衆議院

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第2号 平成29年2月23日(木曜日)

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平成二十九年二月二十三日(木曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 西村 康稔君

      石崎  徹君    石破  茂君

      岩屋  毅君    大西 健介君

      辻元 清美君    古川 元久君

   兼務 升田世喜男君 兼務 佐藤 英道君

   兼務 本村 伸子君

    …………………………………

   防衛大臣         稲田 朋美君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  松永  明君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  日下 正周君

   政府参考人

   (内閣府北方対策本部審議官)           山本 茂樹君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   三浦 正充君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  山下 史雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 相木 俊宏君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           藤江 陽子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           椎葉 茂樹君

   政府参考人

   (林野庁国有林野部長)  本郷 浩二君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           山上 範芳君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 青木 由行君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   豊田  硬君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           齋藤 雅一君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  鈴木 良之君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           辰己 昌良君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

   安全保障委員会専門員   林山 泰彦君

   予算委員会専門員     柏  尚志君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十三日

 辞任         補欠選任

  辻元 清美君     古川 元久君

同日

 辞任         補欠選任

  古川 元久君     辻元 清美君

同日

 第三分科員升田世喜男君、佐藤英道君及び第六分科員本村伸子君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十九年度一般会計予算

 平成二十九年度特別会計予算

 平成二十九年度政府関係機関予算

 (内閣及び防衛省所管)


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     ――――◇―――――

西村主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。

 平成二十九年度一般会計予算、平成二十九年度特別会計予算及び平成二十九年度政府関係機関予算中内閣所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤英道君。

佐藤(英)分科員 おはようございます。公明党の佐藤英道でございます。

 まず、民族共生象徴空間、百万人が集うこの象徴空間についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 北海道初であります国立博物館であるアイヌ民族博物館が、二〇二〇年の開館を目指して準備が進められております。あわせて、国立民族共生公園、また慰霊施設も整備されることになっております。

 昨年十月には、北海道におきまして、官房長官みずから、大変御多忙の中、地元白老町の方々と直接お会いをしていただき、大変に感謝しておりましたし、本当にありがとうございました。官房長官からは、百万人が訪れる施設を目指そうと御提案をいただいておりまして、地元も大変に活気づいております。

 アイヌ民族博物館がオープンする二〇二〇年は、東京オリンピック・パラリンピックが開催されますが、現在開催中の札幌冬季アジア大会におきましては、開会式でアイヌの方々の舞踊と音楽を中心としたアトラクションもございました。私も拝見をいたしましたが、大変に感動的で、本当に多くの方々の心を揺さぶったのではないかなと思っております。東京オリンピック・パラリンピックでもアイヌの文化を発信する場があってもよいのではないかと改めて痛感をしたところでございます。

 そうした意味におきましては、二〇二〇年はスポーツと民族の祭典であるオリンピック・パラリンピックが我が国で開催され、軌を一にして、我が国の代表的な先住民族であるアイヌの国立博物館が披露されるわけであります。世界に向けて、我が国の民族共生への宣言とも言える一大プロジェクトとも言えると思います。

 官房長官の、アイヌ民族博物館、民族共生象徴空間、来訪者百万人構想の実現に向けて、抱負をお伺いしたいと思います。

菅国務大臣 民族共生象徴空間であり、アイヌ文化の復興等に関するナショナルセンターとして、白老町に整備をすることにいたしております。

 実は私、官房長官に就任をして、通常、アイヌ政策推進会議というのは今まで全部総理官邸で行われていたというんです。私が出向くので、ぜひ北海道で開催しましょうということで、二十五年に北海道に出向きまして、そこで開催をさせていただきました。

 ちょうど東京オリンピック・パラリンピック、二〇二〇年東京開催が決まったものですから、それまでは二〇二〇年度公開でありましたけれども、二〇二〇年の四月、オリンピック開催前にここを公開に踏み切りたいという発言を北海道でさせていただきまして、皆さんの御協力をいただいて、今順調に進んでいるというふうに思っています。

 また、二十七年十月に開催をされたアイヌ政策推進会議では、当初、皆さんの目標来場者数は五十万人だったんです。私ども、政権交代をして、外国人観光客誘致、観光立国を目指して、今全力で取り組んでいます。当時、決定をした際は一千三百万人だったんです。二〇二〇年四千万人の目標を掲げていますので、最初から、五十万ではなくて百万人の方に対応できるような、施設整備も一緒にやらなきゃまずいですから、そういう思いの中で百万人ということを掲げさせていただきました。

 そして、いわゆる観光に詳しい有識者の方の話を伺う中で、やはり観光というのは四条件なんだ、気候、自然、文化、食、この四条件を兼ね備えたところに海外から観光客の方は訪れるということです。

 そういう意味において、北海道はまさに自然も豊かですよね、国立公園三十二のうち六カ所が北海道ですから。そうした北海道のすばらしさ。食もそうです、文化もそうです。

 まさに、アイヌ文化というのは、そういう意味合いにおいて、世界からオリンピック・パラリンピックの際に多くの海外の方が日本に来られる、そして当然日本の方も北海道に行って、このアイヌ文化というものを再認識する、そういうことも極めて大事だというふうに思っていますので、政府とすれば、間違いなく二〇二〇年四月に公開できるように工事をしっかりさせていただくと同時に、アイヌ文化のすばらしさ、まさに民族共生のすばらしさというものを世界に発信する最高の機会だというふうに思っていますので、全力で、アイヌの皆さん、また北海道の皆さんとしっかり連携をしながら、この百万人、達成できるように取り組んでいきたいと思います。

佐藤(英)分科員 ありがとうございました。力強いお言葉、ぜひ地元の方々にもお伝えをさせていただきたいと思います。

 さて、この百万人という御提言につきまして、これを実現するためには具体的に多くの取り組みが必要と思います。まずは、民族博物館へのアクセス強化でございますが、特に、新千歳や札幌からの鉄道のアクセスの改善も欠かせないと思います。また、現在札幌と千歳空港をつないでいるライナーのようなものができれば、確実に集客力を上げることもできると思いますけれども、いかがでしょうか。

 あわせて、地元から御要望をいただいております国道三十六号線白老道路の四車線化についても、確実に進めていただきたいと思います。特に、白老インターチェンジの東側の地域は、新千歳空港と象徴空間をつなぐ上で重要な箇所となるわけでありますけれども、検討状況はいかがでしょうか。

山上政府参考人 民族共生象徴空間への来場者数目標年間百万人を達成する上で、新千歳空港や札幌からの交通アクセスを強化することは重要な課題であると認識をしてございます。

 交通アクセスの強化といたしまして、速達性の向上、運行頻度を高めていくためには、御指摘のような快速線の運行のほか、特急電車の停車といったことも考えられるところでございますが、現在、北海道と白老町におきまして、特急スーパー北斗、北斗の白老駅停車に向けまして、JR北海道との検討を開始したと聞いてございます。

 具体的には、特急スーパー北斗、北斗が白老駅に停車するために必要なホームの延長、かさ上げ等の措置につきまして、三者が連携をいたしまして検討を開始していると承知をしてございます。JR北海道といたしましても、両特急の白老駅停車につきまして、前向きに対応をしていく意向と聞いてございます。

 国土交通省といたしましては、交通アクセスの強化に向けまして、地元関係者間の連携が円滑に進みますよう、JR北海道に対し助言等を行ってまいります。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 国道三十六号について御質問を頂戴いたしました。

 お話のございました新千歳空港から登別市の間の国道三十六号沿線、こちらには、現状でも、アイヌ民族博物館、それから登別温泉など観光文化施設が多数ございまして、これらを周遊する観光客が年々増加をしてございます。

 一方で、この区間では、四車線区間とそれから二車線区間、両方の区間がまじってございまして、特に大型連休などには二車線区間で渋滞が発生している、こういった状況でございます。

 こういった状況を踏まえまして、去る二月二十日に開催をいたしました北海道渋滞対策協議会、こちらの方で、国道三十六号室蘭―苫小牧間の渋滞状況を関係機関において確認いたしまして、そして特に、先生御指摘のございました白老インターチェンジの東側区間、こちらにつきましては、観光期の渋滞状況、それから、新千歳空港から民族共生象徴空間への円滑なアクセスの観点から優先的に整備すべき、こういった位置づけをしたところでございます。

 お話のございました平成三十二年度開設予定の民族共生象徴空間は、年間百万人の来訪者を達成するということを目指すものでございまして、そういたしますと、さらなる渋滞の発生が懸念されてまいりますので、この区間の早期整備に向けまして、しっかりと検討を進めさせていただきたいと考えております。

 以上でございます。

佐藤(英)分科員 着々と進んでいるという印象を受けました。ぜひ、早期実現に向けてよろしくお願いをしたいと思います。

 次に、ポロト休養林の整備についてお伺いいたします。

 民族博物館、象徴空間とともに、来場者の方々が自然と一体となったアイヌ文化を体感できるという考えに基づいたフィールドミュージアム構想はすばらしい発想であると思います。

 フィールドミュージアムの重要な構成要素として、ポロト自然休養林があります。私も、以前、現地にお伺いをさせていただきまして、こんな身近なところに国有林を直接体験できるところがあるのかと大変感動したことを今でも忘れることができません。

 ポロトの自然休養林の整備については、地元からも強い要望が上がっております。林野庁も整備に必要な予算の措置には前向きに取り組んでいるとも伺っております。湖畔の道路、散策路の整備や、誘導看板などの外国語での表記なども行い、百万人への体制を整えなければならないと思います。

 また、PRのパンフや運用にかかわる人材の育成も考えていかなければならないと思いますけれども、現在の状況と今後の見通しについてお伺いをしたいと思います。

    〔主査退席、石崎主査代理着席〕

本郷政府参考人 お答え申し上げます。

 ポロト自然休養林の整備についてでございます。

 林野庁では、昨年三月に、総理が議長を務めました明日の日本を支える観光ビジョン構想会議により策定された明日の日本を支える観光ビジョンを踏まえ、平成二十九年度より国有林のレクリエーションの森を核とした観光地域づくりの取り組みを推進することとしております。

 特に、観光資源としての活用の推進が期待されるレクリエーションの森を選定し、地域の自治体等との連携のもと、多言語による情報発信、観光客が快適に森林を楽しむための施設整備などを行うこととしており、本事業の実施については、ポロト自然休養林の地元の白老町からも御要望をいただいているところでございます。

 ポロト自然休養林につきましては、アイヌ文化を体感できるフィールドとしての活用に対する地域の意向が示されているところでございまして、民族共生象徴空間の整備状況を踏まえつつ、林野庁として、レクリエーションの森の整備を推進してまいりたいと考えております。

 よろしくお願いします。

佐藤(英)分科員 繰り返すようでありますけれども、ポロト自然休養林は、海外の方はもちろんでありますけれども、日本国の国民の方々も多く足を運んでいただきたいなと思う箇所でもありますし、やはり林野庁が管轄している国有林のすばらしさというものを披露する、そうした大きなきっかけともなると思いますので、ぜひとも前向きに、より一層の検討をお願いしたいと思います。

 次に、北方四島交流事業、墓参事業の充実についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、墓参事業の改善についてでありますけれども、昨年末に山口県で行われた日ロ首脳会談には、北方四島隣接地域を初め元島民の方々から大きな期待が寄せられておりました。

 結果として、官民合わせて八十以上の成果文書が交わされ、共同経済活動の協議開始につながるなど、日ロ関係の大きなエポックを感じさせるものとなりました。平和条約の締結、そして北方領土の返還に向けて、着実な一歩を踏み出したのではないかと私は高く評価をしている一人でございます。

 今後は、共同経済活動の早期進展に期待したいところでございますけれども、その中でも、日ロ首脳会談の成果のうち墓参事業の改善がございました。これは最も大きな成果の一つではないかと思っているところでございます。

 千島歯舞諸島居住者連盟の方々、元島民の方々と北海道でよく懇談する機会がございます。参加者の方が高齢化する中で、船での渡航は大変に厳しいものでもございます。ぜひとも、航空機での墓参を実現していただきたいと思います。

 また、その費用支弁につきましては、これまでどおり無料としていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

 また、現在は、全参加者が国後に立ち寄っている一時的通過点の追加整備と手続の簡素化についても、あわせて進捗状況をお伺いしたいと思います。

相木政府参考人 お答えを申し上げます。

 昨年十二月の日ロ首脳会談におきましては、北方四島の元島民の方々が御高齢となられていることを考慮いたしまして、現行の枠組みによる訪問手続を改善することで一致したところでございます。

 これを踏まえまして、四島訪問に際しての元島民の方々の負担軽減につながるような手続の改善を不断に目指していく考えでございます。

 航空機の活用につきましても、先般のボンにおける日ロ外相会談におきましても、岸田外務大臣とラブロフ外相との間で議論がなされたところでございます。

 北方四島への訪問の具体的な時期や態様はロシア側との調整を要するものでございまして、現時点では決まっておりませんけれども、元島民の方々の御要望も考慮しつつ、引き続き改善に努めてまいる考えでございます。

 一時的通過点の追加整備と手続の簡素化についてでございますけれども、今申し上げた点と同様の経緯を踏まえまして、引き続き手続の改善を不断に目指していく考えでございまして、その実現に向けて、先般のボンにおける日ロ外相会談でも議論がなされたところでございます。

 具体的に、四島を訪問する際に出入域を行う地点を訪問先の島に応じて複数設けることで、移動に伴う負担を軽減することでございますとか、手続のさらなる簡素化につきましては、昨年十二月の日ロ首脳のプレス向け声明にも盛り込まれているところでございまして、これらを含めまして、あり得べき案について迅速に検討を進めてまいりたいと考えております。

 墓参を含めまして、元島民の方々による四島への訪問の具体的な時期や態様はロシア側と調整を要するものでございまして、現時点で決まっておりませんけれども、鋭意調整を進めてまいりたいと考えております。

佐藤(英)分科員 日ロの経済協力の関係では、数々の協力プロジェクトが合意されました。こうしたさまざまな日ロ関係の改善、強化の取り組みが、七十年以上にわたって動かなかった領土問題の解決に向けて資することを大きく期待しているところでございます。

 また、鶴保内閣府沖縄及び北方対策の特命大臣が、「返せわれらが故郷」という千島歯舞諸島居住者連盟の方々の会報に力強いメッセージを寄せておりました。

 外交交渉を後押しする国民世論の啓発の強化こそが北方領土問題解決のための原動力だと確信しております、特に、隣接地域の交流人口をふやすことは、地域の元気を取り戻すことになり、それが返還運動の後押しになるのではないかと考え、昨年十一月に、北方領土隣接地域の交流人口の拡大に向けた関係省庁会議を立ち上げました、現在、隣接地域への観光、交通需要喚起策やアクセス改善などについて検討しているところですとありました。

 まさしく、北方領土の隣接地域は元島民の方々も多く住まわれておりますし、また、やはり北方領土の問題で一番苦しんだ地域の方々でもございますので、ぜひこうした元島民の方々、隣接地域の方々の思いも踏まえて、これからの準備に当たっていただければと思います。

 次に、僻地医療にかかわる患者移送の問題についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 メディカルウイング、いわゆるドクタージェットについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 高齢者の方々などの長距離移動の厳しさは、北海道内全体の問題でもございます。高度の医療を必要とする患者にとっては、命がかかった深刻な問題となる場合もあります。

 具体的には、亜急性期で高度医療による手術などを必要とする患者さんなど、僻地から都市部へ移動することによって命が助かる方もいらっしゃいます。北海道は、東北全体よりもさらに広く、稚内や離島などから札幌のような都市部に移動することだけでも患者さんにとっては大変な身体的負担を伴う、時には命に及びかねない困難さでもあります。

 厚生労働省は、本年、へき地患者輸送車運行支援事業の対象に航空機を新たに加えました。私は、大変な英断であり、高く評価しているところでありますけれども、慢性期の患者さんにとっても、QOLを大幅に改善することによって余命が格段に延びる可能性もあり、決して軽視できないとも考えます。

