第4号 令和6年4月4日(木曜日)
令和六年四月四日(木曜日)午前九時三十分開議
出席委員
委員長 後藤 茂之君
理事 金子 俊平君 理事 坂井 学君
理事 笹川 博義君 理事 宮路 拓馬君
理事 菊田真紀子君 理事 渡辺 創君
理事 掘井 健智君 理事 日下 正喜君
東 国幹君 石原 正敬君
泉田 裕彦君 江藤 拓君
金子 容三君 金田 勝年君
国光あやの君 杉田 水脈君
高鳥 修一君 根本 幸典君
藤丸 敏君 松本 洋平君
簗 和生君 山口 晋君
若林 健太君 渡辺 博道君
小山 展弘君 神津たけし君
中島 克仁君 米山 隆一君
堀場 幸子君 吉田とも代君
中川 康洋君 山崎 正恭君
田村 貴昭君 古川 元久君
…………………………………
国務大臣
(国土強靱化担当)
(防災担当) 松村 祥史君
厚生労働副大臣 宮崎 政久君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 林 学君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 高橋 謙司君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 濱田 厚史君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 高橋 秀誠君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官) 森光 敬子君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 石垣 健彦君
政府参考人
(農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官) 松尾 浩則君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 佐々木俊一君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術審議官) 林 正道君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術審議官) 菊池 雅彦君
政府参考人
(観光庁審議官) 石塚 智之君
政府参考人
(環境省環境再生・資源循環局次長) 角倉 一郎君
衆議院調査局第三特別調査室長 南 圭次君
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委員の異動
三月二十五日
辞任 補欠選任
石原 正敬君 泉田 裕彦君
藤丸 敏君 斎藤 洋明君
同月二十六日
辞任 補欠選任
泉田 裕彦君 石原 正敬君
斎藤 洋明君 藤丸 敏君
四月四日
辞任 補欠選任
若林 健太君 泉田 裕彦君
同日
辞任 補欠選任
泉田 裕彦君 若林 健太君
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本日の会議に付した案件
委員派遣承認申請に関する件
政府参考人出頭要求に関する件
災害対策に関する件
派遣委員からの報告聴取
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○後藤委員長 これより会議を開きます。
災害対策に関する件について調査を進めます。
この際、去る三月二十五日、令和六年能登半島地震による液状化被害等状況調査のため、新潟県及び富山県に委員派遣を行いましたので、派遣委員を代表いたしまして、私から調査の概要について御報告申し上げます。
派遣委員は、自由民主党・無所属の会の坂井学君、笹川博義君、泉田裕彦君、斎藤洋明君、立憲民主党・無所属の菊田真紀子君、渡辺創君、公明党の日下正喜君、日本維新の会・教育無償化を実現する会の吉田とも代君、日本共産党の田村貴昭君、国民民主党・無所属クラブの古川元久君、そして私、後藤茂之の十一名であります。
石川県能登地方では、令和二年十二月より地震活動が継続しておりましたが、一月一日に発生した地震においては、石川県輪島市や志賀町で震度七を観測したほか、北海道から九州地方にかけて震度六強から震度一までを観測し、日本海側の広い範囲に津波が到達しました。この地震により、多数の人的被害、住家被害が発生し、電気、ガス、上下水道等のライフラインへの被害のほか、道路、鉄道等の交通インフラにも甚大な被害が生じ、住民生活や中小企業、農林漁業や観光業等の経済活動に多大な影響が出ております。新潟県においては最大震度六弱、富山県では、同県観測史上初の震度五強の揺れが観測され、揺れや液状化等により、深刻な住家被害やインフラの被害などが発生しております。
ここに改めて、今般の地震により、貴い生命を失われた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に衷心よりお見舞いを申し上げます。
それでは、調査の概要について御報告いたします。
まず、新潟市西区坂井輪中学校周辺において、中原新潟市長から、新潟市の被害状況について説明を聴取した後、同中学校及び周辺住宅地の視察を行いました。新潟市西区は、地下水の水位が高いことから、かねてより液状化の危険度が高いとされており、今回の地震により住家被害等が多数発生しているとのことであります。区内の学校施設も全体の九割が被災し、その中でも特に被害が甚大であった坂井輪中学校は、校舎に亀裂が走り、周囲の地盤も陥没するなどで、ほとんどの建物は使用不能となり、授業の実施に当たっては、オンライン方式や近隣の小学校の教室を間借りしての実施を余儀なくされており、一刻も早い学びの場の復旧が課題とのことでありました。
坂井輪中学校周辺の住宅については、液状化により住家部分が傾斜したことに加え、敷地が沈下したことで道路との間に段差が生じたために住家以外のカーポートや門扉が破損するという被害も発生していました。住家に加えてこれらの修理にも多額の費用を要することから、被災者には重い負担となるとのことであります。新潟市では、独自に修繕支援補助制度を設けているとのことでありますが、国に対しても、被災者の住宅修理に係る制度の支給額見直しや対象の拡大を求める要望が中原市長からありました。また、道路についても、公道、私道を問わず、地表からの噴水、噴砂や液状化による沈下、隆起、側溝の排水不良などの被害により、通行に支障が出ており、特に私道については所有者の工事費の負担軽減を図るために、新潟市独自の補助制度に加えて、国に対しても特段の配慮を求める要望がありました。
次に、同大野地区において、水野新潟市西区長から、液状化による被害概要について説明を聴取するとともに、車窓から被害状況の視察を行いました。
新潟市西区では、斜面地に亀裂が確認されたことから、大野地区も含めた三地区十九軒に対して、今後想定される余震や雨などによる土砂災害の危険性があるとして避難指示が発出されており、当該地区の住民は避難生活を余儀なくされているとのことでした。大野地区ではそのうちの十二軒が対象とされており、過去にも大雨で土砂災害が発生していることから、専門家の意見も聞きながら今後の対応方針を検討するということでした。
次に、新潟県庁において、原新潟県防災局長から、新潟県内の被害状況の説明を聴取するとともに、笠鳥新潟県副知事及び中原新潟市長から、宅地の液状化等による被害の軽減に向けた対策への支援、地域福祉推進支援臨時特例交付金制度の新潟県への適用、住宅応急修理制度における支給額の見直しと対象の拡大、液状化に伴う宅地の復旧や地盤改良、住宅基礎傾斜修復等の工事に対する財政措置への配慮、災害に係る特別交付税の措置等について、それぞれ要望を受けた後、液状化被害を見据えたハザードマップの見直しの必要性、被災自治体による中長期的な液状化被害対策の在り方、文化財の被害状況の迅速な把握の必要性、液状化に係る住家の被害認定の在り方、平成二十八年熊本地震の際と同様に復興基金による支援を実施する必要性などについて意見交換を行いました。
次に、高岡市伏木富山港万葉埠頭において、藤井富山県土木部伏木港事務所長から、港湾関係施設被害の概要説明を聴取するとともに、被害状況の視察を行いました。
国際拠点港湾に指定されている伏木富山港は、今回視察を行った伏木地区のほかに、富山地区、新湊地区を合わせた三つの地区で構成されていますが、特に能登半島に近い伏木地区は、埠頭内の臨港道路や伏木港大橋での擁壁傾倒、舗装亀裂、陥没や、護岸、野積み場の損傷などが発生し、これらの公共施設以外にも石油パイプラインやバイオマス発電所といった民間施設も被害を受けており、物流や経済活動の一部に影響が生じているとのことでありました。さらに、伏木富山港は、今回の地震被災地への支援物資の積卸し拠点としての役割もあることから、迅速な港湾施設の復旧が望まれております。
次に、高岡市伏木コミュニティセンター周辺において、角田高岡市長から、高岡市の液状化等による被害状況を聴取し視察を行いました。高岡市内でも特に被害が甚大であった周辺地区では、住家の傾斜、沈下のほか、液状化による住宅敷地と道路との間の段差の発生や、信号機や電信柱の傾きなどの被害が随所で見られました。
角田市長からは、市内で大半を占める一部損壊判定の住家の改修や建て替えに関し、国の支援の対象とならず、市が限りある財源の中で独自に対応している現状の改善や、今回の能登半島地震を契機に、国、県、市がより市民に寄り添った支援を実現すべく国会の場での議論を進めてほしい旨の要望がありました。
最後に、富山県庁において、新田富山県知事及び蔵堀副知事から、富山県内の被害状況について説明を聴取するとともに、地域福祉推進支援臨時特例交付金の富山県内の被災世帯への対象拡充、宅地液状化防止事業の弾力的な運用、中小企業等への追加支援、北陸応援割の割引原資の追加配分と実施期間の延長、公共土木施設や農林水産業施設などの早期復旧に向けた支援等について要望を受けた後、宿泊施設への支援の在り方、住家再建における被災者の負担軽減策、防災のデジタル化の推進の必要性などについて意見交換を行いました。
以上が調査の概要でありますが、今般の地震による被害は誠に甚大であり、この度政府が発表した新たな液状化対策支援策も含めて早急な対策の実施が必要であると強く認識いたしました。当委員会としても、今般のような地震災害は日本全国どこでも起こり得るとの認識の下、対策などをめぐる課題に対して積極的に取り組んでいく必要があると痛感した次第であります。
最後になりましたが、今回の調査に御協力をいただきました皆様に心から御礼を申し上げまして、報告とさせていただきます。
この際、お諮りいたします。
派遣地からの要望事項につきましては、これを本日の委員会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔要望事項は本号末尾に掲載〕
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○後藤委員長 次に、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。
令和六年能登半島地震による被害状況等調査のため、来る十四日及び十五日、石川県に委員を派遣いたしたいと存じます。
つきましては、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
なお、派遣委員の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○後藤委員長 この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官林学君、内閣府政策統括官高橋謙司君、総務省大臣官房審議官濱田厚史君、財務省大臣官房審議官高橋秀誠君、厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官森光敬子君、厚生労働省大臣官房審議官石垣健彦君、農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官松尾浩則君、国土交通省大臣官房審議官佐々木俊一君、国土交通省大臣官房技術審議官林正道君、国土交通省大臣官房技術審議官菊池雅彦君、観光庁審議官石塚智之君及び環境省環境再生・資源循環局次長角倉一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○後藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○後藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。泉田裕彦君。
○泉田委員 おはようございます。自由民主党の泉田裕彦でございます。
本日、トップバッターで質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、能登半島地震と、そして昨日、台湾で発生いたしました地震で亡くなられた皆様に対しまして心よりの哀悼の誠をささげますとともに、被災した全ての皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。
大臣におかれましては、日本での地震の経験を基に、是非、台湾への、被災者への支援を進めていただければと、この場をおかりしてお願い申し上げたいと思います。
それでは、質問に入らせていただきたいと思います。
地震ですけれども、これは大きく三つぐらいのフェーズに分かれて、対応していかなければいけないニーズが大きく変わってまいります。まず初動をどうするかというお話と、それから初期対応をどうしていくのか、さらには復旧復興、中長期に及ぶものをどうしていくのか、大きくニーズが変わってまいります。
能登半島地震、これは一月一日という大変厳しい環境下で発生した地震でございました。そこから約三か月を経過したということでございます。初動、初期対応はどうだったかというのは、一度振り返ってみる時期に入っているかなというふうに考えております。
二〇〇四年のことですけれども、私、知事選には当選をしていたんですけれども、前任者が金曜日に花束をもらって退庁する、その空白の四十八時間、月曜日に就任予定だったんですけれども、土曜日の午後五時五十六分に中越の地震に遭いました。一月一日も大変厳しい状況なんですが、トップが空白になるときの地震というのも、これは大変緊張感が走ったということをまざまざと思い出しました。
