衆議院

メインへスキップ



第8号 令和5年8月8日(火曜日)

会議録本文へ
令和五年八月八日(火曜日)

    午前九時十五分開議

 出席委員

   委員長 江藤  拓君

   理事 金子 恭之君 理事 工藤 彰三君

   理事 高鳥 修一君 理事 根本 幸典君

   理事 小山 展弘君 理事 神津たけし君

   理事 奥下 剛光君 理事 吉田 宣弘君

      東  国幹君    岩田 和親君

      小里 泰弘君    柿沢 未途君

      金田 勝年君    菅家 一郎君

      小林 史明君    坂井  学君

      辻  清人君    土田  慎君

      鳩山 二郎君    深澤 陽一君

      古川 直季君    三谷 英弘君

      宮路 拓馬君    務台 俊介君

      山口  晋君    若林 健太君

      稲富 修二君    菊田真紀子君

      小宮山泰子君    堤 かなめ君

      寺田  学君    原口 一博君

      渡辺  創君    山本 剛正君

      吉田とも代君    大口 善徳君

      河西 宏一君    古川 元久君

      田村 貴昭君

    …………………………………

   国務大臣

   (国土強靱化担当)

   (防災担当)       谷  公一君

   内閣府副大臣       星野 剛士君

   農林水産副大臣      野中  厚君

   国土交通副大臣      豊田 俊郎君

   財務大臣政務官      金子 俊平君

   国土交通大臣政務官    古川  康君

   政府参考人

   (内閣官房国土強靱化推進室次長)         岡村 次郎君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   高橋 謙司君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 濱田 厚史君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           小谷  敦君

   政府参考人

   (財務省国際局次長)   土谷 晃浩君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文部科学戦略官)       鈴木 敏之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 田中佐智子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮本 直樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鳥井 陽一君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    辺見  聡君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官)            松尾 浩則君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房生産振興審議官)       佐藤  紳君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           勝野 美江君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局次長)           青山 健治君

   政府参考人

   (水産庁漁港漁場整備部長)            田中 郁也君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            松浦 哲哉君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        廣瀬 昌由君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  丹羽 克彦君

   政府参考人

   (気象庁長官)      大林 正典君

   衆議院調査局第三特別調査室長           野崎 政栄君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月二十日

 辞任         補欠選任

  古川 元久君     西岡 秀子君

同日

 辞任         補欠選任

  西岡 秀子君     古川 元久君

同月二十七日

 辞任         補欠選任

  三谷 英弘君     鳩山 二郎君

  山崎  誠君     堤 かなめ君

八月三日

 辞任         補欠選任

  鳩山 二郎君     三谷 英弘君

  堤 かなめ君     山崎  誠君

同月八日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     土田  慎君

  石原 宏高君     辻  清人君

  新谷 正義君     岩田 和親君

  三谷 英弘君     鳩山 二郎君

  山崎  誠君     堤 かなめ君

  渡辺  創君     原口 一博君

  岬  麻紀君     山本 剛正君

  佐藤 英道君     河西 宏一君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     新谷 正義君

  辻  清人君     古川 直季君

  土田  慎君     東  国幹君

  鳩山 二郎君     三谷 英弘君

  堤 かなめ君     山崎  誠君

  原口 一博君     寺田  学君

  山本 剛正君     岬  麻紀君

  河西 宏一君     佐藤 英道君

同日

 辞任         補欠選任

  古川 直季君     石原 宏高君

  寺田  学君     渡辺  創君

    ―――――――――――――

六月二十一日

 一、災害対策に関する件

の閉会中審査を本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 災害対策に関する件(令和五年梅雨前線による大雨に係る被害状況等)

 派遣委員からの報告聴取


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

江藤委員長 これより会議を開きます。

 議事に入るに先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。

 この度の令和五年梅雨前線による大雨の被害でお亡くなりになられた方々とその御遺族に対しまして、深く哀悼の意を表します。また、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 これより、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。

 全員の御起立をお願い申し上げます。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

江藤委員長 黙祷を終わります。御着席願います。

     ――――◇―――――

江藤委員長 災害対策に関する件について調査を進めます。

 この際、去る二日、令和五年梅雨前線による大雨に係る被害状況等調査のため、福岡県及び佐賀県に委員派遣を行いましたので、派遣委員を代表いたしまして、私から調査の概要について御報告申し上げます。

 派遣委員は、自由民主党・無所属の会の金子恭之君、工藤彰三君、根本幸典君、鳩山二郎君、立憲民主党・無所属の小山展弘君、堤かなめ君、日本維新の会の奥下剛光君、公明党の吉田宣弘君、国民民主党・無所属クラブの古川元久君、日本共産党の田村貴昭君、そして私、江藤拓の十一名であります。

 七月七日から七月十日にかけて、梅雨前線の活動が活発となり、各地に線状降水帯が発生するなど、全国的に大雨になりました。

 この影響により、九州北部地方でも、広い範囲で大雨となり、特に、福岡県では、特別警報の運用開始以降、全国で最多となる六回目の大雨特別警報が発表され、七月十日未明から七時間にわたり相次いで四回の線状降水帯が発生するなどし、筑後地域や福岡地域南部、筑豊地域南部では記録的な大雨を観測しました。この大雨により、八月四日現在で死者五名などの人的被害、四千六百二十棟の住家被害や百六十六件の土砂災害などの被害が発生しております。

 また、佐賀県では、唐津市から佐賀市の山間部で最大時間雨量九十二ミリが観測され、七月二十日現在で死者三名などの人的被害、約百四十棟の住家被害や土砂災害などの被害が発生しております。

 さらに、河川や道路等の公共インフラ、農地や農業用施設などにも被害が発生しており、住民の方々の生活や地域の経済、産業にも甚大な影響を及ぼしております。

 ここに改めて、今般の災害により、貴い生命を失われた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様に対し、衷心よりお見舞いを申し上げます。

 それでは、調査の概要について御報告いたします。

 まず、久留米市田主丸町竹野地区において、山口久留米県土整備事務所長から千之尾川の土石流による被害状況について説明を聴取するとともに、土砂災害警戒区域等における被害状況、災害関連緊急砂防事業の採択状況、河川の流木捕捉のための取組状況、土砂災害の未然防止のための対策状況、県による治山対策状況、豪雨災害により変形した河川流路の復旧に向けた取組や、砂防ダムや治山ダムの機能性等に関して意見交換を行いました。

 今回の被害は、流域周辺の山林からの土砂災害で千之尾川の本来の流路が変わるといった影響が考えられることから、流路復旧のための土砂撤去に向けた支援が一層求められています。

 次に、久留米市北野町の農場において、古賀福岡県朝倉農林事務所長、原口久留米市長から、それぞれ農産物の浸水被害状況について説明を聴取するとともに、被害を受けた農業用ビニールハウスの視察を行いました。

 県内一の野菜の産地である北野町では、農地が低い場所にあるために、豪雨による浸水被害が毎年のように発生しており、視察場所の農業用ビニールハウスも、平成三十年以降令和三年まで四年連続五回の浸水被害を受けていることもあり、被災した農業生産者の収入保証に対する財政支援の必要性、若者の就農意欲の確保、大雨に耐え得るまちづくりの在り方、国による筑後川治水対策の必要性などについて意見交換を行いました。

 次に、久留米市役所において、原口久留米市長、吉富市議会議長から、それぞれ被害状況の説明を改めて聴取するとともに、県や市による河川対策の限界から、国による浸水被害軽減策の必要性、線状降水帯の発生状況に応じた治水対策の在り方、ポンプや貯留地等による貯水能力向上策の必要性、筑後川のしゅんせつの必要性、農業被害の繰り返しで積み重なる農家の借入金負担の軽減に向けた予算措置の必要性などについて意見交換を行いました。

 次に、唐津市浜玉町平原今坂地区において、佐賀県県土整備部永松理事及び農林水産部島内副部長から、それぞれ佐賀県の被害状況、並びに峰唐津市長から唐津市の被害状況を聴取するとともに、同地区の土石流被害現場を視察しました。

 同地区では、過去にも甚大な被害を受けていたため、その教訓を踏まえた土砂災害対策等を進めてきた場所でありますが、今般の災害においても、同様な被害が発生しており、復旧のための一層の支援が求められております。

 最後に、唐津市役所において、落合佐賀県副知事、峰唐津市長、池田佐賀市副市長、深浦伊万里市長から、それぞれ被害状況の説明を改めて聴取するとともに、佐賀県及び唐津市から、激甚災害指定の早期指定、農林水産事業者支援の必要性、国土強靱化対策の推進、特別交付税措置の必要性など豪雨被害対策に関する提案がありました。また、内水氾濫対策の重要性、土砂災害対策として有効な砂防ダム等の整備状況及び課題、避難指示発令の在り方、農業被害対策などについて意見交換を行いました。

 以上が調査の概要でありますが、今般の大雨による被害は非常に大きく、早急な対応の実施が必要であると強く認識いたしました。当委員会としましても、気候変動の影響による災害の激甚化、頻発化への対応、想定外の降雨となることも踏まえた河川整備と再度災害を防ぐための復旧事業の在り方、被災者の生活、なりわい再建に向けた財政支援拡充の必要性などの課題について、既存の仕組みの弾力的な見直しなども含めて、積極的に議論していく必要があると決意を新たにした次第であります。

 最後になりましたが、今回の調査に御協力をいただきました皆様に心から御礼を申し上げまして、御報告とさせていただきます。

 令和五年梅雨前線による大雨に係る被害状況等について、政府から説明を聴取いたします。谷防災担当大臣。

谷国務大臣 令和五年梅雨前線による大雨に伴う主な被害状況及びその対応につきまして御報告いたします。

 まず、一連の災害によりお亡くなりになられた方々とその御遺族に対し深く哀悼の意を表しますとともに、全ての被災者の方々に心からお見舞いを申し上げます。

 令和五年梅雨前線は、六月一日から三日にかけては西日本から東日本の太平洋側を中心に、六月末から七月にかけては、九州北部、中国、北陸、東北北部などを中心に、全国各地で線状降水帯の発生等による記録的な大雨をもたらし、甚大な被害が発生しました。

 今回の一連の大雨により、八月七日時点で把握しているところでは、死者二十名、行方不明者三名等の人的被害や、多数の住家の全半壊及び床上、床下浸水等の被害が報告されております。

 また、各地で停電や断水等が生じたほか、道路、鉄道等の交通インフラ、農地、農作物等にも大きな被害が生じております。

 政府としては、大雨が予想される段階から、関係省庁災害警戒会議を開催し、十分な体制を確保するなど、警戒に当たってまいりました。

 発災後には七回にわたり関係省庁災害対策会議を行い、自衛隊、海上保安庁、国土交通省のTEC―FORCEなどの関係機関も現地に入るなど、被災自治体と緊密に連携し、政府一体となって、災害応急対策に取り組んできたところです。

 私自身、七月十三日は福岡県及び佐賀県、二十一日には秋田県、二十四日には富山県の被災現場を視察し、被災状況や応急対応、復旧の進捗状況を自分の目で直接確認するとともに、被災自治体の首長や関係者などと意見交換を行いました。

 改めて今回の大雨による被害の大きさを痛感し、被災地の復旧復興に向けた決意を新たにしたところです。

 さらに、岸田総理は、七月二十七日に福岡県の被災現場を視察したほか、様々な機会を捉え、被災地の知事、市長等から直接被災状況をお聞きし、意見交換を行っています。

 このような中、本年の梅雨前線による大雨等に伴う災害の激甚災害の指定については、道路、河川や農地等の災害復旧事業の特例など、六つの特例措置を、地域を限定しない、いわゆる本激として指定する見込みであり、現在、指定に向けた手続を進めております。被災された自治体や被災者の皆様におかれましては、財政面や資金面に不安を抱くことなく、復旧復興に取り組んでいただきたいと思います。

 また、これまで、十二県四十四市町村に災害救助法が適用されたほか、四県九市町村に被災者生活再建支援法が適用されたことにより、適用団体において、被災者の一日も早い生活再建に向けた取組が進められております。

 さらに、被災地の自治体が災害廃棄物や堆積した土砂の撤去、罹災証明書の発行作業を速やかに行えるよう、関係省庁が支援を行っています。

 加えて、なりわいの再建に向け、被災中小企業者に対するセーフティーネット保証等を適用したほか、本激の被災農業者に対する貸付当初五年間の無利子貸付制度等を速やかに適用し、被災した方の支援を行ってまいります。

 引き続き、被災された方々が安心して暮らせる生活や被災した地域のにぎわいを一日も早く取り戻すことができるよう、被災地の方々の気持ちに寄り添いつつ、政府一丸となって、被災者支援、復旧復興対策等に全力で取り組んでまいります。

 なお、現在、沖縄などに被害をもたらしている台風第六号は動きが遅く、影響が長引いております。先週四日金曜日午後には沖縄県知事とオンラインで被害状況や今後の対策について協議したところです。

 台風は今後、九州にかなり接近します。政府としては、昨日、二回目の関係省庁災害対策会議を行い、十分な体制の確保や、関係機関、地方自治体と緊密に連携し対応することなどを確認したところであり、引き続き、緊張感を持って対応してまいります。

江藤委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

江藤委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房国土強靱化推進室次長岡村次郎君、内閣府政策統括官高橋謙司君、総務省大臣官房審議官濱田厚史君、消防庁国民保護・防災部長小谷敦君、財務省国際局次長土谷晃浩君、文部科学省大臣官房文部科学戦略官鈴木敏之君、厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官田中佐智子君、厚生労働省大臣官房審議官宮本直樹君、厚生労働省大臣官房審議官鳥井陽一君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長辺見聡君、農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官松尾浩則君、農林水産省大臣官房生産振興審議官佐藤紳君、農林水産省大臣官房審議官勝野美江君、農林水産省農村振興局次長青山健治君、水産庁漁港漁場整備部長田中郁也君、中小企業庁経営支援部長松浦哲哉君、国土交通省水管理・国土保全局長廣瀬昌由君、国土交通省道路局長丹羽克彦君、気象庁長官大林正典君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。鳩山二郎君。

鳩山委員 皆様、おはようございます。自由民主党の鳩山二郎でございます。

 本日は、委員長を始め理事の皆様方の御厚意によって質問の機会をいただきましたこと、まずは感謝申し上げます。

 また、先ほど御報告ありましたが、岸田総理を始め谷大臣、斉藤大臣も私の地元のいわゆる被災地の現地入りをしていただきましたし、去る八月二日は、先ほど江藤委員長から御報告がありましたが、理事の皆様方にも現地入りをしていただきました。私からも改めて感謝を申し上げます。

 本当に残念なことでありますが、私の地元はまたも漏れなく災害に遭いました。またと申しますのは、私の地元、昨年こそは水害がありませんでしたが、その過去五年間で六回の水害が起きています。ですから、今年を合わせると七年で七回、もう水害が常態化をしております。毎年、農業被害も本当に甚大でありますし、私の地元は、いわゆる毎年家屋が床上になる地域がたくさんあります。家屋が毎年床上になって、私、毎年お見舞いに行きますが、もう本当に目を疑うような光景があります。すなわち、毎年、一年前に買ったばかりの冷蔵庫や電子レンジやテレビをもう粗大ごみにして出さざるを得ないような状況を目の当たりにしてきました。

 そして、先ほど御報告ありましたが、そんな中でも、私の地元で一番今回災害が大きかったのはやはり田主丸地区の竹野地区であります。家屋十一棟を全壊にする土石流が発生しましたし、本当に悔しい限りでありますが、お一人の方が貴い命を失いました。心から御冥福をお祈りをしなければいけないと思っています。

 発災直後、私も当然現地入りしましたが、発災直後は道路なんか見えないんですね。もう辺り一面泥だらけで、流木があって、信じられない、これが流れてきたのかというような大きな岩が流れ込んできていて、まさにそれこそ、それも目を疑う光景だったわけであります。

 また、この土石流ですが、何も中山間地域だけの問題ではなくて、竹野地区から直線でおよそ三キロほどの下流域に大橋という地区があって、そこの八十世帯ぐらいの集落があるんですが、私、その集落も全軒歩きました。その大橋地区の集落というのはもう筑後川がすぐそこなんですが、真水が家の中に入ってくることは過去にもあったそうなんですが、今回は、その上流の土砂が流れ込んでいますから、家中が泥だらけでありますし、泥の重さで床が抜け落ちてしまっているような、そういう悲惨な状況を私はお聞きをしました。

 また、これはそういうことなのかなと気づかされる点があったんですが、昨年は災害がなかったと私は申し上げましたが、その大橋地区には小さな河川が流れています、市の管理だと思いますが。その河川は雨が降ると基本的には透き通った真水しか流れないそうなんですが、去年の雨が降ったときに、その河川を見ると、何か土臭い色があったと。なので、その下流域の方々が、いずれ耳納連山が土砂崩れが起きるんじゃないかという予感をしたという話でありました。そういったことがあるんだなというふうに私も気づかされたわけでありますが。

 また、土砂崩れが起きた竹野地区でありますが、竹野地区近隣に住んでいる、山肌に住んでいる方々は毎日山を眺めますので、やはり、今回の大雨で、竹野地区以外のところも、いわゆる山が剥げ落ちているというか、木が少なくなって土が見えている箇所が本当に増えているそうであります。ですから、皆様方は、先ほどお話ありました、これから台風シーズンが到来をするわけですが、新たな土砂崩れが起きるのではないかというふうに日々戦々恐々とされているわけで。

 そこで、国土交通省の皆さんに御質問ですが、災害というのは未然に防止することが一番大事だと思います。ですから、そういった土石流の予備軍といいますか、土石流の兆候があるような危険箇所はどういった手だてを皆様方は講じられているのか、お答えをいただければと思います。

廣瀬政府参考人 お答えいたします。

 この度の豪雨災害では、大きな被害があった久留米市竹野地区千之尾川以外でも、委員御指摘のように、久留米市の南側、耳納連山において、今後の降雨により土砂が流出して被害が生じるおそれがある斜面崩壊が複数発生しております。このような渓流では、砂防堰堤等の整備のほか、警戒避難体制を強化することが重要だと考えております。

 このため、現在、福岡県では、土砂災害が発生した渓流や斜面の調査を進めているほか、土砂災害の兆候や懸念について久留米市や地域の住民の声を聴取し、市を含めた関係者間でハード、ソフトの両面から必要な対応を検討していると聞いております。

 国土交通省としては、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策等の予算を活用し、砂防施設の整備を支援するほか、警戒避難体制の強化に対しても支援を行ってまいります。

鳩山委員 御答弁ありがとうございます。

 地域の方々、本当に、新たな土石流が起きるのではないかと日々怖がられていますので、是非、心に寄り添った対応をお願いをしたいと思います。

 次は、筑後川についてお伺いをさせていただきます。

 筑後川は、私自身はもうゴールが見えているんだろうというふうに思います。被災された方々は、どなたも皆さん、必ず同じことを言います。七年前になりますが、我々の地域にとっては上流に当たる朝倉、日田、東峰村を襲った災害がありました。あの七年前から我々の地域は毎年水害に遭っているわけで、ですから、いわゆる全ての支川の出口である筑後川の川底に七年前の上流の土砂がいまだにたまっているということがやはり大きな問題なんだろうというふうに思います。

