衆議院

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第14号 令和2年3月25日(水曜日)

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令和二年三月二十五日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 高木  毅君

   理事 岸  信夫君 理事 赤澤 亮正君

   理事 丹羽 秀樹君 理事 大塚 高司君

   理事 武部  新君 理事 田野瀬太道君

   理事 手塚 仁雄君 理事 牧  義夫君

   理事 佐藤 英道君

      大隈 和英君    高村 正大君

      國場幸之助君    高木  啓君

      辻  清人君    中曽根康隆君

      根本 幸典君    百武 公親君

      福田 達夫君    藤丸  敏君

      浅野  哲君    伊藤 俊輔君

      高木錬太郎君    中谷 一馬君

      松田  功君    山本和嘉子君

      塩川 鉄也君    遠藤  敬君

    …………………………………

   議長           大島 理森君

   副議長          赤松 広隆君

   事務総長         岡田 憲治君

   参考人

   (人事官候補者(元人事院事務総長))       古屋 浩明君

   参考人

   (公正取引委員会委員長候補者(内閣官房副長官補))            古谷 一之君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十五日

 辞任         補欠選任

  古賀  篤君     辻  清人君

  本田 太郎君     中曽根康隆君

  武内 則男君     高木錬太郎君

  山本和嘉子君     松田  功君

同日

 辞任         補欠選任

  辻  清人君     國場幸之助君

  中曽根康隆君     高木  啓君

  高木錬太郎君     武内 則男君

  松田  功君     山本和嘉子君

同日

 辞任         補欠選任

  國場幸之助君     古賀  篤君

  高木  啓君     本田 太郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 参考人出頭要求に関する件

 人事官及び公正取引委員会委員長任命につき同意を求めるの件


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     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 人事官及び公正取引委員会委員長任命につき同意を求めるの件についてでありますが、去る十七日の理事会において、西村内閣官房副長官から、内閣として、人事官に元人事院事務総長古屋浩明君、公正取引委員会委員長に内閣官房副長官補古谷一之君を任命いたしたい旨の内示がありました。

 つきましては、理事会の申合せに基づき、人事官の候補者及び公正取引委員会委員長の候補者から、所信を聴取することといたしたいと存じます。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本日、参考人として人事官候補者古屋浩明君、公正取引委員会委員長候補者古谷一之君の出席を求め、所信を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

高木委員長 まず、議事の順序について申し上げます。

 最初に、古屋浩明参考人、古谷一之参考人の順で所信をお述べいただき、その後、それぞれの参考人の所信に対する質疑を順次行いますので、委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。

 それでは、古屋浩明参考人、お願いいたします。

古屋参考人 古屋浩明でございます。

 本日は、所信を述べる機会を与えていただき、まことにありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 国家公務員制度は、我が国の行政の円滑な運営を確保するための基盤となる重要な制度であります。また、国家公務員法は、国民に対し公務の民主的かつ能率的な運営を保障することを基本理念としております。

 人事院は、この基本理念のもと、国民全体の奉仕者である国家公務員の人事行政の公正の確保及び労働基本権制約の代償機能を担う中立第三者機関として設置されております。人事院を構成する人事官には、その職責に照らして、人事行政に関する専門性に加え、高い倫理観が求められるだけでなく、誠実かつ公正に職務に当たることが求められていると考えております。

 行政を取り巻く環境が大きく変化し、公務や公務員が果たすべき役割の重要性が増している中で、公務や公務員に対する国民の目には引き続き厳しいものがあると承知しております。このような状況に鑑み、全ての国家公務員は、国民全体の奉仕者としてのみずからの使命と役割を改めて自覚しつつ、みずからの専門性を高めながら、国民の期待に応えていくことが強く求められていると考えます。

 人事院としても、人事行政の専門機関として、長時間労働の是正、仕事と育児や介護等との両立支援、ハラスメント対策などの勤務環境の整備、多様な有為の人材の確保、育成、高齢層職員の能力、経験の本格的な活用、障害者雇用の促進、適切な処遇の確保など、採用から退職に至るまでの公務員人事管理全般にわたる諸課題に取り組み、公務員がその能力を十分に発揮し、能率的な公務運営が実現できるよう、その責務を適切に果たしていく必要があると考えます。

 私は、昭和五十五年に人事院に採用されて以来、国家公務員の人事行政に携わり、平成二十九年六月から平成三十一年三月までの間は、人事院事務総長として、総裁、人事官をお支えする立場から人事行政の諸施策の推進に取り組んでまいりました。

 仮に私が人事官に任ぜられた場合には、人事院会議の構成員としてその意思決定にかかわることになりますので、その自覚と責任感を持ち、これまで積み重ねてきた人事行政の知識経験を生かし、国民の代表である国会での御議論を始め、国民各層や関係各方面の意見に謙虚に耳を傾けながら、誠実かつ公正に職務に当たり、先任のお二人の人事官と協力して、重大な責務を果たすべく全力で職務に取り組んでまいりたいと存じます。

 以上、簡単ではございますが、私の所信を述べさせていただきました。

 本日は、このような機会を与えていただき、ありがとうございました。

高木委員長 ありがとうございました。

 次に、古谷一之参考人、お願いいたします。

古谷参考人 古谷一之でございます。

 本日は、所信を述べる機会をいただきまして、ありがとうございます。厚く御礼を申し上げます。

 まず、公正取引委員会委員長の任務についての私の認識を述べさせていただきます。

 公正取引委員会が所管しております独占禁止法は、公正かつ自由な競争を促進し、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇用及び国民実所得の水準を高め、もって一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発展を促進することを目的としております。

 公正取引委員会の任務はこの目的を達成することにほかならず、そのトップであります委員長には、他にも増して、国民全体の奉仕者たる国家公務員としての強い自覚を持ち、国民の皆様や関係各方面の御意見を伺いつつ、公正中立に職務を遂行していくことが求められていると考えております。

 次に、取り組むべき施策の基本的な方向についての考えを申し述べたいと思います。

 我が国を取り巻く国内外の経済社会の環境は、大変変化をしております。人口減少や少子高齢化を乗り越えていく必要があるなど、大変厳しい状況にございます。こうした中、公正かつ自由な競争を維持促進し、イノベーションを引き出す環境をつくることで、我が国経済の活性化を図り、消費者の利益を確保していくことが極めて重要であると考えられます。消費者のニーズを発掘、開拓、充足することに挑戦をし続け、かつての成功体験のくびきから逃れ、既存の事業慣行を革新し続けていくことによってこそ、経済活動は活力を持ち、国民の生活に豊かさをもたらすものだと考えております。

 また、こうした公正かつ自由な競争を確保していくことは、日本国の経済社会の発展を促し、これを持続的に支えていく上での重要なインフラであり、それを支える独占禁止法を厳正かつ適正に執行し、競争政策の推進に取り組んでいくことは、我が国の経済が活力を持って発展していく上で、極めて重要な基盤を確保するものであると考えております。

 具体的な施策といたしまして、七点申し上げます。

 第一に、厳正かつ実効性のある独占禁止法の執行を確保していくことが重要であると考えております。

 独占禁止法が禁じる競争制限的な行為に厳正に対処していくことは、経済の活性化、消費者の利益に資するところであります。したがいまして、国民生活に影響の大きい価格カルテル事件や入札談合事件などに厳正に対処していく必要があると考えます。また、合併等の企業結合事案については、迅速かつ的確に企業結合審査を進めていくことが求められていると考えております。

 第二には、公正な取引慣行を推進する観点から、中小企業に不当に不利益を与える行為の取締りをしっかりと実施することでございます。

 優越的地位の濫用、不当廉売などの不公正な取引方法や下請法違反行為など、中小企業に不当に不利益を与える行為があってはなりません。中小企業にとって事業環境が厳しい中、こうした行為に対しては厳正かつ積極的に対処するとともに、違反行為を未然に防止していくための施策を実施していくことが重要と考えております。

 第三に、昨年十月には消費税率の引上げが行われました。消費税転嫁対策特別措置法に基づいて、消費税の転嫁拒否等の行為に対し、迅速かつ厳正な対処に努めることなどにより、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保していくことも重要と考えております。

 第四に、経済のデジタル化に伴い、情報を競争資源とする分野における競争環境を整備することが、イノベーションを促進する上で欠かせません。

 今後、デジタルプラットフォームの分野についても実態把握を引き続き実施し、独占禁止法、競争政策上の考え方の整理を行っていくほか、デジタルプラットフォーム事業者による反競争的な行為に対しては厳正に対処していくことが重要であると考えております。

 また、デジタル分野の競争環境の整備に向けましては、公正取引委員会以外にも多くの省庁が関係をすることから、昨年九月、内閣官房にデジタル市場競争本部が設置をされまして、政府全体での取組が行われております。こうした検討に積極的に参加していくことが必要と考えております。

 第五に、デジタル分野以外についても、さまざまな分野について競争環境の整備への取組を行っていく必要があると考えております。

 経済社会の変化やビジネスの実態の変化を捉えて、業界の実態調査や提言等に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

 第六に、昨年、通常国会におきまして審議、可決をしていただいた独占禁止法の一部を改正する法律につきましては、一部の規定を除き、公布の日から一年六カ月以内に施行することとされております。改正法の円滑な施行に向けた準備を進め、改正法をしっかりと施行、定着させていくことが重要と考えております。

