第3号 令和元年11月21日(木曜日)
令和元年十一月二十一日(木曜日)午前九時開議
出席委員
委員長代理理事 原田 憲治君
理事 原田 義昭君 理事 藤丸 敏君
理事 堀井 学君 理事 三ッ林裕巳君
理事 岡島 一正君 理事 岡本 充功君
理事 濱村 進君
上杉謙太郎君 小里 泰弘君
大岡 敏孝君 大西 宏幸君
金子 俊平君 金子 恭之君
神山 佐市君 工藤 彰三君
小林 史明君 高村 正大君
坂本 哲志君 杉田 水脈君
田野瀬太道君 高木 啓君
谷 公一君 谷川 とむ君
中根 一幸君 根本 幸典君
鳩山 二郎君 船橋 利実君
古川 康君 古田 圭一君
穂坂 泰君 宮路 拓馬君
宗清 皇一君 池田 真紀君
柿沢 未途君 金子 恵美君
玄葉光一郎君 小宮山泰子君
篠原 孝君 高井 崇志君
高木錬太郎君 緑川 貴士君
森山 浩行君 早稲田夕季君
江田 康幸君 桝屋 敬悟君
田村 貴昭君 森 夏枝君
…………………………………
国務大臣
(国土強靱化担当)
(防災担当) 武田 良太君
内閣府副大臣 平 将明君
財務副大臣 遠山 清彦君
文部科学副大臣 亀岡 偉民君
農林水産副大臣 伊東 良孝君
経済産業副大臣 牧原 秀樹君
国土交通副大臣 御法川信英君
環境副大臣 石原 宏高君
内閣府大臣政務官 今井絵理子君
国土交通大臣政務官 門 博文君
国土交通大臣政務官 佐々木 紀君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 石川 卓弥君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 青柳 一郎君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 谷 史郎君
政府参考人
(消防庁国民保護・防災部長) 小宮大一郎君
政府参考人
(文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官) 笠原 隆君
政府参考人
(文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官) 寺門 成真君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 迫井 正深君
政府参考人
(農林水産省大臣官房生産振興審議官) 鈴木 良典君
政府参考人
(農林水産省大臣官房参事官) 上田 弘君
政府参考人
(農林水産省生産局農産部長) 平形 雄策君
政府参考人
(農林水産省農村振興局整備部長) 安部 伸治君
政府参考人
(中小企業庁経営支援部長) 渡邉 政嘉君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 内田 欽也君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術審議官) 江口 秀二君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局長) 五道 仁実君
政府参考人
(環境省環境再生・資源循環局長) 山本 昌宏君
政府参考人
(防衛省大臣官房審議官) 青木 健至君
衆議院調査局第三特別調査室長 武藤 裕良君
―――――――――――――
委員の異動
十一月二十一日
辞任 補欠選任
金子 俊平君 上杉謙太郎君
鳩山 二郎君 大西 宏幸君
宮路 拓馬君 古川 康君
池田 真紀君 金子 恵美君
武内 則男君 森山 浩行君
緑川 貴士君 篠原 孝君
同日
辞任 補欠選任
上杉謙太郎君 金子 俊平君
大西 宏幸君 宗清 皇一君
古川 康君 古田 圭一君
金子 恵美君 池田 真紀君
篠原 孝君 玄葉光一郎君
森山 浩行君 武内 則男君
同日
辞任 補欠選任
古田 圭一君 穂坂 泰君
宗清 皇一君 鳩山 二郎君
玄葉光一郎君 緑川 貴士君
同日
辞任 補欠選任
穂坂 泰君 宮路 拓馬君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
災害対策に関する件
――――◇―――――
○原田(憲)委員長代理 これより会議を開きます。
委員長の指名によりまして、私が委員長の職務を行います。
災害対策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官石川卓弥君、内閣府政策統括官青柳一郎君、総務省大臣官房審議官谷史郎君、消防庁国民保護・防災部長小宮大一郎君、文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官笠原隆君、文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官寺門成真君、厚生労働省大臣官房審議官迫井正深君、農林水産省大臣官房生産振興審議官鈴木良典君、農林水産省大臣官房参事官上田弘君、農林水産省生産局農産部長平形雄策君、農林水産省農村振興局整備部長安部伸治君、中小企業庁経営支援部長渡邉政嘉君、国土交通省大臣官房審議官内田欽也君、国土交通省大臣官房技術審議官江口秀二君、国土交通省水管理・国土保全局長五道仁実君、環境省環境再生・資源循環局長山本昌宏君及び防衛省大臣官房審議官青木健至君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○原田(憲)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○原田(憲)委員長代理 質疑の申出がありますので、順次これを許します。三ッ林裕巳君。
○三ッ林委員 自由民主党の三ッ林裕巳です。
今回、この質問の機会をいただいたこと、心から感謝申し上げます。
まず冒頭、台風十九号を始めとした一連の災害によりお亡くなりになられた方々に深く哀悼の意を表しますとともに、まだ被災されている多くの方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。
台風十五号では、千葉県で大規模停電、また断水、電話の不通、こういった複合災害がありました。また、台風十九号におきましては、七十一河川の百二十五カ所の堤防決壊、お亡くなりになられた方が八十九名、行方不明者が七名と伺っております。
このような広範囲かつ災害が長期的に及んでおりまして、被災自治体の一日も早い復旧復興のためには、大型の補正予算また国土強靱化のための三カ年の緊急対策の延長など、大規模かつ確実な予算の確保が不可欠と思います。また、被災地が一日も早く生活を取り戻すためには、国による長期的な支援も必要であります。
このことについて、武田防災担当大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○武田国務大臣 災害からの復旧復興と安全、安心の確保につきましては、先日、総理から示されました新たな経済対策の取りまとめにおいても重要な柱となっており、喫緊の課題であると痛感をいたしております。
この新たな経済対策に関する指示を受け、国土強靱化につきましては、まずは令和二年度までの三カ年緊急対策の取組を着実に進めるとともに、台風十五号、十九号の被害を踏まえ、関係省庁と連携しつつ対策を取りまとめてまいりたい、このように思っております。
その上で、三カ年緊急対策後につきましても、国土強靱化基本計画に基づき、必要な予算を確保した上で、オール・ジャパンで国土強靱化を強力に進め、国家百年の大計として、災害に屈しない強さとしなやかさを備えた国土をつくり上げてまいりたいと思います。
さらに、被災地が一日も早くもとの生活を取り戻すことができるよう、政府としては、これまで、十一月七日に、被災者生活支援チームのもとで、関係省庁が一体となって、一連の災害による被災地の生活再建と生業の再建に向けた対策パッケージを取りまとめ、八日に一千三百十六億円の予備費の使用を閣議決定いたしたところであります。
今後とも、顕在化する課題にはスピード感を持って万全の対応をとってまいりたいと思いますし、切れ目なく財政措置を講じることで、被災自治体と一体となって被災地の復旧復興に全力を尽くしてまいりたいと思います。
○三ッ林委員 武田大臣、力強い御発言、ありがとうございました。
次の質問に移らせていただきます。
台風十九号の災害におきましては、私の地元の埼玉県でも大きな被害がありました。国土交通省から迅速にTEC―FORCE、緊急災害対策派遣隊を派遣いただきまして、自治体支援などに取り組んでいただきました。大変心強い、また実際に、自治体の方々、このTEC―FORCEの支援に対して感謝しております。
資料を用意いたしました。国土交通省関東地方整備局からの資料でありますけれども、TEC―FORCE、リエゾン、国土交通省関東地方整備局が派遣された人員を示しております。埼玉県では、延べ千八十六人のTEC―FORCE。そして、TEC―FORCEはさまざまな班に分かれております。被災状況調査班や応急対策班等の専門知識を持った職員等の人員、排水ポンプ車等の特殊な車両の資機材、こういったことを受け持つ班。
こういったTEC―FORCEは大変災害のときに迅速に動いていただいて、感謝いたしたいと思いますが、これからの激甚化する災害に備えて、TEC―FORCEの必要な人員、これは今、全国十ある、この地方整備局でも非常に厳しい状況と伺っております。そしてまた資機材、これを確保しなくてはなりません。
被災自治体の支援体制を強化するためには、このTEC―FORCEのさらなる充実が必要だと思いますが、今後のこのことについての対策についてお伺いしたいと思います。
○五道政府参考人 お答え申し上げます。
国土交通省においては、台風第十九号の被災地に、一日最大七百四十八名、本日時点で延べ二万七千人を超えるTEC―FORCEを派遣しているところでございます。
具体的には、リエゾンを派遣し、支援メニューの情報提供や被災地のニーズ把握、最大七機の防災ヘリを投入して、被災概況の把握、河川、道路等の被災状況の調査、二百台を超える排水ポンプ車による排水活動など、被災自治体への支援を行ってきたところでございます。
南海トラフ巨大地震や首都直下地震の発生、気候変動に伴う水害の頻発化、激甚化が懸念される中、これらの大規模自然災害に的確に対応するため、TEC―FORCEの体制、機能のさらなる拡充強化が必要だと認識しております。
そのため、隊員一人一人の能力向上を目指し、ドローン等の最新技術の導入に向けた訓練や研修等を充実させるとともに、必要な災害対策用資機材の確保に努めてまいります。また、TEC―FORCEの派遣や災害からの復旧復興など政府の重要施策を確実に実施していくために必要な地方整備局等の人員を確保すべく、努力をしてまいります。
○三ッ林委員 ありがとうございます。
TEC―FORCE、そしてリエゾン、この体制、これを本当に充実強化していただきたい、そのように思います。私も全力を尽くしてまいりたいと思います。
次に、私の地元、利根川水系、埼玉の東部にあるわけですけれども、この利根川水系では、台風十九号におきまして、この降水によりまして、栗橋、ちょうど久喜市というところですけれども、そこの栗橋水位観測所では、利根川上流河川事務所から伺ったところ、最高水位九・六一メートルを記録して、氾濫危険水位、これが八・九メートル、を十時間近く超過する大規模な洪水が生じました。
これは、昭和二十二年にカスリン台風という当時大型台風が、雨台風が来まして、埼玉東部、また東京に至るまで水没した、こういった災害がありました。この過去の経験から、治水に対して、先人の皆さん、また国がしっかりと支援をしていただきまして、堤防強化事業等を始め、進めていただきました。
この洪水に対して、渡良瀬遊水地を始め四つの調整池、過去最大となる最大二・五億トン、これは東京ドーム二百杯分に当たりますけれども、この洪水を貯留して、また、八ツ場ダムが七千五百万トン、こういった利根川の上流ダム群、そして、国道十六号の地下五十メートルにある、報道でもされております首都圏外郭放水路、これが千二百万トン、そして、その下流、江戸川の下流にある三郷放水路、これが三千二百七十万トン、こういった洪水調節機能を有する施設、これが有効に作用して、首都圏の洪水被害、これを防止いたしました。
これは、私は、こういったダム、それから洪水調節施設、大変重要であり、やはり全国にこれも展開していく必要があると思いますが、ただ、気候変動は、激甚化するこれからの水害、これに備えて、現在進めている首都圏氾濫区域堤防強化事業、これを更に拡大して強化していかなくてはならないと思っていますが、また、さらなる洪水調節施設の設備が必要ではないかと考えておりますが、これに対して今後の検討はどうなるのか、お考えをいただきたいと思います。
○五道政府参考人 お答え申し上げます。
今回の台風第十九号では、利根川流域においても記録的な大雨となり、これまで整備してきた、先ほど御指摘がございました八ツ場ダムを始めとする上流ダム群や渡良瀬遊水地などの調節池において合計約四億立方メートルの洪水を貯留いたしたところでございます。また、中川、綾瀬川流域においては、首都圏外郭放水路や三郷放水路等により、流域内の降水量の約三割を流域外へ排水したところでございます。
今後とも、首都圏を抱える関東平野を貫流する利根川、江戸川における治水安全度の一層の向上を図ることが重要であるというふうに認識しております。
このため、河川整備計画に位置づけられた首都圏氾濫区域堤防強化対策や高規格堤防などの堤防の整備強化、また、既設の藤原ダムや奈良俣ダムをより有効に活用するために容量振りかえなどを行うダム再生や、稲戸井調節池の掘削による容量増大といった洪水調節施設の整備強化など、事業を推進してまいります。
さらに、あす第一回の開催を予定しております社会資本整備審議会での議論も踏まえ、気候変動によって想定される降雨量の増加などを考慮した治水計画への転換を進め、流域全体でハード、ソフト一体となった水災害対策を進めてまいります。
○三ッ林委員 ありがとうございます。ぜひともこの治水事業をしっかりと強力に推進していただきたい、そのように思います。
次に、警報による避難行動について質問させていただきます。
台風十九号では、気象庁が事前から、今までにはない大型の台風、早目の避難をと警告を発してきて、さらに、接近したところでは、気象庁の大雨特別警報を発表いたしました。そして、当該地域の多くの自治体は、避難指示、避難勧告を発令しましたが、その発令のタイミングが自治体によってまちまちでありまして、中には十月十二日の深夜に発令した自治体もありました。そのころは風も強く、夜間であり、現実問題として、お年寄り、高齢者の多くの方には避難しにくい状況でありました。
住民の確実な避難のためには、自治体からの避難勧告等の発令は速やかになされるべきだと考えますが、内閣府としての見解を伺いたいと思います。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
自然災害から住民の生命を守るためには、避難行動を開始すべきタイミングで、市町村が空振りを恐れず、避難勧告等を発令することが重要でございます。
内閣府が策定しております避難勧告等に関するガイドラインにおいて、台風等の接近に伴い、大雨や暴風により避難行動が困難になることが予想される場合は、市町村は、住民に対し、早目に避難勧告等を発令するということとしております。
一方で、事態が急変するなどによりまして災害が切迫した状態になる、突然変化するというような場合には、夜間や風が強くてもちゅうちょなく避難勧告を発令すべきとしているところでございますけれども、今回の台風十九号のような場合には、やはり早目に避難勧告を発令すべきということでございますので、自治体による避難勧告等の発令が速やかになされるよう、自治体に対してまた改めて周知をしてまいりたいと考えております。
○三ッ林委員 次に、資料を用意しましたが、これは「平成三十年七月豪雨を踏まえた水害・土砂災害からの避難のあり方について」の概要での資料ですけれども、警戒レベルが五段階ありまして、警戒レベル四が全員避難、そういったことになっているわけですけれども、この五段階の警戒レベルにおいて、警戒レベル四が全員避難、これで住民への避難を呼びかけることになっておりますけれども、全員避難、これはどういうふうに進めていくか、自治体が。この趣旨がきちんと住民に理解されていないのではないか。また、そういった自治体の、指示を出す、発令をする首長がきちんと理解しているのであるのか。住民の中には、暴風雨の中、無理に避難所に行った事例もありました。
この全員避難について、今後どのようにすべきであるのかというか、また、首長や住民に対してどのような、しっかりとした説明をしていかなくてはいけないと思っております。今後どうするのか、その点についてお聞きしたいと思います。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
全員避難、これは災害リスクのある住民への避難を呼びかけているものでございます。また、公的な避難場所への避難のみを求めているのではなくて、親戚や知人宅等、安全な場所への避難、あるいは屋内での安全確保、垂直避難といったものも求めるものでございます。既に周囲で洪水、土砂災害が発生しているような屋外への立ち退き避難がかえって危険を及ぼしかねない場合には、近隣の安全な場所への避難、屋内安全確保というものを行う必要がございます。
ただ、一方で、委員御指摘のとおり、全員避難という呼びかけのこの趣旨が住民あるいは首長に十分に理解されていないという御指摘があることは承知しておりまして、今後、中央防災会議のもとに設置するワーキンググループにおきまして、災害リスク、とるべき行動や、全員避難というような行政による避難の呼びかけについて、住民や首長の理解の実態を把握、検証した上で、必要な対策をまた検討して進めてまいりたいと思います。
○三ッ林委員 どうしても避難所に避難するという意識が強いので、全員避難で全て避難できないのは明らかで、こういったことをどのようにするのかやはり周知徹底する必要があると思いますし、ぜひ、今回の災害でどのような住民が行動をとったかという社会調査、これもやっていただきたい、そのように思います。
次の質問に移りますが、もう時間もないので端的にお話ししますけれども、今回の災害で、多くの医療機関が、公的また民間に限らず、大変な水害に遭いました。そして、ある病院では、新聞にも出ましたけれども、三十五億程度の被害があった。
こういった水害、公的な医療機関、救急病院、さまざまな医療機関がこの災害をこうむっているわけでありまして、そして、今、診療も一部でされているわけですけれども、こういった災害に対する、社会に貢献している医療機関、この災害の助成に対してどのような対策があるのか、お聞きしたいと思います。
○迫井政府参考人 御答弁申し上げます。
台風十五号や十九号を始めといたしました一連の豪雨、暴風雨によりまして広範な地域に甚大な災害がもたらされたことを受けまして、被災者の生活と生業の再建に向けた対策パッケージによりまして、緊急に対応すべき施策をまとめたところでございます。
医療施設の被災に関しましては、医療施設等災害復旧費補助金によりまして、建物の工事等の復旧に要する費用について、公的医療機関及び特に優先度の高い救急医療や周産期医療等の政策医療を実施いたしております民間医療機関へ二分の一を補助することとしております。
さらに、激甚災害に指定された場合には、公的医療機関に対しましては補助率の引上げ、政策医療を実施しております民間医療機関に対しましては補助額の上限の撤廃、一定額を超える医療機器を補助対象へ追加といった対応がなされることとなります。
医療施設の災害復旧事業が迅速に進むように、災害復旧に係る補助金等の支援内容を周知するための説明会の開催を検討することも含めまして、対策パッケージの具体化にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○三ッ林委員 ぜひとも、政府におかれましては、国民の生命と財産を守るための万全の備えをよろしくお願い申し上げまして、私の質問といたします。
