第3号 令和7年9月19日(金曜日)
九月十一日安住淳君が委員長を辞任した。
令和七年九月十九日(金曜日)
午前九時三十分開議
出席委員
委員長代理理事 山井 和則君
理事 井上 信治君 理事 齋藤 健君
理事 牧島かれん君 理事 岡本あき子君
理事 奥野総一郎君 理事 三木 圭恵君
理事 浅野 哲君
伊藤 達也君 稲田 朋美君
国光あやの君 河野 太郎君
後藤 茂之君 小林 茂樹君
高木 啓君 田所 嘉徳君
谷 公一君 土田 慎君
土屋 品子君 寺田 稔君
西銘恒三郎君 平沢 勝栄君
深澤 陽一君 古屋 圭司君
山際大志郎君 山田 賢司君
大西 健介君 神谷 裕君
川内 博史君 黒岩 宇洋君
酒井なつみ君 階 猛君
柴田 勝之君 藤岡たかお君
本庄 知史君 眞野 哲君
吉田はるみ君 米山 隆一君
早稲田ゆき君 池下 卓君
斎藤アレックス君 徳安 淳子君
西田 薫君 許斐亮太郎君
長友 慎治君 赤羽 一嘉君
大森江里子君 河西 宏一君
櫛渕 万里君 田村 貴昭君
緒方林太郎君
…………………………………
外務大臣 岩屋 毅君
財務大臣 加藤 勝信君
厚生労働大臣 福岡 資麿君
農林水産大臣 小泉進次郎君
経済産業大臣 武藤 容治君
国務大臣
(内閣官房長官) 林 芳正君
国務大臣
(経済再生担当)
(経済財政政策担当) 赤澤 亮正君
財務副大臣 斎藤 洋明君
政府参考人
(内閣官房米国の関税措置に関する総合対策本部事務局次長) 高村 泰夫君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官) 森 真弘君
政府参考人
(農林水産省農産局長) 山口 靖君
政府参考人
(中小企業庁事業環境部長) 坂本 里和君
政府参考人
(中小企業庁経営支援部長) 山崎 琢矢君
予算委員会専門員 藤井 宏治君
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委員の異動
八月十五日
辞任 補欠選任
赤羽 一嘉君 岡本 三成君
同日
辞任 補欠選任
岡本 三成君 赤羽 一嘉君
九月十九日
辞任 補欠選任
田中 和徳君 土田 慎君
安住 淳君 吉田はるみ君
今井 雅人君 眞野 哲君
近藤 和也君 柴田 勝之君
徳安 淳子君 斎藤アレックス君
橋本 幹彦君 許斐亮太郎君
同日
辞任 補欠選任
土田 慎君 山際大志郎君
柴田 勝之君 近藤 和也君
眞野 哲君 今井 雅人君
吉田はるみ君 安住 淳君
斎藤アレックス君 徳安 淳子君
許斐亮太郎君 橋本 幹彦君
同日
辞任 補欠選任
山際大志郎君 田中 和徳君
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八月五日
一、予算の実施状況に関する件
の閉会中審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
予算の実施状況に関する件(米国の関税措置等)
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○山井委員長代理 これより会議を開きます。
去る十一日、安住委員長が辞任されましたので、私が委員長の職務を行います。
予算の実施状況に関する件、特に米国の関税措置等について調査を進めます。
この際、赤澤国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国務大臣赤澤亮正君。
○赤澤国務大臣 おはようございます。
九月上旬の私の訪米の結果などについて御報告を申し上げます。
米国時間七月二十二日に発表された日米間の合意について、日本政府としては、関税率の引下げなど求めるものははっきりとしておりましたので、一貫して共同文書の作成不要との立場を取り、米側から文書の作成を求められると、それと引換えに、米側が求める文書の作成の前に可及的速やかに我が国への関税に関する大統領令を発出するよう、あらゆる形で強く申入れをしてまいりました。
こうした働きかけの結果、米国時間の九月四日、米側が求める文書の発出と同時に、トランプ大統領によって大統領令が署名されるに至りました。九月の九日に本大統領令が、十六日には関税率表を改正する通知が連邦官報において公表されており、大統領令に基づく改正された関税率表が既に発効をしております。
これにより、相互関税については、米国東部時間八月七日午前零時一分に遡って上乗せなし、英語ではノースタッキングといいますが、すなわち、既存の関税率が一五%以上の品目には課されず、一五%未満の品目については既存の関税率を含め一五%が課されることになりました。
自動車・自動車部品の関税については、米国東部時間九月十六日午前零時一分から一五%に引き下げられることになりました。ここにおいても、一五%は既存の関税率に上乗せなしの扱いとなっております。
さらに、これまで相互関税の対象となっていた航空機・航空機部品については、米国東部時間九月十六日午前零時一分から相互関税や分野別関税が課されないこととなりました。
なお、七月二十二日の合意から改正された関税率表が発効するまでの期間は五十六日でございました。各国ごとに事情が異なるため、あくまで御参考ですが、例えば米国と交渉するに当たって我が国より有利な立場にあったと考えられる英国の場合、合意から改正された関税率表が発効するまで五十四日かかっています。
大統領令の署名に至るまでの米側とのやり取りの過程では、日米間の合意におけるコミットメントを再確認するため、二つの文書を作成したいとの意向が米側から示されました。
我が国としては、冒頭申し上げたとおり、一貫して共同文書は不要との立場でありましたが、米側の一日も早い関税引下げを確実なものとするため、我が国が求める大統領令の署名と同時とすることを前提に米側の求めに応じ、これらの文書を発出することとしました。これは、国民の皆様から広く御理解いただけるよう丁寧に説明する観点からも有意義な面があるというふうに考えております。
文書に関しては、まず、日本が半導体や医薬品、エネルギー等の経済安全保障上重要な分野において五千五百億ドルを米国に投資することを内容とする、七月二十二日に合意された投資イニシアチブに関し、今回、ラトニック商務長官とともに、日米の共通理解を確認するための了解覚書、MOUに署名をいたしました。
また、七月二十二日に合意した両国のコミットメントを再確認する共同声明を発出しました。この声明では、特に半導体と医薬品について、仮に将来、分野別関税が課される際も、我が国がEU等の第三国・地域に劣後しないこと、いわゆる最恵国待遇や、日本産の航空機や航空機部品に対していかなる関税も課さないという米側の意図を改めて確認をし、明記をしております。
日米間の関税協議は、相互関税の修正と自動車・自動車部品等の関税引下げが実現をし、石破総理のお言葉をかりれば、一区切りということになりました。一方で、関税引下げが実現してもなお関税は残っており、また、今後発出される見込みの医薬品や半導体に関する大統領令において我が国の最恵国待遇が確保される必要がございます。引き続き、米側への働きかけを行っていく必要があると考えております。
今後とも、日米間の合意の実施を誠実かつ速やかに進めてまいります。これにより、両国の相互利益の促進、すなわち、日米同盟の更なる強化と経済安全保障の確保、我が国の経済成長の大幅な促進につながることを期待しております。
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○山井委員長代理 この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房米国の関税措置に関する総合対策本部事務局次長高村泰夫君外四名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山井委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○山井委員長代理 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山田賢司君。
○山田(賢)委員 おはようございます。自由民主党の山田賢司でございます。
本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。
まずは、赤澤大臣、交渉お疲れさまでございました。また、赤澤大臣を支えられたチームの皆様にも敬意を表します。
さて、関税合意の中身につきましては、これまで累次にわたり御説明をいただいておりますし、また詳細が報道等でもなされておりますので、本日、私からは、日米関税交渉に伴う五千五百億ドルの対米投資に関する覚書の内容について、議事録に残すという意味で質問をさせていただきたいと思います。
まず、政府のこれまでの御説明では、対米投資額五千五百億ドルについて、出資だけではなく融資や融資保証も含む投融資とおっしゃっておられますが、この覚書の前文を見ると、日本が五千五百億ドルを米国に投資する、インベストということについて、資本コミットメント、キャピタルコミットメントと記載されており、金融、ファイナンスですとか融資、ローンとは書かれておりません。両国の覚書をどう読むと融資や融資保証が含まれると解釈できるのか、御説明をお願いいたします。
○赤澤国務大臣 日米両国で取り交わされた了解覚書、MOUにおいては五千五百億ドルを米国に投資する旨記載されている、委員御指摘のとおりであります。
この投資のための資金については、我が方から米国に対し、繰り返し、JBICの出資、融資、あるいはNEXIの融資保証を活用する旨説明してきたところであり、こうした点については日米間の共通理解となっており、したがって、当然のことながら、MOUのそれ以外の部分、委員、しっかり読み込んでおられると思いますが、まさにそれを前提としたような規定がずらっと並んでいるということになっております。
○山田(賢)委員 ありがとうございます。
この覚書だけを見ると、インベストメント、投資に関する内容だけが記載されているので、今日は、そういう合意が事務方レベルでなされているということであれば、この本委員会において御答弁いただいたこと、これを日本側の公的な記録として残したいと思っております。
その上で、融資や融資保証もこの覚書に言うところの投資に含まれるとした場合には、融資の元金返済あるいは利息支払いは覚書の第十一条から十四条の配分方法が適用されるのでしょうか。むしろ、投資額の五千五百億ドルには融資が含まれるけれども、キャッシュフローの分配方法に関する条項については、出資に関して、融資の元利返済を行った後の残ったキャッシュフローについて分配する方法を規定したものということではないでしょうか。御答弁をお願いいたします。
○赤澤国務大臣 委員御指摘のとおり、了解覚書のパラグラフ十一から同十四までにおいてプロジェクトから得られたキャッシュフローの配分等について規定されており、特にパラグラフ十三において、まず日本が提供した資金の元利返済相当分を確保するまでの間は日米が五〇対五〇で分配をする、残りについて、米国側の様々な貢献に鑑み、米国九〇%、日本一〇%で分配することとされています。
その前提として、了解覚書のパラグラフ九では、プロジェクトの実施に関し、米国は、土地や水、電力、エネルギーの提供に加え、オフテイク、買取りの契約や規制プロセスの迅速化といった様々な貢献を行うこと、日本側は、JBICの出資、融資、NEXIの融資保証を活用しつつ、必要な資金提供を行うこととしております。
このように、委員御指摘の融資の利払いや元金返済に対しては、先ほど申し上げた第一段階における配分方法が適用されることとなります。
○山田(賢)委員 融資の元金返済とか利払いもこのキャッシュフローの配分方法が適用されるということでしょうか。もう一度、確認のため、よろしくお願いします。
○赤澤国務大臣 そのとおりでございます。
○山田(賢)委員 ありがとうございます。
これが金融機関にいた者としては若干違和感を覚えて、融資というのは債権ですから、通常、出資に対しては優先的に弁済されるべき性質のものです。にもかかわらず、融資に係る利払いですとか元金返済が出資に係る利益の配分方法と同じ配分方法が適用されるというのはやや不自然ではないかと感じるんですが、いかがでしょうか。
○赤澤国務大臣 私自身は金融機関にいた経験がなく、委員は金融機関におられたエキスパートでありますので、その点で感想を持たれることについては、私、そうなんだろうかなと思いますけれども。
