衆議院

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第5号 令和6年12月12日(木曜日)

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令和六年十二月十二日(木曜日)

    午前八時五十七分開議

 出席委員

   委員長 安住  淳君

   理事 井上 信治君 理事 高木  啓君

   理事 牧島かれん君 理事 山下 貴司君

   理事 岡本あき子君 理事 奥野総一郎君

   理事 山井 和則君 理事 三木 圭恵君

   理事 浅野  哲君

      伊藤 達也君    稲田 朋美君

      鬼木  誠君    黄川田仁志君

      河野 太郎君    後藤 茂之君

      小林 茂樹君    小林 鷹之君

      齋藤  健君    武村 展英君

      田所 嘉徳君    田中 和徳君

      谷  公一君    津島  淳君

      土屋 品子君    寺田  稔君

      中谷 真一君    西田 昭二君

      西銘恒三郎君    平沢 勝栄君

      深澤 陽一君    古屋 圭司君

      星野 剛士君    三谷 英弘君

      山田 賢司君    市來 伴子君

      今井 雅人君    大島  敦君

      大西 健介君    神谷  裕君

      川内 博史君    城井  崇君

      黒岩 宇洋君    近藤 和也君

      酒井なつみ君    重徳 和彦君

      階   猛君    杉村 慎治君

      橋本 慧悟君    本庄 知史君

      三角 創太君    早稲田ゆき君

      東   徹君    阿部 圭史君

      うるま譲司君    空本 誠喜君

      西田  薫君    前原 誠司君

      許斐亮太郎君    長友 慎治君

      橋本 幹彦君    大森江里子君

      河西 宏一君    福重 隆浩君

      櫛渕 万里君    阪口 直人君

      田村 貴昭君    緒方林太郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       石破  茂君

   総務大臣         村上誠一郎君

   法務大臣         鈴木 馨祐君

   外務大臣         岩屋  毅君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       加藤 勝信君

   文部科学大臣       あべ 俊子君

   厚生労働大臣       福岡 資麿君

   農林水産大臣       江藤  拓君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      武藤 容治君

   国土交通大臣       中野 洋昌君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    浅尾慶一郎君

   防衛大臣         中谷  元君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     林  芳正君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (規制改革担当)     平  将明君

   国務大臣

   (復興大臣)       伊藤 忠彦君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     坂井  学君

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)

   (共生・共助担当)   三原じゅん子君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   赤澤 亮正君

   国務大臣

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)

   (経済安全保障担当)   城内  実君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (地方創生担当)

   (アイヌ施策担当)

   (国際博覧会担当)    伊東 良孝君

   財務副大臣        斎藤 洋明君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    岩尾 信行君

   政府参考人

   (内閣官房国際博覧会推進本部事務局長代理)    茂木  正君

   政府参考人

   (内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長)     井上  学君

   政府参考人

   (内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長)     西海 重和君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 廣瀬 健司君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   高橋 謙司君

   政府参考人

   (内閣府宇宙開発戦略推進事務局長)        風木  淳君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            堀内 義規君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 一成君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          野原  諭君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      久米  孝君

   政府参考人

   (環境省大臣官房地域脱炭素推進審議官)      大森 恵子君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局次長)        角倉 一郎君

   予算委員会専門員     中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月十二日

 辞任         補欠選任

  稲田 朋美君     三谷 英弘君

  鬼木  誠君     小林 鷹之君

  国光あやの君     田所 嘉徳君

  齋藤  健君     武村 展英君

  谷  公一君     星野 剛士君

  深澤 陽一君     西田 昭二君

  大島  敦君     杉村 慎治君

  神谷  裕君     橋本 慧悟君

  酒井なつみ君     城井  崇君

  早稲田ゆき君     市來 伴子君

  空本 誠喜君     阿部 圭史君

  西田  薫君     東   徹君

  長友 慎治君     許斐亮太郎君

  赤羽 一嘉君     福重 隆浩君

  櫛渕 万里君     阪口 直人君

同日

 辞任         補欠選任

  小林 鷹之君     黄川田仁志君

  武村 展英君     中谷 真一君

  田所 嘉徳君     国光あやの君

  西田 昭二君     深澤 陽一君

  星野 剛士君     谷  公一君

  三谷 英弘君     稲田 朋美君

  市來 伴子君     早稲田ゆき君

  城井  崇君     三角 創太君

  杉村 慎治君     大島  敦君

  橋本 慧悟君     神谷  裕君

  東   徹君     西田  薫君

  阿部 圭史君     うるま譲司君

  許斐亮太郎君     長友 慎治君

  福重 隆浩君     赤羽 一嘉君

  阪口 直人君     櫛渕 万里君

同日

 辞任         補欠選任

  黄川田仁志君     鬼木  誠君

  中谷 真一君     津島  淳君

  三角 創太君     酒井なつみ君

  うるま譲司君     空本 誠喜君

同日

 辞任         補欠選任

  津島  淳君     齋藤  健君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和六年度一般会計補正予算(第1号)

 令和六年度特別会計補正予算(特第1号)

 令和六年度政府関係機関補正予算(機第1号)


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     ――――◇―――――

安住委員長 これより会議を開きます。

 令和六年度一般会計補正予算(第1号)、令和六年度特別会計補正予算(特第1号)、令和六年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、ただいま議題となりました三案中、令和六年度一般会計補正予算(第1号)、令和六年度特別会計補正予算(特第1号)の両案に対し、重徳和彦君外二名から、立憲民主党・無所属提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 両修正案について提出者から趣旨の説明を求めます。重徳和彦君。

    ―――――――――――――

 令和六年度一般会計補正予算(第1号)修正案

 令和六年度特別会計補正予算(特第1号)修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

重徳委員 立憲民主党政調会長の重徳和彦です。

 ただいま議題となりました令和六年度一般会計補正予算(第1号)及び令和六年度特別会計補正予算(特第1号)に対する修正案につきまして、提出者を代表し、その提案の趣旨及び概要を御説明申し上げます。

 政府提出の令和六年度補正予算二案につきましては、何よりも、本年一月一日発災の能登半島地震、さらに九月に能登地域を襲った豪雨による被害からの復旧復興に係る支出が不十分であります。

 その一方で、財政法第二十九条が補正予算に求める緊要性の要件を欠く支出が多数見受けられ、その結果として、一般会計歳出は約十三兆九千四百三十三億円と、不合理に過大な規模となっております。

 こうした認識の下、立憲民主党は、政権を担い得る責任政党として、国民の負託に応えるため、政府に対し、現実的、合理的な予算の修正を求めるものであります。

 次に、本修正案の概要を御説明申し上げます。

 第一に、令和六年度当初予算で計上された一般会計予備費の残高のうち、一千億円については、能登地域の復旧復興に要する経費に使用することとしております。これをもって、実質的に予備費の減額と能登地域の復旧復興に係る支出の増額を図るものであります。

 第二に、今回の補正予算による基金への支出のうち、旧優生保護法による被害者に対する補償金、特定B型肝炎ウイルス感染者への給付金、建設アスベスト被害者への給付金に係る三基金への支出を除き、緊要性の観点から積み過ぎと考えられる支出、計約一兆三千六百億円を減額することといたしております。また、これに伴い、特例公債の新規発行について、同額を減額することとしております。

 以上が、本修正案の趣旨及びその概要であります。

 能登地域の被災者に寄り添うとともに、税金の無駄遣いをなくすという観点から提案をさせていただいたものでありますので、何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

 以上です。

安住委員長 これにて両修正案の趣旨説明は終了いたしました。

    ―――――――――――――

安住委員長 令和六年度補正予算三案及びただいま説明を聴取いたしました両修正案を一括して質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案及び両修正案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房国際博覧会推進本部事務局長代理茂木正君、内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長井上学君、内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長西海重和君、内閣府大臣官房審議官廣瀬健司君、内閣府政策統括官高橋謙司君、内閣府宇宙開発戦略推進事務局長風木淳君、文部科学省研究開発局長堀内義規君、経済産業省大臣官房審議官田中一成君、経済産業省商務情報政策局長野原諭君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長久米孝君、環境省大臣官房地域脱炭素推進審議官大森恵子君、環境省環境再生・資源循環局次長角倉一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安住委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

安住委員長 これより内外の諸課題についての集中審議を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小林鷹之君。

小林(鷹)委員 おはようございます。自由民主党・無所属の会の小林鷹之でございます。

 本日は、立憲民主党が提出しました修正予算案につきまして、特に基金の減額につきまして質問をさせていただきます。

 私は、今回の立憲の修正案で削減の対象となっている比較的金額の大きな基金の設置に深く関与した一人でもあります。

 私は、国家というのは、直近のことだけではなくて、中長期の向かうべき方向性というものを国民や企業の皆様に対して示して、その際、複数年度の比較的大きい予算を国がコミットすることによって、企業の予見可能性を高めて、そして投資を促していく環境をつくることが大切だと考えています。また、そういう事業には進捗過程で緊急の対応が必要となることがあります。

 今日は、そういう目的で設置をいたしました半導体の基金、また、経済安全保障基金、サプライチェーンの強靱化の基金、そして宇宙戦略基金を例に挙げて質問をさせていただきたいと思います。

 まず、立憲民主党提出の修正案では、政府の補正予算案に計上されている基金の多くにつきまして、予算を積み過ぎだということで、約一兆三千六百億円の減額措置を行っています。

 その内訳を見ますと、各基金について、積み過ぎ額という数字が記載されています。恐らく削減すべき額ということだと思っていますけれども、ある基金については令和六年度末の残高予定額を削減すべきとしていたり、別の基金については今回の政府補正予算案に計上した額全額を削減すべきとしていたり、まちまちのように見えてしまうんですけれども、そもそも、一体どういう基準でこうした削減額を算出しておられるのか、分かりやすく簡潔にお答えいただければと思います。

階委員 小林委員からの御質問にお答えします。

 私は、党のネクスト財務大臣という立場なのでこの基金の見直しにも関わっているんですが、一方で、弁護士として、法律家の目で、補正予算の基金の積み増しというのが、財政法の求める要件、財政法の二十九条という条文、よく御存じかと思いますが、その第一号でこういう要件があります。「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となつた経費の支出(当該年度において国庫内の移換えにとどまるものを含む。)又は債務の負担を行なうため必要な予算の追加を行なう場合」ということで、この最後のところ、必要なというところが私はポイントになってくると思っていまして、仮に予算作成後に生じた事由があったり、あるいは緊要性があったりしたとしても、必要以上に過大であるかどうか、ここを見なくてはいけないと思っております。

 その上で、御質問の件ですけれども、私たちは、政府の方から各基金について今後の使用見込み、これをお聞きして、そして、この補正予算なかりせば今年度末に残高が幾らになるかということをまず調べました。その残高と今回の補正予算での基金への積立額、これを比較したわけですね。すなわち、この補正予算がなくても十分に年度末に基金の残高があるということであれば、その基金の残高を使えばいいわけです。他方で、その基金の残高だけでは足りないといった場合に初めて必要額というものが生まれてくる、こういう考えです。

 ですから、全部必要なしといったものについては、今後、令和六年度終わりの段階の基金の残高でもって十分対応できる、だから全部補正予算は要らない。他方で、それだけでは足りない、今ある残高だけでは足りないといったものについては、これからの今年度中の支出を賄うに足りる分だけ補正予算に積立てを認めるということで、あくまで必要かどうかという観点から客観的に判断したものでございます。

小林(鷹)委員 今回の政府補正予算案における各種基金への計上額というのは、いずれも各種業界などとの調整を積み重ねた上で、実態を踏まえた資金ニーズを把握しながら必要な予算を計上したものと私は理解しています。

 今、法律論の解釈については受け止めましたけれども、立憲民主党としては、実際の資金ニーズ、あるいはこの政府補正予算案の内容について精査された上での修正案なのかどうか、この点についてお答えいただければと思います。

階委員 重ねての御質問、ありがとうございます。

 この後、御質問の中で宇宙戦略基金についても取り上げられると思うんですが、昨日、委員からの御質問の通告を受ける前に、私、夜でしたけれども、宇宙戦略基金の担当者とお話をしました。なぜ概算段階で百億だったのが三千億になるんだということで、三千億になる理由を教えてくれと言ったんですけれども、相手の企業との関係もあるので、これはエビデンスは出せませんと言われました。

 エビデンスが出せないということであると、我々としては、客観的な数値を見て判断せざるを得ないわけですよ。逆に言いますと、エビデンスを出していただいて、これは本当に必要だということであれば、我々もそれを認めるのは一向にやぶさかではありません。

 ですから、こういう少数与党になったわけですから、与党の力だけで、全部情報も独占して、その情報を基に予算を組み立てる、これはやめるべきじゃないですか。ちゃんと情報を共有して、私たちにも必要な情報を開示して、これだけ基金が必要なんだということを堂々と言ってくれればいいじゃないですか。そうしたら、私たちも、別に全てを否定するつもりは全くありませんよ。是々非々で、大事なものは認めるということですから、まず情報、エビデンスを開示していただきたいということを申し上げたいと思います。

小林(鷹)委員 今、立憲民主党さんの修正予算案の考え方については、立憲さんの考え方として理解をしましたが、例えば、今年度末に残高予定額があったとしても、既に使い道が決まっていて、民間もそれを前提に動き始めていたりするんです。そして、その民間企業との関係もありますから、どこまでその情報を出せるのかというのは、いろいろ政府の中の判断もあると思います。(発言する者あり)

安住委員長 静粛に。静かに。

小林(鷹)委員 私自身は、こうした実際の資金ニーズというものをしっかりと踏まえることが重要であって、私は、今の説明を伺っていると、ある意味、機械的に予算を減額するというように映りました。そうした姿勢については、私は慎重であるべきだと思っています。

 そして次に、ちょっと各論に移っていきます。半導体に関連する基金について質問します。

 現在、我が国は、半導体産業の再生を国家戦略として位置づけている。今後、デジタル化が進んで、生成AIなどがどんどん発展していく中で、今、我が国が半導体を供給する側に回るのか、供給される側に回るのか、その分水嶺に立っているんです。当然、我が国としては、半導体を供給する側に回らなければいけない。世界から必要とされる日本にならなければいけない。そういう認識を持って、三年前に、もう一回半導体産業を再生させようということで、この国家プロジェクトをスタートいたしました。

 今、失敗するじゃないかという声も聞こえてきましたが、成功するかどうかは断言できないです。断言できることは……(発言する者あり)

安住委員長 静かに。

小林(鷹)委員 挑戦しなければ、供給される側に回ること、つまり二流国になるということなんです。

 そして今、先行する熊本の例では、半導体産業を起点に地方経済が活性化しているというのは御案内のとおりだと思います。そして、続く北海道のラピダスは、次世代半導体の開発、量産に挑戦をしています。その半導体分野の基金の七千三百四十七億円が、立憲案では削減すべき額とされているんですね。

 さきの衆院選の立憲民主党の公約にも、「十年後を見据えた重点投資」として、「半導体や生成AIなど先端産業の国内立地化を促し、企業のデジタル化・グリーン化を大胆に支援します。」と記載をされています。

 そこで伺いたいんですけれども、こうした基金を減額すると、先端半導体の設備投資計画に基づく投資や次世代半導体の技術開発を早急に実施することができなくなって、市場の獲得あるいは国際競争力の強化に大きな後れを取る事態になるんじゃないでしょうか。お答えいただきたいと思います。

階委員 御質問ありがとうございます。

 今御指摘の基金は、二つ種類があるかと思います。

 一つは、ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発基金、こちらは補正予算で一兆五百億円という数字になっています。そのうち、冒頭申し上げました基準によって、我々は、積み過ぎ額は二千六百三十三億、すなわち、八千億ぐらいはこれは認めているということをまず申し上げます。

 もう一つ、特定半導体基金、こちらは四千七百十四億が補正予算で計上されておりますけれども、これは、今ある残高を使って、今年度末、補正予算がなくても六千億ぐらい余る計算になっております。ですから、この四千七百十四億を六千億の中で賄えばいいじゃないかということから、全額計上しておりません。

 したがって、我々は、委員おっしゃるような半導体産業の重要性は重々承知しております。ただ、冒頭申し上げました財政法の要件を満たすかどうかということで、必要な額を超えた分については、これは削るべきだという判断をしたものでございます。

小林(鷹)委員 ありがとうございます。

 今、基金を積み増す必要性については一定程度認めるという理解をさせていただきました。

 半導体の技術開発というのは日進月歩なんですよ。これまでは微細化ということで、十ナノ、三ナノ、二ナノ、ビヨンド二ナノということでしたけれども、三次元化が進む、チップレットという新しい技術が出てくる。あるいは、日本が強いとされている製造装置や素材についても、どんどん日々技術変化が、進化が起こっているんです。マーケットの変化も非常に流動的。そして、各国の輸出管理政策も突如として変わるんですよ。

 そういう諸情勢というのは、我が国の予算のサイクル、周期というものを待ってくれるわけではないんです。その時々で随時、基金を弾力的に積み増していく必要性が高いんです。

 ちなみに、主要国も半導体産業を国家戦略と位置づけて、巨額の資金を複数年度にわたって拠出をコミットすることで、民間の予見可能性を高めて、そして国家の意思を示していくからこそ、優秀な人材も引きつけられる。

 そして、特に今お話のあったポスト5G基金、特定半導体基金については、立憲の修正案では多額が削減すべきと判断されておりますけれども、これも、認めているところもあるけれども、やはり多くが削減されていると私は思います。これは、当然のことながら、具体的な支援見込みがあって要求されているものだと考えますし、この予算を削ると、今申し上げた我が国の半導体産業の再生プロセスが滞って、二度と日本が世界をリードすることができなくなる、私はそう思っているんです。(発言する者あり)

安住委員長 静粛にしなさい、うるさい。

小林(鷹)委員 この点について、政府から、今回の補正予算案の必要性について、国民の皆様に分かりやすくお答えいただければと思います。

武藤国務大臣 小林委員にお答えをさせていただきます。

 半導体というのは、今や多くの人が使われているスマートフォンですとか家電製品、また、命に関わる医療機器ですとか、今後重要性の高まる自動運転あるいはドローンの進化など、まさに国民生活に密接に関連するとともに、まさに産業が今、パラダイムシフトになる中で、社会課題解決にも不可欠なものであるというふうに承知をしています。また、中小企業を含め、地域経済にも幅広い波及効果を有する上、先ほど熊本の例もおっしゃっていただきましたけれども、経済安全保障にとっても重要な戦略物資であります。

 経済安全保障担当大臣もおやりになった小林先生にも、大変そういう意味で危機感が、御見識が高いというふうに思っておりますけれども、おっしゃられたように、諸外国政府も積極的な支援策を講じ、自国の生産規模を拡大させようとまさに熾烈な競争が繰り広げられている中で、技術も日進月歩に進むという特徴があり、何よりスピード感が大事だというふうに承知をしております。

 その上で、今般の半導体関連の補正予算案は、例えば、今年度に入り、AIの利活用拡大に伴って世界的に需要が拡大している先端半導体の設備投資計画が具体化してきていること、また、次世代半導体の技術開発について、外部有識者による進捗確認を経て、次の段階の研究開発計画が具体化していることなどを踏まえて、真に必要な金額に限って計上したものであります。これらの新たな投資計画を含めて、設備投資や研究開発が少しでも遅れると、他国との競争上にマイナスの影響が懸念をされ、経済安全保障上のリスクにつながる上、地域経済活性化にも、効果を減殺してしまう懸念を持っております。

 このため、要求させていただいている予算を措置いただけるように、是非よろしくお願い申し上げたいと思います。

小林(鷹)委員 ありがとうございます。

 次に進みます。

 立憲の修正案で半導体について削減額が多いとされている、いわゆるサプライチェーンの強靱化に関する重要物資に関する基金なんですけれども、今回の政府補正予算への計上額、ほぼ全額を削減すべきとされています。

 半導体だけじゃなくて、蓄電池や先端電子部品、あるいは天然ガス、永久磁石、こうした近年の国際情勢に鑑みれば、いつ何どきこうしたサプライチェーンが寸断されるか分からない。そのリスクは国際情勢の流動化に伴い年々高まっているんです。この点も国民の皆様には御理解いただけると思います。世界各国も、国民を守るために、サプライチェーンの確保に相当の予算を投じています。この基金は、我が国の経済安保上の自律性を高める上で非常に重要だと思います。

 立憲民主党としてもこのサプライチェーンの強靱化の重要性については私たち与党と認識を一にしていると考えておりますが、この支援基金の重要性についてどう考えるか、お答えください。

階委員 ありがとうございます。

 サプライチェーンを確保する重要性、これは委員おっしゃるとおり、我が党としても重々認識しております。

 その上で、今回関連する基金、これも二つあるかと思っておりまして、一つは、安定供給確保支援基金(蓄電池、先端電子部品、永久磁石)というものがあります。これは千八百二十九億円、今回の補正予算で措置されることになっておりますけれども、先ほどの基準に照らしますと、今年度末で、この補正予算がなくて余るお金が七千七百四十一億円もあるんです。ということは、今回の千八百四十一億円がなくても十分足りるという判断から、これは全額認めません。

 もう一つ、安定供給確保支援基金(可燃性天然ガス)というものがあります。これは補正予算で百五十億円措置されておりますけれども、先ほどの基準で、今年度末に使い残しがどれぐらいあるかというと、僅か一億円。つまり、これについては補正予算で措置する必要性が高いだろうということを考えておりまして、積み過ぎ額は一億円だけだということで、逆に言うと百四十九億円は認めているわけです。

