衆議院

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第4号 令和4年3月7日(月曜日)

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令和四年三月七日(月曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 阿部 知子君

   理事 秋葉 賢也君 理事 國場幸之助君

   理事 鈴木 隼人君 理事 堀井  学君

   理事 石川 香織君 理事 大島  敦君

   理事 杉本 和巳君 理事 稲津  久君

      東  国幹君    井野 俊郎君

      伊東 良孝君    小渕 優子君

      尾身 朝子君    島尻安伊子君

      高木 宏壽君    武井 俊輔君

      宮崎 政久君    山口  晋君

      新垣 邦男君    山岸 一生君

      吉田 豊史君    金城 泰邦君

      長友 慎治君    赤嶺 政賢君

    …………………………………

   外務大臣         林  芳正君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 西銘恒三郎君

   厚生労働大臣政務官    島村  大君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  青柳  肇君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   原  宏彰君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  水野  敦君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           黒田 昌義君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 金井 正彰君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官)     田中佐智子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           本多 則惠君

   政府参考人

   (農林水産省農産局農産政策部長)         松本  平君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 大和 太郎君

   衆議院調査局第一特別調査室長           菅野  亨君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 沖縄振興特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)


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     ――――◇―――――

阿部委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、沖縄振興特別措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官青柳肇さん、内閣府政策統括官原宏彰さん、内閣府沖縄振興局長水野敦さん、内閣府地方創生推進室次長黒田昌義さん、外務省大臣官房参事官金井正彰さん、厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官田中佐智子さん、厚生労働省大臣官房審議官本多則惠さん、農林水産省農産局農産政策部長松本平さん、防衛省防衛政策局次長大和太郎さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

阿部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

阿部委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。杉本和巳さん。

杉本委員 日本維新の会の杉本和巳です。

 大臣お二方は、今、参議院の方の予算委員会集中審議があって、その合間で我々は質疑をさせていただくということで、時間厳守を徹底したいと私自身も思っています。よろしくお願いいたします。

 ロシアのウクライナ侵略が続き、緊張の度は欧州全体にわたり、また極東の我々のところにももう響き渡ってきている感じではありますけれども、この沖縄北方委員会、一つだけ北方領土のことをお話ししておきたいんです。

 山本一太元大臣が、私が質疑で是非現地を訪問して見ていただきたいというお話をさせていただいたら実行してくださった、私が記憶に残っている唯一の大臣でいらっしゃいます。今この状況下で、行ける、行けないということでいくと大変難しいと思いますが、私の提案としては、ちょっとつかぬ話になりますけれども、西銘大臣は、あるいは林大臣は、知床半島の羅臼岳に登られたことはございますでしょうか。上り五時間、下り四時間、九時間ぐらいかかります。最後は岩場で、結構怖いです。ただ、頂上に登って、天候がよければ眼下に国後島が大きく見えます。

 そんな意味で、根室に行っていただくことも大事なんですけれども、是非、機会があれば羅臼岳に登っていただいて、国後島がいかに近くにある、しかし、我々の固有の領土なんだけれども、今は行くことすらおもんばからなければならない状況下にあるということでございますので、是非、機会を見て、お体の健康もあると思いますけれども、羅臼岳にアタックしていただきたいというふうにお願いしておきます。

 さて、最初に外務大臣に関連する質問をして、その後、もう大臣、多分連絡とか、いろいろあれば離席いただいて結構でございますので、御答弁が終わられたらそのようにお願いしたいと思います。

 先般、自衛官、自衛隊員の捕虜の問題について一度質問して、更なる質問ということになるわけでありますけれども。

 まず、お伺いしなきゃいけないなと思っているのが、いわゆる平和安全法制と言われていたかと思いますが、重要影響事態だとか存立危機事態だとか武力攻撃事態、こういう言葉が我々の認識の中にあります。その区分けのところというのは実はかなり難しいというふうに思いまして、実際は継ぎ目なくその事態が動いていってしまうというのが現実かなというふうに思っておりますけれども、これは、政府参考人から御答弁を伺って、それで御認識がいいかどうか、外務大臣に確認をしたいと思いますけれども、そもそもこの事態の区分け、認定、判断、こういったものは一体どこで誰がどう行うのかということを明確にしておきたいなというふうに思っております。

 そんな意味で、多分閣議決定というふうにも伺っておるんですけれども、そのことを国会の場で確認させていただきたいと思います。

 政府参考人、お願いできればと思います。

青柳政府参考人 お尋ねについては、重要影響事態、存立危機事態、武力攻撃事態、このことかなと考えておりますので、それについてお答えいたしたいと思います。

 まず、ある事態が重要影響事態であると判断され、重要影響事態安全確保法に基づき特定の対応措置を実施する必要があると認められる場合には、同法第四条等に基づき、発生した事態が我が国の平和及び安全に与える影響等が明記された基本計画を国家安全保障会議の審議を経て閣議決定することとされております。さらに、その後、基本計画の内容を遅滞なく国会に報告するとともに、自衛隊の部隊等による後方支援活動等の対応措置の実施について国会の承認を求めることとされております。

 また、存立危機事態及び武力攻撃事態に至った場合には、事態対処法第九条等に基づきまして、事態の認定等が明記された対処基本方針を国家安全保障会議の審議を経て閣議決定することとされております。さらに、その後、これにつきまして、直ちに国会の承認を求めることとされております。

 そして、その事態が重要影響事態、存立危機事態又は武力攻撃事態に該当するか否かの判断につきましては、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、政府が全ての情報を総合して客観的、合理的に行うことになります。

杉本委員 ありがとうございます。この場をかりてというか、大事な場で確認させていただいていますが、NSCを経て閣議決定され、そして、追って国会承認という流れが、どちらの、重要影響事態においても、存立危機事態、武力攻撃事態という、まあ、それは一くくりになっていましたけれども、そういう流れを踏むということを確認させていただきましたが、これはちょっと、机上の話合いだけではなくて、もう我々は危機が迫っているぐらいの感覚を持っていなきゃいけないと思いますので、こういう状況下に外務大臣はあられるという御認識を含めて、今の青柳内閣官房審議官、内閣の審議官の御答弁を確認ということ、それでよろしいかどうか、ちょっと一言だけいただければと思います。

林国務大臣 今のお尋ねにつきましては、先ほど政府参考人から答弁があったとおりであるというふうに考えております。

杉本委員 ありがとうございます。

 次の質問をさせていただきますけれども、まあ、これも、ちょっと先般御答弁いただいて、結構踏み込んで御答弁いただいたかなとも認識しているんですが、改めて、自衛官、崇高な任務に当たる自衛官が拘束された場合、捕虜として扱われるかについて、重要影響事態という今の解釈の場合、後方活動をする場合には捕虜とはならず、存立危機事態では捕虜として扱われるということなんですけれども、このこと自体、やはり私の見解としては、適切ではないのではないか、そういう区分けがあっていいのかと。

 後方支援であっても、これは、さきの質疑でも申し上げましたが、くどいですけれども、ドイツや韓国のように解釈して、拘束された場合には紛争当事国の一員として捕虜として扱われるべきではないかというふうに改めて感じているのを重ねてお伺いしたいんですが、大臣、いかがでしょうか。

林国務大臣 それぞれの事態の場合について、ジュネーブ諸条約上の捕虜となるかどうかというのは、前回お答えしたところでございます。

 他国の事情についてお答えすることは差し控えたいと思いますが、万が一、後方支援を行っている自衛隊員が外国等に不法に身柄を拘束された場合、政府として、当該自衛隊員の即時解放、これは強く求めることになると考えております。

 また、その身柄が解放されるまでの間は、少なくとも、普遍的に認められている人権に関する基準並びに国際人道法の原則及び精神に従って取り扱われるべきことは当然だというふうに考えておりまして、捕虜として扱わなければ人道的な取扱いが保障されないというふうには考えておらないところでございます。

杉本委員 なかなか、解釈を変えるというのは相当難しいし、日本の憲法であり、そういった法体系の中でぎりぎりの御答弁なのかと思いますけれども、やはり、事ここに至って、本当に現実的な考え方を、まあ、非核三原則の議論も始まっていますが、始めちゃいけないという党首さんもいらっしゃいますけれども。

 午前中の質疑でも、岸田総理からは当時の岡田外務大臣の御答弁の話があったりして、また次、外務委員会でも、私、ちょっとそこのことを確認したいなと思っておったところなんですけれども。

 もう一度だけ、くどいんですけれども、確認しますけれども、先般、林大臣は、我が国は基本的にはジュネーブ諸条約上の紛争当事国になっていると考えられた場合、こうした状況で敵の権力内に陥った場合は、自衛隊員はジュネーブ諸条約上の捕虜として取り扱われることとなると考えておりますという御答弁をいただきました。ここは結構大事な確認ができたかなというふうに思っています。

 重ねて、これは政府参考人からまたいただきたいんですが、どうしても私の認識は、重要影響事態といわゆる存立危機事態の区分けというのが一瞬にして変わるというふうに思っていますので、それでもこの解釈というのは変わらないのかどうかを改めて、くどいんですが、政府参考人から御答弁お願いします。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 重要影響事態とは、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態であります。憲法上、自衛隊が自衛権の行使として武力を行使できるのは、武力行使の三要件を満たす場合に限られておりまして、重要影響事態法に基づいて行われる後方支援活動等は我が国の自衛権の行使としての武力行使には当たらず、この旨は重要影響事態法第二条第二項に明確に規定されているところであります。

 したがって、重要影響事態法の下での後方支援活動等を自衛権の行使として解釈することはできないということでございます。

杉本委員 私の思いとしては、今、国会が始まった段階で、抑止力、対処力の向上というお言葉がよくあるので、この対処力を本当に向上させるには、自衛隊員、自衛官が曖昧な状況下のまま職務に精励するというこのグレーゾーンをできるだけないような形で、我々は物事を決めていかなければならないということだけ訴えさせていただきたいと思います。

 以上で外務大臣への質問は、あと、連絡等あればということで離席いただいて結構なんですが、委員長、お任せします。あとは西銘大臣ほか政府参考人とさせていただきます。

阿部委員長 はい。では、短時間離席をしていただいても結構です。お疲れさまです。

杉本委員 それでは、西銘大臣に、この法案審査のということでお伺いしていきたいと思います。

 ちょっと順番変わって、そもそも論、六番目というふうに私が書いた、沖縄振興一括交付金の減額がなされていっている理由をやはり確認しておきたいなということで。もっと長い意味できちっと沖縄の振興というのは考えていくべきではないかなというふうに私は感じている中で、実額的に減っていっている。沖縄県側は一貫した増額要請をしていますけれども、平成二十六年、二〇一四年以来減額が続き、令和四年度の予算案は前年比二百十九億減の七百六十二億という見通しであるということでございます。

 この理由、政府の公式の御見解を確認しておきたいし、それは、沖縄が、例えば税収増の見通しがあるのか、もっと、抽象的だけれども、沖縄の自主性尊重のためなんだとか、いろいろあるかと思うんですが、振興策なのに減っていっちゃうというのがやはり、いや、減らしていって不交付団体になればいいんですけれども、その辺り、どんなお考えの下にこのお金が減っていっているのかをまず確認させてください。

西銘国務大臣 杉本委員にお答えいたします。

 一括交付金は、沖縄の振興に資する事業に広く活用されてきております。今後も様々な政策課題に沖縄が主体的に対応していく必要があること、また、沖縄県を始めとする地元の自治体や地元の経済界などの関係者からの要望も強くありました。

 このようなことから、令和四年度政府予算案においても一括交付金制度を継続させることといたしまして、七百六十二億円を計上したところであります。具体的な予算額の内訳につきましては、ソフト交付金は三百九十四億円、ハード交付金は三百六十八億円となっております。

 一括交付金は厳密な積み上げになじむものではありませんが、市町村が今年度と同水準の事業を引き続き実施できるようにするため、市町村の分といたしまして、今年度、令和三年度に市町村へ配分された額と同額を確保した上で、その上で、県分についても同額を確保したものであります。

 地元の市町村からの一括交付金に対する強い要望はヒアリング等でも強く感じておりましたので、当初示された予算額の中でかなり減額をしていたものですから、令和三年度と同額の一括交付金を市町村分で確保するということから始まりまして、その同額を県の分まで確保したというところであります。

杉本委員 御答弁は分かりました。

 では次に、順次質問をしていきたいと思いますが、いわゆるこの沖縄振興策に出口はあるのかということでございまして、出口論というか、その超長期のロードマップみたいなのを作っておく必要があるんじゃないかということで、総理が策定した沖縄振興基本方針というのがありますし、もう本土復帰五十年にも当たる年でもある。

 十年ごとの見直し、点検、延長をこうやって繰り返してきたわけでございますが、私ども維新は大阪がかなり強い政党でありますが、ほかの地域も頑張ろうと思っているんですが、大阪は不交付団体に向けて頑張るぞというようなことを、うちの代表が、市長でもありますけれども、申し上げさせていただいたりしているという中で、現実は、いろいろ目先のことを考えると、そんなこと、何夢物語を言っているんだみたいなことを言われても仕方ないんですが、やはり目標を持つことによって、この振興策といったものもいずれは要らなくなるような絵を描いていく必要があると思います。

 いつ頃をめどに、県民所得増、税収増、地方交付税不交付団体への卒業証書授与、こういった長期計画を立案、実施していく必要性を私は強く感じていますけれども、この辺りで大臣の本音のところ、いや、杉本君、そうはいっても、君、地元のことをよく分かっておらぬぞということがあればまたそう言っていただきたいですが、そういった方向感を持つことが大事と思いますが、いかがでしょうか。

西銘国務大臣 杉本委員御指摘のように、沖縄振興特別措置法は時限立法であります。十年の期間内に、法の目的である沖縄の自立的発展や豊かな住民生活の実現を目指すため、期間を区切って高い水準の特別措置を集中的に講ずることとしております。

 法の期間を超えた長期の計画を策定し取組を実施していくことは、こうした沖縄振興特別措置法を時限立法としている考え方とは必ずしも相入れないと考えております。まずは十年の期間内に法の目的を達成できるように、様々な施策を着実に進めてまいりたいと思います。

 杉本委員が今御指摘になられた地方交付税不交付団体への卒業というのは、率直に、お聞きしまして、今時点でかなりハードルが高いなと。県内の市町村、かなり大分前ですけれども、石油備蓄基地のある市町村でかつて不交付団体の市町村が数少なくあったことは記憶しておりますが、今の時点ではかなりハードルが高いというふうに認識をしております。

杉本委員 ハードルが高いぞというお言葉、率直なところをいただいてありがたく存じます。

 しかし、目標を持っていれば、あるいはこのリモートワークの時代であったり、あるいは東京の人口が流出の方が増えてきたとかいうような流れがある中で、若い方々が沖縄の離島に住んで元気出すぞみたいなことというのはあり得る。我々は、すごい変化を、ロシアの件じゃありませんけれども、何が起きるか分からない時代なので、いい意味での変化というのも当然期待できると思うので、そういった長い目での目標というものを持っていただくことを是非お願い申し上げたく存じます。

 次に、似たような文を聞くところになるかもしれないですが、強い沖縄経済の実現に向けた具体的戦略について伺います。

 西銘大臣が今年の五月をめどに取りまとめると公表した、強い沖縄経済の実現に向けた具体的戦略について、沖縄振興基本方針との関係と位置づけ、目標期間といったものを、これについては確認しておきたいんですけれども。

 内容は、四つの重点分野、観光・リゾート、農水産業・加工品、IT関連産業、科学技術・産学連携。それぞれに、DX・デジタル化、競争力強化、教育・人材育成の三テーマに分けて、アイデア募集が三月末、二月八日から始まっているというようでございますけれども、これらの重点分野に絞ってしまっていいのか。

 例えば、策として、京都の文化庁だったかがありましたけれども、政府機関を沖縄に誘致するとか、そういうこともあっていいんではないかなというふうに感じていますが、そういったような検討はなされていないのかどうか、この点も含めて御回答いただければと思います。

西銘国務大臣 岸田総理が、昨年の所信表明演説あるいは新年の施政方針演説で、強い沖縄経済という言葉を使われました。

 その言葉を受けて、取組を進める旨を表明されたことも踏まえて、内閣府では、昨年十二月に、強い沖縄経済の実現に向けた諸方策をまとめた政策パッケージを取りまとめたところであります。このパッケージにおきましては、法制上、あるいは予算、税制上、あるいは政策金融など、それぞれの政策手段を最大限に活用しながら、強い沖縄経済の実現に向けて取り組むこととしております。

 法律の中に出てくる基本方針や振興計画とは別にしまして、私は、五月までに取りまとめという意味は、どちらかといいますと、来年度の予算編成に向けた、骨太の方針等も出てまいりますので、その辺のところで、強い沖縄経済という言葉が意味するところを、定義も踏まえて、重点分野に絞りまして、今ヒアリング等を行っているところでございます。

 委員御指摘の目標期間を設定するかを含めて、具体的な戦略をどのような形で取りまとめるかについては現時点では未定でありますが、今後、ヒアリングをしたり内容の具体化を図っていく段階で、五月をめどに取りまとめをしまして、骨太方針、概算要求に向かって、この強い沖縄経済のパッケージが生かされてくるものだと思っております。

 なお、基本方針につきましては、沖振法に基づきまして、今後十か年をめどとして達成されることを内容とした、全般にわたる内容を定めるものであります。この点が、強い沖縄経済の、四つの重点検討分野を中心により具体的な方策を国として取りまとめる、具体的な戦略と異なる点であります。

 また、アイデアの募集につきましても、重点検討分野四分野を中心に募集をしておりますが、それ以外でも、強い沖縄経済の実現に資するものであれば、応募いただくことは可能としております。

 いずれにしましても、強い沖縄経済、五月をめどに取りまとめをして、来年度の予算要求へというイメージで取り組んでおります。

杉本委員 リーダーシップを期待しています。目標設定だとか、あるいは首都機能分散というか、やはり、本当に観光庁が沖縄にひとつ行ってもいいんじゃないか、観光分野とか、そんなことを感じますので、そんな御提案もいただければありがたく存じます。

 もう時間がなくなってしまうと思いますので一方的に申し上げますが、離島振興ですね。

 これは南大東に行ったときに地元の方々がおっしゃっていたんですけれども、建築部材が非常に高い、持ち込むのに大変お金がかかって、家一軒建てたりするのは大変なんだよと。一方でリモートワークだ何だという世の中に変わりつつある中で、何か、旅館業に対しての補助みたいなのはありますけれども、若いカップルが離島に住もうというときに、もうちょっと住みやすい、住宅のコストとか、そういったものを考えていく必要があるので、そういった分野のサポートも是非大臣にはお考えいただきたいとお願いしまして、定刻を守るという意味の定刻を守って、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

阿部委員長 次に、赤嶺政賢さん。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 外務大臣は参議院にも呼ばれているということでありますので、外務大臣に最初に伺います。

 米軍が、二月に那覇軍港で、オスプレイなどの軍用機も投入した軍事訓練を行いました。先週三日の質疑で、浦添への移設後に航空機の運用が行われるかどうかについて、外務大臣は、予断を持って答えるのは差し控えるとしながら、現在の軍港の機能維持を目的としていると述べました。

 現在の機能の維持を前提としているのであれば、今後も航空機の運用はあり得るということではありませんか。

林国務大臣 先生今お尋ねの、那覇港湾施設の代替施設でございますが、現在、防衛省とアメリカ側との間で技術的な検討が進められている段階というふうに承知しておりまして、代替施設に対して五・一五メモが適用されるかといった点、また、移設後の個別の訓練の内容については、予断を持ってお答えすることは差し控えたい、こういうふうに思います。

 いずれにせよ、当該代替施設、これは現有の那覇港湾施設の機能維持を目的としているものであり、当該前提の下で今後の日米間の検討が進められていくものと承知をしております。

赤嶺委員 五・一五メモが移設先で適用されるかどうかもまだ分からないということですか。

 現在の機能というのは、五・一五メモで、港湾施設と貯油所ということになっておりますよね。この現在の機能の維持を前提としているというのであれば、移設後も航空機の運用など、可能にならざるを得ないと思います。

 外務大臣として、移設後の航空機の運用を認めるという立場なのか、あるいは認めないという立場なのか。あるいは五・一五メモというのは外務省の所管でありますけれども、どちらですか。

金井政府参考人 御答弁申し上げます。

 委員御指摘の那覇港湾施設の代替施設に関しましてでございますが、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたとおり、現在、防衛省と米側との間で技術的な検討が進められている段階でございます。移設後の個別の訓練の内容に関しまして、先ほど来御指摘いただいております五・一五メモが適用されるかどうかという点も含めまして、予断を持って現時点でお答えすることは差し控えたいと存じます。

 いずれにいたしましても、御答弁申し上げましたとおり、現有の那覇港湾施設の機能維持を目的としているものでございまして、この前提の下、今後の日米間の検討が進められていくものと承知しております。