ありがとうございました。
○原田(憲)委員長代理 次に、上杉謙太郎君。
○上杉委員 おはようございます。自民党の上杉謙太郎でございます。
今回の台風十九号の被災に関しまして、私、福島県選出でありますので、そういった中で質問の機会をいただきまして、諸先輩先生方に感謝を申し上げたいというふうに思います。
また、被災された皆様にお見舞いを申し上げたいというふうに思います。
福島県も大変な被害がございました。
お手元に資料をお配りさせていただきましたが、今回の台風で、一番はやはり河川の氾濫でありました。越水、決壊等々いろいろあったわけでありますが、この国交省さんの地図で、これだけ多くの河川の被害状況がございます。
一枚おめくりいただきますと、これは全部私の選挙区でありますが、福島県の県南地域というところであります。写真一は、これは農業関係施設でありますが、水管橋というものが壊れてしまったということであります。写真二は、もう道路が、これは右下はコンクリートがあるんですけれども、道路になっています。これは本当はずっと道路があったんですけれども、河川の氾濫によって道路が流されてしまって、そこに自動車がおっこってしまっている。ちなみに、これは私の後援会の女性部の方の車であります。
そのような形で、本当に福島県もたくさんの被害がございました。
十月十二日夕刻から台風が東北にも来て、国交省さんの河川局の出先機関が、福島河川事務所さんが私の地元にもありますので、所長さんと携帯でやりとりをして、もういよいよ川が氾濫するというような状態の中で見守りながら、自治体の方と連携をして、また消防団の方と連携をして、夜な夜な対応させていただきました。翌日になったら、私の方は国交省管轄の河川ですと阿武隈川という河川があるんですが、決壊をしておりました。すぐ視察をして見せていただきました。
まず、国交省さんにお尋ねをいたしますが、この阿武隈川の河川の氾濫、決壊と、そこから復旧に至るまで、経過を御説明いただけますでしょうか。
○五道政府参考人 お答え申し上げます。
台風第十九号により、福島県を流れる阿武隈川水系においては、国管理区間において一カ所、県管理区間において三十カ所の堤防が決壊したところでございます。
国管理区間につきましては、十月十四日より二十四時間体制で工事に着手し、十月十八日十七時に仮の堤防を完成させ、その後、仮堤防を補強するための対策を十一月八日まで行い、応急復旧工事を終えたところでございます。
また、県管理区間につきましては、先ほど委員からお話ありましたけれども、委員を始め、沿川市町村、首長様、またさまざまな方から、大変有意義な情報を福島河川国道事務所にいただきました。
国土交通省としては、発災直後の十月十三日からTEC―FORCEを延べ約千七百名を派遣し、先ほどいただきました情報を活用させていただきながら、被災状況調査を実施したところでございます。
このようなTEC―FORCEによる被災状況調査等を踏まえ、県管理区間で決壊した三十カ所についても、十月二十五日より、国が権限代行により応急復旧工事をした十六カ所も含め、十一月八日までに仮堤防が完成したところでございます。
引き続き、被災した地域に寄り添い、関係機関とも連携し、被災地の復旧復興のため、全力で事業を進めてまいります。
○上杉委員 ありがとうございました。
十二日に台風が来て、十三、十四と水が引いてきて、水が引いてきて初めて堤防が決壊しているというのがわかったというのもありました。国交省さんですとか自治体さんよりも早く、私だったり私の後援会の方が見つけてお知らせをさせていただいたりですとか、そんなこともあって、また、台風が来て翌週、週末にまた大雨が降るかもしれないという状況でありました。そういう中で、二十四時間体制で国交省さんがまず緊急的な復旧をしてくださったおかげさまで、私の方の選挙区においては、また雨が降っても、次、また二次災害というのはなかったので、速やかな対応をしていただきまして本当にありがとうございました。
続いて、今、緊急復旧が終わって、これから改良復旧をしていくわけでありますけれども、この台風十九号も、また同様のものが来たら、原形復旧であってはまた同じ結果が起こるわけであります。ですから、スーパー堤防ではないですけれども、しっかりともう一度設計をして、今回の台風のような雨量でも大丈夫なような形で復旧しないといけないというふうに思いますが、お考えをお聞かせいただけますか。
○五道政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、被災地の復旧に当たっては、原形復旧のみならず、抜本的に機能を強化する改良復旧を行うことは極めて重要であると認識しております。
阿武隈川を含む被災した河川の復旧に当たっては、洪水時の水位を下げ、安全かつ確実に洪水を流すことが最も重要であり、再度災害防止の観点から、各河川の特性や流域の状況を踏まえ、原形復旧のみならず、機能強化をする改良復旧を適切かつ積極的に活用することは重要だというふうに考えてございます。
今後、阿武隈川水系の治水対策の立案に当たっては、国、県、市町村と連携し、河道掘削や遊水地など、さまざまな手段を適切に組み合わせた検討を行い、被災地の復旧復興のため、引き続き全力で進めてまいります。
○上杉委員 ありがとうございます。あと、ダムの活用もお願いいたします。
お手元の資料の一番裏面なんですけれども、写真七と八でありますが、ちょうど私の選挙区と根本匠先生の選挙区の境目のところでありますけれども、こういうふうに浸水をしてしまうわけでありますので、ぜひ改良復旧を大前提に行っていただけたらありがたいというふうに思います。
大臣に御質問させていただきたいのでありますが、先ほど三ッ林先生からもありましたけれども、国土強靱化について。
今やっていらっしゃることで、その先、令和三年以降でありますが、この異常気象というのは、今異常と言われているかもしれませんけれども、常態化するかもしれないわけであります。そうすると、これは異常気象じゃなくて通常の気象になってしまうわけであります。ということは、この気象を前提とした国土強靱化を進めていかなければならないというふうに思います。
例えば、具体的に、治水においても、同じような堤防だったらだめなわけなので改良復旧するわけでありますし、そういう意味で、今の国土強靱化のその次のさらなる国土強靱化というのを検討していっていただきたいというふうに思うんですが、お考えをお聞かせいただけますか。
○武田国務大臣 先生の御地元福島県、三ッ林先生、埼玉県、視察にお邪魔させていただきましたけれども、広範囲にわたる被災地の皆さんに心からお見舞いを申し上げたいと思います。
近ごろ、気候変動の影響等によって本当に災害というのがやたらと甚大化してきたわけでありまして、この上で、国民の生命と財産を守る国土強靱化政策の重要性というのは、ますます重要度が増してくるというふうに我々も考えております。
昨年十二月に改定しました国土強靱化基本計画におきましては、気候変動等の影響も踏まえた治水対策等を進めることを推進方針としております。現在、各省庁におきまして、将来の気候変動の影響による降雨量の増加等への備えについての検討など、近年の災害における課題を踏まえた検討を進めているところであります。
その検討を重ねることによって、やはり、今までの我が国の自然災害に対する安全規格というものを根本から見直していかなくてはいけないんじゃないか、このように考えて、しっかりとした検討を進めてまいりたいと思います。
○上杉委員 大臣、ありがとうございます。また、台風以降、すぐに福島県に現地入りしていただきまして、本当にありがとうございました。
続きまして、私ども福島県は米どころでありますので、河川の氾濫によって、川の周りには田んぼがあるわけでありますから、農業被害が甚大でありました。すさまじかったわけであります。
その中で、一つ、米の生産者向けといいますと、田んぼというのは川から水を引いているわけでありますから、さまざまな水利施設がございます、土地改良関連施設。今、目下、稲わらが堆積してしまったという問題があるんですけれども、ちょっとその先を見なければならなくて、今、十一月でありますが、また来年四月、五月には田植があるわけであります。今、いろいろなものが壊れちゃっております。
先ほどお見せさせていただきました資料の最初の写真一の水管橋というのは水を通す橋なんですけれども、例えばこれは石川町というところなんですが、この青いやつを通して、水を利用して田植をしている方々が数百いらっしゃいます。例えばこういうものがたくさん壊れていますので、今、来年田植ができないという農家さんが本当にたくさんいます。
今、国交省さんも、農水省さんも、また環境省さんも精力的に現地にも入っていただいて、一生懸命やってくださっております。本当に感謝しております。ただ、土砂災害ですとか、川を直す、道路を直すというところに地元の建設業者さんも今稼働が大変なんですけれども、来年の四月、五月に必ず田植ができるように、営農再開できるように、こちらの水利施設も速やかに復旧していかないといけないというふうに思うわけであります。
調査に入ってくださっておりますし、これから査定をして、十二月中に出してくださいということになっておりますが、査定前着工という制度もありますし、また業者さんを探すのも大変だったりしますから、今急いでいただいていますが、もっともっと急いでいただいて、対応してもらいたいというふうに思うんですが、いかがでございましょうか。
○安部政府参考人 お答え申し上げます。
農家の営農意欲を失わせないためには、被災した農地、農業用施設の早期の復旧をすることが極めて重要であると考えてございます。
このため、早期復旧に向けまして、机上で査定を行う範囲の拡大でございますとか、図面の簡素化によりまして災害査定の迅速化を図る、それから、災害査定を待たずに工事に着手できます査定前着工、この活用、それから、福島県からも要請を受けております設計コンサルタントの確保に向けまして、関係団体への協力の依頼、そして、国の職員を市町村等へ派遣をいたしまして、復旧工法等にかかわります技術の支援といったものを行っているところでございます。
引き続き、自治体や土地改良区と連携をいたしまして、早期の復旧に努めてまいります。
以上であります。
○上杉委員 ありがとうございます。
ぜひ、よろしくお願いします。また、個別にたくさん御対応いただいてありがとうございます。
続きまして、この水利施設、田んぼがあるということは、近くに農家さん、人家もあるわけであります。稲わらの問題とごみの問題、ちょっと時間がなくなってきましたので一緒に質問させていただきますが、例えば、田んぼであれば、今稲わらが散乱して、それを撤去しなければならないということになっていて、田んぼの近くには自宅、住宅もあるわけであります。ここも一階部分が全部浸水をして、冷蔵庫もだめになった、畳もだめになった。今この災害ごみ、各自治体さんが自分たちで所有する処理施設の稼働をはるかにオーバーしているわけであります。環境省さんがイニシアチブを発揮をして、しっかりと各災害ごみを処理しなければならない。いえ、二年かかります、三年かかりますではなくて、特に可燃であれば、来年、春、夏となってくると、臭くなっちゃいますよ、災害ごみ。においがすごくなってしまいますから、速やかにやるべきであるというふうに思います。
優先的には自治体さんが持っている処理施設を使うのがそうでありますけれども、例えば民間であれば産廃業者もあるわけであります。ここにちょっとやっていただくというのも一つでありますし、環境省さん、私ども福島県、原発事故がありましたけれども、環境省さんが除染のごみを焼却する施設もつくられたわけでありますから、そういうのも活用する。また、今回被災していない自治体さんは稼働があいているわけでありますから、何とか市のごみ処理場だったら一日十トン分あいていますからここ使ってくださいと紹介してあげるですとか、そういう連携を県とともにやるべきだというふうに思うんですけれども、いかがでございましょうか。
○山本政府参考人 お答えをいたします。
ただいま委員から御指摘のありました問題、まさにそのとおりだと考えております。
初期の段階から委員には地元被災地の詳細な情報をいただきまして、そういったことも踏まえて、自治体では到底処理できない量ということでございますので、御指摘のあった自治体の施設、それから民間の施設、さらには県外の施設、あるいは国が保有している仮設焼却炉も含めて、できるだけ早期に処理が進むように、特に、生活圏にあるものについては年内に撤去が完了するようにという目標を掲げておりますので、これを全力で進めてまいります。
○上杉委員 ありがとうございます。
これから寒くなりますので、二月、三月までは大丈夫かもしれませんが、ぜひ速やかにお願いをしたいというふうに思います。
今回、激甚指定というふうになりましたので、土砂の問題も、水利施設の問題も、河川の決壊も、道路の崩壊も、またごみの問題も、国が相当な支援をしていただけるということで、自治体の方も非常に安心をしております。
しかしながら、例えば、一つ一つの案件で、じゃ、仮に国から九五%出るといっても、五%分、自治体の負担が出てきてしまうわけであります、交付税があればいいわけでありますけれども。そうすると今度、五%でも、積もり積もれば大変な量になるわけであります。すごい自治体の負担になるわけでありますので、ちょっと総務省さんに伺いたいんですが、しっかりと交付税手当てをするべきだというふうに思うんですけれども、教えていただけますか。
○谷政府参考人 お答え申し上げます。
台風十九号によりまして、多大な被害を受けました地方公共団体におきましては、応急復旧対策などに財政負担が生じることが見込まれております。
総務省といたしましては、まず、発災後速やかに、被災団体の当面の資金繰りを円滑にするために普通交付税の繰上げ交付を実施いたしました。さらに、予備費を計上しております農業用ハウスの再建ですとか災害廃棄物の処理など、復旧復興事業に係る地方負担につきまして、適切に地方財政措置を講じることとしております。
今後とも、被災団体の実情を丁寧にお伺いして、特別交付税措置も含めまして、地方交付税、地方債による地方財政措置を講じまして、その財政運営に支障が生じないように適切に対応してまいりたいと考えております。
○上杉委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。
続きまして、同じく総務省さん案件でありますが、消防団についてであります。
今回、台風通過に当たって、自治体の方も一生懸命尽力してくださいましたし、警察、消防署もそうであります。実は、この消防団の方々が本当に今回活躍をしてくださいました。消防団の方がいなかったら、もしかするともっと被害があったかもしれないというわけであります。消防団の方がいてくださったおかげで救われた命というものがたくさんありました。
そこで、確かに国土強靱化、ハードの面のことというふうに考えますと、ソフト面の中の一つとして、この消防団についてもっと施策を拡充していくべきだというふうに思うんですけれども、総務省さん、お考えをお聞かせいただけますか。
○小宮政府参考人 お答えいたします。
消防団の充実強化につきましては、本年四月、総務大臣から都道府県知事及び市町村長宛ての書簡を発出いたしました。その中で、大規模災害団員制度の積極的な活用など、加入促進の取組を引き続き進めることに加えまして、新たに消防団の体制についての定量的な目標を設定した上で、計画的にその充実強化を図るよう要請をいたしました。
こうした取組に関連いたしまして、来年度予算の概算要求におきまして、市町村が消防団員数などの定量的な数値目標を含む消防団の中期的な計画の策定を支援するほか、救助用資機材の技術講習を実施することとしております。
今後とも、消防団の充実強化に向け、全力で取り組んでまいります。
○上杉委員 ありがとうございました。
時間が来てしまいましたので、最後に一問だけ。
武田大臣にお伺いしたいんですけれども、この消防団については、管轄は総務省さんであるかもしれませんけれども、防災という観点からすれば関係するというふうに思います。
消防団の方々というのは、小学校の学区よりももっと細かく班分けされているんですよね。あそこのじいちゃんはひとり暮らしだから助けに行かなきゃとか、あそこはじいちゃん、ばあちゃん二人だけれども、ばあちゃんは足が悪いから、じいちゃん一人で担いでいけない、だから先に行かなきゃというのを知っているんですよ、消防団は。
だから、ぜひ消防団に対してもっと手厚くするということと、今、消防団の方々、手当というんですか、処遇はすごい低いんですね。なので、今、なり手も少なくなってきております。地域を守る、フロントで守るのは消防団でありますから、処遇を改善するということもそうでありますし、ぜひ、防災大臣からも、消防団に対して熱い思いを向けていただけたらありがたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
○武田国務大臣 御指摘のように、地の利を始め地域に精通した消防団の事故や災害のときの活躍ぶり、これにはただただ頭が下がる思いであります。
また、事前防災、発災時の応急対策等にはもうかけがえのない存在になってきているわけでありまして、しかしながら、実情は残念ながら、これは全国的に言えるんでしょうけれども、消防団のなり手が少なくなってきた、こうした問題もあわせて考慮していかなくてはならないわけでありますけれども、私は、そうした処遇改善というものはしっかりと支持していきたい、このように思っております。
○上杉委員 大臣、ありがとうございます。心強いお言葉をいただきました。
また、救命ボートですとかライフジャケット、救助用の浮き輪とかも装備していただければありがたいというふうに思っております、消防団の方に。お願いを申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。
○原田(憲)委員長代理 次に、濱村進君。
○濱村委員 公明党の濱村進でございます。
まず、冒頭に、武田大臣に質問をさせていただきたいと思います。
大臣におかれましては、九月十一日に大臣になられて以降、さまざまな災害現場に急行されておられて、本当に心強く思っているところでございます。こうした災害の現場にしっかり駆けつけながら、現地を見て、しっかりとした対応を行っていく、こうした姿勢が我々にもしっかり伝わっているということを冒頭申し上げておきたいなと思っておりますが、それに加えて、大臣におかれましては、台風十五号を契機にいたしまして、検証チームを立ち上げられました。
災害対応というのは、そもそも事前の準備が非常に重要でございます。こうした中で、常に検証と改善を繰り返していかれながら、より精度の高い災害対応を行っていこうということで、こうした検証チームを立ち上げられたものというふうに理解をしておりますが、いま一度、今般、どのような課題認識のもとでこの検証チームを立ち上げられたのか、また、これは十九号についてもあわせて検証されるということでございますが、どのような課題認識でいらっしゃるのか、御所見をお伺いいたします。
○武田国務大臣 最近多発しました災害から得られた教訓というものをしっかりと維持しながら、その教訓をもとに、対策をふだんから、不断の見直しを行っていくという心構えがまずは必要であろうかと思っております。
十五号、十九号を始めとした一連の災害に係る検証チームの件でありますけれども、まず十五号におきましては、長時間にわたる停電及びその復旧プロセスなどのさまざまな課題が認められました。それらの課題を検証、検討するため、官房副長官をトップとする政府全体の検証チームを立ち上げたところであります。
このチームのもとに設置した実務者検討会において、メンバーである防災分野等の有識者五名の御意見も伺いながら、長期停電の原因と復旧プロセスに加え、通信障害や、国、地方自治体の初動対応や、災害対応になれていない自治体への支援等について検証を行うこととしております。
