衆議院

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第3号 平成31年4月11日(木曜日)

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平成三十一年四月十一日(木曜日)

    午後二時五十分開議

 出席委員

   委員長 望月 義夫君

   理事 福井  照君 理事 藤丸  敏君

   理事 堀井  学君 理事 三ッ林裕巳君

   理事 三原 朝彦君 理事 岡島 一正君

   理事 岡本 充功君 理事 稲津  久君

      小倉 將信君    大隈 和英君

      鬼木  誠君    金子 俊平君

      金子 恭之君    神谷  昇君

      神山 佐市君    小寺 裕雄君

      小林 史明君    高村 正大君

      斎藤 洋明君    坂本 哲志君

      繁本  護君    杉田 水脈君

      田野瀬太道君    高木  啓君

      谷  公一君    冨樫 博之君

      中曽根康隆君    中谷 真一君

      根本 幸典君    鳩山 二郎君

      船橋 利実君    本田 太郎君

      三谷 英弘君    宮路 拓馬君

      池田 真紀君    菊田真紀子君

      高木錬太郎君    森山 浩行君

      早稲田夕季君    近藤 和也君

      山岡 達丸君    佐藤 英道君

      遠山 清彦君    田村 貴昭君

      森  夏枝君    中島 克仁君

    …………………………………

   国務大臣

   (国土強靱化担当)

   (防災担当)       山本 順三君

   内閣府副大臣       中根 一幸君

   内閣府大臣政務官     舞立 昇治君

   外務大臣政務官      鈴木 憲和君

   農林水産大臣政務官    濱村  進君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 渡邉  清君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 荒木 真一君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   海堀 安喜君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 小田部耕治君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 泉  宏哉君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 奈良 俊哉君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   阪田  渉君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           迫井 正深君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           八神 敦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    橋本 泰宏君

   政府参考人

   (林野庁林政部長)    渡邊  毅君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         小澤 典明君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        塚原 浩一君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  池田 豊人君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            平岡 成哲君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制技監)          櫻田 道夫君

   衆議院調査局第三特別調査室長           武藤 裕良君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十一日

 辞任         補欠選任

  大岡 敏孝君     鬼木  誠君

  神山 佐市君     冨樫 博之君

  谷  公一君     繁本  護君

  宮川 典子君     小寺 裕雄君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     本田 太郎君

  小寺 裕雄君     斎藤 洋明君

  繁本  護君     谷  公一君

  冨樫 博之君     神山 佐市君

同日

 辞任         補欠選任

  斎藤 洋明君     宮川 典子君

  本田 太郎君     三谷 英弘君

同日

 辞任         補欠選任

  三谷 英弘君     中曽根康隆君

同日

 辞任         補欠選任

  中曽根康隆君     神谷  昇君

同日

 辞任         補欠選任

  神谷  昇君     大岡 敏孝君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 災害対策に関する件


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     ――――◇―――――

望月委員長 これより会議を開きます。

 災害対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官渡邉清君、内閣府大臣官房審議官荒木真一君、内閣府政策統括官海堀安喜君、警察庁長官官房審議官小田部耕治君、総務省大臣官房審議官泉宏哉君、総務省大臣官房審議官奈良俊哉君、財務省主計局次長阪田渉君、厚生労働省大臣官房審議官佐原康之君、厚生労働省大臣官房審議官迫井正深君、厚生労働省大臣官房審議官八神敦雄君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長橋本泰宏君、林野庁林政部長渡邊毅君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官小澤典明君、国土交通省水管理・国土保全局長塚原浩一君、国土交通省道路局長池田豊人君、観光庁観光地域振興部長平岡成哲君及び原子力規制庁原子力規制技監櫻田道夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

望月委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

望月委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。杉田水脈君。

杉田委員 自由民主党の杉田水脈です。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず最初に、災害時の避難所の環境についてお尋ねいたします。

 平成三十年七月豪雨の際、避難勧告や避難指示が早急に出されていたにもかかわらず、実際の避難率は大変低かったと聞いております。各地域の地元の報道によると、広島県福山市が市全域に避難指示を発令した昨年の七月六日の避難率は〇・六%、愛媛県では、七月八日の避難対象者のうち、実際に避難した人の割合は〇・三二%、山口県では、避難勧告や避難指示が出た十四市町で実際に避難した人の割合は〇・三%、二名の死者が出た岩国市は〇・二%、一人が死亡した周南市では三・一%だったとのことです。

 避難しなくても大丈夫といった思いで避難をしない方も多いのでしょうが、避難所の環境に不安を覚えて避難しない方も多いのではないかと思います。

 熊本地震の際には、避難所で肺炎を発病し、お亡くなりになった方がいました。また、避難所に避難せず車内で生活をし、エコノミー症候群で亡くなった方もいらっしゃいました。

 国際赤十字が定める人道憲章と人道対応に関する最低基準、いわゆるスフィア基準というのがあります。特に、人間の存続のために必要不可欠な四つの要素に関する章では、人間が生命を維持するために、最小限の水の量であるとか食料の栄養価、トイレの設置基準や数、そして避難所の一人当たりの面積や保健サービスの概要などが具体的に紹介をされています。スフィアの根幹にあるのは、避難者への支援については国家に役割と責任があるという理念であります。

 大臣にお尋ねします。日本の避難所における実態はスフィア基準を十分に満たしているのでしょうか。

山本国務大臣 お答えをいたします。

 避難所における生活環境の改善は、市町村が行うものではございますけれども、内閣府としても、被災者を支援する上で極めて重要であるというふうに認識をいたしております。そのために、市町村に対しまして、避難所において避難者の健康が維持されることを目標に、その質の向上を目指すため、避難所運営ガイドラインを公表し、その取組を促しているところでもございます。その中には、例えば更衣室であったり授乳室の必要性等に配慮することも記載をしているところでもございます。

 御指摘のスフィアプロジェクトは、避難所の生活環境を考えるときに大いに参考になるものであり、市町村にもそのことは周知をしているところでもございます。

 また、市町村による取組を促すだけでなく、避難生活が長期に及ぶ場合等には、政府において、被災地のニーズや市町村の対応状況を確認しながら人的な支援を検討するほか、被災者の命にかかわる生活必需品等のプッシュ型支援を実施するなど、その支援を行っているところでもございます。

 今後とも、スフィアプロジェクトも参考に、被災者に寄り添ったきめ細かな支援を切れ目なく行ってまいりたいと思っております。

杉田委員 ふだんとは違う環境で大勢の知らない人たちと暮らすことに抵抗がある方の不安を取り除いて、避難所を安心できる場所にしていくこと、そして、そういうことであるということを周知していくことが大切だと考えます。

 また、昨年の七月の豪雨の際には、岡山県で災害救助法に基づいてホテルなどの宿泊施設が福祉避難所として使用された事例があるというふうに伺いました。こういったよい事例は今後もどんどん推進していっていただきたいと思います。

 避難所において、特に女性は、着がえる場所にも困る、また、洗った下着を干す場所がないとか、生理用品の支給を男性に申し出にくいとか、女性ならではの問題を抱えていますが、みんな困っているから自分も我慢するだとか、わがままだと思われるのではないかと、そういったことをなかなか口に出せない方も多いようです。

 防災にかかわる女性防災リーダーなどがふえれば、避難所において、より女性の視点が反映されるのではないかと考えますが、現在、例えば保育士の男女比を見ても、女性が圧倒的に少なく、男性の約五分の一以下の人数ということです。女性リーダーの今後の育成推進のための取組などについてお伺いしたいと思います。

渡邉(清)政府参考人 内閣府男女共同参画局でございます。

 先生御指摘のとおり、防災、復興の各段階におきまして、男女のニーズの違いなど、男女双方の視点、特に女性のお立場に配慮したそういう体制づくりの必要性というものがこれまでも再認識されてきたかと存じます。

 特に、東日本大震災を契機といたしまして、内閣府としましては、男女共同参画の視点から、必要な対策、対応につきまして、予防、応急、復旧・復興といった各段階におきまして地方公共団体が取り組む基本的事項をお示ししました男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針を、平成二十五年五月、作成して公表してございます。

 この指針では、地域のさまざまな意思決定の場に女性が参画し、リーダーとして活躍していただくということの重要性、それから平常時から自主防災組織などで女性リーダーを育成する取組が必要であること、こういったことをお示しさせていただいております。

 この指針の考え方を踏まえまして、内閣府から地方公共団体に対しまして、防災、復興分野への女性の参画について、平常時からの取組を依頼、お願いしているところでございます。

 地方公共団体におきましても、地域の実情に応じて、男女共同参画センターと連携しながら、地域における女性防災リーダーの育成や啓発等の取組を行っていただいているところです。

 今後とも、女性防災リーダーの育成を含めて、男女共同参画の視点からの防災、復興の取組を引き続き推進してまいりたいと思います。

杉田委員 これは二十四年前の阪神・淡路大震災のころからずっと言われ続けていることなんですね。男女共同参画センターとの連携と言いますが、なかなか具体的な動きが見えてこないという面があると思いますので、そのあたりはしっかりとしていっていただきたいなというふうに思っております。

 自然災害とは異なりますが、昨年の十月二十二日に山口県の周防大島で外国籍の貨物船が島と本州を結ぶ大島大橋に衝突するという事故がありました。橋の下部を通る送水管が切断され、約一万六千人が暮らす周防大島の九八%の家庭や施設の給水がとまり、一カ月以上にわたり断水が続きました。

 地元の自治体の連携や、あと自衛隊、そして海上保安庁の協力により、フェリーや給水ホースなどを利用し給水が確保されましたが、一方で、地元の方々にお話を伺ってみると、実は、島に屋代ダムという治水ダムがあるんですけれども、このダムの水を利用できれば便利だったんじゃないかというような御意見がありました。

 そこで、お尋ねいたします。

 災害などの緊急時において、ダム等の水を本来の利用目的とは別な目的で利用することはできるのでしょうか。過去に事例などがありましたら教えていただきたいと思います。

塚原政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員お尋ねの、災害時の緊急時につきまして、本来の使用目的の水を別の目的に使用した事例というのはこれまでにもございます。具体的には、例えば昨年の西日本豪雨災害のときでございますけれども、愛媛県の被災地域で断水が発生したことから、地域から要望を受けた中国四国農政局より、農業用ダムの水を家屋の洗浄のための水に使用させたい、そういう旨の御相談がございまして、柔軟に対応した例がございます。

 その他幾つか事例はございますけれども、今後とも、災害時の緊急時におきまして、地域からの要望があった際には、関係者の理解や協力を得まして、迅速また柔軟に対応を行ってまいりたいと考えております。

杉田委員 ぜひ、そういった事例を自治体にも周知をしていただいて、できるんであるということをみんながわかるような形にしていただければと思います。

 続いて、災害時の避難指示についてお尋ねいたします。

 冒頭に御紹介したとおり、平成三十年七月豪雨の際、避難率は大変低いものでありました。静岡大学の防災総合センターの牛山素行先生の平成三十年七月豪雨時の災害情報に関するアンケートの結果を見てみると、自宅以外の場所へ避難しなかった理由として、避難勧告などが出なかった、あるいは出たことに気がつかなかったからに該当すると回答した方が約三割いらっしゃいます。幾ら自治体が避難勧告や避難指示を出したところで、例えば豪雨の音で聞こえなかったりとか、また、その勧告の意味とかが理解されなかったのでは意味がないと思います。

 例えば用語一つとってみても、避難勧告と避難指示の違いが余り周知されておらず、わかりにくい点が多いのではないかと思います。現状では、一人で留守番をしている子供などは理解ができなくて、避難ができないのではないかと思いますが、御見解をお伺いします。

海堀政府参考人 お答え申し上げます。

 平成三十年の七月豪雨では、多様な主体からさまざまな予報、警報が出され、受け手である住民の方々に正しく理解されていたかなど、課題があったというふうに認識をしております。

 このため、中央防災会議のもとに設置しました平成三十年の七月豪雨によります水害・土砂災害からの避難に関するワーキンググループで御検討いただき、昨年の十二月に、住民の方々は、みずからの命はみずからが守るという意識を持ち、地域の災害リスクやとるべき行動を事前に把握していただく、行政は、住民が適切に避難行動をとることができるよう、避難に関する情報をわかりやすく提供するなどの提言が出されたところです。

 これを踏まえまして、先月、避難勧告等に関するガイドラインを改定し、住民や高齢者などが災害時にとるべき避難行動が直接的にわかるように、避難に関する情報あるいは防災気象情報など、防災の情報を、災害の切迫度に応じまして、五段階の警戒レベルで整理をしたところです。具体的には、警戒レベル三で高齢者の方々に避難していただき、警戒レベル四で全員に避難していただくというような、わかりやすい情報提供に改善したところです。

 また、子供の方々にも、命を守る行動を学ぶことが重要だということで、災害リスクのある全ての小中学校において、避難訓練とあわせて防災教育を実施するなどの体制構築を進めております。

 出水期を迎えるに当たり、関係省庁と連携し、避難行動の周知を徹底してまいります。

杉田委員 わかりやすくしていただくことと同時に、おっしゃるとおり、受け手の方がしっかり理解しないといけないというのも思いますので、ぜひぜひ、教育の場でもこういったことを推進していただくことをよろしくお願いしたいと思います。

 現在、日本には、多くの外国人観光客が訪れています。日本語を理解しない外国人観光客にとって、言葉がわからない中での災害は大変な恐怖かと思いますが、どのような方策を講じられているのでしょうか。

平岡政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、訪日外国人旅行者が安心して我が国を訪れていただけるような環境の整備を行うことが極めて大事であるというふうに考えております。とりわけ、大規模地震などの非常時において、訪日外国人旅行者が正確な情報を容易に得られるようにすることが必要であると考えております。

 このため、日本の災害や気象に不案内な訪日外国人旅行者への情報伝達ツールとして、観光庁では、セーフティーチップスという無料アプリを平成二十六年十月から提供しております。このアプリをダウンロードした訪日外国人旅行者には、緊急地震速報、津波警報、気象特別警報、噴火速報等の災害情報が、日本語、英語、中国語の簡体字及び繁体字、韓国語の五言語で、プッシュ通知により配信される仕組みとなっております。

 今後、外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策に基づき、気象や避難に関する用語等を十一カ国語で示した多言語辞書が作成され次第、対応言語の拡大や提供する情報の拡大を予定しております。

 観光庁では、セーフティーチップスのさらなる周知に努めるとともに、外国人利用者の多いほかのアプリと連携し、ほかのアプリでもセーフティーチップスの災害情報を取得できる仕組みを整えることで、より多くの訪日外国人旅行者に対し、災害情報が迅速かつ適切に届けられるよう取り組んでまいりたいと思います。

杉田委員 ぜひよろしくお願いをいたします。

 障害者の方々の対策についても同じ質問をさせていただきたいと思います。

 一言で障害といいましても、実情は人それぞれです。例えば、聴覚障害者の方には目からの情報が必要ですし、視覚障害者の方には耳からの情報が必要になります。また、必要な支援もさまざまとなっています。高齢者や肢体不自由の方々についても実情に応じた支援が必要です。避難所に逃げられるときとか、そういったときにどのような対策が講じられているのか、お尋ねしたいと思います。

海堀政府参考人 お答え申し上げます。

 災害時にみずから避難することが困難な高齢者、障害者等の円滑かつ迅速な避難を確保するため、災害対策基本法によりまして、避難行動要支援者名簿の作成が市町村に義務づけられているところでございます。

 加えて、災害時の避難支援等を実効性のあるものとするため、法改正を受けて内閣府が作成いたしました取組指針において、市町村に対して、平時から要支援者の個別計画を作成することが望まれるものとして、その策定を促しているところでございます。

 加えて、個別計画の策定に当たっては、本人はもちろんのこと、消防機関、都道府県警察、民生委員、自主防災組織など、避難支援等の実施に携わる地域における多くの関係者との協力、調整が必要であるとされております。

 内閣府としては、市町村における個別計画の作成が進むように、事例集、リーフレットなどを作成し、制度の趣旨やそのメリットについて周知をしてまいります。消防庁を始め関係省庁と連携し、必要な助言をしてまいります。

杉田委員 避難困難者の方々を含む全ての人々が避難指示を正しく理解をして安全に避難できなければ、意味がないと思います。平成三十年七月豪雨の際も避難おくれは多々あり、残念なことに、高齢者等の災害時要支援者の方の死亡もありました。

