衆議院

メインへスキップ



第3号 平成30年7月9日(月曜日)

会議録本文へ
平成三十年七月九日(月曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 横光 克彦君

   理事 井上 貴博君 理事 江渡 聡徳君

   理事 北村 誠吾君 理事 若宮 健嗣君

   理事 渡辺 孝一君 理事 近藤 昭一君

   理事 山岡 達丸君 理事 佐藤 英道君

      安藤 高夫君    尾身 朝子君

      門  博文君    高村 正大君

      佐藤 明男君    繁本  護君

      杉田 水脈君    鈴木 貴子君

      高木  啓君    中曽根康隆君

      鳩山 二郎君    百武 公親君

      穂坂  泰君    牧島かれん君

      宮内 秀樹君    八木 哲也君

      神谷  裕君    奥野総一郎君

      緑川 貴士君    安住  淳君

      赤嶺 政賢君    串田 誠一君

      下地 幹郎君

    …………………………………

   外務大臣         河野 太郎君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 福井  照君

   外務副大臣        中根 一幸君

   防衛副大臣       山本ともひろ君

   内閣府大臣政務官     山下 雄平君

   外務大臣政務官      岡本 三成君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  高田  潔君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   日下 正周君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  北村  信君

   政府参考人

   (内閣府北方対策本部審議官)           三上 明輝君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 相木 俊宏君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 田村 政美君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 船越 健裕君

   政府参考人

   (国土交通省航空局航空ネットワーク部長)     久保田雅晴君

   政府参考人

   (環境省大臣官房政策立案総括審議官)       米谷  仁君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房施設監) 平井 啓友君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           小波  功君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 辰己 昌良君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 岡  真臣君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 田中  聡君

   衆議院調査局第一特別調査室長           大野雄一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月七日

 辞任         補欠選任

  井上 一徳君     牧  義夫君

  小川 淳也君     今井 雅人君

同月十四日

 辞任         補欠選任

  今井 雅人君     奥野総一郎君

  牧  義夫君     緑川 貴士君

七月九日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     穂坂  泰君

  國場幸之助君     牧島かれん君

  繁本  護君     八木 哲也君

  鈴木 隼人君     杉田 水脈君

  武井 俊輔君     安藤 高夫君

  山口 泰明君     佐藤 明男君

  石川 香織君     神谷  裕君

  下地 幹郎君     串田 誠一君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤 高夫君     高木  啓君

  佐藤 明男君     山口 泰明君

  杉田 水脈君     鳩山 二郎君

  穂坂  泰君     尾身 朝子君

  牧島かれん君     國場幸之助君

  八木 哲也君     中曽根康隆君

  神谷  裕君     石川 香織君

  串田 誠一君     下地 幹郎君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     武井 俊輔君

  中曽根康隆君     繁本  護君

  鳩山 二郎君     百武 公親君

同日

 辞任         補欠選任

  百武 公親君     鈴木 隼人君

同日

 理事國場幸之助君同日理事辞任につき、その補欠として井上貴博君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 沖縄及び北方問題に関する件

 北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案起草の件

 北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案起草の件

 北方領土問題等の解決の促進及び北方領土隣接地域の振興に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

横光委員長 これより会議を開きます。

 理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事國場幸之助君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

横光委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

横光委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に井上貴博君を指名いたします。

     ――――◇―――――

横光委員長 沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官高田潔君、内閣府政策統括官日下正周君、内閣府沖縄振興局長北村信君、内閣府北方対策本部審議官三上明輝君、外務省大臣官房審議官相木俊宏君、外務省大臣官房参事官田村政美君、外務省大臣官房参事官船越健裕君、国土交通省航空局航空ネットワーク部長久保田雅晴君、環境省大臣官房政策立案総括審議官米谷仁君、防衛省大臣官房施設監平井啓友君、防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官小波功君、防衛省大臣官房審議官辰己昌良君、防衛省防衛政策局次長岡真臣君及び防衛省地方協力局次長田中聡君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

横光委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

横光委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。宮内秀樹君。

宮内委員 自由民主党の宮内秀樹でございます。

 満を持しての質問ということでございますので、一生懸命質問をさせていただきますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 まず最初に、先週末、西日本各地におきまして、豪雨災害で多くの方々がお亡くなりになって、大変な被害がまた我が国の国土において起きたわけでございます。被災された皆様方には心からお見舞いを申し上げますと同時に、改めて我が国のこの災害に、多くの災害に見舞われる脆弱なこの国土を持って、そして、いつ来るかわからない災害にやはり心配を重ねるような、こういう国土である、国家であるということを再認識をしたわけでありますし、そのためにはやはり、国土の強靱化、まさにその備えとして、国土をどうつくるかということを真剣に考え、そして予算措置をするのも大切だなということを改めて思った次第でございます。

 通告はしておりませんけれども、今回の災害及びこの国土のあり方について、福井大臣からの御見解をいただければありがたいと思います。

福井国務大臣 災害ごときでは一人の命も失わないという目標を立てまして、二〇一一年の十月から国民運動として国土強靱化を始めましたが、まだこのような状況でございます。もう本当に、国民全体に対しまして、私どもの努力が足らないことを、おわびを申し上げなければならないと存じております。

 確かに、広域にわたりまして、かつてない雨が西日本全体に降りまして、想像できなかった、予測をできなかったということもありますけれども、どんなことが起こっても、命を助けるということに邁進をさせていただければというふうに思います。

 と申しますのも、津波に対しましては、世界津波の日をつくって、その前の津波防災の日本の法律をつくって、そして避難訓練をして、地球上で一緒に避難訓練をするというところまで来て、揺れたら逃げる、揺れたら逃げるということは地球全体に浸透したというふうに思っておりますけれども、今回のような雨、今回のような土砂崩れに対して命を守ることに対して、ひょっとして、この戦後七十年間、私ども、注意を十分に払ってこなかったのではないかという反省が今回ございますので、住民全体が自主避難する、そういう地域で話し合う、そして地域全体で避難するということを訓練をするということを全国的に浸透してもらうように、努力を重ねていきたいと思います。

 所管外ですけれども、せっかくの御質問でございますので、お答えをさせていただきました。

宮内委員 ありがとうございました。

 まさにこういう状況に接したときのこの気持ちを我々国会は忘れることなく、永遠に続く日本のあるべき豊かな国土づくりのために私も頑張っていきたいと思いますし、大臣におかれましては、専門家であります国土強靱化につきまして、これからもいろいろ御指導いただきながら引っ張っていっていただきたいというふうに思います。

 さて、本日は、沖縄問題につきまして御質問を幾つかさせていただきたいと思っております。

 現在の沖縄県の現状でございますけれども、経済が大変好調であり、特に観光がそのことを牽引をしているというお話でございます。昨年は八百万人の観光客で潤った、客数では何とハワイを超えたという、そういう話まで聞いております。また、沖縄県においての有効求人倍率が一を超えておるということでございまして、昨今の沖縄県の景気、好景気ということは、これは事実だというふうに思いますし、このことについてはもっともっとエンジン全開でしっかりと政策としても支えていく必要があるというふうに思いますけれども、総理の施政方針演説におきましても、沖縄振興に国家戦略として取り組むというお話がございました。これを受けて、大臣の意気込みについてお伺いできましたらありがたいと思いますが。

福井国務大臣 ありがとうございます。

 沖縄はさまざまな特殊事情を抱えていることから、政府は、昭和四十七年の本土復帰以降、各種施策を講じてきました。こうした振興策などによりまして、御指摘のお話のとおり、沖縄の経済は着実に成長しているところでございます。

 一方で、特に若年層を中心とした完全失業率の高さや、リーディング産業である、先生今おっしゃいました観光業、そしてIT産業の高付加価値化など、まだ解決すべき課題もございます。また、沖縄のみならず全国的な問題でありますけれども、雇用環境の改善が続く中、雇用のミスマッチへの対応も重要な課題であると認識をしております。

 ただし、沖縄は大きな優位性、潜在力を有しております。例えば、これまで不利とされてきた本土から遠いという地理的条件も、成長するアジアに目を向ければ、むしろ有利な場所に位置をしております。また、今後、一千ヘクタールに及ぶ米軍基地が返還され、これらの跡地は地域づくりの種地となるわけでございます。さらに、OIST、沖縄科学技術大学院大学における研究成果の社会実装なども今後期待されるところでございます。

 私といたしましては、沖縄の抱える課題に対応する一方で、その可能性をさらにさらに伸ばしていくため、先生の御指導も得ながら、引き続き国家戦略として沖縄振興策を総合的、積極的に推進してまいりたいと存じているところでございます。

宮内委員 まさに私も同じ思いでございます。

 特に、これだけの急激な観光振興の現状がある、それから基地の跡地利用のさまざまなアイデアが出せる、そういう環境にあるということでございます。何と税収もかなり伸びておるという状況でございますから、まさに今、政策が必要であるというふうに思っております。

 そこで、日本もそうなんでございますが、離島県というのは、多くの人が来るとか、物が来るとか、お金が入ってくるというためには、どこから入ってくるのかというのは、やはり空港か港ということでございます。

 特に今、那覇空港におきましては、第二滑走路の供用に向けまして工事最盛期というふうに聞いておりますけれども、やはりこの空港、玄関の潜在的な能力を高めるということが、何としても私は大事なことだというふうに思っております。

 その意味におきましては、この第二滑走路は必要不可欠なことでありますけれども、もしこの第二滑走路が二〇二〇年に間に合ってできたとしても、この発着可能数は、今の一・二倍から三倍ぐらいにしかふえないというのが現実であるわけであります。したがって、その次の滑走路はどうするのか、その次の空港もつくる必要があるのじゃないかという議論さえ、私は必要だというふうに思います。

 そして、この那覇空港の利便性を上げるということは大変重要な政策課題であるというふうに思いますが、地元からは、特に新しいターミナルの、今のターミナルの移設をすることによって、もっともっと使いやすく、しかも魅力のある、許容力のある空港にした方がいいじゃないかという、そういうお話も伺ったりしたことがあります。

 私もそういうことは同感でございますが、その点についての政府の御認識をお聞かせいただけたらと思います。

北村政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、那覇空港は、島嶼県であります沖縄県の玄関口として極めて重要な役割を果たしております。近年は、LCC路線の拡充や訪日外国人旅行者の増大等により、利用客が増大していると認識しております。

 このため、現在、那覇空港滑走路増設事業あるいは国際線ターミナル地域再編事業を進めているところでありまして、まずは、これらの施設を最大限活用してまいりたいと存じます。

 それから、委員御指摘のさらなる空港機能の強化につきましては、今後の需要の動向、さらには、今委員から御指摘のありました地元でのさまざまな議論を注視しつつ、国土交通省と連携して、適切に対応してまいりたいと存じます。

宮内委員 このような大きな戦略的社会インフラにつきましては、計画から実行までやはり時間のかかる話でございますので、もう今から、そういう十年先、二十年先を見据えた議論をしていく、政策をつくっていくということが大変重要だというふうに思いますので、ぜひ地元の方々とのコミュニケーションを一層国からどんどんとっていっていただきまして、そういう大きな展開での社会資本について御検討いただきたいというふうに思います。

 それから、クルーズ船でございますけれども、クルーズ船の寄港が大幅に増加をしていて、まさに誰が予想していたんだろうというぐらい、多くの数のクルーズ船が寄港をしております。クルーズ船によっては、例えば那覇港に、同時間に二隻、三隻というようなことの要望があるということも伺っておりますし、どんどんそういう需要に対してしっかりと対応するという準備が必要だというふうに思います。

 宮古島や石垣島における類似のクルーズ対応につきましても、急いでくださっているということは聞いておりますけれども、想像を絶するスピードで、社会の方が、その魅力をもって来てくださっているという状況があるというふうに思っております。

 そこにつきまして、那覇港及び宮古島、石垣島におけるクルーズ対応につきまして、どのような取組で考えているかについて、お聞かせいただきたいと思います。

北村政府参考人 お答えいたします。

 沖縄のリーディング産業であります観光・リゾート産業の発展、特に国内外からの大型クルーズ船を利用した観光を推進する上で、その受入れ環境整備は非常に重要と認識しております。

 現在、那覇港では、泊埠頭地区のクルーズ船ターミナルに加え、新港埠頭地区の国際コンテナターミナル等の貨物岸壁を活用して、クルーズ船の複数隻同時寄港に対応しております。

 御指摘のありました那覇港におけるクルーズ船受入れ機能のさらなる強化につきましては、今後の需要動向を見きわめながら、時期を逸することのないよう、国土交通省とも連携し、適切に取り組んでまいりたいと存じます。

 それから、宮古島、石垣島についてのクルーズ対応でございますが、まず、宮古島の平良港につきましては、官民連携による国際旅客船拠点形成港湾の指定を受け、クルーズ船ターミナルの平成三十二年の供用開始に向け、整備を進めているところでございます。

 また、石垣港につきましては、本年四月に、新港地区に整備中のクルーズ船ターミナルの一部暫定供用を開始し、七万トン級のクルーズ船の受入れが可能となったところでございます。さらなる大型クルーズ船の受入れが可能となるよう、引き続き整備を進めているところでございまして、現在進行中の整備が完了いたしますと、二十万トン級のクルーズ船の受入れが可能となります。

 宮古島、石垣島におけますクルーズ船ターミナルの整備につきましても、国土交通省とも連携し、引き続き着実に進めてまいりたいと存じます。

宮内委員 この大きな流れをしっかり取り込んでいけるように、港湾管理者、それから政府、特にまた国土交通省の専門的知識をしっかり生かしていただいて、見据えた計画、そしてそのために、例えば新しい力が外から入ってくるというきっかけになりますから、クルーズ会社自体も投資をどんどんいろいろなところにしておりますので、そういう取り込むようなことも含めて、よく連携をとって考えていっていただきたいというふうに思います。

 さて、もう一つ、観光振興とともに、沖縄の大きな性格がやはり基地問題でございます。基地問題、やはり沖縄の県民の方々からすれば、多発する米軍の関連事故につきましては本当に腹立たしいことだというふうに思います。

 また、その事故が多発してやむ気配がない、何かがあるたびに小学校に落下物があったりするということは非常に悩ましいし、こういうことがないようにする努力を、我が国も米軍に対して、米国に対してしっかりと話をしていきながら、予算もつけながら対応していかなければいけないということを思っているところでございます。

 一月の予算委員会におきまして、我が党の國場議員からも、再発防止に向けてさまざまな具体案があったかと存じます。その後、政府の対応状況や米側当局の取組の状況をどういうふうに御認識しているのかということについてお伺いいたします。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍機の運用に際しましては、地域住民の方々の安全の確保というものが大前提でございまして、事故等はあってはならない、これはもう当然のことでございます。

 防衛省といたしましては、これまで、米軍機による事故等が発生した場合には、事故等の重大性を勘案し、米側に対しまして再発防止の徹底あるいは飛行停止といったものを求めてきているところでございます。

 小野寺防衛大臣からも、マティス米国防長官に対しまして、累次の機会を捉えまして、例えば、ことしの四月、五月及び六月の日米防衛相会談におきましても、米軍の安全な運用の確保に向けた協力を要請いたしまして、マティス長官からも、安全な運用の確保は重要であるという旨の認識が示されてきているところでございます。

 また、米側は、昨年十二月の、普天間第二小学校の校庭に米軍のヘリの窓が落下したということを深刻に受けとめておりまして、外来機を含めまして普天間飛行場を離発着する全ての航空機に対しまして、普天間第二小学校を含む全ての学校の上空の飛行を最大限可能な限り避けるよう指示をするとともに、ノータムと呼ばれる航空情報、これを出しまして、同小学校の上空の飛行を回避するための努力というものをしているというふうに認識しているところでございます。

 いずれにいたしましても、防衛省といたしましては、引き続き、米側に対し、しっかりと再発防止のための対策を講ずるよう、自衛隊の知見も活用しながら強く求めてまいりたいというふうに考えております。

宮内委員 とにかく、政府対政府という関係性が一番でございますので、しっかりと対応していただきたいと思いますし、検証を具体的にしっかりとやりとりをするということを引き続きよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 これは関連でありますけれども、うるま市における米軍属による女性殺害事件から既に一年以上が経過をしているわけでございます。被害家族への補償解決等がおくれているというようなお話を聞きます。また、そろそろ決着をするんじゃないかというお話も聞いたりいたしておりますけれども、この問題についてどうなっておるのかということについても、具体的に今の現状のお話を聞かせていただけますでしょうか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八年四月に発生しました本事件は、卑劣きわまりない犯行により、将来ある若き女性が命を落とすという大変痛ましい事件でございました。御遺族のお気持ちは、察するに余りあります。

 委員御指摘の補償の問題についてでございますが、これは、被害者救済の観点から、日米間のさまざまなレベルで協議を重ねた結果、日米両国政府から、裁判で確定した損害金の額について支払いを行うことというふうにしたところでございます。なお、この支払いにつきましては、近日中に御遺族に支払われるよう手続を行っているところでございます。

 防衛省といたしましては、本件のような事件が二度と起こらないよう、引き続き日米間で協力して取り組んでまいりたい、このように考えております。

宮内委員 一方、先ほどもお話が出ましたように、米軍の跡地利用につきましても、現地において非常に注目があると同時に、このことを、沖縄の振興の大きな財産であり、あるいはきっかけにする必要があるというふうに私は思っております。

 そこで、西普天間跡地問題でございます。

 西普天間住宅地区跡地につきましては、琉球大学医学部や附属病院を核として、高度な医療・研究機能の拡充や地域医療の水準の向上を図る沖縄健康医療拠点の形成が期待されておると聞いております。国の財政支援も含めました具体的な取組についてお伺いをいたしたいと思います。

福井国務大臣 沖縄健康医療拠点、先生今おっしゃいましたように、国際性、離島の特性という沖縄の医療の特徴を踏まえまして、高度医療・研究機能の拡充、地域医療水準の向上、国際研究交流・医療人材育成の三つを柱として整備を進めているところでございます。現在、内閣府、文部科学省、沖縄県、琉球大学から構成されております関係者会議において、具体化に向けた議論を進めているところでございます。

 平成三十年度予算においては、必要な建物を建設するために必要な実施設計費として、約三億円を措置しているところでございます。

 今後、跡地利用のモデルケースになりますように、引き続き、沖縄の特性を生かした沖縄健康医療拠点の形成にしっかり取り組んでまいる所存でございます。

宮内委員 ありがとうございます。

 引き続き沖縄振興に向けて、私も微力ではございますけれども努力をしてまいりたいと思いますので、大臣におかれましては、ひとつよろしくお願いを申し上げます。

 ありがとうございました。

横光委員長 次に、鈴木貴子君。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 北方領土問題また日ロ外交をライフワークとし、そしてまた、北方四島も私の地元の一部であるというような思いで日々活動させていただいております衆議院議員の鈴木貴子でございます。

 まず、限られた時間でありますので、早速、きょうは北方問題を主とした質問をさせていただきたいと思います。

 まず、この安倍政権になりまして、強いリーダーシップ、また総理のイニシアチブのもとで、元島民の皆さんの負担の軽減という点が大変注力をいただいているところでございます。

 まず、その点で、昨年から、ようやく念願かないまして、元島民の皆さんの負担の軽減に資する、飛行機、航空機を使った墓参が始まりました。今年度の予定、見通しについて、ぜひお伺いしたいと思います。

相木政府参考人 お答えを申し上げます。

 本年の航空機による墓参でございますけれども、五月の日ロ首脳会談におきまして、天候が許せば、七月にも実施するということで一致をしてございます。

 それ以上の詳細につきましては日ロ間で最終調整中でございまして、現時点では確定はしていないところでございます。

鈴木(貴)委員 もう元島民の皆さんの平均年齢は実に八十三・二歳を迎えたわけであります。また、昨年もようやく本当に悲願で実施をされまして、大変多くの皆さんから、引き続きこれを継続をしていただきたいという強い要望もございます。引き続き、早期に日程が決定をされ、そしてまた公表がされるように鋭意努力をしていただきたいということを重ねてお願いを申し上げます。

 なお、昨年あったのが、この時期で果たして本当によかったのか、霧等の条件を考えると、本当にこの時期が適切だったのかというような御指摘もあったところであります。こういった日程を決める際には、実現可能性を最大限にまで高めるという点も、ぜひ配慮のほどを重ねてお願いを申し上げます。

