第4号 令和6年12月11日(水曜日)
令和六年十二月十一日(水曜日)午前八時五十八分開議
出席委員
委員長 安住 淳君
理事 井上 信治君 理事 高木 啓君
理事 牧島かれん君 理事 山下 貴司君
理事 岡本あき子君 理事 奥野総一郎君
理事 山井 和則君 理事 三木 圭恵君
理事 浅野 哲君
伊藤 達也君 稲田 朋美君
岩田 和親君 鬼木 誠君
国光あやの君 河野 太郎君
古賀 篤君 後藤 茂之君
小林 茂樹君 齋藤 健君
田中 和徳君 谷 公一君
田野瀬太道君 土屋 品子君
寺田 稔君 西田 昭二君
西銘恒三郎君 平口 洋君
平沢 勝栄君 深澤 陽一君
古屋 圭司君 松島みどり君
山田 賢司君 今井 雅人君
大島 敦君 大西 健介君
岡田 克也君 神谷 裕君
川内 博史君 黒岩 宇洋君
近藤 和也君 酒井なつみ君
重徳 和彦君 階 猛君
鈴木 岳幸君 辻 英之君
長友よしひろ君 福田 淳太君
本庄 知史君 早稲田ゆき君
阿部 司君 猪口 幸子君
黒田 征樹君 空本 誠喜君
徳安 淳子君 西田 薫君
林 佑美君 前原 誠司君
石井 智恵君 岸田 光広君
長友 慎治君 橋本 幹彦君
鳩山紀一郎君 浮島 智子君
大森江里子君 岡本 三成君
河西 宏一君 西園 勝秀君
沼崎 満子君 山口 良治君
櫛渕 万里君 高井 崇志君
田村 貴昭君 田村 智子君
緒方林太郎君 吉良 州司君
…………………………………
内閣総理大臣 石破 茂君
総務大臣 村上誠一郎君
法務大臣 鈴木 馨祐君
外務大臣 岩屋 毅君
財務大臣
国務大臣
(金融担当) 加藤 勝信君
文部科学大臣 あべ 俊子君
厚生労働大臣 福岡 資麿君
農林水産大臣 江藤 拓君
経済産業大臣
国務大臣
(原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当) 武藤 容治君
国土交通大臣 中野 洋昌君
環境大臣
国務大臣
(原子力防災担当) 浅尾慶一郎君
防衛大臣 中谷 元君
国務大臣
(内閣官房長官) 林 芳正君
国務大臣
(デジタル大臣)
(規制改革担当) 平 将明君
国務大臣
(復興大臣) 伊藤 忠彦君
国務大臣
(国家公安委員会委員長)
(防災担当)
(海洋政策担当) 坂井 学君
国務大臣
(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)
(共生・共助担当) 三原じゅん子君
国務大臣
(防災庁設置準備担当)
(経済財政政策担当) 赤澤 亮正君
国務大臣
(クールジャパン戦略担当)
(知的財産戦略担当)
(科学技術政策担当)
(宇宙政策担当)
(経済安全保障担当) 城内 実君
国務大臣
(沖縄及び北方対策担当)
(消費者及び食品安全担当)
(地方創生担当)
(アイヌ施策担当)
(新しい地方経済・生活環境創生担当) 伊東 良孝君
財務副大臣 斎藤 洋明君
文部科学大臣政務官 金城 泰邦君
政府特別補佐人
(内閣法制局長官) 岩尾 信行君
政府特別補佐人
(公正取引委員会委員長) 古谷 一之君
政府参考人
(内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官) 岩間 浩君
政府参考人
(内閣官房防災庁設置準備室次長)
(内閣府政策統括官) 高橋 謙司君
政府参考人
(内閣府規制改革推進室次長) 渡辺 公徳君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 林 伴子君
政府参考人
(内閣府地方創生推進室次長) 松家 新治君
政府参考人
(消費者庁審議官) 尾原 知明君
政府参考人
(法務省民事局長) 竹内 努君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 宮本 新吾君
政府参考人
(財務省主計局長) 宇波 弘貴君
政府参考人
(厚生労働省職業安定局長) 山田 雅彦君
政府参考人
(厚生労働省老健局長) 黒田 秀郎君
政府参考人
(厚生労働省保険局長) 鹿沼 均君
政府参考人
(厚生労働省年金局長) 間 隆一郎君
政府参考人
(厚生労働省政策統括官) 朝川 知昭君
政府参考人
(経済産業省大臣官房商務・サービス審議官) 南 亮君
政府参考人
(中小企業庁経営支援部長) 岡田 智裕君
政府参考人
(国土交通省都市局長) 内田 欽也君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局長) 藤巻 浩之君
政府参考人
(観光庁次長) 平嶋 隆司君
政府参考人
(防衛省人事教育局長) 青木 健至君
予算委員会専門員 中村 実君
―――――――――――――
委員の異動
十二月十一日
辞任 補欠選任
鬼木 誠君 田野瀬太道君
土屋 品子君 松島みどり君
寺田 稔君 古賀 篤君
平沢 勝栄君 平口 洋君
山田 賢司君 岩田 和親君
大西 健介君 辻 英之君
酒井なつみ君 岡田 克也君
本庄 知史君 鈴木 岳幸君
米山 隆一君 重徳 和彦君
西田 薫君 猪口 幸子君
前原 誠司君 阿部 司君
長友 慎治君 鳩山紀一郎君
橋本 幹彦君 岸田 光広君
赤羽 一嘉君 西園 勝秀君
大森江里子君 浮島 智子君
櫛渕 万里君 高井 崇志君
田村 貴昭君 田村 智子君
緒方林太郎君 吉良 州司君
同日
辞任 補欠選任
岩田 和親君 山田 賢司君
古賀 篤君 寺田 稔君
田野瀬太道君 西田 昭二君
平口 洋君 平沢 勝栄君
松島みどり君 土屋 品子君
岡田 克也君 長友よしひろ君
鈴木 岳幸君 本庄 知史君
辻 英之君 大西 健介君
阿部 司君 林 佑美君
猪口 幸子君 黒田 征樹君
岸田 光広君 石井 智恵君
鳩山紀一郎君 長友 慎治君
浮島 智子君 大森江里子君
西園 勝秀君 沼崎 満子君
高井 崇志君 櫛渕 万里君
田村 智子君 田村 貴昭君
吉良 州司君 緒方林太郎君
同日
辞任 補欠選任
西田 昭二君 鬼木 誠君
長友よしひろ君 福田 淳太君
黒田 征樹君 徳安 淳子君
林 佑美君 前原 誠司君
石井 智恵君 橋本 幹彦君
沼崎 満子君 岡本 三成君
同日
辞任 補欠選任
福田 淳太君 酒井なつみ君
徳安 淳子君 西田 薫君
岡本 三成君 山口 良治君
同日
辞任 補欠選任
山口 良治君 赤羽 一嘉君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
令和六年度一般会計補正予算(第1号)
令和六年度特別会計補正予算(特第1号)
令和六年度政府関係機関補正予算(機第1号)
――――◇―――――
○安住委員長 これより会議を開きます。
令和六年度一般会計補正予算(第1号)、令和六年度特別会計補正予算(特第1号)、令和六年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑を行います。
この際、お諮りいたします。
三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官岩間浩君、内閣官房防災庁設置準備室次長、内閣府政策統括官高橋謙司君、内閣府規制改革推進室次長渡辺公徳君、内閣府政策統括官林伴子君、内閣府地方創生推進室次長松家新治君、消費者庁審議官尾原知明君、法務省民事局長竹内努君、外務省大臣官房参事官宮本新吾君、財務省主計局長宇波弘貴君、厚生労働省職業安定局長山田雅彦君、厚生労働省老健局長黒田秀郎君、厚生労働省保険局長鹿沼均君、厚生労働省年金局長間隆一郎君、厚生労働省政策統括官朝川知昭君、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官南亮君、中小企業庁経営支援部長岡田智裕君、国土交通省都市局長内田欽也君、国土交通省水管理・国土保全局長藤巻浩之君、観光庁次長平嶋隆司君、防衛省人事教育局長青木健至君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○安住委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○安住委員長 昨日の重徳和彦君の質疑に関連し、岡田克也君から質疑の申出があります。重徳君の持ち時間の範囲内でこれを許します。岡田克也君。
○岡田(克)委員 立憲民主党の岡田克也です。
本題に入る前に一つ。
昨日、被団協の皆さん、ノーベル平和賞の授賞式がございました。田中熙巳代表委員が印象深い演説を行われました。
ノーベル委員会の授賞の理由は、核兵器使用は道徳的に容認できないという国際的な規範、核のタブーを形成したことに対するノーベル賞の授与であるというふうにされております。私は、今までの被団協の皆さんの御苦労と御努力に心から敬意を表したいというふうに思います。
それに関連して、一つ総理に質問したいと思います。
昨日、我が党の重徳議員が、核禁条約の締約国会議のオブザーバー参加について総理に聞きました。総理の答弁は、オブザーバーとして参加することにどんな意義があるか検討する、こういう答弁でした。
今までの木で鼻をくくったような総理の答弁と比べると、検討すると言われたことは私は半歩前進だと評価しますが、是非、お願いは、この第三回の締約国会議は来年の三月です。ですから、それに間に合うタイミングで検討結果を出してもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 被団協のノーベル平和賞受賞は、本当にすばらしいことだと思っております。
今委員お尋ねのオブザーバー参加についてですが、別に木で鼻をくくったとは思いませんが、今までの答弁と少し違うのは、オブザーバー参加するということ、参加している国もあります、実際に核の傘を提供されていながら参加している国があって、それが会議においてどのような主張をしたのか、それで会議の流れがどうなったのかということを検証しないでオブザーバー参加もしないということは、私自身としては少し納得のいかないところもあって、これをきちんと精密に検証した上で、さて、我が国が戦争における唯一の被爆国として、その悲惨さを最も知る国としてオブザーバー参加をして、どのような議論を展開をすることが望ましいかということを分析せずして参加しますということは、私は余り正しいことだと思っておりません。
きちっと検証もします、読める限りの議事録は読んでみたいと思っておりますし、どの国がどのように反応したのかというものを見たいと思っております。単に逃げ口上として検討しますと言っているわけではございません。
ただ、いつまでにという期限を区切ってということは、その検証の進捗状況にもよりますので、ここでいつまでということを申し上げることはできないということでございます。
○岡田(克)委員 今まで、第一回、第二回、どういう議論が行われて、オブザーバー参加をしている国、例えばドイツがどういうことを述べて、どういう扱いを受けたかということは、それは外務当局は当然把握していますよ。ですから、そんなに時間がかかる話じゃないんですよ。是非、三月までに結論を出して、そして三月の締約国会議に間に合うように、来年も予算委員会がまた一月に開かれますから、結論を出していただきたい、そういうことを申し上げておきたいと思います。
さて、今日は、北方領土の問題を中心に、総理と是非議論したいと思って参りました。
総理は、北方領土に関して、所信表明演説で、我が国としては、領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持いたしますというふうに言われました。それから、我が党の野田代表の衆議院本会議の質問に対して、平和条約交渉の対象は四島の帰属の問題であるという点で、我が国の立場は一貫いたしております、これまでにも、御指摘のシンガポールでの合意を含め、ロシア側と粘り強く交渉を進めてまいりました、こういうふうに答弁されております。この十二月二日の答弁の前段の部分、四島の帰属の問題であるという点で、我が国の立場は一貫しておりますというふうに述べられました。
そこで、私がお聞きしたいのは、エリツィン大統領と細川総理との一九九三年東京宣言、これは、四島の名前を具体的に挙げて、そこに帰属の問題があるんだということを確認したものです。この東京宣言は我が国の北方領土交渉の基礎の重要な一つである、そういう認識でよろしいですね。
○石破内閣総理大臣 それは、四島の帰属の問題であるということは一貫をいたしております。その間にいろいろな会談があり、いろいろな合意がありということでございます。それらを全て包括をしながら、この問題を解決に向けて努力をしていくということでございます。
○岡田(克)委員 戦後の我が国の北方領土交渉、元々は日ソ共同宣言があります。その後、ソ連は領土問題の存在すら否定してきました。それが変わったのは、ソ連からロシアに変わる、そういう段階で、東京宣言、エリツィン大統領の時代ですけれども、四島の名前を具体的に挙げて、そこに四島の帰属問題は存在するんだということを確認した、日ロ間でですね。そういう意味では、私は日本外交の一つの画期的な勝利であったというふうに思うわけです。その後、ずっと日ソ共同宣言と東京宣言を並べて、基本的には、歴代首脳がこれを交渉の基礎にするということを最近まで言ってきたということです。
その東京宣言について、引き続き重要な交渉の基礎であるということを明言してもらいたいんですが、いかがですか。
○石破内閣総理大臣 ロシアのウクライナ侵略によりまして、今、日ロ関係は厳しい状況にございます。ございますが、我々として、四島帰属の問題を解決し、平和条約を締結するという方針には何ら変わりはございません。
今後、仮に平和条約交渉が再開するということがあったといたしまして、当然のことでございますけれども、今委員が御指摘の東京宣言も含めまして、これまでの日ロ間の諸合意、諸文書を踏まえて交渉に当たるということでございます。
○岡田(克)委員 東京宣言が交渉の基礎になるということは、総理、お認めいただきました。
そこで、安倍総理の時代のシンガポール合意、これが問題になるわけですね。シンガポール合意というのは、従来、東京宣言と日ソ共同宣言を並べて交渉の基礎にしてきたのを、あえて東京宣言を除外して、日ソ共同宣言を交渉の基礎にするというふうに確認されたということです。つまり、東京宣言を排除しているというふうに考えられるわけですね。ですから、このシンガポール宣言というものを交渉の基礎として認めてしまうと東京宣言が排除される、そういう論理的関係にあると私は思うわけです。
ここのところについて、シンガポール合意について、これからの交渉の基礎にすべきかどうか。総理、どう考えておられますか。
ちなみに、先ほど言いましたように、総理は、御指摘のシンガポールでの合意を含め、ロシア側と粘り強く交渉を進めてまいりました、これはなぜか過去形で言っているんですね。ですから、これからそうするとは言っていないのは、私は幸いなことだというふうに実は思っているわけですね。シンガポール合意を交渉の基礎にしてはいけないというふうに私は思っているわけです。そこのところはいかがなんでしょうか。
○石破内閣総理大臣 そこで、しましたと過去完了形で申し上げているのと、いたしますと言っていることにそんなに違いがあるわけではございません。そこで……(発言する者あり)いや、政府として申し上げております。
私が先ほどから申し上げておりますのは、今後、日ロ間で、今厳しい状況にございますが、再開をした際には、今御指摘になりましたシンガポールでの首脳会談における合意も含めまして、これまでの日ロ間の諸合意、諸文書を踏まえ交渉に当たるということでございます。これは取る、これは取らないという立場にはございません。
○岡田(克)委員 ここはよく注意された方がいいと思うんですよ。
今までの、例えば岸田総理の時代ですが、令和三年の本会議における総理の演説の中では、シンガポール合意を含め、これまでの諸合意を踏まえてというふうに、シンガポール合意を明言されました。ところが、令和四年になると、シンガポールでの首脳間でのやり取りを含めというふうに、表現を変えているわけですね。合意という言葉はなくなりました。そして、ウクライナ戦争後は、シンガポール合意に言及していないんですよ。
そういう流れがある中で、今総理がシンガポール合意をあえて言及されるというのは、私は重大なことだし、ここは考え直していただく必要があると思いますが、いかがですか。
○石破内閣総理大臣 先ほどお答えしたとおりでありまして、大統領、そして我が総理との間でいろいろなやり取りがございました。そのやり取りも踏まえということでございまして、シンガポールにおいて話されたことをどのように位置づけるかということも、この一連の交渉の中で判断をしていくべきものだと考えております。
○岡田(克)委員 確認ですが、石破総理は、シンガポール合意のプーチン大統領と安倍総理との二人だけのやり取り、それから、その後、外務次官とかが入って、あるいはラブロフ外相も入って確認した拡大会議、二つあるというふうに言われていますが、その議事録は読まれましたか。私は、あらかじめ読んでこの場に来るようにと事務方には言っておいたんですが、読まれましたか。
○石破内閣総理大臣 当然、読んでおります。
○岡田(克)委員 それでは、安倍総理御自身も、私との予算委員会のやり取りで、私は、シンガポール合意というのは東京宣言を排除している、だから二島に絞ったのではないか、歯舞、色丹で、そこで国境線を引く、国後と歯舞、色丹の間に国境線を引くというふうに提案したのではないかというふうに問うたのに対して、安倍総理はあやふやな言い方で、はっきり言われなかった。
ところが、次の資料を見ていただきたいんですけれども、最近の著書の中で、安倍総理ははっきりと二島交渉だということを言われているわけですね。
「安倍晋三回顧録」、これは読売の橋本さん始め著名なジャーナリストが聞き取ったものでありますが、いろいろなことを言っていますが、二島返還に向けた交渉をスタートすることになりましたというふうに言っておられます。
それから「宿命の子」、船橋洋一さんが、これは安倍さんだけじゃなくていろいろな人から聞き取った結果を書いているわけですが、安倍さんの発言として、二島返還提案で日本は国家主権を自ら放棄したと言うが、四島を全部握られている中でこれ以上、降りるも何もない、これ以上、下がりようがないではないかと。
つまり、二島返還ということを国会で安倍さんは認められなかったけれども、しかし、著書の中で、あるいは回想録の中で明確に言われているわけですね。ここをどう考えられますか。
○石破内閣総理大臣 当然のことながら、「安倍晋三回顧録」、あるいは船橋先生の「宿命の子」という、該当部分は読んでおります。
ただ、そこにこう書いてあったからといって、そのことを今、外交交渉の一つの証左として、参考にはなるかもしれませんが、それを一つの確定したものとして、もう御本人もおられないわけでございますし、これが価値があるものだとは思いますが、出版物というものを、確定したものとして、事実としてこれから先の議論に供するということには必ずしもならないということでございます。
○岡田(克)委員 これは日本を代表するジャーナリストが安倍さんから聞き取って、責任を持って書いた本なんですね。それが事実かどうか分からないというような、そういう御趣旨の発言だと思いますが、それは私はないと思うんですね。日本のメディアを愚弄するものじゃないですか。
安倍さん自身が、安倍回想録については安倍晋三著になっているんですね。それにもかかわらず、総理、どうなんですか、そういった発言を無視して今おっしゃったことになりますよ。どうですか。
○石破内閣総理大臣 無視をするとは私は一言も申し上げておりません。
そのような出版物というものを、政府の考え方として、ここにこう書いてあるからということでこれからの議論を進めるということには必ずしもならない。そのときの責任ある政府の立場にいる者が発言をするということなのであって、それは立派な方であり、著名なジャーナリストであり、だけれども、それをベースとして議論を進めるということにはならない。それは当然のことでございます。
○岡田(克)委員 このシンガポール合意の後、その意味は何なのかと、日本のメディアの対応も分かれました。
北海道新聞などは、これは二島に絞った、そういう報道でした。大手のメディアの中には、二島先行返還だ、そういうふうに言われたところもあります。これは事実を全く分かっていない記述なんですよ。つまり、二島を返して平和条約を締結する、平和条約を締結するということは、国境線を引くということなんですから。だから、二島先行などということはここには全くないんです。
とすれば、やはり、歯舞、色丹でいいというふうに、安倍さんが、そこで国境線を引きますというふうに提案したというふうに、私には、考えざるを得ないんですが、いかがですか。議事録を読まれたと言いますが、本当に確認されましたか。
○石破内閣総理大臣 私は、確認もしていないものを確認したなどということを言うような、そんな無責任な立場には立っておりませんので、そのことは事前に申し上げておきたいと思います。
一九五六年日ソ共同宣言第九項に、これはもう外務大臣まで務められた委員御案内のとおりで、平和条約交渉が継続されること及び平和条約締結後に歯舞群島、色丹島が日本に引き渡されることを規定しているというのが共同宣言でございます。我々日本側といたしましては、ここに言う平和条約交渉の対象は四島の帰属の問題である、このような一貫した立場に基づき交渉を進めてきたものでございます。
御指摘のシンガポールにおける首脳会談では、日ソ共同宣言、先ほど申し上げました一九五六年日ソ共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速させるということで合意をしたものでございますが、この合意も含めまして、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する、その日本政府の立場はずっと一貫をしているものでございます。
○岡田(克)委員 日ソ共同宣言の我が国の解釈はそうだったかもしれませんし、それにより力を与えたのが東京宣言だった。その東京宣言をあえて排除して日ソ共同宣言だけを交渉の基礎にしたというところが、やはり二島で国境線を引くという提案をしたのではないかというふうに推測されるわけだし、安倍さん御自身も認めておられるということです。
総理が今、議事録を確認したと言われました。
私は、衆議院の情報監視審査会、これは八人で構成していますが、そのメンバーの一人なんですね。特定秘密にアクセスできます、条件次第によっては。この審査会は、八人いますけれども、自民党三人、立憲民主党三人、国民民主党、維新、つまり野党が多数なんですよ。
ですから、総理が言っておられることが本当かどうか、私は確認しようと思えばできる立場にあるということですが、それでも構わないですね。主張を続けられますね。
○石破内閣総理大臣 それは委員の権利として、今そういう立場におられるわけですから、私としてそれをディスターブする立場にはございません。
○岡田(克)委員 今の総理の発言を踏まえて、審査会で議論したいというふうに思います。
ただ、こういう形で、私は、安倍さんは、いろいろお考えになった結果だとは思いますが、安倍さん御自身が言っているのは、やはり中国とロシアの間にいわばくさびを打ちたい、そのために平和条約の締結まで持っていきたい、そういうお考えもあったと聞きますが、だけれども、急ぎ過ぎて、国土の、今まで一度も日本固有の領土以外の領土ではなかった四島の中の七%の部分だけで妥協した疑いが濃いということなんです。七%で妥協したけれども、結局それも取れなかったということなんです。だから、これは私は大きな戦後の外交敗北の一つになるというふうに思うんですね。
そういうことがなぜ起こったのかということを、私は、しっかり検証しなきゃいけない。二島に限っていないと総理は言われるかもしれません。それは確認します。しかし、少なくとも、あえて日ソ共同宣言のみを交渉の基礎にしたということが妥当だったのかどうか。
もっと言えば、首脳間で何回も会談を重ねられました。このシンガポールもそうです。首脳間で会談を重ねる、ほかの人を入れない、通訳以外入れないというのは、お互いの信頼関係を増す上では、それは重要な手法だと私は思います。しかし、具体的な交渉をそういったトップだけでやる、あとは通訳が入っただけというのは、私は、大きなリスクを抱えているというふうに思うんですね。私は、プーチン大統領がそもそも、平和条約締結、その気持ちがあったのかどうかすら疑わしい、最初からその気がなかったんじゃないか、ロシア外務省の対応などを見ているとそういうふうにすら思えるわけですね。
だから、総理もこれからトップとの会談が続くと思いますが、やはり交渉自身は、事務方も入れて、そういう場で行わないと非常にリスクがあるし、とんでもない結果を招くことになりかねない、そういうふうに思うんですが、いかがですか。
○石破内閣総理大臣 それは、平和条約締結問題のような重要な問題を解決する上で、この場合には安倍総理とプーチン大統領ということでございます、そこにおいて信頼関係を醸成し、率直な会話を行うということが問題解決に大きな役割を果たすということは、それは当然あり得ることでございます。
だけれども、そこで全てが決まるかといえば、それはそうではないわけで、それは、国会の持っている条約の批准というものがあって、そうでなければ、個人的にどんな関係をつくって、どんな合意をしたとしても、国会が国民から与えられている権能として、それは本当に、委員がおっしゃるように、そんなものを大統領と総理大臣、それだけで勝手に決めてはいけませんよということは国会の持っている権能なのであって、首脳同士で勝手に決めていいわけではない、当然のことでございます。それを本当に効力あらしめるかどうかは、まさしく全国民を代表する我々で構成される国会がということでございます。
首脳同士で何を話すことがあっても、それはいいでしょう。だけれども、そこにおいて、それが本当に意味のあるものか、国家として効力を持つものかということを決めるのは国会でございますから、首脳同士がいろいろな忌憚のない話をすること、何らそれは妨げるものではないということでございます。
○岡田(克)委員 プーチン大統領と安倍総理は何回も、二十数回会って、その多くは事務方を入れずに二人だけで会談をすることを重ねて、そしてこのシンガポール合意に至っているということなんです。私は、そういうことはやはりリスクが高いということを、率直に、しかも、それは一部の官邸官僚が主導する中で行われた、外務省はある意味では置いてきぼりを食っていた。そういうことについて、やはり正しく反省をしてもらいたいというふうに思います。
シンガポール合意について、これは実は文書がない、それから共同記者会見もやっていないということなんですね。しかも、提案したけれども、ロシアの憲法が変わり、国会でも拒否された。そういう意味では、私は、一旦合意したものの、今やそれは無効だという状況にあると思うんです。
したがって、そういうものをこれからの交渉の基礎に据えるのは間違っている。あくまでも日ソ共同宣言と東京宣言を中心に、諸合意を基礎として交渉をするというのが私は日本の外交の取るべき立場だというふうに思いますけれども、総理はあくまでもシンガポール合意というものを交渉の基礎に据えられるんですか。東京宣言と矛盾していますよ。
○石破内閣総理大臣 私は、基礎に据えるとは一言も申し上げておりません。いろいろな合意があり、いろいろな文書があり、いろいろな宣言がございます。それを踏まえてとは申し上げますが、基礎としてということは一言も申し上げておりません。
私どもとして、繰り返しになりますが、これは皆で共有したいのですけれども、あくまで四島の帰属の問題を解決し、平和条約を締結する、こういう方針は全く変わっておりません。そこで二島にしちゃったとか先行論だとか、そういう立場を政府として確定したことは一度もございません。
○岡田(克)委員 時の総理が合意しているから問題なんですよ。だから、それを軽く見ない方がいい。私は、今のうちにシンガポール合意については排除しておいた方がいいというふうに提案しておきたいと思います。
時間も限られておりますので、次に、ちょっと日米関係。
総理の所信表明演説の中で、日米関係について触れた部分で、当然のことながら、合衆国には合衆国の国益があり、我が国には我が国の国益があります、だからこそ、率直に意見を交わし、両国の国益を相乗的に高め合うことで、自由で開かれたインド太平洋の実現に資することができると考えます、トランプ大統領とも率直に議論を行い、同盟を更なる高みに引き上げていきたいと考えております、こういうふうに述べられました。
ここの、両国の国益を相乗的に高め合うことでというところが、それが自由で開かれたインド太平洋の実現に資するというところがよく分からないんですが、少し説明してもらえますか。
○石破内閣総理大臣 それは、あえて所信で石橋湛山を出しましたのは、これは委員もお読みだと思いますが、湛山が、功利的でなければならない、外交はということを言っているのですよね。何か、それを私は読んだときにすごく違和感があったんです、得さえすればいいのかと。いや、そうではなくて、商売というのは、一方が得をして一方が損をする。そのときは、得した方にはいいように見えても、決してそれは続かない。二度とあんなところと取引はしないというようなことになる。お互いが与え合ってお互いが得をするというような、そういうような関係でなければならない。それを功利的なというのだというので、かなり得心をしたところがあるのです。
合衆国と日本の利益というのは当然違います、国が違いますから。利益が一緒ならば、それはまた別のことがございましょう。ですけれども、このアジア太平洋地域において、平和と安全を維持をするということ、自由貿易を維持していくということ、堅持をしていくこと、その上において、国益は違うのだけれども、あくまで自由と平和を守り、そして経済が確実に発展するという環境をつくる上において、どちらがどういう役割分担をするかということが、相乗的に高め合うことになるのだと思っております。
二十数年前と比べてアメリカの力は相対的に落ちているわけで、中国のGDPというのは物すごく上がっておって、インドのGDPというのも物すごく上がっておって、そこにおいて、ではお互いがどのような安全保障の役割を果たしていくかということも、劇的にと申し上げていいと思うのですが、変わっていると思っております。
役割の分担を、また変更もございましょう。ですけれども、それによって果たすべきはこの地域の平和であり、そしてこの地域の経済的な発展だということで、相乗的にということを申し上げた次第でございます。
○岡田(克)委員 もう終わりますけれども、なかなか今大変な状況ですよね。おっしゃった石橋湛山の考え方は、トランプ次期大統領の考え方とは大分違う。取引だと言っているわけですね。
世界を見渡したときに、お隣の韓国の状況もありますし、ヨーロッパも、ドイツもフランスも、今、内閣が構成できるかどうか、かなり厳しい状況にあります。そういう中でトランプ大統領が一月にスタートするから、やはり日本の果たす役割は非常に大事だというふうに思うんですね。
そこを、総理も私と同じで、どちらかというと理屈の方が好きで、取引とかいうのは余り好きじゃないかもしれませんけれども、しかも、取引だけじゃなくて、やはり理屈は大事なんですね。そこもトランプ大統領としっかりとかみ合わせて。
そして、下手をすれば、アメリカが世界のリーダーでは四年後にはなくなってしまいますから、このままいったら。そういうことに絶対ならないように御努力いただきたいということを申し上げておきたいと思います。
終わります。
○安住委員長 この際、早稲田ゆきさんから関連質疑の申出があります。重徳君の持ち時間の範囲内でこれを許します。早稲田ゆきさん。
○早稲田委員 立憲民主党、早稲田ゆきでございます。
本日も、石破総理、そして政府参考人におかれましては、質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。
まず、高校生扶養控除の縮小に関してでございます。
これにつきましては、今、税制改正大綱が大詰めを迎えていると思いますけれども、高校生年代の子供を持つ親の扶養控除を児童手当の拡充に伴いここで縮小していくという方針が出されていると報道にございます。
この資料一、配らせていただいておりますが、我が党の考え方であります。児童手当拡充に伴い、扶養控除の縮小が検討されていたが、結局正式な決定は来年以降に先送りされた。これは去年のものでございます。我々としては、控除から手当への大原則は維持しつつも、控除の廃止により収入の逆転現象が生じ、かえって子育て支援に逆行することにならないように、そして手当が十分な額とならない限りは現行の扶養控除を存続すべきであるというのが我が党の考え方でございます。
それに基づいて質問させていただきますが、物価高騰で、賃上げ、実質賃金も上がらない中で、そしてまた、国会では、現役世代の手取りを増やす、そのために百三万円の壁の議論も行われているわけです。全く、手取りを増やすという方針に逆行するような、真逆の政策ではないかと思います。高校生まで児童手当を拡充するのと引換えに扶養控除の縮小をすると、結局は増税と同じことになるのではないか。そして、こどもまんなか社会といいながら子育て世帯狙い撃ちの負担増。そしてまた、子育て増税ということは間違っている、現段階において。こうした社会情勢に鑑みても非常におかしいと私たちは考えています。そして、現行の扶養控除を存続すべきと考えるわけですけれども、総理のお考えを伺います。
○石破内閣総理大臣 これは、よく数字を確認の上、議論を進めていきたいというふうに思っております。
御指摘の令和六年度の政府の税制改正大綱におきまして、ここは御指摘のとおりですが、高校生年代に支給される児童手当と合わせまして、全ての子育て世帯に対する実質的な支援を拡充するということにいたしました。そしてまた、所得階層間の支援を平準化していくということが令和六年度の税制改正でなされておるものでございます。方針として、政府税調として大綱においてお示しをしております。
それを見てみますと、ネットで負担増になるということは起こっておりません。ネットで負担が増えたということにはなっておらないのは、これは数字で明らかなことでございます。
現在、令和七年度税制改正において議論がなされておることでございますが、御指摘の扶養控除の見直しにつきましても議論がなされておるところでございまして、そこにおいて過度な御負担が生じることがないか、その点はよく留意をしていかねばならないと思っておりますけれども、今、政府の立場でこれについて確定的、断定的なことを申し上げることはできません。
○早稲田委員 ネットで負担増にはならないとおっしゃいましたけれども、この一万円が月額、受益として入る世帯というのが非常に少ないわけです、限定的です。非課税の世帯だけになってしまいます。そうすると、国民の皆さんは、ああ、高校生になっても一万円が児童手当として支給されるんだと非常に喜んでいらっしゃるのに、そこが七千円、六千円と減っていくということが、やはり子育て世帯を狙い撃ちした、またこういうことをやるのかということで、非常に皆さんからも不安の声が上がっているということを再度お知らせをして、これは最終ではないと今総理はおっしゃいましたから、公明党も、それから国民民主党さんも反対をされております。私たちも、高校生の扶養控除は存続をすべきという考えでございますので、是非再検討していただきたいということを要望させていただきます。
次に、マイナ保険証であります。
この資料の方を御覧ください。今年の五月以降でこれだけのトラブル、それから不具合がありました。そして、これは、前回の、その前の調査よりも一〇%も、この七割というのは増えています。
そして、私も、先週末、地元の医師会と意見交換をさせていただく機会がございました。ここで聞いたところには、十二月二日、確かに保険証の新規発行はなくなって、そのまま使えるわけですけれども、それをよく御存じない方が大変多い、そして不安を感じていらっしゃる、そこに寄り添っていないのが一番問題ではないかと医師会の先生方もおっしゃっていらっしゃいました。
そして、一五・六七%の利用率と全くほぼ同じ、大体十人いらして一人か二人マイナ保険証を使っていらっしゃると。そしてまた、いまだに、カードリーダーにかざせばくるくる回ってしまう、そういうシステムエラーが日常茶飯事で起こっているんです。全然これは解決をされていない問題なんですね。
それで、医師の先生たちがおっしゃっていたのは、とにかく併用しておけば、今の保険証を五年間ぐらい併用しておけば何にも問題ないのに、ここで廃止、マイナ保険証ですよ、あと一年は使えるといいながら、そこのところは周知徹底されておりません。資格確認書のことも周知徹底されていません。
そんな中で、私はびっくりいたしました。
先般の岡本あき子委員の質問に対して総理がおっしゃったのは、総裁選のときは、廃止時期について、納得していない人、困っている人がいっぱいいる状況であれば、従来の保険証との併用も考えるのは選択肢として当然だとおっしゃっておられました。いろいろ言葉を変えても、そういうふうにおっしゃっています。そうしたら、岡本議員の質疑に対する答弁では、自民党総裁選で当選をさせていただきました、そこにおいて掲げました政策が、私は当選をしたのだからこのとおりにやるということにはなりません、ならないですと。
それでは、今不安を抱えていらっしゃる方、マイナ保険証だけではということですね、そういう国民の皆さんがテレビの向こうにもたくさんいらっしゃいます。そして、信用して、党員の皆さんも、総理を総理にしたいと思って投票された方もたくさんいらっしゃると思います。これだけではないですけれども、今マイナの議論でありますから、ここを申し上げますと、これは背信行為になりませんか。国民の皆さんに対してそれは余りにも不誠実極まりない、この間の発言は。
だから、ここを撤回していただきたいと私は思いますし、是非、国民の皆さんにもっと丁寧に、私も不安に寄り添うためにもっと力を尽くしていきたいというような言葉に変えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 今委員が最後におっしゃいました、どのような方がどのような御不安をお持ちなのかということは早急に正確に把握をしなければならないということはよく分かっております。それは今からでは遅い、今やらなきゃどうするのということでありますが。
私は、新聞広告にも何度か出しましたが、今のままの保険証でも使えますよ、資格証明書というものを出しますよ、ですから御不便はかけません、御負担はかけませんということの周知徹底が全然十分でなかったということは強く反省をいたしております。
不安を抱えておられる方々に大丈夫ですよというふうに思ってもらうのは、それはサービス機関たる行政の当然のことでございまして、そのことが足らないんでしょう、なお。そこは更に努めてまいりたいと思っておるところでございます。
マイナ保険証というのが、これは今更申し上げるまでもございませんが、何も政府が医療費削減とかそのようなことで考えていることでは全くございませんで、そういうような情報をきちんと利用することによってよりよい医療を目指していきたいということでこれを導入をしておるものでございます。例えば薬でもそうで、朝昼晩、同じような薬をもらってもいかぬ、あるいは、いろいろな症例というものをきちんと集約をして最もいい医療が受けられる、そういうようなメリット面もきちんとお知らせをしていかねばなりません。
その御不安を取り除くということと、マイナ保険証をなぜ導入するかということも併せまして、周知を更に図っていきたいと考えております。
○早稲田委員 お答えになっていらっしゃいませんので。この発言について、先般の答弁について、総裁選で言ったことを全部やるんじゃないというようなことについて、国民の方からも不安の声が上がっています。じゃ、何を信じればいいの、何を選挙のときに信じればいいのということでありますから、これを撤回していただきたい。
総理の今のお気持ちはよく分かりますから、きっとこういうことでおっしゃってしまったんだろうけれども、撤回をしていただきたいと思いますが、この答弁について。もう一度お願いします。
○石破内閣総理大臣 御不便を感じることがないようにやっていかなければいけないということを申し上げたところでございます。(発言する者あり)
○安住委員長 御静粛に。
○石破内閣総理大臣 我が党として、総裁選挙のときに九人がいろいろな公約を掲げました。本当に、私も長くやっておりますが、これほど大勢の人がいて、これほど言うことが違う総裁選というのも実に珍しいことでございました。
そこにおいて非常に僅差で当選をした者が、全て私が言って当選したことだから我が党の公約だよというようなことには我が党はなっておりません。それをどうやって実現をしていくかということにおいて、党として議論をし、早急にそれを法案なり予算なり提出をしていくということでございまして、我が党は専制独裁政党ではございませんので、その仕組みに沿ってやっているということでございます。
○早稲田委員 ちょっとかみ合わないんですけれども。もちろん、全てできるとか実現するとか、そういうことを言っているのでは私はありません。ただ、総裁選でそこも何度も何度も国民の方にそうやって説明していたはずです。だったら、今まだ周知徹底が足りないということですけれども、具体的な指示を出してください。
そして、これは違うということですよね、総理のお気持ちとは違うということですね。そのことについてだけ、イエスかノーかでお答えください、この発言に対して。お願いします。
○石破内閣総理大臣 わざわざ黄色い目立つ紙で刷っていただきまして、誠にありがとうございます。
私が申し上げたのは、納得していない人、困っている人がいっぱいいる状況があったとすれば、併用を考えるのは選択肢として当然だということを申し上げました。
困っている人がいっぱいいるのは間違いないことでございます。マイナ保険証に切り替えられなくても今までどおりの医療が受けられるということをきちんと納得していただく、それは、今のマイナ保険証を持っていなくてもきちんとした医療が受けられるということを周知することが大事だということを申し上げているのでございます。
○早稲田委員 それでは、もう一度伺いますが、今、総理が就任されてからこれまでの間、これだけ、一五・六七%なんですよね、十二月二日に至っても。だったら、八割、九割の方が使っていないんだから、早くこれを調査せよと大臣にもう指示をしていらっしゃるんですね。
それと、あともう一点伺いたいのは、今、クリニックに行けば、病院に行けば、マイナ保険証を使ってくださいということは書かれていますけれども、資格確認書、これが送られてきますから心配しないで、これがマイナ保険証の代わりになります、今までの従来の保険証とほとんど形も同じだし、中身も同じですけれどもね、でも、これが送られてくるんです、これで受診ができますということを、マイナ保険証を使ってくださいという周知の隣に是非それを書いていただきたい。そうじゃないと、全然皆さんお分かりじゃありません。しかも、医療情報のお知らせなんというのは誰も見たことがない、クリニックの方でさえ。
