第3号 令和3年3月18日(木曜日)
令和三年三月十八日(木曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 金子 恭之君
理事 小里 泰弘君 理事 工藤 彰三君
理事 原田 義昭君 理事 藤丸 敏君
理事 堀井 学君 理事 近藤 和也君
理事 早稲田夕季君 理事 大口 善徳君
井出 庸生君 岩田 和親君
大岡 敏孝君 金子 俊平君
神山 佐市君 佐々木 紀君
杉田 水脈君 鈴木 憲和君
平 将明君 高木 啓君
武部 新君 津島 淳君
出畑 実君 中谷 真一君
中根 一幸君 根本 幸典君
原田 憲治君 百武 公親君
深澤 陽一君 松本 文明君
山本 幸三君 池田 真紀君
岡島 一正君 柿沢 未途君
神谷 裕君 小宮山泰子君
佐藤 公治君 高木錬太郎君
堀越 啓仁君 山本和嘉子君
江田 康幸君 岡本 三成君
田村 貴昭君 美延 映夫君
古川 元久君
…………………………………
国務大臣
(国土強靱化担当)
(防災担当) 小此木八郎君
内閣府副大臣 赤澤 亮正君
農林水産副大臣 葉梨 康弘君
経済産業副大臣 長坂 康正君
内閣府大臣政務官 和田 義明君
政府参考人
(内閣官房国土強靱化推進室次長) 五道 仁実君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 田中 俊恵君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 青柳 一郎君
政府参考人
(復興庁統括官) 角野 然生君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 馬場竹次郎君
政府参考人
(総務省自治行政局公務員部長) 山越 伸子君
政府参考人
(消防庁審議官) 五味 裕一君
政府参考人
(消防庁国民保護・防災部長) 荻澤 滋君
政府参考人
(文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官) 笠原 隆君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 間 隆一郎君
政府参考人
(農林水産省大臣官房審議官) 松尾 浩則君
政府参考人
(中小企業庁経営支援部長) 村上 敬亮君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 黒田 昌義君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術審議官) 東川 直正君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術審議官) 渡邉 浩司君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術審議官) 江口 秀二君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 吉岡 幹夫君
政府参考人
(防衛省大臣官房審議官) 町田 一仁君
衆議院調査局第三特別調査室長 名雲 茂之君
―――――――――――――
委員の異動
三月十八日
辞任 補欠選任
杉田 水脈君 百武 公親君
平 将明君 佐々木 紀君
武部 新君 津島 淳君
高木錬太郎君 堀越 啓仁君
同日
辞任 補欠選任
佐々木 紀君 平 将明君
津島 淳君 武部 新君
百武 公親君 杉田 水脈君
堀越 啓仁君 高木錬太郎君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
災害対策に関する件
地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律案起草の件
――――◇―――――
○金子委員長 これより会議を開きます。
災害対策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房国土強靱化推進室次長五道仁実君、内閣官房内閣審議官田中俊恵君、内閣府政策統括官青柳一郎君、復興庁統括官角野然生君、総務省大臣官房審議官馬場竹次郎君、総務省自治行政局公務員部長山越伸子君、消防庁審議官五味裕一君、消防庁国民保護・防災部長荻澤滋君、文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官笠原隆君、厚生労働省大臣官房審議官間隆一郎君、農林水産省大臣官房審議官松尾浩則君、中小企業庁経営支援部長村上敬亮君、国土交通省大臣官房審議官黒田昌義君、国土交通省大臣官房技術審議官東川直正君、国土交通省大臣官房技術審議官渡邉浩司君、国土交通省大臣官房技術審議官江口秀二君、国土交通省道路局長吉岡幹夫君及び防衛省大臣官房審議官町田一仁君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○金子委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。鈴木憲和君。
○鈴木(憲)委員 おはようございます。自由民主党の鈴木憲和です。
本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。
本日は、主に豪雨災害への対応について、私自身の地元の経験も踏まえて御質問をさせていただきたいというふうに思いますが、ただ、ちょっと質疑の順番、通告の順序を変えまして、先に復興庁に一点お伺いをいたしたいと思います。
先週、三月十一日で、東日本大震災から十年でありました。私自身、東北の出身の人間として、この十年間、被災地の現場で、政府の職員の皆さん、また自治体の皆さん始め、本当に皆さん頑張っていただいたというふうに思っています。
しかしながら、現実、この十年たった今でも、私の地元山形も含めてでありますが、いまだにたくさんの皆さんが避難をされている、避難を余儀なくされているというのが現実です。これはやはり、福島の第一原発の事故によって、放射性物質の影響がいまだに色濃くあるんだということが事実であります。
一点、私は、そのときに、この十年という機に、これまでの放射性物質に対する対応を一度、本当にこれでよかったのかどうかといった点も含めてよく検証して、そして次、前に進むという段階に私は来ているというふうに思います。
一点だけ復興庁にお伺いをしたいのは、私自身、放射性物質の影響という面でいえば、十年たった現在でも、福島県を中心にして、例えばですけれども、野生の山菜、そしてキノコについては、いまだに出荷制限が続いています。結果として何が起こっているかといえば、山林が、人が入りませんから、荒廃をしているんです。結果、そういう地域の復興に支障が生じているというのが現状だというふうに認識をしています。
本件については、私自身、震災当時、農林水産省で出荷制限の仕事をしていたという経緯もあって、ずっとこの十年間、問題意識を持ち続けてきました。
今年に入って自民党でもPTをつくりまして、先日、復興大臣に、食品の出荷制限の在り方についての提言をさせていただいたところであります。
現在、一般の食品全てについて百ベクレルという基準になっています。これは、全ての食品が百ベクレルという基準で出荷制限。そこでどうするかという対応を求められますので、ほとんどの食品というのは、実はもうほとんど検出をされないわけです。しかしながら、生産管理ができない野生のものというのはどうしても百を若干超えてきてしまうというのが現状で、出荷制限がかかって、山が荒廃をするという状況にあります。
私は、是非お願いをしたいのは、原発事故から十年がたった現在、現在の基準値の在り方、そして、少なくとも、生産管理できるものとそうでない野生のものとでやはり見直していく、そして、検証し直して、科学的データを積み上げた上で、必要があれば見直しをするということが必要だというふうに考えています。
これはもちろん消費者保護というのを大前提にした上でやっていただくということだと思いますが、これについて復興庁の受け止めと今後の取組をお伺いしたいと思います。
○角野政府参考人 お答えいたします。
東京電力福島第一原発事故から十年が経過し、食品中の放射性物質について、様々な科学的知見やデータが蓄積されてきているところでございます。
先日、復興大臣に手交いただきました食品等の出荷制限のあり方検討プロジェクトチームの提言におきましても、例えば、実際に平均的な食事をした場合に受ける追加線量は、放射線防護上の最も厳しい目安である追加線量年間一ミリシーベルトの〇・一%程度と十分低いこと、また、基準値を超過する農林水産物は、近年、生産管理が可能な品目についてはほぼゼロである一方、御指摘いただきましたとおり、野生キノコ等の生産管理が困難な品目については数十ベクレル程度超過しているものが少数ながらも見られる状況であること、一方、国際的なガイドラインやEUの基準値においては、摂取量が極めて少ない食品、いわゆるマイナーフードについては一般食品の十倍まで認めていることなどの明らかとなった事実が整理されているものと承知しております。
このように、これまでの知見やデータを基に、消費者保護を大前提としつつ、科学的、合理的な見地から検証することは今後の被災地の復興にとって大変重要でありまして、「第二期復興・創生期間」以降における東日本大震災からの復興の基本方針等にも、その旨、明記したところでございます。
今後、まずは担当省庁におきまして、蓄積された知見やデータに基づき検証されるものと認識しておりますが、復興庁といたしましても、風評の発生抑止などに配慮しながら、関係省庁と連携して、科学的な検証の取組、リスクコミュニケーションに努めてまいりたいと考えております。
○鈴木(憲)委員 ありがとうございます。
これまでなかなか冷静な議論というのができなかった分野だというふうに私は感じていますので、この機に、科学的データに基づいて、そして、やはり消費者の保護というのは第一に、また、これは難しいテーマでありますから、いろいろな誤解なんかも生じやすいテーマだと思いますので、是非、リスクコミュニケーションを丁寧にやっていただいて、前に進んでいただければなというふうに思っています。
もうこれで復興庁の皆さんは結構ですので、御退席ください。
次に、ちょっと済みません、順番を変えて恐縮なんですが、豪雪への対応についてお伺いをいたしたいと思います。
今年の冬、実は大変な雪でした。私自身も、特別豪雪地帯というふうに指定を受けている場所に私自身の家もありますが、住んでいて、今年は、正直言うと、一週間の間、怖いなと思われるぐらいの降り方がずっと続いて、一回も降りやまなかったという一週間がありました。
何を感じたかというと、もし何も自分がしなかったら、恐らく家からまず出られない。そして、雪下ろしも、例えば十二月いっぱいというのは、最初の雪というのは降りますけれども、普通は雪下ろしするまでの雪というのにはならないわけです。ところが、今年は、十二月中に雪下ろしをしておかないと、恐らくその後、家が潰れるだろうというような状況の地域というのが本当に多数ありました。降り方も変わってきているなということも感じます。
現在、問題だと私が感じているのは、豪雪地域、例えば私の地元、十七、市と町がありますが、そのうち十四が特別豪雪地帯なんです。その地域で何が進んでいるかといえば、高齢化です。高齢化が物すごい勢いで進んでいて、なかなか雪への対応、個々人でやれと言われても、だんだんそれが正直言うと厳しくなってきている。
私、是非大臣に問題意識を共有させていただきたいのは、今はどういう状況かといいますと、ぎりぎり地域の皆さんの力というのがまだ残っていて、ボランティアで独り暮らしの高齢者の家を除雪しよう、若しくは屋根の雪下ろしのボランティアをみんなでやろう、公民館も地域のみんなで屋根の雪下ろしをやろうということがぎりぎりできていますが、恐らくこれはあと十年したら相当難しいんじゃないかなということも、実際、屋根の雪下ろしをみんなでやっている人たちの年齢を見ますと、正直それを感じます。
是非、こうした観点を踏まえて、豪雪対策については平年の対応ですら困難になってくる可能性がかなり高いという問題意識を私は政府には持っていただきたいというふうに思うんです。
日本の中でも、どこでも雪というのは降るわけではありませんので、そして、かなり限定して厳しい地域というのがあります。是非、その実態をよく見ていただいた上で、私は、国として、豪雪対策について、より積極的に関与若しくは支援をしていくべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○小此木国務大臣 おはようございます。
私は横浜でして、委員の地元のように、あるいは豪雪地帯のように、何メートルも積もることがありません。
その中で、昨年の雪の降る時期を見越して、様々な警戒はしておりました。
そして、今年になりましてから私は新潟に参りましたけれども、雪の国は初めてではありませんけれども、やはり昨年が雪は降らなかったということもあって、意識的には非常に今年の雪に対する恐れがあったということで、町を歩かせていただいた中で、雪が屋根に本当に積もって、下の玄関とかも戸が開かなくて困っている御婦人の姿を見かけたり、そういうことがございました。一刻も早くその雪を取り除かなきゃいけないという気持ちになりました。
この冬の大雪においては、四県二十四市町村において災害救助法が適用されています。災害救助法の適用により、降り積もった雪によって自宅が倒壊をして生命又は体に危害を受けるおそれが生じた場合は、障害物の除去として除雪を行うことが可能ではあります。
また、高齢者等の雪下ろしについて自治体が財政支援を行う場合、その経費に対しては特別交付税措置が講じられているものと承知をしていますし、こういったことから、先ほど申し上げたような感触も受けながら、総務大臣や国交大臣と連携をいたしまして、この冬の大雪被害について、史上で初めてになりますけれども、一月中に特別交付税措置の繰上げ交付を実施するなど、政府として迅速な対応にできるだけ努力をしてまいりました。
さらに、除雪について、ボランティアの活用や建設関係団体等による広域的な応援の促進等による人材の確保も重要な課題であると考えておりまして、これは、引き続き、関係省庁や被災自治体と連携をして、必要な、議員が訴えられる観点からも、しっかりと対応してまいりたいと思います。
○鈴木(憲)委員 ありがとうございました。
雪というのは、春になるとなくなっちゃいますので、なくなっちゃうと、ああよかったねという気持ちにもちろんなるわけなんですが、やはり、冬場の感覚を申し上げると、本当に恐怖でした。是非、この感じを政府の中でも共有をしていただいて、今後プラスアルファで何ができるのかという視点で物事を見ていただくことが私は大切だというふうに思いますので、今日はそうした問題意識をちょっと提案をさせていただければというふうに思いました。
次に、豪雨災害の、今日メインの質問になりますが、対応について、幾つか、お伺いをするのと同時に、私自身の問題意識と提言をさせていただきたいというふうに思います。
私の地元山形県、元々災害が少ないというふうにこれまで言われてきましたが、残念ながら、私が衆議院議員に当選をさせていただいて今八年がたとうとしておりますが、その間に、私の地元、私の住んでいるまさにすぐそこを流れている川が二度にわたって氾濫をしました。二年連続でした。
これは、当時、平成二十五年七月に南陽市の吉野川というところが氾濫をして、かなり浸水の被害が出たんですけれども、そのときに言われたのは、五十年に一度の水害だとか百年に一度の水害だというふうに言われました。ああ、なるほどなというふうに思ったところ、翌年も更にひどい規模で氾濫をしました。
昨年、金子委員長の御地元の球磨川が本当に大変な状況だったというふうに思いますが、同時期に、山形県の本流である最上川も氾濫をいたしました。今まで越えたことのない場所から水が越えてきて、要するに、警戒をしていた場所と違うところから水が来たので、正直、集落の皆さんは本当に驚いたという状況でありました。なので、これは温暖化のもちろん影響だと思いますが、いつどこで豪雨災害というのがあってもおかしくないんだということをよく私自身も肝に銘じたところであります。
そこで、まず一点お伺いをしたいのは、今日お配りの資料です。
豪雨災害が起きますと家がどういう状況になるかというと、これは、村山市の最上川が氾濫した場所の、まさにその直後の、避難をして帰られたらこういう状態だったというのが、この被害があった場所の小屋の様子です。土砂がどのぐらい積もっているかといいますと、大体二、三十センチは軽く土砂が積もっている状況です。
この裏をちょっと見ていただきたいんですが、災害が発生した後にどういう手順で生活の再建まで至るかというと、災害が発生をして、人命に関わることがあれば救急救命ということになります。そして、避難誘導があって、避難所が開設をされ、避難所から戻ったときに、この赤字で書いてあります瓦れきや汚泥の除去、そして清掃、消毒をして、その後に、必要があれば家をリフォーム若しくは再建をしていくということになります。
この2から4のところは、主に行政の機関がメインでやります。6の生活再建のところも、今でいえば被災者生活再建支援制度というのがあって、国の支援がかなり手厚くあるというふうに認識をしています。
しかしながら、問題は、直後に瓦れきや汚泥の除去を誰ができるのかということなんです。
私も、何回も水害を経験していると、現場にお伺いをするんですが、そのたびごとに親戚の皆さんが集まったり、若しくは全国からボランティアの皆さんに来ていただいて、本当に暑い中、大変な思いをして、一つ一つの物を洗ったり、そして土砂をかき出したりという作業をしてくださっています。
しかしながら、昨年ちょっと思ったのは、コロナがありまして、ある町では、やはり町の外からはボランティアを基本的には受付をするのをやめようという判断をされた町もありました。結果、何が起こるかというと、人手が当然足りませんから、想定よりもすごい時間がかかりましたし、現場に何回もお伺いをしましたが、ちょっとこれは想像を絶するなというような感覚を受けました。
私は、今日、まず申し上げたいのは、瓦れきや汚泥の除去のところにも、ボランティアの方が集まれるようなケースの場合はいいですが、そうでない場合のことにも備えまして、やはり行政としてもう少し関与、支援が必要ではないかというふうに思いますが、いかがでしょう。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
家屋が被災した場合には、まずは家屋の所有者、住人の方々が土砂や瓦れきの撤去、清掃等を行うことになりますけれども、その際に、ボランティアが被災者による撤去や清掃等を手助けするということになります。
しかしながら、御指摘のように、コロナ禍の下でボランティアが集まりにくい状況の中では、こういった手助けを得られにくいということでございます。
このために、昨年の七月豪雨災害の際には、熊本県の人吉市などにおいては、自ら土砂や瓦れきを家屋内から搬出することが困難な被災者の方々について、国が支援した上で、市が地元の民間団体に搬出作業を委託して、被災者の支援を行ったというところがございます。
コロナ禍の下では、このようなボランティア活動を公助により補うといったことが、官民がこれまで以上に連携して被災者支援に当たることが重要と考えておりますので、内閣府としても、こういった昨年のような取組をしっかりと推進してまいりたいと考えてございます。
○鈴木(憲)委員 ありがとうございます。
人吉ではそういうふうな事例があったということだと思いますが、少なくとも私の地元では、なかなかそれは実は知られていなかったわけです。私自身も、そういうスキームが使えるということを実は先日初めてお伺いをしました。これから、各自治体、特に川沿いのところは何がどういうふうなことがあるか分かりませんので、是非、そういう制度があるのであれば、しっかりとやっていただきたいというふうに思います。
