衆議院

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第14号 令和7年2月21日(金曜日)

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令和七年二月二十一日(金曜日)

    午前八時五十九分開議

 出席委員

   委員長 安住  淳君

   理事 井上 信治君 理事 齋藤  健君

   理事 牧島かれん君 理事 山下 貴司君

   理事 岡本あき子君 理事 奥野総一郎君

   理事 山井 和則君 理事 三木 圭恵君

   理事 浅野  哲君

      伊藤 達也君    稲田 朋美君

      加藤 鮎子君    黄川田仁志君

      国光あやの君    河野 太郎君

      後藤 茂之君    小林 茂樹君

      柴山 昌彦君    高木  啓君

      田所 嘉徳君    田中 和徳君

      谷  公一君    土屋 品子君

      寺田  稔君    西銘恒三郎君

      長谷川淳二君    平沢 勝栄君

      深澤 陽一君    古屋 圭司君

      松島みどり君    山田 賢司君

      阿部祐美子君    今井 雅人君

      大西 健介君    小川 淳也君

      神谷  裕君    川内 博史君

      黒岩 宇洋君    小山 千帆君

      近藤 和也君    酒井なつみ君

      階   猛君    柴田 勝之君

      長妻  昭君    橋本 慧悟君

      藤岡たかお君    本庄 知史君

      柳沢  剛君    山 登志浩君

      米山 隆一君    早稲田ゆき君

      池下  卓君    高橋 英明君

      徳安 淳子君    西田  薫君

      藤田 文武君    丹野みどり君

      長友 慎治君    橋本 幹彦君

      日野紗里亜君    赤羽 一嘉君

      浮島 智子君    大森江里子君

      河西 宏一君    中川 宏昌君

      櫛渕 万里君    たがや 亮君

      田村 貴昭君    田村 智子君

      緒方林太郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       石破  茂君

   総務大臣         村上誠一郎君

   法務大臣         鈴木 馨祐君

   財務大臣         加藤 勝信君

   文部科学大臣       あべ 俊子君

   厚生労働大臣       福岡 資麿君

   農林水産大臣       江藤  拓君

   経済産業大臣       武藤 容治君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   赤澤 亮正君

   外務副大臣        藤井比早之君

   外務副大臣        宮路 拓馬君

   財務副大臣        斎藤 洋明君

   政府参考人

   (内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長)   坂本 里和君

   政府参考人

   (内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官)         岸田里佳子君

   政府参考人

   (内閣官房防災庁設置準備室次長)         高橋 謙司君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 廣瀬 健司君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   林  伴子君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房長)            中村 英正君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           笠置 隆範君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  大沢  博君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  寺崎 秀俊君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 杉山 徳明君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 山本 文土君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    岩本 桂一君

   政府参考人

   (財務省主計局長)    宇波 弘貴君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    青木 孝徳君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    窪田  修君

   政府参考人

   (国税庁次長)      小宮 敦史君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長)   笠原  隆君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          望月  禎君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  森光 敬子君

   政府参考人

   (厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部長)   鷲見  学君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            岸本 武史君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         田中佐智子君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  黒田 秀郎君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  鹿沼  均君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  間 隆一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 森川 善樹君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  松尾 浩則君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    南   亮君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            伊藤 禎則君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         沓掛 敏夫君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  内田 欽也君

   参考人

   (日本銀行総裁)     植田 和男君

   予算委員会専門員     中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十一日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     長谷川淳二君

  田所 嘉徳君     柴山 昌彦君

  土屋 品子君     松島みどり君

  深澤 陽一君     加藤 鮎子君

  酒井なつみ君     長妻  昭君

  本庄 知史君     柳沢  剛君

  米山 隆一君     小川 淳也君

  池下  卓君     高橋 英明君

  徳安 淳子君     藤田 文武君

  長友 慎治君     丹野みどり君

  橋本 幹彦君     日野紗里亜君

  大森江里子君     浮島 智子君

  河西 宏一君     中川 宏昌君

  櫛渕 万里君     たがや 亮君

  田村 貴昭君     田村 智子君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 鮎子君     深澤 陽一君

  柴山 昌彦君     田所 嘉徳君

  長谷川淳二君     高木  啓君

  松島みどり君     黄川田仁志君

  小川 淳也君     米山 隆一君

  長妻  昭君     酒井なつみ君

  柳沢  剛君     柴田 勝之君

  高橋 英明君     池下  卓君

  藤田 文武君     徳安 淳子君

  丹野みどり君     長友 慎治君

  日野紗里亜君     橋本 幹彦君

  浮島 智子君     大森江里子君

  中川 宏昌君     河西 宏一君

  たがや 亮君     櫛渕 万里君

  田村 智子君     田村 貴昭君

同日

 辞任         補欠選任

  黄川田仁志君     土屋 品子君

  柴田 勝之君     山 登志浩君

同日

 辞任         補欠選任

  山 登志浩君     小山 千帆君

同日

 辞任         補欠選任

  小山 千帆君     橋本 慧悟君

同日

 辞任         補欠選任

  橋本 慧悟君     阿部祐美子君

同日

 辞任         補欠選任

  阿部祐美子君     本庄 知史君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和七年度一般会計予算

 令和七年度特別会計予算

 令和七年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

安住委員長 これより会議を開きます。

 令和七年度一般会計予算、令和七年度特別会計予算、令和七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長坂本里和君外三十名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安住委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

安住委員長 本日は、経済、財政等についての集中審議を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。柴山昌彦君。

柴山委員 おはようございます。自由民主党・無所属の会の柴山昌彦です。

 私は、現在、公明党、日本維新の会の皆様とともに、いわゆる教育の無償化に向けた政策協議に臨んでおりますので、本日の集中審議では、持続可能で、かつ、意欲ある誰もが質の高い教育を受けられる社会の基盤を強化していく方策について質問をさせていただきます。

 まず初めに、今朝の一部報道にもありましたが、高校無償化に関し、私立加算部分も含めて所得制限を撤廃した場合、志願者の公立高校から私立高校へのシフトが進んだり、地域の人材育成を支えている専門高校の募集が困難になったりするのではとの懸念が専門家などから寄せられています。

 現在、石破政権の最重要政策の一つである地方創生二・〇の実現に当たっても、地域の産業人材の育成や、僻地における教育機会を確保することが不可欠だと考えますが、この点についてのあべ文科大臣の御認識を伺います。

あべ国務大臣 柴山委員にお答えさせていただきます。

 大臣として、高等教育の修学支援新制度の導入などに向けて御尽力をしていただきました。文部科学行政を力強く前に進めてこられたことに敬意を表させていただきながら、答えさせていただきます。

 高校無償化の在り方につきましては、文部科学省としては、今後の政党間の協議の結果を踏まえた必要な対応を速やかに取ることができるよう、まず、三党による協議の状況、国会での御議論を注視してまいりたいというふうに考えております。

 委員が御指摘のとおり、専門高校は地域産業の発展を支える大変重要な役割を担っておりまして、文部科学省といたしましては、DXハイスクール事業による産業界と連携した最先端の職業人材の育成、また、専門高校による魅力発信動画の展開など、専門高校の充実、魅力発信に向けた取組を進めさせていただいているところでございまして、また、石破内閣が掲げます地方創生二・〇の実現に向けましては、地域の高校の役割がますます重要になると考えております。

 今、実は、千七百四十一ある自治体の中で、高校がある自治体は全部ではなくて、五百一の自治体においては高校がない、二八・八%の自治体には高校がない状況でございますが、高校の役割、産業界の伴走支援を受けていきながら、専門高校を拠点とした地方創生の支援、地域人材の育成、また、遠隔授業などの活用を通じて、僻地における高校教育の充実に今後一層力を入れてまいりたいというふうに思います。

柴山委員 そうした人材の給源のためにも、公立高校が果たす役割というのが大きいというふうに考えます。

 私ども自公維の教育関係の三党実務者協議において、維新から提案のあった高校無償化に関連して、実は、与党からも、低所得者への支援の拡充や、今お話があった地方の専門高校への支援の拡充を提案させていただいております。

 協議が調えば、令和八年度以降の本格的な制度拡充にも取り組んでいただきたいと考えるんですけれども、この点について、石破総理の御見解をお伺いします。

石破内閣総理大臣 柴山委員御指摘のように、今、自民党、公明党、維新の会で御協議をいただいているところでございます。

 この協議が調いますれば、令和八年度から、いわゆる高校無償化の実現を図る中で、今、文科大臣がお答えをいたしましたように、教育の質の確保に向けた専門学校などへの支援の在り方、そして、対象者も拡大するのでありますが、低所得者への授業料以外の支援の在り方、これをどうするのかという点につきまして、十分な検討を行い、安定した恒久財源の確保策というものと併せまして、実現を期したいと思っておるところでございます。

柴山委員 今総理が御答弁された低所得者への授業料以外の支援や地方の専門高校への支援、さらにはICT教育などを支援するDXハイスクール事業など、高校改革推進事業、これらの公的支援は極めて重要であり、奨学給付金の拡充や専門高校への補助の拡充、そして、例えば、事業を加速化させるための新たな基金の創設など、千億円規模の拡充が考えられないでしょうか。総理の御見解を伺います。

あべ国務大臣 委員御指摘のような様々な取組を通じまして高校教育の充実を図っていくことはまさに重要なことでございまして、その上で、今週十七日の衆議院予算委員会におきまして、石破総理から日本維新の会の前原議員に対しまして、現在、三党間の協議が進められていることを前提といたしまして、その協議が調えば、それぞれの事柄に対して様々な論点も十分に踏まえまして、今後、与党及び日本維新の会の御意見も聞かせていただきながらこの詳細を考えていきたいといった旨を答弁されていたものと承知しているところでございまして、文部科学省といたしましても、今後の政党間の協議の結果を踏まえた必要な対応を速やかに取ることができるように、まずは三党の協議の状況や国会での御議論を注視してまいりたいというふうに考えているところでございます。

柴山委員 基金の創設については、是非しっかりと御検討いただきたいと思います。

 さて、その上で、生徒の方々の授業料に関する個人補助も大切ではありますけれども、地元で求められる専門的な人材を育成する専門高校などがより質の高い教育を提供できるような仕組みとするためには、経常費、施設整備費へのいわゆる機関補助、学校に対する補助が有効であるという指摘があります。

 また、私立高校については、授業料の補助によって授業料の便乗値上げを招くのではないかとの懸念も様々なところから示されております。

 建学の精神にのっとり、学校が取り組むデータサイエンスの強化や施設整備など、教育の質の向上を図るための機関補助を充実することは、そのために必要な経費を授業料に上乗せせずに済み、間接的には授業料の支援の側面を有すると考えますけれども、この点についての総理の御見解を伺います。

石破内閣総理大臣 御指摘のとおりであります。

 個人補助と機関補助についてでございますが、個人補助は個人の選択による資源配分を重視する、機関補助は学校の財政基盤の安定性を確保するということを重視するものでございまして、それぞれ重視する観点が異なっております。そういたしますと、それぞれ機関補助、個人補助、あるわけでございますが、そのメリット、デメリットを比較をしながら、どのようにしてバランスを取っていくかということを見定めてまいりたいと思っております。

 御指摘の便乗値上げなぞということがあってよいとは全く思っておりません。そういうことがないように、私どもとしてもよく注意をいたしてまいりたいと思っております。

柴山委員 既に大規模自治体では、無償化が進むことによって、こういった私立の学校の授業料が現に上がっているとか、冒頭質問させていただいたように、公立高校の定員割れが発生しているとか、そのような実態もデータとして示されているところであります。

 是非、今総理が御指摘になられたように、これら無償化に伴う副作用というものについてしっかりと精査をしていただいて、どのような制度設計が望ましいのかということを慎重に検討していただきたいと強く要望するものでございます。

 今お話しされたような公立と私立への投資バランス、また、都会と地方の高校の格差、こういったことがこの検討には極めて重要だと考えますけれども、これについての総理の御見解も是非伺いたいと思います。

石破内閣総理大臣 御指摘のとおりだと思っております。

 地方におきましては、そんなに私立高校というものが多くあるわけではございません。そうしますと、学生さんの選択というものが都市と比べてアンバランスになるということもあり得ることでございます。

 地方であろうが都会であろうが、教育の選択肢というのは確保されなければなりませんが、そう考えた場合に、公立から私立へとシフトが起こるということも当然予想し得ることでございまして、もちろん、きちんとバランスを取っていかねばなりませんが、公立高校に対する支援、大臣がお答え申し上げましたように、農林水産高校等への支援というものを、これは制度の在り方も含めてきちんと確保していかなければならないと思っているところでございます。

柴山委員 是非その際には、自治体とかあるいは地方の産業界とか、そういったステークホルダーの意見をしっかりと考慮して、丁寧な制度設計をしていただきたいというふうに考えております。

 また、実は我が党において、二月十八日、平場の議論を開催して、この高校無償化について検討させていただいたんですけれども、議員たちからは、この高校無償化を進めるがゆえに他の教育予算を減らすようでは本末転倒であるという意見が全てでありました。

 是非この場で、恒久的な財源を確保する方策について、政府全体で徹底した行財政改革を行って検討していくという総理の強い決意をお聞かせいただきたいと思います。

石破内閣総理大臣 我が党において、委員御指摘のように、全ての方が、それは無償化はいいんだが、それによって教育の予算、これが減るということはあってはならぬ、それはそのとおりだと思っております。これはまた、それはそうだ、じゃ、子供たちに、今無償化はいいんだけれども、その子供たちが大きくなったときに負担してもらいましょう、そういうような先送りがあっていいとも私は全く思っておりません。

 政府全体といたしまして、歳出歳入両面の措置によりまして安定した恒久財源を確保するということは極めて重要なことだと思っております。全体のそういうような教育関係の予算というものにこれが影響を与えるということがないように心がけてまいります。

柴山委員 恒久財源について私は質問をさせていただいております。

 もちろん、政府全体として取り組んでいただくのは当然のことでありますけれども、そのための恒久財源を是非これから検討していただきたいということを、もう一度お尋ねしたいと思います。

石破内閣総理大臣 これは、次の世代に負担を先送りするということがあってはならないと思っております。これが一つ。

 では、恒久財源として、これが恒久財源であるということを今確定的に申し上げることはできません。ですが、歳入歳出両面において十分に検討いたしてまいります。

 政府全体といたしまして、歳出歳入両面の措置を徹底的に行うことによりまして安定的かつ恒久的な財源というものを見出すことは政府の責務だと承知をいたしております。

柴山委員 この場で具体的な項目についてお示しができないとは思いますけれども、我々は、とにかく、教育の無償化を始め様々な無償化措置をすることによって、その恩恵を受ける将来世代にツケが回るということは、これは厳に慎んでいかなければいけないと考えておりますので、無償化をしたときの費用対効果、将来の便益などもしっかりと慎重に検討していただきたいというふうに考えます。

 教育は国家百年の計と言われ、制度設計は、先ほどから申し上げているとおり、関係者のヒアリングを十分に行い、慎重に行うことが不可欠だと考えます。

 最後に、文部科学大臣と総理それぞれに、今後こうしたテーマについて丁寧なプロセスを経ていくということを、是非決意を表明していただきたいと思います。

 以上をもって、私の質問を終わらせていただきます。

あべ国務大臣 委員御指摘のように、しっかりと議論を進めさせていただきながら、いわゆる学ぶこと、国づくり、人づくり、しっかりとやっていくために、公平公正な、一体どこにしっかり予算をつけるべきなのか、子供たちにとって一体何が大切なのかをしっかり議論をさせていただきながら、地方にとって大切な教育、議論を進めてまいりたいと思いますので、これからもしっかり頑張ってまいります。

石破内閣総理大臣 大臣がお答えしたとおりでありますが、じゃ、その財源をどこに見出すか、そして、無償化はよいのですけれども、それによって教育の質というものが落ちるということがあっては絶対にならないと思っております。

 私自身、中学、高校、大学と学んでおりますが、高校になってすごく難しくなったという思いは持っております。そこにおいて、無償化にはなったのだけれども、卒業すればそれでよいという話にはならないのであって、そこにおいて、教育の質、そしてそれの向上をきちんと確認していくことということは極めて重要なことだと思っております。

 それをきちんと組み合わせた上で無償化の議論というものはなされるべきであるし、そしてまた、今の協議においてそういうような真摯な議論がなされておる、このように承知をいたしておるところでございます。

 政府といたしまして、御議論の結果を踏まえまして、誠実に対応いたしてまいります。

柴山委員 少し早いですが、以上で質問を終わります。ありがとうございました。

安住委員長 この際、加藤鮎子さんから関連質疑の申出があります。柴山君の持ち時間の範囲内でこれを許します。加藤鮎子さん。

加藤(鮎)委員 おはようございます。山形三区選出の自由民主党衆議院議員の加藤鮎子でございます。

 本日は、予算委員会での質問の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。

 今日の集中審議のテーマは、経済、社会保障、教育等と幅広いものになっております。ですが、石破総理が長年ずっと御熱心に取り組まれてきたことの一つが地方創生でございますし、また、私自身も、地方選出の衆議院議員として、初当選以来、ずっと地方創生を軸に据えて政治活動を行ってまいりました。ですので、今日は地方創生を軸に据えて、審議のテーマに触れた質疑を行ってまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 石破総理は、先日の施政方針演説の中で、御自身が目指される楽しい日本を実現するための政策の核心は地方創生二・〇であるとおっしゃられました。また、若者や女性にも選ばれる地方ですとか地方イノベーションの創生、あるいは新時代のインフラ整備等、とても重要なキーワードが盛り込まれ、地方に住む多くの方々が、石破総理の施策に今、熱い視線を送っておられます。

 ただ、残念なことに、今の現状は、都市部に流入する人の流れはとどまることを知らず、東京一極集中に歯止めがかかっているとは言い切れないというのが実際のところだと思います。

 地方創生とうたって十年以上、政府はこれまでも地方創生の方針を掲げてきましたが、石破総理が御就任をされたことにより、いよいよ更なる地方創生の推進、また、推進力の加速に期待を寄せる方々が地方には大勢おられます。

 そこで、お伺いをいたします。

 今般の政府の方針において、石破総理だからこそという、らしさが出ているのはどの部分でしょうか。お聞かせください。

石破内閣総理大臣 この一極集中という現象は、世界中あちこちで起こっているものでもない。ロンドン一極集中とか、パリ一極集中とか、ローマ一極集中とか、そういうお話は寡聞にして存じ上げないのであります。

 この一極集中というのは、天から降ってきたものでもなければ地から湧いてきたものでもなくて、これは国策として選択をしたものだというふうに私は理解をいたしておるところでございます。

 それはまた見事に成功したのであって、であるからして、明治維新以降、本当に短い期間で我が国は急速な発展を遂げた。敗戦によって国土が焦土と化した後も、一極集中ということも相まって、東京オリンピック、大阪万博、札幌オリンピックと、八年の間にそういうイベントをやったわけで、日本は、当時はGNPと言っておりましたが、世界第二位ということにもなったわけであります。

 そこにおいて地方を支えてきたものは、公共事業と誘致企業による雇用と所得の創出であったというふうに思っております。もちろんこれから先も企業は必要だ、公共事業も必要だ、しかし、それだけではもう十分ではないであろうというふうに思っております。農業、漁業、林業にしても、サービス業におきましても、地方の経済の多くを占めておる、そこの部分を、更にその持っておる潜在力を最大限に加速をしていくということが重要なのではないだろうか。

 要するに、国の在り方を時代の変化に合わせて変えていかねばならない、それが地方創生二・〇であり、一・〇において十分でなかったところを二・〇においてきちんと対応してまいりたいと思っております。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 是非、その石破総理らしさを大いに出されて、地方創生に資する様々な政策に推進力を与えていただくことをお願いし、また、御期待も申し上げたいと思います。(発言する者あり)

安住委員長 静粛に。

加藤(鮎)委員 次に、防災庁の設置についてお伺いをいたします。

 私の地元の山形県では、昨夏の大雨によって、多くの市町村において避難指示が発令され、数多くの住家被害が生じました。そして、若き警察官を含む三名の方々が命を落とされるという大変痛ましい人的被害も出てしまいました。

 昨夏は、山形県のほかにも、能登半島や愛媛県等でも人的被害が出るほどの大雨に見舞われており、昨今の風水害には激甚化や頻発化の傾向が見られると思います。風水害のほかにも、昨年は、能登半島地震が発生し、初めての南海トラフ地震臨時情報が発表されるなど、地震災害に対する不安も大きくなっております。

 このような状況下において、我が国の防災体制の強化は待ったなしでありますし、災害発生後には、被災者に寄り添った復旧復興をしっかりと行っていく体制、これを構築する必要もあると考えます。

 石破総理は防災庁設置を掲げられており、政府の下に検討会も設置され、その議論を進めておられると承知をしております。防災庁設置についての現在の検討状況をお聞かせください。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 我が国は世界有数の災害発生国であり、近年の更なる風水害の頻発化、激甚化や、今後発生が予想される南海トラフ地震や首都直下地震などの大規模自然災害に備え、人命、人権最優先の防災立国を実現する必要がございます。

 そのため、平時、発災時の司令塔としての機能を担い、平時から万全の備えを行う、本気の事前防災に取り組む防災庁の設置に向け、今御指摘いただきましたように、先月から防災庁設置準備アドバイザー会議を開始したところでございます。

 同会議におきましては、行政やNPO等、多様な主体の有機的な連携により、支援の漏れ、むらをなくし、被害の軽減を目指すこと、官民それぞれの強みや専門性を最大限に引き出すためのコーディネート機能が重要であること、防災教育の実践、福祉との連携、防災DXの推進等に取り組むべきことなど、防災庁が担うべき役割の検討を進める上で重要な御指摘をいただいているところでございます。

 専門家の方々から強化すべき防災施策の方向性等について様々な御意見をいただきながら、令和八年度中の防災庁の設置に向け、準備を進めてまいりたいと考えております。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 防災力の強化は石破政権のらしさの一つであるとも思います。また、地方に住む方々にとっても、防災力の強化、これは大変興味深いところでございます。是非、引き続き力強く推進をしていただくことをお願い申し上げます。

 次に、建設DXの活用意義や政府の取組についてお伺いをいたします。

 私が地元で耳にするのは、ありとあらゆる分野で人手が足りない、人手不足だという声でございます。中でも特に建設分野は、さきの大雨被害で災害復旧待ったなしでございますし、また、地方創生の要たるインフラ整備の推進も必須であります。さらには、国の脱炭素の方針に資する洋上風力事業も日本海側では活気を帯びてきており、進めるべきハード事業は山とございます。深刻な人手不足の中、大切なことは、その生産性をしっかりと上げていくことであると考えます。

 建設分野での生産性を上げていく上で大きな伸び代となるのがデジタル技術の活用です。私は、国が建設分野でのデジタル技術活用をしっかりと進めていくべきだと考えておりますが、現在、国土交通省ではどのような取組をしておられるのでしょうか。

沓掛政府参考人 お答え申し上げます。

 社会の様々な場面で人手不足が進む中、建設現場においても建設デジタル技術を活用して生産性向上に取り組むことは重要であると認識しております。

 このため、国土交通省において、ドローン測量であったりあるいはICT建設機械、これらの活用によって建設現場の生産性向上に取り組むi―Constructionを推進しており、例えば、ICT建設機械を使うことによって、従来工法と比較して約三割の時間短縮を実現するなど、一定の効果を確認しているところです。

 さらに、昨年四月からは、この取組を加速するため、i―Construction2・0として、建設現場のオートメーション化を進め、二〇四〇年までには省人化約三割、生産性向上一・五倍を目指して取組を進めているところであります。

 引き続き、建設現場の省人化、生産性向上に向けてデジタル技術を活用する取組を進めてまいります。

加藤(鮎)委員 時間短縮の実現ですとか、また省人化といったキーワードが出てきました。是非進めていただきたいと思います。

 次に、そのことも踏まえまして、災害応急復旧へのデジタル技術の活用、これに資する平時の取組についてお伺いをしたいと思います。

 先ほど来災害に触れてお話をさせていただいておりますが、一たび災害が起きますと、被災者の救助も、また被害状況の調査も、復旧作業を進めるにも、とにかくスピードが求められるのが被災現場でございます。その際活躍するのもデジタル技術でございます。ドローンでの現地調査であるとか3Dプリンターによる型枠作製など、災害時こそその生産性の高さが求められるものの、いざそのときになってからでは、自治体や地域の建設会社も連携がなかなか取りにくいですとか、すぐに取り入れるという判断がしづらいなどという実態がございます。災害時にデジタル技術を活用して早期復旧するためには、平時からの取組が必要であると考えます。

 そこで、お伺いをいたします。国土交通省では、地域の建設会社に対し、デジタル技術の普及に向けてどのような取組を行っておられるでしょうか。

沓掛政府参考人 お答えいたします。

 日本全国で災害の激甚化、頻発化が進む中で、地域の建設業は、その復興復旧に当たるという地域の守り手として大変重要な役割を担っていると認識しております。また、委員御指摘のとおり、平時から活用していない技術を突然災害時に使うというのは大変困難であることから、平時からドローンですとかICT建設機械、こういったデジタル技術を活用すること、これも大変重要だと認識しております。

 しかしながら、中小建設企業でデジタル技術の普及というのはまだ道半ばでありまして、例えば、直轄工事の土木工事、土工工事において、大手建設企業はICT建設機械を約九割活用しておりますが、中小建設企業はまだ約五割にとどまっているというのが実態でございます。

 このため、国土交通省では、中小建設企業の更なるデジタル技術の普及拡大に向けて、例えば、小規模な現場でのデジタル技術、これが活用できるような基準類を整備するとともに、建設企業の研修あるいはアドバイザーによる技術支援を実施しているところであります。

 引き続き、平時から建設現場におけるデジタル技術の普及促進に努め、災害時においてもデジタル技術を活用して復旧工事が迅速にできるよう、取組を進めてまいります。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 革新的なデジタル技術の活用の下であっても、現場の人の存在が重要であるということには変わりはありません。現場を預かる地域の建設会社にとって、中小企業にとっても受け入れやすい形で普及していくということが生産性向上の近道だと考えますので、是非、そういったサポート支援、何とぞよろしくお願いをいたします。

 次に、賃金格差と女性の働きやすさの改善についてお伺いをいたします。

 全国的に人手不足は生じていますが、地方では特に、地域の担い手たる若者や女性が都市部へと流出してしまうことが大きな課題となっています。若者、女性が都市部を選ぶ理由は複雑多岐にわたるとは思いますが、多く聞かれるのは賃金の違いであります。

 賃金の状況は地域ごとに置かれている状況が様々であることを踏まえ、地方版政労使会議を開催していると承知をしてございますが、その地方版政労使会議の現在の取組状況と今後の方向性についてお聞かせください。

田中政府参考人 御指摘のとおり、地方で賃金が上がっていく環境をつくり出していくことは非常に重要であると考えております。

 御指摘の地方版政労使会議でございますが、全国四十七都道府県におきまして、賃金引上げに向けた取組を主たるテーマとして掲げまして、本年一月、二月を中心に開催をすることとしてございます。この会議は、知事、それから労使団体のトップなどにも御出席をいただきまして、地域における賃金引上げに向けた取組に係る意義とか実態のほかに、課題やその解消のための方策などにつきまして、地域の実情に応じた議論を行うということで開催をしておりまして、今年度はこれまでに四十一か所で開催をしております。

 引き続き、賃金の上昇の流れが地方や中小企業にも波及しますように、引き続き取り組んでまいります。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 地方から若い世代の女性が流出している現状を私は特に憂慮しているところでございます。

 土地や家、会社やお墓など、何かを受け継ぐこととなりますと、やはり女性よりも男性の方が機会が多くなるのが、それが現実でございます。男性の方が地方で暮らし続ける理由が多い、そのために、必然的に地域に残る若者の男女比がアンバランスになっている。これは都市部では逆のアンバランスが起きているわけでありますが、かつての若者よりも今の若者の方が、構造的に、都市部と地域、それぞれでアンバランスが起きていますので、結婚というものへのハードルが高くなっている。これは未婚化、少子化の一因にもなっているのではないかと私は考えております。

 若い女性の地方からの流出はなぜ歯止めが利かないのか。地方における男女間賃金差異も、働きやすさの課題もまた流出の一因と考えているのでありますが、女性からも選ばれる地方に向けて、政府においてどのような取組を進めておられるのか、お聞きいたします。

岸田政府参考人 お答えいたします。

 地方創生二・〇において、若者や女性にも選ばれる地方の実現を第一の柱として強力に進めてまいります。具体的には、若者や女性にとって魅力ある働き方、職場づくりの観点から、地域間、男女間の賃金格差の是正、女性のL字カーブの解消、男性の育児休業の取得促進、アンコンシャスバイアス、すなわち無意識の思い込みの解消に取り組むこととしております。

 本年一月には、政府の有識者会議である新しい地方経済・生活環境創生会議を宮城県気仙沼市において開催し、女性活躍、若者活躍の観点から、先進的な取組を進める自治体、企業等と議論を行ったところです。

 また、地域働き方・職場改革サポートチームが同じく本年一月に設置され、地域として働き方や職場の改革に取り組もうとする自治体の希望に応えて、アンコンシャスバイアスへの気づき、意識変革や、働き方の諸課題への気づき、対応、魅力的な職場へ変革した上での職場情報の発信の強化等に取り組むことをサポートする予定と伺っております。

 こうした取組や有識者会議での議論等も通じて、その成果を本年夏に取りまとめる予定の基本構想にも生かしてまいります。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 アンコンシャスバイアスを始め、これは制度を変えたら何とかなるというものだけでなく、意識ですとか慣習、こういったところにもアプローチをしていかなければならない課題だというふうに考えておりますので、これはきめ細かい対応や、また時間、さらには発信、いろいろ必要になってくると思います。時間がかかるものではありますが、是非とも力強く進めていただくことをお願い申し上げます。

 また、今、地方のことで申し上げましたが、国全体としての女性活躍の推進、これももちろんとても重要であります。そこで、今後の法整備を含めて、国としてどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

田中政府参考人 女性が個性と能力を生かして十分に活躍できる環境をつくっていくことは非常に重要でありまして、そのためには、働きやすく魅力ある職場づくりは重要でございます。

 これまでからも女性活躍推進法等に基づきまして取組を進めてまいりましたが、今般、その取組を更に強化すべく、男女間の賃金差異、それから女性の管理職比率、この公表につきまして、常時雇用する労働者の数が百一人以上の企業にまで拡大をして義務づけるということですとか、女性活躍推進法につきましては法の有効期限が来ますのでこれを十年間延長する、こういったような内容の改正法案につきまして、今国会に提出をすべく作業を進めているところでございます。

 今後も、女性活躍の更なる推進に向けて、しっかり取り組んでまいります。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 男女間の賃金差異や女性管理職比率の情報公表、これを義務づけていくということでございました。

 中小企業では、体制面などから、なかなか対応が難しいというところも出てくるのではないかと危惧しておりますが、そんな中小企業に対してどのように支援をしていくのか、この辺りも是非お聞かせください。

田中政府参考人 女性の活躍推進に、大企業のみならず中小企業でもしっかり取り組んでいただくことが重要であると考えております。また、中小企業について、体制面など、いろいろな困難な面もございますので、しっかり支援をしていくということが必要だと思っております。

 厚生労働省におきましては、こうした観点から、男女間賃金差異の要因分析ですとか改善に向けたアドバイスなどのコンサルティングの事業を実施をしております。

 令和七年度予算案にもこの事業を計上しているところでございまして、中小企業においても働きやすく魅力ある職場づくりが進んでいきますように、しっかり取り組んでまいります。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 私も地元の中小企業の方々とお話をするわけですが、やはり雰囲気が変わってきているなということを感じます。意識が、変えていかなきゃならないという思いを持っている経営者の方々が増えた。頭では分かっているけれども、ただ、なかなか進められないという難しさも抱えておられますので、是非、今お話にあったようなサポート体制があるということを多くの方々に知っていただいて、また活用していただきたいというふうに思いますし、引き続き国として後押しをお願いしたいと思います。

 次に、医師の偏在についてお伺いします。

 地方創生を進めるに当たっては、地域での生活を安心できるものにするため、医療提供体制の確保を推進する必要がございます。中でも、医師偏在の是正は重要な課題であると考えております。地域ごとによって、今後の医療ニーズの推移、これは様々である中で、医師偏在の是正に向けて、その実情に応じたきめ細やかな支援を行う必要があると考えております。

 厚生労働省では、今後、医師偏在対策として、どのような対策を、地域を対象に、そしてどのような支援を行っていくのでしょうか。お願いいたします。

森光政府参考人 お答えさせていただきます。

 医師偏在対策につきましては、地域の関係者との協議を行いながら、地域の実態を踏まえた実効性のある対策を進める必要があると考えております。

 厚生労働省におきましては、昨年末に医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージを作成したところでございまして、都道府県において、今後も一定の定住人口が見込まれるが、人口減少よりも医療機関の減少スピードが速い地域などを重点医師偏在対策支援区域と設定した上で、この区域に派遣する医師等への手当を支給するなどの経済的インセンティブを実施したいと考えております。

 この実施のため、今国会に関連法案を提出したところでございまして、引き続き、地方自治体、医療関係者、保険者等々の御意見を伺いながら、医師偏在対策、是正に向けた総合的な取組を進めてまいりたいと考えております。

加藤(鮎)委員 また、地方の病院からは、院長自らが勤務医を探すなど、勤務医の確保に苦労しているという声も聞かれます。

 医師偏在対策を進めるに当たっては、病院によって勤務医の確保をそれぞれ院長さんがやるとかそういうことではなくて、やはり国として支援していくということも必要なのではないかと考えますが、どのように取り組んでおられますでしょうか。

森光政府参考人 御指摘のとおり、勤務医の確保、これは非常に重要な課題であると認識をしております。

 先ほど御説明させていただきました医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージに基づく経済的インセンティブを実施するということにしておりますけれども、これらに先行いたしまして、令和六年度の補正予算におきまして、中堅、シニア層の医師を対象といたしまして、医師少数区域を始めとする医療機関との全国的なマッチングへの支援、それから、総合的な診療を学び直すためのリカレント教育の推進、このための事業を措置しているほか、都道府県と派遣元であります大学病院等の間で、医師派遣、配置に関する連携パートナーシップの協定の締結、これを推進していきたいというふうに考えております。

 引き続き、医師派遣等の支援などを通じて、医師不足に悩む医療機関における勤務医の確保を図ってまいりたいと考えております。

加藤(鮎)委員 地域によって医療ニーズは実にまだら模様であります。医師不足のピークを迎えるタイミングもその規模も、地域によってまちまちでございまして、地域ごとのきめ細かい対応が特に重要でありまして、そういったきめ細かい対応、地域に寄り添っていく対応をしていくのだというメッセージをこれからもしっかりと発信をしていっていただきたいと思います。

 次に、米の価格、米価についてお伺いをいたします。

 昨年の夏以降続いている米価高騰を受け、先日、江藤農水大臣より、備蓄米二十一万トンの条件売渡しという対応が発表されました。消費者の方々は高騰した米価が落ち着くことを期待しておられますし、稲作農家の方々も胸をなで下ろしています。

 生産者の方々にとっても、米価が極端に上がり過ぎることは怖いというのが本音でございます。それは、消費者の米離れを引き起こしたり、主食用米の作付が需要に見合わないまでに急増したり、そういったことを招きかねないからであって、ほどよい価格が一番だというお声が地元では多数聞こえてくるところです。

 米価そのものに介入することは政府の役目ではない中で、目詰まりした流通を改善するという意味において、今回の対応は有意義で必要なことだったと私は僭越ながら評価をさせていただいております。

 しかも、十五万トン、六万トンと段階的に、さらに、最初の十五万トンのうち五万トンを五年産米とするなど、売渡し方法も幾重にも検討を重ねて決められたのだろうと拝察をいたします。

 平成七年の食糧法制定以来、備蓄米は震災以外に出したことはありません。是非とも大臣から、今回のこの二十一万トンを活用することの経緯とその狙いについてお聞かせください。

江藤国務大臣 加藤委員からはしっかり御説明をいただきまして、ありがとうございます。

 経緯につきましては、十分米は生産していただいた、昨年に比べて十八万トンも多く生産していただいた、しかし、二十一万トンも集荷できていない、明らかにスタックしている、ということであれば、まずこの目詰まりを何とかするのが目的であります。

 そして、大事なことは、売り渡したお米がしっかり流通に乗ることであります。ですから、集荷業者から、それが卸に行くときにはしっかり報告をしていただきます。卸の段階からいわゆる実需者、小売ですね、渡るときには精米にしていただきます。精米にすると、大体、おいしく食べられる期間は一か月ぐらいしかありませんから、もうためておくことは不可能です。ですから、速やかに店頭に並ぶことができるということであります。ただ、町のお米屋さん、そういうところはいわゆる精米の能力を持っていますから、そういうところについては玄米で渡すことも可能としております。

 とにかく、農林水産省も夜を徹して検討いたしました。遅いという御指摘もありますけれども、今後、この目詰まりを早期に解消できるように、全力を尽くして頑張ってまいります。

安住委員長 加藤さん、時間が参っていますので、まとめてください。

加藤(鮎)委員 早期にというところを是非ともよろしくお願いをいたします。

 これまで、地方創生にまつわる様々な質問をいたしました。人口減少と少子高齢化が進む地方の皆さんにとっては、自分たちの暮らしを何とか守ってほしいというのが切なる願いでございます。少子化が進み、自分たちの地域から子供たちの笑い声が消えていっていく、これがどれだけ寂しいことか……

安住委員長 まとめてください。

加藤(鮎)委員 はい。

 是非、地方に住む方々にとっても、若い人たちが子供を産み育てやすい、そういう思いを持てる、安心できる、子育てが社会から応援されているという安心感も持てるという国にしていただきたいと願っております。

 最後に総理の意気込みをと思っておりましたが、是非、少子化対策、加速化プランに対しても力強く取り組んでいただくことをお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

安住委員長 今、時間を大幅にオーバーしましたので、自民党は時間の調整をお願いします。

 この際、長谷川淳二君から関連質疑の申出があります。柴山君の持ち時間の範囲内でこれを許します。長谷川淳二君。

長谷川(淳)委員 自由民主党の長谷川淳二でございます。質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 冒頭ですけれども、昨年末から記録的な大雪によりまして甚大な被害が生じております。被害を受けておられる地域の皆さんには心からお見舞いを申し上げます。

 この冬は、私の地元愛媛県でも、農業用ハウスの倒壊ですとか果樹の枝折れなどの多くの農業被害が生じております。この週末も強烈な寒波が続くと予報されております。除排雪に対する継続的な財政措置を始め、農業被害への対応を含め、記録的な大雪被害に対する迅速な支援を総理に要望いたします。これは要望のみでございます。

 それでは、私からは政治改革について質問させていただきたいと思います。

 昨年の臨時国会における政治改革特別委員会理事会の申合せにおきまして、企業・団体献金については令和六年度末まで、すなわち来月、三月末までに結論を得ることとされています。そこで、まず、企業・団体献金の経緯について正確な認識を確認をさせていただきたいと思います。

 政治改革に関する、平成六年一月二十八日、今から三十年前のいわゆる総総合意、当時の細川護熙総理と河野洋平自民党総裁がトップ会談をして、政治改革について合意したものでございます。

 去る二月の六日、我が党の政治改革本部において、当時与野党の交渉の実務に当たっておられた伊吹文明元議長から、企業・団体献金に関して三十年前の経緯を正しく認識していない論調があるのではないかという御指摘をいただきました。