そうなんだよねと今うなずいていただいたわけですから、是非そこのところを書いていただきたい。資格確認書は送られてきます、これで健康保険証の代わりになりますということを周知徹底、この場で国民の皆さんに約束をしていただきたい。お願いします。
○福岡国務大臣 総理もおっしゃっていますように、マイナ保険証に登録されていない方には、職権で発行する、すなわち自動的に送られる形で資格確認書が送られてくるということは再三周知をしております。
その上で、まだ届いていないということであれば、引き続き周知に努めてまいりたいと考えます。(発言する者あり)
○安住委員長 御静粛に。
○早稲田委員 周知をしています、こちら側が周知をしていても、それを理解していない、全然分かられていないわけですね、国民の皆さん。だから、総理から、そういうポスターを作って、クリニックに、マイナの隣に貼ってくださいということを是非指示していただきたいんですが、お願いします。
○石破内閣総理大臣 今厚労大臣が申し上げたとおりですが、周知しているつもりでも、分かっていなければやっていないのと一緒なので。
そこは、新聞広告を出すのも、これは出そうよということを相当に私しつこく申し上げました。それでああいうことになっているわけですが、それでもまだ十分でないとせば、現場に行ってみて、やはり分からないよという人がいる以上、それは厚労省として更なる努力は必要だと思っております。(早稲田委員「ポスター」と呼ぶ)ポスター、どんなポスターにしましょうか。これがまた、本当にどういうものが訴求力を持つか。私、どの大臣をやっていたときもそうなんですけれども、ちっちゃな字がいっぱい書いてあって、そもそも読む気がうせるみたいなのをやっちゃいかぬと思っております。
ですから、横に貼るということも大事でしょう。そしてまた、御指摘のように、じゃ、何でまだそれが普及しないのか、カードリーダーみたいなものが何で普及しないのか、それに対する支援もしていかねばならぬでしょう。
それは、私ども、行政というのは最大のサービス産業だと思っておりますので、お客様の視点に立って更に努力をいたしてまいります。
○早稲田委員 ポスターも含めて考えていただくということでありますから、マイナ保険証を使ってください、それの隣に、資格確認書で受診が今までどおりできるんだと、是非それを周知、総理が約束してくださったと理解をいたしました。
それで、私たちは保険証の復活法案をこれからまた提出をしようと思っていますので、与野党で議論をしていただきたい。そして、国民の不安を取り除く。まずは、私たちは医療DXは当然進めるべきだと思っています、だけれども、今、Suicaを使っていても切符はあるように、そういうことをきちんとしていく。不安を取り除くためにはそういう施策が、是非、行政の、サービス産業、サービス事業だとおっしゃるのならば、そういうことが必要ではないでしょうか。お願いいたします。
それでは、訪問介護に移ります。
この問題も、たくさん各議員がこれをやっていらっしゃいます。参議院の森本議員、それから、昨日も重徳議員がこの予算委員会で議員立法のこともおっしゃいました。
これを御覧ください。見ていただくと分かるように、訪問介護の事業所消滅マップということでありますけれども、訪問介護事業所が残りが一しかない二百七十七市町村、ここに赤であります。ゼロのところも百三です。総理の御地元の村でも一つゼロがあったのではないかと思います。特に地方はそういう状況で厳しいんです。
それじゃ、何でこういうことが起きているのか。
そうしますと、この訪問介護、とにかく今、報道でもたくさんございます、資料の方にも書かせていただきました、訪問介護の崩壊、訪問介護だけじゃないですけれども、とにかく介護崩壊が起きている。だって、在宅医療、そして介護の社会化ということを決めたのは国ですよね、政府です。それでみんなで前に進めようというのに、今回、本当にあろうことか、四月に報酬改定がありまして、訪問介護の方は基本報酬を引き下げました。その代わりに処遇改善加算で大丈夫とおっしゃいますけれども、全然大丈夫ではありません。
それが、ここに出ているとおり、なぜ人手不足なのか。年収が低過ぎるからです。全産業平均四百五十八万、それから、介護職員、特に訪問介護は三百四十万。この差が、少しずつは縮まっていたとしても、まだまだ縮まりません。そして、拘束時間が長い割に、とにかく収入が得られない。そう思っていらっしゃるから、当然ながら、若い方たちは、この職に就きたくても就けない、モチベーションを持ってやっていただけない。これが本当に今の現状であります。
そこのところを、私たちは、やはりこの基本報酬引下げということは間違いだったのではないか。そして、淑徳大学の結城先生もおっしゃっています。これは地域包括ケアシステムを机上の空論にしてしまう、そんなこともこれで起こり得るんだということであります。
そして、これは、日本介護クラフトユニオン、NCCUさんのアンケートの結果であります。そして、訪問介護の基本報酬が下がったことをどう思いますか、これは、反対という方とどちらかといえば反対という方を入れれば、もう九九%です。
これはなぜかといえば、この訪問介護の方の賃金というのは、処遇改善加算だけではもちろんありませんよね。基本報酬から出されているところがほとんどでありますから、その基本報酬を引き下げるということがどれだけ暴挙かということを分かっていただけないでしょうか。
そして、その基本報酬を引き下げることによって、事業所の運営が成り立たないのではないか。実際に倒産も増えています。その中で、職員さんがまた離職をしていく。結局、介護崩壊、それからまた、その介護を見ていらっしゃる方たちの介護離職につながっているという、もう負の連鎖であります。
その中で、私は今回の経済対策について質問したいと思います。
介護職員一人当たり五・四万円の支援ということが非常に独り歩きをしているのではないか。総理も今うなずいてくださいました。これはお聞きしたいんですけれども、五・四万円というのは、一回きりの一時金ですよね、補正予算ですから。それから、一人当たりで本当に五・四万円の支給がされるんですか。これはされないと思いますが、政府参考人にこれを答弁いただきたい。
○黒田政府参考人 お答え申し上げます。
今回の補正予算に計上いたしました介護事業者の支援につきましては、更なる賃上げにつなげるものとして、各事業所の判断によりまして、職場環境改善を図るための費用、あるいは職員の人件費等に充てることが認められておりまして、介護職の配置があるサービスを対象に、積算上は常勤介護職員一人当たり五・四万円相当の支援を行うものでございます。
この積算は、介護職員ごとに勤務時間等が異なることから、職員の勤務実態に合わせて、常勤換算方式により積算した人数に応じた支援を行うという考え方に基づくものでございます。
例えば、仮に、平均的な配置の事業所におきまして、補助額が全額人件費に充当された場合、積算上は、常勤介護職員であれば五・四万円相当、それから、パートタイムの介護職員であれば労働時間に応じた引上げ額、労働時間が半分であれば二・七万円相当としております。その上で、事業所内の配分に当たりましては、各事業所の判断で事業所内の柔軟な配分も可能としております。
○早稲田委員 人件費に全額充てられた場合が最高で五・四万円ということですよね。でも、それは充てられないですよ。事業の経営者も非常にいろいろ大変だし、それからまた、ここにはいろいろ条件がつくはずですから、全部充てられるわけがないわけです。
そして、一人に対して五・四万円、今見ていらっしゃる方々が、介護の職員の方たちが、私はもらえるのねというふうに勘違いをするようなミスリードです。これは、百四十一万人ぐらい介護の方がいらっしゃる、その計算でしていらっしゃると思いますけれども、三十万人の方は非常勤ですよね。そうすると、非常勤の方は二・七万円なのか。一日だけ、あるいは八時間のうちの四時間だけ働いていらっしゃれば、一万円いただくということもあり得るかもしれないんです。
だから、五・四万円ということを大臣も答弁でおっしゃいましたけれども、これは独り歩きしますから、決してそういうことがないようにしていただきたい。それで、これも人件費にしっかりと充てていただくように、総理からも、それこそ徹底をしていただきたいと思います。
その上でですけれども、全額人件費に充てるか充てないかというのも介護事業者に任されているわけです。これも大変問題だと思います。本当にお給料を上げなくちゃならないと政府が考えていらっしゃるんだったら、そういうスキームにしていただきたい。
それからもう一つ、これで他産業との六・九万円の賃金差は縮まるとお考えでしょうか。総理に伺います。
○福岡国務大臣 まず、申し上げましたように、報酬の見直しとともに処遇改善加算をしておりますが、その取得状況について、まだ上がっていない部分もございます。それについては、処遇改善の取りやすい環境整備に努めていくとともに、先ほど申しました、常勤換算お一人当たり五万四千円の補正でそこの処遇を上げていくということで、他産業との差は縮まっていくものというふうに考えております。
○早稲田委員 それは机上の空論ですよ。これ一回きりの、最高でも五・四万円で、なぜ、六・九万円、これは月額ですよ、六・九万円の差は。それが縮まるわけがありません。だから、私たちは議員立法もまた再提出を考えております。
その前に伺いたいのは、総理、保育園それから幼稚園の従事者の賃金は月額三・八万円今度引き上げられるということですけれども、なぜ介護それから障害福祉に関しては一時金なんでしょうか。大変、エッセンシャルワーカーの皆さんも心配をされています。不公平極まりないと私は思いますけれども、このことについてお答えください。
○福岡国務大臣 まず、なぜ一時金かということでありますが、元々の報酬改定で、今年二・五%分、来年二%分の処遇改善については既に見込んであります。足下の経済動向で、他産業との賃上げの、そこの差が今生じている。そこを今回の補正において対応しようという考え方でございます。
○早稲田委員 違いますよ。ずっと六・九万円、それが、八万円だったものが少しは縮まったかもしれませんけれども、縮まっていないんですよ。だって、ほかのものはどんどん賃上げしていますから。連合さんの方の業界では五%、もっとというところもあります。その中で、やっと二%ぐらいの賃上げができたねという業界ですから、それは違うと思います。大臣、そういう言い方で、全然お答えになっていません。
それで、私たちは、さらに、このことについては、今、基本報酬を引き下げたことに対する緊急の支援の法案、それからまた、きちんと一万円月額上げていく処遇改善の法案、これをやっております。準備をして、今提出をする予定ですから、是非これを与野党でやはり成立をさせていきたいと思いますので、総理、最後にお答えください。
○石破内閣総理大臣 これだけ医師不足、医師偏在が言われている中にあって、訪問介護の重要性というのはよく認識をいたしております。特に、中山間地へ行ってみると、訪問介護がどれだけ喜ばれているかということもよく認識をしておるところでございます。
今厚労大臣がお答えしましたように、いろいろな政策はやっておりますが、とにかく、介護という、本当にエッセンシャルワーカーとして、世の中にこういう方がいないと高齢化社会は成り立ちませんので、そういう方々の人材が足りるように、そしてまた処遇が改善されていくことが実効性を持つように、厚労省とともに努力をいたしてまいります。
○早稲田委員 それでは、時間がなくなりましたのでこれで終わりにいたしますけれども、やはりこの訪問介護に対する、それから介護の支援に対する危機感が総理もまだまだ足りないと私は思います。所信表明では、社会保障に関する言葉はたったの五行でありました。しっかりと、この介護の問題、取り組んでいただくことを強く要望いたしまして、終わります。
ありがとうございます。
○安住委員長 この際、黒岩宇洋君から関連質疑の申出があります。重徳君の持ち時間の範囲内でこれを許します。黒岩宇洋君。
○黒岩委員 立憲民主党の黒岩宇洋でございます。
今日は、総理、政治改革について、政治と金の問題を冒頭聞かせていただきます。
昨日、東京新聞の一面に、石破内閣に関してのある記事が載っていました。これは、前国会でも大変問題になりましたいわゆる茂木方式と呼ばれる、本人がいらっしゃらないので、ただ、これは私がつけた名前じゃないので。公開基準の厳しい国会議員関係団体から公開基準の緩い政治団体につけ替える、こういったことが石破内閣の中で、林官房長官、そして村上総務大臣、さらに江藤農水大臣と、三閣僚で、この三年間、二〇二三年まで、約三千万円の資金移動があったということでございました。
説明しますと、国会議員関係団体というのは、一万円以上の全ての支出を、詳細を書かなければいけない。逆に、それ以外の政治団体というのは、これは五万円以上が明細をしっかりしなきゃいけない。それ以上に、事務所費だとか光水熱費とか、経常経費とくくった場合は、その支払いの目的や金額や支払い先、これも全て書かなくていい。
ですから、国会議員関係団体、政党支部とか資金管理団体はおよそ全ての支出がガラス張りになるのに比べて、その他の団体は、前回の国会でも、八割から九割ぐらいがその支出先が明快になっていないということで、はっきり言えば使い放題だ。
先ほど申し上げた茂木前幹事長は、十年間で約三億円もの巨額なお金を、自らの政党支部等から今言ったその他政治団体に流して、結局、その使い道はほとんど分からなかった。こういうような方式を今三閣僚は行っていたという事実が指摘されています。
そこで、私は、代表してと言ったら失礼ですけれども、林官房長官にお聞きしますが、今後もこの資金移動を続けますか。
○林国務大臣 寄附等につきましては、法令に従って適切に処理して報告をしているところでございます。
引き続き、政治資金については、法令に従いまして適切に処理して報告してまいりたいと考えております。
○黒岩委員 これは、江藤農水大臣は、今後、その他の政治団体ではなく、自らの政治資金団体、すなわち国会議員関係団体の支出にすると答えているんです。簡単なことですよ。ないしは、林官房長官の後援会を国会議員団体関係に届け出るだけで、これはガラス張りになるんですよ。やればできる。
それでも、今のような茂木方式を今後も続けますか。官房長官、お答えください。
○林国務大臣 国会議員関係政治団体というのが今御指摘でございますが、この要件は、国会議員が代表者を務める団体若しくは寄附金控除制度の適用を受ける政治団体のうち、特定の国会議員を推薦し、又は支持することを本来の目的とする団体ということでございまして、御指摘のあったその他の政治団体は、いずれにも該当しないということでございます。
○黒岩委員 官房長官、そしてこの後、総理、昨日総理がおっしゃったとおり、この予算委員会の質疑の時間というのは国民の時間だとおっしゃいましたよね。聞かれたことに答えていただきたいですし、端的に、短時間で答えていただきたい。
そこで、石破総理にお聞きするんですけれども、私は、これはいい機会だと思うんですよ。今言ったように、やればできることを、私は、石破総理のリーダーシップの下、石破内閣在職中の閣僚は、国民から大きく不信を抱かれたこの国会議員団体関係から今言ったその他団体への支出、こういった政治資金移動を自粛すると言ってみたらいかがでしょうか。いかがですか。
○石破内閣総理大臣 今、官房長官から答弁いたしましたとおり、私どもとして、法令にのっとって適切に処理をしてきたものでございます。
この全体の政治改革の流れの中で、各党でいろいろな議論が行われ、私どもは、禁止よりも公開ということを申し上げております。(黒岩委員「公開基準が低いんだ」と呼ぶ)ですから、どうすれば公開性が高まるかということについては、更に議論はしていかなければなりません。
ただ、申し上げましたように、現状におきまして、私どもとして、法令にのっとって適切な処理をしてきたということでございます。
○黒岩委員 私は残念ですよ。これは石破総理自身がやっていないわけだから、やればできる。
私はこれをしっかりと昨日質問通告をしているわけですから、言い方はなんですけれども、本当に簡単なアシストボールを私は総理に送ったつもりですよ。だから、求心力のある総理だったら、昨日中に各大臣に、こういう指示をNHKの、みんなの前で出すよ、そういったことに従ってくれと。私は、そういう意思がないとすれば、やはりこの政治改革に消極的だと言わざるを得ないし、意思があってもそのリーダーシップを発揮できないとすれば、求心力が低下しているんじゃないかということを指摘させていただきます。
それでは、今回の政治資金規正法の再改正について、私の方で端的にまたこれも聞いていきます。
今回の再改正では、やはり、今、公開性を高めるとおっしゃいましたけれども、公開についての例外があるんじゃないのか、こういう大変な疑念が、これは国会のみならず多くの国民が抱きつつあります。
その中で、一つ目の例外をお聞きしますけれども、今回の自民党案では、これは政策活動費の廃止について聞きますけれども、政策活動費の例外です。
これについて、自民党の案ですと、渡し切りのお金を支出をやめる。今までは、全部政治家個人に渡し切りで、幹事長が年間十四億円ものお金を、ほうと驚いていますけれども、石破幹事長の時代も二年で十七億ですからね、そういった渡し切りのお金を何に使ったのか分からない、それをやめましょうということなんです。ただ、自民党案だけ、主体が政党と政党支部と、そして先ほど申し上げた国会議員関係政治団体に絞られるんですよ。すなわち、いわゆるその他団体が入っていない。だったら、これはすり抜けられるんじゃないのか。
その他団体には、大変重要な団体が含まれます。これは、政党が唯一、一つだけ指定できる政治資金団体という、国民の皆様には余り聞き慣れない言葉かもしれませんけれども、今言ったように、たった一つだけ指定して、そして、自民党なら自民党のための企業・団体献金を受けることができる政治資金団体というものがあります。世の中には五万八千も、政治団体というのはありとあらゆるものがありますけれども、この政治資金団体というのは世の中に三つしかないんですね。本当に、大きなお金を動かしている政治資金団体を持っているのは、ある意味、自民党だけ、国民政治協会です。
そこで、総理にお聞きします。
今回の自民党案で、自民党、政党からお金を今申し上げた政治資金団体、国民政治協会に寄附することは可能ですか。
○石破内閣総理大臣 それは当然可能なものでございます。
○黒岩委員 では、続いてお聞きします。
その政治資金団体、国民政治協会から自民党の議員個人に渡し切りの支出をすることは可能ですか。
○石破内閣総理大臣 それは可能でございます。
○黒岩委員 国民の皆さん、お分かりになりましたよね。
政党が指定するこの政治資金団体、しかも世の中には三つしかない、何十億ものお金を動かすというのは、この自民党の国民政治協会しかない。この表裏一体の、まさに表と裏を組み合わせれば、ともすれば、言葉は悪いけれども、迂回させれば、今までと全く同じ、政策活動費と同じ、個人への渡し切り、その先は、今申し上げた何々議員、何々幹事長の領収書さえあれば、その額が十億だろうが二十億だろうが全く分からないという、まさにこれは自民党にしか使えない。なぜならば、我々は、立憲民主党は政治資金団体を持っていないですよ。自民党にしか使えない。要は、自民党の自民党による自民党のための大きな抜け穴ができてしまったじゃないですか。
総理、これは塞いでくださいよ。これは指摘をさせていただきます。いや、結構です。
では、石破さん。
○石破内閣総理大臣 それは自民党だからできるとか、立憲民主党だからできないとか、そういうお話をしておるのではなくて、それは制度上そういうことが可能であって、我が党が何か特権を持って、その制度を悪用して、何かよからぬことを働いているような印象操作は、それはいかがなものかなというふうに思っておるところでございます。
仮にそういうようなことがあったとすれば、御指摘のような資金の移動をあえて行うとすれば、今回もいろいろな御批判を頂戴をいたしておるところでございますが、それは政治的、道義的にそんなことはもたないでしょうよということだと私は思っておるのですね。だから、であらばこそ、今回いろいろなことが問題となり、また、これを改めていくということをやっておるわけでございます。
このような事例におきましては、政党などから国会議員関係政治団体以外の政治団体に対します支出も、あるいは当該政治団体から政治家に対します支出も、共に政治資金収支報告書に記載されるということになっていくわけでございます。そういうことになりますと、迂回して資金を移動させるというようなことをやりますれば、これは一見して、こんなことをやったんだねということが明らかになるものでございまして、そういうことが明らかになれば、それは当然社会的な批判を浴びるということで、それが強い抑止力になるものだと思っております。
○黒岩委員 石破総理、国民の時間ですから、大切に使ってまいりましょう。
今、道義的とおっしゃったんですけれども、それだったら、立法というのは必要ないじゃありませんか。今回、自民党ははっきりと言っているんですよ、政策活動費については法的に廃止すると。道義的という言葉を出している時点で、相当よれよれだと思いますよ。
今申し上げたとおり、制度上はどの政党も使える、そんな穴だらけの法律で、しかも、事実上は、政治資金団体という大きな組織を使うことができるのは限られているという指摘をした。その中に自民党が入っているという指摘でございます。
そして、ここのところずっと議論になっている、私も、質問通告をするときには要配慮支出だったのが、いざ質疑になったら、公開方法工夫支出という何かへんてこな名前になりましたけれども、そもそも分かりづらい言葉を使うときというのは大体やましいんですよ、立法行為で。
それで、やはりこれは抜け穴じゃないの、ブラックボックスじゃないのというときに、私は、前回の改正案で言われる、政治資金規正法の改正案の政策活動費の扱いと今回の再改正案における公開方法工夫支出の違いをちょっと何点かお聞きしたいと思います。
前回の法改正で、政策活動費、相当批判は受けましたけれども、ちゃんと公開してよと。十年後とはいえ、領収書や支出の明細は公開されることが法律上規定されました、附則の十四条だったかな。
では、総理、お聞きします。今回の公開方法工夫支出の領収書は公開されますか。
○石破内閣総理大臣 領収書は、それはきちんと保管をいたします。公開には供されません。
○黒岩委員 公開されませんよね。これは参議院の質疑では、意地になっても公開されないと言っていましたけれども、やはり公開されないじゃないですか。どうですか。
先ほど申し上げた政策活動費の場合ですと、これは十年後にちゃんと総務省を通して国民に公表されるんですよ。でも、今回は、政治資金監視委員会に公開方法工夫支出の領収書が行くと、これは片道切符、ワンウェーなんです、一方通行。ここから出てくることはないんです。ともすれば、この委員会自体がブラックボックスと言ったら失礼かもしれませんけれども、公開方法工夫支出というものは、今言ったように、国民への公開性が更に低まる、こういう仕組みであるということを今いみじくも総理がおっしゃっていただいた。
では、次に進みます。
そして、次に、上限額というものに、これは私も確認をしたいんですけれども、せんだっての改正では、政策活動費については上限額を規定する、幾らかはまだ示していないけれども、上限額を規定しましょう、十億、二十億を今まで使い切っていたわけだから、やめましょうと。
では、総理にお聞きしますけれども、この度の公開方法工夫支出には上限額はありますか。
○石破内閣総理大臣 上限額はございません。
○黒岩委員 総理、何のための再改正なのか。前回、ブラックボックスと言われたもの、それとほとんど同じぐらい大きな抜け穴が、今申し上げた、主体を政党などに絞ったがゆえに政治資金団体などで迂回できるというのがあったし、この公開方法工夫支出に至っては領収書は公開もされない、いわゆる公開度を下げました、上限もない、使い放題。
これは、私は第二政策活動費だと思っていたけれども、そんなレベルじゃない。使い放題、真っ暗闇の政策活動費。これでしたら、私は、むしろ今回のは、再改正なんて言っていますけれども、改正の改悪だと思いますよ。
総理、今後、政治特での議論がありますので、今のことは肝に銘じて、いや、答弁は結構でございます。
○石破内閣総理大臣 それはこれから委員会で詳細な議論をいただきますが、そういう決めつけの議論というのはどうなんですかね。そして、答弁を求めないという形になれば、それこそ国民の時間にならないじゃないですか。片一方が意見を述べ、それに対してどう述べるかということは聞かなくてもいい、それこそ国民の時間にはならないと思っています。
私は、何のために監査機関を置くのだということです。そんなものは信用できないのだと言ったらば、じゃ、一体誰を委員に任命するんですか。それは自民党が勝手に決めるわけではない。それは御党の推薦もあるでしょう。そういうようにきちんとした監査機関が本当にこれは公開方法に工夫をする。
公開はしますよ、だけれども、それが外交の問題である、あるいは営業上の問題である。これは商売をやった人なら誰でも分かりますが、あの会社と何々党は取引があるのね、じゃ、もう一緒につき合うのはやめましょうになるということは世の中にいっぱいあります。それは、営業上、公開するにふさわしくないものだ。あるいは、そういう外国との交渉もそうです。先ほど岡田議員との間にもありましたが、領土交渉にしても、あるいは国交がない国のいろいろなやり取りにしても、外へ出したら、その交渉そのものが成り立たないものはいっぱい世の中にはあるのです。
それを本当に出していいか出してはいけないかは、自民党だけの監査をする人が決めるわけじゃない。そこにおいてきちんとした議論が行われて、これは出してはいけないのだというものに物すごく限定して出さないということを我々は提案をしているのであって、それが何で使い放題になるんですか。何で今よりも悪くなるんですか。
今より悪くなるんだったら、かくかくしかじかで悪くなる、監査機関はかくかくしかじかで信用ならないのであるということをおっしゃっていただきませんと、これは議論として成り立たないものでございます。
○黒岩委員 私は、監査機関、政治資金監視委員会が何か危ういだとか、そんなことを言っているつもりはないですよ。これは各党から推薦して、立派な委員が選ばれると思います。
ただ、この監視委員会が監査するのは、公開方法工夫支出の該当性を監査するだけなんですよ。該当性というのは三要件ですよ。外交機密性があるのか、そして団体のプライバシーなのか、個人のプライバシーなのか。
外交の機密かどうかというのは、これは委員会でこんなものを判断できっこないです。領収書が一枚出てきて、こんなものはできっこないですよ。そして、今言ったように、団体のプライバシーも個人のプライバシーも、先方側から、これは隠しておいてねと書面が出てきた、この書面についての真偽を、これは判断できるわけがないですよ。
だから、それは、今言ったように制度上無理があるから、結局、言ってしまうと、この委員会の機能性も極めて低い可能性がある、そのことを私は指摘している。これは、私は、政治特の委員会でもありますから、それはしっかりやらせていただきます。
そこで、では、総理、総理は幹事長時代に、先ほど申し上げたとおり、二〇一二年から一四年の間に十七億円の政策活動費が総理の元に。一二年九月から一四年九月の間に、七十二回にわたって十七億五千五十万円を総理は受け取っているんですよ、はあと言っていますけれども。しかし、すごいな、この額を受け取って忘れてしまう、そんな国民はいるかな。
岸田総理も、これについてはチェックする内規があって、チェックする機関がある、明文化されていないけれどもとおっしゃっていましたが、今後、今ある公開方法工夫支出の、これの党としてのチェックの規定及びチェックの体制はどういったものになるのか、お答えください。
○石破内閣総理大臣 それは今党の中で議論しておりまして……(黒岩委員「何だ、まだ決まっていないのか」と呼ぶ)
○安住委員長 ちょっと、座っているところからの発言は慎みなさい、答弁中なんだから。
○石破内閣総理大臣 それは各党で調整をするお話ですから、我々の政治改革本部において、今日もメンバーがおりますが、そこにおいて本当にかんかんがくがく、ほとんど土日も使って、昼夜兼行で議論をしておるところでございます。
我が党はそんなにいいかげんな党ではないので、そこにおいて、政策活動費は基本的に廃止だと。いいですか。基本的に廃止をするが、ごく例外的に例示をすれば、外交であり、個人あるいは企業の営業であり、そういう公開をすることが国益あるいはプライバシーを損なうような場合に限って出さないということをやっているのであって、使いたい放題とか、そんなことではない。
そしてまた、そこにおいてどのようなものが公開工夫支出だか何だか、いろいろな言葉がありますが、それに当たるものなのかということを限局をして、原則としてこれは廃止をする。
幹事長は何に使ったか分からないというのは、それは、例えば国会対策であるとか、いろいろなものが挙げられています。ですけれども、そこにおいて、実際に領収書を取るわけでも何でもございません。そういうものは今後やめますということを申し上げているのであって、これから先、本当に何が出せないかということについては、どうやってこの審査機関を厳格なものにするかということで、我が党の中で、今、本当に全力で議論をしておるところでございます。
御党として、いやいや、そもそもそんな機関は要らないのだということであれば、なぜ要らないかということをまた申し述べていただいて、この政治資金の透明性の確保のために、また共に力を合わせていくということだと思っております。
○黒岩委員 ありがとうございます。
おっしゃるとおり、これはやはり建設的に、与野党伯仲している中で議論をしていきたいと思っております。
最後にお聞きしたいんですけれども、今回の政治資金法の改正案は、施行期日が令和八年の一月一日になっております。ということは、今現在の政策活動費については、令和七年の十二月三十一日まで、法的にはこれは幾らでも出せるんですね。
ただ、総理、これだけ問題視されて、今の使い方も絞っていこうというときに、私は、よもや、これから一年ちょいの間、政策活動費を使うとは思いませんけれども、来年は都議選もございます、参議院選もございます。そこも含めてですけれども、来年の十二月三十一日まで、要するに法施行期日まで、いわゆる今までの政策活動費は、これは支出をしないと明言していただけますでしょうか。
○石破内閣総理大臣 それは、法施行期日というのはそういうものでございますが、じゃ、この日までに駆け込みみたいな形で何でも使っちゃえというようなお話にはなりません。それはやはり抑制的に使われるべきということでございますし、それは今おっしゃるとおり、都議選もございます、あるいは参議院選挙もございます。
私どもとして、これから先、立法がどういう形で決着するかは存じませんが、我が党として、政策活動費はやめるということを党として方針を決めました以上は、その方針に違背しないようにやっていく、抑制的にやっていくということでございます。
○黒岩委員 ちょっと言い方が穏やかでしたけれども、使わないということですよね。自民党以外、我々はもうみんな今使っていませんので。来年まで使わない、別に駆け込みがどうとかと言っているんじゃない。今後、いわゆる政策活動費は使いませんよね。
○石破内閣総理大臣 ですから、要配慮支出とか工夫支出とかと申しましたが、そういうために必要なものは残るのです。私たちとして、それはお互いが、委員がその政権当時いらっしゃったかどうか私は存じませんが、そこは使わねばならないものというのはあります。ですから、完全に使わないというようなことは断言することはできません。しかしながら、それは本当に必要なものに限られるということでございます。
○黒岩委員 分かりました。
では、公開方法工夫支出というのは、さっき申し上げた三要件ですから、これについて使うというのは確かに合理的かもしれません。ただ、そこには選挙活動というのは入っていませんから、都議選も参議院選挙についても使わないということでよろしいですね。
○石破内閣総理大臣 これは、党として、そういうものは選挙には使わないということ、しかしながら、いかにして党の政策を周知せしむるかとか、そういうことはいたします。それは、政党として、どの党も一緒だと思っております。抑制的にと申し上げましたのはそういうことであって、当然、自律的に使う。
ただ、これを、私は、今ここで委員からお尋ねがありましたから総裁としてお答えをいたしておりますが、我が党の運営をどうするかということは、それは党のしかるべき機関で、本当に法の趣旨にのっとって、今回の政治改革法案の法律を出しておる立場といたしまして、それにそぐうように考えていくということに相なります。
○黒岩委員 残念ですね。今、三つの要件、そこに絞って、みんなで議論しながら改善していこう、改正していこうというときに、それよりもっと後退することを、今度、現実的な法で許されるからということでその行為を行うというのは、私は非常に残念に思います。
ただ、今言ったように、政党を周知するというぐらいだから、少なくとも選挙に使うとはおっしゃらなかったから、それについては期待しておりますけれども、駄目か。分かりました。
済みません、選択的夫婦別姓に入りたいので。
これはいろいろと議論がありますけれども、今日、わざわざ法務省の民事局長に来てもらっています。
これは、一九九六年に法制審の答申が出ています。九一年の、法務大臣、いわゆる法務省の諮問によって、お願いします、どういう方向性ですかと。五年間慎重に審議して、今から二十八年前に、選択的夫婦別姓のための民法を改正すべし、こういった方向性が出たわけですから、私は、当然、官僚機構とすれば、この方向性を着々と進めていくと。
過去にも二回法案を準備して提出の寸前まで行っていますから、こういった準備を進めていくんだ、当然、官僚としてののりを越えずにしっかりと後押ししていく、こういった姿勢であると思いますけれども、改めて確認します。民事局長、いかがですか。
○竹内政府参考人 お答えいたします。
法制審議会は、平成八年二月に、選択的夫婦別氏制度を導入すること等を内容とする民法の一部を改正する法律案要綱を答申したところでございます。
その後、法務省は、平成八年及び平成二十二年に、法案の提出に向け、法制審議会の答申を踏まえた改正法案を準備したところでございますが、この問題につきましては、国民の間に様々な意見があったほか、当時の政権内においても様々な意見があったこと等から、改正法案の提出にまでは至らなかったものと認識をしております。
法務省といたしましては、法制審議会の答申につきましては重く受け止めるべきものであると考えているところですが、その上で、さらに、様々な国会における議論等を踏まえまして、その対応を検討していく必要があるものと考えております。
○黒岩委員 これは通告しているので答えていただきたいんですが、林官房長官、選択的夫婦別姓については賛成ですか、反対ですか。
○林国務大臣 選択的夫婦別氏制度の導入の是非について、官房長官としてここに立っておりますので、その立場で個人的な見解を申し上げることは差し控えたいと思います。
○黒岩委員 鈴木法務大臣、いかがですか。
○鈴木国務大臣 法務大臣としてということでありますので、そこで個人的な見解を申し述べることは控えさせていただきたいと思います。
○黒岩委員 これを見ていただけますでしょうか。主には、ついこの前の十月の衆議院選挙、参議院の大臣は二二年のNHKのアンケートでの回答を基に書いています。
ただ、回答しないとなっていますが、NHKには回答しないで、備考には小さな字で書いてありますけれども、例えば石破総理ですと、産経新聞には丸だと言っているし、もちろん、BS―TBSのインタビューでも、進めなきゃいけないと。たしか、実現は早いにこしたことがないと総裁選のときも言っているぐらいですからね。ですから、この黄色い網かけの人たちは、他のアンケート等で、直近ですけれども、賛成の意を示した方です。
ほとんどの方は、このアンケートに答えているとき、大臣になっていますからね。そうですよ。大臣になっていますよ。だって、選挙のときには、もう石破内閣は組閣されて、選挙だから。皆さん、大半は大臣になって、ちゃんとNHKに答えているわけです。一議員としてじゃなくて、大臣として答えているわけです。
賛成でいうと二十人中十二人ですよ、六割。反対、どちらかといえば反対を入れると、反対が四人、これは二〇パー。どこにも回答しないという方が四人です。
そうすると、七月のNHKの一般の国民への調査で、賛成が五九・何%、反対が二四%。そう考えると、別姓導入に結構慎重だと言われる自民党政権ですけれども、実は、今言ったように、全体の六割が賛成、二割が反対、二割が回答せずだから、一般の国民よりも更に前向きな石破内閣だということは一目瞭然ですよ。私は、ほとんどこれで勝負あったと思って、かなり前向きに進むと思っております、このことは。
そこで、石破総理、石破総理にやはりコメントをもらわないとなんですから、石破総理はこれは賛成ですか、反対ですか。賛成ですよね。
○石破内閣総理大臣 総理として申し上げることはいたしません。
○黒岩委員 分かりました。国民はこれを見れば、今言ったように、皆さんの御意思ははっきり分かったのかなと思います。
総理、では、一つお聞きします。
選択的夫婦別姓という言葉はかなり耳にするし、流通していますよね。でも、これは我が国の制度ではありません。我が国のこの氏制度、これはあえて呼ぶなら何という制度ですかね、選択的夫婦別姓じゃないことは明らかですから。何と呼びましょうか。
○石破内閣総理大臣 済みません、御質問の趣旨を間違えていたらごめんなさい。
夫婦同氏制度という言い方ができようかと思います。
○黒岩委員 これは流通している言葉がないので、私はあえて反対語で考えれば、これは選択的じゃないから強制的、そして別姓じゃないから同姓だと。
私は、問題意識は、同姓か別姓かという議論だと、どうしてもそれに引きずられて、結婚している方は、別に別姓じゃなくてもいいなとか、結婚していない方は、同姓でもいいかとかになるんですけれども、やはり選べないということに関しては、それをあえて強制的と言うと、事実ですからね、どっちかを選ばなきゃいけないんだから、同姓を選ばなきゃいけないんだから。どの姓を選ぶかじゃないですよ、同姓を選択しなきゃいけないんだから。同姓にしなきゃいけないというのは、これは強制的ですから。
こうなると、書いてあるとおり、欧米の主要国というのは選択的夫婦別姓。逆に、別姓とはいえ選べない、下にあるように、強制的な夫婦別姓、そういう国もあります。これは割とアジアの儒教系の国が多いですけれども、決して先に進んで別姓というわけじゃありません。むしろ、女性に対して、自分のところの籍にも入れない、墓も一緒じゃない、こういう、ある意味、思想、哲学の下にできているわけですから。こういったところと比べると、フランスみたいに、これは姓を選択しませんけれども、ここは、もう生まれたからに自分の固有の姓だ、結婚という身分行為で、そんなもので姓は変わりませんという、強烈に個人の尊厳を守っている。
こういう国の制度がある中で、ちょっともう時間がなくなってきたので、そこで、総理にあえて聞きますけれども、今回は、さっき言ったように熟議の国会になりますから、私どもはこの選択的夫婦別姓を認める民法改正案を出しますので、これは審議してくださいますよね。審議拒否をすることはないですよね。お答えください。
○石破内閣総理大臣 ごめんなさい、それは国会でお決めになることでございますので、私がここでお答えすることは差し控えます。
○黒岩委員 最後に、こういった議論がありましたけれども、本日、立憲民主党として修正案を提出いたしました、補正予算の。これは、簡単に言いますと、昨日も議論になった基金、約一・三兆円、これは過大な部分は少し圧縮して、その代わり、能登の復興予算を一千億積み増すというものですから、これについては是非、やはり与野党伯仲しているんですから、我々の後ろにも皆さんの後ろにも多くの国民がいる、その国民から私らが送られてきたこの国会の中で、熟議の、新しい議論をして、そして新しい結論を導いていく。そういう意味で、是非この修正案についても、総理、しっかりと受け止めていただきたい、修正に応じていただきたい、このことをお願い申し上げて、私からの質問とさせていただきます。
どうもありがとうございます。
○安住委員長 これにて重徳君、長妻君、米山君、近藤君、今井君、奥野君、大島君、本庄君、岡田君、早稲田さん、黒岩君の質疑は終了いたしました。
次に、前原誠司君。
○前原委員 日本維新の会の前原でございます。
石破総理に対して、ちょっと順序を変えまして、日本の在り方、教育の問題について、まず質疑をさせていただきたいというふうに思います。
所信表明演説の中でも、またいろいろな御答弁の中でも、失われた三十年ということを時々言及されます。スイスのIMDの国際競争力ランキングが始まった当初、一九八九年ですか、四年連続日本は一位でありましたけれども、今や三十八位まで落ちているということもそうでありますし、また、OECDという、経済開発協力会議、これの中で日本の労働生産性は三十位。三十八か国のうちで三十位、G7の中では最下位。ちなみに、潜在成長率もG7の中では最下位。こういうことであります。
何が問題なのか。私は、この日本の失われた三十年を、更に四十年、五十年にしないために、やはり政治が果たすべき役割というのは大きくて、そして、そのかじ取りというものをしっかりと政治がやっていくことが大事だというふうに思っております。
まず、一枚目のスライドを少し皆様方に御覧をいただきたいと思います。
これは、第二次安倍政権以降の経済指標がどうなったのかということが書かれているものでございます。三つの矢、三本の矢、財政支出、異次元の金融緩和、そして規制改革。三本目の矢はなかなかなかったということは言われているわけでありますが、異次元の金融緩和というものは続けながら、確かに経常利益というものはこれだけ増えたわけでありますけれども、この分配というものはいびつですよね。配当は多くなっていますけれども、人件費が低い。特に、実質賃金は下がり続けているということ、これが極めて私は大きな問題だろうというふうに思います。つまりは、どんどんどんどん、これを見ても、企業は利益を上げても、その配分のされ方というものはうまくいっていないということが一つ言えることではないかと思います。
次のスライドを御覧いただきたいと思います。
これは、過去四十年間において主要国の研究開発費の総額がどう推移していったのかということでありまして、日本は、これを見ていただきましたら、微増ですね。現在は十八・九兆円ということでありますが。これを見ても、アメリカ、そして急激にアメリカを追い上げているのが中国ということであります。
私は研究開発費をなぜ取り上げたかというと、研究開発の中で技術革新が起きる、技術革新というものが潜在成長率を押し上げる要因になるし、労働生産性が上がり、また、そのことによって賃金が上がってくるということで、私は研究開発というのはすごく大事なことだというふうに思っているわけであります。
