衆議院

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第22号 令和7年4月17日(木曜日)

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令和七年四月十七日(木曜日)

    午前十一時開議

 出席委員

   委員長 浜田 靖一君

   理事 村井 英樹君 理事 田野瀬太道君

   理事 井出 庸生君 理事 井野 俊郎君

   理事 青柳陽一郎君 理事 道下 大樹君

   理事 吉田はるみ君 理事 中司  宏君

   理事 村岡 敏英君

      草間  剛君    栗原  渉君

      鈴木 隼人君    高木  啓君

      深澤 陽一君    三谷 英弘君

      森下 千里君    五十嵐えり君

      下野 幸助君    高松 智之君

      長友よしひろ君    金村 龍那君

      臼木 秀剛君    吉田 宣弘君

      上村 英明君    山川  仁君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   議長           額賀福志郎君

   副議長          玄葉光一郎君

   事務総長         築山 信彦君

   参考人

   (人事官候補者(人事院総裁))          川本 裕子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十七日

 辞任         補欠選任

  上田 英俊君     栗原  渉君

  三谷 英弘君     草間  剛君

  伊藤 俊輔君     下野 幸助君

  山川  仁君     上村 英明君

同日

 辞任         補欠選任

  草間  剛君     三谷 英弘君

  栗原  渉君     上田 英俊君

  下野 幸助君     伊藤 俊輔君

  上村 英明君     山川  仁君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 本会議における議案の趣旨説明聴取の件

 参考人出頭要求に関する件

 人事官任命につき同意を求めるの件

 本日の本会議の議事等に関する件


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     ――――◇―――――

浜田委員長 これより会議を開きます。

 まず、趣旨説明を聴取する議案の件についてでありますが、本日の本会議における内閣提出の食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律及び卸売市場法の一部を改正する法律案の趣旨説明は、江藤農林水産大臣が行います。

 本法律案の趣旨説明に対し、立憲民主党・無所属の西川将人君、れいわ新選組のたがや亮君から、それぞれ質疑の通告があります。

 質疑時間は、西川将人君は十五分以内、たがや亮君は五分以内とするに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 なお、質疑者の要求大臣は、お手元の印刷物のとおりであります。

    ―――――――――――――

 一、趣旨説明を聴取する議案の件

  食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律及び卸売市場法の一部を改正する法律案(内閣提出)

   趣旨説明

    農林水産大臣 江藤  拓君(約三分)

   質疑通告     時間   要求大臣

 西川 将人君(立憲) 15分以内 農水

 たがや 亮君(れ新) 5分以内 農水

    ―――――――――――――

浜田委員長 次に、本日の本会議の議事の順序について、事務総長の説明を求めます。

築山事務総長 まず、日程第一につき、藤丸厚生労働委員長の報告がございまして、れいわ新選組、日本共産党及び参政党が反対でございます。

 次に、日程第二から第五までの四件につき、堀内外務委員長の報告がございます。採決は三回になります。一回目は日程第二及び第三で、全会一致でございます。二回目は日程第四で、日本共産党が反対でございます。三回目は日程第五で、日本保守党が反対でございます。

 次に、日程第六につき、井上国土交通委員長の報告がございまして、れいわ新選組が反対でございます。

 次に、日程第七につき、金子東日本大震災復興・防災・災害対策に関する特別委員長の報告がございまして、れいわ新選組が反対でございます。

 次に、食品流通法等改正案につきまして、江藤農林水産大臣から趣旨の説明がございます。これに対しまして、二人の方々からそれぞれ質疑が行われます。

 本日の議事は、以上でございます。

    ―――――――――――――

 議事日程 第十九号

  令和七年四月十七日

    午後一時開議

 第一 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 航空業務に関する日本国とチェコ共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件

 第三 航空業務に関する日本国とルクセンブルク大公国との間の協定の締結について承認を求めるの件

 第四 千九百九十四年四月十五日にマラケシュで作成された世界貿易機関を設立するマラケシュ協定のサービスの貿易に関する一般協定の日本国の特定の約束に係る表の改善に関する確認書の締結について承認を求めるの件

 第五 東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センターを設立する協定の第二次改正の受諾について承認を求めるの件

 第六 船員法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第七 災害対策基本法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

  一 食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律及び卸売市場法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

    ―――――――――――――

浜田委員長 それでは、本日の本会議は、午後零時五十分予鈴、午後一時から開会いたします。

    ―――――――――――――

浜田委員長 次に、趣旨説明を聴取する議案の件についてでありますが、内閣提出の日本学術会議法案は、次回の本会議において趣旨の説明を聴取し、これに対する質疑を行うことに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 次に、次回の本会議の件についてでありますが、次回の本会議は、明十八日金曜日午後一時から開会することといたします。

 また、同日午前十一時理事会、正午から委員会を開会いたします。

    ―――――――――――――

浜田委員長 次に、人事官任命につき同意を求めるの件についてでありますが、去る四月十日の理事会において、橘内閣官房副長官から、内閣として、人事官に人事院総裁川本裕子君を再任いたしたい旨の内示がありました。

 つきましては、理事会の申合せに基づき、人事官の候補者から、所信を聴取することといたしたいと存じます。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本日、参考人として人事官候補者川本裕子君の出席を求め、所信を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 まず、議事の順序について申し上げます。

 最初に、川本参考人に所信をお述べいただき、その後、参考人の所信に対する質疑を行いますので、委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。

 それでは、川本参考人、お願いいたします。

川本参考人 川本裕子でございます。

 本日は、所信を述べる機会を与えていただき、誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 国家公務員制度は、我が国の行政の円滑な運営を確保するための重要な基盤であります。また、国家公務員法は、国民に対し、公務の民主的かつ能率的な運営を保障することを基本理念としております。

 人事院は、この基本理念の下、国民全体の奉仕者である国家公務員の人事行政の公正を確保するため、また、労働基本権制約の代償機能を果たすため、中立第三者機関として設置されています。その構成員の人事官には、強い責任感と高い倫理観が求められるものと認識しております。

 私は、民間企業での勤務を経た後、大学において金融機関経営や企業統治全般についての研究、教育に携わり、令和三年六月に人事院総裁に就任いたしました。

 人事院総裁として、人事院の中立第三者機関としての性格を十分に踏まえつつ、労働基本権制約の代償機能としての人事院勧告を着実に行うとともに、民間企業とは異なる公務の特殊性にも十分に留意し、各府省の現場の実情を踏まえながら、公務人材の確保、長時間労働の是正、柔軟な働き方の推進、両立支援制度の拡充、メンタルヘルス、ハラスメント対策などの人事行政施策の推進に取り組んでまいりました。

