衆議院

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第1号 令和2年2月25日(火曜日)

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本分科会は令和二年二月二十日(木曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十一日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      岩屋  毅君   うえの賢一郎君

      小野寺五典君    葉梨 康弘君

      今井 雅人君    本多 平直君

      濱村  進君

二月二十一日

 葉梨康弘君が委員長の指名で、主査に選任された。

令和二年二月二十五日(火曜日)

    午前八時開議

 出席分科員

   主査 葉梨 康弘君

      安藤  裕君    井出 庸生君

      石川 昭政君    岩屋  毅君

      うえの賢一郎君    小野寺五典君

      小林 史明君    杉田 水脈君

      鈴木 憲和君    武村 展英君

      中曽根康隆君    今井 雅人君

      大河原雅子君    奥野総一郎君

      黒岩 宇洋君    末松 義規君

      本多 平直君    柚木 道義君

      岡本 三成君    佐藤 英道君

      濱村  進君

   兼務 山田 賢司君 兼務 川内 博史君

   兼務 赤嶺 政賢君 兼務 浦野 靖人君

    …………………………………

   防衛大臣         河野 太郎君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (沖縄基地負担軽減担当)

   (拉致問題担当)     菅  義偉君

   国務大臣

   (復興大臣)

   (福島原発事故再生総括担当)           田中 和徳君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (行政改革担当)

   (国家公務員制度担当)

   (国土強靱化担当)

   (防災担当)       武田 良太君

   国務大臣

   (一億総活躍担当)

   (領土問題担当)

   (沖縄及び北方対策担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (少子化対策担当)

   (海洋政策担当)     衛藤 晟一君

   国務大臣

   (情報通信技術(IT)政策担当)

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     竹本 直一君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (全世代型社会保障改革担当)

   (経済財政政策担当)   西村 康稔君

   国務大臣

   (まち・ひと・しごと創生担当)

   (規制改革担当)

   (地方創生担当)     北村 誠吾君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)

   (女性活躍担当)

   (男女共同参画担当)   橋本 聖子君

   内閣府副大臣       平  将明君

   内閣府副大臣       宮下 一郎君

   総務副大臣

   兼内閣府副大臣      寺田  稔君

   外務副大臣        若宮 健嗣君

   経済産業副大臣

   兼内閣府副大臣      松本 洋平君

   環境副大臣

   兼内閣府副大臣      石原 宏高君

   内閣府大臣政務官     今井絵理子君

   内閣府大臣政務官

   兼復興大臣政務官     藤原  崇君

   財務大臣政務官      井上 貴博君

   国土交通大臣政務官    門  博文君

   防衛大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    渡辺 孝一君

   衆議院事務総長      岡田 憲治君

   衆議院法制局法制企画調整部長           長谷田晃二君

   参議院事務総長      岡村 隆司君

   裁判官弾劾裁判所事務局長 松本 智和君

   裁判官訴追委員会事務局長 中村  実君

   国立国会図書館長     羽入佐和子君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      一宮なほみ君

   会計検査院長       森田 祐司君

   会計検査院事務総局第一局長            三田  啓君

   最高裁判所事務総長    中村  愼君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大西 証史君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  安居  徹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  冨安泰一郎君

   政府参考人

   (内閣官房拉致問題対策本部事務局内閣審議官)   岡本  宰君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 丸山 雅章君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 田川 和幸君

   政府参考人

   (内閣官房一億総活躍推進室次長)         榎本健太郎君

   政府参考人

   (内閣官房就職氷河期世代支援推進室長代理)

   (内閣府地域就職氷河期世代支援加速化事業推進室長)            多田 明弘君

   政府参考人

   (内閣官房内閣情報調査室次長)          森野 泰成君

   政府参考人

   (内閣法制局第一部長)  北川 哲也君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          合田 秀樹君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            松尾恵美子君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   大塚 幸寛君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房総括審議官)           渡邉  清君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   青柳 一郎君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        嶋田 裕光君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室次長)           彦谷 直克君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           高橋 文昭君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            池永 肇恵君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        木村  聡君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      池田 憲治君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 太刀川浩一君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 直江 利克君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         野村  護君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局長)          其田 真理君

   政府参考人

   (金融庁企画市場局長)  中島 淳一君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    小林  渉君

   政府参考人

   (総務省大臣官房政策立案総括審議官)       吉開正治郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 森  源二君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 佐藤啓太郎君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           赤松 俊彦君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 保坂 和人君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁出入国管理部長)        石岡 邦章君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 田村 政美君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 有馬  裕君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 御巫 智洋君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 住澤  整君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 山名 規雄君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    重藤 哲郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)         椿  泰文君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       日原 知己君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           奈尾 基弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           岸本 武史君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           本多 則惠君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           井内 雅明君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    橋本 泰宏君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    鎌田  篤君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           金井 昭彦君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 長橋 和久君

   政府参考人

   (気象庁地震火山部長)  土井 恵治君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難部長)            伊藤 裕康君

   政府参考人

   (原子力規制庁次長)   片山  啓君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   島田 和久君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房衛生監) 椎葉 茂樹君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 土本 英樹君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 村岡  猛君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  槌道 明宏君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  鈴木 敦夫君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  岡  真臣君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           菅原 隆拓君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官)    武田 博史君

   内閣委員会専門員     笠井 真一君

   財務金融委員会専門員   齋藤 育子君

   安全保障委員会専門員   奥  克彦君

   予算委員会専門員     鈴木 宏幸君

   決算行政監視委員会専門員 橋本 和吉君

   衆議院調査局第三特別調査室長           武藤 裕良君

   衆議院調査局北朝鮮による拉致問題等に関する特別調査室長          辻本 頼昭君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  岩屋  毅君     武村 展英君

  うえの賢一郎君    安藤  裕君

  今井 雅人君     階   猛君

  本多 平直君     山井 和則君

  濱村  進君     太田 昌孝君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤  裕君     鈴木 憲和君

  武村 展英君     石川 昭政君

  階   猛君     西村智奈美君

  山井 和則君     黒岩 宇洋君

  太田 昌孝君     濱村  進君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     小林 史明君

  鈴木 憲和君     中曽根康隆君

  黒岩 宇洋君     奥野総一郎君

  西村智奈美君     石川 香織君

  濱村  進君     岡本 三成君

同日

 辞任         補欠選任

  小林 史明君     杉田 水脈君

  中曽根康隆君     井出 庸生君

  石川 香織君     大河原雅子君

  奥野総一郎君     野田 佳彦君

  岡本 三成君     佐藤 英道君

同日

 辞任         補欠選任

  井出 庸生君     大野敬太郎君

  杉田 水脈君     岩屋  毅君

  大河原雅子君     柚木 道義君

  野田 佳彦君     小熊 慎司君

  佐藤 英道君     濱村  進君

同日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     うえの賢一郎君

  小熊 慎司君     末松 義規君

  柚木 道義君     今井 雅人君

  濱村  進君     浜地 雅一君

同日

 辞任         補欠選任

  末松 義規君     本多 平直君

  浜地 雅一君     太田 昌孝君

同日

 辞任         補欠選任

  太田 昌孝君     濱村  進君

同日

 第二分科員浦野靖人君、第四分科員山田賢司君、川内博史君及び赤嶺政賢君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和二年度一般会計予算

 令和二年度特別会計予算

 令和二年度政府関係機関予算

 (皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、復興庁及び防衛省所管)


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     ――――◇―――――

葉梨主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、復興庁及び防衛省所管並びに他の分科会の所管以外の事項についての審査を行うことになっております。

 令和二年度一般会計予算、令和二年度特別会計予算及び令和二年度政府関係機関予算中皇室費について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。池田宮内庁次長。

池田政府参考人 令和二年度における皇室費の歳出予算について、その概要を御説明申し上げます。

 皇室費の令和二年度における歳出予算要求額は、百十五億七千三百万円余でありまして、これを前年度当初予算額百十七億三千七百万円余と比較いたしますと、一億六千三百万円余の減少となっております。

 皇室費の歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費三億二千四百万円、宮廷に必要な経費百九億八千万円余、皇族に必要な経費二億六千九百万円余であります。

 次に、その概要を御説明いたします。

 内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項及び天皇の退位等に関する皇室典範特例法附則第四条第一項第二号並びに同法附則第五条第二号の規定に基づき、皇室経済法施行法第七条に規定する定額を計上することになっております。

 宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費十三億一千百万円余、皇室用財産維持管理等に必要な経費九十六億六千八百万円余でありまして、前年度に比較して一億六千八百万円余の減少となっております。

 皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項及び天皇の退位等に関する皇室典範特例法附則第六条第一項の規定に基づき、皇室経済法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっております。

 以上で令和二年度皇室費の歳出予算要求額の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いいたします。

葉梨主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

葉梨主査 次に、国会所管について審査を進めます。

 まず、衆議院関係予算の説明を聴取いたします。岡田衆議院事務総長。

岡田事務総長 令和二年度衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。

 令和二年度国会所管衆議院関係の歳出予算要求額は、六百六十六億七千二百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、六十九億百万円余の減額となっております。

 これは、給与改定に伴う議員関係経費及び人件費等の増額がある一方、議員会館関係経費及び議案類印刷費等の減額によるものでございます。

 その概要を御説明申し上げますと、国会の権能行使に必要な経費として四百三十六億二千三百万円余、衆議院の運営に必要な経費として二百十三億六千八百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議員関係の諸経費、事務局及び法制局の事務を処理するために必要な経費でございます。

 また、衆議院施設整備に必要な経費として十億八千八百万円余、民間資金等を活用した衆議院施設整備に必要な経費として五億八千四百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議事堂本館等の施設整備費、赤坂議員宿舎の整備に係る不動産購入費でございます。

 このほか、国会予備金に必要な経費として七百万円を計上いたしております。

 以上、令和二年度衆議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

葉梨主査 次に、参議院関係予算の説明を聴取いたします。岡村参議院事務総長。

岡村参議院事務総長 令和二年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。

 令和二年度国会所管参議院関係の歳出予算要求額は、四百十三億八千九百万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、七十五億五千二百万円余の減額となっております。

 これは、主に、議員会館整備等事業経費、新議員宿舎整備関係経費及び通常選挙の実施に伴い必要となる経費が減額となることによるものでございます。

 その概要を御説明申し上げます。

 まず、国会の権能行使に必要な経費として二百四十億五千四百万円余、参議院の運営に必要な経費として百五十七億三百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議員活動に係る諸経費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費でございます。

 次に、参議院施設整備に必要な経費として十六億二千五百万円余を計上いたしております。

 この経費は、議事堂本館等の施設整備に必要な経費でございます。

 最後に、国会予備金に必要な経費として五百万円を計上いたしております。

 以上、令和二年度参議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

葉梨主査 次に、国立国会図書館関係予算の説明を聴取いたします。羽入国立国会図書館長。

羽入国立国会図書館長 令和二年度国立国会図書館関係歳出予算について御説明申し上げます。

 令和二年度国会所管国立国会図書館関係の歳出予算要求額は、二百二億一千六百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、七十億六千二百万円余の減額となっております。

