衆議院

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第22号 令和7年5月12日(月曜日)

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令和七年五月十二日(月曜日)

    午前八時五十九分開議

 出席委員

   委員長 安住  淳君

   理事 井上 信治君 理事 齋藤  健君

   理事 牧島かれん君 理事 山下 貴司君

   理事 岡本あき子君 理事 奥野総一郎君

   理事 山井 和則君 理事 三木 圭恵君

   理事 浅野  哲君

      井出 庸生君    伊藤 達也君

      稲田 朋美君    岩田 和親君

      国光あやの君    河野 太郎君

      後藤 茂之君    小林 茂樹君

      新谷 正義君    高木  啓君

      田所 嘉徳君    田中 和徳君

      津島  淳君    土屋 品子君

      寺田  稔君    西銘恒三郎君

      平沢 勝栄君    深澤 陽一君

      古屋 圭司君    今井 雅人君

      大西 健介君    神谷  裕君

      川内 博史君    近藤 和也君

      酒井なつみ君    階   猛君

      柴田 勝之君    長妻  昭君

      波多野 翼君    藤岡たかお君

      本庄 知史君    山 登志浩君

      米山 隆一君    早稲田ゆき君

      池下  卓君  斎藤アレックス君

      徳安 淳子君    西田  薫君

      許斐亮太郎君    長友 慎治君

      橋本 幹彦君    村岡 敏英君

      大森江里子君    河西 宏一君

      福重 隆浩君    櫛渕 万里君

      高井 崇志君    辰巳孝太郎君

      田村 貴昭君    緒方林太郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       石破  茂君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       加藤 勝信君

   厚生労働大臣       福岡 資麿君

   農林水産大臣       江藤  拓君

   経済産業大臣       武藤 容治君

   国務大臣

   (経済再生担当)     赤澤 亮正君

   国務大臣         伊東 良孝君

   財務副大臣        斎藤 洋明君

   政府参考人

   (内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長)   馬場  健君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局統括官)            柿田 恭良君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 小林  出君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          望月  禎君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       井上 諭一君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            岸本 武史君

   政府参考人

   (農林水産省輸出・国際局長)           森  重樹君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  松尾 浩則君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)         西村 秀隆君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房技術総括・保安審議官)    湯本 啓市君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            山本 和徳君

   予算委員会専門員     中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十三日

 辞任         補欠選任

  斉藤 鉄夫君     赤羽 一嘉君

五月十二日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     新谷 正義君

  谷  公一君     津島  淳君

  山田 賢司君     井出 庸生君

  黒岩 宇洋君     柴田 勝之君

  近藤 和也君     山 登志浩君

  酒井なつみ君     長妻  昭君

  藤岡たかお君     波多野 翼君

  徳安 淳子君     斎藤アレックス君

  長友 慎治君     許斐亮太郎君

  橋本 幹彦君     村岡 敏英君

  赤羽 一嘉君     福重 隆浩君

  櫛渕 万里君     高井 崇志君

  田村 貴昭君     辰巳孝太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  井出 庸生君     山田 賢司君

  新谷 正義君     高木  啓君

  津島  淳君     岩田 和親君

  柴田 勝之君     黒岩 宇洋君

  長妻  昭君     酒井なつみ君

  波多野 翼君     藤岡たかお君

  山 登志浩君     近藤 和也君

  斎藤アレックス君   徳安 淳子君

  許斐亮太郎君     長友 慎治君

  村岡 敏英君     橋本 幹彦君

  福重 隆浩君     赤羽 一嘉君

  高井 崇志君     櫛渕 万里君

  辰巳孝太郎君     田村 貴昭君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     谷  公一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件(内外の諸課題)


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     ――――◇―――――

安住委員長 これより会議を開きます。

 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 本日は、内外の諸課題についての集中審議を行います。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長馬場健君外十名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安住委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

安住委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。新谷正義君。

新谷委員 自由民主党の新谷正義でございます。

 本日は、予算委員会での質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。理事、関係各位の皆様には厚く御礼を申し上げたいと存じます。

 早速でございますけれども、質問に入らせていただければと思います。

 アメリカのトランプ大統領が就任して、関税措置は非常に大きな危機をもたらしているところでございます。今日は、関税、社会保障、そして中小企業政策、年金を中心に質問をさせていただきたいと思います。

 まず、関税についてでございますけれども、そもそも、なぜ自由貿易が必要なのか、重要なのか。

 リカードの比較優位説というものがございます。比較優位説が示しているところでは、世界の国々にはそれぞれ得意分野がありまして、得意分野を強くして輸出をして、不得意なところは輸入をして、そして共存共栄で世界全体が強く豊かになっていく、そういったものであるんですけれども、これには実はデメリットがありまして、まず、元々不利な産業がなかなか自国で育ちにくいということがあります。あと、政治リスクがあるということであります。

 まさに今回でありますけれども、売ってあげない、買ってあげない、こういうことがあれば深刻な被害が出てしまう。であるからこそ、食料安全保障を考えても日本の農作物は守らなければなりませんし、トランプ政権には、今回の関税措置によってお互いの繁栄を損なうんだということをしっかり伝えていかなければならないと思っております。

 今回の関税措置で、恐らくトランプ大統領のもくろみどおり、大統領の存在感あるいは注目度、こういうものは高くなっていると思っておりますけれども、一方で、短期的に見ても、長期で見ても、アメリカの繁栄自体にはつながっていないのではないか、そのように思っておるところであります。この中で、我が国として、我が国の産業力を保っていくにはどのようにしたらよいか考えていかなければならない、そのように思っております。

 日米同盟があるわけですから、関税措置はまず撤廃を目指して、しっかりと粘り強く政府には交渉していただきたいと思いますし、また同時に、この関税が撤廃されない場合に備えて対策も進めていかなければならない、そのように思っております。

 今は猶予期間ということであるんですけれども、自動車や自動車部品、これはしっかり二五%の追加関税がかかっているところであります。アメリカでも、ゼネラル・モーターズ、フォード、有名な自動車メーカー、完成車メーカーがあるんですけれども、実際、こういったメーカーは、部品が六〇%は海外から輸入をされているんですね。ここにも関税はかかるわけですが、軽減措置を打ち出されるということであるんですが、それでもアメリカには深刻な影響が出ると思っております。いずれはアメリカ国内で作るんだということであるんですが、軽減措置の二年間どころか、五年かけてもこれはなかなか難しいんじゃないかと私は思っているところであります。

 先日、私は、地元広島の自動車メーカーのマツダをヒアリングに伺ってまいりました。サプライヤーの方も含めて、様々な方からお話を伺ったところであります。かなり深刻です。メーカー本体のみならず、自動車メーカーは、やはり多くのサプライチェーンによって支えられているところがあります。実際、ティア1からティア2、もっとというところで、自動車のサプライヤーから販売、修理、そういった関連を含めると、我が国だけで五百万人以上の雇用を支えている、そのように認識をしておるところであります。

 関税分、いずれ価格が高くなって、売れなくなったりすると、生産台数が維持をされなくなって、サプライヤーも崩壊の危機に瀕すると思っておるところであります。是非このサプライヤーの対策に関してお伺いをしたいと思います。

 これまでも自民党として関税対策本部から提言をしまして、そして、政府からも緊急対応パッケージをいただいておるところであります。日本の基幹産業である自動車産業そして自動車部品、そのサプライチェーンを守るために政府としてどのような対策を講じていくのか、また、今後の情勢に応じて更に追加的な対策も必要になるかと思いますけれども、石破総理の御見解をお伺いしたいと思います。

石破内閣総理大臣 委員から今御指摘がありましたリカードの比較優位説はそのとおりでございます。どの産業も強いということであればよいのですが、やはりそれぞれの国には得手不得手がある、あるいは向き不向きがあるということでございます。

 じゃ、自動車をどうしましょうか。委員の選挙区にはマツダがあるわけでございますが、これは、日本とアメリカの協力によって、よりよいものを造っていくということが大事なのではないだろうかというふうに考えております。

 したがいまして、関税は撤廃を求めるということでございます。ただ、これがあろうがなかろうが、いかに日本の自動車産業をより強くしていくかという観点も同時に大事なことでございます。

 政府といたしましては、広島は二十五か所だったと思いますが、全国に千か所の窓口を設けました。そこに来ていただいて、一体どの産業が影響を受けるのか、アメリカの需要と供給というものはどうなっていくのか、アメリカの景気はどうなっていくのか、日本のそれぞれの産業を強くするためにどんな措置がなされていくのか、あるいは、資金繰りが非常に厳しい、それに対してどのような措置が講ぜられるかということを、向こう様から来ていただくだけのみならず、こちらの方から、政務三役を中心としてあらゆる業種に出向いて、こういう形でやらせていただきますということをお話をするようにいたしております。

 当面の影響をどう回避するか、それぞれの産業をどのようにして強くしていくか、そして当面の影響に対してどのような措置を講ずるかということに対しまして、政府といたしまして万全の対策を期してまいりますし、同時に、国民の皆様方の生活というものをよく見ながら、必要であれば、ちゅうちょなく追加的な対策を行うというものでございまして、議員の先生方の更なるお力添え、御協力を賜りたいと存じておるところでございます。

新谷委員 石破総理、ありがとうございました。

 総じて我が国の産業を守るための強い決意をお伺いできた、そのように思っておるところであります。

 世界的な物価高を背景にして、我が国でも物価高が起きているところでありますが、これに対抗していくためには、やはりしっかり賃上げを進めていくことが必要だ、そのような認識で政府も対策を行っていただいていると承知をしております。

 我が国の雇用は、七割は中小企業、小規模事業者の皆様によるものであります。今回の関税措置は、これまでの賃上げや投資を促す、こういった中小企業政策に大きく水を差すものではないか、そのように思っております。

 まだ現時点、この瞬間には、自動車のサプライチェーンにおいても直接的な影響は大きくは出ておりません。ただ、今後、明らかに影響は出てきますし、受注が減っていくことが予想されるなど、見通しが立たない現状では、投資を控える、あるいは賃上げもしにくい、こういうことが起こってくると思っております。

 また、資金繰りへの不安の声、これは非常に多くいただいております。このままでは、これまでの中小企業政策とは真逆の方向に行ってしまうのではないか、そのようにも懸念をしております。

 中小企業、小規模事業者への影響は計り知れないところがありまして、まさに私は国難ではないか、それぐらいに思っております。やはりこの関税措置が続いていくならば、災害や新型コロナなど、こういったことに準じた規模の対策が必要ではないか、そのように考えております。

 先ほど総理もお触れになりましたけれども、相談窓口を多く設置をいただいておられるところであります。今日までの中小企業の相談状況はどのようになっているか、また、中小企業の資金繰り対策につきまして万全を期すべきではないかと思いますが、武藤経産大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

武藤国務大臣 中小企業の賃上げに対する御質問をいただきました。

 これまでのところ、相談窓口あるいはプッシュ型での現状把握で、約三千件の今相談を受けております。相談内容としては、関税措置の内容確認が多いわけですけれども、資金繰りに関する相談も増加をしてきているところであります。委員がおっしゃるとおり、将来に対する不安というのは、ますます今大きくなってきているものだと私も肌で感じているところです。

 短期の支援策としては、セーフティーネット貸付けの利用要件の緩和ですとか中小企業の設備投資支援について、関税影響を受けた事業者に対する優先採択など、資金繰りの支援ですとか中堅・中小企業の事業強化策を講じてきているところです。その上で、関税措置の影響拡大、これがますます見込まれるということになれば、セーフティーネット貸付けの金利引下げについても検討することとしているところです。

 総理からも、中小企業支援に万全を期すよう御指示をいただいておりまして、現場の状況をしっかり把握しながら、実態に即した効果的な支援策を検討してまいりたいと思います。

 物価を上回る賃金を何とか今年は実現しようということで、自民党の部会長としてもこれまでもお骨折りをいただきました新谷先生ですけれども、引き続き党内の取りまとめ、また現場の声をこれからも引き続き入れていただけるように、そして我々としっかり頑張っていただけるように、よろしくお願い申し上げたいと思います。

新谷委員 ありがとうございます。

 中小企業、小規模事業者は、まさに我が国の経済の基盤でありまして、しっかりと守り抜く決意を共有させていただけたと思います。ありがとうございます。

 今回の関税措置は、米国にとっても自分の首を絞める側面があるということは、再び申し上げたいと思います。

 先日、パナソニックエナジーという会社を視察させていただきました。米国の電気自動車やデータセンターを支える蓄電池を製造、輸出をしております。これは基幹部品そのものでありまして、まさに米国の産業においても欠かせないものだ、そのように思っております。今回の関税措置で価格転嫁をせざるを得なくなったら、米国の産業にも打撃を与える可能性が高いと思っております。

 パナソニックエナジーもカンザスに工場を建設中でありまして、これから一万人の雇用を生む予定だということであります。これまでも今も我が国の民間企業は米国へ投資を行って、雇用にも貢献している、こういったことをしっかりと強調して、引き続き粘り強く交渉に当たっていただきたい、そのように思っております。

 また、電池でいいましたら、例えば部素材、そして製造装置、これはかなり大きいんですけれども、これが関税措置から除外されなければ、米国での工場建設、生産そのものにも支障を来します。これはやはり両国の経済には大きくマイナスになるものであります。これもやはり日米でしっかりと早急に議論を詰めないといけないと私は思っております。

 日本の製品が選ばれるのは、何もずるではなくて、高い安全性能があるからであります。品質です。米国の自動車メーカーやデータセンター事業者も、日本からの部品、装置はその安全性と品質ゆえに選ばれておりまして、私は代替性がないものだと思っております。特に、電気自動車は、質の低い電池を使うと爆発するリスクがあるというものであります。やはり今回の関税措置で日本の安全な蓄電池のような産業の競争力が下がることは、米国企業にとっても望ましくないことだと思っております。

 同様のことが鉄鋼や自動車部品にも言えるところであるんですが、今回の関税措置の影響で、例えば、中国や韓国の製品がアメリカからはじかれて、それが既存の輸出先以外の国に出回って、回り回って我が国の産業を破壊してしまう、そういう可能性も考えているところであります。

 アメリカにはじかれた安価な他国の製品が日本の高品質な産業を破壊しないよう、しっかりと日本の蓄電池産業などの製造業の競争力強化に向けた取組を強力に進めるべきだと考えておりますけれども、引き続き武藤経産大臣の見解をお伺いしたいと思います。

武藤国務大臣 委員がおっしゃるとおり、蓄電池はもちろんですけれども、様々なところでアメリカの関税の影響は大きいんだというふうに認識をしているところです。赤澤大臣を中心に、関税措置の見直しについて、引き続き強く撤廃を求めていきたいというふうに思っておるところです。

 また、外国の蓄電池の案件ですけれども、競争力をつけるためには、蓄電池の性能とかあるいは安全性といった強み、今先生がおっしゃっていただいたようなものが日本は非常に強いわけですけれども、ここを維持強化をしながら、コスト競争力の向上に取り組む必要があると認識をしているところです。

 安全性等が確保された蓄電池の導入を国内で促進するため、導入補助金などの要件に、安全性に関する第三者認証の取得ですとか、事業者によるサイバーセキュリティー対策を求めてきているところです。

 また、二〇三〇年までに、蓄電池の年間製造能力ですけれども、ここは百五十ギガワットアワーとの目標を掲げ、国内の生産基盤確立の設備投資等を支援しているところです。これまで百ギガワットアワー以上の計画が進行するなど、着実に進行してきているところであります。

 さらに、電池用の鉱物の安定供給確保に向けて、カナダなど有志国との連携による供給源の多角化、また、回収技術の開発や設備投資支援によるリサイクルシステムの確立も進めているところであります。

 こうした取組を継続しながら、日本の蓄電池産業の競争力を強化させていきたいというふうに思っております。

新谷委員 ありがとうございます。

 我が国のサプライチェーンそして製造業の堅持に、是非政府一丸となって取り組んでいただきたい、そのように思います。

 次に、年金に関してお伺いをさせていただければと思います。

 我が国の年金制度は賦課方式を取っております。これは、積立てとは違い、基本的に現役世代が高齢世代を支える構造となっているところであります。当然、人口動態は変化をしますし、その時々の物価の状況、所得の状況によって、あるべき年金の姿も変動していくものだ、そのように思っております。今の制度では、財政検証を基に定期的に年金を見直し、制度の仕組みをつくり直すことが必要となっているところであります。まさに今回、そのような中で年金法改正の議論が出てきていると思っております。

 物価高によって、国民の生活は大変変わってきております。ただし、年金に関しては、やはり世代を超えて制度を維持していかなければなりません。今の年金受給も大事でありますけれども、次の世代にまでしっかりと持続可能な仕組みづくりをしていかなければ、常に将来への不安が国民につきまとうことになると思っております。

 今回の年金法の改正に関して、法改正の意義と現在の検討状況につきまして、石破総理からお伺いできればと思います。

石破内閣総理大臣 これはずっと課題になっておることで、とにかく、賦課方式というのはこういうものです。つまり、払う人がたくさんいて、もらう人が少なければそれは成り立つ制度だが、払う人は少なくなり、もらう人が多くなるということになるとその制度のサステーナビリティーが危うくなるというのは、これは子供が考えたって分かるお話でございます。

 そうすると、じゃ、どうするんだいということで、保険料を増やしますかというと、これはなかなか厳しいねと。もらう額を減らしますか、この生活が苦しいのにどうしてくれるんだという話になるわけです。そうすると、もらう人を減らしますかという議論は、結局、支給開始年齢を遅らせるかというお話になってくるわけです。

 消費税導入のときに、公費をどれだけ入れるんだという議論をさんざんいたしましたのはもう三十年以上前のことでございますが、その問題は今も続いているということだと思っております。よって、厚生年金法、国民年金法に基づきまして、五年に一回財政検証を行い、その結果を踏まえ、必要な見直しを行っていく。

 今回の改正法案は、現在、最終調整を行っておるところでございますが、一つは、より手厚い年金が受けられるように被用者保険の適用を拡大する、二つ目は、就労収入を得ながら年金をより多く受け取れるように在職老齢年金制度を見直す、これは私的年金、個人型確定拠出年金でございますが、iDeCoの加入可能年齢を七十歳まで拡大するというような措置を考えておるところでございまして、将来の受給者の給付も充実させつつ、現在の受給者の年金の増額措置を盛り込んだという極めて重要な意義を持つものでございます。

