衆議院

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第9号 令和8年5月14日(木曜日)

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令和八年五月十四日(木曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 関  芳弘君

   理事 小里 泰弘君 理事 河野 正美君

   理事 谷  公一君 理事 簗  和生君

   理事 山口  晋君 理事 中川 宏昌君

   理事 青柳 仁士君 理事 田中  健君

      伊藤  聡君    井原  隆君

      加藤 大博君    木村 次郎君

      今  洋佑君    斉藤 りえ君

      佐藤 主迪君    島田 智明君

      園崎 弘道君    高見 康裕君

      田中 昌史君   中川こういち君

      永田磨梨奈君    西田 昭二君

      平沼正二郎君    藤田 洋司君

      古川 直季君    松下 英樹君

      三原 朝利君    吉村  悠君

      渡辺 勝幸君    赤羽 一嘉君

      近藤 和也君    西園 勝秀君

      柏倉 祐司君    黒田 征樹君

      佐々木真琴君    工藤 聖子君

      山田 瑛理君

    …………………………………

   内閣総理大臣       高市 早苗君

   国務大臣

   (防災庁設置準備担当)  牧野たかお君

   内閣府副大臣       瀬戸 隆一君

   内閣府大臣政務官     古川 直季君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル行財政改革会議事務局審議官)  山澄  克君

   政府参考人

   (内閣官房防災庁設置準備室次長)         横山 征成君

   政府参考人

   (内閣府広域避難・計画推進室長)         鎌原 宜文君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   岡田 智裕君

   政府参考人

   (消防庁審議官)     鳥井 陽一君

   政府参考人

   (外務省国際協力局長)  今福 孝男君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           榊原  毅君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           林  俊宏君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           豊嶋 太朗君

   政府参考人

   (国土交通省航空局安全部長)           石井 靖男君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            長崎 敏志君

   衆議院調査局第三特別調査室長           江成 友幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十四日

 辞任         補欠選任

  内山 こう君     井原  隆君

  木村 次郎君     島田 智明君

  西田 昭二君     平沼正二郎君

  渡辺  創君     赤羽 一嘉君

同日

 辞任         補欠選任

  井原  隆君     内山 こう君

  島田 智明君     渡辺 勝幸君

  平沼正二郎君     西田 昭二君

  赤羽 一嘉君     渡辺  創君

同日

 辞任         補欠選任

  渡辺 勝幸君     木村 次郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防災庁設置法案(内閣提出第一三号)

 防災庁設置法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第一四号)


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     ――――◇―――――

関委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、防災庁設置法案及び防災庁設置法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付のとおり、内閣官房デジタル行財政改革会議事務局審議官山澄克君外十名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

関委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

関委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。田中昌史君。

田中(昌)委員 おはようございます。自由民主党の田中昌史です。今日は、質問の機会をいただきました委員長、理事の皆様方に心から感謝を申し上げます。

 災害が多発する我が国におきまして、防災庁の意義というのは非常に大きいものがあると思います。先般の参考人質疑でも、四名の皆様方から大いに期待するというお声をいただきました。私も、防災庁には大いに発展、活躍いただきたいというふうに賛同するところであります。

 災害現場や被災地を私も見てまいりました。能登とか胆振東部を見てまいりまして、現場の方からお話を伺ってまいりました。

 私は理学療法士ですから、どちらかというと福祉的な、あるいは医療的な避難支援を見てきたわけでありますが、当然、命を救うだけではなくて、生活を守り、再建するというところまで完結して初めて防災の役割が成し遂げられるというふうに考えております。そのためには、かねてからこの委員会でも議論されておりますが、平時からの備えは極めて大事でありまして、行政と支援団体との関係、産学官民の連携を含めて大事なんですが、何よりも、地域に暮らす方々が、自分たちはこの防災で乗り切れる、安心だ、そう思って暮らしていただけることが極めて大事だろうと私は考えているところであります。

 こういった過去の災害を視察して経験した中で見てきたこと、そして、現場の皆さん方からいただいた声を基に今日は質問をさせていただきたいと考えております。

 まず、私は東京ブロック選出でございますので、首都直下地震への備えということで伺いたいと思います。

 この首都直下地震は単なる局地災害ではありません。首都圏を中心とした広域かつ長期避難を伴う災害となることが想定されます。内閣府による「首都直下地震の被害想定と対策について」という報告書では、建物の倒壊と火災による焼失で合わせて六十一万棟、死者が最大二万三千人という被害が想定されているということであります。多くの被災者が長期の避難生活を余儀なくされる事態となれば、高齢者を中心に生活不活発病を引き起こし、災害関連死に多くの方がつながる可能性があるのが首都直下地震だろうと思います。

 そこで伺いたいと思います。防災庁として、首都直下地震といった大規模災害に対して、インフラ整備や物資輸送だけではなくて、生活不活発病の予防ですとか身体機能の維持、災害関連死の防止といった、生活機能を守る防災をどのように事前計画に組み込んでいくのか、政府としての見解を伺いたいと思います。

横山政府参考人 お答えいたします。

 首都直下地震では、多数の避難者が発生し、自力での対応が困難な要支援者だけでも多数に上るため、こうした方々の健康を守り、災害関連死を防ぐため、高齢者等の身体機能を維持して生活機能の低下を防止する取組が重要だと考えてございます。

 このため、例えば、能登半島地震においては、避難所において段ボールベッド等の簡易ベッドを設置するとともに、リハビリ専門職の方が身体機能を維持するために体操教室を開催していたというような実績もございます。このような環境が災害現場において速やかに実現するよう、関係者が連携して事前の取組を進めることが重要だと考えてございます。

 このような観点から、例えば、例年、東京都を含む九都県市では首都直下地震を想定した九都県市合同防災訓練を実施してございますけれども、医師会等、保健、医療、福祉関係者も参画していただいてしっかりと行っているところでございます。

 計画上の位置づけとしても、中央防災会議幹事会で決定してございます国の首都直下地震における具体的な応急対策活動に関する計画においては、生活環境の変化による高齢者等の心身の機能低下、生活習慣病の悪化、心の問題等の健康上の課題に対応していく旨を記載しております。こういう考え方に基づいて、厚生労働省が新たに設置された保健医療福祉調整本部支援チームとも連携しながら、必要な保健、医療、福祉に関する支援活動が行われるよう取組を進めてまいりたいと考えてございます。

田中(昌)委員 ありがとうございます。しっかりお願いしたいと思います。

 いろいろ聞いても、例えば、東京都の区と協定を結んでいるんだけれども、具体的には何も進んでいないという声は多数私も聞いておりますので、具体的にしっかりと進展させていただきたいと考えているところであります。

 次に、地方自治体の専門人材の確保についてであります。

 命、健康、暮らしを守る初動対応を強化していくためには、市町村に所在する医療、福祉、リハビリ専門職などの専門人材のマンパワーが必要になりますが、現実には人材が不足している自治体も非常に多い。地方に行けば圧倒的に人材は不足していますし、これは加速している状況であります。

 そこで、政府は、自治体ごとの医療、福祉、リハビリ専門職等の充足状況とか災害時の動員可能人数をどの程度把握されていらっしゃるのか、また、人材不足の地域に対してどのような人的支援、制度的補完を行うのか、教えていただきたいと思います。

榊原政府参考人 お答え申し上げます。

 災害発生時に被災自治体が医療、福祉分野の活動を円滑に行うとともに、必要に応じて人的な支援を受けられるよう、国として平時より人材確保を進めることは重要と認識しているところでございます。

 災害医療において中心的な役割を担うDMATは、二万三百五十六名が隊員養成研修を修了しているところでございます。また、避難所等に避難する高齢者などの要配慮者に対し福祉的支援を行うDWATは約一万一千名、災害時のリハビリテーション支援を行うJRATは七百六十九名が隊員として登録されているところでございます。

 こうした災害時に活躍いただく人材の確保に向けて、各種予算事業により研修の実施等に取り組んでおりまして、引き続き、こうした取組を通じて、災害時における医療、福祉、リハビリテーションの人材を確保してまいりたいと考えているところでございます。

田中(昌)委員 ありがとうございます。

 DWATとかJRAT、こういったところの人員の教育、確保体制はまだまだ不十分な状況ではないかなと思っております。各団体は一生懸命やっていらっしゃると思っておりますが、是非政府としても支援をお願いしたい。

 それから、よく現場で聞くのは、災害が起こったときに、BCPをそれぞれ策定していると思うんですが、自分のところが策定したBCPを基にすると人は出せませんよというところは結構多いんです。まず自分のところの機能をしっかり維持しなきゃいけないということでありますから。

 ここは、BCPは非常に大事ですけれども、災害時においてのBCPの在り方というか、各施設の対応の在り方については、今後も政府としても検討していただきたいと思います。やはり、災害が起こったときに行けませんでは済まないと思うんですよ。行かなきゃいけないんです。でも、行ける体制を組むことがとても大事ですから、是非ここは今後とも検討していただきたいと考えております。

 次に参ります。専門職団体と自治体との連携であります。

 先ほどお話しした協定は、初動対応の空白時間を埋めるためにとても大事であります。ただ、誰が、何を、どこで、いつ、どこまで担うのか。例えば、南海トラフが起こったときに被災自治体に対してどこの県のどの市、町の専門職が入るのかという具体的な計画まで立てておかないと、正直言って実効的にはならないと思います。

 そこで、自治体とリハビリ専門職など医療福祉団体との事前の協定、そして、合同訓練、避難所支援における役割分担と計画策定などの進捗状況についてどのようになっているのか。これらの自治体と専門職団体との連携について、私は、全国的な標準モデルをつくって、地域防災計画もなかなか遅々として進んでいない自治体が多いですから、こういった標準モデルを参考にしながら地域防災計画を前に進めていくということを是非進めていかれたらどうかと思いますが、見解を伺いたいと思います。

横山政府参考人 大規模災害時におきましては、現場でリハビリを含めまして、保健、医療、福祉分野が連携して被災者に寄り添った支援が行われるよう、都道府県が保健医療福祉調整本部を設置することとされており、自治体に平時より保健医療福祉活動チーム等との合同訓練、研修、会議の開催等に取り組むよう求めているところでございます。例えば、関係行政機関や応援協定を締結している関係団体等による合同会議を開催し、行政、各団体、各事業者が実施できる内容を共有するなどの取組も進めてきているところでございます。

 平時から地域における関係団体等において連携を深めることを目指し、既に実施している自治体の先進事例をモデルとして示す通知を本年三月末に内閣府防災担当と厚生労働省の連名で発出して取組を促しているところでございます。

 さらに、必要な費用の問題がございますので、こういう取組も今年度創設した防災力強化総合交付金の対象にしてございます。

 防災庁の設置を見据えて、各自治体での開催を促して、事前に体制を整備するなど、厚生労働省とも連携しながら取組を進めてまいりたいと考えてございます。

田中(昌)委員 ありがとうございます。

 組織として協定を結んでいますよ、でも、そこに所属する会員たちが、自分たちがそういう役割を持っているという意識づけをきちんと平時からやっておくことは極めて大事だと思います。その意味では、計画を具体的に策定して事前訓練等もしっかりとやっておくことが非常に大事だと思いますので、是非お願いしたいと思っております。

 次に参ります。専門団体の災害支援の制度的な部分について質問したいと思います。

 医療、福祉に従事する団体、専門職には、災害に関わりたいという方は結構います。研修をやると結構募集が多いです。非常にいいことだと思います。しかし、現場では、支援に行きたいんだけれども所属機関の許可が得られないとか、派遣できないという声がある。その原因は主に二つあります。

 派遣した先で被災したり何らかの傷害を負ったときの責任の所在と補償はどうなるのかというのが一点目であります。

 二点目は、当然、派遣した人間の人件費、日当は支給されますが、派遣元の病院は、例えば出来高払いとか施設基準があったら当然減収になるわけです。経営的に医療、介護、福祉施設が非常に厳しい状況の中で、派遣したはいいけれども、減収になって経営が厳しくなるんだったらなかなか派遣しづらいということに当然なっていくわけであります。

 そこで、政府として、派遣する医療福祉施設への補償制度、医療福祉機関が職員を送り出しやすくなるような支援制度や基準の緩和、専門職の派遣に係る各団体の総合調整ですとか、あるいは人材育成の推進と財政措置について、十分な制度整備を行うべきであると考えますが、見解を伺いたいと思います。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の点につきまして、現在の取組状況でございますが、まず、医療機関が災害が発生した際に被災地にリハビリテーション専門職を含む職員を派遣した場合、診療報酬上の職員配置基準を柔軟に取り扱うことができるようにすることで、被災地への職員派遣支援を支援しているという制度的な対応を行っております。

 この取扱いにつきましては介護事業所等においても同様でございまして、被災地に職員を派遣した場合、災害発生時における人員基準、加算の算定のための人員配置について柔軟な取扱いをすることは差し支えないというような対応をしております。

 また、厚生労働省では、JRAT、日本災害リハビリテーション支援協会に対しまして、災害発生時における被災地のJRAT活動に係る連絡調整、リハビリテーション専門職等の派遣調整や、平常時における大規模災害等発生に備えたJRAT隊員への専門的な研修、都道府県における地域リハビリテーション体制の構築や強化、こういったところの事業に要する費用の補助を行っているところでございます。

 引き続きこうした必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

田中(昌)委員 ありがとうございます。

 基準緩和については適宜行われるという御答弁だったんだろうと思いますが、減収分については補填されない、まだ明確ではないということであろうと思いますから、これについても、派遣した施設が持ち出しでやらなきゃいけないというのは私は問題があるんじゃないかと思いますので、是非こういったものは引き続き検討いただきたいと思っております。

 最後の質問になりますけれども、広域防災について伺いたいと思います。

 この委員会でもずっと広域防災については議論が行われてまいりました。大規模災害、首都直下ですとか南海トラフ、千島・日本海溝もそうですけれども、広域災害では当然一自治体だけで対応するのは困難であります。先ほど申しましたとおり、自治体の現状の人員だけでは対応が難しいというのは明らかであろうと思います。

 自治体の職員も被災者であって、対応が困難になるというのはずっと指摘されているところであります。どの自治体で災害が発生するか分からないという状況の中で、私は、全自治体に配置転換されない防災担当職員を一名以上ずつ置いて、防災大学校での研修等も活用して人材育成をする、大規模災害が起こったときに周辺あるいは全国の自治体の防災担当者が一斉に被災地に入って一次対応に万全を期す体制を組んだ方がいいのではないかと考えているところであります。

 そこで質問しますが、政府として、広域災害を前提とした自治体横断型の防災体制の構築、全自治体における防災専門人材の配置の促進、防災大学校を活用した防災人材育成の強化、発災時に国の統括の下で防災人材を迅速に派遣できる仕組みの整備についてどのように取り組んでいかれるのか、見解を伺いたいと思います。

牧野国務大臣 田中委員の御質問にお答えをさせていただきます。

 御指摘のように、地方自治体は今人材不足でございますので、災害時に必要な要員を確保することは大変重要だと考えております。

 防災庁は、平時には、災害時の要員確保を含む事前防災について、関係府省庁とともに地方自治体を支援しております。例えば、災害発生時に国から迅速に応援職員を派遣するための事前の準備や、地方自治体間で相互に応援するための仕組みづくり、さらには、民間人材の育成、確保や、民間との協定の支援などの取組を強化しております。

 また、防災に関する専門人材の育成のため、今後、国や地方自治体の職員、さらには民間人材を対象に、仮称ではありますけれども、防災大学校の設置の検討を含めて、防災人材の育成の更なる強化を図ってまいります。

 加えて、防災に関する専門的な知識や経験を有する人材を地域防災マネジャーとして自治体が採用、配置するための経費を支援し、地方自治体への防災専門人材の配置を支援してまいります。

 このような事前の準備を行いながら、いざ発災時には、防災庁が被災自治体のワンストップ窓口として被災地のニーズを丁寧に酌み取り、ニーズに応じた人員が被災地に確保されるよう、関係府省庁、自治体、そして民間も含めた関係機関等と緊密に連携しながら、政府一丸となった伴走型の被災地支援を行ってまいります。

田中(昌)委員 大臣、ありがとうございました。是非大臣を先頭にしっかり頑張っていただきたいと思います。国民の安心を断固として守っていく防災庁の活躍を大いに期待したいと思っております。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

関委員長 次に、西園勝秀君。

西園委員 中道改革連合の西園勝秀でございます。本日は質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 先日、岩手県大槌町で大規模な山林火災が発生し、甚大な被害と多数の避難者を出しました。焼失面積は約千百七十六ヘクタールに及び、昨年の岩手県大船渡市の山林火災に次ぎ、平成以降では国内二番目の規模となります。気候変動に伴う乾燥化や強風の影響により、山林火災のリスクがかつてなく高まっております。

 現在、山林火災ではヘリコプター等による航空消火が行われていますが、上空から散水しても空中で霧散し、消火が必要な火元に十分な水が届きにくいという課題がございます。風がほとんどない状況でも、高度三十メートルから投下した水は大きく拡散してしまうのが実態です。

 さらに、近年は新たな課題も顕在化しています。報道によれば、ヘリコプターやドローン搭載の赤外線カメラで熱源を探査した際、熱源付近に熊などの野生動物が確認され、二次被害の危険から、消防隊員が山林内部に立ち入って行う消火活動が極めて困難となる事例も生じております。従来のように、上空から散水し、その後は地上部隊が何度も山林に入り消火を行うという人海戦術には限界が見え始めています。

 こうした、人が容易に近づけない、上空からの散水だけでは十分な消火性能を発揮しにくいという二重の課題を克服する技術として、近年注目されているのがゲル状消火剤でございます。