これについては、法的拘束力がないMOUではありますけれども、日米間で、今申し上げたような考え方で制度を運用していく、SPVというのが規定してあるかと思いますが、そこに上がった利益について配分をしていくということを合意しているということでありまして、そういう理解になっているということであります。
○山田(賢)委員 ありがとうございます。
この配分方法について、日本側一〇に対して米側が九〇という、これは不公平ではないかということがよく指摘されるんですが、むしろ私はそこよりも、五〇対五〇で分配しているところも若干違和感を覚えまして。通常ですと、出資した割合に応じて利益は分配される。日本側五〇に対して米国が五〇出していれば、五〇、五〇と。この最後の一〇対九〇が不公平かというのは、必ずしもそうではなくて、余った部分の、出資したやつを年限で割った元金部分、それに、みなし金利といいますかね、通常のベース金利にスプレッドを乗せた部分が返済されていく。その部分について五〇、五〇で配分されるというところが若干違和感を覚えます。
もう一つ、五〇、五〇にしろ一〇対九〇にしろ、出資割合が示されていない、米国側の出資割合が示されていないというところがやや問題ではないか。
覚書の第九項では、米国側が土地やインフラの提供、規制緩和等で貢献するということを累次御説明いただいているんですが、よく見ると、アレンジする意思を有する、迅速化する意図を有するとしか書かれていない上、具体的な出資の割合や数値が何も示されておりません。日本側が拠出する金額に見合った貢献、便益が米国側から提供されるのでしょうか。
○赤澤国務大臣 御指摘については、まずこのMOUで成し遂げようとしていることというのが、これは米国の国内に投資していくという話ですので、米国がイニシアチブを持っていろいろな案件を発掘をしていく。それについて、実際やるのは両国政府ではありませんで、当然ながら、民間の企業が工場を造るとか、そういったようなことが対象になってくるわけです。だから、これもまた当然ながら、民間企業は、政府が何かこれをやってくれと頼んだらやってくれる義務を負っているわけでも何でもありませんので、全体としてこれはその会社の利益に資する、プラスになると思わないと乗ってもらえないわけです。
そういうことを前提にこの仕組みをいろいろ考えていて、大事なのは、これについて、何か日本が一方的に取られているんじゃないかというようなお声はあるんですけれども、現場で交渉している者としては、これはアメリカが日本を特別なパートナーと認めて、しっかり米国の中に経済安全保障上重要な分野のサプライチェーンを築き上げようと大変前向きなわけです。端的に言えば、前向きだからこそ、逆に言うと、毎年五兆円、日本から関税収入を上げられるはずのものを、それを引き下げてまで日本とやろうと言ってくれているわけで。
そういう中で米側は、ここにあるように、その意図を有するというような書き方かもしれませんけれども、いろいろな現物出資をとことんやる。米国内のことだから、土地、水、エネルギーを提供するし、できた製品は買い取るし、規制については自分たちが最大限迅速化する。そういうものというのはなかなかすぐに金目に換算できませんから、上がった利益をどう分けるのかというのはなかなかケースケース、案件ごとに難しいので、そんな詳細なものはこの場でここに書き切れるはずもないんですけれども、参加してくださる民間企業とも相談をしながら、しっかり最終的には決めていく。
ただ、そこで働いているのは、是非理解いただきたいのは、日米共にこれについて非常に前向きであるということと、あとは、民間企業がこれなら乗れるというものでなければ最終的に進みませんので、そういうものを乗り越えて前に進めようと両国政府で話をしてつくったものがこれで、しかも、現物出資や金になかなか換算できないものを取りあえずどうやっていくか。日本側は当然、融資をし、融資保証をするので……
○山井委員長代理 赤澤大臣、短く答弁してください。
○赤澤国務大臣 はい。
金利や保証料がかかるわけですけれども、米側もそれなりにいろいろなものを提供するコストがあります。そういうものについては極力フィフティー・フィフティーでまず賄った後で、後は貢献度に応じて九対一という割合で分けていこうという考え方になっているということであります。
○山井委員長代理 質疑時間が終了しました。
○山田(賢)委員 はい。
ありがとうございます。投資そのものが悪いということではなく、前向きにやっていただきたいと思っておりますので、この点についての確認をさせていただきました。
これで質疑を終わらせていただきます。ありがとうございます。
○山井委員長代理 これにて山田君の質疑は終了いたしました。
次に、斎藤アレックス君。
○斎藤(ア)委員 日本維新の会の斎藤アレックスでございます。
本日は、質疑順番について野党の各理事の皆様に御配慮いただきましたことを、冒頭、感謝を申し上げたいと思います。
私の方からも、引き続き赤澤大臣に対して、とりわけ戦略的投資に関する了解覚書、MOUについて質問をさせていただきたいと思います。
先ほども、冒頭、委員から質問がありましたけれども、まず、本合意の核心である五千五百億ドル、日本円にして約八十兆円にも上る投資イニシアチブの性質についてお伺いしたいと思います。
この巨額の資金について、米国側、トランプ大統領は我々が好きなように使える資金と述べ、ラトニック商務長官も米国政府によって選定されると、繰り返し、この資金が、使途がアメリカ側にとって自由であるというかのような発言を繰り返されています。
一方で、赤澤大臣は、これを投融資枠であると説明をしておられます。本日も、この合意文書にはそのことが明記をされていないのにもかかわらず、日本側は、これは投融資枠であって、融資であったり保証枠も含めて投資を行う金額の総額であるというふうな説明をされていて、この五千五百億ドルが一体どういった性質のものなのかが分からなくなってしまっています。
国民にとって最も重要なのは、この八十兆円というお金がどのような性質でアメリカ側に渡り、どのようなリスクがあるのかということでございますので、まずその点を明確にお伺いしたいんですけれども、この五千五百億ドルは、具体的に、エクイティー、資本性のあるものなのか、あるいはデット、融資なのか、あるいは信用保証枠なのか、その想定される内訳とか比率とかそういったものがあるのかお伺いをしたいと思いますし、米国側の自由に使える資金という認識と日本側の投融資枠という説明の乖離は、国民にとってこの資金のリスクの把握を著しく難しくしていると思いますので、その点、明確にお答えをいただきたいと思います。
○赤澤国務大臣 まず、これは外交交渉あるあるという感じなんですけれども、どの国も、交渉のテーブルに着いているときは、相手の国が出したものはそんなに価値がないと言い、自分の国が出したものは大変な価値がある、こうおっしゃる。一たび交渉が終わってその部屋を出ると、自分の国が取ったものはすごいものだったんだとおっしゃるのはよくあることで、大統領がいろいろな発信をされていることについて、私は特にここでコメントすることはいたしません。
しかしながら、ラトニック商務長官と私の間で、この五千五百億ドルについてどういう進め方をしていくかについては、まさにMOUという仕組みがあって、大統領は好きに使えるとおっしゃったかもしれないけれども、条文を読んでいただけば、大統領は投資委員会が提示したものの中から選ぶという仕組みになっています。大統領が全くそういうものを関係なしに、これをやれ、あれをやれ、この順にお金を使うんだという仕組みにはなっていないのは、MOUを見ていただけば御理解いただけることだと思います。
加えて、五千五百億ドルをどういう形でSPVに提供するかについての仕組みがまさにその中に書いてあるわけで、我々は繰り返し、JBICの出資、融資、NEXIの融資保証で対応していくという説明をしており、現に実務協議では、向こう側のそういう専門家とこちらのJBIC、NEXIの専門家が出ていって、例えば金利についての今の相場とかはどんなものだ、SOFRプラス何十ベーシスポイントとかそういう話を丁寧にやっているわけで、実際その交渉の場にいた者からすれば、何かしら仕組みが全く分からないということはなく、完全にお互い合意しながらやっております。
その上で、私がいろいろ繰り返し申し上げていたことがまた断片的に取り上げられていますけれども、法令に従う、法令に矛盾することはできないということがこのMOUの中に書いてあって、当然ながら、我が国の法令で、JBICについては収支相償とか、NEXIもそうですけれども、あるいは、日本と全く関係のないものには出資、融資、融資保証できないというようなことも書いてあり、それに違反すればこのMOU違反になるわけです。
したがって、協議委員会の場でしっかりそこの点をクリアにして、JBIC、NEXIが提供する出資、融資それから融資保証を基にこのプロジェクトが動いていくということについての日米間の理解について、何らそごはありません。そのことは申し上げたいと思います。
○斎藤(ア)委員 今、最後におっしゃっていただいた、協議委員会で日本側の意見が反映されるというような御説明を繰り返されているわけでございますけれども、この協議委員会ですね、日本側が関与できる協議委員会の立ち位置が極めて薄弱であるということがこの合意の最大の問題点だと思っております。日本が関与できるのは両国からの指名者で構成される協議委員会で、この協議委員会は米側の投資委員会にインプットを提供するとしかこのMOUには書かれていないんですね。
大臣、このインプットの提供とは具体的にどのような法的拘束力あるいは影響力を持つのか、その点をお伺いしたいと思います。今、この書いてあること以外の現場の雰囲気みたいなものをお伝えいただきましたけれども、契約は書いてあることが全てですので、このMOUのどこを読めば日本のインプットが尊重されるという保証があるのか。仮に協議委員会で日本側が反対した案件を米国投資委員会が無視して大統領に推薦した場合は、日本にそれを拒否する権利はあるのでしょうか。その点をお答えいただきたいと思います。
○赤澤国務大臣 まず、MOUの関連する規定についてざっと触れさせていただきますが、まずMOUの二十二を御覧いただきたいと思います。
法的性質と書いてある四つある項の中の二十二ですけれども、この覚書のいかなる内容も日米両国のそれぞれの関係法令と矛盾してはならないというふうに書いてあります。そして、その上で、協議委員会についての定義があったと思いますが、協議委員会は、戦略上あるいは法令上の観点からのインプットを行うということが書いてあると思います。
その二つを併せて考えれば、端的に申し上げて、投資先は日米双方から構成される協議委員会における戦略的、法的観点を含む協議を経て選定することとされており、協議委員会から投資委員会に提供する委員御指摘のインプットを通じて、日本の戦略的考え方、法的な制約が適切に考慮される。具体的には、今回の了解覚書の先ほどの規定で、日米両国のそれぞれの関係法令と矛盾してはならないと規定されておりますので、この関係法令に、当然ながら、JBICやNEXIに対しての収支相償でありますとか償還確実性ですね、大赤字が出るようなものは駄目よとか、我が国への裨益、メリット等を求める日本の国内法令も含まれると承知をしております。
そういったことによって今私が申し上げているようなことが担保をされていく、これについてはMOUですので法的拘束力はありませんけれども、今申し上げたような考え方でしっかり担保をしていきたいというふうに考えております。
○斎藤(ア)委員 しかし、このMOUに、JBICやNEXIで投資をするということが別に明記をされているわけではなくて、金利で参照してくるような文言は最後に入っていますけれども、日本側はJBIC、NEXIで投資をするので、その範囲内でしかできませんよと、これだけ読んでもそう読めませんので、それだったら別の方法で金を出してくれたらいいよと言われたら終わりだと思うんですけれども、その点、今の説明ではやはり安心はできないと思いますし、繰り返しになりますけれども、文書に書かれていない権利は我々に存在しないと思いますので、その点は非常に曖昧なまま合意をされてしまっているというふうに思います。