 国民の皆様方の暮らしと密接に関わるものでございますし、御関心も高いので、与党において様々な御意見を伺いながら議論を重ねてまいりましたが、三月十三日、私から厚生労働大臣また自民党の幹部の皆様方に対しまして、早急に党内調整を進めるというふうに指示をいたしました。

 明日にも与党におきまして法案提出に向けた最終的な審議を行っていただくということになっておると承知をいたしておりますが、私どもといたしましては、その結果を踏まえ、今月中旬、もう中旬ではございますが、今月中旬には法案を提出したいと考えております。最終的な詰めの努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。

新谷委員 ありがとうございます。

 是非検討を進めていただきたい、そのように思います。

 先ほどおっしゃられましたが、今回の改正の中身でございます。適用拡大など、必要な改革が盛り込まれている、そのように認識をしておりますが、ただ、今回、マクロ経済スライドの具体的な仕組みづくり、これは盛り込まない方向となった、そのように伺っておるところであります。

 このマクロ経済スライドは、恐らく、今、中継を御覧になられている方々もなかなか分かりづらいものだ、そのように思っております。基本的に、人口減少、あるいは平均寿命が延びることなど、社会情勢に合わせて緩やかに公的年金額を調整していく仕組みだ、そのように認識をしております。今、我が国の年金制度は、先ほど来ありますとおり、賦課方式を取っておりますから、特に、今、人口減少社会である中で、現役世代に過度に負担とならないように、賃金や物価も加味して、さらにはマクロスライドなども使って、様々調整されていくものとなっております。

 各世代の負担や状況を考えると、私も一九七五年生まれでありまして、ちょうどいわゆる第二次ベビーブームの最後の世代ぐらいでありました。ちょうどこの頃は、本当に受験も就職も大変厳しい時代であったところであります。およそ一九七三年から大体八二年ぐらいに生まれた世代の皆様、これが就職氷河期世代と言われることが多くございます。就職が大変厳しい中で、厚生年金の加入期間が非常に短いとか、やはり基礎年金への依存度が高くて、元々低年金が問題となっているところであります。この低年金問題は、やはりしっかり対応していかないと、安心した暮らしがなかなかちょっとできないということがあろうかと思います。

 マクロ経済スライド、基礎年金の底上げ、今回はラストチャンスではなくて、マクロスライドはまだ続いているところでありますから、次回の財政検証も踏まえて、しっかりと対応を継続していただきたいと申し上げたいと思います。ただ、一方で、年金に関しては特に、財源に根拠のない議論は厳に慎むべきだ、そのようにも考えております。

 それらのことも踏まえて、現在、就職氷河期世代とされている世代の年金問題への対応について、福岡厚生労働大臣からお伺いをしたいと思います。

福岡国務大臣 御承知のとおり、年金の実際の給付水準につきましては、今後の経済状況の変化によって変わり得るものでございます。

 政府として移行を目指しております成長型経済では、将来の基礎年金の給付水準がおおむね維持される見通しでございまして、基礎年金の底上げ措置がなくとも将来の給付水準が確保されるものと考えています。

 他方、仮に経済が好調に推移しない場合におきましては、基礎年金の将来的な給付水準の低下のおそれがございます。このため、元々、経済が好調に推移しない場合の備えといたしまして、マクロ経済スライドの調整期間を早期に終了させる措置を、二〇二九年に予定されております次期財政検証後に発動の可否を判断する仕組みとして提案をさせていただいておりました。

 ただ、一方で、御案内がありましたように、就職氷河期世代以降の方が年金を受けるのは二〇三〇年代半ば以降でありますことから、それまでに就職氷河期世代を念頭に置いた様々な支援策も講じながら、次の財政検証の結果を踏まえ、年金制度における対応が必要な場合には適切に検討し、必要な措置を講じてまいりたいと思います。

新谷委員 ありがとうございます。

 是非、財政検証の結果も踏まえて、持続可能な仕組みづくりに引き続き取り組んでいただきたい、そのように思います。

 次に、年金と同様に社会保障の分野となりますけれども、医療、介護、障害福祉に関してお伺いをさせていただきたいと思います。

 現在、医療、介護、障害福祉は、基本的に公的サービスの報酬で賄われているところであります。そして、それぞれ報酬改定が定期的に行われているところであります。

 今、深刻な物価高にあって、一般的にも、国が賃上げに取り組んでいるところでありますし、また、人材確保のためにも賃上げが必要な状況となっております。ただ、診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬の報酬改定、これは物価、賃金の上昇に追いついていないという声が最近多く上がってきているところであります。自民党も、各業界より緊急要望をいただいたところであります。このまま放置すると、医療、介護、障害福祉の提供体制の維持、あるいは医薬品安定提供の体制が根本から危うくなるのではないか、そのように思っておるところであります。

 今は、この診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス報酬等につきましては、あくまで高齢化の伸びの範囲に抑えるというキャップがかかってきたわけなんですけれども、現在の状況では非常に赤字の施設が増えている、そのように伺っております。病院の七割が赤字、そのような報告も上がっておるところであります。足下でも、緊急で、厳しい運営状況が起こっている。やはりこれはもうそろそろ物価と賃金、この伸びに合わせてサービス報酬の伸びも連動させるべきとの切実な意見、要望が多くいただいておるところであります。

 やはり中長期的な仕組みづくりも必要であるんですけれども、差し当たっての支援も必要だと思っておるところであります。政府として、医療、介護、福祉の各機関をどのように支援をしていくのか、福岡厚生労働大臣にお伺いしたいと思います。

福岡国務大臣 医療、介護、障害福祉の置かれている厳しさにつきましては、委員を始め各委員からも様々これまで指摘をいただいてきたところでございます。資金繰りが悪化することで、必要な医療であったりサービスが継続できないような事態は何としても避けなければならないというふうに考えております。

 私どもとしましては、令和六年度報酬改定で一定の措置を講じましたけれども、依然として物価高騰等の影響がございますため、令和六年度の補正予算におきまして、医療分野では約一千三百億円、介護分野では約一千百億円、障害福祉分野では約三百七十億円の緊急的な支援を行ったり、重点支援地方交付金を積み増したり、また、令和七年度予算におきましては、入院時の食費基準の引上げを行ってきたところでございます。

 また、これらの取組の効果が出るまでに資金がショートしてしまってはいけませんので、そういう意味におきましては、資金繰り支援といたしまして、福祉医療機構の融資を大幅に拡充をさせていただいたところでございます。

 補正予算によります支援を全国に速やかに行き届かせるよう、都道府県とも連携して対応いたしますとともに、その効果であったり、物価などの動向、経営状況など、足下の情勢変化をしっかりと見ていきながら必要な対応を行ってまいりたいと思います。

新谷委員 ありがとうございます。

 今まさにもう緊急事態になりつつあるのではないかと思っておりまして、引き続き支援の検討をお願いできればと思っております。

 最後に、時間がなくなってまいりましたが、物流に関して質問させていただきたいと思います。

 今回の関税措置は、物流にも影響が出るのではないかと思っております。一つ代表的なのがトラック運送業であります。

 トラック運送業は、今回、下請法の改正で価格転嫁が進むことが期待されておりますけれども、トラックは、やはり多重委託構造、これが非常に私は問題があるのではないかと思っております。人手不足も続いておりますし、多重委託によって、運賃の原価割れ、あるいは安全管理に手が回らないなど、そういったことが起こり得るということであります。

 今これを直ちに解消するのは難しいんですけれども、下請法の改正は今進んでいるところでもありますし、やはりこれを機会に根底から物流を効率化していくということが必要だと思っております。

 そのためにも、取引適正化のために、公正取引委員会の監視機能の強化を更にしっかりと進めていくべきと考えますけれども、伊東大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

伊東国務大臣 今回の下請法の改正がしっかりと効力を発揮するためには、公正取引委員会と本法の執行に関係する行政機関との連携強化を進めることが必要である、このように思う次第であります。

 これまでも公正取引委員会における調査、執行体制の強化に努めてきたところでありますが、改正法案では、さらに、各業界に関して知見を有する事業所管省庁に対し、現行の調査権限に加え、指導助言権限も与えることとしております。

 これによりまして、公正取引委員会と国土交通省を始めとする事業所管省庁との連携強化を進めるとともに、改正法をしっかりと執行していくために必要な体制の確保を図り、適切な価格転嫁、取引適正化の更なる推進、これらに取り組んでまいりたいと考えております。

安住委員長 新谷君、間もなく時間が来ますので。

新谷委員 ありがとうございます。

 まさに価格転嫁を進めていくことで中小企業政策にもなると思いますし、また事故を防ぐということにもなろうかと思います。是非、力強く進めていただければと思います。

 時間となりましたので、質問を終了させていただきます。本日は、貴重な機会をありがとうございました。

安住委員長 これにて新谷君の質疑は終了いたしました。

 次に、長妻昭君。

長妻委員 おはようございます。

 総理、いろいろお疲れだと思いますけれども、よろしくお願いをいたします。

 今日は年金中心に質問しますけれども、まずは、一部報道にあります首相の金などについて、確認だけさせていただきたいというふうに思います。

 まず、石破茂政経懇話会という石破さんの政治団体の代表に、一時的ですけれども、下根貴弘さんがなっておられるんですが、これはなぜですか。

石破内閣総理大臣 石破茂政経懇話会の代表者の方が二〇〇二年にお亡くなりになりました。私どもの会計責任者が、この報道にございます親子のお二人のうち、お父様に御相談をしたところ、それでは息子が代表者になろうかというふうなお申出があったので、この方が代表者になられたというふうに承知をいたしております。

長妻委員 いや、なぜというのは、結びつきの強いということで、やはり信頼しているというか、いろいろな支援があったということなんですかね。

石破内閣総理大臣 三十八年も前のことでありますが、私もまだ三十代前半でした。東京で知っている方もほとんどいない。

 皆さんそうだと思いますが、当選一回のときというのは非常に、支援してくださる方を見つけるのが大変だということで、地元のゆかりのある方、この方は、私が、昭和六十二年だったと思いますが、初めて仲人を務めた方でありますが、その御尊父から、では、うちの息子を代表者にしようかというありがたいお申出があったという経緯であったと承知をいたしております。

 委員が御指摘のように、支援ということの内容でございますけれども、そのことはまたお尋ねがあればお答えをいたしますが、週刊誌報道にございますような支援を受けたということは全くございません。

長妻委員 報道によると、石破さんが開いたパーティーの受付に、国会議員、一般、その横に下根様という立て看板みたいなものがあるんですけれども、立札ですかね。これは何で下根さんの立札が立っているんですか。

石破内閣総理大臣 お尋ねの立札につきましては、秘書にも確認をいたしました。政治資金パーティー券の販売を手伝っていただいたということでございます。

 そうしますと、では、このお父上の方でございますが、その御紹介によってパーティーにお越しいただいた方の確認というものを容易にするということが必要だということで、受付を用意したというふうに承知をいたしております。

長妻委員 パーティーを手伝うというと、あっせんする場合、パーティー券二十万円以上だとあっせん者の名前も書かなきゃいけないんですが、これは書いていただいているんですか。

石破内閣総理大臣 先ほど来、お手伝いをいただいたというふうに申し上げております。

 どういうような内容かというと、政治資金パーティーの開催の件を知人にお伝えをいただいた、御賛同が得られればパーティー券を購入していただくというようなお手伝いをお願いしたものでございます。

 その場合にも、パーティー券の購入代金は、購入者から直接受け取っておるものでございます。報道されておりますように、この親子さんから、これを介して受け取ったということはないという報告を受けておるところでございます。

長妻委員 政治資金規正法では、あっせんということの実態について問うていると思うんですね、二十万円以上は収支報告書に書かなきゃいけないということがございますので。

 これについては、なぜ書いていないのでございますか。

石破内閣総理大臣 これは委員も御承知の上でのお尋ねかと思いますが、政治資金規正法第十条第三項では、政治資金パーティーの対価の支払いのあっせんとは、特定の政治団体のために政治資金パーティーの対価として支払われる金銭等を集めて、これを当該政治団体に提供する、これがあっせんというふうに規定されておるところでございます。

 私どもの政治団体は、報道にございました親子にパーティー券を売っていただき、その代金を提供していただいたということは一切ございません。したがいまして、これは政治資金規正法上のあっせんを受けたという事実には該当しないものでございます。

長妻委員 そして、この下根さんのビルが池袋にあった当時、一時的に石破事務所はその中に入っていたんですか。

石破内閣総理大臣 報道にございます豊島区内のビルにつきましては、この政治団体の事務所として借り上げたことはございません。

 必要が生じましたときに、秘書がこの報道の親子のうちお父様に依頼をして、一時的な作業場として、御厚意により短時間使わせていただいたということはございます。

 私自身、行ったことはないのですけれども、いろいろな物品が置いてあるところにややスペースが空いておりまして、そこにおいていろいろな作業を行ったということが一時的にはあったというふうに報告を受けておるところでございますし、実態もそのようなものであったということでございます。

長妻委員 使用料、一時的といえば、使用料とか一時的家賃というのは払ったんですか。

石破内閣総理大臣 それは払っておりません。

 それは一時的に、そこの、ある意味、倉庫というのか物置というのか、そういうところで作業をさせていただいたということでございまして、そういうものに対しての対価というもののお支払いはいたしておりません。

 ただ、永田町と豊島区池袋というのは結構距離的にもございますし、なかなか使い便利がよいというものでもないのでございますが、せっかくの御厚意で、そこにちょっとスペースが空いているから、いろいろな袋詰めとかそういう作業に一時的に使ってもいいよというお申出がございましたので、そこを一時的に作業場として使わせていただいたということでございます。

長妻委員 使用料を払っておられないということは、便宜供与として収支報告書に書かなきゃいけないんじゃないかなと思いますので、これも確認をしていただければというふうに思います。

 そして、この下根貴弘さんは、自民党本部の政調会長室を訪問したことはあるんですか。

石破内閣総理大臣 前段のお話で、もちろん確認は何度もいたしておりますが、人様の建物を使用させていただく場合でも、極めて短時間、一日一時間とか二時間とか、そういう時間にお借りして作業をさせていただいた。

 いろいろな利用実態があるわけでございますが、そういう場合に使用料を支払う必要があるかどうか、支払わなくてもよい場合にそれを寄附と解釈するべきかどうかということは、社会通念でどう考えるかということでございます。

 ですから、一時的に使っていいよということで、一時間、二時間、そこで作業をさせていただいた、それに対して使用料を払うべきかどうかという議論だと思っております。

 それから、後段の方で、政調会長室を訪ねたことがあるかということですが、それは一々記録を取っておるものでもございませんし、随分前のことでございます。今そういうお尋ねをいただきますと、政調会長室をお訪ねいただいたという記憶は、少なくとも私自身にはございません。

 ただ、野党でございましたが、政調会長室は大勢の方がいらっしゃいますので、あるいは来られたことがあったかもしれませんが、記憶にございませんなどといいかげんなことを言うつもりはないのですが、その方が政調会長室にお見えになったということは、私自身、記憶としてございません。(発言する者あり)

安住委員長 静粛に。

長妻委員 石破さんが総裁選に出たときに、貴弘さんが随行したということはあるんですか。

石破内閣総理大臣 これは、一番最初に、福田康夫総理がお辞めになって、その後の総裁選のときでございました。私自身も、出るというつもりもなかったので、何か急転直下、いろいろなことがあって出ることになって、非常にばたばたいたしておりました。

 私の秘書もその事務に忙殺されておりましたので、誰か連絡役でついてくれる人がいないかなというときに、これまたそのお父上から、それではうちの子供をつけようかというお申出があったので、総裁選挙の期間中に随行をいただいたということはございました。

長妻委員 次の質問はちょっと正確に文書を読んで質問するんですが、これは通告しておりますので。

 下根弘さん、下根貴弘さん、関係法人、あるいは紹介先から、何らかの資金や物品及び便宜供与などの提供は受けたことはありますか。

石破内閣総理大臣 今回の週刊誌報道にございますようなパーティー券の購入や寄附、実態に反する事務所などにつきましては、私自身、全く覚えがございません。念のため秘書にも何度も確認をいたしましたが、そのような事実はございません。

 また、週刊誌報道以外にも、法律に反しないものも含めまして、お尋ねの方にパーティー券の購入、寄附をしていただいたことがあるか否かにつきましては、何分昔のことで正確な記録を確認することは困難ではございますが、私自身、そのような事実があったという認識はございません。秘書も同様でございます。

 お尋ねの物品提供や便宜供与について、委員が具体的にどういうようなものを御想定かは分かりませんが、あえて申し上げますれば、今回の週刊誌報道にあります親子のうち、お父様には、政治資金パーティーがあることを知人の方々に御案内いただく、パーティー券販売のお手伝いをしていただくことはありました。しかしながら、週刊誌報道にもこれはあったかと思いますが、売れ残ったパーティー券を購入していただいたという事実はございません。

 ビルの一室に私の秘書が伺って、作業場として短時間使わせていただいたということはございます。総裁選の遊説に御随行いただいたということは、先ほど申し上げたとおりでございます。

長妻委員 そうすると、この下根弘さんというお父様からも、あるいはお父様の関係法人からも、何らかの資金や物品及び便宜供与なども一切ない、これまでずっとないということですね。

石破内閣総理大臣 先ほど来お答え申し上げておりますように、知人の方を御紹介いただいたということはございました。

 しかしながら、今委員が御指摘のようなことは一切ございません。

長妻委員 紹介してもらったということなんですが、紹介してもらって、その紹介先から入金がある合計というのは、大体幾らぐらい、パーティー券とか、あるんですかね。単位でいいんですけれども。

石破内閣総理大臣 済みません、これは改めて確認をさせていただきます。

 それは、先ほどお答え申し上げましたように、紹介をされた方、その方と私どもとの間のお金のやり取りということでございまして、紹介をいただいた方を通じてまとめてということではございませんので、お一方お一方確認の要はございますが、そこにおいて御紹介があった方かどうかということを確認するのは、やや作業に時間を要するかと思います。

長妻委員 できれば確認していただければありがたいというふうに思います。

 この問題では最後に、今のお話を聞くと、報道で言われていることと違うわけですよね。ということは、石破首相の答弁が本当だとすると、相手がうそをついているということになると思うんですけれども、何か人間関係のトラブルとか、そういうことがあったんですか。