 このように、私たちは、法の支配ですから、財政法に基づいて必要性を客観的に判断しておりまして、もしそれを超える特段の事由があれば、是非、政府・与党側で説明責任、立証責任を果たしていただきたい。そういう解像度の高い建設的な議論をこれからの国会では行いたいと私たちは考えておりますので、是非よろしくお願いいたします。

小林(鷹)委員 支出が年度内であっても、残高に見込まれる額というのは、大半がもう使い道が決まっているんです。

 これも先ほどの半導体同様で、米中関係やウクライナ情勢を含めて、各国の政治情勢によって、サプライチェーンを強靱化すべき重要物資の優先順位だって変わってくるんです。そして、最近でもいろいろな事例があるじゃないですか。半導体に必要なガリウム、ゲルマニウムの規制の話。あるいは、一年前を振り返ってみても、電池に必要な材料、黒鉛、グラファイトが急遽輸出規制の対象になって、当時、我が国の自動車産業界に緊張が走ったわけですよね。

 何がいつ起こるか分からないんですよ。弾力的に対応していくためにも、経済対策としての補正予算をやはり効果的に活用していくことが重要だと私は考えます。

 そして、宇宙戦略基金について伺います。

 五年度補正の三千億円については……(発言する者あり)分かりました。もう時間が参りましたので、この点については意見にとどめますが、既に今年の八月までに公募を実施して、テーマはほとんど採択済みで、今年度中に残りのテーマの採択をする予定と聞いています。これはもう使い道が決まっておりますので、与党としても、そうした使い道に対してはしっかりと注視をしつつ、この国の国力の根幹たる科学技術力と経済力を高めることで世界の真ん中に日本を近づけていく、そのために、この弾力的な補正予算というものを有効に活用していく必要性があることを最後に申し上げて、質問を終えさせていただきます。

 ありがとうございます。

安住委員長 これにて小林君の質疑は終了いたしました。

 次に、城井崇君。

城井委員 立憲民主党の城井崇です。

 石破総理、そして立憲民主党修正案の提出者の皆様、よろしくお願いいたします。

 立憲民主党の修正案に対しまして、まず提出者にただします。その後、それをお聞きいただきながら、総理に今後の政府の対応を伺いたい、こういう形で進めてまいりたいと思います。よろしくお願いします。

 まず、立憲民主党提出の補正予算修正案について質問します。

 提出者の皆さん、この修正案の狙い、目標、何を目指しての取組なのかということ、まず国民の皆様に広く御説明いただきたいと思うんです。

 これまで立憲民主党では、いわゆる緊急総合対策を提案をし、政府に取組を促してきました。ただ、それを踏まえますと、今回なぜ予算の国会修正を目指す修正案としたのか、そして、これまでの、国会勢力の違うときの国会でしたら、予算の議論の最終盤に編成替えを求める動議、いわゆる組替え動議を出して対応するということが多かったわけですが、なぜこれではないのかということ、こうしたことを提出者の重徳和彦議員から具体的にお答えいただきたいと思います。

重徳委員 今、城井委員から御質問ありましたように、私ども立憲民主党は、去る十一月七日に能登復興・物価高克服のための緊急総合対策というものを発表いたしました。その中では、特にこれは、総選挙の前から我々は、緊急に、急いで補正予算を組まなければならないと訴えてまいりました能登半島、元旦に地震に見舞われ、九月には豪雨災害に見舞われるという二重の災害を受けた能登半島の復興予算、これが喫緊の課題である、こういったことに加えまして、物価高で苦しむ生活者の皆さん、また企業の皆様方を一日も早く助けて支援をしていく、そういう必要性を強く頭に置きながら今回の補正予算の審議に臨んだということでございます。

 私自身も、先週の週末に、近藤委員の地元であります能登半島に現地調査に改めて伺ってまいりました。輪島市町野地区、ここでは、住む家、働く場所もままならない、こういう方々がまだまだ大勢いらっしゃる。そんな現場、肌感覚というものを感じてまいりました。この復興予算、政府の今回の補正予算額では全く足りないという認識を感じておりますので、何としてでもこれは増額をかち取らなければならない、こういう強い思いを持っているところでございます。

 本来であれば、私たちが発表しました経済対策、全ての施策を実現をしたいということでありますけれども、どうしても、手法として、今言及がありました組替え動議という形でこの補正予算を全面的に組み替えるべきだ、これまで、やはり少数の野党であったときは、そういう形で政府に求める一方である、こういう形でしか表現のしようがなかったわけでありますが、この度は、自公が少数と衆議院においてなりました。そして、我々野党が一致結束をすれば、具体的な修正案というものを提案し、そして、修正案というのは、組替え動議と違って、政府に予算を出し直させるんじゃなくて、国会の場において我々国会議員の間で修正をすることができる精緻な案でございますので、そういった形で具体的な建設的な提案を行っていくという方針を取ったわけでございます。

 その代わりと言ってはあれですが、政府に出し直させる組替え動議では、出し直しをさせるわけですから、そのために期間が十日あるいは三週間かかるとも言われております。このような理由をもって予算の成立を遅らせるわけにもまいりません。そうしたことから、やや絞った形ではありますけれども、的を絞って、能登半島の復興予算、そして、今回は、多くの委員の御指摘のとおり、基金の積み過ぎということを始めとした規模ありきの膨らみ過ぎた予算でありますので、これの減額修正を求める、こういう形にしたわけであります。

 この修正案が仮に通れば、修正案が通れば、これは二十八年ぶりのこととなります。そして、一千億円の能登半島復興予算部分が数字という形で修正案が通れば、実に、数字の入った修正案は六十九年ぶりということになります。

 こうした修正案の成立を目指して、今回、我々の思いを込めた議案を提出させていただいた次第でございます。

城井委員 内容も、そして審議時間も、能登支援最優先ということを確認させていただきました。

 また、修正案ですと、先ほどの、可決であれば二十八年ぶり、数字ありなら六十九年ぶりという御紹介でありました。補正予算では初めてとなるというふうに承知をいたしております。前向きで建設的な取組だというふうに考えます。

 一方、過去に、貴重な税金から賄う補正予算なのに、年度末で使い切らずに繰り越す、場合によっては二年連続繰り越すということがありました。結果、不用額として残るケースも、直近で六千億円弱もあったということであります。前向きな取組の一方で厳しいチェックも必要だということは指摘しておきたいというふうに思います。

 この立憲民主党の修正案のところについて総理にもお聞きしたいところなんですが、各論をこの後幾つかお聞きいただいた上で答弁をお願いしたいというふうに思います。

 次に、立憲民主党の修正案で実質の増額を求めてまいります能登半島の復興支援について伺います。特に政府案で足りない部分についてお聞きします。

 地震発災からは十一か月余り、豪雨災害も重なった複合災害に見舞われた能登半島の復興加速は国政の最優先課題であります。今回の補正予算の最優先事項でもあります。先日の予算委員会でも能登復興の取組について質疑が行われましたが、政府の取組や今回の補正予算案の内容では足りないところがあるのではないか。

 能登半島選出の衆議院議員でもあります提出者の近藤和也議員に伺います。

 この立憲民主党の修正案で実質増額を求める能登半島復興支援について、特に政府案で足りない部分、具体的に教えてください。

近藤(和)委員 城井委員にお答えします。

 その前にですけれども、石破総理始め、そして安住委員長を始め、与党、野党、全ての関係者の皆様のおかげで、この議論の場に提出者として立たせていただいております。そして、八合目、九合目まで見えてきているということ、本当に感謝を申し上げます。

 特に、更に足りないということであれば、与党の方々も少し気分を悪くされるかもしれないですけれども、まだまだやはりしていただきたいというところが正直なところでございますので、何とぞお耳をおかしいただければと思います。よろしくお願いいたします。

 城井委員にお答えいたします。

 今回のこの補正の中で、まだ足りないのではないかということであれば、まずは暮らしの部分でございます。

 住まい、家が壊れている方、更に直していかなくてはいけない、そして造っていかなくてはいけない。壊れていない家でも、更に耐震の強化。予算は実はあるんですけれども、使われ切れていないということ、そして絶対額もやはり少ないということがございます。

 そしてさらには、先日議論の中でもありました、準半壊や一部損壊の方で、壊さないと次の住まいが見つからない、仮設にも入れないという方々へ向けての、壊さなければいけないという部分も足りないというふうには思っております。

 そしてさらには、大きな道路は今全面的に修理が入ってきています。港も入ってきていますが、いざ生活道路、一本家の横の道に入りますと、市や町が管轄している道路はなかなか直し切れていないという、がたがた道がたくさんございます。

 そして、海の近くのおうちや田んぼ、堤防も、ほとんどが、特に能登半島の内浦側は沈降しています、下っています。外浦側は隆起しているんですけれども、下っている側のところが、やはり今、冬が来ると波が高くなるということで、更に家や田んぼが壊されている。そういったところもまだ手薄いのではないかなと思っておりますし、何よりもまた、車を失ってしまっている方もいらっしゃいます。

 そしてさらには、事業者への支援、なりわい補助金や持続化補助金などもそうなんですけれども、地元の事業者の方々への支援であったり、県外からも、この寒い冬でも、多くの方々が、修理また解体も含めてたくさんの方々に来ていただいていますが、そのような方々への支援もまだまだ不足しているのではないかというふうに思っています。

 そしてさらには、今日も雪が能登半島では少しちらついてきています。冬を越すための、例えば避難所になり得る場所への備蓄など、こういったところもしっかりと更に加えていっていただきたいというふうに思っております。

城井委員 自らも被災者でもあります近藤議員から、謙虚なお礼の言葉がありました。

 これまでも、政府や自治体での努力があったと思います。与野党からも協力をしながら進めてまいったんですが、総理、今ほどの話が現地の現実、足りないところだというのはやはり心していただくべきだというふうに考えています。住宅とか沿岸の話とか言及があった点、非常に重い話だと思っています。

 もう一点、提出者に伺います。

 この足りなかった部分、立憲民主党案でできる限り補いたい、支えたい、支援を届けたいと思うわけですが、これをどのように補う考えで今回修正案を組み立ててあるか、近藤和也提出者からお願いします。

近藤(和)委員 今回の修正案で、一千億、能登の復旧復興と出させていただいておりますけれども、政府や地方自治体で適切に使用することを求めていきたいというふうに思います。

 その上で、我々の出してきました案の中で、より具体的に申し上げれば、地域福祉推進支援臨時特例給付金、こちらは、年齢であったり家計の状況であったり、また、六市町のみでありまして、その隣の自治体からは一切対象外ということもございます。様々な条件を外していただきたいというのがまずは一つございます。

 そしてさらには、準半壊や一部損壊の方でもうこれは無理だという方々には、解体の対象、もちろん自治体が認めた上でということでございますけれども、公費解体をしていただいて、それで仮設住宅や災害公営住宅に入っていただく、住まいの安心を確保するということも更に求めていきたいというふうに思います。

 そしてさらには、もちろん、直すという部分、一部損壊や準半壊の方々への応急修理制度。応急修理制度は、一部損壊はございません。準半壊においては、三十四万、今五千円、少しだけ上がっているんですけれども、三十数万円しかない、給湯器さえも買い直せないという状況でございますし、そもそもが、一坪当たり七十万から百万、百二十万ということで、家を建てる部分も相当値上がりしておりますので、半壊以上の方々へもやはり何らかの形での更なる支援が必要なのではないかというふうに思っております。

 そしてさらには、越冬対策の部分でございましたり、子供たちへの、この生活環境、もうほとんど仮設住宅になりまして、グラウンドですとか体育館なども使えない、体育館なども今避難所になっている部分もありますので、公園もほとんど潰してしまっているという状況でございます。こういう、ただでさえつらい状況にいる子供たちに対しても、大人がしっかりと目を向けている、そういうメッセージも伝えることが大変重要だというふうに思います。

 改めて、一つ一つ具体的に、今すぐすること、そしてメッセージを伝えるということも含めて、政府の皆様にも、そして我々もその役割を果たしていけたらというふうに思います。

 よろしくお願いいたします。

城井委員 能登復興支援、政府案以上に支援拡充をしていくことが必要だというのを、先ほどの現地からのお話に伴って、本当に必要だというのを改めてかみしめるところであります。

 ただ一方で、補正予算を能登に一刻も早く届けたいという思いがあり、そうすると、野党側の正直なところからいうと、本当は、今申したものも全部具体的に指さした上で、政府に、予算案を出し直して、もう一回議論しましょうと言いたいところだ。でもそこが、もしお願いした場合に、これは推計ですが、数週間出し直しにかかるんじゃないか、こうした非常に苦しい部分もある。この部分も思いを致しながら、さて、我々の今回の修正案、どうやって能登半島支援の実質増額を賄うのか、この具体的な方法について、提出者の階猛議員からお願いします。

階委員 城井委員からの御質問にお答えします。

 御指摘のとおり、今回は、補正予算を増額するのではなくて、既存の予備費の中から一千億円を賄うという方式を取っております。

 それはどういうことかといいますと、憲法上、内閣に予算提出権があります。そういう中で、国会で予算をどの程度修正ができるのかという憲法上の議論が昔からありまして、基準となるかどうか、私は微妙だなと思っていますけれども、予算提出権を損なわない範囲で修正が認められるといったような見解が通説的ではないかと思っております。

 そういう中で、減額修正、先ほども基金の話、一兆数千億の話をしましたけれども、減額修正というのは、国会がいわば一部予算を反対するということですから、これは国会での予算の審議権の延長線上にあるので、減額については基本的に制限がない。

 ところが、増額については、これは予算を編成する内閣の権限と抵触する場合があり得るのではないかということで、我々は当然、野党のままで終わる気はありません、与党になって内閣をつくったときに、こういった議論のときに、あのときああ言って予算をたくさん増やしたじゃないか、国会で修正を求めたじゃないか、そういうことを言われたくないわけですね。ですから、ここはあえて、憲法上認められる範囲ということで、私たちは、補正予算を増額修正する、そして新たな費目を加えるというやり方ではなくて、予備費、既存の予備費の中で能登の支援の分一千億円を充てるという選択をしたということを御理解いただければと思います。

城井委員 総理、ここまで、まず立憲民主党の考え方、能登支援最優先、そして現地の状況、さらには、実質増額するならばということで、具体的な方法ということで確認をしてまいりました。我々からも、これまで、能登復興・物価高克服のための緊急総合対策で能登の加速的な復旧復興十一項目を示し、その中から特に取組を急ぎたいものということで今回の立憲民主党の修正案を示しています。

 そこで、総理に伺います。

 十二月十一日の与野党国対委員長会談での合意事項、予算総則の修正による、能登半島地震及び豪雨による被害の被災者の生活及びなりわいの再建その他同被害からの復旧復興に要する経費に使用するという修正を踏まえた今後の政府の対応方針を具体的に総理にお聞きしたいと思います。

 この政府対応に際し、能登半島復興支援予算の一千億円実質増額を求める立憲民主党修正案等を踏まえていただきたい。具体的には、立憲民主党が一千億円の積算根拠としたものであり、先ほども近藤和也提出者から言及のありました地域福祉推進支援臨時特例給付金の支給条件緩和、具体的には、六市町以外への拡大、そして年齢、収入条件の撤廃、また、準半壊家屋の条件付公費解体支援、一部損壊、準半壊も含めた家屋の修繕、建設費用支援、豪雨、越冬対策、物価高騰対策を中心にした能登半島復興支援の充実をこの補正予算で政府に図っていただきたいと考えますが、総理の見解を伺います。

石破内閣総理大臣 お答えを申し上げます。

 令和六年度の予備費のうち一千億円、この一千億円は能登半島地震、豪雨被害からの復旧復興に充てるという予算総則の修正案はよく承知をいたしておるところでございます。

 この修正案が成立をすれば、引き続き、被災地のニーズを踏まえまして、今回の修正案でも明確化をされます、予備費を活用して切れ目のない支援を行っていくということだと私自身考えておるところでございます。

 被災地のお声というのは、今お聞きしたとおりで、これは私も本当に同じようには考えております。今、近藤議員からもお話がありましたが、日本海側の冬というのは本当に厳しいので、そしてまた、これから寒くなる、高齢化が著しく進展をしている、もうここに住むのをやめようかという方々が、今まさしく判断を迫られているときに、もう一度戻ってみようと、それで、答弁の中で申し上げましたが、震災前よりも豪雨前よりもいい能登になったと言っていただけるように、よく野党の御見解も踏まえながら、私ども、予算の成立後は執行に努めてまいりたいと考えております。

城井委員 ありがとうございます。

 予算総則の修正によるこの修正案が可決、成立した折には速やかにお取り組みいただくということでよろしいでしょうか。

石破内閣総理大臣 それは、国会の御判断に私ども政府として従っていかなければならないと考えております。

 私どもとして、本当によく考えた上でこの補正予算というものを提出をしておるわけでございますが、国会の御判断というものは、私ども、謙虚に、そして遵守をしていくというのは当然のことでございます。

城井委員 続きまして、立憲民主党修正案が減額補正を求めている政府基金への予算措置について、提出者にまず伺いたいと思います。

 お手元資料とパネルを御覧ください。

 立憲民主党の修正案では、財政法二十九条による補正予算の緊要性の要件を満たすかなどの、提出者からもお答えをいただいた考え方や、また、基金残高などが令和六年度補正予算での措置額を賄えるほど過大でないかということの確認。また、岸田前政権時にまとめられた政府基金の三年ルール、直近三年間分の必要な基金を認めつつ、その後については成果を検証してから判断する旨のルールということでありますが、これなどを踏まえて、立憲民主党の修正案では、政府基金二十五基金への予算措置のうち、約一兆三千六百十九億円ということでの減額補正をするように求めています。

 この減額を求める基金への予算措置について、提出者の階猛議員からお答えください。

階委員 具体的な内容をお答えすればよろしいでしょうか。

 今回、今委員がおっしゃられたような考え方と、もう一つは、国民の命や健康に関わるという観点から、旧優生保護法による被害者に対する補償金、特定B型肝炎ウイルス感染者への給付金及び建設アスベスト被害者への給付金に係る基金については除外して考えて、これは政府の予算を全額認めるということにしております。

 そして、残りの基金については、委員がおっしゃられたとおり、昨年の、政府が基金のルールを決めたわけですけれども、このルールに基づいて、新たな予算措置は三年分程度とし、積み増すのであれば、成果目標の達成状況を見て次の措置を検討するというルールに照らして判断をするということで、これは一つの基準です。

 それをやると、実は、一兆三千六百億円だけではなくて、今回補正予算の対象にならなかったものまで、かなりの金額が返還を求めるということになるわけですけれども、今回は補正予算の審議ですから、その補正予算の対象になっているものについて、先ほど小林委員への答弁でお答えしたように、今ある基金で今年度末までの支出を十分に賄えるというふうに判断したものについては補正予算での基金の積み増しは必要がないだろう、逆に、今ある基金では足りないというものについては、足りない部分に限って積み増しを認めるという客観的、合理的な基準に基づいて積み増しをするかどうかということを判断し、必要性がないと認められるものについては、今回、減額補正を求めるということにしております。

城井委員 さて、総理、補正予算での基金の造成や積み増し、問題、課題をはらんでいるというのを改めてお聞きいただいたというふうに思います。

 そこで伺います。

 補正予算での基金造成、積み増しに関して、財政法二十九条による緊要性の要件、あるいは、基金残高が今補正予算での措置額が賄えるほど過大ではないかとの確認、また、岸田前政権が決めた基金の三年ルール、当然踏まえて対応いただくということでよろしいか、確認させてください。

石破内閣総理大臣 当然、その考え方に基づいて今回対応しておるものでございます。

 ですから、限られた時間ですからるる申し上げることはいたしません。一体これは緊要性があるのかどうかということだと思っております。私どもとして、今回議論になりましたいろいろなテーマについて、緊要性があるものかどうか、かなり厳しく議論もし、精査をいたしてまいりました。そこは、見解が異なる点はあるかと思いますが、基金というものの性質に鑑みまして、これは必要であり、かつ緊要性があるというふうに私どもとして判断をいたしたところでございます。

 また御議論賜りたいと存じます。

城井委員 今回我々から示している二十五基金、一兆三千六百十九億円というのは、今想定できる残高で賄える中身があるので、その分は減らしましょうという話が一つ。もう一つは、総理、令和六年の今回の補正で措置する額のうち来年三月末まで、年度内に幾ら使いますかと聞きましたら、政府から答えが出てきませんでした。これが分からないと、今回の金額が適切かどうかというのを国会が判断が本当はできないんです。

 ですので、この二つを頭に置いていただきながら、今回の予算措置の減額の部分、是非政府で検証して、そして減額について検討いただきたいというように思うわけですが、総理、いかがですか。

石破内閣総理大臣 小林委員の御質問に対する議論でもございましたが、半導体にいたしましても、あるいは宇宙に関しましても、全く、激動する世界の情勢において、何がどう変わるか分からないという、予見が非常に難しいものがございます。ですので、きちんとルールに沿ってやらなきゃいけないことはそうなのですが、予見し難いものに対応するからこそ、基金というものでやっていかねばならないという考え方もございます。

 私どもとして、無駄なものを計上しておるつもりはございません。予見不可能なものに対して、予見可能性が低いものに対して機動的に対応できるという考え方に基づいてお願いをしておるものでございます。

城井委員 本来は当初予算できちんとその議論をしておくべきだということを一つ申し上げ、そして、補正予算の中でも、先ほどの、事情が変わって急ぐんだという話のところも、きちんと根拠、そしてその理由を我々に詳細に示していただけているかというと、先ほど提出者の階議員からもございましたように、与野党の情報格差がございます。