 大規模災害発生時の対応なども含めまして、広大な北海道では非常にニーズの高い重要な取り組みではないかと思います。今後、さらなる拡充も含めて、取り組みへの見解をお伺いしたいと思います。

椎葉政府参考人 お答えさせていただきます。

 僻地におきまして、安全かつ安心な医療へのアクセスを確保することは重要な課題であると認識しております。これまでも、へき地患者輸送車、輸送艇運行支援事業によりまして、僻地の医療機関では対応困難な患者さんを、車両や船舶によりまして運送する支援を行ってきたところでございます。

 さらに、平成二十九年度予算案におきましては、航空機を活用することにより、高度な医療を必要とする患者さんに対し、天候にかかわらず短時間かつ安定した環境で長距離の搬送を行うことを可能とするメディカルジェット運行支援事業を新たに盛り込んでいるところでございます。僻地における安全かつ安心な医療へのアクセスの確保に向けまして、まずは本事業をしっかりと運用してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

佐藤(英)分科員 ぜひ、今後の取り組みを期待しているわけでございます。

 先日、メディカルウイング、ドクタージェットについてのセミナーにも参加する機会がございました。本当に、こうした僻地の医療の対策にも十分に寄与していただきたいと思いますけれども、片や、例えば本州や四国や九州などに旅行に行かれた高齢者の方々が御病気、急病になられてしまった、そうした方々が、やはりぜひ今後、北海道で治療を受けるときにも使いたいというお話もございました。これからの大きな課題の一つかと思いますけれども、患者さんの側に立ったそうした検討もぜひともお願いをしたいと思います。

 次に、重大事故防止対策についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 私は、今から二十年前に、北海道議会議員に初当選をさせていただきました。そのときの公約が、実は、北海道の交通事故死ワーストワンを返上したいという公約でもございました。当時は、もう十年以上にもわたって、北海道は交通事故死ワーストワンという記録がありまして、世界の方々が憧れる北海道、多くの方々が理想とする北海道において大変に不名誉なことだなと強く思っておりました。

 こうした中で、政府を挙げて交通事故の撲滅について取り組んでいただいた結果、大変に交通事故は激減しているのも事実であります。こうした事故をもっともっと減らすことができればという思いで、きょうは寒地研で開発した路線分離ワイヤの導入についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 北海道内は、本州などに比べますと、道路網の整備はまだまだ進んではおりません。自動車専用道路や高規格幹線道路に関する要望も非常に多い。暫定二車線の高速道路も多いのでありますけれども、さらには中央分離帯のない区間も多く、こうした道路での事故は、対向車線をはみ出して衝突という重大事故につながりやすく、大変に危険でもございます。

 事実、北海道におきましては、このケースで、過去五年間で九十件の人身事故が起きており、十六人ものかけがえのない命が失われております。

 早期に四車線化をとの要望もたびたび寄せられるわけでありますけれども、四車線化は時間も費用もかかるのも事実であります。

 道路を広げるため、路肩の広さなど道路の環境にも左右されます。北海道は道路が広いという印象があるかもしれませんけれども、決してそうではありません。本州なら十分広い道路に見えても、冬は雪が路肩に積み上がるため、実際には決して広くない。ある意味では、冬の積雪に合わせた道路づくりが行われているのも、私は事実ではないかと思います。

 そうした中、寒地土木研究所は、時速百キロでぶつかっても反対車線へはみ出さないワイヤロープを開発いたしました。既に全国百キロで実施することが決まりましたけれども、北海道トラック協会を初め多くの関係者から本格的導入の期待が広がっております。報道によれば、平成三十年度から本格導入とのことでありますけれども、複数の正面衝突事故が起きている路線を中心に実施を着実に進めていただきたいと思っております。

 残された技術的課題もあるとは思いますけれども、本格的導入に向けた今後の取り組みについてお伺いをさせていただきたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 お話ございました高速道路の暫定二車線区間につきましては、その大部分がラバーポールで上下線を区分する構造となっておりますけれども、反対車線への飛び出しによる正面衝突事故が発生するなど、安全性の課題が指摘をされているところでございます。

 このため、命を守る緊急性に鑑みまして、対面交通に伴う正面衝突事故を防止する、いわば即効性のある対策といたしまして、現行の幅員のままで、ラバーポールにかえましてワイヤロープを設置するということを検討してまいりました。

 お話ございましたように、このワイヤロープの技術開発を行ってまいりましたけれども、このたび、その成果を踏まえまして、全国十二路線約百キロの区間でこの安全対策の検証を行うことといたしました。

 北海道では、道央道と道東道の二路線を対象とすることといたしておりますけれども、現在、お話ございました、事故状況等を踏まえた設置箇所の選定、あるいは詳細な構造等につきまして、高速道路会社の方が関係機関と鋭意調整を行ってきてございます。

 この調整が整い次第、設置を開始いたしまして、来年度、この春より検証を行うこととしておりまして、正面衝突事故の防止効果、あるいは走行性、こういった課題の有無について検証の上、本格設置を検討してまいりたい、このように考えております。

 以上でございます。

佐藤(英)分科員 今のお話、ぜひ鋭意検討いただきたいと思いますけれども、まずは本当に、北海道の寒地土木研究所が、四車線化は時間も費用もかかるという中で、路線分離のワイヤを発明されたということは大変画期的なことであると思いますし、ぜひ、こうした研究についても、私はやはり国を挙げて応援していくべきじゃないかなとも考えている一人でございますので、どうかよろしくお願いをしたいと思います。

 きょうは、菅官房長官にもお越しをいただいて、アイヌ民族博物館、民族共生象徴空間についてもお話をさせていただきました。ぜひ、北海道の、ある意味では起死回生、北海道の発展の起爆剤ともなる構想でもございますので、今後とも、御指導、御支援を心からお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

石崎主査代理 これにて佐藤英道君の質疑は終了いたしました。

 次に、古川元久君。

古川(元)分科員 おはようございます。民進党の古川元久です。

 まず最初に、きょうは、官房長官にちょっとお礼を申し上げたいと思うんです。それは、休眠預金の活用の件なんです。

 これは、私が国家戦略担当大臣のときに、政府の中で具体的に活用の検討を始めました。当初は、取り上げられる銀行業界とか、また、預金者の皆さんも、これは何か政府が取り上げるんじゃないかという誤解があったりして、大変いろいろなところからも批判もあったんですけれども、そうじゃないと。これはちゃんと、預金者の皆さん方にきちんと返すものは返す、しかし、もうわからなくて銀行の収益になっちゃった分については、これは社会に還元するような形で、国民のお金だから、これは還元していく形にしようということで、我々の政権のときにフィージビリティースタディーまで行って、いよいよこれからというところで政権交代が起きてしまったわけなんですね。

 多くの我々の政権でやってきたことは、安倍政権になってひっくり返ってしまった。後ろに林さんがいますけれども、私がつくった国家戦略室も潰されてしまいました。そういう中で、これは私は本当に今でも鮮明に覚えているんですが、長官はずっとお忙しいから覚えていないかもしれないんですけれども、二〇一二年の選挙が終わって安倍政権が発足して、長官になられたすぐ後だったと思いますが、たまたま議員会館のエレベーターホールで会ったときに、古川さんがやったあの休眠預金の活用はちゃんとやるからねというふうにおっしゃっていただきました。

 官房長官がそういう思いを持っていただいたからこそ、議連もできて、なかなか法律ができるまでは紆余曲折ありましたけれども、昨年、この休眠預金の活用、これは与野党を超えた、議連の議員立法という形で成立をした。これから活用に向けて進んでいくということで、これは本当に長官が、そういう思いがなければできなかったことだと思いますので、それは感謝を申し上げたいと思います。

 もう一つ、実は私、感謝しているのは、私が官房副長官のときに強い思いを持って官邸の中に、広報室につくった官邸の国際広報室なんですね。これも、政権がかわりましたけれども、そのまま今も存続させていただいている。

 そういった意味では、感謝の気持ちを持って、この国際広報室についてきょうはお伺いしたいと思っています。

 まず、長官の、これは政府としてというよりも長官としての思いというものをお伺いしたいんですけれども、官邸の国際広報室、これは政府の中にあってどういう位置づけにある、そんなふうに長官は感じていらっしゃるでしょうか。

菅国務大臣 まず、休眠口座について、古川委員がまさに先頭に立ってその必要性をお訴え、議員立法として各党の議員の御理解をいただいて、ようやく成立をすることができました。私の方から感謝申し上げたいと思いますし、この休眠預金を社会福祉、子育て、そうしたものを中心に、その目的どおりしっかり執行できるように、私ども、しっかり対応させていただきたいというふうに思います。

 また、政府の中の国際広報室の件でありますけれども、ここは、あえて私の率直な感想を言わせていただきますと、やはり総理官邸に入らないとなかなかわかってもらえない部分というのはすごくあると思うんです。そういう中で、国際広報、とにかく各省庁、日本はばらばらの中で、縦割りですから、そういう中で、委員が国際広報室に、専従班を置いて位置づけていただいたこと、ここは本当にありがたい、これは党派を超えてそう思っております。

 今日ほど国際広報の役割が重要になってきたということもかつてなかったのではないかなというふうに思いますし、日本人というのは、どちらかというと、みずからのすぐれた点、あるいは国のすばらしいところをアピールすることを何となくよしとしないような気風がありまして、そういう中で、今、世界はまさに戦略によって広報活動を行っている時代でありますので、そういう意味で、私どもも、政権発足して以来、国際広報、ここを積極的に活用させていただいて、日本のすばらしさ、日本の考え方、こうしたものをしっかりとアピールしていくのに使わせていただいています。

 思いは全く同じだというふうに思います。そうしたものにして、やはり官邸があくまで司令塔機能を果たして、各省庁の縦割りを排除して、日本としての思いを海外に発信することが極めて大事だと思っていますので、そのまさに核としてこれからもしっかり活用していきたいというふうに思います。

    〔石崎主査代理退席、主査着席〕

古川(元)分科員 長官がしっかりそういう思いをしていただいていることを聞いて、安心をいたしました。

 具体的に、では、今の体制はどうなっているか、どのような活動を行っているかについて、きょうは日下審議官にいらっしゃっていただいているので、日下さんの方からちょっと御説明いただけますか。

日下政府参考人 お答え申し上げます。

 現在の国際広報室の体制でございますけれども、平成二十四年の発足時には十名程度でございましたけれども、現在は室長以下十九名の体制となってございます。関係省庁や地方自治体、民間企業出身者等から構成されまして、多様な知見を結集する体制となってございます。

 総理の外国訪問やG7、TICADなどの大型行事が開催される重要な広報機会を捉えて、国際広報室が司令塔となって、関係省庁と緊密に連携しながら、戦略的、効率的な広報を実施してございます。

 例えば、総理の外国訪問の際には、トップセールスとしてのセミナーや展示会などを関係省庁、関係機関と連携して開催してございます。また、日本の魅力や国内外で活躍する日本人の活動内容を発信する広報誌の作成あるいは発信、アベノミクス等の重要政策を紹介するウエブサイトの制作、あるいはSNS等を通じた発信、外国プレスへの対応、新聞、雑誌への寄稿、意見広告の投稿、そういったことなども行ってございます。

古川(元)分科員 長官、今回確認していただいたと思うんですけれども、いろいろなことをやっているんですけれども、今十九人だと、この室員。この前聞きましたら、役所からいうと、外務省から五人で、あと国交、経産、文科から一人ずつというような話を伺ったんですけれども、あとは民間の人だということなんですが、先ほど長官が御認識を示していただいたように、国際広報というのは、これを官邸主導で特にやっていくに当たってグリップをしっかり握るには、これは今後ますますやはり重要になってくると思うんですね、そういうところからすると、現在の体制で十分と言えるのかどうか。

 これは一回、長官もほかの国なんかの、例えばホワイトハウスなんか調べていただくと、いわゆるコミュニケーションスタッフみたいなものが、これはもう桁が違う人数がいたりするんですよね。

 今のこの十九人という人数で、果たしてこれは十分と言えるか。それとも、長官として、これはやはり今後もっと人数もふやして強化をしていく、そしてまた、各省も含めていろいろな人材をとっていく、そういうおつもりがあるかどうか、その点をお聞かせいただけますか。

菅国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、国際広報の重要性というのは、私自身もそこは十分認識をいたしております。

 そういう中で、私ども、政権交代をして最初に行ったのが、実際に予算を大幅に増加させていただきました。それは、当初予算で二十五年度は八・五億、補正で八・一億の十六・六億円を拡充しまして、今年度、二十九年度の予算案におきましても、当初予算で今三十六億円、これをお願いしております。

 それと同時に、やはりそうした国際的に明るい人材を登用する、このことも極めて大事だというふうに思っています。各省庁、そしてまた民間も含めて、そうした有能な人材を、日本の広報のために頑張ってもらう、そういうことについても政府としてしっかり行っていかなきゃならないという思いは非常に強いものを持っております。

古川(元)分科員 ここは、予算をふやしていただいたのはもちろんいいことだと思うんですけれども、やはりちょっと人員ももう少しふやすということも、また、あと専門家のスタッフという話がありました。

 私のときには、民間から、任期つきで、広報とか専門の、国際的なそういうことをやっているような方も採用したりもしました。今聞きますと、民間から出向してきている人がいるようですけれども、そういうノウハウとか、そういうスペシャリストみたいな人はどうもいないような、やはりそこはぜひ強化をしていただきたいなと思うんです。

 ちょっとここで、質問通告してないですから、わからなかったらわからなくていいんですけれども、長官、そもそも、この国際広報室ができる前に、官邸の中で国際広報はどういう体制でやっていたかというのは御存じですか。

菅国務大臣 正直言って承知しておりませんけれども、古川委員が官房副長官になって、国際広報の専従班をつくられたということは承知しています。

 ですから、その以前というのは、多分、広報全体の中の一部ではなかったかというふうに思います。

古川(元)分科員 これは長官、驚くべきことに、国際広報を担当しているのは一人しかいなかったんです、官邸の中に。副広報官というのが外務省から来ていて、その人が一人で全部。だから、事実上、国際広報といっても、そこから外務省に全部横流しみたいな感じで、実態的には、官邸で回せるというのは外国人の記者をちょっと相手するぐらいの、そういう状況だったんですね。

 さっき、日下審議官からは、発足時十人と言われましたが、あれは、総理大臣決定がきちんとできて、その後のときで、その前に、もう事前に仮に発足させたんですけれども、最初、発足させたときは四人です。しかも、とにかく座布団がないですから、室長は外務省の方から、これは副広報官レベルの人というので、初代の室長、四方さんというのを呼びまして、四方さんを支えるという外務省からの一人と、あと財務と経産から一人ずつ出してもらって、でも、この財務と経産は兼任ですよ。そういう中でやったんです。

 これは、実は、つくるときに相当抵抗がありまして、とにかく外務省なんか、ここの部分の国際広報は俺たちのだから、そんな官邸でなんというのをやって。そもそもこの四方さんは、私が直接、個人の名前を示して、彼を出せとやったんですけれども、これも最初、何度も反対もされて、なかなか出してもらえないぐらいに非常に厳しい状況だったんです。

 ですから、予算をつけるのも、我々の政権のとき、とにかく、つくっていくというのも非常に大変だったところがあって、そういう中で四人で始めていったんですね。

 そういうところの中で、少しずつ外から任期つきで入れてきて、そういう中であの三・一一、震災と原発事故が起きて、特に原発事故に対しては、やはり世界的な注目と、あと、大丈夫かという、そういう不安が広がったんですね。

 そういう中で、原発事故発生直後に、実はそれまでは政府のツイッターの公式のアカウントというのはなかったんですけれども、もう大至急そこは公式なアカウントというのをつくって、そこで、四方室長がみずからの名前で、国際広報室長という名前で英語で発信をして、これはかなり、世界に広がっている不安を静めるのに大きな役割を果たしました。