 資料一を御覧ください。ゲル状消火剤は、水を短時間で大量に吸収、ゲル化させることで、高所から投下した場合でも空中で霧散しにくく、必要なエリアへ効率的かつ的確に届けることが可能となります。通常の散水では水がすぐに蒸発してしまうため、冷却効果を十分に持続させることが困難です。しかし、ゲル化によって蒸発速度が抑えられるため、長時間にわたり冷却状態を維持できる点が大きな特徴です。この性質を活用することで、延焼防止帯の形成にも応用できるとされています。

 資料二を御覧ください。例えば、民家に火災が迫っている場合、あらかじめゲル状消火剤を帯状に散布することで延焼防止帯を構築することが可能です。また、火種をゲルで覆うことで酸素を遮断し、再燃の防止にも高い効果が期待されています。これにより、火の進行方向にある住宅や重要施設などを守ることにつながります。

 このゲル状消火剤は国際特許を取得している技術であり、二〇一五年には、深刻な山林火災被害に直面していたインドネシア政府から無償提供の要請が行われ、その後のJICA事業においても高い評価を受けております。現在では、アメリカやヨーロッパの環境関連展示会でも注目を集めるなど、国際的な関心が高まっています。

 しかしながら、国内での活用は足利市の山林火災における残火処理や一部地域での実証的な利用にとどまっており、国レベルでの本格的な導入が進んでいないのが現状です。激甚化する山林火災から我が国の貴重な国土と国民の命を守るためには、こうした革新的技術を迅速に社会実装し、全国的な配備を進めていく必要があると考えます。

 新設される防災庁には、従来の省庁縦割りや前例踏襲を乗り越え、真に有効な防災技術を現場へ届ける司令塔としての役割が期待されています。熊などの野生動物の出没リスクを含め、消防隊員の安全確保という観点からも、ゲル状消火剤の本格的な導入、配備を国主導で進めるべきと考えますが、政府の御見解を伺います。

鳥井政府参考人 お答えいたします。

 林野火災の消火薬剤でございますが、消防庁と林野庁で開催いたしました大船渡市林野火災を踏まえた防災対策のあり方に関する検討会におきまして昨年八月に報告書が取りまとめられましたが、その中で、環境影響も考慮しつつ、消火薬剤の効果的な活用方法を具体化する必要があることなどが提言されております。

 この林野火災用消火薬剤でございますが、委員御指摘のゲル剤のほか、延焼抑制剤、泡・浸潤剤などの種別がございますが、消防庁といたしましては、報告書を踏まえまして、現在、これらの消火薬剤の効果や環境への影響に関する評価方法等について、関係省庁と連携して検討を進めているところでございます。また、あわせて、消火薬剤の種別の特性を踏まえました効果的な活用方法についても検討を進めております。

 消防庁といたしましては、今後とも、これらを通じまして林野火災における消火薬剤の有効活用に向けました取組を進めまして、林野火災による被害の防止、軽減を図ってまいります。

西園委員 ありがとうございます。

 山林火災につきましては、その多くが人為的要因によるものである、こういう報告もございます。本来、野焼きは法律により原則禁止されておりますが、農業、林業、漁業等においてやむを得ない場合に限り例外的に認められているものでございます。しかし、近年、乾燥化や強風の頻発により、一たび火災が発生すると大規模化するリスクが高まっていることを踏まえれば、今後は野焼きの運用についてより慎重かつ厳格な対応が必要ではないかと考えます。

 例えば、野焼きを実施できる条件として、翌日の降水確率が一定以上見込まれる場合など、万が一出火した場合でも降雨による自然鎮火が期待できる条件下で野焼きを実施する、こういう制度化もあっていいのではないかと思います。これは質問ではございませんが、意見表明とさせていただきます。

 次に、公営住宅の入居要件の緩和について伺います。

 先日の参考人質疑において、東日本大震災を経験された菅原気仙沼市長から、事前防災の推進に向けた極めて重要な御指摘がございました。現在、全国で土砂災害警戒区域等の指定が進められていますが、こうした地域には、高齢者や障害をお持ちの方、さらには緊急車両での救助が困難な場所に居住されている方など、防災上、本来であればより安全な場所への移住が望ましい方々が暮らしておられます。しかしながら、自宅の耐震化や安全な地域への移転には多額の費用を要するため、経済的な事情から危険な場所に住み続けざるを得ず、災害時の逃げ遅れリスクを抱えたままの状態となっているのが現状でございます。

 一方、人口減少社会を迎える中で、被災地に整備された災害公営住宅や全国の公営住宅では、今後空き室の増加が見込まれております。菅原市長は、こうした安全性の高い公営住宅を危険地域からの移転先として積極的に活用すべきではないかと御提案をされました。

 しかし、ここで大きな課題となるのが、現行の公営住宅法における住宅に困窮していること、すなわち持家を所有していないことを前提とした入居要件です。このため、たとえ危険地域内に老朽化した住宅を所有している高齢者であっても、自らの命を守るために空き家のある公営住宅への転居を希望した場合、制度上、入居が認められないケースが生じています。

 危険地域からの移転を促進し、住民の命を守る観点から、こうした場合には特例的に公営住宅の入居要件を緩和する必要があると考えますが、政府の御見解をお伺いいたします。

豊嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 公営住宅は、住宅セーフティーネットの根幹として、住宅に困窮する低額所得者の居住の安定を図るために供給されるものであります。このため、入居者は、現に住宅に困窮している者としており、原則として居住可能な住宅を所有していないことなどを要件としております。

 一方で、議員御指摘のとおり、東日本大震災などの被災地を含め、人口減少や高齢化に伴い、一部の地域では災害公営住宅又は一般的な公営住宅に空き室が生じていることも承知してございます。このような場合には、地域における様々なニーズに対応するため、公営住宅本来の目的に支障のない範囲で、地方公共団体の判断により、公営住宅の空き室を他の様々な目的に使用することが可能です。例えば、委員御指摘のような、危険な地域に居住されている方々の移転を目的とするような取組も可能であります。取組の内容に応じまして、例えば、住宅を所有している方が入居することも十分考えられると考えております。

 国土交通省としては、目的外使用等により公営住宅の活用に関して柔軟な運用が可能であることなどについて、引き続き地方公共団体に周知を行ってまいりたいと考えております。

西園委員 御答弁ありがとうございます。

 今のお話だと、いわゆる目的外使用として入居は可能だということでございます。これは自治体の判断でということでございます。

 そうなると、なぜ気仙沼市長がこれができないとおっしゃられたのかというと、多分、私の想像するに、この要件が十分に各自治体に伝わっていないというふうに私は思います。その意味では、これが制度上できるのであるとすれば、私は、事前防災という観点からも、公営住宅への入居、空き室の活用というのは非常に有効だと思いますので、是非周知をよろしくお願いしたいと存じます。

 次に、大都市圏の大規模災害における高齢者、児童生徒の広域的避難について伺います。

 先日の参考人質疑において、同じく菅原気仙沼市長から、首都直下地震などの大都市圏における大規模災害について重要な問題提起がございました。

 大都市の災害における発災直後の最大のボトルネックは、圧倒的な人口の多さです。水や食事、排せつといった生命維持の基盤が瞬時に限界に達します。膨大な避難者を被災地だけで抱え込み、支援を届けるには物理的な限界があり、これまでの延長線上での対策では命を守り切ることができません。この極限状態を乗り切るためには、被災地外への計画的な広域的避難の仕組みが不可欠です。

 菅原市長は、高齢者世帯を地方で受け入れたり、少子化で空き教室がある地方の学校に児童生徒を学校単位で受け入れたりするホストシティー制度を御提案されました。東日本大震災で全国から支援を受けた東北などの地方の自治体は、今度は恩返しとして都市部の被災地の役に立ちたいという強い思いを持たれております。

 しかし、発災して大混乱に陥ってから受入先を探すような泥縄式の対応では到底間に合いません。いざというときにこの広域的避難を機能させるためには、平時からの自治体間マッチングや事前交流が不可欠であり、これはまさに最強の事前防災です。新設される防災庁には、単なる省庁間の調整にとどまらず、大都市と地方の自治体を結びつけ、日本全体の余力をフル活用する広域調整の司令塔としての役割が求められます。

 命を守るための大都市からの広域的避難の仕組みづくり、そして、ホストシティー制度のような事前マッチングを防災庁として国主導で強力に進めていくべきと考えますが、牧野大臣の御見解をお伺いいたします。

牧野国務大臣 西園委員の御質問にお答えをさせていただきたいと思います。

 私も、参考人質疑の議事録を読ませていただきました。議員の御指摘の広域的避難につきましては、昨年の十二月に取りまとめられた中央防災会議の首都直下地震対策検討ワーキンググループの報告書におきましても、首都直下地震が発生した場合、避難所に入れない被災者の命を守るために、積極的に広域的避難を進めることが必要であるとされております。

 この報告書の中で、首都圏の地方公共団体におきましては、あらかじめ他の地方公共団体との間で協定の締結などによって避難先を確保すること、また、広域的避難の実施のための計画を作成し、首都直下地震発生時の広域的避難の実施に向けた具体的な体制の構築を進めることが必要とされております。

 この報告書を踏まえ、今後、防災庁におきましては、徹底した事前防災に向けた重要な施策の一つとして、東京圏と他の地方公共団体との間で、協定締結の促進を始めとした広域的避難の体制構築に取り組んでまいりたいと考えております。

西園委員 大臣、力強い御答弁をありがとうございます。

 大臣も私も地元が静岡ということもございまして、これは私は地方創生の大きな一つの切り札にもなってくるんじゃないかというふうに思いますので、是非東京と地方との交流を進めていただければと存じます。

 次に、津波来襲時における車避難の要件について伺います。

 先日の参考人質疑において、菅原気仙沼市長から、防災において最も重要なのは、避難所に無事に到達することであり、津波避難においてはそれがほぼ全てであるとの強い御指摘がございました。その一方で、確実に避難を完了するための調査研究がいまだ十分とは言えないのではないかとの深刻な懸念も示されました。

 現在、政府のガイドラインでは、津波避難は徒歩避難が原則であり、車避難は例外とされています。しかし、菅原市長は、全ての地域で一律にその考え方を当てはめてよいのか、遠地津波のように、時間的猶予がある場合も同様なのかと問題提起され、地域特性に応じた明確な基準が存在していないことを指摘されました。

 この点については、四月十六日の本委員会において、私からも、地区防災計画に津波避難時の車使用のルールを明記してはどうかと提案させていただきました。その際、政府からは、津波からの避難が円滑に行われるよう、地区防災計画への避難ルールの位置づけを進めるため、地域への伴走支援を強化していくとの趣旨の御答弁をいただいております。

 本日は、更に一歩踏み込み、津波避難時に使用できる車両をあらかじめ特定してはどうかという提案をさせていただきます。具体的には、身体障害者マークを表示した車両に限定するという考え方です。

 道路交通法では、既に、身体障害者用の車の通行を妨げた場合、罰せられることが明記されています。そのため、地区防災計画において、津波避難時に使用できる車両は身体障害者マークを表示した車両に限定すると明記すれば、実効性のある避難ルールとして機能させることが可能になると考えます。また、このようなルールが整備されれば、個別避難計画の対象となる要支援者を支える方も安心して車両による避難支援を行うことができるのではないでしょうか。

 津波避難時の車使用のルールについて、地区防災計画に適切に位置づけていく必要がございます。国として、自治体が実効性ある避難計画を策定できるよう、ガイドラインの整備や技術的助言を含め、主体的かつ強力に支援すべきと考えますが、政府の御見解をお伺いいたします。

鎌原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員からも御指摘がございましたけれども、現在、政府の防災基本計画におきましては、津波からの避難を行うに当たりましては、地震による道路の損傷や液状化による交通障害ですとか、渋滞発生による避難支援活動への支障などが考えられることから、徒歩を原則としているところであります。

 その上で、高齢者、障害者といった要配慮者の存在や、津波到達時間など、地域の実情を踏まえて、やむを得ず車で避難せざるを得ない場合には、市町村において、車で安全かつ確実に避難できる方策をあらかじめ検討するよう求めております。

 自治体の避難計画の中身は様々ございます。例えば、車避難の対象者として、高齢者、障害者など自力避難が困難な要支援者とその支援者を掲げているもの、あるいは、避難場所までの距離が遠く、徒歩避難が困難な地区の住民などを示しているものですとか、あるいは、渋滞対策を講じている事例としまして、渋滞の原因となる右折を控えて、避難時には左折して避難場所に向かうことを要請しているものなどがございます。

 それから、先ほど議員から御指摘がございました車両を限定するということにつきましても、道路がそもそも交差点のところで渋滞がどうなるかなど、いろいろ地域の特性があろうかと思っております。

 ですので、私どもとしましては、地域の特性に応じてそれぞれの自治体が適切な、最も安全に避難所に到達できる避難ルートなり避難の方法をあらかじめ策定できるように、先ほど御指摘がございましたけれども、地区防災計画の策定への支援ですとか、あるいはシミュレーションを行うといったようなことを積極的に促進してまいりたいと考えておりますので、そういったものへの技術的な助言などを通じまして、様々な地域の実情に応じた避難の在り方についての自治体の検討を促してまいりたいと考えております。

 以上です。

西園委員 ありがとうございます。

 個別避難計画の策定率は、現在、全国平均で一四%でございます。その意味では、今のは一つの案でございますけれども、最終的には地区防災計画にどうやって避難の在り方を位置づけていくかということが大事でございますので、是非御検討をお願いいたします。

 時間が迫っていますので、最後の質問を先にやらせていただきます。

 国による支援物資の管理と効率的な投入について質問をさせていただきます。

 過去の大規模災害では、全国から多くの支援物資が被災地に届けられたにもかかわらず、避難所や被災者一人一人の手元まで十分に行き渡らない、いわゆるラストワンマイル問題が深刻な課題となってきました。

 熊本地震や能登半島地震においても、物資集積拠点には大量の支援物資が集まる一方で、自治体側に配送手段や在庫管理のノウハウが不足し、職員が荷降ろしや荷分け作業に追われ、疲弊の末に機能不全に陥る事態が繰り返されました。発災直後は市町村職員自身も被災者であり、限られた人員で膨大な物資を配送、管理することには限界がございます。

 先日の参考人質疑において菅野参考人から、餅は餅屋との御指摘がございましたが、まさに、平時から物流を担っている民間物流事業者や流通、小売業界の専門的ノウハウを有事に十分活用できる仕組みが整っていないことが大きな課題と考えます。

 また、国によるプッシュ型支援についても、避難所ごとにリアルタイムなニーズ把握が十分ではないため、必要な物資が不足する一方で、別の物資が過剰に届くなど、現場の混乱を招くケースが指摘されています。例えば、避難所となる体育館の床が硬く、十分な睡眠を確保できないことから、一人一畳分の畳が欲しいという切実な声が上がっていても、そのニーズが迅速かつ的確に支援側に共有されない場合もございます。

 だからこそ、新設される防災庁には、このラストワンマイル問題を根本から解消するための強力な司令塔機能が求められます。

 具体的には、国が主導して、大手物流事業者や流通、小売企業等と包括的な事前協定を締結し、発災時には、行政の細やかな指示を待つことなく、民間の専門能力を最大限活用して、物資の調達、集積拠点の運営、避難所への配送までを一体的に担う官民連携体制を構築する必要があります。

 政府は、令和二年度から運用している物資調達・輸送調整等支援システムについて、能登半島地震での活用時に寄せられた改善要望等を踏まえ、操作性などを考慮した新たな物資支援システム、通称B―PLoを整備し、昨年から運用を開始したと承知しております。

 一方で、先月発生した岩手県大槌町の山林火災では、避難所に集まった住民の方々が床に雑魚寝状態で避難生活を送っていたと伺っております。なぜ、段ボールベッドや畳といった最低限の生活環境を支える物資が迅速に供給されなかったのか、B―PLoの運用体制について、実災害を踏まえた検証を徹底するとともに、災害時に確実に機能するよう、全自治体を対象とした実践的な訓練を行うべきと考えますが、牧野大臣の御見解をお伺いいたします。

牧野国務大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 まず、大規模の災害時には、委員御指摘のとおり、自治体職員だけでは迅速な物資支援が困難になることが想定されることから、あらかじめ民間の物流事業者などが有する人材、資機材、ノウハウを活用可能とする体制整備が必要と考えております。

 そのため、内閣府におきましては、今年の一月に、国交省と連名でひな形を示しつつ、民間物流事業者などとの協定締結を促す通知を全国の自治体に発出していると承知しております。

 今委員の御指摘がありました新物資システムのB―PLoが山林火災で活用されなかったということでございますが、まだ運用途中でございまして、なかなか全ての自治体のニーズに応えられるところまで環境が整ってきていないなというのを今御指摘をいただいて感じたところです。

 これから防災庁設置後には、このシステムを用いた訓練だったり物資の搬出の訓練に、自治体の職員に加えて、協定締結先の民間物流事業者にも参加していただくことで、実効性のある官民連携体制の構築に努めてまいります。

 とにかく、いろいろな災害がございますが、森林火災そのものの鎮火活動は消防庁並びに各自治体、各都道府県が行うものと承知しておりますけれども、避難に関してはこれから防災庁が深く関わっていかなきゃいけないところでございますので、御指摘を十分受け止めまして、更に充実したシステムができるように取り組んでいきたいと思います。

西園委員 ありがとうございます。

 是非、防災庁の司令塔としての役割に期待しております。

 質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

関委員長 次に、青柳仁士君。

青柳委員 日本維新の会の青柳仁士です。

 まず、災害における自助、共助、公助の考え方についてお伺いしたいと思います。

 先日の質疑の中で、実際にかつての災害対応に政府として当たられた委員の方から、現場では、政府が加害者、被災者が被害者というような雰囲気もあって、非常に殺伐としていたというようなお話もございました。本来そういったことはあってはならないものでありまして、我々が闘うべきは災害、あるいは災害復興に対する迅速な対応ということでありまして、政府と一般の方々が対立するような構図であってはならないと思っております。

