衆議院

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第3号 令和5年3月16日(木曜日)

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令和五年三月十六日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 江藤  拓君

   理事 金子 恭之君 理事 工藤 彰三君

   理事 高鳥 修一君 理事 根本 幸典君

   理事 小山 展弘君 理事 神津たけし君

   理事 奥下 剛光君 理事 吉田 宣弘君

      東  国幹君    石原 宏高君

      小里 泰弘君    柿沢 未途君

      金田 勝年君    菅家 一郎君

      小林 史明君    坂井  学君

      新谷 正義君    西野 太亮君

      三谷 英弘君    宮路 拓馬君

      務台 俊介君    山口  晋君

      若林 健太君    菊田真紀子君

      小宮山泰子君    白石 洋一君

      山崎  誠君    渡辺  創君

      岬  麻紀君    吉田とも代君

      大口 善徳君    鰐淵 洋子君

      古川 元久君    田村 貴昭君

    …………………………………

   国務大臣

   (国土強靱化担当)

   (防災担当)       谷  公一君

   総務副大臣        尾身 朝子君

   内閣府大臣政務官     中野 英幸君

   文部科学大臣政務官    伊藤 孝江君

   厚生労働大臣政務官    本田 顕子君

   国土交通大臣政務官    古川  康君

   国土交通大臣政務官    西田 昭二君

   政府参考人

   (内閣官房国土強靱化推進室次長)         村山 一弥君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   榊  真一君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   内山 博之君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   犬童 周作君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          大沢  博君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電波部長)         豊嶋 基暢君

   政府参考人

   (消防庁審議官)     鈴木 建一君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           田辺 康彦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 日下部英紀君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           里見 朋香君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           青山 桂子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           日原 知己君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           恒藤  晃君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            小林 浩史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         菊池 雅彦君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        岡村 次郎君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 松本 啓朗君

   衆議院調査局第三特別調査室長           野崎 政栄君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十六日

 辞任         補欠選任

  深澤 陽一君     西野 太亮君

  稲富 修二君     白石 洋一君

  佐藤 英道君     鰐淵 洋子君

同日

 辞任         補欠選任

  西野 太亮君     深澤 陽一君

  白石 洋一君     稲富 修二君

  鰐淵 洋子君     佐藤 英道君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 災害対策に関する件


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     ――――◇―――――

江藤委員長 これより会議を開きます。

 災害対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房国土強靱化推進室次長村山一弥君、内閣府政策統括官榊真一君、デジタル庁審議官内山博之君、デジタル庁審議官犬童周作君、総務省自治行政局公務員部長大沢博君、総務省総合通信基盤局電波部長豊嶋基暢君、消防庁審議官鈴木建一君、消防庁国民保護・防災部長田辺康彦君、外務省大臣官房審議官日下部英紀君、文部科学省大臣官房審議官里見朋香君、厚生労働省大臣官房審議官青山桂子君、厚生労働省大臣官房審議官日原知己君、経済産業省大臣官房審議官恒藤晃君、中小企業庁事業環境部長小林浩史君、国土交通省大臣官房技術審議官菊池雅彦君、国土交通省水管理・国土保全局長岡村次郎君及び環境省大臣官房審議官松本啓朗君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。務台俊介君。

務台委員 自由民主党の務台俊介でございます。

 今年で東日本大震災から十二年が経過しました。その機会に災害対策特別委員会の質問のチャンスを与えていただきまして、感謝申し上げたいと思います。金子筆頭理事からは格調の高い質問をという制約がございましたが、それに応えるようにしたいというふうに思います。

 前回は、四年前の令和元年の台風十九号災害に関連した質問をさせていただきました。大きな災害に見舞われるたびに、災害ごとに様々な課題があるということを改めて認識します。それとともに、新しい技術が出てきて、目の前の困難に立ち向かえる新たなツールが生まれている、そんなことも実感でき、そうした手段を、人命救助、安全、安心確保に使えるということで、改めて災害対応の手段の進歩を感じるということもあろうかと思います。

 谷公一防災担当大臣は、二十八年前の阪神・淡路大震災の際に災害対応に当たられました。そのときのじくじたる思いをインタビューで語っておられました。命や暮らしを守れない国や県は何なのか、公務員として情けなくなったという言葉は、今に通ずる原点があるように感じられました。

 その後、兵庫県防災局長を経験され、国会議員に当選され、復興副大臣として東日本大震災に向き合われ、関東大震災から百年の今年、防災行政のトップとして日本の災害対策を率いる立場に立っておられます。

 その経歴を持つ大臣から見て、日本の防災制度が目指す近未来の姿についてどのようなビジョンをお持ちなのか、まず伺いたいと思います。

谷国務大臣 経歴まで御紹介いただきまして、ありがとうございます。

 御指摘のように、二十八年前の冬は阪神・淡路大震災を経験し、復旧復興に取り組んでまいりました。また、復興副大臣として、発生から十二年目を迎えた東日本大震災からの復興にも取り組んできたところであります。そういう中で、事前の備えなくしてかけがえのない命と暮らしは守れないということは、もう嫌というほど痛感させられたところであります。

 我が国の災害対策は、特に戦後、大災害の教訓と経験を生かすことで強化されました。関東大震災から今年はちょうど百年の節目に当たるわけでございますが、いま一度、大災害への備えに思いを新たにして、考えられる被害を想定した上で、事前の対策を前もって講じていくことが大変大事だというふうに思っております。また、国民一人一人の防災意識の向上にも努めていかなければならないと思っております。

 自然災害が激甚化、頻発化する中で、長期的かつ明確な見通しの下で、継続的、安定的に、災害に屈しない強さとしなやかさを備えた国土づくりを進める必要が高まっております。さらに、デジタル、防災技術を活用して、被害の最小化、被災者支援の充実などを図るといった新たな時代を迎えているところであります。

 防災は国家の基本的かつ極めて重要な任務でございます。国民の命、また財産、そして生活を守り、安心して暮らせる社会を実現するという決意の下で、引き続き全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。

務台委員 長期的で明確な見通しの下に事前の対策をしっかりやるべきだ、そういうメッセージとして受け止めさせていただきました。

 さて、国によっては、隣国の災害対応そっちのけで、他国に災いをもたらす侵略を平然と行う国もありますが、整然と、真摯な我が国の災害対応支援のありようには、諸外国から称賛の声が寄せられています。

 トルコ・シリア地震で、国際緊急援助隊が現地に入り、相手国からはどのような活動に対してどのような評価があったのか興味もあるところでございます。

 トルコ・シリア地震では、甚大な被害を生ずるとともに、膨大な避難民に対する人道支援がこれから求められてくると思います。これまでの災害対応の経験を踏まえ、どのような支援を行っていくのか、現時点での政府のお考えを伺いたいと思います。

日下部政府参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災を含め、大きな自然災害を経験してきました日本としましては、今次震災で被害に遭われた方々に対して最大限の支援を行うべく、発生直後から、国際緊急援助隊の派遣や、緊急援助物資の供与、国際機関や日本のNGOを通じた二千七百万ドルの緊急人道支援の実施、国際緊急援助隊の医療チームに必要な資機材を迅速かつ確実に届けるための自衛隊機での輸送など、政府として全力で取り組んでいるところでございます。

 また、今後の復旧復興に向けまして、建築、免震、耐震技術の専門家チームをトルコに派遣し、被災地の現場調査を行い、技術的な助言を行っているところでございます。同チームの調査結果も精査しつつ、今後、引き続き必要な支援を進めていく考えでございます。

 その際、日本が多くの自然災害を乗り越えてきた経験や知見を踏まえまして、政府としましては、引き続き、関係国、国際機関等とも緊密に連携しつつ、被災されたトルコ及びシリアの方々に寄り添い、現地のニーズを踏まえた支援を迅速に行っていきたいと考えております。

務台委員 ただいま、免震、耐震の技術支援を行うというお話もありましたが、トルコでは、今回、耐震基準が守られずに、多くの人命が失われたと報道されています。

 仮に、日本の耐震基準がトルコにおいて厳格に適用になっていたらトルコの被害はどのくらい軽減されたのか、比較したいような気持ちになります。一定の前提を置いた上で、そういった推計が可能なのかどうか、ちょっと伺わせていただきたいと思います。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 地震に伴う建物の倒壊棟数等を推計するためには、震度や建物の詳細なデータが必要でございます。

 例えば、南海トラフ地震の被害想定では、木造、非木造別及び築造年代別の建物数を二百五十メートルメッシュごとに集計するとともに、各メッシュの震度と建物倒壊率の関係式を用いて倒壊棟数を推計しております。

 トルコ・シリア地震に関しましては、このような詳細なデータが入手できておりませんことから、被害の推計は難しいと考えております。

務台委員 一定の前提を置いて伺わせていただきましたが、恐らく、常識的に考えて、日本の耐震技術が導入されていたら相当程度被害が防げた、そういうことをもっともっと外国に伝えていく、そんな必要もあろうかと思います。

 その上で、あえて申し上げれば、トルコ・シリア地震の教訓は、事前防災の重要性、先ほど谷大臣もおっしゃっていましたが、そのことを本当に強烈に教えたということではないでしょうか。

 大臣も、所信表明で、備えなくして命と暮らしを守れないとおっしゃっておられます。具体的な事前防災をどのように進めるかということが厳しく問われていくと思います。

 事前防災を進めるには、そうはいっても、巨額なお金がかかります。まだ起きてもいない事象に多額の資金を投ずることは、一般的には大きな制約があろうかと思います。そのためには、事前防災によってどのくらいの被害軽減が行われるのか、分かりやすく示していくことが大切だと思います。

 先般、我が党内の勉強会で、NECの森田隆之社長から、災害によるCO2排出が全てのCO2排出の一割に及ぶ推計があること、そして、事前防災により災害被害を軽減すればCO2削減につながること、それを潜在カーボンクレジットとして金融工学の手法で金融商品として売却し、財源を確保するというお考えを伺う機会がありました。

 私がそのときに思ったのは、CO2軽減として将来の潜在発生抑制CO2をカウントしクレジット化できるのであれば、人命救助や財産被害軽減についても、より価値のあることにクレジットとしてマネタイズする考え方があるはずだとそのとき思いました。

 例えば、こうした観点で資金化の手法を研究し、事前防災にもっともっと財政資金を投入することにつなげることが可能ではないか、このように思いますが、いかがでしょうか。

 その意味で、現在、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策に基づき、十五兆円規模で百二十三項目の対策が講じられてきています。過日、私の地元の小川村でも、国土強靱化の事業で造られた砂防堰堤が土砂流出を防ぎ、住宅地の被災を防いだという具体的な成果も上がってきています。

 現在、今年の夏をめどに新たな基本計画を策定する準備が行われていますが、是非、その中で、こうした事前防災により投入資金をはるかに上回る価値の高いものが救われるという考え、その定量化の考えを取り込み、更に充実した事前防災の構築を目指してほしいと思っておりますが、その基本スタンスについて政府のお考えを伺いたいと思います。

谷国務大臣 二つ、御質問いただいたかと思います。

 務台委員御指摘のとおり、災害が発生した後に復旧を行う事後対策の繰り返しを避けて、災害発生前に、被災する方を一人でも減らす事前防災の考え方が大変重要なことであると考えております。

 まず、御質問の民間資金の活用でございますが、個別の防災分野の事業において、人命や財産などの被害軽減効果を経済価値に換算して資金を確保するという手法につきましては、今後の研究課題であると認識しております。このような考え方について今後研究を深めていく必要があると認識しており、民間資金を活用した防災インフラ投資の在り方について、有識者や関係省庁と連携しながら調査を進めているところでございます。

 二つ目の定量化の話であります。

 過去の浸水被害において、被災前に対策していたら被害額及び原状回復費用のおよそ五分の一の整備費用で被害発生を抑えられていたとの試算も出ているところでございます。こうした事前防災の定量的効果について、関係省庁の知見も活用しながら、引き続き国民の皆様にしっかりお伝えしてまいりたいと思います。

 委員御指摘の民間資金の活用なり事前防災の効果といった観点も踏まえながら、新たな国土強靱化基本計画を今年の夏をめどに策定し、国土強靱化の着実な推進に向けてしっかり取り組んでまいりたいと思います。

務台委員 国土強靱化基本法、我々、議員立法で作らせていただいた経緯もあります。是非、これに新たな観点で命を吹き込んでいただきたい、このように思っております。

 大臣の所信表明の中で、一つ気になったことがあります。それは、防災におけるGX、環境対応の観点が必ずしも読めなかったという点でございます。

 防災分野のGXについては、省庁横断的に検討が始められてもいいのではないか、このように思っております。防災資機材の脱炭素化、避難所などの燃料を再エネ由来にする、あるいは、先ほどの防災投資が実はGXにつながるといった観点を強調するなど、防災分野でも考えるべき視点は多々あるというふうに思います。

 例えば、一回限りの仮設住宅ではなく何度も使えるトレーラーハウスに代替すること、そして、今、私も存じ上げているベンチャー企業でWOTAという企業がありますが、循環型水処理システムを導入する、そんな取組をしております。

 気候変動が災害の甚大化につながっていることもあり、是非そうした観点での施策の充実の検討もお願いしたいというふうに思っております。いかがでしょうか。

谷国務大臣 務台委員御指摘のとおり、GXの実行は、防災分野も含めあらゆる分野において大変重要な取組だと認識しております。脱炭素化を進めることは、気候変動のリスクを可能な限り小さくするという観点から、重要な防災・減災対策であると認識しているところであります。

 これまで内閣府においては、気候変動対策と防災・減災対策に効果的に連携して取り組むための「気候変動×防災」戦略を環境省とともに取りまとめたところでございます。

 私の所信表明において、このような話について具体的に言及はしておりませんでしたが、委員の御指摘のとおり、GXや環境対応の観点も踏まえつつ、防災施策の充実に取り組んでまいりたいと考えております。

務台委員 是非、やっていることをしっかりアピールしていく、こんなことも必要ではないかと思います。

 デジタル防災の進歩は目をみはるものがあります。関係者間で高度な災害情報の共有化を実現すべく、防災デジタルプラットフォームの構築、そして、自治体ニーズと先端技術をつなげるマッチング支援が進捗しております。

 こうした取組を進める中で、ベストプラクティスの全国展開、標準化を早期に進めてほしいと願っております。特に、災害時の避難所運営の効率化を是非ともお願いしたいと思っております。マイナンバーカードの活用はその効率化の鍵になると考えております。

 避難所の受付にマイナンバーカードの活用を行えば、リアルタイムの情報同期と共有が可能となり、手書きの受付事務の効率化は桁違いに改善します。お薬手帳などがマイナンバーにひもづけられれば、避難所にいる個人ごとの属性に応じきめ細かな支援も可能となると思います。災害給付金が、短期間で、マイナンバーカードにひもづけられた被災者の公的資金受入れ口座に振り込まれることも大きなメリットだと思います。

 災害時といった非常時に、マイナンバーカードが命を守る意味で決定的な役割を果たすことを国民の皆様が深く理解すれば、マイナンバーの普及率は更に伸びると考えておりますが、マイナンバーカードを災害時に最大限活用する進め方について、政府の考え方を伺います。

内山政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードは、対面に加え、オンラインでの確実な本人確認ができるデジタル社会のパスポートであり、累計の有効申請件数が九千五百万件を超え、最も普及した本人確認のためのツールです。

 先生御指摘の避難所運営でのマイナンバーカードの活用につきましては、宮城県の実証実験において、スマートフォンを活用して、マイナンバーカードの氏名、住所、生年月日、性別を事前に登録し、避難所受付の際にはスマホに表示したQRコードを読み取ることで正確かつ迅速に受付業務を行うことが可能であったというふうに聞いてございます。

 令和四年度第二次補正予算のデジタル田園都市国家構想交付金におきましても、避難所運営にマイナンバーカードを活用する事例が採択されておりまして、実装に向けた取組がなされていくものというふうに考えてございます。

 引き続き、マイナンバーカードを活用する事例の地域における実装に向けて、関係省庁と連携してまいりたいというふうに考えてございます。

務台委員 谷大臣は、防災分野の国際協力、官民連携による防災技術の海外展開を進めていくと表明されております。

 我が国のきめ細やかで行き届いた防災システムは必ずや途上国に受け入れられます。COP27でも西村環境大臣が表明されましたが、アジア太平洋地域において、日本の民間技術による早期警戒システムの提供がその一例でございます。中古消防自動車の途上国供与も継続されていますが、途上国では、日本製以外の新品の消防車よりも、日本の中古消防自動車の性能が高く人気があると聞いています。