また、十九号につきましては、自宅で被害に遭われた高齢者、また、屋外、特に自動車での移動中に被災された方々が多く、避難の実効性の確保や、わかりやすい防災情報の提供等が課題となったことから、今後、中央防災会議のもとに設置するワーキンググループにおいて検証することといたしております。
加えて、十九号におきましては、河川の氾濫危険情報また氾濫発生情報の発信そして伝達が十分でないなど、住民の避難行動にとって重要な情報の発信や伝達が課題となったことから、国交省において、河川・気象情報の改善に関する検証チームを設置し、検証がなされているところであります。
これらの検証も含めて、先ほど申し上げました政府全体の検証チームにおきまして、今後、徹底的な検証を行うこととしているところであり、その結果を踏まえ、防災・減災対策を不断に見直してまいりたいと思います。
○濱村委員 不断の見直しがもうベースにあるということを重々承知の上で、さらに、課題認識をしっかりとテーマごとにされた上で対応を積み重ねていく、これが基本中の基本なわけですけれども、改めて、それを有識者を交えてやっていくという試みだということでございます。ぜひとも、被災者の皆様に寄り添う、そうした災害に対応する知見を積み重ねていっていただきたいというふうに思っております。
続きまして、被災者の皆様、住家の被害がございます。こうした住家に対しての被害についての支援についてお伺いいたします。
被災者生活再建支援法によりまして、全壊あるいは大規模半壊に対して、さらには、災害救助法によりまして、大規模半壊や半壊の応急修理について支援が措置されてきました。
こうしたところに、今回は更に改めて、一部損壊に対してさらなる支援が追加されました。これはどのような趣旨で、もともと、なかなか手当てされていない被害を受けておられた層があるということであったんだろうと思っておりますけれども、今回追加された支援について、制度の概要、詳細について確認いたします。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
災害救助法によります住宅の応急修理、応急的な修理によってもとの住家に引き続き住むことを目的としてその破損箇所を修理するということで、これまで半壊以上のものについて対象にしておりましたが、台風十五号、この千葉による災害では、暴風による屋根の被害、また、その直後の降雨のために屋内に浸水被害が生じたということで、日常生活に支障を来す家屋被害というものが極めて多数発生したところでございます。
このため、今般、災害救助法の応急修理の制度を拡充して、日常生活に支障を来す家屋、このような一部損壊の住宅については恒久的な制度として支援の対象とするということで拡充を行ったところでございます。
具体的には、損害割合ということで一〇%以上二〇%未満の住宅については、一部損壊の区分を設けて、災害救助法の基準、こちらの応急修理の部分を告示を改正いたしまして、住家の損害割合が一〇%以上二〇%未満の場合には三十万円を限度額として応急修理を行うということで拡充をしたところでございます。
○濱村委員 日常生活に支障を来すような場合に、一部損壊についても災害救助法の応急修理の拡大適用ということで三十万円以内で支援されるということでございます。しっかりと、国民の皆さん、被災された皆さんに周知しながら進めていっていただきたいなというふうに思います。
今回、さまざまな災害があって、それに対応するパッケージを出されたわけでございます。そうした対策パッケージにおいては、災害応急復旧ということで、河川等について改良復旧も行うということで取り組んでおられます。
そもそも、災害復旧というのは原形復旧というのが基本でございます。しかしながら、原形復旧したとしても、同程度の災害が起きてしまいますと、当然同じような被害が生じてしまうというわけでございます。
これは、そういう観点からでいいますと、改良復旧というのは非常に必要性があるというふうに私は考えておりますが、ただ、何でもかんでも改良復旧でまぜ込んでしまっては、それはやはりいけないだろうということで、どこかで線は引かなければいけないと思っております。
現状でも改良復旧を適用する際にはいろいろな基準があるという認識を持っておりますが、それがまずどの程度のものなのか。そしてまた、それにつけ加えて、今現状で見てみますと、非常に災害が多く発生いたしたりしますので、そうしたことも考えてしっかりと準備をするという趣旨も込めて改良復旧に今後当たっていかなければいけないと思っておりますけれども、今後、各地の被害状況を見ながら、どういう被害があったのかというのを、吸い上がってきてから、それに対して改良復旧がどの程度適用されるのかということを判断していかなければいけないと思いますけれども、このあたり、また、適用基準を適切に設定することが重要と考えております。御所見をお伺いいたします。
○五道政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、被災地の復旧に当たっては、原形復旧のみならず、再度災害防止の観点から、施設の機能を強化する改良復旧を行うことは極めて重要であるというふうに考えてございます。
改良復旧事業は、被災箇所の原形復旧では十分な効果が期待できない場合に、被災していない箇所も含む一連の施設で再び同じような災害が発生しないよう施設の機能向上を図る事業でございます。現在、被災自治体におきまして、復旧に向けた計画を立案中でございます。
国土交通省といたしましては、被災自治体の御相談に乗らせていただき、被災自治体の要望を踏まえ、災害査定官等がさまざまな助言を行うなど、災害復旧事業が適切かつ積極的に活用されるよう、引き続き全力で支援をしてまいります。
○濱村委員 各自治体がどのような工事が必要かということを判断し、それを査定されるということになりますが、こうした一連のプロセスにおける、どこまでやればいいかという判断は能力に直結しているものだと思っております。こうした能力の向上も含めて、ぜひ丁寧な御支援をお願いしたいというふうに思っております。
今般の台風被害の中でも、十月十二日に台風十九号、非常に大きな、甚大な被害をもたらしたわけでございますけれども、ちょっと個別の話でございますが、十月十三日には横浜国際総合競技場でラグビーワールドカップの日本対スコットランド戦が開かれるということがもともと予定をされておりました。ですが、その前日、十二日に十九号が非常に大きな被害をもたらしましたので、大変な状況になって、開催できるのかどうかといったことが危ぶまれる状況になりました。
しかしながら、実は、横浜国際総合競技場、この周辺というのは、鶴見川というのがございまして、鶴見川の多目的遊水地ということで遊水地がございます。この遊水地があったことによって、実はラグビーワールドカップの試合が開催することができたというような状況でございました。
この試合を開催するということのためには、実は前日からいろんな方々が御尽力をされたわけでございます。組織委員会の方もそうでございますし、さらには開催自治体でございました横浜市の職員の方々、あるいは管理スタッフとかボランティアの方々も含めていろんな方々が、中には寝ずの番をしながら開催に向けて努力をされたというような、こうした背景があるわけでございます。
改めて、こうした御尽力いただいた方に感謝を申し上げるわけでございますけれども、この際において鶴見川多目的遊水地が果たした役割とはどのようなものか、教えてください。
○五道政府参考人 お答え申し上げます。
鶴見川多目的遊水地は、鶴見川の洪水の一部を一時的に貯留することで下流における洪水被害を軽減するために整備されたものでございます。遊水地内は、平常時は新横浜公園として利用され、その中に横浜国際総合競技場が整備されております。その競技場全体が、グラウンド部分も含め高床式になっており、洪水を貯留しても浸水しない構造というふうになってございます。
この遊水地は、平成十五年に運用を開始し、これまでに二十一回貯留を行っており、今回の台風第十九号では、過去三番目に多い約九十四万立方メートルを貯留したところでございます。この結果、基準地点でございます亀の子橋の水位観測所において水位が約三十センチ低下し、結果として、洪水氾濫危険水位を超過することなく洪水を流下させることができました。
このように、鶴見川多目的遊水地は、洪水時には治水施設として機能する一方、平常時には市民の憩いの場として利用されており、市街地の限られた都市空間で安全と利便の両方の役割を果たしているところでございます。
○濱村委員 こうした機能を持った設備をしっかりと意識をして整備をしていくことは重要だと、私は改めて認識できたんじゃないかと思っております。
今回被害を受けた方々に、事業者の方々もおられるわけでございます。こうした事業者の方々にはさまざまな支援はあったわけですけれども、これまでは、どちらかというと、中小企業等のグループ補助金がありました。そしてまた、もう一方で、小規模事業者持続化補助金というものがございました。しかしながら、これは実は、割と大きい支援と小さい支援というような形で、間を埋めるような支援というものがなかなかなかったというふうに認識をしております。
その上で、今回、自治体連携型補助金というものが追加されたわけでございますが、ちょっと私、これが追加されたことを非常に評価しているんですけれども、総額として支援規模、五十二・九億なので、少し少ないんじゃないかなと思ったんですけれども、この点についての所感をお伺いいたします。
○渡邉政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の自治体連携型補助金は、被災中小企業、小規模事業者の再建支援を行う都県に対して国庫補助を行うことでその負担を緩和し、都県がしっかりと再建支援に取り組んでいくことができるように支援していくものでございます。
今般、予備費といたしまして五十二・九億円の予算を確保してございますけれども、この予算額につきましては、各自治体とともにニーズの把握を努めた結果といたしまして、緊急的に必要となる経費を計上したものでございます。
経済産業省といたしましては、被災自治体とよく連携し、同補助金の速やかな執行を支援することで被災自治体の行う復旧復興の取組が着実に実行できるよう、全力で取り組んでまいります。
○濱村委員 自治体から吸い上がったものに応じて、これは予算規模としてこの程度が妥当であるということでございますが、恐らく、初めてなものですから、なかなかどういう使い方をすればいいかとかというのが認識されていないというところもあろうかと思います。
ぜひ、今後もこうした取組、丁寧に自治体の状況も確認していただいて、更にここを深掘りをしていっていただきたいというふうに思います。
最後にもう一点だけ確認します。
農業被害の話でございますけれども、農業者におかれましても非常に大きな被害がありました。長野県、千曲川流域においては、リンゴの果樹園が非常に大きな被害を受けております。
この被害果樹につきましては、早期に成園を行っていくことが重要なんですが、果樹についてはなかなかそんなすぐに育つというものではございません。ですので、生育するまでになかなか収入もないというような状況が生まれます。
こうした状況を考えますと、一年でも早く成園をしていくという取組が必要だと思っておりますけれども、これは苗を育てていくというようなやり方もしながら早期成園化をするというような支援があるというふうに聞いております。
別の地域で苗を育てる、苗を育てればその分を、その時間を短縮できますねというような話ですから、これはこれで成園化のために非常に効果的だと思っておりますが、そのためには、実は農地をお借りしなければいけないというような課題もございます。
この農地を、じゃ、どうやって確保するんですかということなんですけれども、この点、どのようにクリアするんでしょうか。
○鈴木政府参考人 お答えをいたします。
大苗育成のための農地の確保につきましては、今後具体的な調整を進めていくということになりますけれども、現時点で大規模な改植が見込まれております長野県それから福島県に聞き取りを行いましたところ、農業者の高齢化などによりまして管理ができなくなっている農地があるということでございまして、被災園地周辺のこのような未利用の農地を被災農業者の方にマッチングをしていく、これを基本に進めていきたいというふうに考えております。
○濱村委員 未利用農地をしっかり間に入ってマッチングをしていくということでございます。しっかりとしたマッチング、そしてきめ細やかにやっていただくことをお願い申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。
○原田(憲)委員長代理 次に、森山浩行君。
○森山(浩)委員 立憲民主党の森山浩行です。
委員外質問の機会をいただき、委員長、理事、委員各位に感謝申し上げます。
まず初めに、台風十五号そして十九号、その後の低気圧による大雨など一連の豪雨災害によりお亡くなりになった方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
私たち立憲民主党では、東日本大震災の対応などの反省と教訓から、災害対応は与野党を超えてを基本理念に、岡島局長のもと、幹事長直轄の常設組織として災害対策局を立ち上げ、ふだんから、災害担当の役所、またマスコミ、研究者などの皆さんと情報交換をしながら活動をしております。
ことしだけでも、熊本や北海道、新潟の地震、阿蘇山の噴火、九州北部の豪雨災害、台風十五号や十九号、低気圧による大雨などで、その都度、速やかに情報連絡室を立ち上げ、災害対策本部につなげ、情報収集や発信、私も九州や千葉、埼玉、福島など多くの被災地に参りましたが、自己完結方式で現地調査などを各現場で行ってまいりました。
その中では、国土交通省が昭和二十二年とは別の箇所が破堤と把握をしていた埼玉県の東松山市早俣の堤防決壊箇所、ここだけが堤防の厚みが薄かったわけですけれども、これが、私たちの取材で、当時を知る住民からの証言により、破堤でなくても、同じ箇所で一部崩壊あるいは越水していたということが明らかになりました。
この件を始め、各地の被害箇所の速やかな復旧復興をお願いをして、質問に入りたいと思います。
まず、住宅の被害認定についてお聞きをします。
台風十五号とその後の低気圧による災害により、全国で三万軒近い床上浸水被害が発生しており、この数字は調査が進むにつれて今後更に大きくなると思われます。
夏には、この委員会で西日本豪雨から一年を経過をした岡山への視察を行いましたが、形は残っていても、浸水した住宅には住めないという声もありました。
床上浸水をした住家の被害認定を行う際、浸水一メートルが被災者生活再建支援金のもらえる大規模半壊と半壊との境目となりますが、実際には、浸水一メートルに満たない場合でも、内部にカビが生えたり住宅が損傷したりということで、大規模半壊とほぼ変わらない被害が出ております。また、河川が越水をして水が流入してきた場合に比べて内水氾濫の被害判定は軽くなっておりますが、実際には、内水氾濫であっても、汚水が住家の中に浸入してきており、住家には甚大な被害が生じています。
被災者の生活再建を進めるため、住家の被害認定について、もっと被災者に寄り添った柔軟な運用を内閣府に求めたいと思いますが、いかがですか。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
内閣府では、市町村が被害認定調査を迅速かつ的確に実施できるように、災害に係る住家の被害認定基準の運用指針というものを定めておりまして、これによって客観的に判定を行うことが可能となっているところでございます。
御指摘の浸水深による判定、一メートルというものは、罹災証明書、これを被災者の方々にできるだけ早期に交付をする必要があるということから、第一次調査ということで実施をする簡易な判定方法でございまして、被災者からの申請によりまして、第二次調査として、家屋内へ立ち入って詳細な調査に基づく判定を行うこととしているところでございます。これは内水、外水問わずということで、家屋内へ立ち入って詳細な調査ということも可能であるということで、この点、被災自治体に周知を徹底をして、公平かつ実態に即した判定がなされるように努めてまいりたいと考えております。
○森山(浩)委員 第二次調査があるんですよ、一メートルじゃなかったからだめだということではないんですよということはしっかりと被災者の皆さんにもお伝えをしていただきたいというふうに思います。
さて、台風十五号また十九号、一連の豪雨による被災者の生活支援と事業再建のため、政府において対策パッケージを迅速にまとめられたということは評価をしたいと思います。
特に、昨年の西日本の豪雨でも措置をされました中小・小規模事業者向けのグループ補助金。特に被害の大きかった長野、栃木、東日本大震災に引き続いて被災された福島、宮城、この事業者の方々には大変な勇気を与えるものであると思います。
一方、この四県以外には適用されておりません。また、グループ補助金の上限額は十五億円となっている一方で、小規模事業者持続化補助金の上限は二百万円となっており、その間の規模の補助が空白となっています。
この件、先ほど濱村議員からも質問がありました、自治体連携型補助金という形で創設をするとしていますが、支援の詳細が固まっていません。四県以外の中小企業の皆様からも不安の声も参りますので、支援の上限などの概要、また、これをしっかり使っていただけるように、自治体への働きかけをどうやって強めていくのか、経済産業省に伺います。
○渡邉政府参考人 お答え申し上げます。
経済産業省では、今回取りまとめました生活・生業支援パッケージにおきまして、御指摘のグループ補助金、持続化補助金など、国が最大限全力で支えてくれると被災事業者にはっきり伝わる対策を数多く盛り込んでございます。
具体的な支援措置といたしましては、特に被害の大きい宮城県、福島県、長野県、栃木県の四県におきまして措置いたしましたグループ補助金につきましては、一者当たり上限十五億円を補助する予定でございます。
また、台風十九号の災害救助法適用地域がある十四都府県において措置した小規模事業者持続化補助金につきましては、さきに述べました四県は一者当たり上限二百万円、その他被災都県は上限百万円を補助する予定でございます。
こうした支援措置に加えまして、災害救助法が適用された都県におきまして、自治体連携型補助金による手厚い支援を行う予定でございます。自治体連携型補助金につきましては、補助率の上限を最大四分の三とすることも含め、被災した自治体が被害の状況に応じて柔軟に制度設計することが可能でございます。
こうした支援措置を活用していただくことにより、きめ細やかな支援を実施し、事業者の再建に全力を尽くしてまいります。
○森山(浩)委員 そうですね。被災をしたその付近にある、同じ場所にある、ただ、規模が違うがために、額が違うがために穴があいている、制度がないというようなことがないように、しっかりと、切れ目のない、穴のない形で補助をつくっていただきたいというふうに思います。
さて、台風十九号では、地域住民の交通手段にも大きな被害を受けております。
二〇一一年東日本大震災、復興のシンボルとして本年春に八年ぶりに全線が復活をいたしました岩手県沿岸の三陸鉄道リアス線、ここでも、盛土が流されるなどして、再び不通に追い込まれることとなりました。周辺の被災者の方々の日常生活を一日も早く取り戻せるよう、早期の復旧を図るとともに、代替交通手段の確保が必要と考えます。
西日本豪雨では、広島に全国からバスをかき集めるような対応ということでやっていましたけれども、今回はいかがでしょうか。国土交通省にお伺いをいたします。
○江口政府参考人 お答えいたします。
三陸鉄道につきましては、先月の台風十九号の影響によりまして、現在も、釜石―宮古間、田老―久慈間で運転を休止しているところでございます。
これらの区間では、路盤の流出でございますとか土砂の流入などにより被害が複数箇所で発生し、現在も復旧作業が進められているところでございます。