 これは、関西館第二期第一段階施設整備に必要となる経費の減額等によるものでございます。

 その概要を御説明申し上げます。

 第一は、運営に必要な経費でありまして、人件費等百一億二千六百万円余を計上いたしております。

 第二は、業務に必要な経費でありまして、国会サービス経費、情報システム経費等七十七億四千二百万円余を計上いたしております。

 第三は、科学技術関係資料の収集整備に必要な経費でありまして、十一億四千五百万円余を計上いたしております。

 第四は、施設整備に必要な経費でありまして、十二億二百万円余を計上いたしております。

 以上、令和二年度国立国会図書館関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

葉梨主査 次に、裁判官弾劾裁判所関係予算の説明を聴取いたします。松本裁判官弾劾裁判所事務局長。

松本裁判官弾劾裁判所参事 令和二年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。

 令和二年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係の歳出予算要求額は、一億一千四百十九万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、百三十一万円余の増額となっております。

 この要求額は、裁判官弾劾裁判所における事務局職員の給与に関する経費及び事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官の弾劾裁判に直接必要な旅費及び庁費でございます。

 以上、令和二年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

葉梨主査 次に、裁判官訴追委員会関係予算の説明を聴取いたします。中村裁判官訴追委員会事務局長。

中村裁判官訴追委員会参事 令和二年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。

 令和二年度国会所管裁判官訴追委員会関係の歳出予算要求額は、一億三千八百四十六万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、五百九万円余の増額となっております。

 この要求額は、裁判官訴追委員会における事務局職員の給与に関する経費、訴追事案の審査に要する旅費及びその他の事務費でございます。

 以上、令和二年度裁判官訴追委員会関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

葉梨主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

葉梨主査 次に、裁判所所管について審査を進めます。

 最高裁判所当局から説明を聴取いたします。中村事務総長。

中村最高裁判所長官代理者 令和二年度裁判所所管歳出予算について御説明申し上げます。

 令和二年度裁判所所管歳出予算の総額は、三千二百六十六億二千四百万円でありまして、これを前年度当初予算額三千二百五十五億七千四百万円と比較いたしますと、差引き十億五千万円の増加となっております。

 次に、令和二年度歳出予算のうち、主な事項について御説明申し上げます。

 まず、人的機構の充実、すなわち、裁判官、書記官及び事務官の増員等であります。

 かねてより裁判所の体制の充実強化が求められている中で、複雑困難化する民事訴訟事件の審理充実、成年後見関係事件を始めとする家庭事件処理の充実強化のため、裁判官は、判事からの振りかえにより判事三十人、書記官は、速記官からの振りかえ二人を含め八人、事務官は三十四人、合計七十二人の増員をすることとしております。

 他方、政府の定員合理化計画への協力として五十七人の減員をすることとしておりますので、差引き十七人の純減となります。

 次は、司法の体制の充実強化に必要な経費であります。

 まず、裁判所事務処理態勢の充実を図るため、百四十億六千二百万円を計上しております。

 その内容について申し上げますと、第一に、民事事件関係経費として三十三億一千三百万円を計上しております。この中には、民事調停委員手当、専門委員手当、労働審判員関連経費等のほか、民事訴訟手続のIT化関連経費が含まれております。

 第二に、刑事事件関係経費として四十五億三千六百万円を計上しております。この中には、裁判員制度関連経費、心神喪失者等医療観察事件関連経費、法廷通訳関連経費等が含まれております。

 第三に、家庭事件関係経費として六十二億千三百万円を計上しております。この中には、家事調停委員手当等が含まれております。

 また、庁舎の耐震化等のための経費として百七十億二千四百万円を計上しております。

 以上が、令和二年度裁判所所管歳出予算の概要であります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

葉梨主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

葉梨主査 次に、会計検査院所管について審査を進めます。

 会計検査院当局から説明を聴取いたします。森田会計検査院長。

森田会計検査院長 令和二年度会計検査院所管の歳出予算について御説明申し上げます。

 会計検査院の令和二年度予定経費要求額は、百七十億九千九百万円余でありまして、これを前年度予算額百七十七億一千九百万円余に比較いたしますと、六億二千万円余の減額となっております。

 ただいま申し上げました要求額は、日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく会計検査院の運営及び会計検査業務に必要な経費等であります。

 次に、その概要を御説明申し上げます。

 まず、会計検査院の運営に必要な経費として百四十九億九千五百万円余を計上しております。これは、会計検査に従事する職員等の人件費及び庁舎の維持管理等に必要な経費であります。

 次に、会計検査業務に必要な経費として二十億二千五百万円余を計上しております。これは、国内外における実地検査等のための旅費及び検査活動を行うためのシステムの開発・運用等に必要な経費並びに検査活動に資する研究及び検査能力向上のための研修に必要な経費であります。

 次に、会計検査院施設整備に必要な経費として七千八百万円余を計上しております。

 以上、会計検査院の令和二年度予定経費要求額の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

葉梨主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

葉梨主査 次に、内閣及び内閣府所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。菅内閣官房長官。

菅国務大臣 令和二年度の内閣及び内閣府関係予算について、その概要を御説明申し上げます。

 内閣所管の令和二年度における歳出予算要求額は千七百六十一億三百万円でありまして、これを前年度当初予算額千百十八億一千九百万円に比較しますと、六百四十二億八千四百万円の増額となっております。

 要求額の内訳といたしまして、内閣官房には、内閣の重要政策に関する総合調整等のための経費として千六百五十七億四千九百万円、内閣法制局には、法令審査等のための経費として十二億二千二百万円、人事院には、人事行政等のための経費として九十一億三千二百万円を計上いたしております。

 次に、内閣府所管の令和二年度における歳出予算要求額は四兆七千九百三十二億一千三百万円でありまして、これを前年度当初予算額四兆千二百四十七億四千七百万円に比較しますと、六千六百八十四億六千六百万円の増額となっております。

 要求額の内訳といたしまして、内閣府本府には、各般の施策における総合的、戦略的な企画立案及び施策の的確な推進のための経費として四兆三千六百三十四億六千八百万円、宮内庁には、その人件費、事務処理のための経費として百二十二億四千九百万円、公正取引委員会には、厳正かつ実効性のある独占禁止法の運用等のための経費として百十五億五千三百万円、警察庁には、警察庁、その附属機関及び地方機関の経費並びに都道府県警察費補助等のための経費として三千六百三億五百万円、個人情報保護委員会には、個人情報の保護及び利活用の推進等を図るための経費として四十一億五千五百万円、カジノ管理委員会には、カジノ施設の設置及び運営に関する秩序の維持及び安全の確保を図るための経費として三十八億一千三百万円、金融庁には、金融庁一般行政、金融市場整備推進等のための経費として二百五十六億七千六百万円、消費者庁には、消費者の安全・安心の確保、地方消費者行政の推進等を図るための経費として百十九億九千四百万円を計上いたしております。

 以上をもちまして令和二年度の内閣及び内閣府関係予算の概要の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

葉梨主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

葉梨主査 次に、復興庁所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。田中復興大臣。

田中国務大臣 令和二年度復興庁予算について御説明申し上げます。

 復興庁におきましては、復興・創生期間の最終年度である令和二年度において必要な復興施策を確実に実施するための予算として、東日本大震災復興特別会計に総額一兆四千二十四億円を計上しております。

 以下、その主要施策について御説明申し上げます。

 第一に、復興者支援については、避難生活の長期化や恒久住宅への移転に伴う被災者の心身の健康の維持、住宅や生活の再建に向けた相談支援、コミュニティーの形成、生きがいづくりなどの心の復興など、生活再建のステージに応じた切れ目のない支援に必要な経費として四百九十三億円を計上しております。

 第二に、住宅再建とまちづくりについては、住宅再建に関する事業の進展等を踏まえつつ、復興まちづくりを進めるほか、復興道路、復興支援道路等の社会インフラの整備について、一日も早い完了を目指して推進するために必要な経費として五千四百七十二億円を計上しております。

 第三に、産業やなりわいの再生については、被災事業者の施設復旧への支援や観光業、水産加工業等へのソフト支援に引き続き注力するほか、福島について、福島イノベーション・コースト構想の推進、福島県農林水産業の再生、原子力災害被災十二市町村における事業再開支援等に必要な経費として五百十六億円を計上しております。

 第四に、原子力災害からの復興再生については、特定復興再生拠点や避難指示解除区域等における帰還環境の整備を進めるとともに、汚染廃棄物等の適正な処理を着実に推進するほか、風評払拭及び放射線に関するリスクコミュニケーションの強化に必要な経費として七千四百八十一億円を計上しております。

 また、東日本大震災の発災から十年の節目を迎えるに当たり、各種取組等に必要な経費として所要額を計上しております。

 なお、東日本大震災復興特別会計においては、復興庁予算に加え、震災復興特別交付税交付金など六千七百十六億円を計上しており、全体では二兆七百三十九億円を計上しております。

 以上、令和二年度の復興庁予算の概要について御説明を申し上げます。

 最初に申し上げた言葉の修正をさせていただきます。第一に、復興者ではなく、被災者支援についてでございます。失礼をいたしました。

 何とぞよろしくお願いいたします。

 以上でございます。

葉梨主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

葉梨主査 次に、防衛省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。河野防衛大臣。

河野国務大臣 令和二年度の防衛省関係予算について、その概要を御説明申し上げます。

 令和二年度予算においては、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさと不確実性を増す中、国民の命と平和な暮らしを守り抜くため、防衛力整備を着実に実施することとしております。

 具体的には、宇宙、サイバー、電磁波といった新たな領域における能力を獲得、強化するほか、各種事態に効果的に対処するため、従来の領域における能力を強化するとともに、後方分野も含めた防衛力の持続性、強靱性の強化に必要な事業を計上することとしております。

 また、人的基盤の強化や、軍事技術の進展を踏まえた技術基盤の強化、日米同盟の強化、諸外国との安全保障協力の強化にも配意したものとなっております。

 一般会計歳出予算額は五兆三千百三十三億四千五百万円となり、前年度の当初予算に比べ、五百五十九億五百万円の増となっております。

 継続費の総額は、護衛艦建造費で九百四十三億五千八百万円、潜水艦建造費で七百十億六千二百万円となっております。また、国庫債務負担行為の限度額は、装備品等の購入、武器車両等整備、提供施設整備等で二兆四千八百八十二億七千万円となっております。

 次に、特に重点を置いた施策について御説明申し上げます。

 第一に、領域横断作戦に必要な能力の強化です。

 優先的な資源配分や我が国のすぐれた科学技術の活用により、宇宙、サイバー、電磁波といった新たな領域における能力を獲得、強化します。

 また、従来の領域における能力を強化します。

 具体的には、航空機、艦艇、ミサイル等による攻撃に効果的に対処するため、海空領域における能力、スタンドオフ防衛能力、総合ミサイル防空能力、機動展開能力を強化します。

