皆さんに言ってくださいよ。幾らお金をもらっても自民党は何にも配慮しませんよ、いいですか、それでもいい人たちだけお金を下さい、そう言ってやってくださいよ。これは何かやはりおかしいと思いますよ。
そういう、ゆがんでいないとか、いずれにしましても、今の例もちょっと出させてもらいましたけれども、これは本当に一例です。午前中もいろいろな方が指摘していましたが、争点は、ゆがんでいるのかいないのかなんです。そこなんです。我々の認識は、ゆがんでいるということです。自民党の認識は、そうでないということ。私はその点をしっかりと証明したいと思っています。
最後に、ちょっと時間がなくなってきましたが、社会保険料、社会保障のことをちょっと取り上げたいと思うんです。
我が党は、年収の壁の引上げには賛成の方針です。これは何でかというと、やはり今までの自民党の政治のやり方というのは、国民の皆さんを苦しめていると思うんですよ。やはり、賃金はこの三十年間ずっと上がらない、一・一%ぐらい。なのに、ずっと国民負担率ばかり上がってきて、もう五〇%ぐらいになっている、迫ろうという勢い。だから、手取りがどんどん減っているのに、また物価高の中で、生活水準は下がりますよね。
今年の補正予算もそうですけれども、またその補正予算で毎年毎年ばらまく。しかし、ばらまき先は住民税非課税世帯とか、本当に一部の人たちに何度も厚塗りしているだけだ。あるいは、業界団体にお金を入れ続けているだけだ。エネルギー価格高騰対策といいながら、個々人の方には行かずに、企業の方にばかり、団体の方にばかり、まさに企業・団体献金をくれている方にばかり出している。こういうことをやってきたから、だから、今国民の皆さんが手取りが少なくて困っているんですよ。だから、ここをしっかりまずは打破していかなきゃいけないと思うんです。
そのときに、どこか一点で突破して、それを全面展開していくということをやはり考えなきゃいけないと我々は思っていまして、それが百三万円の壁とかなんとかでもいいんですが、我々はやはり社会保険料を下げていくというところが本丸だと思っています。
百三万円の壁というのは、百四万円になっても一万円分。百三万円までの課税が変わるわけじゃないんです、百四万円までの一万円の部分だけが、伸びる率がちょっと下がるだけです。でも、百六万円、百三十万円の壁というのは、そこを超えると手取りそのものが減ってしまいます。ですから、そういう壁がなくなるように、本当は社会保険料そのものを下げていく、そういった壁をなくしていく、こういうことが重要だと思っております。
我々が戦わなきゃいけないのは、そういった百三万円の壁というよりも、こういう仕組みをつくってきて国民を苦しめている、何が一番壁になっているのかといったら、自民党なんですよ。自民党の政治が壁になっているんです。これは自民党の壁なんですよ。だから、我々は、そういう壁を取っ払っていくような、そういう改革を行っていきたいと思います。
最後に質問しますが、社会保険料を下げることでも手取りは上がります。そういった方向性で我々は、維新の会は打ち出しをしていこうと思いますが、総理のその点についてのお考え、お聞かせいただけますでしょうか。
○石破内閣総理大臣 それは、人口が減っていく、高齢化が進む、若年層が減る中において、どうやって医療であり年金でありという社会保障制度がサステーナブルなものになるかということが一番大事だというふうに思っております。誰が得をするとか損をするとかいう話ではなくて、そういう制度がきちんとサステーナブルなものになるということに資するものでなければ、政策として意味はございません。
先ほど委員が、自民党がそういうことをやっている、証明するとおっしゃいました。本当に証明できますか。私どもはそのようなことをやったことはございません。言葉はよく気をつけてお互い使いたいものだと思っております。
○青柳(仁)委員 お互いに気をつけてやりましょう。私はしっかり確認した上でここに来ていますので。
総理も、先ほど来から私の質問にしっかり答えていない部分があります。先ほど来から向こうから聞こえてくるやじも、しっかり御自身の、自党の出した案をちゃんと理解してからやじるなり答えるなりしていただきたいと私は思います。
今のお答えを聞いて、社会保険料、これはどんどんどんどん毎年上がっていて、今の現役世代、若者世代は本当に困っております。この社会保険の壁をなくしていく、これを下げていく、そういうおつもりは少なくとも現在の石破総理にはないということははっきりと分かりました。
今後の質疑を通して、しっかりと我が党の考え、これからも訴え続けたいと思います。
以上、終わります。ありがとうございました。
○安住委員長 これにて岩谷君、青柳君の質疑は終了いたしました。
次に、古川元久君。
○古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。
まず総理、昨日で石橋湛山内閣の在職期間六十五日に並ばれました。おめでとうございます。
湛山は志半ばで体調を崩して、短期間での退陣を余儀なくされました。総理も御就任以来、休みも取らずに職務に邁進しておられますけれども、総理という職責の重さ、そして重圧、これがいかに大きいかというのは、私も官邸で、官房副長官で、総理を身近で見てまいりましたので、その大変さというのは、これは総理にならないと分からないと思いますけれども、周りで見ていても本当にこれは大変だなというふうに感じましたので、それは本当に少しは私もその大変さを分かっているつもりでありますけれども。ちょっとお疲れのところも最近見られるようなところがありましたが、今日は、こういう感じだとお元気に見えますけれども、是非、体調管理には十分注意していただいて、今本当に内外共に大変に大きな転換期であります。しっかり職務に専念できるように、体調管理には十分気をつけていただきたいと思います。
その上で、石橋湛山の話をちょっと最初に申し上げたいと思いますけれども、湛山没後五十年を迎えた昨年、今こそ石橋湛山の考え方、これに学ぶことが必要だという思いから、超党派石橋湛山研究会を立ち上げまして、そこに座っている岩屋外務大臣と、そして立憲民主党の篠原孝議員と私の三人が共同代表という形で、この研究会を発足させました。総理にも初回から熱心に御参加いただいておりますし、あちらに座っている村上大臣も常に出てきていただいて、御発言もいただいております。
総理は、さきの施政方針演説でも、冒頭とそして最後のところで湛山の施政方針演説の一節に触れて、こうしたことからも総理の湛山に対する思いの深さの一端というものを私は見た思いがいたしました。
私は、今の時代、やはり石橋湛山のような考え方にのっとった政治を行うことが必要ではないかというふうに考えています。私の理解する湛山は、何よりも経世済民、経済、国民の暮らし向き、これを何よりも大事に考えた。その上で、独立自尊と、そして寛容、そして現実主義、これを旨とする、そうした人だったというふうに思います。
総理はどういう思いで、この石橋湛山、尊敬もされておられるようですし、そうした言葉も使われたのか。総理の石橋湛山に対する思いについて、まず伺いたいと思います。
○石破内閣総理大臣 たった六十五日の在任でございました。私はその間に生まれているという大変妙な巡り合わせでございます。また、本会議で紹介しました、これは岸副総理の代読でございましたが、あの演説がなされた日というのは私が生まれた日だったりいたしまして、妙な因縁というのか、感じたりしております。
私は本当に、小日本主義とか、あるいは外交は功利的であるべきだ、それは何となく日本人のプライドからいって、外交って功利的なの、日本は小さくあるべきなの、一瞬何だか違和感を持って接するのですが、きちんと読んでみると、なるほどそうだなというふうに思っております。身の丈に合ったというのはとても大事なことだと思っておりますし、そのときさえよければいいのではない。ウィン・ウィンなぞという言葉を使ってはいけないのかもしれませんが、商売というのはそういうものであって、外交はすべからくそうあらねばならないということだと思っております。
そして、財政というのは、単に単に倹約すればそれでいいというものではない。まさしく経世済民という考え方を体現したのが石橋湛山という人であり、短い任期ではあったけれども、それは大きな業績を上げた内閣だったと思っております。
○古川(元)委員 私も、石橋湛山の小日本主義というのは、何か言葉で聞くと非常に内向きですけれども、実はそうじゃなくて、やはり経世済民、国民の経済、暮らしというのを考えたら、むしろ、ああいう帝国主義のような形で植民地にするよりも、それぞれの民族に独立してもらって、そういう国と交易をした方が結果的に国民の暮らしも豊かになる、そうしたところから小日本主義というものも提案されたんだ、提言されたんだと思います。
そういった意味では、今本当に世界が自由貿易の在り方自体もまた問われているような状況の中にあって、やはり湛山の考え方はすごい大事だと思いますし、また、総理のところにも多分、研究会の皆さんにはコピーを配らせていただいたと思いますけれども、湛山が好んで使っていた、和して同ぜずという言葉ですね。晩年に書かれたものを、色紙をコピーして、参加者の皆さん方にはお配りをさせていただいて、私も会館に飾っておりますけれども。
いろいろな考え方、違いは違いとしてある。でも、それを排除するんじゃなくて、こうしたものをちゃんと議論していく、和して同ぜずという。それは総理が所信でも述べられたような、きちんと議論して、そうして合意を目指していきましょう、そういう姿勢ともつながるんじゃないかと思います。今の政治状況の中でも非常に大事なことだと思うんですね。
そういった意味では、是非、私は、湛山の考え方というものを我々はもう一度今のこの時代で学んでいく必要、そこから、じゃ、今、湛山だったらどうなのかということを考えていくことが非常に大事じゃないかと思うんですね。
その意味で、次の、今なぜ湛山かというところでいうと、私は、今の日本や世界の状況が、湛山が活躍していたそうした時代と、かなり似ているところがあるというふうに考えています。
私は二十年ぐらい前から、今の世界というのは百年前の世界とよく似てきているんじゃないかという認識を持って、この二十年余り、世界で起きてきたことを観察してまいりましたが、いろいろなことが本当に何かよく似ているなというのを最近つくづく感じます。
例えば、資本主義の在り方。前の岸田政権のときから、新しい資本主義なんという、そういうことも言われていますけれども。資本主義の在り方が問われたのは、実は百年前も問われていたんですね。それに対する回答の一つが、まさに共産主義という、そういう考え方でもありました。
また、格差の問題ですね。格差論で有名なトマ・ピケティは、十年ほど前に「二十一世紀の資本」という本の中で、かつて格差が最も大きくなったのは二度の大戦の前、ちょうど百年前のこと、二十一世紀に入ってそれを超える格差拡大が起きているというふうに指摘しているわけなんですけれども、まさにこの格差の問題も、言ってみれば百年前と似たような状況にある。
ですから、今の時代というのは、そういう意味で、私は、百年前とかなりいろいろなことが似てきていて、その歴史からちゃんと学んで今の時代というものを捉えていく必要があると思いますけれども、総理の今という時代についての時代認識は、どのような時代認識を持っておられるか、お教えいただけますか。