石破内閣総理大臣 これは人様の御家庭のことでございますので、余りこういう公の場でお話をすることではないかと思います。私との間でのトラブルはございません。

 私自身、まだ三十一歳でしたかしら、仲人の話が来たときにかなり驚愕したことはよく覚えておりますが、それでも、たってのお願いですので、お引受けをさせていただきました。私自身、誠心誠意という言葉を使うのも私にふさわしいかどうかは存じませんが、そういうおつき合いをさせていただいたつもりでございます。

 それがこういう形になるのはすごく残念な気もいたしますが、世の中いろいろなことがあるものだなということを改めて思い知ったところでございます。

 何かあったのかということは、これまた人様の御家庭のことでございますので、あれこれ申し上げることはいたしませんが、これは世間に時々あるお話でございますけれども、お父様が会社を引かれた、その後、御子息がお継ぎになるということで、いろいろな権利関係をめぐって、裁判所においていろいろな審理が行われたということは承知をいたしております。

 これ以上は申し上げることを控えさせていただきます。

長妻委員 年金の質問に入りたいというふうに思います。

 先ほども答弁いただきましたけれども、今月の中旬に提出するというようなことをおっしゃったんですね。重要広範議案なんですね、この法案というのは。

 重要広範議案というのは、自民党の衆議院も参議院も合意して重要広範議案ということになっていて、三月に提出するというような話で、それも延期。四月に提出する、これも延期。五月に提出するというのも、これもずるずる延びているということです。

 我々も、厚労委員会の理事とも相談すると、あした総務会があるということなんですが、あした決めて、遅くとも今週中に出していただかないと、これは審議できないんですね。時間切れになるんです。

 逆に言うと、今週中に出さなければ、時間切れを狙っている、こういうふうに言わざるを得ないんですが、石破首相、遅くとも今週中に出していただけますか。(発言する者あり)

安住委員長 静粛に。

石破内閣総理大臣 先ほど新谷委員の御質問にもお答えをしたところでございます。

 党内の手続でございますが、これは時間切れを狙っているなどということは一切ございません。これが重要なものであらばこそ、国会における御審議に供する、そういうような手続をしていかねばならないのは当然のことでございます。

 確定したことは申し上げられませんが、我が党の手続の日程といたしまして、明日いろいろな手続を経て、国会に提出をするというような運びを、内閣としても、それと合わせていきながら手続を進めてまいりたいと考えております。

長妻委員 ということは、あした総務会で決まれば、恐らく金曜日までには提出ということで、明言いただけますかね。

石破内閣総理大臣 これは党内の手続でございますので、私がここで確定的なことを申し上げる立場にも、それについての知識もございませんが、この法案が重要なものであればこそ、国会における審議にきちんと供することができますように、今委員が御指摘のような日程を念頭に置いているものというふうに承知をいたしております。

長妻委員 それで、この法案について石破首相にお伺いしたいんですが、やはり最大のポイントというのは、年金の目減りをどうやって防ぐのかということなんですね。

 この法案の中にはいろいろなテーマが入っておりますが、そのコアのところ、先ほどもマクロ経済スライドの調整期間を合わせるということがありましたけれども、コアのところが抜けているわけですし、ましてや、法案を出さない、あるいは遅延行為というふうに私は言わざるを得ないんですけれども。

 そうしますと、一体、年金の目減りを石破首相はどういう手段で防いでいこうというふうにお考えなんですか。

福岡国務大臣 マクロ経済スライドの早期終了の措置につきましては、社会保障審議会年金部会の議論の整理においても賛成、慎重の両論があったところでございます。このような中で、与党における法案審議の中でも、厚生年金の積立金を活用してこの措置を行うことについて慎重な意見があったところでございます。

 今回の法案は、五年に一度の財政検証の結果を踏まえて、被用者保険の適用拡大などの重要な改正事項を検討しておりまして、できる限り早期に法案を提出し、御審議いただくという点を重視いたしまして、基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了の具体的な仕組みにつきましては今回の法案に規定しないこととする方向で、現在、最終的な調整を進めているところでございます。

石破内閣総理大臣 今、福岡大臣からお答えを申し上げたところでございます。

 いかにして被用者保険の適用を拡大するか、あるいは働きながら年金を多く受け取れるようにするか、あるいは個人型確定拠出年金の加入可能年齢を七十歳まで拡大するかということも法案の内容でございますが、マクロ経済スライドをどうするかということにつきましては、これはいろいろな意見がございました。

 そこについて、では、これに意見の一致を見るまでこの法案を出さないのかということになりますと、もちろん、これについて、これから仮に法案を提出すれば御議論いただくことになりますが。それも大事です。大事ですが、いかにしてこの制度を安定させるか、多くの年金を受給していただけるか、その対象の方々を増やすかということにつきましてもここは御議論をいただきたいと思って準備をしておるところかというふうに承知をいたしております。

長妻委員 いろいろな改革をおっしゃいましたけれども、それも重要なんですが、目減りの決定打が抜けているんですね。

 ちょっとこれを見ていただきますと、確定値が出ました。政府から、確定の数字です。

 直近五年間のお給料の増減を年代別に調べた政府の資料なんですが、これを見て私は改めて驚くわけですね。これは名目値ですよ、額面ですよ。唯一減っているのが、五十から五十四歳の就職氷河期世代の年長者。つまり、団塊ジュニアと重なっている方々だけが減っていて、就職氷河期世代の方々は、おおむね、ほかの世代よりも伸びが低いんですね。

 ということは、老後、こういう方々が年金を受給する、厚生年金を受給するときは、賃金が現役のときに低いので、受給額も低くなっちゃうわけです。大変なんですね、今のままでも。

 これにダブルパンチがあるのが次のものですけれども、先ほど来、私が申し上げている年金の目減りなんですが、これは本当に大変なことなんです。就職氷河期世代以降の人が本当に大変なんです。

 所得代替率、実質価値とも言われておりますが、これが二〇五七年で三割減っちゃう、基礎年金がですね。基礎年金というのは、国民年金とイコール。と同時に、厚生年金を受給している方も全員が基礎年金はありますから、全員沈んでいくというようなこと。これが最大のテーマなんですね。

 石破首相が今おっしゃったいろいろな改革というのは、それは重要なんですが、決定打ではないんですよ。あんこのあんがなかなか入っていないというふうに、厚労委員会等ではずっと申し上げていったわけですが。

 今現在、大体、就職氷河期世代の方々は三十八歳から五十四歳。その方々が五十一歳から六十七歳になる二〇三七年には一割減、過去三十年モデルですけれども。六十一歳から七十七歳になられるとき、二〇四七年は二割減。七十一歳から八十七歳になられるときは三割減、二〇五七年ですね。こういう大変な状況になっていくわけでございます。

 そしてもう一つ、これも私、改めて調べて、ちょっと驚いたんですが、御存じでしたかね。生活保護を受給している方のうち、六十五歳以上を調べますと、何と七割の方が年金ももらっている、ダブルでもらっている。何でかというと、年金額が余り高くないので、その差額を生活保護、最低限の生活費で埋めているということが、過去最多、七二・一%に直近でなっているんですね。ですから、これは基礎年金の目減りを防がないと、間違いなく生活保護受給者はぐっと増える可能性が私は高いと思うんです。

 実際に、研究者のレポートを詳細に分析しますと、多くの研究者が、二〇五〇年には生活保護の高齢者の受給者が今よりも倍増する、そして財政負担も倍増する、こういうような予測を立てておられる、そういう推計値もあるんです。

 これは石破首相にお伺いしたいと思うんです、さんざん厚労委員会では福岡大臣とやりましたから。

 普通に考えて、基礎年金の目減りを防がないと、生活保護受給者がぐっと増えてしまう。これは、可能性としては当然高いというふうにお考えですよね。

石破内閣総理大臣 それは計算上そうなります。高いかどうかは別として、そういう事態というものが現出するということは当然想定し得ることでございます。

 要は、年金というのは、結局、経済がどう推移するかということに連動するものでございますし、賦課方式を取っております以上、こういうようなことが起こるということは当然予測し得るものでございます。

 したがいまして、では、どうするのだということで、さんざん今までも議論がございました。ただ、やはり年金を受け取れる方々の範囲を拡大するということ、あるいは、くどいようですが、働きながら年金を受け取っておられる方々に対する適切な措置を講ずる、あるいは私的年金の範囲を拡大する等々のことはいたします。

 これは、生活が困窮される方々、そういう方々のリスクをどう減らしていくかということは、今まで申し上げておるとおりでございますが、年金生活者支援給付金、生活困窮者の方々に就労支援や家計改善などのきめ細かい相談を行う生活困窮者支援制度等々、低年金の高齢者の方々に対していかにして支援をしていくかということも併せて御議論をいただきたいというふうに考えておるところでございます。

長妻委員 いや、これは端的に、石破首相の基本認識をここで御答弁いただきたいんですね。

 つまり、当たり前のことではあると思うんですが、基礎年金の目減りを防がないと生活保護受給者は増える可能性が高い。これは認識は一緒ですよね。

石破内閣総理大臣 そういうことは当然想定され得ることでございます。

長妻委員 そして、先ほど、あんこのあんの肝のところが抜けているという話なんですが、こういうことなんですね。

 マクロ経済スライドというのは大変分かりにくいわけですが、簡単に言いますと、年金受給者の方が、今までは物価スライドだったんですね、世の中の物価が二%上がれば年金額も二%上がる、実質的な生活は困らない。従来はこういう制度だったんです。

 ところが、いろいろ財政が厳しいということで、マクロ経済スライドということで、ここにあるパーセンテージのものを、本来は物価と同じように年金額を上げるというルールを変えて、物価と同じように上げるのではなくて、そこからマクロ経済スライドの調整率というのをマイナスするということで、今〇・四%ぐらいマイナスになっているんですね。

 どんどんどんどん年金がきつくなると、一番ピークで二〇四六年には一・七%もマイナスになっちゃうということで、これは今のまま、政府が出してきた、あんこが入っていない法案であると、二〇五二年までマクロ経済スライドがいっちゃうんですよ。ずっとこれが利いちゃうんです。ずっとこの間、年金受給者の方は、物価が幾ら上がろうともこの率がマイナスされて、実質的には非常に大変なことになるというのが二〇五二年までずっと続いちゃうんですね。かなり坂が急になってまいります。

 ところが、当初政府がおっしゃっていた、あんこのあん、マクロ経済スライドの調整期間を一致する、つまり、厚生年金の勘定、そして基礎年金の勘定を合わせていくということにしますと、二〇三七年で止まるんですよ。つまり、二〇三八年以降は物価スライドになるんですね。物価が上がると同じように年金受給額も上がる、こういう状況になるんですよ、二〇三七年から、あんこのあんが入れば。

 ここは二〇三七年で止めたいと思いませんか、石破首相。

石破内閣総理大臣 手法はいろいろございますが、そういう年金受給の方々にお支払いをする、受け取っていただく年金というものが何とか減らないようにはできないだろうかということで、いろいろな御議論をいただいておるわけでございます。

 ここは手品でもなければ魔法でもございませんので、なかなか、額を減らす、受給額を減らすというわけにもいかぬ、現役世代の方々の御負担をこれ以上増やすわけにもならぬ。そうすると、六十五歳に引き上げるときにもさんざん議論がございましたが、受け取る方々が、働ける方々には働いていただけるということができないものだろうかということで、いろいろな努力をいたしてまいりました。

 そういうものをいかにして組み合わせるかということですが、御指摘のとおり、いかにして年金受給額を増やすかということについては、いろいろな御議論があり、お知恵を賜って、よりよいものにしてまいりたいと考えております。

長妻委員 氷河期世代支援ということで、首相官邸でも開かれましたけれども、年金が抜けているわけですね。就職氷河期世代の方々は、本当にこれからも大変な状況になります。

 私もよく言うんですが、就職氷河期世代の方が世に出るときに、非正規雇用を増やすような、経団連の前身の提言を真に受けて、どんどんどんどん非正規雇用を増やすような労働法制の緩和を自民党がして、今、働く人の四割が非正規雇用になっている。こういうようなことで年金も今傷んでいるわけで、我々は、それを反転させる政策を参議院選挙で打ち出していきたいというふうに考えております。

 立憲民主党は、参議院を中心に、就職氷河期世代の方々、議員が政策をまとめました。就職氷河期、リスタートということで、就職氷河期世代の主な課題は収入、社会保障、雇用形態、住宅ということで、就職氷河期世代支援基本法という法律の制定を目指していこうということです。お金、住まい、自分の時間ということで、三つに分けて政策を打ち出すということで、今、ホームページにも出ております。

 我々といたしましては、氷河期世代の方々の老後については、やはり年金改革をきちっとしなきゃいけない、こういう強い思いを持っておりますので、三度目の正直という言葉もありますから、三月も出さない、四月も出さない、そして五月も遅れに遅れているということではなくて、速やかに法案を出していただいて、そして、きちっとした年金改革を実現していきたいというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。

 そして、最後に、西田議員、参議院の方から、ひめゆりの塔をめぐって発言がございまして、謝罪をされたということですが、ちょっと謝罪になっていない部分もあるんですね。

 自分の言っていることは事実だという前提で今も話しているというふうに謝罪会見でもおっしゃっておられるわけでございますが、これについて、石破首相、率直にどんな感想ですか。

石破内閣総理大臣 これは委員ともかつて議論させていただいたような覚えがございますが、有事法制というものをつくるときに、沖縄戦ということは物すごく念頭にございました。ひめゆりの祈念館は私も訪問をいたしましたし、いろいろな書物も読みました。やはりああいうことはあってはならないことだと思っております。

 ですから、いかにして民間人を戦場に置かないかということが、ひめゆりが一つの原点であったし、沖縄戦が原点であったし、私はその思いを強く持っております。したがいまして、この発言については、私は認識を異にいたしておるところでございます。

 ですから、そこで歴史が書き換えられたとか、そういうような御発言は、私は現場におったわけではございませんので全部承知をいたしておりませんが、報道で知ります限りにおきまして、私は、それは認識を異にするということは申し上げておかねばなりません。

安住委員長 長妻君、時間が来ていますので、まとめてください。

長妻委員 これは、やはりこういういろいろな認識の違いが出てくるのは、石破さんがおっしゃったように、政府がきちっと戦争の総括を国としてしていないんですよ、日本は、ほかの国とは違って。

 それは本当に、極めて重要だというふうに思いますので、有識者会議でそういうことをやるというふうに報道がありましたけれども、是非、私は、少なくとも保阪正康さんも入れて、きちっとした総括をしていただきたいというふうにお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

安住委員長 この際、大西健介君から関連質疑の申出があります。長妻君の持ち時間の範囲内でこれを許します。大西健介君。

大西(健)委員 おはようございます。立憲民主党、大西健介でございます。

 私からは、日米の関税協議、それから物価高対策について質問していきたいんですが、その前に、今、長妻委員から、総理の献金疑惑の質問がありましたけれども、私は、この政治とお金の問題というのは、自民党の体質の問題だと思っています。

 そこで、先日、羽田空港のターミナルビルを運営する日本空港ビルデングが、利益供与疑惑に関する内部調査結果報告書を出しました。子会社で展開するマッサージチェア事業を通じて、自民党の古賀誠元幹事長の長男が社長を務める実体のないトンネル会社に、十年間で総額四億円余りのコンサルティング料名目の資金提供が行われていたということであります。調査に対して、社長は、元衆議院議員の息子で、長年の人間関係もあり、関係を断ち切ることがはばかられたと話しています。

 よく発展途上国とかでは、王族とか大統領の親族のところに利益が流れるような仕組みというのがあるんですけれども、まさか今の日本でこんなことがあるなんて、私は信じられないし、本当に情けないというふうに思います。

 古賀氏といえば、自民党の元幹事長で、岸田前首相や林官房長官が属した宏池会の名誉会長を長く務めた自民党の大実力者であります。本件について、まず総理の所感をお尋ねしたいと思います。

石破内閣総理大臣 この調査報告書におきまして、今回の事案は、空ビルが自ら公表しておりますコンプライアンス基本方針に反するということで極めて不適切だということが確認をされております。

 国交省におきましては、本日、空ビルに対しまして、航空局長名の文書で厳重注意を行った、再発防止の徹底を要請したというふうに承知をいたしております。この会社におきましては、組織自体のコンプライアンス体制の見直し、経営陣の意識改革、これを進めながら信頼回復に取り組みたいというふうに、していただきたいものだと思っておるところでございます。

 この調査報告書を私は全部読んだわけではございませんが、長年にわたる人的な関係があるという理由だけで、特定の人物に経済的利益を得させる目的で恣意的に取引を行うこと自体、コンプライアンス基本方針に反するものというふうに明言をいたしておるところでございまして、このようなことはあってよいとは私は思っておりませんが、事実関係は今申し上げたとおりでございます。

大西(健)委員 今の答弁は、何か会社が悪い、もちろん、やった会社も悪いですけれども、それは自民党の大実力者、元幹事長の息子だから、当然、利益供与したんじゃないですか。ですから、やはり何か会社だけが悪いみたいな今の答弁は、とても私は納得できないというふうに思います。

 時間も限られていますので、日米通商協議の問題について聞いていきたいんですけれども。

 まず、連休中の日本時間の五月二日だったと思いますけれども、第二回の協議が行われました。赤澤大臣は合意に向けて前進することができたというふうに言われていますけれども、果たして本当にそうなんでしょうか。総理は依然日米間には隔たりがあると言われていますけれども、私もそのとおりだと思います。

 パネルの方を御覧いただきたいと思うんですけれども、日本側は、自動車の二五%、それから鉄鋼、アルミの二五%、それから相互関税の一律一〇%とその上乗せ部分の一四%、これら全てひっくるめて見直しを求めていますけれども、しかし、アメリカ側は、どうも対象にしているのは、この赤で囲ってある部分ですね、相互関税の上乗せ部分だけが交渉の対象なんだと言っているんですね。自動車は含まれていないと。

 私は、これを聞いてちょっとびっくりしました。例えて言うならば、日米で一緒にレストランに行って、お互いに料理を出し合って何を注文しようか決めようと言っているときに、メインの料理は別ですよと言われているようなものなんですね。これじゃほとんど意味がない。

