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第6号 令和5年6月2日(金曜日)

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令和五年六月二日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 江藤  拓君

   理事 金子 恭之君 理事 工藤 彰三君

   理事 高鳥 修一君 理事 根本 幸典君

   理事 小山 展弘君 理事 神津たけし君

   理事 奥下 剛光君 理事 吉田 宣弘君

      東  国幹君    石原 宏高君

      小里 泰弘君    柿沢 未途君

      菅家 一郎君    小泉 龍司君

      小林 史明君    坂井  学君

      新谷 正義君    深澤 陽一君

      三谷 英弘君    宮路 拓馬君

      務台 俊介君    山口  晋君

      若林 健太君    稲富 修二君

      菊田真紀子君    小宮山泰子君

      山崎  誠君    渡辺  創君

      岬  麻紀君    吉田とも代君

      大口 善徳君    佐藤 英道君

      古川 元久君    田村 貴昭君

    …………………………………

   国務大臣

   (国土強靱化担当)    谷  公一君

   衆議院調査局第三特別調査室長           野崎 政栄君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月二日

 辞任         補欠選任

  金田 勝年君     小泉 龍司君

同日

 辞任         補欠選任

  小泉 龍司君     金田 勝年君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 災害対策に関する件

 強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法の一部を改正する法律案起草の件

 国土強靱化の推進に関する件


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     ――――◇―――――

江藤委員長 これより会議を開きます。

 災害対策に関する件について調査を進めます。

 強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、小泉龍司君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの五派共同提案により、お手元に配付いたしておりますとおりの強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法の一部を改正する法律案の草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。小泉龍司君。

小泉(龍)委員 本起草案の趣旨及び内容につきまして、提出者を代表して御説明申し上げます。

 強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法は、大規模自然災害等に備えた国土強靱化の推進に関し、その施策を総合的かつ計画的に推進し、もって公共の福祉の確保並びに国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に資することを目的として、平成二十五年に議員立法により制定されたものであります。同法に基づき、国土強靱化に関する施策の基本となる国土強靱化基本計画が策定され、同計画等により総合的な国土の強靱化に向けた取組が進められてきました。

 また、近年の自然災害の頻発化・激甚化等を受け、基本計画に加えて、防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策及びこれに続く防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策による国土強靱化の取組が実施され、大きな効果を上げています。

 五か年加速化対策の終了後も、中長期的かつ明確な見通しの下、継続的・安定的な対策の実施が求められているところでありますが、一方でこれらの対策は法律に根拠を持たないものであり、今後の継続性等に不安の声もあります。

 また、基本計画の策定に当たり、政府が意見聴取を行ってきた学識経験者等で構成される会議体も、法律に根拠がなく、制度的な公正性及び中立性が必ずしも十分に担保されていない存在となっております。

 本起草案は、こうした状況に鑑み、中長期的な見通しに基づき、国土強靱化に関する施策を引き続き計画的かつ着実に推進するため、国土強靱化実施中期計画に関する規定及び国土強靱化推進会議に関する規定を設けようとするものであります。

 次に、本起草案の主な内容について御説明いたします。

 第一に、政府は、国土強靱化基本計画に基づく施策の実施に関する国土強靱化実施中期計画を策定し、同計画に計画期間、実施すべき施策の内容及び目標を定めるとともに、施策の進捗状況、財政状況等を踏まえ、推進が特に必要となる施策の内容及びその事業の規模を定めるものとすることとしております。

 第二に、国土強靱化実施中期計画の作成及び実施に係る所要の措置を整備することとしております。

 第三に、国土強靱化推進本部に国土強靱化推進会議を設置し、その組織等について定めることとしております。

 第四に、この法律は、公布の日から施行することとしております。

 なお、政府は、速やかに、国土強靱化に関し実施すべき施策の実施状況の評価の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすることとしております。

 以上が、本起草案の提案の趣旨及び主な内容であります。

 何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

    ―――――――――――――

 強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

江藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 本件について発言を求められておりますので、順次これを許します。神津たけし君。

神津委員 立憲民主党、長野三区の神津たけしです。

 自然災害に強い国づくりを行っていくため、国土強靱化基本法がよりよい法律となるよう、三つ質問いたします。

 一つ。会計検査院の指摘により、不適切な評価方法の事例が判明いたしました。評価方法を改善しなければ、同じことが起こり得る可能性があります。

 附則には、政府は、速やかに、国土強靱化に関し実施すべき施策の実施状況の評価の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づき所要の措置を講ずるものとするとあります。この条文ですと、必要がないと判断した場合には評価方法の改善を行わないということも考えられますので、以下、確認させてください。