 問題は、個々の製品の品質がよくても、途上国に対する広がりに欠けているというところが大きな問題でございます。国際認証の問題、流通ネットワークなどの問題があるというふうに思っておりますが、現在のところ、日本の防災技術の海外展開に向けた官民の連絡会、JIPADという組織が存在していることは承知しておりますが、より踏み込んだ対応も必要ではないでしょうか。

 そこで、一つの考え方ですが、日本の防災システムと防災技術をセットで途上国に移転するということが有効ではないかと思います。

 例えば、世界に冠たる日本の消防団の制度を途上国に紹介し、それとセットで消防資機材を併せて海外展開するという手法です。消防防災システム海外移転機構といった機構を設置し、その推進を体系立てて行うということもそろそろ考えていいのではないでしょうか。

 日本の優れた防災技術を積極的に海外展開することについてのお考えを伺いたいと思います。

江藤委員長 中野政務官、簡潔にお願いします。

中野大臣政務官 はい。

 お答えいたします。

 先ほど委員から御指摘のあったように、JIPADの枠組みを通じて、官民一体となって我が国の防災技術を海外に展開するということは大変に意義があることでございます。

 委員御指摘のとおり、防災分野の国際協力を進める上では、政策、制度と技術、ノウハウを一体的に発信していくことが重要であると認識をしております。

 内閣府としては、関係省庁とも連携を取りながら、我が国の企業の持つ防災技術の海外展開が効果的に推進されるよう、取組を進めてまいります。

務台委員 以上で終わります。ありがとうございました。

江藤委員長 次に、宮路拓馬君。

宮路委員 自由民主党の宮路拓馬でございます。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 東日本大震災から十二年、そして、今年は関東大震災から百年に当たるということで、様々、防災に関するイベントなども開催されるというふうに伺っておりますが、私は、今日は、その中でも、避難所運営について質問をさせていただきたいと思います。

 まず一問目になりますが、いわゆる平等意識の足かせについて問題意識を持っています。

 避難所では、避難所に来ている被災者の方、例えば、百人いれば、百個の避難物資がそろうまでは配れない、そうでないと平等に配れないからだというようなやはり意識があるやにお聞きをしております。これまで避難所運営は主に行政が担ってきたがゆえに、行政の平等意識というのが根底にあるんだろうと思います。

 平等であることは大変重要なことではありますが、一方で、それが効率的な救援物資の配布の足かせとなっているという事例であります。

 そうした中で、避難所においては、NPOや民間の知恵を導入し、配るだけではなく、置く、置いて、自由に取ってくださいと。例えば、一つパンやおにぎりを取っても、若い男性であればパンを二つ三つ欲しいでしょうし、御高齢の方であれば一個で十分だ、そういったケースを、きめ細かに平等に分配するというのは非常に難しい。とすれば、一ところに置いておくから好きな分だけ取っていってくれという方が効率的である。

 あるいは、生理用品の配布。これも、直接手渡すのは大変難しいケースがあったりします。そうしたときに、これも、ここに置いておくから必要な人は取ってくださいというやり方の方が柔軟であり、効率的であるといった、いわば民間の知恵というものが非常に重要になってきます。

 いまだそうしたことが全ての避難所においてしっかりと行われているわけではない、そうした知恵が共有されているわけではないというふうに考えておりますが、内閣府の見解をお伺いしたいと思います。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 避難所における物資の配布につきましては、支援物資等が限られた状況では、避難者全員に対する機会の平等や公平性だけを重視するのではなく、避難者の様々な事情を考慮して、一番困っている方から柔軟に対応することが望ましいと考えております。このため、国の指針におきましてもその旨をお示ししているところです。

 避難所における支援が避難者ニーズに寄り添ったきめ細やかなものとなりますよう、委員から御指摘のありましたNPO、ボランティアの方々など、現場で活動する方の御意見も伺いながら取り組んでまいりたいと存じます。

宮路委員 指針に柔軟なニーズに応じた配布が重要だと書いてあったところで、恐らく、初めてあるいはかなり久しぶりに被災をした自治体においては、じゃ、それはどうやって実際実現すればいいのかと。具体的にやはりそのやり方を示さないと、なかなかうまくいかないと思いますので、指針に抽象的に、定性的に書くだけではなく、しっかりと具体的にそうしたノウハウがシェアされるように是非心がけていただきたいというふうに思います。

 続いて、救援物資が避難所に届いた後の話なんですが、これもよく聞く話です。

 全国各地から、国や都道府県からプッシュ型で救援物資が届く。あるいは、民間の方から善意で救援物資が届けられる。それは大変すばらしいことなんですが、望ましいことなんですが、それが倉庫にたまっていって、うまく実際の被災者の方の元に届かないというケースがあるやに聞いております。

 実際、東日本大震災においても、届いたものからどんどん奥にしまっていって、気づいたときには賞味期限、消費期限も切れていたと。そもそも、救援物資の段ボールに何がどれだけ入っているのか分からなかったから開けようもなかったと。

 ここはやはり、ある意味、素人では難しいんだろうと思います。私も、実際その現場に行ったとして、どうすればいいのか分からない。やはりここは、餅は餅屋というか、プロの仕事があるんだろうと思います。

 実際の被災地においても、物流のプロ、物流事業者であったり、あるいは自衛隊、やはりここもロジスティクスのプロになります。そういう物流事業者や自衛隊、そういった方々のノウハウがあって初めて、届いた救援物資がしっかりと被災者の方の手に届くということが言えると思いますが、この点について、内閣府の取組、見解をお伺いしたいと思います。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のように、全国の支援者から物資が被災地に大量に届けられることも考えられます。これに備えて、行政が何を調達するのか、行政が調達する物資との調整や、ボランティアや民間事業者と連携をしました受入れ体制あるいは物資搬送体制を整備するよう自治体には促しているところであります。

 また、内閣府におきましては、救援物資を適切に管理していただくために、物資調達・輸送調整等支援システムを令和二年度から運用しております。全ての都道府県、市区町村が救援物資の在庫管理にも使っていただけるようなシステムとなっております。

 こうしたものも活用していただきながら、災害が発生した際には、救援物資が適切に管理され、避難者に配布されるよう取り組んでまいります。

宮路委員 聞くところ、物流のプロは、まずどれだけあるのかデータでしっかり捉えておく、そして、取りやすいところに取りやすいものを、必要性が高いものを置くといったような、やはり細かいノウハウというようなものがある。

 それを生かすためのシステムがあるということで、まずノウハウがしっかり共有されていないとせっかくのシステムもうまく使えませんから、そこは、不断の見直しというか、不断のアップデートをしていっていただきたいというふうに思います。

 続いて、救援物資の現場のニーズと届くもののずれについてお伺いをしたいと思います。

 よく、救援物資というと、パン、おにぎり、あるいは、カップラーメン、水とイメージされますが、飲物も、水だけではやはり十分ではないという話もお聞きします。もちろん、必要最低限は水なんでしょうが、避難生活が長きにわたると、水だけではなく、お茶やコーヒー、清涼飲料水が必要であったり、あるいは、先ほども申し上げた生理用品も、ナプキンあるいはタンポンが必要であったり、やはり、避難所においてどういった方々がいるのかによってそのニーズというのは様々変わってくる。逆に言うと、そのニーズがしっかり把握できていないと、言えば不要なものが積み重なってしまうということで、このニーズの把握というのが非常に重要、被災地、現場の実際のニーズをどう酌み取るかというのが非常に大事だというふうに思っております。

 そして、それは避難所だけではなく、むしろ、避難所に来ない、自宅で避難をしている、自宅で待機をしている、あるいは車中で避難生活を送っている、あるいは宿泊施設で避難生活を送っている方々のニーズであれば、なおさらその把握が難しいというふうに考えておりますが、この点について内閣府の取組をお伺いしたいと思います。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 避難所の運営におきましては、様々な避難者のニーズを吸い上げるために、市町村の災害対策本部の下に、各避難所における被災者ニーズの把握等を行う避難所支援班を組織することや、各避難所に相談窓口を設置すること、こういったことが望ましいといったことを自治体に周知するなど、避難者の方が必要とする物資について適切に情報収集がなされるよう、取組を促しているところです。

 また、避難所での支援は、避難所で生活をする避難者だけでなく、その地域の在宅避難者も対象であります。このため、避難所は、在宅避難者の状況の把握や、支援に関する情報の提供、食料、飲料水、物資、サービスの提供などを行う地域の支援拠点とすることが適切であると考えております。内閣府が作成しております取組指針におきましても、この旨お示ししているところです。

 令和三年八月豪雨で被災しました佐賀県大町町では、在宅避難者向けの拠点を町内に設置し、水や食料等の救援物資の配布や温かい食事の提供のほか、被災者ニーズの収集や在宅避難者の状況の把握等が行われたと承知をしております。

 内閣府といたしましては、こうした好事例について、自治体の全国担当者が集まる会議等において周知を図るなど、引き続き、避難所に滞在する避難者のみならず、在宅避難者に対する適切な支援についても実施されるよう取り組んでまいります。

宮路委員 私は、この質疑に先立ってNPOの方と様々な意見交換をして、気づきを得たことを基に今回こうやって質疑をさせていただいていますが、まさにそのNPOが佐賀を拠点にしているNPOでありまして、恐らく、今御答弁にあった佐賀での取組も、そうしたNPOの知見をしっかりと生かしたからこそ、そうしたきめ細かい、そして避難所以外の被災者への目も行き届いた対応になったかと思っております。そういう意味では、その優良事例はまさに優良事例だと思いますので、その横展開を是非お願いしたいと思います。

 続いて、メディアとのコミュニケーションの問題についてお尋ねをしたいと思います。

 今御質問いたしました救援物資のニーズとも絡む話ですが、例えば、避難生活がまた長きにわたると、当初は、取りあえず炭水化物あるいはたんぱく質をということで、パンやおにぎり、温かいカップラーメン、あるいはレトルト食品が求められるとは思いますが、やがて、それだけではどうしても飽きがきてしまう。特に人気なのは実は果物だという話を聞いたときに、なるほどなと私も思ったところであります。

 ところが、果物は、生鮮食品ですから、一般的に長もちしないというふうに思われています。実際、保存にも冷蔵、冷凍が必要なケースもあります。そうしたことから、なかなか、本来、被災者の方が求めるそうした生鮮食品、とりわけ果物が避難所に届かない。全国各地、思いを持って、何とか助けたいと思っている方々も、果物を送ればいいんだという頭にならないというところ。

 実は、これはメディアの報道の仕方にも問題があるのではないかなというふうに個人的に問題意識を持っておりまして、そうした実際のニーズがメディアを通して広く知れ渡れば、鹿児島であればかんきつ類、日本全国、様々な果物の産地があるわけですから、そうしたところから様々な果物が届いて、避難者の皆さん方、欠乏しがちなビタミンをしっかりと取ることもできる。そしてまた、果物は心の癒やしにもつながるというふうにも言われております。

 そうした意味では、そうしたきめ細かなニーズというのがメディアを通しても発信されることが、ひいては真に求められる救援物資が届くことにつながると考えますが、この点について御見解をお伺いします。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 避難所や在宅避難者の状況を適切に理解していただくためには、被災地の現場で何が求められているのか、情報発信を行うメディアとの連携、これは重要なことであると考えております。

 このため、防災基本計画におきましては、地方公共団体は、国民全体に対して、災害の状況や義援物資の取扱いなど、被災地の現場ニーズに応じた情報を積極的に伝達することとされており、また、情報伝達に当たっては、放送事業者、通信社、新聞社等の報道機関等の協力を得ることとされているところであります。

 避難所や在宅避難者の状況、必要としている物資がどのようなものであるかなどについて正確に伝わるよう、自治体に対して、メディアとの連携を図るよう促してまいりたいと存じます。

宮路委員 百年前の関東大震災、デマなどが横行し、悲しい事件も多々起こったというふうに聞いております。

 そういう意味では、正確な情報発信というのは、もちろん行政側も必要ですが、メディアとの協力関係も非常に重要になってきます。国と在京メディア、あるいは被災地と地方局とのやはりコミュニケーションというのは非常に重要だと思いますので、国は国で、そして自治体は自治体で、しっかりとそうしたコミュニケーションが円滑に進むように取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 続いて、避難所における、いわばきめ細かな対応が求められる方々についてお伺いをしたいと思います。例えば、高齢者、あるいは障害者、女性、LGBTQの方々といった、いわば災害弱者と言われる方々への対応ということになります。

 特に、例えば障害者ですと、私がライフワークの一つとして取り組んでいる医療的ケア児の支援。医療的ケアですから、人工呼吸器が必要であったり、喀たん吸引が必要であったり、あるいは経管栄養が必要である。電源が欠かせません。そういった障害者、障害といっても、種別はたくさんあります。視覚障害、聴覚障害、精神障害、知的障害、発達障害、あるいはそういった臓器不全、肢体不自由等々、様々ありますので、やはり、そうした、何が求められているのかというのを把握するというのは非常に重要なこと。

 LGBTQの話にしても、これは優良事例だと思いますが、男性のトイレに汚物入れを置いたという事例、これは何で必要なんだろうと最初は思われたようですが、体は女性だけれども心は男性という方が男性トイレを使ったときに、やはり生理用品をどこに処分するかというところで、実は、その汚物入れが大変役に立った。

 こういうことは言われてみないと分からないなというふうに思っておりますが、こうしたことをどのように把握をして、そして、それを全国に展開していけるかということが非常に重要であると思っています。この点について、内閣府の見解をお伺いいたします。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 高齢者や障害者、女性、LGBTQなど、災害時に配慮が必要となる方々が安心して避難所で生活をしていただけるよう、良好な生活環境の確保が極めて重要であると認識をしております。このため、避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針等を作成し、自治体に周知を図っているところです。

 特に、障害者につきましては、指定福祉避難所に避難していただくことや、一般避難所において、要配慮者スペースや個室を利用できるようにすること、人工呼吸器を使用しなければいけない方がいる場合には優先的に電源を使用できるようにすることといった配慮をするように促しております。

 また、避難所におけるLGBTQなど、いわゆる性的マイノリティーの方への配慮についてもお尋ねをいただきました。

 内閣府では、昨年四月に、全都道府県及び令和三年度に災害を経験した百三十の市町村に対して、避難所運営マニュアル等における性的マイノリティーへの配慮の記載の有無について調査を実施し、その結果を踏まえ、昨年十一月、各自治体に対し、避難者の中には性的マイノリティーの方など多様なニーズがあることを理解し避難所運営に努めていただくよう依頼したところであります。

 今後とも、被災地のニーズを把握し、被災者へのきめ細やかな支援に万全を期してまいります。

宮路委員 本日お尋ねをした質問については、先ほど申し上げたとおり、NPO、具体的に言えばシビックフォースという、佐賀に拠点を置く団体になります、の方々から様々な話をお伺いし、本日、質問に立たせていただいた次第です。

 まさに、こういったNPOというのは、全国各地の被災地を回って、その分、知見が集積をしてきます。ところが、自治体というのは、その自治体で災害が起こらなければなかなかノウハウの集積というのは望めない。とすれば、いわばプロフェッショナルは、実は、行政ではなくNPO、民間団体であるというケースも多々あろうかと思います。

 そういう意味では、内閣府も、そうした全国的に展開をしているNPOとしっかり意見交換を交わし、知見をアップデートしていく、協働していく、あるいは、自治体においても、その自治体におけるNPOとしっかりと連携を図っていくことが重要と考えておりますが、最後、この点について、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

谷国務大臣 具体的な、様々な御意見、ありがとうございます。

 委員御指摘のとおり、災害時には、ボランティアのほかNPOなどが被災者支援において大変重要な役割を担っております。ですから、平時から緊密な連携、協働ということ、大変大切であります。

 内閣府においては、平時からNPOなどと意見交換を行って、顔の見える関係を構築していく、また、災害発生時には、情報共有会議を開催して取り組むというようなことも進めているところでございます。

 またさらに、効果的に連携を進めるため、ボランティアやNPOなどの多様な民間団体の活動支援や活動調整を行う災害中間支援組織を都道府県レベルで設置、機能強化していくことが大事だと思っております。このための予算も、令和五年度予算案において新たに盛り込んだところであります。

 委員御指摘のとおり、ボランティア、NPOの力もかりなければ、災害からの復旧あるいは復興を十分果たすことができないと思っておりますので、今後とも緊密に連携しながら頑張っていきたいと思います。

宮路委員 大臣のリーダーシップを期待いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

江藤委員長 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)委員 おはようございます。公明党の吉田宣弘でございます。

