衆議院

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第1号 平成30年2月23日(金曜日)

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本分科会は平成三十年二月二十一日(水曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十二日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      石破  茂君    古賀  篤君

      根本  匠君    渡辺 博道君

      山内 康一君    中野 洋昌君

二月二十二日

 渡辺博道君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成三十年二月二十三日(金曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 渡辺 博道君

      大西 宏幸君    菅家 一郎君

      古賀  篤君    國場幸之助君

      西田 昭二君    根本  匠君

      古田 圭一君    池田 真紀君

      宮川  伸君    山内 康一君

      山本和嘉子君    遠山 清彦君

      中野 洋昌君

   兼務 岡本 充功君 兼務 奥野総一郎君

   兼務 もとむら賢太郎君 兼務 菊田真紀子君

   兼務 広田  一君 兼務 串田 誠一君

    …………………………………

   国務大臣

   (原子力防災担当)    中川 雅治君

   防衛大臣         小野寺五典君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (沖縄基地負担軽減担当) 菅  義偉君

   国務大臣

   (復興大臣)

   (福島原発事故再生総括担当)           吉野 正芳君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (国土強靱化担当)

   (防災担当)       小此木八郎君

   国務大臣

   (一億総活躍担当)

   (情報通信技術(IT)政策担当)

   (少子化対策担当)

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     松山 政司君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (人づくり革命担当)

   (社会保障・税一体改革担当)

   (経済財政政策担当)   茂木 敏充君

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (規制改革担当)

   (まち・ひと・しごと創生担当)

   (行政改革担当)

   (国家公務員制度担当)  梶山 弘志君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)       鈴木 俊一君

   復興副大臣        土井  亨君

   内閣府副大臣       あかま二郎君

   内閣府副大臣       越智 隆雄君

   内閣府副大臣       田中 良生君

   総務副大臣

   兼内閣府副大臣      坂井  学君

   経済産業副大臣

   兼内閣府副大臣      武藤 容治君

   内閣府大臣政務官     村井 英樹君

   内閣府大臣政務官     山下 雄平君

   内閣府大臣政務官

   兼復興大臣政務官     長坂 康正君

   法務大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    山下 貴司君

   厚生労働大臣政務官    田畑 裕明君

   厚生労働大臣政務官    大沼みずほ君

   国土交通大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    簗  和生君

   防衛大臣政務官      大野敬太郎君

   防衛大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    福田 達夫君

   衆議院事務総長      向大野新治君

   参議院事務総長      郷原  悟君

   裁判官弾劾裁判所事務局長 松本 智和君

   裁判官訴追委員会事務局長 藤井 宏治君

   国立国会図書館長     羽入佐和子君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      一宮なほみ君

   会計検査院長       河戸 光彦君

   最高裁判所事務総長    今崎 幸彦君

   最高裁判所事務総局総務局長            中村  愼君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  増田 和夫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  横田 真二君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  菅原 隆拓君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 川合 靖洋君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 松尾 泰樹君

   政府参考人

   (内閣官房人生100年時代構想推進室次長)    伯井 美徳君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 米澤  健君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   海堀 安喜君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            武川 恵子君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  北村  信君

   政府参考人

   (内閣府公益認定等委員会事務局長)        相馬 清貴君

   政府参考人

   (内閣府消費者委員会事務局長)          黒木 理恵君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        小野田 壮君

   政府参考人

   (内閣府総合海洋政策推進事務局長)        羽尾 一郎君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      西村 泰彦君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 小島 隆雄君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  山下 史雄君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    桝田 好一君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    村田  隆君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            水口  純君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            松尾 元信君

   政府参考人

   (消費者庁次長)     川口 康裕君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     小糸 正樹君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 奈良 俊哉君

   政府参考人

   (消防庁審議官)     猿渡 知之君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 佐々木聖子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 飯島 俊郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官)           岡田 健一君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 古谷 雅彦君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   富山 一成君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    山名 規雄君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉永 和生君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           土屋 喜久君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           成田 裕紀君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           八神 敦雄君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)           徳田 正一君

   政府参考人

   (農林水産省生産局農産部長)           岩濱 洋海君

   政府参考人

   (水産庁資源管理部長)  神谷  崇君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            吾郷 進平君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           北村 知久君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           山口 敏彦君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           眞鍋  純君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         江口 秀二君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       清瀬 和彦君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 和田 信貴君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局次長)            島  雅之君

   政府参考人

   (国土交通省航空局航空ネットワーク部長)     久保田雅晴君

   政府参考人

   (気象庁予報部長)    関田 康雄君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難部長)            奥島 高弘君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 米谷  仁君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 江口 博行君

   政府参考人

   (環境省大臣官房環境保健部長)          梅田 珠実君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            早水 輝好君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           小波  功君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  前田  哲君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  西田 安範君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  武田 博史君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  深山 延暁君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           鈴木 敦夫君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官)    鈴木 良之君

   政府参考人

   (防衛装備庁プロジェクト管理部長)        石川  武君

   参考人

   (日本銀行決済機構局審議役)           河合 祐子君

   参考人

   (日本銀行発券局長)   岡田  豊君

   内閣委員会専門員     長谷田晃二君

   安全保障委員会専門員   林山 泰彦君

   予算委員会専門員     石上  智君

   決算行政監視委員会専門員 安齋 雄一君

   衆議院調査局第一特別調査室長           大野雄一郎君

   衆議院調査局第三特別調査室長           井東 辰晃君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十三日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     大西 宏幸君

  根本  匠君     西田 昭二君

  山内 康一君     山本和嘉子君

  中野 洋昌君     太田 昌孝君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 宏幸君     古田 圭一君

  西田 昭二君     國場幸之助君

  山本和嘉子君     池田 真紀君

  太田 昌孝君     佐藤 英道君

同日

 辞任         補欠選任

  國場幸之助君     根本  匠君

  古田 圭一君     菅家 一郎君

  池田 真紀君     西村智奈美君

  佐藤 英道君     太田 昌孝君

同日

 辞任         補欠選任

  菅家 一郎君     石破  茂君

  西村智奈美君     宮川  伸君

  太田 昌孝君     中野 洋昌君

同日

 辞任         補欠選任

  宮川  伸君     山内 康一君

  中野 洋昌君     遠山 清彦君

同日

 辞任         補欠選任

  遠山 清彦君     中野 洋昌君

同日

 辞任         補欠選任

  中野 洋昌君     浜地 雅一君

同日

 辞任         補欠選任

  浜地 雅一君     中野 洋昌君

同日

 第二分科員岡本充功君、奥野総一郎君、菊田真紀子君、広田一君、第四分科員もとむら賢太郎君及び第七分科員串田誠一君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成三十年度一般会計予算

 平成三十年度特別会計予算

 平成三十年度政府関係機関予算

 (皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、復興庁及び防衛省所管)


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     ――――◇―――――

渡辺主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いをいたします。

 本分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、復興庁及び防衛省所管並びに他の分科会の所管以外の事項についての審査を行うことになっております。

 平成三十年度一般会計予算、平成三十年度特別会計予算及び平成三十年度政府関係機関予算中皇室費について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。西村宮内庁次長。

西村政府参考人 平成三十年度における皇室費の歳出予算について、その概要を御説明申し上げます。

 皇室費の平成三十年度における歳出予算要求額は、九十八億五千九百六十一万五千円でありまして、これを前年度当初予算額六十二億一千七百六十三万七千円と比較いたしますと、三十六億四千百九十七万八千円の増額となっております。

 皇室費の歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費、宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。

 以下、予定経費要求書の順に従って事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費三億二千四百万円、宮廷に必要な経費九十一億七千百四十四万五千円、皇族に必要な経費三億六千四百十七万円であります。

 次に、その概要を御説明いたします。

 内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上することになっております。

 宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費二十三億六千四百八十一万二千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費六十八億六百六十三万三千円でありまして、前年度に比較して三十四億九千二百五十二万八千円の増額となっております。

 その増額の主な理由は、天皇の退位等に関する皇室典範特例法の施行に向けた準備に必要な経費を計上したことによるものであります。

 皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっております。

 以上で平成三十年度皇室費の歳出予算要求額の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いいたします。

渡辺主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

渡辺主査 次に、国会所管について審査を進めます。

 まず、衆議院関係予算の説明を聴取いたします。向大野衆議院事務総長。

向大野事務総長 平成三十年度衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成三十年度国会所管衆議院関係の歳出予算要求額は、七百三十三億五千百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、四億三千四百万円余の減額となっております。

 これは、情報システム関係経費及び給与改定に伴う人件費等の増額がある一方、議員関係経費、議員秘書関係経費、議員会館関係経費等の減額によるものでございます。

 その概要を御説明申し上げますと、国会の権能行使に必要な経費として四百三十一億五千四百万円余、衆議院の運営に必要な経費として二百九億九千六百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議員関係の諸経費、事務局及び法制局の事務を処理するために必要な経費でございます。

 また、衆議院施設整備に必要な経費として十億九千六百万円余、民間資金等を活用した衆議院施設整備に必要な経費として八十億九千七百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議事堂本館等の施設整備費、議員会館等の整備に係る不動産購入費でございます。

 このほか、国会予備金に必要な経費として七百万円を計上いたしております。

 以上、平成三十年度衆議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

渡辺主査 次に、参議院関係予算の説明を聴取いたします。郷原参議院事務総長。

郷原参議院事務総長 平成三十年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成三十年度国会所管参議院関係の歳出予算要求額は、四百五十八億八千二百万円余でございまして、これを前年度予算と比較いたしますと、十六億七千二百万円余の増額となっております。

 これは、主に、新議員宿舎整備関係経費並びに議員秘書及び職員に係る人件費が増額となることによるものでございます。

 その概要を御説明申し上げます。

 まず、国会の権能行使に必要な経費として二百二十九億五千三百万円余、参議院の運営に必要な経費として百六十億四千七百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議員活動に係る諸経費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費でございます。

 次に、参議院施設整備に必要な経費として二十六億八百万円余、民間資金等を活用した参議院施設整備に必要な経費として四十二億六千八百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、各種施設整備に必要な経費及び議員会館の不動産購入費でございます。

 最後に、国会予備金に必要な経費として五百万円を計上いたしております。

 以上、平成三十年度参議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

渡辺主査 次に、国立国会図書館関係予算の説明を聴取いたします。羽入国立国会図書館長。

羽入国立国会図書館長 平成三十年度国立国会図書館歳出予算について御説明申し上げます。

 平成三十年度国会所管国立国会図書館関係の歳出予算要求額は、二百三十億七千六百万円余でありまして、これを前年度予算と比較いたしますと、八億六千二百万円余の増額となっております。

 これは、関西館第二期第一段階施設整備に必要となる経費の増額等によるものでございます。

 その概要を御説明申し上げます。

 第一は、運営に必要な経費でありまして、人件費等九十七億二千四百万円余を計上いたしております。

 第二は、業務に必要な経費でありまして、国会サービス経費及び情報システム経費等七十三億六千五百万円余を計上いたしております。

 第三は、科学技術関係資料の収集整備に必要な経費でありまして、十億九千八百万円余を計上いたしております。

 第四は、施設整備に必要な経費でありまして、四十八億八千七百万円余を計上いたしております。

 以上、平成三十年度国立国会図書館関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

渡辺主査 次に、裁判官弾劾裁判所関係予算の説明を聴取いたします。松本裁判官弾劾裁判所事務局長。

松本裁判官弾劾裁判所参事 平成三十年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成三十年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係の歳出予算要求額は、一億一千三百六十二万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、百二十二万円余の増額となっております。

 この要求額は、裁判官弾劾裁判所における事務局職員の給与に関する経費及び事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官の弾劾裁判に直接必要な旅費及び庁費でございます。

 以上、裁判官弾劾裁判所関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

渡辺主査 次に、裁判官訴追委員会関係予算の説明を聴取いたします。藤井裁判官訴追委員会事務局長。

藤井裁判官訴追委員会参事 平成三十年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成三十年度国会所管裁判官訴追委員会関係の歳出予算要求額は、一億三千百七十八万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、二百一万円余の増額となっております。

 この要求額は、裁判官訴追委員会における事務局職員の給与に関する経費、訴追事案の審査に要する旅費及びその他の事務費でございます。

 以上、裁判官訴追委員会関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

渡辺主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

渡辺主査 次に、裁判所所管について審査を進めます。

 最高裁判所当局から説明を聴取いたします。今崎事務総長。

今崎最高裁判所長官代理者 平成三十年度裁判所所管歳出予算について御説明を申し上げます。

 平成三十年度裁判所所管歳出予算の総額は、三千二百十二億一千百万円でございまして、これを前年度当初予算額三千百七十七億円と比較いたしますと、差引きで三十五億八百万円の増加となっております。

 次に、平成三十年度歳出予算のうち、主な事項について御説明を申し上げます。

 まず、人的機構の充実、すなわち、裁判官、書記官及び事務官の増員等でございます。

 かねてより裁判所の体制の充実強化が求められております中、複雑困難化いたします民事訴訟事件の審理充実、成年後見関係事件を始めといたします家庭事件処理の充実強化等のため、裁判官は、判事補からの振りかえ二十五人を含めまして判事五十人、書記官は、速記官からの振りかえ二人を含め十九人、事務官は十八人、合計八十七人の増員をすることとしております。

 他方、政府の定員合理化計画への協力といたしまして七十人の減員をすることとしておりますので、差引きで十人の純減となります。

 次に、司法の体制の充実強化に必要な経費でございます。

 まず、裁判事務処理態勢の充実を図りますため、百三十五億九千七百万円を計上しております。

 その内容について申し上げますと、第一に、民事事件関係経費として三十二億円を計上しております。この中には、民事調停委員手当、専門委員手当、労働審判員関係経費等が含まれております。

 第二に、刑事事件関係経費といたしまして四十億二千六百万円を計上しております。この中には、裁判員制度関連経費、心神喪失者等医療観察事件関連経費等が含まれております。

 第三に、家庭事件関係経費といたしまして六十三億七千百万円を計上しております。この中には、家事調停委員手当等が含まれております。

 また、庁舎の耐震化等のための経費といたしまして百五十三億九千二百万円を計上しております。

 以上が、平成三十年度裁判所所管歳出予算の概要でございます。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

渡辺主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

渡辺主査 次に、会計検査院所管について審査を進めます。

 会計検査院当局から説明を聴取いたします。河戸会計検査院長。

河戸会計検査院長 平成三十年度会計検査院所管の歳出予算について御説明申し上げます。

 会計検査院の平成三十年度予定経費要求額は、百七十五億百万円余でありまして、これを前年度予算額百七十二億七千百万円余に比較いたしますと、二億二千九百万円余の増額となっております。

 ただいま申し上げました要求額は、日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく会計検査院の運営及び会計検査業務に必要な経費等であります。

 次に、その概要を御説明申し上げます。

 まず、会計検査院の運営に必要な経費として百五十三億七千六百万円余を計上いたしております。これは、会計検査に従事する職員等の人件費及び庁舎の維持管理等に必要な経費であります。

 次に、会計検査業務に必要な経費として二十億四千二百万円余を計上いたしております。これは、国内外における実地検査等のための旅費及び検査活動を行うためのシステムの開発・運用等に必要な経費並びに検査活動に資する研究及び検査能力向上のための研修に必要な経費であります。

 次に、会計検査院施設整備に必要な経費として八千二百万円余を計上いたしております。

 以上、会計検査院の平成三十年度予定経費要求額の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

渡辺主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

渡辺主査 次に、内閣及び内閣府所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。菅内閣官房長官。

菅国務大臣 平成三十年度の内閣及び内閣府関係予算について、その概要を御説明申し上げます。

 内閣所管の平成三十年度における歳出予算要求額は一千百四億三千百万円でありまして、これを前年度当初予算額一千九十二億三百万円に比較しますと、十二億二千八百万円の増額となっております。

 要求額の内訳といたしまして、内閣官房には、内閣の重要政策に関する総合調整等のための経費として九百七十二億五千四百万円、内閣法制局には、法令審査等のための経費として十億八千百万円、人事院には、人事行政等のための経費として百二十億九千六百万円を計上いたしております。

 次に、内閣府所管の平成三十年度における歳出予算要求額は三兆五千七百二十七億七千五百万円でありまして、これを前年度当初予算額三兆四千三百九十九億六千六百万円に比較しますと、千三百二十八億八百万円の増額となっております。

 要求額の内訳としまして、内閣府本府には、各般の施策における総合的、戦略的な企画立案及び施策の的確な推進のための経費として三兆一千九百五十一億二千七百万円、宮内庁には、その人件費、事務処理のための経費として百十四億六千六百万円、公正取引委員会には、厳正かつ実効性のある独占禁止法の運用等のための経費として百九億七千二百万円、警察庁には、警察庁、その附属機関及び地方機関の経費並びに都道府県警察費補助等のための経費として三千百五十一億二千七百万円、個人情報保護委員会には、個人情報の保護及び利活用の推進等を図るための経費として三十四億六千二百万円、金融庁には、金融庁一般行政、金融市場整備推進等のための経費として二百四十六億八千六百万円、消費者庁には、消費者の安全・安心の確保、地方消費者行政の推進等を図るための経費として百十九億三千四百万円を計上いたしております。

 以上をもって平成三十年度の内閣及び内閣府関係予算の概要の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

渡辺主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

渡辺主査 次に、復興庁所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。吉野復興大臣。

吉野国務大臣 平成三十年度復興庁予算について御説明申し上げます。

 復興庁においては、復興・創生期間の三年目を迎えるに当たり、被災地の抱える課題の解決に直結する取組を着実に実施するとともに、復興のステージの進展に応じて生ずる課題に引き続き迅速かつ適切に対応するための予算として、東日本大震災復興特別会計に総額一兆六千三百五十七億円を計上しております。

 以下、その主要施策について御説明申し上げます。

 第一に、被災者支援については、災害公営住宅等への移転や避難指示解除区域への帰還が進む中、コミュニティー形成、再生、見守りや心身のケア等への支援に加え、被災者支援に携わる方への支援を行うほか、福島県相双地域等における介護体制の再構築の支援等に必要な経費として七百六十八億円を計上しております。

 第二に、住宅再建と復興まちづくりについては、住宅再建に関する事業の進展等を踏まえつつ、復興まちづくりを進めるほか、復興道路、復興支援道路の整備等に必要な経費として六千九百九十六億円を計上しております。

 第三に、産業やなりわいの再生については、観光復興や人材確保、水産業の販路開拓等のソフト支援に引き続き注力するほか、福島について、農林水産業の再生、福島イノベーション・コースト構想の推進、原子力災害被災十二市町村における事業再開、新規立地等への支援に必要な経費として千五十二億円を計上しております。

 第四に、原子力災害からの復興再生については、避難指示が解除された区域での生活再開に必要な環境整備や帰還困難区域の特定復興再生拠点の整備等を進めるとともに、風評払拭及び放射線に関するリスクコミュニケーションの取組を強化するほか、中間貯蔵施設の整備等に必要な経費として七千四百七十七億円を計上しております。

 なお、東日本大震災復興特別会計においては、復興庁予算に加え、震災復興特別交付税交付金や復興債の償還及び利子の支払いに必要な経費など七千二百三十五億円を計上しており、全体では二兆三千五百九十三億円を計上しております。

 以上、平成三十年度の復興庁予算の概要について御説明申し上げました。

 何とぞよろしくお願いいたします。

渡辺主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

渡辺主査 次に、防衛省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。小野寺防衛大臣。

小野寺国務大臣 平成三十年度の防衛省関係予算について、その概要を御説明申し上げます。

 平成三十年度予算においては、一層厳しさを増す安全保障環境を踏まえ、国民の生命、身体、財産及び我が国の領土、領海、領空を守る態勢を強化するため、平成二十六年度以降に係る防衛計画の大綱に基づく中期防衛力整備計画の最終年度として、統合機動防衛力の構築に向け、防衛力整備を着実に実施することとしております。

 具体的には、各種事態における実効的な抑止及び対処並びにアジア太平洋地域の安定化及びグローバルな安全保障環境の改善といった防衛力の役割にシームレスかつ機動的に対応し得るよう、統合機能のさらなる充実に留意しつつ、必要な事業を計上することができたと認識しております。

 特に、警戒監視能力、情報機能、輸送能力及び指揮統制・情報通信能力の向上を重視するほか、島嶼部に対する攻撃への対応、弾道ミサイル攻撃への対応、ゲリラ、特殊部隊による攻撃への対応、宇宙空間及びサイバー空間における対応、大規模災害への対応並びに国際平和協力活動への対応を重視するとともに、技術的優越の確保、防衛生産、技術基盤の維持等を踏まえたものとなっております。

 平成三十年度の防衛関係費の一般会計歳出予算額は五兆一千九百十一億四百万円となり、前年度の当初予算額に比べ、六百五十九億五千六百万円の増となっております。

 継続費の総額は、平成三十年度護衛艦建造費で一千五十四億九千八百万円、平成三十年度潜水艦建造費で七百十七億一千八百万円となっており、また、国庫債務負担行為の限度額は、武器購入、航空機購入、弾薬購入、武器車両等整備、提供施設移設整備等で二兆百二十八億一千五百万円となっております。

 これをもちまして平成三十年度の防衛省関係予算の概要の説明を終わります。

 なお、時間の関係もございますので、主査におかれましては、お手元に配付してあります資料を会議録に掲載されますようお願い申し上げます。

渡辺主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま小野寺防衛大臣から申出がありましたとおり、防衛省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺主査 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

渡辺主査 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大西宏幸君。

大西(宏)分科員 貴重なお時間を賜りました。自由民主党・無所属の会、大西宏幸でございます。

 本日は、質問の機会をお与えいただきまして、心より感謝を申し上げる次第でございます。

 ことしも、いわゆる日本海側において豪雪で被災された皆様方には、心よりお見舞いを申し上げる次第でございます。

 実は、私は、衆院議員にならせていただいた以前から、地元大阪で大阪防衛協会というところに所属しておりまして、その中で青年部というのがございますけれども、創設以来、ずっと大阪では活動してきております。

 昭和三十八年一月、そのときも、日本海側で豪雪が起こりまして、自衛隊が約一カ月にわたって出動をされました。その献身的な動きに、当時、松下幸之助さんや大阪の財界人が心から感謝をされまして、大阪防衛協会というものをつくっていただいたということで、三十九年二月に創設をされました。

 その後、我々も活動をしている中で、安全保障に関するシンポジウムとか講演、防衛・防災フェスティバルというものがありまして、これは、二年に一度、大阪のATCの海沿いのところで、自衛隊、そして海上保安庁、警察、消防が協力し合って行うフェスティバルでございますので、また来年三月ごろにやりますので、大臣にお越しいただきましたら幸いに存じます。

 その中で、我々衆議院、最も重要な責務である国民の安全、安心な日々の暮らしを守るという観点から、今、日本を取り巻く東アジア情勢は大変厳しい状況になっております、時に命を賭して我が国を守る自衛隊への感謝を込めて、改めて質問をさせていただきます。小野寺防衛大臣、三十分、よろしくお願い申し上げます。

 日本の安全保障は、今申し上げましたように、危機的状況にさらされております。北朝鮮の核開発、ICBMの開発、そして尖閣諸島周辺では、中国の異常な動きに加えて、ロシアの動向も注視しなければならない今の状況が日本にあります。

 その中で、日本の安全保障の中核たる自衛隊の装備が最新装備の導入を進めておられますけれども、その中で、平成三十年度の予算で、北朝鮮などの弾道ミサイルなどの迎撃体制を強化するために新装備が導入されました。

 その中でも、陸上配備型迎撃システム、イージス・アショア。イージスというのは、もう御存じのように、ギリシャ神話に出てくる最強の盾、アショアというのは陸や砂浜を意味する、いわゆる陸地での最強の盾を意味するものでございます。

 そのほかにも、ロングレンジでSM3ブロック1A、千二百キロ。それを上回って、SM3ブロック2Aというのが射程が二千キロで、話に聞くと、四発四百四十億で日本への売却がアメリカ議会で承認されたという話も聞いております。

 そこで、新装備導入の目的を改めて確認すると同時に、性能、効果をお伺いさせていただきます。よろしくお願いいたします。

小野寺国務大臣 大西委員には、日ごろ大変安全保障面で御示唆を賜り、感謝を申し上げます。

 御指摘のイージス・アショアについては、BMD対応型イージス艦と同様のミサイル防衛システムを陸上に配備した装備品であり、昨年十二月、その導入を政府において決定いたしました。

 北朝鮮の核・ミサイル開発が我が国の安全に対するこれまでにない重大かつ差し迫った脅威となっており、特に北朝鮮は、発射の兆候を事前に察知しにくい移動式発射台や潜水艦発射型弾道ミサイルといった発射手段の配備、開発を進めております。

 そのような中、防衛省・自衛隊として、高度の警戒態勢を維持し、イージス艦やPAC3を展開しておりますが、例えばイージス艦については、整備、補給で港に戻るすき間の期間が避けられず、また、洋上勤務が繰り返される乗組員の勤務環境なども極めて厳しい状況にあります。陸上配備型のイージス・アショアを導入すれば、要員の勤務も柔軟なものとなり、我が国を二十四時間三百六十五日、切れ目なく守るための能力を抜本的に向上できることになります。

 また、SM3ブロック2Aは、平成十八年度から日米間で共同開発を進めてきたものであり、これまでの迎撃ミサイルと比較して、防護範囲が拡大するとともに、より高性能化、多様化した弾道ミサイル攻撃への対処能力が向上することとなります。この迎撃ミサイル導入によって、ロフテッド軌道による攻撃への対処能力や同時対処能力も含め、我が国の弾道ミサイル迎撃能力はより一層向上するものと考えております。

 このように、イージス・アショアやSM3ブロック2Aミサイルは、専守防衛のもと、我が国に対する弾道ミサイルの脅威から国民の生命財産、我が国の領土、領海、領空を守り抜くため、自衛隊の装備の質的向上を図るものであります。

大西(宏)分科員 大臣、どうもありがとうございます。

 このイージス・アショアというのは、利点的には、今おっしゃっていただきましたとおり、イージス艦がその装備をするには、定期的にドック入りしなきゃいけないし、乗組員の休憩もとらさなきゃいけない。それが、陸上に行くと、海上自衛隊の乗組員が、それに対して、休憩ができるし、ある意味、人件費も安くなっていくということもありまして、その観点からも私は評価をさせていただいております。

 しかしながら、北朝鮮、挑発行為が続いていますよね。これは私たち、国民全体に脅威が身近なものとして感じておるわけでございます。対ミサイル防衛体制強化の着実な実施は、国民が期待しているものでございます。しかし、他方、予算を有効に活用すべく、実際に効果のある装備の導入をよろしくお願い申し上げる次第でございます。

 続きまして、質問させていただきます。

 平昌オリンピックは二月二十五日で閉幕いたします。その後、パラリンピックが始まるわけでございますけれども、日本の活躍で多くの感動とドラマが我々国民の勇気、希望になったことは、うれしい、喜ばしいことでございますが、その中で、北朝鮮は韓国にほほ笑み外交を展開して南北融和を演出しておりましたけれども、本当にこれは長続きするものかなということを我々は危機感を持って見ていかなきゃならないなと思っております。

 先ほども申し上げましたように、北朝鮮は次々と挑発的にミサイルを発射し、昨年十一月二十九日は、新型ICBM、火星15型と言われるものの発射実験を行いました。アメリカ本土を直接攻撃できる核弾頭を搭載可能だとうそぶいて、国家核戦力の完成を宣言するに至りました。こうした実際に北朝鮮による核・ミサイルの脅威もありまして、オリンピック閉会後には、また米朝間の緊張も、これは必ず高まると思います。

 この状況を受けて、防衛省として、今後の北朝鮮防衛政策の要点をお聞かせいただきたいと思います。

前田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今委員御指摘になりましたとおり、北朝鮮は、本年に入りまして、南北関係の改善には積極的な姿勢を示し、平昌オリンピックを機に南北対話を進めるということをやっています。ただ、一方で、核・ミサイルの開発、これは継続をしているというふうに考えています。

 このような中で、政府といたしましては、北朝鮮に政策を変えさせるため、あらゆる手段を使って、北朝鮮に対する圧力を最大限にし、北朝鮮の方から対話を求めてくる状況をつくっていく、この考えに変わりはございません。

 この点、二月十四日でございました、安倍総理とトランプ大統領、電話会談をされています。北朝鮮に対して最大限の圧力をかけ続けること、北朝鮮との間で、完全で検証可能かつ不可逆的な非核化を前提としない限り、意味のある対話を行うことはできないこと、これを確認してございます。

 また、北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対しましては、まずはそれをしっかりと抑止することが重要であると思います。そのためには、日米同盟による強い抑止力が必要でございます。この点、平和安全法制の整備や種々の日米共同訓練などを通じまして、自衛隊と米軍との連携は一層緊密化をしており、日米同盟の抑止力は大きく向上している、このように考えてございます。

 また、同時に、我が国の防衛体制及び能力の向上を図っていくこと、今も御議論がございましたけれども、必要であると考えています。

 例えば弾道ミサイル防衛につきましては、BMD対応型のイージス艦の増勢、あるいは能力向上型の迎撃ミサイルの取得、こういったことを引き続き積極的に進め、さらに、先般、導入決定いたしましたイージス・アショアによりまして、弾道ミサイル防衛能力の抜本的な向上を図っていきたいと考えています。

 いずれにしても、防衛省・自衛隊としては、いかなる事態にも対応できるよう、米国との協力、これも進めながら、同盟の抑止力、対処力を強化し、同時に、高度な警戒監視体制を維持し、緊張感を持って我が国の平和と安全の確保に万全を期していく考えでございます。

大西(宏)分科員 どうもありがとうございます。

 安倍総理は、昨年九月、国連演説で、対話による問題解決の試みは無に帰したということで、全面的に圧力を打ち出しておりますけれども、それに関して、日米同盟をやはり基軸として行わなきゃならないということは先ほどの答弁でもおっしゃっていただきましたとおりでございますけれども、核・ミサイルなどの防衛についてはしっかりと今後対応していただかなければならないと思っております。

 圧力というのは、周りがきっちり圧力をかけていただかなければ、緩んでいるところで圧力にならないということも含めて、また、圧力をかけ過ぎると、これは暴発する可能性があるということで、その対応についてもどうぞよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、関連して、北朝鮮のミサイル開発の質問をさせていただきます。

 防衛省が把握している核・ミサイル開発の現状をお聞かせいただきたいと思うんですけれども、広島型の十倍に上る水爆実験に成功したとか、また、核の小型化に達していないとか、弾道ミサイルが大気圏に再突入する能力はいまだにないなどの報道等々が出ておりますけれども、言える範囲で結構でございますので、お聞かせいただけたら幸いでございます。

前田政府参考人 お答えいたします。

 北朝鮮は過去六回の核実験を強行いたしております。このうち、昨年九月の核実験の出力は、過去最大規模の約百六十キロトンというふうに推定をいたしております。これは水爆実験であった可能性も否定できないと考えています。

 また、北朝鮮は、核兵器の運搬手段となる弾道ミサイル、これの長射程化あるいは運用能力の向上を図るとともに、核兵器を弾道ミサイルに搭載するために、小型化あるいは弾頭化を追求しているものと考えられます。

 この点、過去六回の核実験を通じまして技術的成熟が見込まれることなど踏まえますと、北朝鮮が核兵器の小型化、弾頭化の実現に至っている可能性というのも考えられると思っております。

 他方で、核兵器を弾道ミサイルに搭載して運用するためには、弾頭の大気圏再突入技術といったものが必要になると考えられます。

 北朝鮮がこれまでにそうした技術を実証したか否かにつきましては、これは引き続き慎重な分析が必要であると考えています。

 いずれにいたしましても、弾道ミサイルの発射を繰り返すことにより、関連の技術を蓄積していくというものと考えておりまして、こうした前提に立って、国民の生命と財産、我が国の領土、領海、領空を守り抜くより一層の万全の備え、これを構築する必要があると認識をいたしてございます。

大西(宏)分科員 こういう言い方をいつもさせていただいているんですけれども、我らが祖国日本は、朝鮮半島からしたら、季節によっては風下になります。向こうで自爆されたらえらいことになることも鑑みて、やはりミサイルに対しての開発をどうしても中止していただきたいなという気持ちもあると同時に、管理監督を強化していただきたいと思っておる次第でございます。

 ちょっと一つ飛ばしまして、実際に朝鮮半島で有事が起こった場合、多くの避難者、難民が日本に来るのではないかと以前から予測をされております。その難民の中には、朝鮮半島から来た工作員もいるでしょうし、武装難民もおられると思います。もしかしたら兵士崩れ、いわゆる部隊から武器を持ったまま逃げる兵士崩れもおるかもしれない。その可能性があるということはやはり認識していかなきゃいけないんですよね。

 逮捕や検挙は海上保安庁や警察の仕事であり、自衛隊は難民に対処できないことは重々承知をしておりますけれども、武装したこれら難民に対する防御については防衛省はどう考えていらっしゃるでしょうか。お聞かせください。

前田政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘の点は大変重要な課題だと認識をしてございます。

 防衛省・自衛隊におきましては、平素から、日本海を含めます我が国周辺海空域において、海上自衛隊の哨戒機等によりまして警戒監視活動を実施するとともに、ここで得られました情報を必要に応じて海上保安庁等の関係省庁に提供いたしているところでございます。

 先般、漂着船というのがございました。この漂着船につきましては、領土、領海における治安の維持に一義的な責任を有する海上保安庁等の警察機関が対応しておりますけれども、防衛省・自衛隊といたしましても、不測の事態への対応に万全を期すという観点から、これら関係機関と必要な情報を共有し、緊密に連携をしているところでございます。

 また、万一、一般の警察力をもっては治安を維持することができない状況に至った場合には、これは自衛隊法の第七十八条に規定がございまして、治安出動、あるいは同法の第八十二条に規定いたします海上警備行動、こういったことを発令することによりまして、自衛隊は警察機関と緊密に連携して対処をするということになるわけでございます。

 また、こうした事態に備えまして、これまで自衛隊では、ゲリラあるいは特殊部隊による攻撃を想定した訓練を実施しておりますし、警察、海上保安庁との共同訓練、これを通じて、事態対処における相互の連携要領についても確認をしてきているところでございます。

 防衛省といたしましては、今後とも、こうした訓練を精力的に実施するとともに、関係機関とのさらなる連携強化に努めてまいりたいと考えているところでございます。

    〔主査退席、古賀主査代理着席〕

大西(宏)分科員 主査が古賀先生にかわりまして、心を新たに質問をさせていただきます。

 今おっしゃったように、今しっかり連携をとっているということでございますけれども、考えてみたら、やはり離島を抱えている都道府県の警察本部と更に連携を結んでいかないけないのかなと思っています。治安出動の前に、その離島で駐在さん、警察官が拳銃一丁でその武装勢力と対峙しなければいけないというのは、これは警察官だけというのは大変なことでございますので、どういうふうに対応していくのかという詳細のお打合せをしていただきますように、よろしくお願いを申し上げる次第でございます。

 続きまして、新千歳空港、航空自衛隊千歳基地に近い苫小牧美沢の山林約八ヘクタールを二〇一四年に中国籍の個人が取得された、これはもう大問題になりましたけれども、対馬でも韓国が似たようなことをしております。外国の企業や個人の防衛施設周辺の土地取得については、防衛上、大きな懸念がございます。

 苫小牧の件については、防衛省がいつどのように把握したのか、また把握していないのか、お聞かせいただきたいと思います。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 外国人等による防衛施設周辺の土地取得の問題につきましては、国家安全保障にかかわる重要な問題であることから、防衛省といたしましては、平成二十五年以降、自衛隊施設等に隣接をいたします土地の調査を実施してきておりまして、航空自衛隊の千歳基地については、平成二十五年度に調査を実施しているところでございます。

 他方、御指摘の事実関係につきましては、関連する報道があったことは承知をしておりますが、防衛省といたしまして、外国企業や個人によるものも含めた土地の所有関係について逐一お答えをすることは差し控えさせていただきたいと存じます。

 いずれにせよ、自衛隊の運用に支障が生じるような事実は確認をされていないところでございます。

大西(宏)分科員 以前、これは与党内でも議論がされておりますけれども、やはり施設の周辺の土地は国が保有するようにするとか、対応について今後とも議論を進めていっていただかなければならないということで、これは与党との協調、協力も含めてお願いをする次第でございます。

 続きまして、防衛省は、南西諸島の防衛力強化の一環として、二〇一八年度末までに、鹿児島県奄美市大熊地区に約三百五十人規模の警備部隊と中距離地対空誘導弾部隊、同県の瀬戸内節子に二百人規模の同部隊を設置すると承知しております。部隊の庁舎や貯蔵庫、訓練施設など整備がされておりますけれども、周辺の土地所有などの状況はちゃんと調査をされておられるんでしょうか。お聞かせください。

西田政府参考人 お答え申し上げます。

 奄美大島への陸上自衛隊部隊の配置に当たりましては、用地周辺の電気、水道等のインフラの状況、土地の利用状況等のほか、隣接地の土地の所有者を確認した上で、奄美駐屯地、仮称でございますが、この用地につきましては平成二十八年の六月に、また瀬戸内分屯地、これも仮称でございますが、この用地につきましては平成二十九年の三月に用地の取得を行っているところでございます。

 駐屯地等の予定地の隣接地の状況としては、奄美市及び瀬戸内町の公有地が大半を占めていることを確認するとともに、残余の民有地につきましても所有者を確認しているところでございます。

大西(宏)分科員 ありがとうございます。

 これは民民の話もしかり、そうなんですけれども、一度土地を購入すると所有権が発生する、そして、その所有者から奪うということはこれは困難なことでございますので、このことも考慮をしていただいたらなと思っております。

 先ほどの言葉の中で、節子は地対艦誘導弾部隊が設置されるということでございます。

 続きまして、重ねて質問となりますけれども、防衛上の拠点となる地域周辺の土地取得については、防衛省として、改めてお聞かせいただきますけれども、どう考えられていますでしょうか。対策を検討しているのであれば、状況をお聞かせいただけたら幸いでございます。

小野寺国務大臣 外国人等による防衛施設周辺の土地取得については、国家安全保障にかかわる重大な問題と認識しており、私が、平成二十五年に防衛大臣のとき、対馬及び北海道の自衛隊施設周辺の現地も視察した上で、自衛隊施設等に隣接する土地の調査の実施を指示いたしました。

 調査は、自衛隊及び米軍の約六百五十施設を対象として、昨年度までに約五百三十施設について実施し、今年度中、三月末までには対象の全施設について一巡目の調査を終える予定であり、今後とも繰り返し調査を実施していく考えであります。

 これまでの調査の結果、東京都区内において、住所が外国に所在し、氏名等から外国人と類推される方の土地が四筆確認されておりますが、自衛隊や米軍の運用に支障が生じるような事実は確認されておりません。

 また、与党においても、これまでの各種議論を踏まえて、現在、防衛施設周辺区域における安全保障上の支障が生じるおそれがある土地の調査に関する法制化の議論が行われているものと承知をしております。

 防衛省としては、自衛隊施設や米軍施設の安全保障上の重要性に鑑み、関係省庁間との連携を図り、与党における議論の状況も十分注視しつつ、今後ともしっかりと、この国を守るための体制を整えていきたいと考えております。

大西(宏)分科員 どうもありがとうございます。

 小野寺防衛大臣が問題意識をここまで持っていただいているということ、本当にうれしゅうございます。与党の議論も積極的に私も参加してまいり、防衛省においても戦略的にしっかりと対応していただきますように、よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、離島防衛の質問をさせていただきます。

 排他的経済水域、EEZの根拠となる離島の保全強化というのは、海洋上の安全保障を堅持するため最も重要な課題でございます。島嶼部に対する防衛体制と、今回、予算で要点があれば、お聞かせいただきますようにお願い申し上げます。

小野寺国務大臣 島嶼防衛においては、事前に兆候を察知し、攻撃が予想される地域に陸海空自衛隊が一体となった統合運用により、先んじて相手国部隊の上陸を阻止することが重要です。このため、南西地域の自衛隊配置の空白状況を早急に解消すべく、陸上自衛隊警備部隊等の配置を着実に進めております。

 また、万が一島嶼が占領された場合には、戦闘機部隊などを用いて航空優勢を確保するとともに、護衛艦隊部隊などを用いて海上優勢を確保することが重要です。

 その上で、対地攻撃により相手国部隊を制圧するとともに、島嶼への上陸、奪還を主な任務とする水陸機動団、これはことしの三月に新編される予定でありますが、これなどを陸上自衛隊のヘリ部隊や海上自衛隊の輸送艦隊部隊等により上陸させることを想定しております。

 こうした認識のもと、平成三十年度予算における主要な装備として、周辺海域の情報収集、警戒監視体制を強化するため、新早期警戒機E2Dの取得、滞空型無人機グローバルホークの取得、航空優勢、海上優勢の獲得、維持のため、戦闘機F35Aの取得、新空中給油機KC46Aの取得、新型護衛艦の建造、潜水艦の建造、迅速な展開、対処能力の向上のため、V22オスプレイの取得、輸送機C2の取得、南西警備部隊に係る施設整備に関する経費などを計上しております。

大西(宏)分科員 ありがとうございます。

 実効性のある装備であれば、むしろ私は導入するべきだと思います。

 例えば、個人的な意見でございますけれども、F35Bは、垂直離陸型で、空母化の呼び水となるということの批判も出ておるわけでございますけれども、これだけ離島があったら、滑走路不要の戦闘機というのは、この日本の防衛に対して大いなる有効性を浴するものであると私は信じておる次第でございますので、また御議論をどうぞよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、ちょっと時間がないので、はしょってまいりたいと思っております。

 陸上自衛隊の制服がモデルチェンジをしていって、そのモデルチェンジの中でいろいろ議論はされておりますけれども、これはちょっと時間がないので飛ばしてまいりたいと思っておりますけれども。

 その中で、まず一つに、東日本大震災ですね、災害派遣後の中で、これはもう、防衛協会の方でもいろいろな議論がありました。自衛隊の方々からもお聞きをしました。泥水の中で必死に救助活動をしたため、陸上自衛隊は迷彩服の在庫を使い果たしました。当時は、新入隊員でも中古で我慢していただいたということであります。演習場などで使うマガジンポーチなどは隊員が自腹で買わなければ支給は乏しくて、制服の名札、名刺など、全て自腹だと聞いております。

 このことが事実かどうか、確認をしておりますでしょうか。

鈴木(良)政府参考人 マガジンポーチ、名札、名刺の自費購入について、今先生の方から御指摘がございました。

 限られた予算の中で、任務に必要なものにつきましてはできる限り隊員に配付しておりますが、隊員が私費で購入している例もあると承知しております。

 いずれにしましても、防衛省としましては、現場の隊員が日々の任務に邁進できるよう、限られた予算の範囲内で、必要な物品の配付に努めてまいりたいと思っております。

大西(宏)分科員 これは本当に、自衛隊の処遇改善、私の大阪でもたくさんの方々がおっしゃっておりますし、全国からも大きな要望が寄せられております。自衛隊が誇りと自信を持って任務に当たれるよう、必要な経費はしっかりと配分する必要があると思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げる次第でございます。

 そういうことも踏まえて、自衛隊員の募集が難しくなってきている、まあ、直接的じゃないんだけれども、そういうこともあると思います。

 くしくも、昨日二月二十二日は竹島の日、午後、松江市にて開催された十三回目となる記念式典では、会場近くで、竹島の日に反対する韓国の市民団体と、それに反対する日本のグループがもみ合いになったということでございます。

 私は、当選以来、安全保障委員会の委員として活動していますけれども、国民の命と財産を守ることは衆議院として最も重要な責務であると私は信じております。国政の道を志した当初から政治信条は変わりません。日本を取り巻く安全保障環境が複雑さと緊張を高める今こそ、しっかりと責務を果たしてまいりたいと思っております。

 時間が来ましたので、これで終わらせていただきます。

 以上でございます。

古賀主査代理 これにて大西宏幸君の質疑は終了いたしました。

 次に、もとむら賢太郎君。

もとむら分科員 希望の党のもとむら賢太郎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 今、自衛隊のお話もありました。私も、相模原自衛官募集相談員を二十年ほどやらせていただいておりまして、しっかりまた地域でも頑張ってまいりたいと思います。

 それでは、在日米軍関連に関しまして。

 私ども相模原市でありますが、地元には、キャンプ座間、そして米軍住宅、補給廠と三つの米軍施設がありまして、その面積は四百二十八・六ヘクタールに及んでおります。

 返還四事案については、もう既に日米合同委員会で合意済みでありますけれども、なかなか前進をしていないという実態もございますので、毎年この機会に、この四事案の、特に補給廠の北側外周道路の返還についてお聞きをしておりますが、まず、その進捗状況についてお伺いいたします。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 もとむら委員におかれましては、毎年本件につきましてお尋ねをいただきまして、恐縮いたしております。