 この附則での検討条項は、会計検査院の指摘条項や行政事業レビューなど、既存の評価方法が不十分だったことが立法事実との理解でよいか。評価方法の改善は、必ず検討の上で行われるとの理解でよいか。

 二つ。国土強靱化基本計画は、アンブレラ計画と言われますが、防災基本計画、国土形成計画、社会資本重点整備計画等のほかの計画との整合性はどのように確保していくのか。

 三つ。第十六条第二項では、「国土強靱化に関する施策の推進に関し密接な関係を有する者の意見を聴かなければならない。」とあります。「密接な関係を有する者」とは、具体的にどのような人を想定しているのか教えてください。

 以上、御答弁、お願いいたします。

小山委員 一番目の質問に答えさせていただきます。

 今回の会計検査院からの指摘は、いずれも、支出額などの計数を把握せず、また、施行の遅れ、閣議決定枠外への支出など、フォローアップも十分ではなく、適切な評価を行うことができなかったと認識しています。

 これらについては、政府において、全て速やかに評価の在り方を見直すこととなると承知しています。さらに、これに加えて見直すべき点がないか精査し、要改善点が見つかれば、政府において全て是正措置を取ることとなると承知しています。

吉田(宣)委員 二つ目の御質問にお答え申し上げます。

 国土強靱化基本法において、国土強靱化基本計画は、国土強靱化に関して、国のほかの計画の基本となることが定められており、御指摘の国土形成計画や社会資本整備重点計画などの上位計画に当たり、上位計画と下位計画が法律上整合して策定されることが予定をされております。

 計画の策定の実務においても、これらの国のほかの計画が策定又は改定される際は、内閣官房において、国土強靱化基本計画との整合性が確認をされております。

 例えば、社会資本整備重点計画の場合、担当省庁は財政当局とも調整をし、同じ施策については、国土強靱化基本計画と社会資本整備重点計画で同一の指標を用いるなど、整合性が確保されております。

 また、計画の策定後においても、毎年、その指標の進捗状況をフォローアップすることなどを通じて整合性が確保されるよう連携しながら、整合性を保つための取組がなされております。

 引き続き、内閣官房がしっかりと総合調整機能を発揮することで、整合性の確保が図られるものと考えております。

奥下委員 三番目の問いに答えさせていただきます。

 実際の運用に当たっては、密接な関係を有する者として、日本経済団体連合会などの経済団体、日本医師会、全国社会福祉協議会、全国農業協同組合中央会、全国消費者団体連絡会などから幅広く意見聴取を行っております。

 さらに、パブリックコメントに付して、国民の皆様から広く意見を募っているところ、影響力の大きな人の意見が反映されるのではないかとの委員御指摘については、御懸念に当たらないと理解しております。

 国土強靱化は、国、地方公共団体のみならず、企業、国民一人一人が一丸となって取り組んでいくものであり、そうした観点からも、様々な立場の方からの意見を聞くことが重要と認識しております。

神津委員 御答弁ありがとうございました。

 以上、質問を終わります。ありがとうございました。

江藤委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 改正案では新たに中間計画を新設することにしていますが、基本計画に盛り込まれた対策の中から重点的かつ集中的に取り組む対策として策定されるとされています。そして、次期基本計画の骨子案には、国土形成計画と一体として推進するとして、リニア中央新幹線、新東名、新名神等により三大都市圏を結ぶ日本中央回廊、仮称の形成を新規に追加しています。

 深刻な災害が毎年のように起こり、南海トラフ巨大地震、火山大爆発の可能性が指摘されている中で、不要不急の大型開発が防災、減災の名で進められるのはあってはならないし、私はおかしいと考えます。いかがですか。

小泉(龍)委員 先生御指摘のとおり、リニア中央新幹線あるいは新東名、新名神、こういったもので三大都市圏を結ぼう、日本中央回廊という構想がございます。

 確かに、今、基本計画改定中です。この夏が目途ですけれども。それに向けて素案を出しまして、各界から意見をもらう。パブコメも出します。その素案の中にこの三大回廊という言葉が入っているのは事実でございます。

 先生おっしゃるように、開発ではあってはならない。ただ、事前防災という観点から見ると、南海トラフ地震あるいは首都直下型地震、こういったものを強く想定しなければいけない現下の状況においては、首都機能のバックアップ、首都機能の代替、首都機能を分散する、そういった首都機能全体を見てどうするんだという発想のアプローチもないと、これは全く個々の点を打っているだけでは収まらない、そういう災害のスケールもございますので、あくまで開発ではなくて事前防災の観点でしっかりとやりたい、御指摘を踏まえてやりたいと思います。