 最後に、近時、経済が急速にグローバル化をし、企業活動が国境を越えて行われている中で、国際的なカルテルへの対応や企業結合事案等、法執行面での海外競争当局との連携協力の必要性が増大をしております。また、法執行以外の分野におきましても、二国間、多国間のさまざまな枠組みを通じた競争当局間の国際的連携の推進が重要な課題になってきていると考えます。こうした面でも日本の競争当局としてふさわしい貢献を行っていくことが必要と考えております。

 終わりに、両院の御同意をいただくことができまして、公正取引委員会委員長に任ぜられました際には、その職責をしっかりと認識し、国権の最高機関である国会における御議論を始めいろいろな御意見に耳を傾けながら、公正取引委員会の使命を達成すべく、他の委員とともに力を尽くしてまいる所存でございますので、よろしく御指導賜りますようお願いを申し上げます。

 以上、やや長くなりましたが、私の所信を述べさせていただきました。

 本日は、このような機会を与えていただき、まことにありがとうございました。よろしくお願いいたします。

高木委員長 ありがとうございました。

 これにて参考人からの所信の聴取は終了いたしました。

 古谷一之参考人は、お呼びいたしますまで別室にてお待ちいただきますようお願いいたします。

 議長、副議長は御退席いただいて結構でございます。

    ―――――――――――――

高木委員長 これより古屋浩明参考人の所信に対する質疑を行います。

 質疑は、まず、各会派を代表する委員が順次三分以内で質疑を行い、その後、各委員が自由に質疑を行うことといたします。

 武部新君。

武部委員 自由民主党の武部新でございます。

 人事官候補者でございます古屋浩明参考人に御質問させていただきます。

 私からは、二つ質問させていただきたいと思います。一つは、公務員の定年引上げと公務員組織の活力の維持につきまして、もう一つにつきましては、公務員の働き方改革について、古屋さんのお考えをお聞きしたいと思います。

 古屋さんは北海道の旭川の御出身とお聞きしております。私も同じ道民でございますので、リラックスしてお考えをお話ししていただければと思います。

 平成三十年八月十日に人事院より提出されました公務員の定年引上げについての意見の申出に基づきまして、今、国家公務員法等の改正案が国会に提出されたところでございます。

 少子高齢化の進展、それから、安倍政権の掲げます一億総活躍社会を実現する上でも、働く意欲と能力のある方が公務員の職場でも活躍できるようにしていくことは大変重要であると私も認識しております。高齢者、ベテランの方が持っていらっしゃる知識や経験を有意義に活用して、また次の世代に引き継いでいくということは、大変重要であると思います。

 今お話にございましたとおり、古屋さんにおかれましては、昭和五十五年に人事院に採用されて以来、事務方のトップでもございます事務総長としても活躍されておられます。時代に即応した公務員の人事管理等の改革にも取り組んでこられたというふうに承知しておりますが、公務員定年延長につきまして、公務員組織のあり方も当然変わっていかなければならないと思います。

 また、財政には制限がございますので、若手、中堅の職員の皆さん方が意欲を持ってお仕事をしていただくことも大変重要でございますので、人事評価や昇進の管理を、意欲を持って進められるように進めていくことも大変重要ではないかと考えておりますが、公務員制度改革を進めていく上で、公務員の定年延長がもたらすであろう効果、それから、さまざまな課題もあると思います、取り組むべき課題、そして、公務員組織の活力維持について、お考えをお伺いしたいと思います。

古屋参考人 今、御質問の中にもございましたとおり、少子高齢化が進んでいるという中で、働く意欲と能力のある高齢職員の活躍というのは、公務に限らず、社会全体の課題だというふうに認識しております。

 複雑高度化する行政分野におきましても的確に対応して、質の高い行政サービスを展開するというためには、現在の六十歳を超える職員についても、その能力、経験を本格的に活用するということが非常に大事であるというふうに認識しているところでございます。

 そこで、今回の定年の延長ということでの意見の申出に至ったわけでございます。

 この定年の延長に際しましては、今回、御指摘のありました組織活力の維持という観点から、若干の仕組みが入っております。

 一つは、管理職に関しまして役職定年制を導入するということでございます。これは当分の間の措置ということであり、定着の状況を見ながら今後検討していくことになろうかと思いますが、少なくとも当面は、役職定年制の導入で、中堅層、若年層の心配がないようにしているというところでございます。

 また、高齢層については、働き方を柔軟化するということで、短時間勤務制というものを導入しているという点がございます。

 それから、御質問にもございましたが、六十歳前の職員も含めまして、能力、実績に基づいた人事管理を更に徹底していく必要があるだろうということで、ここの部分については、各省における人事管理全般、全職員を対象にした人事管理について、更に今後見直しを図っていただく必要があるだろうと。

 そういう意味でも、早目の定年制の実施、さらに、その準備ということも非常に大事になってくるのではないかというふうに考えているところでございます。

武部委員 公務員は、災害や有事への対応ですとか、あるいは国会、法制局あるいは他省庁との、関係者との調整、法令協議や予算折衝などがあると思います。大変長時間労働を強いられていると思いますが、働き方改革は、これは進めていかなければならないと思います。

 優秀な人材の確保やライフ・ワーク・バランスを実現する上で、公務員の働き方改革は重要だと思いますけれども、どのように進めていくか、お考えをお聞きしたいと思います。

古屋参考人 これも今御指摘のとおり、ワーク・ライフ・バランスの推進については、官民問わず非常に重要になっているというふうに考えております。

 公務においては、特に長時間労働の是正ということについては人事院としても取り組んできたところでございますし、それから、両立支援ということについては制度の拡充ということを進めてまいったところですが、まだまだ十分ではないというふうに感じているところでございます。

 特に、働き方改革の視点からは、長時間労働の是正というのがやはり一番大きなネックになっている部分だろうというふうに考えておりまして、人事院としても、昨年、長時間労働の是正ということから、超勤の上限規制というのを設けております。

 そういうことも含めて、長時間労働の是正、各省とともに取り組んでまいりたいと考えておりますし、また、あえてこの場で申し上げさせていただければ、国会の方の御協力も得ながら進めさせていただければ非常にありがたいということで考えております。

武部委員 ありがとうございました。

高木委員長 次に、高木錬太郎君。

高木(錬)委員 立国社の高木錬太郎です。どうぞよろしくお願いいたします。

 早速ですが、近年、広域、大規模自然災害が頻発しておりまして、そのたびに被災地に入って災害対応に当たっておられる一般職国家公務員の皆さんが多数おられます。心から感謝と敬意を表するところでありますが、また、他方、今日では、世界的大流行となって、我が国でも感染者やお亡くなりになった方々が大変ふえている新型コロナウイルス感染症に対して、これまたそれぞれの現場で一般職国家公務員の皆さんが本当に必死に対応されておられます。

 そのような大災害や新感染症などが発生したときの不眠不休で対応に当たっておられる公務員の皆さんの処遇に関して、今も手当等の制度があるのは承知しておりますが、どのような御見解を持っていらっしゃいますでしょうか。

 また、あわせて、もちろん起こってほしくはないんですけれども、この先、大規模災害や新たな感染症などが発生しない保証はありませんで、もし万が一この先そういったものが発生したときのことを考えて、この処遇に関して改善点等御見解があれば伺いたいと思います。

古屋参考人 過去、東日本大震災のときもそうでしたが、今回の新型コロナ対策におきましても、現場で不眠不休でまさに働いている国家公務員が多数おります。本当に私も心から敬意を表したいというふうに思っておりますし、また、そういう職員にとっては、国民からの感謝の声とか激励の声というのは非常に励みになっているということはございますが、一方で、やはり処遇という形で、目に見える形での対応というのも必要であるというふうに考えておりまして、先ほど御指摘ありましたように、今回、手当の増額という対応をさせていただいております。

 そういう意味では、今後とも、その状況次第によっては、手当額、その範囲であるとか増額とか、そういうことも含めて検討する場合があるかもしれませんが、そこら辺、我々も、随時、臨機応変に対応できるように心構えを持っていくということが必要になってくるのではないかというふうに考えております。

高木(錬)委員 ありがとうございます。

 次に行きます。

 これまた先ほどの議論にもありましたが、近年、公務員の皆さんの長時間労働是正、ワーク・ライフ・バランスの実現など、働き方改革についての議論がありまして、各現場でもさまざま努力されていることと思います。

 昨年の夏には、厚労省の若手職員が、省内の働き方や組織改革について取りまとめ、大臣に提言を行ったとの報道にも私は接しました。

 まずは各現場でさまざま工夫、努力をしていこうという動きであるし、他方、我々国会の側も、霞が関の皆さんとの向き合い方にも改善点があって、努力していった方がいいという議論もあります。

 そのような中、私は個人的に、とりわけこれからの日本を支える若手職員の心持ちと申しますか気持ちについて、いささか心配しているところがあります。

 どんな職場でも、年長者による、昔はこうだったとか、俺が若手のころはもっと大変だったというのは通用しないと思います。また、単に給料を上げるだけという問題でもないかとも思います。

 職場におけるさまざまな困難はありますけれども、国民全体の奉仕者としてのやりがいであるとか、公務の魅力であるとか、働きがいであるとか、公共に対する奉仕の喜びであるとか、私は、そういったものをとりわけ若手職員の皆さんにも心から感じてもらって、モチベーションを高めていくということが必要だろうな、それについてどうしたらいいのだろうかというところを思うところでありますが、長年、国家公務員全体を見てこられた参考人におかれましては、どのような御見解を持っておられるでしょうか。

古屋参考人 若手の意識は随分変わってきているというのはおっしゃるとおりで、私どもも数年前から若手のヒアリングなども行ってきております。随分意識が変わってきているのが数字的にもあらわれてきているし、それから、むしろ今の若い人の方が、専門能力をつけることでありますとか自分のキャリアプランに非常に高い関心も持っているという面が出てきております。