 今お尋ねの件、特に、北側外周道路につきまして申し上げます。

 この件につきましては、昨年も御指摘を賜りました。昨年、私が、現地協定書が間もなく締結できる見込みである旨御答弁申し上げたところでございますが、その後、昨年、二十九年三月に、まずこの外周道路につきましてでございますが、相模原市、米軍、南関東防衛局との間で現地実施協定を締結することができました。

 現在、これは移設工事が必要な部分がございます、これにつきまして、相模原市において詳細設計を実施されているものと承知しております。よく連携をとりまして、これは市が行われる工事ではございますけれども、我々も十分関心を払い、進捗が速く進んで返還に結びつくようにということに努力したいと思っております。

 また、他の返還四事案につきましては、これも多年御指摘をいただいているところでございます。平成十八年六月に、この御要望に対して、当時の横浜防衛施設局長から、今後、日米合同委員会の枠組みを活用して、事案の性格はおのおの異なるものの、貴市の御要望に添えるように努力する所存であると回答いたしております。

 これにつきましては、具体的な文書の締結等には至っておりませんが、引き続き、相模原市の具体的な御利用計画等を踏まえまして検討いたしてまいりたいと考えておるところでございます。

もとむら分科員 この返還四事案に関しましては、地元相模原市始め、関連団体を含めて、皆さん非常に関心の高いところでありまして、一日も早くこれが前進するようにお願いしてまいりたいと思います。

 今、深山局長からも御答弁いただいた市の北側外周道路に関しましては、私ども地元市の加山市長も、補給廠北側の宮下、上矢部地区は狭隘な生活道路が多く、基地の返還によりまして既存道路の拡幅と新たな道路整備を行うことは、地域の皆様はもとより、本市の長年にわたる悲願の一つだということで述べられておりますので、大臣におかれましても、この返還四事案、御注視いただきたいと思っております。

 次の質問に入りますが、きょうお配りの資料の中に、相模総合補給廠の地図がございます。この中には、家族住宅及び野積み場の一部返還ということで約十五ヘクタールの返還地がございますが、ここは既に防衛省から財務省に管理が移ってございます。

 しかしながら、廃屋となった住宅や樹木がいまだに残っており、防犯上も悪影響じゃないかという市民の声もありまして、防衛省から財務省に移管されているわけでありますので、できることなら、早くこうしたものが撤去されることを市民も望んでおります。

 このことに関して、撤去に関してはいつごろ行っていくのか、財務省にお伺いしたいと思います。

富山政府参考人 お答えをいたします。

 相模総合補給廠の一部返還地十五ヘクタールにつきましては、平成二十六年九月に在日米軍から返還され、平成二十九年三月末に防衛省から財務省に引き継がれているところでございます。本財産の具体的な処理につきましては、今後、相模原市において策定されます利用計画に沿って実施していく予定でございます。

 現状を申し上げますと、まず、本財産のうちの一部、約五ヘクタールの部分でございますが、これにつきましては、平成二十九年の四月以降、相模原市に多目的広場として管理委託を行っていただいておりまして、今は暫定的な活用を図っております。それ以外の部分につきましては、これは国におきまして、まず、不法侵入防止柵の設置、また、巡回警備の実施、これは一日二回行っております、それから、草刈り、樹木の枝払いの管理を行っているところでございます。

 先生御指摘の、廃屋等が存置している部分を処分する際にどう対応していくのかということにつきましては、まずは、相模原市の策定を予定されております利用計画に沿って検討することになると思っております。

 財務省としましては、引き続き、相模原市と十分連携しながら対応してまいりたいと考えているところでございます。

もとむら分科員 富山理財局次長からもお話がございましたが、私ども相模原市も、ことし四月一日から、新年度から、先ほどお話しいただいた約五ヘクタール部分が市民の皆さんに利用が可能な形で開放されるということを相模原市からも伺っておりますが、先ほど御答弁いただいた廃屋の住宅や樹木など、また、外から見るとまだバラ線などがありまして、返還されたなという実感がまだ湧いてきません。

 その点を含めて、財務省の皆さんには、ぜひともまた前進されるようにお願いしてまいりたいと思います。

 次に、防衛大臣にお伺いしてまいりますが、昨年も、稲田前防衛大臣に安全保障委員会の中で質問させていただきました。

 これは、キャンプ座間と相模総合補給廠のヘリコプターの騒音が非常に多くございまして、稲田前防衛大臣からも、十分そのことは承知をしているということでありますし、また、防衛省から米側に対し、飛行に当たっては周辺住民への配慮をするよう伝えているという御答弁はいただいておりますが、キャンプ座間では厚木基地の米海軍のヘリコプター、そして、相模総合補給廠では横田の米空軍ヘリコプターが低空旋回飛行を行ってございます。

 市に寄せられたヘリコプターの騒音の苦情件数は、平成二十八年度で三百六件。また、市が実施している騒音測定によれば、平成二十九年度では、六十五デシベル以上の音が五秒以上続いた回数はこの一月までで二千百九十六回ございまして、最高音は八十デシベルを超えているということでございます。

 そういった中で、私ども相模原市の米軍基地返還等促進市民協議会が、防衛省、外務省、在日米軍、アメリカ大使館にもこのヘリコプターの騒音について低下のお願いをしているわけでありますが、飛行時間等々含めて、さまざまな御指摘をしながらお願いしているわけでありますが、大臣としてどのようにこのヘリコプターの問題を受けとめているか、確認をさせてください。

小野寺国務大臣 もとむら委員には、この問題について、たびたび機会を捉え防衛省に対してさまざまな要請をいただいていること、改めて感謝を申し上げます。

 キャンプ座間及び相模総合補給廠周辺における米軍ヘリコプターの騒音については、これまでも、周辺住民の方からも相模原市に対して苦情が寄せられているということは、私どもも十分承知をしております。これまでも、防衛省から米側に対して、飛行に当たっては周辺住民へ配慮するよう申入れを行っているところであります。

 二十八年度に比べ、二十九年度はこれらの苦情が多少減っているとは私ども承知をしておりますが、ですが、やはりまだ住民の皆様にさまざまな御迷惑をおかけしていることは事実であります。

 米側に対しては、たびたび私どもとしてもこのような申入れを行い、例えば住居の上ではヘリコプターの飛行高度をできる限り上げて飛行するなど、配慮をしてもらうようこれからも要請をしてまいりたいと思っております。

 防衛省としては、今後とも、周辺住民の方々への影響が軽減されるよう、米側に対してしっかり申入れをしてまいります。

もとむら分科員 今御答弁いただいて、大臣もこのヘリコプターの問題、御認識ということでございますので、ぜひともまた、市民の多くの皆さんが、私ども、厚木市から近いこともありまして、オスプレイも上空を飛来することもございますので、含めまして、市民の皆さんの不安をあおることがないように、大臣としてのまた指導もお願いしてまいりたいと思います。

 次に、キャンプ座間では相模原市が独自に騒音を測定してございまして、今後、相模総合補給廠についても市で独自の測定を検討しているわけでありますが、これこそ、米軍の騒音については国が主体的に行うべきであるというふうに私は思っております。昨年もここは御指摘をさせていただきましたが、このキャンプ座間及び相模総合補給廠の騒音について、国が主体となって騒音測定を行うべきだと考えておりますが、そのことについて御見解をお伺いいたします。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のキャンプ座間あるいは相模総合補給廠周辺の騒音でございます。

 キャンプ座間につきましては、過去、我々、横浜防衛施設局当時、騒音測定を実施したことがございます。また、今御指摘のとおり、地元自治体で測定された結果というものは公表されていまして、我々も把握いたしております。

 現時点におきましては、防音対策工事を行う第一種区域の指定基準を超えるような値にはなっていないと考えておりますけれども、引き続き把握してまいりたいと考えております。

 また、今御指摘の国としての騒音測定でございますけれども、これにつきましても、関係自治体とよく相談をさせていただきたいと思っております。

 確かに他の施設で我々測定しているところもございますので、どういうやり方がいいかにつきまして、地元の皆様とよく御相談して、対処を考えていきたいと思っております。

もとむら分科員 深山局長から、地元市との相談をしていただけるということでございますので、ぜひとも相模原市においても、特に、相模総合補給廠は、私どもの市役所があり、かつ、相模原のへそと言われているJR相模原の北側に隣接する、二百十四ヘクタールほどの大きな基地でございます。ここにヘリが飛来しますと、多くの住宅街がございますので、市民の皆さんから、ここにおいても不安の声をいただきますし、キャンプ座間においても、周辺の皆さんからは、ヘリコプターが飛んでくると落ち葉が舞ってしまうぐらいのこともあるというお話を伺っておりますので、十分国としても注視をしながら、地元相模原市との連携をお願いしてまいりたいと思います。

 次に、厚木基地のいわゆる空母艦載機の岩国移駐に関して、進んでございますが、ことしの五月完了ということでございますが、これについて、順調に進んでいるのかどうか。今、スーパーホーネットがたしか二十四機ぐらい残っていると思うんですけれども、いかがでしょうか。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 空母艦載機の厚木飛行場から岩国飛行場への移駐につきましては、平成二十九年八月、この移駐が開始されました。これまで、E2Dの部隊、FA18の二つの部隊、EA18Gの部隊、そしてC2の部隊が岩国飛行場へ移駐いたしました。

 今後の移駐計画につきましては、これは米軍の運用によって変更というものが全くないとは申せませんけれども、現時点では、ことしの五月、三十年五月ごろに、FA18の二部隊が岩国飛行場へ移駐する予定となっております。

 我々といたしましては、引き続き地元の理解と御協力を得つつ、空母艦載機の移駐を実施してまいりたいと考えておるところでございます。

もとむら分科員 これも、山口県、岩国の皆さんには御負担を強いる話でございますが、予定どおりこの移駐が進むように、大臣としても御指導のほどよろしくお願い申し上げます。

 次に、昨年末にも、NHKの受信料減免が見直されるという報道がございました。全国で十九施設、昭和五十七年から、NHKから引き継いで三十年来この見直しがなく、一キロ、五キロという範囲でのNHKの減免がございましたが、今回の見直しで、来年度から約十四万世帯が打切りとなります。

 防音工事が完了した世帯は視聴環境が改善したとの理由というふうに伺ってございますが、また、会計検査院からは、改善の必要があるということも以前から御指摘をしていることは承知をしておりますが、このNHKの受信料減免がどのような基準で見直されたのか、お伺いしてまいりたいと思います。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省における放送受信事業でございますが、これは、自衛隊等の飛行場等の周辺地域におきまして、ジェット航空機の飛行に伴う騒音によるテレビの聞き取りにくさ、これが発生していることを踏まえまして、放送受信料の半額相当の補助金を交付するということを行ってまいりました。

 本制度は、御指摘もありましたが、その開始から三十年以上が経過しておりまして、当時と現在においては、飛行場等における配備機種の変更等による騒音状況が変化し、また、住宅防音工事の進捗も図られ、聞き取りにくさは改善されてきているというふうに我々としては考えておるところでございます。

 また、これも御指摘がありましたが、会計検査院からも、本制度が長期間見直されていないといたしまして、制度を見直すよう意見が出されているところでございます。

 また、民間飛行場におきましては、かつて国土交通省さんが同様の施策をとっておられましたが、これも平成二十五年度に終了していると承知しております。

 こうしたことを踏まえまして、今般、防衛省において、これらの事情を踏まえまして、現状においてより航空機騒音の影響を受けている方々に限られた防衛予算を重点的に配分しようという考えに基づきまして、本土十六施設の飛行場等を対象といたしまして、放送受信料の一部見直しを行うことといたしたところでございます。

 今般の放送受信事業の見直しに当たりましては、関係自治体からの御意見等も踏まえまして、対象となる方々には丁寧に御説明して、御理解をいただきたいと考えておるところでございます。どうぞ御理解賜りますようお願いいたします。

もとむら分科員 第四次の厚木基地騒音訴訟では、住宅防音工事がさしたる効果がないのではないかというたしか判決もあったんじゃないかと思いますし、また、東京、神奈川の担当者からは、地元市町は拡充を求めており、このNHKですね、反対の動きだということでありますし、防音工事後も騒音で聞こえないとの声もございます。

 今会計検査院の御指摘も御答弁されましたけれども、実際に改善された確認を住民の皆さんにされたことはあるんでしょうか。

深山政府参考人 今回の見直しは、住宅防音工事が行われている世帯を対象にまず実施させていただくということを予定しておりますけれども、防衛省において実施しております住宅防音工事につきましては、我々、第一種区域と称しております部分につきまして住宅防音工事をさせていただいておりますが、これはWECPNL値で申しますと、八十W以上の地域の工事は二十五デシベル以上低下するように、そして、七十五Wから八十Wの間の第一種区域については二十デシベル以上は低減するようにということで、仕様をつくって工事をしているところでございます。

 これは諸般の検討でこれまで検証しながら進めてきたところでありまして、これを実施いたしますと、環境基本法の規定に基づく航空機騒音に係る環境基準が達成された場合と同じ屋内環境が保持できるということで、このようなことになるように努めておるところでございます。

 こうした基準で工事をいたしておりますので、御指摘のようにいろいろと御意見をいただいているところでございますが、工事実施後は屋内における航空機騒音の影響が相当軽減されるというふうに考えておりまして、こうしたことを踏まえまして、今申しましたような見直しについて着手させていただきたいということを考えておるところでございます。

 一言添えますと、住宅防音工事自体まだ行っていない住宅もございます。お待ちになっていらっしゃる方もいらっしゃいます。一方で、そうした方々に今後更に重点的に措置をさせていただくべく、住宅防音工事予算につきましては三十年度は伸ばさせていただきまして、これは厚木周辺のみならず、全国で工事を進めさせていただきたいと思っておりまして、そちらの方は更に充実を図ってまいるということで御理解を賜りたいと思っておるところでございます。

もとむら分科員 それでは、一点確認ですが、厚木基地の岩国移駐において、例えば、十九の施設が全国でNHK受信の減免の対象になっておりますが、ちょっと地元の市として、厚木周辺、神奈川県内、多くの自治体がこの騒音問題で長年悩んできたわけでありますが、移駐によって騒音は低下すると見てよろしいでしょうか。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 岩国に艦載機が移駐した後は、我々は、当然のことでありますが、騒音は低下すると考えております。

 一方、では、どの程度低下するのか、それは地元の自治体に対してどういう影響があるのか。これにつきましては、実際移駐が行われた後に、実際のデータに基づいて判断する必要があると思っておりますので、それにつきましては、移駐後の運用状況、これも踏まえまして慎重に対応させていただく所存でございます。

もとむら分科員 次に、米軍機の事故が相次いでいることは大臣も承知していると思うんですが、政府は、いつ、どのような申入れを米軍に対して行っているのか、また、それに対して米軍からはどのような反応があるのか、防衛大臣にお伺いいたします。

小野寺国務大臣 防衛省としては、これまで、米軍機による事故等が発生した場合、事故等の重大性を勘案し、米側に対して再発防止の徹底や飛行停止を求めてきたところであります。

 例えば、平成二十八年十二月に発生しましたオスプレイの不時着水や昨年十月に発生したCH53Eの着陸、炎上、昨年十二月に発生したCH53Eの窓落下事故については、事故後直ちに米側に対し飛行停止を申し入れ、米側も実際に飛行停止をしたところであります。

 昨年十月に発生したCH53Eの着陸、炎上の際には、専門的知見を有する自衛官を初めて現地に派遣し、事故現場の状況を確認するとともに、CH53Eの安全性に関する米側の判断の根拠等を確認いたしました。

 昨年十二月に発生したCH53Eの窓落下の際には、事故のあった普天間第二小学校にカメラを設置するとともに、監視員を配置し、米軍機が上空を飛行したとの報告があった際には米側に申し入れる体制をとっております。

 ことしに入って二度の予防着陸、一月の八日と二十三日でありますが、それを行ったAH1Zについては、米側に対し、同型機全機の緊急総点検を実施するとともに、その間、同型機の飛行停止を求めたところです。これを受け、米側からは、同型機のヘリ全てについて追加的な点検を行い、点検が完了するまで飛行を行わなかった、ヘリ部隊に対し抜き打ちの安全検査を行ったとの説明を受けております。

 さらに、今月二十日に三沢飛行場北側に所在する小川原湖で発生したF16戦闘機の燃料タンクの投棄については、発生後直ちに、米側に対し、安全管理の徹底と原因究明、再発防止について申入れしたところです。これを受け、米側からは、今回の事故は当該機固有のものであり、他のF16戦闘機に影響を与えるものではない、飛行前の手順にのっとり、全ての機体の点検が確実に行われているとの説明を受けております。

 また、防衛省・自衛隊は、青森県知事から現場の燃料の早期回収に係る災害派遣要請を受け、直ちに現地に隊員を派遣し、活動を現在も行っているところであります。

 いずれにしても、防衛省としては、米側に対する飛行停止等の申入れだけではなく、専門的知見を有する自衛官を含む関係職員を現地に派遣するなど、主体的に対応してきているところであり、また、米側もこのような日本側の対応に応えてきていると考えております。

もとむら分科員 今後も日米の安全保障は強く実施をしていかなきゃならないわけでありますけれども、小野寺防衛大臣も、さまざま私もテレビなどで見ていますと、例えば、私も昨年の十二月十三日の普天間第二小学校の現場に行ってまいりまして、窓枠が落ちた事故現場を見てまいりましたが、あの事故に関しましても、ビデオカメラを設置した後、当該のヘリが上空を飛んでいたりして、米側が飛んでいないというお話をしたり、これこそ、私、防衛大臣からの発信をちょっと米側もしっかり受けとめてもらわなきゃいかぬなと思っております。

 それも含めまして、日米地位協定の改定をやはり国としても進めていかなきゃいけないと思っています。

 毎年、各大臣、政務官等に地位協定の改定を促してまいりましたが、環境の補足協定を締結したとか、軍属扱いに対して補足協定を締結したとか、法的拘束力を有する協定であり、従来の運用改善とは一線を画す、極めて重要だという答弁で終わってまいりましたが、私も、平昌に、先日オリンピックに行きました際に韓国の議員とも交流を深めてまいりましたが、韓国では二回地位協定を改定しておりますし、ドイツも三回やっております。

 ドイツとイタリアでは、交渉の結果、空軍の訓練については国内法が適用されているというふうに伺っておりまして、我が国としても地位協定の改定というのは必須だと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

小野寺国務大臣 地位協定については、さまざまな御意見があることは承知をしております。

 日米地位協定は合意議事録等を含んだ大きな法的な枠組みでありまして、政府としては、日米地位協定について、これまで、手当てすべき事項の性格に応じて効果的に、かつ機敏に対応できる最も適切な取組を通じて、一つ一つの具体的な問題に対応してきているところであります。

 引き続きそのような取組を積み上げることにより、日米地位協定のあるべき姿を不断に追求していくことが必要かと思っております。

もとむら分科員 これで防衛関連の質問は終わりにしますので、大臣、どうぞ御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

 次に、相撲協会についてお伺いいたしますが、昨今の報道で日本相撲協会の公益性を疑問に思う声が国民に広がっておるわけでありまして、内閣府として日本相撲協会にヒアリングを行うなどの対応を行ってきたのか、お伺いしたいと思います。

相馬政府参考人 お答え申し上げます。

 元横綱日馬富士による傷害事件につきましては、公益認定等委員会事務局が協会から随時報告を受けているところでございます。

 本件に関しましては、先月、公益認定等委員会において御審議いただき、協会に対して公益認定法に基づく監督上の措置をとる必要があるか否かについて、引き続き状況を注視していくということになったところでございます。

 いずれにつきましても、再発防止策等を含めて、日本相撲協会において適切な法人運営がされることが重要と考えているところでございます。内閣府としても、引き続き適正な監督に努めてまいります。

もとむら分科員 日本相撲協会は、公益法人認定に基づき、平成二十六年一月に公益財団法人となっておりまして、公益法人であるために税制上の優遇措置なども講じられておりますし、国技として広く国民の皆さんから親しまれ、最近は満員御礼の札が多く出ておりまして、大変注目の高いスポーツの一つであります。

 そういった中で、公益性を害するような行動が見受けられますので、自発的に協会側から報告がなされているということでありますが、本来ならば、内閣府から積極的に、この日本相撲協会を指導する立場でしっかりと御指導をお願いしてまいりたいと思います。

 次に、消費者行政についてお伺いしてまいります。

 消費者委員会において、消費者行政未来創造プロジェクト検証専門調査会が立ち上がったわけでありますが、どのようなプロセスで、どのようなポイントで検証を行っていくのか、簡潔にお願いしてまいりたいと思います。

黒木政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者委員会では、平成二十八年九月一日にまち・ひと・しごと創生本部が決定した「政府関係機関の地方移転にかかる今後の取組について」において、消費者委員会が、今御指摘の徳島県での消費者庁、国民生活センターの取組、あるいは三年後めどのオフィス自体の検証、見直しに当たって意見を述べることとされておりまして、そのために御指摘の専門調査会を設置したところでございます。

 先ほどの創生本部の決定では、消費者行政の進化等の観点から成果を検証することとされているところでございますが、更に具体的な審議の観点につきましては、今後、専門調査会で委員の方々に御議論いただくこととなっております。

 また、スケジュール等でございますけれども、昨年十二月二十一日に第一回の専門調査会を開催いたしました。今後は三カ月に一回程度開催をしていく予定でございまして、当面は、各種プロジェクトの成果を、全国展開の成果も含めて検証をしていきます。

 現時点において取りまとめの時期が確定しているわけではございませんけれども、三年後めどのオフィスの検証に消費者委員会としての意見を適切に反映できるように結論を出したいというふうに考えているところでございます。

もとむら分科員 全面移転ありきで検証することがないように、注視をしていただきたいと思います。

 最後に質問しますが、政務官、お待たせいたしました。

 消費者行政予算が減らされる中で、徳島に予算をかけるならば地方の消費者行政予算に回してほしいという声をいただくわけでありますが、消費者庁としてどのように受けとめているのか、お伺いしてまいりたいと思います。

山下(雄)大臣政務官 もとむら委員にお答えいたします。

 消費者の安心、安全を確保するためには地方消費者行政の充実強化を図ることは重要であるというふうに認識しておりまして、これまで、地方消費者行政推進交付金などを通じて自治体の取組を支援してきたところであります。この結果、消費生活センターや消費生活相談員の増加など、着実な成果を上げてきたというふうに認識しております。

 いわゆる徳島オフィスの取組は、全国の都道府県及び消費者の利益に資する高い成果をつくり出すことで消費者行政全体を進化させることを目指すものであり、地方消費者行政の充実に向けても有用な取組になるというふうに考えております。

 なお、平成三十年度の予算案においては、地方消費者行政強化交付金を創設し、国としての対応をすべきと考える重要な消費者政策を推進するために積極的に取り組む地方公共団体を支援するとともに、地方消費者行政推進交付金などを活用して整備されてきた地方消費者行政の体制を維持するために、引き続きの支援を行うこととしております。

もとむら分科員 今平成三十年度予算案のお話がありましたが、地方消費者行政に対する交付金は二十四億円で、二十九年度の補正と合わせて三十六億円。それに対して、平成二十六年度以降、当初予算プラス補正予算で五十億円が措置されてきた経緯がございます。

 平成二十九年までに立ち上げた新規事業には原則七年使えるとしてきたわけでありますが、地方消費者行政職員から、約束が違う、消費者庁への不信感が募る、このタイミングでは一般財源化もできず予算措置ができない、事業を中止せざるを得ないといった厳しい声も上がってございますし、また、徳島オフィスの立ち上げ費用がなくなったために減額したということも感じられます。

 そもそも、政府関係機関の移転においては、国の新たな財政負担は極力抑止すること、組織、人員の拡充方向が出されているもの以外は肥大化を抑制することとされておりまして、徳島オフィスに予算がかけられていること自体が経緯からしておかしいのではないかということを御指摘して、質問を終わりにします。

 ありがとうございました。

古賀主査代理 これにてもとむら賢太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、広田一君。

広田分科員 広田一でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、まず、航空自衛隊土佐清水分屯基地の整備についてお伺いをしたいと思います。

 この土佐清水分屯基地は四国唯一の航空自衛隊の基地でございます。どの基地もそうなんですけれども、最初に基地をつくるというときには反対運動が起こります。この土佐清水分屯基地もその例外ではございませんでした。

 しかしながら、この基地ができた後、本当に隊員の皆さん、地域に溶け込んでさまざまな御努力をされました。このことによって、十年後、記念式典が開催をされたときに、当時の反対運動をされていた方が孫を連れてブルーインパルスの式典を見に来てくれた。そういった光景を見たときに、やはり日々の努力というところに、私も一人の国民として心から敬意と感謝を感じたところでございます。

 そういった土佐清水分屯基地でございますが、基地の任務といたしましては、和歌山県の串本分屯基地と宮崎県の新田原基地を結ぶ通信中継や、移動警戒レーダー部隊の受入れ支援、さらには航空無線機による通信支援など、本当に重要な任務を担っているところでございます。

 こういった中で、来年度予算案におきましては、移動式警戒管制レーダーの展開基盤の整備に取り組むというふうにしておりますけれども、その目的と理由についてまずお伺いをしたいと思います。

小野寺国務大臣 広田委員におきましては、日ごろから土佐清水分屯基地についての活動について御理解を賜り、感謝を申し上げます。

 平成三十年度予算案においては、航空自衛隊土佐清水分屯基地に移動式警戒管制レーダーの展開基盤を整備するための経費として約一億円を計上しております。移動式警戒管制レーダーは、固定式警戒管制レーダーが機能停止になった場合などのすき間を埋めるものとして、従来から、情勢に合わせて展開することを想定して整備を行っているものであります。

 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、四国においても、情勢に応じて迅速かつ継続的に警戒監視能力を高めることが可能な体制を整備する必要があります。

 あらかじめ土佐清水分屯基地に必要な展開基盤を整備することにより、移動式警戒管制レーダーのより迅速かつ継続的な展開が可能になり、我が国の防衛体制が一層強化されると考えております。

広田分科員 どうもありがとうございます。

 大臣、抑止力を高めることの一つの答えは、先ほど御答弁にあったように警戒監視能力を高めることだというふうに思いますので、今回のこの予算において土佐清水分屯基地の機能等が強化されること、これは非常にすばらしいことだというふうに評価をしたいと思うところでございます。

 その上で、次の質問に入りたいと思います。

 東日本大震災の教訓の一つ、それは、特に孤立地域におけるヘリによる人命救助、けが人、病人、さらには救援物資の搬送など、応急救助活動と言われるものですけれども、これが非常に効果があり、そして重要な役割を果たした、このように認識をしているところでございます。

 よって、災害時における対処という観点からも、自衛隊においてもヘリの調達や更新が積極的に図られてきたのは御案内のとおりでございます。

 そこで、今後発生する確率が三十年以内に八〇%とも言われております南海トラフ地震など大震災の発生に伴いまして生じた孤立地域に対して迅速な応急救助活動をするために、自衛隊の基地の果たす役割は重要だというふうに思いますけれども、この点に対しての御認識をお伺いしたいと思います。

小野寺国務大臣 私も地元で東日本大震災を経験した一人として、地域が孤立する場合、人命救助や物資の輸送にいかにヘリコプターを含めたさまざまな装備が必要かということを認識しております。

 今、広田委員が御指摘をされました内容につきまして、これは昨年七月に高知県の尾崎知事からも、航空幕僚監部に対して、南海トラフ地震発生時を想定して土佐清水分屯基地を拡充することなどを内容とする御要請を賜っております。

 南海トラフ地震等の大規模災害等が発生した際への対応については、平素から政府全体で取り組む必要があると認識しております。防衛省・自衛隊としても、必要な体制整備に取り組んでおります。

 現時点において、直ちに航空自衛隊土佐清水分屯基地を拡充するという計画はありませんが、災害時における自衛隊の活動拠点等が適切に設置されることは、地域の方々の救援活動を円滑に行う上で意義があると考えております。

 想定される大規模地震に対して効果的、効率的に対処していくために、限りある資源をどのように配分していくかという点も踏まえ、災害救援に対する自衛隊の備えについてはしっかり検討してまいりたいと思います。

広田分科員 先ほど、大臣の方から、しっかり検討をしていくということでございました。御紹介があったように、知事からも強い要請があったところでございます。

 私の方からも申し上げれば、南海トラフ地震が発生しますと、高知県の計画では、土佐清水市までの道路啓開日数は何と十七日かかるというふうに想定をされます。非常に長期の孤立が予想される厳しい地域でありまして、加えて、幡多地域というんですけれども、約十万人ぐらいの方々が住んでいらっしゃいますけれども、同様な孤立箇所というものが発生することが想定をされるわけでございます。

 そういう意味でも、この孤立地域の中においては、これは小野寺大臣が本当にみずからも経験され、重々承知をしているところでございますけれども、本当にヘリの果たす役割というのは極めて大事になってきます。

 そういった中で、土佐清水分屯基地においても、例えばCH46Jなんかでも着実に離発着できるような、そういったヘリポートの整備等は既にしていただいているわけでございますが、それに加えて、やはり給油施設であるとか緊急物資の備蓄倉庫を備えたヘリポート関連施設というものを整備して、これをこの地域の応急救急拠点施設として活用すべきではないかというのが県の要望でもあろうかというふうに思いますし、私もそのとおりだというふうに考えます。

 同時に、この基地にヘリポートの整備をする際にも大変な苦労があったというのは、私自身も非常に、重々承知をしているところであり、さまざまな課題等々があることも認識をしているわけでございます。予算的な制約、そしてここに拠点をつくる理由、目的等々もしっかりしなければならないというふうに思いますが、先ほど大臣の方から、この地域における対応の重要性についての御認識を示してくださったわけでございますので、今後とも、自分たちも高知県ともども引き続き要望活動をしていきたいというふうに思っておりますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。次は、二月十四日の当予算委員会での質疑を踏まえての御質問をさせていただきたいと思います。

 当日、私は、存立危機事態そして武力攻撃事態への対処のための手続に関する質問というものをさせていただいたところでございます。繰り返しになりますけれども、存立危機事態は、集団的自衛権ということでありますので、これは私は憲法違反と考えており、廃止をすべきだというふうに思います。

 その上ででございますけれども、法律的、つまり自衛隊法上は、いわゆる新三要件を満たせば武力行使ができるということになっております。ただ一方で、それだけでできるのではなくて、事態対処法に定められた手続というものを経なければなりません。これはシビリアンコントロールの観点からも大変重要な手続だというふうに私は思っております。

 これを前提としまして、具体的な事例を掲げさせていただきました。それは、昨年の八月十日、北朝鮮がグアムに対して弾道ミサイルを発射する、そういうふうな国営放送を通じての発表がございました。このことを念頭に置いて、これが新三要件を満たす場合には迎撃することができるという小野寺大臣の御答弁があったわけでございます。

 これは自衛隊法に基づいた判断だというふうに考えますけれども、そういうふうなことを踏まえた上で、事態対処法の手続というものを経た場合に、北朝鮮からグアムまでの、ミサイルが発射されてから着弾するまでが約二十分というふうに想定をされるわけでございますけれども、その時間内で本当に、対処基本方針の策定から国家安全保障会議の開催、さらには閣議決定というふうなことを経れば、本当に間に合うのかどうか。これが大変疑問に私自身思い、問題意識として持っているわけでございまして、この点について安倍総理大臣に御質問をさせていただいたところでございます。

 総理の方からは、必ず間に合うというふうな明確な答弁はございませんでした。しかし、迅速化のために具体的なことをやるというふうな御答弁がありましたので、きょうはそのことを踏まえて、確認の意味も含めて質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 こういった状況で、あのときの質問の中で、安倍総理大臣の御答弁として、例えば、迅速化に資するという取組の中で、NSC九大臣会合や閣議においては、これは電話でできるというふうに御答弁をされているわけでございますけれども、その根拠は一体何なんでしょうか。例えば、閣議決定をして、こういうふうな電話閣議ができる、九大臣会合も電話で済ませるということをやっているんでしょうか。

    〔古賀主査代理退席、主査着席〕

小野寺国務大臣 御指摘の総理の答弁は、NSC九大臣会合や閣議決定を行うに当たっての閣僚の意思確認の手段について発言したと承知をしております。

 まず、閣議の運営については特段の明文規定はなく、長年の慣行によって行われているものであり、緊急の場合等に、閣僚が参集することなく、電話等の手段によって閣僚の意思を確認することを通じた、いわゆる持ち回り方式での閣議決定を行うことがあります。

 また、NSCの開催についても、同様に特段の明文規定はないものの、NSCの前身に当たる安全保障会議のころから、例えばでありますが、平成十一年三月の能登半島沖不審船事案における海上警備行動の発令に係る内閣総理大臣の承認などは、緊急の場合等にいわゆる持ち回り方式で行う決定をしていたということもありますので、基本的には、持ち回りという形での閣議決定あるいはNSCの了解ということになりますが、その手段について、例えば電話で行うということの意味合いで総理はおっしゃったと承知をしております。

広田分科員 慣例に基づいてということでございますが、一方で、例の安保国会のときに、切れ目のない対処をしなければならないということで、いわゆる武力攻撃に至らないグレーゾーン事態への対応ということについて、下令手続の迅速化ということで、これは、平成二十七年の五月十四日、閣議決定をしているわけでございます。当時は、領域警備法を整備する云々の、必要性の議論もあったんですけれども、そうではなくて、閣議決定を電話等で迅速化をするという閣議決定をして、この運用改善をしたというふうな経緯があります。

 なぜ、海上警備行動等の警察権行使のときにこういった閣議決定をして明確化をして担保しているわけでありますけれども、それより重要な、武力行使を伴う武力攻撃事態とか存立危機事態、この手続において慣例ということで片づけてしまうのか。私は、やはり、先般のグレーゾーン事態への対処のようにしっかりと閣議決定をして、このことについて担保すべきではないかなというふうに思いますけれども、この点についての御見解をお伺いしたいと思います。

小野寺国務大臣 私どもとしては、閣議決定あるいはNSCでのさまざまな了解等に関しては、持ち回りという方式があり、それを電話等の手段を用いて速やかに対応できるということで、さまざまな問題に関して対応できると承知をしておりますので、いずれにしても、迅速化は図られているものと思っております。

広田分科員 そうすれば、逆にお伺いしますけれども、なぜこのグレーゾーン事態への対処における下令手続の迅速化についてはわざわざ閣議決定したんでしょうか。

菅原政府参考人 お答え申し上げます。

 閣議のやり方につきましては、防衛大臣から御答弁がありましたように、慣例により定まっておるというところでございます。

 一方で、御指摘ございましたように、グレーゾーンに係る閣議決定においては、電話等で迅速に対応するというふうな形でも書かれておるわけでございますけれども、これにつきましては、その閣議決定があったので初めて電話による閣議というものが可能になったというわけではございませんで、迅速化を図るという重要性に鑑みまして、改めて閣議で確認したというところでございます。

 実際に、閣議決定に関して言えば、平成十一年三月の能登半島沖の不審船事案における海上警備行動の発令に係る内閣総理大臣の承認の際の閣議決定については、持ち回り方式で行われているところでございます。

 以上でございます。

広田分科員 ですから、そのことを十分に理解した上で、いわゆるグレーゾーン事態への対処における下令手続の迅速化というものをわざわざ閣議決定しなければいけないんでしょうか。武力攻撃事態でさえ慣例でできるのであれば、このようにわざわざ閣議決定する必要はないのではないでしょうか。

菅原政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げたところでございますけれども、閣議の方式につきましては、慣例により行うこととされているところでございます。

 グレーゾーン事態への対応につきましては、武力攻撃事態に至るまでの間の、シームレスに迅速に対応するという観点で、しっかりやっていくという政府としての姿勢を見せるという観点から閣議決定をしたものでございまして、必ずしも閣議決定をしなければ持ち回り方式での閣議というものが行えないというものではございません。

広田分科員 そうすれば、確認なんですけれども、別にこの閣議決定はしなくてもよかった、しなくても別に運用上は問題ないという理解でよろしいんでしょうか。

菅原政府参考人 お答え申し上げます。

 グレーゾーンの閣議決定につきましては、グレーゾーン事態に対して政府として迅速に対応するということを明確に示すという意味で、極めて重要な閣議決定だったと考えておるところでございます。

広田分科員 明確に示すという意味では重要だという御答弁でございますけれども、しかし、運用上は、慣例に基づいて、する必要もない、しなくても、このグレーゾーンに対する対処については、電話での閣議決定等を行うことはできたということでよろしいですね。

菅原政府参考人 お答え申し上げます。

 グレーゾーンの閣議決定につきましては、電話での閣議というものだけが規定されているわけではございませんで、関係行政機関がきっちり連携をとって事態に迅速に対応するというような、全般の事項も規定されている。その中の一つの項目として、電話による閣議という部分が規定されているということでございます。

 これにつきましては、先ほど来御説明しておりますように、創設的な、ある種権限規定というわけではなく、もともと持ち回り方式というものが実行されているということを踏まえて規定されたものでございます。

広田分科員 そういう意味であれば、小野寺大臣、こういうふうに、グレーゾーン事態への対処における下令手続の迅速化ということを、本来はしなくてもいいんだけれども、慣例上ですね、ただ明確にするということが非常に重要だということでなされたということであれば、今、日本の、存立も含めて、非常に厳しい安全保障環境ということの中で、武力攻撃事態等への対処というものを迅速にしなければならない。慣例上の担保がされているということでありますけれども、しかし、このことをやはりより一層明確にするということが大変意義があったので閣議決定したということであれば、武力攻撃事態等の、この閣議等々のあり方、NSC九大臣会合のあり方についても、これは当然、閣議決定をして明確化すべき事柄ではないでしょうか。

 警察権でこのことをやっているのであれば、自衛権でも、より一層大事な自衛権においては、これは明確にする必要があるし、このことによって、シームレスというふうに掲げている今の政権の姿勢というものがより一層明確になるんじゃないでしょうか。

小野寺国務大臣 いずれにしても、武力攻撃事態においても、存立危機事態においても、グレーゾーンのような状態においても、速やかに我が国を守るための態勢がとれるようにどうするかという判断のもと、私どもとしては、今回のような一連の、平和安全法制の成立あるいはグレーゾーンに対しての閣議での迅速化をとらせていただいている、必要なことを政府として対応させていただいているということだと思います。

広田分科員 この議論は若干平行線ではございますけれども、ただ、やはりちぐはぐ感というのは否めないんです。グレーゾーンでやっておきながら、なぜ武力攻撃事態については今までなかったのかということでありますので、この点について明確化することについては、やはり不断の検討をしていただくように私の方からも要請をさせていただきたいと思います。

 それでは、次でありますけれども、基本計画というふうに安倍総理がおっしゃっていましたが、これは対処基本方針のことだろうと思いますが、大体どういう状況になるか予測しながら、一応ひな形的なものはあらかじめつくっておく旨の答弁がございました。そのような、総理の言うひな形を策定、準備をされているんでしょうか。

小野寺国務大臣 政府としましては、あらゆる事態に迅速かつ的確に対応できるように、現行法に基づく武力攻撃事態等への対処に関し、平素からさまざまな検討、準備を行っていることは当然であり、御指摘の総理の答弁についても、このような準備について発言をしたものと承知をしています。

 対処基本方針案のひな形についても、事態対処法を踏まえた対処基本方針の書式や記載内容等について、平素からさまざまな検討、準備を行っているところでありますが、事柄の性質上、その詳細については申し上げることは控えさせていただきたいと思っております。

広田分科員 そうすれば、確認なんですけれども、このひな形というものは存在をするということでよろしいんでしょうか。

小野寺国務大臣 御指摘の対処基本方針案のひな形についても、事態対処法を踏まえた対処基本方針の書式や記載内容等について、平素からさまざまな検討、準備を行っているということであります。

広田分科員 この対処基本方針、国会承認は事後ということになるんですけれども、このひな形ということに関して、この委員会等には提出することはできないんでしょうか。

小野寺国務大臣 これはさまざまな事態に対しての対処でありますし、対処基本方針というのは、その事態に対して政府がどのような対応をするかということになります。事柄上、詳細について申し上げることは差し控えさせていただいておりますし、また、どのような形で国会の方に内容についてお伝えするかということに関しても、これは委員会の中で、そしてまた、私どもとして公表できる範囲というものもありますので、それぞれの調整も必要なんだと思っております。

広田分科員 ただ、対処基本方針に書く、対処すべき事態に関する事項というもの、これは定められているというふうに思いますので、この点については、私は出せるのではないかなというふうに思いますし、更に言えば、存立危機事態も武力攻撃事態も、個別具体的な事案というものを総合的、客観的に判断をしていくというふうなことでありますので、シミュレーションをしていく、そしてあらかじめひな形をつくっておくということが、これまでの個々具体的な事案を踏まえて判断するというところでは、私は、ある意味での緊張関係もあるんだろうというふうに思います。

 事態が具体的に発生したことと、あらかじめ想定していたことが一〇〇%合致をするということは、これはあり得ないわけであります。どの程度まで事前に準備をしておくのかということは、これもまたシビリアンコントロールの観点から非常に重要になってくるというふうに思いますので、この点を踏まえて、例えば対処すべき事態に関する事項、こういったことについては、私は公表すべきではないかなというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

小野寺国務大臣 これは、例えば、我が国が武力攻撃を受けた場合の事態に対する我が国の対応の仕方ということになります。当然、この内容が公表される場合に、例えば、我が国の防衛に対して何らかの問題が生じるということがないようにすることが大切だと思っております。

 そういう意味で、私どもとしては、詳細については申し上げることを控えさせていただきたいということをとっております。

広田分科員 きょうはさらには詰めませんけれども、詳細というのがどこまでの範囲内にあるのかということについては、また今後、安全保障委員会等々でも議論をしていかなければならないというふうに思います。ひな形が存在をして、それが本当に武力攻撃事態等を判断する際には大変重要なものになってくるわけでございますので、この点についても今後議論をしていきたいというふうに思います。

 次に、対処のための手続について、安倍総理は、事務方は何回も訓練などを行っているというふうに答弁をしておりますけれども、これは年何回行っているのか、その具体的な内容についてお伺いしたいと思います。

菅原政府参考人 お答え申し上げます。

 政府としては、日ごろからさまざまな訓練を実施しているところでございますけれども、訓練の詳細につきましては、事柄の性質上、政府の危機管理対応能力にも関係するため、コメントは差し控えさせていただきます。

広田分科員 また、この詳細ということでありますので、これも今後詰めていかなければなりません。

 時間も参りましたので、最後に一点だけ確認で質問したいと思いますが、その訓練で、対処基本方針の策定から閣議決定までの一連の手続についてどのぐらいの時間を要しているのか、この点ぐらいはお答えできると思いますので、お伺いしたいと思います。

渡辺主査 時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。

菅原政府参考人 繰り返しになりますけれども、さまざまな訓練を実施しているところですけれども、そこの場での事態認定に要した時間も含めまして、訓練の詳細については、事柄の性質上、コメントは差し控えさせていただきます。

広田分科員 以上で質疑を終了します。どうもありがとうございました。

渡辺主査 これにて広田一君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

渡辺主査 次に、内閣府所管について審査を進めます。

 内閣府本府について質疑の申出がありますので、順次これを許します。西田昭二君。

西田分科員 おはようございます。昨年初当選をさせていただきました石川三区選出の自由民主党の西田昭二でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、まことにありがとうございます。

 質問に入る前に、先般からの豪雪被害に伴い、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りを申し上げますとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げるところでございます。

 このたび、日本海側における記録的な豪雪により、私の地元であります石川県を始めとする北陸地方でも大変大きな被害がありました。鉄道や航空機の運休や、また、福井県、石川県の県境において国道八号線上の車約千五百台が立ち往生する事態となったわけでありますが、これに対する原因の検証と再発防止対策も今後必要になってくると思っております。

 政府は、被害に遭った自治体に対して、除雪費用の補助等、特別交付税については交付に向けた手続の最中であると聞いておりましたが、先ほど、大雪等に係る特別交付税の一部を繰り上げて交付するという報告をいただきました。が、引き続ききめ細やかな対応をお願いをするところでございます。

 さらに、この冬の農作物等に対する被害額が二月十五日時点で約十億円に上るなど、さまざまな被害が報告をされており、石川県においても短時間での集中的な積雪により既に一千棟を超えるビニールハウスが破損、倒壊をしており、いまだ被害状況の把握が困難な地域を含めれば、今後被害が一層拡大するものと想定され、地域経済への影響も懸念されているところでございます。

 また、今回の豪雪被害のほかに、私の地元、石川県能登地方では、この冬の厳しい冷え込みにより、水道管が破裂して一万世帯以上が断水する事態に見舞われました。輪島市では復旧に十日間ほどかかりましたが、空き家における漏水への対処に時間がかかったと専門家から指摘をされておりました。

 輪島市は、平成二十五年の調査において、全戸のうち約二〇%が空き家であったとされており、空き家を対象とした漏水対策も講じなければならないと思っておりますし、過疎、高齢化、人口減少も一つの要因となっているところでございます。

