衆議院

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第3号 令和4年9月8日(木曜日)

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令和四年九月八日(木曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 山口 俊一君

   理事 盛山 正仁君 理事 丹羽 秀樹君

   理事 伊東 良孝君 理事 田野瀬太道君

   理事 佐々木 紀君 理事 笠  浩史君

   理事 吉川  元君 理事 遠藤  敬君

   理事 浜地 雅一君

      青山 周平君    石原 正敬君

      三谷 英弘君    泉  健太君

      吉田はるみ君    浅野  哲君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   議長           細田 博之君

   副議長          海江田万里君

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     松野 博一君

   事務総長         岡田 憲治君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月十日

 辞任         補欠選任

  田野瀬太道君     山田 賢司君

同月十二日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     田野瀬太道君

  大串 正樹君     御法川信英君

  武井 俊輔君     石原 宏高君

  中谷 真一君     三ッ林裕巳君

  西田 昭二君     青山 周平君

  山田 賢司君     八木 哲也君

同月二十九日

 辞任         補欠選任

  青柳陽一郎君     笠  浩史君

  井坂 信彦君     吉川  元君

九月一日

 辞任         補欠選任

  浅野  哲君     鈴木  敦君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木  敦君     浅野  哲君

同月八日

 辞任         補欠選任

  吉田はるみ君     泉  健太君

同日

 辞任         補欠選任

  泉  健太君     吉田はるみ君

八月十二日

 理事井野俊郎君同日委員辞任につき、その補欠として田野瀬太道君が委員長の指名で理事に選任された。

同月二十九日

 理事青柳陽一郎君及び井坂信彦君同日委員辞任につき、その補欠として笠浩史君及び吉川元君が委員長の指名で理事に選任された。

    ―――――――――――――

八月五日

 一、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案(足立康史君外一名提出、第二百七回国会衆法第一号)

 二、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案(篠原孝君外七名提出、第二百七回国会衆法第四号)

 三、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案(藤田文武君外六名提出、第二百八回国会衆法第一号)

 四、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律等の一部を改正する法律案(馬場伸幸君外二名提出、第二百八回国会衆法第六一号)

 五、国会法等改正に関する件

 六、議長よりの諮問事項

 七、その他議院運営委員会の所管に属する事項の閉会中審査を本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 故安倍晋三国葬儀に関する件


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     ――――◇―――――

山口委員長 これより会議を開きます。

 まず、理事の補欠選任についてでありますが、理事井野俊郎君、青柳陽一郎君及び井坂信彦君がそれぞれ委員を辞任されました。

 よって、委員長は、後任の理事に、田野瀬太道君、笠浩史君及び吉川元君を指名いたしましたので、御了承願います。

    ―――――――――――――

山口委員長 この際、故安倍晋三国葬儀について、岸田内閣総理大臣及び松野内閣官房長官からそれぞれ報告を聴取いたします。岸田内閣総理大臣。

岸田内閣総理大臣 七月八日、民主主義の根幹たる選挙が行われている中、安倍元総理が卑劣な暴力により命を落とす事件がありました。安倍元総理に対し、衷心より哀悼の誠をささげます。

 安倍元総理については、民主主義の根幹たる国政選挙において六回にわたり国民の信任を得ながら、憲政史上最長の八年八か月にわたり内閣総理大臣の重責を担ったこと、東日本大震災からの復興、日本経済の再生、日米関係を基軸とした戦略的外交の展開を主導し、平和秩序に貢献するなど、大きな実績を様々な分野で残したこと、諸外国における議会の追悼決議、服喪の実施、公共施設のライトアップを始め、各国で様々な形で、国全体を巻き込んでの敬意と弔意が表明されていること、民主主義の根幹たる選挙運動中での非業の死であること等を踏まえ、安倍元総理の国葬儀を執り行うことが適切であると判断し、七月二十二日、故安倍晋三国葬儀の執行を閣議決定いたしました。

 葬儀の詳細については、後ほど官房長官から説明をさせます。

 国として葬儀を執り行うことで、安倍元総理を追悼するとともに、我が国は暴力に屈せず民主主義を断固として守り抜くという決意を示してまいります。あわせて、各国からの敬意と弔意に対し、日本国として礼節を持ってお応えするとともに、国葬儀の機会に来日される各国要人と集中的に会談を行い、安倍元総理が培われた外交的遺産を我が国としてしっかり受け継ぎ、発展させるという意思を内外に示してまいります。

 冒頭発言は以上ですが、本日の御質問に答える中で、更に具体的で丁寧な説明に努めてまいります。

山口委員長 次に、松野内閣官房長官。

松野国務大臣 本日は、故安倍晋三国葬儀の執行について御報告いたします。

 安倍元総理の国葬儀については、七月二十二日の閣議決定に基づいて故安倍晋三国葬儀を執り行うこととし、九月二十七日午後二時より、日本武道館において、内閣府設置法上の国の儀式として実施します。

 国葬儀の参列者については、三権の長、国会議員、海外の要人、立法・行政・司法関係者、地方公共団体代表、各界代表等、最大で六千人程度を見込んでいます。

 国葬儀の流れとしては、黙祷、追悼の辞、献花等を予定しています。また、国葬儀当日は、会場周辺への参列者以外の立入りを制限しますが、日本武道館外に設ける献花台において一般献花を実施します。加えて、自衛隊による儀仗等の実施を検討しています。

 なお、今般の国葬儀の実施に当たっては、国民一人一人に弔意の表明を強制的に求めるものであるとの誤解を招くことがないよう、吉田元総理の国葬儀の際に実施した、弔意表明を行う閣議了解や、地方自治体や教育委員会等の関係機関に対する弔意表明の協力方の要望は行わないこととしました。

 国葬儀の実施に必要な経費については、八月二十六日に令和四年度一般会計予備費の使用を閣議決定したところであり、予備費の使用額は約二億四千九百万円としています。

 国葬儀に併せて必要になるその他の経費は、過去の葬儀と同様に、既に成立している今年度予算の中で対応することとしています。

 このうち、警備や海外要人の接遇に要する経費等は、警護、接遇を要する要人の数等が不確定であるため、確たることを申し上げることは困難であり、また、これまで国が関与した葬儀に関して既定経費で支出する警備、接遇に要する経費を切り出してお示しをしたことはありませんが、丁寧な説明を尽くすという観点に加え、これまでの各国からの連絡状況を踏まえ、一定の仮定の下で経費の見込額を見積もると、警備に要する経費は八億円程度に、接遇に要する経費は六億円程度になるものと見込まれます。

 他に、自衛隊の儀仗隊等の車両借り上げ費等が〇・一億円程度と見込まれます。

 いずれにせよ、最終的に要した経費は、国葬儀実施後に精査した上で、できる限り速やかにお示ししたいと考えています。

 その他式典の詳細については現在検討しているところですが、厳粛かつ心のこもった国葬儀となるよう準備を進めてまいりますので、各党の皆様におかれましても、何とぞ御理解と御協力をお願いいたします。

    ―――――――――――――

山口委員長 ただいまの報告について発言を求められておりますので、順次これを許します。盛山正仁君。

盛山委員 自由民主党の盛山正仁です。

 今回の参議院議員通常選挙におきまして、末松候補を応援するために、七月七日の十六時四十五分から、安倍元総理大臣は、神戸の三宮駅前で街頭演説をされました。私は、街宣車の上で、安倍元総理の隣に約三十分間立っておりました。その翌日である八日のお昼前のニュース速報で安倍元総理が銃撃されたことを知り、これが神戸で起こっていたらどうなっただろうかと、とても人ごととは思われませんでした。

 思い半ばにして銃弾に倒れられ、さぞかし御無念だったであろう。安倍元総理の御冥福を心よりお祈り申し上げたいと思います。

 七月十一日に安倍元総理のお通夜が芝の増上寺で執り行われ、献花をなされる方々の列が増上寺をぐるっと取り巻くほど、驚くほど多くの方々が訪れられました。また、大和西大寺を始め全国各地で記帳や献花がなされ、元総理の御逝去を悼む声の大きさに驚くばかりでした。