そして、この中越の地震なんですけれども、ピーク時の避難者は十万人以上ということで、今回の能登半島地震の三倍ほどの避難者が出ました。そして、全損、被害住家ですね、これも十二万棟ということでして、能登半島地震のおおむね三倍の被害が出たということでございます。覚えていらっしゃる方もいらっしゃるかと思いますが、山古志村に全村避難を要請をして、牛をヘリコプターで運ぶというような事態にもなりました。つまり、孤立する集落が山間部に点在をするという状況でした。
そういう、十月二十三日の発災ということだったんですけれども、避難者につきましては、二か月後の十二月二十四日だったかと思いますけれども、には、体育館等への避難者、二次避難という言葉は当時はなかったですけれども、これも含めて、全員仮設住宅に入っていただけたということでございました。
そこで、大臣にお伺いをしたいんですが、今般の能登半島地震、既に三か月を経過をいたしました。まだ避難者がかなりの数残っているというふうに承知しておりますが、現在どうなっているのか。
そしてまた、みなし仮設も含めて、仮設住宅の提供が始まっていない人たちがかなりいらっしゃると思いますけれども、これはなぜなのか、どう評価されているのか、お伺いをしたいと思います。
○松村国務大臣 まず、冒頭、昨日起きました台湾での地震、お亡くなりになられた方々にも心から御冥福をお祈りしたいと思いますし、被害に遭われた全ての方々にお見舞いを申し上げたいと思います。
特に、東日本大震災、また熊本地震でも大変な御支援をいただいておりますので、何ができるのか、御指摘のように、検討してまいりたいと考えております。
また、泉田委員におかれましては、私もテレビで見ておりました、防災服を着ての初登庁のお姿、その後、中越地震への対応、大変なリーダーシップを発揮されたことと思います。恐らく、想像を絶するような決断と実行があったんだろうなと思っているところでございます。そのリーダーシップにまず敬意を表したいと思います。
既に発災から三か月がたちましたが、今回の地震におきましては、やはり、半島という地理的制約の中で、これまでの震災対応と比較しても困難な状況でありました。こうした厳しい環境下でも、被災者の方のまず命と健康を守り、災害関連死を防止する、こういう視点で初動に対応してまいりましたし、前例のない規模で、ホテル等への二次避難、こうしたものを進めてきたところでございます。
災害対応は、委員の御経験なさった中越、そして熊本、そして今回の能登地震、それぞれにケース・バイ・ケースであろうというふうに思います。
そんな中で、今回の被災地におきましては、やはり、住居に使える面積が小さいこと、また民間賃貸住宅などが少ない、また水道、生活道路、こうしたものの復旧に相当の時間がかかると見込まれたこと、また高齢者の方々が、地元で暮らしたいという方々が非常に多かった、こうしたことを発災後から地元の状況として把握をいたしておりました。
このことで、やはり被災者の方々の命と健康を守り、一日でも早く避難所から次の住まいに移っていただくことを大前提といたしまして、仮設住宅のその先の将来的な住まいの再建も見越して対応をしてきたところでございます。特に、自力再建が困難な高齢者の方々の住まいの確保、これについては、非常に重要な課題であると、県とも共通認識を持っておりました。
前にもお話をしたんですが、一月五日に、熊本県の災害の際の仮設住宅の担当の方を輪島に派遣をし、一週間程度、現場の視察と応援ということでやっていただき、その後レポートをいただきまして、やはり今のような現状があり、今後の仮設住宅の対応のプランをいただき、それを馳知事とも共有をし、今後の方向性ということで議論をしてきたところでもございます。
したがいまして、仮設期間の終了後、恒久的な住宅として転用できる木造仮設住宅の建設も行うことということにし、穴水で既に着工が始まったところでもございます。これはやはり、地域住民の方々の、住み慣れた土地に帰りたい、元のところに帰りたい、こういう思いに寄り添った対応でありますし、従来なかった新たな取組であると思っております。
こうした手法も組み合わせて、単に仮設を造るだけではなく、その先のステージも見据えたところでケース・バイ・ケースの対応を、やはり地元の御意見を基に対応してきているところでございます。
○泉田委員 大臣、大変詳しい説明、ありがとうございました。
ちょっと御紹介をしたいんですけれども、なぜ中越の地震が二か月で仮設住宅を造れたのかという点なんですけれども、これは大きく二つあったと思っています。
一つは、道路が寸断される、ライフラインが止まる、通信が不通になったという完全孤立集落、これについては、物資を届けるということではなくて、最初から避難するという選択をしました。自衛隊にお願いしたのは、物資のお届けじゃなくて、避難、救助をお願いをしました。
例えば、水害を考えていただくと分かりやすいと思うんですけれども、水害で建物が水に囲まれていたら、物資は届けませんよね。最初に救助をお願いするということをやるので、完全孤立集落については、物資を届けようと自衛隊が列を成して荷物を持って、重いリュックを持っていくということじゃなくて、そこは一回引いてもらうというのを初動で判断するかどうかというのは、これは大きいかなというふうに思っています。
それから、もう一つなんですけれども、初動で避難すると何が起きるかというと、実は、市町村は自分の住民を避難させるのに大変なんですけれども、県の施設とか国の施設というのはまだスペースがあるので、山古志村の全村避難のときは、避難した先で国有地を確保しました。
それで、狭いという話は、近くに住みたいという話はもう山ほどあるんですけれども、一回避難してしまえば、その近郊に仮設住宅を建てて、初日からボランティアも入ることができる。今回、ボランティア、来るな来るなという話が結構あったんですが、ボランティアを入れようと思ったら、完全孤立集落からは一回避難をして、そして、そこで仮設住宅を造って、「帰ろう山古志へ」ということをやれば、これは戻るまで三年かかりました。やはり時間がかかるということだと思いますので、一回住むところをどうするかということと、それから恒久的にどうするかという、やはり、大臣指摘のように、考えながら決めていく必要があるんだなと思います。
もう一つは、会計検査院の指摘の問題があります。
私、熊本地震へは、知事会の危機管理・防災特別委員長で、現場に行ってまいりました。そうしたら、やっていたことは、アンケート調査を先にやるんですよ。入りたい人と言って、分かってから物を建て始めるということをやられていました。そうすると、どうしても時間がかかる。
私、これはリスクを取ると。県議会の了解は取れなかったら首長の場合は個人に対する請求が来るんですけれども、まあ、そこまでは来ないだろうということで、避難者からの見込みで、アンケート調査なしで建て始めるということを同時にやって建設を始めたということで二か月に収まったということなので、現場にしてみれば、やはり、万が一余っちゃったらどうするんだということで、大変厳しい環境にあると思うんですけれども、余ったところは集会場として使わせてもらいました。若干、確かに余りました。
それから、二か月もすると髪が伸びてくるので、当時は、仮設住宅で営業するなんというのは認められないということで国から言われたんですが、じゃ、県費でやりますということで、床屋さんの営業も始めた。今、仮設店舗を造るのは普通になっているんですけれども、そういうことも、空いたところはどう使うかということもやりながら、先に造っていいよということを国から言っていただくと、一回避難して、そこでもう造り始めるということが可能なんじゃないかなというふうに思っています。
無論、中越の地震でも、離れたくないとか、それからニシキゴイ、これは親ゴイを失うと全財産なくなっちゃう、全財産を失うぐらいだったら、俺、ここにいてもう死んでもいいという人がいて、絶対離れたくないという強い反対意見もあったんですが、最初に避難していただくと、二年もすると、あのときはあれでよかったという話に変わりますので、やはり、完全孤立集落については、まず最初に、物資を届けるのではなくて、避難をするということを考えていただきたい。
これは、国の防災計画を変えないと直らないものですから、是非研究してみていただきたいと思うんですけれども、この点についての大臣の所感をお伺いをしたいと思います。
○松村国務大臣 大変傾聴に値する、すばらしいお話を聞かせていただいたと思います。特に、県のリーダーであられたときの決断と実行というのは、大変苦しい思いがあられたと思います。
単純に申し上げると、私も、熊本地震を経験して、やはり現場の意向に沿った形の判断が、一番いい形になると思います。ただ、そこで遠慮が入るとやはり判断を間違ってしまう、こういうふうにも思います。
今回も発災当初から、道路の寸断などで三千三百名程度の方々が孤立をいたしまして、多数の孤立地域が発生をいたしました。こうしたところへの対処については、救助をいたして二次避難先に避難していただく、こんな判断をしたわけでございますが、また、地元においても、苦渋の決断の中で二次避難ということを決断して、実行していただきました。
寄り添いながら、厳しい決断もしなきゃいけない、こういうお立場の方々に、どう国として寄り添っていけるか、これが一番重要なことではないかなと思っております。ただマニュアルでお示しすればいいものかというのには、若干の迷いもございます。
ただ、今回の地震を基に、しっかりと検証を行いまして、どの程度の災害で、どういう判断が必要だったのか、過去例も示しながら、しっかりと検証してまいりたいと考えております。
○泉田委員 大臣、大変前向きな御発言、ありがとうございました。
今回の地震ですけれども、阪神・淡路大震災で、地震の後、火災で亡くなられた方もいらっしゃいます。この初動の中には、救助隊をどうやって送り込むのか、まさに実力部隊であります消防、警察、さらには陸海空の自衛隊、海上保安庁があります、こういったところを統合して、誰が指揮をして、どこに送り込むかということ、これも是非研究していただければと思います。
時間になりましたので、これで質問を終わらせていただきます。本日は大変ありがとうございました。
○後藤委員長 次に、日下正喜君。
○日下委員 公明党の日下正喜でございます。よろしくお願いします。
公明党では毎週、能登半島地震災害対策本部の会合を開きまして、現地の声をお聞きしながら、刻々と変化する被災者支援、また復旧復興への対策を進めているところでございますが、三月二十五日に、本委員会におきまして新潟県、富山県の液状化被害の視察に参加させていただきました。ありがとうございました。関連の質問をさせていただきたいと思います。
三月二十二日に、政府による、液状化被害に対する支援策が決定されました。
一つは、宅地液状化防止事業として、道路、下水道等の公共施設と隣接宅地等との一体的な液状化対策を推進するとしています。要件として、変動予測調査等により、液状化による顕著な被害の可能性が高いと判定された三千平米以上の一団の土地の区域であり、かつ、区域内の家屋が十戸以上であるもの、また、そうした液状化防止のための事業に要する費用への国の補助率も、従来の四分の一から二分の一に引き上げられたところでございます。さらに、エリア内の被災者が行う地盤の、基礎の復旧等への支援である効果促進事業については、国、地方公共団体で費用の最大三分の二を負担し、本人分は三分の一となります。
また、住宅・建築物安全ストック形成事業として、住宅、建築物の耐震改修について、交付額は多雪区域では一戸当たり百二十万円であって、石川県を始め新潟県、富山県にも当てはまるわけでございます。そして、新たに、耐震改修に必要な液状化等による傾斜修復も含まれることになったと理解しております。
この新制度の創設自体は大変ありがたいものですが、運用の詳細をどう詰めていくのかが重要になってまいります。現地の自治体の長からも、早く詳細、ガイドラインのようなものを示してもらいたいとの声がございました。三千平米以上、十戸以上のエリアの線引き、建物の傾斜角度や地盤沈下など、どの程度の被害に適用されるのか。住民の意向調査、地盤改良の工法も様々でございます。
工事に入るまでやはり二、三年はかかるのではないかと現地の声もございましたが、例えば熊本地震の際の同様の液状化対策事業などを参考に、事業の開始までどの程度の年月を見ておけばいいのか、お示しいただきたいと思います。
○菊池政府参考人 お答えいたします。
平成二十八年熊本地震で液状化被害を受けた地域では、熊本市など三地区で宅地液状化防止事業が実施され、発災後、工事着手までは二から三年を要したと承知してございます。主な理由としては、工法を選定するために必要な現地調査や設計、選定した対策工法の適用可否を判断するための実証実験が必要であったことが挙げられます。
令和六年能登半島地震による液状化被害を受けた地域については、三月一日に閣議決定された令和五年度予備費を活用し国の直轄調査を進めており、当該調査で得られた知見の活用などにより被災自治体に対する技術的支援を行い、可能な限り早期の事業化が実現するように努めてまいります。
以上でございます。
○日下委員 実際にそういう事業を進めていくにおいて、住民の年齢層や住宅の状態、資金の有無などを考えると、十戸以上の住民の意向を確認し、調整するのも大変だというふうに思います。
これは視察の際に高岡市長から伺ったお声なんですが、三千平米以上、十戸以上となっている要件でございますが、例えば、これを、二千平米、五戸など、若干飛び地になるかもしれませんが、比較的小さなエリアをつなげて三千平米以上、十戸以上になれば要件に該当するなど、実情に応じて解釈や運用に柔軟性を持たせることも必要だと思います。国土交通省の御見解をお聞きしたいと思います。
○菊池政府参考人 お答えいたします。
宅地液状化防止事業は、液状化被害を受けた地方公共団体が、道路などの公共施設とその隣接住宅地を含めエリア一体的に地下水位の低下など液状化の再発防止工事に取り組むための制度であり、その効果を発現するためには、一定規模以上の範囲において面的に対策を行うことが必要です。
このため、今回の能登半島地震においても、これまでの地震による被害と同様に、三千平方メートル以上の一団の土地の区域であること、区域内の家屋が十戸以上であることなどを要件としております。