 このような状況の中、このたびの雪害に対して、被害状況の把握、それを踏まえて必要な応急対応など、今後の予防対策について、小此木防災担当大臣の決意をお伺いをさせていただきたいと思います。

小此木国務大臣 お疲れさまでございます。

 この冬は、福井県福井市においては、特に昭和五十六年の豪雪以来三十七年ぶりの記録的な大雪となりました。また、委員御地元の石川県等でも、お話しのように、平年を大きく超える雪害が積雪によってあり、雪の観測をした地域があったと。各地で雪による被害が相次いでおります。私からも改めて、亡くなられた方々がいらっしゃいます、お悔やみを申し上げ、いまだ困難な立場におられる方にお見舞い申し上げる次第であります。

 政府として、大雪となる前から関係する省庁と災害の警戒会議を開催し、政府一体となった警戒態勢を確保するとともに、大雪となって以降は、各省庁が連携をして必要な対応をとっているところであります。

 引き続きこれからも雪の降る時期が続いてまいりますし、今後は大雪後の融雪により新たな被害が発生することも想定されます。また、雪解けに伴って明らかになってくる被害もあるものと認識をしております。

 今後とも、地方自治体と緊密に連携をし、被害状況の把握、地域のしっかりとした状況の認識、私自身も、先日、福井県のさまざまな立場の方が来られまして、お話を伺いました。その状況の認識とともに、御地元の方々のお話も伺いながら、国民の生命そして生活を守るためにしっかりと万全な対策をしいてまいりたいと思っております。

西田分科員 今回の豪雪被害は、本当にさまざまな問題や課題などが浮き彫りになっております。国としてしっかりと対策を講じていただきたいと思いますし、また、輪島市、そしてまた佐渡の方でも断水の被害があったわけでありますが、夏の断水と違って、冬の断水というのは本当に生活するのにも困難であります。田舎の家は大変大きなわけでもありますし、高齢化の中で、水が出ないということは本当に生活に支障を来しているわけでありますので、そういったことも含めて支援、対策をお願いをするところでございます。

 それでは次に、海洋政策の観点から、北朝鮮籍の漁船等による不法操業についてお伺いをさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 現在、大和堆を含む日本海の我が国の排他的経済水域において北朝鮮船籍の漁船等による不法操業が数多く行われており、我が国の漁業者の安全操業の妨げになることから、極めて問題であると思っております。

 海上保安庁、水産庁はこれまで、巡視船や漁業取締り船を重点的に配備して放水、退去警告など厳しい対応を行い、不法操業船を我が国のEEZ内から退去させてきたと承知をしているところでございます。

 しかし、こうした中、漁業者や水産庁の漁業取締り船が、北朝鮮籍と思われる船舶から銃口を向けられる事案も発生していると聞いております。

 こういったことからも、水産庁の取締り船の装備強化など、対処能力の向上を図るための予算措置を含めた対応が必要でないかと考えております。

 海上保安庁、水産庁では、放水、退去警告を中心とした対応により、我が国のEEZ内において不法操業船の数が減少したと説明している。一方、現場の漁師の方々からは依然として不法操業が続いているとの声が上がっており、両者の認識のずれがあると感じているところでございます。

 外国籍の不法操業船の実態を正しく把握するために、現場の漁師の方々と意見交換する場をより多く設けるべきではないかと思いますが、その点について伺いたいと思います。

神谷政府参考人 お答えいたします。

 現場の方々と意見交換する場をより多く設けるべきという点につきましては、委員御指摘のとおりでございます。

 我々も、漁業者の皆様方が上京した折に意見交換するというのみならず、むしろ水産庁の我々の方から現場に出向いて実際漁をされている方々と意見交換することが非常に大事だとの認識でございまして、昨年も水産庁の職員を派遣いたしましたし、本年も一月に現場で、実際海に出られている方と意見交換をさせていただきました。また、ことし、漁期が夏から始まりますが、その前にもしっかりした意見交換をさせていただきたいと考えております。

西田分科員 今のお話については、私もるる承知をしているところでございます。

 また、説明に来られたときに、役人の皆さん方が構えて漁師の方々からお話を聞いている姿勢とか、そしてまた、地元にとっては大事な重要案件でございますので、地元の首長さんや議員さんたちもやはり同席をさせていただきたいという意向もありますので、その辺はぜひとも臨機応変に、かたくならずにお話を聞いていただく。

 やはり、緊張感が伝わると、漁師の皆さん方もそれ以上にかたくなっているところがありますので、ぜひともやわらかく、皆さん方の話を伺いますよという姿勢を表に出していただいて対応していただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 昨年七月中旬から八月上旬まで、大和堆周辺海域に海上保安庁巡視船を派遣して、不法操業していた北朝鮮籍の漁船等に対し退去警告、放水を実施しました。北朝鮮籍の漁船等はEEZ外へ退去し、八月中旬から九月中旬までほとんど確認されておりませんでしたが、九月中旬以降は再び確認をされております。

 退去警告、放水が一定の成果を上げているものの、効果や取組が漁師や関係者に理解されておらず、一時的な対処にすぎないのであれば、臨検や拿捕も視野に入れた、より強い姿勢を示す必要があるのではないかと考えますが、その点について伺いたいと思います。

神谷政府参考人 お答えいたします。

 我が国といたしましては、我が国漁業者が大和堆周辺水域において安全に操業できる状況を確保することが第一であるとの認識のもと、どのような対応が最も効果的かという観点から不断に対応を検討しております。

 昨年七月以降、海上保安庁と連携し、放水等を使った厳しい退去警告を実施してきたところでございます。その結果、八月には北朝鮮漁船を我が国排他的経済水域から排除したところでございますが、一方、昨年十一月上旬には、我が国イカ釣り漁船が、一部の北朝鮮漁船との間で漁場が競合したという事態も承知しております。その際にも、海上保安庁と連携いたしまして放水等による排除に努めました結果、我が国漁業者が大和堆周辺水域において安全に操業できる状況を確保したところであります。

 本年の漁期に向けましても、大和堆周辺水域において我が国漁業者の安全な操業を確保できるよう、漁業者とも密接にコミュニケーションをとりつつ、関係省庁とも連携して対策を進めてまいりたいと考えております。

西田分科員 昨年は、七月中旬に大和堆に巡視船を派遣したときには北朝鮮船籍の漁船等に占領されていたという反省を踏まえ、ことしは操業が始まる前にしっかりと対策を講じてほしいと思います。その点についてお伺いをさせていただきたいと思います。

神谷政府参考人 お答えいたします。

 本年の漁期に向けましても、大和堆周辺水域におきまして我が国漁業者の安全な操業が確保できますよう、漁業者とも密接にコミュニケーションをとりつつ、関係省庁とも連携して、しっかり対策を進めてまいりたいと考えております。

西田分科員 漁業関係者の方々は、ことしは国はしっかりと対応してくれる、そういう期待を持っておりますので、ぜひとも強い姿勢で臨んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 北朝鮮籍の漁船等は、集魚灯で夜間にイカを集めて一匹ずつ釣り上げる日本船に近づき、違法である流し網漁で多くのイカをとってしまい、漁獲量の減少、また、北朝鮮籍の漁船等の漁網に我が国の漁船のスクリューが絡まる事故、被害が出ております。

 政府として、漁業者の損失を補填するための支援が必要でないかと考えますが、その点についてお伺いをさせていただきたいと思います。

神谷政府参考人 お答えいたします。

 日本海におきまして外国漁船の不法操業等に伴い影響を受けております我が国漁業者の経営の安定、被害救済のために、水産庁では、韓国・中国等外国漁船操業対策事業により、漁具被害の復旧支援を実施しているところでございます。

 昨年も、外国漁船の不法操業により、この海域で操業を行うイカ釣り漁業者の操業に重大な影響が生じた状況を踏まえ、平成二十九年度補正予算においてもしかるべき額を計上したところであり、今後とも適切に対応してまいりたいと考えております。

西田分科員 それでは、よろしくお願いしたいと思います。

 以上を踏まえ、我が国の海洋権益の確保に必要な体制の整備と予算の確保に向けて強くお願いを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。

 続いて、日本海沿岸の警備体制についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 日本海沿岸や私の地元、能登半島において、北朝鮮籍の不法操業船だけでなく、かつて、漁船に扮した不審船の出現、北朝鮮による拉致被害が疑われている事案もあるわけであります。

 沿岸の警備において、第一義的には、海上の安全及び治安の確保を図ることを任務とする海上保安庁が、領海に侵入した不審船の動きを洋上で把握し、対処するべきであります。

 しかし、レーダーで察知されにくい木造船によりいわゆる武装漁民や不審者が上陸してくるような事態においては、警察も連携した対応が求められております。また、沿岸の監視は漁師に負うところも大きく、住民からは不安が生じているという話も聞きます。

 こうした事態を想定して、各自治体では情報共有や初動対応のマニュアルの作成を進めているとされております。

 警察としても自治体と連携して対策を推進してほしいと思いますが、そのことについてお伺いをさせていただきたいと思います。

村田政府参考人 お答えをいたします。

 長大な海岸線を有する我が国におきまして沿岸警備の徹底は重要な課題である、御指摘の最近の事案が地元住民に大変な不安を与えているということは十分に認識をしております。

 警察といたしましては、これらの事案を重く受けとめ、日本海沿岸地域のパトロール等の警戒警備、不審者等の早期発見に向けた関係機関や地元自治体等との迅速な連絡体制の確保、あるいは違法行為の検挙といった諸対策を推進し、国民の安全、安心の確保に万全を期してまいる所存でございます。

西田分科員 本当に能登半島は、人口減少、そしてまた漁師の方々も大変数も減っておりますので、できるだけ対応を、広い目で見ながらお願いしたいと思います。

 また、日本海沿岸地域の警備体制を強化するため、警察を始め関係省庁や自治体が連携した訓練を実施するなど、不断の対処能力の向上を図ることが求められております。そのためにも、装備資機材、人的基盤を充実強化するための施策の一層の推進を期待したいと考えておりますが、その点についても伺いたいと思います。

村田政府参考人 お答えをいたします。

 警察では平素から、関係機関と連携してさまざまな事態を想定した各種訓練を実施し、関係機関間の連携や対応要領等を確認するなど、事態対処能力の向上に努めているところであります。

 警察といたしましては、最近の情勢等を踏まえ、御指摘の現場の装備資機材や人的基盤のあり方について不断に検証し、その充実強化に努める所存でございます。

西田分科員 これからも、日本海沿岸の警備体制の充実、そしてまた強化をお願い申し上げ、最後の質問に移りたいと思います。

 最後に、私の地元、石川県能登半島では漂着ごみが問題となっておりますので、そのことについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 政府は、海岸漂着物処理推進法に基づく漂着ごみ対策として、平成二十八年度補正予算及び平成二十九年度予算で約三十一億円を措置し、七割から九割の補助率で地方自治体を支援していると承知をしており、まずは感謝を申し上げるところでございます。

 一方で、近年、先ほども若干触れましたが、日本海沿岸に漂着する不審船が急増し、漂着ごみとなっております。漂着船の解体には一隻当たり数十万から数百万かかることもあり、漂着船を漂着ごみとして処理するまでの手続も自治体の大きな負担となっております。そのため、さらなる財政面、制度面でのスピードアップは不可欠でございます。この点につきまして、環境省として、対策について伺いたいと思います。

早水政府参考人 お答えいたします。

 海洋ごみですけれども、これは海外由来のものも多いということで、今先生からも御指摘がありましたけれども、都道府県等がその回収、処理を行う場合に海岸漂着物等地域対策推進事業による支援を行っておりまして、その補助率十分の七から十分の九ということで、残りの地方負担分についても八割が特別交付税で措置されるということとなっております。

 また、北朝鮮籍と見られる木造船が日本海側を中心に漂着して、関係自治体から、その円滑な処理のために財政支援の拡充の要望がございました。

 こうした状況も踏まえまして、地方自治体が財政的不安を伴うことなく漂着木造船等を迅速かつ円滑に処理できるよう、昨年十二月にこの海岸漂着物等地域対策推進事業による補助制度を拡充いたしました。

 具体的には、朝鮮半島からのものと思われる漂着木造船等を処理する場合は、補助率を最大十分の九・五まで引き上げるとともに、残りの地方負担分に対する特別交付税措置を十割に拡充することによりまして、実質的な地方自治体の財政負担が生じないようにいたしました。

 環境省といたしましては、本補助制度を活用いただくことによりまして、地方自治体による海洋ごみあるいは漂着木造船などの処理が迅速に、かつ円滑に進むように、引き続き努めてまいりたいと考えております。

西田分科員 本当に、私どもの能登半島では、下手すれば毎日のように漂着船が海岸にたどり着いている状況が見受けられます。また、その対処、対応だけでも大変時間や人的にも手をとられるところが多いと思いますので、そういったところも含めて対応をお願いしたいと思っております。

 漂着船や漂流船を解体できずに放置しますと、漁船などの船舶が衝突する危険性や定置網やそういったものの破損などもありますので、ぜひ政府に追加の財政支援も含めた漂着船対策をお願いしたいと思います。

 地元の漁業関係者から話を伺うと、漂流船があっても警察や海保も見とるだけ、また、漂着した自治体が責任をとらなければならないので見て見ぬふりといった誤解をしている言葉も聞きますが、海洋政策の観点から、その見解をお伺いをさせていただきたいと思います。

奥島政府参考人 お答えをいたします。

 海上保安庁におきましては、平素から、我が国周辺海域において巡視船艇、航空機により巡視警戒を実施しており、漂流、漂着木造船等の早期発見に努めているところでございます。加えて、漁船や地元住民の方から不審事象に関する通報を行っていただくよう、日ごろから働きかけを行っております。

 この中で、漂流木造船が発見をされました場合には、航行警報等を発出し、船舶等への周知を図るといったことにより安全を図るとともに、状況に応じて当該漂流船等に目印をつけたり、あるいは巡視船艇により曳航するといったようなことで、船舶交通の安全の確保に努めているところでございます。

西田分科員 昨年から、漂着ごみ、そしてまたこういう木造船が次々と沿岸に漂着しているわけでありますが、その数については御確認できますでしょうか。

奥島政府参考人 お答えをいたします。

 昨年、海上保安庁が確認をいたしました朝鮮半島からのものと思料されます漂流あるいは漂着木造船等は百四件でございました。また、本年に入ってからも三十三件の確認をいたしております。

西田分科員 この数字を見ますと、ことしでもう既に三十三件にも上っておりますので、ことしも更にふえるのではないか、そういう心配もされます。また、地域住民の皆さん方からそういった誤解もありますので、これからもしっかりと対策を講じていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 また、漂着船に遺体があったときの対処についても伺いたいと思います。

 海外で流行している感染症が国内に侵入するのを防ぐには検疫が大変重要であると思っておりますが、昨年十一月に秋田県由利本荘市のように漂流漁民が上陸し、住民とあわや接触するところだった事案もあります。衛生環境の劣悪な状態で漂着する船は日本にない病気を乗せている可能性がありますので、大変脅威を感じております。

 年が明けて次々と木造船が漂着する中で、感染症対策等の整備が急務であります。その点について伺いたいと思います。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国に外国から不審船等が漂着した場合の対応についてでございますけれども、厚生労働省におきましては、関係省庁と連携し、検疫法や感染症法等の規定に基づきまして、検疫所職員が、自治体職員あるいは入国管理局職員等と連携をいたしまして、漂着者の健康状態の確認等を行うこととしているところでございます。

 また、不審船に遺体がある等の場合には、感染症に罹患していた可能性も勘案いたしまして、遺体に接触する可能性があります海上保安庁あるいは警察の職員の方々に対しまして、感染症予防策を周知するなど、感染症に対する予防策を講じているところでございます。

 今後とも、関係機関と連携をいたしまして、適正に対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。

西田分科員 大体、第一発見者が地域の漁民であったり、漁師の関係者が多いところでもありますので、そういったところをしっかり徹底して、少しでも感染するような場合があったりそういう遺体を発見した場合の周知徹底をぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 これからも、我が国の水際対策として関係省庁の協力が必要不可欠でありますので、国を守る最前線として御尽力をお願いをするとともに、私どももしっかりと地元関係者とともに応援をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 時間もそろそろ来たと思いますので、私の質問を終わらせていただきたいと思います。これからもよろしくお願いをいたします。

 終わります。

渡辺主査 これにて西田昭二君の質疑は終了いたしました。

 次に、山本和嘉子君。

山本(和)分科員 立憲民主党・市民クラブの山本和嘉子と申します。

 きょうは、予算委員会の分科会ということで、質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 まずは、北陸地方を中心に降り続いた大雪に関して、お亡くなりになられた方の御冥福をお祈りいたしますとともに、けがをされた方々の一日も早い回復を祈るばかりでございます。

 本日は、大雪関連の質問をさせていただきたいと思います。

 二月四日から福井県嶺北地方を中心に雪が降り続き、福井市では、五六豪雪以来三十七年ぶりとなる、最大積雪百四十七センチを観測したとお聞きしております。二月十六日時点では、雪害の各県の合計で、死者二十二名、負傷者、重傷、軽傷合わせて三百二十名にも上ったということを確認いたしました。

 実際、私、二月二十日に福井市へ現地視察に行ってまいりました。嶺北地方の交通機関は麻痺し、物流もとまり、市民生活に大変大きな影響があったと、さまざまなお声を聞かせていただきましたので、そのことに関しまして、それぞれ質疑を進めさせていただきたいと思っております。

 そこで、まずお伺いいたしますけれども、二月六日から、坂井市とあわら市にかけて、国道八号線で一千五百台の車が立ち往生した、自衛隊の災害派遣要請を行う事態で、最大十七キロメートルに及ぶ距離で渋滞が発生したということを確認いたしました。その渋滞が解消したのが二月の九日。

 やはりこの今回の渋滞は、多くの雪による立ち往生、渋滞で停滞している車と車の間に雪が降り積もって、その降り積もった雪のために動けない、その繰り返しのために起こったことが主な要因だと考えます。

 福井市の東村市長にお伺いしたところ、そういった場合の除雪に対しては、道路への消雪パイプの設置が最も効果的との御認識でした。除雪にかかわる人員を十分に確保しにくい福井県では、確かに有効な方法だとは思いますけれども、随分費用がかかるというふうにおっしゃっておられました。

 福井市は、最重点の箇所で十五キロメートル、それ以外含め計二百二十キロメートルの消雪パイプを通すことを目指しておられるそうですが、こうした対策について、費用の面、補助など、どのようにお考えになっておられますでしょうか、お聞きしたいと思います。

和田政府参考人 お答えいたします。

 消雪パイプにつきましては、除雪あるいは排除作業の軽減や交通の円滑化を図る上で有効な施設と認識しております。これまで主に、中心市街地や駅周辺等の地区とか、あるいは人家が連檐している場所、急な坂道とか交差点などにおいて整備が進められてきていると考えております。

 一方、消雪パイプの整備に当たりましては、水源の確保とか、地下水をくみ上げた場合の影響だとか、こういったこともありますし、また、お話ございましたような整備や維持管理コストとその効果について十分な検証が必要でございます。

 国土交通省としましては、消雪パイプの整備につきまして、地方公共団体の意見や要望を踏まえて社会資本整備総合交付金で支援できることになっておりますので、個々の自治体につきまして、その御要望をよくお聞きしながら、しっかりと支援をさせていただきたいと考えております。

山本(和)分科員 ありがとうございます。

 積極的な御支援をぜひよろしくお願いしたいと思います。

 道路の滞留、渋滞は、雪害だけでなく、地震やその他の災害でも想定されると思います。東日本大震災でお亡くなりになった方の多くも、道路の渋滞中に津波にのみ込まれて亡くなられた、被害を受けられたということも多かったですし、渋滞の解消の対策は災害対策の基本と考えるべきだと思います。

 消雪パイプは費用もかかる設備で、さっきおっしゃられた地下水の不足の問題もありますので、どんどん設置というわけにはいかないとは思いますけれども、渋滞をなくすために集中的に配置するなどの方法も考えられると思います。

 それらを例えば防災・安全交付金のような形で支援する方法も考えられると思いますが、そのあたり、いかがでいらっしゃいますでしょうか。

和田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど社会資本整備総合交付金ということを申しましたが、社会資本総合整備交付金等ということで、防災・安全交付金の仕組みも同様に使っていただけると思っていますので、しっかりと対応していきたいと存じております。

山本(和)分科員 早期の対策、ぜひお願いしたいと思っております。

 続きまして、大雪に対する国土交通省緊急発表についてお尋ねいたします。

 これは、平成三十年二月二日付で、水管理・国土保全局防災課、道路局国道・防災課、気象庁の三つの連名で出されています。

 その発表というのが、北日本と東日本、西日本の日本海側を中心に来週にかけて断続的に雪が降り、降雪量がかなり多くなって大雪となるおそれがあります、太平洋側でも日本海側から雪雲が流れ込みやすい地域では、山地を中心に大雪となり、ふだん雪の少ない平野部でも積雪となるところがある見込みです、大雪による立ち往生等の警戒が必要です、不要不急の外出は控えるとともに、やむを得ず運転する場合にはチェーンの早目装着をお願いいたします、大雪が予想される地方整備局においては、道路交通の確保ができる対応を二十四時間体制で行う予定です、最新の気象情報等に留意し、外出が必要な場合は十分な時間的余裕を持って行動いただくようにお願いしたいというふうに発表されているんですが、これはどういう形で発表された内容でしょうか。お聞かせください。

清瀬政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の大雪に対する国土交通省緊急発表でございますが、ふだん降雪が少ない地域においてまとまった降雪となることが予想される場合などに、道路利用者等に対しまして、不要不急の外出を控えること、冬用タイヤやチェーンを装着することなど、大雪に対する警戒を呼びかけることを目的としているものでございます。

 このため、この緊急発表につきましては、報道機関を通じて広く周知するとともに、国土交通省ホームページやSNSを活用しまして自治体を含めて広く一般に情報を提供し、警戒を呼びかけているところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、適切な手段によりまして情報提供に努めてまいりたいと考えております。

山本(和)分科員 マスコミと自治体、SNSなどを活用して伝えられたということなんですが、ホームページとかにおきまして一般の市民などにも広く伝えられたかというと、いかがなものかなと思うんですが、そのあたりはいかがでいらっしゃいますでしょうか。

清瀬政府参考人 お答えいたします。

 ホームページあるいはSNSを活用して提供するとともに、マスコミに対して、報道機関に対して広く周知し、今回もそれについての報道も大きくなされたと思いますので、一般の方々にもある程度伝わっているんじゃないかなというふうに考えているところでございます。

山本(和)分科員 二月五日には大雪警報が発表されています。また、二月六日には、お一人、一酸化炭素中毒によって車中で亡くなられているということも発生しております。それから、同じく二月六日には八号線の渋滞も始まっております。

 二十七年の十一月十三日、内閣府防災担当が、中央防災会議会長、つまり内閣総理大臣による「降積雪期における防災態勢の強化等について」というのを発表されています。

 その中に、国、都道府県、市町村、関係団体及び住民が一体となった総合的な防災体制の確立を図ること、具体的には、大雪、暴風雪等により大きな被害が予想される場合においては、指定行政機関、指定地方行政機関及び指定公共機関は地方公共団体に事前に情報連絡要員を派遣する等連携を強化することというふうにあります。

 指定行政機関との連携とありますが、じゃ、次は、内閣府として、国交省として発令されたこの緊急発表、二月二日以降の対応はいかがだったのでしょうか、ちょっとお聞かせください。

海堀政府参考人 お答えさせていただきます。

 政府全体におきましては、二月の二日十一時半に関係省庁の警戒会議を開催し、まだ二月二日でございますので雪が降り始める前でございますが、この時点で関係省庁に今後の災害に対する警戒を周知徹底するとともに、雪がひどくなった二月六日五時半には二回目の警戒会議を実施し、関係の省庁、そしてまた、二月九日の十一時三十分には、その後の雪対応などに警戒するようにというような形の会議を通じて各省庁の対応を促しております。

 以上でございます。

山本(和)分科員 ありがとうございます。確認させていただきまして、しっかり対応されているということがよくわかりました。

 ちょっとそこまでのことがわからなかったので、九日になってから国交省からの除雪の支援決定がなされたということをお聞きしていたので、九日にはそういう連携した対応がされていたのかなと思いますが、そこまでのこともされていたんでしょうか。

海堀政府参考人 先ほどお答え申し上げましたが、二月の六日、九日などにおいて会議を開催するとともに、関係機関がその都度、会議ではないですが、連絡をとり合って、対応について進めさせていただいています。

 具体的には、防衛省さんなどにおいての災害派遣だとか、あるいは国土交通省さんにおいても一定の対策をとっているというのが実際に行われたことでございます。

山本(和)分科員 ありがとうございます。

 いろいろ理解できました。ありがとうございました。

 引き続きまして、八号線の立ち往生の件について質問させていただきます。

 二月六日十二時十七分に立ち往生が発生し、二月九日午前五時に、ちょうど五時に解消されたということです。足かけ三日間、このような長い時間、ドライバーの人は本当に大変だったと、いろいろな話を現地でお聞きしましたが、協力し合って寒い中過ごされていたというふうにも聞いております。

 やはり通行規制が早い段階で必要だったのではないかと思うのですが、平成二十四年に出された内閣府の大雪に対する防災力向上方策検討会の報告書というのがありまして、その中に大雪の教訓を踏まえた今後の雪対策のあり方について書かれております。

 道路管理者、都道府県警察その他の関係機関は、大雪による車両滞留を防止するために、情報の共有に努め、必要に応じて通行どめの区間やタイミング等について調整を図ることが重要であるというふうに書かれています。

 ということは、この二十四年にはこういうことが言われていたんですが、この教訓が今回の八号線の渋滞に生かされていたと思われますでしょうか。

和田政府参考人 お答えいたします。

 二月一日からの記録的な豪雪があったわけでございますが、五日の夜に北陸自動車道が通行どめとなり、並行する国道八号に交通が集中いたしました。

 通行どめによる集中除雪を実施するためには、規制予定区間の起点側と終点側、それから区間内の交差点に人員を配置することが必要となります。今いろいろな情報の連携ということをお話を申し上げさせていただいておりますが、そういったいろいろな情報をもとに、通行どめ要員の移動を七時ごろから順次開始いたしましたが、八時ころに発生いたしました大型車の本線上でのチェーン装着や脱輪をきっかけに渋滞が発生しまして、その職員の移動に時間を要した結果、十一時からの通行どめ措置ということになったことでございます。

山本(和)分科員 わかりました。ありがとうございます。

 除雪等の対策、連携をとっていただいた対策が進んでいれば亡くならずに済んだ方もいらっしゃったかもしれないとは思いますけれども、ぜひ今後もそういう連携をとってやっていただきたいと思います。

 次に、気象庁にお伺いをいたします。

 二月二十日の福井新聞によりますと、大雪特別警報が出されなかったという報道があります。

 特別警報は、数十年に一度の現象が想定される場合、特別な場合に出されていると聞いておりますが、今回も特別だったと思います。福井県に限りますと八人の方が亡くなっております。また、今回は、短時間にどっと雪が降って、見る見る積雪となったと思います。対応は大変だったと思いますが、特別警報を出されなかったのはなぜでしょうか。

関田政府参考人 お答えいたします。

 大雪の特別警報につきましては、気象庁告示により、数十年に一度の降雪量となる大雪が予想される場合に発表すると定められております。具体的には、一定程度の広がりを持って五十年に一度の積雪となり、かつ、その後も警報級の降雪が丸一日程度続くと予想される場合に発表することとしております。

 今回の大雪につきましては、この五十年に一度の積雪に達した地点はございましたが、一定程度の広がりを持つものではなく、かつ、その後大雪が丸一日程度続くという予想ではなかったことから、大雪特別警報を発表しなかったものでございます。

    〔主査退席、古賀主査代理着席〕

山本(和)分科員 さまざまな制度があるのは理解できますが、記録的短時間に降雪している状況を見て、今後、改善していくのが必要なのではないかなというふうには思います。よろしくお願いいたします。

 次に、農家の被害について質問させていただきます。農家のパイプハウスの倒壊についてです。

 大雪の影響で、二月十六日現在、民間農家のパイプハウスが福井県で七百十四棟倒壊しているとのことです。地元の方に伺ったところ、解体処理と再建に一棟当たり三百万円程度、七百十四棟全て直すとすると約二十一億円かかる計算です。

 この倒壊に関して、補償というか支援のお考えはありますでしょうか。農水省、お願いいたします。

徳田政府参考人 お答えします。

 先々週、四日からの大雪により、北海道や北陸地方などを中心に、現時点で約二千七百棟の農業用ハウスに損壊等の被害が発生しているとの報告を受けておりますが、調査中の自治体もあり、全容を把握するまでには至っておりません。被災された農業者の皆様には、心からお見舞い申し上げる次第でございます。

 農業用ハウスなどの被害につきましては、まずは農業共済の迅速な損害評価と早期の共済金の支払い、そして、日本政策金融公庫の農林漁業セーフティーネット資金などの長期、低利の融資などで対応することとしております。

 農業融資につきましては、二月八日に、被災農業者に対する資金の円滑な融通について、関係機関等に要請する通知を発出したところでございます。

 今後も、引き続き、関係自治体とも連携して、今回の大雪による被害状況の把握に努め、その状況に応じて必要な支援策を総合的に検討してまいりたいと考えております。

山本(和)分科員 パイプハウスの中では、実際、私、視察させていただいたんですけれども、稲作の苗準備の土が保管されていたり、夏野菜の苗の準備をしていたという話だったんですが、こういうのは一時的ではなくて、これから、ことし一年を通じての被害になるだろうということで、大変心配をされておりました。特に福井市では、ハウスの三分の一が倒壊している状況だったんです。

 例えば、災害救助法では、屋根おろしの費用に関しても国庫補助の対象となっています。豪雪などで倒壊したハウスに対しても、何らかの補助があってもいいのではないのかなと思うのです。

 地域の農業を支えることは国の重要な課題だと思います。昨年の台風でのハウス被害も重なっておりまして、地域の農業全体に深刻な影響を与えています。農家への特別措置が必要なのではないかなと思いますが、そのあたり、内閣府はいかがでしょうか。

海堀政府参考人 お答えいたします。

 災害救助法は住民の方々の命を守る法律でございまして、災害救助法で除雪の支援をするというのは、例えば高齢の方で一人では除雪ができなくて、上の雪が重くて潰れてお亡くなりになってしまうとか、けがをされるというようなときには、災害救助法で除雪をさせていただくというようなことをさせていただいておりますが、いわゆる農業用のハウスなどへの適用は、救助法では行わないことになっております。

山本(和)分科員 わかりました。何とかこういう困っておられる方を救済できることを、ちょっといろいろと御検討いただければと思います。

 次の質問に移ります。

 経済面の影響です。いろいろな方にヒアリングをさせていただいているので、幾つか御紹介をしたいと思います。

 あわら温泉の予約に関してなんですが、温泉の予約のキャンセルが一・一万人出ているというふうに聞いております。二月十日から十二日まで、ちょうど雪のピークが越前ガニのシーズンの三連休だったこともありまして、あわら市役所の観光課に聞きましたところ、被害額が最低でも二億二千七百三十六万円ということでした。

 また、越前和紙をつくっている越前市の岩本町の岩本製紙の社長の岩本さんにお聞きしましたところ、周辺の道路が完全に雪で埋まってしまい、従業員何人かが会社に出社できず、製造が十日間ストップしたそうです。売上げベースで二百五十万から三百万の損害だったそうなんですが、倉庫も雪の重みで壊れたり、しばらくの間これらのことが売上げにかなり影響するだろうということで心配されておられました。

 また、福井商工会議所にもお尋ねしたところ、二月六日から八日で半数の企業が全面休業又は一部休業されていたそうです。雪害のひどい地域では七日間程度の休業に追い込まれる企業が多数出ているということで、大変福井市でも経済的な影響が出るのではないかと思いますが、こういったことへの措置、支援等は何か検討されておられますでしょうか。

吾郷政府参考人 お答えいたします。

 まさに先生がおっしゃいましたような中小企業、小規模事業者の被害状況でございますが、今私どもも状況の把握に努めているところでございます。建物の損壊、倒壊、それから納品、出荷のおくれ、それから従業員の出社困難、そしてそれに伴う営業、操業時間の短縮、一時休業、そして宿泊業等ではキャンセルも多いというふうに承知しております。

 中小企業庁といたしましては、福井県それから新潟県の被災中小企業の方に対しまして、商工会議所、商工会等への特別相談窓口の設置、日本公庫等による災害復旧貸付け、信用保証協会によるセーフティーネット保証、それから小規模企業共済の災害時貸付け、こういった措置を講じておるところでございまして、引き続き支援に万全を期してまいりたいと存じます。

山本(和)分科員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。

 特に、越前和紙は福井県の伝統産業でして、守っていく必要があると思います。そのことも含めて、より一層、更に早い段階での御支援、御検討をお願いしたいと思っております。

 続きまして、ちょっと警察の対応について、一つ確認で質問させていただきます。

 福井県坂井市の国道三百六十四号線で、十九歳の男性が車内で一酸化炭素中毒で亡くなられたということがありました。大変残念なことなんですが、男性は、身動きがとれないということで、二月七日の朝九時二十分に警察に一一〇番通報されたそうですが、それが伝わらず、救助が来てもらえず、同日の午後六時四十分ごろ発見されて、死亡されておられます。

 応答した警察の方は、警察に確認しましたところ、現場に向かわず、除雪が進むのを待ってほしいとだけその方に伝えたそうで、亡くなられたということなんですが、そのタイミングは複数の場所で除雪が進んでいない状況だったと思うんですけれども、それを本人にきちんと伝えておられたのか、一酸化炭素中毒の危険性も伝えたのか、もう少し早い対応ができなかったのか、除雪を行っている福井県との連携などもされなかったのかというのをちょっとお聞きしたいと思います。いかがでしょうか。

山下政府参考人 委員御指摘の事案につきまして、一一〇番通報を受けた際、この男性に対しましては、エンジンをとめていることを確認した上で、体調不良があれば一一九番通報するよう教示をしていたものでございます。また、その後、所轄警察署におきましては、この男性の方に電話連絡をいたしております。

 既に、この男性の車両が立ち往生しておりました国道三百六十四号線につきましては、男性からの一一〇番通報の前に自治体に除雪要請を行っていたところでございましたので、この男性に対しては、自治体が除雪に向かっていることを確認していたという旨を伝えるなどしているところでございます。

 いずれにいたしましても、このような重大な結果が生じたことにつきましては真摯に受けとめなければならないと考えており、警察といたしましては、これまでにも増して、雪害への対応に万全を期してまいりたいと考えております。

山本(和)分科員 ありがとうございます。

 本当に、九時間ほども車の中で、エンジンを切れという御指示があったのであれば寒い中で過ごされていたのかなと思うと、もうその気持ちはいかばかりかなと思います。ぜひともこういうことが今後ないように連携をしていただきたいと思います。

 ちょっと時間がもう少なくなってきまして、大臣、お越しいただいているので、大臣にお聞きをしたいと思うのです。

 今回の雪害に関しまして、市民にとって大変なことであったと思います。特に福井市におきましては、三十七年ぶりの大雪ということで、犠牲者も出ております。今後の教訓も踏まえまして、激甚災害指定の御検討はいかがでいらっしゃいますでしょうか。

小此木国務大臣 お疲れさまでございます。

 激甚災害の指定については、もう御案内と思いますけれども、道路、河川あるいは農地等の公共施設等の被害が甚大な場合に、地方公共団体が実施する災害復旧事業等における財政負担を軽減するための措置であります。このため、指定に当たっては、これらの関係施設の被害状況等を把握する必要があります。

 この冬の福井県を始めとする災害、雪害については、今もう御質問されたとおりでありますけれども、この災害の、現段階では降雪と積雪がまだ継続しておりまして、被害状況の把握がいまだできていないというのが現実であります。

 政府としては、今後の自治体や関係省庁による被害状況の把握の進展を踏まえて、指定基準に照らし、適切に対応してまいりたい、正確に地域の状況を認識しながら進めてまいることだと思っております。

山本(和)分科員 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたします。

 時間となりましたので、私の質疑は終了させていただきます。本日はありがとうございました。

古賀主査代理 これにて山本和嘉子君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

渡辺主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。菊田真紀子君。

菊田分科員 無所属の会の菊田真紀子でございます。

 午後のトップバッターということで、大臣、よろしくお願いいたします。

 二月二十日の午前八時四十分ごろ、米軍三沢基地所属F16戦闘機が離陸直後にエンジン火災を起こし、燃料タンク二個を青森県東北町の小川原湖に投棄をしました。二十一日に、青森県知事が海上自衛隊に災害派遣を要請し、海上自衛隊が作業を始めたと伺っています。

 米軍側からも自衛隊に依頼があったと小野寺防衛大臣が発言していますが、まず、この事案の経緯と現在の対応状況について、防衛省、お答えください。

福田大臣政務官 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘ございました、本年二月二十日午前、米空軍三沢飛行場所属のF16戦闘機一機が同飛行場を離陸した直後、エンジンから出火し、燃料タンク二本を同飛行場北側に所在いたします小川原湖に投棄いたしまして、同飛行場に着陸いたしました。

 防衛省といたしましては、本件事故発生後直ちに、東北防衛局三沢事務所や航空自衛隊が現地に職員を派遣し、被害の確認を行っているところでございます。

 また、同月二十一日、燃料タンクが投棄された現場の燃料等の回収について、青森県知事から海上自衛隊大湊地方総監に対し災害派遣要請がございました。これを受け、直ちに現地に隊員を派遣したところでありまして、現在、隊員が現場において本日も活動中でございます。

菊田分科員 当時、この湖ではシジミをとる漁船が十そうぐらい操業していたというような報道がありますし、タンクの落下地点から約二百メートルぐらいしか離れていない船もあったと。一つ間違えれば大変な惨事になったということでありまして、重大な事案であるというふうに思います。

 この間、米軍機の事故やトラブルが全国で続いておりますので、これはしっかりと徹底的に検証していただき、また、その結果について国民に説明責任を果たしていただきたいというふうに防衛省に要望いたします。

 その上で、自衛隊の災害派遣の要請の仕組みについて伺います。

 どのようなときに、誰が自衛隊への災害派遣要請を行えるのか、その要請に対し、どのような判断基準で、誰が自衛隊の派遣を決めるのか、教えてください。

福田大臣政務官 お答えいたします。

 自衛隊の災害派遣につきましては、幾つかの形がございます。

 まず、自衛隊法第八十三条第一項の規定に基づきまして、都道府県知事等が、災害に際して人命又は財産の保護のため必要がある場合に、防衛大臣等に災害派遣を要請することができます。また、災害対策基本法第六十八条の二の規定に基づきまして、市町村長が都道府県知事に対し災害派遣の要請をするように求めることができるほか、この求めができない場合には、市町村における災害の状況等を防衛大臣等に通知することができるということも決まっております。

 さらに、特に緊急を要し、都道府県知事等の要請を待ついとまがない場合には、自衛隊が、自衛隊法第八十三条第二項ただし書きに基づきまして、要請を待つことなく自主派遣をすることができるということでございます。

 付言いたしますれば、今回の事案につきましては、自衛隊法第八十三条第一項の規定に基づき、青森県知事から大湊地方総監に対し災害派遣要請があったということでございます。

菊田分科員 今回の事案では、米軍みずからが燃料油の回収を行うべきではないかと考えますが、どうして我が国の自衛隊が派遣されることになったのか、お答えください。米軍では能力的に対応困難と防衛省が判断したのでしょうか。今回の青森県の事案では、自衛隊が米軍の肩がわりをさせられているとも言えるのではないでしょうか。防衛省の見解を伺います。

福田大臣政務官 お答えいたします。

 今回の燃料タンクが投棄された現場の燃料等の回収につきましては、小野寺大臣が会見で発言していたとおり、本来は米側がみずから行うべきであるというふうに認識しております。

 しかしながら、米国側と調整を行っている中で、二月二十一日、青森県知事から海上自衛隊大湊地方総監に対し災害派遣要請があったので、これにお応えしたということでございます。これに基づきまして、防衛省としては、燃料等を早急に回収すべく活動を開始したというところでございます。

菊田分科員 本来は米軍がやるべきだと大臣もおっしゃっている。しかし、調整した結果、自衛隊がやるということなんですけれども、どういうやりとりがあったか、ちょっと御紹介ください。

福田大臣政務官 ここでつまびらかに、時間を追ってというのは少々わからないところでありますけれども、現場におきまして、米軍等も、調査の人員等、若しくは部品の回収又は油の回収等についての現地におきましての調査等もしたというふうに伺っております。その中において、米軍としてというよりも、私どもで、防衛省でやる方がということで、早急にとにかく対応が必要ということもありましたので、知事の方からも御要請いただいて、我々がやったということでございます。

菊田分科員 自衛隊の人件費も含めてさまざま費用がかかると思うんですけれども、それはどういうふうになるんでしょうか。特に青森の事案では、今後、米軍に漁業の補償も含めてそういう費用の負担を求めるのかどうか、答弁を求めたいと思います。

 もう既に、地元の漁協の方では二十一日以降全面的に禁漁を決定したというふうに伺っておりますので、そういった問題が出てくるというふうに思いますが、いかがでしょうか。

福田大臣政務官 お答え申し上げます。

 コストと補償についてでございますけれども、まず、災害対策基本法第九十一条によりまして、災害予防及び災害応急対策に要する費用は、その実施の責めに任ずる者が負担するものとなっておりまして、自衛隊の災害派遣のための費用は、人件費分を含め、自衛隊が負担しているところでございます。

 ということで、今回の青森県知事からの要請に基づく災害派遣についても同様でありますので、今回のコストについては自衛隊が負担しているということでございます。

 また、今般の燃料タンクの投棄事故に伴う補償につきましては、被害の実態について調査等を早急に行った上で、漁業関係者の皆様がこうむった被害について、誠意を持って我々の方で適正に対応してまいりたいというふうに思っております。

菊田分科員 そうすると、確認ですけれども、米軍、米側には一切の費用負担がないということですね。

深山政府参考人 補償に関しまして申し上げますと、まず、一般論として申し上げますと、米軍人等による公務上の事故に伴う補償につきましては、日米地位協定第十八条五及び民事特別法の規定によりまして、我が国が賠償責任を負うこととされております。

 防衛省が被害者側から賠償請求を受け、米国政府と協議の上で賠償金額を決定し、被害者側の受諾を得た上で賠償金の支払いを行い、その後、米国政府から米国の分担額、これは米国のみが責任を有する場合は七五%、日米双方が責任を有する場合は五〇%となっておりますが、この償還を受けるという仕組みでございます。

菊田分科員 日米地位協定については、きょうは時間もありませんので、また改めていろいろ議論させていただきたいというふうに思いますけれども、米軍のトラブルの後処理を自衛隊そしてまた日本国政府がいつもしなければならないというようなことは、やはり国民の目から見てもおかしなことではないか、私はそういうふうに思うわけであります。

 自衛隊の災害派遣についてですけれども、防災担当大臣というのは、一連の流れの中で何らかの意思決定を行うことはあるのでしょうか。

小此木国務大臣 自衛隊の災害派遣については、先ほどの防衛省の答弁のとおりだと思っています。基本的には、都道府県知事の要請によって自衛隊がそこに赴くということ、市町村が知事に訴える場合もありましょうし、自主的判断により、自衛隊法八十三条の話もございました。

 私、防災担当大臣とすれば、しかし、何もしないわけではなくて、指示そのものは私の立場ではございませんけれども、防災担当大臣として、その災害においての、地域の首長さんがしっかりと要請することができているか、それに自衛隊が、防衛省が応えることができているかということを、情報を共有しながら把握しておるという立場だと思います。

菊田分科員 ありがとうございました。

 自衛隊の皆様の災害時における必死の活動に対しては、改めて心から敬意を表したいと思います。

 去る二月六日の大雪のときにも、福井県の国道八号線で多数の車が立ち往生いたしました。この際にも自衛隊が派遣をされ、昼夜を問わず懸命の努力をしていただきましたし、また、私の地元新潟県におきましても、大雪の影響によりまして水道管の凍結や破裂などが起きました。広い範囲におきまして断水する世帯、地域がありましたけれども、陸上自衛隊の皆様から給水車両を派遣していただきまして、非常に助かったという感謝の声を多く聞いております。

 災害時の自衛隊の活動は、このように、非常に心強く、ありがたく思うものでありますけれども、他方で、自衛隊の負担軽減については、政府としてどういうふうに考えているのか。