 与党では十分に事前審査の中で確認ができているかもしれません。今次補正予算案が提出されて、我々に出された数字、説明というのは限られているわけです。令和六年度補正予算の措置額の中で、年度内にどれだけ使いますかという答えも聞かせてもらえないような情報格差です。これで、先ほどの予見可能性をという話を言われても、我々としてはチェックのしようがない。

 総理、熟議と公開のためにも、是非そうした事前の情報共有について与党並みに野党にしていただくということをお約束いただきたいと思いますが、お願いできますか。

安住委員長 時間が参っておりますので、手短に。

石破内閣総理大臣 御趣旨はよく理解をするところでございます。

 ですから、審議を十分いただくためには、情報というものを可能な限り野党にもお示しをするということは、一般論として必要なことだと思っております。与党に対しましても、企業秘密、そういうようなものについては一切公開はいたしておりません。

 充実した議論をいただくためにも、情報の公開というものについて私どもの中でもよく検討いたしてまいります。

城井委員 能登復興支援最優先で頑張ります。

 終わります。

安住委員長 この際、本庄知史君から関連質疑の申出があります。城井君の持ち時間の範囲内でこれを許します。本庄知史君。

本庄委員 立憲民主党の本庄知史です。

 おととい、総理と三十分議論させていただいたばかりで、こんなに早くまた機会をいただけるとは思っておりませんで、今日もよろしくお願いいたします。

 時間がちょっと限られているので、通告したものの中で、まず基金の部分から入りたいと思います。

 総理、一昨日の予算委員会で私どもが要求しました宇宙基金の成果の検証、この結果がいまだに提出されていません、この委員会に。総理は、検証はしているというふうに明言されたわけですね。検証されているのなら、今すぐ出していただきたいんですが、いかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 必要に応じて、また担当大臣からお答えを申し上げます。

 その議論はよく覚えております。宇宙戦略基金につきましては、令和五年度の補正予算で設置したばかりのものでございます。この基金全体につきましての執行状況についての国会への報告、あるいは成果指標等に関します基金シートの作成、公表を通じまして、まだできたばかりのものでございますので、十分という御評価をいただけるかどうか分かりませんが、私どもとしてできる限りの検証というのは行っております。

 やはり、できたばかりのものでございますので、検証するということについて十分御納得がいただけますよう、これから先、努力をいたしてまいります。

本庄委員 総理、今回積み増すに当たって、昨年度分の三千億、成果の検証はあったのかという重徳議員の問いに対して、検証はしているというふうにおっしゃったんです。だから、出してくださいと言っているんです。今やっているとか、これからやるという話じゃないんですね。ちゃんと答えてください。

城内国務大臣 本庄委員にお答えいたします。

 今総理から御答弁があったように、執行状況については十一月ですけれども国会報告が出されておりますし、また、基金シートの作成をいたしまして国民の皆様に九月に公表して、検証をしっかり行っているということであります。

 さらに、成果目標の達成状況を厳格に確認するために、JAXAにおきまして、技術開発や事業化の進捗状況について、ステージゲート評価等を活用しながら確認、検証を行う仕組みも設けているところでございます。

 仮に、令和五年度補正予算により実施するテーマについて更なる予算措置を検討する場合は、この確認、検証を踏まえて、いわゆる基金ルールにのっとって、しっかりと検討を行うことになるというふうに考えております。

本庄委員 仕組みの話を聞いているんじゃないんですね、検証したのかと。したと言うので、結果を出してくださいと言っているんですよ。

 パネルをまた出します。前回もお示ししましたが、百億円だった概算要求が三か月で三千億円になりました。これは今年もですけれども、去年もですね。去年は三千億ついています。

 前回の予算委員会で、私は執行状況について政府参考人に確認をしましたが、三省合わせて三百億円、年度内に支出見込みだと。三千億円のうち三百億円、年度内支出見込み。ちょうど一〇%なんですが、この使途は何ですか、大臣。

城内国務大臣 お答えいたします。

 昨年度に補正予算措置されました三千億円を十年の事業期間で割りまして、その見込額として報告しているものであり、この中には事業費二百九十一億円、そして管理費、これはJAXAの基金執行部隊が、主に人件費あるいはビルの施設に充てるものでありますが、これが含まれております。

 昨年度の補正予算措置分につきましては、既に全ての公募を済ませ、今年度中に全ての採択がなされる予定でございまして、順次支援が開始される予定でありまして、今月中にもJAXAが採択された各事業者等との契約を開始していくということになっております。

本庄委員 今の御答弁を聞けば、三百億の中身は管理費などであって、具体的に宇宙政策を進めていくための支出には使われていないというふうに私は理解しましたが、それでよろしいですか。

城内国務大臣 事業費につきましては既に採択がほぼ終わっておりますので、これから順次契約が行われ、そして、それに基づいて順次執行を行われるというものであり、もちろん、当然速やかに執行に向けて取り組まれていくものと理解しております。

本庄委員 分かりました。採択はされているが、まだ執行はされておらず、支出もされていない。つまり、言い方を変えれば、この三千億円の中でまだ一円も具体的に宇宙政策のためには使われていないということですよ。

 採択されていても、まだ使っていないんでしょう。そういう話を聞いているんじゃないです。まだ支出がされていないものをどうやって検証しているんですかということを伺っているんです。総理、いかがですか。(発言する者あり)

安住委員長 御静粛に。

城内国務大臣 繰り返しになりますけれども、これはもう採択はほぼ終わっておりまして……(本庄委員「検証を聞いているんです」と呼ぶ)これは、先ほど申しましたように、国会にも報告しておりますし、また、基金シートを国民の皆様に発表いたしておりますが、これからまさに執行に向かって取り組まれておりますので、その中で、今後、様々な形で検証が行われ、そして、基金ルールにのっとって、三年目途にしっかりと成果検証がなされるというふうに理解しております。

本庄委員 大臣自ら、現時点で検証していないとおっしゃっているんですよ。シートは検証ではありません。財務の状況などが書いてあるだけです。そして、今の話でいえば、事業費あるいは管理費で三百億円支出されています。あと二千七百億は、採択はされていますが、執行していない、支出はしていない、こういう状況じゃないですか。検証しようがないですよ。

 私は、検証していないことが問題だと言っているのではなくて、検証していないのに、検証している、その結果がある、そしてそれに基づいて更にあと三千億出せ、こういう話が展開されているからおかしいんじゃないですかと言っているんです。総理、いかがですか。

石破内閣総理大臣 それは、国会への報告あるいは基金シートというもので、可能な限りの検証というものに私ども努めてきたところでございます。

 基金というものの性質、そしてまた宇宙開発事業という厳しい国際競争、そしてまた保秘の必要性等々を考えましてこういう形になっておるわけでございまして、これを一つ一つ検証するということが、なかなか事柄の性質上難しい点はございます。また、基金というものもそういうものでございます。

 ですから、私どもとして可能な限りの検証を行ってまいりますが、いろいろな事態に備えますための基金というものの性格上、こういう御説明ということに相なります。

本庄委員 結局、検証なんかしていないんですよ、少なくとも現時点では。という中で、あと三千億出してくれという話が今行われているということなんですね。積めよ増やせよじゃ困るんですよ、積めよ増やせよじゃ。増やせばいいというものではないんですね。

 総理はこういうふうにおっしゃいましたよ、一昨日。補正予算に依存するというのは、そもそも日本語として成り立たない、補正に頼ることなく、本予算で、きちんとした積算の下に、積み上げていく努力はしていかなければならないと。おっしゃるとおりですよ。

 しかし、現状は明らかに補正予算依存じゃないですか。宇宙政策、国策なんでしょう。日本の将来を支える重大な産業なんでしょう。こんなつけ焼き刃の思いつきのように、アメリカでロケットが飛んだから三千億ですか。やめましょうよ、こういう予算の使い方。ちゃんと、補正じゃなくて、精査をして、本予算、もう三か月後ですから、そこで堂々と出してください。いかがですか、総理。

石破内閣総理大臣 私は、予算というのは本来そうあるべきものだと思っておるので、補正というものが、法律に定められておりますように、予期せざる、つまり、当初予算を組みましたときに予期せざる事情というものをどう考えるか、緊要性というものをどう考えるかということでございます。ですから、本来、本予算でやるべきだというのは、総論としてそのとおりでございます。

 緊要性というものが認められるかどうかということを考えたときに、私どもとして十分精査をした上でこの予算を提出しておるものでございますが、緊要性が認められない、そういうものについて、それは予算として上げるべきだと本来は考えておりません。今回はそのように認めたので、このように出しておるところでございます。

本庄委員 財政法二十九条の考え方の問題なので、恐らく水かけ論だと思います。

 ただ、そもそも、私、補正予算と基金というのはなじまないと思うんですよ。補正は緊要でしょう。そして、年度当初の予算では見通せなかったもの、ここに対応するというのが大原則ですね。基金の趣旨はどうですか。中長期的に、安定的、継続的に政策を進めていく、そのための原資じゃないですか。本来、矛盾しているんですよ、補正予算と基金というのは。

 だからこそ、私は、相当慎重に見ていかないといけないと。本当に必要なら本予算できちっと積む、そもそも基金がいいかという議論はあるにしてもですよ。そのことを私は言っているんです。総理、いかがですか。

石破内閣総理大臣 基金というのは、委員御指摘のように、柔軟に対応できる、そしてまた長期的に対応できるからこそ基金というものを積んでおるわけでございます。

 今回は、やはり宇宙開発というものの特性に鑑みまして、やはり長期的に考えていかざるを得ない、そして機動的に対応できるということが極めて重要だと思っております。むしろ、私としては、機動的に対応できるという点に重点を置いて、今回お願いをしておるものだと考えております。

本庄委員 見解の不一致なのかもしれませんが、機動的なものが基金なのか、あるいは補正予算なのか、ここはなお議論が私は必要だと思います。

 次に行きます。半導体なんですが、中身は基金の問題です。基金のでたらめについて、もう一つ。

 今回の補正予算でも、今後のAI、半導体支援策として、AI・半導体産業基盤強化フレーム、これは一・五兆計上となっていますが、このうち一・三兆は、この下段ですね、経済産業省関連の幾つかの基金などから、国庫納付金、ここから一・三兆回す、財源確保する、こういうふうになっています。

 この一・三兆の内訳は、コロナ禍で、信用保証、あるいは融資、あるいは給付金、あるいはマスクの生産などのために巨額の赤字国債も発行しつつ積み上げてきた基金の残りも含まれているんですね。

 これが余ったからといって、そっくりそのまま経済産業省の半導体支援の予算になるということでは、これはもう流用以外の何物でもないと思うんですね。総理、いかがですか。

武藤国務大臣 基金の流用について御質問をいただきました。

 予算措置に基づき基金等に繰り入れた資金について、当該基金の目的以外の事業にそのまま活用するのは、もう委員よく御承知のとおりだと思います。

 今、一・三兆円の話がございました。産業競争力の強化、また、それに向けた経済基盤の維持を目的として予算措置を行ってきたものであり、これらの執行残を一度国庫へ返納した上、AI、半導体分野への支援に活用することとしておりまして、これは流用には当たらないというふうに認識しております。

石破内閣総理大臣 これは言葉の使い方の問題でございます。今経産大臣からお答えしましたように、一度国庫に返納しているという形でございます。ですから、それをそのまま流用したということには全く当たらないということでございまして、一般会計の税外収入として計上いたしました上で、AI、半導体支援の財源に充てるものでございます。

 ですから、一回返しておりますので、流用という形には当たらないと考えております。

本庄委員 それは詭弁で、じゃ、流用じゃなかったら、トンネルと言いましょうか。

 これは財務省が作っているんですよ、こうやって、AI、半導体産業基盤強化のための内訳の基金、経済産業省分、一兆三千五十四億。これこそまさに積み上げですよ、総理、総理の言う。一回一般会計に入れているから流用じゃないというのは詭弁です。お金に色はついていません。

 そして、今経産大臣がおっしゃったけれども、産業競争力の強化、経済基盤維持、それはそうでしょう、お題目は。でも、コロナだからつけた予算ですよ、特別な状況だから。その残り金で半導体をやるんですか。余りにもこそくだと私は思います。基金のロンダリングですよ。やめた方がいいと思います。総理、いかがですか。

石破内閣総理大臣 繰り返しのお答えになって恐縮でございますが、これを流用ということは当たらないし、トンネルということも、ロンダリングということも当たらない。一度返した上で、本当にそれが必要であるかどうかという議論の上でこれをやっておるところでございます。

本庄委員 平行線だと思います。私は、これは明確なトンネルだと、この財務省の資料が物語っていると思います。

 最後に一問だけ。自公国三党合意と今後の財政運営について、総理に伺います。

 昨日、三党で政策合意されまして、百三万円の壁を、百七十八万円を目指す、あるいは、ガソリンの暫定税率を廃止するということになりました。国民民主党さんの御努力は評価されるものだと思いますが、与野党逆転、少数与党となったことの成果だというふうに私は思います。

 一方で、これによって税収が大きく減るということが間違いないと思うんですね。地方を含め、財源の確保、これは非常に課題ですよ。一方で、来年度のプライマリーバランス黒字化目標、これは絶望的な状況になっていると思います。

 総理に伺いますが、今後どのように、この三党合意に基づく歳入の減、これを確保をしつつ、財政健全化目標を達成するというふうに考えておられるんでしょうか。基本的な考え方を教えてください。

安住委員長 時間が参っておりますので、最後に、手短に。

石破内閣総理大臣 私どもとして、財政の健全性というもの、そしてまたプライマリーバランスの重要性ということはよく認識をいたしております。ですので、国民からいただいております税金の使い道として、これが本当に正しいかどうかという検証を常に行いながら、財政の健全性というものの重要性は決して忘れてはならないと思っております。いろいろな工夫が必要でございますので、更なる御議論を賜りたいと存じます。

安住委員長 終わりにしてください。

本庄委員 はい。

 ますますこういう補正予算は認められないと思います。

 以上です。

安住委員長 これにて城井君、本庄君の質疑は終了いたしました。

 次に、東徹君。

東(徹)委員 日本維新の会の東徹でございます。

 まずは、企業、業界団体の献金のことについて石破総理に質問させていただきたいと思います。

 日本維新の会は、企業だとか業界団体からの献金、これは、日本維新の会ができた設立当初から我々は禁止をしてきました。受け取らないということを党で決めてきたわけであります。

 私は、昨年からの裏金問題、不記載問題というのか、あの問題、パーティー券で、パーティーを売って、そして、もらったお金、これを記載しなかったということですけれども、あのお金は、恐らく多くが企業であったりとか業界団体であったりとか、そういったところにパーティー券を売っていたというふうに思うわけですね。

 自民党だけではなくて、あの裏金問題は、日本の政治全体が信頼を失ったという大変大きな問題だったというふうに、私はそう思っています。だからこそ、企業とか業界団体からの献金も禁止すべきだというふうに思っているわけです。いかがですか。

石破内閣総理大臣 限られた時間ですから、るる申し上げることはいたしません。

 要は、そういうものがどれだけ公開をされ、そしてまた、主権者であるところの有権者の御判断に供するだけの透明性を持っているかということだと思っております。ですので、るる、この議論の中で、政治資金規正法一条、二条の趣旨、あるいは八幡製鉄事件の判決等々を御説明をいたしてまいりました。

 基本的に、それをいただいているからといって政策がゆがめられることは決してあってはならないし、そのことについての判断をいかに主権者が正確に行えるようなインフラを整えるかということが重要だと考えております。

東(徹)委員 私は、本当に、日本の政治の信頼を損ねた反省が自民党にはないんだというふうに思いますね。

 私は、今の日本の政治が変わらないと日本の政治はよくならないと思っています。日本の政治というのは、自民党政治が変わらない限り日本の政治はよくならないというふうに思っています。

 それはどういうことかというと、もちろん今回の裏金問題もそうですけれども、自民党はずっと企業とか業界団体からのお金をもらってきた、献金を受け取ってきた。そしてもう一つは、その業界団体からの要望、これは大体、予算とか税制とか、こういった時期になると、自民党は多くの業界団体から要望が来ているじゃないですか。そういったところに補助金が出ていたりとか、そしてまた税制が要望どおりになっていたりとかするわけじゃないですか。そういったときに、業界団体からお金をもらっていると、これは、見たときに、やはり何かおかしいんじゃないかというふうに思われてしまうわけですよ。

 だからこそ、こういった業界団体からの献金の禁止、これはやるべきだし、自民党はもうこういったものは受け取らないというふうに決めたらどうですか。

石破内閣総理大臣 ということになりますと、個人のお金、資産家、そういう方々、あるいは、もう名前が十分知れ渡っておって、そういう周知にお金がかからない人、そういう人しか議員になれない、民主主義の支え手になれないというのは、それはおかしくないだろうか。あるいは、公費というものに過度に頼る政党運営というのは、民主主義の在り方としていかがなものであろうかということでございます。

 私どもが考えていかねばならないのは、今委員が御指摘になりましたように、多くの献金を受けている、パーティー券を買ってもらっている、だからといって、政策をゆがめたことは私どもはございません。だから、それがどうであるかということは有権者の御判断に供するものでございまして、有権者が御判断いただける、そういうような仕組みというもの、そういうものを更に整えてまいりたいと思っております。

 自民党が続けることがいいかどうかということを判断されるのは有権者でございますので、私どもとして、その御判断に十分足るような、そういうインフラを今後更に整備をしてまいりたいと考えております。

東(徹)委員 この間、選挙が十月にありましたけれども、有権者の皆さんは政治に白けてしまっていますよ。投票へ行かない人も多い。我々の意見も聞かない人も多い。だんだんだんだんと政治に対してやはり白けてきている、そういった人たちが増えてきているのも事実です。

 そして、今、お金のある人しかなれないと言いましたけれども、じゃ、だからこそ、今回も、政党交付金制度というのができて、三百十五億円というお金が各党に割り振られているわけじゃないですか。こういったこともできているわけですから。そして、我々は、別にお金のある人ばかりが出ているわけじゃないですよ、維新の会は。だから、こうやって実際にやっているわけですから、維新の会は。企業・団体献金を受け取らずにできますよ。是非やるべきだということを申し上げておきたいと思います。

 そして、維新の会は、今回の補正予算の組替え動議、これを出させていただきました。九・六兆円ということで、能登復興予算の拡充。それから、日本維新の会は次世代のための政治を行っていく、そういう政党ですから、高校までの授業料の無償化であったりとか、現役世代の社会保険料の減免であったり、社会保障の壁の突破のための給付とか、エネルギー価格高騰対策とか、子育て世帯への支援とか、九項目、こうやって出させていただいております。

 我々は、こうやって、今回、補正予算の組替え動議を出させていただいたわけです。その中で、高校の教育の無償化、これは是非やるべきだということを言わせていただいております。

 高校の授業料無償化、なぜ必要なのか。これは石破総理もよくお分かりだと思いますけれども、内閣府の調査があります。これは内閣府の調査で、理想の子供の数を持たない理由、その中で、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからというところが多いわけじゃないですか。だから、結婚して子供ができてもお金がかからないんだ、そういう社会をつくっていかないと、皆が安心して子供を育てることがなかなかできない。教育にお金がかかる、教育にお金がかかる、そういったところにしっかりと手当てをしていくということが大事だということで、我々は教育の無償化にこだわっているわけです。

 是非、石破総理、今、日本は、国難の中の国難がどんどんと深刻化していっているわけですよ。二〇二四年の出生数は七十万人を切っているわけです。これはスピードもどんどん速いわけです。何とか早くこれを止めていかないといけないわけですから、是非、教育の無償化、実現すべきだと思いますし、高等学校の教育の無償化、まずは実現すべきと思いますが、いかがですか。

石破内閣総理大臣 それは先般、前原委員とも随分議論をさせていただきました。私どもは、そのことに意味がないなぞと全く思っておりません。

 九九%が今高校に進学しているという実態をどう考えるか、そして、高校において学んだことが本当に社会にどう生きていくかということ、そして、今委員が御指摘になりました、少子化というものにこの負担というものがどれだけの影響を与えているかということ。そのことを我が自民党の中でもこれからよく議論をしてまいりたいと思っております。

 ここにおいてそのとおりだと言うことを私はいたしませんが、今委員の御提起されました問題というのは、私どもとしてもよく考えてまいります。

東(徹)委員 そうしたら、これから、この間、前原共同代表の方から質問させていただきました、協議をしていきましょうというふうな話です。そして、維新の会と与党自民党と、こういった教育の無償化の実現に向けて協議会を開催して、その議論を進めていくということでよろしいんですね。

石破内閣総理大臣 それは、今後、我が党の中で議論をさせていただきます。この問題について多くの党と議論していくということは極めて大事なことだと思っておりますが、その議論の形態について、今、私、ここで総裁としてお答えをすることは差し控えさせていただきます。

東(徹)委員 石破総理の先日の前原共同代表への答弁を受けて、協議会が進んでいくということを聞いておりますので、是非、それは、党の総裁としてもしっかりと後押しをしていっていただきたいというふうに思いますので、是非、その点につきましてはよろしくお願いをいたします。

 そして、石破総理は最初の地方創生担当大臣でしたけれども、十年たってもこの流れが変わっていないということは、そのとおりです。

 我々も、何とかやはり東京一極集中、これを是正していかなくてはならない、そういう思いの中で、これまでも道州制を、我々の、日本維新の会の憲法改正の項目の一つは道州制です。であったりとか、そしてまた、東京が首都であるならば、日本のどこかに、私は大阪もその一つになると思っていますけれども、幾つか副首都をつくっていくとか、そういった法案も、かつて、これまで出させていただきました。やはり、そういったことをしてでも東京一極集中の是正をしていかないと、このままでは、日本はどんどんどんどんと元気がなくなっていくんだというふうに思うわけです。