今、二つのスライドを見ていた中で、失われた三十年ということを御認識であれば、どう展開をしていけば、どう政治が役割を果たしていけば、これが大きくプラスの方向に転じていくと石破総理はお考えか、御答弁をいただきたいと思います。
○石破内閣総理大臣 認識として一致するところは多々ございます。
これは、どんなに精神論を唱えてみても、全世界のGDPに占める割合が、一九九四年だったかしら、一八%だと。今年多分四%、四分の一以下ということになるわけで、国際競争力も一位だったものが十五位とか十六位、数え方によっては十八位というのもあります。
これは、何でこんなことになったのだということについて、きちんとした反省、分析がないと次の時代を私は開けないんだと思っています。
委員も私も同じような時代に国会議員をやっておりますが、かつて、ゆでガエル論というのがあって、それは、カエルがお風呂に入っていて、いい湯だなと言っていると、やがて本当にゆだっちゃいましたみたいな話があって、何か、そのときはカンファタブルなように見えても、それは決して長く続かないんだというゆでガエル論というのは、多分これも三十年ぐらい前からあった話だと思いますが。何か、そこに正面から向き合ってこなかった。いつか何とかなるのではないだろうか。なりません。
ですから、そこは、我々日本の潜在力ってこんなものじゃないと思っております。やってきた政策が全部誤りだったとも思いません。ただ、それをどこの時点で変えるべきだったのかというようなことは、やはり真摯に検討をし、否定をするのではなくて、どこでどこを変えるべきだったのかという議論は与野党間で真摯になされないと次の時代はないと私は認識しております。
○前原委員 問題意識はあるということですが、今、総理の口からは処方箋の話はなかったですね。どうしたらいいのかということが問われていると思うんですね。反省、分析、これを行った上で、何をするかということが私は大事だというふうに思います。
企業に、無理やり賃金を上げろ、あるいは設備投資をしろ、内部留保に課税するぞみたいなことも言う方もおられますけれども、なかなかそれは難しい。
であれば、政府の役割として何ができるのかということをしっかり考えることが大事だと思うんですね。一つは税制面での優遇措置、これをもう一遍見直すということ。それから二つ目は規制改革ですよね。徹底して規制改革をやるということ、これも大事なことだというふうに思います。あと、私は、大事なことは、予算、税金の使い道、これをやはり、それこそ反省を踏まえて大きく変えることが大事だというふうに思います。
ちょっと三枚目のスライドを御覧いただきたいと思いますけれども、一九九〇年が上、今年度が下であります。六十六兆から百十二兆ということで、四十六兆、一般会計歳入歳出は増えている。防衛費は、直近、若干増えましたけれども、防衛費は少し前は五・二兆円ぐらいでしたから、大きく増えたのは社会保障と国債費だけなんですよ。
財務省はずっとシーリングと言っていましたよね、天井をかける。つまりは、高齢化の中で社会保障費は増える、しかし、それに対しての安定財源というものをしっかり持っていなかったために、借金に借金を加えて、今、一千百兆円を超えたんですよね。異次元の金融緩和で金利を低く抑えても、これだけの利払い費がかかるということですよ。
増えているのは社会保障、そして国債費。この予算の中を見ていただくと、日本を会社と例えると、まあ会社と全て同じでということではありませんが、どの部分がいわゆる将来の成長に資する支出なのかということを言うと、私は、この「文教・科技」、つまりは教育とか科学技術というところが本来ならばもっと大きくウェートを増やしていって、そして、先ほど申し上げたように、それが技術革新を生む、そして企業の投資も生む、そして日本全体としての活力を生む、そういう呼び水になるようなものにしなければいけないのではないかというふうに私は思っているんですね。
総理、聞いていますか。
四枚目を御覧いただきたいと思います。
では、その教育予算と科学技術費でありますけれども、OECDで経済規模を物差しとしたらどのぐらいだと思われますか、何位ぐらいだと思われますか。御存じなければ答えますけれども。下から数えて二番目なんですよ、下から数えて二番目。それの裏返しで、教育支出の公私負担割合というものは、つまりは、政府支出が少ないということは教育においていかに自己負担が高いのかということがこの四番目なんですね。三十八か国の中での平均が二八・六ですよ。つまりは、自己負担は三割以下。しかし、日本は六三・四ですよ。これだけの負担をしなきゃいけない。
賃金も上がらないし、そして教育費は上がる。この自己負担は親の負担だけじゃないですよ。子供の奨学金という負担もある。二・七人に一人が貸与型の奨学金を借りて、返さなきゃいけない金額は平均して卒業時に三百十万円。これが晩婚化、そして非婚化、少子化、様々な日本の課題にもつながっているということなんですね。
つまりは、この予算そのものが、社会保障の増加とそれに見合った財源を持ってこなかったために、シーリングをかけて、本来であれば日本を成長に導かなきゃいけない教育、人づくりや研究開発にお金をかけてこなかったことが一つの大きな失われた三十年の私は課題だと思うんですけれども、総理の御認識をいただきたいと思います。
○石破内閣総理大臣 それは、残念ながら、今さえよければいいやというところが私はあったんだと思っています。
確かにOECDで見れば下から二番目ということになります、それはGDP比にするとそうなるのですが。一人当たりで見るとそれほど遜色はないということで、その問題の本質は、今委員が御指摘になったように、一人当たりで見ればそれほど遜色はないが、自己負担がそんなに大きいんだよねということだと思っております。
一人当たりの教育のお金の中で、どれだけを自己負担で賄い、どれだけを公で賄うかということがこれからの議論の中核だということは認識をいたしております。
○前原委員 私の国会議員の中で一つの反省として、私も、今総理がおっしゃったことを財務省からヒアリングを受けたときに聞いたんですよ。教育予算を増やすべきだということを聞いたときに、財務省は何を言ったかというと、一人当たりの教育費はOECDの平均並みですということを言って、ああ、そうですかというふうにスルーしてしまった自分がいたことに、私は非常に今恥じているわけです。
今、これも総理がおっしゃいましたけれども、一人当たりで見るんではなくて、どれだけ一人の子供を育てることに大変なのか。自己負担が大きい、そして子供が奨学金という借金を背負わなければいけないのか。こういう一人一人の苦労というものに対して、統計数字、OECD平均、一人当たりで見れば遜色ありませんという、切って捨てることではなくて、本当にこういった、現場で起きていること、一人一人の御家庭、子供さんたちの立場に立って考えれば、教育予算は大幅に増やすべきなんですよ。
そのことを簡単に、同意されるかどうか、お答えください。
○石破内閣総理大臣 教育予算は増やすべきでしょう。そして、自己負担は減らすべきでしょう。
私が考えなきゃいかぬと思っているのは、今委員が御指摘になった、ローンで奨学金を借りて、それが婚姻率の低下につながっているという、私、その数字を持ちませんので、それはきちんと見たいと思っています。
ですから、その負担が、いや、いいんじゃないの、負担しても勉強すればということになるのかもしれないが、それが婚姻率の低下につながっているとするならば、これはきちんとファクトに基づいて議論をしなければいけないと思っています。
○前原委員 五枚目のスライドを御覧いただきたいと思います。
私は、日本の社会で変えなければいけないと思っていることの一つは、親の所得によってやはり子供の大学進学率が大きく変わっているということなんです。
前回も私、岸田総理に申し上げたんですけれども、私は全ての子供が大学に行くべきだと全く思っていません。そして、大学も取捨選択されるべきで、教育の無償化だけ言っていると、何かみんな大学に行くべきだとか、あるいは淘汰されるべき大学も何か残るんじゃないかとか、そういう誤解をされる方々もおられるんですけれども、そうではない。しかし、学びたい子供が親の事情で行けないということがあってはいけない。
これは、赤が大学進学した子供さん、青が高卒で就職した方なんですね。一千五十万円以上の所得の子供だと六二・九。それが四百万円以下になると二七・八になるんですね。
繰り返し申し上げますが、私は全ての子供が大学に行くべきだという考え方ではありません。高校を出て立派に活躍されている方もたくさんおられるし、また、そういう方々がおられないと社会が成り立たないということですから、それは前提として。
しかし、大事なことは、この下側。やはり大学に行った方の方が生涯賃金は高いんですよ。七千五百万ぐらい変わってくるんですね、七千五百万ぐらい。
ちょっと秘書官、私が質問しているときにレクを入れないように。そちらに注意が向いてしまうので。お願いしますね。
ということは、何が日本の社会で起きているかというと、親の所得の多い少ないで子供の教育機会格差が生まれて、そして、この教育機会格差というものが子供の生涯賃金の格差につながっている。格差の固定化が教育機会の、言ってみれば格差を通じて固定化されてしまっているということが日本の大きな問題だと私は思うんですね。
子供は、生まれてくる親は選べないんですよ。学びたいと思う子は、全ての子供が親の所得に関係なく学べるチャンスをつくるべきだと私は思いますが、その点についての総理のお考え方をお聞かせください。
○石破内閣総理大臣 それが格差の再生産を生んでしまうので、決していいことだと私は思いません。
そして、私は親ガチャという言葉が世の中で一番嫌いで、親は選べない、それはそうなんだけれども。勉強したい子が、本当に、経済的な環境にかかわらず、望む教育が受けられるという形にしなければいけませんし、委員がいみじくも御指摘のように、みんなが大学に行けとか、そういうことを言っているわけでもない。そして、全ての大学が生き残りを図るということがあるべきだとも私は思っていません。
そして、また議論になるかもしれませんが、ドイツのマイスター制度みたいなものが何でこの国で定着しないのかというのは結構問題であって、みんなが大学に行かなきゃ駄目だ、それでないと生涯賃金はこんなに違いますよというのは、私は少し議論として一面的だ、そういう感じは持っておるところでございます。
○前原委員 総理、教育費は増やすべきだということをおっしゃいましたし、そして、親ガチャという言葉は一番嫌な言葉なんだということをおっしゃいました。私も全くそのとおりだというふうに思います。
我々が教育の無償化ということにこだわるのは、一番目が、今申し上げたとおり、親の所得によって教育機会の格差が生まれてはいけない、これは大前提だと思うんですよ。国柄にすべきです。学びたい子供は学べますよ、この国はという国にすべきだ。
それから、少子化対策。先ほど検証するとおっしゃいましたけれども、親の側に立っても、子供を、特に大都市なんかでは生活費も高いですから、賃金も上がっていない中で、なかなか二人目、三人目が持てない。あるいは、先ほど少しお話をしかけたことで申し上げると、子供も、三百十万円平均して卒業時に借金を抱えていて、おつき合いしている人がいたってすぐに結婚できないですよね。それで婚期が遅れる、あるいはそのまま御縁がなくなるという場合もあるじゃないですか。そういうような状況というものがやはり少子化対策にもつながっていくんだということ。
三、四は、先ほど申し上げたとおりであります。
私は、日本を失われた三十年を四十年にしないための一つの突破口として、人への投資、総理も所信表明演説で人づくりは国づくりとおっしゃいましたよね。まさにこういったことからしっかりやっていくべきだということを我々は申し上げているわけであります。
ちょっと次のペーパーを御覧いただきたいと思います。我々、教育無償化の中に何を含めるかということのラインナップを少しお話をしたいと思います。
私は、民進党の代表に二〇一七年になったときに教育の無償化というものを掲げて、そして、ここにおられる階さんが政調会長で、無償化の案をまとめてもらいました、全ての世代の無償化でありますけれども。そのときに安倍総理が無償化をおっしゃったんですけれども、やると。争点を消すためにおっしゃって、何をされたかというと、三歳から五歳だけの無償化だったんですよ。
だから、ゼロ歳―二歳が空いている。学校給食の無償化も穴が空いている。高校は、民主党政権のときには所得制限はなかったけれども、今や所得制限が九百十万円でついている。また、吉村代表がよくおっしゃっておられますけれども、五百九十万円でかさ上げもなくなるということで、九百十と五百九十で、また所得制限の壁が生まれてしまっている。それから、高等教育については、二〇二五年から岸田さんは無償化にするとおっしゃいましたけれども、子供が三人以上なかったら無償化にならない。一人からにすべきですよ。
そして、その他として、先ほどから申し上げているように、研究開発の増額。それから、今、教員の働く環境というのは非常に劣悪です。教員で働いている方々で転職を考えている方々が六割いるという調査結果も出ている。これが、今、日本の置かれている現実ですよね。もちろんお金だけではないけれども、お金も大事。子供に向き合うということになれば、少人数学級にしていくとするとお金もかかるということであります。
国際卓越研究大学を十校にということはちょっと時間の関係で飛ばしますけれども、こういうことをパッケージで我々は無償化を考えているということをまず申し上げたいと思います。
次に、奨学金の返済免除です。
これは岸田総理ともやらせていただきましたけれども、三人以上であっても、大学、高等教育の無償化をやるということになれば、その無償化を始めたときとその前のときの学生では大きな不公平が生じるんですね。つまりは、払っていた人が何か来年からは払わなくていいのというのは、物すごく、私は、不公平じゃないですか。
そういう意味で、岸田総理も私の質問に対してどう答えられたかというと、授業料を免除するということになった場合、公平性の観点から奨学金の返済免除について検討を要することになってしまう、これは御指摘のとおりだと思いますと答弁されているんですよ、今年の二月六日に。
検討されましたか。
○あべ国務大臣 委員にお答えいたします。
奨学金の返還免除を全ての方々に実施することに関しましては、既に返還を終了した方々との公平性の問題の観点がございまして、また、経済困難にもかかわらず奨学金の貸与を受けずに大学を卒業した方も実はいらっしゃいまして、そういう方々との公平性の観点などから慎重な検討が必要だと私ども今考えているところでございまして、いずれにいたしましても、様々な事情によりまして返還が困難な方々に関しましては、引き続き、この返還の猶予、また毎月の返還額を減額するなどのいわゆる制度によりまして、きめの細かい対応に努めてまいりたいというふうに思います。
○前原委員 これは、いろいろな公平性というのがあるんですけれども、私が申し上げているのは政治決断なんです。これはあくまでも政治決断でやらなきゃいけないんですよ。つまりは、無償化にするということになれば、これから先についてはお金がかかりませんという制度を導入するわけですから、過去債務については政治決断でなくすというのが奨学金の免除なんですよ。
そういうことをやらないと、今、文科大臣がおっしゃいましたけれども、いろいろな、私も大臣を幾つかやらせていただいて、役人は、優秀な方ばかりが多いし、とても大事にしなきゃいけないんだけれども、できないことばかり言うんですよ、これが理由だからできないできないということを言うんですけれども。そうじゃなくて、政治決断をしなきゃいけないんです。
我々、無償化と、それから奨学金返済免除について、やはり財源も示さなきゃいけないだろうということで、一つ、奨学金の返済免除については、ETF、日銀が持っている、簿価が三十七兆円、時価七十兆円ですよ。そして、半期で出ている運用益が一兆二千億円を超えている。こういうものを、例えば自社株取得を希望する企業には立会い外取引で売却するということになれば、むしろ株価は上がるんですよ、株主還元ですから。これは株価を下げずに売却ができるということで、九・四兆円ぐらいすぐにできますよ。そして、教育の無償化が五・五兆円要るということになれば、外為特会を使えばいいということを申し上げているわけであります。
ここで私、総理にまとめてお聞きしたいのは、自公が過半数割れになっている状況ですよね。そして、法案も予算も自公だけでは通らないという状況ですよね。そして、熟議の政治というのが問われているという状況ですね。私も野党の責任は問われると思うんですよ。自公をいたずらに言ってみれば責めればいい、いたずらに窮地に追い込ませたらいい、そういう政治を恐らく国民は私は望んでいないと思うんですね。
こういうことを我々は提案をしています、財源も含めて。教育の無償化、奨学金の返済免除、そして財源はこういうものです。この案というものを、自民党総裁として、自民党は協議しましょうというような、そういった意向にはなりませんか。総理の御見解を聞きたいと思います。
○石破内閣総理大臣 御提案の趣旨はよく理解をいたしました。
ただ、別に逃げ口上で言っているわけじゃないんですが、私は総理大臣であると同時に自民党総裁でございますので、党の運営は幹事長、政策面におきましては政務調査会長が責任を負っておるところでございます。それは、昨日今日のおつき合いではございませんので、委員のおっしゃることをよく伝えまして、党として、もちろん我が党だけで今政府をつくっているわけではございません、公明党と一緒につくらせていただき、また各党の皆様方の御意見も承りながらやっておるところでございます。
ただ、委員、ずっと思っているのですけれども、やはり、真面目に一生懸命勉強するお子さんと、まあいいわいいわみたいな形で、出られればいいわみたいな、そういう方もいらっしゃると思うんですね。私、みんながみんな全て全身全霊で勉強しているとも思わないし、自分自身に照らして考えてみても不十分だったという反省もございます。そこをどうしていくんだろうなというところはあります。つまり、国民の血税を使って教育を受ける以上、それにふさわしい人づくりというものがなされねばならないことであって、そこのところをどう考えるかというひっかかりが、私自身ずっと思っておりますが。
我が党のシステムとして、今委員の御提案というものを与党全体、あるいは自民党のシステムの中でどうするか検討させていただきます。
○前原委員 公明党さんは元々教育に対して力を入れてこられた政党でありますし、私は今の投げかけというものは受け止めていただけるのではないかと期待をしております。
その上で、大学改革の必要性について、今日は時間がなかったんですけれども、併せて必要だと思うんです。
総理のおっしゃるとおりです。やる気のない、ただ単に卒業しますという子供と、一生懸命やった子供と、それが両方共に大学無償化ですということではいけないだろうと私は思いますね。ですから、何らかの、例えば入りやすく卒業は難しいという大学改革に変えていく。
あとは、今日は質問いたしませんでしたけれども、私は東京大学はけしからぬと思っているんですよ。東京大学がなぜけしからぬかというと、授業料を上げようとしているんですね。これは一番運営費交付金をもらっている大学なんですよ。
ほかの国の有名な大学に目を転じると、スタートアップを大学で育てて、寄附を集め、基金を自分で運営し、その運用益で、つまりは国や授業料だけに頼らずに自ら努力をしてしっかりと大学運営をしているところがいっぱいあって、それが国際競争力ランキングの上位なんですよ。東大、京大は何ですか。いやいや、京大は上げるとは言っていないな。東大。東大は何ですか。
私は、これはやはり、国際卓越研究大学にまた応募してくると思いますけれども、かなりのお金を大学ファンドから東大に渡す話になるんですよね。私は、大学授業料を上げるんだったら、東大は絶対に国際卓越研究大学に選ぶべきじゃないと思いますが、その点について、総理、どう思われますか。
○安住委員長 では、短く。
○あべ国務大臣 委員にお答えいたします。
東京大学の授業料に関しましては、いろいろな御意見もございますけれども、授業料免除の対象を拡大するなど、いわゆる学生への配慮、支援もなされたというふうに聞いているところでございます。
もう一つの、国際卓越大学に関しましてでございますけれども、今回、東北大学が選ばれた中で、東京大学に関しましては、やはり、既存組織の変革に関したスケール感、スピード感、工程の具体化、学内調整の加速、具体化などが求められたというふうに承知しておりまして、一方、東北大学、今回指定されたところでございまして、研究者が独立して研究を行うことができる、そのいわゆる体制への移行を図る、改革の理念を組織に浸透させているなどが含まれて、その評価がされたものと理解しております。
以上でございます。
○前原委員 できないことばかり言うのではなくて、政治決断をして日本の課題を解決する、そのリーダーシップを私は石破さんに期待します。
終わります。
○安住委員長 この際、空本誠喜君から関連質疑の申出があります。前原君の持ち時間の範囲内でこれを許します。空本誠喜君。
○空本委員 日本維新の会、空本誠喜でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、質問の前に、恒久平和そして核兵器廃絶を目指して、今回ノーベル賞を受賞されました日本被団協、とてもすごい活動をされてまいりました。また、もう一点、十二月十日から十六日、これは北朝鮮の拉致問題に対する啓発週間でございます。そういった意味で、政府の皆様には、恒久平和、核兵器廃絶、そして北朝鮮の拉致問題に対する活動についてしっかり取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
まず、総理の一番お得意なところ、安全保障についてお聞きしたいと思います。
その中で、食料、エネルギー、防衛、経済とございますが、安全保障の財源、これが十分なのか。
我が国の成長戦略の要は何かというと、やはり地方の産業競争力をもう一度取り戻していくことだと私は思っております。特に、地方において、安全保障に係る産業を中心として、基軸として立て直す、これが地方の強みになろうと私は思っております。
そういった意味で、この安全保障、今、第一優先、第二優先、第三優先と。食料、エネルギー。まずは食べること、さらには、電気がなくては今スマートフォンも使えません。さらに、第三として防衛力とか、経済、半導体。こういったものを優先的に、強く産業を押し上げていくことが大事であるというふうに考えます。
その中で、本当に農業、食料、こういったものについて予算が十分なのか。半導体は、あと五年ぐらいで十兆円を投資するのではないか、公的支援を行う。また、防衛増税も行って、二〇二六年から一兆円以上。さらには、エネルギーに関しては、毎年特別会計において三兆円規模、こういったものを充実させています。しかし、農水省予算は、年間、一般会計であれば二・二兆円、特別会計を入れて三兆円。食料ですよ。国民のおなか、国民の一番重要な食料について、この額でいいのかどうか。
山陰地方、特に過疎化が激しい。しかしながら、農業をこれから支えていかなければいけない。鳥取出身の総理として、この財源で、食料安全保障として大丈夫なのか、お答えお願いします。
○石破内閣総理大臣 農業予算を充実させるように、政府として今後とも努力をいたしてまいりたいと考えております。
昔の人は偉いもので、腹が減っては戦はできぬというのは本当なんですよね。どんなに立派な戦闘機や護衛艦や戦車を持っても、自衛官がいなければ戦はできません。食べるものがなければできません。
一体何か月持ちこたえることができるんだということをきちんと考えていかねばならないし、私、農林水産大臣をしておりましたときにスイスの農業大臣と随分議論したことがあるんですが、スイスは、どんなに安くても隣国フランスから農産物は買わないのだと。スイスのパンがまずいのは、その年に取れた小麦は全部備蓄で、前の年に取れた小麦でパンを焼くからであって、それは、その頃国連にも入っていなかった時代かもしれません、独立してやっていくというのはそういうことなんだということを聞いて、すごく感銘を受けたことを覚えております。
独立主権国家として、食料の安全保障ということに配意をすべきは当然のことだと考えております。
〔委員長退席、岡本(あ)委員長代理着席〕
○空本委員 やはり、農水予算、例えば四兆円規模にすべきだと考えますので、石破内閣において増強を是非お願いしたいと思います。
続きまして、時間がありませんので、百三万円、百三十万円の壁についての問題について取り上げたいと思います。
今、学生さんの百三万円、百三十万円の問題と、また、三号被保険者と言われるパート勤務の主婦の皆さん、働き控えをされている。その一因としては、所得税に係る百三万円。
まず、この所得税に係る百三万円について建設的な議論をさせていただきたいと思っています。
まず、私たち日本維新の会は、この百三万円の年収の壁については引き上げていくべきだろうと考えています。さらに、学生の扶養に係る扶養控除の百三万円の壁とか、さらには社会保険の百三十万の壁についても見直しを行うべきである。さらに、将来的には社会保障制度を抜本的に変えなきゃいけない。あと五十年後は七千百万人に人口はなってくる。高齢者の方が増えてくるかもしれません。そういったときに、持てる仕組みに変えていかなければならない。
先日、維新は代表選を行いました。私も立候補させていただきました。しかしながら、残念でございますが、吉村知事が当選され……(発言する者あり)私自身が残念です、私自身が残念でございましたが、吉村知事。
吉村知事が言うのは、給付つき税額控除、これを考えるべきで、検討すべきだと。実は私も、一期生のとき、十数年前、給付つき税額控除についての勉強会、ワーキングを行っておりました。そこで研究したこともございますが、まだまだ私も勉強不足でありますが、この検討を今後していかなければならないと考えております。
いわゆる年収の壁でございます。
税に係る百三万円の壁、そして、社会保険に係る百六万円と百三十万円の壁について、扶養にある十九歳から二十三歳の学生さん若しくはパート勤務などの主婦、第三号被保険者の皆さんを区分してまとめてみました。
まず、これを百七十八万円に引き上げた、百三万円を上げたときにどうなるかということなんですが、その解答例をお出しして、模範解答として私出したつもりでございます。丸、バツ、三角をつけております。
まず、十九歳から二十三歳の学生さんについては、国民民主党さんが掲げた法案の中で、税の扶養控除、これだけでは不十分なんですよ。新たに社会保険の扶養控除の見直しを行わなければならない。そうすれば、百七十八万まで上げて、社会保険そして税の財源にほとんど影響させることなく、学生さんの手取りは増やすことはできます。百三十万を超えて。それは、社会保険の控除の見直しを行うんです。そうすれば学生さんは大丈夫です。
一方、第三号被保険者と言われるパートの勤務の主婦の皆さん、手取りですが、百三万円の壁を上げることはできますが、せいぜい百三十万円。社会保険料の財源に影響しますので、そこが限界であります。
また、昨日の報道がございましたが、百六万円の壁を取っ払う、こういう話もございます。それもいいんですが、それを二〇二五年、来年、百六万円の壁を撤廃して、厚生年金、健康保険の加入要件の見直しを行うということなんですが、新たに一週間二十時間という壁が立ちはだかってしまいます。例えば、時給千二百円であれば、年間五十二週、年収にして百二十五万円、この壁ができてしまいます。主婦の皆さんの働き控えのラインが移動してしまうだけです。
さらに、要旨を見ていただきまして、要旨の括弧三番、ここに、第三号被保険者の働き控えの一因となっている社会保険の年収百三十万の壁に係る被扶養の厚労省の認定通知について、その基準としているのは年収であって、通勤手当、交通費が含まれます。これを差し引いた所得に変えれば、多少、働き控えが緩和できる。勤務時間をもう少し延ばすことができる。さらに、手取りをもう少し増やすことができる。
私自身が今ここまで、代表選がありましたけれども、この一か月間ちょっと考えてみた結論でございます。これが正しいかどうかは今から聞いていきたいんですけれども。
学生さんにとっては、百三万円の壁、特定扶養控除で親が受けられなくなってしまいまして世帯としては税負担が急増する。でも、税の扶養控除を見直せばいい。百六万円の壁は学生さんには存在しません。百三十万の壁は、国民健康保険の加入要件が入ってきますので、そこで保険料の負担があるけれども、社会保険の扶養控除を、基準を見直せばそこでクリアできる。だから、学生さんの手取りは増やすことは可能である。
これは、国民さんが出した法案では不十分です。健康保険法並びにその関連法案の改正、これを行うことによって可能だと私は考えます。
もう一点、被扶養者の方ですが、やはり配偶者手当をもらっている方々もいらっしゃって、そこの問題をクリアできればこれは大丈夫かな。
ただし、先ほど申し上げましたが、百六万円、五十一人以上の企業、若しくは、五十人以下の企業、百三十万円、こちらの問題については抜本的に解決することは厳しい。ただし、来年の法改正によって、例えば時給千二百円であれば年収百二十五万円、この壁のスライドがあるかもしれません。
私たち日本維新の会は、ここにやはり給付つき税額控除を入れてもいいんじゃないかなということを検討しています。
次、三枚目のパネルですが、与党、野党の方、しっかり見ていただきたいんですが、例えば、百三万円の壁を百七十八万円に上げました、そのときに、現在の仕組みと改正したときの仕組みにおいて、手取りがどのくらいになるかということを示したものであります。
まず、上の段であります。第三号被保険者で、条件を申し上げますと、時給が千二百円、交通費なし、ダブルワーク等の他の収入なし、他の控除もなし、五十人以下の場合の事業者さん、そして四十代、私が住んでおります広島県東広島市の住民税や国民保険料、年末調整なし。こういった条件で、これは厚生労働省、財務省、総務省の皆さんにも助言をいただきながら、チェックしていただきながらまとめたものでございます。
見ていただければ、上段であります。年収百万だったら百万もらえます、百二十九万だったら百二十四万。これは何が発生するかというと、所得税と住民税。ところが、百三十万を超えて百三十一万になった場合は手取りが九十八万に落ちます。明らかに国民年金と国民健康保険の負担が増えてしまう。ここを変えないと手取りは増えないんです。例えば、月に百十五時間働いた、百六十五万働いても百二十三万、月に九十時間働くより少ないんですよ。これが現実です。
さらに、百七十八万にこの百三万円を引き上げました。下の段を見ていただきたい。百万は百万、年収百二十九万は百二十五万、これは所得税分が引かれている。今、知事の皆様から住民税は触ってほしくないという意見がございますので触っておりません。そうすると、百三十万の壁を越えても、百三十一万で九十八万と変わりません。さらには、百六十五万だった場合も百二十四万、ほとんどといいますか、全く手取りは変わらないんです。
全て、これは社会保険、国民年金がかかる、国民健康保険がかかってしまう、これによって大きく変わってしまうというものであります。ここを変えないと、ここに何かの支援を入れなければ、年収が上がっても手取りは増えない。
厚労省の皆さんにちょっと聞きたいんですが、先ほどのパネル三の表、これについての考え方というのは間違いないかどうか、まず事務方の方からお答えください。
〔岡本(あ)委員長代理退席、委員長着席〕
○鹿沼政府参考人 今御質問いただきました点でございますが、先生がお示ししていただいたような条件で機械的な試算を行い、あと、所得税の額につきまして、これは恐らく基礎控除を七十五万引き上げられた場合ということでございますれば、先生のお示しした資料のとおり、年収百三十万円を超えて百三十一万円になることで手取り額が減少する、また、ここに書いてある金額になるというものだというふうに承知しております。
○空本委員 ありがとうございます。そのとおりでございまして、厚労省の方からも言質を取りました。
そういうことならば、総理、やはりここの見直しを、まずは、百三万は、税の扶養基準を見直す、学生さんならば社会保険の扶養控除を見直すことによって手取りを増やす、これをまずやりませんか。そして、次に、主婦の方々については、配偶者控除の基準の見直しを行えば百三十万円ぐらいまでもらえる。来年の法改正があれば百二十五万、時給が千五百円ならば、百五十六万ぐらいまで手取りが増えてきます、実質、税金が入りますので。
このぐらいの改正はしたらどうかと思うんですが、総理、いかがでしょうか。これは本当に建設的な意見なので、是非前向きに御検討いただきたいんですが、総理、いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 御意見は頂戴いたします。
結局、それがどれだけの労働供給につながるか、そしてまた、おっしゃるとおり、手取りの増加につながるか、そしてまた、将来の社会保険料の受給という形で返ってくるか、そこを全部総合的に考えていかねばならないことだということはよく承知をいたしております。
詳細な資料を提供いただきましたので、厚生労働省として、また政府として検討はさせていただきます。
○空本委員 是非前向きに検討していただきたいんですよ。
ここは本当に、主婦の方とか学生さんの働き控えをどうクリアしていくか、緩和していくかということで、本当に大事なところなので、そこは与党、野党関係ありません。来年、法改正したときに、百二十五万の壁とか週二十時間の壁ができてしまいます。そこについてはまた将来を見据えて検討いただきたいと思いますが、まずは、与党、野党関係なく、本当にアイデアを出し合って検討いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
そして、私たちは、次の社会保険の壁について、やはり、税制と社会保障制度一体化を考えるならば、給付つき税額控除を考えるべきだろうというふうに考えています。
ここで、実は、二〇二二年二月の国会で、財務大臣、当時、鈴木大臣でございましたが、この問題に対して質問をさせていただきました。ここで、大臣の方からは、生活保護などの同様の政策目的を持つ制度との関係を十分に整理することがまず必要、所得や資産の把握、執行やコストなどの課題もあるとして慎重な姿勢を示されたというふうに承知していますが、加藤大臣、将来的なこの導入、是非検討いただきたいんですが、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 そのときの答弁と、基本的に今の状況認識、私自身は変わっているところはございません。
○空本委員 それで、やはり給付つき税額控除、これは前向きに考えていただいた上で、是非とも、私たちもしっかりここについては研究していきたいと思います。
やはり、パネルに挙げておりますけれども、二〇三〇年の人口は一億二千万人であります。けれども、あと二十五年後、九千五百万人に大きく減ってきます。そのときの生産年齢というところが、パネルを見ていただければそのとおりで、四千九百万、高齢者が三千七百万、ほぼ一対一になってくる。若者人口もおります。そうなると、働き方が本当に変わってくるんですよね。六十代半ば、六十代後半まで、今だって、警備をやっていらっしゃる方、六十代、いえ、七十代、八十代の方もいらっしゃいます。もっともっと、二〇七五年、あと五十年後ならばもっとこれは増えてきますよ。
そのときに、やはり元気で笑顔あふれる御長寿社会を築かなきゃいけないんですよ。そのために、あるべき社会保障の制度とはどうなのか。消費税ばかり考えるのではなくて、それも考えていかなきゃいけませんけれども、やはり新たな仕組みづくりを今検討し、五年後、十年後に導入することを考えなきゃいけないと思うんですが、総理、いかがですか。
○石破内閣総理大臣 そうだと思います。ですから……(空本委員「是非お願いします」と呼ぶ)今のを全部変えるとか、そういう話ではないのですが。
八十でもばりばり働いている方はいっぱいおられるわけで、私の元上司でも、九十過ぎても現役で会社を経営していらっしゃる方がおられます。長生きするだけが大事なんじゃなくて、どうやって本当に幸せに、健康にできるかということを考えたときに、社会の生き方というのを考えていかなければいかぬと思っています。
そして、また、言葉を選ばず言えば、認知症という病があって、これはいろいろな言い方があるんでしょうけれども、やはり、一日何回ありがとうと言ってもらえるかという社会をつくっていくことは大事なことだと私は思っています。
そういう意味で、そういう負担と給付の在り方も含めて見直していかなきゃいかぬことはたくさんあって、人口構成、多分、どんなに少なく見積もっても、あと二十年間は人口が減りますので、そこを見据えながら、二十年後、三十年後、四十年後にこういう姿になるということをお示しをするのは、今を生きる我々の責任であることはよく承知をいたしております。
○空本委員 是非、これは与党、野党関係がありません。国民の皆さんにしっかり説明しながら検討するということでお願いしたいと思います。
そして、最初に申し上げましたけれども、第三号被保険者の働き控えの一因となっている社会保険の被扶養者認定の、これは厚労省の通知となっております。交通費が入ってくるんですね。交通費を除けば、例えば、百十五万円で働いて、交通費が十五万かかっちゃったら、もう百十五万しか働けないんですよ。百三十万円の壁を飛び越えちゃう。そうすると、手取りが百万円ちょっとしかない。百十万ちょっとしかないかな。
そういう状況でありますので、これは厚労省の通知を変えればできることなんですよ。厚労大臣、いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 年間収入百三十万円の計算から交通費だったり通勤費を除外することにつきましては、ほかにも様々な手当があることとの公平性であったり、実務面からも様々な課題があるというふうに考えております。
被扶養者の認定基準は、被保険者により生計を維持されているかの判断基準でありますことから、その収入の性質にかかわらず、継続して見込まれる全ての収入を勘案することが適切であることを踏まえれば、一部のみを特例的に除外する取扱いについては慎重に検討する必要があるというふうに考えております。
○空本委員 通知なので、しっかり考えればできることなんですよ。考えていただきたい。お願いいたします。
ありがとうございました。これで終わります。
○安住委員長 この際、阿部司君から関連質疑の申出があります。前原君の持ち時間の範囲内でこれを許します。阿部司君。
○阿部(司)委員 日本維新の会、阿部司でございます。よろしくお願いします。
冒頭一問、朝鮮半島情勢について質問をさせていただきたいと思います。
御案内のとおり、韓国で大統領による戒厳令発動とその失敗、その後の弾劾の動きが出るなど、政治的な混乱が続いております。残念ながら、親北政権への移行も現実味を帯びております。このような地域情勢の不安定化は、拉致問題の解決にも深刻な影響を及ぼすことが懸念されております。特に、親北政権への移行ということになれば、拉致問題解決への道筋は一層不透明になるといっても過言ではありません。
そこで、総理にお伺いをいたします。
総理は、総裁選時に、東京、平壌相互の連絡事務所開設を公約として掲げられました。しかし、この構想に対しては、拉致被害者家族会から強い反対の声が上がっていることも承知をしております。こうした厳しい地域情勢の中で、連絡事務所構想について、現在どのようにお考えでしょうか。
その上で、拉致問題の解決に向けては、最終的に金正恩総書記との直接対話が不可欠だと思います。この点について、首脳会談実現に向けた総理の意欲をお聞かせください。
○石破内閣総理大臣 連絡事務所の開設について、家族会から強い異論がある。それは、なぜならば、それはまた北朝鮮のだましのテクニックにはまることなのだという御反対、反対の御意見があることはよく承知をいたしております。
小泉訪朝のときに、私は閣僚になる直前でした。やはりトップ同士の会談というのは必要です。それでないと動かないこともあります。ただ、それまでに膨大な時間、本当に綿密な交渉というものがあったということもまた事実であって、トップが決めれば何でも片づくというような問題だとも思っておりません。
そして、冒頭御指摘になりました韓国の情勢というのは、私ども、極めて重大かつ特段の関心を持って注視をいたしておるところでございます。
いかなる政権になろうとも、日韓関係が重要であることは間違いないことであって、今まで築いてまいりました日韓間の関係というものを決して揺るがすことのないように引き続き努力をいたしてまいります。
○阿部(司)委員 連絡事務所開設について、総裁選時の公約については一旦諦めたのではないかなと理解をいたしました。
いずれにしても、拉致被害者とその御家族の高齢化が進む中、一刻の猶予も許されない状況だと思います。朝鮮半島情勢が不安定化する今だからこそ、政府として明確な方針を示し、具体的な行動を起こしていただきたいと思います。
次に、社会保障制度改革についてお伺いをいたします。
総理、私は現在四十二歳であります。毎月の社会保険料負担は約十万円に上ります。
そこでお伺いしたいんですけれども、総理は現在六十七歳でいらっしゃいますけれども、総理が四十二歳だった一九九九年頃、社会保険料を幾ら払っておられたか、お答えいただけますでしょうか。お願いします。
○石破内閣総理大臣 一九九九年当時、私が一体幾ら払っておったかについて記録があるわけではございませんが、モデルケースでいいという委員の御許可というのかな、頂戴をいたしております。
一九九九年当時の国会議員の歳費を勘案して、国民健康保険、国民年金の保険料額を厚労省に試算していただきましたが、これを合計いたしますと、月五万七千円というふうに承知をいたしておるところでございます。
当時は介護保険制度というのはございませんでした。また、時代を超えまして保険料額を比較するのであれば、いただきます給付も当然異なってまいりますので、その点も併せまして御議論いただくことが必要かなと思っております。
○阿部(司)委員 モデルケースで五万七千円ということで、社会保険料が、負担が増えているという御認識を示していただいたと思います。
私自身も国会議員として高い給与をいただいておりますので、ここで一般論として申し上げるのは適切ではないかもしれませんけれども、私自身の社会保険料についてはしっかりと納めながら、我が党は、身を切る改革ということで、歳費の二割カットをさせていただいておりますので、しっかりと国のために働いてまいる所存です。
我が党は、現役世代の負担軽減について、具体的な提案を準備しております。低所得者の社会保険料五割減免、一般の方々への三割減免など、踏み込んだ対策を用意しております。本日は、そうした具体策の前提となる現状認識について、総理と御議論させていただきたいと思います。
こちらのパネルを御覧ください。