 そういう意味で、むしろ管理職の方がそういう意識の変化に必ずしもついていっていない面もあろうかというふうに思っております。

 そういう意味で、今まさに御指摘のとおり、やりがいをどう感じるかという面では、やはり管理職の方が、むしろ、若い職員とコミュニケーションを密にしながら、業務のやりがいであるとかその意義であるとかを伝えたり、仕事を任せてやらせてみるといったようなことを含めて、上司の方が配慮する、つまり、マネジメント能力を高めるということが非常に重要になっているのではないかというふうに感じております。

高木(錬)委員 終わります。

 ありがとうございました。

高木委員長 次に、佐藤英道君。

佐藤(英)委員 おはようございます。公明党の佐藤英道でございます。

 私の方からも、人事官候補者でございます古屋浩明参考人に何点かお尋ねしたいと思っております。

 まず、私の方からも、新型コロナウイルスへの対応についてお伺いしたいと思います。

 新型コロナウイルス感染症への対応に当たっては、政府の対応に支障を来さないよう、国家公務員の方々の感染防止対策も徹底していくべきと考えておりますけれども、現在の取組についてはどのような御認識でいらっしゃるのか、まずお伺いします。

古屋参考人 今の感染防止対策ということにつきましては、現在、聞いているところによりますと、通勤混雑緩和という観点から、時差出勤、テレワークを推進しているということで、人事院としても、それが更に、従来より、よりとりやすくなるように通知の改正などを行っているというふうに聞いております。

 それから、小学校の休業などがございまして、子の世話をする職員等がいるという場合に、一定の場合には休暇を認めるという取扱いについても措置をしたというふうに承知しているところでございます。

 いずれにしても、今後とも、必要に応じて柔軟な対応というものもとっていかなければいけないのではないかというふうに考えているところでございます。

佐藤(英)委員 次に、高齢期の働き方について伺います。

 少子高齢化が進展する中で、労働力の人口を確保しながら社会全体の活力をどう維持していくかは重要な課題であると思います。公務員につきましては、定年を段階的に六十五歳まで引き上げることを内容とする法案も国会に提出されているわけでありますけれども、国家公務員の高齢期の働き方についてはどのように取り組まれようと考えていらっしゃるのか、伺います。

古屋参考人 先ほども若干触れたところではあるんですが、高齢層の職員の能力を十分に活用するという観点からは、現在、再雇用制度で運用しているわけですが、再雇用制度では、短時間勤務である、また、職位もかなり低い職位につくという実態があって、十分に活用できていない。さらには、今後、再雇用者、再任用者の数は更にふえていくということが想定される中で、組織の活力という観点からも現状のままでは問題があるということで、定年延長という意見の申出をさせていただいたところでございます。

 そういう意味では、定年延長をした中で、従来の仕事につきながら、十分その能力を発揮していただくということが基本になるということでございますが、先ほどの施策の中でも申し上げたとおり、六十を超えてということですから、職員の選択によって短時間勤務を選択できるなど、幅広い選択ということも可能にするということが重要ではないか。場合によっては、外に出る、もちろん透明な手続の中でということですが、公務外に出るという選択肢も含めて、さまざまな選択肢が考えられるというふうに考えているところでございます。

佐藤(英)委員 次に、女性の活躍促進、男性の育児参加について伺います。

 女性の活躍は我が国の重要課題の一つであり、国は女性の採用、登用の拡大に率先して取り組むべきと考えておりますが、女性登用の現状についてはどのように認識しているのか、また、女性の採用、登用の拡大に向けてどのような取組が必要と考えていらっしゃるのか。

 さらに、男性の育児参加についても、積極的に支援する取組が重要であると考えておりますが、男性の育児休業取得率については、令和二年度までに一三%とする政府目標があり、政府としても積極的な取組を行っていると伺っております。

 男性の育児参加に向けてはどのような取組を行っていくべきと考えているのか、伺いたいと思います。

古屋参考人 女性の採用、登用につきましては、これも官民共通の課題であるということで考えておりますが、当然、公務においても大変重要な課題だというふうに認識しております。

 今御紹介のあった男女共同参画基本計画の中における数値目標といいますか、目標につきましては、採用に関してはおおむね三割ということで維持しているわけでございますが、登用に関してはまだ目標値に達していない。ただ、年々着実に増加しているということはございまして、引き続き各省にも努力していただきたい、人事院としてもいろいろ努力してまいりたいというふうに考えております。

 具体的には、女性のまず採用のところをふやさない限り登用の部分につながらないという意味では、採用のところが拡大してきておりますので、若干楽観的に申し上げれば、今後登用についても伸びてくるんだろうというふうには思っております。

 ただ、そのままではなかなか進まないという意味では、募集活動でまず採用のところに、女子学生に目を向けてもらわないといけないということで、募集活動のところから大変人事院としても力を入れているというところで、現在、総裁は女性でありまして、女子学生の説明会等にも総裁みずからが行っていただいているというような状況もございます。

 また、登用の関係につきましては、女性に向けた個別の研修なども実施しておりまして、いずれにしても、各省とともに女性の登用に向けて努力してまいりたいというふうに考えております。

 それから、男性の育休の取得でございます。これは、たしか昨年の数値では一三%を超えていたと思いますが、これもまた着実に伸ばしていかないと、女性に比べるとまだまだはるかに低い数値ということでございます。

 男性の育児休業の取得ということは、これは男性にとってはもちろんそうですが、女性にとっても非常に意味のあることでございます。ここら辺は、職場のとりやすい雰囲気づくりというのが非常に肝になるのではないか。そういう意味では、先ほどと同様に、上司でありますとか同僚の理解というもの、職場の雰囲気というもの、さらには、長時間労働という状況があってはなかなか使いにくいということで、全体として改善していく必要があるというふうに考えております。

佐藤(英)委員 次に、非常勤職員の処遇について伺います。

 我が国におきましては、正規労働者と非正規労働者といった雇用形態による不合理な待遇差を改善していくことが課題であり、同一労働同一賃金の実現に向けた検討が進められております。国におきましても、常勤職員の定員が抑制される一方、多くの府省で非常勤職員が多く働く実態があるわけでありますけれども、非常勤職員の処遇についてはどのように取り組むべきと考えているのか、伺います。

古屋参考人 非常勤職員の給与につきましては、これは国会でも幾つも、何度も御質問いただいている課題でございます。

 平成二十年に通知を出しました、指針を出しました。これによって、基本的な給与に関しては、同じような仕事をしている常勤職員との均衡をとって格付をしてください、給与の決定をしてくださいということにしております。それについて人事院としてもフォローアップしながら改善が図られてきた。

 また、平成二十九年ですか、勤勉手当についても、努力義務といいますか、支給について努めるようにしてくださいということを通知で、指針で述べさせていただいておりまして、各省、予算措置をしながら努力しているという状況にあるところでございます。

 また、休暇に関しましては、民間の状況を見ながら、昨年、ことしと新たに措置をしておりまして、昨年は結婚休暇、ことしは夏季休暇について新たに措置したところでございます。

 また引き続き、民間の状況を見ながら、改善を必要であれば図ってまいりたいというふうに考えております。

佐藤(英)委員 最後の質問とさせていただきますけれども、候補者は、人事官に就任した場合、どのような姿勢で職務に取り組みたいと考えていらっしゃるのか。

 候補者は長く人事行政に携わってきたわけでありますけれども、三人の人事官の中でどのような役割を期待されていると考えていらっしゃるのか。

 また、国家公務員には、高い使命感を持ち、誇りを持って生き生きと働いてほしいと考えますけれども、公務員のモチベーションを高めるにはどうすべきと考えているのか、伺います。

古屋参考人 最初の所信でも述べさせていただきましたが、国家公務員制度は行政運営の基盤をなしているということでございまして、人事官というのはこの人事行政の諸施策を決定するメンバーということでございますので、その自覚と責任を持ちながら、また、国民各層、国会の御議論も含め、さまざまな御意見を踏まえながら、真摯に、誠実に、重大な責務に向け全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 私は、御紹介があったように、基本的には人事院の人事行政にずっと携わってきているということでございますので、特にその間積み重ねた知識、経験というものを活用して、先任のお二人の人事官と意見を十分交わしながら、積極的に人事行政の運営に携わりたいというふうに感じております。

 また、モチベーションの問題につきましては、これはちょっと先ほどもお話が出ましたけれども、各職場における上司の役割というのが非常に変わってきているというふうに考えております。

 特に、霞が関は業務管理はするけれども人事管理はしないというようなお話も一昔前はございました。ただ、この十年で人事評価制度も随分実施されるようになってきたということで、これは面談もその中で義務づけられております。そういう意味で、上司と部下が意見交換する機会というのも、そういう意味も含めて非常に多くなってきており、そういう場で部下の意識を酌み取りながら適切に対応するという職場の人事管理についてもいま一層努力していただくことが極めて重要ではないかというふうに考えている次第でございます。

佐藤(英)委員 終わります。

高木委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 古屋浩明参考人にお尋ねをいたします。

 古屋参考人が人事院事務総局給与局長のときに行った施策の一つに、給与制度の総合的見直しがございます。職務給の原則や地域経済への影響を考慮せず、地域の民間賃金の水準に公務員賃金を合わせて地域間格差を拡大するものであり、また、五十歳代後半層の給与を引き下げるものとして、我が党も批判をいたしました。