 そしてまた、二点目なんですけれども、負担の軽減というところで、実は、元島民の皆さんの北方墓参の枠というものは、実際に港湾、港に船が入って、そこから上陸をして陸路で行くというようなことが大変困難な地域での墓参というものが大変多く、実は、「えとぴりか2」という、簡単に言いますと小型のボートに乗り移りまして、そこから上陸をし、そして、皆さん、実はやぶこぎをしながら、そしてまた急勾配を、本当に、元島民の方の言葉をかりれば、命がけの思いで墓参をされているという現状があります。

 そこで、ぜひお願いをしたいんですけれども、この「えとぴりか2」というものが、今、一点づりという方式で、大きな船体から海の方につるしておろすんですけれども、これを二点づりにすると、風などが少々吹いても、この「えとぴりか2」をおろすことが可能ではないかという声があります。

 この二点づりについてぜひ検討をいただきたいということを要望しているんですが、この点についてはいかがでしょうか。

福井国務大臣 ありがとうございます。

 特に、高齢の元島民の方々が墓参など四島を訪問するに当たっては、安全対策を着実に講じなければならない、先生御指摘のとおりだと思います。

 そして、身体的負担を軽減するための改善策を進めつつ、元島民の方々の望む墓参、訪問を実現していくことが、目下の私どもにとっても重要な課題の一つとなっているわけでございます。

 例えば、先月末の択捉島への自由訪問事業では、天候が回復しませんでした。団員の安全を確保することが難しかったため、予定していた四カ所の上陸、全て断念せざるを得ませんでした。船上で洋上の慰霊祭を実施する結果となってしまいました。私も、団員の方々の無念さに思いをいたした次第でございます。

 元島民の方々など関係者、そして、先生からもありました、これまでにも上陸率を向上させるためのさまざまな御提案をいただいております。そのうち、「えとぴりか」については、先生御指摘のとおり、上陸艇「えとぴりか2」のつり下げ方式、現在は一点づりなんですけれども、に関して改善を図るべく、現在、必要な機材等について、内閣府において具体的な検討を行っているところでございます。

 そして、その前におっしゃいました、島に上陸した後も、目的地の墓地までの間に、急傾斜地を移動したり、やぶをかき分けて移動したりしなければならない状況にございます。その環境整備につきましても、元島民の方々や北海道庁から御要望があることも承知をしております。

 今後とも、渡航、船からの上陸、そして上陸後の墓地へのアクセスまでを含めまして、安全かつ身体的な負担を軽減するための改善策、どのようにしなければならないか、しっかり考えさせていただいて、しっかりと検討して取り組んでまいりたいと存じております。

鈴木(貴)委員 元島民の皆さんは、体力の続く限りという思いでこの墓参活動に当たっていただいております。やはり、その皆さんの声というものが何よりの改善策のキーワードであると思います。

 そういった意味でいえば、改善策は、それこそ、身の丈ほどの草木を本当に文字どおりかき分けながら行くという意味では、簡単な話、草刈り、しば刈りをしていただくというだけでも大変な負担軽減につながると思います。

 ぜひ、もう一声、大臣、もう一声いただけないでしょうか。

福井国務大臣 今先生御指摘のような具体的な方策についてももちろん含めて、検討をさせていただきたいと思います。(鈴木(貴)委員「検討そして実行と」と呼ぶ)もちろん、検討した上で適切に対処をさせていただきたいと思います。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 もうこれが元島民の皆さんにとっては何よりの希望、励みとなることと、私も大変今うれしく思っております。

 あわせて、なぜ私が大変僣越ながら再三にわたって大臣にお願いをしたかといいますと、やはり、元島民の皆さんは平均年齢八十三・二歳であります。実に九十歳近くの高齢の方が、もうこれで最後であろうという思いで実際に墓参に向かわれている姿を私も目にし、また、上陸がかなわなかった中で、風が吹きすさぶ中で、甲板の上で、島が見えなくなるまで手を合わせていらっしゃる皆さんの姿というものは大変胸に迫るものがあります。

 そういった意味では、その当時のことをまさに知る世代、元島民一世の皆さんが、端的に言えば御存命の間に、その墓地が、今、墓石等も倒れてしまっていたり、若しくは、これが墓石だということがわからずに移動されているケースというのがあります。

 そういった意味でも、皆さんの御存命の間に、墓地周辺の、ここが墓地である、これが墓石であるということの、できる限りの現状把握というものも必要だと思うのですが、そこの点についてはいかがでしょうか。

福井国務大臣 北方四島における日本人墓地につきましては、所在場所が特定できず、墓参が実施できていない墓地が複数箇所あったことから、平成十年度、平成十一年度に、元島民団体の皆様方が現地調査を実施をしていただきました。ロシア側から現地調査の調整がつかなかった一カ所を除きまして、墓参が未実施となっていた全ての墓地の所在が確認されたわけでございます。

 その後も、元島民団体におきましては、元島民の資料や情報に加えまして、毎年度の墓参や自由訪問を通じて得られた情報を集約して、平成二十八年度、平成二十九年度、平成三十年度にかけまして、三カ年計画で報告書が取りまとめられることになっております。ここで、今年度末までに、最新の情報は一定程度集約される予定でございます。

 他方、今先生御指摘の、元島民の平均年齢が八十三歳を超えて、当時の状況を知る方々も少なくなってきていることから、そしてまた、近年、墓参や自由訪問によるアクセスがロシア側から認められない墓地も少なくない状況にあることから、できるだけの情報集約をしておかないと今後の事業の実施等に支障が生じかねないということから、元島民の方々など関係者の要望を聞きつつ、どのような形で何ができるのか、しっかりと検討してまいりたいと存じております。

鈴木(貴)委員 正直、時間との闘いという側面もありますので、鋭意お取組をよろしくお願いをいたします。

 そして、今までは元島民の皆さんのお話をさせていただきましたが、これからの啓発活動、そしてその後の展開を牽引をしていくという意味では、元島民二世、三世、四世の皆さんに対しての支援というものも重要になってまいります。

 そこで、若い世代の皆さん、また、この問題を広くあまねく多くの国民に周知をする上では、情報インフラが必要になってくると思います。

 そこで、内閣府所管だと思うんですけれども、四島交流事業で使う「えとぴりか」の船の上で、実は、情報インフラが全く今ないという状況であります。この啓発を、見てきたものを広く内外に周知するためにもWiFiを整備してほしいという声が強く上がっているところでありますが、その点についてはいかが検討をいただいておりますでしょうか。

山下(雄)大臣政務官 鈴木貴子議員におかれましては、元島民、地元の思い、そして実情を政府に常に伝えていただいておりますことを感謝申し上げたいと思っております。

 この「えとぴりか」船内でのWiFiの整備におきましても、鈴木議員から、自民党の北方調査会などで、早期の導入を目指すべきだという御意見を賜ったという報告を受けております。

 これなどにより、早期に検討させておるところでございまして、簡易な方式により、これを実現する機材の確保のめどが立ったということで、我が国の法的立場を害することなく早期に試験的な運用を行うべく、現在調整中であります。この試行の結果を踏まえて、技術的課題、運用方法などについて更に検討した上で、できるだけ早期の本格運用につなげてまいりたいというふうに考えております。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 既に前向きに検討いただいているということなんですが、このビザなし交流の事業、今年度は九月末まであるわけでありまして、今七月ですから、七月、八月、九月とまだ三カ月ある。ぜひ今年度中にどこかのタイミングで、まさにその試行の段階に入っていただくということは可能でしょうか。

山下(雄)大臣政務官 試行できるように全力で調整してまいりたいというふうに考えております。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。大変前向きな御答弁をいただいたものと心強く思っている次第であります。

 続きまして、まさに平和条約交渉のためには、しかるべき環境整備というものが、世論啓発等々、必要だ、このように思っております。

 そこで、これは外務省所管だと思いますが、外務省のホームページにも、北方四島住民に対し、真に人道的に必要な支援を行うことにより、北方四島住民の我が国に対する信頼感を高め、もって平和条約締結交渉促進に向けた環境整備に資することを目的として、九一年(平成三年度)から、食料、医療品、医薬品、ディーゼル発電所、緊急避難所兼宿泊施設等々の建設が進められた、こういったことが書かれております。

 このディーゼル発電所若しくは緊急避難所兼宿泊施設、つまるところの友好の家でありますが、このメンテナンスというものは、今どちらが、日本側が若しくはロシア側がやっているのか、教えてください。

相木政府参考人 お答え申し上げます。

 過去に支援委員会を通じて供与されました施設の維持管理でございますけれども、原則的には四島側の責任で行うものでございます。

 他方、過去におきましては、四島側の財政事情から、島側のみで経費を負担することが困難な場合には、四島側の要請を個別に検討し、必要と判断される場合には、支援委員会を通じて経費を負担してきた経緯がございます。

 支援委員会廃止後におきましても、維持管理は四島側の責任で行うという原則は維持しつつ、四島側から要請があった場合は個別に検討しているところでございます。

 例えば、供与したディーゼル発電施設の部品の交換について……(鈴木(貴)委員「端的に、どちらがしか聞いていないです」と呼ぶ)はい。

 また、友好の家の維持管理につきましては、友好の家を有効に活用し、かつ四島交流事業を円滑に実施するとの観点から、引き続き我が方において負担をしていく考えでございます。

鈴木(貴)委員 といいますのも、皆さんもニュース等を目にされたかもしれませんが、色丹島で、アメリカが協力のもと、ディーゼル発電が建設されるのではないかといった報道もあったところであります。

 このディーゼル発電、私も毎年、ビザなしに行かせていただいておりますが、皆さんから、一番困ったときに、地震、津波等々で大変苦しい思いをしたときに、日本側の支援のもとで、ディーゼル発電所若しくは避難所等で大変助かったというようなお話も聞いております。

 そして、変な話、部品、ねじ一本、またコンセントも日本式のものを友好の家も導入をしているわけでありますが、そこで日本がしっかりとこのグリップを持って、メンテナンスも行うということで信頼関係の醸成、やはり日本のプレゼンスを高めていく、若しくは、外務省しかり、担当省庁が定期的にそこの場に赴くという、その一種のツール、アクセスツールの確保にも本来であれば資するという観点から、私は、メンテナンスはこれはしっかりと日本側が行っていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

相木政府参考人 お答えを申し上げます。

 国後島の友好の家の場合とそのほかのところで若干違うところはございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、友好の家の維持管理に関しましては、友好の家を有効に活用し、かつ四島交流事業を円滑に実施するという観点から、引き続き我が方において負担をしていく考えでございます。

鈴木(貴)委員 しっかりと日本のプレゼンスというものを高めるような、そういった目的とともに、引き続き取組を行っていただきたいと思います。

 時間が限られておりますので、通告でいきますと最後の質問に移らせていただきたいと思います。

 きょう、たまたま私の議員会館にも、ちょうどタイミングよく、この領土・主権展示館の御案内というものが入っていたところでもありますが、この領土・主権展示館、実は、パンフレット、そしてまた実際にその展示館を見て驚いたのが、これは竹島と尖閣諸島のみ扱われております。私は、これは大変な誤解を生む資料館というか展示館である。

 それは一つに、日本政府が掲げている領土問題というのは、竹島と北方領土、この二点であります。尖閣に関しては、これは実効支配をしている観点から領土問題不存在の立場を日本はとっているわけでありますが、領土・主権展示館、そして、何が領土問題で何が領土問題不存在であるかということを一切書かれていないこのリーフレットというのは、逆に誤解を国民に、若しくは海外から来たお客さんにも与えてしまうのではないかと思っております。

 そういう意味では、私は、端的に言って、この展示館を廃止をするか、若しくは、はっきりと何が領土問題で何が日本政府の立場かということをしっかりと丁寧に伝えるべき場所にする、その二者択一をとるべきだと思っておりますが、そこの点についてはいかがお考えでしょうか。

山下(雄)大臣政務官 御指摘ありがとうございます。

 この展示館については、世論調査の結果を見てみると、北方領土に比べて竹島そして尖閣諸島についての周知、広報が足りないのではないかというふうに考えておりまして、この展示館では、竹島及び尖閣諸島を中心とした展示を行っているわけではありますけれども、北方領土についても、開館当初からパンフレットを置いたりポスターの掲示などを行っているほか、新たにタッチパネルや映像コーナーも北方領土を追加するなど、充実に努めているところであります。

 更に今後充実に努めなければならないと考えておりますし、この展示館におきましては、平成三十一年度末までの移転を予定しております。移転に際して展示館を大幅に拡張する場合には、北方領土に関する展示を一層充実させてまいりたいというふうにも考えておりまして、御指摘いただいたような、この領土問題が、北方領土問題がないというような、不存在であるというような誤解を与えないように、このパンフレットのあり方も含めて更に検討してまいりたいというふうに考えております。

鈴木(貴)委員 最後に、この尖閣に関しては領土問題でないということも明記をすることも強く訴えさせていただきますが、この点についても、最後、御答弁をお願いします。

山下(雄)大臣政務官 御指摘のとおり、尖閣諸島において領土問題がないということは、十分展示館でも周知しております。またよろしくお願い申し上げます。

鈴木(貴)委員 ありがとうございました。

横光委員長 次に、佐藤英道君。

佐藤(英)委員 公明党の佐藤英道でございます。

 私の方からは、北方領土問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 さて、本年五月二十五日から二十六日にかけまして、安倍総理はロシアのモスクワとサンクトペテルブルクを訪問されまして、プーチン大統領との首脳会談に臨まれたわけでございます。会談は、合計で約二時間四十五分。日ロの経済協力や朝鮮半島情勢などのほかに、日ロ間の最大の懸案である北方領土問題についても意見を交わされたと報じられているところでございます。

 今回で二十一度目の日ロ首脳会談となったわけでありますけれども、今回の会談による成果について、特に期待の集まる日ロの共同経済活動の実現に向けたステップにおきまして、具体的にどのような進展が見られたのか、まずお伺いをさせていただきたいと思います。

河野国務大臣 五月二十六日に行われました日ロ首脳会談では、二〇一六年十二月の両首脳の合意に基づいて率直な議論が行われ、平和条約締結問題について、北方四島における御指摘の共同経済活動の実現に向けた作業が新たな段階に入ったということを確認をいたしました。

 具体的には、ことしの七月あるいは八月に事業者を中心とするビジネスミッションを四島に派遣をするということ、そして、その後に日ロの次官級協議を開催をするということで一致をいたしました。また、五件のプロジェクト候補の内容につきまして、具体的な進展を確認をしたということでございまして、こうした共同経済活動を通じて、日ロともにこの北方四島の未来を描き、その中から、粘り強い交渉のもと、四島の帰属の問題を解決し、平和条約の締結に向けて進んでまいりたいと考えております。

佐藤(英)委員 今大臣からお話があったとおり、この共同経済活動は、二〇一六年十二月、プーチン大統領が訪日して行われた首脳会談で表明されたものでありますけれども、会談後の声明におきましては、共同経済活動の協議を平和条約締結への重要な一歩と位置づけた、さらに、その上で、共同経済活動を行うための両国の法的立場を損なわない特別な制度を創設することについても明らかにされたわけであります。

 共同経済活動については、この法的な立場を損なわない特別な枠組みをいかなる形で構築していくかということが最大の課題でもあると思います。また、最大の関心事でもあるわけでありますけれども、先月にも局長作業部会が行われるなど、私は、両国政府は積極的に枠組みに対する議論を進めているという印象を受けます。

 一部、具体的中身が見えてこないことに対して、議論が進んでいないというような意見もありますけれども、私は進んでいるという印象を持っているわけでありますけれども、この現在進められている枠組みに関する協議の状況についてはどうなのか、また今後の見通しについて、具体的に言及できる範囲でお示しをしていただければと思います。

相木政府参考人 お答え申し上げます。

 北方四島におきます共同経済活動につきましては、双方の法的立場を害することなく実施される必要がございます。そのような前提のもとで協議を行ってきているところでございます。

 五月二十六日の日ロ首脳会談におきましても、プロジェクトを実現するための法的枠組みについても言及があったところでございますけれども、交渉という事柄の性質上、ロシア側との関係もあり、また我が国の手のうちを明かすことにもなりかねませんので、我が国での検討状況を含めまして、現時点で詳細をお答えすることは差し控えさせていただきたいというふうに存じます。

 いずれにしましても、長門での合意に基づきまして、日ロ双方の法的立場を害さない形でのプロジェクトの実現に向けて鋭意取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

佐藤(英)委員 こうした特別な枠組みといっても、その枠組みが必要となるのは、具体的にどのような分野で何をさせるのか、これが決定してからであるのではないかなと思います。例えば、漁業の分野でホタテの養殖を行うとか、観光の分野でクルーズ観光を実施するといった、共同経済活動本体が決定されてからの話になるのではないかなと思います。

 共同経済活動それ自体、実行段階に入ることが最も重要であると考えますけれども、それには、ロシアが共同経済活動の合意や決定に踏み切ることによって自国にとって大きなメリットがあると判断する状況もつくっていかなければならないものと私は思っております。

 ことしは、日本におけるロシア年、ロシアにおける日本年でもあります。現在開かれておりますサッカーワールドカップ・ロシア大会でも、日本代表の活躍というものは、ロシアの日本人気を更に高めているのではないかなとも思います。

 今後、こうした文化や芸術、スポーツなど幅広い分野での民間交流を更に広げていくことは極めて重要と考えますが、このたび経済の分野で八項目の協力プラン、ロシアの発展に日本が大きく寄与するためのさまざまな取組も進めているということでありますけれども、こうした多角的な取組の重要性とその成果について、外務省としてはどのように御認識をされているのか、お伺いしたいと思います。

岡本大臣政務官 お答え申し上げます。

 まず、本委員会の委員の皆様には、早目早目の通告をいただきまして、外務省の働き方改革に大きく力添えをいただいております。ありがとうございます。とりわけ佐藤先生には、先週木曜日、お昼の時点で質問通告をいただきまして、心から感謝を申し上げます。

 共同経済活動の実現に向けた取組を通しまして日ロがともに北方四島の未来像を描きまして、その中から双方が受入れ可能な解決策を見出していくという未来志向の発想によりまして、北方領土問題の解決、そして平和条約の締結にたどり着くことができるというふうに確信をしております。

 御指摘いただきました八項目の協力プランに関しましては、幅広い分野で日ロ両国の互恵的な協力関係を強化をいたしまして、相互理解を増進するとともに、日ロ全体の発展を目指すものでございます。

 五月の日ロ首脳会談でも、その具体化が進んでいることを首脳間で確認をいたしまして、協力の進展を歓迎いたしました。この協力プランのもとで、既に百三十件を超える民間プロジェクトが生み出されております。

 政府といたしましては、佐藤委員御指摘いただきましたとおり、八項目の協力プランを含めまして、幅広い分野で日ロ関係を国益に資するような形で進めていく中で、北方四島の帰属の問題を必ず解決をいたしまして平和条約を締結するとの強い決意のもと取り組んでまいりたいと思いますので、引き続き御指導よろしくお願い申し上げます。

佐藤(英)委員 今、岡本政務官から具体的なお話がございましたけれども、私の前に質問された鈴木貴子委員と同じように、私も元島民とよくお話をする機会があります。北海道に住んでおります。この北方領土の問題の解決と日ロ平和条約の早期締結というのはやはり悲願でございますので、きょうも、この委員会の質疑を本当に待ち望んでお伺いをさせていただきましたので、残りの質問についてもよろしくお願いをしたいと思います。

 さて、この共同経済活動の協議を進めていくに当たりまして、四島での共同経済活動は、北方隣接地域の振興につなげていくことをぜひともやはり念頭に掲げていくべきであると私は考えます。

 首脳会談で特定された五件のプロジェクトのいずれもが、隣接地域の振興と一体で考えていくことが私は可能なものだと思っております。特に、農水産業分野や観光分野においては、隣接地域の振興と一体的に考えていくことがより現実的であるとも思っております。

 かつては北方領土の極めて良好な漁場を中心とした水産業におきまして非常ににぎわっていた隣接地域の漁業者にとっては、将来、四島の周辺海域で制約のない漁業が行えるようになることは、もう悲願の中のやはり悲願でございます。また、観光については、例えば四島へのクルーズ観光であれば、知床を訪れた観光客の方々を地元のクルーズ船で四島の観光に案内するなど、北方四島と隣接地域との地理的、文化的な一体性を踏まえ、両地域の連携で進める観光のあり方を優先して考えていくべきではないかとも考えております。

