衆議院

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第3号 令和4年3月3日(木曜日)

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令和四年三月三日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 阿部 知子君

   理事 秋葉 賢也君 理事 國場幸之助君

   理事 鈴木 隼人君 理事 堀井  学君

   理事 石川 香織君 理事 大島  敦君

   理事 杉本 和巳君 理事 稲津  久君

      東  国幹君    井野 俊郎君

      伊東 良孝君    小渕 優子君

      尾身 朝子君    金子 俊平君

      島尻安伊子君    高木 宏壽君

      武井 俊輔君    宮崎 政久君

      山口  晋君    山本 左近君

      新垣 邦男君    堤 かなめ君

      山岸 一生君    吉田 豊史君

      金城 泰邦君    長友 慎治君

      赤嶺 政賢君

    …………………………………

   外務大臣         林  芳正君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 西銘恒三郎君

   内閣府副大臣       黄川田仁志君

   外務副大臣        小田原 潔君

   内閣府大臣政務官     宗清 皇一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  瀬井 威公君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   原  宏彰君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  水野  敦君

   政府参考人

   (内閣府北方対策本部審議官)           伊藤  信君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   石川 浩司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 有馬  裕君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 徳田 修一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 大鶴 哲也君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 石月 英雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 實生 泰介君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局南部アジア部長)      加納 雄大君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    市川 恵一君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    宇山 秀樹君

   政府参考人

   (外務省国際協力局長)  植野 篤志君

   政府参考人

   (水産庁増殖推進部長)  黒萩 真悟君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  土本 英樹君

   衆議院調査局第一特別調査室長           菅野  亨君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月三日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     山本 左近君

  山岸 一生君     堤 かなめ君

同日

 辞任         補欠選任

  山本 左近君     金子 俊平君

  堤 かなめ君     山岸 一生君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 俊平君     尾身 朝子君

    ―――――――――――――

三月三日

 沖縄振興特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 沖縄振興特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)

 沖縄及び北方問題に関する件


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     ――――◇―――――

阿部委員長 これより会議を開きます。

 沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官瀬井威公さん、内閣府政策統括官原宏彰さん、内閣府沖縄振興局長水野敦さん、内閣府北方対策本部審議官伊藤信さん、外務省大臣官房長石川浩司さん、外務省大臣官房審議官有馬裕さん、外務省大臣官房審議官徳田修一さん、外務省大臣官房審議官大鶴哲也さん、外務省大臣官房参事官石月英雄さん、外務省大臣官房参事官實生泰介さん、外務省アジア大洋州局南部アジア部長加納雄大さん、外務省北米局長市川恵一さん、外務省欧州局長宇山秀樹さん、外務省国際協力局長植野篤志さん、水産庁増殖推進部長黒萩真悟さん、防衛省整備計画局長土本英樹さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

阿部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

阿部委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山岸一生さん。

山岸委員 おはようございます。立憲民主党、山岸一生です。よろしくお願いをいたします。

 今日、林大臣、西銘大臣にお越しいただいております。かつて新聞記者として取材をする機会をいただいたお二人の大臣とこういった形で議論の機会をいただきましたこと、本当に光栄に思います。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 まずちょっと、冒頭なんですけれども、済みません、今朝のことですから通告が間に合っておりませんけれども、沖縄タイムス、現地の報道でございます。二〇一七年に沖縄県東村高江において、米軍ヘリ、CH53大型ヘリが、不時着、炎上と政府はおっしゃっていますね、いたしましたけれども、この現場の土壌を米軍が解析をしたところ、大変強い放射線が検出をされた、こういう報道でございますが、外務省、事実関係を把握されていますか。

市川政府参考人 お答え申し上げます。

 報道は承知してございますけれども、事前の通告をいただいておりませんので、これは防衛省とも事実関係確認をいたしまして、別途御説明させていただければと思います。

 以上でございます。

山岸委員 是非とも、速やかな調査、そして説明を求めていきたいというふうに思います。

 さて、早速予定した質疑に入ってまいりたいのでございますけれども、まず、ロシアに関連をして、北方領土問題への影響ということで、ビザなし交流に関してお伺いをしていきたいというふうに思います。

 私、もう十年ほど前になりますけれども、まさに記者としてビザなし交流に同行取材したことがございました。御高齢となった元島民の皆さんがお墓を丹念に草むしりをされる、そういったふうな姿、大変胸に迫るものがございました。

 今、ロシア政府、その中でも一部の専制的な指導者によるウクライナへの侵略が生じて、こうした元島民の皆さんの平和への思いも踏みにじる、許し難いものであります。

 このビザなし訪問への影響に関してお聞きしていきたいと思うんですけれども、岸田総理は、これは二十八日ですか、参議院の予算委員会で答弁されていますが、今の状況を考えると、なかなか展望を申し上げることは難しい、こういう表現をされているわけなんですけれども、西銘大臣、これは、今年のビザなし訪問については全面中止ということを意味するんでしょうか。

西銘国務大臣 山岸委員御指摘のように、岸田総理も述べられているとおり、御高齢となられた元島民の方々、平均年齢で八十七歳と承知をしておりますが、その方々の思いに何とかお応えをしたいという強い思いはあります。

 しかし、現時点の、毎日の報道、テレビ報道、新聞報道等にもありますように、この状況を鑑みれば、この事業の具体的な展望につきまして、今申し上げる状況にはないと考えております。

山岸委員 総理と同じ御答弁ぶりなんですけれども。

 もうちょっと詳しくお聞きしたいんですが、それは展望がないという意味なのか、ある程度見通し、分析はしているんだけれども話せる状況にはないということなのか、これはどっちを意味していらっしゃるんですか。

西銘国務大臣 外務省の話合いもありますし、現場の実施団体との話合いもありますが、そういう状況が、今この現時点の状況で進展していないという状況でありますので、それ以上の答弁が今はできない状況であります。

山岸委員 難しい状況であることはよくよく承知をしております。

 そこで、これからのことなんですけれども、仮定の話にはなりますが、日本としてもそういう方向を目指していくべきだと思うんですけれども、ロシアが今後態度を改めて、ウクライナ情勢の改善ということが見られた場合には、その状況次第で、今年ビザなし渡航の再開を目指していくという考えはあるんでしょうか。

西銘国務大臣 今の状況がどういうふうに展開するか、全く読めない状況でありますけれども、ロシアが国際社会の非難を真摯に受け止め、侵略をやめて問題の外交的な解決に向かい、我が国を含む国際社会との関係を正常なものに戻す日が早急に来ることを望んでおります。現時点ではこれに尽きます。交流事業の具体的展望について、申し上げる状況にはないと考えております。

山岸委員 私も、この問題、非常に聞き方を気をつけなければいけないというふうによく思います。日本としてしっかりワンボイスを出していくことが、これは国会もそうですし、政府もそうですし、やはりロシアに対して誤ったメッセージを発してはいけませんから、その点は気をつけながら伺っているつもりでございますけれども、やはり、今後どういうふうに展開していくにせよ、対話のチャンネルといいますか、そういったものは維持しておく必要があるんだろうと思います。

 その点で、このビザなし交流について、今後どう展開するか分かりませんけれども、実務的な様々な協議であったりということはあり得るのかなと。

 そういう点でいいますと、例年、今月、三月に日ロの代表者間の間で年間のこの事業の計画を決めているかと思うんですけれども、今、この協議が開かれる見通しはあるんでしょうか。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 先ほど来大臣が申し上げておりますことと同じになりますけれども、具体の協議につきましても、現時点の状況に鑑みれば、その展望について、申し上げられる状況にはないというふうに考えてございます。

山岸委員 そういう事務的な協議の部分についてもできていない、見通しを持てないということでありますので、ここは大変厳しい状況である中で、政府としては見切りをつけていらっしゃるのかなというふうにも受け止めざるを得ないようにも思います。であれば、ここはやはり、元島民の皆さん、関係者の皆さんに対しては、現状そして見通しに関して丁寧な説明というものを求めていきたいというふうに思います。

 ここから先、少し、ビザなし交流といいますか、この人道措置の中でも絞った部分についてお伺いしていきたいというふうに思うんですけれども、墓参と自由訪問なんですね。

 私自身、訪問したと申し上げましたけれども、実はそのときは、研究者の方とか、あるいは青年会議所の方々とか、非常に幅広い訪問団の一員で、記者も同行していたんです。正直申し上げて、こういう非常に広範な交流というのは、この状況ではやはり当面非常に難しいんじゃないかなと思います。

 やはり、こういった交流について、余り日本側から性急に、やっていこう、やっていこうというふうに呼びかけるということが、ロシアに対して誤ったメッセージになってはいけない。この間、様々、政治家の言動もいろいろありますので、ロシアに対して融和的なメッセージを与えてはいけないということは気をつけた上で、こういう思いもあるんですね。

 確かに幅広い交流は難しいかもしれないけれども、御高齢の元島民の皆さんに限った墓参あるいは自由訪問、これは、いろいろな事業の中でも少し質を異にする部分があると思いますけれども、西銘大臣、墓参と自由訪問だけでも実現を目指す考えはありませんか。

西銘国務大臣 私も、過去二回ぐらい、国後、択捉、色丹、ビザなし交流で訪問したことがあります。そのときに墓参もいたしました。

 今御質問の件でありますけれども、先ほどお答えしましたとおり、墓参や自由訪問を含めて、現時点で、北方四島交流等の事業の具体的な展望について、申し上げる状況にないというのが今の考えであります。

 今後どういう展開をしていくのか、外務省で外交的な話合いが進んで、できるようになればいいんですけれども、今の時点で、具体的な展望について、申し上げる状況にないということで、御理解をいただきたいと思います。

山岸委員 展望を述べる状況ではないということなんですけれども、これは、あえてお聞きしているのが、総理も大臣も答弁ぶりが全部、展望を申し上げる状況じゃないという、この一言なんですね。平和条約交渉もこの言い方、ビザなし交流もこの言い方、墓参も自由訪問もこの言い方だ、全部同じ表現だというところに、やはり、完全に全て同列で考えるというのは私は少し違うんじゃないのかな、政府間交渉の様々な話合いと人道的な対応というものに対して少しは、そこは決して全て同じというわけではないんだというふうな整理があってもいいんじゃないのかなと。ここは少し私は違和感を思うところでございます。

 さて、一点懸念をしていますのが、この墓参も自由訪問も、日本側から今こういう、否定といいますか、難しいという対応を示すことで、今後、事態が仮に正常化した後でも、今のような枠組みでの人道的措置そのものが、もうこのままなくなってしまう、復活しないというふうになってしまう懸念はないんでしょうか。

 ここは、日本から拒否しているわけじゃなくて、今回あくまでロシアの一方的な侵攻によりやむを得ず中断しているのである、いわばロシア側に責任があるんだということを日本政府としても明確にすべきじゃないかと思いますけれども、大臣、お考えがあったら教えてもらえませんか。

西銘国務大臣 今、国際社会が、国連での決議等を見ておりましても、総理の言葉をかりますれば、強い言葉でロシアの侵略を非難をしているという状況で、墓参や自由訪問等、人道的な交流につきましても、しっかり、この状況が、ロシアが国際社会の非難を真摯に受け止めて、侵略をやめて問題の外交的な解決に向かって、例えば外務省とロシア外務省が話合いができるような状況になってくれば、その後の展開は分かりませんが、北方対策を担当する者としては、人道的な交流ぐらいはできないのかなという思いはありますが、今の時点で、我が国を含む国際社会との関係をとにかく一日も早く正常なものに戻す日が早急に来ることを私も望んでおります。その上、外務省同士の話合いの下で北方対策の交流事業が展開されていくものと見ております。

山岸委員 是非とも、リアルな国際状況を冷静に見ながら、同時に、元島民の皆様に寄り添った対応をお願いしたいというふうに思います。

 続けて、沖縄の話題について伺っていきたいというふうに思います。

 まず、西銘大臣、今日はあくまで閣僚のお一人でいらっしゃいますけれども、沖縄選出の衆議院議員が担当大臣ということで、地域の関心も大変高いと思います。

 そこで、あえて地域の課題についてお伺いしていきたいと思うんですけれども、大臣、今、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設については容認の立場ですか。反対の立場ですか。これはどちらか、教えてもらえませんか。

西銘国務大臣 容認の立場です。

山岸委員 明確なお答えをいただきました。

 大臣、様々ないきさつの中で、今こういうふうに、政治家としてはそういうふうに決断をされているということでございます。

 そこでお伺いしていきたいんですけれども、この振興策、大臣が担当していらっしゃる振興策と基地政策はリンクをしているのかという議論が、古くて新しい議論としてございます。振興策と基地はリンクしていないというのが基本的な政府のこれまでの立場ですが、ただ、明らかに、沖縄県知事が辺野古反対の態度を示している中において、振興策にも数字の面で変化がある。

 大臣、これも単純にマルかバツかの問題なんですけれども、沖縄県知事の辺野古移設への態度というものと沖縄振興予算というのは関連しているんでしょうか。

西銘国務大臣 政府としましては、沖縄の発展のために、特に基地負担の軽減を始めとする基地問題への対応と、返還された基地の跡地利用を含む沖縄振興策の推進を総合的に取り組むべき重要な政策課題と位置づけております。この両方の課題を全体として総合的に推進すべきという意味において、返還された基地の跡地利用を振興策で対応していくという意味において、両者は関連していると考えております。

 具体的な振興予算の額そのものは、必要な予算を積み上げて、年度年度ごとに決定をされておりますが、いわゆる基地問題と沖縄振興策が直接関連していないという認識の下におります。

山岸委員 跡地利用という部分に限定して関連をしている、基地の、辺野古問題イエスかノーかということは関連していない、こういう切り分けでよろしいですか。

西銘国務大臣 沖縄振興策を総合的に推進する立場のものとしましては、返還された跡地利用は広大なものが想定されますし、そこが沖縄振興策とどういうふうに絡んでくるかという意味では、関連をしているという言葉でありますが、基地問題と沖縄振興策が直接にリンクしているかという質問に対しては、それは直接関連しておりませんという認識であります。

山岸委員 ありがとうございます。

 部分的には関連しておる、そういう話でございました。

 ちょっと古い話になりますけれども、もう十年前になります。二〇一二年、当時の安倍総理が、当時の仲井真県知事と、二〇二一年度まで年間三千億円の振興予算というものを約束をされ、仲井真知事はその後、辺野古容認に転じられたわけであります。これは二〇二一年度までですから、今年度、期限が切れまして、実際に三千億円を割り込んだわけであります。

 大臣にお聞きしたいんですが、今現在、つまり二〇二二年度から、沖縄振興予算の大枠を決める、何かフレームワークとか基準というものは存在しているんでしょうか。

西銘国務大臣 山岸委員御指摘のとおり、沖縄振興予算につきましては、平成二十五年十二月の、現行の沖縄振興計画期間中、毎年三千億円台を確保するという旨の安倍総理の発言が当時ありまして、令和三年度、今年度まで、従来よりも一段高い水準の三千億円台の予算額を確保してきたところであります。

 令和四年度の沖縄振興予算につきましては、このような前提がない中で、各事業の所要額を丁寧に積み上げてきた結果、御案内のように、総額二千六百八十四億円を確保したところであります。

 大枠の考えがあるかという御質問につきましては、平成二十五年の十二月の安倍総理の、こういう、毎年三千億円台を沖縄振興計画の期間中確保するという発言以外には今の時点ではありませんが、必要な予算を確保していくというのが私の立場でありますし、そのとおりに頑張ってきたつもりです。

山岸委員 前提がない中でこれから予算編成へ取り組んでいかれるということであります。

 先ほど、振興予算と基地問題、限定的に関連をしているという説明もあったわけです。これが無制限に拡大をして、これから何の基準もない中で予算をつくっていくというときに、基地問題への沖縄県政の対応というものが大きなポイントになるということがないように、これはしっかりと大臣、責任を持って取り組んでもらいたいというふうに申し上げます。

 済みません、質問を飛ばさせていただきますけれども、こういった中で、沖縄は復帰五十年を今年迎えるわけでございます。この復帰五十年に向けて、今政府の方では、五月十五日、記念式典を予定しているというふうに伺っております。まだ内容は調整中かと思いますけれども、ちょっと一点、スタンスをお聞きしたいと思うんです。