 さらに、防衛力の持続性、強靱性を強化します。

 特に、弾薬及び燃料を確保するための取組を推進するとともに、装備品の維持整備に係る取組を推進します。

 第二に、防衛力の中心的な構成要素の強化です。

 人的基盤を強化するため、より幅広い層から多様かつ優秀な人材の確保を図るとともに、全ての自衛隊員が高い士気を維持し、みずからの能力を十分に発揮できる環境の整備に向けた取組を推進します。

 また、技術基盤を強化するため、重要技術に対して重点的な投資を行うとともに、装備品の効果的、効率的な取得を一層推進するため、FMS調達の合理化に向けた取組等を推進します。

 さらに、政策判断や部隊運用に資する情報支援を適切に実施するため、情報の収集、分析の各段階における情報機能を強化します。

 第三に、大規模災害への対応です。

 各種の災害に際して、十分な規模の部隊を迅速に展開して初動対応に万全を期すとともに、対処態勢を強化します。

 第四に、安全保障協力の強化です。

 自由で開かれたインド太平洋というビジョンのもと、安全保障協力を戦略的に推進するため、共同訓練、防衛装備・技術協力、能力構築支援、軍種間交流を推進します。

 これをもちまして令和二年度の防衛省関係予算の概要の説明を終わります。

 棚橋委員長始め、理事、委員各位の御支援と御協力を心からお願い申し上げます。

 なお、時間の関係もございますので、委員長におかれましては、お手元に配付してあります資料を会議録に掲載されますようお願い申し上げます。

葉梨主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま河野防衛大臣から申出がありましたとおり、防衛省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

葉梨主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

葉梨主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

葉梨主査 内閣府所管について審査を進めます。

 内閣府本府について質疑の申出がありますので、順次これを許します。今井雅人君。

今井分科員 おはようございます。立国社の今井雅人でございます。

 きょうは、少子化対策及び一億総活躍等々について衛藤大臣といろいろ御議論させていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 私、この問題を考えるに当たっては、まず、具体的な政策の前に、基本的認識、考え方、このことがとても大事だと思っておりますので、そのことからお伺いをしていきたいと思います。

 よく伝統的家族観ということをちまたで言われますけれども、大臣は、伝統的家族観というのはどういうものであるかというふうにお考えでいらっしゃいますか。

衛藤国務大臣 お尋ねの伝統的家族観については、一概にお答えすることは大変難しいと思っています。

 時代の変遷とともに家族観はずっと変わってきたものではないかと思っておりますが、最近でいう伝統的家族観ということになれば、結婚後は、夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだとか、少なくとも子供が小さいうちは母親は仕事を持たずに家にいるのが望ましいといった考え方がかつて強かったという意味では、そういうものもその一つになるのではないのかというぐあいに考えています。

今井分科員 今まさに大臣がおっしゃられました、昔からの家という考え方、男性の家の中に女性がお嫁さんに行って、そこで男性が外で働いて女性は家を守る、そして子供ができたら母親が子供を育てるというのは、確かにかつての日本ではそういう家族観があったんだと思いますけれども、今まさしく大臣がおっしゃっているとおり、社会が今大きく変わってきているわけであります。

 ですから、かつて言われた伝統的な家族観というのは、私はもはや今の社会には通用しないんじゃないかなというふうに考えておるんですけれども、大臣はこの点についてどうお考えですか。

衛藤国務大臣 もともと、そういうものは、持っていた文化それから社会状況によってずっと変化してきたんじゃないかと思います。

 ですから、例えば江戸時代の方ですと、非常に大家族的なものがずっとやっていく。それはやはり、武家においては、領地を引き継ぐということで、大家族じゃないとやっていけない。農民も、小さくする、細分化できないからというようなことで、移ってきた。だから、そういう状況でずっと変わってきているというぐあいに思います。

 そういう意味で、今、核家族化の進展とか、あるいは共働き家族とか一人親家庭の増加とか、家族のあり方は非常に多様化してきているものと認識をいたしております。そういう状況なのではないかというぐあいに考えておりますけれども。

 そういう意味では、今の中においては、やはり、大家族でもない、しかし、ファミリーというもので子育てを真剣にやっていかなければいけない、核家族化の進展の中で夫婦が両方で責任を持って育てるという意味で、うまい家族のあり方ということを今真剣に考えていかなければいけない時期が来ているというぐあいに考えています。

今井分科員 ちょっとわかりにくいんですけれども。

 ちょっと確認なんですが、先ほど私が御紹介したような家族観ということでこれから今も続けようと思うと、女性も社会進出をしなければいけませんし、子育ても一緒になってやっていかなきゃいけませんし、男性の育休をとる問題というのも出てきますから、そういう意味においては、かつての、伝統的といっても実はこれは明治時代からの伝統でありますけれども、そういう社会、こうあるべきという考え方は、今は変わってきていると。

 大臣も、やはりそういうふうに変わった認識を持って対策を講じるべきであるというふうにお考えだということでよろしいですか。

衛藤国務大臣 今井委員仰せのとおり、むしろ江戸時代の方は、御承知のとおり、奥様が一生懸命働いている時代で、夫婦が一緒に働いているのがほとんどの時代です。しかし、近代化の中で、工業化という中で、男性の方が外で働きという、力仕事が要るという時代になってきた中で、そういういわゆる経済状況とか周りの状況とともにそういうものがつくり上がってきたのではないのかというぐあいに思っております。

 だから、それはやはり、本当にどういうぐあいになったらいいのかということは、その時代状況の中で真剣に考えていく時期が来ているんじゃないのかというぐあいに私は思っています。

今井分科員 ちょっと、少し歯に挟まったような言い方でしたけれども、そういうふうに社会が変わってきたんだという御認識はお持ちなんだろうなということは理解をいたしました。

 その上でお伺いしますけれども、これは所管は法務省だとは思いますが、私はこれは少子化の問題に非常に深く関係をしていると思いますので、少子化担当大臣にお伺いをしたいんですが、選択制夫婦別姓、別氏の問題でございます。

 私の周りにも、実は、結婚をしたいんだけれども、結婚をするとやはり姓が変わってしまうということでどうしても結婚に踏み切れないという女性の方が少なからずおられます。私の周りでも複数そういう方がおられます。

 今、確かに旧姓使用の拡大というのを政府はやっておられますけれども、結局は、括弧書きで旧姓を書いて、それを使ってもいいよということでありまして、会社などでは旧姓で働く、そのままということで、ふだんの生活には支障がないということなんですけれども、彼女たちと話をしていると、一つの問題は、やはりこれはアイデンティティーの問題なんですね。名字を変えてしまうということで自分のアイデンティティーが変わってしまうということをとてもある意味こだわっている人が結構おられまして、それでなかなか結婚ができないという方がおられます。

 あくまでもこれは選択制でございますので、別に夫婦を別姓にしろと言っているわけではなくて、別姓にしたい方はそういう方法もありますよということで、選んでいただいて結構ですという制度でありますので、そういう意味においては私は合理的なことじゃないかなと思いますし、そういう女性の皆さんがいらっしゃる中でこういう制度をしっかり認めるようになれば、また結婚される方がふえて、そして子供さんも結果的にはふえていくということにつながってくるんじゃないかなと思っているんですけれども、この点について、大臣、今どのような問題意識を持っていらっしゃるでしょうか。

衛藤国務大臣 今委員仰せのとおり、まさに法務省の問題でございますので、法務省において慎重な対応が検討されていくものと思います。

 ですから、私どもも政府の一員として、これは我が国の家族のあり方に深くかかわる事柄であり、今後も引き続き、国民各層の意見を幅広くお聞きするとともに、国会の議論の動向を注視しながら、法務省において慎重な対応がなされるものというぐあいに思っています。

 さて、そういう中で、少子化対策に寄与するかどうかということのお話でございますが、それは直接的には、どうあるかということについて、確たる答えを持ち合わせておりません。

 そして、私はあえて、そこまでお話しでございましたので、いずれにいたしましても、子育てはもっと男性が参画すべきだという話がございますけれども、核家族化に伴って、私どもは、やはり大家族ではない新しいファミリーをつくってきているんだと思うんですね。そういう意味で、男女ともに本気で子育てをどうするのかということを考える時期が来ているというぐあいに思っています。

 ですから、そういう意味で、ファミリーのあり方について、何か家族というのが出ますと、すぐ大家族とか、あるいは男性が外で女性が云々というようなことが時々まだ尾を引いているようなことがあります。いずれにしても、そういう意味で、これからのファミリーのあり方について本気で考えていく必要があるというぐあいに思っているところでございます。

 旧姓が使えないことによって不便を、少子化を助長しているのではないかという今言い方がございましたけれども、そういうことにつきまして、今、私どもは通称使用の拡大、各種の国家資格や免許証、それから銀行口座等、その幅を広げていっているところでございますので、そういう動向を見ながら、皆で検討していくときが来ているというぐあいに思っています。

今井分科員 済みません、大変恐縮ですが、今の発言は、私はちょっと無責任だと思うんですね。

 私が言うまでもなく、昨年の子供さんは八十六万人、年間で。ピークは二百七十万人ぐらいおられたわけですね。多分、大臣の時代がそれぐらいだったんじゃないかな、それぐらいだったと思うんですけれども、これだけの危機的な状況ですから、少子化対策はもうあらゆることをやっていかないと、後ほど聞こうと思いましたけれども、希望出生率一・八というのは、とても今の状況では達成できる見込みがまるでないわけです。

 ですから、ぜひお願いしたいんですけれども、やはり原因をそれぞれまずちゃんと分析することが大事なわけで、選択制夫婦別姓になっていない、夫婦同姓でなければならない現状がどれぐらい少子化の問題に対して影響を及ぼしているかということをしっかり調べて、分析をしていただきたいんですよ。ほかのこともたくさんありますが、これも一つの要因の可能性がありますので、ぜひこれを調査して、分析をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

衛藤国務大臣 少子化に当たってのいろいろな形でのアンケート調査をしておりますが、今委員が仰せのような意見はまたなかなか出てこないわけでございます、数値としては。しかし、そういう御意見があるということで、私どもも、少子化対策の中においては、広範囲な形でこれの、何ゆえにこのように少子化になったかということについて相当シビアな分析をして、それに対する対策を一つ一つ講じていかなければいけないというぐあいに思っております。

 今、そういう意味では、今年度中ぐらいにいろいろな方々からの御指摘を、昨年の末までに答申をいただきましたので、それをもとにして今少子化大綱をつくるべく議論をしているところでございますので、十分に、ただいまお話がございましたように、少子化対策については、あらゆる面での議論を進めて、何としてでも、この八十六万ショックというぐらいの大変厳しい少子化傾向の中で、この一年の間にどういう方向をとるのかということについて決めていかなければ間に合わなくなるのではないのか。まさに国民共通の困難に取り組まなければいけないというぐあいに深く思っている次第でございます。