 給与制度の総合的見直しは、職務給原則を損ない、勤務地と年齢による賃金格差をつくるものであり、人事院の労働基本権制約の代償機能としての役割を否定するものではないのか。この点についてのお考えをお聞かせください。

古屋参考人 平成二十七年度から三年かけて、給与の総合見直しというのを実施したところでございます。

 これは、当時、国家公務員給与をめぐる諸課題の解決ということで、一つは地域間の給与配分のあり方、それから世代間の給与配分のあり方、職務、勤務実績に応じた給与配分のあり方ということについて課題があったということでございまして、全国共通の基本給について二%引き下げた中で、改めて地域間の配分の見直しを行うというようなこと。それから、世代間の見直し、先ほどもありましたけれども、若年層を厚くし、高齢層の方については少し削減率を高くするというようなことの見直しを行い、民間の賃金カーブとのバランスをとったということでございます。

 国家公務員法におきましては、職務給の原則が述べられているところでございますが、地域の事情を考慮して支給する給与種目というのも規定がございます。そういう意味では、地域手当を支給する、俸給を補完するという形の地域手当については職務給の原則に反するものではないというふうに考えているところでございます。

 また、民間賃金の低い地域における官民の実情を踏まえると、先ほどの地域手当の配分というのも、状況に応じた、まさに情勢適応の原則に沿った対応ということでありまして、労働基本権制約の代償機能としての役割は果たしているものではないかというふうに考えているところでございます。

塩川委員 次に、国家公務員の定年延長に関連して、国公法と検察庁法の関係についてお聞きします。

 検察庁法には検察官の定年延長は規定されておりません。今回、黒川東京高検検事長の定年延長、勤務延長に当たって、国家公務員法の規定を使って定年延長を認めるとしました。

 しかし、人事院は、国家公務員に定年制を導入する国公法改正に係る一九八一年の国会答弁で、検察官と大学教官については現在既に定年が定められている、今回の定年制は適用されないとしておりました。

 人事院はこの立場を維持してきたのではないでしょうか。

古屋参考人 国家公務員法は一般職の公務員全体に原則として適用になるということでございますが、その中で、特例法が設けられれば特例法が優先されるという関係でございます。

 そういう関係で、確かに、今、引用された部分、導入当初につきましてはそういう解釈でされていたというふうに我々も認識しておりました。

 ただ、特別法の解釈等につきましては、これは検察庁法ということでございますので、法務省の方でその解釈等について整理するというのが一般法と特別法との関係ということになろうかと思います。

 そういう意味で、この部分については法務省さんの整理ということになろうかと思います。

塩川委員 検察官は準司法の仕事に当たる。同時に、定年の年の前の日に退官をするという仕組みと一般の公務員との関係の違いというのは当然あるわけです。

 そういった点でも、これを一律に引っ張ってくるというのは納得のいくものではないと思っておりますし、今回の黒川東京高検検事長の定年延長というのは、これはやはり違法なんじゃないかと率直に思いますが、改めて、いかがでしょうか。

古屋参考人 繰り返しで恐縮ですけれども、そこの解釈については、特別法を担当する法務省の解釈によるということでございまして、人事院として中身について申し述べるということは適当ではないというふうに考えております。

塩川委員 検察官の勤務延長の解釈変更とつじつまを合わせるために、今回の国家公務員の定年引上げの国公法改定案においては、検察庁法そのものを書きかえて勤務延長規定を盛り込むとしているのは極めて重大であります。その際、国公法改定案では、事務次官などの幹部が役職定年を迎えてもそのポストにいられる場合は人事院規則で定めるとしているのに対し、検察庁法の改定案では、次長検事や検事長が引き続きとどまれるのは内閣が定める事由があると認めるときとしております。

 国家公務員一般については人事院規則、それに対して、次長検事、検事長は内閣が定める。そういう点では、今後、黒川氏のような、政治判断での勤務延長がまかり通ることになりはしないか。公務の公正性という観点で、どのようにお考えか、お尋ねいたします。

古屋参考人 先ほどのかなり繰り返しになるかと思いますけれども、国家公務員法のいわば適用除外して特別な措置を行うという中において、どのような手続を行うのかということは別途定めるということで、その一部分だけ捉えて、どうかというのは難しいのかなと。

 ですから、内閣の任命になる検事長等についてそのような手続をとるということは、当然というところまでいくかどうかはわかりませんけれども、自然な対応ではないかというふうには考えております。

 いずれにしても、そこの、特別法の対応の中における判断でございまして、基本的には、私どもの方といいますか人事院の方で申し述べるものではないのではないかというふうに考えております。

塩川委員 時間が参りましたので、終わります。

高木委員長 次に、遠藤敬君。

遠藤(敬)委員 日本維新の会の遠藤敬でございます。

 先ほど、岸筆頭にも確認をさせていただきましたが、同意人事につきましてはできるだけオープンにしましょうということで、手塚筆頭、岸筆頭、また議運の高木委員長を始め、皆さんとの合意をさせていただいて、たくさんおるかと思えばそうでもない感じはいたしますけれども、オープンにすると、一応、そう思いましたので、御配慮をいただいて、いかにオープンに同意人事の案件も議論を国民の皆様方に聞いていただくかということが大事ではなかろうかということで、きょうも数名のマスコミの皆さんにも出席をいただいております。

 それでは、古屋候補者に、これまでの給与制度の見直しや定年年齢引上げなど、人事行政上のさまざまな大きな課題に取り組まれてきたと承知をしておりますが、これまでの経験の中で最も印象に残っている取組あるいは出来事についてお伺いをしたいと思います。また、人事官として人事行政のかじ取りを行う立場となりますが、今後どういった点に特に注意をされたいか、お考えをお述べください。

古屋参考人 最もというのはなかなか難しいところでございますが、実は、大きな出来事ではないんですが、私の若いころに、上司からの一言というのがございました。要するに行政というのはサムシングニューだよということでございました。

 その意味というのは、行政は、民間と違って競争相手がいないんだということで、ややもすると前例踏襲主義になってしまうということで、時代の状況に合わないこともそのままやってしまうとか、場合によっては、廃止しないといけないものもそのまま残っているということが起こりがちであるということで、絶えず行政マンとしては日々そういう意識を持って事に当たらなければいけないという教えでございまして、非常に私も、なるほど、そうかということで、その後、節目節目でそういうことを私としても思い出しながら対応してきたところでございます。

 そういう意味で、後段の方の問いも、まさにそういうことで、時代の変化といいますか状況の変化、そういうものにおくれることなく対応していく必要があるだろうというふうに考えておりまして、繰り返しですが、国会での御議論であるとか有識者のお話とか、そういうことをよく聞きながら、時代に即応した人事行政の展開というものに努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

遠藤(敬)委員 それでは、国の行政機能を円滑に行っていくためには公務に優秀な人材を採用していくということが不可欠であると考えておりますが、若い方が国家公務員の仕事に魅力を感じていないといった点も昨今指摘をされております。

 若い優秀な人材に国家公務員を志してもらうためにはどのような取組が必要か、また、国家公務員の魅力をもっと発信していくためにはどうすることが今必要だとお考えですか。お伺いをしたいと思います。

古屋参考人 国家公務員については、やはり人材がある意味全てというところもございます。極めて優秀な方に来ていただきたいというのが我々の本音でございますし、そういう方々を育成していくということで安定的な行政運営というのが図られていくんだろうというふうに考えております。

 そういう意味で、まず、学生に対する働きかけという点に関しましては、試験を受けていただかないといけないということで、それなりのハードルがまずあるということ、それから、公務員のイメージというのが、ややもすると実態を知らずに忌避されてしまうということもあります。

 そういう意味で、今、各省さんにも業務のおもしろさ、やりがいというのを具体的に整理していただいて、学生の皆さんに訴えかけるということを力を入れて進めているというところでございます。

 試験のいわば母集団といいますか裾野を広げるということがまず非常に大事だということで、先ほども話がありましたが、女子学生に対する働きかけとか、技術畑の方、院生の方、そういうそれぞれの受験層ごとにいわば働きかけを行うなど、今はきめ細かい対応というのを続けさせていただいているというところでございます。

 回数も、説明会だけで百回以上行ったりとか、今、大変力を入れているところですが、確かに苦戦もしております。引き続き、このあたりについては工夫をしながら、裾野を広げる努力を続けてまいりたいというふうに考えております。

遠藤(敬)委員 珍しく時間をかなり使っておりますので、最後の質問にさせていただきたいと思います。

 昨今、働き方改革と。我が国の働く環境について、民間、国家公務員のみならず、長時間労働は依然として深刻な問題であります。

 我々日本維新の会では、例えば質問通告をできるだけ早めるなど、政と官のかかわりについて変えていこうとしておりますが、候補者は、国家公務員の長時間労働を是正するためにどのように取り組むべきか、お考えがあれば教えてください。

古屋参考人 先ほども若干触れさせていただいたことですが、公務員の場合には、やはり行政サービスを低下させてはいけないという場面というのも非常に多々あるということで、管理監督者についても、難しい面があることは否めないところでございます。しかしながら、人材の確保であるとか職員の健康を考えても、長時間労働の是正というのは努力していかなければいけないというふうに考えております。

 その際、重要になってくるのは、現場の管理監督者であると同時に、各省トップ、次官、官房長、人事担当、ここら辺の御理解も得ながら進めるということで、近年は、そういう形で省を挙げて進めているというところまで来ているかなというふうに感じております。

 ただ、やはり管理監督者の中には、昔はという、まさにそういう方も中にはおられるということも含めて、我々も、マネジメント研修などを行ったり、いろいろな場面でそういう意識改革というものに努めるよう、各省とともに努力してまいりたいというふうに考えております。