被災した路線の復旧に当たりましては、技術的な支援といたしまして、東日本大震災でも支援を行った鉄道・運輸機構が、路盤の流出等の大きな被害を受けた箇所につきまして、被災状況の詳細な把握や復旧方法の検討等に対する支援を実施しているところでございます。
また、復旧工事に当たりましては、三陸鉄道、東北地方整備局、東北運輸局、東北森林管理局、岩手県などの沿線自治体から成る連絡調整会議を開催いたしまして、関連する道路事業や治山事業と連携しながら、早期の復旧を図る取組を進めているところでございます。
今御指摘ありました運転休止区間の代替輸送の確保につきましては、東北運輸局、地方自治体、三陸鉄道、バス事業者が連携して対応しており、釜石―宮古間とそれから田老―久慈間におきまして代行バスが輸送されているところでございます。
国土交通省といたしましては、引き続き、一日も早い復旧が図られるような必要な支援と協力を行うとともに、代替輸送の確保につきましても、利用者の足が確保されるよう、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
○森山(浩)委員 ここは大変、復興のシンボルというような形で、この間、ドラマやドキュメンタリーなども含めて、多くの場所で取り上げられたところでもあります。しっかりと取り組んでいただきますようにお願いいたします。
また、緊急放流の話です。
東日本を中心に百四十六のダムで洪水調節が行われ、そのうち六つのダムでいわゆる緊急放流が実行されました。昨年の西日本の豪雨では緊急放流によって犠牲者が出てしまったことを受け、さまざまな検討を続けてこられたということでありますけれども、まだまだ改善の余地がある、ちゃんとせなあかんということだと思います。
計画放流でもっと早くダムの水を下げておいたらいいのに、これは多くの国民の皆様から声が寄せられておりますけれども、今回の状況、そして今後のやり方について、アイデア等ありましたらお知らせください。
○五道政府参考人 お答え申し上げます。
今委員御指摘のとおり、台風第十九号においては、国土交通省が所管する百四十六のダムにおいて、洪水を貯留することにより下流の水位を低下させたところでございます。しかしながら、その中で六のダムにおきまして、ダムの流入量と同程度の放流量とする、いわゆる緊急放流、異常洪水時防災操作に移行したところでございます。
事前に放流をしていたということでございますけれども、事前の放流には、洪水時に治水のために計画的に実施する予備放流と、それから利水者の協力を得て実施する事前放流がございます。このうちで、事前放流を行って水位を下げたダムについては、関東地方を中心に三十三ダムでございました。
国土交通省といたしましては、いずれにいたしましても、容量をとっておくということが非常に有効であるというふうに考えてございます。今後とも、関係利水者との調整を行い、事前放流による取組を推進することにより、洪水被害の軽減に努めてまいりたいと考えております。
○森山(浩)委員 そうなんですよね。ダムというのもいろいろな用途がある。農業用水もあれば、発電もあれば、また利水、水道というようなものもある。いろいろな関係者との調整が大変なのはわかりますが、しかし、一番雨が降っている、一番大変なときに緊急放流をしなければならないということは避けなければなりませんし、何をやっておるんだという国民の皆さんからの視線も、皆さん、感じておられることだと思います。
ここはしっかりと、今、こういう状況が起こったからこそ説得もやりやすい状況にあるかと思いますので、関係者との調整、しっかりやっていただきたいというふうに思います。ハイ、ミドル、そしてロー、ローローというような形で、どんどんどんどん低い位置へのため込みができれば、これは大きな効果があるのではないかと思います。
さて、情報の話ですけれども、城山ダム、一旦、五時に放流というふうに発表をしてから、やはり十時だという話になった、最後は、実は九時半から放流を始めていますというような形で、この間の情報の発信についてはどうなっておるんだということが非常に多くの話題となりました。その下流に住んでいる人にとっては、五時と言ったけれども十時だとなったときに、一旦気が抜けますね。気が抜けた後で、またやはりやるんだという話になるというのは、情報の発信の仕方としていかがなものかと考えます。
情報発信のあり方についてお伺いをいたします。
○五道政府参考人 お答え申し上げます。
先ほどのダムの異常洪水時防災操作への移行ということにつきましては、洪水調節容量を使い切るタイミング、すなわち降雨の状況に応じて決まるものでございまして、ダム管理者がそのタイミングを決めるということはできない状況でございます。
そのような中でも、ダム管理者におきましては、実績の降雨や降雨予測等をもとに、異常洪水時防災操作に移行せざるを得なくなるタイミングを予測しているところでございます。
今回の取組につきましても、マスコミを通じた情報提供、また、なるべく早く提供するというようなことを行っているところでございますけれども、いずれにいたしましても、台風第十九号に際しての異常洪水時防災操作を行った六ダムにつきまして、洪水時のダム操作に係る情報提供について検証を行い、さらなる改善を行ってまいりたいと考えてございます。
○森山(浩)委員 そうですね。ただ、五時にやりますよと言っていて、それが耐えられた場合には、十時にやりますという発信はもうしなくてよかったんじゃないか。まだ耐えられていますよ、まだ耐えられます、いつあるかわかりませんよというような形でやっていると避難にも資するというふうに思いますので、この辺も、今度、国土交通省では氾濫発生情報などについても含めて検証チームが発足しているということですから、しっかり検討をしていただきたいというふうに思います。
さて、我が国の災害時の司令塔たる内閣府防災部門、政務三役に加え、政策統括官以下、組織をされていますけれども、今回のように同時多発で災害が起き、現場と自治体と各府省庁の連携のために走り回る中、災害報のまとめに人員が不足しているようにも感じました。けさの五時半のものが夜中に回ってくるというようなことも珍しくありませんでした。
地球温暖化の影響もあり、これからますます激しい水害も予想されている中、大変心配をしております。現在の体制と、いざというときの工夫を伺います。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
令和元年十月一日現在、私、内閣府の政策統括官、防災担当の定員の数、九十四名となってございます。このほか、他省庁からの併任者が三名、民間から十一名、自治体等から二十三名ということで、合計百三十一名の体制ということでございます。
また、内閣府におきましては、防災担当から他部局へ異動した後も、各省庁の方々、防災担当での勤務経験を生かして応援してもらうよう、防災予備役と呼んでおりますけれども、この仕組みを平成二十五年度から開始したところでございます。
対象職員の名簿を作成した上で、災害時には各省の人事当局にお願いをして応援に駆けつけていただくということで、今回の台風十九号への対応においても、延べ二十一人の防災予備役、災害対応に当たったところでございます。
また、今回、ことしの一連の災害において、このほかにも、延べで五十五名、防災予備役も含めますと七十六名、最大時には二十五名の応援を得て対応してきたところでございます。
こういった防災予備役の仕組みも活用しつつではございますけれども、引き続き、関係省庁と連携しながら、もともとの防災担当の充実強化も含めまして、危機管理体制の確保に努めてまいりたいと考えております。
○森山(浩)委員 以上を踏まえて、大臣、災害対応は想定した以上のことが起こるものであり、また、多発する自然災害に備えるための人員増強をぜひお願いをしたいと思います。
また、社会問題化をしておる義援金の差押えの禁止、これについては党派を超えて議員立法の準備をしています。私は、これについては、本来、恒久法にするべきだと考えています。
また、ようやく定義が確定をした災害関連死、これについては、ここからのデータ蓄積が日本の災害対策の質を変える決定的なものとなると思いますので、その重要性を認識の上、取組をお願いしたいと思います。
さて、国土強靱化を三カ年で進めるということを行っておられますけれども、台風十九号では、国管理河川で十二カ所、県管理河川では百二十八カ所の堤防が決壊、また、ため池もたくさんあふれていますけれども、これは、国土強靱化で対策をし、あるいは予定していたものはなかったということでございます。これでは、本当に緊急の計画なのかと疑問が出てきてしまいます。
現在、補正予算との関係で検討を進めているということですけれども、国土強靱化緊急三カ年計画を見直す予定はありますか。大臣に伺います。
○武田国務大臣 御指摘の緊急対策三カ年、これを見直すことも重要でしょうけれども、我々としては、掲げた百六十項目に対して、この取組を令和二年までに着実に進めることがまずは重要なことではないかなと思っております。
また、先生から御指摘の、災害から得られた教訓を踏まえまして、常に、防災・減災対策というものは不断に見直しをしていく、このことが重要だと思っております。
十五号、十九号というのは、長期にわたる停電、そしてまた復旧プロセスなど、さまざまな課題というものが認められたわけでありまして、そういった課題というものを徹底的かつ客観的に検証していく、このことが重要であり、それを通じて今後の防災・減災対策に確実に生かしていきたい、このように思っております。
○森山(浩)委員 ありがとうございます。
ただ、本当に、今回、その緊急の対策に入っていなかったところから決壊をしているということはしっかりと心にとめて対応していただきたいというふうに思います。
ありがとうございました。
○原田(憲)委員長代理 次に、柿沢未途君。
○柿沢委員 柿沢未途でございます。
台風十五号では、十日間とか二週間とか、およそこれまでは考えられなかったような長期の停電が、何万世帯にわたって広範囲に発生をいたしました。明かりがつかない、テレビもつかない、スマホの充電は切れる、冷蔵庫もだめだからコンビニ弁当も買えない、エアコンが動かなくなって熱中症で救急搬送される方が続出する、日常の生活にまつわる全てのことがダウンしてしまったと言ってもいい状況だったというふうに思います。
その中で、生活に必要な最低限の電力を確保できた人もいる。それはどんな人かといえば、簡単に言えば、ソーラーパネルを持っていた人です。
資料をお配りしていますが、写真は木村優美子さんという料理研究家の女性です。鴨川の里山の森の中に家族で生活をしています。
台風十五号のときは、ここは九日間停電しました。しかし、この木村優美子さんのお宅は、三・一一の、八年前の震災と原発事故を目の当たりにしまして、首都圏で計画停電なんかもありましたので、簡易なソーラーパネルをそのときに買っていたんだそうです。ずっと物置に眠っていたのを今回引っ張り出して、台風が通過した後の日当たりのいいところに置いておいた。
見てのとおり、これは出力はすごく小さいですけれども、しかし、スマホの充電もできて、また、パソコンも使えて、そして、スマホの明かりを壁に当てると、白い壁に反射して、夜も結構明るいんだそうですね。このぐらいで生活の最低限なことは何とかなったということなんですね。しかも、ごらんのとおり、カーバッテリーをつないで蓄電もやりました。
私も、自然エネルギーの推進ということは別の観点からやってきたんですけれども、災害時、みずからの生活を守る自衛の措置としてこのソーラーパネルが役に立つということをまざまざと感じました。このソーラーパネルと、そしてカーバッテリーと、またスマホの充電器、全部合わせても締めて三万円ですよ。三万円でこの九日間の停電をしのぐことができたということであります。
裏面の資料、これも写真ですが、これは、千葉県匝瑳市というところでソーラーシェアリングというのをやっている太陽光発電所です。ソーラーシェアリングというのは、農地で農業をしながら上でソーラーパネルで発電をするというものでありますが、農業プラスエネルギー、こういうことでありますけれども、ここも、ソーラーシェアリングのパネルで発電した電気を、スマホの充電ステーションを設けて地域に開放した、こういうことをやった。この地域も七日間停電したそうですけれども、みんなが集まってきてスマホの充電をして、大変助かったということであります。
これは何も今回わかったことではなくて、昨年の北海道胆振東部地震、三日間、ブラックアウトで道内全域が停電をしてしまったわけでありますけれども、そのときにも、屋根載せ太陽光を持っているお宅は、自家消費のモードに切りかえると、自分のうちで発電した電力を使うことができる、スマホの充電もできるということで、うちのスマホも充電させてくれということで近所の人が集まってきて、その屋根載せ太陽光を持っているお宅は地域のヒーローになったというような話があるんですね。
これは大変重要な示唆を含んだことだというふうに思います。太陽光発電をやっているところをマップ化して、いざというときに電力供給ステーションになるところをあらかじめ示しておけば、万が一の長期停電時に大きな力を発揮をするのではないかと思います。後で見解を伺いたいと思います。
あわせて、実は、そうなんですけれども、太陽光発電所の中には、パワコンを通じて系統接続するようにしかつくられていなくて、いざというときに直流電流を通じて太陽光発電の電気をそこで使える、そういう仕組みになっていない発電所も結構多いんです。つまり、目の前で発電しているのに、そこでは使えないという大変残念なことになっている、そうした太陽光発電所もあるんですね。
災害時の長期停電のときに、電力会社からの送電に依存しなくとも、いわばオフグリッドで生活が成り立つような住まい方を平時から推進していくこと、そして、万が一の災害時に、ソーラーパネルにより発電された電力を周辺地域の生活者の電力確保用に開放できる、そのソーラー電気を被災地のみんなが利用できる、こういう仕組みづくりをこの際目指していくべきではないか、こういうふうに思います。
エネルギーという意味で所管をしているのは経産省だと思いますので、私の後輩の牧原副大臣にお見えをいただいていますので、御答弁お願いします。
○牧原副大臣 お答えいたします。
柿沢先生が改めて現場に足を運んでいただき、実地にお話を伺った御指摘、大変重要であるというふうに思っております。こうした再エネ等の分散型エネルギーリソースの活用は、本当に、災害時のエネルギーのシステムの強靱化の観点から重要でございます。
経済産業省としても、太陽光発電等を活用し、停電時にも対応可能なネット・ゼロ・エネルギー・ハウス、いわゆるZEHの普及や家庭用蓄電システムの導入等を支援してきたところでございます。
また、昨今の災害を受けて、電力レジリエンスワーキンググループを開催し、この中間論点整理においても、災害に強い分散型グリッドの推進が今後検討すべきという課題で整理をされております。
これを受けて、十一月八日に新たな審議会を今立ち上げまして、災害時は既存系統を利用し独立運用を行うマイクログリッドを実現するための仕組みのあり方について検討を進めております。
あわせて、予算事業でも、地域マイクログリッド構築支援事業で、全国十二地域での今計画策定の支援を行うとともに、これを通じた課題の整理を行うこととしております。
これらにより、電力レジリエンスを更に強化するための取組を進めていきたいと思いますので、御指導をお願い申し上げます。
○柿沢委員 課題の指摘もさせていただきました。あるのに使えないということが起こり得るということをお話ししました。マップ化の話もしましたので、ぜひ検討していただきたいと思います。
高層マンション、タワーマンションの長期停電対策です。
私、質問主意書を出して、前からこれを指摘をさせていただいてきたんですけれども、現実に武蔵小杉で起きてしまいました。エレベーターは動かない、水も出ない、そしてトイレも流れない。高層マンションの三十階で、いわば難民状態ですよ。しかし、これは東京都の防災計画でいえば、災害発生後、一週間は在宅避難で、自分の部屋で生活をしてくれと言われているわけです。そのときに電気がなかったら、もうお手上げだというふうに思うんですよ。
そして、非常用発電機が入っているから大丈夫だと言われるんですけれども、実はそうでもなくて、高層マンションに入っている非常用発電機というのは重油や軽油で動くんですが、消防法上の燃料の備蓄の制限があって、大体六時間から七時間連続運転すると燃料切れでとまっちゃうんですよ。しかも、石油連盟は、燃料の劣化があるので、重油や軽油は三カ月から半年で入れかえて更新してください、こんなことをやっているマンションはどこにもないと思うんですね。いざというときに、動かしてみたら動かないということすら考え得る。
こういう状況で、タワーマンションの住民は、まさに、災害がいつ起こるかわからない、長期停電がいつ起こるかわからない、こういう状況で生活をしているわけです。私は、これは都市防災の重大な盲点だというふうに思っています。
そういう中で、二枚目の資料につけておきましたけれども、実は、重油や軽油ではなくて、プロパンガス、LPガスを使って非常用発電機、開発が行われています。LPガスなら、重油や軽油のような消防法上の備蓄の制限はありません。しかも、使って燃料切れになっちゃったら、プロパンですから、持ってくることも結構できると思います。
そういう意味では、長期停電対策、タワーマンションや高層マンション、マンションは全てそうですね、エレベーターはとまっちゃう、トイレも流れない、こういうことを避けていくためにこのLPガス式非常用発電機は大変有用ではないかと思いますが、国土交通省からも、重油や軽油の発電機だけではなくてこういうことを考えてほしいということで来ていただいていますので、御答弁をお願いすると同時に、総括的に大臣に電力確保の重要性について答弁していただいて、終わりたいと思います。
○門大臣政務官 お答え申し上げます。
先月発生をいたしました台風十九号の影響により、ただいま先生から御指摘いただきましたように、高層マンション、特にタワーマンションの受電設備が浸水し、停電により、エレベーターが動かない、そして今御指摘の、水が出ない、流せないという状況が発生をいたしました。
建築基準法によりますと、高層マンション等の一定規模以上の建築物については、火災時に居住者が安全に避難できるよう、非常用エレベーターの予備電源の確保は義務づけられております。他方、今回のように長期停電が発生した場合、建築基準法には定めがありませんが、災害後の建築物の機能確保の観点から、より長期間の電気供給が可能となる非常用電源の設置が有効と考えております。
このため、平成二十四年に建築基準法施行令を改正し、非常用電源等の自家発電設備を設ける場合、その床面積は建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積に算定しないこととして、設置を前向きに検討できるようインセンティブを付しております。
こうした長期停電に備えた非常用電源については、住宅関連業者によれば、高層マンションに設置されているケースは、実は、残念ながら、今の現状では少ないということであります。重油や軽油を利用するタイプのもののほか、今御提案いただきましたLPガス等のガスを利用するタイプのものがあり、重油や軽油を利用するタイプは、御指摘のように、消防法に一定量以上の貯蔵を行う場合には許可が必要とされておりますけれども、このLPガスの発電設備には、ガスボンベを持ち運ぶことでどこでも使用できる、それから、液体燃料と比較して燃料の劣化がしにくい、また、発電装置の、残念ながら発電容量が少ないという、それぞれの特徴があることも私どもも承知をしております。
国土交通省といたしましては、今回の台風被害を踏まえて、電気事業法を所管する経済産業省と連携して学識経験者や業界団体等から成る検討会を設置し、建築物における電気設備の設置の場所の配慮、いわゆる地下に置くのか、地上に置くのか、そしてこの浸水対策のあり方に特化して検討を進めてまいる所存でございます。