○石破内閣総理大臣 一緒に勉強させていただいて、委員と同じ認識を持つに至っております。
格差は間違いなく拡大はしているのだということ、それはアメリカに比べればそうではないだろうと、それはそうなんですが、やはり格差は拡大している。一部の人に負担が及ぶ、集中する、そういう社会というのは私は間違いだと思っております。これが一つ。
もう一つは、偏った言説というものが流布されているということでございます。偏った言説が流布されて、それはSNSの影響もあるでしょう。要するに、違う立場の意見を聞かない、自分の立場のみが正しいのだ、そしてそういう人たちが集まって議論がどんどん拡大していくというのは、分断と格差の連鎖というのは決していい社会にならないと思っております。それが、日本のみならず、ほかの国にも伝播しているのではないか。
そして、内政のいろいろなひずみというようなものを他国のせいに転嫁するというものは、それは外交の姿勢としてあってはならないのですが、そういう誘惑に駆られることがあってはならないし、もしそういう国が周りにありとせば、私どもは来年は昭和百年でもございますが、我が国の失敗というものも、我々が認識するとともに他国とも共有することは大事なことだと私は思っております。
○古川(元)委員 百年前、そうした資本主義の暴走や格差の拡大というものが結果的に社会の分断につながって、今総理もちょっと触れられた極左とか極右のそういう言説に、どうしても日頃の、目の前の暮らしが厳しくなる、その不満というものをどこにぶつけるかということで、そうしたものがとんがってきて、それがまさに百年前は、それこそ共産主義で、ロシア革命とかそういう革命が起きたりとか、またファシズムが生まれたり、それが最終的には戦争というものに至ったわけですよね。
ピケティなんかも指摘しているんですけれども、実は、二度の大戦によって格差が大きく是正された。戦争というのは全てを破壊するので、持てる者が失うものが大きいので、だから、実は戦争というのはドラスチックな格差是正、そうした一面もあるんですね。
その二度の大戦によって格差が縮小したところから戦後始まって、今二十一世紀、それを超えるような格差になっている。
私は、この格差が拡大している状況の中で、今までの世界は、特に、日本はデフレ、ほかの先進国はディスインフレの状況でした。この間もピケティが指摘しているような格差があったんだけれども、デフレやあるいはディスインフレの状況だと、なかなか余り格差というものが顕在化していなかった。しかし、ここのところインフレに転じることによって、実際に存在していた格差のところで、非常に苦しい生活になってきている人たちが増えてきている。
やはり、そういうことが、実は、私は、今の日本の状況、そして、さきの総選挙で私たち国民民主党は躍進をさせていただきました。私たちは、今の国民の皆さんの相当厳しい状況を踏まえて、手取りを増やす経済政策を今こそやらなきゃいけないということを訴えてきた。その私たちの認識の背景には、やはりそういうインフレの状況になってきて、潜在化していた日本の中の格差の中で、厳しい人たちの暮らしは厳しくなってきている。やはりそういうところ。
これは、だから、実は、やはり気をつけないと、百年前と同じような状況に陥っていく、そういうリスクも高まっているんじゃないかというふうに思っていますが、総理、いかがですか。
○石破内閣総理大臣 認識は全く一緒です。
私は、何であのナチズムというものが最も民主的と言われるワイマール体制の下で起こったのかということ、やはりそれは、人類史上最大のインフレというのは第一次世界大戦後のドイツだったと習いました。そうなんだろうと。経済的な格差、経済的困窮というものはそういう思想を生むのであるし、そういうものが民主主義を破壊させていくのだという歴史の教訓は、私は今も生きているんだろうと思います。
どう考えても、これは、今、維新の議員をしておられる猪瀬直樹さんが「昭和十六年夏の敗戦」という本を書いておられるけれども、どうして、じゃ、あらゆる指標において圧倒的に差があるアメリカと日本は戦争を始めたんだと。後から考えればそんなことはおかしいじゃないかというんだけれども、もうすぐ十二月八日になりますが、もし昭和十六年十二月八日に世論調査があったとせば、圧倒的多数が日米開戦を支持したはずなんです。
私は、そういう人間の本質というのは余り変わっていなくて、常に常にそれを反省し研究する真摯さは一政治家として持っておりたいといつも考えておるところでございます。
○古川(元)委員 やはり、目の前の、本当に今日の生活にも苦しんでいる人からしたら、何かにすがりたいという気持ちはすごくあるんだと思うんです。
今、ドイツの話をされましたけれども、私は、この前のアメリカの大統領選挙の結果を見て、ある種、ちょっとかつてのそこに似たような危惧感も感じたところがあるんです。
何かというと、マクロの数字で見ると今のアメリカの経済は絶好調です。しかし、アメリカというのは元々格差が非常に大きい。そういう中であれだけのインフレ率になれば、当然、目の前の暮らしが厳しい人たちの生活は本当に大変な状況になっているはずなんですね。ところが、そういうのってやはりマクロの数字ではなかなか見えてこないんですよ。だから、マクロだけ見ていたら、何で今の政権が、ハリスが負けるのかというような、そういう数字です。
しかし、そういうアメリカの格差社会の中を見てみれば、本当に厳しい人たちがいて、そういう人たちから見たら、セレブが応援しているというのは、それは俺たちの生活と全然違うじゃないかと。その辺の感覚が、特に激戦州と言われるようなところは、元々製造業が中心の州で、また所得の低い人たちが多いところ。そういうところの、余り表の数字に表れないけれども非常に暮らしが厳しいという人たちがトランプ次期大統領を支持した、やはりそういう背景にもあるんじゃないかと思うんです。
ですから、そういった意味で、今の経済状況をどう認識するかということは、やはり今後の国の在り方を考える上で極めて大事なことだと思っています。ですから、その意味で、ちょっと次に、今の日本の経済状況についての認識についてお伺いしたいと思います。
私たち国民民主党は、今の日本経済というのは、物価上昇とそれを超える賃金上昇が実現して、それが持続的に継続していくという経済の好循環ですね、こうした好循環へと進んでいくのか、あるいは再びデフレに逆戻りするのか、その分岐点にあるというふうに思っています。
特に、足下、賃金上昇が物価上昇に追いつかない中で、実質賃金が減る状況が続いています。また、年金支給額は全く物価上昇に追いついていませんから、多くの年金生活者の皆さん方の生活は苦しくなっている。
そういう中で、だんだん消費者の節約志向が強まっておりまして、今、だんだんいろいろなところで値引きセールというのが始まり出しました。
やはり、こういう状況を放置しておきますと、まだ大手ぐらいが値引きしているうちはいいですよ。しかし、みんなそちらにお客さんが行ってしまうと、小さいところも損覚悟で値引きしないと売れないとなる。そうすると、値引きしたら、そこで働いている人たちの給料を上げられない。給料が上がらなければ、結局、消費も盛り上がらない。消費がよくなければ、また値引きしなければいけない。まさに、長い三十年のデフレスパイラルに陥るかもしれない。私は、足下だけ見たら、むしろ今の状況は、このまま放置しておくとデフレスパイラルにまた陥りかねない、そういうリスクが高まっているというふうに思っています。
だから、私たちはこうした考え方に立って、さきに政府の方で決めていただいた経済対策、この中には、私たちは自民党さんと公明党さんと三党協議をさせていただいて、その中で私たちが強く主張して、きちんと、これはやはり、今の状況というのは、好循環に進むか、あるいはデフレに逆戻りするか、その分岐点にある、そういう今の経済状況の認識を三党では確認をしたつもりであります。
ですから、やはりそこの認識というのは非常に、これから私たちが主張する、なぜ私たちが、今は手取りを増やす経済政策を実現しなきゃいけないかというのを言っているのは、やはりそういう今状況にあるからなんです。
こうした経済認識、これは総理も共有しているというふうに考えてよろしいですか。
○石破内閣総理大臣 認識は全く共有をいたします。
委員と私は八年ぐらい年が違うのかと思いますが、私どもが若い頃というのは、一九九四年ぐらいかしら、日本のGDPは世界第二位だ、そして世界全体のGDPの一八%を持っていた。今や四%。国際競争力というのは世界第一位だった。今は三十八位ぐらいでしょうか。これは何でこんなになっちゃったんだろうと。
人口も面積も三分の二のドイツになぜ抜かれたのかということを考えてみたときに、余り簡単に切って捨てるようなことは申しませんが、やはりドイツというのはメイド・イン・ジャーマニーにこだわるということ、安売りはしないということだと思っております。
そして、地方において中小企業というものをどうやって大事にして国際競争力を持たすべきかということで、産業構造そのものもかなり違っていると思っております。
私は、大安売りが駄目だと言うつもりはないんですけれども、大安売り閉店セール、何か何度も閉店している店もあるような気がせぬでもないのですが、大安売り閉店セールを続けている店が大繁盛してどんどん伸びたということは存じませんで、そうすると、そういうところがずっと続いていくかというと、そうではない。やはりそれは、リーズナブルな商品を提供する、開発する、それが日本全体に伝播することというのは大事なことではない。そこにおいて、誰かにしわ寄せが行くという経済であってはならないのだという認識を持っているところでありますので、また御教授を賜りたいと存じます。
○古川(元)委員 ちょっともう一度、そこのところは、今の総理の御答弁はいいんですけれども、ここは確認させていただきたいんですけれども、私がさっき申し上げたように、今、このままの状況だと、もう一度デフレに逆戻りしかねない。だから、我々が今なぜ、手取りを増やす経済政策、百三万の壁の話を始め、あるいはガソリン税の減税とか、あるいは電気代、ガス代の値下げとか言っているのは、これは、とにかく、まだ今、大企業を中心に春闘で賃上げがちょっと始まりましたけれども、しかし、まだ中小零細まで至っていない状況です。ですから、足下のところでまだ物価上昇に賃金上昇が追いついていないので。
ただ、民間の給料を政治で無理やり上げるというわけにもいきません。やはり、そこはちゃんと民間企業がもうかって、そして、特に持続的な賃上げができるためには、やはりもうかって、そして賃上げできるという状況をつくっていかなきゃいけない。
それまで、やはりちょっと、もう少し時間がかかるんですね。時間がかかる間、じゃ、今政治でできること、政策でできることは何かといったら、それは少しでも今国民の懐から出ていくものを減らす。だからこそ、減税とか、あるいは電気代とガス代とか、そういう生活に必要なものの値段を下げるとか、そういうことですよね。そういう政策をやっていかなきゃいけない。それをやらないとまたデフレに今戻るかもしれないという、かなりぎりぎりのそういう経済状況にあるという認識なんですけれども、その認識は共有していただいているということでいいですか。
○石破内閣総理大臣 おっしゃることには全て同意でございます。