 やはりこういった式典というものは、様々議論がございます。例えば、大臣も御記憶と思いますけれども、二〇一三年には、四月二十八日、政府は主権回復の日という名前で式典をやりました。たしか、大臣はあのとき、いろいろな思いの中で行動されたと承知していますけれども、やはりこういう式典というものは、国民、県民が心を一つにするための式典であるべきで、分断をあおったりすることがあってはならないというふうに思います。

 こういった、様々な沖縄をめぐる国の行事というのはいろいろな感情を呼び起こす部分がありますから、大臣、沖縄選出の議員、大臣として、今年五十周年の記念式典についてどのような式典にしていきたいと考えているか、現時点でのお考えを教えてください。

西銘国務大臣 御案内のように、今年の五月十五日で沖縄復帰から五十周年という節目の日を迎えます。

 沖縄復帰は、沖縄県民そして国民全体の悲願でありました。まさに国家的事業として実現したものと理解をしております。この重要な節目に、国民全体で沖縄復帰の歴史的な意義を思い起こし、また沖縄の歴史に思いを致すとともに、沖縄の魅力や可能性を内外に発信することが重要だと考えております。五十周年の記念式典がその契機となることを期待しております。

 また、式典が復帰五十周年の節目にふさわしいものとなるよう、沖縄県等とも連携をして、しっかりと取り組んでいきたいと思っております。

山岸委員 国民全体でというお言葉がありました。是非その言葉どおりの式典になるようにお願いしていきたいと思います。

 さて、外務大臣、済みません、お待たせいたしました。この五月十五日の日付を冠した外交文書があるわけですけれども、五・一五メモと呼ばれています。在沖米軍基地の取扱いについて一九七二年五月十五日に日米間で合意した協定でありますけれども、昨今、この五・一五メモが取り上げられることが増えていますのが、那覇軍港での米軍の訓練をめぐってでございます。

 那覇軍港、これは港湾と貯油、油をためるということが本来の主目的とこの五・一五メモで書いていますけれども、今回の米軍による航空機等を用いた大規模な訓練というものは、この五・一五メモに規定をした主目的に違反するものではありませんか。

林国務大臣 那覇港湾施設についてでございますが、今お話のありました昭和四十七年五月の日米合同委員会合意におきまして、使用主目的として港湾施設及び貯油所と記載をされております。これは同施設の使用の主たる目的を定めたものでございまして、米軍の活動が主目的としての形態に反するものでない限り、同施設での訓練を排除しているというふうには考えておらないところでございます。

 本年二月に行われた訓練でございますが、人道支援や非戦闘員の退避等の訓練であったと承知をしておりますが、米側の説明によれば、一般的に港湾の使用が想定される運用に係る訓練と考えられまして、那覇港湾施設の使用主目的に沿ったものだというふうに考えております。

山岸委員 港湾でのオスプレイや大型ヘリを使用した訓練が主目的に沿うというのはちょっと私はにわかに理解できないところなんですが。

 ちょっと論点を変えまして、那覇軍港、浦添への移設というものが計画をされております。これは今のお話どおりですと、移設後の代替施設においても今の五・一五メモの合意の枠組み、つまり、主目的は港湾と貯油であるというこの枠組みが移設後の施設でも適用されますか。

林国務大臣 今お話のありました那覇港湾施設の代替施設についてでございますが、現在、防衛省とアメリカ側との間で技術的な検討が進められている段階と承知をしておりまして、代替施設に対し、今お話のあった五・一五メモ、これが適用されるかといった今後の議論については、現時点で予断を持ってお答えをすることは差し控えたいというふうに思います。

 いずれにいたしましても、当該代替施設は、現有の那覇港湾施設の機能維持を目的としているものでございまして、そうした前提の下で今後の日米間の検討が進められていくものと承知しております。

山岸委員 予断を持って言えないということなんですけれども、今那覇軍港でできているような訓練というのは、浦添に移転した後もできる、やることができる、これは、五・一五メモの解釈上はそういうことになりますか。

林国務大臣 この代替施設でございますが、先ほど申し上げたように、今、防衛省とアメリカ側で技術的な検討が進められておるという段階でございますので、移設後の個別の訓練の内容について予断を持ってお答えをすることは差し控えたいというふうに思います。

山岸委員 予断を持って言えないということでありますから、是非そこはしっかり交渉してもらって、移設したけれども、その先でフリーハンドで訓練ができるということでは、これは負担軽減に逆行すると思いますから、責任ある交渉をお願いして、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

阿部委員長 次に、新垣邦男さん。

新垣委員 立憲民主党・無所属会派、社民党の新垣邦男です。

 昨年の総選挙で、沖縄県第二区から初当選をさせていただきました。今回が初めての質問となりますが、どうかよろしくお願いします。

 まず冒頭、先ほどお話がありましたが、今年は沖縄の日本復帰から五十年の節目となります。現行の沖縄振興特措法が期限切れを迎える中、沖縄選出の西銘先生が担当大臣でおられるのは大変頼もしい限りであります。西銘大臣の力強いリーダーシップの下、法案の年度内成立に向けて議論を深めていきたいと思っております。

 また、ウクライナ情勢が緊迫の度合いを増しております中、林外務大臣そして西銘大臣始め、職員の皆さんにおかれては大変な御苦労をなされていると思いますが、一日も早い停戦合意と平和的な解決を願って、質問に入らせていただきます。

 初めに、西銘大臣にお伺いいたします。

 辺野古新基地建設に伴う埋立ての賛否を問う二〇一九年の県民投票から、去る二月二十四日で三年となりました。投票総数の七割超が埋立てに反対をした結果は、民意として極めて重いと私は考えております。

 一方、県民投票をめぐっては、全県での実施に向けて選択肢が二つから三つに増えるなど、確かに紆余曲折がございました。必ずしも全ての市町村議会がもろ手を挙げて賛成というわけではなかったことは、私も承知をしております。

 それでも、沖縄では二十年以上もの長きにわたって全県選挙や国政選挙の争点であり続けてきた辺野古新基地建設問題についてワンイシューで民意を問うた事実は、沖縄の近現代史の中では大変大きなものがあるだろうと私は思っております。

 西銘大臣は、この辺野古新基地建設をめぐる県民投票の意義について、率直にどのようにお考えなんでしょうか。また、投票結果が民意として全く考慮されず、埋立工事が強行される昨今、この現状をどのように受け止められておるのか、あえてお伺いしたいと思います。

西銘国務大臣 新垣委員お尋ねの平成三十一年二月の県民投票の結果につきましては、真摯に受け止める必要があるものと認識をしております。

 政府としましては、沖縄に今なお多くの米軍基地が集中し、県民の皆様にとって大きな負担となっていることから、引き続き、これを軽減することを重要な課題と考えております。基地負担の軽減につきましても、政府として全力で取り組んでいるところであります。

 辺野古の移設につきましては、防衛省の所管ではありますが、その上でお答えをするとすれば、普天間飛行場については、その危険性の除去を図ることが極めて重要な課題であります。この認識の下で、一日も早い全面返還に向けて取り組むことが政府の方針であります。

 普天間飛行場の移設を始めとする沖縄の基地負担軽減に係る政府の取組につきましては、引き続き、地元の方々に丁寧に説明をしながら、理解を得られるように努めていく必要があるものと認識をしております。

 私自身も、新垣委員もそうだと思いますけれども、高校卒業までは米ドルを使って生活をしていたという体験、あるいは、県民投票をやるかやらないかというときの市町村の、いわゆる保守側と革新側とのぶつかり等も見てきておりますが、沖縄振興を担当する大臣としましては、引き続き、沖縄の振興策を推進する立場から、返還された基地の跡地利用の推進を始め、沖縄振興に邁進していく所存であります。

 よろしくお願いします。

新垣委員 大臣ありがとうございます。

 県民投票については尊重するんだということと、そして、ウチナーンチュの思いとしては、大臣も一緒だと思います。是非また沖縄の基地問題、全力を挙げて取り組んでいただきたいと思っております。

 次に、在日米軍軍用施設の約七割が集中する沖縄では、米軍人軍属らによる殺人、強姦などの凶悪事件や米軍機の墜落、炎上等の事故が後を絶ちません。私は、その原因、根幹には、日米安保条約に基づく、在日米軍に様々な特権を与え、基地の自由使用を最大限に保証した日米地位協定の存在があると思います。後ほど林大臣にもお尋ねしたいんですが、実際、地位協定によって警察権は侵害され、騒音被害や環境汚染にも実効性ある手だてを講ずることができておりません。

 私の前任の社民党衆議院議員であった照屋寛徳先生は、常々、沖縄は日本復帰により憲法が適用されるようになったが、同時に日米安保条約や日米地位協定も適用される結果、県民は憲法法体系より安保法体系が優先する反憲法下の日常を強いられていると申しておりました。また、故翁長雄志前知事も、生前、沖縄では憲法の上に日米地位協定があると述べ、沖縄県民に、日本国憲法が国民に保障する自由、平等、人権、そして民主主義がひとしく保障されているのかという問題提起をされておりました。私もお二人と同じ思いであります。

 そういう中で、あえて大臣にお伺いしますが、日本国憲法の三原則である国民主権、基本的人権の尊重、平和主義が沖縄においても名実共に適用されているとお考えでしょうか。また、沖縄県民の生活環境は憲法に守られていると言えるのでしょうか。あえて、県選出の国会議員でもある大臣の率直なお気持ちが聞ければと思っております。

 よろしくお願いします。

西銘国務大臣 新垣委員の質問を聞きながら、県議会議員の当時、予算委員会で、知事に対して日米安保条約と日本国憲法の関係を質問したことを思い出しながら答弁したいと思います。

 戦後七十五年以上が経過をして、また、本年五月の十五日に沖縄復帰五十周年を迎える中、沖縄において今なお多くの米軍基地が集中し、県民の皆様にとって大きな負担となっていることから、引き続き、これを軽減することが重要な課題であると考えております。政府としまして、これまでも沖縄の米軍基地の整理、統合、縮小などに取り組んできているものと認識をしております。

 今、当時の知事の答弁でもありましたが、私の考えもそうでありますが、日米安保条約よりも日本国憲法が上位であるという認識の下に変わりはありません。

 私としましては、引き続き、沖縄の振興策を推進する立場から、基地の跡地利用推進を始め、沖縄振興に邁進していく所存であります。引き続き、沖縄の優位性、潜在力を生かした競争力のある産業の振興、各種人材の育成、産業を支えるインフラの整備等、しっかりと取組を進めてまいりたいと思います。

 日本国憲法の三原則である国民主権、基本的人権の尊重、平和主義というこの三原則は沖縄でも守られているという認識の下で、個々の米軍人の犯罪、事故等に対しては厳しく対応していかなければいけないという思いでおります。

新垣委員 大臣、ありがとうございました。

 今、憲法改正論議が非常に活発化しているように思われます。ただ、沖縄での現状というのは、基地問題を踏まえて大変厳しいものがあるというのは大臣も御承知かと思いますが、是非、詳細についてはこれからまた議論を重ねていきたいなと思っております。

 次に、林外務大臣にお尋ねをいたします。

 私は、真の沖縄の基地負担軽減のためには、補足協定や運用改善でお茶を濁すことなく、日米地位協定の条文改定しか道はないと考えております。そうでなければ、この国の主権と環境、県民、国民の人権と尊厳は守れません。

 政府・与党が日米同盟を外交の基軸として日米安保体制の重要性を認識するのであれば、憲法の明文改憲の前に、地位協定の明文改定に是非力を尽くしていただきたいなと思っております。地位協定の全面改定が難しいのであれば、せめて第三条の基地管理権の問題だけでも、米側に改定を提起してもらえないでしょうか。

 実は私も、基地を抱える村で十六年村長を務めてきました。住民の暮らしに責任を負ってきた人間として、そのことを強く申し上げたいと思います。

 実は、県内の市町村長は非常に苦労しております。爆音、騒音、事件、事故があると、住民の皆さんは市町村役場、役所に来るんですね。議会でもそうです。あんた方何をやっているの、これだけ米軍基地から派生する様々な問題があって何も解決できないのかとさんざん怒られてきました。当然、我々は国にも要請をいたしますが、やはり目に見える形で何らかの進展がないと、恐らく県内の市町村長さんは住民の皆さんに説明ができない。非常にいら立っていることを是非御理解いただきたいと思います。

 そこで、大臣にお尋ねします。

 外務省は、これほどまでに日米地位協定の条文改定に否定的なんでしょうか。たとえ米軍に拒否されたとしても、政府が地位協定の改定を提起したという事実をもって、沖縄県民は外務省の姿勢を必ず高く評価すると思います。

 過重な基地負担で苦しむ基地周辺住民を始めとする沖縄県民に向けて、日米地位協定の改定実現を目指すとの決意を是非外務大臣には示していただきたいなと思います。

 よろしくお願いします。

林国務大臣 政府といたしましては、沖縄を始めとする地元の負担軽減、これに全力で取り組んできておりまして、在日米軍再編、米軍の運用や日米地位協定をめぐる課題につきましては、米側と連携しながら一つ一つ前に進めてきております。

 日米地位協定は大きな法的枠組みでありまして、政府としては、事案に応じて効果的にかつ機敏に対応できる最も適切な取組を通じて一つ一つの具体的な問題に対応してきております。

 すなわち、政府としては、これまで、日米合同委員会合意における日米地位協定の運用の改善にとどまらず、例えば、二〇一五年には環境補足協定、二〇一七年には軍属補足協定、これを締結してきております。国際約束の形式で得たこれらの成果は、日米地位協定の締結から半世紀を経て初めてのものであったわけでございます。

 日米地位協定の見直しは考えておりませんが、こうした取組を積み上げることによって、日米地域協定のあるべき姿、これを不断に追求してまいりたいと考えております。

新垣委員 確かに、今大臣がおっしゃったように、運用改善等々をやってきたというお話がありましたが、ただ、県民にとっては、余りにも頻発する事件、事故、爆音、騒音、全て日米地位協定が弊害になっているという認識がとても強いです。ですから、引き続き、実効性のあるというか、目に見える形での改定を是非お願いをしたいと思っております。

 また、関連事項ですが、日米両政府や沖縄県、基地所在市町村などで構成される米軍人・軍属等による事件・事故防止のためのワーキング・チームがございます。略してCWTという会合が、二〇一七年四月の第二十五回を最後にもう五年近く開催をされていないようであります。この間も、米軍人軍属らによる事件、事故が沖縄で多発しているのはこれはもう皆さん御承知のとおりでありますが、このワーキング・チームの開催がされていないのはどういうことなのかなということでお聞きをいたします。

 地元自治体を交えたワーキング・チーム会合開催は外務省として必要ないという見解なのか、それとも、米側が開催を拒否しているから開催できない理由があるのか。開催されていない理由について、大臣の所見をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 今新垣先生からお話がありましたように、米軍人等による事件、事故、これは地元の皆様に大変大きな不安を与えるものでございまして、あってはならないものであると考えております。私も、一月七日に日米の2プラス2がございましたが、そこで岸防衛大臣とともに、早期の通報を含む事件、事故での適切な対応について改めて求めたところでございます。

 今お話のありました米軍人・軍属等による事件・事故防止のための協力ワーキング・チームでございますが、こうした公務外の事件、事故の防止という目的に鑑み、その在り方も含めて、在沖米軍や沖縄県などの関係者と調整をしているところでございます。同時に、こうした枠組みに限らず、飲酒運転対策等、事件、事故防止のため、平素からあらゆるレベルで米側とやり取りを行ってきております。

 今後とも、米側に対して、隊員の教育、また綱紀粛正について求めていくとともに、地域の皆様に不安を与えることがないように、日米間で協力して事件、事故の防止に全力で取り組んでまいりたいと考えております。

新垣委員 大臣、このワーキング・チームの開催は、また再開されるという認識なんでしょうか。

林国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、CWTについては、この目的に鑑み、在り方も含めて、今関係者と調整をしているところでございます。

新垣委員 是非、これは大事な会議だと私は認識しております。

 基地所在市町村は、どの市町村も、基地対策室、あるいは小さな町村になると、企画の中に基地担当がいるんですね。彼らは目視で基地の、米軍の飛行経路、そして苦情、様々な苦情が来ます。本来なら、首長さんたちは、基地さえなければ、そういう予算も人員も労力も必要ないのになという思いを持っているんですね。

 この基地問題を解決するためには、やはり各県内市町村、必死になってやっています。ですから、早めに開催をお願いをして、やはり地元の声を是非丁寧に聞いていただきたいなと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。

