衆議院

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第2号 平成30年2月26日(月曜日)

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平成三十年二月二十六日(月曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 渡辺 博道君

      石破  茂君    古賀  篤君

      高村 正大君    田畑  毅君

      武村 展英君    根本  匠君

      石川 香織君    山内 康一君

      中野 洋昌君

   兼務 階   猛君 兼務 本村 伸子君

    …………………………………

   防衛大臣         小野寺五典君

   国務大臣

   (少子化対策担当)    松山 政司君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   茂木 敏充君

   内閣府大臣政務官     村井 英樹君

   政府参考人

   (内閣官房日本経済再生総合事務局次長)      宇野 雅夫君

   政府参考人

   (内閣官房人生100年時代構想推進室次長)    伯井 美徳君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   中村 昭裕君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  池田 唯一君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    遠藤 俊英君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 佐々木聖子君

   政府参考人

   (財務省大臣官房総括審議官)           可部 哲生君

   政府参考人

   (スポーツ庁審議官)   藤江 陽子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           成田 裕紀君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           小瀬 達之君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   高橋 憲一君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  西田 安範君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  武田 博史君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  深山 延暁君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官)    鈴木 良之君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   内閣委員会専門員     長谷田晃二君

   財務金融委員会専門員   駒田 秀樹君

   安全保障委員会専門員   林山 泰彦君

   予算委員会専門員     石上  智君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十六日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     武村 展英君

  根本  匠君     高村 正大君

  山内 康一君     石川 香織君

  中野 洋昌君     濱村  進君

同日

 辞任         補欠選任

  高村 正大君     根本  匠君

  武村 展英君     田畑  毅君

  石川 香織君     山内 康一君

  濱村  進君     中野 洋昌君

同日

 辞任         補欠選任

  田畑  毅君     石破  茂君

同日

 第五分科員階猛君及び第六分科員本村伸子君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成三十年度一般会計予算

 平成三十年度特別会計予算

 平成三十年度政府関係機関予算

 (内閣府(内閣府本府、金融庁)及び防衛省所管)


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     ――――◇―――――

渡辺主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。

 平成三十年度一般会計予算、平成三十年度特別会計予算及び平成三十年度政府関係機関予算中内閣府所管について審査を進めます。

 金融庁について質疑の申出がありますので、これを許します。武村展英君。

武村分科員 おはようございます。自由民主党の武村展英でございます。

 きょうは、金融庁を中心に御質問をさせていただきたいと存じます。

 それでは、早速質疑に入ります。

 まず、日本政策金融公庫の取組についてお伺いをしたいと思います。

 御承知のとおり、金融庁では、事業性評価に基づく融資を推進しておられるところでございます。これは、裏を返しますと、本来果たすべき民間の金融機関が、事業性に基づく評価を行うことができていなかった、事業性に基づいて、また企業の将来性に基づいて適切に融資を行うことが十分にできていなかったということを意味するものと考えます。

 一方、日本政策金融公庫は、事業性評価融資、またソーシャルビジネス支援資金といった制度融資を設け、これまで民間の金融機関が十分に果たし得なかった、そういった、まさに市場を補完する機能を発揮してこられたというふうに考えます。こうした取組を更に後押しするとともに、そうした融資を行う中で得たノウハウ、知見、こうしたものを民間の金融機関に横展開をしていくことも重要だというふうに考えます。

 この点について、財務省の御見解をお伺いしたいと存じます。

可部政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘がございました事業性評価融資スキームにつきましては、日本政策金融公庫の農林水産事業本部におきまして、経営理念や経営の強み、弱み、経営戦略などが記載されました経営ビジョンシートに加えまして、公庫による事業性評価で判明した経営課題の解決策などを検討した経営発展プランなどを通じて、農業者の方の経営能力や将来性を見きわめ、財務データや保証、担保のみにとらわれない、事業性に重点を置いた融資が行われているものと承知をいたしております。

 また、御指摘のございましたソーシャルビジネス支援資金につきましては、日本政策金融公庫の国民生活事業本部におきまして、地域活性化、まちづくり、子育て支援、高齢者、障害者の方に対する介護、福祉といった地域社会の課題解決に取り組む小規模事業者の資金繰りを支援しているものと承知をいたしております。

 日本政策金融公庫におきますこれらの取組につきましては、議員御指摘のとおり、必ずしも民間金融機関のみでは十分に果たされていない機能を発揮し、民間金融機関を補完している好事例であり、大変重要であると考えております。

 日本政策金融公庫では、民間金融機関と約五百の業務提携に係る覚書を結んでおり、そのもとで、協調融資ですとか各種の勉強会などを実施しております。

 財務省といたしましては、地域金融機関と日本政策金融公庫との連携、協調の優良事例を共有するなど、引き続き、こうした民間金融機関との連携、協調によりましてノウハウ、知見の横展開を図り、事業性評価に基づく融資の促進が図れるよう努めてまいりたいと考えております。

武村分科員 ありがとうございます。

 ぜひとも、こうしたすばらしい取組をしていただいておりますので、国民の皆様にも十分活用をしていただけるように、どうぞよろしくお願いをいたします。

 それでは、次の質問に移りたいと存じます。

 地方の活性化を図る上で、金融機関の役割というものは大変重要だというふうに考えております。これは私の地元の事例なんですけれども、滋賀県が、ファイナンスリース方式で高等学校の空調設備の発注に際して地元企業を、これは、県の空調設備工業協会の皆様がJVでチームを組んで、こうした県が発注するリースの契約をとろうと努力をされているんですが、地元の滋賀銀行がこうしたJVに対して無担保でファイナンスを行う、こうすることによって地元企業が県の仕事をとっていける、こうした取組をしています。

 これについては、金融機関の理解、地域でお金を回していくという、こうした企業に対して支援をしていくという金融機関の理解が、ありがたいこうした取組につながっているものだというふうに思っております。

 こうした地域金融機関のお取組につきまして、金融庁は、地域の経済の発展のためにどのように取り組んでいくのか、お聞きをさせていただきます。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員からも具体的な事例を御紹介いただきましたけれども、御指摘の事例は、金融機関が、事業内容、この場合はジョイントベンチャーでございますけれども、そういったジョイントベンチャーの事業内容を踏まえた適切なファイナンスのあり方について、地元企業と協調して検討を進められた事例というふうに承知しております。

 御指摘の事例のような地域経済を支えるプロジェクトの推進でありますとか、あるいは、厳しい経営環境に直面している地域企業の支援について、地元金融機関が組織的、継続的に実践し、地域経済の活性化に貢献していくことが求められていると思います。

 金融機関の取組を促すために、金融庁としては、これまで、幾つかの具体的な事例を申し上げますと、金融機関が自身の取組を自己点検、評価できるよう、金融仲介機能のベンチマーク、これを策定、公表し、こうした指標を活用した対話を通じて、事業性評価に基づく融資でありますとか、地域企業に対する本業支援の取組を促してまいりました。また、金融機関に対する顧客の評価を明らかにするために、企業アンケート調査を実施するなどの施策を行ってきたところでございます。

 さらに、今後におきましては、顧客がみずからのニーズや課題解決に応えてくれる金融機関を主体的に選択できるように、金融機関の取組を見える化することが重要と考えております。このため、金融仲介機能のベンチマークを発展させた金融仲介の発揮状況をあらわす客観的な指標群、これを策定、公表することを考えております。

 また、企業の生産性向上等を更に促進する観点からは、金融機関が専門機関と協調することが有効と考えております。

 そうした中で、現在、地域経済活性化支援機構、REVIC及び日本人材機構におきまして、地域金融機関の企業に対する支援能力の強化を図るために、金融機関への人材、ノウハウ支援に重点的に取り組む方針としております。

 金融庁といたしましては、こうした両機構の活用を地域金融機関に促すことにより、金融機関による金融仲介機能の発揮をより一層促してまいりたいというふうに考えております。

武村分科員 ありがとうございました。

 今、御答弁の中にも、見える化ということに言及がございました。金融庁では、顧客本位の業務運営を推進するために、金融機関の見える化に取り組んでおられます。顧客が取引をすべき金融機関を選択していく、これが本来あるべき市場機能であるというふうに思いますが、裏を返せば、こうしたことがこれまでできていなかったという実態があるというふうに思います。

 そこで、村井政務官に御質問させていただきます。

 銀行、保険会社、証券会社それぞれについて、具体的に見える化というものをどのように進めていくのか、お尋ねをいたします。

村井大臣政務官 まず、武村委員におかれましては、平素より金融行政に格別の御理解、御支援を賜っておりまして、この場をかりて御礼を申し上げたいと思います。

 そしてまた、顧客本位の業務運営、また見える化についての御質問をいただきました。

 議員御指摘のとおり、金融機関による顧客本位の業務運営の確立、定着に向けて、金融機関の取組の見える化を促進していくことが重要でございます。

 このため、金融庁におきましては、昨年三月に策定をいたしました顧客本位の業務運営に関する原則で、金融機関に、顧客本位の業務運営に関する方針を策定、公表し、当該方針に係る取組状況を定期的に公表することを求めておりまして、金融庁においても、取組方針を策定した金融機関のサイトを取りまとめ、金融庁のウエブサイト上でリンクとともに公表しているところでございます。

 また、見える化を促進する観点から、各金融機関による顧客本位の業務運営の定着度合いを客観的に評価できるようにするための成果指標、KPIですね、これを盛り込むことを働きかけております。

 さらに、現在、金融庁において、金融機関の取組状況につきまして、銀行、保険、証券の各業態別にモニタリングを行っているところでございます。このモニタリングで把握した結果について、今後、全体の傾向や取組事例等を公表することを検討してまいりたいと考えております。

武村分科員 ありがとうございます。

 ぜひとも、この見える化によって、顧客が取引すべき金融機関を適切に選択するように、これからも取組を続けていただきたいと存じます。

 続きまして、郵便局のネットワークの活用につきまして御質問をさせていただきます。

 今後、人口が減少をしていく中で、民間金融機関の統廃合、また支店の統廃合というものは避けられないものというふうに考えます。そういったことが予想される中で、ユニバーサルサービスを法律でもって義務づけられている郵便局、そしてまた郵便貯金と民間の金融機関が協力をしていくことが地域経済にとっては極めて重要であるというふうに考えますが、金融庁の御見解をお伺いいたします。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、人口減少などを背景に、地域における経営環境が厳しさを増す中、民間金融機関におきましては、他の金融機関との業務提携でありますとか、あるいは経営統合などの動きが見られるところでございます。

 そのような中で、金融庁といたしましては、地域住民への金融サービスの維持向上や地域経済の活性化に貢献する観点から、郵便局やゆうちょ銀行と民間金融機関が、郵便局ネットワークを活用し、連携を図ることが重要であるというふうに考えております。

 実際に民間金融機関が郵便局ネットワークを活用している例といたしましては、店舗を移転してしまった地域金融機関のATMを当該地域内の郵便局内へ設置するといった、地域住民の利便性の維持に資する事例も見られるところでございます。

 また、リスクマネーの供給による地域の事業者の生産性向上、地域経済に貢献する取組といたしまして、熊本地震の被災地の復興支援を目的に、平成二十八年七月に九州広域復興支援ファンドが設立されました。

 こういったものを皮切りに、ゆうちょ銀行と地域金融機関が連携して、相次いで各地域でファンド出資するなど、地域の実情を踏まえて、ゆうちょ銀行と民間金融機関が連携する動きも広がっております。

 金融庁といたしましても、本事務年度の金融行政方針におきまして、このような取組について、地域経済活性化への貢献の観点からフォローアップする方針としております。各地域での取組の進展に期待するところでございます。

武村分科員 ありがとうございます。

 続きまして、仮想通貨についてお伺いをさせていただきたいと存じます。

 今、世間では、仮想通貨の不正流出ということで大変な騒ぎになっているところでございますが、一方では、ネットで、こうした仮想通貨の取引を促すような広告が大変盛んに行われているところでございます。この仮想通貨というもの、なかなか、この実態は何なのかということは難しい。国民の皆様にとっても、まだまだ理解が進んでいないものというふうに思います。

 そこで、基本的なことについてお聞きをしたいと存じます。

 まず、仮想通貨、この価格変動のファンダメンタルズ、基本的な要因というものは何であるのか、これをまず明らかにしていただくとともに、仮想通貨を投資の対象、資産形成の対象として考えることは適切であるのかどうか。今現在、金融庁では、貯蓄から資産形成への転換を強力に進められているというふうに思いますが、そうした立場の金融庁としての御見解をお伺いさせていただきたいと存じます。

 あわせまして、今後、どのように、こうした仮想通貨に対して規制を行っていくことが考えられるのか、業界団体における自主規制も含めて、お伺いをさせていただきたいと存じます。

村井大臣政務官 仮想通貨について幾つか御質問をいただきました。

 まず、仮想通貨は、必ずしも裏づけとなる資産がないため、その価格は仮想通貨の需給関係等により決定されることになり、価格変動リスクや、突然無価値となるリスク等があると認識をしてございます。また、仮想通貨が決済手段としての機能を事実として有することがあることに鑑み、仮想通貨交換業者に対して一定の規制を設け、仮想通貨は法定通貨でないことやそのリスクについて利用者に説明、情報提供することを義務づけてございます。

 もっとも、現状では投資対象として取引されておりますことから、金融庁では、仮想通貨のリスクについて繰り返し利用者向けに注意喚起を行ってまいりました。あわせて、当局の認定を受けた自主規制団体において自主規制規則の策定、運用などの対応が機動的に行われることにより、利用者保護が図られることが何より重要であると考えております。

 いずれにいたしましても、自主規制を含めた今後の規制のあり方については、イノベーションと利用者保護のバランスを踏まえつつ適切に判断する必要がございますが、まずは、今般のコインチェック問題の原因究明等を行い、それを踏まえて適切に判断をしてまいりたいと考えております。

武村分科員 ありがとうございました。

 これまでの通常の投資対象であった金融資産とこの仮想通貨が決定的に違うのは、これはやはり、ファンダメンタルズというものが明らかでない、ないしはファンダメンタルズというものがないという点にあるというふうに思っています。裏づけがないという御発言もございましたが、そうしたものが、私は、今のところ、国民の資産形成に資する投資の対象として的確なものであるとは到底考えられないというふうに思います。

 そういう意味では、こうした、通常の金融資産よりもはるかに、裏づけがない、ファンダメンタルズが明らかでないという、リスクが大変大きいものであるということ、これはやはり国民に対しては十分に広報、説明をしていただきたいというふうに存じます。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 金融庁では、貯蓄から資産形成への転換を強力に進めておられるというふうに思います。この中で、特に金融リテラシーの向上というものが重要になってくると思いますが、この中でも時間の分散という概念、これは特に国民の中でもまだまだ理解が進んでいないというふうに思います。例えば、GPIFの資産構成を株式を多くするという局面の中で、これは、国民の資産をリスクにさらすのかという、そういった御批判が国民の中からも湧き出ました。

 しかしながら、二十年、三十年という長い時間軸の中で考えれば、この時間の分散というものが働いてリスクが限りなくゼロに近づいていく、このことを御理解いただくことができれば、こうしたGPIFの資産構成の変化というものも国民の皆様には受け入れていただくことができるというふうに思いますし、こうした時間の分散という概念を御理解いただけないと、これは適切に個人の資産形成を図っていくことはできないというふうに思っております。

 こうした取組につきまして、金融庁にお伺いをさせていただきます。

村井大臣政務官 御指摘のとおり、家計が投資を通じて資産形成を進めていくためには、金融リテラシー、家計みずからが適切な判断を行うことができるよう、投資に関する実践的な知識を深めることが非常に重要であると考えております。

 特に、時間分散に関する理解を深める必要について御発言がございましたけれども、金融商品には価格変動リスクがあるため、投資においては高値づかみ等のリスクが存在するが、投資時期の分散を図ることにより、このリスクを軽減することが可能となる。このため、時間分散は、例えば投資初心者が投資を行う上で重要な考え方の一つでございます。

 しかし、我が国においてはこうした考え方が十分に浸透していない状況にあり、金融庁としては、投資に対する家計の理解、リテラシーを深めるための取組を進めることが非常に重要であると考えてございます。