 こうした、隣接地域を重視するという点について、また、隣接地域の方々の悲願をしっかりと実現していく方向を忘れることなく進めていっていただきたいと思いますけれども、御見解をいただきたいと思います。

福井国務大臣 北方領土隣接地域におきましては、領土問題が未解決であるということによって、望ましい地域社会の発展が阻害されているという面があることも考えますと、北方領土問題の解決に向けた取組に合わせ、この地域の振興等に取り組んでいくことが極めて重要だと考えております。

 他方、北方四島における共同経済活動は、四島交流事業や国内世論の盛り上がりと相まって、外交交渉を力強く後押しをし、一日も早い北方領土問題の解決に向けて実現を図るものと認識をしております。

 今先生御指摘のような五件のプロジェクト候補を始めとした共同経済活動の各プロジェクト候補は、外交ルートを通じて具体化が図られていくものでありますけれども、その中で、共同経済活動を隣接地域の振興につなげていくという視点を常に念頭に置きつつ進められるべきものであると考えております。

 ちょうど総理のお言葉にも、今後とも、地元への裨益の観点や皆さんの御意見を踏まえつつ、精力的に取り組んでまいりますというふうに総理もおっしゃっておりますので、これを旨としたいと思います。

佐藤(英)委員 ありがとうございます。

 ぜひとも、今後もこうした視点を踏まえながら取り組んでいっていただけるようにお願いを申し上げたいと思います。

 さて、昨年二月の衆議院予算委員会の第三分科会においても御指摘をさせていただいた点でありますけれども、私は、ぜひとも日ロ共同による世界自然遺産知床の拡張と、オホーツク文化からアイヌ文化に至る複合遺産化について、さきの委員会でもお話をさせていただいたところでございます。

 世界遺産条約の十一条三項では、世界遺産の登録は、紛争当事国の権利に影響を及ぼすものではないとされております。また、世界遺産登録の実現には、前提として長い期間の共同調査が必要とされることを考えると、今後、日ロ両国の文化交流事業としては私は最適なものであると考えておるのであります。また、共通の自然環境やそこに展開した歴史や文化などに関する調査結果を広く周知していくことは、両地域の人々に深い共感を醸成し、親近感をもたらすものではないかとも思います。必ずや将来の日ロ平和条約の締結につながっていく、大きな精神的財産となっていくと信じてやまないところでございます。

 そこで、両地域の自然環境と歴史や文化の共同調査の実現に向けて、従来のビザなし交流に加えて、長期間かつ数次にわたって滞在できる新たな枠組みが私はぜひとも必要と考えます。

 昨年二月の提案以来、これまでどのような検討をされてきていただいたのか、また、今後積極的に検討を始めていただきたいと思っているのでありますけれども、御見解を伺いたいと思います。

相木政府参考人 お答え申し上げます。

 政府といたしましては、北方四島に存在する豊かな自然環境の保全の重要性は認識をしておりまして、このような観点から、四島交流の枠組みを用いた専門家交流を含めまして、この地域での生態系保全協力を実施をしてきているところでございます。

 一方で、北方四島がロシアにより法的根拠なく占拠をされ、我が国の同地域への管轄権の行使ができない現状におきまして、北方四島を含む地域において日ロ間で協力を行う上では、あたかもロシアが北方四島において管轄権を行使することを我が国として認めたかのような誤解を与えることにならないよう、十分に留意する必要があるところでございます。

 こうした観点から、これまでの協力の経験でございますとか、御指摘をいただきました問題意識も踏まえつつ、北方四島に関する双方の立場を損なわない新しい仕組みとしてどのようなことが可能か、引き続き検討してまいりたいと考えております。

佐藤(英)委員 御検討を続けていただけるということでありますので、今すごくいい時期であると思いますので、ぜひ大局観に立ったさまざまな御検討をお願いをしたいと思います。

 最後に、墓参事業についても、私の方からお伺いをさせていただきたいと思います。

 本年、私もビザなし交流で北方四島の択捉、国後の二島を訪問させていただく予定でありますけれども、かつて「えとぴりか」の前のコーラルホワイトの時代にもお伺いをさせていただきましたけれども、やはり、船での北方領土への訪問はなかなかきついものであると私も実感をしているところであります。

 御承知のとおり、根室から択捉へは船で約十七時間も要するわけでありますが、この航路には、国後水道など波の荒い海も渡らなければならないことも事実であります。

 北方領土の問題が勃発してことしで既に七十三年、当時若かった元島民の方々も、もう既に大変な御高齢となっており、ふるさとである北方領土への訪問は大変やはり厳しいものであると私も思います。

 肉親や先祖とのきずなである墓参事業についてはまことに重要なものでありますけれども、墓所への道のりはなお一層大変であり、御高齢となられた方には余りにも過酷なもので、現実的には墓参そのものを断念せざるを得ない状況もあったわけでございます。

 そうした中、昨年は初の航空機による墓参が実現をいたしました。墓参を希望された方々の喜びはいかばかりかと。私も空港にお見送りに行きました。ただ、残念ながら、私が行ったときは、霧のために天気が悪くてちょうど行けなかったのでありますけれども、でも、初の航空機による墓参を希望された方々のうれしさというものを間近に感じて、どれほどやはり、航空機による墓参が昨年実現したことというのが、想像以上に喜ばれていらっしゃいました。私は、やはり、このこと自体でも大変に画期的な皆様方の御努力であったと心から感謝と敬意を表するものでございます。

 先ほども今後の墓参について言及がありましたけれども、ことしの五月の首脳会談を経て本年も空路墓参が実現すると伺っておりますけれども、この空路墓参の定例化について、今後の見通しも含めてお伺いをさせていただきたいと思います。

河野国務大臣 御指摘のとおり、元島民の方々が御高齢となられているということも考慮しまして、人道的な観点から、現行の枠組みによる訪問手続の改善をしっかりと図ってまいりたいというふうに思っております。

 天候が許せば、ことしにつきましても航空機による墓参を七月にも実施をするということ、五月の日ロ首脳会談の結果としてそういうことになりました。

 政府といたしましては、元島民の方々にこれからもしっかりと寄り添っていきまして、この航空機による墓参を御要望がある限り続けられるような方向で努力をしてまいりたい、検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

佐藤(英)委員 今、河野大臣から七月にもというお話がございました。ぜひ大晴天で無事故の空路墓参になるように心から御祈念申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

横光委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 立憲民主党の近藤昭一でございます。

 きょうは質問の時間をいただきましたこと、感謝申し上げたいと思います。

 まず、質問に先立ちまして、西日本を中心に襲った記録的、かつて経験したことのない豪雨でお亡くなりになられた皆様方に対して心から哀悼の意を表したいと思います。また、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 私たち立憲民主党におきましても、先週、豪雨対策本部を設置いたしまして、地方の関係者を中心にさまざま情報交換をしながら、地域と連携しながら対応させていただいているところであります。政府におかれましても、全力をもって対応していただいているところでありますが、改めてお願いをしますとともに、私どもも連携させてしっかりと取り組みたいと思っております。

 さて、それでは質問に入らせていただきたいというふうに思います。

 今回は大臣所信に対する質疑ということであります。残念ながら延長国会になってからの質疑ということでございます。特別委員会ということで、沖縄また北方問題に対して課題がある、そういう中で特別委員会が設置されておるわけであります。そういう中で、今回やっと所信に対する質疑ということは残念に思うわけであります。また、今後におきましては、しっかりと議論をさせていただく、そういう機会を設けていただきたい、かように思うわけであります。

 そして、大変に残念でありますが、福井担当大臣が大臣就任後の初めての会見で、北方領土の色丹島をシャコタン島と読み間違えた、こう報道されたわけであります。私は、特に、沖縄そして北方の問題として特別委員会が設置されて、現地の皆さんにしっかり寄り添っていくべき立場の大臣がそうした読み間違いをするということは大変に残念だと思うわけであります。

 そういう中で、北方そして沖縄、まさしく特別な委員会を設置するべく、しなくてはならない、そうした多くの課題があるわけであります。そういう中で、やはり基地問題に触れていかなくてはなりません。基地問題、普天間飛行場の一日も早い全面返還。

 私、先ほどちょっと驚いたといいましょうか、残念に思ったわけであります。普天間第二小学校に米軍機の部品が落下をした、そうした中で、本当に現地の関係者は大変な状況に置かれている。政府としては米軍に対して要請をしたという御答弁も先ほどありましたが、最近の宜野湾市議会を見ますと、宜野湾の市議会で答弁がされています。そうしますと、米軍の飛行が再開をされて、二月以降、六月議会でありましたが、小学校の子供たちが避難をしたのが五百回以上だ、こういうことが議会で取り上げられております。五百回以上、米軍機が飛来するたびに、残念ながら子供たちが校庭から避難をしなくてはならない、こういう状況が宜野湾の市議会でも取り上げられておるわけであります。

 私は、一体こうした状況をどう政府が受けとめているのか。普天間飛行場の一日も早い全面返還、それが安全につながるんだ、こういうふうに政府は言うわけです。しかし一方で、今起こっていることに対してなぜもっときちっと政府は取り組んでいかないのか、こう思うわけであります。

 さて、そうした中、所信で大臣も、普天間飛行場の一日も早い全面返還だ、こうおっしゃっているわけであります。その普天間飛行場の全面返還、見通しはいかがなものかということをまずお聞きしたいと思います。

福井国務大臣 普天間飛行場の一日も早い移設、返還に向けて、防衛省において昨年四月に護岸工事を開始するなど、工事を着実に進めているところと承知をさせていただいているところでございます。今後の工事の見通しにつきましては、作業の進捗状況や気象、海象条件等を踏まえながら進めていくことになるため、現時点で確たることを申し上げる状況にはないものとも承知をさせていただいております。

 いずれにいたしましても、普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければならないという方針のもと、同飛行場の全面返還を実現するために、引き続き全力で取り組むというのが政府の考えでございます。

 沖縄北方担当大臣といたしましては、引き続き、沖縄の振興策を推進する立場で、基地の跡地利用の推進など、沖縄振興に努力し邁進してまいる所存でございます。

近藤(昭)委員 さて、今答弁をいただいたわけでありますけれども、昨年の参議院の外防委員会でも取り上げられておりますけれども、普天間飛行場の返還には、新たな基地の建設だけではなくて、緊急時の民間空港の使用、このことが一つの条件になっているところであります。

 では、この民間空港はどこなのか。私は冒頭申し上げましたけれども、沖縄の皆さんに、この委員会として、また担当大臣としてはしっかりと寄り添っていただいていかなくてはならない、現地の理解もしっかりと得ていかなくてはならない、そういう中で、どこの民間空港を緊急時に使用するのか、これが明らかになっていないわけであります。こういう中で、果たして、一つの条件となっているのに、普天間飛行場の全面返還というものが進んでいくのか、ここに懸念を持つわけでありますが、いかがでありましょうか。

河野国務大臣 普天間飛行場の辺野古をめぐる問題の原点は、普天間飛行場が市街地に位置し、住宅や学校で囲まれ、世界で最も危険とも言われる、この普天間飛行場の危険の除去、そして閉鎖、返還ということでございます。

 普天間飛行場の一日も早い返還を実現し、この飛行場の危険性を撤去することが極めて重要な課題であるということは国と沖縄県の共通認識でございまして、政府として、平成二十八年の最高裁判決や和解の趣旨に従って、沖縄県と協力して辺野古への移設を進める考えでございます。

 政府としては、日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険の除去を考え合わせたときに、辺野古移設が唯一の解決策であるとの考えに変わりはございません。このことは、長年、日米間で真摯に議論した上で合意をしたことであり、安倍総理、トランプ大統領の間を含め、日米間で累次確認をしてきたところでございます。

 沖縄の負担の軽減に係る政府の取組につきましては、説明を尽くす努力を継続していく必要があると認識をしております。今後とも、政府全体で連携し、あらゆるレベルで沖縄県との対話を深めていくことが重要であろうかと考えております。

 引き続き、普天間飛行場の一日も早い辺野古への移設を始め、沖縄の負担軽減に全力で取り組んでまいりたいと考えております。

近藤(昭)委員 普天間の返還、そしてまた辺野古新基地建設であります。

 きょうは河野大臣もお見えいただいて、今も御答弁いただきましたが、大臣も所信で、在日米軍の安定的駐留には地元の理解が不可欠である、こう述べておられるわけであります。そういう中で、沖縄の基地の重要性、米国ともいろいろと意見交換をしながらやっているということでありますが、大臣、今改めて申し上げますが、大臣も地元の理解が不可欠だとおっしゃっているわけであります。

 そういう中で、先ほど申し上げました、普天間第二小学校、二月から六月で五百回以上、子供たちが避難をせざるを得ない状況にあるということ。また、普天間の返還には幾つか条件がついている、その中で緊急時の民間空港の使用も一つの条件になっている、しかし、その空港がどこになるかということを政府が明らかにしていない。こういう中で、沖縄県も、残念ながら、どうなっているんだろうという不安あるいは不信を抱かざるを得ない状況ではないかと思うんです。

 そういう中で、どういうふうに理解を得ていくのか、改めて河野大臣、米国に対する、米軍に対する要求等も含めて、お考えを聞かせていただきたいと思います。

河野国務大臣 米国政府に対しましては、米軍の安定的な駐留には地元の理解が不可欠であるということを繰り返し申し上げ、米側も、そうした趣旨のもと最大限の努力をしてくれているところでございます。

 先ほど申し上げましたように、普天間の飛行場の危険の除去というのは、これはもうできる限り早くやらなければいけないというのが沖縄、国の共通理解というふうに考えておりますので、沖縄県と協力し、地元の理解を得ながら、辺野古への移設を一日も早く進めてまいりたいと考えているところでございます。

近藤(昭)委員 まだまだ私は、沖縄の県民の皆さんの理解が十分に得られている、また政府の姿勢が十分に評価されているとは思えないのであります。

 先ほども答弁にありましたが、さまざまな機会を利用して、累次の機会を捉えてということだけではなく、沖縄の皆さん、沖縄のことは、ぜひ、この問題を大きな、最大のテーマにして、外務大臣におかれましても取り組んでいただきたいと思います。

 さて、そういう中で、お伺いをしたいと思います。K4護岸内のレッドリストサンゴに対する高水温対策についてということであります。

 沖縄の理解が得られているのかということで今質問させていただいておりますが、辺野古のK4護岸内のレッドリストにあるオキナワハマサンゴ。

 沖縄防衛局は、五月二十八日の環境監視等委員会、第十五回目になりますけれども、において、開口部五十メートルを残した状態まで護岸を形成した場合の流況シミュレーションにより、ことしの夏の高水温期には、当該護岸の存在により〇・一度C程度の水温上昇が予見されるところ、このため、当局としては、今夏の高水温期までに特別採捕許可が得られない場合に備え、本年六月以降、当該サンゴの生息環境を維持するための対策を講じる考えだとしています。上部を遮光ネットで囲む、遮閉シートで防ぐ、海水を導入するなどの対策を行うとしたわけであります。

 この対策は進んでいるのでありましょうか。

辰己政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員の方から御指摘がございましたオキナワハマサンゴでございますが、この生育環境を維持するため、第十五回の環境監視等委員会で、今御指摘のあった遮光ネット、遮閉シート、それから海水の導入、これについて御議論いただき、このような対策によって、一定程度閉鎖した状態で海水を外側から豊富に供給すれば影響を最低限にできるのではないか等の御意見をいただいたところです。

 その後、六月十九日より、遮光ネット、遮閉シート、水中ポンプなどを設置し、六月三十日からこの運用を開始しているところでございます。

 現在、なお台風の影響はございますので、当該対策は一時中止をしているところでございます。

近藤(昭)委員 そうした対策が進められているというところでありますが、さて、その対策は十分に効果を上げているのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。

 また、今質問させていただいた点でありますけれども、〇・一度C程度の水温上昇が予見されるということは、その前の四月九日の環境監視等委員会、ですから前回ですけれども、第十四回目になるわけですが、そのところに説明があったということであります。

 このときにはまだ護岸工事が進んでいなかったわけであります。当時、沖縄防衛局は、若干の流速低下域や水温増加が生じるものと思われるが、当該サンゴのモニタリングを行いつつ工事を進めていくとしているわけであります。そして工事を強行していったわけですね。

 私は、まず、その効果がどのようにもたらされているのか、また、このことも、沖縄県当局は、この工事を進めていくということに反対をしていた、また、サンゴが大きな影響を受けるということで注意喚起をしていたと思います。

 この対策の状況、成果、効果がどうなっているのかをまずお聞かせいただきたいと思います。

辰己政府参考人 お答え申し上げます。

 高水温期の対策でございますが、遮光ネットそれからポンプ、こういうものの使用につきましては、第十五回の環境監視委員会の議論の中で、委員から、このような対策というのは、一定程度閉鎖した状態で海水を外側から豊富に供給すれば影響を最低限にできるのではないかという御意見をいただき、一定の効果が期待できると思っております。

 防衛省としては、この対策を講じるとともに、モニタリング、これをやることによって、常に生息環境それから生息状況を把握して対応していきたいと思っておりますし、引き続き、専門家の助言を得ながら、適切な対応を講じていく所存でございます。

近藤(昭)委員 効果が上がるものと思われるということではなくて、効果がどうなっているのかということをもう一度お聞きしたいということと、今もお話がありました、委員の中からそういう提案があったということでありますが、さて、これまで、そうしたことをすることによって効果があるかどうか、こうした文献があるのかどうか。あるいは、これまでもそうしたことの試験をやったことがあるのかどうか、そうしたことの事例、そしてそういう中で効果が上がっているのか。

 今の状況と、またそうした観点、文献、あるいはこれまでの試験、やったことがあるのか、そしてそこではどうだったのかを聞かせていただきたいと思います。

 また、改めて、委員の提案だったと今御説明もありましたが、専門家の助言指導はどのように受けたのか、またその方はどなたであったのかということをお聞かせいただければと思います。責任のある対応を提言されたわけでありますから、お願いします。

辰己政府参考人 サンゴの対応でございますが、サンゴ類を運搬する際に、水温の上昇を防ぐため容器を遮光ネットで覆っている事例、あるいは、サンゴ類の陸上水槽での養殖、これにおいて、光の量や水温等の調整のために遮光ネットを使用したり海水を循環させている、こういう事例、こういうものを参考にしながら、今回我々がこのような対策をとらせていただいたわけでございます。

 その中で、専門家の方々の指導助言を得ているわけでございますが、第十五回の環境監視等委員会におきまして、委員の先生方からは、先ほど申したような、こういう、豊富に海水を外側から供給すれば影響を最低限にできるのではないか、また、このような装置につきましては、開口部の角度を変えられるようにして、モニタリングしながら流速を変えることもできるし、開口部があることによって魚類が入り込むことによって、オキナワハマサンゴが藻類に覆われることを少しでも予防できるのではないか。それから遮光ネットも、直射日光による水温上昇ですとか、直射日光によるサンゴ表面自体の温度上昇とか、そういったものを防げるので、モニタリングしながら最適な遮光率にしていくことができれば、非常によい状態を何とかキープできるのではないか、こういう御指摘をいただいているところでございます。

 なお、専門家の個人名についてはお答えを差し控えさせていただきたいと考えています。

近藤(昭)委員 専門家の名前を言えないというのは、やはり私は驚きます。その人の助言というか提案でやっていることであります。

 そして、今もお話がありました、移動させるときにそういう遮光ネットを使ったことがあるということであります。しかし、今回は状況が全く違うわけであります。規模が大きい、全く違うわけであります。そして、護岸の外から水を導入している、つまり護岸の中が、水が汚れてきているということであります。そうした中で、外から導入をしている。私はやはり、それではとても地元の皆さんだけではなく多くの皆さんの理解は得られない、こう思います。

