第3号 令和4年11月15日(火曜日)
令和四年十一月十五日(火曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 江藤 拓君
理事 金子 恭之君 理事 工藤 彰三君
理事 高鳥 修一君 理事 根本 幸典君
理事 神津たけし君 理事 奥下 剛光君
理事 吉田 宣弘君
東 国幹君 池田 佳隆君
石原 宏高君 小里 泰弘君
柿沢 未途君 金田 勝年君
菅家 一郎君 熊田 裕通君
小林 史明君 後藤田正純君
國場幸之助君 坂井 学君
新谷 正義君 中曽根康隆君
深澤 陽一君 古川 直季君
三谷 英弘君 務台 俊介君
宗清 皇一君 山口 晋君
若林 健太君 渡辺 孝一君
渡辺 博道君 稲富 修二君
菊田真紀子君 小宮山泰子君
森山 浩行君 山崎 誠君
渡辺 創君 阿部 司君
岬 麻紀君 吉田とも代君
大口 善徳君 佐藤 英道君
古川 元久君 田村 貴昭君
…………………………………
国務大臣
(国土強靱化担当)
(防災担当) 谷 公一君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 齋藤 秀生君
政府参考人
(内閣官房国土強靱化推進室次長) 村山 一弥君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 榊 真一君
政府参考人
(警察庁警備局警備運用部長) 迫田 裕治君
政府参考人
(総務省自治行政局公務員部長) 大沢 博君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局電気通信事業部長) 木村 公彦君
政府参考人
(消防庁審議官) 鈴木 建一君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 里見 朋香君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官) 城 克文君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官) 佐々木昌弘君
政府参考人
(農林水産省大臣官房審議官) 松尾 浩則君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局長) 岡村 次郎君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 丹羽 克彦君
政府参考人
(気象庁長官) 長谷川直之君
政府参考人
(環境省大臣官房政策立案総括審議官) 角倉 一郎君
政府参考人
(環境省環境再生・資源循環局長) 土居健太郎君
政府参考人
(防衛省大臣官房審議官) 小杉 裕一君
衆議院調査局第三特別調査室長 吉田はるみ君
―――――――――――――
委員の異動
十一月十五日
辞任 補欠選任
石原 宏高君 渡辺 孝一君
三谷 英弘君 古川 直季君
宮路 拓馬君 中曽根康隆君
務台 俊介君 池田 佳隆君
同日
辞任 補欠選任
池田 佳隆君 務台 俊介君
中曽根康隆君 宗清 皇一君
古川 直季君 三谷 英弘君
渡辺 孝一君 國場幸之助君
同日
辞任 補欠選任
國場幸之助君 石原 宏高君
宗清 皇一君 宮路 拓馬君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
災害対策に関する件
――――◇―――――
○江藤委員長 これより会議を開きます。
災害対策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官齋藤秀生君、内閣官房国土強靱化推進室次長村山一弥君、内閣府政策統括官榊真一君、警察庁警備局警備運用部長迫田裕治君、総務省自治行政局公務員部長大沢博君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長木村公彦君、消防庁審議官鈴木建一君、文部科学省大臣官房審議官里見朋香君、厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官城克文君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官佐々木昌弘君、農林水産省大臣官房審議官松尾浩則君、国土交通省水管理・国土保全局長岡村次郎君、国土交通省道路局長丹羽克彦君、気象庁長官長谷川直之君、環境省大臣官房政策立案総括審議官角倉一郎君、環境省環境再生・資源循環局長土居健太郎君及び防衛省大臣官房審議官小杉裕一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○江藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。深澤陽一君。
○深澤委員 おはようございます。自由民主党の深澤陽一です。
本日は、質問の機会をいただきましたことを改めて理事の皆様に御礼申し上げます。
そして、今回の台風十五号の被害に対しまして、給水事業では、中部地方整備局、関東地方整備局、海上保安庁、自衛隊、そして日水協を窓口といたしまして、全国の地方自治体の皆様に、さらには、全国各地から支援物資をいただきました。それぞれ皆様に心より感謝を申し上げます。
また、環境省や自衛隊、地元消防団の皆様方などにおかれましては、災害ごみの処理で大変お世話になりました。
また、本日、御答弁、政府参考人も来ていただいています。内閣府や厚労省の皆様にも柔軟な対応、またお知恵をいただきまして、円滑な災害対応ができることになりました。重ねて御礼申し上げます。
そして、泥の撤去や宅地内の片づけなど、今もなお多くの災害ボランティアの皆様が駆けつけていただいておりますことに、本当に心から感謝を申し上げたいと思います。
それでは、早速ですが、台風十五号によって静岡県内各地で土砂崩れや水害が発生いたしましたが、特に今回は被害が大きかったということで、大変恐縮ですが、私の地元、静岡市清水区の事例を挙げさせていただき、質問をさせていただきたいと思っております。
まず初めに、利水対策についてお伺いいたします。
これは全国放送もされておりましたが、静岡市清水区の水道は、そのほとんどが興津川から取水されており、今回の台風十五号により興津川の水位が増し、取水口に土砂や流木が堆積したこと等で、およそ六万三千世帯、地域の約八割ほどが断水をしてしまいました。そして、その取水のほとんどが承元寺取水口というところからでありまして、改めて、この一か所の取水口に頼っていたことによる大きなリスクを感じることとなりました。
当然、今後はリスク分散を考えるべきと思いますが、一方で、施設を増やすことにより利水者の負担が増す可能性があるということで、地元の自治体としては判断が大変難しいという現実もあると認識をしております。
そこでお伺いいたしますが、今御説明をしました興津川の事例を通じまして、地方の水道施設の在り方を防災の観点からどのように国として捉えられますでしょうか。また、国としては今後防災対策としてどのような支援ができるかをお伺いさせていただきます。
○佐々木政府参考人 お答えいたします。
本年九月の台風十五号におきましては、委員御指摘のとおり、大雨の影響により取水口に流木等が詰まり、静岡市清水区で大規模な断水が生ずることとなりました。
水道法では、水道の取水施設については、水道施設の技術的基準を定める省令により、洪水や流木等のため、取水が困難となるおそれが少なく、地形及び地質の状況を勘案し、取水に支障を及ぼすおそれがないように配慮した位置及び種類であることを求めております。
また、厚生労働省がお示ししております風水害対策マニュアル策定指針というものがございます。これは、各水道事業者等がマニュアルを策定する際の指針でございます。この中で、水道施設の風水害対策として、施設の分配配置や、相互連絡によるバックアップ機能を強化するなど、計画段階からの配慮が重要であることを定めるなど、水道事業者等に対して技術的な助言を行っております。
加えて、厚生労働省としては、引き続き、水道施設機能維持整備費等、こういった予算補助、予算的なサポートにより、取水施設に関する対策を含め、自然災害に対する水道施設の強靱化をより一層進めてまいりたいと考えております。
○深澤委員 御答弁ありがとうございました。様々、予算的な補助、措置も含めまして、いろいろと用意していただいているということで理解をいたしました。
そして、先ほど、取水に支障を来すおそれがない位置に取水口を設けるというような決まりというか、そういう方針になっているということも理解いたしましたが、今回の災害だけではなくて、以前から、水道行政全般、通常の水道、上水、それと簡易水道、あるいは飲料水供給施設といった中山間地の水道については、本当に維持管理の費用が大変厳しいということが続いておりました。その中でこういう災害が起きたということで、改めて、災害対策を行うにも、通常の維持管理が難しい中では本当に大変な、なかなか新たな対策を取るということ自体が、判断が難しいのではないかなと。
要は、水道行政を全般的にやはり一度、改めて、今の時代がどうなのかということを踏まえて御検討もいただけたら、そして、その上でアドバイスをいただけたらありがたいということで、お願いをさせていただきます。よろしくお願いいたします。
続きまして、今回の台風十五号に関する治水対策をお伺いいたします。
清水区を流れます巴川は、昭和四十九年の七夕豪雨により二万六千戸余りが浸水し、その後、昭和五十四年から総合治水対策が始まりまして、放水路建設などが行われ、そして、平成二十一年には特定都市河川に指定され、それに基づき、現在も遊水地建設などが進められておりますが、それらの結果、今回の浸水被害は二万六千戸余りから三千戸余りにまで抑えることができました。このことについては大変評価をしております。
しかし、一方で、新たな課題も見えてまいりました。巴川自体は七夕豪雨よりも治水機能を増しましたが、巴川につながる支川や水路等が巴川へ流入できず氾濫し、以前よりも浸水深が増した建物も多く見られました。
巴川の総合治水は、静岡県を中心に大規模に進めてまいりましたが、これ以上新たな対策があるかと考えると、地下に造る大型の放水路ぐらいしかないと個人的には感じており、そのような新たな大規模な対策は自治体単独では限界があるものと感じております。
そこで質問ですが、特定都市河川として整備されてきた巴川の今回の浸水被害の検証や新たな治水計画に対しまして、国としても関わっていただくことは大変重要で、貴重であるというふうに考えますが、今回の浸水被害を国としてどのように捉えておられますでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
○岡村政府参考人 お答え申し上げます。
巴川流域では、河川管理者による治水対策に加え、昭和四十九年の七夕豪雨を契機に、流域の自治体等において雨水を一時的に貯留する施設の設置などの総合治水の取組が進められてきました。これらの取組により、今年九月の台風第十五号では、七夕豪雨と同じ規模の降雨量があったにもかかわらず、家屋の浸水被害が約九割減少するなど、大きな効果がありました。
一方、依然として、この巴川流域で三千戸を超える家屋浸水があったことから、河川管理者であります静岡県からは、現在整備中の麻機遊水地や河道掘削などを加速化するとともに、流域対策に取り組む静岡市とも連携し、ハード、ソフト一体となった対策の検討を行うというふうに伺っております。
国土交通省としましても、ハード、ソフト一体となった対策は非常に重要であると認識しておりまして、静岡県及び静岡市と連携し、技術的な助言を行うとともに、五か年加速化対策も活用しながら、財政面の支援も実施してまいります。
○深澤委員 御答弁ありがとうございました。
私も、今回の被害につきましては、先ほども申し述べましたように、二万六千から三千戸余りに浸水された住宅は減ったということは本当に重ねて評価をしておりますが、当然、地元といたしましては被害が出たというところを重く受け止めておりますので、なかなか地元に帰って評価ということは言えないんですけれども、そういった意味でも、今回の質問はその被害にスポットを当てて質問させていただきました。
今や、流域治水という考え方が、改めて関連法もできて、いろいろと取り組まれておりますけれども、やはり県は県、市は市、地方自治体というのはやはり自分たちの所管ごとにどうしても考えがちになりますので、そういった意味では、連携、本当の意味での連携という意味では、やはり国が関わりながら、アドバイスをいただきながらということが必要だなと常々感じており、今回も感じておりますので、そういった意味では、この質問をさせていただいた意義はそういったところですので、是非、国としても積極的な調整役としての関わりも発揮していただきたいというふうに思います。重ねてお願い申し上げます。
続きまして、質問させていただきます。査定前着工ということについてお伺いをさせていただきます。
今回の台風被害で目立ったことは、土砂崩れの多さでありました。それにより、宅地、農地、道路、河川に土砂の堆積の被害が出ました。それらの復旧については、例えば農地に関して、基本的には、災害査定を行ってから被害額を算出して確定させるために、査定を行う国の担当者が来るまで復旧というものは手をつけられません。
また、今回は、中山間地の道路等の至るところに土砂や泥の堆積がありまして、行政の対応を待っていたのでは生活できないし二次被害のおそれがあるということで、自治会自らが重機を借りて道路啓開等を行った事例もありまして、その費用を行政で出してもらう、出してもらわないという交渉が非常に難航しているという事例もございます。
生命や、命の懸かっている仮復旧作業や復旧事業に関しては、査定前着工の活用を充実させていただく、柔軟に活用していただく必要性があると感じておりますが、このことについていかがでしょうか、お答えいただけたらと思います。
○岡村政府参考人 お答え申し上げます。
公共土木施設の災害復旧につきましては、地方自治体が国庫負担金を受けるためには、設計図書などを提出した上で、事業費を決定する災害査定、これを受けることとなってございます。一方で、堤防の決壊や道路の通行止めなど緊急的に応急工事が必要なときは、あらかじめ被災状況が確認できる写真などの記録を残した上で、災害査定を待たずに工事に着手する査定前着工、これが可能でございます。
国土交通省としましても、この査定前着工を的確に活用してもらうよう、毎年度出水期前に文書の発出とか、あるいは会議などで周知をしているほか、災害が発生したときには被災自治体に対し直接助言も行っているところでございます。引き続き、自治体に対して、研修ですとか講習会などの場も活用して、しっかりと周知してまいります。
○深澤委員 御答弁ありがとうございました。
その査定前着工のことについてなんですけれども、今の制度としてはあるということで、まずは地方自治体に、今回もいろいろと事例がありましたが、地方自治体の方がまだ理解していない、あるいは、応用といいますか活用できていない状況もあると認識をしておりますので、是非、その周知、理解力をもっともっと深めていくようなアドバイスを国の方からお願いをしたいというふうに思います。
それと、基本的には、今回、災害が起きたときに一番困るのが、民地、宅地、あるいは農地の中に入った土砂を誰が撤去するのかということが、災害の緊急時であってもそこはできませんとかいうような、大変地元のニーズと合わないような対応になっている課題もあります。本当に必要なところは地元の人が一番分かっていますので、そういったところを地方自治体が柔軟に対応できるような、そんな制度の周知も徹底していただき、足りないところは是非広げていただければありがたいなというふうに思います。
最後に、これは質問ではありませんが、今回の被害を受けて、質問には時間がなかったんですけれども、河川ですね、これは台風だけではなくて最近の豪雨災害、台風災害ではもう大抵どこでも見られるんですけれども、橋梁の橋脚に流木あるいは草木が詰まって、大抵、橋梁の脇の家というのが浸水被害に遭っているという事例がたくさんあります。今回も、ほとんどの橋の元にある住宅が浸水被害に遭いました。
そういった意味で、この橋の在り方というものもこれから大きな課題としてあると認識しておりますので、是非、国交省としても技術的な支援、考え方もお教えいただければと思います。
以上で終わります。ありがとうございました。
○江藤委員長 次に、山口晋君。
○山口(晋)委員 皆さん、おはようございます。衆議院議員の山口晋です。
本日、災害特別委員会での質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。
それでは、質問に入らせていただきますが、まずその前に、谷大臣におかれましては、これまで、国交政務官や復興副大臣、そして、議員活動においても災害ボランティア議員連盟の会長や、また消防議員連盟の事務局の幹事長を務められたりということで、まさに災害の最前線を一番熟知している大臣であると思いますので、私も、一回生議員でありますが、しっかりと応援をさせていただければと思います。
それでは、質問に入らせていただきます。
まず、防災・減災、国土強靱化についてお伺いをさせていただきます。
大臣所信において、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策に基づき、様々な施策や取組、今後も、災害に屈しない強さとしなやかさを備えた国土づくりの更なる加速化、深化を図ると御表明がありました。
私の選挙区では、令和元年の台風十九号によって甚大な被害が発生をした荒川水系入間川流域において、今後、国、県、市町等地域が連携をし、多重防御治水の推進、減災に向けた更なる取組の推進の二つを柱として取り組んでいく、社会経済被害の最小化を目指す、入間川流域緊急治水対策のプロジェクトが進められております。河川改修や河道確保、堤防強化、新設など、目に見える形で大きく進展をしております。