 本年一月にスタートいたしましたつみたてNISAにつきましては、時間分散の考え方に沿った長期の資産形成に適した制度でございまして、金融庁としては、実践的な投資教育を進めつつ、実際に多くの皆様につみたてNISAを御利用していただくことで、時間分散の有効性についての理解が深まるよう期待をしているところでございます。

武村分科員 ありがとうございます。

 ぜひとも、取組をこれからも続けていただきたいと存じます。特に、つみたてNISA、これは今、時限の措置というふうになっておりますが、これを恒久的な措置としていただくために、ぜひとも強力な取組をお願いしたいと存じます。

 それでは、残りの時間、公認会計士制度、それから開示制度の改革についてお伺いをいたします。

 まず、会計監査の品質管理についてお伺いをいたします。

 企業の経営が高度化、複雑化をする一方で、AIの発展もありまして、監査技術の中で、AIを使って異常仕訳を検出したり、また、例えば売上高であるとか個々の監査項目の異常値を発見する、こういったことにも、AIがもう既に監査ツールの中に組み込まれている、そういう状況がございます。

 こうした中で、特に、規模の小さい監査法人、会計事務所では、十分にこうした監査ツールに対する投資をできる状況にありませんので、これからの上場企業に対する監査というものは、一定の上場企業の監査については、監査法人の規模を限定したり、規模の小さい監査法人については合併、統合を促していく、こうした措置もやむを得ないのではないかというふうに考えておりますが、金融庁の御見解をお伺いいたします。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘がございましたように、昨今、企業活動が複雑化、国際化いたしまして、IT技術が進展している中、大手上場企業の監査を担う監査法人においては、監査品質の向上やITの有効活用などに向けまして、実効的なガバナンスやマネジメント機能、そうしたものを備えた組織を構築することが特に強く求められるようになってきているというふうに認識をしております。

 このため、大手上場企業の監査の担い手の要件を厳密な意味で限定するかどうかはともかくといたしまして、大手上場企業等の監査を担う監査法人において実効的なガバナンスやマネジメント機能を確立していくため、金融庁では、監査法人の組織的な運営に関する原則、いわゆるガバナンスコードを策定、公表しまして、その定着を図っているところでございます。

 また、大手上場企業の監査を担うことができる監査法人の裾野を広げていくことも重要な課題であるというふうに認識をしておりまして、例えば、当局と大手、準大手監査法人等との間で対話の場を設けまして、大手上場企業等の会計監査をめぐる課題について問題意識の共有を図るなどの取組も行っているところでございます。

 御指摘の監査法人の合併、統合といいましたことは、各監査法人自身において最終的に判断されるべきことであるというふうには考えておりますが、大手上場企業の監査を担うことができる監査法人をふやしていくための環境整備には引き続き努めていきたいというふうに考えているところでございます。

武村分科員 ありがとうございました。

 続きまして、会計監査における情報提供の充実についてお伺いをいたします。

 会計監査に関する情報提供の充実につきましては、監査事務所における情報提供、透明化、そしてもう一つは個別の監査実施における透明化、この二つが議論をされているところでございます。

 そこで、会計監査に関する情報提供の充実について、金融庁の取組をお伺いいたします。そしてまた、監査報告書の透明化の導入に際しまして、実務的には負担が生じるというふうに思いますが、こうした実務的な負担につきまして何らかの御配慮をお考えになっているのかどうか、金融庁にお伺いをいたします。

池田政府参考人 御指摘ございましたように、会計監査に関します情報提供の充実は、株主などが監査人の監査品質を適正に評価することを可能とします。それから、監査人サイドに対しましても、より高品質な監査を提供するインセンティブを与えるものでありまして、重要な課題であるというふうに考えております。

 このため、金融庁では、まず、監査法人のガバナンスコードを通じまして、監査法人に対しまして、ガバナンスの状況や会計監査の品質確保のための取組についての開示、説明を促しております。また、監査報告書におきまして、財務諸表の適正性についての意見表明に加えまして、監査人が着目した会計監査上のリスクなどを記載します監査報告書の透明化について検討するといった取組を行っているところでございます。

 議員御指摘の監査報告書の透明化につきましては、御指摘の実務上の負担といった論点も含めまして、現在、企業会計審議会の監査部会で審議が行われているところでございまして、今後、この部会での審議結果を踏まえまして、適切に対応してまいりたいというふうに考えてございます。

武村分科員 ありがとうございました。

 それでは、開示についてお伺いをいたしますが、開示の一元化、そしてまた四半期開示についてお伺いをいたします。

 有価証券報告書と計算書類の開示の一元化についての対応の検討状況についてお伺いをいたします。

 また、あわせまして、四半期開示について、イギリスやフランスでは、二〇一四年以降、四半期開示義務を廃止する動きがございます。その一方で、米国では、四半期開示義務の見直しという動きはありません。そしてまた、開示義務を廃止したイギリスやフランスにおきましては、任意で四半期開示を継続している状況がございます。

 こうした中で、我が国におきましては、市場への影響や投資家保護の観点から、四半期開示義務を廃止すべきではないかといった意見もありますが、私は、こうした四半期開示義務を廃止すべきだとは思いません。こうしたあり方につきまして、金融庁にお伺いをいたします。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 金融商品取引法と会社法に基づきます開示につきましては、昨年末、金融庁と法務省におきまして、記載内容の共通化や一体化を容易とするための対応を取りまとめて公表したところでございまして、現在、これを受けまして、開示書類の記載要領の改定作業を進めさせていただいているところでございます。

 それから、四半期開示義務を見直すことにつきましては、議員御指摘のとおり、例えば、企業の開示姿勢の後退と受け取られれば、海外投資家の我が国への投資に水を差すおそれがある、それから、個人投資家と機関投資家との間の情報格差が広がるおそれがあるといった指摘もございますところでございまして、こういった点についてよく考える必要があると思っております。

 いずれにしましても、四半期開示のあり方につきましては、その利用者である投資家を含めまして、さまざまなステークホルダーの幅広い意見を踏まえて、市場への影響をよく見きわめつつ検討を行う必要があるというふうに考えているところでございます。

武村分科員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

渡辺主査 これにて武村展英君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

渡辺主査 次に、防衛省所管について審査を進めます。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高村正大君。

高村分科員 おはようございます。自由民主党の山口一区選出、衆議院議員の高村正大です。

 本日は、このような質問の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。

 まず初めに、今月五日に発生した陸上自衛隊AH64Dの墜落事故によって被害を受けられた住民の方々に心よりお見舞いを申し上げますとともに、亡くなられた搭乗員二名の方の御冥福をお祈り申し上げます。このような事故を二度と起こさないために、防衛省・自衛隊には原因究明をしっかりと進めていただきたい、このように思っております。この観点から幾つか質問をさせていただきます。

 まず、事故発生後、防衛省は当初、事故機に取り付けられていたメーンローターヘッドが新品である旨対外的に発信をされています。その後、実際には過去に他のAH64Dの機体において使用されていた整備済みの部品であると訂正をしました。

 今回、このような事故では、国民への迅速かつ正確な情報提供が基本であると考えていますが、今後このような誤った情報発信を防止するために、その原因について防衛省としてしっかり把握する必要があると考えます。

 そこで、今回の情報発信、どのような経緯でこのような間違いが起こったのか、改めて説明をお願いいたします。

鈴木政府参考人 今月八日の陸上幕僚長の記者会見におきまして、事故機に使用されていたメーンローターヘッドが新品である旨の説明をしておりましたが、その後の調査の結果、当該メーンローターヘッドが、過去に他のAH64Dの機体において使用されていた実績があり、製造メーカーにより整備済みとして納品された部品であったことが判明したことから、当該説明を訂正させていただいたところでございます。

 今般の誤りは、事故の初動対応において、さまざまな情報が錯綜する中で確認が不十分な情報をもとに説明をしてしまったものでございますが、国民の皆様に混乱を引き起こすことがないよう、引き続き、迅速かつ正確な情報提供という基本にのっとり、適切な対応に努めてまいる所存でございます。

高村分科員 ありがとうございました。

 続けて、メーンローターヘッドについてお伺いをしたいと思います。

 事故機に取り付けられていたメーンローターヘッドが過去に他のAH64Dの機体において使用されていた整備済みの部品であったことと事故原因との関連性につきましては、今後、陸上自衛隊に設置された航空事故調査委員会の中で調査、分析されていくことになると理解をしております。

 一方で、一般的には、新品でない部品を新たに機体に取り付けることについて適正な取扱いであるか、こういうことについての疑義もあります。

 そこで質問させてください。過去に使用したことがあるメーンローターヘッドを本件のように使用することに問題がないのかについて、説明をお願いします。また、メーンローターヘッド、部品そのものの品質管理の責任はどこにあるのか、この点についても教えてください。お願いします。

鈴木政府参考人 一度使用された部品につきましても、交換が必要な時間に到達していない場合については、所要の整備を行った上で他の機体において使用することは、航空機整備において一般に行われていることでございまして、これについて何ら問題はないと認識しております。

 なお、事故機に使用されていたメーンローターヘッドは、他のAH64Dの機体において一定の時間使用された後、故障のために取り外した上で、修理し、その後は交換用の予備部品として保管していたものを、今回の定期整備の際に事故機に搭載されたものでございます。この経緯自体は適正な部品の管理であり、一般に行われていると考えております。

 いずれにいたしましても、品質管理を含めた事故原因につきましては、現在、陸幕に設置されております航空事故調査委員会において調査、分析が進められている中で、責任の所在について予断をすることを申し上げることは差し控えさせていただきたいと考えております。

 防衛省としましては、引き続き、事故の原因究明と再発防止に全力で取り組んでまいる所存でございます。

高村分科員 済みません、今質問した、メーンローターヘッド、部品そのものの品質管理の責任がどこにあるかということもお答えいただいてよろしいでしょうか。

鈴木政府参考人 メーンローターヘッドの品質管理自体も、航空機事故の原因に直結するものでございますので、事故調査委員会において調査しているところでございます。

高村分科員 ありがとうございました。では、その事故調査委員会の結果を待ってみたいと思っております。

 今回の事故は、地元の住民の皆様に多大な被害を与えたことに加えて、自衛官二名のとうとい命を失うという重大な結果を引き起こしております。また、防衛省・自衛隊に対する信頼にも重大な影響を及ぼしかねないような事態を発生させたものだと考えています。防衛省には、事故原因について、航空事故調査委員会の中で徹底的に調査、分析していただきたいと考えています。

 その上で、今後、事故原因が明確になった場合、しっかりと責任の所在を明らかにすることが必要不可欠であると思いますが、防衛省はどのようにお考えでしょうか。よろしくお願いいたします。

鈴木政府参考人 先生が御指摘のとおり、今回の事故は、国民の命と平和な暮らしを守るべき自衛隊が、住民の方々の安全を脅かし、多大な被害を生じさせるとともに、自衛隊員二名のとうとい命を失うという重大な結果を引き起こしました。航空機の安全が損なわれるということがいかに重大な結果を引き起こし、防衛省・自衛隊に対する信頼にも影響を及ぼしかねないことを改めて実感しているところでございます。

 事故原因につきましては、現在、航空事故調査委員会において調査、分析が進められている中で、責任の所在については確定的なことを申し上げることは差し控えさせていただきますが、事故原因が明らかになった際には、再発防止等を含めまして、適切な対応をとってまいる所存でございます。

高村分科員 事故原因については事故調査委員会でこれからしっかりと究明していくということでありますが、責任の所在をしっかりと明確にして、再発防止に努めていただきたいと思います。

 今回の事故について二点伺いましたが、事故を起こした陸上自衛隊のAH64Dの調達について、少し振り返ってみたいと思います。

 AH64Dの調達に当たっては、当初六十二機を調達する予定が、十三機に減少し、富士重工業との訴訟に発展したと承知していますが、この訴訟に至った経緯や訴訟の結果についてお伺いいたします。

 また、このような大規模な調達計画の変更は、AH64D以外にも事例があるのか、このようなケースはよくあることなのか、それともレアケースなのか、この点についても説明をお願いいたします。

 よろしくお願いします。

西田政府参考人 お答え申し上げます。

 陸自AH64Dは、二〇〇一年に機種選定を行い、六十二機を調達することを念頭に置いておりました。これは、それまで陸自が使用していた対戦車ヘリコプターAH1Sが、二〇〇三年以降、減耗し、用途廃止が始まる見込みであったためでございます。

 AH64Dはライセンス国産でございまして、富士重工業が、米国のボーイング社にライセンス料を支払い、防衛省に納入する機体の製造を行っておりましたが、二〇〇七年の三月に、ボーイング社のAH64Dの製造中断に伴い、富士重工業は、防衛省が取得していたAH64Dの調達を継続するためには約二百二十億円の追加費用が必要となるといった旨を防衛省に予告をいたしました。

 これに対して、防衛省は、二〇〇七年八月、富士重工業からの提案は莫大な追加費用を前提とし、機種選定の際に富士重工業が提案書で示していたAH64Dの長期かつ安定的な供給の保証に反すること、また、対戦車ヘリコプターAH1Sの運用年数を延長し、AH64Dと併用することで必要な防衛力については維持可能と判断したことから、AH64Dについては十三機をもって調達を中止をすることといたしました。

 富士重工業は、AH64Dの製造開始に際して要した初期費用は、調達計画の打切りにかかわらず防衛省は支払う義務があるとして、平成二十二年に、約三百五十一億円の支払いを求めて、東京地裁に提訴をいたしました。

 第一審では原告請求は棄却をされたものの、東京高裁で行われた控訴審においては、国に支払いを命じる判決が言い渡されました。国としては、その後、上告受理申立てを行いましたが、平成二十七年十二月に、最高裁は、上告審として受理しないと決定をいたしました。このため、国は、遅延損害金も含め、約四百八十一億円の支払いを行ったところでございます。

 また、委員お尋ねの、AH64D以外で当初の配備計画を見直して調達数を大きく減らした航空機についてでございますが、陸自観測ヘリコプターOH1について、陸自の体制の効率化、合理化を行う中で、調達開始時点の計画は百七十九機でありましたが、実際の取得機数について、約三十機に減少させたという例がございます。

 また、空自戦闘機F2について、F4戦闘機の減勢に対応する戦闘機の調達に着手する必要があったこと等から、調達開始時点の計画は約百三十機でしたが、実際の取得機数については、約九十機に減少させております。

高村分科員 ありがとうございます。

 AH64Dの調達機数が当初の予定どおり一定以上の規模であれば、整備の頻度も高く、組織全体として知見も蓄積される一方、調達が十三機に減少したことにより、そのような蓄積が少なくなったのではないかという見方もあると思います。

 いずれにせよ、航空機のような防衛装備品は、我が国の防衛力の根幹であるのみならず、パイロットや地域住民の生命財産にも大きな影響を与えるものです。

 AH64Dの調達の経緯も踏まえ、防衛省は、今後、防衛装備品をどのように安定的に調達していくのか、また、人命がかかっている航空機等の整備にも全力を尽くすことについて、改めて防衛省の認識と決意を伺いたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

小野寺国務大臣 防衛省としては、陸自AH64Dの経緯も踏まえ、現在、提案内容の遵守につき、選定後においても、提案企業に対し将来にわたり正当な理由なく変更しないこと等を旨とする誓約書を改めて提出させる、米国における関連装備品の製造状況等、安定的な供給の確保につながるさまざまな情報をこれまで以上にさまざまなルートで幅広く収集する、収集した情報をもとに、米国の開発動向等を踏まえ、将来的な安定的供給も見据えて、取得する装備品を判断していくといった方策をとっており、今後とも防衛装備品の安定的な調達を行ってまいります。

 また、航空機の整備については、航空機の安全性の確保に直結するものであることを十分理解した上で、部隊による飛行前、飛行後の点検及び一定時間ごとの点検並びに企業による定期機体整備等の所要の整備を行っており、必要な維持整備経費についても確保しております。

 さらに、今回の事故を受け、自衛隊の保有する全てのヘリコプターの徹底的な整備、点検を実施したところであります。

 いずれにせよ、防衛省としては、人命にも影響する防衛装備品の安定的な調達や整備について万全を期すべきとの、今委員おっしゃっていただきましたことについて、その指摘を重く受けとめ、今後とも万全の対応を図っていきたいと思っております。