 確かに、今は異常気象により尋常じゃない雨量が降るのは事実かもしれませんが、地域住民の方々は過去を見てきていますので、本当に最近は、その七年前から、筑後川の水位が上がるのが猛スピードに、速くなったそうであります。筑後川の水位、全ての支川の出口の水位が上がれば、当然、逆流を防ぐために水門を閉じなければいけませんし、結果、内水氾濫が起きるという現象があります。

 皆様方は口をそろえて、筑後川のしゅんせつをお願いします、お願いしますと、私、かなりの方々に言われています。これは、国土交通省の皆さん、筑後川のしゅんせつの予算をつけていただいていること、私も地域住民の方も重々承知をしておりますが、やはり皆さんが言われるのは、このスピード感だったら一体いつになったら災害がなくなるんだというふうな御意見をいただきますので、是非、お答えしにくいかもしれませんが、筑後川のしゅんせつのスピードアップについて御見解を教えていただければと思います。

廣瀬政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、大雨時に筑後川本川の水位を下げるということは、筑後川の氾濫を防ぐということだけではなくて、筑後川に流入する支川や水路などのスムーズな排水にも効果的であり、いわゆる内水の氾濫の防止、被害の軽減が期待できます。

 現在、筑後川では、河道の流下能力を向上させるための計画的な河道掘削や堤防整備を行いつつ、定期的な測量などにより河川の状態を確認し、土砂の堆積等が発生した場合には、洪水時の水位が上昇することのないように、随時これらの撤去を行うなど、適切に対応することとしております。

 引き続き、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策などにより、河道掘削等必要な対策を一層進め、安全、安心な国土づくりを推進してまいります。

鳩山委員 御答弁ありがとうございます。是非、引き続きよろしくお願いをいたします。

 次に、国道二百十号線についてお伺いをいたします。

 残念なことに、国道二百十号、これもまた田主丸町の話なんですが、およそ四キロぐらいにわたって国道が道路冠水をしました。田主丸を走る唯一の国道だと思いますが、四キロ道路冠水をして、お店や住宅や会社が恐らく四百五十軒ぐらいあるわけですが、私、全軒歩きましたが、四キロ国道がつかるということは、もう出口がなくて、逃げ場がなくて、皆さん、どうすることもできない、そんな声を聞きました。

 その中で、私が特に印象深いなと思ったお話は、町の小さな工場の方で、もう機械が全部つかってしまったと。なので、国の何らかの補助や補償がないともう廃業せざるを得ないという方の悲痛な叫び声や、私がインターホンを押したら出てきていただいた方が、かなり高齢の男性の方でしたけれども、悔し涙を流されていました。そういった現状があります。また、これは国道であって、道路冠水をしていてもトラックがびゅんびゅん通るので、トラックが通ると波打って、それがまた家の中に入ってきて、大変怖い思いをしたという話を聞きました。

 早急な改善をしてくださいという要望を強くいただいております。その早急な改善をしてくださいという地域の方々に対する何か御見解があったら、お聞かせをいただければと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 七月十日の、福岡県で大雨特別警報が発表されるなど、記録的な大雨になりまして、国道二百十号の久留米市から日田市間において路面冠水が発生したことから、全面通行止めを行いました。この冠水でありますが、沿線一帯に降った雨が地域の排水能力を超えたため、国道二百十号を始め、地域一帯が冠水したものと考えております。

 この国道二百十号を始め、この地域の浸水被害軽減に当たりましては、筑後川流域にあらゆる関係者が協働して河川整備、また雨水貯留施設整備などの対策を行う流域治水の取組、これをまず進める必要があると考えております。

鳩山委員 御答弁ありがとうございます。

 時間がないので、次の質問に移らせていただきます。

 農業について何点かお聞かせいただければと思いますが、今、流域治水という話がありましたが、流域治水、私、すばらしい、正しい考え方だと思っておりまして、上流、中流、下流、国、県、市の河川を一体的に整備して、地域の治水力を高めていこうという話なんですが、この法律は、いわゆる水田もポケット機能としてカウントしようとうたっていますよね。

 これが、私の地元では、正直なところ、悩ましいところがあって、委員長を始め理事の皆様方に視察いただいた北野地区というのは、本当に地力があって、いろいろな野菜ができます。なので、ハウスが物すごい数あって、また、これは残念なことというか、事実なので言わざるを得ないんですが、ハウスと水田が混在をしていて、なおかつ、ハウスが同じ高さにあるので、水田をポケット機能としてカウントしようというと、ハウスが必然的につかってしまいます。なので、七年で七回ハウスがつかっている方々がおられて、北野町の若手農業者は本当に頑張っておられて、体力のある農業、大規模な農業をされています。御自身で九十棟や百棟持っている方々のハウスが壊滅的な状態であります。

 そういった若手農家の方の話を聞くと、新しい補償制度をつくってくださいと、本当に強い思いを込められておっしゃられます。もちろん、共済があったり、あるいは収入保険があったりします。ただ、収入保険は、今までは過去五年間の実績を見ますので、毎年水害に遭っていると、基準額が目減りをしていってしまう。また、収入保険、新しい制度に変わるということは、農家の方々も十分それは理解をしていただいているんですが、新しい補償をしてください、新しい補償をしてくださいと。それは難しいかもしれませんねと私はお答えをしていますが、恐らく、農家の方々は前を向きたいんですね。希望を持ってこれからも農業に励みたいので、本当にこれはお答えしにくいかもしれませんが、そういった新しい補償制度をつくってくれませんかという農家の方々に対して、何か御見解をいただければと思います。

勝野政府参考人 お答えさせていただきます。

 今般の大雨被害により、収入保険の加入者に対しては、収入減少が見込まれる場合は保険金などが支払われることになっております。

 気象災害により基準収入が減少することに対しては、近年災害が激甚化、頻発化していることを踏まえまして、令和六年の加入者の方々から、甚大な気象災害の被害を受けた方について被害年の収入金額を補正する特例を実施することとしております。また、本特例につきましては、過去五年のうち複数年で気象災害が発生し、その複数年の収入が減少した場合につきましては、当該対象年の収入を補正することができることにしております。

鳩山委員 お答えありがとうございます。

 次に移らせていただきますが、当委員会の委員会派遣のときに、JAみいの青年部長の米倉さん、私の友人なんですが、米倉さんが我々とお話をしたときに、本当に面白い、可能性のある発言を、御提言をされたわけでありますが、若手経営者の方々は名実共に本当に経営者であって、九十棟、百棟を持っているわけですから、従業員を二十人も三十人も抱えておられるわけであります。そういった中で米倉さんが言われたのは、確かに可能性があるのかなと私自身思ったのが、コロナ禍で、雇用調整助成金、企業の方々は本当に助かったという声をたくさんお寄せをいただいておりますが、青年部の皆様方が口をそろえて言っていたのは、是非、せめて激甚指定になった農業被害のときにだけ雇用調整助成金というのは使えないですか、適用をしていただけませんかという話でした。

 私、これは本当になかなか面白い、可能性のあるアイデアだなと思いましたが、それについての御見解をお聞かせいただければと思います。

田中(佐)政府参考人 雇用調整助成金につきましてお答えさせていただきます。

 雇用調整助成金は、景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により事業所において急激に事業活動の縮小を余儀なくされた雇用保険適用事業主であることを法令上の要件としてございます。そのために、激甚災害の指定の有無にかかわらず、災害の直接的な被害による事業活動の縮小については助成の対象となりませんが、災害の影響に伴う経済上の理由により休業等の雇用調整を行った際には休業手当等の一部を助成できる場合がございます。

鳩山委員 御答弁ありがとうございました。是非前向きに考えていただきたいんですね。私、その前の質問で新しい補償制度という話をしましたが、こういったことが可能になればこれこそが新しい補償制度に私はなり得るのではないかなと思いますので、是非前向きに御検討いただければと思います。

 時間がないので飛ばさせていただいて、住宅被害についてお伺いをします。

 住宅といっても、私が今この場で申し上げたいのはいわゆる畳のある家屋の話でありまして、もちろん床上だったら当然なんですが、畳があるところは、床下でも、やはり畳の床下がじゅくじゅくになるので、畳を剥いで、乾燥して、消毒をしなければいけません。

 これは久留米市に限った話なんですが、久留米市は、おととしまでは久留米市が恐らく市費で、いわゆる畳の下を乾燥、消毒させなきゃいけない家屋に関しては業者を頼んで乾燥、消毒をしていたそうなんですが、私が一軒一軒床上、床下を歩いていくと、今年は、久留米市が、いわゆる業者を雇って久留米市が乾燥、消毒はしないという決定をしたという通達を出したそうで、御自身で乾燥、消毒してくださいというんですね。御自身で乾燥することも難しいですし、消毒するというのは、石灰を御自身でまくのは私は難しいと思うし、しかも高齢者で一人で住まれている方なんて到底無理な話であります。

 そこで、これは久留米市の話なんですが、総務省にお伺いをしたいのは、こういった、畳を上げて畳の床下を乾燥、消毒するようなことというのは特別交付税措置に当たるんでしょうか。お答えをお聞かせいただければと思います。

濱田政府参考人 お答えいたします。

 災害時の応急対策に係る様々な財政需要については、罹災世帯数や浸水家屋数などに基づき、特別交付税により包括的に措置しております。

 このほか、被災自治体における災害対策に要する経費は、議員御指摘の浸水家屋の消毒に要する経費を含め、被災の程度やその対策の内容により多岐にわたるため、個別自治体の実情を丁寧にお伺いし、その内容を精査した上で特別交付税の算定に反映しております。

 これらの特別交付税措置を含め、地方交付税や地方債による地方財政措置を講ずることにより、被災自治体の財政運営に支障が生じないよう適切に対応してまいります。

鳩山委員 御答弁ありがとうございます。

 最後に、健康被害について、健康被害の二次被害についてお伺いをいたしますが、最初は泥がたまっていたのが乾燥をして、それが粉じんになって、風でも粉じんが舞うし、トラックが走ると粉じんが舞って、私自身、実際、被災地を回っていて目と喉をやられたんですが、そういった粉じん被害に対してはどういう対応をされているか、お答えをいただければと思います。

鳥井政府参考人 お答えいたします。

 土砂災害の粉じんの目、鼻、口の健康被害、これは、痛みとか、せき等の症状のほかに、アレルギー性結膜炎、鼻炎等のアレルギー性疾患の悪化があると認識しています。

 厚生労働省におきましては、各自治体の保健所等で活用いただくことを念頭にガイドライン等を作成しておりまして、その中で、粉じんから身を守るために、ゴーグル、マスク等の着用による粉じんの吸入等の防止、それから、水をまくことによる粉じんの発生防止、それから、作業後の手洗い、うがいによる粉じんの除去等を推奨、周知をいたしております。

 また、特にアレルギー性の疾患を持つ患者さんの方は粉じんでその症状が悪化することが知られておりまして、このような方に対する災害時の対応については、別途、患者、行政、医療従事者に向けたパンフレットを作成して、アレルギーポータルと呼ばれるウェブサイトにも掲載しておりますし、各自治体に対して平時から情報提供に努めているところでございます。

 各自治体の保健所においては、こういったガイドライン等を活用して被災者の健康観察を行っているものと承知をしておりまして、厚労省といたしましても、引き続き、自治体等と連携しつつ、被災者の健康管理の取組を進めてまいります。

鳩山委員 終わります。ありがとうございました。

江藤委員長 次に、岩田和親君。

岩田委員 自民党の岩田和親でございます。

 改めて、この度の豪雨被害で、誠に残念なことにお亡くなりになられた方々に対して哀悼の誠をささげ、被災された方々にお見舞いを申し上げたいと思います。

 そして、この災害対策委員会も、江藤拓委員長を筆頭に、八月二日、佐賀県にも被害状況を御視察いただきまして、ありがとうございました。熱心な活動に敬意を申し上げたいと思います。

 加えてですが、先ほどもお話ありましたように、台風六号が沖縄地方に大きな被害を及ぼした後、明日九日にも九州に最接近をしようとしているところであります。梅雨の災害の爪痕、まだまだ深い中で、本当に心配をしております。万全の警戒、準備を皆様にお願いを申し上げたい、このように思っております。

 さて、質問に入らせていただきますが、先ほど質問をされた鳩山委員、そして、この後質問をされます公明党の吉田委員、それぞれ福岡県の久留米の地域の方ということで、佐賀県とは隣同士、まさに、度々線状降水帯などが発生をして水害に襲われる、そういった地域なわけでございます。今回の梅雨においても全国的に大きな被害が発生をしたわけですが、佐賀県においてもまた被害が起こったところであります。

 七月十日に佐賀県を含みます地域に線状降水帯が発生をしまして、唐津市浜玉町の今坂雨量観測所においては、十日午前五時までの一時間に八十八ミリの猛烈な雨が観測をされ、結果として、土石流が発生、三名の貴い命が失われました。そしてまた、佐賀市の北山の雨量は六時間で二百二十五ミリほどと、観測史上最大を記録いたしまして、その下流にあります嘉瀬川の川上水位観測所で、ここも観測史上最高の水位を記録したところです。また、城原川の上流、伊福雨量観測所といったところでは時間雨量最大八十五ミリ、この城原川の日出来橋地点の観測史上最高水位五・五四メートル、これは計画水位を約一メートル超過をしているというところでありまして、九か所越水浸水をしたということであります。

 これらの状況の中で、佐賀県では被災後一週間で道路、河川などの被害箇所が数において六百八十か所、被害額が百六億円、こういうふうな状況で、これもまた拡大するおそれもあるところです。佐賀県は令和元年そして令和三年と大きな水害を経験しておりますが、今申し上げたこの被害額等は、このときよりも更に大きな、そういった状況であるということでございます。

 まさに、県民の不安の声、対策を求める声が改めて高くなっておるわけでありまして、こういった皆さんの声をしっかりと受け止めて、今日も質問に立たせていただいているところであります。

 そして、まず、七月の二十七日、激甚災害の指定により適用される措置の概要といったものが公表されて、いわゆる見込みが示されたことに感謝も申し上げたいと思います。佐賀県からも激甚災害の指定について要望がなされておりました。これで見通しを持って復旧復興に取り組むことができます。引き続き、正式な指定に向けた作業を速やかに行っていただき、そしてまた、財政的支援なども含めて被災地に寄り添った取組をしていただきたいと重ねてお願いをさせていただきます。

 そういった中で、まず最初に、初動体制の強化について質問をさせていただきます。

 人命が失われました唐津市浜玉町の土石流について、私も現場を確認いたしました。その時点で行方不明者は発見をされておりませんで、地元の警察や消防、自衛隊が連携をして懸命の捜索活動が行われておりました。地元の警察や消防は、県内各地から毎朝現地に集合して捜索に当たられていたということでありまして、改めて、警察、消防、そして自衛隊、消防団、建設業の方々、TEC―FORCEを始めとする国や地方の行政の関係者など、災害の現場で御尽力いただいた皆様に敬意を申し上げたいと思います。

 この災害発生の初動体制、特に人命救助や捜索活動ではスピード感が求められることは言うまでもありません。様々な組織からの人員が一体となって迅速に行動することが重要であります。

 また、その当日もそうでしたが、現場においてはドローンなども今活用されるようになりまして、いわゆる災害DX、これをしっかり進めることで、現場の情報共有や活動の効率化、こういったものも期待をされております。

 このような初動体制の強化についてどのように取り組んでおられるのか、お聞きをいたします。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 先月七日から十日にかけて、活発な梅雨前線の影響により、島根県、福岡県、大分県、佐賀県に線状降水帯が発生し、福岡県、大分県には大雨特別警報が発表されるなど、これまでに経験したことのないような記録的な大雨となりました。

 政府としては、関係省庁災害警戒会議を開催するなど、政府一体となった警戒態勢を確保するとともに、発災時には、被害状況を迅速に把握し、人命を第一とした救命救助活動、ライフラインやインフラの早期復旧等、関係省庁が緊密に連携して切れ目なく対応してまいりました。

 被災地では、警察、消防、海上保安庁、自衛隊の部隊が、ヘリや委員御指摘のドローン等も活用しながら救命救助活動や行方不明者の捜索に当たるなど、被災自治体と緊密に連携し対応してきたところでございます。

 災害時におけるドローンの活用につきましては、例えば消防庁において消防防災分野におけるドローン活用の手引きを策定するなど、それぞれの省庁において進められていると承知しております。特に、被災現場を俯瞰することによる被害状況の確認、人の立入りが困難な危険箇所やヘリが運航できない気象条件下における情報収集に非常に効果的と認識しております。災害への対応に当たりましては、ドローンの活用も含め、新しい技術を活用していくことも必要と考えております。

 内閣府としましては、今後とも、関係省庁と連携しながら、初動対応の強化に努めてまいります。

岩田委員 是非、更なる高度化をお願いしたいと思います。

 次に、農業被害についてお聞きをいたします。

 今回、この佐賀県の梅雨の豪雨災害、中山間地に豪雨が発生をしたということが大きな特徴でありまして、この中山間地の農業に大きな被害が発生をいたしました。

 私も、神埼市の脊振地区、ここのホウレンソウハウスの被害状況を確認いたしました。川があふれて、まさにその土砂がホウレンソウのハウスに流れ込んでいたわけでありまして、ちょうどホウレンソウも収穫間近、そういった状況だったわけですが、このホウレンソウが砂にまみれて埋もれている、そういう状況を見まして、農家の方々のその落胆ぶりはいかばかりか、このように受け止めたところであります。

 また、中山間地の水田、ここもやはり、水田につながる農道が崩落をし、そして農業用水路が土砂で埋まるなど機能しなくなる、こういった被害を受けておられました。

 この中山間地の農業、言うまでもありませんが、ただでさえ非常に厳しい条件の中で営農されているわけでありますが、こうやって災害が起こったときに、これをきっかけとして離農してしまうということを大変心配するわけであります。中山間地の農業、復旧はもちろんでありますけれども、離農することなく引き続き営農するための支援が重要と考えますが、その取組について伺います。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 今回の災害に対しまして、農林水産省では、発災直後にMAFF―SATとして職員が現地を訪問し、現場の課題でございますとかニーズ等の聞き取りを行っておりまして、引き続き要請に応じた支援を行ってまいりたいと思っています。

 農地やハウスの土砂撤去につきましては、災害復旧事業等により早期復旧を図ることとしておりますけれども、今回の災害が激甚災害に指定される見込みであることから、災害復旧事業費の補助率はかさ上げされて高率になる見込みでございます。

 また、被災された農業者に対しましては、農林漁業セーフティネット資金等の災害関連資金について貸付当初五年間の実質無利子化等を措置するほか、農業共済に係る共済金の早期支払いでございますとか収入保険に係るつなぎ融資などを行うなど、早期の営農再開を支援してまいります。さらに、堆積した土砂の撤去のほか、営農継続に必要な機械の共同購入など、地域の状況に応じて幅広い用途に活用可能な中山間地域等直接支払いの活用等を推進してまいります。

 農林水産省といたしましては、引き続き、被災された農業者の一日も早い営農再開、ひいては中山間地域における農業生産活動の維持に向け、県、市町村とも連携し、支援を行ってまいります。

