第6号 令和3年5月20日(木曜日)
令和三年五月二十日(木曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 金子 恭之君
理事 小里 泰弘君 理事 工藤 彰三君
理事 原田 義昭君 理事 藤丸 敏君
理事 堀井 学君 理事 近藤 和也君
理事 早稲田夕季君 理事 大口 善徳君
井出 庸生君 岩田 和親君
大岡 敏孝君 門 博文君
金子 俊平君 神山 佐市君
佐藤 明男君 杉田 水脈君
鈴木 憲和君 平 将明君
高木 啓君 武部 新君
出畑 実君 中谷 真一君
中根 一幸君 根本 幸典君
原田 憲治君 深澤 陽一君
松本 文明君 山本 幸三君
阿部 知子君 池田 真紀君
岡島 一正君 柿沢 未途君
神谷 裕君 小宮山泰子君
佐藤 公治君 高木錬太郎君
山本和嘉子君 江田 康幸君
岡本 三成君 田村 貴昭君
美延 映夫君 高井 崇志君
古川 元久君
…………………………………
国務大臣
(国土強靱化担当)
(防災担当) 小此木八郎君
内閣府副大臣 赤澤 亮正君
復興副大臣 横山 信一君
内閣府大臣政務官 和田 義明君
総務大臣政務官 宮路 拓馬君
国土交通大臣政務官 朝日健太郎君
政府参考人
(内閣官房国土強靱化推進室次長) 五道 仁実君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 青柳 一郎君
政府参考人
(消防庁国民保護・防災部長) 荻澤 滋君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 長野 裕子君
政府参考人
(文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官) 笠原 隆君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 間 隆一郎君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 宮崎 敦文君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局長) 橋本 泰宏君
政府参考人
(中小企業庁経営支援部長) 村上 敬亮君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 黒田 昌義君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術審議官) 渡邉 浩司君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術参事官) 加藤 雅啓君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局長) 井上 智夫君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 吉岡 幹夫君
衆議院調査局第三特別調査室長 名雲 茂之君
―――――――――――――
委員の異動
五月二十日
辞任 補欠選任
武部 新君 門 博文君
原田 憲治君 佐藤 明男君
高木錬太郎君 阿部 知子君
古川 元久君 高井 崇志君
同日
辞任 補欠選任
門 博文君 武部 新君
佐藤 明男君 原田 憲治君
阿部 知子君 高木錬太郎君
高井 崇志君 古川 元久君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
災害対策に関する件
自然災害義援金に係る差押禁止等に関する法律案起草の件
――――◇―――――
○金子委員長 これより会議を開きます。
災害対策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房国土強靱化推進室次長五道仁実君、内閣府政策統括官青柳一郎君、消防庁国民保護・防災部長荻澤滋君、文部科学省大臣官房審議官長野裕子君、文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官笠原隆君、厚生労働省大臣官房審議官間隆一郎君、厚生労働省大臣官房審議官宮崎敦文君、厚生労働省社会・援護局長橋本泰宏君、中小企業庁経営支援部長村上敬亮君、国土交通省大臣官房審議官黒田昌義君、国土交通省大臣官房技術審議官渡邉浩司君、国土交通省大臣官房技術参事官加藤雅啓君、国土交通省水管理・国土保全局長井上智夫君及び国土交通省道路局長吉岡幹夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○金子委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。根本幸典君。
○根本(幸)委員 おはようございます。自民党の根本幸典です。
今日は、災害対策特別委員会で質問の時間をいただいたことに心から御礼申し上げたいと思います。
それでは、早速質問をさせていただきますが、まず最初は、避難所におけるコロナ対策についてお伺いをしたいというふうに思います。
新型コロナウイルス感染症の感染状況は、緊急事態宣言が発令されるなど、全国において大変厳しい状況であります。こうした中、西日本から中日本にかけて順次梅雨入りが発表され、梅雨期に入っていますが、近年、台風や豪雨による被害が激甚化している中、災害時の避難所のコロナ対策が大変重要になってまいります。昨年の九州地方を襲った令和二年七月豪雨などの災害時の経験も踏まえて、三密回避などの観点から徹底が必要だというふうに考えております。
各自治体で準備が進められているところでありますが、住民が避難することとなったときの避難所における新型コロナウイルス感染症対策について、政府ではどのような対策を講じているのか、お伺いをします。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症の現下の状況におきましては、避難所におけるいわゆる三つの密の回避など、新型コロナウイルス感染症の感染防止には十分留意する必要がございます。
このため、内閣府におきましては、昨年から、安全な親戚、友人宅等への避難の検討の周知ですとか、ホテル、旅館等の活用も含めた可能な限り多くの避難所の確保、また、避難所におけるマスク、消毒液等の用意など避難所の衛生管理、パーティション等を活用した避難者スペースの十分な確保等について事前の準備を促すとともに、避難所の具体的なレイアウト図や動線の参考例をお示しするなどして、取組を推進するための助言に努めてきたところでございます。
逐次、災害、令和二年七月豪雨における経験もございますけれども、おおむね感染症対策が避難所において行われてきたということで、この七月豪雨の経験を踏まえまして、今般、各地方公共団体における新型コロナウイルス感染症対策の取組について取組事例集というものを作成して、コロナ禍における避難所運営や訓練の取組事例ですとか、ホテル、旅館等の活用に向けた取組事例など、全国の自治体に対しまして五月十一日に周知をしたところでございます。
また、国としても、段ボールベッドやパーティション等の備蓄、物資調達・輸送調整等支援システムの整備等、プッシュ型で迅速に必要な物資を支援する体制の強化も図っているところでございまして、現下の感染状況を踏まえて、関係省庁、自治体と連携して、避難所の新型コロナウイルス感染症対策、一層徹底に努めてまいりたいと考えております。
○根本(幸)委員 ありがとうございます。
今日も、九州から雨が降って、さあ避難どうしようか、コロナ対策どうかなと御心配の方もいらっしゃるかと思います。今の答弁を聞きますと、国も各自治体にしっかりと要請をしているということでありますので、まずは命が大事ですから、新型コロナウイルス感染症はしっかりやっていますので是非避難所に、こういうことではないのかなというふうに思います。
その上でさらに、避難所が学校の体育館を使うということが多くなるのではないかなというふうに思います。近年、猛暑が続く中、熱中症対策のためにエアコンを設置していくこと、これが非常に私は重要ではないのかな、体育館にエアコンを設置することが重要ではないのかなというふうに思います。その一方で、普通、体育館は壁とか窓、さらに屋根が断熱化されていない。そのために、エアコンを仮に置いたとしても、熱効率が悪い、電気代がかかる、こういうような状況だというふうに思います。
そこで、快適な避難所にするため、体育館の断熱性を確保した上でエアコンの設置をすることが大切だというふうに私は思いますが、政府の対策についてお伺いをしたいというふうに思います。
○笠原政府参考人 お答え申し上げます。
学校施設は、児童生徒の学習、生活の場であるばかりではなく、災害時の避難所としての役割も果たすことから、季節にかかわらず良好な環境となるよう、空調設備の設置は重要であると考えております。
これまで文部科学省におきましては、公立小中学校の施設について、まずは児童生徒が長い時間を過ごす教室への空調設置を優先して支援してまいりましたけれども、教育環境の改善を一層促進するとともに避難所としての機能強化を図るため、断熱性が確保されている体育館への空調設置についても支援を進めております。
また、空調設備の設置と併せまして、断熱性の確保のための工事を実施する場合についても、その経費を国庫補助の対象としてございます。
今後とも、安全、安心な教育環境と快適な避難所環境の確保のための取組が進むよう、各地方公共団体と密接に連携しながらその取組をしっかりと支援してまいりたいと思っております。
○根本(幸)委員 ありがとうございます。
昨年、私の地元でも、公立の小中学校に、各教室にエアコンをつけていただいて、お子さんは快適な中で、コロナですから少し窓を開けながら、それでもエアコンをつけて快適な授業を受けられました。これから体育館もなかなか暑くて、七月ぐらいになると、外で運動もできない。じゃ、中でやるといっても大変だ。さらには、災害のときには、私も夏とかに体育館に行くことがあるんですが、本当に暑いんですよね。あそこで避難をするというと、ちょっと大変なんだろうなと。そして、若い人だけじゃなくて高齢者もいらっしゃいますから、やはり、こういったことも是非更に加速していただければというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
それから、引き続いてまた避難所のコロナ対策でありますが、コロナ禍において、避難所において三密を避けるために多くの避難所を確保することは大事ですが、特に、先ほどの答弁の中にありましたが、ホテルや旅館を活用した避難を進めることが重要だというふうに思います。災害が激甚化する中で、避難生活が長期化した場合には要配慮者の避難先としても有効です。昨年の七月豪雨ではホテルや旅館を活用した取組が行われましたが、これまでの災害におけるホテルや旅館の活用の状況と、活用の促進に向けた今後の政府の対策についてお伺いをします。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
ホテル、旅館の活用の関係につきましては、これまで国においては、自治体に対して、事前にホテル、旅館等と協定を結ぶなどの準備を促すこと、あるいは、避難所として活用できるホテルや旅館のリストを自治体に対して提供する、また、ホテル、旅館等の借り上げに要する費用については新型コロナウイルス感染症対応の地方創生臨時交付金の活用が可能であるといったことの周知などを行ってきたところでございます。
昨年の七月豪雨においては、三百五十名以上の避難者の方々が二十か所のホテル、旅館を利用したということでございまして、熊本県では、県下全域で受入れ可能なホテル、旅館を確保して、県が主導して要配慮者等の避難者をあっせんするなどの対応を行ってきたと承知しております。
また、その後の令和二年の台風十号におきましては、一部の避難所において収容人数に達して、ほかの避難所を紹介するなどした事例があったということで、その状況について調査をして、ホテル、旅館等の利用や予約状況の共有といった円滑な避難のための留意事項も整理して、自治体宛てに通知をしたところでございます。
また、先ほど申し上げました感染症対策等の取組事例集の中でも、ホテル、旅館等を避難所として活用した事例、避難所の開設状況を適切に住民に周知した事例というものを示しているところでございまして、現下の感染状況を踏まえて、ホテル、旅館等の活用も含めて、できる限り多くの避難所を確保できるように、自治体の取組を一層支援できるように助言を行ってまいりたいと思います。
○根本(幸)委員 ありがとうございます。
まさにこれから雨が多くなる季節が始まりますので、是非、避難所のコロナ対策を万全にしていただいて、避難をされる方が安心して避難できるように対策を打っていただきたいというふうに思います。
続いて、新型コロナウイルス感染症が拡大する中での防災訓練の実施についてお伺いをしたいというふうに思います。
防災訓練は、地域住民に防災について考えていただいたり、さらには、災害発生時に近隣の安全な避難場所への避難行動など具体的な行動を取っていただく、防災上、非常に重要な機会だというふうに思います。
特に、東日本大震災以降、防災に対する住民の意識が高くなって、防災訓練が各地で行われています。私の地元でも、各学区というか単位で継続してやっていただいていますが、その一方で、新型コロナウイルス感染症が拡大する中で防災訓練をこれまでのように実施するというのがなかなか難しくなっているという現状もあります。私の地元でも、今まで十年間、更にその前からずっとやっていた訓練、これによっていろいろなノウハウが積み重なってきたんですが、去年とかは、残念ながら、防災訓練を中止したり、さらには縮小して、こんなケースがあるというふうに耳にしています。
もちろん、防災訓練は一か所に多くの人が集まるということで、感染拡大の観点から中止をしたり縮小するというのはやむを得ない事情もあるのかなというふうに思いますが、しかし、やはりコロナ禍においても訓練を実施していくということは私は大切なことだというふうに思います。
もちろん、コロナ禍においても当然災害というのは起こりますから、そういった観点も含めてしっかりとやっていくこと、さらには、その防災訓練というのは、地域のコミュニティーのきずなをしっかりとつくっていく、こういった絶好の機会でもありますので、こういったノウハウの蓄積だったり、住民の連帯を失わない、こういう意味で是非、私は進めていただきたいと思います。
そこで、お伺いをしたいのが、コロナ禍によって防災訓練が取りやめられる例もありますけれども、地域における防災訓練の継続に関する国の取組についてお伺いをしたいというふうに思います。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症が拡大する状況下におきましても、防災訓練を継続的に実施することは重要であると認識をいたしております。
このため、まず、今年度の総合防災訓練大綱、今後間もなく中央防災会議で決定する予定でございますけれども、ここにおいても、感染症の拡大防止を徹底しつつ、可能な限り訓練を行うこと、また、訓練内容に、必要に応じて感染症対策に関する項目を取り入れること、こういったことを地方公共団体に促すように準備を今進めているところでございます。
一方で、どういうふうにやるんだというところがございますので、内閣府として、感染症に配慮した訓練を実施する方法を具体的にまとめた、新型コロナウイルス感染症対策に配慮した避難所開設・運営訓練ガイドラインというガイドラインを、これは昨年発出しておるところですけれども、関連する動画というものも作成をして、避難所運営に際しての具体的な手順を示して、安全面に配慮しつつ、訓練を実施することを促しているところでございます。
こういった取組を通して、委員御指摘のとおり、引き続き、地方公共団体が安全面に配慮しつつ、継続的に訓練を実施することによって地域の防災力の維持向上が図られるように努めてまいりたいと考えております。
○根本(幸)委員 ありがとうございます。
やはり、コロナ禍ですと、避難所までの動線をどうするとか、あと、発熱したときにどうするとか、いろいろ、訓練をされながら多分、皆さん、悩まれたりいろいろ考えられるので、是非、今言ったように、いろいろな形で国の方からも情報を提供して、引き続きこの訓練をしていただければというふうに思います。
そして、最後の質問になりますが、本日、災害対策基本法の一部を改正する法律が施行されました。本法律は、令和元年東日本台風等の教訓を踏まえて、災害時における逃げ遅れが生じないよう、避難勧告、避難指示の一本化、個別避難計画の作成など、円滑かつ迅速な避難の確保を図るとともに、災害が発生するおそれ段階での国の災害対策本部の設置を可能とするなど、災害対策の実施体制の強化を図るものです。
このうち、避難勧告、避難指示の避難指示への一本化によって分かりやすい避難情報となることは、逃げ遅れを防ぎ、国民一人一人の命を守るために非常に重要な改正であるというふうに考えております。
そこで、最後にお尋ねしますが、避難情報の発令については、市町村が適切な運用を行うとともに、受け手側である国民が十分に情報の意味を理解することが必要であると考えますが、これから本格的な梅雨期に入ることを踏まえて、新たな避難情報の周知の取組についてお伺いをします。
○小此木国務大臣 おはようございます。
先般、委員長を始め、この委員会の皆様の御尽力によりまして、改正案が成立いたしました。おっしゃるように、本日からその施行ということになります。
新たな避難情報について、今日からの施行で市町村により円滑に運用されるとともに、住民にその内容が理解されるように周知徹底することは極めて重要であります。
新たな避難情報の周知について、指定公共機関等の協力を得て、例えば、これまでに、全国のイトーヨーカドー、JRの鉄道駅でのポスター掲示を開始しております。政府広報としては、ヤフーのバナー広告での表示を始めております。今後は、全国のコンビニエンスストアのレジのディスプレーへの表示や郵便局でのポスター掲示を速やかに行っていく予定であります。さらに、関係省庁や市町村と連携して、自治体庁舎はもとより、学校や病院、社会福祉施設での掲示も進めておりまして、関係者が一体となって周知、普及、啓発を行っているところであります。
また、市町村における避難情報の適切な運用が図られるよう、各市町村が避難情報の発令基準を見直す際の参考とする避難情報に関するガイドラインを改定して公表したところであります。
なお、三月のガイドラインの改定案の段階で実施した市町村向けのオンライン説明会、この動画がありますが、現在でも視聴可能としていることから、改めて視聴し、理解を深めてもらうよう働きかけをしております。
本格的な梅雨期を迎えておりまして、改正法の施行による新たな避難情報が適切に運用されて住民の理解が促進されるよう、関係機関と更に連携して、引き続き周知、普及、啓発に万全を期してまいります。
○根本(幸)委員 ありがとうございます。
今日も、朝のニュースを見ていましたら、朝のニュースの中でも、避難指示への一本化、これに関して解説も加えていただいていました。そういう意味では、国民の皆さん、今日から始まって、まさに今日も、九州始め、私のところ、東海の方も夕方からは大雨になる、こういう話ですから、大変緊迫した状況の中で今日から変わるということでありますので、是非またいろいろな形で周知徹底をして、まずは逃げ遅れがないように、一人でも多くの皆さんがきちんと避難所等々に逃げていただくように周知徹底を図っていただければというふうに思います。