 是非、石破総理については、東京一極集中の是正に向けてどういうふうにやっていくのか。私は、地方創生担当大臣でありながら、経験した石破総理が、御地元鳥取県、いまだに日本全国で最も人口が少ないという県では、これは本当に、石破総理、今まで何をしていたんですかと思うわけですよ。本当に何とかしないといけないと思いますよ。

石破内閣総理大臣 それは、自分に責任がないなぞとは申しません。

 ただ、本県は、出生率が全国第十位である、そしてまた、県外から移住される方の数は全国一であるということでございます。にもかかわらず、委員御指摘のように、何で人口が減るかというと、それは、出生率も高い、そして移住者数も多い、だけれども、どうして出ていく人が多いんだろうかということだと思っております。

 先般もシンポジウムを鳥取でやりましたが、若い方、女性の方、そういう方、十八歳、二十二歳で出ていく方がなぜ多いのか。出生率も上がる、移住者も多い。でも、なぜ出ていくのか。若い方、女性の方に選ばれる地方というのを、うちの県に限りませんが、つくっていかねばならないのだと思っております。

 私自身に責任がないなんぞということを私は全く申しません。ですけれども、何で出ていく人がこんなにいるのだろうかというのは全国共通の課題でございまして、若い方、女性の方に選ばれる地方ということを、地方創生担当大臣を中心に、これから先、全体で議論いたしてまいります。

 いろいろなお知恵をまた大阪からも賜りたいと思っておりますし、一番出ていく人が多いのもまた大阪なわけですよね。大阪からいっぱい、たくさん、何で企業が東京に移っていくんだろうかということは、非常に私自身もきちんと理解をしなければいけないことでございまして、与党、野党と関係なく、何でこんなことが起こるのかということについて、更なる議論を深めてまいりたいと思っております。

東(徹)委員 大阪から企業が出ていったのはかなり過去の話だと思います。過去の話を今出さないでいただきたいと思います。

 是非、今はもう議論している時間はありませんから、石破総理もずっと考えてきたはずですから、早く行動していただきたいと思いますので、そのことをお願いして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

安住委員長 これにて東君の質疑は終了いたしました。

 次に、浅野哲君。

浅野委員 おはようございます。国民民主党の浅野哲でございます。

 今日は十分間ということで、端的に総理に質問させていただきたいと思います。

 先ほども触れられておりましたが、昨日、自民党、公明党、国民民主党の幹事長が会談をし、いわゆる百三万円の壁の引上げ、そしてガソリンの暫定税率の廃止について合意に至りました。これは、言うまでもなく、各党の幹事長、責任ある立場の三者が合意に至ったということで、石破総理御自身もその内容については既に報告を受け、内容を承知しているというふうに思っておりますが、改めて、この合意内容について総理の口から確認をさせていただきたいということで、質疑をさせていただきます。

 昨日合意に至った項目は、大きく二点ございました。いわゆる百三万円の壁は、国民民主党の主張する百七十八万円を目指して、来年から引き上げる、そして、いわゆるガソリンの暫定税率は廃止する、上記の各項目の具体的な実施方法等については、引き続き関係者間で誠実に協議を進める、こういった合意内容だったわけであります。

 石破総理、まず端的にお伺いします。

 昨日の三党合意に基づいて、政府の責任者たる石破総理におかれましても、この百三万円の壁の来年からの引上げ、そしてガソリンの暫定税率の廃止、これについて実現する、実行する、そういう御意思をお持ちかどうか、答弁を伺いたいと思います。

石破内閣総理大臣 この合意というものの持つ意味は非常に大きいと思っております。

 今後、三党の税調会長間で更に議論が進められていくものと承知をいたしておりますが、この合意というものをよく踏まえました上で、政府として誠実に対応いたしてまいります。

浅野委員 もう少し具体的にお伺いしたいと思います。

 これは、来年からの百三万円の壁の引上げというものが合意されたわけです。来年から引き上げるというためには、今月中に策定をする税制改正大綱の中に盛り込まなくてはなりません。先日の質疑の中で、総理は、今月の中旬頃までには決めないといけない、明らかにそうおっしゃっておりましたが、そのためには、今日は十二日ですので、残された日取りはそう多くないと思います。

 是非ここは、総理、自民党総裁としても、来年からの年収の壁の引上げに向けて、これまで以上のスピード感で協議を行い、そして結果を出すように、党内に対して指示を出していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 我が党として、この合意を踏まえて誠実に対応いたしてまいります。十二日であることはよく承知をいたしております。

浅野委員 余り明確な答弁ではなかったと思いますが、総理から指示を出していただきたい、確実にやはり話をまとめるように指示を出していただきたい、あるいは、総裁としての責任の下に、この話を最後まで、結論が出るまでしっかり監督をしていただきたい、そのように考えているわけであります。

 党として誠実に対応するというのはもう確認ができておりますので、総裁たる総理御自身のその思いについて、もう一度御答弁をお願いします。

石破内閣総理大臣 党としてそのように対応するように、それは幹事長、あるいは政調会長、税調会長とも認識を共有しておるところでございます。

浅野委員 もう一つ。今後、我々国民民主党としても、しっかりこの合意、これはある種、我々自身も約束をしたことでありますし、先般の総選挙で、多くの有権者の方々にこの年収の壁の引上げを公約としてお約束をした立場でもあります。我々自身も、自民党の皆様、そして公明党の皆様に対して誠実に対応していく責任があると思っておりますが、そのためには、やはり十分な検討をするために必要な情報、これを我々としても手にして、皆様と真摯な協議をしていきたいと思っております。

 そのためにも、財務省、総務省、その他関係省庁の方々もいらっしゃると思いますけれども、こうした省庁に対して、惜しみのない情報提供、また、先日出していただいた財源の見積り、大変粗っぽいというふうな評価がされておりますけれども、ああいった資料については是非スピード感を持って出すように総理からも指示をしていただきたいと思っておるんですが、是非御答弁をお願いいたします。

石破内閣総理大臣 合意を実効あらしむるために必要な情報を提供する等のサポートは、政府として最大限行ってまいります。

浅野委員 では、是非、今確認させていただきました内容を踏まえて、これは、国民の皆様の暮らしのため、そして、今、物価高や様々生活で御苦労をされている方々が希望を持って明日を迎えられる、そんな社会の環境をつくるためにも絶対に成果を出さなければいけない、結論を出さなければいけないと思っておりますので、我々自身もその覚悟を持って臨んでいきたいと思います。

 残りの時間で、少し別の、年少扶養控除についてお伺いをしたいと思います。

 まず、先日の本会議の代表質問でも私は取り上げさせていただきましたが、やはり現状の、年少扶養控除がないということ。成人や高齢者の方々には、様々な人的控除があります。また、第三号被保険者制度を始め、公的なお金、現金給付をする仕組みもございます。ただ、子供に対しては児童手当、控除はないということです。

 この控除がないということの法的根拠について、いま一度確認をさせていただきたいと思います。

加藤国務大臣 法的根拠というか、今はそうした形になっていないという経緯だということだと思いますけれども。

 十六歳未満を対象としたいわゆる年少扶養控除については、所得控除から手当へという考え方の中で、子ども手当の創設、これは、今現在、児童手当になっていますが、それに伴い、平成二十二年度税制改正において廃止されたというところであります。

 こうした措置の背景としては、税制上の措置は課税最低限以下の所得の世帯には効果がないということ、また、所得控除方式は世帯の所得水準により負担軽減額が異なる、こういった課題があることを踏まえ、低所得世帯に対して相対的に手厚い支援となる手当に切り替えるのが望ましい、こういった考え方に基づいて改正されたものと認識をしております。

浅野委員 当時、控除から手当へということで、年少扶養控除から児童手当へという流れだったということなんですが、ただ、今、先ほど申し上げたとおり、成人の方、高齢者の方々は控除も手当もあるという状況なので、手当というよりも、第三号被保険者制度や国民年金制度に対する公金の支援という形での実質的な現金補填があるわけであります。

 ですから、今これだけ超少子高齢化、今年は出生数が七十万人を切るとも言われております。これだけ少子化が社会の課題になる中で、控除から手当へではなく、控除も手当もという考え方に是非政府には考えを改めていただきたいと思っております。

 残りの時間は僅かとなってまいりましたけれども、総理に改めてお伺いします。

 我々国民民主党がこれまでも累次にわたってお願いをしてまいりましたこの年少扶養控除の再導入は、やはり消費行動が最も活発な子育て世帯、子育て世代の方々の手元にお金を残してあげる、そういった配慮を政府がすることで、子育てに対して不安を持たずに、そして消費を活発、活性化させる、そんな糸口にもなると思っておりますが、年少扶養控除の再導入に向けた総理のお考えを改めてお伺いします。

安住委員長 石破内閣総理大臣、時間が参っておりますので、手短に。

石破内閣総理大臣 経緯につきましては、今財務大臣から御説明をしたとおりでございます。

 何が一番効果的なのかということについて、引き続き三党でよく議論をお願いしたいと思っておるところでございますし、もちろん、広く各党の御意見を承りながらやってまいりたいと考えております。

浅野委員 終わります。

安住委員長 これにて浅野君の質疑は終了いたしました。

 次に、福重隆浩君。

福重委員 公明党の福重隆浩でございます。

 通告に従いまして順次質問をさせていただきますが、トップバッターの小林議員の質疑と重複する部分がありますが、大事な視点でございますので、私の方からも政府の方々に質問をさせていただきたいと思っておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 まず、宇宙戦略基金についてお伺いをいたします。

 昨日、立憲民主党さんは、令和六年度補正予算に対する修正案を提出されました。その中では、基金への支出のうち、緊要性の観点から積み過ぎと考えられる支出、約一兆三千六百億円程度を削減とあり、宇宙戦略基金のうち、経産省部分については一千億円が積み過ぎであるのでという御意見でございました。

 近年、宇宙開発は、人工衛星開発を手がける各国に比べ、日本は周回遅れと言われている厳しい現実があり、世界の宇宙ビジネスの市場規模について見てみると、現在、日本が約一兆二千億であるのに対して、世界では約五十四兆円と大きな開きがあります。そして、二〇三〇年には七十六兆円、二〇四〇年には百五十兆円にまで市場は拡大すると予測されています。

 地球観測データを利活用したビジネスの確立に取り組む民間会社は、衛星データは、その他のデータやAIなどの技術と組み合わせることで、車の自動運転や社会インフラの管理、小売業の需要予測など、幅広く適用できますと述べております。

 個人的には、宇宙産業は、全ての産業の基盤にもなり得る可能性を秘めていると私は思っています。従来の宇宙産業は政府主導が基本でしたが、米国のNASAがISS、国際宇宙ステーションへの物流やクルー運送を民間企業に委託したことを契機に、近年では民間主導の宇宙開発が先行しております。これは、NASAがスタートアップ企業を育成していることが大きな力になっていると思います。

 日本でも、政府が宇宙産業を経済活性化に資するものと捉えて、起業、開発などに対する積極的な補助を行う必要があると思っております。日本の基幹ロケットや民間ロケットが国際市場で戦えるのかどうか、また、我が国の宇宙活動の自立性を維持し、強化し、世界をリードするのかどうかの正念場であると思いますが、政府の御見解をお伺いいたします。

武藤国務大臣 福重委員からの御質問に、私は、産業育成という立場からお答えをさせていただきます。

 足下、今先生がおっしゃられたように、各国で宇宙開発の担い手が官中心から民間主導へという形で、今ゲームチェンジのタイミングということで承知をしております。例えば、本年十月には、スペースX社が過去に類を見ない規模のロケットの実証試験を成功させております。

 また、我が国でも、こうした分野にスタートアップを含めた民間企業が参入をしている。現状、政府の支援がなければ、民間のみで投資が進む状況にはないのは先生がおっしゃられるとおりでございます。このため、政府からの支援のタイミングが遅れれば、民間の開発投資も遅れることになる。そうなれば、大規模な取組を進める米国に依存し続ける状況が続き、ロケットの打ち上げ費用が海外に流出し続けることになります。

 ロケットの競争力は、それなしでは宇宙に届けることができない衛星の競争力にも直結をしており、安全保障上不可欠なインフラの構築にも影響が出ます。今後とも、政府の支援措置により民間企業から投資を引き出すことでこの正念場を乗り切って、宇宙産業の国際競争力を高めていく必要があります。

 こうした背景から、補正予算案に宇宙戦略基金への積み増しを経産省でも行っているところです。

 以上です。

福重委員 国際競争で日本が勝ち抜いていくためには、民間の大胆な投資をつなげていくことが何よりも重要だというふうに思っております。昨年度の補正では千二百六十億円の基金が積まれており、順次公募などが進められていると思いますが、こうした取組を進めていく上での大臣の意気込みをお聞かせください。

武藤国務大臣 宇宙戦略基金の千二百六十億円が経産省の分です。ここは全てのテーマで公募が終了しておりますし、審査を終えて採択結果の公表まで至ったものは既に八〇%を超えた状況であります。

 また、その中で、商業衛星コンステレーション構築加速化事業は、総額九百五十億円のテーマでありますけれども、採択した四社の企業のうち三社がスタートアップであります。いずれの企業も、この補正予算をきっかけに、世界で戦っていくための大胆な投資決定になると思います。

 残りのテーマも審査を進めているところでありまして、年度内には全ての案件で採択が行われる見込みであります。

 私としても、国際競争が激しさを増す中で、機を逃さず、民間の大胆な投資を引き出すことで宇宙産業の更なる発展に、成長につなげていきたいと思っております。

 よろしくお願いいたします。

福重委員 大臣の力強い御答弁をありがとうございました。

 宇宙開発には無限の可能性があると思っております。今年の二月十七日ですか、H3ロケットの第二号機が成功をいたしました。二〇三〇年代前半には年間三十基を上げるというような目標もありますし、私の地元は群馬県なんですけれども、IHIエアロスペースさんでは、過去に「はやぶさ」の奇跡というものを起こされて、国民に大きな希望と夢を与えました。私は、これは大きな産業になり得ると確信をしておりますので、是非官民が協力して、世界の潮流に乗り遅れないように頑張っていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 次の質問に入ります。

 同じく経産省が所管する特定半導体基金についてお伺いをいたします。

 私は、大学を卒業した二十二歳から十八年間、電子部品を製造、販売する会社で営業として働いてまいりました。その経験からすると、まさに今の日本の半導体産業の凋落ぶりを見るにつけ、大変じくじたるものを禁じ得ません。

 今回の立憲民主党の案では、令和六年度末時点で六千億円の残額が見込まれるために、今回の補正予算の積み増しは不要とされています。しかし、事前の説明を伺った折に、この六千億円の残額の大半は、既に国として支援を決定したTSMC二号棟などに対してこれから支出される金額であり、今回しかるべき金額について積み増しを行わなければ、新たな案件に支障が出るのではないかと思っております。

 日本の半導体は、一九九〇年には、日の丸半導体とも言われ、世界シェアの四九%と、約半分を占めておりました。しかし、三十年後の二〇二〇年には僅か六%にまで激減をしております。これと対照的なのがアジア・パシフィック地域です。一九九〇年の僅か四%から、二〇二〇年には三三%へと急激な右肩上がりの成長を続けています。アメリカに至っては、三八%から五五%へと堅実な伸びを示しています。

 DX、デジタル化にはハードウェアとソフトウェアの双方が不可欠であり、半導体はその双方を支える基盤であります。半導体分野に対する大規模な公的支援は過去三年間で約四兆円を数え、実際に地域経済への波及効果が見られております。九州では、中小企業を含めた設備投資の活性化や税収の増加が見込まれ、住民サービスの向上に加えて、賃金が上昇した、地元への就職希望が増えたなど、喜ばしい声が上がっていると報道で承知をしております。

 十二月三日の衆議院本会議で我が党の斉藤代表は、半導体投資への支援を通じて、全国に好事例を横展開することで、持続的な経済成長と地域活性化を後押しすべきと述べられました。

 少子高齢化、人口減少が進む中、半導体産業が地域経済活性化に大きく貢献することは間違いありません。この状況において基金の減額はするべきではないと考えますが、政府の見解をお伺いいたします。

野原政府参考人 お答え申し上げます。

 特定半導体基金につきましては、令和五年度末の基金残高は一兆三千四百九十六億円となっておりまして、これは、これまでに支援を決定しているTSMC二号棟を始めとする六件の支援案件の資金需要を合計しますと、ほぼこの基金残高と見合う規模に達しております。

 それでは、立憲民主党から御指摘いただいているこの六千億円の残額というのは何なのかということなんですけれども、これは、令和五年度末の基金残高一兆三千四百九十六億円から、令和六年度末、すなわち来年三月末までに支出が見込まれる金額の七千四百九十六億円を引いたものということなんですけれども、ここに入っていない、この六千億円に相当する部分というのは、既に支援決定していますTSMCの熊本二号棟、それからキオクシアの四日市や北上の設備投資、これの来年四月以降に精算払いのタイミングが来る分の、支払いを約束している分の金額というものに相当いたします。

 したがって、この分をほかへ回せということになると、TSMCの二号棟は建設がストップいたしますし、キオクシアの投資も、設備投資ができないということになります。したがって……(発言する者あり)

安住委員長 御静粛に。静かに。

野原政府参考人 今回、補正予算でお願いしている新たな予算を積み増さないと、今年度中に見込まれる新たな投資案件に対する支援ができなくなるという関係にあります。

 この新規案件につきましては、事業者から今年の四月以降に具体的に投資の案件の御相談をいただいておりまして、この先端半導体基金の投資でありますと、大体、一棟一兆円以上の大規模な国内投資になりますが、この御相談を具体的にいただいておりまして、相談しているところでございますけれども、来年の第一・四半期までに日本に投資するかどうかを判断したいというふうに言われていまして、補正予算で今回計上していただけませんと、この投資については来年の当初予算でというふうに御指摘をされていますが、それだと、この投資はほぼ確実に投資されないことになるだろうというふうに考えております。

 したがって、補正予算については緊要性があるというふうに判断しております。

 以上です。

福重委員 私は、ここまで落ち込んでしまった要因の一つとして、韓国、台湾、中国といったアジアの諸国がそれぞれの政府による保護を受け、半導体への積極的な投資を行ってきたことにあると思っております。復活の鍵は、AI半導体、パワー半導体、3D半導体の三つの次世代半導体に懸かっていると言われています。是非、今が日本の半導体の復活のラストチャンスという危機感を持って、大競争時代を勝ち抜く取組を期待したいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 次の質問に入ります。

 環境省によりますと、地方創生、経済成長に向けた投資の促進の項目の中で、地域脱炭素推進交付金が三百六十五億円計上されております。

 地方創生には、衣食住等の国民の暮らしに密接に関連する分野の脱炭素化を進めるのはもちろんのこと、地域の脱炭素化による地域課題の解決や国土強靱化、地域の活性化が不可欠であります。

 とりわけ、地域資源を活用しつつ地域と共生する再生可能エネルギーの導入などの脱炭素と地方創生を同時に実現する脱炭素先行地域の創出が極めて重要となります。

 脱炭素先行地域は、先進性、モデル性が評価され、現在八十一の提案まで選定されておりますが、地域資源を最大限活用し、地域経済、地域雇用の創出、拡大など、地方創生に資する取組への支援を一層強力に進めるべきと考えておりますが、政府の御見解をお伺いいたします。

浅尾国務大臣 福重委員におかれましては、日頃から地域の脱炭素に対して大変な御協力をいただいておりまして、心から感謝を申し上げます。

 今御指摘にありました地域特性に応じた地域脱炭素の取組は、再エネを活用した産業振興や、非常時のエネルギー源確保による防災力強化等、様々な地域課題の解決にも貢献し、地方創生に資するものであります。

 環境省では、脱炭素と地域課題解決を同時に実現していくための全国モデルとなる脱炭素先行地域を二〇二五年までに少なくとも百か所選定し、二〇三〇年度までに実施する目標を掲げており、この目標を実現すべく、引き続き全力で取り組んでまいります。

 脱炭素先行地域においては、既に選定された事例として、先ほど話がありました熊本県で、RE一〇〇を標榜いたしますTSMCの進出に合わせて再エネ導入を進め、脱炭素を推進する企業の誘致を加速化し、併せて地域経済の活性化を目指すモデルや、北海道上士幌町で、処理が課題となっている畜産ふん尿を活用したバイオガス発電等を進め、町全体の業務、家庭部門の電力の脱炭素化を目指すものなど、それぞれの地域特性に応じて様々な工夫を凝らした好事例が生まれております。

安住委員長 手短に。

浅尾国務大臣 はい。

 こうした脱炭素先行地域を更に進めていきながら、脱炭素先行地域の知見を横展開して地方創生に努めてまいりたいと思いますので、是非御協力をよろしくお願いいたします。

安住委員長 時間が参っております。

福重委員 これで質問を終わります。地方創生、頑張っていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

安住委員長 これにて福重君の質疑は終了いたしました。

 次に、櫛渕万里さん。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里でございます。

 政府案については、今の物価高、そして三十年の不況に苦しむ国民に寄り添わず、話になりませんので、今日は質問いたしません。

 立憲民主党の修正案を中心に、提出者にお伺いいたします。

 立憲案は、政府案十三兆円に対して、規模感ありきでは駄目と、半分ぐらいの七兆円規模からスタート。最終的に、たった一千億円の被災者支援を与党がのんだからと、一分も質疑しないのに、昨日突然、採決に応じると伝えられました。どこが熟議の国会なんでしょうか。