 例えば、平成二十八年度の災害派遣の状況を見ましたときに、熊本地震の際には、八十一万四千人を超える自衛隊の方々が派遣をされて救助救援活動に当たったということでありますけれども、この日本、本当に、災害の起きない年がないというぐらい、さまざまな災害が起きます。そして、その直後に自衛隊が派遣をされて活躍をされているわけでありますけれども、繰り返しになりますが、そういう面におきましては、自衛隊の負担軽減について政府として対応が必要だと考えますが、これは防災担当大臣に伺いたいと思います。

小此木国務大臣 委員がおっしゃいましたように、各種災害において自衛隊の活動、活躍というのは、国民の皆様が、やはりありがたいという感謝の気持ちを自衛隊に対して向けているのが現実だと思い、私、防災担当大臣としてもまさに感謝をするところでありますが、身内の話ですけれどもね、自衛隊の災害派遣について、自衛隊法の規定に基づき、災害状況等に応じて防衛大臣等が適切に判断するものと承知をしています。

 防災担当大臣とすれば、先ほど申し上げたように、直接指示をするという立場にないんですが、今、いろいろなところに参りまして、やはり国が手を差し伸べる、公助は当たり前でありますが、自助、共助、御自分たちでいろいろなことを過去の災害を教訓として考えて、そういう意識も高めていただきたいとお願いをしているところであります。そういったところも今の御質問には関係してくるのではないかなと承知します。

菊田分科員 消防庁によりますと、二月十六日の段階で、この冬の大雪によって七十九名の方がお亡くなりになられております。心から御冥福をお祈り申し上げます。

 去る二月十六日の災害対策特別委員会で、特別交付税の前倒し及び全額手当てを私からお願いをさせていただきましたが、本日、特別交付税の対象自治体と配分額が決定されたと伺っています。全国の配分額と、私の地元新潟県への配分額をお答えいただきたいと思います。

 また、大雪に係る自治体に対する道路除雪費補助の臨時特例措置もお願いいたしましたけれども、現在の検討状況をお答えいただきたいと思います。

 総務省と国交省、お願いします。

簗大臣政務官 今国交省に対して御質問いただいた点について、お答えをいたします。

 地方自治体が管理する道路の除雪費につきましては、積雪寒冷地域における道路交通の確保に関する特別措置法、いわゆる雪寒法に基づき、年度当初に社会資本整備総合交付金を配分し、支援を行っているところです。

 また、各地域の降雪状況に応じ、三月には、この交付金とは別に、道府県、政令市を対象に、除雪費を補助金として追加配分しております。

 さらに、全国的に積雪が著しい場合には、市町村に対し、臨時特例措置として、除雪費の補助金を追加で配分をしてきたところでございます。

 今年度の臨時特例措置につきましては、二月十六日から、降雪状況や除雪費の執行状況等を把握する調査を開始したところでございまして、その結果を踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。

菊田分科員 春になって雪が解けて路面が出てきますと、これだけ除雪をしていると、いろいろなところで、道路のもともとの老朽化もありますけれども、補修をしなければならない、こういうことも出てくるというふうに思いますので、あわせて、国交省として、そうした地方の自治体の負担にならないように、財政的な支援、さまざま行っていただきたいと要望いたします。

 プライマリーバランスの黒字化目標というのが後ろ倒しにされておりまして、厳しい財政状況に今あるということ、このことを踏まえても、私はいたずらに公共事業の拡充を求めるものではありませんけれども、しかし、大雪や立ち往生等で道路が封鎖をされますと、住民の生活に多大な影響を与えます。大雪などの災害時における交通網の確保という観点からも、国道の複線化というのは必要な事業だと考えますけれども、防災担当大臣及び国交省の考えをお聞きします。

小此木国務大臣 道路は、平時においては、地域住民の生活、交通網や物流網などの都市機能を支えるものであり、また、大規模災害時においては、緊急輸送道路や避難路として災害対策を支える重要な社会インフラであるというのは、基本的な考えであります。

 大雪の降ったときに、そのときにおける車両の立ち往生を防ぐためには、道路の拡幅は一つの有効な手段と認識しており、国土交通省において必要な取組を進めていると承知しています。

 また、災害への備えにはソフト対策も重要であることから、内閣府としても、国民へ不要不急な行動の自粛や冬用のタイヤの常備を呼びかけ、注意喚起してまいる所存であります。

 引き続き、関係省庁と連携をし、ハード、ソフト、この両方の対策に取り組んでまいりたいと思います。

簗大臣政務官 お答えいたします。

 ことしの冬は、強い寒気が日本付近に断続的に流れ込んだことから、降雪量が多く、全国的に平年を上回る降雪となっています。こうした中、今月上旬の降雪に伴い、福井県内の国道八号において車の滞留が発生したという状況がございます。

 災害時におけるこうした立ち往生を防ぎ、交通網を確保するためには、道路の四車線化やバイパス整備は一つの有効な手段であると認識をしております。このため、四車線化やバイパス整備については、今後の交通状況や周辺ネットワークの進捗状況などを踏まえながら、必要な調査を進めてまいります。

 なお、四車線化やバイパス整備には時間と費用を要することから、短期的な対策として立ち往生車両の待避所の設置などの対策が考えられるため、このような施設が設置できる地点等についても必要な調査を進めてまいりたい、そのように考えております。

菊田分科員 ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、除雪の人手不足、マンパワー不足について取り上げたいと思います。

 先ほど申し上げましたように、大変多くの方が今冬亡くなっておられますが、豪雪地帯のほとんどで、深刻な高齢化、過疎化が進んでいます。亡くなったほとんどのケースは、高齢者が屋根に上って除雪をしているときに滑って落ちてしまった等々、除雪の作業中に起きたものです。地方自治体や建設会社も必死にこの除雪に対応しておりますけれども、いかんせんマンパワー不足で、てんてこ舞いの状況にあります。

 政府として、今後も加速が予想されます除雪のマンパワー不足にどのように対応するのか、防災担当大臣、お答えください。

小此木国務大臣 言われましたように、雪の雪害対策において、人手不足、除雪あるいは雪おろし、こういったときの人不足は非常に大きな課題として認識をしています。

 このため、例えば、国土交通省においても、雪おろし作業の困難な高齢者等を支援する人材確保のために、地方公共団体やボランティア団体等との連携に対する支援を実施していると承知しております。また、国交省の職員を福井県庁などに派遣をし、県、市、町、これらの要望を踏まえ、除雪作業員と除雪用機械等を近畿地方のその他の地域や関東地方などから応援をしてもらうといった取組を行っているということも承知しています。

 また、先ほどの話題でもありましたように、もちろん、要請に基づいて自衛隊員等の支援ももらっているということも承知しております。

 内閣府としても、共助による除雪体制や複数の自治体が相互協力できる体制整備の重要性について周知徹底を図るなど、必要な対応をしておりますし、これからもその方向で万全を期したいと思います。何にしろ、関係省庁が連携して、除雪体制の整備にしっかりと今後取り組んでまいる所存であります。

菊田分科員 本当に、若い人でも、朝除雪をして、昼除雪をして、夜除雪をしてと、毎日毎日この繰り返しなので大変に疲れてきますし、とりわけ高齢者になりますと、大変な肉体労働でもありますし、過重な負担がかかっております。これは喫緊の課題ですので、ぜひ、地方自治体とも連携をしながら、マンパワー不足に対応していただきたいというふうに思います。

 続いて、空き家問題でございます。

 もちろん空き家問題というのは全国に存在しておりますけれども、特に豪雪地帯では、私の地元新潟県でも、降雪の際に空き家の倒壊が続くという事態が生じています。

 平成二十七年に空き家対策特別措置法が施行されましたが、解消に向けて順調な進捗状況にあるとは言えません。政府として、現状をどう捉えているのでしょうか。豪雪地帯の空き家対策というのは特にスピード感を持って取り組まなければいけないと考えますけれども、国交省の考えをお聞かせください。

簗大臣政務官 御指摘のように、豪雪地帯においては、老朽化した空き家の倒壊等の危険があり、空き家対策は地域にとっての重要な課題であると認識をいたしております。

 こうした中、空家等対策の推進に関する特別措置法が平成二十七年五月に全面施行され、市区町村における空き家対策については、利用できるものは利用し、除却すべきものは除却するとの考えのもと、空家等対策計画に基づき総合的な対策が進められています。また、同法の施行により、倒壊等により周辺に悪影響を及ぼす空き家については、市区町村長による助言、指導、勧告、命令、代執行が可能となりました。

 国としては、市区町村の空き家対策については、従来からの社会資本整備総合交付金に加え、空き家対策総合支援事業を平成二十八年度に創設し、空き家の解体撤去や利活用を支援しているところでございます。さらに、平成二十八年度税制改正において、空き家の発生を抑制する観点から、相続により生じた古い空き家を除却等して譲渡した場合の所得税等の特例措置を創設したところでございます。

 引き続き空き家の解体撤去や利活用等の具体的取組を推進することが重要であり、今後とも、国土交通省としても、豪雪地帯を始め、全国の空き家対策について積極的に取組を進めてまいりたい、そのように考えております。

菊田分科員 済みません、ちょっと手元に数字がないんですけれども、全国で空き家がたしか八百二十万戸。この空き家対策特別措置法によって、地方自治体はいろいろな計画をつくって具体的な取組をやるということになっているんですけれども、実際には余り進んでいません。計画をつくっていない自治体もあります。何が理由だと思いますか。何が足りていないと思いますか。

簗大臣政務官 今御指摘の空家等対策計画につきましては、平成二十九年十月の一日時点で、四百四十七市区町村で策定済みでございます。これからも、鋭意、この計画の策定等も含めて、各自治体において空き家対策を強化していただきたいと考えておりますし、国としましても、こうした対策につながるように普及啓発等に努めてまいりたい、そのように考えております。

菊田分科員 ありがとうございました。通告していなかったので、ごめんなさい。でも、やはりこの豪雪地帯は特に早目にこういった取組をしていただけるように、ぜひ後押しをいただきたいというふうに思います。

 続きまして、首都圏の大雪についてお聞きしたいんですけれども、一月二十二日に首都圏の、大雪じゃないですね、降雪で五名の方がお亡くなりになりました。ほかにも、転倒などによるけがが多数発生をいたしましたし、交通網に影響が出たことで、渋谷駅ではひどい混乱状態が生じました。

 また週明けにもこの首都圏に雪が降るのではないかというような予測も出ておりますけれども、この一月二十二日の首都圏の降雪の被害及び生じた混乱の状況について、どのように認識しているのか、防災担当大臣に伺います。

小此木国務大臣 雪国と違いまして、やはり都市部での降雪というのは、わかっていても混乱を呼ぶものということだけに、やはり日ごろからの備え、認識というものが大切だということだと思いますが、特に一月二十二日の大雪の際には、駅への入場規制が行われた結果、混乱が生じた駅もあったと承知をしています。このような際に、鉄道の利用者に対して適時適切に情報提供を行うことは重要だと思います。

 今回の状況も踏まえ、国土交通省から鉄道事業者に対し、ホームページ等を利用し、利用者に対するリアルタイムな情報提供に積極的に取り組むよう指導がなされたものと承知をしています。

 大雪のおそれがある際に、私からも、国民の皆様に対し、鉄道の運行情報などに注意するよう呼びかけているところであり、今後も、記者会見、あるいは、先ほどから申し上げている関係省庁に集まっていただいている警戒会議、こういったところで適切に注意喚起に努めてまいりたいと思います。

菊田分科員 今大臣からもお話がありましたが、今後同様の混乱が生じないように再発防止を図ることが重要だと考えますし、再発防止に向けて、政府全体及び国土交通省の方はどのような取組になっているのか、お答えをいただきたいと思います。

簗大臣政務官 一月二十二日の大雪の際、首都圏の十四の鉄道事業者において、ホーム上の混雑による列車との接触や転落の危険を防止するため、十六時から十九時の時間帯を中心に、計六十一の駅で改札内への入場規制が実施されました。このため、多くの利用者が待機を余儀なくされたと認識をいたしております。

 国土交通省では、これまでも、各鉄道事業者に対し、改札の入場規制を行っている場合にはその旨を利用者へ情報提供を行うことなどを指導してきており、一月二十二日当日も、改めて、関東圏の鉄道事業者に対しその徹底を図っていたところでございます。

 一方で、入場規制を行った十四の事業者のうち、リアルタイムにその実施状況をホームページ等に掲載した事業者は四事業者であり、他の事業者は駅の構内放送や情報案内板を通じた情報提供にとどまったことから、実際の入場規制の状況を駅に来て初めて知ることとなった利用者も少なくなく、大規模な滞留の一要因となったものと認識をいたしております。

 このため、国土交通省では、一月二十九日付で、ホームページ等を活用してリアルタイムで情報発信を行うことを含め、引き続き利用者の行動判断に資する情報提供の充実に努めるよう、改めて全国の鉄道事業者への指導を行ったところでございます。

 国土交通省としましては、こうした混乱の発生を防ぐよう、各事業者に対し、引き続き利用者への情報提供を充実させるよう、指導を徹底してまいりたいと考えております。

菊田分科員 ありがとうございました。

 雪国は割と雪に対する経験とか備えというのがありますけれども、首都圏だと、雪になれていないということで、少しの、わずかな雪でも大混乱が起きてしまうわけでありますし、また、首都圏での混乱というものは、日本全体の経済社会全体に大きな影響を与える事態というのも起きかねないわけであります。ぜひ、そういったことに政府として、教訓を生かして再発防止に取り組んでいただきたいというふうに思います。

 時間が来ましたので、これで終わります。大臣、ありがとうございました。

渡辺主査 これにて菊田真紀子君の質疑は終了いたしました。

 次に、池田真紀君。

池田(真)分科員 立憲民主党の池田真紀です。

 災害は弱い者いじめと言われています。高齢者や障害者、そして移動困難な人たち、そういう方たちが犠牲になられる。そういう全ての人々が、災害があっても命が守られる、災害福祉の実現を願って、本日は質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず初めに、きのう打合せをさせていただいたときに、東日本大震災、そして熊本地震での災害関連死、障害者を含める数、占める割合を伺ったんですけれども、なかなか実数というものが上がっていないという話を伺いました。ぜひ、これにつきましては、障害者についてもきちんと調査をしていただきたい。今後の災害福祉制度を考えるために、ぜひこれはお願いを冒頭させていただきたいと思います。

 まず初めに、お伺いいたします。

 地震や津波においては、代替施設での避難生活ができるように、福祉施設が事業継続計画、BCPを作成することが重要というふうに考えております。内閣府におきましても、福祉施設の事業継続計画、BCPの策定の調査については、平成二十五年八月に公表をされているかと思います、ホームページでも公表されているかと思います。

 質問主意書で私の方は質問させていただきました。これ以降、探しても見当たらなかったので、これ以降調査をしているかどうかということでお伺いをしていましたけれども、それ以降調査はしていないという回答をいただきましたので、この場で、これ以降の調査が行われていないのかどうか、そして、もししていないのであれば、その理由はどうしてなのかをまず大臣にお伺いできればと思います。よろしくお願いします。

小此木国務大臣 お疲れさまでございます。

 内閣府におきまして、今おっしゃいました企業のBCPの普及を促進するため、BCPの策定状況について、広く一般の企業を対象とした調査と特定の分野に対象を限定した調査を毎年交互に実施しています。

 福祉施設のBCPについては、特定の分野に対象を限定した調査の中で、平成二十四年十月から二十五年二月に策定状況を調査しており、その結果、今おっしゃいました平成二十五年八月に、福祉施設の策定率を四・五%と公表したところであります。

 内閣府として、福祉施設のBCP策定を推進することは重要であろうかと考えております。今言われたように、なぜしないのかという時期もありましたが、今後の対応について関係省庁と連携をしてまいりたいと存じます。

池田(真)分科員 ありがとうございます。

 先ほど大臣がおっしゃいました四・五%というのが、二十五年の、策定していますよという福祉施設のBCPの策定率でございました。私も、ガイドライン策定に当たって、以前かかわらせていただいたときには、まだ一%にも満たないような状況でしたので、それを考えますと、この間の内閣府の取組ということがここまで来たなというふうに思っていたところでございました。

 ただ、二十五年の八月時点でも、BCPを知らなかったという割合が全体の四〇%なんです。小規模になればもっと割合がふえていく。策定をしているかしていないかだけではなくて、知らないという、その辺もすごく大きな要因というか課題かと思いますので、ぜひこの取組は引き続き続けていただきたいというふうに心からお願いをしたいと思います。

 次でございますけれども、高齢者と障害者の日常支援ということでは、介護保険ではケアプラン、そして障害者総合支援法では個別支援計画等が作成をされています。災害時の計画はどうなっているでしょうか。御担当の方、お願いします。

米澤政府参考人 お答え申し上げます。

 災害時にみずから避難することが困難な高齢者、障害者等の円滑かつ迅速な避難を確保するために、災害対策基本法では、避難行動要支援者名簿の作成を市町村に義務づけているところでございます。

 この名簿に基づきます避難支援の実効性を高めるために、内閣府におきましては、平成二十五年八月に、市町村向けの取組指針をお示しいたしまして、市町村に対し、要支援者ごとに個別の避難計画、すなわち個別計画と呼んでおりますが、これらを策定するように促しているところでございます。

池田(真)分科員 ありがとうございます。

 災害時の対応こそ、こういう個別の支援計画だけではなくて、地域包括ケアシステムという取組の中にも、ぜひ取り組んでいただきたい。災害時の対応を、導入をお願いできればというふうに思っています。当然、現場は、平常時で大変な現場でございますけれども、地域の中で解決をしていくというメッセージをぜひ発信していただき、その実現をお願いしたいと思います。

 そして、関連になりますけれども、消防庁にお聞きをしたいと思います。

 昨今、集合住宅や共同住宅、福祉施設等での火災、高齢者や障害者、入居者に対しての、犠牲になることが多々ございました。福祉施設と共同住宅などのスプリンクラーの設置基準についてお伺いできればと思います。

猿渡政府参考人 お答え申し上げます。

 消防法令におきますスプリンクラー設備の設置基準につきましては、利用者の方々の自力避難の困難性などに配慮して定められております。

 例えば、社会福祉施設におきましては、特別養護老人ホームや障害児入所施設などにおきましては、原則として、床面積、階数にかかわらず全て設置義務がございます。また、老人デイサービスセンターなどにおきましては、床面積六千平米以上のもの、又は十一階建て以上などの施設につきまして設置義務がございます。

 一方、共同住宅につきましては、十一階建て以上のものに、その十一階以上の階について設置義務があるというようなものでございます。

 なお、火災発生時の延焼を抑制する構造を特に有する場合には設置が免除される場合もございます。

 以上でございます。

池田(真)分科員 関連いたしまして、木造建築物密集市街地の安全性の確保として、防火対策を国交省の方にお伺いできればというふうに思います。

 加えてですけれども、空き家を活用した新たな住宅セーフティーネット、過去のものでいえば二〇一七年の十月施行ですとか、あるいは、これから建築基準法の一部を改正する法案に向けて検討されているかと思いますが、こういう空き家を活用したデイサービスやグループホーム、保育所や学童保育への活用を促進するに当たって、これらの災害対策についてどのようにお考えになっているか、現状をお伺いしたいと思います。

眞鍋政府参考人 お答えいたします。

 建築基準法におきましては、構造安全性、防火安全性などの観点から、建築物に関する最低限の基準を定めて、これを守っていただいております。これらのうち、構造安全性については、建物の用途によらず、地震などに対して安全な構造とすることを求める基準を定めておりますが、防火の安全性につきましては、利用者の数や、就寝、つまり寝泊まりをするかどうかという観点を踏まえて、建物の用途の特性に応じた避難の安全確保などを求める基準を定めております。

 このために、専ら高齢者などが利用するグループホームや多数の方が利用する共同住宅などは、防火安全性の基準において、通常の戸建て住宅とは異なる取扱いとなっております。

 具体的に申し上げますと、グループホームや共同住宅などにつきましては、防火上有効な間仕切り壁を設けることなどにより建物内の延焼を防止する措置を行うこと、あるいは、停電時の円滑な避難を確保するために非常用の照明装置を設けること、さらに、三階以上の階にこれらの用途がある場合には、柱やはり、これを主要構造部と言っておりますが、主要構造部を耐火構造とすることなどの基準を定めております。

 したがいまして、通常の戸建て住宅、例えば空き家の戸建て住宅からこうした用途への転用をする、用途の変更をするという場合につきましては、こうした今申し上げましたような基準に適合させるということが求められることになります。

 なお、先ほど議員が御指摘いただきました建築基準法の見直しに関してですが、去る二月の十六日に社会資本整備審議会から、今後の建築基準制度のあり方についてという答申をいただいております。この中には、早急に講ずべき施策の一つとして、安全性確保を前提とする規制の合理化ということについての提言が盛り込まれております。

 具体的には、戸建て住宅などの小規模な建築物、延べ面積が二百平米未満、三階建て以下のものでございますが、そうしたものを、特殊建築物、先ほど申し上げましたグループホームですとかそうしたものです、特殊建築物用途に供する場合について、就寝用途、寝泊まりする用途についても、迅速な避難を確保することを前提として、主要構造部の防耐火性能に係る規制を合理化する、このような内容が答申されております。

 私どもといたしましては、この答申を踏まえて、建築物の安全性確保を前提として、基準の合理化、この両方を、ともに両立する、こういうことに向けまして建築基準法の改正の検討を進めており、その改正案を今国会に上程すべく準備を進めております。

 また、先ほど議員から御指摘のありました木造密集市街地の改善についてでございますが、これにつきましては、私ども、地方公共団体に対する防災・安全交付金というような支援策、そのほか補助金もございますけれども、道路の整備、避難地となる公園の整備、建てかえの促進、あるいは耐震化、防火改修の推進、そうしたことに公共団体が取り組む場合に財政的な支援をする、こういうことで今まで進めてまいりました。

 さらに、この二月の十六日の審議会からの答申の中におきましても、木造密集市街地の整備改善を更に進めるための御提言もいただいておりますので、そうしたことも踏まえまして建築基準法の見直しの作業を進めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

池田(真)分科員 ありがとうございます。

 一昨年の八月の台風十号で、豪雨災害でグループホームで九名亡くなられるということがございましたけれども、その後、国交省の方で社会福祉施設対象の説明会をかなり積極的に実施をいたしまして、それで、水防法、そして土砂災害防止法を改正して、要配慮者利用施設に対して避難計画の策定を義務づけたということは、非常に私も高く評価をしておるところでございます。

 今後、今国会で提案されるようなところというのは、避難とか支援が非常に必要な方たちにもかかわらず、スタッフは非常に少ないような状況で、小規模になりますので、また、国交省さん、そして厚労省、内閣府の方から、ぜひ皆さん連携をとって対策を取り組んでいただきたいということを要望させていただきます。

 もう一点ですが、災害時要配慮者が避難するときに、一般の指定避難所に最初に行ってから、そこでトリアージを受けて、その後に福祉避難所に移送されるという、二段階で運用しているような自治体が多いかと思います。

 でも、これでは、要配慮者の負担が非常に多くなってきてしまい、体調が悪化するという例も実際多くございます。関連死を防ぐということも含めると、最初から近くの、日常通いなれた福祉施設等に避難をするというような運用といったものも、少し柔軟に検討を視野に入れていただきたいというふうに思っております。

 また、災害福祉が救助法の対象となっていないということもあって、福祉避難所を除いて実費弁償ができない。今後、法制度化をするということも、すぐには難しいかと思いますけれども、ぜひそういうことも検討の視野に入れていただくことをお願い申し上げたいと思います。

 災害福祉に関しては最後になりますが、二月の一日、今月ですけれども、未明の報道になります。一月の三十一日の午後十一時四十分ごろの通報というふうに伺っておりますが、北海道の札幌市で、集合住宅で十一名が亡くなるという火災が皆さんも御記憶に新しいかと思います。

 私も、そこへは訪問を何度もさせていただいて、中の様子は十分よく存じ上げているところでございますけれども、自治体が知らないはずのない生活保護受給者も多く暮らしていらっしゃいました。

 しかし、残念なのが、新聞報道を含めて、今調査をされているのが、未届けの有料老人ホームではなかったのかというようなことで、消防法から見た調査をもう一回されていたり、あるいは類似施設の調査がなされているというような状況でございます。

 しかし、地域も知っていた、私も知っていた、そして行政も知らないわけがない状況の中で、このような事故が起きるというのは、非常に私も憤りを感じているんですが、実際に札幌にも厚労省の方でも足を運んでいただいた、現地に行っていただいたというふうに伺っております。ぜひ、今回の火災をどう思われているのか、感想でも結構ですので、お伺いできればと思います。

大沼大臣政務官 お答えいたします。

 まず、先日の札幌市の集合住宅の火災では、十一名のとうとい命が失われました。改めて、亡くなられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、負傷された方々の一刻も早い回復をお祈り申し上げたいと思います。

 過去のさまざまな災害を含め、このような悲劇は決して繰り返してはならないと強く認識しております。特に、高齢者や障害者、低所得者など、支援を必要とする方々の生命、身体が災害等から適切に保護されるよう、関係機関が連携しつつ、防火安全体制の確認、また避難訓練の実施など、地域の中で防災対策、減災対策を強化していくことが重要であると考えております。

 厚生労働省としても、こうした地域の体制づくりが促進されるよう、関係府省と連携をとりつつ、必要な取組を講じてまいりたいと考えております。

池田(真)分科員 ありがとうございます。

 先ほどの札幌の例でいいますと、要介護の方が一名、そして要支援が一名ということで、決して、高齢者というか要介護者が非常に多い集合住宅だったというわけではないわけですよね。一般の高齢者、団地、アパートでは、もっともっと介護の必要な方が多いような実態もあるかと思いますので、そういうさまざまな住まいの問題というところ。あとは、低所得者の住居という問題についても、防災というのももちろんなんですけれども、防災から、ぜひ福祉や、さまざまな省庁の壁を取り払って、一体的な、本当に安心できる、住まいと命を守る対策を本腰で進めていただきたいというふうに思っております。

 さまざまな福祉の問題は厚労省かと思いますけれども、それに加えて内閣府の方でも、こういった取組を本当に前に進めていただくのは、内閣府の防災の方でぜひ力強くお願いをしたいと思うのですが、最後に一言だけ、防災の関係でお言葉をいただければ幸いです。

小此木国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。

 健常者についても支援は必要でありますけれども、やはり要配慮者、障害者、お年寄りの方々については、それ以上のいろいろな配慮が必要だと思います。

 まさに委員のような、地域で、現場で実際にお仕事をされてきたような方々の話も伺いながら、地域の事情を認識するために、把握するために、先ほどから申し上げておりますが、関係省庁と連携をしながら、警戒会議等々も持ちながら、情報を共有して、そういった方々がしっかりと、自助、共助でも、みずからを助くという意識も高まることができるように努力をしてまいる所存であります。

池田(真)分科員 ありがとうございます。

 次の質問に行かせていただきます。次は、女性活躍加速のための重点方針についてという項目になります。

 まず初めに、ワーク・ライフ・バランスという言葉がすぐに出てくるんですが、とりわけこの重点政策の方を幾つかぱらぱらと拝見をさせていただきますと、まず最初にテレワークを推進する事業がかなりございます。この事業、私も存じ上げておりますけれども、結構長らくこの取組は行っておりますが、政府が推進していくポイントというか、セールスポイントも含めて、これはどういうことなのかということと、また、事業評価を行っているかどうかということをお伺いしたいと思います。

成田政府参考人 テレワークにつきましては、働く方の業務の効率化や、育児や介護と仕事の両立、企業の生産性向上などに資するものであり、働き方改革や女性の活躍推進にもつながることから、関係府省で連携してこの普及を図っているところでございます。

 厚生労働省では、テレワークを普及させるために、企業などの好事例集を活用するとともに、働く方に向けたテレワークの活用方法を周知するイベントなどを開催しているところでございます。

 こうした取組を通じまして、働く女性も含め、テレワークの活用を希望される方や企業に対する支援を引き続き行うことで、この普及を進めていきたいというふうに考えております。

池田(真)分科員 一方で、学び直しや母子家庭就労支援という項目もありますけれども、こちらについても、簡単で結構なんですが、事業のPRといいますか、お聞きをしたいと思います。

成田政府参考人 子育てを一人で担い、生活上の困難に陥りやすい一人親家庭など、困難な状況に置かれた女性が安心して生活できるように支援を行うことは重要であると考えております。

 このため、御指摘の女性活躍加速のための重点方針におきましては、平成二十七年十二月に子どもの貧困対策会議で決定した、すくすくサポート・プロジェクトのひとり親家庭・多子世帯等自立応援プロジェクトを着実に実施することとしております。

 具体的には、自治体の相談窓口のワンストップ化の推進、学習支援等を行うことが可能な居場所づくりの推進、看護師等の資格の取得を促進するための給付金の充実、一人親家庭等への保育料軽減の強化などの総合的な支援を行っているところでございます。

 また、生活困窮世帯の子供の学習支援としては、今国会に提出中の生活困窮者自立支援法改正案におきまして、現行の子どもの学習支援事業を強化し、生活習慣、育成環境改善のための取組や進路選択等に関する支援を事業内容として追加し、子どもの学習・生活支援事業とするとともに、あわせて、高校中退者など、高校生世代や小学生に対する支援の強化を図ることとしております。

 厚生労働省といたしましては、こうした取組を着実に進め、一人親家庭の自立の推進や子供の貧困の問題の解決に全力で取り組んでまいりたいと考えております。

池田(真)分科員 順不同になりますが、まとめてお答えいただいたので、私もまとめてお話しさせていただきたいと思います。

 まず、先ほどの在宅就労についてなんですけれども、平成二十六年の八月に、ひとり親家庭等の在宅就業支援事業評価検討会報告書がございます。こちらについて、どちらかといいますと、一人親家庭への支援のあり方の中で在宅就業支援といったものにこの間もずっと力を入れてきていると。

 ただ、これを見ますと、もちろん、これも皆さんも推測されるところで、もう重々承知をされているかとは思いますけれども、ほぼ、母子家庭が八割を超えているんですね、八五%の方。訓練参加者、父子家庭は一・九%、そしてその他は六・九%というような方の在宅就業支援事業の利用率になっています。

 これにかかわる費用が、百七十億円の執行がこの間行われたんですが、それに関して、受講した方々が、実際に在宅業務に従事する方々、者と書いてありますけれども、平均収入の月額というのが一万六千三百六十七円なんです。最低が七百円で、最高が六万八千五百円。また、これは一つ大きいんですが、五千円以下の者と書いてありまして、五千円以下の方が全体の五九・三%を占めている。

 そもそも、一人親が在宅就業でなければいけないかどうか、その最初の入り口の支援が間違っているんじゃないかとは思っています。一人親家庭は、やはり安心できて就労していく。子育て支援、保育の確保。さらには、そういう環境整備ももちろんですけれども、収入、その金額が必要なんですね。

 ですから、そもそもマッチングといいますか、一人親家庭は、家にいて、そして少額でというのは、ちょっとマッチングというか、入り口をもう一度、これは評価をしていただいた方がよろしいかなと思います。

 この働き方を望んでいる方々もたくさんいますから、もしかしたら入り口でマッチングが、もう少し若い方たち、あるいはサイドビジネスというような方たち、マッチングの、地方で働くスタイルとか、そういう意味では、企業でのニーズもありますので、在宅就業といったものに対しての就業支援、あるいは一人親の支援ということであれば、もう一度調査をし直していただきたいというふうに私は思います。

 そして、すくすくサポートの部分でいえば、職業訓練等は、私は、この間、同じような環境の中で一緒に同じ方向を目指すということで非常にいい取組だと思いますので、民間任せにせず、公立、都道府県直営でやるような取組も引き続きお願いをしたいというふうに思います。

 また、今の女性活躍加速のためのというところで、子供の貧困という言葉が出てまいりました、学習支援。でも、貧困対策であれば、そもそもの、貧困とは何かといったところで、今回の生活保護基準の見直し、それによって、非常に私は憤りを感じているところであります。

 これを十分に国会で審議をするような時間もないというか機会もないというのが現在の状況でありますから、それにかわるものとして、基準部会がありますけれども、この基準部会の報告書、皆さんも御存じだと思いますけれども、委員の方たちからも、最低生活の保障をしていく水準についてもう一度検討し直すべきだ、五年前から同じことを言っているけれども、今回も同じだったというような声が聞かれる中で、多くの意見があって、報告書にもその懸念は記されているかと思います。

 にもかかわらず、今回、全世帯では六割が下がって、そして母子世帯では四割が下がる。一般が下がっているからといいながら、一般の母子世帯、子供を抱えている方々が苦しい生活を強いられている統計もあるわけですから、決してこの子供の貧困対策というものを軽々しく、こういう女性活躍加速というようなところで、ふわっとしたところでの事業でやっているようなポーズというのはいかがなものかと思います。

 本気でこういう貧困対策を行うのであれば、真正面から、厚生労働省、幼児教育が必要だということであれば、生活保護の受給者や一人親家庭、全ての子供たちが真に幼いころから教育を受けられ、そして高等教育まで進める、夢を描けていくというような取組に真に向けていただきたいというふうに思っています。

 この加算の問題あるいはこれら生活扶助基準の問題につきましては、審議する機会がございませんでしたので、引き続き法案の中身ということで、厚生労働委員会の方では私も質問をさせていただきたいとは思っておりますが、女性活躍加速のために貧困対策を取り組むのであれば、ぜひ連動して、本気の取組をお願いしたいと思います。

 最後に、あと一分だけ、ごめんなさい。性犯罪の問題です。

 性暴力対策について、ワンストップセンターの全国設置という取組で、今回についても予算額が増額になっているかと思いますが、これは箇所をふやすのか、それとも中身をふやすのか。あるいは、新たな取組があったら教えていただきたいと思います。

武川政府参考人 ワンストップ支援センターでございますけれども、被害の直後から、医療面、心理面などの支援を可能な限り一カ所で提供するものとして、現在、四十一都道府県で設置されておりまして、これを全都道府県に設置するということを目標に予算額を要求しているところでございます。

 また、中身も、その安定的運営に関する支援を更に充実させるということで増額をお願いしております。

池田(真)分科員 ありがとうございます。

 ワンストップセンターというのが実はいろいろなところにできているんですね、今。生活困窮者自立支援法もそうですし、いろいろなところでワンストップができてしまって、本当にそこがワンストップになっているのか、もう一度検証していただきたいと思います。

 でも、本当に、今そちらの方で取り組まれているワンストップというのは、総合的に、すぐに緊急に取り組めることでありますし、例えば生活困窮者自立支援法に基づく相談支援事業所とも連携を共有しながら、本当にすぐに必要な処置がこの問題は大きいですから、ぜひ見送ることなく、時間を置くことなく対処できる体制に取り組んでいただきたいというふうに思います。

 もちろん、性被害、性犯罪については、十年先、二十年先、引きずる課題がございますので、それについてはまた別途の対策が必要だと思いますが、ぜひそこにも力を入れていただきたいということを最後にお願いを申し上げまして、たくさんの皆さんにお集まりいただきましたけれども、また引き続きこれからもお願いをしたいと思います。

 どうもありがとうございました。

渡辺主査 これにて池田真紀君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

渡辺主査 次に、警察庁について質疑の申出がありますので、順次これを許します。岡本充功君。

岡本(充)分科員 希望の党の岡本です。

 きょうは、警察庁に質問をする機会をいただきました。主には交通安全のことについて質問したいと思います。

 道路交通法にはどう書いてあるかというと、第一条に、「この法律は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする。」こう書いてあるわけです。

 したがって、やはり危険を防止するという観点での警察の取組というのは大いに行っていく必要があると思う一方で、よく私も地元でも聞く話なんですが、これは点数稼ぎじゃないかという声は聞くわけですね。本当にここは危険なのかという声も聞くわけでありまして、そういう意味で、国民の皆さんやドライバーの皆さんから点数稼ぎと思われるような取締りをするべきではないと私は考えるんですが、まず大臣、その点についてはどう思われますか。

小此木国務大臣 そういう思いを国民の皆さんが、議員も感じておられるということでありますから、議員は代表される方ですから、そういう気持ちを持っておられる方々もおられますけれども、点数稼ぎという気持ちは警察当局にないと思います。

 現実に、交通事故の死者ですとかそういった数が年々減っているということを感じますと、いろいろなところに目を行き届かせるという努力がそこにはあったものと承知いたしますけれども、今御指摘をされたお話というのも改めて認識をしながら、まず安全第一ということをしっかりと頭の中に入れ、国家公安委員会委員長といたしましては指導してまいりたいと思います。

岡本(充)分科員 後ほどお話をしますけれども、やはり安全だということの観点でいえば、本来、矛盾があることはおかしいんです。安全対策というのは、こうだから安全だというのは、安全対策がとられていれば安全だ、それはそうでしょう。しかし、矛盾しているものが私は多くあると思います。

 例えば、最後にちょっとお話をしますが、車両運送法の車両の要件で、シートベルトの着用についても最後にちょっと大きく取り上げたいと思いますが、その前に、例えば、携帯の画面は見てはいけないけれども、ナビゲーションの画面は見ていい。携帯電話を手に持っていることはいけないけれども、駐車場のリモコンを手に持っていることは許される。手放し運転をしていることには変わらないわけでありまして、そういう意味では、それも取り締まるべきなのか。それとも、ただ単に手に持っているだけだったら、それはさすがに、それまで取締りの対象にするのかということを言われると、本当にそれが現に危険な行為につながっているのかどうかをやはり確認するべきであって、持っているからすぐアウトだとか、例えばそういう外形性だけを判断して、それで取り締まることはちょっとどうかと思うんですけれども、どう思われますか、大臣。

小此木国務大臣 ですから、今申し上げたように、いろいろな角度から話ができると思います。

 自慢をするわけではありませんけれども、確実に死者の数が減っているということは一つ事実だと思いますし、今、有権者を代表される議員が主張されるということ、多くの方々もそのように矛盾を感じているという意見も出てきているんだと思います。あるいは、いろいろな、生活が便利になってくる、携帯電話がなかった二十年前と今の事情も違うと思います。

 そういったことも含めまして、安全第一という気持ちから警察を指導してまいりたい、このことを申し上げました。

岡本(充)分科員 飲酒運転を厳しく取り締まるということは私も大いに賛成ですよ。やはり飲酒運転はしっかり取り締まるべきだと思います。一方で、今お話をさせていただいたように、矛盾をするようなものがあるのであれば、やはりもう一度整理をする必要があるんじゃないかと言っているわけです。

 繰り返しますけれども、ナビゲーションを見ていてもいいけれども、携帯電話は見ちゃいけない。携帯にナビもついていますね、今どき。携帯電話でナビを、置いて見ている分には許されるんですかとかいう話になってくると、これは整理をしないといけないんじゃないか。携帯の別の画面を見ていたらだめだけれども、ナビゲーションのセットだったらオーケーだとかいうんだったら、これは本当に矛盾しているんですよ。一回ちょっと整理をするように指導してみてはいかがですか、大臣。

小此木国務大臣 繰り返しになって恐縮ですが、二十年前に携帯電話というものがなかった時代と……(岡本(充)分科員「いや、あるにはあったけれども、スマホはなかった」と呼ぶ)今のようにですね、その今と、やはり考え方も違うと思います。整理もこの二十年の中でされていると思います。

 議員がおっしゃるように、その認識の方も多数いらっしゃるということも私たちは認識しておりますので、そういったことも含めて警察を指導してまいりたいと思います。整理をするということも含めて指導をしてまいりたいと思います。

岡本(充)分科員 ぜひお願いしたいと思います。大きいのは、最後にお話をするシートベルトの件でありますけれども、そういう意味で、まず整理をするということ。

 それからもう一つは、取り締まるだけではなくて、警告という仕組みを使って、警告をしていってはいかがか。

 警告の件数をこれまで把握をしていないと、警察庁はきのうの事前の説明でお話をされていましたが、例えば職務質問をした件数などはカウントをすることができるわけですから、当然、警察が警告をした運転手はどういうような運転手で、どういう行為に対して注意をした、警告をしたのかということを統計をとっていくことで、傾向と対策ではないですけれども、さらなる交通安全の充実が図れる。

 取り締まったところだけ挙げていくと、点数稼ぎじゃないかと言われるので、警告をするということをきちっとカウントしていく、そして統計上示していくというお考えについてはいかがでしょうか。事務方で結構です。

桝田政府参考人 まず、取締りの現在の考え方を御説明しますと、交通指導取締りに当たりましては、交通事故の発生実態等を踏まえまして、悪質性、危険性、迷惑性の高い違反に重点を置いて取締りをしているところであります。また、悪質性等の高くない違反につきましては、現場において注意でありますとか警告を行っておりまして、今後とも、この両者を効果的に活用しながら、交通指導取締り活動というのを推進していきたいと考えております。

 今の御質問にありました、現場における注意ですとか警告に関する統計の関係でございますけれども、御指摘のとおり、現在、取締り件数に関しましては統計をとってございますけれども、現場におけます注意でありますとか警告につきましては統計はとっていないところでございます。

 これはやはり、警察官によりますこうした活動、現場における注意や警告という活動は日常的に行われているものでございまして、これを網羅的に把握いたしまして正確な統計をとることは困難であるという事情に基づくものでございますので、ぜひ御理解を賜りたいと存じます。

岡本(充)分科員 という答弁が事務方のです。

 そこで大臣に伺うんですけれども、網羅的に調べることは難しいといっても、現に職務質問等で容疑者を摘発するということもあるんでしょうし、いろいろな日ごろの活動の中で、警察が行っている日常活動がさらなる防犯につながっているということもあるでしょう。

 どういうことが交通違反になり得る、若しくは危険に直結するのかということを示す意味でも、取り締まっている件数だけ公表するというと取締りの話にやはり集中するという話になるけれども、注意や警告というものを通じて、国民に今、交通安全に対してどういう啓蒙活動をとっていくかという重要なアイデアを得られるわけですから、そういう意味では、統計がとれないというのは事務方の説明であって、今お話をしましたように、質問した者の数だって統計をとれるわけですから、これは統計をとるように工夫してみられたらいかがですか。

 大臣、そこはアイデアの使いどころですから、ぜひ検討してみたいというぐらいのことはお答えいただけませんか。それとも、一律に、できないと、事務方と同じ答弁をされるか。ここは政治家としての判断ですよ。

小此木国務大臣 議員のおっしゃることは理解をいたしますけれども、今事務方の答弁のとおりということが現実的なものであると思います。

 警察官による今の注意、警告というものは日常的に行われているものであり、網羅的に把握をして正確な統計をとることは困難であるというのが今の答弁でありましたけれども、これは現実的なところだと私自身も思いますけれども、今議員のおっしゃったことは私としても受けとめて、認識をしたいと思います。

岡本(充)分科員 残念ですね。

 正確にというのはどこまで正確にかは別として、統計をとる、どういう傾向があるのか、傾向と対策を立てるという意味では、極めて私は効果は高いと思いますよ。したがって、実際にドライバーを呼びとめた件数だけだって、降車してドライバーと会話をした、警察官が現に降車をしてドライバーに話しかけた、この件数だけでも私はとれると思いますよ。

 それは、事務方が言っている、網羅的にとか言っていますけれども、定義をちゃんと置けばいいんです。それを検討してみてくださいと言っているんです。できるかできないかは別として、一回検討されるだけでもいいじゃないですか。検討してみられたらいかがですか。

小此木国務大臣 繰り返しになりますが、今の議員のお話を受けとめさせていただきます。

岡本(充)分科員 結局そうやって、大臣、取締り以外の方法で国民の今の交通安全に係る課題が浮き彫りにならないというこの現状、やはり取り締まるしかないんですよ、そうすると。そうすると、取締り第一主義になりますよ、どうしても。

 警告とか注意でどういうような案件があったのか。つまり、取締りは減ってきているけれども、警告、注意はふえてきているという状況なのか。これは結局、取締りしかデータがないということに、私はやはり、これからのさまざまな交通安全行政にかかわる政策立案に幅ができないと思います、これだと。

 だから、そういう意味で、くどいようですけれども、受けとめさせていただきますという話ですけれども、それは検討することを含めて受けとめさせていただく、こういうことでよろしいんですよね、大臣。

小此木国務大臣 今以上のことは申しませんけれども、私として、私は国家公安委員会委員長でございますので、警察を指導する立場として、議員のお話を受けとめさせていただきましたということでございます。

岡本(充)分科員 やはりこれは、交通安全にかかわる課題とはいっても、国民の皆さんから疑念を持たれるような、こんなところで取り締まっていて何の意味があるのかとか、もっと言えば、このくらいのことで取り締まることなのかとか。

 例えば、私、思いますよ、本当に。きのうも議論していたんです。例えば、一センチでも、Uターンをするために一方通行の道のところにちょっと入ってしまったということでも、これは違反は違反ですから、取締りの対象です、取締りですと言ったら、いやいや、今Uターンしていたところで、ちょっとはみ出しただけじゃないのと言う人もいるでしょう。細い道で、なかなか方向指示器が出し切らぬような道もあるでしょう。方向指示器を二回出さないとクランクはいけないんですか。例えばそういう話になったときに、出さなかったらそれは出さなかったで、捕まえる対象には、それは警察としては取締りの対象になるかもしれないけれども、一般市民からすれば、これで取り締まるのという声はやはり出てくると思いますよ。