 そういった観点からも、通常は、災害というのはまずは自助、自分自身を守る。そして共助、自分の家族あるいは地域、そういったところで助け合う。さらにその上で公助がある。今回の防災庁もその中に位置づけられるものだと考えております。

 しかしながら、自助と共助がちぐはぐだったり、あるいは、自助、共助でやっていることと公助がやっていることが全く連携が取れていなければ、それは実際の災害対応としては非常に非効率なことになってくるんだろうと思っております。

 そういった観点で考えますと、今回、司令塔機能ということで、まずは、防災庁、国がこうするんだと言えば当然自助、共助の方もそっちの方向を向くわけですけれども、そういったことを考えるときには、単に政府の中で指令すればいいというよりも、被災地、あるいは国全体の防災も含めた中で、自助、共助も含めてどういう体制をつくっていくのかという指令が求められると思うんですが、この点について大臣の御見解をお伺いできればと思います。

牧野国務大臣 青柳委員の御質問にお答えをさせていただきたいと思います。

 事前防災でも、そして災害対応でも、自助、共助、公助を適切に組み合わせて取り組むことが必要であると認識しております。

 現在、内閣府では、必要な公助に加えて、自助への働きかけとして、国民一人一人が災害を我が事として捉え、平時から災害に対する備えを心がけるとともに、自分の命は自ら守るという意識を持っていただいて、行動変容につなげていただくための啓発、防災教育を進めております。

 また、共助への働きかけとしましては、地域コミュニティー単位で住民による自発的な防災活動を定める地区防災計画策定の促進や、ボランティア活動がしやすい環境整備等の取組を進めております。

 防災庁では、このような業務を引き継いだ上で、平時から発災時、復旧復興までの一貫した司令塔として、関係省庁、自治体等とともに連携を図りながら、公助を強化するのはもちろんですけれども、自助、共助を促して支える取組も進めていき、国全体として防災力の向上に努めてまいります。

青柳委員 まさに最後におっしゃられた自助、共助の取組も含めた防災力の強化の旗振りをしていく、こういうことが非常に重要だと思います。

 その観点で、前回私が質疑に立たせていただいたときに一つ御提案させていただいていたのが、防災人材の登録制度をつくってはどうかということがございました。

 これは、現在、全国に三十五万人以上の防災士の方が、民間資格でありますが、おられます。加えて、防災のコンサルタント、企業のBCP担当、危機管理部門の方、工場の安全管理責任者、大規模施設の防災責任者など、防災を自らの職業とされている方はかなりたくさんおられるわけです。

 ですから、こういった方々は日頃から防災意識が高いわけですし、そういった方々を登録することによって、災害時に迅速に大量の人材を動員する、こういう体制をつくるべきではないかということを先日御提案させていただきました。

 これは、主眼としては、平時に必要な人員の数と災害時に必要な人員の数は恐らく何千とか何万ぐらいの違いになってくるものですから、それを平時から抱えておくことはコスト的にも不可能ではないかと思うんです。専門性をそのまま持つといっても、雇う人材だけでそれをカバーするのも、多種多様でなかなか難しいのではないかということを指摘させていただいたんです。

 それに加えて、今の自助、共助という観点からも、実は、私は、かつて国連職員をしておったときに、サージというプログラムに登録していたことがございます。これは、大災害、紛争、感染症の流行、難民の急増というのが世界で起きた場合に、ふだんは別の仕事をしているんですけれども、あしたから現地に飛んでくれということで、国連職員の何人かが集められて一気に行く、こういうプログラムでした。

 それに登録するためには研修を受けなきゃいけなくて、一定の実地も含めた研修を行い、そして資格を取って、ふだんから防災訓練だとか、あるいは、そういった災害関係のことがあるとほとんどそういう会議にも出席して、日頃から非常に意識を高く持っておりました。

 また、オフィスの中で防災関係のことがあると皆さんが私に聞きに来たりとか、あるいは、サージに登録している者同士でつながりがどんどん大きくなっていくということがございました。

 同様に、それ以前に、JICAの職員として国際緊急援助隊の登録制度にも登録していたことがございます。

 何を申し上げたいかといいますと、そういった人材は、恐らく、実際に災害が起きたときに、政府から何かをやってくださいと言われなくても、勝手に災害の現場で一生懸命人助けをすると思います。また、専門的な知見と意識、かつ周りの方々とのつながりを持っていますから、全く無償でと言うと言い方があれですけれども、自らの意思で防災に役立つ人材になってくれるというのが実体験としてもございます。

 そういった観点からも、今、防災庁の方では、先ほども、物流に関するシステムをいろいろな企業と一緒にやっていく、地域をベースにやっていくというお話がございましたけれども、そういった組織とか団体だけではなくて、こういった個人の方々を登録していくことによって、実際にその方々が有事の際に活用されるということも重要ですが、それ以上に、活用されない方々が各地域でふだんから防災の意識を高めていただく、地域のつながりをつくっていただく、そして、災害が起きたときには自発的に公助と連動した動きをしていただくということが非常に重要ではないかと思いますが、この点についても御所見をお伺いできればと思います。

牧野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 青柳委員が御指摘のとおり、災害対応に関する知見や技能を持った人材の確保は重要なことだと認識しておりまして、そういった人材が活躍できる環境整備が必要だと思っております。

 現在、内閣府の防災担当では、個人ではなくて団体でございますけれども、被災者支援の実績や技能を有する人材が所属する民間団体、ボランティア団体が主になりますが、被災者援護協力団体として登録して、その活動実績等のデータベースを地方自治体等に共有する取組を令和七年度から開始しているものと承知しております。

 また、各地で避難所運営を担う、被災地域のボランティア人材を育成する避難生活支援リーダー、サポーター研修を実施しておりまして、これまで研修修了者およそ千八百人の方たちのデータベースを整備していると伺っております。

 引き続き、防災に関する民間人材が災害時に円滑に活用できるような取組を進めていきたいと考えております。

青柳委員 今御説明があったように、各団体、組織という形で民間の専門性を取り込んでいく、あるいは組織を通じて個人の方々を集めていく、こういう取組ももちろん重要だと思うんですけれども、御提言させていただいているのは個人の方。

 というのは、例えば、今、予備自衛官という制度がございます。私の周りにも入っていらっしゃる方はたくさんいるんですが、予備自衛官になると、この国を守るんだ、こういう意識が生まれてきます、また、誇りのようなものを感じて皆さんはやられている。例えば、予備防災官、名前は何でも構いません、この国の防災は自分が担っているんだ、そういう気持ちになっていただけるんじゃないかと思います。

 私も、国連職員やJICA職員のときに、国際緊急援助隊、サージの隊員として登録していたときには、世界の紛争、有事が起きたときには、私はそこに役に立つ人間なんだ、こういう誇りと意識を持って仕事をさせていただいておりました。そういった意識こそが有事の際には非常に重要でありますし、平時でも周囲の防災意識を高めていく上でも非常に重要なことだと思いますので、キャパシティーを得るという意味で団体を登録していくことも重要なんですが、是非とも個人の登録ということも今後立ち上がった後に様々な検討の中で御検討いただければと思っております。

 次に、防災庁と復興庁の統合についての課題についてお伺いしたいと思います。

 済みません、その前に今の点についてもう一点。

 今、組織を通して登録するという話だったと思うんですが、個人を登録するときの課題というのはどういうふうに考えておられるか、教えていただけますでしょうか。

横山政府参考人 課題自体を少し研究しなきゃいけないところもあるんですけれども、現時点で団体を登録しているのは、団体の活動実績を通じて、そこに所属の個人の方自身の実績を把握しやすいという部分がございます。

 一方、個人の方ですと、その個人の方一人一人にそういうことを申請いただいたり証明していただくことになりますけれども、例えば、そういうやり方について、資格制度みたいに決まった研修を受けていただく、試験を受けていただくみたいな仕組みを通じずにやる方法が、今我々が考えているやり方としては少し難しい点があることは課題と考えてございます。

青柳委員 今は団体についてのことを進めているので、個人についての課題整理が特段できているわけではないということだと思いますので、それも含めて是非とも前向きに検討いただければと思います。

 防災庁と復興庁の統合についてお伺いしたいんですが、これも前回の質疑のときに、将来的には統合していくべきじゃないかということを申し上げたんですが、大臣は両方を兼ねておられるということで、率直な御意見をお伺いしたいんです。

 まず、その前に、例えば、全く考えたくもないことではあるんですけれども、復興庁は、基本的には東日本大震災の復興に当たる、こういう専門的な、特別な職務を持っている、防災庁はその後生じている大災害に対応するということですが、仮にこの後、東日本大震災の被災地域を含む新しい大災害が起きた場合にはどちらが対応することになるのか。まずはこれについて教えていただけますでしょうか。

牧野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 想定をしておりませんでしたので、今私が考えていることを述べさせていただきたいと思います。

 防災庁はいろいろな大規模災害に迅速に発生時から対応していく組織でございまして、そうした災害が起きたとき、発災時には、防災庁がまず自治体や都道府県、関係府省庁と協力して対応に当たると思います。

 その上で、復興という面に関しては、両方の組織が関わりますので、それは恐らく協力しながら対応していくことになるんじゃないかと思います。

青柳委員 今の御答弁ですと、初動に関しては防災庁、復興に関しては防災庁と復興庁。つまり、新しい災害としての防災庁の役割と、それから、東日本大震災の付加的な要素と考えた上で復興庁が対応する、恐らくこういう整理になるんだろうと私も思います。ただ、そうした場合に、まず、対応がちぐはぐにならないかと思います。

 それから、そもそも、東日本大震災の教訓というのは、我が国にとっても、世界全体から見ても、災害対応の極めて重要な知見かつ経験でありまして、それだけを復興庁が担いつつ、それ以外の知見を防災庁にためていく、これもまた合理性で考えるとやや疑問があるんです。

 これは通告している質問で、今現在別々なわけですけれども、別々であった方がよいという理由は現状どのように政府として考えているんでしょうか。

牧野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 何回も繰り返して恐縮ですが、防災庁は、今申し上げたみたいに、もちろん今も内閣府防災部門が担当しておりますが、これから起きるであろう大きな災害に対して、発災時の対応から復旧復興まで一貫した国の司令塔としての機能を持つ役所だと思っております。

 復興庁は、東日本大震災及び東京電力福島第一原発の事故から一年はたっていませんけれども、翌年にできた組織で、復旧復興に特化した役所だと思っております。

 ですので、今の段階では、それぞれが別の任務を持っておりますので、それを統合ということを考えてはおりませんというふうにお答えをさせていただいております。

青柳委員 現時点で今すぐここで統合しますと大臣がおっしゃったらニュースになってしまいますので、それはもちろんそういったお答えになると思うんですが、ただ、法律によりますと、令和十二年度末に復興庁は収束というか、一旦そこで区切りがついていくわけです。一般論で申し上げても、省庁の数がどんどん増えていくということは行政コストの観点からも望ましいことではないと思います。

 また、今お話を伺っても、これは私の個人的な意見ですけれども、政府また今の大臣の御答弁を聞いていても、両方が分かれている理由が余りしっくりとこないというか、すとんと腹に落ちて納得できないところが正直ございます。

 そういった観点から、令和十二年度末にこれまでの方針どおり復興庁の役割を終えるというときには、特段の理由がなければこれは予定どおり閉じられていくものだというふうに、防災庁側といいますか、政府としても現時点では考えているということでよろしいでしょうか。

牧野国務大臣 繰り返しになって大変恐縮ですが、今の時点で統合というのは考えておりません。十二年度の段階、その直前になったときに、今やっている復興庁の復興事業が、我々は当然のことながら、今の八年度から始まる第三期の復興・創生期間で何としてもいろいろな課題を全部片づけていきたいと思っていますが、その状況を見た上でのいろいろな判断になるかと思います。

    〔委員長退席、簗委員長代理着席〕

青柳委員 なかなか言いづらいかもしれませんけれども、基本的には、時限措置として法律が制定されている以上は、今いろいろな法律の中で自動的に延長していくような慣例みたいなものもあちこち見られるわけですけれども、そういうことではなくて、特に福島の復興、東日本大震災の復興が重要だ、これは全員の認識だと思うんです。ですが、組織としてその機能を引き継いではいけないということもないでしょうし、また、その知見と経験が重要であるからこそ、これからの日本全体の未来の防災を担っていく防災庁がそういったところをしっかりと取り込んで、有機的に本当に強い体制をつくっていくことが重要だと思いますので、是非とも法律の施行どおり、復興庁そして防災庁については期限も含めた対応を考えていただければと思っております。

 以上で質疑を終わります。ありがとうございました。

簗委員長代理 次に、佐々木真琴君。

佐々木(真)委員 国民民主党・無所属クラブの佐々木真琴です。本日も質疑の機会をいただき、ありがとうございます。

 早速ですが、質問に入らせていただきます。

 これまで私は、防災庁について、単なる調整機関ではなく、現場の変化に対応できる実効性のある組織であり、旗振り役であるべきだというような観点から様々質問をしてまいりました。

 本日は、総まとめといたしまして、災害の激甚化だけではなく、人口減少、避難行動の変化、そして地域経済構造の変化、地域コミュニティーの変化など、災害自体を取り巻く環境そのものが変化しているという視点から、徹底した事前防災を掲げる防災庁がこれからの日本にどのように対応していくかという観点で伺ってまいりたいと思います。

 まず一点目でございます。

 避難の形が変わっていると先ほど申し上げましたけれども、従来は、避難所に集まる、避難所で寝泊まりするという前提で災害対応が組まれてまいりましたけれども、最近では、在宅避難もありますし、車中泊の避難もございますし、親族、親類宅に避難するということ、また、広域で県域を越えて避難するといった形、また、ペット同行、同伴で避難するというところも見えてまいりましたし、避難そのものが非常に多様化、多様性を持ち始めていると認識いたしております。

 実際、先日起きました岩手県大槌町の山林火災におきましても、避難所の登録は避難所でしているんだけれども、昼は仕事に出ているので昼には全然いなくて、でも登録はされているので御飯は用意します。けれども、昼は仕事で出ているので、避難所に全然人がいなくて御飯も大量に余ってしまうというようなことも発生いたしておりました。

 つまり、何が言いたいかというと、避難所の人数把握みたいなものも、生活のスタイルと合う中で、非常に難しいなというところも現場の皆様は感じております。食料や支援物資が余るといったことであるとか、あとは、まさに、子供たちが在宅で避難しているときに、本当は支援が必要かもしれないけれども、そこに届いていないというような実態も起きてまいりました。そして、避難所にいる子供には支援が届く一方で、子供たちの居場所をつくるときにも、在宅避難している子供が多かったので、なかなか見守りや支援が届きにくいという課題もございます。

 また、広域避難も増えておりますし、能登半島地震でも県外への避難があったというふうに聞いております。今回の大槌の山林火災におきましても、私の知人も、ちょうど妊婦だったので、盛岡であるとか、近隣の実家に避難するとか親族の家に避難するという対応をされている方も多数いらっしゃいました。

 様々状況が変わっていく、まさに状況の変化の過渡期に今我々はいるんじゃないかというふうに思います。

 また、今後起きると言われている南海トラフ巨大地震であるとか首都直下地震を考えると、自治体や県域を越えた避難ということ自体がそもそも前提になってくるとも考えられます。

 一方で、今、現場で何が懸念点として上がっているかと申しますと、今の避難者の管理システムが自治体であるとか都道府県ごとに異なっておりまして、県域を越えていくと、どこからどこにその方が避難したのかの把握とか支援が難しいという話を首長の皆様たちからも御意見として伺っておるところです。

 そこで伺いますけれども、徹底した事前防災を掲げる防災庁としては、こうした避難行動の変化を現状どのように認識しているのか、また、広域での避難人数の把握、そして、在宅で避難されている方の把握と支援、子供の見守り、物資や資機材の管理など、マイナンバーであるとかデジタル技術を活用して、そういったところも含め、全国的な情報基盤をどのように構築していくお考えなのか、伺いたいと思います。

 さらには、単なる検討という形ではなくて、まさに県域を越えた避難者の管理システムというものは長年自治体からも御要望が出ている観点だと思いますので、防災庁が主導していつごろまでにどういった形で実現していくお考えなのかも具体的に方向性を伺いたいと思います。

 システムがばらばらなままでは安心して国民の命を守ることになかなかつながりませんので、防災庁の責任において進めていくお気持ちがあるのか、是非とも見解を伺いたいと思います。

    〔簗委員長代理退席、委員長着席〕

横山政府参考人 お答え申し上げます。

 大規模災害発生時には、自治体をまたぐ広域避難者や、在宅避難や車中泊等の避難所外に避難する被災者が発生します。変化という御指摘がございましたけれども、個々の災害、地域の状況によって様々な避難が起こっていて、そのときそのときで対応を迫られている状況というふうな認識でございます。

 いずれにいたしましても、避難者が避難する場所にかかわらず、被災者一人一人に寄り添った支援をどういうふうに行っていくかということが大きな課題だろうと思ってございます。

 その前提として、被災者一人一人の所在、ニーズを把握することが重要になってまいりますので、的確な被災者支援を行うために、まず、ある支援者が得た情報を共有できるよう、支援を行う自治体等において必要な情報を集約することが重要と考えてございます。デジタル技術も活用して、自治体等が平時に収集済みの情報や、広域避難者あるいは避難所の外におられる避難者も含めて発災後に収集する情報をデータベースとして集約いたしまして、さらに、広域災害において自治体間でも情報共有する仕組みが求められていると考えてございます。

 このときに、各自治体がそれぞれシステムを作ってきている経緯がございますので、スムースな情報集約やシステム間の情報連携のためには、各種のデジタルツールやシステムにより収集されるデータの標準化が重要になると認識してございます。