赤嶺委員 現有の機能維持というのは、ですから、外務大臣、今度、航空機の運用もされているわけですよね。それを外務大臣として今後も認めるということなのか、反対ということなのか、どちらですか。

林国務大臣 今政府委員からも答弁いたしましたように、現在のいわゆる五・一五メモ、これは、那覇港湾施設について、昭和四十七年の五月の日米合同委員会合意において、使用主目的として港湾施設及び貯油所と記載したものでございますが、これはまさに主目的、主たる目的を定めたものでございますので、米軍の活動が主目的としての形態に反するものでない限り、同施設での訓練を排除しているとは考えておらないわけでございます。これが今の那覇軍港についての、この間も山岸委員にも御答弁いたしましたが、そのラインで、考え方でございます。

 したがって、これが代替施設について適用されるのかといったことにつきましては、先ほど御答弁したように、防衛省とアメリカ側との間で技術的な検討が進められている段階ということでございます。

赤嶺委員 基地の運用の問題は、技術的な検討にとどまらないんですね。那覇軍港の航空機の運用についても、米軍の司令官は、いやいや、五・一五メモに禁止規定がないじゃないか、航空機を使っていけないというもの、ないでしょうという具合に居直っているんですね。何のための基地の運用目的か。

 その技術的検討で日本政府が航空機の運用について何がしかの意見を言えるというのは、対米外交が余りにも弱腰なので、更に拡大強化されていくという懸念を持たざるを得ません。

 那覇であれ浦添であれ、沖縄経済の大動脈ですよ。いわば、米軍が訓練を強行する場合は、県民の安全はもちろん、沖縄振興にも真っ向から反するものであり、これは容認できないものですよ。沖縄振興の大きな障害になっている。アメリカに物を言えない今の政府の姿勢で沖縄の基地負担の軽減は実現できない、このように強く指摘しておきたいと思います。

 私たちの主張が違うというのであれば、那覇軍港も遊休化しているところは無条件返還、浦添には新しい基地は造らせないということを、断固として、沖縄振興のためにもそういうことは許されないんだということを、西銘大臣もしかと胸に留めて、受け止めていただきたいと思います。

 以上で外務大臣への質問は終わります。

阿部委員長 では、退席していただいて結構です。

赤嶺委員 次に、法案について伺います。

 今回の改正の中心は、依然として全国最低水準にある県民所得をいかにして引き上げるのかという点にあると思います。これまでの制度で県民所得の向上につながったのかどうかの検証も必要だと思います。

 特区・地域制度について伺いますが、この制度は以前からありますが、今までの取組で県民所得の向上にどうつながったのか、また、改正後はどうなるのか、具体的に示していただけますか。

西銘国務大臣 赤嶺委員にお答えをいたします。

 沖縄振興特別措置法に基づく特区・地域制度は、これまで、企業立地や設備投資の促進に重要な役割を果たしてきております。この制度の効果を、一人当たり県民所得の向上や従業員給与の増加などの沖縄の課題解決にしっかりとつなげていく必要があると考えております。

 こうした観点から、今般の法改正では、税制措置の適用を受けようとする事業者が策定する措置の実施計画が各特区、地域の目的の実現のために有効かつ適切なものであるかなどについて県知事が認定する制度を導入しております。それとともに、実施する措置が一人当たり県民所得の向上等に資するものであるかなどについて国が確認する制度を導入することとしたところであります。

 こうした制度の導入を通じて、制度を活用する事業者に対し、沖縄の課題解決に向けた取組を促すことにより、沖縄振興をより一層推進してまいりたいと考えております。

赤嶺委員 いやいや、これからの制度のことを説明していただく前に、特区・地域制度というのは長いこと続いたわけですよね。その長いこと続いた特区制度において、県民の所得は向上したんですか、どういう成果があったんですかということをまず最初に聞いているんです。

西銘国務大臣 これまで五次にわたって、五十年間の沖振法の中で、こういう特区・地域制度が制度として盛り込まれてきております。

 直近のデータを見ますと、県民所得が全国平均の七二%から三%、七割程度まで増えてきているということは、データを見る限り、この制度も生かされてきたものと理解できるものと考えております。

 あくまでもデータを見た私のお話であります。

赤嶺委員 何か含んだ答弁の仕方ですが、データ以外の実感ではどうですか。

西銘国務大臣 私が、六十八年間生きてきておりますが、赤嶺委員と同じように、五〇年代、六〇年代も体感してきている者として、復帰前の状況を見ながら、社会資本整備の確実に進展した面、あるいは……(赤嶺委員「特区を聞いている、特区を。社会資本の整備じゃない」と呼ぶ)

 特区にいたしましても効果は出てきているものだと、まだまだ十分とは言えないところも、調べてみますと、この制度が余り利用されていないなどの点も議論としては出てきておりますが、効果は、少しではありますが、出てきていると理解しています。

赤嶺委員 これまでの特区というのは、余り活用されていないけれども成果は出てきているという、ちょっと理解しにくい答弁であるんですが、やはり、そういう特区・地域制度によっても全国最下位の所得水準の向上というのは達成できなかったわけですね。

 そういうことを踏まえてか、今度の特区の改善と言おうか、新しい制度の枠組みには、賃金の上昇をするという項目も入っているようでありますが、今回、事業者に計画を提出させて、従業員の給与を引き上げないと法人税の控除などを受けられないようにする、このようにしておりますが、給与増に見合う新たな控除というのはないんですね。

 岸田政権の賃上げ税制、我々は批判しておりますけれども、岸田政権の賃上げ税制では、企業が賃金総額を増やした場合に、大企業で最大三〇%、中小企業で最大四〇%を法人税から差し引くことになっていますが、なぜ沖振法の今回の改正ではそれを導入しないんですか。

原政府参考人 お答えいたします。

 先ほど大臣から御答弁がありましたように、今回の特区・地域制度の制度でございますけれども、税制措置の適用を受けようとする事業者が策定する措置実施計画が各特区、地域の目的の実現のために有効かつ適切なものであるかどうかについて県知事が認定する制度を導入をするということ、それから、実施する措置が一人当たりの県民所得の向上等に資するものであるかなどについて国が確認する制度を導入するということでございまして、この制度を使っていただいた上で、それぞれの、国税、地方税の一部優遇措置があるわけでございますけれども、それをやっていただくということと、今回こういうことで記入していただくということが一応対になっているという理解でございます。

赤嶺委員 私のさっきの質問は、岸田政権の賃上げ税制と比較しても、これは、そういう制度が入っていない。一見所得向上につながるように見えるわけですけれども、給与増に見合う控除がなければ、要件のみが厳しくなったということになりかねないわけです。適用件数が低い水準にとどまっている特区、まあ、観光特区なんかそうですよね、大変低い水準ですよ。そういうところもありますが、更に少なくなると。

 いわば、給与増を目指しても、そこからの控除というのは今までと変わらないわけですから、更にそういう特区の適用というのは少なくなっていくんじゃないかという懸念を持ちますが、いかがですか。

西銘国務大臣 お答えいたします。

 沖縄振興税制、赤嶺委員御案内のように十三項目ありますけれども、その十三項目の効果を調べておりますと、国税、地方税合わせまして、私の記憶に間違いがなければ、三百四十億ぐらいの減税効果が出ているものと認識をしております。これらの特区の税制含めて沖縄振興税制全般を見ると税制の減税効果が出ておりますので、その効果が給与とかあるいは働いている人への待遇改善につながっていくものではないかと私は考えております。

赤嶺委員 そもそも特区に参加する事業者が少ないわけですよ。特に観光特区なんか見たら非常に低いわけですよ。だから、それが何か、とても効果があるように言うのは、ちょっと違うんじゃないかと思いますよ。

 やはりこの制度設計について、本当に効果があるように、例えば、もう一点あるんです。そもそも、この制度の恩恵を受けられるのは法人税を支払っている黒字企業だけですね。ほとんどの中小零細企業は赤字で恩恵はありません。もっと全体に恩恵が行き渡り、県民の所得向上につながるような施策が必要だと思いますが、いかがですか。

西銘国務大臣 お答えいたします。

 特区・地域制度の中で、この認可制度を設けたことによって事業者の負担にならないようにするという視点は極めて重要だと思います。この制度を設けた趣旨は、あくまでも、制度、税制優遇を利用する事業者が、税制優遇された分、給与を上げるとか、あるいは職員の処遇改善に、目指してほしいという趣旨も持ちながらの県知事としての認可を入れたわけであります。

 運用するに当たっては、事業者が苦痛になって件数が減るということのないようにしないといけぬという視点は配慮しないといけないとは思います。

赤嶺委員 常識で考えて、減りますよ。だって、優遇税制の方は、これまでも特区に進出したら税制の控除があったわけですよね。その税制の控除は何の変化もないまま、今度はこれに賃金増という要件が加わるわけですから、これまでも少なかったのに、より要件が厳しくなっている。

 それで、所得の向上というけれども、赤字企業にはそういう恩恵は全くないわけですから、要するに、沖縄県民の所得を底上げするという点では極めて不十分じゃないか。もっと所得向上につながるような抜本的な対策も考えてほしいと思います。

 以前は、情報特区とかといってコールセンターがどんどんどんどん進出してきました。コールセンターが進出して、西銘大臣も御存じのように、新年号の沖縄の新聞にはコールセンターの経営者の談話が載るんですよね、たくさんの。その中に、注意して読んでいると、なぜ沖縄に進出してきましたかというと、沖縄の労働者は賃金が安く使えるからと。異口同音にそう書いているんですよ。

 だから、本当に賃上げをする、所得を向上する、抜本的にはやはり最低賃金を、沖縄は全国最下位ですから。最下位の最賃並みに働かされていたら、沖縄の正社員は名古屋の非正規の社員よりも低いと言われておりますから、抜本的な、時給千五百円という労働者が目指しているのも含めて、これは検討してほしいと思うんですが。

 ただ、私、所得水準向上に関わって、去年の六月の委員会で、沖縄県の全就労者数の一割を占める建設労働者について、公共工事設計労務単価の引上げどおりに賃金が支払われる仕組みが必要ではないかということを提起しました。そのときの河野前大臣は、沖縄振興部局の事業契約において適切に対応すると述べました。

 沖縄の建設労働者の賃金は、公共工事の設計労務単価、国交省が示しているわけですが、それの約五割しか受け取るようになっておりません。もっと引き上げるべきじゃないかということを去年求めましたけれども、この点、これまでの対応、いかがですか、どうなっていますか。

水野政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘の令和三年六月十四日の沖北特委での審議のやり取りは私も拝見しております。

 その上でお答え申し上げますと、沖縄総合事務局におきまして各種公共事業を発注する際には、公共工事品質確保法に基づく労務単価を反映した発注を当然ながら行っていると承知しております。

 適正な賃金が支払われることは重要と考えておりまして、引き続き注視してまいりたい、このように考えてございます。

 以上でございます。

赤嶺委員 西銘大臣、御承知のとおり、沖縄には二次、三次の下請の中小零細業者が非常に多いわけですね。現場で働く労働者の隅々にまで適正な賃金が支払われていない現状があるわけです。今、局長は、設計労務単価どおりの事業発注ということがありましたが、それが現場の働く労働者にまで行き渡っていない。

 こうした労働者にまでしっかりと適正な賃金が支払われるようにする必要があると思いますが、いかがですか。

西銘国務大臣 お答えいたします。

 労務単価は毎年適時適切に見直しが行われているものと承知をしております。

 また、政府としましては、令和四年度より、総合評価落札方式において賃上げを実施する企業に対する加点措置を実施することとしており、沖縄総合事務局においてもこれに沿った発注が行われることになると考えております。

 委員御指摘のように、元請から下請等々への問題だと思いますが、私の所管ではないんですけれども、岸田内閣の下で、好循環を求める流れの中では、下請Gメン等々でこの辺の元請から下請への発注の問題もチェックをしていくもので、賃金の上昇につながればというふうに見ております。

赤嶺委員 今ある制度の枠組みで、きちんと守れば、そういう労務単価が下の労働者にまで行き渡れば、賃上げ、所得向上につながるわけですよ。行き渡っていないわけですよ。いやいやいや、制度どおり設計していますよと言っても行き渡っていない。ここを、これは内閣府の所管ではありませんということを言わずに関心を持って、沖縄の建設労働者の改善、それだけでも相当な所得向上につながると思いますので、是非そこは取り組んでいただきたいと思います。

 次に、私は沖縄鉄軌道の問題について伺いたいと思います。

 沖縄県が二〇一九年に行った調査では、既にBバイCが一を超えるという結果も出ています。有識者からも一定の評価がされています。具体的な費用対効果や採算性の計算は、事業者の選定や費用負担の在り方など次の検討に進まなければできないと思います。そもそも、鉄軌道事業の許可基準には、費用対効果は含まれていません。

 昨年の当委員会で、河野前大臣は、技術が変わればBバイCも事業採算性も改善するのではないかとした上で、渋滞のデメリットと比較して、鉄軌道を導入した結果、気候変動対策にもなり、定時性も担保され、コストも下がるのならば積極的にやるべきだと前向きな答弁をされています。

 この答弁を踏まえたならば、今後、制度設計に向けた具体的な検討、調査にとどまらないで次のステージに移る具体的な検討に入るべき段階に来ていると思いますが、いかがですか。

西銘国務大臣 沖縄における鉄軌道等の導入につきましては、これまで調査において、事業効率性を評価するBバイCが一を下回っているほか、開業後四十年間の累積損益が黒字転換しておらず、事業の採算性が確保されていないなどの課題が明らかになっております。直ちに事業化を決定する段階にはないと考えておりますが、他方、沖縄本島北部で世界自然遺産に登録されたほか、北部のテーマパークの開業も予定されるなど、需要の増加につながる動きが見られること等も踏まえますと、鉄軌道のBバイCへの影響などについては引き続き調査をする必要があると考えております。

 昨年八月に内閣府が公表した新たな沖縄振興策の検討の基本方向についてにおいて示しているとおり、バス専用レーンの活用など既存の公共交通との関係や、町づくりとの連携等においても留意する必要があると考えており、こうした点も含めて調査を行いながら、鉄軌道等の整備の在り方について引き続き検討してまいりたいと考えております。

 その上で、沖縄に生まれて育っている県民の生活感情からしますと、渋滞等を体感すると、鉄軌道の必要性という意味では赤嶺委員と認識は共有するものと考えております。引き続き鉄軌道の整備の在り方について検討してまいりたいと考えております。

赤嶺委員 まあ、私と気持ちは共有しているという。私は、更にその上に、調査、調査、BバイC、BバイCと言わずに、次の段階に進むべきだ。国土交通省の事業採択にだって、BバイCは条件にしていない。何よりも、気候変動の問題、二酸化炭素の削減といった場合に、今の沖縄で一番効果が上がるのはやはり車社会を改善することですよ。そのためには鉄軌道の導入以外にないわけですよ。

 ここを、調査だ、調査だというようなところにこだわらないで、やはり一緒に、事業化に向けた次の段階の作業を始めるということを強く申し上げて、そこまで気持ちが一緒だということになれば、西銘さんと私との立場の違いはなくなると思いますから、よろしくお願いします。

阿部委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後一時五十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時四十四分開議

阿部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。大島敦さん。

大島委員 冒頭、鉄軌道について何点か触れさせてください。

 沖縄における鉄軌道の整備、導入についての現実的な検討の必要性ということで、令和三年六月の当委員会において、我が党の委員が、沖縄では、唯一、鉄軌道がないと訴え、内閣府が年間約一億円の予算をかけて十年間調査をしてずっとこだわってきたBバイC、すなわち費用対効果が、実は鉄道事業法第五条に基づく許可基準には含まれていないということを指摘して、沖縄における鉄軌道の導入を求めました。

 それに対して、当時の河野沖縄北方担当大臣は、そもそもの移動コストがそれだけ高かったら、なぜ鉄軌道のBバイCがそんなに低いのか、本来、移動コストが高いならば、BバイCの数字がもっとよくなければいけないと述べるとともに、いろいろな計算の仕方、あるいは、技術が変われば、BバイCも累積赤字も変わると思う、もう少し現実的に、どういうことをやったら移動コストが安く、しかも定時性が担保されてというような乗り物が導入できるのか、これはやはり真剣に考えないといかぬと思いますとして、鉄軌道の導入について、これは積極的にやるべきなんだろうと思いますと答弁をしております。

 これらの大臣答弁を踏まえて、政府においては、鉄軌道の整備、導入について、技術の進歩等を考慮して、もう少し現実的な対応を行うべきと考えています。

 続きまして、現行法にこの鉄軌道整備を盛り込んだ経緯について説明をさせてください。

 そもそも、現行の沖縄振興特別措置法九十一条二項、交通の確保の項目に鉄軌道整備の文言を盛り込んだのは、十年前の改正案の審議の際、当時の野党会派が提示をした十八項目の修正案の中に、新たな公共交通機関についての調査検討の規定に鉄軌道の整備を明記するとの案があり、それを、川口順子先生、そして私が共同座長を務めた与野党のPTにおける修正協議において、修文の上、条文修正すると合意したのに基づいております。

 しかし、これまでの内閣府の調査検討を見る限り、この十年間において鉄道の整備に関しては進展していないことから、当時の修正案に盛り込まれた各会派の思いも顧みられていないと思われます。

 十年前の与野党修正協議の共同座長であり、また今回は野党側の筆頭理事を仰せつかっている私としては、これらの全ての思いを胸に、沖縄県民の夢である鉄軌道の整備を一歩でも前に進めるため、沖縄県の要望を十分に酌み取って、現行法を修正する必要があると考えています。

 当時の修正協議の中ですと、原文は、国及び地方公共団体は、沖縄における新たな公共交通機関に関し、その在り方について調査及び検討を行うよう努めるものとすると書いてありまして、これに対して、「国及び地方公共団体は、沖縄における新たな」ここで、鉄軌道、「鉄道、軌道その他の」ということをつけ加えまして、「公共交通機関に関し、」、「その在り方」を「その整備の在り方」に修正をして、「についての調査及び検討を行うよう努めるものとする。」としたものですから、今回、できれば、修正をもしもするのであれば修正案として出してほしかったんですけれども、私が考えるに、九十一条二項については、国及び地方公共団体は、沖縄における新たな鉄道、軌道その他の公共交通機関に関し、その整備の在り方について、公共交通機関に関連する技術の進歩の状況その他の事情を踏まえて検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講ずるよう努めるものとする。この場合において、国及び地方公共団体は、相互に連携し、及び協働するよう努めなければならない、こういうふうに修正案を出していただけると完璧だったのかなと思います。

 この修正案については、与党側に提出をされておりますので、政府内でも検討していただければと思います。こういうことであったらいいかなと思うものですから、大臣におかれましては、部局の方に是非検討するようにということを後で伝えてください。

 じゃ、次に行きます。

 鉄軌道について沖縄の赤嶺政賢先生、新垣先生のお話を聞くと、ひしひしと当時のことが思い出されまして、やはり名護ぐらいまでは鉄軌道があって定時性、安定的に人が運べるというのがあるべきだと思いますし、沖縄の置かれている状況を考えれば、鉄軌道がしっかりあることが沖縄の発展につながると思うものですから、その点、是非よろしくお願いします。

 じゃ、続きまして、質問通告どおり進めたいと思います。

 まず、沖縄科学技術大学院大学の教育研究の評価について。

 平成二十三年十一月に施行された沖縄科学技術大学院大学学園法では、第一条において、OISTの設置目的について、沖縄を拠点とする国際的に卓越した科学技術に関する教育研究の推進を図り、もって沖縄県の振興及び自立的発展並びに世界の科学技術の発展に寄与することと定めております。

 OISTはその実現に向けて教育研究を推進していると思いますが、平成二十四年九月の開学以来、政府はOISTが教育研究に関してどのような国際的評価を受けていると認識しているのか、大臣の御答弁をお願いします。

西銘国務大臣 お答えいたします。

 OISTは、若い大学ながらも、特に研究面において高い成果を上げております。例えば、安定で低コストの太陽電池新素材の研究や海洋生物のゲノム解読の研究について、重要な科学論文誌に掲載されるなどしております。

 OIST全体としましては、学校の規模を補正されたネイチャーインデックス二〇一九における世界の研究機関ランキングで、質の高い論文の輩出率に関して世界九位、日本一位にランクインするなど、国際的な高い評価を得ていると認識をしております。

大島委員 西銘大臣、OISTについては、私は有馬朗人先生をずっと存じ上げていまして、この間お亡くなりになってしまったんですけれども、設立のときはノーベル賞を受賞された方がOISTの理事になって、その方たちの研究人脈を通じて世界中からいい研究者が集まって、私も、担当している副大臣のときに、学園法を設置するに際して事務局の方から、世界中からいい人を招聘したいので、よく事務次官縛りというのがあるじゃないですか、各国立大学の学長の給与は事務次官を超えてはいけないという縛りがあったので、それを外してもいいですかと言われたものですから、いいですよと言った経緯があります。