この文書には、更に日本の立場を不合理なものにする条項が含まれています。これも先ほどもう既に上がっていますけれども、十三項によれば、元本と金利が返済された後、利益の配分比率は米国が九〇%、日本が一〇%へと劇的に変化をするわけですね。トランプ大統領が利益の九〇%は米国が享受すると公言しているとおりの内容になってしまっているわけでございます。本来であれば、リスクを取った者がリターンを享受する。このスキームでは、日本が資本を提供し、最終的な財務リスクを負うのにもかかわらず、長期的な利益のほとんどはアメリカ側が得る構造になっています。
これは一体どのような経済的な合理性に基づいて合意された内容になるんでしょうか。米国の元高官が指摘するように、これでは日本が米側の強い要求を丸のみしたようにしか読めないというふうに思いますけれども、一体どのような理由づけを行えば、米国が九〇%、日本が一〇%という利益配分が許容されるのでしょうか。その考えについてお伺いをしたいと思います。
○赤澤国務大臣 まず、これも本当に外交交渉あるあるなんですが、交渉が終わると、各国がそれぞれ自国の一部野党、一部マスコミから、不利益なものをやってきた、我が国は負けた、両国の間に認識の違いがあると大騒ぎになるわけでありますけれども、そこについて言えば、やはりこれは信頼関係でやっているものでありますので。
加えて申し上げておくと、日本にそういう権利はないとかいろいろおっしゃって、義務があってとか強調されるけれども、MOUは、繰り返しますが、法的拘束力はありません。権利義務関係をつくるものではなくて、あくまで信頼関係に基づいて、最終的には両国の民間企業がこれなら会社のためになると思って参加してくるわけなので、そういうスキームを前提にしていることは是非御理解いただきたいと思います。
それから、九〇対一〇という話ですけれども、先ほどから御説明しているとおり、例えば出資を同じくしたとしても、そこはまたベースごとに、案件ごとに相談するわけですが、米国は、ラトニック商務長官が繰り返しおっしゃっていたように、米国内の投資であるから、土地や水、電力、エネルギーを提供する、そしてオフテイクですね、買取り、製品は買い取る、規制プロセスの迅速化も最大限やるといったようなことを繰り返しおっしゃっているわけですよ。例えば、出資が同等だったとしても、できている製品が在庫として積み上がることは企業にとって一番大きなリスクの一つなので、それは米国政府が買い取ると宣言してもらえば大分状況は変わってきます。
そういうことも踏まえて、本当にこのプロジェクトは米側が日本を特別なパートナーとしてやろうとしている話なので、そういうところも、これは法的拘束力なし、権利義務はありませんけれども、米国がそこまで言うのであれば九〇対一〇というのもあり得る、貢献に応じてということを合意をしているわけであって、何かしら一方的に決められたものを、義務として履行しなきゃいけないものを我が国が負っているわけではありません。
この投資イニシアチブに沿った投資が、日米の相互利益の促進、あるいは日米同盟の更なる強化と経済安全保障の確保、我が国の経済成長の大幅な促進につながるよう、具体的なプロジェクトの対象範囲や選定等について、米国と引き続き緊密に連携を図りつつ、しっかり取り組んでまいります。
○斎藤(ア)委員 信頼関係に基づいてこれがしっかりと行われていくんだという御説明なんですけれども、繰り返しになりますけれども、信頼関係という言葉に逃げないでいただきたい。文言に書かれていない権利というのは存在しないわけでございますので、そこの危険性は極めて残っている。
両国が対立することは想定していないとおっしゃいますけれども、このMOUの第八項には、米国が一方的に関税を課すことができる、いわゆる関税スナップバック条項がわざわざ明記されている。投資委員会の決定に従わない場合は関税を引き上げますよと、わざわざ脅しのような文言が含まれているんですね。法的拘束力はないと言われますけれども、日本に対してはこのMOUで義務が課されている、そういうふうに読まざるを得ないと思いまして、この文書はもはや両国間の協力とはとても言えないと思います。資金とリスクは全て日本が負って、管理権限と利益は米国が握る。そして、日本の唯一の対抗手段である資金拠出の拒否は、関税という報復措置によって封じられてしまっている。これは半ば恐喝のようなたてつけになってしまっていると言っても過言ではないというふうに思います。
もう時間がありませんので締めくくらせていただきますけれども。しかし、これは赤澤大臣の交渉が悪いだとか、今の日本政府の交渉が悪いだとか、一方的に決めつけるつもりはなくて、根本的な問題は、繰り返し様々なメディアで報じられていることですけれども、やはり日本の経済や安全保障が米国に極めて従属的であって、米国の意向に振り回され続ける、そういった構造が戦後八十年続いてきたことが最大の問題だと考えております。
経済政策も安全保障政策も含めてしっかりと自立した日本をつくっていくべく、日本維新の会としては取り組んでいく、そのことを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○山井委員長代理 これにて斎藤君の質疑は終了いたしました。
次に、本庄知史君。
○本庄委員 立憲民主党の本庄知史です。
この度、立憲民主党の政調会長に就任をいたしました。浅学非才ではありますけれども、しっかりと頑張っていきたいと思います。建設的な議論、骨太の政策、そして厳しい行政監視。党の先頭に立って頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
さて、まず、赤澤大臣、お疲れさまです。私も内閣委員会におりましたので、大臣が異例の委員会欠席を続けて、内閣委員会が日程が変わったり、あるいは、じゃ、大臣が来れる日にやろうといったら、またアメリカに飛ばれたりということで、大変な御苦労をされているということを目の当たりにしてまいりました。
事をただせば、やはりトランプ大統領、トランプ政権の関税政策が極めて不条理であって、そのとばっちりを我が国も世界も受けているということですので、石破政権や赤澤大臣に元々とががあったわけではもちろんありません。そして、厳しい交渉ですから、内容に百点もないでしょう。様々なデメリットや欠点も含んだ合意になるのは一定やむを得ないとは思います。しかし、重要なことは、その事実関係をきちんと明らかにしていただくこと。特に、リスクや曖昧な点については国会にしっかりと共有をしていただき、国民の皆様に伝わるようにしていただくということが最も重要なことだというふうに考えています。
その上で、私、非常に違和感がありますが、先日の参議院の予算委員会で、我が党の委員から、今回の合意が令和の不平等条約ではないか、こういう指摘がありました。ちょっと言葉がどうかということはおいておいて、これは不平等なものになっているということは疑いの余地はないんじゃないですか、大臣は否定されていますが。
例えば関税。これは、相互関税といいながら、日本側のみに一五%が課される。それから投資。これも、内容については後ほどまた議論しますが、対米の投資のみ八十兆規模。それから、農産品一・二兆円、あるいは航空機、防衛装備品、LNGなどの爆買いの数々。これは、明らかに日本からアメリカに一方的に資金を拠出するという内容になっています。
一方で、二〇二〇年に発効した日米の貿易協定、これは完全にほごにされたままということで、不平等以外の何物でもないと思うんですね。ちょっと厳しい言い方をすれば、国辱物だと私は思いますが、この不都合な真実をまず正直に認めるところから議論が始まるんじゃないですか。大臣、いかがでしょうか。
○赤澤国務大臣 今、いろいろな例を挙げられましたけれども、それぞれ、貿易でありますので、両国にメリットがあるからやっているものであると理解をしています。
例えば、八十億ドルについてですけれども、我が国が実際に大豆やトウモロコシが需要があるので輸入をするという面について、それが逆に、貿易先をどうするかというような問題はもちろん含まれていますけれども、米国から輸入をすることにする、その結果、我が国は、需要がある大豆やトウモロコシ、あるいはバイオエタノールの原料みたいなもの、そういったものを輸入をすることができる、結果、米国は貿易赤字が減るというような、両方にとってウィン・ウィンの関係があるものをそろえることで、合意に至る努力を最大限やってきた結果がこれでありますので、何かしら、令和の不平等条約と言われて、それが納得できるか、事実かと言われれば、私はそのような感覚は全く持っておりません。
いずれにしても、日米両国の相互利益の促進、そして日米の経済安全保障の確保、我が国の経済発展の大幅な加速、そういったものにつながる合意を成立させた。それは石破総理の、大統領に二月に関税より投資と申し上げて、我が国は、二百か国以上ある国の中で、関税を下げずに合意に至ったほぼ唯一の国でありますけれども、そういう両国にとっていい合意ができたからこそ、合意が成り立っているということでございます。
○本庄委員 私が申し上げているのは、日本側からの、例えば米側に購入をさせる、あるいは関税を引き下げてもらう、こういったものがない、我が国側の措置のみで今回の合意が成り立っていることについて、一方的であり、不平等なものになっているのではないか、そのことはまずきちんとお認めになるべきではないか、こういったことを指摘をしています。
先ほど、山田委員のやり取りでも、出資以外の融資や保証が含まれているかいないかということについても、これはどこにも書かれていないわけですね、今回の覚書には。しかも、この覚書そのものが法的効果がない、効力がない。法的効力のないものにさえ書かれなかったものが、いやいや、閣僚間では確認をしているので大丈夫だというふうにおっしゃられても、我々、はい、分かりましたというふうにはならないわけです。いかがでしょうか、大臣。
○赤澤国務大臣 まず、米側が必要としているものは、プロジェクトごとにつくるSPVにきちっと必要な資金が提供をされ、そして必要な現物出資の類いがなされ、プロジェクト全体が動いていくということが問題なのであって、そこについて我々はMOUを結んでおりますが、端的に言うと、やはり、私、両国の立場をそれぞれ理解をしないと物事の理解は進まないと思っていまして、今の点について言えば、米側は、SPVにどういう機関からどういうお金が入ってくるか、それについては関心はないけれども、一定の額についてきちっと手当てをして合意を成り立たせていくことに関心があるので、アメリカは、JBICから来たお金かNEXIから来たお金か、それは問いませんよ。
問わないけれども、そこについては資金繰りを日本が協力していこうねという中で、米国は必ずしもそこに大きな関心があるわけではないので、JBIC、NEXIなんということをMOUに書き込んではいませんけれども、それは我々はそういう手だてでやっていくということの理解を得ており、そしてまた、それは法令に従って運用されていくということです。
やはり相手の国の関心がどこにあるか次第でMOUの中身は変わってくるわけで、そこをもって、書いていないからそれは何かそうじゃないのだと言われても、日本側は、このMOUをやるに当たって、日米と、お互いに必要なところは書いていますけれども、それぞれが自分の国に持ち帰ったときにどういうやり方でやるかというのは、それはもう信頼関係に基づいて各国がちゃんと手当てをするということになっているのであって、その点に特に何か問題があるというふうには私は考えておりません。
○本庄委員 JBICとそして日本貿易保険による、出資、融資、保証でやるんだというお話なんですが、八十兆円の投資、全てこの二者で賄う、そういう方針なんでしょうか。
○赤澤国務大臣 そこも委員は理解された上でおっしゃっていると思いますが、JBICについては、法に基づいて出資したりあるいは融資する権能があります。NEXIについては、融資保証をしますが、御案内のとおり、NEXIが付保する部分については、民間の金融機関がお金を出しますので、それは民間の金融機関が、出すかいがあると思うものについて参入をしてこられる、そういうものがちゃんとつくプロジェクトを練り上げるのが日米政府の腕の見せどころというところであって、八十兆円が全て政府から出るとかそういう話ではございません。
○本庄委員 利益が出ないものや赤字が見込まれるものには当然投資ができない、こういうことなんですけれども、しかし一方で、八十兆円という枠は決まっているわけですね、日米間で確認している。そして、今回の覚書を見ても、予定どおりきちんと投資が進まなければ関税の引上げがあり得るということまで書き込まれています。