長期停電に備えた非常用電源についても、まさに先生が御指摘いただきましたLPガスを利用するタイプのものを含めて、今後、こうした場を活用して、タイプ別の非常用電源の特徴等を、かかる情報の把握と整理をあわせて進め、業界団体、特にマンションディベロッパーに周知をしていくというふうなことを考えさせていただいております。
以上です。
○武田国務大臣 就任から三カ月、この間に約九県の被災地をずっと視察してまいりました。被災地、自治体そして被災者の皆さんからも切実なる訴えというものを聞いてまいりましたけれども、本当に電気、電力の重要性というものを痛感したところであります。
国土強靱化三カ年対策において、北海道胆振東部地震等でのブラックアウトの発生を踏まえて、停電の影響緩和策として、電力、ガス、燃料の安定供給や、サプライチェーン上重要な事業所、工場、生活必需品の生産拠点等の経済活動の継続のための民間事業者等に対する自家用発電設備等の導入等の支援や、災害拠点病院等への自家発電設備の導入、車載型携帯電話基地局の増設等の支援等を実施しているところであり、引き続き、着実に取組を進めてまいりたいと思います。
また、今回の台風十五号にかかわる長期停電の原因や復旧プロセスについては、経済産業省の審議会において十月から検証を開始しております。そしてまた、東京電力からも具体的な報告というものも受けながら、我々は政府全体として、さまざまな教訓をもとに、実効性のある対策に取り組んでまいりたい、このように考えています。
○柿沢委員 終わります。ありがとうございました。
○原田(憲)委員長代理 次に、篠原孝君。
○篠原(孝)委員 国民民主党の篠原孝でございます。
まず冒頭でございますけれども、このたびの台風十九号、あるいはその前の十五号、その後の低気圧でとうとい人命が失われました。痛ましい限りです。御遺族に対して哀悼の意を表しますとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
私の地元の選挙区でも、二名の方が亡くなられました。それから、九十七名の方が重軽傷を負っております。それから、六千二十五世帯が床上、床下浸水いたしました。台風から一カ月が過ぎましたけれども、まだ避難生活を強いられている方も大勢おられます。私も地元で、少しでも早く被災された皆さんがもとの生活に戻れるように努力しておりますけれども、余りにも被害が大きくて、国の助けがなかったら、これはなかなかもとに戻れません。そういったことを踏まえて質問させていただきたいと思います。
洪水防止というと、まず堤防が挙げられますけれども、私は、堤防は、今回私の地元のところの千曲川は一九八三年以来久方ぶりに決壊してしまったわけですけれども、あったにこしたことはないし、高くそして丈夫な堤防をつくるにこしたことはないんですが、ほかにもやることはいっぱいあると思うんです。
四つあると思います。四つ、きちんと頭の中に入れていただきたいと思います。
ここしばらく、河床が上がっているのに掘削、しゅんせつが行われていない、これをきちんと場所を区切ってやるべきだということ。
それから、長野、新潟県境のところに、一九三八年、戦争中ですよ、どたどたっと西大滝ダムというのをつくったんです。私は、これは諸悪の根源だと思っています。水が流れない、土砂も流れない、じわじわじわとたまってしまっているんです。これを撤去して、ちゃんと流すべきだ。人間が住んでいるところにあんなふうにいって、その後六十キロ、水が流れていないんです。そういうところは、世界じゅう、先進国では少なくともありません。
それから三つ目は、二つの狭窄部があるんです。これは関係者の方は皆さん御存じだと思いますけれども、立ケ花の狭窄部、これは中野市ですけれども、ここと、それから飯山市の戸狩の狭窄部、この二つを流れやすくする。その後ろに西大滝ダムなんですよ。
それから四つ目は、新潟県になるわけですけれども、新潟県は賢くて、途中に大河津放水路というのをつくり、それから、新潟市を水害から救うために、河口から九キロ上流で関屋放水路というのをつくっているんです、分水路ですね。
この四つが大事だと思うんです。特に二つ、西大滝ダムの撤去、それから二つの狭窄部の流れをよくする、これは同時にやらなくちゃいけないと思うんですけれども、佐々木政務官、いかがでしょうか。
○佐々木(紀)大臣政務官 まずは、篠原委員の御地元が被災されたということ、心からお悔やみとお見舞いを申し上げたいというふうに思います。
それで、今ほど御提案をいただいた洪水防止という観点から申し上げますと、まず、今回の台風十九号によりまして、上流部の千曲川で堤防の決壊や越水があったということではございますけれども、下流部の信濃川でも越水等により家屋の浸水被害があったということ、まずございました。
そこで、やはり治水対策に当たっては、上流、下流のバランスを確保しながら進めていかなければいけないと考えております。堤防の整備や補強、そして今ほど御提案があった河道の掘削、そしてまた遊水地の整備、また、こういったことを、さまざまな手段を河川の特性や流域の状況に応じて組み合わせながら、洪水時の水位を下げ、安全かつ確実に洪水を流すことが最も重要だと認識をしております。
そこで、信濃川水系においては、平成二十六年一月に策定しました信濃川水系河川整備計画、これは西大滝ダムがあることを前提につくられているわけでございますけれども、水系全体として段階的かつ着実に治水安全度の向上を図ることとしておりまして、今ほど御指摘があった戸狩、立ケ花狭窄部も含む全川にわたる河道掘削や、下流部では大河津分水路の拡幅等を順次実施しているところでもございます。
また、現在の取組に加えて、今回の甚大な被害を踏まえ、調整池の整備や河道の掘削、堤防の整備、強化といった手段をどのように組み合わせるかが水系全体で適切か検討した上で、抜本的な治水計画を早急に立案し、流域全体で治水対策を進めてまいりたいと思っております。
またさらに、将来の気候変動の影響によります降雨量の増大などを考慮した治水計画への転換を進め、国、県、市のみならず、企業、住民の方々などと連携した治水対策を検討してまいりたいと考えております。
○篠原(孝)委員 時間がないので急ぎます。
武田大臣、防災担当大臣ですけれども、行革とかそちらの方の担当大臣でもあります。二つ一緒に質問いたしますので、一緒にお答えいただきたいと思います、時間が限られておりますので。
ずっと行革とか言ってくると、地方支分部局が要らないとか、定員削減。私はここのところに地方整備局の定員の表を、定員削減の表をやりましたけれども、こんなものじゃないですね。私が三十年いました農林水産省の林野庁、八万人いたのに、今、四千人かそこらしかいないんですよ。私はこれは愚の骨頂だと思います。治山治水で、山を守っていないからこういうことが起こるので。
このことはおいておきますけれども、国土の保全とか環境を守るとかいうのは地方にできないんです。だから、逆でして、補助金を分配したりするような人の人員とかそういったものは減らしてもいいですけれども、国がやらなくちゃならないことは、防災が典型ですよ、こんなものは国がきちんとやるので、こっちはむしろふやさなくちゃいけないと思います。方針を転換してもらいたいと思います。
それから次、僕はこういうことは本当は余り言うのは好きじゃないんですけれども、大臣の産経新聞の二十九日の記事を見てください。私はなかなか立派な記事だと思います。「被災者支援は党派超えて」と、そのとおりです。
次、きのう私が御案内いたしました、一緒に参加させていただきました国土交通委員会の視察です。ちょっとこれを見てください、三ページ目。よくできているんですよね。理事の皆さんが全部、ちょっと欠席された方がいますが、参加しています。そして、現地参加、上の二つは三区で井出庸生さん、そして長野一区の部分が私で。私は、もう四、五回行っていますので、私の選挙区じゃない上田市や東御市の現場を見たいと言ったんですが、だめだ、現場の議員しかだめだと言われて、しようがない、いつも見ているところを見たわけですよ。これはなかなか、一つの整理だと思います。
それで、大臣は相当いらっしゃっていますけれども、四ページ、いっぱい見に来ていただいています、私のところはひどかったので。総理も含めまして七大臣がおいでいただいています。
次、こういうのをここで出すのもいかがかと思いましたけれども、ある方のツイッターです。こうやって書いてある。すぐおいでいただきました、十三日。これはみんな見ているんです。
私は叱られました、篠原さんは地元なのに何で大臣と同行してここに来ないんだ、たるんでいると。本当ですよ。お叱りを受けるんです。僕の地元中の地元なんです。
ずうっと写真があるのはおわかりだと思います。誰がいて、いないというのを申し上げませんけれども、私が一番地元であちこち飛び回っていますから、一番承知しているんです。
ところが、悪い慣例があるようでして、直していただきたい、武田大臣に。何か、政府・与党の方しか、こういうところにはほとんど同行していない。連絡も来ないんです。どこかで狂っていると思うんです。これをぜひ直していただきたい。
私も御案内いたしますと一緒に見て回って、ここはこうだということをやらなきゃいけないと思うんですけれども、この点について、きちんとお答えいただきたいと思います。
○武田国務大臣 先生御指摘の点で、何か、私が恣意的に先生だけ外したみたいな、やに聞こえるんですけれども、そういうことは全くありませんので。これは、どの先生にも私は、何というか、招待というか、私が行きますから同行しませんかなんて、どなたにも私は言っていませんよ。
ただ、メディアを通じて、私はどの県のどこに視察に入りますということは発表させていただきました。私は、現地に行かなきゃ、どの先生がお越しになっているかも存じ上げません。
先生、それはちょっと違うんじゃないかなと思いますね。それで狂っていると言われても、ちょっと、私もどう答えていいかわからないというところだと思いますよ。
○篠原(孝)委員 いいですか、国土交通……
○原田(憲)委員長代理 篠原議員に申し上げます。
もう時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。
○篠原(孝)委員 はい、わかりました。
国土交通委員会が視察に来ると私に連絡があるわけです。国土交通委員会の御一行様が来ると。私は衆議院です。衆議院、地元なので、地元も一緒に見ましょうといって連絡が来るわけです。
大臣が来られるということを、いろいろなところへ、市役所には行くわけですし、それだったら、みんな、連絡して一緒に行きましょうというふうになって、その方が美しいんじゃないでしょうか。そういうことをちゃんとする仕組みにしていただきたいということを申し上げているんですよ。
○原田(憲)委員長代理 武田大臣、時間が来ていますので、簡潔にお願いします。
○武田国務大臣 国会のことは国会で決めていただかぬと、委員会の理事会とかそうしたところについて私がとやかく言うというのは、これまた違うんじゃないのかなと思いますよ。
○原田(憲)委員長代理 篠原委員、何度も申し上げますけれども、時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。
○篠原(孝)委員 国土交通委員会のことを申し上げているんじゃないんです。大臣が来られたりするときにきちんと連絡していただきたいということ、こういうのを直していただきたいことを申し上げて、質問を終わります。
○原田(憲)委員長代理 次に、金子恵美さん。
○金子(恵)委員 立国社共同会派の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。
冒頭、台風十九号等の犠牲となりお亡くなりになられました皆様方に哀悼の意を表しますとともに、全ての被災された皆様方に心からお見舞い申し上げます。
現在、生活再建に向けて頑張っている方々、なりわいの再生に向けて本当に必死になって汗水流していらっしゃる方々がいらっしゃる一方で、今もなお、避難所に多くの方々がいらっしゃるわけです。生活再建のめども立たずに苦しんでいるという状況でありますので、政府には、ぜひ災害対応を最優先に取り組んでいただきますようお願い申し上げます。
そして、今回のこの台風十九号等によって、鉄道、バス等の公共交通機関も大きな被害を受けました。長期間寸断し、通勤通学等、生活全般に大きな支障が生じているという状況であります。
先日、十一月十一日でありますけれども、政策推進私鉄国会議員懇談会として、日本私鉄労働組合総連合会の皆様とともに、台風十九号等被害の早期復旧復興に関する申入れ書を国交大臣に提出したところでもございます。労使一体となっての申入れでございました。六つの鉄道、バス会社の皆様とともに申入れをいたしましたが、私の地元の福島においても、福島交通と阿武隈急行が甚大な被害に遭ったということで申入れをさせていただきました。
福島交通郡山支社においては、車両九十台が水没したという状況でありまして、災害復旧にかかる費用に加え、運休に伴う運賃収入等の減少は相当な額となるということで、ぜひ支援をお願いしたいということと、そういう声もありますが、また、今後の水害対策として、郡山支社の移転、駐車場のかさ上げ、高層化などを進めていく必要があるのではないかということで、国として何らかの支援をいただきたい、そういう要望もありました。
また、阿武隈急行からは、自治体に対する財政支援をお願いしたいということで、つまりは、この阿武隈急行に対する自治体支援がありますけれども、その自治体に対する支援をしっかりやらなくてはいけないということをお願いするということと、そして、通勤通学など、地域住民の足を確保するための代行バスが使われているわけです、これが運行されていますけれども、国庫補助の対象としていただけますようにというお願いがありました。
これは、小湊鉄道とか箱根登山鉄道からも同じように、バス代替輸送の経費の国庫補助についての要望があったわけであります。
このように、地域の公共交通サービスというものを守りながら、住民の皆様の生活を守ろうと必死になっていらっしゃる鉄道そしてバス会社の皆様方に対して、支援をしっかりと迅速に進めていく必要があるというふうに思いますけれども、大臣の御所見、そして御決意をいただきたいと思います。
○武田国務大臣 個別の案件については国交省の方にお聞きいただいた方が詳しく説明していただけると思うんですが、地域住民の交通手段につきましては、被災者の方々が日常生活を一日も早く取り戻せるよう、早期の復旧を図るとともに、代替交通手段の確保を図ることが重要だというふうに心得ております。
十九号では、岩手県の三陸鉄道を始めとする地域鉄道が被災しました。この中には、運行再開まで長期間を要すると見られる路線もございます。このため、十一月七日に取りまとめられました被災者の生活と生業の再建に向けた対策パッケージにおきまして、台風第十九号により被災した地域鉄道の代行バスの運行経費に対する支援を盛り込んでいるほか、地域鉄道の早期復旧を後押しするなど、政府としてしっかり対応してまいる所存であります。
また、今回の災害におきまして、日本の物流、人の流れを支える多くのトラック、バス、タクシー事業者が、車両水没や倉庫破損等の被害を受けました。こうした事業者が速やかに再建し、事業を再開することが被災地の復旧復興に寄与すると考えております。
国交省からは、中小企業庁のグループ補助金についても制度が適用可能な場合には支援に向けた調整を行うと伺っており、内閣府としても、関係省庁と連携し、制度の周知徹底を図ってまいりたいと思っております。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。
バスの代行支援等についても、今までもいろんな検討がなされているというような声は聞いてはおります。でも、今大臣がおっしゃっていただいたように、国交省と連携をとりながら、ぜひ、できるだけ現場での負担を軽減しながら、そしてできるだけ迅速に復旧していけるような、そういう後押しをしていただければというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
赤字であれば何分の一、黒字であれば何分の一、いろんな議論が今なされているようではありますけれども、今申し上げましたように、とにかく被災地は厳しい状況で、そして人々の移動の権利まで奪うということが長期間続いてはいけないということでありますので、そうなりますと、本当に人々の心は折れて、これ以上、本当に再生することができない、ふるさとの再生に向かっていけません。ぜひ大臣からも後押しをお願いしたいというふうに思います。
次に行きます。
今回の災害では、生活環境を守るためのごみ焼却施設、そして、し尿処理施設等が甚大な被害を受けました。福島県でも、郡山市の富久山クリーンセンター、これも、焼却施設、粗大ごみ処理施設、リサイクル施設がありまして、またさらには、し尿処理センターである衛生処理センターが被害に遭っているという状況でもあります。
やはり人々は、安全、安心、これは一番根本にありますけれども、やはり衛生上の問題からしての安全、安心というものを求めているというふうに思います。そのためにも、ぜひしっかりと復旧に向けて後押しをしていただきたいと思いますが、国のこれからの支援についてお伺いしたいと思います。
○石原副大臣 お答え申し上げます。
環境省では、被災した住民の皆様に一日も早く日常生活を取り戻していただけるよう、被災した廃棄物処理施設の復旧についても、廃棄物処理施設災害復旧事業費補助金による財政支援を行っているところであります。この補助制度により、市町村が支出した金額のうち、国庫補助が二分の一、また、交付税措置を含めると、最大九二・七五%の財政措置が可能となります。
必要な予算の確保に努めるとともに、災害により滞っている生活ごみ、し尿の処理に対し、ごみ収集車両の派遣や広域処理先の確保をするなど、引き続き、被災自治体に寄り添って、きめ細かい支援を行ってまいりたいと思います。
○金子(恵)委員 環境省の皆様には、大臣を筆頭として、副大臣にもいろいろ御尽力いただいておりますけれども、職員の派遣もしていただきながら対応していただいているということでありますので、ぜひ、現場の声を大切にしていただきながらニーズに対応していく、そのような形で復旧に向けてお願いしたいと思います。
ありがとうございます。
次に、今度は浄化センターなんです。
これは国交省が所管ということでありますけれども、まずは、この十九号で被災した浄化センター等の復旧支援をどのように進めてきたかということをお伺いしたいということと、それから、実は、私の地元の福島県の伊達郡国見町に県北浄化センターというのがありまして、これは実際に十三日には四メートルほど水没したという状況にありまして、伊達市、桑折町、国見、福島市の住民の皆様には、生活排水を必要以上に排水しないようにというような呼びかけまでしているということです。
本格的な復旧には二、三年を要するというふうに言われていますので、一刻も早い復旧が望まれるといいましても、これからしっかりとした対応をしていかなくてはいけないということで、財政の問題だけではないと思います。人的な支援も含めて国に進めていただきたいというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。
○御法川副大臣 お答え申し上げます。
今回の台風十九号によりまして、全国では下水処理場十七カ所、うち福島県内では、委員が今お話しになりました県北浄化センター、そして新地浄化センターの二カ所が浸水により被災をいたしまして、一時的に処理機能が停止をいたしました。
被災した処理場の早期復旧に向けまして、国土交通省では、被害の大きかった地方公共団体に本省などからTEC―FORCEを派遣いたしまして、技術的な助言を実施してまいっておるところでございます。
とりわけ福島県に対しましては、リエゾンを通じて迅速な情報共有を図るとともに、県北浄化センターにつきましては、排水ポンプ車による施設周辺の排水、そしてTEC―FORCEによる現地調査や、応急復旧に向けた復旧方針の策定などを支援してきております。