その上で、今回の能登半島地震においては、現在、国の直轄調査などにより被災地の状況を確認し、事業の実施について被災した地方公共団体と調整しているところですが、この要件で、液状化対策が必要な範囲について、事業を実施することが可能であるというふうに認識してございます。
いずれにいたしましても、地方公共団体からの相談に丁寧に対応し、液状化被害を受けた方々の生活再建が迅速に進むように、しっかりと支援してまいります。
以上でございます。
○日下委員 ありがとうございます。
要件の緩和というか、三千平米以上という、どこから手をつけていくかということもやはり柔軟に考えていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。
また、そうした工事に取りかかるまで、住民は現状で暮らさなければいけません。富山県でお聞きした話では、床が傾いた家では暮らせないので、建物はそのままで、取りあえず自分で床やサッシ、扉などのみを応急補修する方もいると伺いました。
ちなみに、地盤も含めた傾斜住宅の修繕を行おうとすれば、状態や工法によりますが、四百万から一千八百万円程度かかるということになります。建屋の耐震改修も含めてということですので、到底百二十万円の補助では足りませんし、一団の宅地の地盤改良事業との兼ね合いで、どうしたらいいのか、判断がつかないのではないかと思います。
また、高岡市では、市街地の、隣家同士の壁がくっついて四、五軒が長屋のような形で建っている、古い、連棟住宅というんでしょうかね、連棟住宅が少なくないのですが、一軒だけの傾斜修復工事は難しく、費用も考えると、この一団の意向をまとめるのも簡単ではないと思います。
この宅地液状化防止事業と住宅・建築物安全ストック形成事業を組み合わせて、面的な液状化対策と建物の耐震化を一体的に行う事業というふうにうたわれているんですけれども、住民あっての地域であり公共施設でございますので、いつまで辛抱すればいいのかという、まさに今困っている、迷っている住民の視点、そこにそういう時間軸も加えていただきまして、しっかりと、住民の立場に立った柔軟でスピーディーな運用をお願いしたいと思いますが、御見解をお伺いします。
○菊池政府参考人 お答えいたします。
住宅・建築物安全ストック形成事業は、宅地液状化防止事業の着手前に活用することが可能です。本事業は、面的な液状化対策に先行して耐震改修工事に支援することができるため、スピーディーな対応が可能になるものと考えております。
また、住宅・建築物安全ストック形成事業の支援を受けた後に宅地液状化防止事業が行われる場合、支援の範囲が重ならないように留意した上で、宅地液状化防止事業の効果促進事業による追加的な支援を行うことが可能です。
今後の円滑な運用に向けては各地方公共団体の取組も重要になることから、個別相談などを通じて丁寧に説明するとともに、県とも連携し、しっかり支援してまいります。
以上でございます。
○日下委員 ありがとうございます。
次に、液状化被害に備えるための液状化ハザードマップについてお伺いします。
今回の地震の特徴は、沿岸に近い地域の液状化による被害が広範に広がっていることだと思います。新潟では、北陸地方整備局が作成した液状化しやすさマップを拝見しました。被害の箇所とマップの危険エリアが合致しておりまして、こうした取組は重要だと。また、地元住民も、こうしたエリアに自分たちは暮らしているのだと認識しておくことも大事だと思います。
地震は、いつ、どこで発生するかも知れないものです。かつては海や川、池だった埋立地や、海抜ゼロメートル地帯が広がり、地下水が高い場所など、全国には同様の箇所が数多く存在すると思いますが、こうした液状化しやすさマップのようなものを全国各地域でどの程度作成しているのか。
また、地下水の高低の影響が大きいことも、この度の視察で実感したところでございます。各自治体でより具体的な液状化ハザードマップ等を作成する場合、国として、これまでの液状化被害に関する知見を基に、より詳細なガイドラインの作成や技術的支援を行っていただきたいと思います。
一つ、土質というか地盤のことでいえば、今回、液状化の後に家を修復されている方もいらっしゃると思うんですが、砂質土層というんですかね、の液状化だけであった場合はすぐにその地盤が元に戻るというか固定されるわけでございますが、厄介なのは、粘性土層がある場合には、なかなかこれが復旧せずにずっと動き続けるというふうなことで、回復に時間がかかるということもございます。
これも、液状化があった後、うちの地盤についてはどういうものか、そこまで詳細なマップがもしできればいいんですけれども、今も新潟、富山、石川、液状化があった後に家を修復される方もいらっしゃると思いますけれども、本当に砂質土壌だけで済んでいるのかどうなのか、よく見ておくことも必要かなというふうにも思います。
こうした意味で、より詳細なガイドライン作成や技術的支援等を行っていただきたいというふうに思いますが、国土交通省の御所見を伺います。
○菊池政府参考人 お答えいたします。
国土地理院のわがまちハザードマップによれば、全国で四百五十三自治体が、インターネット上で、液状化しやすさマップのような液状化リスクを表した情報を公開しているとされております。
ただし、委員御指摘のとおり、埋立地や旧河道など、地下水位が高く液状化のリスクが大きい地域は全国に一定程度存在しているものと認識してございます。こうした地域では、ボーリング調査から得られる地盤情報などを踏まえたハザードマップの整備が重要であり、地方公共団体における取組を加速させる必要があると考えております。
このため、国土交通省では、全国で地盤のボーリングデータの収集、公表を進め、地方公共団体に対してより実態に即した液状化リスク情報をお示しすることで、地方公共団体における液状化ハザードマップの作成を促進することを検討してございます。
また、令和三年二月に、リスクコミュニケーションを取るための液状化ハザードマップ作成の手引きを公表するなど、地方公共団体の液状化の予防対策に関する取組に対し、技術的な支援を行っているところです。
国土交通省としては、これらの支援により、地方公共団体が行う液状化の予防対策がしっかり推進されるよう、しっかり取り組んでまいります。
以上でございます。
○日下委員 能登半島地震に限らず、様々な自然災害で建物被害などが発生します。今回も石川、富山、新潟で数万件の建物被害が確認されておりますが、この住の部分を、衣食住の住の部分を独占業務として担う建築士の役割と活用についてお尋ねしたいと思います。
こうした災害が発生すると、現地の自治体等と連携を取り、応急危険度判定士や被災住宅相談所に建築士会の会員が派遣されます。罹災証明の二次調査や歴史的建造物等の被害調査、被災者を個別に支援する災害ケースマネジメントにおいても、建築士の皆さんはなくてはならない存在でございます。
しかしながら、独占業務を行う弁護士や司法書士は加入が義務づけられておりますが、建築士会は任意加入です。このため、被災地域に派遣するにしても、分母が小さいため同じ人に負担がかかってしまっていると聞きます。どんどん先細りの状況が続いているといいます。
自然災害が激甚化、頻発化する中、こうした建築士にもより公益を担っていただける環境づくりが必要だと思いますが、国土交通省として建築士の役割と活用をどのように考えておられるのか、御所見を伺います。
○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。
災害発生時におきまして、初動から復旧復興に当たり、高い建築技術を有する専門家の方として、建築士の方々には極めて大きな役割を担っていただいている、多岐にわたる役割を担っていただいているものと承知しております。
今般の能登半島地震におきましても、被災した建築物の応急危険度判定や被災した家屋の復旧に関する相談などに対応していただいております。
今御指摘いただきましたとおり、率先して対応に御協力いただく一部の建築士の方々には大きな御負担をおかけしている状況もあることは御指摘のとおりかと認識しております。
このため、応急危険度判定では、広域連携、他県からの派遣を含めて広域連携の仕組み、また、判定士の事前登録、こうしたことを行うことによりまして、できるだけ特定の建築士の方々に負担が偏らないよう努めております。
こうしたことも含めまして、災害時において建築士の方々がその役割を十分に発揮できるよう、国土交通省といたしましても必要な環境整備に取り組んでまいります。
○日下委員 時間が参りましたので、大臣の決意を一言、通告にはないんですけれども、お聞きできればというふうに思います。これをもって私の質問を終わらせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○松村国務大臣 決意ということでございますが、発災から三か月、今なお、被災者の方々は不安の中にいらっしゃると思いますので、やはり、自分も経験をしてみて、こういった時期にしっかり被災者の方に寄り添っていくことが一番重要なことであろうと思いますし、災害関連死を防ぐ観点からも全力で取り組んでいかなければならないと考えておりますので、引き続き、それぞれのフェーズの中でいろいろな課題が出てくると思いますが、財政面でちゅうちょすることなく支援に取り組めるように、被災自治体始め県のバックアップをやってまいりたいと考えております。
○日下委員 ありがとうございました。
○後藤委員長 次に、菊田真紀子君。
○菊田委員 おはようございます。立憲民主党の菊田真紀子でございます。
能登半島地震から三か月がたちました。改めまして、お亡くなりになられた方々に心から哀悼の意を表すとともに、御遺族の皆様、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
昨日地震が発生をしまして、沖縄では津波警報が発令をされ、緊迫した避難が行われました。また、台湾東部では、マグニチュード七・七を超える地震で大変大きな被害が発生しているようであります。
先ほどもお話がありましたが、東日本大震災、そして先般の能登半島地震でも、台湾からいち早く大きな御支援、お見舞いをいただいております。是非、我が国政府として必要な支援を講じていただきますよう、私からもお願いを申し上げたいと思います。
松村大臣におかれましては、発災直後に新潟県、富山県の被災地にお入りをいただきまして、被災状況をつぶさに把握をしていただき、また、被災者の皆さんを励ましていただきました。改めて、私からも感謝を申し上げます。
先ほど後藤委員長から御報告がありましたが、今回の委員派遣で最初に訪れました新潟市の西区の坂井輪中学校では、生徒や先生方がオンラインを活用したり、近くの小学校の校舎をお借りしながら、頑張って学びを継続されておられました。この点につきまして、私は昨日の文部科学委員会で取り上げまして、被災した学校施設の復旧への財政支援、これを文部科学大臣に要望申し上げたところでありますが、是非、松村防災担当大臣も連携をして取り組んでいただければというふうに御要望申し上げます。
次に、車中から視察をしました西区大野地区、寺尾などは私の地元でありまして、もう何度も足を運んだ地域でありますけれども、いまだに張り紙がされたまま、傾いたままになっている家や車庫、亀裂が入っている道路など、発災から三か月が過ぎましたけれども、復旧がなかなか進んでいないという状況を改めて確認をいたしました。新潟市も県も一生懸命復旧に取り組んでいただいているんですけれども、それだけ被害が広範にわたり、そしてまた液状化対策というのが大変難しいということの表れだというふうに痛感をしております。
それから、バスで三時間半をかけまして、富山県の高岡市伏木地区と富山県万葉埠頭でも視察を行いました。大変被害が大きくて、私たちが視察する一週間ほど前に突然道路に大きな穴が空いたりして、液状化による影響がいまだに続いているという報告を受けました。
そのほかにも、下水道管の破裂、マンホール内の土石の堆積、電柱の沈下などが見て取れまして、奥能登の被害が多く報道される陰で、富山県の被害も大変深刻であるということを実感したところでございます。
現場視察の後、新潟県庁、富山県庁でそれぞれ意見交換をさせていただきましたので、今日は、そこで伺った現場の声、御意見を踏まえて質問をさせていただきたいと思います。
まず、多くの委員が予算委員会や災害特で質問をし、私自身も二月二十八日の予算委員会第一分科会で取り上げましたが、国の新しい交付金について、なぜ能登六市町だけが対象で、新潟県、富山県が対象にならないのかということにつきまして、やはり今回の視察でも富山県や新潟県からも不満の声が上がりました。
人的被害については確かに石川県に集中していますが、液状化などによる住居被害については、新潟県が最も多く二万棟以上、富山県で一万五千棟以上が一部破損以上の被害を受けています。液状化の被害は日を追って表れることがありまして、新潟県はいまだに一週間で約三百件以上の罹災証明書の申請が出ているそうであります。
また、富山県は、県内のホテル、旅館などで石川県からの避難者約三百名を受け入れていて、累計では約六百四十名、石川県から県外に避難した被災者の約八割を受け入れてきました。自らも被災をしながらも全力で石川県を支援してきたにもかかわらず、新しい交付金の対象にならないのは納得できないと思ってしまう、こういう気持ちも理解できるわけでございます。
また、なぜ対象とならないのか県民から問われても、県や市の担当者がうまく説明できなくて、県民の不満を解消できないという悩みもおっしゃっていました。
やはり新たな交付金の対象に新潟県、富山県を加えるべきではないか。若しくは、新しい交付金の性質上難しければ、我が党と日本維新の会、国民民主党の三党で提出をいたしました被災者生活再建支援法改正案のように支援金を拡充すべきではないかと考えますが、新潟県、富山県の切実な思いを酌み取って考え直していただきたいんですけれども、厚生労働省と防災担当大臣に見解を伺います。
○森光政府参考人 お答えさせていただきます。
議員御質問の新たな交付金制度の対象地域につきましては、高齢化率が著しく高いことのみならず、家屋を建設できる土地が極めて少ないなど、半島という地理的な制約があって、住み慣れた地を離れて避難を余儀なくされている方も多いなど、地域コミュニティーの再生に向けて乗り越えるべき大きくかつ複合的な課題があるという能登地域の実情、特徴や、他の地域と比べて特に深刻な被災状況に鑑み、石川県とも調整の上で、能登地域六市町を対象としているところでございます。