 でも、彼もいろいろ、CNNに出たりとか、前面に立って役割を果たして、今から思うと、もしあのとき国際広報室というのがなくて、小さいながらもそういう体制がなかったら、どういう誤った、いろいろな流言飛語みたいなものがかなりあの当時世界に飛び回っていましたから、どうなったかと思うと、本当に、小さいながらあのときにできていてよかったなというふうに思っているんです。

 そういうこともあったということは、長官になってから報告とか何か受けていらっしゃいますか。知っていましたか。

菅国務大臣 私の秘書官は、今、林秘書官が来ていますけれども、あるいは経産省出身の秘書官の門松というんですけれども、委員が大臣のときに官邸周りにいたものでありますから、当時のことについては私はいろいろなことを学んでおります。

 今、私が官房長官という立場で仕事をさせていただいて、これで、例えば、国際広報が脆弱だ、そうしたらそこで三・一一が発生をした、想像するだけで、これは大変なことだったというふうに思います。

 そうした経験の中で、積み重ねの中で、今ようやく十九名、まだ少ないというふうに思いますけれども、そういう意味の形はつくることができたというふうに思っていますので、国際広報を戦略的、そしてまた瞬時にも行うさまざまな体制をしっかりとっていくということをこれからも官房長官として努めていきたいと思います。

古川(元)分科員 本当に、私自身、あのとき、もう大変な思いをしてつくりまして、いろいろな抵抗がいろいろなところであった。しかし、つくった結果が、あの中で当時の、初代の四方さんは本当に頑張ってくれて、彼はそのときの頑張りがあって、その後、海外で何か表彰も受けたりもしたんですね、メディアの方から。ですから、そういった意味では、この国際広報室というものを、四方さんが初代室長として、そういう少ない人間の中で、ああいう危機的な状況の中で頑張ってくれて、一つ評価が定まって、その後、我々の政権でも一気に数がふえたんですよ、やはり大事だということがようやく認識されて。

 ですから、そこはぜひ長官にもわかっておいていただいて、今後とも、体制の強化にはぜひ、やはり長官が先頭になって旗を振っていただきたいなというふうに思っています。

 ちょっともう少し具体的な話で、ぜひ長官に御検討いただきたいということをお話ししたいと思うんです。

 我々のときに、先ほど、官邸がちゃんと各省庁ばらばらにならぬようにという話がありましたけれども、国際的なそういう広報活動は、実は各省庁みんないろいろなことをやっているんですね、今までも。ただ、これが御存じのようにみんな縦割りで、自分のところだけタコつぼ的にやっている。ですから、お互いに何か連携が余り、情報連携もないし、また、似たようなことをいろいろな役所が重複してやったりもする。

 だから、一つの目的は、そういう各省庁、別に官邸のところでたくさん予算とかを持っていなくても、各省庁がそういう国際広報的なことをやる、そういうところの予算をやるときに、情報連携をしっかりとして、重複を避けて、例えば一緒にやる方がいいようなものは一緒にやらせるとかですね。

 限られた資源の中、予算だってそれは限られているんですから、そういう限られた資源の中でそれを集中させて、政府が一体となって国策を推進していこうということで、私が大臣のときに、当時、国家戦略担当大臣がそこの部分を担当したんですけれども、国際広報に関する政府・関係機関の実務者連絡会議というのをつくって、これは全省庁の、各省庁の広報担当者とか、あと国際協力機構とか交流基金とかジェトロとか国際観光機構、こういう政府系の国際的な業務をやっている人たちにも参加してもらって、どういう意図として、政府として国際広報を進めていくかという大きな大方針、そういう目標を決めて、それぞれ各省庁がやろうとしている、あるいは計画しているようなもので、では、それはそうした大方針に見合うような形でやってくれとか、あるいは、例えば農水省で何か食のフェアみたいなのを海外でやるんだったら、そういうときにちょっとほかのものも連携させるとか、そういう連絡会議を年に何回かやっていたんですね。

 では、政権がかわってどうなのかなと思っていますと、全省庁のそういう広報担当とかあるいは政府系の関係機関みたいのを含めてというのは政権がかわってからやっていなくて、対外広報戦略企画チームというのは二十五年から、二十七年の四月が最後のようですけれども、十二回にわたって行われてはいるんですが、これは全省庁じゃなくて一部の省庁、関係が深そうなところだけで、聞いたら、必要に応じてほかの省庁も呼ぶんだみたいな話をしていましたが、そういうものがやられていたようなんですね。

 そもそも私は、もともとの趣旨からいうと、あらゆる省庁が、結構今国際的な業務もありますから、そういう国際広報的な側面とか、そういう予算とかあって、イベントとか行事とかやっているんです。ですから、やはりそこはちゃんと全省庁、そして国際、政府系のですよ、ジェトロだとかJICAとか、こういうものを含めてちょっと集まる連絡会議というのは実務者レベルのをやるべきじゃないかなと思うことが一つです。

 あと、その対外広報戦略企画チームを、平成二十七年四月二十四日に十二回が開かれて以降は開かれていないんですね。聞いてみますと、今は個別に関係するところと実務者調整をやっていますけれどもと言うんですけれども、何回もやる必要はないですけれども、そうやって一堂に会して、ここは自分のところはこういうことをやろうと考えているとか、そういう意識の共有とか認識の共有というのはやはり大事だと思うんですね。

 ですから、もう一度、こういう国際広報に関する政府関係機関の実務者の連絡会議みたいなものは、これは我々の政権でやったものだからもうやらないというんじゃなくて、やはりそこは復活させた方がいいんじゃないかと思うんですけれども、どうですか、長官。

菅国務大臣 まず、民進党政権時代だから私どもはやらないということは全く考えていません。国際広報上必要なものについては、いいところは、そこはしっかり拡充をしていきたいというふうに思います。先ほどの国際広報室もそのとおりでありまして、委員を中心に土台をつくっていただいた、それを今拡充して、予算も三倍ぐらいに実はさせていただいているということも事実であります。

 現在、戦略的に国際広報を展開する中で何が必要なものか、そういう中で、常に全省庁集まるということも、人数からしても、そこはなかなかなというふうに思います。

 海外に向けては、例えばインフラ輸出、こうしたものも、内閣の中に戦略室をつくって、関係する省庁の責任者に集まってもらって進めている。あるいは、観光も、関係省庁集まって、その広報活動をしてもらうとか、そういう意味で、内閣を中心に各省庁、関係機関の集まる会議というものは、そのものものに応じて行っているのが現状です。

 そして、実務者の話がありましたけれども、そうしたことも含めて、広報全体としても、政府の考え方を統一しなきゃならないことも事実でありますので、次官会議とかいろいろな会議を活用させていただきながら、その思いはしっかり届くようにしていきたいというふうに思います。

古川(元)分科員 いろいろな関係省庁と実務者が集まっているのはわかるんですけれども、国際広報という意識が、では、みんなにその意識があるかというと、私の感じでは、やはりそこは結構欠けたりしているんですよ。

 だから、国際広報という視点が大事だよ、国際広報という視点から、こういう大戦略とか大方針、そこを共有してもらうというためには、別に毎月毎月開けとかいうわけじゃないですけれども、やはり年に数回はそういう集まりというのも考えるべきじゃないかなと思うんですね。

 あと、時間も限られてきましたので次に行きたいと思うんですけれども、今、海外に発信、やはり英語が中心になっていると思うんです。しかし、特に日本の世界の中での存在感とか、あるいは、これだけ今や英語圏だけじゃない地域が、各国が何か力もつけてきているようになると、やはりこれは英語とかそういうものだけじゃなくて、かなりいろいろな言語で発信をしていくということが大事だと思うんですけれども、今、英語以外だと、ほかの言語だと何語で海外への発信はやっていらっしゃるということですか。

日下政府参考人 お答え申し上げます。

 国際広報の実施に当たりましては、そのテーマや訴えかけたい相手に応じて、英語に加えて複数言語で発信してございます。

 例えば、首相官邸ウエブサイトは英語、中国語、それから広報誌につきましては、英語、フランス語、スペイン語版のほか、内容に応じてロシア語で制作してございます。さらに、我が国の主権、領土に関する動画については、より広い対象に訴えかける必要がありますことから、外務省等の協力を得まして、中国語、アラビア語、ロシア語を含む十一言語で作成しているところでございます。

古川(元)分科員 必要に応じてとなっているんですけれども、長官、人口からいっても中国語とか、もう本当は英語と同じ量ぐらいはやはり中国語ぐらいはないといけないと思いますし、スペイン語であるとかもそうだと思います。フランス語とかね。あと、アラビア語なんかも大事だと思いますよ。やはりここの部分は相当、この辺だけでも力を入れていくというのは大事だと思うんですね。

 ぜひ、必要に応じてとありますけれども、やはりもうちょっと、英語と横並びぐらいで主要な言語はきちんとやるようにしていただきたいなと思います。

 最後に、もう時間もあれなので、国際広報室は、これは我々の政権のときに、総理大臣決定ですといって設置したんです、国家戦略室と同じで。しかし、総理大臣決定でこういう大事な組織をつくるについては、私も政権にいたときに、御党の方から、総理大臣決定でこんな国家戦略室とか大事なものをつくっていいのかといって、大変厳しく国会で追及をされました。

 私は、特にそういった意味では、最初からお話があるように、官房長官もこの国際広報室は大事だというふうに感じていらっしゃるのであれば、しかも、組織もここまで大きくなってきて大変重要なことをやっているわけでありますから、これはそろそろ、最初のところはとにかくまずつくることが大事だということで総理大臣決定でもいいんですけれども、やはりここまで定着してきた以上は、内閣官房の組織令にきちんとこれを規定して、その上で定員とか予算とかもしっかり確保していく。今みたいに、座布団がなくて、他省庁から寄せ集めて持ってきてもらうみたいなことじゃなくて、やはりきちんとそこは法令上も位置づけるということが大事だと思いますが、いかがですか。

菅国務大臣 答弁の前に、先ほどの多言語ですけれども、全く私は委員の言われるとおりだというふうに思っています。

 昨年の訪日観光客、二千四百万人を超えていますから、そういう中で、残念ながら一番対応の遅いのが国の関係だというふうに私も思っていますので、例えば、私、国立の美術館に視察に行ったら英語しかやっていないとか、そういうのもたくさんあることも事実でありますので、そうしたものは積極的に多言語をしていきたいというふうに思います。

 今の組織でありますけれども、内閣官房組織令において、内閣広報室でありますけれども、これは、内閣の重要政策に関する基本的な方針に関する企画及び立案、さらに、総合調整に関する事務のうち広報に関するものということで位置づけられています。そして、その中で国際広報室は、内閣総理大臣決定によって、海外に対する広報に係るものを処理するために置かれておると。こういう形で実際動かさせていただいています。

 今のところ、業務を遂行するに当たって障害はないというふうに思っています。しかしながら、広報の重要性というのを私ども認識をいたしておりますので、ここをさらに拡充しながらも、それから先のことはまたその時点で考えていく必要があるだろうというふうに思います。

古川(元)分科員 ぜひここは、今も国際広報室長といっていますけれども、これはある種、ちゃんとした官職じゃないんですよね。形はやはり副広報官なんですよ。

 やはりここは、これだけ具体的なことをやっているんですから、きちんと法令上も国際広報室長というのをちゃんと位置づけられるような、ぜひそうした状況をつくっていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

西村主査 これにて古川元久君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

西村主査 次に、防衛省所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。升田世喜男君。

升田分科員 民進党の升田世喜男です。よろしくお願いします。

 まず、稲田大臣に、日報の件なんですけれども、最初、廃棄していないとなって、再調査されて、防衛省の方でそれを発見されて、大臣に報告するのに一カ月かかった。先般の予算委員会で、僕は、その一カ月間という期間が、大臣と防衛省の、実は距離感があるんじゃないかということを御指摘させていただきました。今なおその懸念は僕の中では消えないわけでありまして、ここで改めて、大臣、防衛省とのコミュニケーション、あるいは統率、とられておりますか。この辺はいかがですか。

稲田国務大臣 今委員御指摘になったように、日報を探索して、発見されて、そしてそれを私に報告するまで一カ月がかかったということは、余りにも時間がかかり過ぎるということで、私も関係部署に対して指導、注意はしたところです。

 その上で、委員が、一カ月もかかったということは、防衛省と私との間のコミュニケーションがうまくいっていないのではないかというお尋ねですけれども、今回、十二月十六日に、日報が文書不存在のため不開示である、文書を破棄したこと自体は規則に基づいているんですけれども、適法なんですが、それで破棄されたという報告を受けて、私は、自分の経験則、弁護士としても、一国民としても、それは、電子データはどこかにあるんじゃないの、とにかく徹底的に探して、そしてあれば、もう全て公表しましょうということを言って、そしてそれが発見されて公開するに至った。そういう意味では、私は、職員との間のコミュニケーション、すなわち、これは探して公表しましょうという中で行われたというふうに思っております。

 また、現在に至るまで、事務方から、そういった経緯、問題点、しっかりと報告をされて、これを踏まえて再発防止に向けた指示を行うなど、コミュニケーションは円滑に行われているところであります。

 しかしながら、今後、コミュニケーション、委員が御心配をされるのは、やはりそういうものがないと、委員の御地元の派遣部隊の様子というものが私のところに上がってこないんじゃないかという心配をされているんだと思います。そういう意味からも、やはりしっかりとコミュニケーションをとる。そして、私に上げるに当たって、万全の準備をしてから対応しようと過度に完璧主義に至るんじゃなくて、節目節目で迅速に要点を報告すべく意識を変えていこうということも確認をしているところであります。

 二十五万人の自衛隊員と緊密な関係を築く、そして、派遣隊を送り出されている家族の皆さん方に、今回のこういったことで無用な不安を今後与えないように、しっかりと指導もし、またコミュニケーションもさらに緊密なものになるように、私自身も努力してまいりたいと考えております。

升田分科員 僕の立場からいうと、どうしても、選挙区内にあるということで、やはり代表の一人としては、家族の不安に思いをより寄せながら僕が質問するのが自分の役割だな、こう思っています。

 人間というのは知らないと不安になるんですね。それと、知った情報は本当かなという不安があるとさらに不安になってしまう。こういうことで、一カ月もかかったということはもう二度とないように、こんな類いのものは。再発防止はしっかりしてもらいたい。

 と同時に、いま一つは、普通の感覚で、防衛省が、見つかりました、では大臣に、一カ月間、この中身をどこまでどんなふうに報告したらいいだろうかとかいうことを考えずに、これを全部大臣に、こうですと。そこで大臣と防衛省が、ではこれはこうですねという再確認をするということが、普通、家族から、あるいは我々から見ても、その方がかえって安心感なんですね。そこで防衛省が、ここはちょっとあえて大臣に報告しなくてもいいな、ここはどうしようか、そういうところに時間がかかったというような報道もありまして、もしそれが本当だとするならば、その行為そのものがまた家族の不安になるわけですね。

 大臣は最高責任者でありますので、これはもう何でも、防衛省の職員に、気にかけるな、自分のところへ全部持ってこい、後は自分が責任をとるんだからどんと来てくれよと。こういうコミュニケーションというか意思疎通というのは大事だと思うんですが、くどいですけれども、もう一度お願いします。

稲田国務大臣 なぜ一カ月もかかったかということに関して、見つけたらすぐ公表しろということを指示していたので、見つけたときに担当の者は、見つけたということを私に言うよりも以前に、まず公表のための準備をしようということで情報公開の準備を行っていたということであります。なので、私に報告するのに何を報告するかではなくて、そこは、世間に公表する、情報公開に、開示をする内容を詰めているのに時間がかかったということでございます。

 ただ、今、たとえそうだとしても、委員が御指摘のように、見つかったら、まず、見つかりましたと。まず、見つかりました、今から公表の準備をやりますができるだけ早くやりますというその一言ですね。それは、おっしゃるように、私もそのとおりだと思いますし、そこは、いろいろな意識を変える、そして、私との間で何でもすぐに報告ができるようなそういう関係、おっしゃるコミュニケーションですね、そういったこともこれからしっかりと心がけてまいりたいと考えております。

