衆議院

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第5号 令和4年4月21日(木曜日)

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令和四年四月二十一日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 小里 泰弘君

   理事 西村 明宏君 理事 根本 幸典君

   理事 若林 健太君 理事 鷲尾英一郎君

   理事 近藤 和也君 理事 山崎  誠君

   理事 岩谷 良平君 理事 大口 善徳君

      青山 周平君    井出 庸生君

      井原  巧君    柿沢 未途君

      金子 俊平君    金田 勝年君

      菅家 一郎君    工藤 彰三君

      熊田 裕通君    後藤田正純君

      坂井  学君    笹川 博義君

      新谷 正義君    杉田 水脈君

      高木  啓君    高鳥 修一君

      野中  厚君    平沼正二郎君

      藤丸  敏君    古川 直季君

      古川  康君    簗  和生君

      渡辺 博道君    鎌田さゆり君

      小宮山泰子君    小山 展弘君

      神津たけし君    佐藤 公治君

      階   猛君    森田 俊和君

      柚木 道義君    早稲田ゆき君

      阿部 弘樹君    奥下 剛光君

      早坂  敦君    庄子 賢一君

      角田 秀穂君    古川 元久君

      田村 貴昭君

    …………………………………

   国務大臣

   (防災担当)       二之湯 智君

   内閣府副大臣       大野敬太郎君

   内閣府大臣政務官     小寺 裕雄君

   文部科学大臣政務官    鰐淵 洋子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  小玉 大輔君

   政府参考人

   (内閣官房国土強靱化推進室次長)         五道 仁実君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   榊  真一君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            林  伴子君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   内山 博之君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 阿部 知明君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           荻澤  滋君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁審議官)            福原 道雄君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           出倉 功一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           原  克彦君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     小林万里子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  武井 貞治君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            佐々木啓介君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           塩見 英之君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         渡邉 浩司君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         奥田  薫君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        井上 智夫君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  村山 一弥君

   政府参考人

   (気象庁長官)      長谷川直之君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 町田 一仁君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  川崎 方啓君

   衆議院調査局第三特別調査室長           吉田はるみ君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十三日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     勝俣 孝明君

同日

 辞任         補欠選任

  勝俣 孝明君     青山 周平君

同月二十五日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     橘 慶一郎君

  杉田 水脈君     稲田 朋美君

同日

 辞任         補欠選任

  稲田 朋美君     杉田 水脈君

  橘 慶一郎君     青山 周平君

四月二十一日

 辞任         補欠選任

  江藤  拓君     簗  和生君

  坂井  学君     古川 直季君

  高鳥 修一君     井原  巧君

  渡辺 博道君     野中  厚君

  小山 展弘君     森田 俊和君

  神津たけし君     階   猛君

  早稲田ゆき君     鎌田さゆり君

  空本 誠喜君     早坂  敦君

  金城 泰邦君     庄子 賢一君

同日

 辞任         補欠選任

  井原  巧君     高木  啓君

  野中  厚君     渡辺 博道君

  古川 直季君     坂井  学君

  簗  和生君     平沼正二郎君

  鎌田さゆり君     早稲田ゆき君

  階   猛君     神津たけし君

  森田 俊和君     小山 展弘君

  早坂  敦君     空本 誠喜君

  庄子 賢一君     金城 泰邦君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     高鳥 修一君

  平沼正二郎君     江藤  拓君

    ―――――――――――――

四月十二日

 被災者の住宅再建支援制度の抜本的拡充に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第八八二号)

 同(岡本あき子君紹介)(第八八三号)

 同(笠井亮君紹介)(第八八四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第八八五号)

 同(志位和夫君紹介)(第八八六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第八八七号)

 同(田村貴昭君紹介)(第八八八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第八八九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第八九〇号)

 同(宮本徹君紹介)(第八九一号)

 同(本村伸子君紹介)(第八九二号)

 同(山崎誠君紹介)(第九一二号)

 同(鎌田さゆり君紹介)(第九二九号)

 同(階猛君紹介)(第九四一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 災害対策に関する件

 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案起草の件

 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の強化に関する件


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     ――――◇―――――

小里委員長 これより会議を開きます。

 災害対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官小玉大輔君、内閣官房国土強靱化推進室次長五道仁実君、内閣府政策統括官榊真一君、内閣府男女共同参画局長林伴子君、デジタル庁審議官内山博之君、総務省大臣官房審議官阿部知明君、消防庁国民保護・防災部長荻澤滋君、出入国在留管理庁審議官福原道雄君、文部科学省大臣官房審議官出倉功一君、文部科学省大臣官房審議官原克彦君、文化庁審議官小林万里子君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官武井貞治君、中小企業庁経営支援部長佐々木啓介君、国土交通省大臣官房審議官塩見英之君、国土交通省大臣官房技術審議官渡邉浩司君、国土交通省大臣官房技術審議官奥田薫君、国土交通省水管理・国土保全局長井上智夫君、国土交通省道路局長村山一弥君、気象庁長官長谷川直之君、防衛省大臣官房審議官町田一仁君及び防衛省人事教育局長川崎方啓君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小里委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小里委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。古川康君。

古川(康)委員 自由民主党の古川康でございます。

 令和元年八月、六角川、牛津川流域を襲った豪雨により、大きな被害が生じたその二年後の令和三年、再び同じ地域を豪雨が襲いました。二年たたないうちに二度同じ被害に遭ったというショックの重さ、二度とこのような被害に遭わないような治水対策を進めていかなければなりません。その強い決意の下に、六角川水系緊急治水対策プロジェクトが今進められています。

 まず、お尋ねします。

 このプロジェクト、特に、河川のハード整備の進捗状況は今どのようになっているのでありましょうか。

井上政府参考人 お答えいたします。

 六角川水系緊急治水対策プロジェクトは、六角川本川と牛津川の河道掘削、高橋排水機場の増強、牛津川遊水地の整備等を令和六年度までに実施するものです。

 これまでに、河道掘削は約八割が完了しているほか、高橋排水機場のポンプは、現在の五十立方メートル毎秒に加え十一立方メートル毎秒を増強する計画ですが、三・七立方メートル毎秒の増強が完了したところです。

 牛津川遊水地については、湛水する区域の農地については既に買収済みであり、掘削の工事に入っております。遊水地を囲む堤防に必要な用地については、家屋の移転が必要となることから、地元の小城市と連携して、移転される方の希望を伺っているところです。

古川(康)委員 ありがとうございました。

 予算もしっかりつけていただき、皆様方の御協力のおかげで進んでいるとのこと、大変ありがたく思うところでございます。

 先ほどの局長の御答弁の中にもございましたが、牛津川の流域では、遊水地を整備していくために、移転対象集落の方々の意見が今取りまとめられています。長年住み慣れた土地を、遊水地の整備という公共的な目的のために協力をするのだということで、地域の皆様方はそういう気持ちに立っていただいています。

 ところが、こんな声も耳にします。例えば、ダムの事業に協力するのであれば、水特法もあって、いろいろな御配慮を事業主体の御当局からいただくことができます。一方で、この遊水地の事業に協力をするというのは、ダムの事業に近いというよりは、むしろ土地収用に近いというような感想を述べられている方もいらっしゃるのであります。

 是非とも、事業主体の国土交通省におかれては、こうした地元の方々の気持ちに寄り添った形での対応をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

井上政府参考人 遊水地の整備におきましては、地域の住民の理解と協力が不可欠であり、地元の自治体と連携し、地域住民の意向も丁寧に伺った上で対応することとしております。

 牛津川遊水地においては、小城市とともに、事業用地に係る集落を対象とした説明会やアンケート調査を実施しており、地域住民の皆様から、例えば、移転後も現在のコミュニティーの維持ができるか、あるいは、移転後の生活の利便性を確保できるか、遊水地内で使用する営農機具の保管場所をどのようにするのかなどに関する意見をいただいているところです。

 このため、現在、具体的な移転先について、移転候補地が安全で利便性がありコミュニティーを維持できるかどうかなどについて、市や地域の方々と意見交換をしております。また、今後は、遊水地を囲む堤防などの上に営農機具を保管することが適切かどうかなど、土地の有効活用についても十分な議論を重ね、地域の理解をいただきながら事業を進めてまいります。

古川(康)委員 ありがとうございました。

 どうか格別の御高配をお願い申し上げるところでございます。

 次に、なりわい再生に向けてのお尋ねであります。

 被災された方々のところを回っておりますと、二年間のうちに二度にわたる災害に遭ったために、住み慣れた場所に住み続けるかどうか悩んでおられる方も多いわけでありますが、それに加えまして、こうした地域で事業を営んでおられる事業主の方々も、果たしてこの場所で事業を続けてよいものかどうか悩んでおられました。

 令和元年の水害のときには、事業ば再開すっとによか支援制度がなかねというようなことを聞かれていました。ところが、令和三年の水害の後は、もうここじゃ事業はできんけん、移転場所ば探してくれんねというような声すら聞かれました。これを何とかしなければという思いから要望活動を重ねた結果、新しい支援制度をつくっていただくことができました。

 お伺いいたします。

 この新しい支援制度、この事業の狙いとするところと、活用の状況等について教えてください。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 令和三年八月の大雨につきましては、佐賀県を中心に、住民の皆様や地域の中小企業などに大変大きな被害を与える結果となりまして、いまだ復興の途上である方もいらっしゃるというふうに認識をしてございます。特に、佐賀県武雄市、大町町の被災中小企業、小規模事業者に対しまして、短期間で二度の局激相当の災害を受けられたということを勘案いたしまして、なりわい再建支援補助金と同等の支援策といたしまして、地方公共団体による地域企業再建支援事業を措置したところでございます。

 この事業につきましては、佐賀県を通じまして被災事業者を支援するという間接補助の仕組みでございまして、国の事業を受けていただいて、佐賀県で佐賀型商工業者再建補助金を措置していただいたところでございます。

 この補助金は、令和三年十一月十八日に第一期の公募を開始いたしまして、現時点で、第二期の公募を終了してございます。これまで、全二十七件の事業者の申請分といたしまして、佐賀県に対しまして約一・三億円の交付決定を行っているところでございます。あわせまして、ちょうど明日まで第三期の公募を行うとともに、さらに、来週からは第四期の公募を行う予定でございます。

 事業者の皆様方の復旧復興の状況をしっかり勘案いたしまして、順次交付決定を行いながら、被災された事業者の方々の一日も早い事業再開に向けて全力で取り組んでまいりたいと存じます。

古川(康)委員 ありがとうございました。

 短期間のうちに二度にわたる局激相当の被害を受けたということに着目しての支援制度、本当にありがとうございます。まだまだ、地域の中でもこの制度を御存じない方がおられます。更なる周知をお願い申し上げるところです。

 次に、被災者生活再建支援法の運用についてお尋ねをいたします。

 被災者生活再建支援法は、平成十年に成立をし、それ以来、大きな災害による被害を受けた一般住家の生活再建に大きな効果を上げてきました。令和二年の改正によって、それまで大規模半壊以上の被害でなければ対象とならなかったものを、中規模半壊以上と範囲を広げていただいたことも評価するところであります。

 一方で、地元からは、自分が申請したはずなのに、きちっとそのことが当局に届いていないのではないかと確認を求められるケースがありましたので、御紹介をいたします。

 被災者生活再建支援金の申請手続を行ったところ、その際に、大規模半壊に該当するので基礎支援金五十万プラス加算支援金百万の対象になるとの説明があった、ところが、基礎支援金の支給はあったが、加算支援金については何の音沙汰もなかったので役場に聞きに行ったところ、申請をされていないので対象にならないと言われた、どうなっているのだろうかということでありました。調べましたところ、確かに、加算支援金については申請されていなかったということで、まだ締切り前でありましたので申請をしていただくことが可能であるということで、そのことが確認できて、ほっとしていただいたところです。

 このようなケースが生じたのは、基礎支援金と加算支援金の申請に必要な書類の違いという点があるのではないかと思います。基礎支援金は、被災された時点で、罹災証明書があれば申請することができますが、加算支援金については、後日、例えば家の修復工事をされた業者の方との契約書類など、必要書類をそろえてから申請することになります。ですので、その手続を忘れてしまうという方もいらっしゃるのではないかと思うのであります。

 お尋ねをいたします。

 このようなケースがほかにもあるのではないかと考えますが、いかがでありましょうか。また、こうしたことが起きないように何か対応策を取られているでしょうか。

小寺大臣政務官 古川先生にお答え申し上げます。

 先生お尋ねの被災者生活再建支援金は、全壊、大規模半壊等の住宅の被害の程度に応じて支給をする基礎支援金と、建設、補修等の住宅の再建方法に応じて支給をする加算支援金をそれぞれ支給して、併せて被災者の生活の再建を支援するものでございます。

 この支援金の申請につきましては、今先生からもお話ございましたように、基礎支援金は、住宅の被害の程度に応じて支給をされるため、十三か月以内に住民票と罹災証明書等を添付して申請することとしております。一方で、加算支援金につきましては、住宅の再建方法に応じて支給されるため、三十七か月以内に住宅の建設や補修の契約書等の写しを添付していただいて申請することとしているところでございます。

 先生御指摘のような加算支援金の申請を忘れられるというケースは起こり得るものと考えております。このため、内閣府では毎年度、支給対象となる被災者が申請期間内に確実に申請できるよう、都道府県を通じて市町村に周知をしているところでございます。これを踏まえて、市町村等におきましては、加算支援金を申請していない世帯に対して訪問や電話等により申請を促すなどの対応がなされていると承知をしております。

 また、都道府県におきましては、被災の状況や被災者の生活再建の状況等を踏まえ、申請期間について弾力的に延長を行っていると承知をしております。

 内閣府といたしましては、被災者の生活再建が進むよう、自治体等とも連携をして、支援金が円滑に支給されるよう努めてまいります。

古川(康)委員 ありがとうございました。引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 次に、今後の防災体制構築に向けてお尋ねをいたします。

 かつて寺田寅彦先生は、災害は忘れた頃にやってくるとの言葉を残されましたが、残念なことに、今や、災害は覚えていてもやってくるという時代になってしまいました。災害と縁のない地域はもはや存在しないと言っても過言でないかもしれないと思います。どんなタイミングでどういう災害が起きたとしても一定の対応はきちんとできる、そういう行政体制をつくっておくべきではないかと考えます。

 そこで、お尋ねをいたします。

 どの首長も懸命に災害対応に取り組まれると考えるものの、経験の豊かな方もいらっしゃれば、なったばかりのときに災害が発生することもないわけではありません。こういうケースであっても必要な災害対応を進めるようにしていくためには、首長をサポートするという体制が必要なのではないかと考えますが、いかがでありましょうか。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 大規模災害発生後には、災害対策本部を設置しまして、被害状況の把握でありますとか救命活動、断水や災害廃棄物への対応などのほか、避難所運営や罹災証明書の発給事務など、短期間に多種多様な災害対応業務が発生し、首長は多くの判断が求められるものと承知してございます。

 総務省では、平成三十年三月に、全国知事会などとともに、被災直後の自治体に応援職員を派遣する応急対策職員派遣制度を構築してございます。この制度におきまして、首長などに対し災害マネジメント支援を行うための総括支援チームの派遣を行ってきてございまして、制度創設以来、これまで計五回、三十八の被災自治体に派遣をしてまいりました。

 この派遣に当たりましては、災害対応の知見を有します職員や災害対応経験のある管理職等の地方公共団体の職員を災害マネジメント総括支援員として総務省に登録することとしてございまして、令和四年三月末時点で三百八十一名が登録されてございます。

 今後の大規模災害の発生に備えまして、総務省としても、災害マネジメント総括支援員を千人程度確保することを目標に地方公共団体に協力を要請するとともに、災害経験を踏まえた新たな知識やノウハウを共有するなど、研修の充実に努めてまいります。

古川(康)委員 ありがとうございました。

 是非、首長さんたちに、こうした制度が使えるんだということをしっかり周知をお願いしたいと思います。

 また、自治体間における職員や様々な人たちの派遣制度も更なる活用が求められると考えますが、それに関連して、消防団員の派遣について伺います。

 消防組織法第十八条三項には、被災の市町村に対して近隣の消防団員が、消防長又は消防署長の命令で応援に駆けつけることができる旨の規定がありますが、実際には、こうした手続を取ることなく、消防団員がいわば手弁当で被災地の支援に駆けつけている例もあると私は聞いています。火災であれば手当は出るけれども、水災の場合は手弁当という声も聞きます。

 もちろん、区域外への出動はあくまでも例外でなければなりませんが、仮に消防団に区域外出動をさせるのであれば、本来は費用や手当について支払う必要があるのではないか、そういう点をもっと知らしめていくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

荻澤政府参考人 消防団でございますけれども、地域の実情を熟知した団員によりまして、地域に密着した活動が行われることが期待されておりまして、当該市町村の区域内で活動することが原則であります。一方で、御指摘のとおり、消防組織法十八条三項では、消防長等の命令があるときには、その区域外においても行動することができる旨を定めています。

 総務省消防庁といたしましては、こうした出動について、その活動場所が区域内か区域外かにかかわらず、消防団として活動した場合には報酬等を支給すべきであると考えています。

 昨年四月に定めました消防団員の報酬等の基準におきましても、災害に係る出動報酬については一日当たり八千円を標準額とすること、活動記録等に基づいて団員個人に直接支給することなどを定めて通知しているところであります。