同じ四十歳のサラリーマンで比較をさせていただきますと、社会保険料負担はこの二十五年間で約一六%上がっていることが分かります。総理が四十二歳だった一九九九年頃と比べると、この二十五年間で現役世代の負担は大きく増加をしているわけであります。
こちら、二枚目も御覧ください。
御覧のように、社会保険料負担は増加の一途をたどっております。医療、介護、年金の保険料率は三〇%に迫る勢いです。給与明細を見れば一目瞭然ですが、最も大きな控除となっているのが社会保険料です。さらに、事業主も被用者負担と同額の社会保険料を別途負担しておりまして、この負担の重さが企業の賃上げの余地を狭めているのが現状だと思います。
そこで、総理ともう一度認識を合わせてまいりたいんですけれども、社会保険料負担が増え続けている現在の状況は、現役世代の手取り減少と賃上げ抑制の両面で生活を圧迫している状況であると考えておりますが、総理の御認識をお伺いいたします。
○石破内閣総理大臣 それは、高齢化に伴いまして、そしてまた生産年齢人口の減少に伴いまして、そういう現象は起こっておると認識しております。
○阿部(司)委員 負担が増えているという認識を示していただいたと思います。
現役世代が非常に苦しんでいる社会保険料負担、これと同時に、もう一つ、現在の社会保険制度には大きな問題があります。厚生年金加入の基準となる百六万円の壁の問題であります。
御案内のとおり、現行制度では、パートタイム労働者は年収が百六万円を超えると厚生年金、健康保険への加入が義務づけられ、新たに発生する保険料負担を避けるため、多くの方々が就労調整を余儀なくされています。
この百六万円の壁について、撤廃する方向で検討が進んでいるという報道もありまして、昨日の年金部会で大筋で了承されたと承知をしております。方向性としては賛同するものでありますが、一方で、単純に壁を撤廃することは、年間十六万円程度の社会保険料負担が新たに発生することとなりまして、更なる手取り減少を招くことになります。
我が党では、緊急経済対策として、壁を越えて働いた場合でも手取りが減少しないよう、給付による補填というものを御提案させていただく予定です。ただし、これは一時的な措置でありまして、根本的な解決のためには、マイナンバーを活用した税と社会保障の一体的な制度設計が必要です。
そこで、厚生労働大臣にお伺いをいたします。
壁の撤廃を目指すのであれば、短期的には給付措置で手取り減少を防ぎつつ、中長期的にはマイナンバーを活用した税と社会保障の統合的な制度へと移行をしていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 まず、御指摘ありましたように、被用者保険の適用を進めていくということは重要な観点でございますが、加入に伴う社会保険料による手取り収入の減少を避けるために、就業調整を行っていらっしゃる方もかなりたくさんいらっしゃるというのが現状でございます。
こうしたことを踏まえまして、社会保障審議会年金部会では、労働者の方々の手取り収入の減少を緩和する観点から、例えば労働者の方々の保険料負担割合を下げるというようなことを可能とする特例についても今議論を行っているところでございまして、いずれにしても、年末の取りまとめに向けまして、関係者の方々の御意見を伺いながら、丁寧に対応してまいりたいと考えております。
○阿部(司)委員 要は、事業主負担を増やす方向での御議論というふうに理解をしております。これは問題の本質的な解決にはならないと思います。中小企業にとって新たな負担の増加となり、結果として雇用を抑制する要因にもなります。小手先の対応ではこの問題は解決できないと思っております。
そこで、総理にお伺いをいたします。
政府は、これまで累次の税と社会保障の一体改革を掲げてこられました。また現在も、社会保障制度の改革工程表を策定して、保険料負担の在り方については検討課題として掲げておられます。
しかし、既存制度の枠組みの中での微修正では、私たちが直面している課題は解決できないと思います。例えば医療DX、規制緩和による現役世代の社会保険料負担の軽減ですとか、世代間格差の生まれない積立方式への移行、あるいは最低所得保障制度の導入など、踏み込んだ改革が必要ではないでしょうか。昭和の時代につくられた制度を現代の社会環境に適した持続可能なものへと抜本的に再構築していく時期に来ていると思いますけれども、総理の御見解をお伺いいたします。
○石破内閣総理大臣 医療DXは、それが何をもたらすのだということをきちんとお示しをしていかなければいけないと思っております。それによってどれほど、それ自体が医療費の削減を自己目的とするということになりますとこれは進みませんので、これによってどれほど医療の質が上がるか。私は、昔、厚生労働の仕事をやっておったときに、名医という言葉があるうちは医学は科学ではないという言葉を聞いたことがあるんですが、そういうものかもしれません。医療DXは進めていかねばなりません。
今委員がお示しされました論点の中で、賦課方式から積立方式にという議論がよくなされますが、そのときに本当に公平性が担保されるかということについて、私自身、まだ得心を持っておらないところでございますが。
いずれにしても、抜本的な改革、委員のお言葉をかりれば小手先の、その場しのぎの改革では制度自体の持続可能性が失われるという点は意識を共通にするところでございます。
○阿部(司)委員 ありがとうございます。
社会保障制度改革はこれまでも様々な取組を進めてこられたことは承知をしております。しかし、現役世代の負担増加に歯止めがかからない現状を見れば、より踏み込んだ改革が必要なのは明らかだと思います。
私たち日本維新の会は、現役世代の社会保険料の負担軽減、そして百六万円の壁を越えて働いた場合の給付措置などを緊急経済対策として発表してまいる予定でございますし、また、より長期的には、マイナンバーを活用した給付つき税額控除の導入なども視野に入れております。
我が党の新しい執行部体制において、この社会保障制度改革は最重要課題の一つとして位置づけております。今後も建設的な御提案を差し上げてまいりたいと思っておりますので、是非、前向きな御検討をお願い申し上げます。
次に、規制改革についてお伺いをしてまいりたいと思います。
十一月の規制改革推進会議において、総理は、規制改革をやると言うと選挙に弱くなる旨の発言をされたと出席された方から伺いました。先日の代表質問では、アベノミクスについて、GDPを高め、雇用を拡大して、企業収益の増加傾向にもつながったと評価を示されましたが、三本の矢の中で最も重要な成長戦略の要である規制改革に対して、このような消極的な姿勢でよいのか、総理の御見解をお伺いいたします。
○石破内閣総理大臣 たしか、その会議は自分の発言以外はほかの者の発言について言わないことになっておりますので、恐らくそれは何かの間違いではないかと思っておりますが。
世の中で、私も長くこの仕事をしておって、いろいろな選挙にも携わってまいりました。規制改革をやる、あるいは大胆な改革を実現するということになりますと、既得権益というものを損なうことになるか、若しくは、新しい事業をやりますときに財源を行政改革等々に求めますと、それにかなり依拠しておった方々の反発を招くことがございます。
具体的にどこという例を申し上げるのは適切ではないと思いますが、私が本当に尊敬している立派な首長さんで改革を断行された方が非常に厳しい選挙を戦われた、あるいは選挙でその職を離れることになったという例を幾つも承知をいたしております。あるいは非常に厳しい選挙でぎりぎり当選したとか、私は選挙区が鳥取県でございますが、私の近隣の市町村でそういう例を幾つも見てまいりました。本当に、将来的にはいいんだけれども、今は厳しいんだよねという方々がおられることは事実でございます。
同時に、規制緩和ということを申しましたときに、経済的規制と社会的規制とございますので、経済的規制はなるべく取り払っていくべきだ、社会的規制は残しておかねばならぬというのは原理原則としてそうなんですが、経済的規制が残っているのにはそれなりの既得権益があるので、それがなかなか投票行動にダイレクトにプラスには働かないというのは定性的にある事実かと思っております。
○阿部(司)委員 るる御説明をいただきましたけれども、私ども、規制に関して改革がいつまでも進まないことについて、大きな危機感を持っておるわけであります。
総理は、先週、我が党の青柳議員の質問に対して、企業・団体献金によって政策がゆがめられることはないと明言されました。であるならば、このパネルにお示ししているような具体的な改革、すなわち、混合診療の全面解禁、周波数オークションの導入、農業への株式会社の参入自由化、ライドシェアの全面解禁などについて、医師会ですとか放送業界、農協、タクシー業界等の既得権益に忖度することなく、これらの分野における規制改革を断行しなければならないと思います。
我が党はこのように具体的な改革案を提示してまいりましたけれども、これらのうち一つでも実現をしていく御意思があるのかどうか、総理、御見解をお伺いいたします。
○安住委員長 ちょっと時間があれですから、手短に。
○平国務大臣 行政改革、規制改革の担当大臣でございます。
委員も青山社中におられたので、規制改革の取組をよく御存じだと思いますが、御指摘の点は、着実に一定の改革を進めてまいりました。
さらに、石破内閣におきましては、ドローンとか自動運転とかAIなどの進化が激しいところの分野について、技術に合わせたレギュレーション、規制改革にしっかり取り組んでまいります。
○阿部(司)委員 ちょっと例示した改革に関するコメントがなくて残念なんですけれども、我々が提示している改革案というものは、確かにドラスチックかもしれないんですけれども、いずれも国民生活の向上に直結する重要な改革ばかりだと思うんです。なし崩し的な改革では既得権益の岩盤は崩すことができないと思います。総理の強いリーダーシップの下、一つでも多くの改革の実現に向けて取り組んでいただきたいと思います。
残された時間で、クレジットカード会社による決済拒否の問題についてお伺いをしてまいりたいと思います。
近年、大手クレジットカード会社が、独自の基準で一部のコンテンツや事業者との取引を拒否する事例が相次いでおります。例えば、ニコニコ動画を始めとする大手サイトが主要カードブランドによる決済を停止される事態になったほか、先月には、絶版漫画をウェブ配信するマンガ図書館Zが、クレジット会社などの決済サービスの契約解除によってサービス停止を余儀なくされました。
そこで、まず消費者担当大臣にお伺いをいたします。
消費者基本法では、消費者の権利として、消費者が主体的、合理的に選択する機会が確保される権利が明記されています。クレジットカード会社が独自の基準で特定のコンテンツや事業者との取引を拒否することは、この消費者の基本権利を損なう事態ではないでしょうか。消費者保護の観点からこの問題をどのように認識されているのか、消費者担当大臣、お願いします。
○伊東国務大臣 一般論といたしまして、消費者の自主的かつ合理的な選択の機会の確保は、消費者利益の擁護、増進の観点から重要である、こう認識しているところであり、各事業者には、消費者の視点に立った事業活動に取り組んでいただきたいと思うところであります。
その上で、クレジットカード会社の中に特定の事業者との取引等を拒否する事例があることは、報道等により承知しているところでもありますし、今委員から御指摘のとおりであろうと思います。
クレジットカード会社がどのような加盟店と契約するかどうかにつきましては、これはクレジットカード会社の判断によるところでありまして、消費者にはまた、他のクレジットカードを含むその他の決済手段が用意されておりますので、お尋ねのような事案につきましては、現実にどのような影響が生じているかなどを踏まえた関係省庁等の取組を注視してまいりたい、こう考えております。
○阿部(司)委員 消費者庁として、この問題、もう少し重く受け止めていただきたいと思います。
そしてさらに、この問題は、日本の産業競争力という観点からも深刻な課題をはらんでいます。というのも、クレジットカード会社による恣意的な決済拒否というのは、日本のコンテンツ産業の発展を阻害する可能性があるからです。
先ほど申し上げたマンガ図書館Zの例のように、決済手段を失うことでサービスの継続が困難になる事業者も出てきています。海外展開を目指す中小のコンテンツ事業者にとっても深刻な問題になり得ると考えます。
コンテンツ産業の振興とマーケティング戦略の観点から、この問題をどのように考え、どのような対策を考えているのか、経済産業大臣にお伺いをいたします。
○武藤国務大臣 阿部委員にお答えをさせていただきます。
特定の商品についてクレジット会社が決済の制限をかけたことによりビジネスが困難になったという事例、今先生おっしゃられたようなこと、先生の御指摘をお聞きして、報道等々で確認をさせていただきました。
一方で、今、伊東大臣からもおっしゃいましたけれども、クレジット会社がどのような商材の決済を行うかは、クレジットカード会社の経営上の判断によるものと考えています。
私自身は岐阜県出身ですので、「君の名は。」というのは御承知かもしれませんが、経産省としても、コンテンツ産業の振興という意味では、旗振りをしている立場でもありますし、委員の御指摘の事例が個別の事例にとどまるのかどうか、ほかにも同種の事例が発生しているのかも含めて、今後、コンテンツに関するクレジットカード決済の状況を見極めて、対応を考えていきたいというふうに思います。
○阿部(司)委員 ありがとうございます。
問題を認識していただいているとのことでしたけれども、一刻も早い対応が必要だと思います。
最後に、総理にお伺いをいたします。
総理は、地方創生を政権の重要課題として位置づけられております。しかし、クレジットカード会社による恣意的な決済拒否、これはまさに地方創生の根幹を揺るがしかねない事態だと思います。
地方在住者にとって、オンラインの購買というのは、都市部との格差を埋める重要なインフラです。コンテンツの購入ですとか各種サービスの利用など、地方でも都市部と同じように享受できる機会をクレジットカード会社の一存で奪われかねない、これは地方創生に逆行する事態ではないでしょうか。新たな立法ですとか新たな法改正が必要だと思いますけれども、総理、御見解をお伺いいたします。
○石破内閣総理大臣 地方においてそのような決済が非常に重要だということは、その度を高めているというふうに考えております。
御指摘のような事例というもの、私はまだ十分に報告を受けておりません。ここでこういう人たちがこんなことで困っているんだということをまたお教えをいただければ、適切に対応いたしてまいります。
○阿部(司)委員 終わります。ありがとうございました。
○安住委員長 この際、三木圭恵さんから関連質疑の申出があります。前原君の持ち時間の範囲内でこれを許します。三木圭恵さん。
○三木委員 日本維新の会の三木圭恵でございます。
今日は予算委員会で質問する機会を与えていただいて、ありがとうございます。
予算委員会の委員派遣で、十一月十九日に能登半島の方に視察に行ってまいりました。
まず初めに、今年一月一日に起きた能登半島地震、そして九月二十一日から二十三日にかけて起きた能登豪雨災害においてお亡くなりになられた方の御冥福をお祈りするとともに、いまだ被害に苦しんでいる被災者の皆様に心からのお見舞いを申し上げます。
目にする光景というのは、今パネルの方でもお写真を提示させていただいておりますけれども、いまだ倒壊したまま手つかずの家屋であったり、地震と豪雨で岸壁が崩れて、土のうが積み上げられてはいるものの、災害の爪痕が生々しく、被災者の方々の心情を思いますと、一刻も早い復旧や、今後どのように能登半島を支援していくのか、しっかりとしたビジョンを示すことが、希望を持って明るい未来を描けるようなしっかりとしたビジョンを描けるようなことが大切なのかなというふうに感じてまいりました。
その中で、様々な要望をいただきました。農業に携わる方の御生活を心配する声もございまして、農地の中に土砂が流れ込んでいると、その撤去にやはり五年から六年はかかってしまって、農地を回復して生産をして、収入が上がっていくまでにやはり五年から六年ぐらいかかるだろう、そういったときの手当てとして、農地の土砂を撤去をする、それをなりわいにするような支援事業というものを行っていただけないだろうかという要望をいただきましたが、総理、これはいかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 あらゆる手法を使ってそういうことが可能になるようにしていきたいと思っております。
直営施工というのですかね、こういうものも可能でございますので、御希望があれば、そういう方々にもそれなりの、賃金というんでしょうか、入ることにもなります。
一日も早い復旧に向けて、可能なことは全てやるように対応いたしてまいります。
○三木委員 総理の前向きな御答弁、本当にありがとうございます。
直営施工方式なんですけれども、これは総務省の方が、農業分野における災害復旧の迅速化に関する行政評価・監視ということで、結果報告の方を令和三年十二月に出しているんですね。
本調査で対象とした三十四市町村のうち、災害復旧事業における直営施工方式の活用実績があったのは三市町村のみということになっておりまして、今私が要望として挙げたことも、こういった直営施工方式というものを県や市が御存じないということが一番大きな原因になっているんじゃないかなと思うんです。でも、やはりこういった方式を利用して農業を復活させる、そういった取組ということも非常に大切だと思いますので。
その中で、総務省が評価をしているんですけれども、市町村の職員が不足して、制度を活用するノウハウもない状況のため、災害時に市町村が単独で直営施工方式を実施することは困難である状況がうかがわれた、実態を把握して、JA等が積極的に関与できるよう、受託作業費などの見直しの検討も必要であると。JAとかがいろいろな作業をする、手続をする中において、やはり補助のお金が少ないので難しくなってくるというようなことも報告されております。
やはりこれは、被災をする前の段階から、全国の市町村に、こういった方式があるんだ、災害になった場合に、農地をこうやって回復させて、農業に携わる方々の生活を支えることができるんだということを広く周知していく必要があると思いますが、いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 大変恐縮でございます。
どんなにいい制度でも知られていなければ意味がないので、ここは農水省といたしまして、御指摘のように、JAもそうです、農政局もそうです、県もそうです、市町村もそうです、こんないい制度がありますよということを、これから先、災害が頻発化、激甚化するというよろしくない事態もこれから起こり得ることでございますので、そこは農水省として、他省庁とも連携しながら徹底に努めてまいります。
○三木委員 ありがとうございます。
農地に関してはそうでございますし、建設費の高騰というものも続いている中で、やはり、都市の区画整理事業や、集団移転の希望を持っている集落もあり、観光や輪島塗などの地場産業を再開することによって住民が戻れる環境をつくっていきたいという御希望もあります。
復旧復興に係る全体の費用が大きくなっているので、補助率の引上げ、補助金の裏負担の起債充当率の引上げ、交付税措置について事業によっては低いところがある。今回は、震災と豪雨という複合災害、とりわけ能登半島の地域性を考慮していただいて、財源をしっかり確保していただきたいということも要望としてお伺いしておりますので、これは要望にとどめておきます。是非よろしくお願いいたします。
○安住委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時一分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○安住委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。三木圭恵さん。
○三木委員 日本維新の会の三木圭恵でございます。
午前中の質疑が五分だけということもあって、能登の震災復興のお話を午前中はさせていただいていたんですけれども、農地に土砂が入り込んで、五年から六年やはり農業から離れなければならないという農業経営者の方々の救済策として直営施工方式というのがありますよというお話だったんですけれども、これは、ちょっと調べていくと、各都道府県、各市町村に対する周知というものがちょっとできていなかった、現状できていないのではないかという問題点がやはりあったと思います。
それで、やはりそういった問題点と、市町村の職員が不足をしていて制度を活用するノウハウもない状況なので、災害時に市町村が単独で直営施工方式を実施することが困難、それから補助金の額が少しやはり少ないんじゃないかということが問題点として総務省の報告書の中から挙げられています。
こういったことを勘案しますと、平常時から、被災地になり得るだろうという、日本全国どこも災害があるという前提の下で、全国の市町村が、こういった農家の方々の救済法がありますよということを平時からやはり周知をして、備えるということが必要なんだなというふうに考えております。
総理の御答弁に関しましてもそういった御答弁をいただいておりまして、これは党派を超えて、政府も国会もやはりきっちりと対応していかなければならないと思っております。
それから、もう一つ要望いただいている部分がありますので、それをつけ加えて質問させていただきます。
応急仮設住宅が今建設中ではございますけれども、そういった住宅に空きができた場合、ボランティアの方々が土砂の搬出などをお手伝いしていただいているんですけれども、ボランティアの方々が宿泊する施設がまだやはり足りない、これを柔軟に対応できるようにしてほしいという要望もお伺いをしております。災害救助法の関係上、非常に難しい部分があると思うんですけれども、輪島市の市長のお話などでは、少し傾いている家屋であっても、そこに寝泊まりしてもらっているというふうにおっしゃっておりました。
是非、地方に権限を移譲して、使いやすいお金を被災地に振り分け、こういった対策、応急仮設住宅も柔軟に対応できるようにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○坂井国務大臣 仮設住宅は、能登半島地震を含め、通常は被災自治体からの要望戸数を踏まえて必要数を精査して建設したものでありまして、余り空きがあるということは想定をして造っておりませんが、希望する被災者を丁寧に把握をいたしまして入居を促進することが必要なことから、当初、ボランティアの方々の利用は控えていただいております。
しかし、様々な事情があって仮設住宅に当面の空きが出ているという場合には、被災地を支援するという本来の目的を逸脱しない範囲内で、つまりはボランティアさんとかそういった方々が泊まられるということに関しては、目的外使用で入居いただくということはあり得るものでございまして、これは、自治体から国の方にそういった申請を上げていただければ防災大臣が速やかに検討して適切に対応するということになっておりますので、そうしたいと思っております。
○三木委員 非常に前向きに、柔軟な対応の御答弁をいただいて、ありがたいなというふうに思います。
補助金適正化法などもございまして、補助金で建てたものに関して目的外使用すると罰則というものがつきまとうということがやはりございますので、こういったところは罰則なしで、ちゃんと自治体から適正な報告があればそれを許可していただくということで、本当に御答弁ありがとうございます。柔軟な対応をしていただいて、やはり能登の復興に向けて政府そして国会が一丸となって取り組んでいくということで、非常にありがたい御答弁だったと思います。ありがとうございます。
能登半島の件はこれで終わらせていただきます。
次に、百三万の壁について、今、自民党、公明党、国民民主党で協議中とのことで、それは承知しているんですけれども、我が党は百三万円の壁の引上げに基本的には賛成の立場なんですけれども、十九歳から二十一歳の学生さんを想定した場合、アルバイトをして百三万円を超えると税金がかかってくる。勤労学生控除を受けていれば、所得税は百三十万円まで、住民税は百二十四万円までは税金がかからないということなんですけれども、学生さんの立場から見た場合、その壁よりも、世帯全体で見た、親の特定扶養控除が外れてしまうことの方が心理的に大きな壁になるのではないかということを、今、この図の方にさせていただきました。
配偶者の場合は、配偶者控除と配偶者特別控除がございます。基本的に、配偶者控除で、三十八万円までは配偶者控除ができます。百三万円を超えたら、徐々に、配偶者控除が、三十八万円から一万円まで、働いている方の、主婦の方がパートで働いたら、年収二百一万円ぐらいまでは配偶者特別控除がだんだん逓減して消失していくという制度がもうできているんですね。
ですから、配偶者の方も、世帯の所得、手取りを余り気にせずに百三万の壁というものを越えていけると思うんですけれども、学生の場合は、これをちょっと見ていただきますと、十九歳から二十二歳の場合、特に大学生だと、その御家庭が教育費にお金がかかるだろうということで、特定扶養控除の額が六十三万円と、結構大きい額が設定をされています。でも、学生さんが百三万円を超えると、途端にこれがゼロ円になって利用できないという現実になっております。
手前みそになるんですけれども、維新の会の方にも学生部というものがございまして、これは大学生の方が提案をしてくれた案でございます。特定扶養控除も、学生の場合も、配偶者控除と同じように、百三万円を超えても、年収、ここは二百一万円と仮定しておりますけれども、徐々にこれを逓減、消失をしていくような形というのができないかどうかということを提案をしてくれておりますので、これについて総理の考えをお伺いしたいと思います。
○加藤国務大臣 今、まさに御承知のように、百三万の壁自体は三党の方で御議論いただいて、その中で、先日、大学生の就業調整への対応の観点から、特定扶養控除の年収要件の引上げの議論を始めることで一致したということで、今中身を詰めているということだと思います。
御指摘、確かに、配偶者特別控除等にはそうした逓減というんでしょうか、そういった仕組みがありますが、一方で、今、特定扶養控除そのものは、超えているか超えていないかということで、私のところも子供がいたときにはそれを出して、企業はそれをチェックする、非常に簡単な仕組みに対して、今回は、段階ごとに所得といいますか収入をチェックしなきゃならない、こういう負担が、配偶者でやっているのにという御意見はあるとは思いますが、ただ、現場においては新たに付加されるということは事実でありますから、そういった点も含めてこうした協議がなされるものというふうに認識をしておりますので、我々はその状況をしっかり見守っていきたいというふうに考えています。
○三木委員 野党の多くも、立憲の方も提案されているということで、是非とも、こういった学生の生の声というものをやはり政策に組み込んでいただいて、ああ、自分たちの意見がちゃんと国会でも議論をされて通っていくんだなということがやはり若者世代の政治に対する関心にもつながってくると思いますし、真面目に働いて真面目に勉強している子ほど、親の負担を増やしてはいけないものだというふうに心に思っていると思いますので、自分がアルバイトをすることによって家庭全体の所得が下がってしまうということに関してはやはり心理的な壁になると思いますので、せっかく百三万の壁を取っ払っていこうという今お話をされていると思いますので、是非、気持ちよく学生の子がアルバイトができるように、是非ともよろしく御検討をお願いをいたします。
続きまして、次の質問に移らせていただきます。
年金制度に係る高齢者の不公平感なんですけれども、老齢年金は所得税や住民税の課税対象となるんですけれども、遺族年金というものは、基礎、厚生年金共に全額が非課税になるんですね。これは本会議でも質問させていただいたんですけれども、社会保障制度を始め、様々な低所得者対策にもこの非課税世帯というのは波及をしてくるものだと思います。これはやはり不公平じゃないですかということを本会議で代表質問させていただいたんですけれども、そのときの総理の御答弁が、遺族年金は発生が予期できないリスクへの給付として非課税だというふうにおっしゃったんですね。
でも、これは多分、モデル世帯も、すごく昔のモデル世帯を想定されているんですよね。昔のモデル世帯というと、言葉は悪いんですけれども、モデル世帯というのは、夫は厚生年金に四十年加入していた平均的な会社員、同い年の妻はずっと専業主婦で厚生年金に加入したことがないというのがモデル世帯なんですね、日本の年金の。
そういったところから考え合わせて、恐らく、非課税になっているというのは、予期できないリスクというのは、若い段階で伴侶が亡くなられた場合にやはり予期できないリスクだというふうに思うんですけれども、六十五歳を超えて七十歳とか八十歳になっていって、人間は死んでいくものですから、それが予期できないリスクなのかどうなのかというのは、本当に私としては疑問なんですね。
ですから、ここの不公平感を打開をしていくことというのは政策的にも必要なことだと思いますが、いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 今おっしゃられたように、遺族年金とか障害年金については、総理が申された、発生が予期できない、それは突然そういう状況に置かれるということのリスクへの給付ということでございまして、それは、社会保障給付が一般的に非課税であることから、これまで非課税とされてきたところでございます。
一方で、老齢年金につきましては、それまでの保険料の納付実績に基づいて受け取る給付であることなどを総合的に勘案して、これは制度創設当初から課税とされているものだというふうに認識をされております。
こうしたことから、課税関係の違いをもって不公平であるという指摘は当たらないと考えていますが、不公平感を招かないよう、引き続き周知に努めてまいりたいと考えております。
○三木委員 今回の非課税世帯に三万円を支給していくというお話もそうですし、様々にやはり低所得世帯と認められれば有利になるということがございます。
例えば、一か月の自己負担で、医療費の高額療養費制度というものがございますけれども、これの自己負担の限度額を超えると超過分は負担がないという制度ですけれども、この限度額も、非課税世帯とか低所得世帯であると認められれば、この限度額自体が低くなるんですね。特別養護老人ホームの食費や居住費の軽減措置もあるんです。
だから、そういったことで、遺族年金をいただいている方だけが苦しい生活をされているわけではないと思うんですよ。ここは勇気を持って遺族年金の方にも課税をしていくのか、それとも、今、低所得世帯で、本当に老齢年金だけ、一号被保険者であって、自分もそう、例えば妻や夫もそうであった場合というのが、私はやはり一番苦しい生活を今されていると思うんですね。
一号被保険者の方で、二人で、御夫婦で生活をされていて、どちらかの方が亡くなられたら、これは遺族年金はもらえません。一号被保険者の自分の分だけで、六万七千円から六万八千円いただけるだけ。本当に苦しい生活をされている方々が低所得者として認められないというような部分とかもありますので、ここはやはりきっちりと平等に扱う、高齢者の方々の課税状況を平等に扱うということが私は大切だと思いますが、総理、どうでしょうか。
○福岡国務大臣 今さっきおっしゃられた、老齢年金、そして遺族年金、そのどちらに課税するか、若しくは両方課税するとかを含めて、その体系を変えるとなれば、かなりいろいろなところに影響が出る話です。そういった影響について慎重に精査する必要があるというふうに考えております。
○三木委員 総理の方もお考えを伺えますか。
○石破内閣総理大臣 基本的には同じだと思っておりまして、今厚労大臣がお答えしたとおりです。
ただ、言葉の上で、正式にモデル世帯なんという言葉はないんですが、そういう御家庭が比重としてはかなり減ってきているんだろうと思っております。そうすると、いろいろなライフスタイルがあって、いろいろな年代があって、何が公平なのかということは、いろいろな世代のいろいろなライフスタイルを見ながら常に検討していくことが必要なのだというふうに思っております。
○三木委員 是非、マイナンバー制度をちゃんときっちりとやっていただいて、本当に国民の皆様の、高齢者の方も含めて、どのような方がどれぐらいの収入で生活をされているのかということを実際に把握をしていただいて、こういった、例えば遺族年金をもらっていても資産がありますよとかいう方も非課税世帯で三万円、片や、一人で六万七千円とか六万八千円の基礎年金、老齢年金だけで暮らしていて、そして自分で収入を得て働いている、そういった方々は非課税世帯ではないので三万円がもらえない、こういったことがないように、是非、マイナンバー制度をしっかりと構築していただいて、お一人お一人の所得、収入というものを把握して、実際に必要な方に給付の手というものを差し伸べていただきたいなと思います。これは要望とさせていただきます。
続きまして、総理、政策活動費の話です。私、これは非常にびっくりしたというか、要配慮支出から公開方法工夫支出というふうにまた名前が変わったんですね。おとつい変わったと。だから、五日の日に質問されている方は要配慮支出はいかぬとかといって質問されていたのが、今回、公開方法工夫支出だというふうに変わっているんです。
私は、これは政策活動費を名前を変えただけじゃないかなというふうに思っているんですね。思っているんです、私は。でも、実際にこういうブラックボックスになっていれば、そういうふうに取られても仕方がないんじゃないかなと私は思います。
ここに、公開方法工夫支出の中に第三者機関の監査を入れるというのが新しく加わって、公開方法工夫支出の中のこの項目は出せませんよということも、しっかりと項目として挙げていらっしゃるというのは分かるんですけれども、これは政策活動費のまま第三者機関をここにくっつけちゃ駄目だったんですか。この政策活動費という名前のままこの第三者機関をここに、政策活動費に第三者機関をつけるということでは駄目だったんですか。
○石破内閣総理大臣 運用として、そういうことも、それは可能性として私は否定はいたしません。ただ、私どもとして、この政策活動費なる、領収書も要りません、何に使われたか分かりません、それは名前をどうしても、余りよいイメージではないので、それはやめ、それで、いろいろな御疑念をお持ちのようでありますが、これはやめなんです、やらない。非常に配慮には、すごく配慮に配慮を重ねてという配慮もよろしくないので工夫をするということになったわけですが。
出しますときには、それは、何でこれを工夫が必要ですかという理由をきちんと第三者機関に対して、かくかくしかじか、こういう理由をきちんと出さねばならないということにいたしております。
出しませんよということが認められるのは、相手方の氏名、住所と日付だけが書かないということがあり得るのであって、目的であるとか金額であるとか、そういうものはきちんと書かなきゃいかぬということに相なっております。
ですから、第三者機関というか監査機関というか、ここにおいていかに厳正な判断がなされるか、これはまたお金のかかることではございますが、それに対するスタッフもきちんとそろえていかないといかぬなというふうに思っております。
○三木委員 今、総理が期せずして御自分でおっしゃったんですよ、政策活動費とか要配慮支出というのはイメージが悪いと。だから自民党は政策活動費を廃止しますよという言葉を何度もおっしゃっていて、でも、これは国民から見たら、政策活動費を廃止しているのか何を廃止しているのか全然分からないなというブラックボックスに実はなってしまっているんですね、印象が。だから、政策活動費という言葉だけをなくして、ほかのものはちゃんとブラックボックスとして、要配慮支出であったりとか公開方法工夫支出と名前を変えてブラックボックスは残っているじゃないかというふうに国民は思っているわけです。
そして、まず、名前をすげ替えただけではないとおっしゃるのであれば、例えば、石破総理は平成二十四年九月二十八日から平成二十六年九月三日まで幹事長でいらっしゃいました。そのときに十七億五千万円ほど使っていらっしゃいます、政策活動費として。では、この政策活動費で使っていて公開できなかった部分は、今、この公開方法工夫支出の中に入るんですよね。じゃ、これは違うものなんだとおっしゃれば、公開できるものというのは一体何だったんですか。
○安住委員長 三木さん、申合せの時間が過ぎましたから、もう端的に答弁だけして終わらせていただきます。
○石破内閣総理大臣 それは、使っても当然だよねと思われるものしか公開できないということになる。それはだから、世の中、そういうものは必要なものもあるんだろうという暗黙の了解で合法的にやってきたものでございます。
いかに合法的なものであったとしても、そんなものやめましょうと。その代わり、目的や金額もきちんとこれは……
○安住委員長 総理、手短にお願いします。
○石破内閣総理大臣 公表するということで、誰がどう見てもこれは正しいねというふうに思ってもらえる、そういうふうにしてまいりたいと思っています。
○三木委員 時間ですので終わりますが、テレビを見ていらっしゃる方々の御判断に私は任せたいと思います。
質問させていただきまして、ありがとうございました。
○安住委員長 これにて前原君、空本君、阿部君、三木さんの質疑は終了いたしました。
次に、長友慎治君。
○長友(慎)委員 国民民主党の長友慎治です。
総理、私は、九州宮崎の出身で、四十七歳になります。高校卒業と同時に上京して、二十年東京で仕事をし、三十九歳のときに宮崎、ふるさとにUターンをいたしました。まさに農林水産大臣の江藤先生のお地元の日向市、そこで中小企業支援をするセンターのセンター長を募集していたのを機に地元にUターンし、地元の中小企業の売上げを上げて、そこで働く人の賃金を上げる、そこの賃金が上がればよそに人が出ていかなくなるという、地方創生の切り札のつもりで地方創生に取り組んできた人間になります。
そういう意味で、今日は、石破総理と地方創生についても議論をさせていただけるということは願ってもない機会だと考えております。敬意を持って質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
まず最初に、我が党の看板政策であります百三万円の壁の見直しについて質問をさせていただきます。
百三万円の壁の見直しにつきましては、私たち国民民主党は、最低賃金の上昇率を基に、控除額を百七十八万円に引き上げるよう求めています。これについては、総理も所信表明で、令和七年度税制改正の中で議論し引き上げると明言をされました。与党と私たち国民民主党の政策協議は、衆議院選挙後に召集された特別国会の最終日の十一月十四日に初会合を行って以来、継続して行ってきておりますが、間もなく一月がたとうとしています。しかし、いまだに、いつまでに引き上げると明確な打ち返しがありません。
私たちの主張は、百三万円の壁の引上げは年内に結論を出すということであります。石破総理が所信で述べた令和七年度税制改正の中で議論し引き上げるということは、つまり、令和七年度、二〇二五年度の税制改正の大綱に入って初めて実現すると理解をします。
だからこそ、総理に確認をします。
税制改正大綱に百三万円の壁の引上げが入るための決断の締切りはいつなのか、明確にお答えをお願いします。
○石破内閣総理大臣 私がお答えするのは適切かどうか分かりませんが、税制改正が終わらないと予算が組めませんものでございますから、そうしますと、予算の閣議決定までに決定されるということは、これは必要なものでございます。そうすると、通例、十二月中というのが常識的な答えかと思っております。
○長友(慎)委員 十二月中ということでございますが、十二月中には、十二月三十一日まで幅があるわけなんですね。これは予算委員会でございます。予算の賛否がいずれ問われます。近いうちに近づいてくるというふうに思うわけですが、私たちの要望は、年内にこれを結論を得るということで、来年からスタートするということが民意だと思っているわけです。
その上で、私たちは今協議をやっておりますけれども、もしその協議の中で前向きな姿勢がないのであれば、私たちは、これは与党は消極的なんだと言わざるを得ないという立場になってしまわざるを得ません。我が党も、二〇二四年度の補正予算について賛成できない、そのような立場になりますが、それでもいいのか、総理に答弁を求めます。
○石破内閣総理大臣 それでもよいですなぞということが言えるはずもなくて、賛成していただけるようにこうやって説明を申し上げ、また御議論を賜っておるわけでございます。
十二月と申しましたが、もう十一日でございまして、十二月の中旬ぐらいまでにはこれは結論を出さねばならぬことだと思っております。
是非とも賛成をいただけますよう、私どももまた説明に努めてまいります。
○長友(慎)委員 十二月中旬というお言葉をいただきました。そして、是非とも賛成をという言葉ではありましたけれども。
実は、私は、二〇二二年の二月二十二日、これは二〇二二年度の本予算を決める本会議で賛成討論に立ちました。賛成した理由は、国民の皆様に、地元の皆様からのガソリンの価格を下げてほしいという必死の願いに少しでもお役に立てるのであれば、国民の声に寄り添った判断をしようと決断したわけでございます。
しかし、野党の立場で賛成したということで、私も、地元の皆様からいろいろな御意見、御批判もいただきましたし、私たちが野党なのかユ党なのかとか、そういう御指摘もいただきました。しかし、蓋を開けてみれば、トリガー条項は結局解除されませんでした。
また、二〇二三年の十二月十四日に与党がまとめた二〇二四年度の税制改正大綱では、原案にあったトリガー条項の記述が消えました。当然、補正予算に私たちは反対をしました。
今回の百三万円の壁についても、税制改正大綱に載らないということになるとしたら、当然反対に回ることになるということを申し上げておきたいと思いますが、総理、もしコメントがありましたら、いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 ですから、信義を尽くして御理解いただくよう努力しますし、百三万円につきましては、今まさしく各党で議論をいたしておるところでございますので、内閣としてのお答えは、済みません、控えさせてください。
○長友(慎)委員 この百三万円の壁の引上げに当たりまして、いろいろ地方の税収が減るというようなことの御指摘もありますが、地方の税収が減るということにはならないようにしなければならないのは当然だというふうに考えております。
これは財源の話になってきて、その財源の問題がなかなか今現場で明確な解が出ていない、そう理解しているんですけれども、財源については、国の歳出歳入をもう一度徹底的に見直すことを政府・与党には求めたいと思います。