高村分科員 ありがとうございます。

 さて、話はかわりますが、先日、陸上自衛隊が三月から導入する新制服について、全隊員への配付が終わるまで約十年かかる、このような報道がありました。

 新制服にかかわらず、実際に自衛隊員の方と話をしてみると、身の回りの備品に関しても、予算が足りずに困っている、このような話をよく聞きます。例えば、現場の自衛隊員からは、隊員の居住区の椅子やソファーなどに穴があいたり壊れたりしても、予算が足りない、修理や交換ができない、こういった話を聞きました。

 自衛隊員がいて初めて成り立つ自衛隊という組織にとって、隊員はまさに宝です。もちろん予算の制限はあると思いますが、隊員の士気向上のためにも、せめて必要なものは買いかえるなど、隊員の居住する区画の整備を充実させることも大切だと思いますが、防衛省としてどのように考えていらっしゃいますか、教えてください。

鈴木政府参考人 自衛隊の居住環境について御心配をいただきまして、まことにありがとうございます。

 隊員の居住区画の机、椅子、ベッド、ソファーなどの備品の整備は計画的に取り組んでおりますが、一部では更新が間に合っていないものもあると承知しております。

 先生御指摘がありましたように、居住区画は隊員が心身を休める場所であり、こうした備品の充実は隊員の士気の向上にもつながるものと考えております。防衛省としましては、これらの備品の重要性を踏まえ、引き続き、環境の整備に努めてまいる所存でございます。

高村分科員 居住区の件で、もう一つ伺いたいと思います。

 女性の自衛官が今どんどんふえている中、女性の居住区等の整備もいまいち間に合っていない、おくれている、このような声を聞くことが多くあります。

 この点について、防衛省として今後どのように女性自衛官の居住区等の整備を進めていくのか、教えてください。お願いします。

武田政府参考人 お答えいたします。

 防衛省としては、女性自衛官の活躍を重要課題の一つといたしており、女性自衛官の全自衛官に占める割合を、昨年度末の約六・一%から二〇三〇年までに九%以上とし、その後、現状から倍増させることを目標として各種施策に取り組んでおるところでございます。

 委員御指摘の、女性隊員の生活、勤務環境の整備について申し上げれば、例えば女性用のトイレや浴場、更衣室、仮眠室などの設置を、女性自衛官の数の増加に合わせ、引き続き計画的に進めることといたしております。

 このための経費としては、直近の平成二十九年度予算には約十三・八億円、来年度予算案には約三〇%増の約十八億円を計上しており、引き続き必要な予算を確保してまいりたいと考えております。

 いずれにいたしましても、防衛省としては、引き続き、こうした生活、勤務環境の整備を含めた各種施策を推進し、女性自衛官の活躍を推進してまいりたいと考えております。

高村分科員 ありがとうございました。

 私の地元には、陸上自衛隊の山口駐屯地が所在しております。実は、この週末も地元で新任自衛官の激励会に参加させていただいたり、自衛隊協力会の会長が昨年亡くなったことで、その追悼式、このようなものに参加をさせていただきました。

 今、山口では、自衛隊と地元の住民、非常によい関係ができている、このように思っておりますが、地元で、特に駐屯地や基地の所在する地域で、多くのお祭りやイベントの際に、自衛隊の音楽隊による音楽の演奏や自衛隊の装備品を展示してほしい、このような要望が多数あるそうです。実際、私も、青年会議所時代に実施したイベントの中で自衛隊の装備品の展示をお願いして、それが実現したような経験もございます。

 このような要望に対して、現状は、音楽隊だけでなく、太鼓などの同好会の皆さんに有志で協力をいただいておるような状況でありますが、自衛隊の活動に対する国民の理解を獲得する上で、こうした地域の要望に対して今まで以上にしっかりと応えていかれることが重要だと考えております。

 もちろん、これも予算の関係とかいろいろ問題はあるとは思いますが、この点について防衛省としてどのように考えられていらっしゃるか、よろしくお願いいたします。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 国民各位の方々の御理解、御協力がありまして初めて防衛が成り立つというふうに考えてございます。

 そのため、委員の御地元である山口市、その周辺におきまして、平成二十九年度の実績でございますが、第十三音楽隊が山口駐屯地の記念行事などで三回演奏をさせていただきました。そのうち一回につきましては、一般の方にも公開しているという状況でございます。また、山口市及び美祢市におきましても、装備品展示を六件行いました。そのほかまた、委員からの御指摘もございましたが、部外からの要請に基づきまして、山口駐屯地の自衛隊員の有志で構成される山口駐屯地音楽部あるいは太鼓部による演奏も行っているところでございます。

 防衛省・自衛隊といたしましては、駐屯地や基地の所在する地域の皆様方からの御要望を踏まえ、今後とも、音楽隊の演奏や装備品展示などの広報活動を更に積極的にふやすように協力させていただきたいと思ってございます。

 以上でございます。

高村分科員 ありがとうございます。

 これはちょっと答弁を求めませんが、実際、山口駐屯地周辺での我々が聞く状況ですと、なかなか予算が足りない中、協力会あるいは自衛隊のOB会の方々がカンパをして、そんなことで集めたお金でやっとこさっとこ太鼓を買って、それで演奏ができる、このような話も伺っておりますので、地域地域の実態があり、限られた予算の中であるとは思いますが、ぜひその辺を考慮して今後も進めていただければと思います。どうぞよろしくお願いします。

 続きまして、自衛官の定年、これについてお伺いしたいと思います。

 現在、公務員の定年延長について議論が行われております。その中で、自衛官の定年延長についてどのように対応されていかれる方向なのでしょうか。

 昔の五十歳と今の五十歳は、体力的にも全く違うものだと思います。「サザエさん」の波平さんは何と五十四歳、こういうような話が、数十年前の五十四歳と今の五十四歳はまるで違う、このようなこともありますので、現在の自衛官の定年、余りにも早過ぎます。彼らの再就職、これも大変な問題であると感じております。

 ぜひ自衛官の定年引上げについても検討していただきたいと思いますが、いかがお考えでしょうか。よろしくお願いいたします。

武田政府参考人 お答えいたします。

 公務員の定年の引上げにつきましては、昨年から政府内において検討が始まり、今月十六日に、公務員の定年の引上げに関する関係閣僚会議が開催をされております。

 この会議におきましては、これまでの検討を踏まえた論点の整理について報告があり、了承され、人事院に検討の要請がなされたところでございます。

 今後、人事院における検討を踏まえた上で、政府として、具体的な制度設計を行い、結論を得ていくものと承知しております。

 他方、防衛省・自衛隊の職員につきましては、特別職の国家公務員であることから、一般職の国家公務員とは別に、自衛隊法等で定年年齢が定められております。

 特に自衛官につきましては、自衛隊の任務の性格上、組織を常に精強な状態に維持する必要があるため、若年定年制を採用しており、階級ごとに、一佐については五十六歳、二佐、三佐については五十五歳、一尉から一曹については五十四歳、二曹、三曹については五十三歳の定年が定められているところでございます。

 なお、医師、音楽、情報等の組織に従事する自衛官については、一般の公務員の定年と同じ六十歳としておるところでございます。

 いずれにいたしましても、特別職の国家公務員である自衛官等の定年の引上げについては、その特殊性や一般職の国家公務員に関する検討状況を踏まえつつ検討をしてまいりたいと考えております。

高村分科員 どうもありがとうございます。

 一応、用意していた質問はこれで終わりなんですが、今、よく自衛官の方とお話をする機会があります。前回、安全保障委員会でも質問をさせていただいたのでありますが、ちょっと自衛官の処遇について考えていること、思っていること、皆さんから伺ったことについてお話をさせていただければと思います。

 今、過去に比べて、自衛官の処遇、警察官や消防官に比べて悪かったと言われた状態から徐々によい状態になってきているというようなお話は伺いました。

 その中で、叙勲に関してとか、やはりまだほかの公務員と比べて、なかなか、自衛官の中で、自衛官自身が、あるいはOBの方が、自分たちは国のために一生懸命頑張っているにもかかわらず、少し差別をされているんじゃないか、あるいは、満足のいく待遇ではない、このようなお話を伺うことが多々あります。

 過去から今にかけて、自衛隊のお金の面での処遇、そういうのに関してよく改善されてきているというお話は今までも伺っております。

 我々も、やはり、こうやって災害が日本のどこでいつ起こるかわからない、あるいは北朝鮮の危機がある、このような状態の中で、自衛隊の皆さんにはしっかりと士気を保って活動をしていただくこと、このことが国民にとっても国にとっても大変大切なことだと思っております。

 そういう中で、今後、今、地元から聞くようなお話の中で、自衛官の再就職、やはり福利厚生、あるいは在任中の資格取得、こういうことが求められる、こういうようなお話を地元でもよく聞くことがあります。

 今、自衛隊を応援する議員連盟というのをつくって、側面から我々も、自衛官の皆さん、しっかりと応援していただきたいと思います。我々は、国のために働いている自衛官の皆さん、これから応援していきたいと思いますので、小野寺大臣にも、しっかりと頑張って、日本の国をしっかり守っていただく、このことをお願いしまして、質問を終了したいと思います。

 本日は、ありがとうございました。

渡辺主査 これにて高村正大君の質疑は終了いたしました。

 次に、本村伸子君。

本村分科員 日本共産党の本村伸子でございます。

 F35に関する諸問題、そして、岐阜基地に新たに大規模なものをつくるという電子評価施設、仮称ですけれども、この問題について質問をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 今年度、愛知県内にあります三菱重工小牧南工場のF35ステルス戦闘機最終組立て工場で初めて最終組立てが終わり、愛知県営名古屋空港から飛び立つF35戦闘機の試験飛行が行われました。

 今年度の試験飛行はどういうものだったのか、来年度、そして再来年度はどうなるのか、まず計画をお示しいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 国内で最終組立て等を行いましたF35Aにつきましては、防衛省に引き渡される前に試験飛行が米側により実施されております。

 今年度におきましては、これまでに国内組立ての初号機と二号機の飛行試験が約十回実施されたところでございます。

 来年度以降につきましても、国内で最終組立て等を行ったF35Aについては、一機につき四回程度の試験飛行が実施される見込みでございます。

本村分科員 今年度は二機ということで、来年度は恐らく四機、再来年度は六機というふうにふえていくんじゃないですか。

鈴木政府参考人 今製造中でございますので、具体的に、納入時期、幾つというのははっきり申し上げられませんが、その納入に応じまして、一機当たり約四回程度の試験飛行をさせていただくという予定でございます。

本村分科員 昨年六月二十日に、十二時二十五分ごろですけれども、その試験飛行を行っていたF35ステルス戦闘機が、試験飛行中にトラブルを発生させ、緊急事態を宣言し、緊急着陸するという事件がございました。愛知県営名古屋空港周辺は人口密集地でございます。試験飛行の大変な危険性というものを改めて痛感いたしました。

 ふぐあい、緊急着陸、どういう事件だったのか、原因とそして再発防止はどうなっているのか、お示しをいただきたいと思います。これは大臣にお願いしたいと思います。

小野寺国務大臣 本件は、F35A国内FACO初号機がロッキード・マーチン社による試験飛行のため六月二十日十一時四十一分に県営名古屋空港を離陸しましたが、飛行中に機体の冷却系統に関する警報装置が作動したため、安全に万全を期すため試験飛行を中断し、十二時三十六分に県営名古屋空港に着陸いたしました。

 ロッキード・マーチン社による調査の結果、機体の冷却系統の部品の不良が確認されたため、同社は、部品を交換し、その後、地上試験において、機体が正常に機能することを確認したものと承知をしています。当該処置により安全性が確保されたことを受け、六月二十七日には、機体の点検及び整備を入念に行った上で試験飛行が実施され、無事に終了しております。

 防衛省としては、試験飛行に際しては安全面の確保が大前提と認識しており、今後とも、米側に対し、安全面に最大限配慮するとともに、住民の方々に与える影響を最小限にとどめるよう働きかけてまいりたいと思います。

本村分科員 そもそもF35ステルス戦闘機は、昨年一月にアメリカ議会に提出されたアメリカ国防総省の報告書では、重大な二百七十六項目の欠陥を特定したと書かれております。その中に、冷却系統のふぐあいも指摘されておりました。

 二〇一六年九月、十月には、アメリカ国内で機体発火ということもあったわけでございます。

 日本政府として、二百七十六項目の欠陥について、一つ一つ安全性は確認されているんでしょうか。

小野寺国務大臣 平成二十八年十二月、米国防総省運用試験・評価局が米議会に対して提出したF35プログラムに関する報告書において、開発中のブロック3Fというソフトウエアについて、二百七十六個の欠陥があると指摘されたということを承知をしております。このため、米国防総省において、既に一年以上かけて、これらの事項を改善するための取組を着実に進めてきているものと承知をしております。

 航空自衛隊の保有するF35Aへのブロック3Fの導入は、今後、実施する予定となっております。

 防衛省としては、F35Aの運用に当たって、安全性を確保することは当然と考えており、空自の機体にブロック3Fを導入する際には、運用に支障がなく、安全性に問題のないことをしっかりと確認をしてまいりたいと思っています。

本村分科員 確認してまいるというお答えだったんですけれども、少なくとも、二百七十六項目の欠陥を全てチェックして報告していただきたいと思いますけれども、大臣、お願いします。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほども大臣から申し上げたとおり、米側は、欠陥事項とされた点を改善する取組を着実に進めてきており、また、本年一月には、主要なものは既に改善したと表明していると承知をしてございます。

 今後、空自のF35Aにブロック3Fがインストールされるに当たりましては、米側によるソフトウエアの改善の結果として、我が国が要求する性能や安全性等がしっかり満たされているということを確認することは当然のことでありまして、他の装備品と同様、防衛省側において検査を行ってまいりたいというふうに考えております。(本村分科員「報告してくださいますか」と呼ぶ)

 今申し上げたように、納入されたときに安全性等がしっかり満たされているということを確認することは当然のことであり、他の装備品と同様に検査を行ってまいりたいと思っております。

 ソフトウエアの改善策につきましては、さまざまな手法がございますので、ソフトウエアの改善のための手法等を一つ一つ確認するということよりも、改善の結果として、我が国が要求する性能、安全性を有するものになっていることを確認するということが重要と考えております。

 したがいまして、納入の際にしっかりと検査を行ってまいりたいと考えております。

本村分科員 ぜひ報告をしていただきたいと思います。

 このトラブルもありましたF35戦闘機の試験飛行ですけれども、事前の自治体への説明はどうなっていたでしょうか。

鈴木政府参考人 F35Aの試験飛行の自治体への説明につきましては、試験飛行に使用する県営名古屋空港及び航空自衛隊岐阜基地の周辺自治体に対し、原則、試験飛行の前日に翌日のフライト情報をお伝えしております。

 具体的に申し述べれば、県営名古屋空港に関しましては、防衛省から同空港を運営する愛知県に伝達し、愛知県から周辺自治体である名古屋市や豊山町等に伝達しております。

 また、航空自衛隊岐阜基地に関しましては、現時点では、防衛省から岐阜県各務原市及び愛知県扶桑町に伝達し、それを受けて、各務原市から岐阜市等に、扶桑町から江南市等にそれぞれ同様の内容をお伝えしております。

本村分科員 今のお答えですけれども、そのほかにも、防衛省から、石川県庁、小松市役所なども、北陸の方も御説明していると思うんですけれども。

鈴木政府参考人 石川県につきましては、防衛省から、現地の金沢防衛事務所を通じまして、石川県庁、小松市等に御説明申し上げております。

本村分科員 北陸の方では、細かな自治体の市役所や役場も説明をしているわけでございます。

 愛知県は、防衛省から、各市町村ごとではなく、愛知県に説明して終わりになっておりますけれども、市町村の方が住民の皆さんにより近い存在でございます。市町村へ個別に事前に説明するということはできるというふうに思いますけれども、その点、確認をさせていただきたいと思いますし、試験飛行について、住民の皆さんへの説明会を開くべきだと思います。

 また、試験飛行でF35は三沢基地あるいは岩国基地にも行っておりますけれども、事前にいただいた資料では何も説明していないということになっておりますけれども、こういう点も改めていただきたいと思いますけれども、大臣の答弁をお願いしたいと思います。

鈴木政府参考人 F35の試験飛行に係る地元への御説明については、地元の自治体とよく調整した上で、先ほど申し上げた形でさせていただいておりまして、今後とも、よく自治体と調整させていただいた上で説明を実施させていただきたいと考えております。