引き続き、県北浄化センターを始め、被災した処理場の早期復旧に向けまして、災害査定設計書の策定や本復旧までの間の処理水質の改善方策に関する技術的助言を行うとともに、必要に応じて専門家を派遣するなど、国土交通省として全力で支援をしてまいりたいというふうに思っております。
○金子(恵)委員 現場に助言をしてくださる方を派遣しながらの対応もしていただいているということでありますので、ぜひしっかりと進めていただきたいと思います。
時間が参りましたので終わりたいと思いますけれども、福島県は、東日本大震災、原発事故からの復興に向けて、本当にここまで力を皆様方から得ながら頑張ってきましたけれども、なかなか、今回の台風十九号によって、またさらなる災害ということで厳しい状況にあります。
しっかりとこのことについても、大臣、ぜひ御配慮いただきながらの対応をいただきますよう心からお願い申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。
○原田(憲)委員長代理 次に、玄葉光一郎君。
○玄葉委員 立国社共同会派の玄葉光一郎です。
私の地元も、このたびの台風十九号で甚大な被害を受けたところでございます。
まず、武田大臣に、大きな話ではありますけれども、お尋ねをしたい、あるいは提案をしたいと思うんです。
それは、今回改めて実感したのは、雨の降り方、降る量が大きく変わったということであります。温暖化の影響が大きいと言われています。温暖化型の集中豪雨、あるいは流域型の洪水ということでございます。一度でこれだけの事態が起きるわけですから、このままいったら三度あるいは四度上昇するんじゃないかと言われている中で、私は、防災のあり方も、かなりの程度、この視点から考え直していく必要もあるんじゃないかというふうに思っています。
つまりは、今回の台風を受けてインフラを強化する、これはもう当然だと思いますし、必須だと思います。でも、じゃ、例えば全てをスーパー堤防にできるのかといったら、それは、費用とか時間を考えたら現実的じゃないというふうに思うんですね。
そう考えたときに、やはり、ここらでもう一回、いわゆる被災者の生活再建、その柱である住宅の再建、もっと具体的に言うと、被災者生活再建支援制度、この中身についてもう一回考え直していくべきなんじゃないかなというふうに思っているんです。
具体的に申し上げると、御承知のとおり、この住宅の再建は全壊と大規模半壊だけが対象になっているわけですけれども、この対象を半壊にまで拡大をし、さらに、その支給額を上積みしていくということをぜひ考えていくべきではないかと思いますけれども、大臣はいかがお考えでしょうか。
○武田国務大臣 先生の御地元の皆さん方に心からお見舞いを申し上げたいと思います。
御指摘のとおり、まさに予想を超えた災害に最近は見舞われておるわけであって、今日まで我々が考えておった安全規格というものを見直していくということは当然のことだと思っております。
国土強靱化の緊急対策でこの三年間で徹底した取組を行っていくということで、これを充実したものにしていこうと思うんですけれども、先ほど、被災者生活再建支援制度についての御指摘でありますが、半壊までこれを含める、全壊と大規模半壊だけではなくて半壊まで含めるという、こうした意見は全国知事会の方からも出てきているんですね。
これは、そうした意見も踏まえて今いろいろと実務者間で検討はさせていただいているんですけれども、とにかく、余りにも多くの方々が犠牲に遭うケースというものがふえてきた。そのときに、やはり、電力そして水、住居、ここの早急なる確保というのは一番大事なことであるということは我々も今回教訓として得たところであって、今日までの経験と教訓というものを生かしながら不断の見直しを行っていく、当然のことだと思います。
本当に国民のためになる防災対応とは何なのかということはしっかりと検討し続けていく、こういう考えで臨んでまいりたいと思います。
○玄葉委員 結局、インフラ強化による防災というのはやはり一定の限界がある。その限界を認めた上で、今の制度を抜本的に強化していくということを、私は、武田大臣が在任中に端緒を開いたというふうに言われるようにしてもらいたいなと思うんです。私、いずれ拡大すると思いますよ、これは、はっきり言えば。財務省も折れていくと思います。だったらば、自分の時代に端緒を開いた、この制度拡大のための端緒を俺が開いた、そういうふうに、ぜひ武田大臣には頑張ってもらいたいなとエールも込めて申し上げたいと思います。
時間がないから、端的に幾つか聞きますので、副大臣の方々にお尋ねをしたいと思います。現在進行中なので迅速に対応してほしいということを二点だけ、農水副大臣に申し上げます。
一つは、先ほども用水路とか排水路の改修というか復旧の話が出ておりましたけれども、当然、来年四月に通水ができるように工事を急いでほしいということなんですが、農家の方々、なかなかたくましい方々もいらっしゃって、自分たちでできることは自分たちでやる、こういうふうにおっしゃっているんですね。
確認といえば確認なんですが、これは当然、そういう経費は国が出すということで、国に出してもらいたいと思いますけれども、それでよろしいですね。
○伊東副大臣 お答えいたします。
今先生おっしゃられた点につきましては、農家の方々……(玄葉委員「出す」と呼ぶ)はい、出すということでございます。
○玄葉委員 今はっきり、国が出すというふうにおっしゃっていただきましたけれども、問題は、これは、昔のたしか農地、水、環境の、多面的な交付金から出すということなんですよね。
大事なことは、結構今迅速にやらなきゃいけないんですけれども、農家の方々は知らないですね、ほとんどそれを。自治体も実は十分知っていない。ぜひこの部分の周知徹底をきちっとしてもらいたい。これは周知徹底するだけで全然違いますよ。
もう一つは、あわせて答えてほしいんですけれども、例えば稲わらも、これは一立米五千円出します、これはみんな知っているんですけれども、どうやったら五千円出すの、みんな知りません。集積所に運んでください、集積所はまだ決まっていません。そのまんま、みんな燃やしているんですよ、現状は。
でも、いろいろ聞くと、近隣の田んぼに移して、そこで例えば土の中にすき込むというか、そういうふうにしてもこれは出るんでしょう、確認ですけれども。
○伊東副大臣 今先生御指摘のとおり、圃場から廃棄物処理まで、切れ目ないスキームでこちらはシステムをつくっているところでもあります。これは農水省、環境省一緒になっているところでありますけれども、この集積された稲わら等につきましては、その御指摘のとおり、一立方メートル当たり五千円の定額補助はあります。
ですから、これは、その地域地域の農政局、そしてやはり市町村、あるいは農協、こういったところがしっかりしたPRをする、あるいは周知を図る先だ、このように思っているところでございまして、特にやはり当該市町村と連携をとっていかなければならない、こう思っております。
○玄葉委員 ちょっと副大臣、確認なんですけれども、ちょっと細かいんですけれども、これは、隣の田んぼなんかに、隣というか、近隣の活用できる田んぼに移して、それですき込んだって一立米五千円出すべきだと思いますけれども、出るんですよね。これは確認ですけれども、イエスかノーかで結構です。
○伊東副大臣 これは、先生御指摘のとおり、出ることになっております。
○玄葉委員 まさに、さっき申し上げたように、こういうことが周知徹底されていないんですよ。きちっとされるだけで、かなり進みます。だから、このことは今起きていることとしてはすごく大事なので、あえてこの委員会の場で申し上げたので、農水省にしっかり対応してもらいたい。
あともう一つ。改良復旧という考え方が盛んにこの場でも言われるようになりました。よりよいものにしながら復旧する、しかも災害復旧のお金で復旧していく、これは大事なことだと思います。河川改修については当然そうなのですが、これは学校とか農業についても言えるんじゃないかと思っています。
例えば、学校が一階部分がやられました。でも、実は、一階部分には電源とかそういうインフラがあるわけですね。だけれども、そのまま復旧しないとお金が出ない。せっかく復旧するんだから、そういったものは二階に上げよう、上の階に上げようと思うとお金が出ないというわけですね。これはやはりよろしくないと思うんですね。
ですから、私、きょう文部副大臣いらっしゃっていますので、こういう例をぜひ見ていただいて、次のときにはというより、今回も含めて対応できるようにしてもらいたいなと。電源設備とか、あるいは家庭科の教室みたいなものを上に上げるというときは、上に上げながら復旧させてあげた方がよりよいお金の使い方になるというふうに思います。
農水副大臣にもあわせて申し上げると、例えばこういう例があるんですね。
私の地域で、地域ナンバーワンの畜産農家が水没しました。でも、畜舎は水没して、牛が十数頭やられました。その畜舎には二百頭近くいるんですけれども、十数頭やられちゃって、亡くなっちゃったんですけれども、畜舎自体は頑丈につくっていたから大丈夫だった。だから、そこの復旧費用は要らないんですけれども、将来、娘がその畜産農家を継ぎたいから、継ぐと言っているから、この際だから高台移転しようかなと言っているわけです。でも、そのお金は、農水省、実は用意していないんですね。そういう制度はないんですね。
だから、次の災害リスクに備えよう、しかも意欲的だ、後継者もいる、そういう人たちに対しての国の支援ができるような、災害リスクに備える取組というものも、ぜひ、これは前向きな話なので用意してもらいたいなというふうに思いますけれども、あわせて御答弁いただければと思います。
○亀岡副大臣 玄葉委員からもお話をいただきました。
特に、郡山周辺含めて、被害が大きい学校、全部うちの審議官を行かせましたので、現状をつぶさに見てまいりました。
特に、基本的には原形復旧が原則なんですが、それぞれいろいろな事情がありますので、今回もこの異常気象の中で大変な状況が生まれておりますので、それぞれの個別にしっかりと対応させていただくということを決めておりますので、もし電源が一階にあっても、これは同じところにつくったらまた同じことになるということになりますから、そういうことのないように、個別に合わせてしっかりとやっていくということを決めておりますので、そこは御安心いただきたいと思います。
よろしくお願いします。
○伊東副大臣 お答えいたします。
台風による被害を受けた場合には、被災農業者支援型の総合支援交付金によりまして、畜舎の撤去等々、再建、修繕を支援しているところでありますけれども、先生御指摘のとおり、被災していない施設の移転改築については、この予算措置は今ございません。
しかし、これとは別に、畜産経営を継続する、移転して継続したいという場合は、規模拡大、収益性向上ということを目指すことであれば、畜産クラスター制度など既存の制度で対応できるもの、このように考えております。
○玄葉委員 もう時間が来ましたので終わりますけれども、西日本集中豪雨のときも、何か、愛媛県で被災していない農家も含めて団地化したとか、そういう例もあるようなので、ぜひ、災害リスクに備えたい、今回、事実上、水害で水没しているんですよ。だけれども、畜舎自体は壊れていないから災害復旧には当たらないんだけれども、必ずと言っていいほど、多分来るでしょう、また。それに備えるためのやはり制度というのは、私はこれから用意してもいいんじゃないかなということを改めて申し上げながら、私の質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○原田(憲)委員長代理 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
一連の大雨、台風被害対策について質問をします。
政府は、今月八日、被災者の生活と生業の再建に向けた対策パッケージに基づく予備費の使用を閣議決定しました。対策パッケージを被災者、被災地の隅々に周知をする、速やかに実行することはもちろんのことでありますけれども、生活となりわいの再建のために必要とされる支援をやり尽くすことが求められるというふうに考えます。
日本共産党国会議員団として、十八日に、武田大臣に、台風、豪雨災害に関する申入れを行いました。大臣、直接の対応、ありがとうございました。
求められる支援は全てやる、こういう立場で政府が責任を果たすことを求めたいと思いますけれども、まず大臣の決意をお伺いしたいと思います。
○武田国務大臣 我々は、常に現場、つまり被災地で不自由な生活を余儀なくされておられる被災者の皆さん方の心に寄り添いながら対策を打ってまいりました。
総理御自身も常に口癖のようにおっしゃっているのが、できることは全てやる、できることは全てやれという指示のもとに我々は頑張らせていただいているわけでありまして、今後ともその気概を持って臨んでまいりたいと思っております。
○田村(貴)委員 今週、千葉県の市原市を訪問してまいりました。市原市では、市独自の制度として、借り上げ住宅を無償提供しています。
この市独自の制度と災害救助法における応急修理というのは併用できると思いますけれども、確認します。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
都道府県や市町村が公営住宅や公務員宿舎等を一時的な避難先として利用して、住宅の応急修理を行うことは可能としているところでございます。市原市さんが民間賃貸住宅を単費で借り上げて被災した方々に提供することは、これと同様であると認識しております。
このため、市原市さんが単費で借り上げた民間賃貸住宅において、災害救助法の住宅の応急修理が終了するまでの間、入居することは可能でございます。
○田村(貴)委員 応急修理との併用は可能ですね。
市原市は、急いで被災者の仮の住まいを確保するために、発災後一週間で借り上げ住宅制度を始めました。この中には応急仮設入居の要件を持っている被災者もおられます。
このままみなし住宅に、市が借り上げた住宅をみなし仮設にスライドしてほしいという要望は当然の要望であると思いますけれども、これは制度上可能だと思いますが、いかがでしょうか。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
市原市さんが単費で提供を行った民間賃貸住宅について、被災した方に提供された後、千葉県、これが仮設の実施主体でございますけれども、千葉県の定めた応急仮設住宅の入居基準あるいは家賃額といった条件に合致する場合には、賃貸契約の当初にさかのぼって災害救助法の応急仮設住宅として利用することも可能でございます。
○田村(貴)委員 はい、確認しました。
そこで、災害救助法では、先ほど青柳統括官がおっしゃったように、避難先として公営住宅が対象とされています。ところが、民間住宅は認められていませんよね。
短期間で貸してくれる大家さんがいるかどうか、そうした議論や、その理由も聞いてまいりましたけれども、現に、こうやって市原市のように、宅建協会と協議して民間賃貸住宅の借り上げが可能となる、こういう事例も生まれてまいりました。
今後、民間賃貸住宅も救助法の避難所の対象とすべき、こういうことに踏み出すべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
住宅が半壊等の被害を受けた被災者について、自宅の応急修理をしている間に公営住宅、国家公務員宿舎等を一時的な避難先として利用することは認めておりますけれども、そもそもということでいいますと、公営住宅等に関する費用を災害救助法で見ているということではございません。
そういう意味では、同様に、市原市さんが借り上げた民間賃貸住宅について、例えばその家賃を災害救助法の対象で見るということではないというふうに考えてございます。
ただ、先ほど申し上げたような、みなし仮設住宅への移行、あるいは応急修理との併用といったことは可能であるということでございます。
○田村(貴)委員 実情と、その災害支援のスピードに合わせて、やはり実態に合わせて制度を前に進めていくべきだと思いますよ。
次に、応急仮設住宅と応急修理代の併給問題について質問します。
応急仮設住宅は、みなし仮設でも建設型であっても、入居すると応急修理代は出ません。これはなぜですか。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
災害救助法による住宅の応急修理は、住宅が半壊等の被害を受けて日常生活が困難であるけれども、応急修理を行うことで自宅における日常生活が可能になる場合、こういうことで対象としている。一方で、応急仮設住宅というのは、住宅が滅失あるいは確保できない方に対して仮の住まいとして提供するものということで、応急修理とは基本的に対象が異なるということで、併用することは認めていないところでございます。
○田村(貴)委員 先ほど市原市の例を出したんですけれども、今住むところがない、緊急に家を探さなければいけない、これは自治体が対応して民間借り上げもある、そして、救助法の範囲で、公営住宅をいわゆる仮の住まいとして、避難所として住んだら、これはもとの家の修理代も出る。
そのスパンは、ちょっとレクチャーでも聞いたんですけれども、例えば半年とか一年とか、結構長いんですよね。こういう、救助法に基づく避難所として暮らす、そしてもとの家を修理する、制度が進んで、それは自然な流れだと思うんですよ。半年、一年間ぐらいで、避難所に暮らして、そしてもとの家に大工さんも来てもらう、やっと業者さんが決まった、そして修理をしていく、そして住み直していく、再建していく、これは自然な流れだと思うんですよ。何で、仮設住宅に移ったらもとの家はだめなのかということになるんですね。
この間、制度が進んだじゃないですか。十月二十一日付内閣府事務連絡「令和元年台風第十五号等に係る応急仮設住宅について」、この通知には何と書いてあるか。応急仮設住宅の入居対象者として半壊世帯を可能としましたよね。そして、その中で、「住宅としての利用ができず、自らの住居に居住できない方」としたわけです。ここにも発展形があるんです。「住宅としての利用ができず、」は、それまでは、住宅として再利用ができずと。つまり、解体しなければいけないという前提に立っていたものが、解体を前提としない、「住宅としての利用ができず、」に変えた。
つまり、半壊世帯の仮設住宅の入居に当たっては、家の解体を前提としない、こういう考え方に至ったということでよろしいんですね。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、通知、事務連絡を発出している中で、「住宅としての利用ができず、」というふうに、従前、再利用できないというものを、利用できないということで変更しておりまして、これは、解体を前提とせずに応急仮設住宅に入居することが可能となったということでございます。
○田村(貴)委員 はい、確認しましたよ。
そうすると、家の解体を前提としないのであれば、その家は修理をして住み直すことができるということが前提になるじゃないですか。だったら、応急修理代を出して再建に向かうというのが自然な流れでしょう。
ここまで、半壊世帯も大変だ、しかし、解体に至らないまでも、そういう半壊世帯の方も仮設住宅、みなしも含めて、入居していいですよ、こういう十月の事務連絡の発展に至ったんだったら、そうしたら併給は可能とすべきではありませんか。半壊世帯まで対象を広げたのであれば、修理代を支給した方が被災者の自立再建に結びつく、かなり自然な流れだと思いますけれども、いかがですか。
大臣にお伺いします。
仮設入居を選択するか、あるいは応急修理代をとるか、この二者択一というのは、あの災害の中での被災者にとってみたら、これほどの酷なことはないですよ。
私は、熊本地震でも、それから九州北部水害でも、各地の被災地に行ってこの声を聞いてまいりました。とにかく家を探さなくちゃいけない、こんな中でみなし仮設に入った、しかし、家の方は修理したら何とかなりそうだという判断をやはり尊重すべきだと思います。大臣、いかがでしょうか。
