衆議院

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第5号 令和5年10月27日(金曜日)

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令和五年十月二十七日(金曜日)

    午前十一時開議

 出席委員

   委員長 山口 俊一君

   理事 丹羽 秀樹君 理事 鷲尾英一郎君

   理事 武藤 容治君 理事 三ッ林裕巳君

   理事 笠  浩史君 理事 吉川  元君

   理事 中司  宏君 理事 輿水 恵一君

      井出 庸生君    井野 俊郎君

      石原 正敬君    木村 次郎君

      中谷 真一君    本田 太郎君

      宮路 拓馬君    山本 左近君

      梅谷  守君    櫻井  周君

      太  栄志君    山岸 一生君

      一谷勇一郎君    田中  健君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   議長           額賀福志郎君

   副議長          海江田万里君

   事務総長         岡田 憲治君

   参考人

   (検査官候補者(会計検査院事務総長))      原田 祐平君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十七日

 辞任         補欠選任

  山田 賢司君     山本 左近君

  伊藤 俊輔君     櫻井  周君

  遠藤  敬君     一谷勇一郎君

  浅野  哲君     田中  健君

同日

 辞任         補欠選任

  山本 左近君     山田 賢司君

  櫻井  周君     伊藤 俊輔君

  一谷勇一郎君     遠藤  敬君

  田中  健君     浅野  哲君

同日

 理事遠藤敬君同日理事辞任につき、その補欠として中司宏君が委員長の指名で理事に選任された。

同日

 理事中司宏君同日理事辞任につき、その補欠として遠藤敬君が委員長の指名で理事に選任された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 参考人出頭要求に関する件

 検査官任命につき同意を求めるの件


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     ――――◇―――――

山口委員長 これより会議を開きます。

 検査官任命につき同意を求めるの件についてでありますが、去る二十五日の理事会において、村井内閣官房副長官から、内閣として、検査官に会計検査院事務総長原田祐平君を任命いたしたい旨の内示がありました。

 つきましては、理事会の申合せに基づき、検査官の候補者から、所信を聴取することといたしたいと存じます。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本日、参考人として検査官候補者原田祐平君の出席を求め、所信を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

山口委員長 まず、議事の順序について申し上げます。

 最初に、原田参考人に所信をお述べいただき、その後、参考人の所信に対する質疑を行いますので、委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。

 それでは、原田参考人、お願いいたします。

原田参考人 原田祐平でございます。

 本日は、このような機会を与えていただき、厚く御礼を申し上げます。

 近年、我が国の社会経済は、急速に進行する少子高齢化や本格的な人口減少に伴う社会保障費の増大、潜在成長率の停滞、自然災害の頻発化、激甚化等への対応といった難しい課題に直面しております。また、そのような中にあって、新型コロナウイルス感染症の拡大は、我が国の社会経済に甚大な影響をもたらすとともに、行政のデジタル化の遅れ等の問題を顕在化させており、ポストコロナの時期を迎えて、これらへの対応が喫緊の課題となっております。

 会計検査院は、このような社会経済の動向を踏まえながら、不正不当な事態に対して正確性、合規性の観点から厳正な検査を行うこと、厳しい国の財政状況を鑑みて、事務事業や予算執行の効果及び国等が保有している資産、基金等の状況についても積極的に取り上げるなど、経済性、効率性及び有効性の観点からの検査を重視すること、行財政の透明性と説明責任の向上や事業運営の改善に資するために、国の決算及び財政の健全化に向けた取組について分析や評価を行っていくことが重要と考えております。

 会計検査院は、内閣から独立した憲法上の機関として、国の会計検査を実施し、その結果に基づき、検査報告を作成して、内閣を通じて国会に御報告するという重要な使命を課されております。

 私は、昭和六十一年に会計検査院に採用されて以来、会計検査業務に関わり、現在は事務総長として、検査官会議の指揮監督の下、事務総局の業務全般を統理する任にあります。仮に検査官に任ぜられるとするならば、事務総局を指揮監督する検査官会議の構成員としての自覚と責任感を持ち、これまで会計検査に関する実務で培った知識経験を生かすとともに、国民の皆様の関心の所在や国会における御審議の状況に常に注意を払うなど、いろいろな御意見に耳を傾けながら、検査官会議における公平かつ均衡の取れた意思決定に貢献することによって、全力を尽くして検査官としての職責を担ってまいりたいと考えております。

 以上、簡単でございますが、私の所信を述べさせていただきました。

 本日は、このような機会を与えていただき、改めて厚く御礼を申し上げます。

山口委員長 ありがとうございました。

 これにて参考人からの所信の聴取は終了いたしました。

 議長、副議長は御退席いただいて結構でございます。

    ―――――――――――――

山口委員長 これより原田参考人の所信に対する質疑を行います。

 質疑は、まず、各会派を代表する委員が順次三分以内で質疑を行い、その後、各委員が自由に質疑を行うことといたします。

 三ッ林裕巳君。

三ッ林委員 自由民主党の三ッ林裕巳です。

 原田参考人には、本日、国会にお越しをいただきまして、今ほど所信をお述べいただきました。誠にありがとうございます。大変に立派な志を持って検査官の職責に臨む意気込みが強く伝わってまいりました。

 改めて、検査官を引き受けるのに当たっての抱負について、また、当面する課題について、二点お聞きいたしたいと思います。

 近年、我が国の社会経済は、コロナ禍や物価高騰等の難しい課題に直面しています。これらの課題に対応する行政もまた複雑化、高度化しております。そうした中で、国会及び裁判所に属さず、内閣からも独立した憲法上の機関である会計検査院の役割を、どのようなものと御認識されているのでしょうか。

 また、参考人は、事務総局の職員として長年勤務してきたという中で、業務の現場を熟知されているものと思います。これまでの経験を踏まえて、会計検査院における現在の課題はどこにあるとお考えでしょうか。見解をお伺いしたいと思います。

原田参考人 質問ありがとうございます。

 会計検査院は、内閣から独立した憲法上の機関として、国や国の出資法人等の会計を検査し、検査の結果に基づき、検査報告を作成して、内閣を通じて国会に御報告するという重要な使命を課せられております。