 しかしながら、残念なことに、七月二十二日に政府が国葬を閣議決定された後は、国論を二分するように評価が分かれるようになっております。

 本日は、その安倍元総理に対する国葬儀について、岸田総理に質問をさせていただきます。

 国葬について、多くの国民の皆様から御批判を頂戴しております。戦後、これまでの首相経験者の御葬儀は、ほとんどが内閣・自民党合同葬でした。唯一の例外が吉田元総理の国葬であり、私は、中学二年生で、担任の先生が国葬を批判していたことに違和感を覚えたことを記憶しております。

 本日の冒頭、総理そして官房長官から御発言をいただいたところでございますが、内閣・自民党合同葬ではなく、なぜ国葬儀とされたのか。その理由について、改めて、この委員会を見ておられる国民の皆様に分かりやすく御説明いただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 国葬儀としたことの理由について御質問をいただきました。

 安倍元総理については、憲政史上最長の八年八か月にわたり内閣総理大臣の重責を担われました。日本国百三十三年の憲政の歴史の中で最長の期間、重責を担われたということ。

 また、その在任中の功績につきましても、かつて日本経済六重苦と言われた厳しい経済の状況の中から、日本経済再生について努力を続けてこられた。また、外交においても、普遍的な価値や法の支配に基づく国際秩序をつくっていかなければいけないということで、自由で開かれたインド太平洋、またTPPの妥結にもこぎ着けるなど、様々な成果を上げられました。また、東日本大震災からの復興という大切な時期に重責を担われた、こうしたこともありました。こうした様々な分野で大きな功績を残されたこと。

 そして、これに対して国内外から様々な弔意が寄せられている。特に、国際社会においては、多くの国で、議会として追悼決議を行う、政府として服喪、喪に服することを決定する、また、国によってはランドマークを赤と白でライトアップするなど国全体として弔意を示す、こうしたことを行った。

 さらには、先ほども申し上げましたが、選挙運動中の非業の死であったこと。

 こういったことを考えますときに、故人に対する敬意と弔意を表す儀式を催し、これを国の公式行事として開催し、海外からの参列者の出席を得る形で葬儀を行うことが適切であると考え、国葬儀の閣議決定を行ったものであります。

 特に、海外からの弔意を見ますと、合わせて千七百を超える多くの追悼のメッセージをいただいておりますが、多くが日本国民全体に対する哀悼の意を表する趣旨であるということからも、葬儀を国の儀式として実施することで、日本国として海外からの多くの敬意や弔意に礼節を持って応える、こうした必要もあると考えた次第であります。

盛山委員 次に、費用についてお尋ねをいたします。

 最近は、葬儀は家族葬が増えております。私も、五年前に母が亡くなった際には、家族葬で数十万円程度の費用で見送りました。

 多くの方々にとりまして、二億五千万円という国葬の経費は想像を超える金額ではないかと思います。しかしながら、今、岸田総理から御説明いただいたような安倍元総理の業績あるいは海外からの弔問客、こういったことを考慮すると、私人の葬儀とは異なり、それなりの場所で、警備、接遇を伴う公的な葬儀とすることは当然のことであります。

 今回の国葬の費用は、過去の内閣・自民党合同葬などと比べて適切なものであるのか。新型コロナウイルスにより厳しい経済状況に置かれている国民の皆様に御理解を得ることができるように御説明いただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘の、二・四九億円とされる、会場費や設営費など国葬儀そのものの実施に必要な経費ということでありますが、これにつきましては、過去の様々な合同葬等政府の関わった葬儀との比較において、式典費そのものの経費として明らかにさせていただきました。

 それについては、今回、葬儀式典の参列者数が増加すること、多数の外国要人が参列すること、一般の方が行う献花の準備が必要であることなど、過去と事情も異なりますので、そういった経費等を加えた上で、従来より、例えば中曽根元総理の葬儀と比べて五千七百万増、このようになっているところであります。

 そして、それ以外にも警備費あるいは接遇費が必要ではないか、こうした指摘がありましたが、これらは、これまでの政府が関わった葬儀においても全て支出が行われている経費であります。その年々の、年度ごとの予算に計上される形で、その範囲内で支出されてきた、こうしたことであります。

 その部分については、接遇あるいは警備、こうした予算については、今回も同様にかかるわけであります。それについて従来は予算の中で切り分けをするなどはしてこなかったわけですが、より丁寧な説明を行うべきであるという指摘を受けて、こうした警備、接遇費について、最終的にはどれだけ多くの方々が海外から来られるかなどを確認しなければ確たる数字は申し上げられませんが、今準備を進める中で、各国からの連絡を受け、そして代表団の数等も見通しが立ちつつありますので、仮に百九十の代表団、そしてそのうち接遇が必要な首脳級を五十の代表団と仮定し、その仮定の下に数字を置いたならばどのぐらいの数字になるのか、こうしたことを示した次第であります。

 これが、先ほど官房長官からもありました、八億、あるいは六億と言われた数字であります。こうした数字は、過去の様々な行事との比較においても妥当な水準であると政府としては考えております。

盛山委員 今総理から、警備費、接遇費、こういったものについてもお答えをいただいたところでございますが、おとといになって警備費、接遇費が発表されたわけでございまして、金額を低く見せるためにわざと遅らせて発表したのではないかとの批判も受けました。今総理からお話がありましたように、どのような国からどのような方、特に警備を必要とする元首級の方が来られて、どの程度の警備、接遇が必要であるか、直前にならなければ分からなかったということで、おとといの発表になったんだろうとは思います。

 また、安倍元総理がお亡くなりになったことは大変残念ですが、このような機会に弔問外交が行われるというのは当然のこと、通例のことであると思います。

 そういったもの等を含めまして、当初から警備費、接遇費等を含めて発表できなかったのか、あるいは、こういうふうに遅れるということについての御説明があった方がよかったんじゃないかと思いますので、その辺について御答弁をお願いします。

山口委員長 申合せの時間が過ぎておりますので、総理、簡潔に。

岸田内閣総理大臣 丁寧な説明が必要であったという御指摘については謙虚に受け止め、引き続き説明に努めていきたいと思います。

 そして、海外からの弔問の状況については、今、徐々に状況が分かりつつあります。今明らかにできるだけでも、米国のハリス副大統領、インドのモディ首相、オーストラリア、アルバニージー首相、シンガポール、リー・シェンロン首相、ベトナムのフック国家主席、EU、ミシェル欧州理事会議長、カナダ、トルドー首相、豪州はハワード元首相、アボット元首相、ターンブル元首相、こういった方々についても参列の意向が示されています。

 こうした状況が徐々に分かりつつある中で、できるだけ早く数字を示そうということで、仮定の数字を置いた上で説明をさせていただいた、こうした次第であります。

 是非、こうした状況、これから直前に向けてより明らかになってまいりますので、そういった状況は丁寧に国民の皆さんに説明をし続けていきたいと考えております。

盛山委員 ありがとうございました。終わります。

山口委員長 次に、泉健太君。

泉委員 立憲民主党の泉健太でございます。

 まず、党代表としても、安倍元総理に深く哀悼の誠をささげたいと思います。

 私も絶句をし、また嘆き、怒りを覚えました。この無念に党派は関係ございません。私は、事件後、奈良の現場にも向かわせていただき、手を合わさせていただきました。また、国会前でも霊柩車に手を合わさせていただきました。増上寺での御葬儀にも参列をいたしました。改めて御冥福をお祈り申し上げます。

 しかし、総理、この国葬決定は誤りです。強引です。検討せねばならぬことを放置しています。だから、国葬反対の世論が増えている、私はそう思いますよ。総理、そもそも、国葬は総理と内閣だけで決められるのか。こうした強引な決定方法に反発が起きています。