本村分科員 やろうと思えばできるということですよね。そして、住民説明会もぜひやっていただきたいというふうに思います。

 もう一つ大問題なのが、三菱重工小牧南工場でつくられたF35戦闘機の試験飛行で、愛知県営名古屋空港から飛び立ったF35戦闘機が米軍のマークをつけていたという問題でございます。

 それが資料の一ですけれども、航空機の雑誌ですが、その中に、愛知県営名古屋空港から試験飛行でアメリカに飛び立つF35の写真が載っておりますけれども、よく見ていただきますと、米軍のマークがついているのではないかと。文言としても、米国のマークがついていると書かれております。

 試験飛行の段階ですけれども、三菱重工小牧南工場で最終組立てされたF35はアメリカ軍のものなのか、ロッキード・マーチン社のものなのか、アメリカ政府のものなのか、三菱重工のものなのか、防衛省のものなのか、お答えをいただきたいと思います。

小野寺国務大臣 国内で最終組立て等を行ったF35Aの最初の機体、これは、国内FACO初号機、五号機ということになりますが、これについては、製造後に、品質検査のため、昨年十一月に米本土まで飛行いたしました。

 この飛行機については、機体が航空自衛隊に納品された後、米空軍の管理下で実施するという形で、機体が製造された後に、米空軍の管理下で実施されたこの検査のために、機体のマークを米空軍のマークに変更した上で実施されたと承知をしております。

 機体は航空自衛隊の保有ということになります。

本村分科員 六月二十日、試験飛行した、トラブルが発生したときに、愛知県の航空対策課から県営名古屋空港関係市町の担当宛てに、緊急宣言、着陸をしたというファクスが送られたわけですけれども、そこには、米国政府所属F35が緊急事態を宣言し着陸したということが書かれております。本件に係る公表は防衛省が米国政府と協議中ですと書かれております。

 公表したのはいつなのかということと、米国政府と協議など前提にせず、トラブルや事故が発生したときにすぐに公表するというのは当たり前だと思いますけれども、大臣、お願いしたいと思います。

鈴木政府参考人 昨年六月二十日の事象につきましては、六月二十三日に地元に御説明しているところでございます。

 今後につきましても、その事案の中身に応じまして、迅速かつ正確に地元への御説明をさせていただきたいと考えております。

本村分科員 済みません、初号機以外は、初号機はアメリカ政府のものなんでしょうか。そして、初号機、二号、三号、四号とこれから続くわけですけれども、それ以外は空自という理解でよろしいでしょうか。

鈴木政府参考人 先ほど大臣が御答弁されましたように、一旦航空自衛隊に納入された後、初号機につきましては、米空軍の管理下の試験のために米国本土に飛来したものでございまして、こういった試験飛行については初号機のみを考えております。

本村分科員 二十三日に公表したとありますけれども、事故が起こったのは二十日でございます。実際に詳しく公表されたのが二十三日ということで、やはり、トラブルが発生した、事故が発生したときに、米国政府などと協議を前提とせずに、すぐに公表をしていただきたいというふうに思います。

 愛知県の県営名古屋空港がある地域は、人口密集地でございます。タッチ・アンド・ゴーを行う、試験飛行を行う岐阜基地も、住宅街が広がる地域でございます。

 もし、三菱重工小牧南工場で最終組立てをしたアメリカ軍のマークをつけたF35戦闘機が、あるいは、マークがついていないときでも試験飛行のときに事故を起こした場合、日本の警察、消防、労働基準監督署などは、すぐさま、アメリカよりも先に調査に入れるのか。また、証拠のものも、警察、消防、労働基準監督署などがアメリカよりも先に回収できるのか。この点、お話しいただきたいと思います。

小野寺国務大臣 そもそも、米軍機の運用に際し、安全性が最大限確保されていることは当然ですが、お尋ねのような調査のあり方については、発生した事故の態様に応じてさまざまであり、一概にはお答えすることは難しいと思います。

 その上で申し上げれば、専ら米軍機のみが関係する航空機事故に対して我が国が事故調査の責任を負うことはありませんが、そのことをもって、そのような航空機事故について、我が国が事故調査に参画することが否定されるものではないということであります。

本村分科員 非常にわかりにくい今御説明だったというふうに思います。

 もっとわかりやすく、まず、初号機、二号機、三号機、どういうふうになっていくのか、詳しくお答えいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えします。

 基本的に、考え方としましては、事故が起きた時点でその航空機がどこの管理下にあるかということによって調査形態が異なってくると思いますので、一概にあらかじめ申し上げられませんが、先ほど大臣が御答弁しましたように、米軍機の場合であれば、専ら米軍機のみが関係する航空事故については我が国が調査責任を負うことはありませんが、だからといいまして、我が国がそれに参画できないということでもないということでございます。

 なお、先生に先ほど、六月二十日のトラブルにおきまして六月二十三日に御説明申し上げたと御答弁しましたが、その六月二十日の当日に、電話で愛知県庁等には説明はしたというふうに承知しております。

本村分科員 初号機だとどこの段階で米軍なのか、二号機だとどこの段階で米軍、米国機なのかという点もちょっと御説明いただきたいと思います。

鈴木政府参考人 初号機につきましては、日本政府に納入された段階で、一旦日本政府の管理下に入りまして、かつ所有権も日本政府に帰属します。その後、米空軍に寄託しまして、米空軍の管理下で試験飛行を実施している最中でございます。

 二号機以下につきましては、先ほど申し上げました試験飛行を四回、フライト試験をした上で米国政府から日本政府に納入されまして、それ以降は、航空自衛隊の所属で、かつ管理も航空自衛隊の管理ということでございます。

本村分科員 そうすると、やはり米国政府の管理の時期がある、二号機以降もという御説明だったというふうに思います。(小野寺国務大臣「違いますよ」と呼ぶ)それで、次の質問と一緒に答えていただきたいんですけれども、三菱重工小牧南工場で最終組立てがされたF35が事故を起こしたとき、誰が責任をとるのか、賠償を出すのか、段階によって詳しく言っていただきたいと思います。

小野寺国務大臣 まず、F35Aで日本政府が取得するものに関しては、これは日本政府の保有ということになります。

 ただ、日本で組み立てた一号機に関しては、日本政府には納入されるんですが、初めの一機については、アメリカでもう一度しっかり性能試験をして、そして大丈夫ということを確認して返っててくる。ただ、二号機、三号機以降、日本で組み立てられたものについては、そのまま日本政府に納入されるということでありますので、日本政府の所有ということは変わりません。

 ただいま事故のことについてのお話がありましたが、そもそも、米軍機の運用に関して安全性が最大限確保されることは当然であります。これは日本の航空機もそうであります。

 仮にF35Aの試験飛行の際に事故があった場合の賠償という仮定の質問にお答えすることは控えますが、いずれにせよ、事故発生の責任等を踏まえ、日米間でしかるべく調整した上で、損害賠償等に遺漏がないよう措置をしていくことが必要だと考えております。

本村分科員 時間がないので話を進めたいんですけれども、そもそも、春日井市長や小牧市長や豊山町長から、また春日井市飛行場周辺対策市民協議会からは、繰り返し、県営名古屋飛行場において米軍機の利用などがないようにされたいと要望書が国に出されているわけでございます。このことに反した事態だというふうに思います。

 周辺住民の皆さんあるいは自治体の皆さんの、騒音とか危険性がもっとふえるのではないかという懸念もまだあるわけでございます。

 二月二十一日のロイター通信の報道では、今の自衛隊保有計画の四十二機の配備以上に、日本政府は、アメリカからステルス戦闘機F35Aを二十機以上追加購入する調整に入った、F35Bもアメリカ側と協議に入ったというふうに書かれております。

 既に自衛隊に導入すると決まっている四十二機以上のF35Aはどこでつくるのか、F35Bはどこでつくるのかという点や、また、F35は巡航ミサイルを装着できるというふうに思いますけれども、その点も確認させていただきたいと思います。

 また、F15戦闘機は、巡航ミサイルをつけることができるかどうか、適合性の調査を行うとしておりますけれども、適合となれば、愛知の三菱重工で改修することになるのか、この点、答弁をお願いしたいと思います。

小野寺国務大臣 今後の防空体制のあり方については、平素からさまざまな検討を不断に行っております。その一環として、必要な情報収集などを行っているところであります。

 他方、現時点において、航空自衛隊によるF35Bの導入や、F35Aを現在計画している四十二機を超えて取得することについては何ら決定していません。このことから、F35Bにせよ追加分のF35Aにせよ、その取得方法について現時点でお答えすることは困難であります。

 また、平成三十年度予算においては、F15にJASSM及びLRASMの搭載に必要な機体改修を行うための適合性等の調査経費を計上しております。この調査を踏まえ、どのような改修が必要となるのかといったこと等を把握することとなるため、機体改修を行う場合に、お尋ねの三菱重工小牧南工場において改修作業を行うかどうかについては、現時点でお答えすることは困難であります。

本村分科員 そういう可能性もあるというふうに認識をさせていただいておりますけれども、そうなれば、ますます騒音、危険性は深刻になるばかりだということで、到底認めることはできないというふうに思います。

 もう一つ重大なのは、二〇一四年十二月に、アメリカ政府が、自治体や住民の皆さんの声も聞かずに勝手に決めたわけですけれども、F35戦闘機のリージョナルデポ、重整備の拠点の問題です。

 これも三菱重工小牧南工場につくられつつありますけれども、二〇一八年度、リージョナルデポの立ち上げを実施できるようというふうに言って、防衛省の資料でありましたけれども、これまでF35リージョナルデポの予算はどのくらい使って、今どういう段階にあるのか、お示しをいただきたいと思います。

西田政府参考人 お答え申し上げます。

 アジア太平洋地域におけるF35整備拠点、リージョナルデポのうち、機体については愛知県の三菱重工業小牧南工場に設置をすることとされておりまして、平成二十九年度までに約百五億円、三十年度予算案を加えると約百十三億円を計上しておるところでございまして、リージョナルデポの施設整備や整備の際に必要となる機材の取得等を実施しているところでございます。

 機体のリージョナルデポにつきましては、本年の夏ごろまでに運用を開始する予定でございます。

本村分科員 以前、予算委員会でも取り上げさせていただきましたけれども、アメリカ軍などの他国軍のF35ステルス戦闘機も、愛知県営名古屋空港を使い、三菱重工小牧南工場をリージョナルデポとして使うのではないかという問題がございます。

 先ほども申し上げましたように、春日井市長、小牧市長、豊山町長、春日井市飛行場周辺対策市民協議会の皆さんからは、県営名古屋飛行場において米軍機の利用などがないようにされたいというふうに、繰り返し要望書が出されております。

 アメリカ軍や他国軍の重整備の拠点として三菱重工小牧南工場、愛知県営名古屋空港を使わせない、兵たんの拠点として使わせない、このことを大臣に明言していただきたいと思います。

小野寺国務大臣 日本に設置されますF35Aのリージョナルデポについては、航空自衛隊の取得する四十二機のF35Aの整備を実施する予定でありますが、他のF35の整備については、今後、例えば米国政府等と調整していくこととなります。

本村分科員 地元自治体の首長の皆さんや住民の皆さんが米軍機の利用などがないようにされたいというふうに言っているわけですから、絶対にやらないということを約束していただきたいと思いますけれども、大臣。

鈴木政府参考人 米軍等の他国のF35の整備については、具体的な整備や要望があった時点でアメリカ政府と調整を行うこととなりますので、現時点でお答えすることは困難でございます。

本村分科員 絶対に使わせないでいただきたいということを強く申し述べておきたいというふうに思います。

 岐阜基地の問題についても質問をさせていただきたいんですけれども、電子評価施設、仮称ということで、来年度の予算、調査工事などの予算案が計上されておりますけれども、そもそも、大規模な施設を岐阜基地につくるということですけれども、大前提として、岐阜県の皆さんや各務原市の皆さんや自治体の皆さん、周辺の皆さん、議会の皆さんには、ちゃんと説明し、合意をとっているんでしょうか、大臣。

鈴木政府参考人 先生が御指摘の電子戦評価施設の建設に関しましては、平成三十年度予算成立後、調査工事等に着手する計画でございまして、それに先立って、地元自治体に対して、具体的な建設計画について御説明をさせていただく予定でございます。

 いずれにしましても、周辺の住民の方々に御理解が得られるよう、地元自治体とも相談しつつ、丁寧な対応に努めてまいりたいと考えております。

本村分科員 まだ説明もしていないということが明らかになったわけですけれども。

 この岐阜基地の電子評価施設というのは、資料の二枚目に出しておりますけれども、戦闘機などをつるして、密閉された施設内で戦闘機が電波を出し、敵レーダーを標的として妨害をしたり、あるいは妨害電波の無害化をするということでございます。この岐阜基地でやろうとしていることは、敵基地攻撃能力を持つための、それとやはり関連しているのではないかという懸念がございます。

 中谷防衛大臣は、安保法制の審議の際に、「この敵基地攻撃を行うために必要な個別具体的な装備につきましては、これまで保有について検討をしてきていないことから、正確にお答えすることは困難でありますが、あえて一般論として申し上げれば、他国の防空用のレーダーの妨害、無力化に用いる電子戦用航空機等が必要になるものと考えられます。」というふうにお答えになっておりますけれども、この岐阜基地の新たな研究施設とこれはリンクしているんじゃないでしょうか、大臣。

小野寺国務大臣 いわゆる敵基地攻撃については、日米の役割分担の中で米国の打撃力に依存しており、政府としては、今後とも、これまでの日米間の基本的な役割の分担を変えることは考えておりません。

 このため、建設予定の電子戦評価施設で、御指摘のような敵基地攻撃を行う装備の研究開発を行うことは考えておりません。

 なお、御指摘の中谷大臣の答弁については、敵基地攻撃を行うために必要な個別具体的な装備について、あくまでも一般論として例示したものであり、防衛省においてこのような装備体系の整備を検討していることを述べたものではないと承知をしております。

本村分科員 実質、憲法九条からどんどん乖離しているあの自衛隊の現実があるというふうに思います。こうしたことを絶対に許すことはできないということを申し述べ、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

渡辺主査 これにて本村伸子君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

渡辺主査 次に、内閣府所管について審査を進めます。

 内閣府本府について質疑の申出がありますので、順次これを許します。階猛君。

階分科員 希望の党の階猛です。本日はよろしくお願いいたします。

 日銀総裁に伺います。

 二年で二%の物価安定目標がこの五年間達成できないで、直近の展望レポートを見る限り、七度目の延期の可能性も高いと思っています。

 資料をお配りしていますけれども、最初のページに、下の方に、消費者物価指数の見通しということで、政策委員のそれぞれの予想が挙がっております。トータルの見通しとしては、二〇一九年度中に二%というのが日銀の見解なんですが、個々の政策委員の判断を見ると、二〇一九年のところ、下向きの黒三角、要するに、この見通しは下方修正される可能性が高いといったようなことが打ち出されております。したがって、七度目の延期の可能性も高いと私は思っています。

 こういう、二年で二%のはずが、どんどんどんどん先送りされている。ここについて、今回、日銀総裁について再任という案が政府から出されているようなんですが、まず、黒田総裁、この五年間の反省というものが私は必要だと思っています。反省しているかどうか、結論を端的にお願いします。

黒田参考人 御案内のとおり、日本銀行は、二〇一三年四月に量的・質的金融緩和を導入して以降、強力な金融緩和を実施してきております。もっとも、委員御指摘のとおり、これまで、二%の物価安定の目標は実現できておりません。

 こうした背景としては、原油価格の下落などによって実際の物価上昇率が下落し、もともと実際の物価上昇率に引きずられやすい人々の予想物価上昇率が下押しされたことが主な要因であるというふうに認識しております。

 こうした点に加えまして、人々の間に根づいてしまったデフレマインドの転換に時間がかかり、企業の賃金、価格設定スタンスがなお慎重なものにとどまっていることも、労働需給の引き締まりや高水準の企業収益に比べて物価の上昇ペースが鈍い大きな理由であると考えております。

 これらの要因により、二%の達成時期の見通しが当初の見込みより後ずれしてきたことは事実でありまして、そのこと自体は残念なことであります。

 もっとも、強力な金融緩和の効果もあって、日本経済は既にデフレでない状況になっておりますので、日本銀行といたしましては、現在の強力な金融緩和を粘り強く進めていくことによって、物価の安定というみずからの使命をしっかりと果たしてまいる考えでございます。

