衆議院

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第6号 令和4年4月21日(木曜日)

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令和四年四月二十一日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 阿部 知子君

   理事 秋葉 賢也君 理事 國場幸之助君

   理事 鈴木 隼人君 理事 堀井  学君

   理事 石川 香織君 理事 大島  敦君

   理事 杉本 和巳君 理事 稲津  久君

      東  国幹君    井野 俊郎君

      伊東 良孝君    上田 英俊君

      小渕 優子君    尾身 朝子君

      勝目  康君    国定 勇人君

      高木 宏壽君    高見 康裕君

      武井 俊輔君    橘 慶一郎君

      宮崎 政久君    山口  晋君

      山本 左近君    新垣 邦男君

      山岸 一生君    吉田 豊史君

      金城 泰邦君    長友 慎治君

      赤嶺 政賢君

    …………………………………

   外務大臣         林  芳正君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 西銘恒三郎君

   文部科学副大臣      池田 佳隆君

   防衛大臣政務官      岩本 剛人君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  川上恭一郎君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)         渡邉 政嘉君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   原  宏彰君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  水野  敦君

   政府参考人

   (内閣府北方対策本部審議官)           伊藤  信君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 鎌田 徹郎君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁出入国管理部長)        丸山 秀治君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 徳田 修一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 股野 元貞君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 岩本 桂一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 金井 正彰君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官)  安彦 広斉君

   政府参考人

   (水産庁資源管理部審議官)            高瀬美和子君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 佐々木正士郎君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 田中 利則君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 大和 太郎君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  土本 英樹君

   衆議院調査局第一特別調査室長           菅野  亨君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十一日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     高見 康裕君

  伊東 良孝君     国定 勇人君

  尾身 朝子君     勝目  康君

  島尻安伊子君     上田 英俊君

  武井 俊輔君     橘 慶一郎君

  山口  晋君     山本 左近君

同日

 辞任         補欠選任

  上田 英俊君     島尻安伊子君

  勝目  康君     尾身 朝子君

  国定 勇人君     伊東 良孝君

  高見 康裕君     井野 俊郎君

  橘 慶一郎君     武井 俊輔君

  山本 左近君     山口  晋君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 沖縄及び北方問題に関する件

 沖縄の本土復帰五十年及び沖縄問題の解決促進に関する件


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     ――――◇―――――

阿部委員長 これより会議を開きます。

 沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官川上恭一郎さん、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官渡邉政嘉さん、内閣府政策統括官原宏彰さん、内閣府沖縄振興局長水野敦さん、内閣府北方対策本部審議官伊藤信さん、警察庁長官官房審議官鎌田徹郎さん、出入国在留管理庁出入国管理部長丸山秀治さん、外務省大臣官房審議官徳田修一さん、外務省大臣官房参事官股野元貞さん、外務省大臣官房参事官岩本桂一さん、外務省大臣官房参事官金井正彰さん、文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官安彦広斉さん、水産庁資源管理部審議官高瀬美和子さん、国土交通省道路局次長佐々木正士郎さん、防衛省大臣官房審議官田中利則さん、防衛省防衛政策局次長大和太郎さん、防衛省整備計画局長土本英樹さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

阿部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

阿部委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。赤嶺政賢さん。

赤嶺委員 おはようございます。

 今日は、この委員会が憲法審査会とも重なっておりまして、理事の皆様の御理解を得て、トップバッターということになりました。ありがとうございました。

 それで、外務大臣に質問をしたいんですが、米軍による施設・区域外での軍事訓練が相次いでいます。

 三月二十二日には、名護市の市街地の前に広がる名護湾で、米軍ヘリ二機が低空で人らしきものをつり下げて訓練を行っているのが目撃をされました。現場は刺し網も設置されている漁場で、パラセーリングなどの観光業も行われている海域です。漁業者などからは、ここは米軍の訓練場所ではないはずだ、もし事故があった場合はどうするのかと怒りの声が上がっています。

 三月三十日には、北谷町の沖合、はえ縄漁をしていた漁業者から五百メートルほどの場所で、米軍ヘリが捜索救助訓練を行っているのを目撃されました。提供水域の中だったのか外だったのか、今も明らかにされておりません。

 さらに、今月十四日、宜野座村城原区の住宅から漢那小学校周辺の上空で、キャンプ・ハンセン内にある着陸帯、ファルコンを拠点に米軍のオスプレイがつり下げ訓練を行っているのが確認をされました。子供たちや農家の上で訓練しないでほしいと住民は訴えておられます。

 外務大臣に伺いますが、沖縄では米軍機のつり下げ訓練に伴う落下事故が繰り返されてきました。大臣もその事実はお認めになりますね。

林国務大臣 航空機からの落下物は重大な事故につながりかねないと認識をしております。

 過去、幾つかこうした落下事案があったというふうに承知をしております。

赤嶺委員 物といっても、いろいろな場合がありました。

 その城原区では、二〇一七年に、米軍ヘリからつり下げていた複数のタイヤを落下させる事故を引き起こしています。読谷村や渡名喜村の沖合でも、輸送中の車両やコンテナを落下させる事故も度々引き起こしています。米軍占領下での一九六五年には、当時小学校五年生の棚原隆子ちゃんがトレーラーの下敷きになって亡くなるという痛ましい事故も起こっています。

 外務大臣は、実弾射撃を伴わない訓練については、施設・区域外で行うことは認められている、このように述べておりますが、つり下げ訓練も危険や被害を及ぼす訓練だと思いますが、いかがですか。

林国務大臣 先ほども申し上げましたように、航空機からの落下物は重大な事故につながりかねないと認識しております。沖縄含めて、かかる事故が発生するたびに、外務省から米側に対しまして遺憾の意を表明するとともに、原因究明、再発防止等を申し入れております。

 米軍機の飛行の安全確保、これは米軍が我が国に駐留する上での大前提でありまして、地元に不安を与えるようなことがあってはならないと思っております。

 私自身も、本年一月の日米2プラス2におきまして、岸防衛大臣とともに、在日米軍による地元への影響に最大限配慮した安全な運用について求めたところでございます。

 今後とも、引き続き、防衛省と連携しつつ、米側に対して安全面に最大限の配慮を求めて、地元の皆様に与える影響が最小限にとどまるよう、適切に対応してまいりたいと考えております。

赤嶺委員 公共の安全に妥当な配慮を払うというのが政府の決まり文句であるわけですが、また、その立場を米軍に申し入れてきたということですが、どれだけ再発防止を求めても、落下事故は繰り返されております。

 現に事故が繰り返されている以上、実弾射撃と同様に、施設・区域外での訓練をやめるように求めるのが当然ではありませんか。

金井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の点でございますけれども、一般論として申し上げますれば、米軍の軍隊としての機能に属する個々の活動に関しまして、これが施設・区域外において認められるかどうかの点に関しましては、個々の活動の目的、態様等の具体的な実態に即しまして、日米地位協定に照らして合理的に判断されるべきことと考えております。

 この考え方に照らしまして、委員御指摘の実弾射撃等を伴わない米軍機による各種訓練につきましては、施設・区域の外においてこれを行うことは認められていると考えております。

 一方で、在日米軍は全く自由に訓練を行ってよいということでは当然ございませんで、米軍が訓練に当たって公共の安全に妥当な考慮を払うのは当然のことでございます。過去の累次の日米合同委合意においてもこの点を確認しております。

赤嶺委員 大変白々しい答弁ですよ。これだけ危険な訓練区域外での訓練が繰り返されておりながら、軍の目的によってはできるんだということで、安全には妥当な配慮をしている、こういうのを本当の意味で白々しい答弁というと思うんですよね。

 日本政府は、初めから施設・区域外の訓練を容認していたわけではありません。

 一九七四年十二月、岩国基地から二十キロほど離れた柱島群島で米軍ヘリが訓練を行い、山林を焼失させる事故を引き起こしました。翌年の通常国会で質問を受けた当時の外務省アメリカ局長は、施設・区域以外のものを米軍が使用することはできない、安保条約の規定に反する、このように明言しています。三木首相も安保条約に違反するという認識を示しています。

 安保条約に違反するとしていた施設・区域外での訓練をなぜ容認しているんですか。元の解釈に戻すべきではありませんか。外務大臣。

金井政府参考人 事実関係を含みますので、お答え申し上げます。

 御指摘の事案は、昭和四十九年十二月二十三日に、岩国沖合二十一キロの柱島群島にあります無人島の手島というところで、アメリカ海兵隊の航空救難ヘリコプターが救助訓練を行っている最中に、地上からの合図のために使用した発煙筒が異常発火したため山林火災が生じてしまい、約三ヘクタールの山林を焼失した、その事案であったと理解しております。

 当時、昭和五十年二月及び三月の衆議院予算委員会等の場で、今委員御指摘いただいたような答弁がされていることを私どもも承知しております。

 繰り返しになりますけれども、米軍のこうした軍隊としての機能に属する個々の活動について、それが施設・区域外において認められるかどうかという点に関しましては、個々の活動の目的、態様等の具体的な実態に即しまして、日米地位協定に照らして合理的に判断されるべきことと考えております。

 この考え方に照らしまして、実弾射撃等を伴わない米軍機による各種訓練については、施設・区域の外においてこれを行うことは認められていると考えております。

 こうした説明はこれまでも一貫して行ってきてございまして、日本政府として解釈を変更したという御指摘は当たらないところでございます。

赤嶺委員 当時の政府の答弁は、施設・区域以外のものを米軍が使用することはできない、安保条約の規定に反する、このようにはっきりと答弁しているわけです。そういう答弁がありながら、どうやったら見解を変えていないということになるんですか。いつ見解を変えたのか、日米間でどういうやり取りがあったのか、これは明らかにすべきだと思いますよ。いかがですか。

金井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の昭和五十年二月そして三月の国会での御質疑の中でも、当時の山崎アメリカ局長等々から、こういった事案に関しまして繰り返さない、こういった事案は許されないという趣旨を繰り返し政府側から説明を申し上げているというふうに承知をしております。

 重ねて御答弁申し上げて恐縮でございますが、先ほど来御説明申し上げておりますとおり、個々の活動の目的、態様等の具体的な実態に即して合理的に判断しなければならないと考えておりまして、実弾射撃等を伴わない米軍機による各種訓練について、施設・区域の外においてこれを行うことは認められているという政府の考え方というのは一貫しておるところでございます。

赤嶺委員 安保条約に違反するという答弁までしておきながら、今は立場は一貫しているという、そういう態度は許されないと思いますよ。

 私は、これは住民の命と安全に関わる問題であります。米軍による日米地位協定さえ無視した横暴な訓練が繰り返される根本に何があるのか、これを政府は明らかにすべきだと思います。

 この際、委員長にお願いがありますが、米軍の施設・区域外での訓練に関する政府の見解がいつ、どのように変わったのか、日米間でどういう協議が行われ、何が合意されたのか、その全容を明らかにするよう求めたいと思います。よろしくお取り計らいをお願いいたします。

阿部委員長 では、理事会で諮らせていただきまして、赤嶺さんへのお返事ができるよういたします。

赤嶺委員 私は、こんな危険な訓練が繰り返されて事故が繰り返されているにもかかわらず、安全に配慮されているという上っ面の言葉だけで、結局そこには、アメリカの訓練に追随する日本政府の姿勢が怒りを買っているんだということを強く申し上げたいと思います。

 関連して、米軍のコロナ感染をめぐる対応、これも重大であります。

 在日米軍司令部が、ホームページで公表している感染状況の公表方法をまたも変更いたしました。今年一月にはそれまでの現存感染者数から新規感染者数に、三月には一週間の平均感染者数に、そして四月八日からは、感染者数の公表をやめて、重症者数と入院者数のみの公表に切り替えました。全く一貫性のない、支離滅裂な対応であります。

 まず、外務省に、米軍はどういう理由と科学的根拠で公表方法を変えてきたのか、時系列で明らかにしていただけますか。

金井政府参考人 お答え申し上げます。

 在日米軍司令部は、二〇二〇年七月二十一日から、施設・区域ごとの現存感染者数の公表を開始いたしました。二〇二二年一月十二日からは、多くの日本の自治体が採用している方式に合わせる形で新規感染者数を公表してきたところでございます。その後、米側から、最近の在日米軍の新型コロナ感染状況を踏まえまして、四月八日付の公表分から、当面の間、深刻な症状である件数、そして入院措置が必要な件数、これらについては引き続き公表する一方で、新規感染者数の公表は行わないことに変更した旨の説明がございました。

 私ども政府といたしましては、可能な限り透明な形で在日米軍の感染状況について公表することは重要であると考えておりますことから、その旨を米側に伝え、米側と協議を行ってきたところでございます。

 これを受けまして、米側からは、昨日、四月二十日以降、原則として週一回、在日米軍全体におけます新規感染者数の一日当たりの平均数も併せ公表することとした旨、改めて説明がございました。

 在日米軍の感染状況を踏まえまして、感染状況についての適切な公表の在り方につきまして、引き続き米側と緊密に調整してまいりたいと考えております。

赤嶺委員 米側は、元に戻した、こういうことでありますが、今日、米軍司令部のホームページを見ましたら、閉じられていて、元に戻したというものもなくて、そのまま見えなくなっているんですが、本当に変えたんですか。

金井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御説明申し上げましたとおり、米側からは、四月二十日以降、原則として週一回、在日米軍全体における新規感染者数の一日当たりの平均数を併せて公表することとした旨説明があったところでございますが、本日朝、委員御指摘のようにホームページが開けない状況になっているということを、申し訳ございません、私自身、本日朝ホームページを開いてはおりませんでしたが、どのような状態になっているかは確認したいと思います。

 いずれにしましても、先ほど来申し上げておりますとおり、適切な公表の在り方については、引き続き米側と緊密に調整していきたいと考えております。

赤嶺委員 日本政府は、感染者数の公表を取りやめることはしていないわけです。しかも、今、沖縄県は、蔓延防止等重点措置などに移行せずに連休を迎えられるかどうかの大事なときであります。なぜ日本政府の了解もなしに勝手な判断で公表方法を変えるのか、全く理解できません。

 先日も、米軍がマスクの着用義務を一方的に解除し、日本政府が慌てふためいて、基地従業員の前ではマスクをするようお願いするという、感染対策上およそ考えられない対応が取られることになりました。米軍の一方的な対応に右往左往するという、同じことがこの間繰り返されております。一体いつまでこんなことを繰り返すのでしょうか。

 米軍のコロナ対策は、日本政府の承認の下に、日本国内と同等の対策が取られるようにすべきだと思います。在日米軍に検疫法などの国内法を適用しない限り、米軍の勝手放題は変わらないと思いますが、大臣、いかがですか。

阿部委員長 お時間ですので短くお願いします。

林国務大臣 今事務方から答弁いたしましたとおりの事実状況でございますが、我々としては、やはり可能な限り透明な形で在日米軍の感染状況について公表する、このことが重要だと考えておりまして、その旨をしっかりと米側に伝え、協議を行ってきたところでございます。

 引き続き、この適切な公表の在り方については、緊密に協議をしてまいりたいと考えております。

赤嶺委員 訓練にしてもコロナにしてもアメリカのやりたい放題、日本政府が申し入れても事態が変わらない、そういうことが続いている。それを改めるべきだ、日米地位協定の抜本改正が本当に必要だということを申し上げて、質問を終わります。

阿部委員長 次に、伊東良孝さん。

伊東(良)委員 おはようございます。早速質問させていただきます。

 ロシアのあのウクライナ侵略に伴い、我が国も、ロシアに対する経済、外交、更にまた各種交渉事を含めて、外交における制裁をG7の諸国とともに課しているところでありますけれども、これは当然のこととして、ロシアからは非友好国とされ、日ロ間のあらゆる協定や交流事業が中断、停止に追い込まれつつあり、今後の見通しも立っておりません。

 日本政府として、ロシアに対する今後の国としてのつき合い方、あるいは平和条約の在り方、貿易、経済交流など多岐にわたるわけでありますけれども、基本的な方針をお聞かせをいただきたいと思います。

林国務大臣 これまでの対ロ外交におきましては、インド太平洋地域の戦略環境が大きく変化しつつある中で、ロシアと安定的な関係を構築することは、日本の国益のみならず、地域の安定と発展にとっても重要である、こうした考えの下で取り組んでまいったところでございます。

 具体的には、ロシアとは、平和条約締結問題を含む政治、経済、文化など幅広い分野で日ロ関係全体を国益に資するように発展させるべく、領土問題を解決して平和条約を締結するとの方針の下で、これまで粘り強く平和条約交渉を進めてまいりました。

 しかしながら、今回のロシアによるウクライナ侵略は、欧州のみならず、アジアを含む国際社会の秩序の根幹を揺るがす行為であります。明白な国際法違反であり、断じて容認することはできないと考えております。

 国際秩序の根幹を守り抜くため、こうした暴挙には高い代償が伴うということを示すべく、引き続き、G7を始めとする国際社会と連携して、断固として行動していくという考えでございまして、ロシアとの関係をこれまでどおりにしていくということはできないと考えております。

 ロシアは我が国にとって隣国であり、日本政府として、領土問題を解決して平和条約を締結するという対ロ外交の基本方針、これは不変でございますが、今この時点で平和条約を含む今後の日ロ関係について申し上げるべき状況にはない、そういうふうに考えております。

伊東(良)委員 終戦時、北方四島には一万七千二百九十一人が居住しておりました。現在では、元島民は五千四百七十四人、三一・六%しか残っておりません。もう島民の皆さんは時間がないという思いが強いところでもあります。

 これまで、平成四年から二十八年間続けてきたビザなし交流事業あるいは自由訪問などの北方領土関連事業について、ロシアが三月二十一日、一方的に停止を表明いたしました。大きな影響があると思われますけれども、今後はどのようにこれらに対処していくのか、基本方針を西銘大臣、お願いいたします。