ただ、その一方で、先ほども深澤委員からもお話がありましたが、流域治水に対してはまだ懸念を示す方々もおられ、例えば遊水地の造成に関しては時間を要するものと想像をしております。そのために、地元の自治体や地域の方々からは、五か年加速化対策後も継続して対応していただけるのか、不安の声が聞こえてきます。強さとしなやかさを備えた国土づくりに向け、今後も、財政支援も含め、しっかりと対応していただけるということでよろしいでしょうか。政府の御見解をお聞かせください。
関連して、流域治水において重要なことは、本川と言われる国直轄河川の整備を行うだけではなくて、川上のダムの運用や治山事業から始まり、地元自治体や上下水道組合が管理をする河川の整備、また農業用水などの本川に流れ込む支川を含めた全体的な、面的な整備が重要だと考えております。そのためには、省庁間の垣根を越えた連携や、国、県、地元自治体の協力が不可欠と認識をしております。
このことについて、災害対策の司令塔を担う国土強靱化担当大臣の意気込みをお聞かせいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○谷国務大臣 山口委員にお答えいたします。
災害が激甚化、頻発化する中で、国民の生命財産を守り、災害の被害に遭う方を一人でも減らすことは、我々政治に携わる者の大きな使命であると認識しております。
御指摘のように、現行の五か年加速化対策後も、その後も、中長期的かつ明確な見通しの下で、継続的、安定的に国土強靱化の取組を進めていくことが大変重要であると考えており、また、全国の地方自治体を始め多くの関係者から、大変強いそういう要望をお聞きしているところであります。
我々といたしましては、総理の指示の下、来年夏をめどに新たな基本計画を策定するなど、しっかりと今後とも取組を進めてまいりたいと思います。
また、流域治水についてもお話がございました。御指摘のように、関係省庁、都道府県、市町村など、流域全体のあらゆる関係者が協働していくことが大変重要であると考えているところであります。
国土強靱化担当大臣として、また防災担当大臣としても、関係省庁と連携して対策を更に充実するとともに、協働体制の強化などをしっかりと図ってまいりたいと考えております。
○山口(晋)委員 ありがとうございます。
是非、来年夏に策定される指針や、また、それをしっかりと地元の自治体に落としていただける、そういったところのきめ細かいフォローもお願いをできればと思います。
次に、災害救助法についてお尋ねをさせていただきます。
高齢社会を迎え、また新型コロナウイルスなどの感染症対策の一環として、ライフラインへの影響が生じた地域であっても、自治体では在宅避難も避難方法の一つとして推奨をしていると承知をしております。また、現実に在宅避難を選択する被災者も増えてきております。
しかし、現在の災害救助法では、物資の提供や仮設トイレの設置が避難所に限られているため、在宅等で避難生活を送っている被災者は不自由な避難生活を余儀なくされていると聞いています。在宅避難を選択した被災者に対しても、避難所で配布をしている物資や情報の提供が不可欠であります。また、仮設トイレの設置も、避難所に限らず、下水施設や浄化槽などのライフラインが遮断された地域には設置が必要と考えます。
加えて、大臣所信でも触れられておりました災害対策基本法の一部を改正する法律案が昨年成立をし、避難時の広域避難に関する取組も推進していると承知をしております。
ただ、現行の災害救助法においては、その避難先が、同法の指定を受けなければ、つまり、その避難した場所も被災に遭わない限り、避難された方が支援を受けられないという問題もあると聞いております。
在宅避難、広域避難に対して、現状に即した災害救助法の適用基準の見直しを早急にすべきと考えておりますが、政府の御見解はいかがでしょうか。
○榊政府参考人 お答えを申し上げます。
新型コロナウイルス感染症の現下の状況におきましては、避難先は、避難所に限られるものではなく、安全な親戚宅や知人宅、在宅避難などもあり得るとして、その活用を促してきているところであります。
避難所につきましては、避難者に対する地域の支援拠点として、在宅避難者に対しても、避難所で配布しております食料や水、簡易トイレや携帯トイレなど、必要な物資の配布を行っているところであり、災害救助法が適用された自治体に対しては、これら物資の配布について救助の対象としております。
また、災害が発生するおそれがある段階での広域避難につきましては、昨年五月の災害対策基本法等の改正によって、法律に位置づけられました。避難先の自治体が開設した避難所の経費等について、災害救助費の対象としたところでございます。
内閣府といたしましては、被災者の生活環境の確保が図られますよう、自治体と連携して、被災状況や被災者のニーズ等をしっかりと把握しながら、災害救助法の適切な運用に努めてまいりたいと存じます。
○山口(晋)委員 御答弁ありがとうございます。
これに関しても、やはり、地元自治体というか、自治体の方々とは緊密なコミュニケーション、密なコミュニケーションが災害が起こる前から必要だと思いますので、是非引き続きお願いできればと思います。
そして、災害対策におけるスタートアップ支援について、最後、質問をさせていただきたいと思います。
御存じのとおり、岸田政権における目玉政策であるスタートアップ支援であります。
大臣所信において、デジタル、防災技術の活用促進についての御表明がありました。災害に対して、十分に備えつつも、既存のやり方にとらわれず、デジタル化を推進し、先端技術を活用していかなければならないと考えております。
災害対策にデジタル技術を生かすという観点では、様々なスタートアップ企業が出てきていると聞いております。
例えば、二〇一四年創立のWOTA株式会社というスタートアップ企業がございます。同社の社長は新しい資本主義実現事務局主催の車座にも御参加をいただいておりますが、独自のAI技術を活用し、生活用水をリサイクルする小型装置を開発しています。
この小型装置を使えば、ドラム缶一つ分、百リットルの水さえあれば、百人程度がきれいにリサイクルされた水でシャワーを浴びられるようになるため、断水した災害時などに避難所で活用され始めております。
藤枝市でも、この製品の実証を行ったところ、多くの方々が満足いただいたという結果も聞いております。
このように、デジタル化を推進し、先端技術を活用し、強さとしなやかさを備えた災害対策を考えていくに当たっては、新しい発想を持つスタートアップ企業の支援強化、スタートアップ企業と地方公共団体との更なる連携が重要だと考えておりますが、今後の具体的な取組やスタートアップ支援の考え方について、お伺いをさせてください。
○榊政府参考人 お答えを申し上げます。
委員御指摘のとおり、激甚化、頻発化する災害に、より効果的、効率的に対応するためには、先端技術を積極的に活用していくことが重要です。
このため、内閣府では、昨年度から、防災×テクノロジー官民連携プラットフォームを設置し、ウェブサイトの開設やマッチングセミナーの開催を通じて、民間企業等が持つ先端技術と災害対応における現場ニーズを結びつけ、地方公共団体等への先端技術の導入を支援しているところでございます。
また、スタートアップ企業への支援につきましては、イノベーション創出のための研究開発の促進や、有望なスタートアップ企業への各種支援制度における優遇措置等が図られていると承知をしております。
引き続き、民間企業等と地方公共団体等の連携を促進し、先端技術の活用による災害対応の迅速化、効率化を図るなど、防災・減災対策に万全を期してまいりたいと存じます。
○山口(晋)委員 御答弁ありがとうございます。
やはり、スタートアップ企業の中には、本当に優れた技術を持っている会社がたくさんあると思います。そういったところにおいて、防災ともうまく連携をすることによって、また、これが日本でうまく成功すれば海外でも成功事案としてなると思いますので、引き続き積極的な御支援をお願いできればと思います。
最後に、これは質問ではなくて私からの要望であるんですけれども、地元の声を踏まえた要望になりますが、近年、線状降水帯による局所的な豪雨により、私の地元でもありましたが、河川の氾濫や小規模な土砂崩れが多数発生をしております。
災害復旧事業などの支援制度により、地元の財政負担は軽減を図られておりますが、まだまだ、財政力の脆弱な自治体においては、それでもなお厳しいと声があると認識をしております。
また、その申請プロセスが煩雑というか、田んぼに関しては農水省であったり、道に関しては国土交通省、様々な申請プロセスがあって、災害復旧に当たらなくちゃいけない方々が、役所の方々も限られたマンパワーの中において災害復旧をやらなくちゃいけないし、またその申請プロセスもあるということで、本当に大変だということを、先日、地元の首長さんからも聞いてまいりました。
是非、被災した自治体においてそういったスムーズな復旧事業が進められるよう、国としても申請プロセスの簡素化や人材派遣を含めた手厚い支援を改めてお願いを申し述べさせていただいて、私の質問とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。
○江藤委員長 次に、吉田宣弘君。
○吉田(宣)委員 おはようございます。公明党の吉田宣弘でございます。
本日も質疑の機会を賜りましたことに心から感謝を申し上げて、質疑に入らせていただきたいと思います。
日本が自然災害が多い国であることは、多くの国民の共通した認識だと私は思います。地震、津波、台風、豪雨災害、火山の噴火など、近年は自然災害が起きない年はないほど頻発しています。今後も自然災害は発生すると構えて、十分な対策を講じておく必要があると思います。備えれば備えるほど、将来発生する自然災害から人命を守ることができるのではないでしょうか。そして、将来の自然災害に備えるためには、過去に受けた自然災害の知見、これを未来に生かしていくことが重要であると思います。これから質疑に入らせていただきますけれども、未来の人命を守ることができるよう私自身努めてまいりたいですし、政府におかれましても、人命を守ることに資する答弁を是非お願いしたいと思います。
まず、地震についてお聞きいたします。
地震災害では、甚大な被害をもたらしたのは、一九九五年の阪神・淡路大震災、そして二〇一一年三月の東日本大震災、近年では熊本地震も我々の記憶に新しいところです。阪神・淡路大震災では、死者が六千四百人以上に上りました。東日本大震災では、死者・行方不明者は一万八千人以上に上ります。これに対し、熊本地震では死者二百七十三名です。
そこで、地震のときに人命が失われる要因について分析しておく必要があるのではないかと思います。私の認識では、東日本大震災では、言うまでもなく、津波で命を失った方の割合は、これは多いのではないでしょうか。阪神・淡路大震災では、地震に起因する家屋や建物の倒壊、それに基づく圧死又は火災、そして、この火災について、特に兵庫県においては七千三十五棟が全焼したとお聞きをしました。大規模火災も発生したのではないかと思われます。熊本地震では、大規模な火災は発生はしておりません。圧死や関連死が多いように思います。
では、正確なところはどうでしょうか。阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震のそれぞれで、人命が失われた直接的な原因やその割合について、政府から御説明をいただきたいと思います。
○榊政府参考人 お答え申し上げます。
阪神・淡路大震災では、警察庁の取りまとめによりますと、平成七年四月二十四日時点で五千五百二名の方がお亡くなりになっておられますが、このうち約九割に当たる四千八百三十一名が家屋の倒壊等による圧迫死とされ、また約一割の五百五十名が火災による焼死とされております。
また、東日本大震災につきましては、同じく警察庁の取りまとめによりますと、平成二十四年三月の時点で収容された御遺体一万五千七百八十六体の検視の結果として、約九割に当たる一万四千三百八体が溺死とされております。
熊本地震につきましては、熊本県の報告によりますと、亡くなられた二百七十三名のうち、直接、災害で亡くなられた方は五十名であり、二百十八名の方はいわゆる災害関連死とされております。
○吉田(宣)委員 御説明ありがとうございます。
私、火災についてこれから質問をするのですけれども、阪神・淡路大震災のときに、五百五十名の方、約一割の方は火災で亡くなられたということでございます。今御答弁いただいた要因で、津波、これは発生自体を止めることはできないということでございますが、火災は備え次第で防げるのではないでしょうか。阪神・淡路大震災後、地震のとき火災を発生させない備え、若しくは、仮に火災が発生したとしても燃え広がらないための備え、政府は、地震発生時の火災防止対策について、これまで取組も行っていただいているものと思います。
もちろん、地震発生時の火災防止対策と一言で言っても、現実には、地域ごとにその実情は異なると思います。地域の細やかな情報を全て政府が把握し、その対策を取ることは現実的ではないでしょう。当然、基礎的自治体の力をかりなければならないと思います。
そこで、政府は、地域の実情に合った地震発生時の火災防止対策について、県や市町村と連携を通じて、どのような取組を行ってこられたのかについて御説明をいただきたいと思います。
○榊政府参考人 お答え申し上げます。
阪神・淡路大震災において火災で全焼した建物は約七千棟に上っており、その多くは、古い木造家屋が密集している地域、いわゆる木造密集市街地で発生したと言われております。
国におきましては、大規模地震が発生した際の火災による被害をできるだけ小さくするため、これまで、延焼等の危険性の高い木造密集市街地の整備改善や、地震の揺れを感じたら自動消火する装置を備えた電熱器具の普及等による出火の防止、発災時の速やかな初期消火や常備消防の充実等の消火活動体制の強化などの対策を進めてきたところであります。
こうした対策の推進に当たりましては、関係省庁が連携するとともに、委員御指摘のとおり、自治体と連携し、地域の実情に応じた取組を行うことが重要であります。
このため、例えば、木造密集市街地の整備改善について申し上げますと、自治体が地域の実情に応じた事業手法を選択することができる防災・安全交付金等を活用し、老朽建築物の除却や建て替え、避難路の確保等の対策を促進するとともに、地域ごとの具体的な取組内容やスケジュール、これを見える化した地区カルテに基づく対策の推進を図っているところであります。
引き続き、こうした対策を推進し、今後の大規模地震等における火災被害の軽減に努めてまいります。
○吉田(宣)委員 丁寧な御答弁、ありがとうございます。是非これからも、備えについてしっかり対策を取っていただきたく存じます。
次に、台風被害と豪雨災害について質問をさせていただきたいと思います。
近年の異常気象の典型は、台風と豪雨だと思います。
私自身の経験で、感覚的な認識で恐縮ですけれども、台風の進路、これが最近、不規則具合を増しているように感じております。地球温暖化の影響だと思われます。また、日本近海の海水温も随分、以前と比べれば高いということをお聞きしております。海水温の上昇は、台風の威力が増加する原因であるとお聞きをしております。
また、雨の降り方も、以前と比べて随分激しくなっています。私、九州比例から選出いただいておりますけれども、九州地方にお住まいの方であれば、近年の降り方、これは間違いなく激しくなっているというのは感覚的に認識されていることだと思います。
この異常気象と言われるもの、これはもう常態化している、常に異常気象であるというふうに思わなければならない。今後もこの傾向は続くと思われます。豪雨対策は、もはや喫緊の課題であると思います。
さて、先日、災害特別委員会で江藤委員長から御報告がございました、台風十四号被害を受けた宮崎県への実情調査に私も参加をさせていただきました。貴い命を失われた方もおられます。この場をかりて、謹んで御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様にお見舞いも申し上げたいと思います。
宮崎県内の十四号被災地域は複数箇所にわたりました。調査団は、特徴的であると思われる三か所を視察し、被害の実態を目の当たりにするとともに、被災者の悲痛な思いに触れてまいりました。復旧には様々な支援策が必要でございます。この必要性は、視察した皆様がお感じになられたのではないかと思います。
必要な対策の全てをここで質問することは時間の関係でかないませんけれども、備えという観点から数点だけ御質問をさせていただきたいと思います。
委員長報告にありますとおり、五ケ瀬川水系の整備促進が地元要請として上がっております。そこで、今般の災害を受けて、国土交通省は令和三年三月三十日付で発表した五ケ瀬川水系流域治水プロジェクトをどのように進めていくおつもりなのか、御説明をいただきたいと思います。
○岡村政府参考人 お答え申し上げます。
五ケ瀬川では、過去の流域の浸水被害を踏まえて、河道掘削や築堤のほか、輪中堤の整備や宅地かさ上げ等を実施してきたところでございます。
委員御指摘のとおり、令和三年三月には五ケ瀬川水系流域治水プロジェクト、これを策定し、流域自治体とともに、流域全体でハード、ソフトの対策を進めてきたところでございます。今年の台風十四号では、宮崎県が管理する区間の沿川を中心に、越水や内水により四百戸を超える家屋の浸水被害が発生したことから、現在、宮崎県と国が連携し、浸水の要因に応じた追加的な対策を検討しているところでございます。
今後、これらの対策を五ケ瀬川水系流域治水プロジェクトに反映し、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策も活用しながら、スピード感を持って対策を進めてまいります。
○吉田(宣)委員 加速化、是非お願いいたしたいと思います。
次に、委員長報告では、視察した美郷町西郷田代地区において、平成十七年の台風十四号の被災を受けて対策を進めていたにもかかわらず、想定した雨量をはるかに上回る豪雨に対応し切れなかったということを考えたとき、再度災害を防ぐための復旧事業の在り方について検討していく必要があると報告をされております。
