衆議院

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第6号 令和7年12月9日(火曜日)

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令和七年十二月九日(火曜日)

    午前八時五十九分開議

 出席委員

   委員長 枝野 幸男君

   理事 勝俣 孝明君 理事 齋藤  健君

   理事 笹川 博義君 理事 鳩山 二郎君

   理事 今井 雅人君 理事 奥野総一郎君

   理事 源馬謙太郎君 理事 奥下 剛光君

   理事 長友 慎治君

      井出 庸生君    伊藤 達也君

      稲田 朋美君    岩屋  毅君

      大野敬太郎君    加藤 勝信君

      川崎ひでと君    神田 潤一君

      河野 太郎君    後藤 茂之君

      塩崎 彰久君    柴山 昌彦君

      島尻安伊子君    平  将明君

      高見 康裕君    田中 和徳君

      谷  公一君    土田  慎君

      土屋 品子君    寺田  稔君

      中曽根康隆君    平沢 勝栄君

      福田かおる君    古川  康君

      武藤 容治君    池田 真紀君

      井坂 信彦君    稲富 修二君

      大串 博志君   おおたけりえ君

      岡田 華子君    亀井亜紀子君

      川内 博史君    黒岩 宇洋君

      後藤 祐一君    酒井なつみ君

      坂本祐之輔君    重徳 和彦君

      下野 幸助君    鈴木 岳幸君

      長妻  昭君    西川 厚志君

      野間  健君    原田 和広君

      福森和歌子君    藤岡たかお君

      本庄 知史君    松尾 明弘君

      道下 大樹君    矢崎堅太郎君

      山岡 達丸君    猪口 幸子君

      高橋 英明君    萩原  佳君

      福田  徹君    森ようすけ君

      中野 洋昌君    沼崎 満子君

      鰐淵 洋子君    櫛渕 万里君

      田村 貴昭君    緒方林太郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       高市 早苗君

   総務大臣         林  芳正君

   法務大臣         平口  洋君

   外務大臣         茂木 敏充君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       片山さつき君

   文部科学大臣       松本 洋平君

   厚生労働大臣       上野賢一郎君

   農林水産大臣       鈴木 憲和君

   経済産業大臣       赤澤 亮正君

   国土交通大臣       金子 恭之君

   防衛大臣         小泉進次郎君

   国務大臣

   (デジタル大臣)     松本  尚君

   国務大臣

   (領土問題担当)     あかま二郎君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (地方創生担当)     黄川田仁志君

   国務大臣

   (日本成長戦略担当)

   (経済財政政策担当)   城内  実君

   国務大臣

   (宇宙政策担当)

   (人工知能戦略担当)   小野田紀美君

   財務副大臣        中谷 真一君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    岩尾 信行君

   最高裁判所事務総局家庭局長            馬渡 直史君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中間 秀彦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  早田  豪君

   政府参考人

   (内閣官房日本成長戦略本部事務局次長)      田尻 貴裕君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 浦上健一朗君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 水田  豊君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   阿久澤 孝君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           松家 新治君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   黒瀬 敏文君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官)            恒藤  晃君

   政府参考人

   (内閣府宇宙開発戦略推進事務局長)        風木  淳君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    重松 弘教君

   政府参考人

   (こども家庭庁成育局長) 中村 英正君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   楠  正憲君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  小川 康則君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  出口 和宏君

   政府参考人

   (法務省大臣官房政策立案総括審議官)       村松 秀樹君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    松井 信憲君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    佐藤  淳君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 内藤惣一郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官)           三宅 史人君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 大塚 建吾君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局長)            有馬  裕君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官)            森  真弘君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  森光 敬子君

   政府参考人

   (厚生労働省健康・生活衛生局長)         大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  間 隆一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  朝川 知昭君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         押切 光弘君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  山口  靖君

   政府参考人

   (農林水産省畜産局長)  長井 俊彦君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            松本  平君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房脱炭素成長型経済構造移行推進審議官)         伊藤 禎則君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           小見山康二君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 一成君

   政府参考人

   (経済産業省イノベーション・環境局長)      菊川 人吾君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            伊吹 英明君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          野原  諭君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            坂本 里和君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 黒田 昌義君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  新垣 慶太君

   政府参考人

   (観光庁次長)      木村 典央君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 寺田 広紀君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  萬浪  学君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  伊藤 晋哉君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  森田 治男君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           上田 幸司君

   政府参考人

   (防衛装備庁装備政策部長)            小杉 裕一君

   政府参考人

   (防衛装備庁プロジェクト管理部長)        家護谷昌徳君

   参考人

   (日本銀行総裁)     植田 和男君

   予算委員会専門員     藤井 宏治君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月九日

 辞任         補欠選任

  井出 庸生君     高見 康裕君

  岩屋  毅君     中曽根康隆君

  神田 潤一君     大野敬太郎君

  河野 太郎君     福田かおる君

  塩崎 彰久君     柴山 昌彦君

  古川  康君     島尻安伊子君

  池田 真紀君     本庄 知史君

  おおつき紅葉君    坂本祐之輔君

  長妻  昭君     酒井なつみ君

  道下 大樹君     後藤 祐一君

同日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     土田  慎君

  柴山 昌彦君     塩崎 彰久君

  島尻安伊子君     古川  康君

  高見 康裕君     井出 庸生君

  中曽根康隆君     岩屋  毅君

  福田かおる君     河野 太郎君

  後藤 祐一君     福森和歌子君

  酒井なつみ君     長妻  昭君

  坂本祐之輔君     おおたけりえ君

  本庄 知史君     西川 厚志君

同日

 辞任         補欠選任

  土田  慎君     川崎ひでと君

  おおたけりえ君    藤岡たかお君

  西川 厚志君     山岡 達丸君

  福森和歌子君     松尾 明弘君

同日

 辞任         補欠選任

  川崎ひでと君     神田 潤一君

  藤岡たかお君     原田 和広君

  松尾 明弘君     鈴木 岳幸君

  山岡 達丸君     池田 真紀君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 岳幸君     道下 大樹君

  原田 和広君     岡田 華子君

同日

 辞任         補欠選任

  岡田 華子君     矢崎堅太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  矢崎堅太郎君     下野 幸助君

同日

 辞任         補欠選任

  下野 幸助君     おおつき紅葉君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和七年度一般会計補正予算(第1号)

 令和七年度特別会計補正予算(特第1号)


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     ――――◇―――――

枝野委員長 これより会議を開きます。

 初めに、昨日深夜に青森県沖を震源として発生いたしました地震によって被害に遭われた皆さん、また大変寒い中避難をされて厳しい夜を過ごされた皆さんに、謹んでお見舞いを申し上げます。

     ――――◇―――――

枝野委員長 令和七年度一般会計補正予算(第1号)、令和七年度特別会計補正予算(特第1号)の両案を一括して議題とし、基本的質疑に入ります。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官中間秀彦さん外四十七名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

枝野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

枝野委員長 次に、お諮りいたします。

 最高裁判所事務総局家庭局長馬渡直史さんから出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

枝野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

枝野委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。柴山昌彦さん。

柴山委員 おはようございます。自由民主党・無所属の会の柴山昌彦です。

 今も委員長からございましたとおり、昨晩、北海道・三陸沖で最大震度六強の地震が発生し、総理始め関係閣僚、そして関係の皆様には夜を徹して情報収集や災害対応をしてくださっていることに心から感謝申し上げます。

 この地域は、地震の頻発地域でもございます。今後の災害対応について、そしてまた、被災者に対するお見舞いの言葉も含めて、高市総理に冒頭御説明をいただきたいと思います。

高市内閣総理大臣 昨日二十三時十五分頃、青森県東方沖を震源とする地震が発生し、青森県八戸市において最大震度六強の強い揺れを観測しました。この地震に伴い、北海道、青森県、岩手県の太平洋側沿岸に一時津波警報が発表されました。政府としては、地震発生後直ちに官邸危機管理センターに官邸対策室を設置するとともに、関係省庁の局長級による緊急参集チームを招集し、被害状況の把握と救命救助等の災害応急対応に総力を挙げて取り組んでおります。

 私からは、国民に対し、津波や避難等に関する情報提供を適時的確に行うとともに、住民避難等の被害防止の措置を徹底すること、早急に被害状況を把握すること、地方自治体とも緊密に連携し、人命第一の方針の下、政府一体となって被災者の救命救助等の災害応急対策に全力で取り組むことを関係機関に指示しました。

 これまでのところ、負傷者三十名、住宅火災一件などの報告を受けておりまして、引き続き、被害状況の把握に努めてまいります。

 本当に寒い中、避難を続けておられた皆様、お風邪を召された方もいらっしゃるんじゃないかと思います、また、負傷された方、被災された方に心よりお見舞いを申し上げます。

 是非注意をしていただきたいんですが、今回の地震により、今後、北海道から三陸沖にかけての地域で大規模地震が発生する可能性が平常時より高まっていると評価され、北海道・三陸沖後発地震注意情報が発表されました。国民の皆様におかれましては、実際に大規模地震が発生するかどうかは不確実であることを十分に御理解いただいた上で、自らの命は自らが守るという原則に基づき、防災行動を取っていただくようお願いをいたします。

 今回の地震による被災地域か否かにかかわらず、気象庁のホームページに地域が掲載されております、防災対応を取るべき地域の皆様は、今週一週間程度、気象庁や自治体の情報に留意していただくとともに、安全な避難場所、避難経路の確認、家具の固定など、日頃からの地震の備えの再確認に加えて、揺れを感じたらすぐに避難できる態勢を維持していただき、その上で社会経済活動を継続いただくようにお願いいたします。

柴山委員 ありがとうございます。

 関係また被災地の皆様には、引き続き、大変な御苦労だと思いますけれども、気を引き締めて対応をお願いできたら幸いです。

 さて、続きまして、中国軍機によるレーダー照射事件について伺います。

 去る十二月六日に発生した中国軍機による航空自衛隊機に対するレーダー照射事件、このレーダー照射は、攻撃準備ともみなされる可能性もある極めて危険な行為であり、日本政府としても冷静かつ迅速に、毅然とした対応を取らなければいけないと考えます。

 まずは、小泉防衛大臣に、防衛省としてのこれまでの経緯と対応について事実関係の説明を求めます。

小泉国務大臣 おはようございます。

 今、柴山委員から、経緯とそして対応、事実関係とお尋ねがありましたので、まずは経緯から申し上げたいと思います。

 柴山委員のお尋ねのとおり、六日、中国軍機による自衛隊機へのレーダー照射事案が二回発生いたしました。

 第一に、十六時三十二分頃から十六時三十五分頃までの間に、沖縄本島南東の公海上空で、中国海軍の空母遼寧から発艦したJ15戦闘機が、これに対する対領空侵犯措置を実施していた航空自衛隊のF15戦闘機に対してレーダー照射を断続的に行う事案が発生いたしました。これが一度目のものです。

 そして、第二に、十八時三十七分頃から十九時〇八分頃までの間に、沖縄本島南東の公海上空で、中国海軍の空母遼寧から発艦したJ15戦闘機が、一回目の事案のものとは別の航空自衛隊のF15戦闘機に対してレーダー照射を断続的に行う事案が発生いたしました。

 こうしたレーダーの照射は、航空機の安全な飛行に必要な範囲を超える危険な行為であり、通常、自衛隊では行うことのないアンプロフェッショナルな行為であります。このような事案の重大性に鑑みまして、深夜ではありましたが、防衛省として公表をいたしました。

 そして、ここから対応について申し上げます。

 このような事案が発生したことは極めて残念であり、中国側に対して、外交ルートと防衛ルートを通じ、強く抗議するとともに、再発防止を厳重に申し入れました。

 中国側は、こうした空母遼寧の艦載機の訓練海域、空域を事前に公表していたと発信をしていますが、遼寧の艦載機等の訓練海空域に関するノータム、これは航空情報ともいいますが、このノータムや航行警報が事前に通報されていたとは認識しておりません。

 このような中国の行動に対しては、法の支配に基づく秩序を重視し、冷静に、かつ毅然と対応し、我が国周辺海空域における警戒監視活動に万全を期してまいります。

 同時に、先般十一月にマレーシアで、日中防衛大臣会談で私から董軍国防部長にお伝えをしたとおり、日中間では、具体的かつ困難な懸案から目を背けず、むしろ懸案があるからこそ、率直な議論と意思疎通を粘り強く重ねることが必要不可欠だと伝えたことは、現時点においても変わりはありません。

 こうした考えの下、日中防衛当局間では、年次会合及び専門会合の開催、艦船、航空機間での直接連絡、そしてホットラインから構成される海空連絡メカニズムを始め、様々なチャンネルで意思疎通を行える状態を確保しています。

 なお、日本からのホットラインに中国が応じなかったとの報道があることを承知をしておりますが、ホットラインの使用状況については、相手国との関係において、円滑な意思疎通をしっかりと確保していくとの観点から、これまでもお答えをしてきておらず、本件に関しても、使用したか否かについてはお答えをしておりません。

 また、民間団体主催によるものではありますが、日中佐官級交流事業による自衛隊と人民解放軍の中堅幹部間における交流も行われています。

 防衛省としては、我が国周辺海空域における警戒監視活動に万全を期していくとともに、引き続き、防衛当局間においてもしっかりと意思疎通を果たしてまいります。

柴山委員 ありがとうございます。

 この事案について、我が国として、今の御説明ですと、中国側に強く抗議した上で再発防止を厳重に申し入れたということなんですけれども、小泉大臣のお話によりますと、中国外務省の報道官が事実と異なる反論の会見をされているということでございます。例えば、事前通報の有無などについてでございます。

 今後、これは、防衛省のみならず外務省としても、日米のハイレベル協議ですとか、あるいは国際世論との緊密な連携、迅速な連携をしていくことが必要ではないかと考えるんですけれども、地域の平和と安全に向けた今後の方針について、茂木外務大臣に伺います。

茂木国務大臣 おはようございます。

 今回の一連のレーダーの照射、これは、飛行機の安全飛行に必要な範囲を明らかに超えた極めて危険な行為でありまして、遺憾である、このように考えております。

 外務省としては、本事案発生後、直ちに中国側に対して、まず局長級で強く抗議をし、再発防止を厳重に申し入れたところであります。また、船越事務次官が呉江浩中国大使を外務省へ召致をいたしまして、このような危険な行為が発生したことは極めて遺憾であるとして強く抗議を行い、再発防止を改めて厳重に求めたところであります。

 申し入れた内容につきましては、外務省のホームページであったりとかSNS等を通じて、日本語、英語、中国語で発信をしております。米国を含みます同盟国、同志国との間で緊密なやり取りも行っているところであります。

 引き続き、国際社会に対して、本事案を含めて、事前に通告があった、こういう正しくない情報、こういったことはあってはならない。正しい情報、さらには我が国の立場であったりとか考え、適時適切にしっかりと説明をしていきたい、このように考えております。

柴山委員 これまでも、中国の駐大阪総領事の高市総理への暴言にとどまらず、在日本中国大使館が、日本など敗戦国に対して国連安保理の許可を要することなく直接軍事行動をする権利を有すると主張したり、また、中国の国営メディアが琉球は中国の属国だったと報じるなど、信じられない情報が流されているわけです。

 また、中国の傅聡国連大使は、先ほど申し上げた高市総理の予算委員会での発言に対して、台湾問題への武力介入を暗示しているなどと事実無根の書簡を国連のグテーレス事務総長に送っております。

 こうした相次ぐ理不尽な発信に政府としてどのような対応を行っているのか、重ねて茂木大臣にお伺いします。

茂木国務大臣 今、柴山委員の方から幾つかの事例についてお話があったところでありますが、我が国の政策や立場について事実と反する中国側の主張については、日本政府としてすぐにしっかりと反論また発信をしてきております。

 例えば、御指摘の傅聡中国国連常駐代表の書簡に関しては、山崎国連代表部大使からグテーレス事務総長への書簡、二度にわたって発出をいたしまして、我が国の政策や立場について事実に反する中国側の主張に対して、日本政府としてはっきりと反論を行ったところであります。

 同時に、日本政府の立場であったりとか正しい事実関係について各国の理解を得ていくこと、極めて重要であると考えておりまして、日本政府として、これまでも、米国を含む各国に対して、様々な機会を捉えて、我が国の立場や考え方、説明をしてきているところであります。

 SNS、この空間も非常に今重要だと考えておりまして、この空間によってどう世論が形成をされるのか、こういったこともしっかり把握をしながら、我が国の正しい主張が、SNS上も、また既存のメディアを通じても国際社会にはっきりと浸透していくように、我が国の立場そして考え方、適時適切に説明をし、また発信を続けてまいりたい、このように考えております。

柴山委員 私は、高市総理のさきの台湾有事に対する予算委員会での御発言は、従来の範囲内にあり、撤回をするべきではないと考えておりますけれども、中国政府が、自国民に対して日本への渡航自粛を促したり、航空会社に日本への航空便を減らすよう要請したりしております。また、日本のアーティストによる中国でのコンサートが相次いで中止となるなど、経済活動への影響も懸念されます。

 政府として、私はこうした経済面への悪影響に対する対応というのは不可欠であると考えておりますけれども、高市総理の見解を伺います。

高市内閣総理大臣 御指摘のような様々な状況が発生しているということは承知をしております。

 我が国としては、中国との間で懸案や課題があるからこそ、それらを減らし、理解と協力を増やしていく方針には変わりがございません。日中間の様々な対話を行うことに日本側はオープンでございます。中国側の一連の措置による影響を含め、状況を注視し、適切に対応していきます。

 同時に、政府としては、従来より、様々な国や地域からのインバウンドや、日本発コンテンツの幅広い海外展開を促進していくことが重要と考えておりますので、これからもこうした取組をしっかりと進めてまいります。

柴山委員 中長期的には、今総理が御指摘になったように、やはりサプライチェーンの多元化などのそういった取組をしっかりと促していくということも必要ではないのかなというように考えております。

 防衛大臣、外務大臣におかれては、こちらで御退席をいただいて結構です。ありがとうございました。

 続きまして、経済対策について伺います。

 今回の補正予算、一般会計十八・三兆円規模のものでありますけれども、経済対策は、その規模、内容、タイミングによって効果が大きく異なってきます。せっかく対策を立ててもツーリトル・ツーレートでしか実施されないとなりますと、効果はほとんど期待できません。

 この点、今回の対策において、ガソリン税の暫定税率の廃止は、リッター当たり二十五円、年内にその恩恵がもたらされます。また、冬の電気代、ガス代の補助につきましても、速やかに、標準世帯三か月七千円、その効果を実感できます。

 では、それ以外の主要項目については、いつ私たちに恩恵が届くんでしょうか。

城内国務大臣 お答えします。

 補正予算の効果がもたらされる時期についての御質問ですが、今般の経済対策は、今の暮らしや未来への不安を希望に変え、強い経済をつくるために取りまとめたものであります。経済対策に盛り込まれた各政策を着実に実施し、国民の皆様にその効果を迅速にお届けすることが極めて重要だと考えております。

 具体的には、零歳から高校三年生の子供一人当たり二万円を支給する物価高対応子育て応援手当。そして、地域のニーズにきめ細かく対応する重点支援地方交付金、これは、各地方公共団体に対し、可能な限り年内の予算化の検討をお願いしておりまして、各省庁において、迅速かつ効果的に御活用いただけるよう、丁寧にサポートしていくものと承知しております。

 また、地方交付税につきましては、今国会に提出した地方交付税法等改正法案に御賛同いただき、成立した場合、できるだけ速やかに地方公共団体に対し現金交付をするものと承知しており、医療・介護等支援パッケージのうち、例えば、病院に対しましては国から直接補助し、年度内の支給を目指す等、なるべく早く支援をお届けできるよう、関係省庁において取り組んでいただくものと承知しております。

 いずれにしましても、これらを含む各施策を速やかに執行し、一刻も早く国民の皆様へ支援をお届けできるよう、全府省庁連携の下、国、地方公共団体等が一体となり、できる限り早期の執行に努めてまいります。

柴山委員 ありがとうございます。

 今お話があった中で、例えば重点地方交付金、年内での執行ということがありました。ただ、活用されるのはそこから後ということになろうかと思います。また、今日御説明がなかった様々な今後の経済支援につきましては、年度をまたぐものもあろうかと思います。

 野党の皆さんは、来年度に実施される事業であれば補正予算に入れる必要がなく、令和八年度予算に計上するべきだというふうに言われているんですけれども、この点についての考え方の整理を是非総理大臣にお願いしたいと思います。

高市内閣総理大臣 令和七年度補正予算は、責任ある積極財政の考え方の下、「強い経済」を実現する総合経済対策に基づき、生活の安全保障、特に物価高の問題に早急に対応するとともに、危機管理投資、成長投資により、安全で安心な社会と強い経済を実現する取組に早期に着手するため、戦略的な財政出動として真に必要な施策を積み上げた結果であり、政府としては最適なものと考えております。

 これらの施策はいずれも速やかに実行すべき施策であり、補正予算の要件である緊要性が認められ、事業の必要性などを精査した上で、年度内執行を前提として予算措置を行っております。

 他方で、やむを得ない事由により、結果として翌年度に繰り越して実施する場合におきましても、当初予算とともに切れ目なく速やかな執行を図ることにより、物価高への対応を始めとする本対策の効果を早期に発現させ、国民の皆様にその効果を迅速にお届けしたいと考えております。

柴山委員 今の高市総理の御答弁の基準が、私は極めて重要だと思っています。

 財政法二十九条の規定によれば、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出を行うために補正予算が編成されるということで、ともすると、野党の皆さんからは、対前年度本予算のシーリングを意識して補正予算に余分に積んでいるんじゃないかというような指摘がされるんですけれども、今の高市総理の御指摘によれば、例えば災害対応など、少しでも早く安心、安全を確保するべきだというものについては補正予算に計上する、私は正当性があると考えますし、また、やむを得ず翌年度に繰り越されるものについても、例えば十五か月予算などの考え方に基づいて、しっかりとその対策を力強く、また、前倒しで執行するということのアナウンスは、極めて日本の国内に対して重要なメッセージを与えるというように考えております。

 そこで、この考え方に基づいてでありますけれども、それでもやはり過剰な補正予算が計上されるという可能性はあると考えておりまして、事業の精査が重要になってくると思います。

 そこで、片山大臣に伺います。

 過大な補正予算の計上によって財政の悪化、円安、金利の上昇が進み、かえって輸入物価が上がったり、経済に悪影響をもたらしたりするのではないかというように懸念をする声がございます。

 私は、今回の経済対策は、繰り返しになりますが、緊要性のある、将来の成長をもたらすものであり、子育て支援策ですとか、中小、小規模を含めた企業の生産性を速やかに向上させることを内容としており、そのような心配はないと考えているんですけれども、現に、ドル・円相場は、政権発足後、八円ほど円安となっております、最近は落ち着いてはおりますが。また、十年国債の利回りは一・八五%と十七年ぶりの高水準となっております。

 今後の経済対策の立案において、政府や私たち与党におけるプロセスでどういった工夫が必要になるんでしょうか。

片山国務大臣 まずは、私からも、冒頭、青森の被災の関係の方々にお見舞いを申し上げ、柴山委員にお答えさせていただきます。

 まず、プロセスにつきましては、今回の経済対策、補正予算の決定におきましては、与党と十分連携して、かなり具体的な検討を行いということで、党派を超えた議論もいろいろと踏まえて経済対策を取りまとめてまいりました。省庁間の議論だけではなくて、経済財政諮問会議等では有識者も交えた議論を行っておりますし、与党で御議論を経た上で、政党間でも意見交換を行い、かなり幅広く様々な要望を取り入れさせていただいたというふうに考えております。

 さらに、加えまして、委員が御指摘になった様々な問題に加えて、当然、責任ある積極財政といっても、やはり政策効果を踏まえた無駄はカットしなければいけません。無駄は常に無駄でございますので、先般、内閣として租税特別措置・補助金見直し担当室を立ち上げたところでございます。

 これは、租税特別措置、補助金、それから、いろいろ御指摘をいただいております基金も全て対象に、直ちに見直し可能な項目については足下の八年度予算編成や税制改正作業にも反映させていただきますが、主には、令和九年度の予算編成、税制改正におきましては要求段階から査定段階まで一貫して対応ができるように、一府十二省庁の副大臣等も加え、きちっとした体制を組んだところでございますので、委員御指摘のように、生かされる予算であり、かつ、財政法二十九条に照らしても疑義の出ないような予算、こういった予算編成に努めてまいりたいと考えております。

柴山委員 補正予算に限らず、今、片山財務大臣がお話しになった、無駄を削るべきだ、あるいは、費用対効果の高い事業にこれからは支出を注力すべきだという要請は、常日頃からずっと、これから私たちの課題となってくると思うんですね。

 今、私たち、先ほどちらっと申し上げたような、シーリングという硬直的な手続によって次年度予算の計上を行っているわけなんですけれども、費用対便益の説得力のある客観資料があれば、こうしたシーリングの考え方というのをあえて緩めるということも私は必要ではないかと考えるんですが、財務大臣の御見解はいかがでしょうか。

片山国務大臣 シーリングはずっと常にあったものでは実はなくて、シーリングを導入した当時の旧大蔵次官は、非常に英断であったとも言われている反面、シーリングによって、逆に、上にも下にも自由に査定する権限を大蔵省は手放したのかと言われることもあり、私もその省の出身ですから、よく言われたのは、魚の値段を見に、長靴を履いて主計官が市場に行った時代があったと、今は行っていませんけれども、ということまで一本一本やっていられなくなる規模に予算が大きくなっていく過程で、ある程度便宜的なこととしてやられた部分があるでしょうが。

 シーリング的なものを課しながらも、委員は政調においても予算の取りまとめの中心でいらっしゃいますから、まさに様々な手法において枠を新たにつくって、成長枠とか伸び伸び枠とかいうものがあって、そこではある程度青天井の要求を認める場合もあると。ただ、その要求にも、何倍までという制限がついている場合もあるんですけれども。

 それに加えまして、事項要求というようなものも認めておりまして、事項要求は、ある意味金額に歯止めはないわけですから、こういったものは、様々な政権交代がありましたけれども、常に一定程度認められてきたので、予算における柔軟性が保たれてきた部分はあると思います。

 今後においては、EBPMもございますし、単年度予算の弊害ということは、これは各党さん、ほとんど全部おっしゃっていますので、柔軟に出せるときには出せないと意味がないということもあります。

 ただ、予算は取りまとめないといけないので、取りまとめが収拾がつかなくなっても困るので、そのうまいバランスを図りながら、委員がおっしゃったように、政策効果を踏まえ、かつ、プロセスにおいても無駄のないような予算編成は、なかなか、言うはやすく答えは難しいんですけれども、努力を常に重ねて、その方向に向かってまいりたいと考えております。

柴山委員 無駄の撲滅といえば、かつて、民主党政権では、各省庁の事務方を呼んで政治家たちが厳しく事業仕分を行い、ともすると、必要、有益な事業までが無駄とされてしまったという苦い経験がございます。役人は政治家に厳しく対応できませんから、大臣同士で、要求官庁そして査定官庁が対等に話し合うというようなことを行う方が、私はむしろ有益だと考えております。

 片山大臣が、政務も入った形で日本版DOGE構想というものを提唱されていると伺いましたけれども、これについて少し説明をお願いできないでしょうか。

片山国務大臣 ありがとうございます。

 御指摘の租税特別措置・補助金見直し担当室はアメリカのDOGEとは大分違って、あちらはビリオネアの方が無給で入ってこられて、ただ、実質的な事務方は予算のプロである議会予算局が担われたらしいですが、それに比べると、一府十二省庁から副大臣に代表で出ていただいて、我々は連立政権ですから、連立政権を組んでおります維新からは総理補佐官に入っていただいてという形で、政治家がきちっと責任を、アカウンタビリティーを果たせる形で、しかも、予算というのは内閣でつくりますので、財務省や総務省といった予算、制度官庁だけではなくて、要求する全ての官庁が、会計課や官房で出してきたものしか査定されないわけですから、そこにもかなりの権限がありますので、一体となって、よりよい質の予算になれるように出てきていただくという形を取っております。

 それに加えまして、非常に幅広く、民間であるとか有識者であるとか、あるいは、昨日は、AIも使うべきではないかという御指摘も他党さんからありましたが、私どもは、国民各位に広く、どういうものに対して国民が無駄感をお持ちかということを言っていただくというのは、非常に、有権者を見て政治をしている議会制民主主義としては当然のことでございますので、これも取り入れてきちっとやってまいりたいと思いますし、その過程では、当然この予算委員会等の場でいろいろな御意見も賜ると思いますので、それもしっかりと検討の糧にさせていただいて、運んでいこうというふうに考えております。

柴山委員 ありがとうございました。是非頑張ってください。

 それでは、ここで城内大臣には御退出をいただいて結構でございます。ありがとうございました。

 さて、先ほど申し上げたように、今回の補正予算、子育て支援策は充実しているんですけれども、私が地元を回っていてよく聞くのは、子育てが終わった高齢者の方々、年金生活をされている方々にとっては恩恵が不十分でないかという声でございます。そのような方々に対してどういう対処をされるのか、上野厚労大臣に伺います。

上野国務大臣 お答えをいたします。

 高齢者の方々に対しましては、年金制度を始めとした様々な社会保障政策により支援を行っているところであります。

 まず、年金制度、公的年金制度ですが、毎年度、物価又は賃金の変動に応じて年金額を改定をすることを基本としながらも、マクロ経済スライドにより長期的な給付と負担のバランスを確保することで、将来にわたって持続可能な仕組みとしているところでありますが、こうした仕組みの下に年金を着実に支給をしていくことが重要であるというふうに考えております。

 また、年金受給開始後も生活のために働くことを希望される高齢者の方に対しましては、企業における七十歳までの就業機会の確保に向けた取組を推進をするとともに、ハローワークあるいはシルバー人材センターなどの就労支援によりまして高齢期でも働ける就業機会の提供を図り、生活や所得の安定に資するよう取り組んでいるところであります。

 さらに、低所得の高齢者の方々には、年金生活者支援給付金の支給であったり、あるいは生活困窮者自立支援制度による支援等も実施してきております。今後とも、社会保障全体を通じて総合的な支援を行っていきたいと考えています。

柴山委員 今回の重点地方交付金の推奨メニューの中には、先ほどガソリン等の暫定税率の話が出たんですけれども、灯油など、例えば雪国において灯油をたくさん使うんですけれども、そういうものの補助など、地方に応じた物価高対策もできるというふうに聞いております。やはり、高齢者の方々には是非そういった情報もしっかりと共有をしていただけたらというように考えております。

 厚労大臣、ありがとうございました。御退出をいただいて結構です。

 続きまして、教育の問題について伺います。

 今般、私ども自民党、日本維新の会のみならず、公明党とも真摯な協議の上、来年度からのいわゆる高校授業料無償化、小学校のいわゆる給食の無償化について実施をすることとなりました。この取組を継続するには、新たに恒久的かつ安定的な財源が必要となります。

 本年二月二十一日の予算委員会での私の質問で、当時の石破総理に対し、その財源に他の教育財源を充てることは本末転倒であり、徹底した行財政改革を行った上で安定した恒久財源を確保するべきだと申し上げた際、石破総理からは、全体の教育関係の予算というものにこれが影響を与えることがないように心がけてまいりたいという答弁がございました。

 高市総理は、自民党総裁選や総理就任後の国会答弁で、何度も、人材力の強化ということについて、その必要性に触れておられます。当然、高市内閣においても、石破前総理のこの答弁を踏襲されると考えますが、いかがでしょうか。

高市内閣総理大臣 本年二月二十一日の衆議院予算委員会において、当時の石破総理から、教育無償化の財源に関して、歳入歳出両面の措置により安定した恒久財源を確保することは極めて重要であること、教育関係の予算に影響を与えることがないように心がけることについて御答弁がありました。

 また、いわゆる高校無償化の財源については、十月二十九日の日本維新の会、公明党、自民党による実務者間合意において、新たに恒久的かつ安定的な財源が必要であり、既存の教育財源を原資とすることなく、財源確保と今回の制度改正とを一体的に実施するとされていると承知をしております。

 これまで申し上げてきましたように、我が国の未来を見据え、地域や産業を支えるとともにイノベーションを起こすことのできる人材の育成が必要でございます。特に、高校教育はその役割を担うものと考えております。

 高校生の皆様が、多様で質の高い教育を受けて将来に向けて羽ばたくことができるように、三党での合意を踏まえて、制度設計の議論を進め、安定財源の確保と併せて適切に対応をしてまいります。

柴山委員 続きまして、給食の無償化について松本大臣に伺いたいんですけれども、小学校の給食の無償化について、地方公共団体からは、無償化というワーディングはミスリーディングじゃないかというような指摘をされております。

 現在、給食などは、自治体ごとに、地場産の食材などを活用して、保護者負担を求めて、保護者もそれについては理解を示しているという例もあると聞きますけれども、具体的にどのような取組を行っている自治体があるのか、また、その取組を現状どう評価したらいいのか、お伺いしたいと思います。

松本(洋)国務大臣 お答えをいたします。

 学校給食に地場産物を取り入れた取組は、全国の様々な自治体で行われているところであります。例といたしまして、地元の有機農産物を積極的に活用し、学校ホームページで給食食材の生産者を紹介するなど町全体で促進をしている例や、学校のカリキュラムと連動した行事食の提供などを実施する例などがあると承知をしているところであります。

 このような地場産物の活用をする際に、その分、学校給食費が高くなってしまう場合もあるところでありますが、子供たちに質の高い給食を提供することについて、各自治体において保護者の理解を得ながら実施されているものと承知をしております。

 学校給食での地場産物活用に向けた取組を進めていただくことは、地域の食文化、産業への理解促進や生産者への感謝の気持ちの醸成など、子供たちの食に関する理解を深めるために有効であると考えております。各自治体においては、保護者の理解を得ながらそうした取組を引き続き進めていただきたいと考えております。

柴山委員 ありがとうございます。

 松本大臣におかれましては、ここで御退出をいただいて結構です。ありがとうございました。

 時間が迫ってまいりましたけれども、法務案件について高市総理に伺います。選択的夫婦別姓についてです。

 現在、衆議院の法務委員会では、選択的夫婦別姓に関する複数の法案が議論をされております。このような中で、承るところ、政府において旧姓の通称使用を拡大する法案を検討しているということなんですけれども、この問題につきまして深く検討を続けてこられた高市総理に対して見解を伺います。

高市内閣総理大臣 政府におきましては、これまで二十年以上にわたり、旧氏の通称使用の拡大やその周知に取り組んでまいりました。私自身、総務大臣在任中は、総務省単独で措置できる手続等につきまして、千百四十二件を旧氏や併記で対応できるようにしました。

 全ての省庁、地方公共団体、公私の団体、事業者において同様の取組を行えば、婚姻による氏の変更により社会生活で不便や不利益を感じる方を減らせると感じております。その効果は、旧氏の通称使用を法制化することで更に大きなものとなると考えております。