 こうした観点から、防災庁の設置も見据えて、まず今年度は、被災者支援に必要な情報項目の標準化等を進め、情報連携の際に必要となる被災者データベースに求められる要件を整理した上で、広域避難者への支援も見据えて、自治体間での情報連携の在り方について検討してまいりたいと考えてございます。

 このような取組を通じまして、各種のデジタルツールやシステムを互換性のあるものとすることなど、被災者一人一人のニーズ把握に有効活用できる環境整備を防災庁として責任を持って進めることで、支援を行う自治体での情報連携の円滑化を実現し、様々な状況に置かれる避難者への適切な支援の提供につなげるよう努めてまいりたいと考えてございます。

佐々木(真)委員 ありがとうございます。

 今年度もしっかりと要件整理を進められていくということですので、是非とも今後に期待をしていきたいと思います。

 次に、災害対応を支える人が減っているという観点での質問になります。

 地方では、特に人口減少、高齢化が進みまして、地域防災を支える力そのものが減っていっているところでございます。特に、消防団も非常に深刻な状況です。私は元々自治体議員でございましたので、消防団の議論は市議会等では様々議論が交わされているところでございます。

 今回の岩手県大槌町の山林火災におきましても、先日も申し上げましたけれども、漁業者の皆さん、漁師の皆様が時間を縫って、自分たちの仕事を置いて、まずは地域のために対応に当たっておられました。

 そういった中で、自主防災組織であるとか避難所の運営、要配慮者の支援なども地域コミュニティーの力によって今まで支えられてきた部分が大変多くありましたけれども、今後は、支える人は減っていく一方で、災害の激甚化であるとか多発化というところの構造の課題に私たちは向き合っていかないといけないんだと思います。

 そこで伺いますけれども、防災庁としては、人口減少社会における地域防災の担い手不足をどのような危機感で認識しているのか、また、消防団の確保、後方支援の受援体制、専門人材の育成、民間との連携、デジタルの活用などをしまして、省力化などを含め、人口減少時代に対応した防災体制をどのように構築していくお考えなのかを伺いたいと思います。

 加えて、今回のように長期化する災害対応において、消防団員の処遇改善であるとか、企業との連携支援、長期出動時の負担軽減、防災DXを活用した省力化など、総務省消防庁などの関係省庁ともどのように連携して具体的な支援策につなげていくお考えなのかも併せて伺います。よろしくお願いいたします。

横山政府参考人 地域で少子高齢化、人口減少が進む中で、地域コミュニティーの弱体化、市町村職員、消防団を始めとする災害対応の担い手の減少など、社会全体で災害対応力の低下が懸念されている中で、大規模な災害から国民を守るためには、もちろん担い手の人数の確保あるいは能力向上などに努めることが求められてございますし、発災時にいかに効率的に災害対応ができる準備をしておくか、いかに迅速に外から応援に入るかということが重要になってまいろうと考えてございます。

 災害対応の効率化については、デジタル技術を活用して様々な災害情報を関係機関の間で速やかに共有し、活用することなどを通じて、その実現に努めてまいりたいと考えてございます。

 そして、広域的な応援体制については、まずは都道府県の役割が大きいと認識してございます。防災庁では、ふるさと防災職員や新たな交付金も活用して、市町村を支える都道府県の事前防災の取組を通じた災害対応力の向上を支援してまいりたいと考えてございます。

 さらに、大規模な災害の場合は、防災庁が司令塔となり、政府一体となって国が都道府県とともに市町村や地域を支えることが重要になってまいりますので、このための体制強化として、例えば、プッシュ型支援の分散備蓄体制の充実とか、自治体からの応援職員の派遣制度の構築などに取り組んできてございますので、そういうものを充実させていくということを考えてございます。

 あわせて、受援体制を整えることも非常に重要だと考えてございますので、各自治体、地域の受援体制を整えるための支援を行ってまいりたいと考えてございます。

 消防団の人数が減っているという御指摘をいただきました。こちらは消防庁を中心に取り組んでおられますので、我々もしっかり連携してその取組を支えてまいりたいと考えてございます。

佐々木(真)委員 ありがとうございます。

 では、続いて、地域経済の観点に話を移してまいりたいと思います。

 これは先日に本当は質問したかったんですけれども、時間がなくて今回に回したんですが、先日の大槌の山林火災におきましても後発地震情報の発表がありまして、その状況と重なるタイミングで山林火災が発生をいたしております。だからこそ、その受け止めが非常に難しかったというふうに現地からは聞いております。

 それは観光の面で特に大きな影響を与えているんですけれども、地域に長年住んでいる私たちであると、地震が起きて津波が起きるかもしれないから気をつけて生活しよう、でも、日常生活はいつもどおり続けてということは私たちは分かるんですけれども、観光に来られる方からすると、三陸沿岸自体が全て危ないであるとか、津波が来るかもしれないので観光をやめておこうですとか、そういった配慮がありまして、大槌の観光施設に関しては、地震があって、津波警報が出て、後発が出て、山林火災があって、ホテルのキャンセルが一つの施設で千件ほどに上っておりました。

 そういった状況になると三陸の観光には本当に大きなダメージでございまして、ゴールデンウィークでしっかり稼ぐという構造ですので本当に大変で、特に後発の取扱いが私たち三陸の人間でもまだまだ難しいなと思っているところです。

 政府からも日常生活、経済活動を止める必要はないという発信を丁寧にしていただいているんですけれども、経済を止め過ぎないというバランスと防災上で気をつけて生活しましょうというところのバランス感がまだまだしっかり伝わっていないんじゃないかなというふうに思います。

 そこで伺いますけれども、政府として、北海道・三陸沖後発地震注意情報や山林火災が地域経済、特に観光産業へ与える影響についてどのように認識しているのか、また、人命を守る防災上の発信と、経済を止めない、止め過ぎなくてよいというところの発信のバランスについて、内閣府防災であるとか観光庁がどのように連携しているのか、現時点で行っている取組、今後の検討体制について聞かせていただければと思います。

 加えて、注意報等が出てキャンセルが相次いだ場合の観光事業者への支援であるとか経済的なレジリエンスを高める仕組みについて現状どのような検討を行っているのかについても伺いたいと思います。

長崎政府参考人 まずは、四月二十日発生の三陸沖を震源とする地震、四月二十二日発生の岩手県大槌町の林野火災により被災された全ての皆様に心からお見舞い申し上げたいと思います。

 委員から御質問のございましたこれらの災害が観光産業に与えた影響でございますけれども、一部の宿泊施設のキャンセルであるとか予定していたイベントの中止があったなど、個別の情報は承知しております。ただ、例えば、対前年度と比較してどの程度減少したかなど、定量的な測定はできておりませんので、これは整理が必要だ、こう認識しております。

 観光庁といたしましては、いずれにいたしましても、災害が発生した場合には、まずは、発生直後は、人命の保護を第一に、気象庁や内閣府防災担当など、関係機関から発出される災害情報を基に正確な情報発信を行うということ。その上で、風評被害の防止でございますが、地元自治体とも連携して、対象地域の安全情報や、宿泊施設、観光施設等の運営、営業情報を観光庁のウェブサイト等を通じて発信し、観光地への影響を最小化するように努める、これが第二弾でございます。さらに、災害が収束した後は、地元の要望に真摯に耳を傾け、災害後の地域の課題解決を後押ししていくという形で取り組んでいきたいと考えております。

 今回の北海道・三陸沖後発地震注意情報、岩手県大槌町の林野火災への対応につきましても、このような対応に基づき、観光庁ウェブサイトにおいて各地の観光情報を掲載、発信しております。

 また、今後の復興でございますけれども、昨日十三日から十九日までの間、新宿の東京都庁で大槌町の観光交流協会が観光イベントを実施しておられます。そういったところに我々観光庁も出向きまして意見交換をしまして、地元の情報や要望を直接お聞かせいただいて、その上で、より効果の高い支援を行ってまいりたいと考えております。

 なお、委員の御指摘のありました、注意情報により直接影響を受けました観光事業者への支援につきましては、観光庁といたしましては、注意情報は、まずは、客観的なデータに基づき、気象庁などが専門的な知見から発生するおそれのある災害レベルに応じて発出されるものであり、個別の事業者への補償に直接結びつけることはなかなか難しく、適切ではないのかなと考えております。

 ただ、一方で、先ほど申し上げましたとおり、観光庁では、地域の取組に対する様々な支援メニュー、支援事業を実施しておりますので、対象地域における誘客に対する取組が行われる際に積極的に支援をしてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

鎌原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、住民や観光客の安全確保と日常生活や地域経済への影響のバランスを確保することは大変重要であると認識しております。

 このため、内閣府防災では、今回の注意情報への対応について、日頃からの地震への備えの再確認、揺れを感じたら直ちに避難できる態勢を取っていただいた上で、日常生活や経済活動を継続していただくよう呼びかけをしてまいりました。

 また、観光庁においても、先ほど答弁がございましたけれども、災害関連情報や観光関連施設の運営状況などについて正確な情報発信に努めたと承知しております。

 内閣府と観光庁は、今回も注意報の内容や観光への影響について適時情報交換を行ってまいりました。連携して対応してきておると考えておりますけれども、今後も、観光客や事業者などに対しまして適時適切に分かりやすい情報発信を行えるよう、更なる情報共有、連携強化に努めてまいりたいと考えております。

 また、御指摘がございました経済的レジリエンスを高める仕組みについてですが、内閣府では、今回の注意情報への対応について、今後、アンケートなどを通じまして、各地での具体的な防災対応の状況や地域への影響を検証することとしてございます。それを受けまして、例えば、国からの情報発信の内容などについて改善すべき点があれば必要な対応を行ってまいりたいと考えておりますし、何よりも、平時から、自治体や事業者にとって参考となる事例の横展開ですとか、注意情報の趣旨について普及啓発をしていくことが大事だと思っておりますので、こういったことに一層取り組んでまいりたいと考えております。

佐々木(真)委員 ありがとうございました。

 大臣からも一言いただこうと思ったんですが、時間になりましたので終了したいと思います。

 ありがとうございました。

関委員長 次に、山田瑛理君。

山田(瑛)委員 チームみらいの山田瑛理です。本日も質疑の機会を頂戴しておりまして、ありがとうございます。よろしくお願いします。

 まず、民間との連携、そして標準化について伺います。

 能登半島地震では、防災DX官民共創協議会、いわゆるBDXのメンバーが石川県庁に拠点を置き、自治体、DMAT、自衛隊などが個別に収集し、ばらばらに管理されていた避難所情報の集約を支援しました。例えば、SAPジャパンによる避難所情報集約アプリの開発、JR東日本によるSuicaを活用した避難者情報の把握、SOMPOホールディングスの協力の下、パランティアテクノロジーズジャパンが担った被災者データベースの構築、多様な民間企業が現地でリモートで参加いたしまして、難局を支えた事例として広く知られております。これは能登における極めて貴重な成功事例です。

 一方で、こうした産官民の発災時チーム編成が毎回手探りで構築することにはやはり限界がありますので、例えば、首都直下ですとか南海トラフといった次の大規模災害では確実に間に合わないのではないでしょうか。

 この点、デジタル庁では、昨年八月、災害派遣デジタル支援チーム、いわゆるD―CERTを創設しまして、デジタル庁の職員とBDX会員企業などの民間人材が連携し、被災自治体へ専門人材を派遣する枠組みを整備されていると伺っております。現在、候補者として登録、研修を修了したメンバーは三十名弱とのことで、まだ派遣実績はこれからという段階だと承知しております。

 そこで伺います。

 D―CERTの今後の運用方針、特に、平時からの民間メンバーのプール拡大、研修の継続、被災自治体のニーズに応じた派遣手順や連絡フローの整備、そして、通信手段やデータ連携基盤の事前準備について、デジタル庁は、平時から標準化、定例化するなどして震災時に活用できる制度を整備すべきと考えますが、見解を伺います。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員より、震災時に民間企業と協力して被災自治体を支援する仕組みについてお尋ねがございました。

 委員御指摘のとおり、令和六年一月に発生いたしました令和六年能登半島地震におきましては、発災直後から民間のデジタル人材がボランティアとして被災地に入りまして、被災自治体のニーズに応じて被災者の状況を把握するためのシステム等をその場で構築するなど、県の災害対応をデジタルの面から支援し、貢献してまいりました。

 こうした経験を踏まえまして、デジタル庁では、防災DX官民共創協議会と協働いたしまして、民間のデジタル人材による災害支援を効果的に実施できるよう、御指摘がございました災害派遣デジタル支援チーム、いわゆるD―CERTを昨年八月に創設いたしました。

 D―CERTにおきましては、平時では、防災DX官民共創協議会の会員である民間デジタル人材への研修、訓練を実施しております。これは毎月研修をやっておりますので、徐々に人数を増やしていくという体制でやっております。それから、平時から関係府県との関係構築を行っているという状況でございます。

 災害が発生した場合には、被災都道府県のニーズに応じた民間デジタル人材の派遣調整、支援内容の取りまとめ、被災都道府県でのデジタル支援を実施していく、このように考えております。

 引き続き、各都道府県へD―CERTの周知を図るとともに、平時からしっかりと準備を行いまして、災害時に被災都道府県への適切な支援ができるよう備えてまいりたいと考えております。

山田(瑛)委員 ありがとうございます。

 能登での経験を一度限りの成功に終わらせることなく、首都直下や南海トラフでも確実に立ち上がる体制を平時から積み上げていただきまして、防災庁にも、デジタル庁と連携し、現場のニーズが平時の備えに還元される仕組みをつくっていただきますように要望します。

 続きまして、防災訓練の実効性について大臣に伺います。

 四月二十八日、参考人質疑におきまして、極めて示唆に富む御指摘をいただきました。防災を町づくり、福祉と掛け算する、そして、フェーズフリー、すなわち、平時の暮らしと災害時の備えを切り離さず、日常の活動そのものが防災に接続している状態を目指すという考え方です。

 訓練は、回数を重ねることや形式を整えることに意味があるのではなく、地域の住民が自分事として参加し、福祉や町づくりの現場と接続され、有事に本当に動ける形になっていることが大切です。実際、津波避難タワーを平常時はレストランとして活用し、家族が食事に出かけるだけで自然と避難行動の予行演習になっているという事例も伺っております。こうした発想こそが防災庁が全国に広げるべき訓練の姿だと考えております。

 そこでお伺いいたします。

 防災庁設置を機会に、町づくり、福祉との掛け算、そしてフェーズフリーの考え方を訓練の標準的な姿として全国に展開していく必要性についての御見解と、また、総合防災訓練大綱や手引への反映、好事例の横展開、自治体への具体的な働きかけについてなど、より実効的な防災訓練の全国展開についての御見解を大臣に伺います。

牧野国務大臣 委員御指摘のとおり、町づくりや福祉と連携した防災訓練は本当に重要だと思っております。

 防災庁におきましては、防災と町づくり、防災と福祉など、自治体内での部局間の連携やフェーズフリーの考え方を取り入れた防災訓練について、国や地方公共団体における訓練の指針となります総合防災訓練大綱に盛り込むことや、地方公共団体向けの説明会などで周知することによって、効果の上がる防災訓練の実施を促してまいります。

山田(瑛)委員 ありがとうございます。

 防災は、特別な日に特別な訓練として行うものではなく、日常の暮らしの中に自然と溶け込んでいる状態こそが理想です。ローリングストックや平常時利用、こうした分かりやすい事例を自治体、住民、民間にしっかり広げ、防災を日常にしていく、そのリーダーシップを防災庁には強く期待をいたしまして、質疑を終わります。

 ありがとうございます。

関委員長 これより内閣総理大臣出席の下、質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。谷公一君。

谷(公)委員 総理、内外の諸課題に連日にわたり精力的に取り組んでおられることに心より敬意と感謝を申し上げたいと思います。

 私は、防災庁のあるべき姿を検討する自民党の防災体制抜本的強化本部長として、昨年五月に、あるべき防災庁の在り方について官邸に申し入れ、提言をさせていただきました。その提言を十分踏まえた法案になっていることに感謝しつつ、何点か確認したいと思います。

 まず、防災庁の役割としては、徹底的な事前防災から発災、復旧復興まで一貫して課題を見定め、目標と工程表を明らかにし、分散している防災機能を統合する司令塔としての機能を果たす。

 組織としては、トップは総理大臣で、専任の大臣を置き、大臣は関係行政機関の長に対する勧告権を持ち、勧告を受けた長は勧告の尊重義務を負う。

 官と民の役割分担については、被災市町村職員に過度の負担を強いることなく、餅は餅屋の発想でNPO等を最大限に活用する。

 発災時の対応、現在の余りにひどい、三十年前の神戸の頃と変わらない、私も経験いたしましたけれども、そういう被災者の処遇改善のため、スフィア基準の達成を図り、災害関連死をなくすことを目指す。

 また、平時は、フェーズフリーという考え方、いつもの暮らし、日常の延長でもしもに備える発想で取り組む。いわば、今までの発想を転換して防災の日常化を図る。

 こういう考え方を柱として取り組むべきだと思います。総理の所見をお伺いいたします。

高市内閣総理大臣 谷委員には、防災庁の役割についてこれまでも御指導を賜ってまいりました。

 今、五つの柱についてお尋ねがございました。

 まず、防災庁は、徹底した事前防災と発災時の対応から復旧復興までの一貫した災害対応の司令塔機能を担うこととしております。

 また、防災大臣には尊重義務つきの勧告権が付与され、この勧告権を背景に関係府省庁の施策を進めてまいります。

 そして、平時から、関係省庁、自治体、NPOといった民間組織などと顔の見える関係を構築し、産学官民の総力を結集した防災行政を進めてまいります。

 また、平時から、都道府県や市町村と連携し、地域レベルでの災害リスク評価を行い、その結果に基づいて、防災大臣の勧告権も背景にしながら、事前防災の取組として、例えば災害関連死を防ぐために必要な避難所環境の整備などを進めます。また、各都道府県のカウンターパートとなるふるさと防災職員を配置し、地域におけるニーズの丁寧な酌み取りや助言を実施し、自治体の災害対応を支えてまいります。