今後の備えを考えたときに、政府には極めて重要な指摘であると重く受け止めていただきたいと思います。一度被災し、復旧したけれども、再度被災したという事例を私は知っておりますし、その可能性も含めれば、全国各地に存在するのではないかと推察いたします。災害を繰り返さないためにも、被災地の復旧に対する考え方、ビルド・アンド・ベター、また改良復旧ということもあるかと思います、をより深化させていかなければならないのではないでしょうか。国土交通省の受け止めをお聞かせいただければと思います。
○岡村政府参考人 お答え申し上げます。
災害復旧事業においては原形復旧を原則としてございますが、それのみでは十分に再度災害を防止することができない場合には、被災箇所を含む一連区間で川幅を広げるなど、施設の機能の向上を図る改良復旧事業の活用が可能でございます。
再度災害の防止に当たっては、この改良復旧事業が極めて効果的でございまして、国土交通省としましても、現場経験の豊富な本省災害査定官が現地に赴き、技術的助言を行うなどの支援をしてきてございます。
今後とも改良復旧事業の活用を積極的に支援してまいります。
○吉田(宣)委員 是非お願いいたします。
原状復旧でも、改良復旧に近いような対策というものをしていただいていることも存じ上げておりますけれども、要は、同じ災害が来たときに同じ被害が出ないということが大切だと思いますので、是非お願いしたいと思います。
次に、西都市岡富地区で発生した農業被害について質問をさせていただきます。
報告書にありますとおり、農業用ハウスの中に大きな陥没ができるほど大量の泥水が流れ込んで、ピーマンなどの苗に被害を与えたほか、ハウス内の温度調節に用いる温度調整器などが破損したとのことでございます。
私も現地でハウスを確認させていただきましたが、ハウスには防水シートがしっかり施されておりました。また、電気操作に関する基盤も、防水シートよりも上の位置に存在をしておりました。そして、現地は初めて浸水被害を受けたということです。これまで受けていないにもかかわらず、真面目に対策を取っておられたんです。にもかかわらず被災してしまったということが、私は支援策を講じる必要性であるというふうに思います。ここでは、備えという意味からは少し外れますけれども、生産者が生産をやめてしまえば、もう備えも意味がなくなってしまいます。
そこで、生産者が営農を諦めることなく、これからも生産に取り組んでいけるような支援策が望まれますけれども、西都市岡富地区で発生した農業被害に対する農水省における支援策について御説明をいただきたいと思います。
○松尾政府参考人 お答え申します。
農林水産省といたしましても、被災農業者の営農継続は重要な課題であると認識しております。
今回の西都市では、園芸施設共済に多くの方が加入しておられますが、この園芸施設共済の保険料については国も補助を行っているところでございます。現在、農業共済組合において共済金の支払いを進めているところでございまして、今後もこのような制度を通じて営農継続を支援してまいります。
また、施設復旧のための資金及び営農再開に必要となる資金として、農業近代化資金や農林漁業セーフティネット資金など、貸付当初五年間の実質無利子化等により活用することが可能となっております。
引き続き、農業者の皆様の一日も早い営農再開に向けしっかり対応するとともに、農業被害におけるセーフティーネットの加入促進に努めてまいりたいと考えております。
○吉田(宣)委員 是非、生産者に寄り添う支援策、よろしくお願いしたいと思います。
次に、報告書にありますとおり、災害救助法に関し、昨年の法改正後初の事例となったのがこの台風十四号です。宮崎県庁では、地元の河野知事と、改正内容である被害が発生するおそれがある段階での法適用、その効果について意見交換を行わせていただきました。
そこでまず、昨年の災害救助法改正が台風十四号被害においてどのような効果を生じたのかについて、政府の御認識をお聞かせいただきたく存じます。
○榊政府参考人 お答え申し上げます。
昨年、災害対策基本法等の改正が行われ、災害時における円滑かつ迅速な避難の確保等を図るため、大規模な災害が発生するおそれがある段階において国が災害対策本部を設置することが可能となり、本部が設置された場合には、災害救助法の適用が可能となったところです。
本年九月、この法律改正後初めて、台風十四号が接近する段階で国が特定災害対策本部を設置し、宮崎県始め九つの県の全市町村で、おそれ段階での災害救助法の適用が行われました。これにより、避難所が早期に開設され、住民の早めの避難行動につながったものと考えております。
十月十三日、衆議院災害対策特別委員会が宮崎県を視察された際にも、宮崎県知事から、災害救助法の早期適用によって避難所の開設をよりスムーズに行うことができ、早めの避難行動につながったとの発言があったと伺っております。
引き続き、都道府県等とも連携しながら、適切な制度の運用に努めてまいります。
○吉田(宣)委員 御答弁ありがとうございます。早めの避難につながったということは、明らかに人命を守ることに通じております。本当に政府の取組について高く評価いたしますし、本当に感謝を申し上げたいと思います。
次に、河川のしゅんせつについても委員長報告書の方に記載があるところでございます。これは、恐らく全国の都道府県、自治体、市町村がこれを望まれているのではないかなというように思っております。
私、福岡県久留米市というところに住居を構えておりますが、五年連続で六回の浸水被害を受けておりまして、これは全てが内水氾濫でございます。内水氾濫というのは、外水と内水との関係性で生じるものでございますけれども、内水と外水の高さ、これが極端に違うときにこの内水氾濫が起きていると私は経験的に思っておりまして、この差を埋める施策というのが非常に大切になってくるんだろうと思っております。
そして、この差を埋める一番直接的な対策というのがしゅんせつ、国土交通省の用語では河道掘削と言われるもので、すなわち、本川に流れる水量というものをいかにたくさんため込むことによって内水との水位差を縮めて、そして内水氾濫が起きるまでの時間を確保するかということが私は重要になってくると思っております。私、全国の自治体がこれを望んでおられると思うんですね。
ただ、このしゅんせつ工事には多額の費用が必要であって、県や基礎的自治体の財政力からすると非常に負担が多い。国の支援に頼らざるを得ないところがあるのではないかと思っております。政府の受け止めについてお聞かせいただければと思います。
○岡村政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、内水氾濫の対策では、合流先の河川の水位を低下させることが重要であり、河道の掘削やしゅんせつは有効な手段の一つでございます。
国土交通省では、都道府県等が河道の掘削やしゅんせつを推進できるよう、防災・安全交付金により支援してきたところでございますけれども、令和二年度からは、大規模な河道の掘削やしゅんせつが更に計画的、集中的に進められるよう、個別補助事業を拡充し、支援をしているところでございます。防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策や五か年加速化対策に基づく予算を確保したことにより、平成三十年度以降、都道府県管理河川等において約三千万立方メートルの河道の掘削やしゅんせつが実施されてきているところでございます。
引き続き、五か年加速化対策も活用しながら、都道府県等が実施する河道の掘削やしゅんせつに対し支援をしてまいります。
○吉田(宣)委員 是非、力強く進めていただきたいと思いますし、また、先々のことも考えて、我々もしっかり政策立案に取り組んでいきたいと思います。
次に、宮崎県知事との意見交換において、情報通信網の確保の必要性が対象となった。対象となったということは、事実として通信が行えなかったことに基づくと思います。私も通信が途絶えたというふうにお聞きをしておりまして、この台風十四号の災害時、宮崎県内の通信状況はどうであったのかについて、政府から御説明いただきたいと思います。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
台風十四号では、西日本を中心に、一部の市町村で通信サービスに支障が生じておりました。九月の十九日それから二十日頃が被害のピークとなっておりまして、宮崎県では、固定電話で四町村、それから携帯電話で二十三市町村の一部エリアで支障が生じておりました。
電気通信事業者におきましては、移動電源車や可搬型発電機、それから可搬型基地局等によります応急復旧、これを行いまして、九月二十五日までに全てのエリア支障について解消したところでございます。
○吉田(宣)委員 私、通信は極めて重要だと思っております。通信は、被災状況の速やかな把握以上に、その通信が途絶えた住民、通信がつながっていたら、安否確認もたやすく、早くできるわけでございまして、途絶えたという事実そのものが私は問題だと思っておりました。
宮崎県内を始め、台風十四号が直撃した熊本県を始め他県でも、この通信が途絶えているという状況を私は聞いております。そして、この一つの要因に、停電というものも何か要因としてはあるというようにお聞きをしております。
いずれにしましても、通信が途絶えるということがないようにお願いしたい。通信が途絶えたら、そのまま人命に直結するというふうに思っていただきたいと思います。
そこで、携帯電話の通信基地局、これは、たとえ停電をしたとしても通信が途絶えない取組というのを是非お願いしたく存じます。受け止めをお聞かせいただければと思います。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、国民の生命財産を守るための情報連絡手段としまして、災害時におけます通信サービスの確保、これは大変重要だというふうに認識しているところでございます。
総務省におきましては、停電対策について、電気通信事業者が遵守すべき基準としまして、総務省令で、電力の供給が停止した場合に備え、自家用発電機又は蓄電池の設置等を求めているところでございます。
特に、防災上必要な通信を確保するため、都道府県庁それから市町村役場をカバーします携帯電話の基地局の停電対策としまして、ガイドラインにおいて、都道府県庁については少なくとも七十二時間、市町村役場については少なくとも二十四時間の停電対策を行うよう求めているところでございます。
これに基づきまして、電気通信事業者におきましては、停電時に通信が停止しないよう、自家用発電機や蓄電池の設置のほか、移動電源車などの配備を進めているところでございます。
総務省としましては、引き続き関係者とも連携をしながら、電気通信事業者におけます通信サービスの安定的な確保に向けてしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
○吉田(宣)委員 是非取組を進めていただきたいんですけれども、若干心配です。二十四時間でいいのかという問題を私は思っておりますので、是非その点についても考えていただきたいなと思っております。
以上、災害に対する備えという意味で私、質問をさせていただいたところでございますが、これまでお話し申し上げてきたとおり、日本という国は、非常に自然災害をたくさんたくさん受けてきた国なんです。そして、災害を受けて、その都度、国民全員の努力、もちろん政府もそうです、我々議員もそうだと思います、努力してこれを乗り越えてきた歴史があり、その知見を積んでおります。今COP27というものが開催をされておりますけれども、この日本が培った知見というものを国際貢献に生かさない手はないというふうに私は思っております。
先日、パキスタンで豪雨災害が起きた、先日といいますか、六月だったと思いますけれども、起きたというような報道に触れました。パキスタンの国土は日本の二倍にわたる、そして、その国土の三分の一が浸水被害を受けたということであって、ほとんど、想像を絶する浸水被害を受けたようでございます。報道によると、三千三百万人が被災をした、千七百人以上が亡くなった、いまだに二万人以上の子供たちが学校に通えないというような報道にも触れております。
そこで、谷大臣に最後にお聞きしたく存じます。
谷大臣は、先日の所信的挨拶において、防災技術の海外展開に向けて、官民が連携した活動を進めるとともに、仙台防災枠組に基づき、我が国の取組や教訓などを世界に発信し、防災分野での国際協力を推進してまいりますと国際貢献の意気込みを披瀝していただきました。
私は、是非この決意というものを国際社会に展開をしていただき、国際社会から日本が本当に慕われる、高く評価していただける、そのような取組を是非お願いしたく存じます。
このような決意をされた目的について、改めて決意とともに谷大臣から御答弁を願いたいと思います。
○谷国務大臣 お答えいたします。
吉田委員御指摘のように、気候変動によって、世界のあらゆる地域で自然災害が起こり得る状況になっております。
我が国はこれまで多くの自然災害を経験してきましたが、それらの知見や教訓などを世界と共有し、国際社会に貢献していくことが非常に重要であり、我々に求められている役割でもあると思っております。
これまで、我が国においては、二〇一五年、平成二十七年に仙台において第三回国連防災世界会議を開催し、いわゆる仙台防災枠組の取りまとめに中心的な役割を果たすとともに、我が国自身の国際協力を示す仙台防災協力イニシアティブを発表し、現在も、防災分野における技術開発、技術協力、人材育成等を行っているところであります。
もとより、我が国において、既に二十数年前から、アジアの三十一か国が加盟するアジア防災センターの活動を支援し、アジア地域における防災情報の共有、人材育成等に貢献しているところでございますが、御指摘のように、令和元年には防災技術の海外展開に向けた官民連絡会を設立し、我が国の防災に関する施策や技術、ノウハウを海外に展開するためのセミナーをこれまでも国内外で相当数開催してきたところであります。
いずれにいたしましても、我が国が自然災害で大変大きな被害を受けているという、マイナス面ではありますけれども、しかし一方で、そこで得られた経験や技術、ノウハウというプラス面もあるわけですから、それは世界の防災の、軽減のために、国際防災協力に必ず資すると思っておりますし、また、それだけの責務が我が国に課せられているのではないかと思いますので、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
○吉田(宣)委員 谷大臣のその思いを是非強く推し進めていただいて、国際社会から高く評価される日本の構築に是非御尽力いただきたく思います。
時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○江藤委員長 次に、森山浩行君。
○森山(浩)委員 立憲民主党、森山浩行でございます。
質問に入ります前に、統一教会との関係の件ですけれども、もう既に、関係ないんだということで、ここの三役の皆様にはお答えをいただいていますが、先日の山際前大臣がお辞めになったのは、何も法律を犯したというわけではなくて、国会での答弁が二転三転をするというような中で、国民の信頼を失うということが非常に大きかったのかなというふうにも思います。
選挙応援をもらっていないのに、終わった後にお礼を言っているというようなことが後から発覚をしたりしますと、これまた大変なことになりますので、もし修正というものがあるのでありましたら、しっかり事前に修正をしていただきますように、三役にしっかりお伝えをいただきたいと大臣にお願いをさせていただきまして、質問に入りたいというふうに思います。
Jアラートの問題です。
最近、北朝鮮からのミサイル発射ということが頻繁に行われる中で、Jアラートがどんどん鳴って、だんだん麻痺してくるというようなことさえ言われるようになっています。
先日、十一月三日の例なんですけれども、ちょうど通勤時間帯でした。ミサイルを発射したよということで、通勤電車でJアラートがわんわんあちこちで鳴っているという状況。しかも、東京というのがその中に入っていたので、これはえらいことだ、どうしたらいいんだというようなことで、やっと後ほど判明したのは、ミサイルがもう既に着水をした後にJアラートが鳴って、しかもその後三十分にわたって鳴り続けたというような状況があったかと思います。
この十一月三日の事例について、どのような経緯であったか、御説明をお願いします。
○齋藤政府参考人 お答えを申し上げます。
十一月三日の事案につきましては、日本列島を越えて飛翔する可能性があるものを探知した旨、防衛省から伝達があったことから、七時五十分にJアラートによる発射情報を送信したところであります。
その後、その時点での防衛省からの情報として、我が国上空の通過に関する時刻や今回探知したものに関連する落下物がない旨の伝達があったことから、八時〇〇分にJアラートによる通過情報を送信したところであります。
○森山(浩)委員 その後、何か報道等で、続いて報道されていたというような状況については御存じですか。
○齋藤政府参考人 テレビ報道等でJアラートが報道されていた件でございますけれども、指定公共機関となっておりますNHKなどの放送事業者は、Jアラートの業務規程に基づきまして、情報の受信を行い、その受信した情報を住民に提供することその他の住民の生命、身体及び財産を災害から保護するための活動に活用するものとされております。
他方、国民保護法におきましては、放送事業者が実施する警報の放送等の国民の保護のための措置につきましては、その言論その他の表現の自由に特に配慮しなければならないとされるなど、放送の方法につきましては放送事業者の自主的な判断に委ねることが適当とされております。
こうしたことを踏まえ、弾道ミサイルの発射情報や通過情報の伝達の方法につきましても、放送事業者の自主的な判断に委ねられておるものであり、そうした中で報道がなされたものと承知いたしております。