 政府としましては、本年十月の連立政権合意書の内容を踏まえまして、旧氏の通称使用の法制化について、与党と緊密に連携しながら、必要な検討を進めてまいります。

柴山委員 最後に、法務大臣に伺います。

 来年四月から、共同親権制度を取り入れた改正民法が施行されます。参議院の法務委員会では、家裁での取扱事件数が大幅に増えると考えられているのに、裁判官や調査官、調停官の増員がほとんどないことが問題となっております。

 きちんと施行に向けた準備が行われているのか、また、法施行後の体制に問題なく取り組めると考えているのか、最後にお伺いします。

平口国務大臣 柴山議員にお答えいたします。

 改正法の円滑な施行に向けて、法務省では、関係府省庁とも連携いたしまして、改正法のパンフレットやQアンドA形式の解説資料を作成して、これらを活用して周知、広報に取り組んできたところでございます。

 また、法務省は、本年度、共同養育計画の作成の促進に関する調査研究を委託しております。そこでは、自治体の協力を得て、民間支援団体やADR機関等を含む様々な機関や職種が参加するネットワークの構築等について検討が行われているところでございます。

 さらに、法務省は、全国の自治体や裁判所等の職員に向けた研修への協力も積極的に行ってきたところでございます。引き続き、積極的に研修等について協力していきたいと考えております。

 来年四月一日の施行に向けて、引き続き、政府全体で連携し、周知、広報や調査研究の成果の活用等にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

柴山委員 質問を終わります。

枝野委員長 この際、大野敬太郎さんから関連質疑の申出があります。柴山さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。大野敬太郎さん。

大野委員 おはようございます。自由民主党の大野敬太郎でございます。

 今日は、物価高に直面する日本の経済にあって、物価高の対策だけという考え方はそろそろ脱却して、その根本原因の一つである、日本経済の本質的な課題でもある資本不足、これに焦点を当てて、その上で、日本が将来何で飯を食っていけるのか、そのために、リスクというのがあるのだとすればどうやってそれを低減できるのか、そういった中で成長をどうやって達成するのか、そういう観点で、なるべく国民の皆様に分かりやすい議論にしたいなという思いを持って議論をさせていただきたいと思いますので、今日はどうぞよろしくお願いします。

 内容は、危機管理投資そして成長投資の一点でございます。どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 まずは、戦略投資、戦略領域の意義についてお伺いしたいと思うんですが、今の日本は、人不足、資本不足と言われています。必要な物、サービスが必要なだけつくれない、こういう現状にありまして、まさに供給不足、そして生産不足ということに相なると思います。投資も海外がメインで、国内投資、最近増えてきていますけれども、まだまだ足りない状況だと言われています。このままだと、物価高の状態がまだ続きますし、将来的には、日本が価値を生めない国、成長できない国、日本が稼げない国、こういうふうになってしまうんじゃないか、その大きな危機感を私は持っております。

 それに加えて、今の安全保障環境は劇的に劣化していますし、また、国際経済秩序も劣化しております。先日の中国による空自機へのレーダー照射の問題も、気に入らなかったのかどうか分かりませんけれども、少なくとも、危険極まりないような行動を平然としてしまうということが明らかになりましたので、この部分は断固抗議をしたいと思いますが、それだけではなくて、やはり産業上必要な重要鉱物、こういうのも、気に入らないのかどうか分かりませんが、輸出規制を突然かけてくる、そういうので揺さぶってくる、こういう状況でありますので、世界が大混乱に陥っております。

 私は、今こそこういった状況を早く脱却をいたしまして、そのために、国際的な視座を持って、リスクを全力で今すぐでも低減をしていって、そして勝ち筋をつくって成長につなげて、世界から必要とされる日本をつくる、それによって安全保障上の抑止にもしていく、そんな国にしないといけないんだと私は思っております。

 危機管理投資はまさにそういう領域の政策だと思いますけれども、推進のためには、何よりも重要なのが民間資金をスマートに引き出していくこと。先ほど資本不足と言いましたけれども、スマートに引き出すためには、やはり国が投資の計画を大胆に示して、そのことで国が責任を示して、また、お金の出し方も工夫をして、そしてマーケットの影響というのももちろん見合いで考えなくちゃいけないわけでありますが、そういったことをやらなくちゃいけない、そういうふうに思っています。

 加えて重要なのは、危機管理の考え方をやはり国家ビジョンに昇華させないといけないと思っています。その意味では、国家安保戦略に経済安全保障の考え方を主要な課題として位置づけていく、こういうのが必要だと思っています。

 そこで、改めて総理から、この危機管理投資というのは何をしたいものなのか、何をすべきものなのか、そして、何で重要なのか、これは私的には地方の豊かさにつながるんだというメッセージも必要だと思いますけれども、是非この部分を総理から国民の皆さんに直接訴え、並びに決意をお願いしたいと思います。

高市内閣総理大臣 危機管理投資、これが高市内閣の成長戦略の肝でございます。

 今私たちが直面している様々なリスク、結構、世界共通の課題が多いと思いますね。食料安全保障、これは強化しなきゃいけない、エネルギー安全保障も強化しなければならない、それから防衛、これも強化しなきゃいけない、それから自然災害も多発しています、国土の強靱化も進めなきゃいけない、サイバーセキュリティー、これも共通のテーマでございます。だから、様々なリスクや社会課題に対して先手を打って行う官民連携の戦略的投資を促進したいというのが強い思いです。

 こういう世界共通の課題解決に資する製品、サービス、インフラを国内外の市場に展開するということによって、更なる我が国の経済成長につながっていきます。

 日本には、様々なリスクを解決するためのたくさんの技術、世界最高峰と言われる技術もたくさんあります。

 例えば、食料安全保障でしたら、世界最高レベルの完全閉鎖型植物工場があったり、陸上養殖の技術があったり、エネルギー関連でも、これからやはりフュージョンエナジーの基幹的な技術、これは日本の企業が押さえていたり、農業なんかでも漁業でも使えるし、防災でも使える宇宙の技術、これも日本の衛星というのはすばらしい測位技術を持っていたり、それからまた、SAR衛星によって得られた情報、これのAI解析なども様々な産業に使えます。

 安全保障の分野でも、今デュアルユースの世界でございますから、もう古い話ですが、F2戦闘機の開発から生まれたものは、例えば、車に積んでいる、車載の衝突防止装置だったり、ETCだったり、それから骨折時のチタンボルトだったり、いろいろな民生に活用できるものもありますから、日本の学術機関や民間企業などにある様々な優れた技術をできるだけ早く製品、サービス、インフラにして、同様の課題を抱える世界に展開していくことで、私は相当な成長が見込めると考えております。

 危機管理投資、成長投資による強い経済の実現のために、複数年度の予算措置を講ずることとしました。足下で必要な政策を果断に実施するというために、各戦略分野について投資促進策を盛り込みました。責任ある積極財政の下での投資支援策は、強力に民間企業による投資を引き出す、こういう形で戦略的に進めてまいりますので、これまでにない形で投資の予見可能性を高めて、真の官民連携、これを実現します。

 先ほど国家安全保障戦略を挙げられましたけれども、戦略としてというお話がございました。この三文書については、来年中に改定することを目指して検討を進めることにしています。安全保障の裾野というのは、防衛、外交という伝統的な領域から経済、技術の分野にも大きく拡大していますので、経済安全保障について、その重要性が高まっているという状況も踏まえて、主要な課題として検討してまいります。

 とにかく、三文書の検討過程も含めて、安全保障、経済安全保障の観点からリスク、課題が特定されれば、官民連携の危機管理投資を促進するため、防衛調達を含む官公庁による調達や規制改革など需要サイドを含む総合的な支援策を講じていくことになります。

 こういったことで、我が国の経済安全保障を始めとする安全保障の強化にもつなげていける、強い経済もつくれる、こういった構想でございます。

大野委員 ありがとうございます。完全に共有をいたします。すごく丁寧に御説明を賜りまして、ありがとうございます。

 今、リスクを把握してという話もございましたけれども、実は私も、一番重要なのがやはりリスクの把握、どこに弱みがあって、そしてどこに勝ち筋があって、どこが強いのか、そういうのをしっかりと把握して、そして常に戦略領域もアップデートしていく、そういった状況が必要なので、この経済インテリジェンスの強化も取り組んでまいりました。来年、インテリジェンスの強化体制が構築されるというように伺っていますので、是非、そこの部分も強化のお願いをしたいと思います。

 それでは、続きまして、投資の効果という側面でもやはり見ていかないといけないと思いますので、その点について質問させていただきたいと思います。

 今回の総理の戦略投資というのは、過去にも戦略投資はありましたけれども、過去と全然違う点が三点、私はあると思います。一つは市場の創造、二つ目が相乗効果、三つ目はそのための横串のパッケージでの政策、この三点はかなり特徴的だなということは思っております。

 そこで、まず第一番目の市場創造については総理にお伺いをしたいんですけれども、通常の戦略投資、普通は供給サイドだけ、つくる方だけなんですけれども、つくっても買ってくれる人がいないとエコシステムができない、回らないということでありますので、誠に理にかなった考え方であると思っています。

 特に、総理が指示をしたと言われる、つくる側の担当大臣と使う側の担当大臣、この連携を指示されたやに伺っています。ここも誠に、なるほど、その手があったかとすごく思いました。私も、過去に量子や宇宙に取り組んだときに、使う側の、金融庁とか国交省とか農林省とか、そういったものに政策を持ち込んだことがありますけれども、大臣連携をした方が、それはそうだなと改めて思った次第であります。

 まさに需要と供給が完全に結びついてパッケージ化していくということが重要だと思いますけれども、どのような政策を、あるいはパッケージを想像されているのかというのをお伺いさせていただきたいと思います。

高市内閣総理大臣 高市内閣では、日本経済の供給構造を抜本的に強化して、強い経済を実現するための成長戦略を策定、実行します。

 日本成長戦略本部では、十七の戦略分野の担当大臣に対しまして、投資支援に関する複数年度の予算措置のコミットメントなど供給サイドに働きかける投資の支援だけではなくて、官公庁による調達や規制改革などの需要サイドからの支援を含む総合的な支援策を取りまとめるように指示をいたしました。

 このように需要サイドからの支援も併せて検討することとしましたのは、企業が実際に投資の意思決定を行うに当たって重要となる、将来の需要に関する予見可能性を高めることも狙っているからでございます。その点において、供給が需要を起こし、需要が更なる供給を起こす、好循環を生み出す、トータルなパッケージを進めるべきという、それは議員のお考えでございますが、軌を一にすると思っております。

 来年夏に成長戦略を取りまとめようということで、具体的な検討を加速させてまいります。

大野委員 ありがとうございます。期待感を持って私自身も応援していきたいと思います。

 続いて、二点目、三点目の部分でありますけれども、これは危機管理投資が御担当の城内大臣にお出ましいただきまして、ありがとうございます、御質問させていただきたいと思います。

 今総理から十七分野というお話がありましたけれども、この中で、例えば、AIや半導体というような基盤的な分野というのは、ある種、ほかの領域にも相乗効果を期待できる分野、あるいは、創薬とかバイオ、直結して相乗効果を生めるもの、こういういろいろなパターンがあると思いますけれども、一体、今、現時点で、大臣として、どのような組合せで、どのような相乗効果を期待して、想定して、念頭にあるのかということ。

 それから、同時に、三番目であるところの横串、これは、横串も非常に重要で、人材育成とか金融とか、そういった部分まで言及されて、戦略を練っていくんだということをうたわれていらっしゃいますけれども、全体像はどういったものなのか、その部分を城内大臣にお伺いさせていただきたいと思います。

城内国務大臣 大野委員にお答えします。

 御指摘のとおり、まず最初の前半部分ですが、十七の戦略分野、これは、他の分野の基盤となり得る分野や相互に密接な関係を有する分野が含まれております。

 例えば、ちょっと例を挙げますと、量子分野ですが、量子コンピューティング、量子暗号通信、量子センシング等の研究開発の成果が、例えば、デジタル、サイバーセキュリティー、創薬、先端医療、防衛産業、情報通信等の分野における戦略的な投資の礎となります。また、フュージョンエネルギーに関する研究開発や海洋分野における海底レアアースの開発が進みますと、当然、我が国の資源・エネルギー安全保障にも資するものであります。

 来年夏の成長戦略の取りまとめに向けまして、この十七の戦略分野における検討の有機的な連携をしっかりと図りまして、全体として官民連携の戦略投資が促進されるよう具体的に検討を進めてまいる考えであります。

 後半の部分の、横串の分野横断的課題についてですが、日本成長戦略では、例えば、人材育成、サイバーセキュリティー、労働市場改革、金融を通じた潜在力の解放といった八つの分野横断的課題への対応策も検討することとなっております。これらの八つの分野横断的課題への対策等は、先ほど述べました十七の戦略分野における官民連携投資を進め、強い経済を構築するための基盤的な取組になるものというふうに考えております。

 例えば、また例を挙げさせていただきますと、理系人材など将来必要となる人材を育成することは、当然、この十七の戦略分野の投資を支える人材を確保する、あるいはディープテック分野等のスタートアップの創出につながるものであります。あるいは、リスキリング支援等の労働市場改革は、戦略分野への円滑な労働移動や労働生産性の向上を通じた賃上げにもつながるものであります。

 いずれにしましても、このように、十七の戦略分野における官民連携の投資促進と、後段の八つの分野横断的な課題への対応は、相互に密接に関係を有するものであります。

 また、来年夏の成長戦略の取りまとめに向けましては、分野間の関係にも十分に留意をして、それぞれの分野の政策対応が御指摘のように相乗効果を発揮できるよう、具体的な検討を進めてまいる考えであります。

大野委員 ありがとうございます。是非、投資効果、最大化を図っていただきますように、まさにそういう戦略だと思いますので、是非お願いをしたいと思います。

 一方で、大臣も御認識をされているとおり、裾野の部分が広がってまいりますと、やはり技術流出のリスクというのも高まってくるという部分もありますので、大臣、明確に認識をされているとおりでありますけれども、この部分、やはり投資審査の厳格化とか輸出管理の厳格化とか、こういったところも含めて、攻めだけではなくて守りもしっかりと取り組んでいただければと思います。

 大臣、御退席をいただいて結構でございます。ありがとうございます。

 それでは、続きまして、金融の側面についてちょっとスポットを当ててみたいと思います。

 片山大臣におかれましては、御対応賜りまして、ありがとうございます。

 まず最初に、民間の資金をスマートに引き出すことが重要だと冒頭述べましたけれども、これはやはり、民間の金融機関の役割というのはかなり重要になってくるというふうに認識をしております。先ほど城内大臣から分野横断の話がありましたけれども、戦略文書を読みますと、金融を通じ、日本経済と地方経済の潜在力を解き放つための戦略を策定するというふうに書いておりました。私は、そもそも日本はもっと底力があるんだと思って信じておりますので、潜在力を解き放つというこのワードは、かなり私は刺さりまして、結構期待感を持ってこのペーパーを読んでいたんです。

 この戦略分野の民間資金が、もっと本当は自律的に、自発的に国内に投資を呼び込めたらなというのをすごく思うんですけれども、少なくとも、この危機管理投資、成長投資の部分については、重要性とか目的とかが、市場の参加者、投資家でありますけれども、これにもっと共有されたらいいなというのはすごく思っているところであります。

 いずれにせよ、この金融分野、まさに取り組み始めたばかりで、戦略を策定するとうたわれているので、今からがまさに本格的ということに相なろうかと思いますけれども、現時点で大臣がどのようなお考えでいらっしゃるのかということ、加えて、先ほど総理から複数年度の予算の話も言及がありましたけれども、こういった部分についても、大臣のお考え方を是非御開陳を賜れればと思います。

片山国務大臣 まさに成長戦略で実務的には一番肝になる部分が委員の御指摘の部分だと思いますので、いい質問をいただきましてありがとうございました。

 成長戦略の加速のためには、ここにもしっかりと言及されておりますが、金融の力は不可欠。必要なだけではなくて、不可欠でございます。今までもずっと、資産運用立国に向けた貯蓄から投資への取組をやっておりますが、そういった成果も生きてきて、かつ、金融を通じて日本経済と地方経済の潜在力を解き放つ、今委員がおっしゃった戦略を策定しなければ、成長戦略、実効性がありませんので、この度、日本成長戦略会議の下に、私が金融担当大臣の方としても座長となる会議を設置することが決まりまして、もうほとんど段取りが終わっておりますので、設置予定でございます。

 この会議においては、金融に働いてもらうために、必要な資金、人材、知見を日本の企業あるいは地域に集結させ、それらの価値が向上し、国民の所得向上が目指されるような戦略を具体的につくるために官民連携で取り組んで結果を出していきたい、このように非常に強く思っておりますが、何といっても、会議が今からスタートするので、その中身がこれから、委員の御指摘に、御期待に応えるものになるように取り組んでまいるということでございます。

 その中で、委員もちらっとおっしゃっていますが、今まで、例えば、地域において、地銀の地域における預貸比率がどのぐらいかというのも、多分委員はお詳しいので全部御存じですが、資金はなくはないわけですが、それがモービライズされているかというと、そうでもないこともあるので、地域金融力がいまいち発揮されていないという話がずっとあるわけですから、これを押すために当然予算措置も必要なものが出てこようと思いますし、税制優遇もあるでしょうから、こういったものは、これは財務大臣としての立場からも協力を検討させていただきたいというふうに思っております。

 また、この会議で非常に幅広い関係者から意見を聞きたいということになっておりますので、本日の委員の御意見もしっかりと受け止めて、生かさせていただきたいと思います。

 また、総理が先ほどおっしゃったように、成長戦略の肝が危機管理投資でございますので、AI・半導体、造船、量子などの戦略分野につきましては、その抱えるリスクや社会課題について、先手を打って供給力を抜本的に強化するために、官民連携の戦略投資を促進するということで、複数年度にまたがる予算措置についても、五年間の防衛力の整備計画や七年間のAI・半導体産業基盤強化フレームなどがありますので、重要な施策は後押ししてきたところではありますが、委員御指摘のとおり、官民連携実現のためには、民間投資に予見可能性が高められることが非常に重要でございますので、これらの取組のいい部分を参考にして、必要に応じて複数年度の予算措置のスキームも考えていくというか、用いられるようにしてまいりたいと思います。

 成長戦略の取りまとめに向けては、投資の内容、時期、目標額等を定めた官民投資のロードマップを今のような考え方で策定して、公共調達も組み合わせなきゃいけない、投資のインパクトの定量化という、今までそこまでできなかった課題もやらなければいけないので、また、規制の見直しも当然必要でございますので、実効性のある戦略とするために、あらゆる分野から検討をして、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

大野委員 ありがとうございました。戦略、期待しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 大臣からこの委員会での議論をしっかりと聞いてという話がございましたので、ちょっとついでながら申し上げますと、新しい価値をつくっていくわけですから、やはり柔軟に、資金面、ファイナンス面、これは一番重要なところだ、大臣もおっしゃっていただきましたとおり肝の部分だと思いますので、例えば、従来にないようなスキームを、柔軟に対応できるように、例えば、政府が直接事業者に出すんじゃなくて、事業者は民間からのファイナンスで事業をするんだけれども、結果にあるいはインパクトにコミットをしていただいて、そのインパクトあるいは成果に対して成果連動型で出資者に政府がコミットする、出していく、そういう新しいやり方もあるでしょうし、あるいは調達で応援していくというやり方もあるでしょうし、これは先ほど総理もおっしゃっていただきましたけれども、こういったことに柔軟に対応できるようにしていただければなと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、続きまして、産業構造について上野大臣にお伺いしたいと思います。

 これは実は、もう一つの重要な要素、これは、戦略投資をして価値をつくれるような日本にするんだという意味では、産業構造の在り方も極めて重要な要素になりまして、その例として、ちょっと創薬の部分に触れさせていただきたいので、大臣にお出ましいただいたという次第でございます。

 創薬業界、これは、まさに市場が公定価格で縛られていて、そして保険制度と密接に関係あるということがほかの業界とは多少違うということを前提といたしますが、それでも、例えばジェネリック業界、百九十社あるそうなんですけれども、そのうち何と上位九社で市場の五〇%の供給を占めている。これはやはり、駄目ではないんですけれども、ちょっといびつだな、もったいないなとすごく思っています。

 やはり産業構造の変容というのは求められるわけなんだと思うんですね。大なり小なり、ほかの業界もいろいろな課題を抱えているんだと思っています。産業の資本の厚みというのがもっとあれば、リスクをもっと取れる体制にありますので、当然、研究開発とかももっと出していけるということで、先ほどの片山大臣のファイナンスと相乗効果でもっと回っていくというイメージがあるんです。今、現状は細分化され過ぎていて、そういったことになかなかならないので、ちょっと残念だなと思っています。

 私も創薬PTを自民党でやっているんですけれども、その中で、もちろん、創薬力の強化であるとか、ドラッグロス、ドラッグラグの問題、あるいは安定供給の問題、これらに取り組んできましたし、また、官邸の中に創薬構想会議というのもつくっていただきましたが、最近では産業構造にスポットを当てています。

 そこで、産業政策にめちゃくちゃ詳しい上野大臣に是非お伺いしたいんですけれども、厚労大臣として、もちろん戦略投資というのは重要なところでありますけれども、産業構造についてどのように取り組まれるのか、大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。

上野国務大臣 お答えをいたします。

 まず、委員におかれましては、自民党創薬力PT座長として、様々、貴重な御提言をいただいておりまして、ありがとうございます。

 その上で、政策のアプローチとして、産業構造の点から政策をアプローチをするという点も非常に大事な観点だと思いますので、重要な指摘だというふうに理解をしております。

 まず、創薬をめぐる環境でありますが、従来の低分子化合物から、現在、バイオ医薬品など、モダリティーそのものが変化をしておりますので、開発プロセスにつきましても、従来の製薬企業完結型の開発ではなくて、スタートアップが開発したシーズを大手の製薬企業が買い取ってそれを上市する、そういった流れに転換をしてきているというふうに理解をしています。

 このような状況におきましては、それぞれの製薬企業が、世界のエコシステム、あるいはプレーヤーとの関係性を踏まえて、自社の強みを生かした事業を展開するということが求められておりますので、委員御指摘のとおり、製薬産業につきましても、産業構造そのものの在り方について、これは大変重要な課題だと認識をしておりますので、そうした認識の下に、我々としてどういう対応が必要かということを十分考えていきたいというふうに考えています。

 また、御指摘のあった後発医薬品につきましても、やはり、少量多品目となっている産業構造の見直し、これに向けた取組が必要だというふうに考えております。今般の補正予算案におきましても、後発医薬品産業の業界再編を後押しをする後発医薬品製造基盤整備基金、これを造成するための予算を盛り込んでおるところであります。

 引き続き、関係業界とも密接な意見交換を通じて、今後の望ましい産業政策をしっかり進めていきたいと考えています。

大野委員 ありがとうございます。厚生労働関係の産業構造だけじゃなくて、全般的にやはり見ていかないといけないということがありますので、是非、政府全体で、そういった視点でもお取り組みをいただければと思います。

 上野大臣、ありがとうございました。恐縮でございました。

 続きまして、AI、特にテックスタックについて、最近話題の小野田大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 テックスタックって何ぞやと思われるかもしれませんので、ちょっとだけ解説いたしますと、テックスタックというのは、AIに必要な技術全部みたいなイメージをお持ちいただければと思います。これは、AIのモデル、データ、あるいは半導体、データセンター、あるいは電力インフラとか人材とか標準化とか、そういったものまでパッケージでということであります。

 この部分、実は先日、週末に、地元の観音寺というところがありまして、その中で、天空の社というちょっとインスタ映えするような場所があるんですけれども、そこの麓、結構田舎なんですが、同世代の農家さんが、作付から経営判断までAIに頼り切りだ、そんなことをおっしゃっていました。いやあ、そこまで進んだのかと。

 これを考えますと、結構、もう数年のうちには、あらゆる分野で、教育から、軍事から、産業から、当然研究開発まで、AIが本当に社会のインフラになっていくんだろうということを皆さんも共有をしているかと思います。

 そうなると、世界の産業構造とか、あるいは経済の構造とか安全保障の構造、秩序の構造、これは全く変わってくるというふうに思っていまして、逆に言えば、経済的な威圧じゃないですけれども、AIテックスタックを他国のものに依存し続けると、これはまさに、その依存した先の国の意思、意図によってあっという間に社会が止まってしまう可能性を我々は念頭に置いておかないといけないんだと。これがリスクの認識なんですね、私の中で。

 そこで、そんな背景で米中が熾烈な競争をしていますけれども、やはりフルスタックという、要するに、世界を自分の方法で塗り替えるようなために巨額を投じて世界に展開しているのが米中だということであります。

 日本も当然、この危機管理投資で、そういった戦略、ある種、世界視座で、国際視座でやっていくんだと思いますけれども、やはり米中のやり方、これはフルスタックなので、どうしてもすごい金がかかりまくるということはあるんだと思います。私、全く同じ方向でやるのかというと、やはり日本独自の、日本になじむやり方というのを、独自の戦略を描いていかないといけないんだと思っているんです。

 そこで、小野田大臣に、その考え方を是非御開陳をいただければと思っております。

小野田国務大臣 先生御指摘のとおり、AIは、今後も様々な分野での活用が期待されており、経済社会の発展を支える基盤であり、経済安全保障を含む安全保障の観点から極めて重要な技術だと思っています。

 このような認識の下で、AI法に基づき策定を進めているAI基本計画においては、AIのモデルやアプリケーションに加え、その開発を支える半導体などのハードウェアの開発及び供給、また、これを支える電力供給体制の構築、そして通信インフラの戦略的整備等を含めて我が国の開発利用基盤を強化し、自律性、不可欠性を確保、強化していくことが非常に重要であると考えています。

 今回の補正予算案においても、生成AIの開発と実装を一体的に支援するとともに、日本が強みを持つ産業とAIを融合したサービスの創出、計算資源、情報通信基盤の関連インフラの高度化等を強力に推進することとしています。

 政府としては、関係省庁が一体となってこれらの施策を総合的かつ計画的に取り組むことで、我が国のAIテックスタックの自律性、不可欠性を強化して、国内基盤の構築及び海外展開も進めてまいりたいと思っています。

大野委員 ありがとうございます。

 小野田大臣、持ち前のスーパー馬力で是非是非推進をいただければと思いますので、大変重要な分野ですので、よろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。

 それでは、続きまして、造船について金子大臣にお伺いをしたいと思います。

 造船もリスクがないわけではない、そして、勝ち筋がないわけではない分野であります。九九%の物資の貿易を船舶に頼っているわけですから極めて重要ですが、造船大国とかつては言われた日本は、今や、自分の国で造る船というのは、四割が中国に依存している。これは、十年前は一割だったそうなんですよ。この十年でそんなに変わったのかと物すごく思っているところなんですけれども、このまま放置すれば、欧米と一緒なように、造船は完全に衰退をし、また、衰退するだけじゃなくて、いわゆる海事クラスターと言われる関連産業もなくなっていく。これは、まさに安全保障上の大きなリスクだと思っています。

 アメリカも全く同じリスク認識をしていまして、今、アメリカの造船、全く力は、ないとは言いませんが、弱いと言われていますけれども、アメリカと違って、日本にはまだ人材も技術もあるわけですよね。それに加えて、世界の船舶需要というのはすごい増えていますし、また加えて、アメリカが中国依存を脱却するということは、構造的に需要が増えるということなので、日本にとっては大チャンスなんですよ。

 そういった観点で、我々も党の提言を通じて、やってくれというふうな、基金の創設もお願いしたところ、民間から、産業構造の変容も含めて、三千五百億円の投資のコミットをいただいた、こういう経緯がございました。

 そこで、やはり危機管理投資に総理には入れていただいておりますけれども、基本的には、これは全部パッケージでやっていかなくちゃいけないんだと思います。経済安保の視点で見れば、ドックの整備とか人員の確保とかいうだけではなくて、やはり、国際市場の創造でありますとか、資材、修繕、こういったものの国際連携、あるいは、有事の際の修繕は船員の確保であるということも含めて、オペレーションの合理化も考えながらやっていかないといけないと思っているんですけれども、少なくとも、老朽化施設をただ更新するということだけではなくて、勝ち筋を見据えた国際的な視座、戦略的な視座での市場開拓戦略、供給体制の強化、人材育成等をトータルで進める必要があると思っています。

 大臣のお考えを是非お願いしたいと思います。

金子国務大臣 委員御指摘のとおり、造船業は、現下の国際環境に照らして、経済安全保障上の重要なテーマであり、その再生に向けては、勝ち筋を見据えた取組を進めることが必要であります。

 具体的には、まず、将来の市場を戦略的に先取りするため、ゼロエミッション船の研究開発や建造促進を進めるほか、省人化、自動化やデジタル、AI技術の活用による生産能力の抜本的向上を図り、併せて造船人材の育成を推進していくことが必要であります。

 先日、国内最大級の建造能力を誇る、委員御地元の今治造船丸亀事業本部を視察してまいりましたが、これらの取組を官民が連携して総合的に進める必要性を強く認識しました。今般の補正予算案には、このための基金の創設に係る経費等が計上されております。

 また、国際的な視座という点では、本年十月、高市総理とトランプ大統領との日米首脳会談に合わせて来日をされましたラトニック商務長官との間で日米造船協力覚書に署名しましたが、この覚書に基づく取組を始めとして、サプライチェーンの強靱化に向けて、グローバルサウスも含めた同志国との連携を深めていくことも大変重要であります。

 国土交通省としては、こうした取組を戦略的かつ総合的に進めるため、本年中に、関係省庁とも連携して、造船業再生ロードマップを取りまとめることとしております。

 海に囲まれた日本の経済安全保障に造船業は欠かせません。日本の船は日本で造る、その実現のために全力で頑張ってまいります。

大野委員 ありがとうございました。

 ちょっと時間が過ぎていますけれども、スタート時間がちょっと遅かったので、あと一分だけいただきます。済みません。

 これは地元のネタなんですけれども、先日、カキ養殖が大被害を受けているというので視察に行ってまいりました。これも、そういった漁業者にとっての危機管理なんです。

 当然、今議論している危機管理とは全く違うんですけれども、実は、今回議論している危機管理というのは、例えば熊本の半導体、これは戦略投資でありますけれども、熊本は今、地方経済がかなり豊かになっています。そういったことを念頭に置くと、この部分は地方にそういった豊かさを提供できる領域だと私は思っているんです。ほかに戦略領域、各地域ブロックで一つぐらいは戦略領域があると思うんですよね。この十七分野を全部見ても、東京に投資しているわけじゃなくて、基本的に地方に投資されるんだと思っています。

 そういった意味で、改めて地方目線で、この戦略が、果実が実感できるためには、やはり投資のリターンを賃上げにつなげていかないといけないということを思いますので、最後に総理から地方目線での思いをお願いしたいと思います。

高市内閣総理大臣 全国各地に産業クラスターをしっかりとつくっていく、その決意で取り組んでおります。その結果、賃上げがあって、そしてまた生活も豊かになった、質の高い教育や福祉も受けられるようになる、そういう状況をつくっていくためにしっかりと取り組んでまいります。

大野委員 ありがとうございました。

枝野委員長 この際、島尻安伊子さんから関連質疑の申出があります。柴山さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。島尻安伊子さん。

島尻委員 自由民主党、島尻安伊子でございます。

 本日は、質疑の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。午前、午後に分けての質疑ということでございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 まず、高市総理、総理御就任以来トップギアで、高速度で走っておられる姿に、本当に多くの国民が感動して期待を寄せております。特に若い世代が、サナ活という形で応援をしております。これは、若い世代が政治に関心を寄せるというきっかけになっているとか、あるいは我が国の強い経済づくりの一役も担っているという記事も多く見受けられまして、もしこのサナ活について御感想があれば、いただけますでしょうか。

高市内閣総理大臣 いわゆるサナ活の話は聞いております。私が持っているかばんとかピンクのペンとか、たくさん買っておられる方もいらっしゃると聞いているんですが、事洋服に関しては、そんなにたくさん持っているわけではないので、結構プレッシャーにもなっております。

 でも、そんな中でも、もしも若い方々が政治に興味を持っていただくきっかけになるのであればとてもうれしいと思いますし、私がどうしても今、危機管理投資だ、成長投資だと言っているのは、次の世代への責任を果たしたいんです。今も不安があるけれども、未来への不安がすごく大きい。これをどうしても希望に変えていきたいな。だから、成長する日本をちゃんと次の世代に送りたいと思っていますので、若い方々にしっかりそれを見守っていただきたいし、御意見も賜りたいと思っております。

島尻委員 ありがとうございます。

 本当に多くの若者が、サナ活を通して、総理のメッセージを聞いて、本当に次の世代、次の日本をしょって立つようになってほしいなと私も思っております。私もサナ活を頑張りたいと思っております。

 それでは、まず初めに、地方税財政についてお聞きをさせていただきます。

 現在、物価の上昇が全国的に大きな問題となっております。政府の経済対策及び今回の補正予算案についても、物価高への対応が重要な柱と位置づけられております。このような取組の中で、物価高から国民の暮らしを守り、そして安心できる社会を実現することが重要でございます。

 この取組で、特に私は、地方自治体の役割が重要だというふうに考えております。自治体は、言うまでもなく、地域住民に対してきめ細やかな対応、そして地域の特性に根差した政策を推進していく組織でありまして、例えば子育て政策あるいは高齢者福祉、教育、本当に自治体は、日々多岐にわたるサービスを提供しているわけでございます。

 さらに、埼玉県八潮市の道路陥没事故も記憶に新しい中で、全国的に各種インフラの老朽化が原因で漏水事故などが頻繁に起こっておりまして、これらの対策も迅速に進めていく必要があります。

 つまり、コスト高の今、必要なのは安定した地方財源、地方財源の基盤であるというふうに思っております。

 そこで、総理にお聞きをさせていただきますが、この物価高の状況にあっても、自治体が各種サービスを低下させずに様々な地域課題にしっかりと取り組んでいけるようにすることが国民の暮らしを守るということにつながりますが、政府はどのようにここに対して対応なさるのか。今回の補正予算で工夫をした点とか、あるいは地方へのメッセージも含めてお聞かせいただきたいと思います。

高市内閣総理大臣 最近の物価上昇や人件費の増加などを踏まえて、今回の経済対策、補正予算案におきましては、物価高や地方公務員の方々の給与改定等に適切に対応できるように、令和七年度分の地方交付税を一・三兆円増額しております。

 自治体が様々な行政課題に取り組んでいくためには、必要な地方財源を確保することが重要でございます。自治体が地方の実情に応じた課題にしっかり取り組んでいけるよう、自治体の声を踏まえつつ、必要な一般財源総額や地方交付税総額を確保してまいります。

