第4号 令和元年5月24日(金曜日)
令和元年五月二十四日(金曜日)午後一時開議
出席委員
委員長代理理事 福井 照君
理事 藤丸 敏君 理事 堀井 学君
理事 三ッ林裕巳君 理事 三原 朝彦君
理事 岡島 一正君 理事 岡本 充功君
理事 稲津 久君
小倉 將信君 大岡 敏孝君
大隈 和英君 鬼木 誠君
金子 俊平君 金子 恭之君
神山 佐市君 高村 正大君
坂本 哲志君 杉田 水脈君
田野瀬太道君 高木 啓君
谷 公一君 谷川 とむ君
中谷 真一君 根本 幸典君
百武 公親君 福山 守君
藤原 崇君 古川 康君
穂坂 泰君 宮川 典子君
渡辺 孝一君 大河原雅子君
岡本あき子君 高木錬太郎君
堀越 啓仁君 森山 浩行君
早稲田夕季君 小宮山泰子君
近藤 和也君 白石 洋一君
山岡 達丸君 赤羽 一嘉君
遠山 清彦君 田村 貴昭君
森 夏枝君 中島 克仁君
…………………………………
国務大臣
(国土強靱化担当)
(防災担当) 山本 順三君
内閣府副大臣 中根 一幸君
内閣府大臣政務官 舞立 昇治君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 海堀 安喜君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 多田健一郎君
政府参考人
(総務省自治行政局公務員部長) 大村 慎一君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 岡村 直子君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 八神 敦雄君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 諏訪園健司君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 山本 麻里君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長) 橋本 泰宏君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 島田 勘資君
政府参考人
(資源エネルギー庁電力・ガス事業部長) 村瀬 佳史君
政府参考人
(国土交通省北海道局長) 和泉 晶裕君
衆議院調査局第三特別調査室長 武藤 裕良君
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委員の異動
五月二十四日
辞任 補欠選任
小倉 將信君 藤原 崇君
金子 俊平君 百武 公親君
金子 恭之君 穂坂 泰君
小林 史明君 福山 守君
鳩山 二郎君 谷川 とむ君
船橋 利実君 鬼木 誠君
宮路 拓馬君 古川 康君
池田 真紀君 岡本あき子君
菊田真紀子君 大河原雅子君
近藤 和也君 白石 洋一君
山岡 達丸君 小宮山泰子君
佐藤 英道君 赤羽 一嘉君
同日
辞任 補欠選任
鬼木 誠君 渡辺 孝一君
谷川 とむ君 鳩山 二郎君
百武 公親君 金子 俊平君
福山 守君 小林 史明君
藤原 崇君 小倉 將信君
古川 康君 宮路 拓馬君
穂坂 泰君 金子 恭之君
大河原雅子君 菊田真紀子君
岡本あき子君 堀越 啓仁君
小宮山泰子君 山岡 達丸君
白石 洋一君 近藤 和也君
赤羽 一嘉君 佐藤 英道君
同日
辞任 補欠選任
渡辺 孝一君 船橋 利実君
堀越 啓仁君 池田 真紀君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
災害対策に関する件
災害弔慰金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案起草の件
被災者支援制度に関する件
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○福井委員長代理 これより会議を開きます。
委員長が所用のため、その指名により、私が委員長の職務を行います。
災害対策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官海堀安喜君、総務省大臣官房審議官多田健一郎君、総務省自治行政局公務員部長大村慎一君、文部科学省大臣官房審議官岡村直子君、厚生労働省大臣官房審議官八神敦雄君、厚生労働省大臣官房審議官諏訪園健司君、厚生労働省大臣官房審議官山本麻里君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長橋本泰宏君、経済産業省大臣官房審議官島田勘資君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長村瀬佳史君及び国土交通省北海道局長和泉晶裕君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○福井委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○福井委員長代理 質疑の申出がありますので、順次これを許します。森山浩行君。
○森山(浩)委員 立憲民主党の森山浩行でございます。
一般質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。
阪神大震災から、来年二十五年を迎えます。四半世紀でございます。私も、選挙区にほど近いということもありまして、直後のボランティア、あるいはテレビの報道記者として、ドキュメンタリーのディレクターとしてかかわってまいりましたが、生活再建という部分につきましては、法律のない中でございました、ダブルローンなど多くの課題があった中で、当時の貸付制度で借りたお金をいまだ完済できていないというような事例もございます。積み残された問題にはぜひ取り組んでいただきたいというふうに思っております。
さて、質問に入ります。
大きな災害が起こりますと、全国からボランティアが集まる。これはもう、阪神大震災以降の大災害においては常態化した日本の姿でございます。それまでとは違って、自発的に多くの人たちが集まってくる。そして、最初に着いた人たちから、自分たちの経験をもっていろいろな活動を展開をしていくということでございますが、実は、それに対して、じゃ、行政の側がどれだけの対応ができるかというと、初めて地震に遭った、初めて水害が来た、こういう状況の中で、十分な対応ができないという事例も珍しくございません。
例えば、政令指定都市では、お互いに助け合うというようなシステムを自治体間でつくり上げたり、あるいは、東日本大震災におきましては、対口支援というような形で、県と県を結んで、その中でお互いに助け合うというようなこと、自立的に、自主的に、自治体間の応援職員の制度等がありまして、特に、応援職員で派遣される皆さんというのは、幾つもの災害を経験をしてきた、経験のある方が多いということもございます。
こういう形で、初めて大きな災害に遭った、しかも、小さな自治体であれば、なかなかマンパワーもままならないというような状況の中で、国としてもしっかり積極的にバックアップの体制に取り組むべきだと考えますが、現在の取組状況についてお伺いをしたいというふうに思います。
○大村政府参考人 お答えをいたします。
今御指摘のとおり、大規模な災害に際しましては、災害応急対策を行う被災した市区町村への迅速かつ相当規模の応援職員の派遣ということは必要不可欠となってまいります。
そこで、総務省では、昨年三月に、大規模災害発生時の短期の応援職員の派遣の仕組みとして、全国知事会などと協力をして、被災市区町村応援職員確保システムというものを構築いたしました。
このシステムは、避難所運営ですとか罹災証明書の交付等、災害対応業務の支援などを行うために、都道府県又は指定都市が被災市区町村に対して応援職員を派遣するというものでございまして、応援側の都道府県には、区域内の市区町村と一体的に支援をするということにしていただいております。
実際、平成三十年の七月豪雨及び北海道胆振東部地震におきましては、このシステムを提供いたしまして、延べ一万七千九百八十四名の応援職員を派遣いたしました。また、被災市区町村の首長さんへの助言等を行う災害マネジメント総括支援員につきましても、三十二名を派遣いたしました。
これらの災害の教訓を踏まえまして、ことし三月には、災害マネジメント総括支援、個人、単独での派遣にかえまして、チームでの派遣を基本とするなどシステムの充実を図ったところでございます。
今後とも、このシステムの円滑な運用に努めてまいりたいと考えております。
○森山(浩)委員 ありがとうございます。
外国の事例なども参考にしながら、たくさんの制度をつくっていかなきゃいけないと思いますが、ぜひ取り組んでいっていただきたいというふうに思います。
特に、床にそのまま寝るというようなことになるのが二次災害あるいは災害関連死を引き起こすなどというような話もございます。ベッド、キッチン、トイレ、こういった部分も含めて、難民キャンプに行くよりもひどい状況だと言われるような日本の避難所の状況などもしっかり改善できるように、国を挙げて頑張っていただきたいというふうに思います。
さて、ここにありますのが、平成二十八年熊本地震におけます熊本市女性職員五十の証言という冊子でございます。熊本地震、非常に大きな災害の中で、それぞれの持ち場持ち場で、初動、あるいは災害対策本部、避難所、物資、給水、罹災証明、住宅、震災廃棄物、所属業務のこと、家庭と災害対応などのそれぞれの職員さんたちが、自分たちの経験をもとに数字を交えて報告を書いているものでございます。
共有をするというところ、そのときそのときで被災の状況というのは変わってくるのでありましょうけれども、共通の部分というのも非常に大きいというふうに思います。仙台市でも似たようなものをつくられているということでありますけれども、被災自治体におけます被災者救済の経験について、失敗事例なんかも含めまして、今後発生をする災害のときにおいて、自治体の業務に生かしていくことが本当に重要だというふうに考えます。
経験値でしか補えないというような部分も非常に大きいわけですが、いかに多くの人に共有をするかという部分について、国としてどのように取り組んでおられますでしょうか。
○海堀政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のとおり、災害を経験した自治体のノウハウを他の自治体の災害対応に生かすことが大変重要であるというふうに考えております。
内閣府といたしましても、毎年、消防庁との共催により、全国の市長を対象とした全国防災・危機管理トップセミナーを開催させていただいておりまして、平成三十年度は、六月に九州北部豪雨の被災自治体である大分県日田市長を講師として招き、約二百人の首長さんに講義を聞いていただいたところでございます。
今年度は、六月十二日に市長向けのトップセミナーに広島県の広島市長を、また七月七日に町村長向けのトップセミナーに北海道の厚真町長を招きまして、それぞれの経験に基づく災害対応について御講義いただくことを予定しております。
今後とも、被災自治体におけます災害対応等の経験を他の自治体の対応に生かしていく取組を推進してまいります。
○森山(浩)委員 ありがとうございます。
どうしても、研修となると、一部の直接担当する人や、あるいはトップ、そしてよっぽど何か関心があるという職員さん以外にはなかなか細かいところまで伝わりにくいという部分もあります。研修は非常に大事ですが、何かのときに引けるような形で冊子に残すとか、あるいはこのページに行ったら細かいことが読めるよというようなものも含めて整理をいただきますように、これはお願いをしておきたいというふうに思います。