ただ、問題なのは、豪雨災害があるとかなり広範に実は被災をしますので、単に、地元の事業者の方、誰かお願いしてねと言って、すぐに手当てがつくかというと、実はそうでもないんだというふうに思いますので、その辺も含めて、よく議論をしていただいて、考えていただければなというふうに思います。
次に、災害ボランティアセンターの在り方についてお伺いをいたします。
基本的に、災害が起こればボランティアセンターが開設をされます。それは主に社会福祉協議会の皆さんがやっていただいていたというのが私の地元の実態です。
昨年の夏に、災害ボランティアセンターの設置に係る人件費等については、災害救助法の国庫負担の対象にすることにしていただいたというふうに思いますが、これについては本当に感謝を申し上げたいと思います。
しかしながら、このボランティアセンター、そもそも、社協の皆さん、頑張っていただいていて、例えば二年連続で災害のあった社協であれば、かなりノウハウが蓄積をされたので、スムーズに様々なことに二年目は対応することができましたが、本来、社会福祉協議会というのは、災害対応することをメインに設置をされているものではありません。
なので、私、誰が本来この災害ボランティアセンターの役割を担うべきかということについては、もう少し、社協の皆さんお願いしますねという安易な、安易と言ったらちょっと怒られますけれども、単にそれで事が済んでいるからそれでいいやということではなくて、やはり本質的にどうするべきなのかというのをそろそろ議論した方がいいのではないかなというふうに感じます。
というのも、少なくとも当分の間、社会福祉協議会の皆さんにお願いをするということであれば、少なくとも、スキルアップ、災害対応時にどうすべきかということへの支援や、若しくは、財政的基盤がしっかりしているわけでも必ずしもありませんので、その辺の支援についても今後検討すべきではないかなというふうに思いますが、いかがでしょう。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、災害ボランティアセンターを社会福祉協議会が設置する例が大半であるところでございます。
この社会福祉協議会の位置づけとして、市町村の地域防災計画に位置づけられたり、市町村と既に協定を結んでいるというところもあって、現状で、もう既に地域で重要な役割を担っていると考えております。
ただ、一方で、NPOといった社会福祉協議会以外の者が設置するケースもあるということで、内閣府としては、社会福祉協議会に限ることなく、適切な方が設置していただければということでございます。
厚生労働省では、社会福祉協議会が災害ボランティアセンターの設置、運営を担う場合が多いことに鑑みて、平時からの取組として、社会福祉協議会が実施する災害ボランティアセンターの設置、運営に係る研修あるいは実地訓練に必要な経費に対して補助を行って、災害時に円滑に災害ボランティアセンターを設置、運営できるよう支援をしているということでございますけれども、御指摘のようなボランティアセンターの設置、運営に係る議論については、全国社会福祉協議会、あるいはボランティア団体であるJVOAD、それから厚生労働省や、地方公共団体そのものの認識というところもありますから地方団体ともよく議論をしてまいりたいと考えております。
○鈴木(憲)委員 私の地元でも、当然、社会福祉協議会がやっていただいたところと、うちはやりませんというふうに言って、ボランティアセンターが結果としては開設ができなかったという場所も実はありましたので、その辺、全国一律ではこれはもちろんないですし、実は属人的な影響、要素というのも当然あると思いますが、しっかり議論をした方が私はいいというふうに思います。
次に、災害支援時のICTの活用についてお伺いをいたします。
ボランティアセンターの運営をしていると、何しろ問合せの電話が、マスコミの皆さんも含めて毎日のようにすごいことになります。その問合せの電話に答えているだけで、結局、現場の職員の皆さんは、被災者の方に本来はもっと労力を割くべきであるのにそれができなかったりしたというのが、私の正直見ていたときの実体験であります。
それは、先日、サイボウズ社の方から災害支援プログラムについてのお話を伺いましたが、ICTを活用することで、例えば電話受付は、何もそこの現場にいる人ではなくて、東京で誰かが受けるということも可能だったりします。
そうしたことも含めて、私は、日頃からICTを使って、発災時にどのように現場の負担を減らすのか、そして復旧作業に集中できるようにするのかなど、これは更なる導入が必要だと思いますし、そのためには、導入するだけではなくて、導入したけれども使えないということでは意味がありませんので、日常からの訓練が必要だなというふうに感じますが、国の取組についてお伺いをいたしたいと思います。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、ICTを始めとする先進技術を活用することは、自治体の災害対応における現場負担を軽減する、迅速かつ円滑な対応の促進につながるものと考えておりますが、一方で、多くの自治体では、そういった技術を知る機会が限られているといった課題があると考えております。
このために、来年度から、「防災×テクノロジー官民連携プラットフォーム」というウェブ上の官民マッチングの場を設置しまして、自治体のニーズと民間企業の先進技術とのマッチングに加えて、自治体における効果的な活用事例の横展開といったことを図って、自治体における先進技術の導入、あるいはデジタル化の推進を支援することとしております。
また、導入した先進技術を効果的に活用するためには、これまた委員おっしゃられますとおり、日常からの訓練が重要でございます。令和二年度の総合防災訓練大綱においては、基本方針として、情報通信技術、ICTを活用した実践的な訓練を実施するということといたしております。
内閣府としては、今後も、自治体の災害対応における先進技術の活用促進、そして負担軽減や円滑な災害対応のために、積極的にこういった取組を進めてまいりたいと考えております。
○鈴木(憲)委員 是非しっかりやっていただきたいと思いますが、実際、自治体の皆さんもどうかというと、やはり災害が起こらないとなかなかこのことに対しては積極的に、もちろん、ふだんからそんな、忙しいわけですから、その中でもあえてやはりこういうことを、しっかりと備えておこうということを国としてしっかりプッシュをしてやっていただきたいと思います。
続いて、消防庁にお伺いをします。
私は、この八年間の経験の中で、実は、すごく心強い存在だなというふうに思いましたのが、防災アドバイザーという方々でありました。
山形県でも防災アドバイザー派遣事業というのを行っていまして、この趣旨は何かといいますと、一般市民の中から防災アドバイザー、要するに防災に関するプロを育成して、地域住民や自治会を訪問してもらい、防災講話や訓練等でアドバイスを行っていく、これによって平時から啓発活動を行って、いざというときにひどい被害にならずに済むんだということなんです。
例えばですけれども、山形県庁の場合、今、大体、行政や消防OBの方を中心にして十名程度いらっしゃいます。例えば、赤澤副大臣の御地元の鳥取県庁の場合だと何人ぐらいいらっしゃるかというと、百五十名です。県によってこのぐらい違うんですね。
特に、私の地元の防災アドバイザーの方にお伺いをしたら、例えばですけれども、女性の参画というのは意外と少ないとか、あとは、防災アドバイザーの派遣というのは実は単発で終わってしまって、自治会からは、もうちょっと継続的にやっていただくとまた地域の意識というのは全然変わってくるのになというような声もあります。
これは国の資格というわけではないんだというふうに思いますが、私は、いざというときに地元にそれなりのノウハウがある人がいるということがいかに心強いか、そして日頃からの活動に関わってくるかということだと思いますので、国としても防災アドバイザーの皆さんとしっかりと連携を私は図っていくべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○荻澤政府参考人 お答えいたします。
地域の取組といたしまして、各地で自主防災組織の設立が進んでおりますけれども、消防庁といたしましては、その活動が活発に行われますよう、昨年度、リーダー育成に向けました標準的な研修プログラム、それに対応した教材の作成をいたしました。今年度は、その普及、活用促進に向けまして、市町村の担当職員向けの研修も実施しているところでございます。
委員御指摘ありました防災アドバイザーのような専門的な知見を有する方々の活用でございますけれども、これにつきましては、平成二十九年度から、そういう専門の方々の協力を得て行う自主防災組織の活動充実、また、地域には消防団といったような組織もございますので、そういった組織との連携事業、こういう先進的モデル事業について、消防団・自主防災組織等連携促進支援事業ということで、財政的な支援も行っております。
消防庁といたしましても、引き続き、そのような活動活発化に向けて取り組んでまいります。
○鈴木(憲)委員 ありがとうございます。
是非、これはもちろん民間の皆さんですけれども、その分、地元の人にとってみたら本当に親しみを持って、何か上からどうこうという感じでは全くありませんので、国としてももう少し関わりを持っていただいて、連携を深めていただければというふうに思います。
最後に、時間もありませんので、防災集団移転促進事業についてお伺いをいたします。
何回も水害に遭いますと、三回目という方がいらっしゃって、三回水害に遭ったと。私も、そこのお宅に、実はこの八年間で要するに三回以上お伺いをしています。さすがに、昨年の夏に私が申し上げたのは、小さい堤防があるんですけれども、そこのかさ上げをしても、結局、水はそこを更に越えてくるので、申し訳ないんだけれども、可能であったら移転を考えた方がいいと思いますよという話をしました。市役所からもその話をしていただいて、市として独自に予算を組んでもらって、今回、実は同じ集落の中のちょっと高い場所に、親戚の家というのが、空き家があったので、そこに移転をするということが、その家については実はできました。
私自身、何回も水害に遭いますと、防災集団移転の促進事業という仕組み自体は、今、国としてあるわけなんですが、これが五戸以上じゃないと基本的に適用じゃないんです。もうちょっと前までは十戸以上でした。山間部で適用しようとすると、五戸以上というのは実はすごく難しい要件なんです。そもそも、そんな、五戸なんてありませんから。
こうしたことを踏まえると、私は、この要件の緩和というのは、もう少し柔軟に、現場に、実態に合わせてなされていいのではないかなというふうに思いますが、今後検討していただきたいという意味も込めて、国交省にお伺いをします。
○金子委員長 国土交通省渡邉大臣官房技術審議官、既に申合せの時間が経過しておりますので、簡潔に答弁をお願いします。
○渡邉政府参考人 お答え申し上げます。
防災集団移転促進事業は、地元の合意の下、市町村が事業主体となって、危険なエリアから安全な住宅団地に移転することを進めていく事業です。
また、移転先となる住宅団地については、地域コミュニティーの維持や、持続可能な地域であり続けるように、一定の規模要件を設けているところです。一方、規模は、これまで十戸以上であったところでございますけれども、小規模集落の移転に対応するために、令和二年度の予算において五戸に緩和いたしました。
なお、これらはあくまで移転先の住宅団地の規模要件であり、山間部など移転元が一戸ずつ散在している場合でも移転の対象とすることが可能になっております。
いずれにいたしましても、危険なエリアからの住宅の移転がより一層進みますよう、今後とも努めてまいります。
○鈴木(憲)委員 ありがとうございました。
○金子委員長 次に、岡本三成君。
○岡本(三)委員 おはようございます。公明党、岡本三成です。
質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
今日からちょうど一週間前、三月十一日で東日本大震災から十年。十二都道県で二万二千人の方が、お亡くなりになったり行方不明になられました。改めて、心から哀悼の意を表します。
その後、最近、地震も大変多くなってまいりました。一方で、毎年毎年水害が残念ながら起きておりまして、百年に一度というのがほぼ毎年、信じられないような量の雨が降ってきています。
最近、気象庁の気象予測の技術が大変進歩をしておりまして、加えましてデジタル化も進んでおりますので、正確に情報が提供できるようなインフラが整ってまいりました。今回の国会に提出をされております災害対策基本法の改正案では、大規模災害が起こるようなおそれがあって内閣の中に非常対策本部が設置された場合には、いち早く広域避難そして事前避難ができるようにということで、国が自治体を支援する仕組みが盛り込まれています。
この仕組みに対しまして、その意義と効果、政府はどのようにお考えになっていらっしゃるか、答弁をお願いいたします。
○小此木国務大臣 よく、近年の激甚化、頻発化される災害、水害、いろいろなことが言われております。特に市町村や都道府県をまたぐ広域避難では、大多数の住民を避難させるために多数の関係者と調整を行う必要があって、円滑な対応が困難になることが想定されます。
このため、災害対策基本法の改正案では、災害が発生するおそれがある段階において国が災害対策本部を設置して、本部長から都道府県知事などに避難先の確保等のために必要な指示等を行えるようにすることで、避難元の市町村における対応が円滑化されることが期待されます。
また、災害救助法の改正案において、おそれの段階において国が本部を設置した場合の避難所の供与等に対して国庫負担を可能とすることで、避難元の市町村が費用面でちゅうちょせずに広域避難の実施を判断できるようになることが、これも期待をされると思います。
今後とも、広域避難が円滑に進められるように、平時から国として必要な支援を行ってまいりたいと存じます。
○岡本(三)委員 現在の気象予測の能力からいいますと、三日前には三日後にどれぐらいの雨が降るかというのを大変高い確率で予測ができるようになっています。したがいまして、事前避難は本当に有効な手段だと思うんです。
東京二十三区の東側、江東五区に限って言いますと、もし荒川と江戸川が同じタイミングで氾濫した場合には、大規模の被害想定は、住民の約九割、二百五十万人が水没地域に取り残されてしまうというような予測ですので、事前避難先をどう確保するかというのがすごく難しくて、二百五十万人の事前避難先なんです。
自治体に丸投げするにはかなり大規模な仕事になってしまうので、国や都道府県が各基礎自治体をどういうふうに支援していくかということがこの確保の点で一番重要だと思っているんですけれども、広域避難先の確保に対してどのような基本的方針に基づいて国は支援をしていこうとお考えなのか、答弁をお願いいたします。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、荒川や江戸川の下流部に位置する江東五区では、想定最大規模の洪水が発生した場合には、浸水想定区域内に居住する最大約二百五十万人の住民の方々がいわゆる取り残されるというか、そこにおられるということで、二百五十万人の方全てが域外に広域避難をしなければいけないということではございませんけれども、浸水状況に応じて、広域避難あるいは域内での避難、垂直避難や屋内での安全確保といった避難行動を適切に行う必要があるということでございます。
このような避難では、いわゆる通常の公的な避難場所、避難所のみでは収容が難しいということでございますので、考え得る様々な避難先の確保方策を検討する。これは今も、内閣府と東京都共同で首都圏における大規模水害広域避難検討会というものを設置して、避難先として、通常の小中学校等の避難場所に加えて、親戚や知人宅への自主的避難ですとかホテル、旅館等の活用、国や都などの公的施設、さらには民間施設の活用も検討しているところです。
基本的には、想定し得る避難先というのをあらゆるものを考えて、そこにどれだけの人数を収容できるかというのを具体的にシミュレーションしていくということになろうかと思います。そういった検討については、五区、区の方に委ねるだけではなくて、やはり東京都とも連携して、国もしっかり関与した形で検討は進めていきたいと考えております。
○岡本(三)委員 この広域避難を考えるときに、都道府県を越えて、例えば私は東京都北区に住んでいますけれども、実は埼玉県川口市は、もう本当に一キロ、二キロ先は川口市でありまして、都道府県を越えたような計画が必要になると思うんですけれども、是非、国として都道府県を越えた広域避難に対してのガイドラインを示して、事前協議を円滑に進めるようなことをお願いしたいと思いますけれども、その必要性について御答弁いただきたい。
もう一つ、今答弁いただいた中で、公的機関が持っているような施設を避難場所に提供するというのはすごく重要なんですね。
北区の中に、財務省の研修所が数年前に新しくできました。これは災害のときの避難場所に提供していただけるということなんですけれども、現場の自治体から上がって、それで、物すごい交渉を進めてやっとここまでたどり着いたんですが、これは国で、国が持っている公的機関を全部洗って、ここはいざというときには避難場所に提供できますよということを国でまず決めていただいて、そして、その自治体に、これは活用できますから必要だったら是非お使いくださいというふうに、トップダウンでその施設のリストを作って自治体に送っていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
まず、都道府県境を越えた避難の関係について、江東五区に限らず、各地で広域避難の検討が進められておりますけれども、なかなか円滑に進んでいるとは言えない状況でもございます。
このために、今般提出しております法改正に併せまして、全国での広域避難の取組を促進するために、広域避難の留意点や検討手順などの基本的な考え方について整理を行って周知をしていく予定でございますけれども、なかなか一足飛びにガイドラインという形までいけるかどうかというところはございますけれども、非常に重要な課題でもございますから、しっかりそこは検討していきたいと思います。
また、国の施設の広域避難先への活用の関係で、これはちょっと種類が違いますけれども、昨年、コロナ禍で避難所として国等が所有する研修所等の貸出し可能な施設のリストを自治体に情報提供したところでございますけれども、水害の関係で活用可能なリストというものについても、同様の取組をちょっと検討して、情報提供ができるように進めてまいりたいと考えております。
○岡本(三)委員 自治体の方からしますと、避難場所に活用できる可能性のある公的な施設、特に財務省の方に相談をするというのは敷居が高いんですよ。どきどきしながら相談しなきゃいけないし、もう何か大変なんですね。ですから、まず国の方で決めて、自治体の方にしっかりと事前にお知らせいただけるように調整をお願いいたします。
この江東五区の一つである江戸川区なんですけれども、公的な避難場所の確保、これは、住民全員分、主要な避難対象になる方分を確保するのが難しいというふうに判断いたしまして、そういう判断もすごく大切なんだと思うんです、その一つの解決策として、区民の方が事前に区の外に避難された場合に、その宿泊料を補助することを決めたんですね。東京都内の安全な場所の例えばビジネスホテル等で比較的安価に泊まれるところの値段等も調べまして、一泊三千円、最大三泊九千円まで区が事前避難する方に補助をすることを決定いたしました。
こうした試みは全国で多分初めてなんだと思うんですけれども、本当に画期的だと思います。全ての自治体がそのように、他の区に避難したときにホテル代を補助するということが大切なんじゃなくて、その自治体の実情に合わせた形でできることを全て取り組んでいくという姿勢がすばらしいと思うんです。