西銘国務大臣 北方四島交流等事業につきましては、御高齢になられた元島民の方々の思いに何とかお応えしたいという気持ちに変わりはございません。しかしながら、現時点のロシアによるウクライナ侵略という状況に鑑みますと、遺憾ながら、当事業の具体的展望について申し上げる状況にはないと考えております。

 なお、御高齢になられた元島民の方々の思いを踏まえつつ、政府として、関係団体の意見を伺いながら必要な支援を検討していきたいと考えているところでございます。

伊東(良)委員 一方で、先日ロシア側から示されました方針には、昭和三十九年より五十八年間に及ぶわけでありますけれども、人道的見地から実施をされてまいりました北方墓参までは含まれないとされているところでありますけれども、これについてはどう受け止めておられるのか。

 また、墓参りは故郷を思う意思表示であり、返還運動の要である、絶対失いたくない、少なくとも墓参だけは続けてほしいという元島民の皆さんの声があるわけであります。この声にどのように応えるつもりか、お聞きをいたします。

林国務大臣 新型コロナウイルス感染症の影響によって、北方墓参などの事業が二年間にわたって実施をできていないということは誠に残念でございます。

 これまで、御高齢になられた元島民の方々の思いに応えるべく、人道的見地から、何としても早期に事業を実施できるようロシア側に対し働きかけを行ってきたところでございますが、ロシア側は、新型コロナの状況を理由に事業の再開に応じてこなかったわけでございます。

 そうした中で発生した今回のロシアによるウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更の試みであり、欧州のみならず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす行為であります。力による一方的な現状変更の試みを決して許すことはできず、この原則を守り抜くことは、東アジアの安全保障環境が急速に厳しさを増す中で、我が国の今後の外交安全保障の観点からも極めて重要であり、G7を始め国際社会と結束して毅然と行動する必要があると考えております。

 北方領土問題に関する我が国の立場や、今、伊東委員からお話のありました北方墓参を含め、御高齢になられた元島民の方々の思いに何とか応えたいという私自身の思いには、いささかも変わりはございません。

 また、御指摘のロシア外務省による声明では、自由訪問及び四島交流を中止するとの主張があった一方で、北方墓参への言及がなかったことは事実でありますが、今このときの状況に鑑みますと、北方墓参などの事業の展望について申し上げられる状況にはないと考えております。

 元島民の方々を始め関係者の皆様には何とぞ御理解を賜りたい、そういうふうに考えております。

伊東(良)委員 安倍首相時代には非常に、二十七回もプーチン大統領とお会いする。その中には、平成二十八年十二月、山口県でプーチン大統領との首脳会談が行われ、平和条約の締結に向け、北方四島において日本とロシアが経済協力を進めるとの約束をされたところでもありました。その後、平成二十九年から令和元年にかけて、当時の長谷川総理補佐官がトップになって、海産物の増養殖あるいは温室野菜の栽培、島の観光ツアー、風力発電、ごみの減容対策などの五つの具体的な事業を、ロシア側等の意見も聞きながら進めてきたところでもあります。

 日ロ共同経済活動の進捗状況は、今どのような形になっているのか。もちろん、こういう状況でありますから、そんな簡単な話ではないと思いますけれども、今後の見通しを含めてお伺いしたいと思います。

林国務大臣 北方四島における共同経済活動は、戦後七十五年以上を経て、初めて日本人が、あるいは日本の企業が北方四島において経済活動を行うことになるという意味において、平和条約を締結する上で大変重要な取組であると認識しております。

 二〇一六年以降、双方の法的立場を害さないという前提の下で、実際に今お話をしていただきましたように、海産物の増養殖、温室栽培、観光、風力発電、ごみ処理、この五分野でロシア側との協議を進め、そのうち、観光及びごみ処理分野で二〇一九年に観光パイロットツアーなどのパイロットプロジェクトが実現をしております。二〇二〇年以降も、コロナ禍の中ではありましたが、オンライン等を活用してプロジェクトの具体化に向けたロシア側との協議を重ねてきたわけでございます。

 ウクライナ侵略後、ロシア側は、ウクライナ情勢に関連して日本が行った措置が一方的な非友好的な措置であるとして、共同経済活動についての対話から離脱を表明をいたしました。

 今回の事態は全てロシアによるウクライナ侵略に起因して発生しているものでございまして、それにもかかわらず日本側に責任を転嫁しようとするロシア側の対応は極めて不当であり、断じて受け入れられず、強く抗議を行ったところでございます。

 日本政府として、先ほど申し上げましたように、領土問題を解決して平和条約を締結する、この対ロ外交の基本方針は不変でございますが、本件に係る今後の対応について、今この時点で申し上げるべき状況にはない、そういうふうに考えております。

伊東(良)委員 私は、あと二問予定をしておりました。水産漁業の問題、そしてまた北方領土周辺におけるロシア軍の演習問題であります。

 まず先に、三月十一日、ロシアは択捉島方面で地対空ミサイルの演習を行いました。さらに、三月二十五日、北方領土を含む地域で三千人以上の兵士が参加する軍事演習も行われたところであります。四月二日にも国後島方向で千人規模の軍事演習が行われたと言われております。

 日本の対ロシア制裁に反発するように北方領土周辺で軍事演習を行うロシアに今後どう対処するのか、お聞きしたい。外交面と防衛面からこれをお聞きするところであります。今後の防衛力の南北のバランスの確保についても中長期的な方針を示してほしいということでありますので、よろしくお願いします。

林国務大臣 北方領土におけるロシア軍の動向については日頃から注視をしておりまして、情報収集を行ってきております。

 今委員からお話のありました軍事演習に関しては、それぞれ、外交ルートを通じて、そうした軍事演習を含む北方四島におけるロシアによる軍備の強化は、これら諸島に関する我が国の立場と相入れず、受け入れられない旨を抗議をしてきております。

 また、こうした軍事演習を含め、我が国周辺においてロシアが軍の活動を活発化させている状況について、我が国として、安全保障上の観点から、重大な懸念を持って注視していることも申入れをしておるところでございます。

 我が国による対ロ制裁への反発という要因もあろうと考えられますが、ウクライナに対する軍事行動を受け、ロシア軍全体の緊張感が高まっているものと考えられます。

 政府として、我が国周辺におけるロシア軍の動向については、引き続き、情報収集、警戒監視に万全を期してまいりたいと考えております。

岩本大臣政務官 伊東良孝議員にお答えをさせていただきたいと思います。

 先ほど御指摘のありました極東地域の活動でありますが、近年、極東ロシア軍の活動は活発化の傾向が見られ、ウクライナ侵略前も、ウクライナ周辺における動きと呼応する形で、オホーツク海等における大規模海上演習を実施するなど、活動を活発化させてきております。

 また、ウクライナ侵略後も、ロシアは、三月に、北方領土を含む地域において三千人の兵員が参加する軍事演習を実施した旨発表しておりますが、当該演習につきましては、参加人員の規模が例年のこの時期としては比較的大きく、ウクライナ侵略のためロシアが全土から人員等を動員している中にあっても、極東における活動能力を示すため、演習を活発に行っている旨発信しているものと考えられます。

 いずれにしましても、防衛省としましては、ロシアによるウクライナ侵略の動きも念頭に置きつつ、我が国周辺におけるロシア軍の動向につきましても、引き続き、情報収集、警戒監視に万全を期しているところであります。

 また、我が国を取り巻く安全保障環境が急速に厳しさを増す中で、政府として、いかなる事態にも対応できるよう万全を期していくことは当然でありまして、また、伊東委員御指摘のとおり、北方の守りにつきましても、我が国の領土、領海、領空、そして国民の命と財産を守り抜いてまいります。

 今回のウクライナ侵略もしっかりと分析しながら、新たな国家安全保障戦略等を策定します。この中で、国民の命や暮らしを守るため、防衛力を抜本的に強化してまいります。

伊東(良)委員 十日前の四月十一日から、日ロサケ・マス流し網漁の政府間漁業交渉が始まりました。この八日間、停滞していると思いますけれども、どういった課題が問題となっているのか、状況を聞きたいと思います。

 また、今後、根室のサンマ棒受け網漁業あるいは貝殻島昆布採取漁業など、これから交渉が始まるところがたくさんあるわけでありますけれども、いずれも先がなかなか見通せません。このような状況でどう交渉を進めていくつもりなのか。

 既に妥結しております日ロ地先沖合漁業におきましても、国の経済制裁によりましてロシアの金融機関が凍結されていることから、見返り金などの一部を支払うことができず、交渉で得られた既得権益を履行し、あるいは漁業に従事できるか否かの不安に皆さん陥っております。

 地元の漁業界、経済界、大変に心配しているところでありますけれども、適宜農水省として迅速かつ詳細な情報提供を行っていただきたいと思いますが、現在の状況について御報告お願いします。

高瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 日ロサケ・マス漁業交渉については、十一日から日ロ漁業合同委員会を開催し、日本漁船によるロシア系サケ・マスの操業条件等について協議を行っているところであります。現在、交渉中でありまして、交渉の内容に関することにつきましては詳細を申し上げることは差し控えますが、日本の漁業者が受入れ可能な操業条件が確保されるよう、しっかりと交渉に当たっているところでございます。

 それから、貝殻島昆布交渉でございますが、例年四月から五月に一般社団法人北海道水産会とロシア漁業庁との間で協議が行われておりまして、今年の交渉については日程調整中であると承知をしております。

 また、ロシア水域における日本のサンマ棒受け網漁業の操業条件等を協議する日ロ地先沖合漁業交渉につきましては、例年十一月から十二月に行われております。

 いずれの交渉についても、今後の見通しについて予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思いますが、今後の動向を注視し、関係者と連携して適切に対応してまいりたいと考えております。

 それから、日ロ地先沖合漁業交渉において、その結果に基づく必要な手続でございますが、昨今のロシア情勢を受けまして、必要な手続が円滑に行えるよう情報収集に努めているところでございます。関係漁業者に対して適切なタイミングで丁寧な説明を行い、不安を払拭できるよう努めてまいります。

伊東(良)委員 時間ですので、終わります。

阿部委員長 次に、橘慶一郎さん。

橘委員 沖縄北方特別委員会で質問の機会を頂戴して、ありがたく思っております。

 私は、質問の最初には万葉集を詠んでやらせていただくということにしていまして、沖縄の海に浮かぶ大きな雲、夕日を浴びて、今日はいい月夜だな、そういう感じの万葉集がございましたので、これを沖縄への思いを込めて詠ませていただいて、質問に入らせていただきます。

 万葉集巻一、十五番。

  海神の豊旗雲に入日さし今夜の月夜あきらけくこそ

 それでは、よろしくお願いいたします。(拍手)

 今年は、本土復帰から五十年であります。そして、沖縄振興施策も新たな十年に踏み出すということで、過日、委員会、本会議において法律の改正も終わったわけであります。

 この間、私は沖縄振興調査会の方でいろいろと、沖縄の様々な問題について各議員と皆さんと議論をしてまいりました。その中で私なりに感じているところ、基盤整備が一歩一歩進捗していく中ではありますが、ソフト的な部分も相まって、そして、やはり元気な、活力のある沖縄になっていかなければいけない、そのために何が要るのか、そういった観点から、幾つか議論してきたことを、確認の意味も含めてここで質問をさせていただくということで、お許しをいただきたいと思います。

 まず、沖縄の一つの優位性として、出生率が高くて若年世代が多いということが挙げられるかと思います。未来に向けて、これを担う世代が多いということは何よりの宝である、もちろん、これをいかに育んでいくかということがとても大事なことになるんだ、このように思います。

 現行計画の総点検作業におきまして、小中学生の基礎学力の上昇ということが指摘をされております。大変喜ばしいことだと思います。先生方を含めて皆さん、それぞれ現場でも大変努力をされているわけでありますが、このことに係る沖縄振興施策の評価、そしてまた、今後の目標や取組についてお伺いをいたします。

水野政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の現行の沖縄振興計画の総点検作業において、沖縄県の教育に関しましては、小中学校への学習支援員の配置や就学支援金等の取組により、全国の学力・学習状況調査における小学校の平均正答率については全国を上回り、中学についても全国との格差に一定の改善が見られたほか、高校、大学等のいずれの進学率も上昇したとしており、これまでの国、沖縄県、市町村の取組については、内閣府としては一定の評価ができるものと考えてございます。

 沖縄の振興に資する多様な人材を育成するために教育の充実は重要な課題と認識しており、今般改正した沖振法でも教育の充実について明記したところでございます。

 教育施策につきましては、一義的には、県、市町村の教育委員会で担っていただくものと考えておりますが、内閣府におきましても、裁量の高い一括交付金を措置し、県、市町村においてこの一括交付金を活用し、学習教室を設置し、貧困世帯の子供に対して学習指導や奨学金等の進路に係る情報提供などを行う取組等を実施してきています。

 今後の目標については、沖縄県において、新たな沖縄振興計画に基づく実施計画の中で、教育全般について具体的な成果指標を設定予定であると聞いてございます。

 内閣府としましても、引き続き、県、市町村の御意見をお聞きしながら、必要な支援に取り組んでまいりたいと考えております。

橘委員 ありがとうございます。

 小学生から順に学力がついてきている。もちろん、生きる力というのは様々なものがあると思いますが、そういった基礎的な部分がしっかりしてくるということは大変喜ばしいことであります。そして、そういった子供たちが高校生になり、あるいは社会に出ていき、そして、更に産業を担っていただく、社会を担っていただく、こういうふうに循環をしていけば、だんだん底上げがなされていくものと期待をするわけであります。

 過日沖縄振興審議会に諮られました新たな振興の基本方針案におきましても、産業振興を進め、稼ぐ力を高める上では、産業の各分野、各分野の記述においてそれぞれに、人材の育成ということに力点が置かれた記述となっているというふうに拝見をいたしております。大変大事なことだと思います。ここは小中学基礎教育とはまた違った意味での、人材の育成、教育ということであります。

 これを実現するために、今後の新しい振興施策においてどのように努力をされていくのか、具体的な政策の考え方についてお伺いいたします。

原政府参考人 お答えいたします。

 先般、沖縄振興審議会におきまして御審議いただきました基本方針案におきましては、委員御指摘いただきましたとおり、産業の高付加価値化等にも対応できる高度人材の育成の必要性等について盛り込んだところでございます。

 この産業人材の育成に関しましては、令和四年度は新規に、沖縄型産業中核人材育成・活用事業を実施することとしています。業界団体等が主体となりまして人材育成カリキュラムの開発や研修を行うことによりまして、各業界で必要な専門的知識、技能を有し、企業の成長を牽引する中核人材の育成、ITの利活用を通じて企業の現場の課題解決を行える人材の育成、一人親のIT技術の習得等でございますが、複数の産業分野で活躍できる基盤的な人材の育成に取り組むことといたしてございます。

 引き続き、様々な産業における人材育成を進め、強い沖縄経済の構築のためにも、県内事業者の生産性や稼ぐ力の向上を目指してまいりたいと思っています。

 以上です。

橘委員 ありがとうございます。

 ソフト事業は、ハード事業に比べて予算額においてはそう大きいものにならないかもしれませんが、大変手のかかる部分もあり、また、創意工夫が求められる分野でもあると思います。その分またやりがいもあるものだと思っております。どうか充実させていただくようお願いを申し上げておきます。

 続きまして、駐留軍用地跡地の利用について一点お伺いいたします。

 これはまた非常に沖縄の特殊性の中で新たに出てくる土地をどういかに活用していくかということは、非常に大事な振興の柱であろう、このように思います。

 西普天間住宅地区の返還を受けて、逐次国際医療拠点の形成に向けて事業が進んでおります。琉球大学医学部及び同附属病院の移設、そしてまた関連する道路等のアクセスの基盤整備、こういったことを逐次進められていると思いますが、これが今後の跡地利用における一つの大きなモデルになる、それが今回の振興計画の中でのまた一つの柱であろうと思っております。進捗状況についてお伺いをいたします。

水野政府参考人 お答えいたします。

 西普天間住宅地区跡地における琉球大学病院と琉球大学医学部の移転につきましては、令和六年度末の完了を目指して整備を進めてきているところでございます。

 令和四年度、今年度は、病院施設の骨組みの構築、医学部関係施設のくいの設置等具体的な工事を進めるということを予定してございまして、これらに必要な経費として約百六十三億円を確保しているところでございます。

 また、インダストリアル・コリドー地区をまたぐ道路の整備につきましては、琉球大学病院が開院するまでに完成することを目標に、防衛省の補助を受け、宜野湾市が現在工事を行っているところと承知してございます。

 委員御指摘のとおり、この西普天間住宅地区跡地における整備は今後の跡地利用のモデルケースとなるものでございますので、引き続き、関係省庁等と連携し、着実に整備を進めてまいりたい、かように考えてございます。

 以上でございます。

橘委員 現地はちょうど海がずっと見える高台になっておりまして、ここに病院を造るということは患者さんにとっても大変環境のいい病院になるものと期待がされるわけであります。是非また、交通アクセス等いろいろ工夫をされて、この計画が目的を達せられることを、そのために努力をいただくことをお願いをしておきます。

 続きまして、沖縄振興開発金融公庫であります。

 振興施策のツールというのは様々なものがあるわけで、税制、あるいは一括交付金、あるいは高率補助、いろいろある中で、この政策金融という分野は大事な振興施策上のツールであろうと思います。今回、関係者の御尽力によりまして、更に十年間この設置期限も延伸された、このように喜んでいるところであります。

 今回、コロナウイルスで大変打撃を、各所、全国的に企業さんは受けられたわけでありますが、特に沖縄でコロナウイルスで打撃を受けた企業支援に大きな役割を振興開発金融公庫さんが果たされたと伺っております。このことをどう評価されるのか、そしてまた、政策金融、こういう公的金融は必ず、地元の地域金融機関との協業ということ、よりよい協業体制というのが求められると思っております。その辺を今後どう進めていくのかについてお伺いをいたします。