○古川(元)委員 そう考えると、政府は、来年、二〇二五年度、プライマリーバランスの黒字化というのを財政健全化目標で立てていますけれども、こうした、今、総理、認識を共有するといったら、こういう状況の中で、来年度のプライマリーバランス黒字化という財政健全化目標にまだこだわりますか。今は、足下の財政収支均衡よりも、国民の経済、暮らし、やはりここを重視すべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
○石破内閣総理大臣 これは施政方針演説でも申し上げたかと思いますし、総選挙の際申し上げたことでございますが、経済あっての財政という考え方を私どもは今回貫いておるところでございます。
デフレマインドを払拭して成長型経済に移行できるかどうかというときの瀬戸際にございますので、もちろん二〇二五年度のPB黒字化というのは持っておるわけでございますが、逆に、これの移行というのを確実にするためにも、経済あっての財政という考え方でこれからの経済政策を実行してまいりたいと思っておるところでございます。
○古川(元)委員 確認ですが、では、そうしたら、来年度のPB黒字化にはこだわらないということですね。
○安住委員長 では、赤澤大臣、手短に。
○赤澤国務大臣 では、手短に申し上げますが、経済財政運営については、骨太方針の二〇二四において、財政健全化の旗を降ろさずこれまでの目標に取り組むことや、財政健全化の取組を後戻りさせない、さらに、他方で、現行の目標年度を定めた財政健全化目標により、状況に応じたマクロ経済政策の選択肢がゆがめられてはならないことが明記されており、我々は、やはり経済あっての財政だけれども、別に財政がないと言っているわけではありませんので、その辺はきちんとバランスを取りながら考えていきたいというふうに思っております。
○古川(元)委員 バランスはもちろん大事なんですけれども。
しかし、今の足下のところの状況、さっき総理は私との間で、またデフレに逆戻りするかもしれないという状況を考えたら来年のPB黒字化という目標にはこだわらないということで、ちゃんとはっきりした方がいいんじゃないですか。どうですか、これ。
○石破内閣総理大臣 何が何でも拘泥するとか固執するということを申し上げておるわけではございませんが、PB黒字化というこの旗、これまた抽象的な言い方になるんですけれども、それは常に念頭に置いていかねばならないし、経済あっての財政ということで経済を運営することによって、PB黒字化にも必ずこれはつながるという認識を持っておるところでございますので、この二つをセパレートして考えておるわけではございません。
○古川(元)委員 だから、私も、来年の黒字化というのにこだわるべきじゃないということを申し上げているんですよね。別に将来的にそこにこだわるなというわけじゃないですよ。だから、やはりそこのところは、今のところでちゃんとそこを、メッセージをしっかり出した方がいいんじゃないかと思うんです。
また湛山の話になりますけれども、湛山だったら、もし今、湛山が総理の立場にいたら、ここはやはり再びデフレに陥らないということを最優先に考えるんじゃないですか。
財政という、これはやはり、そろばん勘定は大事ですけれども、物価高で生活が苦しくなっている国民の感情、この国民感情を無視してそろばん勘定にこだわっても、結局は、最終的にはそろばん勘定がうまくいかなくなるんです。それは、この三十年間の、財務省はずっと言っていましたけれども、PB黒字化と。しかし、借金はどんどん増えるばかりで、やはり、ちゃんとここは、そういう三十年間の失敗からそろそろ財務省は学ばないと、同じことを言っていたって、財政もよくならなければ、財政赤字も何にも減ってもいない、増えているばかりなんです。
やはり、総理も言われましたけれども、経済あっての財政。角を矯めて牛を殺すようになっちゃ駄目なんですよ、これは。本当に今、私は、日本経済、いい方向に行くか、あるいはまたデフレに逆戻りするかという本当に分岐点だと思います。だから、ここのところは、しっかりちゃんと、そこは国民生活を大事にするんだ、二度とデフレには逆戻りさせないんだという強い意思を示していただきたいと思うんですよ。
総理、私は、では財政規律を全く無視していいかといったら、そんなことは思っていません。財政規律をちゃんと、無視はしないというメッセージ、これを出すことも大事だと思うんですね。でも、それは、PB黒字化を達成じゃなくて。
私たち国民民主党は以前から、経済財政の将来推計を客観的に行って統計をチェックする経済財政等将来推計委員会、これを国会に設置をするということを提案しています。こうした政府から独立した財政推計機関の設立というのは、後ろに林官房長官がいらっしゃいますけれども、一緒に超党派の議連でも、また民間の令和臨調というところも提言しています。
だから、財政の規律もちゃんと無視しないんだよということは、こういう独立した財政推計機関をつくったらいいんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○石破内閣総理大臣 もしその機関を国会に設けるとするならば、それは国会における御議論だと思っております。
私ども、それは委員御案内のとおり、経済財政諮問会議でそういう議論をしておるところでございまして、私、先般も、非常に面白く経済財政諮問会議の議論は聞きました。
そこにおいて、財政規律のみを重んずるのであれば、それは緊縮財政をずっとやればいいわけであって、そうではないのだということだと思っております。今はデフレから脱却できるかどうかの分岐点であるというのはそのとおりですが、一歩間違うとスタグフレーションになりかねないので、そこは気をつけていかねばならないと思っております。
いかにして消費を増やすかということ、つまり、GDPの過半は個人消費が占めておりますので、いかにして、今までは、雇用は確保するから給料は上がらないけれども我慢してねとか、下請の皆さん、何とか共存でやっていきましょう、でも十分なお金は払えないけれども我慢してねとか、あるいは、付加価値を生み出す開発にお金はかけられないけれども我慢してねという、そういうような守りの経済というのを今変えていかないと、一番大事なのは成長なのであって、成長がやがてPBの黒字化に資するものだという考え方はきちんと堅持してまいりたいと思っております。
○古川(元)委員 そうなんですよ、総理。消費が大事なんです。だからこそ、消費を強めるためには手取りを増やさなきゃいけないんですよ。だからこそ、我々、少々国の懐が寒くなっても、痩せ細っても、国民の懐をちゃんと暖かくする、やはりそういう政策を取ることが大事だ。だからこそ、我々、百三万の壁の話を始めとして、手取りを増やす政策を実現しようということを強く訴えているんです。
是非これは、総理も、そこまでおっしゃるんですから、我々の主張に賛同していただいて、我々が提案する政策、しっかり受け止めて、実現していただきたいと思います。
では、最後にちょっと政治改革について伺います。
総理は、今日もいろいろな議論が出ていますけれども、平成の政治改革のときの旗手でしたよね。私も、総理の若い頃の、政治改革の議論でいろいろテレビにも出てくるし、大変鋭い総理の、一年生だったんじゃないかと思いますけれども、その頃の颯爽とした姿をよく覚えています。
ただ、今日の総理の答弁の中でもありましたけれども、平成元年にまとめられた自民党の政治改革大綱、これは今読んでも本当に立派なものだったと思います。もし、あの自民党の政治改革大綱が全てちゃんと実行に移されていれば、今日いろいろ問題になっていることのほとんどは、これは起きなかったんじゃないかと思うんですね。
ただ、今になって振り返ると、あの平成の政治改革、最初は、そうやっていろいろなことをちゃんと変えていこうというのが、何かいつの間にやら、その中の一部の、特に選挙制度改革、そこに政治家もそうだし世の中の関心も集中しちゃって、最後は、とにかく政治改革さえやれば、中選挙区が全ての諸悪の根源だ、これをなくして小選挙区中心の選挙制度にすれば全てよくなると。
その後、小泉さんのときなんかは、郵便局を民営化すれば何か全てよくなるみたいな、どうもそういう矮小化する議論がしばしば政治の世界であるんですけれども。
平成の政治改革も、いつの間にか、そこの選挙制度改革、その実現というところに全てのエネルギーとか熱気が集中してしまって、それが実現した途端に政治改革に対する熱というのが、政治家もそうだったし、あと世の中全体もしゅっとしぼんじゃって。本当は、やはりほかに議論すべき、まさに今日もいろいろ議論に出ている、企業・団体献金はどうするのかとか、そういうこともちゃんと議論して結論を出さなきゃいけなかったのに、そういうこと、やるべきことが、その議論がその後きちんと行われないで今に至ってきてしまったんじゃないかなと思うんですね。
総理が今になって平成の政治改革、御自分で振り返って総括するとすれば、どのように総括されますか。
○石破内閣総理大臣 あくまで一政治家として申し上げれば、委員御指摘のように、選挙制度改革に特化した、これさえ変えれば政治改革はうまくいくんだというふうに思い込んだというのか、そういう反省はございます。じゃ、これから先どうするんだということを今の立場で申し上げるべきでは決してございませんが、やはり、それさえ変えればうまくいくんだというところは、私自身、思慮を欠いたところがあったと思っております。
ただ、選挙制度を変えたことによって、間違いなく選挙にかかるお金は随分と減った。政治にかかるお金も減った。やはり全部マイナスの面だけで見てはいけません。
そしてまた、二世とかお金持ちとかタレントとか高級官僚とか、そういう方以外でも能力と意欲のある方がここにも大勢いらっしゃいますが、そういう方が出てこられるようになったことも事実だが、世襲の割合はちっとも減っていない。私は、世襲じゃなくても出られるようにする制度をつくることが世襲の最後の仕事だということを当時語り合ったことは、今も忘れることはございません。世の中には、不公平というものが一番よくないと思っております。
○古川(元)委員 私は、そこの今のところの、選ばれ方のところですると、これは、平成のときに、選挙制度を変えて、要するに、個人中心の選挙から政党中心にしよう、政党本位の政治にしようとしたわけですよね。だからこそ、政党に対して政党交付金も出す、そういうことを決めた。
ところが、その政党というのはどういうものなのかということの議論とか、ちゃんと、政党についての守らなきゃいけないガバナンスとか、ドイツなんかは政党法というのがあって、ちゃんと候補者を決める予備選挙のやり方も決まっているんです。そういうものがあれば、きちんと決めていれば、それこそ派閥なんというものはそもそもそこで消えていた。だから、今回の裏金の問題なんかも起きなかったはずです。
また、今総理が言われたような、二世ばかりとか、そういうふうに選ばれるような、形だけ予備選挙と言いながら事実上はもう決まっているような、そういう候補者の選定のされ方はされなかった。
だから、私は、例えば政党改革なんというのは、本来、ちゃんと選挙制度の改革とセットでやるべきところをやらなかった、やり残したことだと思うんです。
また、平成の政治改革というのは、特に、当時、首相公選制とか、そういうこともありましたから、総理のリーダーシップを強める、そのためのいろいろな、中央省庁再編とかいろいろな、そうした改革を行いました。