階分科員 それで、一六年九月に総括的な検証という冊子が出されました。今手元にありますけれども、この時点ではイールドカーブコントロールというのはまだ導入されていなかった。イールドカーブコントロールが導入されたことによって、十年以下の期間の金利はゼロ以下に固定されているわけですね。それによる弊害というのも、最近では、金融機関の利ざやが大幅に縮小して経営に著しい影響を及ぼしているということも、報道など、あるいは、私も現場の金融機関から聞いております。

 こういったことを踏まえますと、一六年九月以降今日まで、また新たなイールドカーブコントロールという手法を駆使したにもかかわらず、二%が達成されていなかった。一六年九月と同様、あるいはそれ以上の総括的な検証、今るる言いわけを述べられましたけれども、ちゃんとした冊子でもって、もし総裁がこのままお続けになられるんだったら、このタイミングで総括的な再度の検証を行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。

黒田参考人 御指摘のとおり、長短金利操作つき量的・質的金融緩和、これは、一昨年九月の総括的検証において明確に示された考え方に沿って導入されたものでございます。

 そこの中では、貸出、社債金利への波及、経済への影響、そして今委員が御指摘になった金融機関への影響、金融機能への影響など、経済、物価、経済情勢を踏まえて総合的に判断するということが適当であるとされたわけでございまして、これに沿って、いわゆるイールドカーブコントロールを行ってきております。

 そうしたもとで、御案内のように、経済自体は極めて順調に拡大しているわけですが、物価は、現時点でも、いわゆる生鮮食品を除いたところで〇・九%、エネルギー品目を除きますと〇・四%ということでありまして、二%にはまだ距離があるということでございますので、現在の大幅な金融緩和を粘り強く続けていく必要があるというふうに考えております。

階分科員 答えていませんよ、総裁。

 一六年九月はこういう冊子で出していますよね。私は、もっと充実した検証がこのタイミングでは必要ではないかと。今べらべら二、三分でしゃべったことじゃ足りませんよ。その総括的な検証をやられないんですか。

黒田参考人 まさに一昨年九月に行いました総括的検証、これが、二〇一三年四月以来の量的・質的金融緩和、その拡大等を踏まえて本格的な検証を行いまして、そのもとで現在のイールドカーブコントロールを含む新しい金融政策の枠組みを行ってきたわけで、そのもとで順調に進んでおりますので、現時点で新たに総括的検証を行うという予定はございません。

階分科員 驚きました。これほどまで民間の金融機関に悪影響を及ぼしておいて、かつ、目標時期を六回も先送りして、七回目の延期の可能性も高いのに、全く検証も行わない。

 さきの参議院の予算委員会で、小川敏夫さんという元同僚の委員が指摘していましたけれども、今、司法試験でも、五年やってだめだったらもう諦めなくちゃいけないんだというお話でした。

 私も司法試験を受けていたので、なるほどと思って聞いていましたけれども、大体、司法試験を受けるときも、親には二年で何とかするからと泣きついて、親のお金で試験を受け続ける。でも、なかなか受からないのが昔の司法試験でした。しかし、五年もやってだめだったら諦める、そうしないと家庭も本人も人生がめちゃくちゃになってしまうということで、今から十年ぐらい前に、五年で五回という回数制限の縛りを設けたという経緯がありますね。

 何を言いたいかといいますと、二年でやると言って五年かかってもできない、その重みを全く総裁は意に介さなくて、検証もしない、そして、うまくいっていると言ってごまかしている。司法試験だって、毎年毎年成績が上がっていても、合格に達しなければ五年で打切りですよ。幾ら去年よりも上回っていますと言っても、だめです。そういうことを一般の常識に立って考えてほしいと思います。

 もう、私は、総裁は潔く責任をとってこの場で身を引くべきだと思っていますけれども、その点について、いかがでしょうか。

黒田参考人 先ほど来申し上げましたとおり、一昨年の総括的検証を踏まえて新たなイールドカーブコントロールを導入して、そのもとで経済は順調に拡大し、物価上昇率もマイナスでなくなって、徐々にプラス幅を広げてきているという状況でございます。そうしたもとで、私どもとしては、現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていくということが二%の物価安定目標の達成に不可欠であるというふうに考えております。

 日本銀行総裁の任命につきましては、国会の同意を経て内閣が任命するというものであるというふうに承知しております。

階分科員 本当にそれでいいのかどうか、このまま続けられていいのかどうか、よく考えていただければと思います。

 二つ目と三つ目の質問をまとめてまた総裁にお尋ねしますけれども、二〇一三年の一月の日銀と政府の共同声明という文書を資料の二ページ目につけさせていただいておりますけれども、これの項目の二番に、真ん中あたり、「日本銀行は、」というくだりがありまして、その段落の下から二行目あたり、「この認識に立って、日本銀行は、物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で二%とする。」主語は日本銀行なので、物価安定の目標は日本銀行の判断で変えられるのかというのが一点。

 そうであれば、私は、FRBも、二%に達しなくても、目標は達成しなくても金融緩和を、どんどん出口に向かっているという中で、わざわざ二%にこだわり続ける必要はないのではないか。先ほども言いました、悪影響が及んでいるような今の金融政策、正常化に向けて歩みを進めていくべきではないかということで、なぜ二%にこだわるのかという、この二点について教えていただければと思います。

黒田参考人 この二%の物価安定の目標は、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資するという金融政策の運営理念に沿って、我が国の経済、物価情勢を踏まえつつ、日本銀行が決定したものであります。

 その上で、日本銀行がこの目標の実現を目指すことは、デフレ脱却と持続的な経済成長の実現に向けて政府と日銀が果たすべきそれぞれの役割を示した共同声明に盛り込まれて、両者の間で共有されております。

 もとより、我が国の経済、物価の現状を踏まえますと、引き続き二%の物価安定の目標の実現を目指していくことが適当であると考えております。

 委員御指摘の第二番目の点でございますが、日本銀行としては、次に申し上げます三つの理由から、物価安定の目標として二%を目指すことが重要だというふうに考えております。

 第一は、消費者物価には、新製品が速やかに調査対象に含まれないことなどから、物価上昇率を実態より高目にあらわすという統計上の癖がございますので、物価の安定を実態的に確保するためにはある程度のプラスの物価上昇率が必要となるという点でございます。

 第二に、ある程度のプラスの物価上昇率が実現して、それと整合的な金利が形成されますと、その分、先行きの金融政策の対応能力を確保することができるということでございます。

 第三がグローバルスタンダードでありまして、今申し上げたような二つの理由から、主要先進国は、ある程度プラスの物価上昇率として、共通して二%という基準を設けております。こうした中、関係国が同じ物価上昇率を目指すということは、長い目で見た為替レートの安定にも資するというふうに考えております。

    〔主査退席、古賀主査代理着席〕

階分科員 三つ理由を挙げられましたけれども、統計上の癖というのは、それがあるんだということを説明しておけば、何もそれがあるから二%という数字を達成するという必要はないわけでありまして、癖があることを事前に説明しておけばいいんじゃないか。

 それから、政策の選択肢を広げるために、金利をある程度上に持っていかなくちゃいけないということなんですけれども、それであれば、今のまま十年以下ゼロというところを続けておくのはいかがなものかという気がします。

 諸外国については、先ほどアメリカの話を申し上げましたが、EUにしても、あるいはイギリスにしても、二%という目標はありながらも、それに拘泥せず、柔軟に金融政策を見直しているということもありますので、そこら辺は、二%ということにこだわって今の十年以下をゼロというところにくぎづけにしておくことは、とらわれるべきではないのではないかと思っています。

 それは、金融機関の経営への影響であるとか、日銀についても、この間事務方にお聞きしたところ、七・五年ぐらいの平均年数で国債を運用しているということですから、七・五年といえば、金利水準でいえばマイナスなわけですね。ということは、長い間かかって国債を入れかえていけば、日銀の保有国債もマイナスの利回りになっていって、一方で、調達金利は平均で〇・〇五%というふうに伺いましたけれども、逆ざやになる可能性もあって、日銀の財務にも長期的に見れば影響を及ぼしかねないということですから、ここは柔軟にやるべきだと思っています。

 それからもう一つ、きょうは茂木大臣に来ていただいていますけれども、マイナス金利ないし十年以下はゼロ金利ということで、それを奇貨としてどんどん国債が発行されていくと、将来的に禍根を残すのではないかというふうに思っています。

 まず、これは後から追加で質問したことなんですが、このほど発表された中長期試算の成長実現ケースにおいて、二〇一九年度から二〇二七年度までの国債費というのが資料の三ページ目にずっと載っていますけれども、その中の利払い費ということだけ取り出すと幾らになるのか。

 質問の通告は各年度ごとにと言っていますけれども、時間がもうありませんので、最終の二〇二七年度だけでいいです。ここでの利払い費は、今ここの予想の国債費というのを見ると、三十八・四兆円というのが利払い費とあと元本の償還費を合わせた金額なんですけれども、このうちの利払い費は幾らかということだけ教えていただけますでしょうか。

茂木国務大臣 内閣府の中長期試算、この性格についてまずお話しした方がいいと思うんですが、これは、先行き十年程度を対象に、マクロ経済と財政の大枠、フレームにつきまして、マクロ計量モデルを用いて試算することによりまして、PB黒字化達成時期等の財政健全化目標に関する議論の土台とするものであります。

 このため、マクロ経済と財政の大枠の議論に必要な範囲の数値を公表数値としておりまして、国債費につきましては、元本返済と利払いを含めた合計額のみを公表しております。また、それで今申し上げたような目標上は十分であると考えております。

階分科員 以前に事務方に、どういうふうに利払い費を計算しているかというと、計算式まで示してもらいました。ちゃんと役所の方では、利払い費が幾らかというのは数字は持っていると思うんですね。なので聞いているんですが、教えていただけない理由がかえってわからないんですけれども、教えていただけないということでいいんですか。

茂木国務大臣 計算はできます。ただ、申し上げたように、中長期の試算につきましては、その目標上、こういった形で数字をお示しをしているというお話をしているわけであります。

階分科員 結局、この先何が問題になっていくかというと、プライマリーバランスが改善していって、この試算でいうと二〇二七年度にようやくプライマリーバランスが黒字化達成されることになっていますけれども、黒字化が達成されても、利払い費の分にどんどんお金が必要ということになると、その分、新たな借金がふえていくわけですね。だから、利払い費がどうなっていくかというのは非常に重要なわけですね。

 ちなみに、二〇一八年だと九兆円ぐらい利払い費があります。

 私も、事務方が何か答えにくいようなことをしていたので、ざっくり計算してみました。毎年どれぐらい財政赤字があって、財政赤字の分はファイナンスしなくちゃいけないわけですから、それがどんどん積み重なっていくとして、その中で、元本の償還費はどれぐらいふえるのか、利払い費は今の九兆からどれぐらいふえるのか。

 私の方でざっくり計算すると、二〇二七年度は二十二兆円ぐらい利払い費がいくんじゃないか。つまり、三十八兆円ぐらいのうち、十六兆は元本なんですけれども、利払い費は二十二兆ぐらいになるんじゃないかというふうに計算しましたけれども、違いますか、大臣。

茂木国務大臣 まず、今回お示しをしました中長期試算、そこの中で、PBの黒字化の達成時期、二〇二七年度と、御指摘のとおりでありますが、ただ、これは再三御答弁申し上げておりますように、歳出改革の努力を織り込んでおらないものでありまして、しっかりそれも織り込んだものにつきましては夏の骨太方針でお示しをしたい、そのように考えております。

 それから、金利と利払い費の関係についても、委員もよく御案内だと思いますが、債務残高の多く、これは既発債でありますために、市場金利の上昇がそのまますぐに利払い費の増加になるわけではありませんけれども、当然、金利上昇に伴います利払い費の増加リスクへの対応という観点も踏まえて、財政健全化、着実に進めてまいりたいと考えております。

階分科員 済みません、今、途中で御指摘のとおりと言ったんですけれども、私が大体試算した二十二兆円というのは大体そのとおりだという趣旨で伺ってよろしいんですか、二十二兆円というのは。

茂木国務大臣 いえ、そうではございません。債務残高の多くが既発債であることは委員もよく御案内のとおりだという趣旨で申し上げました。

階分科員 おっしゃるとおりで、債務残高の多くは既発債です。

 二〇一八年度が、公債等残高、千六十兆円ぐらいありますね。これが、二〇二七年になると千二百兆ぐらいにふえる、百四十兆ぐらいふえるわけですね。だから、一五%まではいかないけれども、この間、一五%ぐらいふえるでしょう、ですから元本償還費もそれぐらいの割合はふえるだろうと思うんですが、三十八兆のうち、元本がふえる部分というのはそれぐらいのものですよ。

 だから、三十八兆のうち、今は元本が十四兆ぐらい払っていますけれども、十六兆ぐらいではないかと見ています。それで二十二兆の利払いではないかというふうに私は思っていますので、もし反論があればここで伺いますけれども、反論がなければそのままで結構です。

茂木国務大臣 申し上げておりますように、マクロの計量モデル、これを使って将来推計をしておりまして、こういった性格上、国債費の内訳といった個別の指標の推計値については相当の不確実性を伴うものと考えられますために、内閣府としては、責任を持った形で、これを分けてお示ししていないということでございます。

階分科員 明確な反論はありませんでした。

 そこで、四番目の質問は、名目GDP成長率が長期金利を下回る予想となっている、それが二〇二六年度以降そうなっているということで、いわゆるドーマー条件によると、名目GDP成長率が長期金利を下回るということは、債務残高の伸びの方がGDP成長の伸びを上回ってしまって、債務残高対GDP比がどんどん発散していく状況になりかねないということなんですね、仮にプライマリーバランス均衡を達成したとしても。

 そこで、五点目の質問に行きますけれども、二〇二七年度にプライマリーバランス均衡を達成したとしても、国債の利払い額は、国債発行残高が今の金融政策のもとでどんどん累積していくのと、あるいは、物価上昇率やリスクプレミアムを反映した金利上昇によって、大幅に増加していくのではないか。その後も、先ほど言ったドーマー条件のもとで、名目GDP成長率を上回るペースで増加していくのではないかということで、現在の金融政策が長期化すればするほど、長期的に見て財政破綻のリスクが高まるのではないかと思うんですが、この点について、大臣の御見解をお願いします。

茂木国務大臣 委員もよく御案内の上で御質問されているんだと思うんですけれども、二〇二六年度、ワンショットの年をとっての長期金利が何%になるか、名目GDPの成長率がどれぐらいになるか。これは確かに、三・六%と三・五%、つまり、長期金利がその時点においてワンショットでは上回っておりますけれども、先ほど申し上げましたように、債務残高の多くは既発債ということでありまして、それは一年のワンショットということにはならないと考えておりまして、すぐにそれをもって、債務残高の対GDP比、これが発散するということではないと考えております。

階分科員 一年だけじゃなくて、二〇二七年も長期金利の方が名目GDP成長率を上回っていますし、そもそも、普通、経済理論上は、名目GDP成長率にリスクプレミアムを乗っけて長期金利というのは普通は出てくるということで、これは恒常的にそうなるのではないかと思うんですけれども、違いますか、大臣。

茂木国務大臣 マクロの計量モデル、これは中期でありますから、十年を単位といたしております。十年を超えるような、二十年、三十年、こういう長期のものにつきましては、この内閣府のマクロの計量モデルでは扱っておりません。

階分科員 もっと財政の状況について危機感を持っていただきたいと思ってこういう話をしているわけで、利払い費の数字も出さない、そして、ドーマー条件について、二〇二六年から発散の方向に行くのに、そのことについても余り危機感を示されないということで、私は驚くべきことだと思っています。

 そういう中で、今はたまたま、日銀の異常な金融緩和によって、金利が低くて、財政については有利な状況なんですけれども、そういう中で、どんどん国債の発行残高が累積していっている、あるいは将来のリスクプレミアムの上昇要因になっているということで、今の金融政策は将来の財政破綻リスクを高めるものだと思っていますし、先ほども言いました、日銀の財務体質を不安定化させ、金融市場をゆがませ、地域金融機関の体力を奪っていると思っています。