 先日行われました災害対策委員会における谷国務大臣の所信表明に対して、早速質問に入らせていただきます。

 まず、南海トラフ地震について質問いたします。

 谷大臣は、所信表明の中で、南海トラフ地震についても、広域で甚大な被害が想定される中、来年三月には、具体的な減災目標などを盛り込んだ基本計画の策定から十年を迎える、これまでの防災対策の進捗状況の確認や被害想定の見直し、新たな災害対策の検討を行い、基本計画の見直しにつなげてまいりますとお述べになられました。

 これまでの基本計画では、地震対策として、被害の軽減につながる耐震化、火災対策、ライフライン、インフラ施設の耐震化、耐浪化、津波対策として、情報伝達体制、避難場所、避難経路の整備、安全な場所への迅速な避難、経済に及ぼす甚大な影響の回避、南海トラフ地震臨時情報の発表とその対応など、これら基本方針の下、今後、すなわち、十年前のお話でございますから、現在にかけてということでございますけれども、十年で達成すべき減災目標として、想定される死者数を約三十三万二千人からおおむね八割減少させること、想定される建築物の全壊棟数を約二百五十九万棟からおおむね五割削減すること、これら目標を掲げて具体的な取組を進めていただいているとお聞きをいたしました。政府の人命を守る取組に感謝を申し上げます。

 所信表明にありますとおり、これから、これまでの防災対策の進捗状況の確認が行われるとお聞きをしております。では、この進捗状況の確認が行われるのは、具体的にどのような内容について行われるのか、このことについてまず教えていただきたいと思います。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 国におきましては、平成二十六年三月に南海トラフ地震に係る防災対策を推進するための基本計画を作成し、十年間で達成すべき定量的な減災目標を設定するとともに、目標を達成するための実現方策を定め、様々な対策を推進しているところです。

 この基本計画には、令和七年までに、耐震性が不十分な住宅をおおむね解消する、津波避難訓練を毎年実施する沿岸市町村の割合一〇〇%を目指すなど、四十八の数値目標が定められております。

 これらの数値目標が達成されているかどうかを中心に、そのほか、基本計画の中では、感震ブレーカー等の普及の促進、防災教育の推進による防災意識等の普及、ライフライン早期復旧のための体制の充実といった定性的な目標も定められておりますので、これらも含め、防災対策の進捗状況について確認を行っていきたいと考えております。

吉田(宣)委員 答弁ありがとうございます。

 しっかり、次の基本計画の策定に向けて十分に参考にしていただき、より充実した基本計画の策定をお願いしたいと思います。

 次に、これまでの基本計画の中で、先ほど申し上げた基本方針の経済に及ぼす甚大な影響の回避について、具体的に、サプライチェーン寸断対策の事業継続計画、BCPへの反映という対策を講じていくことが掲げられております。

 私は、企業による事業継続計画は企業の信用力を高めるという意味からも大変に重要な取組であると理解していますが、基本計画の主な対策の一つに事業継続計画が掲げられている理由について、まず御説明をいただきたいと思います。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 南海トラフ地震につきましては、最悪の場合、経済被害額が直接被害、間接被害合わせて約二百十兆円と想定をされております。

 このうち、地震の揺れ等による建物の損壊など資産等への直接被害は約百七十兆円と想定されておりますが、このほかに、サプライチェーンの寸断等による全国の企業の生産、サービス活動の低下など間接的な経済被害が約四十五兆円と想定されているところであります。

 この間接的な経済被害を軽減するためには、企業において可能な限り短い期間で重要な機能を再開するための対応方針を事前に準備しておく等のソフト対策が重要となってまいります。

 こうしたことから、災害時においても重要な事業を中断させない、あるいは、中断しても可能な限り短い期間で復旧させるための方針や体制、手順等を定める事業継続計画の策定を促しているところであります。

吉田(宣)委員 災害で事業が停止をするということを回避することによって様々なサプライチェーンの確保を導いていくという重要な取組であると思います。是非、これからも、引き続き力強い継続をお願いしたいと思います。

 その上で、事業継続計画の策定、これは企業さんの自主的な取組に任されているところであるというふうに理解をしております。内容において、専門性も極めて高度であって、質の高いものも求められるというふうに理解しています。その策定は、中小零細企業には負担も大きく、策定においては国からの支援策というものが不可欠ではないかと私は考えています。

 そこで、中小零細企業が事業継続計画を策定するに当たり、その支援について、政府の方から説明をお願いしたく存じます。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業庁といたしましては、中小企業の自然災害等に関する事前対策を促進し、事業の継続力を強化するための簡易な事業継続計画、これを経産大臣が認定をし、公的な融資でありますとか税制措置、こういった支援を行う事業継続力強化計画という制度を二〇一九年七月から実施しておりまして、本年二月までに約五万一千件の認定を行ってございます。

 委員御指摘のとおり、中小企業、零細企業の方からは、社内に専門家がいないので作成がなかなかできない、こういったお声もいただいているものですから、事業者が自ら計画を策定できるように、いろいろな手引でありますとか説明動画、こういった支援ツールを用意させていただいているところでございます。

 それから、独立行政法人中小企業基盤整備機構におきまして無料の専門家支援をやっておりまして、今年度は千三百三十九社に実施させていただいております。それから、計画策定のための実践セミナー、これも今年度八十一回開催させていただいてございます。加えて、地方の経済産業局、それから商工会や商工会議所といった中小企業の支援機関においても、事業継続計画の必要性を紹介するセミナーの開催、個別の計画策定支援などを実施しているところでございます。

 引き続き、これらの取組によりまして、中小企業、零細企業の事業継続力強化計画の策定支援というのを後押ししていきたいと考えてございます。

吉田(宣)委員 たとえ災害があっても事業が継続をできること、そして、災害に負けなかったこと、そういった強い企業さんをつくっていくためにも、中小企業庁の皆様にはこれからもお力をおかしいただきたく存じます。

 次に、谷大臣は、所信の中で、近年、多様な課題を抱える被災者に対するきめ細やかな支援の必要性や、コロナ禍における避難所運営の変化など、被災者支援の在り方が変わってきています、昨年五月には、これらの課題を多角的な視点から検討する有識者検討会を立ち上げたところであり、官民連携による被災者支援体制の整備強化や、災害ケースマネジメントの全国への普及にも取り組んでまいります、引き続き、より効率的で質の高い被災者支援の在り方について検討を進めてまいりますというふうにおっしゃいました。

 高齢者や障害者、また難病患者など、災害時に弱い立場の方に寄り添う谷大臣の姿勢に、改めて感謝を申し上げたいと思います。

 この点、私自身、一昨年まで五年連続で六回浸水被害を受けている福岡県の久留米市で経験した事例がございまして、どんな事例かといいますと、人工肛門を装着されている方のお宅の一階部分が浸水をしてしまって二階に避難されておられたのですが、避難所への避難をためらったために自宅にとどまったということなんですね。なぜとどまったかというと、避難所にはオストメイト対応のトイレが恐らく設置されていないのではないか、他の避難者の皆様に迷惑をかけたくないという思いからだったわけでございます。

 この被災者の方のお心に触れて福祉避難所の充実を心に誓ったところでございますが、このことを直接お話を伺った公明党の久留米の市議会議員がこの事例を市議会で取り上げたことをきっかけに、久留米市のホームページには福祉避難所が一覧で分かるようになっております。加えて、オストメイト対応トイレや車椅子対応トイレが設置されているかも、これも一目瞭然になっております。

 そこで、このような優良事例については、広く自治体に周知することによって横展開を図ることにより、一人でも多くの災害弱者の方の速やかな避難につなげるべきではないかと考えますが、谷大臣のお受け止めをお聞かせいただければと思います。

谷国務大臣 お答えいたします。

 障害者や高齢者、妊婦の方、子供など、災害時に配慮が必要となる方々に避難所で安心して生活していただくとともに、こうした方々に必要なときにためらわず避難していただくためには、良好な生活環境を確保することが極めて重要であると認識しております。

 そのため、内閣府では、避難所の運営等に関する取組指針やガイドラインを作成し、避難所においては、例えば、障害者用のトイレを一般用とは別に確保するように努めることや、妊婦、乳児の避難スペースの設置、子供の遊び場や学習スペースの確保等を検討することなどを促しているところであります。

 委員から今御指摘のありました久留米市の事例といたしまして、障害者用トイレが設置された指定避難所の一覧を公開したことなどを横展開すべきとの御指摘がございましたが、しっかりその点は取り組みたいと思います。

 このほかにも、東京都の文京区では、区内の女子大学を中心に協定を結んで、妊産婦、乳児のための避難所を設置したり、熊本県の人吉市では、NPOと連携し、避難所内に子供の学習スペースや遊び場を確保するなど、そういう取組もしっかり横展開してまいりたいと思います。

 今後とも、避難所の生活環境の改善が一層進むよう努めてまいりたいと思います。

吉田(宣)委員 様々、各地の優良事例まで御紹介をいただきまして、本当にありがたく存じます。

 そのようなすばらしい取組というものを、情報を収集し、そして全国に発信することによって、いざというときに被災者が安心して避難できるような環境の整備を整えていくということは、日本という国家が安心、安全な国であるということを、国民が本当に安心して過ごせる、そういったすばらしい国になるということにつながっていくと思いますので、谷大臣、是非よろしくお願いいたしたいと思います。

 次に、熊本地震の際に、車中泊という状況が生じていたことは記憶に新しいところではないかと思います。

 避難所のキャパの問題であったり被災者のプライバシーに関わる問題であったりと、状況は様々であったと思われますが、結果、エコノミー症候群を発症し、震災関連死となった被災者もおられたことに胸を痛めます。

 この点、車中泊を選択した被災者には、ペットと一緒に避難した方も多くおられたことも事実として深く受け止めなければならないと思います。非常事態のときにペットの配慮までは困難だといった御意見もあろうかと思いますが、例えば、ペットは我が子のような存在であり、かけがえのない家族だと思っておられる方は多いのではないでしょうか。私の母親もそうなんですけれども、ペットを飼っておられる特に独り暮らしのお年寄りには、そのような思いをお持ちの方は多いのではないかと思います。

 そして、このような被災者の切なるお心に寄り添うべく、熊本市では、公明党の熊本市議会議員の働きによって、ペット避難所の取組が進んでおります。ペット同伴で避難する取組です。例えば、ペット同伴の避難を受け入れるべく、熊本市と動物専門学校が協定を結んで、一日当たり最大で被災者百人、ペット三百匹を受け入れることを取り決めています。

 また、昨年の台風十四号のときには、熊本市の水前寺競技場の避難所にペット同伴避難所が設置され、二歳の犬と避難した女性は、六年前の熊本地震のときにはペットを連れて避難することができず、車の中で過ごし、怖い思いをしました、今回は台風の規模が大きく、家にいても不安だったので、すごくありがたいですと喜びの声を寄せられておられました。

 ちなみに、先ほどの質問で取り上げた久留米市のホームページには、ペット避難所の紹介もされており、地方から取組が進められているところでございます。

 後ほど、谷大臣には、熊本市の事例も参考に、ペット同伴避難所についての検討を進めていただきたい旨質問申し上げたく存じますが、その前に、ペット同伴の避難には、鳴き声や臭いなどの問題もあることから、一般の避難者との関係で配慮されなければならない点も多いと思われますので、ペット同伴避難所の設置に当たり配慮するべき点について、まず環境省から答弁をいただきたく存じます。

松本政府参考人 お答えいたします。

 環境省では、東日本大震災、熊本地震での経験を踏まえまして、平成三十年に、人とペットの災害対策ガイドライン、これを取りまとめまして、地方自治体における災害対策の検討の参考となるよう周知をしてございます。

 このガイドラインにおきましては、委員御指摘のとおり、避難所が様々な住民の共同生活の場となることに鑑みまして、動物が苦手な人、また動物アレルギーを持つ人などへの配慮が必要としております。

 具体的には、ペット同伴避難所の設置に当たりましては、一つ、ペットを飼養する場所と人が生活する場所の区分、二つ、動物由来の感染症を予防するための衛生管理、三つ目、ペットフード等の備蓄品の用意などに配慮し、それぞれの地域に合った方法を検討する必要があるというふうにしております。

 また、飼い主に向けてのパンフレットにおきましても、日頃からの備えといたしまして、ペットを同伴して避難できる避難場所の事前確認、ふだんからワクチン接種や寄生虫駆除等のペットの健康管理、そして、三つ目として、キャリーバッグやケージに慣れさせておくこと等、これが重要であると示してございます。

 このように、施設運営側の備えに加えまして、ペットの飼い主自身の準備と配慮、これも重要である、このように考えてございます。

吉田(宣)委員 御答弁ありがとうございます。

 ペットを飼う人のやはり心、準備というものが非常に大切だと私も思っております。是非、環境省においては、またそのような周知、広報もお願いしたく存じます。

 それでは、最後の質問になりますけれども、今環境省から答弁いただきましたが、ペットを家族同然に愛する国民に希望を送っていただきたく存じます。ペット同伴避難所の設置に関して検討を深めていただきたいと思いますが、谷大臣のお受け止めをお聞かせください。

谷国務大臣 ペットは、飼い主にとって家族同然のかけがえのない存在であると認識しております。

 内閣府では、避難所運営ガイドラインを作成の中に、ペットの同伴避難に取り組む好事例についても自治体に周知して、理解増進に努めているところであります。

 環境省においては、今政府委員の方から答弁があったところでございます。

 引き続き、環境省と十分連携を図りながら、ペットとの同伴避難について、飼い主の皆様に周知しつつ、自治体に対しては受入れ体制の検討、整備を要請することで、人と動物の共生する社会の実現に向けて取り組んでまいりたいと思います。

吉田(宣)委員 谷大臣、ありがとうございます。どうかよろしくお願い申し上げます。

 質問を終わります。

江藤委員長 次に、小山展弘君。

小山委員 立憲民主党の小山展弘です。

 それでは、質問に入らせていただきたいと思います。

 先ほどの宮路議員の質問にもちょっと関連するんですけれども、NPOやボランティア、こういった皆様方の役割について、大臣からも、災害対応時やあるいはその復興には欠かせない存在であるとの答弁がございました。

 これに関連しましてお尋ねしたいんですけれども、静岡県の磐田市では、昨年、台風十五号の被害が発生いたしましたが、つい二月に、磐田市社会福祉協議会が主催し、磐田市の草地市長や礒部危機管理監も出席をして、昨年、台風十五号被害の際に協力をしたボランティアの皆様方に声をかけて、ボランティア大同窓会と銘打った会を行いました。今後の災害時のボランティアの確保に向けた取組、ボランティアさんのネットワークの関係強化を図る、非常に有意味な取組ではないかなと思います。

 このような、災害時のボランティアの方との関係を継続するような取組というのは、全国でもほかに事例はあるのでしょうか。また、このような取組を促すような国からの支援制度というのはあるのでしょうか。お尋ねします。

谷国務大臣 災害発生時には、多くのボランティアの方々が被災地に駆けつけ、瓦れきの撤去や家屋の清掃など、様々な支援を行っていただいており、被災者支援において大変重要な、いわば不可欠な存在であると私は認識しております。そのためにも、災害に備えて、委員御指摘のとおり、日頃からボランティアとの関係を構築し、維持する取組は大変重要であると思っております。

 例えば、茨城県や広島県では、災害ボランティアの事前登録が行われており、彼らに対する様々な防災情報の発信など、平時から行政との関係構築に向けた取組が進められていると承知しているところであります。

 国においても、今年度から、避難所運営に係る地域のボランティア人材の確保、育成を図るための研修を予算化しているところでございます。

 委員御指摘のとおり、地域での取組事例を参考にしながら、それらを横展開して、ボランティア活動が円滑に実施されるよう、その環境整備に努めてまいりたいと思います。

小山委員 このような災害時などもそうですし、また平時においても、今、財政赤字だったり、あるいは人員の削減などで、なかなか行政が手が届かない。一方で、株式会社などのような利益追求の仕組みではなかなか解決できない。でも、解決すべき地域の悩み、課題がある。その解決のために共助の仕組みをより強めていこうと。私ども元民主党政権では、このような視点を新しい公共の拡充と言っておりました。当時は、寄附税制を改善したりとか、こういったことに取り組んだり、対象としては、今申し上げたNPOあるいはボランティア、それ以外にも協同組合というものも挙げられようかと思いますし、二〇二〇年には労働者協同組合法が成立をし、全会一致で成立をした労働者協同組合法、この法施行が昨年の十月から始まりました。

 どのような政権であっても、このような共助の仕組み、非営利団体の振興といったもの、そして、とりわけそれは災害時に大きな役割を果たすというような御認識の下、是非後押しをこれからもしていただきたいと思います。