さて、先日、四月十一日の衆議院災害対策特別委員会で、高木委員を始めといたしまして、災害関連死についての議論が行われました。
改めて、災害関連死の定義を確認をしたいと思います。
○海堀政府参考人 お答え申し上げます。
災害関連死を減らすためにも、まずその数を把握することが重要であると認識しまして、その前提となる災害関連死の定義を、負傷の悪化又は避難生活等における身体的負担による疾病により死亡し、災害弔慰金法に基づき災害が原因で死亡したものと認められたものとし、関係省庁で共有するとともに、自治体に対して周知したところでございます。
○森山(浩)委員 確認をしたいのですが、当該災害における負傷の悪化又は避難生活等における身体的負担による疾病というふうになっていますけれども、これは精神疾患による自殺といった事例は含まれるんでしょうか。
○海堀政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど御答弁申し上げました定義の疾病により死亡したものには、避難生活等における身体的負担によるものであれば、精神疾患による自殺も含まれると解しており、その旨は既に都道府県等にも周知しているところでございます。
○森山(浩)委員 そうですね、これは、等と入れなくても自殺も入っているということで、しっかり伝えていただいているということですが、文書になっていると抜けちゃうこともあるでしょうから、これは繰り返しきちんとお伝えいただくようにお願いをしたいと思います。
また、括弧ですかね、実際には災害弔慰金が支給されていないものも含めるがというふうにありますけれども、これはどんな事例がありますか。
○海堀政府参考人 お答え申し上げます。
これは、災害弔慰金の支給が、例えば遺族の方々、皆さん亡くなってしまって、いないというような場合、この部分が支給されていないというようなものを含めるという趣旨でございます。
○森山(浩)委員 ありがとうございます。
これは、まずは行政がどのように受けるかという定義でもありますけれども、自分があるいは家族が災害関連死に当たるかどうか、あるいはお医者さんがこの患者さんはどうだというときに誤解のないように、きちんと広く関連死を認められるように、これは徹底をお願いをしたいというふうに思います。
さて、ということで、定義が定まってきたわけなんですけれども、それでは、国で、過去の災害関連死の事例というものは収集をされておりますか。
○海堀政府参考人 お答え申し上げます。
復興庁において、東日本大震災の震災関連死について、市町村から報告を受けたものの原因等を整理したことはあると伺っておりますが、全国的に災害関連死の事例収集を行ったことはありません。
○森山(浩)委員 大臣、お聞きになりましたか。市町村による災害関連死の認定が適切に行われるように、過去の災害も含めた事例収集、それからそれを公表するということ、これが大変重要だというふうに思います。
四月十一日の衆議院災害対策特別委員会では、過去の災害の事例収集等については政府からの言及はありませんでしたけれども、改めてこの点について、今後、政府としてどのように取り組むのか、大臣にお伺いをしたいと思います。
○山本国務大臣 お答えをいたします。
災害時において避難生活等が原因で亡くなる、いわゆる災害関連死を少しでも減らす、そのために、政府全体として、避難所の生活環境の改善に取り組んできたところでございます。
災害関連死を減らすためにも、まずはその数を把握することが重要であるというふうに考えられることから、先日、災害関連死の定義を定め、関係省庁と共有するとともに、自治体に周知をしたところでもございます。
お尋ねの災害関連死の事例収集については、東日本大震災や熊本地震等の過去の災害関連死の認定例、判例等を収集、分析し、整理した上で公表したいというふうに考えております。
○森山(浩)委員 ありがとうございます。
過去の災害関連死の事例につきまして、収集をした上で公表したいということで、初めて政府から答弁をいただきました。大臣、ありがとうございます。
これは本当に大事なことだと思っておりまして、これまで、亡くなった方、どうして亡くなったのか、先ほど熊本の冊子を御紹介をいたしましたけれども、直接死よりもはるかに多い方が関連死という形で亡くなっている。車で寝ていたら、そこでエコノミー症候群になって亡くなってしまった。あるいは、今の状態、避難所の状態を苦にして自殺をされる方もおる。このようなこと自体がまずなくしていかなきゃいけないということだというふうに思います。
それと、ちょっと、災害関連死という言葉についてなんですけれども、昔、いじめという言葉ができる以前は、子供たちの自殺というのは、交友関係に悩んで自殺というふうに新聞等では報道をされておりました。交友関係に悩んで自殺というような形になると、世の中の人は、ああ、そうか、青春の時代はいろいろと悩むこともあるよなということで流されていた部分であったかと思います。
それに対して、いじめという言葉が出て、いじめ対策をしなきゃいけないというふうになってきた中で、ようやくいじめという社会問題としての取組が始まり、また、それを世論が後押しをするという大きな流れがあったかと思います。
これもやはり、時間もかけて、あるいは言葉のつくり方も含めて、十分な影響力があった話だと思いますけれども、この災害関連死というのも、非常に大きな犠牲を生んでいるという状況であるにもかかわらず、なかなか、行政用語としての関連死というふうな形になってくると、イメージがもう一つ湧かないという部分があるかと思います。
私自身も、何かいい言葉はないかということで、いろいろな人に聞いたり、あるいは自分でも考えたり今しているところでありますけれども、災害関連死の定義をした、そしてこれから事例を収集をし、公表をしていくというような状況の中で、まずはこんな形で伝えていこうというような中心概念を一つ言葉として確定をしていくようなこと、いろいろな人と協力をしながらやっていきたいなと思っております。
政府の方でもそのような問題意識を持っていただいて、何とかこの災害関連死を防いでいくという世論の盛り上げをともにやっていきたいなというふうに思います。
海外の事例などを見ておりましても、先ほどちょっと、ベッドあるいはキッチン、そしてトイレというようなお話をしました。ちゃんと設備があれば救える命が、設備のないことによって奪われてしまっているという状況なんかも、実際、災害が起こったときには、段ボールベッドを入れていいよという通達が行くわけですよね。今、そういう状況になっている。でも、ふだんから段ボールベッドを置いておきなさいよ、あるいは、きれいなトイレをつくれるようにしておきなさいよという指示がないから、災害が起こった自治体だけが、問合せをした上で、そこから物をそろえるというような状況になっています。
このようなこともしっかりふだんから意識をして、ちょっと、多分、使っていい予算というものをふやしていくということで対応できることではないかというふうに思いますので、やはり命を守るという観点から、災害が起こった後、災害関連死をいかに減らしていくか、これは事例を収集していく中で、更に細かいいろいろな問題点が浮かび上がってくると思いますので、引き続き議論をしてまいりたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いをいたします。
ありがとうございました。
○福井委員長代理 次に、山岡達丸君。
○山岡委員 山岡達丸と申します。
本日は、委員会質疑の機会をいただきまして、委員長、理事、委員の皆様に心から感謝を申し上げますとともに、山本大臣におかれましては、またあるいは副大臣そして政務官の政務の皆様も、本当に公務が忙しい中、御対応いただきますことに敬意を表しながら、きょうは、災害対策等の一般質疑ということで、私は北海道で活動させていただいている身でありますけれども、北海道胆振東部地震のことに関連して少し質疑をさせていただければと思います。
北海道胆振東部地震の分析もさまざま行われているわけでありますが、こちら、今、手元に、「地震がわかる!」という、地震調査研究推進本部という、文科省の研究開発局が事務的には担当している、そうしたところの中身を読ませていただくに当たって、この北海道胆振東部地震の震災があった場所、十キロ西には活断層があるということはわかっているわけでありますが、しかし、このマップの中にある地震の確率の高いエリアとして、必ずしも最高値の場所ではないという中で震度六を超える大きな震災があったという状況でありました。
これは、普通に考えますと、今政府に伺いますけれども、このマップは毎年更新されているようでありますが、来年度にはこの胆振東部地震の場所を地震の危険性の高い場所だということに改められるというのが一般的な考えだと思いますが、いかがでしょうか。まず伺います。
○岡村政府参考人 お答えいたします。
政府の地震調査研究推進本部では、科学的根拠に基づいて、考慮し得る全ての地震の位置、規模、確率に基づきまして、各地点がどの程度の確率でどの程度揺れるかをまとめて計算しまして、その分布を確率的地震動予測地図として示しております。
今回の北海道胆振東部地震で得られました知見につきましては、一定の学術的評価が得られた段階で、地震動予測地図の更新に用いられることになります。(山岡委員「来年は」と呼ぶ)
これは、やはりきちんとした学術的な評価が出ました、その段階ということになりますので、今その時期について確定的に申し上げることはできませんが、遅々としてやるのではなく、学術的評価をきちんとやらせていただきたいと思います。
○山岡委員 今御答弁ありましたけれども、毎年更新しているわけでありますけれども、結論から言えば、今のお話で言えば、来年度の段階ではそうしたことが十分に反映されるということではないということなんです。学術的な結論が得られるまでその予測図は変わらないと。
そして、そもそも、そういう、科学的根拠ということもおっしゃっておられましたが、これまでないとされていた場所で地震があるという、どこで地震があるかわからないということになりますと、地震マップ、せっかくつくっていただいているわけでありますけれども、大臣に伺いますけれども、事防災ということに関して言いますと、やはり、こうしたことも重要なわけでありますが、ある種、どこでも震度六以上の地震が起こる可能性があるという状況であるとしたら、どのような考え方をもって大臣はこの災害対策あるいは防災に当たっていかなきゃならないとお考えでしょうか。
○山本国務大臣 地震対策の検討に当たりましては、古文書等の資料の分析、地形、地質の調査などの科学的知見に基づく調査を通じて、できるだけ過去にさかのぼって地震の発生等をより正確に調査することにいたしております。
しかしながら、現在の知見では全ての活断層を把握することは困難であり、存在の知られていない断層により地震の被害が発生することも考えられるところでございます。
このため、例えば、平成二十五年に取りまとめられました、中央防災会議首都直下地震対策検討ワーキンググループによる「首都直下地震の被害想定と対策について」におきましては、マグニチュード七クラスの地震はどこで起きるかわからないことから、都心南部直下地震に限定することなく、全ての地域での耐震化等の対策を講じる必要があるというふうにしているところでございます。
日本国内ではどこでもある程度の規模の被害を伴う地震が発生する危険性があることを踏まえまして、関係機関と連携し、地震に強い町づくり、迅速かつ円滑な応急対策への備えなど、防災・減災対策に努めてまいりたいと思っております。