その上で、新たな交付金制度の対象とならない地域に対する支援としては、被災者生活再建支援金のみならず、生活福祉資金貸付けの特例措置や関係省庁の様々な支援措置が重層的に用意されており、また、地域の実情に応じて、先日、復旧・復興支援本部で公表された液状化対策等も活用可能であることから、これらの総合的な支援策を講じることで被災者世帯に必要な支援が行き届くよう取り組んでいくということにしております。
○松村国務大臣 まず、議員立法につきましては、国会で御議論いただくべきものと考えております。
その上で申し上げると、被災者生活再建支援金については、いわゆる見舞金的な性格のものとして、被災者を側面的に支援するものと位置づけられていることに留意が必要であるとまず考えております。
その上で、見直しにつきましては、過去の震災や、現在も行われております、支給が継続されていることについての公平性、こういったものも課題であることから、慎重に検討すべきものと考えているところでございます。
今厚労省からも御答弁がありましたが、今支援をしている様々な支援策、こういったものをまずスピード感を持ってやり遂げ、なおかつ、被災者や被災自治体についての財政負担の軽減化、こういったものに全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
○菊田委員 新潟県、富山県でも高齢化が進んでおりますし、過去の震災との公平性ということでありましたけれども、結局、従来の御答弁、政府見解を繰り返されたということで、大変残念であります。
次の質問に参ります。
今回の地震によりまして多くの建物が被災をしましたが、その中には住居用の賃貸アパートやマンションもあります。私の地元の新潟市の中でも、被災した新潟市西区は新潟大学がございまして、新潟大学の学生さんも多く住んでいらっしゃる地域ということもありまして、賃貸アパート、マンションが多数ございます。
しかし、国の住宅応急修理制度やなりわい再建支援補助金は賃貸住宅を対象としていないため、公的な支援がほとんどなく、大家さんが泣く泣く再建を諦めることとなりまして、被災者である住民が転居せざるを得ず、大変困っているという事例が多数発生しています。
政府に確認をしましたが、賃貸アパート、マンションは事業活動であり、建物を販売目的の商品とみなすため制度の対象から外れるということでございましたが、被災者の生活再建のためには住居用の賃貸アパート、マンションも支援対象とすべきではないでしょうか。特に住宅応急修理制度は、その名のとおり応急修理でありますから、別に住宅の資産価値を向上させるものではありません。
是非、支援の対象とすべきだと考えますけれども、防災大臣の見解を伺います。
○松村国務大臣 まず、なりわい再建支援については、中小企業庁が行っている事業でございますけれども、熊本の地震のときも、アパート、そして在庫、こうしたものは対象外でございました。
そんな中で、内閣府で行えることというと、被災した賃貸アパートの修繕、その所有者である大家さんが実施することを基本といたして、支援ができることとしております。ただ、大家さんの資力がなく必要な修繕を実施できない場合には入居者が大家に代わって必要な修繕を実施できることとしておりまして、これを応急修理制度の対象としているところでございます。
被災者の応急的な住まいを迅速に確保するためには、みなし仮設を含めまして、既存の賃貸住宅の活用が有益であると認識をいたしておりますので、引き続き、被災自治体とも連携しながら、住まいの提供を、迅速に適切に取り組んでまいりたいと考えております。
○菊田委員 入居者といっても、先ほど申し上げましたように、学生さんとか、それから高齢者の独り暮らしの方とかが入っているケースが多いんですよね。だから、現実的には無理なんです。是非今後の検討課題として、大臣、制度はよりよいものに変えていく必要があると思いますので、私の指摘した部分につきまして御検討いただきたいというふうに思います。
次に、液状化による被害を受けた住居に対する支援について伺います。
液状化の場合、被害認定調査の判定がとても厳しくて、全然住めない状態なのに半壊と判定してもらえないという、そういう不満の声が多く出ています。液状化被害を判定する国の基準は、全壊は床上一メートルまでの全ての部分が地盤面の下に潜り込みとしており、片方の端が沈み込んだり潜り込んでいるケースは該当しません。
有識者からも、この判定基準を見直す必要があるという指摘が出ていますけれども、今後検討していただけますでしょうか。
○松村国務大臣 まず、液状化の被害を受けました住宅につきましては、基礎の破壊状況から全壊判定や、外壁又は柱の傾きや潜り込みからの大規模半壊や半壊判定など、外観のみで判定できるように簡素化を図っているところでございます。
この基準は、東日本大震災におきまして住宅の液状化被害の実例が多数発生したことから、防災、あるいは建築、医療関係者にヒアリングを行いまして、例えば居住者が苦痛を感じる傾斜がどの程度かなど、専門的見地からの意見を踏まえて定めたものでございます。
また、傾きや潜り込みに加えまして、二次調査では、家屋内に立入りで入りまして詳細な調査を行うことで、被害者の実情に応じたより正確な判定を行うことといたしております。
引き続き、被害認定調査が適切に行われるよう、国として積極的に助言を行い、支援をしてまいりたいと考えておりますが、委員の御指摘のあった基準の在り方については、今回の地震における対応の振り返りの中で、被害認定調査の実施に係る課題についても併せて検証して、その結果得られた教訓を今後の取組に生かしてまいりたいと考えております。
○菊田委員 大臣、前向きな御答弁、ありがとうございました。是非よろしくお願いいたします。
共同通信の報道によりますと、石川県の六市町では、一次調査が約八万件実施をされ、そのうち約八千件が判定を不服として二次調査を申請したということです。一割です。
新潟市の場合は、一次調査一万五千件中、二次調査の申請が四百八十四件なので、約三%しか二次調査の申請をしていません。そのうち調査を終えたのは百十二件で、まだ罹災証明がもらえず、生活再建のめどが立たない人もいます。
被災者から話を聞きますと、例えば、一次調査で準半壊だった判定が二次調査では一部損壊と、二次調査でより厳しい判定結果が出て被害程度が引き下げられてしまうと支援金が減額になってしまいますよ、こういうふうに言われて、納得はしていないけれども、二次調査の申請に二の足を踏んでしまったり諦めてしまう方が大変多いようであります。
また、一次調査では、先ほども大臣お話がありましたけれども、建物の中に入らないで外観だけで判断されるということが多いということですから、被災者からしますと、中までしっかり見て判断してほしかったという声も大変多く聞きました。二次調査をやる場合には、更にまた時間がかかってしまうので、もう待てないということで申請を諦めたという声も聞いております。
昨日、NHKニュースでも報道されていましたけれども、奥能登でも自治体の間で大きな差が出ていることや、二次調査がいつ行われるか分からない、五月になるかもしれないという住民の声が紹介されていました。
一次と二次の調査結果が異なる場合は、被災者の心情に寄り添って、被災程度の重い方を判定にすべきではないか、変更すべきではないかというふうに考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○松村国務大臣 今委員がおっしゃったような事例、熊本地震でも私も体験をいたしました。
まず、第二次調査につきましては、内部の柱、内壁、床などの部位を調査する調査でございます。一次調査では、外観により行うため、それらの部位を確認できないことから、外壁の損傷により内部の被害も推定して評価することといたしております。ですから、不服のある方はやはり二次審査に進んでいただきたいと思っておりますし、自治体の皆様方にもしっかりと丁寧な御説明をしてくださいという通達もいたしているところでございます。
ただ、この結論につきましては、最終的には該当する市町村の判断となります。第二次審査は第一次審査のより詳細な調査であるため、基本的にはその結果により最終的な被害区分が判定されるものと考えております。
○菊田委員 だから、市町村の判断と言われても、やはり制度は国がつくっているわけでございますし、そこは本当に、市の職員の方々も大変苦しい思いをしながらそうせざるを得ないという現状があることを是非お酌み取りをいただきたいというふうに思います。
次に、住宅応急修理制度の支給額と支給対象について伺います。
国の住宅応急修理制度では、半壊以上の場合、最大で七十・六万円、準半壊の場合、最大で三十四・三万円が支給されます。さらに、住宅・建築物安全ストック形成事業に傾斜修復も含むこととされ、これを活用すれば、雪の多い多雪区域でも最大百二十万円交付されることが二十二日に発表されました。
この追加措置をいただいたこと、大変ありがたいというふうに感謝をしておりますけれども、しかし、まだまだ足りません。新潟市によりますと、新潟市で実際に行われている傾斜住宅の修繕工法は二つありまして、安い方で平均約五百万円、高い方で平均千三百万円もかかるということでございます。独自の制度として、新潟県が最大百万円、新潟市が最大百五十万円支給することとしておりますけれども、それでも全然足りないというのが現実であります。
そもそも七十・六万円しかない国の住宅応急修理制度の支給額の上限を引き上げていただきたいというふうに思います。
また、この制度では、駐車場、カーポート、外構などの修理は対象外です。新潟や石川、富山のような地方で暮らす場合は、車は生活の必需品です。是非、駐車場、カーポート、外構などの修理について、今は市が独自の制度で支援しておりますけれども、国の住宅応急修理制度でも対象としていただきたいというふうに要望いたしますが、大臣、いかがでしょうか。
○松村国務大臣 住宅の応急修理制度につきましては、準半壊以上の被害を受けた場合に、居室、いわゆるリビングであるとか炊事場、トイレ、こういった日常生活に必要な最低限度の修理を行うことで、引き続き元の住宅で日常生活を営むことができるようにするものでございます。
応急修理の限度額につきましては、毎年度、物価の変動等に応じて随時見直しを図っているところでございます。現実、令和三年度におきましては半壊以上が五十九万五千円でございましたが、令和五年度は七十万六千円ということで、見直しを図っているところでございます。
また、住宅に該当しないカーポート等を修理対象とすることにつきましては、制度の趣旨、目的を踏まえると困難でありますが、例えば壊れた住家の基礎を修理することは、これは可能でございます。
なかなか御意向に沿うような形になってまいりませんけれども、いろいろな御意見を聞きながら、随時検討してまいりたいと考えております。
○菊田委員 時間が参りましたので終わりますけれども、三月二十八日の岸田総理の記者会見で、復興基金を設置をする、創設するという御発言がありました。これは実は意外と余り報道されていなくて、知らない方が多いんですけれども、私も、繰り返し、復興基金の創設をお願いしてまいりました。どういうスケジュールで、どういう地域が対象になるのか。これはやはり今回被災された全ての地域が対象になるように要望したいと思います。また、大臣、別の機会に、この復興基金の創設、スケジュール等について御説明をいただければ大変ありがたいというふうに思います。
御要望を申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○後藤委員長 次に、渡辺創君。
○渡辺(創)委員 立憲民主党の渡辺創でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
三月二十五日に、この災害対策特別委員会の派遣で、新潟、富山、多くの理事の皆さんや委員の皆さんと一緒に行かせていただきました。現地の自治体の皆さんとも意見交換をさせていただいたところであります。今回の調査、視察に、被災地でまだ対応も大変な中で御対応いただいた関係者の皆様に心から感謝を申し上げたいというふうに思います。
先日、NHKのニュースを見ていましたら、富山県高岡市の伏木地区で恒例の伏木曳山祭りというのが来月無事に開催をされるというニュースをやっておりました。山車同士がぶつかり合う、「かっちゃ」というそうですが、呼び物のお祭りということで、実は、このお祭りの会場になるところが、視察をさせていただいた液状化の被害の現場ということでありました。一メーター以上電柱が真っすぐ沈下してしまったり、先ほども公明党の日下委員の質問にありましたが、連なっている家がそのまま傾いたりというような、非常に大きな被害があった地域でありました。
住民の皆さんが長く親しみ、楽しみにしているものが予定どおり五月に行えるということのようでありますので、是非これは、住民の皆さんにとっても復興に向けた新たな力になるのではないか、そういうことを期待をしたいというふうに思いますし、そういう活力が是非ここから生まれていただければというふうに思っておるところです。
まず、大臣にお伺いをしたいというふうに思います。
今、菊田委員からもありましたし、既に予算委員会や前回のこの特別委員会では我が党の米山委員も繰り返し質問をしておりましたけれども、能登半島地域の六市町に限った新たな交付金の問題など、地域のことというのは、いろいろ要件、先ほどの説明含めて分かりますが、被災した方個人のレベルで見れば、同様の被害を受けているのに居住地域によって国からの支援水準が違うという問題について触れたいというふうに思います。
二十五日の富山県との意見交換の中で、私、質問したんですが、大変聞きづらかったんですけれども、正直どう感じるかということを聞いたところ、富山県の副知事から非常に率直な富山県の心情が吐露をされましたので、要点を御紹介したいというふうに思います。これは、私のメモですので、若干不正確なところがあるかもしれませんけれども。
被害を受けた住民の立場に立てば、やはり石川県に全国の目が向いている、震度や被害は同じなのに受けられる制度が違うという説明をしなければならないのは、行政としては説明が難しい。先ほど菊田議員もおっしゃっていました。国の財政も大変なことは分かるが、県としては再考を求めたいし、これは新しい交付金の制度の話でありますけれども、日本中どこであっても受けられる支援は同じであってほしいということでありました。