しかし、行政権のトップである総理のそういうリーダーシップを高めるのであれば、三権分立です、この立法権たる国会の機能強化、そうしたことも同時にやらなきゃいけなかった。だから、国会改革もちゃんとやらなきゃいけなかったんだけれども、行政権のそちらの方はやったけれども、国会のそうした機能強化とか、そうした国会改革はほとんど進まなかった。
やはり、これから今、いろいろな、もちろん、政治とお金の問題で、政治資金の問題はきちんとやらなきゃいけないですよ。しかし、そこだけでいいかといったら、やはり平成の、ちゃんと今あの一連の政治改革、何をやって何ができなかったのか、あるいはどこに問題があったのか。これは選挙制度もそうです。やはり今のままの選挙制度でいいとは思いません。やはりそうしたことをきちんと検証した上で議論していく、そうした必要があるんじゃないかと思います。
ですから、我々国民民主党は、まずは政治とお金の問題、この問題についてちゃんとけじめをつける、そして国民の皆さんの政治とお金の問題に対する不信感を払拭する、そのための政治資金改革、これをまずやらなきゃいけないと思っていますが。その後、その次には、政党法制定を中心とする政党改革や、あるいは国会の機能を強化する国会改革や、また選挙制度改革、こうしたものまで含めてちゃんとやらないと、平成と同じように、何か一つやったら終わりということではいけない。それが、全体をやって初めて令和の政治改革だと思っていますが。
総理がこれからの政治改革について、やるべきだと考えていることは何がありますか。
○石破内閣総理大臣 委員のおっしゃることは全てそのとおりでございます。
議院内閣制において、いかにして立法府の権限を強化するかというのは極めて大事なことであって、それは精神論だけ言っていても仕方がありません。
そして、我が党の平成二十四年憲法改正草案の中に、政党というのを位置づけました。それは、権力の介入というのは最大限排除されなければならない。しかし、その党が、どうやって代表を選び、財政はどうなり、どうやって意思決定がなされるのか。それは、我が党とほかの党は違いますよ。だけれども、それが主権者に分かるようにするというのは大事なことだと思っています。
全ては主権者目線、納税者目線で政治改革を論ぜねばならぬのであって、私の反省は、平成の政治改革はどうも選ばれる我々の理屈でやっちゃったんじゃないか、少なくとも自分自身はそういう反省を持っております。
ただ、それは、私の立場としてではなくて、我が党を始め皆様方の中で令和の政治改革はそういう視点を持っていただければありがたいなという、これは単なる願望でございますが、強い反省とともにそのように思っておるところでございます。
○安住委員長 時間ですから、端的に。
○古川(元)委員 はい。
我々国民民主党も、平成の政治改革の反省に立った令和の政治改革をしっかりやっていきたいと思っています。
最後に、総理始め五人の石橋湛山研究会のメンバーが入閣していて、この内閣は石橋湛山内閣とさえ言われているんです。どうか石橋湛山の名を汚さないように、そうした政治を行っていただきたいということを強くお願いして、質問を終わります。
どうもありがとうございました。
○安住委員長 これにて古川君の質疑は終了いたしました。
次に、河西宏一君。
○河西委員 公明党の河西宏一でございます。
石破政権下での最初の予算委員会でございます。私も与党の一員として、さきの総選挙で示された民意をしっかりと受け止めながら、反省また総括すべきはし、しっかりと今回の国会、熟議とまた建設的な議論を行ってまいりたい、このように思っているところでございます。
まず冒頭、能登の復旧復興についてお伺いをいたします。
先月の十九日の予算委員会の視察に私も行かせていただきました。また、我が党としては、発災以来、被災地ごとに担当の国会議員を決めまして、徹底して現場に入る、このような闘いをこれまで進めてきたところであります。徹底した現場主義というもの、これが我が党の真骨頂であるというふうに思っておりますし、また、改めてそうした中で被災地の方々にお悔やみとお見舞いを申し上げながら、今も悩み苦しんでいる方々に何としてもお応えをしていかなければならない、まずそこから今日は始めさせていただきたいというふうに思っております。
まず、災害救助法についてお伺いをいたします。
この法律によりまして、現在、被災地の避難所の費用、また介護の自己負担分、これは減免をされているところであります。しかし、この適用期間というのは、私も聞いてびっくりしたんですが、月末ごとに一か月ずつ延長していく、これは国と県が協議をしております。ですので、現時点では年内までしか、先ほどのような国の負担というのは見えていないわけであります。しかも、これは法律に取決めはありません。単なる運用であります、前例であります。
こうした中で、例えば、福祉避難所の食費、居住費はいつまで補助をされるのか、また、介護サービスの自己負担はいつまで補助をされるのか、見通しが立たず不安であるし、場合によっては早く避難所から移動していただかなければいけないんじゃないか、こういうような思いをされている方々もいらっしゃるそうであります。
そこで、まず坂井防災担当大臣にお伺いをいたしたいと思いますけれども、ここは是非政府のリーダーシップと、また県にもよく相談もしていただいて、前例主義はもうやめて、災害救助法の適用の延長、一か月ごとというのは余りにも見通しが立ちませんので、せめて半年ごととか、被災者の心情に寄り添った運用に見直していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○坂井国務大臣 今、災害救助法の適用期間について御質問をいただきました。
災害救助法の適用期間は、応急救助に必要な範囲として、内閣府に協議した上で、都道府県知事が定めているものでございます。
例えば、避難所の開設などは、直近、確かに一か月ごとに適用期間を延長していると聞いております。しかし、また一方で、被災した住宅の応急修理などは、一か月でというのは余りにも現実離れしておりますので、来年の十二月までを適用期間としているものでございます。
今まで避難所が一か月ごとというのは、避難所そのものが早期に解消されて、自宅や仮設住宅へ移ることが望ましいものであるという前提で一か月ごととなっているのではないかと承知をしておりますが、しかし、今委員のお話をお聞きをする中で、本当に被災者の方にとってもっと長い方が適切であるということであれば、この点は石川県とよく相談をし、そこの判断を尊重してまいりたいと思っております。
○河西委員 是非被災者の心に寄り添った対応をお願いしたいというふうに思っております。
この災害救助法は、できたのは戦後間もない頃ということで、総理もよく御案内のことかと思います。救助のカテゴリーに、物資や住宅などの位置づけはあるんですが、福祉の位置づけがないわけであります。当時は公明党もありませんでしたので。そういったことが指摘をされております。
具体的にどういうことが起きるのか。例えば、介護施設また障害福祉施設が被災をした場合、福祉の担い手は民間から行政に移動されるわけでありますが、自治体のオペレーションは法に基づいて行われますので、そこから抜け落ちるものが出てまいります。例えば、在宅避難や車中泊を余儀なくされている要介護の方々や障害がおありの方々、こういった方々への訪問や聞き取り、また福祉避難所へのつなぎ、こういったものがどうしても抜け落ちてしまうということであります。
そこで、ここは総理にお伺いをいたしますが、人道的な災害対応、また防災庁の創設を目指す石破政権でございます、是非この災害救助法を改正をしていただきまして、この救助のカテゴリーに、訪問型を含めた相談支援、また介護その他の生活支援、加えまして、やはり子供、子育て支援も含む福祉サービス、これを明確に位置づける法改正を実現をすべきと考えますけれども、総理の御見解をいただきたいと思います。
○石破内閣総理大臣 法改正が必要であれば、行わなければいけないと思っております。
災害救助法で想定されております救助活動に、御指摘のように福祉の観点というものを明確に盛り込むことが必要ではないだろうか、そしてまた、これを国庫負担の対象とするということは、私は重要なことではないかと考えております。
災害時において、高齢者の方、障害者の方、あるいは乳幼児、いろいろな配慮を要する方々、そういう方々への支援が着実に、確実に行われるための法改正が必要だとすれば、それはちゅうちょしてはならないと思っております。委員会において、あるいは各党の議論の場においてどうかそのような御提案をいただき、また御教導賜りたいと思っております。
○河西委員 公明党としても力を尽くしていきたいというふうに思っております。
続きまして、法テラスについてお伺いをいたします。
現在、被災地の法テラスでは、特定非常災害に指定された場合でありますけれども、これは地震の方でになりますが、収入や資産を問わない無料法律相談、これを実施中でございます。しかし、その期限が、法律上、これは総合法律支援法でありますが、発災から一年となっているわけであります。したがいまして、これは年末で終了する予定ということであります。
しかし、その相談件数を見ますと、毎月七百から八百件前後ぐらい、横ばいで推移をしておりまして、収まる気配は全くないわけでございます。しかも、今回は、九月の二十一日に奥能登豪雨があったわけであります。まだ二か月半ぐらいしかたっていない。
先日、法務省の方に、年末までの期限を更に延長できないのかとかけ合いましたけれども、この奥能登豪雨の方は激甚指定ということなので難しいということでありました。
ただ、他方で、災害廃棄物処理あるいは公費解体については、特定非常災害の能登半島地震も、また激甚災害の奥能登豪雨も、これは特例的に、補助率も公費解体の対象も半壊以上ということで一体的に対応されているわけであります。しかも、我が党も要請しましたし、総理自身が、地震も豪雨も一体的に取り扱うべし、その御発言に基づいてこのような対応になっているというふうに伺っております。
そこで、総理にお伺いいたしますが、このような状況下にあって、法テラスは地震と豪雨で一体的になっていない、ちぐはぐ感が否めないというふうに私は思っております。是非ここはリーダーシップを発揮をしていただいて、せめて奥能登豪雨の被災地だけでも、来年の九月二十日まで、収入などを問わない無料法律相談を延長していただきたいと思いますが、総理、いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 これは今のところ十二月末日までということになっておりますが、そういうようなニーズは継続しておるというふうに認識をいたしております。また、奥能登豪雨というものも、これも一体として考える必要性も合理性も十分にあると考えております。
詳細につきましては法務大臣に検討いたさせますが、実際にそういう法テラスというんでしょうか、法律相談のニーズがございます以上、政府としてきちんと対応していきたいと考えております。
○河西委員 総理、ありがとうございます。是非、鈴木法務大臣、よろしくお願いをいたします。
続きまして、政治改革の方に移ってまいりたいというふうに思っております。