今井分科員 この選択制夫婦別姓の問題は、少子化対策だけではなくて、一億総活躍という意味においても非常に重要なんだと思うんです。

 実は、私はもともと、この選択制夫婦別姓制度というのはどちらかというと否定的でありまして、そんな必要が本当にあるんだろうかと一時期思っていたんですけれども、ある方にこう言われてちょっとはっとしたことがありまして、今井さん、では、結婚して自分が姓を変えることはできますかと言われたんですね。そのときに、僕は今井じゃなくなるということができるだろうかと思って、やはり自分にはできないなと思ってはっとしたんですよ。女性が今、そういう立場にあるということなんですね。

 今、現状を見ると、どちらかの姓に入るわけですけれども、御案内だと思いますが、九六%は男性の姓に入っているんです。女性の姓に入っているのはわずか四%です。ですから、今の現状は、女性にそのアイデンティティーを失わせるような、姓を変えなさいということを強いているのが今の社会なんですね。私もそう言われて、本当に何か頭を打たれたような気になって、いや、ちょっとやはり、非常に自己中心的な物の考え方をしていたなということで、考えを改めました。

 大臣、もし自分が独身で、結婚して、女性の方の氏に変わってくれと言われたら、できますか。

衛藤国務大臣 私の場合は、家内のおやじから養子に来いと言われました。だけれども、行かないと。そこにはちゃんと長男がいるではないかと。私は、衛藤の方で男一人だから、ちゃんと矢野家にはいるんだから、私が行く必要はないでしょうという形で、一応やりました。でも、やはりそれぞれの考え方だというように思っています。

 いずれにしても、そういう意味では、やはり、いろいろな国に行ってみまして、それなりの文化の生い立ちと、そして、そういう中での、現状の中での分析をやった上で、慎重な議論を行っている。

 いずれにいたしましても、私は、いわゆる子供を育てるということにおいても、ファミリーというか、日本語で言うとなかなかちょっと、いろいろな意味が、伝統的なところが入ってきますけれども、やはり夫婦の、ファミリーという関係が一番大事なんだろうというぐあいに思っています。

 そういう意味で、ヨーロッパの方では、よく少子化対策のことを家族政策という話をしますけれども、それは、その国なりの家族という概念の中で家族政策ということは行われています。

 いずれにしても、そういう子育てをする中でのファミリーというものの位置づけを明確に今からしていく必要があるんではないのかなというぐあいに思っております。

今井分科員 そうすると、その前提でお伺いしたいんですけれども、夫婦の姓が違うと、家族あるいはファミリーというのは壊れるんでしょうか。

衛藤国務大臣 壊れるか壊れないかというのは、その国その国のやり方が違っています。ですから、非常に儒教の強い国では、女性は同じファミリーに入れません。それから、しかし、できた子供は男性の家に入れるとか、そういう形の、ファミリーの形成の仕方はいろいろあると思います。それによって壊れるとは思いません。

 ただ、私個人からあえて言わせてもらうと、そうしてつくったファミリーなんだから、ファミリーネームが違うということについては、なかなか、何か納得できないという、個人の考え方からいえば、そうつくっているファミリーなんだからそれはファミリーは一つでしょうというぐあいに思っています。そういうファミリーの中で育てておられるんだというぐあいに思っております。

今井分科員 今の話ですと、衛藤大臣は、日本の今までのこのいろいろな流れの中では、夫婦の姓が違うということはなかなかファミリーというものを形成しづらいと。答弁書じゃなくて、大臣の個人的なお考えですから、そういうふうにお考えということですか。

衛藤国務大臣 形成しづらいとは全く思っておりません。ただ、そういうぐあいでファミリーでつくっているんですから、ファミリーネームとして、今井先生なら、今井の家として、家というか、今井家というか、今井ファミリーとして子供さん方が育っていっている。だから、そのファミリーの中にみんな所属しているというか、そういうことで来ているんだろうというぐあいに思っています。昔の大家族みたいな形ではありません。

 ただ、ヨーロッパを見ておりまして、結構、今度はその上の世代と、大家族じゃないけれども、上の世代とのつながりも、私はばらばらと思っていましたら、いろいろな形でつながりも結構強いんだなというぐあいに感じて帰ってまいりました。

今井分科員 先ほど御自分の経緯についてお話しされていましたけれども、あの中で、相手方には長男がいるから、こちらは一人だから。ここなんですよ、問題は。要するに、家長制度なんですよ、原点にあるのが。長男がいるからその氏はそこで守られる、これが昔からの日本の考えなんですけれども、これを続けてしまっていると、結局この問題はずっと解決しないということなんです。ですから、根本的なやはり考え方の問題なんですね。

 私もそういう田舎で育ちましたから、僕も長男で、今井家を守れというふうに言われて育っていますからよくわかるんですけれども、しかし、それを続けてしまっていると、今の多様化している社会がやはり成り立たなくなってきているということなんじゃないかなと思っておりまして、その社会の流れをとめることはできませんし、私は、何せこの少子化の問題というのは国難だと思っておりますので、もうありとあらゆることをやらなきゃいけないわけで、社会も変わって、女性も社会に出るようになり、男女が平等になり、役割もほぼ重なってくるということになれば、九六%が男性の姓に入っているというこの状態は異常だということをやはり認識しないといけない事態に来ていると思うんですね。

 ですから、ぜひそういうところを、やはり五十代、六十代の人間が頭をやわらかくして、考え方を切りかえていくということをやらなきゃいけない時期に来ているということを自分もいつも思っているんです。ですから、大臣にもぜひそういう観点で考えていただきたいということでございます。

 その上で、一億総活躍という意味でちょっとお伺いしたいんですけれども、婚外子の件でございます。

 まずお伺いしますけれども、大臣は、二〇一三年の婚外子の相続分規定改正案、このときに賛成票を投じておられなかったというふうに理解をしておりますけれども、このときの投票行動についての背景を教えていただきたいと思います。

衛藤国務大臣 六年以上前のことでして、当時どういう心理だったのかよく覚えておりません。大変申しわけございませんけれども、どちらにもボタンを押していないということですね、参議院で。だから、どういう形でどちらにも押していなかったのか、ちょっと記憶が定かでないんですけれども、それが実情でございます。

 それと、法律はこれで成立したわけですから、それに従って私どもは守ってやっていかなければいけないというぐあいに思っているところでございます。

 以上です。

今井分科員 どういう理由で両方押さなかったか覚えていないというのは、ちょっとそれはどうかなと思うんですけれども。

 では、ちょっとお伺いしますが、現状の御認識ですけれども、いわゆる婚外子と言われている人たちと、嫡出子、いわゆる法律婚の中で生まれたお子様、この両方は、社会として同等の扱いあるいは同等の権利、これをやはり持つべきであると私は思っておるんですけれども、それについてはいかがですか。

衛藤国務大臣 まさに人としての尊厳性において寸分ともたがうものでないというぐあいに思っております。

今井分科員 ちょっと五分しかないので、では、それに関連してお伺いします。

 今、同じでなければいけないということでございましたけれども、そうすると、例えばちょっとフランスの少子化対策の話をしたいと思うんです。

 フランスは、御案内のとおり、今ちょっとまた一・八幾つに下がりましたけれども、一時期、一・四からでしたか、二ぐらいまで回復するという中で、今日本が取り組んでいる子供さんへの手当ですとか、あるいはいろいろな働く女性に対しての支援とかいうこともやりましたけれども、フランスの中ではいわゆる事実婚の人たちが半分ぐらいおられるわけですね。

 その事実婚のカップルに対して、税控除や社会保障などについて法律婚をしている人とほぼ同じような権利を付与するということで、当然、日本でいえば婚外子と言われる人たちも全く同じ権利を持つ。事実婚のお父さんお母さんも、税控除や社会保障として法律婚をしている人と同じ権利を持つ、こういうことが一つ大きな成果を得たというふうによく言われておりますけれども、この点についての御認識はいかがですか。

衛藤国務大臣 私どもは、この少子化対策に当たって六、七年ぐらい前から、特にフランスやスウェーデンに注目して、ずっと、ある意味では個人的にですけれども、研究を続けてまいりました。

 やはりフランスでは、そういう意味では、昨年、内閣で初めてやりました無償の幼児教育とか、あるいは多子加算を前提とした経済的な給付とか、多様な保育サービス、それから出産、育児休業制度などの両立支援策等に総合的に取り組むことによって、出生率の回復に成功しているものというぐあいに認識をいたしています。

 そういう意味では、子供一人一人について、これが婚外子であるとかないとかの差を持っていないことは当然でありまして、一人一人にそういうぐあいの、個人個人の尊厳性を認めて、それに対しての対応をやってきているものだというぐあいに思っています。

 ただ、フランスの場合は一種のパートナー制度みたいなものが存在することは承知いたしておりますけれども、他方で、我が国においては法律婚のカップルから生まれる子供が全体の約九八%を占めておりますので、まさにそういう意味では、婚外子それから法律婚として、子供としての差別を一切してはならないということは、ちゃんと貫かれてやってきているというように思っております。

 遺産相続の問題はかつては差別がありましたけれども、今はあらゆる面においてそういうことはなくなっているんじゃないのかというぐあいに認識いたしております。

今井分科員 もう時間が来るようですからちょっと申し上げておきますが、本当に少子化の問題は、例えば今のフランスの話がありましたけれども、フランスは一子、二子、三子によって、こうやって支援が加速になっていますよね。こういうこともやらなきゃいけないし、それからやはり若者の低所得化、これも大きな原因ですし、さまざまそういうことがありますから、この点は本当に国難だということで、余りイデオロギーにこだわっている時代じゃもうないということなんです。

 そういうことも考えながら少子化対策をやっていただきたいということをお願い申し上げますけれども、最後、答えられますか。

葉梨主査 衛藤大臣、時間ですので簡潔に。

衛藤国務大臣 まさにそのとおりだと思います。本当に、若い方々が結婚できるように、年功序列の若いときの賃金が下がっていますけれども、低いですけれども、やはりそれをもうちょっと是正するとか思い切った施策も必要だと思います。

 それから家族支援についても、かつて民主党は二万六千円という案を出したことがあります。しかし、今は一万円あるいは一万五千円という形でこれを出していますけれども、今仰せのように、多子化に伴っての経済的支援を思い切ってやらなければいけないというぐあいに思っていますので、どうぞここのところは与野党の別なく、ぜひ、私どもも真剣に考えてまいりたいと思いますので、バックアップをお願い申し上げたいというふうに思っております。どうぞよろしくお願いします。

今井分科員 終わります。

葉梨主査 これにて今井雅人君の質疑は終了いたしました。

 次に、濱村進君。

濱村分科員 公明党の濱村進でございます。

 きょうは、衛藤大臣、よろしくお願いいたします。

 きょうは、個人情報保護法に関連して質問をしたいと思っております。

 まず最初に、個人情報保護委員会其田事務局長にお伺いしますが、個人情報保護条例は、今、我が国において幾つあるのか。都道府県、市町村等による区分けの上で、その数を確認したいと思います。