 施策のユーザーである各府省や職員の声を受け止めつつ、例えば、人材の確保の面では、多くの方々に公務を志していただけるよう採用手法を改善したり、長時間労働の是正の面では、各府省の勤務時間を調査し指導する体制、仕組みを構築してまいりました。

 講じた施策について、成果が見られてきたものもありますが、人材確保を始め、取り組むべき課題はいまだ多く残されております。持続可能な公務組織とするために、国家公務員の採用から退職に至るまでの公務員人事管理全般にわたって、国家公務員法の趣旨が実現されるよう、取組を進めることが大事だと考えております。

 仮に人事官に再任されました場合には、国民の代表である国会での御議論を始め、様々な御意見に真摯に耳を傾けながら、お二人の人事官と協力して、重大な責務を果たすべく、全力で職務に取り組んでまいりたいと存じます。

 以上、簡単ではございますが、私の所信を述べさせていただきました。

 本日は、このような機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。

浜田委員長 ありがとうございました。

 これにて参考人からの所信の聴取は終了いたしました。

 議長、副議長は御退席いただいて結構でございます。

    ―――――――――――――

浜田委員長 これより川本参考人の所信に対する質疑を行います。

 質疑は、まず、各会派を代表する委員が順次三分以内で質疑を行い、その後、各委員が自由に質疑を行うことといたします。

 高木啓君。

高木委員 自由民主党の高木啓でございます。

 今日は、川本人事官に御質問をさせていただく機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 持ち時間三分でございますので、早速質問に入らせていただきたいと思いますが、川本人事官は、一期四年、人事院総裁として多くの人事行政、施策を推進をして、特に国家公務員の適正な給与水準の確保に努めてきたと私は聞いております。

 人件費の予算は義務的経費とされておりまして、政府は、この間、毎年の予算フレーム、例えば令和七年度予算編成の方針においても、私から見れば非常に緊縮的に抑えてきたというふうに見えておりまして、こうした、人件費抑制をある意味で奨励をするかのような予算編成の方針で、今年三月に最終提言された人事行政諮問会議の、未来をつくるための改革というのがありますが、これが本当に実現をできるのかどうか、私自身は若干、一抹の不安を持っておりますが、川本人事官におかれては、どのような御見解を持たれているでしょうか。

川本参考人 お答え申し上げます。

 国家公務員の人材確保は厳しい状況にあります。公務組織を支える多様で有為な人材を確保するため、適正な給与水準の確保は不可欠と考えています。

 これまで、時代の要請に即した給与制度への転換を図るため、給与制度のアップデートとして、初任給や若年層給与を引き上げ、管理職の給与を職責重視とし、成績優秀者のボーナスの上限を引き上げるなどの見直しを実施しました。

 本年三月の人事行政諮問会議の最終提言では、官民給与の比較対象となる企業規模の引上げや、外部労働市場も考慮した給与水準の設定の必要などについて御提言をいただいたところです。

 国家公務員の給与については、国会及び内閣を始め、関係各方面の御理解が得られるものであることが重要と考えています。

 昨年の給与勧告では、例えば、長距離通勤が増える中、通勤手当の支給限度額を一か月当たり十五万円に引き上げることを勧告し、法律改正をお認めいただくなど、厳しい財政事情の中でも、必要なところには御理解をいただきながら改善を進めています。

 公務に必要な人材を確保するため、関係各方面の御理解を得ながら、適切な処遇の確保に取り組んでいくことが重要と考えます。

高木委員 今おっしゃられた適正な給与水準の確保、これはこれからも是非追求をしていただきたいと思うのですが、私たちの方針は、岸田政権以来、成長と分配の好循環ということを目標にしておりまして、デフレ完全脱却に向けて、我が国は今その重要な局面にあると私は考えております。

 世の中の流れは総じて賃上げ方向でありまして、実際、今年の春闘のベースアップも、恐らく、まだ平均値とかは出ていませんが、平均すると四%台から五%台、そして、大変多く賃上げしていただいたところは七%台というところも漏れ聞いているわけでありまして、非常に高い数字になった。ちなみに、昨年の平均でいうと四・一%ということでありますから、こういう賃上げの方向性を、やはり公務員も、私はこの方向性に従うべきだと。当然、官民格差あるいは官民の見合いというのがあると思いますので、是非そうしていただきたいと思うわけです。

 しかし、一方で、どの業界も人手不足感が非常に強くて、相対的に国家公務員の魅力が劣ってきているということは、近年の採用倍率の低落傾向を見ても明らかであります。私は、広く公務員全体の給与が上がらなければならないと思っておりますが、川本総裁のお考え、いかに。

川本参考人 委員御指摘のとおり、近年、国家公務員の採用試験の申込者は非常に厳しい状況にございます。このような中で、採用市場において競争力のある給与を確保することは、国家公務員の魅力を高める重要な要素の一つと考えています。

 令和六年の給与勧告では、民間給与の状況を反映して、約三十年ぶりとなる高水準のベースアップを実施いたしました。中堅層以上も含む全ての職員について、俸給、ボーナスとも引き上げております。特に初任給については、人材確保の観点や民間における初任給の状況などを考慮し、総合職大卒の初任給を一四・六%引き上げるなど、大幅な引上げを実施しました。その結果、採用市場における競争力は従前よりも確保されるものになったと考えます。

 民間の春闘の状況を見ると、今年も賃上げの傾向が続いています。このような中で、給与勧告を通じて、国家公務員に対し、民間の状況を適切に反映した適正な給与を確保していくことが重要と認識しています。

高木委員 国家公務員、地方公務員含めて、公務員給与は上がらなければならない、上げるべきだと思います。

 以上で終わります。

浜田委員長 次に、下野幸助君。

下野委員 立憲民主党の下野幸助です。

 早速、川本人事官に二点御質問させていただきたいと思います。

 一つ目は、国家公務員の総合職の志願者についてでございます。

 二〇二四年度の秋と春の申込者の合計は一万六千七百六十二人と、前年と比べて四・八%減少しております。総合職、一般職等に変更した二〇一二年度の二万五千百十人と比べると、三二%減、数字では八千三百四十八人の減少となっております。このような状況の分析、川本人事官が就任されてからの四年間の対応策、その評価についてお伺いをいたします。

 もう一点、初任給についてであります。

 人事院は、昨年八月に、大卒の総合職で二万九千三百円引き上げ二十三万円にするなどの勧告をされましたが、今後も初任給アップを目指すのか、数年前に採用された職員との調整をどのようにしていくのか。全体としては給与を単純にかさ上げをしていくのか、あるいは全体では抑制していかなければならないと思うんですが、その点についてのお考えをよろしくお願いいたします。