 検査に当たりましては、合規性の観点のみならず、政策目的の達成状況や政策目的を達成するプロセスについて、経済性、効率性及び有効性の観点から検査をして問題を指摘していくことが会計検査院に課せられた重要な役割であるというふうに考えております。

 そして、この役割を適切に果たしていくためには、政策や事業が有効に機能していない又は効率的に行われていないなどの事態が発見された場合は、これらの発生原因を徹底的に究明し、その結果、予算執行や制度上の問題が認められれば、会計検査院法第三十四条や第三十六条の規定に基づき、積極的に改善の処置を要求し又は意見を表示したりする必要があると考えております。

 現在の課題としましては、検査の水準の維持向上を図りながら、いかにして効率的な検査活動を展開していくかという点であると認識しております。

 いわゆるコロナ禍におきましては、実地検査が十分に実施できないなどの状況の中、デジタル化の進展等を踏まえて、検査対象機関からデータ等の提出を受け、ウェブ会議システムを活用して関係者から説明を聴取するなどの在庁検査を充実させ、実地検査を補完できるような工夫を重ねてまいりました。今後も、実地検査が困難な状況となっても必要な検査が的確に実施できるように、検査の更なる効率化や、実地検査を補完するような検査手法の開発等を行うことが必要であるというふうに考えております。

 また、この課題と密接に関連いたしますが、行政のデジタル化等を始めとして、各行政分野の複雑化や高度化が進む中で、そのような変化に適切に対応できるように、職員の検査能力の更なる向上を図ったり、高度な専門性を有する人材を確保したりしていくことも必要であると考えております。

 そして、今申し上げました、新たな検査手法の開発等と、職員の検査能力の更なる向上や高度な専門性を有する人材の確保につきましては、両方を一体的に進めていくこと、これが重要であるというふうに考えております。

三ッ林委員 ありがとうございます。

 検査の維持向上にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 また、会計検査院には、国や法律で定められた機関の会計を検査し、会計経理が正しく行われるように監督する職責がありますが、単に問題がある事態を発見し指摘するだけでなく、指摘した結果が予算編成、執行や事業にどう反映されたか、改善されたかといったフォローアップをしっかりと行うことで検査の実効性を高めていくべきと考えます。

 その点から、これまでどのような取組が行われているのか、また、今後どのようにしていくかについてお考えをお聞かせください。

原田参考人 会計検査院では、検査において不適切、不合理等とした会計経理の是正やその再発防止が確実に図られるなど、検査の結果が予算の編成、執行や事業運営等に的確に反映され実効あるものとなるように、その後の是正改善等を継続的にフォローアップすることとしております。

 具体的な取組といたしましては、不当事項につきましては、その是正措置の状況を毎年度の検査報告に掲記する。意見を表示し又は処置を要求した事項につきましては、その後の処置状況を検査し、要求等した全ての処置が取られるまで、事後処置状況を毎年度の検査報告に掲記する。その他の事項等につきましては、その後の事態の推移を注視し、必要に応じて、再度、当該問題について検査を行い、検査報告に掲記するということを行っております。

 今後も、検査報告に掲記した事項等についてこのようなフォローアップ検査を継続して行っていくことにより、検査成果の実効性の確保に努めてまいりたいと考えております。

三ッ林委員 ありがとうございます。

 是非、これまで培ってきた知識や経験を基に、公平かつバランスの取れた意思決定に取り組んでいただき、政策目的の達成のための御貢献をいただきますよう、心から御期待を申し上げたいと思います。

 以上でございます。ありがとうございました。

山口委員長 次に、櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主党の櫻井周です。

 本日も質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 それでは、持ち時間も少ないものですから、早速質問に入らせていただきます。

 まず、会計検査報告の時期の前倒しについてお尋ねいたします。

 会計検査報告は毎年十一月ですが、もっと早く、具体的には、九月にできないかということがお尋ねです。

 予算の効率的かつ効果的な執行を確保するためには、PDCAサイクルを回すことが重要です。すなわち、決算を翌年度の予算に反映するためには、会計検査報告は遅くとも九月末までには必要です。そもそも、上場企業は、三月末に会計を締めて、六月末までに株主総会を終えるということになっています。会計検査の十一月というのは遅過ぎませんでしょうか。

 ちなみに、立憲民主党は、国家財政におけるPDCAサイクル確立のための法案というのを六月に提出しております。この法案の中で会計検査の前倒しを盛り込んでおります。

 御答弁をお願いします。

原田参考人 質問ありがとうございます。

 会計検査院としても、検査結果を決算審議の充実や次の予算に反映させていくことの重要性は認識しております。

 そのため、私が検査職員になった当時は十二月に内閣に送付していた決算検査報告を、平成十年度決算からは十一月末に、さらに、平成十五年度決算からは、それまでの検査サイクルを大幅に前倒しし、また、決算の確認を早期に行うなどしまして、十一月上旬に内閣に決算を回付し、検査報告を送付するように、早期化を図ってきたところでございます。

 さらに、検査報告について一層の早期化ができないかというお話でございますが、検査報告の作成に当たりましては、決算の確認と指摘事項の取りまとめという両方の作業が必要となっております。

 このうち、決算の確認、これは、内閣から九月上旬に送付された決算を対象としまして、デジタル化の進展に伴い確認作業の効率化を図っておるところでございますが、しかし、膨大な計数を適切に確認するためには、突合作業の過程で計数の不一致が疑われる場合が生じます。その場合には、一つの書類等を丁寧にかつ詳細に手作業で確認するということがあるとともに、その結果を踏まえた決算の作成担当者とのやり取りや訂正報告等のプロセスなどが必要と今なっております。このため、突合作業のほか、確認した結果の取りまとめも含めて、現実に今、二か月程度の期間がかかっているということでございます。