 総理、改めてですが、閣議決定までに三権の長に諮りましたか、あるいは各党に相談しましたか。

岸田内閣総理大臣 まず、今回の国葬儀につきましては、内閣府設置法及び閣議決定を根拠として実施することを決定させていただいたと説明をさせていただいております。

 こうした国葬儀、立法権に属するのか、司法権に属するのか、行政権に属するのか、判断した場合に、これは間違いなく行政権に属するものであると認識をしています。そして、それは、内閣府設置法第四条第三項に記載されている、こうしたことからも明らかであると認識をしております。その上で、閣議決定に基づいてこの開催を決定させていただいたということであります。

 委員の方からは、その段階までに三権の長に諮ったのか、説明が丁寧であったかということでありますが、根拠については、今申し上げたとおりであります。そして、説明が丁寧ではなかったのではないか、不十分ではなかったかということについては、政府として、こうした判断をすることはもちろん大事でありますが、国民に対する説明、理解が重要であるということも間違いなく重要だと思います。

 説明が不十分だったということについては謙虚に受け止めながら、是非、この決定と併せて、国民の皆さんの理解を得るために引き続き丁寧な説明を続けていきたいと考えております。

泉委員 諮っていないんですよ。今、全然端的に答えていないですね、長くお話しされましたが。

 総理、これは、吉田元総理の国葬の際にだって他党に事前に言っていますよ。今回、全く言っていないですよね、総理はそれが必要ないかのように言いましたけれども。

 内閣葬というのは、内閣の行う葬儀として、それは内閣の権利でしょう。しかし、では、なぜ内閣葬ではなく国の儀式となっているのか。国というのは内閣だけなんですか。そんなわけないでしょう。国というのは、立法、行政、司法、三権あるじゃないですか。国権の最高機関はどこですか。その国会に相談もなく決めたのは、総理、戦後初めてですよ。その重さを分かっていますか。実は、とんでもないことをしているということ。

 実は、無理やり国葬と国葬儀なるものを分けて言っているけれども、今これだけ世の中では国葬と言われていて、そして国葬には国の意思が必要だと言われていて、そしてその国の意思とは何かといえば、決して内閣の意思だけではないということ、これは内閣法制局も国葬を説明するときに使っている言葉なのに、それをやっていない。私は、これは大いに法的にも瑕疵があるということをまずお話ししたいと思います。今の総理の話でいくと、国葬の決定に国会の関与は必要ないんだというような話でありますが、これはとんでもないことだと思いますよ。

 さて、更に言えば、内閣法制局はこうも述べています。一定の条件に該当する人を国葬とすると定めることについては法律を要するというふうに法制局が言っているわけですね。

 総理、今、そういう法律はありますか。国に選考基準を記した法律はありますか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のような法律はありません。

 しかし、行政権の範囲内ということで、先ほど申し上げさせていただいた判断、法制局の判断もしっかり仰ぎながら政府として決定をした、こうしたことであります。

泉委員 今、国民の皆様にも聞いていただいたと思います。選考基準を記した法律はございません。

 総理は、先ほど、戦後最長だから、数々の実績があるから、世界から弔意があるから、そして選挙運動中だったから、このような理由を挙げました。

 ただ、例えば、佐藤栄作元総理は、当時、戦後最長の在任期間だったんじゃないですか。ノーベル平和賞も受賞している。でも、国葬ではなかったですよね。なぜですかね。これは、吉田国葬の反省も踏まえて、法律もない、選考基準もなく、三権の長の了承が必要な国葬ということはやはり難しいと。この数十年間、元総理にどんな業績があっても、先ほど言ったようにノーベル平和賞を受けようともですよ、どんな業績があったとしても、自民党内閣は、内閣・自民党合同葬を行ってきたんですよ。

 その知恵や深慮遠謀を壊して、今回、国葬を強行しようとしている、これが、総理、あなたじゃないですか。違いますか。

岸田内閣総理大臣 まず、基準を定めた法律がないという御指摘がありました。

 おっしゃるように、今、国葬儀について具体的に定めた法律はありませんが、先ほど申し上げたように、行政権の範囲内で、内閣府設置法と閣議決定を根拠に決定したわけですが、こうした国の行為について、国民に更なる義務を課するとか何か行為を強要するということではない限り、具体的な法律は必要がないという学説に基づいて、政府としても、今回の件についてしっかり考えています。

 そして、明確な基準がないのではないか、このことについて御指摘がありました。

 一つの行為についてどう評価するかということについては、そのときの国際情勢あるいは国内の情勢、これによって評価は変わるわけであります。同じことを行ったとしても、五十年前、六十年前、国際社会でどう評価されるか、一つの基準を作ったとしても、そうした国際情勢や国内情勢に基づいて判断をしなければならない、これが現実だと思います。

 よって、その時々、その都度都度、政府が総合的に判断をし、どういった形式を取るのかを判断する、これがあるべき姿だと政府としては考えているところであります。

泉委員 今、総理、国際情勢、国内情勢とおっしゃった。しかし、だったら、なぜ多くの国民はこれだけ反対しているんでしょうね。その総理が挙げられた四項目が真に国民が理解できるものであったら、ここまで反対にはならないんじゃないですか。

 私は改めて思いますけれども、例えば、経済の再生とおっしゃられる。でも、実質賃金が下がり続けたんじゃないですか、アベノミクスのときには。その部分はどう評価されるんですか。

 あるいは、申し訳ないけれども、森友、加計問題で、まさにこの委員会の場で百回を超える虚偽答弁を行ったということも大きく問題になっているんじゃないですか。

 あるいは、後ほどまた詳しく話をしますが、統一教会の問題、まさに自民党の中で最もその統一教会との関係を取り仕切ってきた、そういう人物じゃないですか。

 その負の部分を全く考慮せずに、それは実績は何らかあるでしょう、しかし実績も大きく評価が分かれるわけです。だから、これだけ反対の声が起きているときに、国際情勢、国内情勢、私は、それでは到底、国民は納得しないと思いますよ。

 改めて、選考基準が今全くないということも含めて、私は、岸田総理が挙げた今回の四つの理由というのはお手盛りの理由であるというふうに言わざるを得ません。

 さて、統一教会問題や霊感商法被害、そして統一教会における多額の献金による家庭崩壊、生活破綻、さらには日本からの韓国方面への多額の送金、様々な問題が上がっています。そして、自民党との密接な関係も言われている。多数の議員が関係を持ち、安倍元総理は、元総理秘書官の井上義行候補を、今回、教団の組織的支援で当選させたわけです。

 この自民党と統一教会との関係を考えた場合に、総理、安倍元総理が最もキーパーソンだったんじゃないですか。お答えください。

岸田内閣総理大臣 まず冒頭一言申し上げさせていただきますが、本日、内閣総理大臣として答弁に立たせていただいております。自民党のありようについて国会の場において自民党総裁として答えることは控えるべきものであると思いますが、ただ、昨今の様々な諸般の事情を考えますときに、これはあえて国会の場でお答えをさせていただくということを御理解いただきたいと思います。

 そして、安倍元総理の統一教会との関係については、それぞれ、御本人の当時の様々な情勢における判断に基づくものであります。ですから、今の時点で、本人が亡くなられたこの時点において、その実態を十分に把握することは限界があると思っております。

 そして、今、自民党として、自民党のありようについて丁寧に国民の皆さんに説明をしなければいけないということで、それぞれの点検結果について今取りまとめを行い、説明責任をしっかり果たしていこうという作業を進めているところであります。

 いずれにせよ、社会的に問題が指摘されている団体との関係を持たない、これが党の基本方針であり、それを徹底することによって国民の皆さんの信頼回復に努めていきたいと考えております。

山口委員長 泉委員、本日の議題は国葬の儀でございますので、それを考えながら……(泉委員「ええ、当然です。安倍総理に関わることについてお話をしていますので」と呼ぶ)

泉委員 改めてですけれども、今の総理のようなお話が私はこの世の中の反発になっていると思いますよ。どう見たって、岸家、安倍家三代にわたってやはり統一教会との関係を築いてきたし、それを多くの議員たちに広げてきたというのは、もう多くの国民は分かっているんじゃないでしょうか。