一昨年度、昨年度の二年の平均値でいうと、予算には計上したものの結局は使わずに残した予算が、二年間の平均で年九・一兆円ありました。逆に、税収は、平均で年四・二兆円上振れをしています。使わない予算が九兆円、入ってくる税収は想定より四兆円も多いのでありましたら、計上すべき予算をもっと絞り込み、税収見積りをより精密にすれば、基礎控除の引上げ分の減収など、幾らでも対応可能だと考えますが、総理の見解を伺います。
○石破内閣総理大臣 幾らでも対応可能なら苦労はしないのでありまして、使わなかった部分は、特にコロナという事情がございました。そのときに、多くの地方からも御要望がありましたし、何かのときに対応できないといかぬなということで、少し余裕を持って見たことは事実でございます。その部分が使わないということになったのは、これはまたよく厳密に考えていかねばならないことだと思っております。歳出はそういうことでございます。
税収も、これは景気の動向によって大きく振れるものでございまして、多く入ってくるにこしたことはございませんが、税収の見積りというものもより厳格にしていかねばならないのは当然のことでございます。
○長友(慎)委員 今までの御説明も過去の発言と同じなんですけれども、恒久的な減税に対する財源としては適切じゃない、そういうふうにおっしゃりたいんだと思います。
ですが、この百三万円の壁の解消については、これは財源論ではないんだと私たちは考えております。これは憲法二十五条で保障されています生存権の問題だというふうに思うわけです。全て国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有するという生きるためのコストでありまして、財源があるから引き上げる、ないから見送る、そういう話ではなく、インフレで、生きるコストが上がっている以上、基礎控除の水準は引き上げなくてはならないと考えます。ちなみに、一九九五年に現在の水準に引き上げたときには、特段の財源の手当てはなかったと聞いております。
百七十八万円の水準は高過ぎるとの声も聞きますけれども、これは、今日の最低賃金の水準を一九九五年と比較した場合、一・七三倍になっていることから導かれた数字です。労働力の供給制約というサプライサイドの問題を解決することが日本経済の成長にとって不可欠であるとの観点からも、百七十八万円の水準を強く主張しているわけですが、総理の見解を伺います。
○加藤国務大臣 過去の財源の引き当ての話がございまして、例えば令和二年においては所得税の中の財源を確保する。ただ、昭和五十九年の前においては、確かに財源を確保していない時期があるのは御指摘のとおり。ただ、あの頃の財政事情と税収というのは今と全然違う状況だったということが一つあるというふうに思います。
それから、もう一点は、今まさに御議論いただいている今回の引上げが一体どういう目的でやるのか、そういったところの議論にも関わってくる話ではないかなというふうに考えています。
○長友(慎)委員 加藤大臣、御答弁ありがとうございます。
当然、当時と今で経済環境も情勢も違いますし、税収の規模も違ってくる、それは当然なんですけれども、私たちが百三万円を百七十八万円にということについて主張したいもう一つの理由が、最低賃金は、毎年、公益代表者、そして労働者の代表、使用者の代表の公労使間でいろいろな要素を加味して決められてきているものになります。しかも、長い時間をかけて、議論を経て現在に至るわけでございます。その三十年の蓄積を基にしたのがこの数字なわけでございまして、働く人や生活者の暮らしを軸にした当然の根拠だと私たちは思うんです。
自民党の中には、物価上昇指数に合わせた引上げをという意見もあるというやに聞いておりますけれども、私たちは、あくまでこの百七十八万円という数字、これは決して軽い気持ちで算出しているわけではない、むしろ重い意味を持つ額面だというふうにお考えをいただきたいと思っております。
もしこの私たちの考えに正面から取り組んでもらえないということになるようであれば、三党協議も撤退ということが視野に入ってくるのではないかということを申し上げておきたいと思います。
先日、百三万円の壁引上げに伴いまして基礎控除を七十五万円引き上げた場合、約八兆円弱、七・六兆円ほどの減収になるという政府の試算を三党協議の中で根拠資料としてお示しをいただいておりますが、これには減税に伴うプラスの波及効果が全く織り込まれておりませんでした。言うまでもなく、政府の税収は、家計にとっては減税であり、可処分所得の増加をもたらします、可処分所得の増加は、家計消費の増加、そして企業の売上げ、収益の増加を通じて、税収の増加にもつながります。政府試算の減収幅は、減税によるプラスの効果を織り込めば、どう考えても過大だというふうに考えますが、この点についての総理の見解を伺います。
○石破内閣総理大臣 それは、いろいろな数字が当然あるのであって、委員御指摘のように、そうするとどれだけ消費が増え、どれだけ税収が増えるかということも当然見込んでいかなければなりません。計算というのは、そういうふうに精密にしていかねばならないものだと思っております。
憲法の生存権まで議論がいくかどうか、ちょっと私も今確たる答えを持ちませんが、そうすると、今度は生活保護の水準との議論がかぶさって出てくるのだと思いますけれども、そのときに、どれぐらいの税収が見込まれるか、増収が見込まれるかということも当然考えていかねばならないことはよく承知をいたしております。
ですので、先ほど来、懇願というのか、哀願じゃないな、懇願といいますのか、是非その辺も御勘案いただいて、これができなければ賛成できないぞというのは、それはそうなのですけれども、私どもとして、きちんと御説明をしながら、納得していただけるように努力は重ねてまいります。
○長友(慎)委員 もちろん、協議をしていかせていただきますけれども、この問題に関しては最後にしますけれども、帝国データバンクが、各企業に、この百三万円の壁のアンケート調査をしております。企業の約九割がこの見直しに賛成をしております。賛成は六八%、そして、そもそも年収の区別を撤廃すべきという方々も二二%いらっしゃるわけですね。これが民意なわけです、この百三万円の壁を解消する。そのことを、財源がないことを理由として、極めて重要な政策の実施を見送る、そういうことがないようにしていただきたいということを強く申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。
次は、ガソリン減税についてであります。
総理は、いつまでにこのガソリン減税についての結論を得るとの考えか、見解を伺います。
○加藤国務大臣 今般の経済対策は、御承知のように、三党の中で、いわゆる暫定税率の廃止を含むガソリン減税については、自動車関係諸税全体の見直しに向けて検討して結論を得る、これらに伴う諸課題に関しては、今後、検討を進め、その解決策について結論を得る、こう盛り込まれているわけでありまして、現在、それを踏まえて、この自動車関係諸税制全体の見直しについて、各党の税制調査会長間で議論が深めていただいているというふうに思っておりますので、政府としては、議論していただいている立場でありますから、いつまでにということを申し上げるのは控えさせていただきたいと思います。
○長友(慎)委員 いつまでにということを、私たちにとっては非常にそこが重要なわけなんですね。というのは、これは、報道でこういうことが流れてくるわけですね。私たちが求めるガソリン税の減税の制度設計を一年先送りにする検討に入った、そういう報道を目にします。これがもし事実でありましたら、我々が求めるものとは違うわけです。
今年中に、つまり今月中に検討して結論を得るべき事項であって、来年度からスタートするべきもの。もしこれが令和八年度、二〇二六年度の税制改正で結論を出すということであれば、実質のスタートは再来年以降ということになります。それは違うんです。私たち国民はそんなことは望んでいない。各地元、地方を回れば、ガソリンの価格が高い、高止まりしていて生活に直結しているという話は、ここにいる議員の先生たちが皆さん聞いている話じゃないですか。その解決を先送り、先延ばしすることが、果たして国民が望んでいることなのか。
皆さんがしっかりと決断をしていただく、その機会が年内だと私は思っております。もし総理がまだ先延ばしをするというような考え方でいるのであれば、私は、また民意がその判断に対し結論を下すと思います。
私たち国民民主党としての主張は、是非この年内の中でしっかりと議論をし、結論を出していただく、それが国民の皆さんが待っている答えなので、その点、強くお願いをしたいと思います。
ガソリン減税については、自動車関係諸税全体の見直しの中で検討し、結論を得る、これは、見直しの中でという文言が実は最初の私たちの主張でございましたが、その後、修文されております。自動車関係諸税全体の見直しに向けて検討し、結論を得る、これで合意をしているわけですけれども、思いとしましては、ガソリン減税については来年に先送りすることなく今年中に検討して結論を得るべきだ、そういうふうに私たちは考えているということを強く申し上げまして、次に、地方創生の話に入ってまいりたいと思います。
地方創生そして二地域居住というテーマになってきますが、総理は、地方創生二・〇を再起動し、日本創生を訴え、地方と都市が結びつくことにより、日本社会の在り方を大きく変えると御発言をされていらっしゃいます。私も日本全体の再編成が必要だと考えます。
総理も御指摘のとおり、東京一極集中とその裏返しの地方の過疎は、人為的にこれまでつくられてきました。象徴的なのは、戦後二十二年間にわたって地方の少年少女たちを三大都市圏に運び続けた集団就職列車です。当時の労働省の要請を受けて県と国鉄が仕立てた臨時列車は、運賃免除でありました。つまり、国策でやったということです。それによって高度成長を実現しましたが、その成功モデルが今ボトルネックになっています。よって、その解消も国策でやる必要があると私は思います。
定常的に人口が減少していく社会におきまして、都市と地方で人材をシェアすることが大事になってくるわけです。つまり、関係人口です。
地方創生の十年の前半は、国は移住支援を積極的に行ってきました。地方自治体としては正しかったかもしれませんが、国全体としては人口の奪い合いのゼロサムゲームです。ミクロとマクロの取り違えだと思います。国としてやるべきことは、社会全体で人口が減少していく中でどうするかを考えることだと私は思うわけです。その答えが、まさに関係人口。関係人口は、複数の地域に関わることができるので、ゼロサムゲームにはなりません。地方創生の後半で、国も関係人口の創出に取り組み始めたのは評価をします。しかし、まだまだ不十分です。
地域が活性化している好事例の共通点、これを見ていきますと、関係人口がてこになって地域の内発的な発展につながっているところばかりです。内発的発展と申しますのは、住民が主体となって計画の検討、策定、決定、実行、運営維持に至る全てを自主的に行っていることで、代表的なところでいいますと、総理も御存じの島根県の海士町や徳島県の神山町、そして福島県の南相馬市などが、住民が主体となって地方創生を実現し、都会から人が集まり、活性化をしています。したがって、あらゆる地域に多くの関係人口が入ってくる環境をつくるのが国のやるべきことだと思います。
総理の肝煎りで、新しい地方経済・生活環境創生本部という会合が開かれております。これは十一月二十九日に初会合があったかと思いますが、この会合の中で、関係人口の提唱者でもある株式会社雨風太陽代表の高橋博之氏が、ふるさと住民登録制度の創設を提言されました。
資料一を御覧ください。こちら、パネルの方もあります。
このパネル、資料が、高橋氏が初会合で披露されたポンチ絵になります。このふるさと住民登録制度というアイデアを初めて聞いた方も多いと思いますので、少し説明しますと、これは、二地域居住先でふるさと住民として登録する。登録すると、第二の住民票が交付されると思ってください。第二の住民票が交付されると、そのふるさと住民は、地域の町づくりに参加したり、一次産業に加わったり、そこで子育てをしたり、教育を受けたり、観光客に対して対外的な発信をしたり、地場産品の消費やプロモーションを行っていくというものになります。
そして、市町村はどうするか、何をするか、何を提供するかというと、ふるさと住民に対して、二地域居住に適した居住環境を整備したり、保育園の域外受入れを促進したり、小学生の区域外就学を支援したり、コワーキングスペース、二地域居住に適した就労環境を整備する、そういうアイデアになります。
そして、国がやるべきことは、ふるさと住民登録システムを構築する、住民税の分割納税を実現する、また、二地域居住の促進に意欲のある自治体の交付金を加算する、そういうことが、これはアイデアベースでありますけれども、提唱をされました。
皆さんのお手元に、月刊「地方自治」の寄稿文が配られているかと思います。
ふるさと住民登録制度は、耳慣れない言葉かもしれませんが、実は、もっと早くに提唱されておりまして、このふるさと住民登録制度を提唱されたのが、元総務次官の佐藤文俊氏になります。今年の十月から内閣官房副長官になられていらっしゃいますので、当然、石破総理も御存じでありますけれども、寄稿されたのがお手元の文章で、一部、その部分を抜粋してお配りさせていただきました。ここに書かれていることをまとめたのがこのポンチ絵だというふうに思ってください。
総理、これは関係人口を可視化する非常に有効な取組になると私は思うんですが、いかがでしょうか。総理がおっしゃっている、地方と都市が結びつくことにより日本社会の在り方を大きく変える、そのことそのものだと私は思います。政府がこうした制度を早期につくり、これからの十年で、登録者、例えば一千万人を目標に掲げるくらいのことをやるべきだと考えますが、総理の見解を伺います。
○石破内閣総理大臣 御指摘ありがとうございます。
私も、雨風太陽の高橋さん、いろいろな教えをいただいております。立派な方だと思っております。また、佐藤さんは、今、内閣官房副長官でございまして、事務方のトップとして、これは地方財政、地方行政のプロでございますので、このお二人が同じ方向で議論しておられるというのは極めて意義深いことだと思っております。
東京一極集中というのは、私もかねてから申し上げておりますが、明治以来、人為的に取ってきた政策でございます。昭和二十年八月十五日に国土が廃墟と化して、もう一回日本を早く経済的に復興させるために更に東京一極集中は人為的に加速をしたものでございますので、これは人為的に変えていかないと絶対元へ戻りません。ほっておけば、どんどん衰退が続くだけでございます。
そういう観点から、この制度というもの、すなわちふるさと住民登録制度は、よく精査をしてまいりたいと思っております。そこにおいて、じゃ、納税との関係はどうなるのだ、税がサービスへの対価だと考えますと、それをどのように構成するか等々、解決していかねばならない問題はたくさんありますが、この新しい制度というものの有効性は、政府の中でよく検討してまいりたいと思っております。
○長友(慎)委員 総理、ありがとうございます。
意義深いということ、そして、人為的につくってきた東京一極集中は人為的に解消していかなければならない、まさにそのとおりです。是非前向きに検討をお願いしたいというふうに思います。
これは、国が音頭を取って国民運動として展開していけば、私はできると思うんです。
国は、まずネットワークシステムを活用して、登録者を管理する枠組みをつくる、あとは各自治体がその中で何をやるかを知恵を絞ってもらうということがいいと思っております。ふるさと納税の返礼品で競争するのではなくて、登録した方々に何を期待して、何を提供できるのかを競っていただく。登録者とどういう関係をつくるか、ここを競い合います。さらに、個人住民税の一部分割納税や普通交付税の算定にも、これは検討いただいて、難しいとは分かってはいますけれども、加算されるようになれば、全ての市町村が登録者を確保するために必死で取り組んでいく。まさにこれが、人為的に東京一極集中を解消していく、その政策なんだと思います。
これはふるさと納税で課題になっている応益負担の原則にも反しませんので、こうして国がお墨つきを与えて、納税までしているということになれば、受け入れる地域の側の関係人口に向けるまなざしも変わってきます。いわば住民の概念を拡張することで、外部から労力や知恵といったリソースを調達し、内発的な発展につなげる道を開くことになりますので、総理、是非実効性のあるふるさと住民登録制度とするために、今触れていただきましたけれども、住民税の分割納税や普通交付税の算定まで踏み込んで検討いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
そして、次のパネル二、資料二を見ていただきたいと思います。私たちが国民民主党として掲げている百三万円の壁の撤廃では、地方の税収が減るのではないか、そういう御指摘がありますので、実は、対案として、こういうことができるんじゃないかという御提案でございます。
地方から税収減を懸念する声が上がっていますが、このふるさと住民登録制度を導入して、登録者が、仮に、これは分かりやすく、例えとして一千万になった場合、どういう財源が地方に移転することになるかという試算になります。
試算をするに当たって参考にした基礎情報は、出典に書いてございますけれども、個人住民税の税収が十三兆五千八百三十億円、これは二〇二二年度です。そして、個人の住民税の納税者が六千三百九十七万四千二百四十三人、これも二〇二二年度。納税者一人当たりの個人住民税額が二十一万二千三百十九円。これを基礎情報としているわけです。
全国の住民税が一番大きな円でありまして、その中から一千万人を取り出します。ふるさと住民登録者一千万人を取り出すと、非納税者もいらっしゃいますから、納税者が七百七十万人になる。この試算に関しましては、これは仮説というか仮定でやっておりますので、ふるさと住民登録者は現役世代率も高いと想定されるために、納税者率を平均の一・五倍と仮定をさせていただいています。それから、都市圏は納税者一人当たりの個人住民税額が平均の約一・六倍と仮定し、結果、ふるさと住民登録者が一千万いれば、納税者が七百七十万人、約二・六兆円の住民税がある。それを仮に按分する、半分に、二分の一ずつ分割するということになれば、地方は約一・三兆円の税収増しになる、こういう仮説も成り立つわけでございます。
都市側の反発も予想されますけれども、このふるさと住民登録者が地方で生活する上での生活インフラ等のコストを地方でも負担していますので、それを按分する必要があると考えると、これは都市側の理解もある程度得られるのではないかというふうに考えております。
この点につきましては、地方創生担当大臣の見解を伺います。
○伊東国務大臣 委員御指摘の新しい地方経済・生活環境創生本部の会合におきまして、これは、十一月二十九日に第一回目の有識者会合が開催されたところでありますけれども、高橋博之委員から御提案があったところでありまして、今後、有識者会議でこれは議論されていくもの、このように思う次第であります。まず第一回目ということでありますので、委員全体にもまだ周知できていないという状況でございました。
その上で、住民税の分割納税やあるいは普通交付税の算定にまで踏み込むべきという委員の提案につきましては、関係人口を可視化し、増やしていくためにどのような手法が取り得るのかという議論が行われてから分割納税、住民税等々について議論がなされるもの、このように承知しているところであります。
また、住民税あるいは交付税の在り方といった論点が生ずる可能性がある場合、制度所管省庁との協議、検討も必要と考えているところであります。
いずれにしても、関係人口の創出、拡大は、地方移住の裾野の拡大が期待され、地方への人の流れをつくるという観点から重要であると考えており、今後、この本部の下でしっかり議論をしていきたい、こう思います。
○長友(慎)委員 重要性は認識いただいているということでございます。
伊東大臣は、大臣に御就任されたときに、意欲ある自治体の取組を後押ししていきたいというふうに述べていただいておりましたので、是非東京一極集中を解消する国策を、地方自治体と協力して進めていただきたいというふうに思います。是非よろしくお願いいたします。
地方と東京、都市部との関係性は、防災の面でも影響をしてまいります。事前防災、事前復興というテーマになりますが、震災が起きると、知り合いが多い人のところに物的、人的支援が集中をいたします。これは、顔が見える関係というのはそういうことだということでございますが、つまり、平時から関係人口を増やしておくことは、その地域のレジリエンス力を高めることにつながります。
その意味で、このふるさと住民登録制度は、いわば人垣によるソフトの国土強靱化につながるものと期待されますが、防災担当大臣の見解を伺います。
○坂井国務大臣 まず、委員の日本全体におけるふるさと住民登録制度の議論、大変興味深くお聞きをいたしましたけれども、同時に、各市町村にとっても大変重要な意味を持つものと、防災の面から見ても意味を持つものと私も考えております。
災害に際して、地域外の様々な方のふるさとを思う気持ちが復旧復興を進める上で重要であって、能登におきましても、地震や豪雨の対応においても、能登を応援しようという方々の温かい支援が寄せられていることに感謝申し上げたいと思います。
議員御指摘のそういった住民制度でありますが、こういった地域の応援者を増やすことは、いざというときに地域外から協力を得ることにもつながります。実際、私は、熊本地震の際に大変被害を受けたある市長からお話を伺いましたが、一番最初に支援物資を届けていただけたのは、鹿児島県にある市町からの支援物資であった、大変心強く感じたということでございましたが、こういう関係を可視化して、見える化して、制度としたものになれば、まさしく災害への対応力強化、地域の強靱化という観点からも意義があると考えております。
○長友(慎)委員 ありがとうございます。
これは東京一極集中の話と防災の話になぜつながってくるかというと、過疎は慢性的な災害だというふうにも考えられるわけなんですね。能登と同じ人手不足が全国の過疎地で起きています。だからこそのふるさと住民登録制度、住民の概念の拡張でもある関係人口の力をかりて、地域に必要な活動、ビジネスを回していく必要があると思うわけです。地域に足りないリソースは、まさにこの制度を使って調達できるのではないか、そういう提案になるわけです。
さらに、南海トラフ地震で大きな被害が想定される地方で、交通の便が悪い地域では、能登同様に孤立化する懸念があります。そうであるならば、被災したときに必要となるのに現時点で確保できていないリソースを見える化し、そのリソースを持っている外部人材や外部団体とあらかじめつながっておけば、迅速な緊急支援を望めるようになります。先ほど、近くの鹿児島の方からの御支援があった、そういう関係性を日頃から構築するということです。例えば、重機はあるけれども、オペレーターが不足しているなら、このふるさと住民登録制度を使って、外部のオペレーターを関係人口として確保しておけばいいのではないでしょうか。
こうした事前復興の在り方、考え方について、防災担当大臣の所感を伺います。
○坂井国務大臣 まず、事前防災ということには、これから政府におきましても、大変力を入れて準備をし、またしっかり制度をつくっていくということを考えております。
そして、今おっしゃいました、そこに関係人口をうまく活用したらどうか、こういう御指摘でございますが、まさしくその点も重要と認識をいたしております。
石川県でも、創造的復興プランにおいて、復興プロセスを生かした関係人口の拡大を目指している、今、制度設計中ということでお聞きしておりますが、これは事前にも大変大事でありますけれども、関係人口は、復旧復興していくときに、いろいろな力をいただけたり、また、いろいろな方々を御紹介いただけたりということで、大変力を発揮するものと思っているものでございまして、こういった関係人口を増やす取組は極めて有意義なことであると考えておりまして、防災面でも支援していきたいと思っております。
○長友(慎)委員 ありがとうございます。
能登で起きていることを一つお話をしたいと思います。
能登空港に新設された仮設の飲食街NOTOMORI、皆さんも御存じだと思いますが、ここでは、当初、人手の確保に難航していましたが、それを解決したのが隙間バイトアプリ、タイミーだったというふうに聞きました。輪島から金沢に広域避難している娘さんが、輪島に母の様子を見に行ったついでに帰り際に数時間働く、こういうライフスタイルがこれから能登には必要になってくると現地の方々も言っていらっしゃいます。定住している人だけでやろうとすると、観光業、飲食業、どこも人手不足に陥りまして、営業できないのが現実です。
現在、石川県では、二地域居住を含む関係人口を可視化する仕組みの検討が行われていますが、最大の問題の一つは交通費の負担、これがかなり問題となっております。これをどうにか軽減する方法を考えることはできないのか、防災担当大臣に伺いたいと思います。
○坂井国務大臣 NOTOMORIの例を挙げて御説明いただきました。
NOTOMORIそのものは、私も当初からこういった施設が欲しいなと思っていたところであり、しかも、今のところ評判がよく、ランチも是非やってほしいという強い要望があるということも聞いておりますので、大変期待をしているところでございますが、こういったところも働き手に大変苦労しているということは初めてお聞きをいたしまして、そういうことなのかと改めて認識をしたところでございます。
そして、今御指摘をいただきましたような観点でございますが、まず、関係人口の中で、ボランティアに関して申し上げますと、ボランティアに関しては、今回の補正予算で、被災地に支援に駆けつけるNPOでありますとかボランティア団体等の交通費の支援を行うことということで考えております。本事業の活用によって、ボランティア活動がより活性化することを期待をしているということでございます。
私個人は、ボランティアと同時に、今御指摘があったような、例えば能登六市町等々、奥能登の住民の方が、今回の地震や災害で、いや応なしに二地域の居住を余儀なくされている。簡単に言うと、金沢にお住まいの方が多かったわけでありますけれども、金沢に住まわなければいけない状況を余儀なくされて、その後、また戻った方もいらっしゃいますが、そうでない方もいらっしゃる。そういったところから、やはり住民の方々が二地域で暮らしていく中で居住をしやすい関係をつくる、状況をつくる。そして、そのためには、やはり交通費の問題というのは大きな課題だと思っております。
二地域居住促進のため、広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律が改正をされまして、本年十一月に施行されたところであります。現在、国土交通省におきまして、その課題解決に向けた取組が進められているものと承知しておりまして、そういった取組ともしっかり連携を取りながら、能登の地域の過疎を少しでも止める手だてを私どもも考えてまいりたいと思います。
○長友(慎)委員 前向きに検討を是非いただきたいと思います。
東京一極集中を解消するために交通費という部分が、例えば我が党が主張している高速道路のワンコイン化、こういう安い、低い金額の定額制、こういうものが実現すれば、もっと移動が負担がなくなり、行き来が活性化しますので、そういう議論も引き続きさせていただきたいと思っております。
残りの時間で、政治改革について総理に質問をいたします。
企業・団体献金について、自民党は、企業・団体献金は悪ではないという立場です。
改めて石破総理に伺いますが、総理は、企業・団体献金を今後どのように規正、必要な規律に照らして不都合なところを直していくというのか、伺いたいと思います。
○石破内閣総理大臣 これは、私どもの立場を繰り返して申し上げることはいたしません。
企業というものが、団体というものがそれぞれ法によって律せられており、公的な役割を果たしております以上は、参政権の中で投票ができませんので、いかにして自分たちの意思を表示するかということは、献金という形も一つのやり方でございます。私どもはこれを否定をいたしません。
ただ、それが、誰が、どのような会社が誰に幾らということはきちんと分かることが必要でございます。そのことなくして政治資金規正法の不断の監視の下に置くということも実現できませんし、判断は有権者が行うということを担保することもできません。
私どもとして、とにかく、誰がいつ見ても、誰がどこに幾ら出したのかということが容易に分かるようにしたいと思いますし、それが横というか面というか、一つの会社が一つの政治家にというだけではなくて、その企業がどこに出したのか、あるいはその政治家が誰からもらっているのかということが簡便に分かるような仕組みも併せて必要だと考えております。
○長友(慎)委員 私たち国民民主党は、公明党の皆さんと一緒に、第三者機関、政治資金監視委員会を国会の中に設置するという法案を提出をしております。
先ほども話題になりましたけれども、要配慮支出、公開方法工夫支出というふうに言い換えたと聞きましたけれども、自民党が主張する政策活動費の要配慮支出、公開方法工夫支出について、どの支出、どの領収書が要配慮なのかを、これは政治家自身で決めるのか政治家自身で決めないのか、この点を改めて確認したいと思います。
もし政治家自身が決めて公開しないとなると、これは国民にも疑念が生じます。要配慮かどうかは、私たちとしては、この第三者機関、政治資金監視委員会に全て判断を委ねて、政治家本人が判断すべきじゃない、そういう立ち位置にいるわけなんですが、総理の見解を伺います。
○石破内閣総理大臣 収支報告書を提出をいたします、そのときに、第三者機関に対しまして、これは公開方法工夫支出なのですという理由、これもつけて提出をしなければなりません。政治家が勝手に判断をすることは許されませんで、何でこれが公開方法に工夫が必要な支出であるかということの理由を申し述べなければいけないということがございます。
そして、もう一つは、載せなくてもいいですよというふうに認められますのは、相手方の氏名、そしてまた住所、そして日にちだけでございます。目的とか金額とか、そのようなものというものは公表していかねばならないものでございまして、年月まではよいのですが、日にちまで特定をするということは不記載とすることができるということでございます。
理由を添えまして、判断をするのは、政治家が勝手に判断をすることは許されません、第三者機関が厳正にその立場において判断するということでございます。
○長友(慎)委員 私も政治改革特別委員会の理事としまして現場で今いろいろと協議をしておりますけれども、テレビを御覧の皆さんも、政治資金規正そして政治改革、どういうふうに結論を得るのか非常に注目をしている。その中におきまして、野党が野党で、与党が与党でといって、いつまでも成案を得なければまた更なる政治不信を生む、これは私は一番避けなければならない、そのような覚悟で臨んでおります。
現場では、是非与野党関係なく全ての政党、会派の皆様で成案を成せるように努力して、汗をかいてまいりたいと思いますので、総理も是非リーダーシップを発揮していただきたい、そのことを最後に申し上げまして、私の質疑を終わります。
ありがとうございました。
○安住委員長 この際、橋本幹彦君から関連質疑の申出があります。長友君の持ち時間の範囲内でこれを許します。橋本幹彦君。
○橋本(幹)委員 国民民主党・無所属クラブの橋本幹彦でございます。
初当選でこの予算委員会に立てることを、本当にありがたく思っております。
私は、平成七年生まれの二十八歳でございます。さきの第五十回の小選挙区当選者の中では最年少となりますが、総理もまさに、中選挙区制の下ではありましたけれども、第三十八回の総選挙で最年少の当選であったと伺っております。今回の質疑、総理としての回答はもちろんですけれども、一政治家としての初心を思い起こしていただいて回答いただければというふうに思っております。
二十八歳といいますと、バブルも経験していない、そういった世代になります。私が生まれてからのこの二十八年間、日本の経済はビジョンなく、停滞してきました。今、全国民が明るい経済を求めています。そういった中で、この政権には、なかんずく総理には、明るい展望を示す大きな力が備わっています。是非、この予算委員会を通じて、全国民に対して明るい展望を示していただければと思っております。
まず、いわゆる百三万円の壁について御質問します。
百三万円の壁の引上げとは、恒久的な所得税の減税であります。所得税を減税したから失われた三十年間の問題が全て解決するとは言いませんけれども、ただ、日本経済の好循環の要になり得る施策であると考えています。
よく総理はデフレマインドを払拭するという言葉を使われますが、総理、この百三万円の壁を引き上げるということは、まさにこのマインドを払拭するような経済対策ではないでしょうか。この三十年間行われてこなかったまさに異次元の経済対策ではないでしょうか。お考えをお聞かせください。
○石破内閣総理大臣 若いというのはいいことだなと思いながら承っておったところでございます。そうなんだなと思いましたけれども、バブルを知らないんですね。そうなんだ。
バブルというのは、昔からチューリップバブルとか江戸時代の金魚バブルとかいろいろなものがあって、何年かに一回回ってくるものなのですが、あれはやはり経済として、何年かに一回起こることではございますが、私は余り、トランプでいえば何とか抜きとかいう、最後は誰かがジョーカーを引いたりするもので、余り正しい経済の在り方だと私は思っておりません。
この三十年間、いろいろなことがございましたが、この百三万の壁、それを突破をして、幾らにするかの根拠はいろいろございます。ですけれども、今までにない経済政策としてそれは大きな意義を持つものだということは、私も同意をいたします。
○橋本(幹)委員 ありがとうございます。
先日、我が国民民主党の古川元久議員の質問に対して、総理は、経済あっての財政である、そして、プライマリーバランス単年度黒字化には必ずしもこだわらない、そのように発言されましたけれども、総理、これは政府としてそのような認識という見解でよろしいでしょうか。
○石破内閣総理大臣 必ずしもこだわらないということは確かに申し上げました。しかしながら、何が起こるか分からないという経済の中にあって、財政の強靱性というものは担保しておきませんと国そのものが崩壊するというのは、自衛官として国に奉職された議員もよく御案内のとおりでございます。
○橋本(幹)委員 ありがとうございます。
国民民主党は、百三万円を百七十八万円に引き上げるべきだというふうに考えております。この根拠は、この二十八年間の最低賃金の引上げ幅一・七三倍というところでございます。この一・七三という数字は、この間、労働者と、使用者、雇用者とが真剣に議論して、交渉して、その結果として一・七三倍というところになっているということで、大変重い数字であるというふうに考えております。
この結果として百七十八万円という数字が出てきますけれども、これを月にならすと十五万円。まさに物価高で苦しんでいる国民にとっては、この十五万円というのは、少ないかもしれないですけれども、この十五万円に課税しないということは極めて妥当だというふうに思いますけれども、総理、百七十八万円という水準についてはどのように受け止めていらっしゃるでしょうか。
○石破内閣総理大臣 先ほど来議論がありますとおり、それは物価の上昇を見るのか、給料の上昇を見るのか、そこにおいて何が妥当なのかの議論を今していただいているところでございます。足して二で割ればそれでいいとか、中間線でそれでいいとかいう話にはなりません。
他方、自治体からいろいろな懸念が出ておりますように、地方の税収減はどうするんだいということを考えたときに、それは政府・与党で考えなさいなどという無責任なことを御党が言っていらっしゃるとは思いません。そこにおいてどうすべきかということも併せて御提示をいただき、私どもとしても、別にどんどんどんどん値下げ競争をしておるわけではございませんので、何が地方の財政にも寄与し、そしてまた、所得のというか手取りの増にも寄与するかというところを真剣に議論して、国民の皆様方に御理解を賜りたいと思っております。
○橋本(幹)委員 そもそも、この百三万円の壁の引上げというのは、先ほどもありましたけれども、憲法二十五条の生存権に淵源がある施策であるので、税収を事由に引き上げないというのはちょっと筋が違う話です。
なおかつ、百三万円の壁の引上げは、先ほども総理おっしゃったとおり、異次元の経済対策である。経済対策ということは、税収が減るという面だけではなくて、当然経済効果があるということであります。
先ほど、長友慎治議員の質問に対して、総理は、いろいろな数字があるというふうにおっしゃいましたけれども、そのいろいろな数字、具体的には百三万円を百七十八万円に引き上げることによる経済効果について、政府は試算しているのでしょうか。
○加藤国務大臣 既に試算をさせていただいて、多分資料の中にも入っておられたというふうに思いますけれども、百三万円の壁の引上げをすることによって、国、地方税、両方併せてやれば例えば七兆円から八兆円程度の減収、こうした推計を出させていただいております。
ただ、この推計自体は、実際どういう形で減税するかということが決まっていないわけでありますから、大変粗い数字である、粗い試算であって、相当な幅でもって見ていただく必要があるというふうに考えておりますが、議論するに当たっては一つの参考にしていただけるものと考えております。
○橋本(幹)委員 今大臣がおっしゃったところ、各種報道でも非常に、繰り返し国民に伝えられているところです。
政府の見解を改めて言うと、三つに要約されると思うんですね。一つ目は、税収が七から八兆円減る。二つ、経済効果は一・六兆円である。三つ、したがって、政府の収入減について手当てしなければならない。こういったシナリオが流れているように見えますけれども、このシナリオ、大きな穴があるというふうに考えております。
配付している資料の一枚目になりますけれども、一つ目の税収減というところについて、今お示ししている資料のとおり、今大臣もまさにおっしゃったとおり、極めて粗い概算である。この資料の上部にも、十月三十一日時点での粗い試算であり相当の幅を持って見る必要があるというふうに記載されている資料です。参考にこそなれ、これをもって日本中が減収すると大騒ぎしていたんだと思うと、若干むなしくなるような試算であります。
二つ目の経済効果について、もう一つ資料を配付しておりますけれども、こちらは内閣府の資料ですね。
この内閣府の資料は、網羅的な、全体的な経済効果の試算ではありません。この内閣府の試算は、減税そのものによる部分的な経済効果の試算のみであって、そもそも、百三万円の壁を百七十八万円に引き上げたとしましたら、働き控えをしている国民が働けるようになるわけです。また、企業の売上げも上がる、労働者の手取りも増える。そして、消費も伸びる、企業の売上げも上がる、税収も増えていく。この全体の経済効果が、このモデルでは、試算では含まれているものではありません。
総理、精緻で全体的な試算がない状況で、政府にしっかりとした根拠があります、そういう根拠に基づいて、証拠に基づいて議論していますと断言するのは、いささかこれは行き過ぎているというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 税収はさっき申し上げました。
それから、さっき委員がおっしゃった経済効果一・六兆円というのは政府は出していなくて、むしろさっきのボードの数字を出させていただいているところであります。
ただ、これについても、どういう税をやるかによって当然違ってきますので、一般的に減税をしたらどうかということで試算をしている。そのモデルにおいて、消費、企業収益、雇用などへの波及的、循環的な影響はモデルの中に入っています。ただ、指摘のように、今回の、例えば壁を引き上げることによって就業調整がどう緩和されて、それがどういう影響を及ぼしているのか、これは正直言って考慮されていないのは事実であります。
ただ、ここは、先ほど申し上げた詳細が出ていないということと、それを組み込んだシミュレーションはなかなか難しい、こういった事情はあろうかと思います。
○橋本(幹)委員 今回の百三万円の壁の問題に限ったものではありませんけれども、政府の施策ということを決定する際に、根拠が薄いまま、証拠が余りないまま政策決定されているのではないかなというふうに懸念しています。
証拠に基づく政策立案、いわゆるEBPMと言われるものですけれども、他国と比べてもこれが成っていないのが残念ながら今回のシミュレーション。今大臣からも詳細で網羅的な試算をするのは難しいという発言もありましたけれども、それが残念ながら今の日本の政府の現状であるというふうに理解しています。
難しいということは理解しておりますが、ただ、今回のお話とは少しずれますけれども、今後のために、本来は、証拠に基づく政策立案、EBPMをもっと推進していく、よりしっかりとした調査や推計に基づいた政策立案を行っていく必要があると思いますけれども、総理、御見解はいかがでしょうか。
○平国務大臣 お答え申し上げます。
EBPMを担当しています行革担当大臣でございます。
委員の御指摘は、EBPMのための調査、推計を行う機関、そういう機能が必要ではないかということですが、私も、EBPMは、自民党でまず真っ先にこういった問題意識を持って、プロジェクトチームをつくって、ずっと関わってまいりました。委員と同じ問題意識から、統計委員会の機能拡大とか権限拡大も行ったところです。ただ、もう七、八年前の話ですので、もう一回確認をさせていただきたいと思います。
一方で、様々な事業、例えば行政事業レビュー、五千ぐらいの事業があって、全部ロジックが違うものですから、一つのロジックで、エビデンスでいける話ではありませんので、我々としては、今、統計データ等に基づいて政策の効果を把握し、改善するんですが、各府省庁の政策立案総括審議官などにEBPMの統括責任者を置いて、各政策立案の現場ごとにEBPMの精神を徹底させて、有機的な連携の下に、EBPMに基づいた政策立案を推進しているところでございます。
○橋本(幹)委員 ありがとうございます。
続いて、政治改革について伺います。政権の姿勢について伺いたいというふうに思います。
この点も是非、経済だけではなくて政治の展望についても、明るい展望を総理の口からお答えをいただければというふうに思っております。
さきの総選挙中、自由民主党は、無所属となった議員の方に対して、支部長に対して二千万円支給されました。あるいは、党所属の国会議員が応援に入られたというふうに思いますが、公認を外したけれども実質の公認ではないか、そういった批判があります。
総理としては、このような支援を、選挙のためではないというふうな説明もされていますけれども、これは国民を欺く言説ではないかというふうに考えております。