 もう能登の地震から一年になろうとしています。阪神・淡路大震災では、一年に三回の補正予算が組まれ、三兆円を超える緊急予算が手当てされています。

 重徳提出者にお伺いいたします。

 元々の立憲の要求では、能登の復旧に六千億円で、項目も示されていましたが、なぜ六分の一の規模に縮小、その一千億円の中身は決まっていますか。

重徳委員 お答えいたします。

 私たちが、十一月七日時点で緊急総合対策をお示しをいたしました。その段階で、おおむね六千億円の能登半島復興のための予算、これが必要だということを申し上げてまいりました。

 今回、政府案の中も、これはどう積算するかという見方にも若干よるんでしょうけれども、二千数百億円の能登復興のための予算が盛り込まれているというふうに承知をいたしております。

 こういう状況の中で、私たちは、やはり補正予算の審議時間の制約の中で、これはこれで一刻も遅らせるわけにはまいりません。そして、組替え動議を出すと、再提出、すなわち政府にもう一回出直してこいというようなことを求めるという形になってしまいますので、様々な制約の中で、精緻な修正案を作成をいたしまして、一千億円という的を絞った案を作成したものでございます。

櫛渕委員 立憲さんは、昨年は組替え動議六・七兆円を提出されているんですよ。やればできるんじゃありませんか。

 その一千億円は、元々の予備費の残りを加えただけじゃないですか。今年度の予算全体が増えているわけではありませんよね。内容も審議の時間も、能登半島最優先と先ほど立憲の議員の方がおっしゃっていましたけれども、規模は小さ過ぎる、審議も全く不十分、残念過ぎます。

 れいわ新選組は、能登の地震と豪雨の二重災害で放置されてきた被災者の生活再建支援に対して二・三兆円、これまでの予備費支出約七千億円と合わせて、同じ三兆円規模を積んでいます。

 最も心配なのは積雪対策です。元々、政府案も立憲案もそこは全く不十分でした。人々が冬が越せるよう、暖房器具はもちろんのこと、除雪車が通れるよう、土砂撤去や流木の除去など、とにかく急いでいただきたい。

 総理には、先日、我が党の山本太郎代表が強く求めさせていただきましたように、自衛隊をすぐに派遣して、一気に土砂災害を、進めていただくよう私からもお願い申し上げます。

 次に、立憲案では、今回の政府案で問題のある支出がそのまま残っている、ここも大きな問題です。

 例えばマイナ保険証。利用促進三百五十三億円に加えて、救急業務への拡大に二十・六億円。マイナ保険証だけでは問題ありと質疑しながら、政府と手を組んで進めていくのですか。

 また、辺野古の基地など、米軍再編の費用として三千三百七億円が計上されています。政府と一緒にサンゴ礁の埋立てをするんですか。

 無駄の象徴、大阪万博にも五百五十一億円など、多額の計上がされていますが、修正案はこれもスルー。

 次世代原子炉や新試験研究炉に二百四十一億円を計上していますが、見て見ぬふりでしょうか。選挙の公約で新増設は認めないとあったはずなのに、政府と同じく原発推進にかじを切るんですね。

 重徳提出者にお伺いします。こうした支出をなぜ修正で削除しなかったんでしょうか。

安住委員長 重徳修正案提出者、時間が間もなくですから、手短に。

重徳委員 櫛渕委員のおっしゃる様々な政策テーマ、私たちも十分認識をいたしております。残念ながら、補正予算という、緊要性を含めた、必要性を含めた制約の中での修正案の中では、全てこれは実現しようと思ってもできない部分がどうしてもございます。

 これから恒久的な制度、あるいは法案を、是非、共に一緒になって国会に提出をして、これを実現していく、こういう作業も、今回のこの臨時国会、補正予算で全て終わりではありませんから。そういったことも、一致できることを見出して、同じ野党でありますので、この自公過半数割れという状況、衆議院において野党が一致をすれば様々なことが実現できる、そんな国会に、有権者の皆様方の……(発言する者あり)

安住委員長 御静粛に。

重徳委員 お力でいただいたと思っております。そういったことをこれからも共に取り組んでまいりましょう。

安住委員長 櫛渕さん、時間です。

櫛渕委員 まとめます。

 是非、基金を削ったように、減額修正、幾らでもできる。先ほど階議員もおっしゃっておりましたので、そこを御指摘させていただきました。

 また、今、重徳議員に言っていただきましたように……

安住委員長 時間が参っています。

櫛渕委員 消費税減税法案とインボイス廃止、是非一緒にやっていきたいと思いますので、取組をお願いいたします。

 終わります。

安住委員長 これにて櫛渕さんの質疑は終了いたしました。

 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 オスプレイの飛行停止問題について質問します。

 十一月二十日、米西部ニューメキシコ州の空軍基地で訓練中のオスプレイの事故が発生し、それを受けて米軍はオスプレイ全機の飛行を停止したことが、今月九日、明らかになりました。陸上自衛隊も十日、保有するオスプレイの飛行を一時停止すると発表しました。

 総理に伺います。

 今回の飛行停止の措置は、オスプレイの開発を担当する米海軍航空システム司令部が六日に行った勧告を受けてのものです。米軍は、今回の措置を日本政府にいつ伝達してきたのでしょうか。

石破内閣総理大臣 いつ情報を受けたかということでございます。

 これは詳細は申し上げることはできませんが、日米間で様々なやり取りを平素から行っておるところでございます。十二月十日に日米の防衛大臣会談もございました。あらゆるレベルで常に情報交換は適切に行っているものと承知をいたしております。

田村(貴)委員 はっきりお答えになりません。

 米海軍航空システム司令部が飛行停止の勧告を行ったのは六日です。陸上自衛隊オスプレイの飛行を一時停止したのは十日じゃありませんか。

 石破総理は、今国会でも、安全確保が最優先と述べておられますが、それならば、米軍の勧告が伝達された時点でなぜ直ちに飛行を停止しなかったんですか。いかがですか。

石破内閣総理大臣 オスプレイに限らず、あらゆる装備の運用には、安全を最優先して行っておるところでございます。その時点で入っております情報を必要に応じて精査をして、安全確保に万全を期しておるところでございます。

田村(貴)委員 いつ伝達があったのかについてお答えにならなかった。どのような伝達があったんでしょうか。いかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 平素からあらゆるレベルで情報交換をいたしておるところでございます。

田村(貴)委員 いつ、どんな伝達があったのか、全く分からない。そして、オスプレイは事故、墜落を起こし続けている。不安は広がるばかりですよ。日米でオスプレイの停止に時差があるのは気になると、佐賀県の山口県知事からも声が出ているじゃありませんか。

 陸上自衛隊のオスプレイも飛行停止を繰り返しています。今年十月に沖縄県与那国駐屯地で発生した機体損傷事故でも全機飛行を停止し、先月十五日に飛行を再開したばかりであります。

 石破総理は、四日の参議院本会議で、我が党の小池書記局長の質問に対して、オスプレイの安全性は確認していると、ここでも強調されています。しかし、今回の米軍の飛行停止はその二日後に行われているんですよね。

 米空軍特殊作戦司令部の声明によれば、ニューメキシコ州での事故調査の初期情報では機械的な故障が発生したとされて、AP通信によれば、昨年十一月に搭乗員八名が死亡した屋久島沖での墜落事故と同じ不具合を示す警告が出たと報じられています。その屋久島沖の墜落事故に関する米軍の調査報告書では、事故原因について、正確な根本原因を特定することができないとされたのです。

 石破総理は安全性は確認されていると言われますけれども、根本的な事故原因が特定されないまま、オスプレイの飛行を容認してきたのではありませんか。容認するんですか。

    〔委員長退席、奥野委員長代理着席〕

石破内閣総理大臣 安全最優先であることには何ら変わりはございません。

 オスプレイの運用につきましては、アメリカに現在、詳細を確認をいたしておるところでございます。

 飛行の安全優先、国民の皆様方の安全確保というものが最優先であるということは、私自身よく承知をいたしております。そしてまた、それを運用する自衛官が、そのことに対しまして、防衛大臣をトップといたしまして、防衛省全体として、自衛隊のいろいろな装備品の運用につきましては常に万全を期しておるところでございますが、今後更に努力をいたしてまいります。

田村(貴)委員 幾ら安全性を確認するといっても、事故、墜落が起こり続けているではありませんか。

 私たちは、屋久島の墜落事故を受けて、オスプレイ全機の運用停止、そして全機の撤去、このことを強く求めてまいりました。しかし、政府の取った対策というのは、緊急時の搭乗員の手順の更新などにとどまっています。

 アメリカによれば、これまでオスプレイの事故で死亡した人数は六十四名です。そして、負傷者は九十三名です。オスプレイが運用不能の欠陥機であることは間違いないじゃありませんか。それを使い続けるのは大問題です。

 にもかかわらず、政府は、オスプレイ十七機の移駐に伴う佐賀駐屯地の開設に、補正予算で三百八十億円も計上していますよね。こんなことは断じて認められません。近隣住民には不安の声が広がり、そして、配備に反対する佐賀空港の地権者は工事差止め訴訟も起こしています。

    〔奥野委員長代理退席、委員長着席〕

安住委員長 田村さん、時間が参っております。

田村(貴)委員 国民の命と安全を守るため、オスプレイ全機の飛行停止、全面撤去を強く求めて、質問を終わります。

安住委員長 これにて田村君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

安住委員長 これより締めくくり質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。西田昭二君。

西田(昭)委員 自由民主党、能登半島出身、西田昭二でございます。

 予算委員会での本当に貴重な時間を賜り、心より感謝を申し上げるところでございます。

 また、安住委員長を始め会派代表の皆様方におかれましては、先月、能登半島、被災地を視察をしていただきました。そしてまた、厳しい状況、そしてまた多くの皆様方の御意見を聞いていただき、早速、今委員会で皆様方の能登地震に対する様々な質疑をいただいたわけでございます。私も被災者の一人として、心から感謝を申し上げるところでございます。

 今年の元旦に発生をいたしました未曽有の能登半島地震、はやもう十一か月余りがたとうとしているところでございます。これまで、国を挙げての全面的な支援、そしてまた全国の皆様方からの様々な温かい御支援、御協力をいただき、能登は復旧復興に向けて歩みを進めていた状況でございました。

 しかしながら、九月の豪雨災害によって、更に甚大な被害が発生をいたしたわけでございます。地震によって辛うじて持ちこたえた家屋、家々が、土砂災害、そしてまた流木などによって流され、押し潰された状況でございました。そしてまた、貴い命も失われました。それはもう癒えることのない、大変苦しい状況で、家族にとっても大変厳しい状況であったかと思っております。

 また、能登はまだまだ厳しい状況にあります。特に、被害が大きかった中山間地域に、本当に甚大な被害が起きたわけでございます。時間雨量百二十ミリを超える、そしてまた一日の総雨量が四百七十ミリであったかと思います。大きな川もない中山間地域の山々のそんな地域に、本当に想像を絶する豪雨災害によって、過去最大級の豪雨災害であったかと思っております。

 地震で被災をした地域にとっては二重三重の複合災害、本当にこれは地獄絵図のような状況であったのではないのかなと思います。地震の復旧で支援をしていただいた商店や飲食店、そしてまた仮設住宅、また農業機械や農業施設も被害を受けたわけでございます。

 輪島市の町野地区においては、大体四百ヘクタールが土砂で埋まってしまいました。ちょうど水稲の刈り入れの時期でもございました。しかしながら、四分の三が土砂に埋まってしまい、刈り取った四分の一も納屋とかで水没した状況でございました。また、百五十ヘクタールは、土砂の撤去に、復旧をするまでに五、六年かかるとも言われている状況でございます。

 また、珠洲の大谷地区においては、ここも地震の被害が大変甚大であったところでございました。この大谷地区の土砂災害によって、集落が土砂で埋まってしまい、二階まで泥や土砂に埋め尽くされている状況でございます。

 本当に、これまで希望を持って大変一生懸命頑張ってこられた被災者の方々の多くが、もう心が折れてしまった、将来を本当に見通せない状況になっております。

 そんな厳しい状況の中で、住まいの再建、一次産業、そしてまた観光の再建であったり、なりわいの再建、石川県や各市町の関係の皆さん方が連携をされながら、創造的復興を目指して、日々、毎日本当に尽力をしていただいているところでございます。

 今回の補正予算の中でも、能登の復旧復興に向けた重要な予算が計上されているわけでございます。二重被害となった被災地の復旧復興、そしてまた、能登の現状を踏まえてどのように復旧復興を進めていくのか、防災担当大臣にその思いをお聞かせいただきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

坂井国務大臣 一月一日の地震及び九月の大雨災害によりましてお亡くなりになられた方々に心から哀悼の意を表するとともに、全ての被災者の方々にお見舞いを申し上げたいと思います。

 大臣就任後、速やかに総理とともに輪島市と珠洲市の被災地にお伺いをいたしまして、二度にわたる大きな災害により大変な不安を感じておられる被災者の方々から様々な切実な思いを直接お聞きするとともに、その被災状況も現場で実際に確認をしてまいりました。

 能登地域が地震と豪雨の二度にわたる災害により被災をした、ある種特別だということを踏まえて、豪雨の被害につきまして、なりわい再建支援補助金による支援の対象への追加、公費解体の対象を半壊以上の建物とするなど、能登半島地震と同水準の措置を速やかに講じることといたしました。

 また、被災地の皆様の声も踏まえて、今回の補正予算では、災害公営住宅の整備について、能登半島における建設費の高騰を鑑み、整備費の補助限度額を引き上げる、地震、豪雨の被害が甚大であった能登地域において雇用調整助成金による支援を更に一年間延長する、豪雨被害に対する農業用機械、先ほど委員も触れておられましたけれども、等への支援について、地震による支援と同様の助成を行うといった施策を講じることといたしております。

 さらに、避難所の生活環境の抜本的な改善を図るために、地方公共団体が行う災害用の資機材を活用する先進的な取組を新地方創生交付金を活用して支援することなどを補正予算にも盛り込んだところでございます。

 特に、被災地ではこれから冬を迎えようとしておりまして、いまだ避難所での生活を余儀なくされている方々を始め、地震やその後の豪雨による度重なる被害を受けた方々が、寒さでありますとか、保健衛生面などに対して不安を抱くことのないよう特に配慮していくことが必要だと認識しておりますので、降雪期を前に、除雪機械を更に増強し、国と県が分担して、市町を結ぶ主要ルートの除雪を強化することともいたしております。

 どのようにこの後進めていくかということでありますが、被災者、そして被災地、この目線に立って、自治体とも連携をしながら政府一体となって取り組んでまいります。

西田(昭)委員 ありがとうございます。本当に、冬を前に様々な課題が山積をしているところでございますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 次に、公費解体について伺いたいと思います。

 被災地の創造的復興を進める上で、公費解体を円滑に進めることは大変重要なことでございます。個人の住宅の公費解体については当初難航しておりました。被災地の風景が変わらないと様々なやゆをされたこともありましたが、現在は計画を上回るペースで進みつつあります。今では、町並みが変わり過ぎた、そんな声も多く聞かれております。

 他方で、和倉温泉などの旅館においては、なかなか大型物件の解体が進んでいない状況であります。能登の重要な産業である観光業の復興のため、被災して解体せざるを得ない宿泊施設の公費解体を進め、再建をすることがとても重要であると思っております。

 この問題について、環境大臣の御所見を伺いたいと思います。

浅尾国務大臣 公費解体について、環境省ではこれまで、公費解体・撤去マニュアルの策定や申請手続等の円滑化、簡素化等を通じて、石川県と連携しながら各市町を最大限支援してまいりました。また、八月には、石川県とともに公費解体加速化プランを公表し、解体工事体制の強化等の取組を進めてまいりました。

 その結果、御指摘のとおり、十一月末時点で解体完了棟数が累計一万一千棟となるなど、年内の中間目標や来年十月の解体完了目標の達成に向けて着実に進捗しております。

 一方、御指摘の和倉温泉は、石川県を代表する温泉地でありますけれども、被災により大きな被害を受け、多くの宿泊施設が休業を余儀なくされた地域と承知しております。こうした地域の復興を進めるためには、石川県が掲げる創造的復興プランを実現するためにも重要であると考えており、同地域の公費解体についても、環境省としてしっかりと支援をしてまいりたいと思います。

 和倉温泉旅館の公費解体の進捗状況については、一部の旅館では既に着工済み、申請済みのものもあり、また、一部の旅館では、七尾市と相談しながら、所有している複数の棟のそれぞれの被害状況を踏まえて、解体するか修繕するかの検討を進めているものであると承知をしております。

 環境省としては、引き続き、石川県や七尾市と緊密に連携し、被災地に寄り添いながら、同地域における公費解体、災害廃棄物処理が円滑かつ早期に進むよう支援を行い、石川県の復興に貢献してまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

西田(昭)委員 ありがとうございます。是非ともよろしくお願いをいたします。

 まだまだ多くの旅館で休業中の中ではあります。一部、営業を再開した旅館もあります。私も、先日、地元の忘年会で初めて参加をさせていただきました。明るいネオンでお出迎えをいただく、夢のような気持ちでもありましたし、本当に胸が熱くなるようでございました。

 国の方としては、雇用調整助成金の延長であったりとか、護岸の復旧とかも、本当に力強く応援をしていただいているところでございます。早期の復旧復興に向けて引き続き力強い御支援を賜りたいと思いますし、総理には、是非ともまた、和倉温泉の現状とかも視察をしていただいて、様々な対策、御支援を賜ればと思っております。

 総理には、就任直後、五日目で能登に入っていただきました。私も御同行させていただきましたし、能登の厳しい状況、現場も拝見をしていただき、亡くなった遺族の方に対しても本当に哀悼の意を示していただいたわけでございます。

 そしてまた、避難所を回っていただいたときにも、もちろん苦しい胸のうちを総理に対してぶつける皆さん方であったり、しかしながら、その声を一人一人お聞きをしながら、本当にこういう苦しいお言葉をしっかりと政治家が受け止めて、しっかりと支えていかなければならない、そんなお言葉を総理は述べておられました。私も、その言葉を聞いて本当に感謝の気持ちでいっぱいでございました。

 間もなく能登半島地震が発災して一年が経過をするわけでございます。二重災害、本当に大きな苦労の中で、政府としても支援を一過性のものではなく、中長期的にしっかりと支援をしていただきたい。絶対にそのことは、ふるさとに住む被災者の方々も大変願っているところでございます。

 能登の復興に向けた総理の決意をここでお聞かせをいただきたいと思います。お願いをいたします。

石破内閣総理大臣 委員におかれましては、お正月の地震発災直後も、私、水産総合調査会長として現地にお邪魔をし、また、先般の豪雨のときにもずっと御案内をいただきました。心から厚く御礼を申し上げる次第でございます。

 とにかく、冬になりますと、日本海側の冬というのは本当にきついです。避難所を回りましたときも、何で自分たちだけがこんな目に遭わねばならぬのだという悲痛なお声を聞いてまいりました。恐らく今年一番つらい思いをなさった方々だと思っております。私どもとして、一番つらい思いをなさった方々に、できる限り、日本として一番の支援をさせていただきたいと思っております。

 量的にも質的にも、そしてまた、できるだけ柔軟に、機動的に、今、防災大臣あるいは環境大臣からもお答え申し上げましたが、しち面倒くさい、しゃくし定規なことは言わずに、量的に質的に、本当に政府は自分たちのことを分かってくれたねというふうに思っていただけるように、また現地のお声を反映しながら、きれいごとを言うつもりはございません、最大限の対応をいたしてまいります。

西田(昭)委員 ありがとうございます。

 これからも能登半島の復旧復興を是非よろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。

安住委員長 これにて西田君の質疑は終了いたしました。

 次に、近藤和也君。

近藤(和)委員 同じく石川県能登半島の近藤和也でございます。

 先ほど質問されました西田昭二さんとは、発災以降、特に石川県内のほかの自民党の議員の方等も含めて、力を合わせて歩んでまいりました。この震災の復旧復興には与党も野党も関係ないということでずっと活動してまいりましたが、その一つの答えが今日のこの後の採決なのかなというふうに思っております。

 私も、議員としての活動は十年以上になりますけれども、大体、災害対策特別委員会ですとか農林水産委員会にほとんど所属をしています。対決する場面が余りないんですけれども、やはり一方で、予算委員会だと対決する場面がかなり多いんですけれども、今回の能登の復旧復興に関しては、融和的な形で建設的に議論を進めていただいております。心から感謝を申し上げます。

 今回の我々から出させていただいた修正案、そして、後ほど自民党さんから修正案を出されると聞いておりますけれども、実質的には二十八年ぶりの修正ということで、しかも、補正予算に関しては初だということでございます。本当に感慨深いものがございます。一九九六年、平成八年です。

 ちなみに、そのとき私はまだ大学生でして、西田昭二さんが瓦力さんの秘書をされているときで、私も大学四年生のときに瓦力さんの事務所に押しかけでずっと通っていました。そのとき以来ということで、瓦力さんも天から喜んでいただいているんだろうなというふうに思います。

 その上で、総理、先ほどの我々の城井委員の方から質問がございました、今回のこの一千億の部分についてどのような形で臨んでいくのかということについての答弁で、資料二の方を御覧いただきたいんですけれども、我々の方から、こちらは、十一月十一日に、立憲民主党として能登の復旧復興のための総合対策というものを出させていただきました、幾つか受け入れていただいたもの、そして三角のもの、まだのものということがございますけれども、今回の一千億を生かしていただきたいという中で、野党の意向も踏まえながら予算の執行に当たっていく、謙虚に、遵守していくというふうに総理はおっしゃっていただきました。

