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第7号 令和3年5月27日(木曜日)

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令和三年五月二十七日(木曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 金子 恭之君

   理事 小里 泰弘君 理事 工藤 彰三君

   理事 原田 義昭君 理事 藤丸  敏君

   理事 堀井  学君 理事 近藤 和也君

   理事 早稲田夕季君 理事 大口 善徳君

      青山 周平君    井出 庸生君

      岩田 和親君    大岡 敏孝君

      金子 俊平君    神山 佐市君

      杉田 水脈君    高木  啓君

      津島  淳君    出畑  実君

      中谷 真一君    中根 一幸君

      額賀福志郎君    原田 憲治君

      百武 公親君    深澤 陽一君

      福山  守君    松本 文明君

      山本 幸三君    逢坂 誠二君

      岡島 一正君    柿沢 未途君

      神谷  裕君    小宮山泰子君

      佐藤 公治君    高木錬太郎君

      森山 浩行君    山本和嘉子君

      江田 康幸君    佐藤 英道君

      田村 貴昭君    美延 映夫君

      古川 元久君

    …………………………………

   国務大臣

   (防災担当)       小此木八郎君

   衆議院調査局第三特別調査室長           名雲 茂之君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十七日

 辞任         補欠選任

  鈴木 憲和君     津島  淳君

  平  将明君     福山  守君

  武部  新君     額賀福志郎君

  中谷 真一君     百武 公親君

  根本 幸典君     青山 周平君

  池田 真紀君     逢坂 誠二君

  高木錬太郎君     森山 浩行君

  岡本 三成君     佐藤 英道君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     根本 幸典君

  津島  淳君     鈴木 憲和君

  額賀福志郎君     武部  新君

  百武 公親君     中谷 真一君

  福山  守君     平  将明君

  逢坂 誠二君     池田 真紀君

  森山 浩行君     高木錬太郎君

  佐藤 英道君     岡本 三成君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 災害対策に関する件

 災害時等における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進に関する法律案起草の件

 災害時等における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進に関する件


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     ――――◇―――――

金子委員長 これより会議を開きます。

 災害対策に関する件について調査を進めます。

 災害時等における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進に関する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、額賀福志郎君外六名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、公明党、日本維新の会・無所属の会及び国民民主党・無所属クラブの五派共同提案により、お手元に配付いたしておりますとおりの災害時等における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進に関する法律案の草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。逢坂誠二君。

逢坂委員 おはようございます。

 本起草案の趣旨及び内容につきまして、提出者を代表して御説明申し上げます。

 災害時等における船舶を活用した医療提供体制の整備に関しては、政府において、阪神・淡路大震災の経験等を踏まえ、病床や手術室を備えた艦船の整備等の取組が行われてきましたが、東日本大震災の際には十分に活用することができませんでした。このため、その教訓を踏まえた検討が行われ、これまで既存船舶を用いた実証訓練なども行われてきました。

 一方で、今般の新型コロナウイルス感染症の流行を契機に、感染症への対応においても船舶の活用に対する期待が大きくなっております。

 四方を海に囲まれた我が国は、水産資源や海底資源の活用や海を通じた交流を図るため、古来、船舶の建造技術や操船技術を蓄積し、海洋国家として発展してきました。これらの技術の蓄積を災害時等の対応においても最大限に活用し、船舶を活用した医療提供体制を整備することは、今後発生が懸念される南海トラフ地震等の大規模災害等への備えとして、極めて重要であると考えます。

 本起草案は、海に囲まれた我が国においては災害時等における医療を確保する上で船舶を活用した医療の提供が効果的であることに鑑み、災害時等における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進に関する基本理念及び基本方針その他の基本となる事項を定めるとともに、船舶活用医療推進本部を設置することにより、災害時等における船舶を活用した医療提供体制の整備を総合的かつ集中的に推進しようとするものであります。

 次に、本起草案の内容について御説明いたします。

 第一に、基本理念として、災害時等における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進は、災害が発生した地域等において必要とされる医療を船舶を活用して的確かつ迅速に提供することにより、当該地域にある医療施設の機能を補完し、国民の生命及び身体を災害等から保護することに資することを旨として、行われなければならないこととしております。

 第二に、国は、基本理念にのっとり、災害時等における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有することとしております。

 第三に、災害時等における船舶を活用した医療提供体制の整備は、災害時等における船舶を活用して提供される医療と陸上の医療施設において提供される医療との適切な役割分担及び相互の連携協力を確保すること等の基本方針に基づき、推進されるものとしております。

 第四に、政府は、基本方針に基づく施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講ずるものとし、この場合において、必要となる法制上の措置については、この法律の施行後一年以内を目途として講じなければならないこととしております。

 第五に、政府は、政府が災害時等における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進に関し講ずべき措置について必要な整備推進計画を策定しなければならないこととしております。

 第六に、災害時等における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進を総合的かつ集中的に行うため、内閣に、内閣総理大臣を本部長とする船舶活用医療推進本部を置くこととしております。