 過去に視察に伺った和歌山市では、自治会ごとに避難困難者の情報を把握していました。また、松山市高浜地区では、住民が自主防災マップを見直して、高齢者には持病や血液型を書き込んで首から下げる避難カードを配っていたなど、地域の方々で連携して被害を食いとめるなどの工夫がされているようです。こういった成功事例をどんどん全国に広めていっていただいて、上からの指示だけではなくて、ボトムアップ型の施策についても一緒に考えていっていただけるように、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 次に、仮設住宅についてお伺いをいたします。

 東日本大震災発生時から、現在も仮設住宅に住み続けている世帯はどのくらいあるのでしょうか。

海堀政府参考人 東日本大震災の被害を受けまして、災害救助法に基づき供与された応急仮設住宅等への入居状況でございますが、平成二十四年三月にピークを迎え、その戸数は十二万三千七百二十三戸でありました。その後減少して、平成三十一年三月一日時点で、岩手県では千百九十七戸、宮城県では三百十六戸、福島県では四千八百七十八戸の、合計六千三百九十一戸となっております。

杉田委員 発生から八年たった現在も、大勢の方々がまだ仮設住宅に住まなければならない理由は何でしょうか。

海堀政府参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災の復興については復興庁で所管しており、その復興庁に確認したところでございますが、東日本大震災は、津波により宅地全体が被災し、生活再建を果たしていただくための恒久的な住宅宅地を新たに整備することなど、インフラの整備に時間が要したため、阪神・淡路大震災よりも仮設の解消に時間がかかっているということでございます。

 具体的には、津波の被害を受けていない土地で住宅建設に適した土地を探すことが難しかった、大規模な造成工事により宅地を整備せざるを得なく、時間がかかった、資材や人材の確保が難しかったことなどが理由として挙げられております。

 この宅地整備の進捗については、平成三十年度でおおむね完成しており、平成三十二年度末までに完了する見込みであるというふうに伺っております。

 今後、復興庁において、被災自治体と連携し、インフラ整備を急ぐとともに、被災者に寄り添った生活再建に向けた相談支援等に取り組むとともに、復興・創生期間中の仮設生活の解消を目指して取り組んでいらっしゃるというふうに存じております。

杉田委員 私は神戸出身で、当時、西宮市役所に勤務する市の職員として阪神・淡路大震災を経験いたしました。先ほどの答弁の中にもあったんですけれども、被害状況や地域性などもあるでしょうが、当時はまだ被災者生活再建法がない中で、仮設住宅の入居がゼロになったのは、震災から千八百二十三日後の約五年弱です。

 法ができる前にできたことがなぜ法施行後にできないのか、何のためにこの支援法ができたのかということをもう一度考えていただいて、やはり、住居は生活の基盤であり、仮設住宅の生活は御不便も多いことと思います。

 以前、東北の仮設住宅に伺って、生活している方々にお話をお伺いしましたが、寒さや暑さへの対策も不十分で、大変な思いをしていらっしゃいました。被災者の方々が一日でも早くもとの生活に戻れるように、よろしくお願いをいたします。

 次に、国債による国土強靱化についてお尋ねをいたします。

 近年、毎年のように発生する台風や豪雨による被害は、森林保全が不十分であるために、山が本来の治水能力を失っていることに大きな原因があると考えます。森林保全事業が人材不足や財源不足により活性化していない現状を鑑みれば、公共事業として森林保全事業に更に力を入れることが国民の命や暮らしを守る事前防災につながると、私は農学部林学科出身なんですけれども、そう考えております。

 自民党の日本の未来を考える勉強会で、自然災害大国における国土強靱化投資の財政措置に関する提言としても提言させていただきましたが、あらかじめ事前防災の目標を決め、ローンで国債を発行して、森林保全事業等によって国土強靱化を図ることができると考えますが、御見解をお聞かせ願います。

阪田政府参考人 お答え申し上げます。

 社会資本を整備する公共事業費は、支出の見合いが国の資産となり、長期にわたって国民全体が利益を享受することができるため、財政法において建設国債の発行が認められております。

 このため、公共事業予算については、建設国債も活用しつつ、当初予算においておおむね六兆円の水準で安定的に推移させるとともに、災害等による追加財政需要に対し、補正予算により対応してきたところでございます。

 その際、厳しい財政状況を踏まえ、選択と集中のもと、効果が最大限に発揮されるよう、委員御指摘の森林保全や治山治水を始めとする国民の命と暮らしを守る防災・減災、老朽化対策や、日本の成長力を高める事業などの分野に重点化、効率化してまいりました。

 三十一年度予算においては、国民の生命財産を守るための万全の備えを期すため、臨時特別の措置として、防災・減災、国土強靱化のための緊急対策の二年目に実施する事業も計上しているところでございます。

 今後とも、厳しさを増す財政事情も踏まえつつ、建設国債も適切に活用しながら、国民の命と暮らしを守る防災・減災対策への重点化を引き続き推進してまいりたいと思います。

杉田委員 事前防災というのは、まさに財源の平準化が図られる国債によるものが適していると思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 最後に、大臣の防災に対する意気込みをお聞かせください。

山本国務大臣 今ほどお話がございましたが、昨年、日本列島各地で大きな災害がございました。特に、七月の西日本豪雨、あるいはまた、北海道の胆振東部地震等々でも大きな災害が出たところでございます。

 私どもは、水害、土砂災害、あるいは大規模な停電等が発生し、そのことによって住民の生命や財産、経済活動に大きな影響を及ぼすこと、このことに対してしっかりとした防災体制を築き上げていく、私たちの生活を支える重要インフラが、あらゆる災害に対してその機能が維持できるようにする、このことが極めて重要であるというふうに思っております。

 そのために、昨年十二月に国土強靱化基本計画を見直しました。そしてまた、重要インフラの点検をいたしまして、その結果として、事業費規模おおむね七兆円程度の防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策、これを取りまとめたところでございまして、これから三年間集中で対策を実施をしてまいりたいというふうに思っております。

 平成三十年、豪雨において甚大な被害が生じたことを受けまして、先月、次期出水期に向けて実施する対策を取りまとめました。防災とそれから今ほどお話あった福祉の連携による高齢者の避難行動に対する理解促進に向けた取組、それから、さまざまな機関が発信する防災情報を災害発生のおそれの高まりに応じて五段階にする、わかりやすくする、その警戒レベルに整理することによるわかりやすい防災情報の提供など、必要な防災対策を講じてまいりたいと思っております。

 平成三十年、これは大規模災害が本当に多い時代でございました。来月には、新しい年号令和がスタートするわけでございます。今後想定される南海トラフあるいはまた首都直下地震等々の災害に対しまして、新しい時代にあっても乗り越えることができるような、そういう災害対策を不断に見直し、万全を期してまいりたいと思っております。

杉田委員 大臣、ありがとうございます。命を守る防災を今後もしっかりとお願いしたいと思います。

 今回、質疑の準備の際に、すさまじい行政の縦割りを感じました。例えば、乳児用液体ミルクの活用について伺ったときに、液体ミルクがどのようなことかを説明するかは厚生労働省、しかし、普及や備蓄や防災の観点が入ると内閣府ですということで、ほかにも、うちではわかりません、それはうちからはお答えできませんというふうに、所管が分かれていても連携ができていないという状況で、これでは現場の自治体が大変混乱してしまって当然ではないかと思いました。

 人の命に省庁の管轄は関係ありません。防災は命を守るためのものであるということをいま一度胸に刻んで取り組んでいただきたいということをお願いいたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

望月委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津でございます。

 通告に従いまして、順次質問をしてまいります。

 まず最初に、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策のフォローアップについてということでお伺いしていきたいと思いますけれども、昨年は大変災害の多い年で、七月豪雨、台風二十一号、北海道の胆振東部地震、さらには大阪北部もありました。さらに、豪雪被害等もありまして、昨年一年間だけでなく、振り返ってみますと、今大臣からも、平成の時代は大変災害の多い年であったという指摘もございましたが、まさに、自然災害が頻発、そして激甚化しているということで、大変甚大な被害が全国各地でもたらされたわけでございます。

 特に、北海道の胆振東部地震の発生時におきましては、ブラックアウトという、これまで経験をしたことのないような、そういう状況も起きまして、空港ターミナルの閉鎖ですとか、国民の生活や経済に欠かせない重要なインフラが機能を喪失するということで、経済活動にも大きな影響を及ぼす、こういう事態となりました。

 これらの教訓を踏まえて、政府は昨年十一月二十七日に、重要インフラの緊急点検の結果及び対応方針、これを取りまとめまして、そしてその上で、特に緊急に実施すべき対策として、達成目標、実施内容、事業費等を明らかにしたいわゆる防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策を昨年の十二月十四日に閣議決定をしたわけでございます。

 この緊急対策につきましては、一つは防災のための重要インフラ等の機能の維持ということ、そしてもう一点、国民経済、生活を支える重要インフラ等の機能の維持、こうした観点から、特に緊急に実施すべきハード、ソフト対策として、三カ年で集中的にこれを実施して対策を取りまとめたもの、このように認識しております。

 あわせて、国土強靱化計画を平成二十六年六月の策定以来初めて見直しをしまして、これまでの災害から得られた教訓や、社会経済状況の変化などを反映をさせて、長期的、計画的かつ着実に国土強靱化を進めるための新たな方針を盛り込んだわけでございます。

 そこで、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策の期間が二〇一八年度から二〇二〇年度までのいわゆる三カ年としているということ、対策期間を三カ年に限定し、また、事業規模、これはおおむね七兆円と伺っていますけれども、それぞれの事業についての達成目標も明示をされているということでございます。

 それから、この対策の期間中から進捗状況のフォローアップを定期的に行う、こうしておりまして、その結果についても公表する、このようになっておりますが、具体的にどのように進捗状況を把握をしてフォローアップを行っていくのか。特に、達成目標に届いていないような対策についてどのようにフォローアップしていくのか。これをまずお伺いしますとともに、また、三カ年計画が終わった後でも必要な事業は行うべきじゃないのか、こういう意見も多数ありまして、こうしたことを踏まえて大臣の見解をお伺いしたいと思います。

山本国務大臣 お答えをいたします。

 防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策につきましては、その実効性を確保するため、今ほどお話があったとおり、進捗状況、これを定期的に把握し、その結果を国民の方々にお示しすることが重要であるというふうに考えております。

 このため、国土強靱化の施策を進捗管理しながら、計画的に推進するために、毎年度策定する年次計画において、三カ年緊急対策で明示をいたしました具体の実施内容、達成目標、事業費等の進捗状況の定期的なフォローアップをすることにいたしておりまして、その結果により、三カ年で所定の達成目標の達成に努めることとしているところでございます。

 本緊急対策を講じた後のことでございますけれども、これは三カ年で全てがカバーできるわけではないということは皆さん方も十分御案内のとおりで、あくまでも緊急性の高いところから三カ年で順次対応していくということでございますから、その後は、フォローアップの結果というものをしっかり踏まえながら、昨年末に見直しを行った国土強靱化基本計画に基づいて、必要な予算を確保、これは皆さん方のお力も頂戴しながらの努力をしていかなければなりませんが、そういった必要な予算を確保した上で、国土強靱化を進めるために必要な施策を実施をし、国家百年の大計として、災害に屈しない強さとしなやかさを備えた国土をつくり上げてまいりたいと思っているところでございます。

稲津委員 ありがとうございました。

 三カ年というのは私は大変短い期間だというふうに思っています。したがいまして、今大臣からも三カ年で全てができるわけではないという御趣旨のお話もありましたけれども、まさにそのとおりだと思っていますので、フォローアップをしっかりやっていただいて、そして必要なものについてはこの三カ年以降も十分検討していただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。

 次に、道路施設における防災拠点化についてということでお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、大きな地震、あるいは大災害が発生した場合、道路利用者の避難場所それから情報の入手先として、道路施設の防災拠点化というのが非常に重要である、このように考えております。

 一般道路においても、道の駅がございまして、この道の駅の防災拠点化が私はまず挙げられるんだろうと思っています。

 これまで、国土交通省や自治体が連携して、各地域ごとに、それぞれの道の駅にふさわしいメニュー表をつくって、災害時に対応した防災機能の充実を図っている、このように認識をいたしております。

 そこで、この防災拠点化に必要な機能として挙げられているのが、例えば、断水時でも使用可能なトイレの提供ですとか、もちろん、非常食、飲料水の備蓄、それから、停電時の非常用電源の確保、道路規制情報、被災情報提供、こうしたものが挙げられると思うんですけれども、まずは、道の駅の防災拠点化が現状どのように進捗しているのか、国土交通省にお伺いしたいと思います。

 そして、あわせて、今度は高速道路なんです。高速道路におけるパーキングエリア、サービスエリア等の休憩施設の防災拠点化についても取り上げておきたいと思います。

 大規模な地震等、広域災害が発生した場合に、道路利用者の一時避難場所だけではなくて、自衛隊とか消防、医療機関などの緊急出動機関のいわゆる前線基地として、被災地への支援拠点としての役割がこの高速道路の休憩施設に私はあるだろう、そのように思っております。

 高速道路の休憩施設の防災拠点化について、その意義をどのように認識しているのか、また、現在の整備状況についてもお伺いしたいと思います。

池田政府参考人 大規模災害時におきまして、道の駅やサービスエリアなどが避難場所や復旧活動の拠点としての機能を果たしてきております。

 例えば、昨年の北海道胆振東部地震の際にも、道の駅むかわ四季の館では、非常用発電機を備えてあったために、地域住民の方二百七十人の避難所として活用をされました。

 このため、全国四百九十八カ所の道の駅が地方公共団体が定める地域防災計画に位置づけられておりまして、防災施設、防災設備の整備など、防災拠点化を進めているところでございます。

 さらに、昨年十二月に策定しました防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策におきましても、道の駅の耐震対策を約三十カ所、道の駅の無停電対策を約八十カ所、講じたところでございます。

 また、高速道路のサービスエリア等につきましても、全国で三百六カ所を対象に、自家発電設備や防災備蓄倉庫の設置などの防災拠点機能の強化を進めておるところでございます。

 今後とも、地方公共団体や高速道路会社と連携して、道の駅やサービスエリアの防災機能の強化に向け、さらなる取組を進めてまいりたいと考えております。

稲津委員 今、道の駅の防災の拠点化については、かなり体制が進んでいるというふうに承知しました。

 それで、高速道路の休憩施設の防災拠点化については、これはNEXCO等の関係がありますから、直接的なことは別として、ぜひ強く働きかけていただいて、さまざまな、今三百六カ所についての言及がありましたけれども、更に進めていただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。

 次に、木製の塀の普及についてということで、ちょっと観点の違う質問をしたいと思うんですけれども、これは、昨年の六月の十八日に、大阪北部地震、これによりまして、ブロック塀の倒壊被害があったということで、これは、通学路、学校のブロック塀が倒壊したということで、このときに、大変痛ましいことに、女子小学生が亡くなるという、そういう痛ましい事故がございました。

 こうしたことを受けて、文部科学省は三十年度の一次補正予算で、公立小中学校などの倒壊の危険があるブロック塀の撤去、それから改修事業、これを予算計上しました。それから、国土交通省も、避難路等にある一定規模以上のブロック塀に対して耐震診断を義務づけるということを行ったわけでございまして、基準に適合しない塀の除去、改修についても、防災・安全交付金の基幹事業として支援すること、このようになっております。

 これらの塀をブロック塀以外の塀にする場合、例えばフェンスなどが挙げられますけれども、私は、ブロック塀が必ずしも十分な安全性を確保できるのかと。倒れた場合の被害の大きさということもあると思います。

 そこで、ぜひ、木材の利用促進の観点からも、あるいは安全性の観点からも、木製の塀をふやしていくべきではないか、こう思っておりまして、もちろん、木は腐りやすいとか、そういう課題もありますけれども、最近は、防腐処理をした大変丈夫な木材というものも開発が進んでいます。

 そこで伺いますけれども、木材の利用促進に向けて、私が今申し上げましたような木製の塀の普及について、もっとPRをすべきではないか、さらに、予算措置もすべきではないかと考えていますが、林野庁の見解を伺いたいと思います。

渡邊(毅)政府参考人 お答えをいたします。

 今先生御指摘のとおり、昨年六月の大阪北部地震におけるブロック塀の倒壊に伴う死亡事故を契機といたしまして、ブロック塀の改修ですとか、ほかの部材によります再整備などにつきまして、各自治体において関心が強まっているというところでございますけれども、これまで木材が余り使われていなかった塀などの外構部に木材を利用するということは、国産材の需要拡大の観点からも重要なことだと認識をしているところでございます。

