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第2号 令和5年4月25日(火曜日)

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令和五年四月二十五日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 松木けんこう君

   理事 城内  実君 理事 島尻安伊子君

   理事 鈴木 貴子君 理事 堀井  学君

   理事 神谷  裕君 理事 道下 大樹君

   理事 杉本 和巳君 理事 金城 泰邦君

      伊東 良孝君    小渕 優子君

      熊田 裕通君    小泉進次郎君

      國場幸之助君    鈴木 隼人君

      高木 宏壽君    武部  新君

      中川 郁子君    西銘恒三郎君

      小川 淳也君    篠原  豪君

      守島  正君    稲津  久君

      長友 慎治君    赤嶺 政賢君

    …………………………………

   外務大臣         林  芳正君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 岡田 直樹君

   内閣府副大臣       和田 義明君

   衆議院調査局第一特別調査室長           菅野  亨君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十五日

 辞任         補欠選任

  宮崎 政久君     熊田 裕通君

  渡辺 孝一君     中川 郁子君

同日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     宮崎 政久君

  中川 郁子君     渡辺 孝一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 沖縄及び北方問題に関する件


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     ――――◇―――――

松木委員長 これより会議を開きます。

 沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。

 沖縄及び北方問題に関する政府の施策について、岡田沖縄及び北方対策担当大臣及び林外務大臣から順次説明を求めます。岡田沖縄及び北方対策担当大臣。

岡田国務大臣 沖縄及び北方対策を担当する内閣府特命担当大臣として、所信を申し述べます。

 昨年五月に沖縄の復帰から五十年の大きな節目を迎えましたが、この五十年間、政府においては、沖縄の特殊事情に鑑み、各種社会資本整備や産業振興など、多岐にわたる振興策に取り組んでまいりました。沖縄県民のたゆまぬ努力もあり、県内総生産や就業者数が全国を上回る伸びを示すなど、沖縄振興は着実に成果を上げております。しかしながら、全国最下位の一人当たり県民所得や全国と比べて深刻な子供の貧困など、沖縄の自立的発展と豊かな住民生活の実現に向け、なお解決すべき課題が存在しています。

 一方で、沖縄は、琉球王国の時代から、その地の利を生かして万国津梁として周辺諸国との交易、交流を展開してきた歴史や、成長が続くアジアの玄関口に位置する地理的特性、日本一高い出生率などの優位性、潜在力を有しています。この優位性、潜在力も生かしながら、強い沖縄経済の実現に向けて沖縄振興策を総合的、積極的に推進していく決意です。

 こうした観点から、令和五年度沖縄振興予算においては、昨年五月に取りまとめた「強い沖縄経済」実現ビジョンの具体化に向け、観光・リゾート、農水産業・加工品、IT関連産業、科学技術・産学連携の各分野ごとに必要な予算を計上するとともに、沖縄科学技術大学院大学、OISTの予算、沖縄の子供の貧困対策等を増額して計上するなど、厳しい財政状況の下、各事業の所要額を積み上げた結果、総額二千六百七十九億円を計上しています。

 また、令和五年度税制改正においては、地元から強い要望のあった航空機燃料税の軽減措置の延長を行うこととしました。

 これまで、新型コロナウイルスの感染拡大等により、沖縄経済は大変厳しい状況が続いておりましたが、国内客がコロナ禍前の水準を上回り、クルーズ船の寄港も再開されるなど、回復の兆しも見えてきています。引き続き、物価の高騰の影響など社会状況を注視しつつ、民間主導の強い沖縄経済の実現に向けて、リーディング産業である観光の再生や、農林水産業を始めとした各種産業の振興、高付加価値化、そしてそれを支える人材育成の取組を支援してまいります。

 また、県民生活や産業を支える道路、港湾等の社会資本整備を進めてまいります。首里城の復元については、令和八年までの正殿の復元に向け、昨年十一月三日に起工式を執り行い、本体工事を着工いたしました。沖縄科学技術大学院大学、OISTについては、新たなスタートアップ創出拠点や量子・バイオ研究設備の整備等の取組を支援してまいります。