川本参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、人材確保は厳しい状況であり、国家公務員採用試験の申込者は減少傾向にあります。ただし、総合職試験教養区分では増加してきており、総合職試験全体で増加に転じた年もあるという状況でございます。

 公務の人材確保は最重要課題であり、採用手法の更なる改善を始めとして、勤務環境の整備や給与処遇の改善などの諸施策を推進することが重要と考えます。

 まず、採用試験の改善については、これまで、受験しやすい環境整備と受験者の裾野拡大に取り組んでまいりました。具体的には、総合職試験教養区分の受験年齢の引下げや試験実施の時期の前倒し、試験地の拡大、人文系の区分の創設、各種試験における試験科目の見直し、合格有効期間の延長などの見直しを実施いたしました。今年度、令和七年度からは、一般職の大卒程度試験において教養区分も新設しております。

 さらに、令和八年からの総合職試験教養区分の春実施へ拡大するとともに、令和九年度からのオンライン試験の段階的な導入の計画など、更なる見直しを進めています。加えて、学生の就職活動においてインターンシップが非常に重要になっておりますので、インターンシップを活用した採用手法の多様化も検討しております。

 二番目にお聞きいただいた点でございますけれども、先ほど申し上げましたように、昨年の給与勧告では、人材確保の点から、初任給、大卒で一四・六%引き上げるなど大幅な引上げを実施いたしました。また、中堅層以上も含む全ての職員について、俸給、ボーナスとも引き上げていて、中堅層以上の職員の給与水準も改善しております。

 さらに、時代の要請に即した給与制度への転換を図るため、早期に昇格した者の高い処遇の確保、職務、職責に応じた俸給体系への刷新、能力、実績をより反映することができる制度への見直しなどを実施いたしました。

 公務における給与の在り方については、民間の動向や公務における人事管理上の課題も踏まえて対応していく必要があります。初任給のみならず、中堅層以上の職員についても職務に応じた給与が確保されるよう、必要な改善を図っていくことが重要と認識しています。

下野委員 ありがとうございます。

 インターンシップやオンラインの適用ということもございましたけれども、なおの拡充をお願いして、魅力ある職場、そして、より志願者が増えるような対応を引き続きお願いしたいというふうに思います。

 そして、質問をもう少しさせていただきたいと思います。

 昇進制度についてです。

 若手のやる気を生むための積極的な登用を、先ほどもちょっとお話がありましたけれども、もっと推進をするべきだと思います。例えば、昨今、サイバーやAIの今議論をさせていただいていますけれども、こういった専門的、デジタル分野も含めて、人材の獲得が急務でありますので、より高い給与と、その役職を報いると思いますが、この点について、昇進制度、専門人材の採用と処遇についてのお尋ねをしたいと思います。

 もう一点、女性職員の採用人数についてお尋ねをいたします。

 令和六年度は、総合職に占める女性の割合が三五・七%に達する一方で、指定職は五・二%という、女性の割合はまだ依然として低い状況でございます。川本人事官の就任後、どのような対策を進めてこられ、それがどのような結果となり、今後どのようにしていくのかという、女性の採用の対応についての質問をさせていただきます。

 以上二点、よろしくお願いします。

川本参考人 お答え申し上げます。

 公務における行政のデジタル化などの課題に対応できるよう、高度な専門性を有する人材の確保や適切な処遇の実現に取り組んでいくことが重要と考えます。

 人事院では、デジタル人材の確保に向けて、令和四年度の採用試験から総合職試験にデジタル区分を設けるなどして取り組んでいます。また、外部からの人材の確保については、高度の専門的な知識経験などを有する者を任期を定めて採用する仕組みがございまして、専門性や業務の重要度などに応じて柔軟な給与決定を行うことが可能となっています。給与制度のアップデートにより、ボーナスを含めると年収を最大三千万円台にすることも可能といたしました。

 また、デジタル人材を含め、職員の採用年次や年齢にとらわれず、能力、実績に基づく人事管理を推進していくことが、優秀な人材の確保や組織パフォーマンスの向上のために重要と考えています。

 二番目のお尋ねの女性の活躍についてでございますけれども、委員御指摘のとおり、過去最高値となっているものの、非常に、数字としては目標に達していないというのが、幹部、管理職への登用とか、そういうことで出ています。

 やはり、登用のためには母集団を増やすということが非常に大事だと思いますので、女性の採用、今非常に増えておりますけれども、より積極的に取り組むとともに、採用した女性職員の計画的な育成や男女共に働きやすい職場環境の整備などの取組を強化していく必要があります。

 人事院として、これまでも、育児休業制度や介護休暇制度などの仕事と生活の両立支援、フレックスタイム制やテレワークなどの個々の職員の事情を尊重した柔軟な働き方の推進などを進めてまいりました。また、私が各府省の事務次官と直接お目にかかりまして、各府省において女性活躍を進めていただけるようお願いをしてきたりもしております。

 そのようなことで、女性の活躍が達成されればいいなというふうに思っております。

下野委員 ありがとうございます。

 枠組みとしては、先ほど年収三千万円までというお話もあったんですが、まだこれからだというふうに思います。昨日、警視庁がサイバー人材をNECさんから採るというようなお話もありましたので、実際、国家公務員に関しましても、そういった技術的な部分、専門的な職員を増やしていただけたらというふうに思います。

 引き続き、適正な給与水準と長時間労働の是正を求めて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

浜田委員長 次に、中司宏君。

中司委員 日本維新の会の中司宏です。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 川本裕子参考人におかれましては、再任候補ということで思いを述べていただきました。本当にありがとうございます。

 何点かお聞きいたします。

 この四年間、大変御苦労いただいたと思いますが、任期中にやり残した、あるいは十分にできていなかったことで、再任されれば次の任期で是非意欲を持って取り組みたい、そう思っておられることがありましたら、まずその点をお聞きいたします。

川本参考人 令和三年六月に人事官に就任して以来、労働基本権制約の代償機能として、毎年の人事院勧告を着実に実施してまいりました。また、中立第三者機関として、公務の特殊性にも十分に留意し、各府省の現場の実情を踏まえながら、多様な人材が集まり、一人一人が高い志を持って職務を遂行できる、魅力ある公務を目指して各種施策に取り組んでまいりました。具体的には、採用試験の見直し、長時間労働の是正、柔軟な働き方の推進、両立支援制度の拡充、メンタルヘルスやハラスメント対策などの人事行政施策の推進でございます。