 また、全国知事会でも、実は、国産木材活用プロジェクトチームというものを設置をされまして、ブロック塀の木塀への転換を含めた新たな国産木材需要の創出に向けた議論というのが進められているという動きもございますし、また、木材の関連団体では、先ほどおっしゃっていたような、耐久性のある保存方法などをホームページで公表したり、木塀の標準的なモデルや仕様などについても公表するような取組が行われてきております。

 こういう状況も踏まえまして、農林水産省といたしましても、木塀を含む外構部の木質化を実証的に行う場合の木材調達費などの一部支援を平成三十年度補正予算において措置をしているところでございます。

 引き続き、関係省庁や自治体などとも連携を図りつつ、木塀の普及も含めまして、外構部への木材利用の促進に向けて取り組んでまいりたいと思っております。

稲津委員 今、御答弁を林野庁からいただきました。全国知事会からも、ブロック塀から木製の塀にかえてはどうかという大変大事な意見も出ております。

 今の答弁がありましたが、このことを踏まえて、ぜひ大臣にもお聞きしたいと思いますけれども、この木製の塀について、大臣、どのようなお考えをお持ちか、お伺いしたいと思います。

山本国務大臣 今お話にあったように、昨年の大阪北部地震で女子小学生があのような形で犠牲になられた、本当に悲しい思いをしたわけでありますけれども、ああいったことを決して二度と起こしてはいけないという前提のもとに、地震等によるブロック塀の倒壊を防止するための安全対策というものが我々にとっては大変重要な課題であるというふうに思っております。

 このため、昨年十二月に取りまとめました防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策に基づいて、学校施設や社会福祉施設等におけるブロック塀の安全対策等に現在取り組んでいるところでもございます。

 こうした緊急対策において、ブロック塀の改修等を行うに当たっては、それぞれの実施主体が、適切な資材や工法等を検討の上、具体的な改修方法を決定するものと考えております。

 お話しの木製塀の活用でございますけれども、このことについては、地域材の積極的な利用を進めていく。これは、国産材を利用しようとか、あるいは県産材をしっかり、都道府県産材を利用しようという動きが各地域で起こっておりますけれども、そういったことを踏まえて、一般的には、適切な間伐や再造林等を通じて森林の持つ国土保全機能を適切に発揮させるものということで、いわば一挙両得のいい手法であると私どもも思っておりますし、全国の知事さんからも何人か、ぜひこの木製塀をつくってもらいたいという要望も受けております。

 そういった意味で、国土強靱化の観点からも、木製塀の適切な活用に向けて、関係省庁において、工法等の開発普及等、必要な施策に取り組んでいくことが極めて重要であるというふうに考えておるところでございます。

稲津委員 今大臣から大変重要な御答弁をいただいたというふうに思っております。

 実は、住宅フェンス等の杉製材が今アメリカにとても輸出がふえているんですね。アメリカの住宅用フェンスに使うその製材というのは、もともとはカナダが圧倒的に多いんですけれども、いわゆるこれはウエスタンレッドシダーという杉なんですけれども、近年アメリカでは価格が高騰している。なぜ高騰しているかというと、実は今、トランプ政権がカナダからの輸入材に高関税をかけているところでもありまして、それがめぐって日本の方の杉の住宅用フェンス材が大変アメリカに輸出ができるようになって、年間十億円程度、このことだけでも輸出ができているというふうに伺っております。

 もちろん、こうしたことだけではなくて、木材の地域材等の活用とあわせて、木製塀の安全性と機能性に私は着目していくべきだ、こう思っておりまして、きょうはこの質問をさせていただきました。

 それでは、続きまして、電力インフラの強靱化についてということでお伺いしますけれども、北海道胆振東部地震によって北海道全域のブラックアウトが発生したことを受けまして、電力広域的運営推進機関に設置をされました第三者委員会における検証作業等も踏まえて、全国の電力インフラ総点検を行いまして、さらに、電力供給の強靱化に向けた取組が示されました。

 災害時に活躍する自家発電、蓄電池、省力設備等の導入支援など、エネルギー需要構造の強靱化のために約五十五万キロワット分の分散型電源等を導入するとしていますが、この五十五万キロワットの分散型電源等の導入に向けて具体的にどのような方策で実施していくのか、二〇二〇年度までに導入を完了するために進捗状況の把握をどのように行っていくか、経済産業省の見解をお伺いします。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、昨年の北海道胆振東部地震など一連の災害の教訓を踏まえまして、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策として、災害時にも活用できる自家用発電設備や蓄電システムの導入等の支援を行うこととしてございます。

 具体的には、まず、避難所や医療福祉施設等の重要施設への自家用発電設備の導入、また、停電を検出しますと自動的に自立運転に切りかわる機能を有します停電対応型ガスコージェネレーションシステム、さらに、災害時にも再生可能エネルギーが自立的な電源として活用できるための蓄電池など、さまざまな分散型電源等の導入を促進してまいります。

 御指摘の約五十五万キロワット分の分散型電源等の導入の目標を達成できるかという点につきましては、これらの事業を三カ年計画で進めてまいりますが、まずは平成三十年度補正予算及び三十一年度当初予算につきまして着実に執行を進め、目標の達成に向けてしっかりと取り組んでまいります。

 また、その進捗状況につきましては、経済産業省として、補助金の執行状況を毎年度フォローアップしていくとともに、先ほど山本大臣からもございましたように、政府全体の国土強靱化年次計画の中でも定期的なフォローアップを行ってまいる所存でございます。

稲津委員 ありがとうございました。

 それでは、最後の質問に移りたいと思います。

 最後は、外国人旅行者への情報提供体制の確保についてということです。

 昨年の台風二十一号、それから北海道胆振東部地震、訪日外国人に対する多言語での避難情報の提供が不十分であったと指摘されています。今後、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック等々、大型の国際イベントを控えて、あるいはインバウンドが大変ふえているという状況も踏まえて、言葉の壁を乗り越える工夫が重要であると思っています。

 そこで、政府としては、災害時における多言語翻訳システムの高度化のための緊急対策として、防災関係機関がクラウド型多言語音声翻訳システムの導入を容易とする環境整備、これを二〇一九年度までに完了するという目標を掲げています。このことについて、具体的にはどのようなことをイメージしているのか、総務省に伺いたいと思います。

 それからもう一点、災害、交通、避難情報をリアルタイムで伝達するためには、私は、NHK等の放送局が流す災害情報を多言語化すべきではないかと思っています。

 例えば、Jアラートの問題がありましたね、二〇一八年。このときに、例えば、日本に住んでいる外国人の方々、留学生とか、あのテレビのJアラートを見て驚いたんですけれども、何が具体的にどうなのかわからない。そういうことを考えていきますと、やはり、テレビ放送におけるJアラート等の災害情報等についても、例えば、英語等で一部多言語化すべきじゃないか、こう思っていますが、見解を伺いたいと思います。

泉政府参考人 初めに、クラウド型翻訳サービスプラットフォームについてお答えを申し上げます。

 従来、多言語音声翻訳を防災目的で利用するためには、それぞれの利用者が独自の翻訳サーバーを構築する必要がございました。このため、導入や運用面でのハードルが存在したところでございます。

 今回のそのクラウド型翻訳サービスプラットフォーム構築に係る取組は、自動音声翻訳プラットフォームにつきまして、防災関連用語への対応の一層の強化や防災用途に沿った運用方法などへの検討を行いまして、防災関係機関において多言語音声翻訳システムの導入が容易となるように環境整備を進めるものでございます。本取組によりまして、小規模の自治体等におきましても、容易に音声翻訳を利用できるようになります。

 ということでございますので、防災関係機関等におきまして、多言語音声翻訳の活用が一層進み、災害時における外国人対応力の抜本的強化に資することを期待しているところでございます。

奈良政府参考人 続きまして、NHKの関係について御答弁申し上げます。

 災害時に訪日外国人に対し、安全確保に関する情報などを迅速に幅広く提供する上で、NHKが果たす役割は大きく、NHKによる災害情報の多言語提供は重要と認識しております。

 NHKでは、現在、災害情報の多言語提供について、ラジオ第二放送、テレビ、ラジオ国際放送やインターネット配信で外国語による災害情報の提供を積極的に行うとともに、総合テレビにおいて、テレビ国際放送の英語のウエブサイトへ案内、誘導する、国際放送のアプリを通じて、英語や中国語で、地震、津波情報などのプッシュ通知を行うといった取組を行っているものと承知しております。

 NHKの平成三十一年度予算案に付した総務大臣意見においても、災害時に、訪日外国人に対し、あらゆる手段できめ細やかな情報提供を行うことを求めているところであり、災害情報の多言語提供について一層の充実が図られるよう、引き続きNHKに対し取組を促してまいります。

稲津委員 時間が参りましたので終わりますが、総務省、ぜひこのNHKの関係、十分検討してください。

 以上で終わります。

望月委員長 次に、高木錬太郎君。

高木(錬)委員 立憲民主党・無所属フォーラムの高木錬太郎です。よろしくお願いいたします。

 大臣所信に対する質疑ということで、大臣所信は、時間も限られておりますし、おととい、一昨日、伺わせていただきましたが、全て触れたくても大臣もなかなか触れられないことかと思います。そこで、私が気になった、触れられていない点につきまして、幾つかまずは伺っていきたいと思います。

 先ほどの御答弁でもありましたけれども、間もなく令和の時代になると。大臣からの御答弁ありました、平成は災害が頻発した時代であったと。

 私は、とりわけ、大臣は愛媛県議を平成の前半にかけて長く務められていらっしゃいまして、愛媛も大変災害が多い県だと承知しております。と申しますのも、大臣、私、高知が生まれでございまして、四万十市、旧中村市なんですが、大臣の今治とはちょっと離れておりますけれども、四国の西部がどれだけ台風始め豪雨などなど災害が多いか、私なりに、幼少期、記憶がありますのでわかるわけでありますが。

 県議の時代、数々の台風を始めとする災害の現場に当たられ、県議会の中でも防災対策等々を取り組まれたことと拝察いたしますが、そのような御経験も踏まえ、平成の自然災害が多かったこの時代をどう捉えていらっしゃるか、振り返るか、まずはお聞かせいただけますでしょうか。

山本国務大臣 実は、愛媛県というのは、比較的災害は少ない、瀬戸内側でございますから、少ないところとは言われていたのでありますけれども、昨年の西日本豪雨もそうでしたし、特に豪雨災害はたびたび見舞われておりまして、今回氾濫をいたしました大洲の肱川という川も、もう何度も氾濫をして、多くの犠牲者を出したということでございます。

 特に、高知と愛媛の比較をしてみますと、高知の場合には、大変大きな災害を受けて、それに対しての対策がしっかり講じられているということがございまして、今回も、昨年の雨はほとんど同じぐらいの雨量だったのでありますけれども、愛媛はあのような大きな災害が出ましたが、高知の方はしっかりとした体制が整っておったということで、これから愛媛県の一人として、その流れというものをしっかり見定めて、参考にしていかなければならないなというようなことも感じておるところでございます。

 今ほどお話があったとおり、昨年、多くの、一連の災害が立て続けに発生をいたしまして、列島各地でも多くの方が被害に遭ったということでございまして、平成の三十年を振り返りますと、やはりこれは災害と闘い続けてきた三十年だったというふうに思っておりまして、平成七年の阪神・淡路大震災、平成十六年の新潟中越地震、それから平成二十三年は東日本大震災、平成二十八年の熊本地震などなど、幾多の大災害と向き合い、これらへの危機の対応を経験したことで、多くの教訓を学び、政府としても今日の国土強靱化に結びついているというふうに思っておるところでございます。

 いわゆる地球温暖化、あるいは異常気象というものの心配がもう長らくされておりますけれども、その結果というか、その温暖化の影響というものが各所に出てきているようにも思いますし、それから、先般、地震学者の方にお話を聞いてみるに、日本の火山はおとなし過ぎる、長年の間、全然態様が、一部の噴火はあるにしても、おとなし過ぎるというような、そんな話も聞かせてもらいました。

 そういった意味におきましては、これから令和の時代に向けまして、平成の時代に起こったさまざまな災害を、これをしっかり教訓として次の防災対策に結びつけていかなければならないということでございまして、我々の使命は、あくまでも国民の生命財産を守り、安心、安全を確保するということでございますので、全力を挙げてこの案件に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

高木(錬)委員 御丁寧な御答弁、ありがとうございました。

 さらにもう一つ、所信で触れられていない点、伺いますが、平成二十七年一月に国土交通省が公表されたものでありますが、新たなステージに対応した防災・減災のあり方というものです。

 この新たなステージというのは、非常に私は重要な視点かと思います。大臣が今も御答弁されました、ここ数年続く異常気象、気候変動というもの、そういった学術的な単語ではなくて、私たちの生活の実感としても、何だか四季がなくなったな、四季折々という言葉が何か使いにくくなったなという感じも受けますし。

 あるいは昨年我々が経験したのは、台風が、全くこれまでと違う経路、進路で、いきなり急旋回して、東に向かっていたのが今度九州の方に向かうという、見たこともないような進路をたどったということもありました。これは新たなステージと言っても私はいいと思うわけですね。

 気象庁も、いろいろな記者会見で新たなステージという言葉を使っています。ですが、大臣の所信の中では、触れたくても触れられなかったのかもしれませんが、新たなステージという言葉が出てきておりません。

 国土交通省だけが、あるいは気象庁だけが認識している新たなステージということであって、政府全体としての共通認識になっていないのでしょうか。その点、いかがでしょう。

山本国務大臣 平成二十七年に国土交通省が公表した、新たなステージに対応した防災・減災のあり方というものにおいて、平成二十四年の九州北部豪雨だったり、あるいは平成二十六年の広島の土砂災害のような極端な豪雨、それから、我が国において大規模噴火がいつ起こってもおかしくない状況を新たなステージと捉え、危機感を持って防災・減災対策に取り組むこととしていることは私どもも承知をしておるところでございます。

 その後、平成三十年七月豪雨では、西日本を中心に記録的な大雨になったり、河川が氾濫したり、土砂災害が起こったり、また、近年は御嶽とか、あるいはまた本白根山においても噴火により死傷者が出た、口永良部島では全島避難が行われたというようなことでございまして、近年災害が激甚化していることは、確かにそのとおりだろうというふうに思っております。

 そういった意味では、気象庁あるいはまた国交省だけではなくて、我々も政府一丸となって防災対策に取り組んでいく、その前提として、新たなステージということでの防災・減災のあり方、しっかりと協力をして頑張ってやっていきたいなというふうに思っております。

高木(錬)委員 今御答弁いただいたとおりだと思います。新たなステージという認識のもとで、内閣府防災さんだけでなくて、全省庁、そのような認識がベースにあって、さまざまな対策を講じていっていただきたいなと思うわけでありますが。

 もう一つ、所信に触れられていない話として、今の新たなステージにも関連する話でありますが、昨年は、豪雨や大地震のほかに、記録的な高温、これも非常に記憶に残っております。まことに残念なニュースもありました。幼いお子さんが屋外活動の中で熱中症になってお亡くなりになったということもありました。

 私は四十六なんですが、ちっちゃいころ、四十度を連日超えるなんというのは経験しておりませんでしたし、ここ数年を見ますと、何だか当たり前のようになってきた感もありまして、これまた新たなステージであると思うわけでありますが。

 記録的な高温については、これまた気象庁は命に危険を及ぼすレベルで災害と認識しているという公式的な発表もございまして、この記録的な高温、気象庁が熱中症に対する注意喚起等々を既に行っており、また予報もしっかりされているとは思いますが、この記録的な高温について、内閣府防災担当大臣としての御認識を伺いたいと思います。

山本国務大臣 昨年、埼玉県熊谷市では、観測史上最高四十一・一度というような、そういう気温が観測をされておるということでございますし、また、全国各地で三十八度、三十九度当たり前というような、そういう去年の気温であったというふうに思っております。

 実は、愛媛の、先ほど申し上げましたけれども災害のときも、雨が降ったのはあの時期だけで、災害が起こったんですけれども、その前後は全く雨も降らずに、三十七度、三十八度の中でボランティアの皆さん方が、十分働いたら十分休めというような、そんな形で土砂をのける作業をしていただいたということを目の当たりにいたしておりましたし。