其田政府参考人 お答え申し上げます。

 個人情報保護条例の数につきましては、平成三十年四月一日の時点で、四十七の都道府県全てにおいて、千七百四十一の市区町村全てにおいて条例が定められていると承知をしております。

濱村分科員 千七百四十一の市区町村ですね。区も含めていただいたということでございます。実は、これ以外に、広域連合とか一部事務組合とか特別地方公共団体も入れますと百十五ほどふえるのかなというようなこともございますが。

 次に、二千個問題とちまたで言われております、この二千個問題はどのような問題であると考えているか、確認いたします。

其田政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の個人情報保護法制には、個人情報保護法、行政機関個人情報保護法、独立行政法人個人情報保護法のほか、地方公共団体ごとに個人情報保護条例がございます。このような各法令におきまして、個人情報の定義や取扱いの規律など、差異がございます。

 委員御指摘の二千個問題について、定まった定義はないと承知をしておりますけれども、こうした法令の差異がデータの利用などを阻害しているのではないかとの文脈で取り上げられていると承知をしております。

濱村分科員 定まった定義はないと。まあまあおっしゃるとおりかなと思いつつ、ある一定の、法律がまず三つありますということが一つ大きな問題点。そして、その上で、条例が約二千ほどありますよということでございます。

 個人情報保護法というのは三年ごとの改正なんです。三年後改正ではなくて、毎三年ごとに改正をするということでございますが、それを受けて条例も対応が迫られるわけでございます。基礎自治体ではこれを検討するためには非常にパワーが不足しているというふうに認識をしておりますが、どのように捉えておられるのか、お伺いいたします。

其田政府参考人 お答え申し上げます。

 個人情報保護法は、平成二十七年改正のときに、三年ごとの見直し規定が設けられたところでございます。

 前回の平成二十七年の個人情報保護法改正、それから平成二十八年の行政機関個人情報保護法の改正の際は、多くの地方公共団体において条例の見直しを行っていただいたものと承知をしております。

 委員御指摘のとおり、複雑な制度改正を一つの自治体で対応することが困難であること、あるいは、小規模な団体においては人材が不足しているといった御意見があるということは聞いてございます。

 先ほど申し上げた前回の個人情報保護法の改正の際は、総務省から地方団体にモデル条例を示すなど、条例改正について支援を行ったところであるというふうに聞いております。

 当委員会では、近く、総務省の協力も得まして、地方公共団体の条例に関する実態調査を行う予定としておりまして、地方公共団体の体制面での課題についてもよく把握してまいりたいと思います。

濱村分科員 先ほど、今、事務局長、お答えいただいたとおり、平成二十七年の改正で、個人識別符号という考え方が導入されました。

 それぞれの条例において、個人識別符号という概念、これが適用されているものというのはどれぐらいあるのか、都道府県、市町村別の数を確認したいと思います。

其田政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省の調査によりますと、平成三十年七月一日の時点で、都道府県の四十一団体、それから市区町村の八百九団体で、個人識別符号について国と同様の規定を設けているとの回答があるというふうに承知をしております。

濱村分科員 ありがとうございます。

 二千ほど基礎自治体がある中で、半分には満たない状況ではあるということは確認できたわけですけれども、これは必要に応じて個人識別符号をしっかり適用してきたんだろうと思っておりますけれども、一方で、なかなか、どのように適用していくべきなのか、追いつき切れていないという現状もあるのではないかと思う次第でございます。

 その上で、こうした条例の違いというのは、不幸なことに、個人情報保護条例というのが地方自治体から始まってきて、その後、法整備がなされてきたという経緯もあって、これまでの経緯としては、このような状態にあるということは至極真っ当、妥当な気はするものではあるんですが、一方で、条例が違うことによってさまざまな不都合も生じているとも認識をしております。

 例えば、広域災害が起きた場合の対処については、具体的にどのような不都合が生じていると認識しておられるのか。これは内閣府防災にお伺いしたいと思います。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 災害時の、特に被災者支援に関して個人情報保護との関係が問題となる事例としまして、避難者名簿の公表ですとか避難行動要支援者名簿あるいは被災者台帳の情報提供など考えられるところですけれども、これらに関して、個人情報保護条例が異なることによって不都合が生じているという話は、ちょっと私どもの方に、現時点では伺っていないところでございます。

 ただ、今後とも、地方自治体の声も丁寧にお伺いしながら、必要な対応は検討してまいりたいと考えております。

濱村分科員 声は直接聞いておられないということでございましたけれども、例えば、第三者提供における意思決定のおくれなどが弊害として存在しているというのは事実であろうかと思っております。そうしたところも含めて、今後しっかり整備をしていかなければいけないだろう。被災者名簿とか、今お話しいただいたところもまさにそのとおりでございますので、対応を今後もお願いしたいと思っております。

 さらに、次に医療・健康分野についてお伺いしたいと思いますけれども、この分野ではどのような不都合が生じていると考えておられるか、お伺いいたします。

其田政府参考人 お答え申し上げます。

 地方公共団体が設置する医療機関等における個人情報の取扱いは、各地方公共団体の個人情報保護条例によって規律をされます。

 例えば、医療機関の間で連携を行う場合において、異なる地方公共団体によって設置される医療機関が個人情報の提供を行おうとしても、個人情報保護条例の規律内容が異なることにより支障があるといった指摘が存在することは承知をしております。

濱村分科員 ありがとうございます。

 病院が、どこが主体で経営しているのか、都道府県が経営しているとか、あるいは民間であったりとか、さまざま違うわけでございまして、そうした状況によって個人情報の取扱いが違う。そしてまた、患者さんのデータをやりとりする上において、条例が違うということ、あるいは個人情報保護法が違うということになると、なかなかデータの交換が難しい状況になるということでございます。

 もう一つお伺いしたいのが、新たな交通手段ですね。今、自動運転とか進んできているわけでございますけれども、こうしたMaaS、モビリティー・アズ・ア・サービスの法的基盤整備も大変重要だと思っております。こうした分野において、具体的にどのような不都合が生じると認識しているのか、これは国交省にお伺いしたいと思います。

金井政府参考人 お答えいたします。

 新たなモビリティーサービスであるいわゆるMaaSにつきましては、現在、各地で実証実験等が行われている段階でございまして、国土交通省としても、全国への普及を推進しているところでございます。

 委員御指摘の、地方公共団体ごとに条例が異なることによる不都合につきましては、現時点では、MaaSの分野において生じるとは承知しておりませんが、今後、具体的な課題が生じた場合には、個人情報保護委員会を始めとする関係機関と連携し、他分野における個人情報保護の取扱い等を踏まえた上で、適切に対応していく必要があると考えております。

濱村分科員 ありがとうございます。

 実は、今は、例えば某自動車メーカーさんがとあるところで実証実験的にやります。限られた、クローズされた基礎自治体の中でやっている。つまり、それをまたがるようなことはないようにしている。またがるようなことをしちゃうと、それぞれの条例に適応させていかなければいけないというような問題点もあるので、今のところは生じてはいないとは思いますけれども、今後、このサービスを広く導入し、日本全国にサービス提供をするに当たっては、これは足かせになってくるんだろうということが想定されるので、早期に解決を図っていく必要があるということだけ申し上げておきたいというふうに思っております。

 今、さまざま、条例については不都合があるんじゃないのと、私からはある種決めつけのもと申し上げてきたわけでございますけれども、実際に条例においてどのような運用がなされているかという点について触れたいと思いますが、個人情報の定義自体がまだまだばらついているということでございます。

 都道府県における個人情報の定義で、生存者に限定している場合とそうでない場合、お亡くなりになった人も含めているのかということですね。あるいは、容易照合性があるかどうかの点。こうした定義の違いによってどのような不都合が生じていると認識しているか、確認をいたします。

其田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、個人情報保護条例において、個人情報の定義などが必ずしも団体の間で統一されていないということは承知をしてございます。

 例えば、今、例として挙げていただいた部分について申し上げますと、総務省の調査では、個人情報の定義に死者に関する情報を含めて対象にしている団体は、都道府県で約六四%、市区町村は約五八%となっております。

 また、個人情報の定義において、容易に照合できることを基準としている団体は、都道府県が約二%、市区町村は約一二%となっております。

 こうした御指摘の点も含めまして、一般論で申し上げますと、これらの定義の違いによりまして、異なる地方公共団体の間で個人情報としての保護や規律の対象となる範囲に差が生じまして、民間企業と地方公共団体との間、あるいは地方公共団体同士の間でのデータ連携が阻害される可能性があるといった御意見があることは承知をしております。

濱村分科員 先ほど、総務省から統一的にモデル条例を提示しているというような、これは、地方における適用の仕方、それに具体的に相談に応じているという姿勢で、評価できることなのではないかと思いつつも、一方で、そのようなものをつくるぐらいだったら、最初から条例を国一本の、統一基準にすればいいんじゃないのというような話もございます。

 そういうことを考えますと、これを私は一本化していくことというのが非常に重要なんじゃないかなと思っております。

 そこで、衛藤大臣にお伺いしたいと思いますけれども、今、現状を考えますと、令和二年度改正には間に合いませんけれども、条例として自治体に任せるのではなくて、条例を廃止して、国が統一的な基準として法律で規定するべきと考えますけれども、御意見を伺います。

衛藤国務大臣 先ほどから委員御指摘のとおり、個人情報保護制度のあり方については、むしろ地方公共団体の方が先にスタートしてきたという経過がございまして、ですから、まず、実態の把握がもっと必要だというように思っております。

 そういう中で、個人情報委員会において、地方公共団体等と懇談会等を、先生もずっと御指摘いただいたわけでございますように、開催をいたしまして、そして、個人情報保護条例の法律による一元化も含めた地方公共団体における個人情報保護の規律のあり方について、実務的論点の整理を進めているところでございます。

 これには、やはり、地方公共団体の個人情報保護制度を統一化しようとするためには、地方の実態や地方自治の観点などを踏まえた上で、地方の理解を得る必要がありまして、十分な意見交換、調整が必要だと考えております。

 現時点でいついつということは申せませんが、できるだけ早く、スピード感を持って取り組む必要があるというぐあいに認識をいたしております。

濱村分科員 ありがとうございます。しっかり御対応を願いたいと思います。

 ちょっと一つ飛ばしていた問いがありますが、テロ対策について、生体識別システム、警察庁さんにお伺いをしたいと思っておりますが、後の顔認証システムも警察庁さんでよろしいですか。それは個情法ですね。はい、わかりました。

 じゃ、別々の問いとしてお伺いいたしますけれども、今、オリンピック、パラリンピックも控えておりますので、テロ対策のために生体識別システムを導入しようと各都道府県警さんが取り組んでおられます。これは国内で統一的な対応をとっていかなければいけない。東京オリンピック・パラリンピックといいながらも、東京都だけで開催されるわけではないということもございます。