例えば、私の選挙区、埼玉県の第十三区というところですけれども、ここにおいても、さきに述べたような事象がございました。無所属の候補者のポスターに、あるいは公報に堂々と自民党と書いてある。あるいは、自民党主催と見える大会に、その無所属の候補者の方が演説する。自民党所属の地方議員、首長が無所属の候補者の後援会に入って、毎朝各駅で、自民党と書かれたのぼりを立ててビラを配っている。そもそも選挙期間中に自民党ののぼりを立てているのはいかがかと思いますけれども、駅前で活動している方に、何をしているんですかというふうに尋ねましたら、イメージ戦略だというふうに答えられました。
このような選挙が実態としてあったわけで、このような選挙が横行しましたら、公認、非公認の違いというのは、投票の記載台に行ったときに、そこに貼ってある紙に自民党と書いてあるか否か、この違いしか実質はないのではないかなというふうに思います。
中選挙区の時代であれば、まだこのような慣行というのは国民の理解を得られたかもしれませんけれども、しかし、今は小選挙区比例代表並立制です。この制度の下では国民の理解を得られない、そういった行為ではないか、違法性がなかったにしても、国民の理解を得られない行為ではないかなというふうに思うんです。
まず、総理、このような事象が起きていたか、御認識はあったでしょうか。また、このような事象は国民の理解を得られるものではないというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 全部の選挙区の事情を承知しておるわけではございません。
私も、有権者のおかげさまで、十三回選挙をいたしております、毎回議席を頂戴いたしてまいりました。中選挙区で一回、小選挙区で一回、都合二回、無所属で選挙をやっております。それは、政党の公認を受けて出ます以上、政党の方針とか掲げた政策と自分が違う場合に、その政党の公認を名のってはいかぬと私自身は思っておるところでございます。
その中で、無所属で小選挙区で一回やってみましたが、それは、まず、それこそ企業、団体の推薦はほとんど来ないですね。あと、政党のポスターは貼れませんね。そして、政党の車は運行できませんね。やはり無所属でやるハンディというのはすごいなと、実際にやってみて思っております。
イメージ戦略というふうにおっしゃいましたが、これは実は自民党公認と変わらないんじゃないのというふうに有権者の方が思われたとするならば、やはりそれは無所属なんですよということ、でも、その中で戦っているんですよということを示すということは、これは必要なことなんだろうというふうに思っております。
イメージ戦略も、いろいろなイメージ戦略がございますが、有権者の方々が、先ほどおっしゃいましたそういういろいろな支援も、自民党として、選挙のために行っているものではなく、政党の活動としてやっているものなのですけれども、いろいろな御批判を浴びることがないように、更にこれから心がけていかねばならないと思っております。
○橋本(幹)委員 今回、自民党で落選された方で、支部では公募を行っているところもあります。こうした公募の在り方も含めて、これから、国民の関心も非常に高いと思います。よく、公募が名ばかりで結果ありきなんじゃないかというような批判も巷説にはありますけれども、そういった批判を覆すことができるかどうかも国民は注目していますから、是非、総裁としてのそのところを、国民としても、私としても注目していきたいというふうに考えております。
最後に、公の組織改革について伺います。
この問いも抜本的な改革が必要とされるものですが、その中で、総理が特に力を入れている防災庁と自衛隊について伺いたいというふうに思います。
まず、防災庁について伺います。
防災庁の設置の意義は何でしょうか。
○石破内閣総理大臣 それは、我が国が世界有数の災害国であって、内閣府の防災担当は今一生懸命やっております。持てる限りの力を発揮してやっておりますが、どうしても人数的に制限もある、予算的に制限もある。また、それぞれの省庁に二年で帰っていくということになれば、経験も知識も蓄積できないということでございます。やはり災害に対応するには経験と知識の蓄積、これが非常に大事なことだと思っておりますので、一番の意義はそういうことでございます。
別に強大な権限を振るうとかそういうことではなくて、北海道から九州、沖縄まで、どこで災害が起こってもきちんとした対応ができる体制をつくるというのは、国家として当然の責任だと私は思います。
○橋本(幹)委員 まさに今総理がおっしゃったところは、私も共有するところであります。
その中でも、防災施策の中で大きな課題の一つが縦割りではないかというふうに考えています。
平成十三年に中央省庁が再編されました。その目的の一つが、縦割り行政による弊害の排除というところがありましたけれども、残念ながら、防災の施策についてはその弊害が残っているのではないかというふうに思っております。
例えば、私の地元では昭和の二十二年にカスリーン台風がありまして、利根川の堤防が崩れて、今でいう久喜市ですとか幸手市、杉戸町、白岡町、あるいはそれが東京まで、下流まで大きな被害が出たところであります。
それから七十七年たって、スーパー堤防も整備が進みました。ハザードマップもできました。流域治水の取組も始まりました。こういったそれぞれの取組、すばらしいことではありますけれども、やはりその監督官庁が内閣府であったり国土交通省であったり農水省であったり、またがっている。また、避難計画自体は基礎自治体、市や町が主導することになりますから、これ自体も、流域治水協議会はあれども、やはり自治体間による取組の温度差は否めないというところであります。
総理、組織は立ち上げのときのビジョンがとても大事だというふうに考えております。防災庁を新たに設置するに当たって、このような省庁や自治体間の縦割り、これを積極的に乗り越えて施策を進めていく、それをもって国民の防災意識も高めていく、そのような組織を目指すべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○赤澤国務大臣 先ほどから橋本委員のお話を聞いていて、本当に、航空自衛官として有事と向き合うということを日頃からしっかり考えてこられた、そういう御意見だろうというふうに思います。大変頼もしいと思いながら聞かせていただきました。
その上で、国民の生命、身体、財産を守り抜くためには、防災業務の企画立案機能を抜本的に強化し、本気の事前防災というものに取り組むとともに、大規模災害発生時における政府の統一的な災害対応の司令塔としての機能を担う防災庁の組織づくりを進め、人命最優先の防災立国を早急に実現することが必要であると思っています。
縦割りという点でいうと、橋本委員も御案内のデジタル庁とかこども家庭庁も、実は他省庁に対する勧告の権限を持っております。ただ、それが本当にうまく機能するかというのは、当然ながら総理のリーダーシップがあってということもありますし、そういう意味で、これから防災庁をつくりますが、有事のときの各省庁の連携、縦割り排除、これは非常に大きな課題ですので、今までのデジタル庁やこども家庭庁と比べても、それに負けないような、きちっと縦割りが乗り越えていけるような、各省への勧告権限みたいなものは持たなきゃいけないという思いで、防災庁設置準備担当としては準備をしていきたいと思っています。
もっと細かい説明をいっぱい事務方が書いてくれているんですが、お時間があると思うので結論に行きますと、委員御指摘のいわゆる縦割りの弊害や自治体による対応の差が生じないよう、防災庁を中核として、各省、自治体が一体となった災害対策を一層効果的、効率的に実施するための組織づくりを全力で進めてまいりたいと思っております。
○橋本(幹)委員 ありがとうございます。是非、縦割りの弊害、是正していただければというふうに思います。
最後に、自衛隊について伺います。
自衛隊の改革、総理も大変関心をいただいて、関係閣僚会議も開いていただいております。その姿勢はひしひしと感じるところであります。
まず、この関係閣僚会議で話されていること、特に処遇改善等の意義は何でしょうか。お答えをいただければと思います。
○石破内閣総理大臣 これは、一部を除きまして五十六歳退官でございます、お誕生日に退官ということで。退官するまで、全身全霊、職務に邁進してきた。五十六歳で、お子さんはまだ高校生だったり中学生だったりする。
あらゆる職業は大切なんですが、自衛官として積んできた経験、スキル、それが十分に生かされて、第二の人生というものを、自衛官在職時と同じように、誇りを持ち、尊敬を集めて暮らすことができる、お金だけではない、そういうような国民的な合意、共感、そういうものを得ることが大事だと私は考えております。
○橋本(幹)委員 ありがとうございます。それも本当に大事な問題であるというふうに思います。
一方で、自衛隊の問題を考えるときには、やはり精強性というところは常に念頭に置かなければならないというふうに考えております。
今総理がおっしゃったところ、これはどちらかというと隊員個人に対する措置であると思いますけれども、やはり組織に対する措置というのも課題として非常にあるというふうに思います。
昨日、中谷真一委員からのパワハラの基準の調査についての提案がありましたけれども、これはまさに組織に対する、組織的な措置であるということでありますけれども、若干、このパワハラの問題だけ議論するというのは、対症療法でないかというふうに考えております。
私は、自衛隊は組織として大きく変革を果たさなければならない、そして、その出発点は、どのような組織が精強なのかという、そもそもの議論がないのではないかというところに問題意識があります。
これは我々政治家もそうですし、国民もそうなんですけれども、どこか自衛隊あるいは軍事的な組織というところは、上意下達で命令が徹底される中央集権的な組織だ、そういうような意識が強くあるというふうに思うんですけれども、ただ、必ずしも、各国の軍事的な組織を見たときに、そういった組織文化ばかりではないというところでもあります。
例えば、プロイセンのモルトケの改革、古い話ではありますけれども、これなんかは、現場の指揮官にいかに裁量を与えていくかというような改革であったわけです。その古い改革に倣って、米国海兵隊では、ミッションコマンドといった、そういった組織文化の改革につながっていった。
民主的統制下の中でいかに現場に与えるか、これはとても難しい議論だというふうに思いますけれども、今まで日本国自衛隊は取組が浅かったですから、是非ここについても併せて取り組んでいただければというふうに思います。併せて調査いただければというふうに思いますが、御見解を伺いたいと思います。
○中谷国務大臣 橋本委員も航空自衛隊で御勤務をされたので分かるとおり、やはり精強性を保つということは、個々の隊員が日々の訓練とか任務に精励するということで、部隊によって精強性を増していく。そのためには、何といっても指揮官、幹部自衛官、これの資質を高めて、部隊として隊員の能力の向上や士気の向上を図るということでございます。
現在も、いかに士気を上げていくかにつきまして、陸海空それぞれ幕僚の中で、日々質の高い自衛隊を育成するという見地で検討しておりますので、更にその志を高くして、訓練を通じて精強な部隊をつくっていくことが大事だというふうに思います。
○橋本(幹)委員 細かくは安全保障委員会の方でもやりたいと思います。
以上で質問を終わります。
○安住委員長 これにて長友君、橋本君の質疑は終了いたしました。
次に、岡本三成君。
○岡本(三)委員 公明党の岡本三成です。今日は、予算委員会の質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
今回の総合経済対策ですけれども、その策定の過程の中で我が党の要望も多く盛り込んでいただいております。これは、私たち国会議員だけではなくて、我が党は全国に三千人の地方議員の皆さんがいらっしゃいますけれども、毎日現場を歩く中で、生活者や事業者の皆さんが何にお困りで、どういう政策を国が打っていけば少しでも生活に、そして事業環境を改善できるかということを盛り込んでいます。
この総合経済対策には三つの大きな柱がありまして、一本目は、全世代にわたる継続的な賃上げ、そして二つ目には、足下の物価高をどのように克服するか、そして三つ目には、能登半島を含めて、防災、減災、どのように復興していくかということであります。
今回、この策定の過程の中では、自民党、公明党、加えまして野党の皆さんにも広く御意見を賜って、よりよいものにつくっていきたいということで、私たち、主要な政党の方に、是非一緒に取り組ませてくださいというふうに申し上げました。結果的に、国民民主党の皆様からは詳細にわたる議論に参加をしていただき一緒につくり上げることができましたし、主要な政党の方からも御意見をいただきまして、大変よいものになったと思っています。
私、政調会長を拝命して、経済対策をつくるのが今回初めてだったので、過去のプロセスと今回がどのように違うかはよく分かっていません。いろいろな方の話を聞くと、物すごく時間がかかっているとか手間がかかっているとか言う人がいます。けれども、私は大変価値のあるプロセスで時間だったなというふうに思っているんですね。私たちが気づかないこともたくさん御指摘をいただきました。
そこで、総理にお伺いしたいんですけれども、少数与党だからということではなくて、仮に環境がよりよくなったとしても、今後、予算や主要な法案については、与党だけではなくて広く野党の皆様にも御意見をいただきながら政策を前に進めていくということを御提案申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 少数与党というのは実に大変だなと日々実感はいたしておるのですが、今政調会長がおっしゃいますように、それがプラスの面というのはいっぱい出てくるんだと思います。自由民主党単独与党だった時代も私は経験をしておりますが、御党と連立を組むようになって、ああ、これも知らなかった、あれも知らなかったということを随分と教えていただきました。ありがたいことだったと思っています。
自公政権も四半世紀になるわけで、今度は、もちろんこういう結果にはなりましたが、いろいろな党の方のいろいろな御意見を聞くということは、更に多くの気づかなかった点を私ども教えていただけることがあるんだろうと思っております。それはいたずらに時間をかけるのではなくて、いかに意思決定を迅速に、しかし的確にやるかということを今後も学んでまいりたいと考えております。
○岡本(三)委員 今回、この策定の過程で現場のお声を伺うと、私たちが思っている以上に物価高に御苦労されている方が多くいらっしゃいます。
その中で、今回政策をつくり上げたその内容一つ一つに、確認をしながらつくっていますので、私は総合経済対策の内容についてはかなりの自信を持っています。しかしながら、心配な点もあるんですね。それを今日、主に確認をさせていただきたいんです。
心配な点というのは、スピーディーに執行をして、一日も早くその対象の方にお届けできるかどうかというこの点を本日は確認をさせていただきたいと思います。
まず、賃金が上がるためには企業がもうからなければいけません。働く方の七〇%は中小企業に働いていらっしゃいますので、中小企業の利益率がどう上がっていくかということがすごく大切です。この予算委員会でももう議論が出ていますように、価格転嫁をどのように確実に行っていくか。何より、重要な賃上げの原資になっていきます。
まず、公正取引委員会の委員長にお越しいただいておりますのでお伺いしたいんですが、ほぼ全ての業界で資材費そして人件費が上がっています。中小企業庁が今年三月に行ったアンケートでは、そのコスト増加分を全額転嫁できたと答えた方は一九・六%、ほんの一部だけ転嫁できているとおっしゃった方は六七%、全体としての転嫁率は四九・七%ですが、アンケートにお答えになっていない方のほとんどは転嫁ができていない方々ではないかと私は思っているんですね。この数字よりもっと厳しいのが現場の状況だと思います。今が正念場なんです。
原材料は転嫁しやすいけれども労務費はなかなか難しいという現状もありますけれども、公取は、この発注者と受注者が取るべき行動指針を十二項目、昨年の十二月に発表していただいておりまして、真摯に議論をしていただき、大変すばらしい内容になっていまして、これに沿わなければ、例えば下請法や独禁法で厳しく摘発をしていくということもおっしゃっています。
そこでお伺いをしたいんですけれども、買いたたきのみならず、交渉もせずに一方的に価格を据え置くような発注者もたくさんいらっしゃいます。私は、下請法も改正すべきだと思っていますし、下請という言葉も、今どき、協力企業ですよね、ですから、その法律の名前も含めて。また、公取の方の人数も少な過ぎると思います。予算も人員も補強するべきだというふうに思っておりますけれども、この価格転嫁を確実に実現するための戦略を教えてください。
○古谷政府特別補佐人 御指摘がございました下請法の改正でございますけれども、適切な価格転嫁を我が国の新たな商慣習としてサプライチェーン全体で定着させることを目指しまして、今、中小企業庁と共同で有識者研究会を開催しております。関係事業者団体などにも参加をいただいて、この改正に向けた検討を進めております。
この有識者会議で、御指摘がありましたように、コスト上昇局面において一方的な価格を据え置くといったような場合にも対応できますように、現行の買いたたき規制の在り方を見直すことですとか、物流業界のいわゆる二〇二四年問題を踏まえまして、荷主と元請物流事業者との間の取引についても下請法の規制対象にすること、あるいは、そうしたことを有効に規制いたしますために、事業所管省庁と連携をして執行が強化できますように事業所管省庁の指導権限を追加していく、こういったこと、さらに、今御指摘がございましたけれども、時代の変化といいますか、取引当事者の皆さんの受け止め、こういったものを踏まえまして、下請といった用語も見直すべきではないか、こういった御議論もいただいております。
今後、年内にこの有識者研究会の議論を取りまとめた上で改正法案を早期に国会に提出することを目指しまして、検討を加速したいと思っております。
それから、公正取引委員会の体制についても御指摘をいただきました。ありがとうございます。
取引適正化を推進するということで、ここ一年も大幅な緊急増員をいただいております。また、取引適正化担当の審議官をつくるとか、優越的地位の濫用を規制するためのGメンを新設をするといった体制強化も進めていただいておりますけれども、今後とも、関係方面の御理解をいただきながら体制強化を進めていくことができればと思っております。よろしくお願いをいたします。
○岡本(三)委員 全力の取組をお願いいたします。
その上で、総理、まず隗より始めよです。地方自治体が発注をしている官公需の工事等、これはなかなか価格転嫁ができていません。首長や職員の方々の気持ちも分かるんですね。住民の方のためになるべく安く様々なものを調達したいという気持ちは分かります。けれども、持続可能じゃないんですね。相手方の状況も踏まえた上で、適切な価格転嫁をしなければ、地域自体が混乱をしてしまいます。
今回の予算には、地方自治体が適切な価格で発注する分の上乗せ分、これは予算に入っています。総理から、地方自治体の首長、職員の皆様に、この予算の目的をしっかりと徹底をしていただいて、適切な価格で発注することを是非御依頼いただきたいと思いますが、お願いいたします。
○石破内閣総理大臣 これは、全国知事会あるいは全国市長会、全国町村会、あるいは議会、地方六団体とよく申しますが、そういう場におきましても、私ども、きちんと地方公共団体にお願いをしていきたいというふうに考えております。
御指摘のように、今回の補正予算におきまして、地方公共団体が公共調達を行います際に、重点支援地方交付金というものをつくっておりますが、これを活用していただいて、物価高騰に対応する価格分を上乗せする。いや、そうはいったって、その金がなきゃどうするんだいという話になるわけですが、これを活用していただいて、きちんと労務費も含めまして価格転嫁の円滑化に対応するようにいたしたいと考えております。
○岡本(三)委員 是非お願いいたします。
続きまして、中小企業の利益率を高めるために、様々な補助金を今回の補正予算でも計上していただいています。
経産大臣にお伺いしたいんですけれども、例えば省人化補助金、これまでの省人化補助金をもっと使い勝手ができるように、オーダーメイドで今回は提供いただけるメニューを組んでいます。IT導入補助金、最も使い勝手がいいということで多くの皆様に御利用いただいています。事業再構築補助金、ものづくり補助金。たくさんありましたけれども、メニューはもうこれでもかというほど十分に出そろっていると思うんですが、最大の問題は、必要な中小企業の方のほとんどがその補助金の存在を知らないということだと思うんですね。
私はいつも、現場を歩いているときに、それぞれのチラシを持っていきます。そして、タブレットを持っていって、ミラサポプラスのホームページを見せながら、こういうものがありますと。ほとんど知りません。
元々、この補助金をやるということの目的というのは、その対象者に少なくともお知らせをして、これは、使わない方が仮にいらっしゃったとしたときに、知っていて使わないのと知らなくて使えなかったのでは全く価値が違うんですね。少なくとも多くの方々にしっかりと周知徹底をすべきだということを何回も申し上げてきました。そのたびに経産省から、はい、商工会を通じてやっています、金融機関にもお願いしていますと。けれども、結果は、ほとんどの方が御存じないんですね。最も使われているIT導入補助金、年間五万件です。一番有名なものづくり補助金、昨年二千件です。全国に三百六十万社あるんですね。
何をどういうふうにして、少なくともその対象の方々にしっかりと選択肢をお示しするか、具体的な戦略を教えてください。
○武藤国務大臣 岡本委員に御質問いただきまして、ありがとうございます。昨年は経産委員長もお務めになられて、平生から経済産業振興の政策にはいろいろ御助言をいただいていることに改めて感謝を申し上げたいと思います。
今の周知の問題、これは、私も正直、この立場になる前からいろいろなところでお願いをしてきましたけれども、今現状、御承知のとおりだと思いますけれども、国や公的機関の支援情報、支援施策を提供するポータルサイト、ミラサポプラスですよね、これも令和二年度に開設ということで、もう随分たっている。正直申し上げると、私も何回となく、もうメンバーにもなっていますので見ていますけれども、正直言って、煩雑過ぎるとか、なかなか文章が細かくてこれは分からないでしょうというのが正直なところで、今まで来たところです。
今回また先生からもこういう御指摘をいただいて、ホームページ、ポータルサイトに加えて、重要な情報、これについては、メルマガ、X、すなわち旧ツイッターの媒体にて情報発信を行っています。ただ、こうした取組を通じて周知は行っていますけれども、おっしゃるとおり、十分に行き届いていない。
今回、こういう対策も入れましたし、しっかり受け止めながら、今おっしゃったように、金融機関、ここも、政策系、いわゆる公的な機関だけじゃなくて、特に地銀とかその辺も一体となって力を合わせて周知を徹底していかなきゃいけない、その思いは全く一緒でございますので、不断の努力を続けさせていただきます。
○岡本(三)委員 これは御提案なんですけれども、余りにもお願いする方々の善意に頼っていることが問題だと思っているんですね。
金を払ってください。費用をかけていないんですね。ほとんどの中小企業が必ずつき合っているところ、金融機関、税理士、間違いありません。けれども、例えば税理士に対しては、確定申告の費用は払っても、サービスに対する費用までは払わないところがほとんどです。地域金融機関は、補助金なんかもらっちゃったら、ローンを出せなくなっちゃうんですね。お金を払って、業務として多くの企業にそういう選択肢を示すようなことも是非お願いしたいと思います。
次に、最低賃金につきまして、賃金上昇をつかさどる、担当の赤澤大臣に質問させてください。
二〇三〇年までに全国平均千五百円、野心的な目標を掲げていらっしゃいますけれども、必ず実現していただきたいと思います。賃金を決めるのは経営者なんですね、私たちが決められるわけではありません。けれども、政治が関わることができる唯一の賃金が最低賃金です。
私は、最低賃金の目的というのは、もちろん、最も安い時給で働いている方々の所得を向上させる、一義的な目標ですけれども、最低賃金が上がれば、それよりももうちょっと高い給料の方々も、当然、相関係数は下がりますけれども、上がっていきます。給料二十万円の人を二十五万円、二十五万円の人を二十八万円にするために、政策手段として最低賃金を持続可能な形で上げていく、そういう時代に入ってきたというふうに思っています。
私自身、ずっと最低賃金を上げることに取り組んできました。中小企業を回ったときにいつもこの話をすると、初めは、社長から、岡本さん、うちを潰したいのか、これ以上人件費が上がってどうやってやっていくんだとよく言われました。そのたびに私は、社長、逆です、逆、これだけ人手不足の時代に、最低賃金も払えなくなって、新しい社員の人が来るわけないじゃないですか、おたくを守りたいんです、だから、どうやったら賃金を上げていけるか一緒に考えましょうと言って取り組んできました。
実は、マクロ的には、最低賃金千五百円というのは十分実現可能です。昨年の中小企業の経常利益、二十五兆四千億円、前年比一一%上がっています。内部留保も上がっていまして、過去最高、中小企業で二百六兆円あるんですね。
最低賃金で働いていると言われる方は、全国に約四百万人いらっしゃいます。今の平均が千五百円になると、年間で九十万円の賃金上昇ですから、九十万円が四百万人で、三兆六千億円です。経常で二十五兆あるわけですから、物理的には三・六兆円というのは十分可能なんですが、ただ、いろいろな中小企業がいらっしゃいます。全くここに対応できないような現状のところもあるので、最低賃金を上げるには、同時に、その企業が確実に実現できるための、企業が利益を上げるような施策をどのようにしていくかということが大切でありまして、この千五百円というのを絵に描いた餅、頑張ります目標ではなくて、確実に実現をして、そして、その企業の賃金アップがそのまま、経済を好循環とし、その企業の利益に跳ね返ってくるような。
現在は、この決定プロセスの中で、賃金、物価、支払い能力の三要素になっていますけれども、私はビジョンが必要だと思っているんですね。千五百円になった後、例えば、千五百円のときに物すごくインフレが進んでいたら千五百円の持っている重みは低くなります。インフレだったら反対です。千五百円を仮に達成したとしても、次の目標も必要です。
例えば、ヨーロッパは、全ての働く人の平均の賃金の五〇%は最低賃金の水準にしていこうとか、ただ、物すごい稼いでいる人がいるので、平均賃金だとバイアスがかかりますので、中央値、百人いたら五十一番目の人の六〇%の給料がもらえるぐらいの最低賃金にしていこうとか、ビジョンがあって数字を決めているんですね。
どういうふうな最低賃金のビジョンを持つか、そして、千五百円を確実に実現するためにどういうアクションプランを取っていくおつもりなのか、教えてください。
○赤澤国務大臣 ありがとうございます。
岡本委員には、友党の政調会長として万般御指導いただいておりまして、誠にありがとうございます。
今のお問いかけに対するお答えとしてまず申し上げておかなければならないのは、現時点においては、ワーキングプア水準、物価が上がる前に言われていた年収二百万、これは時給に直すと千円ということですね。四十七都道府県のうち、その千円を超えているのは十六だけです。端的に申し上げれば、三十一の都道府県、都は入っていませんね、道も入っていないかもしれません、三十一県で時給千円以下が最低賃金であり、物価が上がる前に既にもう暮らしていけない水準だったということになります。
そういう意味では、今政調会長がおっしゃった、ビジョンを持って、千五百円を達成した後はどうするんだ、それは達成できれば大変うれしいことで、その後のことはもちろん今の御示唆をいただいて考えていきますが、現時点においてやはり確認しておかなきゃいけないのは、今年度最も低い最低賃金は九百五十一円です。年間二千時間働くとした場合、フルタイム労働者が年収百九十万円です。物価上昇が始まる前のワーキングプア水準の年収二百万円をはるかに下回っていて、三十一県で、要はフルタイムで最低賃金で働いても暮らしていけない人が四百万人、さっきおっしゃっていた数字でいえば。私は、もうちょっと多い六百六十とか、下手すれば一千万人近いと思っていますけれども、最低賃金近傍で働く方たちがいるということで、これをとにかく何とかしていかなきゃいけないというのは、千五百円を達成できた後にどういうビジョンでやっていくかとは切り離して、本当に急がなきゃいけないことなので、必ず実現しろと言っていただいたことは大変ありがたいことだと思います。
その際に、当然、中小企業の経営もよく考えていかなきゃいけないので、倒産とかそういうものは最少にしていかなきゃいけませんので、そういう意味では、生産性向上あるいは価格転嫁、事業承継、MアンドA、そういった支援も全力でやっていきたいと思います。
最終的に、その目標をしっかり達成していく中で、今、はるか手前に、おっしゃったEUのフルタイムの労働者の賃金の中位の数字の、今でいうと、正直に言えば五割にしかいっていません、五〇%。EUは六〇%ですね。だから、そういう数値を掲げられるようなところまで早く行きたいし、それがもしきちっと到達のめどが立ってきたら、おっしゃるように、千五百円を達成した後をどうしていくか、そういう議論もおのずとやっていかなきゃいけないと思っています。
ただ、今日お伺いした限りでは、全く同じことを考えているなということを感じた次第でございます。
○岡本(三)委員 是非御尽力をお願いいたします。
ちなみに、総理は地方創生を大きく掲げていらっしゃいますので、私は、主要な諸外国と一緒で、最も最低賃金が安い県と東京都の差、これはこの十年、ずっと縮まってきています、大体八割ぐらいですが、将来的には一緒でいいと思っているんですね。そうすると東京よりも地方の方がより豊かな生活を実現できますので、地方創生のためにも、いずれは最低賃金全国一律を是非目指していただきたいと思います。
その上で、現場を歩いていますと、御高齢の方とお話しするとき、私はこういう話をよく伺うんです。もし自分のペースで働ける職場があるんだったら、例えば週に三回働くとか毎日午前中だけ働くとか、仕事を続けたいですかというお話をお伺いいたします。多くの方が、七十になっても仕事を続けたいとおっしゃって、物すごく元気なんですね。ただ、どこに相談していいか分からないという方がたくさんいらっしゃいます。
今日は、是非厚労大臣に、ハローワークをもっと拡大活用しながら、人材供給の拠点となるような御尽力をお願いしたいということを御提案したいと思っています。
例えば東京でいいますと、仮に最低賃金で働いたとしても、週に三日働いていただくと手取りは十万円を超えます。年金以外に十万円の所得があると、豊かさは全く変わってくるんですね。
また、ハローワークの目的であります就職弱者の方、例えば、以前であると一人親の御家庭の親御さんであったり又は障害をお持ちの方であったり、いろいろな理由の方、この方々に対して物すごくサービスを提供しているわけですが、先日、ハローワーク墨田を視察させていただきました。
実は、全国五百四十四あるハローワークの中で、東京では唯一、墨田、全国に六か所、課題解決型の新しい取組をされています。視察にお伺いしたんですが、はっきり言って、イメージと全く違うそのサービスクオリティーの高さにびっくりしました。私は、もし政治家を勇退した後に職探しになったら、間違いなくハローワークに行こうと思いました。すばらしいんですね。それは、仕組みもすごいです、サービスのクオリティーも高いです。
例えば、行っていただきますと、履歴書の書き方から教えてくれます。自分の人生相談をすると、どういう業界の仕事が向いているかというアドバイスにも乗ってくださいます。働く場所を決める上で、賃金ではなくて、自宅から近いところで働きたいという方にはそういう紹介もされて、面談しなくても、電話でもオンラインでも相談に乗っていただけるんですね。
問題は、ハローワークがそんなすばらしい施設になっていることをほとんどの人が知らないということなんですよ。多くの方は、職安でしょう、そんなところで仕事を見つけるなんて恥ずかしいよという方がいまだにいらっしゃいます。それは現実のハローワークのすばらしさを知らないからだと思うんですね。
これは是非、先ほどの補助金ではないですけれども、宣伝してください。金をかけてもいいと思います。より多くの皆様にしっかりとした、よりよい職業を紹介をできて、そして、これは、スキルアップのために無料で受けられるようなトレーニングもたくさんあります。その期間、給料を受け取るようなことも可能性があるんですね。
是非やっていただきたいということを、御決意をお伺いしたいことに加えて、笑い話にもならないんですが、ハローワークというのは安定した職業を求めて行くところなのに、ハローワークのスタッフの三分の二は非正規社員です。恥ずかしくないですか。少なくともハローワークの職員の皆さんは、御自分が希望して非正規の方はいいと思うんです、けれども、正規を希望される方は全員正規にする、そして十分な人員を確保する、是非お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 ハローワーク墨田、御視察いただいて、またこの委員会では大変宣伝もしていただいて、ありがとうございます。
御指摘の課題解決型支援モデル事業においては、今年度から全国六か所に常勤職員を中心とするチームを設置し、求職者と求人者のマッチングに向けた集中的な取組を行っているところです。
今御指摘ありましたように、求職者が就職に当たって抱える課題やニーズに応じたきめ細やかな担当制の支援や求人者の人材確保に向けた積極的な支援などを行っておりまして、就職率等の面でも前年度を上回る成果を上げているところです。
令和七年度以降も、この取組を更に広いところで実施できるように、体制確保に努めてまいりたいというふうに思っています。
そして、その上で、非常勤職員の常勤化についてはこれまでも取り組んできたところでございまして、令和六年度に向けた社会人の選考採用においては、非常勤職員について、百六十六名の方を常勤として採用をさせていただいています。
また、令和六年度の組織・定員要求においては、常勤職員が中心となって、担当者制できめ細やかな支援を実施するモデル事業、先ほど言いましたところ等に必要な人員を要求し、百十一名の定員増を実現をしたところでございます。
引き続き非常勤職員の常勤化を進めてまいりたいと思いますので、御指導をよろしくお願いします。
○岡本(三)委員 そのハローワーク墨田を訪問しましたときに、電話で相談者の方の相談に乗っている非常勤の方がいらっしゃいました。その方が相手の方のお名前を呼んで、風邪は治りましたかとおっしゃっていました。すばらしいと思って感動しちゃったんですね。是非このような方々が働きやすい環境をつくっていただけるようにお願いいたします。
続きまして、地方創生を確実に前に進めるために、それぞれの地方に十分な金額の仕事をどのように構築していくかという観点から質問をさせていただきたいと思います。
産業をリードしていくに当たって、今は半導体産業に物すごく投資をしています。その結果、北海道や九州は経済全体が潤っておりますけれども、これから更に地域偏在なく広げていくには、間違いなくインバウンドをこれまで以上に広めていくことが大切だと考えています。
そこで、国交大臣に御質問をさせていただきます。
今年は、訪日外国人は過去最高、三千五百万人程度、消費金額は約八兆円。政府の目標ですと、二〇三〇年、五年後に、訪日の人数が六千万人、消費金額が十五兆円。私、目標を来日する人数に置くなんてどれだけお人よしなんだと思っているんですね。たくさんの方が来てくださっても、消費金額が少なければ地域は潤いません。なので、この十五兆円、今から倍ですが、これをどうやったら二十兆、三十兆にしていけるかということが最も大切だというふうに思っています。
そのためには、円安です、プレミアムな様々な体験、外国人の方が気持ちよくお金を使える仕組みをもっとつくり出して、そして、地方といっても、ある観光地だけではなくて、どのように偏在を解消していくかということが大切だというふうに思っているんですね。
最大の問題は、観光産業に従事している方々、飲食、宿泊、その他サービス、全産業で最も賃金の安い産業になってしまっているということです。この方々が、東京で働くよりも、他の業界よりも給料が高いからこの業界で、この地方で働こうというふうな状況をつくるためには、どういうふうに気持ちよく大きなお金を使っていただくかということ、この一点に絞って政策をつくっていただきたいと思うんですが、現状とその戦略をお聞かせください。
○中野国務大臣 岡本委員の御質問、非常に重要な御指摘だと思っております。
私も、観光産業というのは成長戦略の柱でもありますし、そして、より大事なことは、地域にポテンシャルがある、地方創生、地域活性化、この切り札であるというふうにも思っております。非常に重要な御指摘だと思いますので、受け止めてしっかりと頑張ってまいりたいと思います。
データでいいますと、昨年の外国人旅行消費額、昨年は通年で約五・三兆円でございます。本年は、九月末までの数字で既に約五・九兆円、年間消費額は既に過去最高を更新しております。インバウンドは非常に好調に推移をしております。
他方で、私は課題もあると思っておりまして、委員もおっしゃっておられた、インバウンドは今、三大都市圏に七割超が集中しているということで、地方への誘客の促進、その中でも、どう稼ぐかということで、高付加価値旅行者、いわゆる富裕層というか、そういった方に地方を訪れていただくための取組が非常に重要であるというふうなことは、委員の御指摘のとおりであります。
このため、例えば、消費単価が高い高付加価値旅行者層の誘致の促進を目指す、モデル的な、モデルの観光地に対する、魅力的なコンテンツを発掘する等のために集中的に支援をしていく、あるいは、自然や文化、食、スポーツなど、それぞれの地域の特色ある観光資源を活用して、より単価が高い、高単価の特別な体験の造成をする、これを支援をするなど、インバウンドの消費額を拡大をする、そして地方に誘客の促進をする、こういうことを含めて、観光庁として、令和六年度補正予算案に約五百四十億円を計上しているところでございます。
こうした取組を通じて、大事なことは、委員が御指摘の、観光産業の賃金の水準をしっかりと底上げをしていく、ここに結びつけるということが大事だと思っております。観光地の高付加価値化等を推進をして、二〇三〇年訪日外国人旅行消費額、目標十五兆円でございますので、この達成に向けて全力で取り組んでまいりたいと思います。
○岡本(三)委員 次に、重点支援地方交付金につきまして総理に依頼したいことがあります。
この交付金は、エネルギー、食料等の物価高に関しまして、生活者の皆さんや企業の皆さんを地域の実情に合わせて支援していただきたいという思いで一・一兆円計上しております。本来であれば政府が先頭に立って様々な施策を行わなければいけないけれども、十分に目配りができない、そして地方の実情に合わせていただきたいということで、地方自治体の皆さんに代わりに行っていただく施策です。
もちろん、地方自治体の皆さん、首長も職員の皆さんも、それぞれの地域の皆さんに喜んでいただこうと思って、年末忙しい中ですけれども、これこそ最重要項目として取り組んでいただこうとしています。今、地方議会が開かれておりますので、我が党の地方議員の皆様も既に、この予算が仮に通ったらという前提で、その地域の首長や職員の方々に、我が地域においてはこういう施策を実現すべきじゃないでしょうかという、もうそういう議論も始まっています。
けれども、裏を返すと、ある意味、地方自治体にお願いしているわけです。丸投げとは言いませんけれども、物すごく年末年始に御苦労をおかけするという実情があります。是非、総理から、地方自治体の首長そして職員の皆様に対して、この重点支援地方交付金の意義、重要性、そして御苦労をおかけしますという感謝の言葉、お伝えいただきたいと思いますけれども、お願いいたします。
○石破内閣総理大臣 これは事情は、四十七都道府県、千七百十八自治体、それぞれ様々でございますので、その地域に何が一番ふさわしいかということを、自治体の皆様方のお力を得てやっていきたいと思っております。
丸投げとかそういうお話ではございませんが、実際に、地域の首長の方々あるいは議員の方々が地域のニーズを酌み取っていただく、また事務的な御負担も大変なものだと思っております。そのことの意義をよく御認識をいただきました上で、この年末忙しい時期に多大の御尽力をいただく、ある意味御負担をおかけをしておることは大変に申し訳のないことでありますが、心からの感謝を込めて、また、地域の実情をよく把握をいただいている御党の地方議員の皆様方にも心から感謝を申し上げる次第でございます。
○岡本(三)委員 丸投げという言葉は、私、不適切な言葉でした。そういう趣旨では全くありませんで、地方自治体の皆様は、これを待って、そしてそれぞれの地域で住民の方に喜んでいただこうという思いで取り組んでいただいておりますので、その上で総理から御苦労をねぎらっていただく言葉をかけていただきたかったという趣旨ですので、言葉が失礼だったところがあったら訂正させてください。
次に、昨晩、被団協の皆様に対してノーベル平和賞授賞式が行われました。代表委員の田中熙巳さんのスピーチの中では、核兵器廃絶を心からの願いという表現で語っておられまして、大変印象的でした。
日本は、申し上げるまでもなく、唯一の戦争被爆国であります。それがゆえに、核なき世界を実現していこうという日本の大きな目標があります。一方で、現実の安全保障環境を考えると、アメリカの核の傘に守られているということの重要性もあります。一見相反するようですけれども、この二つの状況をしっかりと捉まえた上で、日本が目指す理想に向かって前に進んでいくことが重要だというふうに思っています。
二つございまして、一つは、昨日のノーベル平和賞が日本被団協の皆様に贈られたことに対する総理の所感をお伺いしたいということに加えまして、実は、我が党の斉藤代表と石破総裁の党首会談のときに、被団協の皆さんが御帰国された後に、是非官邸にお招きをして、そしてこれまでの苦労をねぎらっていただくということはいかがでしょうかというふうに申し上げました。その際に、石破総裁・総理からは、大変重要なことだと思います、一方で、相手方のこともあるので、被団協の皆様が来たいというふうにおっしゃっていただけるのであれば是非お招きしたいというふうなお答えがありました。
斉藤代表が被団協の代表者の方にお電話を差し上げました。そして、総理からお招きをいただけるのであれば、是非、これまでのことの御苦労話を聞いていただくとともに、今後のことについてもお話をさせていただきたいというふうな、非常に前向きな、明るいお話があったそうでありますけれども、総理に、昨晩のノーベル平和賞の受賞に対する所感、そして、是非、御帰国された後に、被団協の代表の皆様を官邸にお招きをして、これまでの御苦労をねぎらっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 来年で被爆から八十年になります。やはり、私はこれが風化することが絶対にあってはならないことだと思っておりまして、そういう証言をずっと続けてこられ、そして世界に広めていただいたということは本当に意義深いことだと思っております。
