第3号 令和4年3月10日(木曜日)
令和四年三月十日(木曜日)午前八時三十分開議
出席委員
委員長 小里 泰弘君
理事 西村 明宏君 理事 根本 幸典君
理事 若林 健太君 理事 鷲尾英一郎君
理事 近藤 和也君 理事 山崎 誠君
理事 岩谷 良平君 理事 大口 善徳君
青山 周平君 井出 庸生君
江藤 拓君 柿沢 未途君
勝俣 孝明君 金子 俊平君
金田 勝年君 菅家 一郎君
工藤 彰三君 熊田 裕通君
後藤田正純君 坂井 学君
笹川 博義君 新谷 正義君
杉田 水脈君 高鳥 修一君
藤丸 敏君 古川 康君
堀井 学君 渡辺 博道君
神谷 裕君 小宮山泰子君
小山 展弘君 神津たけし君
佐藤 公治君 柚木 道義君
早稲田ゆき君 阿部 弘樹君
奥下 剛光君 空本 誠喜君
金城 泰邦君 角田 秀穂君
田中 健君 古川 元久君
田村 貴昭君
…………………………………
国務大臣
(国土強靱化担当)
(防災担当) 二之湯 智君
内閣府副大臣 大野敬太郎君
内閣府大臣政務官 小寺 裕雄君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 下田 隆文君
政府参考人
(内閣官房国土強靱化推進室次長) 五道 仁実君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 吉住 啓作君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 松下 整君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 榊 真一君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局電気通信事業部長) 北林 大昌君
政府参考人
(消防庁国民保護・防災部長) 荻澤 滋君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 徳田 修一君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 原 克彦君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 木村 実君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 石坂 聡君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術審議官) 江口 秀二君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 村山 一弥君
政府参考人
(気象庁長官) 長谷川直之君
政府参考人
(原子力規制庁原子力規制部長) 市村 知也君
政府参考人
(防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官) 上田 幸司君
衆議院調査局第三特別調査室長 吉田はるみ君
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委員の異動
三月十日
辞任 補欠選任
青山 周平君 堀井 学君
小宮山泰子君 神谷 裕君
古川 元久君 田中 健君
同日
辞任 補欠選任
堀井 学君 勝俣 孝明君
神谷 裕君 小宮山泰子君
田中 健君 古川 元久君
同日
辞任 補欠選任
勝俣 孝明君 青山 周平君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
災害対策に関する件
津波対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案起草の件
――――◇―――――
○小里委員長 これより会議を開きます。
災害対策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官下田隆文君、内閣官房国土強靱化推進室次長五道仁実君、内閣府大臣官房審議官吉住啓作君、内閣府大臣官房審議官松下整君、内閣府政策統括官榊真一君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長北林大昌君、消防庁国民保護・防災部長荻澤滋君、外務省大臣官房審議官徳田修一君、文部科学省大臣官房審議官原克彦君、国土交通省大臣官房審議官木村実君、国土交通省大臣官房審議官石坂聡君、国土交通省大臣官房技術審議官江口秀二君、国土交通省道路局長村山一弥君、気象庁長官長谷川直之君、原子力規制庁原子力規制部長市村知也君及び防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官上田幸司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小里委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○小里委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小山展弘君。
○小山委員 おはようございます。静岡県の選出の小山展弘です。
質問に入ります前に、実は今日は傍聴席に、元衆議院議員、元参議院議員で、自民党の皆様方にもなじみのある戸塚進也先生が今日傍聴にお見えになられておられます。拍手も起きました。ありがとうございます。私も、生まれたときにちょうど選挙区選出で出られていたのが戸塚進也先生で、最初に覚えた国会議員の名前が戸塚進也先生だったものですから、テレビで出ていた総理大臣の名前とかはなじみもありましたけれども、今日は大変緊張しながら質問させていただきたいと思います。
まず最初に、リニア新幹線トンネルの工事に関することで質問させていただきたいと思います。
リニア新幹線のトンネル工事については、約三百七十万立米の土砂、残土が発生すると見込まれております。この量は、熱海の土石流災害において流出した土砂が約五万五千五百立米、そのぐらいだと言われておりますから、その六十七倍の量になります。この掘削の残土について、大井川の燕沢というところに十八万平米の発生土置場を設けて、最大七十メートルの高さに達する盛土を計画すると聞いております。また、藤島沢というところの付近に盛土を、こちらの方にも保管場所をつくりまして、ここでは永久保管、もちろんいろいろな対策はした上でなんですけれども、永久保管の方針となっております。
これに対して静岡県は、県議会において、難波副知事の答弁で、令和元年の大雨の際にも燕沢の土砂流出によって林道が破壊されたことなどを踏まえて、大規模盛土の安全性への懸念だけでなく、周辺の山体の崩壊、斜面の崩壊による大規模盛土からの土砂流出や盛土崩壊を想定しているのか、あるいは南アルプスの地形や地質、安全性の推定に不確実性がある、そのことを考慮していないのではないかとの懸念が示されました。
もちろん、誰もが土砂崩れを起こしてやろうと思って工事をしたりしているわけではないということは十分に踏まえた上で、善意にそれぞれ様々な事業をしていこう、あるいは許認可していこうというようなところの認識がずれているということで、決してここは感情的になってはいけないとは思いますけれども、もう一つ、難波副知事は、土中の、盛土の中にある鉱物、ミネラル、こういったものがしみ出して河川の汚染の懸念もあるということを県議会の答弁でも述べております。
宅地造成及び特定盛土規制法案も閣議決定されまして、大井川の盛土がこの法律の規制の対象になるかどうかも今後注目されることかと思いますけれども、事業者と県で非常に認識が異なっておりまして、流域住民も大変不安に思っているところもございます。
これらのトンネル掘削に係る残土の保管の安全性について、国はどのように認識、評価しておりますでしょうか。
○江口政府参考人 お答えいたします。
リニア中央新幹線の南アルプストンネル静岡工区からの建設発生土は、全体で約三百七十万立米と推定されております。このうち、対策を要しない発生土につきましては、今委員御指摘のとおり燕沢に、また、重金属等を含む要対策土については藤島沢などで処理される予定と承知しております。
これら発生土の処理方法につきましては、国土交通省が令和二年四月に設けました有識者会議でも議論されまして、昨年十二月に取りまとめた中間報告では、発生土置場においては、JR東海において適切な処理、管理が継続されれば、表流水や地下水の水量、水質等には影響をもたらすものではないと考えられること、一方、継続的かつ具体的な処理方法の検討に当たっては、今後、地権者や静岡県を始めとした関係者とJR東海とで協議を行うべきものと考えることとされたところでございます。
盛土等の規制につきましては、現在、静岡県議会で条例案が審議されているものと承知しておりますが、国土交通省としましては、中間報告で示された内容や条例等に従いJR東海により建設発生土が適切に処理されるよう、JR東海を指導監督してまいります。
○小山委員 先ほども申し上げましたが、事業者の方も、何か事故や将来の災害を起こしてやろうと思って事業されるわけでもないし、規制する方も、何か意地悪をしてやろうと思ってこの規制をしたりするわけではないと思っております。両者の認識の違いということかと思いますけれども、先ほども申し上げました宅地造成及び特定盛土規制法案も閣議決定されて、この規制の対象になるのかどうかということも今後注目されているところかと思いますが、国が是非、適切に関与していただいて、指導していただければと思っております。
それでは、二つ目の質問に移りたいと思います。
先日の二之湯大臣の所信表明では、地域の防災力を高めるため、地区防災計画の策定、ボランティア、NPO、行政の連携、協働の取組を進めるというお言葉がございました。これについては、具体的にはどのような政策を考えていらっしゃいますでしょうか。
○大野副大臣 ありがとうございます。
御指摘の地区防災計画、あるいはボランティア、NPO、そして行政の連携、協働、この点に関しまして、まずは国民の皆さんが自らの命は自らで守るという意識というのは大切であろうと思います。その上で、いわゆる自助、共助、公助、こういったものを適切に組み合わせて、そして地域自ら災害に備えていくということが重要になろうか、このように思います。
その上では、やはり地区防災計画というのが自助、共助による地域防災力の向上に有効である、こういうふうに考えておりまして、その上で、なお一層そういった住民自らの地区防災計画の策定というのが進むように何をやっておりますかといいますと、ガイドラインの作成であるとか、あるいは作成主体や作成支援者への研修の実施、あるいは地区へのアドバイザーの派遣といったことを取り組んでおるところでございます。
また、災害時には、ボランティア、NPO、そういった皆さんが被災地に駆けつけて本当にきめ細やかなサービスをやっていただいているというのは本当に感謝に堪えないところでございますけれども、そういった方々になお一層国として何ができるのかという視点では、内閣府といたしましては、例えば、ボランティア、NPO、行政、この三者の連携が取れた被災者支援活動を実施するということが重要だと考えておりまして、そのためには、災害発生時におきましては、現地でやられる情報共有会議、こういったものに、どうすればいいのか、何をやればいいか、どういう視点が重要なのかというようなものを、ガイドラインというものを定めて示していくということ。
あるいは、ガイドブック等の作成や研修といったものも行っているということでありますとか、またさらに、大規模な災害におきましては、ボランティアの偏在などの全国的な観点からの必要な調整というのを行う必要がございますので、そういった観点から全国レベルの情報共有会議というのを開催させていただいている。
このような取組を行っておりますけれども、これでもう十分だということではなくて、今後もさらに、改善すべきところは改善してまいりたい、このように思っております。
○小山委員 地区防災計画の策定、また、自助、共助、公助の組合せをスムーズに行っていくというような発想とか、そういったものは大変賛同するところでございますし、行政のみということではなくて、ボランティアやNPOとの連携、協働といったことも非常に大事な視点であると考えております。
それで、実は、この地区防災計画についてということで、いろいろ私のところに意見を寄せてくれた方がいらっしゃるんですけれども、その方は、地域防災計画だ、地域防災計画だとおっしゃっていて、私も何か話がかみ合わないなと思ったら、地域防災計画と地区防災計画と一文字違いで、地域防災計画は市町村が作るもので、地区の方は住民の方々が自発的に提案するものだということで、この辺りも少し分かりにくいところもあるのかなというふうには感じております。
それと、この後またお話を申し上げたいと思いますが、内閣府の防災基本計画の理念には、被災者のニーズに柔軟かつ機敏に対応するとともに、高齢者、障害者、その他特に配慮を要する者に配慮するなど、被災者の年齢、性別、障害の有無といった被災者の事情から生じる多様なニーズに対応するというふうに記されております。
これは、本来であれば、自発的な提案型の計画といいながらも、この地区防災計画にもこういったインクルーシブな防災計画という要素が含まれるべきではないかなと考えておりますけれども、実際には、介護を抱えた方が地区の自主防災の集まりとか活動に行こうとしても、なかなかそれまでの余裕がない。こういった、障害を持った方、あるいは御病気の方々のニーズというものが、もちろん、地域防災計画、市町村の単位では配慮されているかと思いますけれども、地区防災計画になかなか反映されていない。
もちろん、任意の提案ということなので、やむを得ない部分もあろうかと思いますが、是非、この地区防災計画の策定に当たっても、インクルーシブな防災計画ということをまた国の方からもアピール、また指導できるようなことをお願いできればと思っております。なかなか反映されていないというような話も聞くものですから、是非よろしくお願いいたします。
次に、地域防災計画についてなんですが、今申し上げましたとおり、内閣府の防災基本計画の理念では、インクルーシブな防災計画の策定ということを求めております。
確かに、避難所に行ったときに、糖尿病の方がいらっしゃれば、インシュリンの数はあるんだろうかとか、あるいは、介護が必要な方も、どういう内容の介護が必要で、介添え者は誰がやるのかといったようなことも、これはなかなか、そういったインクルーシブな防災ということになると、きめ細かな配慮が必要になってくるかと思いますが、こういった市町村が策定する地域防災計画で、その地域の高齢者や、あるいは障害を持たれた方、そういった数や状況を調査、把握した上で作られていらっしゃると思いますけれども、現在、地方自治体の地域防災計画の妥当性や、あるいは内容のフォローといったことについて、国としてはどのように行っておりますでしょうか。
○荻澤政府参考人 災害対策基本法におきましては、都道府県、市町村といった地方公共団体には地域防災計画の作成が義務づけられているところでございますけれども、その際には、防災基本計画はもとより、各省庁等が作成する防災業務計画を踏まえるほか、都道府県計画については国が、市町村計画につきましては都道府県が必要な助言等を行うことができるというふうにされておるところでございます。
私ども消防庁におきましては、消防庁防災業務計画を作成いたしまして、地域防災計画の作成の基準をお示ししているところでございます。その中で、高齢者、障害者など、多様な主体の視点を取り入れた防災体制を確立すること、またさらに、具体的な施策に関わるものとしては、自力で自ら避難することが困難、特に支援を要するような避難行動要支援者名簿を作成すること、さらに、要支援者ごとの個別避難計画の作成に努めることといったような要配慮者対策を定めるよう求めているところでございます。
このうち、例えば、市町村に義務づけられております避難行動要支援者名簿の作成でございますけれども、毎年度、作成状況を調査しながら取組を促してきたところでございまして、直近、令和二年十月現在の調査結果によりますと、九九・二%の市町村が作成済みであるということも確認をしているところでございます。
引き続き、このような助言等を通じまして、防災基本計画に盛り込まれました高齢者、障害者等への配慮に関する事項が地方公共団体の具体的な防災対策に反映されるよう、支援してまいります。
○小山委員 今、SDGsということも、近年、大変関心が高まっておりますが、誰一人取り残さない防災計画の策定ということで、是非、インクルーシブな防災計画、あるいは、先ほども申し上げました地区防災計画においてもなるべくそういう視点が取り入れられていくように、また国としても是非指導していただきたいと思います。
それと、今お話の中にもございました個別避難計画についてお尋ねしたいと思います。
昨年五月に改正されました災害対策基本法では、自ら避難することが困難な高齢者の方、あるいは障害者の方など、避難行動要支援者ごとの避難支援を実施するための計画である個別避難計画を市町村が作成することを努力義務として定めております。
この個別避難計画の策定に当たっては、人員の確保、要介護者の介護は誰がやるのかなど、非常に具体的な支援が必要になるため、なかなか市町村が策定するには労力がかかることも予想されます。計画策定において、地方自治体に対して、国による専門家の派遣なども含む支援のための予算措置も必要と考えますけれども、この点についてはいかがお考えでしょうか。
○榊政府参考人 お答え申し上げます。
近年の災害においては、高齢者や障害者などの要配慮者が被害に遭われており、要配慮者の避難の実効性の確保は重要な課題となっております。
このため、委員御指摘のとおり、昨年の五月、災害対策基本法を改正し、避難行動要支援者に係る個別避難計画の作成を市町村の努力義務化いたしました。個別避難計画の作成に要する経費でございますが、令和三年度から新たに交付税措置が講じられたところでございます。
さらに、市町村における取組を支援するため、計画の作成手順や個別避難計画のひな形の例などを掲載した取組指針の提示、優良事例を全国展開するためのモデル事業の実施などに取り組むとともに、防災・安全交付金など、活用の可能性がある各省の補助制度の紹介や周知にも努めてきているところでございます。
引き続き、関係省庁や自治体等とも連携しつつ、要配慮者の避難の実効性を高める取組を進めてまいります。
○小山委員 次に、原発事故が起きた際の避難計画についてお尋ねをしたいと思います。
ある対象となる自治体の計画では、雪の降らない県、私の出身県からするとどこか分かっちゃいますけれども、そこから、避難地が豪雪県でありまして、そこに車で移動する計画というふうになっております。しかし、雪の降る中で、雪道での運転に慣れていない雪の降らない県からの移動というのは、非常に混乱を来すことも予想されます。