○森山(浩)委員 うちはちゃんと情報を出したから後は知らぬよということですけれども、確かに、NHKさんとか、放送事業者さんにやるなと言うわけにもいかぬでしょうけれども、もう今後危険はないよという状況になっているのにその後も報道され続けるということについては、問題意識を持っています。
あと、東京ということで、島嶼部、当時、小笠原が対象だったと思いますけれども、東京というときに、東京都内のJアラートを全部鳴らすというようなことについては、ちょっとこれはさすがにやり過ぎなのではないかと思いますが、いかがですか。
○齋藤政府参考人 今回、十月の四日の事案でございますけれども、東京都内の千代田区及び稲城市においてJアラートが流れたところでございます。
自治体における情報伝達につきましては消防庁の所管でございますが、消防庁を通じ東京都に確認をしましたところ、千代田区及び稲城市のシステムは、都内のいずれかの地域に対しJアラートが送信された場合に防災行政無線が流れる設定となっていたため、今回、東京都島嶼部に対しJアラートが送信されたことを受けて作動したという報告を受けております。
なお、千代田区と稲城市において、設定変更について対応済みと聞いてございます。
○森山(浩)委員 その部分については自治体の方のバグであったという御説明であります。
あと、ミサイルが飛んできたときはできるだけ地下に、地下室に潜るとかというような形で避ける、津波が来るかもしれないときには地下室にいたら危ないので高いところに行かなきゃいけない、こういうのも含めて、音であるとか、あるいはどう避難するべきかというようなことについても、国民の皆さんに周知をするべきだと思いますが、工夫はされていますか。
○齋藤政府参考人 お答えを申し上げます。
内閣官房におきましては、Jアラートによる情報伝達の内容や国民保護に係る警報のサイレン音のほか、弾道ミサイル落下時の行動として、屋外にいる場合には、できれば頑丈な建物又は地下街や地下駅舎などの地下施設、それらが近くにない場合は近くの建物に避難をしていただきたいこと、また、近くに建物がない場合は、物陰に身を隠すか地面に伏せ頭部を守っていただきたいこと、屋内にいる場合には、できるだけ窓から離れ、できれば窓のない部屋へ移動していただきたいことという内容を取りまとめまして、国民保護ポータルサイトへの掲載や説明会の開催などにより周知を行っているところであります。
特に、弾道ミサイルが落下した場合の行動につきましては、概要を視覚的に分かりやすく訴える資料に加え、高齢者、子供向けのリーフレット、弾道ミサイル落下時の避難行動の紹介動画等の様々なコンテンツによりまして、国民の皆様に情報発信を行っているところであります。
また、こうした周知と併せて、実際の訓練を行うことで、警報のサイレン音を含め、弾道ミサイル落下時にどのような行動を取るべきか、住民の皆様に理解を深めていただくことが大変重要と考えております。
国と地方公共団体が共同で行います弾道ミサイルを想定した住民避難訓練につきましては、平成三十年六月以降実施を見合わせてきたところでありますが、本年に入り北朝鮮から弾道ミサイル等が高い頻度で発射されていることなどを踏まえ、本年九月から再開したところであります。これまでに、六つの市町村において、防災行政無線等による情報伝達を受け住民が近くの建物や地下施設に避難する、あるいは、中学校、大学において校内放送により生徒や学生が屋内に避難するなどの訓練を実施しておりまして、今年度内に合わせて十一の市町村で実施する予定であります。
また、これとは別に、地方公共団体が単独で行う訓練につきましても、平成二十九年度から令和三年度まで、三十八の都道府県、百五十四の市区町村において計四百六十件を実施しております。
今後とも、様々な手法による広報及び実践的な訓練の実施により、国民の皆様への周知がより一層進むよう、積極的に取り組んでまいります。
○森山(浩)委員 ありがとうございます。
役所としてやれることはやっているということ。音の紹介なんかをしてくれるかなと思ったんですが、それはなかったですけれども。
大臣、政治家でいらっしゃいまして、地震、津波、そしてミサイルと、それぞれ違う逃げ方をしなきゃいけないんだよというようなこと、そのときに慌ててポータルサイトを開けるわけにもいきませんので、ふだんから大臣の方からも国民の皆さんへ語りかけていただきたいというふうに思いますが、いかがですか。
○谷国務大臣 おっしゃられるとおり、自然災害だけではなくて、ミサイルの攻撃も、ロシアによるウクライナへの侵略など連日のようにテレビで放映されると、国民も身近にといいますか、以前とは相当違った意識を持つようになっているかと思うんです。
それで、以前はたしか、そういうJアラートの避難でも、頑丈なビルに避難ということをどちらかというと強調していたかと思いますけれども、ただ、ロシアのウクライナへのミサイル攻撃を見ていると、ビル自体がやられてしまうんです。ですから、幾ら頑丈なビルでも、でき得れば地下にということで、政府の広報もそちらに重点を置いた広報に変えているかと思うんです。
いずれにいたしましても、各種の災害、あるいは様々な外国からの危機も含めて、しっかり国民の命と財産を守るために、しっかりと取り組まなければならないというふうに思っております。
○森山(浩)委員 ありがとうございます。
状況、情報をきちんと伝えるということと、そして、自分事に思ってもらうために、やはり政治家としての大臣からの発信というのも非常に大事だと思いますので、よろしくお願いをいたします。
さて、私、党の災害局というところで、ずっとこの間、五年ほど仕事をしております。我々議員がふだん活動しているということはいろいろな人とつながりがありますので、ここで困っているんだというような話を初動の段階で内閣府防災の皆さんにお伝えをするということは非常に大事なことだと思っていますので、委員室の皆様にも、是非そのときには自分の周りの皆さんへのお声がけというのを共に頑張りたいというふうに思います。
令和四年九月の静岡での豪雨災害、これにつきまして、台風十四号と十五号、合わせて激甚というような形での指定となりました。これは切れ目なきよう、あるいは抜けのないようということで非常に大事なことだと思いますが、激甚指定災害という形で二つの災害を一緒にやるというようなことについては、これは最近一般的になってきていますね。
○榊政府参考人 お答えを申し上げます。
最近の例で申し上げますと、二つ以上の台風をまとめて激甚災害に指定した例といたしましては、令和元年、台風十号、十三号、十五号、十七号等による災害を一つの激甚災害として指定をしております。また、同じ年の台風十九号、二十号、二十一号につきましても、複数の台風をまとめて指定しているところでございます。
○森山(浩)委員 市長さんとかあるいは知事さんというふうな皆さんとお話をするときに、直後の、初動の態勢、もうたくさんのことを決断しなきゃいけないというときに、夜中でばたばたばたばたと動いている中であっても、気になるのが激甚指定になるんだろうかということだということを、何人もの首長さんからもお聞きをしています。不安なんですよ、激甚になるかどうかということで。
単純な災害復旧に比べて、激甚というのは今どういう制度になっていますか。
○榊政府参考人 通常の災害の場合にも、災害復旧に当たって国庫負担を定める特別の法律がございまして、地方負担を小さくすることが、法律上、例えば公共土木施設につきましては定められているところでございます。
これが激甚災害に指定された場合には、国の負担割合が更にかさ上げをされ、地方公共団体の負担が小さくなる、そういった仕組みが取られているところでございます。
○森山(浩)委員 数字でお示しをいただけますか。
○榊政府参考人 お答えを申し上げます。
記憶に基づいておりますけれども……(森山(浩)委員「では、いいです。今言います」と呼ぶ)よろしいですか。はい。
○森山(浩)委員 お手元にないようなので。
公共土木施設等については、災害復旧事業において、国庫補助と交付税措置を合わせて九八・四%、つまり、地元負担が一・六%。これに対して、激甚指定になると地元負担は〇・九%ということで、〇・九と一・六だからそんなに差はないですよというようなことを国は言われるんですけれども、大臣、地元の負担でいうと、〇・九%と一・六%ということは、激甚でなければ倍近く払わなきゃいけないという話になります。これは額が大きいですから。
こういった部分に対して不安を与えないように、激甚の指定のタイミング、あるいは、ここまでの雨が降っていたら、朝にならないと被害は分からないけれども、夜のうちに、もうこれは大丈夫だからと言ってあげるというようなことができないものですかね。大臣、努力いただけませんか。
○谷国務大臣 森山委員にお答えをさせていただきます。
言われるように、地方自治体の首長の立場といいますか、被災自治体の長の立場といたしましては、できる限り、災害による地元負担、自分たち、我が身の負担は小さくしたいというふうな思いは強いところがあろうかと思います。
一方で、だからといって、まだどれぐらいの被害額なのかということがしかと判明しない中で、えいやと、根拠なしにそういう指定ということも、これはやはり慎重に考えなければならないと思います。行政の公平性ということから見て、誰が考えても客観的な被害額はこれぐらいだということであれば、多くの方々は納得されるかと思います。
ただ、委員御指摘のように、できる限り早くそういう激甚指定に該当するかどうかということを、大変強い思いといいますか要望があることは事実でありますので、今も努力させていただいておりますけれども、最終的に、激甚指定の前に、激甚指定の見込みということをできる限り早く対外的に明らかにするように努力させていただいているところであります。
○森山(浩)委員 これは災害のたびに申し上げていますけれども、是非、大臣のリーダーシップで早い決断をお願いしたいということでございます。
さて、災害復旧に関してですけれども、市町村の長としては、県と相談をした上で国に言うという中でいうと、いや、これは基準に当たらないというようなことを言われて失望したであるとか、市町村の場所まで支援が届かないなどというような話が散見をされます。
実際のところ、国として、これは基準がないから駄目だよなんて言うようなことは余りないのではないかと思っていますけれども、国、県、市というような形でそれぞれの情報伝達がうまくいかない中で支援が届かないというようなこともあるということで、復旧復興支援に関して、例えば技術の職員、こういう人たちを派遣するというような事業について取り組んでおられると思いますが、中身を教えてください。
○榊政府参考人 お答え申し上げます。
最近、大きな災害が起こった場合に、なかなか土木施設等に関する知見がないといった市町村などからの声を伺うところでございます。
このため、国土交通省や農林水産省におきましては、公共土木施設あるいは農業関係施設について、その知見を有する職員を関係の自治体に派遣をし、必要な協力を進めているところでございます。
今後もこうした取組を丁寧に進めてまいりたいと存じます。
○森山(浩)委員 令和二年度から始まっている中長期派遣対応技術職員、千人を目指すというのが、現在二百四十名、そして、二十二名の方が現地に派遣をされているというふうにお聞きをしております。こういった制度をきちんと後押しをし、また、これは都道府県にきちんと伝わっていないのではないかというような気もいたします、千人の確保ですから。こういった部分をきちんとやり切れるようにお願いをしたいと思います。
災害発生時には、例えば道路を閉める、開ける、あるいは災害ごみの分別、あるいは避難所の開設といった、様々な現場での決断が必要になります。様々な分野において、特に現場は民間委託をするというようなことが増えているわけですけれども、これはやはり地元の役所がきちんと判断をしなきゃいけないという部分もある中でありますが、定員につきまして、この十年での状況を教えてください。
○大沢政府参考人 お答えいたします。
地方公共団体の清掃職員などの技能労務職員数でございますが、この十年間で約五・五万人減少をいたしまして、令和三年度は七・四万人となっているところでございます。
○森山(浩)委員 すごいですね。五・五万人減って七・四万人になったということは、半分近く減っているという状況かと思います。
つまり、民間委託がそれだけ進んでいるわけですが、民間委託で作業をするのはいいと思うんです。ただし、判断をするという部分についてはやはり公的に関与をしていかなければならないということで、民間委託では、仕様書には不可抗力事項というのが明記をされて、できないんだからしようがないんじゃないかということで終わってしまうという部分があります。
意思決定の部分については自治体の関与、意思決定の関与というのはしなきゃいけないと思いますが、それについてはどうお考えですか。
○大沢政府参考人 お答えいたします。
先ほど人数の減少のお話をさせていただきましたが、これは、各地方団体において、効率的、効果的に行政サービスを提供する観点から業務改革に取り組んできたことによるものだと思います。
一方で、災害応急対応については、これは様々な行政サービスについて平時とは異なる規模の人員を要しますので、これらの需要に迅速かつ適切に応えるためにも、自治体だけではなくて、民間事業者、ボランティア、NPOなどを問わず、多様な主体と連携した対応を行うなど、様々な工夫を行うことが肝要だと考えております。
○森山(浩)委員 いろいろな人の作業をするのはいいんですよ。
意思決定はやはり自治体で行わなきゃいけないということでいいですね。
○大沢政府参考人 実際に自治体が意思決定を行うべき分野と、民間事業者なりあるいは委託事業者にお任せをする部分があるとは思いますが、重要な部分については当然、自治体が意思決定をしていくということになろうかと思います。
○森山(浩)委員 災害ごみです。現場の中でいうと、災害ごみ、これも分別をきちんとしなきゃいけないというようなこともあると思いますし、あるいは仮置場、あるいは処理計画というようなものが必要かと思いますが、現状についてお願いします。
○土居政府参考人 災害ごみを適切に素早く処理するためには、仮置場の候補地の選定も含めまして、自治体において災害廃棄物処理計画の策定をしておくということは極めて重要でございます。
環境省といたしましては、仮置場の選定方法などを整理するとともに、この候補地の選定も含めまして、自治体に対してモデル事業を今実施しております。これにより計画を支援しておりますが、自治体からは、課題といたしまして、専門的な情報が限られているというお声もいただきましたので、モデル事業を通じて得られました優良事例などを横展開して、更に支援をしていきたいというふうに考えております。
○森山(浩)委員 小さな自治体ではなかなかそれをやり切れないというような部分も、横横の連携、郡でやるとか、あるいは県と一緒にやるとかというようなことも含めて工夫をいただきたいと思います。
さて、先日ちょっと、予算委員会かな、触れさせていただいたところですけれども、災害への派遣をされる職員さんたちなのですが、自衛隊の例でいいますと、二日以上現業の任務につかなければ日当が出ないんだというお話を現場からお聞きをしました。二日間だけれども、間に一日事務をやると、二日やってもこれはゼロだというような話もありまして、自衛隊、警察、消防、それから事務職員さんや現業職員さんというような形で、どのような形でこれは規定をされているのか教えてください。
○小杉政府参考人 お答えいたします。
防衛省におけます災害派遣等手当につきましては、大規模災害等が発生した場合に派遣された隊員であって、遭難者等の捜索救助等の作業に引き続き二日以上従事するもの又は特に生命に著しい危険を伴う作業に従事するものに対して支給することとしております。
手当の支給額につきましては、作業一日につき一千六百二十円が原則でございますけれども、特に生命に著しい危険を伴う作業に二日以上従事した場合には、作業一日につき三千二百四十円となります。
○迫田政府参考人 お答えいたします。
国家公務員である警察職員が、災害の現場において、災害警備、遭難救助等に連続して二日以上従事した場合は、原則として一日当たり八百四十円の災害応急作業等手当が支給されます。
また、都道府県警察の地方警察職員についても、国に準じた手当が措置されており、ほとんどの都道府県において国と同額の八百四十円が支給されるということでございます。
○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
消防職員の諸手当につきましては、地方自治法などにおきまして、地方公共団体が条例で定めることとされております。
災害時の手当につきましても、各地方公共団体がそれぞれ、特殊勤務手当などとして、条例で定めるところにより支給されていると承知しております。
○大沢政府参考人 一般的な自治体の災害対応に係る手当につきましては、国家公務員にございます特殊勤務手当の災害応急作業等手当などを基準といたしまして、各地方公共団体の条例において定められているものと承知しております。
各地方団体の条例でございますので、全て詳細に把握をしているわけではございませんが、幾つかの団体で確認しているところによりますと、二日以上というような要件はないという団体もあろうかと思います。
○森山(浩)委員 災害現場で、横で、隣で一緒に作業をするという人たちの中で、待遇が余りにも違う、あるいは、二日やらないと駄目だという人と、一日でも手当が出るという人がいるというような状況については、これはやはりモチベーションを落とすということにもつながるかと思います。
そこで、大臣の管轄ではありませんが、内閣の一員として、各大臣とこれは御相談をいただいて、現場のモチベーションが落ちないように、待遇であるとか、あるいは額であるとか、こういったものについては横並びできるように努力をしていただきたいと思います。
○江藤委員長 谷国務大臣、答弁は簡潔にお願いします。
○谷国務大臣 はい。