○山岡委員 大臣のお話にありましたけれども、どこで起こるかわからないということもはっきり申されて、科学的根拠、過去にさかのぼってという話もあるわけでありますが、毎年更新しているこういうデータが、できるだけ早くとおっしゃいましたけれども、現に北海道胆振東部、今まで言われていないところで起こったということは、まずその事実も、過去というか現在起こったことでありますので、いち早い更新とともに、そして、どこで起こるかわからない地震への全体の対応は図っていただきたいという思いであります。
あわせて、きょうは少し北海道のこの胆振東部地震に関連して伺うわけでありますけれども、今、北海道の大きなトピックの一つでありますけれども、先住民族であるアイヌ民族の方々が、これまでさまざまな御労苦の中で、先日、アイヌの皆様をめぐる新しい法律ができ、その中で、いわゆる民族共生象徴空間、ウポポイというアイヌの皆様の文化の発信拠点をつくるということが国立の中で決まったという、大きな、ありがたいニュースといいますか、そういう動きもありますが、これは菅官房長官が肝いりの中で、年間百万人を来場者として見込むということを言っていただいていて、計算しますと、やはりピーク時には一日数万人だということもあると思います。
やはり、来年はオリンピックもありますが、来年オープンするわけでありますけれども、外国人の方も多く訪ねてくるということが想定されます。北海道でありますから、冬になれば氷点下十度、マイナス十度というような状況の中で、今まで起こったこともなかった、今まで想定されていなかったいわゆる胆振東部地震があったということで、そこまで遠い場所ではない、まあ近いわけではないんですけれども、やはり、このいわゆる共生象徴空間、国立のものでありますので、ここの震災のときにどのような対応をする、そのことまで想定されているんでしょうか。政府に伺います。
○和泉政府参考人 委員御指摘の点についてお答えいたします。
来年、令和二年四月に開園予定の民族共生空間、ウポポイという愛称になっておりますけれども、年間来場者数百万人を目指して整備を進めているところでございます。
この施設、百万人という数字を考えましても、災害時における来場者の安全の確保は極めて重要であるというふうに考えているところでございます。このため、まずは、国立アイヌ民族博物館を始めとするウポポイ内の各施設は、耐震安全性能や防火対策を始めとする安全対策に万全を期しながらその整備を進めております。
さらに、現在、令和二年四月の開業に向けて、ウポポイの管理運営を行う公益財団法人アイヌ民族文化財団、これは指定法人となっておりますけれども、この財団と一体となりまして、災害時対応に係る準備も進めているところでございます。
具体的には、地方自治体、消防、警察などの防災関係機関との連携を含む体制づくりや、それに加えまして、初動時の避難誘導、園内被災者の救助に係る手順づくり、外国人や障害を有する方々の要支援者への支援策等の準備を進めているところでございます。
特に、外国人来場者に関しましては、園内における外国語による誘導案内表示や声かけ等の避難誘導措置を必要と考えており、対応を図ってまいるところでございます。
あわせて、開業前に職員が災害対応に関するスキルを身につけ、災害がいつ発生しても来場者等の安全確保に円滑に対応できますよう、マニュアルの作成や避難誘導訓練等に取り組んでまいる所存でございます。
なお、本日施行されましたアイヌ施策推進法第二十二条によりますと、指定法人は、民族共生象徴空間の管理業務に関する規程を定め、国の認可を受けなければならないということになっております。この認可等を通じまして、ウポポイにおける災害時対応についても、国として万全を期してまいる所存でございます。
以上でございます。
○山岡委員 済みません、短くお答えいただければと思うんですけれども、それは来年度のオープンまでに全て完了するということでよろしいでしょうか。伺えればと思います。
○和泉政府参考人 その予定でございます。
○山岡委員 今、国が認可という話もありましたが、国立でありますので、これは責任を持ってぜひ対応していただきたい。すばらしい施設であるとともに、やはりこういう想定し得ないことも起こるということも念頭に置いておかなきゃいけないと思うわけであります。
あわせて伺いますけれども、今、現時点で、このつくられる場所というのは、これまで町にとっては避難場所の一つでもありました。この機能は、外国人とかも含めた観光客もそうなんですけれども、町民の方もこれまでそういう活用をしていた中で、これから国立ということで運営がされるようになりますが、この避難所としての役割、機能というのは持たすのでしょうか、これはどのようにお考えでしょうか。
○和泉政府参考人 御指摘につきまして、災害発生時におきましては、ウポポイを地域住民の一時避難所として活用することを現在検討しているところでございます。
このため、ウポポイ内におきます災害対応時のマニュアル化、それから避難誘導訓練などに取り組んでいくこととしておりますが、いずれにしましても、ウポポイの公共施設としての性格にも鑑み、地域とも連携しつつ、災害時における地域のウポポイの役割の重要性を考えておりまして、その役割、機能を高めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○山岡委員 避難所としての機能も、一時避難の場所ということで役割を検討していくんだということで御答弁いただいて、非常に安心をしたところであります。どうか、国立といっても、地元の自治体と連携する中で、町民の方の理解と支えがあってまた運営していくことも踏まえて、ぜひ十分に連携を図れるよう、そしてそういう緊急時には対応できるようお願いをさせていただきたいと思います。
関連して、これは質問通告をしていなかったんですが、大臣にお伺いしたいと思います。
非常にアイヌの皆様は、こうした新しい動きの中で、今、意欲的にこのウポポイの役割という中でいろいろな発信をしていこうと思うわけでありますが、大臣の御所見として、この国立の施設についての防災あるいは災害対応の役割と、どういうような評価をお考えか、大臣の見解もお伺いしたいと思います。
○山本国務大臣 ウポポイにつきましては、国交省等の所管でございまして、私、具体的にまだ十二分には中身を存じ上げておりませんけれども、先ほど国交省から答弁がございましたとおり、ウポポイは、アイヌ文化の拠点としてだけでなく、地域住民の一時避難場所等として開放されることもあるものと聞いておりますので、地域の防災拠点として活用されるよう国交省とも連携をしてまいりたいと思っております。
○山岡委員 ありがとうございます。防災担当大臣ということでお伺いをしました。
もちろんこの政策そのものは国交省のマターではありますが、この胆振東部の大きな地震があったということも踏まえて、ぜひ大臣にも御関心を寄せていただいて、もし機会があれば、また現場も足を運んでいただければありがたいなという思いであります。
残りの時間で、少し過去にも質問させていただいたさまざまな課題等を含めまして政府にお伺いしたいと思います。
私、四月十七日に内閣委員会で質疑をさせていただいて、そのときは菅官房長官が答弁いただいたんですけれども、北海道胆振東部地震の中で、どうしても制度上のはざまの中で、神社仏閣等に対しての支援が十分に進んでいないということの課題がありました。
そのとき菅官房長官は、難しい課題ではあるということも言いつつも、自治体と連携して対応を図っていきたいという趣旨の御答弁がありましたが、委員会は違うんですがせっかくの機会でありますので、きょうは災害にかかわる質問ということで、政府にお伺いしますが、今この対応、対策状況はどのようになっているでしょうか、伺います。
○多田政府参考人 お答えをいたします。
御指摘のございました北海道胆振東部地震により被災した神社等の再建でございますけれども、地元自治体と連携を図ってまいるということで、いろいろやりとりをさせていただいております。
そういう中で、現在、北海道庁におきまして、今年度の当初予算に計上されました地域づくり総合交付金というのがございます、この活用による支援策について被災市町村と協議を行っていらっしゃいます。
これは具体的には、地域づくり総合交付金を活用いたしまして、地域、集落のコミュニティーを維持するために復旧が必要な施設として支援を行う方法、あるいは、町が文化財に指定をされるということにより支援を行う方法、こういったことについて、被災市町村の御意向も伺いながら調整を進めているということでございます。
総務省といたしましても、引き続き、北海道庁、被災市町村と連携を密にして図ってまいりたいと考えてございます。
○山岡委員 さまざまな御対応をいただいているという御答弁をいただきましたが、総務省はまさに自治体の、極めて近いというか、所管されている役割をお持ちでありますので、どうかこの件も含めて、必要な財政といいますか、その不足がないようにしっかり対応していただきたいと思いますので、引き続きこの件もまたよろしくお願いいたします。
残りもうわずかになっている状況でありますが、きょうは経済産業省もお越しだと思いますのでお伺いしますけれども、全道停電という、この地震では、北海道の全ての世帯が一時期、停電状態になるという極めて大規模の、過去にない本当に大きな事態になったのが昨年の北海道胆振東部地震の現状でありました。
もちろん、これは経済産業省がさまざまな委員会での答弁でも、こういうことは二度と繰り返さないということをお話しいただいているわけでありますけれども、二度と繰り返さない状況をつくっていくという、需給の状況をつくっていくのはもちろんなんですけれども、仮に同じような状況が起こったときにも、今回のような事態よりも被害の程度、あるいはその事態の経済的な影響の程度は軽減させていかなきゃいけないということもポイントになるんだろうと思っております。
そうした環境整備については経産省はどのようにお考えでしょうか、伺います。
○村瀬政府参考人 お答え申し上げます。
まず、電力の安定供給につきましては、昨年十一月に関係閣僚会議を開催いたしまして、ブラックアウトの再発防止策を決定したところでございます。現在、この再発防止策に基づきまして、北本連系線、いわゆる北海道と本州をつなぐ連系線のさらなる増強などのさまざまな取組を進めているところでございます。
一方、委員御指摘のとおり、万が一の大規模停電が発生した場合の国民生活、経済等への影響を軽減していくための取組の強化、これは極めて重要だと考えてございます。
そのための取組も進めているところでございまして、例えばでございますけれども、医療福祉施設などの重要施設に対しまして、停電時にも利用可能な自家発電設備の設置ですとか、そういった設備がしっかりと機能するような対応を進めるということで、具体的には、医療福祉施設といった重要施設における自家発電設備や燃料タンクの整備、それから、停電を検出すると自動的に自立運転に切りかわるような機能を有する停電対応型のガスコージェネレーションシステムの導入ですとか、また、家庭用蓄電池の導入といったものに対しまして、所要の予算を獲得した上で、その導入支援を政府としても行っているところでございます。
こういった取組を引き続きしっかり進めてまいりたいと考えてございまして、例えば、三年間で約五十五万キロワット分の分散電源の導入を進めるということを目指しているところでございます。
また、ガソリンスタンドなど、停電時にも被災地域住民に給油を継続できるような取組も進めさせていただいているところでございまして、自家発電設備を備えたサービスステーションを全国のサービスステーションの約四分の一に当たる八千カ所に整備するべく取り組んでいるところでございまして、平成三十年度末時点で全国約五千カ所に整備済みでございます。また、北海道につきましても、全道約千八百カ所のサービスステーションのうち約五百カ所に整備をしたところでございます。