 また、その際の市町村の財政負担でございますけれども、財政運営に支障が生じないよう、災害に係る出動報酬をその実績に応じて特別交付税措置することとしています。

 こうした出動報酬の取扱いにつきましては、消防団員の皆様の労苦に報いるためにも、市町村において着実に措置されるよう、引き続き市町村長の理解に向け、取り組んでまいります。

古川(康)委員 ありがとうございます。

 最後に、災害対応の体制における女性登用について伺います。

 端的にお尋ねをいたします。

 自治体の災害対策の根幹を決めていく災害対策基本計画、その策定を行う地方防災会議には女性がどの程度参画しているでしょうか。そして、その数字を踏まえて、女性登用についての政府としての考え方をお尋ねいたします。

小里委員長 内閣府林男女共同参画局長、端的にお願いします。

林政府参考人 令和三年四月一日の時点におきまして、都道府県防災会議の委員に占める女性の割合は一六・一%、また、市区町村防災会議においては九・三%となっております。

 地方防災会議における女性の参画拡大は、避難所の運営や物資の提供に女性の視点が組み込まれ、女性や子供のニーズや課題に的確に対応することができるなど、極めて重要な意義があると考えております。

 ただ、残念ながら、現状では女性割合はまだまだ低い状況ということで、この状況を踏まえ、私ども、第五次男女共同参画基本計画においては、令和七年までにこの委員に占める女性の割合を三割にすることを目標にしているところでございます。

古川(康)委員 ありがとうございました。

 それと関連して、ウクライナ避難民対策連絡調整会議、あるいはその下にあるタスクフォース、こうした会議のメンバーの中に女性が何人いるのか、一方で、ウクライナからの避難民の数の中で男女の割合がどうなのか、こうしたことについてもお尋ねしたいと思っておりましたが、時間となりましたので、私の聞いているところ、圧倒的に女性の割合が多いにもかかわらず、こうしたことを決めていく政府の中には女性の割合が非常に少ないということを聞いているところでございまして、是非、こうしたことについても改善をお願いしたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございます。

小里委員長 次に、菅家一郎君。

菅家委員 おはようございます。自民党の菅家一郎です。

 三月十六日に発生した福島県沖を震源とする地震では、福島県においても一名が亡くなられ、多数の負傷者、そして一万棟を超える住家被害が出ております。東日本大震災に加え、令和元年の台風第十九号、昨年二月の福島県沖地震、そして今般の地震で被災され、心が折れそうだという声を私も真摯に受け止めております。

 全ての被災者の方々にお見舞いを申し上げますとともに、全国の皆様からの温かい御支援に感謝を申し上げ、質疑に入らせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、未曽有の被害となった東日本大震災を踏まえ、首都直下地震についても、あらゆる可能性を考慮した最大クラスの地震等を想定することとなり、平成二十五年十二月には新たな被害想定が公表されました。この被害想定では、最大で二万人を超える死者が出るほか、約七百万人が避難生活を強いられることになります。

 このような場合に、被災者の救援や避難者の移送、物資の供給や医療の供給などの危機対応業務、それに続く復興業務と並行して、国家としての中枢機能を維持することが求められます。

 政府は、同年十一月に制定された首都直下地震対策特別措置法に基づき、平成二十六年三月、政府業務継続計画を閣議決定しておりますが、これによれば、首都直下地震により総理大臣官邸が使用できない場合、緊急災害対策本部を内閣府の中央合同庁舎、防衛省、立川広域防災基地の順に移転するとともに、各府省等の代替庁舎について、立川広域防災基地周辺を基本に検討すると定められております。

 その上で、今後の検討課題として、更に過酷な事態となることも想定し、東京圏外における官邸及び中央省庁の代替拠点の在り方について検討するとされておりますが、この検討状況について御説明を願います。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、政府業務継続計画におきましては、首都直下地震により官邸が使用できない場合に備え、内閣府中央合同庁舎の八号館、防衛省、立川広域防災基地の三か所を緊急災害対策本部の設置場所として位置づけますとともに、政府は、これらの場所を中心に非常時優先業務を実施することとしております。

 さらに、これら三か所以外の代替拠点への移転につきましては、官邸や中央省庁の庁舎が壊滅的な被害を受けるといった事態は想定し難いものの、政府の業務継続のためにはあらゆる事態を想定する必要があることから、大規模地震に係る現地対策本部の設置予定箇所や各府省等の地方支分部局が集積する都市など、代替拠点となり得る地域を対象に、既存の庁舎、設備、資機材の活用などについて検討することとされております。

 内閣府におきましては、代替拠点となり得る地域におきまして、これまで五十四か所の合同庁舎等と申合せを締結し、初動対応を円滑に行うことができますよう、中央省庁の代替庁舎として使用するための手続や条件等について定めるとともに、現地対策本部の設置予定箇所である九か所の合同庁舎等におきましては、一般の通信回線が途絶した場合でも関係機関と連絡を取ることができるよう、中央防災無線等の整備を進めてきているところでございます。

 引き続き、関係機関と緊密に連携しながら、首都直下地震発生時における政府機能の確保に万全を期してまいります。

菅家委員 現在、我が党においては、東京への一極集中の是正とともに、首都直下地震等の大規模災害によるリスク軽減のため、社会機能を移転、分散し、首都機能を代替、補完する議論が活発に行われております。

 私自身も、昨年、首都直下型地震対策バックヤード構想推進研究会を有志の議員と立ち上げ、勉強会を重ね、提言書をまとめ、各省庁へ提言してまいりたい、このように考えているところであります。

 この構想は、首都直下地震など、東京が壊滅的な被害を受ける可能性のある大規模災害時に、いかにして国家中枢機能、社会機能を維持するかということに主眼を置いた構想であります。これらの機能を一時的に代替するバックヤードを、東京と比較的近いけれども同時に被災する可能性の低い地域に改めて設定をしておき、有事の際には、直ちに代替機能を担うことができる体制を平時から整備、維持する、これが我々の考えるバックヤード構想であります。

 一つの土地だけで首都機能をバックアップするのは非常に困難です。首都機能移転が叫ばれて久しいですが、移転先が被災するリスクがあることをも考えれば、巨大なリスクに備えるためには、複数の都市が連携し、リスクを分散させる体制をつくる必要があります。

 我々は、これらの条件に最もよく適合するのは、北関東、南東北エリアではないかと考えております。皆様方のお手元に資料をお配りさせていただいたとおり、この地域は、新潟市、宇都宮市、郡山市、高崎市という政令市や中核市に囲まれ、さいたま市を起点に、高速道路、新幹線等の鉄道で環状に連結されているわけであります。いわゆる、東京が心臓であれば、冠動脈というような役割を持って東京を守っていこうということであり、高速道路と鉄道で二重にネットワークされていることにより、迅速、円滑に避難者の移送や物資の供給等が行えるとともに、一つの都市が被災しても全体として機能を維持できるというメリットもあります。

 この首都直下型地震対策バックヤード構想について、国土強靱化の観点からも非常に有力な案となり得ると思いますが、どうか検討の俎上にのせていただきたいと存じますが、大臣の御見解をいただきたいと思います。

二之湯国務大臣 首都直下地震を始めとする大規模災害の際には、緊急輸送ネットワークの確保が非常に重要な課題になっております。また、新幹線ネットワークの整備も、災害時における代替輸送ルートの確保につながるものと考えております。

 委員御指摘の磐越西線のミニ新幹線整備構想につきましては、今後、自治体や経済界を巻き込んで機運を盛り上げていかれるものとお伺いいたしております。まずは、地元の皆様において、地元のニーズも踏まえた整備の在り方について十分な検討を行っていただくことが必要と考えております。国土交通省において、必要な協力や助言を行っていくものと認識をいたしております。

 災害に強い国土づくりの観点から、自治体等からの提案や要望にもしっかりと耳を傾け、引き続き、関係省庁と連携し、大規模災害時の人や物資の輸送ルートの確保に努めてまいりたいと思っております。

菅家委員 ありがとうございます。

 今ほど大臣からお話がありました、このネックの問題は、磐越西線というのがありまして、磐越西線というのは東北新幹線と上越新幹線をつないでいる在来線ですね。我々としては、これが大きなネックになっている。新幹線の環状線を目指そうじゃないか。いわゆる環状交通のネットワークのミッシングリンクとなっているわけでありまして、この考え方は、今まで我が国として整備新幹線とかに取り組んできた、しかし、在来線の今後の在り方というのは大きな課題になっているんですね。

 ですから、このような場合、我々が提案している、例えばミッシングリンクの解消という視点において、このミニ新幹線化を実現することによって、更なる東京を守る冠動脈としての、まさに新幹線による環状ネットワークをつくり上げることが不可欠である、このような点で御提案をしているわけであります。

 ですから、大臣もお話がありましたように、当然、地元、例えば、新潟県、福島県の両県知事が前向きに取り組んでいく、市町村長、商工会議所、経済団体も当然これは進めていこう、このような機運が盛り上がって、整備構想を取りまとめて事業化に向けて動き出していくということの流れがあることを踏まえれば、しっかりとこれは支援すべきだと先ほども申し上げましたが、もう一度御見解をお示ししていただきたいと思います。

二之湯国務大臣 今の磐越西線の問題でございますけれども、やはり一番大事なことは、それだけのニーズがあるかということ。もちろん重要な路線であることは大変認識はいたしておりますけれども、まずは、地元でしっかりとそういう経済界、地元の自治体も巻き込んだ運動を展開していただくということがやはり喫緊の課題ではないか、このように思っております。

菅家委員 そういった流れがあった場合はまた是非御支援をいただきたいと思いますが、いかがですか。

二之湯国務大臣 先生御指摘の磐越西線は、私も学生時代に乗りまして、あの路線が水害で不通になりまして、郡山からずっと乗り続け、喜多方、歩いたことを覚えております。それがミニ新幹線でつながれば、非常に重要な路線であることは認識しております。

 また、関係方面との協議を踏まえて、先生御指摘のようなそういう構想が実現できるかどうか、検討してまいりたいと思います。

菅家委員 ありがとうございます。是非、期待に応えるように地元で盛り上げてまいりたいと思います。よろしくお願いします。

 実は、この構想の主体は、あくまでも県や市町村なんです。地元ですね。首都直下地震等の大規模震災の折に、本来は当然ながら国が責任を持って対応するということが基本でありますが、やはり我々としては、地元でも何とか東京を守っていこうじゃないかと。いわゆる、中央の対策や支援をただ待つのではなくて、逆に地方から中央を支援する、我々で何とかしていこうじゃないか、こういった考え方が基本であるわけでありますので、ある意味では、国土強靱化、地方創生の観点からも、一つの在り方、モデルといいますかになり得るのではないかというふうに私は思っているんです。

 例えば、首都直下地震だけではなくて、こういう構想が、地元でこういうふうにしたいと盛り上がって、やろうじゃないかという在り方が、いわゆる南海トラフという地震にも備えて、これも何とかしてくれという国の責任もあるが、地元でも同じようにバックヤード的な発想でみんなでやろうじゃないか、あるいは、本日の委員会において起草が予定されている日本海溝・千島海溝地震も、同じように、被災が想定される北海道から東北にかけて、地の利を生かして、広域的な支援を行うための拠点、緊急輸送ルートの観点からも、こういった考え方は、私は大変、一つの事例としてしっかりと実現に向けて取り組んでまいりたい、こう考えているわけです。

 ですから、今後、この構想の実現に向けて地元自治体等から提案や要望があった場合には、大規模災害時の物流、被災者の避難、医療、機能分散等に資するような計画の策定、施設の整備について、しっかりとこれが示されて、こういうふうにしたいという地元からの要望があった場合には、当然、国からも技術的にも財政的にも支援をいただきたい、このように考えているわけでありますが、大臣の御見解をお示しいただきたいと思います。

二之湯国務大臣 首都直下地震につきましては、三十年以内に七〇%程度の確率で起こり得る、このように言われております。一たびそういう首都直下地震が発生いたしましたら甚大な被害が想定されることから、その対策は今からやはり進めていかなければならない、このように思っているところでございます。

 このため、国においては、想定される最大の死者数をおおむね半減させるなどの減災目標を立てまして、その実現方策をいろいろと今進めているところでございます。

 また、実際に発生した場合に備えて、緊急輸送ルートの確保、あるいは広域応援部隊の派遣、必要な物資の調達、輸送などに関して具体的な方針や手順などを定めているところでございまして、発災時には、自治体等と緊密に連携し、迅速に対応することとしています。

 首都直下地震を始めとする大規模災害への対応に当たっては、国だけでなく自治体等の果たす役割が極めて重要であることから、提案や要望があった場合には、しっかりとお話を伺った上で、関係省庁とも連携し、対策に万全を期してまいりたいと思っております。

 なお、委員御指摘のように、直下地震によってこの東京が機能が麻痺するというようなこと、それを想定したそういうバックヤードというものは常に考えておかなければならない重要な視点だと思っております。

菅家委員 しっかりと我々も、準備といいますか、受皿づくりに頑張ってまいりますので、よろしくお願いしたいと存じます。

 次に移ります。

 会津は豪雪地帯で、実は、雪崩、融雪等による土砂災害というのが、かなり被害が出てまいりまして、実は、今年三月七日に、福島県只見町の国道二百五十二号のあいよし橋というのがありまして、これが雪崩で喪失しました。全壊ですね。今月十一日は、すぐ近くにある出逢橋というのも、橋桁とか欄干が曲がるなどの損傷が確認されました。

 二つとも、結果として、冬期通行止め区間であるために、幸い人的被害はありませんでしたが、近くを通る旧道を迂回路として使えるかどうかの調査もこれからで、旧道が使えない場合には会津地方と新潟県側とを結ぶ重要なルートが寸断されることになるものですから、地元からも早急に復旧してほしいと要望されておりますが、二つの橋の復旧工事について、国の災害復旧事業の採択の見通しを伺いたいと思います。

井上政府参考人 菅家委員の方から御指摘ありましたように、国道二百五十二号におきましては、出逢橋、あいよし橋の損傷が確認されたところでございます。

 現在、当該区間は冬期通行止め中ですが、五月中旬の開通に向け、あいよし橋については近傍の旧道の活用、出逢橋については片側通行により応急的に対応する方向で、現在、道路の除雪や旧道の点検等を県が進めているところであると聞いています。

 県では、同じ規模の雪崩に対しても被害が発生しない形で道路を復旧することを目指しており、現在、災害復旧事業の申請に向け、今回の雪崩を再現するシミュレーションの開発などの必要な検討を行っているところです。

 国土交通省といたしましても、災害査定前から県と打合せを行うなど、二つの橋の災害復旧事業に早期に着手できるよう、しっかりと取り組んでまいります。

菅家委員 是非よろしくお願いいたします。

 たまたまこれは冬期間の通行止め区間で人的被害がなかったわけでありますが、豪雪地帯においては、雪崩、融雪等による土砂災害という不安といいますか危険性があるわけですから、やはり今回の事例を踏まえれば、今後、人的被害が出ないように、日頃から危険箇所について点検、確認をしていただいて、必要な場合には迂回路を整備するなど、事前の対策を強化していただいて、こういった災害から国民の命を守るための対応をお願いしたいと存じますが、ひとつ御見解を伺いたいと思います。

小里委員長 井上水管理・国土保全局長、時間が参りますので、端的にお願いします。

井上政府参考人 雪崩対策につきましては、雪崩の危険箇所の点検を踏まえて、人家が集中するなど対策が必要とされた箇所について、道府県において優先的に雪崩防止施設を整備しております。

 土砂災害対策は、大雨だけでなく、融雪によるものへの対応も重要ですので、土砂災害警戒区域などの点検において把握した、人家が集中する箇所や重要交通網を守る箇所について、国及び都道府県が優先的に砂防施設等を整備してまいります。

 また、これまでの道路防災点検等により、勾配の急な斜面など、地形、地質の状況や被災履歴等から対策が必要と判断された箇所について、のり面対策や土砂災害等を回避する改良等の事前防災対策を推進してきております。

 今後とも、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策も活用して、事前防災対策を強化してまいります。

小里委員長 菅家一郎君、締めてください。

菅家委員 時間になりましたので終わりますが、東北新幹線が二十九日間も止まったり、毎回止まって、これはビジネス、観光にも大変大きな影響がありますから、国としても、JR東日本に対して指導、技術面、財政面の支援をしていただくことを御要望だけ申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小里委員長 次に、庄子賢一君。

庄子委員 公明党の庄子賢一でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 三月十六日、福島沖を震源とする大きな地震は、マグニチュード七・四、最大震度六強という、大きな被害が出たわけでございます。令和元年度に東日本台風、そして昨年二月にやはり震度六強の福島沖を震源とする地震、そしてこの地震ということで、短期間の間に何回も連続して大きな災害に見舞われているということが、被災地では大変大きな心身共にダメージになっているわけでございます。

 公明党といたしましては、災害対策本部を設置いたしまして、三月二十五日に官邸に参りまして、官房長官に緊急要望させていただきました。その要望も踏まえて、今般、政府においては対策を取りまとめていただいたわけでありまして、この点、感謝をさせていただいております。

 ただ、実際に現場からまだ足りていないよという声も聞こえてきておりまして、そんな点を中心に、少し質疑をさせていただきます。

 例えば、公立小中学校、公立社会教育施設、こういった部分については一般財源の持ち出しが大きいということがございまして、公立学校施設災害復旧費国庫負担法によります負担金の補助率の引上げ、そして、頻発化しております災害に鑑みまして改良復旧の費用を対象に加えていただきたい。まずこの点をお尋ねさせていただきます。

