第16号 令和7年2月26日(水曜日)
令和七年二月二十六日(水曜日)委員長の指名で、次のとおり分科員及び主査を選任した。第一分科会(皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、デジタル庁、復興庁及び防衛省所管並びに他の分科会の所管以外の事項)
主査 牧島かれん君
河野 太郎君 西銘恒三郎君
安住 淳君 今井 雅人君
池下 卓君
第二分科会(総務省所管)
主査 田所 嘉徳君
寺田 稔君 平沢 勝栄君
大西 健介君 本庄 知史君
三木 圭恵君
第三分科会(法務省、外務省及び財務省所管)
主査 山下 貴司君
稲田 朋美君 井上 信治君
岡本あき子君 米山 隆一君
橋本 幹彦君
第四分科会(文部科学省所管)
主査 高木 啓君
山田 賢司君 藤岡たかお君
早稲田ゆき君 大森江里子君
田村 貴昭君 緒方林太郎君
第五分科会(厚生労働省所管)
主査 深澤 陽一君
国光あやの君 後藤 茂之君
黒岩 宇洋君 山井 和則君
浅野 哲君
第六分科会(農林水産省及び環境省所管)
主査 小林 茂樹君
土屋 品子君 川内 博史君
近藤 和也君 徳安 淳子君
赤羽 一嘉君
第七分科会(経済産業省所管)
主査 齋藤 健君
伊藤 達也君 古屋 圭司君
奥野総一郎君 酒井なつみ君
西田 薫君
第八分科会(国土交通省所管)
主査 河西 宏一君
田中 和徳君 谷 公一君
神谷 裕君 階 猛君
長友 慎治君 櫛渕 万里君
令和七年二月二十六日(水曜日)
午前八時五十九分開議
出席委員
委員長 安住 淳君
理事 井上 信治君 理事 齋藤 健君
理事 牧島かれん君 理事 山下 貴司君
理事 岡本あき子君 理事 奥野総一郎君
理事 山井 和則君 理事 三木 圭恵君
理事 浅野 哲君
伊藤 達也君 稲田 朋美君
岩田 和親君 大空 幸星君
国光あやの君 河野 太郎君
國場幸之助君 後藤 茂之君
小林 茂樹君 高木 啓君
田所 嘉徳君 田中 和徳君
谷 公一君 土屋 品子君
寺田 稔君 西田 昭二君
西銘恒三郎君 丹羽 秀樹君
平口 洋君 平沢 勝栄君
深澤 陽一君 古屋 圭司君
山田 賢司君 井坂 信彦君
今井 雅人君 おおたけりえ君
おおつき紅葉君 大西 健介君
岡田 華子君 神谷 裕君
川内 博史君 黒岩 宇洋君
近藤 和也君 齋藤 裕喜君
酒井なつみ君 階 猛君
篠田奈保子君 長友よしひろ君
橋本 慧悟君 藤岡たかお君
本庄 知史君 米山 隆一君
早稲田ゆき君 青柳 仁士君
池下 卓君 徳安 淳子君
西田 薫君 馬場 伸幸君
長友 慎治君 西岡 秀子君
橋本 幹彦君 日野紗里亜君
福田 徹君 赤羽 一嘉君
大森江里子君 河西 宏一君
浜地 雅一君 大石あきこ君
櫛渕 万里君 赤嶺 政賢君
田村 貴昭君 緒方林太郎君
福島 伸享君
…………………………………
内閣総理大臣 石破 茂君
法務大臣 鈴木 馨祐君
外務大臣 岩屋 毅君
財務大臣 加藤 勝信君
文部科学大臣 あべ 俊子君
厚生労働大臣 福岡 資麿君
農林水産大臣 江藤 拓君
経済産業大臣 武藤 容治君
国土交通大臣 中野 洋昌君
環境大臣 浅尾慶一郎君
防衛大臣 中谷 元君
国務大臣
(国家公安委員会委員長) 坂井 学君
国務大臣
(新しい地方経済・生活環境創生担当) 伊東 良孝君
財務副大臣 横山 信一君
政府参考人
(内閣官房グローバル・スタートアップ・キャンパス構想推進室内閣審議官) 藤吉 尚之君
政府参考人
(内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官) 岩間 浩君
政府参考人
(内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官) 北尾 昌也君
政府参考人
(内閣府知的財産戦略推進事務局次長) 守山 宏道君
政府参考人
(内閣府宇宙開発戦略推進事務局長) 風木 淳君
政府参考人
(こども家庭庁成育局長) 藤原 朋子君
政府参考人
(こども家庭庁支援局長) 吉住 啓作君
政府参考人
(総務省自治行政局選挙部長) 笠置 隆範君
政府参考人
(法務省民事局長) 竹内 努君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 林 美都子君
政府参考人
(外務省総合外交政策局長) 河邉 賢裕君
政府参考人
(外務省欧州局長) 北川 克郎君
政府参考人
(外務省経済局長) 片平 聡君
政府参考人
(文部科学省大臣官房学習基盤審議官) 日向 信和君
政府参考人
(文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長) 笠原 隆君
政府参考人
(文部科学省総合教育政策局長) 茂里 毅君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 望月 禎君
政府参考人
(文部科学省高等教育局長) 伊藤 学司君
政府参考人
(文部科学省科学技術・学術政策局長) 井上 諭一君
政府参考人
(文部科学省研究開発局長) 堀内 義規君
政府参考人
(スポーツ庁次長) 寺門 成真君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官) 内山 博之君
政府参考人
(厚生労働省健康・生活衛生局長) 大坪 寛子君
政府参考人
(厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部長) 鷲見 学君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局長) 日原 知己君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長) 野村 知司君
政府参考人
(厚生労働省老健局長) 黒田 秀郎君
政府参考人
(厚生労働省保険局長) 鹿沼 均君
政府参考人
(厚生労働省年金局長) 間 隆一郎君
政府参考人
(厚生労働省政策統括官) 朝川 知昭君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 宮浦 浩司君
政府参考人
(農林水産省農産局長) 松尾 浩則君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 杉中 淳君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 井上誠一郎君
政府参考人
(経済産業省イノベーション・環境局長) 菊川 人吾君
政府参考人
(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長) 伊藤 禎則君
政府参考人
(資源エネルギー庁資源・燃料部長) 和久田 肇君
政府参考人
(資源エネルギー庁電力・ガス事業部長) 久米 孝君
政府参考人
(中小企業庁経営支援部長) 岡田 智裕君
政府参考人
(国土交通省大臣官房上下水道審議官) 松原 誠君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 山本 巧君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 五十嵐徹人君
政府参考人
(環境省水・大気環境局長) 松本 啓朗君
政府参考人
(防衛省大臣官房長) 萬浪 学君
政府参考人
(防衛省整備計画局長) 青柳 肇君
政府参考人
(防衛装備庁長官) 石川 武君
予算委員会専門員 中村 実君
―――――――――――――
委員の異動
二月二十六日
辞任 補欠選任
高木 啓君 丹羽 秀樹君
田所 嘉徳君 岩田 和親君
平沢 勝栄君 平口 洋君
深澤 陽一君 西田 昭二君
大西 健介君 おおたけりえ君
酒井なつみ君 岡田 華子君
藤岡たかお君 井坂 信彦君
米山 隆一君 おおつき紅葉君
徳安 淳子君 青柳 仁士君
西田 薫君 馬場 伸幸君
長友 慎治君 西岡 秀子君
橋本 幹彦君 日野紗里亜君
河西 宏一君 浜地 雅一君
櫛渕 万里君 大石あきこ君
田村 貴昭君 赤嶺 政賢君
緒方林太郎君 福島 伸享君
同日
辞任 補欠選任
岩田 和親君 田所 嘉徳君
西田 昭二君 國場幸之助君
丹羽 秀樹君 大空 幸星君
平口 洋君 平沢 勝栄君
井坂 信彦君 藤岡たかお君
おおたけりえ君 大西 健介君
おおつき紅葉君 米山 隆一君
岡田 華子君 齋藤 裕喜君
青柳 仁士君 徳安 淳子君
馬場 伸幸君 西田 薫君
西岡 秀子君 福田 徹君
日野紗里亜君 橋本 幹彦君
浜地 雅一君 河西 宏一君
大石あきこ君 櫛渕 万里君
赤嶺 政賢君 田村 貴昭君
福島 伸享君 緒方林太郎君
同日
辞任 補欠選任
大空 幸星君 高木 啓君
國場幸之助君 深澤 陽一君
齋藤 裕喜君 橋本 慧悟君
福田 徹君 長友 慎治君
同日
辞任 補欠選任
橋本 慧悟君 篠田奈保子君
同日
辞任 補欠選任
篠田奈保子君 長友よしひろ君
同日
辞任 補欠選任
長友よしひろ君 酒井なつみ君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
令和七年度一般会計予算
令和七年度特別会計予算
令和七年度政府関係機関予算
――――◇―――――
○安住委員長 これより会議を開きます。
令和七年度一般会計予算、令和七年度特別会計予算、令和七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
この際、お諮りいたします。
三案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房グローバル・スタートアップ・キャンパス構想推進室内閣審議官藤吉尚之君外四十五名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○安住委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○安住委員長 本日は、教育、社会保障等についての集中審議を行います。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。岩田和親君。
○岩田委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の岩田和親です。
本日二月二十六日、予算委員会のトップバッターを務めさせていただくことに感謝を申し上げながら、質問を始めさせていただきます。
まず、予算修正と教育の無償化についてお伺いをいたします。
昨日二十五日に、自民党、公明党、維新の三党間で協議をされてきた教育無償化を始めとする予算修正案について、正式に合意がなされました。
まず、与党の責任として予算の成立を第一の目標と定めて、大変厳しいこの協議を進めてこられた、その御苦労に敬意を表したいと思います。ただ、私も、少数与党のもどかしさ、苦しさというものを与党の国会議員の一人として感じているということを強く申し上げておきます。
この合意の内容によって、経済的に助かったと歓迎をする子育て家庭も多いだろうと思います。親の所得にかかわらず教育の機会を保障して、格差を解消するという課題については前進したと言えます。
その上で、二点申し上げます。
第一点は、今回の教育無償化が論点となったことが教育全体の議論にも広がっているという点です。
今回の高校無償化については、無償化によって、大阪府や東京都の例にもあるように、私立に人気が集まり、公立が定員割れするようなことにならないのか、私立の授業料の値上げなどを招くのではないか、公立と私立のそれぞれの役割が曖昧になるのでは、特徴を持って取り組んできた私立のよさが失われるのではないか、都会と地方では高校の環境が異なります、地方において十分な効果はあるのか、都会と地方との不公平感はないのか、そもそも、所得制限をなくして無償化することがどのように生徒の学習意欲と学力向上につながり、人間性を育むことになるのか、説明が不十分ではないのかなどの意見があり、この予算委員会でもそういった質疑がなされております。ここで各論を議論することはいたしませんが、こういった疑問にきちんと答える必要があると考えております。
さらには、教育の議論が無償化だけではないことを明確にして、骨太の議論を行い、今の時代に必要な教育の在り方を指し示すことも重要です。まず、教育目的として、真理と正義を愛し、個人の価値を貴び、勤労と責任を重んじ、自主的精神に満ちた人間性豊かな人材を育成するという根幹を改めて確認をする必要があります。
そして、時代の変化に対応した議論も必要です。好むと好まざるとにかかわらず、これから生成AIが社会経済活動の様々な面に入り込んでくる時代において、どのような人材が求められるのかを徹底的に議論しなければなりません。これからも日本が技術を中心とした先進国として世界で存在感を示し続けるために必要な人材育成、こういったテーマの議論も重要です。
第二点は、修正予算の内容について、真正面からの説明を尽くしていただきたいということです。
元々、予算は、様々な国民の声を聞き、自民党の中でも徹底した議論を重ねた結果として組み上げたものです。その積み上げの重さを考えても、そして、その予算の政策実行を待ち望んでいる国民がいることを考えても、徹底した説明が求められます。
衆議院の予算採決を目指す時期は間近です。今回の合意によって、予算修正案がどのような内容になるのか、何が追加され、何が削減されるのか、どう財源を確保したのかを含めて、総理、国民への真っ正面からの説明を是非お願いをいたします。
また、ほかの政党との協議も続いていると認識をしており、最終的な修正の姿が見えていないとも言えます。限られた時間の中で、納得と共感を得るために説明を尽くす責任が、総理、あると思います。
また、教育についても、高校無償化だけで教育が抱える様々な課題を解決できるわけではないということを踏まえて、無償化のメリット、デメリットを精査をすること、ひいては、今回を一つの大事な機会と捉えて、将来予測が難しい今の時代においてあるべき人材とはどういうものなのか、日本の教育がこれからどのような方向を目指すのか、この骨太の教育議論に一定の方針を示すべきだと考えます。
総理、お考えをお伺いします。
○あべ国務大臣 高校教育の無償化についての所管大臣から、まず答弁をさせていただけたらというふうに思います。
昨日二十五日火曜日、自民党と公明党、日本維新の会の三党において合意文書が取り交わされたということは承知をしているところでございます。
この合意文書の中におきましては、いわゆる高校の無償化について、全ての若い世代に対して多様で質の高い教育を実現するとともに、特に経済的事情による教育格差を是正するなどの観点から、今般の改革を実現するというふうにされているところでございます。
また一方、都会と地方の問題、公立と私立の役割の問題、人口減少の中において、人づくりこそ国づくりという中において教育の質の問題をどう捉まえていくかなど、大きな課題があるところでございますが、文部科学省といたしましては、合意内容を踏まえまして、令和七年度における具体的な制度設計を速やかに検討していきたいというふうに考えているところでございます。
以上です。
○石破内閣総理大臣 御指摘ありがとうございました。
私どもとして、合意を受けまして、骨太方針二〇二五の策定までに大枠をお示しした上で、令和八年度予算編成過程において成案を得て実現したいと思っております。
内容は報道のとおりでございますが、改めて申し上げますと、令和八年度から、収入要件を撤廃する、私立加算額を四十五万七千円に引き上げる。それに先立ちます先行措置として、令和七年度分について、全世帯を対象とする支援金十一万八千八百円、この支給につきまして収入要件を事実上撤廃する。あわせまして、低中所得層の高校生等の奨学給付金の拡充、公立高校などへの支援の拡充を行うということが三党で合意をなされたところでございます。
問題は、収入の多寡によって教育に格差があってはならない、それはそのとおりです。そして、都市と地方において格差があってはならない、そのとおりです。もう一つは、確かに収入の多寡によって教育に差がないというようにする、それが今回の主眼だと思っておりますが、もう一つは、委員御指摘のように、いかにして質を上げるかということであります。卒業証書さえもらえればいいというものではありませんので、いかにして教育の質を高めていくか、どれだけ理解度を進めていくか。
もう一つは、農業高校であり工業高校であり商業高校であり、そういうところの教育というものを更に充実をさせていきたいというふうに考えております。そこにおいて質の高い教育を受けられるということ、今回それも目指していかねばならないことだと思っておりまして、課題は幾つもございます。
御指摘を踏まえて、政府として、これから先よくよく議論して、お示しをしてまいりたいと考えておるところでございます。
○岩田委員 御答弁ありがとうございます。
特に、時代が大きく変化する中で求められる人材、AI時代の中での大事な教育の在り方、こういった点をしっかり御議論いただきたいということを重ねて申し上げておきたいと思います。
次に、エネルギー政策についてお伺いをいたします。
先日、第七次エネルギー基本計画が閣議決定をされました。エネルギーの安定供給、これは国家の至上命題です。資源が十分でない日本にとっては、過去も現在もエネルギーをいかに確保するか、これが最優先の課題であります。
ロシアによるウクライナへの侵略、また中東情勢など地政学リスクがあり、生成AIの発展などに伴って、データセンターを多数国内に設置することが必要となる中、電力需要の大幅な増加が予想されています。
こういった背景の中で、再生可能エネルギーと原子力を、エネルギー安全保障に寄与し脱炭素効果の高い電源として最大限活用すると位置づけられた今回のこの計画、これは私は大いに評価できるものと考えております。そして、これらの電源を拡大していく上での課題に着実に取り組んでいただきたい、このようにお願いします。
その大きな課題が、投資へのファイナンス、ここに一つあると思います。二〇四〇年のエネルギー需給見通し、原子力が二割程度、そして火力が三割から四割程度と示されております。こういった電源構成を目指すためには、大規模な電源投資に円滑なファイナンスがつくようにしなければなりません。
電力会社等の事業者に対して、大規模かつ長期の投資を実現するのに必要なファイナンス環境をいかに整備をしていくのか、経済産業大臣にお伺いします。
○武藤国務大臣 岩田委員から質問をいただきました。経産部会長もおやりになって、いつも汗をかかれて、今、国防部会長ですか、また、総合エネルギー調査会の幹事としていろいろ御尽力をいただいていることに感謝を申し上げたいと思います。
今委員がおっしゃられるとおり、七次のエネルギー基本計画、まさに脱炭素電源の最大限の活用を掲げているところであり、そのためには、長期にわたり大規模に再エネや原子力、系統設備への投資を継続していく必要がある、まさに委員と同じ意識を共有しているところです。
また、こうした大規模投資は費用の回収に長期間を要する、事業者にとっては、将来的な収入の不確実性が大きい事業環境の下で資金調達が難しい、こういう御指摘があるところであります。今般、基本計画に、こういうことで、事業の予見可能性を確保するための制度的措置あるいは市場環境の整備に加えて、公的な信用補完の活用であるとか政府の信用力を活用した融資など、脱炭素投資に向けたファイナンスを円滑化する方策を検討していくことも明記してあるところであります。
既に金融機関などの関係者とも問題意識を共有し、具体策について議論を進めているところでありまして、早期に成案を得て、ファイナンス環境の整備を実現していきたいと思っております。
○岩田委員 是非しっかりと、この計画に基づいた取組、エネルギー安全保障を進めていただきたいと思います。
次に、日米間の貿易についてお伺いをいたします。
先般行われました日米の首脳会談、総理は、日本の国益を第一に、最善を尽くされたものだと敬意を表したいと思います。
しかし、その会談の後、アメリカ政府は関税に関する様々な政策を打ち出してきました。特に、今回指示された相互関税導入に関しては、関税だけではなく非関税障壁を対象として調査するとされており、万全の体制で対応しなければならないと考えます。これは恐らく自動車関連のことを指していると思われますが、日本の安全や環境の基準は、必要性に応じて国が責任を持って定めたものであり、外国との交渉の材料に使うような性格ではありません。
こういった中で、まず御質問いたしますが、もし米国が非関税障壁を主観的に設定をして我が国に譲歩を強いてきた場合、どのように対応していくのか、外務大臣にお聞きします。
○岩屋国務大臣 御指摘の、米国による相互関税の導入に関する発表については承知をしております。
米国政府には我が国が対象になるべきではないということを伝えておりまして、今意思疎通を行っているところでございます。最終的にどういう形になってくるのかということを見極めませんとなかなか評価ができないわけですけれども、我が国への影響を十分に精査しながら、適切に対応していきたいというふうに考えております。
○岩田委員 ありがとうございます。
確かに、この関税に関してもそうですが、政策がまだ全て出し尽くされているというふうにも私も思っていないところであります。今後もしっかりと捉まえながらやらなければいけませんけれども。
このアメリカによる関税の大幅な引上げ、これは、自動車やそのサプライチェーンを始めとして、様々な産業にとって相当な影響を与えるおそれがあります。そしてまた、四月という、こういったスケジュールをアメリカが切っているわけでありますが、限られた期間の中で国益を懸けた交渉を行わなければならず、総理の強い指導力が必要不可欠である、このようにも考えます。
この点、最初の首脳会談でトランプ大統領との良好な関係のスタートを切った石破総理には、日本の国益を第一にしながらもアメリカにとってもウィン・ウィンとなるような交渉を、省庁横断の、政府を挙げたワンチームで指揮を執って、そしてこれを成し遂げるものだと期待をしているところであります。
交渉に向けた責任者としての決意、そして覚悟を石破総理にお伺いします。
○石破内閣総理大臣 御指摘のとおりであります。我が国の国益をきちんと確保しなければ、何でも相手の言うことをのんでいれば関係は良好かもしれませんが、そんなものは外交とは言わないのであって。
例えば、委員が今御指摘になった中で、非関税障壁というものに主観的要素が入っていいはずはないということでございます。自動車であれば安全基準が高過ぎるじゃないかということを言いますが、一体何が高いんだと。高いことによって、日本の交通事故死というのは随分減ってきたわけでございます。じゃ、それを数値化するとすれば、一体どういうような基準で数値化がなされるのかということも、私どもは、拝みます、頼みますではなくて、きちんとした数字をもって議論をしていかねばならないということでございます。
ただ、鉄鋼等について申し上げますと、日本の高い技術でもってこれが連携していくということで、より大きな利益というものを日米のみならず世界中に広げていくことができるのではないかということでございます。アメリカだけの国益、日本だけの国益ということではなくて、両方が融合していくということによって、世界にもっと大きな利益をもたらすことができるのではないか。
あるいは、ガスの輸入にしても、日本はエネルギーの自給率がこれだけ低いわけで、それの安定供給というものが図られるということは、アメリカにとっても日本にとっても国益となるものでございます。
そういうことを日本の有権者、納税者の皆様方にきちんとお示しをする形で今後進めてまいりたいと考えております。
○岩田委員 是非、この交渉、力強いリーダーシップを発揮していただきたいと重ねてお願いをいたします。
それでは次に、公衆衛生についてということで御質問をいたします。
新型コロナウイルスの感染拡大、これは日本の広範囲にわたって様々な影響を与えました。その教訓を今後に生かしていかなければなりません。次なる感染拡大は必ずやってくるとの認識の下、新型インフルエンザ等対策政府行動計画を中心に、国全体の様々な分野の対策を進められていることと承知をしております。そして、その対策の基本に、パンデミック時におけるワクチンの確保と速やかな接種が位置づけられております。
パンデミックのときに、速やかにワクチンを生産確保して接種体制を構築するに当たって危惧していることは、ワクチン接種に対する疑念や懸念の論が一部で根強くあるという点です。
今回、新型コロナワクチンの接種の初期は、接種体制が整備されるに伴って多くの国民が接種をされたと認識をしております。しかし、仮に今、次のパンデミックが発生をした場合、このような論があるわけですので、この一部の人々が接種を拒否する可能性があります。このことは、個人の健康や命にも、また公衆衛生にとっても影響が出るのではと危惧をしております。また、国内においてリスクを負いながらワクチンの研究、製造をする事業者が現れなくなることも考えられます。
そこで、お尋ねをいたします。
そもそも、科学的見地に立って、この感染症拡大におけるワクチン接種はなぜ必要なのかということを前提として、ワクチンの有用性や接種の必要性について、この情報発信を現状を踏まえてどのように取り組んでいくのか、厚生労働大臣にお聞きをいたします。
○福岡国務大臣 お尋ねのパンデミック時のワクチン接種につきましては、個人の感染、発症、重症化を予防し、国民の方々の健康を守る意義に加えまして、疾病の発生及び蔓延を抑えることによりまして、医療の安定的な提供体制の維持であったり、また、社会経済活動への影響を最小限にとどめるといった意義があるというふうに考えております。
このため、厚生労働省におきましては、昨年七月に全面改定されました、御紹介があった新型インフルエンザ等対策政府行動計画にのっとって、平時から、緊急時におけるワクチンの迅速な開発、供給を可能にするため、必要な施策に取り組むとともに、自治体や医療関係者と連携し、有事の接種の具体的な体制や実施方法について必要な準備を行っているところでございます。
加えまして、情報発信が大変重要じゃないかという御指摘がございました。その点については大変重要だと考えております。
このため、厚生労働省のホームページにおきまして、科学的根拠に基づくワクチンの有効性、安全性などに関する情報を公開しております。また、様々な媒体を活用いたしまして、正確な情報の提供であったり発信を行い、分かりやすく丁寧にお知らせをするように努めております。
さらに、例えば新型コロナワクチンにつきましては、日本感染症学会などの関係三学会が高齢者の方々に対する定期接種を推奨する見解を公表してございますが、こうした学会等のアカデミアとも連携した情報発信も重要であるというふうに考えております。
委員の御指摘もありましたように、引き続き、こうした科学的知見に基づく情報提供に努めてまいりたいと考えています。
○岩田委員 せっかく体制を整えても、それがしっかりと実行できる、そのような国民の理解をまた深めていただきたいとお願いをいたします。
次に、農林水産業について御質問いたします。
まず、ちょっと農業について触れたいと思いますが、第一次産業の振興、これは、すなわち地方創生の基本であると言っても過言ではありません。農林水産業の各産業が持続可能な形で続けていけるということは、その地域に人が暮らして地域社会を維持するためにも不可欠であります。
そういった中、農業政策について、地元佐賀でも注目をされています。特に、水田の政策の見直しに関しては、米とともに麦、大豆の一大産地である佐賀としては、食料の安全保障に資する生産支援の制度と予算確保を求める声が大きくあります。今回、時間の制約もあり、要望にとどめておきますが、是非、農業に希望が持てる内容にしていただきたいとお願いをいたします。
そして、有明海の再生についてお聞きをします。
有明海のノリ漁、今年も厳しい状況であると地元の切実な声を聞いております。一昨年、昨年と有明海の環境が不安定化していることにより、不作が続いておりました。今年こそはと、こういう思いで今期のノリ漁が始まりましたが、最新の二月二十日のノリの入札、例年の同時期と比べて半数以下の枚数だということです。
漁業者によりますと、十二月頃からほとんど雨が降らない天候が続いたことで栄養塩が低下をし、昨年までは比較的安定をしていた東部の海域でもノリの色落ちがひどくなっている。また、栄養塩が低下をしていてもプランクトンが発生をし続けるなど、環境が悪化しているとの話です。
全国的なノリの不足で単価は高いとはいうものの、三年連続の不作の可能性が高くなってきており、漁業者を始め関係者は、全国随一のノリの産地が続けていけなくなるのではないかと大きな危機感を持っております。
そこで、環境悪化の原因究明そして解決策についてお聞きをいたします。
様々な取組を進めていただいていることに感謝を申し上げますが、やはりこの一番基本的なところは有明海の再生であります。有明海・八代海等再生評価支援事業を行い、赤潮の発生による被害などについて調査や科学的知見の収集をされていただいておりますが、今こそ、有明海の再生に向けた、海の環境の悪化のメカニズムを解明をし、そしてその改善への取組を実現をしていく、結果を出していく、このことを是非お願いをしたいと思います。環境大臣の御所見をお伺いします。
○浅尾国務大臣 お答えいたします。
有明海及び八代海等では、ノリの色落ちや二枚貝の減少、赤潮による漁業被害等が発生しており、地域の人々が将来に明るい展望を持てるよう、豊かな海として再生することは大変重要な課題であります。このため、水温上昇等に対応したノリ養殖技術の開発、二枚貝の食害対策や赤潮対策、汚濁負荷量の削減等の再生方策を関係省庁や自治体等で連携協力して取り組んでおります。
環境省としても、有明海、八代海再生特措法に基づく総合調査評価委員会による継続的な再生の評価を通じ、関係者間の連絡、連携を密にして、一体的な再生方策がより一層進むよう、引き続き積極的に取り組んでまいります。
○安住委員長 岩田君、間もなく時間ですから、まとめてください。
○岩田委員 時間ということでありますので、準備をしておりました先端分野におけるイノベーションであったり、又は、中小企業においていかに手取りを増やしていくのか、こういった点に関しての質問はまた次の機会にというふうに思っております。
しっかりやっていただきたいとお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。
○安住委員長 この際、丹羽秀樹君から関連質疑の申出があります。岩田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。丹羽秀樹君。
○丹羽委員 自民党、駆け出し中の七期生の丹羽秀樹でございます。
本日は、質問をさせていただく機会をいただきまして、本当にありがとうございます。
安住委員長におかれましては、昨日お会いして以来でございまして、大変御無沙汰いたしております。各委員の皆様方におかれましては、しばらく御質問におつき合いいただければ大変ありがたく思っております。
本日は、私の地元、愛知県、名古屋市で来年開催予定でございますアジア大会、パラ大会について、また、高校無償化について御質問させていただきたいと思います。
昨年夏、パリ・オリンピックはまだ記憶に新しいと思っております。このパリ・オリンピック・パラリンピックでは、日本人選手のメダルラッシュに非常に沸き立ちました。東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会では、開催がコロナの下で約一年延期されました。そういった制約もある中、二百を超える国と地域から約一万五千人以上の選手が参加され、大きな感動が生まれたということも非常に記憶に新しいところでございます。
東京二〇二〇大会は、大会の開催を通じて、大きな感動と同時に、共生社会の実現に向けた心のバリアフリー、ユニバーサルデザインの普及、東日本の復興の後押し、また、日本文化の発信による文化観光の推進、さらには、防災、セキュリティーの強化、空港の機能強化、健康、スポーツに関する国民の意識向上、新たな大規模イベントの開催のモデルの創出にもなったというふうに私は思っております。
これらのレガシーを踏まえて、このように、大規模な国際大会は、スポーツの感動を伝えるだけではなく、開催国、開催都市に多くのレガシーを残すという観点からとても意義深いものだというふうに思っております。
そこで、まず文部科学大臣にお尋ねいたします。大規模な国際競技大会を日本で開催する意義について、大臣の御見解をお伺いいたします。
○あべ国務大臣 丹羽委員にお答えさせていただきます。
今日も委員と同じバッジをつけさせていただいております。
また、スポーツの感動、大変大きいものがございまして、我が国におきまして国際競技大会を招致、開催することは、まさにスポーツの振興、また国際親善、共生社会の実現に大きな意義を有するものでございまして、大会でのアスリートの活躍は、多くの国民に喜び、また感動など、大きな活力を与えるものであると考えているところでございます。また、国際競技大会を含むスポーツの持つ価値、また役割は、社会情勢の変化に伴いまして更に増しているというふうに認識をしております。
文部科学省といたしましても、国際競技大会の招致、円滑かつ適切な開催のために必要な支援と協力をしっかりと行ってまいります。
以上でございます。
○丹羽委員 大臣、ありがとうございます。
二〇二六年、愛知県、名古屋市で開催されます第二十回アジア競技大会、また第五回アジアパラ競技大会について、こちらをまたお尋ねしたいんですけれども、我が国のスポーツの発展を語る上で、アジア大会は非常に重要なマイルストーンとなっております。
一九六四年、かつての東京オリンピック、この東京オリンピックの六年前に、実は一九五八年、国立競技場が造られたときでございます。新しい国立競技場で、アジア大会がオリンピックよりも前に開催されたのが最初でございます。アジア大会につきましては、その後、広島でも開催されました。今回は約三十二年ぶりに愛知・名古屋で開催されます。
そこで、アジアパラ大会について、特に我が国でアジアパラ大会は初めてということになっております。アジア大会はオリンピックに次ぐ大規模な国際競技大会とも言われておりまして、東アジア、またアラビア半島の国々まで含めて四十か国以上の参加が予定されておりますし、アジア諸国では関心の高いスポーツの祭典となっております。
大会にはアジア各国から要人の方々も参加されるということも見込まれておりますし、まさにこのアジア大会、パラ大会は、アジア諸国とのきずなを強めていく絶好の機会でもあるというふうに考えております。インバウンドを含めた交流人口を拡大させ、競技会場を始めとした開催地域全体に、経済の活性化、まさにこれは総理がおっしゃっておられる地方創生にもつながるものであるというふうに考えております。
そこで、大きな国際大会におけるアスリートの活躍は、多くの国民に感動や喜び、また大きな活力をもたらします。これはまさに総理が施政方針でも言っておられました楽しい日本にもつながるものではないかというふうに思っております。オール・ジャパンで支援していくことが非常に大事でございます。
開催まで残り一年半となってまいりました。開催都市でもあります愛知県、名古屋市が今責任を持って取り組んでおりますけれども、最近の物価高や社会経済の状況の変動等、様々なことがあります。この二〇二六年アジア大会、パラ大会に政府として支援を打ち出していただきたいというふうに思っておりますが、大臣の御見解をお伺いいたします。
○あべ国務大臣 丹羽委員にお答えさせていただきます。
愛知・名古屋で開催されます、先生のお地元でのアジア競技大会及びアジアパラ競技大会の成功、私も今日はバッジをつけさせていただいておりますが、国際親善、スポーツの振興、また共生社会の実現に大変大きな意義を有するものと考えているところでございます。
文部科学省といたしましては、大会の成功に向けまして、スポーツ振興くじ、また宝くじの収益金を活用いたしました財政の支援、さらには、機運醸成のためのイベントへの協力を始めといたしました大会のPR、スポーツ庁を窓口といたしました関係省庁による連携体制の構築などに取り組んでいるところでございます。
引き続き、両大会の成功に向けて、必要な支援と協力をしっかりと行ってまいります。
以上でございます。
○丹羽委員 ありがとうございます。是非とも御支援をお願いしたいというふうに思っております。
大臣も今日はバッジをつけていただいておりますけれども、大臣がいろいろなバッジをつけられるとスーツが穴だらけになってしまうなんというおそれがあって、私も考えたんですよ。これは磁石でついていて、すぐ取り外せるようになっていまして、非常に便利で、次の大会に向けてまた頑張っていかなきゃというふうに、終わるまではつけておく予定でございます。是非とも御支援をお願いしたいというふうに思っております。
これほど大規模な国際競技大会、こちらを愛知県、また名古屋市周辺で開催することは、先ほど申し上げましたとおり、石破内閣の楽しい日本の実現にもつながるものと考えております。
是非、総理からも、愛知・名古屋で開催されますアジア大会、アジアパラ大会に向けた支援について、御決意をお聞かせいただければありがたいと思います。
○石破内閣総理大臣 政府としても、これは、あえて全力を挙げてと申し上げますが、協力をさせていただきたいと思っております。
閣議了解もございますので、できることには当然限りがあるんですが、例えば関西万博でも、あと四十七日で始まるわけでございます。官邸にお越しになりますと、あと四十七という数字が出ておりまして、ミャクミャク君がしゃべるということに相なっております。幾つかしゃべれるようになって、学習効果も出ておるわけでありますが、どうやって機運を醸成できるかということ。
あるいは、昨日は吉村知事もお越しになり、全国知事会長、宮城県知事もお越しになりましたが、いろいろな団体にお願いをして機運の醸成を図る。これは今回のアジア大会、アジアパラでも一緒だと思って、かなり政府としても勉強させていただいておるところでございますが、いかにして機運の醸成を図るか。
本当に、みんなで一緒にやろう。悪口ばかり言っていても何も始まりませんので、これは楽しいよね、面白いよね、みんなが何ができるのということを機運の醸成に向けて私どもはやってまいりたいと思っていますし、どうすればチケットが簡単に手に入るか。何かいっぱいスマホのキーを押さないとチケットが入らないというのはなかなかしんどいところがございまして、どうすればあらゆる方々が簡単に買えるようになるか。
もちろん、混雑防止ということも考えねばなりません、犯罪に対する抑止ということも考えていかねばなりませんが、本当に、みんなが参加できるよね、そういう意識を持っていただけますように、政府としてパラ大会、アジア大会、応援をしてまいりたいと思っております。よろしくお願いを申し上げます。
○丹羽委員 ありがとうございます。是非、総理からの御支援も、政府全体となって御支援いただきたいというふうに思っております。
スポーツというのはやはり健康につながるものだというふうに思っていますし、健康であれば、やはりまたスポーツも楽しくなる。健康じゃない人も、見るためのスポーツというのがあると思います。
厚生労働大臣も今日はいらっしゃると思いますが、私も、スポーツというわけじゃないですが、ウォーキングが趣味でございまして、かつて、ウォーキングで十三キロ、三か月で痩せまして、随分痩せたんですよ。私の友人の奥さんに話しましたら、友人の奥さんが、乗馬がいいと教えてくれたんですよね。乗馬で一週間で十キロ痩せたというんですよ。馬がですよ、馬が。
次の質問に入ります。高校無償化の意義でございます、高校教育の意義について。がらっと場面が変わります。
まず初めに、今後目指すべき高校の在り方について議論させていただきたいと思います。
昨日、自民党、公明党、日本維新の会、この三党間の高校無償化に関する議論が行われました。また、合意がなされた中で、合意に至るまでの関係者の皆様方に心から敬意を表す次第でございます。
しかしながら、マスコミ報道などを見ても、所得制限の撤廃や給付額の金額の話ばかりで、私は、最も大切な部分が抜けているんじゃないかというふうに思っております。それは、高校教育の意義についてどのように考えているかということでございます。
合意に至る議論について、日本の未来の社会を担う人材育成のためには高校教育がどうあるべきかといった視点がどれほどあったのでしょうか。今後少子化になる日本の国にとって、生産年齢人口の激減期を迎えております。現役世代が働いて高齢世代を支えるような日本型社会保障制度を維持することができるのか。
このような国難を前にして思うのは、人材です。私は、資源のない日本ではなく、人材という資源が豊富にある日本だというふうに思っております。人材の育成と活躍、これなくして日本の未来はないと考えております。そういう意味においても、今回の高校無償化の議論、いいきっかけになるかと思っております。社会全体でどのように人材育成に取り組むかを考えるべきだと思います。
日本には、明治から、国民皆教育、すなわち義務教育制度がしかれております。現代においても、OECD、先進各国のPISAの調査で、国際的にもそのレベルは高く評価されております。しかし、高等教育、特に大学での教育になるとその評価が下がってしまうという、ちょっと残念なことになっております。
この問題を解決するためにも、私は、義務教育と大学教育を結ぶ高校の教育、ここに鍵があるのではないかと思っています。現在約九九%が通う高校教育、この質的充実こそ、子供たちのその後の可能性の開花につながってくるのではないかと思います。高校無償化の議論の本質は、多様で質の高い高校教育を全ての子供たちが望んで受けられるようにするということにあるというふうに思います。
そこで、総理にお尋ねいたします。
高校教育の質や機会均等の話の前に、そもそもの前提となっていく高校教育の意義について、総理はどのように考えておられますでしょうか。
○石破内閣総理大臣 足らざるところは担当大臣からお答えを申し上げますが、学校教育法に意義というのは書いてあるんですよね。それは、義務教育の基礎の上に、一般的な教養を高め、専門的な知識、技能、技術を習得させることなどにより、国家及び社会の形成者として必要な資質を養うと、すごく立派なことが書いてあるわけでございます。
自分自身を省みても、本当にそういうような勉強をしてきただろうかというと、内心、相当にじくじたるところがございます。やはり高校の勉強というのはすごく難しいですから、それをどうやって理解するかは、単に卒業証書をもらえればいいというものじゃありませんので、どれだけきちんと理解をするかということはすごく大事なことだと思っております。
そして、もちろん、一〇〇%どころか、そんなに高くない、五割を超えて、六割ぐらいなんでしょうか、大学とか高専とか専門学校に行くときに、では、高校で学んだことがちゃんと生きているかというと、必ずしもそうでもないと私は思っているのですね。そこに断絶があってはいかぬのであって、仮に大学に行くとするならば、そういうようなことも併せて、受かったところに行きましょうというのもそれはそうなのかもしれませんけれども、自分はあそこの大学に行ってこれを学びたい、そういうような意識もまた併せて必要ではないかと思っております。