 ですから、今OISTの学長になられている方はマックス・プランク研究所の所長だと聞いておりまして、私もドイツ駐在だったものですから、マックス・プランクというと、ドイツでいえば理化学研究所、世界でも有数の研究所の所長を務めた方が今OISTに来て、それで多分いい研究がずっと続いているかと思います。

 私としては、OISTがすぐに沖縄の振興につながるかというと、すぐにはなかなかつながらないところがあって、やはり基礎研究ですから、基礎研究をすることによって論文の引用数が世界中でも人数の割には物すごく高くて評価されているんです。

 ですから、十年間でここまで、内閣府の皆さんの御尽力もあってOISTが育ってきたと思います。沖縄に世界で有数の研究所があり続けることが、沖縄のステータスを上げることにつながると思うんです。

 ですから、沖縄振興予算なり沖縄振興法の枠組みの中かもしれないんですけれども、OISTがあることによって、今後、次の節目でも更に花開いていれば、世界中からいい研究者が集まってきて、西銘大臣のお父さんが一番最初に世界のウチナーンチュ会議をやられたというお話を聞いているものですから、そうすると、十年たったので、育った研究者の方にもう一度OISTに来てもらうとか、節目節目でOISTを世界にアピールして沖縄ということをアピールしていただくことが、ひいては沖縄の振興に資すると考えるものですから、その点についてのお考えを聞かせてください。

西銘国務大臣 大島委員御指摘のように、有馬先生や、私の記憶では尾身幸次先生、財務大臣をされたり沖縄担当大臣をされたり科学技術担当大臣をされたり、この両先生の活動がなければOISTはできなかったであろうというぐらい、すごいエネルギーを感じながら尾身先生と有馬先生の動きを見ておりました。

 途中落選してしまったものですから、一二年に復活することはできたのですが、このOISTの経緯は、ベスト・イン・ザ・ワールドという言葉がずっとこびりついておりまして、私は、当時、尾身先生が言っておられた言葉を、ベスト・イン・ザ・ワールドの大学院大学が場所が沖縄にあるんだという認識でずっとおりました。

 確かに、ノーベル賞受賞の会長がおられたり、今のピーター・グルースさんもすごい人でありますし、基礎研究という分野でありますから、大島委員の御指摘のようにすぐに周辺でスタートアップ企業ができにくいかとも思いますが、県民からしますと、沖縄振興予算の部分がOISTの方に使われていくものですから、その辺の議論等を聞いておりましても、でも、基本的に、しっかり立派なものを、今八十一PIを百PIにして、将来三百PIまで持っていくという考えは、尾身先生、有馬先生の行動を見てきた者の一人としては、しっかり受け継いでいかないといけないなという思いでおります。

 その意味では、OISTが沖縄にあるということ、そして、私は勝手に、そのことが沖縄県民が一番望んでいる平和な状態を維持するということにも資するのではないかなということを頭の中に入れながら、OISTについてはしっかり取り組んでいかぬといけぬなという思いでおります。

 大島委員の御指摘、賛同いたします。

大島委員 大臣、ありがとうございます。

 なかなか、沖縄振興にすぐ資するかというと、若干資さないところもあるかもしれないんですけれども、やはり、世界の一番いい研究所が沖縄にあるということが、大臣がお触れになったとおり沖縄の平和に貢献すると思いますので、是非その点、よろしくお願いします。

 続きまして、国際交流拠点の形成ということで。

 首相官邸のホームページの沖縄の目指す姿という項目には、東アジアの中心に位置する地理的特性など、沖縄の優位性、潜在力に注目が集まっているとして、これらの優位性、潜在力を生かして沖縄が日本の経済成長の牽引役になることを目指すと書かれています。

 他方、アジアとの関係については、これまでの施政方針演説等においても、ゲートウェー、懸け橋などと位置づけられています。つまり、沖縄のアジアへの近さを最大限に生かすことこそが、我が国ひいてはアジア太平洋地域の発展に寄与するものではないかと考えております。

 時間がありませんので、沖縄には、海外在住の県の出身の人たちが四十二万人いて、世界のウチナーンチュ会議というのを何年に一回か開いております。そして、このような歴史的、地理的特性により培われた沖縄の発展の可能性は、諸外国・地域との交流と連携を深めながら共に発展していくという取組の中で特に発揮されるものと考えておりまして、内閣府の事業の中に青年交流事業というのがありまして、同じ内閣府でも昭和三十四年から始まっている青年国際交流事業という事業がありまして、この事業では、日本青年と海外の青年との交流を通じて、日本青年のグローバルリーダーを育成するとともに、グローバルな人材ネットワーク形成を図っています。この事業から、我が国においても多数の国会議員や首長を輩出しているほか、海外でも閣僚などを輩出しており、ネットワークがつながっています。

 沖縄でもこうしたネットワークを形成していくという視点が必要だと思っていまして、できれば大臣の時代に、沖縄大学院大学をモデルにしながら、一年、二年、沖縄を中心とする、中国でも台湾、アメリカ、ロシア、そして日本、そして東南アジアの、将来それぞれの国の中で中枢になる方が二十代、三十代に一年間か二年間一緒に研究することによって、十年、二十年かけて、沖縄を中心とする地域の平和に資する、理解してくれる方たちをつくることが必要かなと思っているんです。そのことがやはり我が国の安定にも沖縄の平和にもつながると思うんです。

 私が、今から二十年ぐらい前かな、中国に行って、竹下登先生が首相だったときの在京の大使の方にお会いしたことがあります。その方は、竹下登さんが中学校の先生のときに共産党青年団の一行として来て、その人間関係をずっと維持して、竹下登先生が首相になったときに在京の大使になるわけですよ。本人から聞いたんですけれども、難しい問題は二人の人間関係で解決したというお話を聞いたことがあるものですから、そういう人間関係をつくるようなものを是非西銘大臣に先頭を切ってお願いしたいなと思って、最後の質問とさせてください。

西銘国務大臣 大島委員のお話にありましたようなことが、つい先日、強い沖縄経済で四回目のヒアリングをしていたときに、橋本先生から、東南アジアで今は政府とかそれぞれの公的な部署でいいポジションで仕事をしている人たちがたまに沖縄に集まってやっていたんだ、その方たちの話を聞いていても沖縄に対する愛着が非常に強いものですから、ある時期までは年に一回ぐらいの集まりがあったそうですが、今、途絶えているというお話もありました。

 もう一点は、沖縄の国際センターで学んだ人たちがそれぞれの政府に帰っていってそれぞれのポジションに就いているけれども、そこでも、沖縄の国際センターは自分たちの地域と違和感がないということで、非常に親しみを持って、このOBのネットワークも何とかした方がいいんじゃないかという御指摘等を受けたことがあります。

 そういう話を思い出しておりましたが、大島委員御指摘の点は非常に重要な点だと考えておりますので、またしっかり考えて取り組んでいきたいと思います。

大島委員 大臣、ありがとうございました。

 終わります。

阿部委員長 次に、石川香織さん。

石川(香)委員 立憲民主党の石川香織です。

 西銘大臣、大変お疲れさまでございます。今日もよろしくお願いいたします。

 私からは、まず最初に、沖縄県産のお酒を取り巻く課題と、それから酒税についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 最初に、大臣にお伺いさせていただきます。

 一九七二年の沖縄の日本復帰のときから続いてきました沖縄県産のビールと泡盛に対する酒税の軽減措置でありますけれども、この軽減措置を段階的に引き下げながら、ビールを五年後、泡盛を十年後に廃止するという方向性が決定しました。

 これまで、沖縄県のお酒に関しましては、県外の商品との競争にさらされるという状況を緩和するためにこの軽減措置が取られてきたわけなんですけれども、五年間の時限措置として導入をされて、その後、十一回延長されて、五十年間継続されたということになります。今回の改正案では、この軽減措置を段階的に削減をしていって、泡盛については十年後、ビールについては五年後に廃止ということになりました。

 このことについてなんですが、まず泡盛ですね。泡盛製造業は、製造業が少ないと言われている沖縄県においては貴重な地場産業である、特に離島の雇用を支えてきたという側面もありますが、まず、この沖縄県産の酒税の軽減措置を五十年間続けてきた意義とか効果ということについてどのように分析をされているのか、大臣にお伺いをさせてください。

西銘国務大臣 石川委員にお答えいたします。

 酒税の軽減措置は、沖縄の復帰による激変緩和措置として導入されたものであります。

 復帰から五十年を迎え、関係者のたゆまぬ努力によりまして、泡盛の出荷量はこの五十年間で二倍以上となっております。そして、今や、国を挙げて泡盛も含めた伝統的酒造りについてユネスコ無形文化遺産への登録を目指す機運が醸成されるなど、一定の効果はあったものと認識をしております。

 なお、令和二年度までの酒税の軽減措置の累計額は約四百七十六億円に達し、そのうち約三百六十六億円が酒類製造設備の近代化等への設備投資に反映されるなど、沖縄県の地場産業として地域経済に貢献してきたものと承知をしております。

 実際の肌感覚からいたしますと、復帰前は、私たちはどちらかというとウイスキーの方が多かったのでありますが、復帰後は、お店が全部泡盛に替わったというぐらい、泡盛は大分改良されてきたのかなという認識をしております。

石川(香)委員 ありがとうございます。

 地域の皆さんの努力もあって、泡盛が皆さんに親しまれるお酒になっていったというようなこともお伺いをしました。

 ユネスコの無形文化遺産の登録を目指すということで、このことも後でまたお伺いしたいなと思っていますが、そういうプラスの面ももちろんあると思いますけれども、一方で、競争力がなかなかつかないだとか、経営を改善していく努力の機会を逸してしまうのではないか、こういった様々な指摘もあると思います。

 今回の税制改正は、沖縄県の酒造業にとっては大変大きな転機になることは間違いないと思いますが、段階的に進めていくということなんですが、例えば、泡盛産業は小規模な酒造所が大半を占めているということでありますけれども、経営体力が異なるということもあって、出荷量に応じてグループを三つに分けて減税幅を小さくしていくという方向性も決まっているそうなんですが、この支援の在り方というのは本当に重要なのかなと思っておりますが、この軽減税率が適用される最後の十年間ということになりますが、どのように政府として支えていく必要があるのかということについてお伺いをさせていただきます。

水野政府参考人 お答えいたします。

 まず、沖縄県の酒類製造業界自身が、今後の自立的発展に向けた施策として、まず一つ、ブランド力の強化への取組、それから、ブランドの県内外それから海外に向けて発信する取組、それから、地産地消、循環型社会への取組、それから、子供の貧困対策支援活動を始めとした地域社会貢献といったことの取組を行うという、これは業界の今後の取組ということで示されているところでございます。私ども政府といたしましても、そういった形で事業者の収益力を強化し、雇用者の待遇改善、安定につなげていくということが大変重要であると考えてございます。

 そこで、内閣府では、新たに沖縄域外競争力強化促進事業という事業を令和四年度から立ち上げる、これによりまして、沖縄の製造業等の域外競争力強化を図ることといたしてございます。創意工夫に満ちた取組を行う事業者へ個別に支援することにより、広く産業界の自立的発展を促してまいりたいということと、また、沖縄県や国税庁等が行う各種支援措置とも連携して、事業者の自立的な発展に向け支援してまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

石川(香)委員 ありがとうございます。

 ただ、元々沖縄県は仕入れですとか物流コストが高いということもありましたし、今、コロナ禍ということもありまして、国内外から観光客の人がなかなか来れない状況にある。今、緊迫する世界情勢などもありまして、今後もより厳しくなるかもしれないという状況を考えますと、今まさに経営者にとっては最大の危機というふうに感じている方も多いんじゃないかなと思います。

 さらに、泡盛の消費量は、非常に頑張っていたわけなんですけれども、平成十六年をピークに下がり続けているという傾向もあるというふうに聞きました。沖縄県の酒造組合の資料によりますと、令和元年、二〇一九年には、泡盛製造業四十五社のうち三十社が赤字だったということでした。

 泡盛製造業がいわばこの十年間の中で最も厳しい状況にあるという中で、この酒税の軽減措置の段階的削減と、最終的には廃止が決まるということについて、今このタイミングでやることが適切なのかという思いもいたしますが、この点についてはいかがでしょうか。

水野政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、酒税の軽減措置は、五十年前の沖縄復帰による激変緩和のための措置として導入されて、以来五十年たっているということでございます。

 復帰から五十年を迎えまして、実は、泡盛業界でも経営者の世代交代が進んでございます。酒税軽減措置の見直しの機運というのが醸成されてきてございます。それから、沖縄の酒類製造業界から、酒税の軽減措置に頼らない自立的発展を目指していきたいという旨の提言がなされたところでございます。これを受けまして、政府として、これをいわば尊重するという形で今回の酒税の軽減措置の廃止を取らせていただくということでございます。

 なお、本特例の廃止に向けましては、委員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症による影響も考慮いたしまして、最初の二年程度は現状の軽減税率をそのまま維持するという猶予期間を設けさせていただくとともに、これも委員御指摘のとおりですが、小規模な酒造所では、今後十年間、現状の三五%の軽減税率を維持することとしているほか、先ほど申しましたが、内閣府や沖縄県、国税庁等による各種支援措置を組み合わせることで、沖縄の酒類製造業者の自立的発展を計画的に促すこととさせていただいているところでございます。

 以上でございます。

石川(香)委員 業界もいろんな思いがあったと思います。酒税の軽減措置がいきなり打ち切られるということよりはこういった形がいいのではないかということで、苦渋の判断でもあったのかもしれません。

 そんな思いもありますが、特に心配なのは、離島の小規模の製造所に与える影響はやはり大きいのではないかなと思っているんですが、離島の小規模な製造所に特化して、この十年後の軽減税率の廃止がどのような影響を与えるか、どのように分析をされているのかという点についても続けてお伺いをさせてください。

水野政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、離島の酒造所の中には、地元に密着して特色ある酒造りを行っているところがございまして、例えば、石垣島の池原酒造という酒蔵がございますけれども、そこの白百合という泡盛がございますが、それは、特徴的な黒こうじ菌を使用した味わいが高く評価されて、昨年四月にアメリカで行われた世界的な蒸留酒品評会において最高評価を受けたということがございます。

 また、泡盛の大手酒造所と言われる三社でございますけれども、その三社のうちの二社は、実は久米島と宮古島といった離島に酒造所を有しているということでございまして、具体的には久米島の久米仙と宮古島の菊之露酒造ですが、この二社で県内全体への泡盛出荷量のうち三割強を占めているということでございます。

 ということを申し上げた上で、離島も含めた小規模な酒造所への影響ということだと思いますけれども、今後十年間、先ほど申しましたが、現状の三五%の軽減税率を維持する。十年後を見据えて、この間、この軽減措置を十分に活用していただくとともに、各種支援措置を併せて活用していただくことで、人材育成、生産性向上に向けた設備投資を通じ、自立的な経営が行われることを期待してございます。

 なお、泡盛業界では、酒造所の規模の大小にかかわらず、一つはEコマースによる販売戦略、もう一つはクラウドファンディングを通じた商品開発や、原料、資材等の共同仕入れ等の取組を進めることとしておりまして、内閣府としてもこうした取組を後押ししてまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

石川(香)委員 地元に密着したものであったり、地域の強みを生かした味わいというんでしょうか、それはやはり、ファンがうなるような、わくわくするようなお酒を造るというのは非常に大事だなと思いましたし、感じました。

 ただ、やはり様々な思いがあると思います。その実情は西銘大臣もいろいろなところできっと聞いていらっしゃるのかなと思いますけれども、実際に酒造に携わる方々がどのように受け止めているのか、どういうことが心配なのかということは、これからもしっかり受け止めなきゃいけないのかなと思います。やはり強みの部分と弱みの部分というのがあると思いますので、しっかりこれも検証して、県外の競争に耐え得るパワーをつけてやっていけるような、営みを続けていけるような制度でなければいけないなという思いであります。

 続いて、大臣にもお伺いをしてまいりたいと思います。

 再び泡盛ですけれども、泡盛の製造業に携わる方々としましては、今、先ほど、いろいろな工夫をされているという答弁をいただきましたが、今後の十年間で、販路拡大をしていったりだとか、それから、より魅力的な商品を開発するとか、経営基盤の強化のための取組を更に強化していくということが求められてくるのかなと思いますけれども、こういう新たなチャレンジ、更にブラッシュアップをしていくということについて、政府としてこの支援をどのようにしていくかということについて、取組を含めて、是非、西銘大臣にお伺いをしたいと思います。

西銘国務大臣 石川委員御指摘のとおり、販路の拡大、あるいは魅力的な商品の開発、さらには経営基盤の強化のための取組、この辺のところをしっかり強化していくことは極めて重要だと考えております。

 島々の中にある泡盛業者などは、小さいところでは家内工業的にやっているところもありますし、十年かけて税制の優遇は消滅していきますけれども、知恵を出して、消費者の動向を見ながら、県全体でも若い人が泡盛を飲まなくなっているという傾向が見えてきたり、様々な環境の変化もありますけれども、その辺をしっかり消費者の動向も見据えて、あるいは、県外で販売するとき等の予算措置は、先ほど局長からお話がありましたように、沖縄域外競争力強化促進事業といって九億二千万の予算を計上しておりますが、その辺を措置しながら、頑張る泡盛酒造業者をしっかり応援していかぬといけぬなと思っております。

 復帰特別措置が永遠に続くという認識は地元の業者にもなかったようでありまして、五十年たったヒアリングのときに、自ら、十年後は全国並みでいいという発言を聞いたときには、おおっと私自身も、よく自らこういう話をしてきたなというぐらいの思いで受け止めたことがあります。

 税制優遇はなくなるにしても、頑張る酒造業者の設備の面であるとかブランディングであるとか、あるいは県外への売り方であるとか、応援できるところはこの競争力の予算を使ってしっかり対応していかないといけないなという思いでおります。

石川(香)委員 まさに、酒造所がチャレンジをして頑張る、それが頑張れる環境づくりというのもやはり政治の世界がしっかりサポートしていかなきゃいけないのかなと、今大臣の御答弁を聞きながら感じました。

 冒頭の答弁の中でも触れていただきましたけれども、更に追い風になり得るのが、泡盛をユネスコの無形文化遺産への登録を目指すということで、このことも、令和三年の六月に閣議決定をいたしました経済財政運営と改革の基本方針二〇二一で日本酒と焼酎とともに明らかにされているということですが、泡盛の魅力が世界的に発信されるということは沖縄県にとっても日本にとってもプラスである。

 この効果が非常に期待をされるわけなんですけれども、では、具体的に泡盛の無形文化遺産登録に向けた取組をどのようなことを行っているのかということについてもお伺いできればなと思っております。

水野政府参考人 お答え申し上げます。

 政府としましては、泡盛を始め日本酒、焼酎などの伝統的酒造りについて、ユネスコ無形文化遺産への登録を目指すこととしてございます。

 関係省庁におきまして、伝統的酒造りの継承、発展を目的としたシンポジウムの開催やPR動画の作成、全国での広報活動を行っていくことを予定してございます。ですから、泡盛も日本酒と焼酎と一緒に無形文化遺産への登録を目指すということでございます。

 内閣府といたしましても、関係省庁と連携して取り組んでまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

石川(香)委員 まず、たくさんの方に知っていただいてファンをつくるということが非常に大事なのかなと思います。

 泡盛だけではなくて、やはり今、コロナ禍で、お酒に対して、時短営業であったり、それからお酒自体を提供できない時間帯やお店があるということで、非常にお酒の業界全体が厳しい状況にあるということでありますので、何とかいい方向に進めるように、引き続き後押しをお願いをしたいなと思っております。

 では、続いて、サトウキビについてお伺いをさせていただきます。

 農水省から今日は松本農産局農産政策部長にお越しいただいて、ありがとうございます。

 サトウキビですけれども、沖縄では、台風到来など厳しい自然環境にありますが、特に離島や北部の地域では、サトウキビを始め、果樹、畜産などの農林水産業が地域経済を支えている側面がある。サトウキビは、沖縄の農業経営体の約六割がサトウキビを作っているということで、作付面積にすると半分、約五割、それから農業産出額の約二割ということで、まさしく沖縄の農業の基幹作物の一つであると言えると思います。

 一般に、沖縄の農業従事者は全国と比較して若いと言われていますが、サトウキビの生産者に関しては年齢構成は非常に高齢化が進んできているとの調査報告もあります。

 令和二年の基幹的農業従業者の平均年齢、沖縄は六十五・九歳ということで、全国平均が六十七・八歳ですので、若いわけですが、ただ、サトウキビの生産者に関しては、全体の生産者の七八%が六十歳以上、七十歳以上は全体の四六%を占めるということで、やはり生産者の高齢化というのは課題の一つに挙がってきていると思います。