水野政府参考人 お答えいたします。

 沖縄公庫では、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小・小規模事業者等への資金繰り支援といたしまして、令和三年度末時点で一万六千七百件、三千四百四十九億円に上る融資を実施してございます。コロナ禍における地元経済の下支えに大きな役割を果たしているのではないかと評価してございます。

 また、お尋ねの地域金融機関との協業体制につきましては、随時、意見交換会や連絡窓口を通じた連携によりまして、協調融資の実施でありますとか好事例の公表、それから協調融資商品の開発を行っているほか、事業承継や事業再生支援等に協働で取り組む等、地域金融機関との連携に積極的に取り組んでいるものと評価してございます。

 委員御指摘のとおり、沖縄公庫は沖縄振興における重要な政策手段の一つでございます。今後とも、沖縄公庫には、地域金融機関と一層連携して、事業者支援に積極的に取り組む役割を期待しているところでございます。

 以上でございます。

橘委員 地域の開発体制ということについては、その地域を担当するお役所、また時には所管する大臣、さらに、予算の一括計上、そしてまた手厚いいろいろな補助、いろいろな政策ツール、その中で政策金融というものが更に民間的な分野についての下支えということで役割を果たす、そういう一体化した組織体系というかシステムで進めていかれるということが大変望ましいことだと思っております。是非、この計画とそしてこの公庫、こういったものを上手にお使いになって前へ進めていただきたいと思います。

 もう一つ、沖縄科学技術大学院大学、OISTであります。

 これも大変、今までにない、ほかの今までの地域開発にはないすばらしい取組である、このように思っております。今回、東北の被災地の復興のために福島で今、国際研究教育拠点というのをつくろうとしておりますが、OISTはそのモデルケースにもなるわけであります。

 このOISTも、今回、同様に開学十周年を迎えられるわけであります。沖縄に世界レベルの研究拠点を形成しようという志、そして教員、学生の外国人比率など、国内には類を見ない特色を持ち、質の高い論文ランキング二〇一九では世界第九位になったと伺っております。過日、内閣府の会議において、量子技術イノベーション拠点、国内十拠点の中にも位置づけられたということで、国内のアカデミアの世界といいますか、大学の連携の中においてもOISTをしっかりと位置づけていく、こういう流れになってきているわけであります。

 さて、このOIST、この十年間を振り返って、こういうパフォーマンスになってきたことはどこがよかったのか、そしてまた、よく指摘される地域との連携強化、世界を目指すけれども地域ともしっかりと手をつないでいく、この視点における今後取り組むべき課題をどう考えていらっしゃるのか、お伺いをいたします。

水野政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、OISTは、二〇一二年に開学し、世界中から優秀な教員、学生が集まっていること、それから、国が高水準の財政支援を行っていること等により、若い大学ながらも、特に研究面におきまして国際的にも高い成果を上げていると認識してございます。

 これまでもOISTでは、最先端の科学技術に関する教育研究を進める中で、沖縄振興への貢献に係る取組として、沖縄の特性を生かした研究や地元企業と連携した共同研究等を行ってきたところでございます。

 これらの取組につきましては、一定の成果は当然見られるものでございますが、更にOISTの設立目的を達成するには、国内外の企業や研究機関との連携、それから地元の自治体のニーズを踏まえた取組、それからOISTの研究成果を基にしたスタートアップの創出を更に進めていくことが重要と考えてございます。

 こうした取組によりまして、OISTのよさを生かしつつ、目に見える沖縄振興の成果が得られるよう、私どもとしても適切に支援してまいりたい、かように考えてございます。

 以上です。

橘委員 今回、大学ファンド法案なども他委員会で審議をされるわけでありますが、これからの大学に求められるものは、研究力の向上と併せて、それをどう一般の企業あるいは事業、いろいろなものに結びつけていくか、そして地域に波及させていくかということかと思います。

 このOISTにおかれては、学内においても大変留学生も多く、皆さん英語でアイデアを交換されるということで、言ってみれば談論風発、いいアイデアを生み出す、そういう力があると思います。

 しかし、それをいかに、今お話のあったスタートアップとか地元企業への展開とか、こういうことをやっていくか、これから更に真価が問われる時期に入ってくるかと思います。あわせて、振興予算の中での支援というのは限りがあるわけでありまして、外部資金の導入であったり、あるいはいろいろな研究費等の獲得ということも大変求められることかと思います。是非また適切に助言、支援いただいて、更にこの成果が上がるように、どうかお力添えをいただきたいと思います。

 もう一つ、首里城のお話をさせておいていただきたいと思います。

 令和元年十月三十一日の首里城主要施設の焼失、大変残念な出来事でありました。しかし、その後、沖縄県内外からも、これをしっかり再建しようということで、多くの貴重な浄財も寄せられたと伺っております。こういったものを生かしながら着々と再建の取組を進めていらっしゃる、このように伺っております。

 今年度の取組を一つお伺いしたいこと、そしてまた、この首里城の主要施設の焼失によりまして、文化財のこういう火災からの保護と防備ということは非常に大事なことだということを再認識させられたわけでありますけれども、改めて、首里城における事故再発防止策の進捗、これは、国から県に管理許可をされて、これの更新期限も来年の一月に迫っているわけでもあります。やはり、関係者みんなで心して、もう二度とこういうことはないようにするんだ、そういう取組は大変大事なことだと思います。その現状についてお伺いをしたいと思います。

水野政府参考人 お答えいたします。

 首里城復元につきましては、令和二年三月に関係閣僚会議において決定された首里城正殿等の復元に向けた工程表に基づく取組を着実に進めているところでございます。

 現在、本年秋の正殿本体の着工に向け、木材倉庫、原寸場、加工場を整備中でございます。その後、天候に左右されずに作業が可能となる覆い屋根を整備することとしています。

 正殿の復元に当たりましては、二度と火災による焼失を生じさせないよう、昨年度末に取りまとめた実施設計に必要な再発防止策を盛り込んでいるところでございまして、具体的には、早期発見に資する自動監視カメラ、初期消火に資するスプリンクラー、消火活動を容易にする連結送水管等を整備することとしてございます。

 また、整備面だけでなく人員体制面を強化することも重要と認識しており、沖縄県への管理許可に当たっては、防災、防火対策の強化を新たに許可条件として示し、責任の明確化を図ることと承知してございます。

 引き続き、国営公園事業である首里城の一日も早い復元に向け、関係省庁や沖縄県と連携し、責任を持って取り組んでまいりたい、このように考えてございます。

 以上です。

橘委員 是非しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 補修、再建していく中で、その作業を心を寄せる方々にまた見てもらうような、そういうしつらえも大変意味のあることであろうと思いますし、そうやって、みんなで汗をかきながら、みんなで思いを寄せながら、また令和の首里城というものがしっかり再建、復興されることをお祈りし、どうか努力をお願いしたいと思います。

 今日は、この時間の中で、今まで調査会でいろいろ議論させていただいたこと、そういったことを一つ一つ振り返らせていただき、いつもは局長さんとフランクにお話ししているんですが、今日は質疑、答弁ということで、しっかりと議事録に残すということでやらせていただきました。

 最後に、西銘大臣にお伺いをしたいわけでありますが、大臣も、観光、農業など、こういった分野をしっかり強化をして沖縄振興、もちろん沖縄のことをよく御存じでございますから、これをしっかりやり遂げていきたいということで、今、日夜努力いただいております。また、東北の被災地の復興にも御尽力をいただいていることを改めてお礼を申し上げたいと思いますが、やはりこれから、沖縄の産業の柱を太くしていくこと、そして揺るぎない沖縄をつくっていくことについて、大臣として思いをお持ちだと思います。

 そういった、これからの沖縄の特徴を生かした発展についての大臣の思いを最後にお伺いをしたいと思います。

西銘国務大臣 橘委員におかれましては、党の調査会の幹事長として、また、ただいま幅広い見地から、沖縄振興に深い理解を示しながらの御質問、非常にありがたく思いながら聞いておりました。

 先生御指摘のように、各般の分野での人材が基盤になると思っておりますが、私は今、強い沖縄経済をということを目指してヒアリングをしております。特に、観光・リゾート、農水産業・加工品、IT関連、科学技術・産学連携、四分野を中心にヒアリングを進めておりますが、その中でも、県民所得を上げるには、農水産業を含め、加工品まで含めて、そこのところはもう少し力を入れてあげてきたら県民所得の向上につながるんではないかというような考えも持ちながら、今懸命にヒアリングをしているところでございます。

 五月中の取りまとめをしながら、骨太の方針への反映を目指すとともに、必要に応じた予算の所要額の確保等、しっかりと検討してまいりたいと思っております。

 引き続き、橘委員始め皆様方の御支援を賜りますようにお願いを申し上げたいと思います。

 ありがとうございます。

橘委員 大臣、ありがとうございました。

 大臣、私の感じているところ、以前より、この基盤となる農林水産業を大事にされながら、そこにいろいろな花を開かせていきたいという思いを強くお持ちというふうに私なりに感じておりました。是非、今回、そういったヒアリングなりを通じてその部分を深めていただいて、しっかりとした施策にしていただいたらいいなと思います。

 今日、質問では取り上げませんでしたが、泡盛のことがあったり、サトウキビのことがあったり、あるいは北部、世界遺産のことがあったり、いろいろな、島のことがあったり、様々な特性そしてまた課題を抱えている、いい意味での特性と課題を抱えている沖縄だと思っております。

 私ども振興調査会においても、またそういったことを、小渕会長の下、しっかり議論させていただいて、沖縄のために努力をしていくことをお誓いを申し上げたいと思います。

 今日は貴重なお時間をいただきまして、質疑もさせていただいたことをお礼申し上げて、これで終わらせていただきます。

 今日はありがとうございました。

阿部委員長 次に、金城泰邦さん。

金城委員 おはようございます。公明党、金城泰邦でございます。

 早速質問に入らせていただきたいと思っております。

 まず初めに、外国からの入国者数と受入れ空港の拡大について伺いたいと思います。

 政府は、外国からの入国者数について、本年二月時点で上限三千五百人でしたが、これを五千人に引き上げました。三月十四日には五千人から七千人に、さらに、四月十日から七千人を一万人に引き上げて入国制限の緩和を進めています。

 また、外国から入国する空港について、現在、国際民間航空条約で規定された成田、東京羽田、関西、中部の国際空港と福岡空港の五空港に限られております。入国制限が一万人となってから十二日が経過します。来週四月二十九日からはゴールデンウィークが始まります。大型連休です。連休明けの五月九日で規制上限一万人になってから一か月が経過します。

 そこで、何点か質問いたします。

 まず、四月二十九日からのゴールデンウィークに対する政府の入国規制政策はどのように対応されますか。また、現在、入国制限の緩和を進めていますが、五月九日には入国者数上限が一万人となって一か月が経過しますが、方向性として、今後更に緩和していかれますか。

 さらに、現在、入国の受入れ空港が五空港に限られていますが、何らかの形で受入れ空港を拡大していただきたいと思います。特に、様々な観点から、北の玄関の新千歳空港と南の玄関の那覇空港は、入国受入れ空港として早急に体制を整える必要があります。入国受入れを再開するためには条件や環境があると思いますが、そのために、新千歳空港、那覇空港の検疫機能強化を進める必要があります。この二空港の入国受入れ再開の可能性について、御見解をお伺いいたします。

川上政府参考人 お答えいたします。

 まず、現在の水際対策でございます。

 三月から段階的な緩和を進めておりまして、感染拡大の防止と社会経済活動のバランスを取りながら対応を進めております。

 この中で、入国制限につきましては、三月一日より、観光目的以外の外国人の新規入国を認めておりますほか、入国者総数の上限につきましては、御指摘のとおり、四月十日から引き上げて、一万人程度としているところでございます。

 連休中の対応でございますけれども、連休中につきましては、現在、この入国者総数の上限である一日当たり一万人程度の入国が見込まれておりますことから、拡充してまいりました検疫体制やファストトラックなどもしっかり活用して対応していく考えでございます。

 その先の、今後の水際対策の緩和の在り方につきましては、今の時点で確たる内容までお示しすることは困難でございますけれども、国際的な人の往来が日本の経済活動にとって極めて重要であるという認識を持ちながら、内外の感染状況、入国需要、検疫体制なども勘案しながら、引き続き段階的な形で進めてまいります。

 また、国際旅客便の受入れ空港でございますけれども、現在のところ、御指摘のとおり、検疫体制の整っております成田、羽田、中部、関空、福岡の五空港としております。これは、現在の水際政策の一つの柱として、引き続き入国者全員に対しまして空港での検査を行っておりまして、それがゆえに、空港内のスペースや検査人員を含めた空港検査のキャパシティーに限界があるということで、入国者総数の上限の目安を設けるとともに、こうした制限についても行っているものでございます。

 他方で、先ほど申し上げましたとおり、国際的な人の往来は日本の経済活動にとって極めて重要でございますので、御指摘の那覇や新千歳も含めまして、各地域における入国ニーズや検疫体制の状況なども踏まえながら、どのような対応が可能か、国際線の運航再開に向けて引き続き検討してまいりたいと考えております。

金城委員 国際空港、そしてその次に福岡空港ということで、これまでのレクの中でも、やはり入国者数が多い空港ということでこの五空港が対応されている。恐らく、その次に多いのは那覇空港であったり新千歳空港であるということも伺っておりますので、そういった、今後拡大する際には、是非そこは考慮していただきたいと思っております。

 沖縄の大学、日本語学校、その他教育機関の関係者は、那覇空港における留学生や学生の入国受入れを切望しております。

 沖縄北方担当大臣として、内閣の一員として、是非、西銘大臣にも御尽力いただけましたらありがたく、西銘大臣の御所見を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

西銘国務大臣 那覇空港に関しましては、アジア太平洋地域の玄関口として、沖縄における国際交流においても重要な役割を果たしてきたものと承知をしております。

 先ほど内閣官房から答弁がありましたように、コロナ対策については、感染拡大の防止と社会経済活動のバランスが重要であり、各空港においても必要な検疫体制をしっかり確保することは、大きな意義があるものと考えております。

 金城委員の思いも受け止めつつ、関係省庁としっかり連携してまいりたいと思っております。

金城委員 大臣、ありがとうございました。

 質問を移ります。

 次に、日ロサケ・マス漁業交渉についてであります。

 本年四月十日に始まった日ロサケ・マス漁業交渉の現状について、先ほど来質疑もありましたが、現在どのような状況になっているのか、御報告をお願いいたします。また、交渉のポイントはどのようなことであるか、お考えを伺いたいと思います。

 交渉決裂や交渉不調、交渉中止は許されません。あらゆる手段を使って、何らかの交渉妥結、交渉成立の結果を得なければなりません。水産庁の御決意を伺います。

高瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 日ロサケ・マス漁業交渉については、十一日から日ロ漁業合同委員会を開催し、日本漁船によるロシア系サケ・マスの操業条件等について協議を行っているところであります。現在も協議を行っているところでございます。

 交渉の内容それから見通しにつきまして、現在交渉中であるため、予断を持ってお答えをすることは差し控えますが、この交渉は、我が国の漁業活動に係る権益の維持、確保のために行っているものであります。日本の関係漁業者が受入れ可能な操業条件等が確保されるよう、しっかりと交渉に当たってまいります。

金城委員 今、ロシアとの交渉は大変厳しい状況であると思いますが、頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、沖縄県内、特に本島における道路整備の促進について伺います。

 沖縄は、日本本土復帰の後、本土より遅れていた道路整備を急ピッチで進めてまいりました。高速道路、沖縄自動車道を始め県内国道の整備については進んでいるとは思いますが、まだまだ整備が必要な地域は残されております。特に、国道が設置されている地域でも、十分な整備が進んでいない地域は交通渋滞が激しく、住民は交通渋滞解消のための道路整備を要望しています。

 そこで、質問させていただきます。

 本島中部地域に比較して、南部地域はまだまだ道路整備が進んでいません。南部地域の道路整備を促進していただきたいと思いますが、国土交通省の御所見をお伺いいたします。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 沖縄の振興を図る上で、産業、観光や国土強靱化に資する道路整備は必要不可欠です。委員御指摘の南部地域の道路では、高規格道路のミッシングリンクが残っているほか、一般道路では深刻な交通渋滞などの課題が発生していると認識しております。

 この課題を解決するため、現在、国が管理する国道では、国道五百六号小禄道路や国道三百二十九号南風原バイパスなどの事業を防災・減災、国土強靱化に向けた道路の五か年対策プログラムに位置づけ、鋭意整備を進めているところであります。

 また、沖縄県が整備を進めております高規格道路の南部東道路についても、同様にプログラムに位置づけて、個別補助により支援しているところでございます。

 国土交通省といたしましては、地方自治体と連携しながら南部地域における道路整備を推進してまいります。

金城委員 ありがとうございました。

 道路整備の担当の国土交通省から御答弁いただきましたが、沖縄振興対策は沖縄北方大臣の所管となっております。道路整備は沖縄振興の基礎、基盤となる社会資本整備の中心となります。その観点から、沖縄本島南部地域の道路整備につきまして、西銘大臣より御決意を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

西銘国務大臣 金城委員御指摘のように、沖縄の道路事情は、例えば一時間当たりに進むキロ数などを見ますと、東京よりも渋滞の度合いは非常に高いものがあります。そういう意味では、沖縄の南部地域における深刻な渋滞の現状等を踏まえると、必要な道路整備を進めることは沖縄振興を進めていく上でも非常に意義あるものと考えております。

 その上、先ほど国土交通省から答弁があったように、必要な道路整備が南部地域でも確実に進められているものと承知をしておりますが、現場の方からは、もう少しスピードアップができないかという声も聞いております。