岩田委員 もちろんそれぞれの政策は重要でありますけれども、とにかくみんなでしっかりと支えていこうという中で、中山間地の農業者が気持ちが折れないということがとても大事なんだと思います。是非とも皆さんと一緒にしっかりと支えてまいりたい、このように思います。

 次に、海の漂着ごみについてお尋ねをいたします。

 筑後川などから多くの流木等が有明海に流れ込み、そして漁港や堤防など、膨大な量のごみや流木、こういったものが漂着をして、漁業者の皆さんが困られておりました。人命や生活に直接関わる復旧作業などに比べると、漂着ごみの回収は優先順位が低いのか、こういった現場の声があったのも事実であります。

 漁港に上流からの砂が堆積をして船が出せない、また、沈んだ大きな流木などが船に衝突をしますと破損の原因ともなりますし、有明海はノリの一大産地であります。このノリの漁期に向けて、お盆過ぎには準備が始まるわけですが、ヨシのくずなど、こういったごみが潮の満ち引きで海に流れてしまうとノリの異物混入につながるといった点で、急いでほしいというのが漁業者の皆さんの切実な要望であります。

 漂着ごみの対応について、どのように取り組んでおられるのか、お聞きいたします。

田中(郁)政府参考人 お答えいたします。

 梅雨前線による大雨によりまして、有明海では海岸に流木やごみが漂着するとともに、河口部の漁港では土砂が堆積するなどの被害が報告されているところでございます。

 まず、漁港に堆積した土砂等の撤去につきましては災害復旧事業による対応が可能でございまして、佐賀県にMAFF―SATとして災害担当職員を派遣し対応方針を協議するとともに、ノリ漁期の漁業活動に影響が生じないよう、査定前着工制度を活用し、早期に応急工事を行うこととしてございます。

 また、海岸保全区域に大規模に漂着した流木等につきましては、災害関連緊急大規模漂着流木等処理対策事業によりまして緊急的な処理を開始しており、引き続き、関係省庁が連携し、できるだけ速やかに対応してまいります。

岩田委員 国と、また各自治体、協力をして取り組んでいただいていると思います。是非またしっかりとやっていただきたいとお願いをいたします。

 次に、田んぼダムなどの取組についてお尋ねをしたい、このように思います。

 今回の豪雨の災害、様々なところでお話などを伺っておりますと、流域治水の具体的な取組が進んでいるな、こういうふうな感じを受けたところであります。

 佐賀県では、内水対策事業、プロジェクトIFというものを進めております。その中の事業として、水田の排水口に調節板をつけまして貯水機能を高める田んぼダム、またクリークなどの事前放流などの取組を強化しているところです。

 この事前排水につきましては、農家にとっては農業用水が必要なときに確保できないのではないか、こういう心配から排水に後ろ向きな雰囲気もあったわけですが、現在は、回数を重ねまして、この理解が深まってきた、このような意見を聞いたところです。

 これらの取組につきまして、どのように評価、そしてまた推進をしていくのか、お聞きをいたします。

青山政府参考人 お答えいたします。

 佐賀県におかれましては、令和四年度より田んぼダムの取組が行われておりまして、令和五年度には約二千二百ヘクタールの農地で田んぼダムの取組が実施されております。また、クリークを活用した事前放流についても実施されているというふうに承知をしております。

 今回の大雨に対しまして、これらの取組によりどのような効果が生じたかにつきまして詳細にお答えすることは困難でありますが、一般論といたしましては、田んぼダムの取組により河川への流出量のピークを抑制する効果があるということが分かっておりまして、今回につきましても、農家の御協力により、一定の効果があったものというふうに考えております。

 農林水産省といたしましては、田んぼダムの取組等に対しまして、多面的機能支払交付金におけます単価加算、また農地整備事業におきます畦畔や排水升等の整備に係る経費の助成を行っておりまして、引き続き農業関係の皆様の理解を得ながら取組への支援を行ってまいりたいと考えております。

 以上です。

岩田委員 流域治水というものの具体的な取組の一つとして、この田んぼダム、非常に有効であるというふうに私も考えております。効果のほどは、また今後是非検証もしていただきたいな、このように思うところでありますが、元々あります、佐賀県の資産であります水田やクリーク、こういったものが、是非また、佐賀県のまた宿命的な課題である内水氾濫にも活用していけるようにということで進めていただきたいと思います。

 その内水氾濫につきまして、ちょっと全体的な質問を是非したい、このように考えております。

 申し上げましたように、今回は山間部における豪雨、そしてまた被害が多かったわけですが、佐賀県の場合は、やはり佐賀平野における内水氾濫対策、これが重要な課題なわけであります。今回の梅雨におきましては重大な家屋や農業被害の報告は聞いていないところでありますが、やはり各地で冠水などが多く発生をしております。

 佐賀平野は、ほとんど勾配のない平野が広がっておりまして、加えて干満の差が大きい有明海へと最終的に排水をしなければならないため、宿命的に内水氾濫、排水対策に取り組んでいかなければなりません。

 そういった中で、まず地域住民の方の要望は、排水機能の強化であります。ますます激しくなる雨の降り方を踏まえて、排水ポンプの能力向上、老朽化ポンプの更新などの要望の声が改めて大きくなっております。具体的な箇所についてはまた改めて申し上げたいと思いますが、是非対策を講じていただきたい、このようにお願いをいたします。

 一方、排水ポンプなどが強化できたとしても、有明海の満潮の関係であったり、排水先の筑後川の水位の関係で、ポンプを稼働して排水することができない事態が発生することも課題であります。この点、先ほど鳩山議員も触れられましたが、筑後川のそもそもの容量を増加させるしゅんせつ等の抜本的な取組が必要である、このように私も考えます。

 先ほど質問いたしましたクリークの事前排水等の取組も併せて、まさに施策を総動員した対策強化が必要である、このように考えます。佐賀平野の内水氾濫対策につきまして今後どのように取り組んでいかれるのか、お示しください。

古川大臣政務官 お答えします。

 近年、市街地に降った雨を排除できない内水氾濫が、佐賀平野を始め、全国各地で頻発をしております。気候変動による将来の降雨量の増加なども考慮した内水対策の強化が重要であると考えております。

 このような状況の中、佐賀平野におきましては、雨水幹線や排水ポンプなどの整備による下水道における排水対策の強化を進めるとともに、排水先となる河川においても、河道掘削などにより水位を下げる対策にも取り組んでおります。

 また、流域対策として、委員御指摘のように、クリークあるいはお堀を活用した貯留対策も進められています。

 国土交通省といたしましては、流域治水の考え方に基づきまして、市民や企業の協力も得て先駆的に取り組まれている佐賀平野でのハード対策とソフト対策を組み合わせた内水対策を更に推進できるように、防災・安全交付金による財政的支援など、関係者の取組をしっかり支援してまいります。

岩田委員 ありがとうございます。

 是非、国また佐賀県とも協力をして進めていただきたい、このようにお願いをいたします。

 最後、時間の関係もありますので、やはりこのような豪雨災害を考えますと、城原川ダムや六角川の激特事業を始めとして、佐賀県に必要な防災・減災、国土強靱化の事業、これをしっかりと進めていただきたい、このように要望をいたします。

 また、その一番大きな基盤となります国土強靱化の大きな取組について御質問いたします。

 さきの国会で国土強靱化の基本法、これが改正、成立いたしました。国土強靱化実施中期計画、この策定が法定化、明確になったわけでございます。この中期計画の策定、そして今後の予算確保や必要な事業の推進についての決意をお伺いします。

星野副大臣 近年、異常気象が激甚化、頻発化している中、事前防災・減災対策に万全を期すことは極めて重要でございます。

 政府においては、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策を着実に推進しており、全国各地で被害を抑制する効果が着実に積み上がっているところでございます。五か年加速化対策後にも、中期的かつ明確な見通しの下、継続的、安定的に国土強靱化の取組を進めていくことが重要でございます。

 さきの国会において、国土強靱化基本法が改正され、国土強靱化実施中期計画が法定計画とされたことによりまして、五か年加速化対策後も実施計画が切れ目なく策定されることとなりました。これにより、継続的、安定的に国土強靱化の取組を進めることが担保されていると考えておりまして、非常に意義のあることと受け止めております。

 本年四月に策定をした新たな国土強靱化基本計画に基づく取組をしっかりと進めるとともに、五か年加速化対策後も、国土強靱化の着実な推進に向け、改正法に基づき必要な検討を進めてまいりたいと考えております。

岩田委員 質問を終わります。ありがとうございました。

江藤委員長 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)委員 公明党の吉田宣弘でございます。

 限られた時間でございます。早速質問に入らせていただきます。

 私の地元九州地方、近年連続して豪雨災害に見舞われております。今年で申し上げても、六月二十日から二十一日にかけて奄美大島南部、今も台風の影響を受けているようでございます。七月三日には、熊本県益城町、金内橋が落橋をした熊本県の山都町、七月十日には、人的被害も発生した久留米市田主丸町竹野地区及び佐賀県唐津市浜玉町の土砂災害、これ以外にも大分県と、甚大な被害が生じたことはもう御承知のとおりだと思っております。

 九州以外にも、遠く秋田県、富山県でも甚大な被害が発生いたしました。毎年繰り返される豪雨災害は、エリア的にも全国各地に広がっている状況でございます。

 この度、被災地久留米市において岸田総理から激甚災害の指定に向けた指示が示され、その方向で検討が進められていると承知をしておりますが、この指定は、時間軸にしていつからいつまでか、またエリア的にどこからどこまでかについてお示しいただきたく存じます。

星野副大臣 令和五年梅雨前線豪雨等による被害につきましては、激甚災害に指定する見込みである旨、七月二十七日、総理から公表したところでございます。

 具体的には、九州北部や秋田県に被害をもたらした今回の一連の豪雨災害による公共土木施設や農地等の災害復旧事業等に関する特別な措置について、全国を対象とした激甚災害、いわゆる本激に指定をいたします。

 激甚災害は政令により指定することとなりますが、政令では、被災自治体による調査結果を踏まえ、見込み公表時からの更なる追加も含めた適用措置、災害の期間等を規定することとなります。現在、これらの確定作業を進めているところであり、政令の閣議決定に向けて速やかに手続を進めてまいります。

吉田(宣)委員 激甚エリアは広く全国ということでございますし、また、災害の期間が、結構、一か月以上かかっておりますし、そういったところから、激甚の指定に漏れるというふうなことが各自治体ないかというふうな、そういった心配事がちょっとございましたので、確認で質問をさせていただきました。御答弁ありがとうございました。

 私、七月三日には、熊本県の益城町において越水した木山川の流域、それから、七月十一からですけれども、災害特別委員会の視察も加えると四回、久留米市の田主丸地域に足を運ばせていただきました。

 そして、福岡県久留米市地域は、昨年の小規模な農地被害を入れればですけれども、実に七年連続で浸水被害が生じております。私も毎年、被災現場に足を運んでおりますが、政府、久留米市、また福岡県も力を合わせて対策に取り組んでいる中、今年が一番厳しい被害が発生したというふうに思っております。具体的には、これまで発生していなかった土砂災害が発生したこと、災害拠点病院である田主丸中央病院が浸水被害の直撃を受けたことが挙げられます。

 そこで、この田主丸中央病院の復旧について何点か質問をさせていただきます。

 先ほども申し上げたとおり、田主丸中央病院は、地域の防災拠点病院として、久留米市田主丸地域以外にも、北に隣接する朝倉市、県境を越えて、病院から東に位置する大分県日田市地域などからも患者がお越しになられます。地域の評判もよく、災害時には被災した難病患者や障害の方をお引き受けになるなど、地域の皆様の命を守ってこられました。

 この田主丸中央病院に被災した翌日に伺い、病院の被災状況を目の当たりにいたしました。病院の中の浸水は収まっておりましたが、スタッフは病院の清掃に奔走されておられました。

 衛生施設でございますから、時間との勝負です。長引けば長引くほど、雑菌が床下や水につかった機材などに繁殖し、病院の機能回復の障害となります。しかし、電源設備が打撃を受け、非常電源で辛うじて照明を維持するのがやっとの状態でございました。電気がないので水道が使えない、地域的に下水は浄化槽に送らなければならないなど、電気がないためポンプが停止してトイレも使えない状態でございました。当然エアコンも使えない状況の中、緊急の課題は電源の復旧でございました。地元工事業者の皆様の御協力もあり、その日の十六時三十分に電源が復旧できたことは不幸中の幸いであったと思います。

 しかし、復旧といっても仮復旧でございますから、今、本格的な復旧作業が行われていると存じますが、政府におかれましても、これを一つの教訓にしなければならないと思い、質問はいたしませんけれども、紹介をいたしました。

 本格的な復旧に必要なものが資金です。まず、病院が加入している保険金が一つの原資になりますが、これだけでは十分ではございません。

 そこで、厚生労働省には、医療施設等災害復旧費補助金の活用について、是非ともお力をいただきたく存じます。後ほど質問いたします。加えて、田主丸中央病院の鬼塚一郎理事長からは、福祉医療機構からの借入れに対する期待もお聞きをしたところでございます。これも後ほど質問いたします。

 このように、保険金以外にも、医療施設等災害復旧費補助金、福祉医療機構からの借入れの三つの資金を活用することが期待をされているところでございます。

 復旧の現実は、浸水した高額機器の起動がかなわず、新しい機械を新規購入することも予想されますし、その他、MR磁気制御盤と建物設備との関係、電源設備を含む電気設備など一体として機能するものを全体として復旧しなければなりません。

 そこで、厚生労働省にお聞きいたします。

 田主丸中央病院の復旧の現実に即して、医療施設等災害復旧費補助金の適切な活用に対しては十分な配慮をお願いしたく存じますが、御所見をいただければと思います。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、厚生労働省におきましては、豪雨等の自然災害により被災した医療施設に対して、医療施設等災害復旧費補助金を設けており、電気設備を含む被災した医療施設の建物等の復旧事業に対する財政支援を行っているところでございます。

 御指摘の田主丸中央病院については、現在、福岡県を通じて復旧に向けた相談を行っているところであり、その他の被災した施設を含め、医療施設のニーズを丁寧に伺いながら、復旧に向け必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

吉田(宣)委員 どうかよろしくお願いいたします。

 次に、福祉医療機構からの借入れについて質問いたします。

 長きにわたるコロナ感染症との戦いにおいて、無利息無担保の融資を実施をしていただきました。多くの医療機関、福祉施設など、様々助けていただいたと存じます。心から感謝を申し上げます。今回の被災で、田主丸中央病院も福祉医療機構への期待というものを強く感じているところでございます。

 そこで、災害時における福祉医療機構の貸付制度の概要について、厚生労働省から御説明をいただきたいと思います。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 福祉医療機構による医療機関等に対する災害復旧資金につきましては、建築資金、機械購入資金、長期運営資金の三つのメニューがあり、激甚災害に指定された場合は、無利子の貸付けや無担保貸付額の拡充などの特例措置が講じられるとされているところでございます。

 具体的には、建築資金及び機械購入資金については、それぞれ最大七億二千万までの貸付けは当初三年間を無利子、三千万円までの貸付けは無担保とするほか、長期運転資金については、七億二千万円までの貸付けは当初三年間を無利子、二千万円までの貸付けは無担保とするなどの措置を講じており、引き続き、被災した医療機関等の復旧支援に努めてまいりたいと考えております。

吉田(宣)委員 御答弁ありがとうございます。

 御説明いただいたとおりでございますけれども、コロナ禍において借り手側の負担が少ない融資条件が設定されたのは、国民の皆様の命を守るためであったと私は承知をしております。国民の皆様の命を守るとのことわりは、豪雨災害時も同じではないかと私は思っております。むしろ、医療設備が浸水し、直接の打撃を受けているのでございますから、その必要性は今回のケースの方が私は強いのではないかと思われます。

 また、先ほど谷大臣から御説明がございましたけれども、被災農地については貸付当初の五年間、無利子貸付制度ということでございまして、今お聞きをしたところ、三年でございます。こういったところも是非、融資条件の在り方については今後とも検討を深めていただきたく、要望を申し上げておきたいと思います。

 次に、七月十日の発災当日、九州自動車道の通行止めの事態が生じました。国土交通省から簡単に御説明をいただきたく存じます。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 七月十日の九州自動車道の通行止めにつきましては、降雨量が基準値を超過したことによりまして、午前五時四十分に、福岡インターから筑紫野インターまでの二区間が最初通行止めとなりました。その後、降雨の広範囲での継続に伴いまして段階的に延伸となりまして、午前九時四十分時点では、福岡インターから南関インターまでの八区間において通行止めとなったところでございます。

 その後、降雨の終息に伴いまして、NEXCO西日本によりまして点検、清掃、補修などが行われ、走行の安全を確保した上で、同日の午後八時五十九分に、福岡インターから南関インターまでの全八区間について、一斉に通行止めの解除を行ったところでございます。

吉田(宣)委員 御説明ありがとうございます。

 九州自動車道、今御説明あったとおり、通行止めになったわけでございますけれども、同じ大動脈であります国道三号線が、福岡県広川町で、五百七十メートルほどでございますけれども、深さ十五センチ、時間にして約二時間、路面冠水が生じました。これによって、通行止めにはなりませんでしたけれども、車がなかなか通行できずに大渋滞を引き起こしてしまいました。私も実はその渋滞の中にはまった一人でございますけれども、このような事態は発生してはいけないと思っております。幹線道路である国道三号線が浸水をするという事態は避けられなければいけない。これは災害救助の観点からも、そう思います。

 国道三号線が路面冠水、今後は生じないような対策というものを是非要望を申し上げておきたいと思っております。

 次に、広川町では、用水路に落ちた軽トラックが水没し、運転していたと見られる男性の方がお亡くなりになられました。一人の貴い命が豪雨災害において失われたことを重く受け止めなければならないという思いから少し御紹介申し上げますけれども、広川町の氷室町長によると、この被害者は広川町の住人ではなかったということでございます。もし広川町の住人であれば、もう道路は冠水していますから、水路と道路との違いというものはもしかして分かって通ったかもしれません。でも、分からないまま通行してしまったということから発災したのかもしれません。

 また、私が過去に経験した事例ですけれども、久留米市に大善寺という地域がございまして、深さが三メートル以上と思われるアンダーパスがございます。令和元年の大雨のとき、このアンダーパスが完全に水没をいたしました。現場には路面冠水情報板が設置をされていて、冠水時の通行止めの表示が示されてはいたのですけれども、それでも、そのアンダーパスの深さを知らない地域外の方というのは入り込もうとしてくるわけですね。この入ろうとする方を守るべく、令和元年のときには、公明党の久留米の市議会議員が地元の自治会長さんと一緒になって、入るなということで水に浸りながら警告をする交通誘導を実施をしたところでございます。

 そこで、道路冠水時の交通規制の在り方、これについては、例えば事故発生の事例であるとか危険な箇所の例示であるとか、様々国民の皆様に啓発などを行うよう検討していただくべく、この点、要望をしたいと思っております。

 時間の関係で、あと二題質問がありますので進めさせていただきますけれども、次に、マスコミにも報道されておりましたが、福岡県の朝倉市の赤谷川地域について質問いたします。