 また、様々な物資や施設を平常時と災害時の垣根なく活用するフェーズフリーの考え方も踏まえながら、それぞれの施策を進めてまいります。

 以上申し上げました考え方を柱として、防災庁は災害対策を進めてまいります。

谷(公)委員 ありがとうございました。

 そういう決意で、是非とも充実した防災庁をつくっていただきたいと思います。

 そのためには、決意に加えて、それを裏づける予算、人事を十分確保する必要があると思います。

 予算につきましては十分手当てしていただいていますが、例えば自治体への防災対策支援は、今年度ついている予算は三十五億です。その十倍あってもおかしくはない。まだまだ充実させる必要がありますので、こういった予算の面。

 それから、人事。これはプロパー職員も採用するということですが、当面は各省庁の人事に頼らざるを得ません。ずっと前に、私は、復興副大臣のときに、当時の官房副長官にお願いに行ったんです。各官房長を集める人事の会議のときに、官房副長官、一言言ってくれ、是非復興庁にはいい人材を送ってくれ、そして、また各省に戻ったときにいいポストに、要のポストにしてもらうようにというお願いをし、そこそこ本当にいい人材を送っていただいたと思います。

 そういう意味で、予算、人事の確保について、高市総理の所見をお伺いしたいと思います。

高市内閣総理大臣 谷委員に御指摘いただきましたとおり、防災庁が平時から復旧復興までの一貫した司令塔としての役割を果たすことができるように、必要な予算、人員を確保することは重要でございます。

 予算につきましては、防災庁に発展的に改組される内閣府防災担当におきまして段階的に拡充を行い、令和八年度予算では、防災庁の設置、運営や防災力強化総合交付金など、災害対応力の強化を図るための必要な予算は確保したと考えております。

 人員につきましても、防災庁では、四名の統括官の下、三百五十二名に増員することとしており、必要な人員を確保していると考えております。プロパー職員も採用しつつ、各省庁、自治体、民間企業との人材交流を通じた人材の育成、確保にも努めて、現場の知見を政策に生かしてまいります。

谷(公)委員 今回の防災庁は、受け身的に災害から守るという意味だけではなくて、これだけ災害の多い我が国でありますので、この度の防災庁の設置を、到達点ではなくて、あくまでも一つの通過点であり出発点と考えて、そして、防災立国を目指して、我が国の技術、知見、ノウハウを、さすが日本だ、日本がこれだけ防災技術が高くなり充実していると世界から尊敬されるような、貢献できるような国際展開を是非していただきたいと思います。

 総理大臣の決意をお伺いしたいと思います。

高市内閣総理大臣 地球温暖化の影響もありまして、自然災害の激甚化、頻発化が世界的な課題となっております。

 このため、災害の多い我が国が蓄積してきた優れた防災技術などに対して、国際社会からも高い期待が寄せられております。また、近年、ドローン、衛星、AIを活用した技術など、新たなサービスも次々と生まれております。

 高市内閣では、成長戦略の十七の戦略分野の一つに防災・国土強靱化を掲げており、防災技術への投資を促進してまいります。防災技術の開発、商品化、現場実装の好循環を生み出してその国際展開を進めていくということは、我が国の防災力強化はもちろん、成長力強化と世界への貢献につながると考えております。

谷(公)委員 総理の力強い決意、ありがとうございました。我々もしっかりバックアップしてまいりたいと思います。

 ありがとうございます。

関委員長 次に、近藤和也君。

近藤(和)委員 中道改革連合の近藤和也でございます。

 防災庁設置法案についての質疑、ありがとうございます。

 私は能登半島で生まれ育った人間でございます。二年半前の能登半島地震、そして豪雨において、政府関係者の皆様には、本当に様々なことに手を尽くしていただきましたことを心から感謝を申し上げます。本当によくぞここまで復旧復興が進んできたなという思いがありながらも、一方で、まだまだだといった点も当然ながらございます。

 そこで、総理に伺いますが、現状において、今までしてきていただいたことをおっしゃっていただきたいのではなくて、現状、能登半島地震、そして豪雨での未解決だという認識、どのような課題があるのか。そして、今回の防災庁設置に当たって、能登半島地震、豪雨のみならず、熊本地震、そして東日本大震災等で様々な知見が得られてきていると思います、どのようにして生かしていこうとお考えなのか。お願いをいたします。

高市内閣総理大臣 我が国の災害対策は、令和六年能登半島地震、豪雨や熊本地震、東日本大震災など過去の経験を踏まえて、災害対策基本法の改正を始め、不断の見直しを進めてまいりました。

 しかしながら、近藤委員が指摘されたとおり、更に取組を進めるべき課題も多く残っていると認識をしております。大規模地震などが切迫する中、例えば、自治体の防災人材の不足、被害状況の迅速な把握、避難者の生活環境の抜本的改善などが喫緊の課題でございます。

 防災庁が設置されました暁には、そうした過去の災害での経験から得られた知見も十分に踏まえながら、徹底した事前防災と発災時の対応から復旧復興までの一貫した災害対応の司令塔として、拡充された予算、人員と新たな勧告権といった仕組みも活用しながら、関係省庁、自治体などと連携して、政府一体となった災害対策を進めていく考えでございます。

近藤(和)委員 本当は、具体的にどのような課題が今まだあるのかといったこともおっしゃっていただきたかったんですが。

 総理も石川県能登に来ていただきました。ちなみに、このゴールデンウィーク期間中、私もずっと地元を回っていたんですが、首と肩を痛めたんです。なぜかといいますと、道路は結構きれいになったんですよね、ある程度のところは。それこそ隆起したところに道路まで造っていただいて、本当に日本の技術というのはすばらしいな、そう感じながらも、軽の自動車でずっと回っていたんですが、普通自動車だったら道のがたがたは感じないんですよ、それくらいかなりきれいになりましたが、軽自動車で回るとやはりがたがたが響くんですね。これは、作業をされているトラックの運転手さんも同じようなことをおっしゃっていただいています。目に見えることだけではなくて、体に感じるこういった課題もまだまだあるんだということは、是非ともこれからも意識をしていただきたいと思います。

 そして、今回の防災庁設置に当たっては、元々、内閣府防災から発展的ということだと思いますが、そもそもが、人材の知識と経験、そして人脈の蓄積が図りにくいということも含めて、防災庁設置の一つの大きな要因になったと思います。大体二年で出向されるということですね。

 ちなみになんですが、内閣府防災だけではなくて、災害に関しての様々な省庁の方もやはり定期的に替わるわけですよね。私も、先日、ある省庁の方がお世話になりましたということで挨拶しに来ていただきました。私の方こそお世話になったので、本当に涙が出るぐらいの思いだったんですが、やはり災害と関係のない部署に行かれております。

 今回、プロパーの職員を増やしていこうということで防災庁の考えがあると思いますが、当然ながら、百十人、二百二十人、三百五十数人ということで、ここでとどまることではないと思いますし、全部が全部プロパー職員というわけではなくて、むしろ各省庁から来ていただく人事交流も含めて、より重要になっていくのではないかなということ、そして、防災庁で経験していただいた方が各省庁にお戻りになられたときも、いざというときにはしっかりと災害時には応援していただく体制を、先日ちょっと内部で聞きますと、今、防災予備役という考え方もあるようですが、どこまで実効性があるのかといったことはあると思います。

 そうなので、各省庁に戻っていただいた方も、ユニフォームは各省庁、例えば国交省であったり文科省であったとしても、シャツは防災庁のシャツを着ているというくらいの、いざというときの体制づくりということは大変重要なのかな、防災庁をつくるだけではなくて、各省庁にも、内部的な、いつでも動けるような防災の体制を取っておくべきだというふうに考えます。

 そして、更に申し上げれば、防災庁が例えば一万人規模になっても、防災庁で全部救えるわけじゃないですよね。警察や消防、自衛隊の方々の応援が当然必要です。TEC―FORCEですとかDMATの方ですとか、様々な応援が必要なんです。

 今回の能登の地震で、例えば珠洲市であれば、恐らく一月三日か四日ぐらいだったと思いますが、珠洲市だけでも非常に大きい地域ですが、三つのエリアに分けて、自衛隊、消防、警察で人命救助などに当たっていただいています。実際そうせざるを得なかったのかなというふうに思いますが、例えば警察の方であれば、装備がしっかりしたものをなかなか持ってこられなくて、助けられる命が助けられなかった、こういう悲しい告白というものもあるんですね。一方で、ある自治体を私が二月に回っているときに、自衛隊のトラックが雪でスリップして動けなくなっていました。それを助けていたのは警察なんですね。

 そういったことも含めて、ありとあらゆる横での連携も含めて、例えば南海トラフが起きたときに、じゃ、自衛隊、消防、警察、そして各自治体の方がどういうふうに組み合わせて動いていくかといったところまで想定しないと命は救えないんじゃないかなというふうに思います。

 防災庁をつくるに当たって、本当に命を救うという観点から、人材配置、組織の在り方、連携、そして平時、有事の在り方について、総理のお考えを伺います。

高市内閣総理大臣 先ほど、具体例をということで、失礼いたしました。

 私自身が入って感じたのは、まず住まい、それから道路、なりわい、こういったものについての復旧支援、復興支援が非常に重要だということ。それから、多くの宿泊施設などへの金融支援、これはすぐに指示をいたしました。間もなく解決するかと思いますけれども、引き続き取り組んでまいります。

 防災庁がやはりしっかりとした司令塔としての役割を果たすということを考えますと、防災の専門人材の確保と育成、これは絶対的に必要でございます。防災庁においては、新たにプロパー職員の採用を始めるということを申し上げましたけれども、省庁間の人材交流、民間人材の登用を更に拡充する。委員がおっしゃったように、経験をした職員をしっかりと活用するということも大切だと思っております。防災のエキスパート人材の確保に力を入れてまいります。

 平時においては、国、県、市町村が連携して地域レベルでの災害リスク評価を行い、防災庁が、各主体の対策の漏れや抜け、こういったものを把握して、必要な勧告、支援を行うなどによって、まずは事前防災を徹底します。大規模の発災時には、直ちに政府の災害対策本部の運営を担って、対策本部長の指示権なども生かして迅速な対応を行うということとともに、復旧復興のワンストップ窓口となって伴走型の被災地支援を継続するということなど、必要に応じて個別具体の施策レベルまで司令塔機能を発揮して災害対応に臨む、それだけの体制を構築してまいります。

近藤(和)委員 今回の防災庁設置に当たっては司令塔機能というのが大変重要なんだなと思いますが、例えば、珠洲市の大谷に行っていただきましたよね。こちらに私も最初に行こうとしたときに、相当困ったんです。山道だし、崩れているし、しかも雪が降っていて、どの道から通ればいいんだろうということで何回も行ったり来たりして、もしかしたら雪にはまって動けなくなるかもしれないというおそれの中でも何とか到達したんですが、これは警察の方、消防の方、自衛隊の方も含めて、例えば自衛隊の方であれば、地元じゃない方はなかなか分からないですよね、どの道が危なそうだとか、迂回路があるとか。こういったことも含めて、地元の方々が場合によっては一緒に司令塔になっていくんだといったことも考えとして非常に重要なのではないかなというふうに思います。

 次の質問に参りますが、防災庁の所管、所掌がどういったところまで及ぶのかということを伺いたいと思います。

 例えば、アメリカのFEMAであれば、疫病であったり、またテロなども想定をしております。私、昨年ですが、衆議院の災害特の委員派遣で欧州に行きましたが、欧州でも、自然災害だけではない、暗にロシアの行動も含めて、こういった軍事行動も含めて避難の在り方等を想定をしております。防災庁の範囲というのは基本的には自然災害だとは思いますが、避難される方にとってみれば一緒なわけですよね。これは欧州の方が言われていたんですが、地震であろうが火事であろうが軍事行動であろうが、その場所で住めなくなるということは一緒だから、私たちは両方入れているんですということでございました。

 日本においては、例えば、感染症であれば感染症危機管理統括庁であったり、また別の危機的な事態であれば国家危機管理室や国家安全保障局等が最初に動くかと思うんですが、いざというときの、被害に遭ってしまわれる方々の立場にとってみれば、防災庁がむしろ一番のプロフェッショナルだと思うんです。このようなことに対してのお考えを伺いたいと思います。

高市内閣総理大臣 新たに設置される防災庁は、防災庁設置法と災害対策基本法に基づく、災害への対応の司令塔と位置づけられます。一方、感染症やテロといった有事への対応については、それぞれの事態についての専門性を備えた内閣感染症危機管理統括庁や国家危機管理室などが中心となって、これは委員がおっしゃったとおりなんですが、関係機関と連携をして対応することとなります。

 ただ、もとより、防災庁は避難対応を通じて得た避難や備蓄に関する知見やノウハウを有するということになりますので、感染症やテロといった事態への対応に関しましても、これらの機関と緊密に連携して必要なノウハウを共有するという形で、政府一体となった対応において必要な役割を果たすことになると考えております。

近藤(和)委員 連携ということで、時間差がある連携ではなくて、即時に動かなくてはいけないといったことも意識をしていただきたいと思います。

 今回の防災庁設置に当たっては、やはり被災者に対しての、命を守るということと人権の尊重、こちらを入れるということが大変大きいことではないかなというふうに思います。

 私も避難所をずっと回っていたときに、あるところで、お茶はあるけれどもコーヒーはないと言われたんですよね。なぜかといったら、コーヒーは嗜好品だからということです。要は、息抜きをしちゃ駄目なのかということですよね。被災者は我慢しろということではなくて、被災者に日常の生活を送っていただくんだという当たり前の考え方がこれから必要なのではないかなというふうに思いますので、防災庁のみならず、自然災害以外の何らかの害があったときに避難せざるを得ないような方々に対してしっかりとお支えしていくような体制づくりをお願いしたいと思います。

 それでは、防災大学校についてですが、今までも、例えば、防災士の方であったり、自衛隊の予備役の方であったり、いろいろな地域で、防災大学校の学習も含めて、NPOの方も含めて、経験や、そして消防の方々との連携、訓練も含めて、様々な形というのはやってほしいなというふうに私も思いますが、今までの質疑では全て検討していきますだけなんです。

 大事なことは、総理が、防災庁に当たって、そして日本の災害から国民を救っていくに当たって、防災大学校とはかくあるべしという、私はその思想が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

高市内閣総理大臣 様々なニーズに対応できる、産官学民における防災人材を計画的に育成していくためには、まだ仮称ではございますが、防災大学校のような施設は重要だと考えております。

 その具体的な検討はこれからなんですが、大局的な観点から防災全体を捉えて、多様な関係者の間で高度なコーディネートを行える人材の教育、それから、地方自治体職員、民間人材も対象とした研修の実施、そして何といっても、先端技術の活用も含めた実践的な訓練の場の確保といった観点を備えた充実した教育訓練機能が確保されるように取組を進めたいと考えております。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 それでは、最後の質問になりますが、勧告権の在り方について伺います。

 今回、勧告権を付与して、そして、いざというときには行使ということですが、参考人質疑の中でも、勧告権というのはいつ使うんでしょうかということで、非常に興味深い答えがございました。ある先生は事前だ、そして、ある先生は事後だと言われたんですね。ある意味、同じことなんですよね。緊急時の勧告権ということではなくて、やはり事前であったり事後であったり、かくあるべし、ここがおかしかったから変えていかなきゃいけないということで、勧告権についてはやはり相当重要なことだと思います。今まで勧告権を付与された省庁で使ったことはないということもありますが、むしろここをちゃんとクリアしていくことが大事だと思います。

 私も、この災害対策特別委員会で、例えばなりわい補助金であれば経産省であったり中小企業庁、例えば税に関することであれば関係の省庁と国税庁、例えば家を解体するということであれば環境省であったり法務省、それぞれに答えていただきながらも、実際には、そのときは防災大臣が来られますが、要は、防災大臣は所管外ということで答えられないんですよ。気合的な答弁はいただくように努力はしていますが、最終的には各省庁でやらざるを得ない。

 勧告権というのは、事前であったり事後的な問題を解決していく、このようなときにこそ、大上段に構えての勧告権ではなくて、通常に普通に行っていくべきものではないかな、それが今後の日本の災害対策に資するものだというふうに私は思いますが、この点についていかがお考えでしょうか。

高市内閣総理大臣 防災庁というのは、平時から発災時、復旧復興までの一貫した災害対策の司令塔としての役割を担うことになります。そして、防災大臣に尊重義務つきの勧告権が与えられるということでございます。

 防災庁設置によって、それぞれの専門性を有する各省庁の役割が変わるものではありませんが、防災庁が一段高い立場の司令塔となって、大臣の勧告権を背景に、各府省庁の個別具体的な施策の進捗状況を把握するということとともに、各府省庁の更なる対応を促すということのために必要が認められれば、その勧告権を行使することによって、防災関係の施策を政府一体となって進めていくことができると考えております。

 委員がおっしゃっていただいた問題意識と私は同じくするものでございます。まさにそうした仕組みを適切に活用しながら、激甚化、頻発化する災害に負けない防災立国を実現するということでございます。

近藤(和)委員 同じ思いを共有していただいているということで、ありがとうございます。

 行使するということではなくて、通常に行っていくものだという意識が必要なんだろうなと思います。もちろん、逆に防災大臣がその専門性を尊重するということはあったとしても、あくまでも被災された方々、そして今後、災害は必ず起きますし、抑えることはできませんが、事前に被害を最小限にとどめておく、そのためには準備しておかなくてはいけないことがもろもろあるんだろうというふうに思います。