 次の質問ですけれども、昨年、衆議院の災害対策特別委員会では、江藤委員長を筆頭に、宮崎県に視察に伺わせていただきました。その際に、延岡市では、一級河川の土砂堆積が越水の一因となった可能性もある被災現場も見学させていただきました。数年前の水害の際に土砂堆積を取り除いてほしいと要望してきたのに、なかなかその要望がかなわず今回の被害となった、ここに住むなというようなメッセージですかと被災者の方がおっしゃっていたことが大変記憶に残っておりまして、心中お察し申し上げますとともに、一日も早い堆積土砂の問題解決を要望したいと思います。

 ところで、他の河川でもこのような堆砂などにより治水機能の低下が懸念されているかと思います。台風十五号が大変被害を及ぼしました静岡県内では、安倍川、狩野川などの一級河川の堆砂状況はどのようになっておりますでしょうか。また、このような点検と整備を関係自治体と連携して精力的に取り組むことが必要と考えますけれども、国の方針はいかがでしょうか。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 洪水の出水後には、河川管理施設の損傷や河川の中の土砂の堆積状況などを点検し、著しい土砂堆積があった場合には土砂の掘削を行うとしているところでございます。

 例えば静岡県内の一級河川では、令和四年台風十五号の際の安倍川で、令和元年東日本台風の際には狩野川で、いずれも出水後著しい土砂堆積を確認したことから、その掘削を行っているところでございます。

 引き続き、出水後に河川の中の土砂堆積状況をしっかりと点検をし、適切な維持管理に努めてまいります。

小山委員 静岡県内にはほかに菊川、天竜川などの一級河川もございますけれども、大井川もそうですけれども、こういったところではそれほど大きな土砂流出というものも認められなかったということも、併せてそういうことではないかということも推測いたしますけれども、先ほど申し上げました宮崎県の地域始め、全国でもこういった土砂堆積のことが治水機能を低下させるようなケースもあろうかと思いますので、御対応を是非お願いしたいと思います。

 次に、災害対応ということで、大変活躍をしていただいたのは自衛隊の皆様方ですけれども、必ずしも自衛隊の皆様方だけに限らず、全国各地の自治体の皆様も災害時の応援給水など非常に活躍をしていただいたかと思いますが、必ずしも報道で取り上げられたりとかは、余り目立たずに、地味な存在であったようにも感じております。

 全国でどのぐらいの自治体、事業体が昨年の台風十四号あるいは十五号で応援に向かったのか、行政が把握している範囲で実績をお示しいただきたいと思います。

本田大臣政務官 小山委員にお答え申し上げます。

 まず、昨年の台風十四号では、宮崎や熊本県を始め、九県四十事業者において水道管の破損や停電などにより断水が発生いたしました。このうち、宮崎県高原町には県内及び鹿児島県の六事業者、熊本県あさぎり町には県内の一事業者、美里町にも県内の一事業者、延べ八事業者が、ここには熊本市も重複しておりますけれども、応急給水を行ったと承知をしております。

 また、小山委員のお地元の静岡県、昨年の台風十五号では大変な、甚大な被害がありまして、上水道を所管する厚労省の立場で、私も九月二十七日に視察に入らせていただきました。そのときに、取水口の閉塞であったり、水道管の破損や停電により断水が発生していること、静岡県の七事業者においてこうした事態があることも視察において見させていただきまして、このうち、静岡県の静岡市には、県内の十八事業者のほか、十九都道府県の三十九事業者の延べ五十七事業者が応急給水を行っていただき、本当に自治体間の協力があったということを承知をしております。

小山委員 ありがとうございます。

 ともすると、自治体の職員さんを批判をして、あるいは人員削減ということを訴えて、これを支持につなげようというようなことが、全国でもそういった、ついついそういうものに走るような傾向が時として見られようかと思いますけれども、非常に自治体の職員さんたちも頑張っておられる、そして大変な役割を果たしておられるということを改めて申し上げたいと思います。

 県から市町村に技術職員を派遣する仕組みがありますけれども、県も県の技術職員が不足しておりまして、派遣ニーズに限りがある。今申し上げたとおり、公務員の人員削減ということが叫ばれてきましたけれども、災害が頻発する現在において、むしろ技術職員の人員確保、増員といったようなことも必要かと考えられますし、そのための財政的な配慮も考えていくべきではないかと思いますけれども、政府はどのように認識されておられますでしょうか。

大沢政府参考人 お答え申し上げます。

 地方公共団体の技術職員の確保、これは災害対応という観点から非常に重要な課題だと認識をしております。

 総務省では、令和二年度に、都道府県等が、平時には技術職員が不足している市町村を支援をして、大規模災害時の復旧復興の際には中長期派遣の要員として派遣される、こういった復旧・復興支援技術職員派遣制度というものを創設をしております。これは、本制度に係る技術職員の人件費については、一定の要件の下で交付税措置を行っております。

 この関係で、今、中長期派遣対応の技術職員を登録しておるんですが、この人数は現時点で二百四十名ということでございますけれども、大規模災害への対応を考えますと、更に増加をすることが必要だと考えております。

 このために、来年度、令和五年度から、この交付税措置の要件を緩和をいたしまして、交付税措置を受けやすくするということの対応を図るとともに、各都道府県に対しまして、令和十年度までの技術職員確保の具体的な数値目標を盛り込んだ技術職員確保計画、これを策定するように要請をしております。

 この計画の中で、技術職員確保に係る具体的な取組、例えば、採用の体制強化であるとか、試験方法の見直しであるとか、PRの強化など、こういった事例も我々の方も情報提供をして、しっかりと検討していただくようにお願いをしているところでございます。

 総務省としては、こういった取組などによりまして、技術職員の確保、これを図ってまいりたいと考えております。

小山委員 大変災害も頻発しておりますので、この技術職員の確保、これからも力を入れていただきたいと思います。

 次の質問ですけれども、最近の豪雨被害では、河川がS字のように蛇行しているような地域で深刻な水害が発生しているように思います。線状降水帯のような大量の雨が降ることが今後も想定されますけれども、蛇行している河川の直線化であるとか放水路の掘削といったような、かなり大規模にもなりますし、お金の問題もありますけれども、そういうことが必要になってくることもこれまで以上に考えられるのではないかと思っております。

 放水路や河川の直線化についての事例や、政府の認識を伺います。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 河川の整備内容につきましては、目標となる整備の目標、これを設定した上で、河川の特性や地形条件、地域社会への影響、あるいは環境への影響、コスト、実現性などを総合的に検討して、複数の案の中から必要な対策を決定していくということとなります。

 御指摘の河川の直線化ですとか放水路の整備も、それらが有利な対策と判断された場合には採用とするということとなります。

 例えば、事例で申し上げますと、静岡県が管理します富士川水系の高橋川では、検討の結果、下流部に放水路を整備することとし、洪水の一部を直接海に排水するという対策を実施しているところでございます。

 このように、河川整備に当たっては、対策を総合的に検討した上で、効果的な対策を選定し、事業を進めておりまして、引き続き地域の安全、安心を早期に確保できるよう取組を進めてまいります。

小山委員 全国各地でこのような、蛇行していたり、九十度に、L字型に、あるいはS字型になっているような河川が二級河川も含めて多くあろうかと思います。

 昨年、台風十五号で被害の出た磐田市の今之浦地区というのは、その下流域、今ノ浦川あるいはボウソウ川という川がありますけれども、海岸付近で大きく蛇行しておりまして、太田川という川に注いでおりますが、元々高低差が少なくゆっくり流れるような川なんですけれども、ここなども戦前に河川直線化の計画もあったやに聞いておりますが、いまだにそこが大きく蛇行しているということで、今回の被害の一因でもあるのかなと思っております。

 これはもちろん全国各地にあろうかと思いますけれども、こういった事業にも、やはり、もちろん全てやるということではないと思いますが、検討を加えていくことが必要ではないかと感じております。

 次の質問ですけれども、局地的な豪雨の発生が増えておりますけれども、河川において、きめ細かな水位の把握というものが今まで以上に求められてこようかと思います。

 ちょっと地区が違うと、それほど雨も多く降っていないというようなことが昨年の台風十五号でも見られました。全国的にも河川における水位計の設置を増やしていくということが必要だと思いますけれども、政府の御認識はいかがでしょうか。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 水害の危険性が高まった際に、市町村長がちゅうちょなく避難指示を発表することや住民が自ら危険性を認識して早めに避難する、こういうことが大切でございますが、そのためには、できるだけ多くの地点の水位を観測し、周知するということが重要でございます。

 このため、平成二十九年度から、従来の十分の一のコストで設置可能となる水位計を開発し、導入を進めてまいりました。令和五年二月末現在、全国で水位計の設置数は約一万五千か所と、従来の約二・三倍に増加しているところでございます。

 今後も、防災・安全交付金等を活用し、自治体による水位計の設置を支援してまいります。

小山委員 実は、今の質問は、昨年の台風十五号被害におきまして、地元の市会議員さんたちと一緒に、冒頭にもお名前を申し上げました、磐田市の草地博昭市長と懇談をした際に、今答弁の中にもありましたように、避難指示を出したりとか、そういうときに、水位をもうちょっとしっかり把握をしたかったというようなことから、もっと国としても進めていくことができないだろうかというような、ちょっとそんな話がありまして、お尋ねをさせていただいたんですけれども、是非、豪雨被害が多くなっておりますので、今後も今の取組を進めていただければと思っております。

 それと、山中に、山に豪雨が降った際に、なかなか中小規模の河川ではその雨量を流し切ることができずに、中下流域で越水だったり、あるいは、ケースによっては、大きな河川、一級河川に注ぐような地点での越水といったものも見られておるかと思います。

 治水治山、森林整備の促進が、こういった山中に豪雨が降るような、まあ、かつてはそこまでの豪雨はなかなか降らなかったこともあったかと思いますけれども、まず第一は、やはり森林整備であろう。だけれども、それに加えて、それ以上の大変な豪雨が今降っておりますので、そういうような場合には、山中も含めて、遊水地的な施設を造って、山に降った雨がすぐに中小規模の河川に流れ込まないような貯水の取組といったことも必要だと考えますけれども、それについての政府の御認識や対策をお伺いしたいと思います。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、気候変動の影響により水害が激甚化、頻発化しておりまして、中小河川においても全国各地で氾濫による浸水被害が発生しているところでございます。

 このため、河川改修を一層進めるとともに、遊水地やダムの建設、既存ダムの再生、これに加えまして、利水ダムの事前放流によりダムの空き容量を確保するなど、洪水を貯留する対策についても、関係者と連携して積極的に取り組んでいるところでございます。

 また、自治体が実施します雨水貯留浸透施設、例えば学校の校庭などを活用するというようなものがございますが、こういった整備などにも、流域における貯留対策に対し、防災・安全交付金等により支援しているところでございます。

 国土交通省としましては、引き続き、あらゆる関係者と連携したこのような流域治水を推進し、地域の安全、安心の確保に向けた取組を進めてまいります。

小山委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

江藤委員長 次に、山崎誠君。

山崎(誠)委員 こんにちは。立憲民主党、山崎誠でございます。

 貴重なお時間、ありがとうございます。

 早速、御質問を始めたいと思います。

 まず、災害時の緊急対応の準備状況ということで、大きなテーマを掲げましたが、私、災害時の避難所の問題について取り組んでおります。

 言うまでもないのでありますが、首都直下あるいは東南海の大震災なんかが起きれば、大量の避難者が発生します。そしてまた、避難生活の長期化も予想される。そうなりますと、避難所あるいは避難生活の質を高めることというのが、災害関連死の発生のリスクを低減するために極めて重要だという認識でおります。

 その中で、特に、避難所の設備として簡易ベッド、段ボールベッドの導入について注目をしております。

 日本の避難所は、いまだに雑魚寝が一般的で、ベッドの普及が遅れております。雑魚寝は、エコノミークラス症候群を引き起こして、命に関わる重篤な健康被害を誘発することが研究でも明らかにされているところでございます。基本的に、全ての避難者に簡易ベッドが提供される環境をつくるべきだというふうに考えております。

 さきの、二〇一八年の七月の中国豪雨災害のときに、私、この段ボールベッドと実は出会いました。その頃、まだこの簡易ベッド、段ボールベッドの重要性というものについての認識、十分ではなかったというふうにも思います。

 内閣防災の担当者の方とお話ししても、残念ながら、その取組状況というのはまだまだ始まったばかりという印象であります。

 当時は、内閣府の許可を得て、私の事務所で被災自治体にファクスを入れて、そして段ボールベッドの重要性を各自治体の方にお伝えをして、必要数を教えていただくという作業を行いまして、その数字を段ボール工業組合にお伝えをして、導入するというプロセスを進めた経験がございます。

 真備町の岡田小学校では、地元の議員も協力してもらって、受入れ体制をつくって、この体育館では全ての避難者が段ボールベッドを使って避難をしたということができました。

 この簡易ベッドの導入の重要性については、今もお話ししましたけれども、元々、それを使うべきだというその重要性と、それから、やはりかさばるもので、備蓄がなかなか難しいんですね。だから、一定の要望の数を、発注をかけて導入するという手順の整備が重要だと思います。

 まず、この重要性について、段ボールベッドを入れた方がいいんだ、入れるべきだという考え方については、内閣府が作っている避難所運営ガイドラインというのがありまして、ここに書いてあるんですね。ここを読めば、段ボールベッドの確保を目指すということで、重要性、今お話ししたエコノミークラス症候群の話とかが書かれています。書かれてはいるんですが、ここで止まっているのが私は今の日本の対応状況だと思っております。

 というのは、多くの議員の皆さん、地元を回られて、防災訓練なんかも参加されていると思いますけれども、段ボールベッドが話題に上ることというのは、どうでしょうか、私は横浜におるんですけれども、ほとんど皆さん知らないです。ほとんど知らない。そういう状況だと思います。

 まず第一点は、この段ボールベッドの重要性についてどのように認識されて、この理解促進を内閣府としてどういうふうに今後図っていくのか、ガイドブックに書いたから終わりではないということで、御説明、お考えをお聞きをしたいと思います。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 避難所における寝床の改善でございますが、委員御指摘のとおり、エコノミークラス症候群や健康被害の抑制を図るため、重要であると認識をしております。

 このため、内閣府では、避難所の運営等に関する取組指針やガイドラインにおいて、避難所に段ボールベッドを設置するように自治体に促しているところです。

 さらに、段ボールベッドを活用した避難所の設営、段ボールパーティション等の製作企業との協定の締結など、避難所の生活環境の向上に向けて先進的に取り組んでおられる自治体の好事例の紹介も行っております。

 避難所の生活環境の向上が一層進みますよう、これからもしっかり取り組んでまいりたいと存じます。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。是非前向きに取り組んでいただきたい。

 今お話があった協定なんですけれども、内閣防災あるいは経産省が担当で、お聞きをするんですけれども、どこがどういう協定を結んでいるか知らないんですよ。これは自治体が段ボールの工業組合と結んでいるので、そちらから聞かないとどこが協定を結んでいるか分からない、そういう状況です。これは、私は非常に問題があると思っております。

 今、重要性のお話、その認識をどう広めるかという話でありましたけれども、もう一つは、手配の仕方、ロジスティックをどういうふうに整えていくかというお話でありますけれども、これについても不十分だと残念ながら思います。担当者の方は、ころころやはり替わりますし、引継ぎも十分ではないというふうに思います。

 実は、先月、この問題で経産省の担当者に確認したんですけれども、具体的な調達手順をまとめたマニュアルがない、そういうお話でありました。要するに、文書化された手順がないんです。いざというときにこれじゃ困るでしょうということでお話をして、急遽、経産省の皆さん、努力をされて、こういうマニュアルを作っていただきました。

 これ自体は、取り組んでいただいた、結構なのでありますけれども、それまでにこの手順が決まっていないというか、マニュアル化できていないということに、私は非常に問題を感じました。

 経産省の参考人、来ていただいていると思いますが、この経緯をちょっと御説明いただけますか、簡単に、端的に。

恒藤政府参考人 災害発生時におきまして、経済産業省は、避難所にスムーズに段ボールベッドが届きますよう、段ボールベッドを調達する内閣府防災担当あるいは地方公共団体に対しまして、どの製造事業者がどれぐらいの量を供給できるのかという情報を提供するなど、業界団体や事業者との間の調整を担ってございます。

 今般、経済産業省は、こうした調整を行う際の業務フローを明文化をして、マニュアルとして策定をし、内部で共有するとともに、全国段ボール工業組合連合会などの関係機関にも共有したところでございます。