遠藤(敬)委員 それでは、公務に対する国民の目は引き続き厳しいというものが誰しもが認識をしておるところでありますけれども、国民の代表である国会と連携を深めるとともに、常に国民目線、民間目線を意識しながら重責を果たしていただきたいと思いますが、最後に候補者の決意をお伺いします。

古屋参考人 これもある意味繰り返しになるところでございますが、やはり、事務方とは若干違って、人事院会議のメンバーということになるということで、国会の御議論であるとか関係者の御議論というのをよく聴取しながら、我々人事院としても、全体として国民目線となった政策展開になるように心がける必要があるというふうに思っておりますので、仮になった場合には、そういうところを十分留意しながら進めてまいりたいというふうに考えております。

遠藤(敬)委員 終わります。

高木委員長 これにて各会派を代表する委員の質疑は終了いたしました。

 これより自由質疑を行います。

 質疑される方は、挙手の上、委員長の許可を得て発言されるようお願いいたします。

 また、発言の際は、所属会派及び氏名をお述べいただき、一人一問一分以内としていただきますようお願いいたします。

 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 この間、大企業などの民間企業出身者が、非常勤の国家公務員として、企画立案、総合調整機能を担う内閣官房で勤務する事例が増加をしています。第二次安倍政権以降、七年間で九十三人が百六十八人と、ほぼ二倍にふえております。

 個々の企業や業界の利害にかかわる事務も当然含まれているわけです。人事院の所管する官民人事交流法は、公務の公正性を担保するため、出身元企業における業務の従事や給与の補填を禁止していますが、政府は、内閣官房の非常勤職員が出身企業の仕事に従事していることや給与の補填を受けていることを否定しておりません。

 非常勤職員として雇用することで公務の公正性が損なわれているのではないのか、この点についてのお考えをお聞かせください。

古屋参考人 官民人事交流法については、まさにそのような規制を設けているということでございます。

 また、非常勤職員につきましても、民間企業出身者を採用するという場合には、公務の公正性を確保して、官民癒着等の疑念を抱かせることのないようにする必要があるだろうというふうに考えております。

 したがいまして、当然、国家公務員としての各種の服務規律というものはあるわけですから、この服務規律の遵守は当然のこと、職員の配置や従事する業務というものについても各省において十分慎重に対応していただく必要があるだろうし、また、これについては、人事院としても、必要があれば指導を行うということをしていきたいというふうに考えております。

高木委員長 ほかにございますか。

 それでは、これにて古屋浩明参考人の所信に対する質疑は終了いたしました。

 古屋参考人、ありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。

    ―――――――――――――

高木委員長 これより古谷一之参考人の所信に対する質疑を行います。

 質疑は、まず、各会派を代表する委員が順次三分以内で質疑を行い、その後、各委員が自由に質疑を行うことといたします。

 福田達夫君。

福田(達)委員 福田でございます。

 時間もありません。早速御質問申し上げます。

 といいましても、きょうは、古谷さん、現役の副長官補でありますし、今まさに新型コロナの統括をやられているということでもあります。また、任期も半年後ということなので、古谷さんの世界観であるとか姿勢、そこに着目をしてお話を伺いたいというふうに思っております。

 補室体制になってから十九年のうち七年間、副長官補をやっておられる。伏屋さんを多く超えて、七年間でございますが、これは期間の長さのみならず、この七年間は非常に大きな日本国内の経済社会に対するインパクトをもたらすような政策を担当されてきたというふうに思っておりますし、今現在も、未曽有のコロナ対策をやっていらっしゃいます。

 この七年間を総括して、どのように感じていらっしゃるか、また、この七年間どのような姿勢でこの職務に挑んでいらっしゃったか、このことをお話しいただければと思います。

古谷参考人 今御指摘いただきましたように、私は、内政担当の副長官補ということで、第二次安倍政権が発足して以来、今の職務を務めさせていただいております。

 財務省で長く税制の企画立案、執行をやっておりましたけれども、今、副長官補の方に移りまして、内閣の重要施策、各省にまたがる施策の企画、調整をする役目ということで、いろいろな仕事をやらせていただいておりますけれども、主として経済財政にかかわる政策の調整をやる中で、人口が減りまして、少子高齢化というので、非常に成熟した社会にはなっているわけですけれども、そういう中で、やはり社会経済の活力という点で生産性を上げて経済を成長させていく、その成果をなるべく広く行き渡らせる。そのために、この政権では、成長と分配の好循環とか、あるいは経済成長と財政の両立とか、雇用確保と賃上げとか、ともすればトレードオフの関係にあるようなことを何とか両立させようということで、この七年間、もがいてきたような気がいたします。

 その成果が上がっているかどうかは、まさに、国会の皆さん始め、御評価をいただかないといけないと思いますけれども、そういう中で、私は、事務方の調整役でありますので、各省の施策の調整に当たる中で、なるべく公平に、オープンに調整事をやって、みんなで議論していこうというふうな気持ちでこれまで努めてきておりますし、今、コロナウイルス感染症の関係で、また各省を挙げて施策を検討し、進めてきております。そういう中で、今まさに渦中におります中で、こういう形で候補者として国会に来ております。

 総括といっても、なかなかまだ、自分のやってきたことを総括するだけのところまでいっていませんけれども、そういう気持ちで今働いております。

福田(達)委員 ありがとうございます。

 今、まさに、両立させるというお話がございましたけれども、まさに公正取引委員長というのは、公正と成長、両方とも、これをバランスさせる仕事だというふうに思っておりますし、また、先ほども所信でおっしゃっていました、非常に大きな変化を迎えている。

 先ほどは人口減少という社会の変化のお話をされましたが、三十年来、経済はグローバル化しています。これは何かというと、国内だけでなくて世界に競争のマーケットが広がった。日本国内でのバランスだけではなくて世界じゅうにおけるバランス、そしてその中においての日本企業の成長、そしてそれをいかに分配していくのかということを考えなければいけない新しい局面に入りましたし、また、デジタル化、これは、新しい商売というか仕事の稼ぎ方若しくは全ての世の中の仕組みが変わるかもしれない新しい局面に入っていく、そういう状況にあるというふうに思っております。

 先ほど、成功体験のくびきから逃れというお話をおっしゃっていましたけれども、新しい世界観というものを持ちながら、その中における競争の公平を保ちながら、しかし、この次の世界、この世界でも、しっかりと、日本の企業、日本の産業が稼げ、そしてそれが国民に分配されていく、こういうことが必要な、非常に難しい公正と成長のバランスを求められる、そのときの委員長になられるわけでありますけれども、この世界観の中におきましてどのような競争政策を整備していくのかという話について、まず世界観をいただければと思います。

古谷参考人 御指摘のとおりだと思います。

 経済のグローバル化やデジタル化が進んでおります中で、やはり、競争政策という面では、自由で公正な競争環境を確保していく、企業や個人のイノベーションのインセンティブが損なわれないようにすること、それから、挑戦する意欲のある人や努力する人に常に選択の機会が開かれている、そういう社会でありたいと思いますので、公取にもし行くことになりましたら、そういうことを心がけて仕事をさせていただきたいと思います。

福田(達)委員 ありがとうございます。期待申し上げております。

 先ほど分配という話をしましたけれども、この日本という国の非常に特徴的なところが、中小企業者というものが分配の一端を担ってきたということであります。

 ただ、バブル崩壊からこちらの四半世紀以上、その中小企業に利益が公正に分配されているというふうに正直私には思えておりません。

 その観点から、この新型コロナウイルスの感染症の経済への影響がどんどん深まっていくにつれて、このゆがみというか難しさというものがまた中小企業者に降りかかっていかないかなということを非常に私自身は懸念をしております。

 また、今現在の、今々の取引の状況を見ると、公正じゃないかと思われることも、この四半世紀の中において公正ではなくなってきているんじゃないかということもございます。

 ぜひ、公取におきましては、中企庁との連携を更に強くしていただきたい。十年前に私が総理秘書官をやっているときに、公取と経産省で取決めもしております。この連携強化の中において、中小企業者が置かれている部分、これについてどういうふうな取組をされていくか、最後にお願いいたします。

古谷参考人 今回の新型コロナウイルス感染症で、日本経済は大変な打撃を受けておるわけですけれども、特に中小企業、小規模事業者の方々というのは、事業基盤が弱いとか、生産が減ってしまうとすぐ生活の基盤に影響があるとかということで、最もしわ寄せを受けられる可能性があります。

 競争当局としては、そういう場合に、やはり、下請法ですとか独禁法をきちんと活用して、そういう不公正な不利益ですとか負担が中小・小規模事業者に及ばないように、そこは目を光らせていかなければいけないんだろうと思います。

 一方で、中小企業の中でも、デジタルプラットフォームと仕事をしようとか、あるいは、オープンイノベーションの中でベンチャーとしてスタートアップの努力をしておられる中小企業とか、そういうところもありますので、そういう芽を伸ばしながら、やはり、基盤の弱い小規模事業者、中小企業の今後のあり方といったものについて、御指摘のように、経産省、中小企業庁ともよく連携をしながら考えていくということが大事だろうと思います。

福田(達)委員 あと半年間の補室の役割も期待しています。

 ありがとうございました。

高木委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 立国社の浅野哲でございます。

 早速質問に入らせていただきたいと思います。

 さきの経済産業委員会の中で、公正取引の担当である衛藤国務大臣の所信演説の中では、我が国経済の健全な発展を実現し、国民全体の福利を確保するためには、経済実態に即応した競争政策を展開することが必要だというふうに述べております。