 私の知り合いの医師が連絡をとってきまして、要は、地面から子供は非常に近いところにいるんだから、大人が感じる暑さ以上の暑さを感じるし、それの影響があるんだ、だから早くに小学校、中学校、特に小学校にも早くに冷房を入れよというような、そんな要請が飛び込んできたこともございました。過去の歴史的な振り返りをしてもとてもじゃないが信じられないような暑さが続いておるということでございますので、そういったことに対応して、我々としても対策を講じていきたい。

 それから、避難所の中も、これはプッシュ型支援ということで、避難所に冷房を入れる。これも総理の考え方によって、一挙にやれ、後で予算はついてくるんだというようなそんな話で、あちらこちらに冷房を入れたという経験もございますけれども、こういった異常な猛暑に対しての対策もしっかり講じてまいりたいというふうに思っております。

高木(錬)委員 私、出身は高知なんですが、今は埼玉県に住んでおりまして、埼玉県内のとある自治体では、何日間か三十五度を超えたら屋外での教育活動、屋外活動を控えるようにというよりも、むしろやめなさいという、ある種警告と申しますか、そういうものが出ておりまして、ひょっとしたら、これは国全体としての統一的な考え方として、各自治体の教育委員会に任せるのではなくて、そういったメッセージを政府の方から発信すべきではなかろうかということも思ったりもいたします。

 続きまして、今も大臣の御答弁でありましたプッシュ型支援について伺いたいと思うんですが、私も、済みません、大臣の愛媛ではなくて岡山に、昨年、立憲民主党埼玉県連合の仲間とボランティアに入りまして、確かに大臣おっしゃるとおり、高温の中で泥かきを十分やって十分休憩しました。私も経験いたしまして、豪雨災害と高温が重なると大変なことになるなということを実感したわけでありますが。

 そこで避難所にも行きました。倉敷、真備であったわけですが、熊本地震以来、プッシュ型ということで、特に昨年の七月豪雨災害では約二百五十七万点の物資を供給した。昨年の臨時国会以降、安倍首相も事あるごとに、発災後直ちにプッシュ型支援を実施しと、私から見ますと実に誇らしげに御答弁されているなというふうに受けとめるわけですが、私が昨年その現場に行って見た印象と若干ちょっと異なるな、そんなに胸を張っておっしゃるほどのことかななんて思わなくもないんですね。

 と申しますのは、今クーラーの話も出ましたけれども、果たして現場の、プルではなくプッシュですので、あくまでも。現場のニーズを全て拾って送ることではないのがプッシュであるわけで、ただ、とはいえ、被災現場もただでさえ混乱しているところにいろいろな物資が大量に届いてもという側面もあるとも言えると思うんですね。

 二百五十七万点全てが被災地の皆さんのお役に立っていれば、それはいいことでございますが。というもともと認識がありましたところ、大臣が先日の所信の中で初動検証チームのレポートのことに触れられておりましたので、私も拝読いたしましたが、そこにも書いてございます。「避難所の状況を迅速に把握、集約することは困難であることから、そのことを前提として活動することが必要である。」と。

 二百五十七万点、お役に立ったんだろうと思いたいんですけれども、そもそも、このプッシュ、二百五十七万点、これは現場からの情報やニーズを得ないで送った。これはどこで誰がどのように決めたんでしょうか。今後もプッシュ型を実施していかれるんでしょうけれども、今後のためにも、検証チームのレポートはありますが、この国会の中でもちょっと伺っておきたいんですけれども、誰がどのような形で、どこで、この物資を送るよ、何点送るよというのを決めたんでしょうか。教えてください。

海堀政府参考人 お答え申し上げます。

 政府が行うプッシュ型の支援でございますが、これは、災害発生時に現地において必要な物資を迅速に調達することが困難になったときに、被災者の方の命、生活環境の維持に不可欠な、必要な必需品、これを政府がみずから調達し、被災地に緊急輸送するものであり、どのような物資を支援するかについては、災害の状況を踏まえて、個別に判断をさせていただいています。

 例えば、平成三十年の七月豪雨では、水や食料に加えまして、猛暑の中であったということも踏まえて、避難所の状況を踏まえて、クーラーなどを被災地まで緊急輸送し、配備しております。

 また、北海道胆振東部地震の場合は、広範囲に大規模な停電が起こったことから、乾電池の支援あるいは病院に対する非常用発電機用の燃料なども送らせていただいております。

 このような物資の支援に当たっては、発災直後から、被災地に派遣した政府職員が現地での支援物資のニーズの把握に当たるほか、被災自治体とも連携することなどによりまして、被災地の状況の把握にも努めた上で支援を行ってきたところです。

 今後とも、災害時においては、被災自治体とも緊密に連携し、被災状況の把握、被災地の物資ニーズの迅速かつ的確な把握に努め、被災者の命と生活環境の維持に不可欠な物資を被災者に着実に届けてまいりたいというふうに考えております。

高木(錬)委員 時間が限られておりますので、ちょっと突っ込みたいところはあるんですけれども、ほかに聞きたいことがあるので、またの機会にしたいと思います。

 避難所の設営、運営について伺います。

 私、先ほど申しましたように、七月豪雨の現場を見させていただいて、実際に現地の方ともお話しさせていただいて、これは海外ではどうなんだろうという問題意識を持ちまして、防災対策、災害対策、昨年の十二月にイタリアに行ってまいりました。

 御存じのとおり、数々の自然災害に見舞われて、それによって体制を高度なレベルで構築されて、先進的な災害対策をとられているイタリアであります。そこで印象的だったのが、避難所の設営と運営、それからボランティア団体との連携です。そういったものを見まして、その中で、避難所の件について伺いたいと思うんですが。

 イタリアでは、避難所の環境が非常にいい。良好な生活環境になっている。例えば、キッチンカーがすぐ配備されたり、温かい食事が出たり、一家族一テントであったり、簡易ベッドがすぐ用意されたりということでありまして、日本の被災地の雑魚寝とはえらく違うなという印象を持ったわけであります。

 そこでもう一つ、今申し上げたボランティアさんが平時から組織化されていまして、専門職を持ったコックさんであるとか電気工事技術者の皆さんが、日ごろからどこで災害が起こってもすぐに出動できるような体制が組まれている。ボランティアさんとの連携というものが平時から整えられているというのが非常に印象的でありました。これは、日本もいかがでしょう、まねすべきではないかと。

 確かに、善意で現地に行かれて御尽力されているボランティアさんはたくさんいらっしゃって、その方々は引き続き、そういうことがあったときにはぜひお力をおかしいただきたいという気持ちもありますが、専門職の職能ボランティアの皆さんが平時から組織化されているということは非常に重要ではないかなと思いますが、そこら辺についての御感想、御見解を伺いたいと思います。

海堀政府参考人 お答え申し上げます。

 災害時には、ボランティアの方々が、NPOその他さまざまな団体として被災地に駆けつけ、行政では手の届かない、きめ細やかな被災者支援活動を展開していただいています。

 内閣府としては、平時から、行政、ボランティア、NPOなどの関係者が顔の見える関係を構築して、発災時には連携のとれた支援を行うことができるよう、都道府県ごとに三者連携体制を構築することを支援しております。

 平成三十年の四月には、連携・協働ガイドブックを公表するとともに、同年七月に進捗状況を調査したところです。その時点で、既に二十七府県において平時からこのような連携体制が構築されており、個々の専門家を組織化することは困難ではございますが、専門家の団体などの連携により、発災時に広角的な被災者支援が行える環境整備をしていくことが重要と考えています。

 また、発災時においては、被災県ごとに行政、ボランティア、NPOとの間で情報共有会議を開催し、連携のとれた支援を行うこととしております。西日本豪雨の際には、例えば日本赤十字社の医療関係機関、あるいは、愛媛県では、うわじまグランマといった炊き出し団体などの専門団体も御参加いただき、連携した支援をしたところでございます。

 今後とも、研修会の開催や三者連携体制の構築に向けて、ハンドブックを作成するなど、ボランティア活動の環境整備を支援してまいりたいと考えています。

高木(錬)委員 時間の配分を間違えました。火山についても聞きたかったんですけれども、最後に行きます。

 いわゆる災害関連死についてです。

 今私がいわゆると申し上げたのは、政府としてきちっとした定義がないからでありますけれども、そろそろ、やはり熊本地震、その前も申し上げますと新潟中越地震の経験もあり、ひょっとしたら救えたはずの命ではなかろうかという指摘もありまして、今後は災害関連死を起こさない、政府はそのような気持ちで今でもあると思いますが、まずは災害関連死をきちんと定義していくことが肝要かと思いますが、いかがでしょうか。

海堀政府参考人 お答え申し上げます。

 災害関連死を減らすためにも、まずはその数を把握することが重要であると認識し、その前提となる災害関連死の定義を、負傷の悪化又は避難生活等におけます身体的負担による疾病により死亡し、災害弔慰金法に基づき災害が原因で死亡したものと認められたものということで、関係省庁間で共有をしたところでございます。

 こういった定義を明確にすることによって、災害としての関連死を減らすための取組を関係省庁と連携して進めてまいりたいというふうに考えております。

高木(錬)委員 新たに定義づけされたということであります。今後、もし万が一、起こってほしくないけれども、大きな自然災害が起こった後、また同様のケースになった場合、災害関連死を、同じようなことが起こらないように、一つは、各自治体で審査をしている審査委員会に、これまでのいろいろな情報があると思います、それを政府の方で集約して今後に生かすということも一つの取組ではないかなと思うところを申し上げて、時間が参りましたので、質問を終わります。

 ありがとうございました。

    〔委員長退席、三原委員長代理着席〕

三原委員長代理 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 国民民主党の岡本でございます。

 それでは、時間が限られております、早速質問に入りたいと思います。

 まず冒頭、先ほど、国土強靱化計画、三カ年の緊急対策を行うということでしたが、どういう観点で行ったのかということについて、ちょっと個別に聞いてみたいと思います。

 私の選挙区というのもなんですので、ちょっと三重県の例を出してみました。写真にありますとおり、三重県に鍋田川という川があります。この堤防は東南海地震が起こると液状化が起こって、津波が来るとこの堤防を乗り越えてくる、これが明らかになっている、こういう状況であることがわかっています。

 ところが、今回の予算は、なぜかこの真ん中の緑風橋という名前がついているこの橋の西側だけ予算がついて、東側が予算がついていません。同様に沈下することがわかっているのに、わざわざなぜここを分けて三カ年計画に入れたり外したりするのか、その考え方を聞きたいと思います。

塚原政府参考人 お答え申し上げます。

 鬼怒川及び鍋田川の堤防につきましては、耐震対策につきまして重点的に現在進めているところでございます。(岡本(充)委員「木曽川じゃないの」と呼ぶ)はい。

 鍋田川につきましても、現在、御指摘のとおり、下流側といいますか、緑風橋から河口部、合流点のところまでの下流区間につきまして、現在、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策に位置づけまして実施をしているところでございます。これによりまして、この下流部につきましては、当初、着手から十年程度で完成をということで目標にしてございましたけれども、この緊急対策を含めまして、五年程度の前倒しで実施をするというふうに聞いているところでございます。

 一方で、御指摘の河口部、緑風橋から上流の下水門までの上流の区間につきましては、詳細設計がまだ未実施であったということで、今回、この三カ年の緊急対策としては早期の効果発現が困難である、こういうことで、緊急対策には位置づけをしておりません。

 しかしながら、鍋田川の河口部の耐震対策全体といたしましては、下流区間の完成目標を前倒しすることができましたので、完了予定を全体として五年程度前倒して進めることとしているというふうに三重県からは聞いております。

岡本(充)委員 とすると、ここはやはり沈むんですよ。液状化で沈むにもかかわらず、設計ができていないからという理由で分けて、結局、ここが沈んだら、ほかのところの対策を打っても、大臣、結局、沈んでたら、そこから水が入るわけですよ、津波が。津波が越えることがわかっているんですよ、ここは。この先には人がたくさん住んでいますよ。こういうエリアが残っていて、これは最初から七兆円という金額が先にあったんじゃないかと思っているんです。

 こういう命にかかわるところはもう一度点検をして予算をつけていく、こういう方針でやるべきじゃないですか。その決断を大臣にぜひ求めたいと思います。いかがですか。

山本国務大臣 御案内のとおり、重要インフラ等々の点検をまずはしようということで、全国のそういった重要な河川であったり、あるいはまた道路であったり、そういったところの点検をいたしました。その点検を踏まえた上で、防災・減災、国土強靱化のための三カ年の対策を打ち出して、その予算が七兆円ということでございます。

 七兆円が多いか少ないかというのは、それぞれが感じるところではありましょうが、我々から見たら、やるべきところはまだたくさんあるんです。全国各地に、人の命を救わんがために対策を講じていかなければならない、そういう場所はたくさんございます。それを一挙に三年間でやるということがなかなか難しいわけでありますから、先ほど質問も出ておりましたけれども、三カ年の後どうするんだいというような、そういう質問もたくさん受けておりますので、今後しっかりと、各先生方の御理解もいただいて、そして国土強靱化に向けての予算が続いてとれるように、そのことが国民の生命財産を守るんだということにつながるように努力をしてまいりたいというふうに思っております。

岡本(充)委員 くしくも今、大臣、予算が獲得ができなかったがゆえにこの範疇にとどまった、こういう理解でよろしいんですね。予算があったらもっとやりたかった、そういう理解でよろしいですか。

山本国務大臣 予算には限りがございますから、そういった意味では、その中で緊急度合いの高いところを各都道府県ともしっかり連係プレーをとって抽出したのが、この三カ年のいろいろな計画でございます。

岡本(充)委員 きのう私のところに説明に来た役所の方は、違った説明をしましたよ。必要なところを積み上げたら、たまたま七兆円になっただけだと。

 違うと思いますよ。これは七兆円の話が先にあったんでしょう。七兆円ぐらい予算が枠がある中でどうするか、こうやって決めていった。そういうことですね、大臣、残念ながら。いやいや、もっと予算があればやれたけれども、七兆円だったからこうだった、そう御答弁されたという理解でよろしいですね。

 だから、きのう私が聞いた話は違った説明だったと私は思っているんですよ。おかしいと思っているんですよ。そういうことでいいですよね。端的に。

山本国務大臣 事務方はしっかり積み上げてまいりますから、その事務方の考えというのは当然であろうと思いますけれども、我々は政治家でありますから、政治家としてはやらなければならないことも、ここもそのとおりでありますから、いかほどもあるんですけれども、ただし、財政規律を守らなければならないということとの駆け引きの中でどこまでやれるんだということについては、また皆さん方としっかり協議をしてまいりたいと思います。

岡本(充)委員 であれば、ぜひしっかり予算を獲得する中でやっていただきたいと思いますし、結論として、この木曽川、鍋田川の堤防、大規模地震が発災時に津波が越えて住宅地に入ってこない、こう言える時期は一体いつごろに来るのか、大体めどだけでもお答えいただけますか。

塚原政府参考人 お答え申し上げます。

 木曽川の堤防の耐震対策につきましては、現在、耐震照査の結果、地震により想定される堤防の沈下量が大きく、津波に対する安全性が不足する区間、本川ですけれども、約四・一キロメートルの対策を優先的に実施することとしております。

 現在、このうち約一・六キロメートルが完成をしているところでございまして、さらに〇・三キロメートルの工事を実施中でございます。今年度は、さらに新たに約一・〇キロメートルの整備を予定しております。

 残りの優先対策区間につきましても、これまでは二〇二三年度末の完成を目指しておりましたけれども、今後は、二〇二〇年度までの防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策によりまして、この優先対策区間の整備を完了させることを目標に進めてまいります。

岡本(充)委員 鍋田川のことは触れられませんでしたが、大臣は五年前倒しすると言われました。さらなる前倒しを求めていきたいと思います。

 さて、次の話題に行きます。今度はちょっと富士山の話です。

 二ページ目に富士山のマップを載せています。これは平成十六年なんですね。これ以来検討されたものがないそうですけれども、噴火したらどうなるんだ。先日、ちり、灰の話はありましたが、噴石です。噴石の定義が、三ページにありますように、小さな噴石、大きな噴石が数十センチで変わるそうでありますが、二十センチ程度のものが落ちてきたら、屋内に退避していても噴石が中に入ってくるんじゃないか。

 きのう役所の方と議論をしていたら、重さが数十キロ、二十キロ、三十キロのものになる。数千メートル上空から落ちてきたら木造住宅を突き抜けることは、大臣、これは明らかですよね。どう思われますか。それでも耐えられると思いますか、大臣、感覚的に。