 ぜひ、大臣、しっかりと取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

福井国務大臣 先生の御指摘を踏まえて、しっかりと適切に対応させていただきたいと存じます。

近藤(昭)委員 ありがとうございました。

横光委員長 次に、神谷裕君。

神谷(裕)委員 立憲民主党の神谷裕でございます。

 本日は、本当に貴重な質問の機会をいただきましたことを感謝申し上げたいと思います。

 また、私からも、冒頭、台風や大雨によって各地に今甚大な被害が出ているところでございます。不幸にして命を落とされた方も大勢出ております。そして、まだ救助を待っておられる方も大勢おられるというふうに聞いております。本当に、政府においては、こういった方々をしっかりとなるべく早く救出していただく、そのことをぜひお願いをしたいと思いますし、被害に遭われた皆様に対して、本当に心に寄り添って対策を立てていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 それでは、私から質問させていただきます。

 先ほど、近藤委員からは沖縄の問題に関して質問させていただきました。ということで、私は、地元、北海道でございますので、北方問題、北方領土の問題について主に聞かせていただこうと思っております。

 まず最初でございます。

 北方領土問題については先ほどもお話ありましたとおり、元島民の方の高齢化がどんどん進んでおります。そういった意味で、この問題を今後どう若い皆さんに引き継いでいくのかということが大変に重要な課題になっているんじゃないかなと思っているところでございます。

 北方領土について、実感を持って我が国固有の領土だとみずからの体験を持って話ができる経験を有する皆さんが減少していく、北方領土の風景や山や川など実感を持たない世代がふえていくことは、領土返還のエネルギーを著しく減少させることになるかもしれず、記憶と思いの継承をしっかりしていくこと、そして引き継いでいくことが、新しい世代の皆さんにも北方領土に対して実感と新しい体験をつくっていくことが、この問題解決のためにはどうしても必要であると感じているところでございます。

 政府においても、平成二十四年度から四島交流事業に活用される「えとぴりか」を使って、全国各地の港で巡回研修事業等も実施をいただいておりますが、このほかにも修学旅行で北方領土を訪ねてもらうとか実施をいただいておりますけれども、これからもこういった事業はぜひ継続をしていただけるようにと思っているところでございます。

 北海道では、平成二十六年度の高校入試から、必ず北方領土に関する出題がなされるようになったということも聞いておりますし、こういったさまざまな手法がとり得るんじゃないかなと思っております。また、こういうことはしっかりやっていかなきゃならないんじゃないかなと思っております。

 そこで、今後、こういった若い世代の皆さんに対する教育というのか、そういったことはますます必要になってくるであろうと思うわけでございまして、この思いを、北方領土問題に対する思いを若い世代にしっかりと継承していく、そういったことについて、まずは沖縄北方担当大臣からお伺いをしたいと思います。

福井国務大臣 若い世代の関心を喚起することがとりわけ重要である、先生の御指摘、まことにそのとおりだと存じております。そのため、これまでも、イメージキャラクター、エリカちゃんを用いた動画、学習コンテンツの作成やフェイスブック、ツイッターによる情報発信など、わかりやすく親しみやすい広報啓発活動に努めてきたところでございます。

 また、より多くの若い世代に北方領土をじかに見て、元島民の方のお話をじかに聞いていただくということが啓発として極めて有効でありますことから、北方領土隣接地域への修学旅行等を誘致する取組を今年度から強化をしております。具体的には、修学旅行等に必要なバスの借り上げ費用の全額補助、航空運賃の一部補助の新設など、経費補助を拡充するとともに、新たな試みとして、教員の方々などを対象とした下見ツアー、計四回ですけれども、八月中に実施をすることといたしております。

 さらに、このたび、北方領土隣接地域への訪問客の拡大、北方領土への国民の関心を高めることを目的にいたしまして、八月一日に北海道の中標津町でシンポジウムを開催することといたしております。

 これらの取組等を通じまして、若い世代を始めとして、国民全体に北方領土問題への関心と理解が一層広がっていきますよう、引き続き取り組んでまいる所存でございます。

    〔委員長退席、近藤(昭)委員長代理着席〕

神谷(裕)委員 ありがとうございます。

 若い世代への啓発は本当に大事だと思うんです。

 本来であれば、こういうのは必要ないんです。一刻も早く解決し、北方領土が我が国に戻ってくれば、本来、こういった事業は必要ないんです。そういった意味において、私自身は、今の安倍総理と意見を異にする部分、多でございますけれども、少なくとも、安倍総理みずから、何とかみずからの代で解決しようとなさっている、これは私は、本当にそこはしっかり考えていかなきゃいけない、一緒に考えていかなきゃいけないと思っています。

 そういった意味において、福井大臣にも、自分の代でこの問題を絶対に解決するんだという思いをぜひ持っていただきたいと思いますし、御通告申し上げておりませんけれども、この際ですから、決意の一端をお示しいただけたらと思います。

福井国務大臣 所管はもちろん河野大臣そして安倍総理ですけれども、私ができることは全て力いっぱい、限度以上にやらせていただきたいと存じております。

神谷(裕)委員 確かに所管は、そういう問題はあるかもしれませんけれども、ぜひ力を尽くしていただきたい、このことはしっかりと申し上げておきたいと思います。

 それでは、ちょっとこの北方領土について、ここ何年かの外交について一回確認をさせていただきたいと思うんです。

 やはり我が国にとって非常に重要な一部である北方領土に関する外交交渉の一部を振り返ってみたいと思うんですけれども、平成二十八年九月二日、ウラジオストクで行われた両国首脳の会談について、九月二十七日の本会議で総理より、二人で突っ込んだ議論を行い、交渉を具体的に進めていく道筋が見えてくるような手応えを強く感じたとお話をいただいているところでございます。この発言により、国民の皆さんは大変、北方領土返還問題の解決も含め、明るい兆しが見えるということで期待をされたんじゃないかなと思います。

 そこで、改めて、このとき総理が感じられた、強く感じた手応え、あるいは突っ込んだ議論が何を意味するものなのか、御教示をいただけたらと思います。

相木政府参考人 お答えを申し上げます。

 戦後七十年以上を経ましてもなお平和条約が締結されていない異常な状態を打開するために、ロシアとの間で政治対話を積み重ねていくことが必要であるというふうに考えております。

 二〇一六年五月のソチにおきます日ロ首脳会談におきまして、これまで停滞をしていました交渉に突破口を開くため、未来志向の考え方に立って、今までの発想にとらわれない新しいアプローチに基づく交渉について一致をしたところでございます。

 そして、同年九月のウラジオストクにおける首脳会談では、日ロ両首脳間で、この新しいアプローチに基づき突っ込んだ議論が行われまして、その会談の後、総理からは委員御指摘の発言もあったところでございます。

 平和条約締結問題につきましては、現在も交渉中でございまして、事柄の性質上、各時点における交渉の途中経過といった具体的な内容について述べることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、この後、二〇一六年十二月の日ロ首脳会談におきまして、両首脳は、平和条約問題を解決するみずからの真摯な決意を表明するとともに、北方四島において双方の法的立場を害することのない形で共同経済活動を実施するための交渉を開始することで合意したところでございます。また、プーチン大統領自身も記者会見で、最も重要なのは平和条約の締結であると明確に述べておるところでございます。

 その後も、日ロ間では、こうした首脳間の合意が着実に実施をされてきているところでございまして、政府としては、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという基本方針に基づき、引き続きロシアとの交渉に粘り強く取り組んでいく考えでございます。

神谷(裕)委員 御説明ありがとうございます。

 当初、国民の皆さんも、領土問題が解決するんじゃないか、前に進むんじゃないかと本当に大きく期待をされたと思います。ただ、残念ながら、今、国民の皆さんがどう思っているか。特に、私、近くに北方領土二世、三世の方がいらっしゃるんですけれども、お話を聞いてみると、非常に、最近はなかなか遠くなったなというのが率直なお話でございます。

 もちろん、一気に進展することもあると思いますし、外交でございますから、表に出ていないことも多々あるかもしれません。しかし、そういった中においても、当初、一番最初にお話しした時点では、多くの皆さんが期待をされたんじゃないかなと思います。

 そういった中で、その後、例えば、山口で日ロで首脳会談をやっていると思いますけれども、その際に、当然前向きかなと思っていたんですけれども、直前のプーチン大統領のインタビューでは、四島の帰属問題の解決を求めていることに対して、共同宣言は二島についてであり、四島の問題となれば共同宣言とは全く異なる話であるというようなことも述べておられるわけでございます。

 そうすると、もともと、突っ込んだ議論や強く感じた手応えというのは何だったのかなというふうにも思えるわけでございますけれども、この突っ込んだ議論や手応えの中には果たしてこういった四島問題、領土問題がしっかり入っていたのかなということが疑問になるわけでございまして、この点について確認をさせていただけたらと思います。

相木政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘いただきましたプーチン大統領の発言については承知をしておりますけれども、安倍総理とプーチン大統領との間では、二〇一三年四月の共同声明におきまして、これまでに採択された全ての諸文書及び諸合意に基づいて平和条約締結交渉を進めることで合意をしておりまして、こうした諸文書や諸合意の中で四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するということも確認をされているところでございます。

 二〇一六年十二月のプーチン大統領が訪日をした際の首脳会談におきましても、事柄の性質上、その詳細について述べることは差し控えさせていただきたく存じますけれども、平和条約の問題について、安倍総理とプーチン大統領との間で率直かつ非常に突っ込んだ議論が行われたところでございます。

 その結果、両首脳は、平和条約問題を解決するみずからの真摯な決意を表明するに至っております。また、プーチン大統領自身も記者会見で、最も重要なのは平和条約の締結であると明確に述べているところでございます。

 本年五月の日ロ首脳会談におきましても、二〇一六年十二月の首脳間の合意に基づきまして率直な議論が行われておりまして、特に両首脳のみのテタテ会談では、平和条約締結問題を中心に突っ込んだ議論が行われたと聞いておるところでございます。

 政府としては、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという基本方針のもと、引き続きロシアとの交渉に粘り強く取り組んでまいりたいと考えております。

神谷(裕)委員 ありがとうございます。

 そういった中で、やはり、領土問題解決に関してちょっと、重要なタームというか言葉としては、新しいアプローチというものがあると思うんです。平成二十八年五月六日の会談だと思いますけれども、この新しいアプローチで交渉を進めることで認識を共有しているわけでございますけれども、領土問題を解決するための新しいアプローチというのはどういうことなのか、確認させていただけたらと思います。

相木政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八年五月のソチでの日ロ首脳会談におきまして、平和条約締結問題について、これまで停滞してきた交渉に突破口を開くため、今までの発想にとらわれない新しいアプローチで交渉を精力的に進めていくことで一致をしてございます。

 四島の帰属の問題の解決のためには、過去にのみとらわれるのでなく、日ロ間で北方四島の未来像を描き、その中から解決策を探し出すという未来志向の発想が必要でございまして、これが新しいアプローチの基本的な考え方でございます。

 こうした考え方に基づいて交渉を行いました結果、一昨年十二月のプーチン大統領訪日時の首脳会談におきまして、双方の法的立場を害することのない形で、四島における共同経済活動を実施するための交渉を開始することで合意をしたところでございます。

 共同経済活動の実現に向けた取組を通じて、日ロがともに北方四島の未来像を描き、その中から双方が受入れ可能な解決策を見出していくという未来志向の発想によりまして、北方領土問題の解決、そして平和条約の締結にたどり着くことができると考えているところでございます。

    〔近藤(昭)委員長代理退席、委員長着席〕

神谷(裕)委員 念のため、再度確認しますけれども、この新しいアプローチというのは、あくまで領土解決のためのアプローチというふうに考えてよろしいですか。

相木政府参考人 お答え申し上げます。

 北方領土問題の解決、そして平和条約の締結にたどり着いていくためのアプローチということでございます。

神谷(裕)委員 昨今、北海道の人が中心かもしれませんが、領土問題が置き去りにされて、やはり、経済の問題が先行するんじゃないか、経済協力が先行するんじゃないか、そういったことを非常に懸念をされる声が大きくなっていると思います。

 もちろん、経済協力が先行して何が悪いというところは私はあると思います。むしろ、経済協力というか、しっかりと経済でコミットメントしていくこと、双方に利益をもたらす形もそうでしょうけれども、何らか関係を持つことというのは非常に重要だと思いますし、そういう意味では、経済協力が先行することということが私はあってもいいのかなと思っております。

 ただ、少なくとも、今、北海道の方には、経済関係ばかりでは困るというのがやはり気持ちとしてあるんだろうと思いますし、また、経済協力といっても、一方的に協力をする、そういう形はあってはならないのかなと思っています。日本が、ロシアが、双方がウイン・ウイン、双方にとって利益がある、いわばビジネスもそうなんですけれども、バランスが非常に重要なんじゃないかな、そういうことを考えております。

 だとするならば、経済活動だけが先行し、やはり領土問題が一体となっていることは確認をするというか大前提だと思うわけでございますけれども、その上で、この経済協力がロシア側に一方的に主導権が握られるような形、あるいは、そういったプロジェクトへの我が国及び我が国企業の参加は、やはり少し、一定程度は慎重に考えなければならないのかなと思います。

 もちろん、経済的なメリットが見込めるのであれば、双方の法的立場を害しない形での企業の進出は大いに認めるべきではないかなとも思うわけでございますけれども、ロシアも当然、自国の法制度適用を要求してくると思われますし、ロシアに主導権を握られ、経済協力ばかりが先行して、領土問題が置き去りにされないか大変な危惧をしているところでございます。

 こういった危惧はないのか、伺わせていただけたらと思います。

河野国務大臣 二〇一六年の十二月の日ロ首脳会談で、双方の法的立場を害しない形で共同経済活動を実施しようということを合意し、その際の共同記者会見において、プーチン大統領は、最も重要なことは平和条約を締結する、平和条約を後回しすることはないということははっきりおっしゃっているわけでございます。

 共同経済活動を通じて、日ロ双方がともにこの北方四島の未来像を描きながら、双方が受入れ可能な解決策を見出していこうという未来志向的な発想でこれを始めたわけでございますので、この共同経済活動というものが北方四島の帰属の問題を解決し、平和条約を締結する、この両首脳の決断に揺らぎはございません。その方向に向けて粘り強く努力してまいりたいと思います。

神谷(裕)委員 大臣、ありがとうございます。

 ここは本当に大事な話だと思います。粘り強く、そして、一方的に持っていかれることはないとは信じております。ただ、やはり、共同経済活動であっても、協力であっても、我が国にメリットがあること、これは大前提だと思いますので、その点はぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 私自身も、北方領土問題が少しでも前進するのではないかなとこの間期待をした一人でございますけれども、残念ながら、そのときの機運というのは、だんだんだんだんやはり厳しくなっているなというふうに思っております。両国に経済的な利害を持つことは重要なんですけれども、やはり、ここですね、我が国が潤うように、ウイン・ウインであるように、何度も申しますけれども、お願いをしたいと思います。

 共同経済活動なんですけれども、聞いておりますと、実は、これはプレス向けのリリースのみで、具体的に双方で何か書面化されたものではないというふうに聞いております。やはり、経済的なリスクを考えたときに、MOUなのか何なのか、何らか書面化しておくことが必要だと思うんですけれども、こういったことは考えられないのか伺いたいと思います。

相木政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一六年十二月の日ロ首脳会談におきまして、両首脳は、北方四島において双方の法的立場を害することのない形で共同経済活動を実施するための交渉を開始することで合意をしたところでございます。その後、日ロ間では、この首脳間の合意に基づきまして議論が行われ、首脳間においても合意事項の具体的な進展を確認してきているところでございます。

 プロジェクトを実現するための法的枠組みに関する議論でございますけれども、ロシア側との関係もあり、また、我が国の手のうちを明かすことにもなりかねませんので、我が国での検討状況を含め、詳細をお答えすることは差し控えさせていただきたく存じますけれども、いずれにしましても、双方の法的立場を害さない形で、経済的に意義のあるプロジェクトを可能な限り早期に実現できるよう、政府として精力的に取り組んでまいります。

神谷(裕)委員 もちろん外交的に表に出せないことはあると思います。ただ、実際に協力をされる企業さんであるとか、あるいはそういった皆さん方が安心するような形、これは絶対つくっていただきたいと思いますので、ここでは言えないこともあると思いますけれども、そういった皆様が、要は、出ていくために、安心して出ていけるように、そういったお取組をいただけたらと思います。

 このほか、北方基金についても伺いたかったんですけれども、時間が参りましたので、また別の機会をつくっていただけたらと思っております。

 質問の時間をいただきましたことを感謝申し上げて、終わります。ありがとうございました。

横光委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 冒頭、今回の豪雨災害によって亡くなられた方々に心からのお悔やみを申し上げるとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げます。行方不明者の捜索と被災者への支援、復旧に全力を挙げることを政府に求めたいと思います。

 沖縄振興予算の問題から質問をいたします。

 沖縄振興予算は、二〇一六年度は三千三百五十億円でした。昨年度は三千百六十億円、今年度は三千十億円へと減額が続いています。中でも、沖縄県や市町村が自主的な選択に基づいて事業を実施するための一括交付金、これは、千六百十三億円から千三百五十八億円、さらに、千百八十七億円へと大幅に減額をされています。一方、国が使途を決定し実行する国直轄予算は、千百八十九億円から千二百二十三億円、千二百六十億円へと年々増額をされています。振興予算全体に占める比率も、三五・五%から三八・八%、四一・九%へと顕著な上昇を見せています。

 二〇一二年に沖縄振興法が改正されました。その最大の特徴は、法律の目的に沖縄の自主性の尊重を明記したことでありました。その上で、沖縄県自身が振興計画を策定し、そのための自由に使える使い勝手のいい財源として導入されたのが一括交付金でした。ところが、実際には、国直轄の予算がふえる一方、一括交付金は減り続けております。

 沖縄振興予算の実態は法律の趣旨と違ってきているのではないかと思いますが、大臣、どのように認識をお持ちですか。

福井国務大臣 沖縄振興予算は、総理発言、すなわち、現行計画期間中毎年三千億円台を確保するという総理発言によりまして、現行計画以前よりも相当高い水準を確保することとなっております。

 平成三十年度予算は、現下の国の厳しい財政状況のもとではありますけれども、この方針に沿って、所要額を積み上げて三千十億円の予算を確保した次第でございます。一括交付金につきましても、他県にない高率補助の予算として千二百億円もの額を確保しており、沖振法の趣旨に反するものではないと考えております。

 今先生御指摘の、平成二十四年の沖縄振興特別措置法改正によります県の自主性の尊重について、もう一度復習をさせていただきますならば、平成二十四年の沖振法改正では、県の自主性を尊重しつつ振興を図ることとされた趣旨は、国が沖縄振興計画を決定する仕組みから、国が沖縄振興基本方針を定めるけれども、それに基づき県が沖縄振興計画を策定する仕組みへの変更をしたということが改正の趣旨。

 そして、もう一つ改正の趣旨として、沖縄振興に資する事業を県が自主的な選択に基づいて実施できる一括交付金の創設等でございますので、この法律改正の趣旨に基づいての予算配分、そして施策の展開というふうに承知をさせていただいております。

赤嶺委員 三千億円台、高額なという言い方をしておりましたが、大田県政の時代には四千億円台なんですよ。そういうことも見ておっしゃっていただきたい。沖縄の自主性を尊重しているかどうか。

 例えば、昨年の概算要求のときの記者会見で、江崎前沖縄担当大臣は、一括交付金が減額になった理由について、まず国として使途を定めている予算について優先的に積み上げていく、その上で、総額の範囲内で国として使途を定めていない一括交付金をできるだけ積み上げる、こう述べているわけです。

 国直轄の予算は優先的に確保して、残った予算の範囲で一括交付金に回すというのは、まず予算編成のあり方として、沖縄の自主性を尊重したとは言えないのではありませんか。

日下政府参考人 お答え申し上げます。

 概算要求のときの話でございますけれども、概算要求のときは、厳しい財政事情のもとではありますけれども、特に沖縄の自立的発展を促すのに必要な事業について厳選して増額したということでございます。

 具体的には、子供の貧困率が全国二倍以上であることによる子供の貧困対策、それから、大学進学率が全国最低であることなどによる沖縄独自の給付型奨学金制度の創設、それから、骨太方針に明記されている西普天間跡地への健康医療拠点整備、それから、世界最高水準の教育研究を行うOISTなどの増額を行っているものでございます。