私ども日本国として、あるいは政府として、核兵器の悲惨さ、そしてまた、そこにおいて本当にいわく言い難い大変な御苦労をされたことを世界に広めていただく、そして平和への思いを伝えていただくことには、感謝以外の何物でもございません。それがこのようなノーベル平和賞というものをお受けになったということは、心から、お祝いという言葉がふさわしいかどうか、私自身少し迷いのあるところでございますが、御苦労さまでした、ありがとうございましたということを申し上げたいと思っております。
これを、今委員御指摘のように、じゃ、抑止力と核廃絶というものをどうやって両立させて考えるかは、もう何十年と悩んできて、まだ答えが私自身出ておりません。それは、抑止力には報復的抑止力と拒否的抑止力とございますので、日本の場合には相当に拒否的抑止力が欠けていると思っております。
そういうことも含めまして、もしお気持ちがあれば、お越しいただいてお話を聞かせていただきたいということを申し上げました。御党の斉藤代表の御尽力もいただきまして、そういうことが実現をするとしますれば、まだタイミング等々詳細は決まっておりませんが、今後しかるべく調整をさせていただきます。
○岡本(三)委員 現場を歩けば歩くほど、この物価高で御苦労されている方は本当に多くいらっしゃいます。今回、住民税非課税の世帯の方に給付金をお受け取りいただきますが、住民税課税の世帯でも御苦労されている方がたくさんいらっしゃいまして、その方々に対して、地方自治体の方々のお力もかりながら、より多くの皆様にこの物価高を乗り切っていただくような支援を確実に執行し、スピーディーにお届けをし、喜んでいただけるような政府の尽力を御期待を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○安住委員長 この際、浮島智子さんから関連質疑の申出があります。岡本君の持ち時間の範囲内でこれを許します。浮島智子さん。
○浮島委員 公明党の浮島智子でございます。質問の機会をいただき、ありがとうございます。
まず初めに、災害時に大切な避難場所となる学校体育館への空調の整備についてお伺いをさせていただきたいと思います。
公明党はこれまで、学校施設の耐震化の重要性を訴え、強力に推し進め、その結果、耐震化率は現在ほぼ一〇〇%の水準に達しました。一月の能登半島の地震では、液状化して傾いた学校はございましたけれども、一校とも倒壊する学校はなかった、避難所として命を守る役割を果たすことができたと思います。
一方、能登半島地震では、中高生が受験を控えた時期であったこともあり、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの皆さんにも全力を尽くしていただきましたけれども、現場からは学びの保障が課題であるというお声をたくさんいただきました。
そのお声を受けて、災害派遣医療チームであるDMATはありますけれども、教育の環境に特化した、子供たちに寄り添い、心のケアが必要、大切であるとの思いで、本年の二月五日、予算委員会において、稲津前衆議院議員が、今後の災害に備えて、被災者となった子供、学校等の緊急支援のためのチームの創設ということを求めました。
この公明党の要望を受けて、夏には、子供たちの教育環境、心のケアをするエデュケーションサポートチーム、略してD―ESTが創設され、九月の能登豪雨のときには早速職員等の派遣が行われ、現場の支援につながるとともに、今般の補正予算案には被災地学びの支援派遣等枠組み構築のための経費が盛り込まれたところでもございます。子供たちを守る心のケア、これは重要だと思っております。
イタリアでは、TKB、トイレ、キッチン、ベッド、生活環境を始め、発災後四十八時間以内にどこの避難所にも設置される子供の遊び場トレーラー、安全、安心な母子のスペース専用トレーラーなどがあります。今後このような取組も必要だと思います。
また、これまでも公明党は、酷暑から命を守るために、学校への空調整備、これを政府に強く訴えてまいりました。特に二〇一八年の夏、学校で小学生が熱中症で亡くなる痛ましい事故を受け、教室への配備を優先するために必要な予算の拡充を図り、その結果、普通教室は九九・一%に設置が進んだところでもあります。
他方、体育館への空調整備、これについては、公明党としては国会質問などを通して繰り返し訴え国の補助制度を拡充してきたところでもありますけれども、その設置率は一八・九%と全国的に進んでおりません。
東京都では、都議会公明党の提言を踏まえて、小中学校の体育館の空調設置率は八八・三%にもなっており、財政力の豊かな大都市部と地方の設置率の大きな格差があるのが現状であります。
現在の学校体育館への空調整備の進捗のペースは年三・四%にとどまっており、大幅な加速が求められています。また、現在の仕組みでは補助率の引上げが令和七年度までとなっておりますが、現在の進捗ペースや地方の声を踏まえると、令和八年度以降の支援の延長も必要だと思っております。
そこで、総理にお伺いをさせていただきたいと思います。
公明党が五年をめどに一〇〇%設置を目指すと提言をしたことを踏まえ、総合経済対策に、避難所となる全国の学校体育館への空調整備について、ペースの倍増を目指して計画的に進めるということが盛り込まれました。
さらに、先週の本会議にて、我が党の斉藤代表の質問に対し、石破総理から、整備のペースを二倍に加速すると力強い御答弁がありました。
今後、学校体育館への空調整備についてどのように進めていかれるのか。補助率の引上げの延長、新たな臨時特例交付金の対象期間を含めて総理の見解を伺うとともに、また、体育館の空調を使用するに当たってのランニングコストの支援、これも視野に入れていただきたいと思いますので、併せて見解を伺わせていただくとともに、先ほど挙げたイタリアの避難所における好事例についても総理の所感をお伺いいたしたいと思います。
○石破内閣総理大臣 御提言ありがとうございます。
御党の御提言も踏まえまして、新たに臨時特例交付金を創設をいたしました。整備のペースを二倍に加速をいたします。臨時特例交付金の算定割合は二分の一、対象期間は令和六年度から令和十五年度までということにいたしております。
これは、遅れてまいりましたのは、お金が十分でなかったこともありますが、体育館でそういうような工事ができますのが夏休みというかなり長い期間に限られます。そこは一般の御家庭あるいは事業所のエアコンの需要もございまして、いかにして短い期間でやるかということが難題でございました。いかにしてこれを平準化するかということは、学校の体育館だけではなくて、ほかの体育館も使わせていただきながら、ペースを二倍に上げたいと思っております。
また、ランニングコストも、これは結構金がかかりますものですから、ランニングコストの負担も、進捗状況も踏まえながら、交付税措置を検討して対応したいと思っております。
イタリアのTKB48というのは、これも私もいろいろな方から聞き、テレビでも見ました。すごいものだと思っております。シチリアのように災害発生の危険性が高いところは、備蓄の度合いを倍以上に上げておるかと思っております。全国でこれから、答弁も昨日申し上げたかと思いますが、立川一か所だけではなくて全国七か所に分散をしたいと思っておりますし、そしてまた、そこにおいてはロジスティクスというものを強化したいと思っております。
私も、女川の避難所に一晩だけ泊めていただいたこともあります。この間も能登の避難所を何か所か回らせていただきました。いろいろなハンディを持たれた方、障害をお持ちの方、高齢の方、いろいろな方がいらっしゃいます。そういう方々にふさわしい避難所であるかということを常に配意をしながら、そこにおられる方々が、もちろん短いにこしたことはないのですけれども、一番つらい立場にある方に一番厚い対応ができるということを更に心がけてまいりたいと思っております。
防災担当大臣始め公明党の皆様、議員各位のお教えをいただきながら、更に努めてまいりたいと考えております。
○浮島委員 ありがとうございます。是非とも総理が先頭に立って進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
また、各地方自治体には積極的に新しい臨時特例交付金を活用していただきたいと考えておりますけれども、公明党の地方議員の方々からは、これまでの国庫補助に対しては、補助を受けるための要件として、空調の設置と断熱性を確保するための工事をセットでやらなければならないということがネックになっていて整備に踏み切れていないというお声をたくさんいただいております。
空調整備を加速化させるためには、今回の臨時特例交付金においては、例えば、必ずしも空調と同時に断熱を確保するというセットではなく、柔軟な運用を行うとともに、よりリーズナブルな、効果的な断熱方法を広く周知すべきと考えますけれども、総理の見解をお伺いさせていただきたいと思います。
○あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。
今回の臨時特例交付金におきまして、空調設備の効果向上、また光熱費の抑制のための断熱材の確保を補助要件といたしまして、必要経費を補助対象としているところでございます。
ただ、立地条件、断熱性能の現状を基に実情に応じた対応がまさにおっしゃるとおり必要でございまして、工夫によって費用抑制を図っている例もあるというふうに承知しております。
また、御指摘も踏まえまして、必ずしも空調の設置と同時に断熱性の確保を求めないなど、柔軟な運用が必要だというふうに検討しているところでございまして、文部科学省といたしましては、トータルコストを抑えた、委員がおっしゃるリーズナブルという形で、是非とも断熱、遮断効果の実施事例を実施するなど、各自治体が円滑にこの空調設備を行うことができるよう、必要な取組を進めてまいります。
○浮島委員 ありがとうございます。是非とも柔軟な運用をしていただけるようにお願いをさせていただきたいと思います。
また、この施設整備を進めるに当たっては課題があると私は認識いたしております。先ほど総理の方からもありましたけれども、学校の閉鎖時、夏休みや冬休みに実施することが多いので、全国で工事が集中して行われると施工業者の確保が困難であること。また、工事を進めるには、三月の卒業式、そして四月の入学式には体育館を使用しますけれども、使用しない時期、これを通年で工事をすることということも可能だと私は思います。また、そもそもどのような仕様が標準なのかが分からない、電気式やガス式など、検討も必要であると思います。
こうした課題を抱えている各地方自治体が円滑な整備を行う上で参考となるよう、今後、文部科学省において分かりやすい事例を周知すべきと考えますが、政府の所感をお伺いいたします。
○金城大臣政務官 委員にお答えいたします。
学校体育館の空調整備は、整備が進んでいる教室と異なりまして、各自治体にもノウハウの蓄積が十分ではないと認識しております。
このため、文部科学省としては、今後、学校閉鎖時以外の期間も活用して、委員御指摘の、通年で臨機応変に工事を実施、平準化している自治体の事例等の周知や、空調整備の標準仕様の提示や、電気式やガス式といった空調方式の検討に資する資料等の提供を行う予定となっております。
文部科学省としましては、引き続き、各自治体が円滑に空調整備を行うことができるよう、必要な取組を進めてまいります。
以上でございます。
○浮島委員 ありがとうございます。
必要とされている大切な予算でありますので、それぞれの防災計画を踏まえ、避難所としてしっかりと活用できる体育館にしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
また、今回もあれですけれども、予算を確保するだけではなくて、着実な執行に向ける、これが重要だ、大切だと私は思っております。地方の課題に一つ一つ丁寧に向き合うことが大切だと思いますので、是非、御答弁いただいた事例の周知を速やかに行っていただくと同時に、我々公明党といたしましても、我々公明党の強みである国と地方のネットワーク政党を最大限に活用し、整備の加速を働きかけていきたいと思っております。
次に、文化芸術について質問をさせていただきたいと思います。
先週、障害の困難さに向き合い、大阪で活躍をしている障害者の自立生活センターの平下代表を始め、舞台演劇や映画を作る活動に取り組んでおられる皆さんと対話をさせていただきました。その際、障害の有無や障害の種類、性別、国籍、文化など違いを乗り越えられるのはやはり文化芸術である、文化芸術には多様な方々とつながることにより目の前の風景を塗り替える力があるとおっしゃっておりました。それがまさに平和をつくり出す文化芸術の力にほかならないと私は思っております。
文化芸術は、裾野とピークが必要であります。才能と可能性にあふれたアーティストやクリエーターを支援することはもちろん大事で、昨年六十億措置したクリエーター支援基金の全ての分野に、卓越した若い才能の方々、約四百人が、今後三年間存分に創造活動や海外活動に没頭できるよう、全額使い道が決まっているところでもありますけれども、そのピークを高くするためにも裾野をしっかりと広げていかなければなりません。
裾野には空間軸と時間軸があり、石破総理がおっしゃっている地方創生の文脈における文化芸術振興は、まさに空間軸だと私は思います。どこに住んでいても誇れる文化があることにほかなりません。
他方、次の世代を担う子供たちに本物の文化芸術体験の機会を提供し、時間軸を超えて文化芸術を引き継いでいくことも極めて重要、大切だと思っております。
現在、文化庁では、学校巡回の公演を行っています。これは、アーティストが学校を訪問し、子供たちに本物の文化芸術に触れてもらうもの。来年度は全国で千八百七十六回、そのうち僻地で五百六十回行うべく調整が行われていると承知をしています。これは、文化芸術に子供たちが触れるという段階であります。
しかし、コロナ禍で巡回公演が中止となって、一九年度に一万二千三百四十六校だった鑑賞の実施校は、二〇年度に四千百二十二校に激減しました。私のところにもたくさんの方々から、子供たちが体験できる事業をつくってもらえないかというお声をたくさんいただきました。
そこで、私は、二〇二〇年十一月の衆議院の文部科学委員会において、十八歳以下の子供たちが、劇場、音楽堂、能楽堂などで行われる実演芸術を無料で鑑賞できる仕組みを速やかに構築するべきであるという質問をさせていただきました。
この提案に対して、劇場、音楽堂における子供鑑賞体験支援事業というのが創設され、二〇二〇年度の第三次補正予算に十億円が計上され、スタートがなされました。
略して子供チケットと申し上げさせていただきますけれども、これは、劇場や団体が申請をしていただき、手を挙げていただき、対象となった劇場、団体、ここは十八歳以下のお子様は上限三万円までのチケットが全て無料となっております。
また、昨年度からは、現場のお声をいただきました、中学生、高校生はお友達同士で劇場に行けるけれども、小学生はおじいちゃん、おばあちゃん、誰かが付添いで行かなければならない、なので、ここもどうにか考えてもらえないかというお声をいただきまして、今は、同伴する保護者、血縁に関係なく一名は半額とさせていただいているところでもございます。
学校で行われる学校公演と違い、お友達に会わなくても文化芸術に触れられる。不登校だったお子さんが、おじいちゃんと劇場に行っていただき、そこで外に出られるようになり、そして徐々にお友達と会えるようになったという事例も、お話も伺っているところでございます。こうして、何かを学ぶかけがえのない機会だと私は思っています。
そこで、総理にお伺いをさせていただきたいと思いますが、なかなか、この文化芸術の子供チケットが周知がなされておりません。知らなかったというお声をたくさんいただいております。どうか、この子供チケットの仕組みがたくさんの皆様に周知していただけるよう広報していただきたいと同時に、総理の思いやお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○石破内閣総理大臣 御指摘ありがとうございました。
やはり、本物に触れるというのはすごく大事なことだと思っております。私自身、一番最初にオーケストラを聞いたというのは、多分昭和四十四年かな、鳥取市民会館で大阪フィルを聞いたという覚えがあります。そしてまた、東京に出てきたときに、上野の博物館、あそこを見たときの感動も忘れることはございません。
やはり、本物を見るということの意義はすごく大きなことだと思っておりますし、子供たちがそういうものに無料で触れることができるということは極めて意義深いことだというふうに考えておる次第でございます。
先ほど来御議論ございますが、そういういい制度があっても知らなかったみたいな話だと、これは意味がございませんので、これは、民間教育機関への周知、あるいはSNSによる情報発信、これは文科省が御努力をすることかと思いますが、多くの方々にそういう機会が提供されるように今後とも努力をいたしてまいりたいと存じます。
○浮島委員 ありがとうございます。今総理がおっしゃったように、子供たちが本物の文化芸術に小さいときから触れることが私は極めて重要だと思っております。
私は、二〇二四年、参議院に初当選させていただいたときから、ずっと文化芸術を訴えさせていただいてまいりました。コロナ禍においては、団体、そして個人の方が本当に大変な思いをしました。そのとき政府からは不要不急だという言葉もありましたけれども、文化芸術は決して不要不急なものではありません。個人の趣味だけではなく、いろいろなところに大きなマーケットがあり、成長産業でもあります。そして、これらを支える国の行政組織や公的投資はまだまだ小さいと言わざるを得ません。
私は、しっかりとした文化芸術を次代に引き継ぐためにも、文化芸術省の創設が必要でないかと思いますけれども、総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○石破内閣総理大臣 かつて、文部省と科学技術庁というのがあって、これが一つになって、そういう効果はそれなりに表れていると思います。また、文化庁の京都移転というのもいたしました。
文化芸術の観点というのは、本当にいろいろな議論がそれぞれあろうかと思います。文化芸術省というものが、私も、また文科省ともよく相談をいたしたいと思いますが、そういう教育というもの、芸術振興というものが、それぞれの国でどのように行われているかということもまた委員の御教授もいただきながら知見を深めてまいりたいと思っております。
また、コンテンツにつきましても、これが相当な産業になっているということもまた事実であって、感性を磨くということと、我が国の経済振興ということと、我が国のそういうような文化を世界に広めるという観点から、よく考えてまいりたいと思っております。
○浮島委員 是非ともよくお考えいただき、前に進めていただきたいと思います。
バレエ議連の会長である自民党の稲田朋美会長、私も事務局長をさせていただいておりますけれども、常々我々が発言をさせていただいているのは、文化芸術は心の安全保障であります。なので、しっかりと取り組んでいただきたいということを要望をさせていただきます。
また、最後にお願いさせていただきたいと思います。
来年、二〇二五デフリンピック東京大会があります。これは日本で、東京で初めて開催されますけれども、まだまだ周知ができておりません。私のところにはたくさん広報してもらいたいというお声を、ろうあ連盟からもいただいているところでございます。私も今日バッジも着けさせていただいておりますけれども、まだまだ周知がいっておりませんので、どうか政府におかれましても、このデフリンピック大成功のために広報等周知をしていただくようお願いをさせていただき、私の質問を終わりにさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○安住委員長 これにて岡本君、浮島さんの質疑は終了いたしました。
次に、高井崇志君。
○高井委員 埼玉十三区、埼玉県久喜市、幸手市、白岡市、蓮田市、伊奈町、杉戸町、宮代町から参りました、れいわ新選組の高井崇志でございます。
今日は、大阪十三区、東大阪市で活躍している同僚の八幡愛議員と一緒に、三十年続く不況に、コロナ、物価高に苦しむ人々を救うための、三十年にわたって行われてきた誤った経済政策をただしたいと思います。
総理、今、人々の暮らしがどれだけ困窮しているか、分かっていますかね。
資料一。これは厚生労働省によるアンケート調査の結果ですけれども、生活が苦しいと回答した世帯は六割、高齢者世帯で五九%、児童のいる世帯では六五%です。
資料二。同じく厚生労働省の調査結果ですが、日本の貧困率は一五・四%、六・五人に一人が貧困です。高齢者の五人に一人、単身女性の四人に一人、そして、一人親世帯では二つに一つが貧困というデータです。
資料三。一方で、富裕層、これはすぐにぽんと一億円以上の投資ができる人という定義でございますが、三百六十五万人、これは世界で第二位でございます。アメリカに次いで二位でございます。
このように、貧困と格差がこんなに拡大してしまった日本。やはり経済が三十年間全く成長していない、そして賃金も全く上がっていない。こんな日本になぜなってしまったのか。
石破総理、原因は何でしょうか。
○石破内閣総理大臣 いろいろな原因はございます。しかしながら、それは、やはり人口が減っていくということ、そしてまた賃金が上がらなかったということ。その反面で、配当は増えました、内部留保は増えましたというのは反面にございますが、やはり賃金が上がらなかった、人口が上がらなかった、価格転嫁が十分に進まなかった、あるいは、いろいろなものに対する投資というものが十分になされなかった。そういうことが複合的に重なって、かつて世界のGDPの一八%を占めておった日本経済が四%にまでなったということだと思っております。
そのときそのときに正しい政策というものはございました。常に政策というのは検証が必要であって、私自身、そういうものが十分に自分の中でやってこなかったという反省は持っておるところでございます。
○高井委員 まさにもう自民党経済政策の失敗なんですよ。これは是非ここでこれから検証したいと思います。
では、何が失敗だったのか。一つ目の失敗は、政府の財政出動、政府支出を増やしてこなかったということです。
資料五。これはIMF、国際通貨基金のデータをグラフにしたものです。政府支出の伸び率、これを横軸に書いています。そしてGDPの成長率、これを縦軸に書いています。これは密接な正の関連がありますね。つまり、政府支出を伸ばしている国ほど経済成長率が高いという明確なデータが出ているんですよ。政府支出をほとんど増やしていない日本は、こんな、一番隅っこ、低い位置にあるわけです。
次、資料六。二十五年間の政府支出の伸び率、日本は僅か三七%です。世界各国は当たり前のように、二〇〇%、二倍、三〇〇%、三倍に増やしています。ブラジルは一〇〇〇%、十倍以上ですよ。これだけ政府支出を増やしているのに、日本は僅か一・三七倍しか増やしていません。しょぼ過ぎます。
この二つの失敗、そして、もう一つ大きな失敗があります。それは消費税増税です。三十年間デフレが続く中で三回消費税を引き上げた、これはもう影響は計り知れません。
資料七。財務省のホームページには、税の三つの役割というのが書いてあります。皆さんは税といえば財源のことばかりだと思っていますけれども、三つあるんですよ。そして、この三つ目の経済安定化機能、これは経済学の用語ではビルトインスタビライザーといいますけれども、不況のときに増税するなんというのは経済学的にあり得ません。
資料八。これは中学校の公民で習う話です。景気がよいときには増税して、景気が悪いときには減税する。経済学の基本中の基本です。日本は三十年間全く逆のことをやってきました。
資料九。これは内閣府のデータですが、民間消費支出の減少。リーマン・ショックのとき、マイナス四・一兆円です。しかし、消費税八%のときにマイナス十・六兆、一〇%にしたときはマイナス十八・四兆です。つまり、消費税増税一回は、百年に一度の恐慌と言われたリーマン・ショックをはるかに上回る消費の減少を引き起こしています。
資料十。これも内閣府のデータです。リーマン・ショックのときは二年で消費は回復しています。しかし、消費税八%のときは五年たっても回復していません。そして一〇%のとき、これはコロナ禍もありましたけれども、いまだに回復していないんです。百年に一度のリーマン・ショック級の経済恐慌が三十年の間に三回も起きているんですから、経済が失速するに決まっていますよ。
総理、お聞きします。政府支出、財政出動がしょぼかったこと、それから三回にわたる消費増税、これがいかに日本経済を駄目にしたか、はっきりデータでお示ししましたけれども、お分かりいただけましたでしょうか。
総理に、今私がるる説明した感想を聞いています。これをお分かりかどうかということを聞いています。
○石破内閣総理大臣 別に感想を述べる場だとは思っておりませんが、日本国として、これだけ治安がよく、そしてまた平均余命というのか、これが世界で一番長命で、そして健康寿命も長いということを実現をいたしてまいりました。そしてまた、完全雇用というものも実施をいたしてまいりました。それはそれで世界に誇るべきことであったと思っております。
消費税は、これだけ高齢化が進んでおります国において、景気に左右されない安定的な財源としての意義というものは決して失われるものだとは私は思っておりませんで、消費税を減税さえすれば景気がよくなるというふうなものでもございません。
人口がこれだけ減るということに対して、もう少し早くに手だてを打っておくべきだったというふうには考えております。また、企業がその付加価値を増すような投資というものも促していくべきだったというふうに思っております。人口減少対策、そしてまた生産性を上げていきますための設備投資、それは物に対しても人に対してもそうでございます、それが十分ではなかったということは反省すべきことだったと考えております。
○高井委員 れいわ新選組は、結党以来一貫して消費税廃止を訴えてきました。
資料十二。今も、総理は、消費税に関するデマ、誤解、あえて私はデマと言いますけれども、三つのデマがあると思っています。一つ、消費税減税には時間がかかるというデマ。二つ目、消費税は社会保障の財源だというデマ。三つ目、日本の財政は破綻寸前だ、国債はこれ以上発行できないというデマ。この三つを今から説明いたします。データできちんと説明いたします。
まず一つ目のデマ。消費税減税には時間がかかるというデマです。
資料十三。さきの衆議院選のときのテレビ討論で、自民党と立憲民主党の幹部は、消費税減税を主張する我が党の山本太郎代表に対して、減税するには時間がかかって即効性がないといって反対しました。しかし、ここのデータにあるとおり、諸外国では、消費税の減税の発表から実施まで、イギリス七日、マレーシア十六日、アイルランド二十三日、ドイツ二十八日と、一か月以内で実現していますよ。
何で日本だけ一か月でできないんですか。何でそんなに時間がかかるんですか。
○加藤国務大臣 諸外国について、それぞれいろいろな事情があるので一概には言えませんが、例えば、そこにもありますかね、過去に税率を短期間で引き下げたドイツでは、付加価値税率の変更の際、総額表示義務の下、価格設定や価格変更のタイミングを事業者が比較的柔軟に判断されている。
他方で、日本では、消費税の最終的な負担を消費者に転嫁するという考え方の下、これまで、税率の変更に当たっては、公共料金なども含めて広く適正に転嫁を行ってくる、また、そういったことを求めている、こういった世論もあるわけでありますから、そういった意味で、大きく状況が異なっている、そういったことがあるというふうに考えています。
○高井委員 ドイツの例だけ挙げましたけれども、確かに、社会のいろいろな仕組みが違うとかと財務省も言うんですけれども、しかし、そんなのは、ほかの国でも一緒のことも多かったです。
あと、税制の制度の違いとか、法律を通さなきゃいけないとか、いろいろ言われましたけれども、だけれども、そういうのは、政治家なんですから、我々は。合意すればできるんですよ。例えば税制は年末に決めなきゃいけないとか、そんなのは別にいいわけですよ。年を越したっていいわけだし、機動的にやるということが大事だという話をしたいと思います。
税は本来、景気のよしあしによって機動的に上げたりすべきだということはさっきも説明したじゃないですか。よく、自民党や財務省の人は、消費税は一度下げると上げるのが大変だなんということを言いますけれども、そんなのは職務怠慢以外の何物でもないですよ。それをやるのが政治家であり、財務省の仕事です。
では、二つ目のデマに行きます。消費税は社会保障の財源だというデマです。
確かに、消費税法第一条には、消費税は社会保障の経費に充てると書いていますが、こんな条文は、消費税導入が始まってから二十三年たった二〇一二年になって、ようやくつけ足したように入れたお題目ですよ。
では、実際、消費税は何に使われてきたか。
資料十四。消費税を引き上げるたびに、法人税がその都度引き下げられてきているんです。四三%あった法人税は、今二三%です。企業・団体献金をもらって、経団連からの要望に応えるために法人税を下げてきたんですよ、消費税を上げて。
資料十五。平成元年、一九八九年に消費税が導入されてから二〇二二年までの三十三年間に納められた消費税総額は四百七十六兆円、上の青い部分ですね。引き下げられた法人税総額は三百七兆円、下の赤い部分です。つまり、我々庶民がこつこつ納めてきた消費税の実に六五%が、大企業が本来払うべきだった法人税の引下げの原資に回ってきたというのが事実です。
これは、もし消費税が社会保障の財源だと言い張るのであれば、なぜ特別会計にしないんですか。石油石炭税のようにエネルギー特会にしたり、かつてのガソリン税だって道路特会だったように、できますよ。一般会計は、お金に色がないんですから、どうやって社会保障に使っていると証明するんですか。
○加藤国務大臣 まず、御承知のように、消費税法において、制度として確立された年金、医療、介護、少子化対策の社会保障四経費に充てる、これが明記をされているほか、毎年の一般会計予算の予算総則において、消費税の収入が充てられた経費の範囲を明示して、社会保障四経費のみに充てられていることを示していることであります。
また、今、特別会計のお話がありました。特別会計の新設については極力抑制的にすべきだ、こうした中で、一般会計の最大の歳出項目である社会保障四経費が消費税収とともに切り出されれば、一般会計のまさに総覧性が、全体が見られるという意味ですが、失われることになる、こういったことを踏まえて、慎重な検討が必要であるというふうに考えてきたところであります。
○高井委員 法律に書いてあれば、それがまさに消費税が社会保障に、使っていないという、証明になりませんよ。
予算書、私も見ました、財務官僚の皆さんに。だけれども、金額が入っていないんですよ。消費税は各省のこれとこれとこれに充てますという何か一覧表があるだけで、あんなもの、本当にそうだというなら、金額をちゃんと書いてください。
一般会計は、繰り返して言いますけれども、お金に色はありませんから、消費税をもし減税したとしても、社会保障費は減りませんよね。逆に言えば、消費増税したって、それで社会保障費を上げたなんということはないですよ。消費減税したとしても、社会保障費は減らないんじゃないんですか。
○加藤国務大臣 例えば、この間、八%とか一〇%に上げたときには、保育園等の費用を無償化するとか、そういった実際上げることに伴う財源、これは、そもそも税と社会保障の一体改革等の議論の中でずっとこれを進めてきた、こういう経緯がありますので、今おっしゃったことと全く関係なく動いているということではないというふうに言えると思います。
○高井委員 本当に、これは法律にそう書いてあるだけなので、国民の皆さんも、消費税を下げたら社会保障がめためたになるとか下がるとか、それは誤解ですから、是非勘違いしないでいただきたいです。
それから、三つ目のデマに行きます。
このままでは日本の財政は破綻する、国債は国の借金であり、これ以上発行できないというデマがありますが、今年の六月に自民党の政務調査会が、国債は事実上政府の借金ではない、このことは既に財務大臣が国会の答弁で認めている。これは公式の文書ですよね、政務調査会、自民党の。
これは、財務大臣、国債は政府の借金ではないということでいいですね。
○加藤国務大臣 それは令和六年のものですね。
これは、ここに書いてありますけれども、要するに、国債の償還は税金ではなく借換債の発行により行われている等と書かれているわけでありまして、これが借換債でずっと回っていくということであればそれはおっしゃるとおりかもしれませんけれども、実態問題としては、六十年償還ルールの下で、結果的には国民の皆さんの負担していただく税金で最終的には償還している、これが今の日本の国債償還の原則だというふうに考えています。
○高井委員 六十年償還ルールの話は後でしますけれども、まさに自民党の政務調査会の方々もそこを分かっているわけですね。つまり、償還の仕方がおかしいんですよ、日本は。これは後からやります。
では、次、資料十七。テレビや新聞でよく、これ以上国債を増やせば債務不履行になる、デフォルトするとかハイパーインフレになるなどと言いますけれども、財務省が自ら、ホームページで、日米など先進国の自国建て国債のデフォルトは考えられない、今も残っています。はっきりそう言っていますが、財務大臣、この考えでよろしいですか。
○加藤国務大臣 御指摘の文書は、財務省ホームページにある平成十四年の外国格付会社宛て意見書要旨及び外国格付会社宛て意見書への回答に対する五月二十二日付再質問書であると考えられます。まさにこのとき、日本の国債の格付を、我が国の全体のファンダメンタルズに比べて随分格下げしているんじゃないか、こういう議論で出された文書だと承知をしております。
そこでは、平成十四年の日本国債の格下げの理由について客観的な説明を求める中で、財政構造改革などの取組や、当時の強固なマクロ経済の中では自国通貨建てのデフォルトは考えられないということを述べられたものでありますが、これらの文書は、財政運営に対する信認が損なわれるような事態が生じれば、金利の上昇などを通じて国債の償還などに様々な影響が生じる可能性まで否定しているものではないというふうに認識をしております。
○高井委員 この文書にはそんな前提は何も書いていないですよ。
それから、当時と今は違うとおっしゃいますけれども、これは明らかに、そういう経済学の理論、学説を財務省は主張しているんです。これは世界でも主流の経済学ですよ。ギリシャの国債が債務不履行になったのは、あれは自国通貨でなくてユーロだったからです。日本のように自国通貨、円で発行する国債のデフォルトはあり得ません。
経済学を全く勉強していないテレビのコメンテーターとか有識者と呼ばれる人が物知り顔で、日本の政府債務残高が一千兆円を超えた、GDPの二倍を超えるのは世界最悪の水準だ、このままでは財政が破綻するみたいなことをみんな言いますけれども、債務残高なんというのはあくまでも指標の一つであって、諸外国ではもう別の指標が今重視されています。
次、資料十九。これは、海外の主流派経済学者とかアメリカの財務省は、財政健全化を測る指標としては、債務残高をGDPで比べるんじゃなくて、純利払い費をGDPで比べています。
純利払い費、これは何かというと、ネットの利払い費なんですけれども、政府が支払う利息と受け取る利息の差です。財務省はすぐ、金利が上がると国債の利払いが大変だと言いますけれども、政府は一千二百超の国債があるけれども、一方で五百三十四兆円の金融資産も持っているんですよ。つまり、払う利息もあるけれども、受け取る利息もあるんです。だから、その差を、ネットで支払っている利息がどれだけかというのが重要です。
資料二十。ネットの利払い費の対GDP比は、日本は〇・二八%です。OECD諸国の中でも低い方ですね。G7では二番目に低いと財務省も認めています。アメリカなんて三%、イギリスは四%を超えています。
これは財務省に聞きます。この純利払い費、ネットの利払い費対GDP比で比較すれば、日本の財政は健全なんじゃないですか。
○宇波政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘いただきました政府純利払い費対GDP比、今御説明があったように、政府の支払い利子と、それから受取利子との差分、これのGDPに対する比率であると承知しておりますけれども、今資料でお示しがあったように、比較可能な二〇二二年のOECDのデータで他国と比較いたしますと、我が国はG7の中では二番目に低い数字となっておりますが、数字は〇・二八%の支払い超過、すなわち、プライマリーバランスの赤字に加えて、この点においても財政赤字の要因となっております。
また、我が国の純利払い費を議論する場合には、これまで、既に債務残高対GDP比が世界で最も高い水準となっていること、仮に金利水準が上昇するような場合には利払い費が上昇し、純利払い費も上昇することになることに留意が必要であるというふうに考えてございます。
なお、主要先進国、G5及びEU諸国においては、いずれの国も、財政ルールにおいて政府純利払い費対GDP比を正式な指標とはしていないと承知をしております。
以上でございます。
○高井委員 これは日本でも、経団連でもそういう、これを指標にすべきだというレポートが出ています。自民党の中でこれを主張している議員、たくさんいますよ。債務残高しか言わないじゃないですか、財務省は。債務残高は確かに多いんですよ。だけれども、それだけの指標で言うのはやめていただきたい。
それから、もう一つおかしいのがあります。
資料二十一。国債の債務償還費です。この円グラフは今年度の我が国の一般会計歳出ですけれども、社会保障費三三%の次に多いのが国債費二四%ですが、この国債費の中の六割を債務償還費というのが占めていますけれども、この債務償還費を計上している国は、日本以外、世界でありますか。
○宇波政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど財務大臣から御答弁申し上げました六十年償還ルールの下で、日本では債務償還費を歳出に計上しております。こうした減債制度があるのが日本だけではないかという御指摘かというふうに存じますけれども、主要先進国、G5、EUにおいては、六十年償還ルールのような、償還財源の確保に関して毎年度適用される特別の制度はないと承知をしております。
他方で、これらの国においては、財政規律維持に関する基準などを法律等において規定しており、また、債務残高対GDP比も日本よりはるかに低い水準にあるものというふうに承知しております。
国際比較に当たっては、こうした財政規律維持に関する枠組み全体、あるいは債務残高対GDP比の動向を見る必要があるというふうに考えております。
なお、他の主要先進諸国におきましても、先ほど申し上げたような特別な減債制度はないというふうに申し上げたとおりでございますけれども、債務の償還及び借換えは適宜行っておりまして、債務償還に関するルールがある国も存在しているというふうに承知をしております。
○高井委員 今、ごまかして、主要先進国ではないと言いましたけれども、世界でもないでしょう。あったら言いますよ。事務方に聞いても、首をかしげるというか、無言になるんですよ。財務省が調べられないわけがないじゃないですか。だから、ないんですよ、世界各国で。
これを見てくださいよ。こんなに債務償還費というのは一般歳出に占めているんですよ。これによって国債費がすごく多いから、日本の財政は大変だ、だからもう緊縮財政しなきゃいけないと言いますけれども、こんなのはやはり財務省のだましのテクニックだと思いますよ。
何で財務省がこんなに財政健全化ばかり言うのかは、私は財務省陰謀論にはくみしませんけれども、各省庁に対して、やはり予算が緊縮で小さい方が、配る権限を持てるんですよ、政治家に対しても。そういうことだと私は思いますよ。
現に、財務省出身者が各省庁に、どこに行っているかといったら、内閣府、環境省、復興庁の事務次官は財務省ですよ。それから人事院の事務総長、公正取引委員会の委員長。それから総理秘書官とか内閣官房副長官補など、官邸の中枢にもたくさん財務省の人がいる。
ところが、こういう財務省支配を変えようとしたのは、実は民主党だったんですよ。
資料二十三。二〇〇九年の当時の民主党のマニフェストを読むと、国家戦略局を設置して、官民の優秀な人材を結集して、政治主導で予算の骨格を策定する、すばらしいことが書いてあったんですよ。私もこれは是非やろうと思ったら、やらなかったんですよ、民主党は。やらなかったどころか、財務省に取り込まれてしまって、財務副大臣だった野田佳彦現立憲民主党代表は、消費税増税まで決めてしまいましたよ。
このときの野田内閣には、副総理は岡田前幹事長、財務大臣には安住予算委員長ですよ。経済産業大臣は枝野元代表。消費税増税の閣議決定をしたときにサインした人たちが、いまだに立憲民主党の幹部として残っているんですよ。
ちなみに、維新も前原共同代表、それから国民民主の古川代表代行も野田内閣の一員でした。だけれども、維新と国民民主党は消費税減税にかじを切ってくれましたよ。過ちは改むるにはばかることなかれですよ。立憲民主党もやりましょうよ。
三年前の衆議院選挙、我々は、立憲民主党が消費税五%の公約をのんでくれたから、候補者の四割を降ろしたんですよ。そして二年前は、立憲、共産、社民、それかられいわの四党で消費税減税法案を出しているんですよ。これはまだ今も生きていますから、この法律。
そして、今回の衆議院選挙でも、参政党、日本保守党も、立憲民主党以外の全ての野党は消費税減税に賛成しているんです。立憲民主党の中だって、半分以上、賛成の議員だと思いますよ。是非、野党一致して、消費税減税、やりましょうよ。
総理、これまでの議論を聞いて、いかがですか。私は、失礼ながら、石破総理は自民党では非主流派だったと聞いております。主要閣僚もされていませんので、幸いなことに財務省には取り込まれていないはずですから。消費税廃止、まずは減税、これを総理、やりませんか。
○石破内閣総理大臣 恐縮です。
御所論には賛成いたしかねます。
○高井委員 これだけ一生懸命説明しても、その答えは、やはり税を財源としか考えていない、本当に、経済学の理論を全く理解していない。これはもう総理を誰がやっても一緒ということですよね。
では、ちょっと角度を変えて。
資料二十五。百三万円の壁、随分議論になっていますけれども、これは所得控除ですけれども、高所得者ほど恩恵が多い制度なんですよ。ヨーロッパでは、ここにありますとおり、これは財務省の、諮問機関の税制調査会の資料ですけれども、もう一九九〇年代にはより公平な税額控除方式に変更しています。つまり、所得控除よりも、ここで言うヨーロッパのゼロ税率とか税額控除の方がより効果的なんです。