 まず、そこで確認をしたいんですけれども、米側が相互関税の上乗せ部分についてのみ例えば先行して暫定合意を求めてきたような場合に、それを受け入れる可能性というのはあるのかどうなのか。首相は民放の番組で、自動車などへの関税は絶対のめないと述べていますけれども、自動車関税抜きの関税は断固拒否する、こういうことでよろしいのかどうなのか。確認をさせてください。

石破内閣総理大臣 詳細は赤澤大臣から答弁を申し上げますが、今委員の御指摘のとおりでございます。そのようなことはのめません。それは日本の方針としてはっきりいたしております。

大西(健)委員 当然だと私も思います。ただ、全く今、何か前進したとは言っているけれども、入口で、全く向こうは自動車は交渉の対象外だと言っているわけですよね。ですから、これはかなり私、今のままでは厳しいというふうに思います。

 一方で、三日の読売新聞だったと思いますけれども、政府関係者によると、赤澤氏は協議でトウモロコシや大豆の輸入拡大を提案したというふうに報じられていますけれども、これは事実なんでしょうか。

 また、ロリンズ農務長官が近く関税協議をめぐって訪日を予定しているというふうに聞いております。まさか相互関税の上乗せ部分のみのために農業で譲歩を迫られるようなことはないと思いますが、これは本当に大丈夫ですか。総理、いかがですか。

赤澤国務大臣 まず、先ほど総理からお話しした内容ですけれども、基本的に我々は、自動車・自動車部品、それから鉄鋼、アルミの分野別関税と、それから一〇%の相互関税を含め、全てについて遺憾であるということを明確に先方に伝え、一連の関税措置について見直しを求めている。そのポジションに変わりがないということは再確認をしておきたいと思います。

 加えて、御指摘の報道については承知をしております。大豆、トウモロコシの輸入拡大を提言したと報道されている、報道については承知しておりますが、先般の協議における議論の詳細については、外交上のやり取りでありますので、つまびらかにすることは差し控えたいと思います。

 その上で申し上げれば、両国間の貿易の拡大、そういったものについて、非関税措置、経済安全保障面での協力などについて議論を深めることができたと考えております。

 今後の協議の内容について予断を持ってお答えすることは差し控えますが、守るべきものは守り、我が国にとって最大限のメリットを獲得するため、政府一丸となって引き続き最優先かつ全力で取り組んでまいります。

大西(健)委員 我々の立場はそのとおりなんですけれども、アメリカは、日本だけを特別扱いしないと言っているんですよね。赤澤さんは前進したと言っているけれども、全然これは入口にも、言い方はちょっと悪いけれども、立っていないと私は思うんです。

 それで、ではロリンズ農務長官は何しに来るんですか。日本に多分農産物の市場拡大を求めに来るんじゃないんですか。ですから、ここはちゃんとはっきりしてもらわないといけないというふうに思うんです。

 農産物に関しては、政府が、日本側の関税交渉のカードの一つとして、ミニマムアクセスの枠内でアメリカ産の米の輸入を拡大する案を検討している、こういう報道があります。米の輸入拡大については、減反に協力してきた農家の皆さんも反発していますし、自民党内からも食料安全保障の観点から懸念の声が多く上がっております。

 米の輸入拡大を交渉カードにするのかどうなのかについて、これは是非総理から、総理、国難と言っている以上、外交交渉ということで逃げないで、テレビを見ておられる国民の皆さんに総理自身の言葉で是非説明をしていただきたいと思います。

石破内閣総理大臣 我が国の自給率が三八というのはよく知られた話で、米は一〇〇%自給いたしておりますので、三八%のうちの二一%ぐらいは米だというふうに承知をいたしております。

 そうしますと、日本が、ここずっと生産調整を行ってまいりました。今も目安という形でお示しをしておるところでございます。そういたしますと、世界がどんどんと米の生産を増やしている。ここ半世紀ぐらいは、アメリカも中国もインドも、米の生産というのは三倍ぐらいにしておりますかね。世界全体で三・五倍ですかね。

 そうすると、日本の米というものをどのように変えていくかという議論は、もちろん、自動車のために米を犠牲にするとか農業を犠牲にするとかそういう考え方は毛頭持っておりませんが、我が国の食料生産というもの、なかんずく米をどうするかという議論は、これから先きちんとしていかねばならないものだというふうに考えております。日本の安全で安心で高品質な米を世界に提供するということも我々は選択肢として考えていくべきではないかということは、議論をさせていただきたいと思っておるところでございます。

大西(健)委員 私たちが聞いているのは、輸出の話じゃなくて輸入の話なんですよね。

 今、総理からは、自動車のために米を犠牲にするというつもりは毛頭ないという話がありましたけれども、我々は何でこんなことを聞くかというと、皆さん思い出していただきたいんですよね。日米貿易協定のときには、米国産の牛肉や豚肉について関税の引下げで合意したのに、それは自動車の追加関税を回避するためにやったんですけれども、結局、結果はどうなっていますか。今、自動車の追加関税をかけられて、日本の方は一方的に牛肉とか豚肉の関税を引き下げているんですよ。そういうことがまた起こらないようにやはりしていただきたいんですよね。

 もう一つ関連して言うと、赤澤大臣は、為替と安全保障については今後も議論の対象になるとは現時点においては考えていないと発言をしていますけれども、これは米側も今後も対象にしないと明確に言ったのかどうなのか、それともこれは赤澤さんの希望的観測なのか、このことについて明確な答弁をお願いしたいと思います。

赤澤国務大臣 まず、為替と安全保障についてお尋ねがありましたので、為替のお話から始めますと、これについては、総理がトランプ大統領と首脳会談をし、共同声明を発表されたその際の会見で、為替については引き続き加藤大臣とベッセント長官の間で話をするということになっております。その扱いがずっと続いているということだと私は理解をいたします。加えて、安全保障についても、為替と同様に議論にはなっておりません。

大西(健)委員 議論になっていないじゃなくて、赤澤さんが会見等で言われているのは、今後も対象になるとは考えていないということですけれども、それは相手もそう言っているのかどうなのか。安全保障については今後対象になる可能性があるんじゃないですか。

赤澤国務大臣 まず、交渉事でありますので、相手方が何かを言うということについては、それは我々が全て予想できるものではもちろんありません。(発言する者あり)

安住委員長 静粛に。

赤澤国務大臣 しかしながら、今までの二回やった協議において、もう三時間以上やっているわけですけれども、先方から安全保障の話というのは全く持ち出されていないわけです。

 そのときに、わざわざ我々の側から、今後も対象にならないでしょうかと聞くようなことはしないわけでありまして、その辺については、万が一出てきた場合についても、私の今お考えを申し上げておけば、これは、安全保障については関税とか通商の問題と違って理屈や物差しというのが全く別であると私自身は理解をしていますので、この場で安全保障の協議をするということにはならないものと考えております。

大西(健)委員 だから、こっちから聞く云々じゃなくて、こういう交渉事というのは、全てのテーマをテーブルの上に全部のったという状態になってからディールしないと、後から後出しが出てきたら話にならないわけですよね。

 例えばですけれども、五月十一日日曜日の日経新聞では、トランプ政権は航空機、部品の追加関税についても検討を始めたという話が出ていますけれども、航空機の部品というのは今まで出ていない話なんですよ。こういうふうに後出し、後出しでやられても話がまとまらない。

 いずれにしろ、私は、米国との交渉においては、後出し要求がないこと、交渉のテーマはこれで全てだということをトランプ大統領までちゃんと確認して、その上で日本側のカードを切らないと、結局、日本側のカードを以前のように食い逃げされてしまうんじゃないかと思いますけれども、総理、首を振っておられますけれども、この点はどうですか。

石破内閣総理大臣 それは、自動車部品とか飛行機の部品の議論、農産物の議論、それと安全保障の議論は次元の異なるものであって、ディールの対象としてそれを出すということ自体が決して正しくないということは向こうも承知の上のことでございます。軍事的な安全保障、経済的な安全保障というものと数量の問題あるいは率の問題、これは分けて考えないと交渉そのものが整合を持たないことになりますし、それは実際に交渉してみれば分かることでございます。

 大臣がお答えしましたように、ところで安全保障の問題はいかがでございましょうかみたいなことをこちらから申し上げる必要はございません。それはそれとして、アメリカの安全保障、そして日本国の安全保障、そのことにつきましては互いに非常に強い意識を持っておりますし、それは貿易と絡めてお話をするというものでは本来ないと思っております。

大西(健)委員 安全保障そのものもそうですけれども、過去は、イージス・アショアを買えとか、そういうこともあったわけじゃないですか。ですから、それも私は後出しというのはやはり注意しなきゃいけないと思います。

 次に、赤澤大臣、会見で非関税措置の見直しも議論したということを述べていますけれども、このパネルを御覧いただきたいんですけれども、トランプ大統領は自らのSNSに、関税以外の貿易上の不正行為、非関税障壁の具体例として八項目を列挙していて、その六番目で、保護的な技術規格、ボウリングの球を使った日本のテストというのを挙げています。しかし、そのような事実は当然ありません。

 また、トランプ大統領は、日本で米国車が一台も走っていないという不満を示して、日本の安全基準などの非関税措置のせいにしていますけれども、アメ車が売れないのは日本の市場ニーズに合っていないからであって、例えばですけれども、一九九六年に、日米貿易摩擦のときに、トヨタがGMからOEMでキャバリエという車を、日本でも大々的にテレビCMして、所ジョージさんがCMして売ったんですけれども、全く売れなかったんですね。こういうことをちゃんとアメリカ側に言っているのか。

 アメリカ車が売れないのは別に日本の非関税障壁のせいではないよということをちゃんと言っているのかどうなのか、これについてお聞きをしたいと思います。

赤澤国務大臣 外交上のやり取りですので、詳細についてつまびらかにすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、私どもから、安全基準については、当然のことながら、安全に関する基準ですので、譲れるところは、譲れるというか、安全について譲ることはできない。それで、非関税の措置についても、どういうところが話し合えるのか、そういう点について協議を続けているところでございます。

大西(健)委員 安全の基準について譲れる譲れないの話じゃなくて、こんなのフェイクじゃないですか。こんなことはおかしいとちゃんと毅然として言ってくださいよ。

 もう一つ、八日、米国と英国が関税措置をめぐる交渉で合意したという発表がありましたけれども、詳細はまだよく明らかになっていません。米国は、イギリス製の自動車に対して年十万台を上限に関税を引き下げる輸入枠を設定し、一方、英国は、牛肉など米国農産物の市場開放を認めるほか、ボーイング製の航空機を購入するという報道があります。

 政府は、速やかに情報収集をして、日本の交渉に生かせるところがあるなら生かしていただきたいというふうに思うんですけれども、英国はCPTPPに加入しています。農産物でもし米国に何らかの譲歩をしたということであれば、場合によっては最恵国待遇の適用が必要になる可能性も出てくると思います。

 折しも、十六日の日に韓国でCPTPPの閣僚会合が予定されています。私は、これは、赤澤大臣が行かれて、イギリスの合意内容についても情報収集するとともにCPTPPの加盟国と連携、結束を呼びかける絶好の機会だと思うんですけれども、赤澤大臣は行かないと聞いているんですけれども、総理、なぜ赤澤大臣を派遣されないんですか。

 総理にお聞きをしたいと思います。赤澤大臣が行くか行かないか、総理がなぜ赤澤大臣を派遣しないのか、お答えください。

石破内閣総理大臣 誰をいつどこに派遣をするかということは、政府全体として考えてまいります。

 委員御懸念のような事態が生じないように、政府として、その場においてCPTPPの連携、結束強化というものがきちんと我が国の意思として伝わるようにこれは努力をいたしてまいりますし、昨日、私、お昼、日曜日でしたが、チリの大統領と随分と長い時間会談をいたしました。CPTPPに加盟しておる国、あるいはこれから加盟を望む国等々ございますが、そこにおいて、万博もございまして、多くの国の首脳とお話をする機会がございます。そこにおいて、CPTPPの重要性、そして加盟しておる国の結束の重要性ということはつとに申し上げておるところでございまして、最もよい判断というものを国内的にもしていかねばならないと思っております。

大西(健)委員 十六日の午前中に閣僚会合があって、今、二国間の会談とかも調整中ということですから、これは、赤澤大臣が行けばイギリスの代表とも話もできるはずなので、私は是非行くべきだと思います。

 政府は、六月のG7、七月の追加関税の発動期間九十日のことも視野に置いて、当初六月中旬までの早期妥結を目指していましたけれども、関税措置に対する米国国内の世論の反発も強いので、米側の出方を慎重に見極めた上で、参議院選公示前後の七月決着を目指す意向であるとの報道が流れております。そこには、高関税措置の回避という政権の実績を選挙でアピールできるという読みもあると言われていますけれども、国益よりも党利党略を優先すれば、それこそ相手に足下を見られることになるんじゃないかと思います。

 一方で、これは長引くと、例えば、トヨタ自動車はこの状況が一年続いた場合には単純計算で一兆八千億円の減益要因になると試算を発表していますが、企業の相談窓口の設置であったりとか資金繰り支援だったりとか、あるいは雇用調整助成金の要件緩和など、万全の措置をやっていただきたいと思いますが、これは、自動車産業への支援、それから家計への支援という意味においても、私は今こそガソリン税を下げるべきだと思うんですね。

 政府は今月二十二日から段階的にガソリン価格をリッター当たり十円引き下げる方針を示していますが、これは、テレビを御覧の皆さん、十円すぐ下がるんじゃないんです。まず五円下げて、そして週ごとに、五週にわたって一円ずつ下げていって、最終的に七月頭頃に十円下がるという話で、私は国民をばかにしていると思いますね。というのは、旧暫定税率というのはもう廃止が決まっているんですから、二十五・一円下げないと詐欺ですよ。

 我々立憲民主党は、一貫して旧暫定税率の廃止を主張して、七月から二十五・一円ガソリン税を減税する議員立法も既に提出をしております。これは野党がまとまれば衆議院で可決することができますので、是非、他の野党の皆様にも、党利党略抜きにして、国民のために是非御協力をいただきたいと思います。

 総理、十円値下げなんてけちなことを言わずに、二十五・一円下げる、旧暫定税率を廃止するこの法案に賛同していただけませんでしょうか。

石破内閣総理大臣 暫定と言おうが、当分の間と言おうが、これを廃止するということは決まっております。そこへ向けて、私どもは国民の御負担を減らすという観点からいろいろな対応をしておるところでございますが、では、その分廃止されました、これは目的税ではございませんが、主に地方のインフラ整備に充てられているものでございます。じゃ、それをどうしますかということも併せてきちんとパッケージとして提示をするということが、私ども、国民に対する責任だ。その認識も、それは御党もお持ちだと思っております。単に廃止するだけではなくて、それによって得られた税収を、主に地方においてどのようにして代替していくかということも併せて是非御議論をいただきたいというふうに考えております。

 そしてまた、八潮の事故もそうでございますが、いろいろなインフラの老朽化というものに対して、これの対応は喫緊の課題でございまして、そういうことも併せて議論をさせていただきたいと考えております。

大西(健)委員 我々は、予算の修正案のときにちゃんとその分の財源も示していますので。

 加えて、ガソリンとエネルギー価格の高騰だけじゃなくて、家計を圧迫しているのはやはり食料品価格の高騰なんですね。五月の食料品値上げは四百七十八品目、平均値上げ率は一五%、五か月連続で前年同月を上回っています。エンゲル係数も四十三年ぶりの高水準ということであります。

 民のかまどから煙が上がっていないのに、政治は本当に何もしなくていいんでしょうか。世論調査では、国民の六割が消費税減税を支持しています。野党だけではなくて公明党からも、食料品の消費減税を求める声が上がっています。また、参議院の自民党の八割は消費税減税を求めています。

 自民、公明両党の幹事長が新たな経済対策をつくるということで一致したというふうに聞きましたけれども、一方で総理は、消費税に関しては、税率引下げは適当でないと発言しています。政府・自民党は経済対策として消費税減税を実施しない方針を固めたという報道もありますけれども、この消費税減税、本当に検討しないんですか。総理、いかがですか。

石破内閣総理大臣 何が一番国民生活の困窮ぶりに対応するのに適切かということの議論は当然しております。そして、一番困っておられる方々はどのような方々なのか、そういう方々にいかにして手厚い支援をすべきかということを考えていかなければなりません。広くあまねく裨益をするということも大事ですが、そのことによって一番困っている方々に手厚い支援が行かないというのは、私は政策の在り方として正しいと思っておりません。

 そしてまた、基本税率をどのように考えるかということ。確かに、食料品に限って税率を下げた国もございますが、そこの税率は二〇とか、そういうような高い税率を設定をいたしておるところでございます。そして、財政事情は、我が国に比べればはるかによろしい国ばかりでございます。

 基本税率が、それを低いと断定をすることはいろいろな議論がございましょうけれども、他国に比べて低い、そしてまた財政状況は極めてよろしくない、高齢化が物すごく進んでいるという国、我が国におきまして、どうすれば一番困窮しておられる方々に手厚い措置ができるかということを念頭に置きながら、あらゆる可能性を議論はしておる、当然のことでございます。

大西(健)委員 検討するんですか、しないんですか、はっきり言ってください。

 我々も、食品に限って、原則一年に限ってゼロ%に引き下げて、その後、所得の額等に応じて給付若しくは税額控除を行う給付つき税額控除に移行するという案を提示しています。

 野田代表も、財源のない無責任な減税には、石破総理同様に反対です。一方で、将来にツケを回すべきではないけれども、今生活が苦しい皆さんに何にもしなくていいのか。あくまで緊急の対応として、財源も手当てした上での責任ある減税というのを決断しました。原則一年、最長二年であれば、恒久財源でなくても、ワンショットの財源で対応が可能です。

 我々は、予算審議においても、省庁別審査などを通して、基金の積み過ぎ約七・八兆円ということを始め、既に具体的な財源もお示ししています。今、詳細を検討していますけれども、是非、ちゃんと財源も示していきたいと思います。

 パネルを御覧いただきたいと思うんですけれども、別に我々の言っていることは何もとっぴな話ではなくて、世界中の国々でやられている話なんですね。例えば、食品にゼロ税率を適用している国としては、英国、カナダ、オーストラリアなどがあります。それから、フィリピンとかタイとかインドネシアとか韓国、こういった国では、食料品は非課税になっているんです。ですから、これは別に何にもとっぴな話ではありません。