今回のこの法案で、各自治体に対して、宿泊施設の確保ですとか、自力避難が難しい方々に対して例えばマイクロバスで移動させる場合において、国から補助が出せるということになっていますが、限定列挙されているんですね。
それぞれの自治体で実情は全く違います。したがいまして、ある程度自治体が自分の裁量で自由に使えるような事前避難対策補助金というような形のものを国と県で検討してほしいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○小此木国務大臣 今回の改正ですけれども、災害のおそれの段階において国の災害対策本部が設置された場合に、災害救助法の適用を可能としております。これによって、自治体が広域避難を実施する場合の費用を国庫負担により支援することができるように、まずなります。
自らの力では対応できない場合に行政が救助するという災害救助法の目的を踏まえますと、江戸川区の宿泊費補助は自ら避難できる方も補償の対象となるために、これら全てを国の支援の対象とすることについては慎重な検討が必要であるというふうに考えています。
災害のおそれの段階における避難先の確保は重要な課題でありますが、御指摘の事前避難対策費補助金といったものの検討の前に、まずは、今回の改正による災害のおそれ段階における救助法の運用について、自治体とも連携をして円滑な事前避難の実現につなげるよう、まずは努めてまいりたいと存じます。
○岡本(三)委員 大臣、ありがとうございます。
今回の法案をしっかりと成立させた後に、その中でもし不足があったら更に改善をしていただけるような御尽力をお願いいたします。
この法案で、さらに、避難者の方の中で要支援者の方々の名簿を作るということに関して、個別の避難計画の作成が、これは努力義務ですけれども、義務化されています。けれども、現状では、この計画が策定されているのは約一二%ぐらいだというふうに報告がされています。
この要支援者の方の避難というのは、マンツーマン対策をしなければいけないですし、輸送の手段や、本当にきめ細かい検討、準備が必要なんですけれども、その策定には大変な時間を要するというふうに想像されます。一方で、水害は残念ながら異常気象の中でほぼ毎年起こってしまっておりまして、できるだけ早くこの要支援者の避難計画を作っていただきたいんです。
要支援者といっても、やはりいろいろな、その方の状況に合わせてカテゴリーができるというか、本当に必要な方、優先度の高い方から順に作っていくような形で、その人数までしっかりと把握をして、その経過を確認しながら、KPIもチェックできるようにしていただきたいというふうに思うんですが、早期にこの避難計画が策定できるような支援をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
個別避難計画の作成に当たって優先順位というお話でございますけれども、やはり、まずはハザードマップ上で危険な地域にお住まいの介護が必要な高齢者の方や障害者の方ということで、優先度の高い避難行動要支援者について取り組んでいただきたいと考えております。
推計ではございますけれども、現時点でこういった方々が約二百五十万人いるのではないかと考えてございます。
この優先度の高い方々について、おおむね五年程度で作成に取り組んでいただきたいと考えておりまして、その所要経費については地方交付税措置を講ずることといたしてございます。
加えまして、この円滑な作成を支援するために、作成手順などを示した具体的な取組指針の提示、あるいは、優良事例を全国的に展開するためのモデル事業の実施、また、活用の可能性があります既存の支援制度の紹介や周知、様々な支援策を講じることとしておりますけれども、その周知をよく図って、この個別計画の策定が円滑に進むように取り組んでまいりたいと考えております。
○岡本(三)委員 是非お願いいたします。
浸水予測時間がもう来るのが迫ってきていたり、要支援者の方々の対応がなかなか、遠くまでお連れするのが難しいときに、垂直避難というのは大変有効な手段です。
先ほどの御答弁でも、公的機関のみならず、民間の建物等も活用しながら避難場所を確保していきたいというふうなお話がありましたけれども、一部の自治体は、例えば、スーパーマーケットのビルにいざというときに避難させていただけるような協定を結んだりしていますけれども、これも、自治体がそれぞれ、自分の地域の中でどこだったら垂直避難に対応できるかということをもちろん考えて、地域ごとに全然、どのビルがあるとか全然違いますから、違うと思うんですが、要は交渉に物すごく時間がかかるんですね。
それでお願いがあるんですが、政府から、主要な業界団体、例えば、ドラッグストアチェーンとかスーパーマーケット協会とかショッピングセンター協会とかフランチャイズチェーン協会とか、あとは、ガス会社もLPガス等で地元で結構大きな高いビルを持っていますので、ガス協会とか、そういう主要な業界団体に政府から、もし自治体から水害のときの垂直避難の支援の依頼、場所の提供のお願いが来たときには積極的にその要請に応じてもらえませんかというのを、まずトップダウンでお願いしてもらえないですか。そういう土壌ができていると、各自治体でその事業者と相談をする、要請をする、お願いをするときに非常にやりやすいので、トップダウンの業界団体の支援の依頼というのを是非お願いしたいんですが、いかがでしょうか。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
御指摘のように、江東五区のような浸水する地域に多数の住民がいるケースでは、民間施設を避難場所として活用するということは重要でございます。恐らく葛飾区のケースだと思いますけれども、民間施設と協定を締結して、垂直避難先として、浸水しない高さにある駐車場を活用するというようなケースだろうと思います。
御指摘のトップダウンというのはどういう形でというところはあろうかと思いますけれども、関係団体による協力の推進というのは、やはり国がリードしてというところもあろうかと思います。よく関係省庁と議論をさせていただいて、協力要請をどういうふうにしていくのかということはちょっと検討させていただきたいと思います。
○岡本(三)委員 ほとんどの事業者の方は、その地域に根差してやっていらっしゃるので、非常に前向きにこういう御相談に乗っていただけるんですが、ほとんどの店舗の店長さんは、残念ながら御自分では判断できないんですね。本社に聞きに行きます、本社役員会にかかります、社長に上がりますというときに、各業界団体からその社長や主要な役員、その企業に対して、そういうときには積極的に協力していきましょうと言って、その本社から事前に店舗に対してそういうふうなメッセージが共有をされていれば現場の相談がすごくしやすくなりますので、これは是非やっていただきたいと思います。
続きまして、一昨年の台風十五号、十九号のときに、物すごい強風だったので屋根瓦がどんどん飛んで、房総の地域を中心にブルーシートがずっとそのままだったという記憶が皆さんの中にもまだ新しいのではないかというふうに思います。こうした強風の災害に対応するために、屋根瓦等の損傷を防止するため、国交省は、令和三年度の予算の中で耐風改修に対する補助予算を計上しております。
私、昨年十月十四日に、屋根瓦の固定化ではなくて、より耐風性能が高いとされている金属の屋根等の改修についても補助が行われるようにお願いしますということを国交省住宅局に申入れをいたしました。今回、この令和三年度の予算の執行に当たって、その対象がどういうものになるのか、補助率は幾らなのか、開始時期はいつなのか、御答弁お願いします。
○黒田政府参考人 お答え申し上げます。
強風によります屋根瓦の脱落等の被害を防止するため、屋根の耐風性能の向上は重要な課題でございます。
屋根瓦の緊結、これはくぎとかねじで固定するという意味でございますけれども、これにつきましては、従来、屋根の端の端部であるとか上の部分の頂部、ここをくぎ等で緊結することとされておりましたけれども、その他の部分、平部といいますけれども、そうしたところにつきましては緊結が求められておりませんでした。
多数の被害が発生しました令和元年の房総半島台風の屋根被害に関する実態調査、これを行いまして、業界団体のガイドラインに基づいて瓦を緊結した屋根では被害が非常に少なくて、それ以外の緊結が不十分な屋根、古い屋根では多くの被害があったということが分かったわけでございます。
この調査結果を踏まえまして、昨年十二月、新築建築物に対する屋根瓦の緊結に関する基準を強化をいたしました。
あわせまして、新年度予算案、今参議院で御審議いただいておりますが、新年度予算案におきまして、既存の住宅、建築物の屋根を新基準に適合するような改修を促進するため、住宅、建築物の屋根の診断やその診断結果を踏まえた改修に対して、新たに防災・安全交付金等により支援を行うこととしたところでございます。
具体的には、住宅、建築物の所有者等が耐風性能の観点から新基準に適合しない屋根を新基準に適合する瓦屋根への改修をする場合だけではなくて、先生御指摘がございました金属屋根、これは元々、屋根に緊結されることになっておりますので、瓦屋根と同等以上の耐風性能を有しているというふうに考えておりますので、こうした金属屋根へ改修する場合も含めまして、改修に要する費用の二三%、これを国と地方で支援したいというふうに考えております。
以上でございます。
○岡本(三)委員 これまでの伝統的な屋根瓦に加えまして、金属の屋根に関しましても今回の補助対象としていただけるということで理解をいたしました。
加えまして、補修等については予算がついているんですが、建築基準法で、瓦の緊結と金属屋根の使用を普及する観点から、新築住宅については義務化するということになっていると理解していますけれども、この義務化は具体的にはいつから始まるんでしょうか。
○黒田政府参考人 先ほど申し上げました新基準の適用につきましては、原則全ての屋根瓦をくぎ、ねじ又は、緊結するというような制度とすることとしております。
この新基準につきましては、令和四年の一月一日、来年の一月一日より全ての新築建築物に義務化するということとしたいというふうに考えているところでございます。
○岡本(三)委員 ありがとうございます。
最後に、地震災害についてお伺いいたします。
本年二月十三日の福島県と宮城県で起きました震度六強の、大変強い地震でしたけれども、あのときに、東北新幹線は、約九百四十か所で電柱や架線の金具の損傷、そしてレールのずれが起きました。その被害により、応急復旧に十日かかりました。あれだけの被害を十日で復旧させるというのは、JRは本当にすごいなと思うんですけれども、中でも、新幹線の電柱、これは二十本折れています。ちなみに、二〇一一年の三月十一日のときには、電柱は五百四十本折れていまして、全線復旧に四十九日を要しています。四十九日で復旧できたのもすごいと思うんですが、要は、地震が起きたときに新幹線が一日も早く復旧されるというのがどれほど重要かということを今回も改めて実感をしたわけです。
国交省として、新幹線の電柱の耐震化の現状、こう言ったら失礼ですけれども、ちょっと大きな地震が来るとすぐ折れちゃうみたいなこういう状況をどういうふうに認識しているのかというのと、今後、国交省、国として、電柱を含む新幹線全体の耐震化についてどのように取り組んでいこうと考えているのか、御答弁お願いします。
○江口政府参考人 お答えいたします。
二月十三日に発生しました福島県沖地震におきまして、東北新幹線では、電柱等が被災しまして一部区間で運転見合せとなっておりましたが、二月二十四日始発より全線で運転再開したところでございます。また、復旧作業が続いている箇所では、現在徐行運転が行われていますが、その復旧作業及び安全確保の見通しが立ったことから、三月二十六日より通常ダイヤでの運行が開始される予定となっております。
JR東日本によれば、今回の地震では、電柱二十本が折損した大きな被害のほか、架線金具の損傷約五百五十か所、軌道変位約二百二十か所などを含めて、合計約九百四十か所で被害がありました。このうち、地震による電化柱の被害については東日本大震災等においても高架橋上にあるコンクリート製の電柱で生じていることから、各鉄道事業者は、このような高架橋上のコンクリート柱を中心に耐震化を進めているところでございます。
具体的には、東北・上越新幹線においては、南関東エリアや仙台エリアなどにおいて重点的に耐震補強を進めており、令和二年末までに高架橋上のコンクリート柱約二万本のうち約二千二百本の補強が完了したと承知しています。東海道新幹線では、ほとんどのコンクリート柱は盛土上にありまして、高架橋上にある電化柱の耐震化は完了しているところでございます。また、山陽新幹線では、南海トラフ地震により強い揺れが想定される地域における高架橋上のコンクリート柱の耐震化について、約三割が完了していると承知しております。
電化柱を含む今後の耐震補強につきましては、今回の施設の被害状況などを踏まえまして、JR東日本に対して、耐震補強の計画に問題がなかったかなど、しっかりと検証するよう指示しているところです。国土交通省としましても、この検証結果を踏まえまして、必要な対策を検討してまいります。
○岡本(三)委員 小此木大臣、済みません、通告していないんですが、もし御所見があったら是非お伺いしたいことがあるんですが、防災担当大臣として。
防災のための予算が少な過ぎると思うんですね。国交省全体の予算で公共事業へ六兆円、そのうち治水の予算は約九千億円です。毎年毎年これだけ、一回大雨になると百人以上の方がお亡くなりになって、もし水害が起きると一兆円を超えるような災害被害の金額になります。
おととし、八ツ場ダムがオープンしましたけれども、これは大体、造るのに五千億円です。五千億円で一番でかいダムを造って、それで一回でも水害を防ぐことができたら、経済的にもすごく効果がある。
昔、公共事業というと経済対策でしたけれども、今は本当に命を守るところを中心にやっていて、以前よく聞かれた議論で、いやいや、日本の公共事業というのはGDP対比でいうとOECDの諸国とほぼ同じ比率ですから十分やっていますと言われましたけれども、OECDのほかの国で、震度六以上の地震がしょっちゅう来るような国はありませんし、水害がこんなに大変な国もありません。日本は比率的にも圧倒的に少ないと思うんですね。
私、水害だったら、事前防災のために本当に今の予算の何倍も使ったって、納税者の皆さん、国民の皆様は十分に御納得いただけると思いますので、命を守るための予算として、防災のための予算、本当に少ないと思っていますので、大きく伸ばしていただけるようにお願いをしたいと思いますけれども、もし御所見、お答えできるのであればお願いします。
○小此木国務大臣 この委員会のテーマであります防災のほかに、国土強靱化という言葉もございまして、昨年の就任から様々な議論が行われたところであります。
いろいろな見地からこれは言えますが、私の地元も、一昨年の台風のときに、ラグビーのワールドカップができました。鶴見川あるいはその遊水地がスタジアムそのものになっていたわけですけれども、昭和五十年ぐらいからの議論だったんです。それが試合ができたんですね、ワールドカップのラグビーの試合が。しかも日本は勝ったということで大喜びだったんですが、そのとき初めて、ラグビーが勝ったということのついでのように、水防の計画が行われていたということがまず認識をされたということも、これは初めてに近いことでありましたので。
予算も含めて、そんなに長い時間をかけるのでなくて、昭和五十年からかけるのでなくて、いろいろなところで災害が発生する、その予防的な措置が議論されているわけでありますから、おっしゃるとおり、できるだけの努力をするために、予算確保のためにも力を尽くしてまいりたいと思います。
○岡本(三)委員 ありがとうございます。
よくBバイCと言われますが、防災のベネフィットは人の命なので、BバイCは無限大だと思いますので、是非更なる予算の増強をお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○金子委員長 次に、近藤和也君。
○近藤(和)委員 石川県能登半島の近藤和也でございます。どうかよろしくお願いいたします。
今日、胸に着けている花は、石川県の花でございます。十年前に開発されたフリージアの一種で、エアリーフローラという名前でございます。約十種類の色がありまして、この季節に大体咲く花で、旅立ちを祝う花とも言われています。花言葉は希望でございます。希望あるこの委員会、議論を進めていけたらなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
そして、質問に入らせていただく前に、小此木大臣にまず御礼を申し上げたいと思います。
先月、二月十三日の深夜に東北地方で大地震が起きました。震度六強でございましたが、その二日後に予算委員会で、グループ補助金の何とか例外的な適用をできないかということで、急な質問でございましたけれども、そのときにはすぐお答えはいただきませんでしたが、十日ばかり後に、特例的にグループ補助金を適用させるということで答えをいただきまして、被災地の各議員からたくさんお礼をいただきました。そのまま大臣にお礼としてお返しをしたいと思います。本当にありがとうございます。
災害対応というのは、やはり柔軟に、いかに前例があったとしても、前例にないこともやっていくことが大切だと思いますので、そういった柔軟な対応をこれからもしていただけたらと思います。
今日は花を着けてきたというのは、東日本大震災の復興ソングも「花は咲く」でございます。そして、やはり今回ショックだったのが、震度六強でさえも十年前の余震だということですね。そして、これからもまだ余震が続く、十年ぐらいは続くということが言われています。まだ復旧復興をしていかなければいけない部分、たくさんあると思います。心の復興も含めて、そうです。こういった地域にずっと私たちは寄り添っていかなくてはいけません。
一方で、今日は大雪のお話をさせていただきたいと思いますが、先ほどの質疑の中からも、大雪そして豪雨災害、そういったお話もございました。災害は忘れた頃にやってくると以前言われていましたが、災害は忘れる前にやってくる。そして、大臣は今、復興の大臣は二期目ということでございますが、二〇一七年の頃も振り返ってみれば、災害は次から次へとやってくる、そういった認識で当たっていかざるを得ないのかなというふうにも感じます。片方で復旧復興作業をしていきながら、片方では人命救助もしていかなければいけない。そして、やはり減災そして防災、それぞれのステージ、全国各地域、満遍なく気を使っていかなくてはいけないと思っています。
そして、その都度その都度の災害で、正直なところ、災害対策本部を立ち上げるということも、私はこれは物理的に無理が来るときが来るのではないかなというふうにも思いましたし、先ほどの、前の委員の質問の中にもありましたが、予算面も含めて、やはり私は、防災ということで一つの庁をつくる、省をつくる。これは、与党の国会議員の方で言われている方もいらっしゃいますし、私たちもそうすべきだというふうにも思っていますし、また、知事会であったり関西の広域連合からもそういった声が上がっています。
この防災庁、防災省をつくった方がいいのではないかといったことに対しての大臣の御所見をお願いいたします。
○小此木国務大臣 まず、近藤委員から二月の十五日に御質問いただいたと思いますが、十三日に地震がございまして、私、御質問をいただいた。
十六日に現地に行ってまいりました。知事からのお話でやはり心に残る、たくさんありましたけれども、十年前の震災から、そして台風もあり、去年はコロナ、そして四重苦だという、もう県民の心は折れそうだという話をお伺いをいたしまして、様々な会議を行い、グループ補助金のことをおっしゃいましたけれども、そういったことも含めて総理に進言をいたしましたが、最終的には、これは制度としてはなかなか、委員も御承知のように難しいものではありましたが、総理の判断、指示がございまして、できたところであります。