鰐淵大臣政務官 お答え申し上げます。

 まず、三月十六日に発生しました福島県沖地震につきまして、亡くなられた方々にお悔やみを申し上げますとともに、遺族の方々、被害に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げます。

 被災した公立学校施設の復旧につきましては、公立学校施設災害復旧費国庫負担法等により、災害復旧事業に要する費用の原則三分の二を国庫補助しております。さらに、国庫補助以外の地方負担分については、九五%に相当する額が後年度に交付税措置され、実質的な負担は相当程度軽減されることになります。また、公立学校施設の災害復旧の実施に合わせまして、学校施設環境改善交付金などの補助制度等を組み合わせて活用することにより、防災機能強化などの改良工事を実施することも可能となっております。

 文部科学省としましては、引き続き、本日も現場の声をいただきましたので、公立学校施設の早期復旧に向けまして、被災地に寄り添った支援を最大限行ってまいります。

庄子委員 政務官、ありがとうございます。

 学校施設もそうですし、そして社会教育施設も同じでございます。質問は割愛をさせていただきますけれども、併せて、文科省として最大限御支援をお願いを申し上げたい、このように思います。

 私の地元は仙台でございますが、仙台の一つのシンボルであります仙台城、大きな被害が発生いたしました。石垣の崩落あるいは変形、そして土塀の亀裂、大きく分けて六か所、仙台城では大きな被害が出ておりまして、これまでも何度かにわたって石垣の崩落が繰り返されてきているわけでございます。

 非常に価値のある史跡でもありますので、今後、この石垣の崩落、再度災害を防ぐために、是非、現代工法を活用した復旧工事を認めていただきたいというふうに思います。加えまして、この石垣の復旧には最低三年ぐらい時間を要するだろうというふうに見積もられておりまして、国庫補助金について、その年度ごとに必要な額をしっかりと対応していただきたいということを重ねてお願いを申し上げますが、いかがでしょうか。

鰐淵大臣政務官 お答え申し上げます。

 議員御指摘の石垣の復旧に当たりましては、整備当時の工法をできる限り守ることも含めまして、文化財としての価値の保存を前提とする必要がございます。

 一方で、構造的に脆弱性がある場合や人に危険が及ぶ可能性がある場合は、現代の技術も利用しながら適切に対策を行うことも重要と考えております。

 このため、仙台城跡の石垣復旧につきましては、文部科学省としまして、四月十二日に、現地に文化財調査官を派遣いたしまして、現場確認を行うとともに、復旧方法につきまして市の担当職員と協議を行わせていただきました。御指摘のような現代工法の活用を含めて、技術的助言を丁寧に行ってまいります。

 また、お尋ねの年度ごとの予算の交付につきましては、事業規模に応じた所要の予算を毎年度確保し、必要な支援を適時行うことができるよう、引き続き、宮城県、仙台市と連携を取って対応してまいります。

庄子委員 ありがとうございます。大変心強い御答弁を頂戴をいたしました。

 次に、宅地被害のことについてです。

 これは今回の地震に限った話ではないんですけれども、宅地の擁壁における耐震化工事には住宅・建築物安全ストック形成事業、こういった既存のメニューが使えます。また、大規模盛土造成地滑動崩落防止事業といったものもございますけれども、これは面積要件やあるいは戸数要件などもございまして、適用にならないケースもあります。その場合は、基本、全額個人負担ということになるわけでありまして、個々の宅地被害に対する応急復旧の対策の事業化について、是非、要件緩和や財政措置の拡充を求めたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

渡邉政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、大規模盛土造成地滑動崩落防止事業は、被災した大規模盛土造成地において、滑動崩落等による二次災害を防止するために、事業を実施する地方公共団体などを支援することが可能ですが、盛土の規模あるいは被害を受けるおそれのある家屋の数などの要件が設けられております。

 一方で、被災した個々の宅地擁壁などの応急対策工事につきましては、宅地耐震化推進事業によりまして、公共施設等に著しい被害を生じるおそれがあり、盛土などの高さや被害を受けるおそれのある家屋の数などの比較的小規模な要件を満たす場合に、事業を実施する所有者などに対して、その費用の一部を防災・安全交付金により支援することが可能です。

 また、住宅の耐震性の確保の観点から、耐震性が不足した擁壁の耐震基準を満たすための改修工事につきましては、住宅・建築物安全ストック形成事業によりまして、被害を受けた擁壁の復旧に関する部分も含めて、所有者等に対して、その費用の一部を防災・安全交付金等により支援することが可能でございます。

 国土交通省といたしましては、先月十六日に発生した福島県沖を震源とする地震を始め、各種災害による宅地被害に対して、被災自治体などの要望を伺いつつ、このような制度の活用などにより被災自治体などの取組を支援してまいります。

庄子委員 建物の被害が出ればそこに対する支援というのは一定程度あるんですけれども、しかし、意外に宅地の被害というのは目に見えない、けれども、多額の費用を要する被害になるケースが多いです。この辺の事業については、今後、是非、充実強化をお願いを申し上げたいと思います。

 グループ補助金について伺います。

 福島県あるいは宮城県では、去年にも地震被害で建物に損壊を受けまして、グループ補助金を使った事業者の方々がいらっしゃいます。二年連続しての被災でありますので、今回のグループ補助金の自己負担分四分の一ですら大変厳しいという声が届いておりまして、是非、この四分の一の自己負担分についての支援を御検討いただきたいということがまず一点。

 そしてもう一点は、去年のグループ補助金の上乗せ支援があった際に、東日本大震災の前の時点と比較して売上げが二〇%減少という要件が課せられておりましたが、この要件は外していただきたい、このように思いますけれども、御見解を伺います。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 宮城県や福島県等の中小・小規模事業者の皆様の中には、東日本大震災や新型コロナ、昨年の福島県沖地震に加えまして、今回の福島県沖地震で被災された方もおられまして、連続する災害によって大変厳しい経営環境にあると承知をしてございます。

 経済産業省といたしましては、発災翌日に、中小企業支援策といたしまして、災害救助法が適用された宮城県及び福島県内の全市町村に対しまして、中小企業関係団体等による特別相談窓口の開設、災害復旧貸付けの実施、セーフティーネット保証の適用などの措置をそれぞれ講じてきているところでございます。

 また、四月八日に政府として取りまとめられました支援策の中には、連続する災害により度重なる困難に直面している状況等を勘案いたしまして、グループ補助金を特例として措置することを盛り込んだところでございます。

 現在、委員御指摘のような被災地の状況も踏まえまして、定額補助要件の見直しなど、関係自治体と詳細について調整を行いながら、公募開始に向けての準備を進めているところでございます。

 引き続き、被災された事業者の方々の一日も早い事業再開に向けて、全力で取り組んでまいりたいと存じます。

庄子委員 今、御検討いただいているという答弁を頂戴しましたが、十一年も前の東日本大震災の前の売上げと今を比較するというのは、少しやはり無理があるような気がします。この間、長期間にわたるコロナの被害がございましたし、また、今は、ウクライナ情勢という予期せぬ国際情勢の変化も起きているわけでありまして、それが、十一年前の売上げと比べて、その企業、会社の経営の逼迫を示す物差しになり得るのかということ、これを是非考えていただきたい。現在の経済状況、物価高に見合った対策を是非御検討いただきたいというふうに思う次第であります。

 グループ補助金の対象、これはハードルが高いということは承知した上でお尋ねをしますが、実際に被害の現場ではこういう声が多いということを届けさせていただきたいと思います。工場の食堂、休憩室、トイレ、通路などの施設がこのグループ補助の対象には入っておりませんけれども、事業再開の足かせになっているケースがあります。これを加えていただきたい。端的にお答え願います。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘の工場の食堂、休憩室などの福利厚生施設は、過去の災害で措置されたグループ補助金におきましては、復旧事業以外の他の目的にも転用される可能性が高い施設といたしまして、グループ補助金の対象外として扱ってきたところでございまして、御指摘の施設が同様の用途であれば、対象外となる可能性が高いというふうに考えてございます。

 しかしながら、個別具体的な案件に応じまして、復旧事業に不可欠な経費かどうかというところをしっかり判断をしていきたいというふうに考えてございまして、実際の申請段階で個別にもまた御相談をいただければと考えてございます。

庄子委員 是非、きめ細かい柔軟な対応ということをお願いをしておきたいと思います。

 最後の質疑は、学校管理下におけます防災対策というテーマでございます。

 東日本大震災では広範囲に甚大な被害が広がりましたが、とりわけ、学校管理下における安全対策というこの問題を突きつけたのは、石巻市立大川小学校の案件でございました。児童生徒七十四名、教職員十名の貴い命が奪われるという大川の悲しい出来事がございましたが、その後、法廷で争われて原告側の勝訴ということになったわけでございますが、この判決の中で、既存のハザードマップでさえも疑い、より安全対策を高める必要性があるということを裁判所側が示すということで、これは、学校長や教育現場には重い責任の自覚を促す画期的な判決になったということが言えると思います。

 この大川小学校の判決を基に、学校管理下でどのように防災力を高めていくのか。例えばそれは、津波だけに限らず、風水害、土砂災害、内陸地震等々、学校の立地が一律ではない中でいかに実効性がある対策を講じるか、これは極めて大きな問題であるというふうにうかがえますが、今後の対応を伺っておきます。

鰐淵大臣政務官 お答え申し上げます。

 石巻市立大川小学校では、東日本大震災の津波によりまして、学校管理下の下で多くの犠牲を出しました。改めて、犠牲になられた児童、教職員の御冥福をお祈り申し上げます。

 平素から教育委員会による学校への支援や自治体の防災部局との連携が重要である一方で、大川小学校の教訓を踏まえれば、学校管理下では学校が責任を持って子供たちの安全を守ることができるよう、教職員や児童生徒自らの防災に関する知識や行動力を高めていくことが重要であると認識をしております。

 文部科学省では、特に東日本大震災以降、想定外の規模の災害があり得るということを念頭に、各学校におきまして、児童生徒等が自ら危険を予測し回避する能力を育成する安全教育の実践、地域や関係機関等と連携した防災教育や避難訓練、また学校安全計画や危機管理マニュアル等の作成及び見直し、このようなことが行われるよう様々取組を進めてまいりました。

 さらに、三月二十五日に閣議決定されました第三次学校安全の推進に関する計画におきましては、学校経営における学校安全の明確な位置づけ、また学校安全の中核を担う教職員の位置づけの明確化、研修の充実、さらに地域の災害リスクを踏まえた実践的な防災教育の充実など、学校の防災力を高め続けるための取組の方向性が示されたところでございます。

 これを踏まえまして、文部科学省としては、今年度、小学校教員向けに防災教育の手引を作成する予定でございまして、各学校において実効性のある取組が進められるよう、防災力の向上に努めてまいります。

庄子委員 今、政務官がるるおっしゃっていただいた研修、あるいは自ら危険を回避する力を養うとか、訓練、マニュアルの見直しといったこと、全て大事でございますが、やはり実効性のある研修をどう担保するかというところが一番難しい、これが知恵の使いどころといいますか、工夫のしどころだというふうに思っておりまして、実効性があるための研修はどうあるべきかといったこと、集中して是非研究をお願いを申し上げたいというふうに思います。

 私は、全国の公立小中学校の教員、中でも校長、教頭など管理責任を持たれる教職員を対象としまして、大川小学校への視察研修の実施を是非提案させていただきたいというふうに思っておりました。もし全員の研修が無理であっても、例えばVRとか、今かなりリアルなものもございますし、また動画といったことも含めて、関係者による動画証言集、こうしたものを作成をしていただきたい、それを全国の教育現場に是非展開をして活用していただきたい、そんなふうに思いますけれども、この提案についてはいかがお考えでしょうか。

出倉政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、実際の被災地を視察したり、視察した経験のある方のお話を伺うこと、これは災害の教訓を深く学ぶためには大変重要であると私たちも認識してございます。

 例えば、宮城県におきましては、新任の教員や校長を対象とした研修として、実際に大川小学校の方に赴き御遺族である方々から震災についての教訓を学ぶ機会であったり、また、神奈川県では、生徒に対しARを活用した津波想定の体験学習、こういうのを展開しているところでございます。

 文部科学省におきましても、全国の学校安全担当の教員を対象とした防災教育フォーラムや独立行政法人教職員支援機構主催の研修におきまして、御遺族の方をお招きし、御講話をいただいているところでございます。さらに、現在、震災当時、小中校生及び高校生であった方々から被災した経験を語る動画教材を作成しているところでございまして、全国の先生方が活用できるよう準備を進めているところでございます。

 今後も、引き続き、震災の教訓を踏まえた教員研修の充実に努めてまいる考えでございます。

庄子委員 時間とともに風化するのが自然災害です。学校現場でそうした風化を是非防ぐためにも、有効な手だてをお願いを申し上げ、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

小里委員長 次に、近藤和也君。

近藤(和)委員 石川県能登半島の近藤和也です。よろしくお願いいたします。

 東日本大震災から十一年がたちました。その当時から、より国土強靱化、強靱化という名前の政策が各ところでちりばめられるようになってきましたが、私自体、少し違和感は正直ございます。

 そして、その中で、この強靱化という名の下で、特にハードが中心に行われてきた。特に、災害対策というのはハードが大事なことは分かるんですけれども、ハード中心で行われてきて、そして、防災、さらには減災、ソフト部分も一部出てきてはいますが、その前の段階の防災ということで、この防災の観点からいきますと、予測であったり、その前の調査、これも防災の重要な一部ではないかという観点で今日は質問したいと思います。よろしくお願いいたします。

 先月の、福島県を中心に震度六強の地震がございました。昨年の二月にもございました。六年前の熊本地震、そして今週でも十九日に茨城県で震度五弱などの地震があり、東日本大震災以来、この数年間でかなり大きな地震が数多く起きております。活動期に入っているのかどうか、この見解をお願いいたします。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 最近の地震活動につきましては、平成二十三年東北地方太平洋沖地震や平成二十八年熊本地震などがありまして、そうした大きな地震の直後には活動が活発になった時期もございました。

 こうしたことについて実際にデータを調べてみますと、例えば毎月の震度四以上の地震の回数を見ますと、これらの大きな地震の直後は回数が増えているものの、その後はおおむね月五回程度、これは東北地方太平洋沖地震の発生前とほぼ同じ水準でございます。こうした値に落ち着いております。

 こうしたことから、最近の地震の回数が特別多い状況であるとは考えてはおりません。

 一方、日本国内ではいつどこで強い揺れを伴う地震が発生してもおかしくありませんので、日頃からの地震への備えが必要だと考えております。

近藤(和)委員 これが普通の状態だということ、いつでも備えをしっかりしろということだと思います。

 それで、私の地元の石川県の能登半島の一番先、珠洲市というところがございまして、こちらでは、二〇二〇年の十二月より、群発地震、地震が頻発をしておりますが、現状、どのように見ているでしょうか。

長谷川政府参考人 お答えいたします。

 石川県能登地方の珠洲市周辺でございますが、二〇一八年、平成三十年以前は震度一以上を観測する地震が年に一回程度でございました。これが、二〇二〇年、令和二年の十二月からは地震活動が活発になりまして、今年に入ってからは、おととい、四月十九日までの集計で四十七回発生しております。

 また、国土地理院によりますと、能登半島北部で、二〇二〇年、令和二年十二月からこれまでの間に、南南西方向に一センチを超える地殻の動きや三センチを超える隆起が観測されてございます。

 こうしたことから、政府の地震調査委員会では、一連の地震活動が当分の間続くと評価をしているところでございます。

 このため、地元の気象台では、ホームページで地震の状況をお伝えするとともに、自治体や関係機関と地震活動や対応について情報交換、意見交換を行っているところでございます。

近藤(和)委員 震度五以上のものがないにしても、もう数十回、震度一以上であれば百回以上ということだと思いますけれども、極端に大きな揺れがない。そして、被害も、もちろん、例えば旅館などのお風呂のタイルなどが割れてきているとか、そういうお話は聞いてはいるんですけれども、大きな被害がない分だけ慣れというものも、よい意味でも悪い意味でも慣れが怖いなということは住民の方も行政の方もおっしゃっております。

 そして、その中で、例えば、恥ずかしながら私の家もそうですが、私のところはその地震のところからはかなり、直線距離でも七、八十キロは離れているんですけれども、家具の固定など、行政の側はどんどんやってくださいというふうにはおっしゃっていただいているんですが、住民の側になるとそこまでの危機意識がまだ広がっていない、具体的な行動につながっていない。

 例えば、東日本大震災を経験した地域などであれば、震度五や震度六でもある程度、防災が進んでいるから、固定化などをちゃんとやっていて、被害がより軽減されてきていると思うんですが、私の地元ですとか、ほか、まだ地震が比較的少ないようなところでは、住民の意識、行動になかなかつながっていないのではないかなというふうに感じています。