これは結局、相反する二つのこと、つまり、赤字を出してはいけないという話と、一方で、資金の規模として八十兆というものに到達していかなければいけない、この両者に挟まれた状況の中でこれからやっていかなければいけないわけですよね。赤字を出さないように精査をしていれば、投資の規模が低くなってしまってアメリカとの約束の金額に到達をせず、そして関税が引き上がってしまうかもしれない。一方で、そこを避けようとして甘いリスク査定で投資を続けていけば、これは今度は国民負担につながっていくという可能性もあるわけです。
大臣、この点についてはどのように考えていらっしゃるんでしょうか。
○赤澤国務大臣 委員おっしゃったことは、本当によく考えていただいていると思うことでありまして、まさに、日米が、同盟国であります、世界の中で両国が特別なパートナーと認め合って、お互いの経済安全保障を確保するためにサプライチェーンを米国につくり上げるのは、両国にとって利益があることです。しかも、日本の企業にもメリットがなければ、我々、そこにはお金をつぎ込むことは、投資することはできないというたてつけになっていますので、それはしっかり両国政府でプロジェクトをつくり上げていくという考え方でやりたいと思っています。
その上で、さっきから繰り返し言われるのでそこに触れておきますが、お互いやはり交渉人というのは立場があって、私がまさに野党の先生方から、マスコミの皆様から説明を求められ説明責任を果たさなきゃいけないのと同じように、米国のベッセント長官、ラトニック長官も同じ立場であります。
彼らが国内で何を言われているかというと、日本がこの合意を守る保証があるのか、大統領令をもう出してしまって、あるいは出す前から、日本はどうやってこの合意を守るんだ、日本にある意味してやられたんじゃないのか、米国は大丈夫なのかと彼ら二人はやられているわけです。だからこそ、逆に言うと、日本がもし約束を守らなければ関税をもう一回上げることはあると彼らが書いておかないと、彼らも国内的に立って説明できないわけですよ、立っていられなくなるというか。
そういうこともある中で、お互い交渉人が、お互いの国内に戻ってからの説明責任をどう果たすかなんかも考えながらやっていることなので、何か一方的にむしられるとか不平等とか、そういうものではないということは申し上げておきたいと思います。
○本庄委員 私、赤澤大臣が先方と様々な約束をされていること自体がうそだとかそういうふうには思っていません、もちろん。ただ、大変失礼ですけれども、国会で御答弁されるのは今日で最後かもしれません。それは相手だって分かりません。人が替わったときには、残るのはこの文書だけですよ。そういう中で、今までもろもろ日米で確認しているとおっしゃってこられたことがどれだけ保証があるのか、担保があるのか、何を根拠にこれから日米間で話をしていけばいいのかということを私は懸念をし、伺っているんです。
例えば、そうはいっても、出資、融資、保証、リスクがありますよね。損失についてはどういうふうになっているんですか。日本の国民負担は生じないと言い切れますか。いかがですか。
○赤澤国務大臣 これはもう繰り返し申し上げていることですけれども、先ほど紹介した、だから、基本的に、MOUなので法的拘束力がない、権利義務をつくるものではないという前提ではありますけれども、少なくとも日本の法令には反しないようにということで、JBICとかNEXIが仕事するに当たっては、収支相償、とにかく大赤字を生じるようなものは駄目よということなので、協議委員会を通じて、しっかりそこのプロジェクトの採算とかそういったものは見ていくということになります。大赤字が生じるようなものについては、日米両政府共にそれはもう全く望まないものでありますので、きちっと案件形成をやって、そういう損失の生じないものにしていく。
ただ一方で、仕組みとしては、これは観念的にそういうことは生じないと思っていますけれども、実際、利益が生じなかったときにどういうふうに負担をしていくかということも、先ほどの五〇、五〇のところで規定をされている部分でございます。
○本庄委員 今大臣がおっしゃった、八項目めの部分だと思いますけれども、これは、日本は、独自の裁量で、投資に対して必要な資金を提供しないことを選択することができると書いてあります。ただし、そのような決定を行う前に米国と協議を行うと。ここまでがんじがらめになっているわけです。お伺いを立てないと取下げもできない、こういう合意になっているわけですよね。私は、非常に、先ほど、最初の問いに戻りますけれども、不平等な合意にやはりなっていると言わざるを得ないと思います。
最後に、この関連で質問しますが、一次政権のときは協定という形で国会で大分審議をしました。今回は、そういった法的拘束力はありませんので、国会での審議が実質ありません。そして、今後もそういった取っかかりがないんですね。したがって、今回の合意の今後の進捗、五年間のですね、これについて、しかるべき形で国会に対して政府が報告をするという仕組みをつくっておくべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○赤澤国務大臣 まず、二点に分けてお話ししたいと思いますが、繰り返し総理も申し上げているとおり、これはJBIC、NEXIが絡む、とにかく国民にきちっと説明責任を果たしていく必要はあると思いますので、政府としてその役割は果たしていきたいと思いますが、国会がどういう仕組みをつくってそれに対応されるかについては、国会がお決めになることで、私が申し上げることではないというふうに思います。
○本庄委員 その上で、今回の関税の問題も含めて、日本経済にとっては大変不確実な要素というふうになっていると思います。各民間の予測などを見ても、GDPの押し下げ、あるいは自動車産業の各社の営業利益の減、こういったことが予想されている中で、やはり経済対策、これが待ったなしの状況だというふうに考えています。
予算委員会で、石破総理は、経済対策の必要性について、そのとおりだというふうに答弁をし、赤澤大臣も、全て決着したわけではなくて、産業や雇用に与える影響の緩和に万全を期す、こういった答弁もありましたが、この経済対策について政府の中で今どういう検討状況なんでしょうか。
○赤澤国務大臣 日本経済への影響について、マクロで見れば、企業の設備投資や家計部門などには特段の変調は今のところ見られておりませんが、自動車の対米輸出価格は大きく下落し、企業収益の下押し要因となっていることに加えて、足下では、自動車を中心に米国向け輸出が減少するなどの影響が既に見られております。
政府としては、八月一日の石破総理からの御指示を受けて、関係省庁の政務三役や幹部において、米国の関税措置の影響を受ける所管業界等への説明、対話を八月中に集中的に実施し、これまで全都道府県で延べ一万を超える事業者等に参加をいただいたところです。
これら以外にも既に様々な相談や意見が届いておりますので、四月に取りまとめた米国関税措置を受けた緊急対策パッケージに基づき、政府として、引き続き、関税の影響に起因する不安や疑問を払拭するための丁寧な説明、対話を実施するとともに、特別相談窓口における丁寧な対応や中小企業、小規模事業者の方々への資金繰り支援等により、産業や雇用に与える影響の緩和に万全を期してまいりたいと考えております。
○本庄委員 それは既にあったものであって、その後の八月四日の予算委員会で、経済対策が必要だというふうに石破総理が答弁しているんです。なので、その対策が今どういう検討状況なんですかということを今私は伺っているんですが、明確に、端的に答えてください。
○赤澤国務大臣 まず、年間五兆円関税を課されておる状態から、それを引き下げて、三兆円前後ということに合意の結果なるわけでありますけれども、その影響が、関税政策、いろいろ広範にわたっていますし、これから出てくるものもありますし、それをきちっと見極めながら必要な対策を講じていくという考え方だと思います。
これまでやってきたことについてどういう効果があったかとか、そういうこともしっかり検証しながら、随時、臨機応変に検討していくということだと思います。
○本庄委員 今、考えていないということですね。
それでは、個人の観点からもちょっと聞いていきたいと思うんですが、自民党が、石破総理も含めて参議院選挙で公約をしていた給付金、これは一人二万円でしたでしょうか、総裁選挙に立候補を表明した茂木さんが見送るとおっしゃり、そして、林官房長官も、昨日ですかね、公約として受け入れられたという結果ではなかったということで、非常に慎重な御発言をされています。
今、政府としては、給付金、どういう方針になっているんでしょうか。
○加藤国務大臣 お尋ねの給付金については、石破総理は、まず、与党として公約した物価高対策としての給付金について、参院選での議論も踏まえ、財政に対する責任も考えながら、与党において検討を行い、野党との協議を更に進めてもらいたいと述べておられると承知をしておりますので、政府としては、こうした状況を見定めていくことが必要だと考えています。
○本庄委員 傍観ですか。見定める。もう二か月ですよね、参議院選挙が終わってから。経済対策も、今までの、やってきたこと以上のことはやりません。これから総裁選挙、一か月たって、新しい内閣が発足するまでにあと一月。結局、参院選から三か月、政治空白ということじゃないんですか。
加藤大臣、小泉さんの選対本部長にまでなっておられて、随分余裕があるようにも見受けられますけれども、与党のお尻をたたいて、経済対策や補正予算をやろう、国民生活大変だと、それぐらいの気概でやってもらえませんか。いかがですか。
○加藤国務大臣 別に余裕があってやっているわけではないわけでありますけれども。
まさに、先ほど申し上げた石破総理の方針を踏まえて、まさに今与党においてそうした検討、そして協議を進めるということでございます。また、特にこの間の効果等についてもよく検証してくれという話も具体的に出ていたというふうに承知をしておりますので、そうした与党、またさらには野党との協議、それらも踏まえながら、また、政府としては、もちろん政府としては常にいろいろな状況分析等は当然していくわけでありますけれども、そうした努力は引き続きしていかなければいけないというふうに考えております。
○本庄委員 我々は、経済対策として、短期の食卓おうえん給付金、そして食料品の消費税ゼロということを参議院選挙でも掲げてまいりました。選挙の結果を見れば、給付よりも消費税の減税ということが多かったということだと思いますし、昨日の林官房長官の発言もそういった選挙結果も踏まえての御発言だと思います。
加藤大臣は、重ねて、繰り返してこの消費税減税についてはネガティブな御発言をされてきております。先日の閣議後会見、閣僚会見でも、軽減税率を含めて、その税率を引き下げることは適当ではない、こういうふうにおっしゃっておりますが、参議院選挙で示された給付金ではなく消費税減税だという多数の声、意見について、大臣、どのように受け止めていらっしゃるんですか。
○加藤国務大臣 参議院選挙で示された民意というものは、しっかりよく分析をして受け止めていかなければならない、それはそのとおりだと思いますが、その中で、具体的な消費税に関しては、今委員から言っていただいたように、政府としては、食料品に対する軽減税率を含め、その税率を引き下げることは適当でない。
また、その上で、消費税減税には、いざやろうとしても相当の準備期間が必要であること、あるいは、高所得者や高額消費者も含めて負担軽減がなされるといった課題もあるわけであります。まさにそういった点に留意する必要があるものと考えており、こうした課題も含めて、我々としては、こうした状況の理解を深めるべく努力をしていかなければならないと思っています。
○本庄委員 参議院選挙で政府・与党として公約をしていた給付金もやらない、様子見だ。野党側が求める消費税減税もやらない。そして、トランプ関税に関連しての経済対策も考えていない。何もしていないんじゃないですか。
逆に伺いますが、この物価高において何をするんですか、教えてください。
○加藤国務大臣 給付金について、やらないといったことを申し上げているわけではなくて、今回の選挙の結果も踏まえて、それについて検討を行って、また野党の御意見も伺いながら進めていくということを申し上げている。
それから、米国の関税政策については、先ほど赤澤大臣からも申し上げましたように、その影響等について、実施状況及び影響、これを見極めながら、この秋に経済対策を策定すると述べられているわけでございますから、それを踏まえて必要な検討といいますか、政府の中でやるべきことはしっかりやらせていただいているということであります。