 今回マニュアルを整備いたしましたのは、経済産業省や関係機関の現在の職員は業務フローを理解をしておりますけれども、明文化したものがなかったということでございまして、山崎委員からいただいた御指摘も踏まえまして、将来にわたって、担当者の交代などがあったとしても、災害時に迅速かつ確実に業務を遂行するためには、やはり明文化したものを作った方がいいだろうというふうに考えまして、今月、マニュアルとして策定したものでございます。

 今後とも、こうした取組により備えを万全といたしまして、災害が発生した際には、迅速かつ確実に情報提供をできるようにしてまいります。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。経緯はそういうことだと思います。

 問題は、先月までこうした具体的な調達手順書が存在しなかったというのが現実でございまして、私は、緊急事態になって大変混乱する中で、段ボールベッド、一つの水害のようなところであれば、集中的にその場所を見ればいいんですけれども、首都直下だとか東南海のトラフの大地震なんかになったら、同時多発でたくさんの作業が発生するわけです。何百という自治体に対応しなきゃいけない。とてもできないと思います。是非こうした手順の整備を進めていただきたいと思います。

 内閣府防災にお聞きしたいのは、段ボールベッドは私は一つの例だと思います。他の省庁と連携をして避難所にこうして運ばなければいけない物資とか機材というのはたくさんあると思うんですが、例えばどんなものがあって、それぞれの調達に関する業務マニュアルが整備されているか、その確認が取れているかをお聞きしたいと思います。

谷国務大臣 災害が発生して、国が被災自治体に対して物資を供給する必要が生じた場合には、それぞれの物資関係省庁が関係業界団体などと調整して物資の調達及び供給を行う、こういう仕組みになっております。

 今委員の御指摘がございました、災害の発生時に各省庁が業界団体等との調整を円滑に実施し、被災自治体に対して速やかに物資を供給するためには、あらかじめその具体的な手順を確認しておくということは当然だと思っております。

 経産省の例がなされました。やや取組が遅れたのではないかと私自身は判断しておりますが、ただ、幾つかの省庁は既にマニュアルをしっかり作っていると承知しているところでございます。

 できる限り早く被災地に必要な物資をお届けすることができるよう、内閣府といたしましても、委員からいただいたお話を改めて各省庁にお伝えして、必要な働きかけをしてまいりたいと考えております。

山崎(誠)委員 大臣、ありがとうございます。

 大臣には所感をこの後お聞きしたかったんですが、お答えいただきましてありがとうございます。

 これは私は重要だと思います。マニュアル、これで完成で、終わりではなくて、これまたいろいろとブラッシュアップして、例えばシステム化できるところはシステム化するとか、そういったことを随時やっていくということだと思います。あるいは、防災訓練でこれをベースにして実際のオペレーションをやってみるとか、そういったことを是非繰り返していただきたいと思います。

 この点、是非、私は重要だと思います、現状を確認して、主なそういう物資、機材のリストを作っていただいて、その調達のこうした手順が文書化されているかどうかを書面にして、本委員会に提出していただくようにお願いしたいと思います。

 委員長、お取り計らいをお願いいたします。

江藤委員長 理事会で協議します。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 では、次のテーマに移ります。

 東日本大震災から十二年がたちました。被災地では、ハード整備は一定完成を見ているところでありますけれども、この復興の姿、復興のプロセスというものをきちっとやはり振り返るべきタイミングなのではないかなというふうに思っております。

 私の問題意識を端的に申し上げると、ほとんどの津波被災地の復興が防潮堤造りから始まったのではないかなというふうに感じております。もちろん、防潮堤が全て悪いわけではありませんけれども、防潮堤ありきの計画というものが果たして唯一の解決策だったのかというのには、私は疑問があるところであります。

 過去をちょっと振り返ってみました。東日本大震災の発災を受けて、当時、民主党政権でありましたけれども、第一次補正予算、国費七十一億円を使って、国土交通省主導で津波被災市街地復興手法検討調査という事業が始まっております。

 被災各地の市町村にコンサルタントが派遣されて、復興計画策定のための作業を支援するということになった。そして、このコンサルタントは、市町村の担当者を支援して復興計画をまとめていく役割を担っておりましたけれども、実質的には復興計画策定を主導する立場になっていたのではないかと。更に言えば、中央官庁の代弁者的な動きになっていたのではないかなと非常に疑問を持っています。

 また、国土交通省の職員の方も地域に入っておられまして、そういう関係性の中から、市町村の首長も住民の皆さんも、自分たちの考えや意見を残念ながら自由に言える雰囲気ではなかったのではないかなというふうにも思っております。住民主体を表向きうたって進められていた復興計画策定なんですけれども、実質的には官僚主導、大規模公共事業を前提とした計画になってしまったのではないかと。

 一方で、市町村、地域住民にも限界があります。専門的な知見が不足していたり、直接の利害関係者であるからなかなか声を上げにくい。地域のみの計画策定でも、もちろん無理があったわけであります。

 ここで、私は、その当時、復興について、資料の二で挙げましたけれども、多重防護という考え方で、防潮堤はもちろん必要なのでありますけれども、それに過度に頼らない復興の絵姿というものを提案している先生方と一緒になって、復興の計画の参考としてお話をしてまいりました。

 ちょっと資料、ございますかね、是非見ていただきたいのでありますけれども、防潮堤がなくても、いわゆるゾーニングをして、自然の傾斜地をうまく使って、建物も、津波で浸水が予想されるようなものについてはピロティー構造にして、それから、建物から建物につないで上階に上がっていけるような、避難の経路をきちっと明確にした、こんなまちづくりができるんじゃないかと大槌町の皆さんに提案をしに行ったこともございました。残念ながら、議論の流れというのを変えることはできなかったのであります。

 例えば、十メートルを超えるような防潮堤に囲まれて海が見えない港町、あるいは、自然環境も、海から里山につながっていくような、自然環境の継続というような、そういった観点からも、もっといろいろなまちづくりの可能性があったのではないかと。私は、非常に、今振り返ると、こうした取組の問題点というものを痛感しております。

 この点、国交省の、今日は政務官にお越しいただいていると思いますが、この復興のプロセスについてどうお感じですか。

古川大臣政務官 お答え申し上げます。

 東日本大震災、過去に例を見ないような大規模な災害でございました。その被災された市町村では、避難者の対応、そして応急復旧対応、こうしたことに追われておられまして、今委員からお話がございましたが、その地域の復興のまちづくりのために何をしなければならないのか、そのための調査、分析を行うということを自分でやっていくということが大変難しい状況にあったと思っております。

 そういう中で、当時、国土交通省では、委員からも御指摘がございましたが、補正予算で措置された直轄の調査費という制度を活用することといたしました。

 基本的には、復興のまちづくりというのは市町村の事務でありますが、とてもそういう手が及ばないということで、それまで例のない形ではございましたが、国土交通省が直轄でこの事業を行うということで、被災市町村の復興まちづくり計画策定のための資料を提供することを目的として、復興手法の検討調査を実施をいたしましたし、御指摘もございましたが、技術的支援のための職員派遣なども行ったところでございます。

 こうしたプロセス、今思えば様々なところはございますが、その当時、地元から、そして県も含めたところで、要望に応じた形で行っていたものと理解をしているところでございます。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 私は、地元でお話をいろいろ聞きました。そのときに見せていただいた資料というのはどういうものかというと、コンサルタントから出てきた情報、例えば、防潮堤を何メーターにするとどこまで浸水するという、浸水域の想定が書かれているんですよ。これを上げるとその浸水域が減ると。そうすると、住民の皆さんは何を考えるかというと、自分の家がどの高さだと守れて、どの高さでないと浸水してしまうというような、そういう情報提供をされていたんですよ。あの震災直後です、津波の後ですから、皆さんもう怖いわけで、当然、自分の家を守るためには、じゃ、より高い防潮堤というようなお話をされておりました。

 私は、今、先ほどもちょっと触れましたけれども、身を守って、地域を守っていく方法というのは防潮堤だけではなくて、逆に、防潮堤に過度に依存することが問題だったというのが、あの東日本大震災の津波の教訓だと思うんですよ。それなので、先ほど見せたような、こういうプランもあるんだよと。だから、こういうことをちゃんと事前にみんなで議論できる場をつくっておくべきだということで、防災まちづくりの事前準備という話が重要だと思います。

 時間になりましたので終わらなければいけませんけれども、この東日本の教訓から、まちづくりの事前準備という話をどういうふうにお考えですかね。

谷国務大臣 十二年前の東日本大震災からの復興について、いろいろ反省するところもあろうかと思います。

 委員御指摘のとおり、被災後に着手するのではなくて、あらかじめ事前にそういった準備をする、そして、その準備の中には、人口減少というような社会経済情勢も十分踏まえたものにするということは大変必要かと思います。なかなか、事前の計画というのは難しいところがございますけれども、地方公共団体においてそういったことができる限り進められるよう、国としてもしっかり支援をしてまいりたいと思います。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。終わります。

 国交省でも事前にやっていますからね。これは是非応援をしていきたいと思います。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

江藤委員長 次に、神津たけし君。

神津委員 立憲民主党、長野三区の神津たけしです。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 関東大震災から百年、そして東日本大震災から十二年の節目を迎え、谷大臣の所信表明では、地震に重きが置かれていたと私は捉えました。

 南海トラフ大地震、それから首都直下地震、日本海溝・千島海溝地震、中部圏・近畿圏直下型地震、こうした地震がいつ起こるか分からないという中において、国民は不安を覚えていると私は思っております。しかしながら、今、南海トラフ地震の予測可能性に関する調査部会では、現在の科学的知見からは確度の高い地震の予測は難しいというふうに結論づけられておりました。

 首都直下型大地震や南海トラフ大地震においては、高い確率で、この三十年間で七〇%以上の確率で起こるというふうに言われております。防災、減災を徹底すれば、死者数や建築物の全壊棟数を大幅に減らすことが可能とも内閣府の方から伺っております。大地震による被害を減らしていくための具体的な施策を伺わせてください。

谷国務大臣 先ほど、今質問の中で、地震にやや偏ったというようなお話があったかと思いますが、地震と噴火を我々が非常に恐れるのは、事前に全く予想ができないからです。台風とか大雨とは違って、そこのところはしっかり緊張感を持って取り組まなければならないと思っております。

 委員御指摘のように、一たび南海トラフ地震が発生した場合、最悪のケースでは、死者数が約三十二万三千人、建物の全壊棟数が約二百三十八万六千棟、首都直下地震が発生した場合、最悪のケースでは、死者数が約二万三千人、建物の全壊棟数が約六十一万棟に及ぶなど、大変大きな被害が想定されているところでございます。地震による揺れと火災、津波に被害の要因は大別されるわけでございますけれども、例えば、死者数については、南海トラフ地震においては約七割が津波によるものであり、首都直下地震では約七割が火災によるものであります。

 そのための対策といたしまして、揺れ対策として建物の耐震化、火災対策として建物の不燃化や木造密集市街地等の解消に取り組むほか、津波に対しては、津波避難タワーの整備のほか、防災訓練の実施による、早く避難する、そういう意識の向上など、災害の特性に応じた防災対策に取り組んでいるところであります。こうした対策を進めていくことにより、南海トラフ地震では、死者数をおおむね八割、全壊棟数をおおむね五割減少させることを達成すべき目標として掲げているところでございます。

 引き続き、関係省庁や地方自治体などとの連携を図りながら、国民の生命、身体、財産を守るための防災・減災対策にしっかり取り組んでいきたいと思います。

神津委員 ありがとうございます。様々なハード面の対策、それからソフト面での対策をやっていらっしゃると理解しました。

 私が思うところでは、今、更に力を入れていかなければならないというのは避難訓練だというふうに私は思っております。特に、避難訓練なんですが、今はほとんどの避難訓練は自治体ごとに行っていると私は理解しております。

 ただ、大地震というものは超広域で起こるものというふうに私は認識しております。そして、この超広域にわたる大地震が起きたとき、避難が難しくなるだけではなくて、国、自治体の救援支援システムが機能しなくなること、それから、多数のけが人が同時発生するために医療が行き渡らなくなること、避難所の収容能力を超えるような避難者が発生して、避難スペースやトイレなどの確保が困難になることなども指摘されております。

 南海トラフなどの大きな地震が起きたことを仮想して、経済社会活動も数時間止めて、私は、複数県にまたがる超広域での避難訓練を実施することで、国や県の地震対処能力というものも上がって、様々な課題が浮き彫りになってくるというふうに思っております。

 大地震に対する避難訓練を年に一度は全国あるいは複数県にまたがる超広域で実施すべきと考えておりますが、大臣の御所見をお願いいたします。

谷国務大臣 国におきましては、緊急地震速報が発表された際、周囲の状況に応じて、慌てずに、まず身の安全を確保するためのシェイクアウト訓練を都道府県及び市町村、国の機関等と連携して実施しているところであります。

 また、津波被害のおそれのある沿岸地域では、十一月五日の津波防災の日を中心に、津波避難訓練などを実施しているところであります。今年度も、百五十七の国の機関、二百三十八の地方公共団体等が訓練に参加したところであります。

 それと併せて、全国十一か所で、地方公共団体とともに地震・津波防災訓練を実施したところであります。

 委員御指摘のとおり、確かに、幅広い範囲で首都直下地震などは被害が想定されるところでございます。今、首都圏では九都県市合同防災訓練を実施しているところでございますが、これは、委員御指摘のように、住民まで巻き込んだ大規模な九都県市の訓練とまではいっておりません。いわゆる防災関係機関が集結した訓練でございますが、御指摘も踏まえて、今後どういうような訓練が望ましいのか、また、実現性があるのか、そういったことも検討してまいりたいと思います。

神津委員 ありがとうございます。

 現実に起こり得る規模での大地震を想定した訓練を行うことでこそ、大臣が所信でおっしゃられたような、備えを充実することで命と暮らしを守ることが達成されると思っております。是非、超広域での同時避難訓練の検討を更に進めていただきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 東日本大震災では下校間近で地震が起きました。関東大震災では十一時五十八分に起きました。もう既に、この日は実は始業式で、子供たちは早く帰宅していたということなんですが、登下校時に、子供が一人でいるときに地震が起こることもあると思っております。地震による子供の被害を減らすために、年に一度は登下校時の避難訓練を行うことを学校に義務づけること等を考えますが、いかがでしょうか。

伊藤大臣政務官 お答えいたします。

 委員に御指摘いただきましたとおり、登下校中などの周囲に教師や保護者がいない場合を想定した避難訓練は、児童生徒が自ら判断し、主体的に行動できる力を身につけさせるためにも大変重要であると考えております。

 例えば、災害の発生時間や児童生徒の居場所に変化を持たせるなどにより、どのような場面においても自らの命を守る行動ができるようにするため、登下校時における地震から津波を想定した避難訓練を行っている学校もあるというふうに承知をしております。

 文部科学省としましては、このような取組等を広く周知し、普及を図ることを目的とした学校安全ポータルサイトを設けております。各学校で工夫した取組等を周知することにより、登下校中を始めとした実践的な避難訓練が活発に実施されるよう、引き続き支援をしてまいります。

神津委員 ありがとうございます。

 東日本大震災の直後は、登下校時の避難訓練を多くの学校で実施しておりました。ただ、今、震災の記憶が薄れてきていて、最近は、学校での避難訓練というのも、学校内で行われている、とどまっているというふうにも伺っております。いつ、どこで起きるか分からない地震に対して、放課後避難訓練の義務化を是非とも図っていただけるよう、更なる御検討をお願いしたいと思います。

 総務省が行った放課後児童クラブの安全対策に関する調査では、大規模な地震を想定して、施設から離れた避難場所への避難訓練を実施していないことが指摘されておりました。

 児童クラブにいるときに大きな地震や津波が起こることを想定した、施設から離れた避難場所への避難訓練を義務づけていくべきと考えますが、いかがでしょうか。

本田大臣政務官 神津委員にお答え申し上げます。

 放課後児童クラブにおける避難訓練の実施に当たっては、地域特性に応じた様々な災害を想定して行うことが必要であり、委員御指摘のとおり、大規模な地震を想定し、施設から離れた避難場所への避難訓練を実施することも重要であると考えております。

 厚生労働省といたしましては、これまでも市町村に対して、地域特性に応じた避難訓練の実施等を含め、災害発生時の対応マニュアルの策定等を促してきたところであり、引き続き、災害発生時における子供の安全確保に努めてまいりたいと考えております。

神津委員 近年の児童クラブというのは、学校の横にあるのではなくて、学校から離れたところにも多くあるというふうに認識しております。そういう意味においては、施設から離れた場所への避難訓練も、積極的に是非検討してもらえるようにお願いします。