 先ほど谷与党筆頭が、今回の防災庁は到達点ではなくて出発点だということを言われました。私も一〇〇%同意をいたします。どうかそのような形で、今後とも、また国を挙げて頑張っていただければと思います。

 ありがとうございました。

関委員長 次に、青柳仁士君。

青柳委員 日本維新の会の青柳仁士です。

 先ほどの牧野大臣との議論を踏まえまして、防災人材の登録制度の創設についてお伺いさせていただきます。

 防災庁が司令塔となって日本の防災対応能力を高めていくためには、行政内部の人材だけではなく、民間に広く存在する知見を実務能力としていかに取り込んでいくか、これが重要であると考えております。その際、今、政府の方では組織、団体を基準に登録をしていくようなことを考えていると思うんですが、これについて、個人の方々を登録していくような制度をつくるべきではないか、この委員会で何度か取り上げさせていただきました。

 その趣旨は、防災に当たっては、災害対応に当たっては、やはり、自助、共助、公助という考え方の中で、自助と共助の部分を担っていただくのは、実際には、混乱している現場にいらっしゃる、本当に意識と能力の高い防災人材になってくるんだろうと思います。ですから、防災庁として、政府として、そうした人材の知見を取り込むという観点も重要なんですが、実際には、協力をしながら連動して動く人材としてそういった方々が必要ではないかと思います。

 私自身も、国際緊急援助隊であるとか、国連のサージであるとか、そういったところに登録をして活動していたことがございます。まさにそういった方々というのは、有事の際には自分が動くんだ、自分がみんなに啓発をしていくんだ、こういう意識を持ってふだんから地域でも活動されていますから、こういった方々を活用していくことは非常に重要ではないかと思っております。

 また、民間資格ではありますが、全国には三十五万人の防災士という方がおられまして、それ以外にも様々な、企業にも専門性を持った方々がおられます。

 こうした個人の登録制度についても、これからの課題ということではありますが、創設について総理としてどうお考えになるか。それから、既に防災に対して強い情熱で活動をされている方々がたくさんおられます。そういった方々に向けて、その存在、活動の重要性、そして今後の活躍の期待も込めて、メッセージをいただければと思います。

高市内閣総理大臣 災害対応に対する知見や技能を持っておられる人材の確保というのは、地域の災害対応力の強化に重要でございます。こうした人材が活躍できる環境の整備が必要だと考えております。

 前もって民間人材の経験や能力を見える化して、災害時に円滑に活躍していただく仕組みとして、政府で、これまでの対応としては、災害NPOなどを対象とする被災者援護協力団体の登録制度の運用を進めるということとともに、各地で避難所運営を担うボランティア人材を育成する研修を実施して、研修修了者のデータベースを整備するといった取組を行ってきました。

 防災庁の設置後におきましては、こうした既存の取組に加えまして、今委員が指摘してくださいましたように、防災人材のデータベースを更に拡充する必要性についても検討を進めます。志と能力のある民間人材に力を発揮していただいて、官民がより一層連携して災害に対応できる、そういった体制の充実を図ってまいります。

青柳委員 ありがとうございます。

 個人のデータベースの拡充、非常にそういった分野に関心を持っておられる全国のたくさんの方々にとってもうれしいニュースではないかなと思います。是非、政府だけでやるのではなくて、政府以外、本当に国民全部が一体となって日本の有事、災害に立ち向かっていく、こういう司令塔であっていただきたいと思っております。

 あと一分だけなので短く申し上げますが、先ほどの防災庁と復興庁の統合についてお伺いします。

 もし仮に、今、東日本で大震災と同等の規模の災害が現状で起こった場合、恐らく、現時点の想定では、その対応については、防災庁が初動、そして復興庁と防災庁共同で復興に携わっていく、今の枠組みではそうならざるを得ないと思います。そういった御答弁もいただきました。しかし、専門性、それから実際の対応において、そのやり方というのは非常にちぐはぐで、余り効率的ではないのではないかと思います。

 そういった中で、令和十二年度末に復興庁については基本的には閉じていく、こういう方向でありますが、現時点において、これを延長していかなければならない理由というのはあるのかないのか、どういうような想定をされているか、短くお答えいただければと思います。

高市内閣総理大臣 既に答弁があったということですが、復興庁は東日本大震災からの復興のためにつくられた組織です。福島の復興に関しては、引き続き国が前面に立って取り組むという政府の方針に変わりありません。ですから、まずは第三期復興・創生期間の五年間で様々な課題を何としても解決していくという強い決意で、総力を挙げて取り組みます。

 その上でですが、復興庁の法律上の設置期限である令和十二年度の後の組織体制について、現時点では、東日本大震災の被災地から引き続き復興庁を存続させてほしいというお声もあります。ですから、その在り方について言及するということは控えたいと思いますが、防災庁は、これからも復興庁と連携をして、復興庁の有する知見をしっかり共有しながら、防災対策を進めてまいりたいと思っております。

青柳委員 是非とも、政府、日本全体として最適な形をお考えいただければと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

関委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党、田中健です。よろしくお願いします。

 私は、防災庁設置に当たり、災害対策基本法に欠けている二つの視点について、一つずつお聞きをしたいと思います。

 一つは、災害規模の概念です。

 現行の制度では、避難所運営、被災者支援、物資調達など、多くの実務が市町村に集中をしています。もちろん、市町村は住民に最も近い行政主体でありますが、南海トラフ巨大地震や首都圏の直下地震、また富士山の噴火など大規模災害を考えた場合、自治体そのものが被災をし、また、庁舎も職員も機能を失う可能性があります。そのときに、これまでどおりに、まずは市町村が主体ですという制度設計で本当に国民の命を守れるのかということです。つまり、災害対策基本法の実施主体は被災市町村となっており、過度に分権的で、都道府県や国による補完の規定が不十分ということであります。

 防災庁設置を機に、国や都道府県、市町村の責務というのを抜本的に見直す必要があると考えますが、まずこれについて伺います。

高市内閣総理大臣 防災対策におきまして、発災後直ちに実施すべき業務をあらかじめ明確にしておくことは、発災時の速やかな対応を確保するために重要だと考えております。

 災害対策基本法に基づいて策定される防災基本計画では、発災後の災害応急対策の基本について示しております。これに基づいて、特に大規模地震発生時の業務については、具体的なタイムライン、すなわち時系列に沿って何をすべきかの目安も策定されているんですけれども、防災庁が設置された後も不断の見直しを行いまして、その精緻化に努めてまいります。

 大規模地震のみならず、様々な大規模災害についても、いつ、誰が、何をすべきか、一層の明確化を図ってまいります。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 まさに、今もやっていただいていると思うんですけれども、基本的に災害対策基本法には責務というのがしっかり決められていまして、それを変えていくことがまず基本じゃないかということで質問させてもらいました。参考人質疑の中でも、例えばDMATなどは、規模によってその派遣の度合いや対応が詳細に決まっておりまして、即応の対応ができています。是非参考にしていただきたいと思います。

 その中で、今総理からもありましたが、時間の概念が二つ目です。

 災害対応では、発災直後の四十八時間、七十二時間ということが言われます。しかし、現実には、自治体が被害状況を把握し、都道府県が取りまとめ、国に要請をして、そこから調整が始まる、この流れではどうしても初動が遅れます。防災庁設置に当たっては、国が責任を持って実施すべき業務というのをあらかじめ法律や計画で明確化すべきでないかと考えています。

 特に、今回の議論でもテーマとなっております避難所ですが、雑魚寝、我慢が強いられています。避難所ごとに自治体職員や地域住民が一から準備するのではなくて、やはり、国が標準化されたトイレやシャワー、キッチン、またベッド、電源や通信をパッケージした避難所支援ユニットを持って、発災後の四十八時間以内、これはイタリアでは行われておりますが、能力の最大値をまず投入するというような仕組みが必要ではないかと考えますが、総理のお考えを伺います。

高市内閣総理大臣 今、避難所支援を例に挙げていただきましたけれども、国の役割につきましては、被災者の方々の健康と尊厳を守る観点から迅速な対応が求められると認識しています。特に、大規模災害時、自治体の備蓄物資が不足していながら支援を要請するいとまもない場合に、国がプッシュ型で物資を送り込めるように分散備蓄を進めるなどの体制は強化してまいりました。国の備蓄のうち段ボールベッドや間仕切り、簡易トイレ、キッチン資機材などは、現在、オペレーションを迅速、円滑にするために規格をそろえて備蓄をしておりますが、おっしゃっていただいたイタリアの取組というのは大変参考になると思っておりますので、物資をパッケージにして運用する方法についても研究を深めて、防災対策に役立てていきたいと考えております。

 いずれにしても、防災庁には災害対応の司令塔としての役割を担わせることとしております。南海トラフ地震などの切迫する大規模地震に備えて、人材、予算を充実させて都道府県、市町村をこれまで以上に力強く支えるということで、災害対応における国の役割を果たしてまいります。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 是非検討していただければと思っています。国が、いわゆる後方支援ではなくて実施主体となって、大規模災害時にはやはり責任を持っていくというのがこれから大切だと思いますし、それが防災庁の役目の大きなことだと思っています。

 引き続きまして、国内外の災害対応力をフルに活用するための防災庁の役割を伺いたいと思います。

 日本は、海外の大規模災害に対しては、医療や救助の専門家チームというのを派遣してきました。これは国際貢献としては大変重要な取組だと思っています。しかし一方で、国内で大規模災害が起きたときには、同じ人材や装備やそのノウハウというのは十分に活用できていません。これは活用すべきだと思います。海外の災害で活動できるJICAの国際緊急援助隊、先ほど青柳委員がおっしゃっていましたが、この人材や装備や訓練体系というのを国内災害でも活用できるような、これはJDR法に定められておりますが、こういった制度の見直しを検討すべきと思いますが、総理、まずこれについてはいかがでしょうか。

高市内閣総理大臣 国際緊急援助隊は、海外における大規模災害が発生した際にその都度チームを編成して派遣されるものでありまして、常設のものでないことは御承知のとおりかと存じます。

 なお、国際緊急援助隊の医療チームに登録されている国内の医師、看護師などの医療従事者の方々は、国内における災害発生時の医療活動においても重要な役割を担ってくださっていると承知をいたしております。

田中(健)委員 これはこれまでの答弁と同じというか、外務省の方はそう言うと思っているんですが、総理に是非考えていただきたいのは、JICAの国際緊急援助隊の人が全てDMATに入っているわけではないんですね、それが全部分かっているわけでもないんです。今の法律ですと海外の地域においてとの規定があるから使えないという、その法律上の制度の整理というのは分かるんですけれども、しかし、国民から見たらそれこそ縦割りに見えてしまいますので、やはり海外で使える高度な災害対応力というのを国内で使えないというのは余りにももったいないと思いますので、これは実際に行っていらっしゃいます国際緊急援助隊の皆さんの声でもありますので、またこれも検討をしていただければと思っています。

 そういった中で、防災庁をつくるなら、こういった縦割りを排除するのが大きな役目だと思います。先ほどもデータベースの話はありますけれども、JICAであれば外務省、またもちろん防災庁、またDMATであれば厚生労働省、消防庁や自衛隊もありますが、こういった横断した横串を刺すためにも、国内外で共通で活用できる災害対応人材の登録のみならず、訓練、派遣制度。DMATなどは、独自に自分たちで海外のチームと訓練をしているというお話も聞きました。こういったことを検討すべきであると考えますが、総理の考えを伺います。

高市内閣総理大臣 医療や消防を始めとする専門性の高い分野の人材については、それぞれの関係機関において、つかさつかさであらかじめ災害時に活躍できる人材を把握して、専門的な訓練などを通じた人材育成ですとか被災地への派遣の仕組みの構築を行っておりますけれども、発災時にそうした人材が連携して機能できるようにするということは極めて重要だと認識しております。

 政府でこれまでしてきたことというのは、いざというときに備えて、関係省庁や地方公共団体、関係機関の参加の下、災害対策本部の運営訓練などを通じて、分野を横断した顔の見える関係の構築と連携の確保に努めてきたということです。

 防災庁におきましては、各都道府県のカウンターパートとなるふるさと防災職員を配置します。地域の様々な専門性を有する人材、組織との関係性の深化を図るということとともに、災害発生時に生じる被害を想定した上で、例えば救出活動や救急搬送の体制が十分かなどについて、具体的かつ分野横断的なシミュレーションを行うということによって地域の課題を丁寧に酌み上げて、それを踏まえた訓練を実施するといった取組も進めて、災害対応に万全を期してまいります。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 こちらは大変に前向きな答弁だったんですけれども、訓練も極めて重要だと言っていただきましたが、であるならば、一問戻りますけれども、先ほどの国際緊急援助隊のような、国外で、これはWTOでも同じように隊を持っておりますけれども、こういったものも含めて是非検討をしていただければと思っております。

 これはまさに縦割りを排しますので総理しか言えないかもしれませんが、例えばJDR法を見直す、見直さないまでも運用でできるかもしれませんし、何が課題かというのはちょっと整理が必要かと思いますけれども、是非これについての検討もしていただければと思いますが、もう一度、総理、お願いいたします。

高市内閣総理大臣 先ほど答弁をさせていただきましたけれども、法の見直しということについては現時点では考えておりません。

 ただ、個人ですばらしい経験を積んでこられた、貴重な体験をしてこられた、知識を持っておられる、こういった方々のデータベースの拡充については前向きにしっかりと検討させていただきます。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 あわせて、最後に、日本は海外に支援を出すとして経験を積んできましたが、今度は逆に受け入れる可能性もあります。そのときに、どの国や機関がどの空港、港湾で受け入れて、どの省庁が調整をしてどの被災地に送るのか、この受援体制というのを国全体、海外も含めて整備をすべきであろうかと思っております。と同時に、この訓練を平時から行っていく必要性があるかと思いますが、これについても総理の考えを伺います。

高市内閣総理大臣 恐らく委員の問題意識は、東日本大震災のときに海外からの支援の受入れに関して混乱が生じた事例があったことなどだと思いますが、受入れの手続が明確でなかったことによって、受入れに時間を要するなどの課題がございました。

 こうした教訓を踏まえて、平成二十九年には、海外からの支援の受入れについての基本的な考え方や具体的な手続を定めた対処方針を策定しました。そのほか、関係省庁が参加した訓練を定期的に実施して手続の確認を行うということとともに、外国政府が実施する防災訓練にも参加をしております。円滑な国際連携のための取組を進めている最中でございます。

 防災庁設置後におきましても、更にこうした取組の充実を図り、海外からの支援を円滑に受け入れられるよう、平時からの準備にしっかりと努めてまいります。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 大災害への対応というのは防災庁の大きな一つの役目でもございますので、よろしくお願いします。

 以上です。

関委員長 次に、工藤聖子君。

工藤(聖)委員 参政党の工藤聖子と申します。

 本日、高市総理に初めて質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私からは、地方自治体の防災力強化に対する国の支援について伺ってまいります。

 防災庁設置法案の前提となっております政府の基本方針では、地方自治体の防災力強化への支援、これが防災庁の重要な機能として明確に位置づけられています。ところが、いざ法案を見てみますと、条文中に国の支援という文言は見当たりません。

 これまでの委員会で、私からは、防災庁の所掌事務にも国による支援を明記するべきではないかと繰り返し何度も問うてまいりました。これに対し、政府からは、災害対策基本法の基本理念にのっとり市町村の防災体制の整備を推進することは防災庁の所掌事務に含まれる、また、内閣府設置法との整合からもあえて支援と明記する必要はないといった趣旨の御説明をいただきました。しかし、総理、政府が自ら基本方針に掲げた自治体支援を法律の条文に書き込むことにどのような不都合があるのでしょうか。自治体の方々とお話ししておりますと、防災庁は何をどこまでやってくれるのか、これを気にしておられる方が多くいらっしゃいます。また、期待の声も多く聞いております。

 政府の基本方針では明確に自治体支援を掲げながら、法案を開けてみると肝腎の支援の二文字が見当たらないということでは、現場で日々奮闘されておられる自治体の皆様に国の本気度が伝わらないかと思います。総理、自治体は国の支援を求めています。必要な人的支援、財政支援が円滑に進むように、国が自治体をしっかり支える、そういう意思と覚悟を法律の条文として堂々とお示しいただきたいと思っているのでございます。これは、自治体の皆様や被災者の方々に対する国からの何よりの約束になると思います。

 改めて、自治体の防災力強化に対する国の支援、これを防災庁設置法案に明記することについて、総理の明快な御答弁を求めます。

高市内閣総理大臣 工藤委員に対してはがっかり答弁になってしまうかもしれませんが、国の災害対策は災害対策基本法に基づいて行っております。その法律の中で、国の責務として、地方公共団体が処理する防災に関する事務の実施の推進が定められています。そもそも、防災庁は、災害対策基本法にのっとり事務を遂行します。ですから、委員がおっしゃっていただいた国による自治体支援は、既に防災庁の事務として、法律上、明確に規定されているものと考えております。

 でも、何より大事なのは、実際にどのような支援を行うかでございます。防災庁においては、各都道府県のカウンターパートとなるふるさと防災職員などによる顔の見える人的支援や、自治体向けの新たな交付金として創設された防災力強化総合交付金による財政面での支援も含めて、平時においても発災時においても自治体のニーズを踏まえて伴走しながら、地域の防災力強化に向けた取組の充実を図ってまいります。これはお約束いたします。

工藤(聖)委員 ありがとうございます。

 防災庁設置法案にも地方の支援は明確に規定されているということ、また、支援していただくとお約束いただいたこと、ありがとうございます。国は自治体支援から逃げない、最後までしっかり支える、それが条文に書いていることでやはり国民は安心すると思いますので、また強く要望しております。