 すなわち、総総合意の中には、企業・団体献金について、政治家個人への企業・団体献金の五年後の廃止が規定されているだけでございます。企業・団体献金の全面禁止は前提とされておりません。

 そして、事実、総総合意を受けて国会が議決をした平成六年改正政治資金規正法の附則第十条は、会社、労働組合その他の団体の寄附の在り方について見直しを行うものと規定されています。

 そして、平成六年の五年後の平成十一年改正では、この総総合意に基づいて、政治家個人への企業・団体献金は禁止、廃止をされましたが、政党への企業・団体献金は存続をされました。

 存続をされた上で、伊吹文明元議長は、この平成十一年改正をもって議論は決着をしており、国会の権威のためにも、国会議員は国会の意思を前提に議論すべきではないかと訴えられておりました。私もそのとおりだと思います。

 したがって、企業・団体献金の在り方について審議に臨むに当たりまして、我々が立脚すべき国会の意思、立法意思は、平成六年改正政治資金規正法附則第十条の規定、すなわち、企業・団体献金の見直しであって、廃止が約束だという議論を前提にすることは適切ではないと考えますが、改めて総理の見解をお伺いしたいと思います。

石破内閣総理大臣 河野元総裁、細川元総理、こういう皆様方が平成の政治改革の際、政党に対するものも含めた企業・団体献金の全面的な禁止について合意していた、そういうような趣旨の御発言をなさっておられることは承知をいたしております。

 当時のことを覚えている人というのは本当にほとんどいなくなりましたが、この当時のことを振り返ってみますと、今御指摘いただきましたように、当時の改正政治資金規正法の附則第九条におきまして、会社、労働組合その他の団体の資金管理団体に対する寄附については、この法律の施行後五年を経過した場合において、これを禁止する措置を講ずるものとするとされており、資金管理団体に対する企業・団体献金は禁止ということが明記をされております。

 御指摘の改正法附則第十条で、この法律の施行後五年を経過した場合においては、政治資金の個人による拠出の状況を踏まえ、政党財政の状況などを勘案し、会社、労働組合その他の団体の政党及び政治資金団体に対してする寄附の在り方について見直しを行うものとするとされており、政党及び政治資金団体に対する企業・団体献金につきましては禁止とは書かれておりません。このことからも明らかでございます。

 当時の細川連立内閣では、社会党が、当時の日本社会党でありますが、五年後の政党などへの企業・団体献金の禁止という御主張をなさいました。ところが、連立与党の中のほかの党派の方々、当時、新生党とか、さきがけとか、日本新党あるいは民社党という党があったわけでありますが、これは難色を示しましたために、当時の与党の中においてすら、企業・団体献金の全面的な禁止、その合意には至っていなかったということは、これは事実としてございます。

 当時、我々自由民主党は野党でございましたが、政党と政治資金団体に加え、政治家が指定する資金調達団体への企業・団体献金も認める、企業・団体献金の上限額を一・五倍に引き上げるというような案でまとまっておったと理解をいたしております。

 その上で、最終的に与野党が合意をいたしましたのは、政党、政治資金団体、資金管理団体への企業・団体献金を認めた上で、資金管理団体への企業・団体献金は五年後に禁止し、政党及び政治資金団体への企業・団体献金の在り方は五年後に見直すということになっておるものでございます。

 これが歴史的な経緯でございまして、細川元総理、河野元総裁がおっしゃっておるように、そういうような禁止で合意をしたのだということは事実としてございません。そのことは確認をしておかねばならないと思っております。

長谷川(淳)委員 ありがとうございます。当時の経緯がよく分かったところでございます。

 もし、本当に全面禁止が与野党の共通認識でありましたら、総総合意に禁止と明記をされていたはずでございます。合意文書にも法律にも明記をされていない、そのことを前提に議論するのではなくて、あくまでも附則第十条の見直し、これが我々に課せられた立法意思でございますので、それに基づいて議論をするのが正しいと思います。

 その上で、政党の政治資金の在り方について質問をさせていただきたいと思います。

 それぞれの政党は、民主主義を支えるために、様々な政策形成に当たって、国民や企業や団体、労働組合、多様な御意見を集約して政策をつくっております。その政策をつくる上に当たっての政治活動の支え手となる政治資金の在り方、これについては、お金のかからない政治が当然の、一番大事でございますけれども、一方で、我が党は、政党助成金が導入された当時から、個人献金、企業・団体献金、そして公的助成、このバランスが何より重要であると訴えてまいりました。

 すなわち、政党が公的助成だけに依存しますと、どうしても国民からの距離が遠くなってしまう。そして、公的助成だけに依存すると、時として国家権力の介入の危険性がある。これはもう石破総理御案内のとおり、歴史が示しているところでございます。また、個人献金は当然のことながら有権者が一人一人の意思で政治に参画する手法でありますけれども、ばらばらの個人だけでは、やはり民意の集約、形成という点では必ずしも十分ではないと思います。

 やはり、経済社会の大事な担い手である企業や団体、労働組合を含めてですけれども、そういう企業や団体が政治資金の支え手として節度を持って参画をしていただくことが私は重要だと思います。

 そこで、民主主義を支える政治資金の在り方として、個人献金、企業・団体献金、政党助成金、このバランスが何より重要だと思いますが、総理の見解をお伺いします。(発言する者あり)

安住委員長 静粛に。

石破内閣総理大臣 おっしゃるとおりで、公的助成に頼り切るという政党、それは私は政党としては決して望ましいものだと思っておりません。そういたしますと、やはり権力の介入というものは必ずある、それは必ずある。そういうものは決してあってはならないと思います。一方において、大金持ちでないと政治家になれない、そういう世の中が決していい世の中だと思ってはおりません。

 そうしますと、私ども、本当に、企業、団体からの御厚志というものをいただくのは、みんな経験しておることですが物すごく難しいです。しかし、そのときに、何かの利益を与えるのでというようなことを私どもは言ったことはないし、一つ一つに本当にお願いするのは大変なことだ。

 企業、団体の皆様方、そして個人が一生懸命集めたお金、そして公的助成、この三つのバランスをどう取っていくのかということが大事なのであって、権力の介入を過度に許すような、というか許すような資金の在り方、それは間違い。お金持ちでなければなれないというのも間違い。企業、団体からに頼り切るのも間違い。このバランスをどう取るかが一番ポイントだと思っております。どれかに偏ることがあってはなりません。そこのところは変えていかねばならないし、守っていかねばならないことでもございます。

長谷川(淳)委員 ありがとうございます。個人献金、企業・団体献金、公的助成、このバランスが必要であると思います。

 と同時に、それぞれ政党は、それぞれ成り立ち、歴史がございます。その成り立ちに応じて支え手も様々な支え手がございます。その政党の由来に基づく収支構造、それぞれの政党の違い、これはそれぞれお互いに十分尊重した上で言うべきことは言うという議論をしていくことがこれからの審議に私は必要だと思います。

 その上で、企業・団体献金、このことについてお伺いをさせていただきたい、議論を整理させていただきたいと思います。

 企業、団体、先ほど申し上げたように経済社会における重要な主体であります。政党がつくる政策の影響を直接受ける存在でございますので、やはり、その政治活動の一環として政党への寄附を行う自由、これは政治活動の自由として尊重されるべきだと思います。

 平成六年の総総合意に基づいて、政治家個人への企業・団体献金は廃止をされましたが、政党への企業・団体献金は存続をしました。

 その当時、平成十一年の政治資金規正法改正の際、与党法案の提出者でありました平沼赳夫議員、大先輩は、長年にわたる政治改革の議論を踏まえ、会社等の団体が政党への寄附を通じて政治に参画することの意義の重要性を正しく評価すべきと主張されています。

 政策形成プロセスへの参画など、政党本位の政治において企業・団体が政治に参画をし、その支え手として、節度ある形で支え手となることの意義について、総理にお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、山下委員長代理着席〕

石破内閣総理大臣 私は、企業というものが、会社法があって、これは五百条ぐらいの条文がある法律でございます、それによって公の存在として社会においてそれが機能しているということは、資本主義社会において当然認められるし、今そういうことだと思っております。

 企業は納税の義務を果たしております。では、その企業というものが政治の在り方、政策の在り方について一体どういうような表現ができるのだろうかということを考えたときに、企業が投票するということはできませんので、自然人ではございませんから。そうすると、納税の義務を果たしておる、社会において公の存在として活動している、それが政治的な意思を表明するということは、今委員が御指摘のように、節度ある資金の拠出ということは、それは当然に認められるべきものだと私は思っております。それは、資本主義社会というものにおける民主主義というのはそういうものだと思っております。

 しかし、そこにおいてはおのずから節度が求められるし、そして、そこにおいてきちんとした公開性、透明性というものが求められなければいけない。主権者たる国民の判断に資するような、そういうような公開性、透明性は更に高めていくべきものだと思っております。

 そして、公的助成も、民主主義がそういうような公のシステムであります以上は、当時、コーヒー一杯分というお話がございましたが、公的助成もそれは認められるべきものだろう。

 そして、個人が、政治家が一生懸命お願いをしていく、そしてまた自らのいろいろな稼ぎの中、財産の中から拠出をするということも、それは当然のことだろうと思っております。

 要は、そのバランスをどう取っていくかであって、どこかに過度に依存するということは、それはないように心がけていかなければなりません。

長谷川(淳)委員 それでは、次は、改正政治資金規正法附則十条に規定されています労働組合、この政治活動と寄附の在り方についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 平成六年改正政治資金規正法の附則第十条は、企業、団体ではなくて、企業、労働組合その他の団体の寄附の在り方を見直すとしております。一般的には企業・団体献金と言われますけれども、政治資金規正法上は、労働組合を明記をし、企業も労働組合も同列に規定をしているところでございます。

 そこで、政治資金規正法において企業と同列に労働組合が規定をされ、寄附の上限等の規制が設けられているのはどのような理由なのかを総務省にお伺いしたいと思います。

笠置政府参考人 お答えを申し上げます。

 昭和五十年の政治資金規正法改正におきまして、寄附の量的制限が設けられてございます。その際に、会社、労働組合、職員団体、その他の団体について並列に規定をされております。

 この趣旨につきましては、この寄附の上限については、特定の者がする多額の献金によって政治に対して不当な影響を及ぼすことがないようにするという見地から定められたものと承知をしております。

 先ほども御案内のありました平成六年の附則十条におきましても、こうした本則二十二条の規定に倣い、会社、労働組合が並列に規定をされたものと考えております。

長谷川(淳)委員 労働組合の皆さんは、当然、職場の中で賃金や労働条件の改善のために活動されていますけれども、同時に様々な政治活動も行っていられるわけでございます。

 とりわけ、今、物価を上回る賃金の上昇が求められる中で、春闘シーズンも迎えております。政労使が協力して取り組んでいくことも重要でございますし、我が党も労働組合の皆さんから御意見を積極的にお伺いをしておりますし、労働組合の皆さんも自民党の政策づくりに御参画をいただいております。

 ただ一方で、やはり、労働組合の数、令和六年の労働組合基礎調査によれば、我が国の労働組合は二万二千五百十三組合、うち連合系の組合は一万一千四百二十三組合、一万を上回る組合がございます。選挙ともなれば、それぞれの組合が候補者を推薦され、支援をされておることは事実でございます。

 先ほど総務省から答弁ありましたように、労働組合からの政治資金の拠出についても、それが多額になれば、答弁されたように不当な影響を及ぼすおそれがあるということは、企業・団体献金と同じであります。

 とりわけ労働組合の政治資金の原資となる組合費については、これまでも、給与からの天引き、チェックオフ、この在り方が指摘をされています。

 この点に関して、昭和五十年の十一月二十八日の最高裁判決、組合出身の候補者を選挙で応援するための資金について、組合員は臨時組合費の納付義務を負わない、すなわちチェックオフはできないと判示をしています。

 そこで、この最高裁判決に照らし、労働組合は、特定の候補の支援のための活動費やあるいは政治資金パーティーの購入費、こうした政治活動の費用に充てるために、労働者から天引き、チェックオフによって集めた組合費から資金を拠出できるんでしょうか。厚労省にお伺いします。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 政治的活動のために臨時組合費の納入を組合員に義務づけることについては、御指摘の最高裁の裁判例では、臨時組合費の徴収が許されるかどうかについて判断するとした部分におきまして、労働組合が組織として支持政党又はいわゆる統一候補を決定し、その選挙運動を推進すること自体は自由であるが、組合員に対してこれへの協力を強制することは許されないというべきであり、その費用の負担についても同様と解すべきと示したものと承知をしております。

 他方、労働組合が政治的活動をするための費用を組合基金から支出することについては、先ほど申し上げた最高裁の裁判例では、労働組合がかかる政治的活動をし、あるいは、そのための費用を組合基金のうちから支出すること自体は、法的には許されたものというべきであると示す一方で、学説では政治的活動の内容によるとするものがあるものと承知をしております。

 したがいまして、御指摘の、特定の立候補者の支援のための活動や政治資金パーティー券の購入も含め、政治的活動へ組合費を充てることの可否については、個々の具体的な事案に応じて判断されるものと考えております。

長谷川(淳)委員 今御指摘ありましたように、労働組合が組織として支持政党あるいは候補者を決定して選挙運動を推進することは当然自由でありますけれども、組合員に対してその協力を強制することは許されないと思います。

 この問題については我が党も繰り返し指摘をさせていただいています。例えば平成二十二年の二月十二日の党首討論では、当時の谷垣総裁から鳩山総理に対してこのチェックオフの問題点を指摘させていただいています。鳩山総理は、組合員の一人一人が本来自分の意思で行うべき問題ではないか、全員の意思であるかどうかというものの確認というものが本来必要ではないかとお答えになっておられます。

 やはり、組合員の意図していない選挙資金や政治資金の拠出というのはあってはならないのは当然のことではないかと思います。

 その上で、次は、労働組合の中には、それぞれの母体となった政治団体を組織をされています。企業、団体からでは禁止をされている国会議員個人の政治団体には、労働組合が母体となった政治団体からは寄附ができる今仕組みとなっています。

 昨年の十月七日の読売新聞によりますと、令和四年分の政治資金収支報告書を集計したところ、労働組合が関与する政治団体から、立憲民主党さん、国民民主党さん、両党の八議員に合計三億二千百四十二万円が献金をされています。(発言する者あり)別だということを前提に質問しております。

 労働組合が関与する政治団体の中には、年間一億円以上の会費を集めて国会議員の後援会に献金をされている団体がございます。労働組合が母体となった政治団体の資金の原資となる会費、これについては、労働者が明確に認識しないままに、労働者の賃金から天引き、チェックオフされているんじゃないかという問題点があります。これは明らかに給与の全額支払いを定めた労働基準法に違反すると思うんですけれども、厚労省の見解をお伺いしたいと思います。

    〔山下委員長代理退席、委員長着席〕

岸本政府参考人 お答えいたします。

 労働基準法第二十四条第一項におきまして、賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならないことが規定され、その例外として、書面による労使協定を締結した場合には、賃金の一部を控除して支払うことができるとされております。

 また、この労使協定による賃金からの控除につきましては、購買代金、社宅の費用など、事理明白なものに限って認められるものでございますが、協定書においては、少なくとも控除の対象となる具体的な項目を記載することが必要であるとされております。

 この要件を満たす限りにおいて御指摘の会費を賃金から控除しても労働基準法違反となるものではございませんが、労使協定の締結なく賃金から控除した場合、労使協定の控除の項目の記載が不明確であることにより、控除の対象を具体的に特定せずに賃金から控除する場合には、原則として労働基準法第二十四条に違反することとなるものでございます。

長谷川(淳)委員 そうなんですね。労働者本人の明確な認識がないままにチェックオフすることはできないのは当然だと思います。

 また、当然チェックオフは労使協定を締結すればできるんですけれども、そもそも構成員の認識なくして労使協定というのは結べるんでしょうか。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 労使協定そのものについては事業場内において周知義務がかかっておりますほか、先ほど申し上げました賃金控除につきましては、労使協定を締結すれば控除することは労働基準法違反とはなりませんけれども、これが労働契約上適法であるためには、労働協約又は就業規則に控除の根拠規定を設けるか、あるいは対象労働者の同意を得ることが必要でございます。

長谷川(淳)委員 今の議論なども踏まえまして、我が党は、政治団体の会費負担に関しては本人の自由意思に基づくこと、また法人その他の団体の寄附は構成員の意思を尊重することを規定した、政治資金規正法の改正案を提出させていただいております。

 政治資金の拠出について構成員の意思を尊重すること、これはもう我が党としても常に襟を正さなければいけない命題であると思います。

 ただ、この意思尊重規定というのは、あくまでも一般規定でございます。罰則があるわけではございません。何となれば、企業や労働組合あるいは政治団体の政治活動の自由、その一環としての政治資金の拠出の自由は、これは尊重されなければならないと思います。

 政治資金というのは、企業であれば企業の資金、また労働組合や政治団体でありましたら組合費や会費から拠出をされているわけでございますけれども、その根っことなる出し手は全て国民の皆さんであります。したがって、先ほど、拠出については、チェックオフについてはそれぞれの個別の事案に応じるというふうな話もございましたけれども、最終的にそうした政治資金の拠出が適切かどうかというのは、まさに政治資金規正法に言う、国民の皆さんの不断の監視と批判の下に置かれていると思います。

 政治資金規正法が言う、まさに国民の浄財である政治資金が適切かどうかというのを国民の皆さんが判断するためには、やはり公開が何より重要だと思います。

 そこで、我が党は、企業・団体献金に関して、禁止より公開をより一層強化するために、企業、労働組合、政治団体が多額の寄附を行った場合に総務省が毎年公表する法案を提出をしております。

 この法案については、収支報告書がもうあるから集計すれば済むんじゃないかという御指摘もございますけれども、政治資金制度を所管する総務大臣が毎年公的機関として中立な立場で公表することによって、公的機関が取りまとめた情報が継続的に、定点的に国民の皆さんに情報開示されるわけです。これは、まさに国民の不断の監視と批判に一層資するものだという考え方の下に、公開強化法案を提出をさせていただいています。是非議論を特別委員会でも深めさせていただきたいと思います。

 また、政治資金パーティーが含まれていないんじゃないかという御指摘がございます。政治資金パーティーの量的規制は、御案内のとおり、一件当たり百五十万です。企業・団体献金の上限は一億円、また政治団体同士の資金の移動は五千万、政治団体から政党には無制限です。したがって、こういう考え方から、まずは、寄附の方がはるかに多額に及ぶ可能性があるということで、寄附を公表の対象としたという法案でございます。是非議論を深めさせていただきたいと思います。

 そこで、最後に、企業・団体献金については、政治活動の自由の一環として、国民の不断の監視と批判の下に節度を持って行われるべきということに鑑みまして、禁止よりも公開、この原則の下に、その公開性、透明性を一層強化することが求められていると考えますが、総理の見解をお伺いしたいと思います。(発言する者あり)

安住委員長 静粛に。

石破内閣総理大臣 私どもとして、政治資金規正法第一条の趣旨、今委員がおっしゃいましたように、政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われる、それが政治資金の公開でございます。と同時に、民主主義の健全な発達を希求して拠出される国民の税金でございますから、浄財でございますから、政治資金は。これの収支の状況に関する判断はあくまで主権者たる国民に委ねるのだ、いやしくも政治資金の拠出に関する国民の自発的意思を抑制することがないようにしなければいけない、これが政治資金規正法の趣旨でございます。

安住委員長 大幅に時間をオーバーしていますから、簡潔に。

石破内閣総理大臣 我が党が考えておりますのは、禁止よりも公開というのは、まさしくこの政治資金規正法の趣旨に忠実に沿ったものであり、更に公開への努力をしてまいりたいと思っておるところだと承知をいたしております。

安住委員長 終わってください。

長谷川(淳)委員 ありがとうございます。

 特別委員会においてまた審議を深めさせていただきたいと思います。

 以上でございます。

安住委員長 これにて柴山君、加藤さん、長谷川君の質疑は終了いたしました。

 次に、階猛君。

階委員 立憲民主党の階猛です。

 この国会、予算委員会で、私、四回目の質問になります。

 この間、いわゆる社会保障の壁と言われる百六万、百三十万の壁について、関係の大臣の皆さんと議論を重ねてきました。歩み寄りが見られた部分もあり、そこは評価したいと思いますが、大きく二つ問題があると思っております。

 まず一つ目は、いわゆる百六万円の壁の方です。被用者の場合、被用者、勤め人ですね、勤め人の場合、パート先などで、百六万を超えると、五十一人以上の会社であれば被用者保険に入らなくてはならず、社会保険料の負担が生じて手取りががくっと減る、これによって働き控えが起きる、この問題をどうしようかというのが百六万の壁の問題です。

 これに対して、政府は、まず、百六万ではなく二十時間という時間の制限、時間の基準にしましょう、そしてその上で、企業規模の要件を撤廃して、少ない従業員の企業でもすべからく被用者保険に入るようにしよう、こういう中身だったと思います。

 しかし、私が問題にしているのは、これは東京商工リサーチというところで、人手不足関連倒産、去年一年間の数字を出したものです。御覧になっていただければお分かりのとおり、人手不足関連倒産が非常に増えている。とりわけ人件費高騰を原因とするものが増えているわけですね。

 私が何を言いたいかというと、これほど人件費高騰によって倒産が増えている。しかも、この調査を子細に見ると、中小零細企業で増えているわけですよ。そういう中で、この政府のやろうとしている、百六万から二十時間の壁対策に変わるわけですけれども、二十時間の壁対策をやることによって、事業主の側の社会保険料負担が新たに小さな企業でも生じる。これによって、また、ただでさえ増えている人手不足関連倒産が増えるのではないかということを危惧しております。

 この点について、総理の見解をお願いします。

石破内閣総理大臣 二十時間の壁対策をどうするかということでございます。

 現在、厚労省が検討しております労働者の保険料負担を軽減する事業主への支援措置、これを指しておるものでございます。

 委員が御指摘になっておられますこと、あるいは御党から御指摘をいただいておりますことは、企業が負担する社会保険料そのものの軽減、この軽減の御提案をいただいておるということでございます。

 厚労省が検討しております仕組みというのは、まだ確定はいたしておりません。検討段階でございますが、労働者が被用者保険の適用を避けて就業調整をすることがないように、労使折半を超えて事業主が負担した保険料を支援の対象としておるものでございます。

 一方において、企業の負担する社会保険料の直接的な軽減につきましては、社会保険料というものが、医療や年金の給付に充てられ、労働者を支えるための事業主の責任だというふうに位置づけられておりまして、慎重な検討が必要だと思っております。

 被用者保険の適用拡大につきましては、これまでも企業規模要件の見直しを行っておるところでございます、段階的でございますが。今般の五十人以下の従業員を擁する企業への適用拡大に当たりましても、十分に準備期間を設けて、段階的に実施するという方向でやらせていただいておるところでございます。

 その上で、就業労働時間の延長や賃上げなどを通じて労働者の収入を増加させる取組を行った事業主には、キャリアアップ助成金等によります支援を行っておるところでございます。

 このようなことも踏まえまして、年金改正法の取りまとめに向けて丁寧に対応してまいる所存でございます。

階委員 今答弁の中でもお触れになったとおり、我々は、事業者の社会保険料負担を軽減するための法案を今日お昼に再提出の予定ですけれども、これをやることによって壁を乗り越えやすくするということも提案しているわけです。

 総理は丁寧に対応していくと言われていましたけれども、既にこの政府の二十時間の壁を検討される段階で、倒産というか廃業を宣言しているところが出てきております。

 山形で硬式野球のボールを作っている福祉事業所、これがもう廃業を決断したそうですから、読売新聞に出ていましたけれども。それだけではなくて、私も、地元に帰って中小企業の関係の皆さんから聞くと、やはりこの政府の案は厳しいというふうに言われますよ。

 なので、私たちは、こうした二十時間の壁というのを設けていきなり事業者の社会保険料負担を発生させるのではなくて、私たちが考えているのは、百三十万の壁対策、これをまずやるべきだというふうに考えています。百三十万の壁対策をすることによって、働いている人は、まずは事業者負担のない国民健康保険、国民年金に入れるわけですよ。これをまず促進するような給付を私たちは行うべきだというふうに申し上げておりまして、さっきの事業者への支援ということだけではなくて、百三十万の壁に対する就労促進支援給付、これは被用者に対する支援、これも私たちは考えているわけですよ。

 政府のやり方を聞いていると、例えば雇用保険料を社会保険料の穴埋めに使うとか、そうしたことなどをやろうとしておりますが、これは保険料の流用ですよ。目的外使用ですよ。これは大きな問題ですよ。

 我々が提案しているのは、税金は縛りのない、政策に応じて使えるものですから、これをまさに、今これだけ人手不足倒産が起きている中で、更に人手不足が起きないように、働き控えを解消する方向で税金を使って百三十万の壁を乗り越えやすくするというものですから、是非やっていただきたい。そして、これをやることによって、財政負担は一時は生じますけれども、中長期的に見れば財政負担は減ります。そして保険財政もよくなります。これを是非やってください。

 総理、消極的な答弁はもう聞き飽きましたので、是非前向きな答弁、お願いします。

石破内閣総理大臣 これは流用だと私どもは思っておりませんで、いわゆる年収百三十万円の壁の問題につきましては、働き方に中立的な制度、これを構築する観点から、できる限り被用者保険への移行を促し、壁を意識せずに労働者の皆様方が働くことのできる環境整備、これが重要であると考えております。

 現在、政党間協議が進められておるわけでございますが、これが調うことを前提に、この百六万円の壁への対応の現行措置を参考にしながら、支援策の検討を進めてまいりたいと考えております。

 じゃ、その支援策につきましてはということでございますが、現行措置と同様、労働者に新たに被用者保険を適用するようなことを考えておることでございまして、更に議論を深めさせていただければ幸いでございます。

階委員 有識者の人も、今回の百三十万の壁対策に雇用保険料を使うのは目的外使用だということを言っておりますので、是非ここは慎重な検討というか、私は行うべきではないと。むしろ我々の、公費を使う、税金を使った支援という方が真っ当な政策だということを申し上げておきます。

 今日は日銀総裁にお越しいただいていますので、話を金融政策に移したいと思います。

 最近、長期金利が上昇しております。長期金利が上昇してきた背景には、これまでの日銀の金融政策、行き過ぎた金融緩和を巻き戻しているということが背景にあるかと思うんです。

 私、黒田総裁時代に、以前の日銀であれば、長期金利はコントロールできないということを言っていたと思うんですよ、ところが、それを翻して、長期金利をコントロールするイールドカーブコントロールという長ったらしい名前の金融政策手法を導入されました。それによって、無理やり長期の金利をゼロ%近くに抑えてきたわけですね。植田総裁に替わられて、ようやくそれが終わって、金利が上昇してきたわけです。

 他方、その結果、金融機関によっては保有している国債に巨額の含み損が発生したり、政府においては、後で述べますけれども、利払いが急速に増えたり、さらに、為替の方も、イールドカーブコントロールの過程で海外との金利差が広がって急速に円安が進んだり、様々な弊害が生じたわけですよ。

 原因をつくったイールドカーブコントロール、年末に日銀は過去の金融政策を検証する多角的レビューというのを発表されましたけれども、このイールドカーブコントロールにはほとんど触れられていないんですよ。

 私は、このイールドカーブコントロール、長期金利を無理やり低く抑えてきたということが、今の非常に大きな問題につながってきていると思うので、是非ここは反省していただきたいと思うんですが、日銀総裁、いかがですか。

植田参考人 お答えいたします。

 イールドカーブコントロールについては様々な評価があることは存じ上げていますが、イールドカーブコントロールを含む大規模な金融緩和は、私どもの二%の物価安定目標を実現するプロセスの中で必要なものであったというふうに判断しております。

 ただ、そうした大規模な金融緩和政策が様々な面で副作用を発生させたということも認識しております。

 取りあえず、具体論はまた。

階委員 様々な副作用を発生させたということですが、今、巻き戻しの過程で長期金利が上昇してきておりますけれども、今までゼロだったものが急速に上がってくることによって、どのような金融あるいは実体経済への影響があるかということも具体的に御説明いただけますか。

植田参考人 まず、金融システムへの影響について若干お答えいたしますと、金利の上昇は、様々な経路を通じて、金融機関収益や金融システムに影響を及ぼすものでございます。貸出しや債券の運用利回りが上昇したり、調達金利が一方で上昇するということがございます。またさらに、債券価格の下落が、委員おっしゃいましたように保有有価証券の評価損を発生させるという面もございます。

 ただ、長い目で見れば、金利上昇は、全体として金融機関収益を改善させる効果があると考えておりますし、我が国の金融機関は、全体として十分な資本と流動性を有しており、金融システムは安定性を維持しているというふうに判断しております。

 ただ、引き続き、注意深くモニターしていきたいと思っております。

 また、長期金利上昇が企業の調達金利にどういう影響を与えるかという面もあるかと思っておりますが、これはもちろん、長期金利、中長期金利が上昇しますと、企業の資金調達コストもそれなりに上昇いたします。

 ただ、こうしたコスト上昇は、景気の緩やかな回復が持続する下で企業の売上げや収益が増加傾向をたどっているということと併せて評価する必要があると考えていますし、金融機関の貸出態度、企業の資金繰り等に関するデータあるいはサーベイ、調査等を見ますと、良好な状態が継続しているというふうに見ておりますので、引き続き緩和的な金融環境が維持され、経済活動をサポートしているというふうには考えております。

階委員 むしろ問題は、これからどこまで金利が上がるか、これに関わってくると思うんですが、日銀が考える長期金利の今後の見通し、そして日銀の対応について伺いたいんです。

 普通、長期金利というのは、日本経済の潜在的な成長率、これと物価上昇率を足し合わせたものというふうに言われるんだと思うんですね。日銀は潜在成長率が〇・六%ぐらいだと考えておりまして、これから、日銀の物価目標二%、達成されるとすれば、大体、足すと二・六%ぐらいなんですよ。ですから、大体二・六%ぐらいというふうに日銀は考えているのかなと思うんですが、長期金利はどれぐらい上がると見ているのか。

 そして、二・六%ということになってきた場合、今、日銀は、これまで大量に異次元金融緩和で買い込んできた国債を徐々に減らしてきていますけれども、この金利が上がる過程においてもそのオペレーションには変更はないのかということについてお尋ねします。

植田参考人 お答えいたします。

 長期金利でございますが、委員のおっしゃったことをやや言い換えた表現で申し上げますと、私ども、国債買入れの減額を進めているわけですが、長期金利の形成に関しては、基本的に、先行きの短期金利の市場における見通し、それから国債保有に伴う各種リスクに応じたタームプレミアムを加えたものという形で、市場において形成されることが基本となるというふうに考えております。

 したがいまして、具体的に、先行き、どういう水準に収束していくかということにコメントするのは差し控えたいと思います。市場において形成されるものですので、市場の経済、物価情勢に対する見方や海外金利の変化等を映じて長期金利はある程度変動することを考えております。

 ただし、こうした市場の通常の動きとはやや異なるような形で長期金利が急激に上昇するというような例外的な状況においては、市場における安定的な金利形成を促す観点から、機動的に国債買入れの増額等を実施するという姿勢でおりますし、こうした考え方は昨年七月に国債買入れの減額計画を策定した際に明らかにしたところでございます。

階委員 ちょっと説明が抽象的で分かりづらいんですが、まず、今、長期金利はコントロールしていないわけですから、日銀が客観的な見通しを示すということは問題ないと思っておりますけれども、先ほど私が言った二・六%ぐらいというのは、どうなんですか、大体それが当たらずといえども遠からじなのか、あるいは全く違うと考えているのか。

 そして、先ほど、オペレーションを見直すこともあり得べしみたいなこともおっしゃっていましたけれども、どういう場合に、具体的にはどういう金利の状況があった場合に見直すのかということをもうちょっと具体的に説明できないでしょうか。お願いします。

植田参考人 長期金利の中長期的な水準ですけれども、これはまた別の表現をしますと……(階委員「短くお願いします」と呼ぶ)はい。実質金利がどれくらいの水準に長期的に収れんするか、それからインフレ率がどれくらいになるか、そして先ほど申し上げました長期に対応するタームプレミアムがどれくらいになるか、この三要素で決定されるかと思います。

 インフレ率については二を目指しておりますので、ここは二に長期には収束していくということだと思いますが、長期の中立金利あるいはタームプレミアムがどれくらいかということには、非常に不確定性がございますので、具体的にコメントをするということは差し控えさせていただきたいと思います。

 また、後半では、どういうときに機動的なオペをするのかという点に関する御質問だと思いますが、これは前もって具体的にどういうときということを申し上げるのは適切でないかと思います。市場における金利形成が安定的な金利形成にならないようなときを、注意深く市場の状況を見守ることによって判断していくということでございます。

階委員 時間の関係で今日はこの程度にしますが、総理にちょっと二つまとめて御質問しますね。

 パネルの二をお願いします。これは、政府内で長期金利と利払い費、これの推移する予想が違っているということを示したもので、財務省では、長期金利が、来年度、二〇二五年度は二%で、今後十年間、二%から二・五%の間で推移する。一方、内閣府の成長移行ケースというところでは、来年度一・三%となっておりますが、もう既に今の段階でもこれを上回って、非常に低い見通しになって、これが低い状況がしばらく続いた後、十年間、後半にかけて徐々に上がって、最後三%になっていく。利払い費の方も長期金利によって変わってくるわけですけれども、両者で利払い費が、十年間通算すると二十五兆円ぐらい変わってくるわけですよ。

 私がなぜこれを問題にするかというと、金利のある世界になって、これから長期金利が上昇していくわけですね。さっき日銀総裁も言ったように、物価も長期金利が上がる要素ですから、物価が二%に上がれば、当然長期金利はそれ以上になってくるわけですよ。

 そういう中において、やはり利払いに対する危機感、これが政府には足りないと思っていて、次のパネルをお願いします、これは私の方で作ったものですけれども、よく、公債依存度、つまり政府の歳入に占める借金の割合が二四・八%、こういう数字を指して、改善してきていると言うわけですよ。しかし、これは私は少しミスリーディングではないかと思っていまして、本当の意味で一年間に借金をしている数字はもっともっと多いわけです。

 なぜならば、満期が来たものを返せないで借り換えているものが圧倒的に多いんです。これが百三十三兆円ぐらいあるので、それらも考慮して公債依存度を改めて出し直すと、二五%どころではなくて六五%にも達するわけですよ。これが、借換えをする都度、新しい金利になっていくわけですね。つまり、金利が上がっていくということは高い金利になっていく、高い金利になればなるほど非常に利払いが増えるわけですよ。

 こうした情報も国民の皆さんにはちゃんと示して、そして、政府自らも、ちゃんと利払いということを意識した財政運営、先日来我々が指摘しているような、基金にお金を寝かせておいて利息だけ払っているなんてとんでもない。

 そしてもう一つ、政府の見通しが政府内で違うという問題がありました。これは、独立財政機関をつくれば、一つの公正中立な機関できちっとした見通しが示せる。

 この二つをやるべきだ。端的にお答えをお願いします。

石破内閣総理大臣 独立財政機関をどこに置くかということでございます。それは政府部内に置くのか、あるいは国会に置くのか、その置き方については議論のあるところだと思います。また、今、それは経済財政諮問会議がその役割を担っておるところでございまして、私自身、委員の御提案はそれなりに考えさせていただきますが、そういうものをどこに置くのか、いかなる権能を持たせるかということについて、また議論をさせていただきたいと思っております。

 私も、利払い費についてはかなりの意識は持っております。金利のある世界というのは、そういうことを惹起するのは当然のことでございます。

 そういたしますと、内閣府と財務省と違うではないかということでございますが、内閣府が示しておりますのは今後十年間程度の経済財政の展望を明らかにするということでございまして、今後十年間程度の展望を明らかにするものが、内閣府が出しております中長期試算というものでございます。

 財務省が出しておりますのは、長期金利を示しておるものでございますが、これは向こう三年間の予算の姿というものを明らかにするために示しておるものでございまして、といたしましても、これは、利払い費というものを考えましたときに、どうしてもやや高めに出るところが性質としてあるところでございます。その部分はやはり物が違うというふうに考えておりますが、なかなか分かりにくいのは事実でございますので、政府としても、もう少しそれが違う目的で出しておるということを御説明をしてまいりたいと思っております。

 借換債についてでございますが、国債管理政策は、確実かつ円滑な発行、中長期的な調達コストの抑制を基本的な考え方といたしておるものでございます。発行年限につきまして、年限の長いものを短いものと比較をいたしましたらば、御指摘のとおり、年限の短い国債は長いものよりも利払い負担を低く抑えられるのですが、すぐに借換えが必要となりますので、借換え時の金利上昇リスク、借換えリスクを負うというのは当然のことでございます。

 この双方を考えながら、市場参加者との対話を丁寧に行いながら、ニーズを踏まえた年限別の発行計画を策定し、安定的な国債発行に努めてまいりたいと思っております。

 利払い費をどうするかということは非常に重大な課題であるということは、委員と認識を共通いたします。

階委員 聞かれていないことまで丁寧にお答えいただいたんですけれども、一つ、私が申し上げたいのは、こういう、実態を考慮した公債依存度、見かけの公債依存度とは別にこうした数字も公表していただきたいので、是非お願いします。よろしいですか、結論だけ。

石破内閣総理大臣 公表の仕組みは、分かりやすいような工夫というのは心がけてまいりたいと思っております。

階委員 時間も迫ってまいりましたので、最後の質問の方に移りたいと思います。

 我々、今、税制改正法案の議論の中で修正案というのを出しています。パネル、御覧になってください。

 これは、立憲民主党の税制修正案というのは、税への納得と信頼を取り戻し、能力に見合った負担をというキャッチフレーズをつけております。

 三つ掲げておりますけれども、一つ目、二つ目は、すぐに着手すべきこと。

 すなわち、まず、不合理な税負担をなくし、納得できる税制を確立する。防衛増税を中止したり、ガソリン税の暫定税率を廃止したりする。これが一つ目。

 二つ目は、裏金問題で失われた税制の信頼を回復するということです。すなわち、租税特別措置、略して租特です、これによって税が軽減された会社の名前、今公表されていませんけれども、これを公表して、企業・団体献金で政策がゆがめられていないというふうに総理も与党の皆さんもおっしゃるのであれば、これを可視化すべきだということがあります。

 もう一つ、納税者権利憲章。民主党政権のときに設けようとしました。これは、納税者の適正手続を保障する権利であります。裏金議員について、納税、税務調査がしっかりされていないのではないかというような疑惑が昨年来ありました。こうした国民の疑惑、不信、こうしたものが税制の信頼を損なっています。これを解消するためにも、分かりやすく納税者の権利というのを定めて、一人一人に適正手続は保障されるんだということもやるべきだと思っております。

 この二つについては、是非お願いしたい。

 そして、三点目、その二つを行った上で、能力に見合った負担で格差や分断を防ぐということで、具体的項目は割愛しますけれども、こうした三つのことを私たちは掲げているということを申し上げております。

 その上でですけれども、私は、ここに書いていないことでやるべきことがあると思います。それは、税制への信頼回復にも関わること、そして、先日来この委員会で取り上げられていた森友問題の真相解明にも関わることです。

 以前、ここでは、佐川元国税庁長官の証人喚問が行われました。当時は、刑事訴追のおそれがあるからといって、衆議院、参議院の証人喚問で、佐川さんは何と三十何回も答弁拒否をされたわけですよ。その結果、いまだに、文書改ざんの経緯とか動機とか、そうした真相が明らかになっていないわけです。