 金城委員の思いも受け止めながら、しっかり連携して取り組んでいきたいと思っております。

金城委員 御答弁ありがとうございました。

 私も、南部地域の方々からも、なかなか進まない整備もあると。是非西銘大臣の在任中にこれを解決していただきたいと思っておりますので、頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 次に、沖縄の教育力向上対策についてであります。

 沖縄県は、一人当たりの県民所得が全国平均の七割程度であり、子供の貧困や労働生産性の低さなど、解決すべき課題が残されていることは周知の事実であります。

 私は、これらの大きな課題はすぐに解決できるものではないことは承知していますが、絶対に解決しなければならない課題であるとも思います。この解決のためには時間がかかると思いますが、教育力の向上が不可欠であり、教育力向上が課題解決の鍵となると考えます。

 旧国立大学、琉球大学は、現在、附属小学校、附属中学校が設置されていますが、附属高校は設置されておりません。ある有識者は、琉球大学に附属高校がないことで、沖縄県内の優秀な子供たちが県外の有名高校に出てしまうとの懸念をしています。

 そこで、質問をいたします。

 沖縄発展のため、沖縄の課題解決のため、切れ目のない一貫教育のために、琉球大学に附属高校の設置を提案いたします。現在は国立大学法人となっていますが、文部科学省として附属高校設置に尽力をお願いしたいと思います。

 また、今国会で沖縄振興特別措置法改正法が成立しました。沖縄北部地域の振興について一層促進を図っていただく内容になっております。そこで、北部地域に魅力ある高校を設置して、教育力向上を図ることが必要と考えます。文部科学省の支援をお願いしたいと思います。

 以上二点について、文部科学副大臣に御所見をお伺いいたします。

池田副大臣 金城議員に御質問いただきました。二点の質問についてお答えをさせていただきたいと思います。

 まず、一問目でございますが、国立大学附属学校についてでございます。

 国立大学附属学校につきましては、まず一つ目、実験的、先導的な学校教育の実施、そして二つ目に、教育実習の実施、また、三つ目におきまして、大学、学部における教育に関する研究への協力、そういった使命、役割を有しているところでございます。

 附属学校を置く必要性につきましては、こうした附属学校のミッション、使命、役割を踏まえた上で、設置者である国立大学法人が主体的に検討すべきことである、そのように認識をしているところでございます。

 また、二つ目の御質問についてでございますが、沖縄県におきましても、各高等学校は、生徒や保護者、地域からの期待に応えるべく、日々努力をされているものと承知をいたしているところでございます。特に、中山間地域や離島などにおきましては、生徒が自宅から通学可能な学校が限られていることや、高校生の多様な学習ニーズへの対応、そしてまた、少子化への対応として、高等学校の特色化、魅力化、そういったことが進められていることが重要だと考えております。

 このため、文部科学省では、高等学校普通科の在り方を見直し、普通科に加えて、地域社会や学際領域に関する学びに重点的に取り組む学科などを設置可能とする制度改正を行うとともに、こうした特色化、魅力化に向けた支援を実施しているところでございます。

 具体的には、普通科改革に取り組む高等学校や、大学や研究機関等の関係機関と連携して、教科等横断的な学びを推進する高等学校を支援をしておりまして、こうした取組を通じて、全国各地で高等学校の特色化、魅力化に向けた取組が行われるよう推進してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

金城委員 副大臣、御答弁ありがとうございました。

 琉球大学は、現在、国立大学法人となっており、国立大学ではないことは承知しております。文部科学省直轄の学校ではないということで、文部科学省がああやれと指示できないということは理解はできるんですけれども、沖縄の教育ということに関しての現状は、この沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案の参考資料にもあるんですが、文部科学省が令和元年度に行った学校基本調査におきまして、大学等進学率、全国平均五四・七%に対して、沖縄は三九・六%で四十七位、全国ワーストなんですね。

 そういった事情も踏まえると、やはり教育に、文部科学省におかれましても沖縄の課題解決としてしっかりと捉えていただいて、応援をしていただきたいと思っております。

 しっかりと文部科学省の役目を全うしていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 また、特徴ある学校ということで、沖縄県でも、国際高校、球陽高校、開邦高校、向陽高校、いわゆる四K高校ということで、全県から受験生が集まる非常に人気のある高校、これは全て那覇を中心に沖縄市までの間で設置されているんですが、北部にはそういった全県から受験生が集まるような人気のある高校は現在ないんです。

 やはり、北部振興といってもそういったところに、教育という面でも是非力を入れていただく必要があると思っていまして、そこにおきましては地域事情もよく御存じの西銘大臣に、先ほどの琉球大学の附属高校の設置や北部地域に魅力ある高校の設置をすることについて、是非御所見を伺いたいと思っております。よろしくお願いします。

西銘国務大臣 金城委員御案内のように、今般改正した沖縄振興特別措置法では、沖縄振興に係る人材育成を含めた教育の充実あるいは北部振興の重要性に鑑み、それぞれ法案の中に努力義務規定を新たに創設したところであります。

 先ほど文科省から答弁がありましたように、北部地域においてそれぞれの高校を魅力的なものにすることは、学生の流出に歯止めをかける上でも重要であると承知をしております。

 例えば、北部地域十二市町村の人口につきましても、私がかつて県議会にいる頃から、人口が増えない、むしろ横ばいか減少傾向にあるということは議論をされておりました。そういう視点から考えましても、今、金城委員の御指摘を聞きながら、その辺のところを思い起こしていたところであります。

 琉球大学における附属高校につきましては、地元からの要望があることは承知をしております。設置者となる同大学の意思が重要であると承知をしております。委員と連携して、関係省庁連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。

金城委員 大臣、御答弁ありがとうございました。

 沖縄振興のためにしっかり取り組んでまいりたいと思います。よろしくお願いします。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

阿部委員長 次に、新垣邦男さん。

新垣委員 立憲民主党・無所属会派、社民党の新垣です。

 まず、質問に入る前に、去る四月十五日、前衆議院議員の照屋寛徳先生が逝去されました。ウチナーの未来はウチナーンチュが決めるんだ、そして、さらに、三百六十五日沖縄のためにとの政治信念、政治信条を貫き通して、保革を超えて県民から愛され、尊敬される政治家でした。謹んで哀悼の意を表し、質問に入りたいと思います。

 沖縄の県内公共工事の件についてお伺いいたします。

 沖縄の日本復帰七年後の一九七九年度から二〇一九年度までの四十一年間で沖縄総合事務局と沖縄防衛局が発注した県内公共工事のうち、受注額の半分近い四六・三%、金額で一兆二千億円弱を本土企業が受注していたことが、県建設業協会の統計資料に基づき算出した地元紙の報道で明らかになっております。

 また、内閣府が実施してきた沖縄振興推進調査費をめぐり、二〇一二年度から二〇二〇年度間の一千万円以上の大型事業十七件のうち、六五%の十一件を東京など県外に本社機能の大手シンクタンクが落札していたことも地元紙の報道で判明をしております。

 内閣府や防衛省は、このように多くの利益が沖縄から本土へ還元している実態を把握をされているんでしょうか。

水野政府参考人 まず、内閣府からお答え申し上げます。

 委員御指摘の件につきまして、報道につきましては承知してございますけれども、公共事業の発注実績の数値については、この報道機関が算出しているものということでございまして、政府として確認したものではございません。

 一般に、法令上のルールにのっとりつつ、地元経済の振興を図る観点から、可能な範囲で地元の受注機会を確保することは重要と考えてございます。内閣府や沖縄総合事務局で適切に対応しているところでございます。

 なお、委員御指摘の沖縄振興推進調査費につきましては、県外の企業が受託した調査事業につきましても、得られた調査結果は、内閣府から地元にも共有し、自治体や民間企業の取組に生かしていただいているところでございます。

 以上でございます。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省といたしましても、地元企業の受注機会の拡大に努めることは重要であると考えているところでございます。

 防衛省が発注します建設工事につきましては、会計法によりまして、原則一般競争入札としており、落札方式といたしましては、工事の内容や規模に応じて総合評価落札方式を基本としておりますが、この方式を採用する中におきまして、WTO基準額未満の建設工事におきましては、地域評価型というものを採用するなどしているところでございます。

 さらに、工事の発注に当たりましては、工事種別の分離又は工事範囲を分割するなど、競争性を確保しつつも適切な発注規模を設定し、地元企業の受注機会の拡大に努めているところでございまして、今後も引き続き努力してまいる所存でございます。

新垣委員 入札制度等々は十分理解をしております。

 ただ、ハード事業、特に、これまでも言われていたんですが、県内企業の技術力の問題、工事の規模の問題等々確かにあるはずなんですが、実は、資料からすると、名護市の辺野古の新基地建設に向けた埋立てを承認した翌年、二〇一四年の防衛局発注のJVの受注実績を見ると、県外が三百七十三億、約八五%なんですね。そして、県内が六十一億、約一五%。非常に開きがあります。

 確かに、入札制度しようがないんじゃないのという思いはあろうかと思うんですが、その辺を何とか、技術力も地元の企業の育成も図るという観点から、何とかこういう、不公平感というんですか、恐らく地元の企業の皆さんはなかなか言えない実態があろうかと思います。ですから、少し入札制度にも工夫をしていただけないかなと。これは、当然法的な問題もあるはずですが、何とか受注機会をやっていただきたいというのが一点です。

 そして、先ほど言った沖縄振興推進調査費、これはほとんど本土の方に持っていかれると。そうなると、金額だけじゃなくて、この調査、例えば情報、知の部分もみんな持っていかれると、沖縄県内の企業がなかなか育たないということがかいま見られるんだろうと思っています。

 ですから、何とか県内企業、ハード事業もソフト事業もそうなんですが、特に調査費については全体的な、国にお願いするだけではなくて、当然地元も考えなきゃいけないことなんですが、これがずっと続いているんですよ。この辺の改善を踏まえて、県と国と一緒になって、何とかそれを見直す方向で検討ができないものかどうなのか。

 もう一点は、資料というんですか、これまでの実績というのはずっとあるんですか。

水野政府参考人 お答えいたします。

 ちょっと、今手元に持っているあれでいきますと、沖縄総合事務局発注の公共事業における地元受注の割合ということでございますが、これまでの十年間の、直近の振計期間における沖縄総合事務局の発注実績で申しますと、平成二十四年度から令和二年度までということでございますが、単純平均で、県外企業のみが受託者となった割合は金額ベースで約一六%ということでございます。そういうことですと、ジョイントベンチャーを含め、何らかの形で県内企業が元請として関わった事業は約八割強ということでございます。

 以上でございます。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 今内閣府の方から御答弁ございました平成二十四年から令和二年度までの間で沖縄防衛局が発注しました建設工事におきまして、沖縄県外の企業のみが受注した金額の割合というのは約二四%と承知しております。これにJVの出資比率で沖縄県外を按分したものの受注額を加えますと約四五%になると承知しているところでございます。

新垣委員 すぐに改善というのはなかなか難しいはずですが、やはりデータというのが非常に大事になってくると思うんですよ。要するに検証しなきゃならない。何が問題で、どこを改善すれば沖縄のそういう公共工事の受注率が上がっていくのかということは極めて重要な課題だと思うので、是非その辺は、沖縄県そして皆さん、国とも連携をしてやっていただきたいなと思います。

 二点目です。

 これは大臣にお伺いしたいんですが、沖縄の経済的自立あるいは自立経済の確立が言われて久しいんですが、五次にわたる振興計画でもその重要性が問われ、これから始まる六次振計でも主要な課題となるのは間違いありません。

 沖縄経済の構造的な問題を表す表現として度々、ざる経済という言葉が用いられます。余りよくない言葉だとは思うんですが、ざるに幾ら水を注いでも網目からこぼれるばかりで水は一向にたまらない、このような経済状況を表しております。ざる経済とは、県内の需要を県外企業が獲得している状態や、県内で発生した売上高や利益が県外に流出し、地元企業の利益や県民の所得に十分に還元されない状態などを指しています。また、県外企業が沖縄で利益を上げ、その法人税が沖縄で支払われていないことも問題視され、いずれもざる経済の構造的な課題があると指摘されております。

 政府は、ざる経済と表現される沖縄経済の構造的な課題、ざる経済が確立されていった経緯や背景についてどのように認識をされているんでしょうか。沖縄におけるざる経済をどのように定義し、そこから脱却するための道筋を国としてどう描いていくのか、この辺は西銘大臣の思いも併せてお伺いしたいと思います。

西銘国務大臣 冒頭、私の方からも、照屋寛徳先輩の亡くなられたことに対しまして、心から哀悼の誠をささげ、御冥福をお祈りしたいと思います。

 今、新垣委員御指摘のいわゆるざる経済につきましては、一般的には、県内の需要の受皿を県外企業が担い、地元企業の利益や県民の所得に十分に還元されないといった課題を指しているものと認識をしております。

 沖縄においては、全国と比べて第二次産業の製造業の構成割合が低く、労働生産性が低いサービス産業への依存度が極めて高くなっており、原材料や製品など様々な財を県外から調達する割合が高くなっているものと考えられます。

 沖縄の自立的発展のためには、沖縄内外の需要を取り込み、域内産業間で連携して財やサービスを提供していくことを通じて、域内に経済効果が波及する地域経済の好循環を図っていくことが重要と考えております。

 特に、農林水産業につきましては、沖縄県の製造品出荷額の約四割を占める食料品製造業とも密接に関連をしております。農林水産業の活性化を図ることによって、この第一次産業に従事している方々の所得を上げ、それがまた食品加工等につながるなどで地域経済の好循環につながるものと考えております。

 こうした好循環を先導し、今後の沖縄経済を牽引する競争力のある産業を戦略的に振興するとともに、県内事業者の生産力や稼ぐ力の向上を図り、強い沖縄経済の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

新垣委員 やはり、大臣の思いと重なるところがあると思います。

 以前の委員会で、大臣は、たしか第一次産業を大事にしたいと。農水産業。沖縄の県民所得が全国最下位、依然とそうなんですが、やはりこれを脱却するには企業を育成をしなきゃならないと思っているんですね。限られた企業ですからどこまでやれるか分かりませんが、今おっしゃったように、製造業、私はかなり重要な課題だと思っています。生産、加工、流通、販売まで一体的にどうつくっていくかということが極めて重要なのかなと思っているんですが、なかなか実践としては難しい経緯があります。

 そこで、前回も申し上げたんですが、実は、こういう起業をやる若い人たちが結構いらっしゃるんですね。ところが、最初の資金がない。そして、軌道に乗せるまで支援をしてもらいたいという声もあるんです。

 実は、沖縄振興予算の中でこういう推進が当然あるはずですが、この声をもう少し聞いていただいて、起業をやりたい、そして、計画がしっかりやっているのであれば出しましょう、将来利益が上がったら返していくというような、そういう取組が、十分に県内の起業家というんですか、これから是非自分でやりたい、農業も、いろいろな方々がいらっしゃいますので。

 その辺の検討というのは可能なのかどうなのか、ひとつよろしくお願いします。

原政府参考人 お答えいたします。

 今委員から御指摘いただいた点につきまして、承った上で、今後生かしてまいりたいと思っております。

新垣委員 是非検討をお願いしたい。これは、非常に希望の大きい、起業人には大きい計らいになると思います。

 次に、ざる経済を考える際、ざるの網目の大きさを測る指標の一つに、地域経済循環率という指標があります。この比率が高いほど地域経済が自立をしており、所得が外部に流出することなく、域内で循環している状態にあると言えるようであります。

 経済学者の大城肇前琉球大学学長や民間シンクタンクが、全国四十七都道府県の地域経済循環率を分析しております。

 いずれの分析でも、トップスリーは東京都、大阪府、愛知県、ワーストが岩手県、奈良県、埼玉県の順で、沖縄県は下から四番目なんですね。岩手や奈良、埼玉でざる経済が問題視されるという話は、私は余り聞いたことがないんです。一方で、全国最下位であるわけでもないのに、沖縄でこれほどざる経済が問題視されている理由はどこにあるのかと考えているんですが、地域経済循環率のトップスリーとワーストスリーを比較した場合、産業構造などとの相関関係は見られるのでしょうか。この分析があれば。

渡邉政府参考人 お答えいたします。

 地域経済循環分析システム、これは通称RESASと呼ばせていただいてございますけれども、ここに掲載しております地域経済循環率は、地域の付加価値額を地域の所得で割った比率で表されるものであり、地域の自立性を示す一つの指標でございます。

 ここで言う地域の付加価値額とは、いわゆる地域総生産性と同じ概念ですけれども、地域が生産した商品やサービスなどを販売して得た金額から原材料費や外注費といった中間投資額を差し引いた額を指します。

 そして、地域の所得とは、雇用者に支払われた雇用者所得と、地域が外部から得る交付金とか補助金、こういう国庫支出等のその他の所得を合算したものでございます。

 それで、御指摘の二〇一三年の地域経済循環率の値を見ますと、最も高い地域につきましては、当該地域の付加価値額が大きい、いわゆる大都市圏でございます。一方で、この値が低い地域、分析をしてみますと、二つの要因があるというふうに考えてございます。

 第一の要因は、大都市の周辺に位置する地域であり、ベッドタウンとして地域外で生産活動を行う労働者が大きい地域。要するに、付加価値は都市部で会社に計上されて、給料は地域で払われる。地域単位で見ると、付加価値の部分がなくて分母の部分だけが大きくなっちゃうので、小さくなる。これはベッドタウンの特色でございます。

 それから、第二の要因は、先ほどもございましたけれども、地域の付加価値額そのものが、生産性がそれほど高くない結果、また、その分母としての、域外から域内への所得、こういったものが大きいという地域でございます。