 具体的には、どういったことであれば、よしとゴーサインを出していただけるのか、ざくっとで結構なので、よろしくお願いいたします。

石破内閣総理大臣 ざくっと申し上げますと、要するに、御指摘いただいたこと、私どもとして、修正も踏まえまして政府の予算案を御可決いただきたいと思っております、与党の修正も含めましての話でございますが。

 その中で、御指摘いただきましたそれぞれのことにつきまして、これとこれとこれということは申し上げられませんが、いかにして早くできるかということ、そしてまた、いかにして広範囲にできるかということ、そういう機動性と迅速性、似たような言葉でございますが、その点は遵守をしてまいりたいと思っております。

 また、避難所におられる方々に対して、本当に十分な一つのモデルケースにしたいと思っておりますので、これが新しい日本の避難所の在り方だということを示してまいりたいなと思っておるところでございます。

近藤(和)委員 早くということと、あと広範囲ということもおっしゃっていただきました。

 今日は特には取り上げないですけれども、地域福祉推進支援臨時特例給付金、六市町と別のところで線引きという話がありました。狭い範囲から広範囲ということの趣旨も、是非とものみ込んでいただきたいと思います。

 そして、例えば、この中で十番、災害公営住宅の確保に向けた公共施設の解体に関する自治体への支援、これは自治体さんから直接いただいていまして、災害公営住宅を造る場所がなかなか見つかっていません。仮設住宅でさえも浸水想定区域に造らなければいけないぐらい、今回皆さんは苦労されています。

 その中で、小中学校を統廃合する、もう使われなくなったものがございますが、やはり学校があるところは、基本的には便利なところなんですよね。ただ、こちらを壊して災害公営住宅を造ろうという場合には数億円かかります、やはり学校は堅いですから、しっかりした建物ですから。ただ、こういった公営の施設に関しましては、基礎自治体が負担をするということになります。

 自治体の財政規模は、百億に至っていないところも幾つもございます。それで数億かけて壊して、そして、その上で災害公営住宅を造る。災害公営住宅も、四分の三から八分の七へ国の負担を引き上げてくれということは、これはまだのんでいただいていませんけれども。目的外使用ということであったとしても、災害公営住宅を造るんだということの目的の中で公共の施設を壊すときには、是非とも国が負担をしていただければありがたいなというふうに思います。

 そして、九番のところですけれども、仮設住宅があるところの駐車場は基本的に砂利です。雪国の方は御存じだと思いますが、手押しの除雪車などは飛ばすんですよね、石を飛ばします。とんでもないです、大変です。ここを舗装してくれという要望が、あちこちの仮設住宅からいただいています。そして、自治体さんも、しようがないな、自分たちのところでやらざるを得ないなというところを私も馳知事にお願いをしましたら、結果的に石川県が負担をしてくれることになりました。

 石川県が負担するんだったら、やはり国として、寒冷地の仮設住宅は、今後、この能登の災害以降は、しっかりと駐車場は砂利じゃなくて舗装していくということものみ込んでいただきたいなと思います。

 そしてまた、十一番のところですけれども、今、家を解体するときに、やはり所有権の問題がございます。滅失登記の話も先日させていただきました。そして、私たちの方からも、前の国会で法案を出させていただきました。

 例えば、輪島市などは宣誓書方式を取っています。そして、現状、三万三千件の申請がございますけれども、今、各自治体に細かく確認することは難しいんですけれども、三万三千件の申請と実際の受理には差がございます。あるんです。ある自治体では、二割程度、申請数と受理のところが差があるということで、恐らく数千件単位で、解体に進むことができないというところが存在します。

 そして、そのときに、私は六月ぐらいに環境省から確認したんですが、各自治体に被災者が相談されてきたときに、所有権の確認が難しい、そういったときに司法書士さんに依頼する分を資金を充てるということを説明を聞いていたんですが、どうやら動いていないようです。ここは確認をしていただきたいと思いますし、財政的にしっかりと、かちっと決めたものがないから、もしかして現場が動いていないんじゃないかなということもございますので、このようなことも検討いただければと思います。

 そして、先日、総理とは、公平性ということでの議論をいたしました。実際には過去の災害との公平性があります。そして、一方で、物価高だからこそ公平性を考えて考慮してくださいねということであったり、地域の公平性ということもございます。

 実は、先日は私の思っていた議論とは違う方向に行ったんです。何かといいますと、総理も石川県に十月五日に来ていただいたときに、以前何かの著書でも書かれていたと思いますが、平素の公平性という行政の価値観というものは、この際、劣後することがあり得べしとおっしゃったんですね。

 実は、私もずっとこの公平性という言葉とある意味戦ってきたと思います。過去はこうだったから今できないんだよということなんですけれども、くしくも総理が、公平性は、場合によっては劣後することはあり得べしだということをおっしゃっていただいたのは、大変、ある意味、共通の価値観を持っていただいているんだなというふうに思います。

 そして、その上で、今日は、過去からと比べて、やはり災害対策というのは進化させていかなくてはいけません。一月から振り返ってみても、例えば、みなし仮設に一度入ると仮設住宅に入れなかったんですね、今までは。ただ、今回の能登の地震からは入れるようになりました。これはすばらしい運用の変更だったというふうに思います。

 そしてまた、公費解体をするときに一部公費解体というのはできないということが、ずっと環境省が言っておりましたけれども、各自治体のホームページでもできないと書いてあったんですが、こちらも一部解体ができるようにしていただきました。大変ありがたいというふうに思います。そして、新たな給付金もつくっていただいたんです。

 この公平性というところから、劣後、進化させていかなくてはいけないという部分も含めて、総理の思い、今までは難しかったかもしれないけれども、今後を考えたらやはり進化させていかなきゃいけないよねということ、このことに対しては、総理、いかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 るる御指摘をいただきました。

 仮設住宅の駐車場は確かにそうなんですね。雪かき機だと石が飛びます。危ないです。この舗装は対応可能ということで考えております。

 また、解体申請時に、行政書士さん、何せ書類が膨大、複雑でございますので、言い方は気をつけなきゃいけませんが、この支援を受ける、活用、生かし方ということについてはよく確認をいたして、何せ膨大な事務です、複雑な事務でございますので、行政書士あるいは司法書士の対応が可能かどうか、このことは早急に考えて、西田議員また近藤議員の御意向を踏まえて、被災地の方に喜んでいただけるようにやってまいりたいと思っております。

 この話ばかり引用して恐縮ですが、阪神・淡路のときに後藤田正晴先生がいろいろなことをおっしゃっておられましたが、そのときに、公平性ということを最優先していたら何にもできぬよということを言っておられました。それはどういうことかというと、例えば、被災地に、被災者の方々にパンを配る、だけれども、全員の分がない、全員の分がそろうまで一つも配らないというようなことを言っておってどうするんだ、あるものから配れというふうにおっしゃったというような、そういう記録を読んだことがございます。

 公平性は全部劣後していいとは思いませんが、一人でも多くの方に光明を見出していただく、よかったなと思っていただける、それは価値観として優先されるべきものだと思っております。公平性というものは常に最優先という行政の考え方は、よく災害対応のときには考え直していかねばならない場面もあろうかと存じます。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 実は、越冬対策の点で、私も先日少しお話をさせていただきましたけれども、必ず孤立集落が生まれてしまいます、できれば、それぞれの避難所になり得るところに備蓄、食料や簡易トイレであったり、そしてまた衛星通信やスターリンクのようなものも含めて、衛星電話も含めて置いてくださいと。

 本当であれば、南海トラフ大地震が起きますから、全国の大震災が起きそうなところに全部一律にやってくださいというのが本当の意味の公平だと思うんですけれども、今、少なくとも、能登はもう雪が降り始めてきていますので、最優先に、ある意味、モデル地区として、公平性を逸脱するような形で進めていただければありがたいなというふうに思います。

 また、ほかの件でいきますと、被災者生活再建支援金倍増法を出させていただきますけれども、実は、被災者生活再建支援法そのものも、本当にこのままでいいのかということはありますよね。

 例えでいけば、お一人の方は四分の三なんですよね、全壊だと三百万円ですけれども、四分の三です。じゃ、一人と二人とどう違うのか。二人だと三百万円、一人だと二百五十万円ですかね。あとは、二人だと三百万円、一世帯に十人いても三百万円なんですよ。こういったことも含めて、本来、家屋に対して支援をすることが本当にいいことなのかということも見直していく必要があると思っています。

 そして、被害認定調査、罹災証明に関しても、やはり多くの方々が、これは不公平だということはよく言われます。相当努力して、マニュアルも相当分厚い。私も見たんですけれども、やはりこの不公平感をいかになくしていくかということも大変重要です。今後の課題として受け止めていただきたいと思います。

 そして、仮設住宅であれば、例えば、五人家族は二Kに入ります。二Kというのは、二部屋プラスキッチン、大体一つのところは四畳半なんですけれども、五人家族で二部屋、例えばお父さん、お母さん、お子さん三人だったら、まあ我慢できるかなと。一方で、おじいちゃん、おばあちゃん、娘さん、旦那さん、パートナー、そしてお子さんであれば、実質二世帯のところが同じ二Kに入るということがいかに苦しいかですよね。所詮は他人の部分はあるわけですし、親子でも、男女が違うとやはり大変です。

 そして、さらには、一Kに基本的には二人が入ります。こちらも、御夫婦でもやはりけんかをするというんですよ、狭いところで。これも本当にかわいそうなんですけれども、震災以降、夫婦仲が悪くなった、こういうこともありますけれども、やはりおばあちゃんと息子さんという例もかなりあるんですね。

 こういったことも、過去は駄目だったと言っていたかもしれないけれども、今後は柔軟にということも含めて言っていただければと思います。

 そして、先日、三木さんからの議論の中で、ボランティアの方々が仮設住宅を使えるようにということで、前向きな答弁をいただいて、私はこれは本当によかったと思います。

 ただ、一方、市や町は怖いんです。何かといいますと、仮設住宅が余っていると言ったら、余計な分を造ったということで、はっきり言えば、言いづらいんですよ、今後にも響くかもしれないということで。そうなので、石川県の方からも、言ってねというふうには言っているそうなんですけれども、なかなか言えないという現状がございます。

 ですから、機械的に、空いているところが例えば石川県で把握できるようにするということも大変重要かなと、変な意味で気後れしないように。結果として、そこで気後れすることで、使えるべき仮設住宅が使えない。空室は本当にもったいないですから、それこそ本当の無駄遣いですから、多くの方々に御利用いただける環境というものも大変重要だというふうに思っています。

 最後に、要望をさせていただきたいんですけれども、今日は十二月の十二日でございます、もうあと三週間ですね。医療費の窓口負担や介護保険の窓口負担の免除、こちらは十二月末でございます。まだこの震災というのは続いています、避難所にいらっしゃる方もおられますから、これを何とか延長していただきたいなというふうに思います。

 そしてまた、固定資産税、今、家がどんどん解体が進んでいますが、六分の一の状態から戻りますよね。こちらが二年間の特例ということは分かるんですけれども、例えば、熊本地震などのときには、八年間、土地の部分は特例にしていました。東日本大震災のときには十五年でした。

 このようなことも含めて、いろいろな思いがありますので、頑張っていきますということで、総理、どうかよろしくお願いいたします。一言だけお願いいたします。

安住委員長 じゃ、もう時間が過ぎていますので、最後に一言。

石破内閣総理大臣 柔軟に対応をいたしますというのは、いいかげんにやるということを言っておるのではございません。一人でも多くの方によかったねと言ってもらえるようにやってまいりたいと思っております。

 窓口負担につきましては、現在、最終調整を行っております。厚生労働省から速やかにお示しをするということで今対応したいと考えておるところでございます。

 これは与党も野党もございませんで、西田議員あるいは近藤議員、地元の方々の御指摘、ありがとうございました。よく私どもは、本当に地元に可能な限り入りまして、一人でも多くの方に喜んでいただけるようにしたいと思っています。

 一番つらい年であったと思います。そのお気持ちに応えるように、政府として最大限努力をいたしてまいります。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 よろしくお願いいたします。

安住委員長 これにて近藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、うるま譲司君。

うるま委員 日本維新の会のうるま譲司です。

 二〇二五年大阪・関西万博についてお伺いいたします。

 いよいよ、来年の四月、大阪・関西万博開幕となります。開幕のときの総理は石破総理であると思っております。開幕に向けた意気込みを是非お伺いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

石破内閣総理大臣 今、官邸にミャクミャク君を置いております、玄関にですね。あれは、七〇年万博のあの桜の、これを今の時代に合わせるとあれになるんだそうでありまして、と大阪から聞きましたが、何かこの辺、なかなか時代が変わったなという感じはございますが。

 いずれにしても、大阪万博、一人でも多くの方にお越しをいただき成功いたしますように、政府として努力をしてまいりたいと思っております。七〇年万博のときの印象が余りに強いもので、私、鳥取の中学校二年生でしたが、やはりあのときの感動みたいなものを、時代を経ても、大勢の人に、国内外の方々に共有してもらうということは極めて大事なことだと思っております。

うるま委員 七〇年代万博を経験された方、私は大阪の豊中市、池田市選出なんですけれども、お隣の吹田市で開かれたものですから、七〇年万博を経験された方が地元にたくさんおられて……(石破内閣総理大臣「生まれていないよね」と呼ぶ)そうです、私生まれていないんですよ。

 地元の方から物すごくたくさん最近いただく意見が、七〇年代万博のときは三波春夫さんの「こんにちは、こんにちは」みたいな歌だったり万博音頭があって、そういうのを使って盛り上げてくれ、万博を盛り上げてくれという御要望をたくさんいただくんですけれども、あれ、よう考えたら万博のテーマソングはあったんちゃうかなと。ミャクミャク君の歌も地元の高校生とかが歌ったりしていまして、ダンスとかもユーチューブで見たことがあるんですが。(発言する者あり)いや、ちょっとそれはなかなか。

 これはちょっと、あるのにそういう声が多いということは、プロモーションが足りていないのかなと思うんですけれども、伊東万博担当大臣、いかがでしょうか。

伊東国務大臣 今、御紹介ありましたけれども、大阪・関西万博のオフィシャルテーマソングは、コブクロが歌う「この地球の続きを」という曲でありまして、私も何回も聞いているところであります。それに合わせてミャクミャク君が踊っているのも見たことがあります。大いに活用していきたいと思います。

うるま委員 そうはいいましても、地元からはこういう声があるということで、まだまだだと思いますので、伊東大臣もそうですけれども、石破さんも、もちろん私もですけれども、是非、「二〇二五」という感じの始まりらしいんですけれども、これをどんどん歌ってやっていきたいと思います。石破総理も是非広めて、普及をさせていく。

 このテーマソングのみならず、三波春夫さんの曲も実はテーマソングじゃなくて、それとは別に勝手に、勝手にかどうかちょっと分からないですけれども、作られた曲だったらしいので、いろいろな曲や音頭をどんどんはやらせていきたいと思いますが、そういった点、石破総理、何か御所見ありましたら、お願いいたします。

石破内閣総理大臣 東京オリンピックのときは「東京五輪音頭」です。大阪万博は「世界の国からこんにちは」という歌でしたので、その辺がいろいろ仕分は難しいんですが。

 とにかく、いろいろなものを活用して、最大限広めていくという努力は必要だと思いますし、医療というものも一つのテーマですから、それを今の時代を生きる我々がよく認識して、感動とともに伝えていきたいと思っております。

うるま委員 ありがとうございます。

 今、パビリオンだとかいろいろなものが具体化してきて、楽しみだなということになっているんですが、私、この万博で最も期待しておりますのが、テーマウィークというイベントであります。

 このテーマウィークというのは、地球規模の課題、人類共通の課題について、世界中の人々がたくさんたくさん集まって話し合う、飢餓だとか、貧困だとか、災害復興だとか、難民の問題はどうするんだとか、そういったことについてみんなで話し合う場で、これは本当にすばらしいなと思っております。こういったところに日本の子供たちや日本国民が参加して、そして、共に対話したりビジネス交流を広げていくというイベントなんですけれども。

 これは、単にそういう人類の共通課題の解決のみならず、その人類共通の課題、地球温暖化だとか、難民だとか、人権だとか、そういった問題というのは、実は今、世界で大きく投資のお金の流れに関わったり、経営だとか経済の流れに関わっていると思っております。

 例えば、ESG投資というのが、今、もう四千兆円とか五千兆円規模で世界にお金が流れているであったり、サステーナビリティーファイナンスがはやっていたり、あと、最近でいうと、私、今日ユニクロのシャツを着ているんですけれども、このユニクロのシャツが実は新疆ウイグル自治区の綿を使っていたみたいなことで、アメリカから輸入停止されている。こういう強制労働で作った新疆ウイグル自治区の綿、使っているかどうかはちょっと、強制労働かどうかというのは、アメリカ政府が……

安住委員長 うるま君、申合せの時間が過ぎています。

うるま委員 そうですか、分かりました。

 そういったことも含めて、こういったことにしっかりと子供たちが関わっていくことが、将来のお金の流れであったり、経済の流れを子供たちが理解して、そういったことが経済効果、いわゆる経済効果以上の日本にとっての経済効果をもたらすと思っているんですが……

安住委員長 話をまとめてください。

うるま委員 一言、石破総理、所感はいかがでしょうか。

安住委員長 極めて短く。

石破内閣総理大臣 投資立国を実現するためには金融教育というのが大事でございまして、これが、万博がその一つの契機となるように、また御教導賜りたいと存じます。

うるま委員 どうも済みませんでした。ありがとうございます。

安住委員長 これにてうるま君の質疑は終了いたしました。

 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲です。

 先ほどに続きまして、総括質疑ということで、今回、五分しかございませんので、エネルギー政策にテーマを絞りまして質問させていただきたいと思います。

 今回の補正予算の中でも、燃料油価格の激変緩和措置約一兆円、また、冬期の電気・ガス料金負担軽減策で約三千億円ということで補正予算が積まれております。合計で一・三兆円ですね。

 やはり、ロシアがウクライナに侵攻して以降、世界を取り巻くエネルギー情勢というのが大きく変わりました。日本国内においても様々な対策がされているものの、エネルギー自給率は最新値で一三・三%。二〇二三年の化石燃料の輸入総額は約二十七兆円。前年の二二年は三十三兆円程度だったと記憶しておりますけれども、非常に莫大な富が国外に流出してしまっているという状況であります。

 それに加えて、先ほど、例えば燃料油の激変緩和措置、二二年にこの措置がスタートをしてから今日まで、累計の予算総額は七兆円を超えておりますので。まずは燃料を国内に持ってくるのに二十七兆円。そして、そこに対して毎年一兆円単位のお金、これまで累計七兆円ですけれども。国内に持ってきた後、その価格を安定化させるため、引き下げるために数兆円のお金が毎年投じられている状況。これは一刻も早く何とかしなければいけない問題だと思っております。

 そのため、我々国民民主党は、先般も総理に申入れに伺いましたけれども、いわゆる日本の第七次エネルギー基本計画、来年二月に閣議決定を予定しているものでありますが、ここで、再エネ若しくは原子力、このどちらかに偏ることなく、二項対立的な表現を避け、どちらも積極的に活用していくべき、こういった趣旨の申入れをさせていただきました。

 まず、そこで伺いたいんですけれども、現状、第六次エネルギー基本計画の中では、原子力エネルギーについては、再生可能エネルギーの拡大を図る中で可能な限り原発依存度を低減するというような文言がございますが、やはりこれはどうしても二項対立的。これをやはり見直して、原子力についても再エネについてもしっかりと活用していく、そのような趣旨の文言に改めるべきだと思っておるんですが、これに対する見解を伺いたいと思います。

武藤国務大臣 先般、総理のところに御提案をいただきまして、わざわざありがとうございました。

 まさに二項対立的な考え方というものについては、大変委員の、国民さんと言った方がいいのかもしれませんけれども、共有しているところであります。

 七期のエネルギー基本計画について、どういう書きぶりになるかということは、現在まだ策定で、もうしばらくちょっと時間をかけてやりたいと思っておりますので、この辺については今日はちょっとここで答弁させていただくことは控えさせていただきますが、年内には案を示させていただく予定であります。

 現在審議会で検討を進めている中で、この辺の、次期計画の中で脱炭素電源の確保に対してどのような記載にするか、是非、また御意見を賜りながらも、御提言をまたいただいた形の中で、しっかりと協議を進めていきたいというふうに思っています。

安住委員長 浅野君、時間が間もなくなので、まとめてください。

浅野委員 では、最後に簡潔に一問、文科大臣に伺います。

 原子力行政推進に向けては、やはり国内の研究機関、この環境整備を更に進めていかなければなりません。特に原子力研究開発機構の高度化に関する予算、毎年補正で積んでおりますけれども、やはり、古い施設を早く片づけるためには、その予算を加速、拡充する必要があると思いますので、それに対して一言だけいただいて、質問を終わりたいと思います。

安住委員長 あべ文部科学大臣、時間が過ぎていますので、簡潔に。

あべ国務大臣 今回の老朽施設の、役割を終えた施設に関しましては、安全性を最優先にバックエンド事業の加速化を推進するということで、原子力施設の廃止措置を加速するために五十七億円を計上しているところでございまして、廃止措置の円滑な実施に取り組んで、引き続き、この廃止措置を安全、着実に進められるように、必要な予算を確保してまいります。