石川県からの要望書にもそのことは明確に書かれていたことも含めまして、先ほど委員長の報告にもあったところであります。
富山県は、石川県の隣、能登半島、すぐ近くにあるわけですね。歴史的にも、これまでの関係性からいっても、一生懸命能登半島の復興のために応援しなきゃいけないというふうに、被害を受けながらも支えるという立場でも頑張っていらっしゃいます。そういう中で、その行政の皆さんや住民の皆さんに対して、被害を受けた県民に説明がつかないというような状況を国が生み出しているという現状は、私たちはやはりこれは重く受け止めなきゃいけないなと今回の視察を通して思ったところでありました。
この問題の制度的な話はもう繰り返されていますので今日ここで議論をすることは控えますけれども、ただ、今の現状、国の対応が被災地や被災者の間の分断を生みかねない、こういう状況になっているということはやはり深刻な問題だというふうに思います。
大臣、これまで熊本の震災の際の体験も含めていろいろ思いはあられると思うんですね。こういう分断を生みかねない状況を政治や政府がつくっているということについて大臣はどのように感じられるか、お伺いをしたいと思います。
○松村国務大臣 まず、政府におきましては、これまで、支援のためのパッケージを取りまとめまして、その施策を進めているところでもございます。
また、総理を本部長とする復旧・復興支援本部を開催をいたしまして、その復旧復興を着実に進めてきたところでございます。
また、財政面におきましても、昨年度の予備費によりまして二千七百六十七億円、財政措置を講じるとともに、先般成立をいたしました令和六年度予算では、五千億を積み増ししまして一兆円に増額をした形での予備費を計上するなど、措置を講じているところでございます。
委員御指摘のように、災害からの復旧復興に当たっては、地域の実情に応じた支援策を講じていくことが重要であると認識しております。
例えば、石川県や富山県、新潟県においては、広範にわたりまして液状化の被害が発生をしております。液状化対策につきましては、国庫補助や地方財政措置に特例措置を講じるなど、地域の実情を踏まえた対策を講じてきたところでもございます。
いずれにしても、これから、やはり時間とともに変わっていくフェーズで、その中でいろいろな課題が出てまいりますので、被災地全体を視野に入れながら、地域のニーズに目くばせをしつつ、機動的あるいは弾力的に必要な対策や財政措置を講じることによりまして、被災者や被災地の自治体の皆さん方の負担の軽減を図りつつ復旧復興に全力で取り組んでまいりたい、このように考えております。
○渡辺(創)委員 あえて制度的に聞かなかったのは、心情みたいなところを、政治はそこが原点だと思いますので、どう受け止めていただけるかというのをちょっと聞きたかったところでありました。
この議論は、予算委員会やこの災害特でもあっています。繰り返し聞いていて気になるのは、ちょっと言葉遣いは違いますが、これまでとの整合性みたいなことを答弁の中でいつも述べられるんですが、まさに大臣から今お話があったように、被災地の状況はそれぞれの災害で違うわけですよね。
それを踏まえれば、これまでの整合性のことばかりで議論をしていたら、何ら新しい状況に対して対処するという発想にいかないはずですので、問題の本質はそこと違うような気が今回の問題はしていますので、是非、踏まえて、また新たな対応を考えていただきたい。現地からの要望でも、この委員会にも大変強く言われたことでありますので、お考えをいただきたいというふうに思います。
次に、能登半島地震に関する政府対応についてお伺いをしていきたいと思いますが、まず、首相官邸を中心にした災害時の初動対応のスキームについて確認をしたいと思います。
官邸では、地震や風水害、雪害など様々な災害に即して、官邸に情報連絡室、官邸連絡室、官邸対策室などを立ち上げていかれているはずであります。私は、仮に空振りがあったとしても、きちんと構えをつくっておいて、初動のスキームを定型化させておくというのはとても大事なことだというふうに思っております。
直近三年を見ると、自然災害に係る室の設置というのは、令和三年度が二十五回、令和四年度が二十五回、令和五年度が二十八回と、つまり、月に二回以上というようなペースで対応がなされているということになります。
議論がややこしくならないように、地震に関係した対応のみで結構でございますので、こういう発災時の対策室等々の立ち上げというのはどのようなルールで行われているのか、御説明をいただきたいと思います。
○林(学)政府参考人 お答えいたします。
緊急事態発生時、官邸危機管理センターに設置する体制といたしましては、情報連絡室、官邸連絡室、官邸対策室がございます。
これらの室の設置は、事案ごとに被害状況等を総合的に判断して行われているところでございますが、地震に関しましては、基本的に、東京二十三区外において震度五弱の地震が発生した場合には情報連絡室、東京二十三区において震度五弱又はその他地域において震度五強の地震が発生した場合には官邸連絡室、東京二十三区において震度五強以上又はその他地域において震度六弱以上の地震が発生した場合には官邸対策室を目安として設置しているところでございます。
○渡辺(創)委員 それぞれの立ち上げの判断、又は官邸の中での決裁と言ってもいいのかもしれませんが、これは誰が行うんですか。実質的に、今のルールに沿って、手続として、室を立ち上げますという判断は誰が行うことになりますか。
○林(学)政府参考人 室の設置につきましては、内閣危機管理監が設置をすることとされております。
地震に関して申し上げますと、先ほどのような目安がございますので、今回の地震においては、発災後、間を置かず設置をしたところでございます。
○渡辺(創)委員 内閣危機管理監が一時的なというか一義的な、まず判断の権者だということでありました。
内閣危機管理監は、今月二日に新たに、警視総監だった小島裕史さんに替わったばかりであるかと思いますけれども、一月一日の能登半島地震の発災時に当時の危機管理監が登庁することができない状況にあった、登庁してこないということで話題というかニュース等にもなりました。
もちろん、今るる御説明、これまでもありましたし、人間でありますから、体調であったりいろいろな都合でそういうことができないということは十分にあり得るということだと思いますが、その際には、どういう手続であったりとか段取りで、危機管理監の業務というか、そういう権限というかを代わりに行う人が定められているんだろうと思います、その手続はどうなっていて、現行では誰が代わりを担うということになっているんでしょうか。
○林(学)政府参考人 お答えいたします。
内閣危機管理監が不在の際は、事態対処・危機管理担当の内閣官房副長官補が代わってその役割を担う体制となっているところでございます。
本年一月の能登半島地震発生の際は、当時の村田内閣危機管理監が体調不良のため入院をしておりましたが、入院中の事態発生に備えてあらかじめ事態対処・危機管理担当の鈴木副長官補が万全の態勢で準備をしていたところでございます。
○渡辺(創)委員 そういう仕組みになっているということで、当然カバーリングする仕組みがあるんだというふうに思います。一月一日の発災時には、ああいう大きな発災があってという状況の中ですからあれですけれども、ミスメッセージにならないような対応をきちんとすることも必要かと思いますので。
仕組みの確認ができましたので、次に移りたいというふうに思います。
話題を変えようと思いますが、政府は、能登半島地震における広い意味での初動対応を検証するためのチームを立ち上げて議論を重ねているというふうに理解をしています。報道によると、六月にも取りまとめを行うということで聞いています。
今回の地震は、発生時期や、また発生した地域の地形的な特異性など、そういうことに加えて、人口減少、それから高齢化という日本のいろいろな地域が抱える要素が災害との関係性でいろいろ明らかになっている状況でありますので、こういうことを踏まえれば、できるだけ早く、もう三か月過ぎたところでありますので、政府対応をなるべく早い段階で、初動の部分、点検、精査、検証、そして総括しておくことが極めて重要だというふうに考えています。このことは委員会の理事会で事情を聞いたときにも発言をさせていただきました。現状、どういう取組になっているか御説明を求めます。
○高橋(謙)政府参考人 お答えをいたします。
災害対応につきましては、災害から得た経験や教訓を踏まえて不断に見直しをしていくことが重要だと考えております。
令和六年能登半島地震におきましても、一連の災害対応を振り返る中で浮かび上がった課題を乗り越える方策や、災害対応上有効と認められる新技術等を洗い出し、今後の初動対応、応急対策を強化するための措置等について、今後の対策に反映していく必要があると考えております。
このため、今回の地震における災害応急対応につきまして、今後の災害対応に生かすための評価できる点、また改善すべき点、こうしたものを抽出し、現在も復旧等に向けた取組が行われている被災地を含めまして、今後の災害対応に生かしていくことを目的としまして、先月、三月十二日に、令和六年能登半島地震に係る検証チームを立ち上げたところでございます。
被災地の復旧復興支援が現在も継続している状況を鑑み、本検証チームでは、自治体支援、避難所運営、物資調達・輸送の三分野に焦点を当てて検証することとしており、これまでの会議では、国あるいは自治体からの応援派遣などの自治体支援について議論したところでございますし、引き続き議論を重ねていきたいと考えております。
以上でございます。
○渡辺(創)委員 総理の指示でスタートしたというふうに聞いております。
今お話がありましたように、当然、今、被災地の復旧のためにも力を、復旧や再興のためにもエネルギーをたくさん注がなきゃいけないですが、昨日の台湾の地震ではないですが、それが終わったら次が来るとかというふうに順番があるものではありません。いつあるか分からないわけですので、常に対策のリニューアル、いいところはどんどん取り入れるという発想をしっかり構えておくということが災害対策では重要だと思いますので、是非その取組は取組で十分に進めていっていただきたいというふうに思います。
あと、ちょっと方向性が変わりますが、発災から三か月がたって、被災地の状況もいろいろ見えてきているところであるわけですが、なかなか実態がよく分からないというのが、農林水産業、一次産業の受けた被害という部分であります。
もちろん、現地の自治体の皆さんは、今急いでやらなきゃいけないことがあるし、農業者の皆さんも、例えば避難所にいらっしゃったりとか県外へ避難をしていたりとかいろいろあるので、確認がなかなか進まないという事情は分かるところであるんですけれども、そろそろ一定のめどを立てて、どのぐらいの段階で被害が一次産業に関してどうなるかというのを見通しを立てていくべきではないかと思いますが、現状と、その対応はどうなっているか、お伺いしたいと思います。
○松尾政府参考人 お答えいたします。
今回の地震におきます農林水産関係の被害の状況につきましては、四月二日現在でございますけれども、農地や水路、ため池などで六千九百か所以上、山地災害、林道、木材加工施設等で九百六十か所以上、漁船の転覆等が二百九十一隻以上、あるいは漁港で七十三漁港以上などの被害の報告を受けているところでございます。
今般の地震におきます農林水産関係の被害の把握におきましては、発災直後からこれまで、延べ八千人以上の国の職員をMAFF―SATといたしまして現地に派遣いたしまして、被災自治体や関係団体等と連携しまして、被害の状況把握、あるいは応急復旧、こういったことで対応しているところでございます。
現在、特に被害の大きかった石川県でございますけれども、被害の状況を踏まえながら、具体的な被害の額の把握に努めているということで聞いております。
農林水産省といたしましても、農林漁業者の一日も早いなりわいの再建に向けまして、引き続き、被災自治体と緊密に連携いたしまして、早期の被害額の把握、復旧に努めてまいりたいと思います。
○渡辺(創)委員 恐らく、今数字が出たものというのは、かなり一部だと思うんですよね。本当の実態の何割が今見えているのかというのがまだ分からないので、数字が独り歩きするリスクもあるような気がしていますけれども、とにかく、今発言した趣旨を踏まえて、是非なるべく早い対応を願いたいと思います。
次に、ちょっと重なりがありますが、液状化対策について伺いたいと思います。
今回、調査に行かせていただいた中でも、やはり液状化というのは非常に深刻だなというのを感じたところでありました。東日本大震災のときに、当時、私、県会議員でしたが、千葉の浦安に行って、マンホールがぐっと上がっているような様子を見ましたが、改めて思い出して、新潟、富山、本当に深刻だなと感じたところであります。
これから、今日も議論がありましたように、中長期的な液状化対策に取り組んでいかなきゃならないということ、まずは今傾いているのを直したりという応急措置があった後に、面的な、中長期的な対策が必要になると思います。
国は、先ほども公明党の日下委員の質問にもあったように、宅地液状化防止事業というのをやっているわけでありますが、やはり自治体の皆さんからは、面的な要件等々が使い勝手が悪いというような指摘を聞いています。先ほど答弁の中では、この要件で大丈夫という趣旨の御答弁があったというふうに記憶していますが、やはりちゃんと自治体の皆さんの要望を聞き入れながら、さっき大臣もおっしゃられたように、実情に合わせた対応ができるようにするのが必要だと思いますので、その点を踏まえて、いかがでしょうか。
○菊池政府参考人 お答えいたします。
今回の能登半島地震においては、現在、国の直轄調査などによって被災地の状況を確認し、事業の実施について被災した地方公共団体と調整しているところですが、この要件で、液状化対策が必要な範囲について、事業を実施することが可能であると認識してございます。
ただし、地方公共団体からの相談には丁寧に対応し、液状化被害を受けた方々の生活再建が迅速に進むように、しっかりと支援をしてまいります。
以上でございます。