あるいは、車での避難ということが計画では書かれているんですけれども、車を持っていない、あるいは運転免許を持っていない、こういう方々が避難する場合には、小学校に集合するということになっております。だけれども、小学校も統廃合が進んで、人によっては徒歩三十分以上もかかるようなケースもあるということでございます。真夏にお年寄りの方が荷物を持って小学校まで三十分以上も歩いて逃げる、避難を始めるというのは、これも条件としてなかなか大変なものではないかなと思いますけれども、こういった原発事故が起きた際の避難計画の妥当性について、国としてはどのように評価、検討していらっしゃるか。どのような仕組みがあるんでしょうか。
○松下政府参考人 お答え申し上げます。
まず、原子力災害が発生した場合の避難に係る計画についてでございますが、これについては、原子力災害対策特別措置法において読み替えて適用される災害対策基本法の規定によりまして、自治体が、防災基本計画、それと原子力規制委員会の策定いたします原子力災害対策指針に基づいて作成することになっております。
この計画の具体化、充実化の支援を行うために、内閣府では、原子力発電所が立地する地域ごとに地域原子力防災協議会を設置しております。この地域原子力防災協議会には国の関係省庁と関係自治体が参加しておりまして、この協議会の枠組みの下で、地域の抱える様々な課題を国と自治体が一体となって検討するといったような仕組みになっているというところでございます。
ただいま委員から、先生御地元の浜岡地域でのお話だというふうに御推察いたしましたけれども、検討課題の事例が御紹介ありました。確かに、県外の豪雪地へふだん雪道の運転に慣れていない方が自家用車で逃げるといったケースもあろうかと思いますけれども、そうした場合の課題についても検討を進めておりまして、例えば、そういう運転に不安のある方については、道路や積雪の状況によっては途中でバスに乗り換えていただくといったような方策をしたらどうかといったような検討を行っております。
また、自家用車による避難が困難な方についてはバスで避難ということになるわけでありますけれども、そのバスに乗車するための一時集合場所についても、無理なく集合できる場所ということで、小学校でなければいけないというものではありませんので、その適当な場所をそれぞれ検討しているというところでございます。
このように課題を解決した上で緊急時対応を取りまとめているわけでございますけれども、取りまとめた緊急時対応につきましては、先ほども申し上げました地域原子力防災協議会において、原子力災害対策指針等に照らして具体的かつ合理的であることを確認し、さらに、総理を議長とする原子力防災会議で了承する、こういった仕組みになっているところでございます。
○小山委員 今のお話にもございましたが、そもそも何万、何十万人という方々が、あるいは十数万人という方々が、あってはならないし、あってほしくありませんが、原子力災害がもしも起きたときには避難をする。多くの人が避難するというだけでも、道路の渋滞であるとか、そういったことも車の場合には考えられ得ると思いまして、一層こういった避難計画についてもチェックをしていきながら深化をさせていくということが必要ではないかなと思います。
そして、今のことに関連しまして、基礎自治体で原子力災害の際の避難について計画を作るということにしても、専門家が乏しく、なかなか作るのに手間取ってしまうということも伺います。むしろ国の方が、地方自治体の現状についてヒアリングをしながら、主体的に実効性のある計画ができるように関わっていくべきではないかと、専門家の派遣とかも含めて、思いますけれども、それについてはいかがでしょうか。
○松下政府参考人 お答え申し上げます。
先ほども答弁しましたけれども、国は計画策定当初から地方自治体の計画策定にきめ細かく関与いたしまして、地域が抱える課題を共に解決するなど、前面に立ってしっかりと支援しているところでございます。
ですので、国と自治体が一体となって、地域の実情は自治体が熟知しておりますので、それと国の専門性、さらには複数の自治体をまたぐ調整等々の役割分担をしながら、しっかりとした計画を作っていくということでやっているところでございます。
○小山委員 南海トラフ大地震、大震災というものがいろいろ懸念されておりますが、これが最大被害想定で起きる場合、被災範囲が非常に広いので、特に水の確保については、被災地以外の地区からの給水車が応援に行くというようなことも、東京から大阪、宮崎まで被害が及ぶということになりますと、かなり困難が予想されます。
こういうような場合に、国は、飲用水の確保について、特に南海トラフ大地震が最大被害で起きたような場合に、どのような見通しを持っていらっしゃいますでしょうか。
○小寺大臣政務官 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、南海トラフ地震が発生した場合には、水道についても広域にわたり甚大な被害が発生すると見込まれており、最大で約三千四百四十万人に断水の影響があるというふうに想定をされております。
政府といたしましては、あらかじめ、南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画を定めており、その計画では、最大で七日間に四十六万立方メートルの飲料水が必要となるというふうに見込んでおります。
実際に、南海トラフ地震が発生した場合には、発生から三日間は、家庭や地方自治体等の備蓄を含めて対応することを想定した上で、市町村等の水道事業者が給水車に加え、緊急貯水槽、仮設給水栓等を用いて応急給水を実施することとしております。
また、被害水道事業者のみで対応が難しい場合には、災害時相互応援体制により応急給水を行うこととしており、更に必要な場合には、厚生労働省におきまして、全国の市町村等に対して支援を要請し、調整等を行うこととしております。
水道は重要なライフラインの一つであり、特に飲料水は人命にも関わるものでございます。国といたしましては、自治体と緊密に連携を進めた上で、政府一体となって調達に全力を尽くしてまいります。
○小里委員長 申合せの時間が経過しておりますので、締めてください。
○小山委員 はい。
一問ちょっと取り残しまして申し訳ございませんが、今もお話ございましたように、水の確保は非常に大事ですので、また井戸の活用といったことも含めて、これからも防災計画が充実するように努めていただきたいと思います。
以上で質問を終わります。
○小里委員長 次に、山崎誠君。
○山崎(誠)委員 おはようございます。立憲民主党の山崎誠でございます。
御質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
本日は、これまでの災害対応、様々私も経験をしてまいりました。そうした経験を踏まえまして、以下、御質問を組み立てさせていただきました。大きなポイントは三点ほどございます。是非、前向きな御答弁を含めてお願いをしたいと思います。
まず一番目のポイントは、広域の防災拠点。大きな災害時に、例えば被災地を後方から支援するような大きなやはり拠点が必要であろう、そういったことをどういうふうに整備していくかというお話です。
これは、東日本大震災のときに、有名なお話でもありますが、岩手県の遠野市が後方支援拠点になりまして、沿岸の例えば釜石であるとか宮古だとか大槌町だとか、そういった被災地を支援した事例がございます。私も、何度も伺って、いろいろ研究もさせていただきました。
非常にこの後方支援はよくできておりまして、二〇〇七年に関連する九市町村で協議会を設立されて、国にも様々提案活動をし、自衛隊を始め、災害に対応する団体、多くの関係者が参加をして、みちのくALERTという実践的な防災訓練、後方支援の訓練も展開をしてまいりました。同じ想定の地震、津波災害が発生をして、これがうまく機能したということだと思います。
私、この遠野モデルを是非日本全体に展開すべきだということでずっとお訴えをしておるんですが、これから想定されます首都直下地震だとか、東海地震だとか、東南海トラフの大地震だとか、首都圏あるいは大都市を襲う地震、これは人口規模からいくと、やはり東日本大震災を超えるような大規模な後方支援が必要になると思います。自衛隊や様々な救援隊、警察、消防、そういった受入れの拠点、あるいは物資の中継拠点、あるいは避難者の受入れ拠点、こういった体制がどうしても必要だ、ある意味でこの遠野モデルを大きくスケールアップしたような計画を今作っていくべきというふうに考えます。
こうした後方支援の体制、広域の拠点の整備という考え方については、今どういう状況にあるか、お答えいただけますか。大臣、よろしいですか。
○二之湯国務大臣 国の方では、首都直下地震が実際に発災した場合に備えまして、警察、消防、あるいは自衛隊の救助部隊の活動拠点や進出ルート等をあらかじめ明確にいたしまして、そして、人命救助のために重要な七十二時間を意識したタイムラインを明示した具体的な計画を定めているところでございます。これらの計画にも明示している防災拠点は、地方自治体の災害対策に資するものでありますので、これまで、基本的には自治体を主体として整備に取り組んでいただいているところでございます。
委員御指摘の、東京の江東区とか、川崎市、あるいは堺市にあるような基幹的な広域的防災拠点を、国としては整備するということは今のところ考えておりませんけれども、各自治体が整備する防災拠点を含め、既存施設を活用しながら、首都直下地震への備えを強化してまいりたいと思います。
また今後、自治体から具体的な御相談があれば、必要な協力を行ってまいりたいと考えております。
○山崎(誠)委員 今の御答弁にあるとおりでございまして、やはり自治体任せなんですよね。自治体の枠の中で整備をしていこうというのが今の国の方針だということは、私は大変残念なんです。
これはやはり、自治体の垣根なども越えて、本当に防災の活動を組み立てていったときに、必要な拠点をどこにつくるかというのは、例えば東京の被災を救うのに、東京都内で適地を探さなきゃいけないということでは決してないと思うんですよ。隣であります例えば私のいる神奈川県横浜にも適地があるから、そういったところをきちっと整備をしていく。それは、自治体の垣根を越えて、境界を越えて、国がやはり指導してそういったものは整備していかなければいけないのではないか。私は、これは大変急務だというふうに思っている次第です。
それで、ちょうど今、私の地元でもあります横浜市の瀬谷区に旧上瀬谷通信施設という跡地がございます。二百四十二ヘクタール、東京ドーム五十二個分という広大な空き地がありまして、これは旧米軍の基地でありました。その返還した跡地、これから様々整備をされていくのでありますが、この土地をそうした拠点にという要望が、資料一につけました、下の出典のところに書いてありますが、九都県市首脳会議という、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、さいたま市、横浜市、川崎市、相模原市、千葉市、そうなるんですが、要は、首都圏の首長の皆さんが、是非広域の拠点をつくってもらいたい、つくるのであれば、例えば今お話しした横浜市、旧上瀬谷通信施設の一部などにつくってもらいたい、こういう要望も具体的に出されています。これは、私が今お話しした構想の一端であります。
この上瀬谷の土地というのは、ちょうど二〇二七年に園芸博覧会が予定されておりまして、これから開発がいろいろ進みます。横浜市も一定防災の拠点をそこにつくろうとはしているんですけれども、今大臣お答えいただいたとおりでありまして、横浜市のことを考えて防災拠点というスケールなんですよね。でも、今本当に求められているのは、もちろん横浜のためでもあるし、もっと広く、東京都であれ川崎であれ、地境を越えた拠点、それが必要だと思うのであります。
是非、この土地などもちょっと注目いただいて、活用の余地がないか検討いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○二之湯国務大臣 委員御指摘の土地は、高速道路のインターチェンジにも非常に近くて、物資の輸送や、あるいは救助活動の拠点としての活用も十分に利用できる、このように想定されるわけでございますけれども、その土地は、現在、国有地、そして民間の土地所有者、さらには横浜市、こういう地権者があるわけでございますから、今、そういう方たちの意見等も踏まえながら土地の利用の在り方の検討が進められていると承知をいたしておるところでございます。
今後、横浜市などの地方自治体から具体的な相談があれば、整備に当たって助言するなど、必要な協力を行ってまいりたいと思っております。
○山崎(誠)委員 一歩踏み込んでいただきたいのであります。先ほど、九都県市の皆様からの提案書もお示しをしました。やはり、ほっておきますと、今の体制は壊れないんですよ。横浜市はさすがに手を挙げられないですよ。うちが東京都も面倒を見ますなんて、絶対、なかなか言えないです。これを壊すのはやはり国から、ちゃんと計画の下で、ここだと。
今大臣がおっしゃったとおり、ここはいい土地なんですよ。東名高速からも近いですし、保土ケ谷バイパスだとか、主要幹線に近いです。一定、海からも距離がありますから、津波とかの被害もない。ある意味、後方支援の拠点としては非常に好適地でありまして、私は是非、今まだそういう計画ができていないので、ここは国のそういう防災という視点から、一歩踏み込んだ取組、協議を始めていただきたいということで、切にお願いをする次第であります。
これは本当に命と国を守ることでありますから、是非、前面に立って議論をしていただきたいとお願いをいたします。
二番目のテーマは、災害対策に関するノウハウの蓄積と継承とタイトルをつけたんですが、どうやって日本の災害対応のレベルを上げていくか。様々、災害大国と言われながら、その度々で対応が、何というんですか、上がったり下がったりするのを見てまいりました。それを何とか、一定レベルを上げていくためにどういうことが必要かということであります。
私の体験で一つございまして、避難所に簡易ベッド、いわゆる段ボールベッドというのを導入しなきゃいけないということで、新潟大学の榛沢先生、避難所の専門家でありますが、お医者様の立場から、この段ボールベッドの大事さ、簡易ベッドの導入の大切さ、いわゆるエコノミークラス症候群で、避難生活をしながら命を落とすような方が多い、それをなくすためには雑魚寝をやめて段ボールベッドの上にお休みいただくのがいいし、必要だということでお訴えをいただきまして、平成三十年の七月の西日本の豪雨、あのときに、私も現場、いろいろ動きまして、このベッドの普及に努めさせていただきました。
一定成果がそのとき上がったというふうに思うんですが、担当者がころころ替わるんですよ。その後の災害で、また同じような避難者が発生する災害は度々起こっている。その度に担当者の方をお呼びしてお話をするんですが、担当者がころころ替わってしまって。
あと、ベッドの調達、支給担当は経産省だということで、経産省の担当者が出てくるんですね。その担当者の方も、毎回、災害ごとに異なっているんです。異なってもしようがないんですけれども、その人が、では、段ボールベッドの必要性とか簡易ベッドの必要性をどのぐらい理解しているかというと、必ず私は一から説明しなきゃいけないんです。エコノミークラス症候群があるでしょう、それを防ぐためにはこうしなきゃいけないんです、ああしなきゃいけないんです、一から私が御説明しないと、なかなか前向きに取り組んでくれないということが続きました。
私は、これは一定のノウハウ、知識、それをやはり組織としてきちっと蓄えていただいて、例えば、そういう担当になったらきちっとその認識を持ってスタートするという体制をつくっていただきたいというふうに思うのであります。
今、私はベッドの例を出しましたけれども、それだけではない。もちろん、全てノウハウの塊でありますこの災害対策について、どういう体制をつくっていくのかということ、これが私は大問題だと思っております。
内閣府防災の皆さんが、そういう意味では、今、日本の中の、司令塔の中の、災害対応のスペシャリスト集団ということで、日夜本当に御苦労されている、大変緊張の中で仕事をされていると思います。この内閣府防災の位置づけ、組織について、簡単で構いませんので御紹介いただいて、私が今お話ししたようなノウハウ、この蓄積や継承というのがどういうふうに行われているのか、御説明いただけますでしょうか。
○榊政府参考人 お答え申し上げます。
内閣府の防災担当は、自然災害の予防、応急対策、復旧復興に関する基本的な政策に関する企画及び立案並びに総合調整に関する事務等を担っております。
具体的には、政府の防災対策に関する基本的な計画である防災基本計画の推進、防災訓練や防災に関する普及啓発、災害応急対策、被災者の避難生活や生活再建、災害復旧復興に関する施策の推進などを行っております。
こうした施策の実施のため、内閣府防災におきましては、政策統括官一名、審議官二名の下に十名の参事官を置き、内閣府のみならず、国土交通省や総務省など防災に関する業務を担当しております関係省庁の職員や自治体などから専門性や経験を有する職員が集まり、精力的に業務に当たっているところでございます。
委員御指摘のとおり、災害の経験、反省を踏まえながら、防災行政につきましては不断の見直しを行っていくことが大変に重要であると考えております。
御指摘がありました段ボールベッドでございますが、エコノミークラス症候群といった御指摘もございました。避難所の環境改善を進めていく上で大変大切なものであると考えておりますし、近年は、新型コロナウイルス感染症の中で、大分これも定着してきているのではないかなと考えております。
しっかりとそうした業務が引き継がれるよう、私どもも取り組んでまいりたいと存じます。
○山崎(誠)委員 ありがとうございます。
私は、本当に、内閣府防災の皆さんの取組というのが日本の災害対策を支えているというふうに思います。
今、百人少々の組織だと思いますが、私は、今のお話にあった業務の所掌範囲を考えると、そして、これから起こるであろう災害を想定すれば、更に増強して、例えば倍の組織になってもいいというふうに思いますし、私たちは、党の提案としても、例えば防災省だとか、防災復興省だとか、そうした大きな組織にきちっと格上げをして強化をすべき、私はそういう組織ではないかなというふうに思っておりますし、そういう御提案をさせていただいているということであります。
それで、今お話のあった防災担当者の皆さんの専門性の習得あるいはスキルアップ、これが常に私は大事だと思います。
各部署からやはり優秀な方々が集まってきて業務に当たっているというのは分かるんですが、そういう方々は常に入れ替わります。二年であるとか、一定の期間で入れ替わっていく。これは仕方ないことだし、内閣府防災で培った防災ノウハウを各省庁で展開するというのも大事ですから、異動については構わないと思うんですが、そのときの研修であるとか、きちっとした、その部署に配置をするに当たっての教育訓練、そういった期間が持たれているか、そういうタイミング、そういう機会がしっかりと取られているかというのが、私は一つ気がかりであります。