 講じた施策については、成果が見られたものもございます。ただ、公務の人材確保は非常に厳しい状況にございまして、喫緊の課題であると認識しております。

 仮に人事官に再任されましたら、人材確保という大きな課題を正面から受け止め、有為な方たちが集まり、生き生きと働ける公務職場の実現、持続可能な公務組織とするため、施策を総動員して取り組んでいく必要があると考えております。

中司委員 人材確保に取り組みたいということでございますが、先月の人事行政諮問会議の提言では、国家公務員のなり手不足を解消し、そして優秀な人材を確保するために、官民の給与を比較する対象となる民間の規模を大企業に変更することで、国家公務員の給与の引上げを求めておられます。

 人材確保の観点から、そのことは一定理解するものですけれども、ただ、地方の自治体の職員の給与水準もそれに準拠することになりますので、地方では、地方の立場からすれば、中小零細企業がコスト高など大変厳しい環境にありますから、一律に民間の大企業を基準とする人勧には、地方が準拠するということになれば、決して民間の実態を反映しているということにはならないかもしれないと思っております。

 そうした点も十分に踏まえて、また、働き方や給与体系が多様化している今日の状況を見て、人勧制度をもっとめり張りを伴った実質的な制度にすべきだと考えておりますが、その在り方について考え方をお聞きいたします。

川本参考人 お答え申し上げます。

 官民給与の比較に当たっては、都市部と地方とで実態が異なるのではないかという視点も含め、様々な御議論がありますけれども、国家公務員の人材確保が厳しい状況にある中で、人材確保の要請も考慮した民間企業従業員の給与の把握の在り方が重要な検討課題になっていると考えます。

 この点、人事院の人事行政諮問会議や参与会、また、地方に参りまして行っております公務員問題懇話会などの有識者からは、国の公務の規模などの観点から、より規模が大きい企業のみと比較するべき、あるいは、民間企業との競合がある中で、公務に有為な人材を確保、維持する必要があり、そのような観点を踏まえ、適正な給与水準を確保することが重要といった御指摘をここ数年いただいているところでございます。

 官民給与の比較方法の在り方については、各方面の意見も伺いながら、引き続き検討を進めてまいりたいと考えています。

中司委員 是非とも、地方の視点も十分に取り入れていただきますことをお願いしておきます。

 次に、人材確保のための適切な処遇を実現するためには、人事評価が大事と考えます。川本参考人は、前回の所信質疑の中で、人事評価がいかに適切に行われるかは組織運営の基本である、そして、人事評価について詳しく調査をして、進展度合いとかボトルネックを探りたいと述べておられます。

 そこで、人事評価について、どう取り組み、進展させてこられたのか、お伺いいたします。

川本参考人 お答え申し上げます。

 採用試験の種類や年次にとらわれず、能力、実績に基づく人事管理を進めるためには、人事評価の適切な実施とその活用が重要です。人事評価については、成果を、公務の場合、定量的に測りにくいものがあることを十分認識した上で、期中及び期末において、評価事実を適切に把握し、面談などで丁寧にコミュニケーションを取った上で評価を行うことが重要と考えています。

 人事院では、評価結果の処遇への反映という観点で、令和四年に、人事評価の評語区分の細分化、五段階から六段階になったことが行われたことに合わせまして、評価結果をより適切に任用、給与に反映するための制度の見直しを行いました。これにより、能力、実績に応じた、よりめり張りのある登用や昇給、ボーナス支給を可能としています。

 人事評価については、制度を担当する内閣人事局とも連携しながら、幹部職員や管理職員のマネジメント能力の向上を更に進める必要があると考えます。

 また、人事院は、令和四年度年次報告書において、人材マネジメントにおけるデータ、デジタルの活用可能性をテーマとする報告を行いました。人事評価の情報を始め、各人事業務プロセスにおけるデータを連動させ、きめ細かな対応と効率性が両立した人材マネジメントに活用する重要性を取り上げたものです。

 これまで、内閣人事局、デジタル庁と連携して、人事管理業務のシステム化の検討を行ってきています。人事院として、国家公務員の人事制度を所管する立場から、実装に向けた具体的検討を進めていくことが必要と考えています。

中司委員 最後に、去年の勧告の際の談話の中で、時代に合った働き方に向けて、勤務環境の整備の推進を掲げておられます。超過勤務の縮減を始め、これまでのお答えから、繰り返しになりますけれども、どういった理念で、どのようなところに力を注いでいかれるのか、改めて伺います。

 また、今、公益通報者の保護法の改正案が国会で審議をされていますが、今後、この制度にどう対応していかれるのか、併せて伺います。

川本参考人 お答え申し上げます。

 デジタル化の積極的な推進などを通じて一層の業務の効率化を図ることは、国家公務員の働き方改革や生産性向上の観点から、極めて重要と認識しています。また、ライフスタイルや働き方に対する価値観が多様化する現在においては、多様な人材を生かし、その能力を最大限に発揮できる勤務環境の整備が求められていると認識しています。

 これまで、人事院は、令和四年四月に勤務時間調査・指導室を設置して、各府省を直接訪問して勤務時間の管理などに関する調査、超過勤務の縮減に向けた指導助言を行っています。また、令和六年三月にはテレワークガイドラインを策定しました。令和六年四月には、勤務間のインターバル確保の努力義務を導入したこと。それから、令和七年四月、今年の四月からは、フレックスタイム制を見直して、週一日を限度に勤務時間を割り振らない日を設定する仕組みを全職員に拡大をしております。

 このような柔軟な働き方、生産性向上を通して、より生き生きと働ける職場を目指すことが大事だというふうに考えています。

 二番目のお尋ねでございますが、恐縮でございますけれども、国会で審議中の法案の内容について、今の立場からお答えすることは控えさせていただきます。

中司委員 公益通報につきましても、今、改正案なので、現在も執行されていますので、そのことについては、是非とも行政の中で取り入れる工夫をしていただければと思っております。

 これからの時代にふさわしい人事行政を進めていただくために、是非とも力を発揮していただきますようにお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

浜田委員長 次に、臼木秀剛君。

臼木委員 国民民主党の臼木秀剛と申します。

 川本総裁におかれましては、一期の任期、若干残りがありますけれども、まずはお疲れさまです。

 先ほど所信の中にもありましたけれども、民間企業と異なる公務の特殊性ということをこの四年間感じられてきたかと思いますけれども、率直な、公務と民間の違い、どのようにお感じになられたか、お答えをいただけますでしょうか。