今後も不断の努力を重ねてまいりたいとは思いますが、その中での防災に関わる組織の在り方の話だと思いますけれども、一つ一つの例を挙げるのは時間もかかりますけれども、私は、今のこの体制は十分とは言えないものの、これを続けていくべきだ、こういうふうに思っています。
内閣総理大臣の指揮の下に、内閣官房や内閣府が中心となって省庁横断的な取組、連携をすることが非常に大事であるということ、そして、各省庁と自治体の適切な役割分担の下、被災地の迅速な復旧、早期の復興にこれまでも取り組んできたところであります。
また、政府の迅速な、あるいは円滑な初動対応と応急対策を強化する観点から、平時から内閣危機管理監の下に関係省庁の局長級が定期的に集まる自然災害即応・連携チーム会議を昨年四月に発足をいたしました。自然災害の対応における連携を一層強化しております。
新たな組織を直ちに設置する必要性は私は低いと考えているんですけれども、防災体制の実質的な充実強化は重要な課題であるとともに、関係省庁や地方自治体の改めて連携の在り方についても不断の見直しを進め、万全の危機管理体制の確保に努めることも重要であると考えます。
○近藤(和)委員 現在のお立場で、では前向きにしていきましょうという答えがもらえないことは私も重々承知の上で申し上げたわけでございますが、現状で十分とは言えないというお答えをいただいただけでも私はいいのかなと。不断の改善をしていくべきだと思いますし、復興庁に関しても、あと十年ということでございますから。
ただ、今回、東北地方の方々が復興庁に連絡をして、いやいや、自分たちじゃないよということで、結果的に右往左往してしまった、困ってしまったといったことも現状でございます。一般の方は復興庁であろうが内閣府であろうが区別はつきませんから、こういったことも含めて、窓口ということを分かりやすくしておくことが地域住民の方々の安心につながっていくというふうに思います。
そして、省庁横断的ということでいけば、復興担当大臣というのは第二の内閣総理大臣だ、それぐらいの私は意味合いがあるんだというふうに思っています。どうかしっかり頑張っていただきたいなと思いますし、これは大臣に申し上げることではないですけれども、この災害対策特別委員会も、もはや特別ではなくて常設、常任の委員会としてずっと開いていくべき、これは国会の中で話し合うことですけれども、そういう位置づけにしていかなくてはいけないのかなというふうに思います。
こういった思いで私も野党筆頭の理事としてこの委員会に臨んでいきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、今年の大雪のことをお話をしたいと思います。
正確には、昨年十二月の関越自動車道の大雪、大規模な渋滞、そして、北陸自動車道、並行の国道でも同様のことが起きました。
私が住んでいるところは能登半島なんですけれども、私の家でも屋根と地面が雪でくっつきました。家に、出るのが大変な状況になったわけですが、大雪警報が出て、これは石川県とまた福井県、三年前に残念ながらお亡くなりになられた方が出てしまいましたけれども、渋滞になって、車の中で亡くなられた、そういったことが起きてしまいまして、また同じような事態になるんではないかなと想像をいたしました。
結果として、二日以上にわたり車の中でとどめ置かれてしまったという方がたくさん出てしまったわけですけれども、平成三十年の二月の国道八号線、石川県と福井県の間、そこからの経験知、反省、どういったふうに今回生かされたのか、そして、生かし切れなかった部分がどういった面であるのか。国交省、お願いいたします。
○吉岡政府参考人 お答え申し上げます。
平成三十年二月の福井豪雪では、北陸自動車道の通行止めに伴い、並行する国道八号に交通が集中し、大型車の脱輪をきっかけに渋滞となりました。
この間、集中的な降雪によって車両の間に雪がたまり自走できない車が発生したことから、国道八号では、約千五百台の車両が滞留し、その排除に、委員御指摘のとおり、二日以上を要しました。
この事象における反省点は、集中的な大雪時において、自ら管理する道路の通行止めを回避することを目標としてきたことでした。
このため、道路ネットワーク全体として大規模な車両滞留の抑制を、通行止め時間の最小化を図る、道路ネットワーク機能への影響の最小化を図る考え方に転換するとしたところでございます。具体的には、高速道路と並行する国道等を交互に通行止めしながら集中除雪を行うことで、どちらか一方の幹線道路により交通機能を確保するということにするものでございます。
今冬においても、平成三十年二月の反省点を踏まえまして、どちらか一方の幹線道路により交通機能を確保するよう努めてまいりました。しかしながら、結果として、短期間の集中的な降雪に伴い、関越自動車道や北陸自動車道において大規模な立ち往生が発生し、長時間にわたり車内で待機いただくなど、利用者の皆様には大変御迷惑をおかけしてしまったところでございます。
○近藤(和)委員 反省点がありながらも、こういうことが起きてしまった。そして、通行止めをすることをいとわないようにしたけれども、結果的に大規模な、実質、通行止めになってしまったということでございます。
ここで、やはり予防的な通行止めを本来積極的にすべきだったと思いますが、どうしてできなかったんでしょうか。
○吉岡政府参考人 お答えいたします。
今冬の関越自動車道や北陸自動車道の事象においては、高速道路で断続的に立ち往生が発生していたものの、並行する国道においても渋滞や通行止めが発生していました。そのような状況の中で、高速道路において交通機能を確保しようと考え、その通行止めをちゅうちょしたことが大規模な車両滞留の発生や、その長期化の要因の一つと考えてございます。
このため、国土交通省では、関係省庁とも連携し、有識者から成る冬期道路交通確保対策検討委員会を開催して、平成三十年五月に福井豪雪などを契機に取りまとめた、大雪時の道路交通確保対策中間とりまとめの改定案について御審議いただき、今後、提言をいただく予定です。
この中間取りまとめでは、繰り返しになりますけれども、高速道路と並行する国道を交互に通行止めしながら集中除雪を行うことで、どちらか一方の幹線道路により交通機能を確保するというような考え方から、人命を最優先に、幹線道路上で大規模な車両滞留を徹底的に回避することを基本的な考え方として変更いたしました。
具体的な対策といたしましては、短期間の集中的な大雪時には、通行止めの予測の繰り返しの呼びかけ、対象の拡大、内容の具体化など、出控えなどの行動変容を促す取組、ちゅうちょない広範囲の通行止め、高速道路と並行する国道等の同時通行止めと集中除雪による物流等の途絶の回避などに取り組むということが盛り込まれておりまして、国土交通省としては、この提言内容を踏まえ、今後必要な改善を図ってまいります。
○近藤(和)委員 こういうことがなければ、私の地域の言葉で言えば、何でこれぐらいの雪で道路を止めるんやと怒られる可能性はあったと思います。
ただ、一日、二日にわたる渋滞を経験してしまうと、私も、金沢までいつもは一時間半ぐらいで行けるんですが、その日にちょうど金沢に用事があって、行くときは二時間半、帰りは八時間かかりました。もうとんでもない目に遭ったわけですけれども、こういう状況になってしまえば、通行止めをするということ、予防的に、積極的にやるということは多くの方の支援というか理解を得られる可能性がありますので、何とかこういうことがもうないように頑張っていただきたいなというふうにも思います。そして、やはりその場に行かないという、この協力をいただくことに対しても相当な準備が必要だというふうに思います。
ちょっと時間がなくなりましたので、チェーン規制のことについても聞きたかったんですが、チェーン規制については、今回、チェーン規制のところを規制をかける前に、しかも、その違うところでスタック、事故が起きてしまって渋滞が起きてしまったということもあります。関越自動車道にはチェーン規制の区間はないですよね。こういったことも含めて、不断の見直しということをしていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
そして、除雪ということは、業者の方々、大変今お困りです。
昨年連絡をいただいたんですが、去年、おととし、雪がほとんど降らなかった、コロナで大変なのは分かるけれども、おらっちゃも大変やと、そういった業者の方々から御連絡をいただきました。特に、雪が降らないときでも、例えば車検や保険代、こういったものも随分お金がかかるわけですね。こういう固定費のところを何とかしてくれないと、もうやめるよと。今年の冬、言われましたが、四日間、寝ずにずっと運転されていたそうです。その方はまだ働き盛りの方ですからよかったですけれども、もう今、随分高齢化されてきています。
こういう除雪の体制を幾ら整えようが、除雪していただく方がもうやめたとなれば全員に響くわけですから、この固定費を何とかしてほしいという、こういった要望に対しては、今、国交省、どうでしょうか。
○東川政府参考人 お答え申し上げます。
道路除雪でございますけれども、安全で円滑な冬期交通を確保する目的で実施するものであり、雪の多い地域では日常生活の中でなくてはならないものだというふうに認識しております。
一方で、この道路の除雪工事でございますけれども、降雪量に応じて毎年度の工事量が大きく変動するというものでございまして、この工事量に応じて支払いがなされるということから、受注者にとって不安定になりやすい傾向にございます。
例えば昨年度は、御指摘のように、全国的に記録的な少雪となったことから、作業員の確保や重機の維持といった固定費さえ賄うことが困難になるという課題が明らかとなりました。
このため、これまでも、国土交通省では、直轄工事の積算基準の改定であるとか、あるいは保険商品の活用の検討などを取り組んできたところではございましたけれども、これに加えまして、本年度、作業員の確保や重機の維持といった最小限必要となる固定経費を計上する方法を検討いたしまして、令和三年度の直轄工事からそれを試行する予定でございます。
今後、この試行工事の結果を踏まえまして基準化するとともに、発注者協議会などを通じまして地方公共団体にも情報提供するようなこともしていきたいというふうに思っております。除雪業者の方々が将来にわたって安心して除雪作業に取り組んでいただけるよう、取り組んでまいります。
○近藤(和)委員 試行ということで、本格的に、何とかその段階、固定費を手当てしていくという方向性を示していただいたということで、ありがとうございます。
そして、今日は総務省に来ていただきました。ちょっと時間がありませんので、総務省さんの方では、基本的には普通交付税、そして足らない分は特別地方交付税、特交、特交と。前倒しには最近はしてもらえるようになりましたが、ただ、現場で聞いていますと、前倒しといっても、やはり自治体からの発注はちょっとちゅうちょされて、業者の方に対しては待機さえもちょっと今回は待ってということもやはりあるそうです。
国の方ではちゃんと前倒しでお金を出すつもりになっていても、やはり自治体は不安で、業者の方はもっと不安だという実態を、是非とも皆様、知っていただきたいなというふうに思います。
以上のやり取りを踏まえて、大臣、この大雪というのは、もっともっと幅広くありますけれども、この除雪一つ取ってもこれだけ大変な状況でございます。やっていかなくてはいけないことがたくさんありますけれども、心構え、特に雪が降らない地域でお住まいでございますから、何とか雪国の人間の悩みや苦しみに寄り添っていただきたいんですが、いかがでしょうか。
○小此木国務大臣 先ほど鈴木委員のところでもお答えをしたのですが、今年、新潟に参りましたときに、本当に、悲痛の叫びといいますか、屋根に雪が降り積もり、引き戸を開けるのに苦労されていた御婦人の姿がもう頭から離れません。
そういう思いをまず大事にすることと、そして、できましたこととは、特別交付税の繰上げ交付、これは支援策として取りまとめ、一月中にやったということでは初めてのことだというふうに、私も初めてのことでありますけれども、そういう気持ちと、あるいは、委員からの、あるいはこの委員会からの御提案も踏まえながら、しっかりと雪の対策を前に進めてまいりたい、こういうふうに思います。
○近藤(和)委員 どうもありがとうございました。
雪害のことを申し上げましたが、雪は雪でいいところもたくさんありますので、どうか北陸地方もよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○金子委員長 次に、柿沢未途君。
○柿沢委員 柿沢未途でございます。よろしくお願いいたします。
まず冒頭に、先ほどの公明党の岡本委員の御質疑の中で、江東五区の大洪水が起きたときの避難について、私も江東五区、江東区ですので、下町の議員として同じ地域で活動していますので共感をするところが多かったんですけれども、垂直避難の話がありました。
ドラッグストア、スーパーマーケット、ガス、いろいろな業界に垂直避難に協力するようにあらかじめ是非指示をしてほしい、これは大変いい御提案だと思うんですけれども、業界団体の中で一つ加えてもらいたいものがあるんですよ。それは何かというと、マンション管理業協会なんですよね。
要は、下町で垂直避難といったら、マンション。タワマンとかもあるわけです。だけれども、今、垂直避難でそうしたマンション、タワーマンションに逃げ込もうと思ったらどうなるか。みんなオートロックで、入れないんですよ。結局、外部の近隣住民がそこに逃げ込もうと思ったって、入口で入れないわけです。
ですから、例えば外階段を造ったりとかいうことを一方でやっているんですけれども、やはりこれは非常時ですから、プライバシーだとか言っている場合でもないので、その場合は是非マンションのオートロックも開けるようにしてくださいということを是非御指示をしていただけるように、お取り計らいをお願いしたいというふうに思うんです。
先ほどおっしゃられていたことに是非つけ加えたいというふうに思いますので、通告していませんので御答弁は求めませんけれども、よろしくお願いをいたします。
それでは、質問内容に入ります。
今日は、今の災害に対する備えとして求められている対策というものが、現実の避難等に際して、本当に機能するものになっているのかどうかということを問いたいと思っております。余り難しい質問をするつもりはありませんので、大臣にもお聞きをいただいて、適宜、御感想を求める場面もあるかもしれません。是非、そのときはそのとき感じられたことを御答弁いただければというふうに思います。
最近、河川の氾濫等の水害がかなり大規模化している。河川の氾濫で地域全体が二階まで水没してしまうというような、そうした水害が多くなっています。あの熊本の集中豪雨の水害でも、川沿いの老人ホームが水没して、一階のお年寄りが逃げられずに、十四人も亡くなられてしまって、命からがら屋上に上がった人たちがボートで救出されるとか、こういう光景を私たちも目にしているわけです。
土地の安い川沿いに老人ホームは建てられやすい、それで往々にして水害に巻き込まれてしまう、こういう構造的な問題もあります。これは今日は触れません。
老人ホームの避難なんですけれども、避難器具はどのようなものが法令上設置されているかというと、一枚目の資料なんですけれども、消防法で設置が義務づけられて求められているのは、資料のとおり、こういうものなんですね。滑り台、避難はしご、救助袋。袋といったって、要は滑り台みたいなものなわけですけれども、こういう、写真で見るとおりです。これは老人ホームの利用者のお年寄りに現実に使えますかということなんですよ。
一枚めくっていただいて、二枚目の資料ですけれども、特別養護老人ホームだと、今入居している人というのはほぼ要介護三以上の重度の要介護者ですよね。下の表を見ていただくと、起き上がれない、歩けない、移動は全介助。こういう方々が滑り台でひゅうっと避難する、できますかという話なんですよ。無理じゃないですか、歩けないんですから。
消防法施行令で列挙されている避難器具には避難ロープとかいうのもあるんですけれども、これは、法令を満たしたって、どうやって避難するんですか、要介護の高齢者が避難ロープにつかまって。それらを法令上は義務づけている。
結局どうなっているかというと、エレベーターが動かなければ、ほとんど、職員が背負って、おぶって階段を下りたり上ったりしていると思うんです。法令上の避難器具をそこで使っているかといったら、使っていないですよね。言うなれば、機能しない避難器具を延々と義務づけている、こういうことになっているんじゃないかと思うんです。
これはどう思いますか。御答弁お願いします。
○五味政府参考人 消防法におきましては、建物の用途や規模などの状況に応じまして、スプリンクラーなどの消火設備や自動火災報知設備などの警報設備、避難設備などのハード対策及び消防計画の作成や訓練などのソフト対策を義務づけておりまして、これらのハード対策とソフト対策を有効に組み合わせることによりまして、火災等から利用者等の生命財産を守ることとしております。
そうした中で、高齢者施設におきましては、火災等で階段が使えなくなった場合の避難器具といたしまして、御指摘の滑り台ですとか避難ばしご、救助袋などのうちのいずれかを当該施設の構造や利用者の特性に応じまして施設関係者が選択することとなっておりまして、万が一のときに命を守るための手段として、これらの設備が貴重な役割を果たす可能性があると考えております。実際に火災が発生し、命の危険が迫った場合には、施設職員の介助や駆けつけてくる消防職員の協力によりまして、命を守る行動をお願いしたいと考えております。
また、各高齢者施設の状況は様々であることが考えられますので、車椅子などの利用者など他の階への垂直避難が困難な方が多く在館する場合には、同じ階の安全な場所へ水平避難するといったソフト対策につきましても、消防庁において、その考え方や訓練方法等のマニュアルを作成して、自治体に周知しているところでございます。
今後とも、施設の状況に応じまして適切に避難設備を含めたハード対策とソフト対策を組み合わせることによりまして、防火上の安全が確保されるよう取り組んでまいりたいと存じます。
○柿沢委員 本気で言っているんですか。利用者の特性に応じてとおっしゃっていましたけれども、利用者、要介護五のお年寄り、避難ばしご、救助袋、滑り台、特性に応じて避難器具を選択していただきたい。どれも使えませんよ。
防火上の対策ということを最後におっしゃられたんですけれども、結局、消防法という法律で、火事のことしか考えていないからこういうことになるんだと思うんですね。階段は煙が来るから使えないだろうという前提で、滑り台、要介護五のお年寄りにそれで避難してくださいということをやっているわけです、義務づけているわけです。
消防法の規定にあるわけです。消防法施行令第四款二十五条、どう書かれているかというと、避難設備に関する基準として、階段を使用せずに避難できるものを避難器具というふうに定義をしているわけです。だから、火災のことだけを想定しているので、火災のときは階段を使っちゃいけませんみたいなことになっているわけですよ。しかし、水害もあれば、震災もあれば、津波もあるわけです。階段を使用せずという避難器具の定義が必ずしも妥当ではなくて、階段を使用して逃げられる場合も多いわけなんですよね。
そのための避難器具もあるんです。三枚目の資料ですけれども、これは一般的には階段避難車と言われるものですけれども、隣の写真は私が乗っているところなんですけれども、要は、椅子のような形で、座ってシートベルトのようなものを着けて、階段と接地する部分にはベルトみたいなものがついていて、それでスライドして下りていく、こういう仕組みです。平時はこれは折り畳みしてしまっておけるというコンパクトなものでもあります。何か電動のものもあって、電動だと上ることもできるんだそうですね。だから、水害のときに屋上に上がることもできる。こういうものがあって、こういうものを設置を義務づけた方がよほど緊急避難時に有効なんじゃないかと思うんです。