 そういう意味で、柔軟に対応するということは、これはやはりあるべきじゃないかと思うんですけれども、その点については、大臣、どう思われますか。

小此木国務大臣 今のお話については、私も選挙区がありますから、選挙区に帰れば同じような話を聞く場合もありますし、記憶の薄いところで、私自身もそのような経験がドライバーとしてあるのかもしれません。

 現実的なところは、先ほどから申し上げているように、私自身も、ある意味では、選挙区を持つ立場として受けとめている。国家公安委員会委員長としても、今度は警察を指導する立場でありますから、安全第一を念頭に置いて受けとめさせていただくということから、重ねさせていただいております。

岡本(充)分科員 受けとめてどうするかが、これは国会じゃないですか。意見の言いっ放しの会じゃないんですよ。どうしていくかということをやはり大臣に言ってもらわないと、受けとめさせていただきます、受けとめさせていただきますと言っていると、受けとめて、大臣が受けとめる会だったら、一方的に私が語る会でいいんですよ、これは。そうじゃないんですよ。

 大臣に答弁を求めているということは、どういうアクションを起こすかということを私は聞いているのであって、そういう意味では、アクションとして起こすべきは、そういう声を踏まえて、やはり取締りのあり方はどうあるべきなのか、これまでも何回か、警察庁、見直しについて通達を出しているようですよ。そういう意味では、検討していくこと自体は決しておかしな話ではないし、検討するぐらいのことは答弁してもらえるのが私は普通かなと思ったんですよ。

 ここまでかたくなに、受けとめるだけの話だとすると、私は、それではやはり、国民の皆さんは常にびくびくして暮らしていかなきゃいけない。ちょっと一ミリでも、一センチでも、一通の道にUターンする途中で入っちゃったといったら、すぐ取締りだという話ではないと思うんですよね。

 アローアンスが若干あるんだということをやはり警察自身も認識をしながら、一般市民だって、悪意のあることであれば、それは捕まえるべきですよ。悪意があったり、故意だとか悪質性が高いもの、それはそうでしょう。でも、そうではなくて、本当に善意というか、過失、うっかりだったとか、どうしてもちょっとそこにはみ出してしまったとかいう話のときに、それを全部取り締まるのかといったら、やはりそれは違うんじゃないかということを私は言っているわけで、受けとめるだけではなくて、やはりアクションとしてどうされるのか、ぜひお答えいただきたい。

小此木国務大臣 繰り返しになりますけれども、国家公安委員会委員長として受けとめるということは、アクションを何も起こさないというわけじゃないんです。

 個別の案件そのものを、私が今正確に把握しているわけじゃない。実態があると思うんですね。そういったことも把握をしなきゃならないという中で、今、それを超えるような話ができないということでありまして、私自身も同じようなことを聞いている、選挙区を持つ者として、そういうこともありますので、その意味を含めて実態を把握するためにも、私は今、自分の中で受けとめさせていただくということです。(岡本(充)分科員「アクションを起こすということですね」と呼ぶ)何もしないというわけじゃありません。

岡本(充)分科員 ということで、アクションを起こしていただけるということですから、それは大いに期待をしたいと思います。

 その上で、私、やはりいろいろな問題意識も一方で持っていて、先ほどの話で、飲酒運転もそうです。飲酒運転も、実は、きょうはちょっと通告していないから意見だけ言っておきますけれども、あれはもうちょっと客観的に、酔いがさめたかどうかがはっきりわかるような何か仕組みを導入されたらどうかと思うんですね。これは意見です、答弁を用意していないでしょうから。

 何時間たったら運転できるのかというのがちょっとわからないという声もあって、私の選挙区でも、聞いた話ですけれども、どのぐらい飲酒されたか知りませんけれども、法事の後に、一晩明けて、車を朝運転しようと思ったら捕まったという話を聞いたこともあります。そういう意味で、夜、法事をして、どのくらい飲んだんだか知りませんけれども、すごく飲んだんでしょう、きっと。ただ、本人がやはり認識して、一晩寝たらいいかなと思って運転してみたら捕まった。

 それは、現に、機械があるわけですから、その機械がどういうふうに使えるのかわかりませんけれども、これも検討課題だなという気はします。先ほどの話で、善意で、もう酔いがさめただろうと本人が思っても、機械でひっかかるということがあるわけですから。これもちょっと指摘しておいた上で。

 もう一つ、私、最近すごく思うことが、私、いろいろな会社の産業医をやっているんですけれども、会社の健診で、片目が全然見えていなくて、全然と言ったら語弊があります、例えば、片目が〇・〇一とか〇・〇三、片目が一・〇みたいな人がいるんですよ。この方だと運転免許は更新できないんですか、それともできるんですかね。どうですか。

桝田政府参考人 お答えいたします。

 例えば、普通免許でありましたら、現在の視力検査の合格基準はどうなっているかと申しますと、両眼で〇・七、そして片目でそれぞれ〇・三以上であるか、あるいは片目の視力が〇・三に満たない場合は、他眼の視野が百五十度以上で視力が〇・七以上であるということが合格の要件となってございます。

岡本(充)分科員 つまり、片目が一・〇で、片目が〇・〇一で通るんですよね、理屈上、視野がちゃんとあれば。

 これは、両眼が見えていなきゃ遠近感がつかめないと思うんですよ。片目をつぶって運転するのと一緒とは言いませんけれども、片目で実質見ている話になりますから。きちっと矯正をやはりこれは求めるべきじゃないかなと私は思うんです。

 私も、その会社の検査の結果を見て、当該従業員の方を呼んで、どうなのという話をすると、いや、もう実質片目で運転していますとはっきり言われる方もいらっしゃる。

 それから、聴力。聴力も、実質的に、運転免許試験場での窓口での会話をもとに、聞こえているかどうか判断していますという話でしたが、これも、片耳が聞こえていなければ、どっちから聞こえているかわからない話になるわけですね。それを言い始めたら、運転できる人が限られるんじゃないかという話がありますが、例えば、それだって、補聴器という方法があるかもしれないし。

 そういう意味で、一方で、安全対策のためにとらなければならない課題、免許を取るためにどういうことが必要なのか、これは、認知症の問題もきょう取り上げようと思っていましたけれども、認知症の問題もそうです。

 先ほどの話じゃないけれども、運転者本人が、事故を起こす蓋然性が高いということを認識しないまま運転をして、結果として事故につながるということはやはり防いでいくというのが、更に交通事故を減らしていく重要なキーなんじゃないかと思っていまして、そういう意味で、これはちょっと検討されたらいかがですか。この場で答えられないと思うんですが、事務方、どうですか。検討してもらえますか。

桝田政府参考人 お尋ねの認知症対策につきましては、認知症対策の強化等を内容といたします改正道路交通法が昨年の三月に施行されまして、御承知かもしれませんが、七十五歳以上の高齢運転者は、更新時に加えまして一定の違反行為があった場合には、認知機能検査の受検というのが義務づけられております。

 また、その認知機能検査におきまして認知症のおそれがあると判定された場合には、医師の診断を受けなければならないということに現在はなってございます。

 引き続き、こういった仕組みをしっかりと運用いたしまして、高齢者の交通事故防止ということに努めてまいりたいと考えているところでございます。(岡本(充)分科員「視力と聴力は」と呼ぶ)

 視力と聴力につきましては、先ほど視力については合格基準を御説明いたしましたし、聴力につきましても、先ほど委員からもございましたけれども、お声をかけてみて反応がない場合は、今度はしっかりとした検査を行うという形で今運用しているところでございます。

 そういうお声があるということを踏まえながら、適切に運用できるように引き続き努めてまいりたいと考えております。

岡本(充)分科員 なかなか事務方では、検討しますと言いづらいかもしれない。

 大臣、運転免許を更新して、例えば、三年間有効の運転免許証をもらいましたという話の中で、高齢者の三年間というのは、やはりいろいろな病気も起こる可能性もあるし、今の話で、認知症が軽度の場合には、指摘できないまま、三年後には認知症が進んでいるという方もいらっしゃると思います。

 だからといって、高齢者の運転を妨げようということではないですが、やはり安全に運転してもらうための工夫というのは今のままでいいのかということについて、これは、今の、肉体的な面で、視力、聴力もそうです。やはりどうあるべきなのかというのは、これまで大きく見直したことはないと思いますから、一度お考えになられてみてはいかがかと思うんですけれども、これも検討していただけませんでしょうか。

 ここで、こうしますと答えられないのはわかります。ちょっと考えてみたいと思いますぐらいは言えるんじゃないですか。

小此木国務大臣 意地を張って言い合っているわけじゃないと思います、お互い政治家同士ですから。有識者あるいは専門家の中でもそういったことは論じられていると思いますし、私もちょっと、軽い気持ちで言ったわけじゃありませんけれども、この前、記者会見で、家族の皆さん、お年寄りのお子さんやあるいはお孫さんが、例えば、おじいさんに当たられる方に、おじいちゃん、運転、気をつけた方がいいんじゃないのと、もっと家族の中で声をかけるということも必要でしょうということを発信もいたしました。

 検討する、しないとかじゃなくて、常にそういったことは頭の中に入れて指導していくというのが私の姿勢でありますので、きょうは重要なことをおっしゃっていただいたと私は認識しておりますので、御理解をいただきたいと思います。

岡本(充)分科員 先ほどの話でいえば、アクションしないというわけではないということだという理解を……(小此木国務大臣「もちろんです」と呼ぶ)もちろんだと言っていただきました。

 さて、ちょっと遅くなりましたけれども、シートベルトの話ですけれども、二年前に私はこの分科会で取り上げて、当時の国家公安委員長からも御答弁いただいているんですが、議事録にもありますように、当時、シートベルトがなくても高速道路を走れる車があるじゃないかという話をしました。それで、保安基準を緩和するんだと、国交省からの説明も受けました。

 ただ、百キロで走れる高速道路で、六十キロで走っていることを前提に保安基準を解除するということでありますが、片一方で、観光バスはシートベルトをしなければならないというふうになっていて、これは取締りの対象です。

 警察庁のホームページを見ると、こう書いてあります。車内で全身を強打する可能性があるから、後部座席のシートベルトは着用しましょう、「事故の衝撃で、あなたはすさまじい力で前席や天井、ドア等にたたきつけられることになります。仮に、時速六十キロメートルで進んでいる車が壁等に激突した場合、高さ十四メートルのビルから落ちるのと同じ衝撃を受けます。」と書いています。

 つまり、六十キロで走っている車でシートベルトをしていなかったら、前に飛んでいって、十四メートルから落ちるのと一緒ですよ、こう警察庁は書いているけれども、当時も、議事録でいいますと、路線バスの一番後ろの座席は、前まで大体何もないですね。そして、そこに子供さんが座っていて、六十キロで走っていて、シートベルトをしていなかったら、すっ飛んでいくのは目に見えています。

 もっと言えば、警察の取締りは、では、今の違反点数、高速道路では後部座席のシートベルトをしなければ一点とりますよという取締りです。しかし、一般道では一点の減点にはなりませんよ、こういう話です。これは正しいですね。うなずいていただいています。

 ところが、高速道路で、では、僕は六十キロで走りますからといったって、高速道路を走っていれば、ほかの車が高速で走っている可能性もあり、危険性があるんだから、幾ら、高速道路といえども六十キロでしか走りませんというステッカーを張ったところで、実際、六十キロでしか走っていなかったといっても、高速道路を走っているということをもってして取締りの対象ですと警察庁は言っている一方で、国土交通省は、いや、そうじゃありません、六十キロというステッカーを張っていれば、シートベルトなしで走っている車を許すんです、こういう話なんです。

 これはダブルスタンダードじゃないか、こういうことを前回取り上げて、当時の国家公安委員長からも、少しいろいろな観点から確認をして御報告申し上げますという話になっていたんですが、一体これはどういうことになったのかということについて、ちょっと説明を国交省からいただきたいと思います。

簗大臣政務官 今、以前に御質問をいただいたときの回答をめぐっての御質問がございましたが、警察庁とは鋭意相談をして、安全の担保に向けての取組を行っておるところでございます。

 国交省としての考え方としましては、この保安基準の緩和に当たっては制限事項を課す、すなわち、走行速度時速六十キロメートル以下とすること、速度警報装置を設置すること、さらには、周囲の交通からわかるように、バスの前面及び後面に時速六十キロメートル以下で運行する旨を表示すること、また、運行記録計を設置すること、こういった制限を付すことにより安全性を担保した上で、シートベルトの設置義務などの適用を除外している、そういう状況にあります。こうした厳格な速度管理をしているので安全性を担保している、そのように考えております。

 また、路線バスが高速道路を走行する場合には、引き続き、地方運輸局において、その必要性等を踏まえて十分に審査をしていくこととしておりまして、この安全性の担保については、実態を踏まえながら、必要に応じ、引き続き警察庁と連携するなどして適切に対応してまいりたい、そのように考えております。

岡本(充)分科員 そういう答弁になるだろうと今言ったわけですよ。六十キロのステッカーを張って、六十キロでしか走りませんというリミッターをつけておけば、では、高速道路を走る車だって、後部座席のシートベルトをせずに走っていたら取り締まらないんですかといったら、取り締まるんですよ、警察は。百キロの道路を走っていたら、もうその時点で。そうですよね。

桝田政府参考人 お答えいたします。

 シートベルトのない座席を有する路線バス用の車両を使用いたしまして高速道路を走行する場合には、今国土交通省からの御説明がございましたように、安全性を担保した上で、シートベルトの設置義務についての保安基準の緩和を行うことができるものと承知しています。

 そのような緩和を受けた路線バス用の車両を走行させている場合は、乗客の皆さんがシートベルトを着用しないことは道路交通法上問題にはならないと考えてございます。

岡本(充)分科員 ちょっと答弁がかみ合っていないです。普通乗用車だったら取り締まるんでしょうと言っているの。普通乗用車で後部座席のシートベルトをしていなかったら、百キロ道路を六十キロで走っていたって取り締まるんでしょう。取り締まるんですよ。大臣、後で確認してください。これ、ダブルスタンダードになっていますよと言っているわけです。

 百キロの道路を走っていたら、もうその蓋然性だけをもって、後部座席のシートベルトをしていないことを警察は取り締まると言っている一方で、一方で車両運送法の世界で、基準緩和だといって、百キロの道路を六十キロで走りますというステッカーなどを張るなどしていればシートベルトを免除している、こういう話です。

 したがって、私は、危険性があることで後部座席のシートベルトの着用を義務化しているのであれば、路線バスといえどもやはり高速道路を走る以上は同じような状況にしなければ、これは安全性という観点でどちらかに問題はあると思いますよ。

 大臣、これはぜひ、前回も検討すると言われて、その後は進んでいないようなので、もう一回、検討もぜひお願いしたいと思います。最後にお願いします。

小此木国務大臣 適切に指導してまいりたいと思います。

 国土交通省によれば、昨日、二月二十二日現在までで、基準緩和認定を受けている路線バスによる高速道路の死傷事故の把握はないというのが現実のところであります。

 しかしながら、高速道路を走行する車両の事故防止は重要な課題であることから、お尋ねの高速道路を走行する路線バス、この車両についても、今後の実態を見ながら、必要に応じ、国土交通省と連携するなどして適切に対応、また指導をしてまいりたいと思います。

岡本(充)分科員 時間になりましたから終わりますけれども、ダブルスタンダードはまずいと思いますよ。

 よろしくお願いします。

渡辺主査 これにて岡本充功君の質疑は終了いたしました。

 次に、古田圭一君。

古田分科員 自由民主党、中国ブロック比例の古田圭一でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、山口県の下関市で指定自動車教習所を設置している学校法人の理事長を務めておりまして、その関係で、きょうは、指定自動車教習所の関係者からいろいろ聞いた要望、意見等も含めて質問させていただきたいというふうに思います。

 昨年の十二月に、自由民主党政務調査会交通安全対策特別委員会、それと指定自動車教習所を応援する議員連盟で、小此木国家公安委員長のところに「指定自動車教習所を取巻く環境を整備し、安心安全な車社会構築を目指す決議文」をお渡しに行きました。その内容を含めて、主に自動車の運転免許にかかわることについて質問させていただきます。

 まず、指定自動車教習所は、昭和三十五年にその制度が施行されて以来、優良ドライバーを育成することで交通安全に寄与してまいりました。安心で安全な車社会を目指すには、地域の交通安全教育センターとして重要な役割を担っている指定自動車教習所がその役割をきちんと果たすことが重要であります。

 しかしながら、少子高齢化や若者の車離れで新規免許取得者が減少し、この十年で百カ所程度の教習所が閉鎖をしております。指定自動車教習所を取り巻く環境は大変厳しいものがありまして、地域の交通安全教育センターとしての重要な役割を果たすためには、経営基盤をしっかりしたものにしなければなりません。

 また、高齢化が進み、高齢者の交通事故の割合が増加している状況で、高齢者に対する交通安全対策も喫緊の課題となっておりますので、このことについても後ほどお伺いしたいと思っております。

 まず最初の質問なんですけれども、高齢者講習についてです。

 地方では、高齢化が進み、新たに免許を取得する人が少ない一方、高齢者が多く、高齢者講習をしなければならないけれども、高齢者講習が主体で新規免許取得者が少ないような状況では採算が合わないということで、教習所を存続させることができないという声も聞いております。単純に計算しても、年間千人くらいの高齢者講習を実施しても、収入としては一人分ちょっとの人件費が賄えるくらいとなるんじゃないかというふうに思います。

 仮に家の近くの教習所が経営難で事業から撤退するようなことになれば、遠方での教習所で教習あるいは講習を受けなければならなくなります。高齢者講習が主な収入源でも教習所を維持、継続できるように、委託料及び指導体制の見直しをお願いしたいというふうに思います。

 手数料の金額の基準につきましては、見直しを継続的に行っていただきたいということです。消費税が一〇%になることも予定されていますので、そのことも考慮してお願いをいたします。

 一方、講習を受ける側に立てば、講習料金を極端に上げることはできません。

 現在、指導員一人に対して受講者は三人となっていますけれども、これを四人にふやすことを可能にするとか、あるいは、七十五歳以上の高齢者講習については、講習時間が二時間になるか三時間になるかは認知機能検査の結果が出た後でないとわからないということで、あらかじめ三時間を想定した指導員を準備しておかなければなりません。検査の結果、結果的に全員二時間の講習になれば、確保していた指導員の一時間が無駄になってしまうという問題が発生いたします。そういうことで、二時間に統一してはどうかという意見も聞いております。

 こういうことから、高齢者講習の委託料の見直しの状況及び指導体制の見直しについてお考えをお伺いいたします。よろしくお願いいたします。

桝田政府参考人 お答えいたします。

 まず、委託料の関係でありますけれども、本年一月に道路交通法施行令が改正されまして、高齢者講習でありますとか認知機能検査の手数料の標準額が四月一日以降増額されます。

 高齢者講習や認知機能検査の多くは、都道府県公安委員会から委託を受けていただいております指定自動車教習所等により行われており、その委託費につきましては、今回の手数料の標準の見直しを踏まえまして、予算上適切な額が確保されるよう、都道府県警察に対して必要な指導を行っているところでございます。

 また、実車指導の三人、四人の話でございますけれども、高齢者講習の実車指導につきましては、御質問にもありましたように、今三人としているわけでありますけれども、受講者一人当たりの運転時間を確保する必要があるほか、もし四人にいたしますと、後部座席に三人の方に乗車していただくことになりますので、ちょっと窮屈で受講者の身体的負担というのもあるということを考慮いたしまして、三人以内としているところであります。

 また、講習時間につきましては、今御質問にもありましたように、七十五歳以上で、認知機能検査の結果、認知機能の低下のおそれがある者等に対しましては、よりきめ細やかな講習を実施する必要があることから、個人指導等を新たに導入し、二時間三十分から三時間に延長したところでもございます。

 しかしながら、今後、高齢者講習の受講者といったものの増加が更に見込まれますことから、高齢者講習のあり方につきましては引き続き研究をしてまいりたいと考えているところでございます。

古田分科員 ありがとうございます。

 高齢者講習を委託料だけで賄えるようになればというふうに思っていますので、ぜひよろしくお願いをいたします。

 二つ目の質問です。

 数年前のデータなんですけれども、埼玉県では指定自動車教習所のない市が十二も存在しているということです。人口十五万人当たりで指定自動車教習所が一カ所以下しかない市が七市も存在しています。川口市に至っては、人口六十万人近くいるのに指定自動車教習所が一カ所しかない。また、東京都町田市も、人口四十万人で教習所は一カ所となっております。

 七十歳人口が増加して、高齢者講習受講者も増加することが予想されますけれども、高齢者講習の受講待ちが六カ月に達して、講習通知のはがきが届いてすぐ講習を申し込んでも、受講期間の誕生日前五カ月、誕生日後一カ月の六カ月間の間で高齢者講習を受講できないという事態になる可能性もあります。せめて今ある教習所が撤退しないようにしなければなりません。

 都市部では、固定資産税の負担が大きく、土地を賃借している場合にはその賃借料の負担も大きく、教習所よりショッピングセンターなどの他の用途の方が収益が上がるということで、教習所を廃止し、業種転換するところも出てくる可能性があります。教習所にとって、例えば、固定資産税の免除は事業の存続に大きな効果があるのではないかというふうに思います。

 地域の交通安全教育センターとして重要な役割を担っている指定自動車教習所を存続させるためにも税制上の優遇措置を要望いたしますけれども、これまでどのような優遇措置をされてきたか、また、今後どういう対応をとられるか、お伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

桝田政府参考人 お答えいたします。

 まず、現状でございますけれども、中小企業者等でございます指定自動車教習所が教習用運転シミュレーター等の設備を新規取得した場合には、固定資産税の課税標準の特例措置があるほか、中小企業経営強化税制や中小企業投資促進税制により税額控除等の措置を受けることが可能となってございます。

 また、平成二十九年の税制改正では準中型自動車の取得に係る特別償却が容認され、平成二十九年四月一日から適用されているところでございます。

 御質問にありました固定資産税の軽減の関係につきましてでございますけれども、私どもといたしましては、関係者の皆さんの要望でありますとかその内容を踏まえながら、現行の固定資産税の軽減措置というのはいろいろあるわけでございますけれども、その現行の固定資産税の軽減措置の状況等について、まずは勉強してまいりたいと考えているところでございます。

古田分科員 ぜひ勉強した後に実施をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、教習料金についてですけれども、教習生の減少に伴いまして、教習生を確保するため、指定自動車教習所はいろいろ知恵を絞って取り組んでいます。

 近くに同業者がいる場合、料金の値下げ競争に陥って、地方では規模の小さい教習所の存続が厳しい状況になっているケースもあります。また、過度の値下げは教習の質が低下する懸念もあります。

 そこで、過度な価格競争に陥らないように、標準額を設定することや、また、頻繁に料金を値引きすることに対して抑止効果を期待できる届出制とすることなどが考えられますけれども、これらのことに対してどのように考えておられるか、お伺いいたします。

桝田政府参考人 お答えいたします。

 私どもといたしましても、指定自動車教習所の適正な教習等の水準といったものが確保されることは重要なものであると考えてございます。

 お尋ねの教習料金の設定等につきましては、基本的には教習所の自由な競争に任せるべきものでございまして、都道府県公安委員会が指導を行う立場にはないものと考えてございます。

 ただし、経営上の問題がありまして、その結果として適正な教習水準が確保できないというような事態が生じた場合には、公安委員会といたしましても厳正に指導を行う必要があるとは考えているところでございます。

古田分科員 次に、認知機能検査についてお伺いします。

 平成二十九年の三月十一日までは、高齢者講習は三時間の講習だけで、制度も複雑ではなかったんです。予約受け付け時の受講者への電話の説明も比較的単純でした。それでも、人によっては三十分間にわたって講習の説明をしなければ理解してもらえないような方もおられたということです。

 平成二十九年三月十二日以降は制度が変更されまして、七十四歳以下の受講者は二時間の講習、七十五歳以上は、最初に認知機能検査をして、採点結果によって二時間の講習か三時間の講習に分かれます。この制度を受講者に説明し理解してもらうために、従来にも増して説明の時間をとられてしまいます。

 認知機能検査自体は三十分ですけれども、その後の採点に三十分、その後の予約に三十分程度かかります。また、判定に対する受講者からのクレームも発生するので、その対応にも時間をとられてしまいます。三十分間の検査のみを教習所で実施するのであればまだしも、受講者への説明までとなると、その対応に時間をとられて、大変負担が大きくなります。

 加えて、七十五歳以上の人が交通違反をすると臨時認知機能検査を一カ月以内に受けないといけないということで、この期間が短いことで予約をとることが難しいことがあります。繁忙期にこの予約の電話があると、通常の教習生の時間からその枠をとる対応をしなければいけないということも起こってしまいます。

 このようなことから、認知機能検査について、特に判定、説明につきましては、教習所で実施するには負担が大きくなりますので、警察で実施していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

桝田政府参考人 お答えいたします。

 警察庁におきましては、これまでも、都道府県の実情に応じまして、認知機能検査を直接実施するなどの対策に取り組むよう指導しているところでございます。

 現状でございますけれども、認知機能検査の多くは指定自動車教習所に委託されているところでありますけれども、昨年十二月末現在で二十八の都道府県におきまして、その全部又は一部を警察が直接実施したり、警察施設において自動車教習所以外の機関に委託して実施しているというのが現状でございます。

 また、認知機能検査を実施する指定自動車教習所に無理が生じることがないよう、システムを活用して、空き教習所を案内したり、指定自動車教習所以外の者に認知機能検査の実施を委託したりするなどの取組を都道府県警察において行っているところであります。

 今後もこのような取組を続けてまいりたいと考えております。

古田分科員 ぜひ引き続いてよろしくお願いをいたします。

 次に、交通事故についてなんですけれども、関係者の御努力で交通事故による死亡者数は近年減少しておりますけれども、高齢者の交通事故のニュースが報道されることが多くなったように思います。ブレーキとアクセルを踏み間違えて歩道を暴走して、その上、道路脇の店舗に突っ込んだとか、高速道路を逆走したとかいうニュースを何度か聞きました。

 自動車メーカーでは自動運転技術の開発を進めていまして、自動ブレーキや車線逸脱防止の装置などを装着した自動車がふえてくれば、このような運転ミスによる事故も減少してくると思いますけれども、片や一方、車に乗っていて、歩行者がいるのに気がつくのがおくれて冷やっとすることもあります。夜間に高齢者が道路を横断中に車にはねられたというニュースも最近何度か聞きました。

 運転免許を持っていない人は、交通安全教育を受ける機会も少なく、自動車の特性も余り御存じでなかったり、体力の衰え等で無理な横断になってしまうということもあるのではないかというふうに思います。

 そこで、高齢者の交通事故について、運転者としてではなく歩行者として、その事故の現状と、事故を防止するための対策についてお伺いをいたします。

桝田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十九年におきます交通事故死者数は三千六百九十四人となっているところであります。しかしながら、交通事故死者に占める六十五歳以上の高齢者の割合は増加傾向にございまして、平成二十九年は全体の五四・七%を占めております。特に、歩行中死者に占めます高齢者の割合は七二・二%で、交通事故全体の死者に占める割合に比べまして更に高く、高齢歩行者に対する事故防止対策は重要な課題の一つであると認識しておるところでございます。

 私どもで実施いたしました歩行中死亡事故に係る詳細分析によりますと、高齢歩行者は、夜間、左方向からの進行車両と衝突する事故が特に多い等の傾向が明らかとなってきております。

 私どもといたしましては、高齢者に対しまして、事故分析により明らかとなりました事故実態を広く周知し、注意を促す取組を行うほか、関係機関や団体等と連携し、交差点等において交通ルールの遵守を呼びかける指導でありますとか、加齢に伴う身体機能の変化が行動に及ぼす影響の理解を促すための安全教育、夜間、薄暮時間帯等の事故を防止するための反射材用品等の普及などの取組を推進しているところでございます。

 今後とも、高齢者が被害に遭う事故の防止に向けまして、事故分析の結果等も踏まえながら、必要な安全対策を推進してまいりたいと考えております。

    〔主査退席、古賀主査代理着席〕

古田分科員 次は、指定自動車教習所の繁忙期と閑散期の平準化についてです。

 高校生は、就職先や進学先が決まるまでは学業に専念しなければならないため、自動車教習所に通うことを控えさせる学校が多くあります。進路が決まった年明けから教習所に通うことになりまして、その後、会社に就職するまでに、あるいは大学等に進学するまでに免許を取らないといけないために、一月から三月は教習所は大変忙しくなります。このため、教習生が予約をとりにくくなったり教習指導員の残業が大幅に増加するなどの問題が生じております。

 繁忙期の業務に合わせて教習指導員を年間を通して雇用するとなりますと、閑散期には人員が余ってしまいます。仕事がないのに給料を支給する余裕はありません。また、指導員の超過勤務をふやすことにも限界があります。

 臨時に繁忙期だけ教習指導員を雇うことができれば常勤の指導員の超過勤務の改善ができますけれども、非常勤の教習指導員の雇用について、要件があればお伺いをいたします。

桝田政府参考人 私どもといたしましては、夏休み等の繁忙期におきます教習生の利便性を向上させるという観点から、臨時的な指導員による教習を一定の要件のもとで認めておるところでございます。

 その要件としては、例えば本業の傍ら教習に従事する者でないことでありますとか、繁忙期に継続して教習に従事できる者であることなどを定めているところでございます。

古田分科員 先ほど言いましたように、高校生の入校はやはり波があるということですので、警察庁として、各学校の校長や教育委員会に高校生の入校を早めるように依頼するのは難しいかもしれませんけれども、高校生が交通社会の一員として責任を担って行動することができる健全な社会人になるために、交通安全教育を受ける機会を十分に確保するように教育委員会や高校等の関係者に対して指導はできると思いますので、こういう点からも今後よろしくお願いしたいと思います。

 次に、十八歳人口の減少で、多くの自動車学校では、従来のように、自動車の教習や講習だけで安定した経営を行っていくのは難しい時代になっております。

 最近、広島県の指定自動車教習所でドローンの講習を始めたという新聞記事を拝見いたしました。教習所の広い敷地の特徴を生かした活用方法だと、大変感心をいたしました。ほかにも、教習コース、校舎、設備など、自動車教習所の特徴を生かした新たな事業に取り組む教習所が出てくるかと思います。

 そこで、自動車教習以外の目的で指定自動車教習所を使用することについて、条件や留意点があればお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

桝田政府参考人 お答えいたします。

 指定自動車教習所におきまして、さまざまな経営努力も行っているということは承知してございます。

 そこで、指定自動車教習所を教習以外の目的で使用することについてでございますけれども、教習以外の目的で使用することにつきましては、指定自動車教習所としての教習、技能検定業務に支障が生じないなど、自動車の運転に関する教習の適正な水準が確保されている限り、特に問題はないものと考えております。

古田分科員 ありがとうございます。

 次に、二種免許の受験資格についてお伺いをいたします。

 この二種免許の受験資格は、年齢については二十一歳以上という要件があります。また、運転経歴についての要件も定められておりまして、大型免許や普通免許などを現に取得して、免許を受けていた期間が通算して三年以上という運転経歴の要件があります。また、政令で定めるものにあっては、運転経歴要件は二年以上ということになっております。

 景気が回復基調にありまして、求人倍率も高くなって、人材を採用するのに苦労するところも多くあります。バス、タクシー業界についても、人手不足で事業に支障を来すところが出ていると思います。私の地元のタクシー会社でも、長く勤めたタクシー運転手が退職しても新しい従業員を雇用できないということで、タクシーの数を減らしているところもあります。

 そこで、人材不足解消、雇用確保のために二種免許の年齢、経歴要件の緩和を要望いたしますけれども、小此木大臣より緩和に向けての決意をお伺いしたいというふうに思います。

小此木国務大臣 お疲れさまでございます。

 現在、人命を預かるタクシー、バス等を運転するための第二種免許、今言われました第二種免許には、安全確保のため、厳格な受験資格が設けられていると認識をしています。

 一方で、平成二十九年六月に閣議決定をされました規制改革実施計画において、受験資格の見直しを始め、第二種免許制度のあり方について総合的に検討するということとされました。警察庁において、平成三十年度予算案にこのための調査研究等に要する費用を計上しているところであります。

 いずれにしても、安全確保を第一としつつ、幅広い観点からしっかりと検討が行われるよう、私としては指導してまいる所存であります。

古田分科員 どうもありがとうございます。実現することを希望しております。

 それと、受験資格の年齢要件につきましては、普通免許及び準中型の仮免の年齢要件の緩和についても要望しておきたいというふうに思います。

 就職する高校生にとっては、これらの免許を会社に入る前に取得しているかそうでないかは大きな違いがあります。早生まれの人、特に三月下旬に生まれた人は、十八歳にならないと仮免が取得できませんので、仮に三月下旬に仮免に受かったとしても、三月中に本試験まで進めません。そのため、就職あるいは進学するまでに免許が取得できないということになります。

 大学に進学する者につきましては入学式まで余裕が少しありますけれども、就職する者にとっては、入社早々教習所に通うことは大変負担なこととなります。ぜひ仮免の年齢要件の緩和についても検討をお願いしたいというふうに思います。

 それと、もう一つ、教習指導員の年齢要件の緩和につきましても要望しておきたいと思います。

 現在は二十一歳となっておりますけれども、二十歳に引き下げていただけますと、これまで大学卒業と同時に教習所で働くことのできなかった人が、大学卒業までに資格の取得が可能となります。そのため、雇用の確保にもつながりますので、ぜひ今後検討していただければというふうに思っております。

 指定自動車教習所は、大学や専門学校に通学する学生が多く土地価格が高い都市部の教習所、一方、大学や専門学校が少なく、進学するために若者が都市部に移っていくような地方の教習所で、その置かれている状況というのは大きく異なっております。

 都市部では高齢者講習実施は負担になる傾向がありますけれども、逆に地方の教習所ではむしろ、一年の大半が閑散期となりまして、高齢者講習は貴重な収入源といったことになります。また、経営母体も、株式会社、安全協会、学校法人、組合等、バラエティーに富んでおります。

 いずれにいたしましても、指定自動車教習所は、交通社会におきまして安全マインドの高いドライバーの育成に努めて、交通事故の防止に寄与して、公共性、公益性の極めて高い事業、施設であります。地域の交通安全センターとして公共の役割を担っている指定自動車教習所に対して、どうか今後ともより一層の御支援をお願いしておきます。

 以上で私の質問を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

古賀主査代理 これにて古田圭一君の質疑は終了いたしました。

 次に、串田誠一君。

串田分科員 日本維新の会の串田誠一でございます。

 まずは、G20を大阪に決定をいただきました政府におかれまして、大変感謝を申し上げます。

 大阪にまつわる各政党、ほかにもたくさんございますけれども、大阪といいますと、知事、市長が我が党の所属ということもございまして、とりわけ、G20を大阪に決定いただいたことに関しましては、党を挙げて大変政府に感謝をしているところでございます。

 このG20に関連しましては後ほどまた質問させていただきますので、最初に、テロ警備についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 これは、私が質問を選んだきっかけと申しますのは、私の選挙区でございます旭区の警察署の方とお話をしたとき、音を上げていらっしゃる方は一人ももちろんいらっしゃらないんですけれども、大変仕事が忙しそうな状況でございます。

 それは、一つは、現在、振り込め詐欺というようなものが非常に巧妙な手口になっておりまして、それに対する対策というものがもう本当に多岐にわたっているわけで、それに対する対策というのが日増しにふえている中で、さらに今度はテロ対策というものもしていく必要が出てくるということで、人員がそれほどふえていない中で、仕事量だけがふえているということを私もすごく感じているところでございます。

 そういう意味では、新しい対策というものが日々ふえている中では、警察官の増員なども御配慮をいただきたいなということが今回の質問をつくったきっかけでございます。

 まず、テロというものを最近よく聞くようになりましたが、昔はそれほどでもなかったんじゃないかなと思うんですけれども、このテロ対策というものがいつごろから意識され出したのか。ちょっとこの分科会におきましては、私も細かな通告というものを十分していないのかもしれませんので、わかる範囲内でお答えをいただければと思います。回答に関しましては一任をさせていただいておりますので、委員長のほどでよろしくお願いいたします。

村田政府参考人 お答えをいたします。

 警察庁におきましては、平成二十七年の六月に国際テロ対策強化要綱というのを取りまとめまして、現在、国内におけるテロ発生時の事態対処能力の強化でありますとか、あるいは科学技術の活用、それから関係機関、民間との連携の強化、こういったことを柱にテロ対策を進めているところでございまして、いつからというのはなかなか難しいのでございますけれども、現在の取組としてはそういうことをやっているということでございます。

串田分科員 警察組織におきましては、第一課から第四課とかいろいろな名称があるわけでございますけれども、このテロ対策というものは、警察署内において特別なそういう課というものが用意されているものか、その点、御説明をいただければと思います。

村田政府参考人 警察本部におきましては、警備部というのが四十六都道府県にございます。それから、警察署におきましては警備課、これが中心となって、しかし、警備課あるいは警備部だけでテロ対策というのは行うものじゃございません。組織を挙げてやっておりますので、そこが中心となって対処している、こういったことでございます。

串田分科員 さて、そのテロ対策ということなんですけれども、具体的にはどのような活動が主になっているんでしょうか。これは、いろいろと、全部明らかにしてしまいますと、逆に盲点をつかれてしまうというようなこともありますので、ある程度国民が、ああ、こんなこともやってくれているんだなとわかるような範囲内でお答えをいただければと思います。

小此木国務大臣 お疲れさまでございます。

 テロといいますと、今局長が答弁いたしましたけれども、私も国会議員になりたてのころに、ちょうど二年後かな、オウム真理教による地下鉄サリン事件というのが日本ではございました。かなり前の話でありますけれども、最近では、やはり欧米諸国等々と連携をするようになってまいりました。

 そういう中で、今答弁がありましたように、テロの未然防止及びテロへの対処体制の強化に取り組むため、警察庁国際テロ対策強化要綱というものを策定したというふうに話があったと思います。

 まず、外国治安情報機関等との緊密な連携等による情報分析の強化。私も、昨年の秋、警察関係閣僚、G7の閣僚の皆さんと話合いを持つ場をいただきまして、いろいろな、ISにかかわる情報、外国のテロリストの情報等々、これはどうなっているかということについて、あるいは今おっしゃいました大阪のG20、あるいはオリンピック、パラリンピック、こういったことにやはり神経が細かくならなきゃならないと思っております。

 ですから、関係機関と連携した水際対策の強化、テロ等発生時の事態対処能力の強化等の各種テロ対策を推進をしてまいりましたし、更に前に進めなければならないと思っています。

 引き続きこれらの対策を推進していくとともに、各種枠組みに基づく官民連携の強化、訓練等を通じた共同対処体制の充実等にも一層取り組み、テロ対策の強化に努めてまいりたいと思っております。

串田分科員 今お話をお聞きしましたところ、国内だけではないということが大変よくわかりまして、まるで映画の世界のようなこともやっていらっしゃるんだなと思って、本当に対応が大変ではないかなというのは想像にかたくないわけでございます。

 一方で、テロ対策ということになりますと、警察官の生命身体というものも、通常の犯罪を犯す人に対する対応とは異なって、規模もやり方も全く想像がつかない中で立ち向かわなければいけない警察官の心情は幾ばくかのものかと思うんですが、そういうテロ対策に対する警察官の生命身体に対しての警察署内における何らかの配慮というものがありましたらば、教えていただければと思います。

村田政府参考人 お答えをいたします。

 警察では、大規模警備等の際には、テロ対策を含めて、開催地の都道府県警察の警察官等の負担が過重とならないよう、全国から警察官等を現地に派遣をして、開催地である都道府県警察を人的側面から支援をしているところでございます。

 G20サミット、あるいは東京オリンピック・パラリンピックの競技大会に向けた警備計画というのは、今後検討していくわけでございますけれども、管轄する都道府県警察の警察官の負担や一般治安にも配意をして検討してまいりたいと思っております。

 また、実際に警備に当たる機動隊といった警察官の対処能力の向上や安全の確保のために、各種装備資機材の整備を行っているところでございまして、引き続きこうした各種装備資機材の充実に努めてまいりたいと考えております。

串田分科員 国民の生命身体を守っていただいている警察官が、何らかの対応の中で命を落としてしまうというようなことがありますと、本当に気の毒でならないわけでございますので、その点はしっかりと予算も確保していただいて、立ち向かう警察官の生命身体も守っていただければと思います。

 テロといいますといろいろな形態が考えられるわけですけれども、よく、水源地にいろいろな毒物を混入するというような、そんなテロもございます。こういうことは警察の対応になるんでしょうか。その点、お聞きをしたいと思います。

村田政府参考人 お答えを申し上げます。

 警察では、御指摘いただいたような物質を用いたテロを未然に防止するということで、情報収集を徹底するとともに、関係機関と協力して、テロに使用されるおそれのある物質を取り扱う事業者あるいは研究機関に対する保管管理の強化や盗難防止対策について、指導を徹底しているところでございます。

 仮に、水源地において御指摘のような毒物を用いたテロ事案が発生した場合には、防護服等、必要な装備資機材を着装したNBCテロ対応専門部隊等が速やかに現場に臨場し、消防や保健医療機関等の関係機関と連携の上、被害者の救助、あるいは立入禁止区域の設定、原因物質の検知、回収、付近住民の避難誘導、こういった措置を実施して被害の拡大防止を図ることとしております。

串田分科員 次に、大阪のG20についてお聞きをしたいと思います。

 その前の大きなイベントとしては、伊勢志摩サミットというのがちょっと頭に浮かぶわけなんですが、伊勢志摩サミット、そして今回は大阪というようなことがございますが、まず、伊勢志摩にサミットの会場が決定された理由等、おわかりであれば、教えていただければと思います。

飯島政府参考人 お答え申し上げます。

 手元に今正確な資料がございませんので、概要となりますけれども、平成二十八年の伊勢志摩サミットにつきましては、当時の日本が議長国となることを踏まえて、総合的に日本の伝統文化も含めて世界に発信していくこと、また、G7の首脳が集まる日本においてどういったメッセージをどこで発出していくことが適当かということを総合的に勘案した結果、伊勢志摩において行うことが適当という判断で行われたものでございます。

串田分科員 今度は大阪でG20が行われるわけでございますが、伊勢志摩サミットにおいては警備人数はどの程度の規模だったのか、教えていただければと思います。

村田政府参考人 お答えをいたします。

 伊勢志摩サミットの警備におきましては、三重県警察及び愛知県警察におきまして、全国からの特別派遣部隊約一万五千人を含む、最大時で約二万三千人を動員して警備を完遂したところでございます。

    〔古賀主査代理退席、主査着席〕

串田分科員 かなりすごい規模だなと思うと同時に、国民の皆さんの中には、留守番になってしまった、要するに、移動した後の地域の警備というのは十分に今度は対応できるんだろうか、そういう心配もあるかと思うんですけれども、この点についてお聞きしたいと思います。

村田政府参考人 派遣をされた警察官のもとの地元の自治体ということだと思いますけれども、そこは、全国から動員をしておりますので、三重県と愛知県において行われた伊勢志摩サミットにつきましては、それ以外の四十五都道府県の中で人数をやりくりいたしまして、その地元の警察に影響が及ばないようにということを配慮して実施いたしました。

串田分科員 今回は大阪ということでございますので、かなりの人数が要るという意味では、本当に警備をしっかりしていただくということがあるということも思いますので、伊勢志摩サミットよりはもっと規模が大きくなるのかなという、そんな気もしております。

 ここで、先ほどお礼を申し上げていながら質問というのはおかしな話なんですが、なぜに大阪に決まったのか、そこら辺の理由があれば教えていただければと思います。

飯島政府参考人 お答えいたします。

 二〇一九年のG20サミットの開催都市の選定に当たりましては、かつて、一九九五年の大阪APECの実績や、宿泊施設、警備等の開催能力等を総合的に検討した結果、大阪とすることが適当ということで決定されたものでございます。

串田分科員 大阪は、二〇二五の大阪万博も、ことしの十一月に決定をするということもあります。そういう意味では、三月、四月には調査団が来られて最終的な調査が行われ、十一月の決定というものに対していろいろなことが調査として行われるわけでございますので、そういう時期にG20が大阪に決まるということは、国を挙げて大阪に対する警備というものに対して自信があるんだということをアピールしていただくという点でも、大変そういう意味では弾みになったのかな。

 そういうようなことも含めまして、今回の政府の御判断に関しましては、大変感謝を申し上げているところでございます。

 伊勢志摩と比べると、大阪、これが大都市というようなことを言ってしまうと伊勢志摩の方に申しわけないんですけれども、やはり規模が伊勢志摩と異なるのかなと思うんですけれども、その点、もしおわかりであれば、教えていただければと思います。

