衆議院

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第55号 令和3年9月28日(火曜日)

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令和三年九月二十八日(火曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 高木  毅君

   理事 御法川信英君 理事 盛山 正仁君

   理事 松本 洋平君 理事 井上 貴博君

   理事 福田 達夫君 理事 井野 俊郎君

   理事 小川 淳也君 理事 青柳陽一郎君

   理事 佐藤 英道君

      高村 正大君    武部  新君

      本田 太郎君    黒岩 宇洋君

      塩川 鉄也君    遠藤  敬君

      山崎 摩耶君

    …………………………………

   議長           大島 理森君

   副議長          赤松 広隆君

   内閣総理大臣       菅  義偉君

   国務大臣         西村 康稔君

   事務総長         岡田 憲治君

    ―――――――――――――

委員の異動

九月二十八日

 辞任         補欠選任

  武内 則男君     黒岩 宇洋君

  浅野  哲君     山崎 摩耶君

同日

 辞任         補欠選任

  黒岩 宇洋君     武内 則男君

  山崎 摩耶君     浅野  哲君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の終了の事前報告に関する件


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     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 この際、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の終了について、菅内閣総理大臣及び西村国務大臣からそれぞれ事前報告を聴取いたします。菅内閣総理大臣。

菅内閣総理大臣 デルタ株の急激な感染拡大により、多くの地域において、本年七月以来、緊急事態宣言、蔓延防止等重点措置を実施し、国民の皆様に御協力をいただきながら、医療提供体制の構築、感染防止の徹底、ワクチン接種を三本の柱として対策を行ってまいりました。ワクチンの総接種回数は一億六千万回に達し、接種率では米国を超えるところまで来ました。全国の新規感染者数や重症者数は大きく減少し、医療の逼迫についても改善が続いております。

 本日、基本的対処方針分科会を開催し、感染の状況や医療提供体制等を総合的に勘案した上で、緊急事態宣言及び蔓延防止等重点措置を終了することについて御了解をいただいたところであります。詳細は担当大臣から説明させますが、本日、政府対策本部を開催し、決定したいと考えております。

 今後とも、国民の皆様の命と暮らしを守ることを第一に、ワクチン接種を一層進め、医療提供体制を整備し、感染拡大に対する社会の対応力を高めながら、感染対策と日常生活の回復の両立に取り組んでまいります。各党の皆様におかれましては、何とぞ御理解と御協力をお願い申し上げます。

高木委員長 次に、西村国務大臣。

西村国務大臣 各党の皆様におかれましては、政府の新型コロナウイルス感染症対策に御協力を賜り、御礼申し上げます。

 本日は、緊急事態宣言及び蔓延防止等重点措置の終了について御報告いたします。

 新規陽性者数は、全国的に大きく減少しており、今週先週比が直近で〇・五を下回るまでに減少しております。ワクチン接種や人流抑制などに御協力いただき、国民の皆様に感謝申し上げます。

 また、重症者数についても、昨日は一千六十二人とピーク時の半分以下の水準にまで減少しております。

 病床の確保などの医療提供体制の強化とも相まって、病床使用率は全ての地域で五〇%を下回り、特に緊急事態措置区域ではいずれも四〇%を下回るなど、病床の逼迫の状況は大きな改善が見られます。医療従事者の皆様の御尽力に感謝申し上げます。

 こうした中、現在緊急事態措置の対象となっている十九の都道府県については、いずれも、病床使用率の改善に加え、重要な指標である自宅療養者及び療養等調整中の方の合計は、減少傾向が継続し、専門家から示されている十万人当たり六十人の水準を下回るなど、新型コロナウイルス感染症医療の負荷が軽減されております。また、もう一つの重要な指標である救急搬送困難事案についても、東京を始め多くの地域で減少傾向にあるなど、一般医療への負荷も軽減されています。

 以上のように、医療の状況は大きく改善していることなどから、これらの十九の都道府県については、期限どおり、今月末をもって緊急事態措置を終了したいと考えております。また、このような医療及び感染の状況や各都道府県の意向も踏まえ、蔓延防止等重点措置の対象にもしないこととしたいと考えております。

 また、現在蔓延防止等重点措置の対象となっている八県については、いずれも、新規陽性者数や病床の状況は改善し、ほぼ全ての指標がステージ2相当以下となっていることなどから、各県の意向も踏まえ、今月末の期限をもって同措置を終了すべきと考えております。

 以上の状況を踏まえ、本日、基本的対処方針分科会を開催し、緊急事態措置及び蔓延防止等重点措置の終了について御了承いただきました。この後、政府対策本部を開催し、これらについて決定したいと考えております。