○渡辺(創)委員 是非、その食い違いの部分をしっかり考えていただきたいと思うのと、最後、済みません、液状化しやすさマップのことも質問したかったんですが、これは、残念ながら、当てはまらないことが、発災自体がなかったことが望ましいわけですが、新潟では作っていたものとかぶったという状況があります。ある意味では精度が一定程度担保されているということだと思いますので、全国のものを生かして、これからの対応を考えていただきたいと思います。
以上で終わります。ありがとうございました。
○後藤委員長 次に、吉田とも代君。
○吉田(と)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の吉田とも代と申します。
本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
冒頭、改めて、能登半島地震でお亡くなりになられた方々、また被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。そしてまた、災害復旧に向けて今なお全力で御支援いただいている皆様に心より感謝と敬意を申し上げます。
先月、ほかの委員の皆様とともに被災地の視察をさせていただきました。その際に伺った御要望や問題意識を基に質問をさせていただきます。
質問の流れの関係で、ここまでの先生方の質疑と一部重複する部分もございます。また、一部省略もさせていただきますので、御容赦ください。
さて、歴史を振り返ってみますと、地震が発生した際の液状化による被害は、昭和三十九年の新潟地震で一般に知られるようになりました。その新潟やお隣の富山において今般の地震により大きな液状化被害に見舞われた現場を実際に見てまいりましたが、大変心が痛みます。
御承知のように、我が国では、大きな災害を契機として、被災者の生活再建に関わる制度や支援の充実が図られてまいりました。先ほど申し上げました新潟地震を契機として地震保険が制度化され、また、阪神・淡路大震災を契機として被災者生活再建支援法が制定されました。また、東日本大震災では、なりわいの再建のためにグループ補助金が創設されております。
今般の地震の被害をつぶさに見ておりますと、そこから新たな教訓を得ることも今後のためにもちろん重要ですが、まずは、現下の経済情勢も鑑みて、しっかりと被災者に寄り添った支援が必要であると感じる次第でございますが、松村大臣の御所見をお伺いいたします。
○松村国務大臣 今般の地震におきましては、石川県のみならず、富山県、新潟県においても、津波や土砂災害、道路の寸断、また多数の家屋の倒壊、また孤立集落が広範囲に広がったこと、あるいは断水や停電、こういった多岐にわたる被害が発生したと思っております。
委員御指摘の富山、新潟に私も視察をいたしましたが、液状化の被害が、大変大きな被害が出ていると認識をいたしました。
ちょうど一月一日の日に、熊本地震でも熊本市が液状化の被害を受けましたので、大西市長とお話をいたしまして御支援の依頼をし、そのことを基に、まず、液状化の対策に取りかかるに当たっては、被害の状況把握と地域の皆さん方のコンセンサス、こういったものをしっかり取ることが必要だというような御指摘をいただいておりましたので、視察の際、国、国交省と、それから県と被災自治体、三者で勉強会を始めてはいかがかと御提案を申し上げて、その勉強会が始まり、どういった手順で進めていくかの検討に入っていただいたところでもございます。もう既に数回会議を行って、液状化対策を進めていらっしゃるところでもございます。しっかりこうしたものにも伴走支援をやっていかなければならないと思っております。
また、液状化対策についても、先月二十二日の復旧・復興支援本部会議におきまして、液状化の再発防止に取り組む際の補助率を引き上げるなどの新しい支援策が公表されたところでございます。
それぞれに御質問のある中で、やはり、これから変わっていくそれぞれのフェーズの中での被災地のニーズをしっかりと捉え、今後もしっかりとその課題に向き合って、何ができるのか、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。
○吉田(と)委員 松村大臣より心強いお言葉をいただきました。
私も、阪神・淡路大震災を経験いたしまして、あれから二十九年がたちましたけれども、やはり復興というのは本当に時間を要するものだなと実感をしております。
今回、新潟、富山と視察をさせていただきました。また、メディアで報道を拝見するたびに、どれ一つ取っても同じ震災というものはなく、また新たな課題が浮き彫りになります。また、被害もお一人お一人本当に異なるので、一つ一つの事例をしっかり検証し、対策しながら、事前にパターンを想定して災害対策に取り組んでいくことが大切だなと感じております。地震列島に住む我々日本人にとっては決して他人事ではなく、被災地に寄り添い、お一人お一人の被災者に寄り添って復旧を、そして、経過を政府そして国民全員でサポートしながら乗り越えていかなければならないなと改めて感じております。
質問を一つ飛ばさせていただきます。
また、総理は、三月二十二日の令和六年能登半島地震復旧・復興支援本部において、液状化被害について、石川、富山、新潟の被災自治体が被害エリア一体的に液状化対策に取り組む際に、併せて、そのエリアで被災者が三分の一の自己負担で住宅復旧を行える新たな支援制度を創設する、またさらに、エリアにかかわらず、被害住宅の耐震改修工事に必要な傾斜修復を含めて、最大百二十万円の定額補助を速やかに行えるよう措置する旨を発言しておられます。
この支援措置につきましては、災害救助法による応急修理や被災者生活再建支援金といった他制度との併給も可能とするものなのかという観点も含めまして、もう少し詳しい御説明をお願いいたします。
○菊池政府参考人 お答えいたします。
令和六年能登半島地震による宅地の甚大な液状化被害を踏まえ、三月二十二日に開催された第四回復旧・復興支援本部において、その支援措置の具体的内容が決まりました。
まず、石川県内を始め、能登半島地震により液状化被害を受けた地方公共団体が、道路などの公共施設とその隣接住宅地を含めエリア一体的に液状化の再発防止に取り組む際の費用の補助率を、通常の四分の一から二分の一に引き上げます。
あわせて、被災者の方々が、再発防止のための工事の前に、工事の支障となる宅地の地盤や住宅基礎の復旧などを行う場合について、国と地方公共団体で新たに最大三分の二の補助率で支援します。
さらに、被災者の方々が住宅の耐震改修工事とそれに必要な修復を行う場合に、最大百二十万円の定額補助を速やかに行えるよう措置します。
なお、これらの被災者の方々に対する支援と、災害救助法に基づく応急修理制度や被災者生活再建支援金の支給は、併せて行うことが可能です。
これらの措置により、液状化被害を受けた方々の生活再建が迅速に進むよう、しっかり支援してまいります。
以上でございます。
○吉田(と)委員 併給は可能だという御説明をいただきました。
液状化で被災した住宅は、被害が外から分かりにくい場合がございます。しかし、なりわいがなくなったという方もたくさんおられる中で、制度が併給できるということを是非積極的に周知をしていただきたいですし、また、被災者の方々が問合せをしたりしなくてもホームページなどですぐに参照できるようにしておくことは、相談窓口が混み合わないためにも必要だと考えます。
続きまして、一つまたちょっと質問を省かせていただきまして、その次の質問に移らせていただきます。
政府は、平成三十年からの防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策による取組の一つとして、液状化ハザードマップの作成、公表率一〇〇%を挙げました。その取組の結果、全国千七百四十一市区町村全てで作成、公表され、現在はその高度化に取り組んでいると承知しています。
先日の視察では、新潟市西区の坂井輪中学周辺の液状化被害の激しい地域を、新潟市の中原市長に御先導いただき拝見いたしました。実は、北陸地方整備局と地盤工学会北陸支部が、過去の液状化発生状況や地形、地質等に関する情報等を加えて検討をし、液状化しやすさマップを既に作成しており、ほぼそのマップどおりの被害が起きているとの御説明でした。
今般の能登半島地震全体において、その液状化ハザードマップと実際の被害との整合性はどの程度であったのでしょうか。また、現在取り組んでいる液状化ハザードマップの高度化の目的、利点及び取組の進捗状況についてお伺いいたします。
○菊池政府参考人 お答えいたします。
今回の能登半島地震における液状化被害は、現在詳細を確認中ですが、国土交通省北陸地方整備局と公益社団法人地盤工学会北陸支部が公表している液状化しやすさマップで危険度が高いとされた地域で多く発生しております。一方で、危険度が高いとされた地域であっても液状化被害が確認されていないケースも多く見られるところですが、リスクを共有するという観点からは有用だったと考えております。
このような液状化ハザードマップの高度化を図り、全国の液状化被害が懸念される地域において、住民、行政などの関係者で液状化被害リスクを確認、共有し、事前の備えについて共に考えるリスクコミュニケーションを実施することにより、液状化の予防対策を促進していくことが重要と認識しております。
一方で、現時点では、各公共団体において、液状化ハザードマップの高度化が十分に進んでおりません。
このため、今後は、全国で地盤のボーリングデータの収集、公表を進め、地方公共団体に対してより実態に即した液状化リスク情報をお示しすることで、地方公共団体における液状化ハザードマップの作成を促進することを検討してございます。
加えて、液状化が発生するおそれが高い地域については、地方公共団体が行う面的な液状化防止対策に要する費用に対して国が支援することも可能です。
国土交通省においては、これらの支援により、地方公共団体が行う液状化予防対策が推進されるよう、しっかり取り組んでまいります。
以上でございます。
○吉田(と)委員 今、余り高度化の取組が進んでいないという御説明がございましたけれども、一方で、ハザードマップの作成率が一〇〇%であれば、この取組が終わるのを待つことなく液状化対策をどんどん進め、そして、今後発生する被害を少しでも軽減していくことも重要となるのではないでしょうか。
これは地方自治体の取組次第かと思いますが、今後、政府の具体的な支援策、そしてまた加速化の方策につきまして、御説明をお願いいたします。
○菊池政府参考人 お答えいたします。
液状化予測の不確実性又は対象地域が広範に及ぶことなどから、液状化ハザードマップの作成をまず促進するということが大事だというふうに考えております。
このため、現時点で、各地方公共団体に対して、国の方で地盤のボーリングデータの収集、公表を進めて、地方公共団体に対して実態に即した液状化リスク情報をお示しすることで、液状化ハザードマップの作成を促進するということをしっかり取り組んでまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○吉田(と)委員 地盤改良には一定の時間がかかりますし、また、住民の合意が必要で、簡単にできるものではないと思います。ですから、そういう地盤である、リスクがある不動産であるということを事前に住民に知らせる必要があると思います。簡単ではないこの復旧復興のリスクを少しでも回避するためには、マップの高度化である、そしてまた、政府が自治体にその必要性、緊急性を主張していくことから始めていただきたいと思います。
今般、液状化ハザードマップで危険区域と判断された場合、そのレベルにもよるかと思うんですが、人口が減少し、これまでほど宅地造成の需要が見込めない、そのような中、その場所には家を建てないですとか、又は法律などで規制をしていく、こういったことも検討する必要があるのではないでしょうか。液状化しやすい場所であるということを行政が徹底して住民、そしてこれから住民になろうという方々に伝えていく、そして、液状化マップを御確認くださいと手渡しをする、そして、共に事業者がリスク情報を伝えていく、その説明責任を今後持つということも必要だと考えます。
続きまして、次の質問に移ります。
能登半島地震の被災地では、先月三十一日時点でも、倒れた家の多くは手つかずで、瓦れきも山積みの状態だといいます。町の風景は三か月前のまま、涙が出る、こういった、住民は進まぬ復旧に途方に暮れている状態でございます。一部壊れた家で暮らす方は、大工さんに修理を頼んでも三年は来られないと言われた、そして、自分のできる範囲で直していかなければならないなどの声が聞かれます。
二次被害が起きないためには、早急な修理や解体工事が急がれます。それがこれからの課題だと考えています。
少し前の話なのかもしれませんが、能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県の六市町が倒壊家屋の公費解体が始められていないとの報道がありました。例えば、三月十二日時点で、七尾市、能登町、穴水町が申請の受付を始めていますが解体は未着手、また、輪島市、珠洲市、志賀町は受付が始まっていないとのことでした。
そこで、質問をいたします。
国土交通省ではインフラ復旧工事事業者の宿泊対策を掲げていますが、現状について、その詳細を御教示ください。
○林(正)政府参考人 お答えいたします。
能登半島地震の被災地においては、インフラ復旧や仮設住宅の建設のため、全国の多くの工事従事者の方が集まり、御尽力いただいています。
被災地では利用可能な宿泊施設が限定されており、キャンピングカーなどでの宿泊や、金沢市内などの宿泊地から移動し復旧作業に当たっている方も多くいらっしゃると認識しています。さらに、本格的な復旧に当たり、家屋解体に関わる方も含めて多くの工事従事者が現地入りされると承知しております。
国土交通省では、工事従事者の宿泊環境の改善に向け、関係省庁や地元自治体とも連携し、キャンピングカーなどが宿泊可能な場所、コンテナハウスなど簡易な宿泊設備が設置可能な場所、利用可能な民間宿泊施設についての情報を提供する枠組みを構築し、関係業界団体へ周知しています。特に、民間宿泊施設に関する情報については、七尾市、輪島市、珠洲市などから順次追加で情報をいただくなど、地元自治体からの協力を得て、情報の充実を図っているところです。
国土交通省としましては、引き続き、これらの情報の充実を図り、家屋解体に従事される方も含め、各種インフラの復旧に向けた支援を実施してまいります。