 沖縄を見てみますと、最新のデータでは八一・〇%という数字になってございます。先ほど申し上げました要因の類型で言いますと、第二の類型になるのではないかと考えてございます。地域の付加価値に関する要因としては、第三次産業中心の産業構造となっているほか、地域の所得に関する要因としては、立地上、雇用所得の域外からの流入は少なくなっている一方で、その他所得は域外からの流入、例えば国庫支出金や地方交付税の割合が高いということが要因になっているのではないかと考えてございます。

新垣委員 沖縄の場合は本土と、今の事例にはなかなか合わないのかなと思っているんですが、これはまた今後研究していきたいなと思っております。

 ちょっと済みません、時間がないので質問を飛ばしたいと思います。

 警察庁、外務省にお伺いしたいんですが、沖縄本島内で、昨年十月、県内在住の女性に暴行を加えようとしてけがを負わせたとして、二十二歳の米海兵隊員が昨年十二月二十三日付で那覇地検に強制性交等致傷の罪で起訴されていることが明らかになりました。強制性交は、女性の人権をじゅうりんする凶悪犯罪であることはもとより、本件は、面識のない女性を狙った卑劣な蛮行で、断じて許せません。断固抗議をしたいと思います。

 今回の事件は公務外に起きており、第一次裁判権は日本側にあることは明白です。

 そこで、お尋ねしますが、本件事案について、米側に対し、起訴前の身柄引渡しを求めたのでしょうか、それとも求めなかったのか、求めたけれども米側が応じなかったのか、その理由はどういうことなのか、事実関係についてお尋ねしたいと思います。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの事件につきましては、昨年、令和三年の十月、沖縄県警察において認知をし、所要の捜査を遂げ、昨年十二月、那覇地方検察庁に送致したものと承知しております。

 沖縄県警察におきましては、米軍側から必要な協力を得て、米軍人の取調べなど所要の捜査を遂げており、送致前に拘禁移転の要請をしていないものと承知しております。

阿部委員長 新垣さん、お時間ですので。

新垣委員 はい、分かりました。

 今回の事件は、法定刑の重い強制性交致傷罪、旧強姦罪でありますが、日本側が起訴前の身柄引渡しを要求すべき事案に該当すると思います。

 本件事案について、日米の捜査機関の連携は円滑に進み、立件に際して影響が及ぶことはなかったようですが、その点は一定評価したいと思います。

 しかし、過去には、被疑者米兵が帰国してしまった例や、被疑者同士が基地内で口裏合わせしたケースもございます。実際、今回も、被疑者米兵は基地内に逃げ帰っています。米側と協力し、任意聴取できたから問題がなかったと単純に済ませるべきではないと思っています。

 やはり、日米地位協定十七条の運用改善では、起訴前の身柄引渡しについて、米側が好意的考慮を払うとの表現にとどまっております。日本側から要求があった場合、確実に米側が引渡しに応じるように協定を改定する、少なくとも外務省の言う国際約束の形で取決めを結ぶべきだと考えますが、大臣の所見をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 このような事案が発生したことは極めて遺憾であり、昨年十二月の本件起訴を受けて、外務省から米側に対して遺憾の意を申し入れるとともに、綱紀粛正及び再発防止の徹底について申し入れたところでございます。

 米軍人等による事件、事故は地元の皆様に大きな不安を与えるものであり、あってはならないものでございます。今後も、米側に対し、様々な機会に事件、事故防止の徹底を求めてまいります。

 日米地位協定は大きな法的枠組みであり、政府としては、事案に応じて、効果的にかつ機敏に対応できる最も適切な取組を通じ、一つ一つの具体的な問題に対応してきております。

 これまで累次の日米合同委員会合意を通じて地位協定の運用の改善を図ってきておりまして、刑事分野について申し上げますと、九五年の刑事裁判手続に関する日米合同委員会合意により、殺人、強姦等の犯罪で我が国として重大な関心を有するものにつき、起訴前の拘禁移転を可能にする道が開かれ、実際に移転が行われるなど、運用上の改善が図られております。

 政府としては、日米地位協定の見直しは考えておりませんが、このような取組を積み上げることによって、日米地位協定のあるべき姿を不断に追求してまいります。

新垣委員 大臣、日米地位協定は見直しをしないということをずっと一貫しておっしゃっておりますが、相変わらず沖縄県ではこういう事件、事故、本当に多発をし、県民が苦しんでおります。そのことも考慮なさっていただいて、是非共に地位協定の改定をお願いをし、質問を終わります。

 ありがとうございました。

阿部委員長 次に、山岸一生さん。

山岸委員 おはようございます。立憲民主党、山岸一生です。どうぞよろしくお願いいたします。

 先ほど新垣委員からもございましたけれども、冒頭、前衆議院議員照屋寛徳さんが先日御逝去されました。私も沖縄で新聞記者をやっていた頃に大変お世話になりましたけれども、照屋先生というよりも、寛徳さんという呼び名が一番似合う、政党、立場を超えて愛された政治家でございました。

 西銘大臣にちょっとお聞きしたいのでございますけれども、月曜日でございますね、十八日、寛徳さんの告別式が行われて、二千人の方が参列をされたと伺っております。西銘大臣はこの告別式は参列されましたでしょうか。

西銘国務大臣 残念ながら、告別式に参加することができませんでした。

 亡くなられた報道に接しまして、うるま市の御自宅を住所で探しまして、先方に連絡をしないで自宅の前まで行って、玄関で挨拶をしようと思って連絡を取ったんですが、取り込み中で、御家族の方もみんな病院にいらしたんだと思います。御家族の方に会えることもできませんでした。

 そういうことではありましたが、昭和六十三年に県議会初当選の頃、一緒でありましたし、また、もう既に弁護士としての活動で知名度もありましたので、ウチナーンチュの一人としては心から尊敬できる先輩の一人であります。

 いつも国会でも声をかけていただきましたし、本当に心から御冥福をお祈りしたいと思っております。

山岸委員 告別式は月曜日でございますから、大臣は国会対応や公務等もおありだと思いますので、それは難しいんだと思いますけれども、是非、機会を改めて、お線香一本でもというのが率直な気持ちでございます。

 大臣は、もちろん地元での政治活動においては様々立場はあると思うんですけれども、やはり今、日本全体の沖縄政策を代表する立場でいらっしゃいますから、同じく沖縄振興そして沖縄の平和と発展のために心血を注がれた照屋寛徳さんに対して是非とも弔問の機会をお持ちいただければなというのが、私は一人の日本人として、国民としてお願いをいたします。

 さて、照屋議員、寛徳さんが亡くなる直前、議員を引退されて、最後に悔いが残るとおっしゃったのが日米地位協定でございました。地位協定改定を実現できず悔しいと、悔し涙を流したというふうにお聞きをしております。沖縄の本土復帰五十年を経まして、照屋前議員の最後のメッセージが、沖縄振興でもなく、普天間、辺野古でもなく、もちろん思いは当然あったと思いますけれども、あえて一番というようなところで地位協定を挙げられたということは、私は一つの象徴的な御発言かなというふうに思います。復帰五十年たっても、やはりあらゆる沖縄をめぐる問題の根源に地位協定が横たわっているということを改めて胸に刻みたいというふうに思います。

 先ほど同僚の新垣議員からも質問がありましたけれども、つい最近も地位協定に関する事件がございました。昨年十月、米兵による強制性交等致傷事件がありまして、これは、今月になって、裁判が、公判が開かれることになったので明らかになった、こういうことでございました。米軍が先に今回身柄を押さえたため、日本側は任意で事情聴取をしたと伺っております。

 警察庁、まず事実関係を時系列でお伺いしたいのでございますけれども、事件発生の日付、米側に事情聴取を申し入れた日付、そして事情聴取が実現をした日付をそれぞれ教えてもらえますか。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの事件につきましては、昨年、令和三年の十月、沖縄県警察において認知をし、米軍側から必要な協力を得て、米軍人の取調べなど所要の捜査を遂げ、昨年十二月、那覇地方検察庁に送致したものと承知しております。

 沖縄県警察によります被疑者に対する取調べの詳細につきましては、捜査の具体的な内容に関わることでございますので、お答えは差し控えさせていただきたく存じます。

山岸委員 詳細は控えるということでございます。

 日付はともかくとして、日本側が事情聴取をしたという事実はよろしいでしょうか。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 事情聴取はいたしております。

山岸委員 時期は明かしていただけないということでございまして、私は、もし迅速に聴取が実現していたのであれば、やはり現場の努力の積み重ねだと思いますから、一定評価をしたいというふうに思っていたんですけれども、迅速かどうかは明かしていただけないということでございました。

 続けて、先ほど新垣委員の質問に、身柄の引渡しは米側に対して要請していないという事実関係の御説明がございましたけれども、要請しなかった理由は何でしょうか。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの事件につきましては、沖縄県警察におきまして、米軍側から必要な協力を得て、当該米軍人の取調べなど所要の捜査を遂げたものでありまして、送致前に拘禁移転の要請をしていないものと承知しております。

山岸委員 必要な捜査をしたので要請していない、その要請をしていない理由をお伺いしたのでございますけれども、堂々巡りのような答弁でございます。

 先日、私は、別の委員会でございましたけれども、沖縄で起きましたバイクに乗った少年が警察官とぶつかってけがをしたという事件のことをお聞きしましたけれども、あのときは結構警察庁の方も事実関係を詳しくお出しいただいたなというふうな記憶がございます。

 先ほど来、個別の事件に関しては明かせませんというふうな御答弁でございますけれども、そういう言い訳というのは必ずしも通用しないのではないのかなというふうに思います。やはり、個別の事件だからということじゃなくて、結局、地位協定絡みになると、その瞬間に情報が出てこなくなる、ブラックボックスになっていく、こういう現実があるわけでございます。

 この米側の対応が適当であったかどうかということもなかなか情報をお出しいただけない中で、これをどう評価していくのかということなんですけれども、松野官房長官は、先日、十八日の記者会見でこうおっしゃっています。この事件をめぐる米側の対応について、米側も深刻に受け止めており、捜査に対して十分な協力がなされたものと承知をしていると御答弁されています。十分な協力、十分なものだったとなぜ言えるのかということなんです。

 先ほど来、迅速な事情聴取ができたかどうかも御説明いただけていない。とりわけ性犯罪においては、やはり証拠の散逸が早いですから、迅速に証拠集めができるかどうか、取調べができるかどうかは非常に大きなポイントでございます。そういう点も明らかにしていただけていない、そして身柄の引渡しもそもそも日本側から求めていない、こういう状況の中で、どうして我々国民は、そうだな、十分だなというふうに判断すればいいのか。できるわけがないというふうに思うんです。

 そこで、林外務大臣にお聞きしたいのでございますけれども、今回、この米側の対応をどういうふうに評価しているか、十分だというふうに言い切る根拠は何なんだろうか。先ほど事件そのものへの評価、受け止めはお聞きしましたので、そこは結構でございますので、米側の対応が十分であるとおっしゃる根拠を教えてください。

林国務大臣 このような事案が発生したことは極めて遺憾でございまして、昨年十二月の本件起訴を受けて、外務省から米側に対し、遺憾の意を申し入れるとともに、綱紀粛正及び再発防止の徹底について申入れをしたところでございます。米側も本件を深刻に受け止めており、地元の捜査当局の捜査に対して十分な協力がなされたものと承知をしております。

 米軍人等による事件、事故は地元の皆様に大きな不安を与えるものでありまして、あってはならないものでございます。今後も、米側に対して、様々な機会に事件、事故防止の徹底を求めてまいりたいと考えております。

山岸委員 林大臣からも十分だという御答弁でございました。

 たった二つの言葉ではありますけれども、私は、日本側が余り安易に十分だというふうに言ってしまったら、そこで改善が止まってしまうのではないかなということを危惧いたします。日米地位協定の中でいろいろ理不尽なことがある中で、現場は様々な努力の中で積み重ねてきて、一定運用を頑張って改善して、多分、沖縄県警も相当御苦労されております。そういったことの中で、やはり、常にアメリカ側に対して不断の改善を求め続ける姿勢が日本政府には特段求められるだろう。だからこそ、十分ですということを日本側から余り安易に言わないでほしいなということは、これはお願いとして申し上げておきたいというふうに思います。

 地位協定のお話を少し続けてまいりたいのでございますけれども、ちょっと視点を変えまして、政治は時間の関数だというふうな、こんな言い方をいたします。どんなにいい政策、取組であっても、タイミングが合わなければ実現をしませんし、時期を逃せば、担い手である政治家個人も入れ替わっていってしまうわけでございます。

 そこで、政治の担い手である我々政治家の世代間のギャップというふうなことをちょっとお話ししたいと思っています。

 まず、沖縄に関して申し上げますと、私は、ここ数十年来の沖縄の政治家の皆さんを拝見をしていて、三つの世代があるのかなというふうに拝見しています。

 余り評論家のように言いますと、それこそ寛徳さんから、ヤマトンチュが勝手なことを言うな、ウチナーンチュのことを語るなと怒られるかもしれませんが、後で日本全体のことも議論しますが、まず沖縄のことから。

 最初の世代は、戦争世代を持つ世代。まさに鉄血勤皇隊で従軍して生き残った大田元知事もそうですし、それこそ寛徳さんも、一九四五年のサイパン生まれと記憶していますので、直接戦争の記憶はなくても、戦時を生き抜いた点では戦争世代と申し上げていいんだろう。

 二つ目が、米軍施政下、アメリカ世の中で生まれ育ってきた世代。西銘大臣がまさにそうでいらっしゃいますし、亡くなった翁長知事もそうでした。玉城デニー知事もそうですね。日本本土と米軍施政というものに対する理不尽な思いと同時に、経済的な豊かさというものもお持ちのような、そういうふうな世代でございます。

 最後が、一九七二年の本土復帰以降の世代でございます。九州・沖縄サミットが二〇〇〇年、そしてテレビドラマの「ちゅらさん」が二〇〇一年でございました。沖縄の文化、音楽、食べ物、こういったものがメディアに取り上げられて、沖縄の文化的独自性、アイデンティティーというものに対して県民の皆さんが自信を深めていかれた、そういう時代でもございました。この議場ですと、國場議員がまさに一九七三年でいらっしゃいますかね。復帰翌年生まれの復帰っ子世代ですし、最近の自民党県連の幹部の皆さんの顔ぶれを拝見していますと、大分世代交代が進んで、この世代が多いのかなというふうに伺っております。

 私は、それぞれの世代の方々と接してまいりましたけれども、やはり最初の世代と最後の世代のギャップはかなり大きいなというふうに思います。

 戦争体験の継承は非常に難しいものがあって、沖縄が歩んできた苦難の歴史への思いというものが必ずしも十分に受け継がれていないのかなというふうに思うときもあります。一方で、新世代の政治家からすると、先輩たちの言う沖縄のイメージは古い、自信を持って変わっていこう、こういうふうな御意見もお聞きをしてまいりました。

 時代とともにもちろん変わっていくことはあるわけですけれども、当然受け継いでいくべきものもあるわけで、だからこそ、中間の世代にいらっしゃる西銘大臣の世代の役割というのがまだまだ大変大きいものがあるんじゃないかなと勝手ながら拝察をしているわけでございます。

 そこで、大臣にお聞きしたいのでございますけれども、今年、復帰五十年を迎えるに当たって、占領体験や戦争体験を原体験として持たない復帰世代以降の皆さんに、戦争体験や占領体験、米軍施政下の体験、それらを前提にした沖縄振興の重要性というものをどういうふうに引き継いでいくのか。これは、西銘大臣が属していらっしゃる世代の皆さんがまだまだ大きな役割を持っていらっしゃると思いますけれども、大臣はどういうふうに取り組んでいかれますか。

西銘国務大臣 私の世代からしますと、屋良朝苗先生が、戦前の旧制中学校時代の、私の大正生まれの父の恩師であった。大学生になった父が学徒出陣で南方に赴任するときに、台湾で先生をしておられた屋良朝苗先生に御挨拶をして南方の戦地に行ったという話。それで帰ってこなかったら私なんかは生まれていないんですけれども、戦前の旧制中学の頃から、あるいは、戦争を体験した大田知事の話、そういうところも踏まえて、私は割とその辺まで見えていた世代かなと思っております。

 そういう意味では、今般の選挙戦の中でも、私は勝手に、広島、長崎、沖縄は平和のトライアングルだと。沖縄で生まれた政治家として、今般のウクライナ侵略の報道を見るにつけ、平和というものを、武力侵害がないようにするにはどうしたらいいかという意識の強い男であります。選挙区の中には台湾が見える与那国島もありますし、そういう意味では、私が見てきたところを、あるいは感じていることを、國場先生の世代とか県内の若手の人たちにしっかり伝えていく役割もあるのかなという思いで政治に取り組んでいきたいと思っております。

 復帰五十年の節目ですから、沖縄の歴史に全国の方々に理解を、改めて考えるチャンスになればいいのではないかなと思っております。

山岸委員 大臣、心のこもったお話、御答弁、ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。

 今、沖縄の政治家の皆さんということで議論してまいりましたけれども、実は、この世代間の問題というのは、沖縄だけではなくて、本土、日本全体の政治家も同じであって、もっと深刻なんだろうなというふうに思っています。

 我々沖縄政策に取り組んでいる国会議員にも、三つの世代が同じようにございます。直接戦争体験がおありだった野中広務さんですとか山中貞則さんの世代、名前を口にするのも非常に、もう歴史のような話でございますけれども。そして、復帰前から沖縄に通い続けて心を寄せてきた小渕恵三総理のような世代の皆さん。二つあって、それぞれ沖縄に対して非常に思いを寄せてこられました。

 では、それを引き継いでいる私たち現役世代の議員が果たしてどうかというと、この委員会にはもちろん沖縄に思いを寄せる皆さんが集まっていらっしゃると思いますけれども、全体で見ると、やはり十分じゃないな。理解以前に、沖縄に対する無知によるヘイトまがいの言動を国会議員自らが行うというふうなケースも残念ながらございました。