 この点につきまして、防災大臣、見解を伺います。

二之湯国務大臣 阪神・淡路大震災のときには、多くの方が、倒れてきた家具の下敷きになって、そして亡くなったり、けがをされたりしたわけでございます。

 私自身も、個人的な経験からしますと、ちょうどそのときの私どもの寝室には大きなたんすが二つありまして、それがもし倒れてきていたら、昔のたんすはかなり重うございますから、下敷きになって大けがしたり、また、ひょっとしたら命がなくなったりしたんじゃないか、そういうような怖い思いをしたわけでございますから、したがって、大地震が発生したときには家具は必ず倒れるという前提で、ふだんから対策を講じておく必要があるんじゃないかと思います。

 このため、内閣府では、家具の固定や配置の仕方についてパンフレットによる周知等を行っているほか、毎年九月一日前後の防災週間の際には、総理大臣から自治体等に対して家具の転倒防止対策を呼びかけているところでございます。

 災害による被害を軽減するには、自分だけは大丈夫、そういう固定観念を持つんじゃなくて、具体的な行動を取る必要が私はあるんじゃないかと思います。何よりも大事なことは、自分の命は自分で守るという意識を持っていただく、そういう啓発をしていく必要があるんじゃないかと思っております。

 内閣府としては、引き続き、自治体等と連携して防災意識の醸成に努めてまいりたい、このように思っております。

近藤(和)委員 自分の命は自分で守るということですけれども、かなり御高齢の方が、じゃ、たんすを留めるような方策ができるかどうかということ、このようなことも含めて個人の努力では限界があるのかなと。そしてまた、大きな家具だけではなくて、電子レンジなど、その方がもっと飛んでいきますので、とんでもない凶器になり得ますので、こういった細かいところまで配慮をしていただけたらなと思います。

 そして、今度は、石川県から、群発地震を受けて、海だけの調査ではなくて陸域調査も進めてほしいとの要望が上がってきています。現状、どのように受け止め、動いているんでしょうか。

原政府参考人 お答えいたします。

 先ほど来、お話に出てございますけれども、石川県の能登地方におきましては、令和二年十二月から地震活動が大変活発化してございます。そのような中で、地震調査研究推進本部でもその活動に注目しているところでございます。

 この地震に関しましては、京都大学あるいは金沢大学等が臨時の観測点を新たに設置いたしましてモニタリングを開始してございます。また、地下の電磁気の観測など、メカニズム解明のための調査を新たに実施しているところでございます。

 地震調査委員会におきましても、地殻変動のメカニズムが、この地震、通常の地震と異なることから、様々なデータ等を活用して地震活動の原因等について引き続き分析してまいりたいというふうに考えているところでございます。

近藤(和)委員 頑張っていただきたいと思うんですけれども、分析と調査といったところは少し違いがあるのかなというふうにも思います。

 地震調査委員会は直接的に調査を進めるものではなく、各大学などが調査を進めることだというふうに受け止めましたけれども、国立大学の法人化等、環境変化の中で、人的、予算的な問題がないのか、この点について伺います。

原政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、地震調査研究を推進する上では、大学等の研究機関の役割というのは非常に大きいということでございます。

 国立大学法人等の地震、火山に関する研究者数でございますけれども、国立大学の法人化直後の平成十六年では四百十三名ということでございまして、これが、直近の令和二年度でございますけれども、四百九十二名ということになってございます。

 一方で、国立大学法人等の地震、火山に関する研究の予算でございますが、平成十六年度が約四十五億円というのに対しまして、令和二年度は約二十九億円ということでございます。

 このような中で、文部科学省といたしましては、地震観測のデータを、例えば集中して管理、提供するといったようなシステムを整備したり、あるいはその運用ということを通じまして、大学等におけるこれらの地震、火山の研究が効率的、効果的に進むように努めているところでございます。

 また、あわせて、平成三十一年度から令和五年度までの五か年の計画、これは災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画の第二次を策定してございます。このような活動を通じまして、大学における地震調査研究を引き続き支援してまいりたいというふうに考えてございます。

近藤(和)委員 研究者の数は増えてはいるけれども、予算はかなり、四十五億から二十九億まで減っていると。そして、この金額のボリューム感そのものですよね。災害、巨大な地震が起きれば兆円単位でございますから、この調査そして予測といった点では、これはもう桁が本当は違うのではないかなというふうに思います。

 そして、地震調査研究推進本部が公表している評価を各自治体が作る地震被害想定調査に反映し切れていない例があるとの指摘もあります。評価はしているけれども、実際の動きのところには至っていない部分があるのではないかと。こういった調査結果を実際に活用していただくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

原政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、地震調査研究推進本部の成果が自治体の防災対策等に活用されるということは重要であるというふうに考えてございまして、そのための広報活動というのもこの本部の重要な役割というふうに考えてございます。

 これまでも、地震の発生確率等の長期評価を公表するといったような際には、事前に関係自治体等へ丁寧に説明するといったような活動もしてございますし、あるいは、地震活動の最新の状況といったようなことについても、自治体に対して定期的に説明会を開催しているところでございます。

 また、あわせて、自治体等が防災計画を策定する際の参考となるように、自治体が作成した地震、津波被害想定調査あるいは地震防災マニュアル、そのような情報を集約して、ホームページで公開しているといったようなことも実施してございます。

 地震調査研究推進本部の成果が自治体の防災対策に役立てていただけるよう、今後とも着実に自治体等への周知に取り組んでまいりたいと考えてございます。

小里委員長 近藤和也君、締めてください。

近藤(和)委員 はい。

 改めて、この調査、予測といったところの強化ですね。そして、むしろ予知は難しくなってきているけれども、予測の情報、データ量はかなり増えてきて、その精度は上がってきているんだといったところも含めて、地域住民、国民の皆様にしっかりと、国そして各行政組織が出している情報をしっかり受け止めて一緒に動いていきましょうといったことも、また呼びかけていけたらというふうに思います。

 ありがとうございました。

小里委員長 次に、鎌田さゆり君。

鎌田委員 おはようございます。

 立憲民主党・無所属会派の鎌田さゆりでございます。

 こちらの災害特のお顔ぶれを拝見しますと、大ベテランの、宮城県、西村先生がいらっしゃいまして、そして、先ほどはきっと庄子議員が御質問されて、また、私の後には早坂議員も御質問されるということで、宮城県からこの委員会に所属をされていて、今、私の隣には階さん、岩手の方もいらっしゃいますけれども、今日は、東日本大震災を目の当たりにして、体験して、個人的なことを申し上げれば、自分の母親がPTSDになって、自分のうちの鍵を自分の手で開けられない、そんな毎日を送っていたことを思い出しながら、これからの災害対策に是非生かしていただきたい、その気持ちで質問させていただきます。

 私は、宮城二区というところから十六年ぶりにこの国会に戻ってまいりました。その間に、十一年前、東日本大震災がありました。

 御承知のとおり、宮城県の三陸沿岸では、世界一を誇り、世界一をうたっていた巨大な防潮堤、これがあの当時の津波では粉々に破壊されて、津波による甚大な被害が発生しました。こちらの委員会では、委員長提案による、これからの地震発生を予測して、特措法の改正案も提出をされるということで、皆様の御尽力に敬意も表しますけれども、この津波からの教訓ですね。

 これ、私はというふうに表現したいと思います。多くの方はきっと、先輩たちの、チリ地震津波でどのようなことを教訓とし、学んできたのかということを先輩たちはしっかり私たち後進の者に伝えたつもりだったんでしょうけれども、私を含め、恐らく多くの人は、その先輩たちから学んできたことを腑に落としていなかったんじゃないか、忘れてしまったのではないかということを感じた、あの東日本大震災での津波被災でありました。

 そこで伺いますが、津波の対策として、巨大な防潮堤、これは三陸沿岸に造られました。皆様からいただいた税金が元で、巨大なものが造られました。この巨大防潮堤の必要性について、実は私は、安倍晋三衆議院議員、安倍元総理の奥様昭恵さんと同じ考えでありまして、そんなに巨大な防潮堤は果たして要るのかという疑問を抱いている一人でございます。

 そこで、政府におかれましては、これからの津波対策として、巨大な防潮堤の必要性についてお考えがございましたら、お聞かせいただきたいと思います。

井上政府参考人 津波への対策は、東日本大震災の教訓を踏まえ、二つのレベルの津波を想定することを基本としています。

 まず一つ目ですけれども、数十年から百数十年に一度程度、すなわち、人生において一度経験するような比較的発生頻度の高い一定程度の津波、いわゆるL1津波というものに対しては、人命、住民財産の保護、地域経済活動の安定化等の観点から、背後地の状況を踏まえながら防潮堤の整備等のハード対策を進めてまいります。

 一方、東日本大震災のときの津波のように、発生頻度は極めて低いものの、発生すれば甚大な被害をもたらす最大クラスの津波、いわゆるL2津波に対しては、何としても人命を守るとの考え方に基づき、施設整備、土地利用、避難等のハードとソフトの施策を柔軟に組み合わせた多重防御により、被害を最小化させてまいります。

 国土交通省としては、引き続き、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震、南海トラフ巨大地震の発生が懸念される地域においても、こうした津波対策についてしっかり推進してまいります。

鎌田委員 ハードとソフトと両面の多重な防御を考えていらっしゃる、つまりそういうことだと思うんですけれども、私、ハードに余り偏らないでいただきたいということを、まず私の願いを込めて申し上げたいんですね。

 ハードに偏り過ぎますと、今、巨大な防潮堤が造られた宮城県内の漁師さん、漁師さんというと男性がどうしても多くなっちゃうんですけれども、それこそ、西村先生やら庄子先生、早坂先生も地元でお聞きになっていると思うんです、漁師さんたちが何とおっしゃっているか。俺ら、塀の中さいるみてえだ、海がさっぱり見えねえ、漁師なのに海見えねえで塀の中に入れられてるみたいなんだという言葉を、沿岸地域に行くと、漁師さんからの声を多く聞きます。

 そこで、私は、コスト面からも、それから、海というもの、海というものの本質的なところを考えれば、恵みもたくさんくれます、海の恵みも。だけれども、やはり自然ですから、怖いのが当たり前なんです。海を、豊かな恵みをくれる、大自然の恩恵をあずかりながら、しかし、その自然というものは、元の形を取り戻そうとして、百年、五百年、千年の単位で、大津波でもって元の形に戻そうという自然の原理が働く、そういうことを日常から海を見ながら学ぶ。そして、減災、防災、こちらの方に、災害特の委員の皆様、それから関係の省庁の皆様には考えを是非シフトしていただきたいんですね。

 そこで、大臣、今私申し上げました、海はすばらしい豊かな恵みをくれる、同時に、怖いものである、これを日々、子供たちから御年配の方まで感じられるように、巨大な防潮堤に傾くんじゃなくて、日常、海を見ながらそのことを感じられる、そのような防災対策、津波対策というお考えを是非お持ちいただきたいと思うんですが、大臣、お考えはいかがでしょうか。

二之湯国務大臣 委員御指摘のように、巨大な防潮堤を何十キロも造るということは、財政の面から見ても、あるいは今おっしゃったように、漁師さんがいわゆる大きなおりのような中で漁業をしているというのは、景観上も大変難しい問題があるかと思います。

 したがいまして、大震災に備える防災意識ということも非常に重要だと思います。実は、私、大臣に就任いたしまして、東北の震災の復興を目の当たりにして見たいということで行ってまいりました。そのときに、岩手県の釜石ですか、釜石の小学校の先生で、女性の方でございましたけれども、あと、そういう復興センターでお勤めの方が、在職中に、小学校、中学校、あるいは幼稚園、そういう子たちに常日頃から防災教育を徹底しておって、あの震災で、当日病気で自宅にいた子以外全員が助かったというお話を伺いました。さらに、先ほど大川小学校のお話も伺いました。どこにその違いがあったのか。こう見ますと、やはり日頃からの防災教育というか、防災意識の醸成というものが非常に生死を分けたんじゃないか、このように思うわけでございます。

 したがいまして、大地震に対する備えが、ハードだけではなくて、ソフトの面にも十分に力を入れていかなきゃならぬ、こういう認識を持っております。

鎌田委員 二之湯大臣、ありがとうございました。今のは議事録に残りますので。

 二之湯大臣のその基本的なお考え方、私は心の中で拍手を今しておりましたので、是非、海というものを、敵視する、憎むのではなくて、ありがたいけれども、でも怖い、それが自然なんだということを日常考えることができるような防災対策、災害対策であってほしいと思います。ありがとうございました。

 続きまして、あの震災のときに、私はもちろん浪人中でありましたので、自由に地元宮城県内を軽自動車で走り回っておったんですけれども、南三陸町というところ、皆様も御存じだと思います。あそこにいて、とにかく痛感したのが水で困ったことです。水がない。宮城県に防災対策本部がつくられましたから、給水車を早くよこしてけろとお願いしても、やっていると言うだけで来ないんですよ。

 そして、とにかく、あの南三陸町で先人の教えを守って大きなホテルを造ったおかみさんがいるんですけれども、そのおかみさんは、教えを守ったんですね、高台にホテルを造ったんですよ。南三陸の志津川という町は全部津波でやられました。だけれども、高台に造ったそのホテルは、ちゃんとホテルとして残ったんです。被災地の六百人を超える人たちの避難所として、そのホテルを差し出したんです。ただ、水がない。トイレの水、お風呂の水、そしてまた飲料水ですね。水がないことでとにかく困った。

 あのときに実は、済みません、長くなって申し訳ないんだけれども、民間企業さんで海水を真水に変える、そういう機械を無償でそのホテルに提供する民間企業さんがいたんですね。そのホテルは、これはありがたいということで、海水を真水に変えるその機械を使おうとしました。

 ところが、そのときの町長、今も同じ町長なんですけれども、町長はそいつを駄目だと言ったんですよ。何で駄目だかの理由は、私も、うんと理解できたんです。まだ海の中に、犠牲に遭われた方々が捜索の手を待っていらっしゃる、御遺体があるんだ、その御遺体がある海の海水を真水にして、その水を飲んだり食べたりに使うのか、それは俺は反対だ、そう主張した南三陸の町長の言い分、それも本当にもっともだなと思いました。そこで、折衷案で何とかやれたのが、トイレとお風呂の水に、その生活用水として使うということだったんですよ。

 だから、私、伺いたいのは、政府におかれまして、海水を真水に変えるという技術を研究開発している民間企業との連携だったり情報共有だったり、またあるいはサポートや支援だったり、そういったことはお考えになっていらっしゃるか、伺いたいと思います。

武井政府参考人 お答え申し上げます。

 大規模な災害等により水道施設が甚大な被害を受ける際には、あらゆる選択肢を持って迅速に対応することが重要であり、地域によっては、先生御指摘の、海水を淡水化処理して飲用水や生活用水に変える技術も有効な手段であると考えており、こうした民間企業の技術についても承知しているところです。

 また、海水を飲用水等に変える技術を持つ民間企業の取組に対しては、国としても、関係省庁や自治体も交えた情報交換会の定期的な開催などの支援を通じて、密接な協力関係を構築しているところです。

鎌田委員 ありがとうございました。是非、今おっしゃったことを更に強力に推進をしていただきたいと思います。

 あの当時、町が二分化しちゃったんですよ、分断されちゃったんです。海水を真水に使う派と、あと、町長の気持ちはよく分かる、そういう町民が分断されちゃったんです。これから先、大きな災害のときに、そういう町が分断されるようなことがないように、是非、政府としてサポートをよろしくお願いいたします。お願いです。

 三番目、伺います。

 皆様御存じのとおり、当時の東日本大震災で、学校の指導教育下における児童の犠牲が出たのは、石巻市の旧大川小学校だけでありました。当時、教職員十一名のうち十名が亡くなりました。七十八名の児童のうち七十四名が亡くなりました。

 この問題は、生き残った保護者の方々がこれから先も生きていくために心の整理をつけないと生きていけないということで裁判で争うことになり、最終的には原告の保護者の方々の意思が通ったという形になりますけれども、この大川小のことを教訓にしていただきたいと私は思っている一人です。

 文科省の方に伺いたいんですが、宮城県の中でも、自分が県会議員のときに庄子賢一さんも県会議員でいらっしゃったんですけれども、あそこの大川小学校を震災遺構として残して、県内の教職員、教員の初任研修ですね、防災のための、児童を避難させるための、そこの施設として生かしていくべきだということを再三県議会で訴えてきたんですが、自分が県会議員当時は実りませんでした。ですが、ここ二年の間にそれが実って、今は県内の教職員の研修の場となっております。

 是非、文科省におかれましては、できれば全国の教職員の方々の災害時のときの児童生徒の避難誘導のために、遠くに高くに逃げることを指導できるように、目の前に大きな山があったのに山に逃げないで逆に川の方さ逃げてしまってこんなに亡くなってしまったんです。悔いても悔いても悔やみ切れないんですけれども、あんとき山さ逃げてればどんなに助かったかということを今改めて思います。文科省さん、いかがでしょうか。

出倉政府参考人 お答えいたします。

 先生からの御指摘もありましたように、実際の被災地を視察をしたり、視察した経験のある方からいろいろお話を伺うこと、これは災害の教訓を深く学ぶために大変重要である、こういうふうに私たちも認識をしてございます。

 先生からのお話にあるように、学校の立地とか、それから海や川、位置関係などで、実際に現地を訪問することで実感できること、それから心に残る教訓、こういうことが多くある、こんなふうにも考えてございます。

 こういうことから、例えば委員の御地元であります宮城県はもとより、宮城県以外の県におきましても、東日本大震災で被災した地域を教員が生徒とともに訪れて防災教育を進めている、こういう県もあるというふうに私たち承知してございます。