 このほか、北部及び離島の振興、子供の貧困対策、不発弾対策などについても着実に取組を進めてまいります。

 沖縄には、今なお多くの在日米軍専用施設・区域が存在し、県民に大きな負担をかけています。引き続き、沖縄の皆様の理解を得る努力を続けながら、沖縄の基地負担軽減に取り組むことが政府の方針です。特に、住宅や学校に囲まれ、市街地に位置する普天間飛行場については、固定化は絶対に避けなければならないとの認識の下、一日も早い全面返還の実現に向けて、政府として取り組むこととしています。

 駐留軍用地の跡地利用は、今後の沖縄振興の観点から、極めて重要な課題です。西普天間住宅地区跡地における沖縄健康医療拠点の整備が今後の跡地利用のモデルケースとなるよう、関係機関の連携の下、速やかに取組を進めてまいります。

 次に、北方領土問題について申し上げます。

 北方領土は、我が国が主権を有する島々であり、我が国固有の領土です。この我が国の立場に何ら変わりはありません。政府は、北方領土問題を解決して平和条約を締結するという基本方針の下、これまで粘り強く外交交渉に取り組んできました。

 しかしながら、ロシアによるウクライナ侵略後の昨年三月、ロシアは平和条約交渉を継続しないなどの措置を発表しました。こうした措置は、ロシアによるウクライナ侵略に起因して発生している事態の全ての責任を我が国に転嫁しようとするものです。また、北方四島交流等事業については、昨年九月に、ロシア政府が、四島交流及び自由訪問に係る合意の効力を停止する旨の政府令を発表しました。これらは極めて不当なものであり、断じて受け入れられるものではありません。

 日ロ関係の現状は困難な状況にはございますが、北方墓参を含む事業の再開は、今後の日ロ関係の中でも最優先事項の一つであります。御高齢となられた元島民の方々の御要望に何とか応えたいという思いには、いささかも変わりはありません。我が国を取り巻く国際情勢等の推移を時々刻々見極めながら、一日も早く事業が再開できるような状況となることを待ちつつ、しっかりと準備を整えてまいりたいと考えています。

 また、このようなときだからこそ、国民世論の高まりが北方領土問題の解決に向けて重要であると考えています。そのためには、多くの国民、とりわけ次代を担う若い世代の関心を喚起することが重要であり、様々なメディアを活用した広報啓発に取り組むなど、国民世論の啓発等にしっかりと取り組んでまいります。

 さらに、高齢化が進展している元島民の方々への援護についても、引き続き、後継者の育成支援等に努めてまいります。

 二月七日、令和五年北方領土返還要求全国大会において、よわいを重ねるにつれてますます強くなる元島民の方々の望郷の思いやその思いを受け継いでいる若い世代の強い意志に触れました。これらの思いを胸に、職務に邁進してまいります。

 松木委員長を始め、理事、委員の皆様方の一層の御理解と御協力をお願い申し上げます。

松木委員長 ありがとうございました。

 次に、林外務大臣。

林国務大臣 沖縄及び北方問題に関する特別委員会の開催に当たり、御挨拶を申し上げるとともに、所信を申し述べます。

 我が国を取り巻く安全保障環境は、戦後最も厳しく複雑な状況にあります。新たな国家安全保障戦略の下、平和で安定した国際環境を能動的に創出するため、力強い外交を展開していきます。また、そのような外交を裏打ちするためにも、防衛力の抜本的強化や日米同盟の強化は最も重要な課題です。特に、在沖縄米軍を含む在日米軍の抑止力は、我が国、ひいては地域の平和と安全の確保に不可欠です。こうした観点も踏まえ、米政府関係者と緊密な意思疎通を行ってきております。

 在日米軍の安定的駐留には地元の御理解が不可欠です。米軍機等の安全確保や事件、事故防止の徹底について米側に対して引き続き強く要請してまいります。また、普天間飛行場の辺野古への移設を始め、沖縄の負担軽減に引き続き全力で取り組みます。さらに、沖縄の更なる成長に向けて、国際社会で活躍する沖縄の人材育成に貢献していきます。