 やはり、原点のような体験、沖縄への思いをきちんと持っているだろうか。これは私自身も自分に問い続けていますが、私もかつて沖縄に住んでいましたけれども、十年近く前の話になります。やはりそういった思いが薄れていないかということを常に問い続けております。

 そこで、林大臣にお聞きしたいのでございますけれども、先ほど地位協定の議論をしてまいりましたけれども、改定に取り組む、取り組まないは別としまして、やはり、沖縄についてこういった原点、原体験のようなものを政治家自身がきちんと持っているかどうかということは、これからの取組において大きな違いになってくると思います。林大臣は、沖縄についてどのような原点、原体験みたいなものをお持ちで、どういうふうな姿勢で沖縄の問題に取り組んでいかれるのか、お考えをお伺いいたします。

林国務大臣 西銘大臣のような思いというものに比べますと、我々ここにおる者、そこまで持っていなきゃいかぬなと思いながらも、やはり思いの深さの違いを感じながら、しかし、今委員からお示しいただいたお名前は、実は、野中先生、橋本先生、小渕先生、それぞれ、かなり離れておりましたけれども、直接我々は御指導いただいて一緒に部下として働かせていただいたという経験を持っておりまして、沖縄への思いというのはその節々で、ああ、なるほどなと思わせていただいたところでございます。

 そして、個人的な話になりますが、中学校か高校ぐらいのときに、海洋博だったと思います。そのときに展示をいろいろ見て、一緒に見た妹が犬を飼っておったわけですが、名前をひめゆり号というふうにしたんですね。ひめ、ひめと呼んでおりましたが、展示を見て、やはりその思いをそういう形で表しているということで、その名前を呼ぶたびにああいうことを思い出していたわけでございます。

 防衛大臣のときに、二〇〇八年の八月ですが、普天間の飛行場の周辺の土地を実際に歩いて視察をさせていただく機会がございました。騒音もそうでしたが、特に私は、臭いがやはり強いなと。燃料の臭いだったと思いますが。付近に幼稚園か小学校があって、子供さんが外で楽しそうに遊んでいらっしゃる。ということは、この臭いはもう気にならなくなっているんだなという思いをしたわけでございます。

 そういった意味で、ある意味では、裏を返すと大変深刻な問題であるという認識を持たせていただいたわけでございまして、そうした意味で、普天間飛行場の一日も早い全面返還に全力で取り組まなければならないとそのとき以来感じておるわけでございます。

 今年は、先ほど西銘大臣からお話がありましたように五十周年の節目の年でありますので、外務省としても、沖縄の負担軽減に取り組むとともに、沖縄県の持つ固有かつ多様な魅力を認識して、国際的な取組に協力してまいりたいと考えております。

山岸委員 時間ですから、最後に一問、大臣にお伺いしたいと思います。

 タイミングが非常に大事でございます。どういう政治家がそのポストにいるかという中で、今、沖縄出身の西銘大臣、そしてまた沖縄に対して様々な体験をお持ちの林大臣がいらっしゃる、そして復帰五十年でもあり、さらに国際情勢も大きく揺らいでいるこのタイミングに、やはり、従来の固定観念に縛られることなく、冒頭お話ししましたけれども、日米地位協定の改定に向けて日本も踏み出していくべきではないかと私は考えていますけれども、最後に、林大臣、県民もこの質疑を御覧になっていますので、意気込みがあればお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

林国務大臣 日米地位協定は大きな法的枠組みであり、政府としては、事案に応じて、効果的にかつ機敏に対応できる最も適切な取組を通じて、一つ一つの具体的な問題に対応してきております。累次の日米合同委員会合意を通じて地位協定の運用の改善を図ってきたことに加えまして、二〇一五年には環境補足協定、二〇一七年には軍属補足協定を締結いたしました。

 日米地位協定の見直しは考えておりませんが、こうした取組を積み上げることによって、日米地位協定のあるべき姿を不断に追求してまいりたいと考えております。

山岸委員 是非お考えください。

 ありがとうございました。

阿部委員長 次に、大島敦さん。

大島委員 手短に質問させてください。

 国会議員になる前の話ですが、初めて沖縄を訪問したときのことで、那覇空港に降り立って車で那覇市内を走っているときに、沖縄として独特の文化を持っているんだなと感じました。それが私の沖縄に対する第一印象でして、沖縄の時間の流れは悠々としていて、私たちが暮らしている本土の時間の流れとのテンポの違いを感じたことを今でも覚えています。

 このことは、前回、西銘大臣が私の質問に答えて、JICA国際センターにいらっしゃっている開発途上国の皆さんの例を引いて、国際センターは自分たちの地域と違和感がないということで、非常に親しみを持っていらっしゃるという御発言があったので、その感覚を多分共有しているのかなと思います。

 それから、沖縄、琉球王国の象徴である首里城を見学いたしまして、併設されている展示施設でその歴史を読ませていただきました。そのとき、私の直感が正しいということを思いまして、琉球なんだなということを確信をしたのが、今から二十五年ぐらい前ですかね。

 それで、首里城正殿の前の梵鐘には、万国津梁という言葉が刻まれております。外務省の二〇〇〇年G8九州・沖縄サミットのホームページにもありますように、万国津梁とは、世界の懸け橋を意味し、大交易時代と言われる十四世紀から十六世紀の琉球王国の繁栄を築いた先人たちの気概を表現したものとされております。沖縄の皆さんにはこの先人たちの気概が脈々と受け継がれていて、その力強さを感じるとともに、こうした気概のよりどころでもある沖縄独自の歴史、文化の継承や保存を図り、併せて国内外への積極的な発信も促進していく必要があると思っております。

 それで、西銘大臣、実は、二〇〇一年七月に財団法人による国際セミナーが開かれておりまして、これは万国津梁館でありました。題名が、二十一世紀のアジア・太平洋地域の相互協力ということの国際セミナーが開かれて、日本を含め、米国、中国、インドネシア、オーストラリアの学者の皆さん、政治家の皆さん、日本からだと有馬朗人参議院議員がいらっしゃったり、インドネシアからですとスシロ・バンバン・ユドヨノ・インドネシア経済・社会・治安担当調整大臣、将来はインドネシアの大統領になる方もいらっしゃっておりまして、日本の学者だと公文俊平先生、伊藤元重先生、そして日本国の各役所の皆さんが集って、アジア太平洋の相互協力ということを話し合われております。

 前回も大臣にお願いをさせていただいたんですけれども、やはり、沖縄の科学技術の大学院大学とともに、平和構築のための大学院大学があってもいいかなと思っています。周辺国、中国、台湾、ロシア、そして、オーストラリア、日本、東南アジアの皆さん、アメリカも含めて、皆さんが二年ぐらい集って人間関係を構築することが、十年、二十年、三十年かかるかもしれないけれども、この地域における安定に資すると思うので、こういうセミナーを開きながら、将来的には大学院大学をつくっていただければと思うので、最後にそのことだけお願いをさせていただいて、大臣から一言いただければ私の質問を終わります。

西銘国務大臣 今、大島委員のお話を伺いながら、OISTがベスト・イン・ザ・ワールドの、世界に冠たる科学技術の拠点にはなっているんですが、今委員が言われたように、OISTが、我が国全体の平和を維持する何か機能が出てこないのかなという思いは、私の中では巡ります。

 今お話しの国際セミナーで有馬先生とか、米国、中国、インドネシア、オーストラリア、現実にはロシア、北朝鮮というと今の状況では厳しいんでしょうけれども、そういう地域の平和を維持する機能がOISTに出てくればいいなという思いは、頭の中ではよぎっております。

 このぐらいの感想でとどめておきたいと思います。

大島委員 西銘大臣、ありがとうございます。

 私としては、OISTとは別に、平和構築のための大学院大学をもう一つつくってもいいかなと思うものですから、その点を触れさせていただいて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

阿部委員長 次に、杉本和巳さん。

杉本委員 維新の杉本でございます。

 今日は一般質疑ということではありますが、五十周年ということで、思いのたけは委員会決議で、与野党の筆頭、理事、委員の皆様の御尽力で決議につながっていくということでございますので、まずもって、この場をおかりして、この決議ができることに敬意と感謝を申し上げたく存じます。

 さて、外交のことを外務委員会でも大臣とは質疑する機会があるんですが、貴重な機会なので、またお時間をいただいて恐縮でございますが、安倍総理のときは、あるいは菅総理に継承されたときは、茂木大臣と、地球を俯瞰する外交なのか、地球儀を俯瞰する外交なのかみたいなやり取りをしておって、答えは地球儀を俯瞰する外交でいらっしゃったかと思うんですが。岸田政権になって、林外務大臣で、新時代のリアリズム外交ということでございます。

 ちょっと今日は韓国のことに触れさせていただきたいんですけれども、歴史をしっかりと我々は把握しておくことがとても大事なんじゃないかな。

 八年ほど前に亡くなられました外交官、岡崎久彦さんが書かれている、韓国駐在時に執筆されている、中公文庫でもう絶版になっているんですが、「隣の国で考えたこと」というものを読ませていただくと、例えば高句麗と高麗の違いが分かるかなみたいなことを自分でも恥ずかしながら感じるようなことがあったりとか、あるいは任那という国があったりとか、あるいは日韓併合がやはり韓国の方々には相当重く突き刺さった状態が歴史的には続いているんじゃないか。言葉で言うと、英語なんでしょうかね、アンティパシー、この相互アンティパシーというか相互嫌悪感みたいなのが何か横たわってしまっているということなんですが。また、両班という言葉があって、歴史的な身分みたいなのが韓国にあるということでございますが、五月十日に新政権が発足するので、とてもいい機会が巡ってきたというような意識がありますので、そんなことを質疑させていただきたいと思います。

 それで、ちょっとまだ枕が長くて申し訳ないんですけれども、夜中に番組がありまして、再放送だったんですが、ミャンマーのことをやっていました。

 ミャンマーの内戦で六十万人以上の方が家を追われるような状態で、軍部によるクーデターと抵抗する勢力の若者たちのゲリラ戦みたいなことで、ウクライナの問題は度々質疑させていただいていますが、やはりミャンマーにも、五十六万とか六十万とかいう数字が報じられているんですけれども、そういった人道的な問題があるということはもう十分御認識だと思いますが、この場をおかりして共有させていただきたいと思います。

 それと同時に、ミャンマーの軍に対して、現政権というか、我々は承認していないですけれども、ロシア製の戦略爆撃機なのかジェット戦闘機なのか、ヤク130というのと、それから、中国製の同戦闘機なのか爆撃機なのか、K8というものが、国連は武器輸出をしないでほしいという要請をかけていても、実際はミャンマーが導入をしているというようなことも事実としてあるということで、我々は本当に、このアジアの緊張がどんどん増していく中で、人道の問題も、そして安全保障の問題もしっかり考えていきたいということでございます。

 それで、まず最初に、難民というか、順番を変えて恐縮なんですが、大臣にも御認識いただきたいので、最後の出入国管理の関係で丸山出入国管理部長さんに御答弁いただきたいと思っているんです。

 ロシア人で、我が国の北方領土の国後島から亡命のために泳いできたという、難民認定申請を求めているワースフェニックス・ノカルドさん、三十九歳、この方がコメントとして、島を離れた判断は正しかったと振り返った、ロシアに残っていたら戦地に送り込まれていたかもしれない、こういう主張をされ、これは共同に対するお答えですけれども。

 事実関係は、ノカルド氏は、昨年八月、北海道標津町で警察に保護され、入管施設に収容された後、難民認定を申請、同十月に仮放免され、以降、今回初めてメディアの取材に応じたという四月九日の報道があるんですけれども、国後水道という国後と択捉の間の境というのは水の流れが激しくて泳げないと思うんですが、日本の国後島から日本の北海道に渡ることは、大変なことではあるものの、可能なような感じがいたします。

 この例を引くまでもなく、現在の全体主義的なロシアから脱出したくて、日本に難民として来たいというロシアの国民の人たちは多いかもしれないし、林大臣も、差別などしないでほしいというようなコメントを出されたやに記憶しておりますが、この方の安否というか安全というのは確保されているのかどうか、この点を担当の政府参考人から御答弁いただきたいと思います。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員からお尋ねのありました件でございますが、個別の事案に関わることでございますので、お答えは差し控えさせていただきます。

杉本委員 想定された答弁のやり取りではあるんですけれども、やはり我々は、こういう方が現実にいらっしゃって、そして今後もあり得るという認識を持って北方領土問題に当たっていく必要があるというふうに思っております。

 続きまして、また政府参考人の方に伺いますけれども、オーストラリア、ユナイテッド・キングダム、USAを合わせてAUKUSという言葉がございますけれども、いっとき報道が出て、日本に参加が打診されたというような報道を日経新聞さんが報じたりしたんですけれども、その後、サキ米大統領報道官は、日本が参加を打診されたとする一部の日本メディアの報道は不正確だということを言われていますけれども、事実確認を政府参考人の方に伺いたいんですが、参加要請が来ているのか、いないのかという点、それから、来た場合の参加の意思は大臣に伺いたいですが、これは参考人に伺います。まとめてお願いします。

岩本政府参考人 御指摘の報道は承知はしておりますが、日本がオーストラリア、イギリス、アメリカ三か国からAUKUSへの参加を要請されたという事実はございません。

 その上で申し上げますと、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、同盟国、同志国が様々な協力を進めておりますが、このAUKUSはインド太平洋地域の平和と安定に資するものであり、日本もこの取組は支持しております。

 日本としては、引き続き、安全保障、防衛面での重要なパートナーである米豪英との間で、二国間を含む様々な形で連携を強化していきたいと考えております。

杉本委員 事実はないということなんですが、日本の場合は、特別秘密の保護法というのができて、ある程度、情報管理というのはざるではなくなったという認識ですが、やはりAUKUSの国々から見ると、まだ日本という国が信頼に足るというレベルにいけていないので実際にお誘いがないんじゃないかなという気がいたしますので、私どもの情報管理の徹底みたいなのは、改めて、こういう話が出て消えたというようなことの中で、認識を、もう少し情報セキュリティーという意味でしっかりしていく必要があるかなということを申し上げさせていただきます。

 似たような話かもしれないんですが、クアッドに対して、韓国の新政権、打診があったんじゃないかという話があって、これは十四日の記者会見で松野官房長官が、一部報道について、打診が我が国に対して行われた事実はないというような、オブザーバー出席についてですか、そういう会見をされておられるようでございます。

 正直、韓国政権というのは五年ごとに方針ががらっと変わって、クアッドに入っていただいたけれども、五年後また、がらっとかじを、取りかじなのか面かじなのか、いっぱい切られちゃうと、何だったのかみたいな話になりかねないので、新政権がこれから発足した後、よく見ていく必要があると思いますし、先日の外務委員会での答弁で、適時適切な意思疎通を図られるというような御答弁を大臣はおっしゃっておられましたけれども、現時点での外務省なり岸田政権としての、クアッドへの参加、打診はないようですけれども、あった場合にはどんな方向感を持っておられるか、教えていただければと思います。

林国務大臣 いつもながら深く広いバックグラウンドに基づいて御質問をいただいておるわけでございますが、まず、今お触れいただいた報道にあるような打診が我が国に対して行われた事実はなく、仮定の質問にお答えすることは差し控えたいと思います。

 日米豪印、いわゆるクアッドと、ほかのパートナー国や地域の対話や連携の在り方については、クアッドの中で何か決まっていることはないということであります。

 一般論になってしまいますが、我が国として、引き続き、様々な機会を捉えて、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取組を進めていく考えでございまして、そのために、ビジョンを共有する国々と一層連携を深めてまいりたいと考えております。

杉本委員 慎重にお願いしたいし、本当に、五年間は信頼に足るのであれば、クアッドという切り口は難しいかもしれないですが、日韓関係という切り口では深めていっていただく必要があるというふうに率直に感じます。

 韓国新外務大臣候補の朴振さんの件なんですが、私ごとで恐縮ですが、日韓議連であったか、日米韓の議員交流の機会であったか、お話しする機会を持って、結構印象に残っておるんですが、実は、僕は将来外務大臣になるよとおっしゃっていたんです。

 そんな将来の展望を持っておられた方がいよいよ就任する方向になってきて、それで、本音で、私は、林外務大臣と朴振次期外務大臣は、ケミストリーが合うという言葉が的確かどうかは分からないんですけれども、本当にいい意味でパートナーとしてうまくいくんじゃないかなという気もしております。

 そんな意味で、朴振氏は日韓関係の改善の発言を幾つもされておられて、このままぎくしゃくしていては双方にとって損だということを十八日に述べられ、また、慰安婦問題をめぐる七年前の日韓合意について、公式な合意だという発言をされておられます。

 もろもろ発信をされておられるんですけれども、まだ就任されていないので、また仮定の話では答えられないという答えになるかもしれないんですが、是非とも相互理解を朴振新外務大臣とも進めていただきたいと思っておるんですが、率直なところをお伺いできればと思います。

林国務大臣 国際社会が大変大きな変化に直面する中で、健全な日韓関係、これは、ルールに基づく国際秩序を実現して、地域及び世界の平和や安定及び繁栄を確保する上でも不可欠であると思っております。

 また、ICBM級の弾道ミサイルの発射を含めて、北朝鮮による核・ミサイル開発が一層活発化する中で、北朝鮮への対応を始め、日韓米の三か国の連携も大変重要でございます。

 一九六五年以来、国交正常化以来築いてきた日韓の友好協力関係の基盤に基づいて日韓関係を発展させていく必要がありまして、尹錫悦次期大統領のリーダーシップにも期待するところでございます。