 また、文部科学省におきましては、全国の学校安全担当の教員を対象とした防災教育フォーラムや、独立行政法人の主催する研修なんかでも、御遺族の方をお招きいたしまして御講話をいただいているところでございます。

 またさらに、現在、震災当時の小中学生や高校生、こういう方々の被災した経験を語る動画教材、これを作っているところでございますので、この活用も促してまいりたいというふうに考えてございます。

 委員から御提案いただいた内容、これもしっかりと含めまして、引き続き、震災の教訓を踏まえた教員研修、この充実方策を検討していきたいというふうに考えてございます。

鎌田委員 ありがとうございました。

 大臣におかれましても、是非よろしく、引き続き、大川小、機会があったらお訪ねをいただいて、山に登られたかどうかは、済みません、勉強不足で存じ上げないんですが、ああ、こういう山さ逃げてれば大丈夫だったんだなということを体感していただければと思います。

 大川小は、川に背中を向けて造られている学校だったんですよ。だから、やはり川を見られてなかったんです、日常。毎日山を見ていたんです、大川小の子供たち。なので、山さ逃げた方がいいという子供もいたんですが、先生がこっちさ逃げるぞというその指示に従って亡くなってしまったので、よろしくお願いいたします。

 最後の質問になります。

 済みません、庄子先生の名前を何回も言っちゃって、庄子賢一先生と私の地元に七北田川という川が流れていまして、これが毎年必ず越水、氾濫なんです。そして、毎年必ず、済みません、はっきり言って、御高齢のおじいちゃん、おばあちゃんたちがぷかぷか浮かんでいる自動販売機の上で一晩過ごすという、もう常態化しています、川の氾濫。

 そこで、この質問で終わりますが……(発言する者あり)いや、真面目に常態化しているんですよ、もう毎年なんですよ。全国にある橋梁ですね、橋、この橋梁の橋脚数、実は、そこの川が何で越水するかというと、古い基準で造られた橋のために、橋の橋脚の数が多くて、上流から木材だの何だのかんだの流れてくると、その橋脚のところで、まるでビーバーの巣のようになって、それで水がばんとあふれて、同じところが毎年そうなっちゃうんですよ。

 そこでなんですけれども、全国で、古い基準で造られている橋脚の実像を把握しているかどうかということが一つと、そういう橋脚が認められているのであれば、お金はかかりますけれども、国民の命と安全のためです、是非、その橋脚の早期の改良、つけ替えも含めて、それを要望して、最後の質問といたします。

小里委員長 井上水管理・国土保全局長、端的に願います。

井上政府参考人 国及び都道府県、政令指定都市が管理している河川を渡河する橋梁について、実態調査を行っています。

 直近の調査結果によると、全国で四万を超える橋梁があり、そのうち、橋脚の数や高さ不足によって流木による閉塞が懸念される橋、すなわち、河川管理施設等構造令に適合しない橋梁は約七千二百あることを把握しています。

 河川管理者としては、それらの橋梁管理者に対し、許可条件で定められている毎年の点検の実施報告のときや占用を更新するとき、さらに、架け替え等を行う場合には、現在の構造基準に適合するように指導しているところです。

 また、河川管理者においても、洪水の安全な流下を著しく阻害している場合には、橋梁管理者と連携して、橋梁の架け替えを順次実施しているところです。

 更に取組を進めるため、都道府県、政令指定都市が管理する河川においては、令和四年度、今年度から個別事業を創設し、橋梁の架け替え等を集中的にできることとしています。

 引き続き、橋梁管理者に対し、構造基準に適合するよう求めるとともに、河川管理者としても、洪水の安全な流下に著しく支障を来す橋梁の架け替え等を順次進めてまいります。

鎌田委員 よろしくお願いします。

 終わります。ありがとうございました。

小里委員長 次に、階猛君。

階委員 立憲民主党の階猛です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。

 私も、東日本大震災の被災地である岩手県で震災を目の当たりにした立場からお尋ねしたいと思っております。

 この後、委員長提案がなされる日本海溝・千島海溝地震の防災対策特措法の改正案には、津波避難対策緊急事業計画に基づく集団移転促進事業に関する特例措置が設けられるというふうに伺っております。

 大震災のときの経験に照らしてみても、災害のリスクが高い場所では、災害が起きてから急遽集団移転するよりも、起きる前に計画的に移転する方が、安全面、費用面から合理的だと思います。長年住み慣れた土地を離れる住民の合意形成は容易ではないとも思いますけれども、この資料、私がお配りしている一ページのとおり、現在でも、こうした事前防災のための集団移転促進事業は行われております。

 事前防災として集団移転促進事業が行われたケース、そしてそういったケースで、事前防災、促進事業が成功した理由を簡潔明瞭にお答えいただきたいと思います。

二之湯国務大臣 事前に集団移転を行った事例といたしましては、島根県江の川の氾濫から被害を防止するために、島根県美郷町港地区で事業に着手していると把握しております。事前移転として初の事例と聞いておりますが、令和二年度より、本事業の戸数件数が十戸から五戸に緩和されたこと、また、地域住民に事業の検討に前向きに取り組んでいただいたことなどが集団移転につながった主な要因と把握しております。

 私は、せんだって、和歌山県の南海トラフ地震、津波対策に関しまして、串本町、本州で最南端の町を訪問いたしました。

 串本町では、国の防災移転促進事業ではございませんけれども、地震発生後、数分で十数メートルの津波が串本町を襲う、到達するということから、町長は、役場等を高台に移転し、そして、串本町の高いところに、町がいわゆる住宅の分譲地を開発いたしました。住民の方が三百戸、そこに移転した。そして、まだまだ希望者がいるということで、町としては、更に住宅地を開発して、低いところに住んでいる方の要望に応えていこう、こういうことで全く独自の取組をされておりまして、大変感銘を受けたわけでございます。

 串本町のように、あらかじめ安全なエリアに移転することは事前防災の観点から大変重要であると改めて認識したところでございます。

 内閣府としても、引き続き、事前の防災移転も含め、災害から国民の命を守るための対策に万全を期していきたい、このように思っております。

階委員 重要性については共有するところなんですが、問題は、事前ですから、なかなか住み慣れた土地を離れる、そこの合意形成が難しいということなんですね。

 その合意形成をどうやって進めるか、そのやり方が大事なんだと思うんですけれども、例えば、今大臣が言われたうまくいった事例を広く紹介するとか、私の地元では、津波ではないんですけれども、川が氾濫したときにここは危ないという地域、通常ハザードマップがあるわけですけれども、マップだけじゃなくて、3Dの画像にして、実際、この辺の建物はどこまで水につかるのか、これを視覚的に見えるようにして防災意識を高めているんですよ。そして、それを見ることによって、ここはちょっと危険だから場所を移そうかというふうに皆さん、リアルに認識するわけですね。

 何かそういった、今、ネット社会、ICT、AIが進んでいますので、そうした技術を駆使して防災意識を高めて、事前の集団移転を促進するような、そういうことにも努められたらいかがでしょうか。

二之湯国務大臣 今委員御指摘のように、最新のいろいろな技術を用いて住民の意識を高めていくということは大変重要だと思います。

 私の地元の京都でも、いろいろな大きな川がございます。この地域は昔から余り住んだらいかぬよといっても、新しい住民はそういう知識がございませんので、ついついそういうところを買ってしまって水浸しになってしまうという事例がたくさんあるわけでございます。

 委員御指摘のように、やはり住宅を購入する前に、日頃からそういう、この地域は常に水の氾濫によって被害を受けているというようなこともひとつ紹介して、住民が安全な場所で住めるように進めてまいりたい、このように思っております。

階委員 是非、情報発信も工夫されて、せっかくの事前の移転事業、これが円滑に進むようにしていただければと思います。

 それで、円滑に進むとしても、もう一つ問題がありまして、今人口減少が特に地方では進んでおります。人口減少が進む中で、御高齢の独り暮らしという方も増えておりまして、時がたてば当然空き家も増えてくるわけですね。移転したのはいいけれども、そこがまた空洞化、過疎地になってしまうとこれは困るわけです。

 そういうことも考えて移転の場所というのは考えるべきではないか、そして、なるべくそこの地域でコミュニティーが維持発展していくようなことを考えるべきではないかというふうに思います。

 こうしたことを考えて事前防災として集団移転促進事業を行うべきだと思うんですが、大臣の見解についてお伺いします。

二之湯国務大臣 先ほども申しましたように、集団で移転しようというのはなかなか大変でございますけれども、しかし、とはいっても、常に災害に見舞われる危険性の高いところは住民の理解を得て移転をしなければならない。しかし、十戸とか五戸でしたら、それはなかなか合意は取りやすいと思いますけれども、地域全体をまとめるということは大変でございますから、私、先ほど申しました和歌山県の串本町なんかの事例を参考にして、やはりこういう場所に住んだら危ないぞというようなことを啓発し、説得して、そういう理解を得ていく必要があるんじゃないかと思います。

 ただ、地域のコミュニティーが壊れるということでございますけれども、元々そういう町内に住んでいる方は、人口五千人から一万ぐらいのところでございますから、かつてのような、昔のようなそういう隣近所ということはないでしょうけれども、できるだけ皆さんの努力でいわゆる地域のコミュニティー意識を醸成するように、これ自身が、住民自身の努力によってひとつ取り組んでいただきたいな、このように思っております。

階委員 私の問題意識がちょっと伝わっていないようなので、もう一回お尋ねしますね。

 東日本大震災のときも、高台移転で、山を切り開いた高いところに集団移転しているところもあるんですよ。そうすると、不便なわけですよね。特にお年寄りは、行きはよいよい帰りは怖いで、坂を下りて買物に行って、帰りは持って歩けない。公共交通があればいいですけれども、それも整っていない。だから、そういうことも考えて、移転先、例えば元々市街地あるいは集落があった場所に移転して、今までよりもにぎわうようにする。

 かつ、大臣がおっしゃるように、移転元のところも、虫食い状態になると大変なわけですよね。全員が全員引っ越せればいいんですけれども、そうじゃない場合もある。ということで、移転元、移転先、それぞれコミュニティーがちゃんと守られるような、そういうことも考えてこういった事業を進めるべきだと思っています。

 具体策まで今はお尋ねしませんけれども、この問題意識は共有していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

二之湯国務大臣 全く委員御指摘のような問題意識を私も持っております。

階委員 では、御担当の方で検討していただいて、どうやったら集団移転後も地域を活性化できるかということも視野に置いて取り組んでいただきますよう、是非お願いします。

 次に、これは去年財務金融委員会で質疑した内容の続きなんですけれども、今日お配りしている資料の二ページ目なんですが、これは東日本大震災に係る災害援護資金償還状況という見出しがついております。

 震災のときにたくさんの方が生活や仕事の基盤を失って、これは市町村から災害援護資金という最大三百五十万円借りられる借入金があったわけです。これがもう償還時期を迎えているんですが、例えば私の岩手県では滞納件数の割合が二七・八%、隣の鎌田さんの宮城県では三九%、福島でも三〇%と、軒並み高くなっているわけです。延滞している件数、非常に高止まりしていて、要するに返せなくて困っている状況なんですね。

 市町村は、貸していますから、債務免除をしようというふうに思ったとします。ところが、債務免除をした場合に、元々貸付金の原資は国や県から借りているわけですね。勝手に市町村が債務免除をした場合、国や県から借りたものは市町村は返さなくちゃいけないわけです。つまり、自ら出血しなくちゃいけないということで、これがネックになって、困っている人の債務免除をしたくてもできないという問題があるわけです。

 国の方の仕組みとして、法律上、免除ができる場合というのも定められております。これは三ページ目につけておりますけれども、そもそも災害援護資金貸付けを定めた災害弔慰金法というところにも、災害弔慰金法の見出しのちょっと下あたりに、どういう場合に免除することができるかということで、破産手続開始の決定あるいは再生手続開始の決定に該当する場合になったときは免除できる、こういう場合は市町村は国や県にも返さなくていいということになっていますね。

 ただ、今問題になっているのは、こうした法的整理に至らないけれども、債務整理のガイドラインを使って債務者が債務の減免を求めるケース、これについては、この条文には当てはまらないわけですね、ガイドライン適用の場合は。

 そういう場合は、次に何を考えるかということなんですけれども、別な法律があります。地方自治法とか債権管理法。地方自治法は県に対する問題、債権管理法は国に対する問題なんですけれども、いずれも同じような話で、債務者が無資力又はこれに近い状態にあるとき、この場合には履行延期の特約を結ぶことができると。これは、一足飛びに免責ではないんですが、まず履行延期の特約を結べば、その後、期間がたてば債務免除できるということなので、準債務免除ともいうべき条文なんですね。

 大臣にお尋ねしたいのは、この債務者が無資力又はこれに近い状態にある、やや抽象的な表現なんですが、さっき申し上げたようなガイドラインが適用されるような場合、これは、債務者が無資力又はこれに近い状態に当たるから履行延期の特約を結べます、そして結んだ結果、債務免除がその後行われたとしても、国や県に対して、市町村は借りていたお金を国や県に返さなくていいよということを明示していただければと思うんですね。

 これは事前に通告していたお話なので、大臣、御理解いただけるかと思うんですが、私の今申し上げたことについて、お答えをお願いします。

二之湯国務大臣 東日本で被災された方、災害援護資金、最大三百五十万まで借りた方の中には、計画どおり償還されている方がある一方、今委員御指摘のように、非常に厳しい生活環境に置かれている方は、償還が計画どおりに進んでいないという方もいらっしゃるということは、私、よく承知をいたしております。

 そして、今委員御指摘のように、災害資金の免除につきましては、三つのいわゆる免責事項があるわけでございますけれども、死亡したときとか、精神又は身体に著しい障害を受けたということ、あるいはまた、破産手続を開始した……(階委員「そっちの話じゃないです。下の方の地方自治法、債権管理法について」と呼ぶ)

 ちょっとそれは、済みません、ちょっと政府参考人にお願いします。

小里委員長 内閣府……(階委員「これは大臣に聞いていますよ。大臣、ちょっと違うでしょう。大臣に聞いています。大臣に通告してある。ちょっと待ってください。あなたには聞いていないから。ここまでは大臣に聞くと通告していますよ。大臣」と呼ぶ)

 では、二之湯大臣。(階委員「大臣ですよ、大臣。ちょっと待ってください。止めてくださいよ」と呼ぶ)二之湯大臣、答弁してください。

 二之湯大臣、答弁できますか。(階委員「止めていますか。止めてくださいよ」と呼ぶ)

 では、時間を止めてください。

    〔速記中止〕

小里委員長 速記を起こしてください。

 では、二之湯国務大臣。

二之湯国務大臣 ガイドラインによる債務整理は、破産手続等の要件に該当する債務者について、これによらず、債権者、いわゆる市町村と銀行等ですね、と債務者の合意に基づいて債務の免除を行うものであり、災害弔慰金法の免除の要件である破産手続開始の決定を受ける前のものであることから、災害弔慰金法第十四条第一項に規定する免除の要件には該当いたしません。

 このため、市町村のガイドラインによる債務整理、つまり、破産していない状態であるわけですが、債務整理に応じて債務を免除するとしても、災害弔慰金法に基づく市町村や県の償還金の債務を県や国が免除することはできないと考えております。(階委員「答えになっていない。それは、前提として私が言ったので。ちょっと待ってくださいよ。止めてくださいよ。答えになっていない。聞いていることに答えていない。止めてくださいよ。何を答えているんですか。関係ないことを言わないでくださいよ」と呼ぶ)

小里委員長 では、速記を止めてください。

    〔速記中止〕

小里委員長 速記を起こしてください。

 二之湯国務大臣。

二之湯国務大臣 基本的には、財務省所管の法律でございますから、私が答弁するのが適当かどうか分かりませんけれども、債権管理法第三十二条において、国の財産保全の観点から、債務者が無資力又はこれに近い状況ということにある場合、債務の履行を延期して十年を経過した後、なお弁済の見込みがないときに限り、国が当該債務を免除することができると定めております。

 そして、無資力又はこれに近い状況とは、債務者がその生計を維持するに足る資力を有しない程度の生活状況又はこれに準ずる状態ということを意味すると解されております。

 新型コロナの影響によって債務の弁済が困難になった債務者が、債権管理法上の無資力又はこれに近い状況というものに当たるか否かについては、一概に答えることは困難だと考えております。

 いずれにいたしましても、債権を管理する立場の各省庁から相談があった場合は、個々の状況、債務者の状況等を踏まえつつ適切に対応していかざるを得ないと思っております。

階委員 なぜ新型コロナの話が急に出てくるんですか。そんなことは一言も言っていないですよ。何で新型コロナのお話をされているんですか。お答えください。

二之湯国務大臣 東日本、それから、いろいろな、東北地方には災害があって、それで今またコロナによって皆さんが苦しんでいる、こういう観点です。

階委員 全く答弁になっていない。

 大臣、私が言っているのは、別にコロナに限らず、いろいろな事情によって、自然災害債務整理ガイドラインによって債務免除を受けたいという債務者がいた場合に、既にガイドラインの適用条件は満たしているというのがあるわけですよ、ガイドラインの適用条件を満たしている場合は、さっき大臣もおっしゃった、地方自治法による債権放棄とか債権管理法による免除というのが認められていいんじゃないかということを申し上げているわけです。