また、愛知の高校においていろいろな教育がなされていることかと思いますが、愛知の歴史、尾張の歴史、あるいは、そこにおけるいろいろな考え方、そういうものも、地域でなければ学べないものというのはたくさんあるんだろうと思っております。そして、愛知県、私もよくお邪魔をするのですが、では、愛知県の持っている様々な課題、それはやはり愛知の高校でないと学べないことがたくさんあると思っておりまして、それが地方創生にもつながるものだと思っております。
高校教育、やはり高校に行って楽しいねと子供たちが思ってもらう、そういう教育の新たな姿というものを考えてまいりたいと思っております。
○丹羽委員 ありがとうございます。総理が度々愛知県にもお越しいただいていることを認識いたしております。
高校教育の質の部分でございますが、総理が地方創生大臣時代に、隠岐の島前高校に行かれたというふうに認識いたしております。
御承知のとおり、高校教育につきましては、公立高校と私立高校があります。また、さらには高等専修学校もございまして、私立高校につきましては、建学の精神、創立者の精神というのが非常に多様な高校教育につながっていくと私は思っております。他方、公立高校は、先ほど総理がおっしゃったような、地域の実情などを踏まえて自治体が設置、運営するものでございます。普通科を始めといたしまして、農業、工業、商業、また水産等、様々な専門高校もございますし、進学、そして就職、それぞれの分野で活躍する人材の育成に取り組んでおられます。
ただ、地域が抱える課題は多種多様でございまして、また千差万別でもあるにもかかわらず、最近の公立高校というのは、地域が支えるはずの公立高校が、全国的に似通った学習の取組になっているという一面もあるのではないかというふうに考えております。今後、公立高校が生き残る道は、いかに地域のニーズや課題を踏まえつつ、特色や魅力化を図っていけるかにあると考えております。
これから、ナンバーワンではなくオンリーワンの地域にある高校、また、高校の特色を生かしていくためには、先ほど私もお話ししたとおり、島根県の隠岐島前高校のように、地域と協働によって教育の魅力化に取り組む、大きな成果を上げているという取組もあります。地方創生の観点から注目すべき取組だというふうに思っております。
是非、この隠岐島前高校の取組を総理はどのように評価されておられるか、お聞きしたいと思います。
○石破内閣総理大臣 これは是非、ここにお集いの委員の皆様方も、一度、隠岐島前高校というのは行っていただきたいと思っております。
ここはもう廃校寸前だったんですよね。県立高校ではありますが、生徒が集まらないな、みんな松江とか出雲とかに行っちゃうよな、もう生徒もどんどん減っちゃう。廃校寸前だったときに、時の町長、もう亡くなられましたが、山内さんという大変立派な町長がいらっしゃいまして、ここでなければできない教育をやろうということで、では、東京や名古屋や京都や大阪でなくても、この島でもすごい教育をしてみせるということで始められたものでございます。
そこにおいては、先生の方々の大変な努力もありました。今ではかなり当たり前になりましたけれども、AIを使った、ITを使ったいろいろな教育で、この島でも高いレベルの教育ができるということ。もう一つは、島留学ということで、日本全国あちらこちらから、ここへ来て勉強してということで生徒を募集しました。
そうすると、あら不思議、廃校寸前だったのが、全国からお子さんが来るようになった。だけれども、町長が偉いのは、どんなに全国から来ても、定員の半分は島の子だということでやっておられました。そして、私は公立の大学に行くことが全て正しいとは思いませんが、公立への進学率が物すごく上がっていきました。夏休みにはシンガポールに語学留学ということで、島の高校なんだけれども、英語はネイティブでしゃべれる、そういうような子たちをつくろうということでやってきました。
どこであっても質の高い教育が受けられるという一つのモデルだというふうに私は思っておるところでございます。
○丹羽委員 ありがとうございます。
是非、高校の魅力をいかに上げていくかということは、高校教育の改革の一環にもつながるというふうに私は思っております。
うちの子も高校生なのでございますが、勉強しないんですよね。この間の夏休みもずっと家で遊んでばかりだったので、さすがに私が父親として怒りまして、子供の仕事は勉強だぞといって怒ったんですよ。そうしたら、うちの子供が、パパはそう言うけれども、僕は仕事をうちに持ち込まないからと言われまして、さすが言うことも違うのかなというふうに思っております。新たな働き方改革を家の中で進めている児童もいるなというふうに最近は思っております。
是非、先ほど言った島根の島前高校だけではなくて、三重県の相可高校とか、様々な地方の特徴を生かした高校があるというふうに思っております。これらの高校について、国が地方と一体となって、地域に根差した高校改革を進めていっていただきたいと思います。
最後に、また総理にお伺いするわけでございますが、地方創生との関わりも踏まえて、こうした公立高校が、是非、魅力のある公立高校にまた改革していくためには、どのように国としての支援をすべきかということをお尋ねしたいと思います。
○あべ国務大臣 まず、所管大臣の方からお答えさせていただきます。
高校の特色化、魅力化を進めるに当たりましては、一つの高校だけでなく、様々な関係者と、地域の方々と連携しながら高校教育の充実に取り組んでいくことがまさに重要でございまして、丹羽委員の御地元である愛知総合工科高校専攻科、これは、実は国家戦略特区で公設民営を進められまして、産業界の方々が、我々が必要な人材を、しっかりと人づくりをしていくんだという覚悟の下にある高校でございまして、先日私はその高校を訪れまして、大変感動させていただきました。
文部科学省といたしましても、DXハイスクール事業の推進、また、地方創生二・〇に向けまして、産業界の伴走支援を受けて、専門高校を拠点とする地方創生支援、地域人材の育成などに取り組んでいるところでございまして、今後は更に、今回の合意内容に沿って、公立高校などへの支援の拡充を含む教育の質の確保、また、多様な人材育成の実現、国と地方の関係など、様々な論点につきまして十分な検討を行った上で、必要な取組を速やかに進めてまいります。
以上でございます。
○石破内閣総理大臣 文科大臣からお答えしたとおりですが、やはりそこの地域でないと学べないということがたくさんあるんだと思っております。
私が地方創生でよく言うことですが、では、愛知から新しい日本をつくるというのはどういうことなんだということを高等学校で教える、それは愛知の高校でなければできないことでございます。それは鳥取でも岡山でも島根でも、どこでも一緒だと思っています。地域から日本を変えるというのは高校教育によるところが大きいと思っています。それが一つ。
もう一つは、今文科大臣もお答えいたしましたが、農業高校、水産高校、林業高校において、最先端の技術に触れるようにしたいと思っています。昭和四十年代のいろいろなものを、だましだましとは言わないが、大切に大切に使うのも大事なことですが、最先端のいろいろな教育が実業高校において受けられるということも、また先生方の御理解をいただきながらやってまいりたいと思っておるところでございます。
○安住委員長 丹羽君、そろそろ時間ですので、まとめてください。
○丹羽委員 ありがとうございます。
私も私立の高校を出ておるわけでございまして、名古屋の方の私立の高校を出ている中で、高校の学校の先生には非常に感謝してございまして、自分の息子の話を先ほど出しましたけれども、私も高校時代は勉強しなかったんですよね。本当に成績が悪くて、二月に一回は母親が学校に私と一緒に呼ばれまして、指導室みたいなところで先生に叱られた記憶がございます。最後の方は、先生に、このままいくと丹羽君は学校のごみのようなということを言われて、うちの母親がそれに怒りまして、先生はそうおっしゃいますが、秀樹は我が家の誇りですと言いまして、それは一緒なんじゃないかと思って、軌道修正して政治家を志すきっかけにもなったんじゃないかなという、非常に特色のある高校でございました。
これで質問を終わります。ありがとうございました。
○安住委員長 この際、山下貴司君から関連質疑の申出があります。岩田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山下貴司君。
○山下委員 自由民主党の山下貴司でございます。
本日は教育、社会保障集中審議ということで、昨日、自民、公明、維新の三党合意が行われ、高校無償化等について画期的な合意がなされました。高校無償化等につきましては我が党の丹羽師匠からも詳細な質疑がございましたので、私は、給食無償化、そして学校体育館へのエアコンの整備について伺います。
まず、教育無償化につきまして、総理は昨日、自、公明、維新でまとまった三党合意におきまして、まずは小学校を念頭に、地方の実情等を踏まえ令和八年度に実現する、中学校への拡大についてもできる限り速やかに実現という方針を打ち出されました。子育て世代にとって大きな大きな支援になると思われます。そして、この決断には、維新始め野党の皆さんからの働きかけもありましたが、給食無償化については、政府・与党としても、令和五年六月のこども未来戦略方針以来、実現に向けて真剣にかつ本格的に取り組んできた経緯があります。
パネル一を御覧ください。これは、「政府・与党における給食無償化のための検討経緯」であります。
このパネルにあるように、政府・与党としては、給食無償化については、それまでの自民党や公明党内における熱心な御議論を経て、令和五年六月のこども未来戦略方針において、学校給食費の無償化の実現に向けて全国の実態調査を行い、具体的方策を検討すると閣議決定しておりました。その後、政府における調査結果を踏まえ、給食無償化を実現すべく検討を精力的に行ってまいりました。
その検討の過程で、例えば給食無償化については五千億円近い安定財源が必要であること。あるいは、給食を実施していない学校などの児童生徒との公平性、国と地方との役割分担、少子化対策としての効果がどれほどあるのかなど、様々な課題、問題に取り組む必要がありましたけれども、それを乗り越えるべく、政府・与党でも真剣な検討を重ねてまいりました。
そうした検討の中で、中でも石破総理そして加藤財務大臣は、いずれも昨年九月の総裁選で給食無償化を掲げて戦われました。我々は責任与党であります。責任与党である以上、財源を含め、無責任な公約はできません。
野党三党も給食無償化法案を提出されましたけれども、この中身を見ると、財源の問題であるとか、あるいは給食を実施しない学校に法律の適用があるのかとか、あるいは政令に丸投げし過ぎではないか、様々な問題点がありました。
そうした上で、我々も責任与党として検討を重ね、そして、給食の無償化に向けて責任ある見通しを立てた上で、昨日の三党合意にありましたように、まずは小学校を念頭に、地方の実情等を踏まえ令和八年度に実現する、中学校への拡大についてもできる限り速やかに実現するという方針で、三党で合意したと承知しております。
石破総理、そして加藤財務大臣におかれては、まさに総裁選の公約を果たしたというものでございますけれども、例えば財務当局を預かる財務大臣として、あるいは財政全般に目を配らなければならない財務大臣、総理として、学校給食の無償化を実現するために様々な御苦労、思いがあったと思います。この方針を打ち出すに至った思いと合意の具体的内容について、財務大臣、そして総理に伺います。
○加藤国務大臣 所管としては文科大臣もいらっしゃるとは思いますけれども、御指名でございます。
山下議員からも御支援いただきました総裁選挙の一つのスローガンとして、給食の無償化を掲げさせていただきました。その背景としては、子供は国の宝というのであれば、どの地域であったとしても、子供に対する、子育て世代に対する支援が同じようになされるべきだという思い。しかし、他方で、現在でも完全給食化されていないところもあります。それから、無償化されていないところもあります。背景には、やはり地域における財源の問題、こういったものもあるということを首長等からもお話を聞かせていただきました。
財務大臣となってからは、令和六年度補正予算において、給食費の負担軽減を含む物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金、これを措置し、前回の補正に比べて一千億を増額をさせていただく。また、文科省においても、給食無償化に関する課題の整理等、政府としても取組をさせていただき、また、昨日の自民、公明、維新の三党合意で給食無償化の方向が打ち出され、また、その中においては、学校給食法との関係などに加え、国と地方の関係、効果検証といった論点、これについても十分検討を行うとされているところであります。
私どもとしては、他党とも協議が進んでいる中ではありますが、今回の合意内容も踏まえ、今申し上げた検討も十分に行いながら、しっかりとした対応を図らせていただきたいというふうに考えています。
○石破内閣総理大臣 我が党の中でも、給食無償化については強い意見もございました。財務大臣も大変な力を、財務大臣になられる前も尽くしてこられたところでございます。委員も同様かと思っております。
今回、維新の皆様方、あるいは公明の皆様方のお力もいただいて新しい仕組みというものをお諮りするわけでございます。
私、昭和三十年代、四十年代、学校給食でした。はっきり言って、なかなか、すごくおいしかったという記憶がございません。パンと脱脂粉乳とラーメンという不思議なメニューが出てきたこともございまして、だけれども、その後、すごい改善が進んで、今の子供たち、給食っておいしいねという子供たちが増えてきました。
学校給食法もございますが、食育基本法もございまして、そこにおいて食育ということがなされている。そして、地産地消ということを考えるときに、本当に、では、どれだけ岡山のものが使われているんだろうか、どれだけ岡山市のものがあるんだろうかみたいなこと、これは全国に幾つか例がございますが、そういう意味では、とても大事なことだと思います。
それから、アレルギーの子供が増えてきました。これは、栄養教諭の先生方とお話ししていて、ああ、そうだなと思ったことでございますが、そういう子供たちに対しても、きちんとした食を提供するというのも大事なことだと思っております。
学校給食の持つ意味というのは、本当に多岐にわたりますが、非常に重要なものがございますので、今回の三党の合意、あるいは、ほかの党の皆様の御意見も踏まえながら、子供たちの教育にとってよりよいものにしてまいりたいと考えておるところでございます。
○山下委員 学校給食の無償化というのは、家計も助かる、あるいは食育の観点もあります。その観点から地産地消、あるいは、最近、米粉パンなんかもあります。食料自給率の改善にも非常に効果的だというふうに聞いておりますので、そういった活用もお願いしたいと思います。
次に、学校体育館へのエアコンの整備であります。この点については、友党公明党の各議員からも熱心な質疑がされておりました。
最近は、夏の酷暑の影響で、七月、九月でも屋外の運動場で体育の授業ができない状況であります。一方で、夏は、体育館に空調がないと、もう蒸し風呂状態で、子供たちが安心して運動できない状態であります。
例えば、学校体育館にエアコンを整備すると、冬場でも全校集会、あるいは、休日、夜間に地域の活用も考えられますね。そして、総理が目指す防災に強い日本のためにも、災害時の避難場所としてまず利用されるのが学校体育館でございますので、そのエアコン整備は喫緊の課題であります。
私たち政府・与党は、政権交代以来、学校の普通教室のエアコンの設置を掲げ、特に、平成三十年補正では設置を加速する大規模予算を組むなどし、今では、このグラフにあるように、普通教室の設置率は九九%に達しています。先ほど申し上げた平成三十年補正では、補正後の二年間で三〇%以上伸ばすということをやってまいりました。
しかしながら、この学校体育館については、令和六年九月の調査では、確かに、全国では七年前、僅か一%台だったんです。この設置率が二割近くになりました。そしてまた、東京都では、この七年間で一桁台であったのが、今は十倍になって九割になっています。しかし、財政力の豊かな都市部と地方の設置率にはまだまだ大きな格差がございます。私の地元岡山ではまだ三・八%、そして総理の地元鳥取では残念なことに二・六%であります。
令和二年に安倍政権下で策定した国土強靱化のための五か年加速化対策では、令和十七年、つまり今から十年後の二〇三五年までに九五%に引き上げる中長期目標を掲げましたが、酷暑もそして災害も十年も待ってはくれません。
そこで、石破内閣では、就任後の、このグラフにもここに書いてありますが、昨年秋の臨時国会の所信表明で、学校体育館の空調設備整備ペースを二倍に加速すると表明して、令和六年補正で空調設備整備臨時特例交付金を設置して、今後十年間の体育館への補助率を引き上げ、また、今回の予算案においても、光熱費などの運用経費も地方交付税措置を通じて支援するということになっております。
今御紹介した石破内閣における令和六年補正で初めて設置された空調設備整備臨時特例金は、この一覧表、上にありますように、補助率も補助単価も大幅にアップ。そして、断熱性が要件になっておりますけれども、断熱性の確保は後に整備することもできることになっておりますし、また、ちょっと下の写真の図にあるように、例えば遮熱塗装であるとか、遮熱シート貼りであるとか、あるいは窓の日射調整フィルム貼りであるとか、数百万円でできる、予算でできるものも含まれるということであります。
さらに、地方債の充当であるとか、あるいは、先ほど申し上げたように、野党の御理解も得てこの予算が通れば、この空調設備の運営費に交付税措置も通すという非常に使い勝手のいいものになっております。
加えて、防災拠点となる体育館でございますから、これまで緊急防災・減災事業債の対象にもなっておりましたが、当初、二〇年度までの予算でありましたけれども、来年度、二五年まで延長されています。私は、これを更に延長してもらいたいと考えております。
このように、政権交代後、先ほどのパネル二に戻りますけれども、自公連立政権は、一貫して子供の学ぶ場の環境整備に取り組んでまいりました。しかし、石破内閣ではもっと加速してほしいんです。
石破内閣では、令和二年策定の中長期目標である令和十七年の十年間と言わず、もっと早期に、ほぼ全ての小中学校の体育館にエアコンが設置されるよう是非取り組んでいただきたいんですが、総理の決意を伺います。
○石破内閣総理大臣 御指摘ありがとうございます。委員の御指摘を踏まえて、これは最大限加速をいたしてまいります。
ただ、学校がお休みのときでないと工事できないよねということがありまして、いや、それでもやるんだということになりますと、その間、使えない体育館をどのように近隣の学校でローテーションするか、あるいは公立の体育館を使っていくか等々、いろいろな課題がございますが、できない理由をわあわあ言っていても仕方がございませんので、これは文科省として、政府として最大限加速をいたしてまいります。
委員の御示唆を受けて、私も調べてみたんですが、確かに東京の整備率八八・三、大阪四二・一、我々中国地方は、別に鳥取と岡山が競ってもしようがないんですけれども、余り高いとは申せません。
ただ、山形が四九・五なんですね。山形が財政力が豊かだという話は寡聞にして存じませんので、やはりこういう、使命感を持っているか、それは断定はいたしませんが、地方でも、財政力が乏しいところでも、山形みたいにやっているところはあるよねということはとても示唆に富むものだと思っております。
また、いろいろな御教授をいただきながら、最大限加速をいたしてまいります。
○山下委員 よろしくお願いいたします。
それでは、コンテンツ戦略について。
総理が唱える楽しい日本の実現のためには、世界に冠たる日本のコンテンツを利活用、そして、海外発信が必要であります。ここで、日本にとってのコンテンツ産業の規模を確認したいと思います。
コンテンツ産業の規模、ちょっと縮尺が違って申し訳ないんですが、実は半導体産業の倍、石油化学産業を超えるんです。そしてまた、輸出あるいは海外売上げでは、鉄鋼、半導体、石油化学のいずれも超えています。下段を見ていただければお分かりのように、ゲーム、アニメを筆頭に、海外売上げの成長も著しいものがあります。
このように、コンテンツ産業は日本の基幹産業であり、ソフトパワーの源泉であります。ロケ誘致や聖地巡礼、あるいはコンサートツーリズムなどにより、インバウンドや観光需要など、地方創生でも大きなメリットがあり、まさに今後発展する産業であります。
総理も今後のコンテンツ産業の海外売上げを現在の五兆円から二十兆円を目指すというふうに所信表明で述べられましたし、経団連も同様の目標を掲げております。
ただ、こうしたコンテンツ産業の振興については、韓国が、例えば政府による支援が約一千億円近くになるとか、そういった、ほかの国々でも大きな支援をして実施していると聞いています。もちろん、コンテンツは表現の自由に関わりますから、お金を出しても口は出さないことはとても大事でございますけれども、支援は必要であろうと考えます。
総理も、施政方針演説において、エンタメ、コンテンツ産業の支援について言及されておられます。まさしく楽しい日本の中核となる基幹産業にしっかりと育てていくことが大事でありますが、コンテンツ産業を基幹産業として推進するため、どのように総合的に取り組むのか、総理の御決意を伺います。
○石破内閣総理大臣 足らざるところは政府参考人からお答え申し上げますが、委員御指摘のように、我が国のエンタメ、コンテンツ産業の海外売上げ、二〇二三年には五・八兆円でございますから、今いろいろ議論がなされております半導体が五・五兆円、鉄鋼が四・八兆円ですから、それを超える、まさしく基幹産業になっているということでございます。
そういうようなエンタメ、コンテンツ産業の発展に向けまして司令塔機能というものが必要なので、昨年九月にコンテンツ産業官民協議会及び映画戦略企画委員会を立ち上げて推進体制を整えたところでございますし、本年度の補正予算では、文化庁、経産省の施策を統合して、クリエーター支援資金として百二十億円措置をいたしておるところでございます。
これを本当に育てていかねばなりません。我々は「オバケのQ太郎」世代なので、なかなか最近の新しいそういうのがよく分からないところはあるんですけれども、海外に行くと、とにかくアニメだ、日本大好きという人がこんなにいるんだということでございます。これは、本当に我が国の基幹産業として更に育てるべく、政府として尽力を最大限いたしてまいりたいと考えております。
○山下委員 コンテンツ産業で少し気になるのがeスポーツなんです。この図を見てもお分かりのように、特に伸び率が高いのがゲームなんですけれども、eスポーツは世界的に著しい伸びを見せています。
しかしながら、これは一月二十七日の日経新聞からの抜粋でございますが、この記事では、「eスポーツ後進国ニッポン、市場規模は米国の六分の一」ということで、世界中で市場規模の急拡大が続くeスポーツで日本が後れを取っている、古いスポーツ観や過去の規制が足かせとなり、高いゲーム人気を生かし切れないまま欧米や中韓に大きく水を空けられている、先行する国々はスポーツ界との急接近で更に成長を見込んでおり、日本の対策が遅れれば国際競争から取り残される可能性があるというふうになっています。
国内のeスポーツ愛好者が増えておりまして、日本eスポーツ連合によりますと、二二年の日本のeスポーツファン数は、これはJリーグやBリーグに匹敵する八百万人近くに達しているということであります。そして、IOC、国際オリンピック委員会もeスポーツ人気に注目して、二年前にシンガポールでオリンピックeスポーツウィークをやり、その成果を踏まえてeスポーツ委員会を立ち上げ、正式にオリンピックの下でeスポーツゲームズの立ち上げを決定いたしました。そしてまた、先ほど丹羽委員がおっしゃった、アジアオリンピック委員会も来年の愛知・名古屋アジア競技大会の正式競技にeスポーツを追加することを決定しております。
このように、IOCを始め各国とも、大会の開催を始め振興に取り組んでおります。eスポーツというのは、トップアスリートの育成のみならず、リアルスポーツとの相乗効果もある。eスポーツのファンの観客動員や地域イベント、あるいは、eスポーツは自分の力よりも大きな力でゲームができますから、障害者や高齢者の介護での活用など、様々な活用が考えられます。
日本は、最先端のコンテンツを図りながら、eスポーツ振興では後れを取っているということでございます。実はこれは文科大臣に伺いたかったんですけれども、ちょっと時間の関係で要望のみにしておきますが、文科省を挙げてこれは是非取り組んでいただきたいというふうに思っております。
それでは、続いて、本日は社会保障ということではございますが、社会保障の基盤というのは、これは家族、世帯でもあります。その関連で、家族の氏の問題、夫婦の氏の問題について少しお話をさせていただきたいと思います。
これは、夫婦の名字に関する全国世論調査であります。最も多いのは、家族同姓を維持しながら旧姓を使える機会を拡大するという選択肢で、これは実は野党の支持層でも最も多い回答になっています。最近の世論調査では、こういった夫婦別姓について賛成か反対かという二択だけで世論調査をやるメディアもありますけれども、それではこうした最も多い層の思いというのが伝わらないのではないかと思っております。
自民党も、結婚前後を問わず自分らしく活躍したいという思いを全力で応援してまいりましたし、旧姓の継続使用ができないことへの法律上の不便、不都合を解消すべき実態にはしっかり取り組んでまいります。
しかし、そのための方策が、野党が主張する選択的夫婦別姓案一択かというと、そうではないと考えています。
現在手に入る野党案が令和四年に公表されているものなので、それを資料として指摘をさせていただきます。(発言する者あり)
○安住委員長 静粛に。
○山下委員 まず、選択的夫婦別姓というのは、これは実は事実上の家族別姓であります。なぜかというと、親の一方は必ず子と別姓になるからです。そして、この野党案では、子も別々の姓が使えるということですから、親子なのに、兄弟、姉妹で姓がばらばらという事態が発生します。
そして、別姓を選択すれば家族姓は使えません。というのは、家族姓がないからです。旧姓も家族姓も使いたいというニーズには対応していないんです。選択しない夫婦について、野党案では、特段の法的手当てはありません。別姓を選択しなければ、従来どおりの対応にとどまるということであります。
そして、子の姓は出生ごとに決定する。しかし、今の現行法制では子の姓が決まらないということはあり得ません。しかし、子の姓がその都度決まるということは、夫婦仲がよければいいですけれども、紛争があり決まらなければ、子の姓は決まらないまま。家事審判で決めるといっても、家事審判がどれだけかかるか分からない。家事審判には抗告であるとか上訴もできる。何年も氏なし子ができるということもあり得るわけであります。この点についても分からない。
そして、戸籍法のルールについては、野党案では不明であります。特に、戸籍筆頭者、これが不明であります。
今、戸籍システムというのは、戸籍筆頭者をインデックス代わりにして戸籍システムを家族単位で統合しています。しかし、これが別姓になると、例えば戸籍筆頭者は誰なのか、家族姓がないわけですから。そうなると、生年月日順で決めるのか、あいうえお順で決めるのか、戸籍筆頭者を。そうなると、システムの大改正になります。そして、システムの大改正にとどまらず、戸籍を個人ごとに分解するというふうな、そうしたことにもなりかねない。
実際に、韓国は、戸籍をやめて、個人ごとの身分台帳的になったんです。そして、マイナンバーを全部戸籍に載っけるということでやっているということになっています。
また、まだ議論が足りないのは、既存の夫婦にも遡及適用は可能だ。私の家庭も、そしてテレビを御覧の皆様の御家庭も、二年間は旧姓に戻せるんです。全ての夫婦が旧姓に移行できるかどうかの問題に直面しているんですが、この問題については国民的議論はまだであります。
こうした問題があるやに思いますが、法務省当局に伺いますが、現象面としてこういう問題が指摘できるということについてはいかがでしょうか。(発言する者あり)
○安住委員長 静粛に。
○竹内政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の議員提出法案につきまして、法務当局として、その当否等を申し上げることは難しいところでありまして、お答えは差し控えさせていただくことを御理解いただきたいと思います。
その上で、御指摘の議員提出法案につきましては、平成八年の法制審議会の答申で示された選択的夫婦別氏制度に係る要綱部分と比較をいたしますと、別氏夫婦は、子の出生の都度、子の氏を協議で定め、当該協議が調わない場合には家庭裁判所が協議に代わる審判をするとされていること、別氏夫婦に関する戸籍の編製基準や届出に関する規律などが後の改正に委ねられていること、施行前に婚姻した夫婦は、婚姻中に限り、配偶者との同意に基づき、施行日から二年以内に届け出ることによって別氏夫婦となることができるとされていることといった違いがあるものと承知をしておりまして、一般論といたしましては、これらの点についてどのように考えるかなどの議論はあり得るのではないかと考えております。
○安住委員長 山下君、間もなく時間ですので、まとめてください。
○山下委員 御指摘のように、まだたくさん論点があるわけですよ。だとすると、こういった論点についても国民と十分共有した上で議論すべきだと思います。
そして、国民の多くは、家族姓を維持した上で、まず旧姓使用の拡大制度を求めています。選択的夫婦別姓を選択したカップルにしても、選択しないカップルが旧姓を使用できる制度が必要じゃないですか。少なくとも、一部世論調査に見られるような、賛成か反対かの二択で決められるものではないと考えておりますし、自民党もしっかりと議論していきたいと思いますが、最後に総理、短く、夫婦の氏の在り方について、総裁としての思いを伺いたいと思います。
○石破内閣総理大臣 これは、二者択一ではないと思っております。我が党の中でもいろいろな議論がある。これは、数学みたいにきちんと答えが出るわけではございません。それぞれの価値観もございます。
私どもとして、きちんと議論を詰めていく、それを加速する、それが国民に対する我が党の責任だと考えております。
○山下委員 終わります。ありがとうございました。
○安住委員長 これにて岩田君、丹羽君、山下君の質疑は終了いたしました。
次に、黒岩宇洋君。
○黒岩委員 立憲民主党の黒岩宇洋でございます。
私は、先週、政治資金問題の集中質疑のバッターの予定だったので、その流れで、政治資金問題について何点かお聞きしようと思っております。
この裏金問題ですけれども、総理が、総理・総裁になる前、そして総裁選中も、やはりこの真相解明はやらなければいけない、党としてもその責任がある、こういうことを強くおっしゃられていました。ただ、総理の所属していたというか、別の派閥での事件でありましたので、なかなか総理自身がその真相解明自体を、知るお立場にはいなかったし、今もそういうお立場でないと思っております。
当然、新しく総裁になられたわけですから、自民党のトップとして、党内で起きたこの裏金事件について真相解明をする責任があると思っていらっしゃると思いますし、そして、ともすれば、誰よりも総理自身が、真相を知りたいんだ、このことを強くお感じになられていると思いますけれども、いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 それは、私のみならず、多くの国民が、一体何だったんだということを知りたいということは間違いのないことだと思っております。
伝え聞くところによればというか、報道によれば、あした参考人招致も行われるということで、これは委員長の大変なリーダーシップの下、私といたしましても、党の総裁として何とかこれが実現するようにということで努力はいたしてまいりました。それがいろいろな方の御努力によってあした実現をするということになっておるわけでございます。
今回の参考人が何をおっしゃるか、私は全く知る立場にはおりませんが、そこにおいて真実が語られ、事実の解明に資するということが行われることは、我が党の利益とかそういうことではなくて、国民の政治に対する信頼醸成というために非常に重要な意味を持つと考えておるところでございます。
○黒岩委員 多くの国民とともに、総理もこの真相が知りたい、そして、あした行われる参考人聴取において真実が分かるということは、党のみならず、国民にとっても利益になるという、ある意味、ごく真っ当な見解をお聞きしました。
そこで、やはりあしたの参考人招致というのは、真相解明に向けて、全容とは言わないけれども、非常に重要で、そして限られた機会だと私どもも認識しております。
松本元事務局長は、いろいろな発言や、裁判でも証言をしております。知りたいことは我々もたくさんあります。
ただ、その中でやはり最も重要な部分というのは、二〇二二年の夏に安倍派の幹部会合が開かれた、その際に、松本元事務局長は裁判での証言で、ある幹部から、還流、還付を再開したい、そのためにこの幹部会合を開いた、そして、この幹部会合で、これは安倍総理が亡くなられた後、安倍派の裏金還流が再開されたと証言していらっしゃいます。
私は、ともすれば、再開を決めたこの幹部の名前というのは最大のポイントだと思うんですね。これが分かれば、ある程度の、この裏金事件の意思の主体というのは分かってくる。
そういう意味で、総理も、松本事務局長が裁判で証言したある幹部の名前をお知りになりたいと思われますよね。
○石破内閣総理大臣 それは、多くの国民が政治に対する信頼を回復するために必要なことであれば。
それでも、真実というか、何が本当か、私は全く知る立場にはございません。それは、今、一私人であります松本淳一郎さんが何をお述べになるかということに懸かっております。松本さんも政治の世界におられた方でありますから、やはり政治がよくなってほしいなという思いはお持ちのことだろうと思っております。
誰の利害とかそういう話ではなくて、政治の信頼回復に向けて大きな一歩となることを期待をいたしておるところでございます。
何をお話しになるかについて、私は存じ上げる立場にはございません。
○黒岩委員 知りたくありませんよとは答えないと思いますし、何が真実か分からないけれども、真相について語ってほしいと。
総理、この流れでいいますと、松本元事務局長は、参考人招致に対して極めて消極的だった、もっと言えば嫌がっていた、こういう中で、これは私人とはいえ、総理も何度も答弁していますけれども、私ども、すなわち自民党として働きかけをして参考人招致に至ったということですから、たとえ私人であっても、参考人招致にすら出席を消極的な方に、出てくれとまで言って、出すところまで来たわけですよ。そうすると、総理は一定以上の働きかけができる立場にあるし、それも責任であると感じている。
そこで、私は、総理、あらゆることを、真実をとまでは言いませんけれども、今ポイントとなっているこのある幹部の名前、これを参考人招致でしっかりと発言してほしいということを事前に要請していただけないでしょうか。それをするかどうかはともかく、どう発言するかどうかはともかく、今総理がおっしゃったとおり、国民誰もが知りたい、そのことについて、総理、働きかけをしていただけないでしょうか。
○石破内閣総理大臣 明日の参考人で、どなたからどのような御質問が出るのか、私は知る立場にございません。
一つだけ申し上げられるのは、明日の参考人質疑においていろいろな質問がなされることでございます、そこにおいて可能な限り真実を述べていただきたいということしか申し上げることはできません。
具体的に、今御指摘の某幹部、その名前をあなた言いなさいなぞということは、私は申し上げる立場にはございません。(発言する者あり)
○安住委員長 静粛に。
○黒岩委員 でも、総理、簡単に、シンプルに、今テレビを見ている皆さんやラジオを聞いている皆さんに、やはり、真実全てとおっしゃいますけれども、その中のすごくポイントなわけですよ、誰もが分かっている。このことを言ってもらうだけでも全然違う。
少なくとも、この参考人招致の場に私人を、働きかけて、そこに登場させたわけですから、相当なことをやれるし、できたわけですよ。だから、このことについて発言を促すことをしないというのは、正直に申し上げて、元々この裏金事件という大変な犯罪に手を染めた政党の代表として、ここまで何で真実解明、真相解明に対して後ろ向きなのかということを私は非常に残念に思います。
話を先に進めますけれども、裏金事件を防止するという意味で、昨年から政治資金規正法の改正、これは改正、再改正、再々改正と、今議論をしております。
そこで、自民党が今般提出された規正法改正案、特に公開強化法についてお聞きしたいんですけれども、今までの改正で、公開項目の拡大を図ってきました。例えば、政策活動費の使途であるとか、あとは国会議員関係団体の拡充とか、今まで法改正で公開項目を拡大してきました。
今回の自民党のこの公開強化法案は、公開項目、何か拡大されますか。お答えください。
○石破内閣総理大臣 政治資金の寄附に関する公開基準について、現行の政治資金規正法上、企業、団体によるものか個人によるものかを問わないで、年間五万円を超える寄附をした者については、その氏名を公開するということになっております。また、政治資金パーティーの購入者の公開基準につきましても、昨年の常会におきます政治資金規正法の改正により引き下げられまして、一回のパーティーにつき五万円を超えて購入をした方の氏名等を公開できるということになっております。
したがいまして、多額の寄附を行った方、パーティー券を大量に購入した方については、新たな法改正を行うことなくても適切に公開されるという仕組みが整っておるというふうに承知をいたしております。
○黒岩委員 総理、分かりやすくお答えください。
今回、公開強化法案というんですから、公開が強化される、こういう認識を持つわけですよ。ですから、公開対象は、ないしは公開基準は拡大されたんですか、拡大されるんですか。お答えください。
○石破内閣総理大臣 これは、本来、法案提出者にお尋ねいただくのが適当かと思いますが、総裁として申し上げれば、この法案というものは、政党本部、政治資金団体、国会議員関係政治団体に対する企業・団体献金を政党ごとに整理をして公表するものでございます。
この法案は、政治資金規正法で元々公表される項目を拡大するものではございません。ございませんが、国民の方々が、御自身でいろいろな作業をすることなく、各政党への企業・団体献金の状況を、政治資金規正法の趣旨に従いまして容易に監視、批判できるようにするということが最大の眼目です。企業・団体献金が公明正大に行われる環境を整備するということは極めて重要なことでありまして、どんなにきれいごとをうたってみても、本当に書類と首っ引きで、一年中かけないと何も分からぬということでは、監視も批判もあったものではございません。
本法案とは別に、昨年の十二月、我が党議員の提案によりまして政治資金規正法は改正されました。そこによって、国会議員関係政治団体の収支報告書につきまして検索可能なデータベースを公表するという旨の規定もなされているところでございます。容易に確認ができる、監視ができるという環境を飛躍的に整えるということにこの意義があろうかと思っておるところでございます。
○黒岩委員 総理、聞かれたことだけに答えてください。余りにも答弁が長くて、これを聞いている国民の皆さんは、はっきり言って、中身が分からないと思います。聞かれたことに答えてください。
今回の公開強化法案で、公開対象や基準は、僅かでも、少しでも拡大するんですか。お答えください。
○石破内閣総理大臣 丁寧に答えると長いと言われると、これは答弁のしようがないのでございますが、もう一度申し上げます。
基準というよりも、基準があっても、それが分かりにくければ、政治資金規正法に言うがところの有権者の監視の目は行き届かないということでございます。有権者の監視、批判の目が行き届くようにするということで今回の改正というものは大きな意味を持つ、一言で言えば、そういうことです。
○黒岩委員 総理、聞かれたことに答えていないですよ。
だから、総理が先ほど答えたのは、要は、昨年来の改正案で公開対象が広がりましたよね、広がりましたよ。公開基準も、パー券は、それまで二十万以下は公開しなかったのが、五万を超えるものについては公開すると対象が広がった。だから、結局、今回、公開強化法といっても、一切公開対象も公開基準も拡大されていないということは、私が要約しましたが、総理がそうお答えになりました。
そこで、総理、今言ったように、一つの政党に一千万円以上献金した企業の名前、それを、今回、総務省が全て集計して国民に知らせてくれる。私は、別にこれは悪いことだと思わないし、やめろと言いませんが、では、こうお聞きします。
この法案がまだ通っていないわけですけれども、今の現状、現状というのは、昨年来のこの資金規正法が改正されます、その今の現行法、改正される現行法において、総務省以外のもの、私人が、今言った一千万円以上の献金をした企業を集計することというのは、総務省以外のものが集計することというのは、現在でも可能ですか。いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 可能です。何ら妨げる規定はございません。
○黒岩委員 そうなんですよ。確かに手間はかかりますけれども、各マスコミも我々政党も、これはいつもやっています、アルバイトを頼んで。そして、なおかつ、これは長妻議員の質問で分かりましたけれども、政党支部に関しては、地方のものが入っていない、限られたものだけしか集計しない。しかし、今までは、各新聞社、マスコミは地方部分も含めてみんな集計していました、時間をかけて。ですから、この法案が通らなくても集計というのはできるし、なおかつ、総務省が税金をかけてやるよりもはるかに幅広い集計というのは今も可能なんですよ。
そう考えると、この公開強化法案というのはどれだけの価値があるのか。少なくとも、公開対象は全く広がりませんから、公開は強化されません。禁止より公開と言っていますが、中身は禁止より集計です。しかも、その集計は、法改正がされなくても、むしろ幅広く様々な私人、私的機関が行っている。その中で、よくよくこれで禁止より公開だと言ったものだなというのは、私も、ある意味、ぶったまげております。
そこで、総理、重要なことをお聞きします。
そもそも、これは自民党も同じ、我々野党も一緒、裏金事件を防止するために政治資金規正法の改正案を我々は昨年提出しました。我々は企業・団体献金の禁止です。これに対案として自民党が出してきたのは、先ほどから議論している公開強化法案です。自民党は、政治資金規正法の第一条を基に、これは公開なんだ、禁止より公開なんだと。
でも、これは、私からするとちょっとミスリードだと思います。第一条には二つの目的が書いてあるんですね。実は、公開も禁止もどっちも書いてあるんですよ。公開については、政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、これが一つの目的です。もう一つ、禁止ないしは制限については、政治活動の公明と公正を確保し、もって民主主義の健全な発達に寄与する。すなわち、政治資金規正法というのは、禁止も公開も、これを手段として、そして政治資金を適正化していく、これが法の趣旨なわけです。
そして、御党は、じゃ、公開しよう、その意図は分かります。しかし、今申し上げたとおり、公開強化法案とは、これは申し訳ないけれども、看板倒れで、何も公開は強化されていない。