 また、指摘事項等の取りまとめは、七月頃まで実地検査や在庁検査を行った後、毎年、数百事項に及びます事項につきまして、公文書による事実の確認や取りまとめに向けた院内での慎重な審議を行っているところでございます。これ以上の早期化を行う場合には、直近の検査結果を検査報告に十分反映できなくなるおそれがあるのではないかということは思っております。

 いずれにしましても、会計検査院としては、検査結果を決算審議の充実や次の予算に反映させていくということの重要性は十分認識しているところでございますので、そのための方策の検討は引き続き行わせていただきたいと思います。当面は、検査結果の内容を早期に国会で御審議いただくために、会計検査院法第三十条の二の規定による随時報告の制度の活用等に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

櫻井委員 御答弁ありがとうございます。

 会計検査院だけで取り組める問題ではないということは分かりましたけれども、是非、行政各部と力を合わせて取組を進めていただきたくお願いを申し上げます。

 続きまして、森友学園問題に係る決裁文書の改ざんについてお尋ねいたします。

 森友学園問題に係る会計検査では、財務省が決裁文書を改ざんしていたということを会計検査院は見抜けなかったということがございました。文書の改ざんはもちろんいけませんが、会計検査のプロが文書の改ざんを見抜けなかったということも大問題だと思っております。

 文書の真贋を見極めるための検査能力強化にどのように取り組むおつもりですか。

原田参考人 今御指摘のあった決裁文書の改ざんを見抜けなかったということにつきましては、会計検査院に対し厳しい御批判をいただいたということは十分承知しております。

 平成二十九年の報告の策定に当たりまして、決裁文書の真正性について適切な検証がなされなかったことは、誠に遺憾でございます。

 このような事態を踏まえまして、検査の実施に当たり、収集した証拠書類等の信頼性に留意するように、全職員に対して改めて通知を発出するとともに、全ての管理監督職員に対しまして研修を行い、収集した書類等が会計経理等の事実を裏づけ、検査上の判断の基礎とすべき信頼性を備えているかに留意することの重要性等について周知するなどいたしました。そして、今後も継続的に資料の信憑性の確保等を適切に行うことができるように、研修体制の充実強化としまして、検査に当たる職員の能力開発に関わるスタッフを拡充しまして、さらに、それに加えまして、各階層の職員を対象にした研修のカリキュラムの見直しを行いました。

 このような取組を継続して実施していくことにより、職員の能力開発等を一層推進し、厳正に会計検査を実施してまいる所存でございます。

櫻井委員 検査は早くやれ、それから、改ざん文書は見抜けと相反することを申し上げて恐縮なんですけれども、その分期待が大きいということで御了解いただければと思います。

 続きまして、予算執行の効果の検証についてお尋ねします。

 岸田内閣はEBPMをうたっております。各事業について、評価手法が的確か、エビデンスが適切に収集されているかなど、EBPMをどのように検証するか、これもお答えをお願いします。

原田参考人 お答えいたします。

 お尋ねのEBPMにつきましては、予算プロセスにおいてロジックモデルの作成や活用がなされるなど、各府省において推進に向けた取組が行われているものと承知しております。

 会計検査院は、これまで、様々な施策や事業等について検査を行い、予算の執行や事務事業の遂行の結果がその所期の目的を達成しているか、また効果を上げているかといった有効性の観点からの検査結果も多数報告してきているところでございます。

 政策立案のためのエビデンスの収集自体、これは会計検査の直接の対象ではございませんが、有効性の観点からの検査の実施過程におきましては、政策立案の根拠となるデータ等のエビデンスは会計検査の対象となる施策、事業の効果の検証等を行う際にも重要なものとなるというふうに認識しております。

 会計検査院としましては、各府省における施策、事業の効果が十分に上がっていない事態の発生原因としまして政策上の問題が認められる場合には、政策立案の根拠となるデータ等のエビデンスを確認するなどして、EBPMの取組が適切に行われているかを検査してまいりたいというふうに考えております。

櫻井委員 続きまして、資産についての検査についてもお尋ねしたいと思います。

 会計検査では、資金フロー、これについてしっかりチェックするのはもちろんのこと、資産、ストックについても検査を充実させていくということが、今の時代、非常に必要になってきているのではないかと考えます。これについて、どのように取組を進められますでしょうか。

原田参考人 会計検査院では、毎年策定して公表しております会計検査の基本方針におきまして、国の財政状況、財政健全化に向けた取組、特別会計や独立行政法人等の財務状況について、国や法人の決算等に基づき分析を行うなどして検査の充実を図るとして、財務状況に留意した検査にも取り組むこととしております。

 その結果としまして、平成二十二年度の決算検査報告でございますが、特定国有財産整備特別会計の貸借対照表に計上されている資産のうち剰余となっている不動産を一般会計へ無償で所属替え等するとともに、今後剰余となる不動産が生じた場合も同様に一般会計へ無償で所属替え等することにより、国有財産の有効活用を図るよう改善の処置を要求したものを掲記するなどしているところでございます。

 資産と負債の全体を見たストックベースの検査に関しましては、先ほど申し上げた会計検査の基本方針におきましても、企業会計の慣行を参考として作成される特別会計財務書類等の公会計に関する情報の活用にも留意するというふうにされているところでございます。

 会計検査院としましては、資産と負債の全体を見たストックベースの検査についても、今後とも引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

櫻井委員 最後に、財政健全化に向けての会計検査の役割についてお尋ねします。

 コロナのときには予備費の使い方が問題になったというのは、これは会計検査で明らかにしていただいたところです。会計検査院の役割、非常に大きいと思いますが、今後の役割について抱負をお話しください。

原田参考人 財政健全化の課題に向けた取組でございますが、先ほど所信でも申し上げましたが、今厳しい財政状況になっているというところで、経済性、効率性、有効性の観点からのいわゆるスリーEという検査、これが非常に重要になってきたと思います。

 その検査の結果、予算の執行又は制度上の問題が認められれば、積極的に、院法第三十四条又は三十六条の規定を活用して改善の要求、意見表示を行っていくというこの取組を引き続き続けていくことが重要であるというふうに認識しております。