 そういう中で、今、総理は、調査、点検とおっしゃった。安倍元総理御本人に聞くことはもうできない。でも、安倍元総理がどういうふうなスケジュールで動いていたか、これは事務所は分かっておられるはずでしょう、秘書だって分かっておられるはずでしょう。それであれば、なぜ、今回、党の調査では安倍事務所を外しておられるんですか。これはやはりおかしいですよ。

 国葬にふさわしいかどうかということの中に、今多くの国民が、統一教会との関係をやはり頭の中に入れている。そういうときに、まさにその御本人がどうだったかというのは、本人に聞くばかりじゃないですよね、調べることが可能じゃないですか。私は、是非、自民党は、岸田総裁はそれを約束するべきだと思います。

 もう一つ加えて言えば、これもお答えいただきたいですが、全国の自治体で、自民党の自治体議員が行政に何かを要請して統一教会系の団体の様々な会合に出るとか、そういうことが出てきています。自治体議員も外されていますよね、調査対象から。

 この二つ、約束していただけませんか。

岸田内閣総理大臣 まず一点目の御指摘については、先ほども申し上げましたが、具体的な行動の判断、これは当時の本人の判断でありますので、本人がお亡くなりになった今、確認するには限界があるという認識に立っております。

 二点目は、地方議員についてでありますが、党としては、今回、点検を行い、まずは党所属の国会議員を対象として取りまとめを行っておりますが、地方議員についても、今後、社会的に問題が指摘される団体との関係を持たないという党の基本方針を徹底していただくことになると考えております。

泉委員 やはり残念ながら非常に後ろ向きである。

 今回しっかりとこの統一教会との問題を正すということ、これもやはり私は国民の理解に今つながっていると思いますよ。今、総理の姿勢では、限界があるとおっしゃったけれども、限界までいっていないんじゃないですか。限界までいっていない。まず、この調査をするべきだ。これは、安倍事務所も、そして自治体議員もそうであると思います。

 そして、今、私たちは、この統一教会絡みの中で、実は、信者の二世と言われる方々から直接ヒアリングを行っています。その方々から聞くと、やはり、安倍元総理のメッセージによって励まされた、会場が大きく盛り上がった、そんなことをお話しされる方もありました。

 改めて、被害者救済ということ、今どうしてもこれを取り上げたい。実は、その当事者の皆さんからは、多額の献金や家庭崩壊で苦難を抱えていると。いたじゃなく、いるというのが今の現状です。だからこそ、私たち立憲民主党は、マインドコントロールによる高額献金を禁止する、規制する、こういう立法を作ってほしい、この求めに応じて、カルト被害防止、救済法案を国会に出そうと考えています。

 総理、こうした声、まだ聞かれていないと思うんですが、法整備が必要だと思いませんか。

山口委員長 議題に沿っての答弁で結構でございますから。

岸田内閣総理大臣 御指摘の点については、まず一つは、政治と社会的に問題になっている団体との関係という論点がありますが、もう一つの論点がまさに委員御指摘の被害者救済という論点であると思います。

 共にしっかりと対応しなければならないということで、政府としましても、社会的に問題が指摘されている団体に関して、私の方から既に関係省庁に対し、宗教団体も社会の一員として関係法令を遵守しなければならない、これは当然のことであるからして、仮に法令から逸脱する行為があれば厳正に対処すること、また、法務大臣を始め関係大臣においては、悪質商法などの不法行為の相談、被害者の救済に連携して万全を尽くすこと、この二点を指示を出しているところであります。

 これを受けて、法務大臣を議長とする「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議を設置し、この問題の相談集中強化期間を設定し、合同電話相談窓口を設ける、こうした対応を行う、さらには、消費者庁において、霊感商法等の悪質商法への対策検討会、こうしたものを立ち上げ、議論を開始する、こうしたことであります。

 そして、委員の方から法整備の必要性ということの御指摘がありましたが、まずは、私の方から出した指示に基づいて始めた取組、これをしっかりと進めていきたいと思います。それをまずやった上で、すなわち今の法令の中で何ができるのかを最大限追求した上で、議論を進めるべき課題だと思っております。

泉委員 私は新しい法律も必要だと思いますが、今ほど、今の法令で何ができるのかというお話がありました。是非ここをやっていただきたいですね。

 なぜかというと、総理は八月三十一日の記者会見で、この旧統一教会を社会的に問題が指摘される団体として、党として関係を絶つ、そこまでおっしゃった。党として関係を絶つとまでおっしゃった団体であれば、相当な問題意識をお持ちだということだと思うんです。そのときに、党として関係は絶つが、政府としては何もやらなくていいということでは絶対ないですよね。総理もうなずいておられます。

 その意味では、まさに現行法に基づくこの団体の調査、そして解散命令、こういったものも検討せねばならないと思いますが、いかがですか。

山口委員長 泉委員、何度も議運の理事会で、議題を逸脱するような質問はないようにとのお話でありますから、気をつけてください。

岸田内閣総理大臣 今申し上げたように、政府としましても、問題意識を持ち、取組を進めています。

 今の法律の範囲内で何ができるのか、これをしっかりと詰めていきたいと思います。そして、その上でどういった議論が必要なのか、引き続きしっかりと取り組んでいきたいと思っております。

泉委員 ありがとうございます。

 是非、この点は、今回、統一教会の問題をしっかり清算しなければ、またやはり被害者が多く生まれてしまう。残念ながら、今回の非業の死にこうして統一教会の様々な動きが絡んできてしまっていたということもあると思います。

 さて、改めて、国葬の問題でありますが、経費です。

 式典費の本当にコアのコアの部分で、最初、二・四九億円とおっしゃった。しかし、やはりこんなに少ないわけないんじゃないかという話で、次に出てくると十六億円ということになった。

 しかし、総理、今回発表した総額、例えば、来年のG7サミットでは、民間警備会社には十二・四億円かかる、こういう概算要求が出ております。民間警備会社の経費は今回の発表の額に含まれていますか。

松野国務大臣 会場等の民間警備に係る経費に関しましては、式典の経費の中に入っております。

泉委員 会場だけではないと思いますが、全部含まれていますか。

松野国務大臣 会場外の警備に関しましては、既定予算に計上されております警備、警察上の予算に含まれております。

泉委員 先ほども話があったように、五十か国ぐらいから、いわゆる首脳だけではなく、外交使節団として来る。この経費も今の額ではとても収まらないんじゃないかというふうに言われている。こうして過小の試算でコンパクトな国葬に見せるということで、またこの後もし額が膨らめば、国民の不信はやはり募ると思いますよ。

 更に言えば、やはり国民生活が苦しいという声は今数多く寄せられています。そこにどれだけ税金を使うのかという話になっている。

 そこでいいますと、歴代の内閣葬では自民党が半額負担していましたよね、今回は自民党は負担をしないのですか、全額税金ですかという声を聞きます。総理、自民党は半額負担するべきじゃないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 先ほども答弁の中で申し上げさせていただきましたが、世界各国の国挙げての弔意、様々な弔意のメッセージ等を国としてしっかりと受け止めさせていただく際に、国の行事としてこうした葬儀を行うことが適切であると判断したことによって、今回の決定を示させていただいたということであります。

 合同葬についても、もちろん国の税金は支出することになるわけです。しかし、何よりも大事なのは、国として、どういった形で国際的な弔意を受け止めるのか、日本国民全体に対する弔意に対してどう応えるのか、こうしたことが重要であると認識をしています。そのために、国葬儀という形が適切であると判断をした次第であります。

泉委員 改めて、元総理の死というのは大変重たいものであります。その意味で、私は、内閣による一定の儀式というものは必要だと思う。だからこそ、これまで内閣葬というものが行われてきたと考えています。

 そういった意味では、今回、今ほど質問の中でも触れましたが、やはり特別扱いをするということについては大きく見解が分かれていると思いますよ。総理の方は安倍元総理はそれに値するというが、しかし、これまでも様々な元総理がおられて、様々な業績がある中で、我々からすれば特別扱いに見えるし、多くの国民もなぜ今回だけ国葬なのかという疑問を抱いている。私はそれをお伺いしましたが、やはりそこは、なかなか平行線、総理から納得いく答えは得られなかったと思っています。