我が党としても、清潔な政治を目指す中で非常に大事な政治改革でありますが、とりわけ重要なのは、様々な議論はあるんですが、とにかく、もう二度と今回のような問題は起こさない、そして政治の停滞を招かないことだというふうに思っております。これは、東京大学の谷口将紀教授も抜本的な改革に有効であると指摘をするやはり独立した第三者機関、これが大事だというふうに私も常々訴えてまいりました。
我が党としては、法案の要綱を発表しておりまして、政治資金監督委員会にすべしと。ポイントは、まず一つに、行政に独立性のある三条委員会として置く。国会議員の政治資金を毎年監査をして、是正すべきは是正する。そして、立入調査等の結果、これは政治資金適否の云々ではありません、中身の問題ではなくて、あくまでも不記載とか虚偽記載とか、違法行為があれば、訂正を命じて、その事実を公表して、国庫へ返納させるということであります。
これは、残念ながら、国会議員の遵法精神また自浄能力に疑義がある状況でございますので、不正を抑止する機関を自ら生み出すことは、信頼回復への第一歩でありますし、私はけじめだというふうに思っております。
そこで、総理にお伺いいたしますが、これは今日も何回か出ましたけれども、先日の所信表明で総理は、政策活動費の廃止、また第三者機関の設置を明言をされております。政策活動費は、法律上例外なく廃止という理解でよろしいかということと、第三者機関については、その設置目的は何であって、そして、その監査対象とする政治資金の範囲はどこまでと考えておられるのか、見解をいただきたいと思います。
○石破内閣総理大臣 これは、党総裁としてお答え申し上げます。内閣総理大臣としてお答えをする立場にはございません。
我が党といたしましては、そういう要配慮支出というのは、さっきから訳が分からぬとかいう御批判をいただいておるんですが、名前をどうするかは、そこはまたこれからの議論だと思いますが、政策活動費は廃止です。これは、私どもとして存続させるつもりはございません。
その上で、政策活動費ではないが、その使い道において秘匿しなければならない部分がございます。それが本当に妥当な秘匿であったかどうかということを判断していただく機関というものはきちんとつくらなければならないし、その対象は、そのようなものも含めまして、政治資金をどのように使ったかということ全てに及ぶものでございますが、わけても、私どもとして要配慮支出と言っているものが適当であるかどうかという御判断をいただかねばならないと思っております。
それを国会に置くか行政に置くかというのはまた議論のあるところでございまして、私どもは真摯に議論に参加したいと思っておりますが、私どもとして国会に置くべきだというふうに考えておりますのは、やはり行政の中に置くということになりますと、政治活動が行政の監視下にあるというような事態が間違っても起こってはならないということに基づくものでございまして、この点についてはいろいろな御議論を賜りたいと考えております。
いずれにいたしましても、そこにおきます委員というのは厳格な監査を行う者でございますので、物すごく幅広い知識とか豊富な経験とか公正な判断力がなければいかぬし、事務局も相当に手厚いものでなければいけないと考えております。
私どもが申し上げております、訳の分からない政策活動費というのは本当になくなったんだね、おかしな使い方はしていないね、そして国民の前に公開できないものは本当にそれなりの理由があるんだねということがきちんと担保されないと、今回の政治と金の議論というのは決して収束もしないし、国民の御理解も得られないものと私は考えておるところでございます。
○河西委員 表に出せない政治資金が仮にあったとして、それを監査をしていくということ、そういった機能は確かに求められるのかもしれませんが、ただ、それは不正の抑止には私はならないと思うんです、不正の抑止には。少なくとも、国会議員関係政治団体の政治資金全般はやらなければいけないというふうに私は思っております。
ちょっと先ほど私は伺ったんですが、第三者機関の設置目的は何なのかということなんです。これは、まさに透明性の確保ということがありますし、それによって民主主義が健全に発達をしていくということがありますし、当然、私は不正の抑止ということは含まれるというふうに思いますけれども、総理、いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 それは、抑止力というのはすべからくそういうものでございます。そういう監査を得るのだ、間違ったことをすれば、それはきちんとそこにおいて指摘をされ、ただされ、是正が図られるのだということが、私は、委員が先ほどそれはそういうことをやらないことには役に立たないぞと、御存じの上でおっしゃっているのだということはよく承知をしておりますが、それが抑止力として働くということが大事なことだと考えております。
○河西委員 そこで、ちょっと今日は内閣法制局岩尾長官にお越しいただきました。
一般論としてお伺いをしたいというふうに思いますけれども、現行の憲法六十二条に基づく国政調査権、その範疇には立入調査は含まれないと解しておりますけれども、それでよろしいでしょうか、教えてください。
○岩尾政府特別補佐人 お尋ねにお答えするには、まず、調査の対象は誰なのかということを分けて論ずる必要があると思っております。
国会又は国会の機関による政党等の活動に係る調査につきましては、国会において御議論をされるべき事柄でありまして、これに関する法的な側面からの議論につきまして、内閣法制局として検討したことはこれまでにもありませんし、また検討する立場にもないと思っています。
その上で、行政に対する調査との関係で、お尋ねの憲法六十二条の国政調査権についての一般的な解釈に関しては、法制局としてお答えしたことがございますので、その答弁を御紹介いたします。
平成八年十二月十日の参議院予算委員会においての答弁でございますが、国会の国政調査権と憲法六十五条等との関係や、三権分立の立場から行政をどの程度監督できるかといった旨の質問に対しまして、当時の大森内閣法制局長官が、国会は憲法によりまして、立法や予算の議決権、行政監督ともいうべき権能を有し、これらの権能を有効に行使するための補助的な権限、手段といたしまして憲法六十二条により国政調査権を有している、憲法は三権分立の原則を取っておりまして、また、国政調査はあくまでも行政監督等の権限行使に役立たせるために実施されるものであり、個々の行政を直接的に抑制する、あるいは自主的に自らその行政を執行する結果となるような行為を行うことはなし得るものではないと述べたことがあります。
また、その際、議員立法で当時提案されました、国会の附属機関としての行政監視院に行政に対する立入調査権等の調査権限を設けることの現行法上の問題についての質問がありまして、これに対して同長官が、現行法上、国政調査権を行使するための手段として議院に認められている具体的な権限とのバランスにおいてなお検討を要すべき問題がある、現行法上、国政調査権の行使の手段としてはこの立入調査権は憲法上認めていないというのが学説の通説でございまして、その点で問題があるというふうに思います、こう述べております。
○河西委員 今のは国会から行政というベクトルがあることは大前提として、いずれにしても、国政調査権の範疇として国会に置かれた場合、子亀が親亀を調査するというのはなかなか難しいですので、いずれにしても、立入調査はできないんだろうということ。これを参考にして、我が党としては、先ほどの考え方がありますので、不正を抑止するためにやはり行政に置いた方がいいのではないかという考え方を持っております。ですので、公取とか運輸安全委員会に代表されるような三条委員会にしてはどうかということであります。
ここで、再び総理にお伺いしたいんですが、今週二日の衆議院本会議で、この第三者機関について、政党や政治団体の政治活動の自由を尊重をする、これは当然大事なことだと思います、その観点から、行政庁の関与は必要最小限にとどめるべきであって、よって国会に置くべしという御答弁でありました。
ただ、私は、この政治活動の自由というのは当然適法な範囲であることが求められる、これは言うまでもないことかと思います。したがって、政治活動の自由を尊重しつつも、透明性の確保、また先ほど総理が御答弁いただいたとおり、不正の抑止を目的とする第三者機関であるならば、必要最小限の関与の中には、少なくとも違法行為が疑われる場合の調査、これは私は含まれるのではないかというふうに考えていますけれども、総理、いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 それは、国会の下に置きましてもそういうことは可能だと私自身は思っております。行政庁の中に置かなければそういうような行為ができないというものだと私は認識をいたしておりません。その淵源はやはり国政調査権なのだと考えております。
○河西委員 我々も、目的は不正の抑止であり、透明性の確保であり、そして信頼を取り戻すための第一歩、けじめだということでありますので、今、少し議論がかみ合ったように感じました。
いずれにしても、各党の協議の中でここは深めていきたいというふうに思っておりますし、必要最小限の関与、私も逐条解説を読みましたけれども、ここは、今のこの問題を受けて議論を深めていく必要もあるのかな、このように思っているところであります。
いずれにしても、我が党としては、違法行為が疑われる場合は、そういった調査とか、あるいは国庫返納の対象とする権限、こういったことは今回つくっていかなければいけないのではないか、このように思っているところは重ねて申し上げておきたいというふうに思っております。
続きまして、百三万円の件に移りたいと思います。
先日、自由民主党、公明党、そして国民民主党の三党で合意をいたしました、総合経済対策での百三万円の引上げについてでありますけれども、今回の総合経済対策もしかりなんですが、対象を限定をした給付金の話が出るたびに、我が党も納税者の皆様から大変厳しい御指摘をいただいております。私たちだって苦しいんだ、本当にそのとおりのごもっともの指摘だと思いますし、我が党も、私も参りましたが、総理の方に、より幅広い層への支援、これを立案し、是非自公で実現をしていきたいということも申し上げたところであります。
まさに納税者の立場に立って、三十年ぶりの水準の賃上げが進む中で、課税最低限の百三万円、税の在り方も変えていく、これは当然のことだと思いますし、国民の皆様にしっかりお応えをしていく建設的な議論が大事だというふうに思っております。
その上で、目下注目が集まっているのは、報道等を見ておりますと、百三万円をどこまで引き上げるのか、あるいは、借金をせずに税収減をどうするのかという、ちょっと目の前のところに視点が集まりがちなんですが、少しちょっと今日は視点を変えて、そもそも二%の物価安定目標の下で持続的な経済成長を目指す以上、今回、課税最低限を引き上げたとて、何かしらの基準に基づいて上げたとしても、その整合性というのは早晩失われるというふうに思っております、いろいろな指標が変わってきますので。
ですので、私は、今後、法改正や財源の穴埋めを行わずとも、物価や賃金に応じて課税最低限を自動的にスライドをさせていく仕組みを税制にビルトインしてはどうかというふうに思っております。一つ参考にしたいのが公的年金制度であります。