升田分科員 経済はやり直しも取り返しもできると思うんですね。しかし、大臣の所管されていることというのは、ある意味、ある意味じゃなくて全て、生命財産、これに直結でありますから、人の人生あるいは国の運命を左右するということで、取り返しがつかないんですね。

 ですから、このコミュニケーションが、あるいは大臣と防衛省の信頼関係というのは、強固に結ばれていないとだめなんですということで、僕はここを御指摘させていただいておりました。

 今、稲田大臣から見て、南スーダンの情勢というのはどんなふうに捉えておりますか。

稲田国務大臣 七月のような大規模な武力衝突がジュバの中にあるという状況ではない、そういう意味ではジュバの市内は比較的落ちついておりますけれども、しかしながら、私も毎日報告を見て、北部、さらには南の国境地域においては、部族間の衝突であったり、また強奪であったり襲撃であったり、かなり治安は厳しい状況にあるというふうに思います。

 もちろんPKO五原則が満たされている状況であることは続いておりますけれども、しかしながら、今回閣議決定の中に入れた自衛隊員が安全を確保しつつ有意義な活動ができる状況であるかどうか、ここはしっかりと見ていく必要があるというふうに認識をいたしております。

升田分科員 先般の公聴会ですか、NGOの今井さんという方のお話を議事録で私は拝見させていただきましたが、今の大臣の御答弁とはちょっと空気感が違うんですね。いつ厳しい状況になってもおかしくないと。ずっと読まれていきますと、もう既にPKO五原則、参加五原則には反している、あるいはそれに近い状態であるんだということなんですね。

 ここでまた、大臣あるいは防衛省側からの情報発信と、実際NGOとしてそこに三週間とどまって現場を見た方との発表が違ってくる。こうなりますと、一体どっちが本当なんだということをこれは一国会議員としても感ずるわけですし、このやりとりを見ている家族もまたさらに不安になってしまうということなんですね。

 ですから、いわゆる情勢に加工があっては断じてならないわけで、ありのままを伝えていなければ、もちろん、防衛省から大臣に上がる情報もありのままでなければ、これは大臣が判断できないわけですね。残された家族も、あるいは国民全体がやはりこれは見守っているわけでありますから、国民もまた要らぬ不安に駆られてしまうということになろうと思うんです。

 そこでどうのこうのというよりは、私がここで聞きたいのは、自衛隊員といわゆる家族、コミュニケーションをとられていると思うんですが、ここはどんな方法で、あるいはどんな形でコミュニケーションをとられているんでしょうか。

稲田国務大臣 まず、委員が前段に御指摘になった公聴会での議事録、私も読ませていただいたところでございます。

 そして、PKO五原則が維持されているかどうかという点についての評価は、私は、PKO五原則が維持されている状況ではありますけれども、しかしながら、治安が非常に厳しい状況であることも事実であります。そして、日々、日報のみならず、国連、現地部隊、各国の部隊、現地の報道、さまざまな生の情報を入れて、そしてそれに基づいて判断をしているところであります。

 そんな中で、私も南スーダンに、昨年の十一月ですけれども、行きました。また、ことしに入ってからは、副大臣も現地の施設隊に行ってその様子を見ることができました。そうやって、いろいろな情報とともに、私たちも実際にこの目で見てくるということも重要だと思います。

 そんな中で、隊員の家族と隊員たちのどういった連絡手段があるのかということでありますけれども、衛星携帯電話、固定電話、テレビ電話などによって隊員から家族に連絡することが可能ですし、また、家族からは電子メールにより連絡することができます。さらに、留守家族からの慰問品等を隊員へ送付するということもありますし、先ほど指摘をいたしました私や副大臣、また最近では内閣総理大臣補佐官も訪問をして、そういう様子が報道されることによって、私も南スーダンの施設隊の隊員が、大臣が来てこの様子がまた報道されて家族に伝わることでまた家族が安心しますというようなお声も聞きました。

 そういったことも含めて、派遣している隊員及び留守を預かる御家族に対して安心していただけるような、そういう万全の体制を構築してまいりたいと考えております。

升田分科員 今大臣は、今井さんのお話に触れましたね。大臣そのものも、国連の職員とかいろいろな方から随時情報はいただいていますということでお話しされました。

 ただ、大臣と今井さんとの違いは、今井さんは避難されてきた方と直接お話をしているということなんですね。これは、大臣であろうが、国連の関係者というんでしょうか、そちらの関係は、その避難された方とのコミュニケーションというのは、僕の感覚でいうと、これはないと思うんですよね。そうしますと、どうしても見る視点が固定化されている、こう捉えざるを得ないと思うんです。

 そこで、自衛隊員と家族のコミュニケーションのことを今お伺いさせていただきました。テレビ電話や、あるいはメールなんかも多分できるんでしょう、今はありますから。ここで、普通、これで一つまた安心がありますよというのは、いささか僕は違うんじゃないかなと思っているんです。

 というのは、僕もやはり、仮に自衛隊員であれば、それはみずからの使命感、任務の中でしっかりやろうとしているわけでありますから、来ていること自体で家族は不安になっているわけで、そこに、実はこういうことがあって、こんなことがあって、これは仮でお許し願いたいんですが、こういうことが伝わっていないけれども実はこうなんだということは、普通は言わないと思います、より以上心配させたくないので。仮に自分が不安にあっても、これは男の性分として、たとえ怖くても、たとえ不安でも、母ちゃん、俺は大丈夫だ、僕は大丈夫だ、必ず、大抵はこう言うと思うんです。

 ですから、防衛省や大臣から発信するところは、客観的で中立的で、ありのままを発信してもらわないと、不安の払拭というのにはつながらない、僕はこういうふうにきょう考えているわけですね。

 ですから、ここは大臣、一カ月間、防衛省が大臣に対しての報告がおくれたということは、さまざまな心理が防衛省の中にあったんだろうと思います。

 ここは、また冒頭の繰り返しで恐縮ですが、本当にコミュニケーションをとって、どんと持ってこい、精査するのは二人でいいじゃないか、まず、すぐさま情報を教えてください。先ほど大臣が御答弁されましたけれども、今見つかりました、見つかったかどうかというのは一番気にかけているわけでありますから、そういうことも上げてもらえるようなコミュニケーションを、くどくて恐縮でありますけれども、家族の不安と命につながる話でありますから、ここはしっかり対応してもらいたいな、こう思います。

 PKO五原則は、今のやりとりの中で、守られているという大臣のお話がございました。この仕組みというか法律というのは、今から二十五年前ですか。二十五年前につくられたものだとすれば、当時想定されなかったものも、やはりあって普通だなと思うんですね。

 戦闘という言葉云々で、我が党のさまざまな委員から激しいやりとりがありました。僕は、そのやりとりを拝聴させていただいて、一国民として、その言葉の表現云々よりは、危険かどうかが一番問われることであって、戦闘というのは、法的に言ったら、それは国または国に準ずる組織の武力衝突があったときに、そして人への殺傷があったり、こういうときに戦闘と言うのであって、国または国に準ずる組織と認められない場合は戦闘ではない、こういう答弁の内容であったと理解をしておりますけれども、これは、命の観点からいったら余り関係ないと思うんですね。本質的じゃないと思います。

 では、国対国と準ずる、ここも、いわゆる武力衝突の使っているミサイルは極めて危険で、機関銃は極めて危険で、国対あるいは国に準ずる組織と認められない衝突で使っているミサイルや機関銃はそれよりは安全なんですということは、これはあり得ないわけでありますから、使っている点では同じでありますからね。こうなりますと、命の観点や家族からの不安の観点からいったら、その戦闘という意義には、もう全然むなしい議論だ、僕はこういうふうにお伺いをさせていただいておりました。

 自衛隊は、与えられた役割を、しっかりと任務を遂行しようと思って頑張っているわけであります。我々国政は、自衛隊員の命を守らないといけません。そして、家族の不安を払拭してあげないといけません。そして、日本らしい貢献を持続していかなきゃいけません。こういう観点から考えていきますと、稲田大臣の職責というのは極めて重いのは言うまでもありません。

 そこで、改めて、もはやPKO五原則というのはもう一度見直してしかるべきだなというふうに大臣はお考えになりませんか。

稲田国務大臣 今委員がおっしゃっているその本質ですね、本質。私はすごくよくわかります。そして、委員の御地元の隊員の方々は、今、南スーダンにいらっしゃいます。大事なことは、その人たちが危険かどうか、安全に自分たちの、施設隊として道路をつくったり、今委員おっしゃったように、日本らしい活動、それをできているかどうか、本当に安全かどうかを見るべきだという、私は全くそのとおりだと思います。

 その意味で、今回、PKO五原則のみならず、自衛隊員がしっかり安全を確保して有意義な活動ができるかどうか、これを閣議決定の中に入れて、そういう状況じゃないとなれば、もう撤収はちゅうちょしませんということを書いたわけであります。

 したがいまして、国か国準かというのは、まさしく先生おっしゃるように、理論的な、憲法に合致する活動であるかを担保している、そういう議論ですけれども、本当に重要なのは何かというと、おっしゃるように、自衛隊員が安全を確保しつつ、そして有意義な活動ができるような状況に、今、南スーダン、ジュバがあるのかどうなのか、刻々と変わっている、しかも非常に厳しい治安状況の中で、そこはしっかりと見ていくべきだと思っております。

升田分科員 今大臣が御答弁なさった中で、いわゆる自衛隊員の安全、安心が確保されて有意義な活動ができるかどうか、ここの一点ですね、とどめておくことがいいのか、あるいは撤収すべきかというのは。戦闘という法的な言葉の意味づけ、これがどうのこうのではなくて、今述べたことが最重要だと思うんです。本質的なところだと思うんですね。

 このことを捉えて改めて大臣にお伺いしたいのは、PKO五原則は守られている、こういう認識ですか。

稲田国務大臣 PKO五原則は憲法に合致した活動であることを担保するもので、この際議論すべきことは、先ほど委員もおっしゃいましたが、国家または国家に準ずる組織の中で武力を用いた争いが生じているか否かという点の検討であります。

 そして、これを南スーダンに当てはめると、当事者については、マシャール派、すなわち反政府方が武力紛争の当事者であるか否か、これが判断材料となります。具体的には、マシャール派はこれまでに系統立った組織性を有しているとは言えず、同派による支配が確立されるに至った領域があるとは言えないこと、南スーダン政府とマシャール派双方とも事案の平和的解決を求める意思を有していると考えられることなどを総合的に判断すると、マシャール派が紛争当事者とまでは至っておらず、武力紛争が発生したと当たるとは考えていない。

 そういう意味でのPKO五原則は守られていますが、先ほど来委員が御指摘になっているように、しかしながら、重要なのは、自衛隊員がみずからの安全を確保しつつ有意義な活動ができるかどうか、そして、それができないとなれば撤収するのはちゅうちょしないということも昨年決めたときにしっかりと書き込んでいるわけでありますので、そこをしっかりと見ていくということでございます。

升田分科員 僕の問いかけから真っ正面にお答えをしたというような答弁ではなかったな、こう思います。

 それは、大臣にもいささか苦しいところがあるんだろうなと思います。その苦しいところがあるとすれば、僕はもう既にPKO五原則の見直しの時期に来ているのではないかな、こう思います。

 それでは、例えばISILというのは、これは国に認められておりません。国でないので、ISILとの紛争があった場合、これはPKO五原則には当たらないというふうになるわけですか。

 いわゆるPKO五原則の一番目は、当事者間で停戦合意がなされている場合、こうなっているわけですね。この停戦合意というのは、これは国対国とのことを前提でしょう。では、国と認められていないところとのいわゆる武力衝突に関連することでありますと、国と国ではないんだから、停戦合意も何も必要ない。こうなりますと、やはりそこにも駆けつけ警護を任務させた形での自衛隊派遣は可能だ、こういう捉え方でよいのかどうかということです。

稲田国務大臣 まず、今、南スーダンのPKOにおいて、マシャール派と政府方の停戦合意は関係ないと言っているのは、今まさに南スーダンに行っているPKO、自衛隊の活動が、PKO法の三条一号ロの紛争が終了した後、すなわち、そこに紛争は、スーダンと南スーダンとの間の二十年以上にわたる紛争、それが解決した、そこのことを言っているんだということをここでいつも申し上げております。

 その上で、今、ISILについてのお尋ねですけれども、これは全く今現在参加しているPKOとは関係ありませんし、そこにPKO五原則を適用するとか、これらの主体が系統立った組織性を有しているか否かということについて、判断はしていないということでございます。

升田分科員 そろそろ時間がなくなってきました。

 もう既に議論されたことではあるんですが、改めてお伺いをしたいのは、撤退をする基準について、これは明確に御答弁願いたい、こう思います。

稲田国務大臣 まず、もちろん、PKO五原則に違反する、すなわち憲法に合致する活動であることが担保できないような、例えば国または国準との間の武力を用いた争いが生じるような事態だったら、即時撤収です。

 しかも、もう一つ重要だと今もずっと委員との間で御議論しておりますところの、自衛隊員がみずからの安全を確保しつつ有意義な活動を実施することが困難であるというふうに認められるような場合には、国家安全保障会議における審議の上で、自衛隊を撤収させることになるということでございます。

升田分科員 答弁としてはそこは納得いたします。いわゆる自衛隊が安全、安心の確保があって有意義な活動ができるかどうか、これが見込めない場合は撤収するんだ、こういうことでいいわけですよね。

 先般のNGOの今井さんのお話を聞いても、もう既にそのような状況ではないかなと思えてならないんですね。これは、防衛省と、大臣との見解の違いでありますけれども、ここは冷静に状況を、あるいは情勢をもう一度見る、あるいは把握するという必要性があると思います。

 司令官や労働大臣とか重要な方が辞任されておりますね。こういうことが始まると、想定外のことが起きる予兆であるという捉え方をしても、これはよろしいんだろうと思うんです。なので、大臣はかたくなまでに、今は大丈夫だ、今は大丈夫だということではなくて、一時間、一日も違ったら状況は常に激変するんだという認識を持って、自衛隊員の命と家族への不安を和らげてほしい、このように思います。

 時間が来たようでありますので、先般は怒られましたから、ここで終わります。

西村主査 これにて升田世喜男君の質疑は終了いたしました。

 次に、大西健介君。

大西(健)分科員 民進党の大西健介でございます。

 大阪府の豊中市の土地を、学校法人森友学園が近畿財務局から不当に安く購入したのではないかという疑惑については、予算委員会のみならず、ほかの委員会でも取り上げられておりますけれども、この学校法人森友学園の理事長、籠池泰典氏、昨年の十月二十二日に、防衛大臣、稲田大臣の名前で防衛大臣感謝状を贈呈されておりますけれども、この理由を簡潔に教えていただけますでしょうか。

稲田国務大臣 防衛大臣感謝状については、表彰等に関する訓令第二十四条に基づき、自衛隊に対していただいた協力、援助の功労が著しい個人または団体に対して贈呈をするものでございます。

 籠池氏に対する防衛大臣感謝状については、海上幕僚監部の推薦に基づき、同氏が長年にわたり自衛隊の部隊との交流等を通じて防衛基盤の育成と自衛隊員の士気高揚に貢献されたことに対し、平成二十八年十月二十二日の防衛大臣感謝状贈呈式において感謝状を贈呈したものでございます。

大西(健)分科員 自衛隊への協力ということでありますけれども、この籠池氏は幼稚園を経営されていて、その幼稚園の園児等が自衛隊の行事等にも出席をしているというようなことが幼稚園のホームページとかにも書いてあるんです。

 一方で、この幼稚園については、T幼稚園退園者の会、そういう会が立ち上がっていて、ホームページもあります。

 その中では、例えば、ここで行われている教育の中には児童虐待に類するものがあるんじゃないかと。例えば、退園を迫られた保護者が、ある日、弁当に犬の毛が入っていたと弁当の中身を捨てられたとか。あるいは、よこしまな考え方を持った在日韓国人やシナ人などと記載した文書を保護者向けに配付したと。これがヘイトに当たるのではないかということで、大阪府が、一月ですけれども、園を訪れて籠池氏と面談をして事情を聞いているというようなことがあるんです。