 次の質問に移ります。

 済みません、ちょっと質問を飛ばしまして、国交省の質問に移ります。

 国土交通省では、激甚化、頻発化する災害から速やかに復旧復興するために、高規格道路のミッシングリンク解消、それからダブルネットワークを充実させていると理解しております。私の地域でも、この取組のおかげで、台風十九号災害のときに国道の代替道路として中部横断自動車道が機能いたしました。

 こうした、高い確率で起こる南海トラフ大地震の大規模地震時に日本海側から物資を運ぶことができるようなミッシングリンクとか高規格道路については、最優先で整備すべきだと私は思っております。

 特に、中部横断自動車道の未整備区間は、あと僅か三十四キロとなっております。中部横断自動車道の整備に向けた具体的な目標年と意気込みをお願いいたします。

西田大臣政務官 お答えをいたします。

 中部横断自動車道は、太平洋に面する静岡県、内陸部に位置する山梨県、長野県の三県を結び、日本列島中央部の南北軸として機能する高規格道路でございます。

 この中部横断自動車道の全線開通により、新東名高速道路、中央自動車道、上信越自動車道が結ばれることで、物流効率化や観光周遊ルートの形成に加え、災害時に迅速な復旧復興を支援する広域的な高速道路ネットワークの形成などの効果が期待されるところでございます。

 令和三年に山梨県―静岡県間が全線開通し、残るミッシングリンクは、御指摘の未整備区間である長坂から八千穂までの区間のみとなります。この未整備区間については、現在、山梨県及び長野県が都市計画や環境影響評価の手続を進めているところであり、具体的な目標年をお示しできる段階にはございません。

 国土交通省としては、中部横断自動車道のミッシングリンクの解消に向け、両県が行うこれらの手続が円滑に進むよう、引き続き、関係自治体と連携しながら、必要な検討を進めてまいりたいと思います。

神津委員 ありがとうございます。

 中部横断自動車道については、病院に急患を運ぶ重要なルートともなっております。一般的に、一分遅れるごとに生存率が七から一〇%ぐらい落ちるとも言われております。南海トラフ地震で被災された方々の命を守るためにも、中部横断自動車道の整備は最優先で進めていただきたいと思います。

 時間が来てしまったようなので。済みません、今日、総務副大臣もお越しいただいていたのに、時間が来てしまいましたので、また次の機会に質問させていただきたいと思います。

 本日はどうもありがとうございました。

江藤委員長 次に、岬麻紀君。

岬委員 皆様、お疲れさまでございます。日本維新の会、岬麻紀でございます。

 質問の冒頭、東日本大震災から、先日三月十一日を迎えまして十二年がたちました。改めて、亡くなられました方々への哀悼の誠をささげますとともに、被災されました皆様に心よりお見舞いを申し上げます。

 また、昨年は江藤委員長始め皆様とともに宮崎県の災害状況の視察に参りました。機会をいただきまして、ありがとうございました。

 それでは、質問に入ります。

 全国どこでも被災する可能性があるということ、しかしながら、災害をなくすということはできません。それならば、被害を最小限に抑えることが必要となります。そのためには、住民の皆様、国民一人一人の心構え、そして、早期避難の基準が明確であることも必要だと考えます。

 まず、南海トラフ地震対策、また、南海トラフ地震臨時情報についての質問でございます。

 南海トラフ地震、言葉はよく聞きます。私の地元も愛知県でございますので、この地域に該当をしているわけですが。とは言っても、三十年以内に七〇%、八〇%とも言われておりますが、なかなかその深刻さであったり、どうしていったらいいのかということが明確ではないのが事実でございます。

 そして、気象庁では、南海トラフ地震臨時情報を発表するということで、防災に役立てようと設けられました。二〇一九年から運用が始まりましたが、実際はどうかといいますと、理解度を集計した結果が中日新聞二〇二三年の三月三日に発表されております。県内全域で対策が必要と言われている愛知県、三重県、静岡県、滋賀県、さらに、岐阜県、長野県を加えました六県の読者を対象に行われております。

 そうしますと、驚くことに、臨時情報の内容を十分に理解していないという方が八割を超えております。八七%ということなんです。これは、四年たっているわけですが、なかなか周知徹底がされていない。この状況ですけれども、考えられるのが、気象庁の、地震発生三十分以内に一回目、そして二つ目が二時間程度で臨時情報を流すということですが、これが、情報の出し方が複雑で、また、内容がうまく伝わっていない、住民にとっても戸惑いがあるということが挙げられるのではないかと考えております。

 そこで、三月九日に谷大臣が所信を発表されております。南海トラフ地震臨時情報についても令和元年より運用を行っておりますが、これらの制度が住民の適切な防災対応につながるよう、関係自治体等としっかりと連携しながら、引き続き周知に努めてまいりますとございました。

 先ほども申し上げたように、運用から四年が経過いたします。さて、理解の不足に対する問題点、また、その原因はどのようにお考えでしょうか。いま一度、大臣、教えていただけますでしょうか。

谷国務大臣 南海トラフ地震は、一度では終わらず、時間差で発生する場合があることが知られているところであります。

 このため、政府では、時間差で発生する地震に対して注意を促すため、令和元年五月から南海トラフ地震臨時情報の運用を開始し、情報が発表された際に、事前避難など国民一人一人が取るべき防災行動を呼びかけることとしているところでございます。

 その周知が十分でないのではないかという御指摘でございました。我々としては、様々な自治体向けの連絡会を毎年開催するとか、冊子とか動画の作成、公表などの取組を実施してまいりましたが、ただ、頻繁に発表される情報ではないこともあり、理解がなかなか進んでいないと考えているところでございます。

 このため、今後は、これまでの取組に加え、国民への情報発信において影響力が大きいメディアとの連携を更に深めるとともに、SNSを活用した周知とか、自治体職員向けの研修、学校や自治体等への漫画冊子の配布、各種シンポジウムでの講演、周知などを実施していきたいというふうに思っております。

 先日のNHKの、二日間にわたって行われました、ああいう大きなマスメディアでの放映ということも大変効果的かと思いますので、それらについても引き続きしっかり取り組んでまいりたいと思います。

 今後とも、関係自治体やメディア等と連携し、周知が更に図れるよう頑張っていきたいと思います。

岬委員 ありがとうございます。

 是非とも、事前の避難の基準にもなりますので、しっかりと、重要な情報であるということ、そして、そのように、繰り返し地震が発生するために、二度にわたっての臨時情報があるというような基本的なところをしっかりと周知をして、理解を深めていただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

 それでは、続きまして、災害のデジタル化について質問をさせていただきます。

 デジタル化は、いろいろな分野で活動を進めているところではあると思いますけれども、災害避難所DXへの一歩ということで、二〇二三年三月八日の日経新聞の掲載もございました。デジタル庁は一月に、神戸市での災害時の避難所運営をデジタル化する実証実験を行われたということです。

 このように、デジタル化も進む一方、多くの自治体は現在も、避難所や、また、被災者の情報、そして要望などは手書きのファクスが主流であるということです。そうしますと、それをまとめている時間であったりとか、タイムラグも発生して、さらに、人の作業であるとか、そして時間も要すると考えられます。

 デジタル庁は、さらに、福岡市、新潟県においても実験を進めています。システムの活用で、避難所の入退所に関わる作業時間、八割、九割が短縮できたという意見もございます。

 同庁は、まさに今、この三月中に、この実験の分析結果を報告書にまとめられるということですが、全国の自治体に導入を促していくとは思われますけれども、この実証実験を通じて、自治体の職員や住民の方、どれだけメリットが実際にあったのか、また、次にどのような課題が浮き彫りになったのか、さらには、それを踏まえた上で今後どのような見通しを立てていらっしゃるのか、教えてください。

犬童政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の実証事業でございますけれども、昨年十二月から、福岡市、神戸市、それから新潟県の御協力を得まして、避難所の運営の在り方について、いかにデジタルで効率化できるかといったことの実証を行ってきてございます。

 紙を使った場合と比較しまして、やはりスマートフォンとか、あるいはタブレットを活用した方が、今御指摘にありましたように、避難所への入所の手続とか、一方で、自治体の職員さんにとっては、関係行政機関との情報共有について大幅な時間の削減が図られたということもありますし、避難されている方にとっては、自分たちの持っているニーズを避難所の運営者に対して迅速に把握していただけるといったような効果が確認できてございます。

 一方で、近年、広域災害が発生していますので、単一の自治体での避難所のシステムだけではなくて、複数の自治体間でのデータの連携、この在り方についても課題として今後残っているところでございます。

 引き続き、今回の実証実験の結果も踏まえながら、関係省庁あるいは自治体さんと連携して、避難所の業務の効率化に努めてまいりたいと考えてございます。

岬委員 ありがとうございます。

 このデジタル化、今のお話ですと、スマホなどを利用してということですが、いざというときにそれがつながらないであるとか、滞ってしまうという可能性もあるので、そういった異常時にも対応ができるように想定をしてお進めいただきたいと考えております。

 次に、内閣府でもクラウド型の被災者支援システムというものの導入が進んでおります。この導入、どのようにしていくのかというところが、いろいろお話を聞いておりますと、まだまだ不安があるなと思います。自治体といっても、小さなものから、数万人単位から何百万人単位という様々な大中小あると思いますので、それらにどのように対応していくのか、導入をしていくのかということを考えていく必要があるかと思います。とにかく、宝の持ち腐れにならないように、うまくシステムを使って本格的に運用していただきたいと感じております。

 ここで一問、飛ばさせていただきます。

 そのほか、民間とも連携をしながら、民間の知恵をしっかりと導入していくことも必要ではないかと考えております。例えば、私の選挙区でもあります名古屋市では、公式LINEにおきまして、大規模災害時のメニューということで市民向けの訓練の実施を行っていたりとか、また官民連携型防災DX推進協議会が開かれていらっしゃるということ、また災害時の決済、マイナカードでの取組が行われているなど、いろいろと進んでいるかと思いますが、しっかりといざというときにこれが稼働できるようにしていくことが必要だと思います。

 それでは、次です。

 これを踏まえまして、三月九日、谷大臣の所信において、デジタル、防災技術の活用促進という部分も発表がございました。誰もがデジタル化や先進技術の恩恵を受けることができる社会を目指し、防災分野においても、デジタル、防災技術を活用し、被害の最小化、また被災者支援の充実等に努めていくというお話でございました。

 このデジタル技術、日進月歩でございます。民間の知恵や技術の積極的な活用、また官民の連携を密に取りながら、早期にデジタル化を進めて災害時に備えをしていただきたいと考えておりますが、大臣の見解をいま一度教えてください。

谷国務大臣 日本のこれからを考えますと人口は間違いなく減っていく、そういう中で防災分野においても、デジタル化、防災技術を活用して、被害の最小化、被災者支援の充実などに努めなければならないと思っております。

 このため、国では、防災デジタルプラットフォームの構築を進めておりまして、その中核となる次期総合防災情報システムについては、令和六年度の運用開始を目指して現在開発を進めているところであります。現行のシステムの利用者を地方公共団体や指定公共機関にまで拡大して、国と関係団体等が一体的に災害対応を進めることができる環境を整備するために取り組もうとしているところでございます。

 また、御指摘の、自治体の被災者支援業務の迅速化、効率化のため、クラウド型被災者支援システムを構築して、本年度から運用を開始しているところであります。

 今後とも、デジタル、防災技術の活用をしっかり進めていき、被害の最小化、被災者支援の充実などに努めてまいりたいと思います。

岬委員 ありがとうございます。

 そして、一番重要なのは、やはり大切なのは一人一人の意識だと考えます。意識の向上、地域の防災力の向上に努めていかなくてはいけません。大臣は、同じく三月九日の所信におきまして、地域の防災力を高めるため、実践的な防災教育の推進や、避難生活支援の専門性を有する人材を育成する仕組みの構築に取り組むとございました。

 まさにこの人材育成というものは重要でございまして、例えばですけれども、防災士という方が大変増えてきました。実は私の息子も高校時代に、長いお休みの期間に募集がございまして、高校時代の夏休みにこの防災士を取得いたしました。このように、学校教育であるとか課外授業、また野球やサッカーの地域クラブで実体験をしたり、応急処置の訓練や研修を行ったり、そして人材不足と言われている消防団の皆様にこのような防災士を取るという機会であったり、チャンス、そういったものも必要ではないか。

 あと、一遍通りの避難訓練だけではなくて、やはり避難訓練の工夫も必要ではないかと考えます。地域では、どこも同じく少子高齢化を言われております。人口減少でコミュニティーの希薄化も進んでいます。消防団員の減少にも歯止めがかからない中で、今申し上げたような工夫が必要ではないか。

 そして、子供の頃から学校教育の中でしっかりと防災意識が日常に備わっているというのはとても重要であり、その子供たち、児童生徒たちがまたいろいろなところでそれを口に出すことによって家族に広がり、地域に広がっていく可能性が十分にあると考えます。

 こうした状況で、消防団員の方々に防災士の資格を取ってもらうだとか、いろいろな取組、学校の避難訓練に防災士の方を入れるなどありますけれども、防災意識を地域で全体で高めていくために、大臣、どのようにお考えでしょうか。最後に教えてください。

江藤委員長 谷大臣、簡潔に願います。

谷国務大臣 はい。

 防災のためには、よく言われることでございますけれども、公助、自助、そして共助が必要だと思います。そのために、今御指摘のありましたような防災士のような、そういう専門知識に精通した方を積極的に増やしていくことも大変重要なことだというふうに思っております。

 今後とも、防災士の方々の協力も得ながら、やはりそれぞれの地域で防災の力を高めなければ、今後頻発する、あるいは激甚化する災害に対応できないと思いますので、しっかり頑張ってまいりたいと思います。

岬委員 ありがとうございました。

 質問時間で終了いたします。ありがとうございました。

江藤委員長 次に、奥下剛光君。

奥下委員 日本維新の会の奥下でございます。

 限られた時間でございますので、早速質問に入りたいと思うんですけれども、今、岬議員に言いたいことを先に言われてしまったので、ちょっとかぶっているところもあるので、御容赦いただきたいと思うんですけれども。

 大臣所信にありました、我が国の災害対策は、大災害の教訓を今後の対策に生かすことで強化されてきたとあります。確かにこういったことはすごく大事で、過去の教訓を伝承し対応していくことはどんどんやっていくことだと思うんですけれども、やはり、同じような被害がどうしても繰り返されております。

 例えば、一九七八年宮城沖地震では、ブロック塀の倒壊で児童が亡くなっております。このとき、ブロック塀などの下敷きで十八名が亡くなっておられ、これが教訓となり、耐震建築技術向上強化策が取られました。しかし、二〇一八年に大阪北部地震において、やはり児童がブロック塀の下敷きとなって亡くなっておられます。

 また、二〇〇四年新潟県中越沖地震では、いわゆるエコノミークラス症候群、ストレスで亡くなられた方が五十二名、直接的に亡くなられた方が十六名ということが、エコノミークラス症候群が教訓となったんですが、先ほどお話も出ました二〇一六年の熊本地震では、車中泊をしていた方、少なくとも三十三名がエコノミー症候群で亡くなっておられます。

 やはり、時がたてば忘れられがちになるのかなというふうにどうしても感じてしまうのですが、こういったことを二度と起こさないためにも、防災教育、これをもっと義務化していくべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

里見政府参考人 お答えいたします。

 学校における防災教育というのは非常に重要でございまして、令和四年三月に閣議決定をされました第三次学校教育の推進に関する計画におきまして、児童生徒が将来の地域防災力の担い手となるよう、実効性のある防災計画を推進するということが求められているところでございます。

奥下委員 レクでも聞かせていただいたんですけれども、今、小学校でも、どうやったら地震が起きるとか、確かにそういった仕組みを学ぶのも大切だと思うんですけれども、先ほど話も出ましたように、起こったときの被害をどれだけ少なくするかということを考えると、やはり体験型、こういったことをもっともっと取り組んでいくべきだと思っております。

 私も、先日、防災士の資格を取りに行きました。これは是非、中学生以上なのか高校生以上なのか分かりませんけれども、こういったこともちょっと義務化をしていってほしいなというふうに思っております。

 では、次の質問に移ります。

 こちらの、猪瀬直樹さんが書かれた「救出」という本があるんですけれども、これは二〇一一年三月十一日の東日本のときに、気仙沼で津波や火の海から逃げられた女性の方が助けてほしいというツイートをされて、それをロンドンにいる息子さんが見て、それをまた息子さんがツイートして、それを見た東京の某会社の社長さんが猪瀬さん宛てにツイートして、翌日、猪瀬さんが東京消防庁を気仙沼の公民館に飛ばし、結果、四百四十六名が助かったという内容の本なんです。