 次は内閣府にお尋ねをしたいんですが、沖縄県で発生した米軍関係者による凶悪事件を受けて始まった防犯灯・防犯カメラ等の緊急整備事業が平成二十九年に実施をされました。この防犯灯・防犯カメラの整備事業は、犯罪防止効果が期待できるとして評判がよくて、設置台数を更に増やしてもらいたいと、市町村からは当該事業の再創設を望む声が上がっております。

 他方、沖縄・地域安全パトロール隊事業、通称青パト事業と言っていますが、これは残念ながら余り評判がよくありません。事業創設の五年間で米軍関係者のトラブル通報は僅か十件、逮捕実績はゼロにもかかわらず、総額四十六億円もの予算が計上されてきており、費用対効果を疑問視する声が聞こえております。

 内閣府にお聞きしたいんですが、この沖縄・地域安全パトロール隊事業の米軍関係者の通報実績と逮捕実績、さらには一日当たりの平均運行台数と平均費用についてお示しいただけますでしょうか。

 また、昨日の地元報道紙では、青パト事業の規模を縮小し、通称タクパトと言っているようですが、タクシーを活用したパトロールへの業務移行を検討しているようですが、これもまた事実関係についてお伺いしたいと思います。

 よろしくお願いします。

原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の沖縄・地域安全パトロール隊につきましては、平成二十八年五月に米軍関係者による事件を受けて取りまとめられました沖縄県における犯罪抑止対策の一環といたしまして、沖縄県内の繁華街等において防犯パトロールを実施しているものでございます。

 犯罪抑止といたしまして、事に至らないために何ができるかという点を眼目としておりますので、単純に通報件数の多寡等をもってその効果を論ずることについては適当ではないと思っておりますけれども、その上でお答え申し上げますと、平成二十八年六月の事業開始以降の通報件数は、累計で、令和四年一月末時点で千八百四十四件でございます。そのうち、米軍関係者に係る通報件数は、先ほどありましたとおり十件でございます。

 また、逮捕件数につきましては、パトロール隊の隊員は、事例、事案を発見した場合、警察への通報を行うこととしておりまして、自ら逮捕するということを想定しておりませんので、これまでそのような事例は存在をしておりません。

 それから、一日当たりの運行件数につきましては百台、それから、一日当たりの運行費用につきましては、当年度の予算額七・三億円を三百六十五で割りまして、一日当たり二百万ということでございます。

 引き続き、タクパトの方でございますけれども、青パトの事業が創設以来六年が経過をいたしまして、知見も一定程度蓄積されてきたという事実がございます。

 来年度につきましては、従来より効果的な事業執行を図るということで考えておりまして、あと、タクパトにつきましては、事件、事故に遭遇した際の位置情報等を県警に通報できる車載コンピューターシステムを沖縄県内のタクシーに搭載するということでやっておりまして、平成三十年度以降、沖縄県ハイヤー・タクシー協会の協力も得ながら、順次搭載を進めているという実態にございます。

 タクパトにつきましては、四年度中に沖縄県内全車両三千六百台への搭載を完了して本格運用に入るということを目指しているところでございます。したがいまして、現時点におきまして、青パトからタクパトへの移行を検討している、そういう段階にはございません。

 そういうことでございまして、青パトとタクパトの両事業でもって事業の効果的な執行に努めたいというのが実態でございます。

新垣委員 じゃ、青パトもタクパトも両方検討して、まあ、青パトはやっているんですが、継続してやるという認識でいいのかということ。

 いずれにせよ、防犯カメラも青パト、タクパトも、基地を抱えている市町村はこれに神経をとがらせているわけですね。米軍の、派生する事件、事故、常に回っているんですよ。自治体独自で予算をつけてもらっているところもあるという現状ですから、是非、市町村の声を聞いて、何が一番有効なのかを検討していただきたいなと思っております。

 よろしくお願いします。

原政府参考人 お答えいたします。

 青パトとタクパトは当面並立するということでございます。また御意見につきましては伺わせていただきたいと思います。

新垣委員 もう時間ですので、あと少しあるんですが、また次にやりたいと思います。

 今日はありがとうございました。よろしくお願いします。

阿部委員長 外務大臣は御退席いただいて結構でございます。

 次に、秋葉賢也さん。

秋葉委員 自由民主党の秋葉賢也です。

 十五分という限られた時間ですけれども、質疑をさせていただきますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 来週の金曜日で東日本大震災から丸十一年になります。

 西銘大臣におかれましては、復興大臣も御兼務をいただいておりまして、本当にまだまだ、心のケアを始め、課題がございますので、しっかりとフォローアップしていただくように、冒頭お願いしたいと思います。

 私は、歴代の復興大臣に必ずお伝えをしていることなんですけれども、よく心のケアといいますけれども、一番フォローアップしなければいけないのは、震災時に遺児になったり孤児になったりしてしまった子供たちのフォローアップだというふうに思っております。

 遺児、孤児の違いがよく理解されていないこともございます。遺児というのは、両親どちらか亡くなった場合に遺児という言い方をしております。孤児という場合には、父親も母親も一瞬にして亡くなった、そういうケースで使い分けているわけであります。

 十一年前、十八歳未満のデータしか当時調べていないわけなんですけれども、震災の孤児が、被災三県で二百四十四名おります。このうち宮城県が百二十九人。それから、震災の遺児は、被災三県で千五百三十八人、このうち宮城県が八百八十二人です。

 この中には、震災時ゼロ歳から十八歳までの子供たちが含まれているわけでありまして、震災以降、それこそ大臣の御地元の沖縄に引き取られた子供もおりますし、数人は施設で引き取られたお子さんもいらっしゃいます。ほとんどのお子さんは親族に引き取られたというケースでございますけれども、まさに、こうした最も大変な局面に遭った子供たちのフォローアップということが最優先でお願いしたいということで、いつも申し上げさせていただいているところでございます。よろしくお願いしたいと思います。

 今年は沖縄の復帰からちょうど五十周年。こういう節目の年に地元選出の西銘大臣が大臣の立場でいるというのは、大変地元にとっても心強いことだと思っております。岸田総理も昨年の臨時国会で、強い沖縄経済の実現を目指していく、様々な立法政策も含めて、ギアを上げて対応していきたいという力強い表明がございました。

 この間の沖縄振興の成果や課題、あるいは、この五十周年を契機に大臣としての意気込みというものを冒頭伺っておきたいと存じます。

西銘国務大臣 今年の五月十五日に、沖縄の本土復帰から五十年という大きな節目を迎えようとしております。沖縄選出、出身の議員として、このような重要な時期を担当大臣として迎えることとなり、非常に身の引き締まる思いであります。

 復帰後、各般の振興策を講じてきた結果、この五十年で、県民のたゆまぬ努力もあり、沖縄経済は着実に成長してきました。しかし、全国最下位の一人当たり県民所得であったり子供の貧困であったり、なお解決すべき課題が存在しております。沖縄の自立的な発展と豊かな住民生活の実現に向けまして、この復帰五十年の節目を機に、改めて、引き続き地元の御意見を伺いながら、しっかり全力で取り組んでいく決意でおります。

秋葉委員 西銘大臣の更なるリーダーシップに心より期待を申し上げたいと思います。

 こうした節目の年に、沖縄の負担軽減を始め、目に見える成果を上げていかなければならないと思っておりますけれども、今日でちょうどロシアによるウクライナの侵攻、侵略から一週間が経過をいたしました。報道によれば二千人を超える民間人も犠牲になっているという中で、台湾有事あるいは南西地域における偶発的な有事に対する懸念も高まっているところでございます。

 さきの日曜日に石垣の市長選挙が行われました。中山市長が四選を果たされたということは、我が国の国益にとっても大変すばらしい選挙結果だったというふうに思っております。

 まず第一義的には、ずっと我が国は、この緊張する南西地域における防衛体制を強化するために、平成二十八年、与那国沿岸に監視隊を派遣、百七十名規模で展開したのを始め、引き続き、石垣あるいは奄美にも部隊を配備してまいりました。

 その総仕上げとなるのが、この石垣に展開を予定しております部隊の配備でございます。警備隊や地対艦誘導弾隊、あるいは地対空誘導弾部隊など、総勢五百九十名の隊員が令和四年度中に配備ということになっているわけであります。

 しっかりとこの南西地域の防衛力を強化をしていかなければなりませんが、中山市長の四選に合わせてこれが計画どおりに進むのかどうか、これからの課題やあるいは進捗状況を含めてお答えをいただきたいと思います。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、南西地域の安全保障環境は厳しさを増している中、島嶼部の安心、安全の確保は重要な課題であると考えております。

 南西地域につきましては、その全長が約千二百キロメートルにも及ぶ広大な地域でございまして、平素から警戒監視を含めて必要な体制を保持している一方、これも先ほど委員御指摘あったところでございますが、平成二十八年三月に与那国駐屯地が開設されるまで、沖縄本島以外には陸上自衛隊の部隊が配置されていませんでした。こうした南西地域の陸自部隊の空白状況を解消すべく、平成三十一年三月には宮古島及び奄美大島に駐屯地を開設しており、現在は、普通科を中心とした警備部隊、中SAMの部隊、SSMの部隊を配置しております。

 委員御指摘の石垣島の関係でございますが、平成三十一年三月から工事に着手してきたところでございまして、令和四年度中に部隊配備に必要な施設が整うため、石垣駐屯地、仮称でございますが、これを開設し、普通科を中心とした警備部隊、中SAMの部隊及びSSMの部隊を配備する計画であり、その人員規模も五百九十名を想定しているところでございます。

 石垣島への陸自部隊配備の計画はこれまでのところ順調に進んできておりますが、この部隊配備は南西地域の防衛体制強化につながる非常に重要な取組であることから、令和四年度中の部隊配備に向けて必要な施設が整備できますように工事を着実に進めてまいる所存でございます。

秋葉委員 予定どおり進捗するということで、心強く思いました。我々も石垣の岸壁の護岸工事の拡張始め、これまでも必要な予算措置を講じてまいりましたけれども、高まる国際情勢の緊迫の中で必要な整備が着実に進展するように改めて申し上げておきたいと思います。

 今本当に、この南西地域、特に尖閣周辺海域をめぐる情勢は年々悪化をしていると言っても過言ではありません。二〇〇八年の十二月に中国の船の初来航が確認されて以来、実に、今日まで三百二十一回を超える中国海警船等による領海の侵入事案が発生しております。二〇二〇年の五月以降、我が国領海で中国海警船舶が日本漁船に近づこうとする案件が頻発しておりまして、こういった現場で三百六十五日二十四時間命懸けで対応に当たっていただいている海保の皆さん、また後方支援の自衛隊の皆さんに心より敬意を表しますとともに、感謝を申し上げたいと思います。

 ちょうど二〇二一年の二月一日に中国は、海警局の職権や武器使用を含む権能を定めた海警法が施行になって丸一年たちました。

 この二一年の年間を通して見ますと、中国海警船舶による領海の侵犯は去年だけでも三十四件、日本漁船に近づこうとした事案が十八件発生しております。接続水域内においての航行が確認された日数は三百三十二日、連続確認の日数も百五十七日で過去最長になっております。また、領海にとどまった最長時間も昨年は四十七時間六分と過去最高の時間領海にとどまるような事態が発生しております。

 こうした厳しさを増している中で、南西諸島の守りというのは更に強化されなければなりません。日本は、中国との間に領土問題は存在しないんだ、尖閣は実効支配しているんだというのがいつも政府答弁です。

 しかし、平成二十三年、そして昨年と、石垣市が、あるいは固定資産税の調査をしたい、あるいは住居表示を設置したいといって政府に上陸許可申請を出しております。それに対する政府の対応は、政府全体としてこれを認めるわけにはいかないという回答でございました。

 やむなく、昨年、石垣市は海洋調査に踏み切り、東海大学の山田先生などの協力を仰ぎながら、今年一月の三十日から二月の一日まで、尖閣諸島海域の海洋調査を実施したところであります。実に、東京都が二〇一一年に調査をして以来十年ぶりのことであります。

 尖閣諸島海域を我が国が実効支配していると言いながら、上陸許可申請も認めない、国として海洋調査も行わない。

 今回、山田先生から直接お話を伺いました。十年前も先生は行かれているわけですけれども、十年前と比べて本当に緑が減少している、恐らくヤギの食害がかなり広がっているんじゃないかと。御案内のように、尖閣には、センカクモグラやあるいはセンカクツツジといった貴重な動植物の宝庫でもあります。

 本来ならば、環境省やあるいは総務省が、政府が表に出ながらこうした実効支配を高めていく努力をしっかりと続けることが本来の政府の役割ではないかと思いますが、その現況と今後の取組について伺っておきたいと思います。

瀬井政府参考人 お答え申し上げます。

 尖閣諸島は、歴史的にも国際法上も我が国固有の領土であり、現に我が国はこれを有効に支配しております。尖閣諸島及び周辺海域を安定的に維持管理するための具体的な方策につきましては、様々な選択肢があるところでございますが、実際にどのような方策を取るのかにつきましては、戦略的な観点から判断していくべきものと考えております。

秋葉委員 戦略的な判断をするということなんですが、政府としてのアクションや取組の具体策がまるで見えないわけです。日本として、政府の答弁にあるように、我が国が本当に実効支配しているのであれば、そういうことをやはりしっかりと国内外にアピールしていくことが大事なんです。

 石垣市は、この夏にも二回目の海洋調査を実施すると言っております。こうした、上陸ができないのであれば、石垣市だけにこれを丸投げするのではなくて、政府としても自ら海洋調査を積み上げるなどして、事実上の積み上げを行いながら国際社会に対して広くアピールするとともに、シンポジウムなどを開催して、尖閣諸島は我が国固有の領土なんだということを常にアピールしていくことが大事なのであって、こういった重要な仕事を自治体任せだけにしているということは、残念ながら、政府が不作為だと言われても私はしようがないと思っております。

 実効支配を高めるための戦略的なプランというものを関係省庁一元化して検討していく、そういう時期に来ていると思いますが、もう一度答弁を願いたいと思います。

阿部委員長 瀬井内閣参事官、時間が来ておりますので、端的にお願いいたします。

瀬井政府参考人 政府としてどのような判断をしていくのかということにつきまして、内閣官房として、関係省庁間の調整を図ってまいります。

秋葉委員 今日は十五分しかありませんので、しっかりこうした問題もこれから詰めてまいりたいと思いますので、政府におかれましては、毅然とした対応をしていただくことを求めて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

阿部委員長 次に、稲津久さん。

稲津委員 公明党の稲津久です。

 私にいただいた時間は十五分でございますので、今日は北方問題に特化して質問をさせていただきたいと思います。

 まず、ロシアによるウクライナの侵略です。

 ウクライナ情勢に関する国連の緊急特別総会、これが、ロシア軍のウクライナからの即時撤退を求める総会の決議案を百四十一か国の賛成で採択されました。報道を見ておりますと、採択直後、拍手が三十秒間鳴りやまなかったと。これだけ世界各国が、ロシアに対するこのことについて大変厳しい意見を持っているということがこれで分かったわけでございます。

 これに先駆けて、我が国においては、衆議院、参議院におきまして、ロシアによるウクライナ侵略を非難する決議案を採択されました。これは大変重要なことであるというふうに思っております。

 ロシアによるこの侵略は、武力による一方的な現状変更であって、断じて許すことはできない、このように強く思っております。

 また、国際法上も、それから国連憲章にも重大な違反をしている。あわせて、繰り返しですけれども、これは許すことができないことであるということを申し述べておきたいと思います。

 本格的な侵攻からもう一週間がたちました。先ほど秋葉委員からもお話がありましたが、多くの方々、貴い人命が失われています。そして、ウクライナから隣国ポーランドなどへ移動した難民の方はもう六十七万人を超えたという報道もありました。

 私たちは、今この時代に生きて、そして衆議院の議員として仕事をさせていただいている、その立場からも、断じてこのウクライナに対するロシアの侵略を止める、そのことを、思いを一つにしていきたいと思います。

 そういう意味におきましても、衆議院の決議にもありましたように、政府におかれましては、邦人の安全確保、それから国際社会と連携したロシアへの制裁、こうしたものを強化すべく、また、ウクライナの平和を取り戻すことを強く望むものでございます。