 改めてですが、国会や司法も関与させずに、前例を変えて、内閣の独断で国葬を決めた、これは戦後初だということです。そして、三権分立や民主主義、立憲主義を旨とする我々立憲民主党からしても、こうした強引な決定や、あるいは選考基準がない状態を放置して、安倍元総理の負の部分を語らずに、旧統一教会との親密な関係そして膨らむ経費などを隠して、元総理を特別扱いしている、こんな国葬には我々は賛成できません。反対をします。

 二か月たってようやく国会の声を聞く場を設けましたが、これで、今日この場で、これ以降、総理が何も変えないというなら、この質疑の意味はありません。是非、独断の国葬や分断の国葬ではなくて、改めてですが、内閣葬とする。そして、私は、こうした論争を毎回起こすような話じゃなくて、今後も元総理は内閣葬とする、こういうシンプルで一定の基準をやはり作るべきだと思いますよ。

 改めてですが、総理には、是非、内閣法制局との再検討、そして統一教会に対する自民党の調査、また経費の更なる公表、これを行動で見せていただきたいと思います。その姿勢によって私も判断をしてまいります。恐らく国民も判断をしていくでしょう。

 質問を終わります。

山口委員長 次に、遠藤敬君。

遠藤(敬)委員 日本維新の会の遠藤敬でございます。

 岸田総理、松野官房長官、本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。

 そもそも、私ども維新の会は国葬に賛成の立場でありますが、この議運委員会の場で総理に是非御出席をいただいて御説明をいただきたい、その旨を、七月の二十六日、衆議院議院運営委員会の理事会で私の方から御提案させていただいております。

 それから一か月以上がたちますが、なぜ議運委員会で早期に御説明をいただきたいと御提案させていただいたかというと、国葬に対しての国民の理解を深め、疑念を払拭するためにも、是非、安倍元総理や御遺族のことを考えれば、一日でも早く総理自ら御説明されることが必要ではないか、そう思ったから御提案をさせていただいたところであります。

 与党との調整も、山口委員長や与党の皆様方にも御理解いただいて話を進めてまいりましたが、予算を含む概要を十分に説明できないまま今日に至ってしまいました。国葬の予算の議論も大切ではありますが、私自身は、先ほど申し上げたように、まず、反対されている国民の皆さんが納得できるように、総理が国葬に対する思いや意義を御説明する、そういう機会をつくることが大事だということで、議運の委員会で一日でも早く御説明をいただくことがいいのではないかなという御提案をさせていただきましたので、まず冒頭に申し上げたいと思います。

 そこで、お聞きしたいと思います。

 政府が実施を決めた当初から丁寧な説明を求めてまいりました。今回、岸田総理が直接説明をされることは一定の評価をしておりますが、この間、国民の半数が反対する状況になり、遅きに失したと指摘せざるを得ません。なぜここまで遅れたのか、また、今の世論の現状について、総理の御見解をお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、委員御指摘のように、開催につきまして国民の皆様から様々な御意見、御批判をいただいている、これはしっかり受け止めなければならないと思います。

 しかし、その中身をいろいろとお伺いいたしますと、理由は様々であります。そして、その中で共通する思いとして、説明が不十分であるという部分があるんだと認識をしております。

 こうした御指摘については謙虚に受け止めなければならないと思いますし、だからこそ、先ほど申し上げたように、政府として、安倍元総理の国葬儀について、その理由ですとか、あるいは法的根拠ですとか、そして予算、執り行い方、こうしたことを丁寧に説明することと併せて、引き続き、政府の考え方全体をしっかり説明していく、こうした努力は重要だと思います。

 是非、こうした指摘もしっかり受け止めながら、政府として判断をするということは大変重要だと思いますが、それと併せて、国民の皆さんの理解が重要だという点をしっかり念頭に置きながら、説明責任、これはしっかりと果たし続けていかなければならない、このように思っています。

遠藤(敬)委員 山口委員長や与党の皆さんとも相談をしてまいりましたけれども、私は何が言いたいかというと、予算を積み上げるのは、松野官房長官も会見でお話しされているように、よくよく分かります。それよりも、まず第一段階として、総理が、なぜ国葬が必要なのか、安倍総理への思いを語られる、そういう場が必要ではないかということで早期の実現を私は求めたつもりであります。是非そこは、ただ単にお金の問題とかそういうことよりも、大義がどうなんだということが大事ではないかという思いで議運の理事会でも再三お願いしてきたということですので、皆さんは御理解いただいていますけれども、なかなかかなわなかったということであります。

 次に、国葬の費用についてであります。

 様々な批判や懸念がありますが、国費で実施することには、政府にとっても国民にとっても意義のある国葬にする必要があります。海外の首脳級が来日されることで国葬費がかさむことは理解できますが、外交の機会でもありますけれども、どのように総理は役立てるか、今の認識で結構ですのでお答えいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、今般の国葬儀を実施する中で、安倍元総理を追悼するとともに、我が国は暴力に屈せず民主主義を断固として守り抜くという決意を内外に示していかなければならないと思います。

 そして、あわせて、委員御指摘の外交という部分でありますが、外交においては、強固な日米同盟を構築するとともに、各国、地域と良好な関係を築かれた安倍元総理の逝去に対して、二百六十を超える国、地域から千七百件以上の弔意メッセージが寄せられている。そして、その多くは、日本国民全体に対する哀悼の意を表する、そういった趣旨となっています。こうした国際社会から寄せられた数多くの敬意や弔意に対し、日本国として礼節を持って丁重にお応えすることが重要であると思います。

 また、国葬儀の機会に訪日される数多くの海外要人と可能な限り会談等を実施し、安倍元総理が培われた外交的遺産を我が国としてしっかり受け継ぎ、発展させる、こうした意思を示していくことも重要であると考えております。

遠藤(敬)委員 それと、もう一点大事なところで申し上げますと、テロに屈しないと総理も度々おっしゃっておりますが、テロに屈しないと国内外に示す国葬の意義というものについて、覚悟をお聞かせいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げましたが、安倍総理は、百三十三年の憲政の歴史の中で最長の期間、内閣総理大臣の重責を担った。そして、各分野で大きな功績を上げた。また、国の内外から様々な弔意や敬意が示されている。

 こうしたことと併せて、委員御指摘の、暴力に屈しない。民主主義の根幹である選挙の最中に元総理が凶弾に倒れるという事件が発生してしまった。こうしたことに対して我が国の民主主義は決して屈することはないということで、選挙の最中でありましたが、最後まで民主主義の根幹たる選挙をしっかりと行い、そして完結させたわけでありますし、こうした国葬儀の際に国際社会に対してそういった思いをしっかり示していくことも重要な点ではないかと認識をいたします。

遠藤(敬)委員 本当にそのとおりだと思いますので、ここは、テロに屈しない我が国の力強さを明確にすべきだと私も思っております。

 せっかくなので、松野官房長官に一点お伺いします。

 先ほど来からお話がありますように、首脳級が五十人程度来られるとの当初の予定でありますけれども、現状、多いのか少ないのか、今の認識はどういう感じなんでしょうか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 どの程度の要人が参列されるのかということに関しまして、あらかじめ想定をしているものではなく、当初の想定より多い少ないということについてお答えすることは困難かと思います。

 その上で、今回は、経費の概算を試算するために、各国からの回答状況を踏まえ、五十程度の特に接遇を要する首脳級の要人が参列するという仮定を行ったものであります。

 いずれにせよ、ハリス米国副大統領を始め多くの海外からの要人が参列されるということは、安倍元総理の外交上の実績に対する海外からの高い評価の表れだと考えております。

遠藤(敬)委員 ありがとうございます。

 総理、今の状況でありますけれども、安倍元総理御本人もそうでありますが、御遺族も本当に今の状況を悲しんでいるのではないかなというふうに推察をいたします。現時点では、実施に向けて一つ一つ丁寧に御説明をされて、国葬に対する支持を増やす努力が必要不可欠である、我々は野党でありますけれども、そう考えております。