川本参考人 国家公務員は、憲法に定める全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務する義務がございます。そのため、職員には、厳正な服務規律と職務の公正性に対する高い倫理観が求められます。また、国民からの信頼を得られるよう、広く国民の意見を聞き、特定の個人や組織など一部の利害に偏重せず、透明性の高い行政運営を意識した上で、中立公正な立場で職務を遂行しなければいけない。このような点から、民間企業とは異なる特殊性を有しており、同時に、国家公務員の仕事は、国家の屋台骨を支える唯一無二のものであると認識しています。

 例えば、国家公務員については、その公共性から、短期的、定量的な成果測定が難しい仕事が多いことや、民間労働法制とは異なる法令で勤務条件が定められていることなどが民間と違うと存じております。

臼木委員 ありがとうございます。

 川本総裁は、就任前からよく、人事に関しては客観的、公正的な人事評価が必要だということで、期待して鍛えるということをおっしゃっておられましたけれども、実際に就任されて、どの程度御自身で実現ができたと評価されているか、その点、御説明をいただけますでしょうか。

川本参考人 お答え申し上げます。

 期待して鍛えるというのが適切だったかどうかというのは議論があると思いますけれども、就任時の所信において、行政組織の経営管理力を高め、個々の公務員が意欲を持って仕事に取り組める環境を実現することを掲げております。

 実際、公務組織では、政策の立案や実施に非常に高い優先度が置かれていて、職員一人一人に目を配る組織マネジメントが、仕方がないこととはいえ、優先順位が少し下がってしまうということを実感をいたしました。皆さん、政策立案に非常にお忙しくていらっしゃるので、やはり組織の維持というところのリソースの割り振り方が少ない場合があるのではないかというふうに考えています。国家公務員の仕事は非常にやりがいがあるもののはずなのに、組織マネジメントが十分でないために、働く職員がなかなかそれを実感できないとすれば非常にもったいないなというふうに感じてきました。

 こうした考えの下、これまで様々な施策を推進してきた中で、マネジメント能力の開発、組織のトップの強力なリーダーシップの下での業務改善とか合理化、生産性の向上を各府省に求め、人事院としても取り組んできたところでございます。

臼木委員 非常に貴重な御意見、ありがとうございます。

 先ほどちょっと質問にもありましたとおり、女性の管理職比率の件なんですけれども、母数を増やすということを先ほどおっしゃっておられましたけれども、やはり管理職の登用に関しては、タイムラグがあるとは思いますので、中途採用や、リボルビングドアと言われるような、一旦離職をされた方がもう一度公務に戻ってこられるような柔軟な仕組みづくりもこれから必要だとは思いますけれども、その点で御見解があれば伺えますでしょうか。

川本参考人 女性に限らず、リボルビングドアというのは非常に大事だというふうに思います。

 といいますのも、新卒の採用を、非常に施策をいろいろと展開をして尽くしておりますけれども、やはり最近の傾向として、若年者の離職が増えているという流れは止まらないと思います。そのときに、一度お辞めになった方、特に公務を御経験した方でお入りになりたい方がいらっしゃれば、これは非常にすばらしいことではないかなというふうに思っております。

 それも踏まえまして、人事院といたしましては、民間企業や元の公務員の方も含めてですけれども、職員の採用が円滑に行われるように、給与面で、公務か民間企業かにかかわらず、採用後の職務にその経験が直接役立つと認められる職務に従事した期間は百分の百で換算するというふうなことといたしました。かつて、百分の八十で換算することが一般的でございましたのですけれども。

 また、採用面でも、経験者採用試験を拡大いたしまして、より一層受験しやすい環境整備に取り組むとともに、各府省が実施する選考採用について、各府省の公募情報をまとめてホームページで公開するなどしています。

 また、職員として公務組織で早期に能力を、民間の方の場合ですけれども、発揮していただけるように、実務経験採用者研修を実施したり、あと、オンボーディングと最近呼んでいると思いますけれども、スムーズにお仕事を始められるような支援ガイドも配付しております。

臼木委員 ありがとうございます。

 今、若手の離職ということにも少し触れていただきましたけれども、やはり、十年、二十年たたないとなかなか役職が上がっていかないという中で、若手の皆さんは、民間の方が魅力があるのではないかと感じて離職されているという例もあると多く聞いております。

 その中で、人事行政諮問会議等でも在級期間の廃止なども提言を受けておりますけれども、この在級期間の廃止についてお考えがあれば、お聞かせいただけますでしょうか。

川本参考人 お答え申し上げます。

 今の若年層にとっては、年次で厳しく昇進管理がされているというのは非常に敬遠されがちなことがございますので、もう少し年次にこだわらずに昇進できるような仕組みというものをつくるには、やはり在級期間の存在というものは大きいのではないかという御議論がございまして、それについて今後検討していくことにしております。

臼木委員 ありがとうございます。

 今後の検討ということなんですけれども、一方で、私ももう中年に差しかかってきているんですけれども、十年、二十年、これまで頑張ってきた方々に対して、この在級期間の廃止というのは、今まで自分が積み重ねてきたものというものを、少し違和感を感じられる方もおられるのではないかなと思いますけれども、ここへの手当ても必要かとは思うんですが、ここについても少しお考えをいただけますでしょうか。

川本参考人 お答え申し上げます。

 在級期間を廃止したからといって、ドラスチックに物事が変わるというふうには思っておりません。

 例えば、今問題となっているのは、割と上の方がお辞めになって、下の方が優秀なので、その方を上げようとしても、在級期間の縛りがあって、その方は上の職種をやりながら、お仕事をしながら級が同じというような状況が出てきてしまっている場合がございます。

 そういうようなこともございますので、使いやすいものとして、在級期間の廃止も含めた検討というのを行っていくということでございます。

臼木委員 ありがとうございます。

 少し話が変わりまして、ちょうど四年前、就任された当時はコロナ禍でありまして、当時の所信に対する質疑を見ても、テレワークについて多く触れられておりました。今、現状を見てみますと、なかなか、あの当時と比べて、進むかなと思ったテレワークが、こちらの永田町側からすると、さほど、思った以上に進んでいないのではないかなと思いますが、このテレワークの進捗について、御所見があれば伺えますでしょうか。

川本参考人 テレワークについては、私どもは、テレワークガイドラインを策定して、柔軟な働きを実装するための制度が各職場できちんと運用され、積極的に活用されるように尽くしておりますのとともに、テレワーク手当というものもつくりまして、テレワークをする方々への手当というものも創設いたしました。やはり、在宅勤務手当の受給の状況については、本年の国家公務員給与等実態調査で把握することとしております。