島尻委員 ありがとうございます。

 それでは、時間が迫っておりますのでちょっと早口になってしまいますけれども、物価高対策としての、地方の官公需における価格転嫁についてお伺いをしたいというふうに思います。

 我が国の経済は、デフレ・コストカット型経済から、その先にある新たな成長型の経済に移行する段階というふうに認識しております。こういう中で、特にGDP全体の約四分の一を占める公的需要については、地方ほどその割合が高くなる傾向にあります。まさに官公需が地域経済を支えているものと認識をしております。地方の官公需における価格転嫁の取組は当然行われるべきものであって、このための財源の確保が重要でございます。

 林総務大臣にお聞きをいたしますけれども、地方の官公需における適切な価格転嫁の取組を強力に進めるべきだと思っておりますけれども、いかがでしょうか。

林国務大臣 今御指摘があったように、物価上昇を上回る賃上げを実現するためには、やはり地方の官公需においても価格転嫁を一層推進して、事業者が継続的に賃上げできる環境を整えるということが重要でございます。

 総務省においても、自治体に対しまして、実勢価格を踏まえた適切な予定価格の作成ですとか、適正な価格での契約を担保するための低入札価格調査制度などの原則導入などの取組を促してきたところでございますが、引き続き、こうした制度面での運用改善に向けて、継続的なフォローアップや助言を行ってまいります。

 また、財政面ですが、今回の補正予算案で、自治体における委託料の増加等の価格転嫁対策として、令和七年度分の地方交付税を二千億円増額することとしたことに加えまして、自治体の公共調達における価格転嫁の円滑化のために活用可能な重点支援地方交付金を拡充しております。

 補正予算が成立をした暁には、こうした交付金の活用も含めて、様々な場で自治体に価格転嫁の取組を働きかけるなど、賃上げの実現に向けて実効性のある取組を進めてまいります。

枝野委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時三十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

枝野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。島尻安伊子さん。

島尻委員 午後もよろしくお願いいたします。

 昨日、群馬県富岡市の妙義山の国有林において、登山道付近から火災が発生し、まだ鎮火に至っていないとの報道がございます。これまでに八ヘクタール程度の森林が焼損しているという報道がございます。

 この林野火災の状況と今後の対応について、農水大臣にお伺いいたします。

鈴木国務大臣 お答えを申し上げます。

 群馬県富岡市の国有林の林野火災については、昨日午前九時頃に発生をし、現在も延焼しております。焼損面積は、市の公式発表では約八ヘクタールとなっているところであります。今朝も、七時から自衛隊と消防による消火活動が続けられておりまして、農林水産省としても、現地の情報の提供を行うなど、関係機関と連携をしながら、引き続き、早期の消火に向けて協力して努力してまいりたいと思います。

島尻委員 是非しっかりとした対応をよろしくお願いを申し上げます。

 それでは、地方財政に関連をいたしまして、自治体間の財政力格差の是正についてお伺いしたいと思います。

 近年、企業収支の改善などで、都市部の自治体の税収が増加傾向にございます。中でも、東京都の税収が令和六年から一年間で約五千億円もの増加というふうにお聞きをしております。

 財政が好調であれば住民サービスも充実するというのは当然だろうというふうに思います。子育て政策や水道代への補助、エアコン、冷蔵庫の購入代の支援など、いわば羨ましいなというふうにも思うところではございます。東京都を敵視するものではありませんが、近隣の県や地方自治体の首長からは、こんなサービスは到底まねできないとか、子育て世帯で東京に引っ越してしまうんだという声が多く聞かれるところでもございます。

 総理にお伺いをいたしますけれども、このような、行政サービスの格差が看過できない水準まで達している、自治体の努力ではどうしようもないというところに来ているという声に対して、何か対応を御検討でしょうか。よろしくお願いいたします。

高市内閣総理大臣 島尻委員御指摘のとおり、行政サービスの地域間格差が顕在化しております。

 先日開催しました全国都道府県知事会議におきましても、知事の皆様から、行政サービスの地域間格差や、その背景にある財政力格差について課題提起がありまして、議論を行いました。

 税財源の偏在の是正のためには、まずは、拡大しつつある自治体間の税収の偏在や財政力格差の状況について原因、課題の分析を進めることが大切です。

 政府としては、これらの分析をしっかり行うとともに、現在行われております与党税制調査会における議論も踏まえて、税財源の偏在の是正に向けて適切に対応いたします。

島尻委員 是非よろしくお願いいたします。

 ちょっと思ったんですけれども、小池知事と胸襟を開く仲で、この件に関して何か会談といいますか、お話をする機会を設けられたらいかがかなというふうにも思いました。強い女性による優しい解決策がそこから生まれるのではないかと大変期待をするものでございます。是非、格差是正のために御対応をよろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、宿泊税についてお尋ねをいたします。

 近年、観光客の急増に伴いまして、オーバーツーリズムの対策の必要性が叫ばれております。

 今般の政府の経済対策でも、国税である国際観光旅客税については、その拡充について、令和八年度の税制改正で検討し、結論を得るというふうにされております。また、地方においても、オーバーツーリズムの対策や観光振興の財源として、法定外税であります宿泊税を新設する動きや引上げの議論が盛んになっております。

 この法定外税は、地方自治法によれば、地方議会での条例可決後に、総務大臣に対して協議を行って、同意を得ることが必要というふうにされておりますけれども、今後、各自治体が宿泊税の導入を検討する上で、どのような制度設計であれば同意を得られるのかといったような考え方をお示しいただけると、今後、各自治体においての検討や事務作業がスムーズに運ぶのではないかというふうに考えております。

 そこで、総務大臣にお尋ねをいたしますが、この宿泊税の導入について、どのように自治体を支援していかれるおつもりか、お尋ねをしたいと思います。

林国務大臣 近年、今お話がありましたように、観光客の増加に伴って宿泊や飲食といった消費活動が拡大する、その一方で、やはり公共交通の整備、それからバリアフリー化といった受入れ環境の整備などの施策に要する費用が増加する、こういう指摘がございます。

 こうしたことを背景にしまして、各自治体において、今お話のありました宿泊税の導入が検討されているものと承知しておりまして、島尻先生の御地元である沖縄県、それから沖縄県内の市町村からも、現在、宿泊税の新設に係る協議をいただいているところでございます。

 自治体が自主性を発揮されまして行財政運営を行うために、自らの判断と責任において課税自主権を活用して財源確保を図るということは、地方分権を進める観点からも重要である、そういうふうに考えております。

 総務省としては、課税自主権の一層の活用が進むように、今後とも、自治体の相談に応じたり、また必要な情報を提供するなど、自治体の支援を行ってまいりたいと考えております。

島尻委員 ありがとうございました。是非引き続き対応をお願いしたいというふうに思っております。

 次に参ります。強い経済ということに関連をいたしまして、沖縄における米軍基地跡地利用についてお尋ねをいたします。

 まず、高市総理にお尋ねをいたします。

 総理は、沖縄担当大臣を経験しておられます。当時の印象や、もしエピソード等がございましたら御披露いただきたいと思います。

高市内閣総理大臣 私が沖縄担当大臣であった当時というのは、平成十八年から十九年にかけてでございました。沖縄振興特別措置法の施行後最初の沖縄振興計画の下で、自立型経済の構築を実現するための取組を着実に軌道に乗せようと取り組んでいた時期でございました。

 特に、あの当時、将来の沖縄の経済社会を担う人材、若い方々の育成に重きを置きまして、アジア各国の若者などと交流するような取組もいたしました。また、世界最高水準の沖縄科学技術大学院大学、OISTを設立するその準備の取組ですとか、それから情報通信産業特別地区及び金融業務特別地区について、より使い勝手がよくなるための取組を行いました。

 その後、沖縄のリーディング産業である観光業も、すごい伸びでしたよね。平成十八年当時に比べると、観光収入ですとか観光客数は大幅に増加しております。これはすばらしいことだと思っております。

 沖縄というのは、東アジアの中心に位置するという地理的特性もございますし、日本一高い出生率という他県にはない優位性と潜在力を有していると思いますので、これらも生かしながら、強い沖縄経済の実現に向けて、沖縄振興を国家戦略として総合的に推進してまいりたいなと今も考えております。

島尻委員 ありがとうございます。

 今、総理の御答弁にもありましたけれども、沖縄県は、一九七二年の本土復帰から第五期にわたって、沖縄振興特別措置法に基づいて施策が講じられてまいりました。五十年以上が経過した今、まだ課題はあるものの、大変目まぐるしい発展を遂げているというふうに思っております。

 そういった中で、この度、地元経済界が、GW二〇五〇、このGWはゲートウェーということでありますけれども、GW二〇五〇プロジェクツ推進協議会を立ち上げまして、那覇空港と、返還予定の那覇軍港、そしてキャンプ・キンザー、普天間基地の三基地を総合的に開発するという大規模な動きが始まりました。これは、総面積にすると八百ヘクタール以上、東京ドーム百七十個分だそうですけれども、この本当に巨大な土地が返還されるその跡に、ここに何を、どんな町をつくるのか、どうこれから経済発展に向けていくのか、新しい沖縄をつくるという計画でございます。

 そこで、黄川田大臣にお聞きをいたします。

 就任早々、大臣は沖縄に入っていただきました。この協議会の方々とも意見交換なさっておりますけれども、そのときの御感想等、お聞かせください。

黄川田国務大臣 大臣に就任して間もない十月の二十九日、三十日に沖縄を訪問しました。その際、委員御関心のGW二〇五〇プロジェクツの構想の早期実現に向けまして中心的な役割を果たされている地元経済界の皆様と直接お話をさせていただきました。非常に熱い思いをいただいたと思っております。地元経済の方々からは、本構想について、政府が実現を目指す強い沖縄経済をつくる上で大変重要なプロジェクトであるというお話をいただきました。

 さらに、町の真ん中に所在する広大な普天間飛行場を視察させていただきまして、地域の町づくりにおける重要性も改めて確認させていただいたところでございます。

 引き続き、地元の皆様からの丁寧なお話を伺いながら、本構想の早期実現も含め、沖縄振興策を国家戦略として推進してまいりたいと考えております。

島尻委員 ありがとうございます。

 実は、このGW二〇五〇プロジェクツの前に、沖縄ゲートウェー構想というものがございました。那覇空港の二本目の滑走路建設を決定、指示された当時の安倍総理が、この沖縄ゲートウェー構想を強力に支えていただきました。沖縄が、そのポテンシャルを生かして、アジアのゲートウェーとして我が国の経済を牽引していくんだというふうにおっしゃっていただきました。

 この延長上にあるこの度の構想については、高市総理の掲げられている成長戦略のいろいろな施策の縮図とも言える内容でございまして、今後、国の施策の一つ一つと連動させていくということが肝になろうかというふうにも考えております。今年六月の骨太の方針にも、国家プロジェクトと明記をされております。是非、高市総理のリーダーシップで強力に引っ張っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

高市内閣総理大臣 特に那覇空港につきまして申し上げますと、沖縄が世界に開かれたゲートウェーとしての役割を果たすに当たって中核的な役割を担っております。その機能強化については、島尻委員など地元関係者の皆様の御意見を踏まえながら、今後議論が進められていくと思います。

 また、ゲートウェー二〇五〇プロジェクツ、この構想は、地方の伸び代を最大限生かそうとしているこの内閣の地域未来戦略の方向性とも合致すると考えております。

 沖縄から日本を成長軌道に押し上げていく可能性を秘めていると認識しておりますので、しっかりと応援をしてまいります。

島尻委員 ありがとうございます。

 基地の跡地利用の中で、沖縄で予定されている基地の返還で一番近いのがキャンプ瑞慶覧のロウワー・プラザの住宅地区だろうというふうに思います。二〇一三年の統合計画では、二〇二四年又はその後の返還というふうになっておりますが、これが遅れているという状況でございます。広さとしては約二十三ヘクタール、現状は、一部緑地として日米共同使用という形に今なっております。

 これまでそこにあった住宅を新たに別の基地に整備するというような、完全な返還に向けての条件というものが幾つかあるというのは十分承知の上ではございますが、とにかく一日も早い返還の約束を望む声がございます。

 これまで、西普天間住宅地区の返還に向けても、当時、菅官房長官とケネディ大使の会談がございましたけれども、是非政治的な交渉で、この返還を是非とも高市総理にかち取っていただきたいというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。

高市内閣総理大臣 キャンプ瑞慶覧のロウワー・プラザ住宅地区につきましては、基地負担の軽減や跡地利用の観点から、返還に関するお地元の強い御期待があると承知しております。

 この住宅地区は、二〇二四年の一月に、当時の岸田総理、林官房長官の下で、日米で共同使用に合意して、その後、おっしゃったように、レクリエーションや交流の場として多くの方々が利用できる緑地広場として開放している状況でございます。その上で、早期返還が実現できるよう、返還条件となっている家族住宅の移設工事を着実に進めてきておりますので、この作業を加速させていきたいと思っております。

 ロウワー・プラザ住宅地区の早期返還も含めて、基地負担軽減を目に見える形で実現するために、沖縄基地負担軽減担当大臣であります官房長官を中心に、政府としてしっかり取り組んでまいります。

島尻委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。

 基地の跡地の開発については、平成二十四年三月に制定をされた沖縄における基地跡地利用特措法という法律に基づいて推進されます。先ほども少し触れましたけれども、西普天間の住宅地跡の医療拠点の事業は、この法律ができて初めての大型プロジェクトでもございました。今後、このロウワー・プラザや、先ほどからお話をしておりますGW二〇五〇プロジェクツの実現に向けて、いろいろな法改正に向けてのリクエストも出るだろうと容易に想像されるところでございます。

 そこで、黄川田大臣に、是非、法改正を含めてこの跡地利用がスムーズにいくように、やはり、返還が決まって、返還日の前に、例えばここに埋まっているようないろいろな障害物がございます、これを除去してから、きれいにしてからの返還というところにいくために法律の充実というのが必要でございますので、是非地元の要望にお応えいただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

黄川田国務大臣 御指摘のロウワー・プラザやGW二〇五〇プロジェクツを始め、まずは、地元における構想の具体化等の取組を引き続きしっかりと支援してまいりたいというふうに考えております。

 その上で、そうした地元の検討状況や成果を十分に踏まえつつ、御指摘の特措法の改正に関わる検討も含め、政府として必要な措置が講じられるよう、大臣としても力を尽くしてまいりたいと考えております。

島尻委員 ありがとうございます。

 この基地の跡地利用は、沖縄にとってのみならず、先ほどお話をいたしましたけれども、我が国の経済を牽引していくという気概で、また県民も力を結集して頑張っていきたいと思っておりますので、是非ともよろしくお願いを申し上げます。

 それでは、与那国町における医療体制の問題についてお聞きをいたします。

 これまでは、与那国町が公益社団法人地域医療振興協会に指定管理者として業務委託をしております。五年ごとの契約更新でしたが、今年一月に、契約を更新しないと町に通知をしてきております。これは来年三月末で契約切れになります。

 現医師は二人体制でございますが、一人は来年六月でもう退職が決まっている。契約を更新しない理由についても、診療所や住宅の老朽化が指摘されているほか、台湾有事に対する不安ということにも言及があったというふうな報道もございました。

 自衛隊の駐屯地内には自衛隊の医師がおられる一方で町民の医療体制が不安視されているということに、違和感を感じざるを得ません。都市部への医師の偏在や離島、僻地の医師確保の困難さというのは全国的な課題ではございますけれども、防衛上重要な地区への配慮というのはあってしかるべきではないかというふうにも考えております。

 そこで、まず防衛大臣にお聞きをいたします。

 現地で視察もなさっておりますけれども、そのときの印象あるいは今後の体制について、お聞かせいただきたいと思います。

小泉国務大臣 島尻先生におかれましては、沖縄北方担当大臣もお務めになられていますから、誰よりもお詳しく、そしてまた、沖縄の施策を共に進めていただいてありがとうございます。

 冒頭、与那国の皆さんに心から感謝を申し上げたいと思います。

 来年で、与那国に駐屯地を開設をして十年ということになります。そして、私も、先日お伺いをしたときに、そのときにお伝えした一つは、これから来年度には対空電子戦部隊の配備も計画をさせていただいておりますので、十二月四日に住民説明会を開催をさせていただきました。そして、上地与那国町長からは、部隊の配備を受け入れる御意向をお示しをいただいたところであります。本当にありがとうございます。

 そして、お尋ねの医療の充実でありますが、島尻先生が言われた違和感ということは、島民の皆さんに対する医師がいないのに駐屯地の中には自衛隊の医官がいる、こういった環境のアンバランスさが発生してはならない、こういった思いだと思います。全く同感でありますし、そういった環境に絶対にしない、そういった思いであります。

 上地町長からも、町として様々な御努力をされている現状もお伺いをしました。今、与那国町の診療所への支援を自衛隊の医官がやっておりますが、今後に向けて、自衛隊として何ができるのか、緊密に町の方とお話をさせていただいて考えていきたいと思いますので、島の皆さんには、我々もそんな思いだということで伝わればというふうに思います。引き続き努力をします。

島尻委員 ありがとうございます。本当に、今お話にあった上地町長も、とにかく、本土内の医療法人を自ら回って、もう医師がいなくなるんだ、よろしくお願いしますということで、一生懸命やっております。是非、そういったところへの御配慮を防衛大臣にもお願いを申し上げたいと思っております。

 総理にも、このお話、総理としても、離島、しかも防衛上大変重要なところでの医療体制について、是非とも前向きに頑張っていくという御答弁をいただければ幸いです。

高市内閣総理大臣 与那国島も含めて、離島や僻地における医療の確保というのは重要でございますから、政府としては、僻地における医療提供体制の確保については、それらが所在する都道府県に対する支援を行っております。

 こうした中、今、島尻委員がおっしゃっていただいたように、安全保障の観点からは、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中、南西地域の防衛体制の強化、これも喫緊の課題でございます。

 先ほど防衛大臣から答弁がありましたが、与那国島には自衛隊の部隊を配備し、島民の皆様との関係も築いてきております。駐屯地を含む自衛隊施設の安定的な運営や部隊の活動の円滑な実施に当たっては、お地元の皆様の御協力が必要不可欠です。

 こうした考えの下、政府としても、与那国町の御意見を伺いながら、地方の医療提供体制の確保についてできる限りの支援に努めてまいります。

島尻委員 ありがとうございます。総理のリーダーシップで、是非、島民の皆さんの不安に応えていただければというふうに思っております。

 最後の質問なんですが、ちょっと前後をしてしまいましたが、総務大臣にガソリンのところを御質問をして終わりたいというふうに思っております。

 先月五日に、与野党六党間でガソリン税及び軽油引取税の暫定税率廃止が合意されました。この軽油引取税の税収は、道路の更新、老朽化対策あるいは防災・減災対策にも充てられるという、地方にとって大変貴重な財源でございます。暫定税率が廃止されると、税収の大幅な減収が見込まれて、自治体にとって、今後道路インフラの整備などに影響が生じかねません。

 この点について、六党合意では、「地方の安定財源については、」「税制措置による地方増収分を活用するほか、具体的な方策を引き続き検討し、速やかに結論を得る。安定財源確保が完成するまでの間、地方の財政運営に支障が生じないよう、地方財政措置において適切に対応する。」というふうにされているところでございます。

 総務大臣に最後にお聞きいたします。

 地方自治体にとって、来年度以降、軽油引取税の減収が見込まれるところでありますけれども、ここに穴が空かないように政府としてどのように対応していくおつもりなのか、是非お聞きいたしたいと思います。

林国務大臣 軽油引取税そして地方揮発油税の暫定税率の廃止によりまして、令和八年度以降でございますが、年間で約五千億円の減収が見込まれます。

 これに関する与野党六党間の合意、まさに今委員が読んでいただいたとおりでございますので、それに加えて、地方から、地方の恒久的な減収に対する代替となる恒久財源の確保について検討してほしいと、強い御要請も伺っておるところでございます。

 総務省としては、今引いていただいた与野党六党間の合意を踏まえつつ、今後の税制改正及び地方財政対策において、地方の安定財源の確保に向けて努力をしてまいります。

島尻委員 よろしくお願いを申し上げます。

 地方財政、本当に大事です。減税マインドの中で、知事会あるいは市町村会、本当に注目をしているところだと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

枝野委員長 この際、高見康裕さんから関連質疑の申出があります。柴山さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。高見康裕さん。

高見委員 自由民主党・無所属の会の高見康裕でございます。

 まず、昨晩、青森県沖で大きな地震がありました。大変寒い、不安な夜を過ごされた全ての被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げますとともに、政府におかれましては、被災者の皆様に寄り添った最大限の対応をお願いをいたします。自民党も、もちろん支えてまいります。

 初めに、農業について、鈴木憲和大臣に伺います。

 昨年来、米価が高騰しています。これまで水田を活用して、飼料用米またWCS、牛の餌になる稲を作っていた農家がかなり主食用米にシフトをしましたので、飼料用米の生産が大きく減って、その結果、大臣の地元、米沢牛もそうだと思います、畜産、酪農に大きな影響が出ています。また、飼料米、WCSは、これまで輸入に頼っていた飼料を国産に置き換えるという意味では、食料安全保障にも大きな役割を果たしていると思っています。

 そこで、飼料作物を主食用米の需給に左右されずに安定して生産できることが重要だと考えますが、鈴木大臣のお考えを伺います。

鈴木国務大臣 御質問ありがとうございます。

 今、大変、高見委員からは大切な御指摘をいただいたというふうに私としては受け止めをさせていただいております。

 まさに委員御指摘のとおり、畜産経営の安定を図り、食料安全保障にも寄与する観点から、国内の飼料生産基盤に立脚した生産に転換をすることが重要です。

 これまでは、草地の整備改良や耕畜連携の推進などに取り組んできたところであります。本年四月に閣議決定をされた食料・農業・農村基本計画では、これらのほかに、地域計画への飼料生産の位置づけ、そしてコントラクター等の外部支援組織の運営強化、スマート農業技術や新品種の開発普及などを推進をし、地域の実情に応じた国産飼料の生産、利用拡大を図ることとしております。

 今後、今委員から御指摘をいただいた点も含めて、令和九年度以降の水田政策の見直しの中で、幅広い御意見を丁寧に伺った上で、国産飼料の生産性向上に向けた方策について検討してまいりたいと考えます。

高見委員 畜産また酪農は、高市内閣で掲げていらっしゃる稼げる農業の一つの大きな柱だと思っています。是非、生産者の皆様の予見性を高める取組をよろしくお願いいたします。

 次に、中山間地域への取組です。

 農業生産の四割が中山間地域であります。中山間地域の農業を守ることなくして、食料安全保障はあり得ないと考えています。

 国がこれから五年間、別枠の予算を確保して進める農業構造転換集中対策、これはすばらしい取組だと思っていますが、一つ気になることがあります。

 農地の大区画化がクローズアップされていますけれども、中山間地域は平地と同じわけにはいきません。非常に長い斜面の草刈りをされたりとか、あと、あぜの草刈り、水管理。田んぼの中で過ごす時間よりも、田んぼの外で過ごす時間の方が長いという言葉もよく聞きます。鳥獣対策、イノシシや熊、猿、鹿、こうしたものも欠かすことができません。

 そこで、こうした中山間地域、条件不利地でも、地域の実情に応じてきめ細やかな基盤整備が必要だと考えますが、中山間地域直接支払いの在り方も併せて大臣に伺います。

鈴木国務大臣 御質問ありがとうございます。

 中山間地域は、委員からも今お話ありましたが、全国の総農家数、そして耕地面積、農業産出額のそれぞれ四割を占めるところであります。

 高市総理からも、全ての田畑で、頑張る方がいる限り、しっかりと営農ができていく、こういうことが可能となるようにという御指示もいただいております。このため、特に中山間地域にしっかりと投資をして生産性の向上等を図ることにより、将来にわたって営農して稼ぎ、暮らしていける農政を実現するということが重要であるというふうに考えております。

 このため、農業構造転換集中対策では、一ヘクタール以上の農地の大区画化だけではなくて、中山間地域における、まず補助率のかさ上げ、これは五〇%から五五パーに。そして、農地バンクと連携して農家負担をゼロにする圃場整備事業の面積要件の緩和、十ヘクタール以上から五ヘクタール以上ということで下げております。そして、のり面の緩傾斜化、傾斜を緩くする、こういったことなど、中山間地域の実情に応じた措置を講じることとして、今般の補正予算案に必要な予算を計上させていただいているところでもあります。

 委員の御地元の、私もお伺いをさせていただいた津和野町があります。集落営農組織のおくがの村を見せていただいて、私も大変感銘を受けたところでありまして、やはり中山間地域であっても、そこの実態に合った基盤整備、そして、ちょっと高齢化をしても、ある種、草刈りとかがトラクターに乗って全てできるんだというような圃場整備をすることができればまだまだ中山間地域はやっていけるんだという、あれは本当にいい事例だというふうに思っておりますので、こうした事例もしっかり参考にして取組をさせていただきます。

 また、平地との生産条件の格差を補正するために中山間地域等直接支払いを講じてきたところでありますが、本年四月の食料・農業・農村基本計画の中で、条件不利の実態に配慮し、支援を拡大することとしております。令和九年度以降の水田政策の見直しの中で、現場にもよく伺って、皆さんのお話もよく聞きながら見直しを、支援を拡充する方向でしっかり検討させていただきたいと思います。

高見委員 大臣、かねがね中山間への思いを語っていらっしゃる、それを政策に今回の補正予算でもしてくださって、ありがとうございます。

 中山間の農地を守るというのは、私は、農地だけではなくて水源を守ることでもありますし、営農して中山間地域にも離島にも住めるというのは国土も守っているということだと思っています。ですので、受益者は平地も含めた全国民だというふうに思っていますので、その価値に見合った強い施策をこれからもよろしくお願いします。

 次に、韓国による不法占拠が続く竹島について伺います。

 二〇〇五年に島根県議会が竹島の日条例を制定して二十年になりました。領土、主権を守るという国がなすべき最も基本的な取組ですが、島根県が先頭に立ってやってきたと言えると思っています。近年、国が領土・主権展示館を開設し、資料収集も成果を上げていますが、韓国による不法占拠という現状は一ミリも動いていないのが現実であります。

 我が国の領土問題に対する姿勢を注視しているのは決して相手国だけではありません。竹島について毅然と対応するというメッセージを、是非、高市総理から発していただきたいと思います。

高市内閣総理大臣 島根県隠岐の島町に属する竹島については、歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も明らかに我が国固有の領土であるとの基本的立場に基づき毅然と対応していくことに変わりはございません。国内外において我が国の立場についての正確な理解が浸透するように、内外発信に努めてまいりたく存じます。

高見委員 来年二月二十二日には竹島の日がやってきます。北方領土並みの毅然とした対応をお願いし、次の質問に移ります。

 鈴木大臣、あかま大臣、ありがとうございました。

 三点目は、持続可能な医療、介護についてであります。

 公定価格で運営される医療機関や介護施設などは、経営が逼迫して、閉院や倒産が相次いでいます。国民が安心して医療、介護、障害福祉を受けられるという根幹が揺らぎ始めています。前回の報酬改定において賃金や物価上昇分が十分に反映されていたとは言い難く、これまでデフレ下で行われてきた報酬改定の在り方のままでは物価上昇局面に対応できないと言わざるを得ません。

 今回の補正予算では医療・介護等支援パッケージで約一・四兆円計上していますけれども、これはあくまで前回の改定で足りなかった分の措置であって、今後の賃金、物価上昇分は改めて対応する必要があると考えています。そこで、次回の報酬改定では二年目以降の賃金、物価上昇にも対応した新しい改定の在り方が求められると考えますが、上野厚生労働大臣のお考えを伺います。

上野国務大臣 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、医療機関等は物価、賃金の上昇等大変厳しい状況に直面をしておりまして、そのような状況を適切に施策に反映していくことは極めて重要だと考えています。

 今委員から御指摘がありましたとおり、今般の補正予算案につきましてパッケージを盛り込ませていただいております。これはあくまで緊急の措置でありますので、これから次回の診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等の報酬の改定に向けては、骨太の方針二〇二五に基づきまして、「医療・介護・障害福祉等の公定価格の分野の賃上げ、経営の安定、離職防止、人材確保がしっかり図られるよう、コストカット型からの転換を明確に図る必要がある。」とされていることも踏まえまして、対応を進めることが必要だと考えております。保険料負担の抑制努力、これは継続する必要がありますけれども、一方で、やはり次期診療報酬改定におきましては、物価、賃金の上昇等を適切に反映をする、そのための対応を行うなど、引き続きしっかりとした対応が取れるように努めていきたいと考えています。

高見委員 ありがとうございます。

 特に迅速な対応が必要だと考えているのが訪問介護であります。訪問回数に応じて出来高払いで報酬が決まる現行の仕組みでは、中山間地域や離島など条件不利地では経営が成り立たないと思っています。これは決して人手不足で廃業しているだけではありません。人手がいて、ヘルパーさんがいて、利用者さんもいる、その中で、一日、朝から晩まで働いてもペイしない仕組みになってしまっていると私は考えています。もちろん、前回の報酬改定で用意していただいた処遇改善加算というのは活用した上でもこの状況だということです。

 例えば、地元の島根県奥出雲町の山間部です。ヘルパーさんに聞きましたら、ある日、朝から夕方まで七時間働いた、そのうち移動時間が二時間半です。三分の一以上、移動時間に費やさなければならないということで、一日で五件回るのがやっとだということであります。さらに、今、近隣の訪問介護事業所が廃業してしまう、そうすると空白地帯になってしまいますので、そこまで営業範囲を延ばしてカバーしてくださっている。そうすると、ますます移動時間は増え、結果、訪問件数はますます減るという悪循環が既に起こっています。廃業した地域では、いわば、保険料はみんなが払っているのにその対価であるサービスが受けられないという状況が起こり始めていますので、これは保険制度の根幹に関わる問題だ、重大な問題だというふうに思っています。

 そこで、訪問介護がこうした条件不利地でも持続可能になるように、こうした地域では例えば定額報酬制というようなものを選べるようにしてはどうかと思いますが、総理のお考えを伺います。

高市内閣総理大臣 中山間地域などでは、特に訪問介護については、今おっしゃったように、利用者宅への移動の負担ですとか、また季節による利用の繁閑など、安定的な経営を行う上での課題が顕在化していると思います。

 現在、厚生労働省の審議会におきまして、中山間地域等の訪問介護を念頭に、月単位の定額報酬の仕組みの創設など、様々な選択肢を確保するための議論をしております。関係者の御意見を伺いながら、次期制度改正に向けて検討してまいります。

高見委員 是非、安心して医療、介護を受け続けられる仕組み、よろしくお願いいたします。

 上野大臣、ありがとうございました。

 次に、防衛装備移転について、小泉大臣に伺います。

 フィリピンへの警戒管制レーダーの移転というのが完成品としては我が国初でありましたけれども、この夏にオーストラリアが、次期フリゲート艦に日本の「もがみ」改良型を選定をしました。

 今、安全保障環境は極めて複雑でありまして、戦闘機によるレーダー照射という極めて危険な行為に及んだ中国を始め、力による現状変更を試みる国を複数近隣に抱える我が国であります。装備移転は、同志国の抑止力を高め、我が国にとって望ましい安全保障をつくる手段であるだけではなくて、最先端の防衛装備を未来にわたって共有する国ですので、いわば運命共同体になると思っています。その意味で、装備移転は我が国にとって新しい外交上の武器になるというふうに考えています。

 その点、装備移転を救難、輸送、警戒、監視、掃海の五類型に限定するとしている防衛装備移転三原則の運用指針というのは、必ずしも合理的ではないと思っています。政府が撤廃を含めて検討しているとされていることに大いに賛同いたします。

 そこで、五類型を撤廃した後には何を判断基準として装備移転の是非を判断していくお考えなのか、防衛大臣のお考えを伺います。

小泉国務大臣 ありがとうございます。

 自衛官経験もある高見先生ですから、その重要性は誰よりも痛感されていると思いますし、私も最近、オーストラリアのマールズ副首相兼国防大臣とお会いをしまして、防衛装備品の関係、「もがみ」型のオーストラリアの選定が日豪の関係の強固な結びつきを生んでいる一つの大きな存在になっていることを痛感をしています。

 今回、マールズ副首相兼国防大臣からは、是非長崎に行きたい、三菱重工のその建造されている現場、ここに行きたいということで、アレンジをしまして、視察をしていただいて、日本の持っている技術、そしてプロフェッショナリズムを感じる現場の職員の姿、こういったものに大変感銘を受けた、そういったことを率直に感想を聞きました。来年、この年度内に契約の完了に向けて、今鋭意作業を進めております。

 オーストラリアに限らず、インドネシアそしてニュージーランド、様々な国から関心が示されていますので、私自身がトップセールスをする、そういった思いでこの防衛装備品の移転を、今与党の間でも御検討いただいていると思いますけれども、政府としても、関係省庁の間でしっかりと議論をした上で、いかに日本を取り巻く安全保障環境をよりよくできるかという観点から判断をしていくということが基本的な考え方だと思います。

 なお、これに併せて、やはり高市内閣で危機管理投資ということで、十七分野のうちの一つが防衛産業、私の防衛省の方と赤澤大臣の経産省、この両省の所管になっておりますが、先日、防衛装備庁で開催をしたフォーラムには初めて赤澤大臣からもメッセージを寄せていただきまして、スタートアップそしてまた大手の企業、もう防衛産業というのは、デュアルも含めて、民生への波及効果も含めて、経済にとっても大きい、防衛と経済の好循環を生み出す、こういったことも含めて様々なプレーヤーの御理解をいただけるように、そして社会の防衛産業に対するイメージが変わっていくように、積極的に発信をしていきたいと思います。

高見委員 まさに小泉大臣がおっしゃったように、我が国を取り巻く安全保障環境に照らして、装備移転も適切か否かという議論が必要だと思っています。ただ、戦後の我が国の安保の議論というのは憲法とか法令の解釈論争に矮小化されてしまう、そういうきらいがあったと思っていますので、この五類型撤廃を機に、真にこの戦略あるいは国益にかなうかどうかという観点での議論ができるような環境を小泉大臣の力で是非つくっていただきたいと思っています。

 次に、スタートアップについて伺います。

 防衛分野は、これまで強い予算制約もあり、長い間、固定したプレーヤーで担われてきたと思っていますが、今後新しい戦いを考えると、それでは戦えないと思っています。ドローン、AI、サイバーといった新しい戦い、これにはスタートアップの参入をかなり加速しなければついていけないのではないかという危機感を持っています。欧米ではディフェンステックという言葉が当たり前になって、スタートアップが、ベンチャーキャピタルがどんどん参入する流れがありますが、我が国ではまだまだそこにたどり着いていないと思います。

