衆議院

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第3号 令和5年4月26日(水曜日)

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令和五年四月二十六日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 松木けんこう君

   理事 城内  実君 理事 島尻安伊子君

   理事 鈴木 貴子君 理事 堀井  学君

   理事 神谷  裕君 理事 道下 大樹君

   理事 杉本 和巳君 理事 金城 泰邦君

      伊東 良孝君    小渕 優子君

      小泉進次郎君    國場幸之助君

      鈴木 隼人君    高木 宏壽君

      武部  新君    西銘恒三郎君

      穂坂  泰君    三谷 英弘君

      宮崎 政久君    宮路 拓馬君

      山口  晋君    渡辺 孝一君

      荒井  優君    新垣 邦男君

      守島  正君    稲津  久君

      長友 慎治君    赤嶺 政賢君

    …………………………………

   外務大臣         林  芳正君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 岡田 直樹君

   厚生労働副大臣      伊佐 進一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  齋藤 秀生君

   政府参考人

   (内閣官房行政改革推進本部事務局次長)      七條 浩二君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 宮坂 祐介君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   水野  敦君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  望月 明雄君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          黒瀬 敏文君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 三橋 一彦君

   政府参考人

   (総務省統計局統計調査部長)           岩佐 哲也君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    中込 正志君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           奥野  真君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鳥井 陽一君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房生産振興審議官)       安岡 澄人君

   政府参考人

   (水産庁資源管理部長)  藤田 仁司君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           杉浦 正俊君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            小林 浩史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術参事官)         遠藤 仁彦君

   政府参考人

   (国土交通省航空局安全部長)           平井 一彦君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            中村 広樹君

   政府参考人

   (運輸安全委員会事務局審議官)          岡野まさ子君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難部長)            渡邉 保範君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房政策立案総括審議官)       石川  武君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 田部井貞明君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 小杉 裕一君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 茂木  陽君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 北尾 昌也君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 田中 利則君

   衆議院調査局第一特別調査室長           菅野  亨君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十六日

 辞任         補欠選任

  小渕 優子君     山口  晋君

  小泉進次郎君     三谷 英弘君

  小川 淳也君     荒井  優君

  篠原  豪君     新垣 邦男君

同日

 辞任         補欠選任

  三谷 英弘君     宮路 拓馬君

  山口  晋君     小渕 優子君

  荒井  優君     小川 淳也君

  新垣 邦男君     篠原  豪君

同日

 辞任         補欠選任

  宮路 拓馬君     穂坂  泰君

同日

 辞任         補欠選任

  穂坂  泰君     小泉進次郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 沖縄及び北方問題に関する件


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     ――――◇―――――

松木委員長 これより会議を開きます。

 沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官齋藤秀生さん、内閣官房行政改革推進本部事務局次長七條浩二さん、内閣府大臣官房審議官宮坂祐介さん、内閣府政策統括官水野敦さん、内閣府沖縄振興局長望月明雄さん、こども家庭庁長官官房審議官黒瀬敏文さん、総務省大臣官房審議官三橋一彦さん、総務省統計局統計調査部長岩佐哲也さん、外務省欧州局長中込正志さん、文部科学省大臣官房審議官奥野真さん、厚生労働省大臣官房審議官鳥井陽一さん、農林水産省大臣官房生産振興審議官安岡澄人さん、水産庁資源管理部長藤田仁司さん、経済産業省大臣官房審議官杉浦正俊さん、中小企業庁事業環境部長小林浩史さん、国土交通省大臣官房技術参事官遠藤仁彦さん、国土交通省航空局安全部長平井一彦さん、観光庁観光地域振興部長中村広樹さん、運輸安全委員会事務局審議官岡野まさ子さん、海上保安庁警備救難部長渡邉保範さん、防衛省大臣官房政策立案総括審議官石川武さん、防衛省大臣官房審議官田部井貞明さん、防衛省大臣官房審議官小杉裕一さん、防衛省大臣官房審議官茂木陽さん、防衛省大臣官房審議官北尾昌也さん、防衛省地方協力局次長田中利則さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松木委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。島尻安伊子さん。

島尻委員 自由民主党、島尻安伊子でございます。

 衆議院の沖特委での質問は初めてでございまして、デビューを飾らせていただくことに、また感謝を申し上げたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 外務大臣におかれましては、済みません、いろいろ質問もしたいところなんですが、離席をしていただいても結構でございますので、前もって、その点、申し上げておきたいと思います。

松木委員長 どうぞ。御苦労さまです。

島尻委員 お疲れさまです。

 それでは、質疑に移りたいと思います。

 去った日曜日、四月二十三日は統一地方選挙の投票日でありましたが、他方、その一方で、サトウキビの日でもありました。

 これは、一九七七年に制定されて以来、毎年四月の第四日曜日はこのサトウキビの日と制定されておりまして、地元でも様々なイベントが開催されております。

 サトウキビといえば、サトウキビは島を守りそして島は国を守ると南大東島の製糖工場のあの高い煙突に書いてありまして、そのことは有名でありまして、委員の中でも、これを間近に御覧になった委員も多いのではないかというふうに思っておりますが、このサトウキビをめぐる、製糖工場の老朽化に対して、大変な、これは私は老朽化問題と言っておりますけれども、これに関しての今日は質問をさせていただきたいと思っております。

 このサトウキビは、今でも沖縄県内の約六割の農業従事者が栽培しておりまして、大きな収入源になっております。言うまでもなく、この出荷先は製糖工場でございまして、この製糖工場には大きく二つの種類がございます。含蜜糖工場と分蜜糖工場でございまして、これは県内、主な島ごとに立地をされております。その数は、分蜜糖工場が九つ、そして含蜜糖工場が八つ、トータルで十七の工場が立地されているわけであります。

 昨年は沖縄の日本復帰五十年の節目でございましたが、工場によっては復帰前から操業している工場もありまして、かなり老朽化しております。更新整備、つまり建て替えの事業は推進されてきておりますけれども、含蜜糖に関してはもうほぼ完了しているものの、分蜜糖工場に関してはなかなかこの建て替えが進んでいない状況でございます。

 沖縄本島には、たった一つの製糖工場なんですけれども、うるま市にあります、ゆがふ製糖、これは何と築六十一年。それから、石垣市の石垣島製糖、これも築六十一年。そして、北大東島の北大東製糖、これは何と築約六十三年でございます。

 まず、この分蜜糖工場の老朽化問題でございますが、農水省に伺いたいと思います。この分蜜糖工場といいますのは糖価調整制度の枠組みの中にあって、よって、この更新整備は一義的には農水省の所管ということでの認識でよろしいでしょうか。

安岡政府参考人 お答えいたします。

 委員から御指摘のとおり、農林水産省は糖価調整法を所掌しており、分蜜糖工場は同法に基づく国内産糖交付金の交付対象となっているところでございます。このため、農林水産省においては、分蜜糖工場の生産性を向上させるため、施設整備に対して支援を行っているところでございます。

島尻委員 確認をさせていただきました。

 ということで、農水省には、これまでもあらゆる方面からのアプローチがあったかというふうに思っております。それにどう対応してきておられるのか、その対応状況をお聞かせいただきたいと思います。

 さらに、この問題に対しては、国、県、市町村、そして事業者、業界団体といった関係者がしっかり連携をして検討していく必要があるというふうに思いますけれども、この具体的な検討状況はどうなっているのか、伺いたいと思います。

安岡政府参考人 委員御指摘の分蜜糖工場の施設整備に当たっては、お話のとおり、まずは製糖の事業者、さらには自治体、農協などの地域の関係者によって、サトウキビの今後の生産の見通しであるとか、さらにはそれを踏まえた施設整備、施設の規模、事業スケジュール、事業費の負担の在り方などを十分検討して具体的な事業計画を策定する、これが非常に重要でございます。

 このため、農水省といたしましては、これまでも、具体的な事業計画の策定に向けて、島ごとに地域の関係者の話合いを促してきたところでございます。

 こうした中、本年一月から、製糖工場の老朽化、今お話もございましたけれども、沖縄本島、北大東島、石垣島、こういった老朽化が問題となってございますところで、沖縄県が事務局となって、それぞれ地域の関係者が一堂に会する検討会が開催され、事業計画の策定に向けて検討が進んでいるというふうに承知をしてございます。

 農水省としましては、こうした検討が円滑に進むよう、内閣府とともに検討会にオブザーバーとして参加して、必要な助言などを行っているところでございます。

島尻委員 一月から、島ごとに具体的な計画を立てるべく連携を取っているということでございますけれども、農水省が今オブザーバーとおっしゃっておりましたけれども、そこは、イーブンじゃないですけれども、参加者の一人というか、一チームとして是非積極的に関わっていただきたいなと思います。

 といいますのも、もちろん私も、うるま市にあるゆがふ製糖、見学に行ってまいりました。本当、老朽化という表現、私は、ここはもしかして博物館かと思うぐらいの、かなり、本当、今まで事故を起こさないで操業してきたのが不思議なぐらいと言ってもいいんじゃないかと思います。つまりは、この工場で働く皆様、もちろん経営者もそうなんですけれども、本当に神経を使ってこれを操業してこられたんだなというふうに思っております。

 見方を変えれば、このゆがふ製糖は、沖縄本島に一つしかない製糖工場ということです。ですので、南は糸満市から、北は国頭村から、もう今季節ですけれども、かなりの数がここ一か所に集まってくるということで、ここに事故があったら、若しくは何かの原因でストップしてしまったら、それこそ大打撃、パニック状態になるだろうというふうに思っております。

 お聞きをするところ、今まさに参考人からもありましたけれども、まずはここが対象だろうというのが三つの工場になりますけれども、この建て替え整備には合わせて今七百億円かかる、膨大な予算が必要だというふうに聞いております。この予算の確保というのも大変だというので、ここまでこの整備が進んでこなかった要因の一つだとは思っておりますけれども、今の物価高騰でこの予算が更に上振れする可能性もあるということで、大変に私も心配をしているところでございます。

 冒頭でお聞きしましたように、この整備に当たっては、農水省の補助制度が充てられるというふうに考えておりますけれども、産地生産基盤パワーアップ事業の補助率は事業費の六割以内とされておりまして、いわば、六割全額確保されるか、確約が取れない状況であるというのも事実であります。今後この詳細を詰めていくときには、ここは重要なポイントになると思いますが、見解をお聞かせいただきたいと思います。

安岡政府参考人 分蜜糖工場の施設整備についてでございますけれども、委員御指摘のとおり、産地生産基盤パワーアップ事業、そして甘味資源作物の産地生産体制強化緊急対策事業などにおいて支援対象としてございます。補助率は、農水省の施設整備の補助事業の中では最高水準の十分の六以内というふうになっているところでございます。事業の実施に当たっては、まずは、今進めていただいている具体的かつ適切な事業計画を現場で策定していただくことが重要でございます。

 そうした上で、農水省としましては、計画の申請に応じて、分蜜糖工場の整備に必要な予算が確保されるように努めていきたいと考えております。

島尻委員 ちょっと毛色を変えてといいますか、観光庁にお聞きをしたいと思います。

 これは、具体的な整備に当たっては、単なる工場の建て替えではないアイデアというのが必要になってくるのかなと考えております。

 例えば、今言われておりますガストロノミー、観光と食文化を結びつけるとか、現地の食文化、その歴史などを披露しながら観光と結びつけるということがございますけれども、観光庁の見解をお聞きしたいと思います。

中村政府参考人 お答えいたします。

 その土地の気候風土が生んだ食材ですとか、地域の伝統、歴史などによって育まれた食を楽しみ、その土地の食文化に触れることを目的といたしましたガストロノミーツーリズムというのは、インバウンドも含む旅行者の方にとっても非常に魅力的なものだと考えております。

 このため、観光庁では、食を始めとする地域の観光資源を活用したコンテンツの造成に対しまして、予算上の支援を行っているところでございます。例えば、沖縄におきましては、サトウキビの製糖工場を活用した産業体験等のツアー造成などの取組に支援を行っているところでございます。

 観光庁といたしましては、今後とも、そういった地域の観光資源を活用したコンテンツ造成などを通じまして、観光振興を図ってまいりたいと考えております。

島尻委員 ありがとうございます。

 さらに、県も含めていろいろなアイデアを出していく、そこが肝になるのかなとも思っておりますけれども、これまでもサトウキビ事業の在り方についてはいろいろと議論がされてまいりました。農業も、その時代に合った運営の仕方ということも、視点を向ける必要があるのかとも思っております。

 まだ記憶にあるのが、サトウキビからバイオエタノールを生成して、E3の実証実験とかがあったわけでありますけれども、一方で、サトウキビは、ずっと国策として進められてきたということ、あるいは、台風とかいろいろな天候の問題など、様々な、いろいろな要因があるわけでございまして、今後のサトウキビ事業の在り方について、ここで岡田大臣に決意をお聞きしたいわけでありますけれども、沖縄振興という観点で先ほどから言わせていただいておりますけれども、アイデアをどんどんと出して、そして、結果的にサトウキビの事業がまた活気を帯びていくということにつなげていくというのも必要なのかなと思っておりますけれども、大臣の御見解、意気込みをお聞かせいただきたいと思います。

岡田国務大臣 お答えいたします。

 沖縄県内の分蜜糖の工場の多くが築後六十年程度経過していて、製糖事業者を始め、関係者から工場更新整備の御要望が出てきていることは、先ほどからの御議論を聞く以前にも、我々としても承知をしているところでございます。

 今御答弁申し上げていた、農林水産省が一義的に所掌ということになりますけれども、この分蜜糖工場の更新に向けた具体的な整備計画が取りまとめられた際には、内閣府としても、沖縄県の農業振興の重要性に鑑みて、農林水産省とも連携しながらしっかり対応してまいりたいと考えております。

島尻委員 是非、内閣府の皆様にも、先ほどから申し上げておりますように、アイデアを出しつつ、農水省の皆様にも一体となって頑張っていただきたいということをお願いを申し上げまして、時間が参りましたので、終了させていただきます。

 ありがとうございました。

松木委員長 島尻さん、お疲れさまでした。

 次に、金城泰邦さん。

金城委員 こんにちは。公明党、金城泰邦でございます。

 それでは、通告に従いまして質問させていただきたいと思います。

 まず初めに、基地周辺の住宅防音事業における住宅防音工事費の限度額の見直しについて伺いたいと思います。

 大規模な米軍飛行場が存在する沖縄においては、基地周辺住宅防音事業を実施していただいております。周知のとおりでございますが、防音工事は第1工法と第2工法に分かれます。第1工法は八十WECPNL、略して八十Wの第一種地域が施工対象区域で、第2工法は七十五W以上八十W未満の第一種地域が施工対象となっております。

 計画防音量は、第1工法で二十五デシベル以上、第2工法で二十デシベル以上となっています。特に沖縄に多い鉄筋コンクリート造の場合、計画防音量においては五デシベルしか差がなく、施工工事は大きく変わるものではありません。地元沖縄の関係者からも、第1工法と第2工法との限度額の差が大き過ぎるので、第2工法の工事費限度額について増額の見直しを行い、第1工法と第2工法の工事費限度額の差を小さくする必要がありますとの御意見がありました。

 第1工法と第2工法を含めた全体的な限度額の見直しについて、今後の検討状況、見込みについてお伺いいたします。

田中政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘いただきました住宅防音工事の補助限度額についてでございますけれども、限度額超過に係る状況でございますとか物価等の推移を踏まえましたものに見直すこととしております。昨年十二月から、部外に委託をいたしまして、調査業務を実施しているところでございます。今後、住宅防音工事の実態調査の結果を踏まえまして、補助限度額の在り方について検討を行うこととしております。

 その上で、補助限度額を見直すこととなった場合におきましても、関連規則の改正など、所要の手続に一定の期間を要するということが考えられます。

 いずれにいたしましても、調査結果を踏まえまして、しっかりと検討を進めていきたいと考えております。

金城委員 御答弁ありがとうございました。一日も早い御対応をお願いしたいと思います。

 続きまして、不発弾等処理方式の見直しについて伺います。

 沖縄では、現在でも、サトウキビ畑での植付け作業や、建物の新築、改築工事の際に、不発弾等対策事業として磁気探査を行うことが多々あります。

 平成二十一年一月に糸満市で二人が重軽傷を負う不発弾爆発事故が発生しております。それ以来、不発弾発見後の安全対策のためのライナープレートの無償貸出しが行われるようになりました。ライナープレートは、発見された不発弾の周りに鋼製の波板円筒の強固な防護壁を設置するものです。

 ライナープレートによる不発弾処理は約三か月の工事停止期間が必要となり、経済的な負担が大きく、住民避難の負荷も大きいものです。沖縄県並びに沖縄不発弾等対策協議会は、平成二十七年より耐爆容器による不発弾処理方式の検討を始めています。耐爆容器は、直径一メートル程度の密閉式の鋼製容器で、沖縄での不発弾の多数を占める米軍五インチ艦砲弾の処理を行います。狭隘な現場への運搬も可能で、誤爆の際は耐爆容器が外部を防護します。工事停止期間もライナープレートの場合より短期間で済みます。

 沖縄においては、今後も不発弾処理は必要な事業です。少しでも経済損失が少なく、住民避難等、負荷を小さくする必要があると考えます。政府におかれましては、今後、耐爆容器方式による不発弾等処理を行えるようにするべきと考えますが、御答弁をお願いいたします。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 耐爆容器につきましては、住民負担という面ではプラスの効果が期待できるわけでございますが、まだ実用化されていなくて、全く新しいものであるというふうなことであります。