いよいよ雨の多い季節になってきましたので、その一方で、コロナというものと私たちは戦っていかなきゃいけないわけでありますから、同時に、災害とコロナ、ここを是非、国民の皆さんにしっかりと伝わるように、引き続き御努力いただくことをお願い申し上げ、私の質疑を終わります。
ありがとうございました。
○金子委員長 次に、深澤陽一君。
○深澤委員 自由民主党の深澤陽一でございます。
本日は、災害特、災対特の場で初めて質問に立たせていただきます。理事の皆様には、貴重な機会をいただきまして、本当に心から感謝を申し上げたいというふうに思います。
早速でありますが、質問に入らせていただきます。
今日は、地元ネタを中心に少し、四点ほど質問させていただきますが、我が国が誇る海洋研究機関であるJAMSTECは様々な研究船や探査機を保有しておりますが、そのシンボル的な存在である「ちきゅう」は、私の地元の清水港を実質母港として活用をいただいております。
この御縁をきっかけとして、清水港湾内の施設にJAMSTECの研究成果の常設展示を開いていただいたり、様々な機会で研究員の方の御講演を行っていただいたり、JAMSTECの協力を得て、静岡市が将来的には海洋研究拠点を整備していく計画を立てるなど、港町の魅力の一役を担っていただく存在となっております。
また、清水港と同じく「ちきゅう」の実質母港となっている八戸市とともに、JAMSTEC関連施設のある横浜市、横須賀市、神戸市の市議会が協力し、我が国の海洋研究を推進する市議会議員連盟が立ち上がるなど、「ちきゅう」の存在は地域を結び、その成果は多くの人々に期待されるものとなっております。
その「ちきゅう」の活動として、地球環境や海洋環境、海洋資源の調査研究を行う科学掘削があり、また、石油などの掘削を行う民間に活用いただく業務もあり、そして、地震や火山活動の調査研究のために地震計を設置するための掘削などがあると伺っております。
今回は災害特の場ということで、地震の観点で申し上げますが、地震の予知というのはいまだに大変難しい中で、海溝型地震の予兆及び発生を即時に捉えるシステムは大変重要であり、海底の掘削を利用した地震計の活用を広めることは国土強靱化にも資するものと思います。
そういった観点で、これからも「ちきゅう」が活用面でも財政面でも心配なく、安定的に活動し続けることが重要だと感じておりまして、その運用を国がしっかりと支援して適切に進めることが重要であると考えますが、その点について政府参考人からお考えをお伺いしたいと思います。
○長野政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の地球深部探査船「ちきゅう」は、世界最高水準の科学掘削能力を有し、我が国の地震防災に資する科学的成果を創出してきたというふうに認識してございます。
具体的には、二〇一一年に発生した東北地方太平洋沖地震のプレート境界断層の掘削による巨大海溝型地震発生時における断層のすべりメカニズムの解明、また、委員御指摘の、掘削孔を利用したリアルタイムでの地震動などの観測による南海トラフプレート境界の活動状況の把握、さらに、南海トラフ地震発生帯の掘削により、科学掘削として世界最深となる海底下三千二百六十二・五メートルの到達や、地層試料の採取、分析に基づく一九四四年発生の東南海地震断層や海溝軸付近での地震性すべり断層の発見など、様々な成果を上げてきたところでございます。
文部科学省といたしましては、今後も、海溝型地震などへの防災に資するため、関係機関などと連携して、地球深部探査船「ちきゅう」を最大限に活用し、掘削孔を活用した観測などの取組を進めてまいる所存でございます。
○深澤委員 御答弁ありがとうございました。
まさに「ちきゅう」、「ちきゅう」だけじゃなくてJAMSTECの活動自体が世界最高水準だというふうに認識をしております。
一方で、今、先ほども私申し上げましたけれども、石油掘削などの民間活用。例えば、「ちきゅう」などは、そういった民間からの仕事、委託を受けて、そこで利益を上げて一年間の費用を賄っているという実態もあります。そういった意味では、民間の仕事に影響されてしまう側面もあるということで、是非ともこういう世界最高水準を国として守っていただきたい、そんなことを、実質母港の一部といたしまして、地域としまして、お願いを再度させていただきます。よろしくお願いします。
続きまして、地元の鉄道、道路に関する防災対策についてお伺いしたいと思います。
私の地元、静岡市清水区の由比―興津間は、国道一号線、東名高速道路、東海道本線が集中し、以前から交通のボトルネックとして課題としている地域であります。
国道一号線に関しては、一日の交通量が六万台から七万台ほどであり、また、東海道本線に関しては、ここを通過する鉄道貨物が日本の鉄道貨物のおよそ五割と言われております。そのため、地すべり対策事業、高潮対策事業、長年にわたり国としてこの区間の防災対策を行っていただいていることに心から感謝を申し上げたいと思います。
このテーマに関しましては、実は、私は昨年四月に初当選させていただきましたけれども、先代の望月義夫先生、前々委員長でもあります望月先生が国会初当選のときの、国土交通委員会での初質問がこの地域のテーマでありました。そういった意味でも、そのぐらい長い間、この防災対策を続けていただいている、また様々な課題があるということで、国の方には本当に心から感謝を申し上げますとともに、引き続き様々な課題に取り組んでいただきたい、積極的に御協力をいただきたいと思います。
さて、その中で、まだまだ難しい課題も残っており、二つほど今日はお伺いしたいと思います。
一つ目は、越波対策であります。この区間の越波は、波が道路にかかることが問題なのではなく、波に交ざった石や流木が車の走行に支障を来すことが問題となっております。それにより、東名、国一共に通行止めになることが何度もありました。現在、越波対策としてフェンスの設置もいただいておりますが、根本的には解消されないものと思います。この越波対策が一点目。
二つ目として、この区間の東名、国一が通行止めになった場合、最近は、車のナビゲーションがよくも悪くも性能が高く、迂回のための農道や林道を案内いたします。そうすると、そこは車のすれ違いができない道幅であり、以前、そこに大型車が入り込んで対向車とすれ違えず、数時間かけてバックをしたということがありました。
ほかの地域でもこのような事例はあると思いますが、交通量など利用度から考えて、この地域にもう一つすれ違いのできる道路を造る必要があると私は期待をしておりますが、この交通課題が二点目です。
国として、この二点についてどのようにお考えになられるのか、政府参考人から御答弁をお願いいたします。
○吉岡政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘の由比から興津までの区間につきましては、一日当たり、東名と国道一号合わせて十万台の交通が通っているという大動脈でございまして、そうした中で、海岸線とサッタ山に挟まれた狭隘な地域に通過しているということでございます。
国道一号のこの区間でございますけれども、平成二十三年度以降、十年間で越波による通行止めは三回発生しているということで、この三回とも、東名高速も同時に通行止めしているという状況でございます。特に、平成二十九年の十月の台風二十一号によりまして、約十時間にわたるような、超えるような長時間にわたって通行止めが発生したということでございます。
これを受けまして、海岸線に近接し、過去に被災履歴があります国道一号の約三・一キロの区間で、平成三十年より、越波飛散防止、越波の飛散するものを防止するための柵の設置を開始いたしまして、昨年度までに約二・六キロの区間で設置を完了したというところでございます。
この越波飛散防止柵は、約三メートルの高さがありまして、一定程度の越波に対して、お話ありましたとおり、流木等の飛散を防止し、通行止めを回避するような機能があるということでございますけれども、一方、大規模な越波に対しましては、飛散物の量を軽減させ、通行止めの時間を短縮させる機能はあるものの、要するに、片づけやすくなるということでございますけれども、越波による飛散を完全に防ぐことは困難であるというふうに認識してございます。
また、御指摘の国道一号、由比から興津までの区間の周辺の道路については、ナビのお話もございましたけれども、大型車のすれ違いが困難な幅員の狭い箇所が多くあるという認識でおりまして、東名高速や国道一号が通行止めになった際の代替路が確保されているとは言い難いというような状況かなというふうに思ってございます。
このため、国土交通省といたしましては、東名高速や国道一号の通行止め発生時に当該区間を通過する広域的な交通に関しましては、御承知のとおり並行する新東名ができてございますので、その利用をいただくように、引き続き広域での迂回の誘導を徹底してまいるとともに、一方、国道一号等の通行止め時における地域交通の確保につきましては、関係自治体とも連携しながら、異常気象時の地域交通の在り方や、それを踏まえる代替路の必要性について検討していきたいというふうに考えているところでございます。
○深澤委員 御答弁ありがとうございました。
まさになかなか厳しい地域でありますので、短期的に何か課題が解消されるとは思っておりませんが、今の二点目の方、道路に関しましては、広域的には、国交省がしっかりと、基幹道路を含めて整備していただいております。
ただ、地域的な課題に関してはとありましたけれども、どうしても、地域的な課題になると、地方自治体の単独の財政に頼ってしまうところがあって、そこは計画も規模が非常に小さいものになります。そういった意味でも、すれ違いができるという意味の計画まではまだ至っていない、地方自治体単独ではなかなか計画が出せないような状況でありますので、そこは、知恵の部分も含めて、国交省が、また国の方でアドバイスまた御支援を賜れればありがたいなというふうに思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いしたいと思います。
続きまして、防潮堤整備についてお伺いしたいと思います。
東日本大震災によって、津波対策の重要性は国民の誰もが理解するものとなりましたが、私の地元も含めて、この十年で全て整ったわけではありません。内閣府、国交省など、国として、まずは、津波対策が必要な全ての地域の事業が着実に進むように、御尽力をお願いしたいと思います。
さて、津波あるいは高潮へのハード対策として防潮堤整備は欠かせません。国交省は、直轄事業や地方自治体への交付金事業、あるいは補助事業といった様々な形で防潮堤事業を進めてこられたと認識をしております。
しかし、近年は、温暖化の影響により海面上昇が起き、それに伴う津波被害の深刻化が懸念されております。既に、防潮堤に関して、国交省は、海面上昇分を新規事業に組み込んで行うといった考えを示していただいておりますし、既存のものに関しては、消波ブロックでの補強や改良によって対応する考え方も示していただいておりますが、例えば、IPCCの報告によると、二一〇〇年の最悪のシナリオとして、世界の平均海面の上昇が一・一メートルほど起こり得るとされております。
国交省としては、今後、新規の防潮堤を整備するに当たって、どの時点の海面水位を基準として防潮堤の規模を決定されていくのか。防潮堤だけでなく、様々な津波対策そして高潮対策にも反映されるものでありますので、その基となる考え方を御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。
○加藤政府参考人 お答え申し上げます。
令和元年九月にIPCCが公表した海洋・雪氷圏特別報告書によりますと、二一〇〇年の世界の平均海面水位は、一九八六年から二〇〇五年の期間と比較して、RCP八・五、いわゆる四度上昇のシナリオの場合、最大一・一〇メートル、また、RCP二・六、いわゆる二度上昇のシナリオの場合、最大〇・五九メートル上昇するとされています。
これを受けまして、海岸省庁では、令和元年十月に有識者委員会を設置して、気候変動を踏まえた海岸保全の在り方について検討し、令和二年七月に提言をいただいたところでございます。
同提言において、今後の海岸保全の在り方として、まず、海面水位の上昇は、気候変動に関する国際的枠組みであるパリ協定における目標を踏まえ、RCP二・六を前提とすること、そして、海岸保全施設の整備、更新に当たっては、その時点における朔望平均満潮位に、施設の耐用年数の間に予測される平均海面水位の上昇量を加味するといった方向性が示されています。
これを踏まえ、海岸省庁では、令和二年十一月に、海岸法第二条の二に定める海岸保全基本方針を変更し、また、同法第十四条に定める海岸保全施設の技術上の基準の改正を進めているところであり、今後、具体的な防潮堤の高さ等の定め方について海岸管理者に技術的助言を実施してまいります。
○深澤委員 御説明ありがとうございました。
この質問をしていて、ああそうだ、大変失礼したなというふうに思います。二一〇〇年に一・一メートルという事例を出しましたけれども、今まさに、菅政権の中で二〇五〇年までにカーボンニュートラルをというふうに目指しているところで、そんな中で、当然、RCP二・六、〇・五九がマックスだというところを目指しているというところで、まずそこが前提だということは私もしっかりと肝に銘じて、温暖化対策に取り組む、協力をしていきたいと思います。
そのような前提の中で、そこを基準に、しっかりとこの考え方を組み込んでいただけるというふうなことは分かりました。新規だけでなく、補強あるいは改良というものは新規と違う側面がありますので、地域の実態に合わせて、しっかりと高潮対策、津波対策の事業に関しては必要なものは必要なところで進めていただければ、国土強靱化に、進めていただければありがたいなというふうに思いますので、お願い申し上げます。
それでは、最後の質問をさせていただきます。
富士山のハザードマップについてお伺いをさせていただきます。
令和三年三月、富士山ハザードマップの最新の調査研究に基づいた見直しが行われ、改定版が公表されました。今回は、溶岩流、火砕流、融雪型火山泥流について最大規模の見直しが行われ、加えて、新たな火口も見つかり、それらにより被害想定も広範囲に広がることになりました。
この公表に対し、地元の受け止めとしては、まずは、被害想定が拡大したことにより、今まで対象でなかった方々に認識してもらう課題が出たこと、噴火は過去の噴火口付近から起こる可能性が高いと言われており、富士宮市では、市街地に近い場所で新たな噴火口が見つかったため、今まで以上に避難を早くしなければいけない地域が発生したこと等が課題として捉えられております。
国に以前から要望も出ているようですが、小さな火山活動でも察知する最新の観測機器を用いた観測体制の強化に取り組んでいただきたいということは当然でありますが、それでも、どこからどの程度の噴火が起き、どのような状況になるのか想像がしにくい中、国民が正しく恐れ、避難に協力しやすい環境づくりに積極的に取り組む必要があると考えますが、富士山ハザードマップ改定に当たり、国としてどのように受け止めておられるのか、御答弁をお願いしたいと思います。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
今般、令和三年三月に、富士山の噴火に備え富士山ハザードマップ改定が行われまして、神奈川県の相模原市ですとか山梨県の大月市、また静岡でも静岡市や沼津市など、新たに避難が必要となった地域がございますし、また、富士宮市などは、今まで以上に早く避難が必要となった地域というものが生じているところでございます。これらの方々に対しまして、関係する住民等に富士山噴火のリスクと取るべき行動を正しく理解していただくということは、極めて、当然重要なことであると認識しております。
今回の富士山ハザードマップの改定を受けて、今後、具体的な避難の内容を定める避難計画の改定というのを早急に進める必要がございますが、地元の火山防災協議会、富士山の場合には、内閣府、我々も入っておりますけれども、国土交通省、気象庁といった国の機関も参画して、しっかりと検討を進めていきたいというところがまず一点でございます。
それから、富士山の噴火に備えて、想定される被害に応じた訓練、また火山災害に関する防災教育等を通じて周知啓発に取り組むことが重要であると考えておりまして、内閣府として、住民等を対象とした訓練や講演会に火山防災の専門家を派遣するなど、必要な支援に取り組んでいきたいと考えてございます。
引き続き、関係機関、国の各省庁、協力して、富士山の火山防災の取組を推進してまいりたいと考えております。
○深澤委員 御答弁ありがとうございました。
噴火に関する避難というものは、地震とか津波と比べて、ちょっと分かりづらいといいますか、どうやってよければいいのか、どこに逃げればいいのかというのが非常に、また、その設備、建物自体も、ではしっかりとあるのかというと、まだない部分もたくさんあります。
そういった意味でも、今、どうしても、協議会、そして県、市ということで、地元になればなるほど、協議会とか県の意向を待っておりますので、そういう意味では、国の方からのまずはリーダーシップ、情報発信をしっかりと進めていただきたいと思います。
以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○金子委員長 次に、江田康幸君。
○江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。
本日は、一般質疑ということで、質問をさせていただきます。
まず冒頭、本日の一般質疑の後に議題に上がっております自然災害義援金に係る差押禁止等に関する法律案に関連して、質問をさせていただきます。
自然災害に関連する義援金については、これまで、東日本大震災、平成二十八年熊本地震による災害、平成三十年七月豪雨による災害、令和元年房総半島台風、東日本台風等による災害及び令和二年七月豪雨による災害の際に、被害の甚大さに鑑み、これらの災害に関連する義援金に限り差押えを禁止すること等を内容とする法律が、それぞれ特別法として制定をされてきました。
その一方で、国会閉会中には個別の立法措置を取ることは困難であること、また、対象となる自然災害が限定されることなどの懸念が示されていたことから、我が公明党では、数年来、自然災害に係る義援金の差押禁止について、恒久化に向けた議論を行ってまいりました。
令和元年の特別法の立法時には義援金差押禁止の在り方について検討条項が設けられたことも踏まえ、債権者の財産権の保護との兼ね合いや対象とする災害の範囲など、難しい問題を一つ一つ丁寧に話し合い、方向性を見出しながら、地道な作業を行ってまいりました。
この度、我が党の議員を始めとする関係議員の御尽力により、案として取りまとめられ、この後、起草する運びとなったことについて、心より感謝を申し上げます。
これにより、自然災害の被災者が差押え等を受けることなく義援金を自らの生活再建のために役立てられるようになると考えますが、政府として、また大臣としてどのように評価されるのか、お伺いをさせていただきます。