 物価安定目標にこだわらず、量的緩和もイールドカーブコントロールも徐々に見直すべきだと思っていますけれども、黒田総裁、どうですか。

黒田参考人 まず、財政との関係について一言だけ申し上げますが、長短金利操作つき量的・質的金融緩和のもとで、長期金利が安定的に推移するということが国債の利払い負担の減少につながっていることは、これは事実であります。ただ、財政運営そのものにつきましては、やはりあくまでも政府、国会の責任で行われるというふうに理解しておりまして、具体的にコメントすることは差し控えたいと思います。

 二つ目の、金融機関に対する影響でございますが、金融機関に対する影響につきましては、現時点では、金融機関は十分な資本基盤を有しておりますし、信用コストも大幅に減少しておりますので、現時点で、金融機関の収益に大きな影響を与えて、それが金融緩和の効果を減殺するということにはなっていないと思いますが、引き続き、金融機関の収益状況については、長期的な観点も含めて、十分注視してまいりたいと思っております。

階分科員 私は、オーバーシュートコミットメントということで、物価安定目標二%を安定的に超えるまで、十年以下はゼロ%というイールドカーブコントロールとか、あるいは資産買入れで株をたくさん買ったり国債をたくさん買ったりというのは継続しなくちゃいけないというふうに二〇一六年九月に言っているのかなと思いましたら、よくよく考えると、何か曖昧な表現になっていますね。

 資料の四ページ目と五ページ目なんですけれども、四ページ目で、私の方で手書きで下線を引いて二重丸をつけていますけれども、「消費者物価上昇率の実績値が安定的に二%の「物価安定の目標」を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する」のがオーバーシュートコミットメントだと一方で言っており、次のページは、「日本銀行は、二%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。」ということで、この文章の目的語ですけれども、マネタリーベースの拡大方針を継続するのがオーバーシュート型コミットメントなのか、長短金利操作つき量的・質的金融緩和を継続するのがオーバーシュートコミットメントなのか、どちらだかよくわかりませんので、ここで明らかにしてもらえませんか。

黒田参考人 オーバーシュート型コミットメントは、予想物価上昇率をより強力に引き上げていく観点から、消費者物価上昇率の実績値が安定的に二%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続するということをお約束したものでございます。

 他方、イールドカーブコントロールにつきましては、その時々の経済、物価、金融情勢を踏まえ、二%の物価安定の目標に向けたモメンタムを維持するために最も適切と考えられるイールドカーブの形成を促すということにしております。

 現状、物価は弱目の動きを続けておりますので、二%の物価安定の目標の実現までにはなお距離があることから、現在の金融市場調節方針のもとで強力な金融緩和を粘り強く進めていく方針でございますが、御指摘のとおり、オーバーシュート型コミットメントとイールドカーブコントロールは二つの長短金利操作つき量的・質的金融緩和のコンポーネントでありまして、全く同じというものではなくて、タイムスパンも若干違っているということは事実であります。(階分科員「この二つの文章は違うんですか」と呼ぶ)

 先ほど申し上げたとおり、量的・質的金融緩和を拡大いたしまして、長短金利操作つき量的・質的金融緩和というものを一昨年九月に導入いたしました。その際、二つのことをコミットしておりまして、一つがオーバーシュート型コミットメント、もう一つがイールドカーブコントロールでありまして、それぞれ、導入したときの公表文書にあるとおりのことでございます。

階分科員 ちょっと質問の答えになっていません。オーバーシュート型コミットメントの目的語はどっちかと聞いているんですよ。マネタリーベースの拡大方針を継続することなのか、長短金利操作つき量的・質的金融緩和を継続することなのか、どっちかと聞いているんですよ。二つ、違うことを言っていますから、どっちなんですかと聞いているんです。

古賀主査代理 時間が来ておりますので、簡潔に御答弁お願いします。

黒田参考人 それは先ほど申し上げたとおり、オーバーシュート型コミットメントは、マネタリーベースの拡大方針を継続するということ、これは二%を安定的に超えるまで続けますというコミットメントであります。

 他方、イールドカーブコントロールは、その時々の経済、物価、金融情勢を踏まえて、二%の物価安定の目標に向けたモメンタムを維持するために最も適切と考えられるイールドカーブの形成を促すということでありまして、この二つによって長短金利操作つき量的・質的金融緩和は成り立っておりまして、二つのコンポーネントから成り立っているということでございます。

階分科員 ちょっと私はこの場では理解できなかったので、後でちゃんと議事録を精査してみますけれども、最初の方で、マネタリーベースの拡大方針を継続するのがオーバーシュート型コミットメントだと言っていますから、オーバーシュート型コミットメントのもとでも、金利を見直したり、あるいは、資産の買入れ額をゼロにはしなくても縮小したりすることは可能だというふうに理解しますので、ぜひそういう方向で、柔軟な金融政策の見直し、正常化に向けての見直しをお願いしたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

古賀主査代理 これにて階猛君の質疑は終了いたしました。

 次に、田畑毅君。

田畑(毅)分科員 自由民主党の田畑毅でございます。本日は質問の機会を与えてくださりありがとうございます。

 本日は、足元の景気動向ですとか、今後の経済財政運営について質問させていただきたい、このように考えております。

 と申しますのも、さきの総選挙のときの各種の世論調査を振り返りますと、有権者の最大の関心事というのは、やはり景気と雇用にあったわけでございます。我が党が選挙戦に勝利できた、このことは、自民党が推進してきました経済財政政策に対する有権者の信任のあらわれでありまして、こうした期待を裏切らないためにも、全ての国民が経済的な豊かさを実感できる社会を構築していかなければならない。そのためにも、経済指標の動きについてしっかりとした点検作業をしていく、このことが重要だというふうに考えているからであります。

 本日は、そうした観点から質問をさせていただきたいと思います。何とぞよろしくお願い申し上げます。

 さて、二月の十四日に、昨年の十―十二月期のGDP一次速報が公表されました。これを見ますと、二十八年ぶりの八四半期連続での前期比プラス、プラス〇・一%、年率換算にしますと〇・五%と、引き続き我が国経済の好調ぶりが確認をできるといった、こうした結果でありました。

 そこで、まず初めに、今回のこうした結果に対する大きな評価とこの要因分析、そして、先々も我が国経済が持続的、安定的に成長していくためにはどのような取組が必要か、そうしたことにつきまして、経済財政運営のトップでございます茂木大臣にお伺いをしたいと思います。

茂木国務大臣 日本経済は、五年間にわたりますアベノミクスの推進によりまして、雇用・所得環境が大きく改善をして、経済の好循環が実現しつつあると考えております。

 名目GDPは過去最大の五百四十九兆円に拡大し、また、実質GDPについても、委員御指摘のように、今月公表された二〇一七年の十―十二月期の実質GDPは、年率換算でプラス〇・五%と、二十八年ぶりの八四半期連続のプラス成長となったわけであります。そして、その内容を見てみますと、個人消費や設備投資がプラスとなっておりまして、民需の増加に支えられた成長となっている、このように評価をしております。

 一方、景気回復とともに、これはアベノミクスの成果でもあるんですが、需給ギャップが縮小し、足元でプラスになっているということで、今の日本経済の最大の課題は、少子高齢化という壁を乗り越えて、サプライサイドの改革を通じて潜在成長率を引き上げていくことにあると思っております。

 このため、一人一人の人材の質を高める人づくり革命と成長戦略の核となる生産性革命、これに最優先で取り組むということで昨年の選挙も戦わせていただきました。そして、昨年十二月には二兆円規模の政策パッケージを取りまとめたところであります。

 この中で、人づくり革命につきましては、幼児教育、高等教育の無償化や待機児童対策など、子育て世代に大胆に政策資源を投入するとともに、人生百年時代を見据えて、誰もが幾つになっても活躍できる教育システム、これを構築するために、リカレント教育の充実、リカレントでありますから、循環するとか回帰をする、幾つになってもまた学び直しができる、こういう状況をつくったり、大学改革に取り組むことにいたしております。

 一方、生産性革命につきましては、先ほど申し上げたように、企業収益も大きく上がっている。過去最高の企業収益を、さらなる賃金のアップ、そして投資につなげるために、賃上げや投資に積極的な企業の法人税の負担を二五%に引き下げる。また、中小企業の新規設備投資について、自治体の自主性に配慮しつつ、三年間固定資産税ゼロとなる、こういった画期的な制度も創設するなど、大胆な税制、予算、規制改革、あらゆる政策手段を総動員していきたい。しっかり結果を出すことによって、国民の皆さんの期待に応えてまいりたいと考えております。

田畑(毅)分科員 力強い御答弁ありがとうございました。国民の期待にしっかりと応えていく、これが政府・与党の責任であるというふうに私も理解しております。

 ここからはテクニカルな質問にもなりますので、大臣におかれては、こちらで御退出いただいて構いません。ありがとうございました。

 さて、今御答弁がございましたように、冒頭の、一番目の質問にもございましたように、足元の景気は着実に、緩やかにではございますけれども回復をしているということでございます。

 ただ、その一方で、真に国民の一人一人が豊かさを実感できるところまでこの景気の回復というのは至っているのかなという、私、率直な疑問がございます。

 例えば、IMFが公表しております世界の国民一人当たりのGDP等のランキング、この順位づけでございますけれども、こうしたものなどを見ますと、日本の順位でございますが、これは、一九九〇年代から二〇〇〇年代の初頭に向けましてはずっと一桁でいました。すなわち、世界のベストテンに入っていました。特に二〇〇〇年においては、世界の第二位、こうした順位につけていたわけでございます。

 しかしながら、その後、順位がだんだんだんだん下がってまいりまして、直近の二〇一六年度の順位につきましては第二十二位というところまで落ちてきて、こうした低位といいますか、二十二位という順位にとどまっております。

 この統計は、国民一人当たりでございますから、人口増加国、人口減少国などがありますので、各国の人口の増減ですとか、あるいは、この統計はドルベースでございますので、為替変動等の影響を考慮する必要はあるにはあるのでありますが、このようにトレンドとして日本の順位というのが下がってきているということを鑑みますと、いまだ我が国の国民一人一人が豊かさを実感できるというところまで経済の回復というのは至っていないのではないのかなという思いがあるわけでございます。

 経済政策、やはり国民一人一人が豊かさを実感できるというところが一つの目標といいますか、目指すべきところだというふうに私は思っておるんですけれども、それに向けました政府の取組、内閣府に御質問させていただきたいと思います。

村井大臣政務官 お答え申し上げます。

 田畑委員から、国民一人一人が実感をできる経済政策に関連をした御質問をいただきました。

 安倍内閣が進めている経済政策は、成長と分配の好循環をつくり上げていくというものでございます。成長により生み出された成果が広く国民に行き渡り、多くの人たちが成長の果実を享受できる社会を実現してまいります。

 このため、成長戦略とともに、最低賃金につきましては、この五年間で百円引き上げたところでございまして、今後も、年率三%をめどに引き上げ、全国の加重平均ベースで千円を目指してまいりたいと考えております。

 また、働き方改革の中で、同一労働同一賃金を実現して、正規と非正規、この所得格差をなくしていく、また、大企業と中小企業の関係については、下請取引の適正化に向け、取引条件の改善に努めているところでございます。

 さらには、先ほど大臣からもお話がございましたけれども、先般閣議決定いたしました新しい経済政策パッケージに基づきまして、低所得世帯を対象とした高等教育無償化を実現してまいります。

 このように、政策的に成長の果実を分配していくことによりまして、景気回復の実感を国民の皆様に幅広く行き渡らせ、所得、消費の拡大、また日本経済の持続的な成長につなげていくというところが安倍政権の基本的な考え方でございます。

田畑(毅)分科員 ありがとうございます。

 賃金を引き上げていくという御答弁がございました。

 次から、個別の需要項目について質問を移していきたいと思います。

 まずは、やはり個人消費だと思います。先ほどの賃金の話もございましたけれども、消費をきちんと刺激していくということがやはり経済の回復には重要なところでございます。

 昨年の十―十二月期の個人消費、二四半期ぶりに前期比プラスという結果となりました。その前の七―九月期がマイナスの〇・六%でございましたから、マイナスからプラスへ転じた、再びプラスに転じたということ、そういうわけでございますし、その前の趨勢的なトレンドを見ましても、前期比プラスで推移をしてまいりましたので、率直に、個人消費は持ち直している、こうした評価でいいんだろうなというふうに思っております。

 そして、今、村井政務官から答弁ございましたけれども、賃金の方も少しずつ上がってきているということで、全体としてはいいのかなというふうに思うんですが、次の質問の問題意識でございますが、賃金について、やはり実質の賃金でございます。実質賃金が伸びていかないと、やはりどうしても個人消費が伸びていかないのではなかろうかという意識が私の中にございます。

 実質賃金指数というのは、これは毎月勤労統計の中であるんですけれども、この前年比推移を見ますと、やはり、いまだゼロないしマイナス圏内で推移をしておる状況でございます。

 消費を一段と刺激して、さらなる経済の拡大を図っていくためには、実質ベースでの賃金が力強く伸びていくことが必要不可欠だというふうに考えておるわけですけれども、この点に関する政府の取組をお聞かせください。

宇野政府参考人 お答え申します。

 先生御指摘のとおりであります。個人消費を今後促進していくためには、やはり賃金の上昇が不可欠であろうと考えております。

 政府といたしましては、先般閣議決定しました新しい政策パッケージにおいて、今後三年間を生産性革命集中投資期間と位置づけまして、過去最高の企業収益をさらなる賃上げや設備投資につなげていくための大胆な施策を断行していくこととしております。

 具体的には、三%以上の賃上げを行う企業は二五%まで、さらに、革新的な技術に投資する企業は二〇%まで法人税の負担を引き下げる、あるいは、中小企業の新規設備投資を強力に後押しするために、自治体の自主性に配慮しつつ、固定資産税の負担減免のための措置を講じまして、これに合わせて、ものづくり補助金を拡充、重点支援する等々の措置をとることとしております。

 これらによりまして、企業による力強い賃金アップや投資による生産性の向上を後押ししまして、経済の好循環あるいは実質賃金の上昇を加速していきたいと思っております。

 以上でございます。

田畑(毅)分科員 ありがとうございます。

 さて、先週、報道等でもいろいろ出ましたけれども、消費の拡大を狙って打ち出された施策のプレミアムフライデーというものがあったかと思います。これが、先週の金曜日、二月の二十三日でちょうど一年が経過したということでありました。ですが、率直に言って、なかなか制度が広まりを見せていないのかなという印象が私自身の中にもあるわけでございます。

 ちょうど一年目の節目でもございますので、これまでの評価と今後の課題について、こちらは経産省になりましょうか、御見解をお伺いしたいと思います。

    〔古賀主査代理退席、主査着席〕

小瀬政府参考人 お答えいたします。

 プレミアムフライデーは、月末金曜日に、国民の皆様にふだんとは少し異なる生活の豊かさや幸せを感じていただく機会をつくりたいという思いで、官民一体の取組として昨年二月から始めたところでございます。この取組を通じて、消費活性化のきっかけとなることや、働き方、ライフスタイルの改革につながることを期待しているところでございます。

 一周年となりました現在では、認知度は九割を超えており、振りかえを含めた早帰りの実施率は直近で二割程度となっているところでございます。また、プレミアムフライデーに関する消費喚起イベントを実施している企業の約二割が効果を実感していると回答するなど、一定の効果は見られるものの、定着には課題も多いというふうに感じているところでございます。

 経済産業省といたしましては、引き続き、プレミアムフライデーの取組が浸透するよう、粘り強く続けてまいりたいというふうに考えてございます。

田畑(毅)分科員 ありがとうございます。

 こうした取組を進めていくことは物すごくいいことだと思います。とりあえず導入をしてみて、やってみて、課題が出てきたのであればそこを改善していくといったことが最も重要なわけでございまして、一年経過して、今度二年目に入るわけでございますが、更にこうした課題、浮き上がってきた課題を改善して、定着をさせていって、消費の拡大につなげていっていただきたいというふうに思っております。

 さて、続きましては、やや長期的、中期的な観点からの質問でございます。

 来年の十月には消費税率の引上げがございます。そして、再来年には東京オリンピック・パラリンピック大会が予定をされているところでございます。

 このように、我が国の消費を取り巻く環境というのはどんと上がって、また、消費税が上がりますから、駆け込み需要がどんと来まして、その後の反動の減少が予想され、オリンピックに向けまして新たな需要がどう出てくるかわかりませんけれども、環境が大きく変化をしていくことが予想はされるわけでございます。