 内閣府の沖縄総合事務局の次長を会長といたします沖縄不発弾等対策協議会、こちらにおいて検討を続けているところでございまして、令和四年の六月に、装置そのものの安全性につきましては協議会として確認をされたというふうな状況になってございます。

 なお、耐爆容器の導入後におきましても、崖とか斜面とか、そういった場合には耐爆容器が設置できないような場合もありますので、そういった場合につきましては、引き続きライナープレートを使用する必要があるというふうな状況でございます。

 現在、沖縄不発弾等対策協議会におきましては、使用時の住民の避難距離、容器に入れるまで間がありますので、そういったときの避難距離とか、そういった必要な事項につきまして議論をしておりまして、引き続き、議論の動向をしっかりと注視してまいりたいと思います。

金城委員 御答弁ありがとうございました。

 耐爆容器を活用する場面というのは限られることもあるということでした。

 ライナープレートも併用しつつ耐爆容器の活用を促進することが、地域住民への負担軽減につながると理解をしております。一日でも早い耐爆容器の現場での利用、普及が必要だと考えておりますが、具体的にいつ頃から利用、普及を推進することができますでしょうか。御回答をお願いしたいと思います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 耐爆容器につきまして、まさに、近隣住民の退避期間の短縮とか、範囲を少なくすることができるということで、効果が期待できますので、できるだけ早くというふうな気持ちは持っております。

 その上で、耐爆容器の導入に当たって、先ほど申しました避難距離がある程度必要だということがあります。また、どこに適切に保管するのが本当にいいのかということ、そういった課題もありまして、沖縄県民の安全、安心を確保するためにはクリアをしなければならない課題がまだあるというふうな状況ですので、そういった下で、有識者を交えまして、まさに地元沖縄において議論が慎重に進められているというのが現況かと思います。

 にわかに時期を申し上げるのは、そういった状況ですのでなかなか難しいわけではございますが、引き続き、協議会の議論がしっかりと進むことを期待を持って注視してまいりたいと思います。

金城委員 御答弁ありがとうございました。

 しっかりと対応等、協議を進めていっていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 次に、離島航空路線の存続等々の対策拡充についてでございます。

 沖縄におきましては、一部航空会社において、今月から、離島割引、特定路線離島割引運賃が九%から一二%、引き上げられました。航空会社の値上げの理由として、新型コロナウイルスの影響による航空需要の減退や各種費用の増加を受け、経営努力を続けて運賃を維持してきたが、離島航空路の収支構造は依然として厳しい状況にあり、将来にわたる離島航空路の維持に向けて自助努力だけでは賄い切れない状況にあるとの理由により値上げしたとのことです。

 また、沖縄県内では、航空会社間で価格差が生じると公金を投入できない、離島割引運賃の補助が打ち切られるおそれがあるとの報道が過日なされたようでありました。

 離島を結ぶ交通機関は飛行機又は船に頼らざるを得ず、陸上交通に比較して割高な運賃は住民にとって大きな障害となっており、重要な課題でもあります。特に、沖縄は離島県であり、離島住民の交通コストに係る負担を軽減することは離島住民が安心して定住するために必要不可欠なことであり、沖縄の振興にも大きく寄与すると考えておりますが、沖縄北方担当大臣の御所見をお伺いいたします。

岡田国務大臣 沖縄には三十八もの有人離島がございまして、その多くが沖縄本島から遠く離れて、東西約一千キロ、南北約四百キロに及ぶ広大な海域に点在しております。こうした離島を結ぶ交通機関は、委員御指摘のとおり、飛行機や船に限られていて、陸上と比較して割高であります。このような高い交通コストは、離島の定住、移住条件の観点からも大きな課題と認識をしております。

 このため、内閣府においては、一括交付金を活用して、沖縄県の実施する沖縄離島住民等交通コスト負担軽減事業を支援し、離島住民の方の運賃軽減を図っているところであります。この事業によって、航路についてはJRの在来線運賃並みの水準に、航空路については新幹線運賃水準を参考に、事業者の設定している運賃の約四割をそれぞれ軽減しております。

 沖縄振興を進めていくに当たり、離島の住民の方々が安心して生活できるようにすることは大変重要と考えておりまして、引き続き、県や市町村としっかり連携しながら、離島で生活される皆様の負担軽減に取り組んでまいりたいと存じます。

金城委員 大臣、御答弁ありがとうございました。

 続きまして、二〇一六年の五月に日本学術会議より提言があって、国立自然史博物館設立の必要性というものが出され、設立地として沖縄が最適であると結論づけられました。

 二〇一八年、沖縄県による国立自然史博物館誘致基礎調査を実施しております。二〇二二年には、沖縄復帰五十周年記念事業の一つとして、国立自然史博物館誘致推進事業を公表するとともに、沖縄県の新・沖縄二十一世紀ビジョン基本計画において、国立沖縄自然史博物館の設置促進を施策として掲げられました。

 日本初の国立自然史博物館を沖縄にとの声は、次第に広がっております。東アジア及び東南アジア地域の自然史研究の拠点となる国立自然史博物館は、いまだ設置されておりません。これらの地域の中心に位置し、生物多様性のホットスポットでもある沖縄に設置しようとの地元沖縄の皆さんの熱意が高まってきております。

 沖縄県では、新・沖縄二十一世紀ビジョン基本計画において、国立沖縄自然史博物館の設置促進に努めることを明記し、一般社団法人国立沖縄自然史博物館設立準備委員会と連携して、誘致活動に取り組んでおります。

 昨年、沖縄の日本復帰五十周年を迎えました。平和と文化と希望の次の五十年を築くために、是非、国立自然史博物館を沖縄に設置していただきたいと思いますし、文部科学省より現在の検討状況について御答弁いただき、また、沖縄の振興、発展のための観光インバウンドを誘致する起爆剤として国立自然史博物館の設立の可能性を模索することができないか、沖縄北方担当大臣の御決意並びに御所見を伺いたいと思います。

奥野政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、一般に、博物館の設置には様々な形態がございますが、文部科学省といたしまして、学術研究の推進という観点からお答え申し上げますれば、このような大きな学術プロジェクトを進めてまいりますに当たりましては、研究者や関係する学術関係機関が主体となりまして、戦略的、計画的に推進していただくことが必要になると考えております。

 したがいまして、本構想につきましても、当該研究者自らが、事業の内容でございますとか事業規模、そういったものの妥当性等につきまして、学術研究コミュニティーのコンセンサスの形成を進めていただくことになると承知してございます。

 文部科学省といたしましても、研究実施主体の方々から、学術研究の推進という観点で、適宜御相談等、対応してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 国立博物館の設置ということでございますので、クリアしなければならない問題も多く、まずは今の文部科学省において一義的に対応されるものと認識しており、私からは具体的には差し控えたいのでありますが、その上で、一般論として申し上げれば、沖縄は、本土とは異なる動植物相を有する緑豊かな森など、亜熱帯特有の貴重な自然環境に恵まれており、学術的な側面を含め、こうした沖縄の自然が有する価値は大きいと考えております。

 委員御指摘のとおり、インバウンド誘致なども含めて沖縄県が積極的な招致活動を展開していることは承知しており、引き続き、御地元の声も伺いながら、状況を注意深く見守ってまいりたいと考えております。

金城委員 大臣、御答弁ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

松木委員長 金城さん、どうも御苦労さまでした。

 次に、新垣邦男さん。

新垣委員 立憲民主党・無所属会派、社民党の新垣です。

 本日は、コロナ禍で傷んだ沖縄経済、そしてエネルギー価格や物価高騰に伴う県民生活、経済活動への影響に焦点を当てて質疑をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず、今般の物価高騰は、新型コロナウイルス感染拡大の長期化に追い打ちをかける形で、企業や家計に甚大な影響を及ぼしております。島嶼県である沖縄は、輸送コストが製品価格に転嫁されるなどの要因で、他地域より消費者物価指数の上昇率が高い状況にあります。とりわけ県内離島における物価高騰を取り巻く状況は極めて厳しいものとなっております。

 岡田大臣は一月に、石垣市、与那国、そして宮古島市を視察をされました。沖縄の離島を御覧になって、いわゆる離島苦に対する大臣の御認識。そして、離島において著しい最近の生活物資の高騰についてどのような問題意識をお持ちになっているのか。そして、物価高騰とは関係ないんですが、くしくも今、自衛隊の南西シフトを受けて、新たに自衛隊が配備されたこの三市町ですが、大臣の目には住民が自衛隊配備を好意的に受け止めていると映ったのかどうか。率直な御感想があればよろしくお願いしたいと思います。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、本年一月十七日から十九日にかけて、私は、沖縄県の中でも離島に当たる石垣島、与那国島、宮古島の三島をお訪ねして、多くの振興事業の現場を視察し、離島地域における事業の現状や課題などについて貴重な生の声を伺ってまいりました。委員御指摘のとおり、いずれの島も様々な離島ゆえの条件不利性を抱えており、物価高の影響も大きいことを実感してきたところであります。

 その一方で、例えば石垣市では、島外に進学しなくても保育士の資格が取得できるように、ICTを活用してリモートで授業を受けられる施設の整備など、また、宮古島市では、六次産業化の拠点として旧庁舎を活用する取組ですとか、あるいは、農家の方から、昔、水が乏しいことで本当に農業、苦労をしたという中で、地下ダムにより水を確保する取組など、それぞれ拝見して、地域の実情に応じた創意工夫で様々な可能性や潜在力を引き出している島の皆様方の御努力を目の当たりにして、また、その振興のお手伝いをしなければならないと決意をしたところであります。

 また、お尋ねの先島への自衛隊配備については、私は直接所掌をしておらず、コメントは控えたいと存じますけれども。

 いずれにせよ、離島は、それぞれの島に特有の豊かな自然や文化を始め多くの個性や魅力にあふれており、こうした島ならではの強みを生かせるように、今後とも、様々な現場に足を運び、地元の皆様の声もしっかりお伺いしながら、離島の振興に全力で邁進していく決意であります。

新垣委員 大臣から力強いお言葉をいただきました。

 離島振興なしに沖縄振興はないと言われておりますので、様々な課題を抱えている離島は、是非足を運んでいただいて、よろしく対応をお願いしたいと思います。

 次に、今回の物価高、電気料金の値上げは、県内総生産や県経済成長率、そして県民所得などの経済指標にいかなる影響を与えているのか、これの認識をお伺いしたいと思います。

水野政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘のとおり、新型コロナウイルスの感染拡大の影響、それから物価高、電気料金の引上げなどについては、沖縄のリーディング産業である観光業を始め、非常に沖縄経済への影響が大きいというふうに認識してございます。

 こうした物価高騰が続く状況を踏まえまして、先月ですけれども、燃料価格高騰対策への支援として、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金の追加配分が決定されたところでございまして、沖縄県は、県と県下市町村合わせて約百二十二億円の配分が行われたところでございます。

 沖縄担当といたしましても、こうした地方交付金を積極的に御活用いただくということを期待しているところでございます。

 以上でございます。

新垣委員 コロナ禍で苦しむ中小零細企業を支援するために、政府が実質無担保無利子のゼロゼロ融資などの施策を展開をしております。おかげさまで、施策が功を奏して、二〇二〇年から二〇二二年の県内企業倒産件数は、調査会社で差はあるものの三十件前後と、とどまっております。

 そのような中、ゼロゼロ融資の返済が、今年六月以降、本格化してまいります。県の信用保証協会によると、今年一月現在の同融資に関する保証債務残高は一万七百五十五件、約一千六百二十億円に上っております。

 政府は、ゼロゼロ融資からの新たな借換え保証に加え、ほかの保証付融資からの借換えや、事業再構築に伴う資金需要にも対応する新たな保証制度を創設するなどして対応しているようですが、これで果たして十分なのかどうかという心配をしております。

 また、返済開始で、物価や電気料金の高騰にあえぐ県内企業が更に苦境に立たされる可能性が高まっているのではないかというふうに私は心配をしているんですが、内閣府としてどのような見解をお持ちか、お伺いします。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 コロナの影響の長期化や物価の高騰に加えて、今後コロナ融資の返済本格化を迎えるなど、中小企業を取り巻く環境は引き続き厳しい状況にあると認識してございます。

 政府としては、本年三月にも、西村大臣、鈴木大臣らにより、官民の金融機関等に対して、事業者の実情に応じた迅速かつ柔軟な対応を継続するとともに、事業者に寄り添った対応を徹底するよう要請しているところでありまして、足下の融資の条件変更の応諾率は約九九%と、多くの事業者の申出に応じているところでございます。

 御指摘の民間ゼロゼロ融資についてということでございますが、本年七月に返済開始のピークを迎えるということでございまして、このためにコロナの借換え保証制度というのを本年一月から開始しておりまして、これは、返済期間を長期化しつつ、その間に収益力改善を支援するものでございまして、これまでに全国では約二万八千件の借換え申込みを承諾しております。

 沖縄県ということでありますれば、民間ゼロゼロ融資がそもそも約一万一千件、約千八百四十七億円お貸ししたわけでございますが、このコロナの借換え保証については百十一件、約二十五億円が現在のところ利用されているところでございます。

 それでもなお増大する債務に苦しむ中小企業という方には、沖縄を始め四十七都道府県に設置されている中小企業活性化協議会が、個別の事案に応じた債務圧縮や減免も含む再生支援を行っておりまして、宿泊業を含む業種別の再生支援事例集の作成等を通じて取組を強化しているところでございます。

 引き続き、こうした取組を通じて、中小企業への支援をきめ細かく取り組んでいく所存でございます。

新垣委員 先ほど来お話をしているんですが、やはり、沖縄は中小零細が非常に多い地域ですので、是非ともに注視をしていただいて、支援をお願いを、していただきたいと思っております。

 次に、沖縄電力による電気料金大幅値上げによる県経済、県民生活への影響が心配される中、国、県、そして県経済界が一体となって交渉した結果、百四億円の支援が決まりました。私は、この三者の連携による調整、何より、岡田大臣の決断力とリーダーシップの下に、内閣府の皆さんの迅速な対応を大変高く評価をしております。県民も大変喜んでおります。こうした取組は、今後も幅広く展開していただいて、総合力で県経済の再興や沖縄振興を力強く前に進めていただきたいと思っております。

 そこでお聞きしたいのですが、今回の支援策によって家計や事業者の電気料金負担がどれほど軽減されたのか、また、今回の支援は九月までの時限的な措置となっておりますが、十月以降の支援の在り方も視野に入っているのかどうかをお尋ねしたいと思います。

水野政府参考人 お答えいたします。

 今般の電気料金の値上げの動きにつきましては、内閣府といたしましてもかねてから、県民生活や沖縄経済への影響も極めて大きいというふうに認識してございまして、沖縄の条件不利性に鑑みまして、沖縄振興の枠組みの中で具体の施策を検討してきたところでございます。

 この度、委員御指摘のとおり、沖縄県、県経済界、市長会、町村会が一体となって調整された包括的な支援スキームに基づきまして、内閣府においては高圧の契約需要家を対象とした電気料金の負担軽減に向けた支援を、また、県においては低圧、特別高圧を対象とした支援を実施するとしたところでございます。

 具体の支援時期等々につきましては、需要家の混乱、小売電気事業者等の事務負担増等を避けるため、経済産業省の値上げ審査の動きに合わせて実施される予定ということでございますので、まだその点は未定でございますが、いずれにせよ、本事業につきましては九月分までの措置としているところでございます。

 そのため、経済界においても、中期的な視点から、外的要因への耐性を高めるため各種産業における競争力の強化を進めていただきたいということと、価格転嫁、経営の効率化、さらには再生可能エネルギーの導入促進等にもしっかりと取り組んでいただくことが極めて重要であるということをお伝えしているところでございます。

 内閣府といたしましても、引き続き、経産省等と連携するとともに、強い沖縄経済の実現に向けた必要な支援を着実に実施してまいりたい、かように考えてございます。

新垣委員 十月以降はまだはっきりしていないということだろうと思います。確かに、今それは決められないのかなと思っているんですが。

 そこで、今、再生可能エネルギーの話が出たんですが、国からの財政支援を受けるには、沖縄電力には高い発電コストを下げる努力が求められるでしょうし、また、GXの潮流を踏まえれば、エネルギー地産の実現に向けて全県レベルで取り組む必要があるだろうと思っております。

 実際、沖縄電力に寄せられた国民の声や、本永社長を参考人として招致をした県議会予算特別委員会の質疑でも、高い給与水準を是正して値上げ幅を圧縮すべきとの指摘や、再生可能エネルギーの導入拡大を促す要望が上がっております。

 一方で、沖縄は、地理的、地形的、天候上の理由から発電が高コストにならざるを得ず、再生エネルギーの導入拡大が本土に比べて進みにくいという特殊事情がございます。そのため、現時点では、価格が高止まりする化石燃料に頼らざるを得ないという構造的な不利益を抱えているのもまた事実であります。とはいえ、原子力発電の導入は、県民の合意形成が得られず、投資効果に見合いません。