 一括交付金の減額でございますけれども、最終的には、沖縄県が作成している事業計画上、平成二十九年度に終了する継続事業費が約二百億円程度あるということ等を勘案しまして、平成三十年度は百七十一億円の減額というふうになったものでございます。

赤嶺委員 皆さん、子供の貧困対策を含めて、あるいはOISTの問題や、あるいは基地の跡地利用を国直轄でやるのは当然だということですが、それを沖縄振興の予算の範囲内に加えていることを強く県民は批判しているわけですよ。

 もともとは国が起こした結果じゃないですか。国が、沖縄振興予算ではなくて国の責任としてやるべきこと、それを振興予算の中で直轄予算をふやしていっていることが大問題だと言っているわけです。

 一括交付金を減らしたのは継続事業が減ったからだ、このように言っておりますけれども、昨年度に終了する事業の分を削減した、そうなりますと、沖縄県や市町村が今年度に新しい事業をやろうと思っても、極めて限られた予算規模で実施するか、あるいは別の事業を削って振り向けるしかないということではありませんか。

日下政府参考人 お答え申し上げます。

 一括交付金、特にソフト交付金、ハード交付金もそうでありますけれども、前年度からの継続事業と新規事業に分けまして、平成三十年度に継続する二十九年度の事業費、これについて、過去三年のトレンド、これを勘案して三十年度の予算を推計しております。

 それに加えまして、三十年度の新規事業の見込みといたしまして、二十九年度の新規事業費を加えるなどの推計をしてございます。

 このようにして平成三十年度に必要な事業費の推計を行った結果でございますので、御理解賜りたいと思います。

赤嶺委員 一括交付金を減らすために詭弁を弄しているとしか思えません。

 二〇一八年度に沖縄県や市町村でどういう事業が計画されているかということを踏まえて、そのための予算を最大限に確保するというのが内閣府のやるべきことであります。その点は検討を行ったんですか。

日下政府参考人 お答え申し上げます。

 もちろん、県の御意見もかなり聞いてございます。

 ただ、一括交付金も、国の予算である以上は、県の要望のみならず、国の財政事情等を総合的に勘案して毎年度判断するということが必要でございます。

 そういったことを勘案した結果、減額となったわけでありますけれども、現下の国の厳しい財政事情のもとではありますが、他県にない高率補助の予算であります一括交付金については、依然として約千二百億円もの額が確保されておりますので、そこは問題ないものというふうに考えてございます。

赤嶺委員 他県にないと言いますけれども、他県も同じような予算をもらっているわけですよ、予算の一括交付金という仕組みが違うだけで。

 大体、沖縄県が他県にないということを言う立場にはないんじゃないですか、政府は。どういう立場に沖縄を置いているんですか。

 一括交付金を活用した事業は、経済や離島や教育や福祉、保健医療など、さまざまな分野で成果を上げています。

 ところが、一方的に予算を削減したもとで、地域に大変な混乱を生じさせております。例えば、那覇市は今、市民会館を建てかえようとしておりますが、一括交付金の見込み額を九十九億円から四十四億円に修正せざるを得なくなっております。

 これまで、一括交付金を減らした理由として、繰越額や不用額の多さを理由に減額されてきましたが、ソフト事業に充てる一括交付金の執行率でいえば、一二年度の五〇・九%から一六年度は七九・五%へと劇的に改善されています。こうした努力をきちんと評価すべきだと思います。

 これで努力したら、次は継続事業がないからというようなことで、新たな事業を起こす沖縄県のそういう自発的な意思を押し潰そうとする。こういうのは許されないと思います。

 沖縄県と全ての市町村は、沖縄の総意として、一括交付金の従前の水準の復活を求めています。この声に応えるべきではありませんか、大臣。

日下政府参考人 済みません、大臣の前に、一言だけ。

 他県にないということを先生から御指摘を受けましたけれども、私が申し上げた趣旨は、やはり八割なり九割なりという高率補助の予算というのは他県にはないということを申し上げたわけでございます。

 那覇市の例も挙げられましたけれども、沖縄県におきましては、より効率的、効果的に事業を行っていただくために、事業内容を精査した上で、優先度をつけて執行していただくことが必要であるというふうに考えてございます。

福井国務大臣 ありがとうございます。

 予算につきましては、この額をこれだけ確保したのでどうだと言うつもりは全くございません。作業上、所要額を積み上げて、今年度の予算、そして来年度の予算策定に向けても調整をさせていただきたいと思います。

 いずれにしましても、先生の御指摘、そして沖縄の皆さんの心に寄り添って施策を進めていくということを旨にさせていただいております。

赤嶺委員 子供の貧困対策事業についても伺いたいと思います。

 今年度までの三年間は、モデル事業として実施することとされています。これに一番熱心に取り組んできた那覇市などは、以前から子供の貧困対策に力を入れて取り組んできましたけれども、同市の城間幹子市長は、内閣府の支援員の配置施策を高く評価しておりますが、支援員の配置、これは来年度以降も同じ仕組みで続けてほしいと要望しています。

 これまでのモデル事業、沖縄県の子供の貧困対策事業、県民運動と相まって、県民の間に定着してきておりますが、ぜひ、事業の継続、これは仕組みとして事業の継続を求めたいと思いますが、大臣、いかがですか。

福井国務大臣 先生、私も現場に何カ所か行かせていただきましたけれども、まさに魂がこもっているなという印象を受けました。

 この子供の貧困対策でございますけれども、平成二十八年度から三十年度までの三年間につきましては、モデル事業として補助率十分の十で事業を実施しております。

 これまでの成果といたしましては、居場所を利用した子供の人数が平成二十九年度で延べ約二十九万人となりまして、平成二十八年度と比べて約十二万人増の約一・七倍になっております。そして、居場所を利用した子供に対するアンケート結果を見てみますと、居場所に来てよかったと思うかという質問に対しまして、約九割が肯定的に評価をしていることなどが挙げられております。

 本事業につきましては、平成三十三年度までの沖縄振興計画期間中を子供の貧困の問題の集中対策期間として事業を継続していくことといたしておりますけれども、来年度以降の事業内容につきましては、これまでの事業の成果、今申し上げましたような成果や課題を検証した上で検討を進めてまいりたいと存じております。

赤嶺委員 子供の貧困問題でもいろいろ議論したいところですが、ちょっと時間がありませんので、外務大臣に次は伺いたいと思います。

 先月十五日に閣議決定された政府の骨太方針に「米国の協力を得た英語教育の充実」という文章が入りました。この経緯と目的、内容を説明していただけますか。

河野国務大臣 外務省といたしましては、沖縄の一層の成長に資する沖縄の国際化に貢献する取組を鋭意進めてまいりたいと考えており、そのような観点から、英語教育の充実を図り、国際社会で活躍する人材を育成することは重要と考えております。このような考え方は、昨年十二月の私の沖縄県の訪問時にも紹介をしたところでございます。

 その上で、経済財政運営と改革の基本方針二〇一八において、沖縄の振興策として「米国の協力を得た英語教育の充実」が盛り込まれたことも踏まえ、どのような取組が可能か、前向きに検討していきたいというふうに考えているところでございます。

赤嶺委員 自民党の提言では、米国の協力というところが、米軍の協力、このようになっていました。看板は米国の協力ということに書きかえたわけですが、米軍から協力を得ることに変わりないんじゃないかと思います。何で書きかえたんでしょうか。

河野国務大臣 政府内の調整の過程の逐一についてコメントは差し控えますが、どのような方法であれ、英語教育の充実を図り、国際社会で活躍する人材を育成することは重要であり、米国の協力を得た形でどのような取組が可能か、前向きに検討していきたいと考えております。

赤嶺委員 外務大臣は、先ほどおっしゃいましたように、昨年十二月に沖縄訪問したときに、沖縄の国際化に貢献したい、米軍基地内の大学への入学の推進や米軍関係者と日本人の子供たちが一緒に通う学校の新設を挙げていたことが報じられておりました。

 沖縄は、政府もアジアのゲートウエーだと繰り返し言ってきているわけですね。何で、沖縄の国際化を言うときに、その具体策が米軍基地への留学や基地の子供たちとの共学になってしまうのでしょうか。沖縄県が推進しているアジアへの留学や交流は政府は後押ししないんですか。

河野国務大臣 英語教育の充実を図り、国際社会で活躍する人材を育成することは大変重要だとの考えのもと、昨年十二月に沖縄県を訪問した際を始め、さまざまな場で関係者と意見交換を行ってきており、どのような取組が可能か前向きに検討していきたいと考えております。

 例えば、今回、ことしの三月に、アメリカと協力して沖縄の若者向けの英語教育の充実を図り、英語を駆使して国際社会で活躍する沖縄の人材の育成につなげていくことを目指すという考えのもと、「アメリカで沖縄の未来を考える」、そういうプログラムを始め、これを一層充実させることを検討しております。

 これに加え、更にどのような英語教育の方法があり得るかについては、沖縄の皆様の意見を聞くことが重要であると考えており、そのような意見を踏まえつつ、いかなる形で行うのが適切か検討を重ねてまいりたいと思います。

赤嶺委員 今おっしゃったアメリカへの留学、既に河野大臣の考え方が具体化されていると思うわけですけれども、沖縄から高校や大学生二十名をアメリカに派遣する、いわゆるTOFUプロジェクトと呼ばれているものですね。私、その募集要項を見て大変驚きました。「沖縄の将来を担う高校生・大学生を米国に派遣し、関係者との意見交換や各種視察等を通じ、よりグローバルな視点で日米同盟を見つめ、その意義を米国における様々な実体験に根差した形で再認識してもらうことで、日米同盟の深化を第一の柱とする日本の外交政策の基盤を強化することを目的」としている、このように書かれています。

 具体的には、事前学習で、政府の資料に基づいて東アジアの安全保障環境や日米安保体制、海兵隊の意義などを学ばせて、アメリカでは、国務省、国防総省、そしてホワイトハウスで政府要人に会わせ、気づいたことを毎日気づきノートに書かせて、帰国後は新聞やSNSでの情報発信をさせるというものであります。国の予算を使って沖縄の子供たちに日米同盟の意義を教え込み、宣伝させる、こういうものです。

 今回の英語教育もそこに狙いがあるのではありませんか。

河野国務大臣 外務省では、ことし三月に、沖縄の若者が、同盟国であるアメリカのありのままの姿、国際社会における日本の役割を目の当たりにする機会を設け、現地の要人、若者らと英語で交流することを通じ相互理解の増進を図ることを目的とし、沖縄県の二十名の高校生、大学生を米国に派遣する、第一回「アメリカで沖縄の未来を考える」プログラムを実施いたしました。

 学生たちは、ワシントン及びニューヨークを訪問し、ホワイトハウスや国務省、国防省における米国政府高官との面談、ケネディ前駐日大使への表敬を行ったほか、現地の若者と交流し、沖縄の文化などについて紹介をし、また、私も米国出張の機会を捉え、直接学生と面会し、激励をしたところでございます。

 外務省といたしましては、国際社会で活躍する沖縄の人材育成に貢献できるよう、このプログラムを一層拡充に努めてまいりたいと考えております。

赤嶺委員 いやいや、私が聞いたのは、国際社会で活躍する沖縄の人材づくり、聞こえはいいんですが、その目的の中に、日米同盟の大切さ、この意義を教え込むという内容になっているわけですよ。

 本当の狙いは、日米同盟や沖縄に駐留する海兵隊駐留の意味を教えようという形でそういうプロジェクトを始めたということではありませんか。

河野国務大臣 申し上げましたように、沖縄の若者が、同盟国アメリカのありのままの姿、国際社会における日本の役割を目の当たりにする機会を設け、現地の要人、若者らと英語で交流することを通じ相互理解の増進を図ることを目的とし、この「アメリカで沖縄の未来を考える」プログラムを実施しているところでございまして、外務省としては、国際社会で活躍する沖縄の人材育成に貢献できるよう、このプログラムを一層拡充してまいりたいと考えております。

赤嶺委員 「目的」の中に、「沖縄の将来を担う高校生・大学生を米国に派遣し、関係者との意見交換や各種視察等を通じ、よりグローバルな視点で日米同盟を見つめ、その意義を米国における様々な実体験に根差した形で再認識してもらうことで、日米同盟の深化を第一の柱とする日本の外交政策の基盤を強化することを目的」としていると。英語教育じゃないですよ、こういうのは。

 しかも、同盟国アメリカを見てもらう、こういうことを言っておりますが、これは、沖縄に関して外務省がやるべきことではないと思いますよ。

 アメリカの直接支配下にあったときも、あのときは米国留学制度がありましたよ。沖縄の若者が、当時、アメリカの民政府、USCARと言っておりましたが、その制度では米国留学を言ってまいりました。そして、沖縄では、よき隣人になろうという、アメリカの、琉球・アメリカ親善運動というのもありました、英語教育もありましたよ。だけれども、それによって米軍基地への県民の不信は全く解決されなかったわけです。矛盾は拡大していく一方でありました。

 外務省は、みずからがやるべきことを全く履き違えているとしか言いようがありません。幾らアメリカで高邁な話を聞いても、現に基地の苦しみがある限り、矛盾はなくなりません。外務省がやるべきことは、基地の矛盾そのものを解消していくことであります。日米地位協定の抜本改正、米軍基地の縮小、撤去に取り組むことであります。みずからのやるべきことを履き違えるべきではない、そのことを強く申し上げておきたいと思います。

 米朝首脳会談についてもちょっとお伺いしたいんですが、先月十二日、史上初の米朝間会談が行われました。新たな米朝関係を確立し、朝鮮半島の平和体制の構築と完全な非核化を一体的に進めることで合意をいたしました。

 昨日の日米韓外相会談後の共同記者会見でも、アメリカのポンペオ国務長官、韓国の康京和外交部長官は、平和体制の構築と完全な非核化を一体的に進める必要があるとの認識を示しています。

 河野大臣は、この点、どのようにお考えですか。

河野国務大臣 日米韓を含む国際社会は、北朝鮮による全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ不可逆的な方法での廃棄、いわゆるCVIDの実現に向け連携を強めていく、そして、このCVIDが実現されるまでは、国連安保理の累次の決議案に基づいた制裁をきちんと履行していく、それが国際社会の現在の立場でございまして、それをしっかりと続けていくことを日米韓三カ国の外務大臣で確認をしたところでございます。

赤嶺委員 やはり、新たな米朝関係を確立し、そして、世界は朝鮮半島の平和体制の構築と完全な非核化を一体的に進めることで合意している、そのことに着目して、東アジアの平和の実現、このことを強く求め、そして、それが将来は軍事同盟ではなくて平和な話合いによる問題の解決をしていく東アジアの体制、そこまで見通していくような、そんな外交を続けてほしいということを強く求めて、私の質問を終わります。

横光委員長 次に、下地幹郎君。

下地委員 今回の西日本に起こりました大豪雨による大きな災害でお亡くなりになった皆さん、被害に遭われた皆さんに、心からお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。また、今も、このときも復旧に頑張られている自治体の皆さん、消防の皆さん、警察の皆さん、自衛隊の皆さん、ボランティアの皆さん、いっぱいいると思いますけれども、感謝の気持ちと敬意を払いながら、頑張っていただきたいなと思います。

 福井大臣は防災には非常に強い大臣でありますし、二階先生の門下でまた防災について勉強なされていると思うんですけれども、今回、これだけの大雨特別警報が出て、今、気象庁の能力だと、もう分単位、メートル単位でどれぐらいの雨が降るんだというようなことが、あれだけわかるような状況になってきた。この五年間で国土強靱化予算というのは内閣府を中心にして二兆二千億出しているんですよね。これだけの予算を出して、これだけの科学的な見地が防災になって強くなったにもかかわらず、今こういうふうに百人を超える皆さんがお亡くなりになったという状況は本当に残念なことだと思います。これは、災害というよりも人災もあるのかなと思われるぐらい私たちは厳しい思いに政治はならなければいけないんだなというふうに思います。

 私は、一点だけお話ししておきますけれども、今の消防の能力は、火を消す能力はあるけれども、豪雪や豪雨に対応する能力が全くないと五年前から言ってきました。今見ていただいています岡崎消防に、この前、サラマンダーというのを六年前に入れたんです。これは水陸両用車なんです。このことをずっと消防庁に言ってきたんですよね、これからは火を消すだけではなくて、豪雨や豪雪に対応できるようなものでなければいけないと。今回も、金曜日に帰る前に消防庁に電話して、サラマンダーを出動させなさい、もう豪雨が決まっているんだからその地域に出動して待機させておきなさいというようなことを私は提案させていただきましたけれども、日曜日にしか出ていませんね。

 そういう意味でも、大臣、この水陸両用車というのを本気でこれから考えて、今回防衛省が、二十四、水陸の両用車を、装備を入れるんですけれども、そうではなくて、各消防にこれを入れて、待機させて、今回も消防隊員がボートで流されてお一人亡くなられている。ああいうふうなボートではだめなんですよ。この水陸両用車じゃなきゃだめなので、ぜひそれを検討していただきたいというふうに思っていますから、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 それで、大臣、沖縄の一括交付金についてちょっと御質問させていただきますが、沖縄データセンターというのがあります。これは六十八億円かけました。二十七年度に完成しました。

 きょうも役所の方々がいますけれども、このデータセンターに一括交付金は幾ら入っているんですかと何回も書類要求しても出てこない。総額的な話だからできませんというようなことだったので、沖縄県に電話して、幾らかかったの、国の予算は幾らなのと言ったら六十八億円、それで十分の八だというようなことを沖縄県から聞いて、質問することになったんです。全く教えてくれないんですよ。これは異常だと思いませんか。それで三年もたたないうちに、ことし、この沖縄データセンターは十億円の負債を抱えて民事再生するんですよ。

 このような予算の出し方を、先ほど赤嶺さんが質問したように、百億円が削られたとかと言っていますけれども、大臣、これは先ほど統括官からも話があったように、十分の八は国の予算なので、こういうふうな予算の最終的な失敗した責任は、沖縄県にあるんですか、それとも、この事業は正しいといって印鑑を押した内閣府にあるんですか。どっちにあるんですかね。

福井国務大臣 事業主体はもちろん、先生御指摘のように沖縄県でございます。事業主体であり、そして、管理運営形態としては、指定管理者制度の指定をする者でもございます。

 今、先生御指摘のように、全体事業費六十八億円を使った沖縄情報センターに設置しているデータセンターにつきましては、稼働率が低迷しておりますし、沖縄データセンターについては、経営がうまくいかなかったということでございますけれども、その後、新しい入居企業が公募の結果決まりまして、株式会社C&C沖縄が入居をしております。

 内閣府としては、新しい体制でデータセンターの運営状況が改善することを期待しておりますし、その動向について注視してまいりたいと存じております。

下地委員 大臣、これだけ、もう一回だけ。

 僕は深追いするつもりはないので、ちょっとだけお話ししておきますけれども、一番の株主は開発金融公庫ですよ、皆さんがお金を出している、その開発金融公庫。二番目が、今言ったそのオーシーシーというコンピューター会社です。この沖縄データセンターというのは、沖縄の企業、銀行とかそういうのが株主をつくってやって、管理委託はこのオーシーシーという会社に委託をしていたんですよ。

 これで、このオーシーシーは公庫に次いで二番目の大株主なんですね。で、これは民事再生で民事再生されました。そして、今回、大臣が今申し上げたように、新しい会社をコンペしましたけれども、今まで運営をしていて、民事再生の、二番目の株主だったオーシーシーがまたこの事業をやることになったんですよ。これはおかしくないですか。これは期待できますか。今まで運営してきたところが、運営していたところ、しかも二番目の大株主、一六%を持っている株主が倒産をさせた。民事再生して、十億円の赤字をやった。公募したら、今度はこのオーシーシーグループの会社がまた受けた。

 これは二つあるんですよね。なぜかといったら、新しい条件をやるために意図的に民事再生させて、このような、できるような状況をつくってまた同じ会社にやらせているのか。もうこれは誰が考えてもおかしいと思うんですよ。

 しかも、先ほどから何回も言っていますけれども、六十八億円ですよ、税金。四年間でこれ、失敗して、何も反省もなくて、また同じ会社がもう一回やるというのはいかがなものなんでしょうかねと。私はそのことを強く申し上げておきたいと思います。