そうなったら、必然的に、我々が言う企業・団体献金の禁止というこれを裏金防止の手段として、法改正として成立させるべきじゃありませんか。総理、いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 大変恐縮ながら、それは政治資金規正法第一条の読み方が私とは理解が違っているのだと思っています。これは、禁止ということはどこにも出てこない、この一条は。
済みません、また長いといって叱られても困るのですが、正確を期すために申し上げますと、政治団体に係る政治資金の収支の公開並びに政治団体及び公職の候補者に係る政治資金の授受の規正その他の措置を講ずることにより、政治活動の公明と公正を確保し、もって民主政治の健全な発展に寄与する、これが目的規定の中に書いてある。ここに禁止というものは出てこない。どこから禁止というふうにお読みになるのか、御教示賜れれば幸いでございます。
○黒岩委員 法の内容は、政治資金においては量的制限と質的制限があります。これは、制限といっても、事実上は禁止の部分も含まれています。そうですよ、この部分以上はやってはいけないというわけですから。しかも、質的制限は、これは禁止ですからね。それはそうですよ、質的制限は、これは間違いなく禁止ですよ。それをこの条文で言うところは、公明と公正を確保しの手段としては様々な制約もあり得る、こういう読み方です。
ただ、いずれにせよ、禁止より公開と言葉だけうたいますけれども、今申し上げた御党が提出している公開強化法案は、全く公開も対象が拡大されていないとともに、その集計が、総務省がやれるといっても、総務省の手をかりずとも、今でも誰でもが行っている、このことは私の方で指摘をさせていただきます。
○石破内閣総理大臣 それは条文の読み方が違わないでしょうか。
質的、量的というふうにおっしゃっておられますが、それは禁止であれば、むしろ量的にゼロとなることが禁止になるのでしょう。質的にということが問われるのは、どれだけそれが公明性と公正性を持っているかという、やや主観的な要素も入りますが、それが質的という部分なのであって、そこに禁止という概念は、私はこの条文から読み取ることはできません。
それともう一つは、私人でもできます、確かに誰でもできます、総務省でもできますが、それは新聞社でもテレビ局でも何でもそうですが、膨大な作業を伴ってやっと分かるというものでございます。御党でも大変な努力をして調べておられることかと思います。そんなに手間がかかるようなことであれば、それは公開の趣旨に反するのではないかというふうに思っております。
有権者が誰でもそれが簡単に見ることができるということは、公開を実質的に可能にすることであって、今のように、膨大な組織をもって、膨大な労力をもって、膨大な時間をかけなきゃ分からぬということであれば、法の趣旨の公開には著しく反すると私どもは思っております。公開の実質性を担保するために今回の法改正というものになっている、私はそのように理解をしておるところでございます。
○黒岩委員 これは答弁を求めませんけれども、総理はちょっと事実認識が違っています。
というのは、今の、今までの制度だったら膨大な時間を要しました、しかし、昨年の改正で、これは重要なんですよ、収支報告書のオンライン提出の義務化が行われました。今まで、これは多分やっていなかった県もある。二つ目は、収支報告書等のインターネットの利用による公表、これが行われるようになった。この二つが行われれば、今までよりも何十倍も速やかに、一つの会社名を入れただけで、指一つで検索できるんです。そういうことをやったんですよ、去年。だから、それを今回公開強化法といって、簡単にできることを総務省にやらせることが、あたかも何か公開が強化という、このミスリードはやめていただきたい。
では、次の議題の方に移ります。
総理、今日も給食の無償化について議論がありました。そこで、我が党は、当然この給食の無償化については相当重要な柱として今まで訴えてきた。先週も、野田代表が石破総理にこれを求めたところです。
お聞きしたいのは、残念ながら、中学校はまだ先のようですけれども、小学校の給食無償化は令和八年度の四月から実施ということになった、これは、当然、我が党の主張も受け入れていただいたという、この認識でよろしいでしょうか。
○石破内閣総理大臣 もちろん、御党がいろいろな主張をなさっておられるということは承知をいたしております。直接このことで御党とお話合いをした機会があったかどうか、これは担当者じゃないと分かりませんが、もちろん、御党が公党としての責任を持って主張しておるようなことには、私どもは耳を傾けるのは当然のことでございます。
○黒岩委員 今日の私の前の質疑でも、いろいろな野党の意見も取り入れてという話がありましたので、あえての確認ですが、我が党の主張も取り入れていただいて、小学校の給食の無償化までは進んでいただいたということは感謝申し上げます。
ただ、私は、何で小学生は先にやるけれども、中学生が後なのかと。単なる財源論なのかというと、私はやはりちょっと寂しい気がします。
そこで、財源論だけでは私はこの議論というのはなかなかきっちりと整理できない、こういう思いから、これは文科大臣にお聞きしたいんですけれども、やはり東京は、各自治体、すごく財政力があります。そんな中で、特に先進的な活動をしている品川区について、文科大臣、品川区の独自の小中学校における支援策、援助策について、分かる範囲で御説明ください。お願いします。
○あべ国務大臣 黒岩委員にお答えさせていただきます。
品川区でございますが、保護者負担の軽減などの観点から、令和七年度予算案につきまして、中学校段階、この修学旅行費、また制服に関わる費用の無償化を発表したことは承知をしているところでございます。
修学旅行や制服に関わる費用負担の在り方については、各自治体におきまして、地域の実情等も踏まえながら御判断いただくものと認識しているところでございます。
その上で、文部科学省といたしましては、生活保護法に規定する要保護者への就学援助といたしまして、修学旅行費、また制服等の学用品費の一部補助を行っているとともに、また、修学旅行費に関しましては、内閣府の重点支援地方交付金を積極的に活用いただきたいこと、また、制服などの購入について、保護者の経済的負担が過重なものにならないように留意することなどについて周知をさせていただいているところでございまして、引き続き、こうした取組を通じまして、教育費の負担軽減に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○黒岩委員 国民の皆さん、特に地方の皆さん、ちょっとお聞きいただきたいんですが、品川区はすごいんですよ。
まず、朝七時半とか七時ぐらいから児童預かり、預かってくれます。そこで朝食もただで出してくれます。これは全て所得制限はないんですよ。国は、就学援助というのは所得制限がある。これは全て所得制限はありません。昼は、当然、給食費、これは全部ただです。それも、品川区は有機野菜のオーガニック給食だそうですよ。何か本当にすばらしい、夢のようだ。そして、修学旅行も、七万五千円ですけれども、これもただ。そして、制服も、これも三万三千円から五万二千円ですけれども、ただ。そのほか、書道セット、絵の具セット、リコーダー、裁縫セット、全てのドリル、理科実験セット、どんなに所得が高くても全てただ。
これは、総理、地方によっては、今申し上げたことが一切サービスがないところが多いですよ。
そのほか、新宿区ですと、小学校に入学祝いが五万円出ます。中学校だと、入学祝いに新宿区は十万円出ます。荒川区は、卒業アルバムもただです。港区になると、家庭調理実習の野菜やお肉も全部ただです。
どうですか、総理。私はここで総理にお聞きしたいんですが、確かに、税金というのは受益と負担の関係である、この原則は私も分かるんですけれども、ただ、同じ国の中でこれだけ差が出ている。しかも、その親御さんが倍も三倍も納税しているわけではありません。全国平均よりも品川区の所得というのは三割程度高いわけですから、若干、累進性を考えれば多く払っていますけれども、でも、実は、やはり立地している企業だとかそういった部分ですから、その住んでいる場所、ともすれば生まれた場所だけでこんなに子供の教育に格差が出ている。
このことを、総理、やはり一国の総理として、それは勝手だよ、ほっておいていいよとお感じなのか、総理の御所見をお聞かせください。総理の御所見を。
○石破内閣総理大臣 正直言って、今の品川の話を聞いていて、委員がさっき夢のようだとおっしゃいましたね、それは新発田だろうが私の鳥取だろうが、どこでもそうなんですけれども、そうしたいですよ。そうあったら、さぞいいだろうなと思います。
ですけれども、私は、品川の、これは所得を何で測るか、法人まで入れると数字がごちゃごちゃになりますので、個人で測った場合に、やはり所得は相当に高いんだろうと思っております。全ての方々に同じ……(黒岩委員「三割アップ」と呼ぶ)いや、もうちょっと高かったと思いますね、そこは統計の取り方によるんですけれども、物すごく豊かな御家庭、そこも本当にただでいいんでしょうかということ。やはりそこのお金があれば、もっとほかの苦しい方々に回すこともできるんじゃないんですかという御意見は、私は多分にあるんだろうというふうに思っております。そこをどう考えるかという議論は、今後また御党ともよくお話をさせていただきたいと思っております。
夢のようなことを実現したいんだけれども、本当に国民の皆さん方がそれをよしとされるかどうかは別の問題であって、もう一つは、安定した財源というものをいかに確保するかということでございます。一年の財源は何とかなるかもしれない。しかし、これがずっと続いて安定的に確保されるかどうかという論点もございまして、この点も併せまして、給食の無償化、あるいは医療、福祉、全体の政策というものは議論してまいりたいと考えております。
○黒岩委員 総理、総理の内情というのは今私にも伝わってきました。ただ、総理はこういう意識じゃないと思うんですけれども、ちょっと言い方を誤解すると、何か品川区のサービスを是正して、ともすると、サービスを少し落としてでもみたいな、ほかのところに分配する。というより、私は、品川区は品川区の独自のことですから、これは尊重すべきだと思いますよ、地方自治として。
問題は、全国の子供に対する給食費といったサービスを底上げしましょうという話なんです。平均収入というのは、全国で四百六十万です、年間平均。品川区は六百十一万ですから、やはり三割アップぐらいなんですよ、極端に納税額が多いというわけじゃないということは御認識していただきたいと思います。
そこで、今回小学校まで広げたわけですけれども、私からすれば、やはりこれからの我が国をしょっていく子供たちという意味では中学生も一緒。小学生、中学生の昼御飯ぐらい、さっきの品川区ほど夢のようなことは申しませんが、昼御飯ぐらい、地方格差なく、ひとしく無償化というものを私は令和八年度からスタートしていただきたいんですよ。総理、いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 それは、まず小学校から始めていきたいと思っております。中学校に拡大をしていくというのは、諸条件が整いますれば、それはやります。是非それをしたいと思っています。
ただ、今、これは委員は全部分かった上で御質問になっておられると思いますが、平均値というのはよく考えませんと、全部ならして平均値なのでございますよね。物すごくお金持ちというのは、品川区に限りませんが、やはり東京には多いのですよね、地方よりも。そういう方々も本当に無償でいいんでしょうかということは、それは無償の方がいいに決まっているんだけれども、そのお金をもっとほかに回すという選択肢は本当に考える余地がありませんかというのは、私は議論する意味があるんだろうと思っております。
どれだけ大勢の方にそういうような福祉というものを享受していただくかということについて、また委員と議論ができれば幸いでございます。
○黒岩委員 分かりました。
私どもは、この給食無償化のみならず、高額療養費の負担軽減といったことにも、次に、地方創生についてお聞きしたいんですけれども、この地方創生の交付金額を倍増すると。私どもは、一旦立ち止まって、この額を、一千億分を、今言った我々が提案する政策の方に回していただきたいと主張しております。
そこで、今日は、伊東大臣、退院されたということで、御公務への復帰、おめでとうございます。また御公務に精励されることを祈っております。
それで、地方創生は、やはり理念もすばらしいし、私は、ある意味、それは応援団ですよ。ただ、この十年間で、なかなかうまくいっていない部分も多いかと思います。
そこで、何点も聞きたいんですが、時間がなくなったので、これは政府参考人にお聞きしますけれども、毎年やっている地方創生事業、今、デジタル田園交付金と去年まではなっていましたけれども、直近の検証報告というのは二〇二二年なので、二〇二二年、この年だけで地方創生事業というのは約三千八百ございます。一つ一つの事業にKPIという、これは分かりづらいので、私は数値目標と言いますね、一つ一つの事業に平均して三つぐらいの数値目標、例えば人数だとか額だとか量だとか、三つぐらい数値目標が設けられているんですね。
そこで、参考人にお聞きしますけれども、直近の二〇二二年、約三千八百あるこの事業のうち、今言った数値目標、三つなら三つですけれども、全てをちゃんと達成できた事業の割合というのは何%ですか。お答えください。
○北尾政府参考人 お答えいたします。
二〇二二年度の交付金事業におきましてKPI目標を全て達成できた事業の割合に関しましては、地方創生推進交付金については二三%、地方創生拠点整備交付金については二一%となってございます。
なお、新しい地方創生交付金では、KPI目標の達成率を含めたこれまでの取組の反省を踏まえまして、事業の検討、実施、検証の各段階において、産官学金労言などの地域の多様な主体が参画する仕組みを構築するなど、新たな制度としてございます。
○黒岩委員 今、ちょっと分かりづらかったと思います。最初の二三%は、いわゆるハード事業ですね。二三%のみですから、約八割は達成できていない。後者は、いわゆるソフト事業と呼んでいますけれども、これは二一%達成です。八割も達成できていないんですよ。
なおかつ、今言った数値目標を一個も達成できていない、中には三つも十個も数値目標を持っている事業がありますけれども、一個もできていない事業というのは、ハード事業だと四四%、半分ぐらい、一個も数値目標を達成できていないんですよ、一個も。ソフトでも二四%、四分の一は一つも達成できていない。こういう状況ですね。
そのほか、一個一個の事業というのは多いですけれども、例えば、東京圏への人口の転入超過を是正しましょうという大きな柱、これを基本目標と内閣府では位置づけています。この基本目標は三つの期間に分かれて、一番最初が十五個、あとの二つはまとめちゃって六十個、基本目標があるんですけれども、この十五のうち、十五の基本目標、今言った東京圏への転入超過の是正とか、こういった十五あったものの検証で幾つ達成できたかというと、大きな柱でさえ、達成できたのは七つなんですよ。半分以上達成できていない。
重要なのは、二〇一九年からの今までの約五年間、基本目標の数値がどれだけ達成できたかというと、今時点でまだ検証ができていないというんですよ、二〇二五年度中と。二〇二五年度中というのは、二〇二六年の三月までですよ。でも、総理、総理の肝煎りの地方創生二・〇というのはもうスタートしているんですよね。スタートしているけれども、では、地方創生二・〇の基本構想というのはいつ取りまとめるんですかと。そうしたら、今年の夏だというんですよ。まだ取りまとめていないんですよ。
そう考えると、さっき申し上げた一個一個の事業の数値目標は本当に達成が芳しくない、余りにも。なおかつ、検証もできていない。検証もできていないけれども、なぜか二・〇は進んでいくというこの今の現状は、総理、順調にこの十年間来ていると国民に胸を張って言える状況ですか。お答えください。
○石破内閣総理大臣 胸を張って言える状況だと私はうぬぼれてはおりません。そうではございません。よく認識をいたしております。
○黒岩委員 今言った数値目標がうまくいっていない、検証などがしっかりできていない、二つ問題ですけれども、三つ目が、見てください、一千億と言っていました、でも、なぜか毎年毎年補正予算が組まれています。補正予算というのは、財政法で、予算を組んだ後に生じた原因によって特に緊要、緊要というのは緊急で必要な場合のみ補正予算を組めるとあるんですけれども、毎年組んでいる。このことも不思議です。
なおかつ、千九百、千六百、千六百、千八百とか、切りがいいというのも不思議です。普通は、急遽発生したものに対してこれだけと言うから、そんなに切りがよくなりません。なおかつ、始まってから二年目から五年目までは、きっちり毎年六百億。余りにも不自然です。これは完全に私は額ありきだと思っているんですよ。
総理、一つ提案したいんですけれども、今言ったように、うまくいっていないわけですから、提案させてください。
まず、立ち止まって、これまでの検証をしっかりやっていく、一つ目。二つ目は、今後、基本目標の数値目標をもっと具体的に、二地域居住、あれもまだ全く数値目標ができていません、こういったものの数値目標の立て方を検証する。そして、すごくいい事例があるんですよ、この事例を全国にやはり宣伝して横展開していく。五年間しか認められていないんですよね、この地方創生事業というのは。でも、やはりいいものには柔軟に七年、十年やる。このように四つやるだけでもこれから立ち直れる。
問題は、そのためには一年間かかるので、やはりこの倍増を立ち止まっていただきたい。いかがですか。
○安住委員長 石破内閣総理大臣、簡潔にお願いいたします。
○石破内閣総理大臣 倍になったというので、待っていましたという自治体もいっぱいございます。それは確かです。ただ、委員の御指摘は本当に謙虚に重く受け止めさせていただきます。
今回、一回やめるということはいたしません。これがどれだけ使われるかということにつきましては、委員の御指摘も踏まえて、各地に、KPIの在り方、もう一つ、これとセットのPDCAの回し方、これには更なる工夫が必要だということはよく認識をさせていただきました。
ありがとうございます。
○黒岩委員 これで終わります。
○安住委員長 この際、岡本あき子さんから関連質疑の申出があります。黒岩君の持ち時間の範囲内でこれを許します。岡本あき子さん。
○岡本(あ)委員 立憲民主党・無所属の岡本あき子でございます。
今日は質問の機会をいただき、ありがとうございます。
私からは、高額療養費の上限引上げの一度凍結、特に現役世代、子育て世代にダメージがあるんじゃないか、その懸念、そして、私たち立憲民主党の野田代表も最優先事項だと申し上げておりますので、この点についてまずお伺いをしたいと思います。
石破総理、答弁の中で、高額医療費に年四回以上該当する方の自己負担額の見直しを凍結すると答弁をなされました。
しかし、多数回該当の方で今後対象外になる方が五万人いるのではないか、昨日報道で、東大の五十嵐准教授が指摘をされていらっしゃいます。
そして、福岡大臣も、高額医療費、多数回該当の対象外になる方が増えることは承知していると会見でおっしゃったと思います。自己負担が上がる方、いらっしゃるんじゃないでしょうか。
この点、まず大臣にお伺いをしたいと思います。
○福岡国務大臣 まず、私が会見で申し上げたのは、多数回該当にかからない方がいらっしゃることは承知をしていますということで、その方が増えるという言い方はしてございません。
その上で、従来から申し上げていますように、今回そういった方々がどれぐらいいらっしゃるかということは、レセプトデータとそして所得の結びつきというのが現時点でできておりませんので、どれぐらいの方がそういう対象になるかということについては明らかになっていないということでございます。
○岡本(あ)委員 参考人の方にお伺いします。
昨日の報道、今朝も専門家の方がおっしゃっているんですが、五万人いるんじゃないかとおっしゃっております。要は、多数回該当に、凍結をするとおっしゃいましたが、五万人の方が外れるんじゃないかという懸念の声が、専門家、東大の五十嵐准教授の試算では出ております。
この点、参考人の方ではどう計算をしていらっしゃいますか。要は、凍結をすると総理がお答えになったんですが、その中でも外れる方がいらっしゃる、二割が対象になるんじゃないかというのは答弁されていらっしゃいますが、そのうち五万人ぐらいの方が実は自己負担増になってしまうんじゃないか。
この点については、参考人、計算がありますでしょうか。
○鹿沼政府参考人 お答えいたします。
今、大臣の方からも御答弁ありましたように、私ども、所得とレセプトというものが結びついておりませんので、大変申し訳ございませんが、そういった数字は持ってはおりません。
なお、昨日の報道等を、私は直接は見ておりませんが、メモでも読まさせていただきましたけれども、年四回のカウントについては制度見直し前後でリセットされることはございませんので、現に長期で療養され、多数回該当になっている方の自己負担は見直し後も維持されるというふうに考えておりまして、その点については、ちょっと報道の内容は誤解を与える内容であったかなというふうに思っております。(発言する者あり)
○安住委員長 静かに。
○岡本(あ)委員 じゃ、確認をさせていただきます。
総理は、今現在多数回該当になっている方については凍結をする。この方で、要は所得が六百五十万とかいう方は、今後も、多数回該当にずっと治療が続く間はなる、多数回該当の、今の四万四千四百円でしたかの支払いで収まる、ずっとですよ、ということでよろしいんでしょうか。(発言する者あり)
○安住委員長 静粛に。
○鹿沼政府参考人 お答え申し上げます。
非常に大切なポイントですので、御質問いただきましてありがとうございます。
今、年収六百五十万円の方、これは今回の見直しにより自己負担限度額は上がりますが、制度改正後に治療を受けて、その方が過去十二か月のうちに三回以上高額療養費の対象になっていれば、自己負担限度額は従来の四万四千四百を超えていれば引き続き高額療養費の対象となります。四万四千四百を超えていれば高額療養費の対象となりますので、その運用については制度改正後もずっと続くものだというふうに思っております。
○岡本(あ)委員 今、すごく重要な答弁をいただきました。
今現在多数回該当になる方で、今年の八月、あるいは二段階で二年後の八月以降、例えば年収六百五十万の方だったら、本来だったら、十三万八千円までは自己負担で、その分負担をしていただかなきゃいけないと思うんですが、その方々は、十三万八千六百円を負担をせずとも、今の四万四千四百円のままで、今後も、二年後も五年後も、治療が続く間はいいんですか。(発言する者あり)
○安住委員長 静粛に。静かに聞いて。
○鹿沼政府参考人 お答え申し上げます。
まさに、その点が今回の修正案のポイントの一つだというふうに思っております。
制度改正後に自己負担限度額が上がる方であっても、その方が過去十二か月の間に三回以上高額療養費の対象になっていらっしゃれば、そうしたら、その方は多数回該当ということに当たりますので、今回、六百五十万円の収入の方であったとしても、多数回該当に該当される場合は四万四千四百円という形になっておりますので、それが適用されるということになります。
○岡本(あ)委員 そうしたら、例えば、今年の八月から限度額が引上げ、それから、二年後には、さっき私の方で六百五十万という想定をさせていただきました、そうすると、二年後で六百五十万の収入がある方、本来だったら十三万八千六百円までは自己負担となるんですが、いつ時点で過去十二か月、三回該当していれば、四万四千四百円、例えば、一年後に発病していらっしゃって、二年後に振り返ったときに三回以上やっていたら四万四千四百円でよろしいんですか。途中引き上がっていますけれども。
○鹿沼政府参考人 お答え申し上げます。
二年後であっても、五年後であっても、十年後であっても同様でございまして、過去十二か月の間に三回以上多数回該当に当たっているかどうかが、四回目の治療において多数回該当のこの金額の引下げに当たるかどうかというポイントでございます。
したがいまして、二年後に引上げが行われたとしても、その十二か月以内に三回以上高額療養費の対象になっていらっしゃれば、それは多数回該当の今回の修正案の特例を受けられる、そういうものでございます。(発言する者あり)
○安住委員長 静かにしろ、筆頭理事なんだから。
○岡本(あ)委員 高額療養費の上限を超えて多数回該当。高額療養費の上限は動きますよね。今年の八月以降、上がっていきますよね。
そうすると、例えば、年収六百五十万円の方で治療費が毎月十三万八千円かかります。この方々は、二〇二七年の八月以降は十三万八千円までは自分で払わなきゃいけないですよね、三回を超えた瞬間に四万四千四百円に下がるということですか。
○鹿沼政府参考人 六百五十万円で、仮に治療費が十万円という場合、要するに、十三万八千六百円よりも下だということで仮定をした場合に、まず、今の現行制度で、ずっと治療を続けているという前提でお話をさせていただきますが、今もその方は多数回該当に当たっておりますので、今年の八月の施行後も四万四千四百円で多数回該当に当たりますし、来年の八月、再来年の八月に引上げがなされたとしても、ずっと四万四千四百円の多数回該当に当たるということになります。それは、治療を継続されている間はずっとそういった形になろうかというふうに思っております。
○岡本(あ)委員 ちょっと、逆に疑問が湧くんですが、今ほど十万円の治療とおっしゃいました。今治療をしている方々は、二年後でも五年後でも治療が続く限りはですよね。
ただ、今後発病された方で、要は上限の方々、いらっしゃいますよね。例えば、くどいようですが、年収六百五十万円、この方で、十万円の治療で、新たに発病された方。来年、二年後の方で、十三万八千六百円よりも下の治療費の方は、十万円だったらずっと十万円負担はしなければいけないですよね、新たに発病された方。
そうすると、今、四万四千四百円で、同じ年収六百五十万円、病気も一緒、治療方法も一緒、今治療を受けていて、二年後も同じ治療が続いている方。二年後に発病して、同じ収入、同じ治療方法、その方は十万円払わなきゃいけない。同じ収入、同じ治療で、治療が続いている間に、十万円払わなきゃいけない方と、四万四千四百円の方と、二種類存在するということになりますか。
○鹿沼政府参考人 新たに対象になられる方については、今先生おっしゃられたとおりだというふうに承知をしております。
ただ、これまで治療をされてきた方々、この方々については、自己負担が多数回該当で例えば四万四千四百円、それでずっと今までもされてきましたし、今後もそういったことを見込まれていろいろな人生設計なりなんなりをされていると思いますので、そうした方々については引上げを行わないということで、今回据置きをさせていただいたというものでございます。
なお、そういった、十三万円を超えないとならないというところにつきましては、現行制度でも、例えば、七百七十万円の収入の方であれば、十六万七千四百円ですか、約十七万円ぐらいを超えない限りは多数回該当の対象にもならないということで、これは、収入に応じて高額療養費の金額、上限額を定めている以上、どうしても避けられないことだというふうに思っております。
○岡本(あ)委員 総理、今の議論をお聞きになって、逆に聞きたいんですけれども、同じ年収六百五十万円、同じ治療を受けております。二年後に発病した人は、もし十万円の治療だと言われれば、同じ収入で同じ治療を受けている方でも、二年後に発病した人はずっと十万円を負担しなければいけない。一方で、同じ収入、同じ治療だけれども、今現在、要は八月前までに治療を受けている方は四万四千四百円でずっといく。同じ収入で、同じ治療ですよ。それは公平と言えますか、制度として。
収入が六百五十万円と七百万、違いますよねはまだ分かります。同じ収入六百五十万円、同じ治療方法を受けています。でも、二年後に発病した人には、ずっと十万円、高額医療の範囲内で、自己負担、三回どころか、一年間、二年間続いても毎月十万円負担してください。一方で、今、七月までの間、過去十二か月で三回以上、十万円負担している方で、年収六百五十万の人は、四万四千四百円の負担でずっといくことになります。
二年後に、同じ収入、同じ治療方法なのに自己負担が異なるというのは公平でしょうか。総理、いかがお考えでしょうか。
○石破内閣総理大臣 上限額は収入に応じて定めておるものでございます。こうした状況が発生しないようにするというのは難しいので、それは収入に応じて上限額を決めております以上は。
今般の上限額の引上げにおいて、所得区分ごとの階段、どれだけ所得が増えたかというこの階段ですね、これをできるだけ細かくいたしました。所得に応じたきめ細かい制度設計としておりますので、所得に応じた御負担という観点からは、激変することはなく、比較的なだらかな増加というものを目指しておるものでございます。
これは、所得に応じた御負担という観点からは、より公平なものになると思っておりまして、段階的に三回に分けて引き上げるなどという配慮もいたしておるところでございます。これが全くなくなるわけではないので、いかにして激変を緩和をするかということについての配意は相当にいたしたつもりでございます。
○岡本(あ)委員 ちょっと答えになっておりません。所得に応じてという説明は分かりました、納得はしていないですけれども。
ただ、同じ収入、年収六百五十万円、同じ治療方法を受けています、でも、毎月十万円をずっと払い続けなきゃいけない人と、四万四千四百円で済む人が、同じ時期に存在をするんですよ。それは、先ほど収入に応じてというのは御答弁いただきましたが、同じ収入です。支払う額が、しかも倍以上違いますよね。四万四千四百円で済む方と、十万円を、毎月ですよ毎月。倍の差額が出ます。
これは全く公平と言えないと思うんですが、厚労大臣、お答えください。
○福岡国務大臣 まず、長期にわたって御療養されている方の負担を上げないということについては申し上げてきたとおりです。
その上で、過去もずっと高額療養費の見直しを行ってくる中で、どうしてもその引上げの中で、そこの幅の中にいらっしゃる方というのは、これまでも同様の扱いをしてきたという経緯がございますし、それはその時々の所得だったり経済情勢等に応じて見直しを行っているということでございまして、不公平だということには当たらないというふうに考えています。(発言する者あり)
○安住委員長 ちょっと待って。
答弁に満足していないんですか。(岡本(あ)委員「はい」と呼ぶ)
じゃ、速記を止めて。
〔速記中止〕
○安住委員長 速記を起こして。(発言する者あり)
速記をもう一回止めて。
〔速記中止〕
○安住委員長 速記を起こして。
それでは、まず、福岡厚生労働大臣、答弁をお願いします。
○福岡国務大臣 まず、今、長期で療養を受けていらっしゃる方については、その御負担は変わらないようにするということでございます。そして、今後新たに御病気になられる方については、新しい制度の下の負担の中でやっていただくということでございまして、それは、制度上そういうことだということでございます。
○岡本(あ)委員 全く納得いきません。不公平そのものですよ。
先ほど、過渡期だと、過渡期というか新しい制度の間で多少あるんだと。過去で、例えば、お一人当たりプラス一万円ぐらいの差でいくとかいうんだったらまだ過渡期と分かります。ただ、今の御説明だと、毎月四万四千四百円で済む方と、毎月十万円。例えば十三万八千円の治療だったら、毎月十三万八千円までは払わせる制度ですよね。そうすると、倍どころか三倍、同じ収入、同じ治療、でも負担額は三倍の差をずっと続けることになるんです。
今、乳癌学会からも緊急の声明が出ました。このグラフを見ていただけるとおり、特に女性の方、がんは三十代から五十代で発症する方が多いんです。今は、治療と仕事そして家庭を両立をさせている、長く治療をされる、医学の進歩で、ありがたいことにそういう方が増えていらっしゃるんです。乳癌学会の方も、これで治療を諦める現役の方が増えるんじゃないか。そして、治療を諦めるということは、現役にとっては、本当に、経済的な困窮から治療を諦める、命につながるというものになります。
今申し上げましたとおり、毎月四万四千四百円だったら何とか頑張れる方に、今後は、同じ収入、同じ治療ですよ、毎月十三万八千円までは必ず負担してください。三倍差が発生するのがずっと続くんです。
これは、総理、制度として、患者さんに、仕事と家庭と治療を頑張っている、特に私からすると、乳がんや子宮がん、女性は三十代、四十代で、子供を持ちながら、あるいは子供を持ちたいと思って闘っていらっしゃるんです。この方々に、二年前に発症したから、あなたは四万円でいいです、今発症したから、悪いけれどもあなたは十三万八千円までは払ってくださいね。同じ収入、同じ治療方法ですよ。現役の世代の方です。不妊治療だって、今、高額医療は上限があるから不妊治療にチャレンジしている方々がいらっしゃるんです。
これは全くフェアではないと思いますし、少子化にも逆行する高額医療の上限の引上げ。要は、八万円を十三万円まで上げるなんて、こんな高い率の引上げ、過去にやったことはないですよね。そこにみんな戸惑っていますし、皆さん凍結をと求めているんです。
改めて、少子化にも逆行するんじゃないか。やはり、格差というか二重の、ダブルスタンダードを設ける、このことには大きな問題があると思います。少子化に逆行するかどうか、この点は総理、お答えいただけませんか。
○石破内閣総理大臣 私どもは、そのようなことは考えておりません。多数回該当の方は、引き上げることはいたしません、それは。
そういうことになって、つまり、何年か前にそういう病気にかかられて、しばらく治っておられて、またそういうような病気というものを発症されたという場合の方をおっしゃっておられるとするならば、それが多数回該当に当たる場合、それは、きちんとした負担の軽減というのか抑制というのか、それは今後もやってまいります。
もう一つは、不妊治療の場合もそうでございまして、どれだけ高いお金が要るか、そしてまた、どれほど患者さんがつらい思いをされるかということは、私どもとしてよく承知をいたしております。この場合も高額療養費の対象と当然なるものでございますので、御負担の軽減には引き続き努めてまいります。
○岡本(あ)委員 総理、答弁がちょっと異なっています。
先ほどおっしゃったのは、過去にあって、また期間を置いて再発をした場合は四万四千四百円だと。もっと問題ですよ。新しく、二年後に新たに、過去に罹患がなくて、新たに二年後に発病した方は最初から十三万八千円までは払ってください。でも、過去に多数回該当があって、一時期落ち着いていて治療の必要がない、でも、再発をしたらまた四万四千四百円。余りにもそれはひどくないですか。
そこを、今、総理の答えでいくと、私は、再発をした方を言ったんじゃなくて、新たに発病した方と今治療を受けている方で、二年後に、同じ収入で同じ治療法なのに、三倍の自己負担額、三倍も開きがあるようなことが起き得る、これは大問題だと指摘をさせていただいているところです。
○鹿沼政府参考人 お答えいたします。
先生おっしゃるように、それは確かに、これまでのがん患者については四万四千四百円が適用されますし、今後の方については新しい制度が適用されます。
法改正を行う場合に、従来から対象となっていた方、また新しく対象となる方で、激変緩和措置のような形で制度を分けるということはございますし、また、新しい制度において、先ほども言いましたとおり、七百七十万を超えている方は十六万七千四百円を超えないと多数回該当の該当にならない、一方で、七百七十万円よりも下で六百五十万円を超えている方は十三万円台でなるということで、そこは、こういった所得に応じて区分を設けている以上、生じ得る問題だというふうに思っております。
○岡本(あ)委員 所得が違えば金額が違う、それは私は了解はしています。ただ、同じ収入、同じ所得なのに、四万四千四百円と、十三万八千円払わせる、余りにも差が大き過ぎませんか。この十三万八千円の方は、上限を超えないので、ずっと払い続けるんです。これは余りにも拙速に制度を決め過ぎたと私は思っています。
乳癌学会の声明も、まさに今日出されました、緊急声明です。その中で、高額療養費制度の自己負担上限引上げの凍結、それから、患者や専門家との対話をちゃんとした上でもう一回組んでほしいと要望を出されています。患者の治療継続と生活の安定を最優先に配慮するべきですし、また、負担軽減が治療継続の要になっております。この声明を出されております。余りにも拙速なプロセスで決めたということが全ての根幹にあると思います。
そして、私たちは、高額医療費だけのところを見るのではなくて、医療費全体でちゃんと見直しをするべきだと思っています。医療費が膨らんでいるという事実には向き合わなければいけないと思いますし、これは、高額医療、総理、この間答弁で、一千万以上、キムリア、オプジーボ、薬名を挙げて、こういう高額の医療がかかるケースが十年間で七倍になっている、これを何とかしないと制度がもたないとおっしゃっていますが、私は、ここだけ捉えるのではなくて、医療費全体を見直さなきゃいけない。高額療養費が、この七倍が原因になっているために高額療養費の上限を引き上げないと制度がもたないというのはおかしいと思います。
それから、薬名を挙げて、今日、全がん連の轟理事もいらっしゃいますが、記事に、轟理事が、負担上限額が引き上げられるのはキムリアやオプジーボを使っている患者がいるからだと思う人もいるんじゃないかと。非常にネット上でも、すごく批判の声が上がっています。
この発言に対しては、やはり撤回をしていただきたいと思います。総理、お答えください。
○安住委員長 総理、間もなく時間が来ますので、簡潔にお願いいたします。
○石破内閣総理大臣 ですから、切取りというのはこういうことであって、それは、どういうことでこういうことになってきたか。私は、キムリアとかオプジーボがあるから、そういうことに責任を押しつけるなんて気は全くありません。その前に、受診を抑制しなければならないとかそういう方が出ないために政府として最大限考えていますということを申し上げているのであって、こういう高額の医療費、医療、薬、こういうことをこれから先も使えるようにどうしますか、制度としてどう仕組みますかということを申し上げているのであって、それを逆に捉えるというのは、それは考え方がおかしくないですか。こういうものが使えるように、これから先も使えるように私どもは制度を考えていかなければならない。
じゃ、一体どういうことなんだと。実際に、高額医薬品というか治療というか、そういうものってどういうものなのだということをお示しをしただけのことであって、それがこれから先も使えるようにするためにどうするかということで提案を申し上げているところでございます。
それは考え方が全く逆であって、私どもはそのような考え方を持っているものではございません。
○安住委員長 岡本さんも、時間ですから、まとめてください。
○岡本(あ)委員 はい。
ネットで、がん患者、当事者の方が、そうは受け取らずに、やはり私たちのせいで治療費が上がったという反応になっているという事実は受け止めていただきたいと思います。
私たち立憲民主党は、二百億円の、一旦凍結をして、修正案を出しております。凍結をして、そして、今申し上げましたとおり、余りにも、二年後、同じ治療、同じ収入でも支払う金額に差が出る、こんなことはあってはなりませんし、高額医療の制度の見直しをちゃんと求めたいと思います。
そのためにも、是非、当事者の方々と、総理、会ってください。質問時間を終えたので、これは要望として伝えさせていただきます。
ありがとうございました。
○安住委員長 この際、井坂信彦君から関連質疑の申出があります。黒岩君の持ち時間の範囲内でこれを許します。井坂信彦君。
○井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。
今年の予算委員会では、税金の無駄削減を担当し、財務大臣や経済産業大臣と議論をしてまいりました。その成果として、立憲民主党は先々週、財源を含めた予算の修正案をお示しをしたところであります。
パネルの一番を御覧ください。
右側の赤い枠の中が、ワクチン基金や予備費など、税金や基金の無駄を削減して生み出した三兆七千九百三十五億円の財源。さらに、右の枠外には、予算委員会で議論した七十四兆円の日銀ETFや、年二・三兆円の租税特別措置、また百八十六兆円の外為特会など、令和八年度以降の安定財源の候補も書きました。
一方、左側の青い枠の中に、立憲民主党が来年度予算で実現したい政策、まず、国民の負担を減らすために、ガソリン減税、給食無償化、高校授業料無償化、そして、国民の収入を増やすために、介護、福祉、保育の給料アップ、百三十万円の壁対策、中小企業の社会保険料補助、高額療養費の凍結。これだけ多くの減税や政策を、増税も借金もせずに、誰の追加負担もなしで実現できるのが立憲民主党の予算修正案であります。
本日は、左上のガソリン減税から伺います。
まず、この一か月でガソリン価格が史上最高値になった県はあるか、参考人、お答えください。
○和久田政府参考人 お答え申し上げます。
資源エネルギー庁が実施をしている価格調査結果によりますと、委員御指摘の、直近一か月の間にレギュラーガソリンの小売価格が過去最高値になった県は、宮城県、滋賀県、鳥取県、島根県、愛媛県、高知県でございます。
○井坂委員 何か総理、びっくりしておられましたけれども、総理の御地元も含めて、今六つの県でガソリンが史上最高値ということであります。国民生活と日本経済を救うために、早急にガソリン減税が必要です。
総理はこれまで、財源がなければガソリン減税はできないと答弁をしてこられました。令和七年度の財源は、立憲案の半分でも採用すれば完全に確保できます。そして、令和八年以降の財源も、右の枠外に書いた別の安定財源で十分に確保できます。
総理に伺いますが、立憲民主党が示した財源を使って、ガソリン減税をすぐにやっていただけますでしょうか。(発言する者あり)
○安住委員長 静粛に。
○加藤国務大臣 全部議論してしまうとちょっと時間を費やしてしまうのでありますが、まず一つは、ガソリン暫定税率の廃止については、自公国の三党間で協議が行われているものと承知をしております。
その上で、私ども従前から、揮発油税を含めて全てのいわゆる暫定税率が廃止された場合には、国、地方合わせて毎年一・五兆円の税収が恒久的に失われる、そして、それに対して、こうした恒久的な減収にどう対応するかが大事な論点であると考えているということを申し上げてきたところでございます。
一方で、御党から出していただいております八年以降の安定財源の関係でありますけれども、例えば外国為替特別会計については、これは何度もいろいろな御質問をいただいておりますが、そもそも、そうした外国為替、持っている方はドルで、借り入れた、いわゆる短期の国債を発行しておりますが、それは円で調達しておりますから、そうした為替リスク、そうしたものの対応として一定程度の内部留保を持たなきゃいけない等の説明もさせていただいておるところでありますし、また租税特別措置については、それぞれ必要性を持って対応させていただいている。
日銀のETFについては、まず基本は、日銀が持っておられるわけでありますから、日銀においてそうした管理をどうするか。これもこれまで総裁から説明があったものと承知しています。