 私は、国の掲げる二〇五〇年脱炭素社会の実現に沖縄が貢献するためには、非原発、脱化石燃料、再生可能エネルギー一〇〇%こそが目指すべき電源構成、沖縄のエネルギー政策だと考えているんですが、岡田大臣におかれましては、脱炭素が国策である以上、沖縄の特殊事情に配慮し、構造的不利性を逆手に取って、先進的な技術革新を促す研究支援を政府として拡充すべきではないかなというふうに思っているんですが、その点についていかがでしょうか。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 電源構成につきましては経済産業省が直接の所管ではありますが、沖縄担当大臣として申し上げる限りのことを申し上げれば、沖縄はやはり、先ほど御指摘もありましたが、地理的、地形的な制約や需要規模の制約によって、大規模な水力や地熱、また原子力などの発電所の導入が困難であり、化石燃料への依存度が高くなっているほか、本土と系統でつながっていない、このために電力不足時に融通を受けられないことから、供給予備力を本土よりも多く保有しなければならないと、様々な構造的不利性を抱えております。

 こうした中で、エネルギーの安定的かつ適正な供給を確保しつつ、脱炭素社会の実現に向けた取組を着実に進めていくためには、再生可能エネルギーの導入加速が必要であり、例えば沖縄電力においても、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、再エネ主力化や火力電源のCO2排出削減といった方針を打ち出していると承知をいたしております。

 内閣府としても、こうした経済界の動きも注視しながら、強い沖縄経済の実現に向けて、沖縄における脱炭素の取組を加速させるため、令和四年度よりクリーンエネルギー導入促進事業を実施しているほか、ソフト交付金を活用して、再エネ活用技術の導入を促進する沖縄県の取組、これは離島における再エネ設備設置事業者の支援等でありますが、こうした取組を支援するなどの措置を取っているところであります。

 引き続き、こうした施策を強力に進めることを通じて、再生可能エネルギーの普及をしっかりと後押しをしてまいりたいと考えております。

新垣委員 沖縄電力さんも結構頑張って取り組んでいるようですが、なかなかすぐには成果が出ていない。これは長期的になるだろうと思っているんですが。

 沖縄は、それは非常に、やろうと思えばいろいろなことができるのかなと思っているんです。そこで、自然エネルギー一〇〇%社会の実現を目指す上で、沖縄ならではの発電技術の開発は避けて通れないと思っています。既にサトウキビの搾りかすを使ったバイオマス発電や海洋温度差発電のほか、風力発電の阻害要因である台風そのものを発電に利用する台風発電など、チャレンジングな取組が今始まっております。

 沖縄ならではの発電技術の開発は、沖縄科学技術大学、OISTでも進んでおります。OISTの新竹積教授が取り組むのが、波のエネルギーを利用した、タービンを回す波力発電です。波があれば昼夜を問わず発電可能で、風力や太陽光より無駄がなく、安定した発電が見込めるんだそうですね。四方を海に囲まれた沖縄にもってこいの発電技術ではないかと私は思っているんです。ただ、巨額の初期投資が必要となるなど課題はありますが、これが実用化すれば、化石燃料依存からの脱却に大きく貢献できるのではないかと思っております。

 そこで、内閣府にお聞きしたいのですが、OISTにおける波力発電研究というのは、実用化のめどは立っているのかどうなのか、進捗状況について伺いたいと思います。

 また、OISTと沖縄電力の間で、再生可能エネルギー等の発電技術について共同研究などの協力、連携はされているのかどうなのかを少し教えていただきたいと思います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 OISTにおけます波力発電技術の開発につきましては、現在、実用に向けた実証実験をずっと続けているというふうな段階でございます。

 実用化に当たりましては、今委員からもございましたが、ある程度の規模の設備投資が必要だという中で、やはり台風、これによる、波が非常に強くなるということとか、あとは沖縄特有の塩害、そういったものに対してどのように対応していくかということで、装置開発が必要である。

 また、しっかりと設置ができるか、厳しい自然環境の中で設置ができるか、そういった設置工事の安全性の確認等が必要だということで、そういったことを実証実験の中で確認をしているということです。

 そういうことが結果としては次の、企業からの投資ということにつながるわけですけれども、現在ではまだ課題の解決がされていないというふうな進捗だということであります。

 今、委員からもありましたけれども、非常に電力の見通しが風に比べてつきやすいとか、太陽に比べて稼働時間が長いとか、メリットもございますので、そういった実用の道筋をつければ、またいろいろと引き合いがあるというふうに期待しているところでございます。

新垣委員 今、OISTが波力発電ということで取り組んでいるようですが、なかなか目に見えないというような状況になっているのかなと思っているんですが。

 実は、私は、このOISTの力を是非、もっと力強くかしていただけないかなと思っているんですね。毎年、沖縄振興予算が減っていっている中で、OISTには毎年約二百億もの振興予算が投入をされております。昨年の特措法改正案に当たって、当委員会で、「県や市町村と連携して沖縄の特性や資源を活かした研究を推進し、OISTの教育研究が沖縄の振興及び自立的発展に貢献するよう促す」との附帯決議が全会一致で可決をされております。

 波力発電は、県民に姿が見えるOISTをアピールするチャンスでもあると思います。OIST、県、沖電による産官学の連携で、是非実用化にこぎ着けてもらいたいなと思います。そのためにも、内閣府には一段も二段もギアを上げていただいて、支援をお願いしたいと思っております。

 せっかくすばらしいOISTがあるわけですから、その研究を、沖縄振興、こういう再生可能エネルギーに、是非連携して、地元と連携して取り組む意義は大きいものがあると思うんですね。そういう意味では、大臣の所見を是非お聞きしたいなと思います。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 OISTは、一つには、沖縄の振興及び自立的発展、また二つには、世界の科学技術の発展に寄与することを目的として、平成二十四年九月の開学以来、昨年、OISTのペーボ博士がノーベル生理学・医学賞を受賞されたことに明らかなように、世界最高水準の教育研究活動を行ってきていて、沖縄の科学技術分野における世界的な知名度の向上にも貢献してきたと考えております。

 こうした取組の結果、地元への具体的な貢献という観点、新垣委員のおっしゃるとおりだと思います。

 例えば、大学発スタートアップ創出数が三十七社となるなど、短い期間で着実に成果を上げてきていて、地元自治体や経済界からも高い関心が寄せられているところであります。

 私としても、新垣委員御指摘のとおり、OISTの研究開発の取組が更に目に見える形で地元沖縄に還元されていくことが重要であると考えておりまして、今年度予算においては、産学連携を進めるための人員を増員して体制拡充を図るなど、OISTに対する支援を強化しているところであります。

 政府としては、OISTがその研究開発の成果を更に沖縄の皆様に還元すべく、先ほど波力発電の御提案もありましたけれども、県民の皆様に、OISTが沖縄にあってよかった、こう思っていただくことができるよう、引き続きしっかりと支援をしてまいる所存であります。

新垣委員 大臣がおっしゃったとおり、確かに、OISTさん、今頑張っていらっしゃいます。そして、多くの研究者を出して、ノーベル賞もいただいたということで、大変評価をしているんですが、でも、なかなか地元の皆さんが、県民がなかなかそれを肌で実感していないという現状があるんだろうと思います。

 否定するわけでは当然ないんですが、もう少し県民に見える形で、OISTが沖縄にあってよかったと言えるように、是非後押しをしていただいて、連携をしていただきたいなと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、新型コロナウイルスの感染が沖縄県内で初めて確認されてから丸三年が経過をしておりますが、県経済は、観光産業を中心に甚大な被害を受けましたが、今、人流回復に伴い、持ち直しの動きを見せております。

 私も、衆議院議員となって以来、毎週飛行機で那覇―羽田間を行き来しておりますが、最近は空港や機内が多くの人でにぎわっております。

 そのような中で、那覇空港や新石垣空港の国際線エリアで、地上支援業務や保安検査員などのスタッフ不足から、台湾や香港の航空会社の増便要請に対応できない状況にあると聞いています。

 那覇空港内に就航するエアラインによれば、ピークシーズンを迎える七月以降、更に保安検査員の減少が見込まれ、稼働レーン数の減少により、来県する観光客やビジネス客の満足度低下や定時運航への影響が懸念をされております。インバウンドの取りこぼし、機会喪失を防ぐためにも、改善が急がれます。

 経済対策の一環として、最先端の技術、システム導入による業務の効率化や高度化、人材確保に向けた支援が必要だと私は考えているんですが、このような取組は今なされているんでしょうか。

平井政府参考人 お答え申し上げます。

 保安検査員につきましては、コロナ禍前と比較して人員が約二割減少するなど、人手不足に直面しております。この課題の解決には、地方自治体、空港関係事業者など、地域の関係者が総力を挙げて取り組むことが不可欠でございます。

 このため、国土交通省では、那覇空港や新石垣空港を含め、空港ごとにワーキンググループを設置し、関係者一丸となって人材確保、育成、効率的な運用に取り組むことを推進しております。

 さらに、本年二月に空港業務全体を対象とした有識者会議を設置し、空港関係者から実態を伺いながら、空港業務の持続的発展に向けた取組方針の検討を進めているところでございます。

 また、保安検査業務の効率化を図るため、従前から先進的な保安検査機器の導入補助も実施しておりますが、那覇空港や新石垣空港についても順次先進機器の導入が進んでおります。

 引き続き、地方自治体を含む関係者と密に連携を図りながら、空港で必要な人材確保や生産性向上に向けて全力で取り組んでまいります。

新垣委員 取り組んでいる状況は分かりました。

 ただ、夏場、観光客が多くいらっしゃいます。これは、今年中にそういう機器の整備、そして人員の確保等々が可能なのかどうなのか、あるいは、とてもじゃないが今はできないよ、あと一、二年待ってくれという話なのか。どういう状況なのか、もう少し具体的にお願いしたいと思います。

平井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げました有識者会議による検討でございますけれども、中間的な取りまとめ案を本年五月から六月に作成することとしてございまして、これに基づいて早急な対策を取っていきたいと思ってございます。

 また、先進機器につきましても、予算の範囲内でございますけれども、順次導入を進めてまいるということによりまして、一日も早く、効率的で、かつ効果的な保安検査体制の拡充ということを達成していきたいというふうに考えているところでございます。

新垣委員 なかなか具体的にいつまでということは言いにくいのかもしれませんが、やはり沖縄観光は沖縄の生命線ですので、是非ともに、一日でも早くというんですか、早急な取組を是非お願いしたいと思います。

 次に、空の玄関口に続いて、海の玄関口の課題についてお伺いをしたいと思います。

 那覇港の新港埠頭地区に、世界最大規模の二十二万トン級のクルーズ船が受入れ可能な岸壁、第二クルーズバースの供用が開始をされました。

 那覇港では、十六万トン級などの船長三百三十五メートルを超えるクルーズ船や、同時に複数の船舶が寄港する際に、既存のクルーズバースで対応できなかったことから、やむを得ず貨物用岸壁、九号岸壁で受け入れてきております。そのため、貨物が行き交う岸壁上のクルーズ旅客移動時の安全性の確保や、円滑なCIQ、税関、入国審査、検疫、この手続なんですが、大型バス等の二次交通待機場の確保などが課題となっております。

 これらに対応するため、第二クルーズバースを含めた受入れ施設の整備が進められてきたところでありますが、CIQ手続などを行うクルーズターミナルビルの完成までに最低一年はかかるとも言われているんですが、供用開始のめどは立っているのかどうなのか、その進捗状況についてお伺いしたいと思います。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省では、二〇一九年に、旅客ターミナルビル等に投資をするクルーズ船社に対しまして岸壁の優先的な使用を認める、いわゆる国際旅客船拠点形成港湾に那覇港を指定してございます。

 指定した後、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によりまして協議が遅れてまいりましたが、現在、港湾管理者である那覇港管理組合では、旅客ターミナルの整備概要等を内容とする国際旅客船拠点形成計画の作成に向けた検討が進められていると承知をしてございます。

 今後、この計画の作成をした後、那覇港管理組合と連携船社により岸壁の優先利用や関連施設の整備、管理に関する協定が締結されれば、協定に基づきまして旅客ターミナル等の整備が進められることになりますが、現時点におきましては、旅客ターミナルの具体的な整備時期についてはお答えできる状況にはないと伺ってございます。

 なお、本年二月から供用開始されております第二クルーズバースにおきまして、那覇港管理組合がCIQ手続のためのプレハブの施設を設置をし、当面の国際クルーズ船の受入れに対応していく予定であるというふうに伺っております。

新垣委員 コロナが明けると、空港だけじゃなくて、結構このクルーズ船の入港も多くなると思うんですね。今、CIQの問題はプレハブでやると言っているんですが、これで対応は可能ですか。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 クルーズ船、非常に大量に人が出入りしますので、なかなか、本格的なクルーズターミナルと比べると十分ではない可能性はありますが、本年二月にバースが供用しておりますので、その有効活用という観点で、プレハブ施設を入れて、極力大型船を受け入れたいというふうな港湾管理者の考えというふうに伺ってございます。

新垣委員 せっかくの観光客が、沖縄に来て、対応が悪かったとか印象が悪かったとか、そういうふうに思われないように、是非、万全の体制もお願いをしたいと思います。

 最後に、コロナ禍で停滞していた国際クルーズ船が、去る三月九日、三年ぶりに那覇港に寄港しております。主要なクルーズ船寄港地を管理する那覇港湾管理組合、石垣市、宮古島市の予約ベースの試算によると、二〇二三年の海外クルーズ船の寄港数は二百三十六回と、コロナ禍前の四割程度まで回復をしているという見通しが立っておりますが、国際クルーズ船が順調に回復する中、寄港地から観光地への移動、いわゆる二次交通での課題が指摘をされております。

 バスや運転手の慢性的な人手不足に加え、レンタカー会社もコロナ禍で一時期保有台数やスタッフを減らした状況にあったことを踏まえると、県内における観光客やビジネス客の移動手段の確保が困難となっている状況であります。

 解決に向けた方策として、公共交通網の整備やレンタカーの安定的な供給体制の確立などが挙げられますが、共通しているのはやはり人手不足なんですね。私は、担い手確保のための賃上げや労働環境の改善こそ喫緊の課題だと考えているんですが、そのためには、保育士の処遇改善のように国策として取り組む必要はないのかと思っております。

 この二次交通における担い手不足について、国としてどのような認識をしているのか、そして、課題解消に向けた取組、戦略としてどういうような取組があるのかをお聞かせ願いたいと思います。

岡野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、バス、タクシー業界の人材確保は、観光客や地域住民の移動手段を提供する観点から喫緊の課題となっております。

 このため、国土交通省では、バス、タクシー事業者からの運賃改定申請に迅速に対応し、早期の賃上げや安心で快適な職場環境の整備を促しているところでございます。

 また、バス事業者、タクシー事業者が行う人材確保のためのセミナーやCMなどの広報費用に対する支援、また、二種免許の取得に要する費用の負担に対する支援など、事業者による人材確保、養成の取組を支援しているところでございます。また、レンタカー事業者につきましても、多言語の対応等の取組について支援を行っているところでございます。

 国土交通省といたしましては、これらの支援によりまして、バス、タクシー業界等における人材確保に向けて、引き続きしっかりと取り組んでまいります。

新垣委員 確かに、全国的にはそういう取組をなさっているのかもしれないんですが、沖縄には鉄道機関がありません。バスとタクシーが主なんですね。そこで人がいない。タクシーを呼んでも来ない。そして今、バス業界に賃上げを求めても、なかなか難しい状況だと思うんですね。

 だから、何とか、沖縄振興があるので、そういう実情に鑑みて、まず、コロナで、立ち直るまで特別な措置ができないのかどうなのかという質問なんです。これはすぐにはできないかもしれないんですが、是非、そういう検討も、考えてもらいたい。離島県であるゆえに、非常にこれは問題が大きいなと思っているものですから、何らかの対策ができればと思っているんですが、もし、答えられる範囲内でよろしくお願いします。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 非常に大きな質問ではございますが、観光需要が回復する中で、やはり車社会、これは沖縄の特性でございますので、バス、タクシー等の公共交通機関の人手不足というのは、沖縄振興という面からも重要な課題だというふうな認識をします。

 こうした課題につきましては、これまでも答弁がありましたように、基本的には、所管省庁である国土交通省を中心に必要な策が講じられているところでございますけれども、併せまして、やはり地域の公共交通機関の課題ということにもなりますので、地元自治体の動向を踏まえて対応していくというのが何よりも重要かなというふうに認識をしております。

 内閣府としましては、関係省庁の施策を注視しつつも、一方で、地元の声を丁寧に聞いて、沖縄県を始めとする地元の自治体からの要望、こういうのがあれば、そういったことをしっかりと関係省庁に伝え、また、連携を図って適切に対応してまいりたいというふうに考えるところでございます。

新垣委員 県民の声は、非常に悲痛な声があります。ですから、内閣府を中心に各省庁連携をして、是非取組をお願いしたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

松木委員長 新垣さん、御苦労さまでございました。

 次に、荒井優さん。

荒井委員 立憲民主党の荒井でございます。

 日本の政治にとって、改めまして、沖縄と北方領土の問題というのは大変重要なんだということ、そういう思いを持って、今日はこの場に立たせていただいております。機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず最初に、沖縄におきまして、先日、第八師団のヘリコプターが墜落をするという形で、殉職を十名の方が、師団長を含めてされるということがございました。大変痛ましい事故が起きたわけですが、その原因についてお伺いしたいと思います。