山本国務大臣 その前に、先ほど、七兆円、予算予算と言いましたが、事業費ベースでございます。その点は訂正しておきたいと思います。

 富士山の噴火云々については、火山災害を軽減するために、噴石あるいは火砕流等により影響が及ぶ範囲の住民や観光客等の避難をまずは円滑に行うことが最も重要であるというふうに思っております。

 それから、直径数十センチメートル以上の大きな噴石は建物の屋根を打ち破るほどの破壊力を持っていることから、事前の避難が必要でございまして、平成二十五年三月に取りまとめられました火山防災マップ作成指針においては、過去の事例やシミュレーションに基づいて大きな噴石により影響が及ぶ範囲を予測するということとされております。

 富士山におきましては、過去の事例を参考にして、そして、想定する火口域からおおむね四キロ程度を大きな噴石により影響が及ぶ範囲というふうにしているところでございますが、その外側の近接した地域においても、直径数十センチメートルよりやや小さな噴石が落下した場合には、屋根が突き破られることはあり得るというふうに考えておりまして、そういった意味で、避難の周知徹底というものも非常に重要であるというふうに思っております。

岡本(充)委員 違うんですよ。屋内に退避してくださいと言って、数十センチで退避しても、壁や屋根を突き破ってくるわけですよ。それを屋内退避にしておいていいのか。しかも、これは平成十六年の図ですよ。それから検討していない。

 大臣、役所からもらうペーパーじゃないです、ぜひ政治家として考えていただければわかる話です。本当にこういう退避のスケジュールでいいのか、もっと言えば、屋内退避で事足りるのか、考えていただければわかる話です。

 大臣、後ろから紙をもらう話じゃない。ちゃんと政治家として考えてください。これは対策をとらなければいけない、そういう時期が来ていると思いますよ。平成十六年ですよ。十五年間、東日本大震災より前ですよ。想定外、ないだろうと思っていた時代ですよ。見直すべきじゃないですか。

山本国務大臣 適切な答弁をするために、官僚の知恵もかりながら答弁いたしておりますけれども、実は、ハザードマップに示された影響が及ぶ範囲については、特定の前提条件に基づいた事例であって、全く同じ現象が起こるとは限らないということを記載をしているところでございます。

 実は、今、我々も、富士山がよしんば噴火した場合にどういうことが起こるかということについての研究をしている最中でありまして、その噴石に対しての対応策と同時に、降灰によって交通網が完全に遮断されてしまう、そういったことを踏まえて、社会的にどういう影響があるかということも含めた多角的な対策を講じていこうということで、今ワーキンググループでもいろいろと議論している最中でございますので、今の御意見もしっかり活用させていただいて対応していきたいというふうに思っています。

岡本(充)委員 それは灰の話でしょう。これは噴石ですよ、近いところで。

 それから、このそばには新幹線も走っている。新幹線なんかに当たったら、もう数千人規模が死ぬかもしれませんよ。すごい事態が起こる可能性がある。指摘しておきますよ。それをやらないんですか。新幹線の検討をしていないでしょう。どうなんですか。そういう意味で、十センチの石が飛んできて、新幹線ですよ、スピード二百八十キロかなんかで走っている新幹線にぶつかって大丈夫なんですか。

 こういうことを考えて、どういうことをやるべきなのか、もう一回シミュレーションするべきだ。今大臣が言われたのは、遠いエリアの関東地方の火山灰の話ですよ。噴石の話をもう一度考えるべきだと言っているわけです。どうですか。

山本国務大臣 噴石もそうですし、火山灰もそうですし、富士山が本当に噴火した場合にどういうことが起こり得るのかということを総合的に研究して判断をして、そして国民の生命財産を守っていくということが一番肝心だろうと思っていまして、今我々はそのための作業をしているところでございます。

岡本(充)委員 ということであれば、そうした噴石の見直し、もう一回そこを聞きたいです。新幹線への影響、こういうものも含めて検討していく、そういう理解でいいですね。

山本国務大臣 さまざまなことを想定して、そして、どういうことが起きるかということを網羅的に把握をして、そして、何ができるかということについての対策を講じるべく、研究者のいろいろな知恵をいただくということでございます。

岡本(充)委員 はっきり含まれると言わないわけですね。これは本当に政治の不作為になりますよ。委員会で指摘されているわけですから。

 本当に、大臣、政治家としてリーダーシップを発揮していただきたいですよ。どういうことを検討するべきなのか。役所のペーパーを一生懸命読むんじゃなくて、やはり政治家として私は発言してほしいです。そう思っています。

 では、続いて、先ほど質問のありました災害関連死の話に行きたいと思います。

 四ページ目、こちらに書いていますけれども、自治体は、基準が欲しい、こう言っていた。ガイドラインがあった方がいいと言っていたけれども、結局、今回出てきた通知はどんな内容だったかというと、その次にありますように、先ほど大臣が言われたとおり、「災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき災害が原因で死亡したものと認められたもの」。これでは、何を指しているのか、それぞれの自治体が好きに判断してください、こう言っているだけのことじゃないですか。

 現に、自治体ごとに差があるんですよ。いろんなガイドラインを公表しているところでも、どのくらいの時間経過で災害関連死から外すか。仙台、塩竈、名取、多賀城の四市で見ても、例えば、仙台は一年以上経過で関連死ではない、塩竈市は六カ月、名取や多賀城市は三カ月、こういうふうに基準に差があります。住んでいるエリアで同じような事態が起こって、国から出る災害弔慰金に差があっていいのか。

 例えば介護保険なんかは、どういうことになれば要介護一か二か。それは最終的にはそれぞれの市町村で判断しますよ。でも、どういうものなのか、その概略は示しているわけです。その概略や、例えばイメージも示さなければ、それは裁判にもなりますよ。裁判が起こされて、結局、もちろん国の、また市のいろいろな判断があるとは思いますが、結果として裁判で市の判断が覆ったものもあると承知をしています。

 これは一々裁判をやらなきゃいけなかったら大変ですよ。ガイドラインをきちっと示すという意味では、どういうものが災害関連死になり得るのか、例示を示すべきじゃないですか。例示を示される気はないですか。

山本国務大臣 災害関連死につきましては、それを減らすためにも、まずその数を把握することが重要である、この認識に立って、その前提となる災害関連死の定義を、今ほどおっしゃったように、負傷の悪化又は避難生活等における身体的負担による疾病により死亡し、災害弔慰金法に基づき災害が原因で死亡したものと認められたもの、ちょっとわかりにくい表現でありますけれども、そういうふうなことで関係省庁での共有を図ったところです。今までばらばらでございましたけれども、それを共有したところであります。

 死亡の原因が災害に関連するものであるかどうかにつきましては、市町村がいわゆる相当の因果関係により判断するということにされておりまして、その判断自体は、災害の種類やあるいは被災者の状況等によってそれぞれに異なってくるものというふうに考えているところでございます。

岡本(充)委員 だからこそ示さなきゃいけないじゃないですか。

 では、ちょっとページをめくって、これは六ページ、仙台防災枠組の話をしたいと思います。

 これは、この二〇二〇年から三〇年においての災害死者数を減らしましょう、それも二〇〇五年から一五年と比較して減らしましょう、こういう目標、ターゲットが決まっていますね。そうですね。まず、そこの事実関係。

山本国務大臣 御案内のとおり、二〇一五年三月に第三回の国連防災世界会議で採択されました仙台防災枠組、これは二〇三〇年までの十五年間における世界の取組を示したもので、御案内のとおり、災害による死者の数の削減など、七つのターゲットを決めておるところでございます。

 このターゲットの定義あるいは測定方法は国連が定めたものであり、各国の事情が異なる中で初めて具体的な目標を世界が共有して、各国に防災の取組を求めたことでございます。大変に大きな成果と言われております。

 我が国におきましても、南海トラフ地震防災対策推進基本計画において、人的被害を八割以上削減するというような具体的な目標を設定をしているところでございます。

岡本(充)委員 私が聞いていることに答えてください。

 人数を減らすのは、二〇〇五年から一五年と比較して、二〇二〇年から三〇年、これを減らしましょう。これは目標なんでしょう。違うなら違うと、次、答弁してください。答えなければ、正しいということだと思います。

 その上で、どうやって死者数を数えるんですか。数え方も決まっていないじゃないですか。もう来年から始まるのに、一体、では二〇〇五年から二〇一五年に日本は何人災害で死んだんですか。人数を答えてください。

山本国務大臣 人数につきましては、この場で数字を持ち合わせておりませんので、改めて御報告いたします。

岡本(充)委員 数えられないんでしょう。きのう散々やったんですよ。数えられないんだ、わからないんですよ。二〇〇五年から一五年に何人死んだかもわからないのに、どうして、二〇二〇年から二〇三〇年、死ぬ人の数が減ったと言えるんですか。これは自分たちで言っておいてできないじゃないですか。

 もっと聞いていいですか。では、東日本大震災の原発事故でもし放射線を浴びて、放射線で死んだ人が出てきたら、これは災害関連死に入るんですか。これを答えていただきたい。

山本国務大臣 仙台防災枠組の対象で、自然災害を含む全てのハザードについて、原子力災害による死者もこれもまた含むということでございます。

岡本(充)委員 それは、放射線を浴びて死んだ人も入る、こういう理解でいいですね。

山本国務大臣 それはここで即座には判断できませんが、少なくとも原子力災害による死者というふうに御理解いただきたいと思います。

岡本(充)委員 ということであると、これは一体何年後に何が発症するかわからないんですよ。これの死者をカウントできるんですか。この死者数をカウントができないんじゃないか。この枠組みでやったと言っているけれども、本当にできるのかということを私は聞いているわけです。

 もっと言うと、この会議は日本がもちろん誘致してやりましたと言っていますが、そもそも、それ以後、去年の十二月以降、この死者数をどうやって決めるかの定義の会議は開かれましたか。この目標をどうやって定めるか、七つの目標をどうやって数えるかの会議はたった一度でも開かれましたか。

山本国務大臣 死者のことでありますが、各国は、計測及び計算に関する自国又はその他の方法をそれぞれ選択して使用してよいということになっておることでございます。

 七つとおっしゃいましたいわゆるグローバルターゲット、AからGまでございますけれども、そういったターゲットの目標数値を決めて、そして今後さらに大いに議論をしていこうというようなことでございます。

岡本(充)委員 会議を開いたかどうかを聞いているんです。二〇一八年十二月以降、最後に開いて、それ以降開きましたか。

山本国務大臣 開いておりません。

岡本(充)委員 つまり、定義もわからない、どうやって数えていいかもわからない、その決めるための国際会議ももう一年半ぐらい開かれていない。そういう意味でいったら、結局、二〇二〇年、もうすぐ始まりますよ。対策は二〇二〇年から三〇年の数を減らすと言っているのに、定義が決まらなきゃ減らすことすらできない。

 災害関連死だけじゃない。自分たちは国際会議を開いて、そして開いた結果、こういう目標にしましょう。実際ふたをあけてみたら、数えることすらできない。これでは目標が達成できない。当たり前じゃないですか。それでいいのかということを私は聞いているわけです。

 ちなみに、この国際会議はどうやら日本が多額のお金を出しているようです。一体どのくらいのお金を出して、全体のお金の中で一体日本は国として何番目の支出国ですか。

鈴木(憲)大臣政務官 お答えを申し上げます。

 二〇一八年における、まず、UNISDRの予算総額ということになりますけれども、それが四千八十万ドルのうち、日本からの拠出総額は七百二十万ドルであり、そのシェアは約一八%、順位はスウェーデンに次ぐ二位となっております。

 以上でございます。

岡本(充)委員 職員の数は何割日本人ですか。

鈴木(憲)大臣政務官 UNISDRにおける職員の数でありますけれども、現時点で、全職員七十一名のうち、邦人職員については五名であり、邦人職員の割合は七・〇四%となっておりますが、近年増加傾向にあります。

岡本(充)委員 日本が引っ張っていくことは私はいいことだと思いますよ。ただ、結局、事務局もこれだけやっているなら会議も開くべきですよ。日本がイニシアチブを握っていると言えないじゃないですか。

 事務局もやっている、お金も出している、だけれども目標値はわからない。こういうことで、国際会議を開きましたということだけをやっていていいのか。仙台枠組、それは、やはり、私は国際的に日本がリーダーとしてやっていくことに異論はないですよ。でも、これでいいのかということを言いたい。

 大臣、何かありますか、最後に。

山本国務大臣 仙台防災枠組採択後のモニタリング等の会議の開催ということでございますならば、二〇一五年から二〇一八年までの間、UNISDRの指標モニタリング等を議論する主要な会議、これは六回開催をされております。

 また、二〇一八年におきましては、政府や関係者の能力強化のために、九十八回のトレーニングとイベントを実施をしたというところでございます。

岡本(充)委員 答弁がかみ合っていません。

 私は大臣に事実関係を聞いたわけじゃないです。こういう仙台枠組の話でいいんですか、国際会議でイニシアチブを発揮するべきじゃないですか、こう聞いたのに、会議の実施状況を事務的に答えているようでは、私はどうかと思いますよ。

 大臣、ぜひリーダーシップを発揮していただきたい。これでは私は大変寂しいと思います。

 残余の質問は次回にやらせていただきます。ありがとうございました。

    〔三原委員長代理退席、委員長着席〕

望月委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 災害関連死について質問します。

 これまで私は委員会で、災害関連死のことについて何度か取り上げてまいりました。災害発生後、疲労や環境の悪化などによって発病あるいは持病が悪化するなどして死亡する災害関連死は、阪神大震災以降大きな問題となってまいりました。共同通信は、阪神大震災以降、災害に遭った主な自治体や復興庁などに取材し、関連死が今月八日までに少なくとも四千九百五十八人になると判明したと報道しているところであります。

 ところが、これだけ災害が多発するも、災害関連死の定義は、政府においては復興庁しか持っていませんでした。政府として統一した定義を持ち、災害関連死を分析し、今後の災害に生かしていくことが重要だと、私自身求めてきたところであります。

 昨年四月の本委員会の質疑で、内閣府からは、過去の災害の課題や原因を分析し、今後の対策に生かしていく取組は非常に重要だという答弁がありましたけれども、その後、定義づけについてはどのような検討がされてきたのでしょうか。そして、四月三日に発せられた事務連絡、これについても御紹介をいただきたいと思います。

海堀政府参考人 お答え申し上げます。

 災害関連死を減らすためにも、まずはその数を把握することが重要であるというふうに認識し、その前提となる災害関連死の定義を、先ほど来御答弁させていただいておりますが、負傷の悪化又は避難生活等における身体的負担による疾病等により死亡し、災害弔慰金法に基づき災害が原因で死亡したものと認められたものを、関係省庁間でその定義を共有し、自治体に周知をさせていただきました。

 これの決定に当たりましては、これまでこの問題について取り組んでいる復興庁、消防庁などとも十分協議をした上で内閣府で決定したものであり、これまでの関係者の取組と軌を一にするものでございます。

田村(貴)委員 四月三日に都道府県に対して事務連絡をしたんですね。正確に述べてください。

海堀政府参考人 お答え申し上げます。

 四月三日に事務連絡で各都道府県にこの旨通知し、市町村にその内容を連絡いただくようお願いしたところです。

田村(貴)委員 その内閣府が全国に対して連絡をした災害関連死に対する定義というものは、復興庁、消防庁の定義とこれは同じでしょうか。災害関連死に対して、政府として統一した考えを今持ったということでよろしいんでしょうか。

海堀政府参考人 お答え申し上げます。

 消防庁、復興庁と同じように、共有して定義を持ったということでございます。

田村(貴)委員 政府として、災害関連死、震災関連死、この統一した定義を持ったことは、私は非常に重要なことだというふうに思いますし、前進だというふうに思います。

 災害に襲われたけれども、せっかく助かった命を災害要因で失わせてはいけないということであります。そういう定義を持った以上、しっかりした取組、対策が求められると思います。

 質問を続けたいと思います。

 関連死をなくしていくことに当たって、構えの問題について質問させていただきたいと思います。

 熊本地震なんですけれども、私も発災直後何度も入り、十四日で三年目を迎えるんですけれども、節目を迎えます。この熊本地震は、二月十五日時点での発表なんですけれども、死者二百七十人のうち、八割に当たる二百十五人が災害関連死ということであります。これは熊本県の発表です。ほかの災害とは関連死が桁違いに高い。

 この原因と対策については、政府としてはどういうふうに把握しておられますか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 熊本地震におきましては、平成三十一年二月十三日時点で、二百七十名の方々がお亡くなりになっております。そのうち、いわゆる災害関連死でお亡くなりになった方が二百二十名であると承知しております。