 そこで、国葬で一番忘れてならないのは、安倍元総理御本人や遺族の方々のお気持ちに配慮するということが今抜け落ちているのではないかなという危惧をしております。そして、今までの功績や御尽力に対する敬意を表することが今回の国葬の最大の意義であるとも考えておりますが、この点について、安倍元総理、また御家族、身内の方、支援者の方、そこにまで影響を及ぼしている。一点、安倍政権の表裏ということが泉さんからありましたけれども、私は敬意を表してやみませんが、そういった意味で、結果的に国葬をしてよかったなと思われることが我々の責任でもありますし、総理がリーダーシップを取っていただく一番のポイントではないかと思います。

 この点について、一番悔やんでおられる御親族、また安倍元総理のお気持ちを考えれば、今の国民の状況、意識をどう考えるか、お答えいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 今回の国葬儀は、故安倍元総理に対し敬意と弔意を表すとともに、海外から寄せられている幅広い弔意に応え、また、一般の方に追悼の場を提供するなど、故安倍元総理を追悼したい思いをお持ちの方々のために執り行うものであると考えております。

 そして、その際に、委員御指摘のように、安倍元総理の国葬儀の検討に当たっては、御遺族の気持ちも勘案しながら進めていかなければならない、これも同感であります。安倍元総理の御功績や御尽力に対する敬意を表す、そして、それとともに厳粛かつ心のこもったものとなるよう、引き続き万全の準備を進めていきたいと考えております。

遠藤(敬)委員 最後になりますけれども、今回の国葬の問題点は、やはり、先ほど来ありますように、国葬の基準がないままに内閣が閣議決定をし実施を決めたことにあると言わざるを得ないんですけれども、私自身は、国葬を執り行うと決めた閣議決定を否定するものではありません。

 つきましては、説明を尽くされ、国民の理解をいただくという順序や対応の不足がこのような今の現状になっている、これは国会議員のみならず国民の意識だとは思うんですが、その後の歴史に委ねられる部分も多いと思うんですね。難しいことはもう理解しておりますけれども、しかし、今後、国民の理解をいただくためにも、一定の基準を設ける必要があるのではないか。

 今後、実施後の検証を踏まえて、一定のルール作りを、総理も、また内閣も、政府もお考えになられた方がいいのではないかと思いますが、最後に総理にお答えをいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 国葬儀について具体的な基準を設けろという御指摘があるということは十分承知をしております。

 ただ、具体的に基準を定めるということになりますと、先ほども少し説明をさせていただきましたが、国際情勢や国内情勢を始め様々な状況の変化によって、同じことをやっても評価は変わるというのが現実でもあります。よって、葬儀の在り方については、これまでも、その時々の内閣において、様々な事情を総合的に勘案し、そしてその都度ふさわしい形を判断してきた、こうしたことであったと振り返っています。

 今後も、内閣総理大臣経験者が逝去された際には、その時々の内閣においてその都度ふさわしい形が何なのかを判断する、こうしたことになると考えております。

 ただし、国葬儀の実施について、委員からも今様々な御指摘をいただきました。今回の国葬儀の実施後に行う検証の結果、先ほどの予算の数字等も確たるものをしっかり報告しなければいけませんし、そうした検証の結果、今後の国葬儀の在り方についてその検討の結果を役立てていく、こうした姿勢は重要であると認識をいたします。

遠藤(敬)委員 終わりますけれども、こういう悲惨なことでこういう議論になった、国民が二分するようなことになった、決していい状況ではないと思うんです。是非、総理のリーダーシップを取っていただいて、説明を尽くしていただいて、国葬儀が滞りなく終えることを、私らも協力していきますので、よろしくお願いしたいと思います。

 終わります。

山口委員長 次に、浜地雅一君。

浜地委員 公明党の浜地雅一でございます。よろしくお願い申し上げます。

 今日は、国葬儀に関する総理への質問でございまして、国の儀式として行う以上は、当然、多くの国民の皆様方に理解を得る必要があるというふうに思っています。

 その点におきましては、七月二十二日に国葬儀の閣議決定をされて、八月三十一日に記者会見もされましたが、やはりこういった国会での説明という場が少し遅くなってしまったのではないかということは、私も一点指摘をさせていただきたいと思っています。

 ただ、今日は、総理自らの言葉で様々なことが国民の皆様方に理解されたのではないかと思っています。特に国葬儀の法的根拠、これは恐らく、国民の皆様がきちっと説明を聞かれるのは初めてではないかと思っています。

 内閣府設置法の四条の三項、国の儀式、当然、この国葬儀も儀式でございます。また、吉田茂元総理大臣の国葬儀につきましても、内閣府設置法の前身であります総理府設置法を根拠に国の儀式として行われたというふうに承知をしておりますので、ここはやはり、立法にも司法にも属さない事実行為である国葬儀を内閣が決定することは私は非常に妥当であろう、そこをしっかり示されたことは意義があると思っています。

 ただ、これは内閣が国葬儀を決定できるという根拠になるだけでございまして、安倍元総理の死に伴いまして国葬儀をすべきかどうか、ここについてはまた別の論点になるわけでございます。

 今日、私、聞いておりまして、一つ、国葬儀にすべき大きな理由として、各国首脳が、安倍元総理及びその御家族に対する弔意だけでなく、我々日本国民、日本国全体に対する弔意を示されている。であるならば、日本国全体の行事としての国葬儀を行うことが外交上の礼節にもかなうということがございました。

 そこで、今日は、国民の皆様方に分かりやすくという意味で、具体的に外国から我々日本国また日本国民にどのような弔意が寄せられていて、だから国葬儀にするんだということを、改めて総理の方から国民の皆様方に御説明いただいた方が理解が深まるのではないかと思っております。どうぞ御答弁をいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、今回の安倍元総理の逝去に際し、海外からは、バイデン米国大統領やエリザベス女王陛下など、各国王族、国家元首、首脳レベルを含め約二百六十の国、地域そして機関から千七百件以上の弔意メッセージが寄せられており、メッセージの内容は、安倍元総理の在任中の功績を評価し、安倍元総理、御遺族そして日本国民全体への哀悼を示すものとなっています。

 そして、この哀悼のメッセージ以外にも、米国、豪州、フィリピン、インドなど多くの国で、議会の追悼決議というものが行われています。また、ブラジル、インドを始め多くの国々では、政府として服喪の実施、喪に服するということを実施する。また、オーストラリアの例ですが、ランドマーク、公共施設を赤と白でライトアップするなど、そうした形で国を挙げて弔意を示す、こうしたことも行われました。

 これら国際社会から寄せられた数多くの敬意や弔意に対し、日本国として礼節を持って丁寧にお応えするためにも、国の儀式である国葬儀を執り行い、海外の要人をお迎えすることが適切である、適当であると判断をした、こうしたことであります。

浜地委員 丁寧に総理の口から国民の皆様方に御説明いただいたと思っています。

 私の手元にも様々な弔意がございますけれども、例えばマクロン・フランス大統領、安倍晋三元総理の訃報に接し、日本政府並びに日本国民に哀悼の意を表するであるとか、必ず、我々日本国に対する弔意が寄せられてきております。

 また、先ほど総理からも御説明がありましたとおり、国の一つのイベント、イベントというのはちょっと言い方は失礼ですけれども、様々な取組をしていただいているということでございますので、私は、やはり国葬として、日本国全体として今回の弔問に訪れていただく外国要人をお迎えすべきことは理にかなっている、また、これは日本の国益にかなうというふうに思うところでございます。

 だからこそ、今回の国葬儀に様々な首脳が来られたときに、逆に、万全の警備をしていただきたいと思っております。三日間、前後を通して一日に二十件以上の首脳会談もされるのではないかというふうに聞き及んでおりますけれども、万一この国葬儀に関して警備が怠るようなことがあったら、かえって日本の国益を損ねます。