 ただ、その場合にネックになるのが、免除が認められるための要件である、債務者が無資力又はこれに近い状態にあるとき、ここを満たすかどうか、これが問題になるわけですよ。

 私は、ガイドラインが適用されているというのは、まさに債務者が無資力又はこれに近い状態にあるときではないかと思いますし、今、大臣が昨年麻生さんが言われた答弁を引用して、無資力又はこれに近い状態ということを、どういう意味かということもおっしゃいました。債務者がその生計を維持するに足る資力を有しない程度の生活状況又はこれに準ずる状態ということもおっしゃいましたよね。これにも当たると思うんですよ。

 いいですか、だから、ガイドラインが適用されているというのであれば、法文上のこの要件、債務者が無資力又はこれに近い状態にあるというふうに認めて、債務免除していいと私は考えています。

 さっき、所管じゃないとおっしゃいましたけれども、麻生大臣、昨年、財務金融委員会で何とおっしゃったかというと、麻生大臣が、所管の内閣府でちょっと調整をせぬと、私ども財務省だけでどうのこうのとか、総務省等みんな関係してきますのでなかなかいかぬと思いますので、これはやはり内閣府において整理されるべきものであると考えますので、検討しなくちゃいけない、こういう話になっているんです。

 検討しなくちゃいけないと昨年麻生さんが言っていたのでこの場で聞いているので、結論として、認めるか、認めないか、はっきり言ってください。

小里委員長 時間が大きくオーバーをしております。この問題は、後刻、理事会で協議をさせていただきます。質問を終えてください。

二之湯国務大臣 昨年の麻生大臣の発言ということも、よく私自身精査いたしまして、そして、しかるべき回答を先生にさせていただきたいと思います。

階委員 それでは、速やかにそのように回答いただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

小里委員長 次に、岩谷良平君。

岩谷委員 日本維新の会の岩谷良平です。よろしくお願いいたします。

 まず、地震発生等に伴う帰宅困難者対策についてお伺いをいたします。

 先月三月十六日に発生しました福島県沖を震源とする地震でありますけれども、夜の二十三時三十六分でした。そして最大震度六強ということでしたが、東京でも震度四程度でありましたが揺れました。

 私、赤坂の議員宿舎におりまして、しばらくして気になったので下に降りまして、赤坂の町の様子を少し見て歩いたんですが、蔓防中でありましたが、結構多くの方が町にはいらっしゃいました。

 そして、大きな被害等はなかったんですが、信号等は一部消えたりしていましたけれども、一番問題だったのは、多くの方がタクシーを探して歩き回っておられる、あるいは道端にたたずんでおられる、非常に困惑して、困った状況にあられた。すなわち、電車が止まって帰宅困難者になっていたわけです。

 そして、今、政府の方で作られている帰宅困難者対策のガイドラインでは、前提として、大都市圏においてマグニチュード七クラス以上の地震が発生し、鉄道、地下鉄が少なくとも三日間運行の停止が見込まれている場合というのを想定してガイドラインが作られておりますけれども、東京とか大阪とか大都市圏においては、結局、マグニチュード七であろうが、あるいは首都直下であろうが、震度四であろうが、あるいは首都以外の地震であっても、要は電車が止まれば帰宅困難者が発生するということをこのとき感じたわけなんです。

 そして、今、政府の方では、首都直下地震帰宅困難者等対策検討委員会を立ち上げられて、新たな帰宅困難者対策を今議論していただいているということなんですが、この名称、首都直下地震とついておりますけれども、今申し上げたとおり、とにかく、首都直下であれそうでなくても、あるいはもっと言うと地震であれ地震でなくても、電車が止まれば帰宅困難者が発生するというふうに考えますので、そういったところもこの検討会で議論し、そして対応方針を示すべきだと考えるんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

二之湯国務大臣 大規模な地震が発生した場合、大量の帰宅困難者が一斉に徒歩で帰宅を開始した場合、歩道から人があふれまして緊急車両なんかの非常に邪魔になるということもございます。さらにまた、駅等では、集団で転倒するなど二次災害に巻き込まれてしまう、そういう懸念もあるわけでございます。このため、発災後は、救命救助活動、消火活動等に注力すべき期間であることから、むやみに移動を開始しないよう、発災後三日間は一斉帰宅を抑制する方針としております。

 一方で、昨年十月に発生した千葉県を震源とする地震では、首都直下地震のような大きな地震ではなかったものの、鉄道が一時運行を停止し、駅周辺で滞留者が見られました。このような滞留者への対応に加え、近年における鉄道等の耐震化の進展など社会状況の変化を踏まえ、昨年十一月に新たな検討委員会を立ち上げたところでございます。

 この検討委員会では、公共交通機関の運行状況等に応じた帰宅抑制方策に加え、駅周辺における滞留者への対応方策などについて検討を行っているところでございます。

 今後、今年の夏頃を目途に対応方針を取りまとめることとしており、このような検討を通じて、駅周辺の滞留者対策を含め、帰宅困難者等の対策を推進してまいりたいと思っております。

岩谷委員 是非しっかりと検討をお願いしたいと思いますけれども、千葉の地震を受けてこの検討会は立ち上がったということなんですけれども、名称が首都直下となっていますので、この名称が果たして適切なのか、是非再検討していただいた方がいいんじゃないかなというふうに思います。

 そして、今のガイドラインなんですけれども、昼の十二時を前提として、想定して作られているわけなんですけれども、この昼の十二時が、昼であれば当然店舗も多くが開いていますし、オフィスも開いている、役所も開いているという状況だと思いますけれども、一方で、これが深夜の零時になれば全く状況は一変すると思うんですね、オフィスも閉まっている、店舗も多くは閉まっている、役所も多くは閉まっているということで。

 この昼の十二時という前提で作られているガイドラインなんですけれども、時間がまず深夜零時というところ、あるいは季節も、これが真冬の深夜零時であれば、たとえ数時間あるいは六時間等の帰宅困難であっても、お酒を飲んでいる方もいらっしゃると思います、そういう方が帰宅できずに路上で寝込んでしまえば凍死の危険性だってあるわけなんですね。

 そういう意味では、今検討会をやっていただいてまたガイドラインを新たに改定するとかいう場合には、是非そういう、真冬の深夜零時とか、逆に真夏の昼の十二時とか、厳しい条件の時間とか季節という想定も入れてガイドラインの改定を行っていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣府が作成した帰宅困難者対策のガイドラインでは、委員御指摘のとおり、昼の十二時の発災を想定しておりますが、これは、最も多くの帰宅困難者が発生する時間帯として想定しているものであり、これに基づき対策を取りまとめているものでございます。

 また、委員御指摘のとおり、オフィスや店舗、役所などが閉まっております時間帯に大規模な地震が発生した場合、一時滞在施設の開設、それと当該施設への帰宅困難者の誘導、これらを適切に行うことも重要であると考えております。

 昨年の十月の千葉県北西部地震や本年三月の福島県沖を震源とする地震は、夜間に発災をいたしました。こうしたこともあって、昨年十一月に設置した検討委員会では、夜間に発生した場合の対応方策等につきましても併せて検討してまいりたいと考えております。

岩谷委員 是非、その結果をガイドラインに盛り込んでいただくようにお願いをしたいと思います。

 次に、テーマを変えまして、地震時等に著しく危険な密集市街地対策についてお伺いしたいと思います。

 平成二十五年、私、当時、大阪府議会議員をしておりまして、約十年前ですけれども、大阪府議会でこのテーマの実は質疑をさせていただいております。その更に十年前の平成十五年に立てられた目標で、約十年間かけて地震時等に危険な密集市街地を解消するという計画が進められておったんですけれども、平成二十五年当時、これがほとんど進まず、未達成に終わっているという状況でした。

 そして、当時、国が平成二十三年に、また約十年くらいかけて、平成三十二年度末に危険な密集市街地を解消するという目標を立てられていたわけなんですけれども、私、この間、数年間民間におりまして、久しぶりに政治の世界に戻ってきて調べましたら、この目標、また未達成というふうになっておりました。

 そして、昨年三月の計画改定で、今度は令和十二年度までに解消ということで、また十年延びているんですね。

 ですから、十年前、私が質疑したときに未達成だったものが、十年たってまた未達成ということで、二十年も結局計画がずるずると延ばされている状況にあるわけなんですね。

 私の地元の東大阪にも危険な密集市街地はありまして、密集市街地で一たび大地震が起これば、多くのそのエリア内の建物が焼失して、かつ避難困難性があるということで、大変多くの人命が危ぶまれる状況になるということなんですが、これは大変大きな問題だと思います。

 まず、目標が達成できなかった主な原因は一体何なのかということと、その原因を踏まえて、今後十年で必ず目標を達成していくためにどのような新たな取組をしていくのか、お伺いしたいと思います。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の地震時等に著しく危険な密集市街地でございますけれども、平成二十三年に閣議決定いたしました住生活基本計画の時点では約六千ヘクタール残っていたということでございますが、最新の令和三年度末では二千ヘクタール程度に減少しておりまして、着実に事業は進めているところではございますけれども、御指摘のとおり、解消には至っていないという状況でございます。

 道路や空地などの整備や老朽建物の建て替えといった事業、こういったものを進めるに当たりまして、地権者の合意形成でありますとか建て替え意欲の醸成といったものが十分に進まず、これが平成二十三年策定の計画に掲げた目標の達成に至らなかった大きな原因であるというふうに考えてございます。

 昨年三月の新しい計画改定に際しまして行いました有識者の検討会議では、こうした問題意識に立ちまして、密集市街地の危険性や除却等の対策の必要性などの理解促進に資する対策を充実すべきである、こういう御指摘を頂戴いたしました。

 これを受けまして、改定後の住生活基本計画では、防災マップの作成や避難訓練の実施といったソフト対策を新たな目標に位置づけるとともに、令和四年度予算でこうした対策への支援の充実を図り、その推進を図ることといたしました。

 また、ハード事業の進め方につきましても、これまで主に進めてきた共同建て替えという形にこだわることなく、所有者、居住者のニーズにきめ細かく対応いたしまして、単体での建て替え、あるいは建て替えを伴わない除却、改修による対策、こういった形についても積極的に取り組むこととしてございます。

 その上で、事業主体となります公共団体をきめ細かくサポートできますように、事業の取組内容やスケジュール、これを見える化したカルテというものを作りまして、定期的に国、地方間で綿密にやり取りを行う、進捗管理をするという試みも始めたところでございます。

 こういったハード、ソフト両面からの改善を着実に実行し、計画の目標の達成に努めてまいります。

岩谷委員 今、御答弁の中でソフト対策というところも新たにやっていただいているというふうに聞いておりますけれども、このソフト対策を進めていただいても、残念ながら、危険な密集市街地そのものが解消するわけではないわけなんですね。

 十年前、私が大阪府議会にいたときも、当時、大阪府から国に要望が出されていまして、そしていまだにその要望が実は出されているんですけれども、固定資産税に関することなんです。

 家主さんが、古くなった空き家とか、老朽化した建物を密集市街地の中で除却して更地にした場合、結果的に固定資産税が高くなるというディスインセンティブの状況があるわけなんですね。それを解消するために、そうした場合には固定資産税を軽減するような仕組みを導入してほしい、また、それは地方自治体だけでは財政がしんどいから、国から交付税等で財政措置もしてほしい、そういった要望が十年前も出されていて、確認したら去年も出されていて、ずっと要は国に要望し続けているわけなんです。しかし、無視されている状況ということなんですけれども。

 次の十年でまた先延ばしするような事態を避けるためには、やはりこういったより積極的な施策というのを打っていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 所有者にとっての負担軽減やメリットという観点かと存じますけれども、もとより、密集市街地の改善が進みますと、居住者や地域の安全性が向上する、あるいは整備される道路や公園によって利便性も高まるといった形で、居住者にはこうしたメリットが及ぶことになりますので、その分かりやすい説明に努める必要がまず重要であると思います。

 その上で、御指摘の固定資産税の件でございますけれども、住宅を除却した後の更地には、住宅の敷地に係ります固定資産税の軽減措置が原則適用されないというところでございますけれども、条例によりまして、住宅を除却後も固定資産税の軽減を続けるということは可能でございまして、現に、除却を促進する観点から、除却後の一定期間、除却前と同等の軽減措置を講じている市町村もあるというふうに承知をしてございます。

 あるいは、所有者負担の軽減の観点から、除却後の敷地を町の防災性向上に資する土地として自治体が無償で借り上げをいたしまして、固定資産税を非課税にする、こういう取組もあるというふうに承知をしてございます。

 これまでも、所有者負担の軽減に資する取組として事例集などを取りまとめて周知を図ってまいりましたけれども、先ほども申し上げました地区カルテというものに基づきまして、国から自治体への助言指導を行う中でも、更に積極的に自治体の取組を促すことで、空き家あるいは老朽建物の除却を推進してまいりたいと存じます。

小里委員長 岩谷良平君、締めてください。

岩谷委員 時間が参りましたが、いろいろほかにも地元から、大阪府等から要望が出ております。やはり、現場で事に当たっている自治体の要望をしっかりと聞いていただきたいと思います。引き続き注視をしていきたいと思います。

 ちょっと防衛省関係の質問を残してしまいました。また改めてさせていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

小里委員長 次に、早坂敦君。

早坂委員 日本維新の会の早坂敦です。

 大変貴重なお時間をいただき、感謝いたします。

 さて、質問に入らせていただきます。

 先月十六日、福島県沖を震源とする地震が発生し、主に福島県、宮城県においては甚大な被害が発生しました。被災事業者の資金繰り支援策として、政府系関係機関の無利子無担保の融資の活用ということが考えられますが、無利子無担保融資が年度末から六月末まで延長し、これを災害復旧に使用していいということですが、これは結局返さなくちゃいけないお金です。いわば借金であります。事業者の皆さんは、東日本大震災から復興の途上であり、さあ、これからというときにまた被災し、心が折れてしまったはずです。

 また、無利子無担保融資としても、コロナの影響のない方については使えないということです。また、コロナの売上げ減少が個人事業主五%、小規模事業主一五%、中規模事業者は二〇%以下、この数字に達していないものが、今回の地震と重なり、苦しんでいる事業者もたくさんいらっしゃいます。そういう方々は救われません。

 今回の地震で苦労している方々、そして、是非そういう方々に配慮をする施策をお願いしたいと思います。

 そこで、被災した事業者の支援について、グループ補助金が考えられますが、補助金の申請手続が煩雑で大変使い勝手が悪いと感じますが、その手続の簡素化はできないんでしょうか。伺います。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、福島県や宮城県等の中小・小規模事業者の皆様の中には、東日本大震災や新型コロナ、昨年の福島県沖地震に加えまして、今回の福島県沖地震で被災された方もいらっしゃいまして、連続する災害によって大変厳しい経営環境にあるということで認識をしてございます。

 四月八日に政府として取りまとめられました支援策の中には、御指摘のとおり、連続する災害により度重なる困難に直面しているという状況等を勘案いたしまして、グループ補助金を特例として措置することを盛り込んだところでございます。

 今般のグループ補助金の申請手続につきまして、例えば、既存のグループ組成や認定を活用することで、新規にグループ補助金を活用する事業者の書類作成の一部を簡素化するなどの運用改善を検討しているところでございます。

 引き続き、被災された事業者の方々の一日も早い事業再開に向けて、全力で取り組んでまいりたいと存じます。

早坂委員 ありがとうございます。

 この支援策の取りまとめで、小規模事業者の持続化補助金なんかも、資料を作るのが、年寄りの方々、本当に大変だと思うんです。私も、商工会議所の方に聞いて、いろいろ見せてもらいましたけれども、これは一か月じゃ作れないと思います。半年ぐらいかかったという方もおります。また、雇用調整助成金も最初の頃よりは段々簡素化していますので、是非取組をしていただきたいという思いでございます。

 そして、次、私は、宮城や福島の両県を視察で回ってきましたが、今回の地震被害は、津波被害はありません。でしたが、東日本大震災よりも揺れが大きかったという声を大きく聞きました。家屋、建物の損壊、そして城壁の崩落、民家の壁の崩壊などです。特に、民家の壁など、子供たちの通学路であり、二次被害も懸念される、大変危険です。

 そこで、被災した宅地の早期復旧の支援策としてはどのようなものがあるでしょうか。また、所有者自ら迅速に応急対策や早期復旧ができるような財政措置拡充を考えておりますか。伺います。

渡邉政府参考人 お答え申し上げます。

 被災した個々の宅地擁壁の応急対策工事につきましては、公共施設などに著しい被害を生じるおそれがあり、盛土などの高さや、被害を受けるおそれのある家屋の数などの要件を満たす場合に、事業を実施する所有者等に対して、その費用の一部を防災・安全交付金等により支援することが可能です。また、住宅、建築物の耐震性の確保の観点から、耐震性が不足した擁壁の耐震基準等を満たすための改修工事については、事業を実施する所有者等に対し、被害を受けた擁壁の復旧に関する部分も含めまして、その費用の一部を防災・安全交付金等により支援することが可能です。

 国土交通省といたしましては、被災自治体などの要望を伺いながら、このような制度の活用などにより、被災自治体の取組を支援してまいります。

早坂委員 是非、早急な対応をお願いします。

 私の方にも、地元の方々から陳情というか連絡があり、地元の地方議員の方にお願いしているところもあります。

 そこで、大型ショッピングモールなんかは、一か月してやっと再開したということです。そのときの雇用だったり家賃保証はされているようですが、スプリンクラーが壊れたとか、そういうので水浸しになって商品が使えない。そしてまた、旅館の方々も、これからゴールデンウィークに入りますが、キャンセルがもう一万人近くあったという話もされます。もう本当に、今回の十六日の震災後に何回も余震がありまして、大変苦労しております。