 そうした観点からすると、生体識別システムを導入したとしても、東京に入ってきた人が札幌に移動したらそういう方はどのように管理するのかとかというような状況もございますので、この点からして、統一的な対応をできるのかしらというような懸念が生じるわけでございますけれども、今、警察庁さんとしてどのように取り組まれておられるのか、確認をいたします。

直江政府参考人 お答えいたします。

 我が国では、東京大会の開催を控えており、開催国として、テロ対策は全国警察を挙げて取り組むべき課題と認識しているところでございます。

 テロ対策のための個別具体の手法についてはお答えを差し控えますが、いずれにしても、今後とも、各都道府県におけるテロ対策が斉一的に行われるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

濱村分科員 斉一的にということでございましたが、ぜひしっかり取り組んでいただきたいということで、私も、この生体識別システム、東京オリンピック・パラリンピック大会で導入されるシステムについては、提供される企業さんに視察に行ってまいりました。非常にすぐれたシステムで、期待をできるなと思っておりますので、こうした仕組みについても、どんどん、この仕組みが世界じゅうで、生体識別システムとして標準的なものとして輸出できるようになるということも非常に大きな強みになるのではないか、このように考えております。

 もう一つ、これに関連して、取得した個人情報についてお伺いをしたいと思いますけれども、どのように運用されるのか。

 海外では、プロファイリングについては非常に大きな懸念といいますか、日本が考えている以上に敏感に捉えておられる。民主主義に対してネガティブな影響を与えている、差別をもたらすというぐらいの認識が広がっていると聞いております。

 世界じゅうから人が往来するオリンピック、パラリンピックでございますけれども、これは一定期間後に削除する運用を行うことが必要なのではないかと考えております。東京オリンピック・パラリンピックであれば、どのようなタイミングで削除されるのか、お伺いいたします。

其田政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの顔認証データの消去については、個人情報保護法では、個人情報取扱事業者が個人データを利用する必要がなくなったときは当該個人データを遅滞なく消去するよう努めなければならないとされております。

 例示いただきました東京オリンピック・パラリンピックにおいて導入される顔認証システムについても、この顔認証データは、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会におきまして、個人情報保護法に基づき適切に管理運用し、大会終了後速やかに消去するというふうに聞いております。

濱村分科員 組織委員会が大会終了後速やかにデータを削除するということでございました。

 これは恐らく、組織委員会が必要としている限りはこの目的において利用しますよということでございますけれども、速やかに、日本では、よく、目的を達成したら速やかに削除しますということは受け入れられやすい話なんですけれども、実は海外では余りそうではなくて、速やかにとは結局いつなんですかというようなことを海外の方々はよく聞いてこられるようでございますので、一言付言をしておきたいというふうに思います。

 第一義的には組織委員会の方々がしっかり運用されるということでございますし、その組織委員会さんが委託した企業さんがしっかりと柔軟に、規律を設けて運用されることだと思っておりますけれども、明示できるようにお願いをしたいと思っております。

 その上で、今ほども少し触れましたプロファイリングの話でございます。

 プロファイリングについては、今後しっかり議論を行っていかなければいけないだろうと思っております。

 プロファイリングというのは、データ上の分身、データダブルというようなことも言われて、データ上に私以外の私のデータというものが個人像としてでき上がってくるということでございます。こうしたところも含めて、今後議論をしていかなければいけないんだろうというふうに思っているところでございます。

 昨今も、問題となった事案がございました。とある就職の支援の企業さんがそのデータをほかの企業さんに提供するということになったときのあり方について、これはインターネットのブラウザー上のクッキーという情報を持っているところの規制についての議論になってくるかと思うんですけれども、個人をどのような特性があるのかといったことを定義するプロファイリング、このプロファイリングについてはクッキーの規制も含めてどのような議論をされておられるのか、お伺いをいたします。

其田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のいわゆるプロファイリングにつきましては、今回の個人情報保護法の見直しでは、個人が十分に認識していない分析、利用等が行われることへの懸念にどう応えるかという観点で検討を進めてまいりました。

 昨年十二月に公表いたしました制度改正大綱で、三つの対策を盛り込んだところです。

 第一に、個人の権利利益の侵害がある場合を念頭に、保有個人データの利用停止、消去の請求に係る要件を緩和いたしまして、個人の権利の範囲を広げる内容を盛り込んでおります。

 第二に、事業者の義務として、不適正な方法により個人情報を利用してはならない旨の明確化も盛り込んだところです。

 そして、第三に、先ほども御指摘のありましたクッキー規制に関連して、クッキーそのものを規制するということではございませんけれども、提供元では個人データに該当しないものの、提供先において個人データになることが想定される情報について、個人データの第三者提供を制限する規律を適用することとしております。

 これらの措置を通じて、いわゆるプロファイリングなどに関する個人の懸念に応えることができるものというふうに考えております。

 このほか、法改正事項ではございませんけれども、本人への利用目的の通知、公表のあり方についても、よりわかりやすく通知、公表することを促すこと等について今後検討を深めていきたいと思っております。

 当委員会といたしましては、ただいま御説明申し上げましたさまざまな手法を組み合わせまして、個人の権利利益の保護が適切に図られるよう取り組んでまいりたいと思います。

濱村分科員 これは非常に重要な答弁をいただいたと思っております。

 先ほど少し触れた事案について、別に企業名も出してもいいのかもしれませんけれども、リクナビさんでございますけれども、これは、提供元と提供先の話がございました。

 当然、リクナビさんは提供元、そして就職活動でリクナビさんを利用されている企業さんが提供先さんでございますけれども、提供先の企業からすれば、学生さんが就職試験でリクナビさんを利用されている、その方がいろいろな企業を受けていて、内定について辞退をするという可能性が高まるというような内定辞退率について、これをプロファイリングしていたということでございます。

 これを提供元がしっかりと、第三者提供するのであれば、これを個人情報として取り扱う、そういう規定になるわけでございますけれども、これは個人に不利益を与え得るような属性でございますので、非常に取扱いについては丁寧な取扱いが必要なんだろうと思っております。

 少し前にさかのぼれば、JRが管理しているSuicaの件についても問題があったということでございます。

 法的には両方とも問題はあるわけでございますが、批判されるべきレベルというのは少し違うのかなというふうに思っております。

 Suicaの方は、それはそれで、JRさんであったりとかシステム提供元とかは、ちゃんと取扱いをしようとしている中で、なかなかそうした考え方について議論がなされていなかった、個人の情報の活用という点で議論がなされていなかったというところがございます。

 そうした、ある意味での問題の切り分けをしながら、批判すべきところは批判し、同じレベルで捉えるべきではないものはちゃんと区分けして、問題点を考えていかなければいけないんじゃないかと思っております。

 そうした具体の事案も起こってきている中で、重要なのは、これからデジタルエコノミーの法的基盤整備を、まあ再整備していく必要があるのではないかというふうに思っております。

 最後に、衛藤大臣にお伺いしていきたいと思いますが、これは、個人情報の保護法だけではなくて、憲法であったり競争法であったり消費者法も含めて検討していかなければいけない問題であろうというふうに思っております。今後、そのような検討を行っていくためには、会議体を設けて検討していくべきだというふうに考えておりますけれども、大臣の御所見をお伺いいたします。

衛藤国務大臣 委員仰せのとおりでございまして、デジタルエコノミーの制度や政策の検討を進める、そういう時代になりまして、早くこういう検討をしなければいけないというように思っております。

 ですから、プライバシー、あるいは競争政策、産業政策、消費者保護、情報通信、研究開発、国際協調等、多様な観点から取り組んでいく必要があるというように考えております。

 そして、政府全体としても、関係部局、会議体は、適切にまず連携をして、最適な政策を見出していくことが重要だというぐあいに認識をいたしております。

 できるだけ早いこういうような対応が必要であるというぐあいに認識しておりますので、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

濱村分科員 ぜひ大臣のもとで大きく力強く進めていただきたいと思いますが、個人の権利利益の保護という目的にしっかり立った上で、昨今のプロファイリングに関する議論と今回の問題が相まって、個人情報保護法が守ろうとするものは何なのか、この点をしっかりと、憲法上の基本権にも触れるようなところだと思っております。ぜひ積極的な議論をお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

葉梨主査 これにて濱村進君の質疑は終了いたしました。

 次に、岡本三成君。

岡本(三)分科員 おはようございます。公明党衆議院議員の岡本三成です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず初めに、企業主導型保育事業の見直しについて質問させていただきます。

 昨年、国会で大きな問題となり、見直しが進められている企業主導型保育につきましては、昨年十月に事業を受託する実施機関の公募が行われまして、その公募が十二月に締め切られて、現在、八名の企業主導型保育事業点検・評価委員会でその選定の作業が行われているというふうに理解をしております。

 けれども、この企業主導型保育事業が問題となってからここに至るまで、余りにも政府の対応が遅過ぎというふうに私は感じております。このままでは、本年度中に募集が始まると期待をしていた事業者の方も多くいらっしゃるわけですけれども、現実問題として、きょう、二月、この質問の二十五日のタイミングから考えますと、本年度中の募集というのは常識的に考えると難しいんじゃないかというタイミングになってしまっています。

 なぜここまでおくれてしまったのか、そして募集締切りから候補決定に、二カ月以上たってもまだ決まっていないというのはどうしてなんでしょうか。

 これは内閣府の皆さんに詳細を聞きましても、何度聞いても、その詳細は一切明らかにできないと。会合を何回開いたか、どういう議論をしているか、一切明らかにできないと今も言われているんですけれども、ここまでおくれている理由、そして全く経緯が明らかにできない理由を教えてください。

衛藤国務大臣 御承知のとおり、企業主導型保育事業の実施機関の選定については、点検・評価委員会において実施機関候補を選定し、内閣府において実施機関を決定することというぐあいになっております。

 そういう中で、委員会を、何回とは言えませんが、複数回開催して、そして公募の応募団体に関するヒアリング、そしてまた実施機関候補の選定及び附帯条件の内容の協議等、ちゃんと今度はやはり実施機関でどういうことをするかということについて相当詰めてやらなければいけないということを考えておりますので、そのような条件内容についても協議を進めているところでございます。詳しい中身については、選定が終わった段階で全面公表させていただければというぐあいに思っております。そういう段取りを踏みながら、丁寧に今、選定作業を進めていることでございます。

 ですから、今お話があったように、令和元年度中に助成決定をするということはなかなか厳しい状況であるという御指摘はそのとおりだと思っております。令和二年度の早々からちゃんとこれが対応できるように、実施機関の選定を速やかに行ってまいりたいというぐあいに思っております。

岡本(三)分科員 大臣、ありがとうございます。

 確認させてください。ということは、決定した後には、例えば議事録等も含めまして、全て詳細に公開いただけるということでよろしいんでしょうか。

嶋田(裕)政府参考人 お答えいたします。

 第一回の点検・評価委員会におきまして、実施機関候補の選定に関する具体的な情報については、応募団体の審査等に関する中立性、公平性を担保する観点から、実施機関を決定するまでの間は公表しないということを決定したところでございます。