 熊本地震での災害関連死の要因につきましては、熊本県が調査した報告書によりますと、まず、何らかの既往症のあった方や七十歳以上で亡くなった方が多くを占めていると判明したこと、それから、高齢者等の要配慮者の方が、避難所など、なれない環境の中で長期間の避難生活を強いられたことによる肉体的、精神的負担が考えられるとされていることと承知をしております。

 また、同報告書では、それに対する改善策として、平時からの取組として、要配慮者の把握や避難所の環境整備、発災時の取組として、避難所の運営、環境改善や、避難者の見守り、被災者の心のケアについて挙げられているところでございます。

田村(貴)委員 これを、定義を持った政府が、なぜ助かった命が失われたのかということについて原因を究明していくことが大事だと思います。

 今から大臣に対して質問させていただきますけれども、例えばその熊本地震ですけれども、私がびっくりしたのは、車中泊の方が物すごく多かったわけですよね。例えば赤ん坊が夜泣きする、それから病気の方がおられる、あるいはペットを連れているといった方々は避難所で生活できないわけなんですね。そうしたことが起因だった。三割の方が車中泊を経験しているわけですよ。こうした方が心身を患っていったとするならば、やはりこれからはちゃんとした仮設所を確保しなければいけないし、どういう状況の方がおられてもちゃんと避難生活ができるように対策を打っていかなければいけないということであります。

 大臣にお伺いします。

 せっかく助かった命がなぜ亡くなったのか、そして、一人一人の失われてしまったその過程にこそ今後に生かしていく教訓があるというふうに私は考えております。

 内閣府は今後、災害が起こったら、まず数をつかむと。それは数をつかむのも大事です。でも、数をつかむだけではやはりだめなんですよね。その関連死の数、内容の掌握に当たるとしているんですけれども、同時に、これまでのたくさんの災害があって、その災害関連死、復興庁なんかはもう取組をやっていますけれども、その事例を収集、分析することもあわせて災害関連死を防ぐ対策になっていくのではないかと思いますけれども、大臣、ここが基本的な構えの問題です。いかがですか。

山本国務大臣 実は、今週末といいましょうか、日曜日に、熊本の地震から三年たつということで追悼式がございまして、私も出席する予定にいたしておるところでございます。

 ちょうど三年前に起こったとき、私は国土交通副大臣をしておりまして、何度も熊本の方に参りました。そのときからどのような形で復興が進んでいるのか、あるいはまた、まだ避難所にいらっしゃる方はたくさんいらっしゃいますけれども、そういった方々の状況等々も今回しっかりと聞き及んでまいりたいというふうに思っておるところでございます。

 さて、災害時におきましては、避難生活等が原因で亡くなるいわゆる災害関連死を少しでも減らすように、政府全体として避難所の生活環境の改善に取り組んできたところでございます。災害関連死を減らすためにも、まずはその数を把握することは重要であると考えられることから、先日、災害関連死の定義を定め、各省庁と共有するとともに、自治体にもそのことを周知をしたところでございます。

 現時点では、災害関連死の事例を収集、分析することまで考えるに至っておりませんけれども、まずは災害関連死の数や内容を把握した上で、今後の災害において災害関連死を少しでも減らすべく、関係省庁と連携して取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。

田村(貴)委員 大臣、やはりここは構えの問題として非常に大事なところなんですけれども、復興庁の取組があります、それから自治体における取組もあります、それから、後で聞きますけれども、厚生労働省の取組があります。こうしたこれまでにおける災害関連死に対する対策の中で、専門家とかそれから識者の知見、これは大事ですよね。それから分析、大事ですね。それから、各役所の取組は大事ですね。そして、これは参考にするときはやはり参考にすべきではないか。私はそれだけ言っているんですけれども、それは拒否されませんよね。

山本国務大臣 実際のところ、災害関連死の事例を収集、分析をしていくということは、各地域によっていろいろな扱いに差がございまして、今、いろいろな体制を考慮しながら、どういう形で情報、事例を収集したり分析するんだという議論をこれから始めていくという状況でございます。

 まずは、先ほど申し上げたとおり、数をしっかりと把握をした上で、今後の災害においての関連死を少しでも減らすべく努力していくということでございまして、今後の我々の勉強課題になっているということは間違いないと思っております。

田村(貴)委員 そこは確認しました。

 そこで、対策について伺っていきたいというふうに思います。

 厚労省に伺います。

 復興庁が被災者支援総合交付金で行っている見守り、相談支援などの事業は東日本大震災に限らずどの災害においても行う、これは私は非常に大事であるし、求めてまいりました。

 熊本地震や昨年の一連の災害でもありましたけれども、今、政府としてはどのような対応をされているのか、説明をしていただきたいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省では、災害が発生した際の災害関連死防止に関する取組としまして、まず、避難所等に避難されている方の健康管理のため、保健師が中心となって避難所等を巡回しまして、感染症予防の指導、また健康状態の把握等を実施するとともに、被災地の社会福祉協議会等に相談員を配置し、仮設住宅等に入居する方に対して、日常生活上の相談支援や、孤立防止のための見守り、地域のコミュニティー構築等の支援を行ってきたところであります。

 このほか、平成三十年七月豪雨におきましては、高齢者、障害者等の在宅支援者に対しまして、それぞれの環境の中で安心した日常生活を送ることができるよう、戸別訪問等による早期の現状把握、必要な支援等へのつなぎなど、支援の届かない被災者をつくらない取組を一定期間、集中的に実施してきたところであります。

 被災された方々の健康管理や孤立防止、地域コミュニティーの再構築を支援していくことは、災害関連死の防止にも資する取組であると認識しておりまして、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 訪問する、声をかける、そして孤立感をなくしていく、これは非常に大事な取組であります。

 先日、宮城県の石巻市に行ってまいりました。そこで支援に当たっている方のお話を聞いたんですけれども、ある被災者が旦那さんが亡くなった、亡くなって、後を追って私も死のうと思っていた女性の高齢者の方がおられた。地域生活支援員の方が繰り返し訪問する中でお話をしてきた。その中で自殺を踏みとどまったという事例をこの支援員さんの方から伺いました。数年後にこの高齢の女性の方は、あなたが来てくれたおかげで私は死なないで済みましたと言われたということで、これで妨げること、自死をここで食いとめることができたということで、非常にこの取組が大事であります。

 ここで私が求めたいのは、発災直後から避難所生活に至るまで、ここのステージというのはもちろん大事なことなんです。しかし、避難所暮らしから、新たに生活となりわいの再建に踏み出す。ある方は家を買って建てていく、ある方は賃貸に住む、ある方は復興公営住宅に住んでいく。いろいろなあり方があるんですけれども、その時点での取組というのは非常に大事じゃないかというふうに思うわけであります。

 東北の被災者も、長い仮設住宅の生活から復興公営住宅に、ことし節目になって生活が変わっていくんです。そのときに、これも支援する方に聞いたんですけれども、復興公営住宅に入った、これは物すごいきれいな建物なんですよ。私もお邪魔したんですけれども、広くてきれいで快適だろうと思ったら、実はちょっと違っていて、きれいな建物で、集会所のサロンで仲よくやっているように見えても、大震災で大きな喪失感を抱えたままである。そして、大きな空間、部屋の中に入ってしまって重い扉で囲まれてしまったら、すごい喪失感、孤立感、孤独感を抱えるという話を伺ったわけであります。

 そして、私が本当にショックだったのは、復興公営住宅に入った、抽選に当たって入れた方が、仮設住宅に戻りたいと言われたときは本当にびっくりしました。仮設のときの方が楽しかった。縁側でみんな寄ってきて、お茶飲み友達が集まってきた。それから、仮設住宅に入居したときも、抽選でコミュニティーが断ち切れてしまった。そして、せっかく仮設住宅でつくったコミュニティーも、今度、新たな生活のステージの中でまた断ち切れてしまった。ですから、避難所暮らしが終わった後が、これはまた新たな段階で必要ではなかったかというふうに思います。

 そこで質問なんですけれども、東北の被災者が、ようやく仮設住宅から新たな生活環境に移る段階でいろいろな悩みを抱えておられます。熊本地震の被災者の方も、ことし、三年目の仮設入居の期限を迎えるところであります。仮設住宅の段階と同様に、自立へのステップを今から迎える段階においても、被災者、特に高齢者の見守り、声かけ、コミュニティーづくりが大事ではないかなと思いますけれども、いかがでしょうか。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 仮設住宅に入居されている方など、被災された方々の生活環境の変化に対応して、孤立防止や地域コミュニティーの再構築を着実に支援していくということは極めて重要であるというふうに認識をしてございます。

 このため、厚生労働省では、被災地の社会福祉協議会等に相談員を配置し、仮設住宅に入居する方や、また、必要に応じ、今御指摘ございました災害公営住宅へ転居した方などに対しまして、住まいや被災者支援制度などの日常生活上の相談支援ですとか、孤立防止のための見守り、地域のコミュニティー構築などの支援を行ってきたところでございます。

 このような災害時における見守り、相談支援事業の円滑な実施に加えまして、一定の期間を経た後は、民生委員、児童委員等による平時における見守り、相談支援施策に切れ目なくシームレスに移行していくということにより、被災された方々の孤立の防止等を図っていくということが必要だと考えてございます。

 引き続き、自治体との連携を密にしまして、地域の関係機関のネットワークの強化、見守り体制の構築などを推進してまいりたいと考えてございます。

田村(貴)委員 ぜひその取組を継続して、そして拡充もしていただきたいというふうに思うわけであります。

 質問ではないんですけれども、一つ提案事項がございます。

 孤立する方をなくしていく、孤独感をなくしていくためには、やはり外に出るということが何よりも大事であります。お出かけですね。お出かけのために何が必要かというと、私はやはりコミュニティーバスだというふうに思っています。

 東日本大震災では地域公共交通確保維持改善事業という中でコミュニティーバスを運行しているんですけれども、条件が仮設住宅を経由するという流れになっています。でも、仮設住宅からいずれ出ていくわけですよね。新たな住宅に移っていくわけです。ここで孤立感を持っていくわけです。ですから、例えば、新たな復興公営住宅であるとか、そこと市街地、あるいは病院とか公共施設とか、それを結ぶところでコミュニティーバスというのが私は今から求められていくと思います。

 私の福岡県では九州北部水害がありました。集落ごとなくなっているんですね。そうしたら集落ごと再建できるかといったら、やはりばらばらに分断されてしまうということが今から予想されるわけであります。こうした事業を国土交通省、それから内閣府、厚生労働省が連携をとって、ぜひ必要に応じてこういう対処をしていただきたいと思います。

 最後に、被災者生活再建支援法の拡充について質問をします。

 これまで私は何度も求めてまいりましたけれども、被災者生活再建支援法の拡充は、被災自治体、被災者の悲願でもありますし、現状は、やはりこの法制度は支援制度に合っていません。

 去年十一月に全国知事会が被災者生活再建支援制度の拡充を政府に提言をいたしました。この一番目の項目は、支援法を半壊世帯に適用するということでもありました。

 この提言は非常に重要な提言だということで、私も去年十二月の本委員会で、政府がこれを重く受けとめて支援制度を拡充すべきだということで求めたところであります。山本大臣はそのときの答弁で、重く受けとめていきたい、そして知事会としっかり意見交換を重ねていきたいというふうに述べられました。

 その後の知事会との協議状況について、大臣、どうなっているでしょうか。

山本国務大臣 被災者生活再建支援制度につきましては、著しい被害を及ぼす一定規模以上の自然災害が発生した場合に、住宅に全壊や大規模半壊等の重大な被害を受けた世帯に対して、全都道府県の相互扶助及び国による財政支援により支援金を支給するものでございます。

 半壊世帯までの支給対象の拡大、これは全国知事会からもかなりの要望があったところでございますけれども、国や都道府県の財政負担等の課題もあり、慎重に検討すべきものというふうに考えておりますが、昨年十一月の全国知事会からの提言も踏まえまして、今現在、事務方において継続的に意見交換を行っており、まずは半壊世帯の実態把握が極めて重要であるとの認識を共有したところでございます。

 そのために、全国知事会と協力をいたしまして、半壊世帯における補修費等の情報を収集するとともに、生活再建に向けた課題等について、現在実態を把握しているところでございます。

 いずれにせよ、今後とも引き続き、被災者に寄り添いながら災害対応に努めてまいりたいと思っております。

田村(貴)委員 海堀統括官、具体的にこれは知事会と一緒に仕事をしているということの理解でよろしいんでしょうか。

 去年私が質問して、そのときからもう協議は始まっていると言ったんですけれども、大体、顔を突き合わせてどのぐらい協議されているのか。そして、今大臣から答弁があった半壊世帯の被害の実態把握、それから財政負担がどのぐらいだったのかというのは、どういう手法をもって被災地、被災自治体と被災者にアプローチするのか。その辺のところについて教えてもらえますか。

海堀政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまのお話にありました知事会との意見交換ですが、我々、国において、さまざまな方々にヒアリングをしたり、そういったことで得られた情報と、それから、これまで知事会が検討してきた情報などを、定期的に会合を開いて交換をさせていただいているというところでございます。

田村(貴)委員 どのぐらい協議されているんですか。

海堀政府参考人 これはメールなどのやりとりもありますので、回数ということは数え方はなかなか難しいんですけれども、月に一回とか、そういった形で、顔を突き合わせる会議も当然のことながら開かせていただいております。

田村(貴)委員 そういうテンポでされているというのであれば、ぜひ知事会のこの提言を実現に移す調査もされたいし、そして対策を前に進めていただきたいと思います。

 全国知事会は提言を出しっ放しにさせるわけにはいかないというふうにもおっしゃっていますし、そういう話も聞いてまいりました。速やかに結論を出して、そして、まずは半壊世帯への支援法の適用、支援策を拡充していくように強く求めて、きょうの質問を終わります。

 ありがとうございました。

望月委員長 次に、森夏枝君。

森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。

 災害対策特別委員会におきまして質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、早速質疑に入らせていただきます。

 昨年の臨時国会におきまして、御就任直後の山本大臣に、災害対策に対する大臣の御決意をお聞かせいただきました。このたびの大臣所信におきまして、被災地の方々の気持ちに寄り添いつつ、引き続き政府一丸となって、被災者支援、復旧復興対策に取り組んでまいりますとの御発言がありました。ぜひ、今後とも被災地の皆さんの気持ちに寄り添った支援、対策をお願いしたいと思っております。

 そこで、山本大臣に伺います。

 被災地の復旧復興に対する大臣の御決意を改めてお聞かせ願います。

山本国務大臣 お答えをいたします。

 昨年は大阪府北部地震、それから平成三十年七月豪雨、台風、それから北海道胆振東部地震など、大規模な災害が相次いで発生をいたしました。私自身も何度か被災地に足を運び、被災自治体の皆さん方との意見交換もしてきたわけでございますし、やはり、各地域、被災地によっていろいろと被災の形態が違うなということも改めて感じたところでもあります。

 政府といたしましては、被災地の復旧復興を更に加速するため、予備費を活用するとともに、平成三十年度第一次補正予算、及び、今回の国会で成立をいたしました平成三十年度第二次補正予算や平成三十一年度当初予算において、インフラの復旧や生活及びなりわいの再建に必要な措置を講じているところでもございます。被災された方々が安心して暮らせる生活や、被災した地域のにぎわい、これを一日も早く取り戻すことができるよう、今後とも被災地の皆様のお気持ちに寄り添いながら、引き続き被災者の方々の生活となりわいの再建に向けて全力を尽くしてまいりたいと思っておりますし。

 それから、我々はあくまでも災害から学ばなければならないことがある、何がどういうふうな形で問題だったのかということで、今さまざまな検証活動をしておりまして、ワーキンググループも立ち上がっております。そういった災害から得た知見というものを次の防災に生かしていかなければならない、そういう強い意識を持っての対応もしてまいりたいと思いますし。

 それから、予防的な防災という意味では、これは国土強靱化ということで、今現在、防災・減災、国土強靱化のための三カ年の防災対策がいよいよスタートをするわけでございますけれども、そういった意味での全国各地の重要インフラを含めた大事な対応策というものを今回の予算でしっかり、事業費ベースでは七兆円という大きな予算でございますけれども、しっかり対応策も打ってまいりたいというふうに思っておるところでございます。