 なお、この法律は、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。また、船舶活用医療推進本部については、この法律の施行後五年を目途として総合的な検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとすることとしております。

 以上が、本起草案の提案の趣旨及びその内容であります。

 何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

    ―――――――――――――

 災害時等における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

金子委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 本件について発言を求められておりますので、順次これを許します。森山浩行君。

森山(浩)委員 おはようございます。立憲民主党の森山浩行です。

 災害については、阪神・淡路大震災後の神戸でボランティアとして活動し、地元テレビ局の記者として数々の現場取材、また、自治体議員、国会議員としての現地調査などが、現在の私、立憲民主党災害・緊急事態局長代行としての取組につながっております。

 いわゆる病院船で災害時の医療体制を補完するというアイデアは、それこそ阪神大震災以来、長年にわたって議員間でも討議されてきましたが、今回、コロナ禍の中で、五百床、二万トン規模を念頭にした各省の活用法と課題の整理を踏まえ、今回の整備計画を立てるという法案として提案されたということであります。

 陸路が途絶された地域や離島における災害対応に大きな力を発揮することを期待される病院船ですが、そのために、運用のための組織を新設する必要があり、天下りの温床にならないかということや、集団的自衛権行使の際に戦地へ派遣される可能性などの懸念もあり、これらの課題整理が必要と思います。

 また、費用対効果の問題としては、災害列島日本では、地震、津波、大型台風の被災が多く、大型病院船自体の安全確保や、着岸のための港湾施設の整備といった課題、日本の海岸総延長が三万キロ以上あり、駆けつけるのに時間的制約があるため、各県一機配置されているドクターヘリを増やすことなどとの、他の手段との優先順位も検討しなければなりません。

 オペレーションの課題としては、船の中での医療行為のための法改正や医療従事者の確保の問題、特に、大型船舶でのコロナ感染の問題は、ダイヤモンド・プリンセス号、飛鳥などの事例を参照する必要があるということ、運航要員の確保と平時の活用方法についての検討、その他、今後更に既存の船舶を用いた災害医療活動への取組を重ねることで、オペレーションの中で具体的に対処方針を定めることが求められます。

 病院船を造るという法案ではなく、整備計画を作るという本法案を提案されたということでありますから、これから具体に様々な課題を検討するということだと認識をしていますが、発議者に改めて病院船の必要性と課題についてお尋ねをいたします。

逢坂委員 御質問ありがとうございました。

 今、幾つか森山委員から具体的な数値なども含めて御質問がございましたけれども、現時点で、特に、二万トン規模で五百床であるとか、そういったことが具体的に決まっているわけではない。五百床、二万トンというのは、政府の検討会においてそれらを念頭に置いて検討したという内容というふうに承知をしております。

 今法案でありますけれども、災害時等においては、海上から被災地及びその周辺にアプローチをして医療を提供することが有効である場面が想定されます。病院船があることで、災害時等の医療についての選択肢が広がっていくというふうに考えております。例えば、具体的には、沿岸地域において大規模災害が発生し、陸路が遮断されたり膨大な医療ニーズが生じるなど、陸上の医療機関のみでは十分に対応できない場合に、陸上の医療機関との適切な役割分担の下、その補完機能としての活用が期待されているところであります。

 一方、幾つか御指摘がありましたとおり、病院船の課題としては、これはもう本法案の中にも各号に列挙をしてございますけれども、第四条の中に幾つか列挙をさせていただいておりますが、例えば人員の確保でありますとか、人材の育成、物資の確保、あるいは災害時以外の平時においていかにこの病院船を有効に活用するかといったようなこと、あるいは民間の活用、こういったことも課題として法案の中にも挙げておるところでございまして、こういったことにつきましては、今後、法案成立後に設置されます船舶活用医療推進本部、こちらにおいて適切にしっかりと検討されるものと考えているところでございます。

 以上です。

森山(浩)委員 ありがとうございました。

金子委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 発議者に質問します。

 三月三十日に出された「病院船の活用に関する調査・検討を踏まえた政府の考え方」では、当面、新たに病院船の建造には着手しないこと、そして、医療従事者の確保、運航要員の確保、平時の活用方策という三つの大きな課題があるとされました。

 課題解決への課題は多いと考えられますが、あえて本法案を提案したその理由についてお答えいただきたいと思います。

佐藤(英)委員 田村議員の御質問にお答えをいたしたいと思います。

 御指摘のとおり、船の運用に当たりましては様々な課題があるということは認識をしているところでございます。

 この法案は、災害時等における船舶を活用した医療提供体制を整備することによりまして、災害時等における医療についての選択肢を増やすことが海に囲まれた我が国においては有用であるという認識に立ちまして、政府がこれまで検討して整理されてきた課題について、本部で更に検討を深め、船舶を活用した医療提供体制を整備するために提案したものでございます。

田村(貴)委員 基本方針では、災害時以外の病院船の活用において、国際緊急援助活動が挙げられ、効果的に活用することとされています。その場合、本国の災害時に戻ることができない、あるいは遅れるなど、期待した支援ができなくなるというようなことは想定されないでしょうか。