 そこで、多くのスタートアップが参入できるように、スタートアップ、ベンチャーキャピタルへの働きかけを強化すべきだと考えますが、お考えを伺います。

小泉国務大臣 今の点も全く同感です。

 最近、日本に進出してきた海外の防衛スタートアップ、ディフェンステックの関係者からも話を聞きましたが、やはり今までの既存のやり方では、今、猛烈なサイクルで、ロシアとウクライナの間でもドローンの開発やアップデートが進んでいる中に、我々自身がこのままでは間に合わない、そういった危機感を持つような話を聞きました。そのためにも、間に合うためには、我々の調達の在り方も含めてスタートアップにも入っていただくためには、様々な我々の政策も用意しなければいけないと思っています。

 例えば、今、スタートアップ企業等の新規参入を促進をするために、新規参入相談窓口を設けてサポートを実施するとともに、防衛産業参入促進展や、経産省と連携をする防衛産業へのスタートアップ活用に向けた合同推進会などを開催する、こういったこともやっています。

 それに加えまして、安全保障技術研究推進制度を通じて、これまで二十件のスタートアップ企業の先進的な基礎研究を支援をして、デュアルユースとなり得る民生先端技術の発掘、育成を進めてまいりました。

 さらに、スタートアップ企業が有する高度かつ独自の新技術を活用し、多様化する行政課題への対応力を高める観点から、一定の要件を満たすスタートアップ企業と随意契約が可能な調達手段として、スタートアップ技術提案評価方式が昨年導入されました。防衛省は、政府の中で最初の適用事例として、本年三月、この制度を活用してスタートアップ企業と契約を行ったところであります。

 引き続き、このような随意契約も含めて周知、活用して、スタートアップ企業が防衛分野に目を向けてもらえるようにしたいと思いますし、今、海外からも、日本の企業の中で、この企業の技術は防衛のためにも、またデュアルのためにも使えるというふうに思っても、ちょっとレピュテーションリスクがあるのでうちは協力できません、そういった声が届いている。また、本当だったら技術があるのに自分たちにはできないと思い込んでいる、そういったところをもっともっと開拓できるというような話も聞いています。そういった声もしっかりと我々の政策で後押しができるような環境をつくっていきたいと思います。

高見委員 ありがとうございます。

 次は、全く新しい提案をさせていただきます。防衛予算でインフラ整備ができないかという提案です。

 現在、各地で基地や駐屯地、また弾薬庫などの整備が進んでいますけれども、実際、部隊を動かす必要が生じたとき、運用することを考えますと、道路など周辺のインフラが有効に使える状態に整備されていてこそ、防衛力を発揮することができます。そもそも道路が整備されていなかったり、あるいは、整備はされていても、自衛隊の車両が実際に使用するには幅が狭過ぎる、あるいは強度が足りない、これでは機能しません。この意味で、道路などのインフラ整備も防衛力そのものだと考えています。

 国土交通省による通常の道路整備の在り方では、例えば費用対効果、BバイCが高くないというふうに判断されたとしても、防衛上の必要性という別の物差しでこれはどうしても必要だとなれば、アクセス道路などを整備するという仕組みが必要ではないでしょうか。既にアメリカやNATOではこの取組が導入されています。

 そこで、防衛予算による道路などのインフラ整備という仕組みについて新たに安保三文書に盛り込むということを検討すべきだと思いますが、大臣のお考えを伺います。

小泉国務大臣 ありがとうございます。後ろに財務大臣に見ていただきながら、前向きな答弁をしたい気持ちでいっぱいでありますけれども。

 現行の国家安全保障戦略の下では、総合的な防衛体制の強化に資する公共インフラ整備の取組について、空港、港湾及びこれらにアクセスする道路ネットワークの整備を対象に、民生利用を主としつつ、自衛隊、海上保安庁の航空機、船舶等の円滑な利用にも資するよう、必要な整備等を行うこととしています。

 来年中の三文書の改定の中でこういったことを更に推し進めるべきではないかという高見委員の御指摘でありますけれども、自衛隊や海上保安庁が円滑に利用するための公共インフラ整備の方策についても、現在の取組に加えて何ができるか、あらゆる選択肢を排除せずに検討してまいりたいと思いますし、特定利用空港、そして特定利用港湾、こういったことも、平素から御協力をいただけるような自治体も含めた広がりを見せなければいけないと思います。高見先生のそういった問題意識も含めて、この三文書の改定に生かしていければと思います。

高見委員 ありがとうございます。

 防衛費をこれから増やして更に防衛力強化を進めていくということに国民の理解が得られるためには、私は、経済成長との好循環がこれだけあるんだということを示し続ける必要があると思っています。今提案した仕組みというのは、特に地方においてその効果が非常に大きい、好循環を生む切り札だと思っていますので、是非検討をよろしくお願いします。

 もう大臣、触れていただいていますけれども、防衛力強化というのは、単なるコストではなくて、経済成長との好循環がある、雇用とか税収を増やしたり、民生品へのスピンオフで国民の暮らしを豊かにしたり、そういう効果があると思っていますが、改めて大臣から、その点についてお伺いをいたします。

小泉国務大臣 例えば、今回の経済対策におきましても自衛隊員の処遇改善も入っています。やはり隊員、そして隊員の御家族も含めて、自衛隊員でもありますが消費者でもありますので、その方々の処遇を改善し、それが経済の中での消費につながるという面もありますし、あわせて、やはり必要な防衛装備品に対する政策を進める中で、世界中で広がっている、我々が使っている当たり前の、衛星だったり通信だったり、そしてGPSもそうでありますが、インターネットもそうです、元々は軍事技術から派生をして、我々の生活を豊かにしてくれているものはいっぱいあります。

 こういったことすら、防衛産業はイメージが悪い、こういったことで二の足を踏んでしまうような空気、そして環境があったかもしれませんが、何とかそれを乗り越えて、むしろ日本の新たな成長産業が防衛産業なんだ、こういった思いを共有をして一歩踏み出していただけるような企業、そして世の中の理解、これを実現をすることが、私は、防衛と経済の好循環を実現をすることでもあり、そして防衛予算を国民の皆さんに御理解をいただき、安全保障政策の強化を御理解をいただくことにつながると思いますので、そこに向けて自分としてもしっかりと汗をかきたいと思います。

高見委員 ありがとうございます。

 是非、防衛分野のイメージを変えて、レピュテーションリスクも吹き飛ばせるように、引き続き強い発信をお願いいたします。

 最後に、自治体の情報システムの標準化について、松本尚デジタル大臣に伺います。

 全国の自治体で、現在、自治体情報システムのガバメントクラウドへの移行が行われていますけれども、移行後の運用経費が当初の想定を大きく上回っています。

 島根県のある町に聞きましたけれども、運用経費は移行する前の三・四倍に上る。新たに負担しなければならない額が三千四百万円と計算しているんですが、この町は、一年間で政策に使える経費は一億円です。その三分の一が恒常的にもしかかってしまうとなればどうなるんだろうかと、財政力の弱い自治体は今深く懸念をしているところです。

 そこで、自治体の財政負担が増えるということがないように適切な財政措置を講じる必要があると考えますけれども、移行経費を全額国費で措置するということと併せて御答弁をお願いいたします。

松本(尚)国務大臣 ありがとうございます。

 私も、地元に帰るとき、帰らなくても、地元の自治体からは本件に対していろいろと要望を伺っているところでございます。そういった移行後の運用経費の増加に対する懸念というのは、こちらにいらっしゃる委員の皆さん、それぞれお持ちだろうというふうに思います。

 財政支援ももちろんなんですけれども、デジタル庁としては、当面の対策として、見積精査をもう一回しっかりやらなきゃいけないということで、我々としては、百八十八の自治体をピックアップしまして、精査をしっかりやるから受けてくれというようなこともやっています。それにアプライをしてきたのが今百四十の自治体があって、それ以外にも、各都道府県の方からこっちをチェックしてくれというようなことで、九十七の自治体が今ピックアップされているところです。

 そういった見積精査であるとか、あるいはガバメントクラウドの利用料をできるだけディスカウントしてもらえるような、そういう努力をしながら、その上で財政的な支援というのをやってまいりたいというふうに思っています。

 今般の総合経済対策において、安定的な運用のために必要な措置を講ずるとされていますから、それを踏まえて、今回の補正予算でも、地方公共団体の情報システム運用最適化支援事業というのを立てました。その最適化のための計画を各自治体に立てていただいて、その計画に沿ってやり、そして運用経費をそこで支援をしていくということで今進めているというところでございます。

 委員の御指摘のとおり、しっかりと、後ろにも財務大臣がいらっしゃいますので、できる限りの財政支援も含めて、お金だけではなくて、いかに節約し、圧縮していけるかということも含めて対応してまいりたいと思っております。ありがとうございます。

高見委員 ありがとうございます。

 松本大臣おっしゃるように、様々な要因で見通しより上回っているんだと思っています。是非、自治体の現場の実情をよくヒアリングを丁寧にした上で適切な対応を取っていただくよう、よろしくお願いいたします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

枝野委員長 これにて柴山さん、大野さん、島尻さん、高見さんの質疑は終了いたしました。

 次に、本庄知史さん。

本庄委員 立憲民主党の本庄知史です。

 まず冒頭、昨日の深夜、青森県東方沖で発生した地震について、被災された皆様、おけがをされた方々に心よりお見舞いを申し上げます。引き続き、北海道・三陸沖後発地震注意情報も発令されていますので、細心の御注意をお願いしたいと思います。

 また、政府、自治体、消防、警察等関係者の皆さんにおかれましては、夜を徹した対応に感謝を申し上げます。

 高市総理も、深夜、未明、早朝と記者会見された後のこの予算委員会ということで、大変お疲れさまです。災害、防災に与党も野党もありませんので、私たち立憲民主党も最大限御協力をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 それでは、本題、補正予算の議論に入りたいと思います。

 まず、責任ある積極財政と言えるのかという観点から総論を伺っていきます。

 立憲民主党は、十一月の二十一日にスピード、コンパクトを基本とする経済対策を発表し、官房長官にも申入れを行いました。その上で、政府の政府予算案に対する概括的な評価をまず申し上げます。

 第一の柱、物価高対策、これは一定の評価をさせていただいています。子供一人当たり二万円の給付、あるいは医療機関への国からの直接支援など、立憲民主党の提案も一部取り入れていただきました。ただ、物価高の影響を最も受けている中低所得者への家計支援がやはり不十分。私たちは、物価高・食卓緊急支援金として引き続き提案をしていきたいと思います。

 第二、第三の柱、投資や基金あるいは防衛費等は、必要性自体は認められるものもあるものの、補正予算の要件、つまり想定外、緊要性、年度内執行という財政法第二十九条や予算単年度主義を満たしていない、あるいは逸脱したものが山積みとなっています。その結果、十八兆を超える過大な補正予算となっており、来年度の本予算に回すべきもの、あるいは減額すべきものなど、かなりの精査が必要というふうに考えています。

 そこで、まず国債発行の観点から伺います。

 高市総理は責任ある積極財政を掲げておられますが、十八・三兆円の補正予算のうち十一・七兆円が国債発行となっています。財源の六割以上が借金ということですが、これで責任あるというふうに言えるとお考えでしょうか。いかがでしょうか。

高市内閣総理大臣 今回の経済対策、補正予算は、責任ある積極財政の考え方の下、今おっしゃっていただいた生活の安全保障、特に物価高の問題に早急に対応するということとともに、危機管理投資、成長投資によって安全で安心な社会と強い経済を実現する取組に早期に着手するため、真に必要な施策を積み上げて取りまとめたものでございます。

 その結果、一般会計における国債発行額が十一・七兆円程度となりましたけれども、補正予算後の当初予算と補正予算を合わせた補正後の国債発行額については昨年度を下回っておりますので、財政の持続可能性にも配慮をした姿となっております。

 この経済対策、補正予算に盛り込んだ施策を着実に実行に移すということを通じて、強い経済の構築と財政の持続可能性の実現を両立させて、それを次の世代に引き継いでいくといった取組が、今を生きる私たちの将来世代に対して果たすべき責任だと考えております。

本庄委員 総理は、繰り返し、当初予算と補正予算を合わせた補正後の国債発行額が昨年度を下回っているということを言っておられます。

 しかし、パネル、配付資料を御覧いただきたいんですが、昨年度、二〇二四年度ですね、四十二・一兆でした。これが今年度は四十・三兆だということで、二兆減ったということですが、これは、コロナ以前と比べれば、依然として巨額の国債発行。そして、歳出を見れば、コロナ後最大の百三十三・五兆円ということになっています。

 総理が財政の持続可能性に十分配慮したという根拠はどこにあるんでしょうか。教えてください。

高市内閣総理大臣 財政の持続可能性という言葉を私は使っております。財政の健全化という言い方ではなくて、持続可能性という言葉を使っております。

 先ほども申し上げましたが、やはり真に必要な施策をしっかりと積み上げたものであるということ、それから、補正後の国債発行額については昨年度を下回っている、これは財政の持続可能性にも十分配慮した姿だと考えています。

 政府としては、成長率の範囲内に政府債務残高の伸び率を抑えて、政府債務残高の対GDP比を引き下げていくことで、財政の持続可能性を実現して、マーケットの信認を得ていく、そういう考え方でございます。

本庄委員 昨年度の四十二兆円というのは、これは予算ベースなんですけれども、実績ベース、決算で見ると実は五兆円も余っていまして、三十七兆円なんですね。かなり水増しされた四十二兆円を下回ったからといって、財政の持続可能性にも十分配慮したというふうには到底言えないと思います。

 その上で、総理、今おっしゃった、成長率の範囲内に政府債務残高の伸びを抑え、政府債務残高の対GDPを引き下げていく、これは繰り返しおっしゃっていますが、成長率、物価上昇率、あるいは金利、こういった要素は政府が直接コントロールできないと思います。どうやって成長率の範囲内に政府債務残高の伸びを抑えるのか、具体的に説明していただきたいんですが、いかがでしょうか。

高市内閣総理大臣 成長率の範囲内にということで申し上げましたけれども、とにかく緊縮財政、緊縮財政でどんどん先細っていく形というのがふさわしいとは私は思っておりません。やはり、今を生きる私たちが何となく将来不安だなと思っている、それから、これからを生きていく若い方々がこれからの日本の将来に対して不安に思っておられる、これを取り除いていきたいというのが私の強い思いでございました。それで、この成長戦略の肝を危機管理投資とまずいたしました。

 今、世界では、特に先進諸国では、官民でしっかりと協力をして投資を行って、共通の課題、世界共通課題と言われるような様々なリスクを最小化していく、そういった取組が始まっています。それは相当熾烈な競争にもなりつつあります。

 そこで、危機管理投資と申し上げましたけれども、代表的なものとして食料安全保障、やはり将来食べるものがなくなったら困るとか、特に不作になったときに困るとか、こういった問題についてもしっかりと対応していく、エネルギー・資源安全保障に対しても対応していく、そういった取組、こういった成長によって生み出す果実というもの、これをしっかりと皆様にお示しをしていく、これが大事なことだと私は思っています。

 成長する未来をやはり次の世代に残していくことが私たちの責任だと思いますし、稼ぎ出す、その稼ぎ出す力をしっかりつくっていくということは、もう今始めなきゃ間に合わないと私は考えております。(発言する者あり)

枝野委員長 不規則発言はおやめをください。

 一方、答弁は質問に端的にお答えください。

本庄委員 端的どころか、そもそも答えていただいていないんですが。

 私が伺ったのは、どうやって成長率の範囲内に政府債務残高の伸びを抑えるのか、それを具体的に説明してください。

 財政健全化目標は、政府自身がコントロールできる指標をもって目標とすべきだ、私はそのように考えているから申し上げているんですね。成長率というのは、うまくいくときもあれば、うまくいかないときもあります。ましてや、今総理がおっしゃった食料安全保障とかエネルギー安全保障というのは、直ちに経済成長につながるかどうかも定かではありません。なので私は伺っております。お答えください。

高市内閣総理大臣 経済財政運営に当たっては、金利や為替、物価の動向も含めて様々な経済状況を評価、分析しながら、適時適切な判断を行うということでございます。

本庄委員 適宜対応ということであれば、それは目標でもありませんし、ましてや、今の厳しい日本の財政を立て直すことは不可能だと思います。

 ですから、例えばプライマリーバランスということで、歳入歳出を管理することで財政を健全化していくということが長年の目標として位置づけられてきたわけで、これは与野党を超えて、そういう価値のある目標だというふうに位置づけてきたわけです。

 それで、伺いますけれども、今回の補正予算で、プライマリーバランスあるいは政府債務残高対GDP比、悪化すると思いますが、これでも予定どおり、二〇二五年度ないし二六年度に財政健全化目標、つまりプライマリーバランス黒字化は達成できるということでよろしいですか。財政の持続可能性とおっしゃるんだから、そういうことじゃないとつじつまが合わないと思いますが、いかがでしょうか。

高市内閣総理大臣 骨太方針では、二〇三〇年度までを対象の期間とする経済・財政新生計画を定めた上で、その中で、予算編成に関して、ただし、重要な政策の選択肢を狭めることがあってはならない、二〇二五年度から二〇二六年度を通じて、可能な限り早期の国、地方を合わせたPB黒字化を目指す、必要に応じ目標年度の再確認を行うとされています。

 ですから、閣議決定にあったとおりでございます。

本庄委員 私が聞いたのはそうではなくて、その二五年度ないし二六年度に達成するという目標は、今回、補正予算、かなり巨額なもので、国債発行もしますけれども、予定どおり達成できるんですかということを伺っています。

高市内閣総理大臣 内閣府が本年八月に公表した中長期試算ですけれども、今回の経済対策等を反映する前の数値ではありますが、国、地方のPBや債務残高の対GDP比につきましては、二〇二五年度はそれぞれマイナス〇・五%、二〇一・〇%、二〇二六年度はそれぞれプラス〇・五%、一九七・一%と推計されているということでございます。

 我が国の財政状況は、これまでの経済財政運営の成果もあり改善傾向にありますけれども、債務残高対GDP比というのは依然として高い水準にございます。

 今後の課題として、単年度ごとのPBの黒字化目標の達成状況を見ていく方針というのは、数年単位でバランスを確認する方向に見直すことも検討いたしておりますけれども、そういった観点から、必要に応じてPBの目標年度についても再確認を行うということでございます。

本庄委員 お忙しいと思いますが、もう少しかみ合った答弁をお願いしたいんですね。

 私は、目標が達成できるのかどうかと、見通しを伺っているんです。そして、さっき総理がおっしゃったのは、この補正予算、国債発行十一・七兆を出す前の数字ですよね。ですので、今回の補正予算が我が国の財政にどういった影響を及ぼすのかということを政府にはちゃんとこの委員会に出していただきたいと思います。

 委員長、お取り計らいをお願いします。

枝野委員長 理事会で協議いたします。

本庄委員 それでは、時間もありますので、市場の信認ということで、次に行きたいと思いますが、パネル、資料の二ということであります。

 高市内閣発足以降、長期金利が上昇して円安が進行しています。十月二十一日に総理が就任されたときは長期金利は一・六六%でしたが、先週、十二月五日、直近では一・九五まで上昇しています。為替レートも、円・ドルですけれども、百五十一円が百五十五円、これはドルだけではなくて、ユーロも円が安くなっている、こういう状況であります。

 特に、長期金利の上昇、国債の価格の下落ですね、これはマーケットが高市財政を責任あると評価していないということの一つの表れだと私は思います。責任ある財政というのは、財政に対する責任はもちろんですけれども、物価、金利、為替にも当然責任を持たなければならないと思います。

 そこで伺いますが、高市総理は、この金利上昇や円安進行にどのような責任を果たして、そしてどのように対処しようとされているんでしょうか。

高市内閣総理大臣 一国の経済財政運営を担う者として、日々の金利や為替の動きについては、当然のことながら、常に注視をしております。

 その上でですが、金利や為替については、様々な要因を背景に市場において決まるものでありますので、財政政策のみを取り出して、市場に与える影響を一概に申し上げるということは困難でございます。市場の動向について具体的に私がコメントすることは、市場に不測の影響を及ぼすおそれがあることから、差し控えます。

 為替相場は、ファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要であります。政府としては、投機的な動向も含めて、為替市場における過度な変動や無秩序な動きについては必要に応じて適切な対応を取ってまいります。

 先ほど来、責任ある積極財政ということで、信認が得られないんじゃないかという御指摘なんだろうと思うんですけれども、例えば、十一月、G20に行ってまいりました。お会いしましたIMFの専務理事からは、この総合経済対策について、財政上のリスクも手当てされていて安心しているというコメントもいただきました。

 去る十二月五日には、IMFの報道官が、財政措置は市場関係者の予測より規模が小さく、来年の財政赤字への影響は想定よりも小さい、新たな措置は日本の政府債務残高の対GDP比が来年も低下基調にあるというIMFの見方を変えるものではないと述べておられます。

 補正後の国債発行額が昨年度を下回っている予算の姿というのは、財政の持続可能性にも十分配慮したものと評価できると考えます。

本庄委員 注視とか適切に対応とか、申し訳ないですが、責任ある財政とはとても思えない御発言で大変残念なんですけれども。

 為替はまだ分かります。アメリカとの関係などいろいろあるでしょう。ただ、やはり金利というのは基本的には政府の財政政策と日銀の金融政策で決定されるものだと思いますね。日銀の利上げがまだ実現していない中でこれだけ上がっているというのは、政府の財政政策に信認がないと言われても仕方がないと思います。

 例えば、為替が百六十円になれば、ある推計によれば消費者物価は〇・四から〇・五パー押し上げられるということで、今回の経済対策の効果が吹き飛ぶような影響が市場の信認によって左右されるということです。その危機感が総理からは伝わってこないというふうに思います。大変残念に思います。

 答弁が長くてちょっと時間が押していますので、次に行きます。第二の柱の、危機管理投資、成長投資ですね。

 パネル、資料の三ですが、またこの補正予算で基金という悪手、悪い手ですね、これが登場してきました。今回も、四十一基金にトータル二・五兆円、うち十二基金は夏の概算要求なしです。これは十二基金、そして新設が三つということですね。その概算要求なしの十二の基金に七千四百億円がつきました。あるいは、金額のない事項だけの要求、事項要求、これは十二基金でトータル一・一兆円強。新設は七基金で合計一兆円。生煮えの計画に巨額の基金が見せ金のように積み上がっているということが、補正予算が水膨れする原因の一つだと思います。去年もこういう議論をしましたし、おととしもしました。本来、中長期的な政策推進のために設置される基金が緊要性を求められる補正予算で措置されることは矛盾していると思いますね。

 そこで伺います。概算要求のなかった基金あるいは事項要求のみだった基金は、補正予算では措置しない、必要であれば当初予算で措置をするということを原則とすべきではないでしょうか。いかがでしょうか。

高市内閣総理大臣 補正予算は、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出を行うために作成するものでございます。したがって、翌年度予算の概算要求において事項要求した事項若しくは要求していない事業であるかどうかにかかわらず、当年度において緊要性が生じた事業について今回の補正予算で計上しております。必ずしも、翌年度予算の概算要求の在り方によって当年度での補正予算計上が縛られるものではないと考えています。

 基金についてですが、各年度の所要額が見込み難い性格がある中で、複数年度にわたって活用されることも想定されるものですが、補正予算成立後、基金残高を背景に速やかに公募、採択や交付決定を進めることで、喫緊に取り組むべきそれぞれの政策課題に対して迅速に対応し、経済対策としての効果が発揮されていくべきものと考えております。

本庄委員 ですから、基金は中長期的にじっくり時間をかけて拠出をしていくお金ですよね。それがなぜ緊急不可欠な補正予算で突然計上されてくるのかという、そこの矛盾を申し上げています。例えば宇宙基金、今回新設された造船など、もう課題は常々分かっているのに、当初予算ではきちっと数字も入った計上はなかったわけですね。私はそこの問題を申し上げています。

 せっかくの提案ですが、受け入れていただけなかったということでしょうか。大変残念に思いますけれども、これを繰り返している限りは、毎年毎年巨額の補正予算を積んで、そして財政は悪くなっていく、当初予算は形骸化する、こういうことが繰り返されるというふうに思います。

 もう一つ、補正予算への依存の問題について伺います。

 総理は昨日の本会議でも、我が党の安住幹事長の質問に、毎年、当初予算に計上すべきものは当初予算で計画的に計上、必要な事業を補正予算にするというふうにおっしゃいました。

 パネル、資料の四を見ていただきたいんですが、宇宙基金、毎年毎年関係者には申し訳ないなと思いますけれども、余りにも典型例なので毎年使わせていただいております。宇宙政策が必要だということは理解していますが、補正で基金を積むというやり方について問題提起をしているということは御理解いただきたいと思います。

 例えば、今年もまたぞろ二千億ですよ、宇宙基金。これはそもそも出発点は何かというと、二〇二三年、二年前の閣議決定でデフレ完全脱却のための総合経済対策、ここで十年間の宇宙戦略基金を設置をして、そして速やかに総額一兆円規模の支援を行うということです。二〇二三年、つまり二年前にこういった計画を決めているんですね。にもかかわらず、初年はともかくとして、翌年もその翌年も毎回補正じゃないですか。一体どこが当初予算に計画的に計上なんでしょうか。重要な国策だからこそ当初予算で計画的に措置すべきではないですか。総理、いかがでしょうか。

高市内閣総理大臣 補正予算と当初予算の関係についてですが、それは先ほど委員が紹介をしていただいたとおり、私も経済財政諮問会議で申し上げました。実際、毎年、当初予算に計上すべきものは当初予算で計画的に計上して、時々の経済、物価動向などを踏まえて各事業の必要性や緊要性を判断した結果、必要な事業を補正予算にするという考え方が重要だという認識に立って、今後の経済、物価動向も見極めながら、予算全体のめり張りづけを行う中で、予算の在り方についても議論を深めるようということで既に指示を出しております。

 宇宙予算でございますけれども、宇宙分野は諸外国で熾烈な競争が繰り広げられております。その国際環境の急速な変化に対応するために、宇宙戦略基金について、御指摘のとおりなんですが、過去二年は補正予算で措置しました。これらについては既にもう採択や交付決定が進んでおります。新たな支援を行うには別途予算措置が必要な状況であったという認識でございます。

 その上で、今般の概算要求においては、基金の管理費の要求がありました。一方、具体的な支援に関する金額は宇宙分野の国際情勢などを踏まえて検討する必要があったことから、事項要求になりました。

 そうした中で、概算要求後に諸外国の技術開発の更なる加速や安全保障面でのリスクの顕在化が認められて、我が国の宇宙技術の社会実装や事業化を加速する必要があったということから、この補正予算に所要額を前倒しして計上いたしました。(発言する者あり)

枝野委員長 答弁は端的にお願いいたします。

 一方で、不規則発言もお慎みください。

本庄委員 採択済みとおっしゃいましたけれども、執行はまだなんですよ。五千億でしたかね、二五年度見込みで。残金たっぷりですよ。そして、二週間したら来年度予算が閣議決定ですからね。そこでしっかり計上したらいいんじゃないですか。

 去年も石破総理と同じ議論をしました。そのときの石破総理の答弁を紹介します。一年前。

 エントリー料というようなそしりを受けないように、今後はきちんと本予算でも措置をしていかねばならない。補正に頼ることなく本予算で、きちんとした積算の下に、積み上げていく努力はしていかねばならない。

 これは総理の答弁ですから。石破さんとはいえ、政府として引き継いでいるでしょう、当然。一年たって何も変わっていないじゃないですか。ですから、今回の補正予算から実施してください。いかがでしょうか。

高市内閣総理大臣 今回は、やはり先ほど申し上げたようなことから、可及的速やかに予算措置を行うため補正予算に二千億円を前倒しして計上いたしました。

 いろいろなことが起きております。例えば、洋上打ち上げを他国が連続成功させたとか、要人搭乗機の衛星信号への妨害でしたり、宇宙分野における技術開発の更なる加速や安全保障面でのリスクの顕在化を踏まえて、当初分を前倒ししたということでございます。

本庄委員 まさに場当たりですね。それでは基金の意味がないんじゃないですか、基金の意味が。計画的に執行していくから基金の意味があって、こんな毎年毎年慌ただしく積んで、すぐなくなりました、来年も補正でよろしくの繰り返しでは、そもそも基金として計上している意味がないですよ。根本的に間違っていると思います。

 時間がありません。最後になると思いますが、物価高対策の足らざるところについて指摘をさせてください。

 中低所得者への即効性のある家計支援が足りないのではないかというふうに考えています。政府案は重点支援地方交付金が中心ですが、家計支援は一世帯平均一万円、食料品加算は一人三千円、四人家族で二万二千円です。電気・ガス代支援は、足しても一世帯平均七千円。合わせて二万九千円です、三万弱。これが標準的な四人家族の支援策。我々が提案している物価高・食卓緊急支援金は、四人家族で十二万円となります。

 なぜ中低所得者への現金給付を実施されないんでしょうか。理由を教えてください。

高市内閣総理大臣 今般の経済対策では、立憲民主党の物価高・食卓緊急支援金の御提言も踏まえた上で、特に物価高の影響を強く受けている子育て世帯を力強く支援する観点から、子供さん一人当たり二万円の物価高対応子育て応援手当を盛り込みました。

 また、中低所得者の方々への支援として、今般拡充を予定しております重点支援地方交付金を活用して、地方公共団体が行う給付方式の取組を含めた物価高対策や、賃上げを行う中小企業、小規模事業者への支援など、様々な物価高対策を講じるということで、必要な支援を行うこととしております。

 今後は、給付つき税額控除の制度設計、これに着手してまいりますので、特に中所得、低所得の方にとって暮らしやすい、そういう形ができていくと思っております。

本庄委員 冒頭、私、申し上げました、子供一人当たり二万円、これが取り入れていただけたことは評価をしています。ただし、物価高が直撃している中低所得者の皆さん、特に食卓インフレと言える状況に対しては政府は非常に不十分だということで、我々は更なる提案を申し上げています。

 総理は、給付金について、夏の参議院選挙で理解が得られなかった、こういうふうによくおっしゃっています。しかし、自民党が参議院選挙で負けた理由は果たして給付金だったんでしょうか。総理が党首討論でそんなことよりもと言い放った政治と金の問題、これが最大の原因だったんじゃないでしょうか。

 国民の理解を得られなかったのはあえて言えば一律給付であって、我々は、一律ではない、めり張りをつけた給付金を提案しています。是非、いま一度再考していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

高市内閣総理大臣 今回の補正予算は、いろいろ考えて、まずは速やかに生活の安全保障として物価高対策を行う、そして、やはり日本経済は成長しなきゃいけませんから、そのための種まきをできるだけ早期に行うといった両面から、私はこの編成に関わりました。最適なものといたしております。

本庄委員 終わります。

枝野委員長 この際、藤岡たかおさんから関連質疑の申出があります。本庄さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。藤岡たかおさん。

藤岡委員 立憲民主党・無所属の藤岡たかおでございます。

 まず冒頭、昨夜の青森県東方沖を震源とする地震において被災をされた全ての皆様、また寒い中で避難を余儀なくされた方に、心から改めてお見舞いを申し上げます。

 また、被災対応に当たられた全ての政府関係者の皆様にも敬意を表します。

 また、高市総理におかれても、深夜までこの被災対応に当たられ、本当に心から敬意と感謝を表します。お体に十分留意をして執務に当たってくださればということを申し上げたいと思います。

 さて、本日、まずは補正予算の中身、そして金融政策などについて議論をさせていただきたいと思います。

 先ほど本庄政調会長からもございました。この補正予算、特に緊要となったものが計上されるというのが基本だと思います。その中で、毎年度、補正予算で常態化されて計上されているものもあると思います。これは、高市総理が総理になられる前に問題視をされていたと思います、私もすごく共感をしておりましたクリーンエネルギー自動車導入促進補助金、いわゆるエコカー補助金でございます。

 これも、本年度もまた補正予算で千百億計上をされているわけでございますが、これは経産省の参考人の方にまずお伺いをしたいと思いますけれども、二〇二三年度から、令和五年度からこの補正予算計上まで、当初、補正とどのように計上されているんでしょうか。

伊吹政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のクリーンエネルギー自動車導入促進補助金に関しては、令和五年度当初予算で二百億円、令和五年度補正予算で千二百九十一億円、令和六年度補正予算で千百億円を措置し、今回、令和七年度補正予算案で千百億円を計上してございます。

 以上でございます。

藤岡委員 千億円を超える規模の補正が、三年間続けて補正で計上されているということでございます。

 赤澤大臣にお伺いしたいんですが、なぜこれは冬になると急に緊要性が増すんでしょうか。

赤澤国務大臣 特に御通告はなかったように思いますけれども。

 冬になると緊要性が増すというか、これについて言うと、これは実際に需要はあるものでありますから、緊要性というか必要性について常にあるということだと思いますし、冬になると増すということについて、必ずしも時期的なものがあるわけではないと思いますけれども、政府として必要な予算を計上しているということだと思います。

藤岡委員 通告の範囲内だと思っておりますけれども。

 その中で、今、緊要性があるというふうな御趣旨のことだと思いますけれども、そこまで補正で計上されて緊要性があるというふうにおっしゃっているわけですけれども、これは執行状況はどうなっているんでしょうか。経産省の参考人の皆さんに、令和五年度補正、令和六年度補正の執行状況についてお伺いしたいと思います。

伊吹政府参考人 お答え申し上げます。

 令和五年度補正予算の執行残は七百九十五億円、令和六年度補正予算は、現在執行中でございますが、本年九月末時点で二百六十九億円を交付してございますので、その時点で八百三十一億円が執行残となっているということでございます。

藤岡委員 要するに、緊要だといって慌ただしく計上されたんですけれども、八百億円程度の使い残しと、それから、今でもまだ大変多額の、八百億円強の執行残になっているということだと思います。

 ちなみに、令和五年度におきましては、前年度からの繰越しもありましたから、それも含めると千九百億円ぐらい、引き続き、いわゆる執行残が生じているんだと思うんですね。

 これは簡単に言うと、補正で額を積み上げるんですけれども、何か積み上げていったら上の方は空っぽだったみたいな、そういうふうな形に結局なっているとしかちょっと言いようがないのかなということを思うんです。だから、やはり当初予算できちんと計上していくのが基本だというふうに思うんです。

 空っぽなんだ、使い残しなんだ、じゃ、中身のある方が一体どういう効果があるかということでございますが、BYDなどの購入に関して、補助金の支給件数や支給金額の近年の推移について、赤澤大臣から御答弁をお願いしたいと思います。

赤澤国務大臣 BYDの車両を購入したユーザーへの補助実績に関しては、二〇二三年度については、件数は約千三百件、金額は約十億円。二〇二四年度については、件数は約千五百件、金額は約七億円。二〇二五年度については、先生がこれでいいとおっしゃったので九月末までということでありますが、件数は約千四百件、金額は約五億円となっております。