 東日本大震災から十一年がたちました。しかし、復興の総仕上げと言われていますが、私は、これから復興復旧の始まりだと思います。今、ウクライナ侵攻、そして原油と原材料の高騰だったり、また、コロナによる上海のロックダウンにより、建設資材等が全然入ってこなくなる、そういう思いがありますので、是非とも、この復旧復興がまだまだかかると思いますので、総仕上げではなく、始まりだと思います。

 この言葉を最後に、私の質問を終わりにします。ありがとうございます。

小里委員長 次に、古川元久君。

古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。

 今日は、まずは、宗教施設や宗教団体の災害時の活用とか協力についてお伺いしたいと思います。

 さきの東日本大震災などでも、古くからのお寺とか神社、これは高台とかやはり地盤の固いところなんかにあって、そこに避難をされた方もいらっしゃったわけなんですけれども、結構、やはり古いこういうお寺とか神社というのは、災害に強い場所に立地しているものが多いんじゃないかと思うんですね。また、新しい宗教の施設なんかは、頑丈で、非常に多くの人を収容できる大規模なそういう施設も多くて、こういう宗教施設は災害時の避難場所として適しているんじゃないかなと思います。

 さらに、天理教のように、災害時に被災地に駆けつけて、完全自己完結でボランティア活動を行っている災害救援ひのきしん隊のような活動をやっているような宗教団体もあったりして、災害援助に貢献している、そういうところも多いと思います。

 加えて、災害のときというのは、被災者の皆さんは精神的に非常に参っている方が多いんだと思いますが、そういうときに、宗教というのは心の支えにもなり得るんだと思うんですね。

 こうしたことを考えると、災害時に宗教施設をもっと積極的に活用したり、日頃から災害時における宗教団体との協力連携関係をもっと強めていくべきではないかというふうに私は思います。また、全日本仏教会とか新宗連を始め、多くの宗教団体もそういうときに是非積極的に協力したいという思いを持っておられますし、また、一般の人たちもそういうことを宗教団体にも期待しているところがやはりあるんだと思います。

 ただ、そういうときに、常に団体の皆さんがやはり気にしているのは、政教分離との関係であります。災害時の宗教施設の利用とか、宗教団体との連携とか協力に際して、例えば行政から資金や物資が提供されるとか、そういうことで政教分離の観点から何か制約があるのか。あるいは、これはなくて、ほかの団体なんかと同じように、こうした災害援助協力という部分であれば、資金の提供を受けたり、あるいは物資の提供を受けたりとか、そういうことも問題ないのか。その点について、文化庁の方に見解を確認させていただきたいと思います。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 地方公共団体の中には、宗教団体と災害協定を締結するなどして、宗教施設を指定避難所として活用しているところもあると承知しております。宗教団体が地方公共団体と連携してこうした社会貢献活動を行うことは、大変意義のあることと考えております。

 お尋ねの宗教団体への支援につきましては、憲法第二十条は、国が宗教団体に対して特権を付与することを禁止しており、一般に、国が宗教団体に対して宗教団体であることを理由として財政支援を行うことはできないものと承知しております。

 一方、一定の条件を満たす団体一般への利益の付与であって、その中に宗教団体が含まれる場合には、同条の禁止する宗教団体への特権の付与には当たらないと解されると理解しております。

 このため、宗教団体につきましても、防災施策の一環として、指定避難所となっているなど一定の条件を満たす施設への支援を行う中に宗教施設も含まれる形であれば、国が支援を行うことは可能であると考えます。

古川(元)委員 そういう意味でいうと、宗教団体だからという特別扱いじゃなければ、政教分離との関係はなく、その範囲で、例えば、資金的なサポートを受けたりとか、あるいは備蓄品とかそういうものを受け取ったりだとか救援物資を受け取る、それは何も問題がないということでいいですか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 そのとおりでございます。

古川(元)委員 やはりその辺のところを気にしていらっしゃる方々も多いので、そうやって言っていただいたのは、非常に安心してこうした活用ができるんじゃないかと思います。

 また、これも確認ですけれども、かつて、例えば、施設の中に備蓄品とかそういうものを置いておく場所をつくったら、ここは宗教活動に活用しているんじゃないから、駐車場なんかと同じようにその部分は固定資産税がかかるとか、そんな話もあったということを聞いたことがあるんですが、今は、ちゃんと、社会貢献ということで、その範囲で活用するということであれば、宗教施設の一部をそういうことに使っても、課税上の関係もそれは問題ないという見解だというふうに聞いてございますけれども、そこも大丈夫ですね。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的に、今のようなお話でございましたら、問題ないと承知しております。

古川(元)委員 ありがとうございます。

 そういった意味では、宗教施設の利用とか宗教団体との連携協力というのは本当に問題ないということ、お話がありました。

 そういった意味では、災害時に、今では、活用している、あるいは連携を取っているところはありますけれども、もっとこれは国から地方自治体に対して、こういう宗教団体とかあるいは宗教施設を活用していくように、あるいは連携を取るように、そういうふうに促したらどうかと思いますが、大臣、いかがですか。

二之湯国務大臣 災害発生時に避難所の確保をするということは非常に重要な課題でございます。

 したがいまして、内閣府では、避難所運営ガイドラインにおいて、避難所の指定について、お寺、神社等施設の利用を検討するとしており、実際にこれらの宗教施設が避難所として指定されております。

 せんだっても、私のところに各宗派の代表の方が、是非、宗教施設をそういう避難所として活用してもらいたい、協力したい、こういう申出がございました。委員御指摘のように、積極的にそういう宗教施設を避難所として利用するようにやっていきたいな、このように思っております。

 とにかく、避難所の確保というのは非常に重要なことでございますから、委員のおっしゃったようなことの方向に進んでまいりたいと思います。

古川(元)委員 大臣は京都でいらっしゃいますから、まさに京都の寺社仏閣というのは、長い歴史の中で、いろいろ何か起きたときには、みんな、やはり駆け込むところは寺社仏閣で、そういう人たちを救ってきたからこそ、今の京都の寺社仏閣もあるんだと思います。

 そういった意味では、是非ここは、やはり、もっと活用していいんだよと。さっきもちょっと申し上げましたけれども、やはり行政の方も、宗教団体というとちょっとこう、関わってはいけないんじゃないかみたいな、そういう思いもあると思いますから、今日の文化庁のお話でも、ほかの、宗教施設以外のところと公平に扱うのであれば何も問題ないという話ですから、是非そこは国としても積極的に、むしろそういうところと連携するようにということを促していただきたいと思うんですね。

 そういった意味では、これも多分、大臣のところにその団体の方がいらっしゃったときにお話があったと思うんですけれども、二〇一四年に作成された地区防災計画ガイドラインの中に、宗教施設や宗教団体という言葉がそのガイドラインそのものにはやはり明示はされていないんですね。ですから、ここに是非、これは改定して、宗教施設や宗教団体というのをあえて明示することによって、こうした宗教施設利用や宗教団体との連携協力が進むんじゃないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど大臣からも御答弁申し上げましたとおり、宗教施設が避難所として活用されたり、あるいは宗教団体が災害ボランティア活動を行うなど、宗教施設や宗教団体は地域の防災力の向上を図る上で重要な役割を果たしております。

 御指摘の地区防災計画ガイドラインでございますが、地域における防災活動の主体等を例示的に書き込んでありますが、宗教施設や宗教団体についてはそこに明示されておりません。

 しかしながら、このガイドラインの中で、防災活動の主体や計画内容は地域の特性等に応じて自由に決めることができると明記をしているところでございます。

 この地区防災計画につきましては、平成二十六年四月に制度が創設されて以来、昨年四月の時点で全国で二千三十地区で計画が作成され、さらに、五千を超える地区で計画の作成に向けた取組が進められております。この中には、住民団体が地元のお寺や神社と連携して計画を作成した事例もあると承知をしております。

 内閣府といたしましては、宗教団体を含めた多様な主体と連携した防災活動が各地で促進されますよう、優良事例の把握あるいはその横展開にしっかりと努めてまいりたいと存じます。

古川(元)委員 事例があることはあるんですよ。ただ、その中では全体でどれくらいそういうちゃんと指定しているところがあるかというと、やはりまだまだ数えるほどの、列記できるぐらいしかないんですよね。

 でも、全国に寺社仏閣やあるいは教会とかそういう宗教施設というのは、本当に、逆にないところの方がないんじゃないかというくらいに存在しているわけであって、もちろん耐震性とかやはりそういうところから避難所に適さないところはあるかと思いますが、避難所として適しているような施設はもっともっとあるはずですから、やはりそれが本当に十分に活用されているのかと。

 特に、今、高齢化社会の中で、よく、ちょっと今回私もこのレクで聞いたときに、こことここの避難所にはこれだけのキャパがありますからと。確かに、その周辺で見ればそれだけ集められるかもしれませんけれども、大臣、やはり御高齢の方も多いと、例えば小学校といっても学区が広いところがあって、すぐ隣に小学校があるところもあれば、小学校まで児童が通うのでも二十分、三十分は歩く。そんなところでは、高齢のお年寄り、そこが避難所ですよといっても、行くのは大変じゃないですか。でも、すぐ近くの神社とかお寺だったら、そこなら行けると。

 だから、そういった意味では、キャパシティーに関係なく、そうやって多くのところを避難所に指定して、一番うちから近いところにすぐ逃げ込んでください、逃げられますよと、そういう状況をつくるということが、本当にこれは防災の備えとしてやはり大事なことだと思うんです。

 ですから、是非ここは、今日大臣にも力強いお言葉をいただきましたけれども、やはり政府として、もっとこれはそういうものを利用して、幾つかのところはやっていますというだけじゃなくて、もっと積極的に、断られれば別ですよ、でも、宗教団体の本部の皆さんとかなんかも是非協力したいという方が多いわけですから、やはりそういうところはもっと積極的に活用していくことを促していただくことをお願いしたいと思います。

 また、今、政府は、デジタル庁もつくって、IT化、デジタル化を進めているわけなんですけれども、やはりこういう災害のときに情報を得るのに、今の時代は大体、スマホとかそういうことになると思います。どこに避難したらいいかとか、あるいはどこの避難所に行ったらいいのか、そういう災害時のリアルな、非常にその時々のビビッドな避難所の情報共有というのは非常に大事だと思うんですね。

 こうしたことが、大阪大学の研究で未来共生災害救援マップというような、そういうものがつくられて、これはITを活用して、避難所指定された寺社とか仏閣、教会なども含めて、避難所の場所とか収容人員、そして災害時の避難所の混雑状況など、災害時に知りたい、そしてまた必要な情報を共有するシステムなんかが今試験的につくられたりしていますけれども、こういう必要な情報を共有するシステム、私もアプリを見て、幾つかいろいろあるんですけれども、どれも中途半端といえばそうなので、本当にちゃんと必要な情報が全部入っているかというと、やはりそこまでいっていないんですね。

 でも、これはやはりちょっと国とかが主導して、ちゃんと必要な情報を共有できて、いざとなったら、どこにいてもちゃんとそこが見られるような、そういう災害のときの避難所なんかの情報のデータのプラットフォーム、そして活用できるようなアプリみたいなもの、こういうものを国が主導して整備すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

内山政府参考人 お答えいたします。

 避難所開設の情報については、各市町村等において、ホームページ、SNS、報道機関やラジオ等の媒体を通じて避難所の開設状況等の情報発信を行っているのが現状だというふうに承知をしております。

 委員御指摘いただいたように、大阪大学の未来共生災害救援マップの取組を始めまして、避難に係る情報提供を推進する取組というのは重要だというふうに考えてございます。

 デジタル社会の実現に向けた重点計画においても、地方公共団体等が被災者支援のための活動を効率的に実施できるよう、デジタル技術を活用した仕組みを検討することを掲げてございます。

 また、内閣府とも連携をしつつ、昨年度から、防災分野に向けるデータ連携のために、避難所情報を含めた防災情報の流通促進に向けた検討を進めているところでございます。

 デジタル庁といたしましても、デジタルの力で命を救うという考え方の下、内閣府を始め関係省庁、地方公共団体等とも連携を図り、国民一人一人に必要な情報、サービスが提供できるように、こうした取組を進めてまいりたいと考えてございます。

古川(元)委員 今、政府は接種証明のアプリだとかをつくっているわけでしょう。検討を進めていきたいといっても、そうやって検討している間に大きな災害が起きてしまうかもしれないんです。やはりこれは、感染症、コロナは今起きていることだからすぐやるけれども、災害はいつ起きるか分からないからとだらだらしていたのでは、災害が起きてから、救われる命も救われないとなりますから、是非そこは検討だけじゃなくて、早くちゃんと実装化していただくようにお願いしたいと思います。

 最後に、自衛隊・防衛省の方に来ていただいていますので、一問だけお伺いしたいと思います。

 これは昨年の災害特の質疑のときに、首都直下地震とか東南海トラフ地震が起きた際に、自衛隊の最大動員数はどれくらいかと言ったら、十一万人というお話でありました。しかし、その後、今ロシアのウクライナ侵攻などで、あるいは北朝鮮の問題とか、日本を取り巻く安全保障環境は昨年よりももっと非常に厳しくなっている状況にあります。

 自衛隊は、まず第一の任務というのはやはり国防と思いますが、こういう非常に日本を取り巻く安全保障環境が厳しくなっている中で、昨年御答弁いただいた最大動員数十一万人、今でもこれは動員が可能だというふうに考えておられるのか、あるいはこの人数はもうこの状況の中では変化をせざるを得ないというふうに考えていらっしゃるか、教えていただきたいと思います。

町田政府参考人 お答えいたします。

 防衛省は、首都直下地震や南海トラフ地震の対処計画において、防衛、警備等の事態に対応し得る態勢を維持しつつ、最大限の勢力をもって災害派遣を実施することとしています。このように、これらの計画に基づく災害派遣は、我が国周辺における警戒監視、情報収集や各種事態への即応に必要な態勢を確保した上で行うものです。

 このため、現時点において、これらの計画における最大約十一万人体制という考えを変更することは考えておりませんが、我が国の防衛、大規模災害のいずれについても適切に対応できるよう防衛省として万全を期すとともに、災害発生時の対応が円滑になるよう、自衛隊の災害救援能力の強化に加え、関係省庁や指定公共機関、地方自治体との連携を一層強化しているところでございます。

古川(元)委員 変わらないというお話でしたけれども、本当にそれで大丈夫なのかということ。やはりもう一回しっかり、この日本を取り巻く安全保障環境の変化の中で確認していただきたいと思います。

 それに、これは私、去年のときも申し上げたんですけれども、余りに、今、自衛隊の皆さん、何かあるとすぐに自衛隊員と、本当に便利屋さんみたいにしていて、でも、本当に国民の皆さんからすると助かって、やはり自衛隊に来てもらいたいという話があるんですけれども、しかし、現実、東日本のときを考えても、今度、首都直下とか東南海トラフのときには、仮に十一万人全員が最大で動員していただいても、それでも足らないんだと思うんですね。

 ですから、これは、こういう災害対応を自衛隊の皆さんに頼るというところばかりじゃなくて、もう少し自衛隊の皆さん方は、今、安全保障の環境もあるから、国防の方に重点を置いていただいて、もっと、災害対応のところは別の部隊とか、そういう人員の体制というものはやはり政府としてしっかり考えていく必要があるし、そうしていただきたいということを最後に申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

小里委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 JR肥薩線の復旧について質問します。

 JR九州の肥薩線は、熊本県の八代駅と鹿児島県の隼人駅を結ぶ路線で、おととしの七月豪雨で大きく被災し、とりわけ八代―人吉間五十二キロのうち約半分近くが被害に遭いました。JR九州によれば、概算復旧費は二百三十五億円と過去最大の被害となっています。やがて一年十か月になろうとしていますが、復旧計画は示されていません。

 三月二十二日、第一回目のJR肥薩線検討会議が熊本県庁で開かれました。この検討会議は、国、県、事業者で構成され、国土交通省鉄道局は熊本県企画振興部とともに事務局を担っています。

 そこでお尋ねします。

 政府として、肥薩線の再建に向けた意思と立場について伺いたいと思います。

奥田政府参考人 お答えをいたします。

 この肥薩線の被害につきましては、非常に大規模で広範にわたるということがございます。それから、これの復旧をどうしようかというところにおきましては、河川や道路などの公共事業との連携、こういったことも検討が必要である、こういう認識でございます。さらに、同線は被災前から利用者の減少により多額の赤字を計上しておりまして、復旧後の持続可能な運営体制の確立、こういったところも検討が必要な状況になってございます。

 こういった観点から、国としてもしっかり再建といいますか復旧に向けた検討が必要であろうということで、国交省と熊本県が共同で事務局となって検討会を立ち上げる、こういうことにしてございます。

 その上で、関連事業との連携、あるいは支援の制度の活用、こういったことを地元の自治体あるいはJR九州としっかり連携をした上でしっかり対応していこう、こういうことでございます。