委員御指摘のことをしっかり受け止めながら、大事なことは、今御指摘のありました、実際、働く職員がモチベーション高く活動できる、そういう環境整備が大事かと思いますので、そういう点にも目配りしながら、バランスの取れた待遇になるように努力してまいりたいと思います。
○森山(浩)委員 ありがとうございます。
流域治水については、来ていただきましたけれども、時間が間に合いませんでした。また今後にしたいと思います。
ありがとうございました。
○江藤委員長 次に、渡辺創君。
○渡辺(創)委員 立憲民主党・無所属、宮崎一区の渡辺創でございます。
この臨時国会から災害対策特別委員会の所属となりました。どうかよろしくお願いいたします。
党においては、今質疑に立っておりました森山局長の下、党の災害・緊急事態局の事務局長を務めております。
今回は、私の選挙区でもある宮崎県を中心に大きな被害をもたらしました台風十四号からひもとく形で質問をさせていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
二〇二二年九月十四日に小笠原近海で発生した台風十四号は、最も激しい時期には、中心気圧九百十ヘクトパスカル、最大瞬間風速五十五メートルと、猛烈な強さに成長して、鹿児島県に上陸をしました。その後、二十日に温帯低気圧に変わるまで、日本列島に沿うような形で北上したのは、周知の事実でございます。
報道では、過去最強クラスの勢力、危険台風というふうにも扱われました。特に宮崎県においては、県北の美郷町神門や県南西部のえびので、降り始めからの降水量が千ミリ前後というふうになるなど、非常に甚大な被害を出した、十七年前ですが、平成十七年の台風十四号の記憶をよみがえらせた県民も多く、長時間にわたり不安な時間を過ごすことになりました。
結果として、今回も三名の貴い命を失うなど、大きな傷痕をいまだ県内に残しているという状態であります。
衆議院の災害対策特別委員会では、先日の委員会で江藤委員長から御報告がございましたように、宮崎県への実情調査も派遣をいただき、つぶさにその状況を把握をいただいたところであります。この様子は地元のテレビや新聞でも報道され、県民にも広く認識をされたところです。
まず、担当大臣にお伺いをしたいと思いますが、今回の台風十四号は、昨年の災害救助法改正を受けて、同法の事前適用が可能となった最初のケースとなりました。先ほど公明党の吉田委員からも御指摘がありましたけれども、初の適用に当たり、政府の対応は円滑にいったのか、また、昨年の法改正がどのような効果を生んだのかというような辺りを中心に、政府の見解をお伺いしたいと思います。
○谷国務大臣 お答えさせていただきます。
委員御指摘のように、昨年の法改正で災害対策基本法等の改正が行われ、災害時における円滑かつ迅速な避難の確保等を図るため、いわゆるおそれ段階、大規模な災害が発生はしていないけれども、発生するおそれがある段階において国が災害対策本部を設置することが可能となり、本部が設置された場合は災害救助法の適用が可能という制度に昨年の五月になったところであります。
本年九月、台風十四号が大型で猛烈な勢力となり、暴風雨などの特別警報を発表する基準を満たす勢力で接近する可能性が高まったことから、法改正後初めて国としていわゆるおそれ段階での特定災害対策本部を設置し、宮崎県を始め九県の全市町村で災害救助法の適用が行われたところであります。
これにより、避難所が早期に開設され、住民の早めの避難行動につながったものと考えております。ピーク時には、九県の避難者数は、約九万三千人もの方が避難されたところでございます。
また、災害直後の九月二十四日に私が宮崎県を視察した際にも、おそれ段階での国の特定災害対策本部の立ち上げ、災害救助法の適用に関して、宮崎県知事から感謝の言葉をいただいたところでありますし、さらに、翌十月十三日に江藤委員長を団長とする衆議院災害対策特別委員会が宮崎県を視察された際にも、宮崎県知事から、災害救助法の早期適用によって避難所の開設をよりスムーズに行うことができ、早めの避難行動につながったとの発言があったと伺っているところであります。
引き続き、都道府県とも十分連携を図りながら、適切な制度の運用に努めてまいりたいと考えております。
○渡辺(創)委員 ありがとうございました。
早期避難につながったというのは、全くもって大臣のおっしゃった御趣旨と私も同じように思っているところであります。
事前に適用がはっきりするということは、自治体にとっては、今日も幾つか議論が出ておりますけれども、財政負担に関するある意味での精神的な、心理的な負担も軽減されるわけでありますし、報道等を通して早期の避難が促されることで住民の意識が変わってくるというのもあったと思います。
一つ興味深いデータがあります。委員の皆様にも資料として配付をしております。この赤いグラフが載っている資料でありますけれども、これは、同じような規模で同じようなコースをたどり、県民の受け止めとしては非常に近いものだった、今から十七年前の平成十七年の台風十四号と今年の台風十四号における、宮崎県内公設避難所への避難者数を比較したものであります。上が平成十七年、下が令和四年となりますが、宮崎県が作成したものを提供いただきました。
この赤い枠囲みになっているところが、宮崎県域が暴風域にあった時間です。これは、偶然にも、どちらの台風においても暴風域が二十七時間というふうに、全く同じ時間ということになっています。避難者数が、最大時の数で平成十七年が一万二千七百九十人、今回が一万一千九百八十五人。この十七年の間に宮崎県の人口は百十五万人から百六万人に減っておりますので、人口減少率などを勘案すると、避難した県民の割合はほぼ同じということになります。
本当に偶然にも、この二つの台風は、ルートも近接していましたし、規模や大きな被害を及ぼした台風であるということも同じです。さらには、暴風域にあった時間、避難規模など極めて似通っており、非常に比較しやすいデータとなっています。中身は御覧いただければ一目瞭然ですが、避難のピークの山が前の方にぐっとずれていること、さらには、早い段階から避難者数が一定の割合に達しているということがよくお分かりをいただけるというふうに思います。
もちろん、台風が来た時間帯の違いなどは多少ありますから、完全に比較できるかは別ですけれども、やはりこういう現状が起きている。
もちろん、これは法改正の影響だけではなくて、この間、熊本での台風被害など各種災害によって住民の意識が上がってきているということもあるでしょうし、情報入手の経路がSNSなど広く広がっていることにも起因していると思いますが、政府としてはこのデータをどう見るか。各種災害における住民避難の知見も加味して見解をお伺いしたいというふうに思います。
○榊政府参考人 お答えを申し上げます。
平成十七年の避難状況と今回の避難状況、なかなか簡単に比較することは難しいと考えておりますが、宮崎県知事もおっしゃっておられますように、国によるおそれ段階での特定災害対策本部の設置と災害救助法の早期適用による避難所の早期開設、これが早めの避難行動につながったのではないかと考えております。
また、委員からも御指摘がありましたが、今回の台風十四号は、伊勢湾台風並みとも言われる猛烈な勢力で九州地方に接近をしておりました。気象台や県、市町村、マスコミ等によって行われました早期避難の呼びかけにも一定の効果があったのではないかと考えております。
内閣府といたしましては、引き続き、住民が適切な避難行動を取っていただけるよう、今後も努めてまいりたいと存じます。
○渡辺(創)委員 災害は毎回毎回状況が違いますから、単純比較は難しいというのはよく分かるんです。その上で、国会でも議論があり、政府の方々も自治体の皆さんも頑張って、いろいろな取組をしてきた結果として、やはり僕は状況が動いているような気がするんです。
私も県会議員時代、十年にわたって消防団をやっておりましたけれども、やはり意識は、住民の皆さん、この間変わってきているというふうに感じておりますので、比較が難しいのは分かりますが、ある種、積み上がってきている知見も生かして、こういう避難行動に対する分析というのも今後大事になるのではないかと思いますので、是非御検討いただきたいというふうに思います。
次の質問に移ります。国土交通省にお伺いをしたいと思います。
災害時に国土交通省の現地の河川国道事務所などがリエゾンとして都道府県の対策本部などに入ることが一般化してきてから、一定の時間がたったというふうに思います。
宮崎県でも、令和二年に県の防災拠点庁舎を建設しておりますので、そういう連携もより円滑にいくようになっているのではないかと思いますが、今回の十四号に関しても同じような対応をいただき、災害後にも、二十二日には、九州地方整備局からTEC―FORCEが入り、国土技術政策総合研究所にも被災地に入っていただきました。
県や自治体からは、多数の災害現場を抱えるため、研究所の皆さんから復旧工法など技術的なアドバイスが多々あったことは非常にありがたかったという声が聞こえております。また、地元のメディア等でも、国土技術政策総合研究所の取組が何度も報道をされていました。
今回の派遣の経緯と果たした役割について国土交通省はどのように認識されているか、お伺いしたいと思います。
○丹羽政府参考人 お答え申し上げます。
本年九月に発生いたしました台風十四号によりまして、宮崎県を始め各地で甚大な被害が発生したところでございます。
国土交通省といたしましては、発生をしたのが九月十九日でありますが、その翌日、九月の二十日に宮崎県から専門家派遣の要請があったことを受けまして、その翌日の九月二十一日、宮崎県東臼杵郡諸塚村七ツ山の国道三百二十七号の道路崩落箇所に対しまして、国土技術政策総合研究所及び国立研究開発法人の土木研究所の専門家を派遣いたしまして、技術的支援を行ったところでございます。
国土技術政策総合研究所などからは、復旧に向けた技術的な助言として、被災要因は大雨による地下水の上昇等が考えられること、また、崩落箇所は岩盤の破砕が進んでいて脆弱で、山から湧き水も出ていることから、これらも踏まえた復旧工法の選択が必要であること、またさらには、復旧は、現在の盛土構造の復旧に限定せず、例えば橋梁にすることなども含めて幅広い検討をするとよいことなどを、宮崎県に対しまして助言を行ったところでございます。
○渡辺(創)委員 ありがとうございました。
今出ました諸塚村、大変小さな自治体であります。江藤委員長の選挙区でございますけれども、非常に力の限られているところの中に国の研究所からこういう派遣があったことは、本当に大きな力になったというふうに思っております。
太平洋側には細島港のある宮崎の日向市というところから、九州中央山地の懐に抱かれた、平家落人の里でもあります椎葉村というところをつなぐのが国道三百二十七号線、奥日向路とも言ったりしますけれども、この道路は非常に住民生活のためにも重要な国道でありますし、この国道三二七号が大きな被害、今、先ほどお話がありました諸塚村の七ツ山というところで、隣を流れる耳川という河川に大きく崩落をして、通行ができない状態になっています。
これも写真を資料として出しておりますけれども、先ほどのグラフの裏になりますが、二枚、写真を載せております。御覧いただければと思いますが、これは諸塚村側から九州山地の奥側、椎葉村の側に向かって撮っているものであります。奥は見ていただければ分かるようにトンネルからすぐというところでありまして、左にはダムが見えますけれども、左手は川、右手は急峻な山という、非常に急峻な地形の場所であります。
この国道は三桁国道ですので県が対応するべき路線であるわけですが、現場の状況を考えると、復旧までの長期化が予測され、限られた人員と、今回の台風によって多くの現場を抱えている県としては、なかなか負担が重いことでありました。さらには、先ほど来答弁でもありましたように、技術的な難しさもある中で、どうやって対処していくのかというのは深刻な問題と受け止められていたところであります。
十月十八日に、宮崎県知事の要望活動等も踏まえて、国の方で道路法第十三条三項に基づく権限代行で応急工事について取り組むという判断がされたと認識をしておりますが、判断に至った経緯を確認したいと思います。
○丹羽政府参考人 お答え申し上げます。
国道三百二十七号、これは、椎葉村と日向市を結ぶ唯一の幹線道路でありまして、地域にとって重要な路線であること、そういったことから、早期の交通開放が望まれているというふうに認識をいたしております。
今回の被災を受けまして、十月の十四日、宮崎県から国の権限代行で応急復旧をしていただきたいとの御要望がございまして、国土交通省といたしましては、現地に派遣した専門家からの報告などを踏まえまして、十月の十八日に権限代行で応急復旧を行うことを決定したところでございます。
○渡辺(創)委員 この権限代行によって、県は他の災害箇所に注力できるようになります。本当に国の判断はありがたい、感謝をしたいというふうに思うところですが、宮崎県においては、こういう形で国が権限代行をするというのは初めてのケースであります。今日の質問の中でもるる申しましたが、技術的な難しさもあるところでありますし、権限代行の判断から一か月になろうとしておりますので、国の早期の対応をお願いしたいというふうに思います。
先ほども申しましたように、この辺りは日向入郷地区といいますが、生活基盤のためにも重要な道路でありますし、今、間が寸断されている諸塚―椎葉という地域は、平成二十七年に高千穂郷・椎葉山地域として世界農業遺産にも認定された地域、GIAHSサイトでもあります。私も県会議員の時代に熱心に取り組んできたテーマでありますけれども。さらには、観光の側面からいっても、この奥日向路というのは非常にきれいな、本来、今から紅葉が深まれば、江藤委員長の前で言うのは恐縮ですが、本当にきれいなところでありますので、観光の側面からも是非、早期の復旧が渇望されているわけであります。
今後の応急工事の方法、また時期的な見通しなどについて、国土交通省ではどのような認識をお持ちでしょうか。
○丹羽政府参考人 お答え申し上げます。
今後の対応につきましては、この被災箇所が急峻な崖で、狭隘な箇所であることに加えまして、地盤も脆弱でありますことから、仮橋による応急復旧を行うこととしております。
まずは、片側交互通行で早期に交通開放ができるよう、復旧工事を進めてまいりたいというふうに考えております。
○渡辺(創)委員 仮橋での復旧ということで、交互通行が早期にということでありましたけれども、先ほどるる申しましたように、様々な条件面から見ても、本当に多くの県民が早期に通行できるようにというのを望んでおりますので、今答弁でも早期とありましたが、県民の皆さんの少しでも安心感をつくるためには、具体的な見通しが、ぴたりとした見通しではなかったとしても、大きな見通しがある程度見えると助かるというふうに思います。御答弁が難しいから今のような答弁だったんだろうと思いますので、是非ともその辺り、早期の対応をいただけますように、心からお願いも含めて県民の気持ちとして申し上げたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、被災者生活再建支援制度についてお伺いをします。
住家の被害についてお伺いをしたいのですが、同一災害において同一程度の被害を受けていても、市町村が対象になっているか否かで、支援金が出ないという仕組みになっています。
今回の宮崎県における台風被害でいえば、住家が中規模半壊以上の被害を受けている場合に、法適用の対象となった延岡市では国の支援対象になるものの、県南西部の都城市であると、一つの住宅でいえば同じ被害であったとしても対象になりません。聞くところでは、被害数の基準があって、建物の滅失が一自治体内において百件以上であるとか、床下浸水は三つで一件の扱いにするとか、いろいろ基準があるようです。
先ほど例に出した都城市というところでは、下川東という地区のところに被害が集中して、大きな被害が出ています。ただ、都城市全体で見ると、僅かに基準に届かなかったということで、対象市町村にならなかったというふうに聞いています。
同じ県内で同じような被害が出ていながら、対象になるところとならないところがある。もちろん、一定の基準が必要だということは理にもかなっていると思いますし、仕方がないことだというふうにも思うんですが、やはりこれは、自治体にとっても県民にとっても不公平感が漂っているというのも皆さん理解いただけるところではないかなというふうに思います。
宮崎県では、対象とならなかった被害については県と市町村の基金で対応をしていっておりますけれども、この辺りの問題点は全国知事会等からも何度となく指摘をされているところだと思いますが、政府の認識を改めてお伺いしたいと思います。
○榊政府参考人 お答え申し上げます。
災害による支援は、住民に身近な市町村による対応を原則としております。一方、一定規模以上の災害の場合には、市町村のみでの対応が困難と考えられますことから、被災者生活再建支援法等により、一定程度以上の住家被害を受けた方に対して、全都道府県の相互扶助及び国による財政支援による支援金の支給を行っているところであります。
全ての被災区域を支援の対象とすることにつきましては、国と自治体の役割分担や、国や都道府県の財政負担等の課題もあることから、慎重に検討すべきものと考えております。
なお、被災者生活再建支援法の適用基準を満たさない市町村につきましては、支援法による支援金は支給されませんが、都道府県が全壊等の世帯に対して支援法と同様の支援を行えば、その支援額の二分の一を特別交付税で措置することとしております。
既に、宮崎県を含む二十八都府県でこうした独自支援制度が導入されているところであります。これにより、宮崎県を含む二十八都府県では、市町村が適用基準を満たしていなくても、被災世帯には独自支援制度による支援金が支給されると考えております。
内閣府といたしましては、災害に被災した方への支援について、自治体等とも連携して、住宅の再建等が進むよう、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