○小此木国務大臣 これまでも、自然災害による被害を受けた、そして、それに関する義援金についての取扱い、公明党はもちろんでありますが、この委員会でも、その他の皆様方からも度々の指摘をいただいたところであります。
この度、政党間の協議が調って、自然災害義援金に係る差押禁止等に関する法律案が起草される運びとなり、まず、関係議員の皆様に敬意を表する次第でございます。
義援金は、国民の皆さんからの善意により寄せられるものでありまして、被災された方々への支援、被災地の復興に資するよう、できるだけ有効に活用されるべきものであります。このため、特定の災害ごとではなくて、恒久的に災害に関する義援金の差押えを禁止する法律を制定することについては、大変に意義のあるものと思っております。改めて敬意を表する次第でございます。
○江田(康)委員 ありがとうございました。
この後の迅速な法案の成立を図っていただきたいと心からお願いを申し上げます。
それでは、具体的な質問に参りたいと思います。
私の地元であり、また、金子委員長の地元でもあります熊本地震からの復興に関連して質問をさせていただきます。
本年の四月の十四日に、我々、熊本地震の発災から五年を迎えます。昨年から今年にかけて、国道五十七号の北側復旧ルートや豊肥線の開通、そして新阿蘇大橋の開通と、幹線道路のインフラ復旧は大きく進みまして、阿蘇方面へのアクセスは熊本地震以前よりも更に便利になったと思われます。
これは、公明党の石井前国土交通大臣が、震災以降、六度にわたって被災地を視察され、新阿蘇大橋を始め、国が直轄権限代行して工事を行うことを決定してもらいました。そしてまた、二十四時間体制での工事を行うことにより、震災から五年以内という驚異的なスピードで阿蘇のインフラ復旧が進んだことになります。
また、熊本の象徴でもある熊本城についても、天守閣内部の公開が今後見込まれるなど、震災から五年がたち、熊本の創造的復興が目に見えて進んでまいりました。済みません、熊本城については、天守閣内部の公開は既に始まっております。
一方で、まだ残された課題もございます。その中で最も重要なことが、一人も取り残さない住まいの確保でございました。
地震翌年には、二万二百五十五世帯、四万七千八百人の被災者が仮設住宅での生活を余儀なくされておりましたが、これまでに九九%の人が自宅を再建したり災害公営住宅に入居したりと住まいを確保し、多くの方々が復興の進捗を実感しておられます。一方で、三月末の仮設住宅の入居者は、百五十世帯、四百十八人まで減少したものの、残されている方々の多くは、区画整理事業が終わっていない等のために住まいの確保にめどが立たず、いまだに仮設住宅などでの生活を余儀なくされているとの報道もあります。
一日も早く全ての被災者に復興を実感していただくためにも、残る事業が早期に完了するよう、国としても一層の支援を行うべきではないでしょうか。政府の見解をお伺いします。
○渡邉政府参考人 お答え申し上げます。
熊本地震に伴う仮設住宅入居者は、今年三月末時点で、百五十世帯、四百十八人となっております。このうち五十世帯が自宅建築工事中などとなっており、残りの百世帯が公共工事に関連して自宅の再建を待っている状況でございます。この公共工事関連の百世帯のうち、益城中央土地区画整理事業関係が五十世帯、宅地耐震化推進事業関係が四十三世帯等となっております。
益城中央土地区画整理事業は熊本県により施行中で、仮設住宅入居中の五十世帯のうち八世帯が既に宅地の引渡済みとなっており、残る仮設住宅入居者に対しても、令和四年度中の宅地引渡しを目標に取り組んでいるところでございます。
また、宅地耐震化推進事業につきましては、熊本市等の市町村が実施しており、順次事業が完了しつつあるところです。仮設住宅入居中の四十三世帯の方々に対しては、復旧工事が完了した宅地から順次引渡しを行っており、令和三年度中には全ての引渡しが完了する予定となっております。
引き続き、早期に宅地の引渡しが可能となりますよう、予算の確保、技術的助言等、復興まちづくりを積極的に支援してまいります。
○江田(康)委員 ありがとうございます。全ての被災者が新たな住まいを確保できるように、残る事業が早期に完了するように、しっかりと進めていただきたいと思います。
それでは次に、昨年、熊本県を中心に大きな被害をもたらした七月豪雨からの復興及び教訓について質問をさせていただきます。
私どもは、災害発生直後に、公明党の県議団や市議団とともに、土砂崩れで多くの死者が出た芦北町や、また、球磨川の氾濫で市内全域が冠水した人吉市に調査に入りました。その後、山口代表や赤羽大臣、そしてさらに、公明党の対策本部の石井本部長とともに、球磨村、芦北町、そして人吉市、八代市に入りました。そして、被災状況の調査の結果や、現場を回る中で聞き取った自治体の首長や住民、避難者の皆様からの要望をまとめて、七月の二十二日に、公明党として緊急要請を、当時の安倍総理に申入れをしたところでございます。
政府は、これらを反映して、七月三十日に、被災者の生活と生業の再建に向けた対策パッケージを取りまとめたわけでございます。
この対策パッケージの中においては、被災した中小・小規模事業者の支援策として、従来のグループ補助金と自治体連携型補助金を一体化したなりわい再建補助金を創設して、被災した工場、店舗などの施設や生産機械などの設備の復旧費用について、十五億円を上限として最大四分の三まで補助する支援を行うとされました。
特に、コロナ禍の中で豪雨に加えて熊本地震等の過去の災害でも被害を受けた事業者に対しては、いわゆる三重苦でございますが、一定の要件の下で、最大五億円まで定額補助をすることとされております。
このなりわい再建補助金の、熊本県及びその他の被災県における交付決定等の進捗状況について伺います。熊本県では当初の想定よりも申請件数が伸び悩んでいた状況もございましたけれども、政府としては、その理由をどのように把握して、どのような支援を行ってきたか、それをお伺いをいたします。
○村上政府参考人 お答え申し上げます。
昨年八月末から段階的に公募を開始いたしまして、現状、熊本県で百四十一件、十四・九億、福岡県で百二件、五・六億、大分県で五十七件、九・五億ということで、特に昨年内は余り伸びなかったんですが、年を越えて、順調に出てきているというふうに考えてございます。
例えば、令和元年台風十九号の際に措置したグループ補助金でも、やはり公募開始直後は申請件数が少なく、三、四か月を経過してからピークを迎えたという段をたどってきてございます。
正直言うと、それより更にちょっと遅めではございますが、我々、現場で伺っている範囲でいうと、やはり水災回りの復旧が全体的に少し遅めであるということで、少し更に前例よりも遅めのスケジューリングになっているのかなというところは、今後、被災事業者の皆さんの事情にもよく寄り添いながら、申請時期その他のことについても十分配慮しつつ、引き続きしっかりと皆さんのお声を踏まえながら取り組んでまいりたい、このように考えてございます。
○江田(康)委員 しっかりと交付決定に結びつくよう取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
それでは次に、赤澤副大臣にお伺いをさせていただきます。避難所運営や災害ボランティア活動で明らかになった課題。
七月豪雨は、コロナ禍において発生した最初の大規模災害でもありまして、感染防止対策のため、避難所の定員減、パーティションやテントなどの設置など、被災市町村では従来と異なる対応を取らなければなりませんでした。また、災害ボランティアについても、募集を被災県内あるいは市町村内に限定して、現場の作業員数を減らすなど、積極的な受入れができずに、被災地の復旧は困難を極めました。
政府としても、事前に地方自治体向けに多くの通知、事務連絡を発出して、参考資料を公表するなど十分な対応を取っていただいていたと承知をいたしますけれども、これまでに誰も経験したことのない事態でもあり、想定のとおりにできたこと、あるいはうまくいかなかったこともあろうかと思います。
これらを教訓として、今後の災害対応にどのように生かしていくのか。避難所の確保、ホテル、旅館等や親戚、知人宅への分散避難、車中泊や在宅避難の実態把握、また避難所運営など、多くの課題がございますが、政府における検討及び対応の状況についてお伺いをいたします。
○赤澤副大臣 江田委員御指摘の避難所における新型コロナウイルス感染症の感染防止には十分留意する必要があり、これまで、避難者の健康管理や避難所の衛生管理などについて、自治体の取組を促してきたところでございます。
私自身も、昨年十二月には熊本県を視察させていただき、金子委員長にも御同行いただいたところでございますが、これらの観点から、熊本県の避難所において心配された新型コロナウイルスの感染者は発生せずということで、適切に対策を取られた熊本県の御理解や熊本県民の御協力に改めて敬意を表し、感謝を申し上げる次第であります。
一方で、こうした呼びかけをしたことにより、避難所外の避難者が相当数おられて、その把握などに課題があったものと認識をしてございます。令和二年台風第十号においては、収容人数を超過した避難所が生じた市町村があり、避難先の確保などに課題があったものと認識しております。
内閣府としては、各自治体において、自治会やケアマネジャーなど関係団体などと連携をして、避難所外避難者やそのニーズの把握に努め、事前に対応を検討しておくことでありますとか、また、災害の大きさを適切に判断をして、必要な避難所をできる限り当初から開設するとともに、避難所の混雑状況などの効果的な情報発信の手段について平時から検討しておくことなどについて、自治体の取組を促しているところでございます。
また、各地方公共団体における新型コロナウイルス感染症対策の取組について、江田委員御指摘の課題などについての、全部網羅できたかどうかというのはまた検討いたしますが、優良取組事例集を作成をし、全国の自治体に対して周知もさせていただいたところでございます。
さらに、平成二十八年の熊本地震では災害関連死が死者の八割を占めるなど、避難生活支援を格段に充実させて災害関連死を減らすことは喫緊の課題でありまして、その問題意識の下で、昨年十二月、内閣府に防災教育・周知啓発ワーキンググループ災害ボランティアチームを立ち上げ、有識者による検討をいただいているところでございまして、今後、取りまとめの結論に応じて、仕組みの構築や予算要求を行ってまいります。
今後とも、平時からの避難所の三密対策などへの取組を促すとともに、災害時においても、避難生活環境の抜本的向上に向けて地方公共団体が適切な対策を取れるよう、支援してまいります。
○江田(康)委員 ありがとうございました。
最後になりますが、小此木担当大臣に、改正しました被災者生活再建支援法の状況、効果についてお伺いをいたします。
昨年の臨時国会で改正して十二月に施行された被災者生活再建支援法では、家屋の損害割合が二〇から四〇%未満の半壊を二つに分けて、三〇%以上四〇%未満を新たに中規模半壊と位置づけました。そして、該当する世帯は住宅の再建手段に応じて二十五万から百万円の支援金を受け取ることとされまして、昨年の七月豪雨災害の被災地である熊本など、六県五十四市町村に遡って適用をされたわけであります。
公明党は、昨年七月に、近年の災害対応と感染対策を踏まえた防災対策の提言、令和二年七月豪雨災害に対する緊急要請を取りまとめて、被災者支援の更なる充実を目指して、被災者生活再建支援制度を拡充して半壊世帯も支援対象とするように、当時の安倍総理に強力に要請をしてきたところでございます。
その中で、報道によりますと、遡及適用された自治体においては、改正前に半壊と認定されたのは四千十二世帯、このうち、法改正の追加調査により、事後的に中規模半壊と認定されて支援金の支援対象となったのは、今年三月末時点で、約三割の千三百七十八世帯となっております。
熊本県内で見ると、法改正前の半壊認定が全四十五市町村で二千六百二世帯、事後的に中規模半壊と認定されたのは、二割強の五百六十八世帯でございました。
この点を踏まえれば、今年三月末時点において、全体で約三割、熊本県内で二割強がこの支援対象という結果、このことについては、支援が必要な世帯には支援が行き届いていると私は思うわけでございますが、法改正の効果についてお伺いをいたします。
また、半壊世帯のうち、損害割合が二〇%から三〇%未満若しくは二〇%未満の世帯についても災害救助法による住宅の応急修理制度等で支援を受けられていると考えますが、政府の認識をお伺いをいたします。
○小此木国務大臣 令和二年七月、昨年ですが、七月豪雨において支援法が適用された市町村における中規模半壊世帯、損害割合三〇%台ですが、これは、令和三年五月十七日現在の時点で、半壊世帯の約三割、千三百八十四世帯となっています。
御指摘のとおり、昨年の法改正の審議の際、令和元年東日本台風等の被災自治体へのアンケート調査結果を踏まえますと、半壊世帯のうち一割から二割程度が損害割合の三〇%台となります、このため、令和二年七月豪雨の中規模半壊世帯は約五百世帯から千世帯程度と想定をしている旨を以前お答えをいたしましたが、この時点の想定に比較して、対象世帯数やその割合は上回っているところでございます。
また、損害割合二〇%台の半壊世帯に加えて、令和元年に新たに追加した損害割合一〇%台の準半壊世帯についても災害救助法の住宅の応急修理制度等で対応しており、被害の程度に応じて適切に支援が行われているものと考えられます。
○江田(康)委員 一人も残さない住まいの確保は大変重要でございまして、しっかりと今後もこの対策を続けていただきますように、よろしくお願いを申し上げます。
以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○金子委員長 次に、阿部知子君。
○阿部委員 立憲民主党の阿部知子です。
本日は、災害特別委員会の貴重なお時間を頂戴いたしまして、ありがとうございます。
私は、本日、小此木防災担当大臣並びに国土交通省にお尋ねをいたします。
取り上げるテーマは、小此木大臣も私と同じ神奈川の所属ですので、もしかしてお近くで御存じかもしれません。お隣の山梨県の早川という町がございまして、これは南アルプスの登山口になっております。その早川町にある雨畑ダムというダムが実は、大量の堆砂、堆積物をため込んでおりまして、非常に危険な状態。そして、梅雨入りが報道されておりますから、この雨の季節、今後起こり得る災害を何とかして防止したいと思っての本日のお尋ねであります。
大臣には一枚目の資料を見ていただきたいと思いますが、ここには、国土交通省がこの雨畑ダムについて定期検査をなさいまして、実は、平成の二十六年から四回連続でいわゆる貯水池の状態の総合判断A、このAとは何かというと、堆砂により上流部の河床が上昇しており、洪水被害のおそれがあるとして緊急に対策を講ずべきというのが、四回にわたって発出をされてございます。
令和元年八月九日のこの文書の直後、八月の十三日でありましたか台風十号、そして、十月には台風十九号がやってまいりまして、この地区は著しい人的被害が生じております。道路の崩壊によって上流区域で孤立した世帯ができ、電柱が崩壊して上流区域では停電が発生し、また固定電話等の通信が不能になったということで、極めて、この地区にお住まいの方も御心配が絶えない地域であります。
そして、この地域、実は、冒頭は小此木大臣にお伺いしたいのですが、私は余り経験がありませんが、ダムをいろいろ見せていただいて、行って、ダムの湖面よりも堆積土がてんこ盛りになっているような盛り上がったダム、干からびたダムとかは見たことがあるのですけれども、堆砂で中がてんこ盛りになったダムは、ここが、見せていただくのが初めてのことでした。大臣はこれまで、防災担当で、ダムについてはいろいろ今問題になっておりますが、そういう状態のダムはお目にされたことがおありでしょうか。
○小此木国務大臣 御指摘の雨畑ダムについては、恥ずかしゅうございますけれども、通告をいただいて写真等で目にいたしまして、行ったことはございません。
今おっしゃいました、令和元年にこちら早川町の本村地区において浸水被害があったということを承知いたしました。同地区は、応急対策として、仮設堤防の建設など一定の対策は取られていると承知しておりますけれども、山間部に位置するダム貯水池に面するとともに、土砂災害を警戒すべき区域が背後に迫るなど、自然条件の大変厳しい地区であると認識いたしました。
○阿部委員 今、大臣もおっしゃってくださったように、風光明媚な大変よいところでありますが、逆に言うと、自然環境が厳しい。そこに雨畑ダムという日本軽金属のダムが造られたのは一九六七年、高度経済成長期でありました。造ったときは、このダムは約百年間で六百万立方メートルの堆砂がたまるという計画でしたが、既に、十年そこそこでどんどんどんどん堆砂がたまってまいりまして、逆に、もう二〇一九年度現在では、五十年たったところでしょうか、ここの貯水量が千三百六十五万立方のところ千二百五十七万立方、既に九割が土に埋まっちゃっている。これは実は湖面の下でありまして、湖面の上にも上から土砂がやってまいります。
私が質問主意書で国土交通省にお尋ねいたしまして、一体、この雨畑ダムにはどのくらい堆砂がありますかと伺いましたところ、二〇二〇年十一月で千六百三十一万四千立方、すなわち、貯水量千三百六十五をはるかに、三百万も上回って、湖というか、ダム湖はいっぱい、プラス、その上にてんこ盛り堆砂があるということであります。
ここで国土交通省に伺いますが、普通、ダムの堆砂の量というのは、常時満水、水がたまった満水時に対して何%あと余力があるというふうに堆砂量を計算いたしますが、いただいた御答弁では、その湖面の下並びに上まで合算して御報告がありました。そこには特別な理由がおありでしょうか。お願いします。
○井上政府参考人 雨畑ダムにおいては、国土交通省からダム管理者に対し、常時満水位を超える堆砂量も含めた堆砂量の報告を求めています。
これは、ダム設置に伴い、ダム貯水池上流における河床の上昇により災害が発生するおそれがないかどうかを確認することを目的とするものでございます。
○阿部委員 災害のおそれがないかどうかではなくて、災害は発生し、警告を出した数日後には災害となりということで、私は、警告倒れにならないような本当の防災をやっていただきたいと思うんですね。
何度も申しますが、普通、ダムの堆積量は湖面の下の何%か、でも上にはみ出ちゃってということでありますが、国土交通省は定期検査をいろいろダムについてはなさっていますが、直ちに改善が必要とされるA判定、この雨畑はそうでしたが、こういうダムはほかに幾つぐらいあるんでしょうか。直ちにです。
○井上政府参考人 国土交通省が河川法に基づき設置を許可している利水ダムのうち、堆砂の進行によりダムの機能への影響が認められ、国土交通省が行っているダム定期検査において、直ちに措置を講じる必要があるとしてA判定となったダムは、令和元年八月時点で八ダムでございます。
○阿部委員 当然、その中に雨畑も入っておられるんですね。うなずいていただきました。同様な条件の危険なダムが八つ、現在でもあるということであります。
当然、この堆積した堆砂は取らないとどんどんどんどんたまり、また、雨が降れば山から流れてきてという状況で、著しく堆積土は増えております。実は、二〇二〇年の十一月には千六百三十一万立方になっておりまして、減るどころかどんどん増えております。