 今の国内、海外の経済実態は、やはりどうしても新型コロナウイルスによる影響によって大きな影響を受けてしまっております。今、この感染拡大や自粛による消費の低迷、特に、国内の中小・小規模事業者は苦しい状況に置かれているんですけれども、これは恐らく、今後、この後半年以降も続くことが見通されております。

 まずは、中小事業者に不当な不利益を与える行為の取締り強化というのを先ほどおっしゃっておりましたけれども、そこに対して、先ほどサムシングニューという言葉も使っておられました。これから必要な施策に対するお考えを伺えればと思います。

古谷参考人 今回の新型コロナウイルス感染症で大きな打撃が日本経済にも及ぶわけでございますけれども、まずは、二段階の緊急対応策というのを政府として取りまとめまして、企業の継続ですとか雇用の継続ということに力を入れたいということで今やっております。

 更にもっと大きな経済対策も考えなければいけないという局面になっておろうかと思いますけれども、御指摘がありましたように、こういう事態ですと、まさに中小企業、小規模事業者への影響が一番大きく出てくるわけでございますので、競争当局として、自由で公正な競争環境を守るという観点から、やはり、下請法ですとか独禁法を積極的に活用して、不当な不利益あるいは負担が、そういうところにしわ寄せが行かないようにやっていくというのが競争当局としての仕事であろうかというふうに考えております。

浅野委員 また、特に自動車業界などは、よく報道等でも取り上げられておりますが、今、サプライチェーンが分断をされて、なかなか経済活動がうまく回っていない状況になっております。今、パンデミックが終息した後のことを考えましても、このサプライチェーン全体にとっては、しばらく厳しい期間が続くものと考えられます。

 サプライチェーン内の付加価値の適正分配という観点でいったときに、公正取引委員会としてはどういうところに配慮をしていくべきなのか、この点についてお考えがあれば伺いたいと思います。

古谷参考人 サプライチェーンがまさに寸断をされて、生産が減少する、消費が消滅してしまうといったような事態がかなり大規模に起きることが懸念されるわけでありまして、マスコミ等でも報道されていますように、自動車メーカーも操業を中止されるというようなことになりますと、何重もの下請構造がある自動車産業でありますので、どうしても、三重、四重、五重と下請に行くほど目が届かなくなるおそれもあります。

 そこはまさに競争当局として、下請法の監視をしっかりとやるということで対応していかなければいけないんだろうというふうに感じております。

浅野委員 また、先ほども出ておりましたけれども、今、デジタル経済というのが非常に急速な勢いで成長しております。今国会でもデジタルプラットフォーマーに関するルール整備に取り組んでおりますけれども、イノベーションの促進と、消費者保護そして利用者の保護、公正公平な取引の実現といったものを両立するということは、先ほど参考人もおっしゃっていた、ある種のトレードオフを解消していく必要があるのではないかと考えております。

 このデジタルプラットフォーム分野におけるイノベーションと、あとは公平公正な取引の実現、これに向けたお考えというのを伺いたいと思います。

古谷参考人 デジタルプラットフォームビジネスそれ自体は、革新的なビジネスを生み出し続けておりますし、イノベーションの創出を担う大きな分野だと思います。これは消費者の利便性の向上にもつながっておりますし、そこと取引をするいろいろな業者にビジネスの機会を与えているという面では、大変なこれから期待をしなければいけない分野だろうと思いますし、そういう意味で、我が国として、国際的にこういうデジタルプラットフォームビジネスについて、5G、ポスト5Gといったことも念頭に置きながらイノベーションを進めていくという視点が大変大事だと思います。

 一方で、御承知のように、デジタルプラットフォームビジネスというのは両面市場で、ネットワーク効果が働くこともあり、非常に寡占化、独占化しやすいということもありますので、そこで取引をする中小事業者等がまさに取引上いろいろなまた負担を負うというようなことになりますと、そこはまさに競争当局がきちんと目を光らせていかなければいけない分野だと思いますので、今、国会に提出されております取引透明化法案などと相まって、公正取引委員会が担うべき役割も大きくなるのではないかというふうに認識をしております。

浅野委員 ありがとうございます。

 では、最後の質問になりますけれども、こうしたデジタル経済、公正公平な取引を実現しつつイノベーションを起こしていく、そしてそれが国境をまたいでグローバルに展開されているわけですけれども、先ほど、やるべきことを七つほど挙げていただいた最後に、国際的な規制当局間の連携というのがございました。

 具体的にこうしたものをどう進めていくのか、最後にお伺いして、質問を終わりたいと思います。

古谷参考人 具体的にどう進めていくか、これはまた今後考えなければいけないと私は思っておりますけれども、まさに日本のマーケットにとって反競争的な動きになるような国際的な企業結合ですとか、そういうものについては、公正取引委員会としても果敢に、いろいろな形でかかわることができるんだろうと思いますし、東アジアの発展途上国を含めて、かなり競争法の整備が進んできているというふうにも伺っていますので、二国間、多国間の国際的な競争当局との連携をしっかりしながら、あるいは、競争法というもののやはり共通化といいますか、コンバージェンスというふうに言うんだというふうに伺っていますけれども、そういったものも進めながら、国際的な取組についても積極的に進めていく必要があるんだろうというふうに考えております。

浅野委員 終わります。

高木委員長 次に、佐藤英道君。

佐藤(英)委員 公明党の佐藤英道でございます。

 公正取引委員会委員長の候補者であります古谷一之参考人に何点かお伺いさせていただきたいと思います。

 初めに、楽天の送料無料方針への対応でありますけれども、公正取引委員会は、楽天の送料無料方針に対して緊急停止命令の申立てを東京地方裁判所に対して行うなど、厳しく対応してきたと承知しておりますけれども、候補者はどのように認識されているのか、まず伺います。

古谷参考人 楽天の送料無料問題について、公正取引委員会の方で東京地裁に緊急停止命令を出された。この緊急停止命令というのは、めったに公取も使わない武器だというふうに伺いましたけれども、そういう非常に積極的な取組を公取がしておられる。事案としては、楽天の方でも出店者の任意でやってもらえばいいんだというふうに方針を出されたということで、この緊急停止命令自体は公取としてもその後取り下げられたというふうに承知をしております。

 その後もずっと調査を続けておられるんだというふうに思いますけれども、こうしたいろいろな事案について、公取が独禁法の適用の拡大についていろいろ積極的な取組をしておられるという点は、私も大変評価をしておりますし、いろいろな事象について公取として問題意識を持って当たるという点は、もし公取委員長になりました場合には、今の公取の姿勢を踏まえながら私も取り組んでいければなというふうに考えております。

佐藤(英)委員 次に、中小企業の取引環境の改善について伺ってまいりたいと思います。

 地域の中小企業は国民経済の土台であり、中小企業の取引環境を改善していくことは大変に重要であると思っております。

 そこで、働き方改革が進められる中で、大企業が働き方改革に取り組むことによって下請の中小企業にしわ寄せがなされる可能性もありますけれども、公正取引委員会はどのように対処していくのか。

 また、昨年十月に消費税率が引き上げられておりますけれども、消費税の転嫁対策特別措置法に基づいて、消費税の円滑かつ適正な転嫁に対してどのように取り組んでいこうと考えているのか、伺います。

古谷参考人 二点御質問いただきました。

 働き方改革でございますけれども、この働き方改革自体は、これは進めていくことは大変重要な政策課題だと思います。

 ただ、企業の働き方改革の取組が進む一方で、その影響が、取引の相手方といいますか、中小企業や小規模事業者に対して不当な不利益や負担となってはね返る、しわ寄せが行くというようなことがありますと、社会全体としては働き方改革の効果が出ないというようなことにもなってしまいます。

 こういう場合、公取の役目は、働き方改革に関連して生じます中小企業等に対する不当な行為、下請法違反、あるいは優越的地位の濫用などにつながるような反競争的な行為、これをしっかり監視をして是正をしていくということだと思います。

 公取の方から、働き方改革について下請法上懸念される事例みたいなものも公表しておられる、こう承知しておりますので、そういったもので未然に防止を事業者に促すとともに、反競争的な事案があれば厳正に対処をするということが必要なんだろうというふうに思っております。

 また、消費税の関係は、昨年十月から一〇%に消費税が上がったことに伴いまして、公取の方で事業者に悉皆調査をやっておられるというふうに伺っておりますし、円滑、適正な転嫁を進めるための説明会や相談にも応じておられるということでありますので、競争当局としての措置を踏まえながら、円滑、適正な転嫁を中小企業者がやれるように公取として監視をしていくということが重要だと考えております。

佐藤(英)委員 私からもデジタルプラットフォームについて伺ってまいりたいと思います。

 いわゆるデジタルプラットフォーマー型ビジネスが台頭している中で、デジタル市場において公正かつ自由な競争環境を整備していくことは極めて重要なことだと思っておりますが、個人情報保護と競争政策との関係についてどのような認識を持っていらっしゃるのか、また独占禁止法でどのように対応されようとされているのか、伺います。

古谷参考人 デジタルプラットフォームに係ります個人情報保護に関しましては、個人情報の取扱いに対する不安ですとか、一方で個人情報の保護と利用のバランスといったことが議論になりまして、御承知のように、個人情報保護法の見直しのための法案が国会に提出をされておるわけでありますけれども、デジタルプラットフォーマーが、個人情報を、不正に収集をしたり利用するということになりました場合には独禁法上の優越的地位の濫用になる場合があるといったようなガイドラインを公取が示しておられます。