 それから、パネルにはありませんけれども、配付資料の新聞記事にあるように、リーマン・ショックやコロナ禍への対応として一時的に消費税減税を実施して、元に戻したという国も、これは多くあるんですよ。ですから、雨が降ったら傘を差す、雨がやんだら傘を畳む、これは当たり前のことなんです。

 石破政権は、雨にぬれて震えている国民に対して傘を差さないんですか。何にもしないんですか。ここははっきり、さっきも言いましたけれども、検討するのかしないのか。さっきもはっきりしないんですよ。はっきりさせてください。

石破内閣総理大臣 先ほどもお答えしましたが、食品に限って税率を下げた国の基本税率は幾らですか。二〇ではありませんか。そこにおいて、財政事情はどうですか。いいとこ取りだけの議論をしていいと私は全く思っておりません。

 そういう話ではなくて、いろいろな選択肢の中で、今御党が御主張の、食料品に限って、短い期間に限って減税をするということが本当に一番困っておられる方々に措置することになるのか。私は、多くの方々に受けるということも大事かもしれません、しかし、もっと大事なのは、本当に困窮しておられる方々に手厚い措置をすること、そして、次の時代にも責任を持つということ、そうでなければならないことでございますので、全く検討していないなぞということはございません。

 そして、雨にぬれている人に傘を差さない、そのようなことがあっていいはずはない、そんなことは私どもも当然承知をいたしております。国に責任を持つ、次の時代に責任を持つということが政治のあるべき姿であって、それこそ党利党略でやってよいことではない。党利党略でこのようなことは決めるべきものでは全くございません。

大西(健)委員 結局、じゃ、検討するんですね。今、検討しないわけではないみたいなことを言いましたけれども。

 それから、本当に困っている人にと言うけれども、じゃ、何をやるんですか。現金給付は消えたんでしょう。それから、岸田減税をやりましたけれども、ああいう減税と給付を組み合わせたやつ、あれもなかなか難しい。結局、じゃ、何をやるんですか。それをはっきり言わないし、人の案ばかり批判して、自分はやるかやらないかもはっきりしない。総理なんですから、総理が決めればできるんですから、もう評論家みたいなことを言うのはやめてください。

 私は党の税調会長ですけれども、我々も、かんかんがくがくの議論をして、それこそ、悶絶して七転八倒して時限的な食料品消費税ゼロを決めました。自民党は、財源論を置き去りにして減税を打ち出す野党は無責任と批判していますけれども、さっきから言っているように、我々はちゃんと財源は示します。置き去りなのは、財源じゃなくて、国民の生活じゃないですか。無責任なのは、決められない石破総理であって、物価高に対してガソリン減税も消費減税も何にもしないという自民党の方じゃないんですか。いかがですか。

石破内閣総理大臣 これは、この場における議論というのは何なんだろうかということになりますが、私、何度も申し上げていますが、お一人二万円から四万円の所得税減税、世帯当たり三万円にお子さん一人当たり二万円を加算する低所得者向けの給付金、住宅税非課税世帯以外の方も対象とする給付金、学校給食の無償化、それらを実現するための重点地方交付金、そして、一定期間の育休給付への手取りのこれまでの八割から十割への引上げ、高校生一人当たり十一・八八万円の高校無償化の支援金の収入要件の撤廃、そういうことをやっているじゃないですか。何で、何もしないというふうにあなたは決めるんですか。そんなことはありません。

 予算審議の過程において、そういう方々に対して政府としていろいろな措置を講じてきた、そういうものを等閑視して、全く見ないで、何もやらないという決めつけは、私は議論として適当だと全く思いません。

大西(健)委員 それは今まで決めたことじゃないですか。だって、それじゃ足りないから、自民党、公明党は新たに経済対策をすると言っているんでしょう。

 じゃ、何をやるんですか。現金給付をやるんですか。じゃ、何をやるんですか。我々はこうやって案を示しているんです。ですから、人の案にけちをつけるんじゃなくて、自分たちの案をちゃんと早く示してくださいよ。消費税検討するのかしないのか、はっきりさせてください。私たちは、参議院選挙で、先ほど来出ている、裏金、金権政治、是か非か、あるいは消費税減税、是か非か、国民に判断してもらおうと思っています。是非選挙で決着つけようじゃないですか。総理、いかがですか、これ。

安住委員長 間もなく時間ですから、総理の答弁で終わりにしたいと思います。

石破内閣総理大臣 それは、これから議論を幾らでもいたしてまいります。

 私たちは、まず、こういう補正予算、そして本予算、これを成立をさせていただいて、そういう執行がこれから先、早急に行われていくところです。そして、物価上昇を上回る賃金上昇ということで、三十三年ぶり、今年の春闘もよい結果が出ております。

 そこにおいて、じゃ、食料品に対してどうしていくのだ、米をどうするのだ、ガソリンをどうするのだということは、これから先また説明をしてまいりますが、私どもとして、きめ細かい対策が必要なのであって、広くあまねくやるということよりも、本当に困っておられる方々にきちんとした支援が行うことができる、そして、次の時代に責任を持つ、ワンショットではない、そういう財源をきちんと用意していかねばならないし、そして、事業者の負担というものもよく考えていかないといけないということでございます。

 そういうことを併せてこれから先も議論させていただくのであって、何もしないなぞということは全くございません。

安住委員長 時間が参りましたので、もう終わります。

大西(健)委員 終わります。是非……

安住委員長 終わり。

大西(健)委員 評論家みたいなことを言うので。やってください、よろしくお願いします。

安住委員長 これにて長妻君、大西君の質疑は終了いたしました。

 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 日本維新の会の斎藤アレックスでございます。

 本日は、トランプ政権の関税に関する交渉や経済対策について、会派を代表して、石破総理と赤澤大臣にそれぞれお伺いをしていきます。

 米国と日本との二国間関係は日本にとって最も重要な二国間関係であるということは、これは戦前から変わりません。日本の地政学上の現実でございます。しかし同時に、日本は米国にとっても重要な同盟国であるということも、これも客観的な事実でございます。

 日本としても、米国からの要請には真摯に応じていく、対話をしていくということは大前提でございますけれども、日本としては、日本はアメリカ合衆国の属国ではありませんから、アメリカの今回の関税措置が不公正なものであるということもしっかりと申し上げていかなければならない、これもまた事実でございます。

 ゴールデンウィークに、日本維新の会は、前原誠司共同代表、また杉本国際局長、藤田前幹事長と私の四名でワシントンDCを訪ねまして、アメリカ政府や米上下院の議員、そしてシンクタンクや、また日本企業の駐在員の方々と様々な意見交換をさせていただきました。その中で、我々からも日本の立場を申し上げるとともに、アメリカがどのようなことを日本に期待をしているのかということも意見を聞かせていただきました。

 その中で一つ興味深かったのが、アメリカ国内では、中国との関税の応酬の結果、スーパーマーケットから商品がそろそろなくなってしまうのではないかということが危惧をされているという話が大変印象深かったです。アメリカの一般の消費者が買物をするウォルマートのようなスーパーでは、約四割が中国製品ということでございますから、そろそろ在庫が切れて商品が棚からなくなるのではないかということも言われていて、大変この関税の影響はアメリカ国内にも大きいということが、うかがい知ることができました。

 まとめまして、日米関係は日米両方にとって重要ですし、ただ一方で、今回の関税措置は大変不公正なものであると同時に、またアメリカの経済にも大きな悪影響を及ぼすということでございますから、こういったことを前提に、まず石破総理大臣にお伺いしたいんですけれども、この交渉を通じて日本は何をかち取ろうとしているのか、どういったことを目標とされているのか、そのことをまず端的に明らかにしていただきたいと思います。

石破内閣総理大臣 それは、日米が協力をして、いかによい製品を作っていくか、どちらかが得をしてどちらかが損をしてということではなくて、共に協力をしながら雇用を生み出し、お互いの雇用を維持し、拡大しながら、より品質の高いものをよりリーズナブルな価格で、納得できる価格で世界に出し、そして世界の人々の福祉を向上させるということではないんでしょうか。どっちかが得してどっちかが損するというような関係では私どもはないと思っております。

斎藤(ア)委員 ちょっとお答えがよく分からなかったんですけれども、関税の撤廃を求めるということでよろしいんでしょうか。それはそうですよね。ちょっとそのことをまずお伺いしたかったんですけれども。

 その上で赤澤大臣にお伺いをしたいと思いますけれども、あくまで関税の撤廃を求めるということで、今、ベッセント財務長官、またグリアUSTR代表と交渉を行っているということを承知をしております。交渉事で、今すぐ交渉を終わらせたいのであれば相手の言うことをそのままのめば交渉は終わるわけでございますけれども、日本としてもそういったことは受け入れられないわけでございますから、様々な交渉を行っているわけでございます。

 先日、米英が合意に至りましたし、また米中に関しても本日何らかの合意の内容が発表されるということがアメリカ、中国双方から発信をされています。どういった米中の合意内容なのか全く現時点では分かりませんし、それぞれ置かれている状況は異なりますが、果たして日米の交渉はうまくいっているんだろうか、日本が求める公正な妥結に向けて協議は進展しているんだろうかということは日本国民が大変関心を持って見詰めているところだと思います。

 赤澤大臣にお伺いしたいのは、日本としては関税の撤廃を求めているわけでございますけれども、今回の交渉の中で交渉の議題に関税を下げるということが本当に上がっているんでしょうか。何か外からうかがっていると、日本とアメリカ、それぞれの立場をお互い説明しているだけで、具体的な交渉は本当に進んでいるのかと疑ってしまうというか不安になってしまうんですけれども。日本が求める関税の引下げ、特に自動車関連ですけれども、こういったところの引換えとしてこういったことをやるという、そういった関税の引下げはちゃんと議題に上っているのかということについてお伺いをさせていただきたいと思います。

赤澤国務大臣 まず、これも繰り返しになるところはありますが、自動車・自動車部品あるいは鉄鋼、アルミ、それから一〇%の相互関税を含め、全てについて我々も遺憾であるということは伝え、一連の関税措置は見直してくれ、撤回してくれということをきちっと先方に伝えてあります。

 その上で、いろいろな議論になりますが、なかなか外交上のやり取り、詳細は申し上げられないんですけれども、前回でいえば百三十分にわたって意見の応酬をしているわけでありまして、その間、お互いの立場を説明しているだけで、なかなかそれだけの時間がたつということはないということも是非御理解いただきたいと思います。

 私どもとしては、申し上げた立場を譲ることなく、米側に対していろいろな話をさせていただいているということであります。

斎藤(ア)委員 合意の仕方にもいろいろな形があると思っております。英国との、イギリスとアメリカ間の合意、あるいは今日発表される中国とアメリカとの合意が参考になると思いますけれども、詳細に様々な条件をきっちり決めるということは冒頭必ずしもないと思っております。大枠で合意に至って、まず関税を引き下げていただいて、その中でアメリカにも利益のある形で合意を更に詳細に詰めていくということも可能だと思いますので、アメリカとイギリス、アメリカと中国との合意内容というものも詳細に研究をしていただきながら、また交渉をしっかりと進めていただきたいというふうに考えています。

 さて、交渉をしっかりと行っていただくことがまず重要でありますけれども、今後の交渉の進展を見通すことはやはり難しいと思いますから、日本国内経済への悪影響や現下の物価高に対する経済対策というものをしっかりとすることが重要だと、我々日本維新の会もそのように考えております。

 当委員会の関心事の一つでもありますけれども、先ほどの質疑のやり取りでもありましたけれども、石破内閣が経済対策を行う気があるのかないのかということをまずお聞きしたいというふうに思います。

 やると言ったりやらないと言ったり、政府・与党内からのメッセージが二転三転してよく分からない状態になっているなと私も感じています。

 先週七日の自公の幹事長会談では参議院選に向けて経済対策を打ち出すことで合意をされたとのことでございますけれども、なぜ今やらないのでしょうか、なぜこの国会で補正予算を組んで経済対策を行わず、参議院選挙で提示をするということを行うのでしょうか。

 国民が求めているのは、言うまでもなく、選挙対策ではなくて、物価高対策や経済対策だと思いますけれども、この国会でそれをやらない理由をお伺いしたいと思います。

 赤澤大臣には聞いていないですよ。総理大臣に聞いている。

石破内閣総理大臣 それは決めつけの議論ではないですか。私どもがいつ経済対策をやらないと言いましたか。

 そして、申し上げているとおり、御審議をいただいた令和七年度予算、これを今執行中でございます。その中身につきましては先ほど答弁を申し上げたとおりであって、そういうことをきちんとやっていく。そしてまた、物価高対策にいたしますれば、ガソリンの値段というものを引き下げていく、これが実現をすれば、少なくともウクライナ侵攻以前の水準にはこれは戻っていきます。そして、米対策というものも、備蓄米の放出というものが、今なお米価が高いという状況でございますから、これは何としても下げるということでございます。

 予算を着実に執行しつつ、私どもとして、物価高対策というものをきちんと講じながら、国民生活の安定に寄与していくというのは、政府として当然のことでありまして、これは、何もしていないという決めつけ、印象操作というようなことは、私はこの国会審議自体を冒涜するものだと思っております。

斎藤(ア)委員 総理、冒涜はしていませんけれども。補正予算を組んで経済対策をすべきだということを申し上げているのであって、それをやるのかやらないのか。それをやらずに経済対策は参議院選挙に打ち出すというような報道が出ているから、今それを、じゃ、したらいいではないですかということを申し上げているのであって、政府が何もしていないと申し上げているのではないので、そこは逆に、曲解して、私を批判するのはやめていただきたいと思います。

 こちらは、日本維新の会が提案して、官邸にも申入れをさせていただいた経済対策の概要になります。

 今、日本維新の会は、自民党、公明党さんと、三つの政策協議を行わせていただいています。そのうちの二つが、この中にも書かれていますけれども、社会保険料を引き下げるべきだ、そういった協議を今やらせていただいていますし、また、ガソリン減税をすべきだということで、こちらも今協議をさせていただいております。加えて、我々も食品の消費税ゼロ、これは我々の方が先に打ち出したんですけれども、これも盛り込ませていただいているものになります。

 短期的な対策とはいえ財源が必要になりますので、全てを一度にするというのは難しいのかもしれませんけれども、現下の物価高の状況を踏まえて、しっかりとこの中のものを検討していただく、やっていく、そういったことは是非改めてお願いをしたいというふうに思っています。

 しかも、先ほどもありましたけれども、ガソリンの当分の間税率は、こちらは廃止をするということが決められているわけでございますから、今、私も交渉のメンバーとして自民党、公明党さんと交渉をさせていただいていますけれども、維新からは、この夏に、当分の間税率の廃止、ガソリン減税を行うということをやってくれということを申し上げていますけれども、なかなか自公さんと目線が合っているというふうには感じていません。

 ちょっと二つ一気に質問させていただきたいんですけれども、本当に当分の間税率をなくしてガソリン減税をするつもりが政府・与党にあるのかということを改めてお伺いしたい。特に、この夏に経済対策、物価対策としてやりませんかということを一つお伺いをさせていただきたいのがありまして。

 そして、もう一つちょっと併せて総理にお伺いしますけれども、社会保険料を下げる改革というものを日本維新の会として今全力を注いでやっているところでございますけれども、こちらの協議も、自民党、公明党さんの担当者の方が極めて後ろ向きであると言わざるを得ないというふうに思います。

 社会保険料を下げる、国民、特に働く人たちの負担を下げて給料を上げるという意味でも大変重要な改革だと思うんですけれども。こちらも予算に我々が賛成したときの合意の中に含まれていますけれども、増え続ける医療費を削減して働く人たちの負担軽減をしていくという、この社会保険料を下げる改革、こちらは本当に、やらないんですか。

 やるかやらないのか、そういったことを、骨太の方針をこれからまとめていくタイムリミットが迫っていますけれども、社会保険料を下げる改革、やらないんですか、ガソリン減税、やらないんですか。そのことを総理からお伺いをしたいと思います。

石破内閣総理大臣 ガソリン減税は、元々暫定税率廃止ということになっているわけですから、これをやらないなんぞという詐欺のようなことはいたしません。

 そしてまた、社会保険料をいかに減らしていくかということにつきましては、その手法をどうするかということでございます。

 御党がかねてから御主張の、OTC、こういうような医薬品に対して、それをいわゆる一般の薬店で、薬屋さんで求めるということは、それは一つのアイデアでございます。そのことによってどれぐらいの負担を国民の皆様方にお願いすることになるかということを、責任をお持ちの御党のことですから、必ずお示しになるものだと思っております。

 そして、暫定税率については、それによって、目的税ではございませんが、地方のインフラ整備がどうなるのだということを、地方公共団体からは懸念の声が上がっているのであって、そういうものにどう応えていくかということについて、よく議論をして答えを出していきたい、出さねばなりません。

 暫定税率は下げます。社会保険料も減らしていきます。その手法について、維新の会さん、私ども与党と一致点を見出すという努力をこれからもさせていただきます。

斎藤(ア)委員 ガソリン減税の方は、これは早くやっていただきたいということに尽きますけれども。

 社会保険料を下げる改革については、これは国債を発行して社会保険料を下げるということでは全くありませんので、しっかりと改革を行って、責任ある形で社会保険料を下げていく。その中の一つのテーマとして、OTC類似薬の保険適用除外というものを我々申し上げているわけです。お叱りを受けることもありますけれども、少しの不便を国民の皆様に分かち合っていただいて、そして社会保険料を下げていくということが、医療費、医療全体を支えていく、維持していく上でも大変重要なことだと考えていますので。

 今、社会保険料を下げるということを総理がおっしゃっていただいたのは大変勇気づけられる発言ですけれども、それをしっかりと現場に下ろしていただいて、タイムリミットというか、国会はもうすぐ閉まってしまいますので、骨太の方針にしっかりと何か書き込むであったり、社会保険料は下がるということを国民に示せるような改革というのを求めていきたいし、できれば、もう一度お示しさせていただきますけれども、時限的な、社会保険料を下げる改革を、これをするんだということを決めた上で、前倒しで社会保険料を下げていくという、経済対策という打ち方も是非検討いただきたいと思いますので、その点は日本維新の会としても引き続き求めていきたいというふうに考えています。