○渡辺(創)委員 今の御答弁は、理屈としてもそのとおりだというふうに思うんです。
どこかに線引きが必要だというのも重々分かっているところですが、今回の台風十四号は、重立った被害が宮崎県に集中しました。その集中している宮崎県の中でも、県北の方も本当に大変でありましたけれども、やはり都城も、本当に固まった地域でありましたので、大変だという意識が県民の中にもあるんですね。
もちろん、基準にどのぐらい足りなかったのかというような数字は公表されているものではありませんけれども、ほぼその基準のところまで行っているのになぜこうなるのかという声が、やはり県民の皆さんの中にもたくさんあるというところであります。
ここは、解決は簡単ではないと思いますし、補完するための措置もあるという今御答弁でありました。ただ、それを活用してもやはり、都道府県や市町村が、宮崎県の場合は基金をつくってやっていますけれども、やはり重たいということ自体は事実であります。
同じ国民が同じ災害で同じような被害を受けた、それに対して国が、先ほど森山委員の質問の中で、大臣の中で、行政の公平性というお言葉が答弁の中でありましたけれども、違う流れの中ですからそのまま取るのもちょっと恐縮ですが、住民の立場から見れば、これは行政の公平性としてはなぜだろうというふうに思うところでもありますので、是非その辺り、しっかりこれからも議論を深められればというふうに思います。
今日は、本当はこのほかにも、農業被害に対する被災者支援対象事業の発動基準のこととか、掛金が高額な漁業施設の共済、養殖共済の対象の問題、さらには医療施設等災害復旧費の補助金などについてもいろいろ課題が見えてきているところでありますが、また改めて機会を見つけて議論させていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。
○江藤委員長 次に、奥下剛光君。
○奥下委員 日本維新の会の奥下剛光でございます。
本日は、大臣、多忙の中、このような機会を頂戴しましてありがとうございます。
では、早速質疑に入りたいと思います。
大臣は、所信で、台風十四号、十五号のことに触れられ、「こうした災害に対して、被害状況の早期の把握や被害者の救援救助活動に全力を尽くすとともに、生活、なりわいの再建、復旧復興対策等について、関係省庁一体となって対応してまいりました。」というふうにおっしゃっておられますが、さきの台風十五号で、記録的豪雨が静岡であり、このときの知事、市長の対応がニュースでも話題となっておりました。
当時、政府としてどこまで被害状況を把握しておられたのでしょうか。また、このような知事、市長のやり取りをどのように受け止められておられたのでしょうか。
災害対策基本法の第六十八条の二には、市町村長は、都道府県知事に対し要求ができない場合には、その旨及び当該市町村の地域に係る災害の状況を防衛大臣又はその指定する者に通知することができる、この場合において、当該通知を受けた防衛大臣又はその指定する者は、その事態に照らし特に緊急を要し、要請を待ついとまがないと認められるときは、人命又は財産の保護のために、要請を待たないで、自衛隊法第八条に規定する部隊等を派遣することができるとあるんですが、こういったことができたのではないのかなというふうに思っているんですが、いかがでしょうか。
○榊政府参考人 お答えを申し上げます。
政府におきましては、九月二十二日、台風十五号の接近前から関係省庁災害警戒会議を開催し、各省庁及び地方公共団体における体制の確保を確認いたしました。また、被害情報や政府の対応状況につきましては、二十四日の十時から切れ目なく把握するとともに、政府一体となって災害応急対策に取り組んできたところであります。
お話のありました自衛隊への災害派遣要請につきましては、まず、自衛隊法第八十三条に基づき、都道府県知事が、天災地変その他の災害に際して、人命又は財産の保護のため必要があると認める場合には、部隊等の派遣を防衛大臣又はその指定する者に要請することができることとされております。
また、委員御指摘のとおり、市町村長は、災害対策基本法第六十八条の二に基づき、都道府県知事に対し、災害派遣要請をするよう求めることができることとされております。
こうした要請を適時的確に行っていただくためには県と市が緊密に連携することが重要であると考えており、内閣府といたしましては、人命又は財産の保護のため必要があると認める場合には、ちゅうちょなく災害派遣要請を行っていただきたいと考えているところでございます。
○奥下委員 ありがとうございます。
先ほど深澤代議士もおっしゃっておりましたが、やはり県と市、この温度差があるところは、やはり国が旗振りをしてそういったことを構築していく必要があると思うんですけれども、災害のたびに得られた経験や教訓を生かすというふうにも所信にありますが、今回のまさに静岡豪雨では、教訓にすべきことは、それはいろいろなことがありますけれども、今回ニュースに残念ながらなってしまった、大臣や知事とか知事や市長等のホットラインを構築すべきだというふうに感じています。
大阪府でも、大阪府知事と大阪市長の机の上に固定電話があって、受話器を上げたら鳴るというようなホットラインが構築されております。しかし、これは、維新が今、府知事と市長をやらせていただいておりますけれども、その前は、やはり選挙等あって仲が悪くて何十年も使われていなかったとか、こういった人的関係とか政党的関係とか、これはやはり災害に全く関係ないので、こういったホットラインをまさに構築していくべきだと思っております。
大阪府の災害復興対策等も読んでも、いろいろな場面で国と連携してという文言が出てくるんです。これは多分どこの県でも一緒だと思うんですけれども、こういったホットラインをちょっと構築していくことを御提案したいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○榊政府参考人 お答え申し上げます。
令和二年の台風十号の際には、九州に接近する四日前から、特別警報級の台風となることが予想されておりました。その際には、当時の武田防災担当大臣から被害のおそれの大きい九州各県の知事へ、人命を最優先とした早期避難について改めてお願いするなど、直接電話で連絡をしたこともございます。
内閣府といたしましては、都道府県等と災害対応の連絡体制を構築しておりますが、引き続き必要な情報が都道府県等に届けられますよう、今後も適切に対応してまいりたいと存じます。
○奥下委員 是非お願いしたいと思います。
大阪も、維新ができる前、大阪に大和川というところがあって、氾濫水域になってきたというときに、大和川の北側が大阪市で、南側が堺市で、大阪市は、危機管理監がすぐ市長に連絡して、すぐ避難命令を出しました。しかし、堺市は、危機管理監が市長に連絡して、市長が現場を見て避難命令を出したということで、一時間ぐらい差があって、当時ちょっとこれは話題にもなったんですけれども。昔から、大和川の南側はよく氾濫して、家畜が流れてきたというような記事もよく目にしておりました。
是非、これは大阪の地方のレベルの話ですけれども、各地でこういったやはり温度差、組織的な判断の仕方があると思うので、ある程度マニュアル化していただいて、無駄のない判断ができるような、プロに作っていただくことを是非率先してやっていただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。
次の質疑に移ります。
災害による被害が広がり、不幸にも人が亡くなってしまった後の防災に関しては、この国は確かにすばらしいものがあると思うんですけれども、人を死なせないための観点がちょっと欠けているように感じております。
被災後よりも、災害発生前における人が亡くならないための教育が重要だと考えているんですけれども、この国の防災教育の理念とは何を基につくられているんでしょうか。
○里見政府参考人 お答えいたします。
令和四年三月に閣議決定されました第三次学校安全の推進に関する計画におきましては、防災教育は、単に生命を守る技術の教育として狭く捉えるのではなく、どのような児童生徒等の資質、能力を育みたいのかという視点から防災を通した教育と広く捉えることも必要であると示されておりまして、防災教育には、特に、地域と学校が連携して防災教育に取り組むことを通じて大人が心を動かされ、地域の防災力を高める効果も期待できるとされているところでございます。
○奥下委員 ありがとうございます。
確かに、地域と連携していくこと、これは大事だと思いますけれども、地域の防災等を協力していただける方々、御高齢の方がどこの地域も多いと思うんですけれども、僕の世代もそうですけれども、これまでの防災教育は、まず、日本における防災対策に欠陥はないというような観点を前提に教え込まれてきたと思っております。国や自治体が予測や計算をして造った堤防が決壊するわけがないとか、防潮堤を越えるような津波が来るわけがないと信じていましたが、やはりこれは、東日本大震災で分かったように、どんな綿密な予測をしても、それを超える災害はやはり起きてしまいます。
万が一災害が発生したとしても、自治体が警報などを発令し、消防などが必ず救助してくれると多くの方は思っておられます。このような他人任せの至れり尽くせりの防災が日本には残念ながら浸透していると感じております。自分で考えて行動しなくても大丈夫だという意識が根づいています。
例えば、小学校の避難訓練の際、地震発生直後にまずどのような行動を取るべきか。ほとんどの方が机の下に潜って揺れが収まるまで待つと習っているはずです。なぜ机の下に潜るのか。やはりこれは、落ちてくる照明や本棚から身を守る、この程度だったら机で十分ですが、それが近年、高層ビルも建っていく中、建物が崩れ落ちるほどの揺れだったらとか、自分がいる建物が無事でも隣のビルが崩れ落ちてきたらなど、これは当然、言うまでもなく机では意味がないことで、この場合に重要なのは、いち早く建物から当然逃げるということなんですが、災害時にはいろいろな危険があるにもかかわらず、それらを、身を守る方法を一つしか教えてこなかったというのが問題だというふうに受け取っております。
谷大臣の御地元でもある、一九九五年に発生しました阪神・淡路大震災では、机やテーブルの下から多くの遺体が発見されました。そういった事実があるのに、地震が起きたらすぐに机の下に隠れるということを、いまだにこれが一番やるべきことだと教えるのはどうなのかというふうに疑問を感じております。日本のいいところでもあり悪いところだと思うんですけれども、何も考えなくても反射的にここまで行えるところまで落とし込んでしまった、これが想定外を想像できなくしてしまっているというふうに思っております。これが最悪の事態を招くことにつながっております。
そのためにも、災害では想定外のことが起きることを想像しておくことがやはり重要だと考えております。言い換えれば、これまでの常識を疑うということですね。常識では命を守れません。過去に被災者が出ているのに、これまでの常識では考えられない規模の想定外の災害が起きているからです。常識というのは想定の中から生まれているので、常識を疑わないと想定外を考えられないということです。やはり、これは経験を積むことでしか覚えられないと思っております。
大臣も、所信にあるように、教育や訓練の充実というふうにおっしゃっていただいているので、民間にはこういった体験型の教育というのが今どんどん出てきておりますので、どうぞ、こういったことも地域、学校に取り入れていっていただけるように指導していただけたらと思います。
次に、COP27において、異常気象が人為的な影響で引き起こされていることが科学的に証明され始めており、先進国に対し途上国が脱炭素支援の拡充を図る論拠となっているとの話ですが、この国で人為的な影響で起こっていると証明されている事案はあるのでしょうか、教えてください。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
災害を発生させるような個々の異常気象は、大気や海洋が本来持っている自然の揺らぎが偶然重なった結果発生するため、その発生に地球温暖化がどの程度影響していたかを定量的に評価することは困難であるとこれまでは考えられてきておりました。
しかしながら、近年では、温暖化した現在の気候状態と温暖化しなかったと仮定した場合の気候状態のそれぞれにおいて大量の数値シミュレーションを行い、その結果を比較して評価するイベントアトリビューションという手法を用いることで、気候変動による影響を定量的に把握することが可能になってきております。
例えば、気象庁気象研究所等の研究によれば、甚大な洪水被害等をもたらした平成二十九年七月九州北部豪雨及び平成三十年七月豪雨に相当する大雨の発生確率は、地球温暖化の影響がなかったと仮定した場合と比較して、それぞれ約一・五倍及び約三・三倍の発生確率になっていたことが示されております。
さらに、文部科学省及び気象研究所の研究結果の速報によれば、本年六月下旬から七月初めの記録的な高温は、人為起源の地球温暖化がなければおよそ千二百年に一度しか起こり得なかった非常にまれな現象であったことが報告されております。
○奥下委員 ありがとうございます。
そういった人為的なものを、なるべく、当然、カーボンニュートラルという観点からも抑えていかれる方針を取っていかれると思うんですけれども。これは答えにくいと思うんですけれども、例えば、シンガポールなんかでは、大きな雨雲が来たときにミサイルを飛ばしてその雲をかき消してしまうというようなことも取っているようですので、これをやるにはまたいろいろあると思いますけれども、例えばこういったことも踏まえて、いろいろな手法を取っていっていただけたらと思います。
そして、今回のCOP27で、我が国はどういった提案を主張されていくんでしょうか。教えてください。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
COP27では、西村環境大臣が現地エジプトに入り、日本国代表としてステートメントを行うほか、二十人近くの閣僚等とバイ会談を行う予定としております。その際、世界の脱炭素化に貢献する我が国の取組について積極的に発信し、国際社会の議論をリードしてまいりたいと考えております。
特に、パリ協定の一・五度C目標の達成に貢献する取組として、我が国が長年にわたって議論をリードしてきた二国間クレジット制度、いわゆるJCMを始めとする市場メカニズムに関して、パリ協定六条実施パートナーシップを立ち上げる予定としております。
このパートナーシップを通じ、パリ協定六条ルールの理解促進や、研修の実施等、各国の能力構築に関する支援を行い、質の高い炭素市場を構築するとともに、JCMの拡大にもつなげ、世界全体の温室効果ガスの更なる排出削減に貢献してまいりたいと考えております。
○奥下委員 ちょっと厳しい言い方をするようになるかもしれませんけれども、COP26の報告を受けたときも、カーボンクレジットであり、いろいろ日本としてリードする提案をできたという御報告をいただいたんですけれども、だけれども、COP27が始まってすぐに、化石賞、これを二年連続受賞しております。こういった評価をされている国の言うことを海外がすぐ聞いてくれるのかといったら、僕はちょっと疑問に思うので、どうぞ、来年こそは取らないように何とか努めていって、今おっしゃっていただいたようなリードをしていっていただけたらというふうに思います。
次に、所信に触れられている、デジタル、防災技術の活用促進について、岩手県の矢巾町と岩手大学が共同研究している火災報知機の研究成果というのに取り組んでおられるみたいなんですけれども、今後の可能性について教えてください。
○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
消防庁におきましては、消防防災活動に関する新たな装備、資機材や情報システムの開発等を進めるために、競争的研究費でございます消防防災科学技術研究推進制度により研究開発を支援しております。
この制度におきまして、今御指摘ございました、岩手大学と消防機器の製造事業者、地元消防本部が協力して進めている研究開発がございまして、これに対して令和三年度から資金を配分しております。
この岩手大学の研究におきましては、住宅用火災警報器とスマートスピーカーを連動させることで、火災発生時にあらかじめ登録したスマートフォン等に通知を送るシステムが開発されておりまして、これまでに試作機の作成、改良などが進められております。今後は、岩手県矢巾町内の自主防災組織等の協力を得まして、実証実験が行われる予定であると聞いております。
このシステムは、火災発生を早期に周囲の住宅に知らせることができること、また、市販のスマートスピーカー等を活用することから導入費用を低く抑えることができることから、このような技術の実用化が期待されているところでございまして、今後の研究開発の進展を見守ってまいりたいと考えております。
○奥下委員 ありがとうございます。
先ほど吉田代議士もおっしゃっておられましたけれども、本当にデジタル、通信の環境を整えることは大事だと思っておりまして、矢巾町が取り組んでいるやはばWiFi、大きな可能性を感じています。
所信にもありましたデジタル都市構想も踏まえて、通信インフラ網をもっともっと整えていただき、災害対策等、可能となることが多いので、こういった可能性について、もっと力を入れていく拡充計画等があれば教えてください。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のありましたデジタル田園都市国家構想の実現に向けまして、光ファイバーや5Gなどのデジタル基盤の早期整備、これは必要不可欠であるというふうに考えているところでございます。
総務省におきましては、本年三月にデジタル田園都市国家インフラ整備計画を策定しまして、例えば光ファイバーにつきましては、二〇二七年度末までに世帯カバー率を九九・九%などの整備目標を掲げるとともに、整備の加速化を図るための様々な施策に取り組んでいるところでございます。