○本庄委員 検討はいいんですが、選挙が終わって二か月、この後、一月かかって総裁選挙と組閣云々を考えると、もう秋になりますよ。家計も日本経済ももたないし、そしてそのダメージが来年にも持ち越されていく、こういうことになりかねないわけです。
もう一つ、財務大臣、ガソリンの暫定税率、伺いたいんですが、これも我々、選挙公約として掲げ、そして、先般、御党も含めて年内の暫定税率廃止を実現するということを確認をしております。
にもかかわらず、これまで五回、与野党協議を繰り返してきましたけれども、与党からは、財源が必要だといいながら、一切その中身、案が出てこないんですね。これは極めて無責任だと思うんです。我々は案は出しております、上振れだとか剰余金だとか。それについて御意見があるのは分かります。しかし、意見があるなら対案をしっかり出してもらいたいんですね。
財務省はもちろん与党ではないですよ。ただ、提案すべきじゃないですか、与党に。一兆円、こういった形で財源を出しましょう、出せますよと。やってもらえませんか。いかがですか、財務大臣。
○加藤国務大臣 まさに、政府と与党、ある意味ではもちろん一体の部分もありますけれども、本件は、与党と野党との間で、まさに党と党の御議論をしているわけでありますから、そういう中で、政府は、別に与党、野党を問わず、いろいろなお尋ねがあれば、それに対して、必要な資料を整理したり、また提供する、そういう役割はしっかり果たしていかなきゃいけない、こういうふうに思っております。
○本庄委員 であれば、財務省が考える財源の案を出してくださいよ。与野党を問わず、案を出すんでしょう、出せるんでしょう。お願いします。いかがですか。
○加藤国務大臣 いや、私が申し上げたのは、こういう案があるけれども、これはどうなのか、このバックデータはどうなのか、こういうことであれば、私どもとして、それは与党、野党を問わず提供させていただく。
ただ、どういう案かというのは、まさにこれは政党のそれぞれの考え方に基づくわけでありますから、それはそれぞれの政党において御議論される、また与野党間で御議論されるものというふうに認識をしています。
○本庄委員 お役人よりもお役人みたいな答弁で、大変残念ですね。私も、民主党政権時代、与党にもいましたし、今も、野党の立場ではありますが、都合のいいときは案を持ってきますよ、どこの役所も、こういうのでどうですかと。これは詭弁ですよ、大臣。
今、お聞きすると、給付金、様子見、消費税減税、やる気なし、ガソリン暫定税率の財源、御下問があれば考えましょう。全くやる気ないですね。という方が、小泉さん、今回選対本部長ということなんですね。私は、本当に残念なんですよ、残念。何かよほどの理由があってお願いをされたのかもしれませんが。
これは小泉さんも同じような立場、意見ですか、ちょっと教えていただきたいんですが。
○小泉国務大臣 まずは、政調会長御就任、おめでとうございます。
今、様々なお話がありましたけれども、何もやっていないということを、レッテルを貼りたいのかもしれませんけれども、正確に、総理が御発言、また自民党の小野寺政調会長に指示を出したことは、政策の切れ目があってはならないので、仮にもし今後新しい総裁・総理の下で経済対策を打つことになるとしても、現状をよく把握しておくことが大変重要であり、政調として意見を集約していただきたいという指示を出されたものと承知をしていますので、先ほどから本庄委員が、何もやらないじゃないですかというのは、ちょっとそこは違うのではないでしょうか。
一方で、今、我々が置かれている状況は、少数与党ということで、我々の提案それだけではなくて、やはり野党の皆さんの御協力があって政治は前に動くという環境を考えたときに、皆さんの御提案にも真摯に耳を傾けながら、必要な協議なども行い、どのようなものだったら一致してこの課題を前に進められるのかを考えるのは当然のことだと思っております。
○本庄委員 何もやっていないわけではないとおっしゃいますが、やっていることは検討だけじゃないですか。実現、実施に向けた具体的なアクションを何かやっているのかということを私はずっとさっきから聞いているんですね。給付金もやっていない、消費税減税もやっていない、ガソリン暫定税率もやっていないじゃないですか。政府からも与党からも何にも出てきていませんよ、現に。
そして、小泉さん、私が聞いたのは、加藤大臣がおっしゃった給付金、消費税減税、ガソリン暫定税率に対する考え方、小泉さんの選対本部長ですけれども、そういった考え方を共有して本部長を頼んでおられるんですかというのが私の問いなんです。答えてください。
○小泉国務大臣 まず、私の選対本部長という立場で答弁できるわけはないじゃないですか。財務大臣としてお答えをされるのが当然のことだと思いますし、私は今この場に農林水産大臣として立っております。本庄委員からは今日は特に米の問題についてという私は質問通告を受けておりますので、そういったことについてしっかり内閣の一員としてお答えさせていただければと思います。
○本庄委員 小泉大臣、残念なんですけれどもね。今週火曜日ですかね、農林水産大臣記者会見、どこでやりましたか。農林水産省会見室でやっていますよね。そこでどんなやり取りをされましたか。米の問題が一番多かったと思いますけれども、総裁選挙の問題について答えているじゃないですか。農林水産省内で行った農林水産大臣の会見で総裁選挙について答えていますよ。何で、国会に来たら突然、大臣としての答弁しかできないと言うんですか。
やはり、総理になる可能性もあるという中で、いろいろな人が注目をして問うているわけですよ。リスクは分かります。私も二期生なので分かりますが、先輩のお声もいろいろあるでしょう、しかし、そこは思い切って答えていただきたいと思うんですね。
時間もないので、もうちょっと聞きたいと思います。本当は米のお話をしたいんですが、ちょっと赤澤大臣の答弁が長くて、大変申し訳ございません、私の時間配分が悪かったかもしれません。
今、与野党で、まず、ガソリンの暫定税率について合意をし、年内実現に向けて協議をしています。そしてもう一つ、給付つき税額控除について、今日この後恐らく党首会談を開かれて確認されると思いますが、まず自民、公明、立憲三党で協議体を立ち上げ、そこに賛同いただける他の野党の方々も声をかけ、そして制度設計について議論する。こういった二つの与野党の協議が、これは石破総理の答弁を踏まえて、石破総理・総裁の答弁を踏まえて行われているわけです。
小泉さん、自らがということは私は聞きません。ただ、次の総理・総裁が、この公党間の約束、党首同士の約束をきちんと引き継いで、継続して真摯に議論していくべきだ、私はそう考えますが、小泉さん、どうお考えになるでしょうか。いかがでしょうか。
○小泉国務大臣 公党間の約束というのは、この問題だけではなくて、ガソリンのことなどありますから、その約束を、誠実に向き合って履行に向けて努力するというのは当然のことだと思います。
○山井委員長代理 本庄君、質問時間が超過しております。
○本庄委員 じゃ、終わります。ありがとうございました。
○山井委員長代理 これにて本庄君の質疑は終了いたしました。
次に、吉田はるみさん。
○吉田(は)委員 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。大臣、よろしくお願いいたします。
早速でございますが、赤澤大臣、トランプ関税の大変厳しい交渉、お疲れさまでございました。
長引く物価高、そしてトランプ関税のダブルパンチで、今、国民生活は大打撃を受けています。物価高に賃金上昇が追いつかず、負担ばかりが増す現状に悲鳴が上がっています。
そこで、物価高とトランプ関税のダブルパンチに対する、物価高対策について林官房長官にお伺いしたいと思います。
本年七月の参議院選挙で国民の民意が示されました。今、国民が一番求めているのは物価高対策です。しかし、あれから二か月、先ほど本庄委員も言及しましたけれども、この間の自民党の皆さんがやったこととして、今、国民の中にあるその気持ち、選挙の責任を取らせるという石破降ろし、そして、これから自民党の総裁選挙です。生活が逼迫している国民のための物価高対策は進んでいません。これは順番が逆ではありませんか。
林官房長官は政府ナンバーツーでいらっしゃいます。参議院選挙後、真っ先に物価高対策を、すぐに実行しようと言えたはずです。自民党総裁選という、自民党による自民党のための自民党の事情によって物価高対策が遅れているこの現状、林官房長官、自覚そして反省はありますか。
○林国務大臣 物価高対策についてのお尋ねでございます。
これについては、私、先ほどちょっと会見で、途中で入らせていただきましたけれども、あるいは既に議論があったかもしれませんが、総理が、自民党総裁として、与党として公約した給付金について、参議院選での議論も踏まえて、財政に対する責任も考えながら、与党において検討を行い、野党との協議を更に進めてもらいたいとした上で、これまでも、令和六年度補正予算そして令和七年度当初予算において様々な物価高対策を講じてきましたが、これらの対策がどれだけ国民の皆様に届き、本当に効果的なものとなっているか、党として検証していただきたい、政策の切れ目があってはならず、仮にもし今後新しい総裁・総理の下で経済対策を打つことになるとしても、現状をよく把握しておくことが大変重要であり、政調として意見を集約していただきたい、そういうふうに述べられておられます。
政府としては、こうした検討、協議の状況、諸情勢を見極めながら物価高対策の検討を進めていくものと考えております。
○吉田(は)委員 官房長官、検証、検討、これをやっていては、今、国民生活が逼迫している、この状況に追いつけません。スピード感が必要です。
もう民意は示されました。七月の参議院選挙で、自公は四十七議席、そして消費税減税又は廃止を掲げる野党は七十七議席。圧倒的に国民の皆様が、今、物価高対策として望むのは、給付金よりも減税なんです。
今この状況で、物価高の状況、御存じかと思いますが、改めて、ちょっとここでパネルを示させていただきながらお話しさせていただきます。
私は八百屋の娘です。祖父の代から続く八百屋で、私は小学校の頃から店に出て、野菜、果物、こういうものを売っていました。そして、食べるものの大切さ、それが身にしみついています。食料品の価格に非常に敏感です。
こちらのパネルを御覧ください。
まず、スーパーでの、今、米の価格、これは後ほど小泉大臣にもお伺いしたいと思いますが、この五年で、御覧ください、五キロ二千円台だったものが、直近では四千百五十五円ともう去年の二倍に上がっています。こういう現状。そして、食料品の動きです。これも、二〇二〇年を一〇〇とした場合、二〇二五年時点で一二五。
昨日ですか、林官房長官、実質賃金一%アップを目指すということをおっしゃられたんですが、ちょっとそれでは追いつかないんです。物価高対策、それだけではちょっと、とても足りないという現状でございます。
実際、自民党そして公明党の皆様と立憲民主党で、給付つき税額控除、これの実現のための共同体、これが設置される運びになったということ、これは大変よかったと思いますが、給付つき税額控除は、消費税のキャッシュバックであり、お金を戻すという減税政策の目玉として有効です。実現すれば、逆進性対策で決め手になる有効な政策ではあります。ただ、先ほども、ない、実現していない、検討するということが続いた、今の自民党さんそして政府の物価高対策では国民の皆様には届きません。
この給付つき税額控除、これが仮に実現するとしても、この間に、是非、食料品の消費税ゼロ%、これで、今、物価高にあえぐ国民生活、特に食べ物、これはとても大事なところです。林官房長官、食料品の消費税ゼロ%、実現しましょう。まさに野党と話をしてください。いかがですか。
○林国務大臣 消費税でございますから、財務大臣はこちらにおられますので、詳しく聞いていただければと思いますが。
その前に、先ほど食品価格が一二五になっているというお話で、これはあくまで総裁候補としての、予定者としての発言でございますので、官房長官として発言したわけではありませんが、念のため申し上げますと、私は実質賃金というふうに候補として申し上げておりますので、食品価格が一二五までこの四年間で行っているとすれば、それは、当然、実質ということは、名目の賃金と物価を比べて賃金が一%以上上回る、こういう意味でございますので、こういうものも反映した目標ということは委員もお分かりの上でおっしゃっているということだと思いますが、補足させていただきます。