 そういう幼稚園を経営する籠池氏に感謝状を出したということについて、問題だというふうには思われないでしょうか。

稲田国務大臣 防衛大臣感謝状の贈呈のための選考は、自衛隊に対する協力、援助の実績の積み重ねを踏まえ、省内の各機関からの推薦に基づいて公正に行っているところでございます。

 籠池氏に対する防衛大臣感謝状については、先ほども申しましたが、海上幕僚監部の推薦に基づき、同氏が長年にわたり交流を通じて防衛基盤の育成と自衛隊員の士気高揚に貢献されたことに関して贈呈をされたものと認識をいたしております。

大西(健)分科員 それでは確認しますが、今私が申し上げたような、T幼稚園退園者の会とか、あるいは、大阪府から、そういう差別的な表現に当たる文書を保護者に配付したということについて聴取を受けている、そういうようなことがあるということ、あるいは、塚本幼稚園の教育内容とかは知った上でこの感謝状を出したのか。知っていても、それとは関係なく、自衛隊への協力があったということでこの感謝状というのは出しているので、それがあっても関係ないんだということなのかどうなのか。知った上で感謝状を出したのかどうなのかについてお答えいただきたいと思います。

稲田国務大臣 防衛大臣感謝状に係る海上幕僚監部の推薦の主たる理由は、艦艇の入港に際して、園児による鼓笛隊を編成し隊員を歓迎するとともに、海賊対処に従事する隊員に対して園児手づくりの品を贈るなどによる隊員の士気の高揚、保育士の自衛隊への体験入隊等による防衛思想の普及に寄与したことが理由でございます。

大西(健)分科員 今の御答弁で、やはり園児が自衛隊の行事に参加をしたり、あるいは保育士が自衛隊に体験入隊したことをもって感謝状が贈られているわけですけれども、今申し上げましたように、その幼稚園が、別のところでは退園者の被害者の会のようなものができていたり、あるいは、ヘイトスピーチに当たるような文書を配付していたことを大阪府から問題視されているということを、要は、知っていたのか、知っていなかったのか、それをお聞きしているんですけれども。知った上で、それとは関係なく、感謝状はそういう規定にのっとってやったということなのか、知らなかったのか、どっちですか。

稲田国務大臣 今委員が御指摘されたことについて、認識はしておりません。

大西(健)分科員 では、ちなみに、この籠池さんと大臣は御面識がありますでしょうか。いかがでしょうか。

稲田国務大臣 私、籠池泰典さんと面識はございますが、ここ十年ほどお会いはいたしておりません。

大西(健)分科員 今、大臣からは面識があるというお答えがありましたけれども、籠池さんは、「谷口雅春先生を学ぶ」という機関誌に、籠池氏が園長を務める塚本幼稚園の副園長で夫人の諄子氏がインタビュー記事を載せていたり、あるいは、塚本幼稚園を会場にした、この谷口雅春先生を学ぶ会の講演会の告知が載っていたりします。また、籠池氏は過去に、日本会議大阪代表、運営委員という肩書でテレビのインタビューに答えておられます。

 一方で、稲田大臣は、二〇一二年の四月三十日、谷口雅春先生を学ぶ会主催の会で講演をされています。また、大臣は、日本会議国会議員懇談会の役員もされておりますけれども、今、面識があるということでありますけれども、それは、この谷口雅春先生を学ぶ会だとか日本会議を通して面識があるということでございましょうか。

稲田国務大臣 谷口雅春先生を学ぶ会で講演をした記憶はありますが、その際に籠池氏とお会いをした記憶はありません。

 また、日本会議の活動を籠池さんがされているとすれば、そういった機会に会ったことがあるという面識でございます。

大西(健)分科員 今、日本会議の関係で会ったことがあるかもしれないというような御答弁でしたけれども、最初に御答弁いただいた、十年は会っていないということですけれども面識があるということは、どういうおつき合いというか、一回だけ会ったことがあるのか、それとも複数回お会いになったのか、どういう関係でお会いになったのか、お答えいただけますでしょうか。

稲田国務大臣 面識があるかないかといえば、面識があります。ここ十年ぐらいはお会いした記憶がない。

 では、何で会ったのかというと、多分、日本会議の、今委員が御指摘になったので、そういうときに会ったのか、または、私も政治家になる前に裁判をやっておりました、そこにまた支援者もいらっしゃいましたので、そういった機会に、そもそも大阪で弁護士もしておりましたから、お会いしたのか。

 どういった機会かということは定かではありませんけれども、面識はあるということでございます。

大西(健)分科員 今、大臣の御答弁の中で、大阪で弁護士をされていたということですけれども、この学校も大阪にあって、大臣の御主人も、大阪の弁護士法人、光明会という弁護士法人で弁護士として活動されていますけれども、御主人と籠池氏がおつき合いがあったということもあるんでしょうか。

稲田国務大臣 面識はあったかもわかりません、もちろん。私も活動しているときに、主人が私の講演に来るということもありますから。しかしながら、夫と籠池氏が関係があるかどうか、それは承知いたしておりません。

大西(健)分科員 ちなみに、森友学園、さっき被害者の会云々という話をしましたけれども、昨年の十二月、ロイター通信が、大阪に戦前教育を行う幼稚園、園児が教育勅語を唱えるというような動画配信をされております。あるいは、少し前ですけれども、産経新聞もこの幼稚園を特集していて、これは二〇一五年の一月の記事ですけれども、安倍首相夫人アッキーも感涙、園児に教育勅語教える愛国幼稚園、卒園後子供たちが潰されると小学校も運営へというような記事もあるんですけれども、この塚本幼稚園のことを以前から大臣は御存じであったでしょうか。いかがでしょうか。

稲田国務大臣 聞いたことはありますけれども、その程度でございます。

大西(健)分科員 それでは、今もう申し上げましたけれども、この幼稚園は、せっかく幼稚園でいいことを教えても、小学校に行ってそれが潰されてしまう、だから小学校をみずからつくるんだということで、今、学校法人森友学園が、この四月の開校を目指して、瑞穂の國記念小學院という小学校を建設中なんです。今、これは土地の取引をめぐって大きな話題になっていますから、当然、今はいろいろなところでお耳に入るんでしょうけれども、こういう土地取引の問題が問題になる以前から、そういう学校が建てられるということについて大臣は御存じだったでしょうか。

稲田国務大臣 全く存じ上げておりません。

大西(健)分科員 きょう、私は、防衛大臣の名前で籠池氏に昨年の十月に感謝状を贈られているということで、大臣と籠池氏の関係について、少し事実関係を確認させていただきました。これまでの答弁を受けて、この後、同僚議員の辻元議員からまた質問させていただきたいというふうに思います。

 次に、軍民両用研究について質問したいというふうに思うんですけれども、皆さんのお手元に、ちょっときょう資料をお配りさせていただいております。

 さきの大戦の反省に立って、科学者の皆さんは、二度と軍事研究を行わないということで、これまで実は二度にわたって日本学術会議は声明を出しております。例えば、昭和四十二年の十月二十日の声明。この中でも、「真理の探求のために行われる科学研究の成果が又平和のために奉仕すべきことを常に念頭におき、戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わないという決意を声明する。」というふうにあります。

 科学は人類の幸福や平和に貢献すべきで、科学者が国策のもとに軍事研究に加担させられたというその苦い歴史を繰り返してはならない、こういう科学者の声だというふうに思いますけれども、これを大臣はどのように受けとめられておりますでしょうか。

稲田国務大臣 日本学術会議の声明等については、同会議が独立の立場において行っているものであり、防衛省としてコメントすることは差し控えます。

 我が国の防衛は政府の最も重要な責務であり、安全保障技術研究推進制度を含め、我が国の防衛装備に関連する技術力の向上のための施策については適切に進めていく必要があると考えております。

大西(健)分科員 私は、科学者の皆さんが、科学者の良心に基づいて、深い反省に立ってこういう声明を二度にわたって出しておられるというのは非常に重いものがあるというふうに思います。

 一方で、防衛装備庁は、平成二十七年度から、防衛装備品への適用に将来有望な研究を支援するために安全保障技術研究推進制度というのを創設しております。

 皆さんのお手元に資料をお配りしましたけれども、これは平成二十七年度に創設をされているわけであります。二つ目の丸のところに書きましたけれども、平成二十八年の五月十九日、自由民主党政務調査会、防衛装備・技術政策に関する提言。この中で、この安全保障技術研究推進制度については百億円規模に大幅に拡充しろ、こういう提言をなされております。

 下の方に表を載せましたけれども、平成二十七年度三億円で出発したこの制度ですけれども、二〇一六年度に六億円、そして、この自民党の政調提言を受けるような形で、二〇一七年度には約百十億円と、約十八倍ということで急増をしております。

 当時の政調会長は、ちなみに多分稲田大臣だというふうに思うんですけれども、稲田大臣、今後もこうした軍民両用研究あるいは軍事研究、これを、予算をどんどんふやしていこうという方針でございましょうか。いかがでしょうか。

稲田国務大臣 近年の技術革新による防衛技術と民生技術のボーダーレス化を踏まえ、我が国の高い技術力は防衛力の基盤であるとする国家安全保障戦略においてはもとより、第五期科学技術基本計画など科学技術政策の指針においても、国家安全保障上の諸課題に対し、産学官連携のもと、必要な技術の研究開発を推進することとされたところです。

 安全保障技術研究推進制度は、基礎研究分野について、防衛省が外部の研究機関や企業を対象に研究を公募し、先進的、独創的な研究を推進するものであることから、こうした政府としての方向性を踏まえて、一層の充実が必要であるというふうに考えております。

大西(健)分科員 端的にお答えいただきたいんですけれども、百十億円に、約十八倍になっているんですけれども、これはもっともっとこれからもふやしていくという方針でよろしいでしょうか。

稲田国務大臣 次年度以降の予算要求について確たることを申し上げる段階にはありません。

大西(健)分科員 今申し上げましたように、平成二十七年度になってこういう制度ができた。しかも、十八倍、予算が急増している。先ほど申し上げましたように、科学者の皆さんは、さきの大戦の深い反省に立ってそういうことを言ってこられた。これは非常に大きな節目に差しかかっていると私は思います。

 研究費がどんどん減らされる中で、背に腹はかえられないという中でこういう研究に足を踏み入れる科学者もいますけれども、ノーベル賞を受賞した名古屋大学の益川先生は、資金を一度受ければ、その研究者は直接的に軍事研究につながるテーマに一本釣りされ、深みにはまっていくと思う、科学は発達した結果、民生にも軍事にも使えるデュアルユースの問題をはらむようになり、区別をつけるのは難しい、だから、軍事研究かどうかは、その機関が何の目的で資金を出しているかで判断すべきだというふうに述べられています。

 もう一つ、軍事研究は何が問題になるかというと、私は憲法上の学問の自由との関係だというふうに思うんです。

 その中では、主に二点。一つは研究成果の公開性、それから学問の自立性、要は、国の介入を受けないで学者が自由に創意に基づいて研究する、この二点だと思います。

 とりわけ、公開性について、安全保障技術研究推進制度の研究成果、これは原則公開ということでいいのか、それからまた、この研究成果が特定秘密になることはあるんでしょうか。

稲田国務大臣 本制度では、平成二十七年度の創設時から、研究の幅広い発展につなげるため、研究成果を全て公表できるということにいたしております。

 既に公表の実績として、学会発表、学術雑誌への掲載などによる研究成果の公表が十七件行われております。

 そして、本制度の契約書等について、研究成果の公表を制限しないことなどを明記するなどして、本年二月三日に契約書のひな形を防衛装備庁のホームページにて公表をいたしております。

 防衛省としては、受託者の研究の自由が最大限尊重されるべきであるという前提のもとで、改めて本制度の周知、円滑な運営に努めてまいります。

大西(健)分科員 ちょっと後段の方に答えていただいていないんですが、防衛装備庁は、確かに、基本的には公開ですよと言っているんですが、一方で、特定秘密の話ですね。これは、防衛装備庁は特定秘密にならないような感じのことを言っていますけれども、一方で、内調は、大学の研究も特定秘密の対象となり得る、また、やはり内調のコメントですけれども、特定秘密の指定権限を持つ防衛省が指定すれば、大学は特定秘密の適合事業者になり得ると言っています。この安全保障技術研究推進制度の研究成果あるいはその事業者が特定秘密の対象になり得るということはあるんじゃないですか。

稲田国務大臣 この制度について、平成二十八年十二月二十二日に防衛装備庁ホームページで公表した、受託者による研究成果の公表を制限しない、特定秘密を初めとする秘密を受託者に提供することはない、研究成果を特定秘密を初めとする秘密に指定することはないことを委託契約書等に明記することといたしておりまして、防衛装備庁は、得られた成果を特定秘密、その他秘密には指定をしないということでございます。

大西(健)分科員 これは、学問の自由との関係で非常に重要なことだと思いますので、今、契約書に明記をするということでしたので、私も、ぜひこれは契約書に明記をしていただきたいというふうに思います。

 大臣、ここまでで私の質問は結構です。この後、ちょっと警察の関係をお聞きしていきたいというふうに思います。

 警察OBの遊技、パチンコ関連団体への天下りについて質問をしたいというふうに思うんです。

 資料をごらんいただきたいんですけれども、次のページです。これは、国家公務員法に基づく再就職状況から、警察関係者がパチンコ業界に再就職している例を私の方で拾い出してみました。

 これは適法な再就職ということですけれども、例えば、担当が違うということなのかもしれませんけれども、和歌山県警から和歌山県遊技業協同組合とか、山口県警から山口県遊技業協同組合と、こういう非常に直接的な例があって、こういうものは私はさすがにいかがなものかというふうに思うんです。

 また、資料の次のページにつけておきましたけれども、一方で、昨年一年間に全国で摘発された刑法犯のうち、パチンコに使う資金調達が犯行の動機、原因だった、そういう犯罪が千三百二十九件にも上っている。

 犯罪を取り締まる警察関係者が、こういう状況の中でパチンコ業界に多く天下っているというのは、私は到底市民の理解というのは得られないんじゃないかというふうに思います。

 そういう中で、一覧表の中で網かけをしておいたんですけれども、何度も保安通信協会という団体が出てきます。これはどういう団体かと申し上げますと、資料の最後につけておきましたけれども、これはパチンコとかパチスロ台の型式試験を行っている団体なんですけれども、パチンコ機一機検定するのに約百四十四万円、パチスロ機は百六十三万円、手数料を徴収していると。それで、平成二十七年度の手数料収入だけで約二十四億円がこの保通協という団体に入る、こういう仕組みです。

 この保通協が独占する試験を通らないと、パチンコ、パチスロ台は世の中に流通しないということですので、保通協が莫大な収益を上げる、こういう仕組みができ上がっています。しかも、型式試験の申請件数が、実際に販売された機種の数を大幅に上回っていて、過剰申請をしているんじゃないかと。つまり、検定料を、警察天下り先団体を肥やすために、わざとたくさん申請して、発売するものよりもたくさん申請して、申請料を、要は差し上げているんじゃないかというような、そういう疑惑まであります。

 この保通協にパチンコ、パチスロ台の型式試験を独占させているというのは、これは天下り先団体を肥やしていると言われても仕方がないし、先ほども申し上げましたように、パチンコのお金欲しさに犯罪が多発している中で、こういうふうに天下りが行われていて、その先を肥やすような仕組みがあるというのは言語道断というふうに私は思いますけれども、警察庁、いかがでしょうか。

三浦政府参考人 利害関係企業等という概念は、国家公務員法第百六条の三に定めがございますけれども、これは職員が職務として携わる許認可、補助金の交付等の事務の相手方となる営利企業等を指すものとされ、個々の職員の事務によって異なるものであり、当該職員が許認可等の一定の事務に携わっていない場合には、国家公務員法に規定する利害関係企業等には該当しないこととなると承知をしております。