小杉政府参考人 お答えいたします。

 今回の事故の原因につきましては、現在、陸上幕僚監部に設置しました事故調査委員会で調査中でございまして、現時点で確定的にお答えすることは困難であるということを御理解いただきたいと思います。

 その上で、国民の皆様からも様々な御心配の声を頂戴いたしておりまして、国民の皆様の御心配を払拭するためにも、事故調査をしっかりと進め、確かな分析に基づく事故調査結果をお示ししていくことが重要と考えております。

 その上で、今月十六日の水中捜索により、損壊したヘリコプターの一部を発見したところでございますが、早期かつ確実に機体を引き揚げるべく、知見や技術力を有する民間企業と契約を行ったところでございまして、その作業を開始できるよう所要の準備を進めております。

 引き続き、艦艇、航空機、陸自部隊により、行方不明となっている四名の捜索のため、捜索範囲の拡大を含め、全力で取り組んでいるところでございます。

荒井委員 ありがとうございます。

 こういった防衛に関しては初心者ではありますけれども、ただ、今回、十名の方々が一つのヘリコプターに乗っていて亡くなられて、しかも八名の方が幹部だったということなわけですけれども、しかも師団長は北海道御出身者でもあって、こうやって幹部がこんなに、八〇%も占める形で一台のヘリコプターで移動するみたいなことが、これは普通にあることなのかどうか。もっと分散して、例えばリスクをヘッジするような形で分散して移動するとか、そういったことが通常は行われるんじゃないかという気もしなくはないんですが、今回のこのオペレーションというか移動に関して、一つのところに八割が、幹部の方が乗られるというのが通常なのかどうかというのをちょっと教えていただけますでしょうか。

小杉政府参考人 お答えいたします。

 一般論として申し上げますと、師団長などの指揮官が、隷下部隊が展開し得る地域の視察等を行う場合には、視察先の説明などを行うため、幹部自衛官が行動を共にするということは一般的にございます。

荒井委員 ありがとうございます。

 僕は、実はこの仕事をする前が高校の校長をしていまして、ちょうど札幌市の真駒内駐屯地の向かいにある私立高校なわけですが、ですので、真駒内の駐屯地には、よく仕事柄も行く機会もありました。毎年数名、四、五人の高校生が陸上自衛隊に入職する機会もございます。

 御承知のように、八割ぐらいの人が陸上自衛隊、自衛官の場合は高卒の方がなられているかというふうに思いますので、僕自身も大変重要な仕事だと思っていて、募集相談員の役割もお引受けして、高校生や保護者の皆さんにも、自衛官の仕事の大切さというのは理解をしながら伝えてきたつもりでもあります。

 一方では、逆に、今、自衛官の募集も大変厳しくて難しい中で、こういった事故が、未然に防ぐようなことというのは大変重要なことだというふうに、当然ですけれども思うわけですが、昨今、防衛費の増大という中で、この防衛費の増大、ミサイルをたくさん買うとか、こういった軍備を増強するという、どちらかというと武器やそういったものに重点が置かれてきていますけれども、やはり、こうやって装備するものが増えていけばいくほど、例えば、人の業務が一気に増えてしまったり、無理な行動をしなければいけなくなったり、人はすぐには増やせないわけですよね、そういったことが出てくるんじゃないかというふうに思って、大変心配しています。

 この、人の手当てであったり手配だったりというものは、今回、国会でもこの間ずっと議論してまいりましたけれども、こういったちゃんと人の手配のところには手が届いていくのかどうか、お答えいただけますでしょうか。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、自衛官定数でございますけれども、現在、二十四万七千百五十四人でございます。人口減少と少子高齢化が急速に進展し、募集対象者の増加が見込めない中で、現在の防衛力整備計画期間中は、この定数を維持するということとしております。

 防衛力の抜本的強化に向けて、新たな装備品の取得、それから、サイバー、宇宙分野等の要員の増強が必要となってまいります。その対応には防衛省自らが大胆な資源の最適配分に取り組むことが不可欠と考えております。

 こうしたことも踏まえまして、既存の部隊の見直し、民間委託等の部外力の活用、戦闘様相の変化を踏まえた旧式装備品の用途廃止、早期除籍、そして戦車、火砲の数量減、あるいは省人化、無人化装備の導入の加速等による所要人員の削減、こうした取組を推進することによりまして、現在の自衛官総定数を維持したままで防衛力の抜本的強化に対応できるよう、バランスの取れた人員配置を実現してまいります。

 なお、いずれにしましても、委員の御指摘のように、安全に十分配慮した、そうした人員配置を行っていくことは当然と考えております。

荒井委員 新しく基地を造ったり、新しい装備を増やしたりすれば、当然、人員の人たちも、新しい研修を受けたり、様々なところに行かなきゃいけなかったり、今までの業務とは違うものが一気に増えると思いますので、是非、そういった皆さんへの手配であったり手当て等がしっかりなされるようにお願いしたいというふうに思っております。

 先ほどの質問でもありましたが、全ての分野で今人材が不足しているところですから、これは決して自衛官だけではないというふうに思いますので、給料を上げれば人が集まるわけでも決してありませんし、そういった人の手当てをしっかりしていくのが自衛隊なんだということを、しっかり向き合っていただきたいというふうに思っております。

 続きまして、北方領土についてお尋ねしたいと思います。

 北海道の国会議員ですので、やはり北方領土の問題というのは、専門ではなくても、しっかり勉強していかなければいけないことだというふうに着任以来思ってございます。いろいろと勉強すればするほど、例えばこの十年ほど、やはり日本の北方領土をめぐる交渉が大変いろいろと変化をしながら、そして、世界のバランスにおいても実は重要なことを占めてきているんじゃないかというふうに感じております。

 まず最初に質問したいのは、四月の十四日に、発表もありましたけれども、北方領土で大きな軍事演習が始まりました。報道では、原潜を使ったものとしては過去最大規模だというふうに報道もされていますが、なぜこのタイミングでこういった軍事演習が行われたのかについて、どのように考えているのか、教えてください。

田部井政府参考人 お答えいたします。

 ロシアは、ウクライナ侵略を開始する前から、北方領土を含む極東地域におきまして、最新の装備の配備や、演習、訓練の実施など、活発な軍事活動を継続しているところでございます。

 そうした中、今般ロシアは、四月十四日から二十日にかけまして、戦略原潜を含む太平洋艦隊の演習を実施した旨発表いたしました。こうした演習を含む極東地域でのロシア軍の活動の背景には、ロシアの核戦力の一翼を担う戦略原潜の活動領域でありますオホーツク海の軍事的重要性の高まりですとか、あるいは、ウクライナ侵略のさなかにあってもロシア軍が極東方面で活動し得る能力を誇示する目的などがあったものと考えられるところでございます。

 その上で、ロシア側の発表によれば、今回の演習では、北方領土を含む島嶼への上陸を撃退するための訓練などを実施したとされておりますが、こうした北方領土も念頭に置いた軍事演習など、北方四島におけるロシアによる軍事の強化は、これらの諸島に関する我が国の立場に反するものであり、受け入れられるものではございません。

 防衛省・自衛隊といたしましては、ロシアによるウクライナ侵略の動きも念頭に置きつつ、我が国周辺で活発な活動を継続するロシア軍の動向について懸念を持って注視するとともに、引き続き、警戒監視に努めております。

 以上でございます。

荒井委員 ありがとうございます。

 御承知のようにというか、当然ですけれども、ロシアは世界で最大の面積を誇る国家ですね。その西側で今大変大きな戦争を行っていて、もう二年目に入ってきているわけですが、なぜ、このタイミングで、その全く反対側の東側でこういった軍事演習をするというのも、当然予算も、まさにそのための準備だったり人員もかかると思うんですけれども、まさにそれだけのものをかけてでも、この東側でこういった演習を行ったのか、その理由について、もう少し考えているところを教えてもらうことはできますでしょうか。

田部井政府参考人 お答えします。

 やや繰り返しになりますけれども、まず、ロシア側の意図、目的につきまして確定的にお答えすることは困難であるということについては御理解をいただきたいと思います。

 その上で申し上げますと、極東地域でのロシア軍の活動の背景には、先ほど申し上げましたように、ロシアの核戦力の一翼を担っております戦略原潜の活動領域でありますオホーツク海、それのバスチオン化といいますか聖域化ということで、そちらに力を入れているということと、あと、先ほど申し上げましたように、ウクライナの侵略のさなかにあっても東側におきまして活動を活発化させるということで、自分たちにはそういう力があるというのを誇示しているといった目的があるのではないかと見ておるところでございます。

 以上です。

荒井委員 ありがとうございます。

 本当に、地政学的に考えたときに、プーチン大統領からしてみたら、これだけ大きな国土をどのように守りながら、そして様々な目的を達成するのかというのは、常に頭にあったのではないかというふうに思っているんですが、今回のウクライナへの侵攻、去年、二〇二二年の二月に行った侵攻というものは、今、日本の政府としては、どのタイミングでロシア政府としてはこの侵攻を考えたのか、立案したというか、というふうに考えているのか、今の現状についてお教えいただければと思います。

田部井政府参考人 お答えいたします。

 ロシアがウクライナ侵略をいつ決断し、そのための計画をいつ立案したかといった点について、様々な見方があるものと承知しておりますが、防衛省として確定的にお答えすることが困難であることを御理解いただきたいと思います。

 その上で申し上げますと、ロシアは二〇一四年にウクライナのクリミアを違法に併合したほか、二〇二一年七月にはプーチン大統領が、ウクライナがロシアとは別個の自立した国民国家として存在することを否定する論文を公表するなど、かねてからウクライナに対し、独自の主張を行っていたと承知しております。

 いずれにしましても、相手の意図を外部から正確に把握することには困難が伴うということで認識しておりまして、防衛省として確定的にお答えすることは困難ということでございます。

荒井委員 ありがとうございます。

 そうですね、まさに二〇一四年のクリミア半島の併合というのが大変大きな、国際的にも大きなショックを最初に起こしたことだと思いますが、あれが二〇一四年の三月ですが、プーチン大統領自身は、二〇一二年の五月に大統領に復帰をしているわけですね。つまり、その二年前に大統領に復帰して、そこから二年後にクリミア半島を併合しているわけですね。

 いろいろな考え方は当然あるし、それは分からないわけですけれども、でも、いろいろな大きな軍事オペレーションをするのに、多分一年先、来年やるというのは、ちょっとやはりなかなか簡単ではないんじゃないかというふうに思いますが、二年後とか三年後ぐらいを視野に入れながらいろいろなものを準備していく。最終決断はもちろん直前かもしれませんが、そう思うと、二年とか三年というのはある程度妥当な数字なのかなと、済みません、全く素人ではありますが、ただ、大きな組織を動かしていこうと思うと、一年ではなくて二、三年じゃないかというふうな感じがしております。

 その中で、二〇一二年の五月にプーチン大統領が復帰した後、その直後に、日本では第二次安倍政権が十二月にできていると思います。そして、その二年後、二〇一四年の二月、正式には一年ちょっとかもしれませんが、実はソチ・オリンピックが行われまして、このソチ・オリンピックのときには、安倍首相もソチ・オリンピックに、会場に行きまして、プーチン大統領との会談をされているかと思います。御承知のように、その直後にウクライナ・クリミアへの侵攻が行われていたわけですが、先ほど申し上げた地政学的に、このときに世界中がクリミアへの侵攻に対して大変憤って、G7の首脳の皆さんも集まって、どのような非難文を出すのかということ、お話があったというふうに聞いていますが、安倍元総理の回想録の中では、こういうようなそのときのことが書いてあります。

 ドイツのメルケル首相から、日本はロシアへの制裁をどうするのというふうに聞かれて、ロシアとは領土交渉を抱えているから制裁は無理だ、でも、力による現状変更への批判という形で文書をまとめればいいんじゃないか、そういうことを言ったというふうに言っているわけですね。つまり、北方領土の交渉のことがあるから非常に厳しい、G7にある厳しい捉え方をしていくのは日本としてちょっと難しいんだということを吐露しているとも言えるかもしれないというふうに感じております。

 そして、この二〇一四年の三月のクリミア半島の併合の後も、そこから世界的にはいろいろ制裁をかけていきますけれども、日本政府若しくは安倍元総理を含めた官邸は、ロシアに対しての、北方領土の交渉ということを念頭に置きながらだと思いますが、非常に寄り添った政策を取っていったかと思います。

 二〇一五年の九月には東方経済フォーラムというのが、ウラジオストクにおきます、ロシアによるダボス会議とも言われています。この毎年行われていくものに安倍総理も二回目から出席しているというふうに聞いていますし、また、二〇一六年の五月には安倍総理とプーチン大統領のソチ会談が行われているわけですが、このソチ会談において、双方受入れ可能な解決策の策定に向けて新たな発想をしようということで、日ロ経済協力プランの八項目を作ろう、官民八十件三千億円の投資をしていこう、そういう報道もございました。

 この辺り、二〇一六年の五月あたりからいろいろと、北方領土のことも含めて日ロの経済交渉が本格化していくというふうに見えるわけですが、ここで始まった日ロ経済協力プラン八項目というのは、これ、今も続いていることなんでしょうか。そして、この二〇一六年以降、一体どれだけの金額が投資されてきたのか、教えていただけますでしょうか。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問いただきました八項目の協力プランでございますけれども、八項目、医療、都市環境、中小企業、エネルギー、産業多様化・生産性向上、極東、先端技術、そして人的交流という八項目を挙げておりまして、こちらの各分野において、これまでの民間プロジェクトの件数としましては、二百件を超えるプロジェクトがつくられてきたところでございます。

 他方、ロシアによるウクライナ侵略に端を発するウクライナ情勢に鑑みましては、ロシアとの関係をこれまでどおりにしていくという状況にはないわけでございまして、これら八項目の協力プランについては、ロシア経済に資するような取組を行うということは想定しておりませんし、また、政府事業も基本的には見合わせているという状況でございます。

 御質問、もう一つございました、どれぐらいの金額をということなんでございますが、御質問の中にございました金額というのは、必ずしも実は実際の事業金額ということではなく、当時、クレジットラインとかいろいろなものを積み上げればそれぐらいになるのではないかというような報道がなされていたと思いますけれども、実際に、こちらの、先ほど申し上げた二百件を超えるプロジェクトというのは、首脳会談のときに、合意を企業間でしたりしたものを数を数えているものでございまして、実際に、そこから先、どのように事業を進めていくかということについては、それぞれの民間企業さんの方で、ビジネスベースで実際に投資をするかどうか、どれぐらいの投資をするかということを御判断されておりますので、実際に、そのプロジェクトについても多くが、金額が公表されていないものもございますし、ということで、政府として、その民間プロジェクトの金額を取りまとめて総額をということは、これはできないところでございますので、お答えを申し上げることは困難であることは御理解いただければと思います。

荒井委員 ありがとうございます。

 この経済協力において、八項目、医療や中小企業や都市とかエネルギーとか、八項目で日本企業を政府が後押しをして、投資をしていく、JBICがそれに対してお金を貸すみたいな、そういうスキームも経産省主導でしょうからあったように書いてありますけれども、例えば、北海道におきましては、帯広市に北斗病院という病院がありますが、そこの北斗病院が、ウラジオストクにリハビリセンターを造るということで、この一六年の後の二年後には、もう早速オープンをしているわけですね。見ると、十七人の方が働かれているというふうに書かれているわけですし、こういった、政府が後押しをすることによって、民間の、特に北海道は、やはりロシアとの経済というのは当然大事だというふうに思っていますから、政府から後押しを受ければ一生懸命頑張ったと思うわけですが、ところが、こうやって国際情勢が厳しくなると一気に潰れてなくなってしまう、若しくは撤退せざるを得なくなってくる。

 政府によって旗を掲げられたから、北海道民としては、若しくは日本国民として頑張っていこうというふうに思って投資したものの、その回収すら危うくなってくるということを経験しているということを、是非御理解いただきたいというふうに思うわけです。

 その上で、外務大臣にお伺いしたいわけですが、まさに地政学的に、面積の広いロシアの大統領からしてみたときに、東と西、南も当然国境はあるわけですが、大きく東と西で国境があって、そこにウクライナ、若しくは北方領土というものを抱えているという状態の中、プーチン大統領は、どのタイミングでクリミアの併合やウクライナへの戦争をしかけるか、当然これは本人じゃなきゃ分からないわけですが、仮に、二、三年前ぐらいから考えていきながら準備を進めていく、決断をできるかどうかはそれぞれの指導者によるでしょうが、二、三年かけて準備をしていくということを考えたときに、当然ながら、その全く反対にある北方領土、東側の、戦線というふうには、戦争をしているわけじゃありませんからあれですけれども、東側をどれだけ安定した状態にしておくのかというのは、恐らくその国のリーダーにとっては重要なことだろうというふうに思うんですね。両岸で大きな紛争状態になっていれば、当然、国防力も割かれるわけですから。

 ですので、ひょっとすると、このクリミアへの戦争若しくはウクライナへの戦争を考えたときに、当然、東側における日本との関係、若しくはその後ろにあるアメリカとの関係も含めて、どういうふうに安定化させるのかということは一つ大きな懸念であり、戦略的な考え方があったんじゃないかと思ったときに、安倍総理になられてから、様々な形で北方領土の交渉を、だしに取られたという言い方は大変僭越なのかもしれませんけれども、北方領土があるからといって、非常に日本との関係性が安定化したような形になっているのは、これは世界の情勢からしてみると、まさにだしに使われてしまったんじゃないかということを考え得るんじゃないかというふうに感じています。