消費税については、急速な高齢化等に伴って社会保障給付費が大きく増加しております、全世代型の社会保障制度を支える重要な財源でございまして、政府としては、食料品に対する軽減税率を含めて、その税率を引き下げるということは適当ではない、そういうふうに考えております。
○吉田(は)委員 今、林官房長官、給付金はもうなしと、これもおっしゃっていました。先ほど加藤財務大臣は、検討するということをおっしゃっていました。
いずれにしても、給付金も、なし、決まっていません。そして、食料品に限らず、消費税減税、これに関しても、今のところ、やるという答えは全く返ってきていません。給付金はなし、消費税減税もなし。そして、ガソリンの暫定税率、こちらも、めどが今のところ、なしです。自民党、政府の物価高対策では、なし、なし、なしの三連発で、国民の皆様には何も今届けられないという現状です。
もう一度繰り返しをさせていただきますが、せっかく加藤財務大臣も野党と協議をしてとおっしゃっていただきましたので、立憲民主党は、財源を示して減税、財源を示した減税を提案しています。これは食料品の消費税ゼロ%でございますが、是非その協議体もつくっていただきたいと思います。
今、財務大臣の立場で、先ほど、データ、財源に関しては、出す、出さないのか、ちょっとよく分かりませんでした。財源も含め、私たちの財源で駄目なら、ほかに財務大臣としてお示しいただけるかどうか、いま一度御答弁いただけますか。
○加藤国務大臣 一つ先ほど申し上げたのは、それぞれ政党でいろいろ御議論をされていく、政策をつくっていかれる、それに当たって必要なデータ、資料、私どもが持っているもの、これはしっかり、これまでもそうでありますが、引き続き提供させていただきたいと思います。
その上で、政党間の協議をどう構築するかというのは、ちょっと政府の立場にいる私から申し上げる内容ではございませんので、それは、与党また野党、あるいは御党と自民党、そうした中での御議論ということになるんだろうというふうに思います。
政府としての立場は、従前から申し上げているとおり、食料品の分についても含めて、消費税の引下げは適切ではないということは、これまでも申し上げているところでございます。
○吉田(は)委員 残念です。定額減税四兆円、これは財源も示さず、政府としてはやったわけです、物価高対策として。やる気があればできます。これは是非お願いしたいと思います。
残り時間、小泉農水大臣にお伺いします。
先ほど示させていただきました米の価格、確かに、備蓄米は放出され、一瞬価格は下がりましたが、またこの新米の時期に来まして、四千円、スーパーで売られている価格は四千円を超えています。不安なんですよ、私たち、この先、米の価格がどうなるか。この安定、そのためには、もちろん農水の政策が大事だと思います。でも、今、直接響いていく、家計に直接響いていくのは食料品の消費税ゼロ%です。
今まで後ろ向きな答弁ばかりを聞いてまいりました。でも、明らかに民意は、給付金より減税、そして、消費税の減税という方向でございます。是非、国民の声に向き合っていただきたい。食料品の消費税ゼロ%、いかがでしょうか。一緒にやりましょう。
○小泉国務大臣 私に消費減税をする権限はないんですけれども、私の権限の中でできることの一つが備蓄米の放出だったわけです。今お示しいただいているデータを見ても、下がって、今四千円台、少し上がっていますけれども、一定の効果はあったと思っています。
その備蓄米の放出に当たっては、やはり農家の皆さんの立場を考えれば、ようやく上がってきたのに、ここでなぜという思いは受け止めなければいけないと思います。一方で、吉田先生がおっしゃるように、今この備蓄米放出で、改めて、二千円じゃないとお米を買うことにちゅうちょしてしまうような、そういった方々がいらっしゃることも事実で。
その中で、やはりこれから、新米が今出てきているので、販売数量の中における備蓄米が減っているので、価格は今少し上がっていますが、備蓄米のまだ残っているもの、そして、これから、来月になれば新米がどれぐらい出てくるかという数字が一定出ます。これは五十六万トン昨年より増えるというのが我々農水省の今のところの見立てでありますが、ある有識者によれば、天候などの影響があっても、なお約五十万トンは出るのではないかと言われています。
こういったことに鑑みますと、民間在庫の量も、過去十年の中で最大に匹敵するぐらいの民間在庫が積み上がる予定です。ここをマーケット全体の方に冷静に受け止めていただければ、今の新米が出てきたときの一時的な価格でこれがずっと続くんだということではなく、一年間トータルで見たときに、過去五年で最大の米の生産量に加え、過去十年の中で最大の民間在庫の量に匹敵する。こういったことも踏まえて冷静に対応いただければ、私は、この米価の高騰を、抑制に向かって、軟着陸に向かわすことができるのではないかというふうにも思っています。
消費税のお尋ねでありましたが、何とかこの経済の好循環を回すために、物価高騰、特に米は、このデータのように、米だけかなり上がっていることがこのグラフにも影響していますので、私の今の立場の中でできることは全てやるというつもりで全力を尽くしてまいりたいと思います。
○吉田(は)委員 ありがとうございます。
まず、農家の皆様を不安に陥れてはいけない、もちろんです。だからこそ、農家さんの支援もしながら消費者の不安にも寄り添う、それが必要だと思います。
これから最大のお米が来るということですが、どのぐらい下がるか、ちょっと見込みがまだ分かりません。この不安は残ります。来年はどうなるのか。一年一年様子見の農業では、農政ではいけないと思います。今、結局、国民の民意である給付金より減税、これに対する全く政府の姿勢は見えてきません。
ちょっと今日の審議ではらちが明きませんので、委員長、石破総理出席の下、集中審議を求めたいと思います。
○山井委員長代理 後刻、理事会で協議いたします。
○吉田(は)委員 時間になりましたので終わりますが、最後に一言。
自民党の皆さん、どうか国民の声に耳を傾けてください。今、党ではなく、何を実現していくのか、その国会が問われています。一緒に私たちも考え、そして実現していく、野党は今まとまろうとしています。よろしくお願いいたします。
○山井委員長代理 これにて吉田さんの質疑は終了いたしました。
次に、長友慎治君。
○長友(慎)委員 国民民主党の長友慎治です。
まずは赤澤大臣にお伺いをしたいと思います。
そもそも、日本とアメリカの間には日米貿易協定が結ばれています。これは、日本とアメリカの二国間での関税や輸入の割当てなどの制限的な措置を一定の期間内に撤廃若しくは軽減することのできる取決めになります。これにより、貿易を拡大させ、日本とアメリカ両国の経済成長につなげるのが狙いのはずです。
しかし、この度のトランプ関税では、トランプ政権による一方的な対日関税の引上げで終始主導権を握られた印象でございます。実質そうだったと感じております。今回のようにトランプ大統領に振り回されないことが、日本の産業を守り、そして国益を守るためには必要です。
そこで、今後もトランプ大統領による一方的な関税の見直しが持ち上がってこないように、関税見直しに対するプロセスについてあらかじめ米国側と決めておく、そういった対策が必要だと考えますが、赤澤大臣の見解を伺います。
○赤澤国務大臣 今般の合意に向けた日米協議は、米国による一連の関税措置を受けて本年四月七日に日米首脳電話会談を実施した結果、双方において担当閣僚を指名し、協議を行うこととなったものです。
七月二十二日の日米間の合意について、米側に対してあらゆる形で強く申し入れた結果、九月四日、トランプ大統領が自動車・自動車部品関税と相互関税の引下げ等に係る大統領令に署名し、同十六日には、大統領令に基づき、改正された関税率表が発効したということであります。その際に、MOUとか共同声明とか、そういうのを出しております。
主導権と言うかどうかはともかく、追加関税を課したのは米国でありますので、米国がまず行動を起こしてきたという点は、これは否めないと思います。ただ、それに対して、同盟国でもあり、これまでに築き上げてきた信頼関係もある両国の中で、適切なチャネルで、適切な担当者を決めて、議論をして結果を出しているというプロセスでありますので。
私については、今回のプロセスも含めて、今後とも日米両国の相互利益が促進されるような、そして、今回の合意も踏まえれば、両国で経済安全保障を強化していく、あるいは我が国の経済成長を更に大幅に促進していく、そういった方向でしっかり協議をし、連携をしていきたいというふうに考えております。
○長友(慎)委員 先ほど来ありますけれども、日米両政府の中で、約八十兆円の対米投資、覚書が結ばれているわけですね。この内容は、トランプ氏が投資先を選定して、日本側が資金の拠出を中止した場合、米国は再び関税を引き上げられると明記されているわけです。やはり文書だけを見れば、どう考えても、常識的に考えて不平等です。
トランプ大統領の任期はまだ二〇二九年の一月までありますけれども、日本が今後不利益を被るリスクは大いにあるんだと私は理解をしています。その点を最小限に抑えるための交渉、また信頼関係の構築を日頃から政府には努めていただくということを切にお願いをしておきたいと思います。
続きまして、本庄委員からも御指摘がありましたガソリンの暫定税率廃止につきまして、決まらない、決まりそうで決まらない状態がずっと続いております。
二〇二四年の十二月に、自民党、公明党、我が党の三党は廃止について合意をしましたが、代替財源が決まらず、実施期間が先延ばし状態、そういうことになっております。その先延ばしの間に、代替財源の議論ということの一環で、暫定税率を廃止するために、いわゆる走行距離課税を導入するというような話がまことしやかにニュースで上がってきたりしております。それに対して、国民は戸惑っております。
この走行に関する、走行に対して、走行する距離に応じて課税するとされる走行税、これは導入されるのでしょうか。加藤財務大臣にお聞きします。
○加藤国務大臣 今お話がありました走行距離課税について、政府において具体的に検討しているわけではございません。
また、ガソリンの暫定税率については、今委員からお話があったように、財源確保を含めた諸課題について与野党間で協議が引き続き行われているものと承知をしておりますので、政府としては、政党間の御議論の結果を踏まえて、適切に対応していきたいと考えています。
○長友(慎)委員 政府としては検討していないと。その言葉を国民も信じたいというふうに思うと思いますが、ガソリン税の暫定税率が廃止されても、もしこの走行距離課税が導入されることになりましたら、全体的に増税になるとの懸念が生じます。それでなくても、既に自動車ユーザーは重税感に苦しめられてきました。ガソリン税に消費税が課されるという不可解な二重課税問題も解消されていません。
地方で暮らす人々にとっては、車は生活必需品でございます。物価高騰対策を検討する中において、更なる負担増しにつながる走行距離課税の導入検討は余りにも国民を愚弄していると思いますので、加藤財務大臣がおっしゃるように、今後も走行距離課税を政府内で検討することなどは絶対にしないということを要望してまいりたいと思います。
こういう不安が国民の皆さんに伝わらないように、一刻も早くガソリンの暫定税率の廃止ということを実現するべきだと思いますので、財務大臣も是非汗をかいていただきたいと思います。
次の質問をさせていただきます。
二〇二五年度の最低賃金、時給が千百十八円を目安とするということで、最低賃金が全国で決まりました。この目安が発表された時点で、中央最低賃金審議会で決まった際に、中小企業を代表する日本商工会議所の小林会頭が、地方そして小規模事業者を含む企業の支払い能力を踏まえれば極めて厳しい結果と言わざるを得ない、そういう指摘をしております。
私の地元でも、中小企業の経営者から、小規模事業主にとっては死活問題、小さな会社は賃金を払えずに立ち行かなくなる、また、小さな事業所は潰れてもいいことでしょうか、私が国政報告会をすると、このような質問が必ず飛んでまいります。
武藤経済産業大臣には、これらの地方の中小の経営者の苦悩の声にどのような見解をお持ちでしょうか。答弁を求めます。
○武藤国務大臣 長友委員に御質問いただきました。