さらに、電気事業者、電力会社におきましても、停電が起きてしまった場合の早期復旧に当たるために、電源車等の派遣などの電力会社間の連携強化を進めるとともに、いざというときのツイッターなどを用いました被害情報や復旧見通しに関する情報発信の強化等に取り組んでいるところでございます。
さらに、ソフト面などでは、自治体庁舎や通信施設など重要施設が業務を継続できるよう、平時から燃料をしっかり確保することの重要性など、取組を要請するなど、普及啓蒙にも取り組んでいるところでございます。
いずれにいたしましても、今後とも、こういった取組を引き続き強化させていただきまして、まずは電力安定供給をしっかり確保する、その上で、いざというときの影響を軽減するような取組も関係省庁と連携して取り組んでまいりたいと考えてございます。
○山岡委員 非常に長い御答弁をいただきましたが、逆に言えば、今お話しいただいたことが、この間の全道停電、まあ想定していなかったわけでありますけれども、不十分であったからこそ、本当に生活に、経済にさまざま影響する課題が起きたということが、そのことの反省を受けて今さまざまお話しいただいたんだと思いますが、これは大臣に質問するわけではありませんが、どうしても、被害を繰り返さないとか、防災とかいう話もあるわけでありますが、この間の状況も想定外だったわけでありまして、想定外の状況にあったときに、やはりそういう影響を最小限に緩和するという視点も、これも長期的な課題として、どうか、委員の皆様とともにその思いも共有しながら、こうした防災あるいは災害対応、対策というのをまた議論を深めさせていただければと思います。
質問もあったんですが、質問時間が残りもうないので、きょうはここまでとさせていただきますが、また引き続き、さまざまな機会で御質疑させていただければと思います。
ありがとうございました。
○福井委員長代理 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
最初に、災害関連死について質問します。
この四月から、政府として災害関連死の統一した定義を持つようになりました。災害関連死を生まない本腰を入れた取組、対策が必要であります。しかし、先月の私の質問に対する内閣府答弁では、現時点では災害関連死の事例を収集、分析することまで考えるに至っておりませんというものでありました。
大臣にお伺いいたします。
災害関連死を生まない、そしてしっかりとした対応を図っていく上では、やはり、過去の災害における災害関連死の状況やあるいはその対応をまずは掌握すること、そして参考にすることが何よりも肝要であるというふうに考えますけれども、再度大臣の答弁をお願いしたいと思います。
○山本国務大臣 お答えをいたします。
災害時において避難生活等が原因で亡くなるいわゆる災害関連死を少しでも減らすよう、政府全体として避難所の生活環境の改善に取り組んできたところでございます。
災害関連死を減らすためにも、まずその数を把握することが重要であると考えられることから、四月に災害関連死の定義を定め、関係省庁と共有するとともに、自治体に周知したところです。
お尋ねの災害関連死の事例収集につきましては、東日本大震災や熊本地震等の過去の災害関連死の認定例、判例等を収集、分析し、整理した上で公表したいと考えているところでございます。
○田村(貴)委員 わかりました。
災害関連死、それから被災者の孤立化を防いでいくために有効な施策の一つが、被災者見守り・相談事業であります。
前回の委員会では、東日本の大震災の被災者がようやく仮設住宅から新しい家に移っていく、その過程での見守りの必要性を私は質問でさせていただきました。熊本地震においても、ことしが三年目であります、仮設住宅の退去期限を迎えて新しい住宅での生活が始まってまいります。
厚生労働省にお伺いします。
これまでの厚労省の被災者見守り・相談事業についてでありますけれども、これは、仮設住宅の入居者、みなし仮設を含むんですけれども、仮設住宅の被災者までの制度なのか、それとも、自宅再建や復興公営住宅に入居後もこの制度は続けていく制度であるのか、熊本地震を例にして説明していただきたいと思います。
○八神政府参考人 お答え申し上げます。
まず、仮設住宅に入居されている方など、被災された方々の生活環境の変化に対応して、孤立防止や地域コミュニティーの再構築を着実に支援していくということは極めて重要であると認識してございます。
平成二十八年の熊本地震の際も、被災地の社会福祉協議会等に相談員を配置をし、仮設住宅に入居する方や、必要に応じ、災害公営住宅や再建した自宅へ転居した方等に対しまして、住まいや被災者支援制度等の日常生活上の相談支援、孤立防止のための見守り、地域のコミュニティー構築等の支援を行ってきたところでございます。
従来の仕組みにつきましては、以上でございます。
この被災者の見守りや相談支援のための事業につきましては、昨年度までは、大規模な災害が発生した場合に、その都度、予算化、事業化をしてきたところでございますが、今年度からは、特定の災害に限定をしない事業として予算を確保し、年度途中に不幸にも災害が発生した場合に、自治体が速やかに事業を実施できることとしたところでございます。
熊本地震につきましても、今年度からはこの新たな事業で対応することになりますが、支援対象の範囲は、昨年度までと同様に、仮設住宅に入居中の方に限らず、必要に応じ、災害公営住宅や再建した自宅へ転居した方なども含めるということとしてございます。
引き続き、自治体と連携を密にして、被災者の方への見守り、相談支援を行ってまいる、このように考えてございます。
○田村(貴)委員 自宅再建あるいは復興公営住宅に移った後も被災者の見守り、相談活動が必要だとされるところの理由について、簡単に御説明いただけますか。
○八神政府参考人 簡単にお答え申し上げます。
仮設住宅に入居されている方など、被災された方々の生活環境が変化をしていくということにも対応しまして、孤立防止、地域コミュニティーの再構築、こういったことを着実に支援していくためには、こういった方々の見守りですとか支援策というものが必要だ、このように考えておるということでございます。
○田村(貴)委員 仮設住宅から退去後も必要だということですね。はい、確認できました。
それでは、この後提案予定の災害弔慰金法の改正案にかかわって質問します。
阪神・淡路大震災のときには、被災者生活再建支援法はありませんでした。なぜ二十四年がたっても返済していかなければならないのか。私も、メモリアルデーを始め、何度も兵庫、神戸の皆さんからお話を聞いたことがありますけれども、被災者の率直な気持ちであろうかと思います。我が党は、その事情を踏まえて、低所得である借受人の返済を免除すべきであるということを繰り返し求めてきたところであります。
内閣府にお尋ねします。
被災者生活再建支援法の施行後の災害であっても、生活再建のためにやむにやまれず災害援護資金を借りているのが実態であります。そして、災害援護資金の返済が滞納してしまう、滞らざるを得ない状況が起こっている。東日本大震災など、その状況について政府として掌握されていますか。
○海堀政府参考人 お答え申し上げます。
東日本大震災の災害援護資金については、適正な債権管理を図るため、被災自治体と意見交換をするとともに、未納率などの債権管理の実情について現在調査をしているところでございます。また、借受人が災害援護資金の償還が困難な場合においては、市町村が償還金の支払い猶予ができることとされていることから、内閣府としても、関係自治体に対して制度の周知に努めているところでございます。
今後とも、東日本大震災など、被災者生活再建支援法施行後の災害も含め、災害援護資金の債権管理について被災自治体から相談があれば、適切に助言するなど、適切に対応してまいります。
○田村(貴)委員 個々の災害で災害援護資金を借りざるを得なかった、借らざるを得なかったという方の償還状況についてどのような状況になっているかというのを聞きたかったわけなんですけれども、私の方から紹介させていただきますと、まず、私は福岡なんですけれども、福岡西方沖地震、あれから大分たちました。貸付総額は六億七千七百九十四万円でありまして、そのうち六割に当たる返済が滞っています。これは支援法の後であります。福岡市の分析によりますと、生活再建がうまくいっていないケースが多いといったことであります。
それから、東日本大震災、これは、昨年七月までに援護資金の返済が始まった方七千五百世帯のうち、約半数に当たる世帯が滞納の状況になっているということです。自治体などは、生活の困窮がある、それから、震災で勤務先がかわって収入が減ったと、生活上の問題を挙げておられるわけであります。
返済が滞るというのは、やはり被災の度合いが余りにも大きいからであります。そして、住家の再建にその資力が追いついていかないからであります。
被災者生活再建支援法では全壊、大規模半壊までが対象であり、そして、全壊であっても上限は三百万円の支給金となっているわけであります。たとえその支給金が受けられたとしても、あるいは全国各地からの義援金が受けられたとしても、その配分はこの返済に資することができても、滞納を生まざるを得ない状況があるということが今の二つの例でも明らかであるというふうに思います。
そこで、大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、やはり、災害援護資金の返済滞納の問題解決に向けては、半壊世帯までの支援法の適用であるとか、あるいは支援額の引上げ、こうした支援法の拡充がないとこの問題はこれから先も解決していかないというふうに私は考えるんですけれども、検討していかなければならないと思います。いかがでしょうか。
○山本国務大臣 被災者生活再建支援制度は、著しい被害を及ぼす一定規模以上の自然災害が発生した場合に、住宅に全壊や大規模半壊等の重大な被害を受けた世帯に対して、全都道府県の相互扶助及び国による財政支援により支援金を支給するものでございます。
支給対象の拡大や支給額の引上げは、国や都道府県の財政負担等の課題もあり、慎重に検討せざるを得ないところもございますけれども、半壊世帯への対象の拡大につきましては、昨年十一月の全国知事会からの提言を踏まえ、事務方において、全国知事会と協力して半壊世帯の実態の把握を進めるとともに、継続的に意見交換を行っているところでございます。
いずれにいたしましても、今後も引き続き、委員おっしゃるように、被災者に寄り添いながら災害対応に努めてまいりたいと思っております。
○田村(貴)委員 全国知事会からの提言を受けて、今、内閣府と知事会の方で実務協議が進んでいるというふうには伺っているところであります。そうしたところに、今回の災害弔慰金法の改正案が出ているということです。長い年月をかけて、自分の資力に応じて千円だけでも、二千円だけでもと払ってこられた阪神・淡路の被災者の方の状況を考えたら、これはやはりほかの災害にもこれから出てくる、今も出ているということであります。
この問題を解決するに当たっては、半壊世帯で住家の被害にお金がないという方は、やはり援護資金を借らざるを得ないんですよね。そして、仕事を失った人は、生活の再建のためにやはりお金を借りなくてはいけない。そして滞納が続いていくという問題です。ですから、解決の方法としては、支援法を拡充する、これは一つ大きな方法であることは間違いないと思います。できるだけ早く結論を、大臣、出していただきたいというふうに要求させていただきたいと思います。