○井坂委員 総理に伺いますが、財源がないというのは言い訳にすぎず、我々が財源を提案してもやらないなら、これは最初から国民に減税する気がないだけだと思います。足りないのは財源ではなく、自民党そして政府のやる気ではないんですか。
総理は本当にガソリン減税をやる気があるのか、お答えいただきたいと思います。
○石破内閣総理大臣 それは仮に暫定税率のことをおっしゃっておられるとするならば、それは廃止するということを明言をいたしておるところでございます。それをいつやるかということは、その年だけスポットで財源を見つけてもしようがないわけで、これは道路の整備等々、公共事業を安定的にこれから先も続けていかねばなりません。今あそこにあるじゃないかだけでは、それは安定的な財源とは言わないのでありまして、私どもとして、その恒久的な財源というものを見つける努力は最大限これから先していきたいと思っております。
そういうものを見つけた上で、いつに暫定税率を廃止するか、それは三党間で今後更に協議を続けてまいりますが、その頻度も上げ、そして、代替というかな、代わりの財源を見つけるという努力はしてまいります。もし御提案があれば承りますが、この基金がこれだけあるからということでは、それは安定的な財源と私は思っておりません。
〔委員長退席、奥野委員長代理着席〕
○井坂委員 来年は基金でと言っていますが、再来年以降は租税特別措置とか、私はいろいろ御提案を申し上げてまいりました。人の財源にいろいろと難癖をつけておられますが、では、我々の財源に対して早く対案を出してくださいよ。いつ政府・自民党の財源を出すんですか。
○石破内閣総理大臣 その財源をどこから見つけるかということで、今真剣な議論を行っておるところでございます。ですから、私どもにやる気がないとか、そのようなことを申し上げているわけではございません。
それは、私どもとして、インフラの整備というものを是非やってくれというのは、地方の物すごい強い要望でございます。これにきちんと応えていかなければなりません。ほかに、国民の御負担を増やさないという形で、そして次の時代に先送りしないという形で財源を見つけるというのは、魔法でもなければ手品でもございませんので、そんなに簡単にはできませんが、三党の中でなるべく早急に結論を得たいというふうには思っております。これをいつということは明示はできませんが、それが早かるべく、今、担当者の間で真剣な議論を積み重ねておるところでございます。
○井坂委員 令和八年以降の安定財源として、大企業向け減税の見直しについて議論をしたいと思います。
一つ目は、七千二百億円もの減税が行われている賃上げ促進税制であります。
世の中が今五%賃上げをしているときに、三%以上賃上げしたら減税しますというのは、もはや政策としての意義を失っています。財務省の分析でも、賃上げ税制が実際に賃上げにつながったかは確認できなかったと報告をされています。
総理に端的に伺いますが、役割を終えた賃上げ促進税制は廃止をすべきではないですか。
○加藤国務大臣 賃上げ促進税制、確かに、賃上げに、こういった社会現象に、ある要素がどれだけ定量的に影響しているか、これはなかなか分析するのは難しいということはこれまで申し上げてまいりました。
しかし一方で、この現下の中でいかに賃上げを進めていくのか、これは大事な課題であり、そういった意味で賃上げ促進税制が導入され、そして、この間、見直しもなされてきたところであります。見直しに当たっては、これまでの分析として、大企業等において、より効果的に作用するために率を上げるとか、いろいろな対応もさせていただいたところでございます。
こうした賃上げ税制というのは、そもそも人件費というのは経費で、経費扱いされているものを更にという異例の措置であることは委員御指摘のとおりであります。したがって、今後とも、こうしたものがどう効果が出ているのか、こういったことも含めて、しっかり見直しをしていくことは重要だと思っています。
〔奥野委員長代理退席、委員長着席〕
○井坂委員 財務大臣とは大分この議論をしてきて、最後に総理にお聞きをしておりますので、ちょっとお答えいただきたいんです。
東京商工リサーチが、二〇二五年度に賃上げを予定している企業にその理由を尋ねたアンケート。社員が辞めるのを防ぐためというのが七八%です。そして、物価高への対応、これが七二%。それから、新規採用をうまくやるためが五〇%。複数回答可です。肝腎の、税制優遇があるから賃上げしますというのは僅か四・六%であります。
要は、企業がなくても構わないと言っている減税を、総理は今後も毎年七千二百億円の巨額を投じて続けるんでしょうか。総理、お答えいただきたいと思います。
○石破内閣総理大臣 それは、これがあるから賃上げしますというふうにお答えになる企業はそんなに多いと私は思っておりません。むしろ、委員が御指摘になりましたように、東京商工リサーチの、これは防衛的賃上げというんですかね、それをしないと人が来てくれない、そういうものが多いということも承知はよくいたしております。
ですから、このような優遇税制がなくても賃上げが行われるようになるということは極めて大事なことでございますが、令和五年度におきましても、大企業、中小企業、幅広く、二十五万社を超える企業が適用を受けておるわけでございます。
これから先、コストカット型の経済から高付加価値創出型の経済に軌道が乗ってきますれば、生産性が上がるということになる、そして賃上げの原資も生まれてくるということになります。この賃上げ促進税制というものが使われなくても賃上げがきちんとできるというようなことの見極めは、私は極めて重要なことだと思っておりまして、今年がその大きなポイントとなる年になるというふうに認識をいたしております。多くの企業において賃上げがなされる、それは、しかしながら、生産性の向上によって原資が確保されるということがあるべき経済の姿だと認識をいたしております。
○井坂委員 企業に無意味な減税をする財源があったら、ガソリン減税など、国民に還元をしていただきたいというふうに思います。
見直すべき大企業向け減税の二つ目は、研究開発減税であります。
パネルの二番を御覧ください。左側は、研究開発減税が巨大企業に偏って適用されていることを示しています。約九千五百億円の減税のうち、トップ一社で八百二十八億円も減税を受けて、上位十社で二千三百七十四億円。一方で、中小企業の減税は僅か二百五十八億円と、全体の三%だけであります。その結果、右側の企業規模別の研究開発費、大企業が売上げの四・五%を研究開発に充てているのに対して、中小企業は僅か一・五%しか研究開発に使っていません。
ちなみに、ほかの国は、中小企業の研究開発費の割合が大企業より高いぐらいであります。日本の大企業は既にほかの国より研究開発費割合が多く、中小企業の研究開発費は先進国最低レベルであります。
総理大臣、これは通告どおり総理大臣に伺いますが、研究開発減税を大企業に九千億円も適用するのはやめて、中小企業に絞って行うべきではないでしょうか。
○石破内閣総理大臣 研究開発税制は、大企業、中小企業にかかわらず、将来の経済成長の礎となる企業の研究開発投資を後押しするというものでございまして、中小企業については、特に控除率の優遇というものをいたしております。
金額で見れば委員御指摘のとおりでございますが、企業規模の大きな大企業は確かに適用金額が大きいのですが、件数で見た場合に、令和五年度の合計で一万七千件でございますが、中小企業に御利用いただいている率は七〇%になっております。それだけ多くの中小企業に御利用いただいているものでございまして、中小企業でございますから、それは大企業に比べればそんなに大きな額は使いませんけれども、今回の七〇%の数字を見ましても、中小企業の皆様方に御利用いただいているということに私どもとしては自負を持っておるところでございます。
どのような制度をすることがより日本全体の研究開発投資を促進することになるかということにつきましては、効果検証をきちんと行いまして、今後の税制改正のプロセスの中で更なる見直しは検討いたしてまいります。
○井坂委員 総理、私、ここは意見が一致する部分もあるんです。研究開発は大事です。それに対する支援も大事です。ただ、今、一兆円近い財源を使って、それを研究開発減税一本やりでやっている結果、結果を見ていただきたいんですよ。大企業はもう十分に研究開発をやっている。それに対して、中小企業、使っているとおっしゃいましたが、ただ、結果は売上高の一・五%しか研究開発費に費やせていないわけであります。
総理、この現状を御覧になって、減税が大企業に偏っているという問題意識はあるという、それぐらいの認識はお答えいただけないでしょうか。
○石破内閣総理大臣 それは、更に中堅企業、中小企業において研究開発が進んでいくということは大事だと思っております。
今、件数においては先ほど七〇%というふうに申し上げましたが、件数というよりも、もっと金額を多く利用していただくということはあってしかるべきだと思っております。よく検証しながら、もっと御利用いただきやすい制度というものがありとせば、それに向けて検討は進めてまいります。
○井坂委員 これはベンチャーの方とも昨日お話ししたんですけれども、やはり、研究開発専門でやる人材がいなきゃもらえないとか、中小、ベンチャーの人は非常に使いにくいというような要素もあります。
今日は細かい議論はしませんが、中小企業の研究開発の支援にもっと重点を置くべきだ、これは多分、与野党合意のできる話だと思います。限られた財源ですから、是非、有効にシフトをしていただきたいというふうに思います。
次の質問に移りますが、ところで、総理、自民党は、この研究開発減税一位の企業、八百二十八億円の減税を受けた企業から献金を受けておられますか。
○石破内閣総理大臣 私どもの方として、自由民主党が、国民政治協会というものでございますが、自民党の政治団体、国民政治協会への献金額が上位の企業というのは既に明らかにしておるところでございます。
研究開発減税の主な適用業種というのは明らかにいたしておりまして、一位が輸送用機械製造業、二位が化学工業、三位がその他の製造業ということになっております。個々の社名については明らかにいたしておりません。
○井坂委員 そうなんです。この研究開発減税というのは、どの企業が巨額の減税を受けたのか、八百二十八億円もの減税を受けたのかということは秘密にされていて、その企業が、しかも、じゃ、それだけのお金をもらって研究開発費を増やしたのか、それとも減らしたのか、そういうことすら分からない仕組みになっています。
パネルの三番を御覧いただきたいと思います。先ほど総理が多分次のパネルを御覧いただいてお答えくださったんだと思いますが、研究開発減税を一番多く受けているのは輸送用機械、つまり自動車業界で二四%、二番目が化学工業で一五・三%。そして、右側にあります自民党に一番多く献金をしている企業がトヨタと住友化学、四位に日産自動車ということであります。要は、たくさん減税を受けた巨大企業が自民党に毎年巨額の献金をしているわけであります。
日本では、補助金を受けた企業は政治献金が禁止をされます。しかし、巨額の減税を受けた企業は献金し放題のルールになっています。
総理に伺いますが、我々は元々、企業献金全体を禁止をするべきだということで、昨年末から与野党で議論をしておりますが、自民党は企業献金を受け取り続けるということでありますが、百歩譲って、せめて減税を受けた企業の政治献金は禁止をして当然ではないでしょうか。お答えください。
○石破内閣総理大臣 それは、委員御存じの上で質問していらっしゃると思いますが、補助金と租税特別措置の違いというものはよく認識をしておかねばならないものだと思っております。
つまり、どういうことかと申しますと、補助金は、予算の範囲内で、特定の事業を行う団体等に対しまして、申請を受けて国が審査を行った上で交付を決定するものでございまして、予算にも制約がございます。申請内容がどのようなものかというものもきちんと見させていただきます。条件を満たしていたとしても、いろいろな制約から補助金の交付が受けられない、行政庁の裁量が利く部分がございます。
これに対しまして、租税特別措置の場合には、法律に規定されました形式的な要件、これはまた明確なるものでございますが、これを満たす納税者がひとしく適用を受けるということになっております。
ですから、租特の場合と補助金の場合というのは性格が全く異なるものでございまして、補助金を受けている者から献金を受けることはいけません。しかしながら、租特の適用を受けているということについては行政の恣意が入る余地がございませんので、そこから献金を受けるということは一般論としては当然あり得るものでございます。
○井坂委員 要は、企業がそれだけ減税を受けられるような制度をつくっているわけです。そして、そこから巨額の献金を受けているわけです。国民が苦しんで、国民向け減税をやってくれと言っても、財源がないないとおっしゃって、一方で、企業向けの減税は一兆円単位で用意をして、そして献金を受け取っている。これは本当にひどい話だと私は思いますよ。
立憲民主党の予算修正案には、介護、障害福祉、保育、幼稚園で働く皆さんの給料アップと、それを増税や借金なしで実現するための無駄削減の財源が含まれております。
まず、介護、障害福祉職員の給料アップについて質問し、その後で、保育、幼稚園の給料アップについて伺いたいと思います。
パネルの四番、御覧ください。上は、二〇一九年に二百十一万人だった介護職員が、二〇四〇年には二百八十万人も必要になるという図です。下の青い方は、その三年後、二〇二二年に二百十五万人の介護職員を、二〇四〇年には二百七十二万人まで増やさなければいけないという図であります。この上と下を比べると、要は、介護職員が全く増えず、必要な人数にこの間足りていないことが分かります。
まず、参考人に伺いますが、この図に書いていない、最新の介護職員数は何万人でしょうか。数字だけお答えください。
○日原政府参考人 お答え申し上げます。
令和五年十月一日時点の介護サービス施設、事業所に従事する介護職員数は、二百十二・六万人となってございます。
○井坂委員 要は、二〇二三年、二百十二万人に減ってしまっているんですよ。これは、減ったのは初めてだということであります。介護職員を増やさなければいけないのに減っている。しかも、これは、上の図を見たら、二〇二三年には二百三十三万人が必要ですと元々言っていたのに、結局二百十二万人しか確保できなかったという結果であります。
介護、福祉の人手不足は、高齢世代だけでなく、現役世代も直撃します。家族が倒れて十分なサービスが提供されなければ介護離職が増え、経済産業省は、介護サービス不十分で年間九・二兆円の損失が出ると試算をしています。政府は、補正予算で、年間一人五万四千円の一時金を一年だけ支給するといいますが、全く足りません。
総理に伺います。我々は、年間十二万円の給料アップをまず来年度予算で行い、最終的には全産業平均と同じ給料を介護、障害福祉の職員に出せるように提案をしています。介護、障害福祉職員の処遇改善を来年度予算にも入れて行うべきではないでしょうか、お答えください。総理がお答えください。
○石破内閣総理大臣 問題意識は多分、委員と一緒だと思っております。御党が予算の修正案を御提出をいただいております。これは、国会でその中身について御議論いただくべきことでございますが、問題意識は共有しておるところでございます。
私どもといたしまして、令和六年度の報酬改定で処遇改善加算を更に行うということにいたしました。要件の弾力化、あるいは千四百八億円規模の補正予算による更なる賃上げ等に向けた支援を通じまして、介護、障害福祉分野における賃上げ、生産性の向上を進めておるわけでございますが、なお十分だとは思っておりません。その問題意識は持っております。
昨日、医療、介護、障害福祉の関係者の皆様方と面会をさせていただき、いろいろな御意見を承ったところでございます。それで、厚生労働大臣に対しまして、以下の指示をいたしました。
医療、介護、障害福祉における賃上げや生産性向上のため、令和六年度補正予算における生産性向上、更なる賃上げの支援が現場に確実に届くようになっているかということ。これは、実際に届かなければ意味がないことでありまして、このことのきちんとした確認というものはしていかなければなりません。
もう一点は、物価、賃金の動向が経営状況に影響を与えておるわけでございます。報酬改定、補正予算の効果も含め、実態をよく把握して対応するようにというふうに申しておりますが、介護の分野は、更にAIの導入の余地が物すごくあるんだろうと思っております。その面において、いかにして、言葉が適切かどうか分かりませんが、生産性を上げていくか。そして、キャリアアップが適正になされるということも大事なことだと思っております。
人が足りないということは十分に認識をしておりますので、更なる改善に向けて、政府として取り組んでまいります。
○井坂委員 総理に更に危機感を持っていただくために数字をお示ししますが、介護の職員数の見通しで、これは政府の資料ですよ。政府は当時、何もしなくても、二〇二三年には二百十八万人にまで増えるだろうと予測をしていたんです。何もしなくてもですよ。ところが、実際は、何もしなくてもと予想していたときよりも更に減って、二百十二万人になってしまっている、こういう末期的な状況であります。
本日、この後、十二時半から、自民、公明と立憲民主党の二回目の予算の修正協議が行われます。我々は、予算委員会の議論で財源を見つけ出し、それを使って、介護、福祉、保育、幼稚園の給料アップを修正要求しています。立憲民主党の財源を使って、国民の負担増も借金もない形で、介護、福祉、保育、幼稚園の給料アップは可能です。
総理に御決断をいただきたいんですが、来年度予算に処遇改善を追加すると。昨日も現場の方と話し合ったということでありますから、来年度予算に処遇改善を追加をすると決断をしていただけないでしょうか。
○石破内閣総理大臣 委員御指摘のように、今日の十二時半からでしたか、御党、公明党さん、私ども、話合いをさせていただくことにしております。ここには真摯に私ども取り組んでまいる所存でございますので、そこでお話がこれからなされるという段階において、私は断定的なことを申し上げる立場にはおりません。
○井坂委員 私、この問題、本気で取り組んでおりまして、予算修正、まずお願いをいたします。
そして、それが仮に成り立たなかったとしても、私の方は、今度は、厚生労働委員会筆頭理事をしておりますから、介護、福祉の処遇改善法案、これを委員会で審議をしたいと考えております。処遇改善法案は、維新さん、それから国民さんとも共同提出を既に済ませておりますから、委員会で審議すれば可決をされる可能性が高いと思います。
総理に伺いますが、自民党はせめて審議拒否はせずに、ちゃんと審議に応じると明言をしていただけますね。
○石破内閣総理大臣 それは現場の判断でございます。委員は現場のことをよく知悉しておっしゃっておられますが、恐縮です、私、現場のことをよく存じません。審議拒否というものを我が党がするとは思っておりませんが、そこにおいては、いろいろな判断が現場においてなされておるものでございますので、私が現場のいろいろな判断について事情を知らないまま言うことがあってはならないということはよく承知をしております。
したがいまして、そのことについてお答えはいたしかねます。
○井坂委員 これだけ大変な現状を総理にも数字とグラフで御覧いただきましたので、自民党も審議拒否をするとは思いませんがというのは、私もそのとおりだと思います。まずは予算の修正協議、そして、それが駄目でも、厚生労働委員会で法案の、我々野党案の審議入りということで、二段構えで実現を目指してまいりたいと思います。
最後にもう一つ、保育の方もお聞きをしたいと思います。
政府は、確かに処遇改善、一定やってくださっています。ただ、政府はやはり最低限の人員配置基準に合わせて人件費を決めている一方で、保育現場は必ずその配置基準よりも多くの保育士を雇っているわけであります。そのため、政府が五人分の給料と思って配ったお金が現場では六人で分けるような形になって、政府が想定しているほど多くの給料が保育士一人当たりには支給をできていない、これは事実であります。
総理に最後伺いますが、政府が行っている今の保育士、幼稚園教員の処遇改善だけでなく、やはり我々立憲が提案しているような追加の処遇改善もなければ、いつまでたっても全産業平均には追いつかないのではないでしょうか。お答えください。
○石破内閣総理大臣 御指摘いただきましたように、現場におきましては、職員配置基準を超える保育士さんが配置されている状況もあります。そのような場合には、計算どおりにはいかないということが起こります。
配置改善につきましては、今年度から四、五歳児に関して行っておるところでございまして、令和七年度予算案では、新たに一歳児の配置改善を行うということにいたしておるわけでございます。今般の大幅な処遇改善につきましては、新たに必要となります職員の処遇改善分も併せて算定をいたしておるところでございます。
いずれにいたしましても、保育の現場に携わられる方々の処遇の改善というものを図っていかなければなかなか人は来ないなということ、それと併せまして、潜在保育士という言い方が正しいかどうか分かりませんが、保育士のライセンスを持っておられる方々で現場に出ておられない方というのは、今、六十万とか七十万、もっと多いかもしれません。そういう方々が、なぜ現場に出ませんかということを聞いたときに、やはり自由に、この時間からこの時間までというフレックス制みたいなものがもっと導入されれば、自分たちは子供大好きなので現場に出たいという方が大勢いらっしゃいます。給与と併せまして、働き方の改善というものも更に検討する余地があると私は思っておるところでございます。
○安住委員長 井坂君、時間ですから、まとめてください。
○井坂委員 お互い損得を離れて、国民生活とそして介護、福祉、保育の現場を救うための予算修正が十二時半から与党とそして立憲民主党の協議で行われることを願って、私の質問を終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。
○安住委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時二分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○安住委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。
この際、おおつき紅葉さんから関連質疑の申出があります。黒岩君の持ち時間の範囲内でこれを許します。おおつき紅葉さん。
○おおつき委員 立憲民主党のおおつき紅葉です。
「おむすび」を御覧になっていたNHKの視聴者の皆様たちもいらっしゃると思いますけれども、まずは、私、高校無償化と公立学校の施設整備についてお伺いしたいと思います。
立憲民主党の当初予算に対する修正フレームの中で、高校無償化そして公立学校の施設整備について求めているところでございますが、昨日、自公維で高校の無償化で三党合意をされたという報道を見ました。これは、地域によって、無償化にしている地域とそうでないところで差が生じていたので、これが国としてしっかりと整備するというところになったと思います。
その中で確認したいところがあるんですけれども、午前中も議論がありました、教育の質の向上についてなんですが。
まずは、先行して高校の無償化をした地域では、実は公立離れが進んでいるということなんですね。例えば、大阪の公立高校の一般選抜志願者数は全日制の課程で三万六千三百七十九人で、去年から二千三百七十五人減少しているということもあります。
午前中も総理が、無償化したことにより、教育の質の向上を確認していくことが極めて重要だというような発言をしておりますけれども、公立離れなどを念頭に、こういった課題を含めて、具体的に、質の向上に向けてどのような対策を考えているんでしょうか。
○あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。
昨日二十五日、自民党、公明党、日本維新の会の三党におきまして合意文書が取り交わされたということは承知をしているところでございますが、この合意文書の中で、いわゆる高校無償化について、全ての若い世代に対して多様で質の高い教育を実現するとともに、経済事情による教育格差を是正するとの観点から、今般の改革が実現するとされているところでございます。
特に、今回、公立ということの役割を考えたときに、何を担っていくべきか。特に専門高校、実は、農業高校、工業高校などの専門高校は公立が担う役割が大変大きいところでございまして、その質も含め、また、地域の産業と密着をしているということをしっかり捉まえていきながら、私ども、この合意内容を踏まえながら、令和七年における具体的な制度設計を速やかに、人材育成という観点と地域密着型という観点からしっかりと検討してまいりたいというふうに思います。
○おおつき委員 じゃ、専門学校に特化して質を向上させていくということですか。
○あべ国務大臣 専門高校が非常に公立高校の中で役割が大きい、また数も大きいということを考え、相対的に公立における役割が何であるのか、質とは何であるのか、地域と密着していくのに何が必要だということを総合的に勘案をして、しっかりと検討を進めてまいりたいと思います。
○おおつき委員 総理、そういうことでいいんですか。総理の教育の質の向上とはそういうことを意味するんですか。
○石破内閣総理大臣 むしろ、文科大臣が申し上げたのは、専門学校のことだけを申し上げているわけではございません、専門高校ですね、それだけを言っているわけではございません。
いわゆる普通科の高校も質を上げる。ただ、質というのは何だと言われますと、これが質だというのがあるわけではない。大学の合格率が高いとか、そういうものも一つの指標かもしれない。だけれども、お勉強だけできればいいわけではなくて、不登校が少ないとか理解度が高いとか、いろいろな尺度はあるんだろうと思っております。
ですから、質の向上というものは単に無償化すればいいのではない、質の向上を図らねばならぬのだが、今、三党でその辺は一生懸命考えてまいりますが、委員からも、こういうようなのが質の向上の指標として使えるのではないかという御提案があれば、ありがたく承りたいと存じます。
○おおつき委員 そういったことは、徹底的に文科委員会でこの後議論をしていっていただきたいと思います。
昨日、三党合意のときの総理の顔が、笑顔がなかったなと思うんですよ。中身がないから、もしかしてそうなのかなという心配もしてしまいますので、是非徹底的にそういった議論をしていただきたいと思います。
もう一つ気になるのが、便乗値上げです。
総理自身も、便乗値上げなぞということがあっていいとは全く思っていませんとおっしゃいましたね。じゃ、どうやって便乗値上げを防止していくんですか。
○あべ国務大臣 委員に、まず所管大臣としてお答えさせていただきたいというふうに思います。(おおつき委員「短めに」と呼ぶ)短くお話をさせていただきます。
今回の、特に私立の授業料を含む経費に関しましての、特に委員がおっしゃる便乗値上げの部分でございますが、私立の建学の精神に基づく自主性の尊重に留意をしていきながら、各学校で合理性のない授業料の値上げ、いわゆる便乗値上げが行われないようにする観点にも、本当に委員がおっしゃるように留意する必要があるんだと考えておりまして、特に大阪府、東京都の先行事例の成果、課題も踏まえていきながら、文部科学省といたしまして、今後具体的に検討をしっかりと進めていきたいと思います。
○おおつき委員 総理、大臣にもまだ具体策、ないですよ。大丈夫ですか。総理は具体策、ありますか。
○石破内閣総理大臣 済みません、笑顔がなくて恐縮であります。ただ、ああいう場面でなかなかにこにこしにくいものでございますが、心がけてまいりたいと存じます。
今大臣が、合理的な根拠のない値上げというふうに申しました。それは、ほかの製品とは違いますので、何でこういうふうに値上げをするかというのをきちんと示すということは難しいことでございますが、無償化というのは納税者の負担を伴うものでございますので、値上げをする場合には、なぜこういう値上げになるのかということが、もし手法として確立されるのであれば、それは納税者に対して、あるいは学生に対して、保護者に対してお示しする責務はあろうかと思っております。
その手法につきましてはこれからまたよく検討いたしてまいりますが、大臣が申しましたように、合理性のない値上げというのがあってはならないということだと考えております。
○おおつき委員 では、具体的にちょっと、私も子育て世代なので是非お伺いしたいんですけれども、学費以外に、例えば入学金、施設費、維持費、例えば修学旅行費とかというのが、高校に入るときに親御さんの世代は心配になると思うんですけれども、こういったことが対象になるのかどうか。例えば授業料が無償化になったとしても、こういったことを上げたことは便乗値上げに入るのかどうかの認識の確認だけさせていただきたいんですけれども。
○望月政府参考人 高等学校就学支援金制度は、まさに授業料についての保護者の負担軽減を支援するものでございます。
授業料以外の支援を、現在、低所得者に対して行うものとして奨学給付金制度がございまして、これは地方とも連携しながら補助事業として実施をしている。その中に、学用品、あるいは、いろいろな校外での学習費等も含まれているところでございます。
○おおつき委員 便乗値上げの対象になるのかどうかというところだけ、もう一度確認していいですか。
○望月政府参考人 失礼いたしました。
今回の高校支援金の制度の便乗値上げですが、基本的には、現在、授業料ということをターゲットにしているというふうに考えてございます。
○おおつき委員 ということは、先ほど申し上げた、例えば入学金や施設費が上がっても便乗値上げの対象にならないということで、確認なんです、お願いします。
○望月政府参考人 就学支援金制度ということでいけば、授業料の負担がどのくらいかということでございます。また、そこは、今回の三党合意に基づきまして、授業料以外のものを、就学支援金の方はどうかということに関しましては、その内容も含めてまた検討を進めていくんじゃないかというふうに考えてございます。
○おおつき委員 熟議と公開の国会ですので、是非議論はしっかりと煮詰めていただきたいと思います。
また、我が党は、高校無償の拡充だけではなく、施設整備費についても修正案に入っております。公立学校なんかは施設の老朽化が進んでおりますね。
その中でも、私、トイレについて今回調べてみましたら、全国の公立学校でまだ三〇%以上の便器が和式のままなんです。例えば、総理、鳥取県は四〇%がまだ和式、鳥取県の隣の島根県なんかは五二%がまだ和式トイレなんですよね。
こういった施設の整備を含めて、今は改修の国庫の補助も、これは小中の数字なんです、高校が補助の対象から外れているんですけれども、高校も対象にして施設整備を対策するなど、予算を充てていく必要があるんじゃないかと思うんですけれども、大臣、お願いします。
○あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。
トイレの洋式化でございますが、公立高校の施設整備につきまして、基本的に、今は、設置者である地方公共団体の一般財源、また地方債の発行などで実施されておりまして、こうした国と地方の役割分担を踏まえる必要があると考えております。
その上で、公立高校を含めた洋式トイレの整備につきましては、学校施設整備指針におきまして、洋式便器かつ乾式を採用するなど、生活様式や児童生徒等のニーズを踏まえたいわゆる便所を計画することが重要でございまして、このことは衛生環境改善の観点からも重要であると示しているところでございまして、文部科学省といたしましては、こうした指針を踏まえて必要な指導助言を行って、公立学校施設のトイレの洋式化を推進してまいります。
ちなみに、全国の公立高校のトイレの洋式化の状況については文部科学省では把握をしておりませんが、今、公立小中学校のトイレの洋式便器率につきましては、委員がおっしゃったように、令和五年の九月一日時点の調査で、六八・三%となっているところでございます。
○おおつき委員 学校というのは、災害時に避難場所にも指定されているところが多いですね。総理、高齢になると、そういった避難所に行って和式だけだと、やはりしんどいですよ。総理、一歩踏み出しませんか。
○石破内閣総理大臣 御指摘のように避難場所にもなるところでございますから、これは、エアコンの設置も含めて、避難場所にもなるということを想定して整備を進めてまいりたいと思っております。
ただ、大臣がお答えしましたように、そういうものは基本的に自治体の負担というものに負うところが大きいものでございまして、国として、今、指導助言という立場でございますが、更に実効性を上げるためにいかなる方策があるかは、よく検討させていただきます。
○おおつき委員 冒頭、進めていきたいということでしたので、大臣、聞かれましたね、是非進めていっていただきたいと思います。その議論を深めてください。
次に、先ほど「おむすび」の放送もあったので、是非、米のお話に移らせていただきたいと思います。
おとといで、ロシアによるウクライナ侵攻からちょうど三年がたちました。この間、農業者の方々も含めて物価高、資材高、そして、消費者の方々にとっては物価高が止まりません。
実は、十二時十五分からのNHKのニュースでも、お米の平均価格が報道でありました。
そこで伺います。お米の平均価格、一年前と直近の数字はいかがなのか、農水省の方、お願いいたします。
○松尾政府参考人 お答えいたします。
総務省が公表しております小売物価統計調査でございますけれども、東京都区部のウルチ米コシヒカリ、一袋五キロ当たりの価格でございますけれども、昨年、令和六年一月は二千四百四十円、令和七年一月は四千百八十五円となってございます。
○おおつき委員 コシヒカリで大体約倍増。
さっきのニュースでは、実は、全国の米、スーパーの平均価格をやっていたんですけれども、これも、一年前は二千円、そして直近が三千八百九十二円と、九割上がっているんですよ。これが消費者が直面している実態だと思います。お茶わん一杯で考えると、光熱費なんかを抜くと、一年前のお茶わん一杯は二十六円だった。これが、今は五十円になっているということです。
実は、この週末、米農家を回ってきました。米農家の皆さんたちにとっては、一杯五十円で私たちの生活を支えてほしいという現状もあるのもしっかりと聞いてきました。ただ、まずは、私は、消費者の目線から伺いたいと思います。
なぜかというと、この間、大臣の会見も、そして総理の答弁も聞いてきました。去年は、新米が出てくれば、大臣、値段もちょっと落ち着くと思ったと言っていましたよね。でも、出てきても、落ち着いているどころか、一月二十四日に大臣が備蓄米の放出の方針を発表してから、まだまだ上がり続けている、こんな現状です。
大臣、総理、そして政府の皆さん、やはり決断が遅いと思います。何とかこの大臣通達を早く出すことができなかったのかというのは、もう何度も質問されています。だから、言いたいのは、大臣通達を出すまでに、この備蓄米放出の準備をして、もっと早く放出できなかったのか。是非、大臣、お答えください。
○江藤国務大臣 何度もお答えしておりますが、一連の流れについて御批判があることについては、私は受け止めさせていただきます。
しかし、お分かりいただきたいのは、備蓄米にはその目的がある。いわゆる量がない、本当に国民が、例えば大冷害、作況が七三とかで、大災害、そういうときに国民の方々を飢えさせないために、備蓄米は、価格の上昇のときに出すことを目的として持っているものではそもそもない。
ですから、まずは、食糧法という法律に基づいて、これを出すことが適法であるかどうか、それから、財政でいえば、財政法に基づいて適法であるか、そして、国有財産になっているんですから、国民の財産ですよ、それは農林水産大臣の一存では決められませんよ。
まずは、やはり法制局を含めて法律上どうなのかということをしっかりと整理した上で、出すということであれば、買い戻すことについてもなかなか難しいですよ。出すことも難しいですが、買い戻すことはまたまた難しいですよ。しっかり制度設計をした上で発表しなければ、かえって混乱を招きましたから。時間がかかったことについては責任を取らせていただきますが、しかし、御理解をいただければありがたいと思います。
○おおつき委員 遅過ぎますよ、それでも。遅過ぎる。だって、米をしばらく食べていませんという声だって聞いていますよ。この日本において米が買えない方々がいるんですよ。大臣は、その決断をされるのに、僕は寝られなかったと言っていました。でも、寝られないのは国民も一緒ですよ。
総理、大臣は、農水省を代表してこういう答弁しかできません。でも、生産者も消費者も救うための策を出せるのは、今ここに並んでいる中で総理しかいないじゃないですか。総理、もし農水省が出せないんだとしたら、物価高対策として新たな手だてが必要なんじゃないんですか、今の答弁を聞いちゃったら。
○石破内閣総理大臣 それは、私も農水大臣を務めておりましたが、何でもかんでも総理が決めるわけではございません。
農水大臣として、あるいは農水省として、関係法令に基づきまして、常に一番ベストな解決策、すなわち、今大臣がお答えいたしましたように、備蓄米制度というのは、米の値段が上がったから出していいというものではございません。そこは、江藤大臣始め農水当局が法制局と、本当にそれこそ寝ずにいろいろな議論をして、何とか買い戻すということで出している。これは今の法律を改正しない限り、これしかできないのです。そして、法制局との調整にそれだけの時間はかかりました。
しかし、実際問題として、下がっていないということは、やはりどこかで目詰まりが起こっておるとしか考えられない。そして、買い戻すということであれば、それまで我慢すればいいんだみたいなところがないとは私は思わない。どこで目詰まりを起こしているかということは、今農水省においてきちんと調査をいたしております。そして、やがて値上がるだろうから、もっと上がるだろうから手元に持っておこうということに対して、いかなる措置が取れるかということも私どもとしては検討していかねばならないと思っておるところでございます。
米政策全般についてどのように見直していくかということは、これとはまた別の議論でございまして、今ある制度の中で、江藤大臣そして農水省として、現行法制の中でできる限りのことをやってきたということでございます。遅過ぎるという批判は私自身もいただきますが、本当に詰めに詰めて、現行法令の中で最大限できることをやらせていただいておるところでございます。
○おおつき委員 それでも、国民の実感は遅いということなんですよ。
今、例えば、大雨が降っていて、国民は傘も差せず、そこの土砂降りの中にいて、政治家だけが傘を持って、いつか大丈夫ですよと言っているようなものなんじゃないんですか。本当に、この瑞穂の国日本で、そんな状況でいいんですかと私自身は思います。(発言する者あり)
○安住委員長 静粛に。
○おおつき委員 そして、心配事は価格だけじゃないんですね。
パネルを御覧ください。
これは需要量と生産量のパネルなんですけれども、二〇二三年度米は、生産量六百六十一万トンに対して、令和の米騒動で需要が上がって七百五万トン。これは四十四万トン足りていないということです。米が不足しているのは明らかだと思います。しかし、二〇二四年度米の需要量の予測も六百七十四万トンと見通しております。
米農家を回っていたんですけれども、この夏も必ず米がなくなると思うよという農家さん、多かったんですよ。収穫している段階から完売が見えていたそうです。これはやはり見通しが甘いんじゃないんですかね。
民間在庫量のパネルも御覧いただきたいと思います。
二〇二四年度米の民間在庫量の見通しですが、二三年の十月時点では百七十七万トンなのが、一年後には二十四万トン下方修正している状況です。例えば、二月十四日付の日本農業新聞は、独自の試算で、この夏の在庫量が前年を大きく下回る可能性を指摘する報道をしているんです。この夏も米不足のおそれという警戒感が強まっているという報道が続いております。
さて、この民間在庫量の認識、どう思っていますか。この間、見通しが甘いという原因なんかも追求しておりますか。
○松尾政府参考人 お答えいたします。
まず、配付資料をいただいております。この中で、例えば速報値とされている数字と予測値という数字がございます。速報値につきましては、毎月我々が調査しております、五百トン以上の集荷業者、四千トン以上の卸売業者という割と比較的大きい集荷業者、卸売業者の数字でございます。他方で、この予測値、百七十七万トンとございますけれども、これは生産者の在庫等を含めた広範囲な調査になってございますので、そこがまた一部違うというところがございます。
その上で、今年の需要見通しなりの御質問がございました。
まず、六年七月―七年六月ということで、今年の需要見通しにつきましては、本年の一月三十一日の食糧部会でも御議論いただきました。一人当たりの消費量の減少、人口の減少の傾向、こういったことで毎年継続的に米の需要が減っておりますけれども、これに加えまして、価格が昨年より上昇している、最近の販売量も前年より減少しているということで、六百七十四万トンとする基本指針が適当との答申をいただいております。こういった需要の見通し、そして、六年産の生産量の実績、それから期首在庫、こういったもので、七年六月末の民間在庫は百五十八万トンとしているところでございます。
需給の動向につきまして引き続き注視していくとともに、政府備蓄米の売渡しを含めて適切に対応していきたいと思います。
○おおつき委員 二十四万トンの下方修正というのは、かなりの数だと私は思います。そして、この見通しの甘さに関しては、この間減らされ続けている地方の出先機関の職員、これもしっかりと私は増やしていくべきなんじゃないかという考えを持っています。
また、去年のこの大事な大事な端境期、この国会では何が行われて、永田町では何が行われていたかというと、政治と金の問題で自民党さんが荒れておりまして、総裁選が行われ、もしかしてこの米政策に本気を出せていなかったんじゃないかなという懸念も、私、持っております。だからこそ、こんなに判断が遅いんじゃないかなと。政治の責任で生産者や消費者の皆さんたちに影響を与えたんじゃないかなという懸念を申し上げさせていただきたいと思います。
その上で、去年の夏のように、この夏、米不足になることがないのか、断言できますか。
○江藤国務大臣 将来の市場について私が断言するということは、それは適切ではないと思っております。
しかし、今年についても十八万トン、生産者の方々は多く作っていただいた。そして、どこに物が滞留しているか、大体分かり始めています。そして、確定ではありませんが、二十九の都府県が作付を主食用米に転換する方向で今動いています。私が聞いた方では、畜産農家ですけれども、自分のところで食べさせるために作っていた飼料用米の広大な畑、これも主食用米に全量回す、そういう話も聞きました。
ですから、将来的にこうなる、ああなるということは、それこそ生産者米価、いわゆる概算金や精算金に影響しますから、断定的なことは言いませんが、そうならないように努めてまいります。
○おおつき委員 絶対にこの夏、米不足は起こしてはならない、その意思で、是非対策を打っていっていただきたいと思います。
先ほども申し上げましたが、私、米農家を回ってまいりました。