津島委員 田村貴昭委員にお答え申し上げます。

 いわゆる病院船というものを何隻保有するか、いずれにしろ複数隻保有するということは考えておかねばなりませんが、保有隻数をどれぐらいにするかということによるんですが、いずれにしろ大事なことは、海外に出ていて日本の災害が起きた場合に対応できない、そういうことがあってはならない、そういう御懸念は委員の御指摘のとおりであります。

 ですので、このような事態にならないように、あくまでも日本における災害対応を第一とし、災害時等以外における船舶の効果的な活用方法については本来の任務に支障を来さないようにすべきと考えておりますが、具体的には本部において適切に検討されるものと考えております。

田村(貴)委員 災害時以外の活用のところでは、国際緊急援助活動等とあります。等とは、ほかにどんな活動を想定しているのでしょうか。本法案の、災害が発生した地域等において必要とされる医療を船舶を活用して的確かつ迅速に提供するという本来の任務に支障を来すものではないということを確認したいというふうに思います。逸脱せずに、歯止めとなるのは何でしょうか。

津島委員 お答え申し上げます。

 この法案で規定されておりますもののほかに、平時の活用方法として、政府においても検討され、我々として考えていることとして、国際青年交流活動への活用といったことを想定しております。例えば、医療技術の指導といったことを病院船を活用してやるなどといったことがあるのではないか、こう考えられます。

 他方、平時の活用が本来の任務に支障を来すようなことがあってはならないのは、もう既にこの質疑でもございました、御指摘のとおりでございます。

 歯止めとなるものとしては、第二条の基本理念がございます。第二条では、災害が発生した地域等において必要とされる医療を船舶を活用して的確かつ迅速に提供することを旨とすべきことが規定されていることから、これが歯止めになると考えております。

田村(貴)委員 では、もう一問お尋ねします。

 感染拡大の収束が見えません。これからもパンデミックは世界で起きていくものと思われます。そんなときに一番課題とされている医療体制の構築でありますけれども、平時から医師、看護師等医療スタッフを充実させていく必要性があると思いますけれども、この点について、発議者はいかに考えておられますか。

津島委員 ありがとうございます。大変重要な御指摘をいただきました。

 陸で医療活動するにせよ、海で医療活動するにせよ、医療スタッフがいなければ、いかに構想を作ったところで、これが机上のものになってしまうということは御指摘のとおりでございます。

 災害時にしっかりとした医療活動を行い得る人員を日本としてどのように確保するのか。それを任務として規定をする、あるいはボランティアとして従事していただく、様々な形というものを検討しながら、この法律の施行を機に、政府においてそういった点も検討されるということを強く望んでいるところでございます。

田村(貴)委員 時間が参りました。終わります。

金子委員長 これにて発言は終了いたしました。

 お諮りいたします。

 災害時等における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進に関する法律案起草の件につきましては、お手元に配付しておりますとおりの起草案を委員会の成案とし、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

金子委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、ただいま決定いたしました本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

金子委員長 この際、工藤彰三君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、公明党、日本維新の会・無所属の会及び国民民主党・無所属クラブの五派共同提案による災害時等における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。早稲田夕季君。

早稲田委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    災害時等における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進に関する件(案)

  政府は、災害時等における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進に関する法律の施行に当たっては、次の事項に十分配慮すべきである。

 一 陸上の医療施設において提供される医療との適切な役割分担及び相互の連携協力の確保を図るに当たっては、いわゆるドクターヘリやドクターカーなど多様な救急医療の提供手段も含めて考慮することにより、災害が発生した地域等において必要とされる医療の的確かつ迅速な提供が可能となるよう努めること。

 二 保有する船舶を検討するに当たっては、我が国が長く多様な海岸線を持ち、大小様々な港湾が存在する中で、船舶を活用した医療提供が求められる様々な状況を勘案し、十全な機能が発揮されるよう、留意すること。また、船舶の保有・運用に係る経費や新たに建造する場合はその建造費などが過大とならないよう留意すること。

 三 災害時等以外において、保有する船舶を国際緊急援助活動等に活用する場合には、「災害が発生した地域等」において必要とされる医療を船舶を活用して的確かつ迅速に提供するという本来の任務に支障をきたすことのないようにすること。

 四 船舶の運用主体が国以外の者となった場合には、その運用に係る人員の確保について、国民から公務員の天下りの手段との疑念を抱かれることのないよう、留意すること。

 五 災害等から得られた教訓等を踏まえて、本法に基づく措置については、必要に応じて適宜見直すこと。

 六 本法に基づく措置については、当委員会に適宜報告すること。

  右決議する。

以上であります。

 委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

金子委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

金子委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とすることに決しました。

 この際、本決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。小此木防災担当大臣。

小此木国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を十分に尊重して、関係省庁が連携し、適切な対応に努めてまいります。

金子委員長 お諮りいたします。

 本決議の議長に対する報告及び関係政府当局への参考送付等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前九時五十三分散会


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