 なお、本日の分科会では、今回の緊急事態措置等の終了後も、様々な制限について段階的に緩和していくこと、その上で、基本的な感染対策の継続を含め明確に情報を発信すること、また、今後の感染拡大に備えて、ワクチン接種率の向上を含めた総合的な感染対策及び医療提供体制の更なる強化をしっかり進めるべき、さらに、医療逼迫を生じるような予兆を探知した場合に早期に効果的な対策を講じるべきといった御議論がありました。

 解除後、様々な活動が活発になれば、感染者数の増加が予想されます。流行は今後も起こります。本日の専門家の御意見もしっかりと受け止め、今後の早期の感染再拡大を招かないよう、対策については段階的に緩和し、緊急事態措置を終了する地域においては、必要な対策を継続することとしております。

 具体的には、まず、飲食店に関する対策については、営業時間の短縮の要請を継続し、その後、地域の感染状況等を踏まえながら、一か月までを目途に段階的に緩和することとします。営業時間の時短要請については、第三者認証制度の適用店舗では午後九時まで、それ以外の店舗では午後八時までを基本とし、いずれの店舗においても酒類の提供を可能といたしますが、地域の感染状況等に応じ、蔓延防止等重点措置区域で適用される措置も参考にしながら、都道府県知事が適切に判断することとします。また、時短要請に協力いただいた飲食店に対しては協力金を支給することとし、これまでと同様に、国がその財源の八割を支援いたします。

 また、イベント開催に係る規模要件については、一か月間の経過措置として、人数上限五千人又は収容定員の五〇%以内のいずれか大きい方とし、一万人を上限とします。

 さらに、外出・移動制限については、当面は、混雑を回避して少人数で行動すること、テレワークなど柔軟な働き方への対応を行うことなどについて協力の要請を行うことに加え、帰省や旅行、出張など都道府県間の移動に際しては、基本的な感染防止策を徹底するとともに、ワクチン未接種者等のリスクの高い者には検査を勧奨することとし、対応については、感染状況等に応じ、各都道府県知事が適切に判断することとします。

 また、この冬に感染拡大が起こり得ることも想定して、今回の様々な経験も生かしながら、感染拡大の状況においても必要な方が必要な医療を受けることができるよう、引き続き、地方自治体と連携し、必要な医療提供体制の強化の取組を継続していきます。

 その上で、ワクチン接種が進んでいく中で、諸外国の取組も参考に、ワクチン接種証明と検査の陰性証明を組み合わせたワクチン・検査パッケージにより、感染防止対策と日常生活や社会経済活動との両立を図っていきたいと考えております。関係者の皆様との意見交換や技術実証の実施などを通じて課題を整理し、実効性のある枠組みの構築に向けて制度設計を進めてまいります。

 今回、緊急事態措置等を終了しますが、今後とも、国民の皆様の命と健康を守ることを最優先に、冬の感染再拡大への備えに万全を期すとともに、感染の再拡大の予兆が見られた場合には、専門家の御意見も伺いながら、都道府県と連携して、蔓延防止等重点措置の適用なども含め、機動的に必要な対策を講じていきます。各党の皆様におかれましても、何とぞ御理解と御協力をよろしくお願いいたします。

    ―――――――――――――

高木委員長 ただいまの事前報告について発言を求められておりますので、順次これを許します。御法川信英君。

御法川委員 自由民主党の御法川でございます。

 まず、菅総理におかれましては、この一年間、新型コロナの感染拡大から国民を守るということで、三本柱と先ほど御発言がございましたが、感染防止対策、医療提供体制の拡充、そしてワクチン接種の推進ということで、本当に休む間もなく全身全霊で取り組んでこられたということで、まずは、お疲れさまと一言発言をさせていただきたいというふうに思います。

 デルタ株の猛威によりまして、一時はこれまでにない規模の感染拡大が見られましたけれども、これがまた急速なペースで収束をして、今回、緊急事態宣言を全面的に解除するということができた。

 この背景について、専門家の中でも意見が分かれているということでございますけれども、私は、間違いなく、ワクチン接種が進んだということが大きな理由の一つではないかというふうに考えてございます。本年五月に総理が一日百万回の接種を目指すと言ったときには、もう誰もそんなことはできないだろうと言っていたのが、最大では一日百五十万回まで増えた。まさに総理のリーダーシップが今回の感染拡大の縮小、急速な低下というものの大きな一因だったというふうに考えてございます。