櫻井委員 時間になりましたので、終わります。

 ありがとうございました。

山口委員長 次に、中司宏君。

中司委員 日本維新の会の中司宏です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 本日は、原田参考人におかれましては、御出席をいただきまして、ありがとうございます。

 これまで長年、会計検査院の一員として、また事務総長として検査の業務に従事をされ、会計検査に関しては豊富な知識と経験を有されていると存じております。

 今回、会計検査官の立場で新たなスタートをされるわけですけれども、まず、検査官になられるに当たって、これから何をやっていかれるのか、また、御自身のポリシーとそして役割、そしてまた、これまで歩んでこられた中で、例えば、無駄や不正をなくすために、何か、これを改革したんだ、これを改善したんだというようなエピソードがあれば教えていただきたいと思います。

原田参考人 御質問ありがとうございます。

 検査官会議は、会計検査院の意思決定機関であり、検査実施機関である事務総局を指揮監督しております。

 そして、検査官会議を構成する三人の検査官につきましては、法律、行財政、企業会計、会計検査等に関して豊富な知識と経験をそれぞれ有することが望ましいというふうにされておるところです。

 このうち、会計検査院出身者から就任する検査官につきましては、事務総局の指揮監督、とりわけ会計検査院の最重要任務であります検査報告の作成の最終段階における検査官会議での意思決定におきまして、今まで検査院で勤務していた中で培ってまいりました会計検査等に関する知識と経験、これを生かしまして、公正かつ的確な判断に貢献することが期待されているというふうに考えております。

 これまでの勤務で行政の改革につながったものはありますかという御質問ですが、そのような検査としましては、平成七年に担当しました建設省のダム建設事業の検査が挙げられます。

 当時は、政策評価制度もなく、公共事業は一旦動き出したら止まらないと言われていた時代でございました。そのような中で、地元の反対のため計画どおりに進捗していないダム建設事業につきまして改善が図られるように指摘したところ、私が検査を担当していた事業は休止となりまして、その後、中止となったということがございました。この指摘があった後、政府では公共事業の再評価という制度が制度化されまして、この再評価の結果によって公共事業の休止、廃止が行われるようになったということがございました。

 仮に今回御同意いただき検査官に任ぜられた場合には、これまでの勤務で培った知識と経験を生かし、期待される役割に十分応えられるよう職責を果たしてまいりたいと考えております。

中司委員 ありがとうございます。

 御丁寧にお答えいただきまして、これまでしっかりと役割を果たしてこられましたことがよく分かった次第でございます。

 我々日本維新の会は、身を切る改革、これに始まって、住民目線で税の使い方について厳しくチェックをしてきた、そういう政党でございますが、会計検査院とされましては、毎年、指摘される事項について同じことが繰り返されないようにしなければならないと思っております。

 職員の意識の改革とか改善を定着していく、そのために、ダブルチェックなど各省庁の内部の統制体制の強化、確立も含めて、今後どのようにフォローアップをされていくのか、それをお聞かせいただきたいと思います。

原田参考人 会計検査院では、検査において不適切、不合理等とした会計経理の是正やその再発防止が確実に図られるなど、検査の結果が予算の編成、執行や事業運営等に的確に反映され実効あるものとなるように、その後の是正改善等の状況を継続的にフォローアップすることとしております。

 会計検査の目的は、指摘だけでおしまいというわけではなく、指摘により会計経理を適正なものに是正していくことにあるというふうに考えております。

 このため、指摘された事態が完全に改善されるように、また、他の府省等で同じことが繰り返されることがないように、各府省任せではなく、指摘した事態の改善状況についてのフォローアップ検査を充実させていく必要があります。そして、なかなか是正がされないものにつきましては、その原因を究明しまして、改善策を検討し、ここに焦点を当てて是正改善を求めていくということが重要であるというふうに考えております。

 今後も、このようなフォローアップ検査を継続して行っていくことにより、検査結果の実効性の確保に努めてまいりたいと考えております。

中司委員 ありがとうございました。

 コロナ禍におけるデジタル敗戦という状況、これを挽回すべく、令和五年の会計検査の基本方針におかれては、行政のデジタル化推進の取組等に対応して新しい検査手法の開発を行う、そして、不断の見直しを行って、検査能力の向上及び検査業務の効率化を図っていく、そういうことが明記をされているわけでございます。

 会計検査院では、これまでからDXは進めておられるわけでありますけれども、AIの活用も含めて、今後更にどのようにDX化に取り組まれていくのかを伺いたいと思います。

原田参考人 行政活動においてもAIの活用等が急速に進行している状況を踏まえまして、会計検査院でも、検査対象機関におけるデジタル関連施策について適切に検査していくことが必要であるというふうに考えております。

 そのため、組織面では、令和五年四月に第五局にデジタル検査課を設置しまして、デジタル庁やデジタル分野に係る会計経理に関する府省横断的な検査を実施する体制を整備したところでございます。

 また、検査においてAIを含めたデジタル技術を活用していくことは、会計検査にとっても大きな武器となる可能性がございます。これまでも、検査対象機関から電子データの提出を受けてその内容を分析したり、大量のデータの処理、分析を効率的、効果的に行うための研究や工夫、これを重ねてまいりました。

 このような取組を加速させるために、令和四年四月には、官房の上席企画調査官付として検査支援室というものを設置しまして、調査官の検査能力の向上も図りながら、検査のDXの推進に取り組む体制を整備するなどしております。

 このような体制の下で、政府や社会のAIの活用状況の動向も踏まえながら、検査におけるAIの活用についても、研究、検討していく必要があるというふうに考えております。

 仮に今回同意をいただき検査官に任ぜられた場合は、社会経済の複雑化等に伴う行財政の変化に対応した検査を実施していくために、検査業務におけるデジタル技術の活用や新しい検査手法の開発等を行いまして、政府におけるデジタル関連施策の検査の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。