浅野委員 終わります。

安住委員長 これにて浅野君の質疑は終了いたしました。

 次に、阪口直人君。

阪口委員 れいわ新選組、阪口直人です。

 少数の勝ち組と、圧倒的に多くの、生きることに苦しみ、不安を持つ人であふれているのが今の世の中。私は、十年ぶりの国政ですが、落選中は非正規で様々な仕事をしました。周りには、希望のない状況で長年働いている人がたくさんいました。真面目に働けば暮らしがよくなる、そんな図式はもう崩壊しています。でも、一人一人の大切な一度きりの人生、それを支えるのが政治の責任です。

 今、非正規雇用が四割。解決する切り口になり得るのが消費税の廃止です。仕入れ税額控除という制度があり、派遣社員を利用した場合、費用は課税仕入れとされるため、消費税の控除対象になります。物と同じ経費として消費税の支払い対象から控除できる。つまり、正社員ではなくて派遣社員を雇えば消費税を払わなくて済む。企業にとって得なんです。消費税の周りには、弱い立場の人から搾取するシステムが埋め込まれているんです。

 石破総理、人を使い捨てにすることを前提とした経済はもうやめませんか。消費税をなくせばこの不条理はなくなるんです。いかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 派遣労働者の受入れ企業は、御指摘のように、派遣料に係る消費税額は控除できることになりますが、人材派遣会社に対しましては、派遣料に上乗せして消費税を払うことになりますので、結局のところ、直接雇用の場合と比べまして損得は生じないということだと思っております。

 そういうことでありますが、委員の、基本的に、真面目に働いた人がきちんと報われる社会をつくりたいという思いは、我々自民党も同じ思いでございます。

阪口委員 立憲民主党と妥協し合った補正予算修正案は、能登半島地震、豪雨の被災地支援が決定的に足りないと思います。

 一方、米軍再編費用を含めて防衛費に三千三百七億円と大盤振る舞い。三十年の不況から脱却するのに今必要なことは、積極財政で必要なところにお金を手当てし、経済を力強く回すこと。歳出総額も約十二兆五千億円に減額。小さくまとまり、物価高対策も不十分。野党による初めての補正予算の修正、私たちも決して反対ありきではありませんでした。でも、野党第一党が、与野党逆転のチャンスに野党を束ねる気概が本当にあったのか。

 消費税廃止どころか、今、熱烈な消費税廃止派の方がいらっしゃるにもかかわらず、二年前に私たちと一緒に合意した、法案まで出した消費税減税をやらない。

安住委員長 阪口君、質疑時間は終了しています。

阪口委員 はい、まとめます。

 国民の命を守るではなく、政権の延命に力をかす補正予算修正案は、断固反対せざるを得ません。

安住委員長 まとめてください。終わってください。

阪口委員 以上です。

安住委員長 これにて阪口君の質疑は終了いたしました。

 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 能登半島地震の被災者支援について質問します。

 十一月三十日現在、民間賃貸住宅のみなし仮設には、三千三百九十三戸、七千五百六十一人の被災者が入居されています。入居できる期間は原則二年ですけれども、年内に退去を求められる事例が出ています。

 例えば、総理、聞いてください、奥能登でアパート住まいだった方が金沢市のみなし仮設、賃貸住宅に入居しているんですけれども、石川県からは、六月に出るようにまず言われました。その後、十二月まで、そして来年三月まで延長が認められています。しかし、来年の三月になっても、地元には住める賃貸物件がないんです。被災したアパートの大家さんも、再建できないと言っている。退去しようにもできない、こうした事例を抱えた方はたくさんおられます。

 退去を迫るのではなく、被災者の置かれた状況におかれた対応が必要ではないでしょうか。いかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 被災された方々の生活再建の状況などに応じまして、私どもとして、入居される期間の延長が必要であれば、国として柔軟に対応いたします。

田村(貴)委員 もう一点。能登地震の被災者に対する医療保険、介護保険、障害者福祉サービスの自己負担の減免の特例措置は十二月までとなっています。しかし、震災と大雨の二重被災で、生活となりわいの再建にはまだまだ時間を必要とします。

 総理は、九日の参議院本会議の質問、我が党の井上哲士議員の質問に対して、被災状況や市町村などの意向を踏まえて速やかにお示しをしてまいりますと答弁がありました。

 今年も残り二週間です。来年、来月はどうなるのかと不安の声が寄せられています。私も聞いています。被災者だけではありません。直前の見直し、延長ということになれば、自治体やそれから被災地の医療機関でも大混乱が余儀なくされます。

 総理、もう決断です。速やかに延長の方針を示していただきたいと思いますが、いかがですか。

石破内閣総理大臣 御指摘の点は、今、最終的な調整段階に入っております。厚生労働省に対しまして、厚生労働省から速やかにお示しをさせたいと考えております。

田村(貴)委員 地震の発災からもうすぐ一年です。被災認定に納得がいかず、再調査を求めている被災者もおられます。それから、家の修理ができない、建設費、資材高騰で家の再建に踏み出せない被災者も多数あります。そして、いまだに避難所暮らしを余儀なくされている方もおられます。

 総理、もう一点確認なんですけれども、降雪、厳冬の季節を迎えました。生活の場を失う被災者を決してつくってはいけないと考えます。みなし仮設、そして避難所、そして、これから先、建設仮設から被災者が望まない退去をさせないことは大事だと思いますが、周知徹底も含めて、総理、いかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 日本海側の冬は本当にきついです。御指摘の点、とにかく被災者の方々に少しでも喜んでいただける、国は分かってくれたねというふうな思いを持っていただけるように、政府として全力を挙げてまいります。

田村(貴)委員 入居していい期間というのが定められているから、ここまでには出ていかなければいけないんだよ、そういう雰囲気がやはりあるんですね、被災地に。やはり誤解を与えた情報も流れているし、それを真に受けてしまう被災者の方もおられます。そういう方が絶対ないように、政府としてはしっかりとそういう通知も発していただいて、この寒空に迷う人が出ないようにしていただきたいと思います。

 時間が来ました。質問を終わります。

安住委員長 これにて田村君の質疑は終了いたしました。

 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 最後、五分、よろしくお願いいたします。

 百三万円の壁ということで、三問、質問させていただきたいと思います。

 私は、特別国会で質問主意書を提出いたしまして、その答弁で、政府から、百三万円の壁と呼ばれる所得税の配偶者控除については、税制上、解消をしているという答弁を得ています。今でも同じ立場でしょうか、石破総理大臣。

石破内閣総理大臣 現在も同様の見解でございます。

緒方委員 そうなんです。これは、ネットで見れば、私の質問主意書、特別国会で聞いたものは非常に簡潔に載っておりますので、参照していただければ。

 そして、壁という言葉についてお伺いをいたしたいと思います。

 これは何を意味しているのか。手取りが減少することによる働き控えのポイントなのか、それとも、単に所得税課税が始まるポイントを指しているのか、いずれでしょうか、石破総理大臣。

石破内閣総理大臣 壁とか崖とかいろいろな言い方はあるわけでございますが、就業調整を行う誘因になるというようなことがこの壁ということの一つの意味だと思っております。そういうことを前提として、いろいろな議論が行われているものと承知をいたしております。

緒方委員 確認なんですが、単に所得税課税が始まるポイントを指すわけではないというふうに言われたと思いましたが、もう一度確認です、石破総理。

石破内閣総理大臣 それは、収入がある一定額を超えると税負担が起こりますという話があって、もう一つは、扶養親族の収入がある一定額を超えることによって納税者本人の税負担が増加する場合に、世帯全体の手取り収入が、当該扶養親族の収入等が一定額を超えない場合に比べて減少する、この二つの意味合いを含んでおると承知いたしております。

緒方委員 最初の答弁と次の答弁は何かちょっと違ったような気がしたんですが、壁というのは、働き控えのポイントなのか、それだけではなくて、所得税課税が始まるポイントをも含むのか、いずれでしょうか、石破総理。

石破内閣総理大臣 それは両方です。

緒方委員 何か先ほどの答弁とちょっと違ったような気がしましたが、これは後で誰かがやってくれると思います。

 最後に、いわゆる百三万円の壁についてお伺いをしたいと思います。

 これは、先ほどから話をしている配偶者控除の話を指しているのか、それとも、それだけではなくて、子供の特定扶養控除を指すのか、それとも、各企業が実施している配偶者手当とかそういうもの、この三つの類型があると思うんですけれども、結構誤解しながらみんな話していると思うんですね。

 配偶者控除の話なのか、特定扶養控除の話なのか、それとも各企業が実施している配偶者手当の話を指しているのか、どこまででしょうか、石破総理大臣。

石破内閣総理大臣 済みません、先ほど来お答えが必ずしも分かりやすくはなかったかもしれません。

 要は、壁というのは何ですかということについて、いろいろな捉え方があるわけでございます。

 現在、自民党、公明党、国民民主党、三党間で協議をされておりますのは、特定扶養控除及び基礎控除などであるというふうに承知をいたしておるところでございまして、この点を中心にこれから議論は詰められるというふうに私は考えておるところです。

緒方委員 つまり、先ほど言ったように、配偶者控除の話と特定扶養控除、この二つがいわゆる百三万円の壁であるというふうに、再度、もう一回確認であります。

石破内閣総理大臣 そのような御理解で結構でございます。

緒方委員 終わります。

安住委員長 これにて緒方君の質疑は終了いたしました。

 これをもちまして締めくくり質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして令和六年度補正予算三案及び両修正案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

安住委員長 ただいままでに、日本維新の会三木圭恵さんから、またれいわ新選組櫛渕万里さんから、また日本共産党田村貴昭君から、令和六年度補正予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が、また、高木啓君外一名から、自由民主党・無所属の会、公明党の二派共同提案による令和六年度一般会計補正予算に対する修正案がそれぞれ提出されております。

 まず、三木圭恵さん提出の動議について提出者より趣旨の弁明を求めます。三木圭恵さん。

    ―――――――――――――

 令和六年度一般会計補正予算、令和六年度特別会計補正予算及び令和六年度政府関係機関補正予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

三木委員 日本維新の会の三木圭恵でございます。

 令和六年度補正予算案関連三法案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について、提案者を代表して、趣旨弁明を行います。

 第一、令和六年度補正予算の編成替えを求める理由。

 令和六年度補正予算案には次のとおり問題点があることから、政府は撤回すべきであり、これらの問題点及び次の編成替えの概要を踏まえ、予算を改めて編成すべきである。

 一、歳出規模の水膨れ。

 我が国財政においては、コロナ禍以前まで、補正予算の規模が十兆円を超えたのは僅か四度のみであるが、コロナ禍で補正予算の規模は膨張し、四年連続で十兆円を超えることとなっている。日銀が算出した本年の第二・四半期のGDPギャップは金額にすると年四兆円程度、総務省が算出した本年十月のコアCPIは前年比二・三%であり、三十九兆円規模にもなる経済対策が必要な状況ではない。政府はデフレに後戻りさせないとの考え方を示しているが、このような理屈づけを続けていては、いつまでも政府支出の削減は不可能である。

 危機的な財政状況の中、平時からはなおかけ離れた額の予備費、圧縮が十分に進まない基金とともに、補正予算規模についても財政規律が劣化していると言わざるを得ず、歳出削減を進める必要がある。

 二、能登の複合災害に対する復興支援の不足。

 自民党の政策は、多く集めて一部の層へ配ることが特徴であり、めり張りのある予算計上ができていないとの声も根強い。一部の業界団体や特定の層に細かく支援の厚塗りを繰り返し、支援が必要な層に行き渡らない事態があるとも度々指摘されている。

 今般の補正予算においても能登半島への支援が含まれているものの、半島という地理的特性や震災と豪雨の複合災害が能登地域に甚大な被害をもたらしたことを鑑み、迅速かつより踏み込んだ生活再建支援を行うことが必要である。

 三、現役世代、子育て世代支援の不徹底。

 能登半島支援と同様に、現役世代や子育て世代に関する支援も十分ではない。今般の補正予算には、低所得世帯に対する追加二万円の支援など、貧困家庭への支援も含まれてはいるが、貧困により子供の可能性を奪わないようにするためには、抜本的な発想の転換が求められる。

 必要なのは、所得制限のない教育の無償化である。政府の高等学校等就学支援金制度では九百十万円と所得制限があるが、この金額は東京の子育て世帯の平均収入以下である。進学に係る資金面の不安を取り除くことが、真の子育て支援と言える。

 第二、編成替えの概要。

 一、徹底した歳出削減による補正予算規模の縮小。

 補正予算の財源は、徹底した歳出削減と行政改革で賄うべきである。具体的には、基金の余剰金の国庫返納、不要な国有資産の売却、既存事業の見直しを行い、また、能登復興支援を補正予算に組み込むことから過大となることが予想される予備費の減額、行政機構の改革、税収の伸び等を組み合わせて確保することで、新規の国債発行を行わないように努めなければならない。加えて、補正予算には緊要性が求められることを踏まえ、基金事業に予算計上を行わないなど補正予算制度自体の改革にも取り組み、コロナ禍以降に膨張した補正予算規模を平時の規模まで圧縮すべきである。

 二、能登復興予算の拡充。

 被災地における生活の再建を加速するため、石川県能登地域六市町、七尾市、輪島市、珠洲市、志賀町、穴水町、能登町の被災高齢者世帯等に対する住宅再建等の支援のための地域福祉推進支援臨時特例給付金の適用を拡大し、加えて、能登半島地震復興基金の積み増しを行うべきである。

 三、高校までの授業料無償化。

 親の所得格差が子供の教育格差に直接的に影響している現状を鑑み、家庭の経済状況にかかわらずひとしく質の高い教育を受けることができるよう、幼児教育から高等教育まで教育の全課程において無償化を実施し、教育の多様性の確保及び選択肢の拡大に積極的に取り組むべきである。特に、親の所得格差や地方自治体による教育政策格差の影響を強く受けている高等学校においては、地方自治体で既に先行事例もできつつあることから、早急に国による無償化を進めなければならない。

 そこで、物価高騰の影響を直接受ける子育て世帯を重点的に支援し、なおかつ高校授業料が無償化した家計状況を国民に実感いただくため、年度末までの四か月分という時間的期限を設け、就学支援金の引上げによって高校授業料を実質無償化するべきである。

 以上、御説明申し上げました。

 御賛同よろしくお願い申し上げます。(拍手)

安住委員長 次に、櫛渕万里さん提出の動議について提出者より趣旨の弁明を求めます。櫛渕万里さん。

    ―――――――――――――

 令和六年度一般会計補正予算(第1号)、令和六年度特別会計補正予算(特第1号)及び令和六年度政府関係機関補正予算(機第1号)につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。

 令和六年度一般会計補正予算、特別会計補正予算及び政府機関補正予算を撤回のうえ編成替えを求めるの動議について、会派を代表して、その趣旨を説明いたします。

 物価が高騰する中、実質賃金は減少して、生活が圧迫されています。また、元日の能登半島地震から一年近くがたつのに、復興どころか、日々の生活すら困難な状況が続いているのが現状です。今こそ積極財政で、消費税廃止や季節ごとの一律十万円給付、社会保険料の減免などを実施すべきでしょう。

 政府提出の補正予算三案に関しては、撤回の上、以下の点を盛り込んだ編成替えを求めます。

 まずは、歳入減の十・八兆円についてです。

 一つ目は、消費税ゼロ、十・一兆円減。令和六年度当初予算では、消費税収は国税二十三・八兆円、地方税分六・四兆円で、合わせて約三十・二兆円となっています。消費税率をゼロとする場合に失われる令和六年十二月から令和七年三月までの四か月分の歳入を計上いたします。

 二つ目は、ガソリン税ゼロ、〇・七兆円減。令和六年度当初予算の揮発油税の税収約二・二兆円について、税率を暫定的にゼロにする場合に失われる四か月分の歳入を計上いたします。

 また、歳入増について、特例公債追加による五十九・一兆円増を計上いたします。

 次に、歳出増の四十八・三兆円についてです。

 一つ目は、国民一律十万円給付、二十五兆円増。全国民に三か月の季節ごとに十万円を一律給付する。令和六年十二月分と令和七年三月分の二回分を計上いたします。

 二つ目は、社会保険料引下げ、四兆円増。国民健康保険、後期高齢者医療制度、介護保険、協会けんぽの負担軽減分を計上いたします。

 三つ目は、十八歳までの全ての子供に月額三万円を支給、一・九兆円増。十八歳までの全ての子供に月三万円を支給するための年間費用は五・八兆円で、令和六年十二月から令和七年三月までの四か月分を計上します。

 四つ目は、よりよい教育環境を実現するための教員一・五倍増員に〇・七兆円増。教育現場の過酷な労働環境や教員未配置の問題を解決するため、教員の計画的採用を復活させて、現在の教員基礎定数を一・五倍に増やすための予算を計上します。

 五つ目は、奨学金チャラ、三・一兆円増。日本学生支援機構貸与型奨学金の債務免除に係る年間費用の四か月分を計上します。

 六つ目は、大学院卒業までの教育完全無償化、一・三兆円増。借金なしでも希望すれば大学院まで行ける社会を実現するための年間費用の四か月分を計上します。

 七つ目は、介護、保育労働者の月給十万円の賃上げ、一・二兆円増。介護、保育労働者の月給と全産業平均との差を埋めるため、月十万円を国庫で補助する場合の年間費用の四か月分を計上します。

 八つ目は、農林水産業従事者への直接支援と酪農経営安定支援、一・三兆円増。農林水産業従事者への所得補償や就農支援を行います。農産物等の国による買上げと備蓄、低所得者への食料支援に活用し、自給率を五〇%まで引き上げる第一歩といたします。酪農経営安定対策予算も倍増し、これらの年間予算の四か月分を計上します。

 九つ目は、生活困窮者向けコロナ特例貸付けの返済免除、一・四兆円。緊急小口支援、総合支援資金の特例貸付けの返済を免除、その一年分を計上いたします。

 十番目は、無利子無担保、ゼロゼロ融資の利子支払い免除、〇・八兆円増。中小企業等を対象とした実質ゼロゼロ融資の利子支払いを免除するための年間費用の四か月分を計上します。

 十一番目は、医療、雇用、年金、子育て、介護の国民負担分を軽減、〇・三兆円増。これらの国民負担増分を国が補助し、負担を軽減するための年間費用の四か月分を計上します。

 十二番目は、脱原発、グリーンニューディールの実現、一・七兆円。毎年官民合わせて二十兆円、十年間で少なくとも二百兆円の投資を行い、二百五十万人規模の雇用を創出します。この年間予算の四か月分を計上。

 十三番目は、インフラ投資、三・三兆円増。上下水道や橋、道路など老朽化したインフラの整備、防災インフラの整備のための年間費用十兆円の四か月分を計上。

 最後の十四番目は、能登半島地震、奥能登豪雨被災地の復旧復興に向けた緊急支援策として、二・三兆円増。九月の豪雨を受け、間もなく雪害が起きやすくなる時期に突入する被災地に対して、土砂撤去や人員確保、住環境整備など緊急に求められる支援を行うとともに、発災二年目となる確実な復旧復興に向けて、本予算編成に先立って十分な予算を確保します。

 以上となりますが、各党の賛同を求め、編成替え動議の趣旨説明を終わります。

安住委員長 次に、田村貴昭君提出の動議について提出者より趣旨の弁明を求めます。田村貴昭君。

    ―――――――――――――

 「令和六年度一般会計補正予算(第1号)、令和六年度特別会計補正予算(特第1号)及び令和六年度政府関係機関補正予算(機第1号)」につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

田村(貴)委員 私は、日本共産党を代表して、二〇二四年度補正予算案につき撤回のうえ編成替えを求める動議について、提案理由及び概要を説明します。

 今、補正予算に求められているのは、能登半島地震、豪雨災害による被災者支援と地域再建支援であり、物価高騰対策を抜本的に強化することです。一方、政府提出の二〇二四年度補正予算案は、補正予算の編成を予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出に限っている財政法第二十九条等の規定から逸脱する経費を多く計上しており、組替えが必要です。

 次に、編成替えの内容について、主な点を説明します。

 第一に、能登半島地震、豪雨災害により被災された方々への対応を抜本的に強化します。

 現地では、被災者支援と地域再建に対する国の自治体任せのやり方が新たな困難を引き起こし、深刻な人口流出や直接死を上回る関連死を生じさせています。そのため、緊急に、被災された方々の医療費、介護保険料等の一部負担の減免措置を強化し、特別養護老人ホームを始めとする介護施設への広域避難の入所者の処遇を速やかに改善すること、奥能登地域へのアクセス道路や生活道路の早期通行確保、敷地内を含む上下水道の開通を図ること、必要とされる被災者支援を確実に届け切るために、関係地方公共団体の体制を強化すること、被災者生活再建支援法等の支援金額や対象などの支援の在り方を抜本的に強化することが必要です。

 第二に、学費値上げをやめることです。

 国立大学が今年度の新たな値上げ計画を中止又は回避できるよう、国立大学に約百億円の緊急助成を行います。また、私立大学、公立大学、専門学校も、国立大学と同じ基準で同額の緊急助成を行います。

 第三に、ケア労働者等の賃金を全産業並みに引き上げるため、介護保険の国庫負担増を行い、国費による介護、福祉職員の賃上げ助成を進めます。同時に、訪問介護の基本報酬を速やかに元に戻し、既に減額された分を補填する措置を取ります。全ての医療従事者を対象とする全額公費による賃上げを行います。保育士の賃上げも行い、保育園職員配置基準の引上げ、常勤職員の増員を進めます。