 生産者全体に占める高齢者の割合が高くなりますと、その世代の離農が急速に進むとしますと、収穫面積の維持が当然困難になるということが予想されるということですが、この収穫面積をしっかり維持をした上で安定的な生産体制の構築ということが大事になってきますが、まず政府の方針をお伺いしたいと思います。

松本政府参考人 お答えいたします。

 サトウキビにつきましては、委員からも御指摘がありましたように、台風の常襲地帯であります沖縄県及び鹿児島県南西諸島におきまして、他の作物とは代替できない基幹的な作物でございます。産地の製糖工場や関連産業と相まって、地域の雇用、経済を支える重要な作物でございます。

 このため、台風等の自然災害からの回復に必要な取組が機動的に行えますよう、セーフティーネット型の基金、こちらを措置しているところでございます。

 一方、高齢化や労働力不足が進展する中、将来にわたりサトウキビの安定的な生産を確保していくためには、委員御指摘がありましたような生産の省力化、効率化、こちらが極めて重要であると考えているところでございます。

 このため、国としましては、これまでも、サトウキビ収穫機、ハーベスターなどの農業機械の導入、作業受託組織の育成強化を推進してきたところであり、今後とも、サトウキビの安定的な生産が維持されるよう、必要な施策を講じてまいります。

石川(香)委員 サトウキビは本当に重要な作物であるということを御説明いただきました。

 内閣府では、サトウキビの生産だけではなくて、製糖業の労働力をしっかり確保するということと同時に、黒糖の安定供給体制を擁立するということについても、安定的、持続的な操業を可能にするということで、地域経済の維持発展にも寄与することを目的として沖縄製糖業体制強化対策事業を実施しています。

 ただ、これが、令和四年度の同事業の予算額は七億円となって、前年度から約三割も減ってしまっている。製糖業の労働力確保の状況、それから、なぜこの予算を大きく削減してしまったのかということと、それから、この事業の成果並びに課題、そのことについてお伺いしたいと思います。

水野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の沖縄製糖業体制強化対策事業でございますけれども、これは、働き方改革に対応するため、市町村の季節工等向け宿舎整備等への支援というのが実は全体の九割を占めている事業でございまして、平成三十年度から毎年四島ないし二島において季節工等向け宿舎整備を実施しているところでございます。

 その上で、令和三年度は波照間島と伊平屋島で宿舎整備を行って、その合計額が九億二千万ということでございましたが、来年度、令和四年度につきましては、多良間、粟国の二島で宿舎整備を行う予定で現在予算を計上させていただいているんですが、その合計が六億二千四百万ということで、実際にその島で必要な宿舎の規模というものに合わせて必要な予算を計上した結果、三割減という形になっているということで、一つの島に一つ宿舎を建てるというところは変わってございません。

 その上で、この事業の実施の効果ということでございますが、この事業の実施によりまして製糖業の人材確保のための体制が強化されるということによりまして、令和六年四月から予定されている製糖業への働き方改革による時間外労働の上限規制の適用に対処することで、製糖工場の安定操業、ひいては沖縄の離島農業の維持拡大につながるものと考えてございます。

 以上でございます。

石川(香)委員 沖縄のサトウキビ、それから北海道にてん菜とありますけれども、今、日本人の砂糖の消費がどうしても減っている中で、かつ労働力もなかなか確保できない中で、省力化、効率化ということと同時にこれをしっかり保っていくというのは非常に難しい課題ではあるんですけれども、ただ、やはり、サトウキビやてん菜といった甘味資源の作物の生産というのは、地域にとっては非常に雇用の面でも、それから、その地域が、北海道でいえば畑の健全を保つとか、いろいろな役割を担っているということなんですが、西銘大臣にお伺いしますけれども、昨年の十二月に公表した政策パッケージにおいて、強い沖縄経済を実現するための重点検討分野として農林水産業を挙げていらっしゃるということですけれども、その内容を全体の御所見も含めてお伺いしたいと思います。

西銘国務大臣 昨年十二月に公表した政策パッケージにつきましては、前国会における総理の所信表明演説を踏まえ、強い沖縄経済を実現するための施策、手段について整理したものであります。

 農林水産業につきましては、沖縄県にとって非常に重要な産業であり、特に離島におきましては雇用の創出、定住の維持にもつながっておりまして、地域経済において重要な役割を担っております。

 今年で本土復帰五十年を迎えますが、様々な施策を講じてきた結果、農林水産業も発展してきました。

 私の思いとしましては、三十年以上前ぐらいから沖縄の農業生産高が一千億前後でずっと変わらないで来ているものですから、沖縄農業の弱みは、冬春期の野菜はまだ本土が出荷しない前に出せていくんですけれども、夏場に来ると水不足等々で葉物とかが全然なくなってしまうという構造的なものもありました。ですから畑かんや農業基盤整備等を着々とやっているのでありますが、まだまだ足りないところであります。

 私としましては、この一千億の農業生産高を少しでも一千二百億から三百億ぐらいに持っていくと食品加工が出てくるのではないかということで、政府に大臣として入る前からずっと言い続けてきた者の一人であります。農水産業が成長すれば、沖縄の製造品の出荷額の四割を占めている食料品の製造加工業の活性化につながるでありましょうし、様々な産業にも波及すると考えられることから、先般、強い沖縄経済の重点検討分野の一つとして農水産業、加工を設定したところであります。

 強い沖縄経済の実現に向けて、各界様々な有識者からヒアリング等を実施しているところでありますが、まだまだヒアリングは続きますけれども、本年の五月を目途に具体的な戦略として取りまとめ、引き続き検討を進めて、次年度の概算要求までには取りまとめていきたいと思っております。

石川(香)委員 ありがとうございました。

 私も、地元に還元できるというのは、やはり地場で作って加工までしっかりするということが地元に還元できるという流れだと思います。

 てん菜とかサトウキビは、国が特別に認めてきた作物ということもありますし、地域にとって大切な作物であるということと、日本では砂糖の原料を作るのはこの地域に限定されていますので、やはり日本の食料安全保障の観点からも非常に大事だと思っております。いろいろな課題はありますけれども、引き続きしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 済みません、最後の質問になると思いますが、次は沖縄における脱炭素化についてお伺いをしたいと思います。

 沖縄は、地理的なことや地形的な制約から、石油、石炭といった化石燃料にどうしても依存してしまうということがありますが、そして、供給コストも高い離島を多く抱えるということもあって、電気料金は非常に高いということがあります。今現在のロシアの、ウクライナの影響などによっても引き続きこの価格が高止まりするということもあればかなり生活の負担は大きくなるということがありますけれども、そんな中で、この電気料金などの値上がり、家計の負担に配慮した取組が必要だと思いますけれども、この取組について最後にお伺いをさせていただきたいと思います。

原政府参考人 お答えいたします。

 沖縄は、御指摘のとおり、地理的事情等の構造的不利性によりまして、化石燃料に頼らざるを得ない状況が続いております。政府が掲げました二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けまして、沖縄においても脱炭素に向けた取組を加速させていく必要があるということでございます。

 この取組を進めるために、内閣府においては、令和四年度の振興予算案におきまして、沖縄におけるクリーンエネルギーの導入促進に係る予算を新たに計上いたしました。また、税制面におきましても、産業高度化・事業革新促進地域において、再生可能エネルギー設備の導入によります税制措置の利用実績がございます。

 今後も、島嶼県である沖縄だからこそ実現できる再生可能エネルギーの導入拡大や発電所の二酸化炭素排出量の低減等、カーボンニュートラルの実現に向けた取組を進めてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

石川(香)委員 二〇五〇年のカーボンニュートラルについて、負担も含めて取り残されない取組をお願いしたいと思います。

 では、終わりたいと思います。ありがとうございました。

阿部委員長 次に、山岸一生さん。

山岸委員 立憲民主党、山岸一生です。どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、西銘大臣、最初に総括的なお話を、復帰五十年ということもありますので、伺っていきたいと思うんですけれども、今年で復帰五十年を迎えるわけで、私もかつて二年近く沖縄に住んでおりまして、その間、沖縄振興の功罪、功罪といっても罪ではないと思うんですけれども、光と影のような部分を両方見てまいりました。やはり、過重な基地負担に伴う様々な生活被害や、あるいは犯罪、さらには格差と貧困、様々な部分もございました。今、復帰五十年を迎えるに当たって、やはり我々日本全体として、沖縄のこれからの今後五十年ぐらいを見据えた大きなビジョンを描いていく必要があるんじゃないかなというふうに思います。

 そこで、まず大臣、今回、復帰五十年を迎えるに当たって、この間、五次にわたる沖縄振興計画が成し遂げてきた成果と、一方で残されている課題、それぞれどういうものがあるとお考えでしょうか。

西銘国務大臣 山岸委員、記者時代にも大変お世話になったことを、ずっとテレビ等で見ながら見ておりました。

 昭和四十七年の復帰以降、政府におきましては、社会資本の整備や産業振興など、沖縄振興に取り組んできたところであります。確かに、道路や空港、港湾、あるいは学校の施設等々を見ておりますと、立派に整備されてきたなという、これは実感であります。データを見ておりましても、沖縄経済は、復帰の直後からしますと、着実に成長してきたなという認識ではおります。

 しかしながら、御案内のように、全国最下位の一人当たりの県民所得や、労働生産性の低さであったり、子供の貧困の問題であったり、なお解決すべき課題は存在しているものと認識をしております。

 最初の委員の指摘にもありましたが、例えば、離島等でおうちを造るときに、沖縄本島の二倍から三倍ぐらいのコスト高になっていて、一千万でできるおうちが、離島の西表あるいは北大東では二、三倍かかるんだという話は直接聞いたこともありますが、その辺の物流のコスト等も課題としてまだ残っているのかなという思いではおります。

 沖縄は、アジアの玄関口に位置する地域でありますし、日本一高い出生率など、優位性、潜在力はあるものと認識をしております。こういった点も生かしながら、沖縄振興策を総合的に、積極的に推進してまいりたいと考えております。

山岸委員 ありがとうございます。

 まさに人やあるいは暮らしという部分について、そこまで含めた沖縄振興ということがどこまで達成されているのかということは、これからの大きな課題だろうと思います。今回の法改正に際して、こういったまさに暮らしの面の現場のニーズというものにどれぐらい応えたものになっているんだろうか、率直に申し上げて少し疑問があるわけで、少し聞いていきたいというふうに思います。

 といいますのも、私は前回の法改正のときの取材を現場でやっておりました。二〇一一年当時、菅、野田政権のときでありましたけれども、この頃は、現場のニーズを聞こうということで、国と県との協議というものが公式、非公式問わず頻繁に開かれていて、追いかける側の記者としては非常に苦労したという記憶がございます。今日知事が上京しているよ、どこかで大臣と裏で会っているらしいよ、でもどこだか分からないというのを追っかけるというふうなことをよくやっておりました。そういう十年前の動きに比べると、今回の法改正というのは非常に淡々と進んだように率直に言うと思うところがあります。

 そこでお伺いしたいんですけれども、前回の二〇一二年、沖振法のプロセスとの違い、特に県との意見交換の在り方に関してなんですけれども、この法改正に伴う国と県との協議、意見交換の回数、あるいは知事と担当大臣との面会、協議の回数というのはどうなっていますか。

原政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御指摘がありました、十年前、二〇一二年の沖振法改正の際に、法改正等に関連して、関係閣僚と沖縄県知事から構成される沖縄政策協議会が合計三回開催されています。あと、沖縄担当大臣と知事との間での協議、意見交換が八回程度実施されたと承知をしてございます。

 今般の法改正に際しましては、沖縄担当大臣を政府側の窓口といたしまして、政府と沖縄県の間で協議、意見交換を行ってきたところであります。

 沖縄担当大臣と知事の面談においては沖縄振興に関する様々な事項が話題になることから、沖振法改正等に係る協議、意見交換の回数を厳密にカウントするということに関してはなかなか困難なところがございますけれども、昨年四月以降だけを見ても、前回と同程度、八回は沖縄担当大臣と知事との間で協議、意見交換が実施されたと承知しております。

 このほか、今般の法改正に際しては、事務的にも様々なレベルで内閣府と沖縄県の間の意見交換を行っております。

 前回と比べまして積極的な意見交換が行われていないということはないものというふうに受け止めております。

 以上です。

山岸委員 是非そうあっていただきたいと思う一方で、今お話のあった沖政協ですね、沖縄政策協議会、十年前はこれは非常に大きな力を持っておりました。全閣僚参加の下で十二月にたしか最終的に開かれておりましたけれども、今回沖政協を開かなかった理由というのは何でしょうか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 さきにお答えをしたとおりでございますけれども、十年前の法改正時も今般の法改正時も、一定程度意見交換を重ねてきたという点では変わりがないというふうに思っております。

 今回につきましては、沖縄担当大臣が政府を代表する立場で知事との間で意見交換を行ってきたものと考えております。

山岸委員 担当大臣がということで、それはきちんと現場で議論がされているものともちろん信じたいんですが、外形的に見た場合に、全閣僚が参加しての閣僚会議である沖縄政策協議会というのに比べると、やはりこの間の政府の向き合い方というものは少し疑問がないわけでもありません。別に十年前が全てよかったと私は申し上げるつもりはありません、民主党政権を擁護して褒めるつもりも特にございませんけれども、しかし、比べたときに、少なくとも、沖縄の問題には政府全体で、これは政権を挙げて向き合うんだというそういう姿勢は、結果的に成功したかどうかは別にしても、そういう姿勢は間違いなくあったんだろうと思います。熱量というふうに言い換えてもいいかもしれません。

 今回、こういった沖政協を開かなかったという部分に、私はやはり政府のやや冷ややかな姿勢というものが見て取れるのではないかというふうに懸念もいたします。大臣から是非そうじゃないと言ってもらえればいいんですけれども、大臣、この間、政治姿勢ですからあえてお聞きしたいんですけれども、政権全体、政府全体として、沖縄振興にかける熱量といいますか意気込みというものがだんだん弱まっているような懸念がないとも私は思わないんですけれども、大臣はどうお考えでしょうか。

西銘国務大臣 お答えいたします。

 かつてですと、山中貞則先生とか、小渕恵三先生とか、橋本龍太郎先生とか、野中広務先生とか、そうそうたるメンバーが沖縄応援団としていたなということを四十年近い政治の場に身を置いている者としては感じております。

 そういう意味では、もう復帰五十年ですけれども、復帰のときにはまだ生まれていなかったという国会議員も大分増えてきておりますし、沖縄に対する熱量は、トータルで見ると、私が政府に入る前、自民党の沖縄振興調査会等々の議論の中でも、沖縄が我が国全体にどういったことが貢献できるのかという議論が出てきます。それは、時間が、復帰五十年たって様々な振興策を進めてきた中で、そういう意識が出てくるのも当然のことではないかなと思いますが、そういう中で、今般、山岸委員が指摘した政策協議会が開かれていなかったというのは、私自身、大臣として入って、知事の面会は私が全部責任を持って承っておりましたので、そこの場で様々な意見交換もできたとは思っておりますが、政治姿勢の違いから、もうちょっと踏み込みが足りなかったというところもあるのかなという点は、御指摘されている点は少し思い当たる点もありますが、それ以上は申し上げられませんので、よろしくお願いします。

山岸委員 真摯な御答弁、ありがとうございます。

 少し思い当たる点もあるということですから、だからこそ、やはり西銘大臣のお仕事の役割というものはなお大きいんだろうというふうに思います。

 そこで、今回、御自身のリーダーシップで取りまとめをされようとしています強い沖縄経済の実現に向けた具体的戦略、ちょっと名前が長いので、恐らくこれは、でき上がった暁には、西銘ビジョンとか西銘プランとか、そういう名前になるのではないのかなと思いますだけに、大臣の責任も大変大きいわけでございます。

 ちょっと懸念していますのが、先ほど議論がございましたけれども、これがどういうふうな位置づけになっていくのかなと。先ほど大臣は、これは概算要求や骨太を念頭に置いているんだというふうな御答弁が先輩議員の質問の中でありましたけれども、そうしますと、これはあくまで令和五年度の予算編成に向けて一年間のプランということになるのか、あるいはもう少し長い目で見たものになるのか、戦略の位置づけですね、今後十年間の法案を今僕らは議論をしているわけなんですけれども、その全体像の中でのこの戦略というものの位置づけ、関係はどういうふうに整理されているんでしょうか。

西銘国務大臣 お答えいたします。

 私自身のイメージで、西銘政策パッケージということはやめてくれと私は言っている方でありまして、沖振法が十年の期限法で成立をしましたら、その法律に基づいて、振興審議会もありますし、国の基本方針の下で県が振興計画を作っていくということもありますが、具体的には、毎年毎年の概算要求から年末の予算決定という流れになっていきます。

 私が十月に就任して、総理が十二月の所信表明で強い沖縄経済という表現を使ったものですから、これは早速何か取り組まぬといけぬなという思いで、もちろん沖縄振興法、あるいは予算、振興税制、政策金融公庫、様々なパッケージで沖縄振興を図っていくんですが、もう少し重点を絞って、五月に取りまとめたものを次年度の八月末の概算要求に向かって取り組んでいけばいいがなと思っておりますが、単年度でできるものでもないものですから、しかし、沖振法に基づいた基本方針と振興計画は大きな太い柱でありますが、それを補うとは言いませんが、単年度の予算要求に向かって取りまとめていこうという認識をしていただければと思います。

山岸委員 あくまで今度の概算要求に向けたということでございましたけれども、そこは長い目でといいますか、沖縄振興担当大臣というのは毎年替わるのが常でございまして、大臣がどんなに奮闘されても基本的には毎年交代されていくお役目でありますので、そこは是非、一年ということではなしに、長い目で見たプランというものをお願いしたいなというふうに思います。

 続けて、沖縄振興一括交付金についてお伺いしていきたいと思います。

 これも非常に様々な評価のある事業でありまして、もちろん、大変使い勝手がいい交付金であって成果も出ているという一方で、創意工夫を頑張っている自治体の側からは、なかなか思ったように全てを使いこなせたわけでもないというふうな評価もございます。

 これもちょっと総論的な話からまず入っていきますけれども、大臣、一括交付金事業についての総括、この十年間の成果、どのようにお考えでしょうか。

西銘国務大臣 地元の県や市町村の話を聞いておりますと、一括交付金に対する期待の高さといいますか、非常にこの効果は大きいものがあると見ております。沖縄独自の制度として平成二十四年に導入されて以降、インフラ整備や沖縄振興に資する事業に幅広く活用されてきたものと認識をしております。

 その一方で、他の自治体における地域振興に資する事業の取組状況等を比較してみますと、地方の単独事業で実施することが可能なものもこの一括交付金に含まれております。実際、沖縄県の県単独事業の水準が、人口同規模の長崎県や鹿児島県と比較してみますと、県単事業の割合が低いという数字もあります。

 令和四年度の予算編成の過程で、厳しい財政状況の下で、こうしたことも踏まえて一括交付金が減額されることとなりました。ですけれども、市町村の首長さんの話を聞いていると、令和三年度並みの一括交付金がなくなったら大変ということは常々受けておりましたので、この一括交付金を始め様々な財源の活用を図りながら、地域の振興、実情に即した振興策をしっかりやっていかないといけないなと思っております。

 財務大臣の折衝の折にも、有効的に効果的に使ってほしいという指摘は、最後の大臣要求のところの場では出ておりました。しっかり取り組んでいきたいと思います。

山岸委員 ありがとうございます。

 そういった様々な評価がある中で、大臣からも御答弁があったように、今年、大幅な減額という結果になったわけであります。九百八十一億円から七百六十二億円、二割以上。

 これは内閣府にお聞きしたいんですけれども、今大臣からも折衝の場でのお話なんというのもありましたけれども、減額理由はどういったところに理由があったと説明されますか。

原政府参考人 お答えいたします。

 概括的に申し上げまして、やはり、沖縄の特殊性の下で、沖縄の特殊性に対してこの一括交付金というものが措置されているという中で、他の一般の自治体においては自分の予算でやっているようなものにこの一括交付金を充当されているんじゃないかということに関して、厳しく見られたということが財政当局との御議論でございました。

 以上でございます。

山岸委員 重ねてお伺いしますが、この間、一括交付金をめぐっては、不用額、使わなかった額が多いじゃないかというふうな議論もあったわけですけれども、今年度については、不用額の問題というのは減額理由には含まれていないんでしょうか。

原政府参考人 お答えいたします。

 その点につきましては年々改善されてきておりますので、今年の財政当局との調整の中でその議論は出ませんでした。

山岸委員 ありがとうございます。

 確かに年々改善をしてきているということでございまして、これは四、五年前になると思うんですけれども、非常にこの一括交付金、バッシングといいましょうか、お金が余っているじゃないかというふうな議論があったわけなんですけれども、これは最近、近年においては改善されてきており、そういうことじゃないんだと、現場の努力をしっかりアピールするのも国の当局の皆様の責任かと思いますので、この点は是非ともお願いしたいと思います。