 その上で、今日は、まずお聞きしたいのは、ロシアによるウクライナ侵略に対する制裁措置、そして国際社会との連携について、外務省の見解をお伺いしたいと思います。

小田原副大臣 稲津委員にお答え申し上げます。

 今回のロシアによるウクライナ侵攻は、国際秩序の根幹を揺るがす行為であります。明白な国際法違反でありますし、厳しく非難するものであります。国際秩序の根幹を守り抜くために、結束して、毅然と行動しなければなりません。こうした暴挙には高い代償が伴うことを示してまいります。

 そうした考えの下、我が国は、G7を始めとする国際社会と緊密に連携をいたしまして、迅速に厳しい措置を打ち出しています。

 具体的には、プーチン大統領を含むロシア政府関係者、団体に対する資産凍結など、ロシア中央銀行との取引制限を含む金融分野での制裁、また、SWIFTからのロシアの特定銀行の排除などの措置への参加、さらには、ロシア向け輸出管理の厳格化の三つの分野における対ロ制裁措置を速やかに発表いたしました。

 政府としては、こういう措置を、欧米と足並みをそろえて、最大限の対応として、主体的に適時適切に実行しているところであります。

 また、連携という意味で、我が国の外交努力として、直近では、総理が、二月二十八日にウクライナのゼレンスキー大統領、三月一日にフランスのマクロン大統領と電話会議を実施をいたしました。三月一日には米国主催の多国間首脳電話会議に参加し、三月二日にドイツのシュタインマイヤー大統領、ポーランドのモラビエツキ首相ともそれぞれ電話会談を実施いたしました。

 林大臣も、二月二十五日にウクライナのクレーバ外相と電話会談、二月の二十六日には米国のブリンケン国務長官と電話会談を行い、二月二十七日にG7外相会合に参加するなど、事態の改善に向けて、G7を始めとする国際社会と緊密に連携をして外交努力を続けているものであります。

稲津委員 国連の緊急特別総会で、我が国が総会参加各国に対して、この決議に賛成するよう、主体的な、そうした行動を取ったということも報道にありまして、これは今御答弁にありましたけれども、我が国として、主体的な、また非常に大事な局面での対応、これから国際社会も注目していきますし、非常に重要なことだと思っていますので、引き続きしっかり対応していただきたいと思います。

 その上で、次に、北方問題に対して具体的なことを一つ二つお聞きしたいと思うんですけれども、最初に、北方領土の墓参事業についてお伺いさせていただきたいと思います。

 現在、北方領土への入域は、日ロの政府間で特例として三つ認めている。すなわち、四島交流、そして北方墓参、自由訪問。私も、これまで交流事業などで国後島それから色丹島を合計三度訪問して、四島に居住しているロシア人との交流ですとか、それから向こうの政府要人との対話、様々そうしたことを取り進めてきましたけれども、とりわけ、この北方墓参については大変大きな意味があるというふうに思っています。

 それはなぜかというと、これは実は、北方領土問題とは別に、人道的観点から、元島民がビザなしで身分証明書などで訪問して墓参ができるという事業。私も墓参もしましたけれども、やはり、自らの先祖が眠る、そして、この間までは我が家であった、我が地域であった、ふるさとであった、そこにお墓参りをするという目的で実施しているわけでございます。

 昭和三十九年からこの事業が実施され、途中中断した時期もありましたけれども、現在、これは令和元年度ですけれども、延べ参加数四千八百五十一名、そのように伺っております。

 新型コロナウイルスの感染状況が拡大する中で、この二年間墓参はできておりませんけれども、今回のロシアのウクライナ侵略もあって、この北方領土の墓参事業について、現段階でどのような御見解なのか、西銘担当大臣にお伺いします。

西銘国務大臣 令和二年度及び令和三年度の墓参を含めた北方四島交流等事業が全て中止となったことは、コロナ禍とはいえ極めて残念であります。

 私自身、就任しまして、北方領土隣接地域での意見交換や内閣府での返還要求運動功労者の表彰式の折など、元島民の方々から直接墓参への再開について強い思いを伺ってきております。先日も、知事さんも見えられまして、墓参に対する要請等を受けました。御高齢となられた元島民の方々、平均年齢八十七歳と承知しておりますが、その思いに何とか人道的にでもお応えしたいという強い思いはありますが、現時点でのウクライナと、ロシアの侵略による現状、状況等を鑑みれば、墓参を含めた北方四島交流等事業の具体的な展望について、残念ながら申し上げる状況にはないと考えております。

稲津委員 事業の展望については今の段階で申し上げるべきじゃないという御見解はよく理解できますが、その上で、これはここでしっかり確認の意味でお伺いしますけれども、これまでのこの墓参の事業についての成果は、大臣、どのようにお考えでしょうか。

西銘国務大臣 墓参についての人道的な観点からの行動は、私も過去二回、ビザなし交流でホームビジットをしたり、あるいは実際に墓参もいたしましたが、ロシアの方々も何かやはり、亡くなられた、墓参については、人間としての共通な考えは通ずるものがあるなという思いで、ビザなし交流、国後、択捉、色丹を回った経緯があります。

 今、こういう状況で、過去の実績を見てみますと、先生が御指摘されたように、四千八百五十一人の墓参の実例等も見ますと、人間としての部分で、必ず人道的な観点から効果が出てくるのではないかという思いでおりますが、現状、今の時点でこの北方四島交流等について御報告できないのは残念でありますが、今、お答えすることができないところであります。御理解をいただきたいと思います。

稲津委員 私は、やはり何といっても、この墓参を、この事業を行う中で、元島民や御家族の思いにしっかり寄り添って応えてきた、これが一番大きな成果ではないかなと思うんですね。ですから、今大臣からも、人道的な見地からというお話ありましたが、そこは是非、重きを置いていただきたいと思います。

 その人道的な見地ということから申し上げますと、もう一点お伺いしたいのは、北方四島のロシア住民の患者の受入れということについて、これは外務省になりますけれどもお伺いしておきたいと思います。

 実は、北方四島の住民支援ということで、これは平成の十年からスタートして、特に十五年からのことについてお話し申し上げますと、平成十五年度以降、政府が道内の関係自治体や、北海道ですね、団体を通じて、ロシア人の四島に居住している患者の受入れを人道的に必要な支援ということで実施をしております。これは、令和二年度、三年度はコロナの関係でできませんでしたけれども、例えば、平成の二十五年から令和元年まで、実に約十六名から二十名余り、市立根室病院、町立中標津病院、札幌医科大学病院、道立子ども総合医療・療育センター、難病あるいは専門性の高い医療、なかなか四島ではそうした治療ができないということで、これを受け入れて進めてきたわけでございます。これは恐らくロシア側からしても大変ありがたい話で、感謝をしていると思います。

 こうした事業は、これは外務省として取り組んできたわけでございますが、この北方四島住民の患者受入れについて、この点、現時点でどのようなお考えであるのか、確認させていただきたいと思います。

小田原副大臣 稲津委員にお答えを申し上げます。

 まず、委員御自身が御言及された長年のこの状況に対して、懸け橋たらんとする御尽力に感謝と敬意を表する次第であります。

 北方四島患者受入れ事業を含む北方四島住民支援事業は、真に人道的に必要な支援を行うことで、北方四島のロシア人住民の我が国に対する信頼感を高め、平和条約締結交渉推進に向けた環境整備に資することを目的としています。

 委員言及されたとおり、北方四島のロシア人住民からは高い評価を受けてまいりました。しかし、新型コロナの感染拡大で、令和二年度及び三年度は、墓参や四島交流等の事業と同様、残念ながら実施できませんでした。

 その上で、今回のロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがす行為であります。明確な国際法違反であります。厳しく非難するものであります。国際秩序の根幹を守り抜くため、国際社会は結束して、毅然と行動しなければなりません。

 北方領土問題に関する我が国の立場や北方四島患者受入れ事業の重要性はいささかも変わりがありませんが、今現在のこの状況に鑑みれば、御指摘の北方四島患者受入れ事業を含む北方四島住民支援事業の展望について、申し上げられる状況にはないと考えております。

稲津委員 ありがとうございました。

 このように、大変重要な事業も、結果として、今回のこのことによりまして大変厳しい状況にあるということ。しかしながら、やはりここは、冒頭申し上げましたように、ロシアによるウクライナへの侵略というのは到底許されるものではありませんから、世界各国と協調して、しっかり対応していかなければならない、そのことを強く申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

阿部委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時二十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十九分開議

阿部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。石川香織さん。

石川(香)委員 立憲民主党の石川香織です。

 西銘大臣、林大臣、連日本当にお疲れさまでございます。午後もどうぞよろしくお願いいたします。

 先日、国会で、ロシアのウクライナへの侵略を非難する決議を採択いたしました。私からも、政府に対しましては、ウクライナに対する最大限の支援を行っていただきたいということを強く要望したいと思います。

 この状況下で、午前中の質疑などでも北方領土などの問題を取り上げられている委員の方がいらっしゃいましたが、なかなか、具体的な展望について、お話しできるような状況ではない、申し上げる状況にないといった答弁が非常に目立ちました。

 高齢化が進みまして、今、元島民の皆様も八十七歳の平均年齢だということですので、元島民の皆さんのお気持ちを考えますと、非常に歯がゆい思いがしております。ただでさえコロナ禍で墓参であったり交流事業が中止になる中で、先日、北方領土返還要求全国大会、岸田内閣になって初めての開催でしたけれども、これも、予算委員会の最中だということで、岸田総理も残念ながら十分の滞在になってしまったというのも、元島民の皆様方は残念に感じられたのかなと思っております。

 大変な状況下でありますけれども、北方領土、それからロシアの関係などについて、順次お伺いをしていきたいと思います。

 まず、お伺いいたします。日本とロシアの二百海里のサケ・マス漁について決める政府間交渉についてお伺いいたします。

 先日の三月二日の参議院の予算委員会でも金子農水大臣から御答弁がありましたが、その後、状況として変わりがないかということについて、まずお伺いをさせていただきます。林大臣、お願いいたします。

林国務大臣 例年三月から四月に開催をされております日ロサケ・マス漁業交渉でございますが、現在、外交ルートで日程を調整しているところでございます。

 引き続き、今、金子農林水産大臣のお話も出ましたけれども、水産庁とも連携しながら適切に対応してまいります。

石川(香)委員 この政府間交渉は一九九一年の旧ソ連邦の崩壊時も含めて一度も中止をされたことがないというふうに伺っておりますが、今、非常に複雑な状況下の中ということは理解いたしますが、とはいえ、地元の浜の皆さんも非常に心配をしておられるということですので、引き続き、安全操業についての枠組み、それから日程調整、これを待ちたいと思います。

 次にお伺いしますのは、ちょっと過去に遡りますけれども、今なお元島民の皆さん方が解決を望まれている問題の一つであります、かつて北方四島で漁業を営んでいた方々に対しての旧漁業権についてお伺いをさせていただきます。

 元島民の皆様方は、政府に対して漁業権補償を求め続けています。これは、一九五〇年になりますが、日本政府が、新漁業法の施行に伴いまして、全国の旧漁業権を消滅をさせて新漁業権の免許を行った、その際、旧漁業権者には補償金が交付されたわけなんですが、北方四島の旧漁業権は、一九四六年のGHQの覚書によって既に消滅されたとしまして、この新漁業法が適用されず、補償も行われなかったということであります。

 まず、お伺いします。北方四島の専用漁業権、それから定置漁業権、特別漁業権などの旧漁業権につきまして、現政府の把握状況をお伺いします。

黒萩政府参考人 お答えいたします。

 北海道の資料によりますと、北方四島には、専用漁業権が九件、定置漁業権が千三百六十九件、特別漁業権が七十七件、それぞれ設定されていたと承知しております。

石川(香)委員 そして、一九五〇年に、全国の旧漁業権は消滅をさせて、新漁業権の免許を行う際に補償がなされたわけなんですが、北方四島の旧漁業権が新漁業法が適用されなかったということが問題でありますが、一方で、沖縄や小笠原諸島の旧漁業権は戦後も継承された、施政権が復帰の際には日本政府の補償措置が取られているということであります。

 西銘大臣にお伺いをさせていただきますが、北方四島の漁業権者、旧漁業権が、これだけが取り残されてしまっているということが最大の課題になりますけれども、まず認識をお伺いしたいと思います。

西銘国務大臣 石川委員御指摘の旧漁業権につきましては、これまでも累次の国会答弁で述べられてきたとおりでありますが、昭和二十一年の連合国総司令部、いわゆるGHQ覚書によりまして、北方地域における我が国の行政上の効力の行使が停止された結果、消滅しております。

 したがって、昭和二十五年の現行漁業法施行の際には存在しなかったことから、これに対して補償はできないものと承知をしております。

石川(香)委員 GHQの覚書によって消滅をし、補償ができないということでしたが、政府はこの問題に戦後からずっと向き合い続けているということで、六一年には、四島の旧漁業権者の方々の援護のために特殊法人を設立をして、十億円の基金を創設、それを事業ですとか生活支援の融資という形で充ててきたということですが、政府はこういうことも含めて旧漁業権者の補償の問題は解決したという態度を示してきたと思いますが、政府が代替措置として設けてきた融資制度、これが解決済みにはならないのではないかというのが今なおなかなか解決に進んでいない問題の一つかなと思います。結局、融資は返済もしなきゃいけないということもありますので、なかなか納得できない。

 そんなこともありまして、七二年になりますが、設立されました北方地域漁業権補償推進委員会では、補償要求額、総額を二百九十八億円と算出をいたしまして、毎年政府に要請を行っていらっしゃると思います。

 一月にもいらっしゃったと思いますが、元島民の高齢化が進んでおりますので、とにかくこの補償を急いでくださいというような要望があったかと思いますけれども、改めて西銘大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

西銘国務大臣 旧漁業権につきましては、先ほど答弁したとおり、昭和二十一年に消滅しております。したがいまして、昭和二十五年の現行漁業法施行の際には存在しなかったことから、これに対して補償はできないものと承知をしております。

 ただし、当地域の旧漁業権者等が置かれた特殊な地位等に鑑み、低利融資制度が設けられております。これを積極的に御利用していただきたいと考えております。

 ちなみに、データを見ますと、昭和三十七年度から令和二年度の低利融資制度利用状況を見ますと、貸付人数で延べ二万二千五百八十三人、貸付金額で四百七十五億円となっております。

石川(香)委員 この融資制度ということが補償の一つになるということでありますけれども、なかなか本当に大変な問題だと思いますが、とにかく時間がないということと、それから、様々な認識がなかなか一致をしないという問題でもあるのかなと。

 この北方領土の問題はたくさんの問題がありますが、長きにわたってなかなか解決できない問題の一つということで、まず初めにお伺いをさせていただきましたが、こうした問題も含めて、とにかく次の世代にこの北方領土の問題を継承していくというか、引き継いでいくというか、認識してもらうということが大切だということでありまして、SNSなんかの発信も積極的に行われていると思いますが、エリカ、エリオですね、このフォローを私もしているんですけれども、エリカのフォロワーが八万で、エリオが三万ということで、結構すごいなと思っています。投稿も頻繁に、工夫されてやっていらっしゃるなと思います。

 こうした発信の仕方も大事なんですが、私も交流事業に参加させていただきましたけれども、学生さんとかいろいろな方と一緒に実際に北方領土に行っていろいろなお話をするということが、やはり一番の実感も含めて学びになるのかなと思いましたので、今、非常に複雑な状況下ですけれども、またこういったことも積極的に取り組めるようなことを望みたいなと思っています。

 次の質問に移ります。

 近年、道東漁業の主力であるアキサケが非常に不漁に見舞われております。この原因がはっきり分からないままもう何年も経過しておりまして、浜の皆さん方も我慢の限界に達している。加工業者の皆さんもそうですが、本当に大変な状況が続いているということです。

 どうしてサケが捕れなくなったのか。様々な要因があると思いますが、その考えられる要因の一つの仮定として、先日、道立の総合研究機構さけます・内水面水産試験場の研究主幹の方が自身の講演の中で、アキサケの不漁はロシアのいわゆる先捕りが原因ではないかということに言及をいたしました。

 この考え、一つの可能性について、水産庁に受け止めをお伺いしたいと思います。

黒萩政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の報道については承知しております。

 アキサケの不漁についてでございますが、太平洋のサケにつきましては、近年でございますが、我が国周辺やアメリカ大陸西岸を含めまして、その分布域の南縁部、ここでは漁獲量が減少傾向にございます。その中で、我が国周辺につきましては、近年の海洋環境が放流後の稚魚の生育に好ましくない環境にあることなどが不漁要因として指摘されております。