答えを申し上げると、答えになるかどうか分かりませんが、私が事前ヒアリングでお聞きをすると、これはいただいた資料なんですけれども、三十ページぐらいの資料に基づいて受入れの講習をします。そしてその後、二、三日はいろいろなオペレーションについての説明はあるようでございますが、私が確認した限り、そのくらいなんですよ。
ここから私は提案なんですけれども、防災のノウハウとか技術とか、そういったものはやはりある程度ボリュームがあって、そして現場の感覚も必要だし、新しく内閣府防災に人が配置をされたら、例えば三か月間は一定の研修期間にして、事務的な手続の話、机上の災害のシミュレーションのようなこと、あるいは、自治体に一回出ていただいて、自治体の災害の現場、危険な箇所などを実際に歩いていただく。私は、三か月ぐらいインターバルを置いて、それでこの防災の担当に入っていただくというのがある種重要なのではないかなと思って、御提案をさせていただくんですが、現行の取組と今私が提案したようなことを是非御検討いただきたいんですが、いかがでしょうか。
○榊政府参考人 お答えを申し上げます。
内閣府が担っております防災業務に関して、内閣府の防災担当職員を対象とした研修につきましては、人事異動による着任の当初において、大規模災害時の初動の心構えや業務内容等に関する説明会を行いますとともに、内閣府で主催しております訓練を通して、業務の内容やほかの機関との連携等について確認をしております。
先ほど申し上げましたけれども、内閣府の体制といたしましては、国土交通省や総務省など防災に関する業務を担当しております関係省庁の職員や自治体などから、今委員御指摘のありました経験あるいは専門性を持っている職員が集まっておりまして、そうしたこれまでの経験なども踏まえながら、また、着任当初におけるこうした心構えや業務内容に関する説明なども踏まえながらその業務をしっかりとやっておりますし、今後も引き続きそのように対応してまいりたいと考えております。
○山崎(誠)委員 大臣、今私、答弁はまた、一定納得はするんですが、私が提案したような、二か月、三か月のインターバルを取って、きちっとした、今もやっていらっしゃるのは分かるんですが、更に充実させた、そうした受入れ、そういう体制をつくっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○二之湯国務大臣 今委員が御指摘になりました、そういう防災担当の職員が地方自治体なんかに出向いて、そして三か月ほど研修を受ける、これは非常にいいことだと思います、百聞は一見にしかずというような言葉がありますから。私も、防災担当大臣を承って、ずっと戦後の大災害の跡地を視察させていただきました。非常にいい勉強になった、このように思っております。
そして、地方自治体の職員とか国の防災担当の職員の能力を更に高めて、それをキープする、維持するということは非常に重要なことだ、このように思っております。
このため、ただいま政府参考人から答弁がありましたとおり、国としても様々な形で研修等を実施して、国や地方自治体の災害の対応能力を高めているところでございます。また、国会議員に対しても、議員さんもそれぞれそういう防災の知識を持っていただかなきゃなりませんので、様々な立場で防災業務に関する説明を丁寧に行っているところでございます。
今後とも、このようないろいろな研修を通じまして、更にまた様々な御意見を承りながら、防災に対する知識あるいは技術などの内容の充実に努めてまいりたい、このように思います。国としても一生懸命になって防災に関する人材の育成に努めてまいりたい、このように思っております。
○山崎(誠)委員 御丁寧な御答弁、ありがとうございます。
是非そういう意識で取り組んでいただきたいと思うんですが、でも、二之湯大臣、具体的に私が提案している、この内閣府防災に異動するときの研修の充実、三か月は無理でも、一か月でもいいですよ、二か月でもいいですよ、きちっと時間を取って、受入れ研修を充実させるとお約束いただけませんか。
○二之湯国務大臣 私も就任してからまだ半年たっておりませんけれども、今、内閣府の統括官が答弁いたしました。また専門の集団とよく相談しながら、できるだけ対処をしていきたいと思います。
○山崎(誠)委員 ありがとうございます。是非、できるだけの対処をお願いしたいと思います。
これは、私は、やはり担当者の皆さんも自信を持っていただくためにも、とても大事だと思うんですよ。本当に防災の範囲は広いですし、いろいろな方々が来ますよね。厚労省からもいらっしゃる、国交省からもいらっしゃる。そうしたいろいろな方々の知恵をまた集約をして、レベルを上げながら、そして、本当の災害、今起こってもおかしくないわけですから、それに備えるということ、常にそうした最高の、スタッフの能力向上、能力の確保をいただければと思います。国土強靱化という、これに私は反対するものではありませんけれども、組織の強靱化も是非やっていただきたいんですよ。両輪でありますから。是非そうした考えをお伝えしておきたいと思います。
少しリーダーシップの話もしたかったので、資料の二、例えばこれを見て、災害時の初動の様々な部分でリーダーがいらっしゃるんですね。誰が本当のリーダーで、誰が本当の専門家でこれをリードしていくのかというのが、なかなか私は見えないんですよね。
一つは、例えば内閣の危機管理監という職がございまして、私は内閣の危機管理監というのは大事な防災の要だというふうに思っているんですが、この危機管理監がどういう方が適任かというのは私は詳細申し上げませんけれども、歴代の方々を見ていると、全部警察出身の方なのであります。もちろん、警察の出身の方が悪いと言っているわけではないんですが、様々な災害対応ということに焦点を当てると、必ずしも警察の方ばかりが危機管理監になるということがベストな選択かどうかというのは、私はちょっと疑問がつくのであります。
これまでの全ての危機管理監は警察出身と聞いております。この辺りは、もっと前広に、本当に適任で、今起こっている災害に対応するために、リーダーとして、知見やリーダーシップを持っている方というのを広く求めていただきたいというふうに思っております。この点はちょっと私の意見にとどめさせていただきます。
三番、残り時間僅かですが、防災関連の情報システムの現状と課題について一言述べさせていただきます。
私、長らく、この防災の関係では、情報システムの活用がやはり大事だし、日本は遅れているという問題意識で様々検討してまいりました。
東日本大震災のときも、エマージェンシーマッピングチームという、大学の先生や、GISという地理情報システム、皆さんお分かりの方もいらっしゃると思いますが、地図上のデータベースを活用した情報管理というのを専門にしている方々が集まってそういうチームをつくったんです。ただ、そのチームがせっかくでき上がって、すばらしい地図をたくさん作って情報管理をしていたのに、それが本当に政府の意思決定の中に反映されたかというと、私は非常にそれが届かなかったという反省がございます。そのとき民主党の議員でおりましたので、そのエマージェンシーマッピングチームという、地図を使った情報収集をやっているチームのお部屋に何度もお伺いをして、どんなことをやってくださっているか、それをうまく政府に伝えたいということで動いたのでありますが、結局、私から見ると、十分にそれを活用し切れなかったということであります。
今、政府はどういうふうになっているかというと、二つのシステムが動いておりまして、四番の資料を見ていただきますと書いてあるんですが、総合防災情報システムという、これは比較的古いシステムでありまして、なかなか使い勝手のよくない、ここにも書いてありますけれども、今お話ししたようなGISというものの機能を十分に使い切れていない古いシステム。それから、左側にありますISUTという、このシステムが私がお話ししたいGISのシステムなんですね。この二つが今並列して存在をしていて、これがまだ統合化されていない。統合されるのは令和六年からというお話でありまして、今本当にそういう意味ではシステムがまだふくそうしていて、大変、いざというときに情報管理、このままではうまくできないという状況になっています。
何とかこれを早く統合して、いわゆるGIS、地理情報システムというものにきちっと軸足を置いた情報管理、国と地方自治体も同じシステムを使って、データを一回入れればそれが全ての関係者に行き届くようなシステムにつくっていただきたいということでお願いをしたいんですが、時間がありませんので、この点についての御見解をお伺いして終わりたいと思いますが、いかがでしょう。
○小里委員長 榊政策統括官、簡潔にお願いします。
○榊政府参考人 お答えを申し上げます。
御指摘のありました現行の総合防災情報システムでございますが、災害発生時に政府が被災状況を早期に把握し、迅速的確な意思決定を支援するためのシステムとして運用しております。
しかしながら、整備から十年以上経過しているため、システム自体が大分古くなってきており、また、操作が難しく視認性が悪いといった課題がございます。さらに、利用者の範囲が国の関係省庁に限られているため、情報の共有が十分に行えていないといった課題もあると認識をしております。
一方、これまた御指摘をいただいたISUTサイトでございますが、府省庁と都道府県、市町村、指定公共機関でも利用ができますが、防災科学技術研究所の研究成果のシステムをそのまま運用しておりまして、システムの安定性に課題があると考えております。
このため、総合防災情報システムが耐用年数を迎えます令和五年度までに二つのシステムを一元化し、利用範囲を都道府県や市町村、指定公共機関にまで広げた上で、安定した運用を行うことができるよう、新しいシステムを構築するための検討を進めてまいりたいと考えております。
○山崎(誠)委員 終わります。ありがとうございました。
○小里委員長 次に、空本誠喜君。
○空本委員 日本維新の会の空本誠喜でございます。よろしくお願いいたします。
まず冒頭、ウクライナ情勢に関しまして、ウクライナの一日も早い平和と安穏を願うとともに、そして、ロシア軍の一刻も早い撤退を要求しまして、質問に入らせていただきます。
本日は、豪雪対策、そして南海トラフ対策、さらには、ウクライナ情勢に関して、原子力発電所へのミサイル、この攻撃に対する対策についてお聞きいたします。よろしくお願いいたします。
まず、豪雪対策でございます。
お手元に資料をお配りしております。まず、一枚目の資料でございます。
私、元々学生時代からスキーをしておりまして、トレーニングのために、野沢温泉村とか、豪雪地帯と言われる地域で居候等しておりまして、居候のときに、屋根に上って雪下ろしをする。若く、鍛えておりましたけれども、そのとき本当に重労働、大変でございました。そして、屋根からいつ落ちてもおかしくないような危険な状況、そういったものも経験しております。毎年毎年、雪下ろしをしました。また、そういう地域に毎週末、社会人になっても車を走らせて、また、例えば東京、横浜から関越道を使って越後湯沢、そして津南、栄村、野沢温泉、志賀高原などに、四WDでありましたけれども走り抜け、大雪が降っている最中も何回も何回も走っております。雪国の方々以上に、危険な目にも遭ったこともございます。
そういった意味で、今、資料にございますけれども、今年も大変大雪でありまして、新潟県の魚沼地区、配付資料のとおり、雪下ろしの事故が多発しています。落下、下敷き、さらには水路への転落。これも、野沢温泉の中でいいますと、水路が細くて、そこに人が落ちてしまえば、すぐ死に直結する。また、除雪機への巻き込み事故。高齢者の方々は、結構、ヒートショックで亡くなっている方もいらっしゃるそうでございます。そういった方々、高齢化が進む中で、豪雪地帯があり、中山間地域でもあります。
自治体等は資金対策とかいろいろな対策を打っている、また国もそういう支援をしていると聞いておりますけれども、政府は現在どのような対策を講じていらっしゃるのか、二之湯大臣からまずお願いいたします。
○二之湯国務大臣 委員御指摘のとおり、我が国では、雪下ろし等の除雪作業中における事故が、特に高齢者を中心にして毎年多数発生しております。今年も七十一人もの貴い命が亡くなったわけでございます。
高齢化が進む雪国において、これらの事故を防止することは非常に重要な課題であると考えておるわけでございます。
そのため、内閣府では、中央防災会議の議長であります内閣総理大臣から都道府県などへ毎年発出する通知や、市町村の職員に向けた降雪対応の手引などを通じて、作業時には家族、近所へ声をかけることや、複数の人で除雪作業をすることを注意喚起するとともに、雪下ろし作業の困難な高齢者等を支援するために、ボランティア団体等と連携した、除雪ボランティアの受入れ体制の整備等を進めるよう、自治体に強く求めているところであります。
また、国土交通省におきましても、豪雪地帯を対象とした新たな交付金制度を創設しまして、高齢者世帯の屋根の雪下ろし等への支援を行うこととしております。
今後とも、現場の実態をしっかりと踏まえながら、関係省庁や自治体と連携し、雪下ろし等による事故防止対策に全力で取り組んでまいりたいと思っております。
○空本委員 現場主義で是非お願いします。
まだコメントはもう少しあるんですが、次に移らせていただきます。
次に、大雪時に車両等が滞留してしまって、また、物流が遅れてしまう大雪対策として、基幹道路、こういったものが封鎖されてしまうことが多々ございます、その場合どのような対策を今後取ろうとしているか、国土交通省の方から御説明をお願いします。
○村山政府参考人 お答えいたします。
大雪時におきまして、道路が長期間通行止めになりますと、社会経済活動に多大な影響を及ぼすことから、その影響を最小化するため、物流等の幹線道路ネットワークを強化することが重要であると考えております。
例えば、大雪時には、高規格道路のうち、四車線区間でありますとか付加車線が整備されております区間におきましては、立ち往生が発生した場合でも通行止めをしないで、残る車線を活用した交通の確保ができるといった事例や、大規模な車両の滞留が発生した場合におきましても、反対側の車線を活用して速やかに車両を排出することができるといったことが可能となってまいります。また、並行する国道が整備されていて、いわゆるダブルネットワーク化がされている区間におきましては、一方が雪で通行止めになっても、大きな迂回のない交通の確保も可能となってまいります。
一方で、令和二年十二月に閣議決定されました防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策におきまして、高規格道路の暫定二車線区間の四車線化、また、高規格道路と直轄国道のダブルネットワーク化などによる道路ネットワークの機能強化対策が位置づけられております。
このうち、高速道路の四車線化の事業区間の選定に際しては、ネットワークの代替性確保の観点から、雪による立ち往生の可能性が高い区間も考慮して選定をしているところでございます。
国土交通省としましては、五か年加速化対策の予算等も活用しながら、大雪にも対応する幹線道路ネットワークの機能強化を推進してまいりたいと考えております。
○空本委員 道路が渋滞しますと、また、物流が止まるだけではなくて、生活が滞ってしまいます。そういった対策、しっかりとお願いしていただきたいと思います。
本当はもっともっと言いたいことがございますが、次に移らせていただきます。
次に、南海トラフの地震に対してお聞きします。
太平洋沿岸では、やはり、津波対策等を含めて意識がすごく高いと思います。しかしながら、瀬戸内海、余り意識がされていないのではないかなというふうに感じております。私自身も瀬戸内海で生まれた人間でございまして、南海トラフといっても、ちょっとぴんとこないというところがございます。
しかしながら、自治体は国の指導の下にハザードマップなどを作られていらっしゃいまして、お配りの資料の二枚目でございます。二枚目に、これは広島市の中心部における被害マップを示しておりますが、南海トラフ、規模が、一応、ある想定でございますけれども、広島市内でも三メーター以上の浸水があるということでございます。
これを見て、私もびっくりしたんですけれども、えっ、こんなにつかるのかと。島嶼部であれば、もっともっとつかるであろうというふうに考えております。
そういった中で、瀬戸内海での対策といいますか、そういった意味で、被害状況をまずどのように内閣府として捉えていらっしゃいますか。お願いいたします。
○榊政府参考人 お答え申し上げます。
南海トラフ地震の被害想定につきましては、平成二十四年度に当時の最新の科学的知見に基づき作成をしており、最悪のケースにおける全国での被害は、死者数三十二万三千人、建物の全壊棟数約二百三十八万六千棟になると推計をしております。このうち、津波による被害でございますが、死者数約二十三万人、建物の全壊棟数約十五万四千棟となっており、津波によって広域かつ甚大な被害が想定されているところでございます。
委員お尋ねの瀬戸内海沿岸の広島県、岡山県など九つの府県における津波による被害について申し上げますと、死者数約一万三千人、これは津波による被害全体の約五・七%、それから建物の全壊棟数約四万二千棟、これは同じく全体の約二七・三%になると推計をしております。
○空本委員 すごく興味深い数値でありまして、人の被害というのは逆に五%、六%程度、建物は二五%を超えるというような数値と今お聞きしました。
一応、事務方の方からお聞きしましたら、逃げるのに約二時間ぐらいの余裕があるであろうということをお聞きしました。だから逃げ切れるんじゃないかなという話で聞いていますが、市街地でもやはりそういったことが起きれば、交通渋滞じゃないですが、車の大渋滞が発生したりします。そういった意味で、どういう被害が出るか、もう少ししっかりと吟味をいただきたいなと。
特に、大臣におかれましては、南海トラフ地震級におきましての緊急災害対策本部の実質的な責任者、副本部長であります。やはり、太平洋側も大事でありますが、瀬戸内海側もしっかりと見ていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
そこで、最後に、二之湯大臣の方から御見解といいますか、どのような取組をされていらっしゃるか、取組をするか、お願いいたします。
○二之湯国務大臣 南海トラフ地震につきましては、今後三十年以内に七〇%から八〇%以内で発生すると予想されているわけでございます。一たび発生した場合には、太平洋沿岸だけじゃなくて、瀬戸内海沿岸にも非常に大きな被害がもたらされるのではないか、このように思っておりまして、その対策が非常に重要である、このように思っております。
このため、国においては、地震防災対策を推進するための基本計画を作成し、想定される最大の死者数をおおむね八割減少させるなど定量的な減災目標を設定するとともに、目標を達成するための実現方策を定め、今現在これを推進しているところでございます。