まさに、これまでの米が安過ぎて米農家が赤字だったという現状は、今、この機会を通じて、私は、消費者もしっかりと認識すべきだという機会が訪れているとも思います。この間、資材、ビニール、鉄、燃料が上がって、でも、米の値段は上がらなかったという切実な声があります。価格転嫁が進まず、農業経営を直撃してきて、農家の戸数が減ってきているのもこの日本の現状です。
だから、今年の価格に関しては、やっと三十年前の基準に追いついた、やっと息子に継げる、やっと新しい機械が買える、そして、やっと米の乾燥所へ投資できるという声も聞いて回っております。でも、この間、政策がころころころころ変わって、猫の目農政にうんざりしているというのも事実なんですね。
消費者は、何とかお米の値段を下げてほしいと思っている。だからこそ、生産者目線だけじゃないんですよ。生産者目線だけじゃなく、消費者の目線もしっかりと大事にしながら、今必要なことは、消費者が安心して買い続けられる価格帯と、稲作農家の経営継続ができる米政策の抜本的な見直しが必要なんです。
総理、国民は米を食べたがっています。それで、総理は総裁選のときにおっしゃっていましたね、しっかりと米の増産にかじを切り、輸出を拡大していくべきだと。しっかりと作って、そして、作って価格が下がったものに関しては、しっかりと所得を補償していく。
この方針、変わらないと去年の臨時国会でも申し上げていましたが、今回、自民党は、二五年の運動方針に、合理的な価格形成や国民理解の醸成、そして、食品産業と農業の連携強化を推進すると明記したことも発表しております。この中に、総理の意思も含まれておりますか。
○石破内閣総理大臣 当然それは、それぞれの議員の意思というものを反映して、我が党の運動方針は決せられておるものでございます。
米の輸出というのは、今までそんなに多くございませんでしたが、今、政府といたしまして、米の輸出、円安もございますので、これは大々的に展開をしていきたいと思っております。
米の生産量が増えますと、実際、いろいろなシミュレーションをやってみないと分からないのですが、基本的に供給が増えれば値段が下がります。その分は、じゃ、農家に対して、もちろんコストを下げるとかいろいろなやり方がございますが、農家に対してどのような対策を打っていくべきなのか。それは輸出に一生懸命努力した農家に限定すべきなのか、そうでないのか、論点は多岐にわたるということはよく承知をいたしております。
ただ、世界中で、農地を減らして農産物の生産を減らしておるという国はそんなにございません。今、自給率が、自給率という言葉をあえて使えば、三六とか三七とか三八とか、そういう状況はどう考えてもおかしなことでございまして、いかにして農地を有効に活用していくかということ、そして、農業者の構成人口が、人口といいますか、世代別ですね、いかにして基幹的農業従事者の人口構成が持続可能なものであるかということを併せて考えるために、新しい農業政策というものを農水省あるいは政府全体として今後模索をして、結論を出してまいります。
○おおつき委員 食料安全保障の問題ですね。
シーレーンの安全問題などを念頭に、今こそ、減反が続けられている米の生産量を増やし、これは、減反政策は廃止したと言いますけれども、実際に、適正生産量の決定、公表が続いております。だからこそ、こういった事実上の減反政策はもうやめて、必要量を確保していく必要があるということなんですよね、総理。よろしいですか。
○石破内閣総理大臣 それは、これから先、農水省を中心として、自民党あるいは与党全体で議論はいたしてまいります。この話はずっと続いているお話でありまして。
ただ、私は、これだけ耕作放棄地が出るということは、どう考えても改めていかねばならないことだと思っております。穀物の生産量、主要三穀物と言ってもいいのですが、この生産量は増やしていかねばなりません。そのために、どうやって生産者に収入減をもたらさないかということは、誰の負担によってやるべきかということをこれから政府部内でも更に真剣に議論いたしますが、どうぞ御提案をいただければ、私ども、真剣に検討いたしたいと思っております。
○おおつき委員 提案ということで今おっしゃいましたけれども、まさに生産量をしっかりと増やしていくという、その総理のお考えですけれども、徹底的にこういう食料安全保障に力を入れていくべきときだと思います。
ということは、予算措置も必要になります。農水省の予算だけでは足りませんよね、それだと。農水省の予算からしっかりと拡充をして、この農政の抜本的改革へ向けて予算措置もしっかりと検討していっていただきたいと思いますけれども、よろしいですか、総理。
○石破内閣総理大臣 それは、私ども、最善のものとして今予算を提案をさせていただいております。
今後いろいろな作業は必要になりますが、また来年の予算を考えるときに、確かに農業予算というのはピークから比べれば随分と減ってまいりました。本当にこれでいいのかということ。
先ほどまた、昔は農政事務所ですか、そういうのが各県にあって、今は参事官制度という形になっておりますが、それは食管法を食糧法に変えました影響もございまして、担当の職員の数は減っております。そのことも併せまして、もう一度、農政を担うにふさわしい予算あるいは人員というものを、私ども政府・与党として、野党の皆様の御意見も参考にしながら、きちんとしたものを打ち出してまいりたいと思っております。
○おおつき委員 最後に、輸出のパネルもお願いします。
供給量を増やしていくと価格が下がってしまう、そうすると生産者の方々が厳しくなってしまうので、しっかりと価格を安定させた上で、多くなり過ぎた分はしっかりと輸出でも受け入れる体制をもっと模索していくべきだと思います。今、可能性があります。商業用米の輸出実績は五年で二・六倍、パック御飯の輸出実績も五年で約二・八倍に増加をしております。まさに、増やして、多くなり過ぎたものは輸出する。ただ、シーレーンなどの安全保障の問題が発生したときは、しっかりと国産の食料自給率を上げていって確保していく。こういった方向で進めていくという総理の考えをお聞きしました。
大臣、じゃ、その方向で是非進んでいただきたいと思います。
○江藤国務大臣 食料安全保障を確立する上では、やはり農地面積をしっかり確保する、そして農業者をしっかり確保することが肝要だと思います。
残念ながら、人口動態は、だんだん人口は減っていく方向で変わりません。高齢化も進みます。少子化も残念ながら進んでいます。そういう中で、日本人自体の胃袋が小さくなって、米の消費量も減っていくことが予想されます。
しかし、水田を守っていく、そして食料安全保障を守っていくということであれば、日本のマーケットだけではなくて、世界のマーケットを見据えて日本の農地を守っていくという視点はとても大事でありますので、その中心にあるものの一つが私は水田であろうというふうに思っております。
○おおつき委員 是非、生産者もそして消費者も、国民の生活を守っていっていただきたいと思います。
私たちは家計を第一を掲げて修正案も出しておりますので、是非、家計を大切にする予算編成に向けて、いま一度、もう一歩踏み出していただきたいと思います。
時間がもう限られておりますので、日本を襲った強烈寒波と大雪について伺いたいところでしたが、一問だけ。
今日はもう東京は暖かいですけれども、やはりそれでも、これまで寒かったんです。本当に大雪で除雪も大変な中で、国交大臣、来ていただいているので、是非一問だけ。
防災・安全交付金の追加配分や市町村の道路除雪費補助などの特例措置、こういった対策の検討、今されているところでしょうか。
○中野国務大臣 おおつき委員の御質問にお答え申し上げます。
防災・安全交付金あるいは市町村への臨時道路除雪事業費補助等の御質問であります。
この冬、まあ今日は暖かいですけれども、年末年始や二月に入ってからなど、短時間での急激な大雪などにより、平年を大幅に上回る積雪を記録をしているところでございます。国土交通省でも、地方公共団体に対しまして、除雪機の貸出しですとか連携除雪の実施等、支援を強化してきたところでございます。そして、御指摘の地方公共団体の道路除雪費でございますが、現時点で既に年度当初に配分した道路除雪費を上回る執行状況となっておりまして、追加的な財政支援が必要な状況でございます。
道路除雪費の更なる追加の支援に向けまして、先週の二十一日から、地方公共団体に対しまして、年度末までの道路除雪費のこれからの執行の見込みということで聞き取りを開始をしたところでございますので、この結果を踏まえまして、関係機関と調整をし、三月に更なる追加支援を実施をしてまいりますので、よろしくお願いいたします。
○安住委員長 時間が参りましたので、まとめてください。
○おおつき委員 強烈寒波で、来月の光熱費が、請求書が怖いという声もありますので、更なる光熱費対策の支援策も含めてお願いを申し上げます。
ありがとうございました。
○安住委員長 この際、本庄知史君から関連質疑の申出があります。黒岩君の持ち時間の範囲内でこれを許します。本庄知史君。
○本庄委員 立憲民主党の本庄知史です。本日もよろしくお願いいたします。
昨日通告したものの前に、一つ、先ほど、午前中の岡本あき子委員の質問に関連してお伺いをしたいと思います。
総理は、高額療養費制度の多数回該当について答弁されました。長期療養の方が、一度症状が収まり、二年後に再発した場合でも、その患者が多数回該当に当たる場合、自己負担は低く据え置かれる、こういった御趣旨の答弁だったと思います。これは非常に誤解を招く不正確な答弁だと思うんですね。
二年後の再発で、がん患者の方が多数回該当から一度外れる。多くの場合、そういうケースが多いと思うんですね。新しい、高い限度額の高額療養費の対象になってしまうわけです。したがって、総理の御答弁は、今、高額療養費の下でどうなるのかと御不安になられている方々に間違ったメッセージを与えている、その可能性がすごく高いというふうに思います。
そこで、厚労大臣、正確にもう一度御答弁をいただきたいと思います。
○福岡国務大臣 午前中の質疑におきまして、総理からは、何年か前から治療しており、一旦治療が終了した後に再度治療を再開した場合であっても、多数回該当に当たる場合には負担が軽減、抑制される旨答弁されたと承知しています。
具体的に申し上げますと、病気が完全に治癒されたものの、その後、例えば二年後に新たな病気を発症された場合には、その時点での制度が適用されるため、年収六百五十万円から七百七十万円の方であれば負担上限額は十三・八万円となり、四か月目以降は多数回該当に該当いたしますため、負担額が四万四千円に引き下げられます。
他方で、一旦治療が終了された方であっても、その後も定期的に通院され、引き続き高額療養費の対象となられている方もいらっしゃいます。その場合は、仮に再発された場合であっても、引き続き多数回該当の場合の自己負担額、四万四千円に抑えられることになります。
○本庄委員 今お聞きになってもうお分かりだと思うんですが、極めて例外的ですよ。こんな、二年も三年もたって再発して、それでまた旧制度、低く抑えられている制度の対象になるというのは。
したがって、我々は、一旦ここは立ち止まって、もう一度この制度についてよく検討すべきだ、こういう提案をしています。二百億円の財源でこれは達成可能で、それにきちっと見合うだけの財源も我々は提案をしております。改めて総理の御見解をお伺いしたいと思います。
○石破内閣総理大臣 午前中の私の答弁が不十分であった点はおわびを申し上げますが、今厚労大臣からお答えをしたとおりでございます。
ですから、それは数は少ないではないかとおっしゃいますが、そういう方がおられることもまた間違いない事実でございまして、そういう方々に対して、私どもとして適切な施策を講じていくというのは当然のことでございます。数が少ないからいいではないかとか、そういう話には全くなりません。これはきちんと対応させていただくところでございます。
あわせまして、二百億、たったという言葉を委員がお使いになったかどうかは別といたしまして、やはりこの制度というものをいかにして維持していくかということを私どもは考えていかねばなりません。一年で二百億円といたしましても、これはこれから先ずっと続いていく制度でございます。
そうしますと、その部分の財源をどこから得るのかということも、私どもはきちんと手当てをしていかなければなりません。二百億円でいいからとか、基金を削ればできるではないかというお考えは、それは安定的な財源ということにはならないものでございます。
私どもは、どうすればそういうような高い医療費というものに苦しむ方々を、制度的に、これから先もきちんと対応することができるかということを考えているものでございまして、決して無責任にこのようなことを申し上げているものではございません。
○本庄委員 二つ申し上げたいと思うんですが、まず、少数例外的なものを挙げるべきでないと私は申し上げておりません。あたかもそれが多数で大丈夫ですよと受け取られかねないような御説明をされたから、問題があるんじゃないんですかと申し上げています。
そしてもう一つは、財政は大事ですよ。持続可能な制度にしなきゃいけません。そのことは我々は否定しておりません。ただ、今、この来年度予算に当たって、拙速に決める必要があるのか。財政的な影響は二百億であって、仮にそれが今年削減ができないということになっても、私は、この制度の持続可能性に大きな影響を与えない、少し時間を取って、しっかりと議論すべきだというふうに思います。これは指摘にとどめさせていただきたいと思います。
では、通告した内容に沿ってお尋ねをしていきたいと思います。
まず、ウクライナ侵略三年ということです。
二月二十四日でロシアのウクライナ侵略から三年がたちました。四万六千人のウクライナ兵が戦死をし、一万二千人以上の民間人が亡くなった。行方不明者は六万人を超える。少なくとも六百人以上の子供が命を落とし、二万人の子供がロシアに連れ去られたと言われています。まさに筆舌に尽くし難い悲惨な戦争であって、許されざるロシアの侵略行為です。改めて心からの哀悼の意を表するとともに、ロシアに対して強い非難を申し上げたいと思います。
アメリカのトランプ大統領は、先日来、ゼレンスキー大統領は選挙なき独裁者だ、会議に出席する価値がない、ウクライナ侵略はロシアのせいではないなどと暴言を連発してきました。これにウクライナ側は反発をしています。これに対して、ドイツのショルツ首相やイギリスのスターマー首相などは、トランプ大統領の発言を否定し、あるいはゼレンスキー大統領への連帯を表明しています。
他方で、石破総理は、一昨日のウクライナ支援に関する首脳会合、G7首脳テレビ会談まで沈黙を保っておられたのではないかと思うんですね。私は、もっと早く明確なメッセージを発するべきだったというふうに思います。なぜ総理は沈黙を保っておられたんでしょうか。
○石破内閣総理大臣 それは、どういうメッセージを発するべきだったということを委員はおっしゃっておられるのか、私はよく承知をいたしておりませんので、答えがかみ合わなかったら申し訳ないことでございますが、それは、アメリカの中にもいろいろな意見があり、世論調査でもいろいろな形がございます。
アメリカの中の意見というものはいまだに明確になっておらない段階にあって、そしてまた、NATOという仕組みの中にいるそういう国々と、日米という二か国間の同盟しかない、言い方を変えれば、我が国にとって唯一の同盟国は合衆国でございます。いろいろな問題を抱えております中にあって、アメリカの考えというものがいま一つ明らかになっていない、そういう段階において、私はそのことに対して物を言うことはいたしませんでした。
しかしながら、先般のG7の会議におきましても、この状況は一日も早く終わらせるべきである、そして、G7の結束が何より大事である、そして、今ウクライナで起こっていることはインド太平洋で起こることと密接不可分であるということを、我が国の立場として最大限申し上げてきたところであります。
私どもとして、同盟関係の維持、そしてまた日本の国益の実現ということを最大限に考えて発言をいたしております。
○本庄委員 ちょっと私は耳を疑ったんですが、ゼレンスキー大統領が独裁者であるとか、あるいは、ウクライナ戦争はロシアの侵略ではない、ロシアのせいではないというようなことも、アメリカの中でいろいろな意見があるんでしょうか。私はそうじゃないと思いますね。
私が申し上げた発するべきメッセージは、まさに総理がおととい出されたようなものなんです、内容的には。つまり、当事国ウクライナあるいは関係国のヨーロッパも一緒になってこの問題を解決すべきことであるとか、そういったことを私はもっと早く出すべきだったということを申し上げているんです。私から見れば、様子を見ていたというふうに見えるんです。
そしてもう一つ、同盟国とおっしゃいましたけれども、私は、やはり言うべきときは言うべきだと思います。言い方、言う場所、言う相手、これはいろいろあると思いますよ。だけれども、何も発信しない、何も伝えていないというのは、私は同盟国としてあるべき姿ではないというふうに思います。いかがですか、総理。
○石破内閣総理大臣 それは、委員も外務大臣の秘書官をお務めになり、いつ何を言わねばならないか、TPOというものが外交において極めて重要であるということ。その場で格好いいことは幾らでも言えますが、それが我が国全体の国益を損なうことがないように。
そしてまた、私は何度も、力による現状変更はあってはならないということは申し上げてきております。つまり、ロシアがやろうとしていることは力によって現状を変更するということであり、それはこの東アジアにおいても起こり得ることである。これは私どもの問題であるということをよく念頭に置きながら、そういうような力による現状変更は絶対あってはならないということは、一貫して我が国として主張しておることでございます。それを侵略と言おうが言うまいが、力による現状変更は絶対にあってはならないという我が国のメッセージは、当初から一貫しておるものでございます。
○本庄委員 私は、日本政府の発信や総理の発信が何も言っていないということではないんです。アメリカやトランプ大統領に対してきちっと物をおっしゃっているんですかということを伺っているんです。いかがですか、総理。
○石破内閣総理大臣 それは当然、大統領との会談において、力による現状変更は認められないという我が国の立場、そしてまた、これがインド太平洋地域の平和と安定と密接不可分なものであるということは明確に申し上げておるところでございます。
○本庄委員 それでは伺いますけれども、二十四日に国連総会で特別会合が開かれました。ウクライナやEUが提出した、戦闘の停止、それからロシア軍の撤退などを求める決議案ですけれども、日本を含め九十三か国の賛成多数で採択されました。しかし、アメリカやロシアなど十八か国が反対しました。
続けて、アメリカは安保理に、侵攻など、ロシアへの批判的な文言を使わない、紛争の早期終結ということを書いた決議案を提出しました。イギリスやフランスなどヨーロッパの五か国が棄権しましたけれども、ロシアを含む十か国の賛成でこれが採択されました。私は、ヨーロッパとアメリカの分断がかなりこれで深まった、広がったというふうに懸念しています。
日本は今、安保理のメンバーではありませんが、アメリカが提出した、侵攻など、そういった今まで使ってきた言葉を削除したような決議案に対して、どのように評価されていますか。賛成か反対か、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○石破内閣総理大臣 詳しくは外務大臣からお答え申し上げますが、おっしゃるとおり、私どもとして、今、安全保障理事会の非常任理事国でもございません。そういう立場にあります我が国がもし仮に非常任理事国なりせばという、仮定の問題にお答えすることは差し控えたいと思っております。
ただ、おまえは何も言わぬじゃないかというふうなこと、あるいは日本国が何も言っていないじゃないかということでございますが、先ほど来申し上げておりますとおり、G7の結束が必要であるということは何度も申し上げてきております。当然のことながら、アメリカを含むG7ということであって、そこは、委員がおっしゃいますように、アメリカとヨーロッパの国々の分断ということはあってはならないものだというふうな強い意識に基づくものでございます。
そして、これを許すことがあれば、誤った教訓というものが定着をするというか、一回確立をすることになってしまうわけで、それが東アジアで起こったらどうしますかということ。さればこそ、欧州で起こっていることと、アジアで起こっていること、インド太平洋で起こることは一体だということを申し上げているところでございます。
これは我が国がG7において強く主張しておることでございまして、それはアメリカもよく認識しておるところでございます。アメリカに対して、ウクライナで起こっていること、インド太平洋で起こっていること、これは私どもとして一体のものとして考えている、そして、G7の分断が絶対あってはならないということは常に申し上げておるところでございます。
○本庄委員 今評価を避けられたのは非常に残念です。つまり、侵攻とか侵略という、少なくとも日本政府として認定している文言をあえて落とした決議が出てきたわけです。先ほど言った総会の方でも同じような決議が出てきていて、これに対してフランスなんかが修正をかけた、こういう事実もありますね。
私は、こういった正面から侵略や侵攻を認めないようなものに対しては、日本政府として是としないというような明確なことをおっしゃるべきだと思いますが、いかがですか、総理。
○河邉政府参考人 お答え申し上げます。
国連総会でも、フランスの修正が施されたアメリカの提案の決議につきまして、日本国政府は賛成の投票を投じてございます。ここにおきましても、ロシアによるウクライナへの全面侵攻による悲劇的な人命の損失を哀悼する、そういうふうに明確に書いてございます。そういった立場で私どもは対応しているということでございます。
○本庄委員 四年間の長いトランプ政権、まだ始まったばかりで、総理も大変な中での総理だということは私も拝察はいたします。ただ、他方で、いつまでも続く政権でもないわけです、任期がありますから。
私は、アメリカやトランプ大統領と蜜月関係を築くことは大事だと思うし、そのためにはいろいろなものも犠牲にしなきゃいけないかもしれないし、捨てなきゃいけないものもあるかもしれないけれども、何でもかんでも捨て去ってしまう、忖度をする、追随をする、そういうことがあってはいけないというふうに思うんですね。日本の基本的価値、あるいは国益の根幹、そして国際社会における地位や名誉、そういったものをしっかりと守りながらトランプのアメリカとつき合っていくということだと思うんですね。
是非、その点、私は今回のウクライナ和平に関わる総理の言動を見ていて一抹の不安を覚えているものですから、あえて申し上げさせていただきました。
時間もありますので、次の話に行きたいと思います。
自民党、公明党、維新の会三党合意に関連してお伺いしていきたいと思います。
まず、昨晩、自民、公明、日本維新の会の三党が高校授業料無償化、学校給食無償化などで合意をした。旧民主党政権の高校授業料無償化から推進してきた我々も、教育無償化や、あるいは今国会でも法案として提出をしている学校給食の無償化、こういったものが、あれだけ反対をされてきた自民党の賛同も得て実現しようとしているということには、非常に感慨を覚えています。
総理にまず基本的な認識でお伺いをしたいと思うんですが、今回は教育、社会保障というテーマになっていますが、高齢化に伴う社会保障費の自然増、これは来年度予算だけでも六千五百億円ですね。あるいは少子化対策、これは五年間で三・六兆円。さらにその先、子供予算倍増という話もある。そして、今出ている教育の無償化、これも一兆、二兆単位が必要な予算です。
教育や社会保障以外にも、防衛、国土強靱化、あるいは国債の利払い費などなど、歳出増メニューがメジロ押しというのが今の現状だと思うんですね。だからこそ、賢い支出、あるいは財源の確保というのがますます重要になっている。まさに財源なくして政策なしだというふうに思うんですね。
総理、この認識について同意していただけますか。
○石破内閣総理大臣 財源なくして政策なしという言葉が適当かどうかは別といたしまして、やはりそういうような、政策を考えるときには常に財源を伴うのだということは、我が党として長い歴史の中で、田中角栄総理の列島改造論であり、あるいは竹下総理の福祉と消費税のセットであり、いろいろな御議論があることは承知をいたしておりますが、我が党として、政策を出すときには常に財源を伴ってきた提案というものをしてきたものでございます。
あわせまして、次の時代に先送りをするということは我が党として極力避けるべきだと思っておりまして、それは教育の無償化についても同じことが言えると考えております。
○本庄委員 それでは伺いたいんですが、今回の自公維三党の合意文書の中で、二〇二五年度、二六年度、あるいはそれ以降と、それぞれ政策が書かれておりますが、この所要額は幾らを見込んでおられるんでしょうか。所要額、今回の三党合意に係るお金です、予算。御答弁ください。
○石破内閣総理大臣 昨日の三党の合意内容の中で、いわゆる高校無償化において、先行措置として、令和七年度分について、全世帯を対象とする支援金、十一・八八万ということでございますが、収入要件を事実上撤廃するということにいたしております。
現時点におきまして、令和七年度の所要額を機械的に試算をいたしました場合に、約一千億円、これが追加的に必要になる、このように見込んでおるところでございます。
なお、令和八年度以降につきましては、無償化に関します様々な論点を整理いたしました上で、安定した恒久財源の確保と併せ、具体的な制度設計を行い、積み上げを行っていく、こういう必要がございますので、現時点で所要額はお答えいたしかねます。
○本庄委員 まあシャビーだと思いますが、一千億なんですね。残りは今後検討ということですが、では、その一千億の財源はどこから捻出されるんでしょうか。(発言する者あり)
○安住委員長 では、ちょっと速記を止めて。
〔速記中止〕
○安住委員長 では、速記を起こして。
石破内閣総理大臣。
○石破内閣総理大臣 これは、三党合意におきましては、この実現に当たっては、政府全体で徹底した行財政改革を行うことなどにより、当然のことです、徹底した行財政改革を行うことにより、安定財源を確保するということでございます。
八年度以降の安定財源につきましては、様々な論点と併せて検討する必要がございますが、一時的な基金の返納ではなく、次の時代に負担を先送りせず、歳出歳入の両面の措置によって確保いたしてまいります。
七年度予算につきましては、ほかの党、これはもちろん御党を含むわけでございますが、今回の合意内容も踏まえて、歳出歳入の修正については相談をさせていただきたいと考えております。
○本庄委員 私の理解が正しければ、一千億は徹底した行財政改革で捻出というふうに聞こえましたが、さっき御答弁もされましたように、政策と財源を常にセットで我々は示してきたとおっしゃるんですが、非常に曖昧な財源だと私は思うんですね。
行財政改革で一千億を出すんですね、七年度中に。それは、本来であれば、社会保障費の歳出改革であれば少子化に充てるとなっていますよね。それから、非社会保障費であれば防衛費に充てるとなっていますね。その徹底した行財政改革が、防衛でもなく社会保障でもなく、今回の学校の所得制限撤廃、そこに回る余地というのはあるんですか。明確にしてください。
○石破内閣総理大臣 現在、それは与党において鋭意作業中でございます。ここにおいて、私自身がこれとこれとこれが歳出の改革である、よって一千億ということは、現在申し上げるだけの立場にはございません。
ただ、私どもといたしまして、いかにしてこの一千億を捻出するかということにつきましては、歳出のいろいろな項目を徹底的に精査をしながら、どこかに余地はないかということ、そして、それを仮に削るとして生ずるいろいろな影響というものをいかにして最小限にとどめるかということで、鋭意今検討を進めておるところでございます。
○本庄委員 我々はもう一月前から提案していますよ、本気の歳出改革。予備費で五千億、基金の活用で、例えば防衛で八百、コロナワクチンで千、グローバル・スタートアップ・キャンパスで六百等々、三・八兆円の財源をお示ししていますよ。この全部は駄目だとおっしゃるとしても、一千億、七年度、皆さんが昨日三党で合意された分ぐらい、幾らでも出てきますよ。
こういったものをおざなりにして、曖昧な内容で、とにかく目の前の予算を通したい一心で、私は、中途半端な三党合意を結ばれたのではないか。これは、一千億もこれから必死で出すということですが、その先にある本格的な高校無償化や給食費の無償化、さらには医療費の削減もするんでしょう。膨大な財源が要りますよ。
私は、さっきの、財政が大事だとか、裏づけをちゃんとつけてきたという答弁と矛盾していると思いますね。恥ずかしくないですか。総理、いかがですか。
○石破内閣総理大臣 全然矛盾もいたしません。矛盾をいたしませんから、そういうことに対して、委員のお言葉をかりれば恥ずかしいとか、そういうことは申し上げるつもりはございません。
政府といたしまして、これは、与党あるいは三党で相談をしながら、どういう形でそれができるかということはきちんとお示しをして、御判断を仰ぎたいと思っております。
私どもは、来年度さえよければいいなどということを考えておるわけではございません。これから先もどうやってこれが安定的に運営していけるかということを考えていかねばなりませんので、今度の予算さえよければいいというようなことはつゆほども考えたことはございません。
○本庄委員 令和八年度以降のものは、私も百歩譲って、骨太でというのは理解します。ただ、今出ているこの予算の修正財源の一千億が、明確に財源が示されていないんですよ。採決できないじゃないですか、こんな状態で。
総理、もう一回お願いします。
○石破内閣総理大臣 ですから、今三党で、そういうものがどこにあるか。もちろん、方向性というのは決まっています。こんなものがそんなに簡単に出るはずはない。先ほど来申し上げておりますように、それを削減して、なおかつ、次の時代に負担を送らず、それを削減することによって生ずる影響を最小限にとどめるということで、今、本当に最大限の努力をして、協議を詰めておるところでございます。
必ずそういうものをセットにしてお諮りをしなければ予算というものは成り立ちませんので、そもそも仕組みとして、そんないいかげんなことはできません。
○本庄委員 私は全く考えが違いますね。少なくとも、七年度予算に関する歳出については、今回の三党合意の中できちっと決めるべきだったと思いますよ。
間もなく衆議院の採決がどこかであるでしょう。総理、少なくともそれまでには明確に一千億の財源を示してください。いかがですか。
○石破内閣総理大臣 それなくして採決を仰ぐことにはなりません。当たり前のことです。
○本庄委員 では、お待ちしておりますので、よろしくお願いします。
我々は出していますので、このどれかを採用していただければ、直ちに一千億確保できると思います。(発言する者あり)それだったら、与党でちゃんとやってくださいよ、野党にやらせないで、役所も。それで我々が仕事をしているんですから。よろしくお願いします。
合意文書の中で、もう一つ教えていただきたいんですが、念頭に置くという言葉が出てきてちょっと私は戸惑っているんですけれども、政府・与党として、歳出改革等によって実質的な社会保険負担軽減の効果を一・〇兆円程度生じさせる、これを政府・与党として念頭に置く。維新の会として、国民医療費の総額を年間で最低四兆円削減することによって、現役世代一人当たりの社会保険料負担を年間六万円引き下げる、これも念頭に置く。
念頭に置くというのは、どういう意味なんですか。これは、文字どおり頭に置いておくよということなんでしょうか。それとも、実行するということなんでしょうか。いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 それは、文字どおり頭に置くということであって、念頭に置くということは、辞書を引いて全く違う意味が出ておるものではございません。
それは、そういうような考え方、つまり、我が党は我が党、公明党さんは公明党さん、維新の会は維新の会さん、それぞれの考え方がございます。それぞれが何を言っているかということを頭に置いた上でこれから先の政策というのは考えていかねばならない。維新の会がこのように言っておられるということ、それは常に議論の際に、我々自民党としても公明党としても、維新の会がこう言っておられたねということを決して忘れることなく議論を進めていかねばならない。文字どおり念頭に置くということでございます。それが合意を見ておれば、念頭に置くなどという表現はいたしません。
それぞれの党がこういうような考え方であるということをいかにして呻吟しながら結論を出していくかということは、これからの作業でございます。
○本庄委員 文字どおり念頭に置く、頭に置いておく、こういうことを言っているよということを忘れないようにするということですね。
ということは、必ずしもやるとは限らないということですね。やるんだと、実行するものが書いてあるということではなくて、お互いの主張を書いてあるだけだということですね。明確にしてください。
○石破内閣総理大臣 言葉の遊びをするつもりは全くないのですが、例えば、三党合意では、現役世代の増加する保険料負担を含む国民負担を軽減するための具体策について、令和七年末までの予算編成過程で、これは診療報酬改定も含むわけでございますが、論点の十分な検討を行い、早期に実現可能なものについて、令和八年度から実行に移すということになっておるわけでございます。
それぞれの党の主張を完全に取り入れるということになるかどうかは分かりません。それが完全にできるかどうかというのはこれからの協議でございます。
しかしながら、単に言っているだけだよね、それを念頭に置くけれども、実行できないけれどもごめんねというようなことで三党合意は成り立っておるものだとは私は思っておりません。
○本庄委員 それでは、配付資料の一で総理の答弁をちょっと振り返りたいんです。
国民負担の軽減に関する答弁ということで、前原委員の質問に答えたものですが、OTC類似薬について、OTC医薬品との負担のバランスの観点から保険給付の在り方を見直す。お医者さんへ行って湿布とかをもらう、あれを保険から外すということですね。それから、能力に応じた負担。年齢とかではなくてということです。それから、医療DX、デジタル化を通じた効率的で質の高い医療の実現。この三つを挙げて、そして国民負担を軽減する、こういうふうにおっしゃっています。
さて、この三党合意を見ますと、政府・与党は社会保険負担一兆円、維新の会は四兆円の医療費の削減ということで、若干違いはありますけれども、医療費を四兆円削減するためには、多分、社会保険負担一兆円はまず実現しないといけないということだと思います。
この三つで国民負担の一兆円の減、あるいは維新が言うところの四兆というのを実現できる、するんだということでこれをおっしゃっているんでしょうか。
○福岡国務大臣 具体策につきましては、今例示されましたように、OTC類似薬の保険給付の在り方の見直し、また応能負担の徹底、医療DXを通じた効率的で質の高い医療の実現、医療、介護産業の成長産業化を含めというふうに書いてありますので、それも含めた上で検討をされるということになっていまして、そこの内容については、今後まさに三党の協議体において検討が深められるものと承知しております。
○本庄委員 含めということは、これだけではないということですね。
では、それでもう一問確認しますけれども、医療費あるいは社会保険料の負担を軽減するためには、合理化や効率化、これがまず第一ですね。これは国民や患者にも負担のないものだと思いますので、進めるべきだと思います。
でも一方で、更に進めていこうとすれば、例えば医療でいえば給付水準の切下げ、あるいは公費、つまり税金投入を増やす、さらには今回の高額療養費制度のように患者負担を引き上げる、こういったこともやっていかないと、一兆や四兆という社会保険負担の軽減、医療費の軽減というのは到底できないと私は思うんですが、そういったことも念頭に置いて今回の三党合意というのは結ばれているんでしょうか。総理、いかがですか。
○石破内閣総理大臣 それは、理屈の上からはそういうことは起こり得ることでございますが、高額療養費にいたしましても、それに伴う負担増というものをいかに最小限にとどめるかということには最大限の配意をいたしておるところでございます。
今回大事なのは、いかにして応能負担というものを、もっとその機能を発揮させるかということは重要なことだと思っております。もう一つは、医療DXを通じまして、どのようにして効率的、そして効果的な医療というものを実現するかということでございまして、私はその部分で、デンマークの医療改革なんかを見ておってもそうなのですけれども、DX化によって相当部分、質を落とさずに医療の高度化、効率化という言葉は気をつけて使わなければいけませんが、そこには相当の余地があるというふうに考えております。
ここを徹底的に、厚生労働省として、あるいは政府全体として追求をしてまいり、なるべくなるべく国民の皆様方の御負担を少ない形で実現をしたいと思っております。
〔委員長退席、岡本(あ)委員長代理着席〕
○本庄委員 総理、ちょっと答えていただいていないんですが、今総理がおっしゃったのはこの中の話なんですね。これで対応できない部分は給付水準の切下げだとか患者負担の引上げで対応せざるを得ない、そういうことも念頭に置いた社会保障改革ということをおっしゃっているんですねということを確認しているんです。
○石破内閣総理大臣 決め打ちはいたしませんが、そういうことは当然起こり得るものだと思っております。しかしながら、それによって国民の皆様方、患者の皆様方にいかにして負担が少ないようにするかということも併せて考えておるものでございます。
高額療養費にしてもそうでございますが、ある程度の御負担、それは物価というものに比例するものでございますけれども、それはお願いせざるを得ない。しかしながら、それによって受診抑制がなされたりということは本当に最小限にとどめていかねばならないということはよく承知をいたしております。
○本庄委員 本当に最小限であれば、今回の高額療養費制度の拙速な見直し、そして、これほど大きな問題になるということには私はなっていないと思うんですね。私は、考え方、やり方を改めていただかないと、この先の社会保障改革はおぼつかないというふうに思います。
最後に、財源の話。先ほども出ましたので、ちょっと予備費の話は飛ばします。
資料の三を御覧いただきたいと思います。
問題の基金、我々も一生懸命探しましたが、実はそう難しくなくて、ごろごろ転がっているんですね、問題基金。問題三基金、基金三兄弟とでもいいましょうか、グローバル・スタートアップ・キャンパス基金、国会でも取り上げてまいりました、それから宇宙戦略基金、防衛装備移転円滑化基金。
このグローバル・スタートアップに関して言いますと、これは恵比寿駅から徒歩七分、東京ドーム半分以上の広大な都心の超一等地、財務省の台帳の価格では百七十六億円、売れば二百を超えるんでしょう。こういったところにフラッグシップ拠点を造って、世界最高水準のイノベーションエコシステムのハブを構築する。ちょっと読まないとしゃべれないぐらい、何を言っているかよく分からない構想ですが。
これは慌てて補正予算で基金を積みましたけれども、二〇二三年度の残が六百三十六億、そして今年度の支出は一・三億ですよ、五十億予定していたけれども。現在六百三十五億残っております。来年度末見込みも五百七十六億の残です。
これ一個を見たって、二百億出せるんですよ、総理。どうですか、これを財源として活用しませんか。総理、いかがですか。
〔岡本(あ)委員長代理退席、委員長着席〕
○藤吉政府参考人 お答えいたします。
このグローバル・スタートアップ・キャンパス基金でございますけれども、いずれできます運営法人の設立ですとか施設の開所に先立ちまして、世界から優れた人材、投資を集める呼び水となる最先端のディープテック領域の研究活動を実施するために計上している予算でございます。世界で直面する様々な課題の解決に向けては、新たなディープテック領域を選定して革新的な国際共同研究を実施することは、世界中の優秀な研究者を引きつけて、また、企業関係者、海外ベンチャーキャピタリスト等の関心を喚起するために不可欠となるものと考えてございます。
現在、この取組の実施方針に関しまして、国内外の関係機関との協議、調整ですとか具体のスキームの検討を行っておりまして、本年度中に方針を策定して、速やかに基金の執行を開始していきたいと考えてございます。
以上です。
○本庄委員 不可欠といって、何で三年もたっているんですか。そして、今国会に法案が出てくるはずだったのに、出てきていないじゃないですか。もう三年ですよ。基金のルールも間もなく適用されるでしょう。ただ、私は、来年度の予算編成においてこの基金を活用すべきだと思います。
宇宙も、補正予算で二年連続三千億ずつつけました。総理とも大分議論させていただきましたよ。今年度、残り五千七百億ですよ。募集して、事業は決まりつつありますけれども、実際のお金は出ていかないんですね。そして、来年度も五千億キープですよ。
我々は、ここから二千億使おう、それでも三千億残る、こういう提案をしています。総理、いかがですか。
○安住委員長 間もなく時間が来ますから、答弁は簡潔に。よろしくお願いします。
○石破内閣総理大臣 基金の在り方については、私どもも不断に見直してまいりたいと思っております。
宇宙にしても防衛にしてもそうなのですが、一時期に集中していろいろなニーズが生まれてくるということはございます。それは委員も御存じのとおりであります。そのときに、基金を積んでいませんでしたでは済みません。
私どもとして、基金の在り方は常に不断の見直しが必要だと思っておりまして、それは、基金ルールの見直しということも含めまして、必要であれば国庫への返納というものも考えていかねばならないと思っております。
ただ、今回、宇宙にいたしましても、あるいは防衛にいたしましても、それは必要性があるということで積ませていただきました。特に防衛につきましては、オーストラリアのフリゲートの受注というものがまさしく今重要な時期に差しかかっておりますので、そのときに、基金がございませんでした、ごめんなさいということで国益を損なってはならないと考えております。
○安住委員長 時間が参りましたので、終了してください。
○本庄委員 財政に責任を持っているのは立憲民主党だということを申し上げて、質問を終わります。
○安住委員長 これにて黒岩君、岡本さん、井坂君、おおつきさん、本庄君の質疑は終了いたしました。
次に、青柳仁士君。
○青柳(仁)委員 日本維新の会の青柳仁士です。
これまで日本維新の会は、十一月からここに至るまで、教育無償化、そして社会保険料を下げる改革、この二つを掲げまして、自民党、公明党と政調会長間協議に臨んでまいりました。
この間、政調会長間協議に関しましては、正式なものと個別の協議等を含めまして全部で二十四回、そして教育無償化の実務者による協議を十一回、その他個別協議等を実施しながら、先週の末に政調会長間での協議の結果が出まして、そして昨日、石破総理も入っていただいた形で、三党の合意文書というものを、署名に至ることになりました。
この中で、様々な議論をする中で、今回の合意、この合意については、政府の立場として、国会の場で総理大臣として御答弁いただくこと、これも一つ、合意事項の履行を担保するものとして極めて重要である、こういう共通認識の下で実施してまいりましたので、本日は、その点について確認のための質問をさせていただきたいと思います。