そこで、福岡厚労大臣にお伺いをいたしますが、今年度の年金給付額は二・七%のプラス改定でありました。これは、念のため、何を基準にしたのかということと、なぜ年金が不足する云々の議論は生じていないのか、ここを是非御答弁いただきたいと思います。
○福岡国務大臣 御指摘のとおり、公的年金制度におきましては、賃金や物価の変動に応じまして、毎年度の年金額の改定を行うことを基本としております。
御指摘のありました今年度の、令和六年度の年金額は、賃金の変動が物価の変動を下回りましたため、法律の規定に基づき、名目賃金変動率、これはプラス三・一%でありますが、それを用いて改定を行うこととした上で、マクロ経済スライドによる調整分を差し引き、プラス二・七%の引上げとさせていただいているところでございます。
その上で、御指摘がありました、プラスの年金改定を行ったとしても、現役世代の負担能力を示す賃金の上昇率も踏まえた改定となっておりますこと、また、公的年金財政の主な財源であります保険料収入については、基本的に賃金の上昇に応じて増加することから、マクロ経済スライドの効果と相まって、年金財政にマイナスの影響を与えることはございません。
○河西委員 御答弁ありがとうございます。
今あったように、年金給付額は、物価スライドと賃金スライド、その時々に応じていずれかを採用して自動調整をしております。そのときに物価や賃金が上がれば、当然保険料収入が増えますし、全体の七割を占めておるわけであります、ひいては、税収も増えていくということも言えるのではないか。それをあらかじめ織り込んでいるので、財源云々の議論にはならないということであります。
これは、仮に百三万円の課税最低限を単純に物価スライドで上げた場合には、CPIの総合で百十六万円、また基礎的支出品目で百二十八万円、食料品のみだと百四十万円という試算も出ております。
そこで、加藤財務大臣にお伺いをいたしますが、今の三パターンも、来年になれば変わってくるわけであります。これは、全て変わってくる水ものであります。したがいまして、税収とか物価とか賃金とかあるいは為替の動向とか、様々な経済、財政の指標を基に課税最低限をスライドさせていく自動調整機能、これを税制自体にビルトインしていくことこそが今後の経済成長を目指す我が国にとってふさわしい在り方なんじゃないか、アップデートすべきなのではないか、このように思いますけれども、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 今おっしゃったような自動スライドの考え方、諸外国ではそういう形を入れているところもあると承知をしております。
我が国において、この基礎控除額は、昭和から、昭和時代は結構上げてきております。そして、その中の考え方は、物価を含む生計費の観点からのみではなく、個人所得課税を通じて公的サービスを賄うための費用を国民が広く分かち合う必要などを踏まえて、税制改正プロセスの中で総合的な検討がなされ、逐次そうした対応がなされてきた。
また、今回は、御党も含め自民党、国民民主党、三党において、経済対策において、いわゆる百三万円の壁については、令和七年度税制改正の中で議論し引き上げる、これに伴う諸課題に関しては、今後、検討を進め、解決策について結論を得るとの記述が盛り込まれているところでありまして、今後というか、既に政党間で協議がなされていると承知をし、我々としては、適切に対応するとともに、今回どういう議論がなされてきたのか、それらも踏まえて、その後については、当然今回の議論も含めて検討していくことになるんだろうというふうに思います。
○河西委員 先ほども様々御発言もありましたけれども、私は、こういう仕組みがなかったから今こういう議論になっているということも言えるというふうに思うんです。ですので、やはり経済成長を目指していく税制の姿にしていくということが今知恵の出しどころですし、しっかりと税調でも議論をしていきたいというふうに思っております。
加えまして、いわばインフレ調整の話というのは、何も百三万円の話だけではないというふうに思っております。例えば、児童手当でありますとかあるいは福祉用具の給付限度額とか、当然、物価が上がれば実質給付額は目減りをしていく。そういった議論も本来あるべきでありますが、いずれにしても、この百三万円の件は、政策目的をしっかりはっきりとさせて、今後の幅広い議論に堪え得るものにしていきたいというふうに私自身も思っているところであります。
時間も参りましたので、最後に一問、これは武藤経産大臣にお伺いをさせていただきます。
私も、ずっと一期三年間、今二期目を迎えさせていただきましたが、中小企業対策、特に価格転嫁対策に一番力を入れてまいりました。私も、かつて物づくりのエンジニアとしてその現場にいたということもあります。
現場を歩きながら、またデータを見ながらいろいろ感じることは、ちなみに、価格転嫁率は二年前が四六・九%、今年九月の、早めに指標を出していただきましたが、四九・七、まさに匍匐前進、プラス二・八%ということで、そこで感じるのは、価格転嫁のボトルネックはサプライチェーンごとに全く違うということなんです。警備とかコンテンツであれば労務費であるし、印刷業界であれば、原価計算をしっかりやっているところは成功しているけれども、そうでないところはなかなか難しいとか、あるいは、建設関連は公共事業が旗振り役になって牽引をしてくれるとか、様々であります。
つまり、一つのサプライチェーンには複数の業界、複数の所管省庁が絡み合っていて、しっかりと横串を通さないとやはり物事は前に進まないなというふうに私も思っております。
そこで、経産大臣、今後、この価格転嫁対策、今、匍匐前進の状況でありますので、この実効性を高めていくために、下請Gメンとかもそうなんですが、サプライチェーンごとの課題を分析をして、課題を設定をして、オーダーメイド型の価格転嫁対策を進める省庁横断型のチーム、これを政府でつくってはどうか、このように思いますけれども、いかがでしょうか。
○武藤国務大臣 河西委員から、まさに今の価格転嫁を横断的にやったらどうかという御質問をいただきました。
私も、中小企業政策、数年やってまいりまして、大変業態ごとに、また商慣習を踏まえて、みんなそれぞれ違ったところがあるんだというふうに承知しています。是非先生方にまたいただいて、今もGメンの話もありましたけれども、業界ごとの商慣習の改善点は一度取りまとめをさせていただいておりますし、自主行動計画の改定、徹底についても進めてきております。
加えて、官房副長官が今主催する関係省庁会議において、省庁横断で、業界ごとの取組をフォローアップをしてきたところであります。
こうした場での更なる議論を含めて、本当に価格転嫁を、まさにスピードアップをしていかなきゃいけないと思っておりますので、公正取引委員会あるいはまた事業所管省庁と一体となって深掘りをしていきたいと思っていますので、また御指導いただけるようお願いいたします。
○安住委員長 河西君、時間です。
○河西委員 いずれにしましても、百三万円の件もありますが、成長と分配の一体的な推進、これは一丁目一番地でありますし、公明党としても全力で取り組んでいくことをお誓いを申し上げまして、質疑を終わります。
ありがとうございました。
○安住委員長 これにて河西君の質疑は終了いたしました。
次に、櫛渕万里さん。
○櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。
総理は、所信表明で石橋湛山の演説を引用されました。同じ昭和三十二年の所信表明演説で、湛山はこうも述べています。
資料一を御覧ください。
一千億円を上回る減税を断行し、国民の税負担を軽くした。一千億円とは現在の約十兆円に当たります。総理、ここはお読みになっていますか。減税ですよ、減税。こここそ、今国民が一番求めている、一番重要だという点です。少なくとも、石破減税十兆円をやってから石橋湛山を引用してください。
なぜこのことを申し上げるのか。それは、この選挙中、多くの方から、物価高を何とかしてほしい、今の年金や賃金では食べていけない、国民負担を減らしてほしい、こういう声をたくさんいただきました。政治改革が今国会最大のテーマだと言われていますけれども、最大の課題は、今、経済不況に苦しむ人々を救うこと、能登半島の人々を救うことです。
総理は最近、スーパーに行かれましたか。今、物価高、特に食品高で日本中が困っています。
資料二です。
例えばお米。去年から一・六倍に値上がりしています。野菜も高い。そして、キャベツ一個が四百円、平年の二倍。おでんの一番人気は大根、これは一・七倍にもなります。お鍋に欠かせない白菜やネギは一・五倍。魚も高い。そしてお肉も高い。でも、実質賃金も年金も増えていませんよね。そのせいで、支出に占める食費の割合、いわゆるエンゲル係数は三〇%を超えています。
日銀の調査では、一年前と比べて支出を増やしたのも断トツが食料品です。今、生活が苦しいと答える人は六割。これからもっと増えるでしょう。もう限界です。
総理、所信表明で、食料品価格の高騰に苦しむ方々への支援とありましたが、非課税世帯に一世帯三万円、子供一人二万円のみ。範囲も狭いし、額も小さい、しょぼ過ぎます。
米も野菜も魚も肉も全部上がって、国民みんなが苦しんでいるんですから、れいわ新選組が求めているように、悪い物価高が収まるまでの間、季節ごとに一律の給付金を配っていただきたいんです。富裕層には後から所得で課税して回収すればいいんですよ。その方がよほどスピーディーで、そして効率的で公平だ、私たちはそのように考えますが、総理、いかがですか。
〔委員長退席、岡本(あ)委員長代理着席〕
○石破内閣総理大臣 総理大臣になる前はしょっちゅうスーパーに行っておりました。赤坂宿舎の近くの何とかイケとか、あるいは何とかマサとか、そういうところで目撃された方もおられようかと思いますが、今行くと周り中大騒ぎになりますので行けませんが。
ただ、家人が本当に高いよということを言っておるのは私はしょっちゅう聞いております。特に野菜が高い。白菜とかレタスとか、ああいうものがめちゃくちゃ高いということはよく認識をしておるところでございます。そういうような消費者の方々、国民の皆様方の実感を共有していないと行政というのは成り立ちません。
石橋湛山のように減税をやれというお話でございます。それは確かにそういう面もございます。ただ、そのときと比べて財政はめちゃくちゃ悪いので、私どもとして、危機に強靱な財政というものも心がけていかなければなりません。
そういう中で、どうすれば本当に困窮しておられる方々に十分な対策として行き渡るのかということは常に念頭に置いて考えてまいりたいと思っております。一律の減税というものの効果は、よく検証していかなければなりません。
〔岡本(あ)委員長代理退席、委員長着席〕
○櫛渕委員 困窮されている方々にとおっしゃいますが、多くの国民が困窮している、物価高に苦しんでいるということを申し上げたんです。だから一律給付をお願いしたいということを、是非検討をお願いします。
そして、人々だけではありません。倒産件数がめちゃめちゃ増加している。これは三〇%を超えているということです。そして、業界も、すごく幅広い業界。介護事業者も、そして歯医者も学習塾も、こうしたところで、建設業も含めて相次いでいるということを御指摘したいですし、新聞販売店の倒産も過去最多ですよ。ちょうど二階に新聞記者さんもおられますけれども、こうした方々も他人事じゃない、このまま続けば給料も減ってしまうかもしれない。このような状況を本当に深刻に思っていただきたいんです。