森(夏)委員 大臣、ありがとうございました。

 本当に昨年は大変災害の多い年で、被災地に大臣みずから足を運んでいただき、自治体の皆様と意見交換をして、地域の被災された皆さんの声をしっかり聞いていただいて、今後、気持ちに寄り添った支援をしていただけるということで、大変心強く思います。そしてまた、先ほどお話ありましたけれども、災害から学ぶ、そして災害の教訓を生かす取組というのも、力強いお言葉をいただきましたので、ぜひ今後もしっかりとお願いしたいと思っております。

 私も、できる限り被災地へ足を運び、被災された皆さんの声を直接聞いてまいりたいと思っております。

 次に、防災士について伺います。

 災害時には、自衛隊、消防、警察、地域の役員やボランティアの方々、さまざまな方が救助救援活動に当たってくださっております。災害が起こるたびに命がけで救助活動に当たってくださっている皆様には心から感謝をしております。また、全国のボランティアの皆さんもさまざまな形で被災地支援活動をしてくださり、大変ありがたく思っております。

 最近、防災士の資格を取得する方がふえていると聞いております。また、防災士の方々が避難所等でも活躍していただいていると聞いております。

 防災士の男女比と年齢層について、お答えいただけますでしょうか。

海堀政府参考人 お答え申し上げます。

 防災士の資格認証を行っている日本防災士機構によりますと、平成三十年度末現在で、約十七万人の方々が防災士になっていらっしゃいますが、そのうち、男性の方が約十四万四千人、八五%程度、女性の方が約二万六千人、約一五%程度というような状況になっています。

 また、この認証を受けた、要するに資格取得時の年齢でございますが、これも平成三十年度末に資格を何歳のときに取得したかということを集計したところ、三十歳未満が約一割、三十歳から四十歳代が約四割、五十歳から六十歳代が約四割強、七十歳以上が約三%程度ということになっております。

 これら防災士を始めとした地域防災リーダーの人材育成を行うことにより、地域防災力の向上に努めてまいりたいと思います。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 女性の方も少しふえてきているとは思いますが、一五%とまだまだ少ないように思います。年齢層も少し高いように思いますし、取得時の年齢を今御紹介いただきましたけれども、少しずつ年齢も上がっていることと思います。

 災害時に役に立ちたいと個人的に防災士の資格を取得される方もいらっしゃると思いますが、地方自治体によっては、自主防災組織として防災士の配置目標を決め、地方自治体主催で防災士養成講座を行っていると聞きました。防災士の数をふやそうとすると、どうしても市の職員や消防団員、自治会の役員などに声がかかり、そういった方々が防災士の資格を取得していることが多いと聞きました。

 そして、いざ災害となると、市の職員は職員としての仕事があり、消防団員の方は消防団員として現場へ行かれるので、結局、防災士の資格を持っていても、防災士としてではなく、本来の仕事、活動をされます。実際に防災士資格を持っている消防団員の方からお話を聞きましたが、防災士の資格を取ったけれども、災害時に使えない、消防団に入っていない人に防災士になってほしいとおっしゃっておりました。

 自治会の役員の方は、御高齢の方が多いとのことで、実際に災害が起こったときに現場で動けるわけではない、やはり実際に災害時に動ける若者や女性に防災士の資格取得や消防団への入団をお願いする必要があるというお話も聞きました。

 もちろん、防災士として現場で御活躍いただいている方もたくさんいらっしゃいますので、そういう方々にはぜひ今後とも防災士として現場で御活躍いただきたいと思っております。

 しかし、私は、無理にお金をかけて資格取得をしなくてもよいのではないかという思いもあります。

 また、別の防災士の方からお話をお聞きしましたが、被災地で、防災士でもない、自治会の役員でもないある女性が、避難所の入り口で避難してきた皆さんに声をかけ、さまざまなサポートをしていた、これが本当の自主防災だと思った、これが本当に必要なものだと思ったというお話をお聞きしました。

 いざ災害が起こったときに実際に動ける知識を皆さんに身につけてもらうための講習会や啓発活動はどんどん行うべきだと思います。

 大臣所信の中にもございましたが、国民一人一人がみずからの命はみずからが守る意識を持ち、みずからの判断で行動する社会の実現に向けた取組をぜひお願いしたいと思っております。自主防災、自助、共助が大切ですので、防災教育、防災意識の啓発にも積極的に取り組んでいただきたいと思います。

 次に、避難所での女性特有の問題、わいせつ事案について伺います。

 東日本大震災や熊本地震の避難所で、体をさわられたり盗撮をされたりというようなわいせつ事案や性暴力被害があったと聞いております。被災をされ、つらい思いをしながら避難所に避難をしているところに、更に怖い思い、つらい思いをしている子供たちや女性がいることを知り、胸が苦しくなりました。

 避難所で起きたわいせつ事案に対して、把握しているものを教えていただけますでしょうか。また、避難所における性犯罪防止策等ありましたら、教えてください。

小田部政府参考人 お答えいたします。

 警察庁におきましては、発生場所が避難所やその周辺である犯罪の認知件数につきまして、網羅的には把握しているわけではございませんが、例えば平成二十八年に発生いたしました熊本地震におきましては、避難所での女性に対する犯罪等が把握されているものと承知しております。

 警察といたしましては、災害発生時には、女性警察官を含む応援部隊の派遣などにより体制を強化した上で、被災地域におけるパトロール活動の強化、被災者からの相談への対応や防犯指導などの取組を講ずることとしております。また、女性に対する犯罪も含めた犯罪被害を防止するため、各種犯罪の重点的な取締りを行っているほか、警察官に避難所や仮設住宅等を巡回させまして、性犯罪被害に遭わないための防犯指導、各種相談の聞き取りによる不安感の除去に努めているところであります。

 今後とも、災害が発生した際には、女性を含む被災者の方々の安全、安心を確保するための取組を的確に推進してまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 性暴力被害などは誰にも相談できず、事件として把握されないものもあると思います。先ほど、対策として、女性警察官をふやしたり、パトロールをしていただいているというような取組をしていただいているとのことですので、今後とも、こういった被害に遭ったという事例も、実際に表に出ていないものもあると思いますが、十数件であっても実際に出てきているわけですので、怖い思いをした子たちのそういう思いを無駄にしないためにも、次に生かす、次の災害が起きたときに避難所でそういった事件が起こることのないように、しっかりと対策をとっていただきたいと思います。被災者の心や体を傷つけることのないように、しっかりお願いしたいと思います。

 次の質問に参ります。

 ある避難所で、支援物資配布のための受付を男性防災士の方がやってくださっていたそうです。防災士の方々は活動していただきありがたいと思っておりますが、受付に女性がいないというのは問題だったとお聞きをしました。若い女の子や女性たちが、近所の顔見知りのおじさんたちから支援物資をもらうのに、下着のサイズを言ったり、生理用品が欲しいと口にできなかったそうです。やはり、避難所には女性スタッフが必要だとお話をお聞きしました。

 今後、女性防災士や女性のカウンセラー等、女性スタッフをふやす必要があると思いますが、女性スタッフをふやす取組について何か対策を考えられていらっしゃいますでしょうか。

海堀政府参考人 お答え申し上げます。

 昨今の災害におきまして、先ほどもいろいろ御答弁申し上げましたが、女性が避難所等でリーダーとなったり、あるいは、炊き出し物資の配布、避難所内のプライバシーの確保、あるいは避難所運営に取り組む事例が多くなってきておりまして、女性がそういった防災リーダーとして活躍することが非常に多くなってきております。

 具体的には、先ほど申しましたうわじまグランマとか、あるいは、NPOにおける避難所アセスメントを女性が主導されたというような例も聞いております。

 防災士についても、先ほど、現時点で、三十年度一五・五%と申しましたが、平成十六年度時点では四・六%でございましたので、そこから比べると、地域の防災リーダーとして昨今活躍していただいている女性の数は相当ふえてきているというふうに思っております。

 内閣府の男女共同参画局を中心に、平成二十五年五月に、いわゆる男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針というものを作成、公表するとともに、公共団体にこれを通知して、共同参画センターと連携しながら、地域における女性防災リーダーの育成や普及啓発を行っているところと聞いております。

 また、我々内閣府防災でも、毎年行っております防災推進国民大会において、女性の参画についてのセッションを持って普及啓発を行っております。

 こういったことを活用しながら、女性防災リーダーの育成を促進してまいりたいというふうに考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 女性防災リーダーの育成、ぜひ力を入れて取り組んでいただきたいと思います。

 次に、南海トラフ地震対策について伺います。

 三十年以内に七、八〇%の発生確率と言われている南海トラフ地震についてですが、地震の予知ができない今、いつ起こっても避難できるように、被害を最小限に抑えられるように、早急に防災・減災対策を進めなければならないと思います。

 大臣所信でも触れられておりましたが、南海トラフ地震に備えた防災対策について、山本大臣の御決意をお聞かせ願います。

山本国務大臣 南海トラフ地震は、今ほどお話があったように、今後三十年以内の発生確率が七〇から八〇%というふうにされております。想定される最大死者数は三十万人を超えるという被害の甚大性を考えますと、防災対策にしっかりと取り組んでいく必要があろうかと考えております。

 南海トラフ地震につきましては、南海トラフ地震防災対策推進基本計画に基づきまして、関係省庁と連携し、津波避難施設の整備や、あるいは住宅の耐震化等の防災対策を進めているところでございます。

 また、中央防災会議の下に設置をされましたワーキンググループにおいて、南海トラフ沿いでマグニチュード八クラスの地震が連続して発生する場合等に備えた防災対応のあり方の報告書、これを昨年十二月に公表いたしました。

 従来は、地震は予知できるという前提で大震法等々をつくっておりましたけれども、今どこでどういう形で地震が起こるかわからない、そういう状況の中で、もしも、南海トラフ、例えば東側でマグニチュード八以上の地震が起こった場合には、我々は半割れと呼んでおりますけれども、かなり高い確率で西側でも連動して起こるということがございまして、大変悩ましいことでございますけれども、ワーキンググループの専門家の先生方の御意見等々も頂戴いたしまして、一週間は避難してもらうということを決めました。その方向性について、ガイドラインにお示しして、各市町村に伝達をしたところでございます。

 一週間といいますと、八日目に起こるかもわからないといういろいろな不安もあるのでありますけれども、しかし、一つの方向性をしっかり決めておこうではないかということで、今ほどのような結論に至ったところでもございます。

 先ほど申し上げた報告書を踏まえまして、本年三月に、地方公共団体や企業が防災対応を検討していただく際に参考となる、津波に備えた事前避難などの考え方を示したガイドラインを公表いたしました。このガイドラインを参考に、地方公共団体、企業においては、具体的な防災対応の検討を行い、おおむね一年程度で地域防災計画等の修正を進めていただきたいと考えております。

 国におきましても、関係する基本計画を修正し、国、地方、民間における連携を通じて、防災対応の一層の向上に努めてまいりたいと思っているところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 南海トラフ地震は、起きてほしくないと思っておりますけれども、発生確率が高いということで、危機感を持って、想定外に備えてしっかりと防災対策をお願いしたいと思っております。

 先ほどお話もありましたけれども、専門家を交えワーキンググループも開催していただいて、取組を進めていただいておりますので、ぜひ今後も力を入れてお願いしたいと思います。

 南海トラフ沿いでマグニチュード八クラスの地震が連続して発生する場合に備えた防災対策について取り組んでいただいているということですが、やはり東日本大震災での福島第一原発のことを考えますと大変心配です。

 南海トラフ地震時には伊方原発や浜岡原発が影響を受ける可能性があると思いますが、原発の安全性について、どのようにお考えでしょうか。

櫻田政府参考人 お答えいたします。

 原子力規制委員会は、委員の御指摘がございました東京電力福島第一原子力発電所の事故、この教訓を踏まえまして、新規制基準を策定いたしました。

 この新規制基準は、原子力発電所に対しまして、地震、津波対策の強化でありますとか、過酷事故、シビルアクシデントと呼ばれてございますが、こういったものへの対策も要求をしているものでございます。

 具体的に地震対策について申し上げると、発電所が地震によってこうむる可能性のある最大の揺れの大きさというのをまず想定いたします。これは基準地震動と言ってございますけれども。この基準地震動に対して、原子力発電所の基本的な安全機能、とめる、冷やす、閉じ込める、こういった機能が損なわれないようにすることを求めています。南海トラフ地震のような巨大な地震についても、基準地震の想定の際には、当然のことながら考慮することになります。

 その上で、さらに、電源でありますとか炉心の冷却機能、こういった重要な機能が損なわれた場合もあえて想定をしまして、そのような場合においても炉心の重大な損傷に至ることがないような対策を講じることも求めてございます。

 そういった基準に対して、実際のプラントがこの要求事項と適合しているかどうかということにつきましては、プラントごとの審査において確認することとしてございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 安全性を求めて対策はとっていただいていると思いますけれども、東日本大震災は誰も予想、予知ができなかった規模の大震災でした。日本でも、しかも八年前にマグニチュード九・〇、震度七クラスの地震が起こったわけですので、最低でも東日本と同規模の地震を想定して、防災対策、対応を考える必要があると私は思っております。

 伊方原発の予想震度は六強とされていますが、震度七を想定して安全性の確保をすべきだと思っております。想定外でしたでは済まされないと思います。東日本大震災の教訓を生かし、対応をお願いします。

 次に、伊方原発の周辺住民の避難経路について伺います。

 南海トラフ地震が発生した場合、愛媛県伊方町の地形を考えますと、伊方町の住民が避難をするのは難しいのではないかと思います。実際に伊方町の方から不安の声を聞いております。避難経路について教えてください。

荒木政府参考人 お答え申し上げます。

 福島第一原子力発電所の教訓を踏まえますと、原子力災害に対しては、さまざまな複合災害を想定した準備が重要です。

 伊方地域原子力防災協議会の枠組みにおきましても、さまざまな複合災害への対応の観点から、仮に自然災害により一部の避難経路が不通になった場合も想定し、緊急時の具体的な対応を検討してきております。

 例えば伊方原子力発電所からおおむね五キロ圏内のPAZより西側の佐田岬半島は、狭隘な地形で避難経路が限られています。このため、陸路避難が可能な場合には陸路で避難をする予定でございますが、複合災害により陸路が制限される場合には、もちろん道路啓開に着手しつつ、例えば船舶による海路の避難や、あるいはヘリコプターを活用した空路の避難、また必要に応じて屋内退避をすることで住民の安全に全力を尽くしてまいります。

 さらに、不測の事態が生じた場合には、国や関係自治体からの要請により、実動組織が住民避難の支援を実施いたします。

 いずれにしましても、万が一原子力災害が発生した場合には、政府としても責任を持って全力で対処するとともに、人命を最優先に関係自治体を最大限支援してまいります。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 愛媛県でも避難訓練が行われ、五十名規模で海上保安庁の船やフェリーに乗り込み大分へ避難するという訓練をされたと聞いております。ですが、その訓練に参加した伊方住民の方から、訓練だからフェリー乗り場まで行くことができるけれども、実際、震度六、七クラスの地震で道路が寸断された場合にはフェリー乗り場に行くことは難しい、もう死ぬしかないと思って覚悟している、そのようなことを言われる方もいらっしゃいます。

 大臣も御地元は愛媛県ですので、私も出身は愛媛なんですけれども、不安の声というのは我々に届いております。先ほどお話ありましたけれども、一つの避難経路ではなくて、複数の避難経路をしっかりと準備をして、皆さんが避難できるように対策をとっていただきたいと思います。

 先ほども、全力で対応する、また、人命最優先だというお話をお聞きしました。もう死ぬしかないと言っているような住民の方もいらっしゃるので、そういった方に不安を与えないように、守りますよということをしっかり伝えていただきたいなと。不安に思われている方はたくさんいらっしゃいますので、ぜひお願いしたいと思います。

 南海トラフが起きたときには、伊方町も心配なのですが、太平洋側の地域は本当に避難経路が確保できるのかと思います。繰り返しになりますけれども、三十年以内に七、八〇%の発生確率ですので、高知県もそうですし、しっかりと南海トラフに備えていただきたいと思います。

 時間がなくなってまいりましたので、津波ハザードマップなどを作成していただいていると思いますが、避難経路が本当に何もないという状態が起きたときのために、各家庭に、カプセルボートのようなものはちょっと支給が難しいかもしれないんですけれども、防災スーツであったり、浮き輪であったり、水に浮く防災リュックのようなものの支給であったり、少しでも、避難路が断たれたときに津波に備えられる、そういった支援も考えていただければと思います。