防衛的な賃上げを迫られる厳しい状況にある中で、今、過去にない高水準の最低賃金となり、経営の先行きというものに不透明感、不安を感じていらっしゃる中小企業、小規模の企業の方々、これが大変多くいらっしゃることは十分承知をしています。私も岐阜県でありますし、中小企業の出身でありますので。昨日出席をしました日商の総会でも、小林会頭からも厳しい状況をお伺いしたところでもあります。
政府では、中小企業・小規模事業者の賃金向上推進五か年計画というものを六月に策定をしました。持続的に賃上げできる環境整備に政府を挙げて取り組んでまいりますけれども、まずは価格転嫁対策を徹底をしていきたいと思います。具体的には、下請法の厳正な執行を行うとともに、発注者リストの公表や大臣名での指導助言などの取組を通じて、価格転嫁、取引適正化の浸透に粘り強く取り組みます。
また、官公需につきましても、各省庁において、物価上昇分を適切に来年度概算要求に反映することとしています。また、中小企業向けの生産性向上のための補助金や厚生労働省の業務改善助成金についても、最低賃金の引上げの影響を大きく受ける事業者に対して、要件緩和ですとか優先採択の措置を講じてまいります。さらに、中小また小規模事業者の稼ぐ力というものを高めるために、商工会、商工会議所などによるプッシュ型の働きかけ、また、よろず支援拠点の充実を図りながら、伴走支援をよりきめ細かく行っていくところであります。
引き続き、中小企業、小規模企業の方々が最低賃金の引上げに対応できるように、政府全体の施策を総動員しながら全力で取り組んでまいります。
○長友(慎)委員 様々な支援策をお話しいただきましたけれども、中小企業の経営者も、賃上げするための原資がない、それでは上げられないという理由、背景は十分に理解をしていただきたいと思います。
赤澤大臣にも、通告してはおりませんけれども、賃上げ向上担当大臣ですから、是非赤澤大臣の受止めもお聞きしたいと思います。賃上げが急激だと経営が追いつかないという地方の小規模、中小企業の経営者からの訴えをどのように感じていらっしゃいますでしょうか。自民党の中からでも、中小企業を潰す気か、そういう危惧する声が聞こえてきていると私は聞いております。是非見解を最後に伺います。
○山井委員長代理 もう質疑時間が終了していますので、短くお願いします。
○赤澤国務大臣 この質問を短く、なかなか大変なんですが、一つまず御紹介をすると、最低賃金について申し上げれば、例えばヨーロッパの基準でいうと、暮らせない水準、暮らしていけない水準に今なっています。そういうものをそのまま放置できるのかという問題が一方であります。
そして、経営者の皆様が、賃上げ原資があれば上げようという気が十分おありなことはよく分かっているので、武藤大臣がおっしゃっていたように、そこは価格転嫁、生産性向上、事業承継を全力で応援し、今取っている予算も、毎年兆円以上取っているということです。それは、全力で応援する中で、何とか、暮らしていけない最低賃金を上げさせてほしい。
もう一つ申し上げると、よく経済団体から指摘されるのは、最賃を赤澤さんが言うようなペースで上げたら地方経済は大変なことになるということでありますけれども、経済財政諮問会議で行われている議論は……
○山井委員長代理 大臣、短くお願いします。
○赤澤国務大臣 むしろ、その意見は現場が分かっていないと。地方は最賃を上げたら大変なことになるんじゃなくて、最賃が低過ぎて人口が流出し、働き手がもういなくなり、インフラの維持もできないというような声も、まさに経済財政諮問会議で闘わされています。
ということがある中で、やはり全国で六百六十万人いる最賃近傍で働いている方たちが何とか安心して暮らしていけるようにする、そういう方向を目指していこうということで、石破政権としては二〇二〇年代千五百円ということを申し上げて、その困難な目標に向けてたゆまぬ努力を続けるというポジションを取ってきたということでございます。
○山井委員長代理 長友君、質疑時間が終了しております。
○長友(慎)委員 終わります。ありがとうございました。
○山井委員長代理 これにて長友君の質疑は終了いたしました。
次に、河西宏一君。
○河西委員 公明党の河西宏一です。
赤澤大臣、今回の交渉、大変にお疲れさまでございました。
これまでの議論を踏まえまして、二問目からスタートさせていただきたいというふうに思います。
今日の質疑をお伺いしておりまして、今回、投資ということが非常に大事なテーマでありますので、リスクヘッジも必要でありますけれども、やはり、これまでの三十年間を振り返りまして、これは自戒も込めて、リスクテイクをして、いかにチャレンジをしてこの日本経済を成長に転換をしていくか、こういう議論が求められているんだろう、国益の確保には必要なんだろうというふうに思っております。
二問目でありますけれども、五千五百億ドルの戦略的投資、これはここからが本当の勝負であります。先ほどのみなし配分額等のリターンもそうでありますけれども、この投資自体にどういう価値をもたらしていくのか。したがいまして、実務的には、日米の協議委員会の議論の中身、また、それを踏まえた投資委員会へのインプット、これが大事だというふうに思っております。
このMOU、法的拘束力はないわけでありますけれども、ただ、米国の意思として、日本が投資したプロジェクトに対して、先ほども大臣、御答弁ありましたけれども、土地のリースでありますとかエネルギー、こういったインフラを提供をしていく。私が大事だなと思ったのが、規制プロセスを迅速化をしていく、こういった意思も明確に示されたところであります。加えて、日本のベンダーやサプライヤーの選択も可能であるということであります。
そこで、これは厳格な知財の管理が前提になりますけれども、例えばフィジカルAI、これはロボットのAIでありますが、これは日本ではデータセットが全く足りておりません。他方で、米中はどんどん先を走っております。こういったことを開発をしていく。あるいは、核融合、フュージョンエネルギー、これは二〇三〇年代への実用化前倒しが今民間でも声が上がっております。加えまして、自動運転の実証実験、こういったものも有効なんだろうというふうに思っております。
少子高齢化、人手不足、こういった我が国の喫緊の課題があります。また、様々な安全保障、こういったことも踏まえまして、こうしたものに資する科学技術、今、我が党は科学技術予算の倍増を掲げて、訴えておりますけれども、その実用化や標準化、あるいは逆輸入、こういったことを念頭に置いたプロジェクトを是非協議委員会で日本側から提案をして、そしてこの戦略的投資をしたたかに運用していくことが実はこれからの勝負なのではないか、このように思いますけれども、大臣の御見解を伺いたいと思います。
○赤澤国務大臣 ありがとうございます。大変重要な御指摘だと思います。
今般の了解覚書では、経済安全保障及び国家安全保障上の利益を促進するために、日本が、半導体、医薬品、金属、重要鉱物、造船、エネルギー及び人工知能、量子コンピューティングを含む、これらに限定されない様々な分野において、五千五百億ドルを米国に投資するということです。投資先は、日米双方から構成される協議委員会での協議を経て選定される。
したがって、これは米国内に投資する話ですので、投資委員会が大統領の前に選択肢を並べるという権限を持って、米側が構成したものが存在していますけれども、この協議委員会を使って、我が国は法令上だけではなくて戦略上の観点から物が言えるということが確保されておりますので、その場で、まさに今委員御指摘のような、我が国の将来の経済発展にも関わる、経済安全保障にも関わるフィジカルAIとかフュージョンエネルギーとか自動運転とか、そういったものについて、よいプロジェクトがあれば積極的に提案するようなことも含め、我が国の国益に資する案件の組成ということを心がけるということは非常に重要だと思っています。
米国と緊密に連携を図りながら、日米双方の利益に資する案件の組成にしっかり取り組むことで、本投資イニシアチブに沿った投資が日米の相互利益の促進、すなわち、日米同盟の更なる深化、強化と経済安全保障の確保、我が国の経済成長の大幅な促進につながることを期待をしております。
○河西委員 是非、大臣、よろしくお願いを申し上げます。また、政府の皆様におかれましても、引き続きお取組をお願いをいたします。
続きまして、少しちょっと目を国内投資の方に振り向けまして、福岡厚労大臣の方にお伺いをしたいというふうに思います。
今回の共同声明、日本の医薬品また半導体は最恵国待遇ということで、その旨明記はされましたけれども、赤澤大臣も、記者会見で、これは大統領令には入っていないんだ、なので、引き続き注視が必要ということで、不確実性の認識を示されているとおりであります。
この不確実性を、先日、ちょっと視察で目の当たりにいたしました。国内で、バイオ医薬品、今後非常に高い成長率が見込まれている市場でありますけれども、CDMO、製造を受託する現場を視察をいたしました。
これは、パンデミックから命を守るという側面と、経済成長、産業育成の両面から非常に大事な分野でありますけれども、そもそも、このバイオ医薬品、開発の難易度が高くなっております。加えて、今回の関税をめぐって、製造を委託をする側の製薬会社の側に、どうせ今後関税が上乗せされるのであれば、米国は巨大な医薬品の市場でありますので、やはり対米直接投資に振り向けた方がいいんじゃないか、こういう思惑があって、なかなかCDMOの施設を造っても受託にたどり着かない、ハードルになっている、こういうような切実なお声をいただきました。
是非とも、厚労省として、しっかりここは、今後のパンデミックと経済、両面、両足、しっかり立っていく必要がありますので、後押し、支援をいただきたいと思いますけれども、大臣の御見解を伺います。
○福岡国務大臣 今御指摘ありましたように、バイオ医薬品につきましては、安定供給の観点であったり成長産業の育成の観点から、国内での製造体制の確保が大変重要だというふうに考えておりますが、目下のところでいうと、その製造の多くを今海外に依存している、そういう状況にあります。
このため、厚生労働省におきましては、バイオ医薬品の国内での製造体制の整備に向けまして、設備整備や人材育成等の支援を行っておりまして、具体的には、例えば、令和六年度補正予算によりましてバイオシミラーの国内製造設備の整備に関する補助事業を実施し、この事業の継続に向けて、令和八年度予算の概算要求にも必要な予算を盛り込ませていただいております。
引き続き、バイオ医薬品の国内製造体制の整備に向けまして、委員が実際現場を見られたということでありますが、私も、しっかり業界の意見も聞きながら、また、関係省庁ともしっかり連携しながら、必要な支援を実施してまいりたいと思います。
○河西委員 大臣、これは民民のことではありますけれども、是非、業界との対話、お願いを申し上げたいというふうに思います。
残り三分ということで、最後、武藤経産大臣にお伺いをしたいというふうに思います。
先ほど来ございますとおり、今、物価高、これが非常に生活者を苦しめております。個人消費を見ておりますと、外食とか旅行のサービスは上がっているんですけれども、毎日の日用品、食品、生活必需品の個人消費はずっと下がり続けております。ウクライナ侵攻以降、ずっと下がっております。グロスで見ると横ばいなんですけれども、こうやって因数分解すると、特にここは格差が広がっているのかなというふうに思っております。
そういう中で、物価高の克服、我が党も減税も給付もということで訴えましたが、やはり根本的には持続的な賃上げということであります。ただ、今後、関税の価格転嫁が進み、米国でも雇用と個人消費が減速をし、場合によっては自動車産業とか輸出企業の収益の悪化、一番よくないのは、来年の春闘、この賃上げに水が差されることがやはり一番の懸念だというふうに思っております。先ほども委員からありましたとおり、最賃の過去最大の引上げということもあります。
そういう中で、中小企業、小規模事業者の皆様は、早めに経営改善に着手をしていただくことが大事なんですが、必死に大切に育ててきた事業に、自ら経営改善に向き合って他人に相談をするということは、これは結構やはりハードルが高いというふうに思っております。
他方で、今月からAI推進法が全面施行されました。その中の第四条の二に、国はAIを積極的に活用して、行政事務の高度化、効率化、これは国の責務になっております。
是非とも、ここは経産省でありますので、中小企業に対して情報収集とか提案を自律的に行うAIエージェント、これを活用して、人を介さずとも、プッシュ型、アウトリーチで各企業に経営改善を届けていくAIX、これを是非進めていただきたいと思いますけれども、大臣の御見解を伺います。