○武田国務大臣 先ほどから申し上げましたとおり、いろいろな教訓を踏まえながら不断の見直しを行っていかなくてはならないわけでありまして、さまざまな被災自治体や被災者の声をしっかりと受けとめながら今後の対策に生かしていきたい、こういうふうに思っております。
○田村(貴)委員 前向きに動かしていただきたいと思います。
応急修理の現状がどうなっているかということでお伺いしたら、熊本地震、これは二〇一六年、熊本地震は昨年度中にやっと応急修理を終えたということであります。それから西日本豪雨災害、これは去年です、西日本豪雨災害の応急修理はいまだ終えていないということなんですよね。それほど業者さんがいないんですよ、瓦屋さんがいないんですよ。
そうしたら、やはり、ある避難をする、そして仮設住宅に入る、そして応急修理の業者さんが来たら、してもらったら、そこで再建に踏み出せるとなるわけですから、この併給を認めない限り進まないですよ。だって、潰していいという家が仮設住宅の入居者の条件にならないんだ。今度は半壊世帯も、住み直すことができる家であってもそれを認めたんだったら、やはり、修理代を支払う、支援する、これしかないと思いますよ。統括官、いかがですか。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
工事業者の不足等の問題につきましては、国土交通省とも連携をしていかなくちゃいけないところでございますけれども、修理期間が長期化しているというところは実態でもございます。
また、今ほど大臣からも不断の見直しというお話がございましたので、大臣の指示のもと、いろいろと検討していきたいと考えております。
○田村(貴)委員 検討していただきたいと思います。
これだけの大災害が相次いでいます。避難所の対象に民間住宅を加えていく、それから応急仮設入居と応急修理代の併給を認めることを国としてしっかり検討していただきたい、要望したいと思います。
次に、被害認定について質問します。
被災家屋の認定については、罹災証明の被害認定に納得していない被災者の方は多々おられます。
資料二を先にごらんいただきたいと思うんですけれども、二枚目の方ですね。資料二です。
資料二は、九月二十日付の内閣府からの留意事項という文書であります。内閣府事務連絡「令和元年台風第十五号における住家の被害認定調査の効率化・迅速化に係る留意事項について」というふうにあります。大規模半壊を含む半壊と一部損壊の区分について、判断の一つの目安となるような例示があります。右側の表であります。
この表は、例えば一番上に、「棟瓦以外の瓦もずれが著しい。」といったところは、これは半壊になっているというような指示ですね。そして、その下の方には、「飛来物による突き刺さり、貫通痕がある。」といったところも、これはもう半壊になっていくんじゃないか、一部損壊ではないと。これは、条件を全て満たすじゃないですね、その一つ一つですね。
十月一日の参議院の災害特別委員会で、我が党の武田良介議員が質問しました。そうしたら、「一つでも該当するものがあれば、それは半壊以上になるおそれがありますから、そこはしっかり見る必要がある」と答弁がありました。これは間違いないですよね。
間違いないということを踏まえて、ちょっとこの表の部分について解説をしていただけますか。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
被害認定調査の効率化、迅速化の留意事項ということで、表のところというのは3というところで、屋根、外壁、建具のいずれにも以下の損傷が生じておらず、住家内への浸水のおそれもないという場合で、このいずれもないという場合には半壊には至りませんよという簡易判定ができるということで、屋根であれば、棟瓦以外の瓦もずれが著しいということがない、さらにジョイント部にも損傷は見られない、さらに屋上仕上げ面にこういう剥離、剥落等が見られない、飛来物による突き刺さりもない、こういう条件をみんな満たしていれば二〇%未満。
逆に言うと、これのいずれかに該当する場合には半壊に至る可能性があるという趣旨でございます。
○田村(貴)委員 それで、この事務連絡に照らして被害認定がちゃんとされているかどうか。この事務連絡に基づいて、そうなっていないケースが多々見受けられると。各地の被災地でいっぱいあるわけですよ。武田議員も参議院で取り上げましたね。
お配りしている資料1をごらんいただきたいと思うわけですよ。
この世帯は本当に悩んでおられるんです。上の写真、鋸南町のAさん宅です。台風十五号で瓦屋根の一部が損壊しました。雨漏りが二階の天井から一階の壁まで広がり、天井や床が膨れ、壁のしっくいも傷みました。そして、次に来た台風十九号でほとんどの屋根瓦が飛散しました。しかし、届いた罹災証明書では一部損壊の判定であります。今、青柳統括官が説明していただいたこの指標では、「棟瓦以外の瓦もずれが著しい。」といったところに私は当てはまるのではないかと思います。
事例二、下の写真であります。鋸南町のBさん宅。これも一目瞭然ですね。屋根が完全に吹き飛ばされています。家の中から青い空が見えてしまっていますね。これは、この通知によると、屋上仕上げ面に破断、不陸、亀裂、剥落等が見られる。やはり判定が被災者の思いに至っていないんじゃないですかね。損壊割合五〇%以上に相当し、私は一見して全壊かと思いました。しかし、罹災証明書では、これは一部損壊の判定なんですよね。通知に即して判定する、これはそういう事案ではありませんか。
大規模半壊、半壊、一部損壊、この扱いの違いによって、再建支援策に大きな開きが出てまいります。これは人の一生を左右する問題であります。
そこで、お伺いをいたします。
被災者が不服とするようなこのような事例については、国が、やはり自治体に、そして判定に当たっておられる応援の職員の方、自治体の職員の方がおられるのならば、適切にアドバイスするなど、周知徹底をいま一度図るべきではないでしょうか。いかがですか。
○青柳政府参考人 お答えをいたします。
御指摘のような再調査が、依頼することが可能である旨の周知につきましては、先ほどお示しいただいた九月二十日の事務連絡も含めまして、これまで累次にわたり通知もし、また、説明会等でも周知を図ってきたところではございますけれども、御指摘のような事例がまだ生じているというのは、端的に申し上げて周知がまだ十分ではないということかと思います。そういう意味では、改めて周知を図りたいと考えておりますけれども、なお、けさほど資料を拝見させていただいて、鋸南町さんの方にもちょっと確認をさせていただきましたところ、鋸南町でも、ちょっと、どこという特定はすぐにはできないわけでございますけれども、申請があれば再調査等を適切に実施させていただきたいということはおっしゃっておられましたので、我々としても再調査を促していきたいと思います。
○田村(貴)委員 通知に基づいて、この事例はまだ通知の趣旨が生かされていないという御答弁だったので、これは一部損壊ではちょっと疑問であると、そうですよね、なりますね。ですから、これはちょっと連絡もとっていただきたいと思います。鋸南町の方も、再申請するということであります。
ただ、被災者の方はこういうふうに言われたんですよ。再申請の意思があるにも、いや、その必要はないとか、これは別の自治体ですよ、その必要はないと言われた方もおられるわけです。
それから、こうした想定した被災と違う罹災証明で判定されたときに、相当落ち込んでしまうんですよね。ある御家族の方はこういうふうにおっしゃっている。役所が一部損壊だと言うんだったらもういいよ、奥さんがお父さんに、妻が夫に対して、もういいよお父さんと諦めてしまう、そういうことを聞いたんですよ。それは、そういう諦めというのは、被災者にこういう思いをさせてしまうというのは、一番あってはいけないというふうに思うわけです。
再調査それから再申請ができるということを、やはりもっと被災者の方の目に触れるところに、工夫をして、そして周知徹底を図っていただきたい。周知徹底を図ると言われたので、再答弁は求めません。
次に入ります。
たくさんの災害がことしありました。私、福岡ですけれども、福岡、佐賀を中心とする八月下旬からの大雨による大災害、そして、その後いろいろ災害があって、十五号、十九号、またその後の大雨もありました。一連続くその災害で支援の制度が異なってくるということを私はここで質問させていただきたいというふうに思います。
九州北部の大雨、それから台風、この一連の災害に対して激甚の指定がされました。これは一連の災害に対して激甚指定されましたね、大臣。なのに、対策が異なるんですよ。
例えば、商工業の被災者に対する支援策でありますけれども、グループ補助金は全ての被災地で使うことができるでしょうか。中小企業庁、お見えですか。グループ補助金と小規模事業者の持続補助金について、端的に、補助率、補助対象の違いについて説明していただけますか。
○渡邉政府参考人 お答え申し上げます。
グループ補助金は、台風十九号で被災した中小企業、小規模事業者向けの支援として、特に被害の大きい宮城県、福島県、長野県、栃木県において、被災事業者がグループを形成して工場、店舗等の施設や機械設備などの復旧を行う際にその費用の四分の三を補助するものであります。
また、持続化補助金は、台風十九号で被災した小規模事業者向けの支援といたしまして、例えば、機械設備や業務用車両の新規購入、店舗改装、事業再開時の広告宣伝などさまざまな費用について、さきに述べました四県では上限二百万円、その他の災害救助法適用地域がある被災十都県では上限百万円まで、その費用の三分の二を補助するものであります。
引き続き、被災自治体とよく連携し、被災事業者のニーズを的確に捉え、被災事業者の事業再開をしっかりと支援してまいりたいと考えてございます。
○田村(貴)委員 説明がありましたように、グループ補助金というのは支援が厚いんですよ、四分の三の補助です。しかも、今度の、一連の激甚指定の中で、台風十九号、この被災地だけなんですよ。
私は、佐賀の武雄の商工被害者、いっぱい見てきました。生活の糧、収入の糧を失ったそういう被災者、これは福島でも長野でも九州でも一緒じゃないですか。
農地だってそうですよ。これも私、農水委員会で何度も取り上げてきているんですけれども、十九号と、そしてその他の災害とでは差があるんですよ。国の、ハウスなどに対する補助について、十分の三から十分の五に引き上げた、これは本当によかった、よかったんだけれども、これは十九号だけなんですよ。
何でこんなことになるのかということで、きょうは財務省から遠山副大臣、お越しいただいております。財務省、待ったかけているんでしょうか、ちょっと質問させていただきたいんですけれども。
公費解体でも半壊世帯は差がつくとか、農地、農業も今言いました。それから、仮設住宅の供用期間、これは今度またやりますけれども、こうしたところで、被災者、被災農家、被災商工業者を同一施策でやはり支援すべきだと思いますよ。一連の災害の中で激甚にしたんだったら、一連の災害の中で同一施策で支援できるように予算措置を図るべきだと私は常々思っているんですけれども、いかがですか。
○遠山副大臣 御答弁申し上げます。
まず、先ほど、武田防災担当大臣が総理の言葉を引かれておっしゃっておりましたように、政府としては、できることは全てやるという基本方針があります。全てやるためには当然予算が必要なわけでございまして、先に結論的なことを申し上げれば、財務省として待ったをかけているということはなくて、政府として、被災地における復旧復興のために必要な予算の確保ということはきちっとやっていくというのが基本的立場でございます。
それを前提に、災害被害に対応する各種の支援制度につきましては、これはそれぞれ、災害がもたらす被災者、被災自治体、地域経済等さまざまな側面への影響を踏まえながら適用が検討されるものでありまして、これは基本的には、災害の規模をベースとして制度設計がなされてきているものと考えております。その観点から、制度の適用に際して、例えば、特定非常災害に該当するのかしないのか、激甚指定がなされているかどうかといった客観的な基準を基本的に設定してきているものと承知をしております。
また、これまでの災害における支援のあり方との公平性といった観点も踏まえる必要がございますので、災害ごとに支援のあり方について違いが生ずるということは、これはやむを得ない部分もあると我々は考えております。
他方で、先ほど田村委員も言及になられましたように、今回の災害においては、台風十九号から二十一号による被害までを一つの災害とみなして激甚指定を行う予定でありまして、柔軟な対応をすることにも努めているところでございます。
いずれにいたしましても、財務省としても引き続き、被災者に寄り添い、復旧復興の状況の進展に伴いまして被災地や被災者が直面する課題に耳をよく傾け、今後とも丁寧に対応してまいりたいと考えております。
○田村(貴)委員 副大臣、いろいろおっしゃいましたけれども、規模と言われましたね、規模の大小をベースにしてと。やはりその規模の大小で待ったかけているじゃないですか。
私は農水委員会で、被災農機具それから畜舎等の再建、修繕、再取得に当たって国の補助率が台風十九号だけ何で十分の五なんだ、ほかは何で十分の三なんだと聞いたら、江藤農水大臣が苦しい胸のうちを語られました。厳しい御指摘である、かなり苦労した、財務省との折衝をしたと、かなり苦しい胸のうちを語られました。きのうも、財政当局とも一生懸命折衝したと答弁されている。財務省じゃないですか。そして、私のこと、私から言われたのも、災害の大小にかかわらず、農家の痛みに変わりはないと、全くおっしゃるとおりでありましてと言ったんですよ。
農水省とか中企庁とか、いろいろやりたい、同一支援をやりたいと言うんだけれども、財政当局から待ったがかかっていると言わんばかりのやはり回答だったんですよ。姿勢を改めるべきではないですか。災害規模の大小で被災支援制度に格差をつける、こういうことはやめるべきだと思いますけれども、いかがですか。
○原田(憲)委員長代理 遠山財務副大臣、時間が参っておりますので、簡潔にお願いをいたします。
○遠山副大臣 やや繰り返しになりますけれども、財務省として、個別具体的な災害復旧復興への支援について、待ったをかけることを基本的な姿勢として各担当の省庁と交渉しているわけではございません。
先ほどの答弁の冒頭で申し上げましたとおり、総理のもとで、できることは全てやると言っているわけでございますので、そのために必要な予算はしっかりと確保できるように対応してまいりたいと思っております。
○田村(貴)委員 この続きは次回でまた論議をさせていただくということで、きょうは終わります。
ありがとうございました。
○原田(憲)委員長代理 次に、森夏枝さん。
○森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。
本日も災害対策特別委員会において質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。
まず、冒頭に、本年の台風十五号、十九号や低気圧による大雨によりお亡くなりになられた皆様に心からお悔やみを申し上げますとともに、被災された全ての皆様に心からお見舞いを申し上げます。
近年、災害が大規模化しており、多くの犠牲者が出ていることには大変心が痛く、一人でも多くの命を助けるためにどうすればよいのか、日々考えております。本日は、一人でも多くの命を救いたいとの思いで質問をさせていただきます。
現在、令和元年台風十五号、十九号に係る検証チームにおいて会議を行い、取りまとめが行われていると思います。今後、実務者検討会なども開かれ、検証していかれると思いますが、この台風十九号が過去最強クラスの台風であったことは承知しておりますが、なぜ九十六名もの死者・行方不明者が出てしまったのか。どうすれば一人でも多くの命を助けられたのか。今後、検証されていかれると思いますが、現状の認識を教えてください。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、令和元年台風十九号、その後の低気圧による大雨で、全国で九十七名の方が亡くなり、三名の方が行方不明ということでございます。
この亡くなられた方々の、どういう形で亡くなられたのか、また、原因というものを、今後、避難に関しますワーキンググループを中央防災会議のもとに設けさせていただいて、その中でよく分析をさせていただいて、対策というものを検討していきたいと思いますけれども、やはり大きな点でいうと、避難の勧告あるいは指示といったものの情報伝達の仕方、また、発令の仕方、それと、やはり住民そのものの意識の問題、地域での取組の状況、さまざまな要素が考えられると思いますので、そういった点、できる限り掘り下げて、検討していきたいと考えております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
本当に近年は、過去最強クラスの規模であったり、数十年に一度といったような規模の災害が起きておりますので、想定外も想定して、しっかりと対応をしていただきたいと思います。特に台風は予測できるものですので、しっかりと検証をして、来年以降の災害に備えていただきたいと思っております。
これまでの災害でも同じ思いでしたが、改善されていないと感じるのが、被害状況の把握の遅さです。災害対策特別委員会の理事懇でも、党でも何度か被害状況を伺いましたが、台風十五号は特に被害状況の把握、報告が遅かったように思います。
特に台風十五号の停電の被害状況の把握が遅かったのですが、なぜ被害状況の把握がおくれたのでしょうか。お答えください。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
台風十五号に関しまして、被害状況の把握ということでございますけれども、政府においては、まず、台風の接近前から災害警戒会議を開催し、停電の解消に時間を要している状況を踏まえて、関係省庁の災害対策会議、開催をして、関係省庁連携して、切れ目のない対応に当たってきたところでございます。
内閣府の調査チーム、経済産業省等の連絡員、順次、千葉県庁、各市町村に把握をして、被害実態の把握に努めたところではございますけれども、委員御指摘のとおり、特に停電に関する情報把握には迅速性を欠いていたというところは否めないところでございまして、これについては、まだ確たる、どこがどういうふうにおくれたのかというところは検証チームの中で経産省さんとともに分析を行っているところでございまして、この検証を通じまして、その原因と対策についてきちんと明らかにしていきたいと考えております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
台風は予測できるもので、関係省庁と連携して、事前から派遣もしていただいていたというところですけれども、やはり、この被害状況の把握が遅かったという事実は変わらないと思いますので、来年に生かすようにぜひしていただきたいと思っております。
被害状況の把握がおくれると、やはり救助、支援もおくれます。来年の災害に備えて、今後、被害状況の把握についてはどのように対応、改善されるのでしょうか。お答えください。
○青柳政府参考人 被害状況の把握への対応ということについて、まさに現在取り組んでおります検証チームにおける検証のプロセスを通じまして、その対応策というものを検討していくということになります。
スケジュール的な面でいいますと、十五号の関係については、経産省さんの審議会における検証が年内に取りまとまるという見込みでございまして、私ども政府の検証チームの、停電の原因ですとか復旧プロセス、当然それは、関連する国、地方自治体の初動対応、被害状況の把握も含めてということになろうかと思いますけれども、そちらについて、年明け、一月の中旬ごろには取りまとめを行っていきたいと思っておりますので、それまでには被害状況の把握への対応をどういうふうにやっていくのかというところも明らかにしていきたいと考えております。