 時間となりましたので、終わります。ありがとうございました。

望月委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 社会保障を立て直す国民会議の中島克仁です。

 大臣所信に対する質疑、時間をいただきましたので、質問させていただきます。最後の質疑者でございますので、どうかおつき合いをいただきたいと思います。

 先ほど来も岡本委員、田村委員からも質問をたびたびされておりますが、私からも、災害関連死、これを未然に防ぐという観点で、きょう、質問を中心に考えてきたわけですが、先ほども質疑されておりましたが、統一した定義ということは一歩前進かなというふうに思うわけですが。

 先ほどもどなたかが、熊本地震の際の関連死、約八割が関連死と。これは、直接死より関連死の方がふえてしまうということは、その後の対応、これは曖昧なままでは絶対いけないわけです。そのことは、きょうの質疑を聞いていても明確だと思いますし、大臣からは、数や内容を把握して、関係省庁と連携していくということでありますが、改めて、大臣に、災害関連死について、未然に防ぐ重要性、その認識とともに、未然に防ぐ対策、政府として具体的にどのようなことを対策されておるのか、お尋ねをしたいと思います。

山本国務大臣 お答えをいたします。

 災害時において、避難生活等が原因で亡くなる、いわゆる災害関連死を少しでも減らすように、政府全体として避難所の生活環境の改善に取り組んできたところでございます。

 避難所における生活環境の改善は、市町村が行うものではありますけれども、市町村向けの、避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針には、発災後には、簡易ベッド、これは段ボールベッドとも呼びますけれども、そうした簡易ベッド、それから簡易台所などの設備等を整備する等、生活環境の改善対策を講ずることを盛り込んでもいるところでございます。

 また、市町村による取組を促すだけではなくて、災害発生時に、現地において必要な物資を迅速に調達することが困難になったときに、政府において、被災者の命にかかわる生活必需品等のプッシュ型支援を実施するなど、支援を行っているところでもございます。

 さらに、今般、災害関連死の定義を行ったところであり、内閣府としても、その内容を把握し、避難所の生活環境の改善を行うことにより、災害関連死を減らしたい、また減らしてまいりたい、このように思っておるところでございます。

中島委員 災害関連死を未然に防ぎたいと大臣からお言葉はいただきましたが、先ほど来、話が出ていますが、三年前の熊本地震においては約八割、二〇〇四年の新潟中越地震の際に、これもやはり避難生活のストレス、疲労などからくる持病の悪化などで体調を崩して、全体の八割の方が関連死。東日本大震災でも、現段階でですが、三千七百人余りの方、そのうち六十六歳以上が九割近くを占めている。

 復興庁の、関連死の多かった自治体の千二百六十三人を対象に分析したところでは、原因別では、避難所生活疲労が最も多く六百三十八人、次に多かったのが避難所への移動中の疲労で四百一人、病院の機能停止や転院による持病の悪化が二百八十三人となっています。

 亡くなった時期は、時期別にいきますと、地震発生から一週間以内が全体の一八%、一週間から一カ月が三〇%、そして一カ月から三カ月が三〇%と、全体の約八割近くが三カ月以内に起こっているという事実。

 これは、今大臣からも避難所の生活環境の改善というお言葉がありましたが、当然、避難所の環境整備、また避難所の役割の明確化。特にこの明確化は、災害発生後三カ月以内に関連死が多数いることを鑑みると、非常に大事なポイントだというふうに思います。

 疾病リスクの高い方が関連死を引き起こしやすいという定義があるようでないような感じですので、かつて、たくさん、阪神・淡路から中越地震始め、昨年も西日本豪雨、北海道胆振と災害が続いておって、具体的に示すべきだというのは岡本委員からも御指摘がありましたが、やはりこれは今後明確に例示をしながらやっていく必要があるということを指摘をしながら、疾病リスクが高い方、また、障害を持っていたり、避難生活に配慮が必要な方、こういう支援が必要な方が避難されるべき福祉避難所、この現状について、設置状況とともに答弁いただければと思います。

海堀政府参考人 お答え申し上げます。

 福祉避難所についてでございます。

 福祉避難所につきましては、一定の事前に指定したものを指定避難所として公表するとともに、それとあわせて、事前に事業者などにお願いをして、福祉避難所として将来開設することが可能なものを確保しているというような取組をやっております。

 先般、千七百四十一市町村の方々に対してアンケート調査を行ったところ、平成三十年十月一日現在で福祉避難所として確保している施設数、これは二万二千五百七十九カ所ということになっております。

中島委員 設置されていない自治体は何カ所ですか。

海堀政府参考人 約二百というふうに伺っております。

中島委員 これは平成二十八年の時点で、私、避難所の設置状況といって通告してありますから、今、設置状況については二万二千余りというふうにお答えいただきましたが、平成二十八年の時点で設置していない自治体、百四十七カ所ということになっています。

 今、二百近くと言いましたが、設置していない自治体、もう一回答弁していただくのと、設置できていない理由について御説明いただきたいと思います。

海堀政府参考人 今回、平成三十年十月一日で調査をしたときに、それまで、これは市町村によって、この定義あるいは考え違いなどがありまして、事前に公表しているもの、あるいは、先ほども私が申しましたが、公表はしていないが確保しているもの、これらを混同して捉えられておりました。

 今回、我々、先ほど申しましたが、三十年の十月一日現在で避難所として確保している、いわゆる公表はできていないけれども確保している予定数みたいなものが、今二万二千五百七十九ということでございます。

 先ほど申しました、事前に公表していないところが二百ということで、ちょっと今、確実に、もう一回、数字の方は。

中島委員 これはちゃんと調べられた方がいいと思いますよ。

 この後、公表している自治体、していない自治体、福祉避難所を公表していない自治体の方が圧倒的に多い、その点についても事実確認をしたいと思っているんですが。

 実際に市町村が契約というか確保している福祉避難所の数、平成二十六年から二十八年にかけて、現在二万二千余りと言いましたが、数はふえているわけですね。ある程度ふえておる。しかし、一方で、設置していない自治体、その理由について、解釈の違いだという答弁はありましたが、私、先ほど言ったように、災害関連死を未然に防ぐ、そして、疾病リスクが高い方がしかるべき避難所に入るべきところに、その数が確保されておるかということを前提として話をしておるわけですから。

 では、ちょっと答弁、また加えますが、先ほどの加えた答弁と、もう一点、これは内閣府として福祉避難所は十分確保できている、もう十分数は足りているという認識なんですか。

海堀政府参考人 済みません。先ほど私ちょっと混同しておりまして、先ほどの約二百というのは、指定避難所を指定していない市町村数です。先ほど申しましたように、確保しているものというのは、先ほど先生がお答えいただいた数の状況で、ただ、三十年の十月一日現在では、都道府県ごとに集計を行ったために、今の市町村ごとの状況については現時点では把握をしておりません。

 これが足りているかどうかということでございますが、我々内閣府としては、福祉避難所の指定については、要配慮者の概数あるいは指定目標を各市町村で定めるようにガイドラインでお願いをしています。しかしながら、社会福祉施設が指定避難所として指定しづらい中で、発災時には多くの方が集まるという状況も踏まえると、要配慮者の方が、十分な数が足りているということではないというふうに認識しています。

 現在、指定避難所として指定している施設のみならず、協定等の締結により必要な避難所が発災時に確保されるよう市町村に促してまいりたいというふうに考えております。

中島委員 ちょっともう一回整理してお答えいただきたいんですが、まず数が足りているとか足りていない、内容が把握できていないわけですよね。

 市町村が確保している、この次の質問に関連するんですけれども、最新のが平成三十年と先ほど言ったけれども、実際、最新の福祉避難所の数、把握しているのは二十九年ということなのかどうかも含めてこれは一旦整理して、理事会でもいいですが報告をしていただきたいと思いますが、委員長、いかがでしょうか。

望月委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議いたしたいと思います。

中島委員 この件でそんなに時間をとりたくないんですが、資料の一枚目、そして二枚目。

 一枚目は三月十日の東京新聞の記事ですが、「福祉避難所 整備進まず」受入れ可能は対象の一八%という見出し。これは共同通信の調査の結果が記事になったものですが、全国の福祉避難所について、受入れ可能人数と利用する可能性のある対象者の両方を集計している十五府県で見ると、対象者百三十四万人に対して受入れ可能数は一八%の約二十四万人にとどまっておる。

 そして、資料の二枚目は、これは昨年の十月二十九日の朝日新聞ですが、こちらの方は二十四都道府県になっているんですか、そして収容数は対象の一割という状況になっています。

 これは、三月の共同通信の調査と昨年十月の朝日新聞の調査も若干違うんですが、先に確認ですが、この調査の記事の内容に対する事実確認と、実際各自治体にこのような調査をしているのか、お答えいただきたいと思います。

海堀政府参考人 先ほど、ちょっと混同していろいろお話ししていますが、数字について、今、東京新聞などで記事で書かれているもの、基本的には指定避難所という形で既に指定されているものの数が一八%あるいは一割しかないというような形で出しております。

 我々としては、先ほども私、お話しさせていただきましたように、指定避難所というものを指定しますと、発災時にその指定避難所に対象者じゃない方々も多く集まってしまった事例もあるということから、施設管理者の同意が得られず、なかなか指定が進まないという実態があって、この指定が非常に低い率になっているということでございます。

 そういったことを踏まえて、内閣府としては、要配慮者の方が実際に発災したときに必要な支援を受けられるように、指定避難所とあわせて、先ほど申しましたが、協定の締結などにより、発災時に必要な福祉避難所が開設されるような取組を市町村に促しているところでございます。

中島委員 私の理解が余りよろしくないのか、ちょっとわかりづらいんですが、私が見ているのは、内閣府さんが出している、平成二十八年、平成二十六年、避難所の数とそのうちの福祉避難所の数、これが平成二十八年十月の時点で二万百八十五となって、設置していない自治体が百四十七となっているわけですね。

 そして、この記事はアンケート調査ですよ。アンケート調査で、今、指定避難所かそうじゃないかということをおっしゃっていましたが、私が知りたいのは、いわゆる疾病リスクが高かったり、障害を持っている方、また妊婦さん始め、支援が必要な方が避難できる場所、その実態は一体どうなっているのか、この数字が、そういう支援が必要な方が入る場所ということでいいんじゃないんですか。どうなんですか。

海堀政府参考人 福祉避難所に入られる方というのは、さまざまな、その方々の様子によって違うということですが、先ほど先生からお話ありました二万という数字に対して、平成三十年の十月一日現在でアンケート調査したところ、二万二千五百七十九ということで、その部分については二千件ぐらいふえてはきております。

 ただ、先ほど申しましたように、対外的に指定をするということで公表すると、発災時に対象じゃない方もそこに多く集まってしまうということから、なかなか施設管理者などの同意が得られないということで、現在、そういった発災時において開設できるような、協定等で確保できる数を増加させるような取組を進めているというところでございます。

中島委員 じゃ、内閣府では、これは共同通信と朝日新聞でありますが、実際に指定している避難所、今、受け入れられない、発災時にというお話がありましたが、そういう調査はされて、ちゃんと数字としてあるということでよろしいですか。共同通信は一八%受入れが発災時に可能だという、十五府県でありますけれども、同様の調査を内閣府としてやっておるということでよろしいんでしょうか。

海堀政府参考人 先ほど来お話をさせていただいていますように、指定避難所の数については、御報告いただいておりますし、先ほど申しましたように、アンケート調査で、それ以外の確保している数についても、現在把握をしているというところでございます。

中島委員 堂々めぐりなんで、この話題、また改めて確認させていただきますが。

 三年前の熊本地震のとき、私も行きました。そして、東日本大震災、私は、気仙沼、医者でありますから医療ボランティアとして伺いました。やはり熊本地震のときも、災害が起こるたびに、いわゆる避難所、先ほども大臣から、いわゆる疾病リスクが高い方、熊本地震においても東日本大震災においても、そういう方が関連死に発展しやすいということは明確にわかっているわけです。そんな中で、支援が必要な方が入るべき環境、災害関連死を防いでいくため、未然に防ぐために、避難所の環境整備、この大前提、福祉避難所ですよね。

 改めてちょっとお尋ねしますが、この後、資料の三枚目、福祉避難所の開設公表二割と。先ほど少し触れましたけれども、全国の政令指定都市と県庁所在地五十一市のうち、開設をホームページなどで広く公表すると決めているのは二割弱にとどまることがわかったという取材の報道です。

 内閣府の方針では、これは、一般の避難所とともに福祉避難所も速やかに設置、開設ということを指導しているというふうに私は承知しておりますが、なぜ公表しないかという理由には、一般の方がたくさん来られて本来入るべき人が入れなくなる可能性があるということで公表を控えているという理由になっているんですが。

 確認ですが、福祉避難所は二次避難所ということでよろしいんですか。二次避難所。要するに、速やかに開設をして、そこから、入られた避難所、その中で必要な方が二次避難所として入る場所が福祉避難所という理解でよろしいんでしょうか。

海堀政府参考人 お答え申し上げます。

 福祉避難所について、一次、二次というようなことを明確に分けてはおりません。

 例えば、学校などの施設においても、例えば、介護関係の方を配備していただいて、そういった場所で開設することも想定しておりますので、一次、二次といったような区別は特段しておりません。

中島委員 速やかにということですよね。

 でも、公表していない市町村は、先ほども言ったように二次避難所として捉えている、だから、二割、それ以外の市町村は公表しないということをこの記事では言っておりますし、内閣府さんが出しておられる市町村アンケート、その中でも公表しない理由は同様の答えになっているわけですよ。

 でも、今答弁いただいたのはそうじゃないですよね。本来は事前に周知をして、そして、障害がある方、若しくは支援が必要な方、妊婦さんは速やかに一時的に福祉避難所に入っていただく、そのことを事前に市町村は周知をする、これでよろしいですよね。

海堀政府参考人 お答え申し上げます。

 我々としては、一般的に、福祉避難所を公表すると、先ほど先生から御指摘いただいたような、さまざまな方が集まってしまうというようなことで、なかなか難しいという中で、いわゆる市町村職員、あるいは要配慮者、あるいはその家族など、要支援者を支援するような方々に周知をするというようなことも徹底して、そういったことを円滑に進めていきたいというふうに考えているところでございます。

中島委員 市町村がそれぞれ対応して判断する、もちろん地域事情も違いますから、そこも大事だとは思いますが、大臣も強くおっしゃっていたように、災害関連死を未然に防ぐ、その第一歩。

 そして、これは東日本大震災のときも、一週間から一カ月の間、そして一カ月から三カ月の間、もちろん災害の規模、また内容、もちろん季節も違います。一概には言えないと思いますが、私も、東日本大震災、熊本地震、やはり、その環境面、トイレの設置一つとっても、でも、そういう話になると、これは環境省だという話になったり、先ほどどなたかも言っていましたが、一体的に捉えられない、取り組めない現状があるんです。

 内閣府がガイドラインで示しているのは、開設、福祉避難所についても、速やかに周知するよう求めている。一方で、二割の自治体しか周知していない。その理由は、今何度か答弁されましたが、一部の市町村は福祉避難所を二次避難所として捉えておる、やはりこのことは、全国各地二万以上あるということですけれども、福祉避難所がどういう役割を果たすのか、そして、先ほど言った災害関連死を未然に防ぐ、もう本当に第一歩だと思います。

 このことは、やはり、内閣府さん、しっかりと各市町村に明確に示すべきだと思いますし、そして、地域に住んでおられる妊婦さんであれ、疾病リスクが高い方が速やかに福祉避難所に避難できる、そういった体制を整えるべきだと私は考えますが、大臣、いかがでしょうか。

山本国務大臣 仰せのとおりでございまして、福祉避難所、これも我々としてはしっかり整備をしていかなければならないということでございますし、また、ここが適正に機能するために、どういうふうな公表の仕方をしていくかということも、これも実のところ悩ましいところでもありますけれども、そういったことも踏まえて、より充実した形に持っていけるように努力をしてまいりたいと思っています。

中島委員 時間ですので、残余の質問、またの機会にいたしますが、いつ災害がまた起こるかわからない。この関連死、先ほど冒頭にも言いましたが、直接死よりも関連死の方がふえてしまうようなことは絶対に防がなきゃいけない。答弁では一生懸命やりますと言いますが、きょうのお話を聞いていて、第一歩である福祉避難所の整備、また周知ができていない。真剣味、もっと持っていただきたいということを述べて、質問を終わります。

望月委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五十二分散会


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