 もとより、職員の再就職につきましては、国家公務員法その他の規制を含む法令を遵守するとともに、当該職員の再就職によって行政が影響を受けず、公正性が損なわれないことが必要と認識をしておりまして、その点は十分注意をしてまいりたいと考えております。

山下政府参考人 先生御指摘の、遊技機の型式の試験でございます。

 これは、風営適正化法第二十条第五項に規定をされてございます。試験事務の公平性及び中立性を確保するとともに、高度化されている遊技機の性能の解析を行える技術的能力を有し、試験事務を適正かつ確実に行えることが必要であることから、国家公安委員会がそうした条件を満たすと認め、指定をした者に行わせるものとしているところでございます。現在、この指定試験機関として保安通信協会が指定をされているところでございます。

 なお、この指定試験機関につきましては、風営適正化法上、一つに限られているものではございませんで、これらの条件を満たす団体がある場合には、そうした団体も指定することができるものでございます。

大西(健)分科員 全く木で鼻をくくったような答弁で、今私申し上げたように、犯罪がいっぱい、パチンコの金欲しさで起きているんですよ。それを監督し、にらみをきかせる立場の警察庁が、直前の業務と関係ないからといってこんなにいっぱい天下って、そして、保通協一団体に限られていないというけれども、事実上独占して、そしてこれだけたくさんのお金を、天下り先を肥やすために与えているじゃないですか。これを、今みたいな答弁で国民の理解が得られると思ったら、私は大間違いだと思いますよ。警察庁、本当に反省していただきたいというふうに思います。

 これはぜひ、こんなことが、いや、適法なんだと言って堂々と行われているというのは、警察そのものへの市民の信頼を損なうものだと厳しく言っておきたいというふうに私は思います。

 最後にちょっと、時間がもう来ていますので、私、年末にテレビを見ていて、私は愛知なんですけれども、愛知だと三重テレビというのが映るんです。余りテレビは見ないんですけれども、年末にちょっと時間があって見ていたら、年末年始オールナイト営業というパチンコ屋のCMがかかっているんですよ。

 風営法なのに何でオールナイト営業ができるのと思ったら、オールナイト営業、四十時間営業というふうに宣伝しているんですね。これは、ちょっと調べてみたら、三重県は条例でオールナイト営業を認めているんです、年末年始。その理由が何と、お伊勢参りに来る人にトイレを貸すため、こういう理由で認めているんです。

 でも、もう今はコンビニがありますから。しかも、これは県の条例なので、伊勢市周辺だけじゃなくて、三重県下全部でこんなのを認めているんですよ。幾らこれは県の条例だからといって、警察庁はこんなのを放置していいんですか。いかがですか。

山下政府参考人 パチンコ営業につきましては、風営適正化法におきまして、午前零時から午前六時までの深夜の時間帯はその営業を営んではならないとされておりますが、習俗的行事その他の特別な事情のある日等として、都道府県の条例に特別の定めがある場合には、深夜の時間帯も営業ができるとされているところでございます。

 先生が御指摘の、三重県での年末年始のオールナイト営業というものでございますけれども、三重県の風営適正化法施行条例におきまして、一月一日につきましては午前六時まで、そして一月二日等につきましては午前一時まで営業を営むことができることとされているほか、通常は午前六時から午前九時までの間は営業を営むことが禁止されているところ、この一月一日にありましてはこれが適用されないということで、三重県におきましては十二月三十一日の午前九時から一月二日の午前一時までの間において連続してパチンコ営業を営むことができるとされてございます。

 この件につきましては、まさにこういった深夜における営業時間の延長を都道府県の条例に委任しておるわけでございますけれども、営業時間の延長は地域の実情を考慮して判断されるべき事項だと考えられているところでございまして、三重県において判断をされたものと考えております。

西村主査 大西健介君、時間が来ておりますので、まとめてください。

大西(健)分科員 時間ですので終わりますけれども、これはお伊勢参りに来ているんじゃないですよ。ホームページを見てください。みんな年末年始、県外からパチンコを打ちに、四十時間オールナイト営業のパチンコを打ちに、県外、全国から集まってきているんですよ。こんなことを警察が、私は今の答弁のような形で許してはならないということを最後に申し上げて、私の質問を終わります。

西村主査 これにて大西健介君の質疑は終了いたしました。

 次に、辻元清美君。

辻元分科員 民進党の辻元清美です。

 まず初めに、先ほど大西議員からも質問がありました、昨年の十月二十二日、防衛大臣感謝状を森友学園籠池泰典氏に贈呈している件についてお聞きをしたいと思います。

 先ほどから大臣の御答弁をお聞きしていますと、海上幕僚監部からの推薦があったということで、推薦があったものは、防衛省本庁の方では、審査というか、それはせずに、推薦があったら感謝状を自動的にというか、出しているという理解でよろしいですか。

西村主査 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

西村主査 起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 防衛大臣感謝状贈呈の選考は、部内規則により事務次官の決裁事項となっており、対象者の決定は推薦に基づいて次官が決定をしているところです。

辻元分科員 ですから、いろいろな団体に対して感謝状を出すわけですから、次官が責任を持って選考、最終選考というか、いろいろなところから推薦が上がってきたものを、防衛省本庁として、すばらしい功績だということで選考し直すというか、そこから漏れる団体や人がいるのか、それはいかがなんでしょうか。

稲田国務大臣 先ほど申し上げましたように、推薦があっても、そこで、その後選考があるということでございます。

辻元分科員 ということは、選考のときに、防衛省として大臣の名前で出す感謝状ですから、きちんとその団体等の活動などについて審査をもう一度本省でしている、ですからそこから漏れる団体などもあるという理解でいいですか。確認です。

稲田国務大臣 そういうことでございます。

辻元分科員 そうしましたら、この森友学園、籠池氏への感謝状の問題です。

 これは、最近、土地の売買をめぐる問題だけではなく、学園そのものの運営であったり教育内容が、先ほど大西議員等からも指摘がありましたけれども、選考に当たっては、そのような要素は今回知らなかった、または見過ごしたというか、という理解で選考されたということでよろしいでしょうか。

稲田国務大臣 そういうことでございます。

辻元分科員 この法人は感謝状もホームページに上げております。そして、感謝状をいただくということもいろいろなところで告知しているようなんですが、何か問題を起こす、または後で問題が発覚した場合に取り消すということはあるんですか。

稲田国務大臣 一般論ですけれども、仮に感謝状の贈呈がふさわしくないと判断した場合、感謝状を取り消すこともあり得ます。

辻元分科員 それではお聞きしますが、この籠池氏について、先ほど、十年ほど前からはお会いしていないけれども面識があるというお話でした。

 その中で問題になっているのが、今、この塚本幼稚園での教育内容や運営のあり方が問題があるのではないかと。

 報道もされておりますし、同じ大阪ですから、私自身そこの保護者の方々にもお目にかかったり、それから、そこでの教育の中身についても、他の都道府県の方々よりよく存じ上げていると思います。大阪では随分前からテレビなどにも放映されておりましたし、問題視されてきたんです。

 その中で、この塚本幼稚園について、大臣は先ほど、聞いたことがあるというようにおっしゃったんですけれども、その程度ですか。そこで、例えば大西議員から指摘があった、教育勅語を子供たちに暗記させて唱和させるとか、そういうことは、中身は御存じなかったんですか。

稲田国務大臣 その塚本幼稚園で教育勅語を子供たちに暗唱させているという話を聞いたことがあるということでございます。

辻元分科員 それはいつごろでしょうか。

稲田国務大臣 定かな記憶はありません。

辻元分科員 それを聞いて、大臣は、教育勅語を暗唱させている幼稚園というのは、大臣の基準でいえば評価できる幼稚園であるという基準ですか、どうですか。

稲田国務大臣 評価できるというか、そうして子供たちにそういう教育をしている幼稚園なんだなというその認識です。

辻元分科員 大臣は、ちょうど十一年前に、「WiLL」という雑誌の二〇〇六年十月号で座談会をされているんです。その中で、こういう発言があります。「教育勅語の素読をしている幼稚園が大阪にあるのですが、」とおっしゃっているわけですね。これは塚本幼稚園のことでいいですね。

稲田国務大臣 今、その文章を読んでいただいて、そこで教育勅語を暗唱している幼稚園が、素読している幼稚園がある、そして、今、塚本幼稚園はそういう幼稚園であるということですので、そこで私が指摘しているのは、多分、塚本幼稚園のことなのではないかと思います。

辻元分科員 大臣の写真もばっちり、ちょっと今より若い。でも、私とほぼ同い年ですから、稲田大臣の方が一つ上なんですけれども。

 随分前から活発に活動されてきているわけですね。「教育勅語の素読をしている幼稚園が大阪にあるのですが、そこを取材した新聞が文科省に問い合わせをしたら、」これは大臣の発言ですね。「「教育勅語を幼稚園で教えるのは適当ではない」とコメントしたそうなんです。」そこで文科省の方に、教育勅語のどこがいけないのかと問い合わせをした、聞きましたということで、えらい熱心にこの塚本幼稚園の教育勅語を教えていること、そのときの記事はこれだと思うんです。

 これは、ちょうど二〇〇六年に、大阪の二園、もう一つ幼稚園を運営していたんですけれども、愛国心育むということで、教育勅語を暗唱させていることがわかったということで、批判的な記事なんですね。これは同じ二〇〇六年に出ている記事なんですが、大臣、多分これをごらんになって、おっしゃっていますから、新聞が文科省に問い合わせをしたらコメントしたそうなんです、こう新聞記事のことを触れていますので。

 それで、塚本幼稚園が教育勅語を教えていることは悪くないんじゃないのと、わざわざ文科省に問い合わせを、塚本幼稚園を擁護するような形でしているんですが、記憶ありますか。大臣がおっしゃっているわけですね。

稲田国務大臣 記憶にはありませんが、そこでインタビュー記事に答えて言っているわけですから、何らかの新聞記事を見て文科省に問い合わせをしたのでそういうことを言っているのではないかなと、今、私は思います。

辻元分科員 先ほど、聞いたことがある程度とおっしゃったんですけれども、かなり踏み込んでお話をなさっているんですね。

 すると、教育勅語が適当でないのではなくて、幼稚園児に丸覚えさせる教育方法自体が適当でないという趣旨だったと文科省が逃げたんですと怒っているわけですよ、大臣は。しかし、新聞の読者は、文科省が教育勅語の内容自体に反対していると理解しますと、文科省に対して、教育勅語を丸暗記させることは現在の教育ではよくないというようなことを言っているのはけしからぬみたいなことを言っているわけです。

 先ほど私がお聞きしましたのは、大臣の価値基準では、教育勅語を現在教えるという幼稚園に感謝状を出していますけれども、後、取り消す話もあるということですからお聞きしているんです。

 そのような教育をしている幼稚園は問題だと思いますか、今の基準で言ってください。今、問題になっているわけだから、この後、ひょっとしたら、感謝状についても一般論として取り消すことがあるとおっしゃっているわけですから、教育勅語を今現在、子供に暗記させて、そして、唱和させているというのは、現代の、安倍政権の教育の基準からいって、これは問題であると思われるか、いや、いいんじゃないのと思われるか、どっちですか。

稲田国務大臣 教育勅語の中の、例えば親孝行とか、そういうことは、私は非常にいい面だと思います。そして、そこで文科省がおっしゃっている丸覚えをさせることに問題があるということに関しては、どうなのかなと思います。

 あと、いろいろな教育の自由があって、どういう教育をするかはその教育機関の自由でもあると思います、その点については。

 しかしながら、先ほど大西さんがさまざま指摘をされました。そういった点については、やはりその真偽というものは確かめていく必要があるというふうに思います。

辻元分科員 十年たってちょっと意見が変わっているのかもしれませんけれども、十年前はこうおっしゃっていたんですね。この塚本幼稚園の教育の方針をめぐっての発言ですけれども、教育勅語は、天皇陛下が象徴するところの日本という国、民族全体のために命をかけるということだから、こうおっしゃっていて、教育勅語の精神は取り戻すべきではないかなと思っていますと。教育の中でですよ。

 これは今も変わらないんですか、先ほどの御発言と。

稲田国務大臣 二〇〇六年ですから十年以上前のことなので、そこから比べると、自分も政治家としては成長もしていますし、いろいろな物の見方ができるようになっております。したがいまして、そこに書かれたことが今全く同じかと聞かれれば、そうではないということでございます。

辻元分科員 きょう、文科省、来ていただいていると思いますが、教育勅語を小学校で丸暗記させて、素読して、そして朝から唱えるというようなことは、現在の教育基本法や教育指導要領でいえば、これは問題がある教育だということになるんでしょうか。いかがでしょうか。

藤江政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの件は、幼稚園教育の中で暗唱するということでございますけれども、幼稚園教育においては、遊びや具体的な体験を通じて幼児にさまざまな力が育つような指導を基本としておりまして、各幼稚園において、こうしたことを踏まえて、創意工夫を生かした活動が展開されている……(辻元分科員「教育勅語の部分だけでいいです」と呼ぶ)はい。

 そうした中で、一定の文章を暗唱させる活動が行われているところもあると考えておりますけれども、一般的には、その一定の文章を暗唱させることが直ちに特定の思想や信条を押しつけるようなことにはならないものというふうに考えておりまして、いずれにいたしましても、今回の具体的な事例につきましては、塚本学園という私立の幼稚園ということでございまして、個別具体の事例については、所轄庁である大阪府が指導監督するものと考えております。

辻元分科員 特定の文章をとおっしゃったんですが、教育勅語というのは歴史があるわけですね、戦前からの。今まで、教育基本法を改正するときも、随分議論になってきましたね。そのときの答弁と、今、違うんじゃないですか。教育勅語を子供たちに素読し暗唱させたりすることについて、今までは問題があるという答弁だったんじゃないですか。いかがですか。

藤江政府参考人 お答えいたします。

 教育勅語につきましては、明治二十三年以来およそ半世紀にわたって我が国の教育の基本理念とされてきたものでございますけれども、戦後の諸改革の中で、教育勅語を我が国の教育の唯一の根本理念として扱うことなどが禁止され、これにかわって教育基本法が制定されたところでございます。

 こうしたことも踏まえまして、教育勅語を我が国の教育の唯一の根本理念として、戦前のような形で学校教育に取り入れ、指導するということであれば適当ではないというふうに考えますが、一方で、教育勅語の内容の中には、先ほど御指摘もありましたけれども、夫婦相和し、あるいは、朋友相信じなど、今日でも通用するような普遍的な内容も含まれているところでございまして、こうした内容に着目して適切な配慮のもとに活用していくことは差し支えないものと考えております。

辻元分科員 以前は安倍総理が答弁されているんですけれども、今おっしゃった前半の、教育基本法ができたので、これを根本の考えとして神格化したりして取り扱うことを禁止されたという答弁をかつてはされているわけですよ。

 今問題になっている感謝状を渡されたところは、次、森友学園がまた小學院を建てると言っていますけれども、教育勅語を根本に据えるというような教育理念のようなんですね。

 それから、先ほど大臣、私、なぜこれを言っているかというと、取り消すこともあるということですから今申し上げているわけですね。

 もう一つ、ヘイトスピーチの問題。今、新聞、テレビなんかでも出てきていますけれども、被害者の方、在日韓国人の方なんですよ。その人に向けて言われた、韓国人と中国人は嫌いです、お母さんも日本に嫁がれたのなら日本精神を継承なさるべきですとか、この方、本当に心を痛めていらっしゃいました。ほかにも、韓国人とかは、整形したり、そんなものを飲んだり、コーラなんかの話なんですが、日本人はさせません、根っこが腐っていることを幼稚園では教えませんとか、すさまじいんですよ。