藤岡委員 今お話しいただいたとおり、BYDなどに関して出される補助金の件数がまず千三百件、千五百件、そして、今年度は、九月末時点で千四百件ということでございますから、普通に二倍にすると二千八百件ということになって、大変増えてきている。しかも、金額については、前年度はちょっといろいろな対応をされているので一旦は減ったんですけれども、また非常に増えていて十億円とかいきそうだという感じになっていると思うので、日本の補助金がBYDなどの振興になってしまうんじゃないかということは、もっと大いなる懸念を持たなくちゃいけないと思うんですね。

 BYDだけじゃなくて、じゃ、国内メーカーと海外メーカー、実際、補助金金額の推移、そして海外メーカーに関する支給の割合について御答弁をお願いしたいと思います。

赤澤国務大臣 まず、今御答弁申し上げたように、件数が増えているけれども金額が減っていたりというのは、先生の問題意識も踏まえて、ある程度評価の仕方を見直しながら来ているという点は申し上げておきたいと思いますが。

 委員御指摘の補助実績に関して、二〇二三年度については、国内メーカーの車両を購入したユーザーへの補助額は七百二十三億円で全体の八四%、海外メーカーの車両を購入したユーザーへの補助額は百四十一億円で全体の一六%。二〇二四年度についても同様に申し上げますと、国内メーカーが補助額三百七十七億円、全体の七七%、海外メーカーが補助額百十三億円、全体の二三%。二〇二五年度については、先ほどと同様九月末までということになりますが、国内メーカーが補助額百七十八億円、全体の六六%、海外メーカーが補助額九十一億円、全体の三四%ということになります。

藤岡委員 今御答弁いただきましたように、この補助金によって、海外メーカーに関しての支出がもはや三分の一を超えている。さらに、BYDなどに関して出されている補助金が、何と件数が激増しているというふうな状況であると思います。さらには、執行状況も、補正予算で慌ただしく計上するんだけれども使い残すというふうな、多額の執行残も生じている。

 ちなみに、じゃ、国内のEVは、今、新車販売台数に占める割合は一体どのぐらいになっているんでしょうか。

伊吹政府参考人 日本国内の新車販売台数に占めるEVの比率ですが、二〇二二年で一%、二三年で二%、二四年で一%となってございます。

藤岡委員 まさに政策効果を検証する必要があると思うんですね、一%台で推移していて、実際どういうふうに効果が上がっているかというのは、冷静に、しかしまた慎重に。

 また、これは補正でやる話ではやはりないと思います。きちんと当初予算で、本当にこれを日本の国内の自動車産業の振興に資するように、どういうふうに補助金を出すのかとか、もっともっと突き詰めなければ、本当に、何かいつの間にか日本の自動車市場が、海外メーカーまたBYDなどが増えているとかになりかねないと私は思っています。

 高市総理に問題意識をお伺いしたいと思います。

高市内閣総理大臣 確かに、私たちの大切な税金が海外のメーカーに主に流れていくということになっては、これは余り好ましくない状況だと思います。

 今回の、令和七年度の補正に関してですけれども、これは、日米関税協議の合意を踏まえたEV等の補助上限額の見直し、それから、年度末に向けて国内メーカーから新車種のEVが順次発表される旨が公表されたということを踏まえて、クリーンエネルギー自動車導入促進補助金の交付額が拡大する見込みが立ったということです。

 やはり、米国の関税措置といった国際環境変化の下でマルチパスウェー戦略を進めていくということで、国内市場の更なる拡大が必要だろうということでこういう判断に至ったということでございます。

 年度内でこの補助金によって補助対象車両を購入するユーザーを隙間なく支援できるようにということで、補正予算への計上に至りました。

藤岡委員 大変残念ですね。

 総理も、昨年もこの補助金の問題を大変強くおっしゃっているというふうに報道でも出ておりました。しかも、既にまだ八百億円以上残があって、千百億積むということで、年度内にこれが使われる確度がどこまで高いんでしょうか。少なくとも補正予算でやる性質のものではないと思いますし、これだけ執行残が生じていますし、また、本当に国内の自動車産業の振興に資するのかどうかというのは、私は極めて疑わしいというふうにまだ思っております。

 改めて、私、高市総理は、この予算は問題だと本当は思っていると思うんですよ。恐らくこれは知らなかったんじゃないかと私は思っています、はっきり言って。高市総理のいいところは、気づいたらやはりすぐ修正するということだと私は思うんですよね。

 私も、これは調べて調べて調べてこの質疑に臨ませていただいております。是非、高市総理、これは補正予算を修正をして、そして国内の自動車産業の振興に資するように、あるいはきちんと当初予算でやるように修正をするべきじゃないでしょうか。高市総理の見解をお伺いいたします。

高市内閣総理大臣 先ほど来申し上げましたように、年度末に向けて国内メーカーから新車種のEVが順次発表されるということが公表されたので、やはり国内のEVを応援していきたいという趣旨でございます。

藤岡委員 大変これだけ執行残、余っているものも生じているにもかかわらず、また、多くの海外メーカーに流れる交付金も増えているというふうな懸念もある中で、補正予算でというのは、日本を守る意識、総理は大変高いと思っていましたけれども、私はもっとやはり持ってほしいなということは指摘をして、次の課題に行きたいと思っております。

 次の問題でございますが、今日は日本銀行の植田総裁に来ていただいております。その中で、まず、長期金利の推移、パネルを御覧をいただきたいということを思っております。

 長期金利の上昇ですが、一・九七まで先日までは上がってきました。この長期金利の上昇に関しては、やはり将来の日本銀行の政策金利の予想の要因と、また、いわゆる短期ではなく、返済がやはり長期間となる債券に投資をする、買うことになる、リスクを取ることによる期間の、難しい言葉で言うとタームプレミアムですね、この二つの要因があると思います、上がってきている要因。特に後者の方には、補正予算による国債増発が長期金利に影響を与える可能性があるということも、当然可能性があるとは思います。

 これを、二つの要因に分けて、植田総裁、長期金利上昇の要因をどのように分析されているでしょうか。

植田参考人 お答えいたします。

 短期的な金利の動向について余り具体的にコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 長期金利は、市場で形成されることが基本でございます。

 ただ、委員御指摘のとおり、理論上は、長期金利は、先行きの短期金利見通し、私どもの政策に対する予想、それから、国債保有に伴う各種リスクに応じたタームプレミアム、これを加えたもので形成されるものと考えられます。先行きの経済、物価情勢や金融政策、財政政策に対する市場の見方等を反映して、ある程度変動するものであると認識しています。

 最近の長期金利はやや速いスピードで上昇していますが、こうした動きについて、市場参加者からは今申し上げた様々な要因が指摘されていると理解しております。

 その上で、従来から申し上げておりますとおり、通常の市場の動きと異なるような形で長期金利が急激に上昇するといった例外的な状況においては、市場における安定的な金利形成を促すという観点から、私ども、機動的に国債買入れの増額などを実施する考えでございます。

 こうした考え方の下で、市場の動向についてはしっかり見てまいりたいと思っております。

藤岡委員 ちょっと一点、今、総裁の答弁の中で、長期金利の上昇に、財政などのことも変動に与える可能性があると言ったんですが、実際、今は、例えば補正予算などによって影響を与えているという見方なのかどうか、そこはちょっと分からなかったので、御答弁ください。

植田参考人 繰り返しですが、金利の短期的な動向について余り具体的にコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 その上で、最近の長期金利の上昇については、御指摘の点も含めて市場参加者から様々な要因が指摘されていることは承知しております。しっかりと見てまいりたいと思っております。

藤岡委員 これ以上言っても、なかなか答弁できないと思います。しっかり本当に見ていただいて、政府とも連携をしていただきたいと思います。

 その次に、植田総裁も、為替の変動、円安などの状況について、物価に影響を及ぼしやすい状況ということを講演でも語っておられると思います。私も、物価高で苦しむ国民のために、やはり今の円安を放置をしていくということは望ましくないというふうに思います。

 改めて言うまでもありませんが、物価高対策は、財政政策だけでなく、やはりそもそもの金融政策の調節というのが当然必要であるというふうに考えることは、当然の考えであるとも思います。

 この点、植田総裁は、最近再三、これからの金利は、金融緩和の範囲内での度合いの調節だということを、必要だということをおっしゃっていると思います。そして、ブレーキをかけるのではなく、アクセルをうまく緩めていくプロセス、こういうことの必要性ということを示唆されていると思います。

 総裁に確認をしたいんですが、現在は、いわゆる利上げが必要な、日本銀行の経済、物価の中心的な見通しの実現の確度が以前より高まっているという認識なのか、すなわち、金融緩和の度合いの調節としての利上げが必要という認識でしょうか。

植田参考人 現在の実質金利が極めて低い水準にあるということを踏まえますと、私どもの経済、物価の中心的な見通し、特に物価については二七年度には二%に収束していく見通しでございますが、これが実現していくとすれば、経済、物価情勢の改善に応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくというのが基本的な考え方でございます。

 その上で、御質問の、見通しの実現の確度でございますが、最近の米国経済あるいは関税政策をめぐる不確実性の低下などを踏まえますと、中心的な見通しが実現する確度は少しずつ高まっているというふうに判断しております。

 その上で、現在、次回の決定会合に向けまして、特に肝となります企業の積極的な賃金設定行動が継続していくかどうか、これを見極めるために、本支店を通じて、企業の来年度に向けての賃上げスタンスについて精力的に情報収集しているところでございます。この点を含め、様々な情報を合わせて適切に判断していきたいと思っております。

藤岡委員 利上げの確度は少しずつ高まっているという話だと思いました。

 高市総理にお伺いしたいと思うんですけれども、植田総裁との会談の中で、いわゆる金融緩和の度合いを調整しているところだということを植田総裁が申し上げて、そういうことかなと了解されたというふうな報道も拝見をいたしました。総理は、利上げを議題とする次の金融政策決定会合において、金融緩和の範囲内であれば、高市総理は金融緩和の度合いの調整という理解で利上げを容認されるという理解でいいんでしょうか。

高市内閣総理大臣 植田総裁との面談の後、私自身は記者会見をしておりません。中でのやり取りについては、コメントはいたしません。

 マクロ経済政策の最終的な責任は政府が持つものだと考えています。日銀法におきましても、日銀の金融政策が経済政策の一環を成すものであることを踏まえて、日銀が政府と連携を密にして、十分な意思疎通を図ることが求められています。

 その上で、金融政策の具体的な手法については日銀に委ねられるべきと考えておりますので、これについてコメントすることはいたしません。

 引き続き、政府と密接に連携を図って、経済、物価、金融情勢、これを踏まえながら、コストプッシュではなく、賃金上昇も伴った二%の物価安定目標の持続的、安定的な実現に向けて適切な金融政策運営を行っていただくことを期待しております。

藤岡委員 ちょっと確認したいんですけれども、植田総裁がこれから考える利上げが金融緩和の度合いの調整だという考え方については、高市総理は理解をされているということでいいんでしょうか。

高市内閣総理大臣 先ほど申し上げましたけれども、具体的な手法については日銀に委ねております。

藤岡委員 一点だけちょっと確認したいんですけれども、じゃ、次の金融政策決定会合で仮に利上げが議題となっても、総理は、日銀法十九条に基づく議決権の延期請求などは考えないということでよろしいですか。

高市内閣総理大臣 済みません、それはこの場で私がコメントをするわけにはまいりません。

藤岡委員 それは分かりました。

 いずれにしても、この状況について、本当に円安、物価高で苦しむ国民の皆様に対してきちんと金融政策の遂行を進めていただきたいなということを思っております。

 その上で、アベノミクスの当初の状況より、金融政策を取り巻く環境や前提条件というのはやはり変わってきていると思います。とりわけ、いわゆる最大の効果である雇用を改善する、失業率を改善する、こういう効果が、人手不足という状況もあって、需要不足の失業率というのもゼロ未満に今なっているとはいえ、以前と比べて金融政策によって雇用改善効果がある意味期待できなくなり、また金融緩和の意味合いが薄くなっている面もあるんじゃないかということを思います。

 特に、実質金利の点でいえば、黒田総裁のときよりも歴史的低水準であるということですね、実質金利を踏まえて。金融緩和的な状況を続けることがやはり円安、物価高で国民を苦しめるということにはならないでしょうか。植田総裁の見解をお伺いしたいと思います。

植田参考人 委員おっしゃいますように、労働市場は極めてタイトになってきてございます。したがいまして、マクロ的ないわゆる需給ギャップが示唆する以上に賃金や物価に上昇圧力がかかりやすくなっております。

 こうした中ですので、現在、先ほどのちょっと繰り返しになりますが、実質金利が極めて低い水準にあることを踏まえますと、私どもとしては、徐々に金融緩和の度合いを調整していくことをすることによって、金融資本市場の安定を確保しつつ、物価安定目標をスムーズに実現するとともに、我が国経済を息の長い成長軌道に乗せることができるというふうに考えてございます。

藤岡委員 ありがとうございました。

 金融緩和のいわゆる前提条件がやはり十数年前とは変わっているということも踏まえた政策運営ということを御留意いただきたいと思います。

 植田総裁はここで御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

 続きまして、基金措置、先ほど来出ております基金の問題に行きたいと思っております。

 この基金の問題について、やはり、例えば公募が必要だからあらかじめ早めに基金を措置をしておかなくちゃいけないとか、一方でそういう話ももちろんあるとは思います。ただ、今後、昨日、安住幹事長も国会の場で申し上げておりますけれども、やはり金利が出てきているということで、基金を措置するタイミングというのを金利負担との関係でもきちんと適切に考えて措置をしていかなくちゃいけないと私は思います。

 この点について、やはり金利負担も考慮し、適時適切なタイミングでの基金への予算措置をしっかり考えていく、そうした考え方について、私は必要だと思いますが、高市総理の見解をお伺いしたいと思います。

高市内閣総理大臣 令和七年度補正予算には、新設基金を含めて二・五兆円措置しておりますが、いずれも基金とすることによって、安定的かつ効率的に事業が実施されることで、今回の経済対策の実現に資するものであります。

 また、かつ、補正予算の要件である緊要性が認められたものであって、基金残高の有効活用によって予算措置額を必要な範囲に限る、あるいは、不用な基金残高を国庫返納させるなどの見直しを行いながら、適切に予算措置を行いました。

 その上で、基金には、その性質上、それぞれの政策的な必要性に基づいて一定の資金が保有されることとなりますが、その残高につきましては、御指摘の点も含めまして、常に適正な水準に保つ必要があると考えております。ですから、予算措置においては、いわゆる三年ルールなどに基づいて、適切な金額を適切なタイミングで計上するということとともに、予算措置後においては、基金残高が適正なものとなっているか、不断に検証して必要な見直しを行っていく、これが重要だと考えております。

藤岡委員 ちょっと今のは答えになっていないと思うんですね。

 改めて、余りにも早い補正予算で慌ただしく措置をすることによって、結局、資金がたなざらしになって金利の負担がかかってくるとか、そういうこともありますので、適時適切なタイミングというのは補正なのか当初なのか、きちんと考慮して、金利負担もかからないように基金措置をしっかりしていくということが必要だと申し上げておりますが、これ以上の答弁は結構でございますが、その点はよく留意してやっていただきたいと思っているんです。

 その中で、我が党の中でも、いわゆる基金の深掘りチーム、これは宗野創さんなど、始めて取り組んでくださった特定B型肝炎ウイルス感染給付金支給基金というのがございます。

 誤解のないよう申し上げますけれども、当然、この救済というのはもっとしっかりやっていく必要があると思いますし、この対応は当然必要だということは、誤解のないように申し上げておきます。

 ただ、配付資料もちょっと配っておりますけれども、これまでこの基金措置というのは、従来からきちんと当初予算で措置をされてきて、やられてきたものでございます。例えば、令和二年度から千百億、そしてその後も、千百億、千百七十六億、千百七十八億、きちんと当初予算でこの給付金に対する基金措置というのが行われてきたというふうに思います。

 そして、今回ももちろん、概算要求で千百八十一億円出してきていた。それが当然、当初予算でつくというのが普通の流れだと思いますけれども、これも突如補正での計上ということになっているわけでございます。レクのときにもお聞きしましたが、特に何か足下で支払いが増えているわけでもないということも聞いております。

 これは、なぜ急遽補正で措置をするということになったのでしょうか。ある意味、三月末までに、改めて追加したものを使える確度というのは高いんでしょうか。厚労大臣にお伺いします。

上野国務大臣 今般の補正予算の考え方でございますが、B型肝炎給付金につきましては、足下の提訴済件数等による和解給付に要する費用、これが約三千百億円と見込んでおります。その上で、令和六年度末の基金残高と令和七年度当初予算額の合計が約千九百億円であります。そういった状況を踏まえまして、今後、和解による給付金等を被害者の方々へお支払いするために必要な金額として、この差額の千百九十八億円を今般の補正予算案に計上したものでございます。

 御案内のとおり、この給付金につきましては、裁判による和解手続という個々に異なる提訴行動、また、和解要件の確認を経て、和解された方からの請求に基づき支払うものでありますので、現時点で今年度の執行額を見込むことには一定程度の難しさがあろうかというふうに思っております。

 なお、B型給付金の財源につきましては、非常に大事なことでありますので、制度開始当初から、要は平成二十三年、民主党政権時代から、閣議決定をされましたB型肝炎訴訟の全体解決の枠組みに関する基本方針に沿いまして、当初予算による措置に加えて、厚生労働省所管の基金の返納金等を活用して基金の予算措置を行ってまいりましたので、今回の補正予算も、こうした従来からの方針に沿って計上させていただいています。

藤岡委員 ワクチン基金を取り崩したということだと思いますけれども、別にお金に色はありませんし、タイミング的には、きちんとしたタイミングで計上するのが筋だと思います。

 今、大事なことをお答えになっておられないんですけれども、結局、三千億が必要だ、ただ、それは別に、三月末までに執行されるかどうかというのは全く、その確度については難しいということで、ある意味、お答えになられていないと思うんです。だからこそ、これは毎年度、きちんと当初予算で計上してきたものじゃないですか。それが突如補正に変わって、ただ補正の額が積み上がったということになってしまっているというふうに私は思います。

 これは、元々、三月末、この補正を措置しないときの基金残高見込みは一体幾らだったんでしょうか。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 令和七年度の三月末におけますB型肝炎の給付金に係る基金残高の見込額でありますが、基金シート上で約五百八十億であります。

藤岡委員 今御答弁いただきましたように、これは残る予定だったんですよね。別にそれが増えているというふうな明確な実態があるわけでもなく、当初予算でやるものが突如補正予算になったということだけだと私は本当に思います。

 こういうものについて、きちんと、今計上するのか、四月にやるのか、その中で金利負担というのが当然変わってきます。そういう意味で、当初予算でやるものはちゃんと当初予算でやる。別にこれは何か足下で急に増えているわけでもない、そして元々残高見込みはある、余る予定、それをわざわざ補正予算で措置するというのは、私は、ただ額を積み増しているだけとしか言いようがありませんので、高市総理、これはやはり当初予算での措置ということをきちんとやるべきではないでしょうか。

高市内閣総理大臣 先ほど来、数字については説明がありましたけれども、やはりこの給付金は、裁判による和解手続という性質を踏まえれば、毎年度の所要額を見込むことは一定の難しさがあります。ですから、当初予算に加えて補正予算も活用して、基金への予算措置を行ってきております。

 先ほど、足りない金額についてはもう答弁がありましたので、差し控えます。

藤岡委員 本当に大変残念です。

 これは、十分な残高がある見込みがあって、しかも、別に何か急激に支出が増えているわけでもなくて、当初予算でやるものを突如補正に移し替えただけだということで、今回の補正予算が、いろいろ、十八兆というふうに言われていますけれども、先ほどのクリーンエネルギーの補助金と、そしてこれも併せて、本当に中身が空っぽなものがいっぱい入っているということは強く指摘をしたいと思います。

 その上で、もう一つ、グローバルサウスに関する補助金なんですけれども、これも何か突如補正で、三年度続けているんですよね。千四百億、千五百億、千五百四十六億と、毎年概算要求でちょっとだった、いわゆる概算要求になかったものが突如補正で計上されているということになっております。これも、なぜ突然、冬になるとなるんでしょうか。

赤澤国務大臣 八月末の概算要求では、昨年度の補正予算で計上した国庫債務負担行為額のうち、令和八年度中の支出の蓋然性が高い金額として三十二億円を要求させていただきました。具体的には、執行実務を担うための事務局費や、令和八年度中に支出する蓋然性が高い事業費の一部を計上したものでございます。

 今回の補正予算では、その後の事業の進展に伴っての追加的な後年度負担分に加えて、米国関税の影響を受ける日本企業の新市場開拓、あるいはサプライチェーン強靱化の必要性の高まりや、グローバルサウスとの連携強化をめぐっての中国や欧州といった諸外国との競争激化といった状況が生じる中で、新たな案件への支援も強力に実現、推進していくべく、総額千五百四十六億円を計上したものでございます。

 そういう意味では、補正ありきで要求したものとは考えてございません。

藤岡委員 こういうものは、きちんと当初予算で煮詰めてやりましょうよ。

 これは、ちなみに公募、採択は終わっているんですか、令和五年度、六年度。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 令和五年度補正予算については公募を終わっておりますけれども、令和六年度補正予算については公募をやっているものもございます。

藤岡委員 これはまだ今からなんですよね、第二次公募は。先ほど来、公募、公募という話が出ているんですけれども、第二次公募はこれまで、あえてもう御答弁は求めませんけれども、第一次の公募、令和五年度補正もまだ八十億程度残っているんですよね。令和五年度補正が余っている、令和六年度はまだ公募も始まっていないものが多額にある。こういう状況の中で、やはり、補正予算で慌ただしく計上してやるのでなくて、きちんと使用のニーズを把握してやるべきではないでしょうか。

 これは基金のようなもので、一度AMEICCなどに拠出をすると、あとは複数年度、弾力的に使えるようになっているんです。別にそれは全て否定するものじゃありません。だからこそ、これは第二基金のようなものになっていますので、適時適切なタイミングでの計上というのが求められると思います。

 まだ令和六年度補正の公募も終わっていない、令和五年度のものは余っている。こういう状況を踏まえると、高市総理、このグローバルサウスに関する補助金も、必要ならきちんと当初予算でやる。あるいは、妥当性については、財務省の財政制度審議会で二年続けての指摘もされております。やはりこれは見直すべきじゃないでしょうか。

高市内閣総理大臣 ASEANなどのグローバルサウスとの戦略的連携強化や、その成長市場における新たな収益機会の獲得の観点から、日本企業によるグローバルサウスへの投資を強力に推進していくことが必要です。

 米国関税措置を始めとする現在の国際情勢への対応として、日本企業の新市場開拓とサプライチェーンの強靱化を促進することは急務です。戦略的な国際展開に意欲的な日本企業への支援を迅速かつ強力に推進する必要があるため、本事業を補正予算に計上するということは妥当で、その意義は大きいと思います。

 私自身、十月にAZECの首脳会議に出席しました。日本企業の持つ技術力、課題解決力への期待と、その期待に応える日本企業のAZEC関係国経済への輸出促進に本事業が果たしてきた役割の大きさを実感しました。

 本事業の執行に当たりましては、申請事業が、既に実施している事業に比べて、社会インフラが脆弱であるなどビジネス環境リスクが高い国での事業、又は実施国でまだ社会実装されていない技術を用いた事業の実証に支援対象を絞り込むよう、要件の厳格化も図っております。

藤岡委員 もっと中身のある予算にしましょう。

 以上です。

枝野委員長 この際、山岡達丸さんから関連質疑の申出があります。本庄さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。山岡達丸さん。

山岡委員 山岡達丸です。

 関連質疑の機会をいただきました。ありがとうございます。

 まず、質問に入ります前に、総理、大変昨夜はお疲れさまでございます。北海道・三陸沖で大変大きな地震がございました。今もう警報、注意報は全て解除されましたが、多くの方が避難され、私も自分の政治活動エリアが北海道なものですから遅くまで情報収集に当たっておりましたが、総理も御対応いただいたものと思っております。

 今、注意報、警報はなくなりましたが、他方で、この一週間、またこれ以上の地震が来る可能性があるケースが、百回あれば一回ほどそういう事例があったということで、日常生活を変えるほどではないにしても、やはり十分な注意をという注意情報が出されています。私も地元としてまた注意深く当たってまいりますが、政府としても万全を期して対応していただきたい、その思いであります。

 それでは、今日は、私たち立憲民主党の緊急経済対策を御紹介させていただきながら、今回の補正予算、政府の足らざる点、御指摘をさせていただいて、そして質疑をさせていただきたいと思っております。

 今、パネルも出させていただきました。こちらは、国に納められている消費税の税収の推移であります。

 二〇二五年は、見込みでありますけれども、二十五・五兆円ということになっております。これは見ていただくと分かるんですけれども、毎年、消費税の税収というのは増え続け、過去最高の税収を記録し続けています、国の税収でありますけれども。二〇一九年から二〇二〇年、安倍政権が消費税の増税を実施しましたので、税収が十八・四兆から二十一兆円に増えている。これは増税があったということで理解するわけでありますけれども、その後は、増税していなくても二〇二〇年から二五年までの五年間で四・五兆円増えてきました。

 何で増えたか。これは細かくは分析することが必要でありますけれども、しかし、大きく言えば、言うまでもありません、物価自体が高騰しているから。百円のものが百二十円になれば、パーセンテージでかかる消費税というのはそのまま上がるわけであります。物価高で国民生活は非常に厳しくなり続けている。他方で、物価高で、国の財政、価格に連動する消費税、過去最高税収を記録して国は税収が豊かになり続けているという状況であります。

 立憲民主党は、この物価高対策、ここに第一に掲げているのが食料品消費税ゼロ%、この考え方を何としても実現していきたい。物価の高騰に連動して増え続ける、過去最大の税収を記録している中で、国民の生活必需品である食料品を通じて国民の皆様に還元する。食料品消費税ゼロ%の財源は、私たちの試算ではおおむね四・八兆円であります。二〇二〇年から国民負担分として四・五兆円が、物価が上がったことで増え続けている、これは還元すべきではないか、そのように思うわけであります。私たち、食料品消費税ゼロ%の実施法案、この国会に提出させていただいております。御同意をいただければすぐにでもその方針を決めることができる、その状況であります。

 ガソリンの減税も、野党七党が提出をさせていただいた法案、これに与党の皆様に御協力いただいて、修正をして成立をしました。あさって、十二月十一日には、ガソリンも二十五円の補助金が入って、完全にこれが実施される、軽油も実施されるということになっております。よりよい政策は与野党を超えて協力して実現していくということで、私たちも是非進めていきたいと思っております。

 高市総理は、お気持ちとして食料品消費税ゼロ%というのを持っておられるということは伝えられているところであります。過去には党内の御議論で、党の税調で、インナーではないので一回しか御発言できずに、そのときは認められなかったと。今、お立場は、総裁でもあり総理でもあられるわけであります。そのお気持ち次第でそれは進められるんだと私は思っております。

 今国会で、食料品消費税ゼロ%を是非実現する、その方針、是非明言していただきたい。御答弁いただきたいと思います。

高市内閣総理大臣 現在の物価高対策でということでは、私どもは即効性のある物価高対策を優先いたしております。最優先で取り組むことでございますので、速やかに対応できる物価高対策を提示させていただきました。

 消費税についてでございますけれども、これはなかなか難しい議論があります。税収が景気や人口構成の変化に左右されにくく安定していること、現役世代など特定の層に負担が集中することがないといった特徴があること、あと、社会保障の財源として活用され、社会保障給付という形で家計に還元されているということにも留意が必要でございます。

 現在の物価の状況ですが、足下、消費者物価は前年比で三%程度の上昇率が続いていますが、その主な要因は、今、問題意識をお持ちだと思うんですが、米など食料品価格の上昇によるものでございます。

 ただ、今回の経済対策において、重点支援地方交付金などで、従来の生活者支援分、事業者支援分とは別に、食料品の物価高騰に対する支援を措置することにいたしました。また、いわゆるガソリンの暫定税率の廃止、電気・ガス料金負担軽減支援事業といった政策効果もあり、物価上昇率は徐々に落ち着いていくと見込んでおります。

 よって、すぐさま、現在、食料品の消費税の税率ゼロという話については、これは排除するものではないですけれども、今すぐということをお約束できるようなものでもございません。

山岡委員 御答弁を長くいただくわけでありますが、様々、御自身のお言葉でお話をされてきた高市総理ですが、原稿をそのままお読みになって、今すぐやるものではないというお話をいただいたことは大変残念であります。我々、財源も明確にしておりますので、社会保障への影響もしない形で実現をしたいということで提起をさせていただいているところであります。

 私たち、今、また新たなパネルを出させていただきますが、経済対策としてまとめさせていただいた三つの柱、暮らしと、そして命と、賃上げの加速。

 この暮らしの中の第一番として、食料品の消費税ゼロを挙げさせていただいております。その上で、私たちは、食料品消費税ゼロ%というのが、実施するに当たって時間がかかるということもよく承知しております。だからこそ、実施するまでの間、やはり、特定の範囲の、中低所得者の皆様にしっかりとした給付を行っていく、そのことが今の物価高で苦しむ国民の皆様の期待に応えることだ、そのことを強く思い、暮らしということで、総額五・二兆円の中に、食料品の消費税ゼロ、そして物価高・食卓緊急支援金ということで提示をさせていただいております。

 あわせて、命を守るというこの提起の中に、コロナの前に診療されていた、利用されていた方々、医療機関、介護施設、コロナの後、また、そうした利用者の状況が変わっていく中で物価高やあるいは人件費の高騰で本当にこうした社会を支える施設が大変厳しい、ここに大胆なお金を入れていかなきゃいけない。二兆円という金額を我々は必要だということを提示しておりますが、この金額の是非もまた関連質疑の中で仲間が質疑をさせていただきたいと思いますが、私たちは、緊急の対策は、まさに国民の暮らしと医療、介護のこうした施設への支援、このことを強く申し上げさせていただきたいと思います。

 三つ目の対策として、賃上げの加速。これも様々ありますが、とりわけ、中小企業が賃金が上げられない、この環境を変えていきたい。社会保険料負担が大きい、あるいは奨学金をお返ししながら働いている方々、こうした方にも中小企業支援を通じてしっかりと支援していくという考え方を私たちは経済対策でまとめさせていただきましたが、大きなポイントは、総額八・九兆円、赤字国債を発行しないという考え方です。

 規模はきちんと一定の範囲に収めながら、しかし、その手厚さは、国民の暮らしと、そして医療、介護、そうしたセーフティーネット、そしてまた賃上げの、目の前の中小企業の皆様の支援にしっかりと固めていく、この考え方は是非今回の補正予算に反映していただきたい、その思いで具体的に質疑に詰めてまいりたいと思います。

 特に私たちが申し上げたいのは、やはり暮らしの厳しさ、先ほども申し上げました食料品消費税ゼロ%が、立憲民主党として何としても実現したい。

 その間に、私たち、中低所得者の皆様に現金給付お一人当たり三万円、これは一月から九月まで、十月に実質食料品消費税ゼロの間のこの期間を算定しますと、減税相当一人当たり三万円ということで試算をさせていただいております。そして、子育て中の皆様には、所得に関係なく子供お一人当たり二万円の給付。これは一つの試算ではありますけれども、四人の御家族でお子様が一人いるモデル年収の世帯では、一般の御家庭に十四万円の支援、そして、五人家族の二人を子育て中の御家庭であれば、モデル年収の御家庭であれば十九万円の支援を想定して予算を積むべきだと考えています。年金暮らしの方々も、その家族構成に応じて現金給付を届ける。

 もちろん、食料品消費税ゼロが実現できればあまねく皆様に物価高対策の恩恵は届きますけれども、その間の措置が必要だということを、金額は絞りながらも手厚く御家庭への支援をするのが今求められている物価高対策、そして補正予算だ、そのように考えております。

 総理に伺いますけれども、今回の補正予算は、金額規模は十八・三兆円、赤字国債は十一・七兆円と大変大きな金額の規模でありますが、他方で、直接の国民生活への支援として明示されていますのは、電気・ガス代として一世帯七千円程度、お米券など重点支援交付金の物価高対策の特別加算はお一人三千円程度。子供一人当たり二万円というのは、私たちの経済対策発表の後、政府としてもお決めいただいているので、このことは歓迎いたしますけれども、しかし、残りは重点支援交付金。これは必ずしも物価高対策のみの交付金ではないというようにも聞いております。

 中低所得者の皆様に届くその措置、御答弁でも重点支援交付金でやると言っているんですけれども、これは地域によって対応がばらばらになってしまうと思うんですよ。中低所得者への支援が地域ごとにばらばらで、それでよろしいんでしょうか。総理、お伺いしたいと思います。

高市内閣総理大臣 既に評価をいただいているようですが、今般の経済対策では、立憲民主党の物価高・食卓緊急支援金の御提言も踏まえて、特に物価高の影響を強く受けている子育て世帯を力強く支援する観点から、一人当たり二万円の物価高対応子育て応援手当を盛り込みました。

 地域ごとにばらばらでいいのかどうかということなんですけれども、日本は基本的に地方自治を尊重するということで、この重点支援地方交付金というのは、それぞれ、地方公共団体がそれぞれの地域の現状に合わせて使っていただけるお金です。それでも、やはり食料品の物価高騰への支援というのは手厚くしてほしいなということから、別枠として、いわゆるお米券の配付だけではなくて、電子クーポンやプレミアム商品券、地域ポイントなど、各市区町村でできるだけ負担感が少なくて速やかな実施が図られる方法を選択して進めていただけるように政府の方でもサポートをしていく、こういう取組でございます。

 様々な施策を組み合わせて、中低所得層を含めた国民の皆様に対策の効果を迅速にお届けしたいと考えております。

山岡委員 私は、重点支援交付金で、自治体の皆様の御判断する様々な余地があるというのは重要だと思っています。きめ細やかさは必要だと思っています。

 ただ、国としてメインでそうした方針を取られず、今お話がありました、地方自治を尊重する、食料品物価高に対しては対策をしてほしいなというお話でありましたけれども、国としての意思が、御答弁の中で、きちんと支援する、中低所得者を支援する、国の方針だということが感じられないということで、今の物価高の厳しい国民の皆様の御期待にお応えできるのかということは強く懸念をするところです。

 特に、所得に応じてきちんと見ないということは、お子さんそれぞれ、所得に関係なく支援するのは大切だと思っておりますけれども、しかし、お子様は巣立っている方もいるし、お子様のおられない御家庭もいる。その中で顕著なのは、年金暮らしの方々です。明示的な支援が全く届かない。この重点支援交付金でいえば、物価高で厳しい、賃上げの恩恵をといっても、年金暮らしの方々に賃上げの恩恵はなかなか届かないわけです。その対策も地方自治体にお任せしている、それぞれの判断でと。こうしたことこそ、国としてしっかり、厳しい、まさに象徴的な方に支援を届けるべきだと思っております。