田村(貴)委員 利用者の減少ということも言われたんですけれども、肥薩線は、住民の生活それから高校生にとっての通学の手段、あるいは観光資源として重要な役割を果たしています。改めて、肥薩線の果たしている役割、魅力について国土交通省はどういうふうに捉えていますか。

奥田政府参考人 お答えをいたします。

 肥薩線につきましては、明治時代に建設され、開業からこれまで、熊本、宮崎、鹿児島各県を結ぶ地域の公共交通として重要な役割を担ってきた路線である、まずはこのように承知してございます。

 さらに、ちょっと具体に申し上げますと、八代駅―人吉駅間は日本三急流の球磨川の眺め、これがございます。さらに、人吉駅―吉松駅間ではループ線あるいはスイッチバックといったものを併用して急勾配な山岳地帯を運行しておりますので、観光にとっても魅力ある路線、このように認識してございます。

 このように、肥薩線は、地域の足ばかりではなく、観光の足として長年地域に親しまれてきた路線である、このように認識してございます。

田村(貴)委員 続いて、復旧の在り方です。

 沿線の市町村長でつくる協議会からは、列車が通らない光景や線路上に繁茂する雑草等により損なわれた景観、周辺環境を見るたび地域住民は大きな喪失感を抱えていますとして、JRに対して全線での鉄道での復旧を要求しています。

 また、第一回検討会議において、熊本県からは、まず鉄道による復旧について検討するとの意思が表明されました。

 被災した鉄道をまずは鉄道として再建するのは当然のことであると思います。国土交通省としての立場についてもお伺いします。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 第一回の検討会議の状況をもってちょっと御説明をさせていただきますと、今委員御指摘のとおり、熊本県からは鉄道による復旧を目指したい、このような意向が示されてございます。会議としては、この熊本県の意向を踏まえまして、河川や道路との事業間連携あるいは鉄軌道整備法による支援の活用、沿線自治体による支援の可能性、こういったところの観点からしっかり議論を尽くしていこう、こういうことで考えてございます。

 したがいまして、鉄道による復旧をまず目指したいというところから始めたいというふうに思っております。

田村(貴)委員 鉄道による復旧、確認しました。

 それで、今答弁にありました連携の話なんですけれども、検討会議で国土交通省から鉄道復旧に当たって河川事業との連携、道路復旧事業との連携が示されました。それぞれ簡単に説明をしていただけますか。

井上政府参考人 球磨川につきましては、昨年三月末、あらゆる関係者が協働して取り組むハード、ソフト一体の流域治水プロジェクトを取りまとめました。

 このプロジェクトでは、令和二年七月と同様な豪雨に対して被害を最小化するため、河道掘削、堤防整備などを実施することとしており、JR肥薩線の球磨川第一橋梁及び第二球磨川橋梁はその前後区間で河道掘削を計画していることから、橋脚等に影響がある場合は河川事業の補償工事として復旧工事を実施する、また、第二球磨川橋梁については、引き堤、川幅を広げることになりますが、それによって延伸が必要となるため、河川管理者が応分の費用負担をするなどの連携が考えられます。

 このような河川事業としての連携などについては、現在、その詳細を精査しているところでございます。

村山政府参考人 お答えいたします。

 令和二年七月の豪雨で、八代から人吉市間で熊本県が管理する二百十九号などの被害が発生しておりまして、現在、国が権限代行で、橋梁の十橋、また延長約百キロの復旧を実施しております。

 この球磨川の両岸道路の復旧に当たりましては、球磨川洪水時の水位以上の高さを確保する必要がございますので、一部路面の高さをかさ上げする必要がございます。この場合、道路とJR肥薩線の軌道敷が隣接している区間がございまして、そちらについて、並行するJR肥薩線側ののり面を含めて改良を行うといったことや、軌道敷のかさ上げが行われる予定の区間について一緒にかさ上げを行うなどの連携を図ってまいりたいと思います。

田村(貴)委員 この事業連携は非常に私は重要だというふうに思っております。

 JRから、復旧費用は、球磨川第一橋梁区間で約六十四億円、それから第二球磨川橋梁区間で約六十一億円と示されています。この河川について言えば、連携でJRの復旧費用というのはどの程度圧縮されていくものとみなされますか。

井上政府参考人 それにつきましては、今申し上げました復旧事業のどのような手法を活用するかも含めて現在精査中でございます。

田村(貴)委員 二〇二〇年の七月豪雨は球磨川流域に甚大な被害をもたらしました。流域治水の在り方をめぐっては、住民、被災者からたくさんの意見、要望が上がっており、川辺川ダム建設については強い反対の声があります。清流、環境を守り、ダムに頼らない治水対策を追求していくことが今日的に私は重要だと思っております。この際、申し上げておきたいと思います。

 次に、経営維持の議論について伺います。

 この間、復旧と併せて、復旧後の経営の在り方についての議論が出てまいりました。そして、被災自治体に対する負担を求める議論も、例えばJR九州の日田彦山線においては行われてきました。私も大分議論したことであります。

 そこで伺いたいのは、やはり鉄道再建と経営維持の議論を一緒にすべきじゃないというふうに思います。JR九州の青柳前社長、今会長ですけれども、新聞のインタビューで、復旧方法だけでなくどういうふうに維持するのか、どちらもそろわないと事業者として判断できないと言われています。

 まずは、インフラが被災に遭ったんだから、電気、水道、ガス、通信、こうしたものはすぐに復旧する。道路だって橋だって被災したものはすぐに復旧する。これは当たり前ですよね。住民の足として、鉄道もまずは復旧する。そして、その復旧後の経営についてはまた議論すればいいというふうに思います。

 それを一緒に被災自治体に求めるのは私は筋違いだと思いますけれども、国交省、JR九州も含めて全国でこういう議論が展開されています。考え方について聞きたいと思います。

奥田政府参考人 冒頭の御質問にお答えしたときに申し上げたことではございますけれども、やはり、復旧に多額の資金を要するということに加えて、今後どうするかという意味では、赤字を抱えた路線の運営問題も併せて検討すべきというのが我々の考え方でございまして、この検討会の中で並行して検討するというのが我々の考え方でございます。

田村(貴)委員 審議官、事業者の方から、例えば鉄道での復旧にはこれだけ費用がかかるので、運転開始後は地元の負担でお願いしたいというのは、これはおかしいと思うわけですよ。そうしたところはしっかりと指導していただきたいと思います。

 続いて、そうした問題を含めて、被災鉄道が多くなっています。そして、気候危機に伴う被災も、その箇所も、それから度合いも大きくなっている。この問題は、やはり根本的に復旧費用をどうするのかということを考える議論が必要だと思います。被災した鉄道の早期復旧を目指して鉄道軌道整備法が改正されて、復旧に要する費用の一部を国と地方が補助できるようになりました。

 肥薩線は対象となりますか。これは簡潔にお答えいただきたいと思います。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 復旧内容が決まっていない中で明確にお答えするのは難しい面もございますが、基本的に、先ほど御説明したように、この検討会議の中では、鉄道軌道整備法による支援、こういったものの活用を視野に入れて議論したい、このように考えています。

田村(貴)委員 国土交通省のまとめによりますと、二〇〇〇年以降、全国で四十五の鉄道路線、一千百五十七・九キロが廃止となっています。これは二月三日現在です。このうち、被災した鉄道路線も複数含まれています。災害で不通になった道路や橋が復旧されないなど考えられませんけれども、鉄道は災害が廃止のきっかけとなっています。そして、復旧されないままに廃線に追い込まれているんです。これは日本全国です。

 災害列島と言われる日本で、気候危機によって災害の頻度と規模が大きくなる下で、廃線を防止する国の対策強化が必要であります。我が党として、鉄道の災害復旧基金の創設を主張しているところでありますけれども、全ての鉄道事業者が経営規模と実態に応じて拠出するとともに国が出資する災害復旧基金の創設を改めて提案したいと思います。

 これは、二之湯大臣も是非お答えいただきたいと思います。政府を挙げてこういう基金をつくって、そして、未曽有の災害が訪れている今、こういう対処が必要ではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

二之湯国務大臣 被災した鉄道の復旧については、経営の厳しい鉄道事業者を対象として、国土交通省において支援を行ってきているものと認識をしております。

 災害を原因として鉄道を廃止せず、復旧させるべきであるという御指摘については、基本的には、事業主体である鉄道事業者が、復旧の在り方や輸送形態等について地方公共団体と議論しながら対応をしていくものと考えております。

 今申されました基金の創設については、鉄道の災害復旧などのため、鉄道事業者から資金を拠出させる制度を創設することは、ある地域の利用者負担により別の地域の鉄道の災害復旧に充てることと同じことになりますので、慎重な検討が必要ではないかと思っております。

田村(貴)委員 復旧には多額の費用を要します。今度の肥薩線でも二百三十億円からの復旧費がかかります。それで、事業者と、それから国、自治体との支援スキームはあっても、廃線、鉄道再建が果たせないという現状があります。地域住民の生活に欠くことができない鉄道がなくなる、住民、自治体にとってはこれほどつらいことはありません。廃線は、地方の疲弊に拍車をかけるものであります。国土交通省はどうですか。

奥田政府参考人 先ほどお答えした部分ではございますけれども、やはり委員御指摘のとおり多額の費用をどうするか、こういうことがまずありますので、先ほど道路、河川の御説明ありましたように、どうやって協力してそこを低減していくかというところをまずしっかり検討するということでございます。

 その上で、関係の制度、こういったものの適用も含めどういったやりようがあるのか、これは赤字の問題も含めてという、先ほども申し上げましたけれども、その議論を、この検討会でしっかり議論を尽くすということがまず大事かなというふうに思ってございます。

田村(貴)委員 まずは、公共インフラは復旧するから、被災鉄道も復旧していくという立場を堅持していただきたいと思います。検討会議での役割、しっかり果たしていただきたいと思います。

 残された時間で、この後、日本海溝・千島海溝地震防災対策特措法の改正案が起草される予定になっています。この点について、一点、大臣に伺います。

 本改正によって、津波避難対策特別強化地域が指定されることになります。この地域の多くは、東日本大震災で被災した地域と重なることが見込まれます。その事情をよく踏まえていく必要があると思いますけれども、大臣の御認識をお伺いします。

二之湯国務大臣 東日本大震災の被災地の振興については、津波防災まちづくりの議論を踏まえ、最大クラスの津波に対して、命を守る行動を併せた総合的な防災対策を構築することを基本的な考え方として、ハード、ソフト一体となった取組を進めておるということを承知しております。

 内閣府において新たに想定した日本海溝、千島海溝沿いの巨大地震による津波は、最大クラスの津波を想定しており、復興事業により整備された海岸堤防等を越える津波が予想される地域もございます。

 そのため、こういった地域では、海岸堤防の整備等に加え、住民の避難を軸とした対策を進めることが必要でございます。具体的には、ハザードマップの更新及びその周知、防災教育、防災訓練の充実、さらにまた、避難路、避難場所等の整備など、津波から命を守るための避難対策を推進することが必要でございます。

 引き続き、政府一丸となって東日本大震災からの復興に万全を期すとともに、内閣府としても、関係省庁や関係自治体と連携し、更なる防災・減災対策に取り組んでまいりたいと思っております。

田村(貴)委員 被災者生活再建支援事業についても質問する予定でしたけれども、時間がやってまいりました。

 数字を出してもらったんですね。災害救助法の応急修理費の支給対象が準半壊に広がって、これで、六災害で七千三百九十八件の修理費が支給されました。また、支援法の改正によって、支給対象が中規模半壊にも広がりました。ただ、全体の被災者の母体に対しては支給範囲がまだ本当に一部に限られているということで、この制度の拡充も求められるところだと思います。

 制度の拡充を強く要求して、今日の質問を終わります。

     ――――◇―――――

小里委員長 この際、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来理事会等で御協議を願っておりましたが、協議が調いましたので、委員各位のお手元に配付いたしましたとおり委員長において草案を作成いたしました。

 本草案の趣旨及び主な内容につきまして、委員長から御説明申し上げます。

 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法は、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震による災害から国民の生命、身体及び財産を保護するため、同地震に係る地震防災対策の推進を図ることを目的として、平成十六年に本委員会の提出により制定されたものであります。同法に基づき、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震防災対策推進地域が指定されるとともに、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震防災対策推進基本計画が作成され、同計画等により防災対策が進められてきました。

 しかしながら、平成二十三年の東北地方太平洋沖地震では、従来の想定をはるかに超える地震及びこれに伴う津波により、東北地方を中心に甚大な被害が発生しました。

 この教訓を踏まえ、政府の中央防災会議において、最新の科学的知見に基づく最大クラスの地震、津波を想定した対策の検討が進められました。日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震についても、令和三年十二月に被害想定が公表され、本年三月には、これに基づいて、特に冬季には積雪寒冷地域特有の被害が想定されることも考慮に入れた防災対策がまとめられました。

 本起草案は、こうした状況に鑑み、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策について、先に対策が進められてきた南海トラフ地震に係るものと同程度に強化するため、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震津波避難対策特別強化地域の指定、津波避難対策緊急事業計画の作成及びこれに基づく事業に係る財政上の特別の措置等について定めようとするものであります。

 次に、本起草案の主な内容について御説明いたします。

 第一に、目的規定について、「日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震による災害が甚大で、かつ、その被災地域が広範にわたるおそれがあることに鑑み」との文言を追加することとしております。

 第二に、内閣総理大臣は、地震防災対策推進地域を指定するに当たっては、科学的に想定し得る最大規模の地震を想定して行うものとすることとしております。

 第三に、関係指定行政機関の長等、関係地方公共団体の長及び関係指定公共機関等は、共同で、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震が発生した場合における災害応急対策及び地震防災対策を相互に連携協力して推進するために必要な協議を行うための協議会を組織することができることとしております。

 第四に、内閣総理大臣は、地震防災対策推進地域のうち、津波避難対策を特別に強化すべき地域を津波避難対策特別強化地域として指定するものとし、この指定があったときは、関係市町村長は、都道県知事の意見を聞き、内閣総理大臣の同意を得て、津波避難対策緊急事業計画を作成することができることとしております。

 第五に、津波避難対策緊急事業に要する経費に対する国の負担又は補助の割合の特例等の規定を設けることとしております。

 第六に、津波避難対策緊急事業計画に基づく集団移転促進事業に係る特例措置の規定を設けることとしております。

 第七に、国及び地方公共団体は、津波避難対策特別強化地域において、津波避難対策上緊急に整備すべき施設等の整備等を行うに当たっては、交通、通信その他積雪寒冷地域における津波避難対策上必要な機能が確保されるよう特に配慮しなければならないこととしております。

 第八に、この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の提案の趣旨及び主な内容であります。

    ―――――――――――――

 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

小里委員長 この際、本草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。二之湯防災担当大臣。

二之湯国務大臣 本法律案の提出に際して、議員各位の努力と熱意に対し深く敬意を表します。

 政府としては、本法律案については特に異存はございません。

 可決いただきました暁には、その趣旨を踏まえて、適切な運用に努め、関係省庁と密接な連携を取りつつ、日本海溝、千島海溝沿いの巨大地震に係る地震防災対策の一層の推進を図ってまいります。

小里委員長 お諮りいたします。

 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付しておりますとおりの草案を委員会の成案とし、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小里委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、ただいま決定いたしました本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小里委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小里委員長 次に、本法律案の提出に際しまして、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の強化に関する件について決議をいたしたいと存じます。

 本件につきましては、各会派間において御協議願っておりましたが、協議が調い、案文がまとまりました。

 便宜、委員長から案文を朗読し、その趣旨の説明に代えたいと存じます。

    日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の強化に関する件(案)

  政府は、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震による災害が甚大で、かつ、その被災地域が広範にわたるおそれがあることに鑑み、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律の施行に当たっては、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期するべきである。

 一 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震津波避難対策特別強化地域の多くは東日本大震災で津波による甚大な被害を受けた地域となることが見込まれることから、東日本大震災からの復興に万全を期すこと。

 二 事前防災として集団移転促進事業が行われる場合には、防災性の向上のみならず、地域コミュニティの維持及び活性化が十分に確保されるよう、ガイドラインの作成その他の方法により、当該集団移転促進事業に係る地方公共団体に対して必要な情報提供を行うこと。

 三 事前防災として集団移転促進事業を行うことを検討する地方公共団体の判断に資するよう、近年実施された集団移転促進事業に係る事例の分析及び整理を行うとともに、その結果について、インターネットその他の方法を活用して、広く積極的に情報提供を行うこと。

 四 地震・津波災害と原子力発電所の事故等の複合災害への対応についても十分な配慮を行うこと。

 五 実効ある災害廃棄物処理計画を作成し、速やかに生活環境や公衆衛生の確保が講じられるようにすること。

 六 帰宅困難者対策については、近年の鉄道など公共交通機関の耐震対策の進展や、スマートフォンの普及などデジタル化の進展等を踏まえた対策の見直しを踏まえつつ、十分な配慮を行うこと。

 七 感染症の感染拡大時における感染防止策についても十分な配慮を行うこと。

  右決議する。

以上であります。

 お諮りいたします。

 ただいま読み上げました案文を本委員会の決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小里委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とすることに決しました。

 この際、本決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。二之湯防災担当大臣。

二之湯国務大臣 ただいまの決議につきましては、その趣旨を十分に尊重して、適切な措置の実施に努めてまいります。

小里委員長 お諮りいたします。

 本決議の議長に対する報告及び関係政府当局への参考送付等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小里委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十五分散会


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