中司委員 ありがとうございます。

 先ほど予備費のことについての御質問がありましたけれども、私も少しそれに触れさせていただきます。

 新型コロナウイルスの蔓延に伴って、コロナに関する予算そのものが大きく膨らんだ。その状況で、会計検査院の報告では、令和三年度までで、コロナ関連事業の総額は九十四兆五千億に及んでいるわけであります。膨大な予算が本当に有効に、適切に使われていたのかどうか、しっかりとチェック、検証しなければならない、そういうことは言うまでもありませんけれども、問題は、その中で、予算総額に占める予備費の増大であります。

 令和二年度から三年度の予備費使用額の合計は十兆七千億円と大きく膨らんでおりますが、予備費の増大は財政民主主義の観点から問題視されているわけでありますが、最後にこの点の見解をお聞きさせていただいて、私の質問を終わらせていただきます。

原田参考人 お尋ねのありました予備費に関しましては、新型コロナウイルス感染症対策のために使用決定した予備費がどのような経費のために使用決定されているか、また、これにより予算が配賦された予算科目における執行状況はどのようになっているかなどに着眼して検査を実施し、その状況につきまして令和二年度決算検査報告に報告したところでございます。

 また、予備費の使用等の状況につきましては、令和四年六月に参議院決算委員会から国会法第百五条の規定に基づき検査の御要請をいただきまして、合規性、予算執行及び予備費の使用における透明性の確保並びに国会及び国民への説明責任の向上等の観点から、予備費を使用して新たに設け又は金額を追加した項の執行状況、予備費の使用状況、特に使用理由及び使用額の積算基礎の状況について検査を実施しまして、その結果を取りまとめて、令和五年九月に御報告したところでございます。

 そして、この検査結果の所見としまして、「予備費使用相当額の執行状況等の公表の在り方について引き続き検討し適時適切に国会及び国民への情報提供に取り組んでいく必要がある。」というふうに記述したところでございます。

 これまでの検査の結果により明らかになった状況や国会での御議論等も踏まえて、予備費の使用決定により配賦された予算が適正かつ適切に執行されているかにつきましては、今後も引き続き検査してまいりたいと考えております。

中司委員 ありがとうございました。

 これで終わらせていただきます。

山口委員長 次に、輿水恵一君。

輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 早速ではございますが、質問に入らせていただきます。

 会計検査院は、国、政府機関の決算、また国が財政を援助する地方公共団体などの会計の検査、また、不適切また不合理な会計経理等を発見したときには、単にこれを指摘するだけではなく、原因を究明し、その是正や改善を促すなど、その役割は非常に重要であり、また広範であると思います。

 近年、会計検査の対象が複雑化、多様化、そして高度化している中で、人材育成や確保についてどのように考えているのか、まず考えを聞かせていただけますか。よろしくお願いいたします。

原田参考人 御質問ありがとうございます。

 会計検査院が国民の期待に応えるような検査を十分に行っていくためには、現場の第一線で検査に携わる職員の専門的な知識を向上させること、これが必要でございます。

 会計検査院では、これら職員のスキルアップを図るために、内部で専門家を講師とした研修やセミナーを行うとともに、大学院に留学させるなどの外部機関による研修を行っております。

 引き続き内外の研修を充実させていくことはもちろんですが、社会経済や行財政の動向に伴い検査ニーズが変化していることも踏まえますと、研修の中身を適宜見直していくことが重要であると考えております。

 例えば、民間の知識や技術が行政にも大きな影響を与えるようになっていることを踏まえますと、デジタルに関する検査技術、財務分析に関する知識や民間の管理会計に関する知識を活用した検査技術などが、今後、より一層重要になってくることが想定されております。このため、そのような検査ニーズに対応した研修メニューを充実することなどが必要であるというふうに考えております。

 また、会計検査の対象は行財政全般と大変広範なものとなっていることから、研修等によるプロパー職員の育成だけではなくて、様々な専門的な知識や実務経験をお持ちの民間人を任期付職員や非常勤職員として採用したり、官民交流を行ったりするなどして多様な人材を確保していくこと、これも引き続き必要であるというふうに思っております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 現在、会計検査院の事務総局は定員が千二百五十一人、そして、この検査実施機関である事務総局は官房と五つの局という組織体制になっておりますが、先ほど来ございましたように、感染症や自然災害などへの緊急の対策など、当初から想定していないような、そういった案件も増えている中で、業務を適切に行うための組織や定員の在り方について、ICT、情報通信技術や、AI、人工知能の活用の考え方も含めて、見解をお聞かせ願えますでしょうか。

原田参考人 会計検査院の事務総局の組織につきましては、財政全般を効率的に監視し、同時に社会経済の動向に的確に対応することができるように、検査対象をその事務事業の目的、態様に応じて分類しまして、第一局から第五局までの各課に割り当てるとともに、第一局と第五局には府省等を横断的に検査する課等を設置しております。

 また、これらの検査対象の割当ては、情勢の変化に応じて適宜適切に見直してきており、近年では、例えば、社会保障の検査の充実を図るために医療機関を検査する上席調査官医療機関担当を設置したり、また、御質問にもございました、AI等のデジタル技術を活用するなどして新たな検査手法の開発を行い各検査課を支援するために検査支援室を設置したりするなどの対応をしてきているところでございます。

 会計検査院も国家機関の一つでございますので、人員、予算の増についてはおのずから限度がございますが、委員御指摘のとおり、業務量の増大に対応するとともに、さらに検査機能の強化の要請等に応えるためには、これに見合った人員を引き続き確保するように努める必要があるというふうに考えております。

 一方、限られた人員、予算で最大限の成果を上げるためには、研修の充実強化に努めて、職員の検査能力の向上を図ったり、適切な検査計画を策定して、これに基づいて検査を効率的に実施したり、また、デジタル技術の活用等により検査効率の向上を図ったりするなど、各種の施策を講じていくことも重要であるというふうに考えております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 それでは、最後の質問とさせていただきますが、中長期的な展望に立った研究開発関連事業の検査におきまして、成果以外にどのような点を考慮しようと考えているのか。また、GX関連の事業におきましては、例えば太陽光発電の導入の成果だけではなく、その持続可能性など、こういった視点も必要なのかなというふうに考えますが、このような課題につきましての見解をお聞かせ願えますでしょうか。