臼木委員 ありがとうございます。

 済みません、すごい数を質問してしまいまして恐縮ですけれども、最後、先ほど、特にメンタルヘルス、ハラスメント対策もこの間進めてきていただいているということは承知はしております。

 一方で、人事院の事務局が出している懲戒処分の指針というのが、令和二年が恐らく最新のものだと私は伺っております。社会状況や働く環境も様々変わっておりますので、こういうところの見直しも含めて、是非積極的に働きやすい環境整備に努めていく必要があるのではないかと思いますけれども、ここについてのお考えを最後に伺えますでしょうか。

川本参考人 メンタルヘルスの推進については、長期病休者が年々増加する中で、心の健康に関して、職員の状況に応じて、一次予防、二次予防、三次予防という概念を使いまして取組を進めてまいりますけれども、一層推進することが必要と考えております。

臼木委員 ありがとうございました。

浜田委員長 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)委員 公明党の吉田宣弘でございます。

 川本人事官、どうかよろしくお願い申し上げます。

 少し古いデータで恐縮なんですけれども、人事院のホームページに令和四年五月二十五日に掲載されておりました、総合職試験採用職員の退職状況に関する調査の結果についてによると、令和二年度退職者は、平成二十五年の退職者数と比べると四三%増加している。これを在職年数別に見てみると、採用後一年未満の退職者数は横ばいである一方、三年未満、五年未満及び十年未満の退職者数は増加傾向であるという記載がございました。さらに、若年層の退職率は、平成二十五年度採用者の退職率と比べて増加傾向とのことでございます。

 もちろん、退職者の中には、御家庭の事情があってやむにやまれぬ事情で職を辞する方も存在するとは思います。他方で、民間のお給料と比較することが退職の動機となっている方が仮にいるとすれば、私、何人か知っておるんですけれども、仮にいるとすればにしておきます、こういうことに対する配慮も必要ではないかと思っております。

 そこで、民間の賃上げ政策、これは今、政府が全力を挙げて力強く進めているところでございますけれども、国家公務員のお給料も、その引上げ率においては、これをもっと上昇させてもいいのではないかと私は考えておるんですけれども、そのことに関する受け止めをお聞かせいただければと思います。

川本参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、近年、若年層の職員の離職、増加しております。このような中で、競争力のある給与を確保することは、国家公務員の魅力を高める重要な要素の一つと考えます。

 令和六年の給与勧告では、民間給与の状況を反映して、約三十年ぶり、二・七六%の高水準のベースアップを実施いたしました。中堅層以上も含む全ての職員について、俸給、ボーナスとも引き上げております。特に初任給については、人材確保の観点や民間における初任給の状況などを考慮して、総合職大卒の初任給を一四・六%引き上げるなど、大幅な引上げを実施いたしました。その結果、採用市場における競争力は従前より確保されるものになったと考えます。

 また、今年の四月からは、時代の要請に即した給与制度への転換を図るため、給与制度のアップデートとして、初任給や若年層給与を引き上げ、管理職の給与を職責重視とし、成績優秀者のボーナスの上限を引き上げるなどの見直しを実施しました。

 なお、本年三月の人事行政諮問会議の最終提言では、官民給与の比較対象となる企業規模の引上げや、政策の企画立案、調整などの職務に見合った、外部労働市場も考慮した給与水準の設定の必要性などについて御提言をいただいたところでございます。

 民間の春闘の状況も踏まえまして、社会の御理解を得ながら、優秀な人材を公務に確保するため、時代の要請に即した給与制度の実現に向けて取り組んでいく必要があると考えております。

吉田(宣)委員 ありがとうございます。

 国家公務員の皆様、私ども国会議員もよくおつき合いをさせていただくわけでございますけれども、国民のために、両方思いを同じくして仕事をいたします。

 その国民の皆様のために仕事をする議員また国家公務員が、やはり本当に、途中でお辞めになるというふうなことは非常に私は残念なことだとも思いますし、それが給与面であるのであれば、もっともっと、今御答弁もございましたけれども、考えていいところはあるのではないかというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 次に、女性の国家公務員に活躍してもらう環境を整えていくこと、常に見直し、改善を続けていくことも私は重要であると考えております。

 人事院は、これまでも、国家公務員の育児休業等に関する意見の申出や、妊娠、出産、育児等と仕事の両立のための規則の改正などを行ってきていると承知をしておりますが、まだまだ進める余地があるのではないかと感じております。

 そこで、川本人事官、人事官を一期お務めになられた御経験を踏まえて、次の任期に臨むに当たって、女性国家公務員の活躍及びそのための環境整備について、受け止めをお聞かせいただければと思います。

川本参考人 お答え申し上げます。

 女性活躍の推進は非常に重要な課題の一つで、更なる取組、しかも、地道な取組の積み重ねがこの分野は大切かなというふうに思っておりますので、これまでの施策、引き続き強化していくことが必要かというふうに思っております。

 私ども、御指摘いただきましたように、育児休業制度や介護休暇制度など仕事と生活の両立支援、フレックスタイム制やテレワークなどの個々の職員の事情を尊重した柔軟な働き方、あと、心の健康相談の拡充など職員の健康確保について取組を推進してまいりました。

 また、令和六年の勧告時において、育児時間を取得しやすくすることなどを内容とする育児休業法の改正について意見の申出をしたほか、看護休暇の対象を小学校三年生までに拡大するなど、仕事と生活の両立に関する各種の取組を表明をしたところでございます。

 職員がやりがいを持って生き生きと働き続けることができる環境をつくるため、制度面の整備と併せて、関連する制度が各職場について実際に活用されるようにしていくことが重要と認識しております。

 なお、もう言われ続けたことでございますけれども、女性が活躍できる環境整備としては、やはり、性別役割意識が余りにも強いということが社会にあるように思いますので、社会、性別や家庭の事情などに関わる意識にとらわれずに、人事配置や人材育成などが行われることも重要かと思っております。

吉田(宣)委員 終わります。

浜田委員長 次に、上村英明君。

上村委員 れいわ新選組の上村英明と申します。

 川本参考人は、私が政治家になって初めてこういうところに立ったときの質疑に対面させていただきまして、その意味では、非常に感慨深くここに立っております。よろしくお願いします。

 まず一点目は、人事院は、昨年の六月に非正規公務員の三年目公募の制限を撤廃したり、それから、非正規公務員の待遇改善に関しては努力をされているということは大変ありがたいなというふうに思っているんですが、低賃金の改善とか同一労働同一賃金の実現、それから無期転換ルールの公務員への適用等、取り組むべき課題は山積しているのではないかなというふうに思います。