特に、採算性が厳しい地域での整備につきましては、光ファイバーや5Gの整備に対しまして、補助金によります支援を行うとともに、自治体や通信事業者等で構成されます地域協議会を開催しまして、個々の地域の実情を踏まえた整備を進めておるところでございます。
総務省としましては、地域の声を丁寧にお伺いしながら本計画を着実に実行しまして、災害時を含めて、国民の誰もがデジタル化の恩恵を実感できる社会の実現に向けて全力で取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
○奥下委員 ありがとうございます。
取り組んでいただけるということですが、やはり、携帯大手三社含めて、企業ですので、ある程度もうからないところにはアンテナとか立てないと思うんですよ、やはり後回しになると思うんです。
そういったことも考えると、やはり総務省さんが主導していただいて、このやはばWiFi、町とかがやっていくのが一つの新しい切り口になるんじゃないかなというふうに思っておりますので、是非ちょっと御検討いただけたらというふうに思います。
次に、先日、大阪急性期・総合医療センターへのサイバー攻撃があったという記事がありました。これは大阪府立なので、府としてはきちんと取り組んでいくんですけれども、災害指定病院にもなっております。
これはたまたま災害が起きていないときに起こった事例ですけれども、ほかの病院等にもこういったサイバー攻撃が続いているというふうに聞いております。
災害が起こったときに、こういった災害指定病院を狙ってサイバー攻撃をすることも今後は可能性として考えられると思うんですけれども、国として何かバックアップしていただけるようなことはないでしょうか。
○城政府参考人 お答え申し上げます。
厚生労働省におきましては、医療情報システムの安全管理に関するガイドラインというのを定めておりまして、その中で、医療機関に対しまして、バックアップデータの保存やサイバー攻撃を想定した訓練の実施など、対策を強化するよう求めているところでございます。
これらの対応を行うに当たりまして、厚生労働省におきましては、医療機関に必要な人材を育成するための医療機関の経営層、医療従事者向けのサイバーセキュリティー対策に関する研修や、研修資材の提供でありますとか、診療報酬におきます要件としての体制評価を行ったりしているところでございます。さらに、更なる強化策をこの九月に取りまとめまして、医療機関で対応が困難な初動対応の支援の仕組みを構築したところでございます。
今回の、御指摘の大阪府の大阪急性期・総合医療センターから厚生労働省に対しまして、ランサムウェアと見られるサイバー攻撃により電子カルテシステムが使用不能となったとの報告がございました。これにつきましては、速やかに医療機関に専門家を派遣し、感染原因の特定や対応の指示といった初動対応支援を行ったところでございます。
今回の事案では、医療の提供につきましては、地域の医療機関の御協力等によりまして対応ができているという報告はいただいておりますが、一般的な災害が生じている場合につきまして、厚生労働省としては、例えば、医療機関の被災状況やDMATによる支援の要否等を迅速に把握できるような広域災害救急医療情報システム、EMISを整備したり、都道府県が医療機関の被災情報を確認しライフラインの回復を進める等、必要に応じてDMATを派遣し、回復、医療機能の維持に努められるような総合調整、さらに、都道府県を越えたDMATの派遣調整等を行っているところでございます。
サイバー攻撃そのものにつきましては、一義的に災害ということで考えているわけではございませんが、そこに伴います医療の支援の必要性等につきましては、都道府県で御判断をいただいて、必要に応じて、支援要請をしていただければ、DMATの派遣等をしていく形になると考えております。
今後とも、厚生労働省として必要な対応ができるよう、引き続き、都道府県、特に今回の件では大阪府と連携をして、状況把握に努めていきたいと考えております。
○奥下委員 その要請等をするのも、先ほど提案させていただいたように、やはりホットラインを構築していただけるようにお願いいたしまして、私の質疑を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○江藤委員長 次に、古川元久君。
○古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。
昨日、三重県沖で深発地震があって、これは南海トラフの地震とは関係がないというような報道がされておりますけれども、前々から、首都直下地震や東南海トラフ地震、こうした大規模地震は、起きる起きると私は子供の頃から言われてまいりました。まあ、そこにいる工藤さんなんかもね。小学校ぐらいの頃から東海大地震が起きるからと言われてきたけれども、今まで起きていない。
ただ、周期等から考えると、今まで起きていないから起きていないというわけじゃなくて、今この瞬間に起きてもおかしくない。それくらい、将来のリスクではなく、今そこにある危機、そう考えて備えをしていかなければいけないと思っていますが、大臣の認識をまず最初に確認させていただきたいと思います。
○谷国務大臣 お答えいたします。
首都直下地震とか東南海トラフ地震等の大規模地震への認識でございます。
文部科学省地震調査研究推進本部の地震調査委員会によると、今年の一月時点で、南関東地域でマグニチュード七クラスの地震が発生する確率は、三十年以内で七〇%、また、南海トラフでマグニチュード八から九クラスの地震が発生する確率は、三十年以内に七〇から八〇%と推定されております。
これらの地震による被害についても、中央防災会議の試算では、首都直下地震の経済的被害額は最大約九十五兆円、南海トラフ地震の死者数が最大約三十二万三千人とされているなど、我が国全体の国民生活、経済活動に極めて甚大な影響が見込まれているところであります。
委員御指摘のとおり、これらの地震はいつ起こってもおかしくないと考えており、甚大な被害想定に対し、命を守るということを基本として、被害の最小化を目指して全力で防災対策に取り組む必要があると認識しているところでございます。
○古川(元)委員 ありがとうございます。
その認識の下に、では、ちゃんと備えが本当にきちんとなされているかどうかということについて、今日はちょっとお伺いしたいと思います。
私自身、政権にいたときに東日本大震災に直面をいたしました。こういう大災害が発生した場合には、平時の法令で対応しているとうまく対応できないということもしばしばあります。東日本大震災の際には、私は仙谷副長官の下で被災地対応に携わりましたけれども、法令の壁にいろいろなところでぶつかって、法令を守っていると、被災地の対応が遅れてしまうとか、対応ができない、そういうことで、いろいろ相談があると、とにかく、政治が全ての責任を負う、だからやってくれと言って、現場で法令と異なる対応を認めたことが幾つもありました。
例えば、ヘリコプターなんというのは、どこにでも離着陸できるわけじゃなくて、ちゃんと決められたヘリポートじゃないと駄目なんですけれども、しかし、救援物資を届けるためであれば、これはもうどこでも、空いているところがあったら、降りられるんだったら降りていい、そういう形で、普通であったらば着陸できないところに降ろしたりとか。
また、当時、南相馬とかあちらの方で油が足りないということで、市長からも頼まれてタンクローリーを送ったんですが、送ったはずなのにちっとも来ないといって、どうなっているかと聞いたら、タンクローリーは郡山インターまで行ったんですけれども、そこから先、放射能の不安で運転したくないというので、運転手がそこからタンクローリーを運転しないという状況になってしまって、郡山インターのところで滞留してしまっていると。
では、放射能のリスクがありながら誰に運転してもらうんだと。自衛隊にお願いしようかと言ったんですけれども、自衛隊員というのはタンクローリーとか運転できるんですけれども、自衛隊法の中では自衛隊車両以外のそういうものを運転しちゃいけないということになっていて、最初は無理ですと言われたんですよね。でも、そんなことを言っていたら、とにかく油が向こうは困っているので、もうそこは法を超えてでも運転してもらってということでやってもらったりとか。本当に幾つも超法規的な対応を、当時、政治の責任で行った記憶があります。
しかし、本来は、こうしたことを幾ら有事であってもしなくてもいいように、やはり平時の際から、こうした有事の場合には平時の法令の適用を特例的に除外するなどして、ちゃんと対応しておいて、特に、自衛隊の皆さんなんというのは現場で本当に活躍していただいているわけなんですけれども、そういう救援部隊が現場でできる限り自由かつ臨機応変に対応できるような、そのために必要な法改正などは、やはりちゃんとこの平時のときにやっておくべきじゃないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○谷国務大臣 お答えさせていただきます。
古川委員が東日本大震災の様々な厳しい経験を踏まえて、今の御質問かと思います。
今まで政府においても、災害時に対応した法制については、その東日本大震災の教訓を踏まえて、平成二十四年、二十五年の二度にわたり災害対策基本法の改正を行ったほか、復興に関する基本的な枠組みがなかったということで、初めて大規模災害からの復興に関する法律を制定したところでございます。そのほか、運用面でも、大規模災害時において緊急車両の通行ルートを確保するための道路管理者による移動命令、車両移動を可能とするなど、法の見直しも行ってきたところであります。
しかしながら、まだまだ、委員御指摘のように、万全ではないかと思います。国民の安全、安心を確保するため、制度面及び運用面の両面にわたり、常日頃から、引き続き不断の見直しを行いながら、防災対策に万全を期してまいりたいと考えております。
○古川(元)委員 こうした災害時の救援活動は、本当に一刻をやはり争うんです。ですから、せっかく現場に自衛隊員とかあるいは警察、消防の人がいても、法令の壁でなかなかこれが動かせないということがあって、その結果、救われる命が救われないというようなことはあってはならないと思います。是非それは、いろいろな場合を想定し、過去の経験等も踏まえて、平時から必要な法改正等もやれることはやって、現場で何か起きたときに、自衛隊員の皆さんや救援に入った人たちが本当に法令の壁で救える命を救えないなんということがないように、その整備をしっかり進めていただきたいというふうに思います。
次に、今ちょっと自衛隊の話を申し上げましたけれども、災害時、本当に自衛隊の皆さんが大変に御尽力いただいて、自衛隊に対する国民の信頼は年々高まっていると思います。これはこれでいいことなんですけれども、ただ、最近、私、感じるのは、何か起きると、鳥インフルでも豚コレラでも、そして今回の新型コロナでも、何か困ると自衛隊にお願いしようという感じになっていて、自衛隊員の皆さんの負担がどんどんどんどん年々重くなっているんじゃないかなと。安全保障の、国を守っていく、そうした訓練とか何かの時間もこうした災害対応とか何かで削られているんじゃないか、そういう懸念もいたしております。
しかし、やはり、多くの人にとって、困ったときには自衛隊に頼りたい、そういう思いを持っているのは事実であります。
したがいまして、大規模災害が発生したとき、たまたま自分の住んでいる近くに自衛隊の駐屯地なんかがあれば、その駐屯地周辺の住民は、避難所に行くよりも駐屯地に逃げ込んだ方が一番安心だといって避難所に避難してくる、それは十分あるんじゃないか。
東日本大震災のときも、避難所になっていない大きな病院とかそういうところ、私も後で被災地を回るときに言われたのは、避難所になっていないんだけれども近隣の住民がみんな病院にやってきて、そうすると、病院では、病院の中にいる患者さんや、あるいはお医者さん、看護師さんたちの分の食料とか備蓄をしているけれども、やはり、避難してきた人たち、それをないがしろにするわけにもいかないから、結局、備蓄していたものがすぐなくなっちゃったりとか。ですから、避難所になっていなくても、やはり避難されるという場合があるんですね。
特に、やはり自衛隊の駐屯地なんというのは、そこに行けばもう何でもあって、ここが一番安心だと。私が自衛隊の駐屯地の近くに住んでいたら、避難所よりも駐屯地に逃げ込むんじゃないかというふうに自分自身も思うんですけれども。
ただ、駐屯地の隊員の皆さんは、基本的には、そういう災害が起きたら、そこから出ていって救援活動に携わることになっているんだと思います。しかし、それでもやはり来る人がいる。そういう、駐屯地が避難所に指定されていなくても、避難してくる人がいれば、駐屯地はこうした避難する人たちを受け入れる、そうしたことにはなっているかどうか、確認させていただきたいと思います。
○小杉政府参考人 お答えいたします。
大規模な災害が発生した場合の避難者等の受入れにつきましては、防衛省防災業務計画におきまして、地方公共団体等から避難者等の駐屯地等への受入れを求められた場合、駐屯地司令等は、受入れ可能な範囲で避難者を受け入れ、避難者に対して所要の支援を実施すると規定しております。また、受入れを行う場合には、地方公共団体等と同職員の駐屯地等への配置、そして、避難所等への早期移管等を調整するとも規定してございます。
各駐屯地等におきましては、この考え方に基づきまして、部隊の災害派遣活動に支障のない範囲で避難者をお受けするということになります。
○古川(元)委員 ちょっと今の答弁で確認させていただきたいんですが、それでは、自治体等からの要請がなかったら、周辺住民が駐屯地に駆け込んできて、ここに避難させてくれと言った場合、どうするんですか、それは。
○小杉政府参考人 お尋ねの地方公共団体の方から受入れの求めがない場合でございますけれども、そこはやはり、大災害が起きているということでございますので、一時的に受け入れることはいたすと思います。後でまた地方公共団体との調整をするということになるというふうに思います。
○古川(元)委員 それはそうですよね。私も地元の代議士でありますから、そういったお話も伺いましたけれども、やはり、逃げてくる人を入れないわけにはいかない。だから、協定がなくても受け入れることになるんだと思います。
では、受け入れた場合に、ちゃんと避難者に対して対応できるような、そうした必要な物質の備蓄とかそういうものは、一応ちゃんと駐屯地においては整えられているんでしょうか。
○小杉政府参考人 お答えいたします。
防衛省・自衛隊は、災害時において、自衛隊員がその業務を継続するために必要な物資等を各駐屯地等に備蓄しております。他方で、災害派遣で被災者に供給するためや、駐屯地で受け入れた避難者の方々に供給するために必要な物資等の備蓄は、そのための備蓄というのは行ってございません。
ただ、先ほど委員もおっしゃっていたとおり、駐屯地には一定程度の物資等がございますので、それを活用しながら避難者の方々への支援というものを行っていくということでございます。
○古川(元)委員 やはり、これは事実上、避難してきた人がいたら、ちゃんとそれはあるもので対応せざるを得ないんだと思うんですよね。であれば、ちゃんとやはりこれは日頃から準備をしていく必要があるんじゃないか。
先日防衛省に聞きましたら、既に駐屯地の中には、所在する市町村と協定を結んで、災害時には地域住民の避難を受け入れることとなっているところもありますけれども、まだ協定を結んでいないところも多いようであります。私の地元にある守山駐屯地も、この前いただいたリストだと、まだ入っていませんでした。
しかし、さっきから申し上げているように、やはりこういう大災害のときには、駐屯地所在地の周辺の住民が避難してくる可能性というのはかなり私は高いんだと思うんですね。ですから、避難者が来たら、そこはその範囲で対応します、そういう受け身の姿勢じゃなくて、むしろ、これは防衛省の方から駐屯地が所在する市町村等に対して積極的に働きかけて、ちゃんと地元駐屯地と協定を締結して、いざというときにはちゃんと受けられるような、そういう準備をしておく。やはりそれが、駐屯地がある地域住民にとっても、地域で信頼される、親しまれる自衛隊としても必要なことではないか。
市町村の方から言われてからじゃなくて、ちゃんと前もってそういう協定を、できるんだったらやっていきます、やりませんかとむしろ防衛省の方から、駐屯地の方から呼びかけるぐらいのことをやってはいかがですか。
○小杉政府参考人 お答えいたします。
防衛省・自衛隊は、平素から、都道府県防災会議の開催時や地方公共団体等との共同での防災訓練の場におきまして、その地域の災害派遣等を担任する部隊等から、自衛隊の災害派遣の目的、所在部隊の能力など、自衛隊の防災業務に関する様々な事項について、関係機関、都道府県等との連絡調整を行っているところでございます。
防衛省・自衛隊としては、こうした連絡調整を通じまして、先ほど委員御指摘の大規模災害等の駐屯地での避難者の受入れや、これまた御指摘のありました協定の締結も含めまして、自衛隊の防災業務等について理解が得られるよう努めてまいりたいと思います。
○古川(元)委員 何か今の答弁だと、働きかけるのか働きかけないのか、よく分からない。どっちなんですか。
○小杉政府参考人 既に協定を結んでいる自治体もございますけれども、自治体、委員も御案内のとおりだと思いますが、様々な事情を抱えられておりますので、全てのところで協定を結ぶことがいいことかどうかというのもありますので、そこは、地域の事情も踏まえながら、我々も自治体といろいろ話合いをしていきたいと思っております。
○古川(元)委員 もちろん、話をしても、いやいや、もういいですという話もあるかもしれない、そういうことも。でも、やはり備えあれば憂いなしなんですから、そういう協定をやっているところもあるのであれば、ふだんから、やりませんかと。それはいいですと断られれば別ですよ。
私は、ちょっと名古屋市の方にも問合せをしてみようと思っていますけれども、地域の人からしてみたら、自衛隊がいざというときにそういった意味で受け入れてくれるということは、やはりこれは安心にもつながるわけであります。