 それで、大分時間がなくなってきましたけれども、こういった経済対策、物価高対策を行っていくことが大変重要だと思いますけれども、何よりも重要なことは、やはり日本の経済を強くしていく、成長させていく経済政策だと我々日本維新の会は考えています。何よりも物価上昇を上回る賃上げを実現をしていかなければならないので、そのためにも、社会保険料を下げることが必要だし、賃上げ促進政策や最低賃金の引上げは重要だと思います。

 また、過去三十年間、日本の国内設備投資というのはほとんど増えてこなかったわけです。この数年やっと上がり始めましたけれども、国内の設備投資を増やさなければ競争力は取り戻せませんので、国内の設備投資を促進する施策も大変重要になります。

 生産性を上げるために、大学改革を行ったり、リスキリングへの大幅な投資を行ったり、また規制緩和を行うということも必要だし、そういった骨太の経済政策をしっかりと進めていって、日本の経済が成長するんだ、GDPは増えるんだ、一人当たりの所得も増えるんだ、そういったことを国民の皆様にしっかりとお示ししていくことが大変重要だと考えておりますので、日本維新の会としてもそれを取りまとめをさせていただいていますし、政府の方には、財政が厳しいのもそうですけれども、余り悲観的なことばかりを発信するのではなくて、日本の経済は強く、成長していくんだということを、プランをしっかりと示していく、その共創を我々日本維新の会としてもさせていただきたいと思いますけれども。

 時間が限られていますので、ちょっとこれは質問は飛ばさせていただいて、最後に、教育の無償化の協議に関する質問をさせていただきたいというふうに思います。

 高校の無償化を含めて、〇―二歳の保育料の負担軽減、また給食費の無償化などについては、予算の、我々維新が賛成をするときの交渉の中で実現をした政策でございます。

 先週、一か月ぶりに、自民党、公明党、日本維新の会の教育無償化に関する協議が開かれました。早く具体的な制度設計を行って、それを子育て世帯や進路選択を行う子供たち、また募集要項を今作っている学校に早く示していかなければならない中で、早く論点整理と協議の実施を我々から自民党、公明党さん、政府に求めていたんですけれども、残念ながら少し後ろ倒しになってしまっているなということを感じています。ここに来て、政府・与党も焦り始めたのですかね、今週は二回、二日連続でこの協議会を実施することになりましたので、それはいいんですけれども。

 特に高校の無償化に関しては、新たな制度をつくるという形になりますので、学校と保護者そして子供たちに早く、新しい就学支援金の制度がどういったものなのか、どういった学校が対象になるのか、どういった範囲で支給をされるのかということを早く示していかなければならないというふうに考えております。

 これは総理に認識を確認をさせていただきたいんですけれども、協議会の場でいろいろお話をさせていただいている中で、今月末をめどに、高校無償化については、就学支援金の支給額であったり支給対象であったり、また便乗値上げを防ぐ方策など、こういった制度設計の根幹部分について三党合意を得て、国民に示していくということが必要ではないかという認識をしているんですけれども、総理の方でも、そういったタイムスケジュールでしっかりと制度設計を示していかなければならないということで進めていただけるのか、その点、確認をさせていただきたいと思います。

石破内閣総理大臣 おっしゃるとおりです。

 与党と維新の会との三党の合意文書におきまして、いわゆる高校無償化については骨太方針二〇二五の策定までに大枠を示すということになっておりますので、これを踏まえまして、今委員御指摘のような論点について議論が行われているということでございます。

 その三党の合意というものは非常に重要なものでございまして、委員御指摘のようなスケジュール、認識かと思っております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 協議会、これから更に加速をさせて制度設計を行って、対象であったり額であったり、額はおおむねもう決まっていますけれども、そういったところを早く学校と保護者と、そして進路選択を行う子供たちに示していけるようにしっかりと行っていきたいと思っていますので、その点も重ねてお願いをさせていただきたいと思います。

 少し最後に併せて確認をさせていただきたいんですけれども、大学改革、これが極めて重要だと我々日本維新の会も考えております。特に、これまでゼネラリストを育成する文系教育、文系の学生というのが多かったわけですけれども、ITやデジタル化に向けて、科学技術や、また様々なテクノロジーを学ぶ、そういった教育を主体にしていくべきだとも考えております。

 その中で、一つ、少しとっぴに聞こえるかもしれませんけれども、御提案、お尋ねをさせていただきたいのが、今、アメリカの大学が様々政権からプレッシャーを受けて、若手の研究者を中心に、海外に転籍をしたい、検討しているという方が大変増えているようでございますけれども、日本の研究力を高めるためにも、大っぴらに何かアメリカから来てくださいというのは変かもしれませんけれども、米国から優秀な学者に日本に来ていただけるような環境整備をしていく、プログラムをつくっていく、そういったことは私は日本の大学の質の向上に向けても大変有益なことなのではないかなと思いますけれども、そういったことを検討される余地はあるのか、総理にお尋ねをしたいと思います。

石破内閣総理大臣 アメリカの状況は今御指摘のとおりでございますが、アメリカに限りませんが、優秀な海外研究者を招聘するということにつきましては、国際卓越研究大学への支援を始めとして、東北大学がそうでございますが、今後、東京大学、京都大学あるいは大阪大学等々に拡大をしていくのかもしれませんけれども、優れた研究環境と高い研究水準を誇る世界トップレベルの研究拠点の整備を通じて取組を進めてまいりたいと思っております。

 優秀な海外研究者の招聘も含めました研究力の強化には、五年間で千五百億円規模の支援をいたします。国立研究開発法人を始めとした研究機関における取組、これも支援をいたしてまいりまして、政府一体として、海外の優れた人材を招聘する、それは国内のレベルアップにも当然つながることでございますので、御指摘を踏まえて政府として努力をいたしてまいります。

安住委員長 斎藤君、間もなく時間なので、まとめてください。

斎藤(ア)委員 では、物価高対策、経済対策を含めて、是非、柔軟に、臨機応変に対応していただきたいと思いますので、そのことを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

安住委員長 これにて斎藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、村岡敏英君。

村岡委員 おはようございます。国民民主党、村岡敏英です。

 今日は、予算委員会での質問をさせていただきます。

 総理、総理が何もやっていないというので、多少興奮していらっしゃいますけれども、冷静にいってください。森羅万象、何事も、総理大臣は全ての責任を持っているという覚悟でやられていると思っておりますので、是非お願いいたします。

 その上で、まず初めに、エネルギーの安全保障。そして、総理が施政方針演説で言われていたエネルギーは自給率が低い、自給率が低いのを再生可能エネルギーで高めていく、それを地方で活性化につなげる、創生につなげるということをおっしゃっています。

 その上で、実は、五月二日に私の地元秋田で、風力発電のブレード、羽根の事故があり、八十一歳の男性が亡くなりました。本当に痛ましい事故です。心からお悔やみを申し上げます。

 この安全性に関し、しっかりと、秋田市長である沼谷市長も経済産業省の方にもう既に申し入れていると思います。この安全性をこれからどう進めていくかということをお聞きしたいと思います。

 それとともに、あわせて、この再生エネルギー、大きな洋上風力というのはその中でも切り札になるということを総理がおっしゃっています。秋田、銚子沖を始め、三つのところで洋上風力が、入札し、落札しました。その民間会社、採算がなかなか合わない、今のところ五百億以上の赤字になっている、ゼロベースでもう一度見直すということをおっしゃっています。

 そうなると、なかなかこの総理の言っていた方針のとおりに今進んでいっていない、これをどういうような解決の方向に向かっていくのか、総理の見解をお聞きしたいと思っています。

武藤国務大臣 まずもって、委員の御地元で今回事故でお亡くなりの方に、私からもお悔やみを申し上げたいと思います。

 今委員から御質問ございましたので、風力発電を始めとする再生エネルギーを最大限導入するに当たっては、安全確保は大前提であります。

 その中で、経済産業省では、今回の事故発生後、直ちに、風車の設置者に原因究明そして再発防止等を指示をしたところであります。現地に職員を派遣して原因究明を今進めているところでありますけれども、原因究明を踏まえて必要な安全対策を講じていきたいというふうに思っているところです。そしてまた、メンテナンス事業者が事故と同型の全ての風車の緊急点検を今進めています。経済産業省からも、風車の設置者に対してこの緊急点検への協力を要請しております。引き続き風車の安全確保に万全を期していきたいというふうに思います。

 また、一方で、世界的なインフレなどの影響を受ける中で、洋上風力の推進には計画された事業が完遂されるための環境整備が必要となってきています。これが重要でございまして、このため、入札後の物価変動リスクに対して価格調整をする仕組みを導入するなど、公募制度の見直しを行ってきているところです。

 秋田県の洋上風力事業は、重要な部品を地元企業が開発する、まさにこういう方針を示され、新工場も建設するなど、地方創生に資する一つのモデルケースとなっていることを承知しているところです。秋田のように地方創生に寄与する形で洋上風力の導入拡大が進むよう、企業の設備投資などを積極的に支援をしながら、国内に強靱なサプライチェーンを構築していきたいと思っています。

石破内閣総理大臣 ただいま経産大臣からお答えをいたしたとおりでございますが、これは特に秋田で大変な御努力をいただいておるわけでございまして、物価高騰あるいは賃金の引上げ等によりまして、なかなか従来のような整備が難しくなっているということはよく承知をいたしておるところでございますが。

 昨年十一月の経産省の審議会におきまして、大規模、長期投資を要する洋上風力事業へのリスクに対応できますように公募制度の見直しを行ったところでございます。

 ですから、単価が上がる、労賃が上がる、したがってこれはもうやめましょうかというお話、エネルギー政策は長期にわたるものでございますので、地方創生の観点も含めまして、この風力発電、洋上風力発電というものにも更に力を入れてまいりたいと考えております。

村岡委員 総理、そのとおり、エネルギーの自給率が低い日本にとってこの再生可能エネルギーは大切です。しかし、安全で自然環境にも配慮して、そして秋田県も推進しておりますので、そこは是非政府としても協力をいただきたい、このように思っております。

 次の質問に移ります。

 ちょっと順番を変えて、今、国中で一番注目されているのが米価であります。米が非常に高いという状況の中、どの消費者も大変な思いをしている。子育ての方も高齢者の方も、そして学校給食、病院そして福祉施設。これだけ米が高いと本当に米を買えなくなってしまう。農業者にとっては、今までなかなか、米が安い値段でコスト割れしている、そういう状況から、値段がやっと上がったと喜んでいる部分もありますが、しかし、ここまで高いと米離れが始まってしまう、これも危惧しているところであります。

 そこでなんですが、備蓄米、もう既に三十一万トン拠出しています。しかし、十七週連続値段が上がっている状況。やはり、ここは責めるわけではありませんが、需給の見誤りがあったとしか考えられない。そういう中でいくと、そこを反省して、値段を落ち着かせる、それとともに、総理が言っている、農家を支えるのは直接補償、そして価格は消費者が安心して買える値段、このことをしっかりと実行していくための農業政策をするべきだと思っておりますが、総理はどのように思いますか。

石破内閣総理大臣 これは、御尊父からいろいろな教えをいただいた時代も含めまして、四十年間議論をいたしてまいりましたが、米の値段が下がっていいと言う人は誰一人いなかった。これは与党から野党に至るまで、全員がそうだったと思います。

 そして、米の生産が随分と落ちてきた。そして、農家の数も減ってきた、農地の数も減ってきた。私は、今回のいろいろな状況というのは、もちろん目詰まりを起こしているということもございますが、米の生産というものがそもそも少なくなってしまったのではないだろうかということに、そのことを議論していかねばならないと思っております。

 それによって、仮に米価が下がるということがあったとしても、農家の生活が困らないためにはどうすればよいのか。キーワードである、再生産を可能にするというのがキーワードですが、どなたの再生産を可能とするのか。そして、農地を出した農家の方々が所得が増えるというためにはどのような策を講ずるべきかということであって、米の値段を下げることは一切許さぬという議論は私はもう一回見直してみるべきだと思います。

 それによって、農家の所得がきちんと確保できるということを見通していき、そして食料生産というものが世界に向けても貢献するというような話を今こそするべきだと思っております。米の重要性についての認識は恐らく委員と同じだと思っております。

村岡委員 農水大臣も経験されていますから、現場もよく知っておられるので、認識的には一緒です。

 しかしながら、今現在、十七週連続米の値上がりがあって、平均で四千二百三十三円というふうになっております。そして、私もそれぞれ都内のスーパーや米屋に行ってまいりました。その中で最も高いと思って見たのが、一キログラム千四百円というのがあるんです。七千円です、五キロで。これは買えないですよ。本当に上がっているところのやつをしっかりと政府が見ていかなければならない。

 そして、お米の値が上がったのが、地元に帰ると、農家やそして農協のせいにしているような新聞や雑誌がある。そんなことはないんです、これは。全くそれはないです。

 そして、生産の増産というのは、総理が先ほど減反をやってきたと言いますけれども、この減反政策というのは政府の方針でやってきたんです。そして、これから増産するとすれば、飼料米の水田をどうするのかということをしっかり考えていかなきゃいけない。そうすると、飼料が足りなくなる、飼料を今度はしっかり確保しなきゃいけない。

 そういうことを考えながら、余りにも高いのを抑え、そして、農家の所得が下がらないように直接支払い、所得補償ということも考えていかなければならないと思っておりますが、総理もそれに賛同していただけますでしょうか。

石破内閣総理大臣 それは、私、農水大臣のときにさんざん議論もし、レポートも退任する日に出しました。それをお読みいただければありがたいのでございますが。

 要は、所得補償というものをどなたに対して行うのだという議論でございます。それは、のべつ幕なしに行うということではない。価格は市場によって決まるのだ、しかしながら、所得は政策によって確保していくのだということを、口で言えば簡単なことなんですけれども、それをどうやって両立させていくかということを考えたときに、どうしても人口は減る、高齢化は進む、消費は減る、でも生産はもっとしなければならない。

 そうすると、販路を外国に求めていかねばなりませんが、マーケティングなしの販路拡大なんてあり得ませんので、それをどうやってやっていくか。サキホコレであろうが何であろうが、世界に通用するものはいっぱいあるはずだが、いいものだから食べてちょうだいだけではマーケティングになりません。

 そういうことを合わせて、日本の米を守る、農業を守るために、新たな施策を展開をするための議論を賜りたいと思っております。

村岡委員 農家の方々、もう高齢化になっています。農業をしっかり政府が、食料の安全保障は大事なんだということがなければ、農家はどんどん離農するということを、しっかりこれを認識していただきたいと思います。

 そこでなんですが、トランプ関税の中の農業。昨日、民放のテレビで、私は記事しか見ていないので、テレビを見ていなかったんですが、何か米の輸入拡大を総理が言ったと。それはMA米だけの話の中なのか外なのか、よく分からないんです、記事では。どのような発言だったんでしょうか。

石破内閣総理大臣 私は報道でしか存じませんが、MA米の、つまり、自分でしゃべっておいて何なんだという話になりますが、そういう報道を見たので、違和感は持ったのですけれども。輸入米を食用に拡大する、つまり、MA米は食用とは隔離をしてございますので、そういう部分が食用になるべく回らないようにというふうにいたしてまいりましたが、そのことについて、今、消費者の方々が大変にお困りであるということをどうやって対策を打つかということの中の一環でございます。そこにおいて、MA米の枠を拡大をするとか、そのようなことは申し上げておりません。

村岡委員 それは、そういうことを話していないという認識でよろしいですね。

 それでは次に移りますけれども、農業問題の中で、決して関税交渉の中で米を始め農産物を犠牲にすることはないということを先ほど言いましたので、それはもう一度確認させていただきたいと思います。

石破内閣総理大臣 それはございません。農業を犠牲にして自動車産業がよければいいということではございません。

 ただ、例えばトウモロコシというものを考えたときに、エタノールとして使うということはどうなんだいと。つまり、食用に回るわけではございません。これから、そういうバイオ燃料というものの使用というものは拡大をする、これは国策に合致するものでもございますし、日本の国がトウモロコシ栽培に絶好の立地にあると私は思ったことはございません。もちろん、スイートコーンが高品質で作られておることはよく承知をいたしておりますが。

 つまり、農産品といいましても、それを食用に回すのか、エネルギーに回すのか、そういうような精緻な議論というものを、国益の観点から、これから先してまいりたいと思っております。

村岡委員 踏み込んで、今、話していただきました。その精緻な議論にはしっかりと協力していきます。食料は、安全保障、しっかりしていく。そして、別の分野で何か解決できることがあれば協力していきたい、こう思っています。

 そこでなんですが、総理と二月の予算委員会でも、百三万円の壁を百七十八万円まで目指す、ガソリンの暫定税率を廃止する。これは、自民党、公明党、国民民主党で合意したことであります。総理は、それを質問して、なぜ守ってくれないのか、なぜ進めないのかと言うと、財源の話をします。

 しかし、その前に、この二つの政策は、総理として進めるべき政策かどうかということをお聞きいたします。

石破内閣総理大臣 それは、三党合意で百七十八万を目指すということは一致をしておるわけでございますから、そこを目指して議論というものを加速をさせる。そこは、あれはあのときのことだもんねなんぞというような、そんないいかげんな、人様を愚弄したようなこと、御党を愚弄するようなことを私どもはいたしません。

安住委員長 村岡君、間もなく時間ですから、まとめてください。

村岡委員 だとすれば、しっかりと三党で協議しましょうよ。全く協議していないんですよ。これが、国民にとって約束したことが進まないということが、総理が先ほどから、各党から責められると、参議院選挙目当てだというふうなことで大変興奮されていますけれども、しっかりとこの三党合意を議論する、それをお約束していただきたい。これが最後の質問であります。

安住委員長 もう時間が来ていますから。一言だけですよ、総理。

石破内閣総理大臣 御指摘、承知をいたしました。

村岡委員 ありがとうございました。

安住委員長 これにて村岡君の質疑は終了いたしました。

 次に、福重隆浩君。

福重委員 公明党の福重隆浩でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 米国の関税措置につきまして質問をさせていただきます。

 まず初めに、公明党は、関税措置の発動以来、関連産業を守るために、いち早く党内に対策本部を設置し、四月の十四日からは、国会議員のみならず、全国三千名の地方議員のネットワークを駆使して、中小事業者の皆様のところに直接伺い、その窮状を国に届けるべく、全力で今アンケート調査をさせていただいております。