まず、教育無償化に関する合意事項について、これは、政府の立場から何を行うか、今後どのような予算措置を含む対応をするか、来年度以降の実施分はどのように担保するとお考えでしょうか。
○石破内閣総理大臣 ここに至りますまでに青柳政調会長に大変な御尽力をいただきました。誠にありがとうございます。
内閣総理大臣としてお答えを申し上げます。これは繰り返しになるかもしれませんが、この国会の場で青柳政調会長との間で確認をさせていただくことに意味があると思っておりますので、読み上げ調になりますが、御容赦ください。
いわゆる高校無償化につきましては、骨太方針二〇二五の策定までに大枠をお示ししました上で、令和八年度予算編成過程において成案を得て実現をする。令和八年度から収入要件を撤廃し、私立加算額を四十五・七万円に引き上げる。低中所得層への高校生等奨学給付金の拡充や公立高校などへの支援の拡充を行う。先行措置として、令和七年度分について、全世帯を対象とする支援金、十一・八八万円でございますが、の支給について収入要件を事実上撤廃する。高校生等奨学給付金や公立の専門高校の施設整備に対する支援の拡充を行う。これらが盛り込まれておるところでございます。
給食無償化につきましては、先ほど来議論のあるところでございますが、まずは小学校を念頭に、地方の実情等を踏まえ、令和八年度に実現する。その上で、中学校への拡大についてもできる限り速やかに実現する。これも盛り込まれております。
ゼロから二歳を含みます幼児教育、保育の支援につきましては、更なる負担軽減、支援の拡充について、地方の実情等を踏まえ、令和八年度から実施する。
高等教育の支援については、更なる負担軽減、支援の拡充につき、十分な検討を行い、成案を得ていくということが盛り込まれたところでございます。
私ども政府といたしまして、今回の合意内容の実現に向けて、御党の御意見もよく拝聴しながら、誠心誠意取り組んでまいります。
○青柳(仁)委員 明確な御答弁をいただきまして、ありがとうございます。
自民党、公明党との協議の中で、一つ非常に重要な点、政府としてしっかりと御答弁をいただきたい点ということで、念のため、もう一度お伺いさせていただきますが、今回の高校無償化に関しましては、私立加算額の四十五・七万円への引上げというのは明確にしておりまして、このときの所得制限の撤廃というものも明確なんですが、令和八年度から行うということになっております。したがいまして、これは骨太方針二〇二五年の策定までに大枠を示した上で、令和八年度予算編成過程において成案を得て実現するとなっております。
これは、自民党として、党として約束をしていただくことよりも、政府としてその方針を確認していただくことが重要であるというふうに、共通理解だと考えておりますが、政府のお立場として、今申し上げた点、骨太方針二〇二五の策定までに大枠を示した上で、令和八年度予算編成過程において成案を得て実現するということが政府の方針であるということでよろしいでしょうか。
○石破内閣総理大臣 その御理解で結構でございます。政府としても、その方針で対応をいたしてまいります。
○青柳(仁)委員 どうもありがとうございます。
続いて、もう一つの柱であります社会保険料を下げる改革に関する合意事項についてです。
こちらは、最終的な合意文に含まれた文章としましては、もう少し正式な形で、現役世代の社会保険料負担を含む国民負担の軽減、これを行うということになっておりますが、この部分について、政府として、自民党総裁及び総理としてどのように実現をしていくのか、また、この協議体での議論の結果を政府としてどう扱っていくかについてお伺いできればと思います。
○石破内閣総理大臣 済みません、これも読み上げになりますが、御容赦ください。
昨日、御党、公明党、自民党の合意が締結されたわけでございますが、そこにおきましては、社会保障改革による国民負担の軽減を実現するため、三党でハイレベルの協議体を設置すると。
この協議体におきましては、OTC類似薬の保険給付の在り方の見直し、現役世代に負担が偏りがちな構造の見直しによる応能負担の徹底、医療DXを通じた効率的で質の高い医療の実現、医療介護産業の成長産業化を含めまして、現役世代の増加する保険料負担を含む国民負担を軽減するための具体策について検討を行うということになっておるわけでございます。
また、この検討に当たりましては、政府・与党の方針、提言に加えまして、日本維新の会が公表されました改革案で、国民医療費の総額を年間で四兆円削減することによって、現役世代一人当たりの社会保険料負担を年間六万円引き下げるとされておることも念頭に置くということにされておるわけでございます。
その上で、三党協議による具体策について、政府として、令和七年末までの予算編成や診療報酬改定の過程で論点の十分な検討を行い、早期に実現が可能なものについて、令和八年度から実行に移したいと考えております。
○青柳(仁)委員 ありがとうございます。
こちらも念のため確認をさせていただきますが、今御答弁いただいたとおり、日本維新の会としての方針として、国民医療費の総額を年間で最低四兆円削減することによって、現役世代一人当たりの社会保険料負担を年間六万円引き下げるとされていることを念頭に置くと書いてありますが、念頭に置くだけで何もしないのかというような御批判も聞こえてくるところなんですが。
我々、この現場で、政調会長間で協議をしてきたときは、そういった意図は一切ありませんで、こうしたことを念頭に置いた上で、この協議体で議論を行い、そして、ここの合意文書に明確に書かれているとおり、そこから出てきた具体策については、つまり、現役世代の増加する保険料負担を含む国民負担を軽減するための具体策については、令和七年末までの予算編成過程(診療報酬改定を含む)で論点の十分な検討を行い、早期に実現が可能なものについては、令和八年度から実行に移すというふうに明言しているわけですが、こちらも政府の方針ということでよろしいでしょうか。
○石破内閣総理大臣 さようでございます。
○青柳(仁)委員 それでは、もう一点、合意文書の中に含まれているものとしまして、今、様々な場所で議論になっている年収の壁による働き控えというものがあります。
百三万円の壁というのがまず最初にありましたが、これは税控除の壁でして、実際には、百三万円が百四万円になっても、百三万円から百四万円の一万円分の課税が変わるだけですから、所得そのものが下がるわけではないという意味では壁というほどのものではないんですが、実際には、百六万円、百三十万円の壁は、そこから社会保険料がかかりますので手取りが減るということで、こちらの方がより重要である、こういうことを日本維新の会としてずっと訴え続けてまいりました。
その中で、今回、この働き控えの解消についても、自民党、公明党との間で一つの実施の方策について合意に至ったわけですが、その点についても、政府としてどのような措置を行っていくか、こちらもお伺いできればと思います。
○石破内閣総理大臣 正確を期すために、これも読み上げで恐縮です。
いわゆる年収百三十万円の壁につきましては、三党合意におきまして、手取りの減による働き控えの解消を図るため、被用者保険への移行を促し、壁を意識せず働くことができるように、賃上げや就業時間の延長などを通じて労働者の収入を増加させる事業主を支援する措置を令和七年度中から実施をいたします。従来、年収百六万円の壁への対応として実施しておりますキャリアアップ助成金による措置を拡充することとし、その際、中小・小規模事業者への支援強化、使い勝手の更なる向上などを行います。この措置は、労働保険特別会計において臨時に行う時限的措置といたします。
このようになっておるわけでございまして、この合意内容に沿って対応いたしてまいります。
その上で、三党の合意文において、第三号被保険者制度の在り方を含めた年収百三十万円の壁に関する制度的な対応の在り方について更に検討を進めるとされておるものでございまして、政府としても、更に検討を深め、成案を得るべく努力をいたしてまいります。
○青柳(仁)委員 今の三点が、教育の無償化、そして社会保険料を下げる改革、そして働き控えの解消、この三点が合意文書の中で、実行に移すということで合意に至った点でありますが、四つ目の項目として、教育無償化に関する論点等というものも含まれております。
この中で、特に維新の会として訴えてきた中で、今回は完全な形では盛り込まれていない項目が一つありまして、それは、今後の私立加算額、就学支援金の私立加算額の部分についての支給の方法であります。
これは、維新の会としては、生徒に対する直接の支給を求めてまいりました。一方で、今この合意文書の中で自民党、公明党として想定しているのは、来年度分の十一・八八万円、基準額の部分は直接的な遡及による支給になるということ、それから、それ以外の中低所得者向けの加算額に関して、これは十五・二万円、こちらも直接支給になるということですが、私立加算分の四十五・七万円の再来年以降については、原則的に、現状どおり学校の側に給付をするという内容であるということなんですが、この点は我が党とちょっと考え方が違いまして、我々としては、そこも直接支給にしていただきたいということを申し上げてまいりました。
したがいまして、最終的な合意文書の中には、代理受領か直接支給かという両論併記をさせていただいて、今後の検討課題というふうにさせていただいております。
我々としましては、やはり学校間の競争性というのはしっかり担保していかなきゃいけないと考えております。全ての学校に政府から補助金を出すような形で出すのではなく、生徒の側に支援金を渡すことによって、生徒から選ばれなければならない、この競争性をしっかり担保して、切磋琢磨して、それぞれの学校がより質が高くて多様な教育を提供していけるような、そういった環境をこれからも維持していくべきだと我々は考えております。
そうした観点から総理のお考えをお聞かせいただきたいということと、それから、念のためですが、今回のこの最後に盛り込まれました支給方法の考え方、再来年度以降に関しては、これは今後引き続き協議をさせていただきまして最終決定していく、こういう理解でおりますが、これでよろしいでしょうか。
○石破内閣総理大臣 そのような御理解で結構でございます。
三党間の合意におきまして、いわゆる高校無償化の論点として、支給方法の考え方、すなわち、代理受領なのか直接支給なのか、DXによる効率化をいかにして推進するか等が明記されておるところでございまして、十分な検討を行うとされているものでございます。
今後、教育の質の確保、多様な人材育成の実現、公立と私立との関係などの論点と併せて十分な検討を行い、検討だけしても仕方がないので、安定財源の確保と併せまして、高校教育の全体にとって意義のあるものとしたい、しなければならないと考えておるところでございます。
○青柳(仁)委員 今後の検討という理解でよいということでしたので、これはやはり直接支給にすることで学校間の切磋琢磨を促すという意味が非常に重要だと思っておりますので、この点は政府としても是非御検討いただければと思っております。
それからもう一点、ちょっとこれは通告していないんですけれども、昨日、記者会見を、最終、総理も一緒に行わせていただいたときに、ある質問がありまして、この四番目の教育の無償化に関する論点等のところに、収入要件の撤廃を前提とした支援対象者の範囲の考え方、私立加算金額の水準の考え方(令和八年度は四十五・七万円)といった論点が含まれております。
これらの論点はあくまで十分な検討を行うというものでありまして、特にこれ自体が強い拘束力を持つものではないと理解しておりますが、こういうことが論点に挙がっているということは、では、仮に、私立加算金額の水準の考え方を検討した結果、表のページの一番最初にあるような、令和八年度から収入要件を撤廃し、私立加算額を四十五・七万円に引き上げると明確に書いているにもかかわらず、この私立加算額の水準の考え方を検討した結果、これが変わってしまうということがあり得るのかというような質問を受けたんです。
少なくとも、日本維新の会の理解としましては、そんなことはあり得ないと考えておりまして、また、もしもそういう意図でこの項目が入っているとすれば、それは明らかにこれまで二十四回議論を重ねてきたことの共通理解から相当大きく離れたことになるのではないかと考えます。
改めて、この論点として挙げられている問題、これらがあるからといって、実際に一番目、二番目、三番目でしっかりと合意している内容が覆るということはないということは、この認識は我々と同様に考えておられるか、この点、確認させていただければと思います。
○石破内閣総理大臣 今までの議論の積み重ねは、そして実績は当然尊重いたしてまいります。根底からそういうものを覆すようなことは、私どもとしていたすつもりは全くございません。
○青柳(仁)委員 明確な御答弁をいただきまして、ありがとうございます。
やはり今回は、この後、協議体をつくりまして様々な議論を行っていく上でも、その根底の部分が覆ってしまいますとそもそも全ての話が全く壊れてしまうと思いますので、そういったことはないように考えていく必要があろうかと思っております。
そしてもう一つ、今回は、我々の維新の会としましては、これは党内でも様々な議論を行ってきたところですが、今回の施策の中には、今年度予算で修正を求めている部分と、それから、骨太の方針二〇二五の中に盛り込んだ上で、令和八年度の予算編成に組み込んでいくものというものがあります。
そうすると、来年の予算も、じゃ、これをもって賛成するのかというような声が一部に聞かれたりするんですが、日本維新の会としてはそういうことは一切考えておりませんで、また、党内始め様々な声が聞こえた際に政調会長間協議でもはっきりとその点をお伺いさせていただきまして、そういう理解ではお互いにないということは確認させていただいております。
これについてもあらかじめしっかりとお伺いしたいんですけれども、この今回の合意というのは、あくまで今年度の予算をめぐる協議でありまして、来年度以降の予算に関係するものではない、この理解は共通理解ということでよろしいか、こちらもお伺いできればと思います。
○石破内閣総理大臣 それは御党のお考えでございまして、これによって、そういう来年の予算について御党の対応方針まで把捉するものではございません。
○青柳(仁)委員 ありがとうございます。
少なくとも、我々としましては、これをもって来年度予算も賛成するというようなことを約束しているわけではありませんので、この点は今の御答弁からも明らかだと思いますので、内外に対してはっきりと示させていただきたいと思います。
それから、日本維新の会として提案をした政策については、今回、教育の無償化、そして社会保険料を下げる改革、これに関しては、やはり提案した以上、あとは政府の方で全て責任を持ってやってくださいということではなくて、しっかりと我々も責任を持って対応していきたいと考えております。
一方で、別に、連立を組むという合意をしたわけではありませんので、予算の全てに賛成をしているわけではありません。今、立憲民主党等から指摘があるような、基金が余りにも多過ぎるんではないか、使い残しが多いんではないか、そもそも複数年度にわたって使うことがどうなのかということであるとか、それから、予備費が余りにも、今までと比べてどんどんどんどん財政規律を失っているんじゃないかとか、こういった点に関しては引き続き我々としては同様の問題意識を持っておりますので、全体的な予算に対しての賛否については総合的な判断を行いますが、それによって全ての予算の項目に賛成するわけではないということは、これは党の明確な方針として改めてこの場でも申し上げておきたいと思います。
また、それ以外の政策についても是々非々の対応をさせていただきます。内閣不信任案等を含めても、これを予算を理由に賛成するということは、もし予算に対する対応が今の合意どおりいく場合はそういうことはあり得ないと思いますが、それ以外の要素によって判断をどうするかというのは都度考えさせていただくということになりますので、この点も改めてこの場で明確に申し上げておきたいと思います。
それからもう一点、今回の協議の中では、やはり今、少数与党ということで、与党過半数割れの状況、これは国民の皆さんが選挙の結果つくり出したものです。ですので、国民の民意というのは、今の政府・与党だけで物事を決めてほしくないということだと理解しております。これまでの政府であるとか、あるいは自民党、公明党の枠組みでは許容できなかったような政策であっても、野党の提案でもって採用し、実行していく、これが国民の民意だと考えております。
ですので、そういった観点でこれまで議論を続けさせていただきましたが、小野寺政調会長も岡本政調会長も、それぞれそういった観点をしっかり踏まえた上で、本当に生産的な議論をしていただけたと思っておりまして、その点については大変感謝を申し上げたいと思います。
そういった観点でいえば、やはり日本維新の会としては、我が党のみならず、今国会での予算を成立させるに当たっては、その他の野党の主張についてもしっかりと取り入れた形で予算の成立をしていただきたいと改めて考えております。こうしたことについて、総理のお考えをお聞かせいただければと思います。
○石破内閣総理大臣 私どもとして、少数与党でございますから、何でもかんでも取り入れるということを言っておるわけではございませんが、いろいろな協議の末に、今回の御党、公明党、我が党の協議がそうであり、これから先もそうであってほしいのと同様に、多くの党と協議をさせていただきたいと思っております。
多くの党の御賛成をいただきながら、これから先も、予算に限りませず、政策を進めてまいりたいと思っております。
○青柳(仁)委員 ありがとうございます。
まだ予算委員会は続きますので、是非、様々な党の意見を聞いていただいて、各党との協議の結果も踏まえて最終的な結論を出していただきたいと日本維新の会としては考えております。
それからもう一点、今回の合意の中では、維新の会としては、財源の確保をすることに対して行財政改革を徹底してほしいということも申し上げてまいりました。
これはなぜかといいますと、今、維新の会が大阪で教育無償化を実現しておりまして、高校の無償化を先んじて実施をしておりまして、これは大変府民の皆さんからは御支持をいただいているというふうに理解しております。ただ、そのいただいている御支持の理由は、単に無償化をしたからではありません。そうではなくて、その無償化の財源を身を切る改革を始めとした徹底的な行財政改革によって生み出した、その上で、その財源を使って無償化をしていることに対して御支持をいただいているんだというふうに理解しております。
ですので、やはり国でも、単に今回は、まずはこの無償化を行うというところだけが決まりましたが、是非、その財源を生み出すに当たって、国債とか増税に頼るのではなくて、行財政改革で生み出してほしい、こういう議論をこれまでさせていただいておりました。
政府としまして、この点について、今後どのような行財政改革を行っていくのかについてお伺いできればと思います。
○石破内閣総理大臣 三党合意では、各施策の実現に当たっては、政府全体で徹底した行財政改革を行うことなどにより安定財源を確保するとされておるところでございます。
次世代に負担を先送りせず、歳出歳入両面の措置によって確保する必要があると考えておりまして、引き続き、御党と真摯に議論をしてまいりたいと思っております。
これは、例えば議員定数の削減とか、いろいろな議論があるんだろうと思っております。そういうようないろいろな利害が交錯をして議論が進んでこなかったことというのはございます。それが本当に財源として有効なものかという議論も当然ございます。今回、自民党、公明党、維新の会で随分とそういうお話もさせていただきましたが、これから先、なお、その本音の部分に踏み込んで議論をする必要があるんだろうと思っております。
全ての人がハッピーということはございません。しかしながら、その負担をどのようにして分かち合うかということが議論の本質だと私は認識をしておるところでございます。
○青柳(仁)委員 ありがとうございます。
今おっしゃっていたようなことは、本当に重要な点だと思います。
その中で、具体策として、今回、社会保険料を下げる改革、すなわち、現役世代の社会保険料負担を含む国民負担の軽減というところでは、三党での協議体を設置するということになっております。
この中で実行していく項目というのを、維新の会としては、最低年間四兆円、国民医療費の総額を削減して、現役世代一人当たりの社会保険料負担を年間六万円引き下げるということをやりたいと思っておるんですが、今、その積み上げを精緻に、様々な議論をまさに行っておりますが、こういった中では、既にやはり政府の方として実行しようとしている項目もあります。例えば応能負担の徹底であるとか医療DXであるとか、ここに書かれたような内容も、既に厚労省、財務省等、手をつけている部分もあるんですが、我々としましては、そのスピード感では制度を持続可能にすることができないんじゃないかと不安に考えているんです。
先日も厚労省の方から、これまでの人口動態、これからの人口予測というのを見させていただきまして、そして、今は高齢者がどんどん増えているけれども、しばらくするとピークアウトする、ですから、そこまでしっかりとこの制度を保てば持続可能になるんだというような御説明がありましたけれども、ただ、今の現役世代はもう限界なんです。今、これ以上社会保険料が上がっていくこと、税金が上がっていくことを許容している国民というのは、ほとんどいないわけです。
ですから、将来ピークアウトしたらではなくて、今すぐ手をつけていかなきゃいけない。今すぐ手取りを上げて、今すぐ制度を持続可能にするレベルの改革を行っていかなきゃいけない。我々は、そういう思いで今回この協議体に臨む予定なんですけれども、政府として、これからの行財政改革、そして社会保険料負担を、国民負担を下げていく改革、これを是非スピードアップしていただきたいと思うんですけれども、総理のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
○石破内閣総理大臣 それは、確かに高齢化はピークアウトするんです。それまで待っていられないというのはそのとおりであって、ピークアウトして、そこからバラ色の世界が開けるかというと、そんなことは全然ないわけで、そういうような時間的な切迫感は共有いたしたいと思っております。
そういたしますと、応能負担といっても、私は能力がありますよという人はそんなに世の中にいないわけですよね。だけれども、いやいや、あなた方は本当にもっと負担していただけるのではありませんかということを言わざるを得ない、そのことも私どもは勇気を持ってやっていかねばならない。そうしないと制度自体が崩壊いたしますので、この時間的な切迫感というのは、御党あるいは政調会長と共有したいと願っておるところでございます。
○安住委員長 青柳君、間もなく時間ですから、まとめてください。
○青柳(仁)委員 今、総理のおっしゃったことは大変強く共感いたします。
やはり国会、政治が勇気を持って言わなければいけないことというのはあろうかと思います。それは、将来世代、次世代の日本を持続可能なものにしていくために必要なことを我々はしっかり言っていかなきゃいけないと思いますので、この三党の協議体、あるいはその他のことも含めて、維新の会としても、この今の政治の状況を一歩でも二歩でも前に進めていく。
また、現役世代を始めとした今本当に苦しい状況にある人たちに対してしっかりと手を差し伸べていくということを、これからも責任を持って実行していきたいと考えております。
以上で質疑を終わります。
○安住委員長 この際、馬場伸幸君から関連質疑の申出があります。青柳君の持ち時間の範囲内でこれを許します。馬場伸幸君。
○馬場(伸)委員 皆さん、お疲れさまです。日本維新の会、馬場伸幸でございます。
まず、総理にお尋ねをいたします。
今の日本国民は夢や希望にあふれている、そういうふうに総理は思われますか。
○石破内閣総理大臣 思っておりません。
それは、幸福度指数とかいろいろな指標がございますが、日本国民の、何か三月の何日かは世界幸福の日、そういう日があるんだそうですが、その日に合わせて行われる幸福度ランキングでいえば、対象国の中で、たしか五十四位ぐらいだったと思います、直近で。そしてまた、それぞれの項目で見れば、相当に下位の項目というのもございます。
それは多くは長く政権を担ってまいりました私どもの責任でございますが、幸せで希望にあふれているとは、残念ながら、私自身、認識ができないところでございます。
○馬場(伸)委員 その主な原因はどこにあるか。総理はどういうふうにお考えでしょうか。
○石破内閣総理大臣 それは、やはり格差というものが存在をしているということ、そしてまた、それぞれのいろいろな御意向というものが十分に政治に反映をされていないという思いをお持ちの方が多いということで、私どもの責任を十分に認識をしながら、私自身、そのように考えておるところでございます。
○馬場(伸)委員 二〇一二年十一月十四日というのは、日本の近代の政治に大きな影響を与えた日でございます。何があったか、御記憶にございますか。
○石破内閣総理大臣 それは、済みません、私自身、ぱっとにわかには思い浮かびませんが、不規則発言を参考に言えば、日本維新の会が結党された日なのでございましょうか。
○馬場(伸)委員 そんな手前みそな話はいたしません。
二〇一二年十一月十四日というのは、党首討論がございました。当時、立憲民主党の野田総理、自由民主党の安倍総裁、二人が、直前に行われた税と社会保障の一体改革の三党合意に基づいて議論をされました。この三党合意が決まっていく中で、国会、政治改革をやりましょうと。ビデオもたくさん出ていますので、総理も御覧いただきたいと思いますが。国民の皆さん方に負担をお願いする場面も出てくる、改革の中でですね。ですから、やはり隗より始めよで、まず、国会議員の定数を大幅に減らしましょうと、野田総理と安倍総裁がそのことについて合意をされ、二日後の十六日に衆議院を解散する。国会議員の定数は、十や二十じゃないんです、五十、六十減らしましょうという話をされました。
しかし、その結果、十三年がたとうとしていますが、その約束はいまだに履行がされていません。そして、この税と社会保障の一体改革も遅々として進んでいない。
先ほど総理は、国民が幸せを感じていない、そうおっしゃられましたが、そうなんです。この税と社会保障の一体改革の時計の針が止まってしまっていますから、なかなか、働いても、昔のようにどんどんどんどん手取りが増えていく、生活が豊かになっていく、きちっと安心のある老後を送ることができる、そういう安心感がないから、夢や希望を感じることができないんです。
この間、税と社会保障の一体改革は、いわば継ぎはぎだらけでありました。びほう策で、税も社会保障も制度的にはもうゆがみが出て、全然整合性の取れない形になっています。
このことについて、総理はどういう認識をお持ちでしょうか。
○石破内閣総理大臣 済みません、そうでした、党首討論、安倍さんと野田さんの日でした。私は幹事長として安倍さんのすぐ後ろにおりましたので、あのときの場面はよくよく覚えております。
そのときに、議員定数を削減するというようなことも、確かに野田さんと我々との間でそれは合意した。そのことが十分に実現していないということも私どもとして認めるところでございますが、それでは国会議員の数をどれだけ減らしますかと、具体的な手法の問題でございます。
一対二というものを本当に実現をしていかねばならぬ、法の下の平等の下に考えればそういうことになりますが、そうすると、東京の定数が物すごく増えるということが起こります。それは本当によいことなのだろうか、東京の有権者にとってもよいことなのだろうか。そして、地方に目を転じますと、一番日本で一票が重い選挙区というのは私の選挙区なのでございますが、それでは鳥取県を一つの選挙区ということにしますと、これは鳥取県が突如として全国で一票が一番軽い選挙区になる、そういうことが現出をいたします。
そうすると、どういう形で議員を減らしていくべきなのか、そして、その地域におけるいろいろな民意の反映はどのように行うのか。数を減らすということについて、私どもも、それは大枠反対をするものではございません。どのような形で減らしていくのか、選挙区と比例区のバランスはどのようにすべきなのか、それは衆議院と参議院で違いもございます。そこの点について、一つ一つ、皆さん方の思いを実現するために詰めていきたい、その必要があるのではないか。選挙制度の改革と併せまして、それは答えを出していかなければならないと強く認識をいたしておるところでございます。
○馬場(伸)委員 私は、議員定数の削減を中心に今日質問しているわけではありません。
社会保障問題、これは先ほど我が党の青柳議員からも質問がありました。これは、見直していく中で、私は、受益と負担の割合というものを可視化して、国民の皆様方に、保険というものはどういう理屈で成り立っているのかということを、数字を併せて説明をするときがやってきていると思います。
今、少数与党で、総理も大変御苦労されて、各政党といろいろな分野について協議をなされています。我が党とは昨日合意ということで、幾つかの合意事項ができたわけでありますけれども、この合意事項も大きな問題を捉まえているかというと、甚だ疑問であります。私が今申し上げているような受益と負担の可視化というものが国民の皆様方には伝わっていないのではないかというふうに思いますので。
合意事項の中に、三党による協議体という文言が入っています。これは、協議体の在り方とか、どういう形で運ぶかとか、そういったことが総理の頭の中に今あれば、具体的なことがあれば、ちょっとおっしゃっていただきたいと思います。
○石破内閣総理大臣 これは、前回の予算委員会でも随分議論させていただいたことでございますが、例えば、消費税というものは逆進性というものを持っております。一方において、受益と言うかどうかは別といたしまして、いろいろな社会保障というものに裨益をする方々というのは、お支払いいただいた消費税に比べれば、非常に高い裨益の額ということになっておるわけでございます。そうしますと、受益と負担の可視化というものの手法は、私はいろいろなやり方があるのだろうと思っております。
負担の在り方も、応能負担ということを考えましたときに、所得だけではなくて、資産の負担能力というものをどのように考えるかということにも踏み込んでいかざるを得ない、そういうようなことなんだろうと思っております。
受益と負担の可視化というのは、有権者の御判断を仰ぐときに極めて重要なものでございまして、その手法は三党の協議体において更に真摯に議論されることだと思っておりますが、政府といたしましても、情報の提供、あるいは、いろいろな議論に対するアドバイスと言っては僭越でございますが、政府の立場を申し述べることはしてまいりたいと思っております。
可視化の手法について、また馬場前代表の御意見も承ることができれば幸いでございます。
○馬場(伸)委員 冒頭に、国民が幸せを感じているかどうかという質問をさせていただきました。感じていないというのは我々政治家の責任だというふうに思います。でも、そこにはやはり国民の全てに共通する社会保障問題というのが大きく横たわっているというふうに感じています。ですから、結局、日々の生活に不安がある、物価も上がっていく、手取りは増えても社会保険料も上がるので可処分所得は増えない、そういう悪いサイクルが今この日本を取り巻いているというふうに思います。
ですから、冒頭にも申し上げましたが、私はこの三党の協議体は非常に重要だと思いますけれども、やはりテーマは令和版の税と社会保障の一体改革というものに持っていくべきではないかと思います。そこで骨子を、いろいろなことを議論させていただいて、骨子が固まれば、私は、立憲民主党さんにも国民民主党さんにも、ほかのいろいろな政党にも投げかけて、もう一度、政治が仕事ができるんだということを国民の皆様方に見ていただきたい、そういうふうに感じています。
令和版税と社会保障の一体改革、もし総理が、そうだという思いがあれば、意気込みをおっしゃっていただきたいと思います。
○石破内閣総理大臣 それは全面的に賛同いたします。そうあらねばなりません。
そう考えているときに、どうしても利益相反のようなことは生じてまいります。例えば、資産は、その多くが金融資産でございますが、高齢者が持っているということがございます。では、そこは応能負担で、後期高齢者医療制度を考えましたときも、もう少し御負担をいただけませんでしょうかということ、それは議論としてはあるものでございます。応能負担の考え方からすれば、そういう考え方もございます。
それが若い方々の御負担をどれだけ減らすものであり、制度の持続可能性の維持にどれほど寄与するものであるかということは、資産の正確な把握の手法と併せまして打ち出していかなければならないものだと思っております。
今まで先送りしてきた、これを言うと票が減るよね、これを言うとこの層の支持を失うよねというようなことに政党が拘泥している時代ではないと思っておりますので、そこは勇気と誠意というものを御党と共有したいと思っております。
○馬場(伸)委員 ありがとうございます。
ともすれば、今総理がおっしゃったように、我々政治家は現世利益の争奪戦というものに走りがちだと思います。国民はそういうことも望んでおられる部分もありますが、やはり自分の一生を考えて、夢や希望を持って一生を過ごしていける、そういう社会を心から今望んでおられると思いますので、是非、令和版税と社会保障の一体改革、これを超党派的に成し遂げて、百年安心、安全プランということを二〇一二年のときもおっしゃっておられましたが、制度も国民の気持ちも安心、安全では全くありませんので、是非本当の意味での百年安心、安全プランを共に作っていきたいということを申し上げて、次の質問に移らせていただきたいと思います。
憲法改正の問題です。
これも税と社会保障の一体改革のように、国の根幹を成す重要なテーマだというふうに考えています。
衆議院の憲法審査会の会長は、初めてだそうですが、野党第一党の立憲民主党さんの手に委ねられています。会長は、今、立憲民主党の枝野さんということですが、総理、ほうという顔を今されましたが、このことについて、そうしましたら、どういう感想をお持ちですか。
○石破内閣総理大臣 感想を申し述べる立場にはございませんが、憲法は、もちろん思想も含むものでございます、法体系の頂点に立つものでございますので。私は、憲法と、思想は抜きだとは申しませんが、幾つかの問題については、政党の利害を超えたものが必ずあると思っているのです。
私は、九条もそうなんだろうと思っておりますが、日本国の独立と平和というものを維持するにおいて憲法九条がいかなる役割を果たすかということにおいて、党派性や思想が影響すると思ってはおりません。ずっとそのように考えております。
見識のある枝野議員が会長に就かれるというのは、それはそれとして、私どもとして当然尊重もし、いろいろな差配に基づいて、かつて中山太郎先生が率いられた憲法調査会というものが公正な運営で、私もそのときずっと委員でおりましたが、あのような議論がなされることを期待しておるものでございます。
○馬場(伸)委員 私は、いわゆる保守層の方々にお話をお聞きしますと、これから重要なテーマになってくるであろう選択的夫婦別姓の話、また、衆議院の憲法審査会の会長を野党に譲った、こういう話から、自民党はもう保守ではないのではないかということをよく最近聞くことがあります。
来月、自民党も結党七十年ということで、今年の運動方針で、仄聞するところによりますと、憲法改正に向け条文案を起草、憲法改正実現を目指すというふうに書いてあるそうです。また、具体的には、各会派と積極的に連携し、緊急事態や自衛隊明記などに関する条文案を起草し、憲法改正原案の作成、国会発議、国民投票における過半数の賛成に向け全力を傾注するというふうに書いてあります。これは、去る二十一日の記者会見で木原稔組織運動本部長代理が運動方針の骨子を発表されたということで、私も報道関係から聞いた話であります。
仄聞でございますから、当日までに修文をされるのかどうか分かりませんが、この決意というのは間違いないですか。
○石破内閣総理大臣 それは党として総務会まで上げて決定した運動方針でございますから、それについて何ら変更はございません。
我が党といたしまして、今日は憲法改正の我が党の責任者であります古屋議員も委員としてこの場におられますけれども、我が党の原点、結党七十年でございます、これは、憲法改正というのが我が党の結党の原点にはございます。
ただ、自民党は保守ではないではないかという御議論は、保守とは何だというお話にひっきょう帰着をするものでございまして、そこはいろいろな考え方があろうかと思っております。
私は、保守の本質は寛容だと思っておりますものですから、そこについては、いろいろな御批判があれば承ります。
○馬場(伸)委員 六年の、去年の自民党の運動方針には、憲法改正に関して年内の実現を目指す、これも明記されているんですね。もう年が替わっていますから、年内を超えてしまっています。いつになったら憲法改正の発議をするのかということは、多くの、憲法に関心がある、また、憲法を改正しなければならないと考えている皆さん方が疑問を持ち出しています。
いつになったらやるんでしょうか。
○石破内閣総理大臣 それは、委員御案内のとおり、衆参総議員の三分の二の賛成をもって発議するということになっております。その上で国民投票の二分の一ということになっておりますわけで、衆参総議員の三分の二というものを獲得することはそんなに容易なことではございませんが、選挙というものは全てそうなのでございまして、今日お一人、今日お二人というふうに賛同者を増やしていくということは極めて重要なことだと思っております。
憲法改正について議員対議員で議論をしましたときに、もちろん、私の考えの足らざるところもございますが、やはり憲法でどのテーマで議論しても負けないだけの研さんを積むということは極めて重要なことだと思っておりますし、私も、総裁として更に努力をしてまいりたいと思っております。
○安住委員長 馬場君、間もなく時間です。
○馬場(伸)委員 この憲法問題も含めて、国民は今の政治に、進まない、決められない、実現しない、ないない尽くしで非常に落胆をしていると思います。全ての国民が夢や希望を持って頑張っていけるような、そういう社会を共につくってまいりましょう。
ありがとうございました。
○安住委員長 これにて青柳君、馬場君の質疑は終了いたしました。
次に、西岡秀子さん。
○西岡(秀)委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。
本日は、安住予算委員長を始め予算委員の皆様にお許しをいただきまして、質問の時間をいただきました。限られた時間でございますので、早速質問に入らせていただきます。
まず、自公国三党による合意について質問させていただきます。
昨年十二月十一日、自公国幹事長による合意書、明確に、いわゆる百三万円の壁は、国民民主党の主張する百七十八万円を目指して、来年、これは今年のことでございますけれども、引き上げる、いわゆるガソリン暫定税率は廃止する、このことが明確に書き込まれました。
しかし、昨年末の段階では協議が調わず、基礎控除、給与所得控除十万円ずつ、二十万円引上げとする、百二十三万円とする政府案が決定をいたしました。しかし、その後、与党側から再協議の申入れがあり、昨年末より途絶えていた三党協議が去る十八日、再開をされました。
しかし、自民党からの提案は、年収五百万円以上の方々には上乗せがないとなっておりまして、中間層も含めて国民生活が今どういう現状にあるかということが十分理解をされていないのではないかという疑問を持たざるを得ない内容となっており、我が党としては受け入れられる内容ではありませんでした。
公明党におきましては、自民党案では不十分で国民の理解は得られないという中で工夫をされ、年収要件を八百五十万円まで拡大されましたが、なお年収の区分が四段階となっております。
本日、今日この後、十六時過ぎから協議が再開されるというふうにお聞きをいたしておりますけれども、両提案を踏まえまして、石破総理に質問させていただきます。
協議の中で、我が党は従来から、百三万円の壁については、所得制限をかけないこと、撤廃すること、また、基礎控除の引上げについては、物価スライドを法定化することを求めてきました。この物価スライドの法定化については合意を見ましたけれども、所得制限については自公案それぞれに付されております。
そもそも、基礎控除は、最低限の生活にかかる費用には税金をかけないという趣旨であり、所得制限をかけること自体がおかしいのではないでしょうか。また、税の三原則、公平、中立、簡素の観点からも、複雑な仕組みとなり、その原則に逆行します。石破総理の御見解をお伺いいたします。
○石破内閣総理大臣 基礎控除の趣旨というのは一体何だろうかということを考えましたときに、一定の額までの少額の所得については、これは負担能力を見出すには至らないということで税を課しておらない、これが基礎控除の趣旨でございます。
基礎控除を含みます課税最低限につきましては、生計費の観点とともに、公的サービスを賄うための費用を国民が広く分かち合う必要性ということも踏まえて、考えをいたしておるものでございます。
基礎控除につきましては、高所得者にまで税負担の軽減効果を及ぼす必要性は乏しいのではないかといった御指摘を踏まえまして、所得再配分機能の回復を図る観点から、平成三十年度の税制改正において、所得二千四百万円を超える水準について所得制限を設けた、こういうことでございます。
したがいまして、所得制限をかけるというのは、それは決しておかしなことではございません。本来あるべきものだと私は理解をいたしておるところでございます。
○西岡(秀)委員 憲法二十五条に明記されております生存権に基づく最低生活費には課税しないという考え方からしますと、やはり、所得制限をかけて、特に五百万円以上の方には上乗せがないというこの判断というのは、先ほども申し上げましたけれども、今、物価高騰の中で国民生活は大変厳しい、この状況について十分な御理解がない提案であるというふうに私たち国民民主党は考えております。
次に、もう一つの柱でございますけれども、ガソリンの暫定税率廃止、これも明確に合意書に書き込まれました。
我が党は、廃止時期の明確化、今年の早期の実施を求めてまいりました。これは多くの国民が求めている政策でありまして、特に、地方に暮らす、車が必需品である国民にとっては大変大きな影響がございますし、事業主にとってもガソリン価格の高騰の影響は大変大きいものがあります。特に、今、賃上げという流れの中で、事業主にとっては賃上げの原資にも影響するものだというふうに考えております。
国民民主党は、廃止へ向けた手順、プロセス、スケジュールを早急に示すべきであるというふうに考えております。早期の実施がもし難しいのであれば、現在縮小されている政府の補助金政策の出口戦略として、昨年、自公国の三党幹事長合意に基づいて、発動に向けて協議をいたしましたけれども合意できなかったトリガー条項凍結解除を行う考えはあるのでしょうか。石破総理にお尋ねをさせていただきます。
○石破内閣総理大臣 いわゆる、あくまでいわゆるでございますが、暫定税率を廃止するということは三党の合意でもございます。そのことはきちんと尊重しなければならないし、しばらくというのはしばらくだみたいなことを言っておっても、それは一体いつのことだみたいなことになるわけですが、一方において、地方の、地方に限りませんが、国に対して望むいろいろな政策要望の中で常に上位に上がってきますのは道路整備でございます。インフラ整備というのは常にこの上位に上がってくる、場合によってはトップのこともございます。