原田参考人 会計検査院が検査を行うに当たりましては、例えば事業をめぐる様々な事情も勘案しまして、また事業を実施する者の意見にも十分耳を傾けながら、事業本来の目的を達成するためにはどのような在り方が望ましいのかということを追求していくことが重要であるというふうに考えております。

 そして、今お尋ねのありました研究開発事業やGX関連事業につきましても、委員御指摘のとおり、ある時点における成果のみで判断するということではなくて、持続可能なものとなっているかなどの中長期的な観点からの検査、これも重要であるというふうに考えております。

 仮に今回同意をいただき検査官に任ぜられた場合は、このような中長期的な観点からの検査にも十分留意しつつ、事務総局を指揮監督してまいりたいというふうに考えております。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 原田参考人におかれましては、事務総局での経験を存分に生かされることを期待し、私からの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山口委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 今日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 また、原田参考人におかれましては、お忙しい中お越しをいただきまして、ありがとうございます。

 早速、今お示しをいただきました所信に基づいて御質問をさせていただきます。また、各委員の先生方とかぶるところもありますので、そのときには更に詳しい御説明をいただければと思っています。

 まず、お話にあった説明責任、また事後評価といった視点で先ほど所信がありましたが、会計検査院のホームページを見ますと、検査報告とはとありまして、国民が予算執行の結果について知ることができる重要な報告文書だ、そして、内閣送付時にはマスコミを通じて広く報道されるとあります。

 この報告書、毎回六百ページや一千ページと、大変に、一年間のまさに集約された結果でありまして、内容が盛りだくさんであります。私も、全て読むのはまだ、いつも挫折してしまうんですけれども、しかし、やはり広く国民に知ってもらうのが大事であり、またそれをどのようにして周知していくのかというのが大切だと思っています。

 これについて、どのようにこれから国民への周知や、またマスコミとの連携によって広く知らしめていくのかというところからお聞きができればと思います。

原田参考人 質問ありがとうございます。

 会計検査院は、国民の負託を受けて会計検査を行う機関でございますので、国民の理解と信頼を得るために、検査活動の内容をできるだけ明らかにして分かりやすく説明することによって、検査業務の説明責任を果たしていくことが極めて重要なことであるというふうに考えております。

 例えば、会計検査院の活動の状況や結果につきまして、図表やグラフを用いるなどして、検査報告において国民にできるだけ分かりやすく説明する努力をしてきているところでございますが、それでもなかなか、まだ読みにくいという御意見はいただいているところでありますので、引き続き、この点については工夫を重ねてまいりたいというふうに考えております。

 このほかにも、会計検査院の活動を分かりやすく説明する小冊子「会計検査のあらまし」というものを発行したり、またウェブサイトにおきまして情報発信したりするなどして検査活動の内容の説明に努めるとともに、さらに効果的な情報発信、広報改革のためのプロジェクトチームを立ち上げて活動しております。この活動の結果として、最近、パワーポイントを使った概略説明というのをホームページの方でアップさせていただいておりますが、それもこのプロジェクトチームの検討の結果、今実施に至っているというものでございます。

 今後も引き続き、国民に対して検査活動の内容を十分説明し、会計検査院として説明責任を果たすよう、また会計検査院の活動を国民によく知っていただくよう、引き続き努力していくことが必要であるというふうに考えております。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 最近の報告書にはポンチ絵があったり図表があったりして、少しずつそういう改善はされているかと思うんですけれども、もう一点、その指摘がされた後のフォローアップ、先ほども質疑がありましたけれども、これが重要だと思っています。

 特に、意見を表示し処置を要求した事項というのが定められていますけれども、ここでどういうふうに改善されたかということが更に分かりやすく示されれば、検査をして改善がされて、また次に生かせるというPDCAのサイクルが回っていくと思うんですけれども、これらの改善項目においても、どのように説明を果たし、また、国民に周知していくのかということをお聞きします。

原田参考人 ただいまは、意見を表示し又は処置を要求した事項についてのフォローアップの検査、その結果をどういうふうに公表していくかというところでございます。

 この事後処置状況につきましては、要求等いたしました全ての処置が取られるまで、その事項を毎年度の検査報告に掲記するという取組を行っております。

 それ以外の取組としては、特に、今のところ、その年々の指摘事項につきましては非常に広く、ホームページに公表したりとか、積極的に広報しているのですが、ちょっと、事後処置状況についてはそこまで今行っていないところでございます。

 この点につきまして、もっと国民に分かりやすくその点について伝えていくべきという御意見もございますようでしたら、そこについて、どのような広報をしていくことが適切かということについて検討してまいりたいというふうに思います。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 是非、事後評価についても、分かりやすい、また、私たち委員もしっかりと把握をしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 人材育成の件についてもお聞きします。

 八百名の検査官がいるということでありまして、先ほど来、専門性を高めるとか、人材育成のこれからの在り方ということもお聞きをしましたが、その中で民間の力というお話もありました。民間とも連携をしているということなんですが、一方で、守秘義務もありますし、独立性という観点があります。

 省内における人材育成と、また外部や民間の力をかりるということのそのバランスを、守秘義務や独立性の観点から、お考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。

原田参考人 ただいま御質問ありました人材育成につきまして、プロパーの職員を育成していくとともに外部の人材を活用する、この両方をうまく、バランスよくやることが必要だということは先ほどもお答えしたところでございますが、守秘義務につきましては、民間から来ていただいた方も、実際戻ってから、守秘義務がかかっておりますので、そこはしっかり守っていただいているところでございまして、そこにつきましては適切に行っていただけるというふうに思っております。

 一方で、一番問題なことでございますが、任期付採用につきましては、民間から来ていただくということで、やはり給与の問題、それが非常にネックになっているというふうに思います。募集しても人がなかなか集まらないというところがございまして、これは人事院でみんな横並びの制度でございますので、そこが一つ大きなネックになっているとかいうふうには感じております。