 赤谷川地域は、平成二十九年の九州北部豪雨災害において甚大な被害が生じた象徴的な場所でございます。令和二年の法改正により、大規模災害からの復旧につき国の権限代行事業が行われるようになりました。この赤谷川の工事は、権限代行の適用の第一号でございます。

 マスコミの報道にもございますけれども、この工事部分の護岸が、今般、豪雨災害で欠損をしたところでございます。しかし、民間の会社による発災後の航空写真を見ると、欠損した護岸というのはごく一部であって、影響は少なく、むしろ、同時に行われていた直轄事業による砂防堰堤が土砂を完全に防いでいることがよく分かります。この砂防堰堤が存在しなければ、この地域は、平成二十九年の九州北部豪雨災害と同様に大きな被害が生じたのではないかというふうに推察いたします。

 では、この砂防堰堤、新しく設置をしていただいたことによってどのような効果があったのかについて、国土交通省から御説明をお聞きしたく存じます。

廣瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 筑後川水系の赤谷川流域では、平成二十九年の九州北部豪雨において、山腹崩壊が同時多発的に発生し、大量の土砂と流木の氾濫により、宅地や農地に甚大な被害が発生いたしました。

 治水対策等、流出土砂や流木の対策を一体的に検討、整備するための高度な技術力を要したことから、福岡県知事からの要請を踏まえ、委員の御指摘にありましたように、河川法に基づく権限代行工事とし、また、上流部は直轄砂防工事として国が実施してまいりました。これらの砂防堰堤等の整備が完了したことから、本年七月までに、本来の管理者である福岡県の知事に引き渡したところでございます。

 今般の豪雨では、平成二十九年七月と同規模の雨量を観測し、大量の土砂や流木が流出しましたが、委員からも御指摘いただきましたように、砂防堰堤で約十万立方メートルの土石流を捕捉して、赤谷川本川への流出を軽減し、拡幅等の整備を実施した河川では、一部護岸は欠損いたしましたが、あふれることなく洪水を流下させ被害を防止しており、国による一体的な整備の効果は大きかったと認識をしております。

吉田(宣)委員 御説明ありがとうございます。

 この砂防堰堤、国土交通省で所管をしているところでございますけれども、林野庁で所管しているのは治山ダム、そういったものがございますけれども、これの設置をされている場所と設置をされていない場所では、土砂災害の発生というのは明らかに違います。確実に国民の皆様、その地域の方々の皆様の命を守っているというふうに私は強く確信をしているところでございます。これら砂防堰堤、治山堰堤、地域の皆様の暮らし、財産、営み、これを確実に守ってまいります。

 そこで、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策を計画的かつ効果的に実行していただくのはもとより、五か年加速化対策後も、今年の通常国会で改正した国土強靱化法の改正を踏まえて、必要なところには着実に砂防堰堤、若しくは治山堰堤というものを設置していただくためにも、切れ目なく計画を策定し、必要十分な予算を確保していただきたく存じます。

 先ほど、岩田先生からもこのような御要望、御質問がございましたけれども、私からも、是非力強い谷国務大臣の御決意をお聞きしたく存じます。

谷国務大臣 お答えさせていただきます。

 委員御指摘のとおり、政府においては、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策を現在進めているところでございまして、その効果というのは、全国各地から、しっかり、効果は着実に積み上がっていると聞いているところであります。

 この五か年の加速化対策後につきましても、中期的かつ明確な見通しの下、継続的、安定的に国土強靱化の取組を進めていくことが大変重要なことであると考えております。

 委員御指摘のとおり、さきの国会で国土強靱化基本法が改正されて、中期の計画は法定計画とされました。そのことによって、五か年加速化対策後も実施計画が切れ目なく策定されることになったと思っております。

 委員御指摘の砂防、治山等々の整備ということは大変大事な事業であると私も思っております。継続的、安定的に国土強靱化の取組を進めることが、これらの事業を進めることについて担保されると考えており、しっかり取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 先月に策定いたしました新たな国土強靱化基本計画に基づく取組をしっかり進めるとともに、この五か年加速化対策後も、国土強靱化を休むことなく着実に推進できるよう施策を進めてまいりたいと思っております。

吉田(宣)委員 谷大臣、ありがとうございました。

 質問を終わります。

江藤委員長 次に、原口一博君。

原口委員 おはようございます。立憲民主党の原口一博でございます。

 冒頭、この災害により亡くなられた皆さんに哀悼の誠をささげ、そして、被災地の皆さんにお見舞いを申し上げます。

 また、委員長を始め委員の皆様には、現地を御視察いただきまして、本当にありがとうございます。この場をかりてお礼を申し上げたいと思います。

 さて、幾つか質問したいと思いますが、まず気象庁。

 佐賀の唐津、ここでも貴重な人命が失われているんですが、線状降水帯の予報というのはこのとき出ましたでしょうか、教えてください。

大林政府参考人 お答え申し上げます。

 本年七月七日から十日にかけて、活動の活発な梅雨前線の影響で九州北部地方や中国地方を中心に大雨となり、委員御指摘のとおり、七月十日の朝には佐賀県等で線状降水帯が発生いたしました。

 この大雨に対して、気象庁では、段階的に大雨警報や土砂災害警戒情報等を発表して大雨への警戒の呼びかけを行いましたが、線状降水帯発生の可能性について半日程度前に情報を発表するには至りませんでした。

原口委員 そうなんですよね。

 皆さんのお手元の資料二を御覧になってください。これが七月八日から十一日にかけての佐賀県を対象とした主な気象情報発表状況なんですが、今の、線状降水帯が、四時三十九分に、できましたと。できましたという情報なんですね。だから、出てから聞いていたのでは逃げられない。結果、その日の朝発災してしまった、こういう状況なんですね。

 じゃ、線状降水帯を事前に察知し、そしてこれを国民に周知する、この手はないかというと、そうではなくて、三ページ、四ページ目の資料を御覧になってください。これは気象庁でもワーキングチームをつくって、そして、様々な予算を投入して、スーパーコンピューターの「富岳」も入れて予報の精度を上げようとやっているわけですが、これを加速してほしいということをまず気象庁にお願いをします。

 さて、そこで大臣に伺いますが、七月十一日から七月十四日の総理の外遊。正直、ちょっと言いにくいですが、アラブからの評判は悪かったですよ。くさびを打ち込むということで行かれたみたいだけれども、外務省のホームページを見てみると、安倍総理がなさったことを確認されている。あとは、あれっ、こんなことで来られるのかなという、正直、反応でした。

 被災地からは、被災地にとどまってほしかった、日本にとどまってほしかった、日本の国民に寄り添ってほしかったということで。ただ、私も閣僚をしていましたから、そうとばかりはいかないんですね。ちゃんと指示も出しておられます。それが五ページです。これが総理指示なんですね。七月十日と七月十四日です。

 ただ、この総理指示を見ると、一般的な指示にとどまっておられる。今回、佐賀県だけ見ても、たったの四日で七月分の雨が降っている。昨日もずっと地元の皆さんと話をしていましたら、谷大臣、元は六十ミリとか七十ミリで設計していたのが、もう百ミリで設計しないと建物とか様々なものをできないと。今回の激甚性を思えばもっと踏み込んだ指示が必要だったと思うし、それから、もっと国民に、今回の雨はふだんの雨と、もう今まさに六号が来ているわけですけれども、違う、そういう周知が必要だったんじゃないか。

 谷大臣とは過疎法を御一緒しましたね、過疎の谷さんということで。現地にお入りになるときには私たちも教えてほしいんです。ずっと待っていたんですよ。佐賀にもお入りになるということかなと、総理。

 結局、福岡に行かれて、それはありがたかった。久留米に行かれて、田主丸に行かれた。そこで総理は何を視察をされて、そして何を指示をされたのか。そこで補助金の上乗せをおっしゃったので、ああ、本激に更に更に加えたものをお話しになったのかなと思いましたけれども、どうも、役所に聞いてみると、いや、本激の、十二ページに載せていますけれども、この仕組みをおっしゃったにすぎませんよということなんですが、谷大臣、その真意はどこにあったのか、教えていただけますでしょうか。

谷国務大臣 いろいろ御質問が多岐にわたろうかと思いますけれども、総理の外遊の評価というのは、様々なことを、我が国の外交、安全保障等々も含めて総理が判断されたというふうに理解しております。

 また、総理の指示、今、原口委員、五ページの資料を出していただきましたが、私の知る限り、総理の指示で、七月十日、現地に入るなど、早急に被害状況を把握すること、こういう指示はそんなには出ないと思います。

 ですから、この総理の指示を受けて、私も、正直な話、福岡なり佐賀の現地の受入れを、大変、大丈夫かということを心配していたわけでございますけれども、早期に、早く入らせていただいたということであります。

 その入るときに、連絡の話もございましたけれども、また、どういうやり方がよいのかということは、今後検討させていただきたいというふうに思います。

 それから、総理の方が、上乗せを、話がございましたけれども、あの趣旨は、激甚災害制度というのは、原口委員よく御承知のとおり、政府の方が一方的にえいやで決めるのではなくて、被害の程度が一定の基準を満たすものについては激甚災害制度の指定をする。全国的、全国一律にするのか、あるいは局地的にするのかというのは、また本激、局激で分けている。

 ですから、総理の方も、激甚災害の公共土木施設について、そういう方向で政府としては取り組むということを対外的に初めて明らかにしたというふうに承知しているところであります。

原口委員 いや、谷大臣、この内閣でも農水大臣とか国交大臣は地元に入られるときに電話がありますよ、来てくれと。あなたはそういうのをこれから検討なさるということで、それはそれでいいんですけれども。

 つまり、本激の制度についてお話しになったということで、私は、先ほども質問がありましたけれども、もう数次にわたって襲われているわけですね、今までの制度に、数次にわたったところには上乗せしてほしいと何回も言っているんですよ。今回、ああ、それを受けてもらったのかなと思ったけれども、そうじゃないということが分かりました。

 じゃ、本激の指定、これはいつになりますか。これは、今おっしゃったように、地元の計算が整ってからということになると思いますが、めどを教えていただけませんか。

 というのは、次にこの事前着工、事前着工というのは、これは国交省、制度を持っていますね。農水省も持っていますね。ちょっと制度について教えてください。

青山政府参考人 お答えいたします。

 被災しました農地、農業用施設の復旧になりましては、今委員が御指摘ございましたけれども、査定前着工制度というものがございます。これは、一定の要件を満たしますれば、災害査定を待たずに早期に復旧工事に着手することができる、そういう仕組みでございます。

原口委員 そうですね。皆さんのお手元の十一ページにこの資料を出しています。

 これは、実際に工事に入っていいものか入って悪いものか、それを非常に悩むわけですね。公共施設は、これはできます。後で、さっき、総務省の補助金だ何だ、交付金だ、あるいは特交だということでやれるわけだけれども、農家にとっては、これはやっていいのかと。

 今、被災地は非常に人手不足、資材高騰で大変苦しんでいます。そういう中で、農水省、これを徹底してほしいのと、それから、これは農水大臣に本来は聞くやつですけれども、食料安全保障ということで、谷大臣も過疎地で、その御苦労がよくお分かりだと思いますので。農地の担い手、今どういうことになっているのか、あるいは、農地がどれだけ減ってきたか、農水省、説明できますか。

勝野政府参考人 お答えさせていただきます。

 近年頻発する災害に対しては、様々な対応を農水省としてもさせていただいております。

 委員御指摘のとおり、農業を維持し、将来にわたって食料を安定的に供給するためには、農業生産を支える担い手を育成、確保していくことが必要です。しかしながら、現在の農業者の年齢構成から見て、今後その数が急速に減少していくというふうに見込んでおります。

 農水省では、食料・農業・農村基本法の改正に向けまして現在作業を進めております。そこで、中長期的に農地の維持を図ろうとする方を地域の農業を担う人材として位置づけていくという方策につきまして、今後の方策の在り方について検討しているところでございます。

原口委員 これは、一九九九年から、今、食料・農業・農村基本法、これを作り始めて、一回も食料自給率を達成したことはないんですよ。

 二〇二〇年で百三十六万人だった農業を主とする方々は、このたった二年で、七万人、七万人だから、もう百二十二万人になっている。しかも、平均年齢が六十八歳。六十五歳以上が何と七〇%の九十四万人。そして、四十五歳以下という方は十四万人しかおられないんですね。八十歳以上が二十三万人なんですよ。このままいくと、二〇三〇年には農家の人口は五十万人になってしまう。ということは、私たちの食料を作る人がいなくなる。

 そして、もう一つ私が危機的に思っているのは、谷大臣、耕作放棄地です。そして、相続をもう諦めている、資産税を払って相続するよりも、もう土地そのものを諦める、こういう方々が農地の二〇%を超えているわけです。

 谷大臣に伺いたいのは、まさに、山は防災の基本ですね。山が荒れてしまうと、あらゆる災害が降ってきます。平地が荒れてしまうと、田の持つ保水力もなくなって、災害が起きてしまいます。今の、来年の改正に向けて、私は、国務大臣として谷大臣にも声を上げてほしいんですよ。畑を増やして田を減らすとやっているでしょう。そういう基本法でしょう、今の検討の中身ですよ。災害の立場から是非声を上げてほしい。

 そして、この間、厚労省でしたか、水道がもう地方まで、山まで行かないというんだったら、水道を、何と車で運ぶ、水を。こんなのあり得ないじゃないですか。水道はどうやってもやらなきゃいけないんです。ウクライナのダムに支援するお金があるんだったら、日本の水道にお金を使いましょうよ。ウクライナの復興に、私たちは十五億ドル、世銀の、これの裏打ちをするわけでしょう、保証するんでしょう。だから、お金がないと言わないでほしいんですよ。

 谷大臣、防災と農地、農業との関係について御所見を伺いたいと思います。

谷国務大臣 原口委員おっしゃられるとおり、山なりあるいは農地というのは様々な機能、多面的機能を有しておりますので、洪水とか土砂崩れなどを防止するという観点、防災、減災の観点からも大変重要な役割を担っているかと思います。

 そういう中で、耕作放棄地が増える、あるいは農業の担い手が大変少ないということは、私自身、ゆゆしきことだと思っております。そのため、何としても農業を担う人を確保して、持続的に農業ができるような仕組みづくり、対策は必要かと思います。

 今、農林水産省の方も、産業政策、あるいは産業政策と地域政策を併せてしっかり取り組もうとしておりますので、私も内閣の一員として、そういう農地それから山、森林の大切さ、防災、減災に資している、そういう大切さからもしっかり考え方を農林水産省の方にお伝えしたいというふうに思います。

原口委員 是非お願いします。

 さて、もう一回、二ページに戻ってください。

 これが、七月八日から十一日にかけての我が佐賀県を対象とした気象情報の発表状況なんですね。八日にはレベルスリーの警報が出ているわけで、レベルスリーの警報というのは何かというと高齢者等避難、つまり移動に困難な人たちは、これは、超党派で平成二十六年か、法律を作りましたね、あらかじめ自治体に登録をしていて、そして、その方々をしっかりと、発災したときにも安全なところに逃げてもらう。

 ところが、八日に出ているわけです。八日に出て、実際にどれほどの人が避難できるかと。避難所の状況は自治体によって、これ、整備は自治体だから自治体によって違うんだけれども、トイレが一つしかない、体育館で床に寝なきゃいけない、あるいは食べ物、そういったものについても厳しいと。これ、日本にお金を使いましょうよ。

 今、実際に、避難者の数は分かっています、避難者の、その対象となる方の率はどれぐらいなのか。そして、避難所に対して特段の予算を入れるべきだということを指摘をしておきたいと思うんですが、数字は分かりますか、率。どうぞ。

小谷政府参考人 お答えいたします。

 率ということでございます。例えば唐津市についての数字をお答えさせていただきます。

 唐津市の避難行動要支援者名簿に記載された人数は、令和五年一月一日現在で六千百七十九人と把握しておりますが、このうち高齢者等避難の発令後に実際に避難した方の人数や割合は承知していないところでございます。

 なお、唐津市に、今回三名の方がお亡くなりになった浜玉町今坂地区の七月八日十五時に発令された高齢者等避難発令中の避難状況について確認したところ、避難行動要支援者名簿に記載されている十六人のうち避難所に避難した人数について集計等整理はしていないということでございました。

原口委員 九ページにございます。やはり地方財政の充当率、交付税措置、これを格段に増やしてほしい。お金がないというのはもう言わせない。私、そのことを申し上げておきたいと思いますし、さっき、強靱化の話がありました。

 いろいろな成功している事例もあるんですね。これは、まだ僕が自民党の県議のときでしたけれども、嘉瀬川ダムを造るということで、かなりの難事業でした。嘉瀬川ダムを造って、そして河川をしゅんせつした。佐賀県の場合、柿の葉一枚というんですよ。干満の差の一番激しい海を持っているから、一潮で柿の葉一枚分の泥がたまるんですね。だから、常にしゅんせつをしておかなきゃいけない。

 今回もそういったことが効果を表したというのが、皆さんのお手元の八ページでございます。これは嘉瀬川ですね。やはり、こういったことに特段の予算を使ってほしい。

 さっき、砂防ダムの話もありました。私の佐賀県だけでいうと、三千八百か所ぐらいの砂防ダムが必要です。今、整備をされたものは一千か所なんです。今回もいろいろなところを回ってきました。ここに砂防ダムがなければと。あるいは、砂防ダムのチェックが、十年に一回、五年に一回なんですけれども、これも、国会議員になりたての頃にひやっとしたことがありました。砂防ダムが埋まっていたんです、木で。それで、当時の県知事に言って、取り除いてもらいました。その二日後に土石流です。砂防ダムが埋まっていたら、その下の町はどうなったかということなんですね。

 だから、防災大臣におかれましては、特段の予算を確保を、これから概算要求されるわけですし、予備費を三つも走らせているわけです。

 最後になりますが、レスキュードッグ、これは佐賀県でも訓練をして、各自治体と契約をしています。総務大臣のときに一番苦労したのは、人が埋まっているのか動物が埋まっているのか分からないんですよ。実際に行って、そして危険を冒して皆さんが助けられる。だけれども、実際に蓋を開けてみると動物だった。動物だから死んでいいというわけじゃないですよ。レスキュードッグや様々なものに対する措置を万全としていただくこと。砂防ダムについても予算の規模を更に増やしてもらうこと。農業、農村を本当に担い手から、私たちのときは戸別所得補償制度というのをやったわけです。皆さん、これをなくしてしまわれました。もう一回やり直しませんか。そのことを申し上げて、質問に代えたいと思います。

 ありがとうございました。

江藤委員長 次に、堤かなめ君。

堤委員 立憲民主党の堤かなめです。

 質疑時間十五分と限られており、早速質疑に入らせていただきます。

 鳩山委員、吉田委員の御地元の久留米市に加え、私の地元であります朝倉市、東峰村、太宰府市、筑紫野市、那珂川市など、筑紫地区でも甚大な被害が発生いたしました。公共土木施設、農地、農業施設など、災害復旧や商工業者への支援などを早急に行う必要があります。

 そこで、一点目に、原口委員からもございましたが、迅速な激甚災害指定についてです。

 国は、指定する見込みであると七月二十七日に発表いたしました。しかし、既に発災から一か月がたとうとしています。七年前の九州北部豪雨、六年前の西日本豪雨などの経験に基づき、迅速な指定が可能ではないでしょうか。指定されると国の補助率がかさ上げされることなどから、被災地の市町村長の皆様も迅速な指定を強く求めています。