村田政府参考人 お答えをいたします。

 警備の規模ということでございますれば、当然のことながら、大阪府警察に約二万三千人の警察官がおりますので、そういった意味では、大阪を中心として、また同じような規模の派遣を求めるという形になろうかと思います。

 まだ、現時点でその警備体制がどうなるかというのをお答えするのは大変難しいのでございますけれども、同じような規模、プラス、大阪につきましてはソフトターゲットがいろいろございますので、そういったものの警備に対しても所要を算定しなきゃいけないというふうに考えております。

串田分科員 これは全く身勝手な要望ということではございますけれども、大阪というのは大変な観光地ということでございまして、今非常に観光客も多いという中で、G20に対して全国の警察官が警備にやってこられると、非番のときもございましょうが、そういう警察官が余り険しい顔で町を歩いておられますとちょっと観光的にもいかがなものかなとは思うんですけれども、その点の御配慮というのは警察の方ではあるんでしょうか。

村田政府参考人 お答えをいたします。

 大変難しいことではございますけれども、もちろん、派遣される警察官あるいは大阪府警の警察官におきまして、地元の方々の協力なくしては警備の完遂は期せませんので、そういったことも考慮に入れながら努めてまいりたいと考えております。

串田分科員 こんなことを申しましたのは、伊勢志摩サミットのときに警備の方がたくさん来られるということで、飲食店の方々が大変、非番だとか、仕事をしっかりとやられているということで、その後ちょっと息抜きをするというような、警備の方がお店にやってくるということを大変観光地の方は期待されていたのに、実は余り来てもらえなかったと不満の、そんなようなことがテレビで報道されていたということもあります。

 仕事はしっかりとしていただきながら、大阪というのは観光地であるということもありますので、ぜひそこら辺は、仕事がオフのときには観光地であるということを十分に御配慮いただければと思っているわけでございます。

 ここで御質問するというのはいかがなものかなとは思うんですけれども、G20における経済効果というようなことはある程度想定されていらっしゃるんでしょうか。

飯島政府参考人 お答えいたします。

 政府といたしましては、G20サミットを開催することによる経済効果の試算はしておりません。

 他方、御参考までに申し上げますと、先ほど来言及されておられます平成二十八年のG7サミットにおきまして、三重県がサミット終了後の九月に発表した試算では、G7伊勢志摩サミットの経済効果として一千七十億円という数字が出ております。

串田分科員 オリンピックが二〇二〇年ということもございまして、私も、二月の前半の予算委員会での政府からの二〇二〇という数字、何回発言があったのかと数えましたところ、二週間において、七回の予算委員会で三十五回、二〇二〇年という言葉が発せられたわけでございます。

 そのときに、長野オリンピックのときもそうだったんですが、オリンピック後は経済がある程度は落ち込んでいくというのは、これは世耕大臣も言っていらっしゃったわけでございますけれども、そういう意味では、二〇二〇年というのは、大変夢のあるオリンピックがこれから行われるということではあるんですが、それを越えた後の日本の経済というものは注視していかなければならないんだと思います。

 そのためにも、二〇二五年の大阪万博というのはどうしてでもこれは招致をしていきたいというのが我が党での希望でございますが、その弾みとして、このG20というものを一つの橋渡しというような、大阪での警備のリハーサルということもありますし、世界に対して、大阪というものがこれだけの大都市であって、そして警備もしっかりして、経済的なこういう会議もここで行われるということを世界に発表する大変貴重な時期だと思いますので。

 これを機会に、東京オリンピック二〇二〇、そして二〇二五の大阪万博へとつながるような一つのラインとして、一つ一つ分立しているのではなくて、大きな流れとして、大阪、東京、大阪というような形で日本の景気を持続をしていただくということを我が党としてもお願いをしたいところでございます。

 次に、G20ということになりますといろいろな方々も外国から来られるわけでございますが、通訳やボランティアの方々との対応については、外務省としてはどのような支援をお考えでございましょうか。

飯島政府参考人 お答えいたします。

 G20サミットのような大型の国際会議におきましては、地元自治体との連携が不可欠となっております。

 二〇一九年の大阪開催におきましても、外務省といたしましては、大阪府、大阪市と緊密に連携し、来日する各国関係者に十分な対応が可能となるよう、関係機関と調整をしてまいりたいと考えております。

 なお、平成二十八年のG7伊勢志摩サミットの際には、地元自治体が多くのボランティアを採用し、外国語による交通案内や観光等の案内を行ったと承知しております。

串田分科員 現在韓国で行われているオリンピックに関する通訳とかボランティアの件につきましては、我が党におきましても、馬場幹事長が出席をさせていただきました。その中で、ボランティア等の言語が韓国語がかなり圧倒的に多いというようなことで、多少ちょっと戸惑ったというようなことを我が党内においては報告をしていただいたわけでございます。

 このG20等についてのボランティア、これは東京オリンピックも同じだとは思うんですが、外国語に関しましては、どんな言葉をどの程度配備していくのか。これはちょっと通告がないので、すぐにお答えできるかどうかわかりませんけれども、お答えいただければと思います。

飯島政府参考人 お答えいたします。

 まず、これからまさに政府と大阪府、大阪市で調整を進めてまいりますので、その中でいろいろと御相談をさせていただくことになると思いますけれども、学生によるボランティアとして、例えば、外国語を専攻しておられる方を中心に協力をいただく。あるいは、最近の例としましては、自動翻訳機等の普及も出てきておりますので、こういったものをいかに活用できるか。それから、学生のほかにも外国語に堪能な方はいらっしゃると思いますので、そういった現地の方にどのような御協力をいただけるか。これを政府、大阪府、大阪市とよく相談をして、対応していきたいというふうに考えております。

串田分科員 G20におきましては、先ほどもちょっと申し上げましたとおりに、二〇二五年の大阪万博の一つの大きな世界に対するアピールというような部分もございますので、この点は非常に、ホスピタリティー、大阪はすごいなというふうに思っていただきたいというようなこともございます。

 そこで、ボランティアというのが、一般的には、例えば通訳ということで、道案内とかいろいろなことが考えられるんですけれども、実はもっともっとボランティアの幅というのは広いんじゃないかなと私は思っているんですが、外務省として、言葉がわからない部分についての、単なる翻訳をするということ以外のボランティアに関してはどのような配慮をお考えいただけているのか、お聞きしたいと思います。

飯島政府参考人 お答えいたします。

 この点も、まさに今後、地元の要望等も踏まえてよく政府としても検討してまいりたいと考えておりますけれども、言葉以外に、例えば、文化、観光の案内等も重要なことかと考えております。これまでも、伊勢志摩の場合でも、単なる翻訳以外に文化の案内ということもございましたし、大阪で行われるG20につきましても、大阪の歴史、文化、こういったものが説明できるような体制についても考えてまいりたいと考えております。

串田分科員 今、いろいろな方が外国から来られる中で、言葉に不自由という部分以外にも、身体的な部分も含めまして、大変な状況の方も来られると思うんですね。

 そういう意味では、両方、要するに、そういうような対処もでき、なおかつ言葉も通訳もできるというような、こういう人材を選ぶというのは大変なことだと思うんですけれども、そういうような部分についての配慮というのは外務省としてもお考えでしょうか。これもまたちょっと通告がないんですけれども、お願いします。

飯島政府参考人 お答えいたします。

 まさに委員御指摘の点も踏まえて、今後、関係当局間でよく議論をして、バリアフリーの問題も含めまして、検討を進めてまいりたいと考えております。

串田分科員 重ねてのお願いということで申しわけございませんが、大阪万博への弾みというようなこともありますので、ぜひとも、G20に関しましては世界から高い評価をいただければと思っています。

 最後に、警備等に関することとして、G20をぜひとも警備の部分からしっかりとお願いをしたいと思うんですが、大臣の決意というようなことがございましたら、ぜひともお願いをしたいと思います。

小此木国務大臣 きょうは、G20について、政府に対しても委員からありがたいというようなお言葉を向けていただきまして、更に身を引き締めて、私も、警察を指導する、管理する立場から、成功裏に導きますように汗をかいていきたい、こういうふうに思っています。

 御案内のように、二十の国や地域から首脳が集まって会議を持つ重要な会議であります。今、きょうの議論の中でも、全ての、殊に、人間関係において、そこには犯罪があるということも想定できます。想定し得る全てのことにおいて、神経をとがらせていかなきゃならない。そうすれば、お話にもありましたように、当然、警備をする警察官の顔も自然にかたくなってきちゃう。逆に、市民の皆さんにかたくなった顔をやわらかくするような御努力もいただければ、これは大変ありがたいというふうに私自身は思いますけれども。

 冗談ではなく、やはり厳しい思いで来年を迎えなきゃならないと思いますから、先ほどの、情報をしっかりと収集し、そして分析をする、そして水際対策、また、おっしゃるような警戒警備のほか、それの官民の連携、いろいろなところのやはり連携を通じてオール・ジャパンでのテロ対処能力の強化等に努めるなど、大阪府警の活躍を中心に、全国の警察が一丸となってこのG20の警備をし、成功裏におさめてもらえるように汗をかいてまいりたいと思います。

串田分科員 G20は、成功すれば、東京オリンピックそして大阪万博へと弾みがつくわけでございますが、逆に、テロ、もしそういうようなことを考えるような組織が仮にあるとすれば、このG20に対することも考えるのではないだろうかなという懸念がございます。

 これによって、東京オリンピックも、そして大阪万博も、世界じゅうから非常に危惧されてしまうということもございますので、このG20は是が非でも安全裏の中で成功していかなければならないわけでございますので、ぜひとも、今の大臣のかたい決意ということを踏まえまして、成功していただくことをお願いをいたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

渡辺主査 これにて串田誠一君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

渡辺主査 次に、復興庁所管について審査を進めます。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。宮川伸君。

宮川(伸)分科員 立憲民主党の宮川伸でございます。よろしくお願いいたします。

 まず最初に、今、我が党が原発ゼロ法案というものを準備しております。間もなく国会の方に提出できればと思っております。

 なぜ原発ゼロ法案かということでありますが、やはり福島第一原発の事故の大きさ、それとともに、間もなく七年になりますが、いまだに多くの方が苦しんでいらっしゃる。こういった現状の中で、なぜどんどん再稼働していくのか。私は、やはりそういうことは間違っているだろうと。そういった中で、原発ゼロ法案というのをしっかりと出していきたいと思っております。

 この議論の中で、安倍政権が原発を進めていく理由の一つとして、原発が安いということが一つ挙がっております。ですから、きょうこの質問をする中のベースの一つとして、原発が安い、価格が安いというところを踏まえて御質問させていただければと思います。

 一番最初ですが、甲状腺がんのことに関して御質問いたします。

 福島におきまして、今、子供の甲状腺がんの問題が非常に大きく取り上げられていると思います。十八歳以下のお子さんたち約三十八万人の検査をしていく中で、今、百九十三人の子供たちががん若しくはがんの疑いがあるという診断がおりている、そのうち百五十九名の方々が実際に手術をしてがんという検査結果を得ているというのが今の現状だと思います。

 この数がどういう数かということでありますが、一般的に今まで考えられていたのは、約百万人の人口に対して数名が甲状腺がんになるというのが一般的な考え方だったわけですから、今のこの福島の数というのは、それの数百倍という数が出てきているということであります。ですから、私も最初にこの数字を見たときにかなり驚いたということでありますが、やはりそのお子さん若しくはお母さん、お父さんは非常に心配されていると思います。

 そういった中で、福島県の方で県民健康調査検討委員会、専門家委員会があって、このデータがどういう意味をしているのかというのもこの検討委員会で議論されているわけですが、この検討委員会での結果としては、総合的に判断して放射線の影響は考えにくいということで、福島第一原発の事故と今のこの甲状腺検査の結果が必ずしも結びついているとは考えにくいという報告が出ているわけです。

 今、ここまでのことで、事実関係としてこれで正しいかどうか、御確認いただけますでしょうか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 今般の原発事故に係る住民の健康管理、これは医学等の専門家の御意見を聞きつつ進めることが重要と認識しております。

 ただいま委員の御指摘されましたように、この甲状腺検査の結果の評価ということでございますが、これは、福島県が開催しております県民健康調査検討委員会の中間取りまとめ、平成二十八年三月におきまして、これまでに発見された甲状腺がんについて、放射線の影響とは考えにくいと評価されている状況でございます。

 このほか、環境省が開催した専門家会議の中間取りまとめにおきましても、先行検査で発見された甲状腺がんについては、原発事故由来のものであることを積極的に示唆する根拠は現時点では認められないとされております。

 さらに、国際的にも、国連科学委員会、昨年十月の評価では、福島では住民の被曝線量が大幅に低いために、チェルノブイリ原発事故後に観察されたような多数の放射線による甲状腺がんの発生を考慮に入れる必要はないというふうにされているところでございます。

宮川(伸)分科員 今のように、総合的に判断して放射線の影響は考えにくいということでありますが、その幾つか、今御説明があったような理由がある中で、最大の理由の一つになっているだろうと思われるのが、今お手元にお配りさせていただいているこの紙の結果でございます。

 これは、二つ列があると思いますが、福島県の結果とともに、ほか三県、福島第一原発事故の影響が余りないだろうと思われる青森県、山梨県、長崎県の三県で同じような甲状腺の検査を行った結果がここに載っているわけであります。そして、A1判定、A2判定、B判定とありますが、ここに、他三県のところに関しても、括弧内にパーセンテージが書いてあります。

 母集団といいますか、検査した子供の数が大分違うので、福島は三十万人ぐらい検査しているのに対して、他三県というのは四千人ぐらいなので、絶対数の数は違いますが、パーセンテージにおいてはA1判定、A2判定、B判定が非常に近いということです。ですから、甲状腺の検査でひっかかる割合が、福島県でも、福島県外の、福島第一原発事故の影響を受けていないようなところでも、同じぐらいの割合だということをこのデータは言っているわけですね。

 このデータをもとにして、今福島で出ているデータが過剰診断なのではないか、あるいはスクリーニング効果なのではないかというようなことも議論の対象になっているわけでありますが、そういった中で、私が一つきちっと言わなければと思っているのが、この表の、大臣、もう一度表を見ていただきたいんですが、表の一番下の欄、「「がん」確定」というところがあると思うんですね。福島県は百一人、他三県は一人となっておりますが、この一人というのは、数が少な過ぎて、ここは不幸にも一人入ってしまったんですけれども、ゼロであってもおかしくないということなんです。

 ですから、この一番下のがんが確定した人たちに対しては、そういった過剰診断が行われているかどうかということが判断できるような客観的なデータがまだないというのが今私が理解しているところでありますが、ここに関しても、そのような認識でいいかどうか、お答えいただけますでしょうか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 今議員から御指摘いただきました表でございますが、これは、三つの県の調査と、それから福島で一次検査を行った結果、これが、母集団の数は違いますけれども、それぞれ、その所見、甲状腺の有所見率を比較するという目的で計画された三県調査でございますので、その結果と比較して大きく異なるものではなかった、そういうことが導き出された点で意義があるものというふうに思っております。

 そして、今後のことで、更にきちっと物が言えるような、過剰診断か否かということについての評価という御指摘だと思っておりますが、この福島県の甲状腺検査につきましては、現在も継続中でございます。この甲状腺検査の評価及びあり方につきましては、福島県の県民健康調査検討委員会でまさに議論されているところでございまして、環境省としては、同委員会での議論を注視してまいりたいと考えております。

宮川(伸)分科員 今の御回答ですと、私の質問にきちっと、明快によくわからなかったんですが、ここで余りとまりたくないので、ここの一人というところに関して、統計的な有意差がとれているのかどうかということを、統計的な解析の結果を改めて要求したいと思います。

 私の理解は、この「「がん」確定」というところに関しては、検査の人数が少な過ぎて、まだ福島の方が多いのか少ないのかはっきりわからないというのが今の私の理解であります。

 そういった中で、私は非常に重要だと思うのは、この問題をしっかり国を挙げて解決をしていかなければ、前向きにこれに取り組んでいかなければ、いつまでたっても、お子さんが、診断してがんの可能性がありますとなったときに、そのお子さんの手術が必要なのかあるいは手術をする必要がないのか、ここの判断ができない。それとともに、いつまでたっても、福島第一原発の事故、放射線と関係があるのかないのかはっきりしたことが言えない、影響があるとは考えにくいというような、この曖昧な世界から抜け出られないと私は思います。

 そして、ここの表になりますが、これをしっかりやっていくという中で、幾つか問題があるわけですけれども、今、働き方改革で、裁量労働制のデータの問題があります。二つ、比べてはいけない、条件が違うデータを比較して答弁したので、非常に大きな問題になっていると思いますが、こういったものもやはり同じことで、同じような条件で、同じようなものでしっかり検査をしないと比較ができない可能性があるわけです。ですから、もう十年も二十年も後でやっても、それが比較できるかどうかはわからないわけです。

 ですから、やはり今ここでしっかりと、私、これ自体は、しっかりプロトコルを見ているわけではないので、正しいかどうかはちょっと何とも言えないんですが、しかし、やはりしっかりと、これを調べるためにプロトコルを合わせて、それで、実際に福島では多いのか少ないのか、これをきっちりやらないと、いつまでたっても結論が出ないままずるずるいってしまうと思います。

 そういった中で、今、環境省と福島県がやっておりますが、やはり厚労省にもしっかり、がんの治療という意味で入っていただいて、そしてそれを復興庁がしっかりまとめてこの問題に取り組んでいくことが、私は非常に重要だと考えていますが、ぜひ大臣の所見をお願いいたします。

吉野国務大臣 先生には本当に福島県民の、特に子供の健康について御関心をいただいて、本当にありがとうございます。

 実は、私の孫も、県民健康調査の甲状腺のがんで、嚢胞ができたということで、小さな嚢胞だったからA1判定だったんですけれども、やはり娘が大変心配をしておりました。

 今のことについて御答弁を申し上げたいと思います。

 今般の原発事故に係る住民の健康管理は、専門家の御意見を聞きつつ進めることが重要である、このように認識をしているところです。

 甲状腺検査のあり方に関する議論は福島県の県民健康調査検討会で実施をされておることを承知いたしております。福島県民の健康を見守るためにも、的確に情報を把握していく、このことは大変重要でございます。県民健康調査検討会での議論について関心を持って注視をしていきたい、このように考えております。

 また、必要に応じて、厚労省等々、関係省庁とも情報の共有化を図ってまいりたい、このように考えております。

宮川(伸)分科員 ありがとうございます。

 県民健康調査の件ですけれども、今、この県民健康調査が過剰診断のおそれがあるかもという議論の中で、中止するのではないかというような話が少し聞こえてきます。関係者の方から非常に不安な声が聞こえてくるわけですが、実際にこの健康調査を打ち切るかどうかというような議論が会議の中で行われているかどうか、ちょっと教えていただけますでしょうか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 この県民健康調査の甲状腺検査、現時点で打ち切るというような議論はなされていないものと承知しております。現時点で、評価及びあり方について検討がなされているというところでございます。

宮川(伸)分科員 ありがとうございます。

 次に、引き続きこの甲状腺の問題なんですが、福島県以外でも、多くのお母さん、お父さん方がこの甲状腺の問題で非常に心配をしております。

 私の選挙区は千葉県なんですが、千葉県の北の方もやはりかなり汚染をしました。そして、汚染状況重点調査地域というのにも指定をされたわけですね。

 それで、やはり多くのお母さん方、お父さん方が、これで甲状腺がん大丈夫だろうかというふうに不安に思ったわけです。ですから、国の方に子供たちの健康調査をしっかりやってほしいということを声を上げたわけですが、国の方はほとんど何もしない。そういった中で、自治体、千葉県九自治体がかなり汚染したわけですが、自治体の方からも何度も要望書を国に上げたんですね。それでも国は全く動かない状況なんです。

 そういう中で、お母さんやお父さんは、国に任せていたら自分の子供が守れない、だからもう自分たちでやるんだということで、私の知り合いも、自分たちでエコーの、子供たちの甲状腺の検査をやり始めているという、これでもう何年もたっているというのが今の状況です。

 そういった中で、今、自治体の方は補助金を出すようになっていますが、いまだに国の方はこれに対して関心を示さない、サポートしないという状況が続いているわけです。

 ここで大臣にぜひお聞きしたいんですが、最初申したように、安倍政権、原発は安い、原発は安いから再生可能エネルギーだとやれないんだと。原発安いとおっしゃっているわけですよ。何で、原発安いのに、こういったお母さんやお父さんが非常に苦労されているところにきちっとお金をかけることができないんでしょうか。お願いします。

吉野国務大臣 お答えいたします。

 今般の原発事故に係る住民の健康管理については、医学等の専門家の御意見を聞きつつ進めることが大事である、このように認識をしております。

 福島県の近隣県では、有識者会議を開催するなどして、特別な健康調査は必要ないとの見解がまとめられているというふうに承知をしております。また、国際機関の報告書や環境省の専門家会議の中間取りまとめにおいても、福島県外での健康調査の必要性は指摘されていないと承知をしているところです。

 でも、いずれにせよ、福島県の近隣県においても、健康不安を抱えた方に対して丁寧な説明を行っていくことは、これは重要でございます。復興庁としては、関係省庁と連携し、健康相談やリスクコミュニケーションの充実等に取り組んでまいります。

宮川(伸)分科員 大臣、原発が安いと。原発のお金を考えると、こちらの費用というのははるかに少ない予算でやれるわけです。もう大臣もおわかりだと思いますが、ぜひ、こういった被災された方、不安に思われている方に対して、専門家の方々は科学的な知見に立っての説明でありますから、やはり政治としてどうするのかという、そういったところを、私は、原発の費用に大きなお金をかけるお金があるのであれば、こういったところにしっかり政治の力で手当てをしていくべきじゃないかというように思います。

 同じような問題で、自主避難者の問題について、次にちょっとお伺いしたいと思います。

 この自主避難者でありますが、避難指定区域があって、その内側の方は避難しているわけですが、その外の方たちが自主的に、やはりここだと生活しにくいということで行かれているというわけであります。

 このようなラインを決めるというのは当然必要だと私も思います。ですけれども、このラインのこちら側のところは危険だから避難してくださいよ、でも、ラインのすぐ隣のところは、ここは安全だから住んでいてくださいよと。道路を挟んだこっち側の家が危険だから移動しているのに、一般的な感情で考えたら、やはり危ないんじゃないかなと思ってしまうのが普通の気持ちなんじゃないかと思います。

 そういった中で、特にお子さんがいる、小さいお子さんがいるようなお母さんやお父さん、やはり子供のために、ここは大事をとって避難しなければ、自主避難しなければ、こういう方もたくさんいると思います。

 そういった中で、昨年、この自主避難者の住宅支援を安倍政権は打ち切ったわけでありますが、あれからもうすぐ一年たつわけであります。じゃ、一年たって、この自主避難者の住宅支援打切りによって今どのようなことが起こっているのか、そしてそれに対してどのような手当てを考えているのか、御説明いただけますでしょうか。

吉野国務大臣 自主避難者は、多くの方が全国に避難を余儀なくされております。そして、県外に、福島県以外に全国に二十六カ所の生活再建支援拠点、いわゆるよろず相談所というところを設けております。NPO等々の支援者がやっているわけですけれども、本当に一生懸命、避難を余儀なくされてきた方々の生活再建を目指して、本当に感謝の言葉が出るくらい一生懸命やっていることをまず御報告申し上げたいと思います。

 私も千葉市に行ってまいりました。そこでの取組も一生懸命やられていることに感謝を申し上げたいと思います。

 自主避難者を含め、避難者の実態を把握し、必要な支援を実施していくことは重要でございます。

 福島県において、復興支援員等による戸別訪問、全国二十六カ所に設置されている生活再建支援拠点での相談対応を通じ、避難者の実態把握を行っており、復興庁も、その状況について県から報告を受けているところでございます。

 復興庁では、自主避難者に対し、住まいの確保に向け、国土交通省と連携した公営住宅への入居円滑化、避難者への相談支援などに取り組んでいるところでございます。

 福島県においても、民間賃貸住宅の家賃補助や避難者への相談支援などを実施しております。また、経済的に困窮されている方には、避難先自治体の福祉部局等の関係機関とも連携した対応を行っているところです。

 引き続き、関係自治体及び関係省庁と密に連携して、それぞれの方の事情に応じた生活の再建が果たされるよう、被災者支援にしっかりと取り組んでまいります。

宮川(伸)分科員 今少しお話もありましたが、東京都、新潟県、山形県などで、実態調査のアンケート調査の結果が出たりしているわけでありますが、そういった中で、住宅支援打切りの後、福島に多くの方が戻っているかというと、必ずしもそうではなくて、七割ぐらいの方はそのまま残っているという状況である。そういった方々がかなり生活が苦しいという状況で今あるというように聞いております。

 一般的に考えても、福島に住んでいて福島に生活基盤があった、ある日突然、ああいうことがあって引っ越さなきゃいけなくなってしまった。働いていた人は仕事をやめて新しい仕事につかなければなりません。だけれども、やはりそういった形で仕事についたら、大体収入は減ってしまうものだと思うんです。同じような給料でなかなか仕事は見つからないと思います。あるいは、世帯が分離してしまったりとかですね。そういった中で、やはり皆さん、ぎりぎりのところでやられている。

 その中で住宅支援が打ち切られるというのがどういうことなのか、この現実をしっかりと見るということが私は非常に大事だと思います。今も、生活保護基準の変更、我々は引下げだと思っていますが、これも議論になっていくと思いますが、やはり現場がどういうふうなのか。

 ですから、ぜひ大臣、今どういう状況なのか、この実地調査をしっかりやっていただいて、やはりそういった非常に苦しい方々がいるのであれば、そこにしっかり手を差し伸べる。一年前に住宅支援を打ち切っても、もう一度繰り返しになりますが、安倍政権は、原発は安いと言っているわけですから、原発は安いんだったら、ぜひそういったところにお金を回していただきたいというように思います。

 もう一つ、関係九府省庁会議というのが今開かれて、この支援策に対して再検討を行っているというように聞いておりますが、来年度に備えてですね。そういった再検討の実地調査に関しても、今みたいな自主避難者の方あるいは福島県外の方、そういったところまで広めてしっかりと調べて、何が本当に必要なのか、支援策に関してしっかりと検討をしていただければというように思いますが、ちょっと時間の関係もあるので、ここはお願いをして、復興庁さんの方にはこれで質問は終わりたいと思います。ありがとうございました。

 次に、防衛省の方に質問をしたいと思います。

 長距離巡航ミサイル、スタンドオフミサイルということですが、私は長距離巡航ミサイルというふうに呼ばせていただきたいと思うんですが、これの購入が今予算で上がってきております。

 まず一番最初に、この予算が概算要求には上がっていませんでした。私としては、何か突如としてこれが出てきたという、そういう感があるんですが、なぜこのように突如この予算が入ってきたのか、御説明いただけますでしょうか。

大野大臣政務官 よろしくお願いします。宮川委員の御経歴を拝見させていただいて、私、個人的にはちょっと親近感が湧いているところでございますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 今、概算要求に載っていなかったのに、なぜ急遽載ったんだというような御質問があったかと思います。

 我々、防衛省・自衛隊といたしましては、我が国を有効に防衛するためにいかなる装備が必要なのかということを日ごろから不断に検討しているところでございまして、その過程におきまして、スタンドオフミサイルの取得について、ノルウェー政府とかあるいはアメリカとかと必要な情報収集や調整というのをしてまいったところでございますけれども、昨年末までにちょうど政府の予算への計上に必要な情報が得られ、そして導入の見通しが立ったということでございます。

 また一方で、状況というものも見ていかなくちゃいけないと思いますけれども、御存じのとおり、昨年はかなり厳しい状況、特に昨年の夏ぐらいから急に状況が厳しい状況になった。六回目の核実験を北朝鮮は行い、そして日本列島を越えるような弾道ミサイルを発射されたり、こういうことが続いてまいりまして、非常に重大かつ差し迫った脅威となっているところでございます。BMD任務に従事するようなイージス艦の防衛というのも当然必要が高まっている、そういうことでございまして、そういったことから、追加的にその予算の要求を行って、そして政府の予算案に必要な予算を計上したということでございます。

 いずれにしましても、これまでの検討の成果と、それから情勢の変化を踏まえまして、我が国防衛に従事する自衛隊員がより安全に任務を遂行できるような装備を速やかに整えるというのは我々政府の責任であろうということから、予算要求を行ったということでございます。

宮川(伸)分科員 十二月八日の日に発表されて、私はこれも非常に不満で、少し御議論したいところなんですが、ちょっと時間の関係で、ここはまた次回、安全保障委員会の方でやらせていただくとしまして、私も何度か話をしている中で、やはり北朝鮮の問題が一つ、早くここで上げてきた理由としてあると思います。

 それで、北朝鮮の脅威ということで、なぜこの足の長い、五百キロ、九百キロというようなミサイルが北朝鮮のために必要なのか、どのような状況を想定しているのか、御説明いただけますでしょうか。

大野大臣政務官 どのようなことを想定しているのかという御質問を賜りました。

 まず、スタンドオフミサイルというのは一体どういうものを想定しているのかということでございますけれども、基本的に、一層増すその環境であることを踏まえて、特に諸外国の防衛、その技術の能力、その向上というのが非常に著しく進展をしているところでございまして、我々、我が国の防衛に当たる自衛隊機が相手の脅威の圏外から対応できるようにすることで、隊員の安全を確保して我が国を有効に防衛するということから、その導入に至ったものでございます。

 例えば、海上部隊と航空部隊、こういったものが連携して武力攻撃が行われるような場合に、その脅威が及ぶ範囲というのがかなり長い。例えば、場合によっては数百キロということが想定されるわけでございます。現状では、そこの中に入って対処しなくちゃいけないということになってまいるわけでございますけれども、このような場合だと、隊員の安全も確保できないだろうし、有効に防衛が対処できないということになりますので、そういったものから、こういったスタンドオフという能力というのが必要不可欠だというような認識になってございます。

 以上でございます。

宮川(伸)分科員 ありがとうございます。

 ちょっと今の説明だと、やはりまだ私自身は理解ができないところがありまして。きょうちょっとこういう紙を入れさせていただいたんですが、ここまで行きませんでしたが、九百キロというのがどのぐらい遠いのか。北朝鮮と日本の距離感を考えた場合に、今の大野政務官の御説明だと、なぜ九百かというのが、やはり私はまだちょっと落ちないところがあります。

 この続きは、また安全保障委員会の方でしっかりとやっていきたいと思いますが、この長距離巡航ミサイルは、やはり、今までこれはオーケーだと言っていた範囲を少し超えるものだと思うんです。ですから、しっかりと国民にわかるように、国民がこれならしようがないねと思えるような説明ができるような状況で進めていく必要があると思います。

 時間が来ましたので、以上といたします。どうもありがとうございました。

渡辺主査 これにて宮川伸君の質疑は終了いたしました。

 次に、遠山清彦君。

遠山分科員 公明党の遠山清彦でございます。

 吉野大臣、連日御苦労さまでございます。

 二問だけお伺いをしたいと思います。

 もうすぐ東北大震災発災から七年というところまで参りました。私は、政治家としての地盤は九州、沖縄でございますが、幼少期に東北で育ったこともございまして、大震災発災直後に、公明党の党内で、東北の地域を割って担当を決めて、党として復興に全力で取り組むということになりました。私は岩手県の三陸沿岸部の町々を担当することになりまして、特に被害の大きかった陸前高田市には、発災直後、集中的に通わせていただきまして、当時、我々野党でございましたけれども、これは与野党関係なく全力を尽くすということで活動をさせていただいて、今日では頻度は落ちておりますけれども、定期的に伺っているところでございます。

 きょうは、この陸前高田市から政府の方にも、復興庁の方にも上げられている要望の中から二点、特にお伺いをしたいと思っております。

 まず一点目は、東日本大震災復興特別区域法の税制上の特例措置の将来的な延長を検討していただきたいということなんでございますが、大臣御承知のとおり、復興期間十年ということで、この特例措置の適用期間も平成三十二年度末までということになっております。

 しかし、被害が甚大であった陸前高田市、これは津波で相当やられたわけでございますが、この陸前高田市においては、被災者の産業再生支援について、現在、土地のかさ上げや土地区画整理事業等をやっておりますが、なお相当の期間を要するということでございまして、こういった土地の区画整理事業やかさ上げが全部終わって、宅地の用地の引渡しが地権者に可能になるのがまさにその平成三十二年度末と見込まれている地域がございます。

 そうしますと、事業者の再建が平成三十三年度以降、つまり、今言われている復興期間十年の後にならざるを得ない状況にあるわけでございまして、産業再生特区、あるいは陸前高田市独自の商業特区による税制優遇措置が受けられなくなる可能性のある事業者がいるのではないかという状況です。

 そこで、まだまだこれから三年、四年後の話を私は今しているわけでありますが、長い道のりが予想されるわけでございますけれども、政府としてそろそろ、あと三年でございますので、平成三十三年以降もこういった特別区域法の税制上の特例措置の延長について前向きに検討し、そういう方向性をできれば地元としては示すことはできないのか、こういう問いかけでございます。

 御答弁、よろしくお願いします。

吉野国務大臣 遠山先生には、被災地を何回も訪問していただき、寄り添ってくれたことに、本当に感謝を申し上げたいと思います。

 私も、陸前高田を訪れて、市長さんから、遠山委員と同じ要望を承りました。全くその思いはそのとおりである、そのように理解を個人的にはしているところでありまして、一生懸命政治家として、市長さんの思いを実現する方向で汗を流したい、このように考えているところです。

 大臣としての答弁を申し上げたいと思います。

 復興特区制度において、被災地における投資や雇用を促進する観点等から、思い切った税、財政、金融上の特例や規制、手続の特例の措置を講じてきております。

 お尋ねの特区税制では、平成二十九年三月までに、約四千七百事業者の指定、約二兆三千億円の投資、約十三万人の雇用実績がございまして、被災地の産業復興の加速化に寄与してきた、このように考えております。

 陸前高田市においても、約百四十億円の投資や約三百名の雇用実績がございます。指定事業者のアバッセたかたにも先月視察をしてまいりました。特区税制の効果を改めて認識したところでございます。

 御指摘の、特区税制を含めた平成三十三年度以降の復興事業のあり方については、基盤整備等の復興施策の進捗状況等を踏まえ検討してまいることになる、このように考えております。

遠山分科員 大臣、ありがとうございます。

 実は、今話題になったこの東日本大震災復興特別区域法の法律の制定は、私、当時野党だったんですが、チームに入れていただいて、かかわりました。非常に私個人としても思い入れの深い制度でもございますので、大臣のお話ですと実績は上げてきているということでございますので、またその実績を踏まえて、平成三十三年度以降に必要なニーズを見きわめて適切な措置をとっていただきたい、その中にこの延長をぜひ含めていただきたいという私個人の要望をお伝えしておきたいと思います。

 もう一点、これも大臣よく御存じのお話かと思いますが、陸前高田市におきましては、津波によりまして被災、浸水をして、住居の集団的移転を促進することが適当であると認められる宅地については、防災集団移転促進事業において買取りを進めているということでございます。ただし、これらの土地は連担をしておらず、また、その全ての土地が売却希望地ではないことから、買い取る土地が点在することになります。これが、新たな土地利用を図る際の大きな懸念材料になっているということでございます。

 そこで、大臣に御検討をお願いしたいのは、こういう、俗に虫食いの土地とも呼んでいいのかもしれませんが、点在する土地の集約などを伴う被災跡地を活用したまちづくりを円滑に進めるための新たな施策、手法の提示、また既存の制度を改善する手法等、これは来年度以降にしっかり検討を始めていただきたいと思いますし、また、そのために必要な予算の確保ということも庁内で御検討いただきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。

吉野国務大臣 今は高田市の例も御開陳していただきました。実は私の地元いわき市もそうなんです、虫食いでございまして、跡地利用というのがなかなか大きな今課題になっております。

 移転元地の活用については、復興庁は、登録免許税の免税措置の創設による公有地の集約促進の支援や具体的な土地利用ニーズに応じた基盤整備の支援など、総合的な支援策を取りまとめ、直接自治体に伺うなどして説明をしてきたところでございます。それによって、被災地での公有地を集約した産業用地への企業進出、公有地と民有地の一体的活用など、移転元地の有効利用事例もふえつつございます。

 陸前高田市においても、登録免許税の免税措置を活用して復興事業用用地を生み出すなど有効利用の取組が進められております。

 復興庁としても、引き続き、こうした支援策を通じて自治体の移転元地の有効利用の取組が促進されるよう努めてまいる所存でございます。あわせて、陸前高田市の具体的な要望についても、きめ細かく相談に応じて支援をしてまいりたい、このように考えております。

遠山分科員 大臣、ありがとうございます。

 大臣の御答弁で最後ありましたけれども、やはり、陸前高田市自体が今後土地利用のあり方についてどういうふうに具体的なビジョンを描くかということも非常に大事だと思います。

 私がきょうこの質疑の場をかりて御要望申し上げている趣旨は、これから、地元の市町村、陸前高田市に限らないと思いますけれども、東北の被災自治体からいろいろな具体的なビジョンとか計画が上がってきたときに、それにきちっと対応できる仕組み、制度、予算というものを国の方でしっかり整えておいていただきたいということも含まれておりますので、大臣の大変力強い御答弁に感謝をしながら、次の質問に行きたいと思います。

 御退室されて結構でございます。ありがとうございました。

 続きまして、内閣府の沖縄振興局長、来られていると思いますが、一問伺います。

 南大東島、行政区としては南大東村になりますけれども、このことにつきまして、ここから出ている要望につきましてお伺いをしたいと思います。

 先日、南大東村の仲田村長を先頭に要請団が公明党に来られました。今これは厚労省を中心につくられて予定されている働き方改革の時間外労働上限規制の強化が、南大東村の主要基幹産業でありますサトウキビ生産及び製糖業にどのような影響があるのかということについて、南大東村側から説明がなされました。

 結論を先に申し上げますと、この改革によって、離島であります南大東村の製糖業は大打撃を受けて、最悪の場合、製糖業を維持できず、この南大東島、私、実は五回ぐらいみずから行ったことがある島なんですけれども、人口が千五百人前後の小さな島でございますが、製糖業が維持できなかったら無人島化しますというくらい深刻な内容の御要請を受けたわけでございます。

 今回の働き方改革によりまして、例えば勤務体制を、一日二交代制であるものを三交代制にしなければならない。それに伴い、今県外から、実は北海道から、この一月から三月の製糖期間のときだけ約四十人の方々に来ていただいて、北海道は冬で閑散期ということもあるんでしょうが、南大東島まで来ていただいて、二交代制で働いていただいている。しかし、これが三交代になりますと、いろいろな製糖業の過程がございますので、約四十人を倍増させないとこれが維持できない。また、一人当たりの勤務時間が二交代から三交代になって減りますので、賃金も減少するため、働きの場として魅力が落ちてしまうということから、人員の確保が相当困難であると見込まれております。

 それから、働き方改革の上限規制によって、この一月から三月にかけて集中的にやっていた製糖業のプロセスが半月かそれ以上おくれる可能性がある。製糖業の製糖作業がおくれると、その後に畑に植え込むサトウキビの栽培にも影響があって、翌年の製糖時期がずれてしまうという悪循環に陥るのではないかという御懸念がございました。

 もちろん、南大東村の皆様も、私個人も、働き方改革に反対なわけではありません。その重要性は認識をいたしております。しかし、年間約百日間に集中して行われているこの製糖業が南大東村の生命線と言っても過言ではございません。

 今回の政府が提示している改革がもし実現すると、移行期間は三年間ということになっているわけでございますが、政府として、この移行期間の三年間も活用しながら、南大東村の製糖業を維持するためにどのような総合的な対策をとる方針なのか、その概要について、場合によっては他省庁にまたがることも含めて、御説明をいただければと思います。

北村(信)政府参考人 お答えいたします。

 南大東島を始めとする沖縄の離島の製糖業は、サトウキビ生産を支え、同地域の経済において重要な役割を担っていると認識をしております。働き方改革の中で、製糖業についても時間外労働の上限規制の適用が今後予定されておりますけれども、離島の場合には、地理的な制約により人材確保が困難などの事情が存在していること、委員の御指摘のとおりかと思います。

 このため、内閣府としては、製糖事業者等による人材確保の仕組みづくりや人材育成、市町村による季節労働者の宿泊施設の整備支援等を行うこととしております。また、厚生労働省や農林水産省においても、人材確保に向けた求人の充足支援、人員配置の改善の検討など、労働効率を高める取組への支援等が行われることとなっており、政府一体として、製糖業が維持されるよう、製糖事業者等への支援に全力で取り組んでまいります。

遠山分科員 三年ありますから、そういう御答弁になろうかと思いますが、これは実際、結構大変だと思います。局長は南大東島へ行かれたことはありますか。(北村(信)政府参考人「ございます」と呼ぶ)ありますね。あられるのであればおわかりだと思いますが、かなり条件が困難な地域にお住まいいただいている。

 一方で、南大東島とその隣の北大東島、人口は少ないですけれども、彼らがあそこで定住をしていただいていることで、日本のEEZはたしか全体の一〇%ぐらいがあの二つの島でカバーされていたような記憶がありますけれども、そういう国の安全保障とか、あるいは海洋資源確保といった観点からも重要な離島だというふうに思っておりますので、ぜひ、そういったことも踏まえて、政府としてしっかり取り組んでいただきたい。

 私は、移行期間の間に、製糖業が維持できないということが明らかになってきたら、またその移行期間を少し延長することも考えなきゃいけないんじゃないかとぐらい個人的に思っていることでございますので、内閣府、厚生労働省、農林水産省挙げて応援をしていただければと思います。

 続きまして、企業主導型保育事業について、簡潔に二問伺いたいと思います。

 政府が平成二十八年度に企業主導型保育事業制度を創設いたしました。制度の概要は割愛しますけれども、この制度の導入によりまして、平成二十八年度に約二万人、平成二十九年度は約五万人、合計七万人の受皿を確保できたというふうに承知をしております。画期的な制度という声も公明党に多数届いておりまして、私自身もさらなる拡充をすべきだと思いますが、一方で課題もあると思っております。

 その一つが、公益財団法人児童育成協会がこの二年度にわたって六回の公募を行っているわけでございますが、この公募の時期が不定期であるということ、それから、公募の告知が公募を開始する直前二日前であったということで、小規模事業者にとっては、書類作成とか書類の取り寄せをするにしても期間が短過ぎるという指摘が具体的にございました。

 今後、これらの点は改善すべきではないかと思いますが、御答弁を求めます。

    〔主査退席、古賀主査代理着席〕

小野田政府参考人 お答えいたします。

 企業主導型保育事業、平成二十八年度に創設したところでございます。平成二十八年度は、四回の募集を行い、告知から募集開始までは長くて十五日間程度の周知期間を設けたところでございます。一方、今年度は、二回募集を行いましたが、周知期間は昨年度と比較しまして短くなっております。

 本事業を実施していただく企業を募集するに当たりまして、準備の時間を確保することは非常に重要と考えております。そういう観点から、募集期間に関係なく、助成申請に必要な資料について企業主導型保育事業のホームページで公開するとともに、申請に必要な相談に随時応じているところではございますが、今後の募集におきましては、企業が一層の余裕を持って申請が行えるよう、周知期間の確保などに努めてまいりたいと考えております。

遠山分科員 ぜひよろしくお願いいたします。

 続けて、この企業主導型保育事業、来年度、平成三十年度の公募については、新規で二万人という枠で、狭くなってきております。今後、この事業を進めるに当たって、より戦略的に行っていただくために、広い範囲での事業主体者の受入れでありますとか、あるいは、私が一番強調したいのは、待機児童率が高い地域を優先して助成金決定を行うなどの工夫をした方がよいのではないか、そのために厚生労働省と情報共有を強化するといったことも必要ではないかと思いますが、簡潔に御答弁お願いいたします。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 待機児童、都市部に多く見られる状況でございまして、平成二十九年四月一日現在、いわゆる都市部では全体の七二・一%を占めております。一方で、企業主導型保育事業でございますけれども、この同じ都市部の占める割合は、平成二十九年三月三十日現在で、施設数ベースで六七・三%、人数ベースで六七・三%となっており、待機児童対策に一定の貢献をしているものと考えてございます。

 また、待機児童が多い東京都や大阪府では、企業主導型保育事業の相談窓口を設置し、説明会の実施や企業主導型保育施設の見学会を実施するなど、積極的な支援に取り組んでいると伺っております。

 他方、待機児童対策に更に貢献すべきであるとの御指摘もいただいているところでありまして、採択のあり方を含めまして、どのような工夫ができるかにつきまして、今後検討をしっかりとしてまいりたいと思います。