 次に、大規模災害時における被災地への国の職員の派遣について伺います。これも地方の支援になると思います。

 四月二十八日の参考人質疑におきまして、東日本大震災の当時も首長として御尽力された気仙沼市長の菅原茂参考人からこんな切実なお話がございました。震災当時、人命の救助、道路の通行確保など様々な対応に追われる中で、首長としてはどうしてもその費用が気になったと。また、破産するのではないかというお言葉もございました。そのため、複雑な防災関連法令を読み解き、政府から発出される膨大な通知を整理し、首長の判断を助ける補佐役となれる国の職員、具体的には課長補佐級の方とおっしゃっておりましたが、そうした職員を速やかに派遣してほしかったというふうにおっしゃっておりました。これは、震災の最前線に立たれた市長御自身の、極めて重い、実感のこもった声でございます。災害時に、複雑な関連法令や制度に精通し、各省庁へのパイプを持って国と調整できる職員は、被災市町村にとって、まさに首長の片腕となるはずです。

 そこで、総理に伺います。

 現在、こうした首長の判断を補佐できる国の職員を大規模災害時に速やかに派遣する体制は構築されているでしょうか。また、仮に整っていないとすれば、防災庁設置を機に新たに構築するお考えはないでしょうか。総理、お聞かせください。

高市内閣総理大臣 特に、発災時に最前線で災害対応に当たる自治体への支援体制を強化するということは極めて重要だと考えております。

 防災庁の設置を見据えて配置を進めておりますふるさと防災職員は、平時から四十七都道府県のカウンターパートとなって、発災時には、被災地に駆けつけ、被災自治体に対して伴走型の支援を行うことで、首長の意思決定を含む災害対応への支援を充実させることとしております。一人というわけではなく、大規模災害発生時には、防災に関する幅広い経験、知識を有する各省庁の職員を被災地に派遣して、被災地に設置する現地災害対策本部や、今回の法改正によって新設される現地復旧復興本部の運営を担うということになります。

 防災庁が中心となって運営するこれらの本部を被災自治体の近くで活動させて緊密に連携させることによって、市町村へのリエゾン職員の派遣も含めて、情報共有と首長の意思決定をサポートする体制を強化してまいります。

工藤(聖)委員 総理、ありがとうございます。

 今、日本は、地方でどんどんどんどん人口が減少しておりまして、その中で災害が起きたときの不安な気持ちというのがやはりありますので、また防災庁にかける地方の方の期待もありますので、是非これに応える防災庁設置をお願いしたいと思います。

 今日はどうもありがとうございました。

関委員長 次に、山田瑛理君。

山田(瑛)委員 チームみらいの山田瑛理です。

 本日は、防災に関する政府の根本的な姿勢について、二問お伺いをさせていただきます。

 まず、防災を日常にという考え方について、総理に伺います。

 防災庁設置の意義は、単なる組織編成ではなく、本当に問われているのは、政府全体に、防災、減災を全施策に組み込むという、いわゆるフェーズフリーの考え方を浸透させることができるかどうかという点にあると考えております。国土交通省の都市計画にも、文部科学省の学校施設整備にも、厚生労働省の福祉施設にも、その他どんな政策にも、平時の暮らしと災害への備えがどう接続しているのかという視点が自然と組み込まれている状態、防災が特別ではない状態、これこそが防災立国の本質であると考えております。

 先ほども申し上げたんですけれども、例えば、津波避難タワーを平常時はレストランとして活用して、家族が食事に出かけるだけで自然と避難行動の予行演習になっている事例があるように、日常の延長線上に備えがある、こうした日常に溶け込んだ防災こそが目指すべき姿だと考えております。そのためには、総理御自身が、各省庁に対して、防災、減災の視点を全ての施策に組み込むというメッセージを明確に発信していただくことが不可欠です。

 そこで、お伺いいたします。

 防災庁設置を機会に、政府全体で防災を日常にというフェーズフリーの機運、姿勢を醸成していく、そのリーダーシップを総理御自身に発揮していただきたく、御決意をお聞かせください。

高市内閣総理大臣 いつ発生してもおかしくない大規模地震や火山噴火、風水害などの事前の備えについては、常日頃から取り組むことが重要です。

 そのため、災害に対する備えを特別なこととして捉えるのではなく、例えば、山田委員が御提案くださった展望施設や公園やレストランなどを併設した津波避難総合施設のように、様々な施設や設備を平常時、災害時の両面で活用できる設計にする、また、保存食のローリングストックのように、平時と災害時の境界をなくして、平時から災害時を想定することで災害時の生活も充実させるといったフェーズフリーの考え方を浸透させるということで、社会全体における防災力を高めていくことができると考えています。

 現在も内閣府において、官民連携によるSNSを通じた情報発信や普及啓発に取り組んでいるんですが、防災庁が設置された後は、このような取組が様々な分野でより一層広く展開されるように、専門家の御意見も伺いながら、関係省庁の施策にフェーズフリーの取組が浸透するように努めてまいりたいと考えております。

山田(瑛)委員 力強いお言葉、本当にありがとうございます。

 続きましては、災害関連死ゼロについてお伺いをいたします。

 阪神・淡路大震災以降、災害関連死は震災犠牲者の相当割合を占めてまいりました。熊本地震では、犠牲者二百七十五人のうち約八割が災害関連死とされております。直接の地震から助かったはずの命がその後の避難生活などの中で失われていくことは、本当に本当に残念なことだなと思います。

 避難所の環境、医療、福祉支援の継続、住まいの再建、こうした被災者の生活を支える施策を一段と充実させていく、関連死を一人でも減らしていくこと、これは政府が国民に対して示すべき強い意思であると考えております。もちろん、災害関連死の認定は、お一人お一人の個別の状況に応じて自治体が丁寧に判断をされているものであり、定量的にゼロを約束することの難しさは私も承知をしております。ですが、だからこそ、政府の目指すべき姿として、災害関連死ゼロを目指すということを総理のお言葉で明確に国民に示していただきたいです。

 防災庁が設置されるこの節目において、助かったはずの命を避難生活の中で失わせない、災害関連死ゼロを目指していくという総理の強い御決意をお聞かせください。

高市内閣総理大臣 今、山田委員がおっしゃっていただきましたが、近年の大規模地震では直接死よりも災害関連死の方が多くなっており、災害関連死を減らして被災者の健康と尊厳を守るという対策は重要です。

 良好な避難生活環境を確保する、災害関連死を防止するということのためには、避難所の良好な生活環境の確保に加えて、インフラの耐震化や迅速な復旧、保健、医療、福祉支援の実施、こういった対策が必要でございます。こうした対策というのは、被災自治体や近隣自治体に加えて、関係省庁、医療福祉団体、NPOなどが連携して対応することが重要でございます。災害時に円滑に対応されるように、平時から関係機関の連携を図っていく必要がございます。

 防災庁は災害対応の司令塔機能を担うこととしておりますので、地震などによる直接死を免れて助かった命を守り抜くためにできることは全てやるという考え方の下で、政府一丸となって取組を進めてまいります。しっかりと役割を果たしてまいります。

山田(瑛)委員 ありがとうございました。

 二つの大きな方向性を是非これからも国民に示し続けていただきますことをお願いして、質疑を終わります。ありがとうございます。

関委員長 これにて内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。

 内閣総理大臣は御退席いただいて結構です。

 質疑を続行いたします。平沼正二郎君。

平沼委員 自由民主党の平沼正二郎でございます。

 本日は、質問の機会をいただきましたことを理事、委員各位に心より御礼を申し上げるとともに、私は今、自民党の災害対策特別委員会及び防災体制抜本的強化本部の二つの災害、防災に関する事務局長を務めさせていただいております。また、今週の火曜日に質問しました我が党の古賀篤先生、当時の副大臣でございますけれども、共に、能登半島地震において防災担当の政務官として、現地対策本部長として現場で災害対応の指揮をさせていただきました。その経験を基に、防災庁設置法案及び関連法案に関して質問をさせていただきたいと思っております。

 我が国は、長い歴史の中で、地震、台風、豪雨、豪雪、噴火など、数々の自然災害に見舞われ、その都度災害対応をしてまいりました。私の地元の岡山県も、晴れの国岡山といって、余り災害がないと言われる県でありましたけれども、御承知のとおり西日本豪雨災害に見舞われ、大変大きな被害が出ました。直近では、岩手県の大槌町で大規模な山林火災、こういったことが今非常に頻発、また激甚化しているということであります。

 我が国は、こういった様々な災害対応の経験を経て、制度やそういったものも都度アップデートしてまいりました。そういった中において、今回、防災庁という災害専門の、防災専門の政府機関を創設するというのは、我が国の災害対応における大きな転換点であると考えておりますし、私個人としてはすごく期待をしております。

 能登半島地震の災害対応を私自身が経験させていただいて強く思ったことは、災害対応において同じ失敗を繰り返してはならないということだと思っております。これは体験してすごく感じました。そういった観点に基づいて、まず一つ目の質問をさせていただきたいんですけれども、発災時における防災庁の司令塔機能に関して質問をさせていただきます。

 発災時における迅速な被害状況把握体制の構築は大変重要であると考えておりますけれども、今回、防災庁は司令塔機能としてどのようにこの体制を強化していくのか、まずは教えていただけますでしょうか。

横山政府参考人 お答えいたします。

 大規模災害発生時に的確な災害応急対策を行うために、防災庁は、まず情報をしっかり収集して、共有する要になることが司令塔機能を果たすための大前提になろうかと考えてございます。まず被害の全体像を概括的に把握した上で、関係機関とも共有して、相互に連携して対応に当たる体制を構築できるような役割を果たしていきたいと考えてございます。このために、ふるさと防災職員の配置を進めることによって、即座に駆けつける地域防災リエゾンの体制も整備してきてございます。

 従来から、内閣府防災の体制でも、調査チームの派遣でありますとか現地対策本部の設置でありますとか、そういう取組をする仕組みになってございますけれども、こういうような仕組みをしっかりコントロールしながら、被害状況を把握、共有しながら、政府一丸となって災害応急対策に取り組む体制を構築してまいりたいと考えてございます。

平沼委員 ありがとうございます。

 大規模な災害発生時はかなり現場も混乱いたします。特に、初動の七十二時間というのは命の確保の時間でありまして、より迅速な対応が求められます。先ほど答弁もいただきましたけれども、現地対策本部等の速やかな立ち上げをしていくのも大変重要でありますし、そのための人員を日頃から育てておく、そして、それが迅速に対応できることによって人命救助にもつながると思っております。

 また、そのようなより迅速な初動対応を取るためには、想定が非常に重要であると思っております。

 そこで、今回、防災庁においては事前防災の徹底という理念というか目標を掲げられていると思いますけれども、事前防災の一部として災害シミュレーションや訓練の強化というのが非常に重要でフォーカスされていると思います。

 繰り返しになりますけれども、災害の被害を最小限に抑えるためには、災害シミュレーション及び訓練が大変重要だと考えております。今もいろいろな訓練とかシミュレーションをやっていただいているとは思うんですけれども、防災庁ができることによって、どのようにこれが強化されて実際に訓練等を実施していく予定なのかを教えていただけますでしょうか。

横山政府参考人 地域の防災力の抜本的強化のためには、その前提として、各地でシミュレーションを行い、それを踏まえて訓練を実施することが重要と考えてございます。

 防災庁においては、災害発生時に生じる被害を想定した上で、例えば、救出活動や救急搬送の体制が十分かなどについて具体的かつ分野横断的なシミュレーションを行い、必要な機能や機材の不足などを定量的に把握することをまず推進してまいりたいと思ってございます。そして、その結果を踏まえて、防災関係機関が連携して、住民や地元企業等も参加する救出、救助、救急搬送、避難、避難所運営、支援物資輸送などの総合的な防災訓練の実施を促してまいりたいと考えてございます。

 このような取組を通じて、より実効性の高い事前防災対策の推進を防災庁が担ってまいりたいと考えてございます。

平沼委員 ありがとうございます。

 今やっているものもしっかり司令塔としていろいろコントロールをしていただくということだと思うんですけれども、今、皆さんの地元でもそうだと思いますけれども、訓練とかいろいろやられていると思います。それぞれでやられているけれども、実際にこれが今後は防災庁ということで、できればいろいろな知見もそこからいただいて、より現実に即したものをやっていただくとか、そういったことが非常に重要になってくると思いますので、しっかりと対策を取っていただいてシミュレーションをすることが実際に災害が起きたときに非常に有効であると私は思いますので、しっかり取り組んでいただければと思います。

 加えて、実際に司令塔機能として災害対応に当たる政務三役、私も当時そうでありましたけれども、現地に派遣される各省の担当者の訓練も大変重要であると実感しております。実際に、私も能登半島地震のときに、政務官として、緊急参集の仕組み自体の事前レクは元々いただいてはいたんですけれども、実際に災害が起こったときに、現地対策本部に入って、これをどうやって立ち上げて、一体そこでどういう会議体を立ち上げて、そこでどういう情報を収集して何の対応に当たるかというような事前訓練が当時はなくて、私も政務官でしたけれども、当時の副大臣の古賀先生も手探りでいろいろ対応させていただいて何とか災害対応を行ってきたという経験をしております。記憶もしております。

 その経験もあって、当時、能登半島対応が少し収束した後に、政務三役を含めて、各省の担当のそういったところの課題の解決というのも是非しっかり認識していただきたいということもお願いしておりました。

 その上で、政務三役や災害対策本部に派遣される各省庁の担当も含めて、迅速に立ち上げから対応を行うためのマニュアルなどの整備も必要であると考えておりますけれども、現状の取組を教えていただけますでしょうか。

横山政府参考人 お答えいたします。

 能登半島地震の際の現地対策本部の運営のお支えが十分できなかったということは、大変な反省材料として組織としても受け止めているところでございます。その上で、政務三役や現地災害対策本部に派遣される各省庁の職員が発災直後から迅速かつ的確に災害対応を行えるよう、平時から備えを講じておくことが重要であるということを再認識してございます。

 このため、政府においては、災害対策本部の設置を始めとした初動対応を円滑に進めるためのしっかりしたマニュアルを整備するとともに、地方自治体と連携して、毎年、政務にも御参加いただいて現地災害対策本部運営訓練を実施して、実際の運営を体験していただきながら備えていただくというようなことを進めているところでございます。

 また、能登半島地震での教訓も踏まえて、発災時に被災地に派遣される職員も、基本的には事前にある程度指名していますので、彼らを集めて現場で行うことの確認をするような研修を実施し始めているところでございます。

 今後とも、過去の災害の教訓も踏まえつつ、訓練等を重ねながら、絶えず対応の改善を図って災害に対応する備えを強化してまいりたいと考えてございます。

平沼委員 ありがとうございます。かなりアップデートされているということを伺ったと思っております。

 実際の訓練を行っているのと行っていないとでは、かなり初動の対応が違いますので、そういった意味では、先ほども申し上げたような、七十二時間の中でどうやって対応していくのか、これが迅速に行われるのかというのが非常に結びついてくると思いますので、引き続き取り組んでいただければと思います。

 次に、インフラに関してお伺いをいたします。

 事前防災という観点から、インフラの強化というのは大変重要であると思っております。インフラの強化をしていれば被害はかなり抑えられるということが明確でありますけれども、能登半島地震においてはインフラの確保で最も時間がかかったのが上下水道でありました。水道や下水管などの耐震化の状況と急所対策は今どこまで進んでいるのか。また、これは国土強靱化計画との連動というのも非常にあると思いますけれども、ここに関して防災庁はどのような役割を果たすのかを教えていただけますでしょうか。

横山政府参考人 上下水道の関係でございますけれども、上下水道施設の令和六年度末時点の耐震化状況につきましては、例えば、上下水道システムの急所となる浄水施設の約四七%、下水処理施設の約五〇%で耐震化がなされているということでございます。また、接続する水道、下水道管路の両方が耐震化されている避難所など重要施設の割合は約九%という状況だと承知してございます。

 上下水道などのインフラの防災対策については、第一次国土強靱化実施中期計画等、各種計画を踏まえて、防災庁設置後も引き続き、国土交通省などの関係省庁において、防災も含めた様々な観点から、それぞれが有する専門性を生かしつつ取り組んでいくことを想定してございますけれども、その上で、防災庁が防災に関しては一段高い司令塔となって、関係府省庁や自治体と連携して事前防災の取組を推進していく考えでございます。

 例えば、南海トラフ地震等の大規模地震に関する各種計画がございますけれども、こちらにおいてインフラ耐震化などの個別具体の施策が位置づけられてございます。これを防災庁が中心になって適時フォローアップを行うとともに、更に施策を推進する必要がある場合には勧告権も背景に対応を求めていくなど、関係省庁と連携して様々な事前防災対策を推進してまいります。

 それらの取組を通じて優先すべき課題へ対応していくことが、地域の事前防災の取組を前進させ、結果的には国土強靱化の目標を達成することにつながると考えてございます。

 計画を取りまとめる内閣官房や具体の強靱化の取組を行う関係省庁とも連携しながら、政府一体となって地域における事前防災を推進する体制を構築したいと考えてございます。

平沼委員 ありがとうございます。

 まだまだ道半ばというところもあるかとは思いますけれども、是非、防災庁ができた暁には、いろいろなプライオリティーみたいな部分もあると思うんです、さっき南海トラフのお話もしていただきましたけれども、そこはしっかりやっていくということで、是非国土強靱化ともしっかり連携していただきたいと思います。

 国土強靱化において対策を施した様々なインフラは、実際、被害があった際にも被害を低減できたという実績も多数上がっております。また、復旧に関しての費用も非常に抑えられたというような実績もありますので、上下水道にかかわらず、道路、橋梁、河川など、様々なインフラにおいても防災庁が今後司令塔機能として対応していくのが急所対策を含めて重要なミッションかと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次の質問に移ります。