 北海道の方にとっては、北海道の特に元島民の方からすると、安倍総理の交渉自体が、官邸の交渉自体がやはりだまされていたんじゃないかという、元々戻ってくることがないのに、さも戻ってくるような話しぶりから、お金も引き出されて、しかも政治的にも安定するような状態をつくられた中で、それは結局、そこで安定した状態をつくった上で、あくまでクリミアやウクライナへの戦争を念頭に置いていたんじゃないかという考えすらし得るんじゃないかというふうに思っていますが、安倍政権の時代も含めた、その間の日本の北方領土の外交交渉というものがどうあったのか、外務大臣としてのお考えを伺いたいと思います。

林国務大臣 昨年二月に開始されましたロシアによるウクライナ侵略の前の対ロ外交におきましては、インド太平洋地域の戦略環境が大きく変化しつつある中で、ロシアと安定的な関係を構築するということは、日本の国益のみならず、この地域の安定と発展にとっても重要という考えの下で取り組んでおったところでございます。

 具体的には、ロシアとは、平和条約締結問題を含む政治、経済、文化など幅広い分野で日ロ関係全体を国益に資するよう発展させるべく、領土問題を解決して平和条約を締結するという方針の下で、粘り強く平和条約交渉を進めていたところでございます。

 こうした過去の日本の対ロシア外交に問題があったというふうには考えておらないところでございます。また、ロシアによる侵略後の今の基準で、当時の我が国の対応について評価するということは、必ずしも適切ではないと考えております。

 ロシアのウクライナ侵略でございますが、やはり、プーチン大統領が、平和的解決に向けた各国からの働きかけ、これを聞き入れず、ウクライナの非軍事化、中立化といった、これはいずれも括弧つきでございますが、非常に一方的な要求、これを実現すべく武力行使に及んだというのが問題の本質であるというふうに考えておりまして、この事態の遠因といいますか、が我が国の対ロシア外交に求めるということは不適切であるというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、ロシアによるウクライナ侵略、これは国際秩序の根幹を揺るがす暴挙でございまして、G7を始めとする国際社会と連携しながら幅広く厳しい制裁を取るなど、引き続き毅然と対応してまいりたいと考えております。

荒井委員 ありがとうございます。

 日本とロシアの北方領土の交渉が遠因となりプーチン大統領が戦争行為をしたという、その遠因という話を僕はしたいわけではなくて、プーチン大統領側からしてみたら、この東側を安定させるために、若しくはウクライナへの戦争に特化するために、北方領土の交渉というものをまとめて聞くようなふりをされてきたのではないか、そこに当時の安倍総理を含め、もうその真意がはっきりすることはないのかもしれませんが、でも、日本の外交史の中で、そういったところに、一杯食わされてしまったんじゃないかということもあり得るのではないかということを僕としてはお伝えしたかったということになります。

 実は、二〇一六年、戻りますけれども、経済協力八項目をしているときには、本当に日本とロシアに関して、特に北海道と北方領土に関して、北方領土だけではなくて、日本側にもロシアの皆さんがたくさんいらっしゃる機会があって、非常に実は友好的なムードになったことは間違いないんですね。

 先ほど申し上げましたように、僕が校長をしていたときにも、二〇一六年の七月、ですから、この八項目の交渉が終わったすぐ後に、夏と秋にそれぞれサハリンから若者が、中学生がいらっしゃったり、サハリン州の副知事が学校に視察に来られて、子供たちと一緒に、生徒たちと一緒にいろいろ会話をする等々の、まさに民民の交流という言い方かどうかは分かりませんけれども、でも、実際、学校からしてみても、こうやってロシアの方と直接会うことは、学校現場、特に子供たち、生徒たちは、そんなにめったにあるわけではありませんし、最初はおっかなびっくりではありますけれども、実際会ってみて、一緒にいろいろな踊りを踊ったりとか、そういう交流をしてみると、決してロシアの人というのも遠い人ではないんだなということが分かってきて、非常にいいことだなというふうに当時は思いながら、このロシアとの関係若しくは北方領土との交渉に北海道の学校としても少しでもお役に立てるんだったら、そんな気持ちもあったということは是非御理解いただきたいです。

 そうやって挙げてやっていたものが、例えば二〇二〇年には領土の割譲を禁止する法律がロシアで突然決まって、そしてその二年後には、御承知のようなウクライナへの全面の侵攻が始まるみたいな形で、まさに北海道の僕たちからしてみたら、いろいろな気持ちが、協力したい若しくは北方領土の返還に少しでも役に立ったらと思って、いろいろな気持ちで進めていたことが、やはり日本政府、ロシア政府との国家間の争い事というか、うまくいかないことに大変左右されてしまったんじゃないかということが大変残念だという気持ちがございます。

 現在はこの状態ですから、当然、ロシアに行く若しくはロシアから人が来るということは大変難しい状況に今なっているわけですが、ただ、是非、外務大臣は、当時文部科学大臣もお務めだったというふうに思いますので、こういった青少年の交流というものは、これは国家間がどれだけ難しい状況にあっても、青少年若しくは若者の交流というのが、やはり次の未来を切り開くという意味では大変重要なものなんじゃないかということを僕は思っていますし、そういう努力を、これは政府が難しければ、NGOであったり民間団体に任せる等の大人の解決法もあるんじゃないかと思います。

 このまま、当然、西側で起きているこういった戦闘行為が東側で全くないとは、冒頭に伺ったように、軍事演習等も、大きな軍事演習が行われているわけですから、そういった危険性というのはあるものの、やはり若者同士の交流というのはついえさせない方がいいというふうに思っていますし、そういったサポートを外務省としてもやるべきじゃないかというふうに思っていますが、大臣、お考えを教えてください。

林国務大臣 ロシアによるウクライナ侵略を受けまして、当面の間、政府レベルでの日ロ間の文化、人的交流については基本的に見送ることとしております。

 他方で、今委員からも御示唆がありましたが、ロシアの市民社会との接点、これを維持して、ロシアの市民に国際的な視点を持つ機会、これを提供することは重要であると考えておりまして、これは我々のみならず、多くのG7諸国も同様の考えを持っております。こうした観点から、例えば、以下のような事業を政府として引き続き実施をしております。

 ロシアに対する制裁との関係で問題がないと判断される研究分野等において、知日派、親日派育成の観点から、ロシアから我が国の国費留学生やフェローを受け入れております。また、日本語教師によるオンライン授業、それから、ロシアにおける日本語講座、こうしたものを通じまして、日本に関心を有するロシアの一般市民に対する日本語教育、こういうものも実施しております。

 また、お触れになっていただきましたように、民間レベルでの交流、これもまた重要な意義を有しておりますので、そうした交流を止めるような措置は取っておらないところでございます。

荒井委員 ありがとうございます。

 そういった様々な、外務省としてやれること、若しくは文科省やほかの省庁や、ほかの分野でもやれることはいっぱいあるんだというふうに思いますので、是非、国、政府を挙げて、そういったルートを絶やさない努力をしていただきたいというふうに思います。

 ちなみに、僕の地元には札幌大学という私立大学がありますが、ここは元々ロシア語学科が大変有名で、ロシアとのまさにつなぐ人材育成というのをずっと頑張ってきた大学の一つとして道内でも有名だったんですが、今回のウクライナの侵攻も、それが原因でというふうな話は言ってはいませんが、今回、募集を停止するという形になってしまいました。

 ただ、今回質問するに当たって少し学校側に問い合わせたところ、別に学科をなくしただけでしかなくて、コースとしては、つまりロシア語を学ぶ機会は残されていて、毎年数名はロシア語を学びたいという形で全国からも来る子がいるんだということでもあります。

 ちなみに、こういった大学のロシア語コースを卒業した人たちはどういったところに就職しているかと聞けば、北海道の例えば市町村の役場とかに就職をされて、やはり対ロシアの、きっとオホーツクとか、そういった地域の役場でロシアに対する対応をされる、そういった仕事として活躍している卒業生が多いというふうには伺っております。

 隣国でもありますので、その語学や文化を学ぶという若者をやはり日本からも育成し続けていくということは、これはどんなに、何度も申し上げますが、国家間の争い事があっても大変必要なことだというふうに思っておりますので、是非、こういうコースが存在していることも、またそういったことが大変大切だということも、どうぞ元文部科学大臣としても御理解いただきたいというふうに思っております。

 それともう一つ、その上で、つい本当に数日前ですけれども、これまで北方領土の墓参等をずっと頑張られてきていた千島歯舞諸島居住者連盟、いわゆる千島連盟の団体そのものが、今回、ロシアの最高検察庁から望ましくない団体という形で定義をされて、活動がロシア国内で停止するという形になってしまいました。

 十二月に、北方墓参の早期再開に関する緊急要請書ということで政府にも要請書を上げたという形で聞いておりますが、是非これは外務省としても、元島民の方々、御承知のように、本当にもう高齢で、墓参ができる機会というのはどんどん少なくなってきておりますし、こういう事態ではありますけれども、是非ここは政府も交渉していただいて、こういった連盟の皆さんの活動を支えていただけるように御尽力いただきたいというふうに思いますが、大臣、少しお声をいただければと思います。

林国務大臣 今お触れになっていただきましたように、ロシアの最高検察庁が、四月二十一日ですが、千島歯舞諸島居住者連盟を望ましくない外国NGO団体に指定をするということがございました。このロシア側の主張は極めて一方的なものでありまして、元島民の方々、その御家族、関係者、皆様のお気持ちを傷つけるものであります。

 四月二十四日に、外交ルートを通じて、ロシア側に対してはこれらを申し入れて、今般の発表を受け入れられないと抗議をいたしたところでございます。

 いずれにいたしましても、北方墓参を始めとする四島交流等事業の再開、これは今後の日ロ関係の中でも最優先事項の一つであると申し上げてきております。こうした事業が一日も早く再開できるような状況となるということを強く期待しておりまして、相互の大使館等を通じて外交上のやり取りを行っているところでございます。

 特に北方墓参に重点を置いて、引き続き適切に対応してまいりたいと考えております。

荒井委員 どうもありがとうございました。

 どうぞ、頑張っていただきたいと思います。一生懸命、僕もやりたいと思います。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

松木委員長 荒井さん、御苦労さまでした。

 次に、杉本和巳さん。

杉本委員 日本維新の会の杉本であります。

 ちょっと、実は通告していないんですが、委員長にまず質問をしたいと思います。

 今、北方領土の話がございました。それで、私はロシアから入国禁止措置を受けております。それで、何でかなという理由は、沖縄北方委員会の理事であるというくくりだけで、私は北方領土に二度ほど行かせていただいていますし、私はロシアとは友好的にしてきたつもりなんですけれども、何か、一部の方を除いて、すぱっと一律に入国禁止みたいにされてしまいまして、そんなこともあって、私は今こういうポケットチーフをしていたりするわけでございますけれども。

 委員長は入国禁止措置を受けておられるかどうか、ちょっと、御答弁というか、教えていただければうれしいのですけれども。

松木委員長 はい、もちろん受けていますよ。

杉本委員 ああ、そうですか。ちょっと勘違いで、前委員長のときと、前委員長と一緒にさせていただいた理事が入国できないということだったかなという認識を持っていたもので、では、今の方々も大方は入国できないという措置を受けていると。

松木委員長 そうだと思いますね。

杉本委員 はい。そういう認識の下で今日も質疑に立たせていただきます。

 それで、私は与党時代が、ちょっと松木委員長とも一緒にありまして、今は違う党なんですけれども、当時、私は文部科学委員会で「蛍の光」四番というのを、当時、万葉集を節つきで歌う当選同期の方が野党側、自民党側にいらっしゃったんですけれども、私は当時、節つきで「蛍の光」四番を文部科学委員会で歌いました。今日は少し成長したので節はつけないことにしますが、本当にいい詩なんですよね。

 ただ、戦後、ほとんど歌われなくなったということで、ちょっと長くなるんですけれども、当時、文部科学大臣に就任される前の下村博文衆議院議員だとかからも、その歌を披露した後、委員会が終わりまして、ちょっと、ちょっと、杉本君、こっち来てよ、ちょっとそれ、俺、知らぬからその詩を教えてというふうに言っていただいたことを記憶にあるんですけれども、そんなことで、ちょっと、まさしく沖縄北方委員会にふさわしい詩だと私は思っていますので、多くの方は御存じでしょうし、自民党ですと、有村治子さんが結構部会とかで披露しているんじゃないかと思うんですけれども、御存じですかね。

 では、詩を読みます。

  千島のおくも、沖縄も、

  八洲のうちの、守りなり。

  至らんくにに、いさおしく。

  つとめよ わがせ、つつがなく。

こういう立派な、本当に日本の領土、領海、領空を守っていこうというようなことを共有するような、こういういい詩があるんですけれども。

 今、この「蛍の光」四番は、今日質問で来ていただいている海上保安庁の、私が与那国あるいは石垣を国交委員会で視察させていただいたときに一緒に行っていただいた、あるいは現地で合流させていただいた海上保安庁の第四十三代生え抜き長官、佐藤雄二長官からも、実は、杉本さん、御存じないかもしれないけれども、海上保安庁では、この四番という歌と詩というかは全員歌えます、御存じないでしょう、そのことを知っておいてくださいみたいなことを言っていただいて、海上保安庁の思いというか、そこをある意味で再認識、共有させていただいたことを皆様にお伝えしたいなというふうに思っています。

 その上で、海保は第一管区から第十一管区まであるんですが、沖縄北方について言うと、殊に第一管区さんと第十一管区さんがいろいろ活動してくださっていて、私も、申し上げた北方領土に行ったときに、帰りです、北方領土の専用船で帰ってくるときに、第一管区の船が迎えに来てくれているんですね。もう涙が出ますね、本当に。

 そういうようなことの中で、直近では知床の遊覧船の事故が、第一管区においては一年余り前にありまして、今も行方不明者がいて、お父さんが悩んでいらっしゃるというようなニュースも見たりしています。捜索は続いているやに聞いておりますけれども、この件も含めまして、第一管区の海上保安本部、現行の活動状況を分かりやすく御説明いただければありがたく存じます。

 政府参考人に伺います。

渡邉政府参考人 お答えいたします。

 現状の第一管区の代表的な取組といたしまして、昨年四月二十三日に発生いたしました知床遊覧船事故への対応がございます。

 海上保安庁では、事故発生以来、巡視船艇、航空機による捜索に加え、北海道警察や斜里町などの関係機関等と連携し、潜水士等による海岸部の捜索を実施してきたところです。

 事故発生から一年が経過しましたが、依然として行方不明となっている方がおられることから、捜索の継続を望む御家族の御意向も踏まえ、巡視船艇、航空機による捜索に加え、今月二十二日に再開をいたしました潜水士等による海岸部の捜索についても継続してまいります。

 知床遊覧船事故を受け、海上保安庁では、北海道東部海域における救助、救急体制の強化を図るため、四月に釧路航空基地に機動救難士を新たに配置し、機動救難士等が航空機に同乗し、出動から約一時間以内に到達できない状況を解消をいたしました。また、今年度中には、釧路航空基地へのヘリコプターの増強や、オホーツク海域に面する部署への大型巡視船の配備を行い、救助、救急体制の更なる強化を図ることとしております。

 これらの取組により、更に迅速な人命救助を可能とする体制を構築し、今後の海難救助に万全を期してまいります。

杉本委員 ありがとうございます。

 北の方の状況というのは分かりました。ありがとうございます。

 次に、今度は第十一管区ですね。これも申し上げた、与那国だとか石垣だとか視察させていただいたときの記憶が新しいのですけれども、そのとき以上に、尖閣の我が国領海に対して、あるいは領空もあるかもしれませんけれども、中国の船舶の侵入というのが頻繁に起き、それが毎日のようになっていると私は懸念をしておりますけれども、現在の第十一管区海上保安本部の活動状況と、対中国の船等に対する出動状況なども併せて教えていただければと思います。

渡邉政府参考人 現状の第十一管区の代表的な取組といたしまして、尖閣諸島周辺海域における領海警備業務がございます。

 尖閣諸島周辺の接続水域においては、ほぼ毎日、中国海警局に所属する船舶による活動が確認され、領海侵入も相次いでいます。

 これに対し、海上保安庁では、常に尖閣諸島周辺海域に巡視船を配備して領海警備に当たっており、中国海警局に所属する船舶への対応については、相手勢力を上回る巡視船で対応するなど、万全の領海警備体制を確保しているところです。

 このような中、我が国周辺海域をめぐる情勢が一層厳しさを増していることから、新たな国家安全保障戦略等の作成に合わせて、昨年十二月に、海上保安能力強化に関する方針が決定され、これに基づき、大型巡視船等の大幅な増強などを行うこととしております。

 引き続き、海上保安庁では、我が国の領土、領海を断固として守り抜くという方針の下、海上保安能力を一層強化し、領海警備に万全を期してまいります。

杉本委員 御答弁ありがとうございます。

 海上保安庁、海猿じゃないですけれども、要員の確保とか、是非、これは政府ですけれども、政府は予算を通すのに国会を通じて、国会で審議があってということなのですが、要望等いろいろあると思うんですが、お立場上はこの質疑では言いにくいと思います。