暫定税率というのはやめてもらいたい、しかしながら、それは遊興費に使っているわけでも何でもなくて、一・五兆円は道路整備を始めとするインフラ整備に充てられている。この部分をどのようにして整合的に理解をするかということでございまして、そのインフラ整備の財源というものをどうやって見出すかということについて、三党で協議をし、国民の皆様方に御納得いただける案が示されるものと承知をいたしております。
私どもとして、必要な情報提供等々は行ってまいりたいと考えております。いつまでもこのままでいいというふうに私自身思っておるものではございません。
トリガー条項につきましては、もう既に議論はあちらこちらで行われていることでございますが、一つは、補助金とは違いまして、灯油あるいは重油などにはこのトリガー条項では対応できない。そして、ガソリンスタンドの経営を考えましたときに、一軒一軒ガソリンスタンドの御負担というのは物すごく重いということがございます。そして、ガソリンの価格というのは日々変動するものでございまして、これに対応できるのかという問題がございまして、トリガー条項につきましては、これらの課題についてどう対応するかということで更に検討し、御党のお知恵もおかりしたいと思っておるところでございます。
○西岡(秀)委員 ただ、自民党総裁でもあられる石破総理でございますけれども、明確に暫定税率廃止を合意をいたしております。これについては、しっかりスケジュール感を含めて明確にお示しする責任が私はあるというふうに思っておりますので、今の御答弁からすると、どうしてこういう合意に至ったのかというふうに思わざるを得ない御返答だったというふうに思います。
また、トリガー条項凍結解除については、三党協議の中で様々な課題も御指摘をいただいて、このことにつきまして、我が党としてもしっかり考えた中で、シン・トリガー条項凍結解除法案という法律を既に出しておりますので、引き続き協議をするということが必要であれば、是非その発動へ向けても協議をさせていただきたいというふうに思っております。
次の質問に移りたいというふうに思います。
去る十八日、政府は、核兵器禁止条約第三回締約国会議のオブザーバー参加を見送ることを発表されました。極めて残念だというふうに思います。
昨日の予算委員会中央公聴会に、公述人として、ノーベル平和賞を受賞された日本被団協の田中代表理事が出席をされました。田中理事は、もしかしたら石破総理がオブザーバー参加をしてくれるのではないかという期待をしていたという落胆の思いを述べられました。オブザーバー参加については、被爆者の皆様、被爆地を始め地方自治体、NGOや若い方々、各政党も含めて、多くの関係者が熱望しており、総理には重く受け止めていただきたいというふうに思います。
石破総理は、要請を受けて、これまでの総理では踏み込んでこなかったオブザーバー参加について、いろいろな角度から検証するということを述べられました。これまでの歴代総理にはなかった発言でございましたので、より期待が大きかったというふうに思います。
私も、NPT条約の重要性というのは、申し上げるまでもなく十分承知をいたしておりますけれども、この核兵器禁止条約は、NPTと相反する条約ではなくて補完する条約であるというふうに考えております。
昨年、日本被団協がノーベル平和賞を受賞したこの意味は、今年は被爆八十年の大きな節目に当たりますし、ノーベル平和賞を受賞したということにつきましては、今の国際社会の現状、これは、核のタブーが大変薄れて、核の使用のリスクがこれまで以上に高まっている大変危機的な状況であること、核が使われたときに何が起こるか身をもって知っている、核兵器の非人道性を伝えていけるのは、被爆者の皆さんであり、我が国です。今、我が国の知見、経験を必要としている方々がこの世界に多くいらっしゃいます。このことを日本政府は是非認識をしていただきたいというふうに思います。
なぜ、唯一の戦争被爆国としてオブザーバー参加さえできないのか、総理に見解をお伺いいたします。
○石破内閣総理大臣 これは、西岡武夫先生の時代から、長崎を選挙区に持たれます西岡議員のお考え、そしてまた御先代のお考え、近くに一時期おりました者として、よく承っておるところでございます。
田中参考人が昨日陳述をなさいました。私も直接お話を承りました。私どもと、もちろん、ノーベル平和賞を受賞したというのは大変なことで、さればこそお祝いを申し上げて、官邸にもお出ましをいただいたものでございますが、違いますのは、抑止力という概念を一切認めないということをはっきりおっしゃっておられるわけでございます。
先般のトランプ大統領との会談もそうなんでございますが、現時点において、懲罰的抑止力を持ちません我が国といたしましては、それをアメリカの拡大抑止に委ねているという確かな現実がここにはございます。それを一切捨象して、核のない世界である、抑止力というものは概念として認められないという立場に私は立っておりません。我が国の独立と平和、国民の生命身体の安全、これを守る責任が私ども政府にはあるということでございます。
その上で、NPT、そしてIAEAとの関係について申し上げれば、先般もIAEAの事務局長が来られまして、随分と長い時間お話もさせていただきましたが、NPTというのはすぐ核拡散防止条約というふうに来ますが、NPT条約をきちんと読んでみますと、いかにして核軍縮というものをNPTが目指しておるかということでございます。
私どもとしてできますことは、NPTの加盟国といたしまして、いかにして核拡散の防止のみならず核保有国が核軍縮に真摯に取り組むかということについて、まさしく被爆国として、唯一の被爆国として、この検証、更なる促進というものに尽力をいたしたいと思っておるところでございます。
もちろん、核がない世の中というのは理想でございますが、追求したいのです、私も。しかしながら、現状において、核抑止力を米国の拡大抑止に頼っておるということは、私は、この国を負う行政をお預かりする者として、国民の皆様方に受けなかろうが何だろうが、きちんとお話をする責務があると考えております。
○西岡(秀)委員 田中熙巳様は被爆者でございますので、そこは、核抑止については一切認めないというような、今総理から御発言がありましたけれども、被爆者であられるということで、その大きな思いがそういうお言葉になったというふうに私は思っておりますけれども。
総理もよく御承知のように、NATO諸国、核の傘にいる国でも、オブザーバー参加をした中で、自分たちの立場を明確に、この核兵器禁止条約には署名、批准はできない、自分たちの立場は全く違うけれども、核兵器廃絶に向けて自分たちができることを何かやはりやろうという思いでオブザーバー参加をしている国もございます。
この核兵器禁止条約前文には被爆者という言葉も記述をされておりますので、唯一の戦争被爆国日本のこれからの言動というのが国際社会から注視をされているということをお伝えをさせていただきたいというふうに思います。
続きまして、ちょっと時間が大分限られてきましたけれども、教員を取り巻く環境整備についてお伺いをさせていただきます。
石破総理は、公教育の再生を掲げられております。今、公教育が大変危機的な状況だというふうに思っております。その中で、学校の先生方のことを考えるということは、次世代を担う子供たちを考えることということとイコールでございまして、今、教員、学校現場の問題は子供たちの問題であるという中でやはり取り組んでいかなければならないというふうに思っております。
今のこの危機的な状況を改善すべく、財務大臣、文部科学大臣が合意をされまして、教員の処遇改善へ向けて、給特法改正によって五十年ぶりに教職調整額が四%から一〇%に、二〇三〇年まで毎年一%ずつ引き上げられること、また、働き方改革を強力に進めること、教職員の定数改善など、六項目が合意をされました。
教職調整額については、人材確保法の趣旨も踏まえまして今回一%ずつの引上げというのが決定されたわけでございますけれども、今の教育現場の状況を考えていったときに、この小刻みな引上げでは、今のこの状況にタイムリーに私は対応することは難しいのではないかというふうに思っております。教員のなり手不足を解消し、真に教員の魅力を向上させるためには、当初文部科学省が掲げたように、段階的ではなく、一気に教職調整額を引き上げることが今まさに私は必要だというふうに考えております。
このことについての文部科学大臣の御所見、そして、今回の給特法の改正はあくまでもその第一歩であり、今後も継続的な見直しが必要であると考えますけれども、このことについても併せて文部科学大臣にお伺いいたします。
○あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。
教師を取り巻く環境、まさに大変なときでございまして、それを整備するために、私ども、教師の処遇改善、一体的、総合的に推進することが必要だというふうに思っているところでございまして、いわゆる教職調整額の引上げ、また学校担任の手当加算などに対する処遇改善のほか、教職員定数の改善、さらには支援スタッフの充実、働き方改革取組の支援など、様々な施策を総動員させていただきながら取組を進めさせていただいているところでございます。
こうした取組を一体的に進めていく必要があるため、この教職調整額に関しましては、令和十二年度までに段階的に一〇%とすることにし、毎年一%ずつ段階的に引き上げていく給特法改正法案の早期成立に取り組んでまいります。
直ちにというお話もございますけれども、私ども、ほかの施策と一体的に進める必要性がある、さらには教師への人材確保に当たってのよい影響を持続させること、また地方自治体の財政状況に急激な変化を与えないようにすることなどを総合的に勘案していきながら、六年間で改善していきたいというふうに思っているところでございます。
○安住委員長 西岡さん、間もなく時間が来ますので、まとめていただきます。
○西岡(秀)委員 残業に係る教職調整額を上乗せしても働き方改革が大切であるということも、総理に次にお伺いをしたかったんですけれども、時間的にもう厳しい状況でございますので。
最後に、今年の長崎原爆の日でございますけれども、総理が長崎にお越しになる場合には、是非、被爆体験者に直接お会いをいただいて、昨年は岸田総理が初めてお会いをいただきました、是非、直接切実な声をお聞きいただくことを心からお願いをして、私の質問とさせていただきます。
本日は誠にありがとうございました。
○安住委員長 この際、福田徹君から関連質疑の申出があります。西岡さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。福田徹君。
○福田(徹)委員 国民民主党、福田徹です。
私はこれまで、救命救急センターの救急医として働いてまいりました。今でも私の天命は、一対一、目の前の一つの命を救うこと、そう思っています。ただ、私はこれまで、多くの命を救うことができました。それは、私の知識が優れているからではない、私の技術が優れているからではない。ただ一つ、世界一の日本の医療制度のおかげ、そのおかげで多くの命を救えてきたと確信しています。
ただ、今、その世界一の日本の医療が危機に瀕しています。今日、私の質疑は、医療費を削減する、そういう話ではありません。現役世代の負担を抑えながら世界一の日本の医療を守る、医師としてだけではなく、政治家として救える命は必ず救う、そういう思いで質問をさせていただきます。
まず最初に、高額療養費制度の見直しについて質問をさせていただきます。
私も、現役世代の負担を抑えるという方向性には強く強く賛同します。ただ、それを高額療養費制度でやるというのは、物すごく慎重な制度設計が必要です。なぜなら、高額療養費制度というのは、若年者のがん治療であったり、決して欠かすことができない大切な医療まで抑制してしまいます。
例えば、二月二十一日、総理大臣は、高額な薬剤の例としてキムリアを挙げられました。キムリアというのは、若年の白血病患者さんで、しかも、ほかの薬で効かなかった人のみ、その人が使う、まさに最後のとりでです。
そして、今日、日本乳癌学会も緊急声明を出しています。乳がんはほかのがんと比較して、現役世代、子育て世代の罹患する割合が高く、医療費の負担が原因で経済的困窮に陥ることは、患者本人だけでなく家族を含む生活全般に深刻な影響を及ぼすことが懸念されると書かれています。医療費が心配で治療を控えて、救えるはずの命を失う、そんなことは決してあってはいけません。
ただ、よい方向に進めていただいた点もあります。当初の案からの変更で、最も大きな負担となる長期にわたって高額な治療が必要となる患者さん、その負担を抑えるために、多数回該当制度で四回目以降の負担を据え置いていただこうとしております。
ただ、一点、注意していただきたい点があります。それは、ぎりぎり自己負担上限額に達しない患者さんです。
こちらのパネルのとおり、今年の八月から、年収七百七十万円の場合は、自己負担上限額が約十八万八千四百円プラスアルファとなります。こちらを三回利用すると、四回目からは九万三千円となり、年間の総額は約百四十万円となります。一方で、ぎりぎりその自己負担上限額に達しない場合があります。その状態で一年間続くと、今、限度額が十八万八千四百円まで上がっていますので、これを一年間続けると最大約二百二十六万円にも達します。
要は、高額な医療を受けている人よりも安いはずの医療費が、ずっとずっと高額の支払いをしなければいけなくなるんですよね。限度額が上がったことで、このように、多数回該当に届かないぎりぎりの患者さんというのがたくさん生まれてきます。東京大学の五十嵐中先生の試算では、七十歳未満だけで六万人いると試算されています。
総理大臣にお聞きします。
今の見直しで、救える命は必ず救える、そう言えますでしょうか。このぎりぎり限度額に達しない金額が長期間続き、支払い額が逆転してしまい大きな負担となること、このことへの対策は何かありますでしょうか、教えてください。
○福岡国務大臣 本日、別の委員との議論でもございましたが、患者さんによりましては、これまでであれば自己負担限度額に到達されていましたが、見直しにより限度額に到達されなくなる方もいらっしゃるというふうに考えております。
しかしながら、現行制度では、年収が三百七十万から七百七十万と二倍以上の開きがある方が同じ区分におられまして、すなわち、負担能力が倍違っても負担限度額は同じという仕組みになっていること、また、現行制度では、仮に年収が七百七十万円を若干下回る方が七百七十万円を多少超えると、それだけで上限額が約八万円から十七万円と、九万円近く一気に上がってしまうといった課題があったところでございます。
ですから、今回、区分を細分化し、負担能力に応じた仕組みに改めるとともに、引上げ額についても段階的に三回に分けて引き上げることとしたところでございます。
その上で、申し上げていますように、自己負担額の上限の引上げ率については、負担能力に応じた観点から、平均的な所得を下回る方については抑制する、また、今さっき御紹介がありましたように、四回以上高額療養費に該当する方の自己負担限度額の見直しを凍結して据え置くこととしておりまして、必要な治療がしっかり受けられる環境を維持していきたいと考えております。
○福田(徹)委員 ありがとうございます。
ただ、やはり逆転はおかしいと思うんですよね。例えば、その年収において限度額を毎月超えた場合、前のパネルでいう百四十万円の場合、その場合を超えた場合は、例えば事後に還付される仕組みとか、そうすることで公平感が出るのではないかと思っております。
次に、我が国の目指す将来の医療のビジョンについてお尋ねします。
やはり、様々な政策を考える上で、国民、医療業界、政治、その全てが将来のビジョンを共有していることはとても大切だと思っております。そして、私が知る限り、これまで行政から示された将来の医療のビジョンの中で最も魅力的で、多くの国民から支持を得られるだろう、そう想像するのが保健医療二〇三五です。
これは当時の塩崎恭久厚生労働大臣の下に立ち上がった懇談会で、二〇一五年に提言書が出されています。そこには、三つのビジョンが書かれています。保健医療の価値を高める、主体的選択を社会で支える、日本が世界の保健医療を牽引する。当時、まだ医師としてキャリアの浅かった私は、このビジョンにわくわくして、こんな医療を提供できる医師になりたい、そう思いました。
厚生労働大臣にお尋ねします。
この保健医療二〇三五、このビジョンは今も生きているものでしょうか、大きく方針が変わったことはありますでしょうか。
○福岡国務大臣 御紹介いただきました保健医療二〇三五は、二〇三五年に向けて、急速な少子高齢化の進展や医療技術の進歩、さらには社会保険財政という点からも持続可能な保健医療システムとすることが喫緊の課題となっている中で、長期的なビジョンに立った保健医療システムの変革の方向性を示す観点から、有識者を交えた懇談会で御議論いただき、平成二十七年六月に取りまとめられたものでございます。
この保健医療二〇三五では、二〇三五年の保健医療が達成すべきビジョンが示されるとともに、このビジョンを実現するため、医療技術等の費用対効果評価の導入であったり、医療、介護データベースの活用促進など、百二十に及ぶ施策項目が提言されてございます。これまで、多くの項目において、提言の方向性に即した検討が行われてきたところでございます。
少子高齢化や人口減少が進行する中、現在におきましても、今後の保健医療が目指すべきビジョンは、この保健医療二〇三五で示された方向性とも一致していると考えてございまして、必要な取組を推進してまいりたいと考えています。
○福田(徹)委員 ありがとうございます。私は、これからもわくわくして医療ができます。
まず、一つ目のビジョン、保健医療の価値を高めるについてお聞きします。
私は、最も重要な施策は、高額療養費制度の見直しではなくて、命や健康に大きく関係する価値の大きい医療とそうでない医療を科学的な根拠に基づいてしっかりと見分けて、価値の大きい医療に集中投資する、これが必要な施策だと思っております。そして、骨太の方針二〇二四に書かれているワイズスペンディングを徹底というのが、まさにそれに当たるはずです。
提言書には、二〇二〇年までに医療技術評価の制度化、施行、二〇三五年までに医療提供者の技術、医療用品の効能などを患者の価値を考慮して評価し、診療報酬点数に反映とあります。
厚生労働大臣にお尋ねします。
二〇二五年現在、二〇二〇年までに達成を目標とした医療技術の評価と制度化、施行は実現していますでしょうか。実現していれば、その内容を教えてください。
○福岡国務大臣 御指摘がございました医療技術の評価に関する制度につきましては、中央社会保険医療協議会での議論を踏まえまして、二〇一九年四月から、医療保険財政への影響を重視する観点や薬価・材料価格制度を補完する観点から、費用対効果評価制度として本格運用されているところでございます。
具体的には、市場規模が大きい又は単価の高い医薬品等につきまして、費用対効果を適切に評価し、費用対効果が特に乏しい医薬品等については価格を引き下げることとしておりまして、これまで、四十三品目の評価が終了し、三十一品目で価格が引き下げられたところでございます。
引き続き、制度の適切な運用に努めるとともに、イノベーションの推進や現役世代等の保険料負担に配慮する観点から、費用対効果制度の更なる活用に向けて議論を進めてまいりたいと思います。
○福田(徹)委員 薬価改定に利用されているということが分かりました。
私たち国民民主党は、命や健康に大きく影響する価値の大きい医療に、保険給付範囲の見直しを提案しています。そこにも、もちろん価値の評価が必要になります。
例えば、OTC類似医薬品については、重大な病気やけがを治すものではありません。そして、OTC類似医薬品の保険給付を見直し、そこに使われている三千二百億円から一兆円と推計されるこの医療費を、国民の命、健康を守るための医療に使う。そうすることで、命や健康を守る、そして本当に大切な医療を提供している医師や医療機関を守る、そして革新的な薬を作る企業を守る、そういうことができると思います。
石破総理も、一月二十七日の本会議で、患者に対する必要な保障が欠けることがないよう、丁寧に検討を進めていくとお話しされました。一方で、医師の仲間であり、地域で国民の医療を支えていただいている日本医師会の記者会見では、反対の意見が述べられたり、課題があることをうかがわせます。
総理大臣にお聞きします。
OTC類似医薬品の保険給付範囲を見直すことについての課題は何でしょうか。特に、患者に対する必要な保障とは具体的に何でしょうか、教えてください。
○石破内閣総理大臣 昨日の我が党、公明党、日本維新の会の合意におきましては、社会保障改革による国民負担の軽減を実現するため、三党による協議体をつくりますと。そこにおきまして、OTC類似薬の保険給付の在り方の見直しを含め、令和七年末までの予算編成過程で論点の十分な検討を行い、早期に実現が可能なものについて、令和八年度から実行に移すということになっております。
市販品類似の医薬品の保険適用の見直しに関しましては、一昨年末の改革工程におきましても、医療保険制度の持続可能性を確保するための検討項目として挙げられておるわけでございますが、これまでの議論の中で、国民皆保険の持続可能性を確保する観点から、OTC医薬品などで代替可能な薬剤は、保険給付範囲からの除外等の適正化によって保険料負担の軽減につなげるべきという御意見もあります。
一方で、このような医薬品を保険給付の対象から外す場合には、当然のことでございますが、窓口での負担が増加するということになります。
また、OTC類似医薬品でも、医療上の必要性に応じて患者の方が適切な医薬品を選択できるよう何らかの措置も要るのではないだろうか、医療用と市販薬では、同一の成分であっても期待する効能、効果や使用目的、患者の重篤性が異なる場合があり、市販品があるかないかで取扱いを変えることは妥当かというような御意見が出ておると承知をいたしております。
これはもう専門家でないと分からないので、福田委員は医師であり、そういうような患者さんと、薬剤、OTCとそうでないもの、本当に取扱いについては熟知しておられると思っております。ですので、これを保険給付の対象から外せばそれでお金が出てくるなどと単純に考えておるわけではございませんが、この部分で、どれほど医療の、あえて質という言葉を使えば、これを落とさない形で医療の持続可能性を維持することができるかということについて、また御意見を賜りますようお願い申し上げます。
○福田(徹)委員 医師の中では専ら、受診するタイミングが遅れて重症化するリスクがある、この話題になります。
ただ、それを防ぐためには、患者自身で行うセルフケア、セルフメディケーションの質、レベルを上げることがとても大切だと思っています。例えば、先ほどの保健医療二〇三五、二つ目のビジョンはすばらしいです。主体的選択を社会で支えるがそれに当たります。骨太の方針二〇二四でも、セルフケア、セルフメディケーションの推進をうたっています。
私たち国民民主党は、自分の国は自分で守るというスローガンを掲げていますが、まさに自分の体も自分で守るです。そして国は、正しい情報、サービスで、国民一人一人が健康づくりをする後押し、支援が必要だと思います。
そこで、厚生労働大臣にお聞きします。
セルフケア、セルフメディケーションの普及を目指すのであれば、その進捗状況を測る指標が必要だと思います。何を指標にしていますでしょうか。目標値はありますでしょうか。そして、推進するために必要なことがあれば教えてください。
○福岡国務大臣 委員御指摘のとおり、限られた医療資源を有効に活用しながら国民の健康づくりを促進するため、政府といたしましてもセルフメディケーションを推進しているところでございます。
KPIといたしましては、令和五年末時点で海外二か国以上でスイッチOTC化されている医薬品を、原則令和八年末までにOTC化することを掲げてございます。
その上で、本年一月には、セルフメディケーションの前提となる、セルフケアの推進に向けて必要な施策や現在の税制上のインセンティブの在り方などを検討するため、有識者による検討会を新たに立ち上げ、議論を開始させていただいたところでございます。
この検討会の議論も踏まえまして、御指摘の工程表の策定も含め、適切なセルフケア、セルフメディケーションの推進とその環境整備等に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
○福田(徹)委員 もちろん、セルフケア、セルフメディケーションの普及とスイッチOTCの数は相関関係はあるかもしれませんが、要は、因果関係は不明瞭だと思うんですよね。直接的に見るためには、先進各国と比較して低いと言われる医薬品市場全体におけるOTCの割合、やはりこういうのは見ていく必要があると思うんですよね。
例えば、マイナ保険証や電子版お薬手帳、こういうもので、データから安全に使用できるOTCをプッシュでお知らせしたり、場合によっては、医療機関を受診すべきタイミングをお知らせするとか、そうすることで、より普及を後押しできるのではないかなと考えております。
そして、もっと長期的な観点からは、国民一人一人が正しい知識に基づいて、論理的思考に基づいて健康づくりができるように、やはり学童期からの健康教育、医学教育、この辺りは物すごく効果があるんじゃないかなと思っております。これから、これらに関する根拠を探して、また質疑をさせていただきます。
最後に、医療というのは本当にすばらしい仕事です。分厚い論文を読んで得た知識、夜遅くまで繰り返した練習、その先には必ず救える命があります。そして、それは政治の舞台でも同じだと思っております。私たちの医療に関する議論の先には間違いなく命があります。一緒に心を込めて議論したいと思います。そして、一緒に命を救いましょう。これからもよろしくお願いします。
ありがとうございました。
○安住委員長 これにて西岡さん、福田君の質疑は終了いたしました。
次に、浜地雅一君。
○浜地委員 公明党の浜地雅一でございます。
今日は、総理と厚労大臣に御質問させていただきます。今日は社会保障が一つのテーマでありますので、まず年金についてお伺いをいたします。
今、政府では年金改革法案を検討中と伺っております。今国会で重要広範として提出予定の法案であります。文字どおり、年金制度は国民生活にとって不可欠な、大事な制度でございますので、今日はテレビもついておりますから、少し基本的なところから、分かりやすく質疑をさせていただきたいと思っております。
今、年金改革で一つ議論されているのが、厚生年金への適用拡大、これが検討をされております。具体的には、現在、従業員が五十人を超える事業所で、週二十時間以上働き、かつ月のお給料が八万八千円以上ある方々は厚生年金に加入する義務がございます。この五十人という企業要件を今後段階的に撤廃していこう、また、月八万八千円という給与の要件も撤廃しようという今検討がされているというふうに承知をしておりますが。
年金改革をこのように進めると、恐らく、世間の皆様方の受け止めは、少子高齢化が進んでいる、ならば年金の財政は悪化の一途をたどっている、だから政府は年金の加入者を増やそうとしている、そのように考えてしまうのが一般の国民の方だろうと思います。
そこで、実際、年金財政は悪化しているのか、基本的なところですが、まずはここの確認から入っていきたいと思っております。
年金については、御案内のとおり、五年に一度、財政検証が政府で行われておりまして、昨年、二〇二四年にも検証が行われました。
年金財政検証とは、言うまでもなく、人口の動態、経済状況に一定の仮定を置きまして、おおむね百年後に年金の積立金が、一年間に支払う年金額が残るように運用をいたします。将来受け取る年金の給付水準がその結果どうなるのか、これを示す検証であります。
その給付水準を示す指標として、現在の現役男子の平均手取り額と比べて将来夫婦お二人に支給される年金の金額がどの程度か、いわゆる所得代替率をもって年金財政の健全化を今測っているところでございます。これは、ここにいる委員の皆様は当然御承知のところだと思っております。
当然、所得代替率が高いほど年金財政は安定していると言えるのですが、そこで改めて基本的な部分でございますけれども、昨年の二〇二四年に行われた年金財政検証の結果と、その五年前に行われました二〇一九年の年金財政の結果とを比べて、果たして年金財政は悪化したのか好転したのか、またその要因について厚生労働大臣に御確認をいたします。
○福岡国務大臣 昨年七月に公表いたしました二〇二四年財政検証の結果では、その五年前の二〇一九年と比較いたしまして年金財政が改善したことが確認されているところでございます。
具体的には、マクロ経済スライドによる調整終了後の所得代替率につきまして、実質一%成長が続くことを仮定いたしました成長型経済移行・継続ケースでは五七・六%と、二〇一九年の同水準のケースの五一・九%と比べて上昇してございます。また、実質ゼロ成長が続くことを仮定いたしました過去三十年投影ケースにおきましても五〇・四%と、二〇一九年の同水準のケースの四四・五%と比べて上昇してございます。
年金財政が改善した要因といたしましては、近年の女性の方であったり高齢者の方の労働参加が進展していること、また好調な積立金の運用等があるというふうに考えております。
加えて、今回は新たに個人単位で年金額を推計する年金額分布推計というのを行っておりまして、若い世代ほど労働参加が進展することにより厚生年金の被保険者期間が延び、年金が充実する傾向にあることも確認されたところでございます。
○浜地委員 具体的な数字を使って御説明をいただきました。
特に、実質経済成長は一%、今の経済成長と近いところですが、それでも非常に上昇し、一番大事なところは、実質経済成長がゼロの場合であっても、五年前の年金財政に比べて所得代替率は大きく上昇しているというところが確認をできました。
そうなると、今度は、トートロジーになってしまうんですが、年金財政が好転しているのに、改善しているのに、逆に、じゃ、なぜ適用拡大を今度は図るんですかと、そういう素朴な疑問がまたあろうかと思います。この点についても厚生労働大臣にお答えをいただきます。
○福岡国務大臣 被用者保険の適用拡大につきましては、被用者にふさわしい保障を享受できるようにするとともに、働き方に中立的な制度とする観点から、平成二十四年の改正以降、段階的、継続的に取組を進めてきたところでございまして、これは更に進めていく必要があると考えております。
被用者保険に加入することによりまして、加入された方には年金であったり医療の給付が充実するメリットがございまして、また、事業主の方にとりましても、労働者への年金給付等が手厚くなることで、人材確保であったり定着の観点からのメリットがあると考えてございます。昨年七月に公表いたしました財政検証のオプション試算におきましても、被用者保険の適用拡大を通じて給付水準の改善が確認をされております。
対象となる労働者や事業者の皆様方に、適用拡大の意義やメリットなどの正確な情報を分かりやすく説明しながら、理解を得てまいりたいと考えております。
○浜地委員 ありがとうございます。
今ありましたとおり、当然、年金財政全体へのプラスの影響は加入者が増えるとあるんですが、やはり、被保険者、年金に加入される方の個人的なプラスの側面というものを当然強調していくべきだろうと思っています。
今、ねんきん定期便で、将来、大体今の水準で厚生年金を払うとどれぐらいの水準になるかというのもございますし、また、年金を支給される年を繰り下げるとどれぐらい増えるかというのが明示されていますが、これは一つ要望でございますが、できれば年金財政全体についてもやはり改善しているということが分かるように、国民の皆様方に周知いただくような工夫も是非お願いしたいというふうに思っております。
続きまして、百六万の壁、百三十万の壁対策について質問をしたいと思っております。
これも、ここにいらっしゃる委員の方は何度も御覧になった図であります。先ほど言いましたとおり、従業員が五十人を超える企業、二十時間以上働き、そして月額が八万八千円、年収にして百六万を超えますと、サラリーマンの例えば配偶者の方、三号という被保険者から、今度は自身が二号として厚生年金保険料そして健康保険料を支払う、その分が手取りが減るということであります。これについては様々な対策が考えられてきましたけれども、今、政府内で検討されているのがこの図であるというふうに承知をしております。
先ほど言いましたとおり、この黒い線から上のところを、厚生年金また健康保険料を労働者御自身がお支払いになる。残りについては、労使折半で、この黒い線より下は会社側が持つという制度であります。これを今、政府内では、少しでも百六万の壁を低くして壁を感じないように、本来であると労使折半で厚生年金そして健康保険を負担するところでございますが、労働者の分の負担を減らして、逆に事業主にその減らした分の負担を求めて、それを行ってはどうかという案が検討されているというように承知をしています。
しかし、そうなりますと、事業主は全部折半を超えて負担になりますので、要は、事業主が負担すると黄色い線までいくんですね。しかし、一定割合を事業主に還付をして、赤い線のところまでは、これは年金保険財政で事業主に還付をして助けていこうという案でございます。
ただ、これを見ますと、やはり、事業主からしてみると、本来の負担割合である折半を超える。これについて、一定の還付は分かりますけれども、やはり、この黄色い線と赤い線の白い部分、これについては依然事業主が負担を負うということになります。
この件に関して、私も実際地元に帰って、こういう案だと従業員の皆様方に説明をし、また、人材確保もできますかという話を聞きましたら、非常にこれは助かるんだけれども、やはり、小さい事業者、これは任意で、やれる人はやってくださいという制度でございますので、自分たちのような小さい企業だと、少しでも負担が残るところが不安だという声が多く寄せられております。
そこで、先日、公明党の部会を開きまして、私の方からも、事業主が折半を超えて負担する部分、この部分については、還付の割合を一定割合にとどめるのではなく、全額補填をして事業主の負担を軽くしてほしい、そのような要望を申し上げたところでございます。
この検討状況につきまして、ここは制度設計、大事なところでございますので、石破総理に御答弁を頂戴をいたします。
○石破内閣総理大臣 現在、厚生労働省におきまして、被用者保険の適用拡大に関しまして、労働者の保険料負担を軽減する事業主への支援措置を検討しておるところでございます。
まだ検討段階でございまして、確定してはおりませんが、労働者が被用者保険の適用を避けて就業調整をすることがないよう、労使折半を超えて事業主が負担した保険料を支援の対象としておるものでございます。
現在の人手不足の状況を踏まえまして、労働者が就業調整を行わずに働いていただくことができるようにするためには、こうした支援措置をできる限り多くの事業所に活用していただきたいと思っております。
このような観点から、今回の被用者保険の適用拡大の対象であります中小企業にも広く御活用いただけますよう、支援割合の設定が重要でございまして、今の委員の御指摘を受け止めまして、年金改正法案の取りまとめに向けて丁寧に検討いたさせたいと思っております。
○浜地委員 総理、ありがとうございます。
まだ今、制度の検討中でございますという御答弁ですが、今、指摘を受け止め、取りまとめに向けて丁寧にとおっしゃっていただきましたので、公明党としても年金改正法案について強く要望するところでございます。私のみならず、党の厚生労働部会としての要望でございますので、しっかり受け止めていただいて、先ほど私が申し上げましたとおり、折半を超えた一定割合につきましては全額還付をしていただくよう、検討いただくように改めてお願いをさせていただきたいというふうに思っております。
続きまして、図を替えていただいて、いわゆる百三十万円の壁の方に議論を移したいと思っております。
実は、百六万よりも百三十万の壁の方が根深い問題であると私は認識をしております。
それはなぜかといいますと、この一ですね。まず、厚生年金に要は非適用事業所というのがありまして、具体的に言うと五人未満の個人事業所等であります。これは、幾ら働いても、結局、例えば三号被保険者の方は一号にしかならない、厚生年金に入ることができないという大きな壁でございます。百三十万円を年収が超えますと、扶養から外れ、御自身で国民健康保険料を支払う、そして国民年金保険料を支払うというわけであります。
御案内のとおり、三号被保険者の方々は国民年金なんですが、基本的には御自身でお支払いをされておりません。しかし、百三十万を年収が超えてきて、自分が働いているところが厚生年金の非適用事業所でありますと、年金保険料は自分で払う、しかし将来の年金は一切増えないというところが、やはり一番の就業調整の壁になっているというふうに思っております。
まだほかにもありまして、この二番ですね。先ほど私が言いましたとおり、従業員が五十人を超える企業では、週二十時間以上働くと厚生年金に入れますが、やはり御自身の事情で二十時間に満たない場合で、例えば時給が高くて年収が百三十を超えてくると、これも三号被保険者から一号被保険者になりまして、同じように、負担だけが増えて給付が増えないという方がいらっしゃるわけであります。
そしてもう一つ、三番目の類型がありまして、五十人以下の企業。五十人以上の企業ですと週二十時間で厚生年金に入れますが、五十人以下の企業につきますと、三十時間働かないと、たとえ自分が働いているところが厚生年金の適用事業所であっても厚生年金に加入をできないという同じ問題があるわけでございます。
したがいまして、下の図にも書きましたとおり、三号の被扶養者から一号に行ってしまうと、やはり壁が高い。先ほど何度も言いましたが、国民年金を払うけれども、将来の給付水準は一切上がらない。ですので、三号の百三十万の壁の問題は、二号の厚生年金に加入する、こういったところに移行をしっかりと支援していくことが実は大きな問題だろうと私自身は思っております。
この点につきましては、自民党、公明党、そして維新の会の三党合意が行われましたけれども、この百三十万の壁についても様々議論をされて、政府に対して対策を求めたところでございます。
ここも総理に御答弁をいただきたいと思いますが、この百三十万の壁について具体的にはどのような対策を今後講じられるおつもりか、御答弁を頂戴をいたします。
○石破内閣総理大臣 いわゆる年収百三十万円の壁につきましては、働き方に中立的な制度を構築する観点から、できる限り被用者保険への移行を促し、壁を意識せずに働くことのできる環境整備が重要でございます。
今般の年金制度改革におきましては、企業規模要件の撤廃を始めとする被用者保険の適用拡大に取り組むことといたしておりますが、加えまして、昨日の三党の合意内容を踏まえまして、現在、百六万円の壁への対応として実施をしておりますキャリアアップ助成金の労働時間延長メニューを拡充することについての検討を進めておるところであります。
具体的には、労働者に新たに被用者保険を適用し、労働時間の延長や賃上げを通じまして労働者の収入を増加させてキャリアアップにつながる取組を行う事業者を支援する、このような現行の枠組みを活用しながら、百三十万円の壁への対応として、必要な支給要件の見直し、助成額の引上げ等を行うことを検討いたしており、詳細は更に詰めてまいることといたしております。
○浜地委員 ありがとうございます。
今の総理の御答弁は、今現在行われております百六万の壁への支援パッケージを拡充していこうという御答弁でありました。
ただ、先ほど示したとおり、一番目、これは元々二号に行かない方ですので、当然、要件としては、元々厚生年金非適用事業所であっても厚生年金に任意加入をしていただく、そして従業員の方々に厚生年金に入っていただく、そういう前提になろうかと思っています。ですので、そういったところでも当然、小規模事業主にとっては負担になってまいります。
また、三番の従業員五十人以下の企業でありますと、三十時間以上働かなければ厚生年金が、たとえ事業所が適用があったとしても当該従業員の皆様は厚生年金に入れませんので、労働時間をやはりかなり長く延ばさなければなりません。
したがいまして、百六万の壁よりも百三十万の壁の方がやはり高い壁でありますので、労働時間を長く延ばす、若しくは時給を大きく上昇させるということが必要であります。そうなりますと、小規模事業主にとっては、この制度を使えたとしてもやはりちゅうちょしてしまう、そういう懸念もあろうかと思っています。
したがいまして、この百三十万円の壁のパッケージにつきましては、百六万の壁以上に小規模事業者に配慮した要件をつけていただきたい、そのように要望いたしますが、ここも総理に御答弁を頂戴いたします。
○石破内閣総理大臣 百三十万円の壁への対応につきましては、現在、百六万円の壁への対応として実施をいたしておりますキャリアアップ助成金の労働時間延長メニューを拡充する、このことにつきまして検討を進めておるところでございますが、新たに被用者保険を適用し、労働者のキャリアアップにつながる取組を行うに当たりましては、小規模事業者につきまして、昨日の自民、公明、維新、三党合意にありますとおり、支援の強化や使い勝手の更なる向上等を行うことといたしております。
先ほどの浜地議員の御指摘を踏まえまして、制度設計は詳細に進めてまいりたいと考えております。
○浜地委員 ありがとうございます。
しっかりと小規模事業者への配慮というところは公明党としても強く申し上げたところでございますので、そのような制度設計がなされるよう、また重ねてお願いをさせていただきたいと思います。
テーマを変えまして、今、ジェネリック品、後発品を中心とする医薬品の供給不安というのがニュースでも取り沙汰されております。ここ数年、鎮咳薬、せき止め、去たん薬、たん切り、これを始め、国民の皆様方にとって比較的身近な薬が医療機関や薬局にないという状況がしばらく続いております。
では、その要因は何かといいますと、様々ありますが、一つは業界の体質の問題がありまして、意外とこれは根深い問題であると私自身認識をしています。
これは、少量多品目生産体制にやはりジェネリックメーカーは多くあります。先発品の特許が切れる。そうなると、こぞって後発品メーカーはその後発品の開発に乗り出します。
しかし、生産のキャパがございますので、少ない量を、たくさんのジェネリック品を使いますと、一つのレーンで同じ薬を作ることができません。時にはほかの成分のある薬を作るために、一度レーンを止めて洗浄をして、もう一度成分を入れ替えるという作業が必要であります。
私も、実際現場で、その現場を見ました。中には、三百六十五日のうち、洗浄とかレーンを止めて整備する期間が百日以上という企業もあったところでございます。
ただ、やはりどうしても、違う成分の薬を作っているレーンから、洗浄をしたとしてもどうしても成分が残ったり、又は、様々な体制の入替えに不備があって、実は不良品が発生をし、行政処分を受ける。当該行政処分を受けた後発品メーカーはしばらく生産ができませんので、ほかのメーカーにその薬の発注が行って、ほかのメーカーはほかのメーカーでお客さんを持っていますので、それに対しては限定出荷という形で市場になかなか薬が出回らないという構造的な問題があるわけでございます。
ですので、今、厚生労働省では、この少量多品目体制を改善するために様々な取組を行っていただいておりますが、今回、この通常国会提出予定の薬機法の中にもこの対策が盛り込まれております。