遠山分科員 ぜひよろしくお願いいたします。

 最後に、時間の限りがありますが、大野防衛大臣政務官、連日御苦労さまでございます。質問をいたしたいと思います。

 まず一点目は、ことし二月一日の新聞各紙で、一月三十一日、ハワイで実施した新型迎撃ミサイルSM3ブロック2Aの迎撃実験が失敗したという報道がございました。

 これに関連をいたしまして、我が国も、実はこれまでにイージス艦によるブロック1Aの迎撃実験を行っているということでございますし、米国での迎撃実験は日本よりもかなり多い回数で行われているということでございますが、この日米双方の迎撃実験の回数と、また命中回数をお答えいただければと思います。

大野大臣政務官 遠山先生にはいつも厳しくも温かく御指導いただいておりまして、きょうも、大変幅広い分野での御知見をお持ちだなと、改めて敬服をさせていただいているところでございます。

 御指摘のSM3ブロック1A、1B、2A、日米で実験を行っておりますけれども、端的に申し上げます。米国が実施したSM3の迎撃試験、これは日本の分も、日米の共同も含まれますけれども、1Aが十六回やっておりまして、そのうち十三回が命中、1Bが九回中七回、2Aが三回中一回ということになっております。その中で、日本のものが、1A、四回中三回、それから2Aが三回中一回ということでございます。

遠山分科員 今お答えいただいた数字を見ますと、毎回当たるわけではないけれども、ことしの二月一日の報道で迎撃失敗と報じられたことをもって、この計画全体が失敗だということはないんだろうと思いますが、念のため伺っておきたいと思いますが、防衛省として、今回のハワイのSM3ブロック2Aという最新のミサイルの実験が失敗したということが、関連技術の信頼性とか今後の導入時期等への影響をどう評価しているか、これについてお伺いをしたいと思います。

大野大臣政務官 御心配いただきまして、大変恐縮でございます。

 今回の失敗をもって直ちに大きな懸念があるとかいうことは全くございません。端的に申し上げますと、そのスケジュールについても影響はないというふうに考えてございます。

 なお、ブロック1Aというのは、御存じのとおり、既に技術、能力が確立されたものである、こういう認識をしておりまして、2A、これは発展型であろうかと思いますけれども、この2Aというものは既に十一年間、日米で共同研究をされておりまして、各種のデータをとっているところでございまして、技術的に信頼が高いというふうに引き続き認識をしているところでございます。

 いずれにせよ、今回の解析結果や数回予定されている統合試験の結果も踏まえて、仮に改善点があれば、今後もその製作過程で反映していくということは十分可能かなというふうに認識をしているところでございます。

 また、米国側も、米国のミサイル防衛庁、ここも、今回の試験結果にかかわらず配備スケジュールには影響ない旨を述べているところでございますので、防衛省としましても、現時点でのSM3ブロック2Aの取得に関して大幅なスケジュールの変更の必要はないものというふうに考えてございます。

遠山分科員 ありがとうございます。

 二〇二一年にはこのSM3ブロック2Aをイージス艦に配備、二〇二三年には同じ技術の陸上配備型でイージス・アショアでも配備ということが予定されていると伺っておりますので、この技術の信頼性については国民にきちっと丁寧に説明をしながら、その信頼性に揺るぎないということが理解されるように努めていただきたいと思います。

 最後の質問になります。

 本年一月三十一日の参議院予算委員会で、安倍総理が以下のような御発言をされました。「例えばミサイル攻撃の第一弾は私たちはそれを甘受しなければならないわけでありますが、」という表現が使われております。これは、専守防衛のある一面を総理なりの表現で説明されたと理解をしておりますが、一部のメディアでは、第一撃による被害を甘受しなければならないかのような報道がなされたわけでありまして、これも、ある意味、ミサイル防衛の信頼性が問われる部分もある解釈だったかと思います。

 しかし、これは安保法制の議論の中でも確認がされておりますが、我が国に対する第一撃の着手を甘受するということでありまして、必ずしも第一撃の着弾を甘受しなければならないということではないということを確認させていただきたいと思いますが、御答弁をお願いします。

大野大臣政務官 ありがとうございます。

 全く御指摘のとおりでございます。あくまで着手ということであろうかと思います。

 念のため、正確に説明をさせていただきたいと思いますけれども、専守防衛について安倍総理が、御指摘の山本委員とのやりとりにおいて、専守防衛は防衛戦略としては大変厳しいものであると述べた上で、ミサイル攻撃の第一弾は私たちはそれを甘受しなければならない、第一撃を放つことは甘受しなければいけません、こう述べられておられます。その上で、山本委員に対して、「国民の命を守るためにはそれをミサイル防衛でしっかりと撃ち落としていくことが求められるわけでございます。」と述べていらっしゃいます。このように、安倍総理の答弁は、第一撃による被害の発生まで甘受をするということを述べたわけではございません。

 また、自衛権を行使する場合の要件である武力攻撃が発生したときについて、我が国が現実に被害を受けたときではなく、他国が我が国に対して武力攻撃に着手したときであるというふうに政府は従来から解しておりますが、この従来からの考え方には変更はございません。

 その上で、専守防衛のもとで国民の生命財産、我が国の領土、領海、領空を守り抜くには、我が国の防衛力の質と量の確保は極めて重要となります。例えば、先般導入することとしたイージス・アショアといった新規装備品は、このような観点からまさに必要なものでございます。

 政府としては、引き続き、弾道ミサイル防衛能力の向上を図り、万が一にも弾道ミサイル攻撃による被害を受けることがないよう万全を尽くしていく考え方でございます。いずれにせよ、専守防衛は憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略であり、我が国防衛の大前提でございますので、今後ともこれを堅持してまいります。

 以上でございます。

遠山分科員 大野政務官、大変明快な御説明、ありがとうございました。

 以上で私の質疑を終わります。ありがとうございました。

古賀主査代理 これにて遠山清彦君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

古賀主査代理 次に、内閣府所管について審査を進めます。

 内閣府本府について質疑の申出がありますので、これを許します。國場幸之助君。

國場分科員 自由民主党の國場幸之助です。

 貴重な機会をまことにありがとうございます。

 それでは、本日は六問にわたって質問をしていきたいと思います。

 最初の質問でありますが、東シナ海におけるタンカーの衝突事故についてお尋ねをしたいと思います。

 一月の六日に上海沖にてタンカーの衝突事故が起きました。犠牲になられた乗組員の皆様方には、心から御冥福をお祈りしたいと思います。

 火災を起こしたまま漂流しまして、推定で十四日に沈没したと言われております。その結果としまして、奄美列島、そしてトカラ列島、琉球列島の二十二の島で油状の漂流物が確認されております。現時点までに判明したこと、政府の対応について、海上保安庁にお尋ねをします。

奥島政府参考人 お答えをいたします。

 一月二十八日以降でございますが、鹿児島県宝島、奄美諸島及び沖縄県沖縄本島などにおける沿岸部の現地調査を実施いたしましたところ、委員御指摘のように、宝島や沖縄本島など二十二の島の一部沿岸に油状のものが漂着しているのが確認されました。これまでのところ、人的被害等に関する情報には接しておりません。

 また、海上保安庁では、サンチ号沈没位置付近海面におけます浮流油と沿岸に漂着をいたしました油状のものなどにつきまして、それぞれサンプルを採取し、分析を行っております。

 これまでのところ、一部のサンプル、具体的に申し上げますと、サンチ号沈没位置付近海面に浮流する油と、沖永良部島、それと与論島に漂着した油状のものでございますが、それがそれぞれを構成する成分あるいはその成分の比率が類似しているということが判明をいたしております。

 また、一月二十九日から二月の二日にかけましては、測量船の昭洋がサンチ号周辺海域、それと沖縄周辺から南九州沿岸にかけての海域の十四カ所で採水を行い、海水中に含まれる油分を測定いたしました。その結果、事故以前に測定された値と変わらないものであるということが確認をされております。

 なお、タンカーが沈没しております現場海域におきましては、二月二十三日時点におきまして、長さ三百メートル、幅三十メートル程度の薄い油膜が浮流しており、末端部においては拡散消滅しつつある状況にございます。

 今後の油状のものの漂着の見通しについて申し述べることは困難ですが、海上保安庁では、これまで地方自治体などと連携して回収作業などを実施してきたところでございます。

 また、引き続き、漂着油の情報収集、調査等を行いますとともに、現場海域における浮流油の調査、油防除作業等を実施してまいる所存でございます。

國場分科員 生態系や環境に与える影響はどうでしょうか。環境省からの答弁をお願いします。

江口(博)政府参考人 お答え申し上げます。

 鹿児島県の奄美大島、沖縄県の沖縄本島などの各島の海岸におきまして油状の漂着物が確認されている状況でございます。このため、環境省におきましては、漂着地域の野生生物や生態系などへの影響調査を実施しているところでございます。

 これまで、油が漂着した地域におきまして死亡した野生生物に関する報告を複数受けておりますが、現時点におきましては、油により死亡した可能性が高いと考えられる野生生物は、二月六日に鹿児島県奄美市知名瀬で発見されたアオウミガメ一頭でございます。

 また、奄美大島におけます五つの海域公園地区におきまして目視によります緊急調査を行いました結果、海面における油状のものの浮遊やサンゴなどへの付着は確認されず、現時点では、サンゴ、海草類などの生息、生育には特に異変がないことを確認したところでございます。

 さらに、国立研究開発法人国立環境研究所と連携いたしまして、漂着地域周辺の海水、大気などについて環境モニタリング調査を実施しております。現地調査及び採取等を行いまして、現在、採取した試料を分析しているところでございます。

 今後とも、環境省におきましては、漂着地域におけます野生生物、生態系などの保全、海岸環境の保全、良好な景観の確保等に取り組んでまいります。

國場分科員 海上保安庁や環境省の皆様が迅速に対応されていることには敬意を表したいと思います。

 しかし、今回、この一連の事案の中で幾つかの課題もあったかと思います。その一つは、事の発端はイギリスのシンクタンクの英国海洋センターが、事故の直後に、史上最悪の原油流出が日本の海域を直撃する、そういったネット上のものが拡散されまして、地域や国民に不安を与えたということがあります。

 しかし、保安庁や環境省からの情報発信というものが非常にタイミング的にも内容的にも的確であったのか、そういう課題を指摘する声もありますけれども、その点についての答弁をお願いしたいと思います。

奥島政府参考人 お答えをいたします。

 海上保安庁におきましては、サンチ号が中国・上海沖で衝突し、火災が発生した当初から関連情報を関係省庁に情報提供いたしますとともに、報道機関に対し広報を行うなど、情報の発信に努めてまいりました。

 また、こうした情報発信のほか、サンチ号沈没位置付近海域の浮流油の状況、油状のものの漂着状況、これらの分析結果、さらには海水中に含まれる油分の測定結果などにつきましては、海上保安庁ホームページ及びツイッターを活用して最新の状況を提供いたしております。

國場分科員 引き続き、調査と監視と情報提供をお願いしたいと思います。

 続きまして、先ほど遠山清彦委員も質問をしておりました南大東島における沖縄の、また奄美の離島における働き方改革と砂糖製造事業者への支援についてでございます。

 今、全国的にも人手不足問題というものは深刻な課題であります。しかし、南西地域における有人離島を守るという観点からは、サトウキビという産業が非常に重要であるということは認識が一致しているかと思います。

 サトウキビは島を守り、島は国土を守る。つまり、有人離島を守るということ、第二の尖閣列島をつくらないということ、このことは、国土保全的にも、海域を守ることにも、そしてまた国益にも資する重要な視点でございます。

 しかし、今、南大東島を中心とするサトウキビの製造工場の方々は、二交代制ですら、全国から人を今、一生懸命に製糖工場が稼働するこの時期に集めております。

 具体的に大東糖業の事例でございますけれども、今、二交代で工場が二十四時間稼働しておりますが、六十八名の、内訳としまして、正社員三十名、季節工が三十八名おります。そのうち、十三名の方は北海道から来ているわけでございます。

 それが三交代に変わるとしますと、三十六名の人員増が必要となり、しかも、労働時間の短縮で、個々の労働者の所得減収は確実であり、人を集める魅力というものが低下すると思われます。そして、工場側としますと、二交代から三交代、つまり、人員がふえるわけでありますから、人件費はふえていく、そういう問題も生じてくるわけでございます。

 そういった状況を踏まえまして、どのような人手不足に対する対策を行っていくのか、この点に対するコメントをお願いします。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 現在検討中の時間外労働の上限規制におきましては、沖縄県と鹿児島県の製糖業については、一般則の施行から三年間はその適用を猶予し、三年間経過した後から適用することとしております。

 南大東村など離島の製糖業は、地域の経済を支え、また、島の基盤を形成する重要な役割を担っていると私どもも認識をしておりまして、また一方、地理的な制約によって人材確保が困難になるなどの事情が存在していることも承知をしているところでございます。

 そのため、時間外労働の上限規制の適用に当たりましては、離島の製糖業がしっかりとこれに御対応いただけるように、政府としても、人材確保などの観点から、省庁横断的に全力で支援を申し上げたいというふうに思っているところでございます。

 具体的には、厚生労働省におきましては、時間外労働の上限の引下げに伴う増員に対応するため、人材確保などに取り組む中小事業者の方々に対する助成措置などを実施いたしますとともに、求職者の方に製糖業界で働く魅力を伝えて、興味、関心を持っていただく取組などを通じまして、求人の充足を支援してまいりたいというふうに考えております。

 このほか、農林水産省や内閣府におきましても、工場の省力化による生産性向上に向けた支援や、市町村による季節労働者の宿泊施設の整備に向けた支援を実施するというふうに承知をしておるところでございます。

 こういった支援を出発点といたしまして、また、現地の状況もよく拝見をさせていただき、島の基盤となる製糖業が発展をしていくためにどのような支援があるべきかということを政府一丸となって考えてまいりたいと思っております。

國場分科員 ありがとうございます。

 南西地域には、離島を中心に十五の分蜜糖の製糖工場があります。今、三交代で稼働している工場は五つの工場のみでございます。残り十の製糖工場は二交代で今稼働しているという状況でございますから、大事なことは、現場に足を運んで、それぞれの事情に対応できるような体制を構築していく、それを三年間、一緒になって島の方々と知恵を絞っていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、人づくり革命と幼児教育の無償化についてお尋ねをしたいと思います。

 「二〇二〇年度までに、三歳から五歳までのすべての子供たちの幼稚園・保育園の費用を無償化します。」という公約は、前回の自由民主党の公約でございます。

 しかし、昨年十二月八日に閣議決定されました新しい経済政策パッケージによりますと、無償化措置の対象範囲等については、専門家の声も反映する検討会の場を設け、現場及び関係者の声に丁寧に耳を傾けつつ、保育の必要性及び公平性の観点から、来年夏までに結論を出すとなっております。

 私は、保育の必要性及び公平性の観点という視点は、経済的困窮のゆえに保育園に預けざるを得ない就労世帯という基軸で判断すべきであり、認可、認可外という組織の形式で単純に分けるべきではないと考えております。

 沖縄県は、待機児童の待機率が全国で最も深刻であります。私の選挙区の那覇市は、待機児童数は、東京都の世田谷区に次いで全国二位の多さでございます。

 そして、全国では、認可園と認可外の割合というものは九対一でございます。しかし、沖縄県は、認可と認可外の割合は五対五となっておりまして、認可に入りたくても認可園の絶対数が少なく、必然的に待機児童が多くなっている状況があり、認可外に預けられている児童は非常に多いという実態があります。

 さらに、沖縄の子供の貧困率二九・九%、これも全国で最も深刻でありまして、さまざまな制約要因から認可園に移行できずに、その地域の経済的に困窮する児童の多くが認可外に通わざるを得ないケースが多い以上、無償化支援への緊急性は高いと考えます。

 そこで、お尋ねをします。認可外保育園への無償化支援の検討と取組は、現在、どのような状況になっておりますか。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 歴史的な経緯から、沖縄県では、認可外保育施設の施設数や利用者数が他県と比べて大変多いということは承知しているところでございます。

 そして、今御指摘いただきましたように、幼稚園、保育所、認定こども園以外の無償化措置の対象範囲等につきましては、専門家の声も反映する検討の場として、幼稚園、保育所、認定こども園以外の無償化措置の対象範囲等に関する検討会を一月二十三日に立ち上げたところでございます。

 この検討に当たりましては、現場や関係者の声に丁寧に耳を傾けながら、保育の必要性や公平性の観点から検討していただきたいというふうに考えているところでございまして、御指摘いただきましたように、夏までには結論を出していただく予定としているところでございます。

國場分科員 新聞報道の内容でありますけれども、この検討委員会の中では、保育の必要性がより高い世帯の負担を重点的に支援するという方針が報道されております。その際にでも、全国で最も待機率が深刻で、認可外の比率が高いこの沖縄の現状を踏まえた検討というものはなされているのか、また、これから考えているのか、その点についての答弁をお願いします。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 本検討会は、今後、おおむね月一回程度で開催し、先ほど答弁いたしましたように、現場や関係者の声に、また、きょう御指摘いただいたようなことにも丁寧に耳を傾けつつ、保育の必要性や公平性といった観点からしっかり検討していきたいというふうに考えております。(國場分科員「沖縄もちゃんと」と呼ぶ)きょうの御指摘も踏まえまして検討していきたいと……(國場分科員「沖縄と言ってください」と呼ぶ)沖縄の声にも配慮しつつ、しっかり検討していきたいと思います。

國場分科員 ありがとうございます。

 続きまして、子供の貧困についてお尋ねをしたいと思います。

 沖縄県の子供の相対的貧困率は、二九・九%と、全国平均の一三・九%の約二・二倍あります。一人当たりの県民所得も全国最下位クラスで、母子家庭の世帯の出現率も全国で一位でございます。貧困からの脱却は、もはや、本人の努力だけではなく、社会全体、行政全般のサポートなくしては達成できず、特に、貧困からの連鎖を断ち切る試みは急務であると考えます。

 内閣府では、沖縄子供の貧困緊急対策事業として、平成二十八年度十億円、本年度十一億円、次年度の予算案としては十二億円と、全国で最も子供の経済環境が厳しい沖縄の改善に取り組んでおります。その柱は、貧困対策支援員の配置の充実と子供の居場所の運営支援の二本柱です。

 昨年の六月、利用した児童や父兄のアンケートを内閣府がとったところ、よい、どちらかとしてはよいという肯定的な評価が九割弱あったと聞いております。

 子供は生まれてくる環境を選ぶことはできません。全ての子供たちに機会の均等を保障するのは国家の責務であると考えます。この事業の期限は平成三十三年度までとなっておりますが、貧困解決ができるまで継続が必要であると考えます。

 そこで質問ですが、今日まで継続したこの事業、三年間の成果と課題をどのように考えておりますか。

北村(信)政府参考人 お答えいたします。

 子供の貧困対策につきましては、議員御指摘のとおり、沖縄の状況は極めて深刻でありまして、特に行政の支援が行き届いていないこと、あるいは日中及び夜間の居場所がないため、問題を抱えた子供が多いなどの課題が指摘されてきたところでございます。

 これらの課題に緊急に対応するため、内閣府では、沖縄の実情を踏まえた子供の貧困対策支援員の配置や子供の居場所づくりを実施しておりまして、例えば、就学援助などの行政の支援につなげたり、居場所の学習支援により成績が改善するなどの効果もあらわれてきているところでございます。

 もとより、沖縄における子供の貧困対策につきましては、本事業だけで解決できるものではございません。全国的な施策も含めまして、さまざまな取組と連携しながら対策を進めていくことが重要であると考えておりますので、引き続き支援の充実に努めてまいりたいと考えております。

國場分科員 支援の充実に努めていただきたいと思います。

 同時に、具体的な達成指標と期限といった数値目標も必要であると考えております。沖縄県が学識者と共同で調査した結果によりますと、親の学歴と経済状況には深い因果関係があり、中卒の親の六〇%は貧困世帯であるという衝撃的な結果も示されております。進学率の向上や高校中退を防ぐという取組も貧困の連鎖を断ち切る極めて有効な政策目標であると考えますが、この点についての答弁をお願いします。

北村(信)政府参考人 御指摘のとおり、沖縄県が策定をしております沖縄県子どもの貧困対策計画におきまして、総合的な支援策を講ずることを前提としまして、高校の進学率でありますとか中学校卒業後の進路未決定率、あるいは高校の中退率などに関する目標を定めて、それを実現していこうという取組を進めているところでございます。

 我々は、国の施策として、沖縄子供の貧困緊急対策事業というものを始めたわけでございますけれども、まだ二年目、三年目でございますし、個別事業でございますので、こうした個別事業がどういう成果につながっていくのかということについて、実は、例えば高校進学率にどれぐらい寄与するかといったようなことを考えてみましても、どれぐらい本事業が寄与しているのかということを認識すれば、どうやればいいのかということとか、あるいは、この事業が対象としている子供とそうでない子供というものがあったときに、そこに係るデータを区分して把握できるかどうかといったような難しい課題もございます。

 ただ、議員が御指摘になったように、成果目標をちゃんと定めながら事業をやっていくということは非常に重要な課題だというふうに思いますので、我々としても、本事業が対象としております子供たちの状況が改善されたことを確認するためにどのような方法が適切か、沖縄県とも連携しながら、引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。

國場分科員 ぜひよろしくお願いします。

 続きまして、村井政務官にお尋ねしたいと思います。

 つみたてNISAについてお尋ねをしたいと思います。

 長期、積立て、分散により国民の資産形成に期待が集まるつみたてNISAが本年からスタートをしております。人生百年時代に対応できる資産形成として、年金や生涯働く生き方だけではなく、貯蓄から投資へのきっかけをつくる試みとして、極めて有効な制度であると考えております。

 しかし、なかなか、普及という点ではいろいろな課題があるかと思いますが、今の現状と課題について、村井政務官にその認識を伺いたいと思います。

村井大臣政務官 お答え申し上げます。

 國場委員から、つみたてNISA、特にその普及について、どのように進めていくのかといったような御質問をいただきました。

 委員御指摘のとおり、つみたてNISAは、国民の安定的な資産形成を強く後押しするため、本年一月から開始をした制度でございまして、金融庁としては、その普及に向け、投資のきっかけを身近な場で得られる職場つみたてNISAを金融庁みずから導入をし、これを他省庁、地方公共団体、民間企業にも普及をさせていくことや、スマホ世代にも有効に働きかけるため、既存のメディアのみにとらわれない新たな情報発信のチャネルの活用といった取組を行っているところでございます。

 また、委員の問題意識にもあるかもしれませんが、金融機関で積極的に普及を進めていただかなければならないといったようなところもございますので、多くの金融機関においても、制度の趣旨を踏まえて、積極的な販売面での対応を進めていただけるように、金融庁としても取組を行っているところでございます。

 いずれにいたしましても、つみたてNISAの導入を契機として、金融機関とも協力をしながら、貯蓄から資産形成への流れをより一層加速させてまいりたいと考えているところでございます。

國場分科員 ありがとうございます。

 私が、また一つ問題かなと感じておりますのは、つみたてNISAの投資可能期間は平成三十年から平成四十九年までの二十年間となっているかと思います。本年スタートした方は、年間上限四十万、二十年間、合計八百万円の非課税の恩恵がありますけれども、来年スタートすれば七百六十万、再来年は七百二十万、そして平成四十九年にスタートすれば四十万のみの非課税でしかないということが国民に正確に伝わっているのかという疑問がありますけれども、この点についての答弁をお願いします。

村井大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員から、つみたてNISAが二十年の時限措置であるといったようなことに伴って、国民に早期につみたてNISAを利用していただく必要があるんじゃないかといったような御趣旨の御質問をいただきました。

 御指摘のとおり、つみたてNISAは年間四十万円ずつ非課税で投資できる制度でございまして、二〇三七年までの時限措置とされております。これを前提に考えると、例えば来年から投資を開始した場合の総額は七百六十万円、再来年から始めていただいた場合はマイナス四十万円の総額七百二十万円と、投資できる金額が減っていくこととなってしまいます。

 こうした点については、委員御指摘のとおり、金融機関とも協力をしながらでありますけれども、わかりやすい説明に努める必要があると考えております。また同時に、非課税制度を最大限活用いただけるように、つみたてNISAの早目の利用開始を呼びかけてまいりたいと考えております。

國場分科員 早目の利用と同時に、イギリスのISAのように、やはり恒久的な措置というものも、金融庁、一生懸命に推進しておりますけれども、私もその実現に向けて尽力をしていきたいと思います。ありがとうございました。

 最後に、二千円札の普及についてお尋ねをしたいと思います。

 二年前の予算委員会分科会でも、二千円札の普及に関する質疑を行いました。

 その成果について日銀と財務省よりお願いします。

岡田参考人 お答え申し上げます。

 日本銀行では、二千円券の発行を開始して以来、関係者と連携しながら、流通促進のための取組を進めてきております。最近では、財務省と連携しまして、金融機関等へ二千円券の円滑な流通促進について協力を要請いたしましたほか、金融機関あるいはホテル、旅館などに置けるような二千円券に関する英文パンフレットを作成いたしまして、財務省等と連名で配布する取組を行っております。

 この間の二千円券の発行高を見ますと、足元二〇一七年では、前年比がプラス〇・五%ということで、少しずつ増加をしております。

 日本銀行では、今後とも、二千円券を含めた日本銀行券の円滑な流通に努めてまいりたいと考えております。

古谷政府参考人 今、日本銀行からもお話がございましたけれども、最近の二千円札の流通促進策につきましては、先生の御指摘も踏まえた形で、日本銀行と共同で、二千円札を広報するリーフレット、パンフレット作成、それを金融機関やホテルで配布していただくといったこと、あるいは、金融機関などに対して二千円札の積極的な払出しの要請をするといったことに取り組んでおります。

 その結果、二千円札の流通自体、さまざまな要因で、経済で決まってまいりますので、この効果を特定してどれぐらい効果があったかというのは申し上げにくいところでございますけれども、流通残高は先ほど日本銀行からも御紹介ありましたとおり伸びてきておりまして、三十年一月末では約一億枚となっております。

 その二千円札、最近では、いわゆるATMなどでも受け入れられるようになっておりますので、流通の環境は整ってきていると考えられるところでございます。一方で、最近、キャッシュレス化の動きもございます。

 そういった日本銀行券の需要動向に私ども注視していきながら、引き続き、日本銀行とともに二千円札の流通促進に取り組んでまいりたいと思っております。

國場分科員 ありがとうございました。ぜひまた普及をよろしくお願いします。

 以上です。

古賀主査代理 これにて國場幸之助君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

古賀主査代理 次に、内閣所管について審査を進めます。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中野洋昌君。

中野分科員 公明党の中野洋昌でございます。

 通告に従いまして質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 まず、幼児教育の無償化について御質問をさせていただきます。

 幼児教育の無償化。昨年、衆議院選挙でも、私ども公明党も、教育負担の軽減だということで掲げまして、私ども公明党は二〇〇六年から幼児教育の無償化ということで訴えてきてまいりました。いよいよ昨年の新しい経済政策パッケージの中に、無償化ということで、特に三歳から五歳に関しては全ての子供ということで盛り込まれた。

 これを着実に実行していかないといけない、こういう思いでございますけれども、無償化の範囲というものがやはり大変議論になりまして、今でも検討中と伺っております。特に、端的に言いますと、認可外の保育所についてどうするのか、あるいは幼稚園の預かり保育をどうするのか、こういうお声も強うございます。

 どうしても認可保育園に入れない、こういう方もいらっしゃるわけでございますし、やはりいろいろな方がいらっしゃいまして、私の地元でも、保育所のサービスというのがなかなか、非常に画一的な部分もあって、望むサービスであればどうしても認可外の保育園になるというふうなお話も伺ったりであるとか、あるいは幼稚園の預かり保育をしながら仕事を続けておられるような実態もある。いろいろな実態がございます。

 今回、幼児教育無償化を検討するに当たってこれを議論をされておられますけれども、私はやはり、この認可外の保育所という部分、あるいは預かり保育という部分、こういうものについてもしっかり対象に含めていただいて、あわせて支援をしていくべきではないか、このように考えますけれども、政府の答弁をお願いいたします。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 認可外保育施設や幼稚園預かり保育など、幼稚園、保育所、認定こども園以外の無償化措置の対象範囲等につきましては、専門家の声も反映する検討の場として、幼稚園、保育所、認定こども園以外の無償化措置の対象範囲等に関する検討会を一月二十三日に立ち上げたところでございます。

 検討に当たりましては、現場の方々、あるいは認可外保育施設の利用者や幼稚園預かり保育の利用者も含めました関係者の声に丁寧に耳を傾けつつ、保育の必要性あるいは公平性の観点から検討をしていただいているところでございます。

 今後も検討を重ねまして、夏までには結論を出していただきたいというふうに考えているところでございます。

中野分科員 ぜひともよろしくお願いをいたします。

 続きまして、国境離島の振興についてお伺いをしたいと思います。

 日本には離島が、数え方はさまざまありますけれども、六千以上の島があるというふうに言われておりまして、そのうち有人の島というのは四百以上。そして、島というのは、やはり国境を接している島というものも大変多うございます。

 私の選挙区はかつて冬柴鉄三先生という方がずっとおられまして、冬柴先生が国土交通大臣のときに、日本というのは海洋王国だ、こういうことをよくおっしゃっておられたのを私も覚えております。海洋面積だと世界第六位だ、海洋国家である日本を支えるのは島なんだということで、やはり離島振興というのは非常に大事だと。

 これは、地域の活性化ということももちろんございますけれども、昨今、北朝鮮の木造船が漂着をしたりですとか、安全保障という観点からも、やはり国境離島、これを守っていくということが非常に大事だ、国として守っていかないといけない、こういう思いでございました。

 冬柴先生の後を受けまして私も当選をさせていただきまして、この思いを常に持っておりまして、有人国境離島法というのを議員立法で作成をいたしました。私も提案者ということで一緒につくらせていただきまして、この法律を成立をさせることができました。現在、この法律によって予算もとっておりまして、国境離島振興というのをまさに国としてやっておるところでございます。

 まずは、国として国境離島の振興にどのような決意で取り組んでいくかというところを、ぜひ山下政務官にお伺いをしたいというふうに思います。

山下(雄)大臣政務官 中野委員が離島に対し思いを抱いていてくださっていることに、まずもって感謝申し上げたいと思います。

 実はきのう、竹島の日でして、私、島根県にお邪魔をしたんですけれども、竹島が属しております隠岐の島町も特定有人国境離島地域に属しておりまして、島民の皆さんからも累次にわたっていろいろな要望をいただいているところであります。

 国境離島というのは我が国の領海などの外縁を画する根拠となるものでありまして、その保全管理は領海保全などの観点から重要な施策であるというふうに認識しております。とりわけ有人国境離島地域は、継続的に人が居住することにより、領海保全などの活動拠点としての機能の維持を図ることが重要であると考えています。

 このため、先ほど委員がおっしゃったように、昨年四月に有人国境離島法が施行されたところですけれども、この法律に基づいて、有人国境離島地域の保全策として、国の行政機関の施設の設置のほか、離島であるがゆえの不利な条件を緩和するため、地域社会維持推進交付金を新たに創設して、離島住民向けの航路、航空路運賃の引下げ、船や飛行機だったりですね、雇用機会の充実、滞在型観光促進の取組などを講じているところでございます。

 平成三十年度予算案においても本年度と同額の五十億円を計上していまして、その中で、地域が連携して提供する体験メニューなどを利用する観光客を対象に、乗船券などを島民並みの割引運賃で購入できる仕組みを導入することとしております。

 今後とも、関係府省と連携して、保全及び地域社会維持のさまざまな施策を、地域の実情を踏まえつつ、効果的に講じることが重要であるというふうに考えております。これらにより、特定有人国境離島地域が転入が転出を上回るように目指していきたいというふうに考えております。

 ありがとうございます。

中野分科員 ありがとうございました。ぜひぜひこうした取組を進めていっていただきたいと重ねてお願いを申し上げます。

 少し具体的な支援の取組の状況に移るんですけれども、私の地元の兵庫県尼崎市というのは鹿児島の出身の方が大変多い地域でございまして、例えば薩摩川内市の甑島、こういう離島地域の出身の方も大変に多い地域ということで、県人会というか、郷友会というか、そういう地元の出身の方の集いというのに私もいつも参加をさせていただいております。

 この甑島というのも、まさに国境離島ということで、国境離島法による支援というのがまさに行われているということで、皆様も、ふるさとへの活性化の支援ということで大変に喜んでいただいております。

 この有人国境離島の法律の関係の予算、また、その他の取組も含めてで結構でございますけれども、甑島に対して現在どのような支援をしているのか。

 先ほど政務官の方からも、来年度の予算では、島民割引以外の、観光客、こうした者への支援もメニューに加えるということでございますけれども、こうした新しいメニューもぜひぜひまた支援の中に含めていただいて、ぜひ応援をしていただければ、このように思いますけれども、現状について、そして今後の取組についてお話をいただければと思います。

    〔古賀主査代理退席、主査着席〕

羽尾政府参考人 お答えいたします。

 有人国境離島法が昨年四月に施行され、同時に、五十億円の新規の交付金を創設し、特定有人国境離島地域の地域社会維持の推進を図っているところでございます。甑島列島につきましては、本年度、約一億円を交付決定しており、地方公共団体が実施する地域社会維持の取組を支援しております。

 具体的には、離島住民向けの航路運賃につきましてJR運賃並みに引き下げるとともに、魚介類、芋類の本土への輸送費の支援を行っております。また、民宿、飲食店、食品加工業など民間事業者九件に対しまして、創業や事業拡大を促進するため、雇用をふやす場合に必要な設備投資や人件費等の支援を行っております。さらに、滞在型観光促進事業としまして、観光客誘致を図るため、海岸漂着物の清掃体験ツアーなど、特徴的な体験型メニューの開発、整備などの取組の支援も行っているところでございます。

 いずれにしましても、今後とも、地域の実情を踏まえつつ、有人国境離島の保全、地域社会維持の施策の推進に万全を期してまいりたいと考えております。

中野分科員 ありがとうございます。

 甑島の事業で、もう一つお願いをしたいことが。

 甑島というのは、上甑、下甑ということで幾つか分かれておるわけでございますけれども、藺牟田瀬戸架橋という島をつなぐ架橋がございまして、これは冬柴先生のときに、これをやるということで予算を大変つけていただいた。完成を甑島出身者の皆さんも大変に、非常に楽しみにしているというか、島が一つになる、そして、全く新しい、交通の流れも含めて、こういうものが生まれていくということで、早期にぜひ完成をという思いで皆さん待っておられます。

 この藺牟田瀬戸架橋の整備の状況について、現状、また今後の取組をお聞かせいただければと思います。

北村(知)政府参考人 お答え申し上げます。

 先生お尋ねの藺牟田瀬戸架橋の整備につきましては、鹿児島県薩摩川内市の下甑島と中甑島を結ぶ、延長五・一キロメートルの一般県道鹿島上甑線、藺牟田瀬戸架橋工区という名称で、事業主体の鹿児島県が国の社会資本整備総合交付金を活用し、推進してございます。

 これにつきましては、平成十八年度から事業に着手し、これまで三本のトンネルが全て概成しております。残りは橋梁部になりますが、橋梁下部工は既に施工済みであり、現在は橋梁上部工を鋭意施工中と鹿児島県から聞いております。開通目標は平成三十二年度と聞いております。

 本事業の完成により、先生おっしゃるとおり、上甑島、中甑島、下甑島、これが一つに結ばれ、地域間交流の促進や島民の利便性向上につながることが期待されております。

 国土交通省といたしましては、引き続き、鹿児島県の要望を踏まえ、しっかりと支援してまいります。

中野分科員 ありがとうございます。

 上甑、中甑、そして下甑と、甑島は一つだということで、まさに象徴的な事業でもあるというふうに思います。ぜひともよろしくお願いを申し上げます。

 甑島出身だけではなくて、私の地元は奄美の出身の方も大変に多い、沖縄出身の方も大変に多いということであるんですけれども、例えば私自身も、公明党では奄美ティダ委員会ということで、遠山清彦先生とか九州の先生と一緒に、いつも、ことしの一月にも奄美の名瀬の方に行きまして、いろんな首長の皆様と意見交換をさせていただきました。

 ことしは、奄美・琉球は世界自然遺産登録というのを目前に控えているということで、いろんな各首長の皆様がおっしゃっておられましたのが、世界自然遺産登録を大きな起爆剤にしたいんだけれども、それに先立って、やはり観光客の受皿整備というのをしっかりしないといけない、あるいは、奄美群島もいろんな島がございますので、一つの島だけではなくて、それぞれの地域が、やはり地域の振興につながるような取組というのを考えていかないといけない、こういうこともございました。

 いろんな地元の御意見も踏まえまして、また、奄美振興の特別措置法の改正もございますので、また党の方でもしっかりと御要望をまとめていきたいというふうには思うんですけれども、現状、国の方で、この奄美振興に向けた取組についてどう考えているのかというのを答弁いただきたいと思います。

北村(知)政府参考人 お答え申し上げます。

 奄美群島は、我が国領域の保全、海洋資源の利用等、我が国にとって非常に重要な地域であり、昭和二十八年の本土への復帰以来、特別措置法のもと、産業の振興、社会資本の整備等の諸施策を実施してきたところでございます。

 最近の動きとしては、委員御指摘のとおり、世界自然遺産登録におきまして、昨年十月に国際自然保護連合による現地調査が実施され、また、昨年三月には、成田空港に引き続き、関西空港からのLCCが就航し、入り込み客数については四年連続で増加、平成二十八年には七十七万人を記録しております。

 そのような状況のもと、国におきましては、奄美群島振興交付金を活用し、受入れ観光施設の整備や世界自然遺産登録に向けた観光キャンペーンなどを支援しております。引き続き、奄美群島の自立的発展を更に後押ししてまいります。

 また、奄美群島振興開発につきましては、先ほど申し上げました特別措置法が平成三十年度末に期限を迎えるということになっております。

 国土交通省といたしましては、奄美群島振興開発審議会、こちらで既に議論を始めたところでございます。奄美群島の置かれている状況や地元の御意見を踏まえて、適切に取り組んでまいりたいと存じます。

中野分科員 ぜひよろしくお願いいたします。

 先ほどお話もございました、関空―奄美に昨年LCCが就航したということも紹介をしていただきました。

 私も、国に対して、また県に対しても、関西というのが奄美出身者が大変多うございますので、ぜひ関西と奄美群島の交流人口というのを活性化させるためにはLCCが重要だ、こういう質問もさせていただきました。これも昨年実現をいたしまして、大変うれしい思いでございますけれども、やはり、航空路の利便性、あるいは運賃の低減もそうなんですけれども、これが非常に大事だなというふうに改めて実感をしております。

 奄美群島というのは、奄美大島もあれば、徳之島、沖永良部、そして喜界、与論、それぞれの島がございます。奄美大島に向かう方の数がふえても、じゃ、例えば徳之島はどうなんだ、あるいはほかの島はどうか、こういうことを考えますと、やはり航空路のネットワークの利便性が上がっていかないといけない。

 ことしは新しい路線の開設もあるというふうにも伺っておりますけれども、やはり乗り継ぎも含めてこうした利便性が大事でございますし、また、運賃低減、こうした取組というのも引き続き重要だというふうに思っております。

 この奄美の関係で、航空路の利便性の向上あるいは運賃の低減、こうした取組につきまして、国交省の方から答弁いただきたいと思います。

久保田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生お尋ねの奄美群島間の移動の利便性につきましては、先生今おっしゃられたとおり、日本航空が、本年七月から徳之島―沖永良部―那覇線というものを開設しまして、奄美群島アイランドホッピングルートということで、奄美群島五島と那覇との間を毎日運航するということを発表いたしました。こういった取組によりまして、奄美群島内の交流の促進ということに資するものと、私どもとしても大変期待しておるところでございます。

 それから、奄美群島内を往復する場合の航空運賃につきましては、奄美群島振興交付金による支援というものがございます。これは観光客も利用できるということでございまして、こういったものを活用して、奄美群島の観光振興に資するものと期待しております。

 国土交通省といたしましては、地元の方々の御要望も踏まえながら、今後とも引き続き、奄美群島振興交付金も活用しながら、観光振興を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。

中野分科員 ありがとうございます。

 入り込み客数も大変にふえておるというのが奄美群島の今非常に追い風となっているということで、地元の皆さんも大変に喜んでいただいておりますけれども、こうした追い風を本当に地域の振興に生かしていけるかどうかというのが今後の取組にまさにかかっているというふうに思いますので、しっかり国としてもぜひ応援をいただければ、このように重ねてお願いを申し上げます。

 最後の十分ぐらいで、防災、災害の関係で何点か質問をさせていただければというふうに思います。

 今国会ではバリアフリー法の改正というものが予定をされておりまして、いろんな交通あるいは建物、そして自治体の面的なバリアフリーも含めて、バリアフリー対策を進めていこう、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックもございます、進めていこうということで、国の方でも検討していただいていると思いますけれども、地元の障害者団体の方からもさまざま御意見をいただいた中で、災害のときのバリアフリーということで御要望もいただきました。

 これは、東日本大震災、あるいは熊本地震であるとか大きな震災のときにたびたび取り上げられてきたテーマではございますけれども、仮設住宅の中でバリアフリーの対策をしっかりしてほしい、こういうことでございます。

 熊本地震のときにも、バリアフリー対応にしようということで、スロープをつけたりとかいろいろ取り組んでいただいたりということも聞いてはおるんですけれども、実際に入ってみるとお風呂に入れないとか、やはり現場で実際に入ろうとするといろんなまだまだ障害がある、こういう御指摘もいただいております。

 やはり、こうした災害時の、いわゆる弱者というか、そういう立場にある方々でございます。しっかり仮設住宅のバリアフリー対策を進めてほしい、こういう御要望をいただきました。

 内閣府の方から、どうやって進めていくか、答弁いただきたいと思います。

海堀政府参考人 お答えさせていただきます。

 災害時の応急的な住まいにおいては高齢者や障害者への配慮が必要であり、応急仮設住宅のバリアフリー化を推進することは重要な取組の一つというふうに認識をしております。

 災害救助法に基づく応急仮設住宅の設置に当たりましては、いわゆる通常の応急仮設住宅であってもバリアフリー仕様となるように、例えば手すりなど、できる限りの配慮をすることとしているほか、ただいま先生の方からお話がありました段差解消のためのスロープ、あるいは、生活援助員を設置できる、そういった部屋をつくるといった配慮など、高齢者等であっても、日常生活上特別な配慮を要する複数の者が利用できるような施設も応急仮設住宅として設置することが可能であるというふうにしております。

 この点につきましては、実施主体であります都道府県にも留意を求めてきたところでありまして、当該費用についても国庫負担の対象とさせていただいているところでございます。

 また、災害救助法の事務取扱要領においても、応急仮設住宅の入居決定に当たって、高齢者、障害者を優先するなど、障害者の方々への配慮を周知徹底しているところです。

 今後とも、都道府県において、地元住民や障害者の方々のニーズを的確に把握し、災害の住まいを的確に確保できるよう、会議等を通じて周知してまいりたいと考えています。

中野分科員 災害時の対策はどうしても市町村であるとか地元自治体が中心の取組になってまいりますので、やはり一回一回のこうしたいろんな災害があるたびに新たな課題というものが出てまいりますので、それをしっかりと共有をしていくということがやはり一番大事だと思います。ぜひとも、その取組は国が旗を振ってやっていただきたいと思います。

 災害の関連で、災害とペット、動物愛護の観点なんですけれども、私、公明党の方でも動物愛護の管理委員会の事務局長もやっておりまして、動物愛護の活動というのをずっとやっておるんですけれども、東日本大震災のときでも、やはり、ペットと一緒に避難ができなかった、こういういろんな痛ましい事例というものもお伺いをいたしました。

 ペットを抱えておられる方にとって、やはり災害時、大変に、非常に、これもある意味、災害弱者というか、災害に弱い立場でございます。しかし、熊本地震のときには、こうした東日本の大震災の経験も踏まえましていろんな取組もなされておったんですけれども、それでも、私のところにいろんな御相談が来たこともございましたし、避難所によっては、やはりペットが入れたり入れなかったり、あるいは、じゃ、どこにペットを避難させればいいのか、こういう問合せをいただいたりということでございました。

 やはり、避難所において、ペットがどういうふうな形で避難できるのかということをしっかりと対策をとっていただくということが私は大事だと思います。

 避難所におけるペットの対策について、現状の取組を答弁いただければというふうに思います。

海堀政府参考人 お答えいたします。

 ペットにつきましては、これは飼い主にとっては大切な存在ではございますが、動物の苦手な人、あるいは動物に対してアレルギーを持っていらっしゃる方々、これが共同生活を送る避難所では、例えばペットの鳴き声、毛の飛散、あるいはにおいなど、それらに対する配慮が必要であるというふうに考えています。