 いろいろな機会を通じ、海上保安庁さんも、要員の確保あるいは体制整備、あるいは、今我々は、実は、日本維新の会は、国民民主党とともに、いわゆる海上保安庁法と自衛隊法を一部改めて、もっと連携強化していただくというような目的の法案を前の国会から出したりしているというようなこともありますので、是非とも、要望は遠慮なく、いろいろな党にも言っていただきたいし、政府にも強く働きかけていただいて、本当に、第一管区、第十一管区に限らず、それが最も今大変だと思いますけれども、御活動の役に立つように、いろいろな要望をいろいろなところでしていただきたいということはお願いしておきたいと思います。

 以上で海保さんに伺う質問は終わりました。

 次に、沖縄の与那国の島というのも、申し上げたとおり訪問したことがあるわけですが、私の記憶ですと、すごい、地元の馬が非常に印象に、すてきな馬が島にいて、あとは、当時は、私が行ったときは、まだ自衛隊が駐屯していないような状況のときでございまして、信号機が一つだか二つしかないというような、その信号機は子供たちが信号を渡る練習をするための信号機であって、実際に必要な信号機ではないというような、二〇一三年ですね、それはさっき言った佐藤長官が就任直後ぐらいのタイミングだったと思いますけれども。

 自衛隊駐屯が二〇一六年ですから、二〇一五年から今日に至るまで、いろいろな変化が与那国島では起きている。人口が、自衛隊さんが入って増えているとかいうことだと思いますし、やはり消費額も増えているとか、そういう変化が起きているのかなという思いであります。

 そういった意味で、人口の変化だとか経済的な変化について伺っておきたいのですけれども、政府参考人に伺いますが、念のため、調べれば分かる話ではあるんですが、是非、委員会ではっきり確認しておきたいので、与那国島の人口の推移、我が国最西端の島の人口の推移を、二〇一五年から直近まで、分かる数字を教えていただきたいと思います。

三橋政府参考人 お答えいたします。

 総務省では、各年一月一日現在の住民票に記載されている方の数につきまして取りまとめ、毎年、住民基本台帳人口として公表しております。

 お尋ねのありました二〇一五年から直近の二〇二二年までの与那国町の住民基本台帳人口を順に申し上げますと、二〇一五年は千四百九十七人、二〇一六年は千四百九十人、二〇一七年は千七百四人、二〇一八年は千七百九人、二〇一九年は千七百十六人、二〇二〇年は千七百十六人、二〇二一年は千六百九十七人、二〇二二年は千六百九十三人でございます。

杉本委員 自衛隊の駐屯によって増えたというのは分かりましたけれども、また直近少し減りぎみなのは残念だなというふうに今伺っておりました。

 次に、ちょっと漁業関係の与那国の環境について確認をしておきたいと思うんです。

 台湾海峡を挟んでの緊張が高まる中で、台湾による射撃訓練が、軍事演習が行われているようでございまして、台湾の東側の漁場というのですかね、この地域ではアカマチと言われる、ハマダイの一種なのか分からないですが、これを主な対象とする漁業が行われるということのようでございますけれども、先島諸島の地元漁師さん方宛てに、時々、水産庁が注意を呼びかける漁業安全情報メールというのが発出されていると聞いております。

 直近三年間、その注意喚起のメール等の発出数等を確認したいのですが、政府参考人、御答弁お願いします。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 台湾による軍事演習に対しまして水産庁が漁業者への注意喚起のために発出した漁業安全情報の件数は、令和二年度が二十六件、令和三年度が三十三件、令和四年度が二十二件となってございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 直近は多分増えているんじゃないかと思いますが、今伺った数字は、ちょっとへこんだ感じで聞いております。

 やはり台湾海峡を挟んだ緊張というのは高まっていると思いますので、これは仕方がないことでもありますけれども、地元漁業者等への注意喚起というのは引き続ききちっとしていただきたいし、逆に、安全操業できるようなタイミングでは大いに漁業をしていただくというふうに情報発信をしていただきたいと思っております。

 次に、与那国島の経済産業振興状況ということで、これは、自衛隊が配備されたから産業振興になったとか、そういうことを聞きたいのじゃなくて、実質的に、やはり離島振興というのを、大臣、先ほど答弁が別の方に対してあったと思いますが、この与那国島を始めとして、各離島、南大東、北大東が東側にありますけれども、そういった島々も含めて、やはり離島の振興というのはとても大事だと思っていますが、安全保障上も大変よく注視しなきゃいけないこの与那国島について、経済的な数値の推移が分かれば開示を、これも政府参考人さんにお答えいただければと思います。

水野政府参考人 お答え申し上げます。

 陸上自衛隊与那国駐屯地、平成二十八年、二〇一六年三月に開設されたと承知してございまして、その前後の一人当たりの町民所得ということで、これは沖縄県が公表している最新の令和元年度沖縄県市町村民所得というところの数値を御紹介いたしますと、開設前の平成二十六年度は、与那国町の一人当たりの町民所得は約二百六十八万円でありましたところ、開設後の令和元年度は約四百二十二万円となっているということで、差引きしますと約百五十四万円増加しているというところでございます。

杉本委員 ありがとうございます。参考数値を拾っていただいて、大臣も今メモをしてくださっていたかもしれないんですけれども。

 自衛隊の駐屯というような特別なことがあったりもされていますが、是非、離島の経済振興、航空機の補助とかいろいろあるようですけれども、船舶の、フェリーじゃないですけれども、船の移動とかもサポートが要るような気もいたします。

 大臣に、先ほどの答弁と変わらない可能性もありますけれども、もし、この離島振興について、ちょっと大臣に何も質問できていないので、ひとつ答弁いただければありがたく存じます。

岡田国務大臣 ありがとうございます。

 沖縄の離島地域は、我が国の領海や排他的経済水域、EEZの保全など多くの重要な役割を担っております。その一方で、離島特有の様々な条件不利性を抱えていて、昨年の沖縄振興特別措置法の改正でも、離島の振興に関する努力義務を新設したところであります。

 こうした規定も踏まえて、内閣府においては、離島の振興に向けた幅広い取組を行い、委員御指摘の与那国島についても、これまで、一括交付金を活用して、住民の交通コストの負担軽減、あるいは、小中学生向けの町営塾を開設することによる家庭学習の支援、それから、本島と与那国島を結ぶ海底光ケーブルの整備による情報通信基盤の構築など、様々な事業を行ってきたところであります。

 引き続き、この与那国にとどまらず、離島地域において、住民の方々が安心、安全に生活できるよう、不利性の解消等に向けた取組をしっかりと支援をし、地域の持続可能性の維持向上に力を尽くしてまいりたいと存じます。

杉本委員 ほとんど時間となっていますので、防衛省さん、ちょっとお呼び立てして恐縮だったんですけれども、与那国、石垣にはPAC3の展開というのも、浜田防衛大臣が二十五日に記者会見で発出方向というようなニュースも聞いておりますので。

 今日は辺野古のことも聞こうと思ったんですが、もう時間がなくなりましたのですが、普天間の安全性確保というか危険除去という意味からも、辺野古の問題、まだいろいろあると思いますけれども、いろいろな問題を乗り越えて、是非、普天間問題解決に向けて、辺野古の推進も、いろいろな問題をクリアしながら頑張っていただきたいと申し上げて、質問を終わります。

 以上です。

松木委員長 杉本さん、どうも御苦労さまでした。

 次に、守島正さん。

守島委員 日本維新の会、守島です。

 早速質問に入ります。

 まず、北方領土に関してですが、昨年秋の予算委員会でも、私、林大臣にウクライナ支援に関する質問をさせていただいたんですが、その後、日本を訪れていたウクライナ国会議員団と対談とか交流を続けるとともに、日本維新の会も、独自支援として、我々国会議員の身を切る改革で積み立てた資金を充てて、昨年はUNHCRを通じた一千万円の寄附をし、今年は、ピックアップトラックを二十台ほど、約一・五億円相当を贈るという支援を行ってきました。

 こうしたウクライナに対する支援は、もちろん、ロシアによるウクライナ侵攻や領土の併合を非難し、困難にあるウクライナをサポートするという意味合いが強いんですけれども、同時に、ロシアによる領土の不法占拠に苦しむ国同士が連携して領土問題を解決していくという道筋をつくる意味でも重要であると考えています。

 なので、私、ウクライナ議員団とは国内外で二度対談しましたが、その都度、昨年のウクライナ最高会議において北方領土はロシアによって占領された日本の領土だと確認する決議が採択されたことに関してお礼を伝えてきましたし、今後も協調していこうという話をさせていただきました。

 こうした状況下、昨年秋も、総理に直接予算委員会で質問した際に、日ロの平和条約締結に向けた基本方針は維持されるというふうに確認をしておりますし、昨日の両大臣の所信からもあったように、外交方針の変更は今のところないというふうな理解はしておりますが、しかしながら、今回の戦争が始まって以降、ロシア外務省が、ロシアには現状において日本との平和条約に関する交渉を継続する意思はないという声明を出すなど、今の外交プロセスは暗礁に乗り上げているんじゃないかというふうに思われます。

 とはいえ、これまで積み上げてきたこの道筋を遡って否定する気はないんですが、昨年の訪日ウクライナ議員団で団長を務めたハリーナ・ミハイリュク氏も、今年の産経新聞のインタビューで、ロシアによる領土の不法占拠に苦しむのはウクライナだけではない、同様の苦しみを抱える国々が力を合わせて領土の回復を目指すべきだ、ウクライナは戦時下のため武器を用いて領土の奪還を目指しているが、他の国々は政治的手段により実現を目指すべきだとの旨を語りました。

 こうした世界の情勢を踏まえれば、各国の連携を強化し、国際世論の形成を行って、政治的に北方領土返還を進めていく道もあると考えますが、このようなウクライナ国会の採決などを受けて、政府として北方領土問題解決に向けた取組をしたことがあれば教えてください。

中込政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員の方から御指摘ございましたけれども、ウクライナにつきましては、昨年十月、北方領土問題に関する日本の立場を支持するウクライナ最高会議の決議の採択、それから、それに加えましてウクライナ大統領令の発表がされておりまして、日本の立場について、ウクライナを含め多くの国々から理解、支持が得られることは有意義だというふうに考えております。

 その上で、北方領土問題に関する政府の立場でございますけれども、ロシアによるウクライナ侵略によって日ロ関係は厳しい状況にありますけれども、政府としては、領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持していく考えに変わりはございません。

 同時に、北方領土問題につきまして、これまでの日ロ間の交渉の経緯、我が国の立場を対外的に広く広報し、諸外国の理解を促すことも重要と考えているところでございまして、これまでも、北方領土問題に関する英文のパンフレット、ホームページ作成、これを活用した広報等を行ってきておりますけれども、引き続きこうした努力を続けていきたいというふうに考えているところでございます。

守島委員 これまでの外交方針で、日ロの平和条約に向けて、相手の気持ちを察しながら続けてきた積み上げとかプロセスを否定する気はさらさらないんですが、しかし今、世界の状況が変わってきているという中で、今後、外交方針の変更とか他国との連携という面では今余り回答がなかったように思うんですが、そういったことは一切考えていないのか、林大臣に見解を聞かせていただきたいと思います。

林国務大臣 ロシアによるウクライナ侵略は国際秩序の根幹を揺るがす暴挙でありまして、引き続き、強い制裁を含めて、毅然と対応してまいります。

 その上で、今お触れになっていただいた北方領土問題ですが、日ロ間の最大の懸案であります。ロシアによるウクライナ侵略によって厳しい状況にある日ロ関係ですが、先ほど事務方からも答弁いたしましたように、交渉を通じて北方領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針、これを堅持する考えには変わりはないわけでございます。

 同時に、これまでの日ロ間の交渉の経緯、それから我が国の立場、これを、先ほど政府参考人から答弁したように、対外的に広く広報して諸外国の理解を促すということは、先ほど委員がおっしゃったように、一緒になって声を上げていく、そういうことも含めて理解を促していくということは大変重要だと考えておりまして、そうした努力も続けていきたいと考えております。

守島委員 大臣、ありがとうございます。

 ルートとして両方のルートがあると思いますし、そうした、各国でロシアとの領土問題を解決しようという国際的な潮流があるのであれば、そこに対してもしっかりコミットしていくことも重要だというふうに思っていますので、大臣、よろしくお願いします。

 現在、八割以上のウクライナ国民が戦闘の継続というのを支持しているという世論調査もあるように、領土奪還ないままに停戦の協議が進むことは考えにくく、ロシアによる領土占有がある以上は、この戦争は長引くんじゃないかということが想定されます。

 長い期間、北方領土に対する動きがなければ、それこそ国内の機運すら下がりかねませんので、この領土をめぐる国際的な紛争が起きている今こそ、不当占拠を受けている当事国として行動する必要があるということを申し上げます。

 次に、沖縄に関しての質問に移ります。

 沖縄経済に関しては、近年のコロナウイルス蔓延の影響を除いては、沖縄独自の社会資本整備とか振興策などの支援により、日本復帰後、全国平均を上回る成長を続けてきており、その点は一定評価されるべきと思っていますが、産業構造的には、復帰以降、域内総生産における製造業の構成比が下がって、観光業などを含む第三次産業の比重が大幅に増加しています。

 コロナが一定収まってきた中で、観光需要の回復なども見込めていますし、沖縄県が策定した新・沖縄二十一世紀ビジョン基本計画においても、観光・リゾート産業は、沖縄の成長を促進するリーディング産業というふうに位置づけられています。

 しかし、沖縄振興に関する基本的な事項や予算を含めると、あらゆる産業や事業に網羅的な支援が示されているんじゃないかなというふうに感じていまして、このことは大事なんですが、沖縄の自立的な成長を促すという視点で考えると、のべつ幕ない産業の支援というよりかは、こうした強みを生かすことというのが重要だというふうに思っているんですが、参考人はどう考えるでしょうか。

水野政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、観光業は、沖縄におけるリーディング産業ということで、今後の沖縄の発展にとって非常に重要な産業であるということは言うまでもございません。

 そうした観点から、内閣府におきましては、昨年五月に策定いたしました「強い沖縄経済」実現ビジョンにおきまして、特に強化すべき重点分野の一つとして観光・リゾートを指定してございます。これに基づいて、県、市町村、経済界等と協調しながら、各種の取組支援を実施しているところでございます。

 具体的には、令和五年度予算におきまして、沖縄の自然、歴史、文化などを生かした長期滞在型の新たな観光サービスや、企業、地域の課題解決に貢献する活動を伴うワーケーションの開発支援や、デジタル技術を活用した高付加価値の観光コンテンツの作成など、新型コロナウイルスなどの外部環境の変化に強い観光業の構築などに向け、各種の施策を盛り込んでいるところでございます。

 また、これまでも、一括交付金による体験型観光商品の開発や、例えばリゾートウェディングの推進等に対する支援も行っているところでございますし、また、推進費を活用して、音楽専用野外劇場等の整備なども宜野湾市で行っているところでございます。こうしたことを通じて、沖縄の観光振興に取り組んできたところでございます。

 内閣府といたしましては、引き続き、県経済を取り巻く社会環境をよく注視し、地元からの御相談等にも丁寧に応じながら、観光の再興に向けて必要な施策を推進してまいりたい、かように考えてございます。

守島委員 是非お願いします。

 やはり、投資というと対効果が高いところに重点的にやるというのが、自立性もそうですし、国のためにも、成長にもつながるというふうに思っているので、戦略的にやっていってほしいなというふうに思っています。

 沖縄は、観光戦略の一環としてMICEの誘致とか大型MICE施設の整備に力を入れていますし、先ほどの質疑でもあったように、那覇港の新港埠頭に、世界最大級の二十二万トン級クルーズ船に対応するための岸壁整備が行われていまして、本年から供用開始されたというふうに聞いています。

 こういうハードの整備状況を踏まえると、沖縄の観光ポテンシャルはかなり高いと思うんですが、よりポテンシャルを生かすために、極論を言うかもしれないですけれども、僕は、沖縄こそ、先日、大阪が認定第一号になった、IR、統合型リゾートを誘致するに適した土地だというふうに考えています。

 もちろん、IRは地元から手が挙がらないことには政府が区域認定をすることはありませんが、当初より三か所までIRの設置が認められるとされてきた中で、第一期の申請期限は終わったものの、これから自治体の要請次第では第二期の動きがあるかもしれません、まだ大阪しか決まっていないので。

 沖縄へのIR誘致は翁長知事以降止まっているのは理解しているんですが、大臣、政治家として、IRが沖縄に来れば、それは沖縄の成長に資する有益なものになると考えますか。岡田大臣、お願いします。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 お尋ねのIR、特定複合観光施設についてでありますが、これはやはり、国土交通省の所管でありまして、私から、その効果とか、もし来たらというお答えは控えさせていただきたいと思います。

 その上で申し上げれば、沖縄における特定複合観光施設の整備については、やはり、沖縄県内で賛否両論があってきたという経緯もあり、沖縄県からも、先ほど御指摘がありました、国交大臣への区域整備計画の認定申請はなされていないと承知をしております。