 いつ正式に指定するのか、お聞きします。

谷国務大臣 委員御指摘のとおり、早急な迅速な指定ということは大変大切なことだと思います。

 ただ、繰り返しお話しさせていただいていますように、激甚指定というのは、被害額が幾らであるか、それがある程度めどが立たないと、見込みであれ言うことができないということがあるということを是非御理解を願いたいと思いますし、また、災害の期間をどう取るか、そのことにも関連するところであります。

 梅雨期で大変長い期間ということも事実でございますので、しかし、御指摘の点は大変大事なことでございますので、引き続き、迅速な指定に向けて努力をしてまいりたいと思います。

堤委員 地元から、何度も何度も繰り返し被災しているので心配が絶えないと。特に、今近づいてきている台風六号も心配です。台風と秋雨前線が重なると、更に大きな被害のおそれもあります。早く指定して、早く復旧復興の工事に取りかからなければなりません。よろしくお願いいたします。

 二点目に、内水氾濫対策についてです。

 鳩山委員からもございましたが、筑後川水系では七年も連続して内水氾濫により甚大な被害が発生し、地元では抜本的な対策をという悲痛な訴えをお聞きしております。内水氾濫とは、雨水の排水先の河川の水位が高くなることにより雨水が排水できなくなるという現象です。つまり、国が管理する一級河川、筑後川の水位を低くする、流下能力を高めるといった抜本的な対策が必要だということです。

 国は、近年の被災状況を踏まえ、当面五年間で緊急的に河川整備を促進し浸水面積を減少させるとして、令和七年度までに全国の一級河川の整備率約七三%という目標を公表しています。この七三%というのが適当かというのも疑問ですけれども、直近の令和三年度で約六七%の達成率にとどまっているということです。

 そこで、筑後川水系の達成率についてはどうなっているのか、令和七年度までに七三%という目標を全国及び筑後川水系で達成できる見込みなのか、お聞きいたします。

 また、筑後川水系の河川整備基本方針は、平成十五年、二〇〇三年に策定されたものであり、既に二十年が経過しています。その当時としては適切な基本方針であったかと思いますが、この間、気候は大きく変わってしまいました。地球温暖化どころか地球沸騰化と言われる現在、尋常ではない降水量、特に線状降水帯の停滞による集中的な降雨には、二十年前の基本方針では到底対応できません。筑後川水系整備基本方針を早期に、新たに策定すべきと考えますが、いかがでしょうか。

廣瀬政府参考人 お答えいたします。

 第五次社会資本整備重点計画において、重点施策の達成状況を測定するための代表的な指標、いわゆるKPIとして、一級河川における戦後最大洪水等に対応した河川の整備率を公表いたしておるところでございます。

 筑後川水系におきましては、計画策定時、令和元年度末になりますけれども約七六%が、令和四年度末時点で七七%となってございます。また、全国の一級河川につきましては、委員からも御指摘ございましたけれども、目標値七三%、令和七年度末まででございますが、令和元年度末、計画策定時は六五%が、令和四年度末時点で六九%というふうに認識しておるところでございまして、一定順調に進捗しているものと考えてございますけれども、引き続きしっかり進めてまいりたいというふうに思ってございます。

 もう一点でございます。

 河川整備基本方針の見直しにつきましては、近年、水災害が頻発、激甚化しており、気候変動の影響で今後更に降雨量の増大が懸念されることから、全国の水系で気候変動により増大する降雨量等を考慮して、近年、大規模な出水が発生した水系等から、順次、河川整備基本方針の見直しを進めてございます。

 筑後川水系においても、河川整備基本方針を気候変動の影響を踏まえたものへ見直しを行うため、現在、増大が想定される降雨量等の検討を行っているところでございます。

堤委員 早く気候変動に対応できる計画にしていただきたいと思います。

 三点目に、土砂災害特別警戒区域、レッドゾーン、土砂災害警戒区域、イエローゾーンの見直しについてです。

 避難情報、これが早く出されること、先ほど、原口委員からも、線状降水帯の正確な予報を早く作ってほしい、早期に線状降水帯について警戒できるように皆さんに情報を提供できるようにしてほしいという質問もございましたが、避難情報が出たとしても、この地域はレッドでもイエローでもないから大丈夫という思いから避難が遅れてしまったのではないかという声もお聞きいたしました。

 そこで、今回の災害ではレッドゾーンにもイエローゾーンにも指定されていない区域も被災したと聞いていますが、それは事実でしょうか。また、いずれにも指定されていないにもかかわらず被災した区域はどのくらいあると把握しているのでしょうか。また、区域指定の見直しはどうなっているのでしょうか。福岡県では毎年のように土砂災害が起きています。早期の見直しが必要かと思いますが、次の見直しはいつなのか、お聞きいたします。

廣瀬政府参考人 お答えいたします。

 今回の梅雨前線豪雨により土石流で大きな被害があった福岡県久留米市田主丸町竹野の千之尾川では、一部の家屋が土砂災害警戒区域から外れた場所で被災したことを確認いたしております。

 今年七月に発生した土砂災害だけでも全国三百件以上に上っており、土砂到達範囲と土砂災害警戒区域との関係などの詳細については、都道府県の協力を得て、悉皆的な調査、分析を行うこととしております。

 区域指定の見直しにつきましては、福岡県においては、土砂災害が発生した場合には、必要な箇所の基礎調査を行い、その結果も踏まえて区域の見直しを行っており、千之尾川についても同様の対応を行うと聞いてございます。

 福岡県が必要な見直しを行うことに併せて、土砂災害警戒区域外でも被災事例があることを踏まえ、これまでも久留米市のハザードマップ等を通じて呼びかけてきましたが、引き続き、土砂災害警戒区域の周辺でも被災リスクがあることについても、国や県、市町村による注意喚起を行ってまいります。

堤委員 では、時間もちょっと限られておりますので、少し飛ばしまして、五点目に予定しておりましたところに質問させていただきます。被災した中小企業等への支援についてです。

 災害によって多大な被害を被った地域の経済の早期復旧のため、地場の中小企業の方々の支援を求める声が上がっております。例えば、私の地元東峰村は小石原焼で全国的に有名ですが、窯元の三分の一が被災し、この土地で代々継承されてきた焼き物作りが窮地に陥っております。六年前の豪雨からの復旧でも多額の費用がかかった、借入利子の免除などの支援があっても、元金返済のめどが立たない中、新たな借入れはできず、窯や電動ろくろの修理などにかかる経費への補助がないものだろうかといった切実な声を伺っております。

 被災地の村長からは、なりわい再建支援事業などにより中小企業等への支援を早期に行っていただきたいという要望がございました。是非支援をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

松浦政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のなりわい再建支援事業につきましては、大規模な災害により被災した中小企業等が被災施設等の復旧を行う際にその費用を補助するものでありまして、グループ補助金で求められていたグループ認定要件、これを不要とするなど、被災された事業者の利便性を向上させた制度でございます。

 このグループ補助金やなりわい再建支援事業は、東日本大震災や熊本地震、令和二年七月豪雨、そういった激甚災害法における中小企業分野のいわゆる本激が適用される災害として、施設設備の損壊等の物理的な被害が広範囲かつ甚大であり、サプライチェーンが毀損すること等により我が国経済が停滞する事態に陥っている場合に特別に措置している制度でございまして、必ずしも災害で被害が発生した全ての地域、事業者様に講じていない点につきましては、何とぞ御理解を願いたいと思います。

 他方で、こうしたなりわい再建支援事業が講じられない被災地域の小規模事業者様の復旧が支援できるよう、自治体による事業者支援の取組を補助する自治体連携型補助金につきましては、今年度から自治体に交付できる補助額を引き上げたところでありまして、こうした支援策の活用を含め、被災地域の状況を丁寧に把握し、被災された事業者様に寄り添った対応を心がけてまいりたいと思っております。

 以上であります。

堤委員 被災地の事業者の方々が将来に希望を持てるように、この自治体連携型補助金についても、もっと分かりやすく周知の方をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 次に、災害拠点病院の被災についてです。

 吉田委員の方からもございましたが、久留米市の田主丸中央病院は災害拠点病院に指定されています。今回、災害拠点病院が被災したことについて、どのように捉えており、今後どう対応するのか、お聞きいたします。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 大規模地震や風水害により災害拠点病院が被災した場合、事前に策定した業務継続計画に基づき、非常用自家発電機や備蓄燃料等を活用し、可能な限り早期に診療を復旧するように努めていただくことが望ましいと考えますが、先生御指摘のとおり、被災状況によっては復旧に一定程度時間を要する場合もあると承知しております。

 こうした場合も想定して、都道府県は地方の実情に応じて災害拠点病院を複数指定しており、一つの災害拠点病院が被災したとしても、近隣の災害拠点病院や被災を受けていない他の近隣医療機関において重症傷病者を受け入れるなど、地域全体で災害時の医療提供体制を維持していただくことが重要であると考えております。

 さらに、厚生労働省では、近年頻発している風水害に対応するため、災害拠点病院の指定要件に浸水対策を追加したところであり、令和六年四月に施行いたします。

 引き続き、災害拠点病院等に対して必要な支援を実施してまいりたいと考えております。

堤委員 以下、何点か要望させていただきます。

 市町村の区域や被災の程度によって被災者間で不公平とならないよう、同一災害で住宅被害を受けた方全てを対象とするとともに、半壊、準半壊及び一部損壊の世帯への支援金支給の対象の拡大、支援金の増額をお願いします。

 また、子供たちが被災により修学の継続を断念することがないよう、修学援助事業や授業料等減免事業の補助率の引上げなどの支援体制の拡充もお願いしておきます。

 さらには、今回の災害により太宰府市の政庁跡など多くの国指定文化財が被災いたしました。これらの文化財は時間の経過とともにより一層状態の悪化が想定されますので、早期の事業採択をお願いします。

 最後に、流域治水についてです。

 国は、復旧復興のため、この流域治水プロジェクトを進めておられると承知しております。しかし、ある土木工学の専門家の方から、まだまだ従来型のハード中心から脱却できていないのではという指摘もいただいております。

 流域治水を確実に進めるための予算を確保し、九州地方整備局の人員を拡充し、体制強化を図っていただきたい。また、専門家の派遣など技術的支援の充実に向け、積極的、具体的な方策を講じていただきますようお願いし、質問を終わります。

 ありがとうございました。

江藤委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 立憲民主党の寺田です。

 まずは、このような質疑の機会を与えていただきました委員長を含め、理事、委員の皆さんに感謝申し上げたいと思います。

 秋田の方は、約一か月前、二十四日前になりますが、本当に未曽有の降水がありまして、様々な被害が出ました。

 私の住んでいる秋田市は、数千軒にも上る住宅被害、浸水被害がありました。内水氾濫もありましたし、河川氾濫が合わさりました。県北部、南部においては、土木だったり農業であったり、様々な被害が出ております。

 まさしく、さきの委員の方々から激甚災害指定の話がありましたので、そこは、与野党の国会議員共々、強く政府には要望しているところでありますので、その点ではない、生活者支援、被災された方の生活者支援に絞って質疑をしたいと思いますし、大臣の御判断であったり、国会としての判断によって変えられるところ、救えるところ、たくさんあると思いますので、是非とも二十分間、皆さんおつき合いいただけたらと思います。

 被災から二十数日たちました。今もなお、床上浸水、床下浸水を受けて変わり果てた家の中で、エアコンもなく、強い異臭を放つ中でやむなく暮らしている方々はたくさんいらっしゃいますし、もうそのようなところには住めないということで、借家を借りたり、誰かの家に間借りをして、何とか今、命からがら生活している方々が今もなおたくさんいるという前提に立った上で、運用の改正をお願いしたいというのが今回の趣旨です。

 まず現行の制度ですけれども、支援自体が不十分であることは論をまたないと思います。

 床上浸水された方、直接聞きましたけれども、一般的な住宅で床上浸水したときに大体どれぐらい皆さん、被害、かかるか、御存じですか。様々あると思いますが、私が聞いて驚いたのが、一回床上浸水しただけで一千万を超えるそうです。

 後ほど時間があったらお話ししたいんですが、五センチ床上浸水しようとも、一メートルしようとも、基本的に内側の壁は壊さなきゃいけないし、内側の断熱材は全部取っ替えなきゃいけないです。当然ながら、床下を全て、畳だろうが何だろうがクリーンアップして、相当乾かしてようやく原状に回復できるかどうかぎりぎりのところだというような深刻な被害です。

 支援が不十分だということは当然のことながら、私が申し上げたいのは、今ある生活者支援の仕組み及び運用、国が定めた運用ですけれども、それが被災者の立場に全く立っていなくて、救済を遅らせる原因になっているということを私は申し上げたいと思っています。

 今、災害から今日で二十五日目です、秋田の場合。約三週間を過ぎましたけれども、罹災証明、ようやく昨日から出始めています。災害に詳しい方は御存じと思いますが、罹災証明が出るか出ないかで、まず救済の第一歩が始まります。

 私が調べている限りで、罹災証明、もちろん、自治体が出す被害証明もありますけれども、それによってようやく受けられるのが被災者生活再建支援金、今回、五城目町と秋田市が適用になりますが、数百万円です。義援金、皆さんから集めていただいた義援金、住宅リフォーム支援事業、見舞金もそうです。国の賃貸型、応急と言っていますけれども、応急住宅制度も罹災証明がなければできません。住宅の応急修理も、罹災証明が発行されていなければできません。税と公共料金の減免や猶予も同じです。災害住宅の住宅融資や給付も同じです。

 まずは、被害の状況を把握して罹災証明を自治体が発行するところから、被災者、生活者の支援は始まるんです。しかし、二十四日たって初めて、昨日、秋田市がようやく床下浸水の方々に対する発行を始めたと言っています。

 秋田市の災害の状況を申し上げますが、今日、皆さんにお手元の一枚目、一週間前の記事ですが、それよりもより詳細に申し上げますと、住宅浸水、今回、河川氾濫と内水氾濫が合わさりましたので、住宅浸水調査をしなければならないと言っているのが二万軒です。

 二万軒をこの三週間の中で歩き回って、ようやく被害がないと認定できたのが約一万軒。残り一万軒のうち、被害が確実にあると判断できたのが四千五百軒。まだ被害はあると見越すけれども未確定なものが五千五百軒。被害が確実にあると決まった四千五百軒のうち、床上浸水が三千軒です。床下浸水が千六百軒。罹災証明、調査をしてほしいということを申請しているのが二千百軒ありますが、まだ調べられていません。

 これから六十人体制で一日八十軒回るんですけれども、単純計算で約六十四日かかります。

 結果として、被災者の方が災害を受けてから三か月たって罹災証明を受けて、さっき申し上げた見舞金やら支援金やら融資やら何やら、応急住宅制度やら様々を受けられる、こういう仕組みになっているということ自体を十分把握しなければいけないと思います。

 今回、秋田市ですが、今日御参集の委員の皆さんにも、いつ何どきこのような住宅被害、浸水被害が起こるか分かりません。起こってから罹災証明だ、半壊だ、全壊だというんですけれども、三か月かかるということです。

 なぜそうなるのかということを申し上げたいんですけれども、今日お手元にお配りした資料、一枚目は新聞記事ですが、裏側を見ていただきたいんです。被害認定調査、罹災証明書の発行の法的根拠とそのプロセスです。下段の方に被災から支援措置の活用までの流れがあるんですが、まず一番左が、発災直後から被災者の方がしなければいけないことです。被災者から市町村への申請をしなきゃいけません。皆さん、想像してほしいんです。家が床上浸水で泥まみれになって、途方に暮れて、何とか泥をかき出しているときに、市町村へ申請するいとまなんてありますか。時間的にも、物理的にも、精神的にもないですよ。

 一点、まず政府参考人に聞きたいんですが、上に法的根拠がありますが、私は、今回、秋田市のような大規模な浸水被害があったら、申請なしにもう市役所が、浸水エリアは分かっているわけですから、能動的に、申請がなくても出せばいいんですよ、調査して。これは法的な整理を聞きますが、罹災証明書、申請がなくとも罹災証明書を自治体が発行することは妨げていないですよね、法律的に。いかがですか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 災害対策基本法第九十条の二第一項では、市町村長は、被災者から申請があったときは、罹災証明書を交付しなければならないと規定されております。罹災証明書の交付は、被災者からの申請を前提としているものと認識しております。

 議員御指摘のとおり、罹災証明書の交付申請に際しては、被災者の負担の軽減にできる限り配慮することが重要であります。このため、内閣府では、例えば高齢であるとか遠隔地に避難しているなど、被災者本人が申請できない場合を想定し、代理人による申請を可能とするよう関係団体に周知しているところでございます。

 各自治体においても、例えば令和五年の石川県能登地方を震源とする地震への対応に際し……(寺田(学)委員「時間がないので、いいですよ」と呼ぶ)はい。石川県珠洲市では、看護師、保健師等が高齢者世帯を訪問する際、必要に応じて代理申請を行うなど、被災者の負担の軽減に配慮した取組が進められているものと承知をしております。

寺田(学)委員 答えていないです。ちゃんと、理事の方々もちょっと是非お力をかしてほしいんです。代理で申請することができるという言い方をしているんですが、私が聞いているのはそんなことじゃないんです。申請がなくても自治体が能動的に発行していいですかと聞いているんです。それを法的には妨げていないですよねと聞いているんです。イエス・オア・ノーですよ。答えてください。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘の、申請によらず罹災証明書を交付するということについて、これを禁ずる法律上の規定はないと認識しておりますけれども、仮にそのように運用しようとする場合には、罹災証明書の交付を要する程度の住家被害が生じ、かつ、自ら交付申請できない状況にある被災者を、応急対応に追われる自治体側が網羅的に捕捉できるかといった課題とか、また、申請を受け付けた順に罹災証明書の交付を行っている自治体において、申請がない場合に、より早期の支援を必要とする被災者をどう見分けていくかといった課題があるというふうに考えております。

寺田(学)委員 できるでいいんですよね。もうそこをはっきり言ってくださいよ。自治体は萎縮するんですよ、国から後で何か言われるかと思って。できるんですよね。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 罹災証明書を申請によらず交付することを禁ずる法律上の規定はないというふうに認識しております。

寺田(学)委員 国が制度を定めて、それを厳格に運用するということ自体は、私は行政官としては大事だと思うんですが、先ほど申し上げたとおり、秋田市、これだけ被害が出て、二十四日目に罹災証明書の、床下浸水ですよ、床下浸水も非常に大変なんですが、より程度の軽いところしか出ていないんですよ。本当に一番支援が必要な人たちは、床上浸水ですよ。もちろん床下も大事ですよ。床上浸水の人ほど困っていますから。だから、様々な制度を厳格に運用することが、被災者にとって、どんどん支援が遠ざかっていく、時間が遅れていくという状態にあることを認識してほしいんです。

 この申請、別に申請自体を否定はしませんよ。申請がなくても自治体が発行できるようになれば、私は、裁量を持った首長さえいれば、どんどんどんどん被災者の立場に立ってやれると思います、それを妨げないのであれば。妨げないような答弁だったので、それでいいと思いますけれども。