最後に、今度の、阪神・淡路大震災の被災者の返済の状況等々をずっと考えることになりました。そうしたら、こういう事態を踏まえたら、今後、災害援護資金の返済は、どの災害においても生活保護基準に準じるような低所得世帯に対しては状況に応じて免除等も考えていくことが必要であろうかというふうに考えますけれども、そうした検討はこれからされていくおつもりでしょうか、いかがでしょうか。
○海堀政府参考人 お答え申し上げます。
償還免除の対象範囲を拡大するに当たっては、既償還者との公平性を考慮する必要があると考えております。
阪神・淡路大震災に係る災害援護資金につきましては、このたび、被災者生活再建支援法制定前の災害であるという状況に鑑み、所得、資産の免除基準などを設定し、低所得者向けの新たな免除制度が盛り込まれた議員立法が検討されていると伺っているところです。
一方で、阪神・淡路大震災以後に発生しました災害に係る災害援護資金についても、さまざまな事情により返済が滞っていらっしゃる方がいらっしゃることは認識しておりますが、被災者生活再建支援制度が設けられていること、税金を原資とした公的融資であることを踏まえると、償還免除の対象を拡大することは適切でないと考えております。
今回の議員立法におきましては、償還免除の新たな要件として、現行法の死亡、重度障害の免除に加え、破産等が追加されるものと承知しており、制度としての適切な運用に努めてまいりたいというふうに考えております。
○田村(貴)委員 そうはいいながらも、やはり課題が残っている、その課題に向けて、やはり行政、政治の力で解決していかなければいけない、そのことを指摘させていただき、私の質問を終わります。
○福井委員長代理 次に、森夏枝君。
○森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。
本日も、災害対策特別委員会におきまして質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
それでは、早速質問に入らせていただきます。
まず、避難訓練について伺います。
昨年は大変災害の多い年であり、また、平成も災害の多い時代でした。令和を迎え、災害の少ない時代を願っておりますが、南海トラフ地震の三十年以内の発生確率は七〇%から八〇%と言われており、三十メートル以上の津波で最大死者数が三十万人を超える、また、二百二十兆円の経済被害が出ると言われております。
今月に入ってからも地震が相次いでおります。日向灘を震源とする地震も続いておりますし、伊予灘や京都を震源とする地震も発生しております。震度一程度のものを含めますと、北海道から沖縄まで連日地震が発生しております。いつどこで巨大地震が起こってもおかしくありませんし、いつ起こるかわかりません。
最近の地震は南海トラフ発生の予兆ではないかと指摘する方もいらっしゃるようですが、実際には地震の予知ができないのが現状でございます。いつ起こるかわからない巨大地震に対しては、国民一人一人が自分の命を守る意識と行動が必要です。避難訓練は大変重要だと思っております。
そこで、伺います。
避難訓練の意義と必要性について、御見解をお願いいたします。
○海堀政府参考人 お答え申し上げます。
災害が発生した場合、国や地方公共団体等の防災関係機関が一体となって対応することが必要です。また、住民におかれましても、みずからの命はみずからが守るという意識を持って、一人一人が災害のイメージを具体的に持ち、避難訓練を始めとする防災訓練に参加し、みずからの判断で避難行動をとることが大切だと考えております。
このため、災害対策基本法におきましても、住民は防災訓練その他の自発的な防災活動への参加に努めなければならないと規定されているところでございます。
また、毎年度、中央防災会議において総合防災訓練大綱を決定しており、その中で、防災訓練を実施する際の基本的な考え方として、地域住民が防災を考え、具体的な行動をとる機会とすることや、地域住民等の連帯による自主的な防災訓練等の普及を推進することなどの意義、必要性を示しているところでございます。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
先ほどお話がありましたけれども、みずからの命はみずからが守る、この意識が大変重要だと思います。避難訓練の重要性をしっかりと皆さんにお伝えいただきたいと思います。
昨年の西日本豪雨で、京都市、綾部市を三時間で百五十ミリという記録的豪雨が襲いました。綾部市の九十一歳の女性が事前に避難をされ、御自宅が土砂崩れにより全壊する被害を受けましたが、命が助かりました。娘さんやお孫さんが大雨のたびに五年間で二十回避難をさせ、土砂災害が起きたときは二十一回目の避難だったそうです。
消防団の方からもよくお話をお聞きするのですが、高齢の方が、避難を呼びかけても、ここは大丈夫、もし何かあってもここで死ぬから心配要らないと言ってなかなか避難をしてくれないというお話をよく耳にします。避難を呼びかけてくださる方々の身の安全のこともありますので、今後、特に危険な地域にお住まいの方々には避難の大切さを伝える必要があるかと思います。
東日本大震災でも、石巻市立門脇小学校の子供たちは、地震が来たらすぐに日和山と決めていたので、日ごろの訓練どおりに行動し、多くの命が助かったそうです。日ごろの避難訓練の大切さ、そして一人一人の命を守る行動が大切だと思います。
このほかに避難訓練による成果について国が把握しているものを幾つか事例を挙げて紹介していただけますでしょうか。
○海堀政府参考人 お答え申し上げます。
昨年七月豪雨によります水害・土砂災害からの避難に関するワーキンググループによる現地調査、ヒアリングの結果、平時より地域の防災リーダーが主体となって避難計画の作成あるいは避難訓練などを行った地域では効果的な避難がされたことが把握されております。
具体的には、自治会が中心となって避難訓練を実施していた広島県東広島市洋国団地では、団地の東側で土石流が発生したものの、緊急告知ラジオの整備や一部住民が個別に早期避難を実施したことなどによりまして犠牲者がいなかったと伺っております。
また、夜間避難訓練などの取組を実施していた広島県熊野町の大原ハイツでは、残念ながら土石流により死者が発生した一方で、多くの方が呼びかけに応じ避難されたというふうに伺っております。
また、避難訓練等を通じて指定緊急避難場所や危険箇所等を記載した災害・避難カードを作成していた愛媛県大洲市三善地区では、あらかじめ決めていた避難先への避難行動を実施したことにより、死者も負傷者もなかったと伺っており、訓練の成果は着実に上がっておるというふうに考えております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
こういった実例というのは、ホームページなどで紹介したりとか、皆さんに情報発信というのはしているのでしょうか。
○海堀政府参考人 先ほど申しましたワーキンググループの報告資料などによって公表させていただいております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
また、今後、ホームページ等でも皆さんがいつでも見られるような形も検討していただけたらと思います。
先ほどお話ありましたような夜間での訓練などは大変効果的だと思いますので、今後も取組を進めていっていただきたいと思います。
先ほどもお話ありましたが、避難訓練が役に立ち、多くの命が助かっております。ぜひ今後も続けていただきたいと思いますが、繰り返しになりますけれども、自分のところは大丈夫、ここは大丈夫という意識を変えていただく、行動に移すという意識改革もしっかりと行っていただきたいと思います。
全国各地でさまざまな避難訓練が行われておりますけれども、危険性を考慮してなのか、雨天中止となることが多いです。この避難訓練の雨天中止の理由についてどのように認識しておられますでしょうか。
○海堀政府参考人 避難訓練は、さまざまな災害を想定し、各地域の事情等を踏まえてそれぞれの団体で主体的に実施していただいております。
雨天中止の判断は、訓練参加者の安全の確保などさまざまな事情を勘案し、訓練の主催者が主体的に決定しております。その際、例えば、警報や注意報の発令、あるいはその後の防災対応、その準備など、さまざまな事情が考慮されているというふうに伺っているところでございます。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
警報等が発令されている場合にはもちろん中止すべきと思います。安全面にはしっかりと注意はしてほしいとは思いますけれども、雨の日に訓練を行うという必要性もあるのではないかと思います。
子供が風邪を引くからとか、学校のグラウンドがぬかるんでいるからとか、そういう理由で訓練を中止するというのは、実際の災害が起きたときには使えない訓練といいますか、やはり実際の現場でしっかり避難ができるようにと思いますと雨天での避難訓練の決行も必要なのではないかと考えておりますが、この点についていかがお考えでしょうか。
○海堀政府参考人 お答え申し上げます。
災害はさまざまな態様がございますので、それらの態様に応じて訓練を実施することは非常に重要だと思っております。我々としては、そういうことを周知徹底してまいりたいというふうに思っております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
雨の日に地震が起こることもありますし、雨の日に避難訓練、避難をしているときに気づくこともあると思います。風が強いと傘が差せない、避難に時間がかかるといったような、そのときにしか気づけないこともあると思いますので、安全面にはしっかり考慮をした上で雨の日の訓練というのも、推進とまでは言いませんけれども、実施していただければと思います。
私も避難訓練や水防訓練に参加をさせていただきます。いつも晴れているときに参加をしておりまして、土のうづくりなども参加をさせてもらったりもしたことがございますけれども、雨の日に行うのと全く違うと聞いております。
消防団の方にお聞きをしましたが、例えば木流し工法なども、晴れの日にやる訓練と全く違う、訓練はしていたけれども、実際に災害現場で全く勝手が違い、先輩からその場で学んだとおっしゃっておりました。雨の日には視界も悪い、雨で手が滑る、なかなかうまくいかなかった、実際に雨の日に訓練をすることが必要なのだとお聞きをしました。
ある災害現場で土のうを投入に行った消防団の方にお話をお聞きしました。決壊しそうな土手に土のうを投入して、次の土のうをとりに行って戻ってきたら、先ほど土のうを投入したばかりの土手が決壊してなくなっていた、時間にして十分ほどのことで、もしそこにいたら消防団はみんな死んでいたとおっしゃっておりました。
やはり雨の日でないとわからないことも多いと思います。雨の日の訓練、危険性にはもちろん考慮をしていただきたいと思いますし、先ほどもお話ありましたけれども、警報が出たようなときに訓練をしろと私は言っているのではありませんけれども、雨で手がぬれているときにどうなるか、そういったことも含め訓練をしていただきたいと思っております。
私は、国会議員になる三カ月前に自衛隊の体験入隊に参加をしました。迷彩服を着て荷物を背負って七時間の行軍に参加をしました。途中から雨が降り始め、雷が鳴り始めました。サッカーの試合などは雷が鳴ると中止になるので、行軍も中止になるのかなと私は思っておりましたら、自衛隊の方からそのような話は全くなく、雷の中を歩くという行軍を続けました。