 内閣府としては、まずは沖縄の地元における御議論というものを注意深く見守ってまいりたいと考えております。

守島委員 大臣、答えにくい質問をして申し訳ありません。

 十分、IR誘致ということ自体、賛否があるというのは、僕ら大阪の人間だからこそ非常に分かっているものであると思いますし、自発的にそうした選択肢を地域で決めていかないといけないというふうなことは分かってはいるんですが、やはり、沖縄という観光ポテンシャルを考えると、成長につながる選択肢だと僕自身は思っているんですね。

 沖縄振興予算とかで独自支援を行うのは重要なんですけれども、自立的な発展に資するかという点において、やはり投資対効果が高いものに投資していくべきだと僕自身は思っています。沖縄が成長して、そして自立するという道筋を政府としても考えていただきたく、その一例として、今回、ちょっと極論ではありますが、IR、どうだという話をさせていただきました。

 次に、沖縄振興開発金融公庫に関して質問をしたいと思います。

 二〇〇六年の行革推進法において、平成二十四年度以降に日本政策金融公庫へ統合される方針が決まったものの、現在は、その統合時期が二〇三二年度以降になり、実に二十年に及び期間延長がなされております。

 この件に関して、期間延長がなされた理由と、当時、統合効果をどのように見積もっていたのかを教えてください。

七條政府参考人 お答えいたします。

 当初の統合効果の見通しにつきまして御答弁申し上げます。

 沖縄振興開発金融公庫につきましては、行政改革推進法におきまして、沖縄振興特別措置法が定める沖縄振興基本方針の期間、現在は令和十四年三月末まででございますが、これが経過した後、日本政策金融公庫に統合するとされているところでございます。

 平成十八年の行政改革推進法制定時に見込まれておりました統合効果といたしましては、管理部門などの共通する業務の一元化等による役職員数の縮減や経費の節減、各政策金融機関のノウハウの共有などにより、リスク管理等の共通課題について連携した取組が行われるようになるとともに、経営コンサルティングなどについて従来の垣根を越えた幅広いサービスの提供が行われるなどの効果が想定されていたところでございます。

望月政府参考人 私の方からは、延長された理由の方、こちらの方を御答弁を申し上げます。

 今議員御指摘のとおり、当初は平成二十四年度以降の統合ということになったわけですが、それが二回にわたって延長をされてきております。それぞれ平成二十三年度末と令和三年度末ということでの二回の延長でございます。

 これは、沖縄振興法の期限が、十年延長する際に、併せまして、沖縄公庫につきまして、政策金融そのものの機能が、沖縄振興法に規定する税制上若しくは財政上の支援措置、これと沖縄振興においては車の両輪の関係にあるんだということが評価をされまして、相まって、一体として沖縄振興へ貢献している、そういったことが、我々の整理ということとともに、県の各方面から、やはり同じように、単独での組織として存続を求めるという声が非常に多かったということでございます。

 そういったことを踏まえまして、いずれの期限到来時におきましても、行革推進法のその期限を改正する形で、日本公庫への統合期限を振興法の期限に合わせて十年ずつ延長したというものでございます。

守島委員 地元の要請で単独組織として残すことが決まったという理由は理解しましたが、やはり、統合効果としてサービスの拡充も含めて念頭に置かれていたということも踏まえて、具体的な額は、統合効果は今は出てこなかったですが、統合効果がある前提で法改正したのであれば、実現に至っていないということは、機会損失というか、サンクコストを生んでいるんじゃないかなとも言えます。たとえ同じ組織にしても、沖縄ならではの制度融資を加えることというのは十分にできますし、独自融資は可能だというふうに思っています。

 ちなみに、今日、皆さんに配付資料を配っているんですけれども、公庫への予算として、本年も、補給金が約二十四億、出資金として二億出されていますが、これまでの累計の額を今配付させていただいております。補給金で約二千九百億円、資本として約千五百五十億円というかなりの財源を投入しているんですが、日本政策金融公庫は株式会社なので複式簿記を基に長期的な経営がなされているんですが、沖縄公庫はこのように単式簿記で単年度予算経営がされているので、基本的に、この補給金というのは単年度における赤字見合いで出されているものと考えていただければ近いというふうに思っているんですが、この補給金と出資金を合わせると実に四千五百億円近い膨大な財源が沖縄公庫に充てられてきました。

 沖縄公庫には、先ほど答弁にあったように、沖縄独自のニーズもあるので今の経営形態が維持されていることが分かるんですけれども、経営効率的な視点でいうと株式会社の方が合理的であるのは言わずもがなですし、ここまで政府の税投入が行われている現状、無策でいいわけはないというふうに思っています。よって、法律上、二〇三二年度以降の統合が示されているのであれば、今、議論をペンディングさせずに、将来の在り方を含めてしっかりと、結論を先延ばしせずに詰めてほしいというふうに思っています。

 これは自治体の公営企業とかでも同じなんですが、赤字の補填も含めて単年度の予算が承認されることが良とされる経営形態においては、長期経営という概念がちょっと希薄化しやすく、結果として改革が遅れて、そしてその責任は誰も取らないということが往々にしてあります。

 僕自身も、大阪市議を十年以上務める中で、多くの経営形態の変更に関わってきましたので、改革が進まない数ある原因というのは重々理解しています。しかし、今を生きる政治家として未来への責任を果たしていくべきだと考えますし、二〇三二年という目標があるのであれば、それ以降という議論に終始せずに、二〇三二年度を目指して、沖縄公庫がどうあるべきか今から議論し、具体的な動きを加速していくべきだと思いますが、どう考えるでしょうか。大臣、お願いします。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘の沖縄公庫における将来でありますけれども、具体的な組織改革、ガバナンス改革等は必要であるともちろん考えておりまして、その方針については、昨年の法改正で統合期限が十年延長されて間もないということもあり、現時点では明確に定まっておりませんけれども、沖縄公庫においては、日本公庫への統合に向けてこれまでも様々な取組を進めてまいりました。

 具体的には、業務体制の効率化に向けた窓口の一元化や庶務業務の廃止、統合、また、日本公庫との人事交流、日本公庫が行う研修への参加、また、リスク管理や業務効率化などの業務運営全般に関する情報交換会の開催、こうした取組を進めてきたところであります。

 内閣府としては、こうした沖縄公庫の取組を引き続きしっかりと支援してまいりたいと存じます。

守島委員 時間が来たので終わりますが、残余の質問はまたの機会にさせていただきたいと思います。

 二〇三二年に向けてやはりロードマップを作っていかないと、また期限が来て、再延長で議論が棚上げということにならないことを期待しているので、統合がありきじゃなかったとしても、どういうふうな道筋を進んでいくのかというのは、大臣、しっかり示していただきたいというふうに思います。

 以上です。ありがとうございました。

松木委員長 守島さん、お疲れさまでした。

 それでは次に、長友慎治さん。

長友委員 国民民主党の長友慎治です。

 昨年の夏に、この沖縄北方問題に関する特別委員会の沖縄の視察がございました。その際、石垣島にも伺いまして、開設前の、まだ工事している最中の、建設途中の陸上自衛隊石垣駐屯地も視察をしました。そのときに一緒に行った委員の先生方もこの場にいらっしゃいますけれども、その視察をさせていただいた際、現地に、自衛隊の駐屯地入口、地元の住民の方が、抗議される方々もいたということを覚えています。

 その石垣駐屯地、三月十六日に開設をされました。我が党としては、抜本的な防衛力の強化、賛成でございますので、当然必要だとは思ってはいます。しかし、その開設の意義や目的を地元住民に丁寧に説明し、理解と協力を得ることは必要だという認識でございます。

 ただ、現状、必ずしも十分に住民の合意が得られているとは言い難い状況との玉城知事の発言がございます。

 この点における政府の認識と、今後、地元住民に対し何かしらのアプローチなどをする計画があるのか、また、十分な住民合意をこれからどのように形成していくのかについて、まず伺います。

北尾政府参考人 お答えいたします。

 陸上自衛隊石垣駐屯地の開設につきましては、これまでも自治体や地元の皆様方に、機会のあるごとに丁寧に御説明をさせていただいてきたところでございます。

 さらに、駐屯地開設に当たりまして、石垣市長から説明会の開催要望があったことを受けまして、石垣市民の皆様を対象として、駐屯地に対する理解を深めていただくため、本年三月二十二日に、石垣市、沖縄防衛局、石垣駐屯地が協力して説明会を開催したところでございます。

 本年三月の説明会におきましては、防衛省側より、駐屯地内の施設や所在部隊の活動例などについて御説明を行った上で、参加者の方々からいただいた様々な御質問に対し回答させていただきました。

 駐屯地の運営に際しては、地域の皆様に配慮するとともに、引き続き丁寧に説明を行っていく考えでございます。

長友委員 御答弁いただいたとおり、地域の皆様に配慮して丁寧に進めていただけるということで、政府としてはそう努力しているということではございますけれども、やはり地元の住民の声と、そして玉城デニー知事の発言を聞いていると、そこにどうもそごがあるというか、溝があるように見えてしようがありません。

 玉城デニー知事は、こういうことをおっしゃっているわけですね。これは開設に先立って、こういうコメントをされています。

 政府に対して、地元の理解と協力が得られるように丁寧に説明を行い、配備スケジュールありきで物事を進めることがないように求めてきたところだが、現状は必ずしも十分に住民合意が得られているとは言い難い状況だということと、その上で更に、施設の安全性や反撃能力の配備の有無、住民生活への影響などを丁寧に説明し、地元の懸念に応えてほしい、また、地元に与える影響が大きい自衛隊の運用については、県に速やかに情報を提供するとともに、必要な協議をしてほしい、このようにおっしゃっております。事前にしっかりと政府の方が丁寧な対応をしていれば、こういうコメントは出てこないと思うんですね。

 さらに、先日、沖縄の県議団が国会にいらっしゃいました。三月三十日の沖縄県の本会議で議決されました、「沖縄を再び戦場にしないよう日本政府に対し対話と外交による平和構築の積極的な取組を求める意見書」というものが議決されておりますけれども、そちらを御説明いただいたわけです。その中では、アジア太平洋地域の安全保障環境が厳しさを増していると言われる中で、軍事力機能の増強による抑止力の強化がかえって地域の緊張を高め、不測の事態が生じる危険性が増すことの懸念は拭えないこと、また、反撃能力、敵基地攻撃能力による攻撃は、相手国からのミサイル等による報復を招くことは必至で、沖縄が再び標的とされるとの不安が県民の中に広がっているというふうにお話をいただいたところでございます。

 外交と対話による平和の構築への一層の努力、それから取組を行っていただきまして、決して沖縄を再び戦場にしない、そういう強いメッセージを政府からも是非発信を続けていただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。

 その三月十六の翌日、石垣駐屯地が開設された翌日、今度は沖縄県庁で国民保護図上訓練が初めて実施をされています。日本周辺の情勢悪化に伴いまして、国が、先島諸島の市町村を県外避難の要避難地域に指定する可能性があるということ、さらには九州を避難地域に指定する可能性がある、そのような想定で行われております。

 ここで伺いたいのが、この避難先について、既に決まっている自治体があるのか、また、もしまだでしたら、今後どのように避難先を決めていくのかについて伺います。

齋藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 先月十七日に、国、沖縄県、先島諸島の五市町村等が協力をして、武力攻撃予測事態を想定した図上訓練を実施いたしました。

 当該訓練におきましては、避難先地域について、沖縄県及び関係市町村との意見交換を踏まえ九州と設定したところであり、主として、八重山地域の住民を福岡空港などへ、宮古地域の住民を鹿児島空港などへ、それぞれ輸送することを想定し、検討を行ったところであります。

 今回の訓練の成果といたしまして、避難のための輸送手段の確保や先島諸島の五市町村における避難の手順などについて一定程度具体化が図られたものと認識しております。他方で、今回の訓練におきまして、船舶の利用が困難な荒天時、悪天候のときなどを想定した別パターンの検討や要配慮者の態様に応じた避難の検討のほか、御指摘の、避難元と避難先の市町村単位等での具体的なマッチングや、避難住民の避難先での救援の実施方法など、避難先の地方公共団体との連携の在り方について検討が必要といった課題も明らかになったところであり、これらの課題については、今年度以降も関係機関が連携し、継続して検討及び訓練に取り組んでいく予定であります。

 今後とも、こうした訓練、検討等を通じて、練度の向上や課題の改善を図るなど、引き続き、離島からの住民避難の実効性の向上に積極的に取り組んでまいります。

長友委員 離島からの住民の避難を想定して、シミュレーションして備えておくこと、非常に大事だと思います。この訓練の方には、民間のANAやJAL、ソラシドエアなども入っていただいて、機体繰りの話とか、実に現実的な話をしているということを聞いて、必要だなと私も実感したんですけれども、私も宮崎の人間で、同じ九州の、沖縄の仲間として、沖縄に基地負担が集中している中で、同じ九州の仲間として、避難先として九州で受け入れていくということは当然だと思うんですね。

 まだ避難先が具体的に決まっているわけではないというふうに今の答弁だと理解はしたんですけれども、あらかじめ先島諸島の方々を受け入れる自治体が明確になることで、離島の皆様が少しでも安心していただけるのであれば、早めに避難先というものを、例えば公募するのか、また打診するなどして、今のうちから避難元と避難先の交流であったり人間関係を構築しておくということが大切だというふうに思っております。

 避難先として受入れを表明した自治体の職員や市民が事前に先島諸島を訪問するなどして相互理解、互助の精神を醸成していくという事業などもこれから必要ではないかというふうに思いますので、是非、その辺りも御検討いただきまして、基地負担が沖縄だけに集中している状況を地域の九州の仲間でカバーをしていくというようなことを、機運を上げていただきたいなというふうにお願いをしておきたいと思います。

 次の質問でございますけれども、二〇二二年十月一日時点の人口推計で、沖縄の人口が一九七二年の日本復帰後、初めてマイナスになりました。合計特殊出生率が全国トップの沖縄も人口減ということで、人口減少の加速が改めて鮮明になったわけでございますが、沖縄の人口が初めてマイナスになったその要因をどのように分析しているのかについて伺いたいと思います。

岩佐政府参考人 お答えいたします。

 二〇二二年十月一日現在の人口推計によりますと、沖縄県の人口、一九七二年の日本復帰以来、初めて減少になっております。沖縄県は、出生児数が死亡者数を上回るいわゆる自然増加という状態が続いておりました。ということで、人口増加が続いてきたわけでございます。

 二〇二二年の人口が減少いたしましたのは、出生児数が減少いたしまして、それから死亡者数も増加をしております。これによりまして、自然減少という形に転じております。この自然減少数が、転入者から転出者を引きました社会増加数を上回ったということで、減少といったような状況になってございます。

長友委員 政府が把握している理由としてはそのようなことになるんだろうと思うんですけれども、沖縄県の担当者はこのように分析しているようです。新型コロナウイルス禍での妊娠控えなどが影響したというようなことを担当者が発言をされていました。

 ほかにも、コロナによる死亡のほか、コロナ禍での生活環境の変化などが死亡者数を押し上げた可能性もあるのではないか、そのような分析がある中で、このまま少子高齢化に伴う人口減少が進みますと、従来の社会保障システムの構築が沖縄でも困難になりますし、現役世代の負担が出生率の更なる低下を招くんじゃないか、そういうことも懸念がされます。さらに、防犯上や、伝統文化の継承を支える地域活動も維持ができなくなってくる、このように地域社会の崩壊につながるのではないかということも、今後、日本全体に言えることではありますが、沖縄でも起きてしまうことが心配になるわけです。

 このような背景を踏まえまして、沖縄県は、二〇二〇年三月に、少子化対策や雇用拡大の取組をまとめた、ゆがふしまづくり計画を策定しています。ゆがふという、沖縄の言葉で、幸せな世の中というような意味で捉えればいいのかなと思っているんですが、その計画の中で、この計画を策定した沖縄県の企画調整課の方が、子育て環境の支援や結婚、出産の支援などの少子化対策もこれまで以上に取り組む必要があるというふうに言われていました。

 実際、その点で見ていくと、沖縄県の待機児童は今四百三十九人いるんですね。その中でも、沖縄県の名護市については待機児童が解消されていないというふうに指摘されております。二〇一八年四月の段階では待機児童が一人だった名護市なんですが、二〇一八年の九月に保育料の無償化がスタートしてから、二〇一九年四月には四十五人、二〇二〇年には八十二人と、受入れが追いつかないという状況が見て取れます。さらに、二〇二一年は六十五人、二〇二二年は五十二人と、少しずつ減ってはいるものの、待機児童がいまだにある。希望したのに認可保育園に入れなかった事例というのがこの春も相次いでいるというように聞いておりまして、沖縄県の児童の待機率は全国でも最も高い水準であるというのが指摘をされています。

 この待機児童が解消されなければ、女性は子供を産みにくいと感じますし、子供を園に預けて社会で活躍することも難しくなります。今まさに、政府は異次元の少子化対策を掲げているわけですけれども、今まで日本で一番出生率が高かった沖縄県において、この待機児童の解消にどのように取り組むのかについて伺います。

黒瀬政府参考人 お答えいたします。

 名護市の待機児童につきましては、委員御指摘のとおりでございますけれども、ということで、名護市についても待機児童の数は減少してきておるわけですし、また、先ほど五十二人に二〇二二年になったというお話がございましたけれども、その後、新たに二か所の小規模保育事業所が設置をされておりまして、更に三十八人の定員の拡充が行われていると聞いておりますので、状況は改善してきているわけでございますけれども、ただ、沖縄県全体で見ますと、こちらも御指摘をいただいたとおり、令和四年四月一日現在で四百三十九人となっていて、全国で最も高い水準の待機児童数となっているところでございます。