 これから沖縄の事業をやるときは徹底的に見てください。そして、沖縄の事業をやるからといって、全てが正しいというわけではないと思っています。だから、いろいろな事業をもう一回、検査をして、検証してから予算をつけていかなきゃだめなんですよ。もう言いたいことはいっぱいある、うまくいっていないのが多過ぎて。基地を持っているから、何でもお願いすれば、沖縄県がお願いすれば予算がとれるというのではなくて、もう少し、十分の八を、このお金を出す大臣として、精査をしながら物事をつくっていくというのが大事だと思う。

 沖縄振興策の中には、今回の一括交付金は、自主的に沖縄県で判断させると書いてありますよね。そのとおりやらなければいけない。私は、そういう中で、MICEの問題、この前、福井大臣が記者会見をしていますけれども、このMICE、これは何がだめで、この三億円の自主的な沖縄県が欲しいと言っている予算を認めないんですか。何が理由なんですか。福井大臣が新聞でコメントした、厳しいといった話をしたこの意味を少し、ちょっと教えていただきたいんですけれども。

福井国務大臣 沖縄県は、既存のMICE施設でカバーできない大型のMICEの誘致のために、四万平米を要する催事が開催可能な大型MICE施設の基本設計にソフト交付金の活用を希望しております。

 基本設計は、規模を含めて施設の内容等を決定するものでございますので、その前提として、根拠ある需要、根拠ある収支見込み等や、必要な受入れ環境の具体的な見込み等が整理されていることが必要十分条件でございますので、現在、県と協議を行っているところでございますので、内閣府としては、引き続き、県から丁寧に事情をお伺いしながら、ソフト交付金の活用について適切に対応してまいりたいと存じております。

下地委員 県から出ているMICEの資料、これをゆっくり見たことはありますか。県が出してきた、年間三百六十五日のうちのこれぐらいの企業がこのMICEを使いますよと、各社みんな印鑑を押して持ってきたんですよね。これも見たことはありますか。これを見て、どう思いますか。

 自主的に予算をつけるというこの法に照らし合わせて、これだけ沖縄県がしっかりと、今、一年間でどれぐらいの利益が出ますかといったら、稼働率六三%で、今の段階で三千四百万ぐらいまで利益が出ますよというような数字を持ってきて、もう内閣府に何回も出していますよ。

 これは逆に、三億円は認めて、この三億円の中で具体的な調査をして、だめかどうかとチェックするだけじゃなくて、一緒になって三億円の予算をつくり上げて、沖縄にMICEが成功するかどうかとやるのが国の仕事じゃないですか。何でこんなに、三億円程度、六十八億円は失敗をしておきながら、これだけ一生懸命にいろいろな沖縄の自治体がMICEをつくってくれと。安室奈美恵のコンサートもやりたい、年間二十回を超える、二万人を超えるコンサートも沖縄でできますよと、みんなが印鑑を押してこれだけやってきているのに、何でこれがだめなんですか。

 大臣、これは県民にはっきりだめな理由を言ってくださいよ。

福井国務大臣 先生、まだ、だめと申し上げたつもりは一回もございません。あと、現場も行かせていただきました。

 先ほども申し上げましたように、まだ現在、県と協議を行っている最中でございます。その基本設計だけまず執行というわけにはいかないということを申し上げております。基本設計は、規模を含めて、今後の運営その他、全体を規定するものになりますので、この施設の根拠ある需要、根拠ある収支見込み、必要な受入れ環境、具体的な見込みを十分整理した上で、県と協議を行っているまだ最中、オンゴーイングでございます。

下地委員 大臣、お互い政治家だから、これは一回ゆっくり見てください。沖縄県が自分たちでこれだけやってきて、三億円のお金を要求した。大臣のところが一括交付金で認めた、認めたら、三億円で、一生懸命にいろいろなところを回って、うちでコンサートをやりますか、うちで博覧会をやりますかと全部やってきて、この三億円で全部の予約表までつくって大臣に出したいと言っているんですよ。これは五百億かかりますけれども、三億円で緻密に計算して、成功できるかできないかをしっかり見ていきたいと言っているんですよ。

 その予算をつけてもいいんじゃないですか。それでもしだめだったら、やめたらいいじゃないですか。六十八億円も失敗しているような人たちが、三億円の予算でしっかりと緻密につくって、県民も要望しているから、それで最後決めましょうよといって、内閣府がそのために協力すればいいじゃないですか、県と一緒になって。何でそれがもう二年近く認められないんですかね。私は不思議でしようがありませんね。雨が降ったらコンサートが延期になる、雨が降ったらイベントができない、そういう状況がずっと続いてきてこのMICEの話になったんですよ。

 大臣、この予算、早くつけた方がいいよ。いつごろまでに決着をつけますか。概算要求までに、もうだめならだめとはっきり言って、検討する検討するとずるずる延ばすんじゃなくて、もうだめならだめと言うか、それとも、沖縄県民のために一緒にやろうとするかというのは、やはりスケジュール感をちょっと示した方がいいんじゃないですか、いつごろまでに私は決断しますよというのは。いかがですか。

福井国務大臣 ちょうど、江崎大臣と先生のやりとりを予算委員会の一番前の理事席で聞いておりまして、そのときから先生の御熱意、十分承知をさせていただいております。先ほど申し上げましたように、現場も参りましたし、今、協議中でございますので、また先生と随時相談しながら、適切に対処させていただきたいと思います。

下地委員 早くやってください。これは政治家しかできませんよ。役人がいろいろなことを言っても、政治家が県民の立場になってやっていただくことが大事だと思いますから、それだけお願いしておきます。

 あともう一個、国土交通省。

 那覇空港が二本目の滑走路ができて、一・四倍になる、一・四倍にしかならないと出ておりましたね、新聞に。これはどうですか。これは一・四倍。今、一年間で十七万回飛んでいるんですよね。十七万回飛んでいて、最初は十四万回がアッパーだと言っていますけれども、二十七年度のやつで十七万回飛んでいて、これが一・四倍にしかなりませんと言って、みんなびっくりしているわけですよ。これは一・四倍なの。

 十七万回だったら、二つ滑走路ができたら、普通の人だったら三十四万回だと思いますよね。どの数字が正しいんですか。

久保田政府参考人 お答え申し上げます。

 那覇空港の平成二十八年度の発着回数の実績、先生おっしゃいますとおり、十六・六万回に達しておるところでございます。この数字は、深夜の貨物便でありますとか、それから回転翼機、そういった実績も入っておるところでございます。

 一方、滑走路の処理能力として航空局の方で考えておりますのは、あくまで年間を通じて安定的に運用ができる目安でございまして、一本の滑走路の現状におきましては、十三・五万回という数字を我々としては想定しておるところでございます。これが、二本、滑走路増設後には幾らになるかというと、我々、現時点におきましては、十八・五万回に増加する、具体的に五万回増加するというふうに想定をしておるところでございます。

 じゃ、なぜこれが五万回の増加にとどまるのかということにつきましては、実は、那覇空港の出発と、それから嘉手納飛行場の進入経路が関係してございます。まずは、嘉手納飛行場の進入経路との関係によりまして、空域の高度制限がございます。それからもう一つ、騒音の影響から、市街地の上空の飛行経路というのを設定しておりません。

 そういった前提条件を踏まえまして飛行経路を今の時点におきましては設定しておりまして、現状では、二本になるんですけれども、滑走路の独立運用の条件を満たしていないということが五万回の増加にとどまっている原因でございます。

下地委員 短くやりとりしますけれども、今、あなた、十六万回と言いましたよね、今飛んでいるのが。それは五万回飛んだら二十三万回ということね、あと五万回ふえたら。

久保田政府参考人 済みません。お答え申し上げます。

 この十三・五万回というのは一本で、我々としましては、年間を通じて、あくまで安定的な運用ができる目安だと思っています。ただ、現状は、それが十六・六万回の処理という実績になっているということで、この結果、遅延でありますとかそんな問題が生じているというふうに思っております。

 一方で、やはり二本になったときに、先ほども申しましたように、嘉手納との関係、それから環境との関係でいうと、五万回増の、十三・五が十八・五万回になるという見込みでございます。

下地委員 だから、今、沖縄で十六・五万回飛んでいるんですよ、発着枠がね。それが、あなたが言っている、二本目になったら五万回しかふえませんと言ったら、今、十三万回じゃないんですよ、十六・五万回飛んでいるから、五万回、二千億円かけて新しい飛行場ができたら、二十三万回ぐらいになるんですかと聞いているんですよ。

 十八万回と言うんだったら、二千億をかけて、お金をかけて滑走路をもう一本つくって、あと一万回しか飛ばないということになるよ、あなたの言い分だったら。五万回ふえるんでしょう。

久保田政府参考人 お答え申し上げます。

 十八・五万回という数字は安定的な運用ができる目安であると考えてございまして、私ども、運用上の工夫によりまして、当面の需要には対応可能であるというふうに考えてございます。

 少々、ちょっとわかりにくい説明になって大変申しわけございませんが、今のところはそういう考えでございます。

下地委員 まあいいよ、これ以上あなたと、だけれども、何か意味不明なことを言っているよ、あなた。これを聞いている人、みんな笑っているよ。ただ、笑えない人がいるわけさ。

 笑えない人は何かといったら、沖縄県は一千七百万人の観光客を三〇年までにやると言っているわけですよ。これはもう公式に発表しているわけ。そうなると、飛行場からすると、三十四・五万回なんですよ。三十四・五万回飛ばないと一千七百万人にならないわけ、わかる。だから、今あなたが言っているような数字を言っていると、あなたがこの考え方を変えなければ、沖縄県が入域客の数を変えないといけないわけ。

 これと同時に、何が怖いかといったら、今沖縄は非常に投資家が多くなってきているわけ。今のあなたの発言を見て、投資家の皆さんはびっくりしていると思うよ、ええっと。二本目の滑走路ができるから、二倍の量にふえるから、私たち、何百億かけて沖縄にホテルをつくって、沖縄で頑張りたいと言っているけれども、何これ、十八万五千回のものしかふえないのと。今でも十六万回飛んでいるにもかかわらず、一年間で、あと一万五千回しか飛べないのと。わかりにくいんじゃなくて、そういうことを言ったら、投資家がもう投資意欲をなくしてしまいますよ、あなた。

 これ、大変なことなんです。島国における飛行場のキャパというのは、投資家や雇用する人たちにとって、大きなこれは基盤材料になるわけ、数字に。だから、もう一回言ったけれども、一千七百万人と沖縄県が言っていることが、飛行場が三十四万回離発着がないと一千七百万人にならないんです。これが、今言っているようなことだと、もう本当に、今沖縄で投資をしようとする人は、もうやめた方がいいんじゃないかと思うぐらい、沖縄の景気をあなたの発言は全て引っ張ることになるよ。大丈夫ですか、本当に。

 間違いない、十八万五千回しかないと、はっきりもう一回言えるの。議事録に残してごらんなさい、これで、十三万五千回で、十八万回しかふえませんと。

久保田政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと、繰り返しなので大変恐縮ですが……(下地委員「いや、繰り返しだったら言わなくていいよ。数だけ言ってくれ」と呼ぶ)はい。

 十八・五というのは、要するに安定的な運用ができる目安でございます。ですので、運用上の工夫によりまして我々としては対応したいと考えております。

 ただ、先生おっしゃるように、二本の滑走路を独立運用して同時離発着するためには、滑走路の間隔が千三百十メートル必要です。那覇はそういう形に今つくっておるところでございますが、これに加えて、空域でありますとか、それから騒音影響の条件が整うことが条件になります。

 那覇空港の周辺は、那覇市でございますとか豊見城市といったところの市街地が広がってございます。こういった地域に騒音とか環境面でどのような影響を及ぼすのかということを十分に考慮して、地元の理解を得る必要があると考えてございますので、そういったことを踏まえて我々としては対応していきたいと考えてございます。

下地委員 こういうときにはこういうふうに答弁するわけ。

 今十八万五千回が安定した飛行回数だと思っているけれども、今のこの管制の問題とか騒音の問題とか、そういうのを条件を緩和していけば、二十五万回にもなるかもしれない、二十七万回になるかもしれない。そうなんでしょう。この条件がきちんと緩和できないと、できないだろう。(発言する者あり)

 いやいや、立場って、何も立場ないよ。どこに立場、俺らの方が立場はあるよ。命がけなんだから、これ。生きるか死ぬか、一番所得の低い沖縄県がこの飛行場にかける意気込みというのは、これは官房長官があれだけ努力してつけた予算、普通の思いじゃないよ、みんな。そういうふうなことの条件がしっかりと緩和できれば、二十三万回、二十四万回になるというのが答弁じゃないの。

久保田政府参考人 いろいろと課題はございますが、十分検討してまいりたいと考えてございます。済みません。

下地委員 大臣、御答弁を。

福井国務大臣 インフラを利用して沖縄振興を図るという立場から申し上げまして、今先生のおっしゃることをよく胸にとめまして、航空局と相談をさせていただきたいと思います。

下地委員 これは大臣、ぜひお願いします。これは期待していますから。

 あと、飛行回数の問題というのはやはり非常に大きいんですよね。沖縄の雇用にとっても、経済にとっても、本当に大きな問題なので。このキャパでどれぐらい入りますよというのを見せるのが私は大臣の仕事だと思いますから、それをぜひやっていただきたいと思います。

 大臣、最後にもう一個ですけれども、防衛省、来ていますかね。

 この前、稲田大臣に要望した左側の格納庫。今、二本目の滑走路ができて、そして新しく駐車場なんかが計画されているけれども、どうしてもボーディングブリッジが足りない。遅延する最大の要因はボーディングブリッジのなさ、こういうふうに今言われているんですけれども、あれは、ちゃんとこの前私たちが要請したものについては検討していますか。第五航空群の格納庫の一つを航空局に譲って、ボーディングブリッジをつくらせてくださいというようなお願いを今しているんですけれども、それについてはどういう、一年前の話ですけれども、検討をしていますでしょうか。

平井政府参考人 お答えいたします。

 昨年六月、日本維新の会の下地議員及び儀間議員から、那覇空港に隣接をする海上自衛隊第五航空群の敷地の一部を空港用地として活用したいとの御要望をいただきました。

 防衛省としては、日本維新の会からの御要望も含め、国土交通省とも適宜意見交換をしながら、那覇空港に関する御議論について注視をしているところでございます。

 その中で、国土交通省から、那覇空港ターミナル機能の拡張が必要となった場合の一案ということで、第五航空群の敷地の一部を使用する可能性についてお話があって、防衛省からは、空港全体の将来計画についてお尋ねするなど、事務レベルでの意見交換を行っているところでございます。

 他方、第五航空群、那覇基地を基点として、P3C哨戒機により、我が国周辺海域における警戒監視の任務を継続的に実施をしており、第五航空群の格納庫や駐機場等は、その運用基盤として任務に必要不可欠な施設になっております。

 その上で、防衛省としては、那覇空港における民間航空需要の増大への対応については、一義的には空港管理者である国土交通省において検討がなされるものと承知をしておりますけれども、今後、拡張の必要性の根拠となる需要予測ですとか空港全体の将来計画に関する検討結果、これに基づいた具体的な説明を伺いつつ、国土交通省と意見交換を行いながら、警戒監視を始めとする那覇基地が現在担っている任務に支障が生じない範囲で対応を考えてまいります。

下地委員 大臣、さっき、十六万回飛んでいますよね、そのうちの四千回が自衛隊機ですよ、大体、この十六万回のうちの四千回ぐらいが自衛隊機。今、那覇空港は、一義的には国土交通省と言っていますけれども、八割が自衛隊の基地なんです。四千回しか飛ばないところが那覇空港の敷地の八割を持っているんです。あとの、十四万回近く飛んでいるところが二割しかないんですよ。それが沖縄の経済にマイナス要因になっている。

 誰も安全保障と沖縄経済をてんびんにかけようと思っていませんよ。安全保障も大事です、わかります。しかし、今の状況で、遅延がこれまで広がっていく。あと、二年後は皆さんが予算をつけた那覇空港ができて、先ほどの条件が整備できれば二十五万回程度までふえてくる、そういうふうになってきたら、ボーディングブリッジも足りない。今、駐車場も足りないからつくろうとしている。そういうふうな状況の中で、これはしっかりとやるべきだと思いますよ。

 だから、何回も言いますけれども、これは、大臣が防衛大臣と話をして、もう八割を持っているあなた方が、沖縄県民のために、一部ですよ、格納庫一つですからね、これを譲ってくれなきゃだめですよというようなことをお願いして、二本目の滑走路をつくる、このつくる意味の整合性とあわせて、ボーディングブリッジをつくって駐車場をつくるという、これをぜひ大臣、やっていただきたいというふうに思っていますから、大臣の答弁を聞いて、終わります。

福井国務大臣 問題、課題についてよくわかりましたので、防衛省、航空局とよく相談をさせていただいて、まず、勉強した結果を先生に報告させていただきたいと思います。

下地委員 ありがとうございました。

横光委員長 次に、山岡達丸君。

山岡委員 御質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、本当に、せっかく両大臣がおそろいの中、私、また北海道から選出していただいているということもありまして、北方領土のことをめぐって、そのことを中心に、両大臣の胸をかりるというような、そうした思いの中でいろいろ御質疑をさせていただきたいと思っております。

 質疑に入らせていただく前に、今、西日本を中心にした大変な豪雨で、報道によれば、既に死者百人を超えている、行方不明者は多数出て、全容は本当に見えていないという状況であります。今もなお、この災害に対して本当に懸命な、さまざま救助活動をされておられる方もおられます。

 お亡くなりになられてしまった方の御冥福を本当に心からお祈り申し上げますし、被災に遭われた方にお見舞い申し上げるところであります。また、今なお本当に懸命に御努力されている皆様に、本当に心から敬意を表させていただきたいと思います。

 実は、この質疑が始まる、委員会が始まるころに、ちょっとこれは新たな質問通告で、こういう状況の中で外務大臣の、せっかく河野大臣がおられるので、今総理がこれから外遊の御日程があられるということについて、これはなくすか、あるいは最小限にとどめるべきではないかという御質問をさせていただこうかということを思っておったんですけれども、この委員会の開催中に、報道があったところによりますと、どうも安倍総理はこの被災を受けて外遊を取りやめる方向で今考えておられるということを今報道で伝わっておるところであります。

 御質問はいたしませんけれども、ぜひ、本来、外交のコーディネートをされておられるお立場であられますから、外務大臣としては外交はしっかりとやってほしいという思いもあられると思いますけれども、今回の被災は本当に甚大であるということでありますので、政府としても皆様一丸となってこの問題に取り組んでいただきたいと思いますし、私も含めて、これは議会の方でもしっかりとそのことをサポートしていかなきゃいけない、そのことを新たに思わせていただくような、それほど甚大な被害であるということも、冒頭、私の立場からも申し上げさせていただければと思います。

 北方領土をめぐってのことでありますけれども、せっかく河野大臣がおられるところでございますので、日ロのいわゆる今の外交の状況についてお伺いしたいと思います。

 安倍総理とプーチン大統領が首脳会談を繰り返し行っておられるという状況であります。これほどまで首脳会談を繰り返しているという状況は過去になかなかないということも、いろいろ事務方の皆様からも伺っているところであります。

 五月二十六日には、直接、お二人でまた会われた、直近では会われたと思います。そのときには、外務大臣は同席はされておられなかったんですけれども、ただ、もちろん、首脳のコーディネートは外務省がされておられるということでありますから、その前段のところでは本当に大臣もいろいろお骨を折られて、そうした実現をされておられるということは本当に推察させていただくところであります。

 このお話の中、プレスリリースされている中においても、共同経済活動、新たな段階と。共同経済活動の実現に向けた作業というのが新たな段階に入ったということでございますので、共同経済活動そのものについて何か新たな段階に入ったのかどうかというと、ちょっとそこはわからないわけでありますけれども、非常に、新たなこの取組の中で、六月末にも局長級の協議ということで、今、行かれているということで、作業に入られているということも伺っているところであります。

 一般に、共同経済活動といっても、過去の経過からいえば、まさにそこで、例えば、商業を行ったときの納税をどうするのか、どちらの政府がその権利を得るのかとか、あるいは、そこで犯罪があった場合にどちらの法で裁くのかとか、さまざま課題があって、非常に私も難しい課題である、難題である、それをどう乗り越えていくのかということは、本当に非常に強い関心を持って私も注視させていただいているところであります。