ですから、是非そこは、防衛省の方も受け身じゃなくて、もっと積極的に駐屯地が所在する市町村なんかに働きかけていただきたいということをお願いしたいと思います。
時間も限られていますが、最後にちょっと大臣にお伺いしたいと思います。
今、日本を取り巻く安全保障環境は極めて厳しくなっております。そういう意味でいうと、こうした状況に鑑みますと、今後は、大災害が起きたときとか、あるいは、例えば台湾有事などの有事、こうしたものが、有事と大災害が同時に発生する、そういう事態というのも、やはりこれからはもう想定に入れておかなきゃいけないんじゃないか。
そうすると、有事対応のために自衛隊による災害対応が十分できない場合ということがあり得ることは想定されると思うんですけれども、そうした場合の災害対応の在り方について、自衛隊に余り頼れない、政府はちゃんと、きちっと考えているんでしょうか。
○谷国務大臣 お答えさせていただきます。
ただでさえ、大災害への対応というのは大変なことかと思います。それに加えて、古川委員御指摘の、例えば台湾有事等の有事と同時発生的に生じたときはどう対応できるのかということかと思います。
なかなか難しいといいますか困難なところもあろうかと思いますが、一応、政府においては、南海トラフ地震や首都直下地震が発生した場合の具体的な応急対策活動に関する計画を定めているところであります。
この計画では、これらの地震の発生時には、国防、社会秩序の維持及び消防のために不可欠な部隊を除いた上で、警察、消防、自衛隊及び海上保安庁の部隊その他の応援部隊を被災地に迅速に最大限投入し、人命救助を第一とした災害応急対策活動に全力を尽くすということにしているところでございますが、しっかりとこうした計画が実効性あるように、常日頃、今後とも努力してまいりたいと思います。
○古川(元)委員 有事というのは、どれぐらいの規模で、どれぐらい自衛隊を動員しなきゃいけないかということはなかなか分からないわけです。ですから、災害と違って、有事と同時発生というときは自衛隊に頼れない、そういう場合でも被災地対応ができる、そこは、ちょっと今までとはやはり全く次元の違うレベルで、そういった場合にどうするのか、そこは政府としてしっかり考えていただきたいということを最後にお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。
○江藤委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
災害救助法の適用について質問します。
九月の台風十四号では、九州七県を始め九県、二百八十九の市町村で、災害救助法第二条第二項、すなわち、災害が発生するおそれ段階での適用がなされました。ところが、台風が過ぎ去って間もない九月十九日から二十六日にこの災害救助法は終了しました。最も被害の大きかった宮崎県では、住家の被害は千五百五十八棟に及んでいますが、延岡市を除いて、こうした災害救助法の必要な救助が受けられていません。
過去、幾つもの災害では、災害救助法施行令第一条第一項第四号、多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれが生じており、継続的に救助を必要としている、この判断で第四号適用がなされてまいりました。なぜ、台風十四号では、二条二項から四号適用に切替えがなされなかったんでしょうか。
政府としては、台風接近から上陸に至る被害発生時に四号適用を自治体に働きかけたのか、宮崎県に対してはどうだったのか、簡潔にお答えいただきたいと思います。
○榊政府参考人 お答えを申し上げます。
本年九月でございますが、昨年の災害対策基本法等の改正後初めて台風第十四号が接近する段階で、国が特定災害対策本部を設置し、宮崎県を始め九つの県の全市町村で、おそれ段階での災害救助法の適用が行われました。
これを受けて、おそれ段階の救助として避難者に対する避難所の供与が行われましたが、台風が過ぎ去った地域におきましては、避難所に避難される方が徐々に減っていきましたことから、順次避難所が閉鎖され、救助が終了したものと承知をしております。
また、台風十四号における災害発生後の四号適用についてお尋ねをいただきました。
私ども、九月十九日以降、宮崎県に対して、災害により多数の方が生命身体に危害を受け、又は受けるおそれがある場合には、ちゅうちょすることなく災害救助法の適用を行うようメールや電話で助言を行ったところでございますが、最終的には、被災状況等を踏まえ、宮崎県の判断により四号適用を見送ったものと承知をしております。
○田村(貴)委員 そこで、大臣、私の方から提案させていただきたいんですけれども、自治体においては、二条二項から四号適用にシフトする段階で、施行令第一条第一項第一号滅失家屋の数が頭をよぎるかも分かりません。四号適用がもっと手を挙げやすいように、今統括官がおっしゃったように、国として、ちゃんと、もっと分かりやすく説明する必要があるんじゃないかと考えます。
例えば、特別警報が発せられたら、もうちゅうちょなく四号適用、手を挙げていいんですよ、そういうイメージが伝わるような説明を、理解を促していく必要があると思いますが、この経験に立って、大臣、いかがでしょうか。
○谷国務大臣 四号適用を自治体がもっと手を挙げやすいようにという御質問かと思います。
政府においても、いろいろ、中央防災会議の議長、これは内閣総理大臣でございますが、通知を既に出し、台風の接近が想定される場合などには改めて、災害により多数の方が生命財産に危害を受け、又は受けるおそれがある場合には、ちゅうちょすることなく災害救助法の適用を行うよう注意喚起のメールを送付しているところに加えて、該当する都道府県に対しては、メールだけではなくて電話も活用し、適時、御指摘の災害救助法の四号適用について助言を行っているところでございます。
特に、御指摘のように、特別警報が発令されている場合は、その対象となる都道府県等の被害発生のおそれは大変高くなることから、対象の都道府県等に対して更なる助言を行っているところであります。
政府といたしましては、都道府県と意思疎通を図りながら、都道府県知事がちゅうちょなく救助法の適用について判断できるよう、引き続き努めてまいりたいと思います。
○田村(貴)委員 現に救助を必要とする人がたくさんおられて、救助法の適用になったのは、この台風十四号では宮崎県延岡市だけであります。
資料一を御覧いただきたいと思います。
都城市の被害状況です。この下川東地域というところの被災者宅の写真を出しています。右上です。水が胸元まで上がってきました。そして、着のみ着のまま避難を余儀なくされました。家財道具、電化製品、畳、これら全て使えなくなりました。これは、救助法適用ならば、六十五万五千円以内の応急修理代が支給される。支援法が適用ならば、補修で五十万円の支援金が受けられる。こうした世帯もたくさんあるわけなんですよね。
最大のネックとなっているのは、人口規模で滅失家屋を百以上としていることであります。資料一の左が、内閣府防災から提出していただいた都城の資料です。
こうした線引きによって、滅失家屋が、全壊が百ないと救助法適用にならない。そんなのでいいんでしょうか。応急修理代の支給、寝具等生活必需品の供与、学用品の給与、障害物の除去、これらの援助が受けられない、こういう事態になっています。これは都城市に限らない話であります。
大臣、人口と滅失家屋、この都城でいうと十万人以上三十万人未満、都城もそうなんですけれども、この規模において、被災戸数、滅失戸数が百としている。これはもうやめましょう。被災戸数の多寡にかかわらず、漏れなく支援を受けるように制度を改善すべきだと思いますが、いかがですか。
○谷国務大臣 お答えいたします。
基本的に、災害救助法が適用される災害は、市町村では対応できないような、一定の規模以上の大きな災害を対象としているところであります。
今、都城の例も出されました。これは人口によって割と事細かく決めているところです。例えば、人口五千人未満の市町村では滅失世帯数は三十以上となっておりますけれども、加えて、都道府県全体で一定の被害が生じている場合は、人口五千人未満の市町村では滅失世帯数が十五以上と緩和されるなど、細やかな定量的基準となっているところでございます。
また、これに加えて、先ほど来御指摘の四号基準として、多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれがあり、避難して継続的に救助を必要とする場合という定性的な基準による判断も可能にしているところでございます。
これらを適切に組み合わせることにより、都道府県知事等により救助法の適用の判断が行われるものと考えているところでございます。
なお、現実的に救助法を適用する場合、一号から三号までの基準によると被害状況の判明を持たなければなりませんが、近年においては、迅速な救助を行うために、四号の基準による適用が多くなっているということも事実であります。
政府といたしましては、都道府県と意思疎通を図りながら、都道府県知事がちゅうちょなく救助法の適用について判断できるよう、引き続き努めてまいりたいと思います。
○田村(貴)委員 だから四号適用なんですね。その前に障壁となっているのは、この百世帯の消滅世帯なんです。都城は九十五ですよ。これで災害救助法が適用されなかったら、どうなりますか。
次の質問です。
資料一の右下は、この都城市の下川東の被災世帯の一枚の写真です。いまだに大工さんがいない、畳屋さんもいないということで、被災直後から状況が変わっていません。この生協住宅というところについの住みかを建てて三十五年、何度もあった浸水被害で、もうこの機に、ここに住むことを諦める住民の方も出ておられます。私も話を聞いてまいりました。そして、地元の住民の方は、内水氾濫防止と大淀川の改修、整備を強く望まれています。私も現地を見てまいりました。
国土交通省に伺います。
川の水位を下げるための河道掘削、それから、流れを妨げている例えば中州、樹木、これらの撤去、そして築堤等が必要だと痛感いたしました。排水機場、ポンプ場、これを設置しないと内水氾濫は止められません。これらの対策をどうやって緊急に進めていかれるのか、答弁してください。
○岡村政府参考人 お答え申し上げます。
台風十四号による記録的な大雨により、大淀川の水位が上昇し、都城市下川東地区において大淀川に流入する水路が氾濫し、約百三十戸の家屋浸水が生じました。
国が管理します大淀川では、令和二年度から、大淀川の水位を下げ、内水被害の軽減にも効果がある大岩田遊水地の整備に取り組んできたところでございます。
また、内水対策の実施に当たっては、その発生要因を踏まえ、効果的な対策や役割分担を検討する必要がございます。
国土交通省としましても、宮崎県や都城市とも連携しながら、この取組を進めてまいります。
○田村(貴)委員 排水機場の効果はやはりありますね。別の自治体、高鍋町でも排水機場が試行運転されて、今度の台風十四号では大きな浸水被害がなかったと。効果を上げているじゃないですか。早速進めていただきたいと思います。
次の質問です。
火山噴火の緊急速報メールを廃止する問題。
気象庁は、十月十八日、大雨等の気象と噴火に関する特別警報の緊急速報メールの配信を本年十二月末に終了すると発表しました。資料二と三を御覧いただきたいと思います。大雨特別警報、大雪特別警報、噴火警報を始めとする強制型受信のメールがなくなります。携帯、スマホの利用者は、私も含めて何の説明もされていません。
資料四を御覧ください。鹿児島市長のメール終了に対するコメントです。突然発生する事象に関する住民にとって重要な情報であり、緊急速報メールはその第一報として即時性の高い伝達手段で、配信終了は住民等への影響が多いとされています。市として、終了しないことを切望されています。市議会の桜島爆発対策特別委員会でも、廃止の撤回を国に対して求めるべきだとの異論が続出したということです。他の自治体からも声が上がっています。
お伺いします。
気象庁長官、今回の廃止の発表の前に、鹿児島市とは事前の協議、相談はされたんですか。
○長谷川政府参考人 お答えいたします。
気象庁からの噴火警報等の緊急速報メールによる配信でございますけれども、これにつきましては、私ども……(田村(貴)委員「鹿児島市からの声を聞いたのかと聞いているんです」と呼ぶ)はい。この終了につきましては、住民の皆さんの避難にしっかりとつなげていただくために、迅速に、そして地域を絞って、行動に結びつきやすいように噴火や気象についての防災気象情報を伝達するということが大変重要だと考えております。(田村(貴)委員「結論を言ってください」と呼ぶ)はい。
鹿児島市も含めまして、この終了につきましては、昨年来、全ての市町村に対してこの方針について御説明をしたところでございます。
○田村(貴)委員 当の鹿児島市は、そうした丁寧な説明はなかったと言っていますよ。していないんでしょう、ちゃんと。
それで、この緊急速報メールというのは非常に大事なメールでありまして、やはり、私たち、スマホとか携帯でこの緊急速報メールを受信したときに、緊張しますよね。一報が入って、どこなのか、被害はどのぐらい大きくなるのかと、後々の情報にやはり注意が喚起されます。その第一弾の緊急速報メールなんです。
七月二十四日、桜島の噴火が発生して、気象庁は八時五分にメールを自治体に発出しました。それを受けて鹿児島市が、気象庁から同時に送られてきた情報を判断して、避難指示発令を住民に対して送るメールを発信しました。その発信は十時二十分です。気象庁からの第一報から一時間半後であったんです。ですから、気象庁の緊急速報メールというのは唯一無二の速報性があるということなんです。だから、鹿児島市も、何が起きているのか、いち早く住民に知らせるために、気象庁からの速報メール、これが、第一報が大事だと存続を求めているわけなんですよね。
気象庁にお伺いします。
大雨などの気象と噴火の特別警報メールを追加するときに、システムを追加するときに、変換配信システムというのが導入されました。当初の設備費用が約一億円、運営に年間一千二百万円、システム更新、改修をすれば約三億円かかるというふうに伺っていますけれども、この大雨と噴火のメールの終了で、変換配信システム、これはどうなるんでしょうか。そして、経費はどうなっていくんでしょうか。
○長谷川政府参考人 お答え申し上げます。
先ほどお話がございましたとおりで、もしこの配信のためのシステムを継続するといたしますと、年間におよそ一千二百万円の維持費用がかかると試算をしたところでございます。また、仮にその継続のためにシステムの更新をするといたしますと、その経費としては約三億円というふうに見積もられているところでございます。
なお、この緊急速報メールの配信終了でございますが、経費のことを理由としたものではございません。気象庁といたしましては、先ほど申し上げましたように、社会や住民に確実に危機感をお伝えし、情報の受け手の主体的な判断や対応を支援するために、順次発表される噴火や気象等の防災気象情報を、早めに、地域をより絞って伝達することが重要と考えておりまして、そのための施策を重点的に推進することとしているというものでございます。今回の噴火特別警報等の緊急速報メールによる配信の終了は、その一環として行うものでございます。
○田村(貴)委員 何を言っているんですか。矛盾でしょう。緊急速報メールを継続することが一番の対応ですよ。
そして、このシステムを終わる、経費も下がっていくというお話がありました。つまり、鹿児島市がこのメールを改善してくださいと言ったときに、断ったじゃないですか。断るどころか、結局、改修をしないということが前提になるから、答えになっていないんですよ。改修にも運営にもお金をかける必要がなくなる、だからやめるんじゃないんですか。経費削減が目的じゃないんですか。経費の削減が終了の理由としか考えられませんよ。ほかに代わる伝達方法があると気象庁の方は言いました。メールの字数制限があって情報が正確に住民に伝えられていないなどなど、いろいろとおっしゃってきましたけれども、この経費のことについては私は一回も説明を受けませんでした。
谷大臣、お聞きになったと思うんですけれども、こういうことなんです。この問題は、まず第一に、これを必要としている自治体の頭越しに決めたということであります。二つ目、メールの終了を求める意見の数量的根拠はありません。アンケートをやったというんだけれども、では、どれだけこのメールが必要でない、なぜ必要でないか、そんな数量的な根拠は何にもないんですよ。三番目、メールの終了の目的は経費削減にあったとしか言いようがない。住民の安全を守ることよりも役所の経費圧縮、こんなのでいいんでしょうか。災害多発の昨今、国の役割を縮小するやり方でいいんでしょうか。自治体側はメールの継続を求めているわけなんです。
少なくとも、中止ありきの結論を見直すべきではないでしょうか。大臣の所見を伺いたいと思います。
○江藤委員長 谷国務大臣、できるだけ簡潔にお願いします。
○谷国務大臣 直接の所管は気象庁でございます。私の方も、この緊急速報メールの配信を終了することに関する御指摘の鹿児島市の意見については、私は、私自身の記者会見の発言の後、気象庁からの報告を受けて初めて承知したという経緯がございました。
私といたしましては、気象庁から、この緊急速報メールの終了の方針について、鹿児島市に対して引き続き丁寧に説明を是非行っていただきたいと思いますし、今後の情報提供について、必要な措置を、改善をどうしていくのか、しっかりと講じていただくことを期待しているところでございます。
○田村(貴)委員 もう終わりますけれども、大臣の記者会見に、そうやって自治体から異論があるという情報さえ提供していないことも今明らかになりましたよ。少なくとも、中止を結論づけするような議論は一旦中断してください。そして、自治体としっかり向き合ってください。そして、この運用は続けてください。
そのことを切望して、今日の質問を終わります。
○江藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時六分散会