 また、先ほど御指摘のありましたことについてでございますが、我が国において放流した日本系サケの稚魚は、成熟しましてベーリング海から日本に回帰する途中でロシアにより漁獲されている可能性もあるというふうに考えております。

石川(香)委員 今いろいろ御説明いただきました。

 例えば、サケの襟裳よりも西の来遊状況でいうと、令和二年というのが平成以降で最悪の数字だったそうなんですけれども、令和三年は更にその三分の一になってしまった。稚魚の放流時期が悪いのか、水温が悪いのか、それから、遊泳中に何らかの理由で死んでしまう、こういったことも考えられるんですが、一方で、ロシアのサケ、昨年は過去四番目の豊漁だったということも聞いていますので、この辺がどういう関係になっているのかということだと思います。

 サケは零度から四度の水温を好むということなんですが、昨年の九月の上旬では水温が五度から七度ぐらい高いところができてしまって、ここを避けて通っているということで、それをロシアが捕ってしまったという見方もできるのではないかということなんですが、問題は、母川主義という考えがあります。

 この母川主義のルールに倣いますと、サケがロシア系なのか日本系なのか、それが今の段階では可能性の一つとしても重要なところになると思いますが、これは調査をしないと分かりません。

 調査の有無など、今後どのような対応をされていくのかということについて、もう一度お伺いさせていただきます。

黒萩政府参考人 お答えいたします。

 サケにつきましては、生まれた河川に回帰する特性がございます。このため、日本とロシアは、日ソ漁業協力協定、いわゆる日ロサケ・マス協定でございますが、この協定によりまして、両国の河川で生まれたサケの保存及び管理について協力するということになっております。

 こういったことから、我が国としましては、日ロ漁業合同委員会の場におきまして、ロシア側に対し、ロシアにおけるサケの漁獲実態やロシアで漁獲されたサケの起源等に関する情報の提供を現在求めているところでございます。

石川(香)委員 漁獲実態の解明というものも併せてしていただくということなんですが、海の水温は一度上がってしまうと下がりにくいという特徴もありますので、まず、水産庁には様々な要因をしっかり研究していただくということも重要だと思います。

 北方四島周辺では、EEZをめぐって日本とロシア側の中間ラインが曖昧だと相違が生じるということで、度重なるロシア側の日本漁船の拿捕ですとか、地元の漁師の方々の安全を脅かすようなことも続いております。

 加えて、ロシアの国境警備局による日本漁船内の書類の点検であったり、それから魚の点検の回数も多くなって、その時間も非常に長くなっているという傾向があります。

 林大臣にお伺いいたしますが、羅臼漁協所属のホッケ漁では、昨年、延べ百隻が受けて、過去最多になったというふうに聞いております。羅臼漁協の話では、一回で三隻から五隻ほどが操業を中断せざるを得ず、日誌ですとか捕った魚を点検を受ける、それが四時間にも及ぶことがあるということですので、魚の鮮度が落ちてしまって商売にならないといった声、それから、こういうことを受けて、国後海域の操業から違うところでの操業に切り替えるといったような選択をする漁業者もいるということだそうです。

 ロシア側の求めに応じて、北方領土は日本固有の領土ですので、見学という表現をするわけですけれども、この見学という行為は、操業にあくまで支障を来さないようにという条件付で容認したという経緯がありますが、操業に支障が出ているようにも見えますが、この状況についての御所見をお伺いします。

林国務大臣 北方四島周辺水域操業枠組み協定でございますが、北方四島に関する我が国の立場を害さないとの大前提の下で、北方四島周辺水域における我が国漁船による安全操業を実現すべく、一九九八年に締結されております。

 この協定の下で操業する日本漁船の操業実態を更に透明にするべく、北海道水産会が、二〇一九年の操業から、今まさに委員が御指摘のように、操業に支障を来さないとの条件の下で、自らの判断により、操業水域での見学の機会をロシア側に与えることとしたものと承知をしております。

 これも委員御指摘のとおりですが、ここ最近はロシア側の見学が多発をしておりまして、操業に支障を来す事態が発生した場合には、その都度、外務省からロシア側に是正を強く申し入れてきております。

 政府として、この枠組みが維持されまして、北方四島周辺水域における安全な操業が確保されますように、関係省庁と連携しながら適切に対応してまいりたいと考えております。

石川(香)委員 見学と表現するわけですけれども、見学という言葉と実態が乖離が生まれてしまってはいけない。今、非常に不漁に悩まされているということもありますので、そもそも国内漁業者の我慢のときを支える補償制度というのは大事なんですが、こうした緊張状態の中でも漁業者の方が本当に安全に操業できるように、一層の環境づくりに尽力していただきたいということを求めたいと思います。

 では、続いて、沖縄県についてちょっとお伺いさせていただきたいと思います。

 まだまだ沖縄県については分からないことがたくさんありますので勉強していきたいと思うんですが、沖縄県といえば長寿というイメージが非常にありまして、一九九五年に県知事が世界長寿地域宣言というのを出して、二〇〇四年にはアメリカのタイム誌が沖縄の長寿の特集もされたということでありました。

 私自身もそういうイメージがあったんですが、かつて平均寿命が一位だったわけですけれども、現在は、平均寿命が女性は七位、男性が三十六位まで下がってしまったということがあるそうですが、西銘大臣に、まず、この要因をどのようにお考えかということについてお伺いさせてください。

西銘国務大臣 沖縄県民の平均寿命に関しまして、沖縄県の公表資料によりますと、二十歳から六十四歳の現役世代においていわゆる生活習慣病を原因とする死亡率が高く、平均寿命の延伸、健康寿命の延伸及び早世の予防を達成するためには、生活習慣病の発症と重症化を予防することが重要とされております。

 現在、沖縄県におきまして、ソフト交付金を活用し、民間事業所と連携した食育の出前講座等の取組が行われており、内閣府におきましても、西普天間住宅跡地における琉球大学医学部及び大学病院の移設を中心とした沖縄健康医療拠点の整備を進めているところであります。

 今後も、沖縄県において、内閣府や関係省庁とも連携し、健康づくりの取組が行われることを期待しております。

石川(香)委員 ありがとうございます。

 時間が来ましたので、終わりにいたします。ありがとうございました。

阿部委員長 次に、杉本和巳さん。

杉本委員 維新の杉本和巳です。よろしくお願いします。

 本意ではないんですが、大臣とできるだけ質疑をさせていただきたいということと、外務省さんがすごく御心配をしてくださって、林さんには心配は要らないと思うんですが、かなりお役所の方々がお運びいただいて、本当に忙しい中、本当に緊急事態のウクライナ情勢がある中で、国会は国権の最高機関なので尊重いただくことは本当にありがたく存じますけれども、一方で、バランスよく、習わしだから、私は更問い、更質問とか余りやらないつもりでおりますので、御同席いただくのはありがたいんですけれども、本業の方もしっかりお願いしておきたいと冒頭申し上げたく存じます。ちょっと生意気を申し上げましたけれども。

 それで、沖縄及び北方問題特別委員会というこの委員会は、私は初当選のときから御縁があって、愛知県の選出なんですけれども、今は東海比例、小選挙区で勝てなかったので東海比例でございますが、何か御縁がある中で、北方領土も何度も行かせていただき、かつ、沖縄の赤嶺先生あたりとも南大東、北大東あたりもお邪魔するとか、与那国にお邪魔するとかさせていただいて、それなりに実際に現場に入らせていただいている人間でございます。

 そんな意味で、沖縄の経済的な側面の支援というのと北方領土の返還問題というのが大テーマであって特別委員会が設置されていると思っていますが、まず申し上げたいのは、今回は法案審議もあり、今回は大臣質疑ですけれども、かなり審議を多めにやっていただいていますが、特別委員会は、本来、大事な委員会というのは開くべきものであるということでございますので、さきの臨時国会からも申し上げていますけれども、審議の充実というのをお願いしたいし、大臣方はお忙しいんですけれども、できる限り御出席を、緊急事態は別だと思っていますけれども、お願いして、この大事なテーマを進めたいと思います。

 ただ、その一方で、我が国の安全保障という意味では、領土、領海、領空、これを徹底的に守り抜くんだと。もう亡くなられましたけれども、イギリスのサッチャーさんがイギリス英語で、ソブリンティー、こういう言葉をよく私はBBCで耳にした記憶があるんですが、このソブリンティーと言われる主権、これに関わる大事な特別委員会でもあるということで、我が国の最東端の北方四島、そして最西端の与那国、広く言えば、最北端は稚内もサハリンと近く、最南端は有人の島でいけば波照間が一番南の島でございますので、そういった意味で、本当に安全保障上極めて極めて重要な委員会だという認識をさせていただいています。

 それで、まず初めに、沖縄の地元御出身であり選出でもあられる、西銘恒三郎とお読みするというふうに伺いましたけれども、大臣に、本当に地元への思いというのは強くお持ちで、先ほどの質疑でも県会議員のときからのお話をされておられましたけれども、沖縄の振興の必要性、あるいは、それに加えて、申し上げた安全保障上の本当に要の場所であって、私は、本当に県民の皆さんに御苦労をおかけする基地がたくさんある、そういう問題は改善したいと思いますが、一方で、本当に大事な場所なので、御理解もいただかなきゃいけないという思いを持っていますけれども、私が余計なことをたくさん申し上げるより、責任のある大臣の今の思いを、改めて生の声で、余り文書を読まずにお話をいただければうれしく存じます。お願いします。

西銘国務大臣 五月の十五日に沖縄復帰から五十年という大きな節目を迎えます。沖縄出身、選出の議員として、このような重要な節目のときに沖縄大臣を仰せつかっていること、本当に身の引き締まる思いであります。

 復帰後、各種の沖縄振興策を講じた結果、県民のたゆまぬ努力もあり、沖縄の経済は着実に成長してきたと思っております。しかし、全国最下位の一人当たりの県民所得など、なお解決すべき課題が存在をしております。

 自立的発展と豊かな住民の生活実現に向けて、引き続き、地元の御意見をしっかり伺いながら、沖縄振興に全力で取り組んでいきたいと思います。

 杉本委員御指摘のように、沖縄は本土から遠隔の地に位置しております。東西千キロ、南北四百キロに点在する島々がたくさんありますし、沖縄の離島は、我が国の領海や排他的経済水域の保全等に極めて重要な役割を果たしているものと認識をしております。

 政府においては、これまでも、離島振興を沖縄振興における重要課題の一つと位置づけて、沖縄の離島で実際に生活をしている住民の方々が安心、安全に生活できるように、各種の施策を進めてきたところであります。

 私自身が、沖縄本島の東側にある小さな島、周囲八キロぐらいの小さな島で、人口三百人に足らない久高島というところと、今、杉本委員御指摘の与那国島という台湾が見える島、この島をルーツとしている政治家の一人としても、沖縄の島々全体が私は我が国の全体の縮図のように見えてきております。

 我が国の課題が早めにこの小さな島々で出てくるということもありますし、この復帰五十年という節目に、改めてしっかりと沖縄振興策に、離島のことも考えながら取り組んでいかないといけないなという思いを強く持っております。

 以上です。

杉本委員 ありがとうございます。

 生のお言葉をいただけて大変うれしく存じますし、安全保障上もある意味で日本の縮図なのかもしれないというふうに感じますので、今後、この後また法案審議等でお世話になりますけれども、また御指導いただければと思いますし、御活躍をお祈りします。

 それでは、ちょっと恐縮なんですが、林大臣が出席しないと、外務大臣が出席しないとこの委員会はなかなか立たないというようなこともあって、ちょっと時間の関係で、やはり本音を申し上げて、恥ずかしいですけれども、ウクライナ情勢、私の心はなぜか落ち着かなくて、この一週間、侵攻以来、今はもう侵略という言葉に自民党の部会でも改められ、まだ報道は侵攻という言葉を使われていますけれども、侵略が始まって一週間たちました。

 重ねて申し上げますが、私の心は何かざわついて本当に落ち着かないんですが、正直これは、今日朝十時に、我が党は林大臣に、ロシアによるウクライナ侵略に関する緊急提言というのをお持ちして、お受け止めいただいたというふうに感じているところですが、結構厳しいことも総理や外務大臣に書かせていただいているという認識を持っていますが、私の思いとしては、岸田総理は吉田茂元首相に次ぐ在任期間をお持ちで、やはりその効果というか、また御本人の素養というかもあって、人脈も相当生かしながら、今はオンラインの各国首脳との面談、林大臣は各外相とのオンラインの面談等を進めていただいて、お二人を結構存じ上げさせていただいているつもりでございますので、正直、お二人には、今の大変な情勢の中でしっかりとその職責を担って応えていただいていることに、まず敬意と感謝を申し上げたく存じます。

 今、林大臣は百五十一代になられるんですけれども、前の茂木大臣ともそんな議論をしてきたんですが、まず、もう有事を想定していろいろ我々は考えなきゃいけなくて、非核三原則の話とかもいろいろ厳しいお言葉もいただいていたり、またこの後質問したいと思いますけれども、国会の役割というのはやはり議論をしなきゃいけないというのが本質にあると思っておりますので、そんな意味で、いざ有事になったときに、まあ、考えていなかったということはあり得ないというふうに私は思っているんですが、公式にこういう議論をするという部分と非公式ながらいろいろ検討を進めておいていただくという両面で、いざというとき、まさかに備えていただくことが極めて大事だと思っています。

 先日のBSか何かの番組でいろいろシミュレーションを、民間の方々というか、防衛省OBの方々並びに現職の政治家が関わる形での有事のシミュレーションみたいなのも拝見しましたが、当局というか政府の方でも、公式、非公式、両方シミュレーションを十分しておいていただきたいという前提の下に、過去あった質疑を踏まえながら、まず初めに伺っておきたいのが、ジュネーブ諸条約についてのことを伺っておきたいと思います。

 それで、三つほど分けて質問をさせていただきますが、ジュネーブ条約というのがあって、今もウクライナでは、クラスター爆弾であるとか真空爆弾だとか、そういったジュネーブ条約違反の行為がなされているというような報道を聞きますけれども、そのジュネーブ諸条約の中で、まずPKOについての確認でございますが、そして、そのPKOの中の捕虜という問題について、日本の自衛官の方々が我々を守ってくださっている、そんな中で、きちっと捕虜として扱われるようなお立場にいるのか、いないのか。

 この辺も、政府の今の状況でのお答えというのは大変言いにくいというようなところもあり、過去の連続性から変えにくいというのもあると思うんですが、今日急にというのはなかなか難しいのは十分分かっていますが、NSC等で十分に議論を今後いただいて、そして、まさか、いざというときに、自衛官の方々の身分がきちっと守られて、まあ、相手がある話で、シベリア抑留ではありませんけれども、捕虜としてのちゃんとした扱いを受ける、受けないは、相手側のある話なので、相手が人道的にやってくれるというような予定調和的な、あるいは期待値的なところでいっても、現実は、捕虜という解釈をしてくださったとしても、実質はひどい扱いを受ける可能性はないとは言い切れませんが、せめて日本国として、自衛官の方々に御活動いただく中で、少しでも安心をする中で心のざわつきを抑えて精励いただくためには、そのきちっとした扱いというのを準備しておく必要があると思います。

 ここで質問しますが、PKOに派遣された自衛官が、例えば現地で武装勢力に拘束されても、捕虜の扱いを受けられないのではないか。

 これが、二〇一五年の七月の当時の岸田外務大臣の御答弁で、立憲だったかその前の名前だったか分かりませんが、に対する答弁だったと思いますが、後方支援と言われる支援活動それ自体は武力行使に当たらない範囲で行われるものであります、中略ですが、我が国が紛争当事国となることはなく、そのような場合に自衛隊員がジュネーブ条約上の捕虜となることは想定されないというふうに答えられていて、日本特有の事情で、同じ後方支援でも、ドイツや韓国のように紛争当事国となることを排除していない国は捕虜としての扱いが受けられる一方で、そういうことは想定していないから、心配要らないというか、ないんですよというのは、昔、総理大臣をされた、息子さんは立派に活動されていますけれども、自衛隊が活動する地域が安全な地域だから大丈夫だなんというPKO五原則の延長線上みたいなお話の答弁があったのは、残念な答弁だったと思っています。