 私も、ずっと議員交流等でいろいろな韓国の皆様と交流をしてまいった中で、恐らく当時の朴振議員にもお会いしたことがあるというふうに記憶をしておるわけでございます。

 議員がおっしゃるように、ケミストリーが合うかどうかというところまで深いおつき合いをしたというところはちょっと記憶が曖昧でございますが、先ほど申し上げました日韓関係の重要性に鑑みて、これを改善していくために、尹次期大統領を始め、新政権と適時適切なレベルでしっかり意思疎通をしていきたいと考えております。

杉本委員 御答弁ありがとうございます。

 日韓関係、本当に、向こうがちょっと話をほごにすることが多かった昨今でございますけれども、向こう五年間、関係改善に我が方の姿勢は変わらないのは十分分かっているんですけれども、韓国にも大いに、このマイクを通じて、期待していますよということを申し上げさせていただきたいと思います。

 大臣には以上で質問を終わります。ありがとうございます。

 続きまして、御担当の西銘大臣に幾つか、もう残り時間は少ないんですけれども、伺わせていただければと思います。

 報道等で、これは銀行のレポートだったかもしれないんですが、離島の年収二百万未満の世帯の教育費が年収を上回るような事実があるということのようなんですけれども、何度も離島の振興みたいなことは大臣とも質疑させていただいているんですけれども、県や国の補助制度の現状なり今後の展望なりをちょっと伺わせていただければと思います。

西銘国務大臣 離島では、恒常的な地理的不利性で教育へのアクセスが限定されているなど、沖縄本島と比較して、定住条件の整備を図る上で様々な課題を抱えていると認識をしております。

 こうした状況を踏まえまして、離島の教育環境の整備に向けまして、高校のない離島出身者のための寄宿舎の整備、オンラインによる村営塾、市町村営の塾の運営に対する支援、あるいは、児童生徒が教育活動により島の外あるいは県外の大会などに参加する際の交通コストの負担の軽減など、県や市町村の取組に対して一括交付金を活用して支援をしてきたところであります。

 一括交付金による住民等の交通コストの負担軽減に対する支援や、沖縄離島活性化推進事業を通じた離島市町村が実施する定住促進住宅の整備に対する支援なども行っております。

 今後、県や市町村とも連携を図りつつ、しっかり取り組んでいきたいと考えております。

杉本委員 丁寧な御説明をありがとうございます。

 一括交付金の活用ということで、沖縄に若いカップルが離島を含めて住んでいただいて、沖縄が本当に子を産み育てやすい地域ということで、リモートワークが盛んになるような時代でございますので、是非、こういったいろいろな補助、サポートをしてくださっているということを広くお伝えいただいて、沖縄に人口が、愛知県も増えているのはありがたいんですが、愛知県の増勢は守りつつ、沖縄の人口増も、そして日本の少子化に対する歯止めみたいなことで、夢と希望が持てる地域にしていただきたいとお願い申し上げます。

 ちょっと質問が重なるかもしれないんですが、もう一つだけ。

 那覇空港第二滑走路の併用が開始されておられますが、二年ぐらいたっているんでしょうか、そんなことの中で、直近、かなり活発に活用されているのか、それともそうでもないのか、この辺りを確認させていただければと思います。

西銘国務大臣 令和二年三月の那覇空港第二滑走路の供用開始以降において、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、旅客及び貨物共に利用実績は減少しております。

 令和二年度の実績を見ますと、国内線及び国際線を合わせた総旅客数が約六百六十万人、前年度比で六八%減になっております。総貨物取扱量が約十六万トン、前年度比で四七%減となっております。

 なお、令和三年度におきましては、今年二月までの速報値ではありますけれども、総旅客数が約七百万人、総貨物取扱量は約十五万トンとなっており、令和二年度に比べて増加の見込みであります。

 以上です。

杉本委員 沖縄振興を更に、この五十周年を経てますます我々は努力し、そして現実に人口が増え、そして所得が増えることを期待申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

阿部委員長 次に、吉田豊史さん。

吉田(豊)委員 日本維新の会、吉田豊史です。よろしくお願いいたします。

 今日の委員会の最初の方ですけれども、橘慶一郎委員が万葉の歌を披露されたと思うんです。あれは富山では非常に有名な話でして、必ず万葉の歌を披露される。今日、委員の皆さんが、歌の後、拍手していただいているのを見て、私も富山の一員として、何かとてもうれしいなと思いました。

 今日、後ろには上田英俊議員もおられまして、富山の先輩方、私は元々自民党だったものですから、先輩方がいらっしゃって、それで、正面を見ましたら綿貫大先輩が、富山のボスですけれども、何かそういう別の意味の緊張感を持って今日は質問させていただきます。(発言する者あり)ありがとうございます。

 本当に、アドリブでやっている委員会の質問というところのぼろが出そうな気もするんですけれども、何よりも沖縄の振興というところ、発展ということからしますと、やはり、これから沖縄が明るいビジョンを描いていくために外からどんな応援ができるかということを、私は、外の人間という認識の下に、さかしらにならないようにしてやっていきたいというふうに思っているんです。

 その上で、今日は英語というところに焦点を当てたいと思います。

 この行われております委員会の中では、やはり、人材の育成、人を育てることこそ最終的には沖縄の発展に直結するという、委員の皆さん、委員会での認識があると思います。

 その上で、英語に焦点を当てたいんですけれども、英語ということについて少し考えてみましたら、先般の三月の九日の委員会でしたけれども、宮崎委員の方から、英語について、これから沖縄の皆さんが英語というものを一つの強力なキーワードとして育てていって人材育成に入れていくべきだというお話をなさっておられまして、全く本当にそのとおりで、すばらしい、私も共感しているんです。

 いろいろなことをやっていくときに、成果を出すためには、内側からと外側からと、両方の面で物事をプランニングしていくというのが一番効果的ではないかなというふうに私は思っております。

 そういう意味で、沖縄というところが英語について物すごい優位性と言えばいいか、ブランド力と言えばいいか、そういうものを発揮していくというところがこれからの沖縄に大きなプラスになるというふうに思います。

 私が何で英語というふうに思うかというと、ここの場所に国会議員として来たときに、今の情勢とかいろいろなことを考えたときに、やはり自分自身が英語というものをツールとしてしっかり身につけていたら、もっといろいろな、活動の幅とか、それからダイレクト性とか、展開ができただろうなという意味で、学びが足りなかったなという自分の反省にもなるので、その意味で、沖縄というところがこれから優位性を発揮するためには、英語というところが一番いいんじゃないかなというアイデアを持ちましたので、是非、この考え方について、まず、大臣がどのように受け止めなさるかということをお聞きしたいと思います。

西銘国務大臣 沖縄の更なる発展の鍵となるのは、それを支える人材であります。社会情勢が変化していく中でも各般の分野においてその変化に対応して、沖縄振興に資する多様な人材の育成が重要だと考えております。

 このため、今般改正した沖振法の中でも、人材育成をするための教育の充実について、第七十六条第二項に明記したところであります。

 その上で、委員御指摘の英語教育について申し上げると、アジア太平洋の玄関口に位置し、諸外国・地域との交流の中で発展してきた沖縄の経済、文化の今後の発展を考えたときに、英語教育の推進は意義あることだと考えております。

 例えば、沖縄県におきましては、これまでソフト一括交付金等を活用して、高校生の長期海外留学などの取組を行っているところであります。

 今後、人材の育成は極めて重要であり、内閣府としましても、県や市町村、地元の関係者と必要な連携を図りつつ、しっかりこの取組を支援してまいりたいと考えております。

吉田(豊)委員 富山の方に最初に話を振りましたのは、私が沖縄に行ったときに一番びっくりしたのは、沖縄本島はもちろんなんですけれども、例えば、本島から離れた離島の伊江島とか波照間とか、ああいうところに行っても必ず富山の薬箱が置いてあったんですね。(発言する者あり)置いてあるんです。

 これは、私自身も、富山は薬だよねと皆さんおっしゃるんですけれども、実は、富山県内にはその薬箱は置いていないんです。要は、本拠地というか、本店なものですから、そこから外に売りに行くので、富山では自分たちの家も含めて薬箱は余りないんですけれども、それが沖縄という一番富山から遠いところにも届いているというところに、ある種の驚きを感じました。

 それで、富山の薬売りの売り方というところに、分かりやすい手法と言えばいいか、言葉があります。それが先用後利といいまして、先に用いる、そして、後で利益なんですね。このスタイルということこそ、実は、富山の薬売りが編み出した恐るべきビジネスの手法と言えばいいか、すばらしいことじゃないかなと思うんです。

 何を言いたいかというと、結局、先に使って、そして、後からきちっと求めているものを得ていくという投資の部分もあると思うわけですけれども、英語についても、私は、実は、沖縄にこれから英語を導入していく、広げていくときに、この先用後利という考え方を採用されたらいいんじゃないかなと思うんです。

 なぜかというと、沖縄というと、今の地理的な特性、それから様々な魅力、そういうものが、実は、英語を学ぶという意味からすると、日本全体どこでもいいんですよね。だけれども、そうではなくて、沖縄には、英語を学ぶときにプラスアルファの魅力を、どうせ学ぶのなら沖縄に行ってこようとか、そういうものを引っ張ってくる力というのがあるわけで、だから、私は、まず沖縄という地域こそ、英語についてのウェルカムの、来てください、先にこの沖縄という場所を使ってください、そういう発想で物事を進めていくということが成功につながるんじゃないかなと思うんですけれども、私のアイデアをどんなふうにお聞きになったでしょうか。

西銘国務大臣 波照間島にも薬箱がある、あるいは島々にあるというお話を聞いて、恐らく、沖縄は、終戦直後、お医者さんが少なかったので、非常に助かって、薬で治療してきたというのがあったのかなという思いで聞いておりました。

 沖縄で英語教育、今先生が御指摘したように、三月の九日の宮崎委員の質疑の中でも出ておりましたが、アメリカ人が軍人軍属を含めているんですけれども、そこの人との日頃からの交流、沖縄に行ったらそういう交流ができるんだという視点で宮崎委員も質疑されていたと思うんですが、先用後利ですか、その辺のところも踏まえて、できたらいいなという思いで聞いておりました。

吉田(豊)委員 学びをしていくときに、学習という言葉がありますけれども、学ぶ、習う、それは英語で言うとスタディーとラーニングということかもしれませんけれども、学ぶというのは実はそれなりにいろんな場所でもできるんですけれども、それを習う、自分の得たことを試していくという場所が必要なわけですが、文部省の方で様々な、英語について、日本全体として国力を、英語力を上げていこうというプログラムを作って試しているわけですけれども、最終的に子供たちにとって一番必要なのは、そうやって平生学んでいるところを実際に試してみる場所というのが必要だというふうに考えるんです。

 そうなったときに、英語というものを自分のこれからの生涯のそれぞれのキャリアにおいての重要なものにしていくためには、やはり試していく場所が必要で、それは、日本の英語教育というものは、学校でなされているものは非常にレベルが高いのは間違いないと思います。だけれども、これを試す場所がなかなか見つからない。ひいては、ましてや、今、国際情勢の厳しい中で、海外に行って、例えばサマーのイングリッシュスクールですとか、いろいろなショートスパンでの英語を学ぶというプログラムは世界に対してあるんですけれども、それも活用しにくい状況になっている。だからこそ、今沖縄において、そういう擬似的な英語を体験する場所、英語だけで時間を過ごす場所、そういうことを、沖縄がアイランドだからこそ、島だからこそ可能性があるんじゃないかなというふうにも思うわけです。

 実際に、沖縄の英語の状況というところを文科省から出していただいた資料を見ていますと、先生方の教える能力というのは非常に、小学校、中学校を含めて高いレベルにいらっしゃるんです。先生一人一人の英語についての能力というところ、都道府県全体を見た中でも。けれども、学ぶ側の子供たちが学んでいる実力からすると、そこに来ているかというと、そこには至っていないわけですね。ということは、実は宝の持ち腐れにもなっている。

 沖縄の方々の教える力というものと学ぶ力というところをきちっとマッチングさせていく、そして、そこで、沖縄において英語というところの強みを出していく環境を整えていくことが、僕は、これからの沖縄にとって、大臣がおっしゃった、そこに注視していくということがあるのであれば、考えなくちゃいけないところではないかなと思うわけです。

 改めて、英語というところを体験していく中にあって、実際に振興予算というところの話になりますけれども、予算の中にいろいろな人材育成だとか大きな話というのはあるんですね。でも、これをきちっとこういう目的でその先のビジョンも含めた上で特化して、きちっと英語についての考え方を示していくということを私はするべきだと思うんですけれども、これについて、予算のことも含めて、今後の対応についてどのようにお考えかということをお聞きしたいと思います。

西銘国務大臣 委員御指摘の英語の目標値に関しましては、現在、沖縄県が策定した英語教育改善プランの中においても、生徒の英語習得の状況等、具体的な数値目標が設定されているものと承知をしております。

 例えば、高等学校のレベルで英検準二級相当を五〇%を目標にするとか、あるいは、中学校のレベルでは英検三級相当を五〇%ぐらいの子供たちを目標値にするとか、そういうことが考えられております。

 今後、沖縄県では、新たな振興計画の中で、この計画を進めていく中でも、教育分野を含め、各分野の具体的な成果指標を設定予定であると聞いております。引き続き、沖縄県における検討を注視するとともに、内閣府として必要な連携をしてまいりたいと思っております。

吉田(豊)委員 実際に、このプランにしても、大臣は賛同していただいたとしても、これを沖縄の方々が採用していくかということになると、やはり沖縄の皆さんが、本当に自分たちのこれからの将来の明るいビジョンのために何がツールとして必要なのかというところを御自身たちで考えていかなくちゃいけないということを、当委員会、何回かやっておりますけれども、やはり、沖縄振興策といえば、その考え方自体が五十年で一つの区切りに来ているんじゃないかというふうに、私自身もそうなんだろうというふうに認識しています。この先は、やはり沖縄の皆さんが、自分たちで何をツールにして、そしてそこに人を集めていく、そして経済の発展につなげていくのか。

 私が今回切り口としました英語というのは、あくまでも、私は、一つのビジネス的なことでいうならば、ツールだろうと思います。そこに文化的な、文学的な様々なクオリティーが深いものがあるのも分かった上で言いますけれども、やはり今必要なことは、特に、沖縄が琉球王国という歴史があって、そして貿易の地域だということを考えたならば、何が今このグローバルの社会の中にあって一番必要なものなのかということで考えたら、真っ先に英語だろうと思います。

 それで、例えば地域のことで、今地域間競争に都道府県全体が入っていますけれども、じゃ、富山といったら何と言ったら、多分いろいろ、今の時期だったらホタルイカだったりあるいは立山だったりいろいろ出てくるんですけれども、逆に、薬といったら何、どこと言ったら、富山が出てくると僕は思うんですね。

 沖縄といったら何と言ったら、いろいろなものがたくさん今出てくると思います。けれども、日本で英語といったら、学びの場といったら、英語の最新地域といったらどこと言ったときに、やはり本当に本気でそれをやるんだったら沖縄という言葉が出てこなくちゃいけないというふうに思うわけで、そういうところの考え方をこの委員会でも一人の委員が発言させていただいたことを、是非、沖縄の皆さんも聞いていただいていると思います、そこをまた、参考といえばいいか、生かしていただく可能性があればと思うんですけれども、大臣、何か一言いただけるようであれば、お願いしたいと思います。

西銘国務大臣 私自身が六十七年間生きてきて、英語教育、ずっと大学の頃から留学をしたいという思いでいたら、一年だけロータリークラブで実現しましたが、一年間留学していた頃が英語の一番レベルが高かった時期かな。その後はもう忘れてしまっておりますが、六十七歳にして、今からでももう一回英語をブラッシュアップしたいなという思いに至りながら委員のお話を聞いておりました。

 そういう意味で、沖縄が、全国の中で英語といったら沖縄と言われるかどうかは分かりませんけれども、一つの視点としては貴重な御意見だと思って拝聴いたしました。

吉田(豊)委員 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

 終わります。

阿部委員長 次に、長友慎治さん。

長友委員 国民民主党の長友慎治です。

 本日は二十分の質問時間をいただきました。質問時間の配分につきましては、野党筆頭理事の大島先生に多大な御配慮をいただきましたことを心から感謝申し上げまして、質問に入りたいと思います。

 まず、四月十七日の沖縄タイムスの朝刊に、内閣府が第五次沖縄振興計画を効果的に推進するために実施してきた沖縄振興推進調査費をめぐりまして、調査事業の六五%が県外落札されているということに触れ、本土還流型の経済構造が指摘をされています。

 この沖縄タイムスの記事を書かれた経済部の記者さんは、国発注の公共工事だけでなく、調査などのソフト事業でも本土還流型の経済構造が透けて見え、調査予算だけでなく、調査を通じて得られるデータなどの知も県内に還流されていない実態があるということを御指摘されています。

 支出額を見ると、上位三位全て、二〇一二年から二〇年度の沖縄振興推進調査費を調べてみると、県外大手、東京のシンクタンク、三菱総合研究所であったり、野村総合研究所、また日本経済研究所などが多く受注している実態があるんですが、そこで、確認します。この調査結果がどのように活用されているのかについて教えてください。

原政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の調査は、沖縄や沖縄振興の課題につきまして現状を把握し、調査分析を行うとともに、その解決策等について検討を行い、沖縄振興策をより効果的なものとすることを目的としたものでございます。

 例えば、平成三十年度及び令和元年度には、この調査費を活用いたしまして、沖縄における県外企業の長期滞在型テレワークの誘致及び導入検討に関する調査を実施をいたしまして、その結果を踏まえまして、令和二年度、三年度に、沖縄テレワーク推進事業として、沖縄におけるテレワーク施設の整備、活用に取り組んだというような例がございます。