 このため、委員会の議事内容等につきましては現時点ではまだ公表できませんけれども、実施機関の決定後、透明性を確保する観点から、委員会の配付資料でありますとか議事概要、それから附帯条件の内容について、速やかに公表したいというふうに考えております。

 以上でございます。

岡本(三)分科員 ありがとうございます。

 それでは、今し方大臣御答弁いただいたように、できるだけ、公募が始めていただけるように、早急な議論も、結論を得ていただきたいというふうに思います。

 この企業主導型保育事業の予算、令和元年度二千十六億円、令和二年度二千二百六十九億円が計上されておりますけれども、今までの例を見ますと、そう考えると一件大体二億円ぐらいの手当てがされていますので、令和二年度の予算では千件程度公募がなされるということが推測できます。

 実施機関がこれまでやっていらっしゃった児童育成協会になるかどうかというのはわかりませんけれども、これまでの反省から、全国で千件の案件をチェックしていく、しかも、正しくこの事業を推進していくためには、相当な人員確保や、また加えまして、中央の機関だけじゃなくて地方の支部も有するようなところが必要だというふうに思います。

 この選定に当たって、こうした実施体制の適格性を最低限確保する必要があるというふうに思いますけれども、今後の実施機関の見直しに関しまして、そのような最低限実施機関が有すべき機能についてどういうふうに考えていらっしゃるか。また、この実施機関は毎年見直すおつもりでしょうか、それとも一定期間は同じ実施機関に任せるということでお話が進んでいるんでしょうか。御答弁ください。

衛藤国務大臣 委員御指摘のとおり、実施機関は、内閣府と協議の上で定める助成要綱等に基づきまして、適正に事業実施者への助成事業等を実施することになります。そうしますと、やはりその指導のためには相当な体制ができ上がらなければいけないというように思っております。

 そしてまた、各地方でこういう企業型保育所を運営するわけでございますから、地方との連携も入れて、いろいろな形で連携も模索しながらやはりやっていかなければいけないということを、そういうことを、今御指摘のとおり、検討の中に入れているものというぐあいに私は理解をしております。

 そしてまた、毎年やるのかということでございますけれども、そういうことでございますから、公募要領におきましては五カ年を基本とすることといたしております。

 しかし、五カ年ずっとやれるかどうかということについては、またいろいろ状況がございますので、ここについては毎年、点検・評価委員会において、実施機関の事業の実施状況の点検、評価を行った上で、そして一応としては五カ年やる、しかし問題が起こればそこでもう一回再検討するというぐあいに取り組んでまいりたいというように思っております。

岡本(三)分科員 この企業主導型保育につきまして、昨年、国会でさまざまな角度からその問題点が指摘されましたけれども、最大の問題の一つは、実施機関が事業者に対してチェックが余りにも甘過ぎて、しっかりとした経営の見通しがないままで開設されたような施設、その施設の中で保育の質に対する疑義や継続性に対する疑義が多く生まれてきております。加えまして、コンサル会社による悪用、地方自治体との情報共有の不足等々の問題が指摘されています。

 今後、内閣としてこの事業を推進するに当たりまして、きめの細かい指導をしていただきたいというふうに思っておりますし、指導指針をしっかりと作成して、実施機関が適切に事業を運営しているのかということに対する、実施機関に対する定期的なチェックが欠かせないというふうに思いますけれども、今後の内閣の方針をお答えください。

衛藤国務大臣 岡本委員仰せのとおりでございまして、これだけの問題を起こしたわけでございますので、その一つ一つをチェックしながら取り組んでまいりたいというぐあいに思っております。

 その条件の整備のところが、やはり若干選定がおくれているところでもございます。慎重に、そして速やかにこの実施を行ってまいりたいと思っております。

 そしてまた、実施機関に対しても、定期的にちゃんと中身の指導ができるようにやってまいりたいと思います。

 実施機関が、書類上の審査だけで、丁寧な審査もしていなかった。実地もしていなかった。それから、適正な指導も余り行われていなかった。それにコンサル会社が入って、そこで、いわばどういうぐあいにしたらすり抜けられるのかということの知恵を出してやってきたということを、今御指摘いただきましたとおり、十分認識をして取り組んでまいりたいと思っておりますので、どうぞこれからも御指導よろしくお願いいたします。

岡本(三)分科員 この企業主導型保育事業の目的は、受皿の拡大と質の向上、確保でありますので、これから将来、振り返ったときに、令和二年度のあの新しい取組から、この事業が全く質が変わり、スピード感も出して、保育の受皿もしっかりと確保できたというふうに言っていただけるような事業にぜひ成長させていただきたいと思います。

 委員長、この企業主導型保育事業の見直しについての質問、ここまででございますので、もしお許しをいただければ、大臣、御退席をいただいても結構です。

葉梨主査 それでは、衛藤大臣、どうぞ御退席ください。

岡本(三)分科員 ありがとうございます。

 では、委員長、続きまして質問させてください。

 続きまして、津波等の災害時の避難の周知徹底の方法について質問させてください。

 災害発生時に、聴覚や視覚に障害を持った皆さん、そして外国人の皆さんをどういうふうに守っていくかというのは、行政にとって大切なポイントであるというふうに理解をしています。とりわけ地震による津波や大雨による洪水など一刻も早い避難が必要な場合に、こうした災害弱者にどういうふうに速やかに情報を伝えていくか、日ごろよりしっかりとした準備をしていく必要があると思います。

 東日本大震災のときの実は統計を見ますと、主要な被災三県の中で、人口に対して死亡された方々の割合は一・〇三%でした。それに対して、視覚に障害のある方の死亡率は一・九七%、身体障害の方、肢体障害の方は二・〇%、そして聴覚障害の方も二・〇%であったというNHKの調査が出ております。

 内閣として、災害弱者と思われる方々に対して、いざという災害のときにどのように情報を伝達していくかという基本的な考えについて、まず認識をお伺いしたいと思います。

平副大臣 お答えを申し上げます。

 災害時における障害者等の要配慮者に対する情報提供については、障害の特性に応じた情報伝達手段を整備、確保し、障害者等の方々に着実に情報が伝わるようにしていくことが重要であると考えております。

 内閣府といたしましては、取組指針、平成二十五年八月、避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針でございますが、それを活用して、災害発生時には、防災行政無線や広報車による伝達に加えて、ファクスや携帯端末などの多様な手段を活用することを市町村に対して周知をしているところでございます。

 これらにあわせまして、避難行動要支援者名簿を活用して、共助による避難支援の仕組みや、平常時から構築された顔の見える関係を通じて、住民間の情報伝達により、必要な情報が確実に伝達できるよう、できることが重要であると考えております。

 また、情報通信技術も発達をしてきております。伝達の手段も日々多様化していることから、今後、関係省庁と連携をして、情報伝達が確実になされるように、その方策についても引き続き検討していきたいと思っております。

岡本(三)分科員 平副大臣に御答弁いただきましたけれども、現状は決して十分じゃないという認識は共有をさせていただいていると思います。

 私、先ほどのNHKの調査で一つびっくりしたことがありまして、それは、健常者の方々の死亡率が一・〇三%だったことに対して、目が見えない方は二・〇%。それは、目が見えないから、やはり避難のときは大変だな、そういう数字になるだろうというふうに予想もつきました。体に障害を持った方、二・〇%。同様に厳しいんだろうと思いました。済みません、目が見えない方、一・九七%ですね。体に身体障害を負った方、二・〇%。けれども、耳が不自由な聴覚障害の方、ぱっと考えますと、耳は不自由だけれども、目は見えるし、しかも体は普通に健常者と同じように動くので、この方々の生存率は高いのかと思ったら、耳が聞こえない方々、不自由な方々の死亡率も、体全体が身体障害として不自由な方と同様の二・〇〇%なんですね。物すごく高いんです。

 ですから、きょうは、とりわけ耳の不自由な方、聴覚障害の方々に対する支援についてお伺いをしたいと思います。

 気象庁が所管をする気象業務法及び施行規則におきまして、津波情報、とりわけ津波注意報、津波警報は鐘音又はサイレンで伝達することになっています。しかし、これでは耳の不自由な方、聴覚障害の方にはしっかりと注意喚起することは当然できないわけです。

 そこで、以前から全日本ろうあ連盟や日弁連がこのことを指摘いたしまして、政府の対応に対して改善も求めていらっしゃいました。加えまして、神奈川県や沿岸部の十六の首長の方からも、津波警報の可視化、耳が不自由な方でも認識できる可視化を要望されてきました。

 公明党は、日弁連や全日本ろうあ連盟の皆さんから要請を受けまして、昨年の四月、石田政調会長より気象庁に対しまして、聴覚障害者の皆さんへ津波伝達の情報の提供をしっかりとできるように検討を求めてまいりまして、その結果、気象庁は、昨年の十月、検討会を設置をいたしまして、本年一月に結論を得たというふうに理解をしております。

 これまでの経緯について御説明をいただきまして、どういう結論になったかということを御答弁をお願いいたします。

土井政府参考人 御説明いたします。

 津波警報等が発表された場合に、海岸付近にいらっしゃる方には直ちに海から離れていただく必要がありますが、その際、視覚による伝達手段が整備されていないと、聴覚障害者の方々が津波警報等の発表を覚知することができず、避難がおくれるおそれがあります。これは先生御指摘のとおりでございます。

 この津波警報等の視覚による伝達に関しましては、国において統一的な手段を定めることについて、自治体や関係団体から御意見、御要望をいただいてきたところです。また、委員から御発言がありましたとおり、公明党の石田政調会長からもお話を伺ったところでございます。

 このため、気象庁では、聴覚障害者の方に津波警報等をより確実に伝達することができるよう、昨年十月に津波警報等の視覚による伝達のあり方検討会を開催し、議論を進めてまいりまして、実際に海水浴場で実施した旗による伝達の有効性の検証なども踏まえまして、視覚による伝達について御審議いただきました。その結果、本年二月に、津波警報等の伝達には赤と白の格子模様の旗、これを用いることが望ましいと御提言いただいたところでございます。

岡本(三)分科員 ということは、現在得た結論というのは、赤と白の国際信号旗によって津波等を視覚で知らせるということだというふうに理解をしておりますけれども、全国の海岸で事前の準備を急ぐ必要があるというふうに思います。

 これは、どういう手法でいつまでに全国的な準備が完了するのか、加えて、同時に、聴覚障害の方々にその変更が行われたこと、内容をどういうふうに行っていくのか、そのスケジュールを教えてください。

土井政府参考人 お答え申し上げます。

 津波警報等の視覚及び聴覚による伝達方法については、気象業務法施行規則、国土交通省令でございます、これにおいて定めることとなっております。

 気象庁では、先ほど御説明いたしました、津波警報等の視覚による伝達のあり方検討会の取りまとめ結果を踏まえまして、津波警報等の旗による伝達を定めるため、気象業務法施行規則を改正しまして、本年六月を目途に施行する予定でございます。