 そこで、大臣からも一言お願いしたいんですけれども、この一括交付金は、この間、不用額についていろいろな議論があったりして、県とか自治体の側の責任を強調するような議論も正直あったわけなんですけれども、国として有効利用を進めていくための責任をどういうふうに感じていらっしゃるのか、また実行していかれるのか、お考えをお聞かせください。

西銘国務大臣 一括交付金は、地元自治体が地域の実情に即して、自主的な選択に基づいて様々な事業を実施することが可能な予算であります。沖縄振興に資する事業展開に向け、有効に活用していくことが重要であると考えております。

 国としましても、県や市町村と連携協力を一層進め、沖縄の様々な政策課題の解決に向け、一括交付金の更なる有効活用が図られるよう適切に支援をしてまいりたいと考えております。

山岸委員 是非、国からも積極的な支援をお願いをしたいと思います。

 続けて、各論に入ってまいりますけれども、酒税の問題でございます。

 先ほどから、同僚委員、先輩議員からも質問がありましたけれども、残された課題を少しお伺いしていきたいと思うんですが、さっき泡盛の話はありましたが、ビールについてもお尋ねをしていきたいと思います。

 あえて個名といいますか社名を挙げますけれども、オリオンビールでございます。

 沖縄においてビールといえばほぼほぼオリオンビールを指すわけでございますけれども、この経緯を少し振り返ってみますと、そもそも、オリオンビールができた経緯からして、一九五七年でしたけれども、沖縄に製造業をつくっていこう、また雇用を生み出していこうというふうな目的で、経済界挙げてこういった企業をつくってきたという経緯がありまして、もちろん民間企業ですけれども、ある意味では県経済の一つの象徴するような存在でもあると言っていいんだろうと思います。

 しかし、今、曲がり角を迎えているという状況です。外資が入って、この間、いろいろと企業としての様々なアイデンティティーも揺らいでいるのかなという状況であります。

 こういったタイミングにおいて、ビールについても酒税の軽減措置を段階的に廃止をするというふうに決めたのはなぜでしょうか。

西銘国務大臣 お答えをいたします。

 私が政府に入る前、自民党の沖縄振興調査会のヒアリングの場で、ビールの関係者から、職員の待遇の問題では、給与も高い方の会社になっているとか、あるいは、五年後をめどに全国並みの税制にしていきたいという発言が出ました。当時、党の沖振調査会の幹事長をしていた私は、おっ、自らこんな発言をするのかなという思いで聞いていた記憶があります。

 ですけれども、振り返ってみますと、当時、オリオンビールの件では、山中貞則先生なども、復帰特別措置がいつまでもあるとは思わない方がいいぞということで、どこかの時点でアサヒビールとの資本提携の話が出てきたということもあります。

 復帰五十年間、復帰特別措置法でずっとそのままという意識は山中先生にもなかったのかなという思いで見ておりますが、今般、コロナ禍とかウクライナの侵略とか、そういう要素が加わってきたことで、飲食、ホテル関係が大変苦労しているのも見ておりますが、そこは、税制の部分がなくなったにしましても、設備投資の部分、域外の競争力強化の部分で、予算でできる部分は、補助として使える部分があればしっかり支援をしていきたいなという思いで見ております。

山岸委員 ありがとうございます。

 支援は是非していきたいということなんですけれども、僕が今日あえてビールのことを特出しでお伺いしているのは、泡盛の方は業界の方が主体的に提言もあってということであるんですけれども、今回、ビールに関しては、これは全国的な酒税の、第三のビールとか発泡酒とか、あの辺りの変化に全て合わせて沖縄の軽減措置もなくなっていくということなんですよね。いわば、全国の税制変更に沖縄も合わせますよということで動いているわけなんです。それが果たして沖縄の特殊事情に十分配慮したことになるのかなという点が少しやはり疑問があるわけなんです、タイミングを含めて。地元の事情とかということじゃなくて、日本全体で税制が動くからそのときに一緒に変えようということであると、これは本当に配慮したことになるのかな。

 特に、今オリオンは、つい先般も報道されていましたけれども、三十歳代で早期退職を募集するというふうなことも報じられております。今の経営状況を御覧になった上でも、やはり、酒税の軽減措置の見直しというのは、そもそも大前提として県内の雇用の安定と製造業の振興というのが大きな出発点なわけですから、それが揺らいでいる状況でこのまま進めるということは果たして大丈夫なんだろうか、どういう配慮が必要なんだろうか。大臣、この点はいかがでしょうか。

西銘国務大臣 先ほどお答えしましたとおり、ビールの製造業者から五年後の令和九年五月での税制優遇の卒業の提言がなされましたが、他方で、流通業者からは、短期間の間での税率改正に伴う価格の変更やラベルの貼り替え等の手間が生じないように、今山岸委員が御指摘の全国の動き、令和二年十月一日から始まりました三年ごとの全国のビール類の税率改正とスケジュールを合わせてほしいという声があったのも承知をしております。

 泡盛の軽減税率とのバランスも考慮しまして、結果として、令和五年十月に現行の軽減税率を二〇%から一五%に縮減し、令和八年十月に卒業することとしたものであります。

 私としましても、節目節目で直接ヒアリングをするなど、税制優遇の部分が縮減に向かっていくのでありますが、予算措置で対応できるところがないのかを含めて、しっかりと取りまとめに向けて調整に努めてきたところであります。

山岸委員 再々、大臣から卒業という言葉がありました。是非ともそれが前向きな形で進むような取組を引き続ききめ細やかにお願いしたいというふうに思います。

 さて、OISTと鉄軌道の質問を予定しておりましたけれども、先輩議員が同じような質問をされておりましたので、重複部分は割愛しまして、せっかくの貴重な質疑時間ですので、大臣、少し沖縄の心というものについて議論をさせてもらえればなというふうに思います。通告しておりませんけれども、おつき合いいただければありがたく存じます。

 沖縄の心という話をすると必ず引き合いに出るあるせりふがございます。沖縄の心とは何か、それはヤマトンチュになりたくてなり切れない心だというふうにおっしゃった沖縄の有名な政治家がいらっしゃいます。どなたか御存じでいらっしゃいますか。

西銘国務大臣 亡くなった私のおやじで、西銘順治という政治家であります。

山岸委員 ありがとうございます。

 西銘順治元知事の言葉で、これが非常にその沖縄の心というものを表しているというふうによく言われてきて、だからこそ、日本の内地の政府あるいは政治家はこの心にしっかり向き合っていくんだということで、この間、沖縄振興ということに政府全体で取り組んできたという経緯があると思います。

 そこで、西銘大臣、各報道等を見ていますと、西銘大臣御自身は、このヤマトンチュになりたくてなり切れないみたいな、こういった複雑な心というのは自分は特にないんだというふうなことを各インタビュー等で過去におっしゃっていらっしゃいましたけれども、大臣にとっての沖縄の心というのは何か特別なものがあるのか、それともないのか、いかがなんでしょうか。

西銘国務大臣 大正十年生まれの、学徒出陣で戦争を体験してきた私の父の世代、貧しい境遇の中から、何を間違ったか分かりませんが、旧制水戸高校で柔道部に入り、東京大学を卒業してきた、また戦争体験もした。あれだけの体験をしておりながら、ヤマトンチュになろうとしてなり切れない心というのがあったんだなと。

 昭和二十九年生まれの、高校時代まで米ドルで生活をしていた私の世代ぐらいになりますと、大学で体育会の柔道部でヤマトンチュと普通につき合ってきた者からすると、余りそういう意識はなくなっておりまして、人間と人間といいますか、そういう感覚になってきておるのは事実であります。

 ですけれども、何か言っている意味は少しどこかで分かるような気がしますけれども、復帰生まれの國場代議士なんかからすると、全くそういう意識はないのではないかな、でもウチナーンチュとしての誇りは持っているのかなという感覚はあります。

 このぐらいの年になりますと、人間とは何かなと最近つくづく考えるようになっておりまして、哲学に興味が出てきたりしておりますが、ヤマトンチュになろうとしてなり切れない心というのは、理解はしようとしておりますが、全くそれと同じではないなという感覚でおります。

山岸委員 沖縄の心、これは非常に、当然、それぞれ体験があるわけですし、時代とともに移ろっていくんだろうと思います。

 しかし、是非、大臣、沖縄振興を担当される大臣としては、やはり、沖縄が抱えてきた経緯であるとか特殊性、それに伴う様々な気持ちというものに寄り添った政策というものを是非お願いしたいと思うし、余り大臣が、もう私の世代は余りそういう複雑な心境というのはないんですとおっしゃってしまうと、では、特別な事情がないということなのであれば、なぜ沖縄振興をこれからも僕らは頑張って続けていくんだろうという根本の部分にも触れてくる問いになってくるのではないかなというふうに思いますので、やはり県選出の代議士である大臣がいらっしゃるということの中で、前向きな沖縄振興、今後五十年、まさに過去の五十年と今後の五十年で百年の計になるような沖縄振興が発展していくということを祈りつつ、私の質疑を終えたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

阿部委員長 次に、新垣邦男さん。

新垣委員 立憲民主党・無所属会派、社民党の新垣邦男です。よろしくお願いいたします。

 先ほどの大臣のお気持ち、私も分からぬでもないなと思いますので、よろしくお願いいたします。

 さて、沖縄振興特措法は、十年前の改正で沖縄振興計画の策定主体を国から県に変更し、県や市町村の自由度を高めるために沖縄振興一括交付金制度を創設するなど、沖縄側の主体性をより尊重する内容に変わりました。

 本日の議題であります沖縄振興特措法等の一部を改正する法律案は、現行法を文字どおりグレードアップし、ブラッシュアップするものだと思いますので、私もその視点から質問をしてまいります。よろしくお願いいたします。

 まず初めに、沖縄振興予算と沖縄振興一括交付金についてお伺いいたします。

 先ほど来議論がありますが、いわゆる一括交付金は、沖縄振興に資する事業を県や市町村が自主的な選択に基づいて実施できる使途の自由度の高い交付金であります。現行法第一条に定める、沖縄の自主性を尊重しつつその総合的かつ計画的な振興を図るための目玉として制度を創設されたと認識をしております。

 その一括交付金が減額の一途をたどっております。令和四年度でいえば、沖縄振興予算の総額が三千億円台を割り込む中、特別推進交付金、これはソフト事業ですね、公共投資金、ハード事業ですが、共に二〇%を超える減額幅となっております。先ほど大臣からお話がありましたが。

 ただ、その中で、岸田総理や西銘大臣は、来年度の沖縄関係予算の減額について、所要額を積み上げた結果、あるいは所要額を確保しているという説明をいたしておりますが、この文脈でこの主語、すなわち、所要という判断をした主体は誰なのかな。これは、要するに沖縄なのか政府なのかということですが、大臣はどう考えられますか。

西銘国務大臣 お答えいたします。

 令和四年度沖縄振興予算では、厳しい財政事情の下、公共事業、一括交付金、沖縄科学技術大学院大学、OIST等、各事業について、新垣委員言われました所要額を積み上げた結果、二千六百八十四億円を確保しております。この所要額と申しますのは、事業の進捗やこれまでの実績、今後の事業の見通し等を踏まえ、内閣府として必要と考える額であります。

 所要額につきましての質問に対しましては、内閣府の予算の担当者が財務当局との話合いをする中で、例えば一括交付金でも、もう生活に密着している部分は外せないというふうに所要額に入ってきたでありましょうし、その部分から、一括交付金そのものは積み上げに余りなじまないところも、要素もあるんですけれども、これを外したら県民の暮らしにということで必要な所要額は一括交付金を含めて積み上げてきたものと認識をしております。

 年末に令和三年度の補正予算の額が二百十八億円決まりましたので、その十五か月予算で、令和三年度の補正予算とこの今般の二六八四の予算を加えますと三千億に近づいてきているのかなという認識は持っておりますけれども、いずれにしましても、必要な予算額はしっかりと確保していくという思いで取り組みました。

新垣委員 確かに、大臣の頑張りで二千六百億まで来たということは評価をしたいなと思っております。

 ただ、沖縄県、県市長会、県町村会の三団体が、昨年八月に令和四年度沖縄振興に関する内閣府一括計上予算の要請を行っております。もうこれは御存じかと思いますが、その要請書の中には、国家戦略として沖縄振興策を総合的、積極的に推進するために、引き続き三千億円台の予算確保と、県及び市町村の自主性と主体性が発揮できる財源が必要ですと書かれております。

 令和四年度の沖縄振興予算総枠や一括交付金の減額を見るにつけ、私は、県や市町村の自主性、主体性が発揮できる十分な財源が確保できていないのではないか、県や市町村が本当に必要とする所要額、ある意味要望額と言ってもいいかもしれませんが、それに届いていないのではないかという心配をしております。

 実は、私も十年前、一括交付金制度を決めるときに町村会の役員としておりました。三千億あるというのはすごいなと。これは、自由度の高いということで各市町村非常に喜んだんですね。ところが、スタートしてみた、自由度が高いというものですから、何を要請してもできるんじゃないかという、ちょっと甘えがあったのも事実であります。なかなか厳しい査定をやって、実行できない。そして、気持ち的に少し安易に考えていた部分もあるかもしれませんが、先ほど来ありました不用額が、スタートは非常に大きかったです。それでも、やはり国から指摘をされながら、頑張って不用額がないような形を取り組んできたんですが。

 ただ、今回、復帰五十年、そして沖縄選出の西銘大臣が誕生したということで、そんなに大幅に減額はないんじゃないかという甘い予想もしていたかもしれませんが、非常に、県や市町村は、ショックというんですかね、減額が大きかったものですから。

 ですから、西銘大臣におかれて、現行法第一条に照らして、沖縄の自主性が発揮できる予算になっているんだろうかということで、大臣、頑張ったんですが、率直に思いをお聞きしたいなと思っています。

西銘国務大臣 県知事や市長会、町村会の代表の先生方が、三千億円台確保という、要望書の中にあったことは承知をしております。

 ですけれども、三千億円台の約束をしたのが令和三年度で切れるということも事実として認識の中にあったものですから、これは積み上げていって、なかなか簡単ではないなという思いで、でも、どこまで所要額を積み上げていけるかという思いで見ておりましたが、当初出てきた数字が、ちょっと所要額の積み上げがもう少しあるのかなと思ったのも、期待も、私も中ではやっておりましたけれども、この予算の積み上げは、補正予算までイメージすると、何とか必要な額は確保できたのではないかなという意味で、合格点はもらえるのではないかというコメントをしたことがあります。

 あくまでも、必要な予算はしっかりと確保していくという姿勢で臨んだつもりではありますが、三千億に足りなかったという点は、私の力不足といえば力不足と理解してもいいでしょうし、一生懸命取り組んだつもりではおります。

 一括交付金は、今後も、県や市町村にとっても、重要な政策課題に地元自治体が対応していくのにも必要な制度でありますので、令和四年度以降についてもこの制度を継続させることとしております。

 令和四年度の予算額の積算につきましては、一括交付金が厳密な積み上げになじむものではありませんけれども、県に比較して財政規模が小さい市町村が、最低限令和三年度、今年度と同水準の一括交付金の事業を引き続き実施することができるように、今年度と同額の三百八十一億円を確保した上で、県のものも同額で積み上げたものであります。

 引き続き、一括交付金も、様々な財源の活用を図りながら、地域の実情に即して事業の優先度を判断し、自主的な選択に基づいて沖縄の振興に資する事業を実施していただきたいと考えております。

 新垣委員は地方自治の、首長さんの経験もしておられますので、一括交付金についての思いは相当強いものがあるだろうと理解はしております。

新垣委員 西銘大臣の御尽力は大変ありがたく、高く評価をしております。

 ただ、その中でも、県や市町村が自主性、主体性を持って沖縄振興を図っていく上で必要な事業展開の裏づけとなる一括交付金は、大変重要な財源として欠かせないものと思っております。

 例えば、沖縄振興予算総枠のうち、これはある意味提案なんですが、一定割合を一括交付金に振り向ける仕組みをつくるとか、これはちょっと難しいのかなと思いますが、あるいはソフト交付金、ハード交付金の垣根を取っ払って、県や市町村が主体性を発揮できるような弾力性を持たせるなど、県や市町村がある程度の裁量を持って所要額を積み立てていけるような手だてが講じられないかなというお願いをしたいなと思っております。

 実は、これまで一括交付金の中で、各市町村、振り分けられてはいるんですが、その中に、ソフトの中に特別枠があって、各市町村が大型事業をやろうというときにこれを使おうということで、県内四十一市町村が、県も一緒になって工夫してつくった特別枠というのがあるんですが、今回それがなくなったんですね、減額されたおかげで。

 だから、これはもう現実問題として決まったのでしようがないなと思っているんですが、これに代わる、やはりこれから県や市町村の声も聞いていただいて、何らかの弾力的な措置ができないのかなという御検討を是非お願いしたいなと思います。

西銘国務大臣 新垣委員にお答えいたします。

 一括交付金は、地元自治体の自主的な選択に基づいて沖縄の振興に資する事業を実施することができる自由度の高い沖縄独自の制度であります。

 一括交付金のうち、ハード交付金は社会資本の整備を対象とし、ソフト交付金は各種産業の振興や人材育成等のソフト事業などを対象としております。それぞれの対象に応じた事業を地元自治体の自主的な選択により実施することができるものであります。

 ハード交付金とソフト交付金のいずれにつきましても、政府として必要と考える額を計上しているものであり、個別事業の実施に当たっては、ハード整備やソフト事業の推進といったそれぞれの交付金の目的を踏まえつつ、自主財源も含む様々な財源を適切に組み合わせて施策展開を図っていただきたいと考えております。

 一括交付金の予算額は、他の予算と同様、毎年の所要額を計上しております。沖縄振興予算の総額の一定割合を一括交付金に充てるような仕組みを設けることは考えておりません。

新垣委員 大臣がおっしゃっていることは十分私は理解をしております。ただ、余りにも減額が、幅が大きいものですから、これを何とかする措置は取れないものかという提案ですので、これはまたゆっくり、少し私も提案をしていきたいなと思っております。

 次に、大臣から、強い沖縄の経済政策ということで、第一次産業を大事にしたい、農業を振興したいんだという御意見でございました。これはとてもすばらしいことだろうと私も賛同をしております。

 実は私も、自治体の首長として農業振興をやってきたつもりです。ただ、沖縄の場合、基幹産業サトウキビ、先ほどお話がありましたが、なかなか厳しい現状がございます。そして、農業従事者が高齢化をしているということで、なかなか後継者もいない、そして耕作放棄地が多くなっているという、今、沖縄の現状の課題があるんですね。

 これをどうするかといったときに、これまでの農業とは違う、やはり特質というんですかね、もうかる農業。沖縄の自然環境からすると、台風が多いし、暑いし、水もないという状況の中で、どういうもうかる農業があるのかなと思って、実は、私の村で取り組んだのがバニラビーンズのプロジェクトなんですね。バニラ、洋菓子の原料である。

 これは実は、世界のシェアはマダガスカルが八割を占めていて、南米が原産なんですが、これがなかなか今ないんですよ、自然環境でなくて。これをどうにかしたいということで、日本に資源がないものですから、沖縄でできないかということでチャレンジして、一応、幸いにも振興予算で、沖縄振興特別推進事業で、申請したら運よくいただいて、今、実証実験してやっているんですが、非常に効果がいいんですね。ただ、バニラ栽培は難しくて、発酵がなかなかできない。個人的にはやっているんですが、できないと。

 ただ、これはとても、民間の大手も、是非、支援をしてもらっていて、これができると、沖縄からバニラが全世界に、資源が行くということで、こういう取組が、実は、沖縄で今、イチゴ栽培、コーヒー、そしてシイタケをやっているんですね。これを実証実験をやりながら、次は、その加工場をどうするかとかいうような課題があるんですよ。

 そういう事業を是非支援をしてもらいたいなという思いで、沖縄振興特別推進事業、補助金があるんです。これは、民間と市町村の補助金がございます。ただ、なかなかまだ周知をされていないというか、民間事業でうちの村が最初に採択させてもらっているんですが、是非、こういう事業にもう少し力をかしていただいて、そうすると、沖縄の農業、特に水産業は、アーサ、ヒトエグサですね、モズク等々があって、生産者は一生懸命なんですが、その作る加工場とか、販路の問題もあるんです。これも後でやるとしても、是非その辺の対策も、是非またお願いをしたいと思っております。

 この特定推進費の補助要件を是非緩和してもらいたい、あるいは農林水産漁業の支援に特化した特定推進費のような補助制度を創設できないかなということで、そうすると、市町村の第一次産業育成を支援できるんだろうというふうに思っております。

 是非検討してもらえないかということで、内閣府に少しお聞きしたいと思います。

原政府参考人 お答えいたします。

 沖縄の市町村が抱える課題は多種多様でございます。地域振興に向けた地元の取組を支援するということは大事なことだと思ってございます。

 内閣府におきましては、これまでにも、例えば、一括交付金によります県が実施する新規の就農促進を図るための取組に対する支援、あるいは先ほど、首長としてやっておられたバニラビーンズへの推進費補助金による支援等々やってきたところでございます。農業の担い手育成に資する地元の取組というのは非常に大事なことだと思っております。