 こうした大きな環境変化を乗り越えまして安定的な経済成長につなげるための政府の取組について教えていただきたく思います。

村井大臣政務官 お答え申し上げます。

 田畑委員から、来年十月の消費税率の引上げ、また二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会など、経済を取り巻く環境が変化する中で、どういった対応をしていくべきかといった御質問をいただきました。

 まさにその点につきまして、先日、二十日に行われました経済財政諮問会議において扱わせていただいて、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック前後の経済運営について議論を行ったところでございます。

 田畑委員は御専門でございますので御案内かと思いますが、消費税率引上げや、こういったオリンピック・パラリンピック開催を契機とする需要の変動を乗り越えて、安定的な成長軌道へ乗せていくことが何よりも大切でございまして、政府といたしましても、欧州の事例にも学びつつ、消費税率引上げによる駆け込み需要の反動減といった経済の振れをコントロールして、需要の変動を平準化していきたいと考えております。

田畑(毅)分科員 ありがとうございます。

 やはり、消費というのは、マインドといいますか、気持ちに左右される部分が多いと思うんですね。消費税率が上がるのであれば大きな買物というのは先に済ませておこう、消費税が上がっちゃったからちょっと買物は控えようですとか、オリンピックが始まるのであれば、何となく明るいのでちょっとお金を使ってみようかなというような、そうしたことも出てくると思います。

 いずれにしましても、政府において、そうした経済の大きな環境変化のところをうまく乗り切っていただきたいなというふうにお願いをしておきたいと思います。

 続きまして、設備投資についてテーマを移したいと思います。

 設備投資の額でございますが、これの推移を見てみますと、二〇〇九年をボトムに、緩やかにこの額というのは増加をしてまいっております。

 そして、足元、昨年の十―十二月期でございますが、この額は八十七・二兆円となっております。これは、過去最高でございました九七年の十―十二月期八十八・二兆円、足元が八十七・二兆円ですから、過去最高の八十八・二兆円に迫る水準にまで設備投資の額が伸びてきているということでございます。

 これはこれで大変に結構なことだというふうに私は思うわけでありますが、私はこの内訳について大変興味があるわけであります。

 すなわち、一口に設備投資と申しましても、生産能力を増強していくための設備投資であったり、あるいは人手不足を補うための省力化のための投資、あるいは新製品を開発していったりなんかするための投資と、さまざまあるわけであります。

 私の地元は愛知県でございまして、製造業のメッカということもあり、ありがたいことに大変景気が、全国的に見てもいい地域でございます。ただ、そうした中にあっても、人手不足ということは非常に深刻なわけであります。

 このことは中小企業だけではありませんで、名立たる上場企業の、ぴかぴかの企業の役員さんとお話をしましても、どうも人手が足りません、新規採用も、もちろん中途採用もやっているんだけれども、もう本当に、田畑先生、働く人というのはどこに行ってしまったんだろうというような悲痛な声も聞かれるわけでございます。

 ただ、そうしたことを言っていても仕方がありませんので、人手不足を補うためには、ロボットであったり機械であったり、人に代替する設備を導入して、それを補っていかなければならないわけでありまして、それがひいては生産性を向上させていく、日本の経済を好循環に乗せていく引き金になっていくんだろうなというふうに思うわけでございます。

 設備投資の額が伸びていく中で、省力化のための設備投資というのはどれぐらいの割合で出てきているのか。その割合を数値で示すことがなかなか難しいということであれば、具体的な事例、どのような事例が出ているのかということを教えていただければというふうに存じます。

中村政府参考人 お答えいたします。

 設備投資のうち省力化投資の割合でございますけれども、GDPベースではそのデータが公表されておりませんけれども、一方で、日本政策投資銀行が昨年八月に公表しております設備投資計画調査というのがございます。これによりますと、合理化、省力化投資の割合でございますけれども、二〇〇九年当時で七%、それから直近の実績であります二〇一六年では六・〇%というふうになってございます。

 また、省力化投資の事例といたしましては、これは本年一月に日本銀行が地域経済報告、通称さくらレポートというものを公表しておりますけれども、それによりますと、例えば電子部品・デバイス業におきまして、人手不足に対応いたしまして、生産工程での製品の移動でありますとか、あるいはそれに合わせました各装置の作業をアームロボットなどで置きかえる予定があるという事例でございますとか、あるいは、飲食業でございますけれども、タブレット端末の導入でありますとか、あるいは高機能調理器具の導入によりまして生産性向上に努めている事例、こういったような合理化、省力化投資を積極的に進めている事例というのが報告されているというふうに承知をいたしております。

田畑(毅)分科員 ありがとうございます。

 そうでしたか、日銀のさくらレポートにそうした事例が。私もよくそちらの方を勉強したいと思います。ありがとうございました。

 続きまして、雇用についてお伺いをさせていただきたいというふうに思っております。

 二月の二十一日に公表されました月例経済報告では、雇用は着実に改善をしているというふうに表現をされております。確かに、完全失業率につきましては二・八%と二十三年ぶりの低水準、有効求人倍率に至っては、こちらについても四十三年ぶりの高水準となっているところでございます。

 さきの総選挙におきましても、アベノミクスの成果としまして、全国四十七都道府県で有効求人倍率一倍を超えてきましたよ、完全失業率についても二十数年ぶりの低水準になってきました、ぜひこれを見てください、評価してくださいということで私どもは選挙戦を戦って、それに対して信任を得たわけではございます。

 ただ他方で、いろいろな論評などを見てみますと、雇用環境がこれほどまでに好転をしてきているのは、日本の構造的な要因によるところが大きいからであるというような論評も見受けられるところでございます。すなわち、生産年齢が減少しておりますですとか、非正規雇用が増加しているだとか、あるいは高齢化に伴う医療、サービスの需要が増加していること、こうした我が国の構造的な要因によって雇用環境が改善をしてきているというような指摘もございます。

 自民党の安倍政権のアベノミクス、それ以前から、もうこうしたトレンドは始まっておりまして、特に自民党が経済政策を進めてきた結果ではないよというような批評ですとか、そういったものもあるわけでございますが、こうした指摘に対する御見解をお伺いしたいと思います。

中村政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のございました、雇用情勢改善の背景でございますけれども、例えば、人口動向の関係につき申し上げますと、安倍政権発足前の二〇一二年と、それから直近の二〇一七年、これを比較いたしますと、御指摘のように、生産年齢人口は四百五十一万人減少をしてございます。しかし、こうした中で、就業者数は二百五十一万人、また、雇用者数は二百八十万人の増加というふうになってございます。

 また、雇用形態別に見てみますと、御指摘のとおり、非正規雇用者の数、これは二百二十万人増加してございますけれども、一方で、正規の雇用者数、これは、同じく二〇一二年から一七年までで七十八万人増加をいたしております。

 また、産業別に見ますと、御指摘のように、医療、福祉といった分野で大きく増加をしておりますけれども、それのみならず、インバウンドが好調な宿泊、飲食サービス業でありますとか、あるいは製造業など、幅広い業種で雇用者数の増加が見られているところでございます。

 こういうことでございまして、御指摘のような構造的な要因、これもございますけれども、景気が緩やかに回復する中で雇用情勢は着実に改善している、このように認識をしてございます。

田畑(毅)分科員 ありがとうございます。

 やはり雇用というのは重要なところでございまして、選挙戦を戦ってみましても、やはり若年層を中心に、就職の不安が今はなくなってきましたと。私が大学を卒業して就職をしたのが、一九九五年、平成七年のころでございまして、そのころは本当に、それなりの、私も大学を卒業したわけでございますけれども、内定がほとんど出ずに、私の同級生も、結局どこにも就職ができずにやむなくアルバイトに出たり、特に研究をするわけではないんですけれども、大学を卒業してしまうと新卒扱いにならないので大学院に進学をしたりですとか、そうした時代と今を比較しますと、隔世の感があるなというふうに思います。ありがとうございます。

 では、続きまして、雇用関連でございますが、外国人労働力について御質問させていただきたいと思います。

 二月の二十日に開催をされました経済財政諮問会議、こちらの資料も、私、拝見させていただいたんですが、この中で、この会議におきまして、現下の人手不足に対応するために、外国人労働力の活用についても議論をされたようであります。

 外国人労働力を活用するに当たって、政府の基本的な姿勢と今後の方針、これを改めて、こちらは法務省になりましょうか、お伺いさせていただきたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えをいたします。

 外国人材の受入れに関する基本的な考え方は、専門的、技術的分野の外国人は我が国の経済社会の活性化に資するとの観点から、積極的に受け入れるというものでございます。

 今委員御発言のとおり、二月二十日に開催されました経済財政諮問会議において、安倍総理大臣から、現在の深刻な人手不足の状況に対応するため、専門的、技術的分野における外国人受入れの制度のあり方について、在留期限の上限を設定し、家族の帯同は認めないといった前提条件のもと、真に必要な分野に着目しつつ、制度改正の具体的な検討を進めるよう、官房長官及び法務大臣に対して御指示がありました。

 法務省といたしまして、今後、この御指示を踏まえ、関係省庁とともに早急に検討を進めてまいります。

田畑(毅)分科員 ありがとうございました。

 外国人労働力につきましては、私はそれを否定するわけではないんですけれども、せっかく景気が全体として緩やかに回復をしている中において、雇用、労働需給もきちんとタイト化してきている、いい環境になってきている。それに伴いまして日本人の賃金も上昇してきている。そして、人手不足がある中で、省力化投資等々の設備の投資も出てきているという、今、いい経済の環境が整ってきているんだと思うんです。そこに、安易な、安易なと言ったら多少語弊がありますけれども、外国労働力が入ってきまして、日本人の雇用がまた奪われてしまうということは、若干私懸念しているところでございますけれども、今御答弁ございましたように、移民政策は基本的にはとらないということと、真に必要な専門的な人材を入れていく、そして家族の帯同は基本的には認めないというようなことでございます。

 いずれにしましても、外国人労働力の活用についての議論はこれから始まっていくということでございますので、そうした動向を私も注視をさせていただきたいと思います。

 時間が来たようですので、私の質問はこちらで終えさせていただきます。ありがとうございました。

渡辺主査 これにて田畑毅君の質疑は終了いたしました。

 次に、石川香織君。

石川(香)分科員 立憲民主党の石川香織でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず初めに、きのう閉幕をいたしました平昌オリンピックのことについて少し触れたいと思っております。

 今回のオリンピックは、幕別町出身の高木姉妹が活躍したりですとか、あと土曜日もカーリングで銅メダルをとりました。日本選手の活躍が非常にすばらしく、日本じゅうが熱くなったと思いますけれども、スピードスケート女子五百メートルという競技で小平奈緒選手が金メダルをとりましたけれども、ここでちょっと気になることがありましたので、冒頭触れさせていただきたいと思います。

 それは、小平選手のスターターの号砲のタイミングがほかの選手と大幅に違ったということであります。

 スタートはレディーという声の後にバンとなるわけですけれども、この号砲のタイミングが、一組目から十三組目までは三秒一五から二九の範囲だったのに対して、十四組目の小平選手のときだけ、約一秒も遅い四秒一五ということでありました。選手は、前のレースのスタートのタイミングに合わせてウオーミングアップをしたりするそうなんですけれども、小平選手も、号砲が出るまですごく長い気がしたというふうにコメントをしております。しかし、遅く感じましたけれども、逆にあれで集中力が増しましたとも言っておりまして、さすが、改めて金メダリストとしての度量を感じたわけでありますけれども、私自身、あの号砲のずれには少し違和感を感じました。

 そこで、公正なオリンピックの運営が必要だと皆さん考えていらっしゃると思いますけれども、このことに対して御所見をお願いしたいと思います。

藤江政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、平昌オリンピック、昨日閉会いたしましたが、その中での日本代表選手団の活躍というものは、非常に多くの人々に夢と感動を与えてくれました。

 このような中で、感動を呼ぶスポーツの力というものは、委員御指摘のように、アスリートが、公正公平な環境の中でライバルとリスペクトし合いながら限界に挑戦し、正々堂々と競技するからこそ発揮されるものだというふうに考えております。

 このため、さまざまなスポーツの大会、特に世界最大のスポーツの祭典であるオリンピックにおいては、公正公平に運営されることが極めて重要であるというふうに考えております。

石川(香)分科員 ありがとうございます。

 スポーツ、ましてや四年に一度のオリンピックであるわけでありますので、今お答えいただきましたように、フェアな場で真剣勝負ができるという環境をつくらなくてはなりません。二〇二〇年の東京オリンピックもありますので、ぜひ引き続きそのように取り組んでいただきたいと思っております。

 スポーツ庁の皆様、お引き取りいただいて結構でございます。ありがとうございます。

 それでは、本題に移りたいと思います。

 私は、昨年十月の選挙で初当選をさせていただきまして、それに伴いまして、ことしの一月末に四歳と一歳の子供を帯広から東京に引っ越しをさせて、今生活をしております。まずしたことは子供たちの保育園探しでありますけれども、やはりなかなか入るところが見つかりませんで、非常に待機児童問題の深刻さを身をもって感じたところであります。

 これからの質問は、子供を取り巻く保育の問題でありましたり、都市部それから地方の課題ですとか、さまざまな問題についてお伺いをしていきたいと思います。

 現状、待機児童ということに関してですが、どれぐらいいるのかということで、定義を確認しておきたいと思います。改めて、待機児童と呼ばれる子供たちはどのような子供たちなのか、お答えいただけますでしょうか。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 待機児童数は、平成二十九年四月一日現在で二万六千八十一人となっております。

 待機児童の定義につきましては、保育の必要性が認定され、保育園等の利用の申込みをしているが、保育園等を利用していない児童を基本としております。一方、例えば、他に利用可能な保育園等があるにもかかわらず特定の保育園等を希望している場合については、保育園の整備が必ずしも入園につながらないことなどから、待機児童の数に含めない取扱いとしているところでございます。

石川(香)分科員 ありがとうございます。

 今御説明ありましたけれども、この平成二十九年四月一日の「全国待機児童マップ(都道府県別)」というものによりますと、待機児童がゼロとしている都道府県は、青森県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、鳥取県の七県ということであります。そのほか、群馬県は二人、新潟県は二人、岐阜県も二人と限りなくゼロに近い都道府県もある一方、埼玉、千葉、東京などの首都圏、それから大阪、兵庫、福岡県などは依然千人以上、東京は八千五百八十六人という数字になっています。

 今御答弁いただいたように、ゼロであるのはすばらしいと思うんですけれども、現実はこの集計に含まれない潜在的な待機児童がいるということでありまして、地方単独保育施設などを利用している子供たちや、保護者が育児休業中であること、求職活動を休んでいる人、ほかにあきがあっても特定の保育所を希望しているという理由で待機児童というカウントから外されているという子供たちがこの潜在的な待機児童と言われる人たちであります。

 この厚生労働省の集計で、潜在的な待機児童は六万九千二百二十四人に上ると言われておりますが、本当に、最初私が説明いたしました、待機児童がゼロであったり、若しくは数人であるという数字は、現状をきちんと反映できているのかということであります。

 政府は、待機児童に向けてさまざまな取組をなさっていると思いますが、平成三十年度から三十二年度末までに、女性の就業率が八〇%になることに対応できるよう、三十二万人の受皿を整備するとしておりますけれども、これで待機児童ゼロにできるのかということについて、御意見をお願いいたします。

成田政府参考人 待機児童の解消は待ったなしの課題であり、最優先で取り組んでいるところでございます。

 子育て安心プランによる必要な保育の受皿三十二万人分につきましては、二十五歳から四十四歳までの女性の就業率が毎年おおむね一ポイントずつ上昇し、二〇二二年度末に八割まで上昇すること、その就業率と相関して保育の利用申込率もゼロ歳から五歳全体で見て五割を超える水準まで伸びることを想定して、必要な整備量を推計したものでございます。

 これに加えまして、今般、子育て安心プランを二年前倒しし、二〇二〇年度末までにこの三十二万人分の受皿を確保することとしております。

 この推計方法につきまして、潜在的な保育ニーズが含まれていないとの御指摘を受けることがございますが、就業率と相関して、利用する率ではなく、利用申込率、すなわち利用を申し込む率をもとに推計しているため、潜在的なニーズも含めた推計となっております。