 安保法制など政治的発言もされているわけです。保護者に出している「ごあいさつ」という中で、多くの国民が待ち望んでいる国会における我が国防衛のための安保法制審議は論点がかみ合わないというような話をしながら、やはり、中華人民共和国から資金援助を受けている政党が、まことしやかに日本人の顔をして、日本国を、それを構成する日本民族を分断しようと活発に動いていますとか、だから注意しろとか、安保法制を一日も早く成立させるべきだとか、塚本幼稚園の名前でこういうことを保護者に通知しているわけですよ。

 私は、大臣の感謝状を出すことを、お出しになりましたけれども、再考すべきだ、検討し直すべきだと思いますが、いかがですか。

稲田国務大臣 事実関係を踏まえて、適切に対応してまいりたいと考えております。

辻元分科員 それは、もう一度、事実関係、今いっぱい出てきていますからね。防衛大臣の感謝状ですよ。国防についてもとか、安保法制についても、こういうのを配っているわけです。沖縄についても、ヘイト発言のようなものを見ましたね、基地で苦しんでいる。

 もう一度お聞きします。適切に判断というのは、感謝状を出したものを、もう一度、取り消すことも含めて検討するということですか。

稲田国務大臣 事実関係を踏まえて、取り消すことも含め、適切に対応してまいります。

辻元分科員 それはしっかり対応していただきたいと思います。そして、メディアにも発表していただきたいと思います。

 一点、お聞きしておきたいことがあるんです。

 八月十五日、全国戦没者追悼式にことしは出席されますよね、どうですか。

稲田国務大臣 出席したいと考えております。

辻元分科員 同じ日に、靖国神社、近いですが、行かれますか。

稲田国務大臣 靖国神社の問題につきましては、安倍内閣の一員として、適切に考え、そして行動してまいります。

辻元分科員 随分成長されたように思いますが。私も質問したかいがあったというものだと思いますよ、今の答弁をお聞きしますと。日本にとって何がいいのかを判断して行動していただきたいんです、自分の信条ではなく。

 大臣は、南スーダンのPKO派遣について、昨年です、駆けつけ警護を付与した後、記者会見でこういう発言をされているんです。新任務付与で仮に犠牲者が出た場合、大臣はどういった責任のとり方をするつもりか。

 日報の問題も、私が問題にしているのは、駆けつけ警護を決める間、日報は、破棄して、なかったと言って、後で出てきたわけだから、駆けつけ警護を決めるときこそ、やはり日報をしっかり見て、どんなことが現場で起こっているのかということを判断材料にすべきだったということで、おかしいねと言っているわけなんですが、それはちょっとおいておいて。

 このとき大臣は、新たな任務の付与について命令を出したのは私自身ですから、その全てのことについての責任は私にあるとおっしゃっている。どのような責任があって、これは、質問は、万一犠牲者が出た場合はと。今井公述人の現場のお話もおとといここでありましたけれども、がらっと一挙にして状況が変わる可能性もあります。ここで犠牲者が、万一こんなことがあってはならないわけですが、責任をとるとおっしゃっているわけです。どのように責任をとられるんですか。

稲田国務大臣 その記者会見の中で、やはり命令を出した者の責任は非常に大きいと。

 そして、今委員がるるおっしゃっていること、私は全く同じ気持ちです。というのが、やはりジュバの情勢は刻々と変わっていく中で、しっかりと、私は日報だけじゃないと思います。しかも、日報は隠蔽していませんから。駆けつけ警護を与える間、日報を隠蔽して、全くそれは事実と違います。しかしながら、委員と私が同じ考えと思うのは、本当に刻々と変わっていく中で……(辻元分科員「だから、責任をどうとるか」と呼ぶ)全ての責任をとるということです。それはどういうことかというと、しっかりと現実を見て、そして、その中で適切な判断をしていく、そのことを申し上げております。

辻元分科員 家族への説明も私は不十分だとずっと申し上げてまいりましたが、もしも、そんなことはあってはならないことだけれども、犠牲者が出たら、大臣はもちろん辞任するということですね。いかがですか。

稲田国務大臣 私は、今申し上げていることは、まずはそういったことがないように、しっかりと今の現状を見て、国会でも議論するのは私はそれはすごくいいことだと思いますよ、その上で、本当に正しい適切な判断をしていく、そして、隊員に万一のことがないようにあらゆる措置を講じるということでございます。

辻元分科員 自分の職責をかけて隊員を送っているんだということは、万一のことがあったら、自分はもちろん大臣の首をかけてやっているんだということを示すことじゃないですか。ですから、辞任も含めてでしょう、自分の進退をかけているわけでしょう。

 そして、もう一問お聞きしたいんですが、大臣は以前こういうことをおっしゃっています。イラクに自衛隊が派遣されたときに、万一、万が一、自衛隊員がイラクで犠牲になった場合、今のままでは靖国神社に合祀されることが難しいのではないでしょうか、こんな状態で自衛隊を行かせていいのでしょうか。そして、こんなこともおっしゃっています。最近、防衛省の敷地内に殉職者のための無宗教式の慰霊碑がつくられ、ラムズフェルド米国防長官が参拝したと報道されている、しかし、英霊を祭るにふさわしい場所は靖国神社以外にありませんと、この手の発言をいっぱいされているんです。

 万一、南スーダンで犠牲者が出るということなどがあれば、本来は靖国神社に合祀をされるべきだと。本来はですよ、今の憲法上のこととかは別に。大臣のお考えは、後ろからは、大臣のお考えだからいいです、いいですよ。大臣のお考えは、本来は靖国神社に合祀されるべきだというお考えでよろしいですか。

稲田国務大臣 現在、私は安倍内閣の一員でありますし、防衛大臣として、内閣の方針に従い、適切に判断をして行動してまいります。

辻元分科員 今まで、物すごい勇ましいことをいっぱいおっしゃっているわけですよ。韓国や中国についても、申し上げませんけれども、勇ましいことをおっしゃってきたわけですよ。

 例えば、靖国神社は心の問題とおっしゃっているけれども、安全保障、国防の問題だと。これは、過去、不戦の誓いをするところではなくて、いざといえば命をかけて後に続きますとか、エリートは血を流す覚悟をしなきゃならないとか、そういうことばかりおっしゃっているわけですよ、今まで。

 隊員を守る仕事なんです、大臣は。これは私の感想ですけれども、命をかけるとか血を流すということを美化してはならないわけですよ。そうでしょう。でも、そういう発言をいっぱいされている方が防衛大臣だから、心配しているわけです。

 そこで、お聞きしたいと思いますが、今回のこの日報の破棄の問題がありましたね。この一連の過程で、大臣は何が一番問題だと思いますか。後から出てきました、後ろは要らないですよ。大臣は、一体その過程で、もう大臣、御自分の言葉でお答えになった方がいい、何が一番問題だったと思うか。いかがですか。

稲田国務大臣 何度もお答えをいたしておりますけれども、私は、私の指示でこの日報が出てきて、公表されたということは評価しています。

 しかしながら、何が問題か。やはり、指示をして見つけるまで、見つけてから公表するまで一カ月もかかってしまったということは非常に問題であるし、そこは改善していく。

 さらには日報の取り扱いですね。日々施設隊がつくっている日報を用済み、破棄としてきた。これは、南スーダン施設隊を派遣したのは民主党政権で、そのときからずっとそうですけれども。でも、この日報を用済み、破棄にしている取り扱いがどうなのか、ここも問題だと思います。

辻元分科員 シビリアンコントロールの観点で、私は前回も質問いたしましたけれども、この日報は財産ですよ、宝ですよ。イラクのときも、番匠さんという方がイラクの報告を出しているんです。日々の記録は、その後の後輩たちの活動への宝だと言っているわけですよ。

 私は、教訓を次につなぐということを評価いたしました。ですから、シビリアンコントロールであったり、自衛隊員の命を守るということが日報と直結しているわけですよ。

 ですから、果たして、今この間の経緯がどうだったのか、最後にお聞きしたいと思いますけれども、私、調査が曖昧だと思うんですよ。大臣は最初、調査しなさいとおっしゃったと思いますよ。きちんと調査をして、そして文書でその経過を報告としてお出しになる、今、口でおっしゃっていますけれども、文書で、こういう経過でしたということをお出しになるおつもりはありますか。

稲田国務大臣 これだけ御報告がおくれたこと、また日報の取り扱いも含め、また捜索範囲がこれでよかったのかということも含め、そして今後どうするかということ、それはやはり、次にこういったことが起きないためにも、私は文書でまとめて報告したいと思っております。

辻元分科員 それはいつごろになりますか。最後にお聞きしましょう。簡潔に。

西村主査 時間が来ておりますので。

稲田国務大臣 しかるべく早く出したいと思っています。

辻元分科員 今、表彰状の見直しと、文書での日報の経過の報告ということを明言していただきましたので、即座に対応していただきたい。表彰のこともそうですよ、即座に対応していただきたいと思います。

 終わります。

西村主査 これにて辻元清美君の質疑は終了いたしました。

 次に、本村伸子君。

本村(伸)分科員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 まず最初に、南スーダンPKO撤退を求める立場から質問をさせていただきたいというふうに思います。

 先日の日本国際ボランティアセンターの今井高樹さんのお話でも、自衛隊が活動しているところがジュバの中でも最も不安定なところなんだという御指摘や、PKO五原則は崩れているという御指摘、あるいは、日本は自衛隊派遣ではなく、憲法九条を持つ国として紛争当事者間の和解の手助けをする、こういう方法で貢献をするべきだということもおっしゃっておられました。

 私の地元愛知県にあります航空自衛隊小牧基地所属のC130輸送機も、南スーダン・ジュバに派遣をされております。

 資料一をごらんいただきたいというふうに思いますけれども、これは御存じのとおり、中央即応集団司令部が出した二〇一六年七月十三日のモーニングレポートです。ここの資料の中に、小牧基地所属のC130輸送機が二〇一六年七月十一日に小牧基地を出発し、南スーダン・ジュバに向かったということが書いてあります。なぜ派遣をされたのか、どういう政策判断を行ったのかということを知りたくて資料を見てみましたら、その判断を行ったときの政府の動きは全て黒塗りでございます。

 わかるのは、七月十一日十七時四十分、防衛省で関係幹部会議を開き、そして十一日の十八時二十五分、在外邦人等輸送の態勢確立に関する自衛隊行動命令が出され、そして同じ時刻に在外邦人等輸送の態勢確立に関する統幕長指令が発出され、そしてその二十六分後、十八時五十一分、C130輸送機が小牧基地から飛び立ちました。

 大変緊迫した事態というふうに見受けられるわけですけれども、モーニングレポートでは、政府の動きは黒塗りでわからないわけです。

 稲田大臣にお伺いをします。このとき、一体何があったのか、お示しをいただきたいと思います。

    〔主査退席、石崎主査代理着席〕

稲田国務大臣 本資料の政府欄や防衛省各機関の記述部分については、昨年七月の衝突事案に係る政府や防衛省各機関における意思決定の過程や自衛隊の運用体制について記述しておりますが、それらを明らかにした場合、防衛省内及び政府部内の率直な意見の交換もしくは意思決定の中立性が損なわれるおそれがあり、また、自衛隊の任務の効果的な遂行に支障を生じさせるおそれがあることから、不開示としております。

 また、七月十一日に、御指摘のC130輸送機のジブチへの移動、待機のため、自衛隊法第八十四条の四の規定に基づく在外邦人等の輸送に係る準備行為については、本資料の防衛省欄に、命令の発出として、在外邦人等輸送の態勢確立に関する自衛隊行動命令を開示しています。

 閣議決定やそれに係る国家安全保障会議の開催は政府として公表しているところですが、本資料の不開示箇所には含まれておりません。さらに、不開示箇所にC130に係る記述はありますけれども、飛行経路に関する記述のため、他国との関係に係ることから不開示としているところでございます。

本村(伸)分科員 先ほど国家安全保障会議の部分は含まれていないということもありましたけれども、当時の新聞報道では、二〇一六年七月二十一日付の朝雲では、日本政府は七月十一日、C130H輸送機と搭乗員ら約六十人の派遣を閣議決定というふうにも書いてございます。

 また、七月十一日、毎日新聞には、菅官房長官が十一日午前に記者会見で、南スーダン首都のジュバで政府軍と第一副大統領派の部隊が衝突し多数の死者が出ていることに関し、治安情勢が急激に悪化しているとして、在留日本人の退避に向けて自衛隊機の派遣準備に着手したことが明らかになっておりまして、そして、政府は、これに先立ち、首相官邸で国家安全保障会議を開催し、こうした方針を決定したということが新聞報道でございます。

 当時のこういう新聞報道に示されていることは一切書いていないのかということを確認したいと思います。

    〔石崎主査代理退席、主査着席〕

辰己政府参考人 今御指摘のあった閣議決定、それに係る国家安全保障会議の開催について、本資料の中には含まれておりません。

本村(伸)分科員 これは真っ黒だから本当にわからないわけですよ。大臣は隠蔽じゃないというふうにおっしゃいますけれども、こういう真っ黒だからこそ、私たちには不信感が募るわけでございます。

 二〇一六年七月十二日のモーニングレポートを見てみますと、七日の銃撃戦を発端とした大統領派、政府軍と副大統領派の衝突は、ジュバ市内全域の戦闘へ拡大と書いてあります。そして、十日、十一日も戦車や迫撃砲を使用した激しい戦闘がUNハウス、UNトンピン周辺で確認される等、緊張は継続、UNハウスにおいて中国軍兵士二名が死亡する等、UN兵士の巻き込まれ事案が発生と書いてございます。

 こういうところに自衛隊員の方々が派遣をされている。そして、こういうときに小牧基地のC130輸送機が飛び立ったわけでございます。

 大臣は日報の問題で防衛省の情報公開のあり方についても述べられておりますけれども、日本国憲法の国民主権の大前提は情報公開だと思いますけれども、大臣の認識をお伺いしたいと思います。

稲田国務大臣 国民の知る権利、そしてそれにしっかりと応えていくということは大変重要なことだというふうに思います。

 したがって、南スーダンPKOを含む政府の施策に関する文書は、可能な限り国民に対して情報が開示されるべきというふうに考えております。私からは、今回の一連の経過を受けて、南スーダン派遣施設隊の日報等の情報開示、できる限り開示するように指示をいたしているところであります。

 ただ一方で、日報には、南スーダン全土やジュバの情勢、派遣施設隊の活動成果、自後の活動予定、部隊の状況等について記述をされていて、本資料の内容を全て開示してしまいますと、派遣施設隊の情報収集能力や警備を含む運用体制等が推察されて、自衛隊の任務の効果的な遂行に支障を生じるおそれがあるとともに、他国もしくは国連との信頼関係が損なわれる、そういったおそれがあることから一部不開示としているものでありますが、委員御指摘のとおり、今後とも国民の皆様の理解を深めていただけるよう努めてまいりたいと考えております。

本村(伸)分科員 情報公開を徹底していただきたいと思うんですけれども、南スーダンPKOの日報について、こういう第一次資料については、保存期間一年未満とか用済み廃棄などではなく、ずっと保存していただきたいと思いますけれども、そのことをお約束いただきたいと思います。

稲田国務大臣 今回、私は、この日報の取り扱いについて、今も規定自体は用済みは廃棄になっていますけれども、まず、施設隊が活動している間、そしてそれを次の教訓に生かせる適当な期間は保存をしていくように既に指示はしておりますけれども、今委員御指摘になりましたように、そもそもこの日報の取り扱いが一年未満、用済み廃棄でいいのか、そういう問題点は共通をいたしておりますので、今後の課題として早急に改善してまいりたいと考えております。

本村(伸)分科員 次に伺いたいんですけれども、この南スーダンPKOの日報には傷病者数も書かれております。資料二にそれをまとめたわけですけれども、このことに関して三点お伺いをしたいんです。

 昨年七月六日から七日にかけて傷病者数は十一名、そして七日から八日にかけては七名、八日から九日にかけては二名、そして十一日から十二日にかけては七名と書かれております。一点目は、この方々はどういった傷病だったのかという点。