○吉田(と)委員 また、総理は三月二十二日、第四回能登半島地震復旧・復興支援本部にて、公費による倒壊家屋の解体について、四月から百班体制で解体業者が現地入りすることになっていると発言されました。
四、五名体制で一班を形成するとのことですので、まずは五百名程度の規模になると思いますが、これだけの人数が収容できる宿泊先がしっかりと準備できるのでしょうか。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
公費による解体を行う解体事業者につきましては、災害時応援協定に基づく石川県構造物解体協会の協力により、五百から六百班を北陸ブロック内で確保済みとなっております。
公費解体については既に始まっており、現時点で百件以上、既に解体工事が進捗しつつあるところでございますけれども、四月からは百班規模で現地入りをし、それ以外の班についても、五月以降、順次現地入りを進め、解体工事の加速化を図っていくこととしております。
現地入りする解体事業者の宿泊先でございますけれども、当面は、民間施設等を最大限活用し確保していくこととしております。また、今後は、解体工事の本格化に伴い宿泊施設が更に必要となると見込まれますので、解体事業者が仮設の宿泊施設を設置する予定となっております。
そのため、環境省では、石川県と連携いたしまして、具体的な設置予定地の調整を進めているところでございます。さらに、宿泊費や仮設の宿泊施設の設置費用も、公費解体事業の事業費に含まれるものとして、国の支援対象とさせていただいております。
引き続き、石川県の目標である令和七年十月までの解体撤去完了を目指し、石川県と緊密に連携し、各市町での解体工事が円滑かつ迅速に実施されるよう、全力で支援を進めてまいりたいと考えております。
○吉田(と)委員 支援する方に対する支援も必要だと思います。ゆっくり休めない環境、例えば雑魚寝であるとか睡眠不足、こういったことから大きな事故につながりかねません。
また、住宅の再建手続についても、御本人からの申請が必要ということで、手続したくても、相続の問題があって地権者が多岐にわたるなど、手続に進めない方も一定いらっしゃると認識をしています。この四月から、相続登記に関する改正法が施行となりました。改めて、全国に登記手続が進むように周知徹底をお願いしたいと思います。
最後になりましたが、昨日の台湾地震で被災された皆様に心よりお悔やみを申し上げるとともに、災害大国日本として、今まで得てきた知見を、そしてまた寄り添う気持ちを、政府にもしっかり支援をお願いしたいと思います。
私の質問は以上です。ありがとうございました。
○後藤委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
能登半島地震から三か月が経過しました。住家被害の総数は約十一万四千棟に上っています。
そこで、今日は、住宅をなくした被災者に対する地域福祉推進支援臨時特例交付金、新たな交付金制度について質問します。
この交付金は、住宅再建では、建設、購入、補修の場合で最大二百万円まで、賃借で初期費用等に最大百万円まで給付するものとなっています。
しかし、対象を石川県の六市町に限定し、高齢者か障害者のいる世帯、資金の借入れや返済が容易でないと見込まれる世帯に絞っていることは大きな問題です。対象外の自治体、住民から同じく支援をと強い要求が出され、今国会でも、先ほどは菊田議員からも質問がありましたけれども、条件を設けるべきではないと質問が相次いでいます。当然のことです。
なぜ石川の六市町に限定しているのか。厚生労働省は、その理由の一つに、奥能登の六市町は高齢化率が高いことを挙げています。それはそうなんですか。この交付金制度は途中から、高齢者のいない世帯も対象とされましたよね。現役世代に広げる見直しをしたのだから、高齢化率で地域を絞る根拠はない。そうじゃありませんか。
もう一つ。資料をお配りしています。対象の六市町と、適用を求めている石川県のほかの市町の状況を一覧にしたものであります。六十五歳以上世帯員がいる世帯で見ると、対象の七尾市は五八・〇%です。対象外の、羽咋市は六三・七%、宝達志水町では六六・五%、中能登町では六三・三%と、七尾市よりも比率が高いじゃないですか。高齢化率は理由になっていないではありませんか。
厚生労働省、いかがですか。
○宮崎副大臣 今御指摘のとおりの高齢化率の数字は承知をしているところでございます。
高齢化率が著しく高いという事情もあるほかに、家屋を建設できる土地が極めて少ないなど半島という地理的制約があって、住み慣れた地を離れて避難を余儀なくされている方も多い。この六市町の数字その他を見ますと、例えば、住宅被害戸数の多さ、避難をされている数や、人口に占める避難者率の高さ、こういった数値はこの六市町が突出をして多かったり高かったりしているという実情がございます。
こういったことも総合的に勘案いたしまして、地域コミュニティーの再生に向けて乗り越えるべき大きくかつ複合的な課題があるという地域の実情、特徴、ほかの地域と比べて深刻な状況に鑑みて、石川県と調整をした上で六市町を対象としたということでございます。
○田村(貴)委員 宮崎副大臣、それは違いますよ。これは資料を見ているように、じゃ、対象外の六市町、ここの数は軽視するんですか。甚大な被害じゃないですか。
それから、家屋を建設できる土地が少ないと言いました。六市町では、自分の土地で住宅再建をし、そして上乗せの支援にこの交付金を使ってくれと説明しているんですけれども、本当におかしな理屈であります。低平地が乏しくて能登半島に共通している、これはどこもそうなんですよ。この六市町だけに共通していません。津波被害や液状化などで現地の復旧が難しいところ、これは珠洲市でも輪島市でもあります。私も聞いてきました。
そうしたら、この対象の六市町というのは災害公営住宅も造らないと決めているんですか。そうじゃないですよね。家を失った苦しみ、悲しみはどこにおいても同じなんですよ。これは改めるべきじゃないですか。今回の地域における線引きというのは、納得のいく説明も合理性のある根拠も、されていません。
引き続き副大臣にお伺いしますけれども、今日も、参加した議員から視察の質問がありました。
先月二十五日は、本委員会の委員派遣で私も新潟県、富山県を訪ねました。液状化などで、両県共に甚大な住家被害を受けています。
資料を御覧ください。対象要件の全壊、半壊は、新潟県では合わせて三千一棟にも達し、富山県では九百十九棟にも上る。ここを対象にすべきじゃないですか。
新潟市の要望の一番目は、この交付金でありました。同一災害に対する支援として、本市を含めた新潟県も対象にしてほしいと市長が強く求めました。そして、新潟県の花角知事は、内閣府防災松村大臣と面会をされて、要望もされていますよね。富山県の要望でも、一番目はこの交付金についてでありました。三月十八日、新田知事は、総理に直接、交付金の支給対象に富山県内の被災者を加えるように求めた。大臣、総理大臣に被災自治体の知事が直談判しているんですよ。
宮崎副大臣、被災自治体がこれだけ強くトップを挙げて要望しているのに、この声は無視するんですか。
○宮崎副大臣 様々、被災自治体から御要望をいただいていること、直接の御来訪も、また書面をもってのものも含めて、議会なども様々頂戴をしていることについては、十分承知をしているところでございます。
新たな交付金制度につきましては、先ほど申し上げたような趣旨で、石川県とも調整をした上で、六市町を対象とした制度として運用させていただいておりますが、この新たな交付金制度の対象となっていない被災地域につきましても、その他、例えば被災者生活再建支援金であったり、そのほかには生活福祉資金貸付けの特例措置を講じたり、関係省庁の様々な支援措置を重層的に用意をしているところでございます。
また、今ちょっとお話にも出ましたが、液状化の件。先日、復旧・復興支援本部で公表されました液状化対策なども活用可能というふうな形にさせていただいているところでございまして、政府としましては、これら総合的な支援策を講じることによって、被災者の皆様の世帯に必要な支援が届くように取り組んでまいりたいと思っているところでございます。
○田村(貴)委員 それは全然説明になっていないですよ。だって、被災者生活再建支援金、これはどこでも出るんですよ、被災自治体で。出ていることについて、出ているからそれで支援になっている、そんなことを厚生労働省が言わないでくださいよ。何で根拠のない条件で市町を区分し、そして分断を持ち込んでいるのか。ここが今問われているんですよ。
もう一つ資料をお配りしています。資料二を御覧ください。交付金の対象外の石川県のかほく市、羽咋市、内灘町、津幡町、宝達志水町、そして中能登町の六つの自治体の首長が知事に宛てた緊急要望書です。読んでみます。「能登六市町以外にも多くの住民が住宅被害を受けています。また、住宅の再建に多額の費用がかかることは、能登六市町の住民に限らず、すべての被災住民にいえることであります。」
当然ですよね。さっき副大臣は、支援金があるじゃないか、そしてお金を貸す制度もあるじゃないかと。お金を借りたら、返さないといけないんですよ。支援金が足りないから、この厚生労働省の打ち出した交付金は押しなべて平等に扱ってほしいと言っているわけであります。
資料にあるように、例えば、内灘町の全壊百十八軒、半壊五百十六軒、これは適用なしですよ。これを軽視するんですか、これだけの被害を受けているのに。
政府の支援制度で被災自治体と被災住民を分断していることになっていませんか。分断していることについて、どうですか。住民は、不公平な扱いで政府に不信感を抱いています。この不信感と分断は復旧復興の最大の妨げになっています。こんなやり方を続けていくんですか。不公平なやり方はやめるべきです。いかがですか。
○宮崎副大臣 新たな交付金制度の対象地域につきましては、先ほど申し上げたような趣旨も踏まえまして、様々な数字を見ております。先生が今御指摘になった数字もございます。他方また、私が先ほど口頭で申し上げたような住宅被害戸数、例えば、避難されている数やその避難者の率が六市町が突出して高い、こういった事情などを総合勘案をした上で、石川県と調整をした上でこの対象地域を定めさせていただいているものであります。
先ほど申し上げたような被災者生活再建支援金、これは元々あるものだといえば、おっしゃるとおり、そのとおりでありますけれども、ただ、それ以外にも、様々な特例措置や各省庁での措置、こういったものを重層的に活用していくということで、地域の実情に応じた支援をさせていただいているということでございます。
○田村(貴)委員 突出して高いと言うけれども、この対象外の自治体の被害も甚大じゃないですか。何で、せっかく国として挙げている制度が平等にならないんですか。絶対おかしいですよ。
災害救助法は、厚生労働省所管の時代から、基本原則の第一に平等の原則があります。副大臣、御存じですか。現に救助を要する被災者に対しては、事情のいかんを問わず、また経済的な要件を問わずに、ひとしく救助の手を差し伸べなければならない、このように規定されているわけであります。
内閣府にお尋ねします。
高橋審議官、被災者生活再建支援法は、石川県、新潟県、富山県、これは全自治体を含めて適用ですよね。
○高橋(謙)政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、三県、全自治体、適用になっておるかと承知しております。
○田村(貴)委員 支援法は三県の全ての自治体に適用されています。同等の支援がされているわけです。その意味でも、この交付金の在り方はおかしい。
能登六市町だけという線引きを改めて、同一災害で同じ被害を受けた全ての被害者にあまねく支援する、そういう交付金の対象地域を拡大することを強く求めます。
そして、東日本大震災の住宅再建の在り方で、後で報告されているんですけれども、一世帯当たり二千八百万円かかった、うち千八百万円を融資、借金で賄ったということが言われています。その上に、それから今日まで、建設資材の高騰、建設労働者の不足、これまで以上に、住宅再建、建設というのは費用がかかってまいります。これは対象となる交付金の六市町でも最大五百万円ですよね。これはよほど預貯金がある高齢者でないと、その土地では建設、建て直しはできないと思います。
松村大臣にお伺いします。
そもそも、これだけの甚大な地震被害が生じて、そして全国各地では、地震以外に、台風あるいは水害等々の災害が毎年のように起きている、それにもかかわらず被災者生活再建支援制度が動いていないのがおかしいと私は思います。
新しい交付金が支給されたとしても、石川の六市町、この被災者が住宅の再建ができるかといえば、それは難しいです。支援法を拡充すべきではありませんか。一ミリも動いていませんよ。支援金は最大六百万円以上とし、対象を半壊、一部損壊まで拡充する、そのことを求めたいと思います。
そして、国会には法案も出されています。政府は動かないんですか。大臣、いかがですか。
○松村国務大臣 もう既に先ほども御質問がございまして、繰り返しの答弁で恐縮でございますが、被災者生活再建支援金につきましては、災害による財産の損失を補填するものではなく、いわゆる見舞金的な性格のものとして、被災者を側面的に支援するものと位置づけられていることに留意が必要であると考えております。
その上で、見直しにつきましては、過去の震災や、現在も支給が継続されている秋田県や福岡県、これは令和五年の梅雨前線による大雨被害への対応でございますが、こうした地域で継続がなされていることとの公平性の確保、こういった課題もございますので、慎重に検討すべきものだと考えております。
○田村(貴)委員 残り時間僅かです。
対象六自治体で高齢者等の世帯が家を再建する、その割合はどのぐらいと見ていますか。それを最後に確認したいと思います。厚労省。
○森光政府参考人 お答えさせていただきます。
厚労省としましては、現在、新たな交付金制度もつくっておりますけれども、それがどのぐらい利用されるのか、いわゆる再建がどのくらいされるのかということについては、現在、その見込みを持っておりません。
○田村(貴)委員 見込みもなく制度をつくって、そして不公平な制度を強制しているんですか。本当におかしいと言わなければなりません。
改善を求めて、質問を終わります。
○後藤委員長 次に、古川元久君。
○古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。