 こういったことをまさによく周知をいたしまして、デジタルプラットフォーマーの方にもよくそこは認知した上で対応していただく必要があると思いますし、そういったことが現に起きている場合には、独禁法上の措置を厳正にやっていくということだろうというふうに考えております。

佐藤(英)委員 次に、人材育成について伺います。

 経済がグローバル化して、さらにまた、複雑化している中で、公正取引委員会においても、専門人材を育成していくことが喫緊の課題であると考えます。

 候補者は、公正取引委員会のトップとしてかじ取りを担われるわけでありますけれども、どのような人材育成方針を持たれているのか、伺います。

古谷参考人 まさに、デジタル経済が進みますと、公取といたしましても、競争政策を進めていく上で、デジタル分野を含めて、非常に専門的な知見が必要になると思います。

 私自身もそうなんですが、デジタル分野について、これからもしっかり勉強せないかぬなとは考えておりますけれども、まさに公取組織としても、やはり他省庁との人事交流も含め、あるいはデジタル分野の外部の人材を活用するとか、そういったことも考えながら、幅広く力を組織としてつけていく必要があるんだろうと思います。

 一方で、私が今所属しております内閣官房にデジタル市場競争本部というのがありまして、これは、デジタル分野の専門家、あるいは経済学者、それから法曹、法律学者といった、まさにその分野の専門家を集めて、公取にも入ってもらって、関係省庁みんな連携をして、デジタル市場の今後のあり方について議論しております。

 そういうところにも公取としてこれからも積極的に貢献できるような体制をやはりつくっていく必要があるんだろうというふうに考えております。

佐藤(英)委員 次に、新型コロナウイルスへの対応について伺います。

 新型コロナウイルス感染症への対応は喫緊の課題であります。

 候補者は、内閣官房副長官補としてまさに尽力をされているところでありますけれども、競争政策を所管する公正取引委員会の立場からはどのような対応が必要と考えているのか、伺います。

古谷参考人 先ほども若干申し上げましたけれども、やはり今回の新型コロナウイルス感染症で打撃を受ける日本経済、特に中小・小規模事業者の方へのいろいろな打撃が大きく出るおそれがございます。

 そういうこともありまして、公取の方からは、先般、経済産業大臣や厚生労働大臣と連名で、発注事業者に対しまして、取引上適切な配慮を求める要請もされていると思います。

 競争当局としまして、下請法や独禁法の適切な運用によって、なるべくしわ寄せが寄らないよう、不公正な取引を監視して、中小事業者、小規模事業者が不当な不利益をこうむらないような取引環境を確保していくということが大事になってくると考えております。

佐藤(英)委員 最後の質問であります。

 候補者は、公正取引委員会の活動をどのように評価、認識されているのか、御自身のキャリアをどのように生かせると考えているのか、また、我が国経済が生産年齢人口の減少や所得格差等の課題に直面する中、日本経済の活性化に向けて独占禁止法はどのような役割を果たすと考えていらっしゃるのか、伺います。

古谷参考人 今、現在の杉本委員長のもとで、この七年間、公取は、TPPの協定のときに確約制度というのを導入されたり、今回、国会で成立をさせていただいた独禁法の改正で、課徴金減免制度について調査協力減算制度を導入するといった改正が行われ、まさに、事業者側のコンプライアンスに期待をして独禁法違反行為の早期排除を実現するといったような多様な手段を公取として持とうと努力をしてきておられることですとか、先ほどから議論になっていますように、デジタルプラットフォームの分野ですとか人材をめぐる分野についてもいろいろと調査研究をされて、独禁法の貢献する分野を広げていこうという非常に積極的な取組を現委員長のもとで公取はしておられるというふうに思っております。

 私も、財務省あるいは内閣官房でいろいろなことをしてまいりましたので、自身の行政経験がこういう場面で少しでも役立てばというふうに思います。

 基本的には、今、非常に前向きに公取が施策を進めておられることを踏襲して、前向きな公取行政というものができればなというふうに現時点では考えております。

佐藤(英)委員 終わります。

高木委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 内閣官房副長官補として、二〇一三年以降、長らく政権中枢で活動してきた古谷参考人にお尋ねをいたします。

 中央省庁再編以降、総理の権限強化を始めとして、内閣の重要政策の企画立案や総合調整機能を持つ内閣官房、内閣府の拡大強化が図られてまいりました。こういった官邸機能強化がさまざまな弊害も生じさせているのではないのか、公文書の改ざんや捏造、隠蔽などの不祥事につながったのではないのか。中にいて率直にどのようにお感じか、お尋ねします。

古谷参考人 大変難しい質問をいただきました。

 現に内閣官房でまだ副長官補として仕事をしておりますので、余り申し上げることはないんですけれども、大きな時代の変化といいますか、やはり日本が、先ほども申し上げましたが、人口減少、少子高齢化、成熟社会になった中で、行政もいろいろな政策面について大きな改革あるいは変革をしていかなければいけない状況にこの時代はあると私は認識しております。

 こういう中で、二〇〇〇年に中央省庁改革が行われまして、総理大臣の発議権というものもつくられました。そういう意味で、今、官邸主導ですとかいろいろな言い方をされますけれども、内閣が各省庁との間で、いわば総理の発議権をフルに使っていろいろな企画、調整、立案をしているということは、私は、中におりまして、大変口幅ったいですけれども、積極的に評価をしていただいていいのではないかなというふうに考えながら仕事をしておるところでございます。

 きょうの私からのコメントはそこまでにさせていただきます。

塩川委員 公正取引委員会の採用案内パンフレットを拝見しますと、「公正取引委員会は、」「厳格な中立性と高度の専門性が必要とされることから、職権行使の独立性が法定され、他からの指揮監督を受けることなく職務を遂行します。」とあります。

 古谷参考人の、この職権行使の独立性についての御認識を伺いたいと思います。

古谷参考人 御指摘のとおり、独禁法二十八条で、公取は独立してその職権を行使するというふうになっております。独立行政委員会という位置づけでございまして、ほかから指揮監督を受けることなく、独立で、まさに自由で公正な競争環境を確保する仕事という崇高な使命が公取にはあるんだというふうに思っております。

 私自身は、内閣官房で、先ほど申し上げましたように、各省のあまた調整事をやっておりますけれども、公取委員長に仮に選任されましたならば、この独立して職権を行使するということを心に定めて仕事をさせていただきたいというふうに思っております。

塩川委員 二〇一九年六月閣議決定の成長戦略実行計画のデジタル市場のルール整備の項には、「独禁当局は、デジタル市場についての知見が弱いこともあり、十分な勘案ができていないとの指摘がある。」とあります。

 この点は、古谷参考人も同じ認識でしょうか。

古谷参考人 現在の公正取引委員会にデジタル分野の知見が足りないかどうか、そこはちょっと私は評価はできませんけれども、先ほども申し上げましたように、公取という競争当局とは別に、内閣官房にデジタル市場競争本部というものを設置いたしまして、デジタル分野の専門家にも来ていただいて、今、関係省庁で横断的なデジタル分野の競争環境整備についての議論を行っております。

 こうした取組は、諸外国、主要国でもデジタル分野の議論をする際に用いている手法でございまして、こうした横断的な議論の中に、今後、競争当局としての公取も、まさにそれを執行し実行していく役割を担っていくわけでありますので、専門的な知見を高めるよう、組織の力を強くしながら、積極的に加わっていくということが必要になってくるんだろうというふうに思っております。

塩川委員 閣議決定したこういう成長戦略実行計画において、独禁当局はデジタル市場についての知見が弱いと断定するような話が出ているわけで、それを踏まえると、現状の公取の体制がどうなのか。デジタル市場の知見が弱いということを踏まえて、どのような人員や体制の強化を図る必要があると考えるのか、その点についてはいかがでしょうか。

古谷参考人 やはりデジタル経済、デジタル社会になりますと、知識や情報の変化のスピードも大変大きいものがございますので、それについていくというのは大変だろうと思います。

 したがいまして、公取が、内部にいる公取の職員に当然いろいろな研修をして知恵をつけていくということは大事だと思いますけれども、それだけではなくて、やはり外部の人材を登用するとか、関係省庁との人事交流を活発にするとか、そういうこともやりながら、やはり組織としての対応力を高めていくということを考えていく必要があるというふうに思っております。

塩川委員 海外の独禁当局と比べても、やはり人員体制が極めて小さいのではないのか。いろいろな人事の交流ですとか外部人材の登用の話がありましたけれども、そもそも公取の人員体制を大幅にふやす、そういうことについてのお考えはいかがですか。

古谷参考人 それも必要だと思います。

 杉本委員長のもとでかなり人員もふやしてきておられるというふうに聞いておりますけれども、公取の今の体制の実態をつぶさに今後聞いた上で、人員の増強、組織の増強ということについても検討させていただければと思っております。

塩川委員 公正取引委員会の知見が不十分だという認識を踏まえて、成長戦略実行計画においては、内閣官房にデジタル市場の競争状況の評価等を行う専門組織としてデジタル市場競争本部を創設するとしました。古谷さんのお話にもあったとおりであります。その事務局組織の、デジタル市場競争本部事務局の事務局長が古谷副長官補ということであります。

 やはり、いろいろ公取に注文をつけるような内閣のもとで新たにつくられたデジタル市場競争本部、その事務局の責任者をやっておられる古谷参考人が、いわば官邸の中枢で企画立案や総合調整を担う立場だった人が独禁当局の責任者となるのは、公正取引委員会の職権行使の独立性に疑問符がつかないかと思うわけですが、その点、いかがでしょうか。