 また、医療体制あるいは中和抗体薬についても、しっかりとしたリーダーシップを取って、今後、国民の皆様に広まるよう、準備をされているというふうに承知をしてございます。

 今回のこの厳しい感染拡大の中で、感染者数の増加に比べまして、高齢者を中心に、重症化する方あるいは亡くなる方というのは比較的少なかったということがございます。これも、ワクチンの効果があったという一つの証明になるのだというふうに思います。

 総理が全力を注いでこられたワクチン接種につきましては、新しい政権の下で、十月から十一月のできるだけ早い時期に、希望する全ての国民への二回の接種の完了を目指して、今後は、感染対策、そして日常生活の回復、この両立というフェーズに入っていくことになると思いますけれども、総理に一言、これまでのコロナとの戦いを振り返りながら、今後の取組について、次の政権にどういうものを引き継いでいくべきか、総理のお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。

菅内閣総理大臣 新型コロナとの戦いが始まってから一年と半年の間、政府として、国民の命と暮らしを守るを最優先に、全力で対策を講じてきました。

 ワクチン接種は、この間、一日百万を超えるペースで進み、一回目接種が約七割弱、二回目接種が六割弱に達し、既に米国を超えております。十月中旬には、現在のイギリスやフランスと同程度になる見込みであります。

 さらに、医療提供体制についても、臨時医療施設や酸素ステーションの整備、中和抗体薬の使用の拡大など、大幅に強化をされております。

 特に、重症化リスクが高い高齢者へのワクチン接種を専門家の御意見の中で優先的に進めた結果として、累積の新規感染者数に対する死者数の割合は、一月から三月は二・四%、四月から六月までは一・七%であったのに対し、今回の感染拡大期に対応する七月から九月までは〇・三%にとどまっています。

 また、六十五歳以上の感染者を十万人、死亡者を八千人減らすことができたとの試算も厚生労働省から示されております。

 今後、ウイルスの存在を前提とし、次の感染の波に備えながら、感染対策と日常生活を両立していくことが必要であると思います。

 このため、医療提供体制の更なる整備、着実なワクチン接種の継続、そして日常生活の回復に向けて制限の段階的な緩和、こうした三つの方針で対策を進めていく必要があると考えており、次の政権にもしっかりと引き継いでまいりたい、このように思います。

御法川委員 ありがとうございます。

 もう時間がありませんので、政府の方に一つお願いなんですけれども、今回の第五波、急激な感染拡大、そしてそれの急激な収束ということについて、まだこれは専門家の皆さんの中でもいろいろな意見があるというふうに聞いておりますが、しっかりこれを検証していただいて、今後の政府が行うべき対策に生かしていただければというふうに思います。

 再度、総理にこれまでの御尽力に感謝と敬意を表しながら、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

高木委員長 次に、黒岩宇洋君。

黒岩委員 立憲民主党の黒岩宇洋でございます。

 菅総理、この一年間の激務、誠にお疲れさまでした。ねぎらいの言葉をかけさせていただくとともに、新内閣に一層の的確なコロナ対応をしていただくために、菅政権のコロナ対応での問題点を指摘させていただいて、新内閣への糧としていただきたい、この思いで質問をさせていただきます。

 まず、菅政権、菅総理のコロナ対応の三つの大きな問題点を私は指摘させていただきます。

 一つ目は、国民への説明不足による国民からの信頼の低下。第二に、科学的知見、専門家の判断の軽視。第三として、時に経済、政局を優先し、国民の命を最優先してこなかった。この三点です。結果として、菅政権は多くの助かるはずの命を助けられませんでした。

 一つ目の、国民への説明不足についてお聞きしますが、菅総理は、就任以来、今日のような緊急事態宣言、蔓延防止の発令や解除について、二十三回、議院運営委員会がありましたが、本来はこれは総理が出ることを我々想定していますが、結局、二度しか出席していません。特に、最後は三月十八日です。この半年間、一度も出席しておりません。

 この半年間というのは、第四波、第五波が襲ってくる。特に第五波は、もうこれは異常なる感染爆発、そして医療崩壊を引き起こした。さらには、オリンピック・パラリンピックの開催に関連して、国民が最も総理の説明を聞きたかった。このときに、十六回、議運が開かれましたが、総理は一度も出てこなかった。これは私は常軌を逸していると正直考えています。