 もっと公募の仕方とか、いろいろ工夫の仕方もあるのかもしれませんが、その辺りも含めて、民間からの人材をどうやって確保していくかということにつきましては、引き続き工夫を重ねてまいりたいというふうに考えております。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 最後に、検査の効率化ということです。

 先ほど、会計検査業務のIT活用というお話がありました。デジタル局や、電子データを提出してもらうということをお聞きしましたが、検査の資料の重要性について聞きたいんですが、裁判所が重大事件の記録の廃棄というのが各地でありましたが、恐らく多くの情報が会計検査院のところには、過去も含めて、あると思うんですが、これらをデータ化して活用できるようにするために、何か案があれば、最後にお聞かせください。

原田参考人 要するに、証拠書類とかそういう資料のデータ化についてどういうふうにお考えかということだと思います。

 現在、会計検査院は、定期的に計算証明書類というものを検査対象機関から出していただくことを行っているのですが、対象機関においてやはり電子化が進んでいるということも踏まえまして、オンラインで送っていただく書類の範囲を今どんどん広げております。ですから、それにつきましては今オンラインで提出されておりますので、それについては逆にこちらの方で、じゃ、その後どういうふうにそのデータを分析するかということを今いろいろ研究しておりまして、それによって、効率的にいろいろな事態の発見とか、どう検査対象を抽出したらよいかという点についてもいろいろ工夫が可能なのかなというふうに考えております。

 ただ、なかなか、検査対象機関の方で、やはりまだ紙で持っているところが非常に多うございまして、そこにつきまして、じゃ、全部電子で出してくださいとこちらからちょっと申し上げられる立場ではございませんので、まずは検査対象機関の電子化の状況を踏まえつつ、その電子化の妨げにならないように、検査院の方の資料提出の要求の在り方も考えていきたいというふうに考えております。

田中(健)委員 ありがとうございました。

山口委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 原田参考人にお尋ねいたします。

 まず、参議院予算委員会が要請した学校法人森友学園への国有地売却問題の検査報告書についてであります。

 原田参考人はこの報告書作成にどのような立場で関わったのでしょうか。

原田参考人 質問のございました森友学園の国有地売却問題の検査報告書の作成の当時、私は事務総長官房審議官第三局担当として、第三局の所掌のうち国土交通省の港湾局及び航空局等の検査を担当する国土交通検査第二課等を総括する審議官でございました。

 お尋ねの報告書の作成につきましては、担当審議官といたしまして検査の過程で様々な意見を述べるなどの形で関わっておりました。

塩川委員 国交省航空局など担当審議官として関わった。

 会計検査院は、財務省近畿財務局と国土交通省からそれぞれ提出をされた貸付決議書について内容が異なっていることを認識しておりましたが、その際に、財務局には問合せをして、財務省が提出したものが決議書であり、国交省のはドラフトだとの説明を受けたということであります。財務省の主張のみを聞き、国交省に問合せをしなかったのはなぜなんでしょうか。

原田参考人 当時、決裁文書の改ざんを見抜けなかったことにつきましては、会計検査院に対して大きな御批判をいただいたことは十分承知しております。

 会計検査院としまして、人員や期間の制約がある中で最大限の努力を払って、膨大な資料の収集や分析を行いつつ報告書の取りまとめを進めていたという事情がありましたため、その中で、よもや書類が書き換えられているというふうな思いに至らず、決裁文書の真正性の検証については必ずしも最優先事項として位置づけていなかったということによるものでございます。

塩川委員 実際には、国交省の決議書が改ざん前の文書で、近畿財務局の決議書は改ざん後の文書であったわけであります。この二つの決議書の違いについて、事実として報告書に記載すべきだったのではありませんか。

原田参考人 繰り返しになって恐縮でございますが、当時、決裁文書の改ざんを見抜けなかったことにつきましては、検査院に対して大きな御批判をいただいていたことは十分に承知しております。

 財務省から提出を受けた貸付決議書と国土交通省から提出された資料の中に含まれていた貸付決議書につきまして、これらの貸付決議書に含まれていた書類の内容が異なっていたということは検査担当者において把握はしておりましたが、担当者も書類が書き換えられているとまでは考えていなかったために、報告書に記載すべき事態であるというふうに組織としての認識に至っていなかったということでございます。

塩川委員 当時、参議院の予算委員会理事会で河戸当時の会計検査院長は、財務省決裁文書の改ざんを見抜けなかったことについて、適切な確認を行わなかったことは誠に遺憾で、大いに反省していると述べております。適切な確認を行わなかったという認識はお持ちでしょうか。

原田参考人 見抜けなかったという結果がございますので、適切に行っておらなかったというふうな認識でございます。

塩川委員 金子原二郎参議院予算委員長は、財務省の説明をうのみにした、内閣から独立の地位を有する検査院に対する国民の信頼を失わせかねない事態だ、猛省を促すと強く批判をしました。国民の信頼を失いかねない重大な問題だった、このように受け止めておられますか。

原田参考人 委員御指摘のとおり、会計検査院に対する信頼を非常に損ないかねない、非常に問題のある事態であったというふうに認識しております。

塩川委員 次に、公的統計の整備に関する会計検査の結果報告に関連して、国交省の建設工事受注動態統計調査における二重計上問題についてお尋ねします。

 国交省は、欠測値の補完措置という推計方法の変更が合算処理と並行することで二重計上問題を引き起こしたと説明しております。会計検査院は、国交省からこの欠測値の補完措置については説明を受けていたのではありませんか。

原田参考人 会計検査院は、令和元年六月に、参議院から、公的統計の整備に関する業務体制等について会計検査を行い、その結果を報告するよう御要請をいただきまして、その検査の結果について令和三年九月に報告しております。建設工事受注動態統計調査に関する事態につきましては、要請項目の一つでございます公的統計の整備に関する事業の実施状況の中で記述をしております。

 本件の検査におきましては、五十の基幹統計調査を含む二百九十八の統計調査につきまして、調査票の集計方法等が調査計画に沿って実施されているかなどに着眼して横断的に確認をしたものでございまして、特定の統計調査の集計方法が統計そのものにどのような影響があったのかといった、具体的な統計処理に係る詳細な分析等までは行ってございません。