 そこで、改めて、佐川元国税庁長官をここに招いて、そして話を聞くということをやるべきだと思います。総理、いかがですか。

石破内閣総理大臣 元国税庁長官の国会招致につきましては、国会がお決めになることでございますので、行政府としてそのことについて申し上げる立場にはございません。

 権利憲章についてでございますが、この中身についてまた御提示をいただいて、議論をさせていただきたい。中身です、どういうような憲章の中身なのかということ。今、抽象的にはお話しになりましたが、そこにおいていかに納税者の権利というものが担保されるかという中身についてまだ私は十分に理解をいたしておりませんので、また御提示をいただければありがたいことだというふうに考えております。

 税が軽減された上位の社名を公表すべきではないかということでございます。

 有価証券報告書を公表しております企業の場合には、一定の財務情報は開示されておるわけでございまして、その範囲の財務情報であって、企業自らが公表するので問題はございませんが、他方、一般論として申し上げれば、個別の租税特別措置の適用状況は、有価証券報告書よりも詳細なものとなっております。これを開示しますことによって、企業がどういった分野でどの程度の規模の設備投資を行っているか等々の情報が明らかになり得るというふうに考えております。国がこれを一方的に開示するということは、企業に対して不利益が及びかねないというふうに考えておりまして、このようなことをどのように考えるかということでございます。

 ちなみに、平成二十二年度の租税特別措置透明化法、こういうものができましたが、このときにも、適用実態調査の報告書におきまして、個別企業名まで公表する必要はないという整理がなされたというふうに記憶をいたしておるところでございます。

 そのようなことでございまして、私どもとしても、委員の御指摘というものの重要性というものはよく理解をいたすところでございますが、今後更に詳細に議論させていただきたいと考えております。

安住委員長 階君、今、大幅に時間をオーバーしていますから、立憲の全体の範囲の中で削減してください、時間を。

階委員 佐川元長官の国会招致、これを委員会にお取り計らいいただきますようお願いしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

安住委員長 理事会で協議します。

 この際、長妻昭君から関連質疑の申出があります。階君の持ち時間の範囲内でこれを許します。長妻昭君。

長妻委員 長妻昭でございます。

 石破総理、端的に御答弁いただければありがたいと思います。

 まず、例の旧安倍派の松本元事務局長、国会の招致が決定したんですね、この委員会で正式に。ちょっと漏れ聞こえてくるのは、自民党議員サイドから本人サイドに、出るのは控えてね、ちょっと証言するのは控えてねなどという連絡があったのではないかということが漏れ聞こえてきておりますけれども、それは当然あってはならない、やってはならないということを改めて総裁から言っていただけませんか。(発言する者あり)

安住委員長 静粛に。

石破内閣総理大臣 そのようなことは承知をいたしておりません。

 国会の議決というものは、私どもは国会の構成員であります以上、尊重するのは当然のことでございます。

長妻委員 承知をしておりませんと。これは、質問通告で、党内をちょっと調べて今日答弁していただきたいと申し上げて、その上で承知していないということは、ないということだと思いますが、後から事実と違うことが出てきたらば、これは責任を取っていただきたいというふうに思います。

 そして、与野党の国対委員長間で、この予算委員会の採決までには参考人としてお話をいただくということが約束されたというふうに承知しておりますが、総裁としても、そういうふうにするんだというふうにおっしゃっていただければと思うんですが。

石破内閣総理大臣 国対委員長同士の合意というのは重いものだと思っております。

長妻委員 是非よろしくお願いします。

 そして、前回も石破総理と少し議論したんですが、総理は、こういうふうにかねてよりおっしゃっているんですね。今年は敗戦八十年、今を逃して戦争の検証はできないとおっしゃっています。私もそのとおりだと思います。

 これは、どこの組織で、いつまでに検証するんですか。

石破内閣総理大臣 それは、内閣ということもございますでしょう。あるいは、終戦五十年決議を国会でやるかどうかということについては大議論がございました。国会の決議なのか内閣の談話なのか、どういう形なのかということについて、まだ確たることを申し上げる段階にはございませんし、国会の決議について私がとやかく申し上げる立場にはおりません。

長妻委員 すごく後退したと思うんですね。

 これは、談話とかそういう話じゃないんですよ。ドイツは、西ドイツ時代にさきの戦争の反省を、総括をきちっとしているんですね、西ドイツは。ところが、日本政府は、いまだかつて一度もしていないわけですよ、ですからそれを検証するというような話だと承知しているにもかかわらず。是非政府が検証していただきたいということをお願いをいたします。後退してはなりません。

 そして、高額療養費医療制度に入りますが、厚労大臣に聞きますけれども、今回、多数回該当というのは上げないということになりましたが、であれば、それを除く今の、基準を上げたわけですから、長瀬効果というのは幾らとなりますか。

福岡国務大臣 長瀬効果の金額につきましては、個々の医療や見直しの内容を踏まえて分析されるものではなく、実効給付率が変化した場合に経験的に得られている計算式に機械的に当てはめて、単純に医療費の増減効果を試算したものです。

 ですから、あくまでも過去のデータに基づいて機械的に試算した修正案における長瀬効果の見込額といたしましては、段階的な見直しが終了した時点で約一千九百五十億円と見込んでございます。

長妻委員 これは初めて出た数字でございます。

 つまり、今回、見直しをして大丈夫だという案が石破首相からも示されましたが、それでもまだ一千九百五十億円、受診控えによる給付減が起こるということなんですよ。これは、最も受診控えをしてはいけない方々じゃないですか、末期がん、あるいは命に関わる問題。

 つまり、医療保険というのはリスクを補填するものであります、保険ですから。医療における人間の最大のリスク、これは生きるか死ぬかということじゃないですか。ここを、受診控えが二千億近くあるよということが分かっていながらこのまま突っ込むというのはあり得ないと思うんですね。

 石破首相、やはり受診控えが二千億あるだろう、一体どういう状況の方が受診控えをされるんだろうということはやはり気になりませんか。調べるべきと思いませんか、石破首相。

石破内閣総理大臣 もちろん、受診控えというものを引き起こすようなことは極力避けていかねばなりません。そういうことがないように、私どもとして本当に慎重に検討いたしました結果、このように出させていただいております。

 長瀬効果につきましては、今厚生労働大臣から答弁をさせていただいたとおりでございます。

長妻委員 ちょっと答えていない。

 つまり、受診控えが二千億ある予想を政府はされているんですけれども、一体どういう方が受診控えをして、命に関わる受診控えがあるかないか分析をしていただきたいということを言っているんですが、総理、決断いただけませんか。

石破内閣総理大臣 それは、どういう方がそれに該当するのかということでございますが、そういうようにまさしく重篤な症状を持っておられる方、そして、それに対して適切な医療が行われているかどうかということは、専門の厚生労働省においてきちんとそういうものを把握した上で、このような対策を出しておるものでございます。(発言する者あり)

安住委員長 ちょっと速記を止めて。

    〔速記中止〕

安住委員長 速記を起こしてください。

 それでは、福岡厚生労働大臣。

福岡国務大臣 まず、長瀬効果の二千億というのは、先ほども申しましたように、実効給付率が変化した場合に経験的に得られている計算式に機械的に当てはめた数字でございまして、当然、今回、所得の低い方については上昇率を下げるなど、受診抑制が起こらないような仕組みを設けさせていただいているということでございます。

 その上で、今回、そういった影響については、現行のレセプトデータにおいては個々の患者さんの所得を正確に捕捉できていないことであったり、また、高額薬剤の一層の普及の影響も含めて全体的に考えなければならないことから、具体的な数字を推計することは困難でありますが、審議会においても、この高額療養費の引上げが家計や受療行動に与える影響については、そもそもどのようにデータ収集をしていくかも含めて検証していくべきだというような御意見をいただいていますので、よく研究してまいりたいと思います。(発言する者あり)

安住委員長 ちょっと速記を止めて。

    〔速記中止〕

安住委員長 速記を起こしてください。

 では、福岡厚生労働大臣。

福岡国務大臣 御指摘の件については、調査をすることを念頭に置きながら、どのようにデータを収集していくかも含めて検証していきたいと思います。

長妻委員 普通のことならいいんですよ。これは生きるか死ぬかなんですよ。八月から始まるんでしょう。だから、これは、一年、少なくとも凍結していただきたいんですよ。

 長瀬効果は厚労省が出しているんですよ、小さい字で書いてありましたけれども。これは、多少統計的と言いましたけれども、経験則上なんですよ。厚労省の優秀な数理課の技官が、若者、高齢者、緻密に分析してこの一千九百五十億円と出しているんですね。当然少しはずれますが、かなりの給付費が受診控えで削減されるというのは明確なんですよ。

 ちょっと石破総理、決断してください、念頭じゃなくて。総理しか決断できません。

石破内閣総理大臣 今厚生労働大臣が申しましたのは、念頭にというのは、やらないとかそういうことを言っているのではありません。調査をする場合に、どういう方法で調査をしたらよいかということをきちんと検討いたします。

 それは、今、長妻委員が御懸念のような、そういうことが起こらないということを念頭に今回の対応をさせていただいているものでございまして、受診控え、そのことによって生命が危険にさらされるというようなことは起こらないように政府として考えております。

長妻委員 今、起こらないということを言いましたけれども、二千億円近く受診控えがあるというふうに言っているわけですから、ちょっと看過できないので、これは本当に凍結してください、こんないいかげんな。

 そして、もう一つの問題は、確かに四回以上は多数回該当で四万四千円に抑えられておりますが、基準値が、年収六百五十万の方々、中間層でいうと、八万百円が十三万八千六百円、七割もごんと上がったんですね。つまり、十三万円で、毎月高療を受けている方々は、今までは四万四千円で済んだんですが、上限がこんなに高くなるということは、十三万円毎月ずっと払う。

 つまり、多数回該当は当たらないということで上限引下げが受けられない、こういうような非常に困難に陥る方々は推計何人ぐらいいるかというのは、お分かりになりますか。これは相当前に通告しています。

福岡国務大臣 見直しによりその限度額に到達しなくなる方もそれはいらっしゃるということでございますが、そこにつきましては、先ほども申しましたように、現行のレセプトデータにおいては個々の患者さんの所得を正確に把握できないことであったり、高額薬剤の一層の普及の影響も含めて全体的に考えなければならないことから、具体的な数字を推計することは困難だと考えております。

長妻委員 総理、これは総理が指示すれば、いろいろな前提を置かないといけないのは理解できますが、推計できるんですよ。こういう都合の悪い数字も出さないと大変なことに私はなると思うんですね。

 ですから、これでいうと、例えば、今は、六月、八月、十月が十三万円自己負担の場合は、十二月から四万四千円になるわけですが、これは上がっちゃいますからね、七割も基準が。ずっとならない、適用されないわけですよ。これは相当深刻なんですね。

 いろいろな論点があるので、二つだけ今日は出しましたが、八月に実行する、これは二百億と言われていますが、ただ、今回、少し見直しをしたので、百数十億らしいんですよ。ですから、それについてはもう凍結をして、予算で、それを実行しないというようなことを、最後、総理に決断していただきたいと思うんですけれども、いかがですか。

石破内閣総理大臣 政府として、きちんとした数字の把握には今後とも努めてまいります。

 御指摘を受けまして、そのような形で今回見直しをすることによって負担が増える、そのことによって受診控えが起こる、それによっていろいろな危険にさらされるという方々がないように、今回の対応はさせていただいておるものでございます。

長妻委員 そうしたら、委員長におかれましては、理事会で、この受診控えの人の属性、どういう方々なのか、あるいは、多数回該当に、上限値が上がってはしごを外されて、今後漏れるだろう方々の、それを理事会で是非出すように御協議いただければと思うんですが。

安住委員長 厚労省がまず調査をしないと数字は出ませんから、出たものは速やかに出すように言います。

長妻委員 是非、調査をかなり進めるようにも理事会で御議論いただければ。

安住委員長 理事会で協議します。

長妻委員 そして、次に、先ほど午前中も長谷川議員が、自民党が先月出した透明化法というんですか、企業・団体献金を一千万以上は公表します、こういうような議論をされました。

 福岡大臣、これで結構でございます。

 石破首相にお伺いしますが、通告しておりますので、これは、今、自民党にある支部のうち、一体この一千万円の公表にカウントされるのはその支部の何%ぐらいですか。今の支部が幾つで、公表する支部が幾つで、何%ぐらいですか。

石破内閣総理大臣 我が党の支部数は、一月一日の時点、本年でございますが、七千七百六十六でございます。

 我が党の所属議員が今国会に提出しました企業・団体献金公開強化法案の内容に関する御質問でございますが、その点から整理をいたしておるところでございますけれども、企業・団体献金公開強化法で集計する対象となる支部についてでございますが、総務省で把握しております最新の数値では、令和五年一月から十二月までの間に国会議員関係政治団体として把握があった支部の数は四百四十二でございます。その直後の令和六年一月一日時点での自民党の支部は七千八百四十三でございますから、これを割り算いたしますと、五・六%ということになります。

長妻委員 私は、今お話を聞いて、ちょっとぶったまげました。

 テレビなんかでよく自民党議員の方が、午前中もおっしゃっていましたけれども、禁止より公開だ、徹底した公開の法案を先月末出しましたとおっしゃるんですね。

 私も今のお話を聞いてびっくりしましたのは、政党支部は、基本的には企業・団体献金を受けられるということになったわけですね。その支部が急増して、今七千七百余りあると、自民党は。これは、うちの党の支部の数でいうと二十倍なんですよ、立憲の。議員の数は、地方議員も合わせると約三倍なんですね、自民党は多いんですけれども。すごい数なんですね。

 しかも、企業・団体献金を受けられる七千七百の自民党の支部のうち、今答弁を聞きましたか、四百四十二支部しかこの公開の、一千万円の企業の名寄せに加えない、たった五・六%だと。これは、禁止より公開とか、全然違うじゃないですか。

 だから、こういうようなまた脱法行為みたいないいかげんなことをやるので、これはOECD諸国を調べました、国会図書館を使って。先進国が三十八か国ありますけれども、そのうちのほぼ半分で企業・団体献金を禁止しているんですよ。これだけ日本は腐敗が多い国で、ゆるゆるの規制なので、こういうようなことでごまかされては困る。しかも、公表の名寄せ対象に都道府県連も入らない、職域支部も入らない、支部のうちのたった五・六%だけ、こんな話は本当に子供だましにもならないと私は思うんです。

 ちょっと私も長年国会議員をさせていただいて切ないのは、さっきの高額療養費の問題もいろいろ経緯を聞きました、私の理解ですけれども、やはり献金力が影響していると思うんですね。医療の分野でも、献金力がすごくあるところは余り触れられないんですよ、いろいろなことがあって。ところが、献金力がないところは触れていく。こういう切ないことが私は随所に起こっているんじゃないかと。

 そして、先ほど階議員が質問をいたしましたけれども、租特という、いろいろな私は弊害があると思うんですが、いろいろな中の例えば一例を挙げると、租特というものがあるんですね、租税特別措置というものでございますが、これが、最新の数字でいうと、法人税だけで租特が七十八種類あって、大体年間二・九兆円、税収がマイナスになるということなんですね。企業名は公表されないということなんですよ。

 これは常に問題になって、時々報道があるんですね。例えば、朝日新聞では、法人税優遇、減収二・三兆円、大企業偏重との分析も。東京新聞は、自民献金、多額の製造業、政策減税手厚く、少ない献金、減税も小幅。分かりやすいですよね。こういうようなことが言われているわけでございます。

 その中で、例えば、試験研究の法人税額の特措というのがある、特別措置。研究開発をすると、九千五百億円、トータルでこれは減税になっているんですが、ほぼ大企業です。一社で八百二十八億円も減税を受けている会社もある。しかも、全く公開はしない、社名は。分からないんです。

 これは、総理、禁止より透明というのなら、公開というのならば、出も公開すべきだと思うんですね。私たちは、企業・団体献金、もちろん、労働組合も含めて禁止という法律を出していますけれども、公開というのならば、出であるこういう租特、これについても企業名を公表する。

 そして、石破首相、調べていただいたと聞いておりますけれども、EU、ヨーロッパ諸国では租特について企業名を公開している。こういうことも交えて、是非日本でもやるべきだという御答弁をいただければと思うんですが。

石破内閣総理大臣 企業・団体献金を欧米諸国が全部廃止しているか、禁止しているかといえば、決してそうではない。いや、最初にお触れになりましたから、お答えしておきます。

 イギリス、ドイツ、イタリアでは、原則として認められておるところでございます。アメリカ、フランスは、企業・団体献金は原則として禁止をされておりますが、アメリカでは、企業、労働組合が政治活動委員会を設立し、それを通じて寄附をすることは認められている。ですから、ああいう党大会も派手にやるわけですね。フランスでも、団体を結成して、企業から資金を集めている。選挙前にそのような団体を政党、政治団体に組織変更することにより、事実上、企業・団体献金は可能になるということで、日本だけが企業・団体献金を認めているというようなことは事実誤認でございますので、そのことははっきり申し上げておかねばならないというふうに考えております。

 政党支部につきましては、別に自民党だけが有利な取扱いをしておるものではございません。どの党も、政党支部というのは法令にのっとってつくるものでございます。私どもとして、私の選挙区でもいっぱい政党支部はございますよ。だけれども、そこは幾らでも金が集まるか、そのようなことはございません。そういうような透明性は今後も高めてまいります。

 租特を明らかにすることによって、委員がまさしく御指摘になったように、企業がどのような研究開発をしているか等々というものが明らかになることは決して望ましいことだと思っておりません。租特と企業・団体献金を同列に論じるのは、それは論理の飛躍というものでございます。

長妻委員 そうしたら、総理、EUのことについても御紹介いただければ。

加藤国務大臣 租税特別措置の適用についてということでございますね。(長妻委員「いや、公表」と呼ぶ)ごめんなさい、公表についてということです。

 EUでは、加盟国に、一定額以上の租税特別措置の適用がある企業名の公表が義務づけられております。アメリカでは、州政府からは一定の税優遇を受ける企業名を公表している州も一部あると認識しておりますが、連邦レベルでは公表されていないものと聞いております。

長妻委員 今、加藤大臣がおっしゃったように、アメリカでは、州によっては租特について金額、個別企業名を公表していますし、EUでは、EU指令で、多くのヨーロッパ諸国では、日本円で約一千五百万円以上の租特を受けた企業の個別名を公表しているんですよ。何にも困らないわけですよ。何か研究開発の中身なんて公表しないでいいんですよ。何で日本はかたくなにそれを公表しないのか。

 先ほど私が申し上げたのは、先進三十八か国中、企業献金禁止がほぼ半分の国があると言ったわけです、半分の国が企業献金禁止。そして、イギリスはやっているじゃないかとおっしゃいましたが、イギリスは、日本円で大体百万円以上の企業献金は株主総会の議決が義務づけられているんですよ。フランスとアメリカも、確かに企業献金は禁止ですが、政治団体は除いている。アメリカではPACもやっています。

 ところが、日本は、生で政党支部がどんどん受けられるわけですよ。こういうようなことが非常に癒着を生んでいる、三十年前からなかなか改善されていないということで。

 出の方の租特も、大変消極的でございますが、じゃ、限定しましょう、まずは一部だけ公表を求めます。

 例えば、今申し上げた試験研究の法人税の租特、これについて、上位十社だけ名前を公表していただきたい、金額と。そのぐらいはできると思うんですが、総理、まずこれをやりませんか。いかがですか。

石破内閣総理大臣 上位十社に限る理由がよく分かりません。それは上位十社でいいのか……(発言する者あり)

安住委員長 静粛に。

石破内閣総理大臣 静かに。

 上位十社に限るということではなくて、そういうことを公開することによって企業にどれだけのデメリットがあるかということは、きちんと明らかにする必要があると思っております。

長妻委員 上位十位というのは、実は、民主党政権のときに、租特を一定程度、やはり金額ぐらいは、どのぐらいあるのかということで、金額は辛うじて今公表されるようになっているんですよ。そして、上位十社の、会社名はないですけれども、金額だけは今政府は公表しているんですよ。だから、それはあるんですね、金額だけは。ただ、その会社名が分からない。だから、そこだけをやはり公表すべきだというふうに思うんですが、そのぐらいはやっていただけませんか、公表というなら。

加藤国務大臣 まず一つは、今お話があった平成二十二年の租税特別措置透明化法の制定時に、個別企業までは公表する必要はないという整理がなされたというまず経緯がございます。

 あと、総理が先ほど申し上げたように、やはり税務情報を出すことによって価格交渉への影響といった競争上の不利益を生じかねないため、そうしたデメリットを上回る公益上の必要性があるかどうか、こういった観点から考えていく必要があると思います。

長妻委員 委員長にお願いをしたいのは、理事会でこれの公表の是非を議論をいただければありがたいと思うんですが、いかがでございますか。

安住委員長 ちょっと考えさせてください。政策的な話なので、理事会のテーマとしてなじむかどうか、考え方の相違はあるようですけれども、理事会テーマかどうかはちょっと考えさせていただきたいと思います。

長妻委員 だから、禁止より公開というふうに言っている割には、さっきの、たった五・何%の支部しかその一千万のカテゴリーに入れない。それで、出は、ヨーロッパでも公表をしている、アメリカも州によっては公表している。しかし、日本は、企業秘密じゃないですよ、金額ですから。国民の税金が減るんですよ、二・数兆円。これはどんどんどんどん気前よく減らしておいて、高額療養費医療制度はどんどんどんどん負担を増やす。もう桁が違う。企業・団体献金の桁が違うんですね、政治家に入ってくる。かないません、献金できない人たちは。

 そういうような意味で、私はこれで質問を最後にいたしますけれども、結局、三十年前の改革の議論というのは、政党に限る、企業・団体献金は。政治家の後援会にするとこれは癒着が進むので、政党ならいいでしょうということで納得したんですよ。国民の皆さんは、政党助成金ということで、コーヒー一杯分と当時言われました、大枚の税金を今政党に払っているわけですよ。

 じゃ、政党なら中央で受けるから透明性が高いんじゃないか、政治家と余り癒着しないんじゃないかと思いきや、雨後のタケノコのように政党支部をつくって、地方議員も一人一支部みたいな地域もあるわけで、これはもうほとんど脱法になっちゃっているんですね、なっちゃっているわけです。

 そして、もう一つは、パーティーは後援会でもできる、もらえるわけですよ。どんどんどんどんパーティーが増えて、企業、団体からのですね、こっちの規制はないわけです。

 そして、もう一つは、これは迂回ルートということで、総支部で受けて、自分が所属する政党支部で受けて、それを自分の後援会に寄附をする、後援会では企業・団体献金は受けられませんから。

 そういうような三つのルートというのをこの下にちょっと書いたわけですが、自民党が、パネルは差し障りがあるからやめてくれということで、しようがないので消しましたけれども、こういうようなことでは大変困るわけでございます。

 私どもも、先ほど話がございました労働組合、午前中の、先ほどの長谷川議員も、企業献金はまあいいんじゃないか、しかし、労働組合はいろいろ問題があるということでいろいろおっしゃいましたけれども、我々は、労働組合の献金も禁止する法律を出しているんですよ、国会に。

 そして、政治団体につきましても、我々としては、そのまま認めるわけじゃありません、政治団体への献金を。我々が昨年十月七日に出した法律の二十二条の六の三というところに、強制寄附や強制加入の疑いのあるものはやっては駄目だというような条文を入れているわけですね。ですから、今の政治団体への寄附が、そのまま右から左に認められるわけじゃないわけですよ。

 ですから、是非そういうようなことについても御理解をいただければというふうに思います。

 そして、もう一つ、このパネルも見ていただきたいんですが、よく三十年前と言われておりますけれども、調べたら、これは三十年前どころじゃないんですね、石破首相。選挙制度審議会、政府の審議会で、一九六一年に遡ると、会社、労働組合その他の団体が選挙又は政治活動に関し寄附することは禁止すべきであると。つまり、一九六一年ですから、六十年ぐらい前にこういうことが言われていて、一九六三年も、寄附は個人に限る、一九六七年も、個人献金と党費により運営を行うとか、そして、一九九〇年にもですね。そして、やっと三十年前の一九九四年、ここで議論されているものができたわけで、六十年前からこういう議論をしているというようなことも申し上げまして、私の質問といたします。

 ありがとうございました。

安住委員長 この際、米山隆一君から関連質疑の申出があります。階君の持ち時間の範囲内でこれを許します。米山隆一君。

米山委員 それでは、会派を代表して御質問いたします。

 では、今ほどの長妻委員の質問の中で、私、高額療養費の点はもうちょっと質問させていただきたいんですけれども。

 先ほど来問題になっている長瀬効果なんですけれども、まず、前提として、百八十九回の社会保障審議会医療保険部会において、高額医療費制度の見直しの方向性という資料において、高額医療費の制度の見直しをすると、財政影響は全体で五千三百三十億円ほど改善になりますと書いてあるんですよ。その中で、しかし、二千二百七十億円分については長瀬効果によるものですと書いてあるわけですね。

 ところで、石破総理は先ほど来、受診控えは起こりませんと言っているわけです。受診控えが起こらないんだったら、この二千二百七十億円の削減はされないんですよ。そうでしょう。だって、この二千二百七十億円は受診控えによるものだから。ということは、財政全体への影響も、五千三百三十億円じゃなくて、二千百億円ぐらいになっちゃうわけです。そうしたら、もう言っている前提が異なるわけですよ。

 高額療養費の見直しで五千三百三十億円の改善ができるからやりましょうねと言っているのに、実は、総理が今言っているように受診控えが起こらないんだったら、効果は二千百億円しかないんです。どっちなんですか、総理の言っていることは既に矛盾しているので。

 一体全体、この見直しによって幾ら保険財政は改善されるのか。五千三百三十億円なのか、それとも、それから二千二百七十億円を引いた二千百億円程度なのか、どっちなのか。ごめんなさい、三千百億円程度なのか。どちらか答えてください。

石破内閣総理大臣 済みません、正確にお答えをしたいので、是非、厚生労働大臣を呼んでください、そういうものは。国民に対して、私ども政府として、きちんと御説明する責務がございます。そこはよく御留意ください。

米山委員 それは、私だって、これは今の長妻議員の質問で積み残してきたものですから。

 しかも、そのときにちゃんと厚労大臣も話していて、その前提の中で、総理が受診控えは起こりませんと言ったわけだから。それは別に私が悪いんじゃないですよ。長妻議員がちゃんと通告している中で、総理が矛盾した答えを言っているわけですよ。だからそれを指摘させていただきました。

 でも、答えられないということでしたら、いや、だって、それはしようがないでしょう。だって、私が聞いているのは今の積み残しなんだから。しかも、それはちゃんと長妻さんが……(発言する者あり)分かりました。もういいです。

 でも、それはともかく、総理自身がその前提を理解せずに答えたということですよ。だって、総理が言うとおりにそういう受診控えが起こらないんだったら、財政への影響は変わりますからね。それを理解せずにそう言っちゃったということはお認めください。それは理解していなかったんですね。

石破内閣総理大臣 厚生労働省並びに厚生労働大臣におきまして、患者の方々と何度も何度も話合いはさせていただいております。そういうようなものを経た上で、今回の決定に至っておるものでございます。

 私どもが何もやらないでこのようなことを決めたわけではございません。いかにしてそういう方々に負担が行かないかということを詳細に検討した結果、このような結論となっているものでございます。(発言する者あり)

安住委員長 ちょっと速記を止めて。

    〔速記中止〕

安住委員長 速記を起こして。

 では、米山君。

米山委員 それは結構です。ただし、それは何せ、総理の答弁が先ほど間違っていたということですから。間違っています。それはそれでいいので。結構です。

 次に行きますね。

 では、松本淳一郎さんの参考人の招致についてお伺いいたします。

 その前になんですけれども、二月三日の、予算委員会で私がした質問で、都議会自民党の会計担当職員について、東京新聞の記事に基づいて、都の職員の出向という前提で質問しましたけれども、これは出向ではなくて、都議会の議会局の職員の立場で自民党控室に配置されていたというふうに都議会自民党からクレームがあったらしく、それが産経新聞に掲載されたので、それは謹んで訂正させていただきます。

 ただし、これは私も半信半疑だったので、東京新聞の記事も、質問内容の一言一句も事前に通告しているんですよ。それなのに、それを何も訂正せずに御回答されたのでそうなったわけですので、それこそ、通告したことに対してはきちんと調べて答えてください。お願いします。

 ただし、これは別に、出向か、職員として控室に配置されていたかが重要ではなくて、裏金を受けていた都議会自民党の都議らが全く罰せられない中で、ただ一人、罰金百万円、公民権停止三年の有罪判決を受けた会計担当職員が、都の職員だったときに都議会自民党の政治資金収支報告書を作成するなどしていたかどうかの方が重要ですので。

 その点について、これはちゃんと通告していますから、きちんと調査した回答をお願いいたします。

石破内閣総理大臣 その職員の経歴等々、そのようなことについては、本来、国会でお答えすることではございません。なぜならば、プライバシーに関わる事項でございますので。

 ただ、お尋ねでございますから申し上げますと、都議会の事務局である議会局における職員の運用につきまして、総務省を通じまして、東京都に確認をいたしました。

 議会局では、円滑な議会運営を確保するため、所属議員が多い会派の担当として、出向者を含め職員を配置し、会派との連絡調整を担わせるといった運用をしておるところでございます。会派との連絡調整を担っていた職員が各会派の会計業務に携わることはないと認識をいたしておるところでございます。

 会派との連絡調整を担っている都の職員が都議会自民党で実際に担当している業務につきましては、都議会自民党に確認をいたしましたところ、現職の公務員に会計業務を行わせることはないという回答を得ております。

米山委員 では、それはそれで結構です。それは、私は別に事実を曲げたいとは思わないので、そのように最初から言ってくださればよかったのかなと思います、二月三日の時点で。

 その上で、また二月十九日の松本淳一郎元事務局長の参考人招致について話を戻しますけれども、これは一旦合意していたにもかかわらず、自民党側が、聞き取りの時間、場所を非公開とする、野党側の質問内容に赤入れをして介入したという報道がなされているんですけれども、これは事実でしょうか。また、事実であるとすれば、そのような自民党の対応は正当だと思われているでしょうか。自民党総裁としての総理の御見解を伺います。

石破内閣総理大臣 そのような報道があったことは承知をいたしております。

 私どもとして、本人の意向を確認するなどして、聴取が実現するように可能な限り働きかけを行ってまいりました。

 聴取の時間と場所につきましては、しかるべき時期に公表するということで、野党を代表されます御党との間で調整をしていたというふうに報告を受けておるところでございまして、場所と時間を非公開にしようとしていたという事実はないというふうに承知をいたしております。

 赤入れというのは、要するに、この質問をしてよいとか質問してはいかぬとか、そういうような御指摘かと存じますけれども、私が承知をしておりますのは、限られた時間での聴取になりますので、質問事項の重複を避けるために整理、調整を立憲さんとも連携して行ったというふうに報告を受けておるところでございます。

米山委員 押し問答してもしようがないんですが、隣から、ふさわしくないと書いてあった、紙にそう書いてあったという声もありますので、それはちゃんと受け止めていただきたいと思います。

 その上で、総務省担当者の方にお伺いしますが、話題になっています松本淳一郎氏の、政治団体清和政策研究会、いわゆる安倍派における立場と、何年から何年までその立場にいたのかを教えてください。あわせて、その前任者である畠山三男氏についても教えてください。

笠置政府参考人 通告がございましたので、清和政策研究会の届出につきまして確認をいたしましたところ、松本淳一郎氏は、平成三十一年二月一日付で代表者及び会計責任者として届け出られており、令和六年三月二十九日付で代表者から異動した旨の届出が提出をされております。

 また、畠山三男氏は、平成十九年四月十日付で代表者及び会計責任者として届け出られており、平成三十一年二月一日付で代表者及び会計責任者から異動した旨の届出が提出をされております。

米山委員 そのとおりなんです。

 政治資金収支報告書、ここを赤丸で囲ってありますけれども、この方は単なる会計担当者じゃないんですよ。安倍派代表なんです、安倍派代表。すごいでしょう。会計責任者でもあるわけですよ。安倍派を一手に担っていた責任者にして、会計責任者なわけなんですよ、代表者にして。

 では、その安倍派ですけれども、改めて確認なんですけれども、二〇一八年から二〇二二年の間、安倍派のパーティー券収入の総額と、今回の裏金騒動で清和政策研究会において修正、追加された売上げの総額を教えてください。

笠置政府参考人 通告がございましたので、清和政策研究会について、収支報告書及びその要旨を確認いたしましたところ、各年分の収支報告書の公表時点における政治資金パーティーの収入額の記載は、平成三十年分から令和五年分の合計で六億五千八百八十四万円となってございました。

 令和二年分、令和三年分、令和四年分につきましては、公表後、令和六年一月三十一日付で政治資金パーティーの収入額に係る訂正がなされておりまして、訂正に伴う増加額の記載は、三か年合計で四億三千五百八十八万円となってございます。

米山委員 この松本さんというのは、そんな普通の会計職員とかじゃないんですよ。当時、自民党の議員は三百七十四人で、その中の安倍派の方というのは九十四人、四分の一です、四人に一人が清和会。衆議院議員の中でも四百六十五人中六十人で、何と八分の一を占めていて、そして、六億円のパーティー売上げを出して四億を記載しなかったわけですから、十億のお金を集めていた団体の代表者なんですよ。

 しかも、私の出身の新潟の田中角栄先生の言葉というのがあるんですけれども、国を牛耳るには国会議員の八分の一を押さえればいい。過半数を占める与党の、過半数を占める主流派の、過半数を占める最大派閥を押さえればいいから、八分の一だと言ったわけです。

 当時、安倍派は八分の一を押さえていますから、何と、国政を左右できる立場の、そういう団体の代表者だったんです、この方は。ですから、それは説明責任がある。しかも、単なる説明責任じゃなくて、個人のプライバシーは一定程度はありますけれども、しかし、最大限国民に開かれた形で、きちんと参考人として事情聴取する、そういう責任があると思います。

 安倍派の方々は、自分たちの代表だったんですから、むしろ、ちょっと聞かれているような、それを止めるなんということではなくて、是非とも説明してくださいと頼む立場にあると思いますが、総理の御所見を伺います。

石破内閣総理大臣 それはそのとおりでございます。ですから、私どもは、松本淳一郎氏が聴取に応じるということが実現するように、可能な限り働きかけてきておるものでございます。

 先ほど委員が御指摘の赤入れとかなんとか、そういうような事実を私は承知をいたしておりません。仮にあったとするならば、あるいは、今私が報告を受けているところでは、重複等々がないようにという働きかけがあったとのことでございますが、仮に、あれは言うな、これは言うなというようなことがあるとするならば、それは決して望ましいことだと私は思っておりません。

 国会のそういうような聴取の要請には真摯に応えるということでございますが、今は私どもの党の職員でもございません、もう今は民間、私人の立場でございますが、私どもとして、聴取に応じるべきだということは可能な限り働きかけておるところでございます。

米山委員 分かりました。それは可能な限りやっていただきたいと思います。

 もう一つ、これはもう説明だけで終わりにしますけれども、何せ、松本さんは刑事で有罪になっていますので、判決文というのが公開されているわけなんですよ。

 判決文を読みますと、こう書いてあるんです。

 被告人は、清和政策研究会の代表者兼会計責任者として、政治収支の公開に資する収支報告書の記載に最終的な責任を負う重要な立場にあった。一方、被告人は、清和政策研究会の代表者とはいえども、収支報告書の虚偽記入の前提となるノルマ超過分の処理については清和政策研究会会長や幹部らの判断に従わざるを得ない立場にあり、被告人自身の権限には限界があった。

 ちゃんともうそれは判決で書かれているんです。

 ところが、昨年の政治倫理審査会において、西村議員、松野議員、下村議員、西村議員なんかは、いや、私は全然そんなことは知りませんとおっしゃっておられますし、また、再開を決めた会に関しても全く証言は食い違っているわけです。松本さんはその会で再開が決まったと言うけれども、西村議員とかは、いや、その八月上旬の会では全然、いろいろな意見が出ても結論は出なかったと言っているわけですから。

 やはりこれは、先ほど来、総理は公開とおっしゃられているわけですから。そうでしょう、禁止より公開なわけですから、きちんと事実を国民に分かる形で公開していただくことを要請させていただきます。

 ということで、次の質問に移らせていただきます。

 次は、打って変わって、本来こちらをしたかったんですけれども、金利の上昇。これは先ほど階議員がしましたので、ちょっと簡潔にということでやらせていただきます。

 この金利のグラフを見ていただきますと分かりますが、今日もこれよりも上がっているんですけれども、長期金利は急騰しているわけでございます。

 植田総裁にお伺いしたいんですけれども、この長期金利急騰の原因は何だとお考えになっておられるでしょうか。

植田参考人 お答えいたします。

 日々の金利の動向やその水準について、余り具体的なコメントは差し控えたいと思いますが、このところの我が国の長期金利の上昇傾向については、基本的には、景気の緩やかな回復が持続していることや、基調的な物価上昇率が高まってきていることを反映した動きと見ております。

 ただ、長期金利を含め、市場の動向については引き続き丁寧に見てまいりたいと思っております。

米山委員 追加でお伺いしますけれども、長期金利、長期金利と言っていますけれども、実は新発十年債、国債の金利なんですよね。長期金利というのは十年債の金利のことですから、これが指標になっていますから。

 植田総裁にお伺いしたいんですけれども、国債をどんどんと増発しますと、長期金利は下がりますでしょうか、上がりますでしょうか。国債の増発というのは長期金利の上昇要因か下降要因か、教えてください。

植田参考人 まず、一般論として、長期金利は、基本的には、先行きの短期金利に関する見通しに国債保有に伴うリスクに応じたタームプレミアムを加えたものという形で形成されます。

 したがいまして、国債発行増加が長期金利にどういう影響を与えるかということを考える際には、中長期的な財政健全化についての市場の信認が維持されているかという点が重要になると考えております。

米山委員 これもちょっとお茶を濁されたんですが、上がっていますので。

 これはもうイエスかノーかで答えていただきたいんですけれども、信認が維持されているかどうかが影響を与えるということであれば、上がっているということは、国債の値段は下がっていますので、つまり、それは中長期的な財政への信認が疑われているということでよろしいですか。そういう結論になると思うんですが。

植田参考人 先ほど申し上げましたとおり、このところの長期金利の上昇傾向については、基本的に、経済、物価に対する市場の見方が少しずつ好転してきているということが原因であるというふうに見ております。

米山委員 済みません、しつこくて恐縮ですが、このところじゃなくて、一般論としてです。

 だって、植田総裁は学者ですから、一般論として、先ほど、長期金利に対して財政の長期的な展望が影響するとおっしゃられたわけですよ。おっしゃられましたよね。

 では、本当に、今回のことは考えなくて結構なんですけれども、その意味は、財政への信頼が失われると長期金利が上がってくる、一般論としてということでよろしいですね。

植田参考人 あくまで一般論としてでございますが、財政に対する信認が大きく毀損した場合に、長期金利が上がるということはあり得る現象でございます。

米山委員 ここで担当者である財務大臣に伺いたいんですけれども、この金利上昇、これは今、植田総裁は景気が上がっているからとおっしゃられたわけですけれども、財政に対する信認の影響は全くないとお考えですか。