 端的にお聞きします。なぜ、半年間、一度すらも議運に出席をされなかったのでしょうか。

菅内閣総理大臣 国民の皆さんに説明するのは私の義務でもある、このように思っております。

 そういう中で、議運に出席しないというのは、与党との調整の上であります。そして、所管大臣がおりますから、担当大臣からそこはしっかり説明をさせていただける、そういう思いの中で整理をしたわけでありますけれども、私自身は、ぶら下がり会見とか、あるいは緊急事態宣言等の節目節目には約一時間にわたってのマスコミを通じての国民の皆さんへの説明を行わせていただいてきています。

黒岩委員 恐らく国民の皆様も、この半年間、一度も正式な国会の場でその背景にいる国民の皆様に説明しなかった、ぶら下がりで済んだというこの説明で私はがっかりしていると思います。このことが、結局、菅総理の信頼、支持率を落としたことだと私は肝に銘じていただきたいと思います。

 そこで、二番目の指摘ですけれども、専門家についての判断、これは指摘だけにとどめますけれども、GoToトラベルの停止だとか、あとはオリンピック・パラリンピックの無観客だとか、こういった専門家の意見等はやはりないがしろにされて、結果として、私は、コロナ対策が不十分だったということは極めて残念だ、国民にとって不幸であったということは指摘させていただきます。

 そして三つ目、国民の命を最優先にしなかったというこの点に関して、私の方から、もう時間がないので、二点続けてお聞きしますね。

 菅政権では、先ほど申し上げたとおり、感染爆発、医療崩壊を引き起こしました。菅総理の任期中、任期中だけですよ、コロナの感染者というのは、今まで全ての感染者が百六十九・五万人ですけれども、その九五%に当たる百六十一・八万人が菅総理の任期中ですよ。死者に関して言えば、全てのコロナで亡くなった方一万七千四百八十二人中、九二%に当たる一万六千二十一人、これは、昨日まで、直近の亡くなった方ですよ。すなわち、コロナの感染者、死者のほとんどが菅政権の下で感染をして亡くなられている、これは厳然たる事実ですよ。

 二問続けてお聞きしますね。

 この間、三か月以上も国会が開かれず、法改正もしない、補正予算も組まない。打つ手は幾らでもあったと思うんですけれども、総理、総理の認識として、総理はでき得る限りのコロナ対策を全て打ったと言い切れるのか、これを一点お聞かせいただきたい。

 そして、今申し上げた、本当に多くの菅政権下での犠牲が出ました。総理の政治責任、結果責任について、国民に真摯に御説明をいただきたい。

 二点お願いいたします。

菅内閣総理大臣 先ほど来申し上げておりますけれども、私自身、内閣総理大臣として、一年間の間、新型コロナ対策で明け暮れていました。その中で、全体像が分からない中で、ワクチンは間違いなく効果があるということです。ですから、私はこのワクチンに的を絞って取り組んできました。

 当初、私が六月に百万人を超えると言ったとき、野党の皆さん始めいろいろな方から、根拠がない、何だと言われました。しかし、結果として、厚生労働省だけでなくて総務省も動員をして、また、打ち手は医師だけでなくて歯科医も救命救急士も臨床検査技師も入れて、そういう形の中で、一日も早く、一人でも多くの方にワクチン接種できることが、国民の命を守ること、暮らしを守ること、そういうふうにつながるという中で、私は歯を食いしばって頑張ってきました。

 先ほど来申し上げましたように、この一月―三月が死者数は二・四%だったんです。重症化リスクの高い高齢者の皆さんに接種を優先的に進めたことで、結果として、四月―六月が一・七%、七月以降は〇・三%にとどまっている。これは、世界でも最も致死率として低い水準であります。このことがいいとは言いません、お亡くなりになった方がいらっしゃるわけですから。ただ、私ども、そういう思いの中で今日まで全力で取り組んできているということであります。

 そしてまた、抗体カクテルという新しい治療薬ができました。これは極めてすばらしい薬なんです。一回摂取すると、これは東京都の発表ですけれども、四百二十人のうち九五%がその点滴後に回復したという、そうした数字もあります。そうした抗体薬を、様々な規制がありましたけれども、それを全て壊して、在宅の人にも適用できるようにもさせていただきました。

 そういう形の中で取り組んできて、結果は国民の皆さんが御判断されることだろうというふうに思いますけれども、政府を挙げて取り組んできている、そのことだけは申し上げさせていただきたいと思います。

黒岩委員 最後に、今総理がおっしゃった成功事例というのも大切だと思います。ただ、今後の先行きの糧とすれば、やはり失敗事例もしっかりと次の新総理に引き継がなきゃいけないんですよね。

 総理も、退陣を決めたから、私、顔色もよくなったんじゃないかと思いますので、この一年間、多分苦い経験やつらい思いもあったと思いますが、それを真摯に新しい総理にアドバイスしていただく、このことを要請いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