 尖閣諸島をめぐる情勢について、同諸島周辺の我が国領海における独自の主張をする中国海警船舶の活動は、国際法違反であり、断じて認められません。昨年十一月の日中首脳会談において、岸田総理から習近平主席に対し、また、私自身も、先般訪中した際、秦剛国務委員兼外交部長に対して直接、尖閣諸島をめぐる情勢について懸念を伝えたところです。今後とも、日本の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの決意の下、中国に対しては主張すべきは主張し、冷静に、かつ毅然と対応していきます。

 いまだに続くロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を脅かす暴挙です。ウクライナ各地における民間人や民間施設へのミサイル攻撃を含め、ロシアによる一連の行為は国際法違反であり、決して認められません。また、我が国は、唯一の戦争被爆国として、ロシアによる核兵器による威嚇は断じて受け入れることはできません。ましてやその使用はあってはなりません。

 先週行われたG7長野県軽井沢外相会合でも、引き続きG7が一致して厳しい対ロ制裁と強力なウクライナ支援を継続していくことなどを確認しました。また、ロシアによる無責任な核のレトリックや、ベラルーシに核兵器を配備するとの威嚇は受け入れられないことを改めて確認しました。

 さらに、先般ロシアが新戦略兵器削減条約の履行を停止する旨発表したことを強く懸念しています。

 侵略開始から一年以上が経過する中、日本は、力による一方的な現状変更の試みは、いかなる場所でも許さないという強い決意を持って、引き続き、G7を始めとする国際社会と緊密に連携しながら、対ロ制裁とウクライナ支援を強力に推し進めていきます。

 また、北方領土問題は日ロ間の最大の懸案です。ロシアによるウクライナ侵略によって日ロ関係は厳しい状況にあります。政府としては、北方領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持していく考えです。

 その上で、日ロは隣国であり、例えば、漁業といった経済活動のように、日ロが隣国として対処する必要のある事項については、我が国外交全体において何が我が国の国益に資するかという観点もしっかり考えつつ、適切に対応していきます。

 また、北方墓参を始めとした北方四島交流等事業の再開は、今後の日ロ関係の中でも最優先事項の一つです。一日も早く事業が再開できるような状況となることを強く期待しており、引き続き、適切に対応してまいります。

 以上の諸問題に取り組むに当たり、松木委員長を始め、理事、委員各位の御理解と御支持を心からお願い申し上げます。

松木委員長 外務大臣、ありがとうございました。

 外務大臣は御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

 次に、令和五年度沖縄及び北方関係予算について説明を求めます。和田内閣府副大臣。

和田副大臣 令和五年度沖縄振興予算及び北方対策本部関係予算について、その概要を説明いたします。

 初めに、沖縄振興予算について説明いたします。

 令和五年度の沖縄振興に関する予算の総額は、二千六百七十九億五百万円となっております。

 今回の予算では、昨年五月に策定した「強い沖縄経済」実現ビジョンの具体化に向け、農水産業・加工品分野において農林水産物・食品の販売力強化支援、科学技術・産学連携分野において沖縄型スタートアップ拠点化の推進等の予算を新たに計上しているほか、沖縄の子供の貧困対策等を増額して計上しました。

 このほか、公共事業関係費等、沖縄振興一括交付金、沖縄科学技術大学院大学、OIST学園関連経費、沖縄健康医療拠点整備経費、北部及び離島の振興、沖縄振興特定事業推進費等の予算についても、引き続き、各事業がしっかりと推進されるよう、国として必要と考える所要額を計上しました。

 続きまして、北方対策本部関係予算について説明いたします。

 内閣府北方対策本部関係の令和五年度予算は、若年層への啓発の強化などに重点化し、総額十七億百万円となっております。

 このうち、北方対策本部に係る経費は二億一千三百万円であり、若者自らによるこれからの時代に適した啓発手法の検討や実施のための経費等を計上いたしました。

 また、独立行政法人北方領土問題対策協会に係る経費は十四億八千八百万円であり、様々なメディアを活用した広報啓発のための経費等を計上いたしました。

 以上で、令和五年度の沖縄振興予算及び北方対策本部関係予算の説明を終わります。

 よろしくお願いいたします。

松木委員長 ありがとうございました。

 以上で説明の聴取は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前九時十四分散会


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