また、関係する自治体におきましては、国の基本計画を踏まえて、推進計画を作成して、津波ハザードマップの作成、あるいは避難路、避難施設の整備、あるいは防災教育や避難訓練による住民意識の向上など、様々な津波対策を進めておりまして、国としても支援に努めているところでございます。
津波による被害を減らすためには、住民の避難意識を高め、早期避難を促すことが重要であり、今後とも、瀬戸内海沿岸も含む自治体等と緊密に連携をしながら、南海トラフ地震対策に全力で取り組んでまいりたいと思っております。
○空本委員 是非、全国、何が起きるか分かりません。そういった意味で、緊張感を持って、自治体への指導、また様々な助言等お願いしたいと思います。
続いて、原子力発電所へのミサイル攻撃、今、ウクライナ情勢でそういった話題が広く取り上げられております。
そこで、まず、核兵器と核共有について議論をさせていただきたいと思います。
お配りの資料の三枚目でございます。この向かって左側、上に、雪の博士として有名な中谷宇吉郎博士、この先生が書かれた文章がございます。ちょっと読み上げてみます。
原子の蔵する勢力(エネルギー)は殆んど全部原子核の中にあって、最近の物理学は原子核崩壊の研究にその主流が向いている。原子核内の勢力が兵器に利用される日が来ないほうが人類のためには望ましいのであるが、もし或る一国でそれが実現されたら、それこそ弓と鉄砲どころの騒ぎではなくなるであろう。
中谷宇吉郎「弓と鉄砲」一九三七年十一月より
ということで、物理学者である中谷先生が、一九三七年、まだまだ戦前、前のことでございますが、核物理学についてすごく心配をされていた。
私も、原子力を学んできました。核物理を学んでまいりました。
原子力と核兵器はコインの裏表でございます。まさに、平和利用であれば表、核兵器を造るとなれば、これはコインの裏でございます。こういった意味で、核のエネルギーという問題はすごく大きな問題であるとともに、人類の究極の考えなければならないことかと思います。
そこで、核共有、ニュークリアシェアリングでございますが、この定義について、先般、松野官房長官が衆議院の内閣委員会、ちょっと読み上げますが、核共有については定かに定まっているものではないと承知している、すなわち、明確な定義はないと発言をされています。一方で、核共有、ニュークリアシェアリング、これまで、欧州、NATOで、核兵器を共同管理することによる集団的安全保障上の軍事的な抑止力政策であるというふうに位置づけられているということとなっています。
そこで、質問させていただきます。
NATOで進められておりますニュークリアシェアリングは、ニュークリアウェポン、核兵器に関わる抑止力の共有を示しているものでありますけれども、原子力の平和利用、すなわち、原子力発電所、ニュークリアパワープラントとか、原子力施設、ニュークリアファシリティーとか、こういったものの設備並びにそういった活動、これも共有の範囲に入るのか、含まれるのか、概念として入ってしまうのか、この点につきまして、外務省から御見解をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○徳田政府参考人 お答え申し上げます。
NATOで行われておりますニュークリアシェアリング、これは、アメリカの管理下にある核兵器を非核兵器国である一部のNATO加盟国の領土内に配備し、同盟の核抑止ミッションとそれに関連する政治的責任及び意思決定を共有する仕組みでございまして、核兵器そのものの共有ではないとされていると承知してございます。
NATO加盟国でない我が国が確たることを申し上げる立場にはございませんけれども、その上で申し上げれば、原子力発電所等の民生用原子力施設については、NATOが集団防衛を目的とする軍事的機構であることに鑑みれば、NATOのニュークリアシェアリングの対象には含まれていないと考えられます。
○空本委員 明快な御回答、ありがとうございました。
私自身、核兵器廃絶と核廃絶という言葉がよく使われます。しかしながら、政府の文書の中には核兵器廃絶というのが大体一般的でありまして、一回だけ、私、核兵器廃絶でなくて核廃絶というのを外務省の文書で一回見たことがございます。それ以外はほとんどありません。見ておりません。やはりここはしっかりと、核というもの、原子核というものの中には原子力の平和利用というものと核兵器という二面性がある、コインの裏表であるということを認識いただきまして、外務省、また政府の方におきましては、しっかり御対応いただきたいと思います。
そして、次に、実際に発電所にミサイルが撃ち込まれた場合、どうなるか。撃ち込まれる前にどうするかは後ほど聞きたいと思いますが、撃ち込まれた場合はどうするかということで、また、お配りの資料の二枚目の左側の下に、少し激しい、F4ファントム、戦闘機がコンクリートの大きなブロックにぶつかる写真でございます。これは一九八八年、アメリカのサンディア・ナショナルラボラトリーズで行われた実験でございますけれども、米国では、このように、原子力発電所に戦闘機やミサイル等がぶつかった場合、どのように原子炉の建屋、格納容器、さらには原子炉の圧力容器、中の構造物、耐え切れるかどうかということを研究されております。
我が国でも、やはり、テロが国際的に頻発しておりますので、テロ対策ということをしっかり今考えていただいていると思いますけれども、我が国でも、当然、原子力発電所の設備面、人的な面でもテロ対策が講じられていると聞いておりますが、原子力規制委員会として、安全審査において、どのような要求を行い、どのような安全性確保を取られていらっしゃるのか、御確認をしたいと思いますのでお願いいたします。
○市村政府参考人 お答えいたします。
新規制基準におきましては、万一、意図的な航空機衝突といったようなテロリズムが発生して、それによってプラントが大規模に損傷したというような状況につきましても、消火活動を実施する、あるいは放射性物質の拡散を抑制するための可搬型の設備を中心とした対策を要求しております。これは、審査におきましては、その手順、体制、資機材がそろっているかどうかというような視点から確認をしてございます。
これらの要求によって、テロリズムなどの対策に必要な機能を満たすということを確認した上で、その信頼性を更に向上させるための対策として、特定重大事故等対処設備というものを更に求めております。これは、緊急時制御室あるいは注水ポンプ、電源設備などで構成される恒設の設備ということで要求をしているものでございます。
○空本委員 しっかりと、その辺、対策を講じていただけるような安全審査をお願いいたします。
最後に、では、来る前にどう防御するか。我が国のミサイル防衛でございますが、三枚目の資料、右側でございますが、これは防衛省さんの方から御提供いただいた資料でございますが、松野官房長官が三月四日の会見におきまして、国内にある原子力発電所にミサイル攻撃があった場合、イージス艦に搭載されているSM3やPAC3などで多重的に迎撃する計画であるとの見解を示されております。
多重的、例えばミサイルが短時間に複数連続的に複数箇所、例えば、川内原発、また玄海、さらには福井、柏崎、泊、こういった日本海側を連続的に多段階的に、また複数同時に撃ち込まれた場合、技術的に迎撃できるのかどうか、大変国民も心配でございます。
防衛省の方から見解をお願いいたします。
○上田政府参考人 防衛省からお答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、原発立地地域も含めまして、我が国領域に対します弾道ミサイル攻撃に対しましては、委員から御配付いただきました資料にありますような我が国のミサイル防衛体制をもって迎撃することといたしております。
すなわち、海上自衛隊のイージス艦におきまして、弾道ミサイルのミッドコース、上層での迎撃、さらに、航空自衛隊のPAC3ミサイルによります下層、ターミナル段階での迎撃、こういった多重的、多層的な防衛により対応することといたしておりますが、その上で、先生が御指摘の状況、複数の原子力発電所が多重に攻撃されたような場合ということでございました。個別具体的な状況、脅威に対しましては、どのように対応するかは手のうちになりますので細かくは申し上げられませんが、まさにそういった様々な攻撃方法を想定しております。
さらに、弾道ミサイル自体も能力が向上している中で、我々も迎撃体制の向上、例えば能力向上いたしましたミサイルを導入しましたり、イージス艦を増やしましたり、こうしたような迎撃体制を、日々、不断の努力で迎撃体制を高めておるところでございます。
○空本委員 私自身、原子力発電所を開発して、しかしながら、被爆地広島の、また家族にも被爆者がございます。非核三原則を基に、しかしながら、今の核の在り方といいますか、原子力の在り方を含めて、しっかりと議論をしていくということは大事かなというふうに考えております。
今、電力が大変厳しくなる、LNG等、これから安定に供給されるのであろうか、そういった意味で、原子力の再稼働ということについてのしっかりとした議論も必要となると思います。そういった意味で、防衛省もでございますが、規制庁も、また政府一丸となって、原子力の再稼働、並びに、こういった、北朝鮮問題を含めて、しっかりと議論を、維新におきましても議論をしっかり進めてまいります。よろしくお願いいたします。
終わります。ありがとうございました。
○小里委員長 次に、田中健君。
○田中(健)委員 国民民主党の田中健です。
冒頭、質問時間に際しまして、立憲民主党の皆さん、また維新の党の皆さんに御配慮いただきました。この場をお借りして感謝申し上げます。ありがとうございます。
それでは、本日は、南海トラフ沖地震の臨時情報についてお伺いをしたいと思います。
この臨時情報は、南海トラフ沿いでマグニチュード七クラス以上の地震や異常な現象が観測された場合に事前の避難が求められるのが最大の特徴であり、運用開始から、この五月で三年を迎えます。
この度、NHKが、南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域に指定されている百三十九の自治体に対して、一月から二月にかけてアンケート調査を行いました。
これによりますと、九割が事前避難対象地域の検討を終えまして、事前避難の対象者の数字を合算していきますと四十六万三千人余りに上るということが分かりました。中には、具体的な避難者の対象の数字を答えられないという自治体もありまして、恐らくこの数よりも多いということが推測されます。避難者数は千人以上の市町村が一番多く、中には一万人に及ぶ自治体もあります。かなりの規模の避難行動になることが分かります。
一方、事前避難所を十分確保できるかとの問いに対しては、見通しも含めて、四〇%が確保できないと答えています。理由については、対象者が避難所の受入れ可能人数を上回るため、これが約八割、さらには、浸水想定地域の外に避難所がない、少ないというのが四割、かなり厳しい現実が浮かび上がってきました。
これでは臨時情報の制度の根幹である事前避難という役割が果たせず、避難難民が生まれてしまう可能性もあります。対象者が多過ぎるという物理的な問題というのは大変深刻な問題だと考えますが、避難所の確保にどう努めるのか、まず伺います。
○榊政府参考人 お答え申し上げます。
南海トラフ地震の発災時には避難者が膨大な数に上りますことが想定されることから、避難所の確保など、避難者への対応について平時から備えを進めておくことが重要です。
このため、南海トラフ地震防災対策推進基本計画におきまして、発災時には地域の大多数の住民が避難することを想定し、指定避難所の確保を図るとともに、避難所への避難者の数を少しでも減らすため、ホテル、旅館等の活用や安全な自宅への早期復帰、被災地外への疎開、帰省、他の地域への広域一時滞在の調整などに取り組むこととしております。
さらに、内閣府におきましては、臨時情報の発表に備え、自治体等が防災対応を検討する際に参考とするガイドラインを平成三十一年三月に公表し、臨時情報発表時の事前避難対象地域の設定のやり方でありますとか避難所の選定、避難所が不足する場合の対応など、検討の手順をお示しし、自治体等における避難所の確保等を促しているところでございます。
引き続き、関係省庁及び自治体とも連携しながら、避難所の確保を含めた避難者対策に努めてまいります。
○田中(健)委員 推進避難計画も分かっておりますし、ガイドラインも分かっております。それに伴ってこれまで三年間やってきた結果が、今お伝えしたとおりなんですね。
さらに、実効性を高めるために取り組んでいることはという質問に対しても、今説明があったホテルや旅館などの民間施設への避難というのももう検討したと、もうやっているんですね。その結果が、今言ったように四割が、足りない、確保できないと言っているわけです。
ですので、国としては、まず、どれだけ足りないのかということを聞きましたら、把握できていないということでありますので、しっかりと把握をして、自治体とそれを共有して、先ほどありました広域避難も含めて、そういった問題も、県とか市町村との連絡の役割を国がしっかり果たしていただき、早期の解消に努めるために進めていただきたいと思いますが、いま一度お願いいたします。
○榊政府参考人 お答え申し上げます。
自治体における対応状況の把握でございますが、昨年の四月に、事前避難対象地域の指定状況等について内閣府では調査をしてございます。その調査では、地域の設定や避難所の確保等について、いまだ検討ができていない市町村が多数あると承知をしております。
こうしたことから、先ほど申し上げましたような様々な方法で避難所を確保することにより、避難所への避難者の数を減らす工夫なども行っていく必要があると考えており、引き続き避難者の対策に努めていきたいと考えております。
○田中(健)委員 更に問題なのは、住民の理解について尋ねたところ、内容についてほとんど浸透していない、また、余り浸透していないと答えた自治体が合わせて八割です。懸念事項としては、情報が浸透していないことによる市民の混乱が予想されると言っております。
臨時情報、運用されてから三年近くたちますが、まだこの発表事例がないということで、周知徹底ができておりませんし、市民の理解が進んでいないと思っています。風化のおそれさえあるということも言われています。場所の確保とともに、住民に対する情報そのものの周知徹底が必要と思います。
自治体に任せ切りではなく、国としても役割を果たすべきと考えますが、どのように住民への理解と周知の徹底を図っていくのか、伺います。
○二之湯国務大臣 南海トラフ地震臨時情報が発表された際に、住民が適切な行動を取って、いち早く避難所に向かうということが、日頃から、やはり臨時情報をどのようにして理解していくか、あるいはあらかじめ取るべき行動を認識しているということが非常に重要だ、このように思うわけでございます。
この点、内閣府では、臨時情報が発表された場合の対応を周知するために、自治体向けの連絡会を毎年開催し、担当者の理解を深めるとともに、冊子や動画を作成してウェブサイトで公表するとともに、自治体を通じて住民に提供する等の取組を実施してきているところでございます。
自治体の中には、住民向けの出前講座で、国が作成した冊子や動画を使用して住民への周知に取り組んでいる市町村もあると承知しております。これは名古屋市とか豊橋市なんかがやっておりますね。
臨時情報に関する周知は、継続的に実施することが重要であります。これは住民が常にそういうことを認識する必要がありますから。今後も引き続き、関係省庁や自治体と連携して住民への臨時情報の周知に努めてまいりたいと思っております。
○田中(健)委員 臨時情報によりまして住民には避難が呼びかけられる一方、通常の社会生活が行われています。市町村によっては、避難する方もいれば、一般に生活を行っている方もいます。
さらに、企業も事業の継続に向けた備えというのを適切に講じておく必要があると思っています。
こちらもアンケートが、昨年、東京海上研究所が取りました。南海トラフ地震への対応計画や、また臨時情報発表時の対応計画がその会社で取られているのかというアンケートでは、策定済みなのは全体の二割にとどまるという結果でありました。特に従業員が少ない企業では、対応計画の策定、必要とは考えておるんですけれども着手ができていないということが顕著な結果でありました。
自治体への周知徹底は先ほど大臣から言っていただきましたが、企業への対応や徹底というのはどのように進められているのか、伺います。
○二之湯国務大臣 南海トラフ地震臨時情報が発表された際には、住民だけじゃなくて、企業においても適切な対応を取っていただくことが重要でございます。
このため、病院だとか劇場だとか百貨店等の施設管理者やインフラ、ライフライン、いわゆる電力とかガス事業者等については、事前に対策計画を作成していただいて、その中で、臨時情報が発表された場合の従業員、利用者等に対する情報の伝達、円滑な避難の確保や施設の点検等の必要な防災対応を定めていただくことにしております。これまで内閣府では、対策計画作成のための手引を公表、周知し、企業による対応を促してきたところでございます。
また、その他の企業についても、発災時に必要な事業を継続できるよう、ガイドライン等を通じて、事業継続計画、いわゆるBCPの作成を促進してきているところでございます。
今後とも、関係省庁、自治体等と連携し、臨時情報が発表された場合の企業の対応が一層向上するように支援をしてまいりたいと思っております。
○田中(健)委員 これもガイドラインや手引を作っていただいているのは理解しておるんですけれども、それでもなお、二割しかできていない、さらに、中小企業からは、とてもそれをやっている手も時間もないということでありますので、是非そういう現状を御理解いただきまして、企業に対しても、住民の周知とともに、更に力強く進めていただきたいと思っています。
今回はコロナ禍で、避難訓練、普通の防災訓練もままならない中、なかなか啓発機会もつくれずにこの臨時情報への意識が薄れる一方でありますが、その一方、南海トラフの地震発生の切迫感というのは毎年高まっています。
先ほど、啓発活動をやったということで、私も漫画も、冊子も見せていただきましたけれども、やはり、ただこの情報を流しているだけではなかなか、先ほどの結果を見れば分かるように、伝わっていないということがあります。臨時情報が出たときに自分の町や自分自身がどうなるのかという、リアルに切迫感があるような対策というのが必要だと思っていますし、その努力が必要だと思っています。小規模でも地道な周知活動の徹底、これしかないと思っていますので、是非要望したいと思います。
次は、南海トラフの観測網について伺います。
これまで、東北地方太平洋沖を中心とする日本海溝沿いには日本海溝海底地震津波観測網、S―netが、そして南海トラフの東側や東海の地域では地震・津波観測監視システム、DONETというものが整備をされて、さらに、南海トラフ想定の西側へN―netと言われる観測整備の構築が今進んでいます。ここは近い将来、大地震が予測されておりますが、海底の観測整備がなされていなかった地域であります。