高木委員長 次に、佐藤英道君。

佐藤(英)委員 公明党の佐藤英道です。

 初めに、総理に三点お伺いいたします。

 未来を担う子供たちをコロナ禍から守り抜くことが重要です。外出の自粛や学校の休校により、子供と親の精神的、経済的な負担が増しております。公明党は、ゼロ歳から高校三年生まで全ての子供たちに、所得制限を設けず、一人十万円の未来応援給付の実施を提案しております。総理のお考えをいただきたいと思います。

 次に、私の地元北海道では、昨年、気温が下がり始めた十月末頃から感染が拡大しました。感染の波が再び訪れた際に迅速に対応できるよう、臨時の医療施設の設置や医師の確保、地域における医療機関の役割分担や連携の強化など、都道府県に対し、備えを呼びかけ、支援すべきです。いかがでしょうか。

 また、政府が検討している陰性証明について、ワクチンを打たない人への差別につながらないよう、PCRや抗原定量といった質の高い検査を容易に、無料で受けられるようにすべきであります。いかがでしょうか。

 次に、西村大臣にお伺いいたします。

 北海道で今年五月にワクチン接種をした二日後に御家族を亡くされた御遺族の方から相談を受けました。接種した医療機関から厚生労働省にワクチンの副反応事例として報告をされましたが、今月二十三日時点で、四か月以上、御遺族に何の連絡もないとのことでありました。是非、厚生労働省が自治体と連携し、御遺族に経過を報告する仕組みを整えていくべきであります。いかがでしょうか。

 最後に、国産のワクチンや軽症の段階で効く飲み薬、いわゆる経口薬の開発、実用化を強力に促進すべきであります。御見解を伺いたいと思います。

西村国務大臣 私への御質問についてお答え申し上げます。

 副反応疑いの報告でありますけれども、亡くなられた方には本当にお悔やみを申し上げたいと思います。

 現行の副反応疑い報告制度は、接種後に生じる症状等の傾向を把握するものであって、接種された方やその御家族に個別に連絡することとはなっていないということで厚労省からも聞いております。

 一方で、本人等から申請があれば、予防接種健康被害救済制度に基づいて、健康被害と予防接種の因果関係について検討する専門家による審査の結果を申請者に通知することとなっているというふうに承知しておりますが、委員からの御指摘でありますので、私から厚労省にしっかりと伝えて、何か対応ができるのかを含めてお話をしたいというふうに思います。

菅内閣総理大臣 これまで、新型コロナの中で厳しい状況にある一人親世帯に対して昨年夏及び年末に臨時給付金を支給するとともに、今年に入ってからは、一人親家庭や所得が低い子育て世帯に対し子供一人当たり五万円を給付するなど、子育て世帯への支援を行ってまいりました。

 新型コロナの影響が長引く中で、非正規の労働者や一人親など多くの方々の暮らしにも深刻な影響を与えております。引き続き、こうした方々の暮らしを守っていくとともに、未来を担う子供たちを第一に考えていくことも重要な視点である、このように思います。

 また、今後、医療体制の強化とワクチン接種を更に進め、感染へ社会全体の対応力を高めながら、日常生活を段階的に回復させることが重要であります。

 このためにも、御指摘をいただきました医療体制の更なる整備が必要であり、これまで、今年に入って、病床を一万三千床、ホテル療養施設を二万六千室確保するとともに、七月以降、臨時の医療施設や酸素ステーションを全国で約八十施設設置し、現在も増設を進めております。また、重症化を予防できる中和抗体薬については、先ほど申し上げましたように、既に三万人以上に使用されています。入院しなくても、自宅への往診だとか外来診療でも使えるようにさせていただいています。

 今後、自治体と緊密に連携しながら、今回構築した臨時の医療施設の医療資源をフルに活用し、再び感染拡大が発生したとしても十分に機能する医療体制をしっかり構築しておきたいというふうに思います。

 また、発熱がある方などが地域の身近な医療機関で迅速、そしてスムーズに、公費によって検査を受けられる、現在はそのような体制になっております。また、高齢者施設や保育所などに対して、約八百万回分の抗原検査キットを無料で配付しています。

 陰性証明のための検査への公費投入は基本的には考えておりませんが、国民が検査を容易に受けられるような環境を整えること、このことが極めて重要と考えておりますので、今後、検討を進める必要があると思います。