加えて申し上げれば、そもそも消防法施行令第四款二十五条の、階段を使用せずに避難できるものが避難器具だという定義、その考え方そのものも、様々な災害を踏まえて言えば、ちょっと非現実的になっていると思うんですね。
こういったことを見直していった方がいいと思うんですけれども、御答弁をお願いしたいと思います。
○五味政府参考人 高齢者施設の状況によりましては有効な避難の方法が異なることがあり得るところと考えておりまして、御指摘の階段を使用して避難できるような場合についてでございますが、高齢者施設の構造や利用者の特性によっては、御指摘の階段避難車等を設置することが有効な対策の一つになり得るものと考えております。
ただし、階段避難車等、階段を利用する際の補助的な器具、設備につきましては、義務づけというよりは、施設関係者におきまして、施設の構造や利用者の状況に応じまして整備していただくことが適切ではないかというふうに考えております。
したがいまして、階段避難車等の活用も含めまして、当該施設の状況を踏まえつつ、施設関係者においてハード、ソフト両面にわたり適切な対策を講じることが重要であると考えておりまして、今後とも、各消防本部において、高齢者の避難について、現場の状況に即した丁寧な説明や相談対応が行われるように取り組んでまいりたいと存じます。
○柿沢委員 有効となり得ると、階段避難車は。それはそうだということなんですけれども。
施設の判断で導入してくださいみたいなことだったんですけれども、施設の方々も分かっているんですよ。滑り台では避難できない、こういうものが必要だと分かっているんですよ。何でできないかというと、この階段避難車、まだ量産できるような状況じゃないので、やはり一個二十万とかするんですね。電動だと五十万とかしちゃうんです。ですから、消防法上の機能しない避難器具を何十万、下手したら百万単位でかけて作って、更に階段避難車を何台も設置する、こういうことは施設はできないんですよ。
ですから、この消防法の施行令の規定も見直した方がいいと思いますし、また、階段避難車の導入に幾ばくかの支援をしても、これは命を守る問題ですから、必要なんじゃないかと思うんです。
ここで、あらかじめ申し上げたとおり、大臣、聞いていて、それはそうだよなと思われるんじゃないかと思うんです。やった方がいいと思うんですよ。大臣の御答弁、是非検討しますでも結構ですので、お願いしたいと思います。
○小此木国務大臣 様々な町があって、様々な形態あるいはお住まいの方のいらっしゃるところがあろうかと思います。そういったところの、より深くやはりその事情を知るということが大事で、今、柿沢委員が言われた地域の中でも様々なそういう現実があろうかと思います。そういったところをまずは吸い上げて、真剣に考えてまいりたいと思います。
○柿沢委員 真剣に考えてまいりたい、この言葉を重く受け止めさせていただきたいと思います。
次に、都市防災の死角、ブラインドサイドについて伺います。
これについては、二〇一九年の二月に、タワーマンションの災害時の対策に関する質問主意書、災害拠点病院等における災害時の長期停電対策に関する質問主意書、二本の質問主意書を私は出しています。
二〇一九年の二月、それ以降何が起きたかというと、台風十五号で房総半島一帯が長期停電して、台風十九号で武蔵小杉のタワーマンションが水没して停電して、こういう事態が起きたわけです。言わぬこっちゃないということなんですよ。
大規模高層マンションでは、災害時には少なくとも七日間は在宅避難をしてくださいということになっています。在宅避難で最も生活継続が困難になる要因は停電です。東京都の防災計画とかを見ると、七日間以内には停電を復旧させるということが書かれているんですけれども、つまりは、七日間は停電が続くということを想定内に入れているわけですね。
でも、じゃ、七日間、電気はどうするかというと、建築基準法上で要求されているのは、火災時に避難するためのエレベーター一本分、そして、非常用電源で、誘導灯、あの緑の非常口というやつですね、それをともすための最低限の電気が予備電源として供給できればいいということになっているはずです。確認したいと思いますけれども、御答弁願います。
○黒田政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、建築基準法におきましては、災害発生時におきます人命保護の観点から建築物の安全性に関する最低限の基準を定めておりまして、火災で停電した際の避難や救出を目的といたしまして、排煙設備、非常用の照明設備、非常用エレベーター等の建築設備の設置を求めております。
これらの建築設備につきましては、火災時の避難や救出までの間、確実に作動する予備電源を設けることを求めておりまして、例えば、排煙設備、非常用の照明設備等の予備電源として蓄電池を設置する場合には、三十分間継続して作動可能であることを求めているところでございます。
いずれにしましても、最低限の要件という形になっているところでございます。
○柿沢委員 また火災の話になるんですけれども、こういうことなんですよね。
うちは非常用電源がついているから災害時も安心だなんという触れ込みのマンションがありますけれども、非常用発電機を動かす油は、消防法上、やはり備蓄量の制限がありますから、長くても七十二時間、ほとんどは五、六時間運転したら油切れで止まっちゃうんですよ。そうしたら、エレベーターは止まっちゃう、水も出ない、トイレも流れない、こういうことになって、どうやってこんなことで在宅で生活を継続できるのかということなんですね。
マンションだけじゃないんです。災害時に傷病者を受け入れる最後のとりでの災害拠点病院ですら、七十二時間以上の停電以降のことはほとんど対策できていないと思うんです。これは本当にどうするのか、後で厚労省にお答えをいただきたいと思います。
これに対する解決策でありますが、四枚目の資料をめくっていただけたらと思うんですけれども、EV、つまり電気自動車を利用して災害時のタワーマンションのエレベーターを動かす電力供給社会実験が、東京海洋大学と三井住友建設の共同研究で行われています。東京都中央区佃のリバーシティ、四十三階建てのマンションですけれども、エレベーターの消費電力は十キロワット以下、今のEVだと、リーフとかだと六十キロワットのバッテリーを積んでいますから、これをつないでエレベーターを動かす、こういうユニットを開発して、EV、電気自動車が、EV、エレベーターを動かす、EVツーEVという話なんですね。
このユニットは五百万だそうです、開発のコスト。ですから、六百四十二戸ですから、月々の管理費に入れたら数百円レベルの負担ですね。もちろん、二つ、三つのユニットがあればエレベーター以外にも使えるということになる。
給電してEVのバッテリーが切れたらどうするんだという話になるんですけれども、実は、この資料の下の部分を見ていただけると分かるんですけれども、港に電源があるんですね。実は、港に停泊している船舶には、法令上、自家発電機が二台必ず装備されているんです。バッテリーが切れかかったら、港に行って船舶から充電をしてまた帰って、そして給電する、こういういわば電気のバケツリレーみたいなことができるんですよ。陸・海電力コネクティングシステムということで、ここに御紹介をされている図のとおりです。
滑り台、避難ばしご、救助袋、避難ロープは、マンション、タワーマンションにはそれこそナンセンスですよね。こういうEVツーEVのユニットこそ設置を義務づけた方が、よほど機能するんじゃないですか。そう思いますけれども、まず厚生労働省から御答弁いただいた上で、大臣に、御通告させていただいていますので、是非前向きな御答弁をお願いしたいと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のように、大規模災害発生時に備えて医療機関において停電対策を行うことは、極めて重要だというふうに認識してございます。このため、災害時の医療確保において重要な役割を果たす災害拠点病院などに対して、非常用自家発電装置の整備に対する支援を行ってまいりました。
その上で、災害拠点病院を指定する際の要件といたしまして、今御説明しました非常用自家発電装置の保有に限らず、委員御指摘のように三日分程度の備蓄燃料の確保、さらには、それが足りなくなる場合もあるわけでございますので、災害時に優先的に燃料の供給を受けるための協定、燃料供給事業者との協定の締結といったものを求めてございます。これらによって、災害拠点病院が災害時でも医療提供が継続できるような体制整備を進めてございます。
これまでの災害の際にも、実際にこの協定に基づき優先的に燃料の供給を受けたケースもありますし、また、関係省庁の連携の下で、必要な場合には電源車を手配したケースなどもございます。
いずれにしましても、引き続き、災害時において必要不可欠な医療提供が継続されるように取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
○小此木国務大臣 災害時に電気自動車のバッテリーを活用して、今おっしゃいましたように、マンションのエレベーターを動かす研究開発が東京海洋大学で進められているということのお話でありましたが、私も承知をしております。こうした装置の活用については、災害時の停電対策として有効な手段の一つということを考えています。
装置の配備を直ちに義務づけることは困難であると考えますけれども、電気自動車の活用等の停電対策については、今、関係省庁とともにしっかりと勉強してまいりたいと思います。
○柿沢委員 EVですからね、菅内閣、是非頑張っていただきたいと思いますし、委員長もしきりにうなずいて聞いていただいていたので、大変心強く思いました。
こうした、ちょっと機能しない今までの法令上の仕組み、義務づけている避難器具を見直していくことは、やはりいざというときの命を守ることにつながっていくわけですので、是非、現状維持にならずに、不断の見直しをしていくという視点でやっていっていただきたいと思います。
時間になりましたので、質問を終了させていただきます。ありがとうございました。
○金子委員長 次に、早稲田夕季君。
○早稲田委員 立憲民主党の早稲田夕季でございます。
本日は、質問の機会をお与えいただきまして、ありがとうございます。
東日本大震災から十年が経過をいたしました。改めまして、多くの犠牲となられた皆様に御冥福をお祈りいたしますとともに、今なお帰還できない皆様の生活再建、そしてまた被災地の復興をお祈りし、私も力を尽くしてまいる所存でございます。
この東日本大震災のときから、その前の実は阪神・淡路大震災から、災害の関連死という問題が社会問題となっております。私は、地震、津波などで災害のときには命が助かったにもかかわらず避難生活を続けている中で体調を崩してお亡くなりになる、これが災害と因果関係が認定されたいわゆる災害関連死という、この方たちが大変多いということを、残念な、そしてまた、あってはならないことだと思いますので、この災害関連死について伺ってまいります。質問の順番を変えますが、よろしくお願いいたします。
先日のNHKの報道によりますと、東日本大震災で災害関連死として認定された方は、三月九日時点で、福島で二千三百二十人など、合計三千七百七十五人にも上るということであります。本当に、この救えたはずの命、お一人お一人がどうした過程で、避難所生活をしている中で、あるいは別の場所で亡くなられたかということを、しっかりと私たちは受け止めて、教訓として生かしていかなければならないはずだと思います。
このいろいろな報道を見ておりますと、避難先を転々としているうちに体調が悪化をして亡くなった、それからまた、病院にもかかれない、調剤もやってもらえなくて薬も飲めなかった、また、トイレの問題、それから栄養の問題、いろいろな課題が積み上がっている問題であろうかと思います。
そして、この一人一人の亡くなられた方々の過程を調べれば、それこそ災害救助法が定める避難所の環境改善にもつながっていくはずでありまして、もうずっとこの避難所の環境改善の問題も言われておりますけれども、いまだ、なかなか進んでおりません。私たち立憲民主党は、この平時から事例を収集して分析して教訓を生かしていく、こうした災害関連死の対策を一貫して求めてまいりました。
令和元年の七月に、内閣府は全国の自治体に対して、災害関連死の事例を収集したいとお願いをしております。この自治体担当者会議におきましては、我が党の森山浩行議員と当時の山本防災担当大臣との会議録もわざわざ添付をしてあります。この後の事例収集の進捗状況、これがどのようになっているのか、結果が出る頃だと思いますので、御答弁をお願いいたします。
○小此木国務大臣 市町村による災害関連死の認定が円滑、適切に行われるように、現在、災害関連死の認定事例、不認定事例、判例を事例集としてまとめる作業を進めており、今月末から来月までの間において取りまとめたいと考えております。
○早稲田委員 来月までの間にという御答弁でございましたが、なかなか事前のレクのときにお答えをいただけませんでした。そして、今やっているからということばかりが繰り返されておりました。
また、今、お手元の資料一を御覧いただけますと分かると思いますけれども、これはそのときに会議で配られました「災害関連死事例収集」というものの中の一枚でございまして、これにつきましてはこのように書かれているわけです。なのにもかかわらず、こちらは口頭でこの会議体で自治体にお願いをしているだけで、締切りも示しておりません。
それから、その後、メールで催促をしているというような状況でありますが、そのメールを資料要求いたしましたものが、その次のページに出ております。
これを見ていただきますと、二〇一九年四月以降の弔慰金支給決定分に限定をされているんです。その理由というのが、その市町村担当者それから内閣防災の担当者の業務量を勘案したというようなことをおっしゃっていました。これは、二〇一九年度の支給決定数、その後にも資料をつけておりますが、直接死を含めて僅か百六十二件であります。これだけの数を集めるのに一年半もかかるということなのでしょうか。
しかも、よく見ていただきたいのですが、この山本国務大臣のところ、これは線が引いてありますが、「災害関連死の事例収集については、東日本大震災や熊本地震等の過去の災害関連死の認定例、判例等を収集、分析し、整理した上で公表したい」と、わざわざ東日本大震災、熊本と書かれているわけなんですけれども、それをほごにするように、二〇一九年の四月、支給決定数の中でというふうに限定をしている。これは大臣の言葉そのもののほごになるのではないでしょうか。
こういうことでは、きちんとした事例集になるとは到底思えません。おざなりの調査であってはならない、それでは失われた命が教訓として生かされません。
どうぞ、大臣、御答弁ください。
○小此木国務大臣 東日本大震災における震災の関連死に関する事例等の調査は、復興庁において行われておりまして、平成二十四年には、当時の千六百三十二件の震災関連死のうち、死者数が多い一定の市町村等を調査分析対象として、千二百六十三件について実施をされたと承知しています。
現在、内閣府において作業を進めている災害関連死の事例集については、他の自治体の参考になるように、まず復興庁による調査分析に加え、近年の災害における判定事例や、東日本大震災及び熊本地震の判例について、事例ごとに死亡までの経緯等がより具体的に分かる形で重点的に取りまとめることとして作業を進めているところであります。
災害関連死として亡くなる方を一人でも少なくするために、政府一体となって避難生活の環境改善に取り組むことが必要だと考えております。
このため、避難所における生活環境の改善方法の周知等を行ってまいりましたが、今後、取りまとめられる事例等の内容も踏まえ、関係省庁、自治体とも連携をして、必要な取組を重ねてまいりたいと思います。
○早稲田委員 今、東日本のお話がございましたが、このメールにも書かれているんですね、「東日本大震災に係る事例については、改めてご連絡いたします。」と。改めて御連絡しますということは、この国務大臣がきちんと答えておられるからそのことについてもやらなければならないけれども、今回はそうではない、限定をしているということを如実に表しているのではないでしょうか。
復興庁がやった調査は、これは数字だけです。中身を一つ一つつぶさに、どういった原因だったのかとかそういうところまではデータベース化されておりません。是非ここをやっていかないと、本当に、今なお避難所生活で苦しい思いをされて、我慢をして、そしてまた体調を崩していく方が、今も繰り返されているわけです。是非、大臣、そこの御認識、東日本大震災も含めて今後ともやっていただけるというようなことをお考えいただきたいと思います。
更に申し上げれば、小此木大臣の号令の下、この答弁を踏まえて、この二〇一九年四月以前の支給決定分も含めて、自治体には災害弔慰金の支給審査会が持つ議事録などが詳細にあります、こうしたものも収集をしていただき、医学、それから看護、介護、それから防災の有識者、こうした方々の研究チームを組織して、是非、亡くなられた災害関連死の事例をデータベース化していただくように更なるお取組をお願いしたいと思いますが、東日本大震災も含めて事例収集のことを最後にもう一度お伺いしたいと思います。
○小此木国務大臣 関係省庁、そして自治体も含めて、現場の数字等々、しっかりと調査をする努力をしてまいりたいと思います。
○早稲田委員 数字だけではなくて、その一人一人の過程をしっかりとデータベース化していただきたいと思います。それが次の、あってはなりませんけれども、災害が起こったときに必ず教訓として生かされるはずです。どうぞよろしくお願いいたします。
そして、東日本大震災から十年ですが、私もこのとき、二週間後に、市議の仲間と一緒に二トントラックで大槌町へ向かいました。これは、そのとき、まだ、飲料水も、それから食料も足りないということで。町長が亡くなられたんですね、この大槌町。それで私は大槌町に行きましたけれども、そのときに、高台に庁舎が移転をしていました、機能が。その高台から見た光景は、本当に生涯忘れられません。
いかに高いところに逃げるか。このときに、津波てんでんこという、この教訓がかなり言われておりましたけれども、今、十年たって、非常に風化しているのではないかと私は心配をしているところであります。
津波対策については、時間がないので、一、二点、本当に小さく伺いますが、南海トラフ、これを踏まえました推進計画がございますが、これについて伺います。
この南海トラフの地震防災対策、これの特別強化地域に指定の百三十九市町村。これが、推進計画が、新たな改定というものがなされているところが非常に少ないわけなんですけれども、私の方で数字を申しますが、特別強化地域でさえ三八%と非常に少ないんですね。それで、これは、東の方では神奈川県、そして千葉県まで及んでいるわけですけれども、特に神奈川の場合は少ない、この改定が。
そこのところも含めまして、防災の担当大臣として働きかけをどのようにされていくのか。是非これを進めていただきたい。本当は令和元年度までにこれを要請していたと思います、国は。そこからが進んでおりませんので、是非お願いしたいと思いますけれども、どうぞお考えをお願いいたします。
○小此木国務大臣 これまで、内閣府においてですが、市町村における早期の計画の策定、変更を推進するため、ガイドラインを公表するとともに、地域ブロックごとの連絡会を開催し、地域の取組事例を共有することなどを行ってまいりました。
さらに、今年度から新たな取組として、市町村からの直接の相談窓口として内閣府の担当の問合せを周知するとともに、特に推進計画の策定、変更が進んでいない特別強化地域の六十一市町村に対して、個別に進捗状況や課題の聞き取りを行った上で、それぞれが抱える課題に応じて個別に指導助言を行うなど、取組を強化しているところであります。