 公務員の労働環境だけが独立してあるのではなくて、社会全体の労働環境の中で、残念ながら、今、日本というのはコストカットというのが一つの至上命題のようになっておりまして、そういう意味でいけば、少子化と言われていながら非正規の労働者が増えるという、これはどう考えたって矛盾しているような状況があります。

 その意味では、こうした改善に向けて、非正規公務員をどう扱うかということは一般社会に向けても非常に重要なポイントではないかなと思うんですけれども、この点について、川本参考人の御意見を伺いたいと思います。

川本参考人 お答え申し上げます。

 非正規公務員の待遇改善についてどう考えているかという御質問と受け取りました。

 非常勤職員の給与については、平成二十年八月に給与に関する指針を発出いたしまして、この指針、累次にわたり改定していくことによって、非常勤職員の処遇の確保をすることを取り組んでいます。人事院においては、この指針に基づき、各府省の状況に応じて必要な指導を行うとともに、常勤職員と業務の性質や勤務形態が類似している期間業務職員については、指針のフォローアップを通じて、各府省の取組状況を把握しています。各府省において、指針に沿った非常勤職員の処遇確保が進んできたというふうに考えております。

 非常勤職員については、業務の性質や職務の内容が多種多様であり、さらに、勤務形態、勤務時間なども様々であることから、それに応じた取扱いが行われる場合があるものの、基本的には各府省において指針に沿った対応が行われているというふうに考えています。また、非常勤職員の休暇についても、民間の有期従業員の休暇の措置状況などを踏まえて、順次取組を進めております。

上村委員 では、二点目に移りたいなと思うんですけれども。

 人事院というのは、人権という視点からすれば、労働権という一番重要な人権の分野を扱うということになります。国際機関で見ても、例えば、ILOが仕事を始めたのは、国際機関の中では非常に古い歴史を持っておりまして、その意味では、例えば、労働権の問題を扱っていながら、これはもう難しい問題ではあるというふうに理解しているんですけれども、公務員の労働権がやはり制約されているという問題について、総裁としてどういう御意見かというのを一つお伺いしたいと思います。

 つけ加えまして、私との最初の質問の際に、アンコンシャスバイアスという、人権に向けて公務員組織も努力をしているということをおっしゃいました。ILOは、どういう労働の形が一番いいかというと、ディーセントワークという言葉を使っているんですけれども、やりがいのある仕事をつくるということであります。

 その際に、公務員組織の問題点は何ですかという話をちらりとしたら、無謬性であるというお答えをそのときいただいた覚えがあります。無謬性とは何かというと、間違いを認めないという特質が日本にはあるということです。こうした問題について、それを改善していくための幹部の研修であるとか、そういう点に関してはどういう御意見をお持ちでしょうか。

川本参考人 お答え申し上げます。

 労働基本権の回復についてどう考えているかという御質問に対してですけれども、国家公務員の労働基本権の制約については様々な御議論があると認識しています。

 国家公務員制度改革基本法第十二条では、国民の理解の下に、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するものとすると規定されています。自律的労使関係の措置については、公務の労使交渉では給与決定に市場の抑止力が働かない、憲法が要請している国会の民主的コントロールの下では使用者側の当事者能力に限界があるなどの重要な論点があり、そうした点も含めて議論がなされることになるものと考えます。

 一方、労働基本権が制約されている下では、代償措置として、人事院に与えられた役割を適切に果たすことが重要と認識をしております。

 また、国家公務員制度、国家公務員の組織の問題点として、今お話のありました無謬性というのは、お尋ねが、海外と比べてどう考えるかという御質問に対して、無謬性が強い場面があるので、各国それぞれの問題がある中で、日本にもそういう問題があるのではないかというようにお答えを申し上げました。

 無謬性ということよりも、健全な公務組織という意味では、各府省において業務に違いがありますのでそれぞれ目指す姿は違うかと思いますけれども、風通しがよく、組織目標が明確化しているという組織が望ましいものと考えています。

上村委員 ありがとうございました。

浜田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 人事院総裁であります川本参考人にお尋ねをいたします。

 まず、公務員の人員不足問題について。

 二〇二二年八月の人勧報告では、定員管理を担当する部局に対して必要な働きかけを行うとともに、各府省における人材の確保に向けた取組の支援を行っていくとしておりました。二四年八月の人勧報告では、恒常的な人員不足が生じているとの府省等の回答が八割以上に上り、定員合理化目標数の緩和、定員要求上限数の拡大を求める声を取り上げています。

 公務員の人員不足問題についてどのように取り組んできたのか、今後どうするのか、定員合理化計画の廃止など抜本的な増員対策が必要ではないか。以上、お答えください。

川本参考人 お答え申し上げます。

 国家公務員の定員については、人事院は直接的な担当ではありませんが、各府省からは、業務量に比して人員が十分でないために、必要な人員を配置することができず、長時間の超過勤務により対応せざるを得ないといった声が聞かれます。

 人事院がまずできることは、長時間労働の是正の観点で、現状を調査し、業務量に対して人員が足りていないという指摘を関係者にしっかりお届けし、説明することと考えます。

 そうした観点から、人事院では、業務量に応じた要員確保に関するアンケートを実施し、その結果を持って私自身が国家公務員制度担当大臣のところにお伺いして、御協力をお願いするなどしてまいりました。令和六年度、七年度には、超過勤務の縮減のための定員が各府省に措置されていると承知しています。

 他方で、過剰な人員措置、必要以上の人件費増大は避けるべきことは当然であり、DXを通じた業務の効率化は必要と考えます。デジタルツールを活用して変革を起こすなど、各府省で工夫を凝らすことを一層進めることが重要ですし、あと、離職者や休職者が出たときにすぐに後任をつけられないといった問題もありますので、関係者が一体となって人員不足の状況をどうするか検討し、対策を講じていく必要があると考えます。

塩川委員 二四年八月の人勧報告では、人材確保が危機的となっている大きな要因として、官民給与比較対象企業の規模が挙げられ、企業規模の検討を進めるとしました。今年三月の人事行政諮問会議提言は、現在五十人以上の比較対象企業の規模について、従前の百人以上に戻すべきとしました。

 人事院は、二〇〇六年、比較対象企業の規模を百人以上から五十人以上に引き下げることを勧告しましたが、これが人材確保を困難にした要因となったことを認めますか。比較対象企業規模引下げは誤りだったということを認めるでしょうか。当時の政府・与党からの圧力に屈した、人事院の独立性が損なわれたことへの反省はありますか。国の行政機関は全国的に事業を展開する大企業に相当する組織であり、比較対象規模を千人以上に引き上げるべきではありませんか。