 また、実際に保育の受皿整備を行うに当たっては、保育の実施主体である市区町村において、申込みにまで至らないようなケースも含めて、保護者の意向を丁寧に確認しながら、潜在的ニーズも含めた必要な整備量を的確に把握することが重要でございます。

 このため、昨年十二月には、毎年各市区町村が子育て安心プランに基づき整備計画を作成する際には、保育コンシェルジュなどを活用しながら、潜在的な保育ニーズの把握に積極的に取り組むよう求めたところであり、市区町村ごと、さらには市区町村内の保育提供区域ごとに、保育の利用意向が的確に把握され、それを反映した受皿整備が進むよう支援をしてまいりたいと考えております。

石川(香)分科員 ありがとうございます。

 そもそも申込みすら諦めている人というのは非常にカウントは難しいかもしれませんけれども、現状の把握も含めてしっかり認識をしていただくことも含めて、引き続き取り組んでいただきたいと思っております。

 次は、無償化ということについてお伺いをしたいと思います。

 政府は、平成二十九年十二月八日閣議決定の新しい経済政策パッケージにおいて、一番最初に幼児教育の無償化というものを挙げております。

 先日、予算委員会でほかの議員からの指摘もありましたので、少しここで取り入れたいと思いますが、大阪府の守口市では、全国に先駆けて、昨年四月から、ゼロ歳から五歳児の幼児教育の無償化の実施をいたしました。すると、申請が急増いたしまして、周辺の市町村から若い世代が移り住んだということですとか、二号認定が非常に多くなったというようなお話を現状としてお話しされておりました。

 幼児教育の無償化というのは、待機児童を更にふやしてしまうということも生む課題ですとか、それから、保育のニーズがやはり急増してしまって保育士不足をますます深刻にさせてしまう可能性、それはすなわち保育の質が低下することになりかねないという課題も見えてくるかと思います。

 無償化よりもやはり待機児童の解消というのが先であるという意見も多いかと思いますけれども、御見解をお伺いしたいと思います。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、待機児童の解消は待ったなしの最優先で取り組んでいくべき重要課題でございます。そうした認識におきまして、新しい経済政策パッケージのもと、幼児教育の無償化は二〇一九年度から段階的に進めていくのに対しまして、子育て安心プランは、補正予算も活用し、今年度から早急に実施していくこととしております。これによりまして、二〇二〇年度末までに三十二万人分の保育の受皿を確保し、待機児童を解消することとしているものでございます。

 いずれにいたしましても、各自治体の待機児童解消に向けた取組を国として全力で支援していくことが必要というふうに認識しているものでございます。

石川(香)分科員 ありがとうございます。

 無償化も非常にありがたいことなんでありますけれども、待機児童の解消ということについては、やはり一番初めの、念頭に入れて、引き続き取り組んでいただきたいと思っております。

 都市部を中心に問題になっております待機児童問題でありますけれども、地方では一体どうなのか。

 地方には地方の事情というのがあります。子供が都市部ほど多くない地域では、保育園や幼稚園に入れないということに関しては余り深刻ではありません。ただ、実際に保育園や幼稚園の関係者の方々にお伺いをしますと、兄弟そろって同じ園に入ることができない、距離が遠いですとか、近くの園は二歳児からしか預かってくれなくて、結局働くことができない、そういう声を実態として聞くことができました。

 また、飲食店や接客業として働く親にとっては、夜間保育というものがなくてはならない存在であります。私の選挙区であります十勝では、夜間保育施設は帯広市しかありませんで、周りの町村の方々は非常に苦労をされています。子供を入所させる条件としましては、帯広市に住んでいること、就労時間が十九時からであること。それ以外の条件の方は、家族や友人に預けたり、又は帯広市に引っ越しをして子供を夜間保育所に預けているということでありました。

 帯広市の夜間保育所を例に挙げますと、三十三世帯が利用しているということなんですけれども、シングルマザーの割合が六三%を占めるということでありました。シングルマザーというだけではなくて、女性の社会進出によって、夜間や休日の出勤といった、働き方もいろいろある分、保育のニーズに関しても多様化が必要だと思っております。

 夜間、休日保育の重要性が非常に今後も高まってくると思いますけれども、どうお考えでしょうか。お願いいたします。

成田政府参考人 働き方が多様化する中で、夜間保育や休日保育といった多様な保育に対するニーズが高まっており、こうしたニーズに応え、子育て支援の充実を図ることは非常に重要であると認識しております。

 平成二十七年四月から施行されました子ども・子育て支援新制度におきましては、保育を必要とする事由として、パートタイム、夜間など、就労形態の多様化に対応することとし、多様な保育ニーズに対応した保育を提供する仕組みとしたところでございます。

 また、保育所の運営費につきましても、夜間保育や休日保育など、多様な就労形態に対応した保育を実施するための経費を計上することにより、地域のニーズに応じた多様な保育を提供できる仕組みとしております。

 今後とも、多様な就労形態に対応するため、夜間保育や休日保育など、多様な保育の受皿の確保に努めてまいりたいと考えております。

石川(香)分科員 ありがとうございます。

 多様な保育の受皿についての重要性を非常に認識していただいているということでありましたけれども、同時にまた、大切な問題になってきますのが、働く親にとって非常に悩ましいことが、子供が熱を出してしまったり、ぐあいが悪くなってしまったりすることがあるということであります。そうしますと、会社を突然休むことになりましたり、でも、休めなくて、出勤しなくてはならない、そういうこともありまして、働く母親にとっては大変大事な問題であると思います。

 ここで大切になってくるのが病児保育というものであります。病気が発症している最中の病児保育というものと、それから病後児保育といって、病気は治ったものの、まだ本来の状態に戻っておらず、普通の園にはまだ通わせられないという状態の二つのパターンがありますけれども、病児保育については三つほど種類があります。一つは、病児対応型といって、親がぐあいの悪い子供を連れてきて、その子供を預かるというパターンと、二つ目は、体調不良児対応型といって、保育所にいる間にぐあいが悪くなった子供を預かってくれるパターン、そして、三つ目は、訪問型といって、自宅に一定の研修を受けた看護師や保育士、それから子育て経験者などが訪問するというパターンがあります。

 全国的にこれはふえているということでありますけれども、やはり風邪がはやる時期などは一斉に子供が殺到しますので、一つの施設で少人数しか預かれないということでありますので、なかなか預かってもらえないというのが現状であると思います。

 看護休暇という制度も現在ありますけれども、これについてはたった五日間ということでありまして、結局、親が会社を休むことになって、有給休暇をあっという間に消化してしまったということも多々あることだと思います。

 病児保育、病後児保育の現状をどう認識されているか、また、今後どういう取組を考えていらっしゃるかということについてお答えいただけますでしょうか。

成田政府参考人 病児保育事業は、病気になった子供の保護者が希望に応じて就労できるようにするための事業であり、子ども・子育て支援法に基づき、地域子ども・子育て支援事業として市町村が実施しているところでございます。直近三年間での利用児童数及び施設数は、ともに約三割ずつ増加しているところでございます。

 一方で、病児保育事業につきましては、感染症の流行や病気の回復による突然の利用キャンセルなどにより、利用児童数の変動が大きく、経営が不安定になるなどの御指摘をいただいているところでございます。このため、平成三十年度予算案におきまして、運営費の基本単価について、事業の安定によりつながるような補助の仕組みとした上で、利用児童数に応じた加算について、現在二千人となっている上限を見直し、二千人を超えて利用した場合においても利用児童数に応じた加算を行うこととしているところでございます。

 こうした取組を通じて、地域の保育ニーズに対応できるよう、病児保育事業の一層の推進に取り組んでまいりたいと考えております。

石川(香)分科員 ありがとうございます。

 非常に、病児保育の施設に関しては、経営が不安定であるという問題がございました。この事業の安定についてしっかり国もサポートをしていくということで、これからもお願いしたいと思っております。

 続きまして、保育士の処遇についてお伺いをいたします。

 保育の不足が叫ばれておりますけれども、賃金など保育士の処遇改善は非常に大切な急務だと思っております。公立よりも待遇が低い私立認可園の保育士の給与は、政府が決める公定価格に左右されます。よって、キャリアを積んでも給料が上がりにくいという仕組みになっております。全国平均の額面は年約三百八十万円でありまして、勤続年数に合わせて七%から一八%加算されるということでありますけれども、勤続十一年で頭打ちになるということであります。

 今年度から、私立保育園の経験七年以上の保育士の先生に月四万円を加算するという補助金を導入いたしました。しかし、現場の声を聞きますと、必ずしも歓迎の声ばかりではないのが現実なようであります。同じキャリアであっても四万円が当たる人と当たらない人がいる、賃金差が出て職場内で雰囲気が悪くなるといった声が上がっています。

 これはなぜかといいますと、七年以上勤めれば全員に四万円が当たるわけではありませんで、国の職員配置基準に基づいて、加算対象の人数を全体の三分の一ほどに絞り込まなくてはいけないという仕組みであるからです。例えば、七年以上の経験者が十五人いましても、四万円当たるのは五人、補助金の枠は五人ということになってしまいます。よって、全員に補助金が当たらないのであれば初めからもらわない方がいいという判断をした園も中にはあるそうです。

 保育士の全体の給料が安いわけでありまして、一部の方ではなくて、保育士に満遍なく給料がアップする抜本的な取組が必要かと思います。きょうは、松山大臣にお越しをいただいております。大臣、よろしくお願いいたします。

松山国務大臣 お答えいたします。

 委員おっしゃるように、今年度から実施をしております、技能、経験に応じた四万円等の加算については、保育人材の賃金水準を引き上げるとともに、保育人材のキャリアアップの仕組みを構築する、そのために導入したところでございます。

 具体的には、保育や幼児教育に従事する職員が、各施設において技能が向上し、そして職責が大きくなるにつれて賃金が上がるというキャリアアップの仕組み。これは、職員がその努力を評価されて、将来に希望を持って長く職場で働けるようにするということを意図しているところでございます。

 また、近年、子供や子育てを取り巻く環境は変化しておりまして、幼児教育、保育に求められる役割は多様化、複雑化をしているところでございまして、専門性ということを大変向上させなければならないということを重要視しているところでございます。

 この四万円の加算でございますが、現状においても、職員の経験年数、技能、給与実態を踏まえて、各施設の判断でその他の職員にも配分することができるようにしております。

 委員おっしゃるように、私も同様の声を聞くこともございます。今後も、更に現場において、過度な負担なく、また使いやすい制度にしていきたいと考えておるところでございます。引き続き、関係団体や現場の声を聞きながら、どのような工夫ができるかも含めて、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

 また、委員御指摘の、保育全体に係る処遇改善でございますが、これは、これまでも取組を進めておりまして、平成二十五年度以降、月額約三万五千円、一一%の処遇改善を実現しておるところでございます。さらに、新しい経済政策パッケージにおいては、二〇一九年の四月から更に一%、月額三千円相当の賃上げを行うこととしておりまして、これらの取組を通じて、保育士全体の処遇改善、これからもしっかり取り組んでいきたいと思います。

石川(香)分科員 ありがとうございます。

 保育士さんは、非常に子供の命と向き合う大切な仕事でありますので、今後も、保育士の賃上げについては、私たちも強く訴えていきたいと思っております。大臣、ありがとうございます。

 今、大臣の御答弁の中にもありましたけれども、保育士の処遇改善策で、キャリアアップ研修というものがございます。この研修分野としては、食育、アレルギーに関してですとか、保健衛生、安全対策といった科目が八つありますけれども、一つの科目を修得するのに十五時間以上かかるということでありました。保育の質のために研修を受けることは大変重要でありますし、子供を預ける親にとっても、そのような職員の方々の努力は非常に歓迎をするんですけれども、このボリュームだと、全て受講するのはなかなか現実難しいのではないでしょうか。御答弁をお願いいたします。

成田政府参考人 保育士の専門性の向上を図るとともに、キャリアアップの仕組みを構築するため、乳児保育や幼児教育、障害児保育といった、職務分野に対応した研修の体系化を行い、平成二十九年度にキャリアアップ研修を創設したところでございます。

 一方、技能、経験に応じた処遇改善につきましては、平成二十九年度は研修に係る要件を課しておらず、平成三十年度以降の取扱いについては、研修の受講状況などを踏まえて決定することとしております。

 保育士がその専門性を十分発揮しながら、目標を持って保育の現場で長く活躍していただくため、各都道府県が受講ニーズに対応した研修の実施体制を整備できるよう、引き続き支援に努めてまいりたいと考えております。

石川(香)分科員 ありがとうございます。

 研修の整備はこれからということでありましたけれども、やはり長く活躍してほしいというのが大切なポイントだと思います。

 続いては、潜在保育士と言われる問題についてでございます。

 保育士の登録者数は、平成二十八年で約百四十万人ということでありました。そのうち、勤務者数としては約五十四万人、そのうちの潜在保育士というのは八十六万人弱となっております。

 平成二十五年の厚生労働省の「保育士資格を有しながら保育士としての就職を希望しない求職者に対する意識調査」というものによりますと、保育士にならない理由として、低賃金ですとか、休暇がとりにくい、責任の重さ、事故への不安などが挙げられております。

 この潜在保育士、非常に問題になっておりますし、保育の現場を支える上において非常に重要な人物たちでありますけれども、保育士の労働環境の改善を図ることはもちろんでありますけれども、潜在保育士の方が就業しやすい環境を整備する、再び現場に戻ってきてもらう、そのような対策としてどのような対策を考えていらっしゃるでしょうか、お答えください。

成田政府参考人 待機児童の解消のためには、保育の受皿拡大と、それを支える保育人材の確保が不可欠であり、高い使命感と希望を持って保育の道を選んだ方々に仕事を続けていただくため、保育人材の処遇改善に取り組んできたところでございます。

 具体的には、保育人材の処遇改善につきましては、平成二十九年度予算で全職員一律二%の処遇改善を実施し、政権交代後合計一〇%の改善を実現するとともに、これに加え、技能、経験に応じた月額最大四万円の処遇改善を行ったところでございます。

 また、平成二十九年度補正予算及び平成三十年度予算案には、今年度の人事院勧告に伴う国家公務員の給与改定に準じた一・一%の処遇改善を盛り込んでいるところでございます。

 さらに、昨年末に閣議決定されました新しい経済政策パッケージでは、保育士の確保や他産業との賃金格差を踏まえた処遇改善に更に取り組むこととし、二〇一九年四月から更に一%の賃金引上げを行うことを盛り込んでおります。

 こうした処遇改善のほか、保育士の業務負担を軽減するため、平成二十九年度補正予算において、保育業務のICT化の支援、平成三十年度予算案において、保育士の業務を補助する保育補助者の雇い上げ支援などを盛り込んでおり、引き続き保育士の勤務環境の改善を図ってまいりたいと考えております。

石川(香)分科員 ありがとうございます。

 仕事をする上で、やりがいというのは非常に大切な問題でありますけれども、やりがいだけではなくて、勤務状態、賃金は非常に大切な問題でありますので、引き続き処遇改善についても含めてお願いをしたいと思っております。

 人口減少が非常に日本全体の深刻な問題でありますけれども、保育環境を充実することですばらしい成果を出している町があるということで、ちょっと最後に御紹介をしたいと思いますけれども、北海道の上士幌町というところであります。

 ここは、認定こども園を創設いたしまして、平成二十七年から子供の受入れを開始いたしました。平成二十七年の受入れ時はおよそ百人の子供が入園をしました。三年間で、平成三十年には百五十名以上の子供が在籍をしているということであります。これは、利用者は道内だけではなくて、東北、関東、関西から移住しておりまして、上士幌町以外の移住者は三十六世帯に上るということであります。

 ここの上士幌町というのは、ふるさと納税を子育て支援に非常に厚く充てておりまして、昨年は野田総務大臣も視察にいらっしゃったということでありますが、保育環境、子育て政策を手厚くすることで、上士幌町は人口が二年連続増加したということでありましたので、全国の町村の課題である人口減少という問題についても、保育の環境を手厚くするということが非常に大切なことであるということの例で挙げさせていただきます。

 引き続き、日本の宝であります子供の保育環境、子育て支援に力を入れていただきたいと私の立場からもお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

渡辺主査 これにて石川香織君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶申し上げます。

 分科員各位の御協力を得まして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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