 これも先ほどとちょっと内容はかぶるんですけれども、今いろいろな省庁が、WiFi、目的が、インバウンドを呼び込むために環境省がやったりとか、GIGAスクールで文科省がやったりとかしているんですけれども、皆さんも感じたことがあると思うんですけれども、フリーWiFiにしても、ちょっと速度の遅い、ストレスを感じるようなものであります。私の地元、大阪ではまだいろいろなところにWiFiが飛んでいるからいいんですけれども、田舎の方とか離島とかに行くと、やはりそういった環境がまだまだ足りていない。

 ツイートで助かるような、こういった事例もよき教訓として、どんどんこういったインフラ整備を整えていくべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

豊嶋政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、WiFiあるいは携帯電話といった通信手段の確保につきましては、災害時における国民の安心、安全を確保する手段として極めて重要だと考えております。

 WiFiにつきましては、地方公共団体と連携をしまして、避難所などの防災拠点へのWiFi環境の整備支援を行っておりまして、令和三年度までに約三万か所について整備を行ったところでございます。

 携帯電話につきましては、災害対応の強化が望まれる道路、自然公園などにおいても利用ができるよう、補助金による基地局整備への支援を行っているところでございます。

 また、通信事業者におきましても、発災時において継続的に携帯電話サービスが利用できる環境を確保するため、臨時に基地局を開設できる車両や移動電源車の配備などを進めているところでございます。

 今後とも、災害時の通信手段の確保に向けて、地方公共団体や通信事業者などと協力をして、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

奥下委員 確かに、災害時、携帯大手三社とかがトラックにWiFiを載せてというのはよく見るんですけれども、今WiFiとかでも広域に飛ぶ、数キロ四方まで飛ぶようなものもありますので、災害の規模にもよりますけれども、そういった広域にわたるようなWiFiを設置すると、被災地にならないようなところからも電波が飛んで、先ほど言ったようなケースで助かる場合もあると思うので、是非、各省庁さんが取り組んでいる中のWiFi事業の中で、防災という観点も入れて、ちょっと省が違うのでなかなか難しいと思うんですけれども、結果、いろいろな役所が予算を使ってやるんでしたら、そういったこともきちんと視野に入れてやっていただきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 ちょっと次に、一問飛ばさせていただきます。

 我が党は大阪都構想というのを掲げて戦ったことがあったんですけれども、これが成就したときの一つとして、消防の広域化というのをやりたかったんです。先ほど、この本にも載っていたように、東京消防庁が東日本のときに活躍したということもあるんですけれども、やはり、今後、いろいろな地震の可能性が高確率で心配されている中、こういった機能をもっと増やしていくべきだと思うんです。

 東の東京消防庁、西の大阪消防庁といったような、こういったものを創設していくべきだと考えますが、大臣を始め、いかがお考えでしょうか。

谷国務大臣 東日本大震災では、大阪府や兵庫県も含めた全国の消防機関から成る緊急消防援助隊が被災地に駆けつけ、救助活動に当たりました。東北の三県を除く全国四十四都道府県から東北の被災地に出かけたわけであります。こうした大規模災害時には、広域的な救助体制の整備が非常に重要であると認識しております。

 このため、例えば南海トラフ地震が発生した場合には、国は警察、自衛隊のほか、最大二万一千人の緊急消防援助隊を含む最大十五万人規模の広域応援部隊を活用し、迅速に対応することとしております。

 引き続き、消防庁を始め関係省庁と連携し、一人でも多くの命を救うことができるよう、災害時の救助体制の強化に努めてまいりたいと思います。

 また、都構想の件につきましては、地方自治体の再編の話でございますので、またそれは別途議論もすべきだと考えております。

奥下委員 別に都構想がどうこうと言いたかったわけじゃ、済みません、それは失礼しました。そういったふうに聞こえたなら、僕の言い方が悪かったんだと思います。

 本当に、別に大阪消防庁という名前にこだわっているわけじゃなくて、大臣の、兵庫県消防庁でもいいので、広域化、これを是非やっていくべきだと考えておりますので、是非、被災地の選挙区である大臣の旗振りの下、西日本にもこういった拠点をつくっていただきますようお願いいたしまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

江藤委員長 次に、古川元久君。

古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。

 先日、東日本大震災から十二回目の三月十一日を迎えました。改めて、犠牲になった皆様に心から哀悼の意を表したいと思います。

 さて、今日はまず最初に、コロナ禍においては、災害のときの避難対応等、いろいろ変わっておりました。ただ、まさにこうやってマスクなしで質疑ができる、室内でも、マスク着用、今週から個々人の判断に任されるようになりましたし、五月の連休明けには、コロナの扱いが二類相当から感染症の五類へと変更されるなど、今後、これまで取られてきた政府の様々なコロナ対応が徐々に変わっていって、私たちの生活はコロナ前の状況に戻っていくことになるわけであります。

 この間、コロナ禍におきまして、災害時の避難の方法やあるいは避難所の運営方法など、コロナ前とは違う形で行われてきたと思うんですが、こうした災害時の避難の仕方や避難所の運営方法など、このコロナ禍で取ってきた対応については、今後、変わるのか、変わらないのか。変わるとすれば、どのようなタイミングでどのように変えていくつもりなのか、その点についてお答えいただければと思います。

谷国務大臣 委員御指摘のとおり、新型コロナの感染法上の位置づけについては、五月の連休明けから、新型インフルエンザ等感染症から外して、五類感染症に位置づけることを決定しております。

 今回のコロナ対応ということで、避難所においては、換気の実施であるとか、清掃あるいは消毒をしっかり徹底するというような対応策を示して、自治体への助言、周知をしたところでありますけれども、五類感染症への位置づけが変更後においても、こうした対応は徹底していきたいと思っております。

 また、避難所における感染症対策として、避難所への避難だけではなくて、安全な親戚、友人宅への避難や、ホテル、旅館の活用など、可能な限り多くの避難所の確保、あるいは、マスク、消毒液の用意など避難所の衛生管理など、避難所における生活環境の向上に寄与する取組も、位置づけ変更後においても引き続きこの点は取り組む必要があるかなというふうに思っております。

 内閣府、国としては、避難所の生活環境の改善が引き続き図られるよう、しっかり取り組んでまいりたいと思います。

古川(元)委員 そうすると、確認ですが、コロナが収束したという状況になっても、この間取ってきた、それこそ、避難所以外に、今大臣からもお話があった、そういう今まで避難所に指定されていなかったところとか、あるいは、よく、旅館とかホテルも避難所として指定していいとか、そういう話もありましたし、また、避難所の間隔を取るというので受入れ人数を制限してきたとか、そういう一連のもろもろのコロナ禍における対応は、コロナが収束しても、今後ともそれは変わらないで続けていく、そういうことでよろしいですか。

谷国務大臣 完全に収束したということであれば、またその時点で判断しなければならないかと思いますが、現時点では、今委員御指摘のように、当面、今までの対策は引き続き続けていくように、国としては臨んでいきたいと思っております。また、これが大きく状況が変化すれば、それに応じた対応も必要になろうかと思います。

古川(元)委員 済みません、更にちょっと確認ですけれども、ただ、そうなると、今だと避難所の中ではやはりマスクをしてということですよね。これからマスクは基本的に室内でもいいというふうになったんですけれども、やはり避難所に行く場合にはマスクをするという、それは続くんでしょうか。それは大臣じゃなくても、事務方でも結構ですから。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 三月十三日よりマスクの着用は個人の判断が基本となりますが、周囲の方に感染を広げないために、混雑した電車、バスに乗車するときや受診時、医療機関、高齢者施設等を訪問するとき等はマスクの着用が推奨されております。

 避難所におけるマスクの着用につきましては、避難所の状況も様々でございますが、内閣府といたしましては、今般、厚生労働省から示された方向性に従って対応することを基本としつつ、個人の判断によりマスクを着用したいという御希望があった場合に対応できるよう、あらかじめ避難所にマスクを用意しておくことが重要である、このように考えております。

古川(元)委員 今のだと、そうすると、避難所の中でも別にマスクをしなくてもいいということですか。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省から示されておりますが、マスクの着用は個人の判断が基本である、このように考えております。

古川(元)委員 そういう意味では、やはりちょっと変わってくる部分もあるわけですよね。今までだったら、避難所の中でみんなマスクをしているということですから。

 この辺、是非、やはり、自治体、みんな、コロナがこういうふうに収束してきて、普通になっていく中で、どう対応していいのかというのを、やはり現場が混乱しかねないので、ちゃんとそこは、こういうふうだということをきちんと周知徹底。コロナのときにも、私も、災害特だったか国交委だったかはちょっと忘れましたけれども、対応を国で決めても、それがちゃんと周知される、それこそ、避難所を運営する人たちというのは役所の人じゃなくて実際にその地域の人ですから、やはり、そういう地域の人たちまできちんと周知されるような、そうしたことはやってもらいたいと思いますけれども、それをちゃんとやっていただけますね。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 避難所におけるマスクの着用につきまして、内閣府から自治体に対し個別に通知等を行ったことはございませんが、新型コロナ、感染症法上の位置づけが五類へと見直されることに伴い、避難所における個々の対策についてどのように取り扱うか、自治体への通知の要否も含め、厚生労働省とも相談しつつ検討してまいりたいと存じます。

古川(元)委員 自治体への通知、じゃ、要否を含めてというのは、やらないこともあるのかということなんですよね。

 やはりここは、マスクに限らず、今後の状況の中で、今までの避難所の運営とか避難の仕方とか、変わらなくていい、そのままやってくれとか、あるいは、ここはこうしてもいいですよということは、市町村に周知して徹底させていく、やはりそれは政府としてやるべきだと思いますし、是非それを大臣からも事務方に指示してもらいたいと思いますが、いかがですか、これは。

谷国務大臣 御指摘のように、五類に変更するということで、どうしたらいいかという、現場の混乱も生じないとも限りませんので、委員御指摘のとおり、自治体の方に周知する方向でまた関係省庁と調整してまいりたいと思います。

古川(元)委員 是非これは強くお願いしたいと思います。やはり、現場の避難所で何かあったときの、そこで、現場でトラブルがあるということは好ましくないので、是非そこのところを強くお願いしたいと思います。

 次に、一昨日、超党派の人口減少時代を乗り切る戦略を考える議員連盟、略称、人口減少戦略議連というものを立ち上げまして、自民党の野田聖子さんに会長に御就任いただいて、私は幹事長になりました。

 岸田政権は異次元の少子化対策を行うと言っておられますけれども、もちろん、日本で生まれてくる子供の数を増やして、将来的には人口減少から人口増加に転ずるように全力を尽くしていくということは、もちろんこれは大変大事な、必要であることなんですが、ただ、少なくとも、今後何十年かは人口減少が続くことは、これは不可避であります。恐らく、この部屋にいる人のほとんどが生きているうちに、人口増加に転ずることはないだろうと思います。これは、いい、悪いじゃなくて、それが厳然たる事実であって、特にここから二十年とか三十年くらいは、急速かつ大規模な人口減少が進んでまいります。

 こうしたいわば不都合な真実から目を背けるんじゃなくて、正面からこれは向き合っていかなければならないと思います。そして、あらゆる社会経済構造をこういう人口減少時代に適合するような形に変えていく。そういうことが必要であって、この超党派の議連では、そうした取組を党派を超えて実現していこうという思いで立ち上げたんですけれども、これは災害対策もやはり同じじゃないかと思うんですね。

 これまでの災害対策、様々なことをそのまま続けようと思っても、これからどんどんどんどん人口が減少していく、人口減少していくだけじゃなくて、高齢者の割合がどんどんその中で増えていく、そういう社会ですから、これは、これまでの対策をそのまま続けようと思っても、続けられないと思うんですね。

 ですから、政府として、今後、本格的な人口減少時代を迎えるに当たって、災害対策の観点から、どのような事態が起きることを想定し、それに対してどのように対応しようと考えているのか、教えていただけますでしょうか。

谷国務大臣 これから、委員御指摘のように、本格的な人口減少時代を迎えます。そうなると、防災をめぐる社会情勢も大きく変化する、それに対応した防災対策を進めなければならない、それはおっしゃるとおりだと思います。

 現在でも、地域に応じて様々に取り組んでいるわけでございますが、しかし、例えば今御指摘のような消防団員の数も、年々いわば着実に減っています。じゃ、今まで消防団が担っていたそういう地域の防災力をどうしていくのか、その辺も含めて、しっかりまた考えていかなければならないというふうに思っております。

 また、人口は減り続けることは間違いないけれども、その中で高齢者の割合が確実に増えていく。そうしたら、高齢者をケアする現役世代が、従来と同じような数が確保できないというようなこともございます。

 そういったこと、様々な問題があろうかと思いますが、そういう動きを見ながら、また新たな手法の導入も含めて検討していかなければならないというふうに思っております。

古川(元)委員 大変抽象的な、大臣、答弁だったんですけれども、本当に抜本的に、これから人口減少、特にこれから十年、二十年先にそれぞれ市町村ごとにどれくらいの人口が減っていくかとか、どういう年齢割合になるか、こればかりは、もうほぼ今から予想できるんですね。

 ですから、そういう中で、災害が起きたときにどう対応していくのか、いけるのかということは、やはり、今の抽象的な話だけじゃなくて、ちゃんと具体的なレベルまで、これをどうするんだというふうにリストを挙げて、これはこうする、ああするというふうにやっていかないと、本当にいざというときにやはり命が救えなくなるんじゃないかと思います。

 ですから、是非、今日はちょっと大きな話で提案ですけれども、それをやはり政府として包括的に考えて、具体的なところまで示して、そして着手を早急にしていただきたいというふうにお願い申し上げたいと思います。

 ちょっと時間もどんどんと進んできましたので、次の質問に行きたいと思いますけれども、こういう人口減少時代になると、今でも既に空き家とかどんどん、ある種、スペースも余ってくるわけですよね。かつては、日本は人口がどんどん増えていましたから、中心市街地からだんだん、それこそスプロールのような形で人が郊外にも広がっていった。

 そのことが実は、昔の人はやはり長い経験の中から安全な地域に住んでいたのが、人が増えたものだから、ちょっと危ないけれども、やはりそこに住まないともう場所がないというので、そういう危険な地域、だから、ハザードマップなんかだと危険地域に指定されるような、そうした地域に住んでいる人たち、ある種、これは人口が増えていった中で起きている一つの現象ではないかと思うんですね。

 しかし、これから人口減少していく、そういった意味では、安全な地域に住もうと思えば住める、そういうスペースは空いてくるわけですから、今後は、ハザードマップで危険地域に指定されているような地域に住んでいる人については、平時において、より安全な地域への移住を促していくことを積極的に進めるべきじゃないでしょうか。

 これが災害のときに命を守るということにつながりますし、そしてまた、経済的コストを見ても、移住するのにいろいろな支援をするとお金がかかると言いますけれども、じゃ、災害に遭った、そこを復旧する、しかし、そういう危険な地域は二度も三度もやはり災害に遭う、そのたびに経済的損害が出て、また復旧のために費用を使うと考えたら、それこそ家を一軒移転するのにかかるお金をどんと補助してあげて安全な地域に住み替えていただいた方が、長い目で見ても、経済的なコストも安くなるんじゃないか。

 そういった意味では、安心、安全を人口減少時代に守っていくという中では、こういう危険な地域からより安全な地域への移住を促していく、こうしたことを積極的に進めていくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

菊池政府参考人 お答えいたします。

 激甚化、頻発化する自然災害に的確に対応するためには、ハザードマップで危険地域に指定されている地域の住居を災害発生前に移転させる対策は重要であると考えております。このため、国土交通省では、危険地域からの住居の移転を進める地方公共団体に対する支援を実施しております。

 これまで、防災集団移転促進事業について、事前移転の場合にも活用しやすくなるよう、令和二年度に移転対象戸数を十戸から五戸に緩和し、事業計画の策定経費を支援対象としたほか、令和三年度には、移転対象区域に、浸水被害防止区域などのハザードマップで危険地域とされた地域を追加するなどの拡充を行ってきました。さらに、令和五年度予算案では、防災集団移転促進事業により事前移転を行う場合における支援限度額の大幅な引上げや、居住を誘導すべき地域への移転支援強化などの制度拡充により、地方公共団体への支援をより一層強化することとしております。