佐藤(英)委員 終わります。

高木委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 菅総理にお尋ねします。

 野党は、七月の十六日に、コロナ対策への国民の英知を結集する場として、菅総理に対して臨時国会の召集を要求しました。それなのに、菅総理は、憲法五十三条に基づく野党の臨時国会召集要求を拒否しました。

 なぜ拒否したんですか。

菅内閣総理大臣 新型コロナ対策を始め、現在も与野党で国会において閉会中審査、議論を行っています。そういう中で、臨時国会の召集については、国会のことでもありますので、与党と相談しながら対応してきたところであります。

塩川委員 何を言っているんですか。

 憲法五十三条というのは、四分の一の議員の要求で政府に対して決定を求める、臨時国会を開くということを求める中身であります。政府自身が決める話じゃないですか。憲法五十三条に、議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、召集を決定しなければならないとはっきり書いてあります。

 なぜ開かなかったんですか。なぜ憲法を無視するんですか。

高木委員長 塩川君に申し上げます。

 ここは政府のコロナ対応についての発言をする場所でございますので、少しお考えいただきたいというふうに思います。

菅内閣総理大臣 野党から要求のあった臨時国会の召集については、国会のことでもありますので、これまで与党と相談しながら対応を検討してきたところであります。

 先日、十月四日に臨時国会を召集する旨を閣議決定したところであり、政府としては、憲法に規定された義務を踏まえたものと思います。

塩川委員 何を言っているんですか。

 政府が決定した十月四日の臨時国会召集は、菅総理が政権を投げ出した後の新しい総理大臣を選出する場ですよ。官房長官が説明していたじゃないですか。野党が要求をした、コロナ対策を議論する臨時国会の召集では全くない。こういうところに、今の菅政権がコロナ対策を本当に重視していない重大な事態というのが表れている。

 大体、菅総理は、コロナ対策に専念すると述べていたじゃないですか。専念するというなら、まさに臨時国会を開いてコロナ対策をしっかりやるべきだったんじゃありませんか。

菅内閣総理大臣 憲法上、内閣の権能は臨時国会を召集することであり、召集をされた臨時国会において何をどのように議論するかという議事については国会でお決めになることであるというふうに考えます。

塩川委員 菅総理の下でのコロナ対策の審議を求めたのが、野党の臨時国会召集要求なんですよ。菅総理の後の人の話なんかしていませんよ。

 今この国会においてしっかりとした議論を行えというのを七月の十六日に我々は求めたわけで、それを二か月以上も放置した。まさに、菅総理自身がコロナ対策を本当に軽視していた、このことが臨時国会召集要求を拒否したということにはっきりと表れているんじゃありませんか。

 もう一回お答えください。

菅内閣総理大臣 憲法五十三条後段には、召集時期については何ら触れられておりません。その決定は内閣に委ねられておりますが、臨時国会で審議すべき事項等をも勘案し、召集のために必要な合理的な期間を超えない期間内に召集を行うことを決定しなければならないと考えています。

 このために、野党から要求のあった臨時国会の召集については、国会のことでもありますので、これまでも与党と相談をしながら対応を検討してきたところであります。

 先日、十月四日に臨時国会を召集する旨を閣議決定したところであり、政府としては、憲法に規定された義務を踏まえたものであると考えます。

塩川委員 それは首班指名のための臨時国会の召集なんですよ。コロナ対策をしっかりと議論しよう、国民に説明もし、しっかりとした対策を行うという臨時国会と全く違うじゃありませんか。まさに、憲法五十三条に基づく臨時国会召集要求を拒否したというのが菅総理の対応だったということは、憲法違反そのものだと指摘せざるを得ません。

 コロナ対策の臨時国会こそしっかり開いて、大規模検査の実施や持続化給付金、家賃支援給付金の再支給を具体化し、原則自宅療養の方針を撤回して、医療提供体制の拡充のための対策こそ、臨時国会で取り組むべきだったのではありませんか。

菅内閣総理大臣 先ほど来私が申し上げたとおりです。

 また、コロナ対策については、閉中審査も野党の要求に基づいて国会の中でやってきているんじゃないでしょうか。

塩川委員 臨時国会の召集要求に全く応えなかった。

 この間、政府による原則自宅療養という方針の下で、都内では、病院に入れず自宅等で亡くなった方が八月以降で四十五人にも上りました。原則自宅療養というのは、患者の自宅放置であり、医療放棄そのものであります。

 こんな深刻な事態は、歴代の自民・公明政権がつくり出したものであります。この間、保健所は半分に減らされ、病床は削減をされ、医師数は抑制をされ、医療提供体制、公衆衛生体制が脆弱となりました。コロナ禍で医療崩壊と保健所機能麻痺を招いたのが、自公政権の社会保障削減の政治の結果そのものであります。