私はそのときに、自衛隊の方にとっては当たり前のことなのだな、雷が鳴ろうが、どんなどしゃ降りの雨が降っていても、自衛隊の方々がこういう現場で災害対応に、救助活動に、任務に当たってくださっているのだなと、大変いい経験をさせていただいたところでございます。
安全には十分配慮をして、避難訓練が発表会のような場とならないようにしていただきたいと思います。雨天だと報告書用の写真もうまく撮れないから延期だとか、そういうこともあるかもしれませんけれども、命を守るための訓練をしていただきたいと思います。
次に、南海トラフの発生の可能性について伺います。
私は、京都に現在住んでおりまして、愛媛県の出身で、大学は鹿児島県におりました。ですので、西日本に大変多くの友人、知人がおりまして、南海トラフ地震に対して、私自身も大変心配をしておりますけれども、特に最近、不安の声をより多く聞くようになりました。そしてまた、今月に入り地震が続いております。
南海トラフ発生の可能性についてはどのように認識をしているのでしょうか、お答えください。
○海堀政府参考人 お答え申し上げます。
令和元年五月十日、日向灘を震源とするマグニチュード六・三の地震が発生いたしました。
これら関連の地震について、五月の十三日に気象庁で開催されました南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会におきまして、想定震源域のプレート全体の固着状況に特段の変化を示すようなデータは得られておらず、大規模地震の発生が相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていないというふうに評価されているところでございます。
しかしながら、南海トラフ地震全体の切迫性が高いことには変わりはございません。国と地方が一体となって、いつ起こるかわからない地震災害に備え、関係省庁と連携し、津波避難施設の整備や住宅の耐震化等の防災対策に万全を期してまいります。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
地震予知は大変難しいのは理解をしております。引き続き、情報収集と、関係省庁とも連携をして、これまでの災害の教訓を生かす取組をしっかり行っていただきたいと思います。
次に、災害ボランティア活動の促進に向けた取組について伺います。
災害時には、多くのボランティアの方が全国から応援に駆けつけてくださっております。困ったときはお互いさまと助け合うことは大変すばらしいことと思います。災害時のボランティア活動の促進に向けた取組について教えてください。
○海堀政府参考人 お答え申し上げます。
災害時には、個人のボランティアや、NPOなどさまざまな団体の方々が被災地に駆けつけ、国、地方公共団体では手が届かない、一人一人に寄り添った、きめ細かな被災者支援活動を展開していただいているところでございます。
このため、行政、NPO、ボランティアの三者の間で連携のとれた支援活動が行われるよう、内閣府としても、その環境整備に努めているところです。
具体的には、防災における行政のNPO・ボランティア等との連携・協働ガイドブック、これを作成しまして、研修や訓練を実施するとともに、ボランティア相互間の交流促進を図るボランティアの集いなどを開催しております。
また、今週の月曜日、五月二十日でございますが、内閣府と全国災害ボランティア支援団体ネットワーク、JVOADとの間で、行政・NPO・ボランティア等の三者連携・協働に関するタイアップ宣言、これに調印したところでございます。
今後とも、災害時の防災ボランティア活動が円滑に行われるよう、取組を推進してまいります。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
私自身も、東日本大震災など、何度かボランティアに参加をさせていただきました。特に、東日本大震災のボランティアでは、無力さを感じた部分が多かったのですが、受入れ体制の必要性も大変感じました。実際に、災害現場ではボランティアの受入れがうまくいかないといったような問題もよく耳にします。
京都には、民間共同で設置した常設の災害ボランティアセンターがあります。主な役割としては、被災地でのニーズの把握であったり、ボランティアの受入れ、人数調整、道具の貸出しなどを行っております。
今後も、国としても、情報収集、情報提供に取り組んでいただいて、災害が起きたときに、ボランティアの方々がうまく活動できるように、皆様の助けとなるようにお願いしたいと思っております。
最後に、災害弔慰金を完済した方との不公平感について伺いたいと思います。
現在、議法の災害弔慰金の支給等に関する法律の一部改正法案について検討をされておりますけれども、地元自治体の要望や債権管理コストなどについては、私も十分理解をしております。少額でも償還している方や、また、著しく高額なマンション等ではないと認められる土地建物に居住をしている方で償還をしていない方もいらっしゃいます。
完済された方との不公平感について、国としてはどのような御見解をお持ちでしょうか。
○海堀政府参考人 阪神・淡路大震災に係る災害援護資金につきましては、これまでも被災自治体において債権管理が適切かつ着実に行われてきたというふうに認識をしております。
その上で、現在、議員立法で検討されている新しい免除の制度がありますが、これは、被災者生活再建支援法制定以前の災害に限定した上で、既償還者との公平性にも配慮して、生活保護や破産時の取扱いなどを参考に、所得、資産の免除基準が設定されるものと伺っております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
被災者の方々、困っている方々を支援するのは国としてすべきことと思いますけれども、支援にもどこかで線引きをしなくてはなりません。東日本大震災でも、補助金の対象が何キロ圏内と圏外とでは全く違いました。対象にならなかった方々からは、不公平だとの声もありました。
今回の議法も、所得要件は厳しく設定をされておりますし、特に債権管理をしていただいている職員の方々は、現場を知り、状況を把握されていると思いますので、不公平感が最小限に抑えられるようにお願いをしたいと思います。
昨年も豪雨災害の大変多い年でしたけれども、今月に入り、既に豪雨が発生しております。災害が起こらないことを願っておりますけれども、ことしの夏にも豪雨災害が起こる可能性はあります。南海トラフも大変心配です。避難訓練も含め、被害を最小限に抑えることができるように、災害対策に対して国を挙げて取り組んでいただくことをお願いして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○福井委員長代理 次に、中島克仁君。
○中島委員 社会保障を立て直す国民会議の中島克仁です。
時間をいただきましたので、質問させていただきます。
前回の質疑で、福祉避難所、その設置状況でちょっと時間をとってしまいましたので、残余の質問に対して御質問させていただきたいと思います。
前回、災害関連死を未然に防ぐ重要性についてお尋ねをし、大臣からも、その重要性の認識、また取組について確認もさせていただきました。定義についてはさまざま進展もあったとお聞きしておりますし、承知もしております。
前回、未然に防ぐ観点で、福祉避難所の重要性、疾病リスクが高い方など支援が必要な方、妊婦さんであれ、障害を持った人、福祉避難所、迅速にしかるべき方がしかるべき場所に速やかに避難することが関連死を防ぐ第一歩と前回も質問をいたしました。
確認をさせていただきたいと思いますが、総論として、福祉避難所の課題についてどう整理をされておるのか、改めて確認したいと思います。
○海堀政府参考人 お答え申し上げます。
福祉避難所の課題についてでございます。
第一には、要配慮者への周知が重要である一方、広く周知すると発災時に対象者でない多くの被災者が集まってしまうという指摘もあるため、周知が十分にされていないという点があります。
第二に、要配慮者を介助するスタッフ等を集めたり、必要な部屋を確保したり、ベッドの整備を整えるなど、開設の準備が必要であるため、あらかじめ施設を確保していたとしても、支援人材の確保などが必要なため、開設までに時間がかかっていることが挙げられるというふうに思います。
○中島委員 前回も、きょうは資料として出しておりませんが、三月五日の東京新聞で、各自治体、市で調べた結果、公表に至っているのは約二割しかない。非公表と決めている自治体、まだ未確定という自治体もあるということで、今も御答弁いただきましたが、ガイドラインでは、周知をし、速やかにしかるべき方が福祉避難所に入るということを明確に訴えている。一方で、市によっては、自治体によっては、一次避難所、そしてそこで一定程度必要な方を二次避難所的に位置づけている市町村がある、これも現実だと思います。
今お答えいただきましたが、改めて、福祉避難所は、一次避難所、二次避難所というカテゴリーに分けるのであれば、あくまでも一次避難所、そのためには従来から、今御答弁いただきましたが、しっかりと市町村には周知されるべきということで、これも確認です、よろしいですね。
○海堀政府参考人 先生御指摘のとおりでございます。
福祉避難所は、社会福祉施設だけでなく、例えば、学校の体育館などの避難所にも併設して教室などを福祉避難所として開設することも想定しており、速やかな対応をお願いしているところでございます。
○中島委員 しつこいようであれなんですが、私も、東日本大震災そして熊本地震のときにも医療ボランティアとして参りました。そして、災害のたびに、報道でも、福祉避難所がやはり機能し切れなかったということは繰り返されておる。そして、ガイドライン、また、今御答弁いただいたように、福祉避難所は従来から事前に周知を徹底しておく、このことは何度も確認しております。
大臣にぜひ御答弁いただきたい。やはり、この基本的な考え方を各自治体にしっかりと理解をしていただく努力、また、福祉避難所が発災直後から機能することが災害関連死を防ぐ上で非常に大事だ、このことはもう共有されておると思いますので、ぜひここは、さまざまな自治体、考え方や事情はあるとは思うんですが、大臣にはしっかりと指導力を発揮し、御理解いただくべく努力をしていただきたいと思いますが、見解を求めます。
○山本国務大臣 お答えをいたします。
福祉避難所の課題につきましては先ほど統括官から答弁したとおりでございますけれども、内閣府といたしましては、市町村に対し、あらゆる媒体を活用し福祉避難所に関する情報を広く周知すること、特に、要配慮者及びその家族、自主防災組織、支援団体等に対し周知徹底を図ることを促しているところでございます。また、都道府県や市町村には、関係省庁と連携し、小学校や公民館などを福祉避難所として利用可能な施設にできるよう、設備の整備それから介護職員等の確保を促しているところでもございます。
支援を必要としている要配慮者の方々が避難生活を安心して送れるようにするため、課題を一つ一つ解決していくことが大切でございます。福祉避難所の周知の方法や、発災後直ちに開設できるよう、引き続き実情を把握し検討を進めてまいりたいと思っております。
○中島委員 災害は言うまでもなくいつ起こるかわかりません。そして、従来から災害のたびに福祉避難所が機能し切れていないという現実もございますので、今、速やかに設置できる対応もということで大臣から御答弁いただきましたので、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