 じゃ、申請書がどうなっているかということを今お手元に出したので、是非、皆さん見てください。二枚目です。一番ひどい例と、調べる限り一番簡便な例を出しました。

 一番上が山口市で、私が知る限り一番ひどいです。被災して、床上浸水して、泥まみれで、大変な苦労の中でこれを書かせるんですよ。日時や住所や名前はいいですよ。その後、写真を添付しろと言っているんです。写真が添付できなかったら町内会長の了承を取れと言っているんですよ。町内会長だって被災者の可能性は十分にありますよ。こんな様式がいまだあるわけです。

 一枚裏をめくってみてください。和歌山県の海南市です。証明願、めっちゃシンプルじゃないですか。これでいいわけですよ、もし申請が必要であれば。被災した人たち、泥まみれになって、臭い中で、何とか命からがら生きて、もう心も体もへとへとになっている人に何か申請がもし必要だとすれば、この程度で十分だと思うんです。

 一応、レクの中で、今年のさきの頃に簡便なフォーマットを一応自治体に対して御参考までで送ったという話ですが、それでもやはり秋田市は山口市に近いような感じです。自治体だって追いついていないんですよ。

 これは、罹災証明自体は国でフォーマット化しているんです、これにしなさいと。だったら、この海南市をモデルに、これにしなさいと通達すればいいですよ、自治体として負荷が増えるわけじゃないんですから。

 罹災証明を、申請を求めなきゃいけない場合においてはこのフォーマットを基本的に使うようにと通達を出してください。参考人、いかがですか。

高橋政府参考人 近年の災害において、応援職員を派遣した自治体等から、自治体によって罹災証明書の様式が異なると迅速な交付に支障が生じるとの指摘があったことから、内閣府では、令和二年三月に、罹災証明書の統一様式を各自治体にお示ししたところです。

 一方で、議員御指摘の、罹災証明書の申請書でございますけれども、自治体によっては、迅速な被害認定調査のため、被災住家の写真や位置図の添付を求める事例もあるものと私どもも承知をしております。

 今後、御指摘も踏まえて、申請書の統一化について、自治体の意見も踏まえ、対応を検討していきたいと考えております。

 なお、今、罹災証明書を含むいろいろな被災者の支援システムを電子で効率的にやっていこうというようなクラウド型被災者支援システムというものの導入を進めているところでございますけれども、この中では、内閣府が定めた申請様式を準備しておりまして、全国において統一的な運用を促しているところでございます。

寺田(学)委員 最後お話しになった御立派な仕組みもいいですが、もうそれこそ今だって、今日、明日にでも住宅被害が出るわけですよ、その可能性はあるわけですよ。だとしたら、自治体の意見を聞いているいとまがあったら、この一番簡便なものをモデルに、これを使ってくださいと通達すればいいだけですよ。それによって困る自治体はないですよ。もし困るとしたら、国が事細かく様々なことを後々求めてくるんじゃないかという恐怖感だけですよ。

 もっと国が被災者の立場に立って、一日でも早い様々な支援の見通し、取りたいですよ。自分はこの家に住み続けられるのか、住むとしたらどれぐらいかかるのか、そのときにどのような、自治体から、国から支援があるのか、融資はどれぐらい受けられるのか、自分のこれからの年齢も含めて考えますよ。できる限り支援のメニューというものは早い段階で被災者に示されることが、被災者の復旧の最も大事なところじゃないですか。それを国の制度自体、運用自体が妨げている、そこを改善してほしいということを申し上げているんです。

 次に移りますけれども、先ほど申し上げたとおり、これから最大で、秋田市は二か月以上、罹災証明を出すまで。罹災証明を出すということは、被災した人が様々な応急的なことも含めてどのような、義援金を含めて受け取れるかどうかはっきりする、そしてはっきりして受け取るまで最短でもそれぐらいかかるという話ですよ。

 三枚目の資料、是非皆さん見てほしいんですけれども、自治体の職員の皆さんがどれぐらいの被害があったかということを判定するんですが、一次調査と二次調査があります。秋田市は約二万軒の一次調査が大体終わりました。

 同じようなフローなんですけれども、フローのところの下に、外力あり、外力なしと分けているんです。河川氾濫とか土砂崩れのような外からの圧力があった場合には、一次調査で、歩いて、外から見てどれぐらい浸水が上がっているかということで罹災証明の根拠となる調査が終わるんです。終えることができるんです。ただ、内水氾濫のようにじわっと上がってきたものに関しては、外力がないので一次調査ができない。一番最後のページですけれども、二次調査をやらなきゃいけないんです。二次調査をやるということは、おうちの中に入って、いろいろ様々な、建具だ何だを計算してとやるので、めちゃめちゃ時間がかかるんです。秋田市が罹災証明を出すのに苦労している、時間がかかっている理由はここにあります。

 先ほども申し上げましたけれども、細かく正確に被害の実態を理解して、把握して、それを把握すること自体は必要な部分はあると思いますが、そこに軸足を置いている限り、被災者の立場に立ってみれば、どんどん自分に対する救済が遅れていくんですよ。

 これも判断できると思います。もう外力ありだろうがなしだろうが、床上浸水した瞬間に、外側から見る浸水深で判断したらいいじゃないですか。そうしたら、秋田市、終わっているんですよ、調査。それなのに、事細かく正確にできるだけ把握しようというこの国の意思自体が、調査を遅らせ、判定を遅らせ、罹災証明の発行を遅らせて、被災者の方々への救済の時間がかかりまくっているわけですよ。

 これは政治の責任ですよ。こんな仕組みを放置しているからこそ、浸水被害に遭って被災になった人たちの救済を遅らせているのが、国と行政の責任なんですよ。我々のせいですよ。これ、直しませんか。三か月たって応急住宅って、応急じゃないですよ。応急って多分、被災された方々の皆さんの印象でいったら一週間、十日ですよ。だって応急なんですもの。自分たちが住む家が、もうこのまま住むことがこのままじゃできないから応急処置をするんですよ。それが三か月たった後にできましたって、応急じゃないじゃないですか。

 大臣、政治判断ですよ。これから秋田市は一生懸命、いや、ある方は、県外からも人を集めて調査職員を増やせばいいじゃないかという声があるんですけれども、それは、皆さんも選挙区を回っているから分かると思いますけれども、いきなりほかのところから来て地域地域の事情が分かるかといったら、分からないですよ。やはりそれは、少なくとも当該市町村と県が協力してやらざるを得ないですよね。だとしたら、できる限り早く終わらせるには、調査の内容をより簡便化することしかないんですよ。

 大臣、もう五分切っちゃったので、最後、質問したいです。

 大臣の御判断でいいですよ。できるだけ早く罹災証明を出すために、より簡便な判断で結構だと、秋田市を含め、これから出る、もちろん、この内容自体はこれから調査して様々変えたらいいと思いますが、運用自体は、できるだけ早く罹災証明を発行するために、調査自体は、できるだけ早くするために、大まかな感じでいいと是非政治的に判断してくださいよ。大臣、いかがですか。

谷国務大臣 秋田市がまだ調査が終わっていないということは委員御指摘のとおりで、正直な話、今まで様々な災害を私も経験しました。数万戸の流された東日本大震災も、何度も被災地に行きました。

 それで、被害の罹災証明が大変遅れているということは、正直な話、今まで余りありませんでした。しかし、現実に、今回なぜ交付がより迅速にできていないかということを国の方でもしっかり検証する必要があると思います。

 寺田委員の国の方が厳しく細かくというのは、国の方が罹災証明書そのものは簡単なものでございます。ただ、そういう申請を自治体によって変えている、それをできる限り簡素化するということは、おっしゃるとおり、またしっかり検討しなければならないというふうに思っております。

 海南市の例が出ましたけれども、石田元総務大臣の地元ということであるのか、大変コンパクトで簡素でということでお褒めの言葉がありましたけれども、そういったことは検討してまいりたいと思っております。

寺田(学)委員 時間になりましたけれども、検討している間にも、被災者はずっと、変わり果てた家の中で、エアコンもなく、子供を抱きながら我慢して住んでいるんですよ。あなたの検討しているその間も、ずっとそうなっているんです。これからも、今、台風が来ていますけれども、委員長の御地元を含めて本当に深刻な危機が迫っていますよ。大臣が検討している間に、そういう被害に遭った人も、これから遭う人もそういう状況に置かれるということを十分理解した上で、早急な判断をしてください。

 以上で終わります。

谷国務大臣 いずれにしても、できる限り早くするために、いろいろ我々としても検討を進めてまいりたいと思います。

 私自身も、地元で万を超える浸水被害にも遭いました。それで、そのときは罹災証明の問題はほとんど聞きませんでしたけれども、今回、なぜこういう事態になったのかということを十分勉強し、検討し、委員が言われるように、とにかく早く罹災証明を出さなければ、その後の様々な手続ができないことも委員御指摘のとおりです。しっかり我々も頑張ってまいりたいと思います。

寺田(学)委員 委員長、済みません、ありがとうございます。

 罹災証明に対する不満を聞いたことがないというのはどうかしていますよ。聞こえていないだけですよ。

 何万軒にも及ぶ被害と一軒の被害も、その人にとってみれば同じなんです。何万軒だから別に許されるとか、一軒だから別に早くしなきゃいけない、そういうことじゃない。どんな被災者であったって、少なくとも一週間から十日ぐらいで、判断できる範囲で判断して罹災証明を出すべきだと私は思っています。

 委員長を含めて、力をかしてください。よろしくお願いします。

 終わります。

江藤委員長 次に、山本剛正君。

山本(剛)委員 日本維新の会の山本剛正でございます。

 今の寺田先生の話を聞いていて、罹災証明、やはり震災の教訓は全く生かされていないなとしか私はちょっと思えないですね。あのとき、役所も流されて罹災証明が全く出せなかったというところもあって、それが今の答弁だと、遅れたところは余り聞いたことがないみたいな話だと、私はちょっと耳を疑うような話でございました。

 寺田委員の時間が大分押してしまったので、私は寺田委員に時間を上げたつもりでちょっとやりたいというふうに思います。

 今回の豪雨災害、今回だけにスポットを当てるのではなくて、やはり九州地方、私も福岡の人間でございますが、大変、福岡、九州地方は毎年、本当にもう梅雨は、災害が起こらないと梅雨が明けないぐらいの、そんな嫌な言葉が出るぐらいの状況だということを是非認識をしていただきたいというふうに思います。

 私の住む福岡市は人的被害こそなかったものの、床上、床下浸水も、一軒、二軒、停電も二十軒程度あったということで、断水も私の地元の東区でも一軒ありました。規模こそ小さいように思われますが、でも、これは毎年のことで、いつ本当に自分のところに起こるか分からないということは、先ほど来から、質問される委員の皆様方がおっしゃっていましたが、そろそろ雨による災害というものに対して少しやはり考え方を私は変えていく必要があるんだろうなと。

 対応にしてもそうです。災害対策、災害の復旧に対して、それは対症療法ですから、復旧するということは非常に大事でありますけれども、やはり予防ですよね。予防というものをやはり根本から変えていかなければならない。

 それで、政府の皆さん、そして役所の皆さんは制度や法に寄り添ってやっていくこと、これは皆さんのお仕事ですから、それは当然そうだというふうに思うんですが、法や制度に寄り添っていくことも大事かもしれないけれども、やはり私は、被災者の皆さん、人に寄り添う行政というものも大事であろうというふうに思いますので、是非その観点で皆様方にお答えをいただきたいというふうに思います。

 まずは、福岡県における国の災害対応についてちょっとお尋ねをしたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 先月七日から十日にかけての梅雨前線による九州北部における大雨に関しまして、政府としては、関係省庁災害対策会議等を開催し、人命第一の災害応急対策、ライフラインやインフラの早期復旧等、関係省庁が緊密に連携して切れ目なく対応してまいりました。

 福岡県では、警察、消防に加え、自衛隊が久留米市において人命救助活動に当たったほか、国土交通省のTEC―FORCEも派遣されるなど、関係機関が被災自治体と緊密に連携し対応してきたところでございます。

 また、先月十三日には、谷大臣が福岡県及び佐賀県の被災現場を視察するとともに、被災自治体の首長等と意見交換を行い、大雨による被害が毎年のように繰り返し生じているとの切実な声や、復旧復興に向けた国の力強い支援を求める要望などが寄せられたところでございます。

 福岡県におきましては、これまで十市町村に災害救助法が適用されたほか、三市町村に生活再建支援法が適用されるなど、被災者の一日も早い生活再建に向けた取組が進められております。

 加えて、先月二十七日には、福岡県の被災現場を視察した岸田総理から、本年の梅雨前線豪雨等による災害の激甚災害の指定について、地域を限定しない本激として指定する見込みである旨公表いたしました。

 政府としては、引き続き、被災された方々に寄り添った支援に取り組んでまいります。

    〔委員長退席、高鳥委員長代理着席〕

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 そういった中で、今、毎年のように九州はというお話もありました。例えば、床上浸水、床下浸水ということを言いますと、床上の方が当然被害は大きいんですけれども、私が前に筑豊というところにいたときも七年間で四回ぐらいつかるようなところもあって、いろいろな整備をしていただいて、どんどんどんどんつからないところは出てくるんですよ。だけれども、これはよく考えていただきたいんですけれども、いろいろな整備をしたところで、最後まで、四回つかったとして、最後までつかるところは実はつかるんです。つまり、今年つかったけれども、来年来たときはつからなかったというところもあるかもしれないけれども、今年つかって、来年もつかって、その次もつかってと、最後までつかるところはつかる。そのときの心情を考えると本当に苦しいんですね。

 私も、そのときに、そういった現場の皆さん方のお話を聞きましたけれども、もうそうなると、床上浸水でも床下浸水でも実は心情的には一緒です、被害は違うかもしれませんけれども。やばい、水が来る来る来ると。

 今回の久留米の災害でも、私の知り合いの方の実家がやはり浸水をして、その方がちょっと二階から動画を撮ったときには、道路を挟んで向こうはもう海のようになっていました。

 ああいう絶望的な状況を見たときに、災害復旧費に対する補助対象の拡大とか、新たに創設をするとかということをやはり考えていかなきゃいけないというふうに思うんです。

 先ほど委員長の御報告でもありましたが、福岡県では、平成二十九年以降、全国最多となる六回目の大雨洪水警報が発令をされ、七月十日の未明から七時間にわたって相次いで四回の線状降水帯が発生をしたと。福岡市、久留米市を始め県内七観測所の二十四時間雨量が、県内の七月の平均雨量四百ミリを超えて、久留米市、添田町の観測所では過去最大を観測したわけであります。久留米市の豪雨による気象状況については、ちょっと資料をお配りをさせていただきますので、御覧をいただきたいというふうに思いますが。

 本当にこれは、先ほどの秋田もそうですし、鳥取とか、全国的に豪雨災害が頻発していますけれども、福岡県の異常さは数字を見ればもう一目瞭然だというふうに私は思います。地元住民の皆さん方も、やはり梅雨のたびに本当に恐怖を感じています。

 今回、見ていただくと分かるんですけれども、総雨量こそ去年の方が多いですけれども、二十四時間の雨量になりますと、やはり四百二ミリを超えて最大になっているわけであります。つまり、短時間の間でとんでもない量の雨が降っていることが分かるわけでありますけれども、そういった中で、先ほど冒頭に申し上げましたとおり、補助対象の例えば拡大とか創設というのを考えておられるのかどうかをちょっとお尋ねをしたいというふうに思います。

    〔高鳥委員長代理退席、委員長着席〕

谷国務大臣 委員御指摘のとおり、特に九州、福岡は、度々水害、お手元の出していただいた資料にあるとおり、本当に頻発しているということかと思います。

 国の方でも、過去のこういう災害を踏まえまして、例えば被災者生活再建支援法の支給対象を中規模半壊まで広げるとか、あるいは国土交通省では、下水道について改良復旧ということを全面的に押し出して補助制度を拡大したとか、あるいは農林水産省では、できる限り早く災害査定をするために机の上の査定を増やしたとか、そういう取組は行っているところでございます。

 委員御指摘の新たな補助制度なり補助対象の更なる拡大等々につきましては、関係省庁と十分調整の上、可能な限り、これらについても取り組んでまいりたいと思います。

山本(剛)委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。

 次に、農地とか農業についてちょっとお尋ねをしたいんですが、福岡は様々な農産品もありますけれども、花、花卉が実は非常に盛んな地域でございまして、花といえば、コロナで三年間、実は本当に花の農家の皆さん方は苦労をいたしました。花というのは保存が利かないものでございますから。そういう中では、コロナでこれだけ苦労をした中に、更にその先にこういう災害が起こるということで、多分、本当に疲弊をされているというふうに思います。

 そういった中で、まず、農業等施設の被害についてなんですけれども、視察でも御覧をいただいたかと思うんですが、久留米市に限って申し上げますと、林道十二路線二百十五か所でのり面崩落、路肩損傷等が発生をいたしました。林地内での土砂災害は二十一件発生したそうでございます。ため池では六か所で堤体崩落等が発生をし、農地への土砂流入などもかなりあったというふうに聞いています。被害面積が、七月の十八日時点なんですけれども、九十八ヘクタール確認をされていたということでございまして、今、田主丸が結構被害がひどかったんですけれども、そこはこの時点では確認中ということでございました。

 農業等の被害に関しては、畜産施設とか農地が冠水をして、水稲、野菜、花卉、果樹などの農畜産物に被害が多く発生をしています。ハウスなどの生産施設やその給水ポンプ、それから加温機など生産機械にも冠水による被害が出ているわけでございます。これは、被害面積が約二百九十三ヘクタール、そして被害額が約五・八億円と試算をされております。

 これは両方とも、現在、被害の実態は調査中でございまして、今後、被害が更に拡大をするということは見込まれるところでございますが、これらの本当に大規模な被害に対して、早期復旧に向けた集中的な支援が必要だというふうに私は考えておりますけれども、政府のお考えをお聞きしたいと思います。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 今回の災害につきましては、農林水産省では、発災直後からMAFF―SATとして被災地に職員を派遣いたしまして、被害の状況の早期把握に努めますとともに、復旧に向けた技術的指導、排水ポンプの貸出しなどの支援を行ってまいりました。

 また、被災された農地、ため池、あるいは林道等につきましては、災害復旧事業等により早期に復旧をしていくということとしておりますけれども、今回の災害が激甚災害に指定される見込みとなりましたことから、補助率はかさ上げされる見通しでございます。

 さらに、被災された農業者の方々につきましては、農林漁業セーフティネット資金等の災害関連資金について貸付当初五年間の実質無利子化という措置を講ずるほか、農業共済に係る共済金の早期支払いでございますとか収入保険に係るつなぎ融資などを行うなど、農林漁業者の方々の早期の経営再開を支援してまいります。

 農林水産省といたしましては、引き続き、被災された農林漁業者の方々の一日も早い経営再開に向け、県、市町村とも連携し、支援を行ってまいりたいと考えております。

山本(剛)委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 次に、商工業についても聞きたいんですが、田主丸や善導寺、大橋という、久留米地区の東部に当たるんですけれども、東合川、梅満町、三潴町など市内各地の事務所や店舗、工場等が冠水して、原材料、機械装置、製品等に被害が生じています。中身を見ますと、被害件数が百五十六件、被害額が六・一億円というふうに出ているそうでございますが、これも、また更にもしかしたら上がるかもしれないというところですが、ここについての支援についてちょっとお尋ねをしたいと思います。