 そんな意味で、この点について、PKO捕虜という点で、現在の外務省、外務大臣の御見解を伺いたいと思います。

林国務大臣 ジュネーブ諸条約上の捕虜でございますが、紛争当事国の軍隊の構成員等で敵の権力内に陥ったものをいうとされております。

 今委員からお話のあった、PKO法に基づく活動によって我が国が紛争当事国となることはないので、自衛隊員がジュネーブ諸条約上の捕虜となることは想定をされないということでございます。

 ただし、万が一、自衛隊員が外国等に不法に身柄を拘束された場合には、その身柄が解放されるまでの間は、少なくとも、普遍的に認められている人権に関する基準や国際人道法の原則及び精神に従って取り扱われるべきことは当然であるというふうに考えております。

杉本委員 二〇一五年の岸田外務大臣の当時の御答弁の延長線というような感じがいたしますけれども、おっしゃっている我が国が紛争当事国となることはないと言い切れるかどうかというのが、もはや、そこにある危機という意味では、台湾有事が起きたときに、日本はある意味で例えば米国が出ていったときの後方支援というのが想定されますけれども、本当にそれで済むのかなというのをちょっと正直感じていまして、そういった意味で、平和安全法制、私がちょっと国会を留守させていただいていた時期に進んだ法律でございますけれども、この中の区分で、重要影響事態という認定で、今申し上げたような米国の後方支援というような形でとどまればいいんですけれども、相手側から見ると、いや、一緒じゃないかということで攻撃されてしまうというようなことの中で、捕虜としてそれを扱われないで、要は、聞きたいのは、重要影響事態という認定区分であったとしても捕虜として扱わなくていいのかというのをちょっとお伺いしたいんですけれども、いかがでしょうか。

林国務大臣 重要影響事態法に従って我が国が実施する後方支援それ自体はそもそも武力の行使に当たるものではなく、我が国がこうした活動を行うこと自体によって紛争当事国となることはないということでございます。したがって、そのような活動を行う自衛隊員がジュネーブ諸条約上の捕虜となる事態は想定されないということでございます。

 ただし、万が一の場合のことは、先ほど申し上げたとおりでございます。

杉本委員 くどいのかもしれないし、私がちゃんと聞き取れていないのかもしれないので、ちょっと重なる質問になるかもしれませんけれども、では、重要影響事態だったけれども、相手から見るとそれこそ一緒じゃないかというようなことで事態がエスカレートしてしまい、認定上は存立危機事態というような状況、あるいは、更に進んで武力攻撃事態というような認定になってしまうような状況というのも、紛争当事国とならないという前提を超えなきゃいけないような事態に巻き込まれてしまう、まあ、解釈論が難しいかもしれないですけれども、そのような事態でもやはり同じ立ち位置で捕虜と認めなくていいのかどうか、この点も改めて、くどいんですけれども、お願いしたいです。

林国務大臣 委員のお言葉を一つ一つ正確に聞いていたつもりですが、先に存立危機事態の話を先走って申し上げるといけないと思って、今お聞きになられましたので申し上げますけれども、存立危機事態が認定されて、存立危機武力攻撃、これを排除するために武力の行使を行っている状況におきましては、我が国は基本的にはジュネーブ諸条約上の紛争当事国となっていると考えられます。

 こうした状況で敵の権力内に陥った場合は、自衛隊員はジュネーブ諸条約上の捕虜として取り扱われることとなると考えております。

杉本委員 紛争当事国となってしまったら捕虜として扱われるという確認をさせていただいたということで、いずれにしろ、冒頭申し上げたとおり、NSC等であらゆる事態というのをケース分けして、まあ、ないにこしたことはないし、ないように林外務大臣が王毅部長ときっちりとよく話し合っておいていただくし、首脳外交もシャトル外交も、今はそういう時期ではないかもしれませんけれども、始めていただくような中で、まずは外交ということですし、常に外交ということで、積極外交でこういう事態に至らないようにお願いしたいし、万が一なってしまったときには、ジュネーブ諸条約上の捕虜ということをお願いしておきたいと思います。

 では、ちょっと戻りまして、そもそも論みたいなことを伺いたいんですが、冒頭申し上げたざわつくような気持ちを持たざるを得ないウクライナ情勢、一週間たって、御案内のとおり、ウクライナでは、国民の男性十八歳から六十歳は武器を持って、自分の子供であったり妻であったり親であったり兄弟であったり親類であったりを守るために、ひいては国家のソブリンティーである主権を守るために戦うということ。インタビューで答えていらっしゃる御主人さんのような方は立派な答えをされていますが、一方で、そうでない人もやはりいるのかもしれない中で、出国禁止という扱いがあり、十八歳から六十歳の男性は国内にとどまっているということも想定を私はしているんですけれども、いずれにしても、どういう形であれ、本当に、ウクライナの国民の多くの方々が国家の主権という意味を、自らの暮らしであり家族でありということを重ね合わせながら守ろうとされている姿勢というのは、我々が普遍的価値というふうに共有している自由であり民主主義であり法の支配ということで、結構、学校に入って最初の学ぶべき言論みたいなのは、政治、ポリティカルイデアというか、そういうようなことの中で、バリューという言葉、普遍的価値、これをかなりたたき込まれるというのが欧米の教育なのかと思いつつ、かつ、ウクライナの方々の姿を拝見すると、このバリューの大切さみたいなのをすごく感じます。

 一方で、やはり、占領されてしまって奴隷にされるじゃないですけれども、隷従する道というのが一方であるということは、命あっての暮らしであるわけですけれども、一方で、価値あっての人生かもしれないなというふうに改めて今ウクライナを思いつつ感じているんですが、この三つの覚悟の中で、あえて普遍的価値を守り抜く覚悟が一番最初に出てくるというのは極めて意義があるというふうに私は感じさせていただいていますので、平和を希求する日本国、日本国民の一人としてこの普遍的価値の大事さみたいなのを私が感じるのは、今回の総理とか林外務大臣の対応というのは、背骨にこのバリューがあるから揺れることなくしっかりと結構厳しい対応もされておられると認識しているんですけれども、この普遍的価値の意義というのを改めて大臣がどういう御認識を持っておられるのか、できれば生の言葉でいただければありがたいです。

林国務大臣 今お話を聞かせていただきまして、まさにおっしゃるとおりであるなというふうに思いながら聞かせていただきました。

 私もテレビ等で、六十歳までの男性の御家族だけが列車に乗っていく、そこを、こんなことをインタビューするのかなと思いながら見るんですけれども、泣きながら子供がお母さんと一緒に父親と別れていくということを見て、委員はざわつくとおっしゃいましたけれども、私も何かこの辺に穴が空くような思いで見ておるわけでございまして、やはり、ちょっと話が飛びますが、NPTにウクライナが加盟するときにいろいろなことがあったわけでございまして、そういう我々から見れば崇高な正しい道を歩んでこられたウクライナやその国民の皆さんが、こういう全くそれと逆の方にいると申し上げるんでしょうか、ロシアの侵略によってこういう目に遭っている、そのことに本当にこの辺に穴が空く思いをしておるわけでございます。

 このこと自体を想定したというわけではないと思いますけれども、岸田内閣では、今おっしゃっていただいたような自由や民主主義、人権、法の支配といった普遍的な価値を守り抜く覚悟を三つの覚悟の中で一番先に述べております。そして、我が国の平和と安定を守り抜く覚悟、こうなっていくわけでございますが、まさに、今回のウクライナ侵略、この一つ目の覚悟で申し上げている普遍的価値に基づく国際秩序の根幹を揺るがす行為で、明白な国際法違反であり、厳しく非難をするところでございます。

 我々としても、こうした我々の立場、考え方というのをやはりウクライナにしっかり伝えるということも大事であるというふうに考えておりまして、ウクライナとともに日本があるということを、二月二十五日でございましたが、ウクライナの外相と私、電話で会談をいたしました。実はミュンヘンでも短時間、既にインパーソンでお会いはしているんですが、改めてこの会談を行い、また、昨日になりますが、駐日の大使との会談を含めて、直接にこうした我々の立場、思いを伝えておるところでございます。

 こうした国際秩序の根幹を守り抜くために、国際社会が結束して、毅然と行動しなければなりませんし、こうしたロシアの暴挙には高い代償が伴うということを示してまいりたいと思います。

杉本委員 ありがとうございます。

 質問の順序がちょっと飛んじゃうんですけれども、避難民の対応、私は十二番目と書いちゃったんですけれども、昨日私が通告した段階では難民、避難民の対応というのはまだ政府は発表されていなくて、それで、外務省の方とお話ししている中で、早く日本の岸田総理からなり外務大臣から、難民というか避難民の対応をしっかりやるべきじゃないか、それを早く発表するべきだと思ったら、昨日の夜、岸田総理が発表されておられて、安堵している部分もあるんですけれども。

 それで、実際のオペレーションみたいなところで、たしかポーランドとの首脳会談のような形で確認されたやに記憶していますけれども、隣国ポーランドを始め、スロバキアだったり、あるいはハンガリーだったりルーマニアが国境を接しているわけでありますが、そういったところに、極論のイメージですけれども、国境を渡ってすぐ外務省の方が待っていて、あるいは第三国に避難されている方のところへは即刻会いに行って、逆に、日本の仲間というか、広い意味での日本国民と言ったら語弊があるかもしれないですが、日本国民の親族、配偶者の方々、家族、まずはそういった方々、それから更に人道的に広げるようなお言葉もありましたけれども、そういった方々に入国査証を早急に出すか免除という形もあるのかもしれないんですが、特段の配慮をいただいて、そして、着のみ着のまま二日も三日もして国境を渡ってきた方々がお金をたっぷり持っているわけじゃないと思われますので、そういった方々を是非、日本の手配するチャーター機等に乗っていただいて成田なり関空なりに来ていただいて、水際対策はきちっとやる必要はあると思いますが、その五千人とかの枠の対象外になるのはいいんですけれども、きちっとコロナ対策はしていただきながらも、オペレーションとして、ロジとして、ウクライナで本当に苦労されている我が国関係の方々始めそういった方々にきちっとした国境での外務省職員の方々のオペレーションをしっかりしていただきたいというふうな思いを持っているんです。

 この辺りをきちっとやっていただけるかどうか。指示をいただいて、ロジまでしっかりと。それで、さすが日本、普遍的価値も共有するけれども、オペレーションもしっかりやってくださって、すごい、やはり日本というのは、今、親切の伝播する若い黒人の、黒人と言ったら語弊があるんですかね、男の子のことが最近報道されたりしているんですけれども、そういう日本の親切さ、本当のよさみたいな部分も、それを宣伝するために使うんじゃなくて、日本の本来持っているいい点が分かっていただけるようなオペレーションもしていただきたいと思いますので、ちょっとこの避難民対策についてお答えいただければと思います。

林国務大臣 ありがとうございます。

 まずは、ウクライナの西側にリビウというところがございますが、そこに連絡事務所をつくって対応するということと、それから、ポーランドの一番東になります、国境の近くのジェシュフ市でございましょうか、ここにも今拠点を設けて、シームレスな対応をやっていかなければならないと思っております。

 もう委員が既に少しお触れいただいておりますが、まず、日本に親族や知人がおられる方については、短期査証というものを発給して入国を認めるということになります。そして、日本に親族や知人がおられない方についても、人道上の配慮の要否、これを個別に判断して、配慮が必要な場合には短期査証を発給して入国を認めるということでございます。

 こうした方々について難民の認定申請があった場合は、出入国在留管理庁におきまして、申請者ごとにその申請内容を審査した上で、難民条約の定義に基づいて難民と認定すべき者を適切に認定するとともに、難民と認められなかった場合でも、本国情勢等を踏まえ、人道上の配慮が必要と認められる者について、我が国への在留を認めるということになります。

 そして、この受け入れた方々の状況を踏まえつつ、更に人道的な観点からどういった対応を行うべきかということについては、政府全体として対応していきたいと考えております。

杉本委員 元外務省の杉原千畝さんの権利回復じゃないですけれども、それは我が党の鈴木宗男参議院議員が大活躍をされて、手柄は竹下総理にお渡ししたみたいな話を聞いたことがあるんですが、まさしく命のビザだと思いますので、本当に今御対応いただいていることを確認させていただきましたけれども、まさしく命のビザを、まさしく今お願いしておきたいというふうにお願い申し上げます。

 またちょっと順番が相前後して恐縮なんですけれども、十番というふうに私が出させていただいている質問で、円借款とか人道支援をやるというお話も、結構、二月の十五日に岸田総理は、ゼレンスキー大統領との電話会談で、円借款をする用意があるというふうにおっしゃっていました。それから、一億ドルの緊急人道支援については、二月二十七日の夜に、SWIFTからの排除取組の発表と併せて岸田総理が言われております。

 ちょっと昨日外務省の方に伺ったところ、要は、これもロジとかオペレーションの問題を私は指摘しておきたいんですが、別に御当局の御答弁はいいんですけれども、要は、例えば、今ウクライナがこんな戦争状態に巻き込まれている中で、円借款の契約書を書いて、政府の中で協議事項を挙げてどうなんだみたいな、そういう官僚的なと言ったら語弊があるな、いわゆるルールを守ってきちっとやっていこうとすると、円借款を今一億ドル出す、百十五億円ぐらいを出すというのを選択されているんですけれども、それが本当に意義を持つのかというと、今、返さなくていいお金を例えば十億本当は渡した方が、それだったら、人道支援、一億ドルを国際機関であるWFPとかUNHCRだとかを通じてどこに出すかも各国と今調整しているというふうに担当の方はおっしゃっていたんですが、これも調整している間にそのお金が生きてこなくなってしまうかもしれないので、生きたお金を出さないといけないし、現実的に相手が喜ぶことをやらないと、必要なことを出さないと意味がない。

 見た目は、日本は円借款を一億ドル、すばらしいじゃないかと国民はNHKのニュースを聞いて思うかもしれませんが、現実的に相手のウクライナ側にとってどうなのか、ひいてはウクライナの政府じゃなくて国民の皆さんお一人お一人にとってどうなのかというところまで考えていただく中で、この実行のロジというか時期、やり方、この辺の状況を教えていただきたいし、今は、取りあえず御答弁いただく中で、そういったところもきちっとやれよという御指示を大臣からしていただきたいということを先にお願いしておきます。

林国務大臣 まず、一億ドルの借款と、それから一億ドルの緊急人道支援、無償、両方あるわけでございますね。ですから、まず、借款については、ウクライナ政府と世銀と調整をやっております。それと、緊急人道支援の方の一億ドルは、一昨日に国連の支援要請、これがもう公表されておりまして、主に保健医療や食料、難民、避難民の保護といった分野でございますが。

 したがって、借款の方は、世銀によるウクライナ向けの開発政策借款による協調融資という形での支援を行うという方向になろうと思っておりますし、それから、一億円の無償といいますか、緊急人道支援の方は、先ほどの国連からの支援要請を踏まえて、UNHCR、それからユニセフ等の人道関係国際機関と具体的な支援内容の調整を既に始めておるところでございますので、委員から御指摘があったように、タイミングとか、かゆいところに手が届くということをしっかりと実行していくように、改めて確認をしたいと思います。

杉本委員 済みません、また相前後するんですが、次に、いわゆる経済制裁のSWIFT、これは九番というところで私が質問を事前に通告させていただいているやつですけれども、経済制裁で、今、昼ぐらいのニュースになっていましたけれども、ロシアの最大銀行を除く七銀行だし、三番目の、第三位のガスプロムの関係の金融機関を対象外ということで、例外が設けられる中でのSWIFT。

 私は、SWIFTが始まった頃、外国為替をやっていて、大臣も商社マンで御存じかと思いますが、SWIFTというのはすごく便利であり、銀行間融通、お金を動かすのがすごく早くなったという印象を持っているんですけれども、そのSWIFTで、ヨーロッパ側の事情でやはりガスの問題があって、ガスプロムでしたか、その対象から外すとか一番大きい銀行を外すとかによって例外を設けざるを得ない事情があるのかもしれないんですが、一方で、銀行同士は仲がいいので、私がいた日本興業銀行というのと、なくなっちゃいましたけれども長期信用銀行というのが仲よしで、困ったら助けるみたいなのは当然あって、うちは締めつけられていて、あそこに金を送りたいんだけれども、ちょっと代わりにやってくれないかという話をしたら、こんな例外をつくったら締めつけている意味がないじゃないかと。