田村(貴)委員 肝腎の防災、災害対策の方についてもう一問伺いますが、幼稚園、保育所、幼保施設や学校、高齢者施設、災害対策本部が設置されている自治体の庁舎、指定避難所など、こうした施設が津波や洪水、土砂災害など災害の危険が想定されている地域に多く立地されています。早急な対策が求められています。

 しかし、例えば介護施設で見ると、危険地域からの移転は、これは強靱化対策の対象となっていないというふうに聞いています。こうした問題を改正案では解決できるのか。ほかの施設も含めて、どうなっているのか教えてください。

小泉(龍)委員 危険なエリアからの移転、それに対する助成、大変重要な論点であり、最近、特にそういうニーズが高まっています。声も大きくなってきています。

 これは法律の問題ではなくて、今回の法改正に基づいて作られるであろう実施中期計画、中期計画において、所管省庁がこれは強靱化の予算にしたい、強靱化として焦点を当てたいと、財務当局がそれでもいいですよという了解が取れれば、御指摘の介護施設の移転補助を強靱化予算として組むことは可能でございます。

 その点、御理解いただきたいと思います。

田村(貴)委員 可能であるならば、なぜこれを今までやってこなかったのかということになりますよね。そして、財務省の決裁まで要ると。これはすぐに必要な対策じゃないんですかね。そうしたことの問題が私はあると思います。

 そして、危険地域からの移転、建て替えというのは、これは地方自治体からの要望でもあります。防災・減災対策というのは、地域で必要とされる対策を住民などの参加で計画し、実行することが不可欠であります。しかしながら、大規模インフラ整備を進めるだけでは、国民の財産そして命を守るために国が責任を果たしているとは言えません。

 必要なことは、国による上からの対策の押しつけをやめて、地域の住民や地方自治体が取り組もうとしていることを国が寄り添って支援する、すぐ支援する、これが非常に大事であると考えます。

 したがって、日本共産党は、国土強靱化基本法の一部改正案に反対するということを述べまして、意見と質疑を終わります。

江藤委員長 これにて発言は終了いたしました。

 お諮りいたします。

 強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付しておりますとおりの草案を委員会の成案とし、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

江藤委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

 なお、ただいま決定いたしました本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江藤委員長 この際、高鳥修一君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの五派共同提案による国土強靱化の推進に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。小山展弘君。

小山委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    国土強靱化の推進に関する件(案)

  南海トラフ地震、首都直下地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震等大規模地震災害が切迫し、気候変動の影響により災害が激甚化、頻発化する中、我が国に住む全ての人の命と暮らしを自然災害から守るため、平時から、大規模自然災害への事前の備えを行うことが極めて重要である。

  政府は、国民の生命・財産・暮らしを守り抜くため、防災・減災、国土強靱化の取組を継続的・安定的に進めていくことが必要であることを深く認識し、強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法の一部を改正する法律の施行に当たっては、特に次の事項の実現に万全を期するべきである。

 一 令和五年五月に会計検査院が公表した「防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策に関する会計検査の結果について」を踏まえ、支出済額の把握、閣議決定に沿った執行、未完了の工事の実施による効果の発現、合理的でない不用に関する改善に真摯に取り組み、国民に対して十分な説明を行うこと。

 二 国土強靱化実施中期計画の実施に当たっては、国土強靱化基本計画が他の計画の基本となるアンブレラ計画であることを踏まえ、社会資本整備重点計画等と整合性を持って取組を推進すること。

 三 近年、我が国では豪雨災害が激甚化・頻発化し、各地で甚大な被害が発生しており、また、近い将来の発生の切迫性が指摘されている大規模地震では甚大な被害がもたらされることが想定されていることを踏まえ、国土強靱化に関する施策を大規模自然災害に係るものを集中的に行うことについて検討すること。

  右決議する。

以上です。

江藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

江藤委員長 起立多数。よって、本件は本委員会の決議とすることに決しました。

 この際、本決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。谷国土強靱化担当大臣。

谷国務大臣 ただいまの決議につきましては、その趣旨を十分に尊重して、適切な措置の実施に努めてまいります。

江藤委員長 お諮りいたします。

 本決議の議長に対する報告及び関係政府当局への参考送付等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前九時四十九分散会


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