この結果、南海トラフであります南海、東南海そして東海地域という大地震が予測されている場所、大部分が網羅できることになるんですが、唯一、海底の観測網がないのが駿河湾ということになります。
東海地域で地震が発生した場合、沿岸への津波の到達時間が非常に短いということをこの駿河湾域は言われておりますので、観測網の配置が極めて有効な避難時間短縮をもたらすものと考えていますが、この整備、また、これからの取組について見解を伺います。
○原政府参考人 お答えいたします。
政府の地震調査研究推進本部におきまして、地震に関する総合的な調査観測計画の策定を行っているところでございます。
この中で、平成二十八年十一月には、同本部の調査観測計画部会におきまして地震調査研究における今後の海域観測の方針が取りまとめられておりますが、その中で、南海トラフ域につきましては、我が国周辺で最も早く観測網の整備が進んだ海域であり、防災科学技術研究所の地震・津波観測監視システム、DONETでございますとか、気象庁の東海沖及び東南海沖常時海底観測システム等の既存の観測網を最大限活用することが重要であるということ。また、御指摘のありました南海トラフの西側、高知県沖でございますが、ここでは、過去に起こった南海トラフの地震の震源域に含まれ、同海域を震源として地震が発生するケースが想定されていることから、地震や津波の早期検知のためのケーブル式海底地震・津波計を整備することが必要であるというような方向性が示されてございます。
また、あわせて、この方針の中では、海域における定常的な観測網はその整備と運用に多額の経費を要するということから、今後の観測網の維持管理の負担も踏まえた上で戦略的に整備を進めることが必要であるということ、あるいは、海域の観測網につきましては、海域のみで考えるのではなく、陸域の観測網ですとか、あるいは新技術の動向を踏まえて最適な観測網の在り方を考える必要があるということが言及されているところでございます。
先生御指摘のとおり、海底観測網の配備は津波の早期検知ということを考えられるところではございますけれども、このような方向性を踏まえて、長期的、安定的に観測するための経費ですとか、あるいは漁業活動、航路の存在等の海域特有の事情等も十分考慮に入れた上で、御指摘の点も含めまして、関係省庁あるいは関係機関において、最適な海域観測網の在り方について引き続き検討していくことが重要であるというふうに考えているところでございます。
以上でございます。
○田中(健)委員 御丁寧にありがとうございました。
専門家からは、微小の地震の解析でプレート境界の状態などを観察できるので、やはり大地震の中期、長期の捕捉につながり、さらには、静岡県特有なんですけれども、サクラエビ等の漁業環境の保全監視にも併用できるということで、大変有用であるという指摘があり、私自身も是非整備の検討を進めていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。
また、これらの海底観測網を利用して、海洋研究開発機構、JAMSTECが、今、オーダーメイドの津波即時予報システムを開発しています。和歌山県や三重県での利用が始まっていると聞いています。
この緊急地震速報や津波速報というのは、一般的には気象庁が平等に全国に情報を発信するというのが気象業務法に定められていますが、これら取組が始まった県では、この津波予報情報というのはどのような位置づけになるのか、まずこれを気象庁に伺いたいと思いますし、また、実際これを自治体の津波対策にどのように活用し、位置づけられているのかということも併せてお聞きしたいと思います。
○長谷川政府参考人 お答えいたします。
まず、気象庁の津波警報、津波注意報などにつきましては、今お話しいただいたように、気象業務法第十三条第一項等の規定によりまして、全国の海岸を六十六の津波予報区に分けて行っております。
一方、気象庁以外の者においても、気象業務法第十七条第一項の規定によりまして、気象庁長官の許可を受けて、例えば特定地点の津波予測など、多様なニーズに応じて津波の予報を行うことができるようになっておりまして、現時点で和歌山県と三重県が許可を受けているところでございます。これらの県では、それぞれが行った津波予測の結果を沿岸部の市町や消防本部などに提供いたしておりまして、地域ごとのきめ細かな津波防災対策に活用されているものと承知しております。
○田中(健)委員 例えば、そうしますと、三重県や和歌山県では、県として、津波が来ますよ、避難してくださいよと言うことが気象庁でなくてできるという理解でよろしいんでしょうか。
○長谷川政府参考人 具体的に各市町において何に基づいて避難指示等を発表しているかということは、申し訳ございません、今ここで必ずしも把握してございませんが、気象庁の津波警報、津波注意報などももちろんお使いいただいているというふうに考えております。
一方、例えば救難救助の部隊をどこに派遣するのか、そういったときの二次災害を防ぐため、そういったきめの細かいことにつきましては、それぞれの市町に設定された地点の津波の予測に基づいて行われているものというふうに承知をしているところでございます。
○田中(健)委員 急な質問、ありがとうございました。
これは大変有用なシステムだと聞けば聞くほど思っておりまして、和歌山県では約百か所、三重県では六十か所の沿岸地域に対して予測をそれぞれ出せるということでありまして、さらに、地域の様々な情報も加味して最適予測が出せるようになるということです。さらに、応用としては、地域ごとに起き得る津波シナリオを選んで訓練用予測情報を出して、それに基づいて避難の手順を検証してみる試みが、今、県ではされているということであります。
知らなかったものですから、是非、これは今、和歌山県と三重県ということでありますが、各県、特に南海トラフで津波浸水地域、大変危惧されている、私たち静岡県もそうなんですけれども、各自治体で活用できるような取組を気象庁等も進めていただきまして、また、気象庁とも連携してこの取組を進めていただければと思っています。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○小里委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
災害時に、性的マイノリティー、LGBTQの方が抱える困難について質問します。
私は、この間、性的少数者や、東日本大震災そして熊本地震などで支援に当たってきた方々から話を伺ってまいりました。災害時に抱える困難、二之湯大臣、是非聞いていただきたいと思います。
東日本大震災の例です。トランスジェンダーの女性が、津波で自宅が流されて、一か月近い避難生活を送りました。当時はカミングアウトしておらず、外見も男性に見えるために、男女共用トイレを望んだんだけれども、男性用を使わざるを得ず、トイレを我慢した。北海道胆振東部地震の例です。レズビアンのカップルが行ったのは、プライバシーのない状態の避難所であった。女性カップルで避難していて詮索されないかと不安を感じて、半壊の自宅に戻りました。熊本地震の例です。トランスジェンダーの方が困難に直面しました。避難所は、トイレや入浴施設、更衣室が男女別で分かれているケースがほとんどで、周囲の目が気になって、男女共用トイレを探し回った。お風呂は諦めて、一か月、汗拭きシートでしのいだ。
このように、大変つらくて苦しい体験であります。私も繰り返し、当委員会やほかの委員会で、生活再建の課題、避難所の改善など、質問を続けてまいりましたけれども、正直、LGBTQの視点はありませんでした。この問題を、このことを学ぶ中で、支援団体、当事者の皆さんが積み重ねてきた可視化の努力を知る中で、その教訓を今後の災害に生かす必要があると感じて、今日、質問します。
政府は今、男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドラインに基づく取組を進めています。これは大きな前進であると考えます。加えて、大臣、性的少数者、LGBTQの視点を災害対策に反映させる必要があると思いますけれども、大臣の基本的な認識をお伺いします。
○二之湯国務大臣 LGBTQの方々につきましては、社会生活の様々な場面においてどのような配慮が合理的かなど、多岐にわたる課題が生じているものと認識をしているところでございます。
政府といたしましては、多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる共生社会の実現に向けた取組が重要であると認識をいたしておるところでございます。
これらの方々について、避難所の運営の場面など、災害対策における課題も指摘されていると承知はいたしております。現場の声に耳を傾けながら取り組んでいく必要があると考えております。
○田村(貴)委員 政府の防災基本計画、避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針、これにおいて、性的マイノリティーの人たちの抱える困難についてどういう記載があるでしょうか。要配慮者に性的マイノリティーの人たちは包含されているのでしょうか。内閣府、説明をお願いします。
○榊政府参考人 お答えを申し上げます。
防災基本計画におきましては、読み上げますと、「市町村は、指定避難所の運営における女性の参画を推進するとともに、男女のニーズの違い等男女双方の視点等に配慮するもの」とされております。
また、避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針におきましては、性別を含め、様々な事情を考慮して、「「一番困っている人」から柔軟に、機敏に、そして臨機応変に対応することが望ましい」とされているところでございます。
○田村(貴)委員 明記はしていないけれども含意しているというような答弁だったと思います。しかし、こうした基本指針に明記することが今求められていると思います。
自治体における性的少数者の配慮はどういう状況になっていますかと内閣府の方に尋ねますと、集約したものはないということでありました。
そこで、私の事務所で九州、沖縄の八県に聞き取りを行ったものが資料一であります。
九州、沖縄各県、八県と県庁所在地、政令市の状況をまとめたものです。濃淡はあるものの、防災基本計画や避難所運営マニュアルに性的マイノリティーへの配慮を盛り込む自治体も多いです。増えてきています。
この資料では詳しく書くことができませんでしたけれども、例えば、私が住んでいる福岡県の地域防災計画では、指定避難所においては、女性や性的少数者等の意見を反映できるよう、運営管理において、これらの者の意見を反映できる者の参画を推進するとともに、性的少数者に配慮した多目的トイレの設置等、多様な者のニーズに配慮するよう努めるものとする、このように書かれているわけであります。
性自認とか、それから性的指向というのは人間の尊厳に関わることであります。しかしながら、社会からその存在を想定されず、見落とされ、無理解、差別、偏見にさらされ続けている現実があります。一見して分かりづらく、そして周りにカミングアウトしていない場合も多々あります。だからこそ、避難所の運営や支援に当たる方々に、被災者の中にLGBTQの方はいるという視点が与えられることがとにかく重要だと思います。
質問します。
是非、政府がその先頭に立っていただきたいと思います。防災基本計画、避難所取組指針に性的少数者への配慮を明文化していくべきではありませんか。いかがでしょうか。
○榊政府参考人 お答えを申し上げます。
避難所の運営に当たりましては、様々な事情を考慮して、一番困っている人から柔軟に、機敏に、そして臨機応変に対応することが望ましい、このように考えております。
今御指摘もありましたが、自治体の中には、避難所運営のマニュアル等に性的マイノリティーへの配慮に関する記述を盛り込んでいる場合もあると承知をしております。性的マイノリティーへの配慮の明文化についてお尋ねをいただきましたが、まずは、こうした自治体の災害の現場における取組についてお話を伺ってみたい、このように考えております。
○田村(貴)委員 今年もいつどこで災害が起こるかも分かりませんし、豪雪被害も生まれています。どの段階でどのような困難が出てくるのか、そして、どのような対応が望ましいかは、もう既に民間団体や研究者の調査で分かっているところであります。
資料二、これは、にじいろ防災ガイド、岩手レインボー・ネットワークが、災害時であっても、誰もが尊厳を持って避難所や仮設住宅で暮らし、元の生活に戻っていくという理想の状態、これを目指してまとめられたものであります。A3の用紙にいっぱい書かれたこの内容は、どれも勉強になりました。そして、大いに参考になるものであります。政府も是非参考にされていただきたいと思います。
にじいろ防災ガイドの作成に携わった弘前大学男女共同参画推進室助教の山下梓先生や、熊本地震で支援に当たってこられた方々からも話を伺ってまいりました。
幾つか、今日は具体的に提案をしたいと思います。
まず、避難所等における性別記載の問題です。
トランスジェンダーの方が避難所に行ってまず困るのは、受付の性別記入欄です。山下先生も、受付で個人情報がさらされると、避難所での生活が必要であるにもかかわらず、そこで挫折してしまうと指摘されています。
伺います。
避難所登録は個票で提出ができるようにする、性別記載欄も任意欄や自由に記入することができるようにすることが必要ではないでしょうか。見解を伺います。
○榊政府参考人 お答えを申し上げます。
私どもが知っている限りでは、例えば、長野県では、被災者が避難所の受付をする際、個人カードに氏名や性別等を記入することとしており、性別は任意で記入することも可能となっていると伺っております。また、東京都の荒川区では、避難所の受付の際に必要となる事項について、平時からあらかじめ記入しておいていただき、災害時には避難所に個別に持参する避難者カードを活用していると承知をしております。
避難所の受付の方法につきましては、自治体によって様々なやり方を取っていただいており、一概に評価することは困難でありますが、避難すべき方が避難することにちゅうちょすることがないような運用が望ましいと考えております。
○田村(貴)委員 そこで、一定の指針になるものを、ガイダンス的なものが必要になってくるということなんですけれども、質問を続けます。
トイレ、更衣室、それから入浴施設における問題です。
外見とそれから自認する性が一致しないトランスジェンダーにとってみて、トイレ、更衣室、入浴施設の利用では大きな困難があります。男女別のトイレだけでなくて、ユニバーサルトイレなど誰もが使えるトイレを設けることが必要です。身体の移行が進んでいない場合には、更衣室、入浴施設もほかの人と同じというわけにはいかないからであります。一人ずつ使える時間帯やスペースを確保するなどの工夫が必要です。もとより、のぞかれることがないように、そういう対策も取ることが必要でありますけれども、こういう対応についてもいかがでしょうか。
○榊政府参考人 お答えを申し上げます。
災害時に様々な避難者が共同で生活をすることになる避難所におきましては、避難生活に関して、避難者に応じた配慮をすることが求められます。一方で、避難所における設備の状況や避難者の数の状況によっては、男女共同トイレの設置でありますとか、更衣室、入浴施設を一人ずつ使えるようにするなどといったことが難しい場合もあるのではないかと考えております。
自治体の中には、避難所運営のマニュアルの中に性的マイノリティーへの配慮に関する記述を盛り込んでおられるような地域もございますので、まずは、こうした自治体の災害の現場における取組について、お話をよく伺ってみたいと考えております。
○田村(貴)委員 お話を伺うのは当然のことであったとしても、少なくとも、東日本大震災でLGBTQの方々が抱える困難というのはもう明らかになって、その知見も対応策も、こうして民間の方からもまとめられているということなんですよね。そして、これを自治体任せにしない、LGBTQは日本全国どこでもおられるという意識を持って対応することが必要なので、基本指針でしっかりと位置づけること、それから各種通達も必要だということは申し上げたいと思うんです。何か、お話を聞いてから考えますでは、テンポがのろいなという気がしております。
それと、自治体職員とか避難所の運営に当たられる被災者の支援に当たる人などが、無意識に、この問題、この方たちを見落とさない、無理解によって当事者の尊厳を傷つけることがないように、性自認、性表現と身体や身分証の性別が異なる人、同性カップルがいる、そういうことを知っていくことも大事だというふうに考えます。
私は先ほど、防災基本計画、避難所取組指針に性的マイノリティーの視点が必要だというふうに申し上げて、その改定をお願いしたところでありますけれども、災害というのは計画の改定を待ってくれません。いつどこで起こるか分かりません。今私が提起してきたことも含めて、まずは、地方自治体に対して政府が、今の計画に性的マイノリティーの人たちの視点も含意する、そのことだけでもお知らせをして、周知を図るということが大事ではないかと思いますけれども、この通知についてはいかがですか。
○榊政府参考人 お答え申し上げます。
避難所の運営に当たりましては、繰り返しになりますけれども、性別含め様々な事情を考慮して、一番困っている人から柔軟に、機敏に、そして臨機応変に対応することが望ましいと考えております。そうした中、幾つかの自治体におきましては、性的マイノリティーへの配慮に関する記述を指針、マニュアル等に盛り込んでおられるところもあると承知しておりますので、そうした自治体の災害の現場における取組について、まずはしっかりお話を伺ってみたいと思います。
○田村(貴)委員 重ねて指摘しますけれども、幾つかじゃなくて、私が九州、沖縄の八県で調査をかけましたら、県庁所在地、政令市、そして県においては、これだけ明記されているんですよね。国がやはりその先頭に立つべきじゃないですか。その点はどうなんですかね。幾つかじゃないんじゃないですか。いかがですか。自治体、頑張っているじゃないですか。
○榊政府参考人 自治体の取組について、しっかりと調査をしてまいりたいと思います。
○田村(貴)委員 続いて、仮設住宅への同性カップルの入居について質問します。
私の事務所の聞き取り調査では、九州、沖縄八県と県庁所在地、政令市の九市、計十七自治体のうち十三は入居対象となっています。検討中やその他も四自治体となっています。ですから、同性カップルの入居については認められる方向になっている。この中で、自治体のパートナーシップ宣言を要件にしているところもあるわけです。
そこで伺うんですけれども、被災時に同居していた二人であれば、この二人の関係を証明しなくとも入居対象になると思うんですけれども、内閣府、考え方はどうでしょうか。
○榊政府参考人 お答えを申し上げます。