 私自身、地元の自動車メーカー、部品メーカー、群馬県庁、ジェトロに伺って、様々な影響を聞いてまいりました。公明党は、徹底して現場第一主義を貫き、国民の皆様の暮らしを守るために全力を尽くす所存でございます。

 それでは、質問に移らせていただきます。

 現在の日本経済は歴史的な分岐点に直面をしている、私はこのように思っております。というのも、この二年間、政府の諸施策によって、そして何といっても、一番は中小企業、そして民間企業の皆様が、不断の努力によって賃上げをしてくださっている。やっと三十年ぶりにデフレ経済から抜け出せる、そういう踊り場にある、私はこのように思っております。

 しかし、一方で、総理がお話をされたとおり、国難ともいう状況の中にあって、ここでもし対応を間違えることがあれば、またデフレ経済に逆戻りし、国民が塗炭の苦しみにあえいでしまう、私はこのように思っております。

 そういった中、総理は、四月の四日、異例ではありますけれども、与野党の党首会談において、この問題は政府・与党だけの問題ではない、野党も含めて超党派で、オール・ジャパンで対応しなければならない、そういうふうに強く訴えられたというふうな認識を持っております。私自身も全く同感でございます。

 今、本当に先行きの見えない中にあって、国民の皆様に総理としての強いメッセージを届けることが大事だと思います。どうか分かりやすい御答弁をよろしくお願いいたします。

石破内閣総理大臣 それは国難ともいうべき事態であって、こんなことは党利党略で決めていいお話でも何でもありません。

 そこにおいて、現場の声を一番御存じの御党、あるいは経済界の皆様方からいろいろな要望も承ることがございます。労働界の御意見もございます。これは、オール・ジャパンというのはそういうお話であって、農業のお話も、先ほど来議論がありますように、では、自動車のために農業を犠牲にしていいのかい、そういうお話ではございません。そういうものを踏まえた上で、赤澤大臣を中心に交渉に私どもは臨んでまいるものでございます。

 そこにおいて、先ほど斎藤委員からの御質問にもございましたが、目指すべきものは、では、関税によって世界の貿易が守られるべきかといえば、それはそうではないだろう。むしろ、私どもとしては、投資というものが大事であって、いかにしてその投資を行う原資というものを、お金というものを稼いでいくかというお話です。

 アメリカにとって雇用は大事でしょう。同時に、日本にとっても雇用は大事なのですから、そこにおいて、どっちが勝ってどっちが負けるなどと、そんな議論ではございません。国内のそういうようないろいろな御意見を集約しながら、私ども、今後、交渉に万全を期してまいります。

福重委員 総理、ありがとうございました。公明党としても全力で協力をしてまいりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 次は、赤澤大臣にお伺いをいたします。

 赤澤大臣におかれましては、交渉担当大臣として、二度にわたり、重責を担い訪米をされて交渉されたこと、心から敬意を表します。本当にお疲れさまでございます。

 私は、こういった難しい交渉をやるときに、やはりお互いの共通認識のベースを合わせるということが大事なことだというふうに思っております。

 というのも、私どもの岡本政調会長がNHKの討論会において、日本の国産メーカーは米国において二百三十万人の雇用を創出していると。そして、私の地元の自動車メーカーも米国のインディアナ州に七千人の雇用を創出し、関連企業を含めれば大きな雇用をつくっております。そして、年間三十九万台、これも今までで累計七百万台の生産を米国で行っております。日本がアメリカに貢献をしているということをしっかりとやはり交渉の相手に理解をしてもらう、こういったことが私は大事ではないかなというふうに思っております。

 現在、日本の企業は、米国の状況が見えないことによって、撤退をするのか、縮小をするのか、廃業をするのか、そういう死活問題になっております。

 そういった中にありまして、今回、経済実態に関する正確な事実の共有、そしてまた、難しい交渉ではございますけれども、主要論点と課題及び今後のスケジュールに対して、赤澤大臣の御答弁を求めます。

赤澤国務大臣 福重委員と認識を完全に共有させていただきます。

 これまで二回実施した日米協議では、可能な限り早期に日米双方にとって利益となるような合意を実現できるよう、御指摘のとおり、認識を極力そろえていくということで全力を挙げているところでございます。

 例えば、両国間の貿易の拡大や非関税措置、経済安全保障面での協力などについて、具体的な議論を深めることができております。さらに、今後事務レベルで集中的に協議を行った上で、次回の閣僚間の協議を五月中旬以降集中的に実施すべく日程調整していくことでも一致をしております。事務レベルのやり取りを継続しつつ、次回の閣僚級協議に向けて調整中ということであります。

 また、米国への情報発信についてもお尋ねがございました。全く御指摘のとおりでありまして、日本企業による投資は五年連続で第一位となるなど、米国の地域経済の活性化に我が国がどれだけ貢献をしているか、こうした貢献や日米経済関係の重要性について、在外公館を通じた積極的な情報発信や働きかけなどを通じて、米国内における理解の醸成に努めてきております。

 その上で、日米協議において、私から、米国の関税措置は極めて遺憾であるということ、そして、我が国の産業や日米両国における投資、雇用の拡大に与える影響等について我が国の考えを説明した上で、一連の関税措置の見直しを強く申し入れているところでございます。

 我が国としては、可能な限り早期に日米双方にとって利益となるような合意を実現できるよう、引き続き政府一丸となって最優先かつ全力で取り組んでまいります。

福重委員 大臣、ありがとうございました。

 報道等を見ていると、トランプ大統領はマイナス面ばかりを強調するんですけれども、やはり日本がパートナーとしてこれだけアメリカに貢献をしているんだということを理解していただくということも、私は必要なことだというふうに思っておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、武藤大臣にお伺いをいたします。

 三年に及んだコロナ禍において、政府は、中小零細企業を守るためにゼロゼロ融資を行ってまいりました。そういった中で、現状は返済だとか借換えだとかそういうステージに入るようなところで、今回の国難ともいうべき厳しい事態に至ったわけでございます。私が地元を歩いて聞いてきたお言葉の中には、もう先が見えないので投資を控えるだとかやめてしまうとか、そういうようなお話が多く出てまいりました。こうなってくると、様子見不況というものが私は心配になってまいります。

 そういった中にあって、やはり力強い資金繰り対策、そして相談対策、こういった、コロナのときに行った以上のしっかりとした支援策、そういったものを講じるべきではないかと思いますが、大臣の御見解をお伺いいたします。

    〔委員長退席、奥野委員長代理着席〕

武藤国務大臣 中小企業にいつも寄り添っていただいている委員に、改めて敬意を申し上げたいと思います。

 今おっしゃっていただいたように、コロナ禍の融資の返済負担の軽減のために、民間ゼロゼロ融資を一〇〇%保証で借換え可能な小口の零細企業保証に加えて、日本公庫のコロナ融資を借換え可能な危機対応後経営安定貸付というものを新設するなどの対応を今講じてきているところであります。

 その上で、今回、米国の関税措置を踏まえた対応として、短期の支援策として、日本公庫のセーフティーネット貸付けの利用要件を緩和するとか、また加えて、今後、金利の引下げについても、状況をよく、変化をよく見極めた上で、必要に応じて検討していきたいというふうに思っております。

 また、情報提供については、これはこれまでも総理を始め何回も答弁させていただいていますけれども、全国約千か所の相談窓口や特設ホームページで対応をさせていただいております。御指摘のプッシュ型の取組も重要であり、政務や職員を現場派遣しながら、これまで四百四十九件のヒアリングを実施してきております。ジェトロのメールマガジン等も、プッシュ型で情報提供のツールとして活用しておりますけれども、内容の充実を図っていきたいと思っております。

 御党の全国約三千名の地方議員ネットワーク、大変心強いものであります。貴重でありまして、御礼を申し上げるとともに、今後とも御指導、御協力のほどよろしくお願い申し上げたいと思います。

福重委員 大臣、公明党に対する御評価、大変にありがとうございます。

 その上で、もう一つ、金融支援についてお伺いをさせていただきたいんです。

 実は、現場を歩いてみますと、今回のアメリカの政権交代によって、政策が大きく変更された。それは何かというと、EV車の導入なんですね。

 前政権では、二〇三〇年までに、新車をEVとガソリン車と五〇%、五〇%にしていくというような形で、ある意味で、一台当たり七千五百ドル、百十五万円の補助金だとか充電ステーションだとか、こういったものをやっていたわけでございますけれども、それを取りやめる方向になった。このことによって、大幅にEV自動車の計画が、減産をする。

 しかし、こういったものの増設というのは時間がかかりますので、これまでに相当の投資をしているんだけれども、ある意味で、自動車メーカーは大きいので、含み資産もあって、そして様々な金融機関の支援がある。そして、中小零細企業においては、先ほどのコロナ融資じゃないですけれども、厳しいときに政府の手が差し伸べられる。

 しかし、ティア1、ティア2と言われるような中堅企業に対しては余りそういった金融支援がないんだ、我々は今本当に厳しい状況に置かれている、こういったところも、サプライチェーン全体を守る上においてしっかりと対応してほしいというお言葉をいただきましたので、この件に関しましても、御答弁があればいただきたいと思います。

    〔奥野委員長代理退席、委員長着席〕

武藤国務大臣 ありがとうございます。

 ティア1、ティア2への金融支援等々、いわゆる下請さんへの対応だというふうに考えております。

 政府としては、これまで推進してきましたけれども、取引適正化の取組が今般の関税措置によって後退することのないように、各事業所管大臣から約千七百の事業者団体に対して、適切な価格転嫁、また取引適正化の取組を継続するように改めて要請をしているところであります。私自身も、自動車業界、又は産業機械業界の経営者のトップの方々とも面会をしながら、関税影響を生じる中でも取引適正化をしっかりと進めていただけるように、直接要請を行ったところであります。

 先ほど来申し上げましたとおり、プッシュ型で、様々な形で情報収集をさせていただいておりますし、中小・小規模事業者へ負担やしわ寄せがないかも含め、関税措置による影響を注視しながら、現場の実態に即した、今委員のおっしゃられるように、金融支援も含めて、今後、効果的な対策を講じてまいりたいというふうに思っております。

福重委員 この件は本当にしっかりとやっていただきたいと思いますので、よろしく申し上げます。

 次の質問なんですが、実は私、大学を卒業して十八年間、電子部品を製造、販売する会社の営業をしておりました。自動車メーカーとも、ティア1、ティア2ともおつき合いをしていたわけでございますけれども、こういった自動車メーカーとか部品メーカーさんというのは、年二回のコストダウン、そしてまた、為替が円高になっても円安になってもコストダウンの要求があって、それを渋々のんで対応すると、最終的にはその自動車会社さんが過去最高益を出している、そういうような状況がたくさんありました。

 本当に悔しい思いをしたわけでございますが、今本当に、賃上げができる環境をつくるために、こういったコストダウンの要求はしてはならない、こういったものを政府がしっかりやってくださっているわけでございますけれども、今現場を歩くと、その過去の悪夢がよみがえってくる。

 だからこそ、こういったコストダウン圧力が行われないように、政府として、価格Gメンや、そしてメーカーに対しての指導、こういったものをしっかりやっていただきたいと思いますが、大臣の御答弁を求めます。

安住委員長 時間が過ぎていますので、武藤経済産業大臣、では、一言だけ答弁をして、質疑を終わりたいと思います。

武藤国務大臣 御指摘はそのとおりだというふうに思います。

 先ほども御答弁させていただいたように、これからもしっかり中小企業に寄り添って対応をさせていただきます。

福重委員 よろしくお願いいたします。

 委員長、ありがとうございました。

安住委員長 これにて福重君の質疑は終了いたしました。

 次に、高井崇志君。

高井委員 れいわ新選組の高井崇志です。

 れいわ新選組は、結党以来一貫して消費税廃止を訴えてきました。六年前、山本太郎が一人叫んでも、どの党からも相手にされませんでしたが、今や全ての野党が消費税減税を公約に掲げ、与党公明党、そして自民党参議院議員も八割が消費税減税を求めています。

 資料一。れいわ新選組が消費税廃止を訴えるのは、消費税が天下の悪税だからです。消費税を強く求めたのは経団連ですが、よう恥ずかしげもなくと言いたくなるぐらい、大企業優遇で、中小企業、庶民に過酷な税です。

 私は昨年末、この場で総理に、世界中で日本だけがなぜ三十年間も経済が成長しないのかと問いましたけれども、残念ながら、総理の答えは、人口減少がどうした、企業の内部留保がどうしたと、まるで他人事でした。

 資料二。原因ははっきりしています。三度にわたる消費増税です。一回の消費増税で起きる消費の落ち込みは、百年に一度と言われたリーマン・ショックをはるかに上回る。つまり、三十年の間に、世界では百年に一回のことが、日本では四回起きたことになる。四回もブレーキを踏まれて、経済が成長するはずがありません。

 資料三。消費税は社会保障の財源だからと言われますが、そんなものは、後から法律に書き加えたお題目にすぎません。実際は、皆さんがこつこつ納めた消費税総額四百七十六兆円の実に七割近くが、大企業のための法人税減税の穴埋めになっています。

 もう一度、資料一。ほかにも、輸出還付金はあるし、赤字でも課税されるし、人件費に課税されるから正社員化や賃上げのブレーキになるし、大企業ばかりに恩恵があって中小企業と庶民に厳しい、まさに天下の悪税です。

 野党が消費税減税でそろったことは喜ばしいことですが、ただ、食料品ゼロは筋悪です。食料品価格は日々刻々変わるので、八%下がる保証はないし、仕入れ税額控除を受けられない飲食店には増税になります。

 既に三年前、立憲、共産、社民、れいわの四党で、消費税一律五%減税法案を出していますよ。筆頭提出者は立憲の小川幹事長、賛同者にも野田代表も枝野元代表も名を連ねています。野党はこの法案でまとまりましょうよ。野党第一党の役割は、野党をまとめることですよ。リーダーシップを発揮して、各党を懐深く包み込んでくださいよ。少数与党ですから、野党がまとまれば衆議院は通りますよ。参議院で否決されたら、即内閣不信任案を出しましょう。

 総理、もし国民と国会議員の大半が求めている消費税減税をやらないとおっしゃるなら、解散して信を問うべきですよ。消費税解散、やりましょう。

 いかがですか、総理。

石破内閣総理大臣 解散についてこの場で言及することはいたしません。

高井委員 総理は、総理になってすっかり変わってしまいましたよ。もっと思い切ってやってください。

 総理の持論の日米地位協定改定、これもやりましょうよ。トランプがめちゃくちゃ言っているんだから、こっちも強気でいかなきゃ。今、チャンスですよ。応援しますよ。

 総理やマスコミはすぐ財源がと言いますけれども、財源は国債で十分なんです。皆さん、すぐ財政が破綻すると言いますが、破綻はしません。財務省にだまされないでください。財務省お得意のプライマリーバランスだって、毎年二十兆円、コロナのときは八十兆円だった赤字が、今年度は僅か〇・八兆円、百分の一ですよ。全然国債発行できますよ。

 テレビを御覧の皆さんも、経済学をちゃんと勉強せずに正義漢面した一部の政治家やマスコミのせいで、これ以上国債を発行すれば財政が破綻すると誤解されていますけれども、それは全くの誤解ですから。

 その根拠を、今から客観的データで論理的に説明します。

 資料四。確かに、1の政府債務残高、すなわち国債発行残高は、先進七か国中七位、最下位です。しかし、財務の健全性を測る指標はこれだけではありません。ほかに示した指標は、いずれもG7七か国中一位か二位です。

 ちなみに、この指標は経団連のシンクタンクが示す指標で、彼らも、政府債務残高よりも2の政府純利払い費で見るべきだと言っています。

 資料五。政府純利払い費のOECD三十二か国の比較です。日本は真ん中より低い方、EUの優等生ドイツより低い。日本の財政は極めて健全です。

 では、なぜ日本は、政府債務残高、国債発行残高は大きいのに財政は健全なんでしょうか。それは、債務をはるかに上回る資産があるからですよ。だから、ネットの利払い費、純利払い費は少ないんです。

 資料六。日本は、国、地方の債務残高は一千三百兆円あります。一方で、国の金融資産は九千九百兆円、個人の金融資産だけでも二千二百兆円もあります。財務省やマスコミが、よく国民一人当たりの借金が一千万円を超えたと騒ぎ立てますけれども、国民一人当たり八千万円、個人でも一人一千八百万円もの貯金を持っているのが日本です。

 日本で一番借金をしている企業はどこだと思いますか。一位トヨタ、二位ソフトバンク、三位NTTですよ。トヨタやNTTが潰れるなんて思う人がいますか。もちろん企業と政府は違いますけれども、政府は自ら通貨を発行できるから、余計安全なんです。かつて財政破綻したアルゼンチンやギリシャは、自国通貨以外、米ドルやユーロで国債を発行していたので債務不履行になったんです。日本とは全く違います。そもそも、財務省が自らのホームページで、日米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルト、債務不履行は考えられないと認めています。

 資料七。日本の国債は、デフォルト、債務不履行しない。この事実を証明するのがこの数字。CDS、クレジット・デフォルト・スワップとは、国の信用力に基づいて市場が決める国債の保証料、保険料ですが、このCDSから算出した五年以内に日本国債がデフォルトする確率は僅かに〇・三三%。ドイツに次いで低い数字です。

 これだけ財政が健全で安定している国が、なぜこれだけ人々が苦しんでいる今、国債発行しないんですか。何をそんなに恐れているんですか。令和の米騒動も、八潮市の道路陥没事故も、財務省が予算を削りに削ったから起きたんですよ。

 更に許し難いのが、資料八です。財務省は、国債の負担を大きく見せるために、債務償還費なるものを予算に計上していますが、世界中で計上しているのは日本だけ。世界百九十六か国の中で日本以外どこも計上していない費用を年間十七兆円、予算の一五%も計上して、国債を大きく見せています。政治家もマスコミも、財務省の印象操作にまんまとだまされているんです。

 では、国債を無限に発行できるのか、税金は要らないじゃないかと言う人がいますが、我々は、国債を無限に発行できるとは一言も言っていません。

 どこまで国債を発行できるかの目安はインフレ率です。今も、インフレじゃないと言う人がいますけれども、今のインフレ、これは本当のインフレじゃないんです。

 資料十。エネルギーや輸入資材といった原材料価格の高騰によって起こるインフレをコストプッシュインフレといいます。今の物価高はコストプッシュインフレなんですよ。本当のインフレというのは、需要が供給を上回って、つまり、消費が増えて生産力が追いつかなくなるといった本当のインフレ、経済学ではディマンドプルインフレといいますが、それではないので、ハイパーインフレになる心配は全くありません。