 やはりこれだけ急騰している、それは、これから日本政府が非常に国債を増発するであろうという見方が市場にはある。それは影響していないとお考えですか。

加藤国務大臣 先ほど、私が聞いていた限りですが、日銀総裁のお話は、財政に対する信認が失われてくると金利が上がるということになりかねない、しかし、金利が上がる状況にはいろいろな要因があって、今そうなのかというお話だったというふうに思っております。

 他方で、金利が上がるということは、これだけGDPに対する国債残高も高い我が国においては、特に金利の支払いが多くなり、財政を圧迫する、そういう懸念といいますか、そういったことはあり得るということでございます。

米山委員 では、それはもういいです、押し問答ですからね。でも、私はそれはあると思いますよ。これだけの急落ですから、これだけの金利急騰ですから。

 そこで、ちょっとまた次の話題に行きたいんですけれども、現在、与党と我が党ではない野党との間で減税の議論が進んでいると承知しております。

 現在審議中の予算案で提示されている基礎控除百二十三万円への引上げで、税収はどの程度減少する見込みなのか、国、地方に分けて教えてください。

 また、これを百六十万円に引き上げる案が提示されていると報道されておりますが、それによる税収の減少も教えてください。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の基礎控除の引上げなど、物価上昇局面における税負担の調整及び就業調整への対応による改正減収額は、平年度で、国はマイナス五千八百三十億円、地方はマイナス七百五十億円と見込んでおります。

 御指摘の報道については承知しておりますが、現在政党間で議論されているものでございますので、政府の立場で予断を持って申し上げることは控えさせていただきたいと思います。

米山委員 そうなんですよ。この減税で六千五百億円程度の減収になるわけですよね。

 これは言うまでもないことですけれども、予算においては歳入と歳出は必ずイコールになるわけです、イコールにしなきゃいけないわけです。減税で歳入が減る、税収減ですから必ず歳入は減るわけなんですけれども、歳入が減っている以上、歳入に合わせて歳出を削るか、歳出に合わせて不足する歳入分を国債で補填するか、このどちらかは必ず選ばなきゃいけないわけなんです。二択ですよね。

 率直に言って、取り過ぎた税金を返すとか財政に影響を与えないということを言われて非常に私は困惑しているんですけれども、一体、今回の減税ではどちらなのか。歳出を削減するのか、それとも、減税分の税収が減った分、これは国債で補填するのか、どちらなのかをお答えください。

加藤国務大臣 まず、今回の基礎控除等の額の引上げについては……(米山委員「聞いていないです」と呼ぶ)いやいや、それがベースなんです。

 控除額が一定であることにより、物価上昇に伴って実質的な税負担が増加することを踏まえ、控除額にも物価上昇分を勘案することで税負担を調整するための措置ということでありまして、こうした趣旨を踏まえて、特段の財政確保措置を要しないと整理をされているところでございます。

 その上でありますけれども、所得税収の減収が認められること、それは御指摘のとおりでありますが、一般に、予算における歳入と歳出は、共に予算編成の中でそれぞれの金額を積み上げた結果として、国債発行額を含めた全体の金額が確定するわけでありますので、したがって、今回の基礎控除等の額の引上げに伴う減収額について、御指摘の国債発行額の増加あるいは歳出の削減などに直接ひもづけられるものではない、このことは御理解いただきたいと思います。

米山委員 いや、それはおかしくて、質問に対して答えていないんですよ。

 まず、だって、この減税だって、突然湧いてきた話ですよね、率直に言って。概算要求のときにはなかった話ですから。だから、その前に積み上げたものがありますよね、歳入歳出が。そこに減税を入れるわけです。必ず歳入が減りますよね。そうしたら、それに合わせて歳出を減らすのか、それとも歳入を上げるのか、二択なんです。どっちかしかないんです。さっきみたいに、また前の、これはこうでこうでと要りませんから、どっちかと教えてください。

 どっちかじゃないというなら、何でないんですか。だって、歳入と歳出が一緒にならないですよ。その前提を変えて、いや、ああでこうでこうでこうで積み上げているからとか、そういう話をしているんじゃないんです。私の前提で話してください。

 私の前提は、ちゃんと、まず一回、歳入歳出がイコールになったものがありましたよね。そこに減税を入れたら、歳入が減りますよね。それで、歳入と歳出を合わせるためには、歳出を削るか、歳入を上げるか、どっちかしかないでしょう。その前提に基づいて、どっちなんですかということを聞いているので。それで答えてください。

加藤国務大臣 まず先に税収額がこれだけあって、歳出額がこれだけあるというところで予算編成を始めているわけではありません。それはそうじゃないですか。

 そして、それぞれ議論する結果として今申し上げたような形になって、その中においてどれだけ国債を発行するかとか、あるいは歳出削減が実際どれだけ行われているかというのが予算編成の結果において出てくるということ、そのことは是非御理解いただきたいと思います。

米山委員 いや、そんな、私は予算編成の結果を言っているわけじゃないんですよ。

 まず一回できましたよね、いろいろな結果で、歳入と歳出が合いますでしょう。(加藤国務大臣「それは最後ですよ」と呼ぶ)もういいですよ。

 そうしたら、もう議論する気がないといいますか。もういいです。では、答えを言いますから。

 それは、減税がない状態でいうと、歳入と歳出が合っているでしょう。いや、笑うのは本当におかしいですよ。

 だって、減税がない状態で歳入と歳出が合っていて、そこに減税をしたなら、そして歳出を削減しないなら、それはその分だけ、必ず国債発行で賄うしかないんです。だから、必ず減税分は国債で増えているんです。増えていますよ、増えないわけがないでしょう。

 それを、こうやっていろいろな言を弄して、財務大臣がそれを言わない。だって、国債というのは返さなきゃいけないわけだから、返さなきゃならない額がその分増えているのに、いや、増えていないという詭弁を財務大臣まで使うわけですよ。それは本当に嘆かわしいと思いますよ。

 だって、減税した分国債が増えて、その分は国民が返すんだから、結局、それは借金で減税しているだけじゃないですか。結局、十年債とかを出すのなら、十年後ぐらいには、減税した分だけそのまま返すんですよねということをちゃんとお伝えしない。これは本当におかしいと思うんです。

 もう財務大臣に聞いても答えないらしいですから、これを統括する総理大臣にお伺いしたいんですけれども、二つお伺いしたいんです。

 こういう財政運営を総理も是認されるんですか。総理は、先ほど来聞いていると、ちゃんと債務の管理には御関心があるようなんですけれども、こうやってどんどんと国債の発行が増えていることを明らかにせずに、いや、それは負担は増えていない、そうやって財政をこれからも運営するんですか。

 それからもう一つお伺いしたいんですけれども、昨日、二月二十日の日銀総裁との会談において、総理が金利急騰の話はなかったと言ったことがニュースになっている。それは、誰もがこの金利急騰について話すだろうと思ったからです。なぜなら、先ほど財務大臣も言いましたけれども、この金利急騰が財政運営に対する信頼の喪失かどうかはともかくとして、少なくとも、それによって財政運営が非常に困難になることは明白なので、この金利急騰をどうするかを当然話すと思ったら、全く話さなかったというので、驚きを持ってニュースになっているわけです。

 総理に対してお伺いしたいんですけれども、総理は、この急騰に対して一体どうお考えなんでしょうか。全く御関心はないのか、金利は急騰してもいいと思っているのか。

 これを両方併せてお答えください。

石破内閣総理大臣 昨日、日銀総裁と金利急騰について話はいたしておりません。ほかに話すことがいっぱいございましたので、話しておりません。

 債務残高対GDP比の高い我が国において、金利が上昇する、利払い費が増加する、結果として政策経費が圧迫される、決していいことではございません。このことについては、私自身、強い懸念も持っております。そこは、規律ある財政運営というものは当然政府として目指すべきものだと思っておるところでございます。

 それから、歳入歳出両面の取組により必要な安定財源を追加的に確保していくというのが基本でございまして、借金頼みで次の時代にツケを回すということは、私は極力避けるべきだと考えております。

米山委員 あと一分半になってしまいましたので、一分十五秒ぐらいですか、これでもう締めくくって終わりにしようと思います。

 赤澤大臣には物価のお話を伺いたかったんですが、大変恐縮ですが、物価のパネルだけ。もう一分半ではお話はできませんが、物価もこんなに上がっているわけですよ。

 最後に言いたいのは、でも、今ほど総理が答弁されたじゃないですか。国債の発行がどんどん積み上がっていくというのは本当に大変なことなわけなんですよ。大変だからといって、では、高額療養費を削りましょう、自己負担を増やしましょうかといいながら、その推定に関しては、一体全体、長瀬効果があるのかないのかもはっきりしない。

 そして、高額療養費を削るという傍らで、今度は大型減税をして六千億ぐらいの税収が減っても、それは何で減ったか言いませんというか、それをどう補填するかは答えません。それは誰がどう見たって国債発行によるものなのに、それを明言しようとしない。

 では、最後に一問聞きます。どっちなんですか。国債で補填していくんじゃないんですか。イエスかノーかで答えてください。これで終わりです。

安住委員長 加藤財務大臣、簡潔に。

加藤国務大臣 ですから、先ほど申し上げたように、委員の御指摘は、最初にフラット、均衡なところからそれぞれ何をやってということで編成している、そういう頭になっている。

 そうじゃなくて、一個一個の歳出項目、歳入項目をそれぞれ個々に議論する。そして、議論するときには、確かに、例えば恒久的な支出は恒久的な、安定的な財源でやる。そういう一つ一つの考え方を結果的に取りまとめた、編成した中で出てくる。そのことを是非御理解いただきたいと思います。

米山委員 一言だけ。

 つまり、この政府は、減税によって国債発行が増えることすら認めない。そんなことではまともな財政運営はできないと申し上げさせていただいて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

安住委員長 この際、藤岡たかお君から関連質疑の申出があります。階君の持ち時間の範囲内でこれを許します。藤岡たかお君。

藤岡委員 立憲民主党・無所属の藤岡たかおでございます。質問の機会をありがとうございます。

 早速質疑に入らせていただきます。

 今日は経済、財政等の集中審議ということで、まず金融政策などの話から入らせていただきます。

 今、金融政策に関連して、銀行などが預ける日銀当座預金というのがございますが、この当座預金に対して、超過準備の部分に対し、いわゆる付利金利というのを付しているという状態があります。かつてはこういうものはありませんでした。この付利金利を付していることが、今〇・五%でございますから、ある意味、金融機関への補助金になるのではないかというふうな指摘もあるところであります。〇・五%、異次元金融緩和で積み上がった、長期化で積み上がった巨額の当座預金、これに対して、ある意味、さらに、国庫納付金、日銀が国に納付をしている、この国庫納付金の減額にもつながるのではないかという指摘がありますけれども、植田総裁、この点につきましての見解をお伺いしたいと思います。

植田参考人 お答えします。

 私どもの当座預金に対する付利でございますが、これは、委員も御指摘されましたように、多額の超過準備が存在する下で、短期金融市場において、特にコールマーケットでございますが、政策金利の誘導目標を実現するために行っているものでございます。これを行わないとしますと、超過準備を金融機関が市場に放出してしまいまして、マーケットの金利が誘導目標を下回って下がってしまうということになります。

 その上で、日本銀行の損益でございますが、当座預金への付利支払いだけでなくて、一方、資産側で持っております国債の利息収入など、その他様々な要因で決まってくるものですので、納付金への影響については一概に申し上げることはできないと思います。

藤岡委員 植田総裁らしくない答弁だと思いますね。負債、資産サイドで、短期と長期で当然ずれがあるわけでございますから、純粋に、金利を上げていったら、当然、日銀がその部分については金融機関への支払いが増える。資産の部分は、時間がかかるわけですよね、これを調整するのに。これは大変、らしくない御答弁だと思うんですけれども。

 こういう問題につきまして、これは実際、国の方でも、国庫納付金、資料をお配りしておりますけれども、来年度の予算で、八千八百九十七億円というふうな予算を計上されていると思います。

 まず、この前提となる付利金利、幾つになっているんでしょうか。

窪田政府参考人 お答えいたします。

 〇・二五%を使用しております。

藤岡委員 日銀にお伺いしたいと思いますが、現在の付利金利の水準と、その付利金利を〇・二五から〇・五に上げたことによって金融機関に支払う金額、その部分については幾ら増えたのか、一年間で増えるのか、教えていただければと思います。

植田参考人 一兆円強でございます。

藤岡委員 今お話がございました。一兆円強、支払いが増えます。

 これは短期と長期のずれがあるので、簡単に、短期サイドで金利が上がったものを、運用の方ですぐに金利が上がっていくということになりません。したがって、この一兆円強支払いが増えるということは、普通に考えて、国庫納付金の金額、八千八百九十七億円に大きな影響を与える。日銀の利益は一・四兆円だと見まして、一兆円強だとすると、それを除いて四、五千億、四千億で、法人税云々の話になりますから、恐らく七千億や八千億のオーダーでこれは歳入が減るというふうな状況になると思います。

 これは改めて、この予算、現在八千八百九十七億円で見込んでおりますけれども、付利金利〇・二五で見積もっているということでございますから、〇・五に変わったんだったら、これは予算修正をしなければいけないんじゃないでしょうか。

加藤国務大臣 日銀から、国庫納付金については、当座預金の利息以外にも、国債利息収入、外為の関係差益、またETFの分配金収入、様々な要素が影響されております。したがって、先ほど総裁から御説明があったと思いますが、付利金利の引上げが納付金全体にどれだけの影響を与えるかは予断を持って判断することは困難だということであります。

 また、日銀による政策金利の引上げ、引下げを含む金融政策の先行きを見通すことは困難であり、日銀の金融政策の変更に伴ってその都度予算を修正する必要があるとは考えておりません。

藤岡委員 なぜ、今もう〇・五になっていて分かっているのに、〇・二五で見積もっているわけですよね。〇・五で見積もるだけじゃないですか。今、〇・二五の方がなぜ正しいと言えるんですか。〇・五の方が実態に合っているじゃないですか。

加藤国務大臣 そういう議論をし始めると、様々な予算の前提になっている数字というのはいろいろなものがあります。今申し上げた為替もあります。それを都度都度反映したら、これはとてもじゃないけれども毎回毎回修正しなきゃいけないので、そこは、予算の編成段階における数字、これをベースに作らせていただくということで、これまでもやらせていただいているところでございますし、加えて、今申し上げたように、減る部分もあるけれども増えていく部分も両方あるわけでありますから、そこを今の段階で見切れるというものではないというふうに思います。

藤岡委員 毎回毎回やってくれと言っているわけじゃないんですよ。付利金利の話というのは、要は、去年から初めて、久しぶりに起きている話でございまして、それが〇・二五になって、〇・五になって、今まではなかったわけですよ。それが異次元金融緩和の長期化によって巨額の当座預金になって、それで巨額の利息の負担が発生するという新しい状況が起きているわけなんですよ。

 今までにないことが起きているわけでございまして、これに伴って、〇・二五でなくて、今もう分かっているんですから、より正確に予算を見積もって、歳入を見積もってやるというのは、総理、予算修正、当然じゃないですか。総理の見解をお伺いしたいと思います。

石破内閣総理大臣 私どもとして、最善の予算として出させていただいているものでございます。ただ、この国会における御議論を踏まえながら、また、私どもとして、あるべき方向というのは考えてまいりたいと思っておりますが、現時点でそのようなことを考えているわけではございません。

藤岡委員 これは本当におかしいですね。〇・五になって、それなのにもかかわらず、〇・二五のまま。これは歳入欠陥を生むかもしれない。それが何か、外為や、保守的に見積もって、ETFで、またそれで補っちゃえみたいな、そういう発想ではやはりいけないなということは指摘をしておきたいと思います。

 植田総裁、これは、異次元金融緩和の副作用という指摘もあると思いますけれども、植田総裁の見解をお伺いしたいと思います。

植田参考人 異次元緩和の副作用については様々なものが指摘されておりまして、私どもの先日発表いたしました多角的レビューの中で詳細に分析しております。

 一つ一つについて申し上げることは避けますが、一つだけつけ加えるといたしますと、副作用のうち、これまでに発生したものに加えまして、今後、金融政策を更に正常化していく中で追加的に発生してくるものもあるかもしれないということかなと思います。

藤岡委員 追加的に発生するものがあるかもしれないと。そのところ、追加的にどういうものが発生か、ちょっとよく分からなかったので、そこをもう一回お願いします。

植田参考人 物価見通しが更に改善していけばということでございますが、それに伴って、金利をまた引き上げるということも視野に入ってくるかと思います。その場合、その金利の上昇がどういう影響を経済に与えるかという中にはなかなか予期し難いものもあるかもしれないという辺りについて、注意深く見ていきたいと思っております。

安住委員長 藤岡君、午前の質疑の時間が間もなく来ますので、まとめてください。

藤岡委員 では、この点につきまして、また金融政策については午後に続きを行わせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

安住委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

安住委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。藤岡たかお君。

藤岡委員 立憲民主党・無所属の藤岡たかおでございます。

 午前中に続いて、植田日本銀行総裁にお伺いしたいと思います。

 国民は、まずやはり物価高、大変苦しい。その中で、いわゆる名目金利ではなくて、物価を考慮した実質金利、このベースで見ますと、ある意味歴史的な緩和水準にあるというのが今の正確な日本の金利の状況だというふうに思います。実質金利が歴史的に緩和水準にあるということは、物価上昇を加速させるリスクというのは逆にないんでしょうか。植田総裁にお伺いしたいと思います。

植田参考人 お答えいたします。

 確かに、今朝方発表されましたCPIを見ましても、総合では四%に達しております。しかしながら、ここから一時的な要因と見られる部分を除いた基調的な物価上昇率というものは、まだ私どもは二%を少し下回っていると考えております。したがって、基本的には緩和的な金融環境を維持し続けておるわけでございます。

 そうはいっても、基調的な物価上昇率も少しずつ上がってきているという判断でございますので、その中で、昨年来、金融緩和の度合いを調整してきたところですし、今後も基調的な物価の上昇が続くということになれば、引き続き金融緩和度合いの調整を続けていきたいというふうに考えております。

藤岡委員 植田総裁、今日はちょっと調子悪いんですかね。実質金利の水準が緩和的状況にあることについて、また、それが今後の物価上昇にどのような影響を与えるかという質問なんですけれども、いかがでしょうか。

植田参考人 緩和的な金融環境が続いているということの一つの表現が、実質金利が歴史的に低い水準にあるということであるかと思います。これを徐々に、今後、物価見通しが実現していけば調整していくということでございます。

藤岡委員 これ以上聞いてもあれなので。

 あと一点、国民の関心のある米価について、日本銀行は米価のこの状況や今後の動向をどのように分析されているでしょうか。

植田参考人 米については、恐縮ですが、私どもの所掌外であり、私の立場から具体的にコメントすることは差し控えたいと思います。

 ただ、その上で、米の価格の上昇については、政府の方で備蓄米の放出等によりこうした問題の改善に向けた取組を進められているというふうに承知しております。

藤岡委員 なかなかそれ以上言えないでしょうから、是非しっかり注視していただきたいなということを思います。

 日銀総裁、関連する関係者の方、ここで御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

安住委員長 退席して結構です。

藤岡委員 昨日、同僚の本庄知史議員が取り上げました、ミャンマーにおけるいわゆる特殊詐欺の拠点、一万人以上の外国人、これは日本人も含まれる、本当にすさまじい、町を形成しているかのような、このミャンマーの特殊詐欺の拠点に監禁をされている。

 その中で、本当に驚くのは、最近も日本人の高校生が二人保護された。高校生。それも、高校生の方から通信アプリで保護者の方に連絡があって、それで、その保護者の方がタイにある日本大使館に連絡をして、何とか保護につながったと。

 高校生がミャンマーに連れていかれているということ自体が本当に大変憤りを持つところでありますけれども、石破総理、これは私は初動が大切だと思うんですね。初動が大切。改めて、やはり専用の連絡相談ダイヤルなども設けて、情報収集、注意喚起をして、そして、このミャンマーにある特殊詐欺の拠点から日本人の救出、保護、この体制を充実するべきではないでしょうか。

石破内閣総理大臣 詳細は担当からお答えをいたしますが、今のところ、そういうような専用ダイヤルというものを設ける考えは持っておりませんが、仮にそういうものが必要であるとするならば、ちゅうちょなくやっていかねばならないと思っております。

 これは、いわゆる闇バイトのときも私は政府広報に出て言ったんですが、簡単な仕事です、誰でもできます、すぐお金が入ります、そんなうまい話が世の中にあるはずはないのであって、そのことはきちんと徹底をいたしてまいります。その後、今委員御指摘のような必要な措置ということがあるならば、それは邦人保護の観点から、政府として可能な限りの対応はいたしてまいります。

藤岡委員 これは手遅れにならないように是非してほしいんですよね。今まさに救出できるタイミング、保護できるタイミングを逃してしまったら、万が一、抜け出せなくなるということだって考えられるわけですね。

 昨日、外務省の領事局長の本庄議員に対する答弁の中で、タイの警察当局に関連して、これだけ日本人が今、監禁されているというか、保護されている方の人数を教えていただきました。

 いわゆるミャンマーの特殊詐欺の拠点に、今、日本人はどのぐらい監禁されているのか、この全体像をどのように把握されているのか、教えていただきたいと思います。

岩本政府参考人 本件に関しまして、現時点で把握している人数については昨日お答えをさせていただいたところでございます。

 また、現在、タイ当局、またミャンマー当局等が全体の摘発を進めているところでございます。私どもは、常時、タイ側、そしてミャンマー側とも連絡を取らせていただいておりまして、仮に日本の方が更に拘束又は保護されるということがあれば、随時対応をしていきたい、このように考えております。

藤岡委員 まだ把握されていないということでしょうか。

岩本政府参考人 現時点で把握している人数は昨日お答えしたとおりで、それ以降、まだ新しい情報は入ってきておりません。

藤岡委員 今こういう状況なんですよね。報道では、総理、二十人や三十人とか、もっといるとか、いろいろな情報があります。したがって、最初の段階で、例えば、最近タイに入国したんだけれども連絡がつかないなとか、いろいろな国内で情報をきちんと集めて、それで速やかにタイの当局なりに、また保護する、引渡し、いろいろなことを働きかけていかないといけないと思います。初動がやはり大切だと思うんです。ここで遅れないでいただきたいと思うんです。

 改めて、このままもし初動が遅れて、日本人が抜け出せない、救われないとなったら、総理はよく楽しい日本と言っていますけれども、泣きたい日本になりますよ。こういう状況だからこそ、改めて、専用相談ダイヤルなどを設けて、広く国内で、短期集中でもいいですよ、情報を集めて、そして日本人の保護、救出につなげていきませんか、総理。いかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 外務省あるいは警察等々とよく相談をしながら、早期対応が必要だと認識は持っております、具体的に何をやるかはちょっと検討させてください。ただ、これは急いで対応しなければならないというのは御指摘のとおりでございます。政府において最大限努力させていただきます。

藤岡委員 是非、早急に検討をして、少なくとも、相談ダイヤル等の設置、情報を集める、この体制の構築というのを急いでいただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。

 続きまして、話は変わりますけれども、岡本充功先輩議員が先日取り上げましたコロナワクチンの生産体制等緊急整備基金、これについて取り上げさせていただきたいと思います。

 私は非常に、この基金を見ますと、一昨年の五月にコロナが二類から五類になっている、平時モードで対応していかなければいけないんですけれども、何か深掘りをすると、二類から五類に変わって一年強なんですけれども、コロナワクチンの基金が何と七千八百五十二億円もため込まれている。こんなにお金を積んでいるのかというのが正直な印象でございますし、大半を取り崩せるのではないか、国庫返納できるのではないかということを思っております。

 厚労省にまずお伺いをしたいと思います。

 この基金、これは、今年度、全額支出見込みと基金シートに書かれていますけれども、そんなことはあり得ないと思います。この令和六年度の支出見込み、そしてこの基金の事業の必要見込みの算出の積算根拠について、基金シートを基に教えてください。

鷲見政府参考人 お答え申し上げます。

 本基金を設立した令和二年度から令和五年度までの事業費執行額の一年度当たりの平均額が八千八百三十五億円でございます。令和五年度末における基金残高は、先生がおっしゃったとおり七千八百五十二億円であることから、単純に差引きをした場合に基金残高はゼロ円になるということでございます。

 令和六年度の基金シートにおきましては、過去の執行状況を踏まえましても、少なくとも令和五年度基金額は令和六年度で全額執行することが見込まれているとしたものでございますが、一方、基金事業につきましては令和八年度まで延長しているところでございまして、研究開発の状況や感染の状況により、今年度及び今後の執行見込みの算出は困難でありますが、引き続き、基金の残高を利用しまして適切に事業を実施していく必要があり、先ほど申し上げた差引き額につきましては、あくまでも過去の実績から機械的に算出した数値であるということを申し上げたいと思います。

藤岡委員 大変いいかげんな積算根拠だということがよく分かったと思います。国民の皆様にもよく聞いていただきたいと思っております、僭越ながら。

 これは、パンデミックのときの、令和二年度から令和五年度まで、まさに二類のときのかかったお金を単に四で割って、その金額を基に七千八百五十二億円を積み上げているという状況だというふうに、今の答弁で分かりました。今、五類に変わっております。

 では、その中で、これは三つの事業をやっているんですけれども、今答弁された研究開発、そして国においてワクチンの確保、治療薬の確保、これはもうほとんど終わっているわけでございますが、まず、国において確保するところというのが非常にお金がかかっていたというふうに思います。

 では、今の積算根拠の中で更に突っ込んで、国においてワクチンの確保、保管、供給、これは一体どのぐらい、この令和二年度から五年度まで積算根拠に含まれるものがどのぐらい含まれていたのか、そして、国における確保はもう終わっている、そういう理解でいいかということを教えてください。

鷲見政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナワクチンの確保事業につきまして、これについてのみ申し上げますと、特例臨時接種期間の令和二年度から令和五年度に執行した額は約二兆六千三百四十三億円でございます。これを四年で割りますと六千五百八十六億円ということになります。

 また、先生が御指摘の、いつまで続くのかということにつきましては、ワクチン確保事業及び治療薬確保事業において進めてまいってきたわけでございますけれども、令和五年度の特例臨時接種の終了をもって、新型コロナのワクチンの購入は終了しております。また、令和四年度を最後に治療薬の購入は終了しているところでございます。

藤岡委員 今の二兆四千億、多分、私、計算したら、一年にしたら約六千五百億ぐらいだと思うんですけれども、平均して。それはよろしいですか、事実関係。

安住委員長 鷲見感染症対策部長、簡潔に。

鷲見政府参考人 おっしゃるとおりでございます。四で割りますと六千五百八十六億円ということでございます。

藤岡委員 要するに、これは、既に国による購入が終わっている六千五百億が、さっきの八千八百億の積算に入っているわけなんですよね。これは六千何百億かかっていないですよ、もう既に。今はもう自治体の接種を支援するという形になっていて、先日、岡本議員が引き出して、単純に計算すると六百五十二億円ぐらいかかっているというのが現状だと思います。ただ、これも、はっきり言って、六十五歳以上に限定されるので、六百五十二億円よりももっと下がる。さらには、医療機関において廃棄が発生すればもっと下がる。したがって、六百五十二億円というのは最大値だというふうに思います。基本的にこの考え方でよろしいですね。

鷲見政府参考人 お答え申し上げます。

 先生が御指摘になりましたように、今までの、一月二十四日時点での納入量につきましては七百八十六万回ということでございまして、こちらは単純計算を機械的にした場合には、約七百億円ということでございます。

 一方で、感染状況によりまして接種率の上昇等もありますことから、現時点で見込みを算定することは困難であるというふうに考えております。

 以上でございます。

藤岡委員 パンデミックになったら、逆にこれは足りないわけですよね、今まで聞いていて。

 それで、すぐ感染状況、感染状況とおっしゃるんですけれども、じゃ、例えば昨年の二月、三月の接種割合は何%ですか。教えてください。

鷲見政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の二月から三月までの六十五歳以上高齢者の新型コロナワクチンの接種者数は、延べ五十九万四百三十六人でございます。この当該期間における延べ接種人数を令和五年度全体において六十五歳以上高齢者の接種者数で機械的に割った場合には、その占める割合は一・五%となっております。

藤岡委員 要するに、六百五十二億円が最大です。それに一・何%を掛けたぐらいの水準が普通に考えれば上がっていくだろうということを考えて、国による確保は終わっている、さらに治療薬の確保も終わっている、二番、三番。一番の開発事業で、基準額がありますよね、交付基準額。交付基準額は約二千六百億円で、今、事業の支出、大体この基準額がありますけれども、これに対して約二千百八十億円と聞いていますけれども、そういうふうな交付基準と事業の支出実績、これでよろしいですか。

鷲見政府参考人 お答え申し上げます。

 ワクチン生産体制等緊急整備事業の採択事業者に対する助成金につきましては、これまでに合計二千六百九億円を交付基準額として決定しております。また、令和五年度末までに各事業者に支出した額は、約二千百八十二億円でございます。ですので、この差額は四百二十七億円となっているところでございます。

藤岡委員 要するに、あと四百七十二億。ちょっと基準額が少し上がっていくこともあるかもしれませんけれども、そんなにむちゃくちゃ、もう最終段階でございますから、上がっていくことは見込まれない。したがって、六百五十二億、四百億。一体、この基金にどのぐらいためておけばいいんでしょうか。そんな、七千八百五十二億円もためておく必要がどこにあるのか、全く理解できません。

 先ほど、長妻先輩議員から、長瀬効果で二千億の受診控えという話もありました。この基金のお金を使っていけば、これは十分そういうことが起こらないように対応もできるし、私たちの高額療養費の引上げ凍結も二百億ですよ。これだけ余らせておいて、目の前の命を救わない。母屋で病気で苦しんでいる方がいるのに、離れにこんなにお金を七千八百五十億もため込んでおく。福岡大臣、真面目に、これはもう一回、本当に検証しませんか。明らかにおかしいですよ、この見積りは。どう考えても、この見積りだけはおかしい。是非、もう一回検証して、これは少なくとも六千億以上崩せると思いますけれども、行っていただけませんか。大臣、よろしくお願いします。

福岡国務大臣 委員御指摘ありましたように、この基金については、ワクチン購入や治療薬購入のみならず、研究開発であったり、希望される方がワクチン接種を受けやすい環境整備を行うためにコロナワクチン費用に対する自治体助成等も実施し、安定したコロナワクチン供給や将来の感染症危機にも即応できるワクチンの生産体制を構築するための支援を行っているものでございます。

 ですから、この基金により多様な製造主体による新型コロナワクチンの研究開発、生産体制の整備を行うことは、次の感染症危機も見据えた国内での研究開発及び供給能力の強化にも資するものと考えています。

 また、自治体の助成事業については、現時点の接種状況のみならず、過去の接種状況や今後の感染見込みなども踏まえる必要があると考えています。

 いずれにしても、御指摘ありましたように、本基金全体として適切な事業の実施が図られるように、適切な執行に努めてまいりたいと思います。

藤岡委員 研究開発は、今、基準額を申し上げて、支出見込みも申し上げて、六百五十二億とこれは申し上げましたけれども、本当に、ほとんどまともな反論が今ございませんでした。

 総理、私、総理にお伺いしたいと思います。高額療養費凍結で二百億です。私たちは、このワクチン基金に、今私申し上げましたけれども、この中の千億分の修正で私たちは申し上げているんですよ。これだけ膨らんでいる中で、千億ですよ。千億がどうしてできないんですか。

 これでもし、目の前のがん患者の方が苦しんでいる、それが本当に命を落とすようなことが起きてしまったら、まさに、総理、楽しい日本どころじゃないですよ。泣きたい日本じゃないですか。総理の決断で、このワクチン基金のこれを見直しをして、予算修正をしていただけないでしょうか。

 もう聞いたから、総理です。時間ない。総理です。

安住委員長 石破内閣総理大臣、時間が来ておりますので、簡潔に。

石破内閣総理大臣 高額療養費は、必要な医療というものが抑制されないように必ずいたしてまいります。

 基金につきましては、今厚労大臣から答弁したとおりでございますが、一般論として申し上げて、基金ルールというものも踏まえまして、常に不断の見直しを行ってまいります。必要であれば、国庫返納も踏まえまして、改善する点は改善をしてまいります。

安住委員長 終わってください。

藤岡委員 終わります。

 泣きたい日本ということを申し上げまして、終わります。

 ありがとうございました。

安住委員長 この際、小川淳也君から関連質疑の申出があります。階君の持ち時間の範囲内でこれを許します。小川淳也君。

小川委員 立憲民主党の小川淳也です。

 安住委員長の連日の御采配、また、総理始め閣僚の皆さんの激務に深く敬意を表します。

 水曜日に政治資金に関してお尋ねする予定でした。今日はちょっと、経済、財政ということですから、それも意識しつつ、しかし、政治資金に関してもお尋ねをしていきたいと思っています。

 ちょっと、本題に入る前に二、三。

 昨日、御党の前選対委員長小泉さん、一部野党、維新、国民に連立を呼びかけるべきだというお話がありました。総理・総裁にそういうお考えはありますか。

石破内閣総理大臣 現時点で、今お諮りをしております予算の早期成立、多くの御賛同を得てやりたいと思っております。現時点において、そのようなことに言及するつもりはございません。

小川委員 もう一つ。先般、核兵器禁止条約の締約国会議に政府は参加しない、それから、森山幹事長は自民党も参加しないと。被団協がノーベル平和賞を受賞した記念すべき年ですから、政府なり与党から行くべきだと思いますが、いかがですか。

石破内閣総理大臣 政府としても検討もいたしております。これは不断にやってまいります。

 昨日、IAEAの事務局長ともお話を随分させていただきました。私どもとして、NPTの中に核軍縮というのは含まれております、この中には核兵器国も含まれているので、説明するのにある程度の時間は要りますので、それはきちんと、核軍縮に向けて、我が国としてできる限りの対応はいたしてまいります。

小川委員 我が党は、広島の森本真治参議院議員に出席をしていただきたいと思っています。

 もう一点だけ。この間、森山幹事長は、一月二十四日の会見で、選択的夫婦別姓に党議拘束が必要だという立場で発言されました。総理・総裁も同じ考えですか。

石破内閣総理大臣 それは、幹事長は幹事長の見識でおっしゃったことです。

 政党であります以上、なるべく統一した行動を取ることが必要でありますが、そのためには、そこに向けた議論というものをきちんと詰めていくことが前提でございます。

小川委員 石破茂という政治家に国民が期待したのは、そういうことだったはずなんですよ。どんどん持論が埋没し、普通の自民党総理・総裁に成り下がっている、私にはそう感じられます。異端児が、これだけの異端児が総裁になったのは小泉純一郎さん以来じゃないですか。小泉純一郎さんは持論を曲げたと感じたときは余りなかったんですよね。そこは忠告といいますか警告といいますか、それを申し上げた上で。

 ちょっと日を置きましたが、鈴木法務大臣、役所の人たちに、何ですか、五百円の菓子を一千個配った。不適切じゃありませんか。自ら引責、あるいは自ら減給、自ら自らに処分を科すべきだと思いますが、いかがですか。

鈴木国務大臣 今御指摘の件、この通常国会が始まる前に、大変な、職員の皆さんにも、本当にいろいろな御苦労を職務上かけるものですから、組織のトップとして慰労したい、激励したいということで差し入れを行ったというものであります。

 今後、そうした、不適切という、そういった趣旨の指摘を受けることがないように、より一層襟を正して職務に精励してまいりたいと思っております。

小川委員 気持ちは分からぬでもありません。しかし、法務大臣として、差し入れだろうが、お歳暮だろうが、中元だろうが、お見舞いだろうが、お礼だろうが、お返しだろうが、金品の贈与なんですよ。そこは厳格に踏まえるべきで、既に責任が生じている。

 御自身から責任に言及しなかったのは極めて残念だが、社交上、節度を超えているんですよ、一人一個というのは。恐らく、受け取った職員は、感謝するどころか戸惑ったはずだ。だから問題になっているんですよ。

 加えて、ここに示されているのがまさに政治家の金銭感覚なんだ。五百円で千個、五十万。そんなに菓子を配る余分な金が政治家にあるのかと改めて省内及び国民に突きつけた。この責任は極めて大きい。

 石破総理、極刑なら更迭、そうじゃなくても厳重注意、ここで任命権者として処分するとはっきり言ってください。

石破内閣総理大臣 厳重注意を直接いたしました。

 鈴木大臣には、今後このようなことがないように、よく、本人も申しましたが、襟を正して職務に邁進をいたさせます。

 任命責任は私にございます。

小川委員 鈴木大臣、反省していますね。

 どうぞお帰りいただいて結構です。

安住委員長 では、鈴木大臣は退席して結構です。

小川委員 今日は、まず、一月の物価上昇率が三%という一報がありました。それから、米に至っては七〇%前年比上がっているという一報もあった。我が党は、まさに生活負担を軽減させ、収入を安定化させるための予算の修正案を提示していますから、総理、政局的観点とは別に、誠意を持って対応してください。ちょっとお願いしておきます。

 その上で、政治資金の話に入りたいんですが、今、物価高でしょう、総理、物価高。そして、その主たる要因の一つは円安ですね。そして、この円安は異常な金融緩和によってもたらされた。アベノミクスが始まる前は一ドル七十円台ですからね。総理が批判されていたアベノミクスですよ。そして今、百五十円以下、六十円に迫っている。つまり、円の価値は半分以下になったということです、この十年ちょっとで。

 そして、その安くなった円で国際的に高くなった食料とエネルギーを買わないと生きていけない国を放置してきた、この国の政治は。エネルギーは九割が輸入ですよ。食料は七割近くだ。これだけ農林水産業をおろそかにしてきた国はほかにないでしょう。これだけエネルギーの国産化を怠ってきた国もほかにないでしょう。そういう政治がこの物価高として国民生活を直撃しているんだという政治の責任を強く感じながら、以下の質問にお答えいただきたい。

 もう一つだ。物価は上がっていますよね。しかし、賃金が上がり切らないんですね。賃金、少々いいんですが、それでも物価の上昇に追いつかない。実質賃金はマイナスでしょう。

 その背景には、総理もお分かりだと思いますが、圧倒的に非正規雇用を拡大してきたこの三十年の責任がある。派遣法を全面解禁したんですからね。元々、通訳、タイピストに限って認められていた。製造現場からサービス業まで、あらゆる労働を派遣でいいことにしてしまった政治の責任があると一連含んでいただいて、答えていただきたい。

 今からお出しする資料が経団連の自民党政治団体への献金の一覧なんですが、私も気が引けますが、あえて言いますよ。この住友化学さん以下、これは二二年のデータだが、二三年もさほど変わらない。四年もね。この日本の名立たる大企業が軒並み、五千万、四千万、三千万、二千万、二千万。千二百六十三団体、総額で二十四億、自民党本部だけで。恐らく支部にほぼこれの同額が行っている。四十億、五十億だ。一体、この日本の名立たる企業で一生懸命働いている社員は、俺の仕事が、働きが、稼ぎが自民党の献金にこれだけなっているとどれだけの人が知って働いているか。

 そしてもう一つ、次の資料を見ていただきたい。これは、経団連が、あっせんという名の下に、各党の政策を評価したという一覧だ。中身を見ずとも明らかですよね。自民党しか評価していないんだから。公明党が二行、三行。立憲が二行、三行。維新、一行。国民、一行。やる気がないじゃないですか。これはまさに、お手盛り、やったふり、アリバイづくり。とにかく自民党に献金してくれと。