災害救助法におきましては、自宅を失い、自らの資力では住まいを確保できない方に対して応急仮設住宅の供与を行っており、同性カップルであることをもって入居に制限をかけることはございません。
○田村(貴)委員 確認しました。
もう一点、災害公営住宅はどうでしょうか。ここも、パートナーシップ制度を根拠に入居対象としている自治体があるわけでありますけれども、その災害公営住宅が県営住宅である場合は、県民を対象にしています。しかし、パートナーシップ制度は一つの単位自治体ということになってきて、アンバランスが生まれるのではないかと思います。この入居については、どういうふうに考えておられますか。国交省、お願いします。
○石坂政府参考人 お答えいたします。
公営住宅の入居資格につきましては、平成二十三年の公営住宅法改正により同居親族要件は廃止され、現在、入居収入基準と住宅困窮要件を定めているのみであり、同性パートナーであることをもって入居を妨げるものではございません。
災害公営住宅についても、被災者であるといった要件が追加されることになりますが、同じく、同性パートナーの入居を妨げるものではございません。
地方公共団体によっては、パートナーシップ制度を導入するなど、同性パートナーについても入居ができるとしているところがある一方で、先生御指摘のように、同居親族とは認めない地方公共団体もあるということは承知してございます。
公営住宅の入居資格につきましては、公営住宅を管理する地方公共団体において、地域の実情等を踏まえ御判断いただくことになりますが、国交省といたしましては、同性の方でも入居を認めている事例などを御紹介してまいりたいというふうに考えてございます。
○田村(貴)委員 時間がやってまいりましたけれども、最初に二之湯大臣が答弁されたように、LGBTQ、性的マイノリティーの問題も含めて、多様性を認め合う、個人の尊厳を大切にする、これはもう世界趨勢の流れですよ。国内においてもそうです。自治体もいい取組をしている。しかし、政府の基本的指針の中には明文化されていない。これは、やはり私は遅れていると思います。ここはやはり急がなければいけないと思います。
急がなければならないという認識はお持ちでしょうか。最後、これを聞いて今日は終わりたいと思います。内閣府、いかがですか。
○小里委員長 簡潔に答弁をお願いします。
○榊政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げました点、急ぎ対応したいと思います。
○田村(貴)委員 終わります。
○小里委員長 次に、根本幸典君。
○根本(幸)委員 おはようございます。自民党の根本幸典です。
本日は、災害対策特別委員会で質問のお時間をいただいたことに心からお礼を申し上げたいというふうに思います。
さて、明日三月十一日で東日本大震災から十一年を迎えます。お亡くなりになられた方々に心からお悔やみを申し上げるとともに、被災された全ての方に心よりお見舞いを申し上げたいというふうに思います。
大きな災害をもたらした東日本大震災を踏まえ、多くの防災対策が見直されたであろうというふうに考えております。私も、三月十一日の発災から一か月ほどたって、岩手県の山田町、さらには宮古市の方にボランティアでお伺いをしました。地元の方に問い合わせたところ、どんなニーズがあるんだということを聞いたところ、炊き出しが足りない、特に温かいものが食べられていない、さらには、海辺の皆さんで、魚介類が好きなんだけれども、なかなか魚介類が口に入っていない、こういうような御要望がありましたので、仲間二十人と三泊ほどして、炊き出しのボランティアをしてまいりました。
その中で、被災をした状況を目の当たりにしまして、言葉がありませんでしたし、また、避難所も何か所か炊き出しをしながら現場の状況を見てまいりましたが、一緒に行った仲間が、それ以降、我が地元で災害があったときに避難所をどうすればいいか、こんな講演もしながら、避難所に関しての新しい取組、何か訓練も今私の地元で行われているところであります。
また、私の地元、愛知県の渥美半島でも、津波に備えて小学校の高台移転が行われたり、さらには津波避難タワーの整備が既に行われているところであります。
東日本大震災だけではなくて、これまでの災害で得た経験や教訓を踏まえ、防災対策の不断の見直しを行っているというふうに思いますが、東日本大震災から十一年を迎えることを受けて、改めて大臣の所感をお伺いしたいというふうに思います。
○二之湯国務大臣 明日三月十一日には、東日本大震災から十一年を迎えます。改めまして、お亡くなりになりました方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、被災された全ての皆様に対し、心よりお見舞いを申し上げます。
政府では、東北の復興なくして日本の再生なしとの強い思いの下、被災者に寄り添って、被災地、特に福島の復興に向けて全力で取り組んでまいっております。
東日本大震災は、東北地方を中心に未曽有の被害をもたらしました。ハード対策では被害が防ぎ切れず、命を守るためには何よりも避難することが大切だということが広く認識されたところでございます。
私は、昨年十一月に岩手県釜石市を訪問いたしました。釜石市の小学校では日頃から津波を想定した避難訓練と防災教育を実施しており、東日本大震災当日もほとんど全員が高台へ避難して命が救われたというお話をお聞きいたしまして、改めて、一人一人の防災意識の向上が極めて重要だという認識をいたしました。
この災害での多くの犠牲を無にしないよう、災害の経験を通じて得られた様々な教訓を防災対策に生かして、災害に強い国づくりを進めることが政府の使命であると認識をしております。
我が国では、今後、首都直下型地震や南海トラフ地震、日本海溝、千島海溝沿いの巨大地震などの大震災が発生することが予想されるわけでございます。政府としては、東日本大震災を始め、これまでの災害の経験と教訓を継承し、災害発生時には万全な対応を行うとともに、防災・減災、国土強靱化についても引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
○根本(幸)委員 ありがとうございました。
これからも、日本においては関東直下型地震、さらには南海トラフ地震等々ありますので、国としてしっかりと防災、減災に取り組んでいただきたいというふうに思います。
さて、私の地元愛知県では、やはり、今ありました南海トラフ地震、これに対する危機感というのは大変多く持っております。南海トラフで発生するマグニチュード八から九クラスの発生確率は七〇から八〇%とされており、最大死者数は三十万人を超えるという被害想定も公表をされているところであります。
万が一、南海トラフ地震が発生した場合には、被災者の救援のために全国から警察、消防、自衛隊が駆けつける必要もあるでしょうし、食料や水などの大量の支援物資を被災地に輸送する必要もあるというふうに思います。
私の地元渥美半島も、主要道路、二百五十九号という国道と四十二号という国道が走っておりますが、二つとも海のそばをずっと走っていますので、もし地震があったときは両方とも津波の被害を受ける可能性があります。地元では、被害を受けないような道路、新しい渥美半島道路を造ったらどうだ、こういった機運も盛り上がっているところであります。
そう考えますと、南海トラフ地震発生直後に円滑に支援物資を被災地に輸送する、こういったことができるように事前の具体的な備えが必要であると考えておりますが、これまでの取組についてお伺いをしたいというふうに思います。
○榊政府参考人 お答えを申し上げます。
南海トラフ地震対策につきましては、地震防災対策推進基本計画を策定し、想定される最大死者数をおおむね八割減少させるなど定量的な減災目標を設定いたしますとともに、目標を達成するための実現方策を定め、これを推進しているところであります。
また、実際に発災した場合に備えて、警察、消防、自衛隊の救急部隊の活動拠点や広域物資輸送拠点、緊急輸送ルート等をあらかじめ明確にし、人命救助のために重要な七十二時間を意識したタイムラインを明示した具体的な応急対策活動に関する計画を定めております。
この計画に基づき、災害発生時には、警察、消防、自衛隊など、最大十五万人規模の広域応援部隊を活用するとともに、自治体や民間事業者と緊密に連携し、迅速に対応することとしております。
また、支援物資の輸送につきましても、国が、被災自治体からの具体的な要請を待つことなく、食料等の必要不可欠と見込まれる物資を調達し、被災地に向けて緊急輸送するプッシュ型支援を実施することとしております。
各種訓練などを通して、引き続き、計画の実効性を確保、向上していくとともに、関係省庁、地方公共団体等と緊密に連携し、南海トラフ地震に備えてまいります。
○根本(幸)委員 ありがとうございます。
続いて、風水害についてお伺いをしたいというふうに思いますが、昨年の夏の大雨において、静岡県熱海市や長野県岡谷市で土石流が発生した際に、避難指示が発令されていなかったという問題がありました。
私の愛知県内を見ても、積極的に避難指示を発令する首長もいましたし、空振りを恐れて避難指示の発令をちゅうちょする首長もいたというふうに認識をしております。特に、積極的に避難指示を発令する首長の方は、少しでも雨が降ると市役所に泊まり込むので、部下の職員の方々も泊まり込むということになって、大変そうではありましたが、やはりこれくらいの熱意が首長にあると大変ありがたいなというふうに感じているところであります。
内閣府では、避難の在り方に関する検討会を設置したと聞いておりますが、検討結果と今後の対応についてお伺いをしたいというふうに思います。
○榊政府参考人 お答えを申し上げます。
内閣府におきましては、昨年七月からの一連の豪雨災害等を踏まえ、昨年十一月に検討会を設置し、昨年の豪雨災害における対応について振り返りを行いますとともに、災害時における避難の在り方について御議論いただいたところであります。
検討会では、委員の先生方から、住民が自らの命は自ら守るという意識を持って主体的に避難行動を取ることができるよう、地域や学校における防災教育などの取組を粘り強く続ける必要がある、また、避難情報の発令は住民の生命を守るための市町村長の重大な使命であり、避難情報の適切な発令に向けて、市町村における人材育成や、専門家等から市町村への支援の充実を図る必要があるなど、実施すべき対策について御提言をいただきました。
内閣府におきましては、これら内容について、本年二月に地方公共団体に対して周知を行ったところであり、避難対策の強化に向けて、引き続き、関係省庁と連携して、必要な取組を推進してまいります。
○根本(幸)委員 大臣の所信において、デジタルという言葉を複数回発言されており、熱心に取り組まれているという印象を受けたところであります。
災害発生時に、国や自治体の職員は多くの業務に忙殺されるため、災害対応のデジタル化を進めて、より効率的に対応していく必要があるというふうに考えております。
私も五年前に政務官をやらせていただいたときに、災害対策の本部を立ち上げたときに、やはり紙の量が大変多いんですね。職員の皆さんは、最新の情報を伝えたいということでぎりぎりまで資料を作っていて、本部で会議をやっている間も次から次へとコピーがどんどんどんどん来るような、こんなような状況だったんですね。そう考えますと、やはり、これからデジタル技術をどう活用して、どう効率化していくか、これは非常に私は重要なポイントになってくるというふうに感じております。
そこで、デジタル化の取組状況についてお伺いをしたいというふうに思います。
○榊政府参考人 お答え申し上げます。
災害対応業務のデジタル化の推進は、大変重要な課題であると考えております。このため、内閣府におきましては、防災やITの専門家から成るデジタル・防災技術ワーキンググループを開催し、災害情報の収集や分析、共有の加速化等の政策について、昨年五月、提言をいただいたところです。
提言におきましては、災害対応に必要な情報を収集、分析、加工、共有する防災デジタルプラットフォームの整備、ドローンカメラ等に代表される各種IoTデータを利活用する防災IoTの促進、防災分野における自治体向けの統一的な個人情報の取扱指針の作成等、新たな政策の方向性が示され、内閣府といたしましても、現在、これらの取組を進めているところであります。
こうした取組を通じ、災害対応の効率化により一層努めてまいりたいと存じます。
○根本(幸)委員 ありがとうございました。
我が国は、地震、津波、風水害、大雪、火山など、様々な災害に襲われる可能性があります。デジタル化などの新たな知見も取り入れつつ、事前の備えに取り組んでいただくことをお願い申し上げ、私の質疑を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○小里委員長 次に、金子俊平君。
○金子(俊)委員 おはようございます。自由民主党の金子俊平でございます。
本日も質問の機会をいただきまして、理事の皆様方を始め、感謝を申し上げます。
実は、昨日、この下の部屋で質問をさせていただいたんですけれども、昨年も質問させていただいたときに申し上げたんですけれども、私、ちょっと身長が大き過ぎるので、ボードが余り意味がなくて、特に理事の先生方には御迷惑をおかけするのかもしれませんが、マスクをしていますので、是非お許しをいただきたいというふうに思います。
冒頭に、ウクライナ情勢、非常に厳しい状況が続いておりますし、また、日に日に、子供を含めて犠牲になられた方がたくさんいられるというニュースを拝見させていただいております。一日も早く平和が訪れるように祈念を申し上げますし、それを踏まえた行動を是非政府にもしていただきたいと思いますし、三月十一日、明日でいよいよ十一年目を迎える東日本大震災に、しっかりと、その教訓を風化させることのないように、また政府には一生懸命取り組んでいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
先般、二之湯大臣の力強い所信を拝聴させていただきました。力強い我が国の基盤をつくるためにも、政務三役の皆様方には引き続き、御指導、頑張っていただきたいというふうに思います。
それでは、早々質問に入らせていただきます。
被災者生活再建支援法に関しまして質問させていただきます。
つい先日、この法改正、私、そのときも質問させていただきましたけれども、被災者生活再建支援法の一部改正が行われる中、大きな項目だったのは、中規模半壊まで国の支援を認めようということが一つの大きなテーマだったというふうに思います。
そして、あわせて、あのときは全国各地で大きな災害がたくさんありましたので、七月の豪雨災害まで遡って、法律よりも前でしたけれども、遡って適用をさせるという非常に画期的なことをやっていただいたというふうに認識をしております。私の地元も激甚指定を受けた災害がありましたので、おかげさまで非常に効果てきめんだったというふうに思います。
あれから一年半以上たちましたけれども、中規模半壊まで含めて、どのぐらいの申請数が出たのか。若しくは、どのぐらいの効果があったのか。政府参考人の方で結構でありますので、教えていただけませんでしょうか。
○榊政府参考人 お答えを申し上げます。
令和二年の臨時国会におきまして、被災者生活再建支援金の支給対象となる被災世帯の範囲を拡大する改正が行われました。
改正に当たりましては、全国知事会と内閣府による被災者生活再建支援制度の在り方に関する実務者会議において議論を行い、改正当時、損害割合二〇%以上四〇%未満の半壊でも、大きな被害を受けた被災者の方は住まいの再建に時間と費用を要している状況にあることから、損害割合三〇%台の中規模半壊世帯の方々の居住の安定の確保を後押しすることを目的に、支援金の支給対象を拡大したものであります。
この法律改正は、委員御指摘のとおり、令和二年七月豪雨に遡って適用され、これまでに五つの災害で二千六百六十世帯が中規模半壊世帯として新たに支給対象となっております。
なお、支給対象となりました中規模半壊世帯でございますが、改正前の半壊世帯、損害割合二〇%以上四〇%未満が八千三百九十三世帯ありますが、このうち三一・七%となってございます。
○金子(俊)委員 ありがとうございます。
相当対象が広がったというふうに認識をさせていただきました。
ただ一方で、どこまで把握されているのか、これは分かりませんけれども、更にその被害割合の低い、対象外だった半壊とされている範囲に関しまして、今のところ、まだ支援金は出ていない状況なんだろうというふうに思います。
半壊以下の準半壊、至らない状況でも、床上浸水などで相当被害が多かった世帯もあると思います。そういう支援法の対象にならない世帯に対してどういう対応があり得るのか、またお答えをいただければというふうに思います。
○榊政府参考人 お答え申し上げます。
災害による支援は、住民に身近な市町村による対応を原則としております。他方、一定規模以上の災害の場合には、市町村のみでの対応が困難と考えられますことから、被災者生活再建支援法により、一定程度以上の住宅被害を受けた方に対して、全都道府県の相互扶助及び国による財政支援による支援金の支給を行っているところであります。
中規模半壊に至らない、半壊、準半壊、一部損壊世帯への制度の拡充につきましては、住宅が個人財産であることや、国や都道府県の財政負担等の課題もあることから、慎重に検討すべきものと考えております。
一方で、半壊、準半壊世帯につきましては、災害救助法による応急修理を行うことができます。また、住宅金融支援機構の災害復興住宅融資や、地方公共団体において条例等で独自の支援制度を設けるなどの公的支援も行われております。
もっとも、これらの公的支援には限界がありますため、災害保険等に加入するなど、事前の備えの取組も重要であります。これまでも、関係省庁及び全国知事会とも連携して、保険の加入促進に取り組んできております。
内閣府といたしましては、災害に被災された方への支援について、自治体等とも連携して、生活の再建等が進むよう、しっかり取り組んでまいりたいと思います。
○金子(俊)委員 ありがとうございます。
大野副大臣、お待たせをいたしました。
被災者生活再建支援法の適用の範囲に関しまして質問させていただきたいというふうに思います。
今、もろもろ、政府参考人の方から御答弁をいただきましたけれども、僕は、助ける、助けないというのは、平等がやはり大事なんだろうというふうに思います。一方で、個人の資産だから国で支援できないという御答弁も今ありました。
何に関してなのか。被災者生活再建支援法が適用されるのは、その一つの市町村で十軒以上の家屋が全壊被害が発生したかどうか、これは実は非常に重要なキーワードであります。一つの災害が発生しても、ある市では十軒以上全壊が出たから補助の対象になります。一方で、同じ災害なのにもかかわらず、隣の市では二軒しか全壊がなかったから対象になりませんという可能性がある。これは実際あった話です。