 ただ、先ほども申し上げましたけれども、全体の機運として、過去これまでにないぐらい、この日ロの外交の状況の中で、平和条約の進展に向けて一歩が踏み込まれるのではないかという期待も、これは地元のいろいろな関係者は固唾をのんで見守っているという状況であります。

 そこで、まず大臣にお伺いしたいんですけれども、現在、この日ロの外交の状況、そして北方領土問題の解決に向けた平和条約への道筋に向けて、過去と比べて現状はどのような状況にあって、どの程度の期待を寄せていいか。こうした言い方をするとなんなんですけれども、やはり私も、地元の関係者が本当に大きな関心も持っていますし、期待していいのか、よくないのか、ここは本当に複雑な思いを持って今見ているところであります。

 せっかくですので、河野大臣に、地元の北海道の皆様にもそうした言葉も発するという意味も込めて、今の日ロの現状についてどのように考えておられるか、そのことについて御見解を伺います。

    〔委員長退席、近藤(昭)委員長代理着席〕

河野国務大臣 政府といたしましては、幅広い分野で日ロ関係を国益に資するような形で発展させながら、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという基本方針のもとで、ロシアとの間で粘り強く交渉を進めているところでございます。

 日ロの間では、二〇一六年十二月の首脳間での合意を着実に実施してきているというふうに考えております。

 ことし五月の日ロ首脳会談では、この二〇一六年十二月の合意に基づいて率直な議論が行われ、平和条約締結問題について、北方四島における共同経済活動の実現に向けた作業が新たな段階に入ったということを確認をしたわけでございます。

 具体的に申し上げますと、ことしの七月、八月にも、事業者を中心としたビジネスミッションを四島に派遣をする、その後、日ロの次官級協議を開催をするということで一致をし、五件のプロジェクト候補の内容につきましても具体的な進展を確認することができました。

 この共同経済活動の実現に向けた取組は、先ほども申し上げたと思いますが、日ロ双方で、あり得べきこの北方四島の未来図を描きながら、双方の立場を害さない形でこの四島の帰属の問題を解決をする、そして平和条約を締結する、それに向けての大きなプラスになるというふうに考えております。

 また、北方四島だけでなく、隣接地域への裨益も踏まえ、精力的にこの共同経済活動は進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 また、きょうもいろいろ御質問がございましたが、御高齢になりました元島民の方々の航空機による墓参もことしも続けていく、天候が許せば、七月にも実施をするということで日ロ一致をしているところでございます。

 引き続き、北方四島をふるさととする方々、あるいは四島の隣接地域の方々のお気持ちをしっかりと胸に刻んで、ロシアとの粘り強い交渉の末、この四島の帰属の問題を解決し、平和条約を締結してまいりたい、そう考えているところでございます。

    〔近藤(昭)委員長代理退席、委員長着席〕

山岡委員 御答弁ありがとうございます。

 あり得べき未来図を描いて、双方の立場を害さず、これを乗り越えていく、非常に大きな、本当に乗り越えられれば、すごいこれは成果になるんだろうなということは強く感じるわけであります。

 本当にそれはぜひ、今、御意欲も示していただきましたし、これは強い努力をしていただきたいということを思うわけでありますが、非常に一つやはり懸念しますのは、私、過去に択捉島にビザなし交流で行かせていただいたことがあるんですけれども、そのときに、当時は非常に開発が進んでいく中で、奥の方に網が張られて、その向こうに古ぼけたディーゼル発電機があって、そして、誰も見ない方向に看板が立っていて、これは日本が援助してくれたお金で建てたものですということが示されていた。

 聞けば、過去に人道支援というもとで、この当時も、恐らく平和条約、解決に結びつく人道支援だということでやったんだ、御努力もあったんだと思いますけれども、そうした古ぼけたディーゼル発電を見ましたときに、非常に、率直に、素朴に複雑な思いを持ちました。

 今、いろいろ経済プランとか共同経済活動の話もございますが、これはやはり意義のあるものにしていきたいという思いでありますけれども、せっかく外務大臣がおられますので、過去のこうした政策は、平和条約にどのように効果があったのか、貢献したのか。あったらあった、なかったらないと言えないかもしれませんけれども、やはり択捉島のそうした環境を見るに、そういうことを繰り返してほしくないなという思いも持っております。

 ですから、過去の評価と今後の考え方、このことについても大臣にちょっと伺えればと思います。

河野国務大臣 北方四島の住民の支援事業として、例えば、医師、看護婦の研修ですとか、患者の受入れですとか、さまざまなことをやってまいりました。

 厳しい生活環境に置かれている北方四島の住民の皆さんに対して、これは真に人道的に必要な支援を行うものでありましたし、また、これにより、四島の住民の日本に対する信頼性を高め、平和条約締結交渉の促進に向けた環境の整備に資するものであったんだろうというふうに思っております。

 それだけで一足飛びに何とかということにはならないのかもしれませんけれども、そうした支援を地道に行うことで日本に対する信頼というのが高まってくるというのは、いずれ、この四島の帰属の問題を解決したときに、この四島には多くの住民が住んでいるわけでございますから、そうした方々が納得する、そのための環境整備という意味ではこれはさまざまなプラスになってきているんだろうというふうに思っておりますので、我々としては、また、厳しい状況で住んでいる方の人道的支援という観点もあわせて、しっかりとやるべきことはやってまいりたいというふうに考えております。

山岡委員 本当に大臣のお立場から、地道な積み上げが今日につながっているというお話もございました。冒頭にもお話ありましたけれども、本当に今この状況を固唾をのんでおられるのは、やはりこの地道に積み上げてきたものを今結果を出してほしいという大きな声があって、そのことを踏まえて、ぜひまた大臣には意欲を持って取り組んでいただきたいという思いであります。

 最後に、済みません、時間も限られていますので、きょうは福井大臣もおられまして、非常に一般論でありますけれども、せっかくの御機会でありますので、福井大臣からも、旧島民、後継者に対するさまざまな支援事業もありますけれども、この考え方、どのように考えておられるか、このことをお伺いしたいと思います。

福井国務大臣 ありがとうございます。

 元島民の方々は、戦後七十年余りにわたりまして、ふるさとへの復帰を希望しながら、いまだそれがかなわない状況にございます。その間、生活の本拠を奪われ、多くの方が御労苦を重ねてこられたものと認識をさせていただいているところでございます。

 そのような中で、元島民の方々には、北方領土返還要求運動の中心的な役割を果たしてこられた、担われてこられたものと認識をさせていただいております。

 政府においては、元島民の方々への支援として、自由訪問の実施、元島民による返還運動の支援、元島民の事業や生活の安定のための低利融資を行っているところでございます。

 ちょっと時間がないようでございますので中身は省略させていただいて、私も、元島民の方々とお会いして、切なる望郷の思い、本当に何回も何回も伺いました。切なる望郷の思いと、その思いを受け継ぐ世代の方々の強い意思を直接伺いまして、北方領土問題の解決への決意を新たにしたところでございます。

 今後とも、元島民やその後継者の方々に寄り添いつつ、必要な支援をしっかりと進めてまいりたいと存じております。

山岡委員 今、福井大臣からも本当に御意欲を伺いました。

 きょうは、この後、北方領土をめぐる基金の議員立法による改定もあって、そこを前提とした質問も少しさせていただこうかと思ったんですけれども、委員会の決議をさせていただくに当たってその思いも伝えさせていただこうと思いますので、その質問は省略させていただきまして、また、残りの時間は同じ党の仲間にお譲りしたいと思いますが、両大臣に御質疑、御質問、お答えをいただきましたことに心から感謝を申し上げさせていただきまして、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

横光委員長 次に、緑川貴士君。

緑川委員 国民民主党・無所属クラブの緑川貴士と申します。

 本日は、質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 初めに、先週から降り続いた西日本を中心とした豪雨でお亡くなりになられました皆様への御冥福、そして今も行方不明となっている方が一人でも多く御無事でいらっしゃること、そして今避難生活を送られている方へお見舞い申し上げながら、今現地で復旧復興作業に当たられている皆様に敬意と、そして御慰労を申し上げて、一議員としてできることに私自身取り組んでいくことをお誓い申し上げ、そして、政府に対しましては最大限の御対応を強く求めていきたいと思います。

 そして、私からは、北方領土問題をめぐる日ロの現在の交渉について伺いたいと思います。

 ことしの三月の外務委員会で、河野大臣の御発言ですけれども、北方四島の帰属問題を解決し、日ロ間で平和条約を締結しようという両首脳の強い思いのもとで行われているわけで、その条約を締結するためにはさまざまな論点はあろうかと思うというお答えをいただいておりますが、その一つの論点となり得るのが、私は、地上イージス、イージス・アショアの配備であるというふうに思います。

 昨年の十二月にイージス・アショアの導入を閣議決定した後、ロシアは一貫して懸念の声を表明しています。先週行われた外務次官級による安全保障協議でも、その姿勢は変わっておりません。北方領土交渉に安保という別の条件があることをロシアは隠しません。

 そのロシアが、トマホーク巡航ミサイルをイージス・アショアに搭載する可能性があると非難していましたが、そんな搭載などあり得ないことはロシアもわかっているわけで、日本がロシアを攻撃すること自体は言いがかりであるにしても、この日米の弾道ミサイル防衛システム、BMDについてはアジア太平洋地域における深刻なリスクとか、今現在行われているBMDの規模と北朝鮮のミサイルの脅威とは相当しないとロシアは反論をしています。

 米軍のBMDに対する批判の一環として日本のイージス・アショアの動きをも強く牽制しているという中において、北方領土問題をBMDを抑える交渉材料と捉えている節がロシアにはあります。日米の安保に北方領土問題を対応させているわけです。そういう相手に、脅威にならないとか懸念には当たらないと言い続けているだけでは北方四島の帰属問題は前に進まないと思うんですけれども、河野大臣、いかがでしょうか。

河野国務大臣 陸上配備型のイージスシステムを含む日本のミサイル防衛システムにつきましては、日本の国民の生命財産を守るための純粋な防御的なシステムであるとともに、我が国が主体的に運用するものでありまして、ロシアを含めた周辺国の脅威になるものでは全くございません。

 こうしたことは累次の機会にロシア側に説明をしてきておりますし、ことしの三月の日ロ外相会談におきましても、私からラブロフ外務大臣に同様の説明を行い、今月四日の日ロ安保協議においても、日本側の立場を改めて説明をしてきているところでございます。

 その上で申し上げれば、二〇一六年十二月の日ロ首脳会談で、両首脳は平和条約問題を解決するみずからの真摯な決意を表明をしており、こうした両首脳の合意に基づいて、平和条約締結問題について、今回の首脳会談も含め日ロ間で率直に対話を重ねてきているところでございます。

 政府としては、北方四島の帰属の問題を解決し、平和条約を締結するという基本方針のもと、引き続きロシアと粘り強く交渉を続けてまいりたいと考えております。

緑川委員 幾度にもわたる日ロの対話を持って、それを重ねてきた今月までなんです。今月でも、外務次官級のそうした協議でも同じ内容を、同じ懸念を示している、このことは、私、重く受けとめるべきだなというふうに思っております。

 配備の動きが、ましてや、今後具体的に進んでいくとすれば、日ロ関係の外交上の緊張、障壁とこれはなり得る可能性、また、国民の命と財産を守る準備、有事の備えを、私、否定するものではありませんけれども、配備にかかる年数やタイミング、そして、この迎撃性能にも疑義が生じていることは指摘しなければなりません。

 まず、導入の必要性についてお伺いします。

 北朝鮮の新たな段階の差し迫った脅威、これを理由にイージス・アショアの導入を急いできたわけですけれども、今から五年後の配備ということを考えても、その緊急性を理由としていることには疑問を持たざるを得ません。

 朝鮮半島情勢は非核化合意を受けて緩和の局面にあり、その緊急性すらも薄らいでいる状況であります。加えて、イージス・アショアに搭載予定の新型ミサイルのこれまでの迎撃実験では、三回中二回迎撃に失敗しており、命中率は三分の一という確率。迎撃能力も、現状で心もとないものです。

 そんなイージス・アショアは本当に大丈夫なのかという声が上がっておりますが、性能面について踏み込んだ検証が今後不可欠ですし、国際情勢が厳しさを増していることを理由に導入を進めてきたのであれば、その逆、情勢の緩和に対しても同じようにこれは敏感になるべきです。

 導入については一旦凍結すべきだというふうに考えておりますけれども、山本副大臣、いかがでしょうか。

山本副大臣 お答えを申し上げます。

 まず、北朝鮮の問題で我々もきちっと対応をしなければいけないということでございます。

 実際、状況が変わってきているのではないかという御指摘も委員からございましたけれども、そういった御指摘も実際にあるということは事実だと承知をしておりますけれども、先般の米朝の首脳会談の中で、北朝鮮の金正恩委員長が北朝鮮の完全な非核化について米国のトランプ大統領と書面をもって直接約束をしたということは、我々も大変大きな意義があると理解をしております。

 また、この成果の上に立って我が国の防衛を考えていく、そして、北朝鮮に対して国連安保理の完全な履行を求めていく、北朝鮮の具体的な行動を見定めていくことが今後は重要だと思っております。

 それと同時に、我が国の防衛を考える上では、我が国を射程におさめているとされる数百発の弾道ミサイルが現実に存在をしている。この弾道ミサイル防衛能力の強化というのは、変わらず喫緊の課題だと理解をしております。その中で、そういう防衛装備品について、事態が切迫をしている中で、取得に今委員も五年程度の時間がかかるではないかというお話がございました。もちろん、取得をして、それを整備をして、配備をして、そして練度を高めていって実戦で配備をしていくというのには相当程度時間がかかります。

 ただ、今のこの状況を見て、時間がかかる、それを踏まえて速やかに着手しなければ、今必要だから今配備できますかという問題ではございませんので、そういう我が国を射程におさめている弾道ミサイルが数百発ある、その中で、我が国の領土、領海、領空、そして国民の生命と財産をしっかり守っていくという意味合いにおいては、我々は、このイージス・アショアは必要なものであり、その配備の計画を変えるつもりはないのかという御指摘でしたけれども、計画どおりきちっと配備計画を進めてまいりたいと考えているところです。

緑川委員 北朝鮮が具体的な行動を示さない、依然として数百発の日本に届き得る弾道ミサイルをやはり持っているということで、ただ、そういうミサイル、核弾頭を保有しているその北朝鮮がそれらを放てば、確かに十分足らずで日本に着弾することになります。一人一人、だからこそ、命を守る行動をとる上で重要な、配備の動きと全く真逆になっているのが、今、このミサイル避難訓練なんですね。これはなぜ中止したんでしょうか。

 今年度、既に訓練を終えた群馬そして福岡以外に、栃木、香川など九県が実施予定だった訓練は全てこれを見送ることになりました。北朝鮮の脅威に変わりはないというのであれば、訓練は続けられてしかるべきではないですか。

山本副大臣 お答えを申し上げます。

 先ほども申し上げましたけれども、先般の米朝の首脳会談、その成果の上に立って、今後とも、北朝鮮に対して国連安保理の完全な履行を求めていく、そして北朝鮮の具体的な行動を見定めていくということが必要であると考えております。

 その上で、今委員御指摘の住民避難の訓練について、今、現に弾道ミサイルの発射が行われていない、そういう現状がある。

 そういった等々のことを総合的に勘案をしまして、住民の皆様に御足労いただくというような住民参加型の訓練については当面は見合わせようと。

 ただ、Jアラートによる情報伝達の方法、弾道ミサイル落下時の行動、そういったことについての周知に重点を置いて取り組むよう訓練のやり方を一部見直しているにすぎず、いかなる事態においても万全を期すとの考え方は今も何ら変わってございません。

 一方、我が国の防衛を考える上で、先ほども申し上げましたけれども、数百発の弾道ミサイルが我が国を射程におさめている、そういった現実は全く変わっていない。したがって、弾道ミサイル防衛の強化は喫緊の課題であるということも変わらないということですので、イージス・アショアも我々の配備計画どおりしっかりと整えていくことによって、国民を守るために真に必要な防衛力の強化、配備、整備というものをしっかりやっていこうと考えているところです。

緑川委員 お答えですと、なかなか、その配備への意欲、熱量と比べると随分冷静だなと。

 緊張が揺らいでいるというふうに、私は緊張は緩和の方向へ向かっているというふうな立場でありますけれども、北朝鮮に対してそのような、今先ほどの、脅威は変わっていないという御認識で、お立場であれば、住民に不便をかけながらも、これは命を守る実践の避難訓練なんですね。訓練の必要性を説く、啓発を続けていくというのが私は政府の責務ではないかというふうに思います。

 ミサイル防衛で全て撃ち落とすのは、これは困難です。Jアラートを聞いた国民は、限られた時間で速やかに避難しなければなりません。台風や地震に備える訓練と同じように、ミサイル避難訓練の積み重ねが万が一の被害を着実に減らすことにつながるというふうに思います。

 配備が五年後であるというのであれば、この間、なおさら現在のこの体制のもとで命を守っていかなくてはならないはずです。

 イージス艦の乗組員の労務軽減のためのアショアの導入というふうに先日もお答えいただきましたけれども、イージス艦の増艦、一層の体制強化ということを決めている。これはつまり、北朝鮮のミサイル、核保有を理由に挙げているのであれば、今の脅威に対しては現体制下でどう対応していくかというのが重要であるんです。イージス・アショアは、当面の国際情勢には関係のない導入ということになると思います。

 イージス・アショアの見積費用、二基二千億円というのは従来型のSPY1レーダーで算定されていますので、新型レーダーのSPY6を選択した場合はより高額なものになり、そうなれば配備の完了は二〇二三年度よりも遅くなる懸念も出てきます。

 新型迎撃ミサイルは一発三十億円以上、当初見込まれた費用よりもこれは大幅にトータルとして経費が膨らんでいくことになるにもかかわらず、政府の骨太の方針では、今後についても、防衛力を大幅に強化するというふうに明記しています。慢性的な財政赤字を抱える中でも、防衛関係費は例外的にふやすことにしているわけですね。限られた予算の中で費用対効果を見込んで考えていかなければならないのに、これでは財政規律の緩みにもつながりかねません。

 真に国益にかなうとは言いがたいというふうに思いますが、副大臣、どのようにお考えでしょうか。

山本副大臣 お答えを申し上げます。

 イージス・アショアの一基当たりの費用でございますが、今委員からも具体的な金額の話がございましたけれども、我々としては、イージス・アショアの一基当たりの費用あるいは配備後のライフサイクルコストについては、レーダーを含むシステムの構成や配備する場所等により相当程度変動するため、現時点で確たる価格をお答えすることは困難でございます。

 また、現在、レーダーの選定におきまして、今委員から個別具体的な名前も出てまいりましたけれども、我々としましては、米国政府などから提出された提案書というものの内容を今、分析、評価しているところでございまして、提案された内容を踏まえつつ、今後、システムの構成や配備する場所などを決定した上で、全体として必要となる経費を確定させてまいりたいと考えております。

 いずれにしましても、防衛関係費については、五年間の防衛力の整備計画である中期防に規定する防衛関係費の総額の範囲内において、我が国の平和と安全を確保するために必要な経費を計上してきております。

 御指摘のイージス・アショアの導入に要する経費を含む来年度以降の防衛関係費については、本年末までに行う次期中期防の査定の中でしっかりと検討してまいりたいと思います。

 また、先ほど委員から、イージス艦二隻を導入するという計画もあるじゃないかという御指摘がございました。それも、現在の中期防においても、おっしゃるとおり、海上自衛隊のBMD対応用のイージス艦を二隻導入する経費として約三千四百億円を予算計上しております。

 これも含めて、防衛関係費については、中期防に規定する防衛関係費の総額の範囲内において必要な経費を計上しているところでございます。

緑川委員 必要な経費がついた、イージスについてもついたと。これがついたからといって、今後、適地調査費など是が非でもこれを通す。私は、そういう力ずくでは配備先の候補地と言われた地域の思いは動かないと思いますよ。

 国が配備の最適候補地として発表した秋田市と山口県の萩市、阿武町、この地域では、特に私の地元秋田では、なぜ配備先として適切なのか、それを判断する重要な情報が国からいまだに伝えられてこない。地元の疑心暗鬼は深まるばかりです。