○武藤国務大臣 ありがとうございます。
プッシュ型又はアウトリーチ型といいますけれども、支援の重要性については、全く委員と問題意識を共有するところであります。
今おっしゃられたAIXでありますけれども、情報提供する形で、八月も、政策、政府全体で延べ一万件やってまいりましたけれども、こういう形にAIやAIエージェントを使ったらどうだということだろうというふうに思います。
新しい技術を取り込んでより高度化させることは大変重要でありますので、政府としても積極的に検討させていただきたいと思いますし、一例としては、今年の三月から、自社の経営課題というものを登録いただいた中小企業に対して金融機関ですとかあるいは支援機関から情報提供あるいは支援を行う、成長加速マッチングサービスという事業を開始しております。これは略称してセカマチと言っています。よく覚えておいていただければと思いますが、これに約二・二万者登録をいただきました。
今後、本サービスにおけるAIエージェントの活用余地を更に検討させていただいて、進化をさせていただきたいと思いますので、また今後とも御支援、御指導いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○河西委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
○山井委員長代理 これにて河西君の質疑は終了いたしました。
次に、櫛渕万里さん。
○櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。
まず冒頭、政府に申し上げます。
二十二日から国連総会が始まりますが、日本として、パレスチナ国家承認をすることを求めます。アメリカの顔色をうかがって、いずれ承認するとか、やめていただきたい。今決断すること、これが歴史的、人道的、国際法的に極めて重要な局面です。政府は、憲法前文と国連憲章に従い、パレスチナ国家承認をすることを強く求めます。
さて、七月二十日、参議院選挙で自民党が大敗してから約二か月。石破政権は、公約していた給付金もやらない、生活が苦しいという六割以上の国民をほったらかしにしています。野党各党も、選挙で訴えていた消費税減税の声は小さくなり、ガソリン税減税の与野党協議は機能不全に陥っているじゃないですか。なぜ、八月に法案を提出したとき、採決しなかったんですか。れいわ新選組が警告していたとおりの展開になっていますよ。政府・与党にも、野党にも猛省を促したい。
今、国民は、三十年の不況とコロナに物価高、そして今回のトランプ関税の影響で、もはや四重苦なんです。物価高対策だけではないんです。
赤澤大臣、トランプ関税合意は引下げと強調されていますが、実際は、自動車は二・五%から一五%に大幅引上げ、ゼロ%だったホタテやお茶なども一五%に引上げ、蓄電池もゼロ%から一五%、国内経済に大きなダメージを与える結果となった。ここが核心です。
れいわ新選組は、四月の政府交渉時から四度にわたり総理に提言書を渡して、とにかく早急に、内需活性化のための消費税の廃止と現金給付、そして直接影響を受ける中小零細企業の支援を求めてきました。あれから五か月、有効な手だてが打たれていません。
八月の倒産は過去十年間で最多の七百五十一件、関税の影響で受注が減った結果破綻するというトランプ関税倒産、これが発生したと分析されています。また、パネルを御覧ください。今年の上半期の倒産件数は四千九百九十件、これも過去十年で最多です。私の地元の墨田区にあるゴム加工会社の経営者からも、中小企業が海外で直接価格交渉できるわけではない、政府が中小企業を守ってほしい、こう悲鳴が上がっているんです。
しかし、中小企業庁の来年度予算概算要求を見ると、関連予算は千三百七十八億円でしかありません。全体が百二十二兆四千四百五十四億円ですから、僅かその〇・一一%です。全国で中小企業は約三百三十七万社ですから、一社当たりに計算すると、たったの四万円ですよ。これだけ倒産が増えているのに、政府は無策としか言いようがないんです。
赤澤大臣、お伺いします。
ゼロゼロ融資など特別の融資制度を新しく設けて早急に補正予算を組むこと、そして、来年度の中小企業対策予算を思い切って十倍、いや、百倍増額をする。石破内閣退陣前に交渉担当の責任者として総理に進言し、次の内閣へ申し送りをする。約束いただけませんか。いかがですか。
○赤澤国務大臣 御通告の内容、影響がどのように生じ、政府としてどのように取り組んでいくかということだったので、そういうことでお答えをいたしますが、米国の関税措置の影響については、引き続き十分把握、分析する必要があります。
関税を価格に転嫁できるかどうか、転嫁した場合に販売や売上げが減少するかもしれないとの声が上がっているというふうに承知をしております。
政府としては、八月一日の石破総理からの御指示を受けて、関係省庁の政務三役や幹部において、米国の関税措置の影響を受ける所管業界等への説明、対話を八月中に集中的に実施をし、これまで全都道府県で延べ一万を超える事業者等に御参加いただいています。また、総理がおっしゃるサクセスストーリー、成功事例づくり、すなわち、内需の拡大とか輸出の拡大、新規市場の開拓など、ピンチをチャンスに変える取組を踏まえた地方ブロック単位での意見交換を、経産省、農水省、国税庁が連携し、順次実施していただいています。
これら以外にも既に様々な相談、意見が届いておりまして、四月に取りまとめた米国関税措置を受けた緊急対策パッケージに基づき、今後とも、丁寧な説明を行い、資金繰り支援等により、産業や雇用に与える影響の緩和に万全を期してまいりたいと考えております。
○櫛渕委員 大臣、それでは足りない、間に合わない。日本経済に血が流れ続けていると申し上げているんですよ。
そもそも、中小零細企業を追い込んでいるのは今回のトランプ関税だけではありません。これまでも何回も委員会で指摘してまいりましたが、税金や社会保険料を理由とした倒産が増えており、さらに、この八月は去年より約一七%も増えているんです。
中でも、税金で一番問題なのが消費税なんですね。昨年度新しく発生した税金の滞納のうち、五三%が消費税です。消費税が中小企業を追い詰め、世論調査でも、消費税減税、廃止を求める声が七割を超えています。ここで、れいわ新選組が言い続けている消費税廃止、少なくとも消費税減税とインボイス廃止が急務だと思いますよ。
提案があります。
衆議院も参議院も野党が多数となりました。野党は、選挙の公約であった消費税の減税そしてインボイスの廃止、ここで野党一体となって、これを是非とも国民を救うために求めていこうではありませんか。国民を救うこと、中小企業を救うことが、何よりも今急務です。是非、ガソリン税減税、この協議体と併せて、消費税減税の協議体をつくることを提案します。
そして、委員長には、再度、総理入りで閉会中の予算審査、集中審議を開催するよう求めて、私の質問を終わります。
○山井委員長代理 後刻、理事会で協議いたします。
これにて櫛渕さんの質疑は終了いたしました。
次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
パレスチナの国家承認に対する日本の態度について質問します。
ガザ地区におけるジェノサイド、集団殺害、そして飢饉は過酷を極めています。ガザ保健省の発表では、パレスチナ人の死者数は六万五千人を超え、イスラエル軍の大規模侵攻の開始によって、更なる被害の拡大が懸念されています。
今月十二日、国連総会で、パレスチナの国家承認とパレスチナの二国家共存を支持するニューヨーク宣言を支持する決議案が、国連加盟国の七割を超える百四十二か国の賛成多数で採択されました。ニューヨーク宣言は、パレスチナ国家の承認が二国家解決に不可欠だと強調し、二国家解決が紛争解決の唯一の道、最善の方法だと訴えています。
岩屋外務大臣、日本は、この宣言を起草した作業部会の共同議長国を務めましたよね。そして、決議案にも賛成しました。間違いありませんね。
○岩屋国務大臣 御指摘のパレスチナ問題の平和的解決と二国家解決の実現に関するニューヨーク宣言は、七月二十八日から三十日にかけて国連本部で開催された二国家解決に関するハイレベル国際会議において発出されたものでございます。
御指摘のように、我が国は、同会議において、パレスチナの経済的自立性についての分科会の共同議長をノルウェーとともに務めておりまして、同宣言は我が国を含む十九の共同議長国、機関によって発出されたものでございます。したがって、同宣言を支持する国連総会決議も賛成多数で採択されておりますが、我が国も賛成票を投じております。
○田村(貴)委員 ところが、日本は、来週二十二日に国連本部で開かれるパレスチナに関する首脳級会合で、パレスチナ国家承認の表明を見送るというではありませんか。これは一体どういうことなんですか。自ら起草、賛成したニューヨーク宣言の立場と異なるじゃありませんか。
共同通信によれば、アメリカ側が日本政府に対して国家承認を見送るよう要請したと伝えられていますけれども、大臣、これは事実ですか。どんなやり取りがあったんですか。
○岩屋国務大臣 パレスチナの国家承認の問題をめぐる議論については、我々も重大な関心を持って、その動向を注視しております。
我が国としては、イスラエル・パレスチナ問題の二国家解決を一貫して支持しているという立場は変わりません。したがって、先日の私の会見においても、国家承認はする、しないの問題ではない、あとは、いつするかという問題だというふうに申し述べているところでございます。
その上で、来週の国連のハイレベルウィークも見据えて、日本政府として一番肝腎なのは和平の進展でございますから、その和平の進展を後押しするために何が最も適切で効果的かという観点から、引き続き熟議を尽くしているところでございます。
また、米側からの要請はございません。
○田村(貴)委員 国家承認する、しないの問題ではなくて、いつかの問題だと言うけれども、今しないと駄目じゃないですか、戦争を止めるために、ジェノサイドを止めるために。二国家解決が紛争解決の唯一の道とする、その宣言を起草しながら、そして宣言に賛成しておきながら、この期に及んで国家承認を見送るというのは、矛盾も甚だしいと言わなければなりません。
アメリカ側の要請はなかったと言うけれども、そこまでしてトランプ大統領の顔色をうかがうことが大事なんですか。イスラエルに圧力をかけて無法を止めさせるためにも、パレスチナの国家承認は急務であります。日本も直ちに決断することを強く求めておきたいと思います。
続いて、五千五百億ドル、約八十兆円の対米投資問題について質問します。
米側との覚書では、対米投資の案件は米側関係者のみで構成される投資委員会で協議されます。日本が参加できるのは、それに先立つ協議委員会のみであります。赤澤大臣は、この協議委員会で日本側の意向を反映させると言いますけれども、大統領に推薦する投資先候補を決定する権限はこの協議委員会にあるんでしょうか。端的にお答えください。
○赤澤国務大臣 今般の合意では、経済安全保障及び国家安全保障上の利益を促進するため、日本が、半導体、医薬品、エネルギー等の分野において五千五百億ドルを米国に投資することとしています。
協議委員会は、委員御指摘の、米国大統領に推薦する投資先候補を決定する権限までは有しておりません。これは、本投資イニシアチブが米国内で実施するプロジェクトを対象としていることに鑑み、自然なことであるというふうに考えています。
一方で、投資先については、協議委員会における戦略的及び法的観点を含む協議を経て選定することとされており、協議委員会から投資委員会に提供するインプットを通じて、日本の戦略的考え方や法的な制約が適切に考慮されるものというふうに考えております。
今般の了解覚書、具体的に言えば、この覚書のいかなる内容も日米両国のそれぞれの関係法令と矛盾してはならないと規定されており、この関係法令には……
○山井委員長代理 質疑時間が終了しておりますので、短く答弁してください。
○赤澤国務大臣 JBICやNEXIに対して収支相償、償還確実性、我が国へのメリット等を求める日本の国内法令も含まれると承知をしています。
○田村(貴)委員 権限ないんですよ。
関税を脅しの道具に使って、そして都合よく資金を引き出そうとする、そういうやり方は断じて容認できません。覚書の撤回を強く求めて、質問を終わります。
○山井委員長代理 これにて田村君の質疑は終了いたしました。
本日は、これにて散会いたします。
午前十一時十七分散会