 また、産業育成に関して言えば、沖縄国際物流拠点活用推進事業等によりまして、競争力のある沖縄県産品の創出に意欲的な民間の事業者に対する支援を行ってございます。

 引き続き、地元の御意見を丁寧にお伺いしながら、地元の取組をしっかり支援していきたいと思っておりますし、御提案の件につきましては、またちょっと承らせていただきたいというふうに思っております。

新垣委員 是非検討していただいて、私も、事業者や市町村に、内閣府に行ったら相談できるよという話を是非しておきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、OISTについてお伺いいたします。

 先ほど大島先生からるるお話があって、本当に、沖縄振興でOISTができて、世界から注目をされて、沖縄にこれができてよかったなという思いを強くしております。

 大変私も評価をしているところですが、ただ、OISTについて、実は、先ほど大臣もおっしゃっていたんですが、沖縄振興の中でOISTができたという中で、県民の中には、県にもう少し、県民と接触というんですかね、県民に近づいてもらえないかという声があるんですね。せっかくこういうすばらしい研究機関があって、世界に発信しているけれども、地元沖縄には、県民にはなかなかそれが理解されていないという部分が確かにあるだろうと思います。

 何名かそういう意見を聞いたものですから、是非それは、もう設立十年、まだまだこれからOISTが大きくなっていくだろうし、世界に発信をしていく。沖縄にあるんだというそのプライドを我々は持ちながら、じゃ、地元にもう少し、貢献と言っちゃ何ですが、連携できないかというのは、各市町村長の声もあるんですね。その辺が検討できないかどうか、よろしくお願いします。

水野政府参考人 お答え申し上げます。

 OISTは、二〇一二年に開学いたしまして、世界最高水準の教育研究を行うことにより、沖縄の振興と自立的発展、また世界の科学技術の発展に寄与するという、この二つのことを目的としてございます。

 沖縄振興に係る具体的な取組としましては、やはり最先端の科学技術に関する教育研究を進める中で、沖縄の特性を生かした研究や地元企業と連携した共同研究を行っているところでございます。また、沖縄県を始めとして一部自治体とは連携協定といったものを結んで、協力していきましょうという取組もOISTはしているところでございます。

 そういった取組はしている中で、一定の成果は当然あるわけですけれども、先般から出ていますように、基礎研究主体の大学院大学だということもやはりございます。なので、産業界や地元ニーズとマッチングさせるのがなかなか簡単ではないという部分があったりとか、あるいは、人材面での制約の課題というのもあるというところでございます。

 いずれにしましても、地域のニーズをしっかりとOISTが把握するということは非常に大切なことだと思っていますので、そういったニーズも踏まえながら、産学官連携の取組が一層推進され、沖縄振興という面でも、切り口でも目に見える成果が得られるように、私ども内閣府としても適切に支援をしてまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

新垣委員 確かにハードルは高く、そして様々な課題はあろうかと思うんですが、でも、沖縄県民にとって、OISTが地元にある、そういう、意識の高揚というんですかね、それはあるんですが、なかなかそれが県民に伝わっていないというか、我々とどういう関係があるのというような声が聞かれるものですから、非常に残念だなと思っているんですよ。その辺は、是非共に何らかの対策でやってもらいたいなと。

 これだけすばらしい施設があって、それだけの研究が、多くの研究がなされているということがなかなか一般県民に伝わっていないのかなという心配をしているものですから、よろしくお願いしたいと思っております。

 そして、済みません、順番がちょっと飛んでいるんですが、申し訳ありません。不発弾の件で少し御質問をしたいと思います。

 悲惨な沖縄戦で、鉄の暴風と呼ばれた激しい艦砲射撃などで撃ち込まれた不発弾は、今も約一千九百トン余りが残るとされております。全て撤去するには七十年から百年かかるとも言われております。不発弾処理は、戦後七十七年が経過してもなお沖縄で大きな課題であります。土地を掘り返せば不発弾が出てくると言っても過言ではありません。都市開発を行えば、ほぼ間違いなく不発弾が出てまいります。

 今も市町村、非常に苦労しているところですが、この不発弾処理の住民避難や交通規制なども市町村で行っておりますが、大きな労力を伴っております。ときには高速道路の通行止め、さらにはモノレールの運行休止にまで波及をし、日曜日の朝から自治体職員が総出で対応するということもございます。この場合、近隣住民だけではなく、県民生活や経済活動までにも支障を及ぼすということになってしまいます。ですから、不発弾処理を行う場合は、できるだけ避難範囲を縮めて、処理作業や時間の軽減、短縮をしたいというのが市町村の本音であります。

 現状の不発弾処理は、発見現場周辺などで処理ごうを造成し、万一の爆発に備えて、破片の飛散が広がるのを防ぐライナープレートという防護壁を設置をしております。これはもう皆さん御承知かと思いますが。

 このライナープレートに代わるものとして、沖縄県、沖縄総合事務局、そして自衛隊などで構成する沖縄不発弾等対策協議会の専門部会ワーキングチームがありますが、処理作業と時間の軽減、短縮が期待できる密閉式の耐爆容器、耐爆チャンバーと呼んでいるようですが、の導入に向けて、その安全性や耐久性などを検証しているようです。

 ちょっとお尋ねしたいんですが、この耐爆チャンバーの検証状況はどうなっているんでしょうか。そして、導入の見込みはあるのかどうか。よろしくお願いします。

水野政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、耐爆容器というのは大きなカプセル状の容器で、発見された不発弾を格納して、それをトラック等で処理場に運ぶということで、工期の短縮、あるいは近隣住民の退避期間や退避範囲が短縮される効果があるとされているものでございます。しかしながら、我が国では、不発弾処理のためには、ある意味実用化されていない、全く新しいものだということでございます。

 御質問の耐爆容器につきましては、平成二十八年五月に、御指摘のあった沖縄不発弾等対策協議会に対して、那覇市から、神戸製鋼所の耐爆容器を導入してはどうかとの提案があったところでございます。この提案を受けまして、委員御指摘の協議会の下にワーキングチームを設置し、専門家らにより、実際に爆破する実爆実験に向けまして様々な面から慎重な検討を行いました上で、神戸製鋼所に実爆実験を行う要請をした。それを受けまして、神戸製鋼所では、令和二年十二月と令和三年七月、昨年の七月でございますが、耐爆容器の実爆実験を実施し、今般、協議会の事務を行っている沖縄総合事務局開発建設部へ結果が報告されたところということでございまして、今後は、この報告結果等を踏まえまして、協議会等で議論されていく予定と承知してございます。

 以上でございます。

新垣委員 済みません、これはできそうなんですか。今検討しているということですか。

水野政府参考人 お答えいたします。

 私が聞いた限りでございますが、実験は、五インチの不発弾を想定した実爆実験は成功だったと伺っております。

 ただ、もうちょっと大きくして六インチでやったときは失敗だったということでございましたので、やはりそこは、慎重な、その結果も踏まえて、専門家の間で、今後、慎重かつ必要な検討をしていくものだと思ってございます。

 そういう意味で、いいですか、悪いですかという話はちょっとなかなかできないかと。

新垣委員 失敗もあったら、それはなかなか踏み切れないだろうと思います。

 ただ、市町村の負担は非常に重いんですよね。市町村長さんからは、とにかくどうにかしてもらいたいという強い要望があるものですから、是非頑張っていただいて、全てにおいて成功して、早めにそれが講じられるように、是非皆さんの御努力をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 ちょっと時間がないんですが、最後に、済みません、順番が飛びますが、先ほど来鉄軌道のお話があります。BバイCの問題、いろいろございました。先ほど河野前大臣のお話もございました。

 ただ、西銘大臣にお伺いしたいのは、鉄軌道の導入は県民の悲願だと私は思っております。そして、沖縄は鉄軌道がないために常に車社会。幾ら道路を整備しても、車が増え続けて交通混雑が後を絶たないんですね。もう新しい道路はすぐいっぱいになってしまうということで、これも県民の強い思いでもありますので、西銘大臣の強いリーダーシップで、鉄軌道の導入実現に向けて、是非とも力強く推進していただきたいと思いますが、一言だけよろしくお願いします。

西銘国務大臣 新垣委員御指摘の鉄軌道に対する思いは共有できるものと思っております。

 昨年の八月に内閣府が公表しました沖縄振興策の検討の基本方向について、その中でお示ししているとおり、バスの専用レーンの活用や既存の公共交通との関係や、町づくりとの連携等についても留意する必要があると考えており、こうした点も含めて引き続き調査を行いながら、鉄軌道の整備の在り方について検討してまいりたいと考えております。

 BバイCの話は鉄軌道の議論のたびに出てまいりますが、私は、むしろ事業主体をどうするのか含めて、しっかりと検討は続けていかないといけないなという思いであります。

 現時点で、この答弁で御理解をいただきたいと思います。

新垣委員 分かりました。大臣もお気持ちは一緒だと思いますが、なかなか難しい答弁だとおっしゃるので、是非共に頑張っていただいて、沖縄県民が望んでいる鉄軌道導入に向けて、先ほど来ありますが、調査も大変大事です、でも、一刻も早くという強い思いがございますので、どうかよろしくお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

阿部委員長 次に、吉田豊史さん。

吉田(豊)委員 日本維新の会の吉田豊史です。富山県富山市が地元でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 比例復活で久しぶりに、四年間の浪人を経てここに戻ってまいりました。一番最初は、維新の党のときに初めて国会議員にさせていただいておりまして、ここの特別委員会に所属いたしました。そのときには、維新の党に下地幹郎という沖縄の政治家がおりまして、その下地からいろいろなことを教えていただきながら私はこの委員会で勉強をさせていただいた、そういう人間でございます。

 改めてこの委員会の方に戻ってまいりまして、この委員会の大変さというか難しさというのは、沖縄そして北方のそれぞれに御縁の深い委員の方々がここにいらっしゃっているというその大きな前提があって、私は富山県ですのでそのどちらにも所属しておりません。けれども、私は、富山県というのは、実は北方領土は北海道を除いて一番島民が多いという県だったり、あるいは、沖縄に関しても昆布ですとかいろいろなつながりがある、そういう歴史的なつながりとか、そういうのもある中での質問をさせていただきたいと今日は思っております。

 この質問の機会を与えていただいて、とにかく私は、今、逆に浪人中になりました下地幹郎がやはり何よりもこの場所で本当は話をしたかっただろうな、こう思っておるものですから、どんな質問の形がいいのかということも相談しながらということで今日は問題を作ってまいりましたので、そのことも是非大臣にもお知りおきの上でお答えいただければなと思っております。

 まず最初に、本土復帰して五十年ということになるわけですけれども、何よりも沖縄ということについて、私も実は富山で生まれ育ってずっと知らなかったんです、恥ずかしながら。日本の中に沖縄ということがあることはもちろん分かっておりましたけれども、訪ねたこともなかった。大学になって二十二歳のときに初めて、自分の沖縄の生まれ育ちの友人から沖縄はいいところだから来いよという言葉をいただいて、そして訪ねたのが初めてでして、それからもう既に、実は私にしても沖縄に初めて上陸してから三十年たっているわけなんです。

 自分のことを考えてみたら、結婚式を沖縄でやらせていただきました。それから毎年のように沖縄の方に、頻度はいろいろありますけれども、月に一回ぐらい行っているんじゃないかなと思うと、三十年たてばどれだけの数を沖縄に行かせていただいたのかなというところは私の経験としてもありまして、もちろん、沖縄で活動なさっている政治家の皆さんからすれば、実は今の今も私は何も分からない人間かもしれませんけれども、でも、今回の沖縄の振興の特措法、これを考えていく節目のタイミングに来ているんですよね。

 私は本当にいろいろなことを今日も勉強させてもらっていますけれども、ヤマトンチュという言葉ですとか、あるいは本土という言葉もなかなか普通の会話では聞かない言葉なんですけれども、こういう中にあって、私はヤマトンチュであり、そして本土の人間だというところからすれば、じゃ、ここでこれからの沖縄にとってどのような応援ができるんだろうか、そういう立ち位置での質問をさせていただきたいんです。

 その中で、まず何よりも、本土に復帰して五十年たつ中で、多くの沖縄の皆様は、復帰した後、やはり、元々抱えていらっしゃった基地の問題ですとか、それから米軍関係の事件ですとか、いろいろな苦しい思いですとか、そういうものについて、あるいは、成長していく中で、高度経済成長に乗り遅れているという立ち位置にいた沖縄とか、そういう様々な状況があったものを、やはり復帰によって大きく状況が改善していくだろう、こういうふうに私は考えていらっしゃったと思うんですけれども、これを大臣御自身はどのように考えていらっしゃったかというところをまずお聞きしたいと思います。

西銘国務大臣 吉田委員にお答えをいたします。

 委員御指摘の三点について御答弁をしたいと思います。

 委員が御指摘をされている各項目について申し上げますと、沖縄の米軍専用施設・区域は、昭和四十七年、復帰時の約二万七千八百五十ヘクタール、これは昭和四十七年五月ですけれども、その数字から、令和三年三月で約一万八千四百八十三ヘクタールへと縮小しております。

 しかし、沖縄には今なお多くの米軍基地が集中をしております。県民の皆さんの大きな負担となっていることは事実であります。基地負担の軽減は着実に進んできていると考えておりますが、更に取り組んでいかないといけないというふうに思っております。

 また、復帰以降の様々な施策、振興策によりまして、沖縄の県内総生産は、名目でありますけれども、昭和四十七年度の四千五百九十二億円から、四兆五千五十六億円、これは平成三十年度のデータでありますが、となっております。

 また、一人当たりの県民所得は、昭和四十七年、復帰のときの約四十二万円から、平成三十年度で約二百三十九万円と、全国の平均の七割程度まで上昇してきております。

 これらの数字を見ると、県民生活の向上も見られていると思っております。

 さらに、県経済の成長に伴いまして、昭和四十七年度に全国平均の五七・八%であった一人当たりの県民所得の点でありますが、平成三十年度には七割強となって、全国の比較で見ると格差は縮小してきております。

 総じて、復帰後の様々な振興策を講じてきた結果、県民のたゆまぬ努力もあり、沖縄経済は着実に成長してきたと考えておりますが、全国最下位の一人当たり県民所得など、解決すべき課題はまだ存在していると認識をしております。

 沖縄の自立的発展と豊かな住民生活の実現に向け、今般の沖振法の改正を含め、引き続き、地元の御意見を伺いつつ、全力で取り組んでまいりたいと思っております。

吉田(豊)委員 今ほどの大臣の全体的なお考えをお聞きしていまして、私は、結局のところ、五十年かけて沖縄自身が日本全体と同じところに並んだかというと、実はそうなっていないというのが事実じゃないかなと思うわけです。

 それについて、沖縄振興ということについては、沖縄三法と言われる三つの法があって、そして、それをベースにした、沖縄をとにかく全国と同じところにまず持ってこなくちゃいけない、そういう応援をしようという三法だと思うんですけれども、実際に、五十年をかけて五次にわたってそれに合わせた沖縄の振興策も盛られてきたんですけれども、これが目標に達したか達さなかったかといえば、達していないということでしょうし、そして、沖縄県民の思いに対してきちっと、この振興策自身が、五回にわたってやったことが、沖縄の人が、ありがとうと、これがよかったと思っているかというと、私は外から見てそうではないんじゃないかなと思うんですけれども、中にいらっしゃった大臣はどう思っていらっしゃるかということをお聞きしたいと思います。

西銘国務大臣 社会資本の整備を見る限り、この五十年で確実に整備されてきたなと。小中学校の施設であったり、あるいは、第二滑走路が空港でできるなんというのは私たちが高校、社会人になっても余りイメージができなかったのでありますが、ついに実現をしましたし、高速道路につきましても名護の東道路であったり、あるいは空港以外に港湾であったり、様々な施設の整備は着実に進んできていると考えております。

 ただ、米軍基地の縮小にも、北部訓練場の四千ヘクタールの返還とか、細かな例はあるんですけれども、その辺の専用施設の整理、縮小、統合の割合が、御案内のように、普天間飛行場の移設問題についてもなかなか進捗しないような現実が続いておりますし、その辺のところからすると、県民の思いは、冷静に見ると、社会資本の整備等々、あるいは所得の面でも、復帰の時点から五十年たった数字を見ていると確かに改善されてきた部分はありますが、子供の貧困とか、あるいは若年者の妊婦の問題とか、まだまだ解決すべき課題は残っているなというのが認識であります。

吉田(豊)委員 そういう大臣の御認識の上に話を進めたいと思います。

 まず、令和四年度の沖縄振興予算案二千六百八十四億円についてですけれども、第五次の振興計画の中にあって、当初予算額、概算要求、そして県の要望額というところ、今日の委員会でもいろいろ詰められておりますけれども、改めてこの数字について、これがどういう経緯で、そして、その関わる方々が全て納得した形、それぞれの主張をして納得した形で進んでいるかというところを確認したいので、まずはこの数字について改めて原さんにお聞きしたいと思います。

原政府参考人 お答えいたします。

 内閣府におきましては、毎年、概算要求に先立ちまして、沖縄県から次年度予算に関して御要請をいただいているところでございます。まずそこだけ先に申し上げさせていただきますと、平成二十五年度予算から三十年度予算に関しましては、毎年三千億円台の予算確保を要請いただいています。三十一年度に関しましては三千六百億円規模の概算要求をということ、それから令和二年度予算に関しては三千五百億円規模の概算要求をということ、それから令和三年度予算に関しましては三千億円台の予算確保をということ、令和四年度予算に関しましては三千六百億円規模の概算要求及び三千億円台の予算確保をという要請をいただいています。

 それに関しまして、私ども、概算要求額につきましては、平成二十四年度は、二千四百三十七億に対しまして、予算額は二千九百三十七億。平成二十五年度は、概算要求額三千四十五億円に対しまして、三千一億円。二十六年度につきましては、概算要求額三千四百八億円に対しまして、三千五百一億円。それから二十七年度につきましては、概算要求額三千七百九十四億円に対しまして、三千三百四十億円という予算額。それから二十八年度につきましては、三千四百二十九億円の要求に対しまして、三千三百五十億円の予算額。二十九年度につきましては、三千二百十億円の概算要求に、三千百五十億円の予算額ということです。それから、三十年度、三十一年度、令和二年度の三か年に関しましては、概算要求額は三千百九十億円、予算額は三千十億円でございます。令和三年度につきましては、事項要求があった関係で、三千百六億円の要求に対しまして、三千十億円の予算額。令和四年度につきましては、二千九百九十八億円の概算要求に対して、二千六百八十四億円となってございます。

吉田(豊)委員 しっかりとした数字をありがとうございます。

 これで見ますと、やはり、当初予算額については、直近の、平成二十九年からぐらいですか、そこから令和三年まで、三千億前後というその辺りの数字がきちっとトレンドとして出ているわけですね、やってきたことについては。予算の要望についても、今日も勉強になりましたと申したのは、北中城の首長をなさっている新垣さんの言葉にもありましたけれども、やはり、自治体自身も、きちっと無駄のないように、要求する額についてはしっかりとした根拠のあるものを出そう、そういう自分たちの努力もあって精度が高まっている、そういう中でのこの数字が出てきていると思うわけです。

 改めて、令和四年については、県の要望額が三千六百億、そして概算要求は二千九百九十八億で、当初予算額が二千六百八十四億ということになりましたけれども、やはり、今までの流れからすると、先ほど大臣もおっしゃいましたけれども、様々な解決してきた問題もある、でも一方では全く解決してきていないと感じられる問題もある中で、これだけ大きな変化がこの令和四年のところで起こるということについて、なぜというのはやはり県民の皆さんは思うでしょうし、そして、そこに具体的に根拠というものが必要ではないかと思うわけですけれども、改めて大臣からお聞きしたいと思います。

西銘国務大臣 吉田委員にお答えいたします。

 令和四年度の沖縄振興予算につきましては、現下の厳しい財政状況の下、各事業の所要額を積み上げた結果、総額二千六百八十四億円を計上いたしました。全体としては前年度と比べますと額は減少しておりますが、この中でも、子供の貧困対策や基地跡地利用、あるいは北部振興、離島振興など、今後の沖縄振興における重要分野につきましては予算を増額をして計上しております。さらには、産業競争力の強化、産業人材の育成に係る予算を新規に計上している分野もあります。

 この二千六百八十四億円、前年度と比べて減少しているということに関しましては、例えば、那覇空港の第二滑走路の完成、これは例年ですと年度三百億ぐらいずつの要求をしておりましたが、その滑走路が完成したこと、あるいは名護東道路の全線供用開始を始めとする事業が大幅に進捗してきたことにより、総額としては減額となっております。