 こうした中で、私どもといたしましては、特に待機児童の多い自治体に対しては毎年ヒアリングを行っておりまして、地域の現状や課題を把握するとともに、各自治体における積極的な取組をお願いしているところでして、沖縄県につきましても、昨年十一月に訪問させていただいて、名護市を含む八市町村と直接意見交換をしたところでございます。

 政府では、新子育て安心プランという形で、保育の受皿の整備に向けまして、例えば、保育ニーズが増加している地域への整備費等の補助率のかさ上げですとか、マッチングの促進が必要な地域への支援、それから、保育人材の確保に向けまして、保育補助者の雇い上げですとか、保育士・保育所支援センターの運営などに取り組んでいるところでございます。

 引き続き、沖縄県も含めまして、自治体のニーズを丁寧に把握をして支援をしていくことで、待機児童の早期解消を図ってまいりたいと考えております。

長友委員 いろいろと取組は進めていただいているとは思うんですが、認可保育園の待機児童の家庭を見ていくと、低所得者層が多いんじゃないかという指摘もございます。認可園を利用するには、保護者が一定時間以上就労しているというような保育の必要性を示して認定される必要があるという部分がございます。このため、就労していない親の子は入園が難しくて、労働時間が短い保護者は自治体が定める選考基準が不利になるという状況があるわけです。

 二〇二〇年に沖縄県が実施した未就学児調査では、保育所などを利用していない一歳児の割合が低所得層で高いということが明らかになっています。パートやアルバイトで働いているために認可園を利用しづらい状況に追いやられているのではないか、そのようなことも心配事としてありますので、その点においてもニーズを含めて調査をしていただきたいなと思います。

 最後、今年の一月末に、中国人の三十代の女性が沖縄県最大級の無人島、屋那覇島を購入したとSNSに投稿し、物議を醸しました。実際には島の約半分の土地を購入したようですが、日本の領土を外国人が簡単に所有できることに対しての議論が始まっています。

 政府は、今回の件に関して、重要土地利用規制法の対象外との認識を示していますが、この屋那覇島の今後について、どのように対処するか、方針を伺います。

宮坂政府参考人 お答え申し上げます。

 重要土地調査法につきましては、国会や地方議会等での長年の議論や有識者会議の提言を踏まえまして、その対象を重要施設周辺と国境離島及び有人国境離島地域離島とする法案を国会に提出し、御審議いただいて、成立したものでございます。

 この重要土地調査法でございますけれども、本年の二月一日に一回目の区域指定が施行されまして、本格的な運用を開始したところでございます。まずは本法を着実に執行し、区域内にある土地建物の所有、利用状況などについて調査を行い、実態把握等を進めていきたいと考えてございます。

 その上ででございますけれども、今後の法の執行状況でございますとか、あるいは安全保障をめぐる内外の情勢などを見極めた上で、委員の今御指摘いただいた点も含めまして、更なる政策課題として検討を進めてまいりたいと思っております。

長友委員 時間が迫ってきたので、もう長くは言いませんけれども、外国の方による日本の土地の購入、事例が一番多いのは北海道ですよね。ニセコやリゾート地において一番件数が出ていて、そして沖縄でもこういう問題が出てきている中で、外国人の土地購入による問題、この沖北でもしっかり取り上げて調査する必要があると私は思っておりますので、また引き続き質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 以上で私の質問を終わります。

松木委員長 長友さん、お疲れさまでした。

 次に、赤嶺政賢さん。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 今日は、沖縄県の島豆腐について質問をします。

 外務大臣がいらっしゃいますが、外務大臣への質問ということではなくて、かつて外務大臣は、豆腐議連の発起人という具合に伺っておりますから、是非、沖縄の島豆腐についての応援団として、答弁は求めませんが、よろしくお願いします。

 沖縄県の島豆腐は、本土の豆腐より硬くて大きいのが特徴です。本土の豆腐一丁が三百グラムなのに対し、島豆腐は約一キロ近くあります。いため物や煮物でも煮崩れしにくい、沖縄ではたくさんの料理に使われております。豆腐チャンプルー、ゴーヤチャンプルー、フーチャンプルーとかですね。また、本土の豆腐よりも水分が五%ほど少なく、エネルギーやたんぱく質などが多く含まれており、昔から多くの県民に愛されてきました。

 その島豆腐ですが、沖縄でしか食べられない食べ方があります。それが、できたて、熱い状態のまま食べるあちこーこー豆腐です。あちこーこーとは、沖縄の言葉で熱々、つまり、本土のように水にさらさないで、できたてをそのまま食べるというのが、沖縄県で戦前から県民に親しまれてきた食べ方であります。

 そのあちこーこー豆腐ですが、県内の豆腐業界がとても大変な状況になっているという話を聞いてまいりました。二〇二一年六月、食品衛生法の改正に伴い、国際的な衛生管理基準、HACCPが適用されたことで、今までのように販売できなくなったということでした。

 まず、厚労省に伺いますが、HACCPの適用によって沖縄県内の豆腐業界がどのような影響を受けているのか、現状を御存じですか。

伊佐副大臣 平成三十年の食品衛生法改正によりまして、御指摘ありましたとおり、HACCPに沿った衛生管理の義務化を行わせていただいております。

 令和三年六月一日に完全施行しておりますが、この法改正の中では、小規模な営業者の皆さんに対しての負担軽減の観点から、HACCPに基づく衛生管理ではなくて、より簡略化された、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理によって対応することを可能とさせていただいております。

 この考え方を取り入れた衛生管理と申しますのは、事業者団体において、それぞれの事業者団体が、衛生管理を実施する際に参照する手引を作成していただく。その手引については、厚労省が技術検討委員会で水準を満たす手引書かどうかという確認を、技術的な確認を行わせていただいて、その上で、確認を行った手引を厚労省のホームページに掲載する、また各都道府県に通知するということをさせていただいております。

 今回の島豆腐に関する手引書でありますが、沖縄県豆腐油揚商工組合を中心に、島豆腐手引書作成協議会が、作成をしていただきました。厚労省の確認を経まして、現在、ホームページで公表しておりまして、この手引書は、本来、小規模な営業者の負担を軽減するために作成されたものではあるんですが、保存方法を遵守することがなかなか困難だということで、幾つかの島豆腐の製造業者の皆さんが対応に苦慮しているというような報道がなされていることは承知をしております。

赤嶺委員 副大臣、報道で承知しているということですが、HACCPに伴う手引書が作られて、それが適用されたときの地元紙を、資料として、今、委員の先生方にもお配りしております。そこには、豆腐の温度が新たに設けられた基準温度より下回っていたため納品できなかった事例や、通常の三分の一しか納品できなかった事例が紹介されています。

 私が伺ってきた話では、スーパーなどに卸す豆腐屋さんは、今まで四時間店頭に並べられていたものが二時間に短縮になり、売上げが半減したと話しておりました。あるいは、四時間かけて作った豆腐を店に卸す際、たった一度でも五十五度を下回っていたら納品できない、そんなことが何度もあったと悔しそうに話をされておりました。組合の方からの話では、HACCP適用後、事業継承の問題や温度管理の難しさ等から十軒ほどがお店をやめたと聞きました。

 そうした現状、厚労省、具体的にそこまで把握しておられますか。

伊佐副大臣 この手引書によりますと、先ほど二時間と委員おっしゃっていただきましたが、手引書の中では、保存方法については、島豆腐が五十五度未満になってから三時間以内に消費をする、あるいは速やかに冷却して冷蔵で保存するというふうに記載されております。

 この内容は、島豆腐の温度が五十五度未満になりますと、食中毒菌、セレウス菌というものが増殖をして、それによって健康危害が生じることを未然に防止するために、事業者団体である島豆腐手引書作成協議会が必要な衛生管理措置として示していただいたもの、つまり、食品衛生法の法令に基づく規制ではない、手引書上の決まりだというふうに認識をしております。

 手引書に記載されている島豆腐の保存方法を改定するかどうかについては、まず、この手引書を作成していただいた島豆腐手引書作成協議会において御検討いただきたいというふうに考えております。

赤嶺委員 私が聞いているのは、つまり、HACCPに基づく手引書が業界によって作られた、その基準が、実際の業界にとっては三時間じゃないですよ、消費者の手元に渡るまでに二時間ですよ、私たちが聞いてきたのは。それで本当に売上げも半減、誇りを持って後継者にも譲れなくなっている。

 スーパーなどに卸されるあちこーこー豆腐ですが、これはスーパーが買い取ったわけじゃないのですね。納品した分だけ店側が買い取ってくれるわけではありません。スーパー側が時間経過後に冷蔵庫に保存してくれるわけでもありません。時間が過ぎて売れ残った分は、豆腐屋さんがまた回収しに行かなければならないわけです。

 温度管理にもとても苦労されています。冬は豆腐の温度が下がりやすく、五十五度以上を維持するのはとても難しいそうです。夏は作業場が高温になり、熱中症の観点から冷房をつけないといけませんが、そうすると、夏場でも豆腐の温度は下がりやすくなります。

 当事者である豆腐屋さんの要求を聞いてきました。それは、元に戻してほしい、これに尽きます。

 厚労省はこの要求に応えるべきだと思いますが、先ほど副大臣は、安全基準を守ることが大事だと。大事です。その上で、手引書は業界団体が作ったものだとおっしゃいました。しかし、その手引書が、HACCPの基準に基づいて作られた手引書が、実際の業界の皆さんにとっては、豆腐の製造業が成り立たなくなっていくところに追い詰めているわけですね。

 豆腐屋さんに聞きました。私たちはおいしい豆腐を届けることに関しては誰にも負けない、職人だと。そして、誇りを持ってやっておられました。今まで、豆腐を食べて食中毒の話というのは聞いたことがないと。私も、沖縄に生まれてこの年になっておりますが、一度も、豆腐を食べて食中毒になって大変だというような話は聞いたことありません。

 安全性も担保されている。そうであれば、以前のように販売することは可能なのではありませんか。

伊佐副大臣 このHACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書につきましては、答弁させていただきましたとおり、これは、この食品のことを誰よりも知る業界の皆さんが、その特性、またリスクを熟知した事業者団体が、自ら手引書案を作成していただいているという状況でございます。

 この改定につきましては、それぞれ事業者団体においてその必要性を御判断をしていただきまして、それに対して必要な科学的知見を添えて厚労省に御相談いただければ、我々は確認をするということになっておりますが、ただ、都道府県等に対して、食品衛生監視員が監視をすることになっておりますが、そこに対しても、我々としてはきめ細かい指導を行うように指針でもお示しをさせていただいているという状況でございます。

赤嶺委員 手引書は業界団体が作成したものだと先ほどから繰り返されておりますが、その手引書の基準にも矛盾が出ているわけですね。業界がもたないと言い出している。

 だから、手引書の策定に加わる業界団体が改定、改善を求めれば、その手引書は改定はできる、そういうことで、そういう理解でいいですか。

伊佐副大臣 業界団体の方が、その必要性、改定の必要性を認めて、そしてその改定の内容を、我々厚労省の確認する、技術的な確認のために提出をしていただく。我々としては、技術的な観点からそれを判断をさせていただいて、それについて認めた上で、ホームページで公表するということになっております。

赤嶺委員 念のために伺いますが、別に法律の改正は必要ない、手引書の改定でいいんだということでよろしいですか。

伊佐副大臣 法律は、あくまで、その枠組みを定めているものでございますので、法律の改正はございません。

赤嶺委員 実は、あちこーこー豆腐が非合法化される事態が前にもあったんですよ。

 一九七二年に沖縄が本土復帰をしました。本土の法律が適用されたら、沖縄独特の製造法であるあちこーこー豆腐が認められなかったんですね、食品衛生法の中で。県民に愛されてきた島豆腐です。この認められなかったときに、本土の法律というのは、沖縄特有の熱い状態のまま食べる保存方法は想定していなかったわけであります。

 地域に根づいてきた歴史あるあちこーこー豆腐、これを守ろうと、当時の豆腐組合の皆さんが、度重なる必死の懇願について、当時の厚生省は、一九七四年に、特例的にあちこーこー豆腐を認めるただし書を法文に加えました。人の暮らしに立脚した当時の政府の英断が、今日まで県民のソウルフードを守り、今も若い経営者が誇りを持って島豆腐を作ってきた。当時のこの課題に携わった担当者からは、あのときの厚労省に本当に感謝しているというような言葉をいただきましたよ。

 ですから、手引書の改定は、最終的には厚労省の検討会で検討されることになります。手引書の改定の話が上がってきた際に、安全性と事業の継続が両立できるような観点から厚労省には是非検討していただきたい。作ったけれども豆腐業界が潰れてしまう、こんなことは本意じゃないはずですから、是非、安全性と豆腐業界が両立できるようなものを検討していくとお約束していただけますか。

伊佐副大臣 私自身も、島豆腐、何度もいただいたこともありまして、ただ、あちこーこーで、本当に温かいものはいただいたことはございません。ただ、こうした沖縄の伝統的な文化をしっかりと守っていく必要性については重々理解をしているつもりでございます。

 この安全性、国民の皆さんの健康を守るという安全性とのバランスについて、もし改定の必要性を事業者団体で認められて、御相談があれば、しっかりと丁寧に対応してまいりたいというふうに思っております。

赤嶺委員 伊佐副大臣も、前に伺ったことがありますが、おじい様が沖縄の御出身で、ですから、あちこーこー豆腐は大好きなはずですよ。伊佐副大臣も島豆腐を召し上がったことがあるということで、今日は本当に豆腐応援団が政府答弁席に座っていらっしゃるなという感じがあります。

 そこで、沖縄担当大臣に伺いますが、HACCPが適用されたことで、業者の方々は、どうすれば納品時に五十五度以上に維持できるか、これに物すごく苦労したとのことでした。保温シートやアルミシートを敷いてみたり、今まで使っている入れ物がそのまま活用できるのか、それとも使えないのか、これまで納品していた販売ルートをありとあらゆる方法で何度も往復し、検討したそうであります。しかし、そこにかかった費用は誰も負担してくれず、議論すらされなかったと途方に暮れております。

 豆腐屋の若いオーナーさんは、温度管理が厳しくなったため販売先が比較的遠いところとの契約を打ち切らざるを得なかった、これだけ豆腐を一生懸命作っても、販路拡大ができないということは売上げが伸ばせないということ、従業員の給料も上げることができないし、何より、この豆腐作りの仕事を御飯を食べていけるだけの魅力ある仕事として次の世代に継承できない、このままではあちこーこー豆腐が消えてなくなりはしないか、そういう心配がありました。

 沖縄担当大臣に二つ要望があります。そういう食品業界に対する支援策、これは家族労働であっても製造業ですよ、小さな製造業ですよ。でも、そこを大切にしていかないと。そういう意味での支援策と、それから、業界が本当に手引の改善を求めていった場合に、関係行政機関の支援、援助も必要になると思います。そういう支援とか援助、こういうのも是非求めたいのですが、沖縄担当大臣、いかがでしょうか。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 食品衛生法改正とかHACCPとか、これらは専門の厚生労働副大臣から御答弁を申し上げておりますけれども、私、沖縄振興担当の大臣として申し上げたいことは、島豆腐も含めて沖縄の食文化、長い歴史の中で人々の生活に根づいて育まれてきた沖縄の大変な魅力の一つであると認識しておりますし、私も、沖縄の豆腐、歯応えのある大きな豆腐やゴーヤチャンプルーとか、本当においしいなと思う一人であります。

 業界の方々に対する支援策ということが、何ができるかどうかということはまた考えてみたいと思いますし、業界における手引の改定というお尋ねでございますけれども、これは厚生労働省の方と、また地元とコミュニケーションを取っていただければと思います。我々も、そういうふうに地元のお声があれば、それをお伝えをしていきたいと考えております。

赤嶺委員 沖縄担当大臣も沖縄に行かれるたびにおいしい豆腐チャンプルーも召し上がっていると思いますので。

 それで、ただ、沖縄県内の豆腐屋さんは、これは、国会図書館に「シマ豆腐紀行」という本がありまして、宮里さんというルポライターが書いている本ですが、戦後、女性が始めたと言われております。地上戦となった沖縄戦で多くの男手を失い、残された女性が家族を女手一人で養わなければならない状況下に置かれました。そこで、豆腐を作る技術さえ身につければ現金収入が得られる仕事として、豆腐屋は戦後急速に広まりました。豆腐作りの残滓として発生するおからは豚の餌にもなり、伝統的に豚を食べる習慣のある沖縄では、養豚や農家の副業としても、とても豆腐作りが行われていました。そういう絶妙な調和が、戦前戦後の沖縄の経済と住民の生活を支えてきました。

 厚労省や、あるいは沖縄担当大臣、歴史ある島豆腐を守っていただきますよう、また、林外務大臣には、今は外務大臣として要職に就かれておりますから豆腐議連の役職は降りられているんじゃないかと思いますが、しかし、豆腐を愛する気持ちは、外交政策では意見の違いはあっても、共通するものがありますので、是非、島豆腐の支援のために頑張っていただきたい。

 業界の皆さんの意見をよく聞いて、手引の改善に尽力していただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

松木委員長 赤嶺さんもお疲れさまでした、本当に。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十三分散会


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