古谷参考人 私は、きょう、内閣総理大臣から候補者として選考されてここに参っておりますので、私がふさわしいかどうか、私の方から申し上げるのは難しいですけれども、先ほども申し上げましたように、デジタル市場の競争環境を整備していくという問題については、公取、競争当局を含めていろいろなところがかかわってくる話になると思いますので、これは、個人情報保護委員会とか消費者庁、経産省、総務省、いろいろなところと一緒になって議論しております。そういう中で、公取が果たすべき役割というのはあると思います。

 今、内閣官房でそうした調整業務を主として私はやっておりますけれども、一番最初の御質問に戻りますが、公取は独立して仕事をするということでございますので、公取の委員長になりました場合には、きちっとそこは切り分けて職務に当たらなければいけないと思っております。

 私は、これまでいろいろな行政官として仕事をしてまいりましたけれども、それぞれ与えられた職責を一所懸命と思ってやってきたつもりでございます。今後もそうしていきたいというふうに考えております。

塩川委員 終わります。

高木委員長 次に、遠藤敬君。

遠藤(敬)委員 現在の杉本委員長は、七年余りにわたって、課徴金制度の見直しを内容とする独禁法の改正などさまざまな取組を進められてきたと承知をしておりますが、候補者はこれまでの公取の活動をどのように評価しておられるか。

 また、候補者は、任命された場合には、我が国の競争政策をかじ取りしていく大変重要な役割を担うことになります。今後どのように進めていきたいのか、また、その際には御自身のキャリアをどのように生かしていきたいのか、お考えをお伺いしたいと思います。

古谷参考人 我が国経済がグローバル化、デジタル化の進展によりまして大きく変化する中で、また、我が国社会が少子高齢化していく中で、イノベーションによる経済社会の活力を引き出していくということは競争政策の大変重要な役割だというふうに考えております。

 公取は、杉本委員長のもとで、先ほども言われましたような課徴金制度の改革ですとか確約制度の導入といったことにも取り組んできておられますし、また、私が大変注目しておりますのは、杉本委員長のもとで、デジタルプラットフォームの問題や人材の分野に対しましても競争法が積極的にかかわるといったことなど、世の中の変化に応じまして、独禁法が貢献する場を積極的に広げてきておられるというふうに評価をしております。

 私自身は、先ほども申し上げましたように、財務省で主として税制の企画立案、執行の仕事を経験し、その後、副長官補として現在の仕事をしております。各省庁にまたがる各般の政策課題について調整に携わってきたわけでございますけれども、これまでの私自身の行政経験を活用して、杉本委員長のもとでの公取の方針を踏まえつつ、公取の役割を今後も存分に発揮できるような前向きな対応をしていきたいというふうに考えております。

遠藤(敬)委員 古谷候補の今の御回答に関連いたしますが、日本経済の成長には、企業の生産性を向上させていくことは重要な課題であります。また、独禁法を中心とする競争政策が、企業の生産性の向上ひいては我が国の経済成長にどのようにつながっていくのか、所見をお伺いするとともに、また、この国会には、先ほども御案内がございましたように、政府からデジタルプラットフォーマーの取引の透明化法案が提出をされています。このデジタルプラットフォーマーの課題について、また、どのように評価し、公取としてはどのような役割を果たしていくべきか、お考えをお伺いしたいと思います。

古谷参考人 先ほどから私も申し上げておりますが、やはりこれからの日本社会が、いかに生産性を引き上げて経済成長を続けていくか、その成果を国民にどうやって公正に広く配分していくか、これが一番大事なんだろう、こう思っております。

 経済成長のもとは、やはり供給側にあります。供給側というのはイノベーションをしていかないとだめになってしまうというふうに私は思います。その後のイノベーションの芽をこれからの社会で摘まないためにも、公正で自由な競争環境をきちんと整備していくという公取の役割は大きい、こう思っております。

 そこで出てくる恐らくイノベーションというのは、AIとかIoTとかビッグデータにかかわるようなものがこれからは非常に多くなってくるんだろうと思います。今まさに、デジタルプラットフォーマーというのはそういうイノベーションの大きな担い手の一つでもございますので、そこに日本のいろいろな事業者がかかわっていくということは、経済成長にとっても大事なことだと思います。

 一方で、デジタルプラットフォーマーというのは、ネットワーク効果が働くことによって、非常に寡占、独占を招きやすいという取引構造を持っておりますので、デジタルプラットフォーマーにかかわるいろいろな事業者が取引上不当な不利益や負担を負うことがないように、公正な競争という観点から独禁法が登場する場面はいろいろあるんだと思います。

 一方で、取引透明化法案ということで、今、国会にお願いをしておりますけれども、例えば、独禁法と下請法が役割分担をしていますように、独禁法と取引透明化法案が役割分担をするという場面はあろうかと思いますけれども、やはり、最後は基本法たる独禁法がきちんと出ていくという体制をつくっていく、そういう検討をこれからも進めていくことが大事なんだというふうに思っております。

遠藤(敬)委員 私、ここが一番ポイントというか、私の質問の中で一番重要に考えている点をお聞きしたいと思うんですが、公取委員会の独禁法、下請法、消費者、中小企業目線からの重要な市場環境整備に取り組んでいるにもかかわらず、その活動に関し理解のある国民は決して多くないのではないかと感じておりまして、もっと広報活動に力を入れていくべきではないか、また、わかりやすい言葉を使用して、より消費者の視点から広報活動を実施していくことが、考えられる大きなポイントではないのかなというふうに考えておりまして、広報活動について候補者はどのようにお考えになっているか、御所見をお伺いしたいと思います。

古谷参考人 公取の活動をわかりやすい言葉で消費者の視点からしっかり広報すべきだという御指摘は、そのとおりだと思います。

 ただ、私が感じていますのは、昨今の公取の活動というのは、経済のさまざまな事象に対しまして実態調査を行って報告書を公表しておられたり、プレスで比較的公取の活動が報道されることも多くなっているんじゃないかなというのは感じておりまして、現在の公取の積極的な活動というのが話題になることも少なくないような思いで見させていただいております。

 そういう中で、やはり、公取の活動について事業者の理解を得る、あるいは国民から信頼を得るということは大事だろうと思いますので、いろいろな媒体や機会を通じて広報広聴に努めていくということは重要なことだというふうに認識をしております。

遠藤(敬)委員 最後になりますけれども、先ほども古屋さんにも御質問しましたけれども、公務に対する国民の目線、まさに厳しいものはもう当然でありますけれども、国民の代表である国会との連携を深めていくこと、常に消費者目線、民間目線を意識しながら重責を果たしていただきたいと思うわけでありますけれども、最後に御決意をお伺いしたいと思います。

古谷参考人 御指摘を肝に銘じて仕事をしていきたいと思います。

 公取は、御承知のように、強制的ないろいろな権限を持っております。事業者にコンプライアンスを求める立場でもございます。

 そこは、私、昔、国税庁長官をやっていまして、税金取りをやっておりました。そういう意味では、税というコンプライアンスを求める立場にもございました。

 今回は、競争政策ということで、事業者にコンプライアンスを求めなければいけない立場でもありますので、国民の目線というものを常に意識しながら、みずからを律してやっていきたいと考えております。

遠藤(敬)委員 終わります。

高木委員長 これにて各会派を代表する委員の質疑は終了いたしました。

 これより自由質疑を行います。

 質疑される方は、挙手の上、委員長の許可を得て発言されるようお願いいたします。

 また、発言の際は、所属会派及び氏名をお述べいただき、一人一問一分以内としていただきますようお願いいたします。

 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 古谷参考人もかかわってこられたデジタルプラットフォーマー取引透明化法案についてお尋ねします。

 巨大IT企業に対して取引の透明性と公正性の向上を求めるという法案ですが、事業者の自主性に委ねることが基本となっており、中小企業いじめや違反行為の規制が十分にできるのか、また、情報開示の命令違反に罰金が百万円以下など規制の実効性を担保する措置が弱いのではないか、さらには、法律の執行をIT産業を育成する立場の経産省が担うという仕組みですので、踏み込んだ監視と規制ができるのか疑問だ、このように思いますが、古谷参考人はどのように評価しておられるでしょうか。

古谷参考人 今回提出をして御審議をお願いしております取引透明化法案、これは先ほども申し上げましたけれども、やはり、デジタルプラットフォームというのは、これからの経済にとって、イノベーションをして進めていく上で期待の持てる分野でもございます。一方で、デジタルプラットフォームにかかわるいろいろな事業者が不当な不利益や負担を負ってはいけない、そういうバランスの中で議論をしてまいりました。

 いろいろな御議論はあろうかと思いますけれども、これは経産省が所管をして一定の義務づけはいたしますけれども、どうしても独禁法違反が疑われるような場合には、そういう事案については公取委員会の方に独禁法に基づく対処を要請できるといったような規定になっております。ここは、取引透明化法案とうまくタイアップをして、独禁法の厳正な適用というものに心がけてまいりたいというふうに思っております。

 デジタルプラットフォームをめぐる競争環境の議論というのは、私はまだ道半ばだと思っております。これからいろいろな御議論を踏まえながら深めていかなければいけない課題だという認識もいたしております。

高木委員長 ほかにございますか。

 それでは、これにて古谷一之参考人の所信に対する質疑は終了いたしました。

 古谷参考人、ありがとうございました。お疲れさまでした。

 以上をもちまして人事官の候補者及び公正取引委員会委員長の候補者からの所信聴取及び所信に対する質疑は終了いたしました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十分散会


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