そこで国土交通省に伺いますが、実は、日軽金に対して、二〇二〇年の五月にこの雨畑ダムの堆砂対策基本計画を出されてからちょうど今で一年になりますが、上のてんこ盛りの三百万立方をまず撤去をして、また更に上から落ちてくる、新たに加わるものを加えて、本当に進捗が図られているのか。私がいただいたデータだとまだ増えているという状況ですが、これは政務官に、国土交通省、お願いいたします。
○朝日大臣政務官 お答え申し上げます。
雨畑ダムの堆砂対策は、ダム管理者であります日本軽金属株式会社が令和二年四月に策定した雨畑ダム堆砂対策基本計画に基づいて進められております。
この計画では、上流からの土砂の流入が続くことを前提としつつ、毎年行う土砂の移動、搬出量を定めておりまして、令和二年度は、貯水池内の移動を含む百五十万立方メートルの土砂の移動、搬出を行う計画に対して、計画を上回る百六十五万立方メートルの土砂の移動、搬出を行ったと報告を受けております。
この土砂の移動、搬出に当たっては、令和元年東日本台風で浸水被害に遭った本村地区が同規模の出水でも被害が生じないよう河道を確保する等の対策を令和二年度中に完了する、そういう報告を受けております。
ダムへの新たな土砂の流入に関しましては、自然災害の影響等によって過去の平均を大きく上回る場合もあり、その場合には、現行の計画どおりに移動や搬出を行っても土砂の堆砂量が減らないことになります。
このため、国土交通省といたしましては、常時満水水位以上を含めた堆砂量については定期的な報告を求めまして、その結果を踏まえて、フォローアップ検討会等において、計画の見直しを含め、必要な指導を行ってまいります。
○阿部委員 御答弁ではありますが、御指摘いただいたように、三百万立方どけると言っていたけれども百六十五万くらい。それ以上に恐らく上から流れてきてしまっているので、現状としては、改善とは到底言い難い。
小此木大臣に写真、先ほど御覧になったとおっしゃいましたが、二つ添えてあります。一つは、ダムの湖面の中に、二ページを開けていただきますと、ここにたくさんの堆砂が詰まっております。そして、下の写真は、更に上流部をたどりますと、どこが川かと分からないほど、左の端の方にちょろちょろっと青い流れがあるのが川で、あとは全部堆積物であります。川を探すのに大変なほど、もう土砂で壁状態になっているのが雨畑ダムです。そして、これが災害の都度どうっと流れていって、取っても掘ってもそれ以上に流入しているという現状が今も続いております。
そこで、今、国土交通の政務官が御答弁いただきましたが、三枚目を見ていただきますと、本村地区という地域がございます。この三枚目の写真の突き出たような地域で、ここが、左側がダム、右側が川なのですが、土砂と水で一挙に洗い流されてしまうような、あるいは孤立するような状態に置かれているために、矢板、高い板でゲートのようにして浸入を防いでいるというのが上の写真です。
これはもう是非、大臣も現地を御覧になっていただいて。私も見せていただきましたけれども、非常に深刻で、確かに対策はされておるというものの、果たして実際に避難できるだろうか、これから豪雨になった場合に。その場合に、避難計画というものが大変重要になってまいります。
もちろん、避難計画は、自治体、例えば早川町あるいは山梨県の仕事であろうとは思いますが、ここの堆積量は尋常ならず、それから、既に二回にわたって著しい被害があったということで、この避難計画についても、災害担当大臣として、市町村の皆さんと鋭意、協力関係を持って、実際にワークするような避難を、この住民に安心を届けていただきたいが、いかがでしょう。
○小此木国務大臣 申すまでもなく、災害から住民の生命、生活を、安全を確保するために、着実に避難がなされることは重要でございます。
本村地区については、早川町の地域防災計画において、地区外の施設が指定避難所に指定されていると承知いたしました。
浸水や土砂災害のリスクが高いこのような地域においては、災害の危険が切迫する前に、早め早めに安全な場所へ避難することが重要であると考えております。
委員からの指摘もありましたことから、早めの避難行動が着実に取られるよう、地元の山梨県や早川町からもよく事情を聞いて、必要な支援を行ってまいりたいと思います。
○阿部委員 国土交通省にも防災担当大臣にも知っていただくことで、やはり対策は確実に進みますから、不安の中お暮らしの皆さんにしっかりとメッセージを出していただければと思います。
引き続いて、この問題で、今、ここについては、このダムが阻害物になっている、すなわち、利水ダムなんですけれども、本当はここは水力発電のダムでしたが、かえってダムの設置によって河川の状態が変化して、様々な公益上の支障を生じるおそれがないとは言えない状態にある、すなわち災害を引き起こしちゃうということを私が主意書でお尋ねして、国土交通省から御答弁をいただきました。
小此木大臣にお伺いいたしますが、資料を最後につけてございますが、これは、国土強靱化計画の中で、起きてはならない最悪の事態という中の七の四番目、いわゆる、堆積した土砂や火山噴出物の流出により多数の死傷者の発生が生じ得るというものに私は相当すると思います。
そこで、先ほどお願いいたしましたような、国土交通省の皆さんと協力は第一にお願いいたしますが、ここで、国土交通省の御答弁では、必要と認められる場合には工作物の撤去、まあ、ダムを取らないと、土砂をそこで止めちゃって、かえってあふれるということになるということで、撤去も考えられる、措置を行うことも考えられる、今すぐかどうかは分かりません、そういう御答弁をいただいております。防災担当大臣としても、こういう観点も含めて御検討をいただきたいですが、いかがでしょう。
○小此木国務大臣 まずは、地元山梨、早川町の事情を私自身が深く認識するということが必要であると思います。
国土強靱化基本計画では、起きてはならない最悪の事態の一つとして、「ため池、防災インフラ、天然ダム等の損壊・機能不全や堆積した土砂・火山噴出物の流出による多数の死傷者の発生」を想定しております。起きてはならない最悪の事態は、国土強靱化基本計画を策定する際の脆弱性評価のために設定をしたもので、多数の死傷者の発生するような最悪の事態にならないよう、取るべき推進方針を策定するために設定をしました。
したがって、個別の雨畑ダムが、この「ため池、防災インフラ、天然ダム等の損壊・機能不全や堆積した土砂・火山噴出物の流出による多数の死傷者の発生」に当てはまるかは、これを申し上げるのは、その性格上、確実、確かなものではありませんけれども、そのような最悪の事態が生じないよう、国土交通省において、雨畑ダムを管理する日本軽金属株式会社に対して行政指導を実施して、仮設堤防の整備や、河道の確保、堆積した土砂の撤去等が実施されているところと承知しております。
冒頭申しましたように、しっかりと地元の状況を把握したいと存じます。
○阿部委員 ここで御答弁をいただくのは、是非、この雨の季節、絶対に最悪の事態にならないような行動を小此木大臣に取っていただきたいからにほかなりませんので、よろしくお願いいたします。
最後に国土交通省に伺いますが、元々このダムは、水利権が与えられている理由の中で、発電所、発電用のダムであったわけですが、四つの水利権の審査基準、公共の福祉の増進、水利使用の実行の確実性、安定的に取水を行える、治水上その他公益上の支障を生じさせるおそれがない、四つの条件があるんですが、これはいずれも今クリアしておりません。公共の福祉は、残念ながらこの状態では増進に資することはできない。水ももちろん取れません。取水はできません。発電は止まっています。そして、なおかつ、いろいろな災害の危険を生じさせるということで、既にここに、日軽金に与えられた水利権の許可は適切ではないと思います。
国土交通省としてのお考え、すなわち、基準をクリアしていないのであれば、当然、取消しということもあろうかと思います。そのことも含めて、お願いいたします。
○朝日大臣政務官 お答え申し上げます。
日本軽金属株式会社が行います堆砂対策の計画に基づく対策によりまして治水上の課題の改善が見込まれるため、治水上その他の公益上の支障を生じるおそれがないとの基準に直ちに適合していないとまでは言えないと考えております。
このため、現時点においては許可を取り消すべきとは考えておりませんが、必要と認められる場合には、工作物の除去も含め、指導、技術的助言等の措置を行うことを考えております。
○阿部委員 政務官も是非御覧になってください。進捗していないんです。たまる一方。そして、災害は残念ながら来ます。
両、大臣、政務官の御奮闘を期待して、質問を終わらせていただきます。
○金子委員長 次に、小宮山泰子君。
○小宮山委員 立憲民主党の小宮山泰子でございます。
本日は、災害対策特別委員会で質疑の機会をいただき、ありがとうございます。
本年五月二日、静岡県の竜巻で電柱が倒れ、民家が被害に遭いました。無電柱化は都市景観の美化に寄与することは広く認識されておりますが、防災に寄与することが広く知れ渡ったのは、令和元年の台風十五号で千葉県内の多くの電柱が倒れ、最大九十三万戸が長期間停電したことが大々的に報道されてから顕著になったと感じております。
この台風十五号での電柱損壊の原因は、倒木や建物の損壊、これが約七四%、看板などの飛来物での損壊は約一四%、土砂崩れの地盤影響によっては約一二%という二次被害が大半であります。大規模自然災害時に電柱が倒れることで、緊急道路、生活道路を塞ぎ、結果として復旧や救命に遅れと復旧費用が生じています。防災、減災への取組の中においても、無電柱化の推進は重要性を増していると言えるかと思います。
二〇一六年十二月、無電柱化推進法が施行され、二〇一八年四月には無電柱化推進計画も作成されております。法施行後は新規の電柱をなくして、立法府として、また立法した者としては、この強い意志を示したはずなんですが、電柱の総数は増加が止まらず、今もおおむね年間七万本も増加を続けております。これが現状です。
先日、国土交通委員会において、経済産業省資源エネルギー庁に、無電柱化のためにどのように取り組んでいるのか、本気でやっているのか尋ねたところ、エネルギー庁の小野資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官におきましては、ケーブルは二〇二〇年までに仕様統一が完了、変圧器は仕様統一と同時に小型化も進め、無電柱化を推進する仕組みでは、昨年六月に改正電気事業法が成立し、無電柱化に必要なコストは電力消費者に電気料金として転嫁されますが、送配電事業者が無電柱化を含む計画の実施に必要な投資を着実に行い、同時に、国民負担を抑制するため、託送料金制度を見直し、配電事業者の収入上限を定め、電柱の新設抑制に向けた取組を進めていきたいという回答がありました。もう一押し、本気度を見せていただきたかったというのはあるんですが。
そうはいいましても、七万本増え続けているのは現実であります。様々な施策を重ねていてもなお、電柱の新設、総数の年間七万本の増加というのが続いている要因をどのように捉えているのか、国交省に御見解を伺います。
○吉岡政府参考人 お答え申し上げます。
道路の無電柱化につきましては、無電柱化推進計画に基づき進めてきたところでございますけれども、委員御指摘のとおり、電柱の総本数については、毎年増加しておりまして、平成二十四年から二十九年度までの五年間で約三十三万本、年平均約七万本増加しているという状況です。
また、平成二十八年十二月には無電柱化の推進に関する法律が成立いたしまして、電柱又は電線を道路上に新設しないようにということとされましたけれども、二十九年度から三十年にかけても依然として約七万本が増加しているという状況でございます。
委員御指摘の電柱本数の増加要因については、電気事業連合会が行ったサンプル調査の推計では、家屋新設などに伴うものが約七割、太陽光発電等再生可能エネルギーとの接続等に対応するものが約二割となってございますが、詳細は分かっていないという状況でございます。
このため、現在策定を進めております今年度を初年度とする次期無電柱化推進計画では、関係者が連携して新設電柱の増加要因を調査分析し、削減に向けた対応策を令和三年度中に取りまとめることとしておりまして、その方向で進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○小宮山委員 無電柱化に係る費用は、事業者、電力会社や通信事業者、地方自治体、国で、おおよそ三分の一ずつ負担をしています。現状、一キロ当たりの無電柱化の費用は約五億三千万円程度、電力会社の負担は、電柱設置の場合に要する約千五百万円と比べて約十倍。無電柱化が進まない要因として、このコスト高が言われます。
ちなみに、軒下配線などにすればその十分の一でできるということもあります。無電柱というのは、地中に埋めるだけが無電柱ではありません。
そこで、無電柱化について、自治体の費用負担が重く推進できないとの指摘や、事業者の負担が大きいから実施されないとも言われますけれども、こうした認識で正しいんでしょうか。
○吉岡政府参考人 お答え申し上げます。
無電柱化に係る費用につきましては、国、地方自治体、電線管理者が負担しており、例えば、電線共同溝方式では、平均して一キロ当たり約五・三億円のコストを各々がおおむね三分の一ずつ負担しているという状況でございます。
この費用負担に対しましては、令和二年七月に国土交通省が地方自治体に対して実施した無電柱化に関するアンケートにおいても、無電柱化の課題として、コストが高いという回答が最も多くなっているという状況でございます。
また、電線管理者からも、次期無電柱化計画の策定に向けた有識者委員会の審議の中で、無電柱化は整備、維持コストが高いとの意見をいただいております。
こうしたことから、次期無電柱化推進計画においては、関係省庁、地方自治体、電線管理者などの関係者と連携し、管路を浅く埋設する浅層埋設や低コストの材料の採用など低コスト手法の普及拡大や技術開発の推進、それから、必要な投資確保とコスト効率化を促す新たな託送料金制度の確実な実施などに取り組むことによりまして、令和七年度までに平均して約二割のコスト縮減を目指してまいりたいというふうに考えてございます。
○小宮山委員 無電柱化を進めるための予算措置としては、市街地開発事業等に際して行われる無電柱化を対象として、各種補助金制度があります。また、電線管理者に対しては、観光地振興無電柱化推進事業、観光地において単独地中化方式や軒下・裏配線等による無電柱化を支援するなど、また、電線敷設工事資金貸付金制度を活用しての電線共同溝方式や無電柱化を支援するということでありますが、無電柱化に対する予算支援は活用が進んでいるんでしょうか。
若しくは、活用に際して条件など障壁があるとの認識があるならば、ワンストップ相談センターも設けているのに、地方自治体の八割は無電柱化自体を施策として実施したことがないという現実もあります。
国交省の見解や、また、この解決策についての答弁を求めます。
○吉岡政府参考人 お答え申し上げます。
無電柱化の推進に当たっては、国から自治体に対しまして、地方自治体が定める無電柱化推進計画に基づく事業を計画的に支援する個別補助制度を令和二年度に創設したところでありまして、令和三年度予算においては百四十三自治体が活用しているという状況でございます。
また、国から電線管理者に対して、観光地における単独地中化方式や軒下・裏配線等を対象として支援しております観光地域振興無電柱化推進事業を実施しておりまして、平成三十一年度、令和元年度の創設以降、六自治体が活用しているという状況でございます。
また、御指摘のありました、電線管理者に対して無利子貸付けをします電線敷設工事貸付金制度を緊急輸送道路に限定して平成二十五年度に創設いたしましたけれども、現在まで活用されていないという状況でございまして、このため、昨年五月、委員の御指導もありまして、道路法の改正を行いましたけれども、その中で創設した歩行者利便増進道路を無利子貸付けの対象に追加したという状況でございます。
また、委員御指摘のとおり、国土交通省が全国千七百八十八自治体にアンケートを実施したところ、直近五か年で無電柱化事業を実施したことがない自治体は約八割になっているということもあります。
このため、令和元年度に、地方自治体から相談に応じる無電柱化ワンストップ相談窓口を全国十ブロックに設置いたしまして、軒下配線や、御指摘ありました裏配線も含め、現場に応じた最適な手法を活用するように今助言しているという状況でございます。
国土交通省といたしましては、地方自治体に対しまして、防災面を始めとする無電柱化の意義や必要性の周知に努めるとともに、無電柱化を推進するための手法や様々な支援制度について、地方自治体等が幅広く活用できるものになるよう、その活用状況を踏まえて、必要に応じ、制度の改善に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
○小宮山委員 無電柱化推進法成立時の考えに基づいては、やはり、新規の造成時や再開発時、新規を含めて道路改修工事を行う際には新規の電柱を設置しない、させないようにするということが理想ではありました。でも、これはそろそろ、義務化や、あるいは、推奨する、もっと助成制度というものの創設が必要ではないかと考えます。
先ほど言った、八割の自治体が五年間この事業をやっていないということを考えて、まず最初に、お金がかかるからやること自体を最初から排除している、最初からやらないということを決めているというところも多くあるかと思います。なので、この点に関しまして国交省の見解をお聞かせください。
○吉岡政府参考人 お答え申し上げます。
無電柱化の推進のためには、既設電柱を安く早く地中化することはもちろんのこと、新しく設置される電柱を抑制することが重要であるというふうに考えてございます。
このため、今年度を初年度とする次期無電柱化推進計画では、三つのポイントとして、徹底したコスト縮減を推進する、事業の更なるスピードアップを図るに加えまして、一番の柱として、新設電柱を増やさないということを盛り込んで策定する予定でございます。
具体的には、新設電柱の抑制につきましては、緊急輸送道路など道路区域内においては、平成二十八年四月から新設電柱の占用禁止措置を導入してございまして、道路区域外においても、本年三月、踏切改良促進法等の改正におきまして、沿道区域を対象とした届出、勧告制度を創設いたしたところでございます。また、道路事業や市街地開発等の実施に当たっては、技術上困難と認められる場合以外は、原則として道路における新たな電柱の設置の禁止を徹底したいというふうに考えてございます。
現在、今月中の次期計画の策定に向けまして、経済産業省や総務省、電線管理者等と最終的な調整を進めているところでございますけれども、引き続き、関係者が連携して、策定される計画に基づきまして、御指摘の新設電柱の設置の抑制も含め、無電柱化を加速してまいりたいというふうに考えてございます。
○小宮山委員 ありがとうございます。
世界主要都市、ロンドン、パリ、ベルリンなどを始めとして、二十世紀中にはほぼ一〇〇%に無電柱化は進んでいます。東アジアの主要都市でも取組は進んでおりますが、一方、日本では、一番進んでいる東京二十三区でも八%、大阪市で六%、全国の平均では約二%と遅れているのが実情であります。