引き続き、関係都府県と連携をしながら、市町村ごとの状況を把握して、きめ細やかな対応を行うことで早期の推進計画の策定、変更を支援してまいりたいと存じます。
○早稲田委員 いろいろ先行事例をお示ししながらというふうに言っていただきましたが、大臣も御地元の神奈川では、十三の特別強化地域のうち、二市しか改定が済んでおりません。もちろん、予定しているところもありますけれども、どうぞこれを進めていただけるようにお願いをしたいと思います。
それから、資料につけさせていただきましたのは、もう時間がございませんので私の方で申し上げますが、これは消防庁の資料であります。津波の避難施設、これをまとめたものを毎年調査をしております。
それで、これを見ますと、いろいろ数字が並んでいるわけですけれども、私は、大槌町に行ったときに、とにかく避難路、そして避難地を確保することしかないということを実感したわけなんですけれども、この中で数字を見ますと、この数字が平成二十四年とそれから令和二年と、逆転しているものもあったりしまして、非常にこの数字が、本当に精度がどうなのかというものもございます。
市町村に対してこれは消防庁が調査をしておりますけれども、実際、いろいろな避難路を造っている交付金は、国交省の防災・安全交付金とかいろいろありますので、所管がまたがっております。その中で、消防庁が取りまとめだけはしているということですけれども、やはり全国のこういう津波の避難の施設、それから避難が本当にできるようになっているのかというのを見ていただくためにも、全国でこういうものを、しっかりと内閣防災としてもこのことに関わっていただいて、そして全国で見える化をしていただく、これによって進捗を図っていくということが必要なのではないかと思いますので、是非、消防庁と連携をして、もう少し精度の高い、そして全国で津波の避難ができる施設がどのくらいあるのかということも、これから精査、調査をしていただきたいということを要望させていただきます。
それから、もう一点。中央防災会議と市町村防災会議のジェンダーバランスについて申し上げます。
これは、国際女性デーの三月八日、朝日新聞の一面は、「防災会議 少ない女性の視点」「委員一割未満」という調査結果の記事でございました。東日本大震災被災地でさえ八・五%、全国平均で八・八%、女性が一人もいないのは全体の二割に当たる三百四十八市町村に達するということでございます。
これは、先ほど申し上げました災害関連死とも大変関わる問題です。なぜなら、この防災会議というのは、防災対策基本計画を作る核となるトップの会議体でございますので、私は、そこに女性の視点、それから生活者の視点というものを入れないと、いつまでたっても改善ができないということになろうかと思いますが、今のこの現状について、大臣、どのように捉えていらっしゃいますか。それから、御地元の横浜市ではどのくらいのジェンダーバランスか、御存じでしょうか。
○小此木国務大臣 これは、世界で通用する数字に到底追いついていないという現実の中で、これをどういうふうに改善していくか、そしてどのように意味合いを含めてスピードアップしていくかということに尽きると思います。
現在、市町村防災会議の委員においての女性の占める割合、八・八%、数字を言われましたけれども、そのとおりにとどめられていて、防災における意思決定の場への女性の参画は、先ほど申し上げたように、全く十分ではないという認識であります。
私自身も、お恥ずかしい話ではありますけれども、改めて就任をいたしましてから、昨年の暮れに、副大臣や政務官の知恵もかりながら、防災女子の会ということを、防災部局の中に、働かれる女性の声も聞かなきゃいけないということで、これは様々な、女性の視点といっても、簡単に一言で語れるようなものではありません、自らが被災地に行って、避難所に行って、女性についてどう考えるかという、頭の中をしっかりと、いろいろな例も含めてまとめることも、現実、容易ではありませんでした。ですからこそ、お恥ずかしい話とは申し上げましたけれども、そういったことに達するように、数字的に達するように努力をしてまいりたいと思います。
横浜については、今ちょっと数字がございません。
○早稲田委員 横浜市は、一三・一%でございました。
これは、二〇二五年までに三割という第五次男女共同参画基本計画の目標がございます。これでさえ世界から見れば周回遅れでありますけれども、日本の防災会議においては大変低いということでありまして、これではなかなか生活者の目線が取り入れられにくいということであります。
特に、今、市町村にそうやって投げかけて、増やしてくださいと国の方から言っておりますが、国の中央防災会議、これは三十人中僅かに三人でございます、一割。そして、閣僚の方がお二人入られて、さらに、民間の方はたったお一人ということでありますので、これをとにかく増やしていただきたい。自治体に言うには、まずは隗より始めよ、自らも範を示すべきではないでしょうか。
そして、この災害対策基本法の第二条第五号に指定公共機関というのがございますが、この指定公共機関の長の方がこの中央防災会議に入っていらっしゃるわけですけれども、この指定公共機関に介護や福祉、保育分野、こうしたところの分野を追加すべきではないかと考えますが、御提案を申し上げます。これは是非、法改正せずとも政令の改正でできますので、小此木大臣のイニシアチブでこれをやっていただけないか、御検討いただけないかと思いますが、いかがでしょうか。
○小此木国務大臣 様々な会議、国が主催をする会議、あるいは大臣、閣僚そのもののことについて、今現実をおっしゃられ、そして私も認識しているところであります。
また、実際、防災活動あるいは訓練とか、いろいろ、体を動かして活動する部分については、女性に対する配慮というものも必要だと思います。これは男性と肉体的な違いもございますので、そういったところも含めて私自身考えていかなければならないというふうに思いますし、そういった、できるところ、できないところ、しかしながら頑張ればできること、あるいは、数字としてその目標を定めた以上、しっかりとそれを目標に向かって進めていくところ、様々な努力が今の日本や私自身にも必要だと思いますので、いろいろな御提言をいただきながら進めてまいりたいと存じます。
○早稲田委員 是非進めていただけますよう、女性の視点は生活者の視点でございますので、是非、これはどこの防災会議でも必要です、よろしくお願いしたいと思います。
ありがとうございました。
○金子委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
最初に、避難所の確保について質問します。
一年前の大臣所信質疑で、私は、コロナの感染拡大時における避難それから避難所の在り方について質問しました。その後、内閣府の方からたくさんの自治体向けの通知が出されたところです。三密回避、それから分散避難、そして自治体の取組も進んでいるところであります。
同時に、災害も各地でいろいろと起こって、課題も上がってまいりました。コロナ禍の下で、避難所の収容者数というのは従前と大きく変わります。昨年十月の台風のときなどは、避難所に入れなかった住民の方もあちこちで出ました。避難所の確保、自治体においての対応はまちまちであります。大都市部での増設が進んでいないという報道もあります。
自治体の状況について、内閣府、つかんでおられるでしょうか。
○小此木国務大臣 新型コロナウイルス感染症の現下の状況においては、感染防止に十分留意する必要がありまして、避難先については、安全な親戚、知人宅への避難、ホテル、旅館等の活用を含め、可能な限り多くの避難所の確保などについて促すとともに、政府においては、避難所として活用可能なホテル、旅館等や国の研修施設のリストを提供するなど、取組を進めてまいりました。
昨年の台風第十号において、最大級の警戒が必要でありましたことから、関係地方公共団体において住民に対して早急な避難の呼びかけが行われた結果、一部の避難所において収容人数に達しまして、今おっしゃいました他の避難所を紹介するなどの事例がありました。これは課題として受け止めております。
こうしたことから、調査分析を実施して、平時に可能な限り多くの避難先を確保し、台風が接近した際に必要な数の避難所を当初から開設することや、避難の円滑化のため、収容人数等を事前に周知するとともに、混雑状況や収容人数を超えたことについて防災メールやアプリ等を活用して周知するなど、円滑な避難のための留意事項を全国の自治体宛てに通知をしたところであります。
また、指定避難所の指定状況は、令和元年十月一日時点ですが、全国で約七万八千か所であり、大都市においては、指定避難所が増えているところがあるものの、十分な避難所が確保されていないという声があることも承知してございます。
今後、自治体における避難所の確保の実態を把握、分析し、自治体とよく連携して、必要とされる避難所の確保に更に努めてまいりたいと存じます。
○田村(貴)委員 内閣府が、去年の台風十号で、避難所から入れないと言われたところの自治体を中心にアンケート調査を行った。その結果も読ませていただきました。十号接近前にホテル、旅館等を開設することを検討したか、この問いに対して、検討しなかったが七七・四%に上がっているわけですよね。こういう方法もありますよとアナウンスはしているんだけれども、自治体の方では、間近に災害が来るかも分からないんだけれども検討しなかったと。これはリアルな数字だと思うんですね。
私は、九州上陸のときに鹿児島におったんですよ、大臣。それで、ビジネスホテルは、近所の方が事前避難ということでかなり来ているわけですね。やはり早めの避難というのはみんな感じているんだけれども、自治体がそれを対応とするときになったら、ちょっと敷居が高いのかなと思います。
あらゆる手だては講じていただかなくてはいけないんですけれども、やはりそのノウハウですね、自治体が前に進む、そういう支援というのが私は必要だというふうに思っております。
もっと国が踏み込んで対策が行えないのか、あるいは広域被害を想定したときに、これは、自治体が丸ごと被災してしまう、役所も含めて例えば冠水してしまうとか、そういう状況にあるところもあるわけですから、そういったときの対応なんというのは国としてはどういうふうに考えられているのでしょうか。
○小此木国務大臣 現実の問題として、これはやや言い訳というか、ただ、いろいろな災害地を回ってきた中での思いですけれども、いかに連携が必要か、情報収集したことを横に流していくことが必要かということを感じた中で、こんな大きな災害が来るとは思わなかったとか、逃げてくださいという声にも残念ながら従われずに逃げることをしなかった方のお話ですとか、そういったことも目の当たりにしました。あるいは直接聞いてまいりました。
ですからこそ、先ほど申し上げたように、いかに、正常性バイアスは駄目だよという言い方もありますけれども、そういうことも含めて、自治体との連携、各省庁との連携、あるいはここにいらっしゃる委員の皆さんとの様々な御意見、御提言の中での解釈、共有、こういったものが大事だと思って、これが基本的なことでありますけれども、こういったことをやはり充実させるということが、私自身は、現実的に、まず頭に、理解をしてもらうということ、これに取り組んでまいりたいと思います。
○田村(貴)委員 感染拡大の下で、指定避難所、それから公的施設、ここだけではもう対応できないというのは明らかであります。民間、それから企業等の施設も活用して、また、事前に災害協定などを結ぶ、そういうことも含めて十分な避難所を確保していく、これがやはり喫緊に求められるというふうに思っております。対策をお願いしたいと思います。
続いて、なりわい再建補助金について質問します。
昨年の七月、九州を中心に甚大な被害をもたらした豪雨水害から八か月が過ぎました。去年の十一月のこの委員会で、長坂副大臣にこのなりわい再建補助金について伺いました。手続が煩雑である、それから、定額補助の要件が極めて厳しい、そして、風俗営業の許可を得ているスナックが対象外であるというこの三点を指摘したんですけれども、長坂副大臣に、スナックが対象外になっているということについて再度質問をさせていただきます。なぜ今日また取り上げるかというと、これが復旧と再建の妨げになっているからなんですよね。
我が党の山本伸裕熊本県会議員が、人吉商工会議所とそれから人吉なりわい再建サポートセンターから、つい最近、ヒアリングを行ってまいりました。その話を伺いました。
人吉市は、被災事業者が九百件、そのうち二百件近くがスナックなんですよ。なぜそうなのかというと、これはもう全国で有名な観光地で、訪れた人は温泉旅館に泊まって、そしてお店で球磨焼酎を楽しむ、おいしい料理を楽しむ、これが定着しているわけです。これが歴史の発展なんですよね。
そういうことで、貸し店舗区画の多くにスナックが入っていると、その部分というのはなりわい再建の施設復旧の補助が得られない。ここで再建が止まっているオーナーさんがいるわけですよね。これは解決をしていただかなければいけません。
持続化給付金でも、それから災害時の持続化補助金でもスナックは認められていますよね。グループ補助金、それからなりわい再建補助金も、これはやはり対象とすべきではないですか。いかがでしょうか。
○長坂副大臣 お答え申し上げます。
なりわい再建支援補助金は、被災事業者が自ら事業に使用する施設設備等を原状復旧する場合に補助することが原則でございます。そのために、本来、他者に賃貸される施設等は、補助金適正化法に基づきまして、対象外であるところであります。
他方、その施設のテナントが被災中小企業等であり、その事業の復旧に不可欠となる場合は、賃貸用施設設備であっても、例外といたしまして、当該被災中小企業等を支援する観点から、その所有者である貸主、いわゆるオーナーに対しまして、賃貸用施設の復旧に要する費用を補助しているわけであります。
その際、風営法第二条第一項第一号該当事業者のうち、委員の御指摘のいわゆるスナックなどがテナントである場合については、従前のグループ補助金においても支援の対象外であることから、その後継制度であるなりわい再建支援補助金においても、これまでの災害における対応等も踏まえまして、対象外としているわけでございます。
○田村(貴)委員 結局、理由は、従前から適用していなかったから今回も適用していないと。だから、それだけなんですよ、理由は。それを変えていただきたいんですよ。
あるオーナーさんがこう言っています。そのスナックの店舗なんですけれども、風俗営業といっても、お酌をしたり隣に座ることはあっても普通の居酒屋である、風営法の許可を取って、税金も納めているのに、こういうときだけ差別されるのはおかしいとおっしゃっておられます。
実際、復旧できないオーナーがおられます。そして、店が再開できずに、別の貸し店舗に移らざるを得ないたな子さんもいるわけであります。
こういうケースを紹介したいと思います。
たな子が入居していた貸し店舗のビルの復旧が見込めないために、施設復旧を進めている別の貸し店舗ビルに転入することになりました。オーナーは一角を、空き店舗として倉庫として使っており、倉庫としての復旧を考え、補助の申請をしていました。別のビルのたな子さんが今回転入してくることになったので、店舗として復旧したいと申請を変更したわけであります。そうすると、十年間は倉庫として利用してもらわなければ補助金は返還してもらうと言われたということであります。
しかし、災害時において面的に被災したこういう建物は、こういう事例が往々にして起こるんじゃないですか。柔軟な対応があってしかるべきじゃないでしょうか。
お尋ねします。
ビルに転入してくるたな子さんの入居規格に、あり得るケースとしては、まず、空き店舗だったというのもあり得ます。それから、倉庫などほかの用途で利用していた区画もあろうかと思います。また、たな子さんがいたんだけれども、そのたな子さんが再建を断念したというケースもあろうかというふうに思います。
こうしたいろいろなケースがある中で、原状復帰ですか、倉庫は倉庫のままで十年間というのは、余りにも硬直した考え方ではないのか。被災オーナーの事業者負担を軽減する、そういう必要性があるのではないかなと思いますけれども、再考されませんか。副大臣、いかがでしょうか。
○長坂副大臣 委員お話しのように、災害型持続化給付金の事業対象者がスナックが含まれているというのも御指摘のとおりでございますけれども、他方、これまで、どのような事業者を支援策の対象とするかにつきましては、当該支援の趣旨や目的、過去の同様の制度における取扱いなどを踏まえまして個別に判断をしてきたところでございます。
ということで、繰り返しになりますけれども、スナックなどにつきましては、従前のグループ補助金においても支援の対象外でありましたので、したがって、その後継制度でありますなりわい再建支援補助金におきましても、これまでの災害における対応等も踏まえまして対象外といたしております。
○田村(貴)委員 福島沖の地震においても、グループ補助金の特例というのが設けられたと聞きました。これにおいても同じ対応を続けておられます。
災害というのは、今年またどういう大きいのが来るかも分かりません。私は、実際に、こういう事例があって、そこでもう行き詰まっている、だから、ここは柔軟に対応しないと復旧と再建が進まないということを、現地からの聞き取り、そして私自身も何度も見てまいりました。ここはやはりクリアしなければ、被災事業者は、苦しみのまま、再建できないということを、再度、経済産業省は聞き入れていただきたいというふうに思います。再考を強く求めたいというふうに思います。
質問の最後ですけれども、被災農家への支援について伺います。
去年から今年、大きな豪雪被害が起こりました。雪も解けて豪雪被害の全体像が明らかになってまいりましたけれども、農産物や果樹、家畜などに甚大な被害が起こりました。これらに対する被害補償というのは、基本的に保険や共済以外にないということであります。
一方、一万七千五百七十七件にも及ぶ農業用ハウスの被害については、強農、強い農業・担い手づくり総合支援交付金がありますね。しかし、一昨年の台風十九号などで発動されたこの交付金の被災農業者支援型、これが発動されていません。通常政策の一つである地域担い手育成支援タイプ、これで申請をしなければならないわけであります。
葉梨副大臣にお越しいただいております。
副大臣、この地域担い手育成支援タイプでは、その支援対象は中心経営体だけですよね。中心経営体以外の農家をなぜ救済してもらえないんでしょうか。
○葉梨副大臣 令和二年から三年までの今年の豪雪ですけれども、二月二日に支援の対策を公表させていただいています。私も一月に秋田県に訪れさせていただきました。これは、平成二十九年から三十年まで北陸を中心とした豪雪、これと大体同様の支援内容ということで組み立てさせていただいたんです。
中心経営体のお話なんですけれども、秋田の湯沢市でハウスが潰れてしまった農家があって、まだ中心経営体になっていなかったということなんですが、その場でも私伺いまして、現地、横手ですけれども、横手で市の人たち、県の人たちともお話ししたんですが、地域で話して、中心経営体にするように話合いをしてくださいというようなお話をさせていただきました。
御案内のように、強い農業・担い手づくり総合支援交付金、これは中心経営体と農地中間管理機構を活用している農業者が対象となっていますけれども、この中心経営体というのは、認定農業者等に限らず、地域の話合いによって決めることができます。ですから、市町村が策定する本事業の支援計画、国に提出するまでに中心経営体となっていれば支援を受けることが可能になります。
こういったことをよく周知いたしまして、本事業を活用して、被災された農業者の方々の一日も早い経営再建ができるよう、自治体とも連携して全力で取り組んでまいりたいと思います。
○田村(貴)委員 副大臣、湯沢の中心経営体になられたという話があったんですけれども、みんながみんな、そううまいこといく話じゃないんですよね。