 いや、締めつけない方がいいんだ、取りあえず丸く収めなきゃいけないんだという発想をヨーロッパ側のどこかの国が持っているのかもしれないんですけれども、ただ、ニュースを聞く限り、この例外が、一番の銀行と三番目の銀行を外して、七銀行をやった、やったという、何か政治パフォーマンスで、どこの国が主導しているのか私は分かりませんけれども、やはり毅然とする態度というのは、抜け穴があるようなことを毅然とした態度とは言わないと思いますので、反省すべきは反省していただかなきゃいけないというふうに思います。

 そういった意味で、このSWIFTの除外、十二日以降実行するというんですけれども、逆に、我が国から、除外をしない方がいいというような提案をしていただくぐらいのことをG7各国なりに言っていただけないかなというふうに感じつつ、質問は、それは一体どうやって抜け道塞ぎをやるのかというのを質問したいと思います。それで時間が多分なくなっちゃうと思いますが、お願いします。

林国務大臣 私が商社におった頃は、たしか、まだSWIFTというのがない、前からおりましたので、本当にこういうものができたんだなと改めて思いましたけれども、今お話のあったようなロシアの特定銀行のSWIFTからの排除、G7を始め国際社会が緊密な連携の下で調整を行った結果として、SWIFTの所在地は欧州でございますので、欧州の当局においてSWIFTとのサービスから除外される七つの銀行を指定したということでございます。

 この点、EUは、二日ですが、国際金融取引においてロシアの銀行七行がSWIFTの提供するサービスを使用することを禁止するためのEU規則というのを施行済みであります。

 我々も、こうした取組の一環として、これらの銀行を国際金融取引から排除するために資産凍結措置を講じた。向こうがSWIFTから外して、我々はそこを迂回されないように止めた、ここまでは委員がおっしゃったとおりでございますが、この銀行七行についての、今お話がありましたけれども、今後も、この制裁の実効性を確保していく上で、関係国、特にG7と緊密に連携しながら、適切に対応していきたいと考えております。

杉本委員 毅然と適切にお願いします。

 以上で終わります。

阿部委員長 次に、長友慎治さん。

長友委員 国民民主党の長友慎治です。

 私は宮崎の出身でございまして、宮崎の選出でございます。沖縄と同じ九州の人間としまして、沖縄の諸問題に関しては、非常にシンパシーというか、共通感、認識を持っております。

 例えば、宮崎は沖縄に次ぐ出生率。沖縄が出生率が一番だと思いますけれども、宮崎は二番目に出生率が高い。また、よく沖縄の県民所得が低いと言われますけれども、宮崎も割と下の方にあるということで、課題の認識、先ほど大臣も、沖縄が我が国全体の縮図だというようなこともおっしゃいましたけれども、私もそのような認識を持った上で沖縄の問題を取り上げていきたいなと思っております。

 まず初めに、先日、西銘大臣の所信表明の中で、沖縄県の県民所得が全国最下位であること、また、全国と比べて子供の相対的貧困が深刻であるということが述べられました。沖縄の県民所得が低いこと、また、子供の相対的貧困が深刻な原因、理由はどのように分析されているのかをまず伺いたいと思います。

西銘国務大臣 長友委員にお答えいたします。

 一人当たりの県民所得が低いことにつきましては、沖縄は、全国的にも労働生産性の低いサービス産業への依存度が極めて高く、就業者一人当たりの付加価値額を示す労働生産性が全国の約七割の水準で推移していることが要因の一つと考えられます。

 また、沖縄において子供の貧困の実態が全国と比較して深刻な状況にある背景としましては、一人当たり県民所得が低いこと、あるいは母子家庭の出現率が高いことなどがあると考えられます。

 一人当たり県民所得の向上のためには、沖縄の有する潜在力、優位性をどう生かし、各種産業の高付加価値化及びそれを支える人材の育成などにより、労働生産性の向上や産業の高度化等を図ることが重要ではないかと認識をしております。

 また、子供の貧困問題を解決するには、そもそもの貧困の原因である所得の向上とともに、ライフステージに応じた子供の貧困への支援の充実を同時並行的に進めていく必要があると考えております。

 引き続き、これらの課題解決に向けまして、地元の自治体等と連携しながら、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

長友委員 大臣、ありがとうございます。

 子供の貧困の問題、一般的には、いわゆる相対的貧困、日本では七人に一人と言われていますけれども、沖縄では三人に一人というようなデータがあることは私も把握しておりますけれども。

 先ほど大臣も、支援の充実をしていかないといけない、所得向上に向けて様々な努力をしないといけないということでありましたけれども、現在、国としてどのように子供の貧困を解決するためのサポート、支援をしているかということにつきまして、具体的な施策について教えていただきたいと思います。

水野政府参考人 お答えいたします。

 子供の貧困問題につきましては、やはり、先ほど大臣が答弁申し上げましたように、そもそもの貧困の原因である県民所得の向上とともに、ライフステージに応じた子供の貧困への支援の充実を同時並行的に進めていく必要があると考えてございます。

 その子供の貧困への支援の充実に関しましては、これまで、沖縄県や県内市町村等とも連携し、沖縄独自の追加支援といたしまして、子供の貧困対策支援員の配置でございますとか、子供の居場所の設置の支援等を行う、沖縄子供の貧困緊急対策事業を実施してきたところでございまして、次年度、令和四年度におきましても、引き続き支援の継続及び充実を進めてまいりたいと考えてございます。

 いずれにせよ、引き続き、これらの課題解決に向けまして、地元自治体等と連携しながら、しっかり取り組んでまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

長友委員 ありがとうございます。

 私は、実は地元でフードバンクの理事長をしておりまして、地元の子供食堂等の支援もしているんですけれども、沖縄の方にも子供食堂が多いかと思います。

 今現在なんですけれども、どのくらいの数の子供食堂があるか、把握されていますでしょうか。

水野政府参考人 済みません、今手元にございます数字が、私どもの沖縄子供の貧困緊急対策事業で支援しているところの子供の居場所ということでございますが、これは、様々、最初から支援している従来型居場所であるとか、拠点型居場所、若年妊産婦の支援といった居場所も含めまして、今、合計で百五十五か所ということでございます。

 以上でございます。

長友委員 子供の居場所支援ということで百五十か所ぐらいということでしたが、私の手元の数字では、二〇二一年一月の時点ですけれども、沖縄県内には二百十八か所の子供食堂があるというふうに把握しております。

 私の宮崎と比較すると、北から南まで、宮崎は五十か所ほどあります。約四倍以上の子供食堂があるという、そのことがやはり事態の深刻さを物語っているということは分かるんですけれども、このコロナ禍で、全国の子供食堂は、今、活動ができないという状況を余儀なくされています。これまでは子供たちを集めて食事を提供できていましたけれども、今はなかなか子供たちに集まってもらうことができない。食の支援メニューが断続的になっていたりするんです。

 例えばなんですけれども、沖縄の子供の貧困の課題がここまで深刻であるという御認識があるのであれば、子供食堂はボランティアで基本は運営されていますので、そのスタッフの皆さんの運営を沖縄に関する予算で支援する、そのようにしていただけるといいのかなと私はフードバンクや子供食堂を支援している身で思うんですけれども、そのような計画等はあったりしますでしょうか。

水野政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申しました、私ども、子供の貧困対策緊急事業において支援している居場所においては、人件費とか、あるいは食事も出すんですけれども、そういった経費も補助の対象としてしっかり支援しているというところでございます。

長友委員 ありがとうございます。

 子供食堂を運営する団体に対して、人件費はなかなか実は全国的には出ないんです。沖縄の方ではしっかりとそこをカバーしてもらえているということであれば、引き続き続けていただきたいと思っております。

 次に、沖縄で、子育て中の女性の就業率が高くて、保育需要が高いと、私、沖縄の振興審議会がまとめられたこの報告書を読みまして、そちらにまとめられておりました。それによりますと、保育施設が必ずしも十分ではないために待機児童の数も多く、それから、就労を断念せざるを得ない世帯も多く見られる、沖縄の子育て包括支援センターの整備率も全国最低水準にとどまっているという分析がございました。

 女性が社会で活躍していただくためには、そしてまた更に所得を上げるためには、働いてもらうということで、子供たちを預かる保育施設をまず十分にし、そして待機児童をゼロにするということが、目の前で起きていることをできるということで、国としても行政としても政策ができるんじゃないかと思うんです。

 子育ての相談、悩みに対応する子育て世代包括支援センターを整備することが、県民所得を上げることにもつながると思います。国として、この課題を解決する施策というのは用意されていますでしょうか。

水野政府参考人 済みません、今御指摘のあったセンターの件につきましては、申し訳ないですけれども、厚生労働省の所管ということになると思っておりますので、今お話が出たことは、しっかり厚生労働省に伝えたいと思います。

 以上でございます。

長友委員 所管が違うとしても、目の前で起きている課題には皆さんで取り組んでいくことが肝要かと思いますので、是非よろしくお願いいたします。

 それから、次、沖縄の振興特別措置法の有効期限を十年延長しますけれども、そちらについて、所要の改正を行う中で、少し御質問させていただきたいと思います。

 所要の改正を行う中で、多様な人材育成のための教育の充実ということが明記されております。沖縄の教育の充実が必要との認識はどこから来ているのかにつきまして伺いたいと思います。

原政府参考人 お答えいたします。

 沖縄県の更なる発展の鍵となるのは、やはりそれを支える人材であろうというふうに認識をしています。社会情勢が変化していく中でも、各般の分野において、その変化に対応して沖縄振興に資する多彩な人材の育成が重要だというふうに考えています。

 一方で、県内の足下の状況を見てみますと、中学卒業後の進路が決まっていない者の割合でありますとか若年者の完全失業率などの数値は、全国と比較しても高いものとなっているという状況にございまして、人材の育成に関する対応がいまだ十分ではないという認識をしているところでございます。

 こうした状況を打開するという意味で、教育面からも対策を講じる必要があるというふうに考えまして、今回の改正法の中で、多彩な人材を育成するための教育の充実に関する条項を設けたいということでございます。

 引き続き、沖縄県や県内市町村とも、沖縄の振興に資する多様な人材を育成するために必要な教育に関する施策の充実に努めてまいりたいと思っています。

長友委員 ありがとうございます。

 もう一つ、同じく改正を行う中で、デジタル社会の形成がやはり明記されております。沖縄のデジタル社会の形成が必要という認識についても、どのような要因があるのか、伺いたいと思います。

原政府参考人 お答えをいたします。

 昨今、世界的なデジタル化の動きが加速をしております。我が国におきましても、デジタル社会の形成に関する施策を迅速かつ重点的に推進していく必要があるというふうに思っております。

 このような中で、沖縄におきましては、本土と比較をいたしまして中小企業のデジタル化に遅れが見られるなど、デジタル社会の形成に向けた取組の余地が大きいものと思っております。今後、新産業や次世代のビジネスにも適切に対応できる水準となるように、地域の実情や課題に応じたDXを官民挙げて推進することが急務であるということでございます。

 このため、デジタル社会の形成に関する施策の充実について、国及び地方公共団体の努力義務を設けることとしたものでございます。

 以上でございます。

長友委員 ありがとうございました。

 先ほど私は二つお聞きしました。沖縄の教育の充実が必要であるということと、沖縄のデジタル社会の形成についててこ入れが必要だということだと思います。

 私が知っている沖縄の離島が直面する課題につきまして、十五の春問題というものがあります。皆さんもお聞きになったことがあるかと思います。

 沖縄県内で高校があるところは本島と石垣島、宮古島、久米島の四島しかございませんので、各離島で生まれ育った子供たちが中学を卒業して高校に進学するときに、親元を離れて下宿する子も多いかと思います。

 そのような子供たちが、今まではスマホを持っていなかったけれども本島では持っている同級生たちが多い、そこでまずITリテラシーに差があるということを感じたり、新しい環境になじめず孤立したり、そういうことが、情報リテラシーの格差が原因で人間関係がうまく構築できなかったりすることがしばしばあるということを現地でもお聞きしたことがあります。

 島内に高校がないために、中学卒業と同時に沖縄本島で独り暮らしを始める子供も多い中で、そのような子供たちに対して国ができるサポート等がもしあれば教えていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

原政府参考人 御指摘の件につきましては、十五の春ということで、離島で高校のないお子様方のために那覇等々に寮がありまして、那覇には群星寮というものを一括交付金で造ったところでございます。

 その上で、今日御指摘いただいたような話につきましても、県、市町村と相談しながら、何かできるものがあるのか、ちょっとヒアリングしたりしてみたいと思っております。

長友委員 私が知っている事例だと、民間の携帯会社、例えばKDDIさんなんかが、スマート教材の開発、導入であったり、親子の携帯、スマホ教室等を島の子供たちに提供する、大学の先生等を含めて一緒にそういう取組もやって、沖縄の離島に住む子供たちの教育環境、情報リテラシーの向上に取り組んでいる事例もあったりしますので、国も是非力を入れていただきたいなと思っております。

 次の質問をさせていただきたいと思います。

 強い沖縄経済を実現することが必要と西銘大臣の所信の中にもありましたけれども、地元の沖縄県、強い沖縄経済を実現するために何に一番力強く取り組んでいくべきなのかということは、国としてはどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 昭和四十七年の沖縄の本土復帰以降、政府におきまして、社会資本整備や産業振興など、各種の振興策に取り組んできたところでございます。大臣からも御答弁がありましたとおり、県内総生産が拡大をしたり、沖縄経済は順調に発展をしてきたところでございます。

 他方で、県民所得が最下位でありますとか、引き続き課題があるわけで、岸田政権になりまして、強い沖縄経済を実現していくということを新たなテーマとしたところでございます。

 今回、沖縄振興特別措置法の延長等を行う法案を今国会に提出させていただいてございます。さらに、沖縄振興予算、あるいは税制上の措置、政策金融など、各般の政策手段も最大限に活用しながら、強い沖縄経済の実現に向けて取り組んでいくつもりでおります。

 現在、西銘大臣の下で、強い沖縄経済、テーマを一応絞りながら、分野も絞りながら、どういうところにどういうふうにやればいいのかということにつきまして検討している最中でございますので、その検討結果も見ながら、どういうことができるのか、県にどういうことを求めるのかということに関しても煮詰まっていくものと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

長友委員 ありがとうございます。

 こちらの沖縄の振興についての調査審議会結果報告の中に、沖縄の振興について、民間主導での経済の立ち上がりを期待するというような表現をかなり見受けます。政府が期待する民間主導の例えば事例というのはどういうことを指しているのか、教えていただけますでしょうか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 端的に申しますと、これまで、沖縄の振興策というのは、財政の支出であったり公共投資であったり、あるいは税制優遇であったりということで、官の方のウェートの高いことがずっとあったということだろうと思っておりますけれども、やはり、民間企業の活力といいますか、そういうものをもっと沖縄県の方でも発揮していただくなり、あるいは、外側から資本が来ていただいて沖縄経済が発展するであるとか、そういうことにだんだんシフトしていかないといけないのであろうということを示しているものでございます。

長友委員 大臣、先ほどちょっと手を挙げていただきましたけれども、大臣の考える沖縄の力強い経済の実現について、一言お伺いしたいと思います。よろしいでしょうか。

西銘国務大臣 岸田総理の所信表明で、強い沖縄経済というお言葉が使われました。それを受けて、今、私の方で、今年の五月をめどに提言の形で取りまとめようかと思っております。

 私自身は、かねてから、沖縄の人口規模を見ますと百四十五万に来ている、九州で佐賀県、大分県の人口よりも多くなっているんですが、農業、漁業の、農業の生産高が一千億で止まっている、一次産業のところをもう少し伸ばす余地があるんじゃないか、その辺を伸ばしていくことによって食品加工が生まれたり強い経済にも貢献できる点があるんじゃないか。

 分野は観光とかITとか農林漁業、幾つかの分野を考えておりますけれども、強い沖縄経済という言葉の定義も含めて、所得を上げていく、あるいは農業生産高を高めていく、この辺のところを今イメージしながらヒアリングを進めているところであります。五月中にまとめていきたいと思っています。

長友委員 大臣、ありがとうございます。

 五月中にまとめていただけるということで、是非私も精読したいと思います。

 同じ九州の仲間として、沖縄の振興をしっかりと、私も沖縄のために全力で取り組んでいきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