私のところの下呂市と高山市というところでは、下呂市は十軒以上超えたから対象になりました。一方で、私の住んでいる高山市は十軒未満だったからこの対象にはなりません。たまたま岐阜県の場合は、後ほど都道府県の方も政府参考人の方にお伺いさせていただきますが、対象にならない場合は県で補填をしてくれるという制度がありましたので、比較的不公平感なくやりましたけれども。
これは、なぜ、そもそも市町村で分けなきゃいけないのか。市町村のお金が入っているわけではない。国と県でやっている事業。災害は市町村で分かれて来てくれているわけではない。先ほども申し上げたように、前回の法改正で、支援金が出なかった中規模半壊まで支援金を出していただけるようになりました。本当にありがたい反面、やはり一番求められるのは平等性なんだろうというふうに思います。
そして、もっと言えば、私の選挙区、日本で四番目に大きい選挙区ですから、隣と隣の家が百メーターぐらい離れているなんてざらにありますし、もっと言えば、一つの集落で十軒に満たない集落なんというのもざらにある。ちょっと、都会の感覚とはやはり違ってくるんだろうというふうに思います。
大野副大臣、これは議員立法で作らせていただいた法案というふうに聞いておりますけれども、それを政務三役の皆様方にあえてお伺いするのは失礼なのも分かっておりますけれども、なぜ十軒の必要があるのか。不公平感を出さないためにも、市町村で全壊十軒ということではなくて、むしろ一つの災害でくくっていただいた方がいいのではないだろうか、私はそう思いますけれども、副大臣の前向きな御答弁を是非よろしくお願いいたします。
○大野副大臣 ありがとうございます。
委員におかれましては、長年この問題にずっと取り組んでいらっしゃるということでありまして、改めて、アクリル板の下から敬意を表させていただきたい、このように思います。
この制度、今御指摘いただきましたように、議員立法で提案され、そして成立を見たということで、まさに、我々といたしましては、これの立法者自身の趣旨、しっかりと酌み取って、そして適切に運用してまいりたい、このように思っているところでございます。
一方で、この内容につきましては、委員よく御存じのとおりだと思いますけれども、基本的には、全都道府県の相互扶助、これをコンセプトにしているものでございます。すなわち、このスキームの財源というものは、国が半分ということでございますが、その半分は、全国の各都道府県が一律に拠出をいただきまして、基金に入れていただいて、その基金から拠出をされるというものでございますので、我々といたしましては、もちろん、その趣旨に鑑みまして、都道府県の皆さんのいろいろな考えがあろうかと思いますので、軽々によしということにはなかなかならない。すなわち、先ほど政策統括官がおっしゃったように、慎重にならざるを得ないということでございます。
その上で、あえて申し上げれば、各都道府県で全く同様の制度をおつくりになられましたら、それは、ある種、半分国が、特別交付税措置、これを措置することによって同様の趣旨が成り立つという部分でもありますので、そういった分野も同趣旨のものとして成り立ちますが、いずれにせよ、先ほど申し上げましたように慎重にならざるを得ないということがございますが、あえて質問をいただきましたので、この基準を満たさない市町村につきまして、今後、都道府県を通じて実態をよく確認をしてまいりたいと思います。
○金子(俊)委員 大野副大臣、ありがとうございました。是非よろしくお願いをします。
時間的に、残り三分になりましたので、最後の質問になろうかというふうに思います。
今の質問の途中でも、あえて後でお伺いをすると言いましたけれども、私の県、岐阜県は、おかげさまで、対象にならなかった地域も独自の制度で不公平感なく助けていただいた、今副大臣からも御答弁を賜りました。
被災者生活再建支援法が、これは、改正の議論をさせていただいたときに、政府からの御答弁で、二十五都道府県は独自の県の支援策がある、だから、国で漏れちゃった範囲も、県によって若干ばらつきがあるにせよ、それなりに補助ができる制度がありますと答弁になりました。
今回、質問をさせていただくに当たりましてレクいただきましたけれども、そこから二つ増えて二十七県。ただ、一年で二つしかまだ増えていない。四十七都道府県で、二十都道府県は独自の支援策がない。ということは、前回の私の地元の例に例えると、支援策がなかったところは、一つの災害でも助けてもらえない可能性が出てきてしまう。
是非、政府として、これは、今度は県の独自の制度ですから、県の予算ですから、できることは限られているというふうに思いますけれども、しっかりと四十七都道府県全てが支援制度を、独自の制度をつくってもらえるような働きかけをしていただきたいというふうに思いますけれども、是非、力強い話を榊さんからいただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。
○榊政府参考人 お答えを申し上げます。
委員御指摘のとおり、現在、二十七の都府県では、支援法の適用基準を満たしていなくても、独自支援制度により、支援法と同程度の金額が支給されております。
また、これらの都府県以外でも、災害発生の都度、制度を創設し、支援を実施している都道府県もあると承知をしております。こうした取組が進むことは、被災者支援の観点からも重要であると考えております。
内閣府では、残りの二十の道府県につきましても、独自支援制度の検討を進めていただくようお願いをいたしますとともに、防災関連の研修等の機会をつかまえてしっかりと周知を行い、引き続き制度の導入を図ってまいりたいと存じます。
○金子(俊)委員 ありがとうございました。時間が来たので、終わらせていただきます。
○小里委員長 次に、大口善徳君。
○大口委員 公明党の大口善徳でございます。
明日で東日本大震災から十一年となりまして、二万二千人を超える死者・行方不明者が出たわけであります。お亡くなりになられた方々の御冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、被災された全ての皆様に心からお見舞いを申し上げます。
公明党は、震災の記憶を風化させずに、被災者に寄り添いながら、新しい東北の創造を進め、人間の復興を目指し、全力を尽くしてまいります。
まず最初に、防災・減災、国土強靱化の推進について伺います。
近年、自然災害により、重要なインフラがその機能を喪失し、国民の生活や経済活動に大きな影響を及ぼす事態が発生していることを踏まえ、平成三十年十二月に、政府は、防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策を閣議決定し、特に緊急に実施すべき施策について、取組を集中的に実施しました。
平成二十六年八月の大雨で氾濫した広島市の根谷川では、三か年緊急対策で河川改修事業を実施したことにより、昨年八月の大雨では浸水被害を防ぐことができました。近年発生した災害で効果を発揮した事例が多くあるとのことであります。
三か年緊急対策の効果についてどのように評価しているのか、伺います。
○五道政府参考人 お答え申し上げます。
三か年緊急対策については、平成三十年に実施した重要インフラの緊急点検の結果等を踏まえまして、浸水対策や地震対策など、百六十項目にわたる緊急対策を実施したところでございます。
例えば、国土交通省からは、全国の約二千三百の河川において、約四千五百万立方メートル、ダンプトラック約九百万台に相当する河道の掘削を実施したなどの報告を受けているところでございます。
これらの対策を講じた結果として、委員御指摘ございましたように、昨年発生した七月及び八月の大雨においても、河川の河道掘削を実施し、河川の水位を低下させることによって浸水被害を防止したこと、また、道路のり面対策を実施し、落石被害を防止することによる通行止めの回避、ため池の洪水吐き等を整備し、洪水を安全に流下させることによってため池決壊の防止などの事例が確認されたとの報告を関係府省庁より受けており、三か年緊急対策による事前防災の効果は着実に発揮されていると考えてございます。
近年の災害の激甚化、頻発化を踏まえて、引き続き、防災・減災、国土強靱化の取組を強化してまいりたいと考えております。
○大口委員 国民にしっかりこれは御理解いただくということが大事だと思います。積極的に広報していく必要があると思います。
政府は、社会の重要な機能を維持するため、防災・減災、国土強靱化の取組の加速化、深化を図る必要があるとして、令和二年十二月、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策を閣議決定し、取組の更なる加速化、深化を図ることとしております。令和三年度補正予算、令和四年度予算案においても予算を確保していただきました。
今後も五か年対策を進めることは重要ですが、激甚化、頻発化する気象災害、切迫する巨大地震等々、多くの災害の懸念があります。流域治水、インフラの老朽化対策、デジタル化の推進といった課題への備えが、令和七年度で完了することはありません。五か年後も見据えた継続的な投資を進めることが極めて重要でございます。また、予防保全型の投資は、災害が起こるたびに対応するよりも、費用負担を抑制します。
大臣は、所信で、国家百年の大計として、国土強靱化の取組を強化していく旨述べられております。令和八年度以降の中期計画の展望を示すとともに、例えば、防災・減災、国土強靱化基本法を改正し、五か年ごとに対策を推進するための予算措置の仕組みを創設するなど、継続的、安定的に対策を進めるべきだと考えますが、大臣の所信を伺います。
○二之湯国務大臣 防災・減災、国土強靱化につきましては、御指摘のとおり、中長期的かつ明確な見通しの下に計画的に進めることが必要でございまして、五か年加速化対策後も継続的、安定的に取組を進めていくことは極めて重要であると認識をいたしております。
現在、東日本大震災を始めとした様々な災害の経験を通じて得られた教訓を踏まえて、次期国土強靱化基本計画の検討に着手したところでございます。国家百年の大計として、災害に強くしなやかな国づくりを進めるために、関係者の御意見も伺いながら、継続的、安定的な防災・減災、国土強靱化の取組の在り方について検討をしてまいりたいと思っております。
○大口委員 大臣のリーダーシップ発揮を期待しております。
とにかく、地方公共団体も、また事業者も含めまして、中長期的な展望というのがないとやはり計画的に進められないということでございますので、何とぞよろしくお願いしたいと思う次第でございます。
次に、昨年七月に発生した静岡県熱海市における盛土の崩壊による土石流災害について伺います。
昨年七月一日からの大雨により、七月三日、静岡県熱海市において盛土が崩壊して土石流が発生し、死者は、災害関連死一名を含め二十七名、行方不明者一名、多くの住家被害等、甚大な人的、物的な被害が発生しました。
同災害から八か月以上が経過し、改めて、お亡くなりになられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災された全ての方々へ心からお見舞い申し上げる次第でございます。
昨年十二月二十四日、内閣府設置の盛土による災害防止に関する検討会が提言を取りまとめ、一、危険な盛土箇所に関する対策、二、危険な盛土等の発生を防止するための仕組みを示しました。この提言を受けて、今国会に宅地造成及び特定盛土等規制法が提出されております。
この法案には、隙間のない規制、盛土等の安全確保、厳格な罰則などが盛り込まれています。この法律を実効性あらしめるためにも、平素から、監視や違反行為の早期発見、違反行為に対する是正措置の実施や罰則規定の厳格な運用など、執行体制の強化が不可欠であります。
この法執行体制の強化のために、不法盛土については、地方公共団体における新たな法制度所管部局だけでなく、廃棄物担当部局や不法行為の取締りを行う警察等の関係部局等と緊密に連携をして対応する必要があります。そのために、定期的に関係者による連絡会議を開催することが重要であり、さらに、必要に応じて人事交流を行うなど、これらの関係部局間の連携がより一層効果的になる取組を行うことが求められておりますし、今回の検討会でも提言をされております。
法執行体制、能力の強化のための取組について、国家公安委員長でもあります大臣に御所見をお伺いします。
○二之湯国務大臣 昨年、熱海市で発生いたしました大規模な土石流で多くの方がお亡くなりになられました。心よりお悔やみを申し上げたいと思いますし、そしてまた、被災された皆様に対しまして心よりお見舞いを申し上げたいと思います。
私自身も熱海市に赴きまして、土石流の現場を拝見いたしましたが、政府といたしましては、二度とこのような悲惨な災害が起こらないように、危険な盛土を規制する新たな法制度について国土交通省を中心に検討を進め、先日、いわゆる盛土規制法案が閣議決定され、今国会での成立を目指しているところでございます。
この法案には、知事による盛土造成の許可制や、原因行為者に対する是正措置命令、あるいは罰則の強化などが盛り込まれているところでございますけれども、こうした法制度の執行体制、能力を強化するためには、委員御指摘のとおり、地方自治体の法制度担当部局あるいは廃棄物担当部局、警察など、関係部局の日頃からの連携が不可欠であると考えております。
新たな法制度を実効性のあるものにするためにも、関係府省庁と緊密に連携し、全力で取り組んでまいりたいと思っております。
○大口委員 この土石流被害を受けて、政府は、昨年八月に各都道府県に対し盛土の総点検を依頼し、十二月に点検の暫定とりまとめを公表しましたが、総点検は現時点でどの程度まで進んでいるのか、年度内に完了するのか、お伺いします。
また、検討会の提言で、点検が完了した盛土のうち、詳細調査による災害危険性の高い盛土の特定、一時的に崩壊等の被害回避をするための応急対策、特定された災害危険性の高い盛土の公表と住民等への周知、緊急通報体制構築等による情報発信やソフト対策、これは監視カメラ、定点観測等であります。抜本的な危険箇所対策、土砂の撤去、擁壁、堰堤の設置等を実施しなければなりません。
今年の出水期に入る前に対応する必要があると考えますが、地方公共団体の取組状況、国の支援状況についてお伺いします。
○木村政府参考人 お答えいたします。
盛土の総点検につきましては、委員御指摘のとおり、昨年八月に関係府省から都道府県に依頼し、昨年十一月末時点において、全国で約三万六千か所の盛土が抽出され、そのうち約八割に当たる約二万八千か所について、目視等による点検完了の報告があったところでございます。
昨年十二月に関係府省において申合せを行っておりますけれども、本年度末までに都道府県等による点検が完了するよう、引き続き、国土交通省を始めとした関係府省の連携の下、必要な支援を行うとともに、点検完了後は速やかに取りまとめ結果を公表するよう取り組んでまいります。
また、検討会の提言で示された対策につきましてお尋ねがございました。
総点検によりまして必要な災害防止措置が確認できなかった盛土につきましては、地方公共団体において必要に応じて詳細調査を進めまして、災害危険性の有無や程度、これを明らかにするとともに、人家等に直ちに被害を及ぼすおそれがあると判断された盛土につきましては、速やかに応急対策を実施することが重要です。
国土交通省としましては、農林水産省等の関係府省とともに、委員に御指摘いただきましたように、出水期前に少しでも早くこうした安全対策が実施できるように、地方公共団体への財政支援等に取り組んでまいります。
また、詳細調査等の結果、災害危険性の高い盛土と特定された盛土や応急対策が必要な盛土につきましては、地方公共団体におきまして、速やかにその内容を住民に周知するとともに、盛土の安全性が確保されるまでの間、監視カメラや定点観測等による現地状況の監視等、迅速な避難につなげるための対策が重要と考えておりまして、こうした取組も財政支援の対象としております。
加えまして、土砂撤去等、地方公共団体が行います抜本的な危険箇所対策につきましても、来年度の予算案に盛り込んでおります。
国土交通省といたしましては、関係府省とともに、盛土の安全対策をしっかりと支援してまいります。
○大口委員 二度とこういう悲劇を起こさないためにしっかり取り組んでいただきたい、我々もしっかり連携していきたい、こういうふうに思っているところでございます。
内閣府は、令和三年七月からの一連の豪雨災害を踏まえた避難に関する検討会を設置し、本年二月四日、報告が公表されたわけであります。先ほどの質問でも答弁がありました。防災教育をしっかりやっていく、また、市町村の人材育成もしっかりやっていくということでございます。自らの命を自ら守っていく、また、この意識の向上が極めて大事であります。
そういう中で、この報告にもありますように、国、都道府県や気象の専門家などが技術的助言を行うことにより、市町村における避難情報の発令を支援することが提案されています。市町村に助言を行う気象防災アドバイザーの拡充などが挙げられています。
気象防災アドバイザーは、気象庁退職者のほか、一定の研修を受けた気象予報士などに気象庁が委嘱をする、二〇一七年度に本格的に運用が始まって、昨年十二月までに八十七人に委嘱されています。
我が党の代表が、二〇二〇年十月、参議院の代表質問で気象庁の元職員の活用を提案、また、昨年四月には、党内に地域気象防災推進議員連盟を設立し、地方議員と連携して、地方のニーズに応じた気象防災アドバイザーの活用を推進しております。本年一月二十一日も代表が、参議院の代表質問で一層の活用を進めるように訴えたところであります。
課題は、気象防災アドバイザーの活用が一部の自治体にとどまっていることでございまして、この点、積極的な市町村支援を含め、今後の取組についてお伺いします。
○長谷川政府参考人 お答えいたします。
今お話しいただきましたように、気象防災アドバイザーは、市町村におきまして、専門的な知見に基づいて、気象台からの情報を市町村の立場で読み解いて防災対応について助言ができる人材でございまして、住民の命と生活を守るために重要な役割を担っていると考えております。
気象防災アドバイザー推進ネットワークでございますけれども、アドバイザーの人材の確保や、全国のアドバイザーや今後のなり手の方々の間で情報交換を行うことなどを目的として、この一月に立ち上げたところでございまして、今お話しいただきましたような、気象庁OB、OGや気象予報士から成る気象防災アドバイザー八十七名に御参画いただいているところでございます。
今後、このネットワークにおきましては、実際に自治体で活躍されているアドバイザーの活動状況の紹介や会員間の意見交換など、活動意欲を更に高めていただくための取組を予定しております。また、頻発する災害を教訓とした防災気象情報に関する気象庁の新たな取組につきましても、情報共有を図っていきたいと考えております。
このようなネットワークを通じた取組に加えまして、気象庁の新たなOB、OGへのアドバイザーの委嘱や、気象予報士を対象とした育成事業、それから自治体トップへの働きかけなど、気象防災アドバイザーの拡充に向けた取組を一層進めてまいります。