数年前に台湾の台北市に行きましたときに、無電柱化の取組について、ここも一〇〇%に近いほどで進んでいるところでありますが、埋設管渠等の工事を、官庁、民間も同じ事務所に集まり、そして、予約、管理、工事、監視も含めて、工事の監視ですね、効率よく工事のワンストップセンターで運営をされていました。無電柱化を推進する、また災害復旧のときも、様々な埋設管渠等、そういったものがあります。この台湾台北市のような効率的な行政運営も参考にしていただきたいと思います。
毎年七万本も増加し、災害時の危険が増しているということ、これは現実であります。防災担当大臣として、無電柱化推進に強力に後押しをお願いしたいと思います。防災、減災に資する無電柱化の取組に対して国の見解、防災大臣としての見解、また、災害復旧現場の効率化に対しての見解もお伺いします。
○小此木国務大臣 小宮山委員から、冒頭、一昨年の台風での電柱が倒壊した話やら、ただいま、世界の都市部においての無電柱化の様子、日本との比較、話がございました。
日本の防災基本計画においては、災害時の交通の確保を図るため、避難路、緊急輸送道路など防災上重要な道路の無電柱化を盛り込んでいるところであります。国及び地方公共団体による無電柱化の促進を図っています。
また、大規模地震の際には特に被害が甚大となるおそれがあることから、南海トラフ地震対策や首都直下地震対策の基本計画においても、災害時の交通の確保等の観点から、無電柱化の推進を位置づけております。
さらに、当委員会において委員からの御支援もいただきまして、昨年十二月に策定した防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策においても、無電柱化の推進を盛り込んでいるところであります。
引き続き、国交省、経産省等の関係省庁と連携して、無電柱化推進法や次期無電柱化推進計画も踏まえながら、防災、減災を推進する観点から無電柱化を後押ししてまいりたいと存じます。
また、災害復旧現場の効率化についても御指摘をいただきましたが、縦割り、官民の垣根を越えて効率的に進めるべきなのはそのとおりであります。災害復旧に限らず、様々な地下埋設物の整備、維持管理、災害時の復旧等の効率的な推進に改めて関係省庁とともに取り組んでまいりたいと存じます。
○小宮山委員 ありがとうございます。
大規模災害時には、学校など様々なところが避難所となります。この避難所に必須な設備として、電源確保は最も重要な、極めて高いものだと思います。
例えば、生活排水処理で、下水道と比較して合併浄化槽が災害に対して強いと言われますが、これと同様に、配給元から管路が保たれ、安全確認が必要な都市ガスに対して、分散配置されるLPガスは、災害時の供給の途絶えるリスクが低く、仮に設備被害などが生じた場合でも復旧が早いという特性があります。
私の地元の地域となります埼玉県富士見市でも、小中学校にLPガスヒートポンプを導入するとともに、災害対応バルク貯槽の設置に取り組んでおります。
LPガスによる災害対策設備の導入費の支援制度は、経済産業省の災害対策バルク等の導入補助金や総務省の緊急防災・減災事業債などが準備されてまいりました。
LPガスの特性に着目し、学校や公共施設などにヒートポンプや発電施設を備えておくことは、災害時への対応として有効性が高いものであります。政府として認識を確認するとともに、より一層の普及促進のための取組をお伺いしたいと思います。
○小此木国務大臣 御指摘のように、LPガスについては、運搬や貯蔵が容易である、そういったところに利点があります。劣化せずに長期保管が可能なことから、災害時に備えたエネルギーとしては適していると認識しています。
政府として、災害時の停電に備え、指定避難所において非常用電源等の防災機能を整備することは重要と考えており、防災基本計画や取組指針において、整備に努めるよう地方公共団体に促しております。また、指定避難所等におけるLPガスを燃料とした空調設備や非常用電源等の整備についても現在、財政的に支援をしており、地方公共団体等の取組を促しております。
内閣府として、引き続き、関係省庁とこれも連携し、各種支援制度を地方公共団体に活用していただきながら、指定避難所における非常用電源やLPガスの設備の整備など、生活環境の改善のための施設整備を図ってまいりたいと存じます。
○小宮山委員 地方自治体での導入の場合、助成率の高さから、総務省の緊急防災・減災事業債が活用される場合が多いと伺っております。LPガス施設の利用に特化している制度ではないために事例の把握が難しいということは理解しておりますが、経済産業省の補助金は、地方公共団体の活用例は数%から一〇%にとどまりますが、病院とか、福祉施設、介護施設などで用いられることが多く、予算は全て消化されると説明を受けております。
総務省の緊急防災・減災事業債による非常用電源の確保において、LPガスによる災害対策施設導入はどのぐらい活用されているのか、お伺いいたします。
○荻澤政府参考人 消防庁では、非常用電源につきまして、関係省庁と連携をいたしまして、各地方団体に対して、避難所となる施設の防災機能強化、また庁舎につきましては事業継続の観点から整備を働きかけてきているところでございまして、一定程度進捗しているものというふうに考えております。
その際の財源でございますけれども、これにつきましては、補助制度を活用する、またあるいは地方単独事業として行う、それぞれの事業ごとにふさわしいものをそれぞれの団体の方で選択をして取り組んでいただいているものというふうに認識しておりまして、こちらの方では把握しておりませんけれども、引き続き整備促進を働きかけてまいりたいというふうに考えております。
○小宮山委員 大規模災害時など、重油などを使った非常用電源、多く準備しているかと思います。そちらにも使われているとは思いますが、是非、どのようなものに、地方自治体から言われただけ出しただけというのではなく、本当に大規模災害などのときに使える非常用電源になっているのか、そのための把握を是非、総務省にはしていただきたいと思います。
首都直下型地震の様々なものに関しての質問も用意しておりましたが、準備もしていただいたんですが、またの機会ということにさせていただきます。
本日は、ありがとうございました。
○金子委員長 次に、早稲田夕季君。
○早稲田委員 立憲民主党の早稲田夕季でございます。
質疑に入らせていただきます。
梅雨前線、それからまた台風など、水害リスクの高まる時期になりました。また、今日もこれから西日本、東日本では局地的に集中豪雨になるのではないかと大変心配がされておるところでございます。
その中で、四月に、今、九州の方で少し発生リスクを言われております線状降水帯による大雨、これが確認をされた場合には、新しい情報としてしっかりと国民の皆様に伝えるということも決定をされております。また一方で、今日は五月二十日、改正災害対策基本法、これが施行となりました。私たちもこれは議論をさせていただきましたが、避難勧告、これが分かりにくいということで、これを廃止をいたしまして、避難指示の一本化ということになりました。
とにかく逃げ遅れない、そしてどなたも取り残さない、そして空振りを恐れずみんなで安全な場所に避難をするということが一番の目的だと思います。そうした観点から私も質問させていただきます。
この災害対策基本法が採決をされました当委員会におきまして、附帯決議、これの七におきまして、自らの地方公共団体内での垂直避難、公共施設や民間の大型商業施設への避難など、現実的に対応可能な複数の避難パターンを組み合わせることで、地域における総合的な避難対策の一層の強化が図られるよう支援することと決議をされました。私も提案者の一人として、この趣旨を申し上げれば、近隣のビルやマンションなど堅固な建物への避難も含めたことを垂直避難として決議をしたところでございます。
この改正法の成立を受けて、政府は、五月十日に避難情報に関するガイドラインを改定し、お手元の資料一、二でございますけれども、御覧ください、避難行動を分類するに当たり、垂直避難という言葉を入れましたが、自宅や入所施設の上階への避難のみに定義をしておりまして、近隣のビル、マンション、避難タワー、こうしたところについての避難については、少し聞き慣れない、立ち退き避難という言葉で定義をしております。かつ、これを水平避難とも定義をしています。内閣防災では垂直避難というのを狭義に定義をしてしまっていることから、一般の理解とちょっと乖離をしております。
この後の三番、四番の資料を見ていただきますと、新潟、それから江東五区の例でございますけれども、お年寄りや体の不自由な方が一旦自宅を出て近隣のオフィスビル、またマンション、避難ビルなどに逃げ込むことは、水平避難ではなく、垂直避難として理解をされていることが分かるのではないでしょうか。
この点について、やはり分かりやすい情報を国民の方に、そして周知徹底をしていくということが何より重要だと私は考えますので、大臣に伺いたいのですが、このガイドラインの定義、少し国民の理解とは乖離をしておりますので修正をすべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○小此木国務大臣 高齢者等は、遠方の避難場所への避難が困難となる場合も考えられることから、より近隣のマンション等の民間施設を避難場所として活用することが有効な場合がございます。
マンション、ビルを含む避難場所の指定に当たっては、内閣府が平成二十九年三月に策定した市町村向けの手引において、構造条件や管理条件などの指定基準、民間施設を指定する際の工夫や協定の事例等を明示するなど、民間施設を含む避難場所の確保に努めてきたところでもありました。引き続き、マンションなどの活用促進が図られるよう努めてまいりたいと存じます。
また、災害対策基本法の改正を踏まえて五月十日に改定、公表した避難情報に関するガイドラインにおいては委員御指摘の広義の垂直避難が明確になっていなかったということから、近隣のマンション等への避難も促されるように、ガイドラインの追記、修正を速やかに検討してまいりたいと存じます。
○早稲田委員 提案を採用していただきまして、ありがとうございます。是非、皆さんに分かりやすいようにいろいろな情報発信はお願いしたいと思いますので、また、その修正の在り方についても事務方と御相談をさせていただきたいと思います。
そしてまた、河川氾濫以外にも、私の地元も津波の災害が懸念されておりまして、狭隘な土地に、しかも観光地でありますと、道路が混雑して、かつまた高さ規制などもありまして、高い建物が少ないわけです。そういう中で、高齢者の方が広域避難することは現実的でなくて、そして、自治体内での高台へ避難することも、なかなか、道路整備等がまだまだ追いついておりません。
そうした中でありますので、例えば、津波や浸水が懸念される地域にマンションやビルを新築する際には、周辺住民の避難に必要な整備を義務づけたり、事前に自治会と災害時の協定を結ぶことなどが考えられると思いますけれども、こちらは朝日国交大臣政務官に伺いたいと思います。
○朝日大臣政務官 お答え申し上げます。
災害の危険性が高いエリアにおきまして、公共施設だけではなく、近隣のマンション等の協力を得て避難場所を増やすことは大変重要だと考えております。
国土交通省では、災害時の避難者を一時的に受け入れる施設の整備を支援することを目的といたしました、地域防災拠点建築物整備緊急促進事業を令和三年度に創設をいたしました。
具体的には、地方公共団体とマンション等が水害時の避難者の受入れ協定を締結する場合には、当該マンションで整備する避難者の受入れに必要なスペースや防災備蓄倉庫、電気設備、止水板等の費用について補助することとしております。
また、マンションでは受入れ協定の締結に当たりまして管理組合の決議が必要と考えられるため、管理組合の理解を促進する観点から、関係団体が実施するセミナー等の機会を利用いたしまして、支援制度や、避難場所の確保の重要性を継続的に周知してまいります。
国土交通省といたしましては、内閣府とも連携して、こうした取組を通じ、水災害時の円滑な避難を促進してまいります。
○早稲田委員 朝日政務官から、令和三年度からの避難場所促進のための補助事業の説明をいただきました。
これは、民間のビルにこうしたことを一義的に、直接やるということはなかなか難しいわけで、自治体がもちろんこれに関与して、災害弱者を取り残さないという視点から助成制度にしていただいたと私は大変評価をさせていただくものでございますが、是非、国交省におかれましては、多くの自治体が、自治体のやる気も促していただいて、そして働きかけて、周知にも努めていただきたいと思います。
大臣にもう一点、このことに関して伺いたいのですが、この補助事業、大変いいものだと思いますが、民間のビルの場合では、国が三分の二、そして自治体が三分の一と、やはり自治体のやる気を促さない限り、なかなか、法的にまだ根拠のない予算事業としては大変難しいのではないかという心配もございます。
そうした中でございますけれども、やはり、国交省の補助事業だけではなく、垂直避難、今、ガイドラインも修正していただくということですが、是非、平時から避難訓練などの意思疎通も自治体としていただくのはもちろんのこと、それから、自治体の条例制定を下す意味でも、附帯決議の趣旨を踏まえて、堅固なマンション、ビル、避難タワーなど、改めてこれを垂直避難と定義をし直していただいて、避難行動の好事例の収集とか、それから指針の策定など、これは内閣防災として今後取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
先ほど大臣からガイドラインの修正ということで申し上げましたけれども、委員御指摘のような点についてもちょっとよく検討させていただきたいと思います。
○早稲田委員 大臣、是非御決意をお願いしたいと思います。やはり好事例があってこそ、そしてまた、指針が策定されることによって自治体も前に進めると思いますので、どうぞ御決意のほどお願いいたします。
○小此木国務大臣 様々な事例をより深く皆さんに認識していただくことは非常に重要なことだと考える観点から、今、事務方から検討するという話がありましたので、更に深めてまいりたいと存じます。
○早稲田委員 それでは、二番目の質問に移りたいと思います。
三月十八日の当委員会で大臣がお示しをしていただいた期限どおり、四月の末に、西日本豪雨など、最近の災害関連死の事例集が取りまとめをしていただきました。
本当に、私は印刷をしたわけですけれども、この大変分厚い中に、いろいろ、無念の死で、災害関連死で亡くなった方々の一つ一つの事例がつぶさに載っておりまして、初めてこうした作業を前例なく始めておられたこと、そしてまた、大変な作業だったと思いますし、私の立憲民主党の災害・緊急事態対策局といたしましても、災害関連死についてずっと取り組んでおりますので、高く評価をさせていただき、また心より感謝を申し上げたいと思います。
そして、災害関連死の新たな一つの大きなモデルとなる事例集ができたわけですけれども、その一方で、私も前回の委員会で質疑をさせていただきましたが、内容が、西日本豪雨、最近の災害ということにとどまっております。このことについては、やはり、十年たちました東日本大震災と、それから熊本地震の事例集ということではまだ不十分なのではないかと思いますが、大臣に御所見を伺いたいと思います。
○小此木国務大臣 先般来議論をしておりますが、御指摘もいただきながらでありますが、委員のおっしゃっていることについては、非常に、先ほどの話もそうですけれども、事例を集めて、多くの皆さんに知っていただいて、これからのことに活用していただくという意味合いでは、物すごく重要なことだと思っています。
その事例集を作ること自体が実は大変な作業でもございましたし、その一つ一つにおいて、人様の命に関わる判定でありますので、その判定に関わった方々の御苦労も、これはもう並大抵じゃないというふうに思う中で、今回、正式に公表したところであります。この事例集における、市町村における災害関連死の認定が円滑、適切に行われることを目的としたものであり、自治体において災害関連死を防止する上でも参考になる内容であると改めて考えております。
事例集に掲載した全百十三件のうち、裁判所十五件、市町村による認定、不認定の事例が九十八件となっています。
裁判例十五件については、これまで内閣府に報告があった東日本大震災及び熊本地震における事例全てを掲載いたしました。
認定、不認定の事例九十八件については、その大半は内閣府が災害関連死の定義を定めた後の令和元年度に審査された事例七十九件でありますが、この中に、東日本大震災は十七件、熊本地震は一件が含まれています。また、令和元年度以前の事例については、熊本県から平成三十年度以前に審査された熊本地震の十九件の事例を提供いただいて、掲載しております。
取りまとめた事例の属性を見ると、災害発生から死亡までの期間、死亡時の年代、死因区分等については東日本大震災や熊本地震の調査とおおむね同様の傾向となっておりまして、自治体においては、今後の災害対応においても参考とし、役立てていただけるものと考えております。
○早稲田委員 熊本等も、令和元年度に定義をされたから、その以前も踏まえて少しはこちらにもちろん載せていただいておりますけれども、一つ一つの事例としては、もちろんそういうふうにはなっていないわけです。
お手元の資料五番を見ていただきたいのですけれども、復興庁が二〇一二年に東日本大震災における災害関連死に関する報告書をまとめておりますが、この資料の方は、日弁連が意見書で評価をしております。この中では、千六百三十二件の関連死のうち千二百六十三件のみが対象になっております。どうすればその命を救うことができたのかという視点から、課題の抽出、今後の対応の検討にはまだまだ具体性を欠き、不十分と言わざるを得ないということであると思います。
そしてまた、福島県において発災から一年以上経過した後に亡くなった三十五件を対象とする調査を行っているものの、その検証はまだなされておりません。
是非このことも踏まえてお考えをいただきたいわけですけれども、東日本から十年を迎えまして、毎日新聞の調査によりますと、この二十九自治体のうち、仙台市など五自治体、これは保存期限を過ぎた議事録の永年保存を決めている一方で、六自治体は、規定に基づき、既に廃棄をしたり、廃棄を決めたりしております。また、十八自治体は廃棄か永年保存かも検討していないということであります。こうしたことも踏まえますと、大変重要な資料が散逸をしてしまう、なくなってしまうということにもなりかねません。
今日は復興庁にも来ていただいております。設置期限が十年間延長された復興庁として、やはりこの東日本大震災の災害関連死を、その後の、後世の教訓に生かすべきだと私は強く考えております。
是非、復興庁として、ワーキンググループ、プロジェクトチームを組織して、今回内閣防災が取りまとめた事例集をお手本として、福島の原発事故被災者も含めた形で、また、裁判の判例なども積極的に収集をして、二〇一二年以降に示された判例、そうしたものも収集していただいて、どうすれば命を救うことができたのかという視点から、もう一度課題の抽出、取りまとめをしていただく、そして、東日本大震災における災害関連死事例集として、内閣防災と連携をした形でお取りまとめをいただき、公表していただけないかと思いますが、いかがでしょうか。
○横山副大臣 この千六百三十二人の命の重さというのをしっかりとかみしめて、それを後世の防災の教訓に生かしていくということは大変重要なことだというふうに考えております。