 地元紙によれば、これは秋田県議なんですけれども、半数以上が秋田市の陸上自衛隊新屋演習場への配備に反対をしています。これはけさの朝刊ですけれども、これを重く受けとめていただきたいというふうに思います。

 政府の説明では、二基の配置のバランス、そして、電波が山に遮蔽されないか、一平方キロメートル以上の平たんな敷地が確保されること、電力、水道を安定供給できることなど、これを挙げていますが、二つの地域以外にも条件を満たす場所はまだまだあります。これらだけでは判断の根拠としては不十分です。

 ましてや、新屋演習場の場合は、一キロ圏内に学校があります。そして、子供やお年寄りのための福祉施設も近くにあります。住宅が何より密集している地域なんです。住民の生活圏から十分に離れているということは、これは条件として考慮されていないんでしょうか。どうなんでしょうか。

山本副大臣 お答えを申し上げます。

 イージス・アショアの配備候補地の検討に当たりましては、最も効果的に我が国を防護することができる場所に可及的速やかに配備できるかどうかという点を重視して、全国の自衛隊の施設をくまなく対象として検討をしてまいりました。

 これまでの調査研究などにより、配備のためには、御指摘のとおり、四点を満たす必要があると考えております。

 一点目は、我が国全域を防護する観点から、日本海側の北と西に二基をバランスよく、日本海側に配置する必要性がある。

 第二に、弾道ミサイルの探知に支障が出ないよう、なるべく山などの遮蔽となるようなものがない場所に配置する必要性がある。

 第三に、レーダーと迎撃ミサイルの発射台を適切に配置できるよう、約一平方キロメートルの広くてなるべく平たんな敷地を確保できる場所に配置する必要性がある。

 四つ目、イージス・アショアを運用するために、電力、水道などのインフラ面において安定的な供給が見込める場所に設置する必要性がある。

 そして、委員御指摘の、秋田県の陸上自衛隊新屋演習場については、これらの条件を満たす候補地と考えております。

 具体的に、少しお時間をいただいて詳しく説明を申し上げたいと思いますが、イージス・アショアの防護できる範囲について、我が国全域を防護する観点から、北と西にバランスよく二基を配置するためにはどのような場所に設置するのが適当か、数理的な分析を行い、その結果、日本海側に配置する必要性があるとともに、さらなる分析を重ねまして、秋田県と山口県、その両県の付近にイージス・アショアを配置した場合、最もバランスよく我が国全域を防護することが見込めました。

 また、配置した場所の周囲にある山などの地形が弾道ミサイルの探知に支障を及ぼすような遮蔽となるか否か、数理的なこれも分析を行いました。結果、新屋演習場の周囲には弾道ミサイルの探知に支障を及ぼすようなものがないことが見込まれました。

 さらに、電力、水道の安定的な供給と建設に必要な資材、そういったものがきちっとできている。

 さらには、今御指摘の、電磁波などの影響を与えない観点からも広い敷地が必要となりますが、新屋演習場は、住宅地の近傍ではあるものの、約一平方キロメートルあり、広くて平たんな敷地を確保できるということで、周囲への影響を与えないように配備できることが見込めたわけであります。

 いずれにしましても、今後、地質測量調査及び地元の皆様からさまざまな御懸念の声をいただいております電波についての環境調査などを行うことにより、イージス・アショアを実際に配備できるのか否かを確認すると同時に、地元の皆様の御懸念、御不安に対して、防衛省として責任を持って具体的に説明してまいります。

緑川委員 答えていただくのは、私の質問したことに対して率直にお答えいただきたいというふうに思います。

 要は、住民の生活圏から十分に離れている、そうした距離というのは、今挙げられた四条件には劣る、その四条件が優先されてしまうというのはよくわかりました。住民の生活に影響を与えないようにということで、こうした条件は、結局、生活圏から近くてもそれは無視されてしまう、こういうのがお答えであるかなというふうに思います。

 先月の一日に福田達夫政務官が秋田にいらっしゃいましたけれども、住宅密集地に近いところを選んだことを重く考えているというふうな発言もされました。

 最適地ではない可能性が出てきています。最適地であること自体をこれは見直すという認識でよろしいんでしょうか。

山本副大臣 お答えを申し上げます。

 もちろん、四条件をもとに候補地を探しているわけでありますが、住民への影響、そういったことも重要な条件でありますので、住民への環境影響、そういうものを我々は無視していることではないということはつけ加えさせていただきます。

 加えて、御指摘の、福田政務官が秋田県を訪問した際の発言、これに関しても、政務官としては、新屋演習場周辺の状況について真摯に考慮をしているというものでありまして、これは私も、防衛省・自衛隊としても、みんな同じ認識を共有しているものであります。

 これまでも、防衛省としましては、地元の皆様に対する説明の機会をいただいておりますが、電波の影響など、さまざまな御懸念の声をいただいているというふうに私も委員同様認識をしております。

 防衛省としては、そのような観点から、レーダーが発する電波に関する環境影響調査について今後徹底的に調査を行い、電波が人体や周辺に影響が出ないようにするなどの取組を進めるとともに、地元の方々の御懸念を少しでも払拭できるよう、今後とも、説明の機会をいただき、真摯にかつ丁寧に説明をしてまいりたい、そのように考えております。

緑川委員 私は、一つ疑問なのは、どうしても、環境調査あるいは測量調査をやる前に、なぜ最適地というふうな最適という言葉を使っているのかが理解できません。

 住民の理解を得た上で配備を最終的に決めていきたいと。それはそうですけれども、そのための誠意を込めるべき丁寧な説明が、イージス・アショアの概要説明だけに終わっているんです、今まで。

 住民の生活圏に隣り合っている演習場がなぜ最適と言えるのか正面から答えられない限りは、議論は平行線をたどることになると思います。住民の疑心暗鬼はますます深まりますよ。

 そういう中で、住民の理解や納得が深まり、その結果地元が了承した、その了承したかどうかという判断、これは、適地調査では、環境調査でも判断できない。どういう基準で判断するのか、最後にお答えください。

山本副大臣 もちろん、御地元の御理解を得るというのは、我々防衛省・自衛隊は常に心がけてきていることで、当該の自治体、地元の住民の方々、そういった関係各所に、今後とも丁寧にしっかりと説明をしてまいりたいと考えております。

緑川委員 有事の備えと同時に、平時の安心、安全というのが、これは万全に確保されてしかるべきです。

 なぜ住宅地に近いところが最適と言えるのか、この最大の疑念にしっかり答えられない限り地元の了承はあり得ないということを強く申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

横光委員長 外務大臣は御退席いただいて結構でございます。

     ――――◇―――――

横光委員長 次に、北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、渡辺孝一君外四名から、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、国民民主党・無所属クラブ、公明党及び日本維新の会の五派共同提案により、お手元に配付いたしておりますとおり、北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の起草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。渡辺孝一君。

渡辺(孝)委員 本起草案の趣旨及び主な内容につきまして、提案者を代表して御説明申し上げます。

 昭和五十七年に北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律が制定されて以降、北方領土の返還実現に向けたさまざまな取組がなされてまいりました。

 その一方で、領土問題の解決はいまだなされておらず、加えて、元島民の高齢化の進展、北方領土隣接地域における活力の低下等も顕著になっております。

 そのような中、今般、日ロ両国の間で、歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島における我が国とロシア連邦による共同経済活動に関する協議が開始されたところでありますが、かつて北方領土と一体の社会経済圏域を形成した北方領土隣接地域に住む元島民の中には、隣接地域の振興がこのまま置き去りにされるのではないかと不安に感じる方々もいらっしゃいます。

 また、北方領土隣接地域においては、これまで北方領土隣接地域振興等基金の運用益を活用して北方領土隣接地域の振興策が実施をされてきましたが、近年この運用益が減少していることにより、今後振興策を適切に実施することができないおそれが生じております。

 本案は、このような情勢の変化を踏まえて所要の改正を行おうとするものであり、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、この法律の目的に、共同経済活動の進展を、北方領土問題の解決に向けた諸施策を進める背景事由として明記することとしております。

 第二に、共同経済活動のうち主として北方領土隣接地域の経済の活性化に資するものとして主務大臣、すなわち、内閣総理大臣、外務大臣及び国土交通大臣が定める共同経済活動を特定共同経済活動と定義するとともに、国、北海道並びに北方領土隣接地域の市及び町は、特定共同経済活動を円滑に実施するために必要な北方領土隣接地域の環境の整備に努めることとしております。

 第三に、振興計画に定める事項に、特定共同経済活動の円滑な実施のための環境整備に関する事項を追加することとしております。

 第四に、北方領土隣接地域振興等基金の取崩しに関する規定を追加し、現行の国と北海道の出資割合を維持しつつ基金を取り崩すことができる趣旨を明確化した規定を追加することとしております。

 第五に、財政上の配慮等に関する規定を見直し、国は、この法律の目的を達成するため、予算の範囲内において必要な財政上の措置を講ずることを明記することとしております。

 第六に、政府は、新法の施行状況を勘案し、北方領土隣接地域の振興及び住民の生活の安定を図るための交付金に関する制度の整備その他必要な財政上の措置について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとしております。

 なお、この法律は、平成三十一年四月一日から施行することとしております。

 以上が、起草案の趣旨及び主な内容であります。

 何とぞ議員各位の御賛同をお願い申し上げます。

    ―――――――――――――

 北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

横光委員長 本件について発言を求められておりますので、これを許します。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 質問に入る前に、一言申し上げたいと思います。

 今回の法案は、五月末の北方議連で初めて提案されたものです。会期末間際の提案に対して、議連やあるいは理事懇の場でもるる意見が出されました。各党に十分な検討の時間を保障するのは当然のことであります。ぜひ、今後の教訓としていただきたいと思います。

 まず、北方基金の取崩しについてですが、長期にわたる低金利政策の影響で運用益が大幅に減少するもとで、新たな財源対策を求めてきた地元の要望に応えるもので、私たちは賛成です。

 ただ、取崩しに伴って減少していく基金への財政措置をどう考えているかという点はただしておく必要があると思います。

 まず、提案者に伺いますが、現在、基金は百億円が積まれているわけですが、今後、毎年どのくらいの規模で取り崩していくことが想定されているのか、また、法案の附則で、政府に新たな財政措置の検討を求めておりますが、具体的にどういうことを想定しているのか。

 また、北方担当大臣に伺いますが、この規定を受けて、今後、政府としてどのように取り組んでいくのか、北方領土問題が解決されるまでは必要な財源が確保されるようにする必要があると思いますが、その点、どのようにお考えか。

 それぞれ御答弁をお願いしたいと思います。

渡辺(孝)委員 赤嶺議員から二点質問がございましたので、お答えいたします。

 まず、北方領土隣接地域振興等の基金の取崩しの規模に関しては、北海道が今後見込まれる事業ニーズを積み上げたところでは、年間約五億円程度に上るものと聞いております。

 しかし、実際には、毎年度、事業の内容やその必要性、効果、さらには効率性などを精査した上で、必要額を取り崩して事業を行っていくことになるものと認識しております。

 二点目の、法案の附則の財政上の措置についての検討条項は、将来、まず、北方領土隣接地域振興等基金の原資の取崩しによって基金の原資が減少し、安定的に事業を継続することに支障が生じるおそれがあること、また、二つ目、他方、共同経済活動のさらなる振興に対応して、隣接地域振興に向けた新しい事業ニーズあるいは新しい行政需要が生まれる可能性もあることから、設けたものでございます。

 具体的には、地元がより柔軟に振興事業や北方領土返還の啓発、あるいは援護事業などを行うことが可能となるような交付金制度の検討をすることなどを想定しております。

福井国務大臣 ありがとうございます。

 この法案によりまして北方基金の原資が取り崩されることとなった場合には、まずは、取崩しによる財源で北方領土隣接地域の振興等のために必要な事業が効果的、効率的に行われるよう、北海道の自主性も尊重しつつ、しっかりと対応してまいりたいと存じております。

 あわせて、それらの事業の実施に必要な取崩し額が確保できるよう、運用計画につきましても注視しつつ、北海道から相談がありますれば適切に対応してまいりたいと存じております。

 また、法案における附則第二項の検討条項につきましては、ただいま渡辺先生の方から御説明があったとおりの立法趣旨を十分に踏まえまして、適時適切に検討を行い、その結果に基づいて必要な措置をとってまいりたいと存じております。

赤嶺委員 次に、共同経済活動について外務副大臣に伺います。

 二〇一六年十二月の日ロ首脳会談で、北方四島における共同経済活動に向けた協議開始に合意してから一年半が経過しました。

 ところが、日ロ双方の法的立場を害さない特別な制度という肝心な部分が一向に見えてきません。そればかりか、ロシア側は、合意直後から一貫して、ロシアの法律に沿って行われるべきだと主張していることが報じられております。

 一年半が経過したにもかかわらず、肝心な部分が一向に具体化されないのはなぜですか。

中根副大臣 お答え申し上げます。

 五月二十六日の日ロ首脳会談において、二〇一六年十二月の長門での合意に基づき率直な議論が行われ、平和条約締結問題について、北方四島における共同経済活動の実現に向けた作業が新たな段階に入ったことを確認しました。

 具体的には、本年七月又は八月をめどに、事業者中心のビジネスミッションを四島に派遣すること、その後、日ロ次官級協議を開催することで一致し、さらに、五件のプロジェクト候補の内容について、具体的な進展を確認したところでございます。

 プロジェクトを実現するための法的枠組みについても言及がありましたが、ロシア側との関係もあり、詳細は控えさせていただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、二〇一六年十二月の長門での日ロ首脳間の合意に基づき、日ロ双方の法的立場を害さない形で鋭意取り組んでまいります。

赤嶺委員 幾らプロジェクトの具体化が進んでも、肝心の法的枠組みが具体化できなければ、これはもう絵に描いた餅にしかならないわけであります。法的枠組みを含めて、日ロ間でいつごろまでに合意できるという見通しはあるんですか。

中根副大臣 お答え申し上げます。

 ロシア側の主張に対してのコメントをする立場ではありませんが、共同経済活動は双方の法的立場を害することなく実施される必要がございます。

 今回の首脳会談においても、プロジェクトを実施するための法的枠組みについても言及がありましたが、ロシア側との関係もありますし、また、我が国の手のうちを明かすことにもなりますので、我が国での検討状況も含め、現時点で詳細をお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

赤嶺委員 今の答弁を聞いていて、共同経済活動がどういうものになるのか、あるいはいつ合意できるのか、これもわからないのに何で法律への明記を急ぐのか全く理解できません。私たちは、共同経済活動の部分は法案から切り離すべきだと思います。

 領土問題も、領土問題の交渉そのものが今どうなっているのか。これは何か進展があるんですか。

中根副大臣 お答え申し上げます。

 二〇一六年十二月の日ロ首脳会談で、両首脳は、平和条約問題を解決するみずからの真摯な決意を表明するとともに、北方四島において双方の法的立場を害することのない形で共同経済活動を実施するための交渉を開始することで合意しました。

 共同経済活動の実現に向けた取組を通じて、日ロがともに北方四島の未来像を描き、その中から双方が受入れ可能な解決策を見出していくという未来志向の発想によりまして、北方領土問題の解決そして平和条約の締結にたどり着くことができると考えております。

 平和条約締結問題につきましては、安倍総理そしてプーチン大統領との間も含め、日ロ間で率直に対話を重ねてきております。五月二十六日の首脳会談においても、昨年十一月の日ロ首脳会談においても、二〇一六年十二月のプーチン大統領訪日の際の日ロ首脳会談の合意事項の具体的な進展を確認するとともに、そして、両首脳のみのテタテ会談では突っ込んだ議論が行われたと聞いております。

 政府としては、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとの一貫した方針に基づき、引き続きロシアとの間で粘り強く交渉を進めていく考えです。

赤嶺委員 最後に申し上げておきたいんですが、最近のロシアによる千島列島の軍事化の動きや、イージス・アショアの配備をめぐる日ロ間のやりとりを見ていても、こうした問題の根本にあるものをそのままにして共同経済活動を進めても、領土問題の解決につながるとは到底思えません。

 戦後、領土不拡大の原則に反して旧ソ連による千島領有を認めたサンフランシスコ講和条約、そして、日本をアメリカの極東アジア戦略の前進拠点とした日米安保条約、地位協定という問題の根本に立ち返らない限りこの問題は解決しないということを強く申し上げて、質問を終わります。

横光委員長 これにて発言は終わりました。

 お諮りいたします。

 北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付いたしております起草案を委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

横光委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

横光委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

横光委員長 この際、江渡聡徳君外五名から、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、国民民主党・無所属クラブ、公明党、無所属の会及び日本維新の会の六派共同提案による北方領土問題等の解決の促進及び北方領土隣接地域の振興に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。山岡達丸君。

山岡委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきますことを御理解賜れればと思います。

    北方領土問題等の解決の促進及び北方領土隣接地域の振興に関する件(案)

  政府は、北方四島における共同経済活動の進展を踏まえつつ、北方領土問題の解決の一層の促進と北方領土隣接地域の振興を図るため、「北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律」の施行に当たり、次の事項について十分配慮すべきである。

 一 北方四島における共同経済活動については、平和条約問題に関する日露双方の法的立場を害さない形で行われることを必ず確保すること。

 二 主務大臣による特定共同経済活動の指定に当たっては、北方領土隣接地域の経済の活性化に資するものとなるよう、北方領土隣接地域をはじめとした地元の要望や元島民の方々の意見を十分踏まえること。

 三 特定共同経済活動を円滑に実施するために必要な環境整備に係る事業については、北方領土隣接地域において実施されるものとすること。

 四 北方領土隣接地域振興等基金を取り崩すに当たっては、地域振興等の推進に向けた事業の必要性や緊急性を考慮し、基金の安定的な運営が図られるよう配慮すること。

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

横光委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

横光委員長 起立総員。よって、本動議のとおり決しました。

 この際、ただいまの決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。沖縄及び北方対策担当大臣福井照君。

福井国務大臣 ただいまの御決議につきましては、政府といたしまして、御趣旨を十分に踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

 ありがとうございました。

横光委員長 お諮りいたします。

 本決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

横光委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

横光委員長 次に、北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、理事会等において御協議いただきました結果、お手元に配付いたしましたとおりの起草案を得ました。

 その起草案の趣旨及び内容について、委員長から御説明申し上げます。

 北方地域の元居住者及び漁業権者は、さきの大戦の終結以来、北方地域に帰島することはもとより、その周辺の漁場において我が国漁業者が円滑に操業を行うことが困難になっている特殊な地位等に置かれております。このことに配慮し、昭和三十六年に制定された北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律により、北方地域旧漁業権者等に対して低利融資措置が講じられてきました。その後、北方地域旧漁業権者等の高齢化の進行やその生活基盤も次世代の子や孫に依存せざるを得ない状況がふえてきていることに鑑み、平成八年及び平成十八年の本特措法の改正により、元島民等の生計を維持している子又は孫の一人に対し、融資資格を生前承継あるいは死後承継することが可能となる措置も講じられました。

 ところが、近年、元島民等の生活の安定に関し、その生計の維持が必ずしも子や孫の一人の収入によってなされているとは言えない実態もふえてございます。また、収入以外の介護、介助等の方法によって元島民等の生活の安定が図られている実態もあり、加えて、子や孫だけでなく、その配偶者たちによっても元島民の生活の安定が図られている実態もございます。

 本案は、これらの実態も踏まえ、所要の改正を行おうとするものであり、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、生前承継について配偶者等のうち元島民等の生計維持を行っている者の中から複数人指定できることとし、また、生計維持で指定された者以外に介護等により元島民等の生活の安定を図っている者がいる場合は、その主たる者も指定できることとしております。

 第二に、承継の対象者となる親族の範囲について、現行は、元島民等の子又は孫に限られておりますが、これに加えて、元島民等の配偶者又は子若しくは孫の配偶者にまで拡大することとしております。

 第三に、死後承継についても、生前承継と同様に、融資対象者を拡大することとしております。

 なお、この法律は、平成三十一年四月一日から施行することとしております。

 以上が、起草案の趣旨及び主な内容であります。

    ―――――――――――――

 北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

横光委員長 お諮りいたします。

 北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付いたしております起草案を委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

横光委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

横光委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十三分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.