 昨年の十二月に成立した令和三年度の補正予算による追加額二百十八億円を踏まえて十五か月の予算という考え方をしますと、公共事業、一括交付金についても必要な額を計上していると考えております。

 沖縄県の要求の考え方につきましては、内閣府として具体的なコメントをすることは差し控えたいと思っております。

 沖縄県においては、それぞれの部局の希望額を合算する形で要求額の積算を行っているものと承知をしております。その積算額が三千億円台を超えて概算要求に、国側への要望になったと承知をしております。

 いずれにしましても、しっかりと必要な予算額は、補正予算まで含めると、十二分ではないにしても、必要な予算額は確保できたものと認識をしております。

 これからも必要な予算額はしっかりと確保していかなければいけないという思いで頑張りたいと思います。

吉田(豊)委員 この予算を積み上げていくというところなんですけれども、私ではないですけれども、前の委員のところで、沖縄の特殊性というところがあって、そこに理由づけがあるから、これについてはしっかりとした積算がされていくという形だというふうに私は理解したんですね、政府の答弁というものについて。

 原統括官からしますと、今ほど大臣のお考えのあった方針はそうだとして、そして、令和四年に向けて、沖縄の地元の方から上がってくるものについての積算の、沖縄の特殊性というところの理由づけについて、それが弱まったというところが実際の最終的な当初予算のところにつながったというふうに認識なさっていますか。

原政府参考人 お答えいたします。

 一括交付金の部分につきまして先ほど御答弁をさせていただいております。

 一括交付金につきましては、県、市町村が自主性に基づいてやるわけでございますけれども、やはり一個一個の事業を子細に見ますと、私が先ほど申し上げましたように、普通、ほかの県であれば一般財源でやっているようなものも混ざっていなくはないぐらいのコメントをさせていただきましたけれども、そういうことでございまして、沖縄の特殊性ということでもって一括交付金が制度としてあるわけでございますので、そこについてはやはり不断の見直し等々が必要なんだろうというふうに思っています。

吉田(豊)委員 その一括交付金という仕組み自身、これが沖縄の復帰から五十年間続けてきたという一番の大きな枠組みの形だろうと理解するんですけれども、これ自身が、やはり五十年たって、そして第五次までやってきたという中にあって、先ほど大臣の言葉にもありました、整った部分もあれば整っていない部分もあると。でも、実際、整った部分というのは、先ほどもおっしゃいました空港の話ですとか、あるいは社会インフラですとか、いろいろなものは、それはきちっと今度は使っていくという、そういう状況には来ているという認識をなさっているんだと私は思うわけなんですね。

 そうなると、実際に一括交付金というやり方自身がこの後もこれで継続していっていいのかというところが、私は根本的な、外から見ていて疑問に感じている問題点だと思うのですけれども、これについての、改めて、今回の予算措置というものが全体として沖縄の今必要な思いに寄り添ったものになっているかというところを、まずもう一度大臣に確認させていただきたいと思います。

西銘国務大臣 一括交付金は、五十年前はなかったと思っております。十年前の第五次の計画のときに、私も落選中でありましたが、自民党が野党のときだったと思いますが、当時、民主党政権のときだったと記憶しておりますが、与野党連携して立派な沖振法を、一括交付金という制度も含めてつくっていただいたなと思っております。

 一括交付金につきましては、市町村や県の思いはもう本当に強いものがあります。特に市町村は、一括交付金がないと何の事業もできないよというぐらいの、首長経験者を含めて、県議会も経済界もこの制度は是非残してほしいという強い思いを感じておりましたので、今般の沖振法の改正でも、制度として、一括交付金の制度、あるいは高率補助であったり、沖縄公庫の存続であったり、沖縄振興税制の部分であったりという形で、十年間のという思いで取り組んでいるところであります。

 一括交付金の制度は県民ひとしくありがたいと思っておりますし、今般の法改正にも制度を残したところであります。

吉田(豊)委員 その中で、次に、沖縄の経済損失というところに入りたいと思うんですけれども、今、日本全国、コロナという大きな影響を受けて、全般にどこも苦しいわけですね。そして、そういう中にあって、やはり沖縄が観光立県だというところは私でも理解しておる中で、コロナの影響を本当に大きく受けた地域の一つだというふうに思っておるんです。

 その中で、観光庁からいただいた数字では、二〇二一年の宿泊者数の減少が、感染拡大前から比べれば六六・九%と最も高い数値を出している、そういうデータもいただきました。この辺りからしても、沖縄の経済損失は非常に深刻なことだろうというふうには理解します。

 その上で、沖縄の経済の損失状況について、私は内閣府というのは沖縄の行政の代弁者だというふうに理解しておりますので、内閣府がどのようにこれを理解しているかというところについて、統括官の認識を問います。

原政府参考人 お答えいたします。

 沖縄県の資料によりますと、新型コロナウイルス感染症等の影響によりまして、平成三十年度に一千万人を超えていた沖縄県の入域観光客数は、令和二年度には約二百五十八万人ということでございまして、二五・八%にしかならないということでございます。

 また、沖縄県の試算でございますけれども、入域観光客数が大きく減少したことに伴いまして観光収入も大きく減少しておりまして、平成三十年度には約七千三百四十億円だったというふうに沖縄県の方でなっております観光収入につきまして、令和二年度には二千四百八十五億円ということでございまして、ここだけで見ても約五千億円の減になっているということでございます。

 また、沖縄経済全体にも影響を与えてございまして、例えば、令和元年に二・七%だった完全失業率につきましては、令和二年には三・三%と悪化しております。令和元年に一・三四倍だった有効求人倍率は、令和三年には〇・八〇倍となっているところでございます。

 特に、観光がリーディング産業であります沖縄県におきましては、こういうことで深刻な影響を与えているものと理解をしています。

吉田(豊)委員 全くそのとおりだという状況を確認できたわけですけれども、改めて、コロナの対応についての予算措置というところで、政府の方は、全体として、コロナについての予算の対策事業、予算づけを行っているんですけれども、この中の一つには新型コロナウイルスの感染症地方創生臨時交付金というものがありますけれども、これが沖縄に対してどのような状況にあるかというところを地方創生推進室の黒田さんにお聞きしたいと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金につきましては、感染拡大の影響を受けている地域経済や住民生活を支援し地方創生を図るため、各自治体が地域の実情に応じてきめ細やかに必要な事業ができるよう、自由度の高い財源として措置されたものでございます。

 沖縄県におきましては、これまで、観光関連事業者や公共交通事業者への支援、飲食店の感染防止対策への支援などの取組が行われたと承知しております。

 直近の令和三年度補正予算の地方単独事業分におきましては、沖縄県と県内市町村を合わせまして約百八十一億円を交付限度額として通知をし、感染症対応や観光など、地域経済の回復に御活用いただいていると認識をしております。

 今後とも、感染状況に応じて、沖縄県を始めとする各自治体が財政上の不安なく切れ目ない対応ができるように、適切に支援をしてまいりたいと考えております。

吉田(豊)委員 こういう全国と同じ状況を確認したわけですけれども、大臣、改めて、このコロナの状況というものが、沖縄にとっては、ほかの全国の都道府県の中でやはりぬきんでて一番打撃を受けているというふうに認識するんですけれども、そういう状況にあっても、トータルとしての予算案というところについては、積み上げの形での減額という形を取ったというふうにおっしゃっているわけです。

 本当にこれで大丈夫なのというか、今厳しいのはどこも一緒ですけれども、でも、依存度とかそういうことを考えたときには、今こそ次に備えるための予算とか、そういうものも積み上げ方式だとなかなか積み上がらないですね。

 でも、そうではなくて、次のためのセーフティーネットというか、あるいは、次に備えるための、今までいろいろな投資してきたものをしっかりと生かしていくために、今こそ必要なのではないかという考え方が私はあるべきだと思うんですけれども、どのようにお考えでしょうか。

西銘国務大臣 ただいま政府参考人から説明がありましたように、コロナ禍の影響というのは、観光客が一千万人いたのが二百五十万人に減っている。宿泊、観光関連の、飲食も含めて大変な厳しい状況になってきております。それはそのまま農業生産者等の生産物の販売等にまでも広がっておりまして、コロナの影響は、沖縄県経済の、ある意味、想定外のコロナが二年以上続いて、大変厳しい状況になっている。

 県議会等の動きを見ておりましても、県議会で初めて全会一致の、観光がリーディング産業ですから、観光関連産業に対する基金をつくれないかという条例を与野党全会一致で初めて作ったというのも、コロナ禍の私たちの暮らしの影響の大きさが大変なことになっているという認識の表れだと見ております。

 そういう中で、令和三年度の補正予算と、今般予算を審議していただいておりますけれども、減額になったという点では、財務当局とのやり取りの中では、県単独の事業をもう少しできる余地があるんじゃないかという指摘も承っておりますし、また、私自身は、復帰五十年という節目を迎えるに当たって、県側の話をしている中で、もう第二滑走路も完成した、名護東道路も完成した、これからに向かって何か、五十年の目玉という、ハードであれソフトであれ、そういう視点が少し弱かったのかなという感じは持っております。

 いずれにしましても、今般審議をいただいている予算、法制、さらには税制改正等、あらゆる手段を使って、沖縄振興、このコロナ禍で落ち込んだ部分も含めてどう回復していくかというのは、コロナ対策をしっかりやりながらも、暮らしの面で、地元の関係業者などは何とかGoToキャンペーンを復活できないかなという声もいただいておりますが、いまだ、まだコロナの状況を見ながらということでありますが、しっかり取り組んでいかぬといけないなと思っております。

吉田(豊)委員 大臣が少しとおっしゃるのは、かなりそう思っていらっしゃるということが今日一日で理解しましたので、やはりその少しの部分が本当は実は大事で、それをどうやってやっていくかというときに、私が今日ここにいて本当に大変だなというか難しいなと思うのは、大臣は地元の思いを背負わなくちゃいけないし、でも政府の立場で答えなくちゃいけないし、そうなると、どうしたいのというところが、なかなかはっきりとは言いづらいだろうなと思うわけです。

 今日の質問者を見ていましても、私は、野党ばかりに時間が全部行っていて、本当は、与党の地元の議員の方々が当然いらっしゃるわけで、そういう方々こそ、僕はこの委員会こそ、与野党関係なく、沖縄を応援しよう、北方をきちっと応援していこうという、そういうところだと思うので、これも本当はやはり与党の皆さんからももっと力強い質問というのがあるべきじゃないかなと生意気ながらちょっと思います。

 その中で、ここで、私は次に、じゃ、どうやって、今大臣がおっしゃった、投資したわけですね、いろいろなものを。そして、沖縄にはいろいろなものが整ってきていると思うんです。

 私は富山県ですけれども、富山にはモノレールももちろんありませんし、それから片側六車線とかの道路もありません。でも、新幹線が来ました。新幹線が来たけれども、新幹線が来て、お隣の県が終着駅に今なっているんです。そうすると、富山県が一生懸命引っ張ってきた新幹線だけれども、これはなかなか私たちとしては上手に使えていないなというところもあって、いろいろなことを引っ張ってくるところまでは頑張るんですけれども、引っ張ってきて、それをどうやって使っていくのかというところこそ本当は重要なことで、先ほど農作物に対するいろいろなアイデアというのも出していらっしゃいました。確かにそのとおりで、今は、何でもそうですけれども、やはりそれぞれの産業を強くしていく、その強くする方法というのは、結局ブランド化しかないわけです。ブランディングをして、そして、そこに消費者が直接それを求めて来るという形をつくる。それは、沖縄というところからすれば、物すごくいろいろな人を引っ張る力というのを、私は外の人間ですけれども、今もやはり沖縄は大好きですし、行きたいなと思いますし、そういうふうに感じるんですね。

 だから、今必要なことというのは、第五次までやってきた計画というものを、きちっとそこででき上がってきたものをもっと大事にして、そして、そこからどうやっていくのかというところを、やはり今度は沖縄の方々自身が自分たちでやっていくタイミングに来ているというふうに強く思うんです。

 その点は、六次振興計画というところに入りたいと思いますけれども、これは、いろいろな数字、例えば県内総生産とか、それから県民所得、いろいろなものが出てきていますけれども、改めて、この計画をずっとサポートしてこられた内閣府として、この現状について、第一期、第二期、第三期、第四期、第五期まであります、これは満足できる状況になっているのかどうか、その認識を確認したいと思います。

原政府参考人 お答えいたします。

 過去五回の沖縄振興計画における、まず県内総生産の目標と最終年度の金額を見ていきますと、第一次の計画では、目標が昭和五十六年度一兆円ということに対して実績は一・三兆円でございました。第二次の計画では、目標が二・四兆円に対して実績は三兆円でございます。第三次の計画におきましては、目標が四・九兆円で、実績は三・五兆ということでございます。第四次の計画におきましては、目標が四・五兆で、実績は三・九兆ということでございます。五次でございますけれども、令和三年度の目標は五・一兆円でございますけれども、現在、データが得られる直近で四・五兆でありまして、その後、コロナのマイナスが出てくると思いますので、やはり五・一兆円には届かないんだろうなというふうに思っておりまして、そこに関していろいろな分析があろうかと思いますけれども、この数字だけを見ると、やはり目標に対して実績が伴ってきてはいないということが見て取れるというふうに思っております。

吉田(豊)委員 それが正しい数字を見た分析ですし、そしてそこから、目標には届いていないけれども、もちろん、先ほど大臣もおっしゃったように、徐々に必要なものにしっかりとした投資をされて環境が整ってきているというふうにおっしゃっているわけです。

 そうなったときに、今度は、沖縄として、やはり、今現状、伸びてくるときに解決できていない問題が幾つかあって、基地の問題はちょっとおいておいてください、それはそれで別な形で話をしたいんですけれども、それ以外で、例えば、いわゆる貧困の問題ですとか、あるいはシングルマザーの問題ですとか、教育の環境の問題ですとか、いろいろなことが沖縄の方々の課題としてずっとおっしゃっているんですけれども、この五次計画までやってきて、私からすると、そういう人への投資こそ本来は一番重要なやるべきことであって、そして、そういう力を沖縄の方々につける、その予算化ということが、本来、予算を積み上げていくときに説得力のある、これはみんなで応援しているわけですわ。日本全国が沖縄のところをきちっと、今度は逆に、世界情勢を考えたら沖縄の皆さんの力は地政学的にもいろいろなことを考えても一番重要な地域の一つですよ。そういう沖縄により元気になっていただいて、そして、そこをみんなで応援していこうと。

 基地の問題一つを取っても、例えば、基地の負担が全国の都道府県ができないのであれば、それに見合う何かを私たちが沖縄に応援しなくちゃいけない、こういう当たり前のことなんですけれども、そういう姿にこの計画がやはり変わっていかなくちゃいけないと思うわけですね。だけれども、全然、今やっていることは、この計画自身が次に行っても同じようなことを続けようとしている。

 これはやはり、逆に沖縄の方々の方から、いやいや、こういう形での応援はもういいんだと。そうではなくて、新しい形の応援というか、あるいは予算のこと一つを取ってもですし、それから振興計画一つを取ってもそうですけれども、目指していかなくてはいけない、そういう本当にターニングポイントに来ているのではないかな、このように思うんですけれども、改めて、今の現状、これをそのまま続けていっていいというふうに大臣が思っていらっしゃるかどうかを確認したいと思います。

西銘国務大臣 五十年たった経過は、先ほど来申し上げておりますように、まだまだ課題としましては、県民一人当たりの県民所得が全国平均の七〇%台であるということ、これをどう八〇パーぐらいに持っていくのかということも含めて、人材の育成という視点は、これから、五十年経過して、これから先の十年間を見るときには、極めて重要なポイントになってくるだろうと思っております。

 一人当たりの県民所得を上げていくという上においても、人材をどういう具合に育成していくのかという視点は極めて重要な点でありますし、その辺はしっかり取り組んでいかぬといけないなと思っております。

 地元の市町村、あるいは県、あるいは経済団体、農業、様々な団体からの要望の視点を見ておりますと、やはり一括交付金の制度は残してほしいという要望も強くありましたし、市町村長さんにとっては使い勝手のいい、これがないと本当に市町村が大変なことになるという話も聞いておりましたので、その辺のところは制度上に残していくような法律改正になっておりますし、努力義務もそれぞれ追加をしておりますが、御指摘の人材育成という点は、私はかなりの重要なポイントになってくるなと大臣としても見ております。しっかり取り組んでいかぬといけぬと思っております。

吉田(豊)委員 生意気にも人材と申しましたのは、今日の委員会でも幾つか大事なキーワードが出ていたと思うんです。コールセンターの話ですとか、それからバニラビーンズの話ももちろんそうですし、オリオンビールの話もそうです。それぞれ、いろいろな現場現場がある中で、今の沖縄の状況がそれを導いてきているということは理解できるんです。

 でも、例えば、赤嶺先輩がおっしゃったコールセンターの話一つを取っても、賃金が安いから来ているんだよ。取っかかりはいいじゃないですか、それで。だけれども、そこでやってみたら、実は沖縄の方々のコールセンターの対応が全国で一番すばらしいんだ。あるいは、逆に、そこに来た人たちが、仕事プラスアルファの環境というものが沖縄が一番すばらしいから、そこから広げていくんだ。そういう取っかかりというものをやはりいろいろな人たちが用意しているし、現状があるわけですよね。ここを次に生かしていくのは、今度は、いつもいつも渡されるという立場ではなくて、皆様方の方でそれをきちっと、じゃ、どうやったら一番ブランド化につながるのか、一つまいた種がどう一番大きな効果を発揮するのかというふうに持っていくべきだと思うんですけれども。

 ここで、今回、質問を準備していまして、下地とやり取りをしていて一番ずっと私がよく理解できないのは、本当に私が頭が悪いからなんだろうなと最終的には思うしかなかったんですけれども、基本方針というものを決めていくに当たって県が沖縄の基本振興計画ということを策定するという、このやり取りの順番というものがとても大事だというふうに言うんですね。

 だけれども、私からすると、その順番がどうしてそれだけ重要性が出てくるのかというところが、私は、根本的にはそういう話ではなくて、元々、沖縄が自分たちでどういうふうにしてやっていくんだというところの一番大きな転換点というところに来るべきじゃないかなと思うんですけれども、改めて、今回の振興策、措置法についての流れについて、大臣がどのようにこの点について御認識されているかというのを確認したいと思います。

西銘国務大臣 令和四年度以降の沖縄振興策につきましては、改正法案の検討段階から、大臣と知事を始め様々な、事務レベルを含めて累次にわたる意見交換を重ねてきております。

 また、今後、国が基本方針を定めるに当たっては、知事が構成員として参画をしている法定の沖縄振興審議会の意見を聞くこととされております。こうした手続を経て策定された基本方針に基づいて、県が自ら振興計画を策定することとなります。

 これらの過程を経る中で、基本方針に記載された国としての考え方と振興計画に記載された県としての考え方にそごがないように、適切に整合が図られるものと考えております。

 先ほど吉田委員が指摘しました人材を育成するために努力義務を新設したところでありますが、沖縄では、中学卒業後に進路が決まっていない子供の割合とか、あるいは高校中退率が全国の数字と比較して高いなど、人材育成に関しての阻害要因になっている点もありますので、人材は百年の計とも言われますから、この十か年計画の中にも人材育成への努力義務の規定を設けたところであります。

吉田(豊)委員 人材のところにしっかりと言及いただいて、ありがとうございました。

 何よりもやはり大事なのは、そういう厳しい環境の中でも人は魅力あるところに集まるという事実は変わらないと思うので、そこに是非また傾注いただいて、御尽力いただければと思います。私も応援してまいりたいと思います。

 ありがとうございます。

阿部委員長 次に、長友慎治さん。

長友委員 国民民主党の長友慎治です。

 西銘大臣、本日は、午後から四時間以上にわたる答弁、大変お疲れさまでございます。私で最後の三十分になりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 内閣府が令和三年の八月に公表した新たな沖縄振興の検討の基本方向を読ませていただきまして、沖縄振興の具体的な施策の一つとして子供の貧困が挙げられております。その中で、「沖縄の子供たちが自分の将来の人生計画を自己決定するために、避妊を含めた性の知識その他結婚、妊娠・出産、子育て、仕事について学べる機会を確実に提供することが必要である。」というふうに書かれております。

 この「避妊を含めた性の知識その他結婚、妊娠・出産、子育て、仕事について学べる機会」、今どのように取り組んでいるところか、教えていただけますでしょうか。

水野政府参考人 お答え申し上げます。

 沖縄では十代女性の出産や母子世帯割合が多いといった現状を踏まえて課題に取り組むということが必要でございますが、まずは、沖縄の女性が若くして子供を出産されたとしても子供の貧困が連鎖しないよう、若年妊産婦に対する支援などを適切に行うことが重要と考えてございます。