 質問します。

 総理、いいかげん、財源示せの大合唱、財源捻出の競い合いみたいな罰ゲームはやめませんか。堂々と国債発行して、今、目の前で苦しんでいる人々を救うべきではありませんか。

 どの人の人生も二度と取り戻せない、かけがえのない人生です。財政健全化のことしか考えていない財務省の言うことなど聞かずに、将来世代のためなんという聞こえのいい言葉にだまされず、目の前で苦しんでいる人を救いましょうよ。国債をどのくらいまで発行できるのか、この場で、国会でちゃんと議論しましょう。

 総理、いかがですか。

安住委員長 間もなく時間なので、加藤財務大臣、さらっと答弁して終わってください。

加藤国務大臣 今、どの程度発行できるのかということでありますけれども、現在の財政や経済の状況、またGDP、金利動向を含む経済状況の今後の見通し、また人口減少、少子高齢化、気候変動といった構造的な変化の動向、さらには、これまでの財政運営に対する評価や今後の財政運営に対する政府の姿勢、また、それを支える制度面の枠組みなども含めた今後の財政運営に対する見通しなどを総合的に勘案した結果として、大事なことは、市場参加者の皆さん方から財政の持続性に対する評価が下されるということでございますから、一概に、今お話があった、特に国民の資産等々を前提とした議論がどこまでそれとして通じるのかということなんだろうというふうに思います。

 その上で、我が国として、これまでも厳しい財政事情の中で、災害、コロナなど予想外の事態にも対処してまいりました。そうした中でも対処できたということも、やはりこれまでの財政健全化に対する取組があり、また、それに対する市場からの信認を維持してきたからだと考えているところでございます。

 当面、今総理からもお話がありますように、物価高対策など必要な対策、これはしっかりやっていかなければなりませんが……

安住委員長 まとめてください。

加藤国務大臣 同時に、将来、国民の安全と安心を預かる政府として、今後起こり得る様々な有事に備え財政余力を確保することも重要であると考えておりますので、恒久的な歳出増や歳入減につながる施策については安定的な財源の確保を行っていく、こういった姿勢で取り組んでいくことが必要と考えております。

安住委員長 これにて高井君の質疑は終了いたしました。(高井委員「総理の今のあきれたようなその顔がテレビに映っていますからね」と呼ぶ)終わってください。(高井委員「これが必ず批判されて、選挙に、変わりますからね。終わります」と呼ぶ)

 時間を大幅に超していますから、厳重に注意します。

 次に、辰巳孝太郎君。

辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。

 消費税減税について聞いてまいります。

 五月四日のJNNの調査でも、食料品の税率を下げるべき、一律で税率を下げるべき、消費税は廃止、これを合わせると七八%が消費税の引下げを望むという結果であります。税率を維持、これはたったの一九%でありました。そのほか多くの世論調査で、一回限りの給付金よりも消費税減税を望む声が大きくなっております。そして、自民党の中からも消費税減税の声が上がっている。まさに潮目の変化だと私は思います。

 我が党は、現在、百十万の要求対話、これを全国で行っております。その中で、暮らしの窮状を訴える声が多数寄せられておりまして、暮らしに不安があると答えた方は九割にも上っております。一部紹介をしますと、物価が高過ぎる、毎日の買物が怖い、年金だけではやっていけない、食べ盛りの子供でも御飯のお代わりは原則禁止で、カレーライスのときだけお代わりを認めている、非正規雇用でいつ解雇されるか分からない、今後が不安で仕方がない、食料品だけでなく全てが高い。世代を超えての不安の声が広がっております。

 総理、政治の一番重要な仕事というのは、国民の暮らしを守ることであり、出口の見えない不安を取り除くことだと思います。一番効果的なのが消費税の減税です。消費税の減税に踏み出すべきではありませんか、総理。

石破内閣総理大臣 社会保障の財源をどうするか、社会保障の水準をどうするかということも併せて是非御議論ください。消費税がない方がいいとか下げた方がいいとか、それはそうでしょう、負担が減りますから。ですけれども、将来が不安だ、年金はどうなる、医療はどうなる、それがどれほど厳しい状況にあるかということを話さないで消費税の減税だけの話をする、私はそれは無責任な議論だと思っております。

 そして、逆進性があるのは消費税導入のときからそうでした。これをどう緩和するかということを考えたときに、逆進性の本質からいって、所得の低い方、そういう方々にきついということの対応として、消費税の減税そして廃止ということは本当に逆進性対応として正しいのか、そういう議論もきちんとしなければなりません。

 私どもは、選挙のためにこの議論をしているのではありません。どうやって苦しい方々に、この逆進性の持つそういうような問題を対応していくかということが中心にあるべきであり、そして社会保障をどうするかというお話も是非併せてさせていただきたいと思っております。

辰巳委員 社会保障の財源を削って消費税の減税の財源に充てろ、そういう議論を私たちは一切しておりません。また、逆進性のお話、そもそも消費税に逆進性がある、消費税減税することによってそれが総理が気になるのであれば、高額所得者、ここに税金をもう少し納めてもらうということをやればいいと思うんですね。

 今、各党から様々な減税提案もされております。その一つが食料品の非課税というものなんですけれども、ただ、食料品非課税では、平均的な世帯での減税というのは大体六万円ということであります。しかし、物価上昇というのは食料品だけではありません。水道光熱費、日用品、携帯、全てであります。ですから、全てのものを一律で減税する必要があると考えております。

 我が党が提案をしてきたのは全ての品目での一律五%減税なわけですけれども、現役世代も年金所得者も高校生も大学生も全員に減税になる、こういうことであります。平均世帯で大体十二万円の減税額ということになります。

 私たちは、もちろん、国債を発行して財源に充てる、そういう無責任な提案はしません。大量の国債発行というのは、通貨安、円安を招いて、物価高に拍車をかけかねません。消費税を下げたはいいけれどもインフレになってしまう、これは何のためにということになってしまうわけですね。我が党の提案は、財源は取るべきところから取るということであります。

 この間、大企業、大金持ち減税というのが進められてきました。これを是正すれば消費税減税の財源は出てきます。

 これを見ていただきますと、法人税、これがどれだけこの間減税されてきたのかということで出したわけですけれども、安倍政権以降、二〇一三年以降、法人税の引下げ、これなどを是正をすることで、大体、二〇二三年度で十一・一兆円ですね、これを正すということで財源が生まれてきます。

 あるいは、所得一億円を超える金融課税ですよね。我々がずっと、我が党がずっと提案してきたものですけれども、所得一億円を超えると所得税の負担率がぐっと下がっていくということになります。これなどを正すことで、あるいは軍事費の無駄、政党助成金の廃止などで、我々は、二十兆円を超える財源、消費税五%減税で十五兆円ですから、それでお釣りが来ます。それで教育費の無償化などに充てようという提案、具体的な財源提案というのをさせていただいております。

 五月一日の日経新聞は、消費税の導入がもたらしたゆがみの最大のものは、家計消費が伸びず、企業の内部留保が増え続けてきたことである、消費税の反対側で法人税の減税が行われてきたからだというふうに書きました。

 総理、今提案をさせていただいたような、恒久財源を確保して消費税の減税をする、そういう議論、しようじゃありませんか。いかがですか。

石破内閣総理大臣 御党の安易に国債発行に頼らないという姿勢は、私は本当に立派なものだと思っております。志位、今、議長さんでしょうかしら、党の研修会でそういうような御発言をされたということは、本当に私は、ある意味感動を持って拝聴したところでございます。

 ですから、内部留保をどうするか、あるいは法人税というものをどう考えるか。私どもは別に、軍事費を削ってとか、そういうものには賛同するものではございませんが、税制の在り方というものをきちんと議論をするということは是非ともさせていただきたいと思っております。

 どこから財源を見出すかということ。特に、一番困っておられる方々にきちんとそれを是正していくような、そこは一緒だと思っておるのです。広くあまねく裨益をするのか、ということは、一番困っておられる方々に必ずしも十分に行かないということになります。

 私どもは、どうしたら本当に困っておられる方々にきちんとした財源を伴った手当てができるかということは、御党とこれから先、議論をする余地、余地というか、可能性というのか、それは多分にあるというふうに思いながら拝聴いたしておったところでございます。

辰巳委員 我が党は、消費税が三十六年前に導入されるとき、その前から、消費税の導入そのものに反対をしてきた政党であります。一年とか二年の減税では国民の不安は解消されないと思います。一時的な減税にとどまらず、廃止すべきだと考えています。そのためには、国債、借金に頼らない恒久的な財源が必要だというふうに考えております。一律の五%減税だからこそ、複数税率の存在を口実に導入された、中小零細企業に負担が重いインボイスの廃止もできるというふうに考えております。

 総理の方から財源の話を言っていただいたんですけれども、総理自身が、法人税についても、この間、法人税を下げたことが決して思ったような効果を上げなかったんだというふうにおっしゃられていますよね。あるいは与党の税制大綱でも、法人税改革は意図した成果を上げてこなかったと言わざるを得ず、法人税を引き上げるとまで書かれているわけですよ。

 これも含めて、是非、財源確保のために議論するということでよろしいですね。

安住委員長 石破内閣総理大臣、間もなく時間ですので、簡潔にお願いします。

石破内閣総理大臣 結構でございます。ただ、それが、消費税を全部やめるというお話には直接結びつきません。それは、直接税というものが景気によって変動が激しい、それを社会保障の財源として充てることは正しいのかという議論も併せてしなければならないと思っております。

安住委員長 辰巳君、時間が参っています。

辰巳委員 五%減税、これは是非、国民の暮らしを守るためにやろう、やるべきだという提案をさせていただいて、私の質問を終わります。

 以上です。

安住委員長 これにて辰巳君の質疑は終了いたしました。

 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 最後、よろしくお願いいたします。

 まず、石破総理、保護主義についてお伺いしたいと思います。

 かつて、数多くの国際会議では、あらゆる形態の保護主義に対抗するというのが標準的でしたし、日本もそれを主張してまいりました。それが二〇一七年頃から消えたんですね。そのときから日本は、現在も、自由貿易の推進に取り組んでいるという言い方に変わっております。しかしながら、大恐慌後の保護主義が第二次世界大戦の遠因であったことを否定する人はいないだろうと思います。

 あらゆる形態の保護主義に対抗するという主張は、日本としてもう放棄したのでしょうか。石破総理大臣。

石破内閣総理大臣 放棄いたしておりません。

 政府として申し上げておりますように、関税よりも投資だということは従来よりも強調いたしておるところでございます。保護主義の行き着く果てというのは、マッキンリーがどうだったんだという議論をするまでもなく、保護主義は決して世界経済にとってプラスはございません。

緒方委員 その方向で貫いていただければと強くお願いをいたしたいと思います。

 続きまして、財政ポピュリズムについて石破総理にお伺いしたいと思います。

 財源を明らかにせず、政府支出を拡大して人気を取ろうとする財政ポピュリズムは、世界の経済の歴史を学べば、総じて、うそと結びつきやすいということが分かります。また、それにもかかわらず、財政ポピュリズムをそのまま実施してしまえば、イギリスのトラス・ショックのようなことが起きます。これは破綻への第一歩であるというふうに私自身は思います。イギリスは、あのショックが引き起こした金利上昇による負担増に今でも苦しんでいます。

 石破総理にお伺いしたい。財政ポピュリズムは、うそと結びつきやすく、それを実施してしまえば破綻への第一歩になる、そういう認識をお持ちでしょうか。石破総理。

石破内閣総理大臣 全く同様の認識であります。

緒方委員 そのとおりなんですね。なので、石破総理から今明確に言っていただいたこと、本当にいい答弁であったというふうに思います。

 続きまして、同じく財政の健全性についてお伺いしたいと思います。

 先日、NHKスペシャルの「未完のバトン」という番組がありました。非常にいい番組でした。恐らく、加藤大臣、見られたかどうか分かりませんが、財務省理財局が国債を安定的に市場で消化するのに非常に御苦労しておられました。

 現在、超長期国債については海外勢がかなり増えてきているということもありまして、ドバイに行って、財務省の官僚の方々が一生懸命にセールスをしておられました。機関投資家からは、公的債務の対GDP比についてかなり厳しく問われていました。そして、日本の政治家の財政に対する姿勢についても問われていました。

 これは通告を当てていませんでしたが、加藤大臣に一つだけお伺いさせていただきたいと思いますが、国債を安定的に市場で消化していく御苦労について、財務大臣の立場からどう見ておられますでしょうか。加藤大臣。

加藤国務大臣 まず、現状においては、確かに、日銀の国債の消化が今少しずつ減らしていくという方向で対応している、こういう中においても、それぞれの国債は安定的に消化されているというのがまず大前提であります。

 ただ、その上において、先般、NHKのお話もございましたけれども、やはり国債を購入してくださる方を様々に広げていくという意味において、海外の投資家あるいは個人の皆さん方、いろいろな努力を、我々財政当局、特に理財局中心に努力をさせていただいている、そうした結果がまた今の安定的な消化につながっているものというふうに考えております。

緒方委員 国内の銀行とか、そういったところに営業に行っても、今、日本銀行が持っているものを全て国内でさばいてくれというのは、これはもう無理があるというような話もされていたように記憶をいたしております。

 国債をどうさばいていくかということについて本当に御苦労しておられるし、ここを少し間違えると、すぐにイギリスのトラス・ショックのようなことが起きる。そして、一度失ってしまった信頼というのが戻ってこないというのは、まさに今イギリスの長期金利が高くなって戻らない、これが政府にとって負担になっているということに表れているんだろうと思います。

 石破総理にお伺いしたいと思います。国債発行で何でもやろうという主張は、今だけ、選挙のためだけであり、将来に対する責任放棄を促すものだと思いますけれども、石破総理の見解を求めたいと思います。

石破内閣総理大臣 そういう御主張をなさる方は、金利のある世界というのを甘く見ておられませんか。それがいかに恐ろしいかということを、どうも、ずっと低金利あるいはゼロ金利の時代が続いてきたので、そういう感性が鈍くなってしまったのではないかと思います。

 そして、高齢化の圧力というものがどれほど恐ろしいものであるのか。私はそれを否定的に申し上げているわけではございませんが、長生きしてよかったねと思ってもらえる社会を実現するのがどんなに大変なことなのかということの認識は共有したいと思っております。

 そういう意識を欠いたままでこの議論をしては絶対になりません。

緒方委員 おっしゃるとおりです。我々、余りに金利のない世界に慣れ過ぎてしまって、もう一千兆を超えているわけですし、公的債務の対GDP比も、本当に、私はいつもこれを言うんですけれども、第二次世界大戦が終わったときの日本の公的債務対GDP比を超えるというような状況であって、むしろ、有事が起きたときに本当に継戦能力があるんだろうか。今、防衛関係でいろいろな対策を整えているけれども、実は、有事が起きたときに一番継戦能力ということで問題が生じるのは財政の面からではないか。イギリスの例を見てもそうですけれども、戦争になれば、国債をばかばか発行して、そして戦費を調達しなきゃいけないということが、これが世界の歴史の物語っているところであって。

 石破総理にお伺いしたいと思います。安全保障の面から見たこの財政の問題について、いかがお考えでしょうか。

石破内閣総理大臣 一つの費目が国家財政の半分を超えたらば、もう財政は持続可能性がないということでございます。

 委員御指摘のように、戦時国債というものを発行するときに、日本政府挙げて、大丈夫だ、心配するな、そういうような宣伝をして、国のためにと思って国債を買われた方々がその後どんなに悲惨な目に遭ったかということは、政府の連続性という観点からしても、私どもはそこについての反省を決して忘れてはならないと思っております。

緒方委員 その上で、財政緊縮の話ばかり、健全化の話ばかりしたんですけれども、私がいつも思うのは、むしろ今取り組むべきは、働いている方にしっかり報いていくということがとても重要であって、その一番の課題は、賃上げが生産性の上昇に見合ってこなかったこと、これが実は問題なのではないかと思っています。この二十五年、三割の生産性上昇があったにもかかわらず、実質賃金据置きであります。これを、石破総理、どう見ておられますでしょうか。

 また、これを解消するためには、私自身は、望まない非正規の撲滅、そして、いわゆる下請いじめの撲滅、この二つを行うことによって、しっかりと働いている人たちに、生産性向上をして、しっかり働いている方々に報いること、これが今、政府として打つべき一番重要な政策ではないかと思いますが、石破総理の見解を求めます。

石破内閣総理大臣 完全に同意をいたします。つまり、一部において、日本の労働生産性は低いのだみたいな話がございますが、そのようなことはございません。労働者の方々が一生懸命働いてきたということにきちんと報いがあるような、そういうような体制にしていくということは喫緊の課題であり、政府として最優先で取り組んでまいります。

緒方委員 最後の質問にしたいと思います。

 国会で今の政治情勢を注視しておりますと、今だけ、選挙のためだけの勢力と、孫、子の世代に責任を持つ勢力の戦いが行われているように見えます。与党も野党も、内部が割れてばらばらです。時に選挙互助会に見えるようなこともございます。もはや今の政治の構図は維持できず、日本政治は過渡期に入ってきているのではないかと思います。政界再編を含む大きな政治の転換が必要ではないかと思いますが、石破総理の見解を求めたいと思います。

安住委員長 間もなく時間ですから、簡潔に。

石破内閣総理大臣 私どもとして、我が自由民主党としても、選挙のためではない、次の時代のために責任を持つのが我々の矜持であるということをきちんと説いてまいりたいと思っております。

 私は、平成二年に二回目の選挙、海部内閣でございましたが、やりました。消費税は必要なのだと。中選挙区でございました。石も投げられそうになりましたし。その中でも、きちんとした誠意あるお話をすれば国民は分かってくださるということ、私どもはきちんと胸に刻みながら、政治家のためではない政治というもの、次の時代のための政治というものを緒方委員とともに、また皆様方とともにやっていくことが私の願いでございます。よろしくお願い申し上げます。

緒方委員 終わります。

安住委員長 これにて緒方君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本日の集中審議は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    正午散会


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