 国民に自己責任を押しつけてきた自民・公明政権の中でのたらい回しでは何も変わりません。総選挙で政権交代、命を守る新しい政権をつくり、コロナ対策の抜本的な転換を図る、このことを申し上げて、質問を終わります。

高木委員長 次に、遠藤敬君。

遠藤(敬)委員 日本維新の会の遠藤敬でございます。

 菅総理、西村大臣、本日もよろしくお願いいたします。

 本当に、今日が国会報告の最後であってほしいと心から願っております。大島議長もずっと御覧いただいて、本当にそうだなというふうに御認識されていると思いますが、本当に、今日は、もうこれが最後であっていただきたいと思っております。

 今日、総理に二点お伺いしたいのですが、未知のウイルスとの戦いで、どういうことをやればいいのか、世界各国が悩み、そしていろいろな角度から政策を打つのですが、うまくいかないというのが、我が国だけではなく他国でも共通だと思います。

 是非お伺いしたいんですけれども、私自身も国会の中で、この議運の中でも議論をしてきましたが、規制ですね、日本の規制が足かせになってきたのではないかということも多々としてあると思うんです。例えば、厚労省の縦割りであったり、菅総理が積極的に、ワクチン接種のことやら、あとは抗体カクテル、また薬、あとは病院関係、様々なことで規制というものが足かせになってきたと思います。

 菅総理から、今後の未来の日本や、また政治家の皆さん方にも、各役所にも、こういった足かせを今の間に、喉元過ぎればでなく、今やらないと次は変わらないという思いなんですけれども、総理の実感として、今までの経験値の中でどうお考えなのか、お答えいただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 御指摘をいただいたとおりに、新型コロナ対応の経験を踏まえ、有事に備えた対応を含めて、医療に関する様々な制約について、安全性は担保しながらも、不断の検討が必要だというふうに思います。

 例えば、オンライン診療について、初診から全ての疾患で診療を可能とするなど、大胆な規制緩和を行ってきました。

 また、ワクチンの打ち手について、今回は、打ち手が足りないということで、歯科医師、救命救急士、更に臨床検査技師も認めることにして、参加をしてもらいました。

 また、病床や医療関係者の確保に非常に、正直言って時間がかかりました。空床病床を用意していながらも、なかなかそこにチームとしてそうした医療関係者に対応してもらうのに時間がかかる。

 あるいは、治療薬やワクチンの治験や承認が遅く、海外よりも数か月遅れてしまっています。それは、ワクチンに対して、国会で国内治験というものを強く要請を受けました。これはそれぞれの、衆参の附帯決議の中にもありました。そうした国内治験という、日本だけと言ってもいいと思いますけれども、例えば、ファイザーの場合は、ファイザーの治験でそれぞれの国がよしとしているんですけれども、日本は、やはり国内で改めて治験をやれと。それが遅れた原因だったというふうに思います。

 さらに、省庁間の縦割りや、それと同時に国と自治体の関係です。保健所は自治体が所管をしていますので、ここもやはり一気通貫になる、そうした対応を平時のときに考える必要があるというふうに思っています。

 そして、感染症対策に様々な課題があるということも事実であります。

 こうした課題について今後一つ一つ検証をして、なぜワクチンが遅れたのか、あるいは日本で作れないのか、日本でそうした感染症に対しての薬が作れないのか、そうしたことというのは、次の内閣に、私ども経験しましたので、そうした状況を説明させていただきながら、しっかりと国民の期待に応えられるような、そういう対応というのが必要だろうというふうに思っています。

遠藤(敬)委員 思ったより菅総理の答弁が長くて、もう次の質問ができないんですけれども、ざっと申し上げると、西村大臣も積極的に御努力いただいて、抗原キットもいよいよ薬局でも販売されるということで、僕が是非お願いしたいのは、今日、総理にお話ししたかったのは、後遺症治療の推進というか支援なんですね。

 今、感染された方には公費で、無償になっております。しかし、後遺症になって今本当に苦しんでいる方は、まだ、私の金で、有償で行わないといけない。同じ症状なので、平等という意味では、是非そこは対処を、後遺症で悩んでおられるという報道はよく目にしますけれども、実態は有償でされているということなので、同じコロナで、公費を使って治療されている方と、有償で後遺症で悩んでおられる患者さんがおられるということを是非御理解いただいて、改善をしていただきたいと思います。