 内閣府では、沖縄独自の追加支援として、沖縄子供の貧困緊急対策事業というものをやってございます。令和元年度より若年妊産婦の居場所の設置を進めるなど、若年妊産婦に対する支援に取り組んでおり、引き続きこれらの支援の継続、充実に努めていきたいと思います。

 また、先ほど委員から御指摘のありました基本方向の中でありましたように、沖縄の子供たちが自分の将来の人生計画を自己決定できるよう、必要な取組を進めることが必要であると考えてございます。

 このため、令和四年度の政府予算におきまして、新たに、避妊などに悩んでいる女性に対しまして、女性の避妊支援に係る経験がある女性相談員による相談支援を行う事業などに取り組むこととしてございます。

 議員の御指摘のとおりですが、子供の貧困の問題は福祉や教育など多くの問題が関わってございますので、関係省庁などともしっかり連携して必要な支援の充実等に努めてまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

長友委員 ありがとうございます。

 今、若年の方の妊娠についてお話もありましたけれども、沖縄の人工妊娠中絶の数につきまして、その数が全国平均で比較するとどのような状況にあるのかを教えていただけますでしょうか。

田中政府参考人 お答えいたします。

 本年一月二十七日に公表いたしました令和二年度衛生行政報告例によりますと、令和二年度の沖縄県の人工妊娠中絶件数は千九百六十七件となってございます。女子人口千人に対する実施率で比較いたしますと、全国では五・八、沖縄県では六・六となってございます。

長友委員 ありがとうございます。

 全国の中でどのくらいの位置にあるかというのも分かりますか。四十七都道府県の中で。

田中政府参考人 お答えいたします。

 全国の順位づけといったようなものはしてございませんけれども、例えば、鹿児島県では七・八、宮崎県では八・二といったような数字になってございます。

長友委員 ありがとうございます。

 私の出身地である宮崎の話も出てきましたけれども、九州が多いような傾向が今お話からは出てくるかと思いますが、そのことはまた別な機会に議論したいと思いますけれども、今、日本での中絶の主流は、御存じのとおり、掻爬法でございます。

 その手術費用について私は皆様とちょっと議論をしたいなと思っているんですけれども、妊娠初期の人工中絶手術、十万円から四十万円というふうな相場が言われております。この沖縄の問題、平均所得が全国で最も低いということがさんざん言われている中でございますけれども、妊娠した際の中絶費用も負担になることが容易に想像できるわけですね。

 最低でも日本では十万円、そして四十万円ぐらいと言われている人工中絶手術に対しまして、先進国における世界の潮流は経口中絶薬の処方が今一般的になっております。この原価は平均すると七百四十円ぐらいだそうです。日本は、今、経口中絶薬の承認申請は出ていますけれども、まだ承認はされていません。しかし、沖縄の子供の貧困の問題が全国に比べ深刻な状況になっている理由に、望まない妊娠が多いということもはっきりと要因とされているところでございます。

 沖縄は経口中絶薬の使用が最も求められる地域だと思われますけれども、沖縄に限定して経口中絶薬を承認し、貧困の連鎖を断ち切る、そのような施策は取れないものか、伺いたいと思います。

島村大臣政務官 まずは、喉がかれてしまって済みません。

 お答えさせていただきます。

 経口中絶薬に関しましては、委員御質問のように、海外では約八十か国が承認されているものがございます。今委員がお話ありましたように、日本でも昨年の十二月に薬事申請がなされまして、現在、PMDA、医薬品医療機器総合機構において審査中でございます。

 医薬品の承認審査は、臨床試験の結果等については、最新の科学的知見に基づき、日本での日本人の有効性と安全性の評価を行うものであり、例えば、沖縄県とか、地域によってこの基準を設けるものではございません。

 ですから、科学的な評価としては、沖縄を先行させるというよりは、全国的に、科学的な安全性、有効性が確認されれば、しっかりとこれは承認していきたいと思っております。

 以上です。

長友委員 ありがとうございます。

 当然、全国的に承認されてからというのが普通の手続だとは思います。

 ただ、二〇一二年、世界保健機関、WHOは、掻爬法はもう時代遅れとして、安全な中絶、吸引法又は中絶薬に置き換えるような要請というのがもう出ております。中絶薬はWHOの必須医薬品中核リストにも入っておりまして、最も安全で最優秀な薬というふうにされています。

 沖縄の振興についての調査審議結果報告の方にも、望まない妊娠を避けるための知識の啓発等を進めていくことも効果的というふうに指摘されているところでございます。

 そしてまた、こちらの沖縄振興特別措置法の法律案の参考資料を私も読ませていただいておりますけれども、ここにはこのような考察がしっかりと書かれているんですね。

 沖縄の子供を取り巻く環境について、子供の相対的貧困率は二五・〇%、全国平均が一三・九%のところを二五・〇%と全国を大きく上回る水準にあり、高い離婚率や若年出生率に起因すると考えられる母子世帯の出現率、全国平均の約一・八倍、一人当たりの県民所得全国最下位、そのほか、非正規雇用の割合全国一位、そして、大学等進学率が全国最下位等の指標からも明らかなように、全国と比較して極めて厳しい状況にあると。

 極めて厳しい状況にあるという沖縄において、この問題を何とか解決したいという前向きな施策を取れないものか、そのように私は思うわけでございます。

 また、先日、私たちの国民民主党の会派の方にこの法案の説明に来ていただいたときに、このような質問が出ました。沖縄の離婚率の高さをどのように分析しているのかということにつきまして、まず分析ができないと貧困から抜け出せないでしょうと。そのときに、内閣府の方からの御説明の中には、沖縄の離婚率は高くて一人親の家庭が多い、理由として話を聞くと、明らかに十代の出産率が高いんです、その十代で出産する子が周囲ともめて社会的に孤立するようなことがあると。

 その十代の妊娠した子たちが中絶したくても、十万円から四十万円の中絶費用というのは普通は自分で払えないですよね。それによってどうしても出産をしてしまうかもしれない。それによって貧困の連鎖が断ち切れないということが因果関係として分かっているのであれば、早くそこに対策を打たないと、この沖縄の貧困の問題というのは解決できないというふうに私は思います。

 そのときは所得改善と両輪で支援していくことが必要だというふうにお話がありましたけれども、今日、いろいろな先生方の議論の中で、なかなか沖縄の賃金が上がらない、所得が改善するのが難しいというところが出てきているわけです。であれば、今、負の連鎖の原因になっていることがはっきりと分かっているのであれば、しっかりと対策を進めるということも私は大事なのかなというふうに考えているところでございます。

 おっしゃることも分かるんです。沖縄だけ先に経口中絶薬を導入するということは多少乱暴な議論かもしれないんですけれども、三月の三日のこの委員会でも大臣からもお話がありました。沖縄は島国である日本の縮図でありまして、沖縄が全国に先駆けて先導性の高い事業を行って、得られた成果を県内外に還元することで、我が国全体の助けになるということも実は沖縄は期待されているという部分もあると。

 そういうことも考えると、この全国に先駆けた先進的な取組というものを沖縄から始めるということも、本気で課題を解決するということであれば私は考える余地はあるのではないかというふうに思っており、質問させていただきました。ありがとうございます。

 せっかく今日は厚生労働省の政務官と政策立案総括審議官の方に来ていただいたので、もう一つだけちょっと質問させてください。

 実は、私が三月三日にこの質問をさせていただいたところ、厚生労働省の所管なのでお答えできませんということでお話があったので、今日ちょっと質問させていただきたいんですけれども、沖縄で、子育て中の女性の就業率が高くて、保育需要が高いということは御承知のとおりだと思います。ただ、その保育施設が必ずしも十分ではないために待機児童の数も多く、それから、就労を断念せざるを得ない世帯も多く見られるというのが今の沖縄の状況です。沖縄の子育て包括支援センターの整備率も全国最低水準にとどまっているという分析がございます。

 女性が社会で活躍していただくためには、そしてまた更に所得を上げるためにも、働いていただきやすい環境を整えないといけないということはもう明らかなことでございまして、子供たちを預かる保育施設をまず十分にし、そして待機児童をゼロにするということが肝要かと思います。

 沖縄の子育て世代包括支援センターを整備することが、県民所得を上げることにもつながると思うんですけれども、国として、沖縄の課題を解決するという施策は今どのようになっているのかを教えていただけますでしょうか。

島村大臣政務官 ありがとうございます。

 今委員の御質問に関しましては、通告を受けていませんので、今お答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

長友委員 通告は確かにしていないんですけれども、議事録にも載っていますように、厚生労働省の方にしっかり伝えますということをいただいておりますので、是非、所管に関係なく、沖縄の問題ですから、所管が違うとか言っていると解決できるものも解決できないと僕は思うんですよ。

 特に、子供の貧困の問題というのは、SDGsで分かるように、全てが問題がつながっているんですね。教育の問題、貧困の問題、福祉の問題、もうそれは分かっていることだと思います。関係する省庁が、みんなが沖縄の問題を解決しようとスクラムを組むような体制を早く本気で取っていただきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 そして、次の質問をさせていただきたいと思います。

 沖縄の抱える政策課題に的確に対応していくためのデジタル社会の形成に取り組むことを、私も三月三日の委員会質疑で確認をさせていただきました。

 沖縄の雇用を創出する、また沖縄の県民所得を上げるに当たりまして、南国という沖縄の地の利を生かしたワーケーションの推進も、本土の人間から見れば魅力的なコンテンツとなることが想像できます。

 そこで、現状の沖縄のテレワーク及びワーケーション施設の整備、またコワーキングスペースやシェアオフィス等のサービス提供の状況は全国と比べてどのような状況かというのを教えてください。

原政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、沖縄の地理的特性などに着目したワーケーションの推進というものは、産業振興の観点からも重要な取組であるというふうに思っています。

 実は、テレワーク施設の整備状況につきましては、全国的に必ずしも適当な統計がまだ存在していませんで、全国との比較で沖縄の整備状況について申し上げることはなかなか困難だということを前提の上でお答えをいたしますけれども、内閣府では、令和二年度からの二年間、その受皿となるテレワーク施設の整備をより一層加速すべく、沖縄テレワーク推進事業を実施し、五十件を超えるテレワーク施設の整備を支援しています。

 これら施設を県内外の方々に活用していただくことで、県外企業の沖縄進出の促進や県内企業の就労環境改善等につながることを期待しておりまして、やはり、沖縄の背景といいますか、周辺事業といいますか、環境は、テレワークにはよろしかろうというふうには思っております。

長友委員 ありがとうございます。

 今お答えいただいたように、沖縄は非常に魅力的な部分で、まさに今の時代に合った、テレワーク、ワーケーション等で人気が出るということは、もうアンケートの結果でも分かっております。例えば、HISのアンケート、皆さんもネットで検索していただければ出てきますけれども、ベストファイブの中に竹富島だったり恩納村が入ってきたりしています。リラックスできる環境、また、リゾートとして非常に魅力的で、そこでワーク・ライフ・バランスを取りながらできる、そういうところの強みがあるわけです。

 そのような沖縄にある、先ほどからもお話が出ていますOISTの話になるんですけれども、沖縄科学技術大学院のホームページを見ますと、このように書いてあるんですね。沖縄科学技術大学院大学は、沖縄において世界最高水準の教育研究を行うことにより、沖縄の振興と自立的発展、世界の科学技術の発展への寄与を目的として、平成二十四年に開学した大学院大学ですと。

 この十年間でのOISTの成果というのは先ほどから御説明いただいていますので改めて問いませんけれども、令和四年度の歳出予算の説明では、規模拡充等のために百九十三億二千万円を計上したというふうに御説明いただきましたが、どのように規模を拡充するのかについて伺います。

水野政府参考人 長友委員の御質問にお答えする前に、先ほどの新垣委員の御質問での私の答弁について、一個、耐爆実験で、成功、失敗という表現をさせていただきましたけれども、より正確には合格、不合格ということでございますので、失敗と言うとさすがにちょっと厳し過ぎるので、合格、不合格ということに訂正させていただきます。済みません。

 その上で、長友委員の御質問にお答えさせていただきます。

 令和四年度の説明で、規模拡充等のため、百九十三・二億円を計上した、その具体的内容についてということでございますけれども、令和四年度予算案におけるOIST関連予算は総額百九十三・二億円、対前年度三・二億円増の、パーセントでいうと一・六%増ということでございます。

 具体的には、従来の研究教育等を実施するための学園の運営に必要な経費に加えまして、規模拡充という点で申しますと、教員、OISTではプリンシパルインベスティゲーター、PIと呼んでいますけれども、教員の数について八十八人から九十一人に三人増員するために必要な経費を計上するとともに、令和四年度に完成予定の第五研究棟を着実に整備するために必要な経費など、OISTの規模拡充に向けた取組に要する所要額を計上しているところでございます。

 以上でございます。

長友委員 ありがとうございます。

 OISTのホームページを読み込んでいくと、大学発の起業の動きを増やすということも狙いとして書いてあったと思います。

 実際に、では大学発のベンチャーというのはどのような状況になっているのか、教えていただけますでしょうか。

水野政府参考人 お答え申し上げます。

 現時点におきまして、OISTの大学の研究成果を事業化したスタートアップ企業数は五社となってございます。徐々に芽生え始めているところということだと考えてございます。

 なお、OISTは、先般来ありますけれども、基礎研究を主体とした大学院大学でございますので、その成果を直ちに事業化につなげるというのはなかなか簡単なことではないということではございますけれども、OISTの設立目的、世界最高水準の研究を通じて世界の技術の発展と沖縄の発展の両方に貢献する、この設立目的を達成するためには、OISTの研究成果を基にしたスタートアップ企業を創出していくことは重要であると考えてございます。

 以上でございます。

長友委員 ありがとうございます。

 OISTを基にしたスタートアップ企業の創出について触れられましたけれども、そのことにちょっと関連してお聞きしたいと思います。

 今回の沖縄振興特別措置法等の一部を改正する法律案の中に、脱炭素社会の実現ということも書かれております。先ほど石川先生も触れられましたけれども、改めて、沖縄が脱炭素社会の実現が特に必要という認識について、もう一度お聞きしたいと思います。

原政府参考人 お答えいたします。

 昨今、世界各地で気候変動による異常気象が頻発しており、脱炭素社会の実現に向けた取組が喫緊の課題というふうに位置づけられるようになってございます。

 我が国も、令和二年に二〇五〇年カーボンニュートラルを宣言し、脱炭素電源の最大限の活用など、脱炭素社会への移行の取組を強く進めることといたしてございます。

 このような中、沖縄につきましては、火力以外の大規模発電所の開発が非常に難しいという状況にございます。化石燃料に頼らざるを得ない状況にありまして、沖縄において脱炭素社会を実現するためには、省エネルギーや再生可能エネルギー利用の促進が急務でございます。

 脱炭素社会の実現に向けた施策の充実について、国及び地方公共団体の努力義務を今般の改正で設けようとしているところでございます。

 以上です。

長友委員 ありがとうございます。

 省エネ、再生可能エネルギーというキーワードが出てきました。

 沖縄の環境を考えますと、四方を海に囲まれておりまして、海洋環境、海洋資源が豊かであります。こうした恵みを活用できるところももちろん沖縄の恵み、利点だということは皆様も分かっていらっしゃると思います。

 こういう海洋環境を活用した再生可能エネルギーの利活用、例えば潮流発電であったりとか、また、海に囲まれているわけですから、風力発電など、そういう再生可能エネルギーの実現に取り組むというような基礎研究も私は是非OISTがやるといいのではないかというふうに考えております。

 これからのいわゆる脱炭素社会の実現というのは、もう世界が取り組む中で、投資家もそのような社会課題の解決には投資意欲は高いはずなんですね。そうすることによってベンチャーへの投資というのも今までよりは増えるということも想像がつくのですけれども、実際にOISTでそういうような再生可能エネルギーの開発に取り組むということを推進するということに関しては、お考えとしていかがでしょうか。

原政府参考人 お答えいたします。

 たしか、OISTに入ってエレベーターを上がるところのホールのところに、潮流発電の実証実験というんでしょうか、こんな模型が置いてあったことはございますので、こういうプロペラが回って潮流発電をするというようなもののモックアップがあったのが一つございます。

 それから、あと、太陽発電でペロブスカイトというのを現在たしかOISTで研究しておりますので、そういうものも活用しながら御指摘のようなことを進めてまいりたいと思っております。

長友委員 ありがとうございます。

 OISTの目的は基礎研究であって、世界の科学技術の発展ということが、今はもしかしたらそちらに重きを置いていらっしゃるのかなと思うんですけれども、やはり沖縄の振興と沖縄の課題を解決するためにも貢献していただくことが、地元の皆様にとってもOISTの存在感が出てきて愛着も湧くのかなと。

 特に、ホームページで見た限りでは、いわゆる留学生というか研究者の方は外国の方が多いですよね。日本人よりも海外の先生たちが多い。そのような方たちが地元とどうやってつながっているのかなというのはやはり知りたいところでございますし、そういう研究を通して、優秀な方々を集めていらっしゃるということですので、沖縄の課題解決に是非取り組んでいただきたいなと思います。

 三月三日の質疑そして今日の質疑で沖縄のネガティブな面ばかり取り上げることが私も心は余り気持ちよくないんですけれども、実は、私は宮崎の出身なので、南国の沖縄には共通していいところがたくさんあるのになというのをすごく思うんですね。ですので、沖縄のネガティブな面ではなくて、ポジティブな面にも積極的に評価する姿勢というものもやはり皆さんは持つべきだというふうに私は思います。

 例えば、株式会社ブランド総合研究所がこんな調査をしています。二〇二一年の五月、約一万六千三百人を対象に、都道府県ごとに住民の幸福度や居住意欲度、悩みや地域の課題、自治体のSDGsへの取組への評価などを数値化する調査、第三回地域版SDGs調査二〇二一を実施しました。その結果では、幸福度一位は沖縄県なんですね。相対的貧困が一番低いとかいろいろと言われる中で、沖縄の幸福度は高いわけです。

 県民所得は確かに全国最低かもしれませんけれども、幸福度が一位というこの結果についてどのように見解をお持ちか、伺いたいと思います。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の調査結果についてお答えする立場にはございませんけれども、あえて回答させていただきますけれども、主観的幸福度が高いというような経済指標に表れない沖縄の有するポジティブな面というものに着目をすることも、沖縄振興を進める上で重要な観点になり得るものと思っております。

 私が二年半前に振興局長になったときに必ず言われたのは、沖縄ですか、いいな、というのを言われたこともありますし、その次に必ず、大変ですねと言われたというのがありますけれども、そういうのも一局面だったのかなというふうに今聞かれて思ったところでございます。

 以上です。

長友委員 ありがとうございます。

 沖縄の共同体のよさ、強さというものを私は非常に大事にしたいなと実は思っております。結いという小さな集落や自治体における共同作業の制度が実は今まだ残っているのではないかと思います。

 例えば、一人で行うには多大な費用や期間、そして労力が必要な作業を集落の住民総出で助け合って協力し合う、相互扶助の精神で成り立っている沖縄のコミュニティーが確かにあります。そこには古きよき日本の姿が私は沖縄に残っていると思うんですね。今多くの日本人が求める人間的豊かさが私は沖縄にあると思います。

 そうした沖縄のポジティブな面にも光を当てる、沖縄学というようなことで言えばいいのか分からないんですけれども、そのような沖縄のキャリア教育であったり沖縄学の振興に予算をつけて取り組むということで、沖縄の地元の皆さんのアイデンティティーの確立につなげて、郷土を思う子供たちが育つというふうに私は考えたりします。

 沖縄の未来を担う、沖縄の課題解決に挑む子供たちを育てるキャリア教育等にも是非力を入れていただくことが課題解決につながっていくというふうに私は思うんですけれども、是非ここは大臣に伺いたいんですが、いかがでしょうか。

西銘国務大臣 長友委員御指摘の点は、私も非常に重要な点だと思っております。

 私の選挙区を始め、沖縄では集落ごとの行事が非常に活発であります。コロナ禍において、この二年間は中止されたり延期になったりということもあるんですけれども、基本的には集落ごとの行事行事が非常に多いところであります。宮古地域にしても八重山地域にしても、そこの子供たちの目の輝きを見ると非常にきらきら輝いたものを、地域の行事の中で、長幼の序であったり、あるいは横のつながりであったり、じいちゃん、ばあちゃんとの関係性であったり、非常に大事なものがあるなと。先生御指摘のように我が国の文化の原点みたいなものを感じることがあります。その辺は極めて重要な視点だと思っております。

 そこのところも人材育成とどう絡めていくのか含めて、長友委員の御指摘の点は、沖縄の振興開発、振興策の中でも重要な要素を占めているなという思いでお話を聞いておりました。

 しっかりと全力で取り組んでまいりたいと思います。ありがとうございます。

長友委員 大臣、ありがとうございました。沖縄の振興は真の地方創生そのものだと思いますので、是非どうぞよろしくお願いします。

 以上で終わります。

阿部委員長 次回は、来る九日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四十八分散会


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