 これが政治をねじ曲げないはずがないと思いますが、総理、いかがですか。

石破内閣総理大臣 それは、御評価をいただくのはありがたいことだと思っております。

 ただ、それが、自民党が、一票を入れる人よりも金を出す企業の言うことを聞いているねというふうに思われたら、我が党はこんなに政権を維持することはできません。私たちは、そのことをよく理解をしながら、非正規労働者も減らしていかねばならないと思っております。非正規の方もお給料を増やしていかねばならないと思っている。

 私どもは、金を出す、そういうような人たちの声ばかり聞いてはいけないし、むしろ一票一票入れる人、額に汗して働く人、そういう人たちのために自由民主党はあると思っております。

小川委員 そうやって政権を維持してきたんですよ、自民党という政党は。

 それで、総理はよく、企業が悪じゃない、個人が善という立場は取らない、企業には政治活動の自由がある、社会的主体としての責任もある、きれいなことをよくおっしゃるんですよ。きれいなこと、表面だけ取れば。

 ただ、ちょっと押さえておきたいのは、企業は一票ないでしょう。それから、赤字企業は献金できないことになっている。もうけるのが先決だよ、あんたたちはということになっている。それから、資本金によって上限制限がある。つまり、身の丈を超えた献金はしちゃ駄目ということになっている。個人にはそういう制限はないんですよ。借金して献金しようが、破産寸前だろうが献金しようが、それは個人の自由、つまり、個人は主権者であり政治主体、企業は経済主体であるということが法制上も明らかである。

 その上で、個人も、内閣総理大臣石破茂も一票、どんなお金持ちも一票なんです。どんなに貧しく生活が厳しい人も一票なんですね。これがまた民主主義の極めて原理的かつ美しい理念なんですよ。

 ということはなんですが、結論として、資金力の多寡によって政策形成や政治活動に影響力を行使し得ることに関しては、制約があってしかるべきだという考え方に立つべきなんです。

 この点について後ほどお聞きしますが、その前に、ちょっとついでに申し上げると、総理は宮沢内閣不信任案に賛成している。自民党をその後四年間離党した。武村正義、鳩山由紀夫とユートピア研究会を設立し、政治の理想を追った歴史を背負っていますからね。

 冒頭にも申し上げましたが、余り持論なり自らの理想をねじ曲げること自体が、内閣総理大臣石破茂の価値を毀損すると思いますよ。

 そのことは申し上げた上で、もう一回最後に企業献金について聞きますが、その前に、自民党には七千余りの支部があるという話はさんざんあった。

 それで、政界には使途不明金が大きく四つあって、一つは裏金、これは違法ですが、政策活動費、これは全廃になりました。最初、外交機密だとか、有識者のプライバシーとか、能書きをいっぱいおっしゃっていたが、一体あれは何だったんだというぐらい、これは評価していますが、例外なき全廃。総理も幹事長時代に十七億円受け取っていますから、二年間で。そして文書交通費、これも今年の夏から全面公開。これも大きな一歩。ひとえに衆議院選挙で自公が過半数を割った成果だ。そして最後に官房機密費、これもいずれやらせてもらいますからね。

 聞きたいのは自民党の支部なんですよ。国政と都政には既に捜査のメスが入った。それで、自民党は国政、都政以外は問題がないという報告らしきものを上げているが、本当かと私は思っており、そして、党県連が、本当にみんな素人ですよ、捜査機関でもない、捜査権限もない、少々人海戦術で調べて、報告を上げてくれましたよ。

 紹介しかたがたお尋ねしますが、自民党札幌支部、約三十件、一件数万から数十万円の不記載、合計数百万の疑い。自民党静岡、熱海、伊東、計百件、数万から数十万の不記載の疑い。富山県連のパーティー、収容三千人の会場に八千人近く、どうやって入れるんですか、これ。数十万円不記載の疑い。

 同じく、三重県連のパーティー、収入三千四百万、購入者一千七百万、ぴったり一人一枚二万円。しかし、よく見ると、三重県柔道整復師連盟、五枚買っている。商工政治連盟五枚、石油政治連盟四枚、トラック運送政治連盟五枚、郵政政治連盟十枚。複数購入者がいて、つじつまが合わないじゃないですか、これ。

 自民党三重県ちんたい支部から県連に、二二年五月に三十二万、十二月に三十三万。これは通告したから総理も把握しておられると思いますが、三重県連自民党には寄附の記載はありませんからね。受入れの記載はない。同じく、三重県政治連盟から五月二十日、二十四万、会費の支払い。三重県連に受入れの記載なし。

 自民党京都府連、六月のパーティーで府議、市議三名が不記載。自民党滋賀県連、八月のパーティー、二三年、県議二人がキックバック百十八万、四十六万、それぞれ不記載。山口県連、二〇年十月のパーティー、収入五千万円、支出二百万、収益率九五%。その金から県議に三年間で四千二百万円、二三年は二千七百万、政策活動費として使途不明金を支給。お隣、島根県連、三年間、二千六百万、二三年は一年で二千四百万を組織活動費として、使途不明金として支給。

 どうですか。これが自民党の支部の実態の一端なんですよ。何が国政と都政以外、問題がないだ。

 総裁、元々銀行員ですよね。中央区の本町支店にいた。個人融資を担当していた。一円たりとも計算が合わなかったら、店から出られなかったでしょう、一歩も。

 それと比べると、今週から確定申告が始まっているんですね、全国の税務署で。有権者は一銭たりとも誤りのないように資料をがん首そろえ、納税していますよ。受け取る側の政治がこのずさん、曖昧、ぼろもうけ、こんな政治が国民から信用されるはずないじゃないですか。

 少なくともお願いしたい、この地方組織に関して。本当に正しいのか、再調査を求めます。

石破内閣総理大臣 御質問が多岐にわたりますのでなかなか整理はしにくいところでございますが、それは常に私どもは、四十七都道府県、県連のそれぞれ持っている支部についての厳正な監査も行っております。それがおっしゃるように不十分な点があるとするならば、これは不断に見直しもし、点検もいたしてまいります。

 ただ、申し上げておきますが、私は鳥取県連の会長を十数年やっておりますが、支部によってそんなにぼろもうけなんてしたところはございませんよ。それだけ支部を細かく持っているということは、我が党はそれだけ、それぞれの地域の国民の皆様方のお声を国民政党として把握すべく最大限の努力をしておるということでございます。

小川委員 おっしゃるとおり、支部でぼろもうけしているかどうかは分からない。しかし、県連はぼろもうけしているんですよ、今申し上げたとおり。

 それで、支部が七千以上あるという話でしょう。自民党の地方議員、全部足しても三千なんですね。企業の中に支部があるというのはちょっと珍しいことで、中国共産党か日本自民党かどっちかでしょう。長期独裁、一党支配が長く続いた国はそうなるんですよ。

 そこで、ちょっとお願いしたいんですが、これ、三十年前に、政党に集中化するという趣旨だったんだ、透明化するとして。その後、七千もの支部をつくって、資金のやり取りをして、訳が分からなくなると同時に、企業献金の政党化という精神、換骨奪胎し、骨抜きにし、ダミーのように支部を多発させ、企業献金を結果として個人献金化しているんですよ。

 自民党の七千の支部、ちょっと、整理縮小、統廃合をお願いできませんか。

石破内閣総理大臣 それは、我が党のことは我が党で決めます。

 その支部が、先ほど申し上げましたように、国民の思いをきちんと把握をする、そういう機能を果たしておるとするならば、これを縮小する考えはございません。しかし、それが十分な機能を果たしておらない、仮に、委員のおっしゃるようなぼろもうけの手段、そのようなことであるとするならば、それは整理統合の意味はございましょう。しかしながら、我が党の支部は、本当にそれぞれの地域地域で国民のニーズというものをきちんと把握すべく最大限の努力をしておるということは、総裁として申し上げておきます。

小川委員 口先だけにとどまらないように、見ていますし、聞いていますからね。本気度というのは分かるものですから、きれいなことをおっしゃっても。

 それで、ちょっともう一回さっきの話に戻ります。

 企業には社会的責任があり、企業献金が必ずしも悪ではなく、社会貢献の一環であるという総理の持論。それに関連して、じゃ、そうおっしゃる総理のお膝元がどうなのかをちょっと聞きたい。

 まさに、鳥取県第一区支部で、多数の会社が献金を寄せていますよ。それはどういう会社からどれくらいもらっているかというのは、まず総理は御存じなんですか。認識しておられるんですか。

石破内閣総理大臣 当然、どちらの会社さんがどれだけ浄財を提供していただいておるかということは、常に把握をしておるつもりでございます。

小川委員 では、お聞きしますが、私が見たところ、極めて特定の業界に偏っているという印象を受けていますが、私の認識は間違っていますか。

石破内閣総理大臣 それは、地方はみんなそうだと思いますが、そんなに業種が多岐にわたるわけではございません。幾つかの業界に偏りがあるというのは、その地域の産業構成上やむを得ないこともあろうかと存じます。

小川委員 さすがに、詭弁というのか言い訳というのかと私は受け止めていますが。

 じゃ、申し上げましょう。申し上げましょう。昨年の鳥取一区の収支報告を見ると、企業献金を寄せているのは五十社、約一千四百万。そして、そのうち六割に相当する二十八社が土木建設関連。総理御存じかどうかあれですが、日本には会社が四百万社近くあると言われているんですよ。土木建設関係は四十万ちょっとと言われている。四十数万と言われている。一割ちょっとなんですね。

 何で、石破茂さん、鳥取一区に献金した人に限って見ると、その土木建設関連の割合が一割から六割に上昇するんですかということなんだ。そんなに総理がおっしゃるほどきれいごとじゃ済まないでしょうということなんですよ。

 しかも、二十八社の土木建設関連のうち約九割、二十四社は公共事業の受注業者なんですね。あえて名前は出しません。株式会社K組、主要取引先、国交省、鳥取県、鳥取市。株式会社O組、公共工事で発注した建設残土を適切に管理。株式会社Iコーポレーション、官公庁、建設コンサルタントの計画事業に対して提案を行う。全部見ましたよ、どういう会社から献金をもらっているのか。ほとんどが公共受注業者だ。

 それで、ずばり端的にお聞きしますが、総理には通告していますから入っていると思いますが、こういう公共事業受注会社から献金をもらうことは違法でしょう。端的に申し上げますよ、総理。通告していますから把握されていると思いますが、あえてこれは名前、実名は伏せましょう。公表資料ですが、二一年の秋、Y建設株式会社から百万円の献金を受けている。二一年秋といえば総選挙があった年ですから、まさにこれは違法献金を受け取っているんじゃないですか。ちょっと疑いを持ってお聞きしますが。

石破内閣総理大臣 恐縮ですが、なぜ違法なのかということをおっしゃっていただきませんと、それは本当に、私は余りこういうことを申し上げたくはないんだけれども、決めつけあるいは推論によって議論を進められるのは、それはできればお控えいただきたいと思っております。

 私どもは、違法なお金を集めて政治活動などはいたしておりません。そして、地域地域において公共事業に従事される方々が私利私欲のために我々に献金をしているとは思っておりません。そのようなことをしておる議員は自由民主党におると私は思っておりません。

小川委員 企業献金にまつわる政界疑獄、数え切れないでしょう、昭和に入って以降、戦後。よくおっしゃるが、個人献金にまつわる政界疑獄って聞いたことないでしょう。労働運動の御批判もいろいろいただいていますが、労働運動に関する政界疑獄って、私は聞いたことがないんだけれども。企業献金というのは、その温床になりがちだということを申し上げている。そして、現に、石破茂さんに献金しているのは、公共事業を受注した土木建設会社が主たる企業だということを申し上げている。(発言する者あり)

 皆さんいろいろ疑問も起きているみたいだから、総務省に聞きましょう。

 公共事業を受託した会社から献金を受けることに関して、法的制約、法的環境はどうなっていますか、総務省。

笠置政府参考人 公職選挙法の百九十九条で特定寄附の禁止という規定がございまして、衆議院議員あるいは参議院議員の選挙に関して、国と請負その他特別の利益を伴う契約の当事者である者は、当該選挙に関し、寄附をしてはならないとされておりまして、同法第二百条第二項において、何人も、選挙に関し、百九十九条に規定する者から寄附を受けてはならないと規定されております。

 その寄附が選挙に関する寄附であれば、これらの規定に該当することとなりますが、選挙に関する寄附でなければ、制限されるものではないと。

石破内閣総理大臣 済みません、議論がちょっと途中で終わっちゃっているんですけれども、なぜ違法なんですか。どこが違法なんですか。そのことをおっしゃって議論を続けていただきませんと、これはかなり問題だと私は思いますよ。

小川委員 今総務省から話があったように、公共事業受注企業から選挙に関連した寄附を受けることは違法なんですよ。平時はいい。選挙に関連したら違法なんですね。

 それで、このY建設株式会社ですが、まず、二四年の十月、鳥取県千代地区堤防工事、三千九百八十万。千代川水系袋川しゅんせつ工事、一億八十万。志戸坂峠ってあるんですか、これの道路工事、一億二千、去年ですよ。鳥取自動車道の整備工事、七千八百万。上味野地区というのがありますかね、八千万。全部発注者は国交省。これは、二一年まで遡っても同様です。

 それで、私が申し上げているのは、この二一年秋の百万円の献金は、二一年秋の総選挙に関連した公共事業受託業者からの違法な献金の疑いがあるんではないですかと聞いています。

 なぜなら、もうちょっと申し上げましょう。

 このY建設株式会社は、どうも毎年、この二一年九月一日、十二万円。恐らく、ざっと見ると、みんな一万円の会費を払っているんでしょう、月。年間十二万円。二一年九月一日、十二万円。二二年九月一日、十二万円。二三年九月一日、十二万円。定例の献金は定例の献金で、同月同日にあるんですよ。それ以外、二一年の秋に百万円の献金が別途ある。

 調べましたよ。総理が受け取っている二一年の献金は、ほとんど、政治団体への献金は七割が十月を中心とした秋に集中している。企業献金の九〇%、一千四百万円のうち一千万以上は、同じく二一年の十月を中心とした秋に集中している。

 その中で、公共事業を請け負い、明確に選挙に関連したと疑われる献金が、このY建設の百万円だと申し上げているわけです。

 立証できないでしょう、選挙に関係ないと。立証できない。私も選挙に関係あると立証はできない。(発言する者あり)いやいや、とすれば、いいですか、総理、こういう疑いを生じせしめる、まさに李下に冠を正さず、疑いを生じせしめる献金をのうのうと受け取っていることが問題だと申し上げているんですよ。(発言する者あり)

安住委員長 御静粛に。

小川委員 私、公開資料、これは三年分しかありませんから、この際、資料要求します。

 二〇年から一〇年までの十年分と、やがて公開される二四年分、自民党鳥取県第一区総支部の企業献金に関わる資金収支報告を委員会に資料として提出することを求めます。

 委員長、お取り計らいをお願いします。

安住委員長 理事会で協議します。

小川委員 総理、ちょっと繰り返しますが、こういうことなんですよ、企業献金の実態というのは。鳥取がそうだからほかもそうでしょう。やめられないんだよ、これだけもらっているわけですから。そして、それは少なからず政治をゆがめてきた疑いがある。

 そして、今、この民主制にせよ社会の安定にせよ、本当にひどい状況になっていると思いますが、この政治の金の汚さ、政治の汚さと、そして社会の逆進性、この二つが、今、私は、有権者を失望させ、政治不信を抱かせている大変大きな原因の、大きな二つだと思っています。

 それでいうと、最後に、さんざん話題になっています高額療養費ですが、三点問題点を指摘したい。

 ちょっと資料を眺めていただきたいんですが、今の制度を前提にすると、月収の低い方、例えば、十五万円の方の予想される手取りは十二万、そして、負担額は最大で六万円となり、手元に残るのは五万円台、その月。二十万円の月収の方は、十五万円手取りが見込まれ、八万円近い負担を強いられ、手元に残るのは七万円台。これ、生活できますかという問いが一つ立つ。

 もう一つ。中段の方を見ると、月収五十万から例えば五十三万に三万円上がったら、負担額は現行で八万円から十六万円と八万円上がり、今の制度改正案で、改悪案で見ても、十三万から十八万円に五万円上がる。結果として、最終の手取り、手元残金は、二十一万、二十四万で、逆転現象が起きる。これは何のためにマイナンバーカードを入れたんだという話に私はなると思うんですね。収入と負担、負担と給付との関係性が崩壊している。これが二つ目。

 最後にもう一点。改正案では、月額、月給が百二十七万円を超えると、最終の負担は四十四万円に上がることになり、手元に残るのは四十万円ちょっと。問題は、そこからたとえ年収が数千万になろうが、億になろうが、何十億になろうが、上限は四十万なんですよ。

 三つ申し上げました。一つは、低収入者の方で、今の高額療養費負担を差し引いて生活できるのかという論点。間にある方々は、標準報酬月額、極端な階段制度を取ることで、負担と手取りが逆転しますよという不公平な論点。最後に、百二十万を超えると、何千万、何億になっても負担はこのままだという不公平。

 極めて社会は逆進的で、生活は厳しく、将来の見通しを持ち難い政策を放置して今日に至っている。もっと言えば、法人税は下げられた、所得税の累進性の傾きは緩やかになった、消費税は上がった、そういう不信感が社会に蔓延していますから。

 総理、改めて、ちょっと一旦この高額療養費の見直しは凍結して、出し直してください。もう一回お願いします。

石破内閣総理大臣 先ほどの私の鳥取一区については、委員、言いたいだけ言われて、その後は何にもこちらには言わせない、それはおかしくないですか。それは議論としてフェアじゃないと私は思いますよ。そこにおいて違法であるとは言えない、だがその疑いがある。違法だと私は全く思っておりません。そのことの説明なら幾らでもいたしますが、それだけで時間を使わせていただいてよろしいですか、それは。(小川委員「してください、どうぞ」と呼ぶ)

安住委員長 座って発言しない。

石破内閣総理大臣 それは、あなたが違法だと言っておられますから、その挙証責任はそちらにあるということでございます。違法だというふうにおっしゃるならば、なぜ違法かということをおっしゃらないで、印象操作みたいな御質問はお控えいただきたい、私はそのように思っております。

 その上でお答え申し上げますが、現行の高額療養費制度では、所得区分が大くくりとなっておりますので、所得が増加して変更になった場合に、所得が増加いたしました分よりも自己負担限度額の増加分ということが大きくなるケースは確かにございます。そのため、更に所得に応じたきめ細かい制度設計といたしましたので、そのような不都合が生じないように、そのことを心がけておるものでございます。

 また、見直しに当たりまして、平均的な所得を下回る方につきましては、自己負担上限額の引上げということは抑制をいたしております。低所得者の方の経済的負担を配慮したものでございます。

 また、健康保険における標準報酬月額の仕組みにつきましては、健康保険について、負担能力を測る指標として標準報酬月額を用いているものでございます。この上限は、被保険者の保険料納付意欲に与える影響、過剰給付の防止というものに心がけておるものでございまして、いかにしてこの制度を持続可能なものとするかということで今回の提案に至っておるものでございます。

小川委員 また改めてと思います。

 ありがとうございました。

安住委員長 小川君は大幅な時間超過していますから、次の質疑者で、立憲民主党で調整をお願いします。

 この際、酒井なつみさんから関連質疑の申出があります。階君の持ち時間の範囲内でこれを許します。酒井なつみさん。

酒井委員 立憲民主党の酒井なつみでございます。

 総理に、前回に引き続き、高額療養費制度の引上げ問題について御質問をいたします。

 先ほど総理は、必要な医療というものが抑制されないように必ずいたしてまいりますと答弁されましたけれども、これは、私は、総理が今の修正案より一歩進めて、見直しを、患者に寄り添った答えを出してくださったのかと思っているんですけれども、その意味でよろしいでしょうか。伺います。

石破内閣総理大臣 酒井委員のこの間の御質問を踏まえて、厚生労働大臣並びに厚生労働省として誠心誠意尽くさせていただいたものだということでございます。少なくとも、凍結というよりも、これから先上げないということを申し上げているものでございまして、それはもう可能な限り、お立場をよく理解をしながらやったつもりでございます。

 もう一方において、いかにしてこの制度を続けていくかということにも私ども配意をしていかなければなりません。これから先も高額療養費制度というものが維持できるということにも十分配意したものでございます。

酒井委員 医療費が高額になった場合のセーフティーネットである高額療養費制度の引上げをめぐっては、国会でも私たち立憲民主党も繰り返し取り上げ、課題点を様々指摘をしてまいりました。今般、多くの国民もこの異常さに気づいて、こんなに払えないというふうに反対の声を上げています。

 二月十七日、政府は、一年間で四回以上高額療養費制度を利用した場合上限が下がる多数回該当の限度額については、現行のまま据え置くことを表明をいたしました。長期で療養する患者への配慮がされたことは評価をします。しかし、この修正では不十分です。

 十九年前、命を守るのが政治家の仕事だと訴え、がん対策基本法と自殺対策基本法の早期成立に尽力した国会議員がいました。故山本孝史参議院議員です。もし国会にいらっしゃれば、本件に関しても同じことを訴え、強く反対されると思います。

 本日も傍聴にお越しになっていますけれども、全がん連さんなども強く反対をして、凍結を求めていらっしゃいます。

 前回御紹介しましたけれども、全がん連さんの行ったアンケート、三日間で三千六百二十三人の声が集まり、この冊子にはその声が掲載されています。

 前回御紹介をしましたけれども、二十代のスキルス胃がん患者の女性の声です。「高額療養費制度を使っていますが、支払いは苦しいです。家族に申し訳ないです。引き上げられることを知り泣きました。私はいずれ死ぬのでしょうが、子どものために少しでも長く生きたいです。毎月さらに多くの医療費を支払うことはできません。死ぬことを受け入れ、子どもの将来のためにお金を少しでも残す方がいいのか追い詰められています。」というものです。

 ほかにも多くの悲痛な声が寄せられており、現在でも治療費の重い負担にあえぐ国民がいるということを御認識いただきたいと思います。

 まず、総理に御理解をいただきたいのは、我々の要望は自己負担額引上げの凍結です。制度を守っていくために、見直しの必要性は認識しています。撤回を求めているわけではないんです。ですから、この質疑では各論の議論をお願いしたいと思います。そして、患者団体などの要望どおり、凍結の御決断をいただきたいと存じます。

 パネル一、資料の一ページを御覧ください。

 上段は、政府案、自己負担の上限額引上げに関する見直しイメージです。

 本年八月から三段階で引き上げ、最終段階では、この階段状になっている赤字で示したところになりますが、現行より五〇%や七〇%も引き上げられることになっています。低所得者の方への配慮と書いていますけれども、低所得者の方でも約三七・五%も引き上げられるという案になっています。私、大変驚いています。

 この資料の下段に行きますけれども、年収約六百五十万円の自己負担上限額は、現在八万百円のところ、今年の八月に八万八千二百円、一〇%増となります。また、来年八月からは十一万三千四百円、四一%増し、さらに、再来年八月からは十三万八千六百円、七三%増しと、負担増です。

 中継を御覧の皆様にも危機感をお伝えできたのではと存じます。どうしてこんなに高くなるのでしょうか。到底受け入れられない引上げです。

 審議会の資料によれば、現在、多数回該当に当てはまる方は、粗い推計で約百五十五万人、制度利用者の約二一%ということです。制度利用者の約八割は多数回に該当しないということになりますが、その数は、概数で結構ですので、何人ですか。お答えください。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 多数回該当に該当する方のデータ自体は取っておりませんので、近い値の推計値ということでお許しをいただければと思います。

 直近の医療費等をベースに高額療養費の受給者数を推計すると、外来特例のみが適用される場合を除けば、現行制度において、令和四年度の高額療養費の受給者数は年間約七百九十五万人というふうに考えております。そのうち、多数回該当に当てはまるとして、年間四回以上受給している方は百五十五万人、それを割りますと約二割程度ということになりますが、その差っ引きということであれば、七百九十五から百五十五を引いて六百四十万人ということになります。

 ちなみにですが、一回とか二回の方であっても前年でなっていらっしゃる方もいるので、あくまで推計というか、近い値ということでお許しをいただきたいと思います。

酒井委員 あくまでも推計ですけれども、約六百四十万人、この方々が取り残されていると思っています。

 パネル二、資料二ページを御覧ください。

 こちらは、高額療養費の多数回該当イメージを示したものです。午前中の質疑で長妻委員も指摘しましたが、下のグラフのように十三万八千六百円まで上限が大幅に引き上げられることで、高額療養費や多数回該当の対象とならない患者が増えてしまうことは明らかです。

 午前中、福岡厚労大臣は、増えるのではないですかという質問に対して、具体的な数字を推計することは困難だと答弁されましたが、ここでは具体的な数字は尋ねません。増えると認識されていますよね。明確にお答えください。

鹿沼政府参考人 まず、自己負担限度額の引上げが大きいという御指摘でございますが、今般、高額療養費の総額が倍のスピードで伸びている中で、持続可能性、現役世代を中心とした保険料負担、こういう中で見直しをさせていただきました。

 今回の見直しにつきましては、十年前からの賃金の変化等を踏まえた負担限度額の引上げ……(発言する者あり)

安住委員長 静粛に。

鹿沼政府参考人 平均的な所得を下回る方については引上げ率を抑制するとともに……(発言する者あり)

安住委員長 答弁を続行して。もうちょっと、簡潔に。

鹿沼政府参考人 はい。

 現行制度で様々な、先ほど小川先生からもいろいろありましたが、負担区分が非常に粗いというような問題点もあり、見直しを行ったところでございます。

 こうした見直しの影響に関し、ある程度高額な医療費がかかる患者の方は別として、従来の患者負担額が従来の自己負担限度額よりもやや高い水準であった方については、限度額に到達しなくなるという方もいらっしゃると考えておりますが、全体的に患者数がどう変化するかという点については、見直しの影響、高額薬剤の一層の普及、こういったものをトータルに考える必要がある、このように考えております。

酒井委員 明確に答えていないんですけれども、当然増えるんですね。皆さん、これは明確なことだと思います。

 患者団体の方は、患者を分断しないでほしいと言っています。どうしても、高額な治療を長期で受けている方への配慮は必要です。確かにそうなんですけれども、やはり、こんなに引き上げられたら払えない、それが国民の声です。一旦凍結を求めますけれども、総理、いかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 いろいろな御意見を承りました。先般、酒井さんが指摘されたスキルス性胃がんの方、毎月多くの医療費を支払っておられます。また、長期にわたって高額な医療が必要な患者さんは約百六十万人という御指摘をいただいておりますが、年に四回該当される高額治療費の方ということだと承知をいたしております。

 したがいまして、私どもといたしまして、このような御意見を踏まえ、高額療養費に年四回以上該当される方の自己負担額の見直しは凍結します、据え置きます、そのように決断をさせていただきました。

 そうしても一部の方の引上げ幅は大きいじゃないかという御意見もいただいておりますが、先ほど来答弁申し上げておりますとおり、所得区分ごとの階段をできるだけ細かくして、きめ細かい制度設計としておるところでございます。

 また、激変緩和の観点からも施行は三回に分けるということでございまして、最大限に配慮をいたして、このような結論に達したものでございます。

酒井委員 三段階に引き上げるのは配慮しているとおっしゃいましたけれども、いつ病気になるか、いつ医療が必要になるかは、患者は選べませんよね。結果的に、引上げ幅が大き過ぎる、負担できないという声を受け止めていただきたいんです。

 資料三ページを御覧ください。

 家計・子育てへの影響調査というものを、今回の修正案が出される前ですけれども、調査をしたものになります。治療中断五割、回数を減らす六割と子育て世帯は答えています。また、子育てへの影響、子供の影響もとても心配していますけれども、この調査では、進路変更を五割、習い事を減らすを六割と答えています。患者の置かれた経済状況、家計や子育てへの影響が大変大きいことを御理解いただきたいと思います。

 続いて、パネル四をお願いします。

 今回の引上げを行った場合の医療費の削減効果、赤線のところに、いわゆる長瀬効果を二千二百七十億円見込んでいると記載されていますが、午前中の質疑によれば、修正案でも千九百五十億円の見込みとのことです。

 総理にお伺いをしますが、長瀬効果による患者さんの受診抑制、つまり治療の中断や回数を減らすといったことは、がんや難病などの場合、直接命に関わりますが、受診抑制が起きていい性質だとお考えなんですか。伺います。

石破内閣総理大臣 できれば厚労大臣をお呼びいただきたかったですね。それは、そのことをずっと患者団体の方とも誠心誠意お話をしてきたのは厚労大臣でございます。是非とも、国民の皆様方によく御理解をいただくためにも、そのような答弁者もお呼びをいただきたいと思っております。

 今の長瀬効果のお話でございます。あえて申し上げますが、高額療養費の変化による受診行動の変化、これを示すものではないと思っております。そして、必要な受診が抑制されるというものではございません。

 高額療養費を改正した場合に、実際に今御指摘のようなお一人お一人の患者の皆様方の受診行動にどういった影響があるかというミクロの影響につきましては、先ほど厚労大臣もお答えをいたしましたが、今後、分析方法も含めて検討する必要があると思っておるところでございます。

 私どもとして、必要な受診が抑制される、これによって、もう受けるのをやめようというような方、そういう方々がどうすれば出ないようにできるかということは最大限考えてきております。

 と同時に、その引上げは最小限に抑えてまいっておりますけれども、この十年間の変化というものが、本当に高額の治療薬がこのように出てくるということは、私どもとして十分に想定できなかったものでございます。それが保険の財政にどのように影響するかということも併せて議論をしていきませんと、このすばらしい制度を続けていくということが困難になるということも、是非とも皆様方に御理解を賜りたいと思っております。

酒井委員 保険料の軽減という話もありますし、今総理がおっしゃられた高額医薬品の登場というのも、今回の医療費の総額が上がっているということには、大変要因の一つとして大きいんですね。だからこそ、改革工程、優先順位はここじゃないというのを私たちは申し上げているんです。

 やはり、今、いろいろな専門家の方々も、ローリスクのところから改革をしてほしい、着手するのはここではないということも声を上げていらっしゃいます。是非、そういったところもセットで行うべきですから、今後の取組にも要望をさせていただきたいと思います。

 パネル四を御覧ください。

 今回、保険料の加入者一人当たりの平均軽減効果は、令和七年度は、パネル四の上の表内、赤枠で囲んでおりますけれども、これは平均ですけれども、年間九百円の軽減効果となります。十二で割ると一月で七十五円、最終的にも月二百五十円です。たかがとは言えないですけれども、一月七十五円のために八月からの引上げを強行して、命の危険にさらされる方を出してしまうのではないかと、私はとても懸念しています。この夏の引上げは一旦凍結をするべきです。

 この引上げ凍結には約二百億円要しますけれども、我々の発表した予算案では、その財源もお示しをしました。

 総理、予算案修正に応じていただけませんか。

石破内閣総理大臣 そういう受診抑制が起こらないということを配慮して、私どもとしてこのように決めさせていただきました。

 高額療養費に年四回以上該当される方の自己負担、この見直しは凍結です。据え置くことといたします。そのようにしておりますので、それをどこまで広げるのかということについては、また御提案をいただければ私どもとして考えますが、今回、最大限に配慮をさせていただきました。

 そして、高額療養費がどれだけ上がったかということでございますが、それが、七十五円がどうのこうのというお話がございますが、その一つ一つにきちんと細かく配慮をしていかないと、制度全体を論じるようなことはできません。そういうようなものをきちんきちんと一つ一つ見直していくことによって、いかにしてこの高額療養費制度というものを維持していくかということは、そういう地道な努力の積み重ねの下にあるものでございます。(発言する者あり)

安住委員長 静粛に。

酒井委員 石破総理は、前回の質疑で、患者団体との面会について、必要ならばお目にかかります、当然のことですとおっしゃいました。お会いする必要があるのではないかと私はつくづく思います。患者さんの今の生活が苦しい中で、こんなに払えないという悲痛な声、届いていないということは、きっと石破総理であれば、お目にかかっていただければ、この強い訴え、私は通じるのではないかと信じています。

 お会いする必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。(発言する者あり)

安住委員長 総理の答弁中は静かに。

石破内閣総理大臣 このことは、きちんとした知識を持った者が、そして長年の経験を有する者が患者の皆様方とお会いをして、誠心誠意対応することが大事だと思っております。

 私は、福岡大臣、もう随分と長い、彼が衆議院議員のときからのつき合いでございますので、彼の人柄も見識もよく存じております。そして、彼が団体の方々と会って何を議論したかというのは、その日のうちに議事録を取り寄せて私は読んでおりますので、必要に応じて大臣には指示をいたしております。

 福岡大臣が、厚生労働省がこの問題について本当に誠心誠意やってまいりましたが、なお足らざるところがあれば御指摘ください。

酒井委員 心があっても、私たちは今の修正案では納得できないというのが主張です。私も、看護師として多くの患者さんとその家族をケアしてきました。また、がんサバイバーとして多くの国民の期待を背負ってここに立っています。引き下がれないんです。

 丸山達也島根県知事は、治療を諦めざるを得ない状況を制度的につくるということは国家的殺人、日本の統治機構の戦後最大の汚点と強く非難しています。

 総理に会っていただきたいと言うのはなぜかというと、厚労大臣はこれ以上の修正を決断できなかったからです。総理は、最終的に決めるのは自分だとおっしゃいましたよね。だからこそ決断を求めているんです。患者の方々の声を聞いていただけませんか。

石破内閣総理大臣 今回のは私の決断でございます。

 つまり、厚労大臣が誠心誠意、会わせていただき、お話を聞かせていただき、私もその都度必要な指示は出してまいりました。それは、この間、酒井委員と政府とのやり取りを聞いておって、これではとても御理解いただけないと正直言って私は思いました。そうであらばこそ、厚生労働大臣並びに厚生労働省に対して、きちんと団体の方々と向き合って話をするようにというふうに指示をし、その議事録は私は毎回読み、必要な指示は出してきております。

 この決断は、厚生労働省というよりも、政府全体、最終的には私の判断に基づくものでございます。

酒井委員 審議過程に様々な問題があったことは、今回の予算委員会の質疑で様々明らかにしてきました。審議会にがん患者や難病患者等が不在であり、患者の声を聞いていなかったこと、一か月、四回という極めて短いスケジュールで決められたこと、引上げ幅に関する具体的な審議は二回のみで、最終回で初めて全容が報告されたこと。これは議題ではなくて報告事項として、つまり、常識的には既に決定した事項として、最終回でようやく示されたものでした。

 さらに、十七日の予算委員会で川内博史議員がただしたように、当初は引上げ幅は二・七%から一五%でシミュレーションしていたにもかかわらず、一月二十三日の医療保険部会最終回では五〇%や七〇%もの大幅な引上げを行うことになっていました。これらのどこが丁寧で充実した審議なのでしょうか。

 十年前の見直しのときには当事者が入っていました。中継を御覧になっている国民の皆様にも、審議過程に問題があったことは御理解をいただけたのではないかと思います。

 総理は、是非、差戻し、審議やり直しと御指示するべきではありませんか。伺います。

石破内閣総理大臣 改善の点は更にございます。そういうような方々、団体の方々の御意見をきちんと聞くということを今後どうやって取り入れていくかということは、今回の教訓を踏まえて、更に改善をいたしてまいりたいと思います。

 同時に、患者の皆様方の御意見を聞くことも大事ですが、被保険者の皆様方の意見もきちんと聞いていかなければなりません。誰も鬼でもなければ蛇でもないのであって、どうすればそういうような方々の苦労が少なくて済むかということは、よくよく考えてここに至ったものでございます。

 私ども行政として考えなければならないのは、この制度がどうやって続いていくかということを同時に考えていかなければ、極めて無責任なことでございます。人が死んでもいいとか、そんなことはゆめさら思っておりません。(発言する者あり)

安住委員長 静粛に。

石破内閣総理大臣 受診を抑制しなければならないとか、そういうような方が出ないために、政府として最大限考えております。

 一方、せっかくですから申し上げておきますが、キムリアという薬があって、一回で三千万円ですよね。有名なオプジーボが年間に一千万でございますが、一月で一千万以上の医療費がかかるケースが十年間で七倍になっているということは、これは保険の財政から考えて、何とかしないと制度そのものがもちません。いかにして負担を減らすかということと制度をどうやって持続可能なものにするかということの、ぎりぎりの接点が今回の結論でございます。

安住委員長 時間が来ましたから、終わってください。

酒井委員 私たちは、高額療養費制度のように、命に関わる部分は最後まで守らなければならないと考えています。

安住委員長 終わってください。

酒井委員 引き続き、繰り返し問題に取り組んでまいります。

 終わります。

安住委員長 これにて階君、長妻君、米山君、藤岡君、小川君、酒井さんの質疑は終了いたしました。

 次に、高橋英明君。

高橋(英)委員 日本維新の会の高橋英明でございます。

 総理、初でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 早速質問に入らせていただきますが、これから私が質疑するのは、これは国の明らかな政策の失敗で招いたことだというふうに思いますので、今後、将来どこの地区でも起こり得ることだというふうに思いますので、それを踏まえて聞いていただきたいと思います。

 先日、トルコ議長御一行が参りました。エルトゥールル号の事件から、事故から今年で百三十五年なんですね。本当に長きにわたる友好国だなというふうに思います。

 総理、今年の初め、一月ですね、トルコの駐日大使が替わったんですけれども、お名前は御存じですか。エルトゥールルさんというんですね。本当にまさに偶然だなというふうに思うんですけれども、また縁も感じるなと思っています。この駐日大使が在任中に、トルコとのいろいろな諸問題をしっかりと解決をしていきたいというふうに思っています。

 実は、昨年十一月に、私はトルコに視察に行ってまいりました。単身で、弾丸状態でしたけれども、行ってまいりました。

 このとき、パネルにありますけれども、これを御覧になると、トルコのいわゆる国会なんですね、ここは。壁に大きな穴が空いているんですけれども、これは何だと聞いたら、F16戦闘機のミサイルを撃ち込まれたというんですね、過去に。随分えらいところに来ちゃったなと思いました。

 私が行ったのが十一月で、その前月の十月にはアンカラで自爆テロがあって、五名が亡くなっているというテロもございました。これは何やらPKKが表明をしたそうですけれども、本当にえらいところに来ちゃったなというふうに思いました。無事に帰ってきたので、よかったんですけれども。

 何をしに私が行ったかというと、トルコのクルド人の国会議員さんと面談をしに行ってまいりました。そして、今、日本のクルド人、彼らの同胞の現状、そして私の地元の川口の現状のお話をさせていただいて、何とかならないかということで行ってまいりました。そうしたら、向こうは二人出てまいりましたけれども、私が話をしたら、冒頭に言われたのが、日本人は一億二千万人もいる、たかが三千人のクルド人でがたがた騒ぐなと言われたんですね。さすがにちょっと頭にきました。

 これは、三千人が全国に散らばっていれば分かりますよ。ある一定の地域に集住をしちゃっているんですね。三千人といったら、一つの町会みたいなものですよね。それが埼玉県南部、川口市を中心としたところに集住をしている現実があるんですね。これはやはり大きな問題になっています。