そして、注目すべきは、資料三、税金や社会保険料の滞納を理由とする、こうした倒産が増えていることです。今年は去年の二・二倍、税の滞納の半分以上が消費税です。消費税が国民を、そして中小企業を追い込んでいることが分かります。
総理、やはり物価高と食料品高、更に倒産を止める対策として最も望まれているのは、間違いなく消費税の廃止、少なくとも消費税の減税だと思います。
そして、次、資料五、御覧ください。
こちらは法人税率引下げの経緯を示したものですけれども、政府は消費税は社会保障のためと繰り返しますが、これを見ると、消費税三%、五%、八%、一〇%の増税のたびに法人税が下がっているんです。つまり、社会保障にはほとんど使われず、法人税の穴埋めの財源になっている、それが実態ですよね。
では、法人税の減税は何が目的だったのか。
例えば、二〇一〇年、野田佳彦財務大臣によって法人税五%減税が行われましたが、国内の投資や雇用を増やすことが目的でした。その後、安倍総理は国会で、法人税改革は企業の収益力を上げて、賃上げや設備投資を促すためと述べています。
ところが、どうですか。法人税を下げたのに、賃上げにも設備投資にも効果がなかった。このことは与党自身が税制改正大綱で言っており、意図した成果を上げてこなかったとしています。財務省も、法人税減税をしても、内部留保や株主配当に回り、給与や設備投資が増えていないと公表しています。
総理にお聞きします。所信表明演説で、配当は増え、海外投資も増えた一方で、国内投資と賃金は伸び悩んできたと述べられていますが、法人税減税は効果がなかった、失敗だったとお認めになりますね。簡潔にお答えください。
○石破内閣総理大臣 予定した効果がそのとおりに発現されなかったということは事実だと思っております。ただし、それによって企業の収益力は高まった。それが賃上げに本当に向かったかといえば、それは必ずしもそうではなかったということでございます。
ですから、効果を得た、発現したものとそうでないものがあったということで、一律に論ずることはできませんが、検証は必要だと思っております。
○櫛渕委員 はっきりと、そこは失敗だったとお認めになった方がいいですよ。
総理が自民党の幹事長の頃から、党税調で法人税減税の政策効果を検証する必要があると打ち出しておられましたよね。もう十年前です。結果を教えてください。
この間、法人税減税の穴埋めのように消費税が増税され、個人消費は落ち込み、それが景気の足を引っ張り、賃上げや年金の引上げに悪影響を与えてきたわけです。このことを猛省すべきではありませんか。
今年度の税収見通しが発表されましたが、五年連続で過去最高を更新し、七十三兆円です。そのうち消費税は二十四兆円。最大ですよ。国は税金取り過ぎ、国民は取られ過ぎです。総理、国民にお金を返してください。
改めて総理に伺います。こうした三十年の不況をつくり出してきた消費税、これを廃止、少なくとも消費税減税を今すぐ実行してください。いかがですか。
○石破内閣総理大臣 それは、基幹三税といいますか、所得税があって法人税があって消費税があって、それは委員御案内のとおり、直接税というものは、入るときはどんと入るんだけれども、入らないときは全然入らないわけで、そうしますと、社会保障の財源というものを安定的に税収が見込まれる消費税に求めるというのは、それなりに合理的なことだと考えております。
一方において、税を頂戴をして、その歩合がどのように使われたかということ、同時に、法人税減税になって、それをどのようにして使っていったかという企業のビヘービア、それも同時に問われるべきものだと思っております。
やはり、福祉の財源としての消費税の重要性は何ら変わるものでございませんので、現在、減税をするという考えはございません。
○櫛渕委員 消費税減税はやらないというお答えでした。
総理がやらないのであれば、野党の皆さん、我々でやろうじゃありませんか。今回、この衆議院は野党が多数です。そして、野党が一致すれば苦しんでいる国民を救うことができるんですよ。
資料六を御覧ください。
一昨年六月には、れいわ新選組を含む四党、立憲民主党、社会民主党、日本共産党と共同で、消費税を五%に減税し、インボイス廃止を中心とする法案を衆議院に提出しています。
今、二年前よりも物価高が更に進んで、インボイスも始まり、国民も事業者ももっと苦しくなっています。今回の選挙では、立憲民主党以外の全ての野党が何らかの消費税減税を公約に掲げました。そして、この野党が多数を占める国会が誕生したんです。与野党が逆転した今こそ最大のチャンスですよ。
立憲民主党さん、他の野党と一緒に、今回、この国会中に再びこの法案を提出しようじゃありませんか。給付つき税額控除ではすぐ実行するのが難しい。野党が一致して、一度は合意した消費税減税法案、これを再びやりましょうよ。おととし、法案の提出のときに中心となった立憲民主党の小川淳也さんは今幹事長、当時の賛成者には野田佳彦代表や重徳政調会長もいますから、すぐにできるはずです。野田代表には、消費税増税の生みの親から消費税減税の生みの親になってほしいんです。
是非、せめてインボイスだけでも一刻も早く廃止すべきです。繰り返しますが、今国会中に、既に合意した消費税減税法案、インボイスの廃止も一緒に取り組んでいきましょう。
さらに、資料七を御覧ください。
れいわ新選組は、特例公債六十兆円規模を追加し、歳出四十八・三兆円の補正予算を独自に準備しました。三十年の不況とコロナ、そして物価高を超える緊急経済対策と、能登の被災地の予算の大幅な拡充です。
特に、能登の震災から間もなく一年ですから、とても政府案や立憲民主党の六千億円程度では能登を救うことはできません。ちなみに、阪神・淡路大震災では一年に三度の補正が組まれ、三兆円が充てられています。れいわ新選組は、能登の二重災害に対して、これまでの予備費と合わせて、これと同じ規模の額は必要と判断しました。
最後に一言、核兵器禁止条約への参加について総理に申し上げます。
おととい、総理は本会議で、これまでの締約国会議でのオブザーバー参加の例について検証が必要とお答えになりました。
資料八、こちらが核の傘の下にいる国でオブザーバー参加をした国々なんですね。
私は、れいわ新選組を代表して、日本の国会議員として唯一、二度の締約国会議に参加をし、各国の政府代表や国会議員と議論してまいりました。中でもアメリカと強い軍事同盟を結ぶオーストラリアの政府代表は、オブザーバー参加した後もアメリカとの間で何ら問題は生じていないということをおっしゃっていました。日本として参加をしても何ら問題はないという事例として考えられると思います。これは重要だと思いますよ。
総理、核の傘とオブザーバー参加は両立します。核の傘の下にいるヨーロッパの国々も参加、そして核保有国と強固な同盟を結ぶこうした国も参加している。日本も参加できない理由はありません。総理、決断してください。いかがですか。
○石破内閣総理大臣 それは、戦争における唯一の被爆国として、核のない世界を目指していかねばならないという立場に何ら変わりはございません。日本が核兵器を持つという選択もございません。どうすれば核のない世の中がつくれるかということについてはまた機会があれば議論させていただきますが、核を使っても意味がないのだという意味の抑止力も私は拒否的抑止力として必要なことだと思っております。
委員御指摘のように、ドイツ、ベルギー、ノルウェー、オーストラリア、多くの国が参加をしておるわけであって、そこがどのような発言をして、それがどのような議論に寄与したかということは、よく検証いたしたいと思っております。
○櫛渕委員 是非、検証の枠組みに私も参加をさせていただきたいと思います。
オランダなどでは、国会で動議が出され、そして政府が決断するという、参加のプロセスも大変民主的です。是非御検討をお願いいたします。
世界の核危機、リスクに対して、唯一の戦争被爆国として、日本は本当に歴史的な責務と、そして使命があると思います。
このことを申し上げ、私の質問を終わります。
○安住委員長 これにて櫛渕さんの質疑は終了いたしました。
次に、田村智子さん。
○田村(智)委員 日本共産党の田村智子です。
総選挙で自民党は、裏金議員の一部を非公認にしながら、公認候補と同額の二千万円を交付していました。これをしんぶん赤旗が暴いたことで、これでは裏公認ではないのかという怒りが一気に広がりました。
公認候補の支部には、公認料五百万円と活動費千五百万円という選挙のための二千万円が交付をされた。
総理、非公認の候補の支部への二千万円も選挙のための二千万円ですよね。お答えください。
○石破内閣総理大臣 選挙のための二千万円ではございません。
それは、そのお金を出しましたときに、これを選挙に使ってはいけませんよということは明示をしておりますし、周知徹底もいたしております。使用目的としてそれを選挙に使わないということは、従来から我が党として一貫しておるところでございます。
○田村(智)委員 赤旗の報道の翌日、十月二十四日、自民党総裁・幹事長室が公認候補者と選挙実務者宛てに説明文書を発出しています。ここにコピーがあります。そこに何と書いてあるか。
我が党は、通常期には、政党交付金を年四回、政党支部、括弧、県連、選挙区支部に交付しています。そのほかに選挙に際しては、支部活動の活発化や、党勢拡大のため、別途、交付をしています、括弧、今回指摘されている交付金。
選挙の際に別途交付している、選挙のための二千万円ではありませんか。
○石破内閣総理大臣 それは日本語の読み方の問題でございますが、選挙の際にというのは、選挙の時期にということを申し上げているものであって、それに使うという、そういうような関係を示唆したものでも意図したものでもございません。
○田村(智)委員 選挙がなかった昨年、選挙区支部への交付を調べてみました。多いところでも年間一千万円前後なんですね。
総選挙で年間総額よりも圧倒的に多い金額が一度に交付をされた、これが選挙のためのお金じゃないなんというのは全くの詭弁だと言うほかありません。選挙のために、選挙の際に非公認候補の支部に二千万円が交付された、これが事実ですよ。
そして、総理は、非公認の候補者に出したのではなく支部に対する交付だということを何度も答弁しています。しかし、赤旗の更なる調査で、小選挙区に自民党が立候補していない支部には二千万円は交付されていない。
三日の本会議で、総理は、支部が存在しない場合には、当然ながら、支部政党交付金は支給していないと答弁しました。これはごまかしですね。
小選挙区に公明党が立候補し、自民党が候補者を立てていない支部、幾つも存在しています。これらの支部に、それでは、この選挙の際に二千万円交付をしたんですか。非公認の候補の支部と同じように二千万円の交付を行ったのでしょうか。
○石破内閣総理大臣 公明党さんが出ておられるところ、支部は当然ございます、我が党は。(田村(智)委員「支部はありますよ」と呼ぶ)ですから、ございますと申し上げております。そういうところにも支出はいたしております。
○田村(智)委員 選挙の際の二千万円、渡っていないですよ。
しんぶん赤旗は、自民党が小選挙区で候補者を立てていない選挙区支部、一つ一つ取材しています。