 このため、平成二十八年の四月に内閣府で公表させていただいた避難所の運営ガイドラインにおいて、避難所のペット対策については、事前にペット同伴の避難ルールを決めておくことが重要だということ、それから、飼い主が責任を持って、避難所におけるペット飼育のための場所の確保、ケージ等の用意など、具体的な対応を検討していくことが必要だということも明記させていただいたところでございます。

 いずれにいたしましても、避難所をどのように運営するかにつきましては、地域の実情を踏まえ、市町村において具体的に判断していただくということでございますが、内閣府としても、ガイドライン等を通じて平時からの取組を進めるように、市町村に対して研修等の機会を通じて促してまいりたいというふうに考えております。

中野分科員 やはりこれも、事前の取組、ふだんからの備えというのが非常に大事かと思います。もちろん、共同生活の避難所は、いろんな御意見もございますので、一律に決められないわけではございますけれども、どういう形で対応するのかというのをやはり日ごろから自治体も考えていただく、避難所でどうやって、ペット同伴で避難されてきた方をどうするかというのを日ごろから考えるということが大事だと思います。

 最後に、環境省に。

 災害時におけるペット対策、やはり、どのように避難をしていくのか、あるいは避難をした先でどのようにしていくのか、こういう自治体の取組もございますし、飼い主がどういう心構えをしていくかということもございます。災害時におけるペットの避難というか、どういうふうにしていくかというのは、やはり環境省がリーダーシップを発揮をしていただいて取組を進めていっていただきたい、このように思っております。

 防災時におけるペットの対策、これについて環境省からも答弁をいただきたいと思います。

米谷政府参考人 環境省では、東日本大震災の経験などを踏まえまして、平成二十五年に災害時のペット対策についてガイドラインを策定し、避難所でのペットの受入れ体制の整備などを推奨してきたところでございます。

 現在、平成二十八年の熊本地震の経験を踏まえてガイドラインの改定作業を進めておりまして、災害時に飼い主がみずからペットを守り、周囲に迷惑をかけないようにするために、先生もおっしゃいましたが、平常時からしつけ等の備えを行うことをより強調し、また、被災地に加え、他の自治体が連携して対策を講じる広域支援の体制づくりについて新たに追記をしました人とペットの災害対策ガイドラインを年度内に策定するということにしております。

 環境省といたしましては、引き続き、飼い主に対する防災対策の普及啓発と、それから、広域支援につきましては図上訓練という、これは、複数の自治体が集まって、実際に災害が起こりましたことを想定して、支援する自治体と支援を受ける自治体の相互の動きを確認して問題点を検討するという訓練でございますが、これらのことを行っておりまして、各自治体における人とペットの災害対策がより一層促進されるよう支援してまいりたいと考えております。

中野分科員 ありがとうございます。

 特に、先ほどの広域の訓練、私も、一つの自治体だけではなくて、いろんな広域の自治体も含めてやはり受入れを考える、これは非常に大事だと思います。

 しっかりと進めていただくことを重ねてお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

渡辺主査 これにて中野洋昌君の質疑は終了いたしました。

 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)分科員 希望の党の奥野総一郎でございます。

 官房長官、お忙しいところ、ありがとうございます。

 まず最初に、朝鮮半島有事の際の邦人避難について伺いたいと思います。

 先日の、これは朝日新聞ですかね、出ていましたけれども、「米太平洋軍のハリス司令官は十四日の下院軍事委員会の公聴会で、朝鮮半島有事の際に韓国にいる米民間人を避難させる「非戦闘員救出作戦」の計画策定に「注力している」と証言した。」とあって、「ハリス氏は、韓国には二十万人以上の米民間人がいるほか、約六万人の日本人と約百万人の中国人がいることを指摘。こうした関係国が有事の際の避難計画をつくることは「有益なことだ」として、連携していく考えを示した。」こう新聞に出ていました。

 ということは、当然、アメリカはつくっているわけですから、我が国も、六万人の在韓邦人の避難について米国と連携をする形での避難計画を作成していると思われますが、現状を伺いたいと思います。

横田政府参考人 お答え申し上げます。

 海外で邦人が危機にさらされたとき、邦人の保護、救出に全力で当たることは国としての当然の責務でございます。

 政府といたしましては、平素から、在韓邦人の保護や退避が必要となるさまざまな状況、これを想定いたしまして、情報提供、安否確認、輸送手段の確保など、必要な検討、準備を行っておりますが、その現状を含めまして、具体的な内容を明らかにすることにつきましては、邦人の安全な退避に重大な影響を及ぼし得ること、また、関係国との関係から、差し控えさせていただきたいと思います。

奥野(総)分科員 確認をしますが、やることはやっている、そういう避難計画、プランがあるということでよろしいんですね。

横田政府参考人 お答え申し上げます。

 再度のお答えで恐縮ですが、先ほど申し上げましたとおり、さまざまな状況を想定いたしまして、平素から、情報提供とか安否確認、輸送手段の確保など、必要な検討、準備は行っておりますが、その現状を含めて、具体的な内容を明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思います。

奥野(総)分科員 あると。当然あるんでしょう。

 その上で、これは通告のときに一部抜き書きで、これは日経新聞でしたかね、お渡ししていますが、「日本政府関係者によると、これまでの韓国政府との調整で韓国国内に設けた退避所を邦人が使用することの了解を得た。退避所は地下鉄駅や教会、商業施設が指定されている。日本政府は既に九百カ所以上の施設を在韓邦人に情報提供している。空路が断たれた場合、日本に逃げる有力手段は釜山からの海上輸送だ。ソウルから釜山への移動には在韓米軍の協力を得る方向で調整が進められている。」こういう記事がありました。

 ソウルはシェルターもたくさんあって、避難所はきちんと整備されていると伺っています。それから、当然、自衛隊が韓国内に入ることは韓国政府は認めないでしょうから、こういうことになるんだろうなと思われますが、この事実関係はいかがでしょうか。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 政府として、在外邦人の保護や退避が必要になった場合など、平素からさまざまな状況を想定し、必要な準備、検討を行っております。

 韓国政府とは、在韓邦人の安全確保について平素から緊密に連携をしておりますが、その内容につきましては、事柄の性質上、また、相手国との関係もございますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

 また、米国との関係では、日米防衛協力のための指針におきまして、第三国からの非戦闘員退避活動について日米で協力をしていくことが明記されており、引き続き、こうした方針に沿って協力を進めていく所存でございます。

 さらに、在韓国の邦人との関係では、ソウル・ジャパン・クラブと大使館で共同で安全マニュアルを作成し、緊急時の対応について周知を行うとともに、各種の訓練や意見交換を通じて適切に情報提供を行ってきているところでございますが、有事の際の具体的な退避手段あるいは具体的なルートなどにつきましては、邦人の安全確保に重大な影響が及ぶということから、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

奥野(総)分科員 あらかじめ明らかにすると、そこが標的になって危ないんだろう、こういうことだと思われますが、しかし、常識的に考えて、そんなに避難ルートは多くなくて、ソウルから釜山まで米軍の力をかりて空路で行く。実際、先日、コブラゴールドで、米軍機に邦人が乗って避難訓練をする、これは朝鮮半島有事じゃないかという記事も出ていますから、恐らくそういうことを想定してやられているんだろうと思います。

 そこで、ちょっとこれは通告していないんですが、一番問題になるのが釜山からの船ですよね。これは用船は準備せずにいきなりやるといっても難しいと思うんですけれども、いろんな法的な整備とか、いざというときに民間船の借り上げとか、そういう準備はできているんでしょうか。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 再度のお答えになって申しわけございませんが、政府としては、在外邦人の保護、退避が必要になった場合など、平素からさまざまな状況を想定し、必要な準備等を行っておりますが、具体的な手のうちを明かすということにつきましては、邦人の安全確保の観点から重大な影響が及び得るということから、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

奥野(総)分科員 そういう答えになるんでしょうけれども、では、実際、船をどうするのかとか、あるいは、避難してきた人を恐らく対馬とか九州で受け入れるんだと思いますが、地元の自治体の協力をやはりあらかじめ得なきゃいけないと思うんですね。ですから、その辺まで含めてきちんと話ができているのかと非常に危惧するところなんですよ。

 ミサイルの避難、ようやく国内でも避難訓練が始まりましたけれども、それはないにこしたことはないし、いたずらに不安をあおってもいけないと思うんですが、しかし、ここまで米軍の攻撃、北朝鮮への攻撃などという話が紙上をにぎわす、国民は誰でも知っている状況の中で、やはり、一応こういうことですよというプランを示しておく、あるいはプランがちゃんとあるんだよということを示しておくのは大事だと思います。今言った、例えば船舶をどうするのかとか、あるいは、地元の自治体についてはあらかじめ話をしておかないと、これは多分、日本に相談なく、直前に連絡が来て攻撃ということだってないとは言えないと思うんですよね。

 ですから、官房長官にお見えいただいていますけれども、やはり日ごろから在韓の邦人にもきちんと何らかのルートを使って話をしていく、あるいは、なかなか難しいのかもしれませんが、釜山から対馬経由あるいは九州、国内に向けて、自治体の受入れまで含めたそうした訓練をしておく、こういうことをやはり、もうこの時点においては私は政府として音頭をとってやるべきだと思うんですが、長官、いかがですか。

菅国務大臣 まず、我が国として、現状、朝鮮半島情勢というのは引き続き予断を許さない状況である、そういう認識であります。

 そのために、平素から、さまざまな状況を想定をし、在韓邦人の協力を得て各種訓練を実施しているほかに、日ごろから意見交換を行うなど、意思疎通というものはここは十分に図っております。また、防衛省・自衛隊では、これまで、国内外において、関係省庁とも緊密に連携をし、在外邦人等の保護措置に関する訓練をこれは行ってきております。

 今委員からお話のありました、我が国の自衛隊に対して、そうしたことも十分対応をすることができるように万全の体制を整えていきたい、こういうふうに思います。

奥野(総)分科員 私の知っている方も、お子さんがソウルにいらっしゃるということで、非常に心配をされているわけです。平和がいいに決まっていますけれども、重ねて言いますけれども、弾道ミサイル防衛にしてもそうですけれども、やはり国民にそういうリスクをきちんと明らかにしておくということは非常に大事だと思います。

 ちょっとここは質問通告はしていません、聞きませんけれども、国内の避難所、ミサイルが飛来したときの弾道ミサイルの避難所についても、非常に整備がお寒い。地下に逃げてくださいといっても、地下はほとんど指定していない。一応政府の呼びかけで通達が行ったようでありますが、通達を見ましたけれども、地元でちゃんとそういうところを探して指定するようにといった程度の内容でありまして、実際に地下はないわけですから、では、国民に対してどうやって、究極は自分で身を守ってくださいということなんでしょうけれども、そういうことも含めてきちんと明らかにしていく。

 また、今言った在韓邦人についても、日ごろから意思疎通はされているということでありますが、旅行者もいるわけですよね。その場にたまたま居合わせる方もいるわけですから、ある程度のコンセンサスはつくっておく必要があるということで、重ねて官房長官にお願いしておきたいと思います。ぜひ前向きに情報提供をお願いしたいと思います。

菅国務大臣 そこはしっかり対応していきたいと思います。

奥野(総)分科員 長官はお忙しいので、きょうはこの一問だけになっているんですが、ごめんなさい。

 一問だけ、この後、外国人、移民問題について通告をしているんですが、長官に直接ぜひ最後に伺って、退室していただいて結構なんですけれども、総理の方から、外国人労働力についてということで長官に指示があったというふうに理解をしています。

 私も、技能実習制度というのは非常におかしいと思っています。地元農業地帯、農家は外国人の方がいっぱいいて、作業されています。実際、多くの外国人の方が技能実習の名前で入ってきているわけですが、しかし、それは事実上労働力なわけですよね。ですから、正面切って、やはりきちんと労働力として外国の方を迎えていくというのが私は大事なことだと思うんです。人口も足りない、労働力人口も減っていくわけですから、それを今回議論しようということは私は前向きに捉えていきたいと思います。

 ただ、ちょっと気になったのは、安倍総理の、ホームページにも出ていますが、いわゆる移民政策をとる考えはありませんと。これは何となく言っていることはわかるんですが、移民というのも多様な意味があって、一年以上滞留していれば移民だ、こういう定義もあるわけです。そういうことでいえば、もう移民はいっぱい日本にいるわけですよね。

 そうした中で、総理がおっしゃるのは、家族の帯同は基本的に認めないんだということをおっしゃっているんですが、ただ、これは競争なわけですよね。優秀な労働力を日本に入れなきゃいけないという中で、では、そういう条件をつけていて本当に来るのか、では、どういう意味があって家族の帯同は認めないと言っているのか、非常にそこは気になるところなんです。

 これから御検討なさると思いますが、どういう基準でこれから考えていく、移民を受け入れられないというのはどういうふうに捉えて、どうやってこれから外国人の労働者を受け入れていくのかということを官房長官に伺いたいと思います。

菅国務大臣 総理から先般御指示がありました。

 今我が国を取り巻く人手不足の状況、例えば、都市部において特別養護老人ホームが新設されても、二割ぐらい労働力不足で募集ができていないとか、あるいは農業もそうです、建設業もそうです、造船業も。

 さまざまな分野において人手不足になる中で、総理の御指示、まさに現状をまず分析をした中で、法的な、しっかり立場の中を明確にして、この問題に対応していくためのまず研究、勉強会というんですか、そういうものを行った上で、六月ぐらいまでをめどにまとめるようにということでありましたので、これから一つ一つそうしたことを行って、六月には方向性を出せるように行っていきたいというふうに思います。

 当然、移民は受け付けることはないという前提の中で対応していきたいというふうに思います。

奥野(総)分科員 移民も多義的な意味があって、何をもって移民かというのは非常に難しいですから、それをもって、家族を入れないから移民を入れないんだということには必ずしもならないと思うんですね。

 ですから、そういったことを予断なくやらないと競争に負けてしまいますし、シンガポールなんかも移民を入れているはずです。スイスは、たしか国民投票で受け入れないということに、制限することになっていますが、あそこも四分の一ぐらいは受け入れているわけですよね。ですから、現実問題、労働力が足りない、労働力人口が減っていくわけですから、そこは予断なく、できるだけ優秀な人に来てもらう。

 そこに、確かに、外国人が何世代にもわたって住むということにはなかなか議論が必要だと思いますが、そうではなくて、働きに来てもらうということを考えれば、できるだけ条件をつけずにやっていただきたいというふうに思います。

 お忙しいでしょうから、この二問で官房長官は退室いただいて結構でございますので。

 続きまして、コインチェックの話に移りたいと思うんですが、事実関係、いろんな情報が乱れ飛んでいるんですが、北朝鮮がこのコインチェックの不正アクセスに関与している、こういう報道がありますけれども、これは事実関係はどうなんでしょうか。

山下政府参考人 御指摘の事案につきましては、現在警視庁において所要の捜査を行っており、具体的な捜査の中身につきましては、捜査に支障を来すことから、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

 引き続き、あらゆる可能性を視野に入れて捜査を進めてまいりたいと考えております。

奥野(総)分科員 これでも同じような答えになるかもしれませんが、今既に百億円以上が仮想通貨に交換されたとか、こういった情報もありますが、そういったことも把握をしておられるんでしょうか。

山下政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、本事案につきましては、現在警視庁において所要の捜査を行っているところでございます。こうした捜査の過程におきまして、仮想通貨の流れにつき必要な確認を進めているところでございます。

 具体的な捜査の中身につきましては、捜査に支障を来すことから、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

奥野(総)分科員 これが不思議なのは、新聞とかでばんばん情報が出ていて、それで、もう換金されているんだ、移されていると。大体流れは、もちろん、ブロックチェーンですから、ある程度の流れは追えるはずなんですよね。わかっているのに手が出せないというのは非常に歯がゆいものがあるんですが。

 捜査の過程で答えられないでしょうけれども、これは不正アクセス禁止法の捜査ということなんでしょうか。それから、素朴な疑問として、これは窃盗、窃盗は財貨と書いてありますから、窃盗罪に当たらないのかというのが素朴な疑問なんですが、いかがですか。

山下政府参考人 現在警視庁におきまして所要の捜査を行っておりますが、本事案がどのような罪に当たるのかにつきましては、捜査により収集された証拠により判断されるべきものと考えております。

奥野(総)分科員 なかなか途中経過で難しいのでしょうが、ちょっと話題をかえますが、コインチェックの側としては、時期にめどが立ってきて、明確な時期が来れば皆様に御報告するということで、全額返金できる、こう言っていますが、現時点で返金についてはどういうふうになっていますか。

水口政府参考人 お答えいたします。

 コインチェック社におきましては、顧客から預かっております、まずは日本円の出金の方ですが、事故発生直後より自主的に停止しておりましたが、システムの安全性が確認されたということで、二月十三日に出金の再開を周知したものと承知しています。金融庁としては、その出金が円滑に行われているかどうか、立入検査等を通じて実態把握を現在行っているところでございます。

 また、これと別に、不正アクセスによりまして流通した仮想通貨NEMの保有者に対しまして、コインチェック社は、自己資金で補償するという旨の方針を発表しておりますけれども、具体的な補償方法等は引き続き検討中であるというふうに聞いてございます。

 金融庁といたしましては、同社の資産の現状を含めまして、その顧客の補償について法令若しくは契約に基づく適切な対応というのが同社においてなされているかどうか、現在実施中の立入検査等を通じてしっかりと確認してまいりたいと考えてございます。

奥野(総)分科員 これは、資産があるかどうかというのは今検査でわかるわけですか。それで、ある場合は、きちんと業務改善命令等を通じて、円滑に返却できるようにということで指導できるんでしょうか。

水口政府参考人 お答えいたします。

 顧客資産保護のための業務改善命令というものを既に出してございまして、今、先ほど申し上げましたように、立入検査というのを実施しているところでございます。その過程で、まさに同社の資産の現状というのも含めて、補償につきまして適切な対応が同社でなされているかどうかというのをしっかりと確認してまいりたいというふうに考えてございます。

奥野(総)分科員 これはいろんな話が、論点があるんですが、まあ、返すと言っているので返す、しかも円で返す、仮想通貨じゃなくて円で返すという話になっていますね。円で返した場合には、キャピタルゲインがあれば当然課税対象になると思うんですけれども、これはそうなんですか。

山名政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの返金の件につきましては、日本円での返金などの補償方針についてプレスリリースが行われておりますが、それがどのような法律関係に基づき行われるものか現時点において明らかではないことから、その課税関係についても一概にお答えすることは困難でございます。

 いずれにいたしましても、お尋ねの件につきましては、本年に入ってから生じた事象であるため、実際に影響が出てくるのは来年の確定申告ということになるわけでございますが、国税当局におきましては、今後明らかになる具体的な事実関係を確認しながら、適切に対応してまいりたいと考えております。

奥野(総)分科員 これは来年の課税対象として、通常であれば、利益が出ていれば課税対象になるということでいいんですよね、確認ですけれども。

山名政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、どのような法律関係に基づき返金が行われるか現時点において明らかではないことから、現段階においてその課税関係についてお答えすることは困難でございます。

奥野(総)分科員 被害者の方にすれば、期せずして、今明確にはお答えはありませんけれども、課税対象になる可能性があるということだと思います。

 これは、法律自体にいろいろ問題点がなかったか。改正資金決済法について、みなし業者とか、登録制が甘かったんじゃないかとか、あるいは、金融取引法の適用をすればよかったんじゃないか、いろいろ言われていますが、制度全体について見直すということは考えておられますか。

松尾(元)政府参考人 お答え申し上げます。

 今般のコインチェック社の事案を受けまして、金融庁では、同社のみならず、全ての仮想通貨交換業者に対して順次立入検査を実施する等、仮想通貨交換業についての規制の履行状況について検証を行って、原因究明等を行っているところでございます。

 仮想通貨交換業者に対する今後の規制のあり方については、イノベーションと利用者保護のバランスを踏まえながら適切に判断する必要がありますが、まずは、今般の原因の究明等を行って、それを踏まえて適切に判断してまいりたいと考えております。

 ただし、例えば、みなし仮想通貨交換業者に係る制度につきましては、法施行前から営業していた既存の事業者に対して、登録完了まで営業を認めないということになりますと顧客に混乱や不利益が生じるおそれがあるために、その期間も営業を継続できるよう、他の金融関連の制度も参考に、経過措置を設けております。

 また、御指摘の登録制度につきましても、例えば、顧客から資金を預かります、リスク資産を含め運用を行います銀行、保険会社というのは免許制が付されておりますが、例えば、有価証券の売買媒介、取次ぎなど、主として顧客から資金を預かりますが運用を行わない金融商品取引業者等は登録制とされております。

 仮想通貨交換業者につきましては、顧客財産の分別管理義務が課されているなど、事業者において顧客の資産を自由に運用するものではないということも踏まえまして、他の金融庁所管業者における取扱いを踏まえて、登録制となっております。

 これらを踏まえまして、議員御指摘のみなし仮想通貨交換業者に係る制度、また登録制度などにつきましては、慎重に検討する必要があるというふうに考えております。

奥野(総)分科員 登録制は、特段の拒否事由がなければ登録をしてしまう、まして、みなし業者については、今まで営業していたところはスルーで認めてしまったということなんですね。非常に、世界に先駆けて制度をつくったということで、そこは評価が高かったんですが、しかし、こういうことになると、少し拙速だったんじゃないのかなと。

 慎重に、例えば、認可とか許可にするとか、事前に、きちんと分別ができているかとか経営体制をしっかり見ていくということは必要だったんじゃないかと思いますし、みなしのままでずっと来ている業者もあるやに聞いていますけれども、そこはきちんと検査していただいて、もうこれ以上被害が起きない、世界各地で、ハッキングに遭っていろいろ被害を受けているわけですね。ですから、しっかり制度をもう一度見直していただきたいというふうに思います。

 時間も大分来ましたので、最後、日銀に来ていただいていますけれども、河合審議役はいろいろ新聞とかにもコメントされていますが、今回のこの事件についての評価はどうされているかということ、それから、その意味で、では、仮想通貨全体についてどういうふうに評価されていますか。

河合参考人 お答え申し上げます。

 今回の件につきましてでございますけれども、中央銀行としての立場から申し上げますと、支払い決済や金融は信頼に支えられているものだということでございます。したがいまして、決済や金融サービスの安全性や安定性に対する人々の信頼をいかに確保するかが大事な視点になるというふうに考えております。

 この視点から、まず、仮想通貨関連サービスの提供者、この場合はコインチェックということになりますが、自主的かつ積極的に、投資家へのリスクの説明や十分なセキュリティー対策の実施など、信頼確保に努めていくことを求めたいというふうに思います。

 また、仮想通貨に投資をする方々は、法定通貨ではなく、裏づけ資産を持たない仮想通貨の取引に伴うリスクをしっかりと認識していただきたいというふうに考えております。

 日本銀行としても、仮想通貨をめぐる投機などの動きが支払い決済や金融の安定を損なうことのないように、その市場動向や使われ方を注意深く見てまいりたいというふうに考えております。

奥野(総)分科員 金融庁さんも今の話をよく聞いていただいて、やはり顧客にもきちんとリスクの説明をする、一般の金融商品と同じようにしていくべきだということで、制度を見直していただきたいと思います。

 それから、もう時間もなくなってきました。

 最後に、ブロックチェーン技術について、これから中央銀行の立場としてどう考えていくのか。送金決済に中央銀行として使えると思っているのか。

 さらに、ちょっと視点が変わりますが、中央銀行が関与したデジタル通貨の発行について、そこは余り否定的なことは言っておられないと思いますが、どのように考えておられるか、伺いたいと思います。

河合参考人 お答え申し上げます。

 ブロックチェーンを活用し、現金がわりに使えるようなデジタル通貨を中央銀行がみずから発行することについては、民間銀行の預金や資金仲介への影響など、検討すべき点もまだ多いと考えております。このため、多くの主要中央銀行、とりわけ、大きな経済を抱え、現金が安定的に使われている国々の中央銀行は、こうしたデジタル通貨の発行には総じて慎重な姿勢を維持しております。日本銀行も、このようなデジタル通貨を発行する計画は持っておりません。

 一方、ブロックチェーンということでございますが、デジタル通貨への応用といった観点を離れて、将来的に中央銀行のさまざまなインフラをより便利にするために使えないかという問題意識は、多くの中央銀行が共有しております。実際、主要な中央銀行によるさまざまな調査や実験も行われておりまして、ただし、極めて高い信頼性を求められる中央銀行のインフラに応用するには、こうした新技術はなお十分に成熟しているとは言えないように思います。

 いずれにしましても、中央銀行は、支払い決済システムや金融システム全般の安定に責任を持つ立場から、新技術の内容を深く理解する必要があると思います。このような観点から、日本銀行は、欧州中央銀行とともに、ブロックチェーンに関連した共同調査を進めております。

 日本銀行としては、決済イノベーションや決済手段のデジタル化などの動きに適切に対応していくことが重要であると考えておりますので、今後ともそうした取組を進めてまいりたいと考えております。

奥野(総)分科員 これで全てが、ブロックチェーンを含めて全てが否定されるわけではないので、仕組みですよね。きちんと消費者への説明、仕組みをきちんとつくっていただいて、その上で、新しい技術をどんどん取り入れて、携わっていただきたいと思います。

 山下政務官、済みません、せっかく来ていただいたのに。時間となってしまいましたので、これで終わりたいと思います。

 以上です。

渡辺主査 これにて奥野総一郎君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

渡辺主査 次に、復興庁所管について審査を進めます。

 質疑の申出がありますので、これを許します。菅家一郎君。

菅家分科員 自民党の菅家一郎でございます。

 質問の機会を与えていただき、厚く御礼を申し上げたいと存じます。

 さて、東日本震災から七年目を迎えるわけでありますが、しかし、今でも風評被害が深刻なわけであります。

 この要因を振り返ってみますと、これは旧民主党政権だったわけでありますが、そこをちょっと検証してみますと、原発事故後に、福島県を対象に、まずはホウレンソウのモニタリング調査を実は実施したんですね。その値が規制値、当時は暫定基準の五百ベクレル、これを超えた。その結果、福島県内全域の農林水産物の摂取並びに出荷が停止された、こういうわけなんですね。これが福島県の農林水産物の風評被害の始まりなのではないかと私は思うんです。

 このモニタリング調査を見てみますと、きめ細かに調査をしたのではないんですよ。全体的な、何カ所かね。何カ所かモニタリング調査した結果、全部だめだと。では、会津地域は調査したのかと確認したら、していないんですよ。だけど全域ですよ。このような対応、私は、ずさんな調査のあり方であった、今でもそう思っているんですね。これが一つです。

 次は、食品中の放射性物質の基準値の設定なんですね。平成二十三年三月十七日に対応された暫定規制値、これが、五百ベクレル、五ミリシーベルトから、平成二十四年四月一日に新基準に見直しをされたわけであります。放射性物質を含む食品からの被曝の上限を五ミリシーベルトから一ミリシーベルトへと引き下げる、これをもとに、一般食品五百ベクレルから新基準百ベクレルに見直しされたわけであります。

 海外における、復興庁の風評被害の払拭に向けての資料、これはわかりやすくまとまっていますね。この八ページを見てみますと、驚くことに、一般食品は、日本は百ベクレル、しかし、コーデックスは千ベクレル、EUは千二百五十ベクレル、アメリカは千二百ベクレルなんですよ。日本は百ですよ。世界は千から千二百五十とか。この指標を比較しても、当時の暫定基準の五百ベクレルだって半分以下なわけですよ。この五百ベクレルでさえも、世界で最も安全、安心な規制値であったと私は思うんです。

 平成二十三年四月四日の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会の食品中の放射性物質に関する当面の所見、この所見でも、現状においては、この暫定規制値五百ベクレルを維持すべきものと考えると載っているんですよ。何も、五百、五ミリを、あえて百、一にする必要はないんじゃないかという見解も出されている。

 しかし、新基準に見直しするに当たって、流通する食品の汚染割合を、一般食品については五〇%であるという、これは薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会放射性物質対策部会報告、平成二十四年二月二十三日、この中に載っているわけです。

 中身はどうかというと、一般食品については五〇%としている。これは日本の自給率四五%を踏まえているわけですから、国内の食品、農林水産物は全て対象になっている。国内で生産された、北海道から九州、全国から生産された食品が全て対象になっている、汚染されている対象になっている。これはあり得ないですよね。このような前提で、極めて厳しい計算式で、新基準、基準値を示しているんですよ。考えられないですよね。

 平成二十四年四月三日の参議院の予算委員会で、山田俊男議員の質問に、旧民主党政権での当時の小宮山洋子大臣はこう答弁しているんです。放射線の線量が低下している現状の中から、この基準でやってもほとんどの農作物には影響がないという中で、こういう基準を安全プラス安心ということでつくらせていただいたと答弁している。全く問題ないから大丈夫だと言っているんですよ。

 当時、暫定基準値五百ベクレルにおいて、会津地域でも調べたんですよ。モニタリング調査した。全ての農林水産物のモニタリング調査の結果、暫定基準値であれば、当然ホウレンソウもですよ、全て五百ベクレル以下だったんです。ですから、私は安全宣言したんですよ、当時。そして、安心、安全を守ることができたと私はほっとした。ずさんな調査で県内全部やられたんだから。会津は会津でやったんですよ。大丈夫だった。ほっとした。

 しかし、今度、五百から百ベクレルに新基準値が見直しをされた。大丈夫だと言っておきながら、会津地域だけではなくて、福島県内や被災地の数多くの農作物が基準値を超え、出荷、摂取制限の実は対象になったんですよ。その報道があるたびに、深刻なダメージと風評被害に苦しんできた。今もそれが続いているんですよ。まさに、現実的な科学的根拠よりも、単純に安全、安心、安全プラス安心ということを優先したことが現在の深刻な風評被害を招いている、私はそう思わざるを得ない。

 まさに、このような当時の旧民主党政権における政治的な対応が現在の風評被害を招いている、私はそう思うんですが、まずは大臣の見解をお聞きしたいと思います。

吉野国務大臣 菅家委員には、もう間もなく七年になります、その間、本当に、風評払拭のために、特に会津地域、教育旅行等を始め多くの風評被害を受けておりますので、そこにきちんと闘ってきた姿、本当に敬意を表したいと思います。

 食品中の放射性物質の基準については、担当省庁である厚生労働省において判断されているものでございます。東京電力福島第一原発事故後に設定した暫定規制値については、より一層の安全、安心を確保するため、長期的な観点から、平成二十四年に現在の基準値を設定したものと承知をしておるところです。基準設定の際は、薬事・食品衛生審議会や食品安全委員会の多くの専門家の議論を踏まえて、食品の安全性が確保できるように設定をされているところです。

 風評の主な原因は、放射線に関する正しい知識や福島の復興の状況等の周知不足にあると考えており、広く国民一般へ効果的に発信することが重要である、このように考えております。

 このため、昨年十二月に、復興庁が中心となって、風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略を策定したところでございます。本戦略に基づき、福島の食品の安全性等について、関係府庁が連携し、積極的に情報発信をしてまいる所存でございます。

菅家分科員 私は、重ね重ね、暫定基準のまま、これが安全基準であれば、このような深刻な風評被害にはならなかった、今でもそう思っており、悔しくて残念でならない思いだけはお伝えしたいと思います。

 この安全基準の見直しによって、もう一方では、莫大な賠償。五ミリシーベルトが一ミリですから、五百ベクレルが百ベクレルですから、当然、単純に五倍の賠償であったり、あるいは除染費用もかかった。私は、これにつながったと思うんですね。

 この辺、そういう意味での莫大な賠償と莫大な除染費用がかかる、こういったことにつながる、政治的な責任につながってきた。私、そこも残念でならないんですが、この辺の大臣の御所見を賜りたいと思います。

吉野国務大臣 安全のメッセージをするということは、菅家委員のおっしゃるとおり、必要かもしれませんけれども、もう七年間、百ベクレル、長期的な目標として、除染の場合一ミリシーベルトということは、これは福島県民の皆様方にとって、常識といいますか、除染目標はここにあるんだということが広まっております。

 今、基準を変えたところで、県民の多くの皆様方には、受け入れることは、七年たった今、基準を見直すということは、現実の問題としてなかなか、福島県民の皆様方、またひいては全国の皆様方に、受け入れることがなかなか厳しいのではないのかな、こんな思いを持っているところです。

菅家分科員 基準値の見直しは、ここまで来れば、これでしっかりとぶれずにやるべきだと思うんですが、かかった経費が莫大じゃないですか。五ミリシーベルトが一ミリになったための経費はかかる。それは安全を確保するためにいたし方ないということであればいたし方ないんですが、風評被害も招く、莫大な、国家財政にも過度な負担がかかってきた。旧民主党政権のあり方は、私は非常に残念であり、悔しいという思いだけは今でも持っております。

 さて、次に、今のように、片や千ベクレル、千二百五十ベクレル、片や百ベクレルだ、これ以上の安全な値はない。それをクリアしている。全てマーケットに出るのは、それをクリアしたものしか出ていない。だから我々は、福島県産は世界一安全だと思っている。ところが、近隣諸国の中国だ、韓国だ、台湾だ、輸入制限しているじゃないですか。こんなに悔しいことはありませんね。

 ですから、国としては、まさに今のような百ベクレルでいくんだと大臣が表明された、これはぶれない。だけどその基準は世界一、十分の一だ。世界の安全基準をクリアしているんだから、当然ながら、我が国の、これは福島県も含めて。

 あるいは環境放射線量もそうだ。環境放射線量だって、ここにいい資料が載っていますね、四ページ。世界の比較がありますでしょう、これは非常にいいですよね。これは、福島ですら〇・一五、ソウル〇・一二ですからね。

 このような状況の安全、もういいじゃないですか。七年たって、全く問題がない。日本の農林水産物も環境放射線量も安全だと、やはり安全宣言すべきじゃないですか、そのメッセージを。国内もそうですよ、国内も風評被害。世界に向けて、やはり強いメッセージを発する必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

吉野国務大臣 日本の農林水産物は、世界で最も厳しいレベルの基準値に基づく放射性物質検査や、これに基づく生産流通管理により安全が確保されております。

 日本の食品安全管理やモニタリングの体制については、国際原子力機関、IAEAや、FAO、国連食糧農業機関といった国際機関からも大変評価をされているところです。これまでの、総理を始めとした関係者から粘り強い働きかけによって、輸入規制の緩和、撤廃は大きく進展をしております。

 具体的には、昨年十二月に、EUで福島県産の米などが規制対象から除外をされました。昨日はトルコが規制を撤廃したところでございます。また、昨年十二月に、風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略を策定し、こうした情報の発信を一層強化することとしております。

 福島県の農林水産物の安全性について国内外に強力に発信するなど、政府一丸となって幅広く取り組んでまいります。

菅家分科員 大臣、この資料いいですね、わかりやすいし。やはり、こういったものを海外において、これをPRしたいですね。

 ですから、例えば、大使館がありますでしょう。全ての大臣は復興大臣と思ってという総理からの強いメッセージがあるわけですから、やはり一丸となって、これを翻訳して、世界各国の。そして、そういう比較が出ていますよね、安全なデータも出ている。こういったもの、やはり大使館の大使を中心にしっかり情報提供して、説明責任を果たして、ああ、日本は安全だ、そういう輸入輸出の問題にもつながってくるわけですよ。大使館を通じてそういうメッセージを発して誤解を解く。

 まさに、国内はもちろん、海外における風評被害の払拭にこういったものを生かして、大使館とも連携を組んで、グローバルな視点でしっかりと対応してほしいと思いますが、いかがでしょうか。

吉野国務大臣 ありがとうございます。

 これは本当に簡単で、わかりやすく書いておりますので、本当にすばらしい資料だと思います。

 これの英語版、中国語版、韓国語はちょっと失念しましたけれども、韓国語版もあると思います。韓国語版、ございますね。そういう形で、各国大使館、特に私も、この間、台湾のメディアの方が来て、中国語版で、これによって、いかに福島県のものは安全なのかという説明をさせていただきました。アメリカに行ったときも英語版を使ってプレゼンをしてきたところでございますので、本当にこれの各国版をつくって、大使館等を通じて世界の方々に広めていきたい、このように思います。

菅家分科員 ぜひ、世界の中にある我が国の大使館の大使は、その命を受けて、しっかりと風評被害払拭にやはり力を入れてほしいと私は思うんですよ。それは大臣から、どうかそういうような対応をお願いしたいと思います。本当はもう安全宣言あたりをぼんとやってほしかったんですけれどもね。

 次に行きますので、もしも大臣、お時間だったらこれでいいです。

 次に、東京一極集中を是正する対策についてであります。

 まず、残念ながら、平成十七年、東京圏への年間転入超過は十二万人だという結果が出されているんですね。いわゆる東京圏への一極集中の流れの歯どめが残念ながらかかっていないと思わざるを得ない。ですから、これは二〇二〇年までの目標を持ってやっているわけですね、目標達成できるのかどうか、非常に不安なんですよ。

 ですから、こういう実態を見て、やはりもう一回総括をして、このままでいいのか。やり方ですよ。政策的に成果が上がっているのか上がっていないのか、具体的にもう一度、国の役割はどうしたらいいのかというものを総括して見直しすべきと思いますが、いかがでしょうか。

長坂大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、東京圏への人口移動は、二〇一二年以降、四年連続で転入超過数が増加をしております。二〇一六年は若干減少したところでありますが、二〇一七年には再び増加に転じまして、十一万九千七百七十九人の転入超過となっており、東京一極集中の傾向が続いているものと承知をいたしております。

 これまでのまち・ひと・しごと創生総合戦略に基づく地方での仕事づくりにより、地方においては新規の若者雇用が創出されるなど、一定の成果は出ております。しかしながら、全国的な景気回復が進む中で、東京圏でも労働需要は高く、地方圏からの転入者によって労働供給が賄われる状況となっておりまして、地方圏から東京圏への転入超過の改善にまでは結びついていないと考えております。

 こうした状況に対しまして、まち・ひと・しごと創生総合戦略の中間年に当たる今年度、地方創生の総点検を行いました結果、二〇二〇年時点で地方と東京圏の転出入を均衡させるという目標につきましては、地方創生の根幹的な目標であることから、見直しを行うべきではなく、一層の取組強化により達成を目指すべきとされたところでございます。

 そのため、今後は、昨年末に閣議決定いたしましたまち・ひと・しごと創生総合戦略二〇一七改訂版に基づきまして、地方への新しい人の流れをつくるための施策の充実、拡充に取り組むことといたしております。

 具体的には、新たな交付金の創設によりまして、日本全国や世界じゅうから学生が集まるような、きらりと光る地方大学づくりを進めるなど、若者の修学、就業の促進、企業の地方拠点強化税制の拡充等により、地方における仕事づくり等に取り組んでまいりたいと考えております。

 さらに、地方への大きな人の流れをつくるため、梶山大臣のもとに、わくわく地方生活実現会議を開催いたしまして、若者が地方にこそチャンスがあると感じられるような、従来の発想にとらわれない大胆な政策について検討しているところでありまして、ことしの夏を目途に取りまとめてまいりたいと考えております。

菅家分科員 何点か、奨学金を活用した大学生等の地方定着の促進、奨学金返還支援制度、これは私はいいなと思うんですよ、こういったのは。ただ、中を見てみますと、結構、都道府県でばらつきがあって、人数だって、募集人数を考えてみても、果たしてこれでいいのかなと。

 制度的にはいいと思うんですね。確かに、交付金をもって、地方自治体で考えてくれ、それに国が支援するというやり方は決して悪くはない。だけど、国として目標を持っているわけですよ。国としてどういうふうにして流れをつくっていくか。やはり政策ですよね。こういう国からの支援策があれば地元に戻ろうかという、ドラスチックな対策が私は重要なのではないかと。

 だから、こういう奨学金なんかは、やはりもう少しドラスチックに、地元に戻ったら返済することがないというのは、これは魅力ですよね。ですから、そういう意味では、この制度もいいんですが、これではちょっと弱いかなと。

 どうか都道府県と市町村と国と連携を図って、ある程度の財政を確保して、基金をつくるのもいいですけれども、ばらつきがありますよね。もう少し国としての力強い支援策、ドラスチックな、全額支援するぐらいの気構えで今後見直ししていっていただければと思うんですが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

長坂大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、奨学金返還支援の取組を推進するために、地方公共団体が地方企業に就職した学生への奨学金返還を支援するための基金を造成する取組に要する経費に対する特別交付税措置や、内閣府が地方創生応援税制、企業版ふるさと納税の対象事業として認定した場合には、こうした基金に対する企業の寄附について税額控除の優遇措置を講じております。

 御指摘のように、現在は二十四団体で導入していると承知しておりまして、本制度は若者の地方の定着に有効な施策であることから、制度未導入の団体で早期に導入されるよう今働きかけているところでございます。

 また、昨年十二月に閣議決定されましたまち・ひと・しごと創生戦略二〇一七改訂版におきましては、この取組を全国展開するとともに、制度の効果検証を行った上で必要な見直しを検討することとしておりまして、今後、関係省庁とも連携しながら、しっかり取組を推進してまいりたいと考えております。

菅家分科員 ことし、新年に地元の企業の挨拶回りをしたんですね。そうしましたら、アベノミクスの効果がうちの田舎の方までありまして、大変忙しい。車関係業者は、本当に下請も忙しくて人が足りない。人材を募集しているから何とか紹介してくれという声がばんばん来ている、一方でね。だから、東京圏の大学生とそういう企業とのマッチングが必要ですね。一つは、やはりホームページ、ネットか何かで、今そういう形で就職先を探すので、そこの充実が重要です。これが基本だと思うんです。

 行政側では、例えば就職フェアなどを地元でやったり東京でやったりする、ダイレクトメールを送りたい。ところが、各大学で、実は、個人情報保護の問題で学生名簿を提供できないんですね。これは困ったなというか、わかれば、そこにダイレクトを送ったり、何とか地元に戻ってくれと言えるんですけれども、これは法的な問題があるので困っているんです。何とかこういう課題を解決して、マッチングに力を入れる。国としての何かそういう検討をしていただければと思うんですが、いかがでしょうか。

長坂大臣政務官 お答え申し上げます。

 そのとおりだと思います。政府では、東京圏在住の地元出身学生等の地方への還流を促進するために、地方企業でのインターンシップを促進しておりまして、具体的には、大学等と地方公共団体の連携を促進するため、それぞれの取組状況等を掲載したポータルサイトの運用等を行っております。

 さらに、先ほど御説明いたしましたように、地方への大きな人の流れをつくるために、大臣のもとに、わくわく地方生活実現会議を開催し、若者が地方にこそチャンスがあると感じられるような、従来の発想にとらわれない大胆な政策について、ただいま検討を進めております。

 この中で、例えば、現在、一部の都道府県に行われております複数県合同による東京圏在住学生への地元就職説明会の開催や東京圏からのUIJターン者を雇用した企業に対する助成等の取組についても、国としてどのような支援が行えるか検討することとしておりまして、ことしの夏を目途に取りまとめてまいる決意でございます。

菅家分科員 私は、やはり、東京圏から地元に、ふるさとに戻るためのいろいろな政策を考えるべきだ。後継者がいないとか、家に戻ってきてほしい。ならば、一つの国としての考え方として、家族というのを大事にすべきじゃないかと。核家族から、やはりみんなで暮らす、そういうような国策としての流れも政治的に必要なんじゃないか。

 一緒に暮らせれば税制への何らかの優遇策があったり、あるいは、子育てでも介護でも、一緒に暮らすために少しでも、財政的な意味では、児童手当であったり介護手当であったり、ある程度用意してあげる。それによって、子育てだって介護だって、国の財政的な意味では軽減につながってくるんじゃないですか。こういうメリットがあれば戻って一緒に暮らそうじゃないかという、そのような考え方も、これからの見直しの中でしっかりと位置づけをするというのが重要だと私は思うんですが、いかがでしょうか。

渡辺主査 質疑時間が終了していますので、簡潔に。

長坂大臣政務官 お答え申し上げます。

 個人的には、委員のおっしゃること、家族とのきずなを大切にするということ、本当に大切なことだと考えております。

 ただ、議員の御意見につきましては、地方創生の観点のみならず、子育て支援施策や介護施策など、さまざまな観点から関係府省庁等で検討する必要がある施策と認識をしております。

 一方で、地方創生の私どもの観点からは、先ほど御説明いたしましたように、現在、地方への大きな人の流れをつくるため、梶山大臣のもとで、わくわく地方生活実現会議を開催いたしまして、若者を中心とした抜本的なUIJターンについて検討しております。

 委員の思いも含めまして、広く御意見を伺いながら、従来の発想にとらわれない大胆な政策について検討し、夏を目途に取りまとめてまいりたいと考えております。

菅家分科員 時間になりました。東京圏の一極集中の是正の目的の達成のために、どうかドラスチックな国としての政策を打ち出していただいて、より実現に向けて頑張っていただきたいことを心からお願いをして終わります。

 ありがとうございました。

渡辺主査 これにて菅家一郎君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る二十六日月曜日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時三十五分散会


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