福祉避難所として指定されている施設の種類では、全体の福祉避難所のうち、高齢者施設が最も多くて六五・九%となっています。その他、障害福祉施設、児童福祉施設、既存の施設を利用することが多いということになっておりますが、三年前の時点で、災害時の職員向け対応マニュアルを作成していた施設は全体の三六%、予定している施設が七六%と、マニュアルを作成していない施設の方が圧倒的に多かったわけですが、現時点でどのような状況になっておりますでしょうか。
○橋本政府参考人 お答えいたします。
御指摘のような障害者支援施設などの福祉施設の関係におきましては、それぞれの施設の運営基準におきまして利用者の避難等を含む非常災害に関する計画等を立てるということとされております。
数字でございますけれども、平成二十八年度の調査の結果といたしまして、非常災害対策計画を策定しているものが、介護保険施設等では五五・五%、障害者支援施設等では四九・七%、児童福祉施設等においては七八・四%、救護施設等においては七〇・三%というふうになっていると承知しております。
○中島委員 ちょっと今数字を急に言われたので、平均はよくわかりませんが、三年前、三六%で、今の、直近といっても、ちょっと前の数字のようですね。
これは以前にも私は指摘したんですが、従来から福祉避難所が機能しない一つの理由として、既存の施設、当然、福祉避難所の最も利用されるのが高齢者施設ということで、従来から入所されている利用者さんがいる、そこに福祉避難所としての機能が災害時には起きてくる、そうなると、もともと利用している利用者さん、もちろん、その後、災害ボランティアの皆さんや、いろいろ避難体制、支援の方々が入ってこられるとは思いますが、従来からいる利用者さん、そして福祉避難所に避難してくる支援が必要な方々、大変混乱することが予想されるわけですね。
そういう意味では、既存の施設、その職員に向けて、災害時の対応マニュアル、これはやはり早急に整備していくべきだと私自身は思っておりますので、具体的に今後どういうふうに取り組まれるおつもりなんでしょうか。
○橋本政府参考人 先ほど申し上げましたそれぞれの施設における非常災害対策計画の策定ということにつきましては、それぞれの所管のところから、策定状況の調査結果と、それから未策定の施設に対する指導をお願いしたいということを各都道府県に対して通知をさせていただいているところでございます。
それからまた、福祉避難所ということでございますが、福祉避難所につきましては、災害対策基本法や内閣府の定める福祉避難所の確保・運営ガイドライン等を踏まえまして、各市町村の方で指定を行い、運営が行われているものと承知しております。
この内閣府のガイドラインにおきましては、福祉避難所の運営に当たりまして標準的な項目を定めて、各地方公共団体においてそれぞれの地域の特性や実情等を踏まえて独自のガイドラインやマニュアルの作成等を促しております。それらに基づいて福祉避難所となる施設との具体的な運営体制の協議等が行われているというふうに考えております。
また、このガイドラインにおきましては、実際の災害時を想定したさまざまな訓練を事前に実施することが記載されておりまして、そのような準備を日ごろから積み重ねておくということが、実際の災害時に福祉施設が福祉避難所として適切に機能する上で極めて重要とも考えております。
私ども厚生労働省としましては、いずれにいたしましても、福祉避難所が円滑に運営されるように、必要に応じて福祉避難所の制度を所管する内閣府との連携協力ということを行ってまいりたいと考えております。
○中島委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
時間も限られておりますので、次の質問に行きます。
続いて、今、福祉避難所の対応ということでお話ししたんですが、災害後もなお自宅で療養している要介護者の方々、もともと在宅で訪問系の介護サービスを受けている、療養している方々の対応について質問を続けていきますが。
東日本大震災、熊本地震のとき、先ほども言いましたが、私は東日本大震災のときには気仙沼に行って、そして在宅を訪問して、エアマットが潰れてしまい、そして背中じゅうに褥瘡ができてしまう、そういう方を一軒一軒歩いていくということだったんですが。熊本地震のときも、行政の方に確認をしたところ、これは介護保険制度自体の問題かもしれませんが、要支援の方々は行政の管轄、一方で要介護の方は民間の居宅支援事業所、ケアマネさんは民間になっておるということで、災害時に、肝心の、要介護、より支援が必要な方々の情報が一元化されない又は集約できないということが、これは熊本地震のときにも、私、やはり行政の方から、要介護者の方々の現状が把握し切れていないということも聞きました。
最も重要な情報が災害時に集約できない、ここは民間任せにしないで、行政が把握できる仕組みを、システムづくりというか、一定程度つくる必要があるかと思いますが、見解を伺いたいと思います。
○諏訪園政府参考人 お答え申し上げます。
災害が生じました場合であっても、介護が必要な方が必要なサービスを受けるためには、利用者の安否確認やサービス事業者の被害状況の確認はもとより、支援が必要な利用者と対応が可能なサービス事業者との調整なども必要となってくると考えております。これらの対応につきましては、地域のケアマネジャーが、関係者と連携の上、自主的に取り組んでいただいているところでございます。
例えば、先ほど委員の御指摘になりました熊本地震、あるいは平成三十年七月の豪雨におきましては、甚大な被害があった地域におきまして、地域のケアマネジャーの団体と地域包括支援センターが連携して地域巡回を行うなどして、全戸訪問を行っていただいております。こうした取組につきまして大変感謝をしているところでございます。
こうしたケアマネジャーの団体と地域包括支援センターという行政に近いところの連携ということが行われているところであり、こうした取組が今後とも行われることが望ましいと考えているところでございます。
○中島委員 今おっしゃるとおりだと思います。
従来、熊本地震のときもそうだったと思いますが、東日本大震災を含め、広域的な災害が起こった場合、民間の事業所も必ずしも機能するかどうか不明なんですね。いわゆる、災害はいつどこで起こるかわからない。そして、その地域にいる居宅支援、民間も被災者ということで、行政ももちろんそうかもしれませんが、そういう意味で、協力を求めて、行政と民間の事業所が、あとケアマネ協会とか、取り組んでいくことは必要だと思うんですが、一体、どういう災害が起こるかわからないということ。
また、より迅速に、重度な介護者の方は、先ほど言ったように福祉避難所、若しくは、この後ちょっと質問しようかと思いますが広域避難、そういう必要性を速やかに判断する必要があるということから、私も言ったように、一定程度の、これはもしかしたら地域でやられているところはあるかもしれませんが、ぜひ、内閣府として、厚労省としても検討を加えていただければと思います。
次に、災害時の医療体制、災害時の中長期的な対応計画を示す事業継続計画、BCPについて質問いたします。
東日本大震災、熊本地震では、病院が地震の被害で使えなくなったり、外部から支援が殺到し調整が難航した事例が続出したのを教訓に、ガイドラインを示したりしてBCPの策定を求めてきました。二年前のアンケート調査では、全国の災害拠点病院、BCP策定済みは四五%、未策定の三百九十九施設のうち、百七十七施設は策定中、予定なしは十六施設となっていました。
この結果を受けて、医政局長通知、二〇一七年三月、二年前ということになりますが、前回の質問をしようとしたときには、まだその後の策定状況というのがわからない、今後調べた結果が出るということでありましたが、災害拠点病院におけるBCPの策定状況、現状について教えていただきたいと思います。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
医療機関は災害時においても診療機能を維持する必要があるため、各医療機関において、BCP、業務継続計画の整備を進めていただくことが重要であると考えております。
中でも、特に重要な機能を担う災害拠点病院には、平成三十一年三月三十一日までの経過措置を設けた上でBCPの策定を義務づけるとともに、災害拠点病院等の勤務者に対してBCP策定研修事業を行っているところでございます。
昨日、救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会において、病院のBCPの策定状況等の調査について公表したところでございます。
これによれば、平成三十年十二月一日時点で、災害拠点病院のうち七一%がBCPを策定しておりました。このうち、策定していないと回答した病院につきましては、直近、平成三十一年四月一日の策定状況について再調査を行い、その結果とともに対応を示してまいりたいと考えてございます。
○中島委員 これは二年間の猶予期間があって、実はきのう、今お示ししていただいたように、きょう、通告した後、BCPの資料が届いたので見させていただいたんですが、これを見ると、約三割が策定をまだしていないという結果になっておるんですね。二年間の猶予期間があったがいまだ三割が未策定。前回のときと比べて策定済みはふえているとは思うんですが、ちょっと確認ですけれども、策定できていない理由についてどのように分析されておるのか。また、二年間の猶予期間があったにもかかわらず策定できていない、既存の、もう指定されている災害拠点病院は、今後、取消しということもあるんでしょうか。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
現在、平成三十一年四月一日時点の策定状況について再調査を行っているところでございます。これは、理由、要因等も含めて調査を行っているところでございまして、その結果を踏まえまして、速やかに策定していただくように促してまいりたいというふうに考えてございます。
○中島委員 後段の、もし現段階で策定できていない場合、災害拠点病院の取消しということは、可能性はあるんですか。
○山本政府参考人 災害拠点病院としての指定を取り消すかどうかということにつきましては、そのようなことにならないように、策定していただくように、きちんと促してまいりたいというふうに思っております。
○中島委員 もう時間ですからやめますが、とにかく、災害関連死、熊本地震のときには、直接死よりも関連死の方が亡くなる方がふえてしまった。それを防ぐために、先ほど来言っているように、福祉避難所、また、BCPの策定は、従来そこにある病院また拠点病院がその機能を速やかに回復する、こういったことがいわゆる災害関連死を防ぐ観点で非常に重要だということで、ぜひとも、また調査結果を教えていただければと思います。
ありがとうございました。
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○福井委員長代理 この際、災害弔慰金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。
本件につきましては、三原朝彦君外七名から、自由民主党、立憲民主党・無所属フォーラム、国民民主党・無所属クラブ、公明党、日本維新の会及び社会保障を立て直す国民会議の六派共同提案により、お手元に配付いたしておりますとおりの災害弔慰金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案の草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。谷公一君。
○谷委員 本起草案の趣旨及び内容につきまして、提出者を代表して御説明申し上げます。
災害弔慰金の支給等に関する法律は、災害弔慰金及び災害障害見舞金の支給並びに災害援護資金の貸付けについて規定する法律であります。