例えば、あるキウイフルーツの果樹園が損壊した、この農家の方はこう言っています。もう六十代後半なので、今更中心と言われても困りますと。営農は続けたいと。また、ある兼業農家さん、中心経営体になるとほかの仕事に支障が出てくるからできないと言っておられるんですよ。それぞれ事情があるわけなんですよね。
政府は中心経営体に地域の農地を集約するように誘導してくれました。しかし、農村には様々な事情があって、中心経営体になっていない農家というのはたくさんあるわけです。そこをやはり踏まえないといけないと思います。
一方、被災農業者支援型というのは、これは対象を経営体に限っていません。それはなぜですか。
私が思うに、被災した農業者は国民の食料生産の担い手である、被災から早く立ち直っていただいて、そして生産が再開できるようにしなければならない、だから支援が必要だと。
被災農業者支援型では中心経営体に絞っていない、そういう意味であると思います。いかがですか。
○葉梨副大臣 農水省におきましては、甚大な自然災害が発生した際には、災害の状況などを踏まえながら、個別災害ごとに支援が必要かどうか、これを判断して対応してきたところでございます。
この被災支援型というのは、発動されましたのは、例えば昨年の七月豪雨、それから一昨年の台風十九号等々でございますが、過去に例のないような甚大な気象災害、これによって担い手の農業経営の安定化に支障を来す事態が発生したときに、特に緊急に対応を必要とする場合に限って発動する。
言ってみたら、地域で話合いをするいとまもないとか、そういったようなこともあろうかと思います。本当に面的にその地域がやられてしまっているというような状況もございます。
ですから、今回は実際に現場も見せていただいたんですけれども、確かに被災された農家というのは本当に大変だと思います。
それで、今の果樹のお話もございますが、営農の意欲があって、また、更に続けたいということであれば、この中心経営体というのは比較的柔軟な要件でございますので、そこをしっかり周知をしながら、経営再開ができるようにしっかり取り組んでいきたいなというふうに考えております。
○田村(貴)委員 農林水産省の食料・農業・農村基本計画では、中山間地等を今後も安定的に維持していくためには、小規模農家を始めとした多様な経営体がそれぞれにふさわしい農業経営を実現する必要があると言っています。
小規模家族農家、ここは中心経営体になることができないんですよね、こういう現実があるわけです。
そして、中心経営体にいる農家さんも、そうでない農家さんも、ハウスが倒壊した、そういう苦しみ、その再建のための思いというのは一緒なんですよ。なぜそこを差別するのかと。
そもそも、昨年からの豪雪による農業被害というのは、これは百億円を超えているわけですよ。甚大な被害じゃないですか。
あのときの災害は被災農業者支援型、今度の災害は地域担い手育成支援タイプ、その物差しもよくわからない。農家にとってみたら、この制度があって、実際災害が起きているんだったら、被災者型でやってほしいというのは当然のことじゃないですか。なぜ、被災者型を今回適用しないんですか。してください。副大臣、いかがですか。
○葉梨副大臣 繰り返しになりますけれども、被災者農業者支援型の発動については、その災害が特定非常災害、これに指定されるなど極めて深刻な災害の場合に限って措置しております。
昨年の七月の豪雨は、たしか予備費でございましたし、それから、十九号も補正予算ということでございます。今回は、通常の事業の中で、でも、やはり被災された方々については、しっかりと経営再建に取り組めるような形でパッケージを示させていただいたものです。
ちょっと繰り返しになりますけれども、非常に深刻な場合に限って措置されてきたというような今までの事例ですね、これとの均衡等も見ながら措置をさせていただいたものでございます。
○田村(貴)委員 安倍政権も菅政権も、こういう災害が起こったときにはできることは全て行うという立場じゃないですか。だから、スナックの一件に対しても今度の被災者向けにしても、これはできることの範囲内なんですよ。できることだったら、やはりやってください。そのことを強く要求して、今日の質問を終わります。
○金子委員長 次に、美延映夫君。
○美延委員 日本維新の会の美延映夫でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
早速質疑に入らせていただきます。
まず、コロナ禍における避難所の在り方についてお伺いしたいと思います。
このコロナ禍において避難所の在り方がクローズアップされておりますが、コロナ禍も加わった複合災害から身を守るためには、感染防止はもちろんのこと、これまで以上に、より質の高い避難所について考えていかなければなりません。
欧米の避難所との比較という観点から、避難所の在り方について私も考えていきたいと思うのですが、過去に数多くの避難所を私自身も視察をさせていただきました。その経験からも、一般の方々もイメージでこういうふうにお持ちだと思うんですけれども、避難所というのは、いまだに、体育館の床に段ボールやマットを敷いて寝ている大勢の被災者の方々を想像するということになるのではないでしょうか。
しかし、欧米の避難所では、必ず簡易ベッドが準備され、家族ごとにテントがあり、その中でプライバシーを守られた上で避難生活をするのが一般的になっています。日本でも、コロナ禍であることを受けて、密を避けて、衛生面や生活環境に留意した避難所が設けられつつありますが、まだこれは道半ばだと思います。
そこで、まず、簡易ベッドの必要性について考えてみたいと思います。
日本では、現在の雑魚寝形式の避難所ができたのは約百年前の関東大震災のときだと言われていますが、それ以来、長らく雑魚寝形式が続いてきました。二〇一八年の西日本豪雨災害では、多くの避難所で段ボール簡易ベッドが設置されましたが、発災後平均十日以上かかったようです。他方、欧米では、避難所開設後おおむね三日以内に簡易ベッドを設置している国が多いようです。
避難所は、幾ら環境整備をし、土足禁止にしたところで、大勢の人が行き来する、それがゆえに外からのほこりなどがたまります。また、マットや毛布、段ボールなどは完全に床からの冷気を遮断できないため、背中から冷えてくると安眠できず、健康を害するおそれもあります。
被災者の健康を維持するためには、避難所では速やかにベッドを使うようにするべきと思います。内閣府の避難所運営ガイドラインでは簡易ベッドの設置が明記されておりますし、昨今は必要に応じて国からのプッシュ支援も行われているとのことですが、いち早く簡易ベッドを設置できるように、ある程度の備蓄が必要かと思われます。
このような現状を踏まえて、近年の災害時の避難所における簡易ベッドの普及率、国及び自治体における簡易ベッドの備蓄状況はどのようになっているのか、まず教えていただけますでしょうか。
○荻澤政府参考人 消防庁では、災害発生時、自治体間の相互融通にも資するように、食料品でございますとか飲料水、また、生活に不可欠な毛布、トイレなどの備蓄状況等を調査し、公表しているところでございます。各自治体におきましては、それぞれの被害想定に応じた備蓄品目、数量が確保されているものというふうに認識しております。
私どもの調査対象品目でございますけれども、平成二十八年、新たに携帯トイレを加えるなど、必要に応じ、拡充しているところでございます。
ただいま御指摘のありました簡易ベッドでございますけれども、自治体の実情で申し上げますと、段ボール業界など民間事業者との協定に基づくいわゆる流通備蓄の活用、それを活用しての段ボールベッドの調達、これを想定している自治体も見られることから、現在は調査の対象としていないところでございます。
一方で、大規模災害の発生時には、各省庁の連携により、被災者支援に不可欠な物資を迅速に調達、輸送するプッシュ型支援が行われているところでございまして、令和二年の七月豪雨におきましても、熊本県に向けて、段ボールベッド千五百個など、必要な物資が支援されたものというふうに承知をしております。
こうした自治体における備蓄状況の把握については、こうした状況も踏まえまして、自治体の実情、また事務負担なども勘案しながら、関係省庁とも相談しながら対応してまいりたいというふうに考えております。
○美延委員 今まだ中に入っていないということを聞きましたので、是非、中に含めるように検討していただきたいと思います。
今、食事の話も出ましたけれども、日本の避難所における食事というのは、発災直後は、大体、パンとかおにぎりというのが一般的ですけれども、欧米では、早い段階から、避難所内で調理をして温かいままで被災者に提供していることが多いようです。特にイタリアでは、発災後早期から、食のボランティアとしてプロのコックがフードトラックで駆けつけ、避難所内で調理をすると聞いております。
被災により心身ともダメージを受けて、避難所での生活に疲れ切っている方々に温かい食事を提供することは大変重要だと思いますが、避難所の食事の現状、そして今後の改善点について教えていただけますでしょうか。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
避難所の生活環境の改善や適切な食事の提供というのは、政府としても、被災者を支援する上で極めて重要であると認識をしております。
このために、内閣府として、避難所の供与等に当たっての具体的な方法については、避難所運営の取組指針やガイドラインを自治体に周知をしておりまして、避難所の生活環境の改善、温かい食事の提供などの対応を求めているところでございます。
昨年七月豪雨災害におきましては、発災直後にこの通知の発出と災害救助法を活用した避難所の生活環境の整備、あるいは適温食の提供等を促しております。
自治体や避難所の個々のニーズや課題を把握して、パック御飯、レトルト食料、カップ麺等、食料のプッシュ型支援とともに、電子レンジ等も支援をしているところですけれども、まだまだ十分とは言えないところがあろうかと思いますけれども、災害対応については不断の見直しを行うという方針で、被災者へのきめ細やかな支援に努めてまいりたいと考えております。
○美延委員 それも是非進めていただきたいと思います。
また、コロナ禍の終息後を見据えて、現在は感染症対策として行われているパーソナルスペースの確保、これも恒常的なものにしていくべきだと思うんですけれども、避難所の環境向上対策の強化について大臣の御所見を伺います。
○小此木国務大臣 コロナの終息に向けては、ただいま政府としても、大勢の皆様方の御努力、御協力をいただきながら努力をしているところでございますけれども、コロナ禍の災害で、先ほども議論の中にございましたけれども、親戚、知人宅への避難ですとか、ホテル、旅館等を含めた多くの避難所の確保、パーティションや段ボールベッド等の活用による避難者のスペースの確保など、様々な取組が行われました。
国としても、避難所として活用の可能なホテル、旅館等や国の研修施設のリストの提供、パーティションや段ボールベッド等を備蓄してプッシュ型支援により被災地へ発送するなど、支援に努めてまいりました。
課題もございました。避難所の生活環境の改善は被災者支援の観点から重要であり、コロナ終息後においても、引き続き、パーティションや段ボールベッドの活用により避難所スペースの確保に努める等、コロナ禍における経験を生かし、避難所の生活改善、環境の改善のための取組を進めてまいりたいと存じます。
○美延委員 大臣、それもしっかりお願いいたします。
次に、日本海溝、千島海溝沖の巨大地震対策について伺いたいんですけれども、内閣府の有識者検討会は、昨年の四月に、北海道から東北の太平洋沖まで連なる日本海溝、千島海溝沿いの巨大地震について、想定されている最大クラスの地震・津波断層モデルの検討結果を公表されております。津波の高さが二十五メートルを超える地域もあり、青森県や岩手県北部では東日本大震災を超える高さになるとも言われております。
政府では、東日本大震災の教訓を踏まえ、昨年の四月に、防災対策実行会議において、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震対策検討ワーキンググループを設置されたと聞いております。このワーキンググループでは、二〇二〇年度を目途に、被害想定、防災対策について取りまとめを行うということを聞いておりますが、現時点において、この日本海溝、千島海溝沿いの巨大地震による人的、物的、経済的被害の想定はいかがなものでしょうか。そして、想定される被害を軽減するための防災対策はどのようなものでしょうか。殊に、被災想定区域には東日本大震災の被災地が含まれておりますので、震災後に取られました防災対策の効果なども踏まえて御説明いただけますでしょうか。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のワーキンググループでございますけれども、これまで、人的、物的、経済的被害を推計するための手法について、積雪等により避難速度が遅くなるといった積雪寒冷地特有の課題を検討してきたところでございます。
現在、被害想定手法の考え方について、おおむね取りまとまったところでございますけれども、人的、物的、経済的被害の推計作業については、今年の夏頃までには取りまとめられるように努めてまいりたいと考えております。
それから、防災対策の関係ですけれども、まず、東日本大震災の被災地では、津波防災まちづくりの議論を踏まえて、比較的発生頻度の高い津波を前提とした海岸堤防、この効果が発揮されるよう着実に現在整備が進められているところでございます。
一方、今回検討している日本海溝、千島海溝沿いの巨大地震による津波というのは、堤防等の施設のみでは防御することが困難な最大クラスの津波を想定しておりますことから、基本的には住民避難を軸とした対策が基本になると考えているところでございまして、このための対策の取りまとめは、やはり夏頃を目指して、検討をこれからまた引き続き進めていきたいというところでございます。
○美延委員 ありがとうございます。
昨年、内閣府から震災想定区域の浸水域予測図を公開した際に、当初は岩手県からは、住民の混乱を招く懸念があるとして非公表を要請されたということを聞きました。
私も、過去に南海トラフ地震のシミュレーション映像を見ましたが、そのときに一緒に見た皆さん、本当にびっくりされておられました。地震に対して正しく恐れるということは重要だと思うんですけれども、恐怖心を無駄にあおるのは、これはいかがなものかと思います。
先ほども申し上げましたように、被災想定区域に東日本大震災の被災地が含まれております。被災想定、防災対策を公表される際には、凄惨な被害想定の様相だけが独り歩きすることのないように御配慮いただきたいと思いますが、大臣の御所見を伺います。
○小此木国務大臣 非常に難しいことであると思って、率直な私の感覚ではありますけれども、昨年公表した日本海溝、千島海溝沿いの津波想定ですが、最大クラスの津波を対象として、復興事業等で整備している堤防が壊れるという条件であることから、岩手県の被災地で戸惑いの声があったということは私も承知しております。
このため、混乱が生じないよう県や市町村とともに密に調整を行い、内閣府として丁寧な対応に努めたところではありますけれども、この丁寧な対応というところがやはりどういうふうに伝わるのかということについてもしっかりと認識をしなければなりませんし、実際、それだけの大きなものが来るということも想定をしておかなければなりません。
現在、中央防災会議の下に設置したワーキンググループにおいて、最大クラスの津波に対して被害想定や防災対策は検討しているところでありますけれども、このワーキンググループには、北海道知事、釧路市長に加え、東日本大震災における被災自治体である岩手県釜石市長や青森県の八戸市長に委員として御参画いただいて、御意見を伺いながら検討を進めているところであります。
今後の被害想定等の公表に当たっては、各道県や市町村と連携しつつ、防災対策による効果を併せて示すことで、深刻な被害様相のみが独り歩きして住民の方々の不安をあおることがないよう配慮はしてまいりたいと存じます。
○美延委員 是非よろしくお願いいたします。
最後に、防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策についてお伺いいたします。
二〇一八年に、私の地元である大阪の北区、私が住まいしているところで震度六弱の地震が起きました。その際に、高槻市で、当時、登校途中の児童が倒れた小学校のブロック塀の下敷きになりお亡くなりになったという、もう本当に痛ましい事故がありました。
これを契機として、全国の学校施設のブロック塀の安全対策が施されているはずですけれども、安全対策の状況及び文科省の対応を教えていただけますでしょうか。
○笠原政府参考人 お答えいたします。
文部科学省といたしましては、このような痛ましい事故が二度と起こらぬよう、学校施設におけるブロック塀等の安全対策を早急に実施するため、平成三十年度に新たな臨時特例交付金を創設し、希望した全ての地方公共団体に対し補助金を交付するなどの支援を行うとともに、速やかに撤去や再整備といった安全対策の実施を要請してまいりました。
その結果、令和二年九月現在の調査におきましては、全学校数の九一・六%の学校において、ブロック塀等の安全対策が完了したところでございます。
なお、未完了のブロック塀等につきましては、学校設置者において優先度を判断いたしまして、人が近寄れない場所であり直ちに安全対策に着手ができないですとか、塀の高さがブロック塀一から三段程度で低いですとかなど、比較的危険性が低いものというふうに伺っております。しかしながら、この場合においても、立入禁止場所を区画し進入できなくする措置や、地震災害時における倒壊の危険性を示す表示の設置などによって、児童生徒への安全喚起措置を講じるようお願いしているところでございます。
今後も、文部科学省といたしましては、児童生徒の安全、安心を確保する観点から、安全対策が未完了のブロック塀等につきましては、学校設置者に対して撤去等の安全対策が早急に実施されるよう、引き続き指導してまいりたいと思います。
○美延委員 是非よろしくお願いいたします。まあまあ順調に進んでいるということを聞いて、少し安心はいたしました。
大阪北部地震をきっかけに、防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策というのができて、今年度で終了になりますけれども、総括はどうお考えになっているのか。この総括を受けて、次、五か年加速化対策に向けた取組をいかがなものになさるのか。国土強靱化を進めるに当たって、大臣の御決意を最後に伺わせていただけますでしょうか。
○小此木国務大臣 一昨年の東日本台風、今委員がおっしゃった地震のときも私この任にございまして、現地も訪れました。大変痛ましい思いをされました。若い命であったと思います。心から改めて哀悼の意を表する次第でありますけれども、そういう事態が重なり、多くの皆さんの防災あるいは事前防災、こういったものについての意識が、まだまだとはいえ、高まってきたということも私は事実だと思います。
そういう中で、支援もいただいて、三か年の対策につきましては、それぞれの自治体から、あるいは議員の皆様からも、よかった、是非これからも続けるべきだという声もいただいてまいりました。
インフラの老朽化の対策であったり、あるいは事前の小さな投資で、結局、大きな災害の後の被害を防ぐことができるという意味を含めて、五か年加速化対策をまとめて、実施し始めるところでございますので、更なる御支援を賜りたいと存じます。
○美延委員 ありがとうございました。
これで終わります。
○金子委員長 次に、古川元久君。
○古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。