まず、昨日、台湾で大変大きな地震がありました。犠牲になった皆様に心から哀悼の意を表するとともに、まだ、かなりの方が倒壊した建物だとかそういうところに閉じ込められているというお話を聞きます。こうした方々が一刻も早く救出されることを心からお祈りしたいと思います。
そしてまた、台湾は、日本で大きな災害があると、本当に真っ先に大きな支援をいつもしてくれています。是非政府としても、台湾の皆さんに早急に必要な支援の手を差し伸べていただくことを、私たち国民民主党もできることは是非していきたいと思っていますので、よろしくお願い申し上げます。
さて、先日、私も現地視察をさせていただいて、液状化の状況を拝見をさせていただいてまいりましたが、今日の質疑で出ているように、本当に、大臣も行かれたと思いますけれども、被害は極めて深刻であります。ですから、復旧には何年もかかると思いますし、その費用も相当な額に上るんじゃないかというふうに思われます。
そうした状況を受けて、政府が液状化被害に対する支援策の拡充を決めたことは評価をいたしますけれども、ただ、率直に言って、本当にこれで十分だろうかというふうには、現地を見て思いました。是非、今後も地元の要望を十分に尊重していただいて、必要な追加の支援策を講じること、これもためらわずにやっていただきたいということをまずはお願いしたいと思います。
その上で、今回、地震で液状化が起きた地域というのは、元々、ハザードマップで見ても、非常に液状化するリスクが高い地域とされていたところでありまして、事前に地盤強化とか液状化対策をやっていれば、被害が出ないか、あるいは、仮に出たとしても、もっと小さい、本当に最小限の被害で済んだんじゃないかなと。
ですから、今回液状化が起きた地域で、何らか事前に液状化の対策というのを講じられていた、そうしたところはあったのか、また、もしそれをやっていなかったとすれば、どうしてそれをやっていなかったのか、それについて、政府として分かっていることを教えていただけますか。
○菊池政府参考人 お答えいたします。
液状化への事前対策としては、公共施設の液状化への対応の事例はございます。ただ、個々の宅地の液状化への対策工事は、それぞれの地権者あるいは様々な造成工事により行われるものであり、実績は把握してございません。
また、液状化被害のおそれのある地方公共団体は、公共施設とその隣接住宅地を含めエリア一体的に地下水位の低下など液状化の予防対策、再発防止に取り組む場合には、防災・安全交付金による宅地液状化防止事業の活用が可能ですが、この度の能登半島地震により液状化の被害があった地域においては、本事業の活用実績はございません。
この事業は、液状化へのリスクを住民と行政で共有し、被害リスクを低減するための検討を行って事業化するものです。それがまだできていなかったためと考えてございます。
以上でございます。
○古川(元)委員 まさに事前の対応ができていなかったということですよね。
やはり、そのリスクは国交省も感じておられるんでしょう。ですから、行政職員向けに、液状化ハザードマップを活用したリスクコミュニケーション方法に関するマニュアル、これを作成しているわけですけれども、このマニュアルを活用したリスクコミュニケーション、国交省は、よく私、災害対策、前にも大臣に申し上げたと思いますけれども、政府でこれをやっていますと言っても、実際に現場で使われていなかったら、それはやったことにならないし、それに、いざ災害が起きたときに、いや、国は言っていたんですけれどもということでは、命を守れないわけです、暮らしを守れないわけです。
ですから、作った以上はちゃんと活用されていないといけないと思うんですけれども、このマニュアルはちゃんと活用されて、そういうリスクコミュニケーションというのはいろいろな自治体で行われていたのか、活用状況とかその辺のところはちゃんと国交省は把握しているんですか、どうですか。
○菊池政府参考人 お答えいたします。
国土交通省では、令和四年四月に、液状化ハザードマップを活用したリスクコミュニケーションの方法に関するマニュアルを公表し、住民、行政などの関係者で液状化被害リスクを確認、共有するリスクコミュニケーションを推進しているところです。
このマニュアルを活用した事例として国土交通省で把握しているのは、茨城県内の三自治体であり、具体的には、液状化ハザードマップの公表、大学と連携した、液状化リスクの高いエリアにおける復興イメージトレーニングの実施、液状化リスクを踏まえた公共施設の耐震化や避難所、避難路の検討などが実施されたものと承知しております。
国土交通省としては、引き続き、液状化ハザードマップを活用したリスクコミュニケーションを行う地方公共団体への技術的、財政的支援を行い、普及啓発に取り組んでまいります。
以上でございます。
○古川(元)委員 茨城県の三か所という、要は、ほかのところでは全国で何もやっていないということですか、あるいは把握していないのか、それはどっちですか。
○菊池政府参考人 お答えいたします。
国土交通省としてこの事業により支援をしていることによって実施している公共団体が、この茨城県内の三自治体というふうなことで、国土交通省として把握しているものでございまして、そのほか独自でやられているものについてまでは、済みません、把握ができておりません。
以上でございます。
○古川(元)委員 ちょっと、大臣、これは通告していないですけれども、やはり、せっかく作って、私も前に見たら、なかなかいいマニュアルなんですよ。ちゃんとこれは活用されているかどうかというのを、やはり、ぼんと自治体に送りましたというだけじゃなくて、それを確認していくということを、ある種、これは国としても、そういう、地方自治体なんかにちゃんとやっていますかということを確認するということは必要だと思いますが、どうですか、大臣。
○松村国務大臣 委員御指摘の点は重要な点だと思います。
私も、この役割をいただいて、いろいろな場面でお話をしておりますが、内閣府も含めて促しはやっている、しかし、受け取る側が実際のところ運用いただいているかどうか、これが一番大事なことであろうと思っております。
御指摘の視点も含めて、今後、啓発活動を続けてまいりたいと考えております。
○古川(元)委員 是非、やはりそこは、単にこれをやってくださいと投げるだけじゃなくて、ちゃんとやられているかどうか確認をする。やはり防災対策、災害対策というのはそこまでやらないと、本当にせっかく、だから、私、政府もいろいろなことをやっていると思うんです、メニューはあるんだけれども、しかし使われていなかったら本当にいざというときにやはり命が守れないので、是非そこは大臣がリーダーシップを取っていただきたいと思います。
それとのつながり、関係になりますけれども、国交省は宅地液状化防止事業というのも行っているんですね、今。これまで実績として上がっているのは、今、熊本地震の被災地の復旧工事だけであります。
要は、この事業は、液状化していない、まだ被害は出ていないけれども、ハザードマップ上で液状化のリスクが高いという場所で合意が取れればこれは使える事業ではないかと思いますけれども、実際にそういうところで事業を予定されていたり、あるいは実施されているような地域というのはありますか。
○菊池政府参考人 お答えいたします。
これまでの宅地液状化防止事業の実績としては三地区ございますが、このほかに、東日本大震災では、復興交付金による事業として十地区で事業が行われております。全て、東日本大震災及び熊本地震により被災した地域で行われた再発防止のための工事です。
現在、本事業が予定されている地域は把握しておりませんが、液状化被害リスクの高いエリアにおける予防対策を行うためには、高度化されたハザードマップなど詳細な液状化リスクを地方公共団体が把握し、住民等々の関係者とリスクコミュニケーションを行う必要がございます。その上で、液状化対策として、宅地所有者による個別宅地の対策、公共施設の対策、公共施設と宅地等の一体的な対策を行うこととなりますが、宅地液状化防止事業もこの中で地方公共団体が検討することとなります。
国土交通省としては、まずは地方公共団体における液状化ハザードマップの作成を促してまいります。
以上でございます。
○古川(元)委員 確かに、ハザードマップで高度化は大事なんですけれども、今回を見ても、今のハザードマップというのは相当精度が高いんですよね。ですので、大体、今回私も現地を見せていただいて説明を受けて、逆に、全くハザードマップで危険が低いようなところで液状化になったところはなかったと思います。やはり非常に、元々危険が高いという中で、その中でも危険が高いといいながら液状化していなかった部分はありましたけれども、逆に、液状化しているのにそもそもハザードマップ上で真っ白だったというところはなかったと思います。
そういった意味では、やはりかなり今、ハザードマップというのは信用していいんじゃないかなと思いますので、是非そこも、特に液状化は、私も東日本大震災の後も浦安の方とかなんかも行きましたけれども、なかなかこれは、一回液状化してしまってからこれを復旧するというコスト、時間も考えると、そこで暮らしている人や、あるいは事業を行っている人たちも考えると、むしろこれは先に、事前にそういうところはやっておいた方が、結果からしてみるとコストも安くなって、そして、そこで暮らしをしている、あるいは事業をやっている人たちの受けるダメージも小さいわけなので。
大臣、これは液状化にかかわらず、もうちょっとハザードマップを活用して、やはり事前に、災害が起きる前にこのハザードマップをもっと活用して、安全な場所に移ってもらうとか、あるいはちゃんと対応策を打つとかそういう形で、これからの災害対策というのは、災害が起きてからのことも大事ですけれども、やはりこれだけハザードマップが精緻化してきて信用を置けるようになってきている状況ですから、ここは、もう少しハザードマップを活用した事前防災、そういうところに力を入れていくべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか、大臣。
○松村国務大臣 ハザードマップを活用した事前防災、委員の御指摘のとおりだと思っております。
災害対応というのは自助、共助、公助とありますけれども、公でできることは、やはり事前防災、これには力を入れていく必要があると思っております。
こういうハザードマップを活用した、災害がいろいろでございますので、活用法はいろいろあると思います。避難行動の、住民への活用であるとか、あるいは防災訓練への活用、また行政が施設を造るときの、そういったものを参考にしての活用、いろいろあると思うんですが、今回の能登半島地震も踏まえまして、これから、南海トラフ、首都直下もございますけれども、こうしたものにやはりこういうハザードマップの活用、積極的に行政の皆様方に、自治体の皆様方へアプローチをする必要があると考えておりますので、振り返りの中である意味少し検証いたしまして、取り組んでまいりたいと考えております。
○古川(元)委員 是非それはお願いしたいと思います。
事前の備えという意味でいくと、日本は地震国でありますので、日本に住んでいる限り、地震の心配のない地域なんというのはないわけでありまして、そういう意味では、事前の備えとして、日本には火災保険に付加する形の地震保険がありますよね。そういう意味では、日本においては、これはやはり、日頃の備えとして地震保険に入るというのは必要不可欠なことだと思うんですね。
普通、地震保険に加入していれば、液状化の場合にも保険金が出ることになっているんですね。ですから、それだけで済むかということはありますけれども、しかし、全て、後からどうにか資金を工面する、あるいはもう税金でという、そういうのではなくて、それなりに想定ができるところは自分で、自助で備えていただくこともやはり必要なところであって、そういった意味では、もっと地震保険に加入してもらう必要があるんじゃないかと。
しかし、現在地震保険に加入している世帯というのは、やはり全世帯の三分の一程度にとどまっているんですね。今回訪問した新潟県とか富山県、実は全国平均よりも低いんです。新潟なんかは結構この間もよく地震も起きているんですけれども、それでも低い。
だから、やはり、これだけの地震国において全世帯の三分の一程度というのは、ちょっと私、地震保険の加入率が低過ぎるんじゃないかと思いますが、大臣の感覚はどうですか。
○松村国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、自助、共助、公助の中の自助の部分では、保険に入っていただくというのは非常に大事な点だと思っております。
内閣府におきましても、従来より、都道府県に対しまして、加入促進の協力を依頼をし、パンフレット等を配布をし、啓発を図ってきたところでもございます。また、昨年は、関東大震災百年を迎えるに当たりまして、損害保険協会とタイアップをいたしまして、谷大臣に、ユーチューブでのコマーシャルを通じての、保険についての備えの必要性、こうした活動も行ったところでございます。
現在のところ、御指摘のように、地震保険の世帯加入率は、二十年前の一六%から二〇二二年では三五%と、約二倍には上昇しているものでございますけれども、保険に加入するか否かは個人の判断がやはり大きいのではないかなと。かく言う私も、意識はしておりまして、対策も講じましたので保険に入る必要はなしということで、保険には入っておりません。ただし、それの備えはきちっとやった上ででございます。ただ、そのことも考えずに地震に対する備えを行っていないという方々の、やはりそれぞれの御判断があるのかなというふうにも思いますし、震災を受けた地域とそうでない地域の差も顕著に出ているかなと思っております。
そういう意味では、やはり、備えることの重要性、保険加入の有効性などについて、更なる普及は必要だなと考えております。
○古川(元)委員 時間が来たので終わりますけれども、やはりもう少し地震保険、損保の方では、要はノーロス・ノープロフィットというので、いろいろな意味での、税制上の優遇もありますけれども、掛ける方の個人に対するそういうインセンティブみたいなものも是非考えていただきたいということを最後にお願いして、質問を終わります。
どうもありがとうございました。
○後藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時四十九分散会