北海道十区の選挙区支部、昨年度収支報告書では、自民党本部から通常の年四回の交付金を受けている支部です。会計責任者は赤旗の取材に、今回の総選挙で二千万円は来ていない、自民党の候補者がいないので対象から外れたのだと思うというふうに回答しています。福岡九区支部代表の県議、うちの支部には党本部からの二千万円の政党助成は振り込まれていない、一千万円や二千万円が振り込まれたらびっくりする。大阪三区、五区、六区、十六区、兵庫二区、八区、同じ回答です。
総理、これらの支部に二千万円を交付しなかったでしょう、選挙の際に。非公認の候補の支部には公認候補の支部と同じ二千万円を交付した、これをどう説明されるんですか。
○石破内閣総理大臣 それは、支部があって、そこにおいて公明党さんが出ておられる。我が党として、もちろん、私どもが公明党さんから推薦をいただいているように、私どもが公明党さんを推薦して、一生懸命当選をするために努力をする、与党として。そういう関係にございます。
そこにおいて、もちろん選挙のために使うことはいたしませんが、そういう地域において自由民主党がほかの自民党が出ておる選挙区支部と同等の、同様の対応をしているということは、むしろおかしいことだと思っております。
そういうところに対しましても、私どもとして、資金の提供、資金といいますか、広報等々に、政策の周知等々に使うお金というのは当然拠出をしておるものでございます。
○田村(智)委員 それなら、何で非公認の支部には二千万円が行くんですか。
○石破内閣総理大臣 それは、我が党の政策、つまり、公認候補がいない、そこにおいて公明党さんを全力で支援をする、そういうところと、非公認のところとは当然事情は異なるものでございます。
○田村(智)委員 もうそれは、選挙のためにお金を非公認の候補のところにも出したという説明以外の何物でもないですよ。
では、もう一つ言いましょう。
自民党の今の文書、支部長の任期は選挙から選挙までの間と規定されており、今回の選挙が終わるまでの現状では公認候補も非公認候補も当該選挙区の自民党支部長であります、これが交付の説明として書かれているんですよ。
ということは、二千万円支給の基準というのは、もう支部長は候補者かどうかということしかないじゃありませんか。非公認というのは、本来自民党の候補ではないんですよ。自民党の候補ではない。だけれども、自民党の支部長だからと選挙の際に二千万円を支給した。これはもう事実上の裏公認じゃありませんか。違いますか。公認候補と全く同じ扱いをしているんですから。
○石破内閣総理大臣 それは違います。
つまり、私どもとして、支部長がいる支部には二千万円というのは御指摘のとおりでございます。支部長が不在で、支部長代行、大体そういうところが多いんですが。支部長が不在で支部長代行というところには五十万、そして支部そのものが不存在であれば支給はないということになっております。
それをわざわざ通知書を出して、これを選挙に使ってはいけませんよということになっておるわけですが、党勢拡大、そして党のいろいろな膨大な選挙における我が党の政策の周知徹底、そういうものに法律の範囲内で使うのはむしろ当然のことであったと思っております。
○田村(智)委員 これは、年間に渡される交付金の倍ぐらいのお金を選挙のときに一気に非公認の候補の支部にも渡した、支部長が候補者だからだと。まさに裏公認ですよ。だから国民は怒ったんですよ。
しかも、そのお金は政党助成金からの支給です。多額の裏金をつくって、派閥の裏金づくりにも関与したことが相当に疑われる人たちの選挙に、国民の税金を元手にした二千万円が渡された。国民が怒るのは当たり前だと思いますよ。だけれども、今の答弁だと、石破総理に全くその反省はない。
私が驚いたのは、先ほどから紹介している自民党の文書に何と書いてあるか。私たちしんぶん赤旗の報道に対して、事実を曲解して極めて精緻に誤解を誘導するもの、そう書いてあるんですよ。さらには、二千万円について、倫理的にも後ろ指を指されるものではないと。
本当にそう思っているんですか。本当に非公認の候補への二千万円、倫理的に何ら後ろ指を指されるものではないと今も思っておられるんですか。
○石破内閣総理大臣 合法であることに倫理的な後ろめたさはございませんが、世の中において、そのような誤解、曲解と言ったかどうか忘れましたが、そういうふうになったということは、私どもの説明の仕方に不十分な点がたくさんあったということは反省をしておるところでございます。
○田村(智)委員 非公認の候補の支部に二千万円も政党助成金を元にして出しておきながら、何の反省もない。まさに、私は自民党が政治モラルを崩壊させているというふうに指摘をしなければなりません。
続いて、こういうところだから、こういう姿勢だから、政治改革についてもこういう姿勢なのかなという問題をお聞きします。
政治改革の核心は、企業・団体献金をきっぱり禁止するかどうかです。ロッキード事件、リクルート事件、佐川急便事件を始め、数々の汚職事件、そして政治資金パーティーでの裏金づくり、全て企業から金が流れて起きたことです。そして、全て自民党の事件です。
今や自民党以外ほとんどの政党が企業・団体献金禁止の立場を取り、国民多数もこれを支持しています。ところが、選挙後、自民党は企業献金が悪で個人献金が善という立場には立っていないと言い出し、石破総理は本会議で、政治資金規正法を勝手に解釈して、企業献金を含む、国民の浄財、こう述べたんですよ。企業献金を個人献金と同じだ、国民の浄財だという、私は、こんな答弁、これまで聞いたことがありません。
個人献金というのは、憲法十五条、国民一人一人が政治に参加する権利、参政権に基づくものです。企業は参政権を持ちません。企業の目的は、利益を上げることにあります。企業献金と個人献金は本質的に全く違う。
営利を目的とする企業がなぜ政治に金を出すのか、これは午前中の審議にもありました。財界からの発言がありますね。投資に対するリターン、株主に対する収益を確保するのが企業だから、企業が政治に金を出せば必ず見返りを期待する。あるいは、企業献金はそれ自体が利益誘導的な性格を持っている。これは経済界からの発言ですよ。
企業は巨額の金を出して政治を動かし、自分たちの利益につながる政策へと誘導しようとする。だから、禁止しなければなりません。この金権腐敗の根を絶つことが今問われている。それでもまだ裏金事件を起こした自民党が企業・団体献金にしがみつくというのか、ここが問われています。
総理、いかがですか。
○石破内閣総理大臣 午前中の議論だったかと思いますが、企業・団体献金の憲法上の根拠というのは憲法に明示的に書いてあるわけではございません。憲法第二十一条の表現の自由の中に含まれるものだというのが最高裁判例の立場だったというふうに承知をいたしております。
つまり、企業というものも社会の構成員であります以上、社会こうあれかしというふうな願いは持っておるわけでございます。御指摘のように、投票という意味での参政権を持っているわけではございませんが、それぞれの企業は当然、社会規範、公序良俗の範囲内で意思を表示をするということはございます。
ただ、それが、どの企業がどの政党に、何の目的でというのは書きませんが、どこの企業が、団体が、どこの政治家に、政治団体に出したかということがきちんと分かるようにするということが大事なことだと私は考えております。
政治資金規正法の一条は、それが常に有権者の不断の監視の下に置かれるべきものであると定め、そしてまた、二条において、それが意思を抑圧するものではならないということ。つまり、私どもとしては、禁止ということよりも公開性の担保ということが重要であり、そこにおいて主権者の判断が適切になされる仕組みを整えてまいりたいと考えております。
○田村(智)委員 今の答弁で、企業は投票権を持っていないと言った、ここが重要なんですよ。投票する権利というのは、最も直接的に選挙に参加する権利、企業にはそれがないんですよ。だけれども、金の力で政治をゆがめていくということが問題にされてきた。
総理は八幡製鉄の判決についてもとうとうと述べられているんだけれども、この判決には続きがあるでしょう。大企業の巨額の寄附は金権政治の弊を生む、豊富潤沢な政治資金は政治の腐敗を醸成する、弊害に対処する方途は差し当たり立法政策にまつべき、ここまで書いているんですよ、判決には。
この立法政策をやってこなかったために数々の金権腐敗事件が起きている。裏金事件も起きた。だから、今、企業・団体献金の禁止の立法をやろうという国会の議論をやっているんじゃありませんか。
企業献金の下で実際何が起きているか。
日本経団連は毎年、主要政党の政策評価と称して、自民党の政策について、実績、課題、一覧にして、これとセットで会員企業に寄附を呼びかけていますよね。まさに、だから自民党に寄附が行くんですよ。
二〇一四年の政策評価。実績、法人実効税率を二〇%台まで下げることを目指すことを決定、課題、法人実効税率の引下げの確実な実現。また、消費税を八%に引き上げたことが実績、課題には消費税率一〇%への着実な引上げ。
二〇一九年政策評価。実績、消費税率一〇%に引き上げたこと、そして課題、企業の国際競争力の強化に資する連結納税制度の見直しという更なる大企業向けの減税の要求。
そのとおりに進みました。第二次安倍政権、そのとおりに進みましたよ。まさに経団連の決めたとおりの政治を、国民の反対を押し切って進めたということです。この背景に企業献金がある。
財界、大企業が要求する政策が、国民多数の反対を押し切って進んでいく、その大きな推進力となっていったのが自民党に対する企業・団体献金、これが政治のこれまで進んできた現実じゃありませんか。
総理、いかがですか。
○石破内閣総理大臣 主権者の御判断がまさしくこの間の選挙で示されたということだと思っております。
企業というものが、投票権は確かに持っておりません。ですから、企業によって政治が常に左右されているというふうに私は認識をしたことはございません。
ただ、国民がそのようなものだというふうに仮に認識することがあったとせば、それが国民の審判という形できちんと表れる、これが民主主義の機能の立派なところだと思っております。
○田村(智)委員 消費税増税、一度も選挙で問わずにやってきたんですよ、国民が大反対している下で。まさに企業献金によって推進されたじゃありませんか。
おとといの本会議。大企業の利益が賃上げにも取引企業の単価引上げにも回らない、内部留保が膨れ上がるだけだ、こういうゆがみを正すことが必要と求めた。法人税減税で庶民に増税、このゆがみを正すことを求めた。
経済政策の行き詰まり、今明らかだと思う。だけれども、この大企業優遇の政治、一向に変えようとしていない。変わることを阻害しているのが企業・団体献金ではありませんか。
二〇二二年、全ての政党本部、支部、政治資金団体等が受け取った企業・団体献金は総額八十三億七千六百万円、そのうち七十九億八千九百万円、実に九五・四%が自民党への献金ですよ。まさに企業・団体献金にどっぷりとつかっているのは自民党だけ。いつまでここにしがみつくのかが問われています。
国民のための新しい政治へと進むために企業・団体献金の全面的な禁止が必要だ、この国会で必ずやろう、このことを呼びかけまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○安住委員長 これにて田村さんの質疑は終了いたしました。
以上をもちまして本日の集中審議は終了いたしました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時五十九分散会