松浦政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御地元の福岡県につきましては、中小企業庁では、災害救助法の適用を受けた県内十市町村、あるいは被災された中小企業の方に対して、中小企業団体の特別相談窓口の設置やあるいは災害復旧貸付けの実施、セーフティーネット保証の実施、こういった支援策を初動として講じておるところであります。また、追加的支援といたしましては、自治体連携型補助金を制度として設けておりまして、現在、こうした支援策を踏まえ、福岡県とも連携しながら中小企業の被災状況の詳細把握に努めているところでございます。

 なお、自治体連携型補助金につきましては、地域の実情をよく把握されている都道府県が小規模事業者を支援される際に、国が当該都道府県に対してその費用の一部を補助するものでありまして、販路開拓や生産性向上といった通常時の支援については補助率二分の一であるところ、災害時につきましては補助率を三分の二にかさ上げしているところであります。さらには、近年頻発する災害状況を踏まえまして、本補助金につきましては、今年度より災害救助法の適用を要件とすることといたしまして、より機動的な支援を可能とするとともに、国から都道府県に対する補助上限額を一災害当たり五千万円から一億円に拡充しているところであります。

 私ども中小企業庁といたしましては、こうした支援策の活用を含め、被災地域の状況を丁寧に把握し、被災された事業者の方に寄り添った対応に心がけてまいりたいと思います。

 以上です。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 今年度から拡大をしたということでございますが、是非弾力的な運用をお願いしたいというふうに思います。

 農業にしても商工業にしても、やはり、こういった状況の中で、手前のこと、今のことには本当にどうしようということになっていると思うんですが、近未来のことにまで意識が回らない方が多くいらっしゃるというふうに思います。だからこそ、そこにしっかりと光を当てて、安心できる、そして希望の持てる制度というものを運用していただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。

 次にですけれども、復興税の活用についてちょっとお尋ねをしたいと思うんです。

 東北の震災があって、その復興をやっていくために復興税を設けました。復興特別所得税ですね。近年はそれを総額を変えないで期間を延ばしたわけでありますけれども、そういったことができるのであれば、こういった大規模災害について、やはりその財源を何とか生かすことができないものかなと。もちろん、復興税に関しては、法律で非常に厳しくその使途が決められているということは私も当然承知をしております。承知をしておりますが、規模を変えないで延長したという事実があるわけでありますから、そういったことを踏まえて、何とかその財源を災害に活用できないか。

 そして、当然その期間が終われば、じゃ、復興庁はどうなるんだと。これは組織論になるので別に質問にはいたしませんけれども、私の考えを言わせていただければ、じゃ、復興庁がその役割を終えた後に、これだけ日本が災害が頻発をして、大変大規模な災害も多くなっている、そして、例えば南海トラフとかそういったことも予測をされている中で、復興庁が災害対策庁とかに衣替えするのは私は考えていかなければならないことなのではないかなというふうに思いますし、そのための財源も、やはり復興税を、例えば、時限ですけれども、それを恒久税にしながら、国民の皆様方に御負担をいただきながら、全国の災害に役立てていくというのは一つの考え方であろうかなというふうに私自身は思っております。

 そういった中で、こういった、要するに復興税を、じゃ、活用していこうということが論じられているのかどうか、それとも、やはり法律で厳しく決められているから、そういったことは考えられないよというのか、そういったところの政府の考え方をちょっと聞いてみたいと思います。

金子大臣政務官 ありがとうございます。

 初めに、台風六号、また昨今の災害でお亡くなりになられました皆様方に哀悼の意を表明させていただくとともに、被害に遭われた皆様方にお見舞いを申し上げさせていただきます。

 ただいま御質問していただいた内容というのは、初当選して私、六年弱たちますけれども、飛騨の方も二回激甚指定をもらう災害をいただいておりますので、そういう部分では問題意識としては非常によく分かるところであります。

 その上で、山本委員御自ら今おっしゃっていただいていましたけれども、復興特別税に関しましては、復興財源確保法に基づきまして、東日本大震災からの復興事業にその税収を充てることというふうに法律上規定されておりますので、現在はこの財源をほかの経費に充てるということは考えておりません。

 一方で、激甚化、頻発化する災害から国民の皆様の命、暮らしを守ることは、我々、国の重大な責任だという認識は持っておりますので、引き続き、政府を挙げて、防災、減災、災害復旧の取組を推進してまいりたいと思います。また、防災、減災、災害復旧に着実に取り組むことを重要としつつ、ほかの省庁ともまた連携を図っていきたいというふうに思います。ありがとうございました。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 復興税の使途については、法律で、七十二条で非常に厳しく指定をされていて、七十三条に特例があるわけでありますけれども、ちょっと今後、やはり災害がもっともっと増えていくということを考えれば、少しやはり考えていく必要は私はあるのかなというふうに思いますので、検討のほどをよろしくお願いしたいというふうに思います。

 次に、冒頭に申し上げましたが、根本的なことをやはり変えていかない限り、雨量がどんどん増えていれば、例えば四百ミリまではもちますよといっても、五百ミリ降ればやはりもたなくなるわけで、そういうことを考えていくと、九州地方の砂防とか治水事業の大幅な見直し、そして予算拡大というのが私は不可欠だというふうに思います。

 そういったことを今後というか、これからやはり考えていただけるのかどうか。政府の中で、これだけ激甚な災害が頻発する九州地方は、やはり根本的に災害対策を変えていかなければならないよね、だからこそ、治水事業、砂防、変えていきましょうということが言われているのかどうかというのをちょっとお尋ねをしたいというふうに思います。

古川大臣政務官 お答えします。

 九州地方では、議員御指摘のとおり、近年、平成二十九年の九州北部豪雨を始めとして、令和二年七月豪雨、本年も七月上旬の線状降水帯による大雨など、災害が多数発生をしております。

 このような中、平成二十九年九州北部豪雨で甚大な被害をもたらしました筑後川水系赤谷川流域におきましては、河川事業と砂防事業が一体となった計画を策定し、土砂洪水氾濫対策を行っております。さきの豪雨でもその効果を発揮したところでございました。また、佐賀平野ではクリークを雨水の貯留に活用するなど、九州では関係者が一体となった先駆的な流域治水の取組を進めてきております。

 九州でのこのような取組を引き続き連携して進めるとともに、気候変動による降雨量の増大を踏まえた河川整備基本方針の見直しなどを進めまして、必要な予算を確保して、事業を推進してまいります。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 古川政務官も、知事も経験されて、いろいろな規制を変えて、これをやりましょう、お願いしますと言っていた立場でもあられたわけですから、是非、九州地方、佐賀の方でもありますし、九州の根本的な改善に向けた努力を一緒にやっていただければなというふうに思いますので、お願いします。

 最後に、もう時間もないのでちゃちゃっと行きますけれども、先ほど寺田先生からも、応急の住宅についての話がありました。私もそこは本当に大いに賛成をするところでございまして、例えば今、政府の方ではムービングハウスを一生懸命やられていると思うんですね。あれは非常に機能的で合理的ですばらしいものだというふうに私も思いますが、いわゆる仮設住宅を建てるときに一番ネックになることというのは何かというと、実は土地の確保なんですね。これは東日本のときもそうでした。土地の確保が本当に大事で、土地の確保ができない限りは、やはり、まず建てることもできないというわけでございますから。

 そういったことを考えると、ムービングハウスは非常にすぐ建つわけですけれども、土地の確保までにやはり時間がかかるということを考えると、やはり、最初から十日目ぐらいまでの、緊急時、一番重要なところのプライバシーをどういうふうに守っていくのか。特に女性の方とかはやはりプライバシーを非常に大事にされるところもあるわけでありまして、そういう意味では、例えば避難所で生活して段ボールで区切るよりも、やはり個室、しっかりとした独立した空間というのが私は必要という中で、国土交通委員会でも私はキャンピングカーの活用というのを常に言っているんですね。これは自走式でもありますし、いつでもどこでも持っていけるということもありますので、是非これを活用していただきたいと思うんですが、最後にちょっと簡単にお答えをいただきたいというふうに思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 キャンピングカーやムービングハウス等の移動式仮設住宅につきましては、発災後迅速に設置が可能であるなど利点も多く、被災者への住まいの迅速な提供に大変有用であると考えております。

 これまでも、令和元年東日本台風とか、令和二年七月豪雨、また令和四年八月の大雨等におきまして、約二百三十戸のトレーラーハウスやムービングハウス等が応急仮設住宅として活用されてきたところでございます。

 一方で、議員御指摘のとおり、災害時において早急に円滑に確保していくといったことが課題でございますので、都道府県等と移動式仮設住宅を提供する民間団体等との協定の締結などの取組を進めていく必要があると考えておるところでございます。

 引き続き、民間団体や都道府県等のニーズや課題を踏まえながら、キャンピングカー等の移動式仮設住宅の更なる活用方策について検討してまいります。

山本(剛)委員 終わります。ありがとうございました。

江藤委員長 次に、古川元久君。

古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。

 まずは、さきの豪雨で犠牲になられた皆様とその御遺族に対しまして心からお悔やみ申し上げますとともに、被害に遭われた皆様に心からお見舞い申し上げます。

 しかし、今また台風六号が九州に近づいておりまして、九州の被災地では再び災害に見舞われる可能性もございます。そうした事態にならないことを心からお祈りすると同時に、政府におかれましては、関係自治体と緊密に連携して、万一の場合への備えを怠りなく行っていただくことをまずはお願いしたいと思います。

 今日は、先ほど来から、私も先日福岡の方にお邪魔をさせていただきましたけれども、この間の被害への対応については、地元の委員の方々を中心に議論をし、ここで質疑がされておりますので、私は、今後の防災に向けての方向性、そうした点を中心にお伺いしたいと思っています。

 今回の豪雨では、二十四時間雨量が過去最大を記録した地点が幾つかあったというふうに承知をしていますけれども、最近、こうした豪雨が起きるたびに、過去最大雨量を記録という話をよく聞きます。

 これはちょっと大きな話としてお伺いしたいんですが、今後の気象動向として考えると、温暖化も進んでいる、これが一番大きな要因ではないかと思いますが、今後更に雨量は増えて、今回、過去最大といいますけれども、雨が降るたびにまた記録が塗り替えられていく、そうした方向にもう今の気象状況というか動向というのはなっているのではないかというふうに思いますが、その点の気象庁としての認識はいかがでしょうか。

大林政府参考人 お答え申し上げます。

 本年六月二十八日から七月二十二日にかけて梅雨前線の影響で全国的に大雨となり、委員御指摘のとおり、複数の地点で二十四時間降水量が観測史上一位を更新しました。気象台などによる過去百年以上の観測データによりますと、災害をもたらすような、例えば日降水量二百ミリ以上の大雨の年間日数は増加しています。

 また、将来につきましては、文部科学省及び気象庁が令和二年に発表した日本の気候変動二〇二〇によると、パリ協定の二度目標が達成された場合においても、日降水量二百ミリ以上の大雨の年間日数は、今世紀末には二十世紀末の約一・五倍に増加すると予測しております。このことから、今後も日本各地で雨量の記録が更新される地点が出てくることは十分に考えられます。

古川(元)委員 ありがとうございます。

 そういった意味では、今長官がおっしゃられたように、雨降るたびに過去最大、そういうことが今後も起きてくる、そういうことを私たちは今考えていかなければいけない状況になっているんじゃないかと思います。

 事実、今回浸水の被害のあった久留米市などでは、このところ、先ほどからもここで議論が出ていますけれども、昨年を除いて、もうほぼ毎年、ここ数年、大雨による浸水被害を被っておりまして、地元の人たちは、先日お邪魔したときにも、たまたま去年が例外で、むしろ毎年こういう浸水被害を被る、これがもう普通だというふうに考えなきゃいけないんじゃないか、そういうお話もしておられました。先ほどの長官のお話なんかを伺うと、もうそういう認識でいないといけない、まさに地元の人たちがそう思っている。これは、ある種、気象の動向とかそういうことを考えれば、そういう認識を持ってもそれは間違いのないところだ、そういう認識だというふうに考えてよろしいでしょうか。

大林政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、今回浸水被害のあった福岡県久留米市では、過去にも、令和三年八月の大雨、令和二年七月豪雨など、大雨による浸水被害が起こっております。

 このような災害をもたらすような大雨の状況は、その年々の天候により異なりますが、梅雨の末期には活発な梅雨前線が九州北部付近に存在することが多いこと、台風についても九州への接近が多いこと、さらに、今後も地球温暖化の進行に伴い大雨の頻度は増えると予測されていることなどから、梅雨や台風の時期には、大雨災害の可能性を想定して、備えをしっかりと行うことがこれまで以上に重要であると考えます。

 気象庁では、警報、土砂災害警戒情報等の防災気象情報により、重大な大雨災害が起こるおそれがあることをお伝えしてまいりますので、これらを有効に御活用いただき、早め早めの防災対応を取っていただきたいと考えております。

古川(元)委員 ありがとうございます。

 要は、やはり長官のお話を伺うと、今後ますます雨はひどくなる可能性が十分あるし、また、毎年こういう被害を受ける可能性も極めて高いということだというふうに思います。そうなると、今日も様々な委員の議論であるように、やはり毎年毎年こういうことが起きる、そして、年々ひどくなるということを前提にやはり防災対策もやっていかなければいけないのではないか。

 ですから、今までのような、大規模な災害というのはたまに起きる、そういうふうじゃなくて、大規模災害が、今の気象の状況を考えれば、これからはもう毎年起きる、それを前提にした上で防災対策に取り組んでいかなければいけないんじゃないかなと思います。

 そういった意味では、最近、政府の方では異次元、異次元という言葉がよくいろいろなところで聞かれますけれども、まさに災害対策も今までとは全く異なる異次元の対策を取らなきゃいけない、そういう状況に来ているのではないかなというふうに思うんですが、その点で、ちょっと私の地元とも関わる話なので、一つ、これは集中的に取り組むべきじゃないかというお話を伺いたいと思います。

 今回の豪雨では、内水氾濫によって浸水した地域が多く見られました。私の地元の守山区でも、かつて庄内川が越水したときがあったんですが、このときもやはり内水氾濫での、相当、床上浸水というようなそういう状況がありまして、最近は本当に、今回の秋田でもそうですけれども、どこでも、やはり内水氾濫が起きる。

 内水氾濫を防止する一つの手段として、方策として、先日、久留米市長から、筑後川のしゅんせつ、こんな御要望をいただきましたけれども。私も、地元にある庄内川とか矢田川、そういったところ、とにかく、何か中州のところに木が当たっているけれどもああいうのはいいのかとか、地元から、あのところをちゃんとしゅんせつしてもらいたいとか、そういう要望をよく受けます。

 話を伝えるんですけれども、国交省の方では、順次やっています、チェックはしていますと言うんですけれども、しかし、何か起きてからでは手遅れであって、やはりこれだけ内水氾濫が全国各地で起きているような状況を考えると、全国、もちろん九州は本当に連続しているということであれば優先順位は高いかもしれませんけれども、内水氾濫が起きやすいようなそういう地域、ある程度想定は、もう今内水氾濫のハザードマップもできているわけですから、やはりここは、地域の声に応じて、河川のしゅんせつや河道掘削、こうしたものを全国的に集中的、そしてもっと積極的に進めていくということが、今後の被害、どんどんどんどんと気象状況が、豪雨災害が激甚化、頻発化する中でやはり急務ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

廣瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の大雨では、九州北部地方や秋田県を始め各地で浸水被害が発生いたしましたが、河川の水位が高い状態が続いたことや市街地に降った雨が排除できないことなどによる内水氾濫があったものと認識しているところでございます。

 委員御指摘のように、内水氾濫の防止のためには、河川本川の水位を低下させるということは極めて重要であり、河道掘削が有効な対策の一つと考えております。

 委員の御地元であります庄内川、矢田川でも、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策等を活用して、流下能力を向上させるための河道掘削や堆積した土砂の撤去等を実施していると認識しているところでございます。

 国土交通省といたしましては、地域の御意見も踏まえ、また、今季の内水被害の状況、これは地域によってかなり異なるとは思いますけれども、これをきっちり分析をいたしまして、引き続き、河道掘削等の必要な対策を進め、安全、安心な国土づくりを推進してまいりたいと思います。

古川(元)委員 余り、ただ、地元的に言うと、要望しているけれども、順調に進んでいる感じにはみんな思っていないんですよね。やはり、これは、本当にちょっと集中的にこういうところに予算をつけてやることが必要ではないか。一回被害に遭ってしまうと、その被害額たるもの、本当に大きなものになりますから、そこは、やはりこういう内水氾濫は、特に都市部あたりで起きると大きな被害にもなりますので、是非、河川のしゅんせつや河道掘削、こういったものを積極的、集中的に進めていただきたいというふうにお願いを申し上げたいと思います。

 さて、大臣、今のこの議論を聞いていただいているかと思いますけれども、今やもう異常気象がニューノーマルと言われるような状況となっておりまして、そういうことを考えると、今の災害関係の法体系とか支援策の在り方、そんな毎年毎年同じような激甚災害が起きるなんということは想定されていない法体系、支援策になっているんじゃないかと。

 先ほど来からの議論でもいろいろな補助率とかそういうものの話が出ておりますけれども、やはり、こういう異常気象がニューノーマルという状況になった、そういう新たな時代にふさわしい、まさに異次元の災害対策、そうしたことを講じていくことが必要で、そういった意味では、これまでの災害関係の法体系とか支援策の在り方、これを根本的に見直す必要があるんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

谷国務大臣 委員おっしゃられるとおり、異常気象がニューノーマルな時代になってきているということは事実であろうかと思います。

 国の災害法制や支援策というのは、委員御承知のとおり、今までも硬直的に考えるのではなくて不断に見直しを行ってきたということも事実であろうかと思います。最近でも、災害がしばしば起きる、そして激甚化しているということを踏まえて、避難勧告と避難指示を令和三年の法改正で一本化した、また、まれに起きる非常災害ではなくて、特定災害対策本部というのも災害発生のおそれのある早い段階から設置できるようにした、台風が来る前から特定災害対策本部を設け、そして自治体の方でも災害救助法をあらかじめ適用する、そういうこともしてきたところであります。

 また、被災者への支援も、支援金の支給対象を拡大したり、あるいは、度重なる豪雨対策として新たに流域治水の考え方を取り入れて法律を作ったりしているところでございます。

 しかし、そうはいっても、災害の頻発化、激甚化を見据えて、制度の在り方、支援策ということは、引き続き不断の見直しということが必要であろうかと思います。

 ただ一方、国土強靱化によって、従来の雨でいうと相当浸水したような、浸水の実例があるようなところも、国土強靱化の堤防の強化とか河川のしゅんせつなどによって被害が大きく軽減された、そういう事実もあるのではないかと思っております。