あわせて、気象台からの支援につきましても、自治体へのホットライン、それから平常時のワークショップの開催などの取組を進めてまいります。
これによりまして、気象台とアドバイザーの両面から、地域防災力の向上に貢献してまいりたいと考えているところでございます。
○大口委員 問い七の方に進みます。
自治体におけるデジタル技術等の活用のための支援についてお伺いします。
頻発化、激甚化する災害に対してより効果的、効率的に対応していくためには、デジタル技術を始めとする先進技術を積極的に活用していくことが重要であります。一部の自治体ではこうした先進技術の活用が進められ効果を発揮しているものの、多くの自治体では、先進技術に関する情報を収集したり、事業者と導入に向けた相談をしたりする機会が限られています。
このため、内閣府では、令和三年度から、「防災×テクノロジー官民連携プラットフォーム」、防テクプラットフォームと言われていますが、を設置して、自治体のニーズと事業者の先進技術のマッチング支援を行っているところでありますが、マッチングサイトに登録している自治体、事業者がどれくらいあるのか、これまでの新技術の導入に向けた交渉が始まった事例はどの程度あるのか、今後、マッチングサイトへ登録を増やすためにどのような取組をしていくのか、お伺いします。大臣からも所信で述べられておりますが、よろしくお願いします。
○榊政府参考人 お答え申し上げます。
内閣府では、今年度、災害対応における自治体等のニーズと事業者等が持つ先進技術を結びつけることを目的に「防災×テクノロジー官民連携プラットフォーム」を設置し、常設のウェブサイトであるマッチングサイトを開設するとともに、先進的な取組事例の紹介等を行うマッチングセミナーを開催し、自治体の先進技術の導入を支援しているところです。
マッチングサイトの登録件数、二月末時点で、自治体等が百三十五件、事業者等が四百三十八件となっており、多くの方々に御活用いただいております。
また、こうした取組の結果、先進技術導入に向けた具体的な交渉が、サイトに登録している六つの自治体と十三の企業との間で計十三件始まっていると承知をしております。
今後は、マッチングセミナーにおいて、具体的な交渉が進展している案件の紹介やサイト登録の呼びかけを行いますとともに、新たにサイト登録者を対象にマッチングに向けた個別支援や相談窓口の設置を行うことで、サイトの登録数の増加や具体的な交渉案件の創出を図り、自治体への先進技術の導入を促進してまいります。
○大口委員 これは大変いい取組ですから、大いにこれからも推進をお願いしたいと思います。
次に、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震対策についてお伺いします。
日本海溝、千島海溝における地震、津波対策については、東日本大震災の教訓を踏まえ、中央防災会議防災対策実行会議の下に設置されたワーキンググループにおいて検討が行われていて、昨年十二月に被害想定が公表されました。公表された被害想定では、人的被害について、日本海溝モデルでは死者数が最大約十九万九千人、千島海溝モデルでは死者数が最大十万人とされています。
しっかりと津波からの避難対策また防災対策をすることによって、この被害を約八割減らすことができるようにする、こういう決意でやっていただいているわけでございます。
ワーキンググループでは、引き続き被害想定を踏まえた防災対策について検討が行われていて、年度内にも報告がまとまると聞いていますが、現在までの検討状況についてお伺いします。また、今般公表された被害想定や今後取りまとめられる防災対策を踏まえ、各自治体においても対策が進められることになると考えますが、厳しい財政状況の中、各自治体における対策を推進するためには、南海トラフ地震への対応と同様、力強い財政支援が必要であると考えます。大臣の御所見をお伺いします。
○二之湯国務大臣 委員御指摘のように、日本海溝、千島海溝沿いの被害想定につきましては、昨年十二月に公表をいたしました。
被害想定を踏まえた防災対策については、現在、ワーキンググループでの御意見も踏まえ、報告書の取りまとめに向けた最終検討を行っているところであり、年度内に公表できるように調整を進めているところでございます。
日本海溝、千島海溝沿いの巨大地震では、津波により多数の死者が発生するだけでなく、建物やインフラなどに甚大な被害が生じると考えられるわけでございます。このため、最大規模の地震、津波を想定したハザードマップの作成を進めるとともに、積雪寒冷地の特性を踏まえつつ、命を守るための避難路、避難場所の整備や、建物やインフラの耐震化などを推進する必要がございます。
今後とも、関係自治体がこれらの防災対策を着実に進められるよう、関係省庁等と連携し、財政支援を含め、取り組んでまいりたいと思っております。
○大口委員 よろしくお願いをしたいと思います。
次に、津波対策について更にお伺いします。
津波による人的な被害を最小化するためには避難が重要であり、各自治体によって住民避難意識の向上を図るため、ハザードマップや映像作成、配布を通じた啓発が行われており、国交省の調査によると九五%の市町村で津波ハザードマップを公表済みとのことですが、既に公表している自治体にあっても、日本海溝、千島海溝地震の新たな被害想定等を踏まえて見直しが必要になる自治体も相当数あると承知しています。
今回、それこそ津波対策については、関係各位の御努力により、この後、本委員会で津波対策の推進に関する法律の改正案を起草する運びとなりまして、そういう点で御努力に敬意を表しますとともに、今後も各自治体におけるハード対策の支援はもちろん、津波ハザードマップの作成、見直しをしっかりと支援していく必要があると大臣からも御指摘されたところでございます。
次に、今年の一月十五日に発生したトンガ諸島の火山噴火に伴う潮位変化についてお伺いします。
当初、気象庁は多少の潮位変化があるかもしれないが津波の心配はないと発表しましたが、同日の夜から翌十六日にかけて各地で一メートルを超える潮位変化が観測されたため、十六日未明になって、順次、津波警報、注意報を発表しました。
津波警報等の発表までに時間がかかったことなどを踏まえて、火山噴火に伴う潮位変化に関する情報発表の在り方について気象庁では検討会を開催して議論するとのことでございますが、いつ頃までに検討結果を取りまとめるのか、検討結果がまとまるまでどのように対処をするのか、まず気象庁にお伺いします。
そして、消防庁においては、津波警報や津波注意報が発表された市町村を対象に避難指示命令等に関する調査を実施したと承知しております。三月八日に各都道府県の消防防災主管部長宛てに通知も出したと聞いております。この調査分析した結果や今後の取組について、消防庁にお伺いします。
○長谷川政府参考人 お答えいたします。
一月十五日のトンガ諸島付近の大規模な火山噴火による潮位変化に関する気象庁からの情報発信につきましては、主に二つ課題があったと考えております。一つ目は、潮位変化のメカニズムなどが明らかでなかったため津波警報等の発表までに時間を要したこと、二つ目は、噴火発生から津波警報等の発表までの間の情報発信が不十分だったということでございます。
このため、気象庁では、有識者も交えた勉強会を開催し、まずは潮位変化のメカニズム等の分析を行っておりまして、今年度内を目途にその分析結果を取りまとめる予定でございます。
その後、その分析結果も踏まえまして、火山噴火等に伴う潮位変化についての情報発信の在り方を議論するための検討会を、来年度、令和四年度前半に三回程度開催し、その後、早急に検討結果を取りまとめ、これを情報発信に生かしてまいります。
これらの検討結果が取りまとめられるまでの間、海外で大規模な噴火が発生した場合には、噴火後における海外の観測点での潮位変化の状況などを途中経過としてお知らせするとともに、我が国において潮位変化が観測された場合には、その大きさに応じて速やかに津波警報、注意報を発表することとしております。
実は、今月八日、おとといでございますけれども、パプアニューギニアの火山で大規模な噴火が発生しましたが、このときには、国内、国外とも観測点で有意な潮位変化は観測されませんでした。気象庁では、その旨を速やかに情報発信をしたところでございます。
○小里委員長 消防庁荻澤国民保護・防災部長、簡潔にお願いします。
○荻澤政府参考人 はい。
お答え申し上げます。
本年一月の火山噴火に伴う潮位変化により津波警報等が発表された市町村を対象に調査を行いました。この調査によりますと、津波注意報を住民へ伝達していなかった団体、また事前に定めた基準どおりの避難指示発令が行われていなかった団体、さらには自動車避難により渋滞が発生していた団体などがあったことが明らかになっております。
また、気象庁におかれましては、当面の間、火山噴火に伴う潮位変化に応じて津波警報等の仕組みを活用することとされておりますけれども、この仕組みによる津波警報等が発表された場合においても住民の身体、財産が危険にさらされるおそれがあること、市町村においては、通常の津波と同様の対応が求められるところでございます。
これらを踏まえまして、内閣府、消防庁連名で、地方公共団体向けに注意喚起通知を発出いたしました。
今回の仕組みによる津波警報等を発表された場合にも通常の津波警報と同様の対応が求められること、具体的には、警報等の迅速かつ確実な伝達、また、あらかじめ基準を適切に定めて、津波注意報等の発表時に避難指示の発令等を適切に行うこと、また、徒歩避難が原則であることを住民にしっかり周知すること、やむを得ず自動車を用いる場合に備え、安全かつ確実に避難できる方策の検討を行っておくことなどを助言したところでございます。
消防庁といたしましては、今回の通知の内容も踏まえまして、市町村長向けの研修も含めまして、各種の研修の充実などを行いまして、市町村の適時適切な避難情報の発令を始めとする災害対応力の向上を支援してまいります。
○大口委員 以上で終わります。
ありがとうございました。
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○小里委員長 この際、津波対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。
本件につきましては、西村明宏君外五名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの五派共同提案により、お手元に配付いたしておりますとおりの津波対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案の草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。勝俣孝明君。
○勝俣委員 自由民主党の勝俣孝明でございます。
本起草案の趣旨及び内容につきまして、提出者を代表して御説明申し上げます。
津波対策の推進に関する法律は、津波による被害から国民の生命、身体及び財産を保護するためには、津波対策を総合的かつ効果的に推進していくことが重要であるとの認識の下、第百七十七回国会において本委員会の提出により制定されたものであります。
津波は、一度発生すると、広域にわたり、国民の生命、身体及び財産に甚大な被害を及ぼす災害でありますが、発生時に迅速かつ適切な行動を取ることにより、人命に対する被害は相当程度軽減することが可能であります。
現在、津波災害が想定される市町村の多くで津波発生時の住民の迅速かつ適切な避難に資する津波ハザードマップが作成、公表されておりますが、作成の遅れている市町村もあるほか、令和二年に日本海溝、千島海溝沿いの巨大地震に係る津波浸水想定が公表されたことなどから、多数の市町村で津波ハザードマップの見直しが必要な状況にあります。しかしながら、地方公共団体に対するハザードマップ等の作成に係る国の財政上の援助を定めた本法律の規定は、令和四年三月三十一日限り、その効力を失うこととされております。
一方で、近年では、デジタル技術の進展に伴い、災害対策におけるデジタル技術の活用が期待されております。特に、津波対策においては、災害発生時の早期避難はもとより、平時における防災教育や避難訓練を通じた普及啓発なども効果的、効率的に行うことが可能となることから、その活用を進めていくことが重要であります。
他方、各地域においては、津波避難ビル等の指定や整備も進められてきておりますが、日本海溝、千島海溝沿いの巨大地震対策について検討を進めている中央防災会議のワーキンググループにおいては、その被害が想定される積雪寒冷地に特有の課題として、積雪、凍結対策や防寒対策などを考慮した津波避難施設等の整備の必要性等が指摘されています。同様に、他の大規模地震により津波の被害が想定される地域においても、地域の特性に応じて津波避難施設等の整備を進める必要があります。
本起草案は、こうした状況に鑑み、地域の特性に応じた津波避難施設等の整備の推進に関する規定及び津波対策における情報通信技術の活用に関する規定を追加するとともに、国の財政上の援助に関する規定の有効期限を延長しようとするものであります。
次に、本起草案の内容について御説明いたします。
第一に、国及び地方公共団体が津波対策に係る施設の整備等において特に配慮して取り組むべき事項として、地域の特性に応じた津波避難施設、津波避難施設への避難路等の整備の推進を追加することとしております。
第二に、国及び地方公共団体は、津波に関する防災上必要な教育及び訓練の実施、津波からの迅速かつ円滑な避難の確保その他の津波対策の推進に当たっては、情報通信技術の活用を通じて、これらをより効果的に行うよう努めなければならない旨の規定を追加することとしております。
第三に、地方公共団体に対するハザードマップ等の作成に係る国の財政上の援助に関する規定の有効期限を令和九年三月三十一日まで五年間延長することとしております。
第四に、この法律は、公布の日から施行することとしております。
以上が、本起草案の提案の趣旨及びその内容であります。
何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
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津波対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○小里委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
本件について発言を求められておりますので、これを許します。田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
今回の改正は、二〇一七年改正以降に、都道府県による津波浸水想定区域の拡大に伴いまして新たにハザードマップ整備が必要になった自治体もあり、財政上の援助の規定の期限を延長するものであります。これは我が党としても賛成であります。
その上で、まず動議提出者にお伺いします。
浸水区域や避難所の位置、避難経路の確認、津波情報の取得などを容易にするために情報通信技術を活用することは、これはもう当然必要なことであると考えます。
一方で、デジタル機器に不慣れな高齢者、経済的理由によってデジタル機器を持つことができない人がおられます。デジタル活用がアナログ情報発信を軽視することになってはならないと考えますけれども、見解を伺います。
○勝俣委員 ありがとうございます。
今回の改正の趣旨は、津波が一度発生すると、広域にわたり、国民の生命、身体及び財産に甚大な被害を及ぼすとともに、我が国の経済社会の健全な発展に深刻な影響を及ぼすことがあることから、デジタル技術の活用によって早期避難を促すことなど対策を講じることで効果的、効率的に被害を軽減することが重要であるため、津波対策におけるデジタル技術の活用を努力義務とし、津波対策推進法に追加するものでございます。
一方で、現行法の第九条第三項では、国及び地方公共団体は、津波に関する情報伝達などのための措置等を講ずる場合は、先ほど申しましたように、高齢者や障害者といった、避難について特に配慮を要する者の津波からの避難について留意しなければならないものとされております。
この趣旨を踏まえれば、田村委員御指摘のとおり、デジタル技術の活用によってアナログの情報発信などが軽視されてはならず、防災行政無線や、それから自主防災組織による呼びかけなど、これまでの津波に関する情報伝達手段にも引き続き取り組むことで、デジタル機器に不慣れな高齢者などにも情報が伝わるようにすることが重要であると考えているところでございます。
○田村(貴)委員 確認できました。
続いて、ハザードマップを公表している市町村は、法施行前の二〇一〇年度五六%から二〇二一年九月の九五%へと拡大しているものの、三十五自治体が未整備であり、うち、五年前の改正以前に津波浸水想定区域に入っていた自治体は幾つあるんでしょうか。
○榊政府参考人 お答えを申し上げます。
現時点で把握しております範囲では、未整備の三十五市町村のうち、平成二十八年三月の前回調査以降、道県の津波浸水想定の設定等に伴い新たに津波浸水想定区域が設定された市町村は、十四の市町村が新たに設定をされており、二十一の市町村がそれ以前から設定をされておったと承知をしております。
○田村(貴)委員 二十一の市町村ということであります。
財政上の援助だけではハザードマップ整備が進まないという自治体もあるのではないでしょうか。二十一自治体でありますから、数も多くないので、個別に未整備理由を把握して必要な援助を行う必要もあるのではないでしょうか。いかがでしょうか。
○榊政府参考人 お答え申し上げます。
津波から迅速かつ適切に避難するためには、津波ハザードマップの整備が重要でございます。
未整備の自治体の実情を把握しつつ、財政的支援や技術的な助言等、国の支援に関する情報の提供を行うことで、必要な津波ハザードマップの整備が進みますよう、市町村を後押ししてまいりたいと存じます。
○田村(貴)委員 分かりました。
終わります。
○小里委員長 これにて発言は終了いたしました。
お諮りいたします。
津波対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付しておりますとおりの草案を委員会の成案とし、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○小里委員長 起立総員。よって、そのように決しました。
なお、ただいま決定いたしました本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小里委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、来る十六日水曜日午前九時十分理事会、午前九時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時四十二分散会