 したがいまして、本件の検査におきまして、建設工事受注動態統計調査につきまして、いわゆる二重計上になっていたということは把握しておりませんでした。しかし、過去の調査周期に係る調査票の情報を、調査計画に定められた本来の調査時期ではなくて、提出時期における調査周期の調査票の情報に含めて集計していたということにつきましては確認しておりまして、その旨は報告書に記載しているところでございます。

塩川委員 欠測値の補完措置についての把握、そこはされていたということでいいですね。

原田参考人 説明は受けておりません。

塩川委員 説明の仕方がどうかというのはありますけれども、国交省への質問をして、それに対しての回答をもらった、そういった中にこの欠測値の補完措置に関わる部分というのも当然含まれていたわけであります。個別に国交省に問い合わせた回答の中を読み込めば、そういった中身というのは分かる。

 二重計上は分からなかったがという説明ですけれども、欠測値の補完措置というのは把握していたんじゃないですか。

原田参考人 欠測値の補完措置について説明を受けていたということはないというふうに私は認識しております。

塩川委員 公的統計は、政策の企画立案の根拠であるとともに、国民が政策を評価するための基盤的な情報であります。公的統計の信頼を揺るがす問題が相次いでいるときに、国会に適切な報告が行われていなかったことは、検査院としての役割を果たしたと言えるのか、この点についてのお考えをお聞かせください。

原田参考人 繰り返しになって恐縮でございますが、国会からの要請の報告は、数多い統計調査につきまして横断的に検査をするということでございます。

 先ほども申し上げましたけれども、本件の調査におきましては、二百九十八の統計調査につきまして、調査票の集計方法等が調査計画に沿って実施されているかなどに着眼して横断して確認したということで、特定の調査の集計方法が統計そのものにどのような影響があったかという、具体的な統計処理に係る詳細な分析等までは行うような余地がなかった。要するに、報告までには、まず横断的に状況を把握する、そこを優先してやっておりますので、そこについては行っていなかったということでございます。その事情につきまして、ちょっと御理解いただければというふうに思います。

塩川委員 時間が参りました。終わります。

 ありがとうございました。

山口委員長 これにて各会派を代表する委員の質疑は終了いたしました。

 これより自由質疑を行います。

 質疑される方は、挙手の上、委員長の許可を得て発言されるようお願いいたします。

 また、発言の際は、所属会派及び氏名をお述べいただき、一人一問一分以内としていただきますようお願いいたします。

 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 参議院決算委員会が要請しました予備費の使用状況に関する会計検査結果報告についてお尋ねします。

 そのポイントは何なのかということを御説明いただきたいんですが、その際に、これまで政府は、予備費の執行は既存の予算と一体として執行されるため、予備費だけ区別して執行状況を確認できないとしてきたわけですが、実際には予備費の執行状況を区別できることが明らかになった。これまでの政府の説明が虚偽だったのではないのか、この点が問われていると思いますが、その点の認識を伺いたいのと、また、国会の議決を回避し得る巨額の予備費の執行そのものが、財政民主主義、国会中心財政主義に反するのではないか、この点についてもお聞きしたいと思います。

原田参考人 お答えいたします。

 会計検査院は、令和四年六月に参議院決算委員会から、国会法第百五条の規定に基づき、予備費の使用等の状況について検査を行い、その結果を報告するよう御要請をいただき、検査の結果を五年九月に報告しております。

 報告のポイント、概要について端的に申し上げますと、予備費の使用決定により予算が配賦されるなどした八府省等は、実務上の取扱いとして、事業を単位として予算の執行管理を行うなどしていたこと。事業によって複数ある財源のいずれから支出等を行うこととするかという財源選択の順序の整理方法等は異なるものの、いずれの事業も、予備費使用額を財源とする予算額に相当する予備費使用相当額の執行状況を区別できるようになっていたこと。二府省の四事業におきましては、予備費使用決定日から年度末までの日数を超える期間等を用いて予備費使用要求額を積算しており、これら四事業については、予備費使用相当額の全額が翌年度に繰り越されていたことなどがございます。

 御質問がございました、これまでの政府の説明は虚偽だったのではないかという点についてでございます。

 予備費の使用決定による予算の配賦及びその後の予算執行につきましては、財政法等の会計法令上、予算科目を単位として行われますことから、令和三年度の予算科目の執行状況について見ましたところ、予備費使用相当額の執行状況を区別できるもの、これはございませんでした。

 一方、八府省等は、実務上の取扱いとして、管理簿等により事業単位で予算の執行管理などを行うなどしておりました。そして、事業によって財源選択の順序の整理方法等は異なりますが、いずれの事業も予備費使用相当額の執行状況を区分することができたことなどを踏まえまして、本年九月に参議院に提出した報告書では、会計検査院の所見として、政府において、事業ごとに事業予算全体の執行状況と併せまして、その内訳として予備費使用相当額の執行状況を公表すること、事業ごとに財源選択の順序の整理方法等を明示することなどを記述しております。

 また、国会の議決を回避し得る巨額の予備費執行そのものが財政民主主義に反するのではないかという御質問でございますが、予算における予備費等の規模等がどうあるべきかという点につきましては、国会におけます予算編成の在り方に関する問題でございますので、この場でのお答えは差し控えさせていただきたいと存じます。

 予備費につきましては、その額が多額に上っていることから、国会においても様々な議論がなされており、国会、ひいては国民の関心が高い事項であるということは承知しております。これまでの検査結果により明らかとなった事情や国会での御議論等も踏まえて、予備費の使用決定により配賦された予算が適正かつ適切に執行されているかにつきましては、今後も引き続き検査してまいりたいというふうに考えております。

山口委員長 ほか、よろしゅうございますか。

 それでは、これにて原田参考人の所信に対する質疑は終了いたしました。

 原田参考人、大変ありがとうございました。お疲れさまでした。

 以上をもちまして検査官の候補者からの所信聴取及び所信に対する質疑は終了いたしました。

 本日は、これにて散会いたします。

    正午散会


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