阿部委員長 次に、赤嶺政賢さん。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 今日は、西銘大臣を中心に、そして外務大臣にも一問用意しておりますが、どうぞよろしくお願いをいたします。

 今年は、沖縄が本土に復帰してから五十年になります。半世紀がたとうとする今なお広大な米軍基地が存在し、沖縄の政治、経済、社会に大きな影響を与えています。

 大臣は、一日の本委員会の所信表明で、子供の貧困を解決すべき課題の一つとして取り上げられました。

 まず、大臣の基本的な認識を伺いますが、沖縄戦では県民の四人に一人と言われる多くの命が失われ、親を失い孤児となった子供たち、行き場を失った子供たちが町にあふれました。その光景は西銘大臣も覚えていらっしゃるだろうと思います。その後、二十七年に及ぶ米軍の統治下に置かれ、沖縄には日本国憲法や憲法の理念に基づく法律が適用されませんでした。また、仕事もままならない状況で、当時の琉球政府の税収も伸びず、社会福祉施策は後回しにされてきた経過があります。

 こうした背景が復帰後の社会福祉施策の立ち遅れとなり、今日の子供の貧困につながっていると思いますが、大臣は、この問題の背景、どのように認識しておられますか。

西銘国務大臣 赤嶺委員も、私も昭和二十九年の生まれ、先輩が二十二年のお生まれで、戦後の一九五〇年代、六〇年代の生活は肌身で感じていることと思います。

 確かに、復帰の前は社会福祉の面で、児童福祉など、子供の保育所を見ておりますと、認可外の保育所と認可の保育所で預かっている子供の数がおおよそ三万人ぐらいで同数であったり、子供一人当たりに対する税金額を見ると、認可外の親からは、同じ子供で将来は税金も負担していくのになぜそういう、認可外と認可の現状に対する不満等も聞いている者の一人でございます。

 沖縄において子供の貧困の実態が全国と比較して深刻な状況にある背景としては、やはり一人当たりの県民所得が低いこと、あるいは母子家庭の出現率が高いことに加えて、個々の家庭の状況など、様々な要因があるものと考えております。一概に申し上げることは難しいかと思っております。

 いずれにしましても、内閣府としましては、この沖縄の子供の貧困の連鎖を断つため、県や市町村等とも連携しながら、沖縄独自の追加支援として、子供の貧困対策支援員の配置や子供の居場所の設置等の支援等を行いながら、私も首里の方の子供の居場所の現場を見させていただきましたが、沖縄子供の貧困緊急対策事業を行ってきたところであり、今後も支援の継続及び充実に努めてまいりたいと考えております。

赤嶺委員 私は、沖縄県民の所得の低さや母子世帯が多いことなどの、その歴史的な背景の認識を聞いたんですが、そこは西銘大臣触れられずに、様々あるというおっしゃり方をしておりました。

 やはり、そういう今の、今日の沖縄が置かれている歴史的背景というものをきちんと認識しないで、様々なことがあるだろうという程度の認識では、沖縄の問題に本格的に力を込めて取り組むことはできないと思います。誰が考えた答弁か分かりませんけれども、様々あるんじゃないですよ。

 大臣、身にしみて分かるんじゃないですか。沖縄の背負ってきた沖縄戦や戦後の歴史、そういうものが今日の貧困につながっている、この認識はお持ちでしょう。

西銘国務大臣 様々な要因がある中で、赤嶺委員御指摘の終戦後の、一九四五年に、戦後、終わって、四〇年代の後半から、私は五四年の生まれですけれども、その思いは肌身で感じております。それもベースとしてあるであろうということは理解をしております。

 様々な要因がある中で、内閣府としましては、全力で子供の貧困対策に取り組んでいかなければならないと考えております。

赤嶺委員 あくまでも、何か、様々な要因という言葉にとらわれていますけれども、西銘大臣が体験してきたその歴史的体験が、沖縄の貧困の大本の要因であります。様々な要因の一つではありません。

 復帰に当たって、当時の琉球政府が県民の要求をまとめた、復帰措置に関する建議書、屋良建議書には、県民福祉の向上についての記述があります。社会福祉施設の絶対数は著しく不足しており、その整備は緊急かつ重要であるため、これまでの空白を早急に埋めるよう特段の配慮を要請するとして、財政上の措置を要求しています。

 本土では、一九四七年に児童福祉法が制定をされ、児童福祉施設の建設が全国に広がりました。さらに、一九四九年には、衆議院の本会議で、「授産所、母子寮及び保育所を増設すること」という文言が盛り込まれた国会決議が可決され、一九四七年に二百十二か所だった母子寮、母子生活支援施設は、一九五五年代には六百五十か所となりました。その当時、沖縄は国政参加の権利を持ちませんでした。一方で、沖縄県において母子生活支援施設ができ上がったのは、復帰後の、一九七二年の後です。

 こうした歴史的背景、これが今の子供の貧困につながっている、そういうことは西銘大臣も同意できると思いますが、いかがですか。

西銘国務大臣 正確なデータは持ち合わせておりませんけれども、県議の頃から、国会になって政治活動する中で、保育園について、認可園と認可外の保育園、私自身の子供たちも認可外に預けたことがありますが、沖縄振興調査会、政府に入る前に党の調査会で認可外の保育園等を視察してみますと、確かに、狭い場所に多くの子供たちを預かっている認可外の施設を見ると、復帰前の、終戦直後からの影響もあって認可外ができていってというような事例を見ておりますと、全てその原因にあるかどうかは別にしまして、大きな要因の中の一つにも入ってくるであろうというぐらいの認識は、戦後生まれてきた者としては、私自身も持っているものであります。

 それにしましても、内閣府としましては、認可外の認可化への移行を含めて、子供の貧困の対策についてはしっかり取り組んでいかなければいけないということを強く認識をしております。

赤嶺委員 同じ地域社会を背景に歩んできた者同士であります。私の意見は決して西銘大臣の認識と大きく違うことを言っているんじゃない、そういうことを申し上げておきたいと思います。

 今も出ておりましたが、沖縄県の若年妊娠率は全国平均の二倍であり、また、母子世帯なども、子供がいる大人が一人の世帯、一人親世帯の貧困率は五八・九%です。こうした背景もあって、昨年沖縄県で、民間団体による、若年出産や居場所のないシングルマザーを保護するシェルターが開設をされております。

 こうした施設を開設したお一人、山内優子さんという方がいらっしゃいます。ちょうど十年前の沖振法の審議のときに沖縄から参考人として当委員会に来ていただいた方でありますが、その方も、施設開所の動機について、過去に出会った若年出産の女性の周りには、出産への不安を親身になって寄り添ってくれる人がいなかった、未婚や若年で子供を産む女性のための施設が欲しいとつくづく思ってきた、このようにおっしゃっておりました。また、琉球大学の上間陽子教授、最近いろいろな出版で、本屋の店員の賞もいただいている方ですが、上間教授なども若年出産のためのシェルターの開設をされました。

 こうした民間団体の運営は寄附が中心なんですね。企業からの寄附だとか、本当に、お金を集めるために必死になっている。二十四時間体制で母子を支援しているわけです。

 政府は、こうした県民の受皿、命の受皿になっている民間団体への助成制度、これをつくるべきだと思いますが、内閣府が特にそういうところに力を入れるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

西銘国務大臣 かつて県知事の秘書をしている頃、あるいは県議会で活動している頃から、今、赤嶺委員御指摘の山内優子さん、児童相談所等々、児童福祉に関するお話をしていたことを思い出しながら、お話を聞いておりました。

 若年妊産婦に対する支援につきましては、沖縄子供の貧困緊急対策事業において、若年妊産婦の居場所の設置などを通じ取り組んでおり、これによるニーズの掘り起こしなどを契機として、沖縄県において取組が広がっていることはすばらしいことであると認識をしております。

 今年度から新たに開所した若年出産のシェルターとしては、赤嶺委員御指摘の「おにわ」のほかにも「まりやハウス 風のいえ」もあると認識をしております。寄附金を募って、あるいはクラウドファンディング等々で運営している話等を聞いておりますが、内閣府の担当者が琉大の上間教授と意見交換を行ったり、昨年の十月には、「まりやハウス 風のいえ」を訪問して視察をし、運営者と意見交換等を行っているということを聞いております。

 これらの運営者の御希望としましては、二年ほど運営実績をつくってから、母子生活支援施設として運営補助をもらうことを希望しているとお聞きしております。

 引き続き、これらの運営者の方々と意見交換をしながら、沖縄県と連携して、必要な支援等をしっかり考えてまいりたいと思っております。

赤嶺委員 二年後というのは、今支援している企業の支援があと二年間という意味でしょうけれども。

 このシェルターの問題というのは、沖縄の子供の貧困問題の本当に中核的な、核心的な課題であります。もっと本腰を入れて、西銘大臣の時代にやはりシェルターも充実をしていったということが言われるようになれば、かつて西銘大臣のお父さんの下で働いていた山内優子さんも大変喜ばれるだろうと思いますから、ここは是非決意して頑張っていただきたい。

 シェルターにも力を入れると一言おっしゃってください。

西銘国務大臣 担当者が現場を視察したという報告を受けておりますが、まだ私自身が現場を見ておりませんので、現場を見ることも含めて、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

赤嶺委員 現場を見にいらっしゃるときは、政府から来たぞという雰囲気を出さないで、山内さんや上間教授の御苦労に敬意を表して、そして見ていただきたいと思いますよね。

 著書もたくさんあります。この著書は、本当に、涙ながらに、沖縄の少女たちが置かれている現状について、県民の心を揺さぶっていますので、是非、御苦労をかけました、政府ができることは何かありませんでしょうかと御用聞きの態度で行くべきだと委員会で指摘されたという姿勢で臨んでいただきたいと思います。

 現場には行かれるということですよね。(西銘国務大臣「行きたいと思っております」と呼ぶ)答弁で言ってくれますか。

西銘国務大臣 赤嶺委員のお話を聞くと、公務で行くよりも政務で一人で行けという方に聞こえますが、いずれにしましても、やはり現場を見るというのは基本だと思っておりますので、しっかり対応していきたいと思っております。

赤嶺委員 私が申し上げたいのは、政務でなくても公務でなくても、難しいことは言いませんよ、ちゃんとシェルターに対する政府の姿勢が伝わるように、そういう立場で臨んでいただきたいと思います。

 子供の貧困対策事業というのにもう一つ大事なのが、私は、放課後児童クラブだと、沖縄では思っております。

 実は、内閣府の居場所づくりの支援員、これは私の家族も、教職を退職して仲間を集めていろいろ協力してやっている事業ですが、やはり放課後児童クラブの充実は必要だということを強く言われます。

 沖縄県における放課後児童クラブは、民設民営が約九割です。全国は二割以下で、大きな差があります。民設民営の場合、家賃、つまり賃借料がかかるため、公設が多い他県と比べて利用料が高くなっている。保護者の大きな負担となっています。

 今、沖縄県は公的施設を活用した児童クラブの整備を進めていますが、こうした沖縄県の取組と連携して支援を拡充していくべきだと思いますが、この点、いかがですか。

西銘国務大臣 沖縄県の放課後児童クラブにおける平均月額の利用料につきましては、沖縄県の調査によりますと、令和二年度において九千二百三十九円となっております。

 一方で、厚生労働省の令和三年の調査によりますと、全国の放課後児童クラブにおける平均月額利用料につきましては、四千円以上六千円未満が全体の二七・四%と一番多く、次に六千円以上八千円未満が全体の二一・二%となっております。沖縄県の平均月額利用料を超える一万円以上については、全体の一四・九%となっております。

 これらを踏まえますと、沖縄県の放課後児童クラブにおける平均月額利用料につきましては、比較的高いものと認識をしております。

 沖縄県では、低所得世帯の児童を対象にした放課後児童クラブの利用料軽減に取り組む市町村への補助事業を実施をしております。

 引き続き、沖縄県と連携をしながら、放課後児童クラブを利用する際の負担軽減に努めてまいりたいと考えております。

赤嶺委員 沖縄県もいろいろ苦労しながら保育料の低減に取り組んでいるわけです。だから、協力しながらというのは非常に大きなポイントになると思います。

 厚労省が新しい事業を始めているわけですが、二〇一五年度以降に新設された放課後児童クラブについては賃借料の補助を行っています。これは、沖縄も本土も同様の制度です。ただ、二〇一四年度以前からある既存の放課後児童クラブについては対象外になっているんですね、厚労省の制度として。

 沖縄の事情を考慮した場合に、二〇一四年度以前からある既存の放課後児童クラブについても賃借料の補助ができるように、新たな仕組み、これを政府内でも是非検討していただきたいのですが、内閣府が新設するのか、厚労省の制度の中でその仕組みを入れていくのか。この点も、西銘大臣も事情、現場、県議の時代は無認可保育所の問題、確かに大きな問題でした。今、放課後児童クラブ、これも、やはり保育料が高いと、放課後の一人親家庭、留守家庭の子供たちの支援というのがどうしても中途半端になってしまいます。

 その二〇一四年以前に父母が力を合わせてつくった学童クラブの家賃にも家賃補助が出るような制度と仕組み、西銘大臣、是非考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

阿部委員長 お時間ですので簡略にお願いいたします。

西銘国務大臣 関係省庁とも連携しながら、しっかり相談してまいりたいと思います。

赤嶺委員 時間ですという注意を受けました。

 外務大臣、大変申し訳ありません。また来週も、何か外務大臣が要求ベースで出席なさるという具合に伺っていますので、そのときのお楽しみに取っておきたいと思います。

 ありがとうございました。

阿部委員長 外務大臣は御退席いただいて結構でございます。

     ――――◇―――――

阿部委員長 次に、本日付託となりました内閣提出、沖縄振興特別措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。西銘沖縄及び北方対策担当大臣。

    ―――――――――――――

 沖縄振興特別措置法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

西銘国務大臣 沖縄振興特別措置法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。

 本年五月十五日、沖縄が本土に復帰してから五十年を迎えます。沖縄の振興については、これまで様々な振興策を講じてきた結果、県民の皆様の懸命な努力もあり、着実に成果を上げてきました。しかしながら、いまだ低い一人当たり県民所得や、深刻な子供の貧困など、依然として様々な課題を抱えています。このような状況に鑑み、沖縄の一層の振興を図っていくため、沖縄振興特別措置法等の有効期限を延長するとともに、特区・地域制度をより効果的かつ計画的なものとする等の措置を講ずる必要があることから、本法律案を提案した次第であります。

 次に、本法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、沖縄振興特別措置法について、法の有効期限を令和十四年三月三十一日まで延長するとともに、更なる産業振興のため、特区・地域制度において、事業者が作成する観光地形成促進措置実施計画等の沖縄県知事による認定制度を導入することとし、課税の特例のほか、中小企業信用保険法等の特例を設けることとしております。

 加えて、沖縄振興の充実を図るため、北部地域や離島の振興、子供の貧困対策、多様な人材を育成するための教育、脱炭素社会の実現、デジタル社会の形成等に関し、国及び地方公共団体の努力義務規定を創設する等の所要の措置を講ずることとしております。

 また、時代の変化に迅速に対応できるよう、この法律の施行後五年以内に改正後の沖縄振興特別措置法の施行状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の見直しを行うこととしております。

 第二に、沖縄県における駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用の推進に関する特別措置法について、法の有効期限を令和十四年三月三十一日まで延長するとともに、拠点返還地の指定制度について、駐留軍用地が段階的にアメリカ合衆国から返還される場合の指定要件を緩和する措置を講ずることとしております。

 第三に、沖縄振興開発金融公庫について、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律に規定する株式会社日本政策金融公庫への統合時期を十年間延長するとともに、沖縄振興開発金融公庫法及び沖縄振興特別措置法に規定する出融資の範囲を拡大することとしております。

 第四に、沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律について、沖縄県産酒類に係る酒税の軽減措置を、単式蒸留焼酎については令和十四年五月十四日まで、単式蒸留焼酎を除く酒類については令和八年九月三十日まで延長し、段階的に縮減しつつ廃止することとしております。

 このほか、沖縄科学技術大学院大学学園法の施行の状況について国が検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる時期をおおむね五年ごととすることとしております。

 その他、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、本法律案の提案理由及び概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますよう、お願い申し上げます。

阿部委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る七日月曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二十九分散会


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