 年金暮らしの方々、御高齢者の方々、厳しい方々の御生活、総理はどうお考えでしょうか。

高市内閣総理大臣 例えば電気、ガス支援、こういったものは相当、今回、金額的にも深掘りをして措置をいたしました。これは年金生活の方々にも届く支援だと思っております。それから、医療、介護等もちゃんと続けていただけるようにということで対応をいたしました。

 それから、重点支援地方交付金ですけれども、推奨メニューをしっかりとつけております。それぞれの地域で、もう既に、お子さんがいらっしゃる御家庭については国の方から手当てをするということでしておりますので、これは、児童手当の口座なんかですぐに、子供手当の口座なんかですぐに対応していただける、そんなに事務的に負担が少ない形で提案をしておりますので。あとは、やはり、御高齢の方が多い、低所得の御高齢の方が多いという市町村におかれましては、そういった方々への支援に使われるものと思います。

 これは、推奨しているというメニューを参考に、いろいろな先行事例もお示しをしながら、しっかりとサポートをさせていただきます。

山岡委員 今、総理から、電気、ガスというお話がありましたけれども、一世帯七千円ということです。お一人三万円、食料品消費税ゼロも相当する、減税ということの先の給付金ということでお一人三万円ですけれども、そうした手厚い支援に比べれば、これで手厚くしている、御高齢者の方も一世帯七千円でいいのだという考え方は、私は見直していただいた方がいいと思います。

 その上で、私は北海道が地元ですけれども、電気、ガスの支援ということでありますが、都市ガスではない方が相当数、多くいられます。LPガスとか、あるいは灯油も必要です。そのために、地域重点交付金、それぞれLPガスや灯油というのも明示的に書いておられるんだと思っておりますが、しかし、自治体に任せるということは時間もかかるということなんですね。

 同じ交付金が、昨年、北海道でありました。LPガス、最終的に北海道として支援ができたのは五月頃だと。議会を通した後、事務局を置いて交付するというと、五月、六月なんですね、LPガスの支援ができたのは。灯油、必要な冬の時期が終わってしまっては、やはりこれは支援にならないと思うんですよ。

 私たち、現金給付をしっかり国としての方針に定めてやるというのは、非常に速やかに各自治体は判断しやすいと思うんですけれども、こうした重点交付金のみに任せるやり方をすると、届くのも遅くなる、そうした問題もあるんじゃないでしょうか。御答弁をいただければと思います。

高市内閣総理大臣 この重点支援地方交付金については、速やかに必要な支援が皆様に行き届くように、国としましても、推奨事業メニューの内容ですとか交付限度額の目安についてお伝えをして、可能な限り年内での予算化に向けた検討をお願いしております。加えて、先ほど申し上げましたように、関係省庁から優良な活用事例の情報提供も行ってまいります。

 非常に手薄いようにおっしゃるんですけれども、それでも、例えば、地方都市ですと御高齢の方の移動手段にもなっていたりするものに係るものでしたら、軽油に関しましても、軽油引取税の暫定税率廃止までの間、これは補助金を増額して安くしていっているということ、これももう既に始めておりますし、あと、食料品価格高騰ですけれども、これも一人三千円なんですが、四人家族でしたら大体一万二千円相当、別枠でやっております。

 とにかく、給付を御党も提案をされているということでございますけれども、これもやはり地方自治体の方でやられるということですよね。国から直接何か振り込む口座があるというような話ではないかと思うんです。お互いに、地方自治体の負担を最小限にする形で知恵を絞って、私どもは児童手当をずっと出しているわけですから、そういった口座を活用して、できるだけ負担がないようにということで、御党の提案も参考にしながら考えさせていただきました。

 自治体によっては、それはクーポンかもしれない、電子マネー、ポイントかもしれない、そしてまた農水大臣が大好きなお米券かもしれない。いろいろなやり方があるかもしれませんが、それぞれの地域の実情に応じて取り組んでいただけるようにということで、私どもは私どもの考え方で予算をつくらせていただきました。

山岡委員 現金給付も自治体の協力をいただかなければならないのは、おっしゃるとおりです。ただ、私たちは、その方針を国としてしっかり定めて、そして一律でやる、地方重点支援交付金によるばらつきもなく、恩恵もそれぞれ同じように届けるべきだ、その思いであります。

 今、お米券の話が出ましたので、今日、農水大臣にもお越しいただいていますので、大臣にせっかくなので伺いたいと思っております。

 私たちが考える現金給付の考え方は、分かりやすさもそちらの方が勝っていると思っております。

 このお米券に関してなんですけれども、例えば印刷、郵送コストとか、様々余計にかかるということも今言われているわけでありますけれども、不可解なのは、やはり、非常にそこにこだわる姿勢を見せておられるということであります。

 農家さんのお立場にしても、お米を作っている方だけではありませんよね。麦も大豆も野菜も、あるいは果樹を作っている方もいるし、酪農、畜産の方々もいらっしゃる。消費者にとっても、もちろんお米は高いんですけれども、だからといって、高いのはお米だけじゃありません。食料品全体が高騰しているわけであります。

 お米だけということに非常に固執する。別の政策目的が交ざっているんじゃないか、そのことも疑ってしまうような、そういうまた内容に固執されていると思うんですが、非常にアンバランスなんじゃないかと。このことを推奨されるのはどういうことでしょうか。御答弁いただければと思います。

鈴木国務大臣 御質問ありがとうございます。

 まず、私が何かお米だけにこだわっているということでは全くないということは、この場で正式に申し上げさせていただきたいというふうに思っております。

 食料品の物価高騰に対する支援に当たっても、いわゆるお米券の配付だけではなく、電子クーポン、プレミアム商品券、地域ポイント、食料品の現物給付など、各自治体において、できるだけ負担感が少なく、速やかな実施が図られる方法を選択し、進められることを期待をしております。

 農林水産省として、先週三日から五日にかけて、地方自治体に向けて説明会も実施をしておりますが、そういったことも含めて、過去の優良事例の紹介なども行わせていただき、引き続き相談など真摯に応じていきたいというふうに考えます。

山岡委員 今、お米だけにこだわっているわけではないというお話がありました。総理は、お米が大好きな農林水産大臣という、そういう振りがあったので、私も……(発言する者あり)お米券が大好きなんですね。お米は皆、主食ですから、私も好きでありますけれども、お米券が大好きな農林水産大臣という御紹介があったわけであります。

 ただ、やはり総理のおっしゃるとおりなんですけれども、私は、農林水産大臣の様々これまでの御発言や記者会見の様子を見ていると、やはり非常に御執心であられるように見えるんですよね。

 十一月二十八日の記者会見。埼玉県の二つの町の町長さんがやってきて、お米券、分からないんです、お米券というのは自分たちで作らなきゃいけないんじゃないですかと。いやいや、お米券は、自分たち、自治体が刷らなくても、既に販売しているものを使えばよいんですよということを伝えられたということを記者たちにお話しされている。しかも、その上で、お米券は既に現物の紙がある、だからスピーディーなんだということも説明をされておられる。十二月三日には自治体向けに説明会、御熱心にやはりこういう説明会まで開いた中で、各種報道で、あたかもお米券しか認められないんじゃないかのような伝えられ方もして、今、そうした訂正にも入っておられるような状況になっているんだと思いますけれども。

 この特定の団体が発行しているお米券というのは、額面が五百円でも、手数料が引かれて、実際には四百四十円分しか使えない。使える店も限られてくる。使える対象も、お米だけのところもあれば、それ以外にも使えるかもしれないし、それは店による。利用者の方、これをもらってもお店に確認をしなければいけない。先ほど、速やかに対応するんだとか、総理からお話がありましたけれども、明らかに逆行しているように感じるわけであります。

 これは、国民生活よりも特定の業界とのつながりを優先しているような疑いをかけられても仕方ないんじゃないか、そのように感じるわけでありますが、大臣、御答弁があればお願いいたします。

鈴木国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、先ほど山岡委員も、各種報道によればという言い方をしていただきました。私自身が記者会見で申し上げていることも含めて全部聞いていただければ、各種報道と私の申し上げていることが若干違うということも御理解の上で今の質問があるんだというふうに私としては理解をしております。

 そして、お米券についてでありますけれども、私自身、先ほどまで委員から御指摘のことは申し上げました。特に自治体の皆さんから、まあ、私自身はお米が大好きですから、お米券の存在を十分承知をしておりましたし、使ったことも自分自身あります。しかしながら、全くそれを目にしたことのない方もいるという中で、ギャップがあるということも感じましたので、丁寧に、まず、そのものとは何なのかということも含めて、農林水産省として、質問が大変多うございましたから、御説明をさせていただいた次第であります。

 以上です。

山岡委員 またこの後、関連質疑を会派の仲間の議員がしますので、私は、この話はここまでとさせていただきたいと思いますけれども、私たち、今、物価高対策をしなければならない、その問題意識は共にしているところであります。

 しかしながら、やはり、範囲を絞りながらも、国民の暮らしにとって一番大切な部分により手厚く予算を積むべきだということを考えております。私たちと全く同じにしてほしいということまでは、今の私たちの会派の数を考えれば、そこまでは申し上げませんけれども、やはり、中低所得者の皆様に手厚い、きちんと国としての方針を定めた対策、そして、年金暮らしの方々も含めてもっと手厚い支援をするべきだ、そのことを申し上げ、そして、私たちもその思いで経済対策をまとめさせていただいて、その中で、引き続き質疑の中で私たちの思いを伝えさせていただければと思います。

 以上です。ありがとうございます。

枝野委員長 この際、岡田華子さんから関連質疑の申出があります。本庄さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。岡田華子さん。

岡田(華)委員 立憲民主党・無所属の岡田華子です。

 私からも、昨晩の地震について。地元が青森なものでして、昨日もこの質疑の準備をしながら、テレビを一晩中見てしまいました。高市首相、二度にわたって深夜に記者会見をされておりまして、本当に不眠不休で御対応いただきまして、ありがとうございました。

 これから恐らく被害状況というのが分かってくるんだと思います。家の中がめちゃくちゃだとか、病院で病床が水浸しになったというような情報も入ってきておりますので、引き続き、御支援、御協力を賜れればと思いますので、お願いを申し上げたいと思います。

 早速ですけれども、質問に移らせていただきます。

 私は、物価高対策として地方自治体に交付される重点支援地方交付金についてお伺いをいたしたいと思います。

 今回、重点支援交付金の中には、食料品の高騰対策向けの特別加算枠がございます。政府から自治体に示された食料品対策の推奨メニューには、プレミアム商品券、電子クーポン、地域ポイント、お米券、食料品の現物給付という五つが例示されております。

 そこで、黄川田大臣にお伺いしたいんですけれども、これ以外の使い道、例えば水道料金の引下げに特別加算枠を使いたいという自治体がいた場合、これは可能でしょうか。

黄川田国務大臣 基本的には食料品に関わるものですので、それについては特別加算枠というものが設けられております。

 また別途の使い道については、御相談いただいて、それで適宜考えるということになると思います。

岡田(華)委員 食料品に関係していないから、水道料金は駄目だということですね。

 水は食料じゃないから駄目なのかという点について、お答えをお願いします。

黄川田国務大臣 駄目だとは言っておりません。それは、相談に乗りながらやる、考えるということでございますし、また別の推奨メニューとして水道等も設けているということでございます。

岡田(華)委員 今の御回答を踏まえますと、食料品対策という名目であれば、加算枠についても、水道料金に交付金の全額、加算枠も含めた交付金の全額を使えるという理解をしてもよいということでしょうか。

黄川田国務大臣 適宜相談していただければと思います。

岡田(華)委員 誰に相談をすればいいのか、御回答をお願いします。

黄川田国務大臣 内閣府に相談していただければと思います。

岡田(華)委員 内閣府、今の御回答について、いかがでしょうか。

松家政府参考人 お答えいたします。

 御質問のあった食料品の物価高騰に対する特別加算についてでございますけれども、大臣から先ほど答弁させていただいたとおり、家計への直接的な支援などを念頭に置いているものでございますので、その活用に当たっては、それぞれ自治体の判断でそうした目的のために使っていただくことを想定してございます。

 一方で、この食料品支援とは別でございますけれども、御指摘の水道料金の減免につきましては、自治体にお示ししてございます推奨事業メニューに明記をしてございます。交付金の予算規模といたしましても、昨年度の六千億円から二兆円に拡充する中で、しっかり御活用いただけるよう措置しているものでございます。

 いずれにいたしましても、地域の事情に応じて交付金を活用いただいて、国民の皆様に速やかに必要な支援が行き届くように、大臣から御答弁いただいたとおり、自治体に対して丁寧にサポートしていきたいと考えてございます。

岡田(華)委員 水が食料品に含まれるのかどうかについて、今の御答弁ですと、食料に直接的な支援であることが前提ですというような趣旨と伺いましたけれども、水も食料に含まれるのか、それから、交付金の全額を水道料金の減免に充てたいという自治体が現れた場合にどういう回答になるのかについて、見解を明確に示していただきたいんですけれども、可能でしょうか。

 大臣にお願いします。

黄川田国務大臣 まず、水道対策については、推奨メニューを設けております。そして、食料品の加算については、適宜自治体の相談に応じて考えられるものだと思っております。

岡田(華)委員 また、引き続き、この点については委員会外で明確にさせていただければと思います。

 もう一点、推奨メニューの中にある商品券やクーポン券のところに移りたいんですけれども、これらは食料品にも使える券として発行されることが多いと思います。そういった券の場合、全額を食料品以外のもの、例えば全額洋服を買っちゃったというようなこと、そういったことは許されるのでしょうか。

黄川田国務大臣 食料品の物価高騰に対する特別加算については、市町村において、生活者に対する食料品の物価高騰への支援を更に手厚く実施しているということでございます。また、生活者への食料品支援も含むものもあれば、食料品以外にも使える商品券や電子ポイントの給付などの消費の下支えの取組も併せて実施することも可能である旨をお伝えしているところでございます。

岡田(華)委員 今の御回答の理解としては、全額洋服に使ってしまったとしても、それは返還を求められるようなものではないということでよろしいでしょうか。

黄川田国務大臣 食料品以外にも使える商品券や電子ポイントの給付などの消費の下支えの取組と併せて実施することも可能であるということでございます。

枝野委員長 もう一回だけ聞いてください。

岡田(華)委員 洋服にも全額使っていいという理解でよろしいでしょうか。使ってしまった場合、返還はされないということでよいですか。

枝野委員長 黄川田国務大臣、端的にお答えください。

黄川田国務大臣 その点についても、これも御相談の上。

 適宜組み合わせることができるということでございますので、それはそれで考えていただければと思います。

岡田(華)委員 非常に使い方が難しい、基準が曖昧というような印象を受けました。食料品に使ってもいいのか、全額使っていいのか、そういった点、あります。

 そもそものところで、特別加算枠の使い道を食料品ということに限定する意味があったのかというところが問題かと思います。自治体が水道料金に全額充てたいというのであれば、全額それに使わせる、自治体の裁量に任せた方がよっぽど支援が速やかに届くのではないかという点をお伝えして、この点は終わりたいと思います。

 続きまして、お米券についてお伺いをしたいと思います。

 お米券は、先ほども山岡議員の方から質問の中で出ましたけれども、事務コストについて、今発行している二団体のお米券は、五百円お金を出すと券が一枚やってきて、四百四十円分のお米と交換することができる、この時点で既に一二%の事務手数料がかかっています。これに、更に郵送のコストなどがかかる。

 この点について、先ほど、決して割がよいとは言えないお米券が、自治体向けの説明ですとか各種記者会見等々の中でお米券、お米券と言及されていることについて、やや、やはり国民は不審に思っているところがあるのではないかと思っております。

 そして、お米券のスピード感のところについても疑問がございます。

 昨日の高市首相の本会議の御答弁の中で、重点支援交付金の中の支援事業については、事務コストと速やかに支援が届くことを自治体にお願いをしているという趣旨の御発言がございました。速やかな支援というところがポイントでございます。

 お米券というのは、先ほども出ましたけれども、水道の減免とか現金給付に比べてやはり少し時間がかかるのではないか。券を配付するのには時間がかかる。市町村がまずお米券にするかどうかを判断して、議会にかけて、券を買う若しくは印刷をする、封詰めをして郵送して、やっと消費者、国民の手に届く。昨年、令和六年度の重点交付金の事業の中でお米券を配付して、この秋にやっと配付を完了した自治体があるということでございます。

 そこで、今、七年度補正予算でお米券、それを使ってお米券を出した場合、いつ頃国民の手に届くのか、見通しはございますでしょうか。

鈴木国務大臣 お答えを申し上げます。

 まず、この重点支援交付金を含む補正予算案について、まさに今、国会で御審議をいただいているところでありますので、現時点でいついつという具体的なスケジュールに言及するということは、これは自治体によっても当然ばらつきがあろうかと思いますので、難しいと思います。

 ただ、その上であえて申し上げますと、経済対策の閣議決定を踏まえて、現行のお米券を活用したいという自治体も幾つかあるというふうに聞いておりまして、仮に、今国会会期中に補正予算案が成立をするということになりますれば、十二月下旬には自治体に順次券を発送できるよう、印刷を含め、関係者間で最大限努力をしているところであります。

岡田(華)委員 現行のお米券を使えばということだったんですけれども、先日、五日の大臣記者会見の中で、お米券に期限を設ける方向であるというふうに明らかにされました。新たに印刷するとなるとまた時間もかかってしまうのかなと思うんですけれども、今回なぜ期限を設けるのでしょうか。そして、期限はいつまでになる見込みでしょうか。

鈴木国務大臣 お答え申し上げます。

 先ほどの答弁と委員の御質問にはちょっとそごがあったので申し上げますと、新たな、期限を設けられたお米券であったとしても、十二月下旬にある種発送することができるというふうに私たちとしては聞いております。

 その上で、この期限の件について回答させていただきます。

 重点支援地方交付金の活用に当たりましては、内閣府において、商品券等の配布事業を実施する場合、換金期限などを適切に定め、未換金があった場合の返還を行えるように制度設計する必要があるとされているところであります。これは、今委員から御指摘のお米券に限った対応ではなく、自治体が電子クーポン、プレミアム商品券、地域ポイントなど、ほかの媒体を活用する場合であっても同様であります。未換金額を発行元に滞留させることなく、交付金の適切な精算を可能とするために期限が設けられているというふうに承知をしております。

 こうした商品券等の有効期限はそれぞれの発行元が定めるものというふうに承知をしておりますが、今、お米券については、全米販と全農の二団体があります。そこに確認をさせていただいたところ、今回の重点支援地方交付金で活用されるものについては、九月末の期限を設定するというふうに聞いております。

岡田(華)委員 黄川田大臣にお伺いをいたします。

 ただいまの鈴木大臣の御説明では、お米券、いわゆる全国に流通しているお米券であっても、全国に流通している大手の会社が発行している商品券であっても期限を付すようにと内閣府から通知が出ているということで、それに基づいて農水省は今回の取扱いをしたという御説明でございました。

 そこで、重点支援地方交付金、昨年度も昨々年度も出ておりまして、その令和五年度、令和六年度の重点支援交付金を活用してお米券や商品券を出している自治体があると思うんですけれども、これらの自治体が期限をつけていたかどうかというのは確認はされていらっしゃるでしょうか。

黄川田国務大臣 この点については会計検査院が指摘しておりまして、未使用分の商品券、消費喚起等の効果を発現しないものについては、換金期限などを適切に定め、未換金があった場合には返還を行えるように制度設計する必要がある旨のことを御指摘をいただいているということでございます。

岡田(華)委員 私、お米券に期限をつけるというのは今年初めて聞いたんですけれども、恐らく、期限をつけないまま発行してしまった自治体さんがあると思います。それらの自治体さんは、今の大臣の答弁に基づきますと、交付金を返還するような対応を求められる可能性があるということでしょうか。

黄川田国務大臣 私どもとしては、未換金があった場合に返還を行えるように制度設計をする必要があるということで周知したいというふうに考えております。

岡田(華)委員 先ほど鈴木大臣の御答弁の中にあった令和四年度の内閣府の事務連絡の、換金期限を適切に定めてくださいねという内容のものですけれども、これのきっかけは、会計検査院がとある事件を指摘したからと。

 それは、地域を限定して使用できる商品券の事案において、期限を定めない地域商品券が、換金されないまま、地域の商工会等に未換金分の滞留が発生したため、そういった事例を基に指摘されたものでした。あくまでも地域を限定して使用できる商品券というところが前提になっていたものと、私、会計検査院の皆様から御説明を受けました。

 本当に、お米券のような全国に流通しているもの、それから一般の商品券、デパートで使えるような商品券、それにも期限を設けなさいという趣旨だったのか、内閣府の御理解はいかがでしょうか。

松家政府参考人 お答えいたします。

 委員からも御指摘いただいたとおり、過去の類似の交付金において、会計検査院の方から御指摘があったということでございまして、趣旨といたしましては、交付金の制度が、その活用によって、消費の下支えであるとか、あるいは家計への支援であるとか、そうしたものがしっかり目的が達成できるようにするということでございまして、その目的が達成されるためには、未換金のお金が特定の業者に滞留するということはその目的に沿わないということを想定してございますので、商品券に係る事業を行う場合には、そうした交付金の目的が適切に達成されるような形で制度設計がなされることを御要望させていただいているところでございます。

岡田(華)委員 この件は、今全国の首長さんが、非常に興味を持って、頭を悩ませている件だと思っております。この先、期限のないお米券、期限のない、普通に売っている、流通しているお米券を使うことはできないのか、商品券についても、一般的に出回っている商品券というのを交付の対象にすることができなくなるのか、そういう分岐点にあると思いますけれども、黄川田大臣、いかがでしょうか。

黄川田国務大臣 商品券、いろいろなタイプがあると思います。

 それで、やはり国が支援したものが適切に使われていないということになるといけませんので、それは、先ほど申したように、しっかりと制度設計をして、交付金がしっかりと物価高対策に使われているかどうか、そういうところがチェックできるもの、また、業者が不当に交付金を受け取ることがないように、そういう制度設計を自治体に求めているというところでございます。

岡田(華)委員 自治体の首長さんは、今の御答弁を聞いて、この先どうしようかと頭を抱えたと思います。

 期限の定めのないお米券、商品券は、普通に買える商品券、お米券は、この先、交付金の事業として使えるんでしょうか。

黄川田国務大臣 繰り返しとなりますが、換金期限などを適切に定め、未換金があった場合の返還を行えるように制度設計をしていただきたいと考えております。

枝野委員長 大臣、使えないということでいいですね。今のお答えだと使えないということになりますが、よろしいですね。

黄川田国務大臣 いや、今言ったとおりでございます。換金期限などを適切に定めて、未換金があった場合の返還を行えるように制度設計をする必要がある旨を周知しているというところでございます。

岡田(華)委員 最後に、質問申し上げます。

 商品券の中には五年間の期限がついているものがあるんですけれども、それはよろしいでしょうか。

黄川田国務大臣 これも、私たちの地方創生重点交付金の目的に沿った形で、各自治体も柔軟に制度設計をしていただけるものと考えております。

岡田(華)委員 終わります。ありがとうございました。

枝野委員長 この際、約十分間休憩いたします。

    午後三時五十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時五分開議

枝野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。

 この際、後藤祐一さんから関連質疑の申出があります。本庄さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。後藤祐一さん。

後藤(祐)委員 立憲民主党の後藤祐一でございます。

 まず、今回の補正予算額は十八・三兆円ですが、国債発行額は十一・七兆円です。

 主計局長にお伺いしますが、東日本大震災時、二〇一一年度ですかね、四回補正予算を組んでいますけれども、そのときの四回の補正予算の合計額と国債発行額は幾らでしょうか。

片山国務大臣 平成二十三年度の第一次補正予算から第四次補正予算までの一般会計歳出補正額の合計が十五・一兆円で、補正予算における国債発行額は、第三次補正予算における十一・六兆円というふうに承知しております。

後藤(祐)委員 予算委員会って、主計局長は常にいるかと思ったんですが。

枝野委員長 必ず登録してください。

後藤(祐)委員 かつ、これは通告をしてあったんですけれどもね。

 今回の補正予算額はそれより大きいんですね。あの東日本大震災の四回の補正合計額よりも大きいというのはちょっとやり過ぎじゃないかという規模感を是非国民の皆さんも感じていただければと思いますが、特に、今日は、この巨額過ぎる大規模支出のうちの公共事業、基金、防衛費、この三つを聞いていきたいと思います。

 まず、公共事業でございますけれども、昨晩、青森県の東方沖を震源とする地震がありました。けがをされた方ですとか被害を受けられた方にはお見舞いを申し上げたいと思います。

 その上で、公共事業予算を考えるときには、まずは災害に耐えられるインフラにしていくことが必要だということ。また、昭和の時代にできたいろいろなインフラが老朽化して、これを更新しなきゃいけない、しかも、それは計画的にやっていかなきゃいけない、こっちにだんだんシフトしていって、昭和の時代のような行け行けどんどんで全国を開発していくという時代ではなくなっているわけですよね。そういっためり張りをつけなきゃいけないというふうに思います。

 これは、令和五年度補正予算と令和六年度当初予算の合計額と、令和六年度補正予算と令和七年度当初予算の合計額、これを各インフラの種類ごとにまとめたものなんですが、例えば道路は三七%ぐらい、河川は二一%ぐらいと、シェアがほとんど変わらないんですね。特に、その下の方の、比較的小さい方の額を見ると、都市関係は三・六五から三・六七%、森林整備は二・〇七%から二・〇六%、鉄道は一・三五%から一・三三%と、ほとんどシェアが変わっていないんです。

 これは財務大臣に伺いたいと思いますが、本予算が、インフラというのは計画的に整備していくものなので、ある程度シェアが一定になっていくのは多少理解できるところはあるんですけれども、補正予算というのは、緊急性に応じて、年によって変わるはずなんですよね。なのに、今、この補正予算の審議の裏側で来年度、八年度本予算の査定をされていると思いますけれども、何で補正予算と次の年の本予算を合計した額が事ほどさように一致しちゃうんでしょうか。まさか、この二つを合わせて、大体シェアはこのぐらいだよねというような査定はしていませんよね。主計官の経験のある片山大臣に伺います。

片山国務大臣 こちらの資料につきましては、後藤委員からの御指摘を受けて主計局の担当係が非常に一生懸命作って、初めてこういう分け方をした部分もあるので、非常にびっくりしておりましたが。

 災害が頻発化して激甚化しておりますし、老朽化も急に進んでおりますので、防災・減災、国土強靱化や災害復旧などにつきましては、国民の命と財産を守る観点から重要ということにつきましては委員にもかねてから御同意をいただいているところで、公共事業関係費についてはしっかりと、特会を含めて約二・六兆円措置することとしたところでございますが、それぞれの分野については、緊急に対応が必要な事業については要求が上がってきております。

 例えば、その時々の状況として、埼玉県の八潮市の事故の教訓を踏まえた上下水道管路の更新等の上下水道、また、熊被害を踏まえて河川を見えやすくする、熊の出没対策のための樹木伐採の促進等の河川につきましても、昨年度と比較すると数百億円から一千億円、措置額が増えている分には増えているんですが、確かに委員御指摘のような傾向がこの取り方だと見えるんですが、実はこれは査定側の分け方と若干違うんですよ。

 これは私も長年予算をやってきて非常にびっくりした部分もあるんですが、この資料だと、環境省が所管を主にしている浄化槽とか、あるいは農水分の海岸が入っていないなど、幾つかないものがあったりして、なぜこの分け方になっているのかは非常に興味深いなと思いまして、まさに今後、私どもの方で、今回、予算と補助金と、さらに、見直しということで租税特別措置のことについて、相手官庁も入れて大規模な会議をつくりましたので、御指摘の面も踏まえて、より適切な補正と本予算の在り方等々について、十分に参考にさせていただきたいと思っております。

後藤(祐)委員 補正予算はもうちょっとばらついているんですよ。なぜか、翌年度予算も合計すると、ぴったり一致するんですよ。

 今、八年度予算を査定しているでしょうから、例えば、今だったら、さっき八潮の話をおっしゃいましたけれども、上下水道あたりが増えていないとおかしいんですよ。八年度予算、もうすぐ出てくるでしょうから、今おっしゃったような形で査定されるかどうかは、通常国会で是非チェックさせていただきたいと思います。

 続きまして、国土交通省の事務方にお聞きしたいと思いますが。ただ、公共事業のところは、ちゃんとやっているところもあるんです。それは、今、国債の金利、足下だと十年物で一・九六%ぐらいのようですけれども、公共事業関係の資金の流れをちょっと確認させてください。

 こういったインフラというのは、大体、財務省が建設国債を発行して、それを国土交通省に渡して、国土交通省が、直轄事業もありますが、多くは県に渡して、県から市町村に行って、県のものもありますが、最終的には民間企業がやる場合が多いわけですよね。

 これは、例えば補正予算で取れました、まとめた額を、ここにある何兆というお金を、まとめていきなり、国債を発行して、国交省にいきなりまとめて渡すというような基金みたいなやり方をしているのか、それとも、現場で実際の工事が発生して、民間企業がお金がこれだけ必要になるから、何月ぐらいに幾らぐらい必要になるからというのをちゃんと集めて、それに間に合うように国債を発行して、順次間に合うように渡していくのか、どっちのやり方でやっているんですか、国土交通省の事務方の方。

黒田政府参考人 お答え申し上げます。

 公共事業の執行につきましては、予算成立後直ちに各地方支分部局や地方公共団体への配分、また、入札手続を経て民間事業者への発注、契約、工事の施工、事業完了という流れになります。

 この公共事業の流れの中で、民間事業者への支払いにつきましては、会計法等に基づきまして、建設事業者の資材の購入であるとか労働者の確保などの建設工事の着手資金としての前金払いというのがございます。また、事業の進捗状況に応じた出来高に対します出来高部分払い、また事業が完了した際の精算払いなど、民間事業者からの請求に基づきまして、直轄事業の場合には国から直接民間事業者へ、補助事業の場合には国から公共団体経由で民間事業者に支払いを行っております。

 支払いまでの期間につきましては、予算成立から早ければ一か月半ぐらいで契約まで至りまして、前金払いの請求がなされます。また、四半期に一度、財務省へ執行見込みを登録をいたしまして、それぞれの事業の所要額をまとめまして毎月支払い計画を作成、提出をし、適切な時期に財務省より支払いをいただいているというところでございます。

後藤(祐)委員 執行見込みがこの月にはこのぐらいだからということを踏まえて、適切な時期に財務省からお金が来る、これは正しいやり方だと思うんですよね、金利がかかるんですから。

 それで、次は基金の話に行きたいと思いますが、基金はそうなっていないわけです。基金はまとめてどおんと渡しちゃって、つまり、これからだったら二%で金利がかかって、国債で調達して、何千億という基金を積んで、それがなかなか使われないという構造になっているんじゃないんですかということをこれからチェックをしていきたいというふうに思います。

 先ほど本庄委員も詰めたので大変申し訳ないんですが、宇宙戦略基金についてお伺いしたいと思いますが、宇宙開発については、重要性ですとか必要性は理解はするんですけれども、お金の流れの面で問題があるんじゃないかということでチェックをしたいと思います。

 宇宙開発推進事務局長はお越しになられていますかね。宇宙戦略基金に昨年度補正予算で三千億円積まれていますが、このお金は財務省からこの基金にいつ来たんでしょうか。そして、そのお金を使って最初に民間企業に払ったのはいつでしょうか。

風木政府参考人 お答えいたします。

 令和六年度補正予算、三千億円措置されております。これにつきましては、令和七年一月二十日に交付決定をされておりまして、基金として造成されているというところでございます。(後藤(祐)委員「その後の話だよ、支払い」と呼ぶ)

 最初の支払いですね。これにつきましては、令和七年二月二十日でございます。令和七年二月二十日に最初の支払い、これは済みません、令和五年度の補正予算につきましては……(後藤(祐)委員「違う、六年度」と呼ぶ)令和六年度の補正予算については、まだ支払いはされておりません。

後藤(祐)委員 そうなんです。去年のこの時期の三千億円の補正は、今年の一月に三千億円振り込まれて、基金に三千億円どおんと乗ったんですが、そのお金はまだ一銭も使われていないんです。

 多分、この次の質問と混ざったと思うんですけれども、じゃ二年前はどうですか。令和五年度の補正予算でも三千億円積んでいます。それは、基金に三千億円がいつ来て、それが最初に民間企業に払われたのがいつで、まだ払い終わっていないものもありますか。払っていないものがあるとしたら、未支払い金額は合計幾らですか。

風木政府参考人 先ほどは失礼いたしました。

 令和五年度補正予算につきまして、最初に支払われたのが令和七年二月二十日、そして直近では令和七年十一月二十日になります。したがいまして、未支払い金額でございますが、二千五百九十三億円となります。

後藤(祐)委員 これは二年前のお金ですからね。二年前の十二月の補正予算でついた三千億円が、二年たった今、三千億円のうち二千五百九十三億円、まだ残っているということなんです。

 小野田宇宙政策担当大臣に伺いますが、これはまずくないですか。金利がついているんですよ。おととしのものであれば、十二月に決まって、二月二十日に国債で調達して、三千億円どおんと来ているんです、基金に。去年のものも、十二月に決まって、一月に三千億円どおんと来ているんです。だけれども、去年のやつは、まだ民間企業には一円も払っていない。おととしのやつは八割以上残っている。これはまずくないですか。こんなことだったら、時間がかかるんだったら本予算でよかったんじゃないですか。五年度の補正予算じゃなくて、六年度本予算でだったらまだ分かるんですよ。どうですか。

小野田国務大臣 令和五年に措置された予算分について、確かに今御説明があったんですけれども、全てのテーマで各事業者への支援がもう開始されておりまして、令和六年度に措置された予算分についても、既に全ての公募を済ませて、資金需要のめどは合計六千億の規模に達しているところであります。

 その上で、事業者、大学等からは、過年度の支援テーマとは異なるテーマの支援ニーズが寄せられているところであります。これを、既に資金需要のめどがついている過年度予算とは別途に、補正予算に二千億円を計上させていただいたというところでございまして……(後藤(祐)委員「そんなことは聞いていない」と呼ぶ)聞いていない。

 今後、各府省庁での有識者会議や宇宙政策委員会での審議を通じて、透明性を確保しながら技術開発テーマを決定、公表する予定でありまして、先生の御指摘とはちょっとずれるかもしれませんけれども、公募はしっかりやっていて、なるべく早くそれを交付できるようにというのをやっていきたいと思っています。