川本参考人 お答え申し上げます。

 国家公務員の給与については、社会的な御理解、関係各方面の御理解が得られるものであることが重要です。このような要請の下、人事院は、その時々の経済雇用情勢などを反映して決定される民間企業従業員の給与水準と国家公務員の給与水準を均衡させることを基本として勧告を行っています。

 比較対象企業の規模を五十人以上に拡大した際は、当時の社会経済情勢を踏まえ、社会的な理解が得られるよう見直しを行ったものと承知しています。

 官民給与の比較を行う際の企業規模については様々な議論がありますが、国家公務員の人材確保が危機的な状況にある中で、人材確保の要請も考慮した民間企業従業員の給与の把握の在り方が重要な検討課題になっていると考えます。こうした御指摘も踏まえ、今後、官民給与の比較対象となる企業規模の在り方について検討を進めていきたいと考えます。

塩川委員 ただ、百人を五十人にした、今回、五十人を百人規模にという方向が出されている、こういったことについて、やはり単なる経済情勢の変化ということでは説明がつかないんじゃないかと思うんですが、改めて、いかがですか。

川本参考人 様々な御意見を伺いながら検討したいと思います。

塩川委員 次に、二三年八月の人勧報告では、地域手当の級地区分の大くくり化が提起をされましたが、その後、措置された大くくり化は、東京都や大阪府に隣接する埼玉県や奈良県などの市町村は軒並み級地が下がり、一層大都市との格差が拡大することになりました。

 この件につき、従前より大都市部とその周辺においての格差が拡大したことはお認めになりますか。埼玉県等の自治体では、人材確保が困難という声が上がっているのを承知しておられますか。地域手当について今後どのように対応するか、そして、地方の低賃金構造を固定化をし、地域間格差を拡大をさせる地域手当は廃止すべきではないかと考えますが、お答えください。

川本参考人 お答え申し上げます。

 今般の地域手当の見直しでは、市町村単位で支給地域を定めていたことに伴い、隣接する市町村との間で不均衡が生じていたことの解消に向け、原則として支給地域を都道府県単位に広域化することとしました。級地区分の設定に当たっては、どこかで線を引かなければならず、今回の見直しの結果、都道府県間で見ると差が生じていることは承知しています。

 今般の措置は、国家公務員の給与制度としての取組であり、この見直しにより、同じ都道府県の中でも細かく地域手当の差が生じていた状況は改善されていくものと考えています。一方、地域手当に対しては、最大で二〇%という支給割合の差が過大ではないかという御指摘があり、そうした問題意識も踏まえ、支給割合の差の在り方について検討していく必要があると考えています。

塩川委員 終わります。ありがとうございました。

浜田委員長 これにて各会派を代表する委員の質疑は終了いたしました。

 これより自由質疑を行います。

 質疑される方は、挙手の上、委員長の許可を得て発言されるようお願いいたします。

 また、発言の際は、所属会派及び氏名をお述べいただき、一人一問一分以内としていただきますようお願いいたします。

 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。

青柳(陽)委員 立憲民主党の青柳陽一郎です。

 川本総裁の二期目に期待している一人でございますけれども、その上で、今日この場は議院運営委員会です、私は議運の理事として川本総裁に確認をしたいことがございますので、質問をさせていただきます。

 令和五年の六月に、議運の理事会申合せで、国家公務員の働き方を推進するため、国会としては速やかな質問通告に努めるということを申合せで確認しています。

 一方、政府側に対しても、答弁作成のプロセスを見直して、より効果的、効率的な霞が関の、質問に対するプロセスの見直しも政府側に求めているわけでございますけれども、この国会が、霞が関、国家公務員の働き方、残業とかやりがいとか、あるいは離職等に与えている影響について、特に国会の質問通告対応についてどういう影響があるかについて、川本総裁の評価をお伺いしておきたいと思います。

川本参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のように、令和五年六月に、衆議院議院運営委員会理事会において、速やかな質問通告に努めるとともに、オンラインによる質問レクなど、デジタルツールを利用した質問通告の推進に努めるものとするなどを内容とする申合せがなされたと承知しています。国家公務員の超過勤務の縮減に向けて御協力いただいたことに心より感謝申し上げます。

 国会対応業務に関する超過勤務の縮減に向けては、各府省において、業務プロセスの合理化や特定の職員に負担が集中しないようにするなど、一層の取組を進める必要があります。

 また、各府省において、国会対応業務のみならず、一層の業務の削減や合理化に取り組むことが重要と考えます。

 なお、人事院と内閣人事局でも、それぞれが行う調査などの事務について、各府省の意見を踏まえて削減、統一化するなど、合理化に取り組んでいます。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 二〇〇〇年以降、官邸機能強化の下で、政権中枢の内閣官房や内閣府等において、民間企業から出向してきた人が非常勤の国家公務員として勤務し、重要施策の企画立案、総合調整などに従事する事例が増加をしています。例えば、デジタル庁においては、非常勤職員として勤務している民間出身者が、全体の千人中五百人と半数を占めております。

 人事院が所管する官民人事交流法では、出身元企業の業務に従事することや給与補填を禁止するなど、公務の公正性を確保するための規制を定めています。

 一方、非常勤職員は、兼業が可能だということを理由に、出身企業からの給与補填を容認をしております。公務で得た給与よりも出向元企業から得る給与の方が多い場合もあります。公務の公正性に疑念が生じる事態ではないでしょうか。

川本参考人 お答え申し上げます。

 複雑化、高度化する行政課題に対処するためには、民間企業等における多様な経験、専門性を有する人材をより一層公務に誘致することが不可欠と考えています。

 一方で、民間企業出身者を非常勤職員として採用する場合においても、公務の公正性を確保し、官民癒着等の疑念を抱かれることのないようにする必要があります。

 非常勤職員についても、公務の信用保持の観点から、守秘義務、信用失墜行為の禁止などを始め、国家公務員としての各種の服務規律が課されております。各府省において、それらの服務規律の遵守を徹底するとともに、職員の配置や従事する業務などに十分配慮するなど、適切な運用が図られるよう、人事院としても、制度を周知徹底、必要な指導を行っていくことが重要と考えております。

浜田委員長 他にございませんか。

 それでは、これにて川本参考人の所信に対する質疑は終了いたしました。

 川本参考人、ありがとうございました。

 以上をもちまして人事官の候補者からの所信聴取及び所信に対する質疑は終了いたしました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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