先日、東日本大震災からちょうど十年を迎えましたが、先月も大きな余震が起きるなど東北地方は地震が続いておりますし、東北だけじゃなくて、この十年間、熊本地震を始め大変大きな地震や、あるいは、最近、全国各地でかなり中規模の地震が頻発しております。また、首都直下地震とか南海トラフ地震など甚大な被害をもたらす大地震の発生も、いつあってもおかしくない状況でありますから、こうやってやっている間に起きてもおかしくないという状況にあると思うんです。
ちょうど十年前の東日本大震災のときは、これは千年に一度の地震だというふうに言われて、よく想定外という言葉が使われましたけれども、今度こうした大地震が起きた場合に、想定外という言葉を使うことはもう許されないと思います。きちんとした備えをしておく必要があります。今日はそうした視点から質問したいと思います。
まず、さっき申し上げましたように、首都直下地震も、いつあってもおかしくない。私は、コロナでオリンピック・パラリンピックが一年延期になりましたけれども、ひょっとすると、首都直下地震とかがオリンピックの前とかに起きてオリンピックができなくなるとか、あるいは延期になるとか、そういうことがあるかもしれないなというふうに心配もしていたんですが、今もまだその心配がなくなっているわけではないと思うんですね。
万一、オリンピック・パラリンピック開催中に首都直下地震でも起きた場合に、選手とか関係者、まあ観客は入れるのかどうか分かりませんけれども、そういう場合の避難方法や、どこに避難するかなど、ちゃんと、首都直下地震のような大規模な地震が起きた場合への準備は怠りなく行われているかどうか、そのところを確認したいと思います。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
オリンピック・パラリンピックの開催期間中において、首都直下地震を始めとした災害対策を通じた安全の確保は不可欠でございます。
政府におきましては、内閣総理大臣を本部長とするオリパラ推進本部の下に設置されましたセキュリティ幹事会においてセキュリティ基本戦略を定め、災害対策を進めております。
具体的には、東京都や関係自治体、大会組織委員会と連携をして、首都直下地震を始めとした自然災害に対し、大会関係施設ごとに避難方法や避難場所等の計画を策定するとともに、それに基づく訓練を実施するなど、必要な取組を進めております。
政府といたしましては、選手や大会関係者、観客の方々の安全を確保できるよう、関係機関と緊密に連携し、必要な取組を進めてまいりたいと思います。
○古川(元)委員 今、訓練を進めていると言ったので、更に聞きますけれども、このコロナの状況で、後でも聞くんですけれども、ほとんど、いろいろなところ、去年あたり、防災訓練なんかできていないんですね。しかも、オリンピックは、状況が変化しています。このオリンピック開催までに、今言われたような計画に基づくか、あるいは、もう状況が変わっていますから変更を余儀なくされているとは思いますが、ちゃんと訓練をやりますか、どうですか。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
コロナ禍によって延期をされた後にも、コロナ禍を踏まえた訓練につきまして、なかなか全員集まって訓練をやることというのは難しいんですけれども、図上ですとか、そういった形で訓練を重ねているところでございます。
○古川(元)委員 図上とか頭の中でというのでは、やはりやってみないと、いろいろなことが起きるんですよね。
ですから、そこは、頭の中だけでやっていました、何か起きてうまくいかなかったときに、いやいや、それは図面上ではこうでしたけれども実際にはなんというのは、先ほど申し上げましたが、言い訳としては成り立ちませんからね。
いずれにしても、どのみち、オリンピック・パラリンピックをやるんだったら、それはそのとき人が集まって、当然、その中で感染防止をしながらですからね。やはりそこはきちんとやっていただきたいということをお願いしたいと思います。
これはオリンピック・パラリンピックなんですけれども、多分、大臣なんかの御地元もそうじゃないかと思うんですけれども、コロナが起きてから、大体毎年地域で防災訓練をやっているんですけれども、去年は私の地元でも全部中止になっちゃいました。消防団なんかのいろいろな訓練なんかも中止になっています。
これは多分全国的にそういう状況になっているんじゃないかなと思いますが、実際に、全国各地の防災訓練というのがこのコロナ禍でどういう状況なのか、この辺は国としては把握しているんでしょうか。
○荻澤政府参考人 消防庁では、全国の市町村防災訓練の実施状況について、年度ごとに調査、取りまとめを行っているところでございますけれども、令和二年度、昨年来の状況でございますけれども、これは年度末をもってまとめることにしておりまして、直近の状況は把握できておらないところでございます。
一方、国も関与する共同で行うような訓練について、令和二年度の実施状況についてお答えさせていただきます。
例年十一月、津波防災の日を中心に、内閣府さん、省庁さんと連携いたしまして、緊急地震速報の伝達、また、緊急地震速報の伝達を受けた場合の身を守るシェークアウト訓練等の実施状況を把握しておりますけれども、昨年の十一月の伝達訓練では、百七十五市町村においてシェークアウト訓練、四十の市町村で住民避難訓練が行われました。おおむね平年並みに行われたというふうに認識をしております。
一方で、例えば国民保護の共同訓練、これも国、地方で実施しているところでございますけれども、こちらにつきましては、一月、二月に実施を予定していたところについては、規模を縮小する、中止を余儀なくされたというところもございます。
各自治体におきましては、感染防止に最大限の配慮を行いながら、危機管理能力向上のためのできる限りの訓練を実施していただいているというふうに認識をしております。
○古川(元)委員 大臣、防災訓練は、やはり毎年繰り返しやらないとね。やっているといっても、毎月じゃないですからね、大体一年に一回とかそんなものですから、地域地域で。ですから、ずっと一年もやっていないと忘れちゃう人たちも多いんじゃないかと思いますし、かつ、コロナ禍で、避難方法とか避難所なんかが変わっている。一応、いろいろなそういう周知は、文書なんかでは回ったりもしているようなんですけれども、しかし、それを見ただけで、いざのときにそういうところに行けるのか、そういう行動ができるかというと、これはなかなか、やはり正直言って難しいんだと思うんです。
しかも、このコロナはまだまだ、首都圏も緊急事態宣言が解除されるようでありますが、しかし、今の全国の状況を見ていれば、まだこれからリバウンドするかもしれないし、従来のコロナ以前の状況に戻るにはまだしばらくかかると思います。
ですから、去年のような状況のままだったら、今年も多分、それぞれの地域の学区とかなんかでやっているような防災訓練は行われない。やはりこれじゃできないですねということになってしまうんじゃないかなと思うんです。
しかし、そういう状況の中でも、さっきから申し上げているような大きな災害というのはいつ起きてもおかしくないわけでありまして、やはり、そういうことを考えると、コロナ禍だから防災訓練ができないというんじゃなくて、こういうふうにすればできますから、こういうふうにやってくださいというふうに、何か国としてガイドラインを示して、各市町村、そういう末端末端でやっているところの防災訓練が今年は再開をできるように、それを国として促すべきじゃないかと思いますが、大臣、いかがお考えになりますか。
○小此木国務大臣 防災訓練とはまた別なんですけれども、今年に入って、先ほどからも議論がありましたように、新潟と福島に視察に行きました。現地の視察に私が行きましたけれども、共に緊急事態宣言下でありました。何が違うかというと、調査団の数を目いっぱい減らして参りました。防災部局ですから、各省庁と一緒に、ふだんはバス一台で動くということになりますけれども、四人ぐらい、SPを入れて五人ぐらいの中で、密の対策あるいはその他の対策も取りながら参りましたけれども、日頃行われている民間での、自治体での防災訓練も、そのような心がけといいますか注意が、普通の訓練と違って必要だと思います。
防災訓練の重要性、新型コロナウイルス感染症が拡大する状況下の中でありますので、内閣府として、新型コロナウイルス感染症対策に配慮した避難所の開設・運営訓練ガイドラインや関連する動画を今作成して、自治体に送っているところであります。本ガイドライン及び動画において避難所運営に際しての具体的な手順を示して、安全面に配慮しつつ訓練を実施することを促しているところであります。
また、津波防災の日、これは十一月五日でありますけれども、その前後の期間に地方公共団体で実施された地震・津波防災訓練において、コロナ禍で大人数が集まれないために人数を抑えて訓練を実施したが、その結果を後日ホームページで広く住民に伝えるなどの工夫を行っております。
引き続き、様々な、努力が行われたということを、しっかりと情報収集しながら、あるいは、できればそれは横に展開をすることも考えながら、いろいろな努力をしてまいりたいと存じます。
○古川(元)委員 動画やホームページというのも、それもいいんですけれども、大臣はお分かりになると思いますが、今、高齢化も進んでいて、しかも、何かあったときに、避難弱者とかそういう方が、高齢者とかそういう方々、なかなかそういう人たちは、そんな動画を見たりホームページを見たりできないんですよ。やはり実際に動いてみるということが大事だと思うんですね。
ですから、いろいろ制約はあると思いますけれども、ちゃんと、いざというときに命を守っていくためにはやはり日頃の訓練が大事ですから、そこは是非、国としても促していただきたいと思います。
次に、自衛隊の災害派遣についてお伺いしたいと思います。
このところ、何か災害が起きると、まずは自衛隊の皆さんに災害救助をお願いするというのが日常茶飯事になっています。
私の地元にも陸上自衛隊の第一〇師団の駐屯地がありまして、お話を伺うと、隊員の皆さん、一年のうち相当な日数、全国各地で起きる災害の支援に出向いていただいていまして、本当に頭が下がる思いであります。
極めて大規模な災害が起きた場合には、これは相当数の自衛隊員の皆さんの派遣が必要になるわけでありますが、一番今危惧されています、さっきから申し上げている首都直下地震とか南海トラフ地震が起きた場合には、自衛隊、どれくらいの数の災害派遣を想定しているのか、教えていただけますか。
○町田政府参考人 お答えいたします。
防衛省は、甚大な被害が想定されている首都直下地震や南海トラフ地震が発生した場合に迅速かつ組織的に派遣を実施するため、災害の対処計画を策定しております。
首都直下地震におきましては、密集市街地において発生する多数の被災者の方々の救助、そして首都中枢機能の早期回復、これを求められることが想定されます。
したがいまして、自衛隊としましては、ここで、地元に所在する地域担任部隊を始め、その被災状況に応じて全国の部隊を集中的に増援するということを計画しております。
また、南海トラフ地震につきましては、中部地方から九州地方までの極めて広い範囲において強い揺れや大きな津波による被害が発生する可能性があるところでございます。
したがいまして、これも自衛隊としては、地域の部隊、これに併せて全国からの救援部隊を計画しているところでございます。
具体的な数でございますけれども、まずは被害状況の速やかな把握に努めて、人命救助を最優先で行いつつ、双方共に最大十一万人の体制をもって当たることとしているところでございます。
○古川(元)委員 ありがとうございます。
東日本大震災の際は、たしか十万人規模の自衛隊員の皆さんに被災地に救援、支援に入っていただいたと思うんですけれども、当時、私は与党の方におりました。防衛警備上必要な人員を考えると、当初、やはりそれだけの動員には、かなり防衛省の方、自衛隊の方も難しいという話もあったんですが、お願いをして何とか出ていただいた、そういう記憶があります。
ですから、私は非常に心配している。今、十一万人という数字が出ました。我が国をめぐる安全保障環境は当時よりも厳しくなっている。ですから、移せない、動かせない部隊というのはやはりあるんですね。ですから、今想定の派遣、最大十一万、本当にそこで済むかどうかという、首都直下とか東南海なんかになりますと、被害想定は東日本よりも大きな想定もされているわけですから、そういう状況の中で、それで済むかどうかということもちょっと私も懸念がありますが、その点と、防衛警備上必要な人員はそれで十分ちゃんと維持、確保できるというふうに防衛省としては見ているんでしょうか。
○町田政府参考人 今申し上げました、防衛省・自衛隊におきましては計画を持っているところでございますが、一方で、我が国の防衛を主たる任務とするのが私たち自衛隊でございます。平素から、我が国周辺における警戒監視、情報収集を実施するとともに、これらの事態に即応できる態勢を維持しているところでございます。
防衛省としましては、双方の事態、いかなる事態におきましても、国民の生命、身体、安全を守り抜く、いわば最後のとりでであると考えております。
防衛警備、災害派遣のいずれにつきましても、全力を挙げて柔軟に適切に対応してまいる、そのように考えております。
○古川(元)委員 もちろん、本当に自衛隊の皆さんにはいつも全力で頑張っていただいていることは分かるんですけれども、でも、大臣、気持ちだけでやれるものじゃないですからね、本当に。
そういった意味では、自衛隊の全体の人員も含め、国防とそして災害対応と、本当に自衛隊の皆さん方がちゃんとやれるだけの人員はあるかどうか、やはりよくここも考えていかなきゃいけないんじゃないかと思います。
また同時に、最近、コロナでも自衛隊の皆さんにお手伝いいただいたりとか、そういうことがあるわけなんですが、自衛隊の皆さんは本当に迅速に、しかも、被災地なんかでも復旧を大変素早くドラスチックにやっていただけるので、大変ありがたいんですけれども、ともすると、逆に、余りにもそこで自衛隊の皆さんがやってくださるというのにちょっと頼り過ぎている嫌いもあるんじゃないかなと。
ですから、もう少し自衛隊の皆さんの負担を減らし、しかし、ちゃんと災害の復旧、即応できるための災害対応の在り方というものも、これだけ災害が頻発している、しかも大規模化している、そういう状況を考えますと、何でも自衛隊、自衛隊というだけでは、自衛隊の皆さんや、あるいは自衛隊のやらなきゃいけない国防との両立、そういう中で難しくなってくる部分も出てくるんじゃないかと思うんですが、この災害対応の在り方について考えるべきときに来ているんじゃないかと思いますが、最後に大臣の認識を伺いたいと思います。
○小此木国務大臣 安全保障の環境が非常にここ数年で厳しいものになっているということは認識しております、私の所管ではございませんけれども。
そういう中で、気候変動の変化と言われるように、災害の頻発、激甚、こういう言葉も使われる中で、ですからこそ自衛隊の皆さんには心から感謝をしておりますし、自衛隊だけじゃなくて、被災地に行けば、警察も消防も、いろいろな力が合わさって、現地の方々と一緒になって活動されておられます。
安全保障もそう、そして災害の頻発化もそう、そういう中で、おっしゃるように、これは考えていかなければいけません。
今までも、防衛省においても、大規模災害に際して十分な規模の部隊を迅速に輸送、展開して、初動対応に万全を期すため、輸送機などの装備品の充実や、災害派遣活動の拠点となる駐屯地や基地の機能の維持強化に取り組んできたところであります。これから更に災害派遣を効果的、効率的に実施する努力もしていかなければならないというふうに思います。
例えば、令和二年八月には、防衛省と環境省とが連携して、災害廃棄物の撤去等に係る連携対応のマニュアルを作成し、災害時における被災自治体、ボランティア等の関係者間の情報共有、調整など、協力体制の構築方法や、それぞれの役割分担などの整理をして、災害廃棄物の発生に円滑かつ迅速に対応する体制を整備してまいりました。
自衛隊の活動が長期化しないような工夫もしながら、これも政府全体で考えていかなければならないと思っています。
○古川(元)委員 時間になりましたので終わりますけれども、これだけ災害が多発、そして大規模化している中で、災害対応の在り方、しっかり国民の命を守っていくためには、やはりちょっとここは抜本的に見直す時期に来ているんじゃないかなということを最後に申し上げて、質問を終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。
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○金子委員長 この際、地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。
本件につきましては、先般来理事会等で御協議を願っておりましたが、協議が調いましたので、委員各位のお手元に配付いたしましたとおり委員長において起草案を作成いたしました。
本起草案の趣旨及び主な内容につきまして、委員長から御説明申し上げます。
地震防災対策特別措置法は、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、平成七年六月に、地震による災害から国民の生命、身体及び財産を保護するため、地震防災緊急事業五か年計画の作成及びこれに基づく事業に係る国の財政上の特別措置等について定めることにより、地震防災対策の強化を図り、もって社会の秩序の維持と公共の福祉の確保に資することを目的として、本委員会の提出により制定されたものであります。
本法に基づき、各都道府県においては、地震防災緊急事業五か年計画を定め、施設等の整備等を鋭意進めてきたところであります。しかしながら、近年も平成二十八年の熊本地震、平成三十年の大阪府北部地震、北海道胆振東部地震、本年の福島県沖地震を始めとして、日本各地で地震が多発し、また、首都直下地震等の発生が懸念されている現状に鑑みれば、地震防災対策のなお一層の充実強化を図る必要があります。
これまで、本法の地震防災緊急事業に係る国の負担又は補助の特例等に関する規定の有効期限につきましては、五年ごとに延長を行ってまいりました。現在、その期限は、本年三月三十一日までとなっております。
本案は、地震防災対策特別措置法の実施の状況に鑑み、同規定の有効期限を令和八年三月三十一日まで更に五年延長する改正を行おうとするものであります。
以上が、本起草案の提案の趣旨及びその内容であります。
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地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○金子委員長 この際、本起草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。小此木防災担当大臣。
○小此木国務大臣 本法律案の提出に際しての議員各位の御努力と御熱意に対し、深く敬意を表します。
政府といたしまして、本法律案について特に異存はございません。
御可決いただきました暁には、御趣旨を踏まえて、適切な運用に努め、地震防災緊急事業五か年計画に基づく事業が速やかに達成されますよう、関係省庁と密接な連携を取りつつ、事業の一層の推進を図ってまいります。
○金子委員長 お諮りいたします。
地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付しておりますとおりの起草案を委員会の成案とし、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○金子委員長 起立総員。よって、そのように決しました。
なお、ただいま決定いたしました本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十九分散会