 先日、ゴールデンウィーク中に、私は自民党の青年局長でございますけれども、青年局で台湾に行かせていただきました。その際に、副総統や外交部長、いわゆる外務大臣、国家安全保障会議秘書長、これはいわゆるNSCでございますけれども、台湾政府の要人の皆様にもお会いをさせていただきました。こういった中において必ず話に出てきたのは、日本と防災分野でしっかりと連携していきたいというお話を多数いただきました。防災庁ができるということにも大変期待感を抱いておりました。

 そこで質問をいたしますけれども、防災庁のミッションには国際防災協力が入っております。海外のノウハウや技術の国際連携が大変重要であると考えておりますけれども、今後、国際連携をどのように進めていくのかをお伺いいたします。

鎌原政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど総理が述べられておりましたとおり、地球温暖化の影響もありまして、災害の激甚化、頻発化が世界的な課題となっております。このような中で、災害大国である我が国が蓄積してきた防災技術やノウハウに対して国際社会から高い期待が寄せられているものと認識しております。

 まず、我が国からの国際連携ということで申し上げますと、近年、我が国では、耐震化などのハード面の技術に加えて、衛星やAIなどを活用した被害状況の把握や災害予測、さらには浄水化技術など、避難生活の環境改善に資する新たな技術やサービスが次々と生まれてきております。こうした防災技術の海外展開を進めることは、各国の防災力向上への貢献につながるとともに、我が国の防災産業の育成や成長力強化、翻って我が国の防災力の強化の観点からも重要であると考えております。

 このため、内閣府としましては、関係省庁や民間事業者などと連携しまして、国際会議、展示会などにおける日本の防災技術のPRや外国政府と日本企業とのマッチングの推進、海外における日本の防災技術の導入支援などの取組を行っておりますが、防災庁ではこれらの取組を更に推進してまいりたいと考えております。

 また、議員御指摘のとおり、海外の優れた防災技術やノウハウについて、これを積極的に学んで我が国の防災力向上につなげていくことも大変重要であります。例えば、昨年の災害対策基本法の改正では、イタリアや、まさに台湾の事例も参考とさせていただいて、災害ボランティア団体の登録制度などを整備したところであります。

 今後とも、海外の優良事例の活用なども含めて、国際連携を一層推進してまいりたいと考えております。

平沼委員 ありがとうございます。

 先ほども触れていただきましたけれども、防災の技術開発というところは、現在政権が進めている戦略十七分野の一つでもありますし、国際連携を強化して日本が防災の分野でイニシアチブをしっかり取っていく、そして国際貢献をしていくことが防災庁の役割として大変重要だと私は思っておりますので、引き続き、こちらからの提供、また向こうからのノウハウの享受というところもしっかりやっていただいて取り組んでいただければと思います。

 時間的に最後の質問に参りますけれども、今回、防災庁は、我が国の防災全体を俯瞰して、中長期的な視点で防災に関する基本政策や国家戦略を策定することとされております。これはまさに防災庁の背骨となる部分かと思いますけれども、どのようなスキームでどのような思想のものを作り上げていくのか、是非大臣の意気込みを込めて見解をお聞かせいただけますでしょうか。

牧野国務大臣 平沼委員の御質問にお答えさせていただきます。

 我が国の防災体制の抜本的な強化に向けて防災庁が司令塔機能を発揮するためには、我が国全体の防災政策を牽引する国家戦略の立案が大変重要だと思います。その国家戦略としては、これまでの災害に対する十分な検証や、我が国の将来にわたって起こり得る環境の変化、そして最新の技術動向などを踏まえて、あらゆる事態を想定して、起こり得る被害を先読みし、防災政策を立案していくという考え方を示すことが必要だと考えております。

 そのような考え方の下で、シミュレーションに基づいた災害リスク評価などを通じて、国難級の災害の被害を最小限に食い止めていくことを今後の我が国の防災の基本政策として想定しており、今後具体的な検討を進めてまいります。

 その上で、こうした我が国の防災対策の国家戦略を国の中央防災会議が定める防災基本計画に明確に位置づけ、これに基づき、防災庁が防災大臣の勧告権を活用しながら我が国全体の防災政策を力強く牽引してまいります。

平沼委員 大臣、ありがとうございました。意気込みが伝わってまいりました。

 是非、今までの経験やノウハウを基に、日本には防災庁があって安心だとか、海外から日本は防災庁があってすごいと言われるような体制をつくっていただくようお願いと期待を込めまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

関委員長 次に、工藤聖子君。

工藤(聖)委員 再び、参政党の工藤聖子でございます。

 次は、災害情報の取扱いと被災者情報の保護について伺ってまいりたいと思います。

 政府の防災立国の推進に向けた基本方針では、デジタル防災技術の活用を推進されております。これに関して、防災関連で今後整備されるシステムには、被災者の情報がどこまで集められることになるのでしょうか。例えば、氏名、住所、家族構成、持病や薬の情報、避難所での御所在など、こうした情報が今後システムの中に集約されていくのでしょうか。

 防災庁設置準備アドバイザー会議の報告書では、広域災害時に要配慮者や被災者に関するデータ等を収集、利活用できるシステムの構築を進めるとの記載もございました。もちろん、大変な思いをされている被災者の皆様に必要な物資をきめ細やかに届けるために情報を集めるということはとても重要なことだと私も思っておりますし、この場でもたくさん議論されてまいったところでございます。

 ただ、私がこれを伺うのは、例えば、被災してやっとの思いで避難所にたどり着いた方の御病気や御家族の情報が、いつの間にか巨大な政府のデータベースに記録されていく、そういう未来がどこまで現実のものになろうとしているのか、まずは国会の場で確認しておかなければならないと考えたからです。被災された方々にとって、避難所はよりどころであります。そこで提供した情報が、御本人の知らないところでどこまでどのように使われていくのか、これは被災者の方々の尊厳にも関わる大切な論点と思っております。

 そこで、伺います。

 今後、防災関連システムにおいて、具体的にどのような被災者情報を扱う想定なのか、御説明をお願いいたします。

横山政府参考人 御指摘のように、個人情報が取り扱われる仕組みでございますので、もちろん個人情報保護法上の配慮は十分しながらでございますけれども、一方で、大規模災害発生時には、在宅避難や車中泊等の避難所外に避難する被災者もおられる中で、自治体をまたぐ広域避難者が出る場合もございます。こういう事象も含めて、被災者一人一人に寄り添った支援を行うためには、被災者に関する情報がある程度集約されて共有されるような状態になっていなければ、なかなか対応が難しいという現実もございます。

 そのために、具体的には、デジタル技術を活用し、自治体等が平時に収集済みの住民基本台帳システムなどに含まれる情報や避難行動要支援者情報、発災後にアウトリーチで集めてくる情報も含めて、被災者一人一人から収集する情報をまずは自治体単位でデータベースとして集約する仕組みが有効ではないかというふうに考えてございます。

 このときデータベースへの集約が想定される項目についてお尋ねがございましたけれども、被災者支援に必要となる具体的な項目については、今、内閣府が自治体に参考のためにお示ししています被災者台帳ヒアリングシートというものがございます。お一人お一人に御事情を確認する、情報は、もちろん、本人がお示しいただく、同意の上で集める情報という前提でございますけれども、その記載、例えば、氏名、住所などはもちろんでございますけれども、要介護度情報や避難場所として想定されている場所といった項目、そういうようなことを中心にしながら、自治体の被災者支援業務の実態を把握して、本当に必要な情報は何かをこれから精査した上で、こういう項目について今後検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

 スムースな情報集約や自治体間での情報連携のためには、各種のデジタルツールやシステムにより収集されるデータの標準化が重要になると認識しています。こうした観点から、防災庁においては、まずは被災者支援に必要な情報項目の標準化等を進めた上で、広域避難者への支援も見据えて、自治体間での情報連携の在り方についても検討してまいりたいと考えてございます。

工藤(聖)委員 ありがとうございます。

 被災者の方にきめ細かく物資なども届けるために必要な情報を集めていくということはとても重要なことだと思うんですが、反面、リスクもあると考えております。

 現在、国会で改正デジタル行政推進法案が審議中でございます。これは、国の保有データを認定された民間企業に提供してAI開発などに活用してもらう、いわば行政データの民間開放の仕組みと認識しております。私が懸念するのは、その情報の提供先に外資系企業が含まれる可能性でございます。今回のデジタル行政推進法の改正案には、こうした外資規制が設けられていないと認識しております。

 少し皆様にも想像していただきたいのですが、災害で家を失い、避難所でお名前や御持病などを書いたその情報が、知らない間に海外企業に渡り、海外のサーバーに保管され、AI開発に使われる、これは被災者の方々にしたら想像もできない世界ではないかと思います。しかも、災害情報の中には、個人情報だけでなく、災害対応の経験値とか、避難の動線だとか、地域の脆弱性など、国家の安全保障に直結する情報もあるだろうと思います。こうした懸念がございますので、私としては、外資系企業はその情報提供先から除外すべきではないかと考えております。

 また、これは質問ではありませんが、改正デジタル行政推進法案の基となっている政府のデータ利活用の推進に関する方針には、一定の緊急事態において、民間事業者に対するデータ提供を義務づける仕組みを整備するという記述もございます。これは、見方によっては、現在議論されている緊急事態の先取りのようにも読めました。

 これを前提にすれば、大規模災害時に国が民間事業者から強制取得した膨大なデータが事業者のものとなり、平時にはまたそれらが民間事業者へ流通する、そういった災害を入口とした官民双方向の膨大なデータ循環が生じ、より一層の安全保障上のリスクが高まる懸念があると思っております。現時点で、国がデータを強制取得できる、そういう仕組みは明文化に至っていないと認識しておりますが、将来構想については非常に危惧されるところでございます。

 ということで、少し先の話までしてしまいましたが、伺いたかったのは、被災者の機微情報、そのほかの災害情報が外国資本の企業に渡りAI開発に使われる、こうした事態について、政府としては安全保障上のリスクをどのようにお考えかということでございます。この点について、政府の見解を伺います。

山澄政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、先生から御言及がございましたが、基本方針に義務づけ云々の検討事項という記載がございましたが、今般のデジタル行政推進法等改正案においては措置をしておりません。

 その上で、外資系云々の話がございましたが、同改正法案で規定してございます民間事業者がデータ提供を受ける仕組みにつきましては、入口で外資、内資を区別して外資を禁止するというふうにはしておりませんけれども、いずれにいたしましても、個別の認定に当たりましては、データの安全管理の方法ですとか、データセキュリティー、データの取扱いに関する重要事項について定めた指針に照らしまして、安全管理の内容ですとか、要すれば、当該事業者の資本構成、事業活動という点につきましてもきちんとチェックをしてまいりますので、このような措置を通じまして、御指摘のようなリスクへの対応を含め、適切な制度の運用が図れると考えてございます。

工藤(聖)委員 御答弁ありがとうございます。

 もう一度確認しますが、今度のデジタル行政法案に入っていないそうですが、災害時に集めた情報が今後外資系企業に渡るということはないという認識でよろしいでしょうか。もう一度確認させてください。

山澄政府参考人 繰り返しの答弁で恐縮でございますけれども、今般の改正法案においては、災害時も含めましてですけれども、事業者が義務によって行政にデータを供出するというような措置は設けられておりません。

工藤(聖)委員 ありがとうございます。

 今回の法案のことではなく将来的にということをお伺いしたかったんですが、時間が来ましたので、何かの機会がありましたら御質問をさせていただきたいと思います。

 長い時間、皆様と防災庁設置法案について一緒に議論させていただいたこと、大変光栄に思っております。どうもありがとうございました。

関委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

関委員長 これより両案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、内閣提出、防災庁設置法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

関委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、防災庁設置法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

関委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

関委員長 この際、ただいま議決いたしました両案に対し、小里泰弘君外六名から、自由民主党・無所属の会、中道改革連合・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、参政党及びチームみらいの六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。西園勝秀君。

西園委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    防災庁設置法案及び防災庁設置法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の事項に留意し、その運用等について遺漏なきを期すべきである。

 一 防災庁がその任務を遂行するに当たっては、縦割りを排除し、関係府省庁、地方公共団体等との連携を十分に担保するため、司令塔としての調整力のみならず、強い指導力を発揮できる環境を整備すること。

 二 地方公共団体における防災力強化の取組が円滑に進むよう、人材育成、専門人材の派遣その他の必要な人的支援や財政支援を講じるよう努めること。災害からの復旧・復興に関する事業について、被災自治体及び被災者のニーズに対しワンストップで伴走型支援を実施する被災地支援体制を速やかに構築するため、防災庁は、調整やコーディネートの実施に加え、政府における防災施策全体の司令塔として、事業の統括、管理を積極的に実施するよう努めること。

 三 大規模災害時における被災自治体の過重負担を軽減する制度を構築すること。特に、市町村職員が被災者でありながら支援者として避難所運営、物資や住宅の確保、被災者対応等を担う実態を踏まえ、国及び都道府県による人的・実務的支援を強化し、被災自治体及び現場職員に業務が集中しない運用体制を整備すること。

 四 防災庁がその機能を十分に発揮するために必要となる人材の確保については、防災・減災に係る専門人材やプロパー職員の計画的な採用、育成の制度設計を行うこと。また、国及び地方公共団体において、防災担当職員の兼務や頻繁な異動により知見が蓄積されにくい実情を考慮し、平時から専任性・専門性を確保できる人員配置及び研修支援の在り方を検討すること。

 五 防災大学校(仮称)の設置については、防災庁における専門性の蓄積及び官民の実務者による強固なネットワーク構築を図るため、国・地方の職員の他、ボランティア団体やNPO等の民間人材等も対象とし、官民協働の学びの場として位置付け、平時から顔の見える関係性を構築するための具体的措置を講じること。

 六 東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故から得られた知見については、防災庁へと引き継がれることが重要である。復興庁が担っている東日本大震災からの復興に係る司令塔機能を含む取組は、今後とも中長期的な対応が必要となることを踏まえ、着実に進めること。

 七 防災分野におけるDXを推進するに当たっては、市町村の区域を超えた広域災害に対しても、被災者に係る情報を集約・共有できるようにしていくため、被災者支援システムの広域連携のための仕組の構築に努めること。また、個人情報の活用については、セキュリティの確実な保護を行うとともに、災害対応及び被災者支援に必要な範囲で、関係者間で適切に情報を共有し、活用するための技術開発、制度、運用について検討すること。

 八 防災DXの推進により、発災時における政府による迅速な情報の収集・発信やプッシュ型支援等を実施できる体制を構築するとともに、いずれの被災地においても一定水準以上の防災対応が担保されるよう、既存のマニュアルや指針等を体系的に整理し、地方公共団体の規模や財政基盤に応じた支援を行うことにより、防災・減災に係る自治体間格差を解消し、全国的な水準を底上げするよう努めること。

 九 防災局の設置場所及び管轄区域については、各地方公共団体等の要望や意見が多数寄せられていることから、災害発生リスク等を踏まえて慎重に検討するとともに、その選定プロセスや基準の明確化及び透明化に留意すること。

 十 災害対策基本法第二条の二に定める基本理念に、全ての被災者がその被災地にかかわらず、できる限り、良好な生活環境をあまねく享受できるようにすることが明記された趣旨に鑑み、被災者の人権を尊重した取組に万全を期するとともに、特に、女性や子ども、障害者に配慮した環境整備をより一層推進するため、地方公共団体に対し、適切な助言及び支援を行うこと。

 十一 被災者支援及び避難生活環境の抜本的改善に関し、災害支援システム構築の必要性に鑑み、有識者が参画する場を設け、その意見を聴取すること。なお、意見聴取の場においては、保健・医療・福祉の専門家、人権に配慮した避難生活環境等に関して知見を有する者など多様な主体の参画を図ること。

 十二 各地域における科学的な災害リスク評価に基づく事前防災の推進に当たっては、人的・財政的基盤の弱い地方公共団体に対する国の支援を適切に行う方策を検討すること。また、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震及び南海トラフ地震対策に万全を期するため、地方防災会議等が災害リスク評価の結果等を踏まえて地震防災対策推進計画の見直しを行うに当たり、国として、必要かつ十分な情報提供及び助言を行うことにより、その見直しの円滑化を図ること。

 十三 富士山の噴火を始めとする火山防災対策については、関係府省庁及び地方公共団体による総合的な対策が重要となることから、防災庁は司令塔として、関係機関との緊密な連携及び円滑な調整に努めるとともに、平時のリスク評価に基づく事前防災から噴火時の応急対応に至るまで、実効性のある対策の立案と実施を図ること。

 十四 防災庁発足後も現場の実態に即して検証・見直しを重ね、官民協働防災の実効性を高めることが不可欠であることに鑑み、平時からの人材確保や教育・訓練、備蓄や防災DX等の推進状況、また、発災時における国・地方公共団体・民間事業者等の役割分担について検証する場を設けること。なお、検証の場においては、自治体職員等の労働者や現場関係者を始め、産官学民の多様な防災関係者が参画するものとすること。

 十五 複合災害への対応を一層強化するため、関係府省庁及び地方公共団体等と連携し、被害を防止・軽減する施策の実施を加速化するとともに、複合災害発生時における避難所運営や救援物資の供給等の在り方の見直しを行うこと。特に、自然災害と原子力発電所事故の発生が重なる複合災害については、防災庁と内閣府原子力防災担当部局との間で、発災から復旧・復興までの各段階における役割分担を明確化し、緊密な連携体制を構築することにより、被災者への対応に万全を期すこと。

 十六 在留外国人やインバウンドの増加を踏まえ、各地方公共団体における、多様な食習慣・文化的慣習を有する外国人に対応した避難所環境の整備や防災教育・訓練の実施、地域防災力の向上に資する外国人防災リーダー育成の取組に対し、必要な助言と支援を行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

関委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

関委員長 起立総員。よって、両案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。牧野防災庁設置準備担当大臣。

牧野国務大臣 ただいま御決議がありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重して、適切な措置の実施に努めてまいります。

    ―――――――――――――

関委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

関委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

関委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十六分散会


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