 国土交通省といたしましては、地方公共団体の御意見を伺いながら、危険な地域からの移転について引き続き適切な支援に努めてまいります。

古川(元)委員 これは是非思い切ってやっていただきたいと思うんですね。そこは長い目で見て、今お金がかかっても、やはり今移転した方が得だなと思うぐらいの、そういう思い切った、まさに異次元のそういう促進策を取っていただきたいと思います。

 最後に、一問質問したいと思いますが、間もなく地方選で、私も地元の支援者を回っていますと、この前元気だった人が、ほとんど寝たきりで、最近、外にも出られないとか、足が悪くて近所にしか行けない、だから、投票に行きたいと思っても行けないのよ、そういう声、多分皆さんも聞かれるんじゃないかなと思うんですけれども、そういう人が増えているんですね。今後、更に高齢化が進んでいきますので、それに伴って、ますます歩行困難や寝たきりの人は増えていくと思われます。

 実は、そういう選挙の投票所の多くは、小学校など、大体、災害時の避難場所になっているところが多いんですね。投票に行けないということは、結局、災害時に避難所に避難することもできない、困難だ、こういう人がどんどんこれから増えてくると思うんですが、こうした人たちへの対応、今後増えてくる対応をどのように考えているか、政府としての見解をお聞かせください。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 歩行困難な方や寝たきりの方など、要配慮者の災害時の避難については重要な課題であると考えております。

 自ら避難することが困難な避難行動要支援者の方については、災害対策基本法に基づく避難行動要支援者名簿の作成が平成二十六年に市町村の義務とされ、令和三年に個別避難計画の作成が努力義務とされました。また、浸水等のハザードエリア内にある社会福祉施設や医療施設等については、水防法等に基づく避難確保計画の作成及び避難訓練の実施が平成二十九年に所有者等の義務とされ、令和三年に市町村長による助言、勧告制度が創設されました。また、高齢者施設等については、介護保険法令に基づき、非常災害対策計画の策定を義務化するなどの対策が講じられております。こうした対策を実効あるものとするため、手引等の作成やモデル事業の実施などにも取り組んでいるところであります。

 さらに、ハード面においても、高齢者施設等の水害対策のための垂直避難用エレベーター、スロープ、避難スペース確保等の改修工事等に係る経費を対象とする補助制度が令和二年度に創設されたところであります。

 いずれにいたしましても、計画作成にとどまらず、計画に基づいて発災時に円滑な避難の実現がなされるよう、避難訓練にも取り組むことが重要であると考えております。

 引き続き、関係省庁、自治体等とも連携しつつ、要配慮者の避難のための取組が実効あるものとなるよう取り組んでまいりたいと存じます。

古川(元)委員 時間になったので、終わります。どうもありがとうございました。

江藤委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 先月のトルコ・シリア地震での犠牲者の方に心から哀悼の意を表し、全ての被災者にお見舞いを申し上げます。

 二月六日の発災から百時間、あるいは二百時間以上たって救助された方も何人もおられます。二月十三日には四歳の女の子が百七十八時間ぶりに、二月十八日には二百九十八時間たって四十歳代の夫婦が助け出された。私は、衝撃とともに、希望の思いを同時に受けたところであります。救助を諦めてはならない、この地震の大きな教訓であろうかと思います。

 一方、日本では、大きな災害が起きるたびに、発災後七十二時間が生存のタイムリミットのように強調されています。例えば、迫る七十二時間、焦りとか、七十二時間、緊張の捜索、そうした報道もあります。

 内閣府に伺います。

 いわゆる七十二時間、この生存確率が高いというのは、阪神・淡路大震災の事例を基にしてのことなのか、何の根拠に基づいて言われているのか、説明してください。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 現在の災害救助法に基づく救助については、告示において定められておりますが、告示の中では、この告示、昭和二十八年に盛り込まれておりますが、災害の発生の日から三日以内ということで定められております。この三日という期間につきましては、平成七年、阪神・淡路大震災においても、発災後三日を境に生存率が急減することから示されているものでございます。

 一方で、救助法においては、従来から、行方不明者がいる場合等には特別基準によって期間を延長するなど、柔軟な対応も実施してきているところでございます。

田村(貴)委員 その阪神・淡路大震災の、神戸市消防局が出した、実はこれが唯一のデータなんですよ。これは、三日目と四日目の分岐点で死亡者が高まったと。これが七十二時間で独り歩きしているんです。

 その神戸市消防局の発表でも、発災四日でも五・九%、生存率。五日目でも五・八%。生存者が確認されているわけなんですね。何度も内閣府に確認したんですけれども、もうこれしか根拠、エビデンスがないわけなんです。

 そして、もう一つ紹介したいのは、消防庁がまとめた東日本大震災における津波災害に対する消防活動のあり方研究会報告書では、教訓として、「津波災害の特徴として、七十二時間を超えても、押し流された建物の中などに閉じ込められた要救助者を発見・救出する可能性は十分あるので、引き続き人命検索に取り組むことが必要である。」そして、災害医療の専門家の意見を紹介して、水分を何らかの形で摂取できる場合には、一、二週間後に救出されても何ら大きな問題がないことがある、このようにも言われています。

 消防庁にお伺いします。

 災害救助の活動方針などで、発災後七十二時間に言及する文書や指針は消防庁にありますか。救助に当たっての基本姿勢も併せて説明をしていただければと思います。

田辺政府参考人 消防庁として、七十二時間を区切りとした救助活動の変更等に関し、通知等で示しているものはございません。

 消防の救助活動においては、できる限り早く救助すること、人命救助の可能性ある限り、全力を尽くすこととしております。

田村(貴)委員 明快な答弁でありました。

 ちなみに、先ほどの神戸市消防局のまとめなんですけれども、ここでも七十二時間とか、それから三日間という表現、そして評価については何も書かれていないわけなんですよね。

 ここに、内閣府が作った、みんなでつくる地区防災計画というのがあります。この表紙にこう書いているんですよね。生死を分けるタイムリミットは七十二時間、断定しているわけです。現場の救助活動とも違うし、これは誤解を与えますよね、大臣。

 それから、資料をお配りしています、資料一。内閣府告示第二百二十八号です。ここで何て書いてあるか。第六条で、被災者の救出を実施できる期間は、発災の日から三日以内とすること。断定しています。

 資料二、御覧ください。災害救助事務取扱要領、ここに何て書いてあるか。「法による被災者の救出を実施できる期間は原則として三日以内とする。災害のため生命又は身体が危険な状態にあるような者などの捜索又は救出は、最も緊急を要する救助であるから、三日以内で終了するよう努めなければならない。」そして、「三日を経過した時点で、生死不明となっているときには、原則として法による死体の捜索に切り替えて実施すること。 この取扱いは、単に事務上の整理として被災者の救出から死体の捜索に切り替えて整理しておけば良いというもので、遺族の心情等を勘案し、改めて切り替える旨を公表する必要はないので留意すること。」ちょっとおかしくないですか。三日たったら、不明者は死亡者扱いですか。

 しかも、この災害救助に要する費用、国費の費用、これは災害発生の日から三日以内と基準で定めているわけです。生死の境があるんだけれども、財政支出を三日と限定しているのも問題じゃありませんか。

 この文書にある、三日とする根拠は一体何ですか。資料とかそういうものは残っているんですか。災害救助法を根拠としていると先ほど答弁ありましたけれども、いつからこういう規定になっているのか、説明してください。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 災害救助法におきましては、救助の種類に被災者の救出が盛り込まれた昭和二十八年から、一般的な被災者の救出期間として災害発生の日から三日以内を一般基準として定めているところでございます。

 一方で、災害救助法につきましては、従来から、行方不明者がいる場合等には、特別基準により期間を延長するなど、柔軟な対応を実施してきているところであります。過去五年間では、災害救助法によって被災者の救出に当たった件数、十三件ございますが、このうち三件では期間を延長して対応しており、最も長いものでは救助期間を二十一日間に引き延ばし、対応を行っております。

田村(貴)委員 結局明らかになったのは、昭和二十八年の告示で初めて明記されて、根拠がないわけですよ。何の根拠もないわけですよ。ただ三日とされてきた、それをずっと継承してきているわけですよ。

 特別基準とおっしゃった。一般基準とすべきじゃないですか。何で三日に限定するんですか。三日たったら行方不明者は死亡扱いですか。こういう文書があること自体、本当に驚きですよ。

 救出の期間、この数十年間の間に災害救助の技術の向上があって、医療の進歩も目覚ましいものがあります。七十年前に作られた根拠なき基準がずっと踏襲されています。三日と断定するのは、これまでの災害救助の経験からしても、トルコ地震の事例から見ても、適切ではありません。

 阪神・淡路大震災と正面から向き合ってこられた谷大臣、この文書はおかしいと思います。大臣の指示でこれは改定すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

谷国務大臣 先ほど統括官から答弁があったとおり、災害救助法における被災者の救出につきましては、一般基準として、一般基準でございますが、三日以内とされておりますが、行方不明者がいる場合などには期間を延長するなど、柔軟な対応を従来から実施してきているところであります。

 三日を過ぎれば救助をしないというようなことはございませんし、また、何よりも、災害応急救助を行う現場の自治体から、この取扱いは問題だ、課題があるとの意見は全く聞いておりませんが、今後、災害救助法の適用がある場合には、地域の実情、被災地の実情を丁寧に伺いながら対応してまいりたいと思っております。

田村(貴)委員 七十二時間、三日の根拠は非常に乏しいわけなんですけれども、それでも、私は、救命救助活動における七十二時間というのは重要な時間帯だというふうに思います。しかし、七十二時間が生存可能時間であるとか、あるいはタイムリミットのように強調されるのは、これは判断を誤ります。そして、救えたはずの命が救えない、こういう事態も生みかねない、そういうことになろうかと思います。

 先ほどの文書の中に、原則として定めてあると。それから、内閣総理大臣と協議の上、救出期間を延長できると定めているんですけれども、三日を原則として、三日を超えるときに、そのたびに内閣総理大臣と協議をするんですか。そんなことをするんですか、災害時に。この規定はやはり全然現実的じゃないですよね。生存者がいる可能性があるのに、期間を定めて、救助活動を打ち切る根拠としているような基準、そういう原則を、私は、内閣府防災として持ち続けることはいけないというふうに思っています。

 三日以内とか、七十二時間とか、こうしたことに言い換えられて、生死を分けるタイムリミットのように伝播されてきたのではありませんか。

 大臣、やはり、三日以内の基準、原則については是正すべきだと思います。検証していただけますか。

谷国務大臣 繰り返しになりますけれども、三日を過ぎればもう救助をしないということではございませんし、また、救助を途中で、三日になったからもうやめるというような実例も私は聞いてはおりません。あくまでも生存の可能性があれば、先ほど統括官がお話ししましたように、長いところでは二十一日ですか、それだけの期間も救助に当たったわけでございますので、そこのところをどうか御理解していただきたいと思います。

 三日以内、七十二時間というのは、それだけの時間的余裕しかないと。確かにそれ以降も生き続ける方は、阪神・淡路の例でも、あるいは今回のトルコの例でもありますけれども。しかし、多くの場合、生存率が極端に落ちているということも事実でありますから、関係機関としては、七十二時間以内という目標を持って救助に当たる、救出に当たるというのは、ある面では当然ではないかと思っております。

田村(貴)委員 大臣が先ほど前段で言われた部分、それは基準にも指針にも何にも書いていないわけですよ。そうおっしゃるんだったら、そういう指針と基準に書き換えなければいけませんよ。

 だって、地方自治体は、こうした公文書を参考にして災害救助に当たっていくわけですよね。役所の文書、内閣府防災が定めた文書というのは、全ての国民とそして自治体を縛るものになるわけです。費用弁償だって、三日以内と定められているじゃないですか。お金の問題なんですかと疑ってしまいますよ。私は是正をお願いしたいと思います。

 消防庁の姿勢が私は非常に重要だと思います。時間にとらわれず、最後の最後まで、一人でも多くの人命を救うために全力を挙げる、こういう指針じゃないといけないと思います。

 警察庁の災害救助活動も七十二時間で区切っていることではないというふうにお伺いしました。

 検討の余地がありますね。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど消防庁の政府参考人からも御説明がありましたとおり、七十二時間を区切って救助活動に当たっているわけではありませんが、私どもの災害救助の事務取扱要領の中に明記されておりますように、災害のため生命又は身体が危険な状態にあるような者などの捜索又は救出は、最も緊急を要する救助であることから、三日以内で終了するよう努めなければならないと。そして、三日を過ぎた場合の生存率が急速に落ちていくことというのは、阪神・淡路大震災の例でもはっきりしております。三日以内に救出するんだというような心構えで事態に対処していただいて、その上で、行方不明者の捜索がなお続くようであるならば、特別基準により柔軟に対応してまいりたい、このように考えております。

田村(貴)委員 根拠のないことを何でそう長々と言うんですか。

 次の質問に入ります。

 昨年の本委員会で、災害時に、特に避難所で生活する際に、LGBTの方たちが受けた苦痛、そして要望を私は紹介し、自分自身に、いろいろ質問してきたんだけれどもこの点が欠落していたことを自戒しながら、配慮と対応が必要だというふうに質問しました。

 その後、自治体へのアンケートと結果周知が行われたというふうに伺っています。資料三と四を配付しています。説明をしてください。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣府では、避難所における性的マイノリティーへの配慮に関する実情を把握するため、昨年四月から五月にかけて、全都道府県及び昨年度災害を経験した百三十の市町村に対して調査を行いました。

 調査の結果でございますが、各自治体にて作成した避難所運営マニュアル等において、性的マイノリティーへの配慮について記載をしている自治体は、都道府県では約七七%となっております一方で、市町村では約一四%にとどまっておりました。

 避難所運営マニュアル等において記載ありと回答した自治体における具体的な対応方法につきましては、例えば避難者名簿の性別欄を自由記載欄にする、男女共用トイレを設置する、一人で使用できる更衣室や風呂を設けるなどの回答があったところでございます。

田村(貴)委員 そのアンケートの結果なんですけれども、避難所運営マニュアル等への記載なしが、都道府県で五つの自治体、二〇二一年の百三十の被災自治体では、六三%に当たる八十二自治体となっています。今お話がありましたように、受付名簿、トイレ、入浴、更衣室、洗濯物干し場、その他の対応も今からというところであります。

 大臣にお伺いします。

 災害時の避難所における性的マイノリティーの方への対応というのは、私は、今後の防災基本計画等にもしっかり位置づけるべきだというふうに考えます。大臣の御所見はいかがでしょうか。

 今度は全自治体に対してアンケートを行って状況把握を行い、啓蒙、周知が図られるような取組を期待するものですけれども、いかがでしょうか。

谷国務大臣 性的マイノリティーへの配慮ということは大変大切なことだと思います。多様性が尊重され、お互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる共生社会の実現に向けた取組は大変重要なものでございます。

 国の取組指針におきましても、性別を含め、様々な事情を考慮して、一番困っている人から柔軟に、機敏に、そして臨機応変に対応することが望ましいとしているところでございます。

 アンケートの結果は先ほど統括官が答弁したとおりでございますが、これらの全国の自治体に対してその結果をお伝えし、また、様々な会議の場において改めて周知を図ってまいりたいと考えております。

 特に市町村の方がこの取組が遅いということは事実であります。それは、それなりの理由もあろうかと思います、人員の問題とか、それからお金の問題とか。そういう現場の声もよく伺いながら、今後、適切に対処してまいりたいと思います。

田村(貴)委員 最後に一問です。厚労省にお伺いします。

 災害が起きてもし停電になったら、オンライン資格確認はできません。それから、厚労省が言っているように、コールセンターに連絡したらいいと言うんですけれども、固定電話は停電が起こったらもう電話機は使えません。そうすると、マイナンバーを使ってのオンライン資格確認が医療機関ができないわけです。

 だからこそ、紙の保険証が要るわけですね。紙の保険証を継続して発行すること、これを求めたいと思いますけれども、いかがですか。

日原政府参考人 お答えを申し上げます。

 災害発生時に、顔認証つきのカードリーダーや資格確認端末の破損やシステムダウンなどが理由で、オンライン資格確認等システムを利用した資格確認がその場で行えない場合につきましては、患者のマイナンバーカードの券面情報、お名前ですとか性別、生年月日、住所などを控えておいた上で、通信などが復旧した後にオンライン資格確認等コールセンターに連絡をしていただいて、オンライン資格確認等システムのシステム障害時モードを立ち上げて、事後的に資格の確認を行っていただくということを想定しているものでございます。通信等の復旧後におきまして事後的な資格の確認ということで考えているものでございます。

田村(貴)委員 そんな面倒くさいことをせずに、保険証をずっと出し続ければいいということを申し上げて、今日の質問を終わります。

江藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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