 第四に、物価高騰による食材値上げへの対応を進めます。

 学校給食の無償化を完全実施するため、政府が恒久的な財源措置を取ること、介護、福祉、保育園などの各施設の給食費を支援し、値上げを抑えることが必要です。

 第五に、削減する予算です。

 二〇二四年度補正予算案には、八千二百六十八億円もの軍事費を計上しています。イージスシステム搭載艦や「もがみ」型護衛艦、哨戒ヘリ、各種弾薬の確保など、次年度以降の歳出化経費の前倒しは、財政法二十九条に真っ向から反し、認められません。

 また、沖縄県民の民意を踏みにじる辺野古新基地建設、種子島住民の住環境を悪化させる米軍艦載機の夜間発着訓練のための馬毛島基地建設費、陸自オスプレイ移駐、配備のための佐賀駐屯地の整備など、基地強化予算を削除します。

 AI・半導体産業基盤強化フレームに一兆三千億円もの巨額の資金をつぎ込んでいます。半導体企業ラピダス等への支援予算、宇宙戦略基金の拡充など、特定の大企業を支援する予算は認められません。

 大阪・関西万博に関する経費、重要土地調査法に基づく土地等利用状況調査の経費を削除します。

 以上、編成替えの内容は、お手元配付の文書のとおりであります。

 委員各位の御賛同をお願いし、趣旨説明といたします。

安住委員長 これにて各動議の趣旨弁明は終了いたしました。

 次に、高木啓君外一名提出の修正案について提出者より趣旨の説明を求めます。高木啓君。

    ―――――――――――――

 令和六年度一般会計補正予算(第1号)修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高木委員 自由民主党の高木啓であります。

 私は、提案者を代表いたしまして、ただいま議題となりました自由民主党、公明党提案の令和六年度一般会計補正予算の修正案につきまして、その提案の趣旨及び概要について御説明申し上げます。

 今回提出された令和六年度補正予算は、我が国の経済が、コストカット型経済から脱却し、デフレに後戻りせず、賃上げと投資が牽引する成長型経済へ移行できるかの分岐点にある中で、この移行を確実なものとするために策定したものであり、本補正予算の一日も早い成立は国民各層から強く望まれているところであります。

 衆議院予算委員会におきましては、去る十二月九日、政府から提案理由の説明を聴取し、その後、補正予算の内容に関し熱心な審議が行われました。この補正予算の中には、能登地域の皆様が受けた地震、豪雨の度重なる被害からの一刻も早い復旧と創造的復興を一層加速するための経費も措置されており、審議の中では、今後とも能登地域の復旧復興に取り組んでいくべきであるとの議論がありました。

 こうした中で、今後とも、能登地域の支援ニーズに応じ、切れ目なく対応していくことに当たって、財源確保に支障が生じないことを明確化するため、修正を行うこととした次第であります。

 修正案の内容について申し上げます。

 本予算案では、予算総則において、一般予備費の残額のうち一千億円については、令和六年能登半島地震及び令和六年九月二十日から同月二十三日までの間の豪雨による被害の被災者の生活及びなりわいの再建その他同被害からの復旧復興に要する経費に使用するとの条文を追加することといたしております。

 以上、修正案提出の趣旨とその概要を申し述べました。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げ、提案の趣旨説明といたします。

安住委員長 これにて修正案の趣旨説明は終了いたしました。

    ―――――――――――――

安住委員長 これより討論に入ります。

 令和六年度補正予算三案、これに対する撤回のうえ編成替えを求めるの動議三件及び令和六年度一般会計補正予算(第1号)、令和六年度特別会計補正予算(特第1号)の両案に対する各修正案を一括して討論に付します。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。大森江里子さん。

大森委員 公明党の大森江里子でございます。

 与党を代表して、ただいま議題となりました令和六年度補正予算案につきまして、自由民主党、公明党提出の令和六年度一般会計補正予算の修正案及び修正を除く原案等に賛成の立場から討論いたします。

 賛成理由の第一は、物価高における国民生活を支える予算という点です。

 重点支援地方交付金を一・一兆円追加交付し、エネルギーや食料品価格の高騰が続く中で経営に苦しむ福祉施設や中小事業者等への支援、学校給食費の負担軽減の支援、LPガスや灯油使用世帯への支給など、地域の実情に応じたきめ細やかな対策の実行につながります。

 第二に、経済の成長力を高め、全世帯の賃金、所得を増やすための予算となっている点です。

 特に、中小企業、小規模事業者が賃上げの原資を確保できるよう、生産性向上や省力化、新事業展開や成長投資など稼ぐ力を強化するための様々な補助金のほか、価格交渉、価格転嫁の促進や経営相談体制の強化などに総額五千六百億円を計上。既存基金の活用等を含めると、一兆円を上回る規模で中小企業等を支援します。

 さらに、医療、介護、障害福祉分野においては、総額二千三百億円の各種補助金が盛り込まれています。

 第三に、国民の安心、安全を確保する予算となっている点です。

 特に、能登半島地震やその後の豪雨による被災者支援のほか、今後、被災者の良好な生活環境を確保するための対策が大きく前進します。

 ほかに、公明党が取り組んできました体育館のエアコン整備を加速する交付金の創設のほか、子供ホスピスの全国普及に向けたモデル事業なども盛り込まれています。また、児童虐待防止の観点から、こども家庭センター設置の加速やヤングケアラーの支援体制も強化される内容になっています。

 その上で、野党の御提案も踏まえ、一般予備費の残額のうち一千億円を、能登半島地震、また奥能登豪雨からの復旧復興に係る経費に充てる点についても、熟議の国会に相応しいものと評価いたします。

 以上、本補正予算案は、物価高の国民生活を支え、誰一人取り残さない形で成長型経済への移行を進めるとともに、その礎となる国民の安心、安全を確保するための総合経済対策を実行する重要な予算であります。

 早期成立と円滑かつ迅速な執行を求め、私の賛成討論を終わります。(拍手)

安住委員長 次に、酒井なつみさん。

酒井委員 立憲民主党・無所属の酒井なつみです。

 私は、会派を代表して、政府提出の令和六年度補正予算並びに他会派提出の編成替え動議に反対、立憲民主党提出の修正案と与党提出の修正案に賛成の立場から討論いたします。

 政府提出の令和六年度補正予算では、能登の復旧復興対策について、僅かに盛り込まれたものの、被災者生活再建支援金の倍増、公費解体の準半壊、一部損壊への対象拡大、なりわい再建支援補助金の拡充など、被災地が求める対策の多くがこぼれ落ちてしまっています。これは、被災現場のニーズに対する理解の不足と、長期化する避難生活へのきめ細かい配慮の欠如を物語っており、復旧復興に対する本気度も疑われても仕方がないものと思います。

 また、補正予算の規模は一般会計歳出で約十三・九兆円とされており、これは昨年の十三・二兆円を上回る水準となっています。そもそも、財政法第二十九条は、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出を行う場合などに限り、内閣に補正予算の編成、提出を認めています。しかし、これは今回に限ったことではありませんが、基金の積み過ぎを始め、補正予算で対応する必要のない、緊要性を欠く支出も多数見受けられます。原資は政府のポケットマネーではなく国民の税金であり、ばらまきは厳に慎むべきです。

 以上の認識に基づき、政府提出の令和六年度補正予算については反対をいたします。

 一方で、立憲民主党提出の修正案はこれらの問題点の解消を図るものであり、また、その一部が与党提出の修正案という形で結実したことは一歩前進でありますので、これらの修正案については、いずれも賛成をいたします。

 なお、他会派提出の編成替え動議につきましては、私たちと見解を異にする部分があることから、反対いたします。

 今後も、国民の負託に応えるため、政府の施策の問題点をただすとともに、よりよい施策の実現に全力を注いでいくことをお誓い申し上げ、私の討論とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

安住委員長 次に、西田薫君。

西田(薫)委員 日本維新の会の西田薫でございます。

 私は、ただいま議題となりました令和六年度一般会計補正予算、令和六年度特別会計補正予算、令和六年度政府関係機関補正予算の各案について、会派を代表し、賛成の立場から討論いたします。

 まず明確にすべきことは、この補正予算案の全てに賛同するわけではないということです。

 まず、規模は明らかに過剰です。今般の補正予算は一般会計で約十九兆円規模でありながら、足下のGDPギャップは年四兆円程度で、極端な需要不足とは言えません。経済対策では、ライドシェアの完全解禁という文言が消えていたり、地方創生二・〇をうたいながらも、分権という文言すら一回も登場しなかったりと、改革に後ろ向きな姿勢も目立ちます。

 目玉施策である地方創生二・〇につきましても、過去の施策との差異が判然としませんでした。地方の計画を国が審査して交付金を与える中央集権的な方法では、現場から遊離した計画が採択される一方、地方の主体性も奪われます。国の仕事は、地方の行財政改革のサポートと税源移譲、規制緩和です。

 企業・団体献金に関しましても、営利団体である企業が利益を考えず寄附を行うことはあり得ず、一方で、莫大な献金を配慮なく受け取ることも困難であることを我が党議員が指摘してきました。献金を行っている団体の反応を見ても、政策はゆがめられていると見ざるを得ません。

 とはいえ、今の我が国には能登の復興が喫緊の課題として課せられています。今般の補正予算には本格的な能登の復旧復興に向けた予算が計上されており、これを通さないことは得策ではありません。我が党も、身を切る改革として、被災地に寄附を届け、微力ながらも貢献をしてきましたが、能登が厳しい冬を迎える中、国の総力を挙げて支えていかなければなりません。

 また、我々が求めてきた高校教育無償化に関し、政府・与党と合意し、実現に向けた協議の場が整ったことも、これも大きな成果です。高校進学率が九九%に上る時代にあって、所得制限九百十万円の現行制度は、東京の子育て世帯の平均収入九百九十万円を大きく下回るもので、拡充は当然です。

 政府には、これらの事業を速やかに、誠実に執行すべきことを申し述べ、賛成討論とします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

安住委員長 次に、長友慎治君。

長友(慎)委員 国民民主党の長友慎治です。

 私は、会派を代表し、令和六年度補正予算案に賛成、また自民党、公明党が共同提出した修正案に賛成の立場から討論を行います。

 野党の役割は、行政監視によって政府の問題点を指摘し、翻意や修正を迫るとともに、与党よりも優れた政策を提示し実現し続けることで、次はこの人たちにやらせてみるかと、政権の選択肢たり得たる存在になることです。

 今回、国民民主党が賛成するのは、百三万円の壁を来年から引き上げるためであり、また、ガソリンの暫定税率を廃止するためです。それが、さきの衆議院選挙で、手取りを増やし、インフレに勝つを公約に掲げた私たちを御支持いただいた国民、有権者の皆様との約束であり、民意だからです。

 大手では五%を超える高水準の賃上げが実現し、長く続いた賃金デフレの悪循環から抜け出せる兆しがようやく見えてきました。国の税収も過去最高を更新し、円安で外為特会などの税外収入も増えています。その一方で、給料は上がったけれども、税金や社会保険料が高くなり、結局手取りが増えないという声が多数寄せられています。

 政治の役割は、国の懐を豊かにすることではなく、国民の懐を豊かにすること。この春の賃上げを非正規雇用や中小企業にも広げ、持続的なものにするためには、手取りを増やして消費を拡大し、売上げを増やすことで更なる賃上げにつなげるという好循環が何より重要です。

 しかし、賃上げしても手取りが増えない状況は、消費拡大につながる鎖が切れた状態です。物価高に苦しむ家計を支えるとともに、ガソリン価格の高止まりの影響を受ける企業のコストを抑え、そうして生まれた利益こそ、持続的賃上げの原資になります。

 今回、百三万円の壁を、私たちが主張する百七十八万円を目指し、来年から引き上げること、そして、いわゆるガソリンの暫定税率を廃止することが自民党、公明党と合意に至りました。それぞれの具体的な実施方法等については引き続き誠実に協議を進めることになっていますが、給料、年金が上がる経済の実現に向けて前に進んだ形を評価します。

 また、自民党、公明党が共同提出した修正案は、令和六年能登半島地震及び令和六年九月に起きた豪雨による被災者の生活及びなりわいの再建、その他、同被害からの復旧復興に要する経費に一千億円を使用することが盛り込まれました。

 間もなく発災から一年がたとうとしている能登半島地震で被害に遭われた方々のなりわいの再建は急務です。当然賛成であり、引き続き、一日も早い復旧復興に向けて、私たち国会議員が一丸となり石川県能登の皆様に寄り添っていただくことを呼びかけて、私の討論を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

安住委員長 次に、櫛渕万里さん。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。

 私は、会派を代表して、れいわ新選組提出の編成替え動議に賛成、残りの全ての議題に反対の立場から討論いたします。

 今回の補正予算は、例年にも増して遅過ぎます。れいわ新選組は、能登半島地震の発災直後から、山本太郎代表を先頭に補正予算を求めてきましたが、与野党共に裏金の政争に集中し、放置してきました。ほぼ一年たった今頃、ようやく出てきました。予備費の七度にわたる逐次投入のせいで、地震と豪雨の二重災害に見舞われた被災者は救われていません。

 そもそも、本来、補正予算は、特に緊急となった経費のはずです。なのに、能登半島だけでなく、物価高に苦しむ国民に届く支出は僅かしかありません。

 例えば、米軍の再編に三千三百七億円、オスプレイ移転に三百八十億円が計上されていることです。スーパーで一円でも安い食料品を探す国民からすれば、米軍向け支出や墜落事故が起きた機種の推進がなぜ補正予算で必要なのか、理解に苦しむでしょう。また、AIや半導体への一兆三千五十四億円の支出に代表されるように、企業や業界中心の予算が目立ちます。

 補正予算の誰一人取り残されないとの文言は、まさに羊頭狗肉。低所得者層には給付金がありますが、それ以外の人は無視。れいわ新選組が主張するように、全ての国民を対象とした一律給付金を季節ごとに配るべきです。富裕層には、後から所得に課税して回収すればいいんです。

 さらに、消費税廃止、少なくとも減税がなされていないことは、補正予算として明らかに失格です。消費税には逆進性があって、所得の低い世帯に不利になっている不公平な税制です。これを放置し低所得者給付金を行うのは、自己矛盾の極みでしょう。実質賃金が伸びず、物価高がますます深刻化する今こそ、消費税廃止、最低でも消費税五%の減税とインボイス廃止が必要です。

 立憲民主党や与党の修正案については、米軍再編費やマイナ保険証や万博、原子炉といった支出をそのまま認めている点で、論外でしかありません。また、予算総則を修正して予備費を積み増すとされていますが、元々あった予備費を区分経理しただけで、目くらましではありませんか。

 このように、問題点が山積みする政府案や与野党修正案と異なり、先ほど趣旨説明をいたしましたれいわ新選組提出の組替え動議は、今の物価高とコロナ、三十年にわたる経済災害から国民を救うため、緊急に必要な対策に絞っており、財政法上からも理にかなったものと自負しております。

 なお、重ねて申し上げますが、物価高に対する最も効果的な対策は、消費税廃止、少なくとも消費税減税にほかなりません。委員の方々、特に一昨年、消費税減税法案を共同提出した立憲民主党などの会派に属する皆様におかれましては、れいわ新選組提出の組替え動議に是非御賛同いただきますよう、改めてお願い申し上げます。

 以上、私の討論といたします。ありがとうございました。

安住委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 私は、日本共産党を代表して、二〇二四年度補正予算案に反対の討論を行います。

 そもそも、補正予算は、財政法第二十九条で、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費に限って編成すると定められています。

 ところが、本補正予算案は、軍事費を過去最大の八千二百六十八億円も計上しています。しかも、その四分の三は次年度以降の歳出化経費の前倒しです。イージスシステム搭載艦、最新鋭の「もがみ」型護衛艦、哨戒ヘリ、一二式地対艦誘導弾などの取得経費は、まさに財政法第二十九条に真っ向から反するものです。憲法、平和、暮らしを破壊する安保三文書に基づく大軍拡の一環であり、断じて認められません。

 沖縄県民の民意を踏みにじる辺野古新基地建設、種子島住民の住環境を悪化させる米軍艦載機の夜間発着訓練のための馬毛島基地建設費、陸上自衛隊オスプレイ移駐、配備のための佐賀駐屯地の整備などの基地強化予算は削減すべきです。

 また、AI・半導体産業基盤強化フレームに一兆三千億円もの巨額の資金をつぎ込んでいます。半導体企業ラピダス等への支援など、特定の大企業を支援するために国民の税金を使うことは許されません。

 国民が求めている補正予算は、能登半島災害の被災者支援であり、物価高騰対策の抜本的強化です。

 能登半島地震からもうすぐ一年、地震と九月の記録的豪雨という二重災害によって、被災者は物理的にも精神的にも大きなダメージを受けています。本補正予算案は、被災した公営住宅、医療、介護基盤の再建などの経費を盛り込んでいますが、不十分です。豪雨を含む災害により被災された方々に対する医療費や保険料等の減免措置を始め、被災された方々に負担が生じない十分な支援が必要です。能登に住み続けたいという切実な願いを持ち、先の見えない生活を何とか打開しようと苦しんでいる被災者が希望を持てるよう、国の支援を抜本的に強めることを求めます。

 物価高騰から暮らしを守る支援策も極めて不十分です。所得が低い現役世代の方々、ケア労働者などに対する思い切った支援が必要です。生計費原則非課税を貫いて、全国民に物価引下げ効果が表れる消費税率の五%への減税を求めます。

 加えて、何よりも賃上げが必要です。日本経済を支える中小企業に対して、社会保険料減免等の直接支援を行いながら、最低賃金を速やかに千五百円以上に引き上げるべきです。

 また、国立大学、私立大学、専門学校等の授業料値上げが相次いでいます。学費値上げをやめるために、緊急助成を求めます。

 なお、各党から提出されている修正案及び組替え動議は、我が党と考え方を異にしますので、反対します。

 以上で討論を終わります。

安住委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 緒方林太郎です。

 補正予算原案に反対、立憲民主党提出の修正案に賛成の立場から討論いたします。

 一八四八年、欧州に亡霊が徘徊している、共産主義という亡霊がと言ったのは、マルクスとエンゲルスでした。そして、一九六九年、この言葉をもじって、世界に亡霊が徘徊している、ポピュリズムという亡霊がと喝破したのは、英国の哲学者アーネスト・ゲルナーでした。それから五十五年、我々は、まさにポピュリズムという亡霊が日本でも徘徊しているのを目の当たりにしています。

 民主主義、特に選挙とポピュリズムの関係は親和性が高いです。二〇二〇年、英国がEUから離脱する際、当時のブレグジット党党首のナイジェル・ファラージ氏は、欧州議会で、あなた方はポピュリズムが嫌いかもしれない、しかしポピュリズムはとてもポピュラーではないかと言っていたのを私はとても強く印象に残しています。国民投票の際、離脱派は、英国のEUに対する拠出がなくなれば、そのお金を社会保障に使えると主張しました。しかし、投票翌日、このことについて問われたファラージ氏は、そのようなことは約束できないと言を翻しました。ポピュリズムの怖さを痛感いたしました。

 財政ポピュリズムは、短期的には人気を博しますが、長期的には国をむしばみます。アルゼンチンは、第二次世界大戦が終わったとき世界有数の経済大国でしたが、その後、ペロニズムによる財政ポピュリズムにより、現在まで複数回のデフォルトを起こしています。映画「エビータ」を見られた方は、ペロン大統領とエビータ夫人が一時期どれだけ人気を博したかを御理解いただけると思います。

 今、我々は財政ポピュリズムに敢然と立ち向かわなくてはならないと強く訴えたい。私は、石破茂という政治家はその先頭に立つ人物だと思ってきました。しかし、今次予算には、若干ではありますが、ポピュリズムに傾く石破総理の姿が見え隠れします。補正予算の規模を先に表明するやり方には、非常に残念なものを感じました。

 結果、基金を始めとする緊要性が疑わしい予算の計上が行われています。補正予算と来年度当初予算を同時に編成しつつ、そこに財政ポピュリズムをまぶしてしまえば、そこには緊張感のない予算の肥大化だけが残ります。今次補正予算には反対いたしますが、これは私からの叱咤激励だと受け止めていただきたいと思います。

 その観点から、立憲民主党が、修正案として、内容的には粗さはあるものの、基金を減額する提案を行ったことを評価したいと思います。勇気の要ることだと思います。重徳政調会長を始めとする立憲民主党政策担当者の御尽力に敬意を表し、私の討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

安住委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

安住委員長 これより採決に入ります。

 まず、田村貴昭君提出の令和六年度補正予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

安住委員長 起立少数。よって、田村貴昭君提出の動議は否決されました。

 次に、櫛渕万里さん提出の令和六年度補正予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

安住委員長 起立少数。よって、櫛渕万里さん提出の動議は否決されました。

 次に、三木圭恵さん提出の令和六年度補正予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

安住委員長 起立少数。よって、三木圭恵さん提出の動議は否決されました。

 次に、重徳和彦君外二名提出、令和六年度一般会計補正予算に対する修正案及び令和六年度特別会計補正予算に対する修正案の両案を一括して採決いたします。

 両修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

安住委員長 起立少数。よって、両修正案は否決されました。

 次に、高木啓君外一名提出、令和六年度一般会計補正予算に対する修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

安住委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。

 ただいま可決されました修正部分を除いて令和六年度一般会計補正予算の原案を採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

安住委員長 起立多数。よって、令和六年度一般会計補正予算は修正議決すべきものと決しました。

 次に、令和六年度特別会計補正予算、令和六年度政府関係機関補正予算の両案を一括して採決いたします。

 両案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

安住委員長 起立多数。よって、両案はいずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました令和六年度補正予算三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安住委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

安住委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十八分散会


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