 引き続き、有効な政策を展開できるように、本調査を活用してまいりたいと思っています。

長友委員 テレワーク事業の推進であったり、有効な政策の推進にということをいただきましたけれども、この記事の中で、沖縄国際大学の前泊博盛教授が、調査過程で得られる経験、また沖縄県の経済のデータを蓄積する機会を逸している、そのような可能性を御指摘されています。沖縄県内のコンサル業者にこうした業務を担っていただくことで、経験だったり知識だったりを蓄積できる、この調査業務に携われば沖縄に関する幅広い経済データも得られるというふうに述べられております。

 いわゆる県外への知の流出を課題に挙げていらっしゃいますけれども、この点について内閣府の見解はありますでしょうか。

原政府参考人 お答えいたします。

 本調査費用につきましては、入札資格を有する全国の企業を対象とする一般競争入札でございます。これによる選定でございますので、公正な入札の結果でございますけれども、今おっしゃるような沖縄県内の調査機関のメリットとか、いろいろなことがあり得ると思いますので、できるところ、どこがあるか分かりませんけれども、ちょっと承った上で考えてみたいと思います。

長友委員 こういう議論というのは地方創生あるあるだと思うんです。例えば、PR動画が一時期はやって、各都道府県が地方創生交付金等を使って大手の広告代理店に発注して、結局お金は東京に還流される、そして地元の人には何の知見も残らなかった。私の地元でもそういう事例がたくさん見受けられます。

 でも、もうそのような時代ではない。本気で地方創生をするのであれば、特に、沖縄の振興に関しては、やはり沖縄の業者さんを育てるという意味でも、積極的に沖縄のコンサル会社を育てていく、使っていくということが大事な視点なのかなと思いますので、御検討をいただきたいと思います。

 続きまして、四月十二日の読売新聞の記事につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど山岸先生からも政治家の世代間ギャップにつきましてお話がありましたけれども、沖縄県が昨年実施した県民意識調査で、沖縄に基地が集中する現状を差別的な状況だと思うかという質問に対して、差別的だと思うと答えた人の割合が三十歳代以下では二五%程度と、六十歳代以下の半分以下にとどまるということが判明しております。

 一九七二年に本土復帰して半世紀となり、若い世代ほど現状を受け入れているという傾向が明らかになっているわけですけれども、この基地感情の世代差が広がっていることにつきまして、沖縄御出身の西銘大臣の見解、受け止めを伺いたいと思います。

西銘国務大臣 お尋ねの沖縄県が令和三年に実施した第十一回県民意識調査の結果について、世代間で基地問題への受け止め方に差があるものと受け止めておりますが、調査結果についての評価、分析を含め、大臣の立場で具体的にコメントすることは差し控えたいと思います。

 その上で申し上げれば、政府としては、沖縄に今なお多くの米軍基地が集中し、県民の皆さんにとって大きな負担となっていることから、引き続きこれを軽減することを重要な課題と考えており、基地負担の軽減に全力で取り組んでいるところであります。

 私としましては、引き続き、沖縄振興策を推進する立場から、基地の跡地利用の推進を含め、沖縄振興に邁進していく所存であります。

 以上です。

長友委員 大臣、ありがとうございます。基地負担の軽減についてということもお話をいただきました。

 沖縄本島内で、昨年の十月、女性に暴行を加えようとしてけがを負わせたとして、那覇地検が昨年十二月二十三日に米海兵隊上等兵の容疑者を強制性交等致傷の罪で起訴していたということが報じられて、先ほども話題になりましたけれども、これは一昨日のニュースで明らかになっているわけですが、このような事件が復帰五十年を迎えようとしている今も繰り返されるということは断じて許されるものではありません。

 そこで、まず伺います。

 一九七二年五月十五日の復帰以降、米兵が沖縄で起こした女性への犯罪数はこの五十年間で何件あるのか、政府は把握していますでしょうか。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 警察庁におきましては、女性が被害者で、在日米軍の軍人が主な被疑者となる刑法犯について、平成十六年以降の検挙件数を把握しているところでございます。

 平成十六年以降令和三年までに沖縄県警察が検挙した件数につきましては、百二十二件と把握しております。

長友委員 平成十六年以降で百二十二件と。平成十六年の前は把握できていないということについて疑問を感じますし、国会でも問題にならなかったのかなと私は思うんですけれども。まさに実態とかけ離れた数字が沖縄の女性たちを私は苦しめているというふうに思います。

 昨日、沖縄タイムスにも記事になっておりました。沖縄県警のまとめによると、復帰後、米軍人そして軍属とその家族の検挙件数が六千六十八件、うち、殺人、強盗、放火、強制性交等罪、強姦罪の凶悪事件は五百八十二件、その凶悪犯罪のうちの強制性交等は百三十二件だったという記事が出ておりました。

 この数字が多いか少ないかということよりも、実際に沖縄の女性がどういう活動をされているかということを、御存じの方もいらっしゃると思うんですけれども、基地・軍隊を許さない行動する女たちの会というのが、活動されている女性の皆さんたちがいらっしゃいます。共同代表を務めるのが高里鈴代さん、元那覇市議の方でいらっしゃいますが、高里さんたちは、一九九五年の九月に米兵三人が沖縄本島北部の住宅街で通りかかった女子小学生をレンタカーで連れ去り暴行した事件を機に、沖縄で米兵が起こした性犯罪、性暴力の被害実態をまとめていらっしゃいます。冊子の名前は「沖縄・米兵による女性への性犯罪」という、年表形式にした聞き取り調査を、これまで改訂を続けていらっしゃいまして、二〇一六年の最新版では、第十二版ですけれども、三百五十件を超えているというふうに把握しております。今、第十三版の出版を目指していらっしゃるということですけれども。その高里さんのお話ですけれども、掘り起こしは今も終わっていないと。当然、被害者の意向で掲載されていない事件もたくさんあるわけですね。

 そのような中で、政府は、沖縄の米軍基地に対して、復帰五十年以降、このような女性への犯罪が繰り返されないようにするために、どのような対策をこれまでしてきたのか、そして、これからどのような対策を申し入れていかれるのかにつきまして伺いたいと思います。

 まず防衛省と、今日は外務省の方が来ていらっしゃいますので、防衛省の方から。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 沖縄県におきまして、米軍人等におけます事件、事故が引き続き発生しているということは極めて遺憾に思っております。

 こうした事件、事故の一つ一つが地域住民の方々に不安を与えるものであり、防衛省といたしましては、これまでも米側に対して、累次の機会を通じて、綱紀粛正、隊員教育の徹底について申入れを行っております。

 その上で、米側におきましては、在日米軍の勤務時間外の行動の指針、いわゆるリバティー制度と申しておりますけれども、これを公表いたしまして、沖縄に新たに着任した米軍人等に対する事前研修、公共の場における飲酒の制限、夜間の外出制限、外出時の同伴者の義務づけを行っております。こうしたことで事件、事故の防止に取り組んでいるということで承知をしております。

 いずれにいたしましても、米軍人等による事件、事故の防止につきましては、まず第一義的には米側の努力というものが重要であるというふうに思っております。

 私ども防衛省としましても、米側に対して、より一層の努力を求めてまいりたいと思っております。

金井政府参考人 お答え申し上げます。

 外務省といたしましても、女性に対する犯罪を含めまして、米軍人等による事件、事故は、地元の皆様に大きな不安を与えるものと思っておりまして、決してあってはならないものと考えております。

 米軍人等による事件、事故への対応に関しましては、平素から日米間のあらゆるレベルで様々な機会を通じて米側とやり取りしているところでございますけれども、本年一月、林外務大臣そして岸防衛大臣に参加いただいた日米2プラス2の機会にも、ブリンケン国務長官そしてオースティン国防長官に対しまして、米軍人等による事件、事故防止の徹底について申し入れたところでございます。

 引き続き、米側に対しましては、隊員の教育、綱紀粛正につきまして更なる努力を求めていくとともに、地域の皆様方に不安を与えることが決してないよう、日米間で協力して、事件、事故の防止に外務省としても全力で取り組んでいく所存でございます。

長友委員 今、防衛省と外務省から答弁いただきました。

 この問題が復帰五十年たっても改善がされないということになると、私は日米安全保障が持続可能じゃなくなるのではないかというふうに大変危惧をしております。また、これは女性の人権問題でもあるということを強く認識すべきだというふうに思います。

 私たち国民民主党としては、日米同盟を基軸としつつ、日米地位協定の見直し、沖縄基地問題の解決を目指す立場です。激変する安全保障環境に日米安保体制を更に安定的に強固なものにしていくということは、日本の安全のみならず、アジア太平洋地域の平和と安定にとって不可欠だというふうに思っています。

 日本の外交そして安全保障の基軸でありますこの日米同盟を堅持、強化すべきだと考えますが、これは、でも、日米両国の信頼関係に基づくというのが大前提になってきます。そうでなければ持続可能な同盟関係は築くことができません。この沖縄復帰五十年を機会に、日米両国の信頼関係を強固にし、平和安全法制の見直し、そして地位協定の見直しに加えて、非対称的な双務性を定めた日米安全保障条約の将来像についても日米間で議論を行うということを進めていくべきだと思います。

 米軍、軍人、軍属、その家族に対する国内法の原則遵守、また日本側の米軍基地の管理権などについても米国と協議をすべきタイミングだというふうに思いますので、大臣、どうか政府を是非動かしていただきたいと思いますが、沖縄の政策を代表する大臣にもし一言いただければお願いしたいと思います。

西銘国務大臣 所管外のことはなかなか発言できないのでありますけれども、米軍基地の跡地利用という意味では沖縄振興策と直に絡んでまいりますし、県民として、沖縄で生まれ育った者としても、様々な課題は共有できているものと思っております。しっかり沖縄振興策に全力で取り組みたいと思っております。

長友委員 大臣、ありがとうございます。

 次の質問に行きたいと思います。

 沖縄の振興について、これまでの委員会で様々な課題があることが浮き彫りになりました。県民所得が全国最下位、非正規雇用の割合が全国一位、大学進学率が全国最下位、子供の相対的貧困、高い離婚率、高い失業率、若年での出産など、一つの省庁では到底解決できない課題ばかりです。だからこそ、複数の省庁にまたがるテーマを任されている内閣府が、沖縄及び北方問題に関する特別委員会をこうやって開催しているわけですけれども、この様々な沖縄の課題を現状の内閣府の枠組みで果たして解決できるのかどうか、大臣に率直な意見を伺いたいと思います。

西銘国務大臣 今年の五月十五日、昭和四十七年の沖縄復帰から五十年を迎えます。この昭和四十七年五月十五日は、内閣府沖縄部局の前身である沖縄開発庁や沖縄総合事務局が発足した日でもあります。つまり、政府の沖縄振興に係る体制もこの五月に五十年の大きな節目を迎えることとなります。

 五十年前、本土との格差是正を主たる目的としてスタートした沖縄振興も、自立型経済の構築や住民生活の向上に重点がシフトしてきました。特に近年は、沖縄を取り巻く社会経済情勢も大きく変化し、沖縄の抱える課題も従来にも増して複雑多様なものとなってきている感じがいたします。

 私としましては、沖縄部局は五十年にわたり沖縄の課題解決や沖縄振興に尽力してきたものと考えております。今後も重要な役割を果たすことが求められているものと考えております。

 引き続き、沖縄の一層の発展に向け、関係者、関係省庁と連携しながら、また時代の潮流や課題の変化に柔軟に対応しながら、各般の施策を展開していくことが重要だと認識をしております。

長友委員 大臣、ありがとうございます。

 例えば少子化対策や地方創生、沖縄対策のように、内閣府が進めようとしている政策には、複数の省庁にまたがるテーマが多いということはもう御承知のとおりです。だからこそ、相反する利害を調整したり、どの法案で対応するかということを決めたりする調整役の事務職員であったり事務方が必要だというふうに私も理解しております。

 しかし、今回、委員会は三度目ですけれども、通告のたびに、これは私の所管じゃないというような、通告のたらい回しというのが結構見受けられました。ほかの省庁の委員会ではないと認識しております。内閣府独自の問題かもしれませんけれども、このようなことでは、矢面に立って責任を取ってしっかりと課題を解決しようという姿勢が政府側にないのではないかというふうにどうしても感じられてしまいます。

 沖縄の声をまとめる役割であったり、沖縄に特化した、沖縄にフォーカスしたデータをまとめるとか、全国的なデータを沖縄の切り口で分析、検証する等、圧倒的な当事者意識を持った内閣府を是非期待したいと思いますので、沖縄復帰、この五十年の節目に当たりまして、いま一度大臣と事務方の心合わせをしていただきまして、圧倒的な当事者意識を持って力を合わせて沖縄振興に取り組んでいただきたいことをお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

阿部委員長 この際、國場幸之助さん外四名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの五派共同提案による沖縄の本土復帰五十年及び沖縄問題の解決促進に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。大島敦さん。

大島委員 ただいま議題となりました沖縄の本土復帰五十年及び沖縄問題の解決促進に関する件につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    沖縄の本土復帰五十年及び沖縄問題の解決促進に関する件(案)

  本委員会は、本年五月の沖縄の本土復帰五十年の節目にあたり、沖縄問題に関する対策の樹立を使命とする特別委員会として、ここに改めて、沖縄が抱える問題の解決に向けて最大限の努力を払う決意を表明する。

  昭和四十七年五月の沖縄の本土復帰以来、沖縄振興特別措置法等に基づく五次にわたる振興策の実施と、県民の不断の努力とによって、特に、社会資本整備の面で本土との格差是正が図られるとともに、観光リゾートや情報通信関連分野における産業の振興等、沖縄の経済社会は、総体として発展してきた。

  しかしながら、国土面積〇・六%の沖縄に、今なお米軍専用施設面積の七〇・三%が集中していることに加え、一人当たり県民所得は全国平均の七割程度であり、子どもの貧困や労働生産性の低さなど、沖縄には解決すべき課題が残されている。政府においては、引き続き、沖縄における米軍施設・区域の整理縮小及び早期返還の実現に努めるなど、これらの課題の解決に取り組むとともに、新たな沖縄振興特別措置法等に基づく振興策において、沖縄の自立的発展と県民の生活向上に資するよう、地元の意思を十分尊重して推進することを求める。

  また、政府は、新型コロナウイルス感染症等の指定感染症・検疫感染症の流行時においては、地域の経済社会活動への影響を最小限にとどめるため、沖縄県等の要望を踏まえ、在日米軍に対し感染拡大防止措置の徹底など、米軍基地から派生する諸問題の解決のため、事態の抜本的改善に取り組むべきである。

  平成十二年の「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の世界遺産への登録等によって、琉球王国の歴史や貴重で魅力ある琉球文化は世界的にも高く評価されており、その象徴たる首里城は、まさしく県民の心の拠り所である。政府においては、その復興を推進するとともに、沖縄県等とも連携し、沖縄独自の歴史・文化の継承や保存を図り、あわせて国内外への積極的な発信を促進することを求める。

  沖縄が有する地理的特性は、長らく特殊事情として克服すべき条件不利性とされてきた。しかし、成長著しい東アジアの中心に位置する優位性として、沖縄の潜在力を最大限に引き出す可能性を秘めている。沖縄が、文化、教育、経済、外交等の様々な分野における多元的交流の推進や世界に広がるウチナーンチュのネットワークを基軸とした人的基盤を通じて、二十一世紀の「万国津梁」を形成し、沖縄の自立的発展のみならず、我が国ひいてはアジア・太平洋地域の持続的発展、信頼醸成にも貢献するよう、政府においては最大限の努力をもって、その実現に努めるべきであり、我々もまた、その一翼を担うものである。

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

阿部委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 本動議に対し、討論の申出がありますので、これを許します。赤嶺政賢さん。

赤嶺委員 私は、日本共産党を代表し、沖縄の本土復帰五十年及び沖縄問題の解決促進に関する件に反対の討論を行います。

 復帰五十年の国会決議で重要なことは、沖縄がたどってきた歴史と現状、県民の願いを踏まえたものにすることです。

 その立場から、我が党としては、米軍基地の整理縮小、日米地位協定の改正を明記することが必要不可欠だと主張してきました。

 野党が示した原案は、日米地位協定の見直しを早急に検討すること、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、在日米軍に日本の検疫を適用することを明記していましたが、自民党との協議の結果、いずれも削除されました。

 現在のオミクロン株の拡大は、在日米軍が昨年九月以降、日本に入国する際の出国前検査を免除するなど、一方的に水際対策を緩和したからにほかなりません。

 米軍任せでは県民の命と安全は守れません。検疫法などの国内法適用は急務であり、これを削除することなど到底受け入れることはできません。

 復帰五十年を迎えようとしている今なお、米軍関係者による事件、事故、米軍機の墜落と昼夜を分かたぬ爆音、実弾射撃訓練に伴う流弾、原野火災、有機フッ素化合物、PFASなどによる環境汚染によって、県民の命と暮らしは脅かされ続けております。

 昨年の十月には、米海兵隊の上等兵が女性に性的暴行を加えようとし、けがを負わせる事件が起きていたことが明らかになりました。

 米軍に治外法権的な特権を保障する日米地位協定を一体いつまで放置するのでしょうか。全国知事会の提言も踏まえ、同協定の改正に党派を超えて取り組むべきです。

 五十年前、当時の琉球政府が作成したいわゆる屋良建議書には、基地のない平和な沖縄としての復帰を願った県民の心情がつづられています。

 米軍基地の整理縮小は、辺野古新基地建設の断念と普天間基地の閉鎖、撤去に踏み出してこそ県民の願いに応えるものになることを強調し、討論を終わります。

阿部委員長 これにて討論は終局いたしました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

阿部委員長 起立多数。よって、本件は本委員会の決議とすることに決しました。(拍手)

 この際、ただいまの決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。西銘沖縄及び北方対策担当大臣。

西銘国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を十分に尊重し、努力してまいりたいと存じます。

阿部委員長 お諮りいたします。

 本決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

阿部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十七分散会


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