○森(夏)委員 今後検証されていくというところですけれども、本当に大きな被害を受けている自治体は、自分の町の被害状況の把握もできません、都道府県への報告もできません。報告が上がってこないから被害状況がわからない、支援できないでは、国民の命は守れないと思います。
今回も事前から職員の派遣などを行っていると思いますけれども、状況の把握がおくれたということは、人が足りなかったということだと思います。台風は数日前から接近が予想できますので、人員の配置や増員など、更に検証、検討していただきたいと思います。
また、ドローンの活用なども更に進めていただきまして、被害状況の把握のために無人機の活用なども検討していただきたいと思っております。
近年の災害の規模は想定外となっております。都道府県、市町村も災害時の訓練は行っておりますが、マニュアルどおりにしか動けません。想定外の規模で災害が起こったときに、訓練は全く機能しません。特に、台風になれていない地域や大規模災害に対応できていない自治体に想定外の災害が起こったときに対応のできる国の対策が必要であると思いますが、何か大規模災害に対して対応策は考えているのでしょうか。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
御指摘のように、災害対応になれていない自治体、今回もあったわけでございますけれども、そして大規模な災害というのも近年頻発するということで、そういう観点から、先ほど来申し上げております検証チームにおける検証というものも進めているところでございます。
国からの職員派遣の充実ですとか、現場において災害応急対応をスムーズに行うための工夫などについても議論を進めていく必要があるというふうに思っております。
これも、どういった対応を具体的にまとめていくかというところは今後の検討ということになってしまいますけれども、できるだけ速やかに、先ほど一月中旬と申し上げましたけれども、それまでの議論の中で検討を深めていきたいと思っております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
検証して検討しますというお答えがずっと続いておりますけれども、東日本大震災の被災者の方からも、昨年の西日本豪雨災害の被害者の方からも、本当に自分たちの教訓が生かされていないという声が大きいです、多いです。ですので、今後検証して検討されていかれると思いますけれども、本当に、来年の台風のときに多くの命が助かるように、しっかりと検証をして進めていただきたいと思います。国民の命をしっかりと守っていただきたいと思っております。
自治体が被害状況を把握することができ、報告できるレベルの災害時には、しっかりと報告を受け、要請に応じ、支援体制をとればよいと思いますが、繰り返しになりますけれども、想定外が起こったときに、まず自分たちで被害状況の把握ができないときには、国がもっと人を派遣して状況把握に努めるべきです。そして、ことしの台風十九号のように、過去最強クラスの台風だとわかっている場合には、事前に支援体制がとれたのではないかと思います。このあたりもしっかりと検証をして、来年につなげていただきたいと思います。
地震とは違い台風は予測できますので、国民の命はもっと守れたのではないかと思います。改善点はあると思いますので、しっかりとお願いしたいと思っております。
次に、ことしの台風による犠牲者の逃げおくれの理由について伺います。
ことしの台風等で死亡してしまった方々のうち、どのくらいの方が逃げずに自宅で被害に遭ったのか、避難途中に被害に遭ったのか、なぜ逃げなかったのか、なぜ逃げおくれたのか、教えてください。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
台風十九号等の豪雨災害によりまして、死者九十七名ということでございました。これらの災害では、自宅で被害に遭われた高齢者、あるいは自動車での移動中に被災された方が多かったということで、これは正確な数字ではございません、内閣府の方でいろいろな情報をもとにして推計するところでいきますと、九十七名のうち、自宅での死者が三十七名、この三十七名のうちで六十歳以上の方が三十一名である、また、車移動中の死者というのが三十四名というようなことで、非常に多くの方が自宅ないしは車移動中に亡くなられたということでございます。
これは、やはり被災された状況、住民の避難等については中身をよく分析していく必要がございますけれども、災害リスクと、とるべき行動について十分な理解がされていたか、高齢者等の避難の実効性、これが地域において確保されていたか、わかりやすい防災情報の提供はできていたか、こういったところに課題があるのではないかと認識しておりまして、こういった課題認識のもとで、今後、中央防災会議のもとに設置しますワーキンググループにおいて必要な対策を検討していきたいと考えております。
○森(夏)委員 この逃げおくれの理由を把握することは大変重要で、なぜ逃げおくれたのか、命の危険があるにもかかわらず逃げなくてもいいと思ったのであれば大変問題で、今後の災害に備えて国民が避難できるようにすべきです。
これまでにも、避難準備、避難勧告、避難指示などの言葉がわかりにくいとの声もあり、警戒レベルや全員避難など、できるだけわかりやすい言葉を使い、避難を呼びかけていたと思いますが、それでも九十名以上の方が犠牲になってしまいました。避難すべきかどうか、国民の誰もが理解をし、行動に移せる状況にしなければなりません。
消防団の方から話を伺いましたが、やはり高齢の方は、危険ですから避難をしてください、避難しましょうと言っても、ここで死ぬから大丈夫、ありがとうと言って、避難を拒否される方が今でもいらっしゃる。自分が避難をしないことで周りの人にも迷惑をかける、周りの人も危険な目に遭わせることになるというのも、国民皆に理解をしてもらう必要があると思います。
災害は、自分の身に起こるまでは人ごとで、自分の地域は大丈夫、自分の自宅は大丈夫と、皆さんそう思いたいですし、そう思っておられます。被災地に足を運び、聞こえてくる声は、まさか自分のところがこんな被害に遭うなんて、今まで何十年も生きてきたけれども、こんなことになるとは思いもしなかったと皆さんおっしゃられます。願望もあると思いますが、自分のところは大丈夫という意識をお持ちの方が多いです。
大臣に伺います。
国民の避難に対する意識改革が必要と考えますが、何か国として考えられていることはありますでしょうか。
○武田国務大臣 御指摘のように、正しい情報をわかりやすく、早く地域住民の方に伝える、このことをまず我々は心がけなければならないと思います。しかし、最終的には、住民の方がやはり適切な避難行動というものをよく理解していただいて、それを実際のところ行動に移すことができるかどうかということが一番のポイントになってくるんじゃないかなと思います。
やはり先生御指摘のように、江東区の避難所、もう水没してしまうというような御指摘もあったと思うんですけれども、その居住区、例えば山際、そして川沿い、海沿い、そして海抜がゼロメートル地域等々で全て避難形態というのは異なってくるんでしょうけれども、自分の身を置くこの場所から避難するためにはどこにどう行けばいいかということをそれぞれの地域でまずは考えていただいて、それを地域住民に周知していただく。
それで、それをしっかりと認識していただけるような啓発運動というものを、政府が率先して、知事会そして市町村会、そうしたものを通じて果たしていくことが最も重要だ、このように考えています。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
もう大臣のおっしゃるように、行動に移すことが本当にポイントだと思っております。予知の難しい地震や火山の噴火などに比べて、台風は早目の避難をすれば助かる命があります。ぜひ、大臣には先頭に立って、国民の避難に対する意識改革をお願いしたいと思っております。空振りを恐れず避難することができるように、来年の台風で犠牲者が出ないようにしていただきたいと思います。
先ほど大臣からもお話がありましたけれども、避難所が危険だというところもあります。自宅の方が安全だといって避難しなかった方もいらっしゃいます。ですが、自分たちが安全、自宅の方が安全だと判断をしても、それが間違っている場合もありますので、今後も、ハザードマップも活用して、検証もしっかりお願いしたいですし、住民の皆様、国民の皆さんに、自分の住んでいる地域に対して、避難の場所についてもしっかりと理解をしていただく必要があるかと思っております。
次に、宅地造成の開発許可の見直しについて伺います。
大量の雨が降り、増水により川が削れていって川沿いの住宅が流されたり、崖の横の住宅が被害に遭っておりますが、宅地造成の開発許可を見直すべきではないのでしょうか。近年の災害は規模が違います。今までどおりの開発許可を出していては国民の命が守れないと思いますが、いかがお考えでしょうか。
○内田政府参考人 お答えいたします。
現在、浸水想定区域等については、いわゆるコンパクトシティーのための都市再生特別措置法に基づく立地適正化計画において、その運用で、災害リスクや警戒避難体制の整備状況等を総合的に勘案し、適当でないと判断される場合は、原則として居住誘導区域に含まないこととしております。
また、地方公共団体が条例で浸水による危険の著しい区域を災害危険区域に指定している場合には、都市計画法に基づく開発許可制度において、その区域での宅地開発を原則として禁止しております。
今般、全国各地で浸水被害を含め多様な被害が相次いだことを踏まえ、都市計画でどのような対策が可能なのか、コンパクトシティーの取組と防災対策の一層の連携や開発規制の見直しも含めた必要な対策について、さまざまな専門家の意見も伺いながら検討してまいります。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
家を買ったばかりの方が被害に遭うこともございますので、しっかりとこれも検証をしていただきたいと思っております。山を切り崩したり平らに削って、そして近くのため池を埋め立てて、同じ宅地として造成をして住宅を販売されると、見た目には何も変わらない、わからない状態で、ふだんは特に問題のない住宅ですが、記録的な雨量の雨が降ると、やはり埋め立てた土地は弱く、住宅に大きな被害が出ていると聞きます。
ハザードマップの活用も大事ですし、特に危険な地域とわかっていても、その地域の方に全員引っ越してもらうことは現実的に難しいので、現在、危険な地域に住まわれている方には確実に避難をしていただくようお願いするしかありません。
しかし、近年の災害は規模が違いますので、今後の宅地造成の開発許可については見直しをし、危険な場所には新たな住宅をつくらない、住まわせないようにしていただきたいです。
歴史的に危険な場所、危険な地名、把握されていると思います。とにかく国民の命を守ることを最優先に対策を講じていただきたいと思っております。
昨年も、西日本豪雨で、川の決壊により多くの犠牲者が出ました。ことしの台風でも大変多くの河川で決壊が起き、多くの被害が出ました。
治水対策に時間と費用がかかることは承知をしておりますけれども、来年、多くの国民が同じような被害に遭わないためにも、もっと治水対策を進めてほしいと思いますが、現在行われている対策について教えてください。
○五道政府参考人 お答え申し上げます。
今回の台風第十九号では、東日本を中心に、十二時間の降水量が百二十地点で観測史上第一位の値を更新するなど記録的な大雨となり、多くの河川で決壊、越水するなど甚大な被害が発生しました。
大雨の被害を軽減するためには、事前防災対策を着実に進めていくことが重要だと考えてございます。
これまでも、全国の河川で、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策等により、樹木伐採、河道掘削、堤防強化等を実施してきているところでございまして、来年度の出水に向け、三カ年緊急対策も含め、事前防災対策を着実に進めてまいりたいと考えております。
さらに、今回の台風第十九号によって明らかとなった越水や、支川合流部における堤防決壊等の課題を踏まえ、被災地はもとより、全国において地域の安全、安心を確保するため、ソフト、ハード一体となった流域全体での治水対策を実施してまいります。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
三カ年の緊急対策もしていただいていると思いますし、被害を受けた河川の復旧工事も進めていただいていると思いますけれども、やはりこの自然豊かな日本で、いつ、どこの河川が氾濫するかわからないので、なかなか全国全ての川を治水工事するというのは本当に不可能だと思います。ですが、緊急的に必要なところからとなり、仕方ないと思いますけれども、しっかりとお願いをしたいと思います。
そして、間に合わないところ、工事には時間がかかります、間に合わないところに関しては、繰り返しになりますけれども、国民に避難をしてもらう、避難をしてもらうことしかないと思っております。
次に、自衛隊の派遣要請の現状と見直しについて伺います。
ことしの災害においても、自衛隊の皆様には大変活躍をしていただき、心から感謝をしております。被災地でも、自衛隊の皆さんに対して本当に感謝しているとの被災者の声を聞いてまいりました。
派遣要請に従って活動されている自衛隊に問題があるとは思っておりませんが、派遣要請を待ち、派遣要請後に出動するという仕組みが近年の大規模災害には対応できていない、自衛隊の能力が最大限に生かし切れていないように思います。
自衛隊への派遣要請の現状と、今後の見直しを検討されているのかについて教えてください。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
自衛隊の災害派遣は、自衛隊法第八十三条に基づき、都道府県知事等が、天災地変その他の災害に際して、人命又は財産に対する実際の被害が既に発生している場合に限らず、被害が急迫している場合等におきましては、人命又は財産の保護のために必要があると認め、防衛大臣又はその指定する者に要請する場合等に実施することとなります。
自衛隊が災害派遣を効果的かつ的確に行うためには、都道府県知事等が要請する、要請を出すタイミング、また、その具体的な活動要領に係る地方公共団体等との連携が極めて重要になります。
防衛省・自衛隊においては、地方公共団体等とは、平素から、地方公共団体などが行う防災訓練への参加、また、都道府県防災会議に陸上自衛隊の方面総監等の部隊長が委員として参画することなどを通じまして、連携強化に取り組んでおります。
今般のように、台風が接近し、被害の発生が見込まれる場合等には、あらかじめ地方公共団体に先行して連絡要員を派遣するなど、一層緊密な連絡調整を行う体制を整えております。
いずれにいたしましても、防衛省・自衛隊においては、近年被害が広域化、甚大化している災害に際しまして、国民の皆様の生命財産をしっかり守れるよう、災害派遣について不断の検討を重ねてまいりたいと思います。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
自治体との連携は本当に重要だと思っております。
ことしの千葉県では自衛隊の要請が遅かったと、多くの声が上がっております。被災者の皆様からも聞きました。
日本維新の会の党の防災PTでも、防衛省からのヒアリングをしたときにも伺いましたが、自衛隊も事前に台風が予測できますので、直撃するかもしれない地域に連絡員を事前に派遣をして、情報把握に努めていただいているという話も聞きました。少しでも早く動けるようにと情報把握に努めていただいていることについても感謝しますが、やはり、要請がなければ自衛隊が動けないこと、これが問題だと思います。
先ほど御説明ありましたけれども、緊急を要する場合には防衛大臣のもと動くことができると思いますけれども、基本的には都道府県の知事からの要請になってしまうので、対応がおくれる場合がございます。国が要請を待つのではなくて、被害状況を更に、これも繰り返しになりますけれども、人員を増員して状況把握に努めて、必要であれば、要請が上がってこなくても国の方からしっかりと支援をする仕組みも今後検討していただければと思います。
本当に大きな被害を受けているところは、声を上げることもできません。市の職員が市内じゅうを被害の状況把握に回り、都道府県に応援要請をするなどの余裕はありません。千葉県は実際そうでした。マニュアルに載っていない想定外のレベルの災害が起きたときにどう動くか、これをしっかりと今後検証し、改善をしていただきたいと思います。
次に、水陸両用車等の国民を助けるための装備について伺います。
河川の決壊などにより水没した地域へはヘリコプターやゴムボートを使って救助に向かっていただいておりますが、このヘリコプターの救助は怖いといった声も聞きます。例えば、もっと多くの人を一度に救助できるような水陸両用車等の整備の充実なども必要ではないかと思いますが、こういった、水陸両用車以外でも構いませんが、ほかに活用できる装備があるのかどうか、教えてください。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
自衛隊の災害派遣におきましては、既に保有しておりますさまざまな装備品をその活動内容に応じまして活用をしております。
具体的には、委員がおっしゃいましたヘリコプター、またドーザーといった重機、そういったもののみならず、被害状況を把握するために災害用のドローン、こういった新たな装備品も活用しているところでございます。
他方、今般の台風による浸水被害に際しましては、被災地域の浸水状況や被災者の方々の乗りおりの難しさといった点を勘案しまして、被災者の方々が乗りおりが容易な、またその取扱いが容易であるゴムボート等によりまして救助を行うことといたしまして、御指摘の水陸両用車は、今回は活用はいたしませんでした。
いずれにいたしましても、災害対応に際しましては、活動内容に適した装備品を個別具体的に被災の状況を踏まえまして選定して使用することとしておりまして、今後も適切に対応してまいりたいと思います。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
時間がありませんので、最後の質問に移らせていただきます。
災害廃棄物の事前計画の見直しについて伺います。
災害廃棄物の計画については、計画どおりに進んでおり、二年後には完了できるというお話を伺いましたけれども、来年も再来年も災害が起こる可能性がありますが、この災害廃棄物処理をもっと早く終わらせることはできないのかと思いますが、事前計画の見直しについて検討はされないのでしょうか。お答えください。
○山本政府参考人 お答えいたします。
事前の準備という意味で処理計画が重要というのは御指摘のとおりでございまして、この処理計画についても、まだ十分できていないところについては策定の支援、あるいは、つくっているものについても、より実効性の高いものに高めていくために、机上演習を含めたブラッシュアップをするような取組をしてございます。
また、過去の災害、今回の災害もそうですけれども、実際に処理を実施をした後、その処理計画がうまく機能した点、機能しなかった点、しっかりそれを評価した上で見直しを図っていくということは不断に取り組んでまいりたいと考えております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
近隣自治体や民間の協力も得て、少しでも早く終わらせることができるように計画をしていただきたいと思います。できるだけ、ことしの災害のものは来年の夏までに終わるような取組をしていただきたいと思います。
以上で終わります。ありがとうございました。
○原田(憲)委員長代理 次回は、来る二十八日木曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時二十一分散会