更に言えば、消費税減税、そして現金給付の方が、もう圧倒的にこっちの方が簡素、公平で効率的というのが経済学者の一致した見解ですので、是非、その観点からも、消費税減税、そして現金給付、やるべきだと思いますが、いかがですか。
○石破内閣総理大臣 私はそのようには考えておりません。
それは、御党はどなたもそうなのですが、決めつけて反論を許さないというやり方は、余り民主主義としてフェアなものだと私は思っておりません。
○高井委員 我々はいつも質問時間が短くて、ぱぱっと言うのでね。
ただ、今日は二十九分もいただきましたから、かなり懇切丁寧に説明したつもりですよ。それを受けてもまだなお御理解をいただけないというのは、本当に残念でなりません。
冒頭申し上げましたとおり、国民生活は今、三十年続く不況、そしてコロナ、物価高、もう地獄のどん底ですよ。結党以来、消費税廃止を訴えている我々れいわ新選組が先頭に立って、消費税の廃止、まずは減税、これを実現することをお誓いいたしまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○安住委員長 これにて高井君の質疑は終了いたしました。
次に、田村智子さん。
○田村(智)委員 日本共産党の田村智子です。
今、多くの労働者が、物価高騰に賃上げが追いつかず、暮らしが追い詰められています。その一方で、大企業の内部留保は毎年増えて五百三十九兆円。この現状について、三日の本会議で石破総理の認識をお聞きいたしました。総理の答弁、大企業を中心とした高水準の企業収益の一方で、賃金や投資が伸び悩んだ結果、内部留保が増加した、こう御答弁されました。そのとおりだと思うんです。
ただ、これはこれまでの経済政策の結果だと思うんです。アベノミクス、当時の安倍総理は、企業の収益を上げて賃金への好循環をもたらすんだ、こう国会で明確に答弁しました。そして、法人税減税を繰り返した。二〇一三年には賃上げ減税が始まりました。二〇一四年からは総理による日本経団連への賃上げ要請も始まりました。既に十年以上が経過をしています。
大企業の高水準の企業収益、これは、結局、賃金に回らず内部留保を増加させた。これは自分たちの政策の結果としての検証が必要だと思いますが、総理、いかがですか。
○石破内閣総理大臣 足らざるところはまた担当大臣から答弁いたさせますが。それでは労働分配率をどうするかというのは、それは企業の判断というものが働きます。私は、配当が増えるのもいいことだ、しかしながら、賃金が上がってこず、消費が喚起されなかったということについての検証は必要だと思っております。
○田村(智)委員 もう一度お聞きしますね。
内部留保が増えたのはなぜなのか。賃金にも回らなかった、そういうふうに本会議で答弁された、そのとおりですよね。今、そういう現状、起きていますよね。総理です、総理の答弁ですから。
○石破内閣総理大臣 それは、引き算をすればそういうことに相なります。
○田村(智)委員 それで、総理はこの本会議の答弁では、同時に、岸田政権の下で賃上げが進んだんだということも主張をされている。予算委員会の中でもその答弁が繰り返されています。しかし、多くの労働者は、賃上げはやはり物価高騰には追いついていないですよ。
その一方で、二〇二二年、二三年、まさにその岸田政権の下で内部留保の増え方というのは過去最大規模なんです。
資料を見ていただきたい。パネルを見てください。
アベノミクス以降、大企業の内部留保は二百二十兆円増えました。これはコロナ危機のときにも増えているんですね。驚きます。そして、二三年です。物価高騰で国民の暮らしが日に日に厳しくなって、家計消費支出はほぼ毎月マイナスを記録し続けた、それが二〇二三年です。そのときに内部留保の積み増しは、過去最大の二十八兆円に及んだんです。
この二〇二三年、今もそうですけれども、食料支援の列にスーツ姿の会社員、現役世代の姿が絶えない。私の元には、派遣で働いている女性から、賃金が上がらない、人生に絶望してしまう、こういう声が幾つも寄せられている。普通に働いているのに普通に暮らすことがこんなに難しくなるとはという不安の声は、まさに私たちのところにもたくさん寄せられています。大企業は過去最大のため込みなんです。そのときに足下の暮らしはここまで苦しくなる。
総理、これは今、好循環はつくられているんでしょうか。大企業の利益は相も変わらず賃金に回らず、ため込みは更にひどくなっている、そう思われませんか。
○赤澤国務大臣 田村委員御指摘のとおり、我が国経済は、一九九〇年代のバブル崩壊以降、金融システム問題やリーマン・ショックなど様々な困難に見舞われてきて、この間、企業は、短期的な収益の確保のために賃金や成長の源泉である投資を抑制し、結果として、消費の停滞や物価の低迷、さらには成長の抑制がもたらされました。その中で、結果として、大企業を中心とした高水準の企業収益を背景に内部留保が増加したものと考えておりまして。
その上で、やはり言えるのは、三十年間続いてきたということがあるので、個人のデフレマインドとか、そして企業のコストカット型の物の考え方とか、そういうものというのはまだ残っているわけでありまして、だからこそ我々は、今、デフレの経済に戻るか、それとも賃上げと投資が牽引する成長型経済に移行できるかのまさに分岐点という、そういう非常に重大な認識、そして重大な決意で、そちらの成長型に移るということで予算を編成させていただいているところでありまして、そこをきちっと実現をしていく中で、人への投資でありますとか、岸田政権が始められたことについて更に発展、加速をし、おっしゃるような、内部留保が積み上がったものがしっかり有効に賃金とかあるいは将来の生産性向上につながるような設備投資、そういうものに回っていく経済を実現しようと考えているところでございます。
○田村(智)委員 今、結果としてと言われた。そうなんですよ。経済政策の結果として、こういう状況になっているんですよ。だから、このままの政策を続けたら、また内部留保、ただただ積み上がるだけですよ。もう十年以上やっているんですから、十年以上やってまだデフレマインドと言うのかと、ちょっと驚くような答弁だと思うんです。
昨年積み増した二十八兆円、その一割で、大企業での二万円のベースアップができますね。取引企業の単価引上げ、これに使われていれば、中小企業での賃上げ、もっと進んだのは明らかですよ。
トヨタが今年三月期決算で五兆円、史上最高益だというふうに発表されたとき、日本商工会議所の小林会頭が、そのうちの一兆円ぐらいは、本来、取引企業に渡されるべきものではないのかという趣旨の発言をされました。そのとおりだと思うんです。取引先企業、その先の裾野産業に利益は回らずに、トヨタの内部留保というのは、二〇一三年十五兆円から二〇二三年に三十四兆円、二倍以上に増えているんですよ。これをゆがみと言わずして何と言うかなんです。
これまでの経済政策を続けていたら同じことが繰り返される、ただそれだけです。だから、私たちは、賃金に回らなかった内部留保を賃金に回そうという提案をしています。
大企業の内部留保のうち、アベノミクス以降で増えた二百二十兆円に課税をする、そして中小企業への賃上げ直接支援に回す。例えば社会保険料の減免、これは地方最賃審議会からも要求する声が上がっています。また、岩手県や徳島県、最賃引上げに伴って、中小企業への賃上げの直接助成に踏み出していますけれども、こういう取組にも大いに学ぶべきだと思います。そして大企業も、自社の労働者の賃上げに内部留保を回せば、その分は課税を控除する、これで大企業の賃上げも進む。
総理は、この提案、何度か私もいたしまして、否定する発言はされていないんですよ。二重課税という意見があると言うだけなんですよ。ならば、賃金に回らずにため込まれた内部留保を政治の責任で働く人全体の賃金に回す、その仕組みを検討することが必要ではないですか、総理。
○赤澤国務大臣 先ほどもちょっとお話しした内容でありますけれども、アベノミクスが、デフレでない状況をつくり、GDPを高め、雇用を拡大し、企業収益が増加傾向になった。ただ、他方で、一人当たり平均の実質賃金は伸び悩むとともに、個人消費も力強さを欠いたということがあります。
これはやはり、企業としてみると、なかなか個人消費が伸びてこない中で、人件費、またずっとベアを上げていくということになると、経営をやっていけるか実際不安になるところでありまして、やはりデフレマインドとコストカット型の経済というものは悪循環を起こしている、なかなか抜け出せないということがあったと思います。
実際に、欧米では、物価上昇が始まると、更に上がる前に買おうといって消費が増えますけれども、日本の場合、デフレマインドがこびりついているので、物価が上がると、むしろまた今度下がったときに買おうといって買い控えが起きるというようなことがあります。
なかなか安心して企業も賃上げをやっていく状況になかったわけですが、そこはやはり、今、三十三年ぶりの五%の賃上げとかそういうものを実現する中で、皆様にやはり将来を信じていただいて、しっかりと消費が増える、さらには、そのことで企業も収益がよくなり、賃上げができるような方向になっていくという好循環をつくるために今まさに我々全力を挙げているところでありまして。
御党が御指摘のような政策も選択肢として考え得るものではあると思いますが、我々はそれとは違う考え方で、何とか好循環をつくり上げようと。まさに、賃上げと投資が牽引する成長型の経済をつくることでコストカット型の経済から抜け出す。そして、それと同時に国民のデフレマインドも払拭をしていく好循環がつくれれば、そういう意味で日本経済が力強い成長軌道に乗るということを考えているところでございます。
○田村(智)委員 個人消費が冷え込んでいるのはマインドじゃないですよ、賃金が上がらなかったからなんですよ。賃金に回さずにため込んだからじゃないですか、大企業が。これの転換をやらなかったら同じことの繰り返しですよ。
五百三十九兆円もの内部留保に国民も厳しい目を向けています。だから、日本経団連からも、企業の応分の負担増の検討、こう言わざるを得なくなっているじゃありませんか。このときに、ため込みを賃金に回す、応分の負担を大企業に求める、こういうことをやらずして、どうして大幅な賃上げができるのかということを指摘しなければなりません。
もう一つです。時間がないので。
政治の責任での賃上げという点では、医療、介護分野は本当に緊急を要しています。今、医療、介護というのは、その収入の多くが診療報酬、介護報酬、支出の多くは人件費。社会保障分野での賃上げはまさに政治の責任が問われています。
政府は、今年四月の報酬改定で賃上げ財源を確保したというふうに胸を張ったんですけれども、今どうなっているか。
日本医療労働組合連合会の調査で、賃上げどころか年間収入で賃下げという衝撃的な実態が明らかになりました。五百五十九の組合に回答を求めて、二百を超える組合からの回答があったんですけれども、年末一時金の平均は昨年よりも十万円減少、中には二十万円以上引下げという回答もあった。今、医療従事者の大量離職で緊急搬送の受入れや手術の実施が困難となるような病院が出始めているということなんですね。
労働組合は諦めずに賃上げをかち取ろうと頑張っています。しかし、これは政治の責任が極めて大きい。賃上げのために緊急かつ恒常的な手だてを取るべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 別のトレンドを示している調査もありますので、個別の調査についてのコメントは差し控えさせていただきますが、人材確保の課題に緊急的に対応することは大変必要だというふうに思っています。
その上で、報酬改定における賃上げの措置が最大限に活用されるように取り組むことに加えまして、今、他産業と比べて厳しい人材確保の状況への対応として、今般の補正予算においても更なる賃上げの支援策を盛り込んだところでございます。業務効率化だったり職場環境改善と併せて、現場における更なる賃上げにつながるように取り組んでまいりたいと思います。
その上で、しっかり今回の措置も踏まえて、賃上げの状況や経営状況については把握してまいりたいと考えております。
○田村(智)委員 補正予算では一時的で部分的な対策にしかならないんですよ。やはり賃上げへの抜本的な対策を行うべきだというふうに要請いたします。
更に深刻なのは介護ですよね。介護で働く人の賃金が安くて人手不足を起こしている、これは挙げて政府の責任です。
二〇〇三年、六年、一五年、介護報酬は大きくマイナス。介護職の低賃金の構造は政治によってつくられた。その上、訪問介護はあろうことか今年もマイナス改定されました。訪問介護の事業所では、小さいところでは、所長さんが八万円の給料とか、これは非常事態ですよ。倒産も今年十月までで既に過去最多、七十二件だという調査の報告もあります。
これまでも問題にされて、答弁を聞いていましたら、補正予算で一時金を払えるようにするというような答弁をされているんですけれども、それではこの危機的な状況をとても解決できると思えません。直ちに、四月のマイナス改定、四月に遡って元に戻すべきだと思いますが、いかがですか。
○福岡国務大臣 何度も御議論いただいていますが、報酬の引下げと併せて、処遇の改善加算をしっかり取っていただけるような環境をつくっています。
今回、こうした措置が最大限活用されるように、更なる取得促進に向けた要件の弾力化ということを行いますとともに、今般の経済対策を通じて、更なる賃上げ等の支援のほか、経験年数が、やはりお一人で行くということに対してのかなりストレスがあられるので、経験年数が短いヘルパーの方への同行支援の強化や、ヘルパーの常勤化への支援など、地域の特性や事業者規模等に応じたきめ細かい対応にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○田村(智)委員 元々低いところですから、そういう部分的なことでは全く賃上げになっていかないんですよ。
それで、私は、是非これは総理にもお聞きしたいんです。
これは、今年一月、当時の岸田首相が医療、介護、障害福祉関係団体と懇談しています。そして、そこで岸田首相は何と言ったか。医療、介護、障害福祉分野において、率先して賃上げを実現していくというふうに表明されたんですよ。約束したんですよ。そして、その一月の通常国会、施政方針演説で、全就業者の一四%を占める医療や福祉分野の幅広い現場で働く方々に対して、物価高騰に負けない賃上げを確実に実現する、そういうふうに施政方針演説、国会で表明したんですよ。
ところが、訪問介護は引下げをやったんですから。医療も、本当に、年間で見たら賃下げ状況が生まれているんですから。まさに、言っていることとやっていることが全く違うんです。全く違う。これが現状なんですよ。
もう一点言いたい。自民党はもう一つ約束を棚上げにしているんですよ。政権に復帰するときの総選挙で、介護保険の国負担割合を引き上げる、こういうふうに公約して政権に復帰したんですよ。これをやれば介護職の皆さんの賃上げはできますよ、抜本的に。
総理、選挙での公約ですよ。国会の場での国民への約束ですよ。果たすべきではないですか。
○石破内閣総理大臣 決して今の状況がいい状況だと私は思っておりません。実際に、介護の現場の賃金が他産業よりも低い。もちろん引上げの努力は一生懸命やってまいりましたし、これからも続けます。
ですから、何がよくて何が悪いとか、職業に区別があるとは私は思ったことはありませんが、他産業と厳しい人材の競争が起こっておる中で、また、どの仕事もそうなんですが、介護に従事される方々の、後ろにはという言い方がいいかな、物すごく介護を必要としておられる困った方々がおられるわけで、そういう人たちのために従事する人がきちんと確保されないというのは社会にとっていいことだと全く思っておりません。
これから先、厚労省を中心として努力をいたしてまいりますが、まず実態をきちんと把握をするということ。引上げ率はほかの業種よりも上げてはまいりましたが、実際にあれだけ厳しい仕事をしておられるわけです。現場に行ってみれば分かります。そういう方々にふさわしい報酬というもの、手当というものがなされるのは社会としてあるべきことだと思っております。
厚労省において、政府において更に努力をいたしてまいります。
○田村(智)委員 総理、選挙の公約で、介護保険の国負担割合を引き上げると自民党はかつて公約したんですよ。総理の指示で、こういうことも含めた抜本的な検討、これを指示するのが筋だと思うんですが、いかがですか。
○石破内閣総理大臣 政権が替わりましても、自民党の方針というのは変わることはございません。ですから、岸田前総理がそのように約束をされ、私どもは選挙のときにそのように公約をしたということの実現が一日も早かるべく努力はいたします。
○田村(智)委員 これは選挙の公約なんですからね。真面目に検討して、抜本的な改善、介護保険の国負担割合の引上げ、これは必ず実現していただきたい。強く要望いたします。
最後に、ジェンダー平等についてお聞きします。
日本はジェンダー平等後進国ですよねということも実は確認したいんですけれども、時間がないので。もう後進国なんです。
二つ指摘したいです。
一つは、選択的夫婦別姓の導入。午前中もありました、夫婦に同じ名字を強制する国は今や日本だけだと。女性を始め多くの市民、経団連からも要請されながら、いまだに自民党が妨害して実現していない。
今日は、もう一つの問題、選択議定書の批准についてお聞きしたいんです。
女性差別撤廃条約の実効性を強めるために、個人通報制度と調査制度を盛り込んだ選択議定書、これは条約批准国の大多数が批准をしています。
個人通報制度というのは、国内で女性差別を訴えても認められなかったときに、女性差別撤廃条約に照らした審査を国際機関に求めることができる、こういう個人の権利として保障するものです。
日本では、女性団体を始め七十を超える団体が共同行動で批准を求め、三百四十九の地方議会が批准を求める意見書を採択をしています。ところが、政府は、早期締結について、批准について、真剣に検討を進めると言い続けて、これまでに二十三回も検討会を開いているのに、いまだに検討中なんですよ。
今年十月、国連女性差別撤廃委員会から検討に時間がかかり過ぎていると指摘されても、なぜ時間がかかっているのかという理由を示すこともできないんです。本当に恥ずかしい。これはもう批准ができない理由がないから検討と言い続けていると言うほかないんですよ。
総理、もう批准という結論を出すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○岩屋国務大臣 今、先生御指摘になった個人通報制度ですが、条約の実施の効果的な担保を図るという意味で、注目すべき制度であると考えております。
しかしながら、一方で、同制度の受入れに当たりましては、我が国の司法制度あるいは立法政策との関連で幾つかの課題がございます。具体的には、人権諸条約に規定される委員会から、国内の確定判決とは異なる内容の見解が示された場合、あるいは通報者に対する損害賠償や補償を要請する見解が示された場合、あるいは法改正を求める見解が出された場合に、我が国の司法制度や立法政策との関係でどう対応するか、実施体制を含めて検討すべき論点がございます。
したがって、二十三回にわたって検討会を行ってきたわけでありますが、さらに、各方面から寄せられる意見等を踏まえて、早期の締結に向けて、政府として真剣に検討してまいりたいと思います。
○田村(智)委員 今出された論点というのは、もうこれまでの国会審議の中でも言われて、それで、たとえ国際機関から判決と違うような勧告が出されたとしても、それにどう対応するかはまさにその国の政府がどうするか決めることであって、だけの話なんですよ。ほかの国ももうそれをクリアしているんですよ。それを、まだ検討すると。これは、何をもたらすかなんです、そうやって検討を遅らせることが。
男女賃金差別を裁判で訴えて闘ってこられた中国電力の女性の方。女性への間接差別が日本では認められない、では、条約の基準に照らしたらどうなのかを是非知りたい、個人通報制度で訴えたい、こういうふうに選択議定書の批准を政府に直接要望もしてきた方なんです。しかし、その願いはかなわないまま、定年退職を迎えてしまいました。検討と言って棚上げをして、女性の権利がこうやって踏みにじられているんですよ。
私は、これは大きな意味があると思うんですよ。だって、日本は男女賃金格差の解消、本当に遅れていますよ、遅れている。間接差別が認められない。また、管理職への女性三割の登用、これも、二〇二〇年までに達成するはずが、遠く及ばず、達成年限を先延ばしにしましたよね。世界は既に女性管理職五割を目指しているんですよ。
こういう間接差別を受けてきた女性たちは、裁判で幾らも闘ってきた。それでも間接差別が認められない。このときに、私も思いますよ、これは女性差別撤廃条約に照らしたらどうなんだろうか、日本はこういう遅れた状態のままいつまで放置されるんだろうかと。これが個人通報制度ですよ。では、女性差別撤廃条約に照らして国際機関で審査してほしいと。
それを受け止めて、判決と違うことが出て賠償するかどうかは別なんですよ。それを受け止めて、日本の国がジェンダー平等をどう進めていくのか、賃金格差をどうするのか。女性の管理職の登用がこんなに低い。間接差別がなかったら、こんな現状は生まれないですよ。こうやって日本の国を変えていく力にしていくことが求められていると思う。
総理、選択議定書を批准しない、つまりは女性差別撤廃条約にまともに向き合わない、これが日本をジェンダー平等の後進国にしていると思いますが、ここは最後、総理、お答えください。いかがですか。
○石破内閣総理大臣 この個人通報制度というものの意義は、私自身も十分に認識をしておるところでございます。
ただ、これを受け入れるかどうかに当たりまして検討いたしておりますのは、それは、ただ引き延ばせばいいと思っているわけでは全くございません。それを検討を続けておりますのは、今外務大臣から答弁申し上げましたとおり、我が国の司法制度あるいは立法政策、その関連で非常に問題というものがあって、そのことをどう考えるかということで、引き延ばしではなくて、検討を真剣に続けているというものでございます。
この制度によらずとも、女性活躍というもの、言い方を変えれば、女性差別の完全撤廃、男女共同参画社会の確立、そこに向けて政府として可能な限りの努力はしてまいりたいと思っております。このようなジェンダー平等を実現していきますために、女性差別撤廃条約によらずとも、これはこれなりの理由がございます、これによらずとも、男女の平等というものを実現することは国益にかなうものでございますので、政府として、皆様方のお力もいただきながら、実現に向けて更に努力をいたしてまいります。
○田村(智)委員 やはり選択議定書を批准できる政府をつくらなければ駄目だということが明らかになったと思います。
検討で四半世紀、その間に女性の権利がどれだけ踏みにじられているか。このことを厳しく指摘をして、質問を終わります。
○安住委員長 これにて田村さんの質疑は終了いたしました。
次に、吉良州司君。
○吉良委員 有志の会、吉良州司です。
今日は、物価高を中心に議論をさせていただきたいと思っています。
その前に一言。
私は、現在、野党系無所属として活動しておりますけれども、元々自民党改革派、そして自民党を飛び出した方々とは、志そして理念、基本政策を共有できると思っています。
その意味で、石破総理が一度自民党を飛び出され、そして復党後も、何度も総裁選に挑戦をし、自民党の体質、考え方に問題があるならば、ちゅうちょなくそれに厳しい目を向け、批判もしてこられました。そのような石破総理の信念を持った姿勢、そして批判をいとわず正論を吐き続ける姿勢、私は敬愛を持っておりました。しかし、総裁・総理になってからは、自民党の色が強く出てきているように思えてならないのは残念なことであります。
しかし、一方で、この予算委員会で明らかになっていますけれども、そしてまた私自身も期待しておりましたが、国会議員ナンバーワン、圧倒的ナンバーワンの説明能力、答弁能力をお持ちの石破総理、その石破総理らしさが前面に出てきておりまして、これから自民党的なるものにも大なたを振るい、そして日本の大改革をやっていただきたいと思っています。
その期待を申し上げた上で、この補正予算案でも物価高対策というものを盛り込んでおりますけれども、石破総理、物価高の本質的な要因、原因は何だと認識されておりますか。まず、それをお伺いします。
○石破内閣総理大臣 それは、物価高の要因はいろいろな資材の高騰ということがございます。そしてまた、労働にふさわしい賃金がきちんと反映されていくということは重要なことだと思っております。
私は、物価高というものを決して否定はいたしません。それはうまく社会が回るように機能するということが重要なのであり、物価は低ければいいという考え方には全く立っておりません。
○吉良委員 今答弁されたのはミクロの物価高に対する見解だったと思いますし、もちろん、賃金が上昇する形での物価高というのは、ここの全員がそうだと思いますけれども、それは否定しないと思います。
ただ、私は、広く世界に目を向けて、世界の中の日本という観点から見ますと、物価高のまず最大の原因、要因というのは、実は失われた三十年にあると思っています。
ここに、数年前から私はこのグラフを出していますけれども、このグラフは、世界主要国の名目賃金指数の推移を表しています。これを見てお分かりのとおり、主要先進国は賃金をほぼ倍、三倍に上昇させていく中、日本だけは横ばいが続いてまいりました。
先進国の中では、当然ながら、個人消費がエンジンとなってGDPを上げていっておりますので、この次のパネルは主要先進国の名目GDPの推移であります、これでも明らかなように、賃金も全く上昇していない日本にあっては、ほかの先進国が二倍、三倍にGDP、国富を増やしていく中で、日本だけが横ばいを続けてきた。実は、物価高の一番大きな原因はここにあると思っています。それはなぜか。
例えば、今、給料が二十万円の方がいらっしゃる、二百万円の車を買おうとしているとしますね、仮に。車が、何らかの事情で、二百万円ではなくて四百万円になりました。そうなったときに、もし給料も、月給も、二十万円じゃなくて四十万円、五十万円に上がっていたとするならば、負担感は変わりません。ですので、恐らく商品が倍になっていたとしても、買うことをためらわない可能性が高い。けれども、給料が二十万円のままで、そして車が倍になった、そうすると、とても高くて手が出ない、買うのを諦めるという行動になるのではないかというふうに思っています。
日本が生きていくのに必要な、例えば石油、小麦、こういう国際的な商品、これは、例えば、さっき示したように、日本が貧しく購買力がないから、日本だけには安く売りましょうとはなりません。日本としては、苦しいけれども、今言った生きていくために必要な石油だ小麦だが高くなったとしても買わざるを得ない。ほかの先進国、ほかの国々は、今言った物価は上がってもそれだけ給料が上がったり、GDP、国富が増えていますから、上がったとしても負担感はそれほどなくて買える。けれども、日本の場合は、今言った全く成長していませんから、むちゃくちゃ高く感じる。今言った給料が二十万円で、そして車が四百万円なんて、高く感じている。これが実は一番大きな要因だというふうに思っています。
石破総理、まず、その見解に対する、ちょっとこれは明示的な質問通告はしておりませんけれども、この私の一つの考え方に対してコメントがあれば、伺いたいと思います。簡潔にお願いします。
○石破内閣総理大臣 それは、給料が上がらないで、車が二百万円が四百万円になっちゃったということは、結局、円が安くなりましたねということも強く影響いたしております。いかにして給料を上げるかということは、結局、付加価値をどれだけ増やしていくかということと連鎖をいたしますが、その努力を物的にも人的にもしてこなかったという反省は持っております。
○吉良委員 総理がおっしゃったことはそのとおりだと思いますけれども、実は、二番目に大きな問題は円安、行き過ぎた円安による輸入物価の高騰が物価高の大きな原因だということを私自身は申し上げようと思っていました。それをある意味で先取りされたような答弁でありましたけれども。
先ほど言いましたように、世界が物価高になっていく中で、事もあろうにですよ、つまり、ドルベースの世界、日本が生きていく上に必要な物資がどんどん値上がりをしている。そのときに、よりによって、今言ったドルベースで上がっている世界物資を、世界的商品を、わざわざ行き過ぎたとまで言えるような円安に持っていって、そして、円貨ベースでは、本当に、こんなに高いのかと音を上げるほどの物価高になっている。
ですから、先ほどの問いで、物価高の要因は何か。最初は、私は、今言った日本がずっと低迷を続けてきたからだと申し上げました。二番目の要因は、そういう世界が物価高にある中で、アベノミクスに始まる、この円安誘導政策とも言えるようなゼロ金利政策、そして異次元の金融政策に突き進んだ結果、行き過ぎた円安を招き、そして輸入物価の高騰に基づく物価高騰、今、国民は悲鳴を上げるほどにそれに苦しんでいる、こういうことではないかと思っています。
再度、総理の感想を伺います。
○石破内閣総理大臣 それは、日銀が決すべきことに政府があれこれ申し上げる立場にはございません。よく協調しながらも、日銀が、物価の安定ということを第一に、政策を今後とも政府との協調の下にやっていくということがあるべきだと考えております。
○吉良委員 まだ私は、日銀、利上げのことについては、ここでは申し上げておりませんでした。もちろん、行き過ぎた円安を是正するということは今総理がおっしゃったことにつながると思いますので、日銀か政府か、その協調かという問題は出てこようかと思いますけれども、私自身が申し上げたのは、今言った日本だけが停滞してきたことと、世界物価が上がる中で円安を加速させたことが物価高の大きな要因である、このことを申し上げた次第であります。
じゃ、私なりに、そういう世界的な物価高そして円安、それがもたらす物価高をどうやったら抑制できるのか。
一つは、世界の物価高を何とかしなきゃいけない。ただ、皆さんここでお分かりいただけるように、世界の物価高を日本単独でできる、そんな甘いものではありません。それは私もよく承知しております。けれども、日本が生きていくために必要な、先ほど言いました石油であったり小麦であったり、そういう輸入物資を日本がやれる範囲で少しでも安くしていく。これは、どこまでできるかは別としまして、政府として努力していくべきだろうと思っています。
その一つが、例えば石油といった化石燃料、これは、御承知のとおり、ウクライナ戦争が始まって一挙に上がりました。もちろん、今は少し落ち着いています。けれども、世界で紛争が起こる、地政学的な紛争が起こったときに、そういう日本が生きていくために必要な戦略物資が大きく値上がりするということは、これまでもずっと経験してきたことであります。
その意味で、私は、実は、二〇二二年の二月二十二日以前、二週間前に、ウクライナ紛争について、まだロシアが侵攻していないときも、私自身は、このままNATOに固執すればロシアがウクライナに攻め込んでしまう、だから、紛争を起こさせないためにも、中立ということを宣言してウクライナ戦争を回避しろということをロシア侵攻前に言っておりました。
ですから、私は今でも言えると思うんですけれども、このウクライナ戦争を本来なら回避すべきと日本が旗振り役をやるべきであった。今でも、起こった後でも、一刻も早い終戦、その旗振り役をやるということは、今言いました日本が必要とする世界物資の価格を下げることにもつながると思っています。
残念なのは、それをやるのは、G7広島サミットでやるべきだったんだ。そこで、一刻も早く終戦という道筋をつけるべく、日本が提案をすべきであった。残念ながら、ウクライナ支援を継続するという余りにも当たり前、かつ、日本からいえば、自分の首を自分で絞めるような、何の戦略性もない結果といいますか、声明に落ち着いたことは非常に残念でなりません。
そういう意味で、今日は岩屋大臣にもあえて問いませんけれども、今言った世界的に日本が生きていく上で必要な物資を少しでも下げるために紛争をなくす、解決する、これも一つの大きな手段だと私は思っております。
もう一点は、トランプ大統領が今度就任されます。気候変動問題、これも御承知のとおり、気候変動問題に対する対応ということで、例えば化石燃料、その中でも天然ガスの上流投資が減っておりまして、そういう意味で、供給面に問題があるということで、やはり価格が上がっております。
私自身、気候変動対策というのは重要だと思っておりますけれども、中長期の目標は共有すべきだと思っておりますが、短期については、わざわざ日本があえて、今言ったように苦しんで、結局、国民を物価高にあえがせるようなことに積極的に私は関わるべきではないと思っております。今言った中長期は目標を共有するにしても、短期については、もう少し長期目標に移行するまでの移行期間の柔軟性をお互いの国々で認め合う、そして日本の現実を見据えた主張を対外的にもやっていく。このことによって、日本が輸入しなければいけない化石燃料、その中でも特に天然ガスが重要でありますので、その天然ガスの世界的な価格を下げる、そのための日本政府としての努力も必要だ、このように思っているところであります。
それと、もう一点あるのは、そもそも化石燃料に依存をしないということが重要でありまして、その意味では、自国産、純国産エネルギー、これに突き進むべきだというふうに思っています。
そういう意味で、海外の資源に依存しないでいい、総理も所信表明の中でフュージョンということで触れておりますけれども、安全性の高い核融合発電への大胆な投資をやりながら、海外の資源に依存しない国産エネルギーへの投資、それに伴う一刻も早い実用化、それを推進していただきたいと思っています。
それは、御承知のとおり、今、米国も英国も、これまでの工程よりも前倒しして、フュージョンエナジーの、核融合の実用化に向けて投資をして、工程を早めようとしています。私は、そういう対応自体も、最終的には、日本が必要とする世界的商品の価格を下げることになるし、日本自体がそれに苦しまなくていいというふうになると思っています。
こういう見解に対する総理の感想をいただきたいと思います。
○石破内閣総理大臣 足らざるは経産大臣から答弁をさせますが、私は、核融合というのは物すごく大事だと思っております。
実際に現場を見て、この地上に太陽というものをつくるというのは何か夢物語みたいな気もするのですが、そこに向けた着実な技術の進展というのを目の当たりにいたしております。ただし、これは三十年前からやがてと言われて、ずっと逃げ水みたいにやってまいりましたが、そこにおいて、更なる努力というか、政府としての取組は強化をいたしたいと思います。
もう一つは、日本は世界第二位か第三位の地熱のポテンシャルを持っておるはずでございます。あるいは小水力も、これだけ雨が降って、これだけ傾斜が急峻でございますので、この小水力というものはもう少しポテンシャルを生かしたいと思っております。
いかにして他国に依存しないかということは、国家の安全保障として極めて重要なことだと認識しております。
足りないところは経産大臣から答弁をいたさせます。
○武藤国務大臣 今の御意見は、拝聴いたしまして、大変そのとおりだというふうに同感をいたします。
ある意味で、今回のエネルギーの七次計画、そして、今総理もおっしゃられたとおり、今後のGXも含めて、しっかりとしたエネルギー政策の中で、石油への依存度を減らしていく、そこはまさに進めていきたいと思っています。
○吉良委員 ありがとうございます。
そうやって対外的な資源に依存しなくていい国づくりをお願いしたいと思っています。
先ほど総理が先取りして答弁されましたけれども、円安を是正するときに必要なのは、いろいろな要素がありますけれども、その一つは、日米金利差を埋めること、日本側から見れば、金利を上げることであります。
その議論に移っていきたいんですけれども、その前に一点、衝撃的なデータがありますので、それをちょっと示してみたいと思います。
パネルでいうと三番目になりますけれども、これは、対外直接投資残高と民間設備投資の推移を表した図であります。一般的には、円安が進むと輸出企業が好調になって、よく言われるトリクルダウンが起こって、そして、国内で輸出企業がフル稼働していく、国内設備投資も増えそうなイメージがあります。ただ、このグラフは衝撃的です。第二次安倍晋三内閣が成立して以来の二〇一二年から、見てください、対外直接投資が、これまでの間、八・五倍にも増えている、一方、国内設備投資はほとんど横ばいであります。
これは今までの常識を本当に覆すようなデータでありまして、私は、これを示すことによって、今まで、ともすれば、日本というのは貿易立国、特に輸出を中心に国益を実現していくというイメージがあって、そして、輸出産業が栄えるためには円安が国益だというイメージが強く、多くの国民に共有されていたと思いますけれども、もうそういう時代ではなくなったと思っています。
次のパネル、順番的には三番になっていますけれども、これは、円・ドル為替相場対応を例にした、私に言わせると、自民党は業界を中心に考える、優先する政党だと私は思っていますし、私自身は、生活者を主役にした、優先した政治に変えなければならないと思っていますけれども、ここに、円安の場合、円高の場合のメリット、デメリットというのを私なりに整理して書いております。
例えば、分かりやすい例でいいますと、業界主権政治は円安志向と書いた一番下の8)。円安によって、今、日本で何が起こっているのか。中国を中心とした海外の富裕層は、マンションの物件を一度も訪ねることなく、ネットだけで、これは安いと思って、さっと買ってしまう。日本の不動産会社もそれに対応して、そういう富裕層をある程度ターゲットにして売っている。海外の富裕層は、こんな円安ですから、三割引きセール、五割引きセールと、もう目をつぶって買っていますけれども、結果として、日本人が好立地のマンションは高ねの花になってしまっている。
だから、円安というのは、元々は日本を潤すはずであったのが、日本人の生活を苦しめている結果になっている。
一方、今度は、生活者主権の政治は円高志向と書いてありますけれども、多くの会社、業界に当たりますと、二言目には人手不足、人手不足ですね。そのときに、もちろん、老若男女を総動員することも大事ですけれども、有能な外国人にも来てもらわなきゃいけない。ところが、今みたいに円がこれだけ価値が低いと、日本に働きに来るインセンティブが全くないわけですよ。そういう意味で、円高にすることが、人手不足も、ある意味では、外国人に来てもらうという意味でも、非常に役立つことになる。
何よりも、円高になれば、この一番上に書いていますけれども、皆さんが苦しんでいるまさに物価高の多くを占める電気、ガス、こういった料金をぐっと下げることになります。
そういう意味で、かつての我々の、ある意味では、円安が国益という時代ではなくなっている。かえって円高の方が、特に、生活者を潤す、生活者の物価高にあえぐ状態から解放する、生活者の可処分所得を増やす、こういう観点からいけば、円高の方が実は国益に資する時代になっている、日本の構造になっている、私はこのように思っております。
円高というのは、先ほど言いましたように、日米金利差を埋める、それだけではありませんけれども、それは一つの有効手段になります。
私が一点提案したいのは、今、日本には、実は二千百二十一兆円もの家計金融資産があります。そのうち、実は現預金が千百十三兆円もあります。そして、実は国内金融資産の六三・五%を六十代以上の家計が所有しています。もちろん、高齢者の中には、俺はそんなに持っていないよという方もいらっしゃるかもしれませんけれども、平均でいいますと、二〇一九年の統計で二千二百万円の金融資産があります。
仮の話ですよ、仮にこれに三%の金利がついたとします、二千万円に。そうしたら、年間六十万円の、税引き前でありますけれども、金利収入が、金融資産をお持ちの高齢者に生まれることになります。月々五万円です。今、年金を上げろ、一万円でも上げろ、二万円でも上げろといったら大変なことでありますけれども、今言った金利が上がれば、それだけ金融資産をお持ちの高齢者が、事実上年金が上がるのと同じ効果がある。
そして、もう一点大事なことは、今、金融収益には分離課税が二〇%かかります。私は、この分離課税の一部又は全部を、今言ったように、そんなに金融資産を持っていない高齢者への生活支援に充てる。持てる高齢者は金利収入が増える、そして、元々税で持っていかれるその税の一部、全部を、持たざる高齢者の年金を事実上上げるような支援に充てる。こうすると、借金をしてやるのではありませんから、将来世代にも現役世代にも負担をかけることなく高齢者の可処分所得を増やすことにつながる。これが、ひいては個人消費の拡大につながり、日本のGDP、個人消費がエンジンとなってGDPを上げることになると思いますが、この考え方について、石破総理の答弁を求めます。
○安住委員長 吉良君、質疑時間が間もなく終わりますから、最後の質疑になりますよ。いいですね。
○吉良委員 はい、結構です。
○石破内閣総理大臣 委員のお説には、首肯すべき点は多々あろうかと思います。
ただ、大体同じような時代を生きてまいりましたが、円高のときは円高地獄と言われて、これが全ての諸悪の根源といって、みんな言っておったのであります。それが円安になりますと、またこういう変わった議論になるわけであって、何事もほどほどなんといういいかげんなことを言うつもりもありませんが。ただ、日本の貿易構造が、例えば、ドイツがGDPに占めます輸出の割合がたしか四七%、韓国が四四%、我々は、日本は加工貿易で貿易立国だと習って育ちましたが、その頃からどうも余りそうでもなかったんだねということであります。
やはり基本的に内需主導の国であって、それにふさわしい経済構造に変えていかなければならないということだと思っております。
そしてまた、マンションの広告、宿舎なんかに住んでおりますと、こんなものは誰が住むんだろうみたいな広告がいっぱいありますし、議員では絶対住めないなと思ったりするのでありますが、やはりそれは外国人しか買えないということは、経済としてそんなに正しいことなのだろうかという感じは持っております。
もちろん、為替政策について、これは政府があれこれ申し上げるべきではありません、安定的な物価というものを目的に行われるものではございますが、委員の御指摘は、常々私自身、どうなんだろうね、これはという問題意識を常に持っておるものでございます。更に御教示を賜ることができれば幸いに思います。
○吉良委員 これまで当たり前だった常識を疑い、新しい時代にふさわしい考え方を持つことが必要だ、それをお願いいたしまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○安住委員長 これにて吉良君の質疑は終了いたしました。
これをもちまして各会派一巡の基本的質疑は終了いたしました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時一分散会