古川(元)委員 私も、進んでいないとは言わないんです。それは不断の見直しはされていると思うんですが、ただ、やはり、異常気象といいますか、それ自体が我々の想定以上に超えて進んでいって、結局はやはり大きな被害が起きている。

 ですから、例えばですよ、やはり、本当に危ない地域なんかは、申し訳ないですけれども、むしろ被害に遭う前にもうそこから移転してもらうとか。結局、この間で災害があったところなんかを見ても、例えば、戦後、どんどん人口が増えていく中でスプロール化していく中で、やはり比較的危ない地域にも人が住んでいったということがあります。今、人口も減ってきている、そういう状況の中で、やはり昔から人が住んでいる地域の方がそういうリスクは比較的小さい、そういうことがあるわけですから、やはりそういう住み替えを進めていく。その方が結果的に経済的なコストも安くなりますし、また、何よりも災害に遭って命を失うなんということも、やはりそういうことも少なくできるんじゃないか。

 そういった意味で、是非、異次元の災害対策、ちょっとレベルを、徐々に、不断のというんじゃなくて、一気に、かなり思い切った見直しというものを是非考えていただきたいというふうに思います。

 最後、ちょっと時間がなくなりましたが、間もなく今年の防災の日、九月一日を迎えますが、今年は九月一日が防災の日となるきっかけになった関東大震災からちょうど百年目を迎えることになります。その機会でございますので、ちょっと、地震との関係で一点、私が心配していることについてお伺いしたいと思います。

 大地震が起きると、首都直下とか東南海トラフなんかの地震が起きると、今想定されているだけでも経済的損失は大変深刻になって、それこそ、かつてポルトガルがリスボン大地震をきっかけに没落したように、日本もそういう首都直下とか東南海トラフなんかが起きると、そういうことをきっかけに本当に経済的にも没落をするという、そういうことにもなりかねない、そういうリスクというものがあるんじゃないかと思っています。

 具体的に言うと、経済的リスクでいうと、今、首都直下とか南海トラフ地震なんかが起きると、それをきっかけに、そういうのを契機にして投機筋などから日本売りを仕掛けられて、円安、株安、債券安のトリプル安が起きて、日本は、災害によるダメージだけじゃなくて、マーケットの暴落という経済的な深刻なダメージも同時に受ける、そういうリスクというのは私は高まっているんじゃないかというふうに危惧をしますけれども。

 ここで、財務省、今日来ていただいているので伺いたいと思いますが、こういう巨大地震の発生が契機となって大規模な円売りが起きて円が暴落するようなおそれ、そういうことはないでしょうか。また、万一そうした大規模な円売りが起きた場合への対応、備えというものは、これはきちんとされているのでしょうか。

土谷政府参考人 お答え申し上げます。

 巨大地震が発生した際の為替相場に関するお尋ねでございますが、為替相場は様々な要因によって決まるものでございまして、御指摘のような仮定の下での為替相場の動きについて予断を持ってお答えすることは困難であることを御理解いただければと存じます。

 次に、大規模な震災等の緊急事態に対する備えに関しては、政府として、為替市場の動向を把握し、必要に応じた対応を取れるようしっかり備えておくことが重要だと考えております。委員の御指摘のとおりでございます。

 このため、財務省業務継続計画では、非常時における通信情報システムを含む執行環境の確保について定めるとともに、為替市場の動向把握及び為替介入業務、これらを大規模災害発生時に優先的に実施すべき業務と位置づけて、関連業務に従事する職員の参集、あるいは、日本銀行及び海外当局を含む関係機関との連携等が円滑に進むようにしているところでございます。

 今後とも、非常時における本業務の実施体制の確保に向け、万全を期してまいりたいと考えてございます。

古川(元)委員 まあ、そういう答弁が返ってくると思いましたけれどもね、私もそんなような答弁を書いていましたから。

 私が今日ここで言ったのは、今、その準備というのは、災害のときにちゃんと業務ができるようにじゃなくて、実際にそれは、そんなことは言えないと思うけれども、やはり、その機を狙われて日本売りされる可能性というのは十分あるんだと思うんです。二〇一一年の東日本のとき、あのときだってそういうリスクはありましたが、あのときはいろいろな、それこそ為替とかそういうものは国際的な金融環境にもよりますから、あのときはちょっと下がりましたけれども、逆に円高に振れるということになりましたが。

 今のこの日本の経済状況とか世界の状況を考えたら、今回もしそういうことが起きたら、同時に、そういう円売り、そして暴落、円だけじゃなくて株も債券もトリプル安という、そういうことが起きる危険性というのは私は十分あると思いますから、それが起きたときに想定外でしたなんということのないように、やはりそこだけは、別にここで言う必要はありませんけれども、ちゃんとしっかり、そのときに備えておいてはいただきたいということをお願い申し上げまして、時間となりましたので、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

江藤委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 最初に、治水対策の抜本的強化についてお尋ねします。

 七月十四日からの記録的大雨によって、秋田県内では、十六か所以上の河川が氾濫し、堤防の決壊、崩落や土砂災害、橋梁の損壊などが発生しました。そして、秋田市の市街地では、ターミナル駅がある中心部で広範囲に内水氾濫、冠水被害が発生し、過去最多、秋田市世帯数の二割を超える住宅が被災しています。住民の日常生活に深刻な影響を及ぼしています。

 国土交通省の豊田副大臣にお伺いします。

 大規模な大雨災害が繰り返し発生しています。住民が安心して暮らすためには、同じような災害の発生を防ぐ、どうしても必要な課題だと思いますけれども、受け止めはいかがでしょうか。

 問題は、いつまでに対策をやり切るかということだと思います。

 先週四日、我が党秋田県委員会が東北地方整備局に申入れをしました。今回の大規模な浸水被害の原因は、太平川の改修のほか、河川改修や内水氾濫の計画があるものの、その対策の遅れにあることは明らかなんです。

 これは秋田に限った話ではありません。今日議論がありますように、私の暮らす福岡県でも大規模な冠水被害が常襲化しています。自治体から、住民から、例えば筑後川の治水対策の遅れを指摘する声が相次いでいます。

 お尋ねします。計画を加速化させるために、財政支援を含めて具体的にどうしていきますか。

豊田副大臣 お答えを申し上げます。

 今回の大雨では、九州北部や秋田県など全国各地で浸水被害が多数発生しており、河川の整備等の治水対策を一層加速化させ、事前防災を推進することが重要であると考えております。浸水被害軽減に向けた対策の実施については、河道掘削等の治水対策の加速化とともに、国土交通省が旗振り役となり、地域のあらゆる関係者が連携した流域治水の取組を推進していくことが極めて重要と考えております。

 このため、地方公共団体が実施する河川改修や下水道整備等に対しても、いわゆる国土強靱化のための五か年加速化対策も活用しつつ、個別補助事業や防災・安全交付金による財政的支援や技術的支援を実施し、ハード、ソフト一体となった取組を進めているところでございます。

 また、委員御指摘のあった当面の具体的な整備内容等を盛り込んだ河川整備計画などについて、近年の災害発生状況も踏まえ、今後の気候変動による降雨量の増大にも対応できるよう、見直しを進めてまいります。

田村(貴)委員 計画の見直し、そして対策の前倒し、スピード感を持ってやっていただきたいと思います。

 筑後川なんですけれども、災害対策特別委員会で行きました。久留米の市長さんから、しゅんせつ対策、何度言われましたか。そして、この流域なんですけれども、久留米市、うきは市、朝倉市、中州がある、そして、砂浜と化した流域がいっぱいあるわけですよ。これは遅々として進んでいないことが住民の目に見て明らかなんですよね。全国至る所こうなっている。そして、流域の河川から見たらもっとある。

 これは、ここにもっとやはり財政投資すべきじゃないのか。まあ、答弁はその流れになっていると思うんですけれども、スピード感を持って、そして、目に見えて対策が打たれるように、強く要望しておきたいと思います。

 次に、農業被害について質問します。

 農水省から、野中副大臣、お越しいただいています。

 農業も全国で大変な被害が出ています。一例を資料としてお配りしています。これは福岡県の久留米市のハウスの被害です。1と2はシクラメン。左の写真なんですけれども、作業台を、下にブロックを敷いてわざと高くしているんですよ、浸水の被害に遭わないように。ここまで対策しても、シクラメンの鉢、全部泥水をかぶってしまった。もう商品価値はありません。相当な被害であります。

 そして、下の写真は同じく久留米市内のハウスですけれども、ここは、山からの土砂が流入した、そして農業用の運搬車もつかってしまった。大変な被害が生まれているわけであります。育てていた果樹や、そして花卉の苗がやられてしまったということです。

 農家は、ここ数年、コロナ禍で、消費減収で大変なダメージを受けた。その上に、肥料や資材の高騰で大きな打撃を受けている。そして、今回の水害に見舞われている。加えて言うならば、久留米市を始め、連続しての被害に遭っているということであります。ここを加味していただきたいと思います。

 折しも、副大臣、いかに食料安全保障を図るかという基本法の論議の真っ最中であります。今度の災害によって生産基盤を失ってはいけない、これは同じ思いだと思います。だったらどうするのか。営業再開に向けて、可能な限り、農家の負担を避けるために、あらゆる制度をフル活動、フル活用していただいて、最大級の対策が必要ではないかと考えます。

 ハウスの再建や、水につかった農業機械の修理、再導入も、農家にとっては非常に重い負担となってまいります。農水省の支援策である農地利用効率化等支援事業、この被災農業者支援タイプの発動が私は必要だと思います。過去に例のない未曽有の事態となっています。

 谷大臣は、冒頭、記録的な大雨で甚大な被害が生じたと言われました。大臣、こうしたフル活動が急がれると思いますけれども、決断していただけますか。

野中副大臣 冒頭、今回の大雨により被害に遭われた方々、全ての方々にお見舞いを申し上げたいと思います。

 田村先生からもお話がありましたが、物価高、資材高、肥料高、そしてコロナの影響、その都度、やはり来年も頑張ろうというふうに気持ちを継続してもらえるように、私どもは支援をしてまいりました。

 今回の災害についても、発災直後から、約四百名、全国二十三県にわたってMAFF―SATを派遣しまして、実態の把握や復旧の技術指導、そして排水ポンプの貸出し等の支援をしております。

 農地や農業用施設に対してでありますが、これは、今回の災害が激甚災害に指定される見込みでありますので、補助率はかさ上げされる見通しであります。

 そして、被災された農業者等に対しましては、農林漁業セーフティネット資金等の災害関連資金について貸付当初五年間の実質無利子化等を措置するほか、農業共済に係る共済金の早期支払いや収入保険に係るつなぎ融資等も御利用していただいているところであります。

 先ほどございました農地利用効率化等支援交付金の被災農業者支援タイプでありますが、先生おっしゃられた、過去に例のないような甚大な被害があった場合について支援する事業ということで、これはまだ調査中でありますので、そういった実態把握をする意味でも、市町村、県と緊密に連携を継続して図ってまいりたいというふうに思っております。

田村(貴)委員 過去に例のない災害に相当する理由が三つも四つもあるじゃないですか。コロナ禍、資材高騰、そして度重なる災害。ここを加味したら、被災者向けの農業支援、マックスでやはりできると思います。是非前向きに検討していただきたいと思います。

 それから、私も被災農地を回っていて、農業者から、実はもうお金がなくて、資材高騰の中で、共済やあるいは収入保険の掛金がない、掛けられなかったという方も少なくないわけであります。農水省は、こうしたところの状況をつかんでいますか、つかむ必要があるのではないでしょうか。せめて次期作への支援を強めていくべきだと思いますけれども、検討はされているでしょうか。いかがでしょうか。

野中副大臣 近年、激甚化、頻発する自然災害が多発しておりますので、共済また収入保険の加入促進、推進に私どもは努めてまいりました。結果、米については八割、そして麦については九割五分、約ではありますが、加入をしていただいた実績はありますが、一方、いまだ加入していただいていない方がいらっしゃるのも事実であります。その理由として、先生おっしゃられたとおりに、保険料等の負担というのもありました。ですので、この収入保険については現在改善を図っておりますし、また、今後の改善、何かございましたら努めてまいりたいというふうに思っております。

 被害を受けた農業者の方々については、収入保険また農業共済に加入していなくても、日本政策金融公庫のスーパーL資金や、農協等民間金融機関の農業近代化資金といった、こういった災害関連資金を活用していただければというふうに思います。

田村(貴)委員 野中副大臣、大事なのは、やはり廃業、離農を生まない、ここの立場を堅持していただきたいと思います。このままいったら、農家は、コロナ、それから資材高騰、災害、トリプルパンチの上に、加えて借金をして、ハウスの再建とか農業機械の購入をしなければならない。もうやめてしまおうかといったことが起こらないように、やはり最大級の支援、強くお願いしたいと思います。

 次に、重要無形文化財も豪雨水害に遭いました。この支援について質問をします。

 資料をお配りしています。資料の二です。1は大分県日田市の小鹿田焼です。川の水を利用して原料の土を砕く唐臼が流されたり、そして土砂を被りました。2、下の写真は久留米の久留米かすりです。藍染めの染料をためておく藍がめが、内水氾濫の浸水によって、これは物すごく重たいんですけれども、浮き上がってしまって、そして破損しているというような状況があります。

 文化庁にお伺いします。

 文化庁の無形文化財の継承、公開事業では、伝承のための事業として、重要無形文化財の保持団体等が行う伝承者養成、技術研究とともに、原材料、用具の確保等を支援するとあります。この規定に基づくならば、どういう支援が考えられるでしょうか。

 また、私も現地に赴きましたけれども、専門の職員をやはり現地に派遣していただいて、そして伝承者と向き合い、重要無形文化財の継承が断ち切られることがないように、再建への助言と支援が必要だと感じました。職員の派遣を含めて、対応についてお伺いします。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 本年七月の九州北部地域における大雨により各地で様々な被害が生じているところですが、国指定の重要無形文化財、久留米かすり及び小鹿田焼についても、保持団体の会員の工房が、御指摘のとおり、浸水や土砂流入等の大きな被害を受けていることは承知しております。

 文化庁では、これまでも、これらの保持団体が実施する伝承者養成を中心とした事業に対する補助をしてきたところでございますが、今般の被災に当たり、本事業の実施内容を組み替えて、被災工房の活動の再開に必要となる原材料、用具の確保等のための計画変更、さらには、必要に応じた補助額の増額といった対応を検討しているところでございます。

 文化庁としても、近く文化財調査官を現地に派遣し、実際に被害状況を確認するとともに、地元自治体や保持団体と密接に連携しながら、できるだけ速やかな被害の復旧、活動の再開に向けて協議を行い、適切な対応を進めてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 重要無形文化財以外にも、たくさんの文化財が被災しています。それらに対する支援も併せて要求したいと思います。

 続いて、住家被害について、被災者生活再建制度の改善について質問します。

 六月末からの梅雨前線による大雨の被害、そして今の台風六号による被害は、手元の集計、私、集計したら、二十六府県にわたり、全壊が二十八、半壊百五十六、一部損壊三百三、床上浸水三千八百九、床下浸水六千七百二に及んでいます。

 先ほど大臣からは、これまで四県九市町村に被災者生活再建支援法の適用があると述べられましたけれども、今回の豪雨水害で、全ての県と自治体がこの支援法の適用となりません。私、これまで何回も本委員会で述べてきたところでありますけれども、県独自の支援制度があったとしても、支援法と同等の支援が受けられない自治体もあるわけであります。

 例えば、一例を申し上げますと、愛媛県では全壊三です。半壊三十九です。県制度では、全壊七十五万円。県制度では支援法基準に遠いわけです。ここ、支援法の適用になるかどうか分からないですよね。こうした状況が生まれます。また、支援金制度そのものがなくて、見舞金にとどまっているようなところもあるわけです。

 谷大臣、また今回質問しますけれども、家が全壊したのに、全壊家屋が一定数にならないと国の支援金が受けられないというのは本当におかしいと思います。災害における支援は市町村による対応を原則と何度も答えてこられましたけれども、県の財政事情等で国の制度に置き換わる制度がないのも、これまた事実なんですよ。いつまでこういう状況を続けていくのか。全損十戸などの制約は、この際もう撤廃すべきだと思います。一戸でも被災があったら、ちゃんと支援法を適用する、そのことを私は主張しますけれども、大臣、いかがですか。

谷国務大臣 田村委員から今回もまた質問をいただきました。

 かねてよりお話しさせていただいているとおり、一定規模以上の災害の場合は、被災者生活再建支援法により、一定程度以上の住家被害を受けた方に対して、全都道府県の相互扶助及び国による財政支援による支援金の支給を行う。そして、それも徐々に拡大をしているわけでございますけれども、それ以外に、都道府県単独で様々な制度が導入されている。既に二十九の都府県で導入されており、また、これらの二十九以外の県においても、九県においても、災害発生の都度、個別に支援法と同程度の支援が実施されていると承知しているところであります。

 それぞれ自治体による十分な対応が行われるよう、独自の支援制度を導入していない道府県に対して、引き続き、制度の導入を促してまいりたいと思います。

 なお、今回の場合、二以上の都道府県にわたる適用が被災者生活支援法にございますので、人口が一定規模未満の市町村の場合は全壊二戸以上の支援法の対象になる、そういう仕組みになってございます。

田村(貴)委員 従前の答弁と変わりませんね、大臣。私言いましたよね、県独自の制度があったとしても、支援法に置き換わる制度になっていないところは現にある、見舞金にとどまっているところもある、支援金上限三百万円が受けられないところの発生自治体がある、これは事実なんですよ。だから、これをどうするんですか、対応を考えなくちゃいけないんじゃないですか。

 先ほど大臣は、冒頭、激甚指定ですね、これを本激として指定する見込みだ、被災者の皆様におかれては、財政面や資金面に不安を抱くことなく復旧復興に取り組んでいただきたいと。これは、家の再建、財政面、資金面に不安だらけですよ。だって、国の制度はあるのに、一定規模の全壊世帯がないと支援法は適用されないんですから。不安を抱えている被災者に対して、しっかり国は制度のこの問題を克服して応えるべきではありませんか。

 それから、支援金の拡大も必要であります。最大百万円は、二〇〇四年の法改正から二十年近く変わっていません。一方で、災害救助法による応急修理代は、今年度七十万円に増加しています。これは、およそ十年前と比較しても十五万九千円引き上げられています。それはなぜかと聞いてみましたら、人件費や資材高騰による物価指数の変化であるというお答えでありました。そうです。資材や労賃も上がっているんです。被災者生活再建支援金も物価見合いで引き上げるべきではありませんか。いかがでしょうか。

谷国務大臣 田村委員御指摘のとおり、救助法による応急修理代は、消費者物価指数あるいは建設工事費デフレーター、こういったものを勘案して、毎年度、基準額の見直しを行っているところであります。

 被災者生活再建支援制度は、国と都道府県のお互いお金を出し合った仕組みでございます。ですから、これの支給額をこれからどうするか、増額するかどうかということは、国と自治体における役割分担とか、あるいはそれぞれの財政負担等の課題もあることでございますので、今後の検討課題かなというふうに思っております。

田村(貴)委員 今すぐの課題としていただきたいと思います。

 治水対策を抜本的に強化すること、そして被災者に寄り添った支援策を強化することを重ねて要求して、質問を終わります。

江藤委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十五分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.