今私が申し上げました根本的な業界の体質の問題も含め、ジェネリックを中心とする医薬品不足についてどのように対処をされていくのか。ここは福岡厚生労働大臣に御答弁を頂戴いたします。
○福岡国務大臣 委員も党の厚生労働部会長として現場も見ていただいて、大変建設的な御提案をいただいていること、心から感謝を申し上げさせていただきます。私も、後発品の製造現場、実際に拝見をさせていただきました。
背景としましては、御指摘がありましたように、まず、製薬企業における不正事案の発生に端を発しまして、後発医薬品を中心とする医薬品供給不足が少し長く続いているという状況にあります。その原因には、後発医薬品産業における少量多品目生産による生産効率の低さというのが挙げられているというのは御指摘のとおりでございます。
こうした課題に対応いたしますために、この国会に薬機法等改正案を提出しておりまして、その中では、品質保証責任者の法定化などによります企業のガバナンスの強化でありましたり、また、供給停止時の届出義務の創設などによりまして迅速に供給不安に対応できる体制の整備などに加えまして、御指摘のあった後発医薬品業界における少量多品目生産の解消に向けまして、企業間が連携したり、協力したり、再編をしたり、そういったものを後押しするための後発医薬品製造基盤整備基金の造成を盛り込んでいるところでございます。
こうした対策につきまして総合的に推進しながら、市場全体として医薬品の安定供給をしっかり確保してまいりたいと考えています。
○浜地委員 厚労大臣、ありがとうございます。
この問題は、今、米が高いとかいう話もあるんですけれども、薬がないというのも、実は、かなり国民生活にとってはやはり不安を感じるところであります。
先ほど厚労大臣の御答弁の中で、企業の連携、再編について基金を使うということだったんですが、当然、国が強制的に連携しろとか合併しろとか言えないんですが、ある程度道筋を示していかないと、これは五年の基金というふうに私は認識していますが、五年後、やってみても、結局この少量多品目体制は余り変わらなかったということにはならないように、少し実は、制度が始まったら厚労省また政府の方でもちょっと道筋を立てるような、そういうことが将来的には必要なんだろうと私自身は思っておりますので、またよろしくお願いをいたします。
最後に、また議題を変えまして、RSウイルス感染症というのがございますが、このRSウイルス感染症に対するワクチンの定期接種化について質問をしたいと思います。
このRSウイルス感染症、私も実は厚生労働部会長になる前は存じ上げませんでした、恥ずかしいことに。どういう感染症かというと、生後二歳になるまではほぼ一〇〇%の乳幼児が感染をする呼吸器系の感染症だそうでございます。ほとんどの乳幼児が感染するんだったらそんなに大した問題じゃないんじゃないのと思うんですが、実は問題は、生後一歳未満、特に生後六か月までに感染をすると重篤化の可能性が非常に高いそうです。この時期に感染をすると、治っても、将来、ぜんそくを発症する、非常に強い感染症ということであります。
我が国でも毎年十二万人から十四万人の二歳児未満の乳幼児が感染をしますが、そのうちの四分の一が何と入院をしているそうであります。かつ、この入院のうちの一歳未満の入院患者のうち、その一割が人工呼吸器をつけないとまずい状態になるような重篤化をしている状況でございます。
残念ながら、RSウイルス感染症については有効な治療薬がありませんので、したがいまして、予防としてのワクチン接種の今質問をしているということであります。
先ほど言いましたとおり、生後間もない期間での感染が重症化のリスクでありますので、一番いいのは、母体を通じて、胎児の段階で免疫を持って生まれてくるのが一番いいと言われておりますけれども、やはり妊婦さんが接種するとなると、安全性は大丈夫だろうか。それで、費用も一回三万円以上かかりますので、産婦人科で勧められても、なかなか接種が進んでいないという状況であります。
現在、厚生労働省では、RSウイルスワクチンについて、ファクトシート、エビデンスを今情報収集中と聞いておりますが、是非、このファクトシートが提出された後は、速やかに審議会の議論を加速をしていただきたい、安全性も含めて。できましたら、来年度、令和八年度からの定期接種化を私は目指すべきと思いますが、最後、厚労大臣の答弁をいただきます。
○福岡国務大臣 御紹介いただきましたように、乳幼児がRSウイルス感染症に感染された場合に、一歳未満の入院患者の約一割で人工呼吸器の使用が必要となるといった疾病負荷に関するデータが得られているところでございます。
こうしたことも踏まえまして、乳幼児の方のRSウイルス感染症に対するワクチンにつきまして、先日開催いたしました審議会におきまして、国立感染症研究所に対しまして、疾病負荷やワクチンの有効性、安全性、費用対効果に関する科学的知見を整理したファクトシートの作成を依頼したところでございます。
今後、国立感染症研究所が整理をしていただいて、その整理を踏まえまして、審議会においてRSウイルス感染症に対するワクチンの定期接種化に向けた検討を行うこととしてございまして、その際には、御指摘がありました母子免疫ワクチンに関する、この安全性に関する情報も含めて、必要な議論をしっかりと進めてまいりたいと考えております。
○浜地委員 今日は厚労大臣に多くの質問を差し上げました。
冒頭、年金の話をさせていただきました。かなり基本的なところをお聞きをしましたけれども、やはり年金財政というのは放っておくと国民の皆様方の中には悪化するんじゃないかという不安もあるわけでございます。ただ、今日の答弁を通しまして、年金財政は五年前以上、改善をしているということであります。
また、様々、この年金法案につきましてはいろいろな改善点が盛り込まれております。特に公明党として主張しておりますのが、基礎年金の引上げというのがございます、今日は質問に出しませんでしたけれども。ですので、今国会で、総理、しっかりとこの年金法案を仕上げる、その決意で私は臨んでまいりたいと思っておりますので、またそういう議論になりましたら、総理と様々なやり取りを、また厚労大臣ともさせていただきたいと思っております。
以上でございます。ありがとうございます。
○安住委員長 これにて浜地君の質疑は終了いたしました。
次に、大石あきこさん。
○大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。
自民党総裁、石破総理に伺います。
昨日、二十五日に、自民党と公明党と維新で合意書を結びましたよね。その合意書にこう書いてあるんです。国民医療費を最低でも年間四兆円削減するという維新の主張を念頭に置くと書いてあるんですけれども、これは、総理としてやりますという意味で合っていますね。イエスかノーかでお答えください。
○石破内閣総理大臣 念頭に置きながら、適切に決定をいたします。
○大石委員 ちょっと意味が分からないんですけれども。
それは結局、合意を結んでいるので、やりますの意味になっちゃうんですよ。やっちゃいけないんですよ。
いいことやと言っているわけじゃないですか、この四兆円削減というのが。医療費の四兆円削減というのは、これは要するに国家の殺人予告です。あの財務省ですら、財政等審議会とかでどんどんペンペン草も生えないような状況に引いていっても、自然増圧縮しかできなくて必死なのに、四兆円最低でも削減というのは、それは無理ですから。
OTC類似薬の自己負担化とか、それは財務省が十年かけてどんどんやっていますからね。それでも四千億いかないですから。その十倍の四兆円をやると言っちゃうというのは、これは国民を殺す宣言でしかありません。
この間も高額療養費の自己負担引上げの議論をやっていますけれども、それも社会保障関係費を削るという文脈で出てきたもので、自民、公明、維新というこの合意を結んだ三党は万死に値するとしても、これは立憲も似たようなものでしょう。
今、国債発行は、よく聞いてくださいね、立憲の方。あざ笑っている場合じゃないんですよ。つながっているということを説明しますね。
国債発行は悪だという財務省の国民向けプロパガンダに野党も乗って、やっているやん。国債発行なしで、なし縛りで財源を捻出するという変なゲームを一緒になってやっているやん。
それで、今日もやっていました、立憲の人が。財源を捻出しました、国債発行もしない縛りの財源確保で三兆八千億とか。頑張ったのかもしれませんけれども、全然足りていませんよ。そうでしょう。全然足りていませんよ。
学校教員だって、修羅場をくぐるために二兆円要りますよ。介護、保育のことも書いてはりますけれども、介護とか保育の人たちが人並みの、全産業平均の給料のためには三兆円要るんですよ。社会保険料も、下げるというのも、これはまともな成果を出そうと思ったら十二兆円要るんですよ。やらなくていいんですか、そうやってあざ笑っている立憲の方々が。農業も、農業を救おうと思ったら、これは四兆円は要るんですよ。
三・八兆円、立憲の優秀な賢い頭の人を総動員して、これは去年からやっていますから、何か月もかけてやって、国債なし縛りの財源確保で三・八兆円とか、全然足りないじゃないですか。
だから、国債発行しないと駄目、これは国が金を出さないと駄目なんです。国債発行しないと駄目だから言っているし、国債発行には、まだ財政出動の余地があるよという普通のことを言っているだけなんですね。むしろ、今不況ですから、不況のときにやったら一石二鳥ですよと、当たり前の、高校の教科書にも書いてある当たり前のことを言っている話です。
立憲の人が、今回はすごいですね、本当に、国債発行なしの財源捻出縛りが。百歩譲って、国債発行じゃないやつでどうしても出したい。
これは高校の教科書なんですけれども、歳入の変遷です、高校の教科書でやっている。この六十年間で、これは二〇二三年が直近なんですけれども、消費税、むちゃくちゃ増えているでしょう。消費税を庶民からむしり取って、それで、その分、法人税とか所得税とか、大金持ち、資本家から取らないといけない税金は下がっているじゃないですか。
それで、ちょっとはそういう話もしているだろうと言っているかもしれないけれども、立憲の優秀な人らの全力で頭を使って、国債発行なしの財源捻出ゲームみたいな。それで、これのことを本気でやっていないじゃないですか。国民を救うためには数十兆円規模の財政出動が、お金が必要なのに、国債発行しようと真面目に言っている人をあざ笑って。でも、この話で全然本気でけんかなんかやっていないやん。
だから、大きな与野党が違う話に国会で明け暮れているというのは、本当にこれは貴族で、でも、貴族なのは勝手ですよ。だけれども、それがどれだけの人を苦しめているんですか。今、国会の外で、財務省解体を叫んで一千人が包囲していますよね。みんなが貧しくなった、国は金を出せと言っているんじゃないんですか。その声は聞こえないんですか。何か間違ったことを言っている人たちみたいに聞いていたら、国会は間違った方向に行くんです。
高額療養費の自己負担引上げに象徴されるように、今この国では、社会や政治の判断で誰かの命を奪っていいんだ、そういう方向性になっちゃっていて、だから、それは国家的殺人まで行き着くし、四兆円削減できるとか、できもしないことを、自民党総裁・総理が入った、自民、公明、維新で合意書を結んでしまうまで行き着くんですね。今回、立憲は高額療養費の自己負担引上げを反対していて、反対すべきだし、凍結すべきだし、でも、これは凍結しても、このままだったら繰り返しますよ。
だから、れいわ新選組は、このような国民を欺く財政均衡主義に反対して、積極財政を唱え続けてきました。国民の命と暮らしを守ろうと思ったら、そのプロパガンダと戦わなきゃいけないんですよ。インフレ、インフレというけれども、財政出動の余地があると言っているんですよ。景気が過熱したら増税すればいいでしょう。今はそうなっていないから、国債発行できるし、そうした方が国民経済が上がるでしょうと当たり前の話を言っているのに、それが通じないというのが今の国会です。
今から質問する学校の先生が足りない問題についても、学校現場が崩壊しつつあるときにいまだ教師を減らしているというのは、根本的に同じことです。
質問いたします。問い六として通告したそのままです。
教師が不足している状況について伺います。
文科省が行った二〇二一年、令和三年度の教師不足の状況の調査結果では、どういう数字が出ていますか。
○茂里政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの教師不足の状況につきましては、文科省が行った調査では、全国の公立学校におきまして、令和三年度始業日時点での教師不足が二千五百五十八人、五月一日時点での教師不足が二千六十五人となっております。
○大石委員 続いて伺います。通告した問い七のとおりです。
文部科学省がこれまで教員不足の実数での調査を行ったのは何回ですか。
○茂里政府参考人 お答え申し上げます。
実数で行った調査につきましては令和三年度の一回で、その後は、毎年度、アンケート形式で把握してございます。
○大石委員 実数の調査がたった一回なんですね。
教師不足というのは、先ほど、前半の時点で調べたと言いましたが、年度の後半にかけて増えてきますので、年度の後半にかけて産休で休んだり病休で休んだりしますので。なので、文科省はちゃんと調べなければいけないんですね。令和三年、二〇二一年、四年前の四月、一回きりのものではなくて、もっと調べないといけないんですよ。
調べていないので、ほかで調べているのが、全教という労働組合の調査をかりたんですけれども、全教は毎年五月と十月、二回やっておられます。その直近の調査はさきの十月ですから、二〇二四年の、半年ぐらい前の時点での調査で、未配置は四千七百三十九人、倍ぐらいなんですね。かつ、この調査は、大きな組合でもないでしょうから、全都道府県を網羅しているわけではなくて、三十四都道府県、十一政令市という、全自治体でないにもかかわらず、倍ぐらいの数字になっています。かつ、年度内で二回調査をやっていて、五月と十月の時点で比べると、一・四倍ぐらい未配置が増えているんですよ。理由は先ほど申し上げたとおりです、どんどん増えてくるので。
なので、文科省はちゃんと調査をしてください。たった一回きり、四年前の四月時点の調査ではなくて、ちゃんと調査をしてください。
学校現場では、例えば小学校で、担任の教員が妊娠とか病気で休んだときに、本当に代わりの担任がいないわけなんですよ。それで、どのぐらいいないかというと、PTA総会で校長先生が、皆さんの中で、保護者の中で、教員免許を持っている人はいませんかと。担任がいないから、教員がいないから、なってくれる人はいないかと、飛行機でお医者さんを探していますみたいなことをPTA総会でやるぐらい、先生が足りないんですね。
実際に、担任がつかないとかで、例えば小学校で、担任がいないから延々と黙々とプリントに取り組んでいるというだけというのが、これは全国的に発生しています。あるいは、小学校で、女性教員が職員の朝会で、妊娠してしまいました、申し訳ありませんとだけ言って泣き崩れてしまった。これは実話ですけれども、今やそう珍しい話でもないんでしょう。
昨年十二月の報道でも、教員の残業を月換算しますと、平均で過労死ラインの月八十時間を大きく超えているとされます。精神疾患は増えて、二〇二三年度は、公立学校で一か月以上の病気休職者は一・三万人です。現在、公立学校の教員は約八十万人とされますので、そのうち一・三万人が一か月以上の病気休職。休職できない精神疾患の人は何倍もいらっしゃるでしょうから、非常に深刻な、教育現場が崩壊している問題です。
この解決には、先生を増やすしかないんです。これはすごく難しいんですとか、言われていたような総合的に何とかちょっとずつやっているんですではなくて、まず国が教員の椅子の数、教員定数、教員予算を減らしているということ、これをなくしてちゃんとやれば解決可能だということを皆さんに知っていただきたい。
現状、少子化によって学級数が減ると、教員定数も自然減として減らされてしまう、あるいは学校を潰して統廃合して減らしてしまうという現状の中で、教員がすごく減っています。
総理に伺います。質問通告十、そのままです。
二〇二五年、令和七年度予算案における教職員定数について、文科省が発表した令和七年度予算案のポイントでは、教職員定数の改善によるプラスが何人分で、教職員定数の自然減等によるマイナスが何人分で、差引きするとマイナス何人分になるか、数字をお答えください。
○石破内閣総理大臣 令和七年度予算案におきます義務教育費国庫負担金につきまして、教職員定数の改善による増は五千八百二十七人、自然減等による減は八千八百三人、差引き二千九百七十六人ということでございます。
○大石委員 今言われたのは、このパネルの数字のとおりなんですけれども。
今年度、結構増やしたぞという報道をされているんですけれども、それはどういう仕組みかというと、このグラフの青い方で、今総理も読み上げた数字、五千八百二十七人を増やしたんだと報道されているんですけれども、一方で、自然減として減らされている、既定の仕組みの中で減らされている数が八八〇三、八千八百人ですから、差引きでマイナス二九七六になる。このグラフの折れ線グラフのところ、マイナス二九七六とあります。これが今年度、二〇二五年、結局プラマイで教員がマイナスになっているということです。
では、二十五年遡ってみるとどうなんだというのがこのグラフなんですけれども、教職員定数は二十五年間で四万一千四百四十人も減らされているんです。
この減らされている大きな一つの原因として、自公政権で教職員定数の改善計画をストップしているんです。このパネルにも掲載していますけれども、小泉政権のときに構造改革をやって、教師を計画的に養成する、育成するという計画をやめました。今も、文科省に、替わる計画はあるのかと聞いても、ありません。こういう目標で増やすというのはないんですね。文科省に聞いても、厳しい財政状況の中で改善増を求めるという理屈しかなくて、それを多くの国民は知らないと思うんですね。
これは、簡単に言えば仕組みを変えればいいだけの話で、仕組みを変えるためには、少人数学級にするか。少人数というのは、三十五人にやっていますというけれども、世界標準でいうと三十人とか二十四人とかが当たり前なので、それをやればこの自然減の仕組みは変わりますし、乗ずる数という、標準法に定めるものを変えればいいんですよ。
文科委員でも引き続き取り扱っていきますけれども、総理、乗ずる数について、改定を行いますか。
○安住委員長 もう時間が過ぎているので、簡潔に。
○石破内閣総理大臣 教師の数も減っていますが、お子さんの数はもっと減っていますので、その部分はきちんと言っていただかないと、議論として公平ではないと私は思っております。
乗ずる数についてのお尋ねでございますが、乗ずる数の改正は考えておりません。特別な支援が必要な児童生徒さんの通級指導、日本語指導の充実等々、あるいは、今もややお触れになりましたが、小学校の三十五人学級化等々、具体的な政策目的に応じまして、義務標準法に基づき算定される基礎定数の改善を図っておるところでございまして、乗ずる数の改正は考えておるところではございません。
先ほど来、教科書に載っている等々ございますが……
○安住委員長 総理、簡潔に。一分以上過ぎていますから。
○石破内閣総理大臣 是非、それも御指摘をいただきたいと思っております。決めつけた上での御議論になりますと、なかなか議論がかみ合いませんので、そこは是非ともお願い申し上げます。
○大石委員 終わります。
○安住委員長 これにて大石さんの質疑は終了いたしました。
次に、赤嶺政賢君。
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
沖縄県内で相次ぐ米兵による性暴力事件について質問をいたします。
一昨年十二月、米軍嘉手納基地所属の米兵が十六歳に満たない少女を誘拐し、性的暴行を加えるという許し難い事件が起こりました。しかも、政府が半年もの間、事件を公表せず、沖縄県にさえ伝えていなかったことに、衝撃と激しい怒りが沸き上がりました。米兵による性暴力事件は、その後も、昨年は、一月、そして五月、六月、十一月と立て続けに起きています。
総理は、よく米側が発表した再発防止策が実際に事件、事故の再発防止につながることが重要と述べていますが、率直に申し上げまして、これは沖縄県民の認識とかけ離れていると言わざるを得ません。事件が起こるたびに、綱紀粛正、再発防止という常套句を嫌というほど私たちは聞かされてきたからです。今回も、米軍は、再発防止策の一環として、昨年十月から全ての軍種で午前一時から五時までの基地の外での飲酒を禁止しました。
国家公安委員長に伺いますが、米軍関係者による事件、事故は、それ以後どうなりましたか。
○坂井国務大臣 警察庁が令和七年二月の十二日までということで沖縄県の警察から概要について報告を受け、把握している件数について申し上げます。
米軍関係者による事案のうち、沖縄県警察が対外的に明らかにしている事案であって、令和六年十月の一日以降に発生したものの件数は、刑法犯で十八件、交通人身事故で二件、道路交通法違反で二十件、特別法違反で三件、合計四十三件であると承知しております。
○赤嶺委員 事件、事故はその後も続発しております。何も変わっていないんですね。
米軍は、事件が起こるたびに、決まって飲酒制限あるいは外出制限を打ち出しております。しかし、全く守られておりません。
昨年十一月には、午前二時台に、酒に酔った米兵が進学塾のドアを壊して侵入する事件が発生しています。禁止時間帯の酒気帯び運転も頻繁に摘発されております。外出制限も、禁止時間帯にゲートに入らなければ、朝帰りをすれば、おとがめなしなんですよ。何の意味もないんですね。そもそも、少女の事件が起きたのは午後六時です。深夜の飲酒制限が、同様の事件の再発防止になるはずがありません。
米軍の再発防止策は、いつもそういうことの繰り返しです。だから、私たちは、日米地位協定の改定を、抜本改正、基地の縮小、撤去を必要だと訴えてきているわけであります。
総理に伺いますが、米軍の再発防止策では事件、事故の防止はできないという認識に立っていただく必要がありますが、この問題の大前提としてそういう認識が必要だと思いますが、いかがですか。
○石破内閣総理大臣 先ほどおっしゃいましたのは、リバティー制度をアメリカが見直したということでございます。午前一時から五時までの間、基地外の酒類を提供する飲食店への入店、公の場における飲酒を禁止したということでございますが、委員御指摘のように、じゃ、夕方の六時なんかはどうなんだ、酒を飲んでいなかったらよいのかというような問題は多々ございます。
私どもとして、一件でもこういうことはあるべきだと思っておりません。一つ一つ、もう一度きちんと点検をしながらやっていかねばなりませんので、その点は、外務省におきましても、政府全体といたしましても、地位協定の改定には恐ろしく時間はかかりますし、詰めていかねばならない論点はたくさんあります。これは一件でもあるべきではないという姿勢で臨んでまいります。
○赤嶺委員 一件でも起こってはならないことが、何十件、何百件とずっと繰り返されてきているじゃないですか。だから、言葉だけで一件でも起こってはならないと言うのは、何の意味もないんですよ。答弁にならないんですよ。責任ある総理の答弁とは到底思えません。
総理は、去年の九月、沖縄で行われた自民党総裁選の演説会で、日米地位協定の見直しに着手すると述べました。ところが、総理就任後の所信表明演説で、そのことに言及したことはありません。それどころか、これまでは一国会議員としての考えを述べてきたとか、一朝一夕に実現するとは思っていないなどという答弁を繰り返しています。一体沖縄でのあの発言は何だったのかと県民は怒りました。
そうしますと、自民党の特命委員会を立ち上げて、地位協定の見直しに関する検討を総理は指示されました。ところが、その検討には期限が設けられていないと報じられているわけですね。
なぜ期限がないんですか。いつまでに検討を終えるんですか。
○石破内閣総理大臣 我が党のアジアにおける安全保障のあり方特命委員会の会合は、これまで三回開かれておるものでございます。
政府として具体的な内容について申し上げることはいたしませんけれども、これはいつまでに答えが出るというものではありません。地位協定は、御存じのとおり、安全保障条約と一体のものでございますので、安全保障条約が、今、非対称的双務関係で構成をされておるものでございます、それと一体の地位協定でございますから、全部セットで議論するのに期限が簡単にできるはずはございません。
我が党として、見識のある者が集いまして、場合によっては有識者の判断もいただきながら、適切な結論をなるたけ早く出すということは必要なことです、しかし、いついつまでにということを申し上げることはいたしません。努力はいたしてまいります。
○赤嶺委員 安全保障条約と一体だ、だから大変難しいということを沖縄でおっしゃいましたか。一言もおっしゃっていないでしょう。地位協定の改定が必要だと、あの沖縄国際大学の事件を見て自分はそう思ったとおっしゃったじゃないですか。
特命委員会は三回開かれたとおっしゃいましたが、その三回のうち一回でも地位協定が議題になったことはありますか。
○石破内閣総理大臣 それは地位協定というもののタイトルを読めば分かることであって、日米安全保障条約と一体ということは、地位協定のタイトルを見れば誰だって分かることでございます。これが一体のものであるがゆえにその議論は非常に難しいことであるが、難しいからといってやらないでいいという話には全くならないから、自民党の中でそういう議論が今濃密に行われているところでございます。
地位協定と安全保障条約は一体であるというのは、私は沖縄で申し上げたこともございますし、これは世の中の常識でございます。
○赤嶺委員 私だって、安保条約と地位協定が一体だというのは、総理を前にして、憲法審査会でも何度も申し上げてきましたよ。しかし、あのときには、地位協定の抜本改定を、沖国大の事件も出して、やりますと言ったんですよ。これは県民に対する裏切り行為じゃないですか。今頃になって、それは安保条約と一体だから簡単にはできないでしょうと言ったら、米軍の犯罪はいつ抑えるんですか。我々が求めているのは、沖縄県民が求めているのは、地位協定の十七条で、いわば事件が起こっても日本の警察はアメリカの米軍犯罪を取り締まれない、犯人を逮捕することもできない、これは主権国家でこんなのが許されていいかと。
この間の、十二月の事件もそうですよ。少女がレイプされて、母親が一一〇番をした。日本の警察は、その一一〇番を受けて犯人を逮捕しに行ったわけじゃないですよ、米側に問い合わせた。米側と日本の警察が一緒におれば、地位協定上、その身柄の確保は米側になってくるわけです。
やはりこういう常識では考えられないような仕組みを改めるべきだ、地位協定の改定だと我々は言ってきたじゃないですか。いかがですか。
○石破内閣総理大臣 それは、我が党の沖縄県連も、この点に関しましては、地位協定の改定は御党と同じか、それと基本的な考え方は一緒であって、そこは、長い間アメリカとの関係についていろいろな状況を受けてこられた沖縄の、同じ共通の思いだと思っております。
ただ、私が申し上げているのは、地位協定を改定しなければこの種の犯罪はなくならないというようなことを言っておっては駄目だということであって、この犯罪の根絶ということを求めて、私どもとして、アメリカ側に更に強く物は言っていかねばならないということでございます。
そうしないと、日米安全保障条約の根底が揺らぎかねないと私は思っておりまして、この手の犯罪を撲滅する、根絶するということは、我が政府として更に強く沖縄県とともに取り組んでまいる所存でございます。
○赤嶺委員 アメリカが再発防止策や綱紀粛正を何度言っても、事件は度々起こっているじゃないですか。おととしの十二月に起こって、去年は四件も起こっている。そして、犯人を逮捕する権限さえ日本の警察は奪われている。これを変えてほしいというのは不当なことですか。これは正義じゃないですか。
アメリカがどんなに再発防止策と言っても、事件は再発しているじゃないですか。どうやって事件を抑えるんですか。やはり事件を起こしても日本側に逮捕されない、あるいは基地の中で悠々と暮らせるような事態になっている、こんな差別的な、特権的なものがあるから、米軍の犯罪が次々起こるんじゃないですか。だから、地位協定を変えろと言っているわけですよ。いかがですか。
○安住委員長 石破内閣総理大臣、間もなく時間が参りますので、簡潔にお願いします。
○石破内閣総理大臣 私は、主権独立国家の在り方という問題だと思っております。御党と立場をそこは同じくすると言うと、何事であるかと逆に叱られるかもしれませんが、私は、主権独立国家の在り方としてこの地位協定の問題は捉えていかねばならないものだと思っております。
しかしながら、米軍が駐留することによってこの犯罪が起こっているという因果関係を私は存じ上げませんけれども、この手のことを根絶するために、もっと沖縄県民と心を一にして我が政府として取り組んでいかねばならないし、そのことは米軍の中でも、このようなことは絶対にあってはならないということを更に徹底していただきたいし、そのことを慫慂したいと思っております。
○安住委員長 時間が参りました。
○赤嶺委員 総理、大変驚きました。米軍の駐留と米軍の犯罪の因果関係は、総理は知らないと言うんですか。(石破内閣総理大臣「知らないとは言っていない」と呼ぶ)知らないとおっしゃったでしょう。
○安住委員長 赤嶺君、時間がとうに過ぎていますので、まとめてください。
○赤嶺委員 こんなことは許されないということを申し上げて、質問を終わります。
○安住委員長 これにて赤嶺君の質疑は終了いたしました。
次に、福島伸享君。
○福島委員 有志の会の福島伸享でございます。
総理、一日、お疲れさまでございます。
まず一つ目は、選挙制度改革について質問したいと思います。
昨年の自民党総裁選で、石破茂政策集「日本の未来を守り抜く。」では、有権者目線で選挙制度を見直す改革をリードしますとおっしゃっております。昨年八月二十四日の自民党総裁選の出馬会見、地元の神社でも、私は、中選挙区連記制というものも一つの選択肢だと思っていますとおっしゃっております。一月一日の文化放送の番組では、小選挙区比例代表並立制が本当に有権者の意思にかなっているか、そもそも論をやるうちに出口が見えてくるとおっしゃっております。一月六日の総理の年頭会見でも、選挙制度はどうあるべきなのか、約三十年の現行選挙制度の歴史を踏まえ、改めて党派を超えた検証が必要だとおっしゃっています。さらに、一月二十四日の施政方針演説でも、今の選挙制度ですね、約三十年の歴史を踏まえ、改めて党派を超えた検証を行い、あるべき選挙制度を議論したいとおっしゃっています。
総理は、政治改革の柱として衆議院選挙制度の抜本改革を実現する超党派議連の顧問を務めていただいております。私はその幹事長を務めさせていただいております。今、全衆議院の三分の一を超える約百八十人が加入し、全党会派から代表者を出している議連で、総裁選の前、役員の懇親会があったときに、総理ともいろいろな話をさせていただいたとも記憶しております。
さて、総理は、中選挙区時代も選挙を戦って、平成の政治改革のときは選挙制度改革の旗を振っていらっしゃったのではないかと記憶しておりますが、この三十年間、小選挙区比例代表制の下でどういう問題が生じているのか、日本の政治はどうなったのか、どこを問題であると思うから総理はこのように何度も選挙制度改革を訴えているのか、その御認識についてまず教えていただければと思います。
○石破内閣総理大臣 中選挙区で選挙をやった人は、この中にもう衆議院ではいないんだと思います。先ほどまで答弁はないのに来ておりました防衛大臣、外務大臣、これは二回中選挙区でやっています。私が三回やっています。小選挙区で十回やっています。
私は、小選挙区にしなきゃ駄目だと思ったのは、同じ自民党で戦いますので、例えば、私は自民党であるが憲法改正は反対であるとか、私は自民党であるが消費税導入には反対であるとか、つまり、同じ党なのに違うことを言っても許されていいのかという問題が意識の根幹にございました。お金がかかるというのもありましたが、それはもっと規制を厳しくすれば多分なくなる問題だと思っておりまして、同じ党なのに違うことを言って許されるという制度は絶対間違いだと思って小選挙区制を推進をしてまいりました。
そうしますと、その議論のときに、小泉純一郎先生が、まだ厚生労働大臣を終わられたばかりだったと思いますが、この制度を入れると何が起こるかというと、党本部と首相官邸の言うことしか聞かない議員ばかりになって、それでいいのかというふうに言われまして、私はそんなことはないと一生懸命反論したのでありますが、君は人間というものを知らぬのだと一喝をされまして、さあ、それがどうであったかというのは、またいろいろな御判断のあるところだと思っております。
ただ、有権者がこうだと思って一票を入れたのに、それと違う行動をすることがある、あるいは有権者の意思と違う力によって意思決定が行われるということは、主権者に対してはかなり乖離を招く、そういう制度がシステムとしてあるとするならば、そこはいろいろなやり方があるだろうと思っております。
ですので、有権者の意思に何が一番近いのかという観点から常に選挙制度は議論されるべきものだと私は考えております。
○福島委員 今の、まだいま一つ分からないです。どこが今問題だと思っていらっしゃいますか。
私は、二大政党制というのを目指して、政権交代があればよくなるというのは、実は幻想だったんじゃないかとも、自分も一度政権交代を経験して思っておるし、ヨーロッパは今、先日ドイツで選挙が行われましたけれども、二大政党じゃなくて、第三極の極右政党が出てきたことによって、従来の二大政党だったSPDとCDUが連立交渉を今行っているわけです。イギリスにも行ってまいりましたけれども、労働党、保守党という枠組みも崩れ始めていて、今、世界的に多党制、連立の時代になっているのに合った選挙制度にしなきゃならないというのは、大島議長も、先日、我々の議連の講演でおっしゃっていました。
どこに問題があるのか、もうちょっとクリアにお答えいただければと思います。
○石破内閣総理大臣 これは、仕組みとして二大政党に収れんすると考えたのは間違っておりました。その点は率直に認めて、改善の方向性を見出さねばならぬと思っております。
ただ、二大政党が本当に正しいかどうかということも検証していかなければなりません。二大政党が存在します場合には、外交、安全保障、そして財政の基本、この三つで余りに差がありますと、政権交代のたびに政策が大きく振れますので、それがそうならないということが前提として二大政党の議論は行われるべきものでございますが、制度さえ入れれば二大政党が実現すると思ったのは私の考えの足らざるところであったことは、率直に認めるところでございます。
○福島委員 是非、総理、議連の顧問も務めていただきましたから、党利党略を超えて、あるべき日本政治の姿というのを踏まえた選挙制度改革、これは総理がリードすべき話ではありませんけれども、自民党総裁としてのリーダーシップを発揮いただければと思っております。
次に、中速鉄道の問題に行きたいと思います。
総理、この本を読まれましたか。東大名誉教授、曽根先生の「中速鉄道のすゝめ」。昨年の十二月に出ているので、是非、総理、読んでいただければと思うんですね。日本の鉄道起死回生策。ここではこう書いてあります。ヨーロッパ大陸の地続きの国では、国内交通も国際交通も航空から高速鉄道へのモーダルシフトが進み、ドイツでは国内航空路の多くが鉄道に転換されている、フランスでは鉄道で二・五時間以内で到達できる航空路は禁止されていると。
私も、インドに息子を連れておととしに行ったんですけれども、デリーからアグラ。インドの鉄道なんていうのはみんな屋根まで乗っているんじゃないかと想像したら、モディさんの下、高速鉄道が二百キロぐらいのスピードでばあっと走るんですよ、二十両編成で。ああ、インドのインフラも変わったなと思って、もうこれは日本は追いつかないんじゃないかと思いました。
鉄道が発展している国々の中で、日本だけ鉄道に元気がないと先生はおっしゃっています。今、在来線の最高速度は百三十キロ、新幹線は二百六十キロ、この間の百六十キロから二百キロメートルで在来線を走るのが中速鉄道。世界中はそうした在来線の高速化を進めておりますが、日本では、京成の成田スカイアクセス線の二十キロの区間を、たった二十キロの間で百六十キロで走っているのみ。フル規格新幹線を、整備新幹線後、基本計画路線などで造ると、膨大なコスト、時間がかかって、並行在来線の廃止の問題も出てくる。先生は鉄道工学の第一人者ですけれども、例えばブレーキとか踏切とか車両とか、そうしたもので中速鉄道が実現できない技術的な理由は全くないというふうに思っております。
そこで、ちょっと手前みそですけれども、例えば比較的線形のよい常磐線、私の地元を通る、を中速鉄道化するのが手っ取り早いと言っているんです。最高速度百六十キロ、表定速度百二十キロで走れば、水戸から東京まで一時間を切りますから、根本的に地理的条件が変わってまいります。そういうところがいっぱいあると思います。総理の御地元も山陰新幹線という構想がありますから、そうなんじゃないかと思っております。
総理は施政方針演説で、令和の日本列島改造といったことを言っておりますけれども、結局ネックになるのが、鉄道での移動の時間とか、あるいは高過ぎる高速道路料金とか、移動に係るコストなんですね。
昨年の一月四日のJ―CASTニュースの石破総理へのインタビューで、私は整備新幹線をこれ以上進めることは懐疑的、あるいは、今の在来線と同じ狭軌のままでいいから速度を百五十キロまで上げるとか、在来線の近代化の方が大事だろうと思っていますとおっしゃっております。
総理、この中速鉄道構想に対してどのような御認識をお持ちか、まずお答えください。
○石破内閣総理大臣 それは、フル規格の新幹線が日本国中に、あと三十年ぐらいで張り巡らされるのはベストに決まっています。そうありたいと思っていますし、私は山陰新幹線実現議員連盟の会長なのでそのように思っておりますが、それは、北陸新幹線が大阪まで行って、そして北海道新幹線が札幌まで行って、そして九州新幹線が完成して、その後、次の新幹線計画に入りますので、そうすると、何年とは申しませんが、相当に先のことだと。その間に人口はどんどん減っていく。最終的にフル規格の新幹線を目指すにしても、その間どうするんですかということにも併せて答えを出していきませんと、人口はどんどん減る、インフラはどんどん劣化する。
そのときに、中速新幹線というものは、フル規格の新幹線を諦めるとは申しませんが、その間どうしますかということは、その先生の御指摘で私は首肯する部分がたくさんあるだろうというふうに思っております。政府の中でその点は真剣に議論していかねばなりませんし、ヨーロッパの鉄道は、先生がそこで指摘をされておるとおりでございます。
日本において、鉄道の持っているメリットというものは更によく探求されるべきものだと思っておるところでございます。
○福島委員 総理の得意分野なので、すばらしい答弁をありがとうございます。
確かに総理も、二〇一八年の東洋経済オンラインで、四国や山陰にフルスペックの新幹線を入れたくても財政的に無理に決まっていると。これが、全国新幹線鉄道整備法第四条に基づいて作られた計画で、これはまだ生きている計画でありますけれども、例えば、総理のところには山陰新幹線、うちの緒方議員とかあるいは吉良議員のところには、日豊本線沿いに東九州新幹線というのがあって、まだ基本計画路線というのが七千キロメートル残っている。今のペースで建設を進めたら、完成するのは二十五世紀、誰も生きていないという状況であります。
ただ、これがあるから逆に中速鉄道が進まないんだということをこの先生はおっしゃっていて、私はやはり政策を抜本的に変えるべきだと思うんですね。
昨年の骨太の方針に実は若干の記載があって、そこでは、「基本計画路線及び幹線鉄道ネットワークの地域の実情に応じた諸課題について方向性も含め調査検討を行う。」。基本計画路線及び幹線鉄道ネットワークですから、この基本計画路線にこだわらないことを示しているんですね。
私は、総理、ここは政策転換が必要だと思いますよ。基本計画路線ができたのは昭和四十八年、まさに田中内閣のときであります。そんなのを今まで維持する必要はないんですね。総理が政治決断をすれば、まず中速鉄道を造るということができるわけです。
そしてもう一つ、予算でありますけれども、道路関係予算二兆一千百八十三億円。鉄道予算は一兆五千九十九億円。あっ、これは鉄道予算じゃないです。済みません。鉄道予算は、ここの千九百四十億円と六百七十五億円の二千数百億。そのうちの四分の三は整備新幹線のお金で、在来線等の予算は六百七十五億円しかないんですよ。
民間の投資を見ても、一兆でも、道路よりはるかに少ないんですね。これはやはり、JRは民営化して民間のものになったから、そこに対してなかなか設備投資を行わないという事情もあるし、例えば、総理の持論である上下分離を行って、そこに国の予算を入れ、そこに例えば道路財源を充てるなんて話があると思うんですね。でも、それをやるためには大手術が必要です。国鉄分割・民営化に代わる大きな改革の旗を掲げなければならないし、私は、今、この予算委員会を見ていると、高校教育の無償化の問題とか百三万円の壁というのは大事ですよ。でも、そのために、予算を通すために、それでちまちまちまちま野党と妥協していたって国は変わらないんですよ。
総理はもっと大きな方針を示して、こうしたまさに令和の列島改造、田中角栄を超えることをやるんだから、だから俺についてこい、そうしたことを言っていただけたら、私たち有志の会も、じゃ、協力しようじゃないかということになるんですよ、本当にそれは。
ですから、総理、こうしたまさに令和の列島改造のために予算の仕組みも変える、上下分離など、国鉄民営化の後の鉄道の仕組みも変える、そうした根本的な令和の列島改造にふさわしいことをやろうと言って、それで、今のこの少数与党の下では政権運営なんてできないんです。これだけ大きく世界情勢が動いているときに、国の大手術をしなきゃならないときに、大きな旗を掲げ、その協力を求められれば我々は協力しますから、是非そうした姿勢を示しませんか。いかがですか、総理。
○石破内閣総理大臣 ありがとうございます。そうあるべきという御意見はよく承りました。
中速新幹線について申し上げれば、御指摘にあったように本当に百五十出せるのかというのは、六百メートル条項をどうするか、踏切の数をどれだけ減らすか、線形をどれだけ変えるかみたいな専門的な話をすると幾ら時間があっても足りませんが、それをきちんと詰めないと二十五世紀になっちゃいますので、そこはきちんとやりたいと思っております。
ですから、フル規格を諦めるとは私は言いませんが、その間どうするのということを技術的な課題の解決と併せて、委員の大きな絵を実現していくためにも、そういうところからきちんと詰めていきたいと思っております。
御指摘は共感を持って承りました。ありがとうございます。
○安住委員長 福島君、ちょうど時間となりました。終わってください。
○福島委員 じゃ、終わりにします。
是非、今年の骨太方針で示してください。
以上です。ありがとうございます。
○安住委員長 これにて福島君の質疑は終了いたしました。
次回は、来る二十八日午後一時から委員会を開会し、集中審議を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時二分散会