 以上で終わります。

高木委員長 次に、山崎摩耶君。

山崎(摩)委員 国民民主党の山崎摩耶でございます。よろしくお願いいたします。

 菅総理、本当にこの一年、コロナの最前線に立たれての御奮闘、お疲れさまでございました。まずは、御慰労申し上げたいと思います。

 しかし、一方で、大変後手後手に回った政府の政策もあります。

 私は、短い時間ですが、第六波が来る前に、幾つかのことを少し御提案申し上げたいというふうに思います。

 一つは、在宅療養者の問題でございます。

 在宅医療をめぐりましては、保健所機能が追いつかずに、健康観察ですとか医療も満足に受けられない、十四万人を超す在宅療養者ですけれども、二百人を超す方が亡くなられてしまった。国民皆保険の我が国でこういうことが二度と起きてはならない、そう思っているところでございます。

 ですので、今後も在宅医療を続けるのであれば、まず、軽い方でもきちんと最初から主治医をつけて、そして、訪問診療や訪問看護などが、早期治療ができる、家庭内で感染を防いで重症化又は入院を防いでいく、こういった仕組みをつくる必要があるというふうに思います。いわば、自宅での在宅入院とも言えるようなスキームを第六波が来る前に、保健所ですとか行政、病院、診療所の間で緊密な連携を取りながら、是非構築していただきたい、これが一点でございます。

 二つ目は、ワクチンについてお尋ねをいたします。

 子供たちのワクチンが始まりましたが、大変スピードが遅い、これが一番危惧されております。その意味では、十一月前までにきちっと進捗ができるのか。それから、第三回目のワクチン、ブースター接種、これはどんなスケジュールになって、しかも、全国民の、希望する分のワクチンの供給量があるのか。

 そして、我々国民民主党は、デジタル健康証明書という形で、ワクチン接種と陰性証明書をパッケージにしたものを、これは海外でも使えるようなスキームで是非構築していただきたいというふうに思っておりますが、これはいかがか。

 最後でございますが、緊急事態宣言解除後もやはり経済支援が大変重要になってまいりますので、特に、国民への再びの現金給付ですとか、中小企業事業主の皆様への更なる給付金、支援金等々につきまして、国民民主党は、事業者支援の、損失の、九割を補填する法案を既に国会に出しておりますので、これについても御検討いただきたいと思います。

 よろしくお願いいたします。

菅内閣総理大臣 今回、御自宅やホテルなどで療養する方々も多数いらっしゃいました。そうした方々に対して身近な診療所や在宅医療の専門医が健康観察や診療を行うことで、容体が急変した場合だとかに対応ができる体制の構築について、各地で取り組んできております。

 国としても、在宅療養、こうしたものをしっかり対応することができますように、診療報酬を大幅に引き上げさせていただきました。そして、できるだけ在宅で、近くのかかりつけの方に診ていただけるのが一番安心できますので、そうしたことはしっかり対応していきたいというふうに思います。

 こうした医療資源を、今後再び感染拡大が発生したとしても十分に機能するような体制を平時から整えておく必要があるというふうに思っています。

西村国務大臣 まず、ワクチンのお話でお答え申し上げます。

 十月から十一月のできるだけ早い時期に、十二歳から十八歳までの子供、若者も含めて、希望する全ての国民に二回のワクチン接種を終えられるよう取り組んでおります。この量を確保しているところであります。スムーズに進むように、河野大臣、田村大臣を私の立場でもサポートしていきたいと考えているところであります。

 あわせて、三回目の接種については、自治体に対して、早ければ今年十二月から開始することを想定した体制確保を依頼しているところでありまして、必要なワクチンについてもしっかりと確保されているというふうに聞いております。費用負担については、今後、厚労省において、その必要性などを総合的に考慮して判断していくこととなるというふうに聞いているところであります。

 いずれにしても、希望する方にまずは二回の接種が完了するよう、しっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。

 それから、経済対策であります。

 国民民主党の皆さん方にはいつも御提案いただいて、私ども参考にしながら対応してきたところでありますが、まさに緊急事態宣言が長引きましたので、それによって影響を受ける事業者の皆さん、あるいはそれぞれの世帯の皆さん、こうしたところにしっかりと目配りをしながら、既に、低所得の子育て世帯に五万円の給付、三回目を行っておりますし、さらには、厳しい世帯に三十万円の支援金などの給付も進めているところでありますけれども、引き続き、予備費も二・六兆円ございますので、この機動的な活用も含めて、必要な対策を機動的に講じていきたいというふうに考えているところであります。

山崎(摩)委員 どうもありがとうございました。

高木委員長 これにて発言は終わりました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時四十七分散会


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