後藤(祐)委員 そんなことは聞いていないんですよ。

 一個一個の事業は、私は必要なことだと思っているんですよ。公募して、実際、一個一個の民間企業は頑張ってやっているし、それは考えるのに、人の手配とかがあるから時間がかかるのは、私はしようがないと思うんですよ。ただ、お金を寝せておくのはまずいんじゃないんですかということを聞いているんですよ。去年、三千億円積んで、いいんですよ、幾つか公募をして、この会社に払うことが決まっているやつはあっていいんですよ。でも、まだ一円も払っていないんだから、それはまずくないですかと聞いているんです、小野田大臣。

小野田国務大臣 公募が決まった後に、すぐにお金を交付してほしいというところもあれば、研究が終わった後に下さいというところもあって、そういったこともあってなかなか、寝かせておくのはどうなのかという話もあるんですが、それはそれぞれの事業者とともにお話をできていけたらと思っています。

後藤(祐)委員 さっき、公共事業でそうやってやっていると言ったじゃないですか。公共事業の場合も、民間企業が、最初にこれだけ必要ですとか、ある程度たってからこのぐらい必要ですとか、そういうことを踏まえて、タイミングを見て適切な時期に財務省にお金をもらっていますと国交省は言いましたよね。それと同じでいいじゃないですか。

小野田国務大臣 済みません、ちょっとそことはまた、公共事業のやり方と、私は所管外なので、そこに対してどうこう言える立場ではございませんが、今の時点で必要なものをちゃんと公募して、必要な予算を必要なときに渡すという今のやり方をすぐにどうこうというのは、ちょっと今は考えておりません。

後藤(祐)委員 いや、ゼロ金利の頃だったらいいですよ。今はお金に金利がかかるんですよ。そんな甘っちょろい認識でいいんですか。

 事務方の方に別な話を聞きたいと思いますが、この宇宙戦略基金で、六年度の基金残高、年度を通じて一番少ないときの額は幾らですか。

風木政府参考人 お答えします。

 六年度において一番最低の残額、最少額につきましては、二千八百九十九億円となります。

後藤(祐)委員 三千億円弱がずっと、最少額ですからね、それより多い時期はもちろんあるんですよ、つまり、三千億円弱がそのまま根雪のようにあるわけですよ。

 運用しているんですよね。これは運用益はどのぐらいですか。これは定期預金ですか。

風木政府参考人 お答えいたします。

 これにつきましては、定期預金、安全性が大事でございますので、運用収入につきましては、元本保証、そして途中解約が可能であるということを前提に、定期預金の形で金融機関に置いてございます。(後藤(祐)委員「運用益」と呼ぶ)

 令和六年度につきましては、運用益につきましては、この資料にございますとおり、六億円というふうになっております。

後藤(祐)委員 三千億円弱が根雪にあって、運用益は六億円。若干振れるかもしれませんが、〇・二%ぐらいなんでしょうかね。今と違って国債金利がもうちょっと安い頃とはいえ、物すごい逆ざやが発生しているわけですよ。

 今度、この補正予算で、宇宙戦略基金に更に二千億積まれます。今度は、今日の十年物国債の金利は一・九六ぐらいですよ、二千億円、一・九六、年間四十億円ぐらいの金利が乗るんですよ。一年たっても民間の企業に一円も払っていなかったんですよ、去年は。丸々四十億かかることになるんですよ。分かっていますか、そこの意味が。二年前のやつだって八割払っていないんですよ。二年かかったら八十億ですよ、今度は。これはまずいと思いませんか。ちょっと後でまとめて聞きますから、総理と財務大臣に。

 これは、同じようなことが経産省関係の基金でも起きています。

 これらも、どれも大事な事業ではあるんです。一番上の、ポスト5Gという携帯電話の、今5Gが次はどうしますかという技術だとか、あるいはグリーンイノベーションという環境関係のイノベーションの基金だとか、あるいは半導体、どおんと投資するやつとか、どれも重要な事業であることは、必要性はよく分かりますが、よく見ると、ポスト5G基金、上から二つ目は、令和六年度に九千九百二億円という巨額が交付されています。グリーンイノベーション基金という上から三つ目は、六年度中の残高の最少額ですよ、これが二兆三千百八億円。更にその前の年度の、令和五年度の残高の最少額は二兆二千三百九億円。つまり、このグリーンイノベーション基金は、この前も大体そんな感じなんですが、少なくとも二年間にわたって二兆円以上の現金が塩漬けになっているわけです。一番下の特定半導体基金事業、これは、昨年、四千七百億円交付されているんですが、現時点で、さっきの宇宙と同じで、民間への支払いはゼロ。

 この数字は事前に全部経産省に確認していますが、間違いないですよね。端的にお答えください。

菊川政府参考人 御指摘いただきました三基金の額につきましては、お示しいただいたとおりで、認識は合ってございます。

後藤(祐)委員 経産大臣に伺いたいと思いますが、細かい話は聞きません。

 二兆円ですよ、一個だけで、二年間、根雪で。これもやはり、銀行預金とか一部国債で運用しているのもあるとか聞きましたけれども、どうやったって国債金利を上回るのは難しいと思うんですよ。これはまずくないですか。こんな二兆なんてお金をそのまま根雪にしていくんですよ。いいと思いますか、これで。

赤澤国務大臣 経済産業省としては、複数年度にわたる事業であって、各年度の所要額をあらかじめ見込み難く、弾力的な支出が必要であることから、あらかじめ複数年度にわたる財源を確保しておくことがその安定的かつ効率的な実施に必要であると認められるものについて、基金事業として措置をしております。

 御指摘の三基金のうち、現状残高として基金に積み上がっているものについては、大部分が交付決定を終えて既に支出見込みが立っている、あるいは今後公募が行われる予定でございます。

 また、NEDOにおける運用管理としては、当該年度に支出見込みがない金額については、銀行預金又は確実かつ有利な有価証券の取得も含めて運用をし、その利息を運用収入として基金に積み増しております。

 あえてもう一つ付言をすると、御指摘の一番残高が多いグリーンイノベーション基金事業については、補正はないということでございます。

後藤(祐)委員 高市総理に伺いたいと思いますが、これはちょっと改めましょうよ。

 金利ゼロの時代だったら、そこまで目くじらを立てる話じゃないと言うかもしれませんけれども、今回の補正で、先ほどの本庄さんのところであったと思いますけれども、基金に二・五兆円積むんですね。これから財務省が資金調達するわけですから、二%になっていきますよ。二・五兆円を二%で調達したら、年間五百億円ですよ、金利が。それで一年後ぐらい、あるいは下手すると二年後ぐらいまで、民間企業にお渡ししないんですよ。

 だとしたら、さっき、国土交通省がやっているように、実際に民間企業の支払いがこの辺で発生するから、それに合わせて資金調達してお渡しするということにすれば、こんな二兆円とか何兆円とかが根雪にならないで、金利払いが少なくて済むじゃないですか。

 ここは改めるべきじゃないですか、総理。

高市内閣総理大臣 基金につきましては、各年度の所要額が見込み難い事業等について、安定かつ効率的な実施の観点から、あらかじめ一定の金額が保有されるよう措置しております。事業に必要な金額を支出するタイミングを事前に見込むことが容易でない事業について、基金という形で措置しているということは御理解いただきたいと存じます。

 財源の調達と支出につきましては、個別の支出に歳入項目や調達のタイミングが個々に対応しているのではなくて、税収、税外収入、国債など、歳入全体によって歳出全体の財源を賄うことを前提に、国の資金繰りとして支出されております。

 ですから、個々の支出のタイミングにひもづけて財源を調達するといったような運用は、実際にこの基金について行われておらず、また実務上も難しいということは御理解をいただきたいと思います。

後藤(祐)委員 先ほどの国土交通省の、日本中のもっとはるかに多い公共事業を担っていらっしゃる建設業の民間企業の資金需要というのは、その都度その都度、大体四半期ぐらいにこれだけ必要になるとかいうのをちゃんと把握して、市ごと、県ごととかまとめて、じゃ何月までにこれだけ必要だねとまとめて財務省にお願いして、それで国債を発行してとやっているんですよ。もっとはるかに多い企業数でできているんですよ、総理。

 ここが基金だけ何でできないのかというと、多分こういうことじゃないですか。

 つまり、基金というのは、実際の民間企業に払うのは、さっき言ったように一年後とか二年後になっちゃうわけですよ。そうすると、緊急性の説明が立たないわけです、総理。でも、補正予算に何とかのっけたい、本予算だとのり切らないから。そうすると、基金に対して財務省から支払うのは年度内に発生しましたというふうにしないと補正予算にのせる理由が立たないから、ただそれだけのへ理屈のために、補正予算にのっけるために、公共事業でやっているような合理的な仕組みができないんじゃないんですか。

 ここは是非、総理、簡単に、民間企業に迷惑をかけることはありませんから、一〇〇%ちゃんと払いますと、必要なタイミングで。できているんだから、国交省で。それをちゃんと保証すれば、必要になったときに払うことができるんです。ただ、何でそれを基金でやる必要があるんですかという話になっていっちゃうわけですよ。本予算で要求して、だから、これは本予算だったら別におかしな話じゃないんですよ。補正予算で、緊急性がないのに無理にのっけるからこういうことになって、そのツケが五百億、一千億という金利につながるんですよ。総理、この重みをよく考えてください。

 今日発表されたのかな、閣議決定された令和八年度予算編成の基本方針、来年度予算ですね、その中で、補正予算については、近年は常態化すると同時に規模が拡大している、こうした予算の在り方についても議論を進める、経済財政諮問会議等において議論を進めるとあります。こういうことを是非議論してくださいよ、総理。うなずいていただいたので、そこがどうなっているかはまたチェックしてまいりたいと思います。

 それでは次に、ちょっと話を変えまして、企業・団体献金の話に行きたいと思います。

 高市総理が代表を務める自民党の支部で、政治資金規正法で認められた上限である七百五十万を超える一千万円の寄附を受けておられました。これに対して、参議院の本会議では、別の主体であり、寄附を受けること自体が不適切であるとは考えておりませんという言い訳しかされておられないんですが、これは違法ですから、上限を超えたら。違法献金を受けたということについて、支部の代表としてどうお考えですか。

高市内閣総理大臣 私が代表を務める自由民主党奈良県第二選挙区支部では、企業からの寄附を受けるに際しましては、申出者に対して、資本金の額によって寄附額に制限があるという法律の内容について、書面でお伝えした上で寄附を受け取るということを徹底しております。

 御指摘の件でございますが、令和六年中、資本金十億円未満の企業から誤って寄附額の制限七百五十万円を超える一千万円の寄附がなされたというものでありました。同支部におきましては、判明後直ちに二百五十万円を返金いたしました。

 支部を代表する者として、大変申し訳なく存じます。

後藤(祐)委員 小泉防衛大臣も同じことを起こしていますよね。七百五十万円上限の会社から一千万円受け取っておられましたが、これについては、大臣記者会見でそのことに触れておられますけれども。

 私が調べたところ、少なくとも過去三年では、この七百五十万円というのは、一番資本金の少ない会社でも七百五十万円を受けることができるんです。ですから、七百五十万円を超えたような寄附をもらいそうなときだけチェックするだけでも、この違反を防ぐことはできるはずなんですよ。私が調べた限りでは、三年間でこの一社しかないはずなんですけれども、一千万円くれると言ったときに、資本金は幾らですかと確認しなかったんですか。何で確認しなかったんですか。

小泉国務大臣 本件につきましては、確認の結果、寄附を受けた企業の資本金額を知らず、上限を超える寄附を受けていたことが分かりましたので、上限を超える金額につきましては直ちに返還を行っておりまして、来年公表される令和七年分の収支報告書で返金を報告することとしています。

 今後は、しっかりと、寄附を受ける際の確認作業を徹底をして、再発防止に努めたいと思います。済みませんでした。

後藤(祐)委員 何でこの話をしたかというと、総理は、これから、日本版DOGEですか、名前は正式には違うかもしれないけれども、そこで補助金だとか会社の租税特別措置とかに切り込んでいくと勇ましく言っておられるわけです。ところが、こんな七百五十万円とか一千万円とか、そこまで行かないにしても、もっと全然小さい額でも、あっ、この租特を切るとあの会社に迷惑があるだろうなとか、顔が浮かんじゃいませんか、自民党の皆さん。今、ちょうど税の大詰めの時期だと思うんですけれども、全然浮かばないとか言っているけれども、本当ですか。

 つまり、何が言いたいかというと……(発言する者あり)

枝野委員長 御静粛にお願いします。

後藤(祐)委員 いや、浮かぶ人、浮かばない人がいるでしょう。しゃあしゃあと、浮かばない人は大したものだと思いますが。そうはいっても、こういった租特とか補助金に切り込むときに、やはりこの企業・団体献金があるとないではえらい違いなわけです。だからこそ、この企業・団体献金の議論に早く決着をつけようと言っているわけですよ。

 我々は本来禁止すべきだと思いますけれども、なかなか過半数そろわないので、もうちょっと、規制強化という形でどうかというところに我々も賛同する方向ですけれども、今日から、今日午前中、政治改革特別委員会が開かれて、そこでこの法案の審議がこの臨時国会で初めて行われました。初めて行われたんですよ。

 つまり、これは去年からずっと議論していて、通常国会でもさんざん議論して、我々は、この臨時国会、十月二十一日に始まって、早く議論しましょうよと、企業・団体献金。ところが、総理は知っているかどうか分からないけれども、与党側が、新しい法案を出すので審議するのは待ってほしいと、ずっと与党側が、この企業・団体献金の審議を政治改革特別委員会で始めるのを待ってくれ、待ってくれとずっと言っていたんですよ。それで、先週の金曜日にようやく自民、維新案が出てきたんですよ。

 我々は、ずっと前から議論しようと言っていたんですよ。それで早く決着がついていれば、議員定数の話ができたかもしれないじゃないですか。だけれども、待ってくれとずっと与党が言っていて、金曜日に自民、維新案が出てきて、今日初めて、それも含めて、自民、維新案というのは企業・団体献金に関するですよ、それも含めた企業・団体献金に関するいろいろな法案を、今日初めて臨時国会で、午前中、政治改革特で審議しましたが、早く採決しろとか、あるいは議員定数削減法案と並行で審議しろとか、むちゃくちゃじゃないですか、総理。何でもっと早く審議しなかったんですか。

 これは確認ですけれども、高市総理はそんなことよりとかいろいろおっしゃっていましたけれども、一つ確認したいと思いますが、企業・団体献金の関連の法案と議員定数の削減の法案と、これはどっちの優先度合いが高いということではないということでよろしいですね。我々は、本来、企業・団体献金法案の方が優先順位が高いと思っていますが、少なくとも議員定数法案の方が優先度が高いということはないということでよろしいですね。

高市内閣総理大臣 両方とも、もう既に衆議院に提出された議員立法案ですよね。その優先順位について、内閣総理大臣の立場でお答えするわけにはまいりません。これは国会の運営に関わることだと思います。

後藤(祐)委員 国会にお任せいただけるということだと思うんですけれども、国会のルールというのは先入れ先出し、つまり、先に審議にかかったものを先に処理して、それが終わったら次の法案、これが大原則なんですよ。ですから、それに従っていただくということでよろしいですね。

 つまり、企業・団体献金はずっと審議してきているわけですから、先に入っているわけですから、企業・団体献金の法案を処理をして、それが終わったら議員定数の法案ということでよろしいですね。国会にお任せするということは、そういうやり方をしようと国会の方で議論になっていったら、自民党の総理・総裁として口出しはしないということでよろしいですね。

 何でそこでメモが入るんですか。どんなメモを政府側が作っているんですか。

高市内閣総理大臣 先ほど来申し上げておりますけれども、これはもう議員提出法案として国会に提出されたものですから、そのお取扱いについては国会において決められるものだと思っております。

後藤(祐)委員 もう一度確認します。口出ししないということでよろしいですね。国会にお任せするということでいいですね。

高市内閣総理大臣 内閣総理大臣、口出しをいたしません。

後藤(祐)委員 自民党総裁としては口出しするということですか。

高市内閣総理大臣 自民党総裁としても、別に議案の順番については口出しをいたしません。国会でお決めいただくことだと考えております。

後藤(祐)委員 重要な答弁だと思います。是非これは与野党で、議論の進め方について、先入れ先出しで議論していきたいと思います。

 続きまして、今回の補正予算に戻りますが、公共事業、基金に次いで巨額の予算になっている防衛費について伺いたいと思います。

 今回の補正予算で、一・一兆円、防衛の関係費まで含めて積まれていて、これを合わせるとGDPの二%になるということですが、これについては後ほど同僚の源馬謙太郎議員がやると思いますので譲りますが、私がここで聞きたいのは、アメリカから防衛費をGDPの三・五%まで増やすよう求められているんじゃないんですかという点であります。

 GDPの三・五%といっても、テレビで見ている人はイメージが湧かないと思いますが、単純計算すると大体約二十兆円です。二十兆といっても分かりにくいかもしれませんが、現在の防衛費が大体十兆円で、それを倍にするというイメージで、消費税だと八%分、国民一人当たりで割ると大体毎月、一月一人当たり七千円ぐらい防衛費に払っているイメージなんですが、それが一万四千円になる、一月ですよ、そんなイメージであります。

 ここからは小泉防衛大臣と総理に是非聞いていていただきたいんですが、このアメリカから三・五%を求められているんじゃないかということに関連してなんですけれども、ちょっと紹介したいと思います。

 この週末、十二月六日、カリフォルニア州で行われたレーガン国家防衛フォーラムというところで、ヘグセス国防長官が次のように述べています。私たちは、同盟国とパートナー諸国に、真摯に立ち上がり、それぞれの役割を果たしてもらいます。私たちは、ただ乗りを容認しません。NATOはGDPの五%を防衛費に充てることを約束しました。三・五%を中核軍事費に、一・五%を安全保障関連投資に充て、世界中の同盟国に対し、大統領が設定したこの新しい世界基準を満たすよう圧力をかけています。これは効果を上げています。まず、ヨーロッパとカナダがそうでした。そして、つい先月、韓国はGDPの三・五%を中核軍事費に充て、イラクの通常防衛において主導的な役割を担うことを約束しました。ここからが大事なんですが、私たちは他のインド太平洋同盟国もこれに追随すると楽観視しています、このようにヘグセス国防長官が述べています。

 ここから防衛大臣に聞きたいと思いますが、アメリカにとって日本は明らかにインド太平洋の同盟国ですよね。とすると、ヘグセス国防長官は、日本もGDPの三・五%を中核的な防衛費に充てるということに追随すると楽観しているとおっしゃっているわけです。

 防衛大臣に伺いますが、この新しい世界基準、つまりGDPの三・五%を中核防衛費に充てるようアメリカ側から求められていますか。特に、十月二十九日に小泉大臣はヘグセス国防長官と会談されていますけれども、その中でGDPの三・五%という数字はヘグセス長官からおっしゃられましたか。

小泉国務大臣 もしもここでヘグセス長官が答弁できたら一番いいんですけれども、答弁できないので、私が代わりにヘグセス長官の発言を、十月二十九日を引いていただきましたので、その日の発言を御紹介させていただきます。

 十月二十九日、共同記者会見を私とヘグセス長官でしました。その際のヘグセス長官の発言は以下のとおりであります。アメリカから日本に対して何か要求したことは一切なくということがまず一つ。そして、アメリカ側のプレスの質問に答える形で、ヘグセス長官はこう言いました。日本は、相互尊重、共通の価値観、互恵的関係に基づき情勢認識も共有しており、日本に何をすべきか指示する必要はない。

 以上であります。

後藤(祐)委員 その後、今日までの間に、三・五%という数字に関連して求められたことはありますか。

小泉国務大臣 この十月二十九日に会った直後に、マレーシアでも再び日米防衛大臣会合を行いまして、その際にこの発言以上のことはありません。

後藤(祐)委員 そうではなくて、今日までの間に、防衛省としてアメリカ側から三・五%という数字に触れられて要求されたことはありますか。

小泉国務大臣 ヘグセス長官とは、まさに個人的な信頼関係の下で、この共同記者会見でも長官の自らの言葉でこのように言っていただいたことは全ての事務方が共有をしておりますので、この発言以上のことはありません。

後藤(祐)委員 どうしてそう逃げるんですかね。今日までの間に水面下も含めて、そういう十月二十九日の話じゃなくて、あるいはどこかの国でやったやつじゃなくて、部下の接触も含めてですよ、防衛省としてアメリカ側からGDPの三・五%という数字を挙げて要求されたことは、今日までの間に全くありませんか。

小泉国務大臣 そんなにアメリカが言うとおりにやりたいんですか。

 私がずっと言っているのは……(発言する者あり)いやいや、だって、これはまさに、アメリカが言うとおりやりますということを言わせたいということじゃないですか。

 ずっと言っているのは、日本が必要な防衛力は、主体的な判断で積み上げた結果が今のGDP比の二%だということです。

 そして、ヘグセス長官についても、まさにこの言葉のとおり、共同記者会見で、日本にアメリカが要求したことは一切ない、加えまして、日本に何をすべきか指示する必要はないというふうに、これ以上の発言をアメリカは日本以外の国にしていますか。全くしていませんよ。

 私はそれ以上言うべきではないし、このヘグセス長官の言葉に、何か後藤先生だったらこれ以上加えてほしいんでしょうか。

後藤(祐)委員 記者会見の話に戻りますけれども、まあ言われている可能性が高いですよねということを申し上げて、終わります。

 ありがとうございました。

枝野委員長 この際、下野幸助さんから関連質疑の申出があります。本庄さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。下野幸助さん。

下野委員 立憲民主党、三重二区、下野幸助です。

 まずは、昨夜、深夜に、青森県東方沖を震源として発生いたしました北海道・三陸沖地震によって被害に遭われました皆様、大変寒い中、避難され、厳しい夜を過ごされた皆様に謹んでお見舞いを申し上げます。また、高市総理を始め関係閣僚、職員の皆様、深夜まで対応、お疲れさまでした。

 さて、私は、地元三重県鈴鹿市の県議四期を経て、昨年十月、衆議院に初当選させていただきました。したがって、今回初めて予算委員会で質疑をさせていただきます。地元三重県の皆様を始め、党の先輩議員、そして一期生四十名の皆様、全ての皆様に感謝の気持ちを持って質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 それでは、まず、予備費の規模と使途の妥当性について、片山財務大臣、高市総理の順でお伺いをいたします。

 時間も限られておりますので、憲法や財政法の細かい説明は割愛しますが、通常、国の費用、税金を使うときは、財政民主主義の原則から、国会の議決に基づいて支出をしなければなりません。一方で、今回お話をする予備費はその例外であって、予算の執行段階において、予算編成時には予見し得なかった事態の発生や事情の変更等により、経費が不足する場合や新たな経費が必要になる場合に、内閣の責任で支出できるものとされています。そのように規定されているにもかかわらず、政府は、補正予算案で、残り三か月で七千九十八億円の予備費を要求しています。

 パネル一を御覧ください。これは、過去二十五年間、平成十三年、二〇〇一年から令和七年、二〇二五年現在までの予備費の使用額の推移です。

 平成の時代は、予備費を当初予算で三千五百億円程度で計上していました。そして、使用額が予算以下の場合は、余れば補正予算のタイミングで返すということもしておりました。もちろん、昨夜発生した北海道・三陸沖地震の初動対応などは予備費の経費になると思います。

 ちなみに、平成二十八年の熊本地震においては、予備費は緊急支援として二十三億円が充てられています。その後は、予算審議等を経て、特定目的予備費などで対応しています。

 さて、令和に入りまして、御覧いただきますと、当初予算で予備費は五千億円、さらには、昨年度は一兆円に膨れ上がるとともに、今年度は、当初予算で七千三百九十五億円、電気・ガス料金負担軽減支援事業などで四千四百九十三億円を使い、今、残りは二千九百二億円です。そこに、合計一兆円に合わせるために、七千九十八億円積み増す補正予算を政府は提案されています。

 そこで、片山財務大臣に端的にお伺いします。残り三か月、予備費一兆円、積み増す根拠は何でしょうか。

片山国務大臣 下野委員にお答えいたしますが、おっしゃるとおり、予備費は予見し難い予算の不足に充てるために設けられた制度でございまして、災害対応につきましても、当初予算や補正予算の予算編成時において見込めるものについてはその時々で計上してきておりますが、見込めないものについては、そういったことで使用するためにあるわけで、他方で、災害発生について、被害の状況、被災地のニーズに合わせて機動的かつ弾力的に財政措置を講じていく観点からは、一定の時間を要する補正ではなくて、予備費をある程度余裕を持って積んでおくということが考えられるわけでございます。

 今般の予備費の追加につきましても、リスクへの備えとして、今後仮に、自然災害の発生、更なる物価高等といった事態が生じた場合の予期せぬ財政需要に迅速に対応し、暮らしの安全、安心などを確保するために十分な額を措置するものとしたことでございまして、御理解をいただければと思います。

下野委員 先ほど申し上げましたけれども、熊本の震災でも、初動対応ということで予備費は二十三億円です。そして、今年度、残りもう三か月です。そこで一兆円も本当に必要なんでしょうか。これは、よくよく見ますと、当初が七千三百九十五億円です。そこに七千九十八億円の補正を乗せるということですから、今年度のボリュームといたしましては一兆四千億規模の予備費となります。大変な額です。

 一兆円の規模感、これは簡単に国民の皆様に申し上げますと、ガソリン暫定税率年間経費にも相当いたします。暫定税率廃止につきましては、自動車の町、浜松にも活動拠点を置かれる片山大臣のリーダーシップには敬意を表しますが、今回の予備費一兆円は大変大き過ぎます。

 そして、私が予備費の追加説明を政府にお願いしましたら、A4一枚紙でこういうのが出てきましたけれども、ここに書かれていることを少し読み上げますけれども、予備費は何で追加するんですか、自然災害の発生、更なる物価高、熊被害の拡大等と書いてあります。(発言する者あり)おっしゃるとおりです。熊もどれだけ出るんだということですけれども、クマ被害対策パッケージといたしましても百二十九億円計上しているんですよ、既に。

 そこで、なぜ七千九十八億円なんでしょうか。国民一人当たりにすると、更に六千円規模の負担を強いられるということでございます。この更なる熊被害対策とは何か、端的に片山大臣にお伺いいたします。

片山国務大臣 繰り返しにはなりますが、熊以外のところから始めますと、今回、能登につきましても自然災害からの復旧復興に必要な予算というのがございますが、非常に進まないと思われていた地盤の再建ですとか、あるいは公費による解体ですとか、そういったものが一気に進捗してくることがございます。そういった意味も考えますと、数百億とか一千億円単位の追加的な復旧工事等の費用というのは今までにもあったことでございますので、何といっても、繰り返しになりますが、リスクへの対応ですから、そういったものを大きな余裕を見て考えておるということでございます。

 熊におきましても、恐らく、様々な統計や様々な手法が出ておりますが、まだ全容が分かっていない部分もあるんでしょうから、環境省の方でそのようなものをお考えになって、それを参考にさせていただいたということでございますが、仮に三か月たって使わなければ国庫に返納し、それは、どこかに使われてしまうというようなことではなくて、新たにまた財源になるというものであるのが予備費でございます。

下野委員 熊に関しましては、実は私も、先月、十一月二十八日に安全保障委員会で、自衛隊による熊対策の実情調査を秋田県に行って聞いてきました。秋田県庁では、鈴木知事から熊対策の要望ヒアリングと自衛隊法第百条に基づき実施した自衛隊の活動状況を確認をさせていただきましたし、鹿角市では、自衛隊、地元猟友会の皆様との現場視察もさせていただきました。

 端的に言います。自衛隊の皆様、延べ九百二十四人の方々が、本来業務や大切な訓練を中断して熊除去対策を秋田県民のためにしていただきました。これは、私が試算すると、例えば一日一人五万円の人件費といたしますと、三か月でも十五億円程度と言われます。

 熊対策だけじゃないと言われるんですが、この予備費の説明ペーパーには、更なる物価高対策の次に熊被害対策拡大と書いてあるんですよ。そんなことで、残り二千九百二億円あるんですよ。先ほどからも金利の話が出ていましたけれども、七千億、三か月、金利一・九%で約三十五億円程度かかってきます。これだけあれば、後に話をさせていただきますけれども、学校の建て替え等も回せるんです。いま一度、予備費の計上、再検討いただけないでしょうか。高市総理にお伺いいたします。

高市内閣総理大臣 私は、むしろ予備費というのは、今のような時代には一定程度積んだ方がいいと思っています。仮に使い残しがあっても、これは消えてしまうお金ではなくて、国庫に戻るものでございます。

 特に、昨日も災害がありましたけれども、大きな災害が来て、それを復旧しようというときに、時間とともに明らかになる被害状況があったり、復旧復興が進む中で新たに生じる課題があったりして、今回も補正予算で能登半島に係るお金を措置しました。おとつい私も能登に入りましたけれども、やはり想像を超えたお金がかかり、どうしてもこれは補助を積み増してもらわないとできないんだというお声がございました。

 ですから、やはり、自然災害への対応ですとか、今でしたら、更に物価高が進んだり、不測の事態が起きたりというような様々なリスクに対応するために、早急に使える予備費というのは一定程度あった方がいいと私は思っております。

下野委員 私も、予備費を自然災害に使うということは賛成なんです。ただ、東日本大震災も、先ほどから言っている熊本の地震も、初動はそうなんですよ、その後は違うんです。予備費じゃない部分で、先ほどおっしゃっていただいた補正予算ということになっておりますので、そこの部分、切り分けて考えていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次の質問に入ります。次は公立病院です。

 私も地方議員の出身ですので、国と地方の在り方について、病院、学校の支援策について、今回の補正予算と照らし合わせてお伺いをしたいというふうに思います。

 総務省の調査によりますと、公立病院は全国の八三%が赤字です。我が立憲民主党の公立・公的病院改革ワーキングチームで今年の夏に、座長の岡本充功衆議院議員を始め国会議員七名で、三重県名張市にある名張市民病院を視察いたしました。北川裕之名張市長と意見交換を行い、人口約七万三千人の地方都市において大変厳しい経営状況にあることや、救急医療体制の構築における課題を共有いたしました。特に、研修医や看護師の皆様を始めとする多くの医療従事者の皆様が厳しい労働環境の中で頑張っているというお話もお伺いいたしました。

 このような人件費、材料費の高騰による構造的な赤字問題につきまして、公立病院の状況、医療全般をつかさどる厚生労働大臣にお伺いいたします。

上野国務大臣 お答えをいたします。

 公立病院につきましては、今委員からも御指摘がありましたが、例えば不採算医療であったり、あるいは特殊な医療であったり、地域医療にとって極めて重要な役割を担っていただいていると考えております。

 そして、現状でありますが、他の医療機関と同様に、物価あるいは賃金の上昇等、厳しい状況に直面をしているものと承知をしています。今御指摘がありましたとおり、公立病院では、令和六年度決算におきまして約八割が経常収支赤字だというふうに認識をしています。

 今般の補正予算におきましては、報酬改定の効果を前倒しをして、医療機関の経営改善、従業者の処遇改善につながるための緊急的な措置として、合計約一兆円規模の医療・介護等支援パッケージを盛り込んでおりますので、まずは速やかに医療現場にお届けができるようしっかりと取り組むとともに、地域で必要な医療が確保されますように適切に対応してまいりたいと考えています。

下野委員 今、上野大臣から医療・介護パッケージのお話がありましたので、パネル二を御覧いただきたいというふうに思います。こちらは、我が立憲民主党と政府案の比較した表であります。

 例えば、病院一床当たりにすると、立憲民主党と政府案にはかなりの差があります。一床当たりの支援、立憲民主党では百三十六万円です。政府案は十九・五万円と、かなり差があります。しかも、立憲民主党は医療従事者の処遇改善は別に計上する一方で、政府案の方は、賃金分に関しては賃上げを確約した病院だけを対象としたものになっております。政府案の方では、救急車の受入れや全身麻酔手術又は分娩取扱数による加算制度もありますが、このうち一番代表的な二百床モデルで比較した部分を御覧いただきますと、やはり一床当たり百三十六万円、政府案は六十四万五千円ということになっておりまして、立憲案の方が二倍ということになっております。全体を見ても、我々立憲民主党は、国債に頼らない補正予算案八・九兆円のうち二一%を医療の支援に回す。政府案は四・七%です。

 先ほど申し上げたとおり、予備費を削ってでも、やはり医療、命を守る、国民を守る、そして現場の声を反映した医療の処遇改善を手厚くするべきだと思いますが、高市総理のお考えをお伺いいたします。

高市内閣総理大臣 補正予算案における医療・介護等支援パッケージでは、医療分として、賃上げ支援に約一千五百億円、物価上昇対策に約三千八百億円など、総額約一兆円を緊急的に措置するということにしております。これは、診療に必要な経費に係る物価上昇への的確な対応や、物価を上回る賃上げの実現に対応する内容としております。

 しっかりと私たちも考えて、現場のお声も聞いて、そして、この補正予算案を提出する前に予算委員会が開かれました。そこで様々な与野党の議員の皆様から伺った、例えば診療所をどうするんだ、そういったお声もいろいろ伺いながら積み上げてきたものでございます。速やかに医療現場にお届けできるように取り組んでまいります。

下野委員 総理、現場のお声ということなんですが、我々も本当に医療の現場を聞いていますと、財政が厳しい中でも、我々も一・九兆円、医療支援に挙げております。

 そして、今日も本庄政調会長や先ほど後藤議員からもありました基金に関しても、まだ無駄があると思うんです。

 一つだけ実例を言わせていただきますけれども、医療情報化支援基金というものがあります。その基金、利用率は僅か二一%、予算六百二十億円に対して実績は百三十二億円。五百億円も一つの基金で余っているんですよ。こういった医療機関の、導入をしているのは一割しかないということも聞いています。

 ですので、何が言いたいか。もっともっと現場の声を聞いて、医療支援、これは命が懸かっている部分でございますので、そこの部分と、そして緊要性が高い医療や介護に予算を充填いただきますようによろしくお願いしたいと思いますが、いま一度、高市総理の御所見をお伺いいたします。

高市内閣総理大臣 特に、医療分野で情報化が遅れているというのは、大変もったいないことだと思っております。松本大臣がデジタル大臣であり、医師でもありますから、そういった意味では、これから医療分野の情報化がどんどん進み、それによって効率的に、また質の高い医療が提供できる、そういう環境をつくるために彼にお願いをしました。

 そういう意味では、これから医療分野というのは、情報化も進め、そしてまた、命を守るために本当に必要な対策というのをきっちりと行える。医療機関の体力をとにかく、止血をしなきゃいけないぐらい今傷んでいますので、そういう意味で、今回の補正予算で、医療に関して、また介護に関して、また障害福祉に関してしっかりと措置をさせていただいたということでございます。

下野委員 引き続き、命を、国民を守る医療支援について我が党も提案をさせていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、最後に、公立学校の施設整備について質問をさせていただきます。