 そこで、総理にちょっと確認したいんですけれども、昨年二月の二十六日、岸田前総理に私は予算委員会で質問をしました、外国人の共生に関して。岸田総理に、ルールを守らない、いわゆる不法滞在者、在留資格のない方々、そういった方々も含めてルールを守らない方々とも共生をするんですかと。そうしたら、岸田総理は、ルールを守るのが大前提だ、ルールを守る外国人の方々と共生をするんだ、そういう答えを言いました。そして、もう一つ、政治の、総理の一番の責務は国民の生命財産を守ること、これに間違いございませんかと。そうしたら、当時の岸田総理は、間違いございません、こうお答えいただきました。

 この件に関して石破総理も同じ気持ちかどうか、お聞かせください。

石破内閣総理大臣 岸田総理が答えられたように、ルールを守るのは大前提ですが、みんなが守るというふうに断言はできませんので、ルールを守らない外国人によって日本人の生命財産に危害が及ぶということは、日本国政府として断じて許されないことだと考えております。

 ルールを守らない外国人と共生はできません。そういうような方々に日本にいていただかないようにするのは日本国の責務でございます。

高橋(英)委員 ありがとうございます。はっきりと分かりました。

 昨年の六月、改正入管法が施行されましたけれども、およそ七、八か月たちました。入管に効果はどうなんだと聞きましたら、確実に効果は上がっていますという答えをいただいたんですけれども、じゃ、数字で示せと言いましたら、済みません、まだ数字ではまとまっていないんですという答えだったんですね。だから、今日は数字は聞きません。ただ、地元では、肌感的にはこれは全く減っておりません。これは本当にみんな言っていますし、私のところにもクレームはどんどんどんどん増える一方でございます。

 昨日かな、おとといかな、トルコ国籍の男性が女性をつけ回して公園に引っ張り込んでまた悪さをして捕まったみたいなニュースが出ていましたけれども、そういったことが多々あるんですね。それで、クルド人が悪さをすると僕はトルコ人ですとか、トルコ人が悪さをすると僕はクルド人ですとか、カンボジア人が悪さをすると僕はベトナム人ですとか、もう訳が分からない状態になっているんですけれども、ただ、唯一共通しているのは、在留資格がないということなんですよ。

 こういった在留資格のない人々は、やはりこういった悪さをする人も多々いるので、一回しっかりと強制送還をして、早急に対応していただきたいと思いますけれども、いかがですか。

鈴木国務大臣 今先生がおっしゃいましたように、法令に従い手続を進めた結果として退去強制が確定をした外国人は速やかに出ていっていただく、これは大原則であります。

 私どもとしても、保護すべき者については、当然、迅速かつ確実に保護をした上でありますけれども、退去強制が確定した者については、先ほど御指摘の改正入管法、この規定を適切に運用して、迅速にしっかりと送還を実施をしていきたいと考えております。

高橋(英)委員 昨年、ひき逃げ事故がございました。やはり在留資格のない少年、これは無免許運転ですね、バイクに乗っていた二人がひき逃げされて、一人は死亡しました。この死亡した一人は、私の知人の会社の従業員でした。本当に身近な問題なんですね。切実な問題なんです。総理も、もし知人がそういった目に遭う、自分のお嬢さんが連れ回されて、公園に連れられる、そういったことをちょっと想像してみていただきたいというように思います。

 総理、先ほど言った国民の生命財産を守るというのは、もちろん、これは日本国民の生命財産だというふうに思いますけれども、その辺を踏まえて、総理からお聞きしたい。早急に強制退去を含めて対応していただきたいと思いますが、いかがですか。

石破内閣総理大臣 法務大臣もお答えいたしましたが、不法滞在者など退去強制すべき者、これを早期に送還するということは極めて重要でございます。

 入管法を令和五年に改正をしたのでございまして、重大犯罪の前科がある者、三回目以降の難民認定申請を行っている者については、原則として強制送還を行うということを可能といたしておるところでございます。

 引き続き、我が国での在留が認められない者について、迅速な送還は実施をいたします。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 是非お願いをしたいというように思います。ルール違反は我が国は絶対に許さないんだというのを内外に強く示していただきたいというように思っています。

 そして、支援者の方々もいるんですよ、やはり支援する方々も。私は、支援者は、やはり日本のルールを守っていない方々だから、一度丁寧に帰していただく、そういったことを促して、そして、日本に来たければ、正規のルールできちんと手続が取れるような、しっかりとした行政書士さんだとかを紹介をしてやる、それが支援の在り方だというふうに思います。

 こういった支援者、今日聞いているかもしれませんけれども、是非そういった部分はしっかりとお願いをしたいと思います。本当に内外に、日本というのはこういう国なんだというのをしっかりと伝えていただきたいと思いますので、強くお願いを申し上げます。

 次に、国際テロ組織の認定についてちょっと教えていただきたいんです。

 これは私もびっくりしたんですけれども、公安庁のホームページを見ると、国際テロリズム要覧というのがあるんですね、これは二〇二二年までしか見られないんですよ。二〇二三年版は、当初は見られたんですけれども、今は見られないんですね。何でかなと思ったら、これはトルコ政府からすごくクレームが入ったらしいんですね。なぜかというと、PKKが載っていなかったから。トルコ政府がテロ組織として指定しているPKKを、友好国である日本が載せていなかったんですね、二〇二二年には載っていたけれども。

 これは何でかと公安庁に聞きましたら、びっくりしたんですけれども、我が国には独自でテロ組織を指定するような仕組み、機関がないというんですね。あれは、載せているのは、国連が発表しているのをそのまま載せているだけなんですというんですよ。だから、慌てて、トルコからクレームが入っちゃったから、二〇二三年は見られなくなっている。

 こんな危機管理で大丈夫なんですか、この国は。しっかりとやはり独自でテロ組織の指定の機関、仕組み、これをつくらなかったらどうしようもないと思いますけれども。これだけ外国人が入っているんですよ、今。是非これは、総理、御検討ください。

鈴木国務大臣 今御指摘がありました国際テロリズム要覧につきましては、おっしゃいましたように、我が国として選定をしているという性格ではなくて、これは、国連を始め、それぞれの基準で選定をされたものということで、ある意味、自動的に掲載をしているというものであります。

 ただ、同時に、私どもの水際管理ということで申し上げれば、当然、テロリストの入国、これを確実に阻止をしなくてはいけないわけであります。そうした中で、関係省庁、私どもでいえば公安調査庁も含めてでありますけれども、そこで、テロ行為を行うおそれがある者の情報収集、これは様々、諸外国とも連携をしながら着実に行っております。そういった中で、入管法の規定に基づいて、水際についてはそうした危険性をしっかりと排除していくということで私どもとしては取組を進めております。

高橋(英)委員 お言葉ですが、とても着実に進めるとも思えておりません。

 例えば、トルコ政府からこれは要望が来ているはずなんですね。前任者の駐日大使ともお話をして、今の駐日大使ともお話をしていますけれども、PKK、トルコがテロ組織として指定している組織ですよ、それを支援している団体が日本には二つあるんです。その二つはどこにあるかというと、これは川口だというんですよね。私の地元に二つある。トルコ政府は、その支援団体の資産の凍結を日本国に求めているんです。なおかつ、そこにテロリストに指定している人間もいるんですよ、その人間の資産の凍結も求めているし、退去も求めている。

 こういったことをやってくれないと憤慨をしておりましたけれども、これはどういったことなんでしょうか。

宮路副大臣 PKKについてのお尋ねがございました。

 我が国においては、平成十四年、二〇〇二年七月五日付の閣議了解により、クルド労働者党、PKKをテロリスト等に対する資産凍結等の措置の対象としております。そして、我が国は、これまでPKKが実施したとされるテロ攻撃について断固として非難してきております。

 先ほど委員御指摘の、支援していると言われている個別の団体に関するトルコ側の要請の詳細については、外交上のやり取りであることからお答えを差し控えたいと存じますが、PKKの活動や関連の動向については引き続き注意深く監視してまいります。

高橋(英)委員 テロリストにトルコが指定している人たちは、平気で日本に入っていますよ。僕はPKKの関係者ですとSNSで堂々と発信をしているんですよ。それが何で水際でしっかりと対策をしていると言えるんですか。全然なっていないんじゃないですか。ちょっとこれはひどい話だと思いますよ、はっきり言って。もうちょっと、役人さんから聞くだけではなくて、本当に真剣に調べていただきたいというように思います。

 だから、これだけ外国人が毎年入ってきているような状況下で、どこにそういった人間がいるか、これは分かったものじゃないですよ。だから、先ほども言いましたけれども、日本独自でしっかりと認定、指定できる仕組みをつくらなければいけない、これは当たり前です。是非これはお願いをしたいというように思います。時間もないので、あれですけれども。

 一つびっくりしたことがあるんですけれども、ちょっとお話をしたいと思います。

 先ほどのひき逃げをした少年は、外国人、在留資格がない、運転免許センターに免許を取りに行ったそうです。当然、住民票もないから取れませんよね。住民票もないから駄目ですよとセンターに言われました。そうしたら、センターは何と言ったと思いますか。住民票がなければ、居住実態が分かる、電気料金とかガス料金でもいいから、水道料金でもいいから、きちんと払っている明細を持ってこい、そうすれば住民票代わりにしてやるというんですよ。これは事実ですからね。

 運転免許証というのは、日本でいったら、とんでもない証明書ですよ。これが末端の現実なんですよ。是非本当にしっかりと末端の現実を見ていただきたいというように思います。運転免許証ですから、どこでも通用するんですよ、日本だと。とんでもない話ですよ、身分証明書で。是非ちょっとお願いをしたいというふうに思います。

 とにかく、この水際対策、これは本当に大変ですから、是非お願いをしたいというように思います。

 そして、どっちを先に言おうかなと思いましたけれども、水際対策ではないですけれども、先ほど強制送還の話もありましたけれども、一旦、やはりルールを守っていない人たちは全員帰す。そして、やはりハードルは絶対設けなければ駄目です。

 その一つは、やはりビザですよね。この間、びっくりしましたよ、岩屋外務大臣。私は、ビザというのはあんなに簡単に緩和とかができるものとは知りませんでした。もっと難しいのかと思っていました。何だか自民党さんの中でもコンセンサスが取れていなかったようにも聞いていますけれども。

 あんなに簡単にできるのであれば、一回トルコ政府にも言って、我が国はまだまだ外国人の受入れがしっかりできていないから、例えば、せめて日本版のESTAができるまで、ちょっと申し訳ないけれども、ビザを設けさせてくれよ、こういうふうに是非ビザを設けることをやっていただきたいと思いますが、いかがですか。

宮路副大臣 ビザの件について御質問がございました。

 これまで、不法残留等の急増を理由に、一部の国に対する査証免除措置を一時停止した事例というのはございますが、現時点で、査証免除措置の対象国、地域について、さらに一律に査証の取得を求める必要があるところがあるというふうには考えておりません。

高橋(英)委員 いやいや、必要があるに決まっていると思いますけれども、こういう実態があるんですから。やはり国なんですから、まずは自分のところの足下をしっかり固めるのは当たり前じゃないですか。足下をしっかり固めて、それから入ってきてもらうというのは当たり前だというふうに思いますけれども。

 外国人の受入れについてちょっと聞きたいですけれども、技能実習がありました、今は育成就労と名前が変わっていますけれども。本当に名前が変わっただけで、中身なんかはほとんど変わっていないなというふうに思っています。

 あの技能実習にしたって、年間一万人ぐらいが行方不明になっているわけですよね。そして、観光で来ましたといってずっとい続けて、期限が切れて、僕は難民ですと難民申請をするわけですよ。めちゃくちゃでしょう。正規で入ってきた技能実習でさえ、年間一万人ぐらい行方不明になるんですよ。これが一つの国としてしっかりとしたルールができているのかという話ですよ。話にならないと思いますよ。

 育成就労、是非お願いしたいのは、やはり、例えば、年間この業種は何人までとか、しっかり決めてやらないと絶対駄目ですよ。どんどんどんどん入れているから、しっかりチェックもしないで入れているから、こんな一万人も行方不明になるんですよ、どう考えても。

 ブラック企業が悪いと言うかもしれませんけれども、確かにブラック企業、これは悪いですよ。だから、育成就労という、名前を変えて、多少ハードルを上げたのかもしれませんけれども、受入れに関しては、ハードルを上げたどころか、下げたように思います。

 是非、総量規制も含めて今後の外国人の受入れについてお考えを、総理、お聞かせください。

鈴木国務大臣 日本が自由で開かれた国である、あるいは選ばれる国ということと、緩い国ということは全く違うと思います。そういった中で、どうそこの最初の入口というものをしっかりとしていくのか、これは極めて大事なことだと思っております。

 そういった中で、私どもとしては、様々な法改正等も通じて、三回目以降の難民認定申請を行っている者についての、一定の場合に送還を行うことを可能とするであるとか、あるいは在留状況が良好とは評価できない永住者についても、在留資格の取消しを可能とするような改正に取り組んできております。

 さらに、これからこうした法律について適切に運用しながら、関係省庁とも連携をしながら、そうした在留管理を徹底をして、そして、全ての日本の方が安全に暮らせる、そういった社会に向けてしっかりと取組を進めていきたいと思っております。

高橋(英)委員 まさに全ての国民が安心、安全に暮らせるようにですよね、日本国民の生命財産を守るのが責務ですから。

 最近、今もおっしゃったかもしれませんけれども、外国人に選ばれる国日本とよく言いますけれども、非常に卑屈に聞こえてしようがないんですよね。やはり制度をしっかりと整えて、我々が外国人を選ばなきゃ駄目ですよ。仕事の面にしても、優秀な人たちを我々が選ぶんですよ。そういう考えに基づいてやっていっていただかないと困ります。

 我が国に足りないのは、外国人を受け入れるという仕組みがやはり全然駄目だというふうに思いますし、その一つが、やはり我々は、これは独自ですよ、日本独自の外国人基本法みたいなものを作るべきだと思いますけれども、いかがですか。

石破内閣総理大臣 入国体制、これをもう一度点検をいたします。それによって、日本人の生命財産に危険をもたらされるようなことがありますと国の体を成しませんので、そこは法務省あるいは外務省ともよく連携をしながら、委員が御指摘になりました日本版ESTAの導入と併せまして考えていかねばならないが、それが導入されるまでほっておけばいいという話には全くなりませんので、そこは各省とも連携をいたしながら、入国体制の点検というものは行ってまいります。

高橋(英)委員 これは、インバウンドとこの問題は全然違いますからね。いつだったかな、沖北の特別委員会のときにちょっと質問したけれども、インバウンドを交えて話されていましたけれども、これは全く違いますから、インバウンドの問題とこの問題、外国人の受入れは。是非ともこの違いはしっかりと認識をしていただきたいというように思います。

 もう時間ですので最後に言いますけれども、外国人から選ばれる国ではなくて、我々が外国人を選ぶ。そして、我が日本は、やはり誇りある美しき国ですから。このことを総理に申し添えまして、今日の質疑は終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

安住委員長 この際、藤田文武君から関連質疑の申出があります。高橋君の持ち時間の範囲内でこれを許します。藤田文武君。

藤田委員 日本維新の会の藤田文武でございます。

 選挙の結果、少数与党となりまして、今、我が党も様々な提案をさせていただいております。

 大きくは、国民の負担をこれ以上上げていかないんだ、むしろ下げるということを、構造改革や様々な無駄を省く、特に我々は社会保険料というところに着目して一つ御提案をさせていただいております。加えて、次世代への投資ということで、教育の無償化を実現していく。

 この二本柱を筆頭に様々な提案をさせていただいているところ、今日も実務者協議をやっていると聞いておりますが、正面から真摯に御協議に応じていただいていることにまず感謝を申し上げたいと思います。

 今日は、協議をやっておりますが、そこからちょっと離れて、少し今後の日本の絵姿について、総理の御見解、御見識を問いたいというふうに思っております。

 テーマを二つ挙げました。一つは、年金の財政検証、もう一つは、先ほど高橋議員からもありましたが、外国人の話について議論したいと思います。

 まず、五年に一度の財政検証が昨年出されました。細かいところに入っていくと時間がかかるので、端的に申し上げると、割と安堵が広がっている。つまり、最終的な所得代替率で見ても、五〇%を二〇五七年に超えているということで、相当改善された、こういう評価だと思うんですね。

 これについての受け止め、そして改善の理由、百年安心と言われますが、そういう認識かどうかをまず伺いたいと思います。

福岡国務大臣 御指摘の昨年の財政検証の結果では、近年の女性や高齢者の労働参加の進展、また、好調な積立金の運用によりまして、前回の財政検証の結果と比べ、将来の給付水準の見通しが改善しております。このため、実質ゼロ成長が続くことを仮定いたしました過去三十年投影ケースにおきましても、将来にわたって所得代替率五〇%を確保できることが確認をされております。

 加えまして、今回は、新たに個人単位で年金額を推計する年金額分布推計を行っておりまして、若い世代ほど、労働参加が進展することによりまして、厚生年金の被保険者期間が延び、年金が充実する傾向にあることも確認されたところでございます。

 財政検証の結果も踏まえながら、年金改正法の取りまとめに向け、検討を進めてまいりたいと存じます。

藤田委員 御説明ありがとうございます。

 認識としては私も同じですが、ちょっと突っ込んでいきますと、大幅に改善されている理由の中に、今言及していただきましたのが積立金の増加、これはあくまで含み益ではありますが、円安や株高による神風的な影響がある。これは確かに財政の健全化に寄与しているのは間違いありません。それに加えて、女性の就業率や高齢者の就業率、パートの適用拡大とか様々取り組んでいただいていることは、私はいいことだと思います。

 しかし、ちょっと突っ込んで検証していくと、やはり不安点もありまして、それについて聞きたいんです。

 学習院大学の鈴木亘教授が、年金の専門家ですから、かなり事細かく検証をしていただいています。年金の財政改善に何がどれぐらい寄与したかというのを、数値をもってどれぐらい寄与したかというのをたたいてくれているんですね。

 ざくっと大枠を言うと、寄与度の約六割が積立金の増加、これを神風だというふうに表現をされています。ただ、含み益なので、為替の市況とかが変わると減ってしまうものでありますが、これが一つ大きい。六割といったら相当ですね。

 ただ、それでも、残り四割はそれだけでは説明できない。では、残りの一五%は、ここはちょっと今日はやりませんけれども、いわゆるスプレッド、年金積立金の運用利回りから賃金の上昇率を引いたものが設定されているんです。それが少し恣意的じゃないか、高く見積もられているんじゃないかということが一つ。もう一つは、生産年齢人口とか就業率が相当改善されているというのがあるんですよね。

 ここでパネルをちょっと見てみたいんですが、財政検証は、様々な数値を設定して、それが前提となって計算がされて、十数年後又は数十年後にどうなるかということを見るわけでありますが、先ほどおっしゃっていただいた女性の就業率の上昇、高齢者の就業率の上昇等ももちろん反映されるんです、影響するんですが、注目したいのは、ここでちょっと赤で囲ってあるところで、合計特殊出生率と入国超過、外国人がどれぐらい増えているかという、この二つであります。

 鈴木亘教授は何と指摘しているかというと、ここがかなり危ういよと。つまり、含み益である、六〇%の寄与度がある積立金の増加も一時的なものかもしれない上に、この設定が少し危ういんじゃないかということがあります。

 これは順番にやりたいんですけれども、一つは、合計特殊出生率ですね。

 二〇二〇年の実績を見ると、一・三三なんです。三つあって、低位、中位、高位ですね。低位が一・一三、中位が一・三六、高位が一・六四でありますから、基本的には中位、真ん中をベースとして試算がされて、それを前提としてシミュレーションされるわけでありますけれども。

 ちょっとグラフを見ていただいたらと思うんですが、確定値で出ているものでいうと、二〇二三年は一・二。二〇二四年も数字で計算したら出てきますので、一・一五と推計されるんですね。もうこれは中位ではなく、低位にほぼイコールということなんですね。これは財政に影響します。

 これについて、足下の数字が、まずこの特殊出生率について乖離しているということについて、見解をいただけますか。

福岡国務大臣 財政検証に用います出生率等の前提につきましては、これまでの実績を踏まえながら、専門家による検討を経た上で幅広い複数のケースを設定してございまして、それ自体は適切なものだというふうに考えております。

 その上で、今御指摘ありましたように、直近の令和五年の実績では、出生率は一・二〇%と、中位推計の一・二三を下回っている。一方で、これからまたお話があると思いますが、他のところではそれよりも高い前提になっているというようなところもございます。

藤田委員 今言っていただいたように、試算上はしようがないんだよ、何かどこかで切り取って仮定しないといけないからということなんですが、中位推計より低位推計に近いという現実があるということなんですよ。

 それに加えて、外国人の入国超過数の想定というのが、五年前は六・九で試算されていたのが、十六万人、十六・四万人という形に今なっているんですね。がくんと上がっているんですが、これはなぜかというと、データによると、二〇一六年から一九年の実績平均を切り取って、その後コロナで激減していますから、そこを切り取るのは私はいいと思うんです、それで試算されている。

 この試算というのは妥当なんですか。前回使われていた六・九が低位になりました。今回は十六万人、そして高位は二十五万人というふうに設定をされていますけれども、中位で計算していきますよね。それでいくと、これは妥当ですか。

福岡国務大臣 今おっしゃられた部分は、数字を言いますと、直近の令和五年の実績では、外国人の入国超過は二十四万人と、中位推計の十六万を上回りまして、高位の前提に近い水準となってございます。

 いずれにしても、それが妥当かどうかということにつきましては、専門家による検討を経た上で幅広い複数のケースを設定してございまして、適切だと考えております。

藤田委員 今の御答弁に結構、私、結果が出ているなと思っていて、次に外国人の話をするんですけれども、なぜこれを一緒にやっているかというと、年金の財政検証に影響を与える施策になっているんですよ、外国人人口というのは。

 今、十六万人は妥当なんですかと言ったら、いや、むしろ多いんだというお答えでしたね。だから、これは財政にはプラスなんですけれども、では、はたと考えたときに、日本の数十年後の絵姿を考えたときに、それは国民的コンセンサスをやはり取っていかないといけない問題じゃないんですかということを私は指摘したいんですね。

 ちなみに、今挙げていただいたように、二〇二三年は二十四万人。その前の二〇二二年、コロナが明けて改善した後は十九万人。ちなみに、二〇二四年、これはちょっと確定値は出ていないんですけれども、数値からほとんど計算できるので計算してみると、三十万から三十三万人入国超過しているんですよ。だから、相当多いですね。

 それをちょっと試算してみると、まず、政府の年金の中位推計で試算すると、出生率が中位推計で一・三六、今の実態よりも高くて、外国人の入国超過が中位で十六万人ですね。二〇一六年から一九年の平均でいくと、二〇七〇年には人口の一〇%を超えていく、こういう計算になるんですよ。

 一個めくってもらって、ただ、実態に合わせると、こっちなんですよね。実態に合わせると、特殊出生率は低位に近いですから。というか、ほぼ低位にイコールですから。

 つまり、日本人の人口の減り幅はどんどん大きくなる。それに加えて、外国人の入国超過数を高位、二十五万人、もう既に去年よりも少ない数字ですけれども、これでやると、二〇五〇年に、これはたしか五一年か二年だったんですけれども、一〇%を超えて、なおかつ、二〇七〇年には一六%になるということなんですね。

 この絵姿というのは、私は、国民的コンセンサスが余り取れていないような気がしているんですね。二〇五〇年というと二十五年後ですから、すぐですよね。ここで一〇%を超える、しかも、直近のデータでいうとそれよりも速いスピードで進むというのが明らかであって、これについて、まず見解を聞きたいと思います。

福岡国務大臣 あくまでも、私、年金制度を所管しています厚生労働省としては、年金の財政検証というのは、年金の将来の姿を検証していく中で、これまでの入国者の方の実績とかを踏まえながら、専門家による検討を経た上で数字を設定しているということでございます。

藤田委員 厚労大臣に答えてもらうのは私は結構意味があると思っていて、年金財政を所管しているので、年金財政がよくなることについてはポジティブだと思います。

 ただ、それと同時に、もう一度言うと、私がなぜこれを取り上げているかというと、年金の財政検証に影響を与えるほどの人口比率が想定されていて、つまり、これは年金をたまたま今日は例に挙げましたが、様々な諸課題についてそれを織り込まざるを得ないぐらい、財政にも影響するぐらいの問題になるし、今後も更にそれが大きくなっていくということなんですね。

 私が聞きたい問いは、この次の問いのほぼ一問なんですけれども、外国人を織り込んだ人口動態がどうなるかという絵姿のコンセンサスを、国民の皆さんと丁寧に取らないといけないですよね。

 その上で、今起こっている現状というのは、私も地元企業さんとおつき合いがあります、町工場や介護施設、それから製造業もそうですし、建築業、皆さん、外国人労働者を頼りにもしています。

 そうすると、ミクロでは、外国人の力をかりたい、だからもっと緩和してほしい、たくさん入れてほしい、そういう要望がありますよね。それは当然だと思うんです、経済動向で。でも、そうすると、様々なところがそういうお願いをして、いいよいいよと緩和していくと、気づけば思っていたよりも物すごく多い数が人口比率の中を占めるんじゃないかという恐れを抱きませんか、皆さん。

 そのときに最も重要なのは、それをボトムアップでただ許容していくだけじゃなくて、トップの意思として戦略を練り、それをマネジメントしていくという機能が政府に最も必要なんですよ。だから、そういう戦略がそもそも政府にあるんですか、又は、あるんだとしたら司令塔はどこですかということを今日はお聞きしたいと思います。

鈴木国務大臣 今御指摘の観点は極めて大事だと思います。

 我々の育成就労であったり、あるいは外国の特定技能等々の人材、これはおっしゃるように、それぞれの各分野ごとの、ある意味での需給というところからの積み上げにもなっているところであります。ただ、同時に、それが社会的あるいは財政的な様々なインパクトを及ぼしていく。まさに御指摘の点はもっともであります。

 そういった中で、今の現在の状況で申し上げますと、これは様々なロードマップ等々で、そういったこれからの絵姿の検討をまず進めているところでありますけれども、同時に、これから更に、そういった検証の中で、必要を踏まえながら、今後の政府全体としての絵姿というものも恐らく出てこようと思います。

 法務省といたしましては、そうした観点から、今、現行の様々な施策の遂行を行っているというところであります。

藤田委員 鈴木法務大臣の答弁だと、その枠内だと思うんですよね。必要が出てきたらやっていくということだし、実際には、そういう入出国の手続を所管するということですからそうだと思うんですが、これは人口政策ですよ。社会保障にも経済政策にも関わるから、法務省の管轄を超えています。法務省の方とかなり議論しました。だから総理に問うているんです。

 その問題意識、そういう戦略がそもそもあるんですか。又は、それは司令塔はどこですか。また、ないのであれば、可及的速やかにつくって、その検証又はシミュレーションをやらないと、日本の絵姿は変わりませんか。

 私は、移民又は外国人労働者を締め出せという立場ではありません。これは必要だと思いますが、トータルでマネジメントせず進んでいっている今の現状が、数年又は十年たつと、大きく景色が変わってしまいますよ。

 その必要性を感じませんか、総理。

石破内閣総理大臣 私は、日本の人口を考えるときに、外国人を含むのと含まないのとは全然違うんだということを最近よく思うのですね。

 ですから、日本全国千七百十八市町村、二十三東京特別区、そこの人口を見るときに、外国人を入れたのと入れていないのを男女別、年齢別と併せて考えていかないと、これから先の日本の姿は論じられないと思っております。

 ですから、先ほど法務大臣が答弁いたしましたように、出入国管理庁は手続のお話ですから、政策全体ではございません。そこは政府の中で、そういう人口庁というのか、そういうものを考えるかどうなのか、国の在り方全体を考える組織というものをつくるべきなのかどうなのか、私は、そこは考える必要があると思っております。

 そこはまた委員から、あるいは御党から、こういう組織でどうだろうかという御提案をいただければ、私どもとしても、それは国全体の問題として真剣に考える必要があると考えております。

藤田委員 前向きな問題意識を御開陳いただきまして、感謝申し上げます。

 さっき川口市の話がありましたね。埼玉県川口市、うちの高橋議員の地元ですけれども、ちょっと川口市に問い合わせて聞いてみると、令和六年の四月一日現在のデータで、全人口が六十万七千人なんですよ。うち外国人が四万四千人ぐらいなんですよ。比率にすると七・三二%らしいです。ここに、さっきの話でいうと、在留資格のない仮放免者等も多く暮らしていて、これはあくまで推計、肌感でいろいろヒアリングしたところ、足すと一〇%ぐらいじゃないかと。つまり、日本の将来像の絵姿があるわけですね、更に速いスピードで。

 ちなみに、この七・三二%、さっき高橋議員からもありましたが、外国人の方、いらしてくださいといったときに、日本全国津々浦々の千七百自治体に満遍なく入ることはありません。偏在します。今が大体人口比率の三%いかないぐらいなんですよ。だから、川口市は二・五倍なんですね。では、一〇%になったときは、二五とか三〇%ぐらい、都市の、ある市町村の人口を占める。もっと言うと、現役世代比率は更に高いです。

 ということを考えたときに、東京の現役世代の半数ぐらいがもしかしたら外国人になるという絵姿をこのままだったら描く可能性もあるという試算なんですよ、この年金財政検証で使っている試算は。

 という現実を考えたときに、総理、いち早くこの問題に対しての戦略を組む、それは細かい実務のことも含めですが、まずは、そういう絵姿をどう描き、また、国民の皆さんのコンセンサスを取っていくというアジェンダを設定して、私は最上位だと思いますよ、これをやるべきだと思います。

 今の話を聞いて、もう一度御答弁いただけますか。

石破内閣総理大臣 先ほどお答えしたとおりなのですが、そのような年金財政に与える影響もそうです、あるいは医療制度もそうでしょう、あるいは公共事業のいろいろなインフラの整備も、全部そこへ収れんする問題なのだと思っております。

 しかし、まだ政府の中で具体的に検討はいたしておりませんが、どういう形でそういうような組織をつくるのが正しいのか。いたずらに組織だけ増やしても意味がございませんので、そこは、どういう組織が望ましいのかということについて、また御提案をいただけますか。政府としても考えてまいります。この問題は強い問題意識を私自身持っておるところでございますので、是非よろしくお願い申し上げます。

藤田委員 ありがとうございます。是非御提案させていただきたいと思います。

 それから、外国人の比率がどうなっていくか問題というのは、政府はかたくなに移民とは言わないんですね。それがいいかどうかは私は今結論はないんですけれども、ある種、移民政策ですよねという、移民を増やすか減らすかという意味でどっちかに振れるわけじゃなくて、移民をどうするかという話なんです。

 つまり、なぜかというと、人には営みがあって、都合よく来てもらって都合よく帰ってもらうというのはなかなか難しくて、子供も生まれれば恋愛もする、そういうことでありますから、岸田総理が、当時、入管難民法の改正のときに答弁されたことで、一定程度の規模の外国人と家族を期限なく受け入れて国家を維持する、いわゆる移民政策を取る考えはないというふうに御答弁されているんですね。

 ただ、実質的には、その域をさっきのシミュレーションでいくと超えていて、ヨーロッパに近い、移民政策と並べても遜色ないぐらいのインパクトがある実態なんですが、この答弁、霞が関文学的な言い回しはおいておいて、実際にもう少し直視して、国民の皆さんにコンセンサスを取るためには、そういうことをタブー視せずに議論すべきだと思いますが、総理、どう思いますか。

石破内閣総理大臣 それは、移民と言うか言わないかは別として、これから先、日本人の人口減少は少なくともあと二十年は続くということは、それを前提としてこの国の設計を考えなければいけないということです。

 外国人の人材を受け入れるということは私どもの国として必要なことだと思っておりますが、先ほど答弁申し上げましたように、日本人の生命財産が決して危害にさらされないというための仕組みを更に整えていかねばならないと思っております。

 そして、韓国もそう、ドイツもそうなのですが、いわゆる外国人を受け入れる場合に、このしち面倒くさい日本語、そして日本のいろいろなシステム、日本のいろいろな社会のルール、そういうものをきちんと学ばせてから受け入れるという体制がまだ私は十分だと思っておりません。来ちゃったから仕方がないみたいないいかげんなことを言ってはいけないので、日本へ入ってくる前に、日本国の責任において、日本語、日本のルール、日本の仕組み、これを遵守するような、そういう人を受け入れる体制というのを考えてまいりたいと思っております。

藤田委員 大変大事なお話だと思います。

 そのときにどのように受け入れていくか、又は共生していただくかという話は大変重要ですが、結構、比率については重要で、皆さん悪意ある方ばかりじゃないけれども、集団になったときにどうかという議論というのは、やはりこれは様々な、公衆衛生もそうだし、教育もそうだし、治安もそうだし、むちゃくちゃ大事な話でして。

 例えば、ヨーロッパ諸国では、政策がもう既に逆振れしています。移民の割合が、これは検証はなかなかでき切れませんが、専門家の間では、一〇%を超えると、社会問題が目に見えて、見えるようになってくる、顕在化してくると。だから、移民に寛容だった欧州の国、主要国はほとんど一〇%を超えていまして、社会の分断や治安、又は社会保障の、そもそも、この年金財政検証では支え手という意味で貢献しているんですけれども、二〇七〇年は五十年近く後ですから。

 そうすると、社会保障の受け手になってくる可能性の方もその頃にはたくさんいらっしゃるかもしれないという意味で、移民に対しての感じ方というのは、国民感情もそうだし、政策の転換も、大きく変わりつつあるというのが世界のトレンドであります。

 そのことについて、これは日本の明らかな先行事例ですよ。この先行事例を見て、総理、そのことについての御見解を聞きたいと思います。

石破内閣総理大臣 ドイツの総選挙の争点なんかを見ても、まさしくそのとおりだと思っております。

 これは先行事例だと思いますが、同時に、その轍を踏まないということは極めて大事なことであって、評価の仕方はいろいろあるんでしょうけれども、キリスト教対イスラム教という対立が我が国においてはないわけですよね、基本。そして、日本人というのは、日本になじんだ外国人というものは比較的寛容に受け入れるところがございます。

 これから先、二十年人口は減るわけですから、この国の活力を維持していくために、外国人材をどうやって日本にふさわしい形で受け入れるかということにつきましては、もっといろいろな施策を組んでいかねばならぬので、外国人の受入れはしませんというような考え方でいく限り、この国はなかなか持続可能性を維持することが難しいと私は思っております。

藤田委員 ありがとうございます。問題意識が共有できてよかったと思います。

 私は、この問題は最上位に位置づけるべきだとそもそも持論で思っていまして、なぜならば、社会保障だけに関係するのではなく、経済政策でもあり、そして、いわゆる社会政策にも関わってくる。

 つまり、三十年、五十年後に今決めたことが物すごく影響してくる可能性がある政策でありますから、中長期のスパンで、人口動態がどう変わるか、そして、どの地域、どの分野、又はどのような社会問題が想起されていくかというのは、さっき先行事例とちょっと申し上げましたが、相当予測できる話でありまして、ですから、なぜ財政検証から引いたかというと、まさに年金の財政検証は我が事ですよね、皆さん、一般国民の方は。それに、まさに、外国人が少ない地域の方々も、今後、十数年後には物すごく目に見えて影響してくるんだということを今日はお知らせしたかったのと、総理と今日ディスカッションできたのはよかったと思います。

 是非、ヘッドクオーターとなるような組織、そして戦略をつくるということを党派を超えてやりたいと思いますので、よろしくお願いします。

 以上です。

安住委員長 これにて高橋君、藤田君の質疑は終了いたしました。

 次に、長友慎治君。

長友(慎)委員 国民民主党の長友慎治でございます。

 まずは、政治と金の問題につきまして始めさせていただきます。

 皆様のお手元に時事通信の記事があるかと思いますが、これは長峯参議院議員が二月五日に政倫審でお答えになられたときの記事になります。

 自民党の長峯誠参議院議員から次のような弁明がこの日あったんですね。現在までの証拠、証言を全て合わせても、真相究明には至っていない。中止した還流の再開は、より違法性の高い行為。少なくとも、今出てきている証言を全て突き合わせると矛盾があるとして、裏金問題について、真相解明に向けた幹部の責任を指摘しています。

 だからこそ、私たち野党は、旧安倍派の会計責任者で事務局長だった松本氏の参考人招致を要求し、本来であれば、昨日、松本氏の聴取が行われることになっていたわけです。

 それなのに、松本元事務局長とその弁護団は、事前に通告した質問に対し、この質問はするべきではないと質問の内容を制限するとか、聴取する日時と場所は公開するなとか、この期に及んで、予算委員会に対して注文をつけられました。予算委員会で正式に決議した参考人招致に誠意を持って真摯に対応しているとは言い難く、この点につきましては、このような事態を招いた自民党に強く抗議をしたいと思います。

 自民党の裏金問題が発覚し既に二年以上が経過しているにもかかわらず、パーティー券収入のキックバックや還流を誰がいつ始めたのかなどの真相が究明されていないわけです。長峯議員も指摘する今出てきている証言の矛盾、これは午前中に米山議員の資料にもございましたけれども、総理はどのように理解されているのか、伺います。

石破内閣総理大臣 であらばこそ、松本氏の参考人招致というものが国会の議決としてなされたと承知をいたしております。我が自由民主党としてこれを阻むつもりもございません。

 自民党といたしましては、松本氏が参考人として国会の議決にきちんと応じるように、可能な限りの努力は行ってまいります。

長友(慎)委員 必ず招致を実現していただきたい。

 これまでに何度も国会で議論がされてきたんです。塩谷立氏であったり、下村博文氏、また西村議員、世耕議員との証言が、安倍派の幹部との証言が一致していないということなんです。これがずっと指摘されていて、それをそのまま放置しているとしか私たちからすると見えないわけなんです、総理。

 自民党は真相を究明する気がないのかと問われても私はおかしくないと思うんですが、総理、この点、自民党総裁のお立場としてお答えいただきたいんですが、いかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 昨年の総選挙もございました。我が党といたしまして、どうしてこのようなことが起こったのか、キックバックの問題も含めまして、党としてそれぞれの議員に聴取を行う等、可能な限りの努力はいたしてまいりました。そして、総選挙において大変厳しい御審判をいただき、政治改革実行本部といたしましても、更に真相を究明すべく努力をいたしております。

 それがまだ多くの国民の皆様方に御納得いただいていないということはよく承知をいたしておりますので、更に真相の究明に向けて、自民党が疑惑隠しなどということを間違っても言われないように、党総裁として努力をいたします。

長友(慎)委員 総理のその前向きな答弁をしっかりと実現に結びつけていただきたいんですけれども。

 私は、これだけの国民に対する政治の不信を、信頼を失う事件を起こしながら、再発防止の前提となる真相究明に二年以上かかっているということは、自民党のガバナンスに問題があるとしか言いようがないと思います。これは国民の皆さんもそのように思っていますよ。延期された参考人招致、必ず行っていただいて、真相解明に自民党自ら取り組むことを強く望んで、次の質問に行きたいと思います。

 企業・団体献金の禁止について伺います。

 企業・団体献金の禁止をめぐりましては、午前中の質疑で長妻議員の資料をまさにお示しいただきましたけれども、最初に国会で出たタイミングというのは、一九六一年の十二月、当時の池田勇人首相の諮問を受けた諮問機関が、学者や法曹関係者らによる第一次選挙制度審議会というものをやりまして、会社、労働組合その他の団体が選挙又は政治活動に関し寄附をすることは禁止するべきであるという大原則を打ち出してからになるんですね。もう六十年以上前になります。