災害援護資金は、大きな災害が発生するたびに多くの被災者が利用してまいりました。特に、平成七年に発生した阪神・淡路大震災においては、その当時、何よりも被災者生活再建支援法がなかったことや、義援金についても一世帯当たりでは少なかったこともあり、生活の再建に資するため、五万七千件余の世帯が総額で約一千三百二十六億円の貸付けを受けました。
災害援護資金の償還は、特例が設けられた東日本大震災を除き、十年で行うものとされております。しかしながら、阪神・淡路大震災の被災者の中には、貸付けを受けたものの生活再建が思うようにいかず、期限内の償還が困難であった方も多数いらっしゃいました。そのような方は、少額償還により返済し続けてきたところであります。
一方で、その間も、神戸市など関係地方公共団体は、返済していただくためのさまざまな努力を続けるとともに、関係法令に基づく無資力免除なども行ってきましたが、いまだ八千四百件の約百二十三億円分については国や都道府県による原資貸付金の扱いをどのようにするのかが残された課題となっており、新たな法的枠組みの整備について強い要望がありました。
本起草案は、このような状況等に鑑み、災害援護資金に係る償還免除の特例、償還金の支払い猶予、償還免除の対象範囲の拡大等について定めようとするものであります。
次に、本起草案の内容について御説明申し上げます。
第一に、市町村は、被災者生活再建支援法が適用されるようになる前に生じた災害に係る災害援護資金について、その借受人が収入及び資産の状況により当該災害援護資金を償還することが著しく困難であると認められる場合として内閣府令で定める場合には、当該災害援護資金の償還未済額の全部又は一部の償還を免除することができることとし、免除した場合には、当該災害援護資金に係る都道府県及び国の貸付金の償還を免除することとしております。
第二に、本年四月一日より前に生じた災害に係る災害援護資金の保証債権について、市町村が、当該災害援護資金の償還期間の終期から十年を経過した後に議会の議決を経て当該権利を放棄したときの当該災害援護資金に係る都道府県及び国の貸付金の償還免除についての規定を設けることとしております。
第三に、市町村は、災害その他政令で定めるやむを得ない理由により、災害援護資金の借受人が支払い期日に償還金を支払うことが著しく困難になったと認められるときは、償還金の支払いを猶予することができることとしております。
第四に、市町村は、災害援護資金の借受人が破産手続開始の決定等を受けたときは、災害援護資金の借受人が死亡したとき等と同様に、当該災害援護資金の償還未済額の全部又は一部の償還を免除することができることとしております。
第五に、市町村は、この法律の規定により、償還金の支払いを猶予し、又は災害援護資金の償還未済額の全部若しくは一部の償還を免除するか否かを判断するために必要があると認めるときは、災害援護資金の借受人又はその保証人の収入又は資産の状況について、これらの者に報告を求め、又は官公署に対し必要な文書の閲覧若しくは資料の提供を求めることができることとしております。
第六に、市町村は、災害弔慰金等の支給に関する事項を調査審議するため、条例の定めるところにより、審議会その他の合議制の機関を置くよう努めることとしております。
第七に、国は、災害弔慰金等の支給及び災害援護資金の貸付けの申請の機会が確保されるよう、これらの制度の周知徹底を図ることとしております。
なお、第一及び第二につきましては、所要の経過措置を設けることとしております。
最後に、この法律は、令和元年八月一日から施行することとしております。
以上が、本起草案の趣旨及び主な内容であります。
何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
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災害弔慰金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○福井委員長代理 これにて趣旨の説明は終わりました。
本件について発言を求められておりますので、これを許します。田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
法案の起草者にお尋ねをしたいというふうに思います。
阪神・淡路大震災のころには、先ほども指摘しましたけれども、被災者生活再建支援法はありませんでした。災害援護資金貸付けはあくまでも貸付制度でありました。そうした特別な事情があったものであります。我が党は、その事情を踏まえて、低所得の借受人の返済を免除すべきだと繰り返して求めてまいりました。今回の提案には賛成であります。
そこで、起草者の方にお尋ねします。
先ほど政府にも質問いたしましたけれども、災害援護資金については、被災者生活再建支援法の施行後にあっても返済が困難になる被災者が出ています。東日本大震災の返還者の方は、既に六割に上っているということであります。こうした課題があることについて、提出者のお考えをお伺いします。
○赤羽委員 お答え申し上げたいと思います。
今委員御指摘のように、被災者生活再建支援制度後の災害の被災者で、さまざまな理由によりまして災害援護資金の貸付けの返済が大変難しくなっているという被災者の皆さんがいらっしゃるということは、私たちも十分承知をしております。
しかしながら、この援護資金の原資は税金を原資としております公的な融資制度であり、また、既に返済をされている方との公平性というのも考慮しながら、どういった対象範囲を拡大するかというのは私はさまざまな検討が必要だというふうに考えております。
そこで、今般、この対象範囲を拡大するに当たりまして、まず、阪神・淡路大震災のときは、おっしゃられたように、私自身も住む場を失った被災者の一人でありましたが、義援金も、大変被災者の人数も多かったということもあって、一人一人の配分額も少なかったわけでありますし、被災者生活再建支援制度もなくて、そういった厳しい状況の中で、加えて、二十数年にわたって、神戸市始め関係被災自治体、地方自治体が大変な御努力をして、そして、なおかつ現状でこういう状況があるといったところから、今回この法改正を行ったわけでございまして、今後のことについては、私は、否定するというよりも、そのときの状況によってさまざまな検討が必要だというふうに思っております。
加えて、今回の法改正の中では、地方自治体の調査権限の規定を追加したりとか、新たに破産等についても償還免除の対象にするなどの措置もとっているところでもございますので、償還金の支払いの猶予ですとか償還免除等の新たな活用も期待されるというふうに考えております。
以上でございます。
○田村(貴)委員 他の災害、生活支援法の後の災害の返還される方の状況についても、その対応についてもしっかりと私たちは考えていかなければいけないというふうに思うところであります。
続いて、本法案によっても、行方不明者などの方がおられる、そして、自治体はそうした方々に対して、そうした借受人に対して、引き続き償還を求めていくことになってまいります。これも残る課題ではあろうかというふうに思います。この課題に対して、提出者のお考えをお伺いします。
○藤原委員 御指摘のとおり、行方不明者については、今回の法律では、行方不明を理由とする償還免除の規定については設けてはおりません。
ただ、その一方で、第十六条におきまして、報告等の規定を置きました。この規定に基づきまして、調査の結果、行方不明者の方の所在あるいは状況が確認ができたというケースについては、それぞれ、第十四条、あるいは附則第二条の償還免除、これらの規定に該当する場合には、それで免除が可能ということになります。そのようなケースが一定程度あるのかというふうに思っております。
仮に、それによっても免除できないケース、所在不明等がそのままであるケースにつきましては、これは地方自治法の施行令に基づく徴収停止の活用、そのような規定の活用を含めて、市町村がそれぞれで判断をして対応するということになります。
○田村(貴)委員 残る課題についてもまた議論をし、そして、課題の解決、被災者の苦難の解決のために、やはり行政も国会も向き合っていかなければならないということを申し上げて、質問を終わります。
○福井委員長代理 これにて発言は終了いたしました。
この際、本起草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。山本防災担当大臣。
○山本国務大臣 災害弔慰金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案の提出に際しての議員各位の御努力と御熱意に対し、深く敬意を表します。
政府としては、本法律案については特に異存はございません。
○福井委員長代理 お諮りいたします。
災害弔慰金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付しておりますとおりの起草案を委員会の成案とし、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○福井委員長代理 起立総員。よって、そのように決しました。
なお、ただいま決定いたしました本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○福井委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○福井委員長代理 この際、三原朝彦君外六名から、自由民主党、立憲民主党・無所属フォーラム、国民民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、日本維新の会及び社会保障を立て直す国民会議の七派共同提案による被災者支援制度に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。岡島一正君。
○岡島委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきたいと思います。
被災者支援制度に関する件(案)
政府は、災害弔慰金の支給等に関する法律の一部を改正する法律の施行に当たり、災害が頻発、激甚化する状況の中、被災者の速やかな生活再建を図るため、被災者支援制度について、さらなる充実が図られるよう検討を加え、必要な措置を講じること。
右決議する。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○福井委員長代理 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○福井委員長代理 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とすることに決しました。
この際、本決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。山本防災担当大臣。
○山本国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして配慮してまいりたいと存じます。
○福井委員長代理 お諮りいたします。
本決議の議長に対する報告及び関係政府当局への参考送付等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○福井委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時五十三分散会