 国内の学校の多くは、昭和四十年代後半から五十年代にかけて、児童数、生徒の急増により整備をされておりますが、全国的に校舎の建て替えや長寿命化の要望が多く、年間一万四千件以上の整備要望があるということです。

 ここで、パネル三を御覧いただきたいというふうに思います。

 年間三千億円ぐらいの要望に対して、当初予算は二割程度の七百億円ぐらいで推移をしているということでございます。地方の行政からいたしますと、補正が多いと、計画を立案したまま補正予算の成立を待っているとか、複数年度契約にもかかわらず工事がストップしているという声をたくさん聞きます。私の地元の小学校、中学校でも、工事が現実にストップしているということでございます。地方のこと、子供たちのことを考えると、しっかりと決算ベースで当初予算の対応をお願いしたいというふうに思います。

 続いて、パネル四を御覧いただきたいと思いますが、これはさらに、体育館等の空調設備の話でございます。

 端的に言います。令和十七年までに九五%目標ということなんですが、現在二三・七%、残り七〇%を詰めていかなければならないということなんですが、ここの部分をしっかりと要望をさせていただきたいと思いますが、一言、大臣、よろしくお願いいたします。

松本(洋)国務大臣 学校施設に関しましては、子供たちの学習、生活環境の場であるとともに、災害時には地域の方々の避難所にもなることから、学校施設の老朽化対策と防災機能強化を一体的に推進していくことは重要だと考えております。

 今回の補正予算におきましても、「強い経済」を実現する総合経済対策に基づきまして、危機管理投資、成長投資による強い経済を実現するため、学校施設の耐災害性の強化を図るものであり、一刻も早く自治体に対して支援を開始する必要があると考えているところであります。

 空調設備に関しましては、こちらに関しましては、補助率のかさ上げであったりとか補助単価の引上げ、こうした措置を講じることによって、より一層利用していただきやすい、そうした取組というものを進めているところであります。これらを活用して整備を進めていただきたいと存じます。

下野委員 ありがとうございました。

 これからもしっかりと国民に寄り添った政策提案をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

枝野委員長 この際、松尾明弘さんから関連質疑の申出があります。本庄さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。松尾明弘さん。

松尾委員 立憲民主党の松尾明弘です。

 高市総理、震災対応から、長い間お疲れさまです。

 私でもう立憲民主党七人目のバッターということになりますけれども、我々立憲民主党は、予算の無駄を省き、急いでいないものはきちんと本予算に回して、補正予算については迅速な物価高対策に注力すべきだ、こういった観点で、みんなで力を合わせて補正予算の内容について一つ一つ点検をして、こうやって質問をさせていただいております。

 こういった観点から、私からは、法務省の所管の予算について、法務大臣及び総理大臣に質問したいと思います。

 まず、補正予算の議論をするに当たりまして、大前提といたしまして、補正予算の策定に際しては、財政法の二十九条で緊要性といった要件が定められております。この緊要性の要件の内容及びこれが定められている趣旨について、法務大臣の認識を教えてください。

平口国務大臣 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、補正予算については、財政法二十九条において、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出を行う場合などに補正予算を作成することができるとされているものと承知をいたしております。

 法務省としても、こうした財政法第二十九条の規定を踏まえ、令和七年度当初予算の作成後に生じた事由に基づき緊要性が認められるかにつき精査した上で、緊要性が認められるものを今般の補正予算に計上したところでございます。

松尾委員 そのとおりだと思うんですね。

 ただ、そういった観点で法務省所管の予算を見ると、本当にこれは緊要性があるんだろうかと疑問を持たざるを得ないものが幾つか含まれていると思っています。例えば、費目として、電子渡航認証システム開発等で七十八億円、マイナンバーを活用した情報連携に係るシステム整備等で八十三億円、法務省施設の建て替え、改修、修繕等で二百九十九億円などが計上されています。

 これらの施策、費目が要らないと言うつもりは私もありません。しかし、この施策の性格上、システムの整備であったりとか建物の改修なんというものは、計画的に予算を立てて中長期的に実行するべきものであるというふうに考えられますけれども、何でこれは補正予算の対象とされているんでしょうか。先ほどの緊要性の観点からどのように整理されているのか、教えてください。

平口国務大臣 緊要性の観点からして必要であると考えられるものを計上したわけでございますが、例えば外国人の場合ですと、外国人が想像を逸して非常に増えているというふうなことがございまして、当初予算成立後に、そういう増えている状態に対して対応しなければいけないということでもって、こういう予算を計上したものでございます。

松尾委員 その外国人が急に増えたというのもいまいちぴんとこなくて、訪日外国人なんかについては、政府が近年度中に六千万人という目標を立てて、それに向けて順調に増えているというふうに評価をされているというふうに私は認識しています。

 さらに、近時は、特に十一月以降は中国人の訪日も減っているということで、外国人の来日は減っていると思うんですけれども、これに関して、何でこれは急に増えている、本予算をつくってから緊要性があるというふうに考えているんですか。大臣、教えてください。

平口国務大臣 日本政府観光局の発表によると、本年十月の訪日外国人は三百八十九万人でございまして、十月として過去最高のものになったというふうな数字もございますので、そういう観点から補正予算を計上したということでございます。

松尾委員 繰り返しになりますけれども、訪日外国人を増やしていこうというのは政府の計画であって、今、昨年度の三千六百万人から六千万人まで増やすのであれば、去年より増えて史上最高になるのは当たり前じゃないですか。何でこれが急に決まったというふうになるんでしょうか。

平口国務大臣 当初想定したよりも相当程度多かったということでございます。

松尾委員 どのくらい想定をしていて、それが三百六十九万人になったんでしょうか。

平口国務大臣 ちょっと数字は今持ち合わせておりませんけれども、相当程度大きくなったことは確かでございます。

松尾委員 数字がないのに何で相当程度増えたと分かるのか、ちょっと私には理解できないんですけれども、もう一回教えてもらってもよろしいですか。

平口国務大臣 細かい数字のことは、事務方に答えさせてもらいます。

村松政府参考人 お答え申し上げます。

 今、幾つか御指摘をいただいておるかと思います。訪日外国人者数につきましては、済みません、ちょっと今この場で、こういった数字がこういった数字というところを申し上げられるところがないんですけれども……(発言する者あり)

枝野委員長 村松さん、数字はないんですね。

村松政府参考人 はい。

枝野委員長 はい、結構です。

松尾委員 数字の根拠がなくて、しかも、先ほどおっしゃっていた数字は政府の計画から大きく離れていないんじゃないかと私は認識しているんですけれども、それをどこに聞いても分からないのであればしようがないので。

 ちょっともう一つ、違った観点から教えてください。

 先ほど私が申し上げた、システムの整備であったりとか、あとは建物の改修、しかも、これは規模が何十億円、何百億円という規模ですから、そんな三か月でぽっぽっぽっとできるようなものではないと思うんですけれども、これは年度内にきちんと予算執行できるんでしょうか。

平口国務大臣 システムの経費としては、法務省関連では、例えば、JESTAといいますけれども、電子渡航認証制度について早急に導入しなければならないということで計上したりしたものもあるわけでございます。

松尾委員 使い切れるかどうかというのを聞いておりまして、特に、昨今は、システム開発をしようとしてもIT人材が人材不足だということも言われていますし、建物の補修をしようとしても建設現場も人手不足だというふうに言われているんですけれども、これは、緊急だ、緊要性があるといってやって、三か月でできるものなんでしょうか。大臣、教えてください。

平口国務大臣 それまでの計画では、JESTAの場合は、平成十二年度に計画が達成されるということなんですけれども、それを……(発言する者あり)令和ですね、令和十二年度に達成するということだったんですけれども、それを令和十年度中に目指すというふうに改正されたわけでございます。そのために、平成七年度中からシステム開発を進めるために必要な経費を補正予算に計上したものでございます。平成七年度中の……(発言する者あり)令和七年度中の予算執行に努めてまいります。

松尾委員 変わったといっても、あと丸三年あるわけで、そんなに緊急に、緊要性を持って対応するべきであるというふうにはなかなか考えられないのですけれども、是非その辺りは考え直していただければと思います。

 ちょっと先に進みます。

 違う費目で、公正な在留管理の推進、共生社会の実現に向けた取組の推進という中に、不動産登記における国籍情報の把握のためのシステム改修といったものが挙げられております。国籍の把握を不動産登記の中でしていくとしても、大体一年間でどのくらいの件数を把握することができるようになるんでしょうか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 土地及び建物の所有権の保存、移転の登記は、合わせますとおおむね年間約一千万筆個となっております。

松尾委員 一千万筆個というのは多いような少ないようななんですけれども、これは不動産登記全体の中でいうとどのくらいの割合になるんでしょうか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 不動産登記簿に記録されている不動産の総数は、合計で約二億八千万筆個でございます。ですので、土地及び建物の一年間の所有権の保存、移転登記が全国の不動産登記に占める割合は、単純計算でいうと約四%となっております。

松尾委員 四%ですと、国籍の情報を入れていったとしても、全体像が把握できるまでには相当の時間を要するというのはすぐに分かるわけです。当然これから入れるわけですから、過去分まで含めて把握はできませんから、フローは把握できたとしても、ストックは全然把握できないんですね。

 直近の取引における国籍がどうかというのについては、先日、国土交通省が発表しておりまして、三大都市圏、地方四市における国外居住者の買主という切り口では、大体三%、都心六区でも七・五%にすぎないというふうに言われております。

 これで一定程度もうフローは把握ができているにもかかわらず、ストックが把握できないのであれば、このシステム改修を慌てて緊要性があるといってやっても、近時言われている不動産の価格の高騰等に対する国民の懸念を解消という観点からは余り実効性がないんじゃないかというふうに考えられますけれども、大臣、その辺り、どのようにお考えでしょうか。

平口国務大臣 外国人による不動産保有の実態を把握するためには、関係省庁が一体となって対策を講ずることが重要でございます。

 不動産登記は当事者の申請等がなければならないというふうにされているところでございまして、不動産登記制度において所有者の国籍を把握するに当たっては、総理の指示を踏まえて、所有権の移転登記時に、新たに所有者となる者からその国籍情報を得ることなどを検討しているところでございます。これによって、現に取引がされている不動産の最新の所有者の国籍情報を把握し、蓄積していくことができると考えられるわけでございます。

 法務省としては、不動産登記制度を所管する立場から、外国人による不動産保有の実態を早期に把握することができますよう、関係省庁と連携してしっかりと検討してまいりたいと考えております。

松尾委員 それが早期にならないのではないですかという話をしておりまして、早期にならないからこそ、この補正予算における緊要性という要件が全く満たされていないのではないかという質問なんですけれども、その緊要性を満たしているのかという点について、大臣、お考えを教えてください。

平口国務大臣 緊要性ということについては満たしているものと考えておりますが、それは、時々刻々変化する事情に応じて、当初予算後に生じた事柄に対応するためにしたということでございます。

松尾委員 なぜ緊要性が生じていると言えるのかというのが質問なんですけれども、最後にもう一回だけ教えてください。

平口国務大臣 不動産登記制度というのがベースになっているという話がございますので、当初予算の成立後に生じた事由にも対応していくということでございます。

松尾委員 余りこれ以上聞いてもいいものが出てこなさそうなので、先に行きます。

 立憲民主党は、この不動産取引の実態把握について、十二月一日に不動産取引実態調査法案というものを提出しております。不動産価格の高騰や情報の不透明性からくる不安を解消して、誰もが安心して暮らせる地域社会を実現するためには適切な実態把握が不可欠であるといった観点から、不動産情報の収集のみでなく、既にある情報を整理、活用することも目的にしております。

 この法案が想定しているように、例えば、外為法であったり、国土利用法、農地法等で取得済みの国籍情報を含む既存情報を最大限活用するといったことの方が、新たに毎年毎年四%ずつ情報を収集するよりも、コストもかけずに政策目的の達成には資するというふうに考えますけれども、既存の情報を最大限活用することについて、大臣の考えを教えてください。

平口国務大臣 できる限り広く情報を集めて、それをベースとして施策を考えるということでございます。

松尾委員 そうしたら、そういった施策についても政府として取り組んでいただけるということでよろしいでしょうか。

平口国務大臣 御指摘の点についても検討したいと思います。

松尾委員 そうしたら、ちょっと補正予算の中身に戻りまして、公正な在留管理の推進、共生社会の実現に向けた取組の推進等という大きな費目の中に、内訳を見ると、この在留外国人政策については、先ほどから申し述べているとおり余り緊要性がないんじゃないかと思われるにもかかわらず、八十三億円余りもの予算がつけられている一方で、多文化共生に関連する予算というものが約五億五千万円ということで、非常に少ないんですね。

 今、在留外国人が非常に増えていて、適法に在留している外国人が非常に日本で増えている中で、この多文化共生に割いているのが非常に少ないというのはバランスが悪いというふうに思うんですけれども、この外国人との共生のための政策について、緊要性の観点を持って、もっと力を入れるべきだというふうに考えますけれども、この政策について、法務大臣の考えを教えてください。

平口国務大臣 多文化共生ということでございますが、一部外国人の違法行為やルールからの逸脱に対して、国民の皆様がやや不公平を感ずる状況が生じているところでございまして、まずこれは排除するということでございます。この点、高市総理の方から、外国人との秩序ある共生社会の実現に向けた取組を強力に進めるようにという指示を受けておりますので、法務省としては速やかに対応する必要があるというふうに考えております。

 外国人との秩序ある共生社会を実現するためには、外国人も共生の理念を理解し、日本のルールや風土、文化等を理解するように努めていくことが重要であると考えております。

松尾委員 今、法務大臣からも御答弁いただいたように、在留外国人の数は増えておりますし、これからも増加をしていくということが見込まれているわけです。

 こういった社会、日本の社会において、多文化共生といったことがよりこれまで以上に必要になるというふうに考えていますけれども、この多文化共生の政策について予算もつけてきちっと力を入れていくという点について、総理からも是非力強いメッセージをお願いします。

高市内閣総理大臣 ルールを守って暮らしておられる外国人の方が住みづらくなってしまうようなことは、あってはならないと思っております。

 ですから、できるだけ政府においては、外国人在留支援センターにおける情報発信とか相談対応もしておりますし、また、子供たちを対象に、共生社会に関する意識の醸成、理解を促進するための出前講座もしておりますし、様々な観点から、この多文化共生、これを大事にしながら、お互いにルールを守って共生していける、そういう社会づくりに邁進してまいりたいと思っております。

松尾委員 今日はなかなか緊要性にぴんとくる答弁をいただけなかったから残念なんですけれども、これからも、こういった予算は補正予算から削っていって、物価高対策に立憲民主党は全力で力を入れていくということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

枝野委員長 この際、源馬謙太郎さんから関連質疑の申出があります。本庄さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。源馬謙太郎さん。

源馬委員 立憲民主党の源馬謙太郎です。

 私からも、昨日の地震で被害に遭われた皆様に心からお見舞い申し上げますとともに、総理におかれましても、深夜まで御対応いただきまして感謝申し上げたいと思います。

 今日は、私は、この補正予算のうちの防衛関係費、安全保障に関する予算について中身を議論していきたいなと思っています。

 前提として、我々も、これは補正予算かどうかは別として、我が国の安全保障に必要なものはしっかり予算措置をしていかなくてはいけないという立場でありますし、特に人的基盤の強化や自衛隊の対処能力の強化などは、まだまだもっと推進してもいいのではないかというふうに思うぐらいの立場であります。

 ただ、本当に今、補正予算でこれらの予算を組むべきかどうかというこの点について、今日は議論させていただきたい。そして、本当にそれで防衛力が強化されるのか、こういう視点で議論していきたいと思います。

 まず、防衛費が今回の補正予算でGDPの二%になったということですが、そもそもなぜこの二%達成を二年前倒しされたのか、総理のお考えを伺いたいと思います。

高市内閣総理大臣 令和七年度の補正予算では、防衛力強化のための事業として、例えば自衛隊における人的基盤の強化、ドローン対処器材の整備などの自衛隊の活動基盤の強化、自衛隊の装備品の納入の安定化や早期納入の確保、米軍再編の着実な実施といった今年度中に実施すべき緊要性のある事業を積み上げて、約八千五百億円を計上しました。

 その上で、これらを含む安全保障関連経費が一・一兆円程度、つまり令和七年度当初予算と合わせた合計額が十一兆円程度となったわけで、これで結果として国家安全保障戦略に定める対GDP比二%水準に達することとなったということです。

源馬委員 ありがとうございます。

 防衛大臣に伺いたいんですが、この計上された、結果的に二%になったというものの中にどんな予算が入っていたのか、ちょっと教えていただけますか。

小泉国務大臣 今、高市総理から大枠についての御説明がありましたが、その具体的な中身、幾つか御紹介させていただきます。

 先ほど総理が人的基盤の強化に係る経費というふうに申し上げましたが、例えば、その中身について、約八割以上の自衛隊の皆さんが入る隊舎の居室が今は個室になっていませんので、それを個室化をする、これが八割程度進みます。そして、空調設備につきましても、今回の補正予算が措置をされれば三か月程度整備が早まる計画であります。

 そして、昨日も、今日ですか、群馬県におきましても、山火事に対する災害派遣、これを自衛隊がやっていますが、今年は大船渡、大分、そして今日の群馬、こういった山火事の消火のときに使うようなバケットのような、水を山の方に、火事の方にかける消火器材、こういったものも、今は任務が増えていますので、追加の調達もしなければいけませんし、ドローン対処器材もそうです。

 そして、円安も含めまして、納入をより早く担保しなければいけないといったことなどがありますし、もっと述べたいんですけれども、短くという感じがしますので、これで。

源馬委員 ごめんなさい、私の聞き方があれだったかもしれません。その細かい内容を知りたいというわけではなくて。

 具体的にお聞きしますと、今年の当初予算のときまでは、二%かどうか計算するときに、米軍関係経費やSACOの関係費というのは入っていなかったと思うんですよね。今回は多分それも入れて二%達成したということだと思うんですけれども、それでよろしいですか。

小泉国務大臣 今、源馬委員から御指摘のとおり、日米同盟の抑止力、対処力を強化しつつ地元負担の軽減を図るための米軍再編を着実に実施するための経費、そして海上保安庁の巡視船整備に要する経費やPKO関連経費等の関係省庁の所管経費として約一千五百億円、そして、国家サイバー統括室、NCOの設立を踏まえたサイバー安全保障に必要な体制整備のための経費等として約五百億円、こういったことなども加えまして、政府全体では一・一兆円程度となりますので、当初予算の九・九兆円と合わせて、合計額約十一兆円程度ということになります。

源馬委員 これ以上細かいことはちょっとまた別の機会にしますけれども、令和七年の当初予算のときに、現在のところ一・八%ですというふうに、当時は中谷防衛大臣ですが、おっしゃっていた。そのときは、米軍関係経費やSACOの関係費は抜いていたわけですね。それを入れないで一・八%だった。

 今回は、補正を新たに入れるというのもそうです、新しいですが、更に米軍関係経費まで入れちゃって、二%に達成しましたと言っているわけです。計算の仕方も変えて、とうとう二%に達成しましたと言うんだけれども、それは一体どんな意味があるのか。総理が二%を前倒しする、この数字に合わせるために米軍関係経費までも急に入れた、こういうふうに見えるわけですが、いかがですか。

小泉国務大臣 先ほど、当初予算の方では入っていなかったという話がありますが、SACOの米軍再編など、防衛力の抜本的強化を補完する取組ということで入っております。

源馬委員 ちょっとこれはまた後ほど、別の機会に議論させていただきますが、我々が調べた範囲ではこれは入っていなかったはずです。きちんとそこは改めて議論をさせていただきますけれども。

 要は、何を二%の中に入れるかという基準まで変わって、二%達成したということに、やはりこれは、総理が二%前倒ししたいという目標を掲げて、私は、そこに、さっきのヘグセス国防長官の話もありましたけれども、アメリカの意思が全くないというのはちょっと苦しいんじゃないかなというまず前提を申し上げておきます。やはりアメリカに見てもらうためにも、計上する中身を変えてまで、二%、日本は達成しましたよ、そういうポーズではないかなというふうに私は見て取れました。この点はまた後ほど議論させていただきたいと思います。

 先ほど総理からも、緊要性のあるものを防衛関係予算にも積んだというお話でしたけれども、これをちょっと一つずつ見ていきたいと思います。

 まず一つ目、馬毛島の滑走路などの整備についての事業、二千七百五十一億円ですね。これは今日も何度も議論されていますが、そもそも補正予算というのは、予算作成時には予見できなかったことが起きて、緊要性がある場合にそれに対応する、しかも年度内に使い切るのが原則だということは共通の理解だと思います。この二千七百五十一億円、あと三か月で私は使い切れないんじゃないかなと思いますが、事前のレクで防衛省は、私個人だけじゃなくてうちの党の国対ヒアリングでも使い切りますと断言していましたが、大臣、これは使い切りますね、三か月で、二千七百五十一億円。

小泉国務大臣 もちろん執行に全力を尽くすというのは当然ですし、恐らく、お示しをいただいているこのパネル、資料から源馬先生が言いたいことというのは、この前これだけ残って、今回、残りの期間までどうやって執行するのか、そういったことかもしれませんが、馬毛島の関連の施設整備もそれなりに進んでいまして、今、馬毛島の施設整備においては、島内に作業員が滞在するための宿舎や物資輸送のための仮設の桟橋が完成するなど着実に工事を実施できる体制が整ってきていることから、適切に執行できると考えております。

源馬委員 では決算を楽しみにしたいですが、もちろん適切に執行していただけるならその方が望ましいですけれども、この二千七百五十一億円のうち大半、約千九百億円が、一般物件費といって、これから新たに契約をして、そして支払いをして執行していくというもので、私は、今から三か月で、新たな契約をして、しかもお金を使い切るというのはなかなか難しいのではないかなというふうに思います。

 ちなみに、ちょっと大臣、先取りされましたが、令和六年の補正予算で同じような予算が計上されています、千三百七十七億円。これはいつ全額執行されましたか。

小泉国務大臣 令和六年度の補正予算の歳出ベースの千三百七十七億円ですよね、こちらにつきましては、予算執行の過程で、気象、海象の影響に伴う工事の長期化などといった理由から執行が困難な状況となりまして、令和六年度までの支出済額が三百四十一億円となっておりますが、現時点までにこの千三百七十七億円に対応する工事等の契約は全て完了しております。

源馬委員 これは事前でもお願いしたんですが、先ほど経産省や内閣府は答弁がありました、どのぐらい執行したかというのは。防衛省は、何度聞いても、まだ決算していないので分かりませんということでしたけれども、多分まだ使っていない額があるんだと思います。

 令和五年の馬毛島の予算についても同じことを聞きましたが、これも分からないというお答えでした。令和五年度の分が幾ら残っているか分からないというのは、これはちょっと余りにも、ないと思います。もし今、手元にあれば、参考人、教えてください。

森田政府参考人 済みません、すぐ確認させていただきたいと思います。

源馬委員 要するに、これだけ、当然使い切るつもりと言っていても、なかなか使い切れていないというのが現状だと思います。

 その上で、このパネルを見ていただきたいんですが、この馬毛島の滑走路等の整備の事業ですけれども、令和四年から当初予算と補正予算でいろいろ予算を組んでいるんですが、大体、毎年補正もがっつり組んで、そして今申し上げたとおり執行し切れていない。

 特に、令和六年と七年は、ちなみにこのパネル、ちょっと当初予算と補正予算のベースが違うということは先ほど防衛省から御指摘いただきましたが、いずれにしても、六年は、当初予算三百二億円に対して補正で千三百七十七億円、当初の四倍を積んでいる。そして、令和七年は、四百七十三億円の当初予算に対して二千七百五十一億円、五倍の補正を積んでいるということです。

 これは、本来、当初予算で組むべき事業だと思うんですよね、滑走路の整備なんというのは大体分かっているわけですから。補正で組まなくてはいけなくなった緊要性というのは一体何なのか、そして同時に、補正予算を組むことで工事の完成予定がどのぐらい早まる予定なのかを伺いたいと思います。

小泉国務大臣 まず、馬毛島の環境ですけれども、外海に位置していまして、社会インフラが全く整っていない、そういった離島の中での大規模工事という特殊な施工条件の中で行われているということは御理解をいただきたいというふうに思います。

 その上で、本件事業に係る令和七年度補正予算として、労務費、資機材価格の高騰等により追加的に必要となった経費、そして、造成工事における盛土量の追加などの予算計上時からの事情の変更により当初と異なる計画に基づいて支出する経費を計上しております。

 これらの経費は、このような特殊な施工条件の下、事業の進捗状況を踏まえ、内容を精査した上で、馬毛島における自衛隊施設の整備を引き続き現在の計画に沿って着実に進めるために不可欠なものとして計上しています。

 馬毛島の事業全体の完了は令和十二年三月末となる見込みでありますが、早期の運用開始を目指して、最低限必要となる施設については先行して完成させる考えでありまして、この補正への計上についても御理解をいただければと思います。

源馬委員 厳しい環境ということは想像できますけれども、それにしても、当初予算で三百億円積んでいたのを、補正で、予見できなかったことが起きたといって千三百七十七億円積むとか、これはやはりおかしいと思います。

 だったら、もし仮にそうなら、令和六年でそう思ったら、令和七年の当初でもっと積めばいいじゃないですか。ここも四百七十三億円にしておいて、また補正、三か月間で二千七百五十一億円を使う。やはりこれはおかしいと思いますよ。

 今大臣おっしゃったように、完成予定は令和十二年の三月、これは変わらないわけですね、補正予算を組んでも。これは事前に説明していただきました。変わらないということは、そもそも最初から当初予算と補正予算ありきでこの馬毛島の事業をやろうとしているということじゃないですか。だったら、もう最初から当初予算にしっかり必要な額を積むということが私は大事だと思いますが、総理、その辺の御認識を伺ってよろしいですか。

高市内閣総理大臣 まさに委員がおっしゃったとおり、必要な予算は当初予算にしっかりと積むという方向性に向かって、今改革を始めようとしております。既に指示を出したところでございますし、経済財政諮問会議でもそのように発言をいたしました。

 あと数か月でと言われたら、今、補正予算もこうやって編成しましたし、そして、もう来年度の当初予算、これも迫っておりますから、ちょっと、再来年、あと丸一年は待っていただかなきゃいけないと思うんですけれども、そういった形に予算編成の在り方を変えていきたいと思っております。

源馬委員 分かりました。ありがとうございます。

 次に、ちょっと防衛増税について伺っていきたいんですが。

 今、例えばこの馬毛島のとおり、補正にふさわしくないものまで積んで、GDP比二%の防衛費を達成したということであります。そもそも、二%というのは大変なことで、なので、これまでもいろいろ議論があり、財源が足りない分は、一兆円分は国民の皆様に税金、増税でお願いするという話でありました。

 たばこ税、法人税は決まっていましたが、最近、残りの所得税の増税について、報道で、自民党内で二〇二七年度から所得税を増税する方向で議論をしているという報道がありましたけれども、このとおり、防衛費に関する増税を行う方針でよろしいでしょうか、総理。

高市内閣総理大臣 防衛力強化に係る財源確保のための税制措置のうち、所得税につきましては、令和五年度与党税制改正大綱等の基本的方向性を踏まえつつ、引き続き検討することとされています。現在は与党の税制調査会で議論が行われておりますので、政府としては、与党における御議論の結果を踏まえて対応をしてまいります。

源馬委員 いずれにしても、防衛力整備のための所得税増税はあるというお話でしたから、これは国民の皆様にもしっかりと説明をこれからしていってもらわなくてはいけないと思います。

 ここで、先ほどの後藤議員の議論にちょっと戻りたいと思うんですけれども、ヘグセス国防長官の演説が御紹介されました。同盟国には三・五%、関連費も合わせれば五%の負担を求めていく、これは日本も含めてだと思いますが、日本とは書いてありませんが、全ての同盟国がこうしていくだろうと楽観視しているということがありました。

 小泉大臣は、きっとうそがつけないので、はっきりはおっしゃらなかったですが、まあ、言われているわけですよね、アメリカからは何らかの形で。ヘグセス国防長官から直接じゃないにしても、その意思は同盟国の日本にもやはり伝わっているわけですよね、五%にしてくれ、三・五%にしてくれという意思が。これも伝わっていないというのは、ちょっと私はにわかに信じられないと思いますが、いかがですか。

小泉国務大臣 ヘグセス長官が申し上げた共同記者会見における発言、私は、これは本当に同盟国のきずなの強さ、結束の強さを証明していると思います。アメリカ側から日本に要求することは一切ない。そして、日本は同じ価値観を共有しているので、何かをしてくれとすることも一切ない。

 ですので、何かこれ以上加えることはあるのでしょうか。

源馬委員 それは苦しいと思いますよ。ほかの同盟国全てに求めて、日本だけ例外なんということがないというのは、今回の関税のことでも分かりますよね、やはり。そんなことはないと思います。

 その前提に立って、じゃ、今後この対GDP比二%がこれ以上上がる場合は、アメリカは関係ないというふうにおっしゃるのであれば、仮に例えばGDP比に対して新たに三・五%、それから五%になった場合は、もっと国民に負担をお願いしなくてはいけない部分が増えるわけなんですね。しかも、対GDP比を令和四年のGDP比でやっているのは日本だけだと思います。直近のGDP比に対して、もっと例えばパーセントが上がれば、当然、我々が防衛費にかけるお金も増えていくということだと思います。これ以上増税もないように是非お願いしたいというふうに思います。

 ちょっと補正予算に戻りますが、ちょっとパネルを。

 補正予算のうち前年度剰余金受入れというものがありまして、この中で、前の年に使わなかった部分がいろいろ振り分けられるわけですけれども、四番の防衛財源として活用、このうち防衛力整備対象経費の財源として活用の五千億円、これは分かります、今回の補正で使うということだと思います。それで、その下の六千二百八十七億円の防衛力強化資金への繰入れ、これが、この資金に入れる余剰金、この六千億円があれば、これを補正予算の財源に使えば、この分、国債を新たに発行しなくてもよかったはずなんですけれども、なぜこれが、この防衛力強化資金に繰り入れなくてはいけなかったのか、教えていただきたいと思います。

高市内閣総理大臣 決算剰余金につきましては、歳出改革や税外収入、税制措置とともに、現行の防衛力整備計画に基づく防衛力の抜本的強化に必要な経費の財源に活用することとされています。

 また、防衛力強化のために必要な歳出と、確保した歳入にはタイミングのずれが生じます。そこで、防衛力強化資金を活用して、年度を越えた調整を行い、安定的に必要な財源を確保することとしております。

 こうした方針を踏まえまして、今般の補正予算におきましては、令和六年度決算剰余金のうち、公債の償還に充てるべき金額等を除く約一・一兆円について、補正予算における防衛力整備計画対象経費に約〇・五兆円を充当した上で、残る約〇・六兆円を防衛力強化資金に繰り入れることとしました。

 政府としましては、必要な財源を確保しながら、防衛力強化を含む各種の施策を進めていきたいと考えております。

源馬委員 余ったお金、使えるお金を資金に回しておきながら、補正で、足りないからといって国債を発行し、負担は国民の皆様に、防衛力に関してはですね、増税をお願いするというのは、やはりこれはなかなか納得できないものだと思います。

 済みません、ちょっと時間がなくなって、次のパネルをお願いします。

 一方で、使っていないお金もあるわけですね、防衛予算の不用額、使い残した額というのが。これは、御覧のとおり、六年連続で一千億円以上使っていないお金があるわけです。

 これも、不用額が六年連続であり、積み過ぎだと思うわけですけれども、さらに、これで今後防衛費を増やして、それを、足りない分は増税で賄っていくというのは、国民の理解は到底得られないと思いますが、先ほどの、これ以上対GDP比が上がるか上がらないかも含めて、総理のお考え、国民の納得が本当に得られるのかどうか、使っていないお金もあり、余ったお金は資金に回して、そして足りない分は増税をお願いする、これでは国民の理解は得られないと思いますけれども、総理の御認識を伺いたいと思います。

高市内閣総理大臣 不用が発生した理由については、防衛大臣もこれまで説明をしてきていると思います。

 ただ、不用額が出るときというのは様々な事情がありますが、今の日本の周辺を取り巻く安全保障環境というのは非常に厳しくなってきています。何が何でも国民の皆様の生命も、そして領土も守り抜かなきゃいけない、そういう大事な時期でございます。

 防衛力というのは、これは日本が主体的に、先ほどからパーセンテージの話が出ていましたけれども、日本が主体的に必要な防衛力を整備していく、それをしなければ国も守れない、国民の皆様の平和な暮らしも安全も守れない、そういう状況に来ているということでございます。

源馬委員 まさに主体的に決めていただかなくては困るわけです、必要な額を積み上げて。それを見ても、やはり不用額も出ているし、補正予算で組むべきものでもないものが補正でも組まれている、こういう状況があると思いますので、アメリカに言われたから、パーセンテージを上げないのであればそれでいいですが、もしそういうようなことがあるなら、やはり国民の皆様にもきちんと説明をする必要があると思いますし、一つには、アメリカに言われてそのまま上げるということがないように、そこはしっかりしていただきたいと思います。

 最後に、ちょっと幾つか飛ばしましたが、非核三原則の見直しについて伺いたいと思います。

 以前、公明党の斉藤代表に対して総理の答弁で、現在は非核三原則を政策上の方針として堅持しているが、その上で、持ち込ませずについては、岡田外務大臣の答弁を引き継いでいる、つまり、緊急事態が発生し、核の一時寄港ということを認めないと日本の安全が守れないという事態があれば、時の政権が命運を懸けて決断するというものであるとおっしゃっていました。今はそうだと思います。これを見直すのではないかという報道があります。

 私は、やはり今の歴代政権が引き継いできた非核三原則とこの岡田外務大臣答弁というのは、非常に抑制的でありながら、現実的に日本の安全を守っていく、日本の安全保障上大事なラインだというふうに思っております。唯一の被爆国として、しかも、外交や安全保障は継続性が大事だと思いますが、これを見直す可能性があるという報道がありますけれども、見直さなくてはいけないような根拠が今あるんでしょうか。総理にお答えいただきたいと思います。

高市内閣総理大臣 先ほど私の答弁を委員が紹介をしてくださいました。そのとおりでございます。

 政府としては、非核三原則を政策上の方針として堅持している、その上で、持ち込ませずについては、二〇一〇年、当時の岡田外相による答弁を引き継いでいく考えであるということで、ただいま答弁したことに尽きます。

源馬委員 今はそうだというのは私たちも理解しています。分かりました。これからもその方針でよろしいですか。

高市内閣総理大臣 特に私から非核三原則の見直しを指示したということもございません。先ほど答弁したことに尽きます。

源馬委員 時間が来たので終わります。ありがとうございました。

枝野委員長 次回は、明十日午前八時五十五分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五十五分散会


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