 この審議会、何度も行われておりまして、その後も、第二次では、政治資金についての寄附は個人に限る、また、第五次では、政党はおおむね五か年をめどに個人献金と党費で運営を行うと提言し続けました。それにもかかわらず、一九七五年に年間の上限を設定し、一九九九年に政治家の資金管理団体向けの献金を禁じた以外は企業・団体献金が見直されるということはなく、今に至っているわけなんです。

 総理、六十年以上、国会で企業・団体献金を禁止することがなかった、禁止することができなかった理由はなぜだとお考えでしょうか。総理の見解を是非聞かせてください。

石破内閣総理大臣 それは、午前中から答弁申し上げておりますように、私ども、資本主義社会において民主主義を運営いたします以上は、企業、団体の、特に企業、私どもからいえばですね、それの政治参加の在り方はどうあるべきだろうかということを考えたときに、それが政党に対して資金提供を行うということが、企業の政治参加をするための一つの手段だというふうに考えておるからでございます。

 そうであるならば、では、どの企業がどの政治団体に対して寄附をしたのかということが可能な限り分かるような工夫というのを今後ともいたしてまいりたいと思いますし、今国会にも提案申し上げているところでございます。

 まだ不十分な点があるということであれば、是非御指摘ください。

長友(慎)委員 企業・団体献金の話なんですね。いわゆる、国民の皆さんは、どのくらいの金額がそれぞれの政党に入っているか余り御存じないと思うんですよ。何度も国会の中では議論されていますけれども。

 数字だけ紹介しますよ。資料は特に用意していませんけれども、令和四年度を例に挙げますと、自民党の政党本部と支部で約五十五億円、政治資金団体で二十四億円ということで、約八十億円ですね、合計で。これは一年間の金額になります。では、それ以外の政党はどうかというと、その次に多いのが立憲民主党の二億円、次に国民民主党の一億円、公明党の五千万円と続くわけなんです。今の数字を見ても、圧倒的な差があるわけなんですね。一年間の総額の九五%が自民党への献金ということになっているわけです。

 つまり、企業・団体献金の問題は、自民党の問題だと私は思うんです。与党に長くい続けた自民党自らが企業・団体献金に対し規制を設けない限り、企業・団体献金をめぐる議論は意味を成さない、私はそのように思うんです。

 そこで、伺います。従来からもう何度も御答弁いただいていますが、自民党は企業・団体献金は悪ではないという立場であることは聞いているんですけれども、企業・団体献金がもし禁止になった場合、例えば、先ほど令和四年度の額面を挙げましたけれども、自民党の政党本部と支部に五十五億円が入らなくなったら、具体的に何に困る、何に影響が出るのかということを教えていただけますか。

    〔委員長退席、奥野委員長代理着席〕

石破内閣総理大臣 これは同じ赤坂の議員宿舎で住まっておられると分かると思うんですけれども、自民党の議員はそんなにいい暮らしをしているかというと、そんなことは全然ないのでありまして、もうとてもとても赤坂宿舎の家賃が払えないわみたいな人もおりますし、いかにしてスーパーで一円でも安いものを買おうかみたいな努力をしておる議員がたくさんおることも御存じのことかと思います。

 私どもの党といたしまして、それぞれの地域の支部がどれだけの、その地域の、宮崎なら宮崎、熊本なら熊本、鳥取なら鳥取、どこでもいいのですが、それは、日頃の活動のきめ細かさというものを支えているのが自民党のある意味での財政だと思っております。それは、地域地域においてきちんと支部総会を開き、そしてまた、そこにおいてかんかんがくがくその地域の問題を議論し、鳥取県連におきましても、岡山県連においても、どこでもそうなのですが、県の予算を編成しますときは、政調会が全県を回って御要請を聞いて歩いております。そういうような努力なくして、私どもは地方においてもこれだけの議席をいただけるはずはございません。

 頂戴しているお金は、それぞれの地域におけるいろいろな活動のために使われておるのでございまして、それ以外のものには使っておりません。

長友(慎)委員 いろいろな活動は我々もしているんですけれども、同じくやっているんですよ、やっているんですが、これだけの圧倒的な企業・団体献金の金額の差を見せつけられると、日本の政治というのは何なんだろうなと思わずにはいられないんですね。

 政治改革特別委員会も昨日から始まっています。私は、企業・団体献金の禁止については、与党も野党も一緒の、同じタイミングで禁止しなければ実現できないとかねてから訴えてきました。イコールフッティングというものです。でなければ、野党の方が先に政治資金パーティーの禁止や企業・団体献金の禁止を始めても、それはますます与党を利することになるだけです。ですから、これは政治改革にならないんですよ、自民党がやってもらわないと。政治不信を招いたのは自民党自らですから、率先して範を示す、それがあるべき姿だと私は思います。国民もそのように見ていますから。

 総理、企業・団体献金の禁止、これは自民党側から取り組んでみてはいかがでしょうか。総理の答弁を伺います。

石破内閣総理大臣 これは鳩山政権のときだったと思います、ひょっとしたら菅政権だったかもしれませんが、そこにおいて、経済団体、経団連から当時の民主党に対して資金提供の申出がありました。私どもは野党でございましたから、ああ、こんなに与党と野党と違うのねというのは、実はもうあのときは骨身にしみて分かったものでございますけれども。そのときに、当時の民主党の方々が、常任幹事会でしたでしょうか、それは受け入れようというような議決がなされたというふうに承知をいたしておるところでございます。これは新聞報道にも残っておるところであります。

 私は、自民党であろうと御党であろうと立憲民主党であろうと、同じルールでやっておりますので、そこは、政党の活動の基盤というのは、やはり財政が占めるところは大きいんだろうと思っております。

 午前中も答弁申し上げましたが、企業・団体献金を廃止すると、資産のある人でなければ議員になれないとか、あるいは公費に過度に依存するとか、そういう政党があるべきだと私は思っておりません。そこにおいていかにして公平にやっていくかということでございます。

 どの党にも同じようにルールが適用されているのであって、では、公的助成に依存する度合いが高ければ高いほどいいのかといえば、そんなことはございません。そしてまた、資産家でなければなれないのか。そんな政治は私はあるべきだと思っておりません。そこにおいていかにして公平なルールを適用するかということ、私はそれが大事なことだと思っております。

長友(慎)委員 いろいろ述べられるんですが、私たち国民民主党は、イコールフッティングで、全ての政党が同時に企業・団体献金の禁止をする環境が整うことを望んでいるんですけれども、どうも、総理の答弁からは、自民党さんが乗ってくることはないよなと感じてしまうんですよね。

 だからこそ、企業・団体献金、政治資金パーティー等で収入を得た政治資金の流れを監視できる第三者機関、政治資金監視委員会を設置するプログラム法案を、昨年、公明党と一緒に提出をさせていただき、成立しました。現在、その設置法案を、条文等を作成する作業の段階に入っておりますので、この法案を提出できた際には、是非前向きに検討いただいて。

 この中で何をしようとしているかというと、ガバナンスが利いていない政党の政党交付金をしっかり減額するとか停止する、そういうことを政党助成法と一緒に改正して実現しなければ、この差はなかなか縮まらないと思っているわけで、まずは政治改革を前に進めるためにも、実現をしていきたいと思います。

 次に、ガソリン減税についての質問に入りたいと思います。

 二月の十八日、二か月ぶりに自民党、公明党、国民民主党の税調の三党協議が行われました。ガソリンの暫定税率の廃止については、ゼロ回答でございました。実施期間も時期も示されず、全くもって話にならない協議となりました。誠実に協議を進めるという三党の幹事長合意とはほど遠い自民党税調の対応には、怒りを覚えます。これは国民の皆さんの怒りだと思います。我が党の印象は、これは誠実とはほど遠い、ゼロ回答がずっと続いている、全く誠意を感じない、そもそもやる気はあるのか、いや、ないだろうなという、そんな印象なんですね。

 総理、自民党は本当に、この暫定税率の廃止、やる気はあるのでしょうか。お答えください。

石破内閣総理大臣 それは、これは約束ですから、廃止するというふうに約束をしている。では、その分によって減収する分をどうやって、穴埋めというのかな、補填をしていくのか。それは道路の整備等々必要なものに充てられており、そして、地方はそれを非常に望んでおるわけであって、暫定税率廃止、それは約束ですからやります。その代替財源をどこに見出すか、それが、それによって裨益をする地方の方々に十分御納得いただくものになるのかどうか。それなくして、勝手に時期を申し上げることはできません。

 そこは御党ともよく話をして、では財源は何なのか、では道路整備等々をどのようにして行うのかということが、国民の皆様方に見えるような形でこれから議論が展開されるということを期待をしておるものでございます。

    〔奥野委員長代理退席、委員長着席〕

長友(慎)委員 加藤大臣に伺いたいんですけれども、暫定税率の廃止がもう年内にはできないんじゃないかというニュースに接しました。

 これはなぜ年内にできないのか。具体的に、システムの問題なのか、恒久財源が見つからないからなのか、それとも、その他のほかの理由があるのか、教えていただけますか。

加藤国務大臣 確かにそういう報道があったことは承知はしておりますけれども、少なくとも、政府として、ガソリンの暫定税率の廃止の時期について何らかの意思決定を行ったという事実はございません。

 先ほど総理からもありましたが、暫定税率廃止の具体的な実施方法等については、自民、公明、国民民主党の三党の関係者間で協議が進められておりますので、政府としては、政党間の協議の内容等について予断を持ってお答えする立場でもありませんし、同時に、その協議をしっかりと待って対応していきたいと考えています。

長友(慎)委員 三党協議の中では、誠意を持って進めていくという文言が入っているんですけれども、その誠意が全くこの二か月間動いていないんですよ。ですから聞いているんですね、本当に。

 もう一つ政府に聞きます。

 現在、政府が行っている燃料油価格の激変緩和事業なんですけれども、これはいつまで続くのか教えてください。燃料油価格の高騰対策であれば、高止まりしている間はずっと手当てされると理解するんですけれども、高止まりしている間はこれからもガソリン補助金は続くと理解してもいいのでしょうか。

武藤国務大臣 長友委員から御質問いただきました。

 燃料油価格の激変緩和事業でありますけれども、小売価格の上昇を抑制するための補助を実施することで、原油価格の高騰が国民生活や経済活動に与える影響を緩和してきたものであります。

 いつまでということでありますけれども、一時的、緊急避難的な対応として実施をしておりまして、国際的な脱炭素の流れ等も踏まえれば、出口に向けた対応も必要だと思っております。

 このため、去年十二月から段階的に補助を引き下げてきているところでありますけれども、今後の取扱いにつきましては、原油価格の状況などを丁寧に見定めながら、適切に対応していかなくてはいけないと思っております。

安住委員長 長友君、まとめてください。

長友(慎)委員 もう時間が来ました。

 私たちは、手取りを増やす経済対策をしなければ、今の国民の皆さんは本当に苦しんでいる。ですから、総理、是非決断をお願いします。

 以上です。

安住委員長 この際、日野紗里亜さんから関連質疑の申出があります。長友君の持ち時間の範囲内でこれを許します。日野紗里亜さん。

日野委員 国民民主党一期生の日野紗里亜です。

 私は、昨年の選挙で愛知七区より国会に送っていただきました。

 我が愛知七区では六つの自治体がございますが、そのうち三つの自治体が、現在、地方交付税が交付されない、いわゆる不交付団体でございます。本日は、地方交付税制度における不交付団体の財政的課題とその影響につきまして、地方創生二・〇を掲げる石破総理に御質問をさせていただきたいと思っています。総理、よろしくお願いします。

 現在、地方交付税制度では、自治体を交付団体と不交付団体に二分しています。不交付団体では、地方交付税の措置が受けられず、また、国庫支出金におきましても事業によりましては割り落としがあるため、二重の調整が行われているという現状です。また、財政力指数が一・〇を僅かに上回る自治体と非常に財政力が高い自治体では、実質的に財政力に大きな差があります。

 税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に努めることが国の責務だと認識しておりますが、このような不交付団体をめぐる現状に対し、総理の御所見をお伺いします。お願いします。

大沢政府参考人 不交付団体の財政的課題等についてお答えいたします。

 不交付団体は、交付税に依存せず、自主財源である地方税を中心とした歳入構造となっておりまして、基本的には望ましい財政運営であると認識をしております。

 不交付団体から様々な要望があることは承知をしております。普通交付税は交付団体と不交付団体の区別なく同じ算式で算定をしており、不交付団体においても標準的な行政サービスの提供に必要な財源が確保されているものでございます。

 なお、不交付団体においては、企業税収に依存している場合等は、企業業績により税収が急激に変動する場合もあり、円滑に財政運営を行うことに苦労するケースもあると承知をしております。そのため、今後とも、様々な財政指標等も活用しつつ、適切に財政運営ができますよう、総務省としても助言をしてまいりたいと考えております。

日野委員 では、ふるさと納税制度における不交付団体の財政影響についてもお伺いさせていただきます。

 本制度では、個人住民税の減収分につきまして、普通交付税の交付団体は減収分の七五%が普通交付税により国から補填されますが、不交付団体の場合、減収分は全て流出してしまうという現状があります。

 こちらのパネルを御覧ください。

 例えば、二〇二三年度、寄附を受けた金額から返礼品などの経費と流出した住民税を差し引いた実質収支で、不交付団体である長久手市では四億円以上、日進市では三億円以上の赤字が生じています。現状、国からの補填はゼロでございます。

 不交付団体に対し、ふるさと納税による住民税流出分の一部を補填するなど、そういった支援策を検討する必要があると思いますが、御見解を、できれば総理、お聞かせください。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 ふるさと納税につきましては、個人住民税の一部を実質的に自治体間で移転させる仕組みでございますが、結果として、御指摘の不交付団体を含め、住民税の控除額、いわゆる流出額が寄附受入額を上回る自治体は生じ得るものでございます。

 その上で、制度設計に当たりましては、住所地の自治体に納付される住民税額が大きく減少することのないよう、ふるさと納税に対して住民税が軽減される額に上限を設けているところでございます。

 また、ふるさと納税については、交付団体、不交付団体の区別なく、寄附金の税額控除による減収額の七五%が基準財政収入額に反映されております。不交付団体は、寄附金の税額控除による減収分の七五%が反映された後でも基準財政収入額が基準財政需要額を上回っておりまして、地方税収等により標準的な財政需要に必要な財源が確保されているものと考えております。

日野委員 では、続きまして、国の政策実施に伴う不交付団体の財政負担についてもお伺いさせていただきたいと思います。

 幼児教育、保育の無償化や、GIGAスクール構想に伴うICT環境整備などは、国の政策として全国一律で実施されている事業にもかかわらず、その地方負担は地方交付税で措置されるため、不交付団体には直接的な負担増となっています。この状況は不交付団体の財政運営を圧迫し、既存の住民サービスの低下を招くおそれがあります。

 さらに、今後も国の制度改正による新たな財政負担が交付税措置とされることで、財政努力を重ねる不交付団体の一般財源が圧迫され、これまで行っていた住民の皆様への行政サービスが低下することや、これから行おうとしていた事業が行えなくなることは、地方分権を阻害する要因にもなりかねません。

 地方創生の観点からも不交付団体の財政負担を軽減するために、特に国の政策として全国一律でやっている事業につきましては交付税措置以外の支援策が必要かと思いますが、お答えください。

石破内閣総理大臣 私どもみたいに財政が非常に厳しいところからすれば、不交付団体というのは羨ましいなという気が正直言ってしないわけではない。それは、制度というよりも税源というものをどこに求めるかということであって、我々として、税源がきちんと公平に置かれるような、更にそういう改善は目指していかねばならないのだというふうに基本的に思っております。

 御存じのとおり、交付税の算定におきましては、子育て政策等々、地方単独事業の経費だけではない、国の政策に伴う地方負担も含めて需要額を算定をしておるわけでございまして、不交付団体におかれましては、国の政策に伴う負担も含めて算定した結果として、需要額が収入額を下回っておるために普通交付税が交付されないということになるものでございます。

 全国において一定の行政サービスが提供されるために必要な財源というのは当然確保されている、このように認識をいたしております。

日野委員 是非、特に交付税措置の事業につきましては子供関連事業が多い傾向があります。少子化対策の中、子育て世帯が多い自治体が、そういったところが財政的に圧迫されることがないようにお願い申し上げて、続きましての質問に入ります。

 自治体の要望、陳情活動の効果について、お伺いさせていただきたいと思います。これは是非、総理にお伺いします。

 ただいま質問させていただきました普通交付税不交付団体における財源充実のために、本年一月に、我が愛知七区の三市の市長が総務省、財務省に要望をされております。また、愛知県にかかわらず同様の要望は全国の不交付団体でもされています。

 これらの要望を受け続ける中、具体的にどんなことを検討しているのか、又はしていないのか。そもそも国に対する要望ですとか陳情、これにどれほどの効果があるのか。是非、総理、お聞かせください。

石破内閣総理大臣 足らざるところは担当局長からお答え申し上げますが、それは相当効果絶大なものがありますよ。

 そこは日野議員も、今、もう数か月というのか、議員をおやりになって、お感じになっておられることかと思いますが、我々、地方からの要望というものを無視したら議席を維持することは不可能でございます。あの議員はちっとも地元の要望を聞いてくれないというようなよろしくない評判は、褒めていただけることの十倍のスピードで広がりますので、そのようなことをやろうものならば議席を維持することは不可能でございます。

 そこはよく御認識をいただけるものだと思っておりまして、地方からの要望というのを無視するということは、少なくとも、議員の立場として、あるいは長く政府の役職を務めてきた者として、そのようなことはいたしません。

 足らざるところは担当局長からお答えを申し上げます。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 自治体からの要望には真摯に耳を傾け、丁寧に対応させていただいております。

 御指摘の愛知県内の団体も含めまして、不交付団体からは、国の制度改正に伴う地方負担について全額国費で措置することなどの要望がございます。

 これに対しましては、地方財政法上、自治体の事務に要する経費は自治体が負担するということが原則とされているといった国と地方の負担割合についての考え方でございますとか、不交付団体についても、交付団体と同様、交付税算定を行うことで、標準的な行政サービスを提供するために必要な財源を保障していることなどを丁寧に御説明をさせていただいております。

 その上で、過去には、税制改正等の制度改正におきまして大きな影響が出る場合には、必要に応じ地方債の発行ができるような特例を設けさせていただいてきたところでございます。

 今後とも、不交付団体においても財政運営に支障が生じないよう、交付団体との公平性も念頭に置きながら、適切に対処させていただきたいと存じております。

日野委員 総理から効果絶大ということを聞いて、心強く思います。ありがとうございます。

 忙しい首長が時間とお金をかけて、地方自治体、住民の方のために要望に来られます。もちろん、受け手の時間も大変貴重だと思います。限られた機会を有効活用するためにも、是非、国として、要望の際の優先順位ですとか効果的な要望の仕方、こういったものをガイドラインでお示しいただくよう、お願いいたします。

 そのお願いと併せまして、是非、財政努力を重ねている不交付団体、すなわち頑張っている自治体の財政を圧迫し、その自治体で暮らす方々の住民サービスが低下する、こういったことがないように重ねてお願い申し上げて、次の質問に入りたいと思います。

 私は、これまで介護、福祉の現場におりました。昨今、国会では毎日のように、介護職員の処遇改善や、それから訪問介護サービスの報酬の見直し、こういった議論がなされています。もちろん、現場の人間としまして、これらを改善していくこと、これは非常に大事だと思います。

 しかしながら、その一方で、総理もおっしゃるように、財源には限りがあります。限られた財源の中で、予算をつけてくれ、いや、難しいといった二極化した議論で終始するのではなく、持続可能な仕組みを構築する視点も欠かせないと思っています。「対決より解決。」、「つくろう、新しい答え。」を掲げる国民民主党の一期生として、質問をさせていただきます。

 そもそも、総理、介護とは財源を消費するだけのものでしょうか。私は、日本の介護を単なるコストではなく産業として捉え、日本の介護サービスの仕組みや高い介護技術力、すばらしいホスピタリティーを海外に輸出することでマネタイズを図り、その収益を介護職員の処遇改善や人手確保に充てる、こういった取組を進めていくべきだと思っています。

 政府として、こうした取組をこれまでに実施、検討してきたか、また、介護を産業にする視点をそもそも持っているか、是非、総理、お聞かせください。

黒田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の介護サービスの件でございますが、二〇〇〇年の介護保険制度創設以降、民間企業も含めまして、多様な主体によるサービス提供を可能とすることで、公民連携の下で基盤整備が進められてまいりました。

 現在、介護を含めた医療、福祉分野で働く方は全労働者の一割を超え、今後も増加が見込まれておりまして、委員の御指摘のとおり、介護は我が国を支える重要な産業の一つであるというふうに認識してございます。

 今後、高齢化が更に進展し、生産年齢人口が減少する中、介護が必要な方に必要なサービスを提供するためには、人材確保を図りつつ、テクノロジーなども活用した生産性の向上、データの活用をした自立支援、重度化防止につながる質の高いサービスの提供が重要になってまいります。

 介護は高齢者の安心を支える基盤でございます。社会全体で必要な支援に取り組んでまいります。

日野委員 日本の介護技術やホスピタリティー、これは海外でとても高く評価されています。これは介護職員の皆様が誇りを持つべきすばらしい強みです。国としてこの強みを産業として成長させ、高齢化が進む日本において持続可能な介護サービスの仕組みを確立する必要があると私は考えています。

 現在、政府では、日本式介護の国際規格化、これを進めていると思いますが、現状のままでは国内の介護事業者や介護従事者が海外に流出していってしまっています。日本に利益が還元される仕組みを構築するためには、日本にお金も人も流れる仕組みづくりが不可欠ではないでしょうか。

 中国や香港、タイなど、日本と同様に急速な高齢化を迎える国々では、介護制度の確立や人材確保といったことが大きな課題となっています。こうした国々に対し、例えば、日本の介護モデルのノウハウや技術を体系化し、ブランドし、ライセンス契約で提供し、国内の介護人材の確保にもつなげるといった取組など、少子高齢化という日本の構造的課題を逆に強みに変えるためにも、こうした取組を政府として力強く推進していただくことは可能でしょうか。お答えください。

黒田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、日本も高齢化が進んでおりますが、アジア各国においても同様の傾向がございまして、むしろ、日本の介護の分野に関わる経験ですとかノウハウ、そういったものに対する海外の諸国の関心も非常に高まってございます。

 国内の介護の基盤を支えることも非常に重要ですが、同時に、アジア各国との連帯、それから日本のノウハウを各国と共有をしていく、そういう取組も大変重要だと考えておりまして、御指摘も踏まえて対応してまいります。

日野委員 先ほど介護DXの話も出ました。これも、単なる国内の効率化にとどめるのではなく、次世代介護システムとして確立し、輸出産業として成長させることで、日本が世界においての介護分野のトップランナー、総理、これを目指そうではありませんか。

 介護というのは人の尊厳を守る大切な仕事です。だからこそ、働く人の尊厳ももっと守られる日本にしたいと思っています。

 こちらのパネルを御覧ください。経産省の試算によると、介護に関連する経済損失、これは二〇三〇年には九・二兆円に達するというふうに言われています。その要因としまして、介護と仕事を両立することが困難なこと、そして、困難であるからこそ仕事が続けられなくなる、すなわち介護離職が起こるからです。

 介護は、自分の家族が、そして自分自身が将来直面する課題でございます。だからこそ、介護分野、介護事業を守るということは、私たち一人一人の生活と仕事を守ることに直結します。財源がない、人手もないといった同じ議論を続けるのではなく、どうか、現状の介護保険サービスの枠組みを超えて、抜本的な改革を強く要望いたしまして、日野紗里亜からの質疑は以上とさせていただきます。

 ありがとうございました。

安住委員長 これにて長友君、日野さんの質疑は終了いたしました。

 次に、浮島智子さん。

浮島委員 公明党の浮島智子でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、大変にありがとうございます。

 本日は、今三党協議をなされております高校の授業料無償化、そして教育費の負担軽減等について御質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 家庭の経済的環境により、子供たちの進学が左右されることがあってはなりません。そのため、公明党は、高校教育から高等教育にわたり、奨学金や就学支援金の拡充に一貫して取り組んできたところであります。

 未来を担う子供たちに、教育に光を。教育のための社会を実現するために一貫して流れ通う我が党の精神こそ、教育の党と呼ばれるゆえんであります。今こそ教育費の負担軽減を図る政党、政治家の方は多くいらっしゃいますけれども、現実的に政策を前に進めてきたのは自公政権であり、そして我々公明党にほかなりません。

 私も、文部科学部会長や教育改革推進本部長を始め、党の役職を歴任し、この国の教育政策の責任の一端を担ってまいりました。誰一人取り残されないを理念に掲げ、誰一人取り残されない教育の実現、これを目指し、先頭に立って教育の経済的負担軽減に取り組んできた自負があります。

 高校について、二〇二〇年四月から、年収五百九十万未満の世帯で私立高校に通う場合は授業料相当の三十九万六千円を支給するという、私立高校授業料の実質無償化が実現いたしました。

 これは、二〇一七年衆議院選挙で公明党が公約の一つとして掲げていたもので、選挙後、連立政権合意にも盛り込まれたことでもございます。

 これまでも、子供が高校に通う年収約九百十万未満の世帯には公立高校授業料相当分の年間十一万八千円の就学支援金が助成されており、公立の授業料は実質無償化されていました。しかし、私立高校の授業料は全国平均で年四十万円程度に上るため、従来の就学支援金では賄えず、家計の大きな負担となっていたところであります。そこで、公明党が強く働きかけて、令和二年度に、年収五百九十万未満の世帯を対象に、就学支援金の上限を私立高校授業料の全国平均の額に達するように引き上げたところであります。

 なお、東京都におきましては、国に先駆けて、二〇一七年度から私立高校の実質無償化が実現していました。そのことが国全体の私立高校実質無償化の実現を後押しし、この施策は、小池東京都知事が明言されているとおり、都議会公明党が実現したものであります。

 この東京都の取組をモデルに、当時の山口代表は、二〇一七年の十月の党首討論で、どこに住んでいても平等な支援策を受けられるようにすべきとして、全国的な授業料の実質無償化を安倍総理に直談判し、安倍総理から、検討するとの回答を引き出していました。

 また、同年の十二月、私の方から、衆議院文部科学委員会におきまして当時の林芳正文部科学大臣に対し、林大臣からも、御党の提言も踏まえて、しっかりと検討し取り組むとの答弁もいただきました。

 二〇二〇年度から私立高校の授業料の実質無償化の実現になったところであります。こうした公明党の強い信念や行動の表れが、私立学校の実質無償化を実現した現在の就学支援金制度に結実していることは論をまたない事実であります。

 また、高校生等奨学給付金、この創設も公明党が長年訴えてきたものであります。

 これは、生活保護そして非課税世帯を対象に、授業料以外の教材費や学用品費、そして教科外活動費、修学旅行費などを支援するものでありまして、既に授業料が全額免除されている低所得者世帯には高校就学支援金の恩恵が及んでおりません。授業料以外の費用負担が重くのしかかっていたことから、我が党が支援の必要性を主張し続けてきたところであります。

 平成二十六年度に開始されたこの制度は、我が党の粘り強い働きかけにより拡充し続けてきています。例えば、制度開始当初、国公立の支援額は三万七千四百円にとどまっていました。令和六年度には十二万二千百円と、三倍以上になったところであります。

 現在三党協議で議論されている高校無償化もそうですけれども、高校無償化を始め教育費負担軽減は、これまでも教育の党たる私たち公明党が常に先頭に立って進めてきたものであります。そして、これから、現場のお声をいただきながら公明党がリードしていくという強い決意の下、以下、質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 誰一人取り残されない教育の実現に当たって、これは、経済的な事情を抱えて厳しい状況にある子供たちを始め、誰一人学びを諦めることがなく、夢や希望を抱いて進路を選択することができ、幸せを感じられる未来を開いていく必要があり、教育の無償化に向けて更なる支援の充実を図っていく必要があります。

 一方、子供たちの幸せのためには、無償化だけでは十分ではありません。多様な子供たちが誰一人取り残されない質の高い教育を確保することと両輪で考えるべきであります。

 だからこそ、今回の三党協議は、教育の無償化のみに議論をするのではなくて、多様で質の高い教育の在り方に関する検討を行う枠組みとすべきと主張し、我が党は一貫して、子供たちの学びの充実につながるのか、また、教育の質の向上や多様化につながるのか、教育を担う地方や学校現場、そして何より高校に進学する子供たちにとって支障や負担が生じることはないのかということを大切にして議論に参画してきたところでもあります。高校教育の無償化により教育の機会の拡大が図れることが、しっかりと教育の質の向上に結びついていく必要があると考えています。

 こうした無償化を含む高校教育の改革を実効的なものにするためには、地方の協力は不可欠であります。その負担は最小にすべきであり、令和七年度から、この四月からでありますけれども、制度の本格実施は拙速と言わざるを得ないと思っております。

 そこで、お伺いをさせていただきます。

 三党協議の中で合意がなされた暁には、早い段階から地方としっかりタッグを組み、地方や学校などの現場の声に真摯に耳を傾け、そして無償化を含む高校教育の改革について腰を据えて議論を行うとともに、しっかりと周知期間を設けた上で、真に実効性のある施策へと磨き上げるべき必要があると思いますけれども、総理の御見解をお伺いしたいと思います。

あべ国務大臣 委員に、所管大臣からまずお答えさせていただきたいというふうに思っているところでございます。

 文部科学省といたしましては、今後の政党間の協議の結果を踏まえた必要な対応を速やかに取ることができるよう、まずは、三党協議の状況、国会での御議論を注視してまいりたいというふうに思っておりまして、浮島委員におかれましては、特に教育費の負担軽減に長年にわたり御尽力をいただいていることに心から深く敬意を表するところでございまして、また、無償化を含む高校教育の在り方については、御指摘のように、自治体や学校といった現場の声を受け止めて、十分な検討を行うことは重要であるというふうに考えているところでございます。

石破内閣総理大臣 論点は先ほど浮島委員から御提示いただいたとおりであります。

 無償化はいいんですが、高校の授業がきちんと理解できているかどうかという、その検証はきちんと行われなければなりません。そうでなければ国民の税金を使う意味がないということだと私は思います。

 そして、地方と都会との差は歴然とございます。地方にはそんなに私立の学校はございませんので、そこにおいて差がどうして生じないようにするかということも考えていかねばなりません。午前中も答弁申し上げましたが、これによって便乗値上げなぞということがあっては絶対にならないことでございます。

 委員御指摘の点をよく踏まえまして、今後、結論を出してまいりたいと思っておりますし、三党の協議というものをきちんと承ってまいりたいと存じます。

浮島委員 今、総理がおっしゃったように、無償化だけではなくて、やはり質の向上、これが重要だと思いますので、しっかりとそこも、我々も注目して進めていきたいと思っております。また、我々の意見もしっかり聞きながら、現場の声をしっかりと受け止めていただきたいとお願いもさせていただきたいと思います。

 次に、現在の無償化に関わる制度の課題の認識について、文科大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 今回の三党協議で議論されている高校の無償化の方向性は、まさに我が党の理念と軌を一にするものでございます。だからこそ、真に国民のニーズに合った制度へと充実させていく必要がある。

 そこで、お伺いをさせていただきたいと思いますけれども、大臣は、就学支援金や奨学給付金など高校無償化に関わる現行制度についてどのような点に課題があるとお考えか、見解をお伺いします。

あべ国務大臣 国における高校生などへの就学支援金に関しましては、教育の機会均等をまさに目的にいたしまして、限られた財源、これを有効活用して、これまでも低中所得者世帯への支援を拡充するなどの支援の充実を図ってまいりましたところでございます。

 一方で、この高等学校等就学支援金制度に関しましては、都道府県などから、私立高校生に対する加算支給、この所得制限である年収約五百九十万円の基準を上回る世帯の負担の大きさを指摘をする声があるものと承知しているところでございまして、また、低所得者世帯を対象とする高校生等奨学給付金につきましても、給付額、また、さらには支援対象の拡大を求める声があるということを認識しているところでございます。

浮島委員 その現場の声をしっかりと受け止めていただきたいと思います。

 また、続けて大臣にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、昨今の物価高により、授業料以外の教育費の負担、これも非常に重くて大変だというお声をたくさんいただいております。その原因は、給付額、そして給付対象となる年収の設定にあるのではないかと思います。

 この奨学給付金の給付額につきましては、子供の学習費調査を基に積算されているということでございますけれども、その金額や費目について、これを十分であるとお考えなのか。また、給付対象となる世帯年収についてもより拡充することが必要と考えておりますけれども、現在のこの制度の対象となっている生徒の割合、そして給付対象の世帯の見直しについて、大臣の見解をお伺いさせていただきたいと思います。

あべ国務大臣 高校生等奨学給付金に関しましては、御党と協議を重ねた上で、平成二十六年度に授業料の支援に所得制限を設けることで捻出した、この財源による仕組みで創設をしたところでございまして、その後、給付額の拡充や費目の追加を図ってきたところでございます。

 その給付額、また費目の設定に当たりましては、子供の学習費調査の結果等を参考にしまして、例えば、入学の学用品、また教科書費など、学校教育に関わる経費を支援しているところでございますが、制度設計の際に参考といたしました平成二十二年度の結果と比べまして、例えば公立高校の学校教育費は約十一万円増加をしております。給付額との差が実は開いているところや、また、生活保護世帯以外の非課税世帯に対する給付金の額の算定に、修学旅行費、これは、例えば公立高校では約三万二千円なんですが、これを含めていないなどの課題があるということは私どもも認識しているところでございまして、また、給付対象世帯に関しましては、教育機会均等の観点から、特に、委員の御指摘のとおり、国公立高校の生徒への給付額では、平成二十六年度の約三万七千円から令和六年度の約十二万二千円に増額するなど、低所得世帯に対する支援の充実に努めてきたところでございまして、なお、令和五年度におきましては、対象となる高校生が約三百二十四万人のうち三十一万人、約九・五%が受給しているところでございます。

 文部科学省としては、教育段階を通じた切れ目のない支援、これが重要という観点から、協議の状況を踏まえつつ、引き続き、御党の御意見を拝聴しながら検討していきたいと考えております。

 以上です。

浮島委員 今大臣の御答弁を聞いて、本当に苦しい中、大変な中、財源を取っていただいているんだなということは理解をしましたけれども、これからも、どうかしっかりと先頭に立っていただきたいとお願いをさせていただきたいと思います。

 もし仮に、国として給付額や給付対象者が双方とも拡充することができたとしても、地方が三分の二負担できなければ子供たちに支援が届かないことになってしまいます。地方間で大きな財政力の差がある中で、地方の負担分がネックとなり、子供の支援に差が生じるようなことがあってはならないと思います。このため、私は、全国どこでも充実した支援が受けられるよう、十分の十国庫負担が望ましいと考えています。

 そこで、三党協議の中で合意がなされた暁には、この奨学給付金を大幅に拡充すべきと考えており、その際、奨学給付金の給付額そして給付対象者のみならず、地方負担の在り方も含めてしっかりと議論をし、制度の抜本的な拡充に向けて取り組んでいただきたいと考えます。

 特に、公明党は、この所得者の層のみならずに、中間所得者層についてもしっかりと支援をしていく必要があると考えているところでございますけれども、総理の御見解をお伺いいたします。

石破内閣総理大臣 ただいま政党間で御協議をいただいておるところでございます。

 公明党さんから、授業料以外の支援であります、今御指摘の高校生等奨学給付金の拡充、この御提案をいただいておることをよく承知をいたしておるところでございます。

 協議が調った場合に、現場レベルの負担、高校教育の在り方に関わる論点について十分な検討を行いながらも、低中所得者の層への高校生等奨学給付金の拡充について、合意内容を踏まえまして、公明党さんの御意見をよく聞きながら、詳細を考えてまいりたいと思っております。

浮島委員 今の大臣の御答弁を聞きますと、もう一回確認をさせていただきたいんですけれども、低所得者層そして中所得者層が必要と私たちは思っておりますけれども、総理もそこの重要性は共有していただけるという考えでよろしいでしょうか。

石破内閣総理大臣 その認識を私も共有するところでございます。

浮島委員 ありがとうございます。

 是非とも、ここを拡充できるように、総理の御尽力をよろしくお願いいたします。

 あと、財源についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 今後、奨学給付金を始め、高校教育の無償化に関わる制度の拡充を図るにしても、安定財源、これを確保することが極めて重要であります。我々もこれまで、責任与党として、安定財源を確保しながら、着実に施策を積み上げてきました。三党協議の中で合意をされた暁には、当然、我々も財源確保の責任が生じますけれども、就学支援金に関わる提案のあった維新側にも責任のある形で恒久財源を示す責任があります。その際、その財源を既存の教育予算から充当するようなことがあっては本末転倒であり、絶対にあってはなりません。

 総理は今朝の新聞を御覧になりましたでしょうか。高校の無償化の協議について懸念などを報じている、そんな記事も見受けられたところでもございます。

 教育費負担軽減は、教育の質の向上、これはしっかりとやっていかなければならない。そして、国民の関心が高いのは事実です。だからこそ、今回の高校無償化につきましては、ただ単に無償にするというだけではなくて、国民が納得する教育政策をつくり上げることが大変重要で、必要だと思っております。

 この三党での合意は、終わりではなくて、教育政策として、教育の無償化の議論をスタートするスタート地点だと私は思います。是非、三党の政策責任者による協議体、これをしっかりと設置し、制度設計を進めていくことを求めますけれども、総理・総裁としての見解と決意をお聞かせください。

石破内閣総理大臣 二点申し上げておきたいと思います。

 これはスタートであって、終わりでは決してございません。それは、総裁として申し上げれば、このような協議体というのか、これが続いていくような、そういうような合意が得られれば大変にありがたいことだと思っております。

 それから、安定財源については、次の時代に先送りをするということであれば、何のために子供たちに投資をしたか全然分かりません。そして、教育予算を削るということになると、これまた本末転倒の見本のような話に相なります。

 次の時代に先送りすることなく、ほかの教育予算からこのお金を取ってくるということをせず、これは、政府全体の中で歳入歳出両面にわたってきちんと検討しました上で安定財源を見出すことといたしてまいりたいと思います。

浮島委員 ありがとうございます。

 安定財源がなくしては、このときはできたけれども、このときはできない、これは絶対にあってはならないことでありますので、是非よろしくお願いしたいと思います。

 あと、今、総理の答弁の中から、私が提案させていただいた協議体の設置、これについても前向きな御答弁があったと思いますけれども、この協議体の設置についても前向きに考えていただいているということでよろしいでしょうか。

石破内閣総理大臣 これは三党が合意しなければなりませんので、我が自由民主党だけの都合で申し上げることはできません。

 そういうことがあれば、つまり、今回の予算さえできればいいとか、そのようなことを、いいかげんに考えてはおりませんので、御党も始め、維新の会との協議が調えば、これをいっとき限りのものに終わらせないで、これから先も続けていきたい、それが日本国のためだと私は思っております。

浮島委員 是非とも、今、総理、御答弁ありましたけれども、合意した暁には、しっかりとした協議体をつくっていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 また、今日の教育に関しての質問ですけれども、我々は、誰一人取り残されない、そして学びのセーフネットの構築を掲げる我が党として、合意文書に明確に位置づけられるようにしていく、最後まで求めてまいる所存でございます。