 また、来年、総理の地元でもG7サミットが行われるわけでございまして、もう一度、治安がいいと言われていた日本が、失いつつある治安、警備体制の万全さというものを今回の国葬儀で世界に示すことが私は大事であろうと思っています。

 費用の点でも批判もございますが、批判をかわすために警備が手薄になることがあっては絶対にいけないというふうに思っておりますので、この弔問外交についての総理の御決意を最後にお聞きしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、改めて、安倍元総理が銃撃を受け、亡くなられたという重大な結果について大変重く受け止めております。

 事件を受け、警察庁において行われた検証の結果を踏まえて、新たな警護要則が制定され、警護体制の抜本的な強化が図られたと承知をしておりますが、警察においては、二度と今回のような事件が起こらぬよう、見直し策を徹底し、警護に万全を期してもらいたいと思っています。

 今後、今月の安倍元総理の国葬儀はもとより、来年のG7サミットなど重要な行事が続きます。今回の検証の結果も踏まえ、広く国民の理解と協力を得つつ、警護体制を強化し、これらの行事を安全かつ円滑に執り行ってまいりたいと考えております。

浜地委員 ありがとうございます。

 しっかりと、国葬儀を挟んで数日間、万全を期していただきたいと思います。

 これは、民主主義の世界で反対される方は当然いらっしゃるわけでございますが、この国葬儀をやはり万全に成功させ、そして、ハリス副大統領も来られますが、様々な外交成果を上げる、その結果で最後は国民の皆様方の理解もまた支持も深まると思っておりますので、是非、総理におかれましては万全に臨んでいただきたいと最後にお願いしまして、質問を終わらせていただきます。

 以上でございます。

山口委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。

 七月八日、選挙期間終盤に凶弾に倒れた安倍晋三元総理のみたまに哀悼の意を表し、長年にわたり国家発展のためその人生をささげた政治家に心からの敬意を表しつつ、質疑をさせていただきます。

 まず、総理、本日、これまでの質疑の中で、総理はこのような趣旨のことをおっしゃいました。国葬を行うことは内閣府設置法で規定された行政権の範囲である、内閣府設置法と閣議決定を根拠として今回国葬を行うというようなことをおっしゃいました。

 その言葉のとおりの理解ということでよろしいか、再度確認させてください。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のとおりだと思います。

 先ほど来申し上げておりますのは、安倍元総理の国葬儀については内閣府設置法及び閣議決定を根拠として執り行うこととしているということ、また、国の儀式を行うことは立法権にも司法権にも属さず行政権の範囲に含まれていると考えられ、このことは内閣府設置法第四条三項で明らかになっているということ、そして、内閣総理大臣経験者の葬儀の在り方については、これまでもその時々の内閣において、様々な事情を総合的に勘案し、その都度ふさわしい形を判断してきたということ、そして、今後も、内閣総理大臣経験者が逝去された際には、その時々の内閣においてその都度ふさわしい形が判断されるものであるということ、こうした説明をさせていただいていると認識をしております。

浅野委員 そこの内閣府設置法の解釈、理解というものをもう少し踏み込んで議論させていただきたいんですけれども、今、総理は、国の儀式を行うことは内閣府設置法の第四条三項で規定されているというように答弁をされました。

 ただ、これはよく読んでみますと、内閣府設置法第四条第三項、内閣府は、前条第二項の任務を達成するために、次に掲げる事務をつかさどると書いてありまして、次に掲げる項目の三十三番目に、国の儀式並びに内閣の行う儀式及び行事に関する事務に関することというのが記載されています。

 これが総理がおっしゃっている法的根拠の条文の部分なんですけれども、この条文には、ほかに、例えば内閣府が世論調査を行ったりだとか国民の祝日に関することを決めたりとかということも明記されているんですね。こういった内閣府の判断で行えるものについては、例えば、世論調査に関することというような記載がされています。

 ただ、この条文をもう一度繰り返しますと、国の儀式に関する事務に関することというような記載があります。

 私が言いたいのは、やるかやらないかという判断は別のところで判断をされて、もしやるとなった場合にはその事務を内閣府がつかさどる、こういう法のたてつけになっているのではないかというふうに理解をしております。つまり、内閣府の独断で国葬儀という国の儀式をやるかやらないかを決定することはできないのではないかという疑念が今あるわけです。

 これについて、総理の答弁をいただければというふうに思います。

岸田内閣総理大臣 まず、国の儀式として国葬儀を行うということが立法権に属するものなのか、司法権に属するものなのか、あるいは行政権に基づくものなのか。これを考えた場合に、私は、行政権に基づくものであり、その一つの根拠が内閣府設置法第四条三項等に明記されていることである、こういった説明をさせていただき、そして、行政権に含まれるものであるとしたならば閣議決定を根拠に行うことが求められるということで、閣議決定を行い、決定をした、これが法的な考え方の整理であると認識をしております。

 よって、こうした判断に基づいて、内閣法制局ともしっかりと確認の上で、政府として判断ができるという判断の下に今回の決定を行った、こうしたことであります。

浅野委員 繰り返しになりますけれども、その内閣府がつかさどる事務の範囲内に、行政権の範囲内に、国の儀式をそもそも行うのかどうかという判断をする、起草する権利が委ねられているのか。ここについては、やはり今の議論ですと、国会、立法府と行政府の間で本当に全員がその認識を一つにしているのかというと、私はまだそういう状態ではないというふうに思います。

 ただ、もう九月二十七日、時間が迫っております。そこで、是非総理に御提案したいのは、まず、行政府と立法府がこういった国の儀式を行う際に認識を一つにするためにも、今後は、閣議決定をする前に、立法府、国会に、その儀式を行うべきかどうか意見を聞く場を設けるべきではないかというのが一つです。

 二つ目は、ただ、目の前、九月二十七日の国葬儀、時間が迫っております。ただ、今日の議論でもあるとおり、各党、まだ反対をすると言っている政党もございます。是非とも各党の党首と会談を行っていただいて、総理のその思いを、今日この議院運営委員会の場だけではなくて、各党に直接伝えて、理解を得、協力を得る努力を続けていただきたいと思います。

 こちらについて、総理の見解を伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、国葬儀を行うに当たりまして、政府として、しっかりとした法的根拠をしっかり示した上で、総合的な観点から適切に判断をする、こうした判断を行うということがまず大事だと思います。それと併せて、国民の皆さんからできるだけ多くの理解を得て、そして協力を得て進めていく、こういった姿勢も極めて重要である。判断と説明責任、この二つをしっかり行うことが国葬儀を進める上で重要であると私も認識をしています。

 そして、国民の皆さんに広く理解をいただくという観点からどうあるべきなのか、どうあるべきだったのか、こういったことについては、謙虚に様々な指摘を受け止めて、そして、何よりもこれは説明が大事なわけですから、引き続き説明努力を続けていきたいと思います。

 そして、各党の理解を得るべきではないか、こうした御指摘がありましたが、だからこそ、今日も議院運営委員会という場をおかりして、各党の皆さんを始め国民の皆さんにしっかり説明をさせていただいているということであります。

 今後とも、会見であったり、ぶら下がりであったり、あるいは関係大臣の発言であったり、様々な形で、より多くの国民の皆さんに御理解をいただけるよう努力をしていきたいと考えております。

浅野委員 時間も限られておりますので、最後、質問させていただきたいと思います。これは官房長官になるかもしれません。

 国葬儀の準備期間や当日、多くの海外要人が日本を訪れる予定になっておりまして、当然ながら、厳戒な警戒態勢がしかれることになります。その期間中、高速道路の利用制限、あるいは、当日予定されているスポーツやコンサートなどのイベントその他催事に関しては予定どおり開催してよいという理解でよいのか、何らかの制約、制限がかかるのか、あるいは政府からの要請がされるのか、この辺りについて御答弁いただきたいと思います。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 国葬儀当日に、外国要人の宿泊場所から日本武道館等への移動に伴い、首都高や一般道において必要な交通規制が行われる見込みであり、このほか、外国の要人の来日、離日の際に、空港から宿泊場所等への移動に伴い、必要な交通規制が行われる可能性があります。