その上で、平成二十四年に取りまとめられました東日本大震災における震災関連死に関する報告、これは、震災関連死の死者数が多い市町村と原発事故により避難指示が出された市町村の千二百六十三人を対象といたしました。市町村から提供いただいた死亡診断書、あるいは災害弔慰金支給審査委員会で活用された経緯書等を基に、市町村の職員や有識者からヒアリングも実施した上で、死亡時期や死亡原因等について調査及び分析を行ったものであります。
その後も、被災自治体や関係団体等と連携をし、被災者の抱える課題の把握に努め、これらの結果を踏まえ、被災者への見守りや心身のケア、コミュニティー形成支援など、きめ細やかな支援を行っているところであります。
今後とも、被災者に寄り添った支援に努めてまいりたいと考えております。
○早稲田委員 災害関連死事例集ということについてはなかなかお答えをいただけなかったわけですけれども、復興庁は、一番、被災者の方々そして被災地と大変寄り添ってこれまでもやってきていただいたことは十分承知をしております。だからこそ、お願いをしているわけでありまして。
それでは、せめて、取りあえず、今廃棄をしそうな自治体もあるわけですから、復興庁が内閣防災と連携をして、この書類の、自治体で今進めようとしている災害関連死関連の書類の廃棄を止めるように、こういうことも通知を出すなど御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○横山副大臣 災害関連死につきましては、復興庁において、先ほど申し上げました平成二十四年八月に公表しているもののほかに、その後も、被災自治体や関係団体等と連携をして、被災者の抱える課題の把握に努めてまいりました。それが、現在の被災者支援に生かすように努力をしているというところであります。
把握した結果を踏まえて、引き続き現在の取組を進めることが大事だというふうに考えておりますが、災害関連死の審査資料の保存期間につきましては、文書の重要性等を踏まえて、各市町村の条例によって定められているものであります。期限後の取扱いについても、各自治体が、保存場所等の確保の観点も踏まえ、各々の状況に応じて判断されるべきものと考えております。
○早稲田委員 横山副大臣にお答えをいただきましたが、やはり、一度なくなってしまってはもう手がつけられないことになりますし、これまでも寄り添っていただいた復興庁として、更に寄り添いを深めていただきまして、こうした重要な資料の保存ということについても、やはり現地といろいろお話合いをしていただきたいと思います。そうすることによって廃棄もとどまるということもあり得るかと思いますので、是非、そこは復興庁として、内閣防災と連携しながらのお取組の更なる推進を期待申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○金子委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
本委員会は、この後、自然災害義援金に係る差押禁止等に関する法律案の起草が行われる予定であります。義援金差押禁止の法律は、これまで、災害規模や国会の開会の状況などによって、個別の災害ごとに立法されてまいりました。東日本大震災以降、日本赤十字社が義援金を受け付けた五十の災害のうち、差押禁止法が制定されたのは九つの災害にとどまっています。今回、自然災害一般について差押えを禁止するようにするもので、これは非常に重要だというふうに考えております。
そこで、関連して確認したいことがあります。
被災者生活再建支援法は、異常な自然現象により生ずる被害として、差押禁止法案と同様の定義をしています。二〇一六年には新潟・糸魚川大規模火災がありましたけれども、この火事の出火は飲食店の厨房から出たものでありました。そして、支援法の適用となりました。その理由について説明をしていただけますか。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
被災者生活再建支援法では、委員御指摘のとおり、暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火その他の異常な自然現象を自然災害と規定しているところでございますけれども、御指摘の平成二十八年十二月の糸魚川の災害については、通常の火災とは異なりまして、出火前後の強風により広範囲に延焼拡大したものと見られるために、このような強風を異常な自然現象として位置づけて、支援法が適用されたものと承知しております。
○田村(貴)委員 その糸魚川の大規模火災も、また原因究明中の今年の松江市の大規模火災においても、赤十字社が義援金を受け付けているわけであります。義援金差押禁止法案についても、自然災害によるものであると、柔軟に運用されることを期待しておきたいというふうに考えます。
次に、四月の質問に続いて、被災者支援制度の中規模半壊について質問します。
支援法が改正されて、中規模半壊に最大百万円の支援金が支給されるようになりました。昨年の七月の豪雨災害における半壊世帯数、そのうち中規模半壊世帯数、その割合について説明をお願いします。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
令和二年七月豪雨で支援法が適用された市町村において、令和三年五月十七日時点でございますけれども、半壊世帯は三千九百七十七世帯、そのうち中規模半壊世帯が千三百八十四世帯ということで、中規模半壊世帯は平均すると半壊世帯の三四・八%、約三割ということになっております。
○田村(貴)委員 熊本、福岡、鹿児島、大分、島根、岐阜、それぞれ県別に資料もいただいているところであります。
福岡の大牟田市の中規模半壊の半壊世帯比率は六六・八%です。これはほかの県よりも高いわけです。これは、広い範囲で内水被害が起こった、排水ポンプが水没して水位が下がらず、市街地が冠水して、大変高い割合となっているところであります。
今、政策統括官から答弁がありましたように、全体として見れば、中規模半壊の半壊全体に占める割合というのは三四・八%であります。多くの半壊世帯が支援法によって救済されなかったということが、今、この数字からも明らかであります。最も半壊が多かった熊本県は、二千六百二世帯に対して中規模半壊は六百四世帯、二三・二%、大分県は、百三十四世帯に対して十一世帯で八・二%という状況であります。
支援法改正後、初めてこういう数字が明らかになってきたんですけれども、内閣府防災としての受け止めはいかがでしょうか。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
先ほど、全体平均で三四・八%ということで、委員も御指摘いただきましたように、福岡県は六六・八%、大分県は八・二%ということなんですけれども、災害の状況によって、半壊に占める中規模半壊世帯数というのは変わってくるところがございます。
特に、大牟田市の場合は、全て内水による被害ということでございますので、熊本と違いまして、逆に、半壊ではなくて全壊とか大規模半壊というのは非常に少ない、ほとんどが半壊、中でも中規模半壊に至るものが多かった。一方で、熊本の場合には、全壊や大規模半壊というのが非常に数が多い、また外水による被害が多かったということ。さらに、大分県の場合には、これは若干、災害そのものというよりも、県の独自支援制度というものがございまして、こちらの方を申請をすることによって、被災者支援法の適用申請をしていないケースがあるということで八・二%と低いということで、一律に多い、少ないということではないのかなというふうに考えております。
○田村(貴)委員 それで、支援法で、大規模半壊、そして中規模半壊、そして半壊とあるわけですけれども、半壊がやはり救済されなかったという世帯は非常に多いわけです。前回の質疑でも指摘しましたように、半壊全体への支援拡大を求める自治体は非常に多いわけであります。
二〇一八年十一月九日の全国知事会の被災者生活再建支援制度の充実と安定を図るための提言では、「被災者生活再建支援制度の支給対象を半壊まで拡大すること。」でありました。一部の半壊ではありませんでした。
支援法改正時の調査室資料、去年いただいたんですけれども、この中の一つ、資料を使って大臣に質問したいと思います。
非常に分かりやすいんですけれども、半壊の度合いと、それから縦軸は修理金額との関係が描かれているわけであります。こちらが大規模半壊、中が新しくできた中規模半壊、そして左側が半壊であります。この損害割合二〇%から三〇%未満の半壊は、半壊世帯全体の中でもかなり比重を占めているわけであります。そして、平均修理金額、これは、ここにも書いていますように、百六十二万円であります。しかし、支援法の対象外、あるのは応急修理代。ここに今の五十九万五千円の線を入れますと、やはり厳しいという状況であります。
こういう実態を見るならば、半壊世帯が全体の中でも一定の比重があり、そして補修費も百六十二万円と高額に上っています、やはり支援法の適用というのを拡大していくべきであると思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○小此木国務大臣 委員からこの件は度々御指摘いただいておりますが、答えも重なってしまいますけれども、改めて。
災害による支援は、住民に身近な市町村と役割分担をしながら行うこととして、基本的には市町村による対応を原則としております。
他方、一定規模以上の災害の場合には、市町村のみでの対応が困難と考えられることから、災害救助法の応急修理や、被災者生活再建支援法により、一定程度以上の住家被害を受けた方に対して国及び都道府県により支援をすることとしております。
全国知事会等がまとめた支援法に係る実務者会議の報告書においても、住宅等の個人財産については、個人の責任の下に維持することが原則であり、自然災害からの住宅再建等の生活再建についても、自助による取組を基本とし、公助はこの取組を側面的に支援するものとされているところであります。
そのため、半壊世帯や一部損壊世帯等への制度の拡充については、国や都道府県の財政負担等の課題もあることから、慎重に検討すべきものと考えております。
一方で、半壊世帯や一部損壊の世帯であっても、住宅金融支援機構の災害復興住宅融資や、地方公共団体において、条例等で独自の支援制度を設ける等の公的支援は行われているところであります。
また、さきの実務者会議の報告書では、保険、共済に加入する等の自助の取組が重要であるとされており、自治体等とも連携して、保険への加入を促進していくこととしております。
引き続き、災害に被災した方への支援について、自治体等とも連携して、住宅の再建等が進むよう、しっかりと取り組んでまいります。
○田村(貴)委員 先ほどの話なんですが、中規模半壊の分布がこの辺なんです。支援金額というのは二十五万から百万で、線を引くとこの辺りですよね。ですから、足しにこそなるんですけれども、やはり損害を補うものにはなっていない。ですから、全体としてのやはり底上げが必要であります。
とりわけ、大臣、コロナ禍の中にあって、国民が収入減、失業、倒産、これが相次いでいるわけです。そういう中で、災害で家が被災した、そして途方に暮れている被災者が、去年の七月豪雨水害でも今たくさんおられるわけであります。気候非常事態の今、どんな大きな災害が起こるかも分からない、今年も襲ってくるかも分からない。コロナ禍にあっては、災害支援も特段のやはり支援が必要だというふうに考えます。
特段の支援、今のフェーズが変わったコロナ禍の中で、やはり大臣、必要ではないかと思いますが、いかがですか。
○小此木国務大臣 拡充についてですが、先ほども申し上げたとおり、国や都道府県の財政負担等の課題もあることから、慎重に検討すべきものと考えています。
お話しいただきましたように、コロナ禍ということがもう長期間続いておりますので、それはそれとして、しっかりと自治体と国が連携を取るように常々指示もしているところでありまして、そういったところの認識も更に多くの方々に深めていただくよう、努力してまいりたいと存じます。
○田村(貴)委員 慎重と言わずに、思い切って、積極的に検討を進めていただきたいというふうに思います。
次に、被災者の見守り支援制度についてお尋ねします。
熊本地震から五年、仮設、復興住宅での孤独死が三十五人とされています。災害公営住宅に入居したものの、誰にもみとられずに亡くなる方が二人との報告があっています。毎日新聞が災害公営住宅の被災者アンケートを実施したところ、四八%が被災前よりつき合いが減ったと回答しています。災害公営住宅、復興住宅の入居後に見守りが減った、なくなったと答えた方は八二%、非常に高い割合になっています。
これは熊本に限った話ではありません。私は宮城県の石巻市の復興公営住宅を訪れたことがありますけれども、そのときも、もう声がかからなくなった、話し相手が欲しい等々の声をたくさん聞いてまいりました。
厚生労働省にお伺いします。
仮設住宅の退去後の孤立問題の解決が極めて大事と考えますけれども、国としての認識と対策について教えてください。
○橋本政府参考人 被災されました後、応急仮設住宅の方に入居中の方もいらっしゃいますし、また、応急仮設住宅から退去して災害公営住宅の方に転居された方もいらっしゃいます。また、自宅で生活を続けられている方もいらっしゃいます。そういった様々な状況にある被災者の方々があらゆる局面におきまして災害を契機として孤立することがないように、様々な支援を行うということは大変重要なことであるというふうに考えてございます。
その支援策の一つといたしまして、災害時に特化した施策として申し上げると、被災者見守り・相談支援事業というものがございます。これ以外にも、見守りや相談支援に資する既存の各種福祉制度ですとか、社会福祉協議会や民生委員の活動など、様々な施策を活用することによりまして、被災者の方の孤立の防止に資する取組を進めていきたいというふうに考えております。
○田村(貴)委員 今おっしゃった被災者見守り・相談支援事業というのがあります。ちょっと説明していただく時間がなくなってしまったんですけれども、仮設住宅からの退去に伴って終了、縮小しているのが現実であります。
被災者が仮設住宅を離れて、そして仮設住宅そのものがなくなったとしても必要な見守り支援が継続されるよう、この制度においても拡充が求められると思いますけれども、いかがでしょうか。
○橋本政府参考人 今御指摘いただきました被災者見守り・相談支援事業におきましては、応急仮設住宅の供給期間中は、応急仮設住宅の入居者に限らず、必要に応じて、応急仮設住宅から災害公営住宅の方に転居された方とか自宅の方に戻られた方、そういった方々も含めて支援の対象とさせていただいております。令和三年度にこの被災者見守り・相談支援事業を実施する熊本県内の三市町村におきましても、応急仮設住宅から災害公営住宅に転居された方や自宅に戻った方も支援対象者に含めて事業を実施するというふうにお聞きしております。
また、応急仮設住宅の供給が終了した後はこの事業は終了するということになるわけでございますけれども、各自治体における恒常的な取組としまして、各種の福祉制度を始め、民生委員や社会福祉協議会など、既存の枠組みを活用して、被災された方々の状況に応じて必要な見守り支援が継続されることが大切でございます。この点につきましては、本事業の実施要領におきましても、事業終了後の一般施策による支援への移行ということについて検討するようお示ししておりまして、国の方としましても、自治体からの個別相談に対応させていただいております。
厚生労働省といたしましては、このような取組を通じまして、恒常的な一般施策の方にシームレスに移行していただくことによりまして、被災された方の孤立の防止ということを図ってまいりたいと考えております。
○田村(貴)委員 局長はそういうふうにおっしゃったんですけれども、現実に、この制度に基づく地域支え合いセンター、熊本においては十八市町村あったわけですよ。今、確かに仮設住宅に暮らす方はおられる、仮設住宅はある、あるけれども、この制度、支え合いセンターは今、三市町村に縮小されているわけです。熊本市、益城町、西原村、ここにとどまっているわけですよ。
そして、被災者見守り・相談支援事業の実施要領、これを見させていただきましたけれども、応急仮設住宅が供されていることを実施の要件とする、そのように初めから定められているじゃないですか。
ですから、制度として仮設を対象にしているのであれば、そこからやはり枠を広げることが必要。災害公営住宅に入居後も、寂しい思いをしている、そして孤独死が現に生まれているわけであります。そして、声をかけてほしい、相談に乗ってほしいという被災者がやはりおられるわけですよ。だから、改善が必要だと言っているわけであります。
仮設住宅退去後の見守りの意義については、大事だというふうにおっしゃいました。声かけ、見守り、相談、生活支援等、この事業についても、今の要領では応急仮設住宅が対象になっているわけであります。自治体から見れば、弾力的に使えるというような趣旨のお話だったんですけれども、やはり要領でこうやって仮設が前提となっている以上は、終了、縮小の道を選ばざるを得ないという状況であります。
私、この間、熊本県で被災者支援に長年当たっているボランティアの方にお話を伺いました。こういうケースというのは、局長がおっしゃった、いわゆる自治体、社協、民生委員の方々、なかなか難しいケースというのがあるわけなんです。
例えば、八十代の被災者の方が、知り合いの家に緊急避難されたんです、避難所が遠くて。それで、間借りで避難されているので、そこはみなし仮設とはならないわけなんですね。そして、知り合いの方が亡くなってしまった。そうすると、居候状態になってしまう。残された家族の方も困り果ててしまう。間借り避難しているこの被災者本人の方も病気になってしまった。こういった非常に難しいケースというのは被災地においてあるわけです。
とりわけ、コロナで、分散型避難そして自宅避難者の方がいるわけです、増えているわけです。とりわけ、在宅避難者の状況把握というのはなかなか難しい。こうした被災者への支援活動というのは大変困難を極めるところがあります。支援相談員として、熊本地震、そして去年の豪雨水害、こうしたところの活動の蓄積がある災害ボランティア、NPO、支援団体、こうした人たちのやはりノウハウとかスキル、蓄積というのは、私は非常に財産だというふうに思っています。
お伺いします。
避難所、仮設住宅を中心に活動してきた民間の支援団体の蓄積、ノウハウを、仮設住宅退去後も、被災者に対して生かしていくことが必要ではないか、見守り支援活動に生かしていくことが必要ではないかと考えますが、いかがですか。
○橋本政府参考人 今御指摘いただきましたように、これまで実施されてきた被災者の見守り・相談支援事業の中で培われた民間支援団体のノウハウは大変貴重な財産であり、応急仮設住宅から災害公営住宅等へ転居した後の見守りにおきましても、支援に生かしていただくということが大切であるというふうに考えております。
応急仮設住宅から恒久的な住宅に、住居に転居した後は、自治体における恒常的な取組として、先ほど申し上げたような様々な取組を継続していただくということになるわけでございますが、その際も、引き続き、民間支援団体と連携しながら取組を進めていただくということが非常に効果的ではないかというふうに考えております。