 また、教育の根幹に関わる今回の大改革について、総理におかれましては、真に国民、子供たちのためになるか、先ほど私も申し上げさせていただきましたけれども、子供たちの学びの充実につながるのか、また、教育の質の向上、そして多様化に本当につながるのか、そして、教育を担う地方、学校現場、そして何よりも高校に進学する子供たちにとって将来を決める大切なことであります。なので、子供たちに支障やそして負担が生じないかということをしっかりと考えて、総理におかれましては、子供たちのためになるか、そういう観点から、今後ともしっかりと、我々の意見を聞きながら、現場の声を聞きながら進めていただけるようにお願いをさせていただきたいと思います。

 次に、避難所となる学校の体育館の空調整備についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 この空調整備につきましては、学校体育館は大切な避難場所ともなります。公明党として、これまで、子供たちの安全、安心、そして避難者の皆様の命を守るためということで、全国的に設置率が低い学校の体育館の空調整備、この加速化を訴えてまいりました。

 昨年の臨時国会では、公明党からの提案を受けて、総理より、整備のペースを二倍に加速するという力強い御答弁もいただきました。そして、令和六年度補正予算により、体育館の空調整備に特化した臨時特例交付金が創設されたところでもあります。

 昨年の十二月の十一日、私もこの予算委員会で、総理に、必ずしも空調と断熱をセットではなくて、そして補助要件となる断熱性の確保の柔軟化、そしてランニングコスト、これを含めて支援の対象にしてもらいたいということを提案をさせていただき、総理からは前向きな答弁をいただいたところでありました。

 そこで、総理にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、断熱性の確保に関わる運用の現在はどのような状況であり、また、令和七年度から学校体育館の空調整備のランニングコストの交付税措置が講じられると承知をしておりますけれども、今回の交付金により設置されたもの、これは当たり前でございますけれども、これに限らず、既に設置されているものは対象となるのか。

 また、体育館の整備には、学校の夏休みや冬休みに工事が集中して施工業者の確保が難しいといった課題があります。文科省に確認をしたところ、令和六年の補正予算での申請が全国で三十都道府県からの申請にとどまっているということでございました。これは、昨年の十二月二十九日から一月の十七日までという年末年始の申請であったために準備が間に合わなかったという声もたくさんいただいております。

 このような状況を踏まえ、我が党の竹谷副代表が追加の支援を訴え、総理より追加の募集を行うという旨の御答弁をいただいたところでもございますけれども、現在の対応の状況を教えていただきたいと思います。

あべ国務大臣 まずは担当大臣の方から答えさせていただきます。

 御指摘の臨時特例交付金におきましては、地域の実情に応じた支援が可能になりますよう、御党の御提案も踏まえさせていただいた上で、空調の設置年度より後年度に断熱性を確保する場合も補助要件を満たす取扱いといたしました。また、ランニングコストに関しましても、今回の交付金によりまして設置されたものに限らず、いわゆる既に設置済みのものも含めて令和七年度より地方交付税措置が講じられるものと承知しているところでございまして、また、本交付金の追加募集でございますが、二月十七日に開始をさせていただきまして、三月十四日を申請期限としているところでございます。

 今後、空調の効率的な整備の工夫事例、経済性に配慮した効果的な断熱、遮熱対策の実施事例の周知などを通じまして、各自治体の積極的な空調の整備を促してまいりたいというふうに思います。

 以上です。

浮島委員 ありがとうございます。

 今御答弁の中で、必ずしもセットではなくていいということと、ランニングコストも既に設置されているところも含む、そして、申請も二月の十七日に再度始めていただいたということで、ありがとうございます。

 そして、今回の空調、いろいろなところからお話がありますけれども、補助率は二分の一で負担を軽減している。補助率の単価が従来よりアップをしているということで、一・五倍ということで、三万五千円・平方メートルから五万三千円に。そして断熱性は、今大臣からもお話ございました、我々公明党も提案をさせていただきました遮熱等々、いろいろなもので、各自治体に合ったものでいいということにもさせていただいたところでもございます。また、地方負担額の一〇〇%に地方債の充当が可能ということで、実質地方の負担は二五%ということもお伺いをしているところでもございます。

 そして、今回、一番私のところにも要望が来ているのが学校のトイレ、ここの設置を、きれいにしてもらいたいという声もたくさん来ております。

 というのは、私も学校に行くと必ずトイレを見させていただいているんですけれども、ある学校に行きましたら、別にそのときはトイレの視察に行ったわけではなくてほかの視察に行ったんですけれども、たまたま廊下を通ったときにトイレが気になりまして、ちょっとトイレを見せてくださいと言いました。そうしたら、先生たちがちょっと慌てられたんですけれども、私は中に入っていきました。

 入って驚いたのは、女子のトイレの便器の真上から天井がおっこちていたんです。それで、私も、これはどうしたんですかとお伺いしたら、実は昨日、そこに女性の先生が入られているときに上から天井が落ちてきたんです、たまたま先生には何のけがもなかったので大丈夫でしたけれどもということで、これは早く直さないと大変なことになりますよと話をさせていただきました。そこはもう整備をさせていただいたところなんですけれども。

 また、東京都内、学校のトイレに行かせていただきました。ビフォー・アフターということで、きれいになったところと、まだきれいになっていないところを見に行こうということで、視察に行かせていただきました。

 一番初めに行かせていただいたところは、学校の校舎の一番端にあります。そして、私も驚いたんですけれども、男女同じ入口なんです。そして、入ったら男子が手前で女子が奥。そして、仕切られているのがただのパーティションで、上も下も空いています。そして、女子のトイレの戸は、扉じゃなくてアコーディオンカーテンになっておりました。そして、話を聞いたら、ここがよくいじめの場所になってしまうんだと、早くトイレをきれいにしたいという声もいただき、その後は、アフター、きれいになった学校を見に行きました。そして、男子トイレ、今入っていい、大丈夫と聞いたら、入っていいよというので入らせていただいたら、何と、手を洗うところが噴水のようになっていて、男子がみんなで囲って手を洗いながら、和気あいあいと話をしながらおトイレに行っておりました。

 こうして、トイレというのは、今の子供たちは生まれたときから家のトイレはきれいです。なので、学校に行くと、なかなかトイレがきれいじゃない等々で我慢をしてしまって、おなかが痛くなったり、また、本当にここはいじめの場所となってしまうこともありますので、どうか政府におかれましては、学校の施設整備、ここをしっかりと充実していただきたいと思います。

 私も大阪に帰りまして、地元に帰りまして、先日、大正区で街頭をさせていただいたときに、実は、中学校と小学校のここが今回予算がついたから、学校のトイレがきれいになりますよという街頭を、お話しさせていただいたら、そこを通っていた親子の方がいらっしゃって、小学校四年生ぐらいの男の子なんですけれども、僕の学校だ、僕の学校のトイレがきれいになるの、うれしいなと言っていましたけれども。やはり子供たちにとってトイレというのは非常に大切な重要な場所となりますので、どうか政府を挙げて、この施設整備、応援をしていただきたいと思います。

 また、最後に一点。前回の十二月の十一日の予算委員会でも御要望にとどめさせていただきましたけれども、今年の十一月十五日からはデフリンピックが始まります。このデフリンピックは、私も今日バッジもつけさせていただいておりますけれども、是非とも総理も、今後バッジをつけていろいろなところに歩いていただきたいと思いますけれども。日本では初めて開催されます。そして、百回目の記念の大会でもあります。全世界から約三千名のアスリートが来られる、そして約三千人、トータルで約六千人の方々が日本のデフリンピックの大会に参加されるということになっております。

 でも、まだまだ周知ができておりません。これから日本全国のキャラバンも始まることになっておりますけれども、どうか政府を挙げて、また、ここにいらっしゃる委員の皆様全員でしっかりと押し上げて、このデフリンピック、成功させていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

安住委員長 これにて浮島さんの質疑は終了いたしました。

 次に、たがや亮君。

たがや委員 れいわ新選組の、羊の皮をかぶったヤギ、たがや亮と申します。

 今日は、そのヤギの皮も脱ぎ捨ててオオカミになって、ちょっと抗議からスタートしなきゃいけないということで御了承願います。

 二十日に予定されていた旧安倍派の会計責任者の参考人招致に、れいわ新選組など少数会派を外して、委員長及び自民、立憲、維新、国民の理事のみで行う決定をした委員長及び理事会に対して、強く抗議をいたします。また、今後は、このような案件において、少数会派も参加した開かれた場で行われることを強く要望いたします。

 原則公開である参考人招致について、謎のホテルで非公開、日時も非公開、事前に質問もチェックし、議事録も作成、公開することも約束していないなど、言語道断です。挙げ句、前日に自民党側からドタキャンの連絡が入り、そのために十九日の集中審議が流会になりました。

 まず、総理、自民党の総裁として謝罪をいただけないでしょうか。

石破内閣総理大臣 それは、事実関係を完全に正確に私も把握しているわけではございません。仮にそういうことがあったとするならば、それは国会の議決というものに反することになろうかと思っております。私として、自由民主党が、この国会の議決に参考人が応ずることができますよう、党として最大限努力をいたしてまいります。

 いろいろな党に、あるいは議員の皆様方に御迷惑をおかけしておるとすれば、それは申し訳ないことでございます。おわび申し上げます。

たがや委員 謝罪をしていただけたということで、ありがとうございます。

 そもそも、裏金猫ばば問題を引き起こした当事者側が、委員会で決めた聴取について、質疑者を絞り込めとか、質疑内容に介入するとか、議事録も駄目とか、立法府に注文をつけるなど、これでは国政調査権の侵害ではないでしょうか。そんな先例をつくってしまっては、国会の権威に関わります。

 私は飲食店を経営しておりますが、まるで、まないたの上のコイが料理人を選び、包丁の入れ方にすら注文をつける、こうしたやり方はまさに茶番。まさかとは思いますが、予算の修正や採決について自民と立憲で裏で合意し、そのバーターで参考人招致がこうした腑抜けの形になっているとしたら残念です。そうだとしたら、昨年の総選挙で野党がせっかく多数を取り、予算委員長を取ったのに、国民の期待を裏切ることになります。

 この一件、一番悪いのは、もちろん、裏金猫ばばをして自首、辞職もしない自民党ですが、とんでも秘密会での参考人招致を許し、自民党側が望む日程で審議を進めようとした自民と立憲の協議スタンスは許せません。現在、次の日程を調査中と聞きますが、必ず、れいわ新選組などオブザーバー理事の会派も参加をさせること、また、聴取した結果を広く国民に公開し、共有されることを強く求めます。

 それがかなわないなら、れいわ新選組は、改めて証人喚問を求めます。ロッキード事件でもリクルート事件でも、真相解明のために証人喚問を行っています。今回の裏金猫ばば事件でも証人喚問を行うことが当然ですし、しかも、その対象は、安倍派の会計責任者だけでなく、裏金議員全員を呼ぶべきだ、そう強く申し上げておきます。

 国民は、三十年の不況の上に、消費税を増税、社会保険料も引き上げられ、国民負担が増え続け、米を買うのも苦労し、中小企業はばたばた倒産。それなのに、自民党は自分たちの懐ばかりを暖め、脱税疑惑を放置し、まるで反省していない様は、国民が許せるはずがありません。

 委員長と立憲民主党に申し上げます。

 そんな自民党の望む日程で予算審議を進めないでください。ちょっと声は小さめです。私たち野党は、来年度予算を人質に取っても、国民を救うための消費税減税、給付金、能登半島の復旧の予算など、国会の正常化をバーターにした徹底的な戦いを進めるべきだと考えます。

 以上、冒頭、前菜的な抗議をさせていただきました。

 それでは、メインである、通常運転のヤギに戻らせていただきます。

 総理、今日はちょっとインボイスに関して問題点等々を共有をして、議論を深めていきたい、そのように思っていますので、よろしくお願いいたします。

 一九八九年に消費税が導入された際に、免税事業者、いわゆる免税点制度が導入されましたけれども、その理由を教えてください。

加藤国務大臣 事業者免税制度については、消費税創設時、この種の税になじみの薄い我が国においては、中小零細事業者の納税事務負担に配慮することが重要であると考え、設定することとしたとの説明が国会でなされており、また、政府税制調査会による答申においては、税務当局の事務負担への考慮も導入理由として記述されております。

 なお、消費税を導入する際の国会答弁において、免税点制度などについて、議員修正にて、公平の確保の必要性などを踏まえ、消費税の仕組みの定着状況等を勘案しつつ、その見直しを行うものとする旨の規定が加えられた点についても説明されているものと承知しています。

たがや委員 ありがとうございます。

 それでは、インボイス導入前、後にかかわらず、免税事業者が消費税をもらっていながら納税していないことは違法だったんでしょうか。その際、免税事業者が益税をもらっていたとの認識なのか、加藤大臣、再びお答えください。

加藤国務大臣 免税事業者による売上げなどには消費税が課されませんので、免税事業者が商品、サービスの本体価格に上乗せして別途消費税を受け取ることは、消費税の仕組み上、想定されていません。ただし、免税事業者であっても、仕入価格の上昇という形で消費税を負担していることには変わりがありません。その負担分については、販売価格に転嫁していただく必要はあります。

 一般論として申し上げれば、免税事業者が仕入れに係る消費税額を超えて本体価格に消費税として金額を上乗せして別途受け取ることとなれば、仕入れに係る消費税額を超えた部分については、いわゆる益税の問題が生じることになると認識しています。

たがや委員 ありがとうございます。

 今、益税という言葉が加藤大臣から聞こえましたけれども、益税だけを持ち出して言うことには大変私は違和感を覚えます。

 そもそも、免税事業者への作業コストの軽減、すなわち、免税事業者に頑張りなさい、頑張りなさいというエールを送るという意味合いと、そして国税庁の徴収コストの削減、ウィン・ウィンの関係だったはずです。もっと言えば、免税事業者には、仕入れに係る消費税を自分の懐から支払わなければいけない、いわゆる益税の逆の損税が発生していることも併せて言わなければ平等じゃない、私はそう思います。

 例えば、免税事業者が急な設備投資で多額の消費税が発生した場合でも、還付されないので、相応の負担はしているわけですから、益税だけを抜き出して言うのはフェアじゃないと思います。今後は、益税の話をするなら、損税のことも併せて周知をお願いをいたします。

 次の質問です。

 インボイス導入後の取引において、課税事業者が免税事業者の消費税分を仕入れ税額控除に入れちゃうことは、これは違法でしょうか。

加藤国務大臣 インボイス制度の導入後においては、課税事業者は、免税事業者から受領した請求書等を保存していたとしても、原則として仕入れ税額控除の適用を受けることはできないとされています。

 ただし、インボイス制度への円滑な移行を進める観点から、この制度を導入した令和五年十月から六年間の経過措置として、免税事業者からの仕入れについて一定割合を税額控除できることとしております。

たがや委員 激変緩和措置はちょっとおいておいて、石破総理、ここなんですよね、インボイスの結構な問題点、大きなところというのは。

 免税事業者のままでは違法になるということで、課税事業者は、今まで取引していた免税事業者に対して値引きを強いたり、取引排除をしてしまう、そういった現実があります。そこに大きな問題というか、財務省の目線と私の目線に大きな違いがあるのかな、そう感じました。財務省は、主に不正をなくすという視点、私は、コンテンツ産業を含め建築業、物流、農家、現在担い手不足と言われているそういう産業が更に悪化してしまうんじゃないかという視点です。

 財務省に伺いますが、インボイス導入前に、課税事業者が益税を得る根拠として言われていた、課税事業者が、免税事業者との取引において仕入れ税額控除に入れていた事業者の割合など、調査を行ったことがあるんでしょうか。

小宮政府参考人 お答え申し上げます。

 インボイス制度導入前におきます仕入れ税額控除に関する誤りというものでございますけれども、これについては、税務調査等で事例を把握しているところでございます。

 例えば、税率の適用誤りだと……(たがや委員「割合は」と呼ぶ)割合については、消費税の調査等につきましては、国税当局として、そういった誤り以外にも、取引金額ですとか、課税、非課税判定とか、そういった誤り、様々な観点から検討を行って指摘をしておりますので、そういったものだけを取り出して網羅的に集計することは行っておりません。

たがや委員 要するに、明確でないということです。

 では、インボイス制度導入からもう一年半ぐらいたちましたけれども、その後の取引の実態調査、これは行ったんでしょうか。

小宮政府参考人 お答え申し上げます。

 導入後におきましても、必要な場合に税務調査等は行っておりますけれども、先ほど申し上げましたように、特定のミスに関しまして網羅的な集計は行っておらないところでございます。

たがや委員 ありがとうございます。

 結局は、インボイスの導入の根拠も曖昧、導入後の取引の実態調査も曖昧なんです。これでは、財務省の勝手な思い込みにより導入されたと思われても仕方がないと思います。

 また、限定的な業界団体だけに限らず、幅広く、課税事業者、免税事業者、両者の声をしっかりとアンケート調査で聞き、現状把握をすぐにしてください。これは、是非総理、指示をしていただきたいと思いますが、お願いします。

 さて、石破総理は、若い頃、キャンディーズのミキちゃんが大好きだったと伺っています。私も、小学校のときですが、ミキちゃん派でした。ということで、インボイスが、サブカルチャーや日本の成長産業であるコンテンツ産業にも影響が出るんじゃないかということにちょっと触れたいと思います。

 コンテンツ産業の海外売上げは四・七兆円、鉄鋼や半導体にほぼ並んでおります。二〇三三年には二十兆円を目指すと政府は鼻息が荒いですが、先日、MANGA議連に参加した際に、文化勲章を受章された巨匠、ちばてつや先生の話を伺いました。昔は、漫画なんか読むんじゃないと叱られたが、隠れて読んで、隠れて漫画を描き出し、食べられない、そういう状況の下積みを経て巨匠は誕生したということです。

 そういうことを考えれば、インボイス制度というのは、そういう下積み時代の逸材を潰してしまうのではないか。例えて言えば、豊かな大地に塩をまくようなものではないか。ホンダやパナソニック、アップルなど、ガレージから育ったような企業も生まれないかもしれない。何度でもやり直せる社会、頑張った人が報われる社会こそが大事であり、税によってそれがゆがめられてはならないと思います。豊かな大地に塩をまいて、貴重な芽をこのインボイス制度で枯らすべきではないと考えます。

 石破総理、インボイスに関してるる申し上げましたが、コンテンツ産業を含めて、様々な産業における日本の重要な人材を潰してしまうのではないかと大変危惧をしております。幾ら立派な制度にしようと思っても、五年後、十年後、いい人材が育たなければ元も子もない。制度のための制度ではなく、いい人材が育つ制度でなければ駄目です。まさに牛の角を矯めて牛を殺すことになっていないのか。

 今述べたことに対して、総理のお考えをお聞かせください。

石破内閣総理大臣 キャンディーズですとか、ちばてつや先生ですとか、いろいろ我々の世代にとっては本当に懐かしいものでございます。

 御指摘のような御懸念があることは、私自身、選挙区でもよく聞かされるところでございます。承知をいたしております。

 政府といたしましては、いわゆる二割特例、これは先ほど申し上げたことでございますが、免税事業者からの仕入れに関する特例などの経過措置を設けたりいたしておりまして、各種御負担の軽減には努めてきておるところでございます。

 このほか、IT導入補助金によりまして小規模事業者などのデジタル化を支援する、関係省庁、公正取引委員会を始めとして、これらが連携をして、不当な取扱いを受けることがないよう厳正な対応を行う等々、行っておるところでございますが、委員御指摘のような懸念が減っておりません。そのことはよく承知をいたしております。政府として、更に丁寧な対応を心がけてまいります。

たがや委員 ありがとうございます。

 激変緩和措置等々ではやはり免税事業者の方々は全く納得していなく、不十分で、不安しかない、そういう話を大勢聞きます。

 財務省は、インボイス制度において、免税事業者を排除する目的でもないし潰す目的でもないと言われているので、インボイスによって現状不利益を得ている免税事業者を守る観点から、我々れいわ新選組はインボイス廃止一択なんですけれども、免税事業者を守る緊急対策として、以下、ちょっと総理に提案したいと思います。

 免税事業者には課税事業者になっていただく、そのインセンティブとして、激変緩和措置を恒久延長する、その上で一〇〇%簡易課税控除にすればいいと思いますが、いかがでしょう。そうすれば、免税事業者に無駄な事務処理は発生せず、取引業者からの不当なダンピングも起こらない、様々な問題が解決すると思うんです。

 総理、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 インボイス制度は、御承知のように、複数税率の下で課税の適正性を確保するために必要ということで導入されたものでございまして、今おっしゃるように、一〇〇%簡易課税控除とは、多分、今の二割特例をゼロ割特例にしろということでございますと、納税額を発生させないということになると思います。

 したがって、現在の二割特例については、あくまでもインボイス制度の円滑な導入や定着を図るために設けられたものでありますので、その延長、恒久化、あるいは拡充ということになるんでしょうか、については、こうした目的等も踏まえて慎重に検討する必要があると考えております。

 ただ、委員いろいろ御指摘があった、インボイス制度に関する事業者の不安等がいろいろあることは承知をしております。事業者からの相談を受けるなど、引き続き丁寧な対応を図っていきたいと考えています。

たがや委員 ありがとうございます。

 少し角度を変えて質問します。

 消費税ですけれども、総理は、毎回答弁で、社会保障の財源であるから減税は考えていません、そういう繰り返しの答弁をされておりますけれども、先日、トランプ大統領が、関税よりもはるかに厳しい付加価値税や日本における消費税は、関税を課しているのと同等とみなすとの発言がありました。車の関税を二・五%から二五%にされたら、たまったものじゃないですよね。

 れいわ新選組としては、決してトランプ大統領についていい悪いの評価をするものではないんですけれども、今後、政府が様々な交渉をする上で、総理が先んじて複数税率をやめて、消費税を単一税率の五%に減税をして交渉材料にしたらどうか。トップリーダーである石破総理が決断をすれば、必ず消費税減税はできると思います。

 石破総理にもメリットは生まれると思います。トランプ大統領からの評価が高まり、今後の交渉がしやすくなるとか、物価高に苦しむ消費者は助かるとか、消費税に苦しむ中小企業も助かるとか、免税事業者も助かる、そして石破総理も支持率が一〇ポイント以上アップとか、一石五鳥です。

 是非、日本の経済の正念場、石破総理の力で消費税減税をやってみませんか。改めて、もう本当に嫌だというのは分かるんですけれども、お願いします。

石破内閣総理大臣 支持率は、そんなのはどうでもいいんですけれども、国のためになることであれば、必要なことはやっていかなければなりません。

 これは、私は、昭和六十一年、売上税のときからずっと議論している話なのでございます。どうやってこの高齢化社会の安定財源を確保するかということ、そして税収に振れがない、そのような消費税というものを導入したときからこの必要性は承知をいたしておりますが、当時は三%でございました、今は一〇%です。逆進性みたいなものがそれなりの意味を持ってきておりますので、そこは弱者に負担が行かないようによく配慮をしながら、この福祉財源というものを安定的に確保してまいりたいと思っております。

安住委員長 間もなく時間です。

たがや委員 はい、まとめます。

 総理、消費税というのは、逆進性が強いと今言われていましたけれども、そのとおりで、やはり景気の悪いときに安定財源を求めちゃいけないと思うんですね、消費税に。やはり消費税の本質というのは、大手企業、強いものが有利になっている、そういう税で、中小零細企業というのは泣かなきゃいけないというのが現状です。

 だから、この三十年間、非常に、景気もなかなか上がってこない。まさに総理が言っているコストカット経済型から高付加価値化に変えるために一番足を引っ張っているのは、私は消費税だと思います。

安住委員長 まとめてください。

たがや委員 是非、先ほど提案したインボイスの件、提案した件、よろしくお願いします。御検討ください。加藤大臣も、よろしくお願いします。

 ありがとうございます。

安住委員長 これにてたがや君の質疑は終了いたしました。

 次に、田村智子さん。

田村(智)委員 日本共産党の田村智子です。

 税制改正についてお聞きいたします。

 この間、所得税の課税最低限を現行の百三万円から引き上げるということが予算案の焦点であるかのように扱われています。

 最低限の生活費には税金をかけないという生活費非課税の原則から、引上げというのは当然なんですが、しかし、それだけでは、一つには、年収百三万円に届かない最も苦しい状況にある皆さんには恩恵がない、取り残されてしまう。住民税非課税世帯は約一千五百万世帯です。それ以外の所得税非課税の人は九百万人規模になります。

 総理、この何千万人もの人たちには恩恵がなく置き去りにされる、このことをお認めになりますか。

加藤国務大臣 まず、今般の基礎控除等の引上げについては、所得税の基礎控除の額や給与所得控除の最低保障額が定額であることによって、物価が上昇すると実質的な税負担が増えるという課題に対応するため、物価動向を踏まえて、基礎控除の額と給与所得控除の最低保障額を十万円ずつ引き上げるということにしているところでございます。

 物価上昇の中で、所得税負担をされていない住民税非課税世帯等の低所得者に対する支援に対する御質問でございますが、賃上げこそが成長戦略の要との認識の下、まず、物価上昇に負けない賃上げを起点として、国民の皆さんの所得と経済全体の生産性の向上を図るための施策をしっかりと講じていくとともに、当面の対応として、特に物価高の影響を受ける低所得者世帯向けの給付金、また、地域の実情に応じた物価高対策を後押しをする重点支援地方交付金など、重点的な対応も講じているところでございます。

田村(智)委員 これは事実上、給付金しかないんですよ。今年度の補正予算で、一回だけのもの。

 議論されているのは、来年度からの恒久的減税ですからね。そこに対しての施策は何もないんですよ。置き去りにするということですよね、総理。

石破内閣総理大臣 今財務大臣からお答えしたとおり、置き去りになんかしません。

 だから、給付金がきちんと支給されるように、そしてまた最低賃金が上がるようにということで、今回いろいろな提案をこの予算の中でさせていただいておるところでございます。

 置き去りになどするような政府ではございません。

田村(智)委員 恒久的な制度はないんですよ。

 それだけではないんです。今日一番議論したいのは、ここから先なんです。中間所得層も含めて、最も重い税金というのは何かということです。

 御覧ください。総務省の家計調査に基づいて、勤労者世帯の年収別税負担率、これを表しました。

 年収二百万円以下では、所得税の負担率は〇・六%、消費税は十倍以上の六・三%になります。そして、年収二百一万から三百万円で、所得税一・二%、消費税は四・六倍の五・五%。七百一万から八百万円で見ても、所得税二・三、消費税は一・七倍の三・九。結局、年収千万円を超えてやっと所得税の負担率が消費税を上回るということになるんです。

 そうすると、皆さん、総理、中間所得層も含めて、消費税の負担が最も重いということになりますよね。総理、いかがですか。

石破内閣総理大臣 それは、御負担の面から見ればそういう議論もございます。

 私は、受益とはあえて申し上げません、そういうような捉え方をすると本質を見誤るかもしれませんので。給付という観点から見ました場合に、それは所得の再分配という面もございまして、年金生活者支援給付金等々、消費税の財源が充当される社会保障給付など、給付は低所得者の方々ほど手厚くさせていただいておるというのも、これは御理解をいただけるものだと思っております。

 私どもとして、そういう方々にこそきちんと消費税は使われるべきものであり、御負担よりも多くの給付をさせていただくということも是非とも御理解をいただきたいですし、今後とも充実に努めてまいります。

田村(智)委員 社会保障のことについては後でなんです。

 今私が聞いているのは、税制の問題なんです、税制の問題。所得税と消費税の負担の割合について聞いています。

 例えば、年収二百万円世帯、所得税は年一万二千円程度、消費税は十二万六千円もの負担になるわけですよね。今、所得の低いところには社会保障の給付がと言ったけれども、低所得の人ほど社会保障、医療、介護の負担、本当に重いですよ。給付が充実しているなんて誰も感じていないですよ。

 もう一度聞きます。税制の負担の在り方、見てくださいよ、低所得の方のところを。所得税と消費税では、圧倒的に消費税の負担が重い。税制の在り方を聞いています。お認めになりますね。

加藤国務大臣 まず、消費税の中には地方消費税も入っているわけでありますから、そういった意味では、消費税と、委員の表にありますが、所得税と住民税を足したもの、所得課税、少なくともこれを比較して議論していただく必要がまずあるのではないか。

 そういうふうに比較をしますと、この表だと六百万ぐらい、私どもの五分位でいえば、下から一、二、三、四、五でいうと二分位以上においては、むしろ住民税、所得税の方が消費税より多いということが言えるのではないかというふうに思っております。

 また、今お話がありました、なかなか低所得者の方もということがありますけれども、例えばでありますけれども、年金生活者支援給付金は、住民税非課税世帯で前年の年金収入等が約八十九万円以下の年金生活者に原則として月約五千三百円を支給する、こういったものも消費税を財源として行っているところでございます。

田村(智)委員 払っている側にしては、地方消費税も消費税なんですよ。消費税の負担が重いんです、圧倒的に。

 これだけではないんですね。この消費税の赤い部分を不問にして、所得税の減税ということだけを議論していたら、これでは本当に負担の軽減になっていくのかということになります。

 政府案では、年収三百万円の人で年間五千円の減税にしかなりませんよね、所得税の減税。一か月にしたら四百二十円にもならない。今、更なる見直し案というのが報道されていますけれども、その見直し案であったとしても、年間一万円、一か月にしたら八百三十円程度の減税にしかならないわけですよ。

 消費税のところに指一本も触れないで、税金の負担が減ったというふうに実感ができるでしょうか、中間所得層も含めて。

 いかがですか、総理。

加藤国務大臣 繰り返しになりますけれども、今回の百三万に関する政府からの提案は、所得税の基礎控除の額等が定額であることから、物価が上昇すると実質的な税負担が増える、こういう課題に対応するため、それぞれの控除額を十万円ずつ引き上げるということでございますし、この引上げ幅は、消費者物価指数、最後の基礎控除の引上げから直近までの消費者物価の動向等も踏まえたものであり、また、生活必需品を多く含む基礎的支出項目の消費者物価が二〇%程度上昇していることを勘案すれば、生活実感も踏まえた調整となっているということが言えると思います。

 なお、この百三万の壁に関しては、昨年十二月二十日の、三党の幹事長間で十二月十一日に合意した内容、すなわち百七十八万円を目指して引き上げること等について、引き続き関係者間で誠実に協議が進められているというふうに承知をしております。

田村(智)委員 今、物価高騰にと言いましたけれども、物価高騰はそのまま消費税に反映するんですよ、一番は。総理、うなずいておられる。

 お米が高い、そこにかかる消費税も重くなるわけですよ。食料品の値上げは止まりません。つまり、この赤い部分、今でも重い負担の部分がもっともっと重くなっていくということになるわけです。

 だから、今、生活を守るための税制をどうするのかということの議論がなされるべきなのに、この青い部分の所得税のところの課税最低限の引上げだけに議論がフォーカスされていることを、私は、これでいいのかというふうに大きな疑問を抱かざるを得ないんです。

 総理はそこをうなずいておられた。そう思いますよね、一番重いのが消費税なんですから。いかがですか。

石破内閣総理大臣 物価が上がれば、消費税というものもそれにつれて御負担が増えるということは、それは事の当然なのであって、それについて同意をしたというのは当たり前のことでございます。

 複数税率というものを何のために設けたかといえば、そういう御負担を減らすために設けておるものでございますし、あわせまして、いかにして低所得の方々の給付を増やすかということで今度の予算も編成をさせていただいております。御負担を上回る給付というものをやっていかなければ、低所得者の方々に対する支援にはなりません。そういうことによく配意をして今回の予算を組ませていただいております。是非とも御賛同賜りますようお願い申し上げます。

田村(智)委員 今、消費税の負担が重い、しかも物価高騰がなされればますます重くなるということを総理も認めた。

 私は、もう一つ問題を指摘したいんです。このパネルをもう一度見てほしいんですね。

 所得税、住民税の負担割合というのは、年収に応じて累進性、階段がはっきりと認められます。しかし、消費税を含めた税全体の負担率を見ますと、年収二百万円以下、また二百一万円から三百万円の世帯で一〇・八%、年収七百万円のところでも一〇・八%、八百万円でも一〇・九%。税負担の累進性が全くなくなっている。

 総理、これはどう思われますか。累進性、全然ないでしょう。一千万ぐらい近くになるところまで、ほぼ累進性はないんですよ。総理の認識を伺いたい。

加藤国務大臣 これは、その他のところがどうやって計算されたのかちょっと分かりませんので。

 それ以外のところを見れば、その他を除けば、消費税と住民税と所得税だけ見る限りには、右に向かって負担率が上がっているというふうに見えるわけでありますけれども、その他の税をどういうふうに計算されたか分かりませんので、ちょっとこれ以上コメントできないと思います。

田村(智)委員 これはたばこ税とか、つまり、そういう物品、物を買ったときの税金がほぼここに入ってくるんですよね、酒税とか。そうすると、結局、税負担全体ですよ。累進性を失わせているのは、圧倒的に消費税なんですよ。

 総理、累進性が全くない、これはどう思われますか。総理の認識を伺いたい。

石破内閣総理大臣 消費税の持つ再分配機能にも是非御注目をいただきたいと思っております。

 それは、累進性というものがなかなか利きにくい、そういう性質は持っております。それはむしろ、直接税でございます所得税等々の累進課税ということで発現をされる効果でございます。むしろ、それでいただきました税を、再分配機能を発揮いたしまして、所得の低い方々に多く給付をする。本来、社会保障というのはそういうものだと私は認識をいたしております。

田村(智)委員 税の累進性というのは大変重要な問題ですよ。それは、負担能力に応じた税負担を実現するというものです。それは、憲法二十五条、生存権を税制の面から保障する、そのための原則ですよ、税の累進性というのは。

 ところが、消費税の逆進性が余りにも強くて、税負担の累進性が失われている。これを総理は全く問題がないというふうに言われるんですか。

加藤国務大臣 そこは、要するに所得再配分をどうやってやるかというお話だと思います。(発言する者あり)

安住委員長 静粛に。

加藤国務大臣 確かに、もちろん所得税等で累進性を入れているという、税の中でのそういった所得配分というのもあります。

 しかし、あわせて、支給における、要するに給付における配分というのもあるわけでありまして、そこは、先ほど総理がおっしゃった、消費税そのものは逆進性ということがありますけれども、軽減税率を入れていること、また、そうしたことを財源として、生活の厳しい方等に対する福祉的な支出もしている。この全体を見て判断すべきことというふうに考えます。

田村(智)委員 税制の在り方としても答弁できないじゃないですか。累進性がこんなに奪われている、これが問題ないなんという認識は、これはとんでもないことですし、それも言えないですよね。

 問題は、社会保障ということが先ほどから繰り返されているんですけれども、医療も介護も年金も、国民の負担というのは重くなるばかりです。先ほども言ったとおり、低所得の人ほどその負担というのは重くなる。重い、本当に重くなっている。

 これまで示したように、この赤い消費税の負担が税の負担としては最も重い。しかも、その逆進性が税負担の公平性を著しく損なっている、累進性を失わせている。

 こういうふうに考えますと、消費税の減税こそ、私は議論すべきだと思う。総理、いかがですか。

石破内閣総理大臣 先ほど来注意して答弁申し上げておりますが、急速に進む少子高齢化社会に対応するための財源を、所得税とか法人税とか、もちろん基幹三税でございます、貴重な財源ですが、それが景気の動向によって振れ幅が余りに大き過ぎるということでございまして、社会保障を、税金が入ってきたから厚く、入ってこないから少なく、そんないいかげんなことはできません。安定的な財源という意味で、私どもは、消費税の重要性というのは減ずることはないと思っております。

 先ほど財務大臣から答弁申し上げましたように、給付の面におきまして、いかに低所得の方に厚くするかということに極めて強く配意をしたのが今回の予算でございます。

田村(智)委員 いや、低所得者の方への配慮なんか本当にないですよ。高額療養費の引上げまでやろうとしているじゃないですか。もう社会保障ということを私は言い訳にするのはやめるべきだと思うんです。

 そして、実は総理自身がこのことを問題にされているんです。二〇二二年に総理は著書で、消費税を導入した当時は所得水準に今のような格差がなかったというふうに指摘をして、次のように述べています。

 現在の経済格差を前提としたとき、消費税導入当時のままの考え方でいいのだろうかという疑問が生じるようになりました。格差が大きいと、消費税はその逆進性が顕在化します。結果として低所得者に厳しい制度になってしまってはいないかという疑問が生じるのです。消費税についての議論もタブー視してはいけないだろう。

 これは総理が言っていることです。そのとおりだと思います。タブー視しないで議論すべきではないですか。

石破内閣総理大臣 著書を精読いただきまして、誠に恐縮であります。

 それは、消費税というものを導入したときからこの議論はございます。ずっとその話を私どもはいたしてまいりました。これが一〇%になりました。格差がかつてに比べれば、つまり、導入した平成元年に比べれば広がったこともまた事実でございます。私どもとして、どのようにして所得の格差を縮めていくかということをまず議論をしていかねばならないと思っております。だからこそ、物価上昇を上回る賃上げということ、そしてコストカット型経済からの脱却ということを申し上げているのでございます。

 消費税の持っておる問題点をいかにして越えていくかというときに、まず大切なことは、所得を拡大する、格差を是正する、全部の労働者の四割の非正規が正規労働者の六割の所得しか得られていない、こういう状況を打破するということで、私どもとしては政策を集中しておるところでございます。

田村(智)委員 第二次安倍政権で消費税は二度にわたって増税されて、同時に法人税率が引き下げられたんですよ。二〇二三年度だけで、大企業向けの減税、税優遇は十一兆円にもなるわけですよ。ここにメスを入れて、超富裕層への応能負担を徹底すれば、消費税五%減税というのは十分にできるわけです。

 総理は、昨年夏に出版した著作でもこう言っているんです。「法人税減税にめぼしい意義は見出せず、もしも経済的格差の拡大を是正する方向性を考えるのであれば、消費税の逆進性をどう軽減するかを議論すべきではないでしょうか。」こう述べているんですよ。そのとおりなんです。

 本当に、今、累進性が失われ、これだけの逆進性が表れている消費税が、減税に指一本触れてはならないと、社会保障を持ち出して、議論することさえ封じる、私はそれはおかしいと思う。

 今こそ議論すべきではないですか、総理。

安住委員長 石破内閣総理大臣、時間が間もなく参りますので、簡潔にお願いします。

石破内閣総理大臣 御精読に心から感謝を申し上げます。

 でありますから、どのようにして格差を埋めていくかということを考えていかなければなりません。そして、法人税は本当に今のままでいいだろうか。ですから、私はさっき受益という言葉を使いませんでした。給付という言葉を使いました。それが利益だとか、そういうふうに考えるから、私は考え方を間違えるんだと思っております。

 大切なのは、今まさしく委員御指摘のように、応能負担というものをもっときちんと考えましょうということでありまして、その応能負担の在り方は、法人税におきましても所得税におきましてもそうでございます。

 消費税の場合に、なかなかその概念が入り込む余地が少ないのでございますが、そうであるだけに、直接税におきまして、応能負担の役割というのは更に議論が必要だと思っております。

安住委員長 田村さん、時間が来ましたので、終わってください。

田村(智)委員 何度も指摘しますけれども、これは私たちが初めて出した資料なんですよ、逆進性、そして、累進性が全くなくなっているという。財務省に求めても、この資料は出してもらえなかった。だから、私たちは初めて、これを徹底的に計算をして出したんですよ。

 これだけ逆進性が強いのは、応能負担を崩しているのは消費税だ、減税に向けてここの議論こそやるべきだ、そのことを強く申し上げまして、質問を終わります。

安住委員長 これにて田村さんの質疑は終了いたしました。

 次回は、来る二十五日午前八時四十五分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会


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