 他方、国葬儀の実施に当たり、国民の方々に向けて何かを自粛するようお願いすることは考えていません。

浅野委員 終わります。ありがとうございました。

山口委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 安倍元総理の国葬について、総理にお尋ねをいたします。

 我が党は、安倍元総理の国葬に反対であります。

 岸田総理は、安倍元総理に対する敬意と弔意を国全体として表す儀式として国葬を行うとしております。これは、安倍元総理の政治の礼賛になります。

 そもそも、国葬は、現行憲法の精神と相入れません。法の下の平等に反し、思想及び良心の自由を侵害し、弔意の強制につながります。国葬は中止すべきであります。

 同時に、国民の皆さんが疑問に思っているのは、統一協会と深い関わりがあった安倍元総理を国葬にすることであります。

 総理にお尋ねします。

 岸田総理は、統一協会との関係を絶つと言っているのに、その統一協会と深い関わりを持ってきた安倍氏に対して国全体として敬意と弔意を表す国葬を行うというのは矛盾しているのではありませんか。

岸田内閣総理大臣 まず冒頭申し上げるのは、先ほども少し申し上げましたが、今日は内閣総理大臣として発言をさせていただいております。ですから、自民党総裁としての発言は控えなければならないとは思いますが、ただ、昨今の世の中の状況に鑑みて、御指摘の点についてもお答えをさせていただくということをお許しいただきたいと思います。

 そして、その上で、今委員の方から御質問がありました。

 政治家は社会的に問題が指摘されている団体との関係には慎重であるべきであり、自民党においては、政治に対する信頼を回復するために関係を絶つ必要がある、こうしたことを申し上げております。そして、安倍元総理の当該団体との関係ということについては、先ほど申し上げておりますように、御本人が亡くなられた今、これを十分に把握することは難しいと考えております。

 そして、葬儀、国葬儀について考える際には、先ほど申し上げました、在任期間、功績、国際的な評価、そして亡くなられた経緯、こうしたものを総合的に勘案して政府として判断するというものであると思います。その都度、政府として、内閣総理大臣経験者の葬儀の在り方について適切に判断していく、これがこれまでのありようでありましたし、今回もそうした考え方に基づいて判断した次第であります。

塩川委員 お答えになっておりません。

 統一協会と深い関わりを持ってきた安倍元総理を国葬とすることは、関係を断ち切るべき団体である統一協会の活動を是認することになりはしませんか。

岸田内閣総理大臣 今、国葬儀について御議論をいただいております。

 国葬儀として葬儀を行うに当たって、まずは、安倍総理の、百三十三年間の憲政史上最長の在任期間、また民主主義の基盤である選挙において非業の死を遂げた、こうしたことは前例のないことであると認識をしておりますし、その上で、様々な功績を内外が評価している、特に海外の評価にしっかり応えていかなければならない、日本国民全体に対する弔意に日本国としてどう応えるか、これを考えた際に、国葬儀を行うべきであるという判断に至ったという説明をさせていただいております。

 国葬儀については、今申し上げたこの整理で、しっかりと考え方を国民の皆さんに説明させていただきたいと思っています。

塩川委員 お答えになっておりません。

 総理が関係を絶つべき統一協会と言っていた、その統一協会と安倍氏の関係について曖昧なまま国葬ということにはならないというのが国民の声でもあります。安倍氏と統一協会との関係について調査に限界がある、こういう点を曖昧にしたまま国葬でいいのかということが問われているということを申し上げたい。

 その点で、この安倍氏と統一協会との関係について、具体的にお尋ねをいたします。

 一つは、安倍氏が国政選挙において統一協会の組織票を差配していたという問題であります。

 自民党の宮島喜文前参議院議員は、二〇一六年の参議院選挙で、統一協会の関連団体の世界平和連合の支援を受けて当選しました。今年の参院選に向けて、宮島氏は、伊達忠一元参議院議長から安倍氏と面会するよう指示されたと言います。宮島氏は、前回と同様に教団の応援票を回してほしいと要望したが、安倍氏から前回のような応援は難しいと言われ、立候補を断念したという話です。一方、さきの参議院選挙では、元安倍総理秘書官だった井上義行候補が統一協会の支援を受けて当選をしています。

 国政選挙における安倍氏と統一協会の関係については、どうお考えですか。

山口委員長 直接議題と関係ないことには、総理、答えなくて結構でございます。

岸田内閣総理大臣 まず、自民党においては、御指摘の点も含めて、所属国会議員に対して、今日までのありようについてしっかり点検を行い、その点検の結果をしっかりと党に報告するという取組を進めさせていただいております。過去どのようなことがあったかについては、それぞれの議員が国民に対してしっかり説明することが重要であるということを考え、その点検の結果を党に報告するということを求めているところであります。

 そして、過去についてはそれぞれしっかり説明をした上で、未来に向けて、社会的に問題が指摘されている団体とは関係を持たない、関係を絶つ、これが党の基本方針であります。そして、それを担保するためのチェック体制を強化する、これを検討しているところであります。

 是非、こうした取組を徹底することによって、自民党のありようについて国民の皆さんに説明を続けていきたいと考えております。

塩川委員 統一協会の反社会的な行為、政治家が統一協会と関わることでこのような反社会的な行為にお墨つきを与え、被害を拡大し、被害救済を妨げるものとなってきた。この点でも徹底した解明が必要だということであります。安倍氏と選挙との関係についても、この点についてはっきりさせる必要がある。

 宮島氏や伊達氏など、所属国会議員以外の方についても、こういった実態の解明のために聞き取り調査をされることは考えませんか。

山口委員長 議題と直接関係ない質問であります。ほかの調査のお話を今、塩川委員なさったので……(塩川委員「いえ、安倍氏の評価の問題です」と呼ぶ)

 質問を続けてください。

塩川委員 国葬をされる方がどういう活動を行ってきたのか。国民に、国の行事として敬意と弔意を国全体として表す儀式、こういったことを求める国葬、その該当する方がどういう政治活動を行ってきたのか。このことがまさに問われるわけで、そのことについて、今まさに関係を絶つべきと言っている統一協会との関わりについて明らかにするというのは、国葬問題のまさに中心の議論じゃないでしょうか。お答えできないというのは絶対納得できない。

 こういった選挙応援の問題についてもしっかりと明らかにすることが必要ですし、また、もう一つ申し上げたいのが、政策への影響の問題であります。

 統一協会とその関連団体は、選択的夫婦別姓や同性婚について反対を主張し、国政や地方政治への働きかけを行ってきました。安倍氏は、統一協会の、家庭の価値を強調する点を高く評価しますとも述べておりました。安倍氏と統一協会の親密な関係が、選択的夫婦別姓や同性婚に否定的な自民党や政府の政策に影響を及ぼしたのではありませんか。

山口委員長 これも直接国葬の儀と関係があるとは思えませんが、いずれにしても、申合せの時間が参りましたので、総理、簡潔に一言だけお願いします。

岸田内閣総理大臣 まず、政府においても、政策を決定する際には、多くの国民の皆さんの意見を聞き、有識者、専門家とも議論を行い、その結果として政策を判断しています。一部特定の団体によって全体がゆがめられるということはないと思っておりますし、また、自民党においても、国民の声を聞く、また、政府から、様々な関係省庁の説明を受ける、さらには専門家、有識者の意見を聞く、こうした丁寧な議論を積み重ねて政策を決定しております。

 一部の団体の意見に振り回されるということはないと信じております。

塩川委員 安倍氏は、反社会的団体の統一協会の広告塔であり、統一協会の選挙応援の司令塔だった。さらに、選択的夫婦別姓反対や同性婚反対、憲法改正など、統一協会の政策面での影響が問われております。岸田総理は、安倍氏と統一協会との関係について調査も行わず、国葬を行うのか。これでは国民の理解は得られない。

 国葬は中止すべきだと申し上げて、質問を終わります。

山口委員長 これにて発言は終わりました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十二分散会


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