現在、厚生労働省として進めております地域共生社会の実現に向けた取組におきましても、行政機関と民間の支援団体や地域住民等が連携、協働した包括的な支援体制の構築ということを進めているところでございまして、被災者の方々も含めた全ての住民の方が安心して生活できるように、私どもといたしましても、個々の自治体の事情をよく聞きながら、必要な支援をさせていただきたいと考えております。
○田村(貴)委員 自治体任せにしない、そして、自治体の独自の取組を財政面を含めてしっかり支援をしていただく、今ある制度も見直していただく、そのことを強く要求して、今日の質問を終わります。
○金子委員長 次に、美延映夫君。
○美延委員 日本維新の会の美延でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
御承知のとおり、新型コロナウイルス、特に変異株が全国で猛威を振るい、罹患された方が日々増えておるという状況であります。まずは、厳しさを増す現在のコロナ禍における災害対応、特に避難所の対策について伺いたいと思います。
政府は、昨年末に、避難所における新型コロナ感染症対策に関連し、地方自治体に向けて様々な事務連絡、通知等を発出し、可能な限り多くの避難所の開設、ホテル、旅館等の活用、換気や専用スペースの確保等について助言をされてきましたが、これらについて、地方自治体の対応状況を把握しているのでしょうか。また、変異株は、従来のウイルスよりも感染力が強く、若年者にも感染しやすい、そして重症化しやすいとの見方もあるようですが、このような特徴も踏まえ、避難所対策において特に留意するべき点はあるのでしょうか。教えていただけますでしょうか。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
新型コロナウイルス感染症の状況におきましては、避難所における三つの密の回避などの感染防止対策に十分留意する必要がありまして、これまで各種通知、自治体に取組を促してきたところでございますけれども、実際の対応状況という意味では、実際に災害が発生をして避難所が開設された際、これは、七月豪雨あるいは台風十号、また、本年でいいますと今年の二月の福島の地震、そういった際には、その都度、自治体に確認、問合せをいたしまして、避難者のスペースの十分な確保といった新型コロナウイルス感染症対策の取組状況を確認させていただいております。
実際に、回答としては、きちんと対応をされているということで、おおむね適切に行われてきたと考えておりまして、昨年の七月豪雨等では避難所での感染事例は幸いに発生しなかったところでございます。
さらに、今年の五月十一日には、これまでの災害における教訓も含めまして、各地方公共団体の感染症対策などの取組について事例集を作成して、全国の自治体に対して周知を行っているところでございます。
御指摘の変異株のウイルスへの対応につきましてですけれども、これまでの新型コロナウイルスの感染対策の徹底が重要であるということで厚生労働省に確認をしておりまして、より一層徹底が図られるように、避難所のコロナウイルス感染症対策に努めてまいりたいと考えております。
○美延委員 そこの徹底、是非よろしくお願いいたします。
先日、内閣府は、避難所における新型コロナウイルス感染症対策等の取組事例集を公表されました。この事例集、実に九十ページにも上る大変ボリュームのある資料で、私も読ませていただき、今回の質疑の準備に当たり、参考資料とさせていただきましたが、この事例集の作成の趣旨やポイントについて教えていただけますでしょうか。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
内閣府におきましては、新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえた避難所の開設、運営等について、累次にわたる留意事項等を自治体に発出して取組を促してきたところですけれども、実際に自治体において取られたコロナ対策の事例を共有することで各自治体の対策が一層進むのではないかというふうに考えまして、この取組事例集を取りまとめて、周知、公表をしているところでございます。
具体的な事例として、例えば、コロナ禍における避難所運営や訓練の取組事例、また、ホテル、旅館等の活用に向けた取組事例、必要な物資や資機材等の備蓄を行った事例、さらに、避難所外避難者の把握や支援、情報伝達の事例等の紹介をしているところでございます。
各自治体におかれましては、平時からの災害対策の準備とともに、災害時における迅速かつ的確な対応を取ることができるよう、取組事例集をしっかりと活用していただきたいと考えております。
○美延委員 この事例集においても、ホテル、旅館等を避難所として活用した、今も御答弁ありましたように、事例が多く取り上げられております。特に、感染した場合に重症化するリスクの高い、例えば高齢者の方とか妊婦さんとかの要配慮者には早期にこれらの宿泊施設に避難していただくことや、避難の長期化が見込まれる場合には、一般の避難者にも避難していただくことが重要だと考えます。
他方、元々自治体内に宿泊施設が少ない、被災のために使用できない、新型コロナウイルスの軽症者の療養のため利用されている等の理由により、避難所として十分な数の施設が確保できないような事態も想定されますが、どのように対応していくのか、政府の見解をお伺いいたします。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、避難所としてのホテル、旅館等の活用に当たって、市町村のみでは対応が困難な場合も想定されるところでございますが、やはりこのような場合には、都道府県において、各市町村における避難所の確保が円滑に進むように支援するということを促しているところでございます。
昨年の七月豪雨におきましては、避難所を確保するために、熊本県と熊本県の旅館ホテル生活衛生同業組合が協定を結びまして、県下全域で受入れ可能なホテル、旅館等を確保する取組が行われたところでございます。
こういった取組なども含めて、関係省庁、自治体と連携して、必要とされる避難所が確保されるように努めてまいりたいと考えております。
○美延委員 次に、新型コロナウイルス感染症の自宅療養者の災害対応について伺います。
新型コロナウイルスの感染者の中には、軽症又は無症状のため自宅療養となっている方も多くいらっしゃいます。もし、自然災害が発生して、自宅にとどまることが危険な状況になれば、これらの自宅療養者や感染者との濃厚接触者の皆様にも避難をしていただかなければなりません。
災害時における自宅療養者、濃厚接触者の避難の在り方について、政府の見解を伺います。
〔委員長退席、藤丸委員長代理着席〕
○青柳政府参考人 お答えいたします。
まず、平時から、都道府県と市町村の防災担当部局、保健福祉部局、それから保健所が連携をして、災害時の対応の検討や役割分担の調整等を行って、あらかじめ自宅療養者等の避難方法等を決めて、また、伝えておくことが重要であると考えてございます。
まず、自宅療養者は、軽症者等であっても、感染拡大を防止するために、災害時には宿泊療養施設等に滞在することが原則ではございます。ただ、速やかに近隣の宿泊療養施設等に避難することができない場合、この場合には、まず避難所に避難をして、避難先の宿泊療養施設等が決まるまで一時的に待機していただくことも想定されるわけでございますが、その場合には、避難所では、軽症者等は敷地内の別の建物に滞在して、どうしても同一の建物の場合には、動線を分けて、専用階段とスペース、専用のトイレ等が必要になると考えてございます。
また、濃厚接触者については、可能な限り個室管理として、それが難しい場合に、専用のスペースと専用のトイレ、独立した動線をできる限り確保すること、一般の避難所で十分な個室管理ができない場合には濃厚接触者専用の避難所を確保すること、こういったことが考えられるわけでございまして、こうした考え方については、厚生労働省や消防庁とも連名で自治体にお示しをしているところでございます。
○美延委員 政府は、通知等において、自宅療養者は、原則として宿泊療養施設に避難すること、やむを得ず一般の避難所に避難した場合においても、できる限り速やかに宿泊療養施設を調整すること、濃厚接触者についても、可能な限り個室管理をすることを努められています。
大阪はもちろん、各自治体においても、そのような対応ができるように準備はされていると思いますが、最近の新型コロナウイルス感染者の増え方を見ると、この状況でもし災害が発生した場合に、果たして想定どおりの対応が可能なのでしょうか。地方自治体の関係部局や保健所も、多くの新型コロナウイルス感染者に加えて災害の被災者への対応も行わなければならず、混乱により連携や情報共有に支障を生じる可能性もあります。
このような事態を防ぐために地方自治体及び国としてどのような対策を取るのか、政府の見解をお伺いいたします。
〔藤丸委員長代理退席、委員長着席〕
○宮崎政府参考人 お答え申し上げます。
現下の感染状況、新規の感染者の数が横ばいや減少傾向にある地域がある一方で、かなり増加、急激な増加を続けている地域もございまして、また、重症者数、死亡者数も増加傾向が続いておりますので、かなり、全国的に見ますと、委員御指摘のように厳しい状況が続いております。その中で、自治体、特に保健所に大変な負担が生じている状況でございまして、仮にこのような中で大規模な災害が発生した場合には、更なる負担がかかるということが懸念されます。
政府といたしましては、何よりも、現下の感染拡大の防止に向けまして、地方自治体とも協力いたしまして全力で取り組んでいく、その中にはワクチン対策あるいは水際等々の対応も含まれますけれども、それに取り組んでいくということが大前提となりますが、その上で、保健所の業務負担の軽減ということを申し上げますと、各保健所の設置自治体に対しまして、全庁的な応援体制の構築ですとか、あるいは保健所業務の積極的な外部委託の推進についてもこれまで要請をしてきたところでございますので、こうした取組を引き続き支援をしていくとともに、都道府県単位での専門人材派遣の仕組みの活用ですとか、自治体間の職員の応援派遣の調整ですとか、そういった取組も進めているところでございます。
その上で、更に災害への対応ということになりますと、災害時に避難所において被災者の健康管理を担う保健師等の専門職の応援派遣、あるいは都道府県の保健医療調整本部をサポートするいわゆるDHEAT、災害時健康危機管理チームの応援派遣に係る調整ということも行っているところでございます。
こうした災害時の取組につきましては、昨年七月の熊本県を中心とした豪雨災害でもこうした応援派遣の仕組みが機能したところでございますので、こうした取組も行うことによりまして災害への対応にも万全を期していきたいというふうに考えているところでございます。
いずれにしましても、足下の感染拡大防止対策、災害対策、自治体とも連携して取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○美延委員 また、情報共有を進めるに当たり、保健福祉局や保健所の担当者の方が、感染者等の個人情報に関わるとの理由からちゅうちょされる例もあるようです。
避難行動要支援対策でも同様の懸念が示されてきたように、災害対応と個人情報の両立は難しい課題だとは承知しておりますが、避難所における新型コロナウイルス感染症の蔓延防止のため、どこまでの情報共有が可能なのか、政府の見解を伺います。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
都道府県等の保健福祉部局が保有します新型コロナウイルス感染症の自宅療養者等に関する情報については、適時適切に都道府県や市町村の防災担当部局と情報共有を図って平時からの対応の検討を行っておくということが、災害時の対応を適切に行う観点から重要であると考えてございます。
自治体の保健所と防災担当部局における自宅療養者等の情報共有の在り方については、なかなか一律の取扱いを示すのは困難ではございますけれども、内閣府としては、平時には、避難所に避難する可能性がある自宅療養者等の人数やおおよその居住地等の情報の共有にとどめる事例や、防災担当部局で具体的な避難支援等ができるよう具体的な個人の情報を共有する事例、こういった事例などを自治体にお示しをして、これを参考として、地域の実情に応じ、対応が災害時に確実に取られるよう、取組を促しているところでございます。
また、今月取りまとめた、避難所における新型コロナウイルス感染症対策等の取組事例集の中でも、自宅療養者等に係る関係機関間の情報共有の取組事例を示しているところでございます。
引き続き、感染症の感染状況等を踏まえて、自治体において必要な情報共有が行われるよう、取組を促してまいりたいと考えております。
○美延委員 次に、新型コロナウイルス感染症へのDMATの活用についてお尋ねをいたします。
新型コロナ感染症について、DMATの災害医療の取組で対処することも検討をすべきだと考えますが、政府の見解を伺います。
○間政府参考人 お答えいたします。
災害派遣医療チーム、DMATでございますけれども、御案内のように、自然災害などの発生時に、地域の医療機関が被災する中、患者が必要な医療を受けることができるよう、必要な患者搬送調整等を行っております。こうした機能、専門性は、新型コロナウイルス感染症対応においても有効であると認識しております。この点、委員御指摘のとおりだというふうに考えております。
このため、厚生労働省におきましては、各都道府県に対して、県内の患者受入れを調整する都道府県調整本部を設置し、患者の状態を考慮しながら搬送先医療機関の調整を行う患者搬送コーディネーターを配置することをお願いしておりますけれども、その際に、少なくとも一人はDMAT隊員、その中でも関係医療機関との調整等を中心的に担う統括DMATの資格を有する者とすることが望ましいということをお示ししておりまして、今年の一月時点では、ほとんど全ての都道府県においてDMATが都道府県調整本部に参画をしてございます。
こうしたDMATのメンバー等に調整してもらう上でも、医療機関の役割分担、連携の下で病床の確保が極めて重要でございますので、足下の感染拡大に全力で対応すると同時に、一般医療とコロナ医療の両立をしつつ確実に機能する医療提供体制を構築するために、各都道府県に対して病床確保計画を五月中に見直すことを求めてございます。
引き続き、DMATの活用も含めて、新型コロナウイルス感染症対応における医療提供体制の整備にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○美延委員 是非よろしくお願いいたします。
内閣府では、昨年四月から物資調達・輸送調整等支援システムを運用しているとのことですが、平時における地方公共団体による備蓄等の状況を含めた情報入力はどの程度進んでいるのでしょうか。
また、災害時の操作について、システム活用に前向きな都道府県が多い一方で、市区町村への普及が進んでいないなどという報道もあります。全国どこでも起こり得る災害に備え、できるだけ多くの市町村に使用していただくべきと考えますが、内閣府における活用促進はどのようなものなのでしょうか。併せてお伺いをいたします。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
内閣府において運用しております物資調達・輸送調整等支援システムについては、昨年の運用開始から、自治体に対して複数回にわたって、平時からの備蓄物資の情報登録等、積極的な活用を促してきたところでございます。
現在、本システムへの備蓄物資の入力状況につきましては、少なくとも一項目でも登録しているという意味では、九割を超える自治体において登録作業を実施していることが確認できておりまして、自治体の御協力の下、入力が進んでいるものと考えております。
一方で、災害時の操作について自治体職員の習熟を図るために、内閣府の主催で、今年の三月に、南海トラフ地震を想定したシステムの操作訓練というのを二十九都府県と六百八十三市区町村の参加の下にリモートで実施しておりまして、実施後にアンケートに回答した自治体の約八割は、訓練内容に対応あるいはおおむね対応できたと回答をいただいているところです。
ただ、訓練に十分対応できなかった自治体を始めとして、参加した一部の自治体からは、マニュアルの分量が多い、システム操作が分かりづらいといったことから、災害時にシステムを利用できるか不安であるという意見もいただいているところでございます。
これを踏まえまして、内閣府としては、災害時のシステム操作が直感的に理解できる簡易なマニュアル、こういったものを自治体担当者の声も踏まえながら作成するとともに、システムについても担当者の使いやすさ向上のために改修するといった、システム活用をしやすくなるような環境を整えていきたいと考えております。
また、さきの訓練において特に対応できなかった自治体については、個別に御連絡を取らせていただいて、改めて個別にシステム操作や災害時の運用方法を説明するなどの対応も行ってきているところでございます。
できる限り多くの自治体に本システムを活用いただくことが災害時の迅速かつ適切な物資支援のために重要なことでもございますので、継続して自治体のシステム利用を促進してまいりたいと考えております。
○美延委員 今年は各地で記録的に早く梅雨入りが予想され、もう既に梅雨入りしている地域もあることから、本格的に、出水期に備えて、早期に地方自治体に注意喚起をして梅雨対策を促すべきではないかと思うんですが、最後に小此木大臣の御所見を伺います。
○小此木国務大臣 既に、沖縄地方から東海地方まで広い範囲で梅雨入りをしております。こちらも今日は湿度が非常に高いところで、しっかりと構えをしておかなきゃならないと思います。
大雨、台風による河川の氾濫や土砂災害の発生等に備えて、危険箇所の巡視、点検の徹底など、万全を期するとともに、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえて、避難所における感染症対策などにも引き続き取り組んでいく必要がございます。
災害基本法の改正がございまして、その点からも今日は委員から様々な御指摘をいただきました。注意の喚起、そして発信を徹底するということもございました。
これについては、繰り返し言いませんけれども、今年は各地で例年より早く梅雨入りをしているということから、中央防災会議会長でもあります総理から、指定行政機関、指定公共機関、関係都道府県に対して、梅雨期及び台風期における防災体制の強化を図るよう早急に通知を行うこととしております。
実際にはもう、事実上、連絡をしているところでありますけれども、より広い形でこの在り方を徹底させて、構えてまいりたいと思います。
○美延委員 大臣、どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。終わります。
○金子委員長 次に、高井崇志君。
○高井委員 国民民主党・無所属クラブの高井でございます。