 二点目は、資料三をごらんいただきたいんですけれども、七月七日、ジュバでウガンダ出張の方が二名事故と書いてございます。どういうことかという点、この方々は大丈夫だったのかという点を確認したいと思います。

 そして三点目、七月八日のモーニングレポートでは、昨日の受診者数が黒塗りになっているわけでございます。これはなぜなのか、お答えをいただきたいと思います。

辰己政府参考人 まず、傷病の方からでございますが、御指摘のどういう症状だったのかということについては、感冒であったり急性腸炎であったり急性咽頭炎などの疾患があった、そういうふうに報告を受けております。これらの疾患について、当時起こっていた武力衝突を理由とするものはございません。

 それから、ウガンダの件でございますが、ここには事故と記述をされているわけですが、この事故というのは、自衛隊でよく、単に不在をしているということでこういう表現を使います。当時ウガンダに、ここに書いてございますように、出張二名と書いてございますので、単に出張していたということでございまして、その間に事故があったということではございません。

 そして、この症状のところをなぜ不開示にするかというと、これを長期的に分析したり、いろいろな観点から見ると、自衛隊の運用や能力が推察されるのではないかということで不開示としております。

 以上でございます。

本村(伸)分科員 七月八日、モーニングレポートでは、昨日の受診者数は黒塗りになっているんですけれども、その点はいかがでしょうか。

辰己政府参考人 繰り返しになりますが、この受診患者の症例及び件数、こういった詳細を公表するということにつきましては、その傾向を分析するということで、自衛隊の運用、能力について推察が可能になるのではないかという観点から不開示としているところでございます。

本村(伸)分科員 先ほどのC130輸送機の話に戻るんですけれども、日本の宿営地のすぐ隣で銃撃戦が行われる、また、戦車、迫撃砲も出てくるような緊迫した時期に、小牧基地C130輸送機はジュバに向かったわけでございます。

 ジュバで、自衛隊員の方々、傷病者の方もみえますけれども、その方々を含めて、この小牧基地から飛び立ったC130輸送機が運んだということは絶対にないのかという点、今後もこういう傷病者の方を運ぶ役割、C130輸送機にはないのかという点、確認をさせていただきたいと思います。

辰己政府参考人 これまで、南スーダンPKOにおいて、こういうC130輸送機が傷病者を輸送した実績はございません。

 一方で、今後、このC130によってどういう方々を輸送するかという点でございますが、傷病者についても、それは状況によりますけれども、輸送が可能な場合、これは傷病者の症状にかかわることもございますれば、医務官などと相談をしながら適切に判断していくことになると考えております。

本村(伸)分科員 もともと、このC130輸送機、七月十一日から十八日までの派遣予定だったものが、実際には二十二日に小牧に到着することになったというふうに思いますけれども、なぜそうなったのか、お示しをいただきたいと思います。

辰己政府参考人 当時の状況でございますが、まだ現地におられる、在留の、ジュバにおられる邦人がどうされるのか、退避をされるのかどうか、その意向を確認する必要があったので、当初十八日ということにしておりましたが、四日間延長しまして二十二日まで、状況を確認して、その時点で帰国を決定したということでございます。

本村(伸)分科員 七月十一日に出発したこのC130輸送機の日報を提出してほしいということを防衛省の職員の方にお願いをいたしました。そしたら、日報はないんだ、口頭でやりとりするんだという話でございました。大臣は、そのことを信じることができるでしょうか。

 三点要求をさせていただきたいというふうに思います。

 一つ目、七月十一日に出発した小牧基地C130輸送機三機の現地に派遣された隊員の方が書かれたレポート、あるいは、その報告を毎日聞き取った報告、これは日々報告という名前になるかわかりませんけれども、その第一次資料を提出していただきたいという点。

 そして二点目ですけれども、この航空自衛隊の南スーダンPKOの活動と南スーダン邦人等輸送の任務、誰を乗せていって誰を乗せて帰ってきたか、何を運んだか、全活動がわかる資料、どういうものがあるのか、リストをお示しいただきたい。

 そして三点目が、そのリストに示された全ての資料を出していただきたいというふうに思いますけれども、大臣の答弁をお願いしたいと思います。

稲田国務大臣 昨年七月に実施した在外邦人等輸送の活動については、その都度、当時の中谷防衛大臣から記者会見等で公表させていただいておりますが、全活動がわかる文書については、提出の準備を進めております。

 また、航空自衛隊のC130の輸送機が南スーダンPKOのための輸送を行うに当たっては、陸上自衛隊の派遣施設隊の日報のような文書は作成はしていませんけれども、部隊等においては、輸送業務が終了するたびにその任務飛行中のC130輸送機の離発着時間等を取りまとめた文書は作成をしておりますので、これを提出することは可能でございます。

本村(伸)分科員 ぜひ確実に提出をしていただきたいと思います。

 一部防衛省から資料をいただいておりますけれども、本当にぺらぺらの、一回の派遣に当たりぺらぺらの一枚しかないんです。そういうものではなくて、本当に全活動がわかるものを提出していただきたいと思いますけれども、お約束をしていただけますでしょうか。官僚の方がないと言われたので、大臣にお願いしたいと思います。

辰己政府参考人 今大臣から御説明いただいたように、その輸送の活動についてその活動がわかる文書、これは提出の準備を進めております。

 それから、航空自衛隊の活動につきましては、陸上自衛隊のような日報を作成していません。そしてそれは、業務が終わるたびごとに離発着時間等をまとめた文書を作成しております。そういったものについては提出をすることは可能だと考えております。

本村(伸)分科員 離発着時間だけではなく、誰を乗せていって誰を乗せて帰ってきたか、何を運んだかが全てわかる資料をお願いしたいというふうに思います。

 次に、陸上自衛隊の駆けつけ警護などを付与された南スーダンPKO第十一次隊の問題についてお伺いをしたいというふうに思います。

 現在、駆けつけ警護など新たな任務を付与して南スーダンPKOに行っておりますのが、第十一次の部隊でございます。派遣されている全ての駐屯地、人数を大臣にお示しいただきたいというふうに思います。

辰己政府参考人 現在派遣されております第十一次要員は、東北方面隊隷下の第九師団、これを基幹としております。

 駐屯地ごとの人数を申し上げますと、東北方面隊内として、青森駐屯地約百三十名、八戸駐屯地約百二十名、弘前駐屯地約十名、岩手駐屯地約三十名、秋田駐屯地若干名、船岡駐屯地約三十名、仙台駐屯地約二十名、霞目駐屯地若干名、福島駐屯地若干名、これが東北方面隊の内訳でございます。

 その東北方面隊以外からも約二十名派遣されていますが、この差し出し元につきましては、部隊の運用、能力にかかわることから、差し控えさせていただきたいと思っています。

本村(伸)分科員 きょう初めてそういうことを明らかにしていただいたんです。

 資料の五番のところを見ていただきたいんですけれども、今まで、これ以上絶対に出なかったわけでございます。ずっとこの国会質問をするまで出なかったわけでございます。これは本当に、主権者の皆さんが知らないうちに、そして私たち国会議員が知らないうちに、どこの駐屯地の方が行ったかわからないところで駆けつけ警護の新たな任務が付与されたわけでございます。これは本当に強く抗議をしておきたいというふうに思います。徹底した情報公開を求めておきたいというふうに思います。

 次に、賞じゅつ金の問題についてもお伺いをしたいというふうに思いますけれども、今回の南スーダンPKO第十一次派遣で加えられた新たな任務について全てお示しをいただき、その全ての新たな任務の賞じゅつ金の最高額、それぞれお示しをいただきたいと思います。

辰己政府参考人 第十一次隊の要員につきましては、十一月十五日の閣議決定におきまして駆けつけ警護の任務が付与されました。また、十一次隊の要員からは、宿営地の共同防護、これも新たな任務として付与されました。

 宿営地の共同防護については、賞じゅつ金の最高授与額は六千万円でございます。それから、駆けつけ警護につきましては九千万円でございます。

本村(伸)分科員 十二月六日に、この南スーダンPKO、駆けつけ警護について、賞じゅつ金は最高で九千万円というふうになりましたけれども、九千万円出るのはこれまでどのような任務があったのか、お示しをいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 最高額九千万円の授与額の賞じゅつ金に係る業務につきましては、これまで、イラク特措法に基づく活動に従事する場合、海賊対処行動に従事する場合及び原子力災害派遣により派遣される場合の自衛隊員の賞じゅつ金について適用しております。

本村(伸)分科員 今回、四つ目の任務として、イラク派兵と同じぐらいのリスクを駆けつけ警護は持っている、そういう判断ということでよろしいでしょうか。

鈴木政府参考人 駆けつけ警護に従事する場合の賞じゅつ金につきましては、リスクの増減という観点ではなく、あくまでも駆けつけ警護という新たな任務が付与されることに対応するものでございまして、その金額については、派遣先国の勤務環境や任務の特質等を総合的に勘案して判断しております。

本村(伸)分科員 駆けつけ警護は、ほかの任務と比べてどのような危険性があると判断し、賞じゅつ金を九千万円にしたのでしょうか。

鈴木政府参考人 先ほど申し上げましたように、駆けつけ警護につきましては、その任務を新たに付与したことに伴いまして、駆けつけ警護が行われる派遣先国の勤務環境や任務の特質等を総合的に考慮したものでございますので、リスクが高まる措置ということでは考えておりません。

本村(伸)分科員 大臣にあの写真を見ていただきたいんですけれども、資料の四でございます。これは、愛知にございます陸上自衛隊守山駐屯地、公開された訓練で撮影されたものでございます。私は、この写真を見て本当にぞっといたしました。南スーダンPKOで絶対にこういうことがあってはならないというふうに強く思っております。

 稲田大臣は、十一月十八日、南スーダンPKOの新たな任務を付与する命令を行いました。そのときに、先ほども委員から発言がありましたように、稲田大臣は、命令を発出したのは私自身なので、全てのことについては責任があるというふうに発言をされました。もし自衛隊員の方々が亡くなったら、責任がとれないんです。だからこそ私たちは、今すぐ撤退するべきだということを強く申し上げているわけでございます。

 もう一つ、私、地元の問題でお伺いをしたいというふうに思います。

 ことし三月、航空自衛隊小牧基地オープンベースで、ブルーインパルスと軍用機の展示飛行が行われようとしております。県営名古屋空港、つまりは、小牧基地周辺は住宅密集地でございます。もし事故があれば大惨事になります。

 ブルーインパルスは、この間、浜松基地での死亡事故を初め、事故を起こしておりますけれども、原因と事故の概要についてお示しをいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 ブルーインパルスの事故につきましては、展示飛行中の事故としましては、昭和五十七年十一月に浜松基地航空祭で行った展示飛行におきまして、当時のブルーインパルス、T2型航空機一機が会場近くの駐車場の地面に激突する事故が発生した例がございまして、この事故におきましては、パイロット一名が殉職したほか、地上におられました十三名の民間の方々が負傷したとの記録が残っております。

 このほか、訓練中の事故としましては、平成十二年七月に、宮城県金華山沖で行った訓練において二機が墜落し、パイロット三名が殉職した例があります。

 このほかにも事故が発生しておりますが、こうした事故は決してあってはならないことであり、過去の事故を風化させることなく、隊員の教育及び航空機の安全な運航に万全を期す所存でございます。

本村(伸)分科員 この間、県営名古屋空港、航空自衛隊小牧基地周辺で事故、トラブルが相次いでおりますけれども、その点についてもお示しをいただきたいと思います。

齋藤政府参考人 航空自衛隊小牧基地には第一輸送航空隊が所在しておりまして、県営の名古屋飛行場を使用して輸送などの任務を行うとともに、任務遂行に必要不可欠な練度維持のための訓練飛行等を実施しております。また、米軍機は燃料補給等の目的で同飛行場を使用していると承知しております。

 御指摘の小牧基地及び周辺地域では、過去、自衛隊機や米軍機の墜落等の事故が複数あり、直近では、平成十九年十月三十一日、定期修理中の航空自衛隊のF2戦闘機が、試験飛行のため名古屋飛行場を離陸直後に落下、炎上、擱座するという事案が発生いたしております。

 また、名古屋飛行場では、昨年二月四日、油圧系統にトラブルが生じた航空自衛隊のC130H輸送機が緊急着陸し、四分間程度滑走路を閉鎖するという事案が発生したほか、本年一月十六日及び十七日には、同じくC130H輸送機のトラブルに伴い、それぞれ四分間程度滑走路を閉鎖するという事案が発生しております。

 このような滑走路の閉鎖を伴う事案は、平成二十六年度に二件、二十七年度に三件、二十八年度にはこれまで四件あったものと承知いたしております。

 このほか、小牧基地周辺においては、自衛隊機による部品落下について、平成二十六年度、二十七年度に各一件、二十八年度にはこれまで一件ありましたが、地元自治体から被害の報告等は受けていないものと承知いたしております。

 防衛省といたしましては、引き続き、安全確保に万全を期すとともに、万一事故が発生した場合の地元自治体への情報提供につきまして、できる限り速やかに対応してまいります。

本村(伸)分科員 この周辺は、米軍機が墜落して、春日井市でも、名古屋市の千種区、北区、西区でも落ちて、亡くなったり、住宅が全壊したり住宅被害があるわけです。自衛隊機も墜落をして、春日井市、小牧市、岩倉市に落ちて、亡くなる方、住宅被害もあったわけです。

 こうした経過があるからこそ、ブルーインパルスの展示飛行を春日井市長もやめてくれと反対しておられます。そして、小牧市、豊山町も、二市一町で歩調を合わせていくと表明をされております。

 稲田防衛大臣にお伺いしますけれども、ブルーインパルスの展示飛行について、春日井市、小牧市、豊山町、そして名古屋市、基地周辺の自治体に了承はとったのか、お示しをいただきたいというふうに思います。

 そして、前回、ブルーインパルスの飛行があったわけですけれども、この申請書の部分に、当該飛行に伴う飛行場周辺住民に対する騒音対策としての周辺自治体の同意を得ているというふうに書かれております。反対しておられるわけですけれども、同意をとられているということはどういうことでしょうか、お示しをいただきたいと思います。

豊田政府参考人 お答え申し上げます。

 航空自衛隊小牧基地航空祭におけるブルーインパルスの展示飛行の実施に当たりましては、地元自治体等関係者の御理解を得ることが重要と考えておりまして、現地の小牧基地におきましても地元説明に努めておるところでございます。

 御指摘のとおり、小牧基地が地元説明を行う中で、毎年、地元の自治体等の関係者の皆様から非常に楽しみにしているというようなお声もいただいていると聞いておりますけれども、一方、平成二十七年三月、平成二十八年三月に実施いたしました航空基地祭におけるブルーインパルスの展示飛行については、春日井市長から反対の御意見をいただく中での実施となったと承知しております。そのことは大変残念に思っておるところでございます。

 いずれにいたしましても、防衛省・航空自衛隊といたしましては、愛知県及び近隣県の皆様や小牧基地周辺住民の皆様にブルーインパルスの展示飛行をごらんいただくことは、防衛省・自衛隊に対する認識と理解を深めていただく重要な機会と考えておりまして、今後とも、地元関係者の皆様から御理解を賜ることに努めつつ、また、航空機の安全な運航に十分配慮しながら、ブルーインパルスの展示飛行を実施したいというふうに考えております。

 なお、小牧市及び豊山町の関係自治体につきましては、特段反対の御意見もなかったとの報告を受けておるところでございます。

西村主査 本村伸子君、時間が来ておりますので、まとめていただければと思います。

本村(伸)分科員 市民、議会、行政が入った春日井市飛行場周辺対策市民協議会も、絶対に容認することはできない、小牧基地オープンベースにおけるブルーインパルスの展示飛行の計画を中止するよう、断固申し入れますと、防衛大臣に申し入れ書が示されております。

 地元の自治体の皆さんや住民の皆さんが反対している、この危険なブルーインパルスの展示飛行を中止するべきだということを強く申し述べ、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

西村主査 これにて本村伸子君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶申し上げます。

 分科員各位の御協力を得まして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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