今日は、この後、自然災害義援金の差押禁止の法案が採決されるということで、私も、去年の十一月十九日のこの委員会で、是非これは恒久法でやるべきだということで大臣にも御見解を伺いました。大臣からは、一部の党で議員立法でやるという動きがあるので注視してまいりたいということでしたが、それから各党、皆さん協議いただいて、今日成立するということで、大変ありがたいことだと思っております。本当に理事や委員の皆さんに是非感謝を申し上げたいと思います。
実は私、災害対策特別委員ではないんですけれども、今日は、国民民主党の古川委員から代わって質問させていただいているのは、前回、この委員会で、消防団の操法訓練の大会は廃止したらいいんじゃないかということを提案いたしました。古川委員は国対委員長なんですけれども、古川さんあるいは玉木代表からも、それはなかなかいい提案だ、是非議論を深めろということで、今日はまた代わって質問させていただきますので。
まずは、今日は、総務大臣政務官宮路さん、お越しいただいております。宮路さんは、前回も表明がありましたけれども、総務省から広島市に出向中に、財政課長をしながら消防団員も務め、そして大会にも二番員として参加されたというつわものでございますので、若手の声も随分聞いているんじゃないかと思いますので、是非議論したいと思いますが。
まず、今日、ツイッターに、私、この話を取り上げてから本当に、まあ元々このきっかけもツイッターで、私の元にも届いたツイートがどんどん広がって、本当に多くの団員の、若い方が多いんですけれども、やはりこの大会や訓練が非常に負担になっているというツイートがあります。私も今日質問すると言ったら、僅か数日の間で百件以上のツイートが集まりまして、今日は是非皆さんにも見ていただきたいと思ったんですが、ツイートでかなり生々しい表現もあって、ちょっと消防庁にも失礼な表現もあったかなと思うんですけれども、あえてそのまま載せさせていただきましたので、残念ながら皆さんにはお配りできない、理事会でちょっと通らなかったんですが、政務官には読んでいただいていると思いますので、若干、幾つか紹介したいと思います。
例えば、八番目に書いているのでは、私の地域では、操法大会前に二か月間、週五日から六日、二時間以上の練習があり、チーム競技のため休めません、その後、格納庫で酒飲みがあるため、拘束時間は四時間ほどあります、期間中は眠気と疲労で本業はおろそかになり、体、精神への負担で若手は入団しませんと。あるいは、古参団員の意見よりも、これからの若手団員の生活様式に合った活動にすることが必要です、また、けがが六〇%以上が操法訓練で発生というのも一般常識からは異常です、分団によって違いはあると思いますが、少なくとも私の地元は全員嫌々やっています、本業を持つ団員の貴重なプライベートの時間が実務に役立たないシンクロ動作などによって搾取されています、操法を廃止し、中継送水方法などの実務的な訓練の拡充を希望しますと。
等々、百件以上のツイートがあって、一件だけ、廃止しないでくれというのもありましたので、公平を期すためにそれも紹介します。
ボランティア消防団OBの者です、操法訓練は、訓練を通して先輩との親睦が取れるので、なくなってほしくないですね、自分は転校生だったので、消防がきっかけで年上の先輩と会話する機会が増えて、退団してもつながっていますと。
こういう声もあるとは思います。しかし、圧倒的に、私の元にはやはり廃止してほしいというツイートが届いているわけですけれども、このツイートを読んでいただいて、政務官の御感想をお聞かせください。
○宮路大臣政務官 高井委員におかれましては、総務委員会等でも御質問いただいて、私も、元団員として、高井委員がこの問題に大変御関心を持っていただいていること、大変うれしく思っております。
今般のツイッターについても拝見をさせていただきました。
以前、予算委員会分科会においても言及させていただきましたが、えてして、肯定的な意見というのは、皆さん、それが当たり前であればなかなか表明するものではないということで、否定的な意見が多くなりがちだとは思います。
ただ、一方で、寄せられている意見を拝見しますと、確かに身に迫るものがありまして、消防団活動について様々な意見、そして、特に、操法大会への参加、そのための訓練の過重な負担に批判的な声が寄せられており、それが、実際、そのような状況もあろうことは重々承知しております。
一方、私も、先ほど御紹介いただいたとおり、広島市消防団において二番員として操法大会に出場を二回いたしまして、その中で充実感ややりがいなども感じましたし、実際、私の仲間たちは、操法大会できずなを深められるということ、あるいは団の団結が強まるということ、これは実際あろうかと思います。
ですので、そうした様々な現場の声をしっかりと受け止めた上で、消防団の在り方を検討していくことが重要だと考えておりまして、現在、消防庁において開催しております消防団員の処遇等に関する検討会においても、様々な地域の事情あるいは意見を踏まえながら、団員確保に、おっしゃるとおり、若手の団員確保というのは消防庁としても至上命題だと思っておりますので、それにつながる検討を進めているところでございます。
○高井委員 今、検討会が開催されて、中間報告が三月に出て、しばらく開かれないなと思っていたら、五月の十七、今週月曜日に再開されて、その中では、訓練の在り方についても検討していただくとお約束いただいているので、是非検討を深めていただいて、夏頃には報告書が出ると聞いていますので。
私は、ここは是非若い団員の皆さんの声を酌み取っていただいて、今年の操法大会についてはもう中止が決定された、ただ、これはコロナ禍ということで今年限りだと思いますので、しかし、これを機に私は廃止した方がいいんじゃないかと思いますが、そのことと、あわせて、もう一つ通告している、こういった声を消防庁としてアンケート調査、これも是非やってほしいと、このツイートにもたくさんありましたので、アンケート調査すべきじゃないかということと、あわせて、操法大会は廃止すべきじゃないか、あるいはその検討状況はどうなっているか、ちょっとお聞かせください。
○宮路大臣政務官 検討会におきましては、まず前半部分で待遇改善について中間取りまとめを行いまして、その内容について基準等を発出したところでございます。そして、いよいよ後半部分で訓練の在り方等についても検討していくということで、おっしゃったとおり、先日始まったところでございます。当然、その主のテーマとして、訓練の在り方、操法大会への対応を含む問題について議論しているところでございまして、夏頃をめどに最終報告書を取りまとめる方向でございます。
その議論の前提として、現場の声を聞くためにアンケートを取ってはどうかということでございました。
実際、そのアンケートにつきましては、やはり各自治体においてこの消防団の問題というのは大変関心が高いということの証左だと思いますが、既に多くの市町村において実施されておりまして、消防庁としても既に行われているそうしたアンケート結果を活用させていただきまして、その中には、やはり委員のツイートに寄せられたような批判的な意見も多く掲げられているところでございます。したがって、様々な幅広い意見を、まさに生の意見を、既に取られているアンケートを活用させていただくことによって、消防庁としてもしっかり踏まえまして、消防団の実態に即した議論を行っていきたいと考えております。
○高井委員 是非、夏までの最終報告を期待したいと思いますが。
もう一つ、訓練大会だけじゃなくて、このツイートにもありますように、例えば地域行事、私の地元でも、何か大会、お祭りとか運動会とかがあると、警備とか駐車場係とか、本当に頭が下がる思いなんですが、一方で、それがやはりすごい負担になっている。あるいは、飲み会への参加の強要なんかもある。こういった団員の負担軽減策みたいなものはどう考えておられますか。
○宮路大臣政務官 私もかつて、地域のお祭りの警備だとか、その場で操法を披露する活動にも参加をしておりました。そうした地域行事や飲み会等への参加は、本来、消防団の業務ではございませんが、しかし、地域活動の一環であるとか、あるいは、専ら団員同士の懇親目的で行われているものだというふうに承知をしております。
しかし、そうした行事等への参加が団員の過重な負担となってはいけません。また、それが、団への入団あるいは参画をちゅうちょさせることがあってはならないと考えておりますので、そうした点について各市町村や消防団において適切に対応していただくよう、消防庁としても取り組んでまいりたいと思います。
○高井委員 本当に、団員不足解消のためにはそこが非常に重要だと思うので、しっかりと市町村、都道府県に総務省、消防庁の方から通達というのか連絡をしていただきたい、徹底していただきたいと思います。
政務官に、あともう一問。
最後に、幽霊消防団員の問題というのがありまして、ちょっと言葉は余りいい言葉じゃないんですけれども、これは毎日新聞の記者さんが非常に追っかけていて、実は、私の地元岡山市に赴任しているときにいろいろ調べて、二〇一五から一六年度で一度も活動していない三百四十八人の消防団員に計一千四百六十万円の報酬を支払っていた、この三百四十八人というのは、原則参加する年一回の訓練大会や練習などにも参加していない、幽霊消防団員の可能性があったと。
これは可能性なので、もちろん、消防団というのは、何か有事のときに駆けつけていただくためにずっと待機していただくということもお仕事だと思いますから、必ずしもこれが幽霊だというふうに決めつけるのはどうかと思いますが、しかし、こういう実態が全国的にあるのも事実で、やはりこういったことも改善に取り組む必要があると思いますけれども、消防庁、政務官のお考えをお聞かせください。
○宮路大臣政務官 御指摘いただきましたとおり、消防団は、有事の際に緊急出動するための人員を確保しておくことが重要である、あるいは、出動手当の対象となる活動はなくても、年額報酬の対象として会議への出席あるいは水利の点検などを行っている場合もある、あるいは、火災、災害等がなかなか発生しない、これ自体はいいことですけれども、そういう状況によって年間を通じて出動実績がない場合もあり得ることから、一定期間、出動実績がないことのみをもって、そのような団員を幽霊団員ということで退団させるということは必ずしも適当ではないと思っています。
一方で、年額報酬等が活動の実態に即して支払われるべきことは当然であると考えておりまして、消防庁としても、本年四月に消防団員の報酬等の基準を定めまして、その中で、報酬等は、団員個人に対し、活動記録等に基づいて市町村から直接支給することを明記しており、そのような対応をすれば御懸念の問題点というのは解消するものだと考えておりまして、今後、この点について、各市町村に対応を徹底していただきたいと考えております。
○高井委員 これも是非徹底していただいて、実態はなかなか、今、政務官が言ったとおりとも限らないところもあると思いますので、よく把握していただきたいと思います。
それでは、政務官、もう結構でございます。ありがとうございます。
それでは、大臣、済みません、お待たせいたしまして。
先ほどから質問が出ていると思いますけれども、今、半壊世帯が、先日の五月十日の報道で、昨年の七月豪雨で半壊した世帯約四千世帯のうち、最大百万円の支援金の対象となったのは約三割で、残る七割は支給外だったということで、これはやはり、当時も私、指摘しましたけれども、中規模半壊ではちょっと中途半端じゃないか、これで救われない方がたくさんいるんじゃないかと言ったら、やはりそのとおりになりました。
これは十一月十九日にも指摘したんですけれども、実は、この生活再建支援資金は、二十二年間で総額五千五十七億円が当時もう支給されている。多いように見えますけれども、東日本大震災は十年で三十二兆円ですから、その一・五%なんですね。そう考えると、それを二十二年間、五千五十七億は、もっと私は被災者に寄り添って支給してもいいんじゃないかと思います。
加えて言えば、会計検査院から、東日本大震災のときの不用額、使わなくてもよかった額が五千億ですから、それとほぼ同じ額ですから、やはりここは思い切って、法改正したばかりでありますけれども、この反省も踏まえて、私は半壊世帯全てに支給をするような改善策が必要だと思いますけれども、大臣、いかがですか。
○小此木国務大臣 今日は何度かその指摘がございました。
昨年の法改正ですけれども、損害割合三〇%台及び二〇%台の半壊世帯のうち、損害割合三〇%台の中規模半壊世帯が支援金の支給対象として追加されたところであります。
他方、損害割合二〇%台の半壊世帯については、全国知事会との実務者会議において、被害の程度が比較的軽微であり、災害救助法の住宅の応急修理制度等で対応していくことが妥当であるとされたことを踏まえて対象とされなかったところ、先ほども答えました。
また、実務者会議において、これらの半壊世帯も含め、保険加入等の自助の取組を促していくことが重要であるとされて、引き続き、自治体等とも連携して、保険への加入及び応急修理制度による対応を促進してまいりたいと存じます。
○高井委員 やはりそれでも不十分だと思うんですね。これは全国知事会とも協議が必要なことですけれども、私は、政府の方で主導して、寄り添った対応を是非お願いしたいと思います。
それでは、ちょっと度々、私、イタリアの話をさせていただいていますけれども、二年、もう三年近く前になります、西日本豪雨災害の後、私は、イタリアが災害先進国だということで、イタリアまで行って、実は、イタリアでは市民保護省という名前ですけれども、日本でいえば防災省があります。そこを見に行きました。
実は、ローマにあるんですけれども、非常に立派な建物の中に七百人の職員が専従で働いておられる。そして、驚いたのは、その防災省のビルの中に五十幾つのボランティア団体が入る部屋が一団体に一部屋ずつ割り当てられていて、そして、いついかなる災害があってもすぐに対応できる。実際に、法律に、三十分以内に、災害が起きたら緊急に会議を開いてそこに集まるということが書かれていて、実際に、二〇一六年、ラクイラで起きた地震のときは、明け方の四時だったんですけれども、明け方の四時に地震があっても三十分後には災害対策本部会議が開かれた、そういう国なんですね。
私は、法律を作ることもこの後時間があれば提案したいんですけれども、やはりまずこの防災省、これを是非つくるべきだ。何度も私、本会議でも申し上げて、当時の安倍総理からなかなかいい答えはいただけていないんですけれども、是非。
特に今回、コロナ。コロナも、ちょっとイタリアがどうか分かりませんが、アメリカなんかは、FEMAが、危機管理庁が対応していて、そういう災害時の、緊急事態の司令塔がしっかりしていることが、やはりコロナ対策もうまくいっている。日本の場合、やはり厚労省があったり、いろいろな省で、ワクチンは今度、河野大臣が突然やったり。そういったことがやはりないように、あらかじめ防災省、名前が防災省がいいのか分かりません、市民保護省とかアメリカのような危機管理庁がいいのかもしれませんが、しかし七百人。これは、イタリアは日本の人口の半分しかいません。それでも七百人。日本は、防災担当は内閣府に百名ちょっとですよね。やはりこの防災省を是非つくっていただきたいと思いますけれども、大臣、御見解いかがですか。
○小此木国務大臣 この今の質問については、度々やはり同じような観点から御質問をいただきます。本日だけではございません。数年にわたるものでありますけれども。
私の答弁とすると、今の体制、百人ちょっとと言われましたけれども、現実的には、災害があれば各省庁がしっかりと集まって対応するということが迅速に行われていると思います。一〇〇%ということはないかもしれませんが、常に、否定的な思いだけではなくて、勉強も進め、特に御主張はイタリアのことが多うございますけれども、そういったところの国々の体制についても、やらないんだということじゃなくて、しっかりと勉強させてまいりたいと思います。
○高井委員 御自身の言葉でお答えいただいたので評価したいと思いますが、総理ともお近しいでしょうから、是非、防災担当大臣のときに、つくろうという御提案をしていただきたいということをお願いして、質問を終わります。
ありがとうございます。
――――◇―――――
○金子委員長 この際、自然災害義援金に係る差押禁止等に関する法律案起草の件について議事を進めます。
本件につきましては、先般来理事会等で御協議を願っておりましたが、協議が調いましたので、委員各位のお手元に配付いたしましたとおり委員長において起草案を作成いたしました。
本起草案の趣旨及び主な内容につきまして、委員長から御説明申し上げます。
我が国は、その自然的条件から、地震、豪雨等各種の災害が発生しやすい特性を有しており、特に、近年は気候変動の影響等により災害が頻発化、激甚化する傾向にあります。これらの災害により、被災者の中には住居や事業所が損壊し、生活基盤に大きな打撃を受ける方も少なくありません。
被災者に対する経済的な支援等としては、被災者生活再建支援金、災害弔慰金、災害障害見舞金といった公的な制度と併せ、義援金も大きな役割を果たしています。義援金は、寄附者が被災者を支援するために拠出したものであり、生活を再建するための資金として被災者自らが使用することを期待されているものであります。その義援金を、被災者に対する債権の強制的な取立てとして差押え等の対象とすることは、寄附者が義援金を拠出した趣旨に反するものであります。
災害に関連する義援金については、これまで五回、東日本大震災、平成二十八年熊本地震による災害、平成三十年七月豪雨等による災害、令和元年房総半島台風、東日本台風等による災害及び令和二年七月豪雨による災害の際に、被害の甚大さに鑑み、これらの災害に関連する義援金に限り、差押えを禁止すること等を内容とする法律を制定してまいりました。一方で、都度の立法措置によるのでは、特に国会の閉会中の迅速な対応が困難であること、また、対象となる災害の範囲が限定的となることなどの懸念も、各方面より示されてきたところであります。
本案は、そのような経緯等を踏まえ、災害関連義援金に係る差押えの禁止等に関する法律を一般法とするもので、自然災害の被災者等の生活を支援し、被災者等を慰藉する等のため自発的に拠出された金銭を原資として、都道府県又は市町村が一定の配分の基準に従って被災者等に交付する金銭を自然災害義援金とし、その拠出の趣旨に鑑み、被災者等が自ら義援金を使用することができるよう、同義援金について、義援金の交付を受ける権利の差押え等の禁止及び義援金として交付を受けた金銭の差押えの禁止をしようとするものであります。
なお、本案は、令和三年一月一日以降に発生した自然災害に係る義援金について適用することとしておりますが、施行前に確定した差押命令等に関しては、その効力を妨げないこととしております。
以上が、本起草案の提案の趣旨及び主な内容であります。
―――――――――――――
自然災害義援金に係る差押禁止等に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○金子委員長 お諮りいたします。
自然災害義援金に係る差押禁止等に関する法律案起草の件につきましては、お手元に配付しておりますとおりの起草案を委員会の成案とし、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○金子委員長 起立総員。よって、そのように決しました。
なお、ただいま決定いたしました本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十二分散会