 これに先立ちまして、海水浴場等でこの旗を用いることが非常に重要と認識しておりますので、まずは自治体とか関係団体に丁寧に御説明していきたいと考えております。

 加えて、旗を用いた伝達に関する周知、広報も非常に重要だというふうに認識しておりますので、今後はリーフレット等広報資料を作成、配布するとともに、関連会議、イベント等さまざまな機会を捉えて説明を行うなど、聴覚障害者のみならず、外国人の方も含めて広く周知を図っていく計画にしてございます。

 以上です。

岡本(三)分科員 ことし六月までということですね。

 あと四カ月あるんですけれども。災害に対する、何かやらなければいけないことに対する国土交通省の対応というのは、私はすごくスピーディーですばらしいと思っているんですね。昨年の臨時国会の国土交通委員会で、国交省のホームページに荒川が万一氾濫したときのためのタイムラインの動画というのがありまして、それに字幕がついていなかったので、聴覚障害の方はその内容が全く理解できないので字幕をつけてくださいとお願いしたら、もう一週間後にはついていました。そして、この荒川のタイムライン動画以外のほかの動画にも、つけられるものはすぐつけていただいて、物すごく災害に対する国土交通省、加えて気象庁も含めまして動きが速いなと思いましたので、一日も早い周知徹底そして施行というのをぜひお願いしたいと思います。

 今回のこの決定で、聴覚障害者の、耳の不自由な皆さんへの津波情報の伝達手段として国際信号旗、旗を指定したということになりますけれども、実は、この旗による伝達は法律上義務化はされておりません。法律の内容は、時間の関係で読むのは避けますけれども、市町村から周知徹底をするのは、視覚、聴覚のどちらかですればよいということに現状なっておりまして、国際信号旗を利用して津波避難を呼びかけるかどうかは、海に面した自治体の判断に任されているというのが私の理解です。

 聴覚障害の方々の避難のために、津波警報、津波特別警報だけでも、聴覚、視覚両方の方法に訴えて、しっかりと注意を促すことを徹底していくことを義務化すべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

門大臣政務官 お答えいたします。

 今お話がありましたように、聴覚障害者の方に対して、委員御指摘の、いろいろな過去の経験を踏まえて、視覚による伝達手段を用いて津波警報等を伝えることは大変重要であり、今般その伝達手段が赤と白の格子模様の旗に統一されたことは極めて意義深いことと認識をしております。

 この赤と白の格子模様の旗について、今後、今答弁がありましたように、多くの自治体等で活用されるよう、気象庁を中心に、まずはしっかりと普及を進めてまいりたいと思います。全ての国民の皆さんに広く理解をしてもらい、そしてまた、特に当該障害のある方については皆さんに理解をしていただくというふうに取り組んでまいりたいと思います。

 その上で、この旗による伝達の普及状況を踏まえつつ、さらなる今御指摘ございました法律に規定するというようなことも検討してまいりたいと思いますけれども、先ほどお話にありました海水浴場等、規模や環境により人員体制などの状況もそれぞれ違っておりまして、一律に今規定するということでなく、繰り返しになりますけれども、まずはこの旗が災害に対して危険を知らせているということを多くの方々に知っていただくということに集中して取組をさせていただきたいと思っております。

岡本(三)分科員 津波の怖さは東日本大震災で明らかでありまして、私は、気象業務法を改正して、各自治体の津波の警報伝達は音と視覚の両方で訴えるということを義務化するということを法律を改正して実現すべきだというふうに訴えておきたいというふうに思います。

 その上で、今、門政務官に御答弁いただきましたけれども、仮に今すぐ法改正をすることが難しい、義務化するのが難しいということであれば、せめて関係自治体への津波警報の伝達方法の協力要請を徹底して、障害者団体の皆さんへの周知をまずは速やかに徹底するということをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

土井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁いたしましたとおり、気象業務法施行規則、六月に改正予定でございますが、それを待たずに、ただいま現在からでも各地に、各都道府県に一つずつ地方気象台がございます、その地方気象台から地元の都道府県あるいは市町村の担当者に、今回の赤白格子模様の旗が津波警報であるということをしっかり周知をしていきたいと思います。

 また、加えまして、関係省庁を始めとして、全日本ろうあ連盟や日本ライフセービング協会といった関係機関ともよく連携しまして、当事者である聴覚に障害をお持ちの方々にもしっかり理解していただくように、全国的な普及にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

岡本(三)分科員 お願いいたします。

 初めに言及いたしましたように、昨年四月、我が党の石田政調会長の要請を受けた形で、昨年十月から気象庁で検討会を始めていただいて、一月十三日に一定の結論を得ていただいたわけですけれども、この議論の過程で、津波避難の旗の使い方としては、津波警報発令時にライフセービングの方、ライフセーバーの方ですね、海岸にいらっしゃる、の協力を得て旗を振ることが想定されています。

 津波が来るかもしれないという危険の中、ライフセーバーの方に命がけで旗を持って海岸を回ってくださいというのは、余りにも非常識な結論、議論ではないかというふうに私は思っています。これだけテクノロジーが発達しているこの時代にあって、人力を、命がけで協力をしていただきながら、こういうことを本当に議論しているのかとびっくりしたんですけれども、そのライフセーバーの方の安全のことも考えれば、例えばドローンに旗をつけて飛ばして周知徹底させるというのは、普通に考えて議論すべきことだと思います。ドローンは、津波避難だけではなくて広く災害時の活用が検討されておりまして、仙台市などではもう既に実証実験も行われているというふうに理解しています。

 内閣防災の立場から、災害時のドローンの活用の仕方につきまして、とりわけ聴覚障害の方々に対するドローンの活用の方法に言及をいただければと思います。お願いいたします。

平副大臣 今御指摘いただきまして、先般、私のもとに、私は防災担当副大臣とITとか科学技術イノベーション、宇宙政策の担当もあわせてやっておりますので、防災掛けるテクノロジーということで、タスクフォースをつくったところでございます。

 先生御指摘いただきまして、障害を持たれた方の死亡率が極めて高いということをしっかり念頭に置きながら、AIとかIoTのみならず、ドローンの活用も含めて、私のタスクフォースで、どういうことができるか検討をしっかりして結論を出したいと思っております。

岡本(三)分科員 ありがとうございます。

 自然災害を防ぐことはできませんけれども、災害の結果起こり得る人的な被害を最小限にしていくのは、ひとえにどれだけ準備をできたかということにかかっているというふうに思います。

 加えまして、私たちが守るべきは国民全体の命であって、健常者の命ということには限定されていないのは言及するまでもありません。

 最後に、平副大臣から御答弁をいただきましたように、これだけテクノロジーが発達しているわけですから、さまざまな方、その、いざというときに災害被害者の方々を守る方々の命も守らなければいけないということも念頭に置きながら、さらなる議論を深めていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 では、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

葉梨主査 これにて岡本三成君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

葉梨主査 次に、金融庁について質疑の申出がありますので、これを許します。武村展英君。

武村分科員 おはようございます。

 本日は、質問の機会をお与えいただきましたこと、心から感謝を申し上げたいと存じます。

 きょうは、金融庁と、それから消費者庁についても質問を御用意させていただいております。質問の通告では消費者庁は一番最後になっていたんですが、順番を入れかえさせていただいて、冒頭で質問をさせていただきたいと存じます。

 ジャパンライフやWILLといった、いわゆる販売預託商法につきまして規制を導入する、こういうことをすべきだということを消費者問題特別委員会の場でも議論させていただきました。

 こうした販売預託商法を含む悪質商法全般の被害回復に向けた民事ルールの創設や、事業者側が運用の実態を証明できない場合は違反とみなす、こうした立証の合理化ということを検討しているというふうに聞いております。この点につきまして、消費者庁の御見解をお伺いいたします。

小林政府参考人 お答えいたします。

 さきの国会で武村先生から御指摘いただいておりましたけれども、販売預託商法を含めました悪質商法への対策に関しまして、衛藤大臣から、時代に即応した実効的な対策を検討するよう指示をいただいたところでございます。

 これを踏まえまして、消費者庁におきまして、法改正を視野に入れた、特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会の第一回会合を二月十八日に開催し、検討を開始したところでございます。

 今後、検討委員会におきまして詳細な検討を行っていただきたいと考えておりますが、例えば販売預託商法に関する実効的な制度として、その取引が真に持続可能性のあるものであるか確実に判断することができるよう、例えば、事業者の財務、経理等の状況や預託の対象となっている商品等の保有、運用状況等についてどのような対応が必要か検討すべきではないか、あるいは、悪質商法による消費者被害の救済のため、最終的に破綻することが確実なスキームであるにもかかわらず締結された預託等取引についてどのような民事的効力が考えられるかといった論点を御議論いただきたいと考えております。

 検討委員会では本年夏までに一定の結論を得る予定でございまして、それを踏まえて具体的な制度設計に入っていきたいと考えておるところでございます。

武村分科員 ありがとうございました。

 これまで、事業者側の財務の状況、それから、本当に債権の裏づけとなる商品があるのかどうか、こうした実態把握が全然できないまま被害が拡大していく、いたずらに時間が過ぎ去っていく、これがここ数年の経験でありまして、こうした実態把握をするための制度の改正がぜひとも必要だというふうに思っています。ぜひとも迅速な検討をお願いをいたします。

 消費者庁に対する質問は以上ですので、もしよろしければ御退席いただいても結構です。

葉梨主査 小林審議官、どうぞ御退席ください。

武村分科員 それでは質問を続けます。

 最近、粉飾を始めとする不適切会計を開示した上場企業が増加をしているというふうに認識しています。この現状と背景、要因について、金融庁はどのように認識をされているかお答えください。

中島政府参考人 お答えいたします。

 民間調査会社の集計によりますと、昨年一年間で不適切会計を開示した上場企業は七十社あり、集計を開始した二〇〇八年以降で最も多かったとされております。

 その背景については一概にお答えすることはなかなか難しいところではございますが、企業側の不適切会計の数自体がふえた可能性もある一方で、監査法人による不適切会計の発見の数がふえた可能性もあるというふうに考えております。

 金融庁といたしましては、引き続き動向を注視してまいりたいと考えております。

武村分科員 ありがとうございました。

 表に出てきている不適切会計の数がふえてきたということで、その背景、要因はなかなか一概に特定をすることは難しいということでした。

 しかしながら、潜在的なものを含めて、不適切会計というものが、これが多くなっていった場合には、投資家の市場に対する信頼というものが揺るぎかねる事態になりかねません。

 そこで、この問題について取り上げていきたいというふうに思いますが、お配りしている資料、一枚目、これが日経新聞で報道をされている記事であります。二〇一九年、不正会計が七十件に及んでいまして、近年、増加傾向にあるということであります。

 それから、二枚目です。

 こうしたことを受けまして、日本公認会計士協会会長名で会長声明を出されています。こうしたことは投資家に対する市場の信頼が揺るぎかねないものなので、監査人は一層注意して監査というものに取り組まれたい、こうした注意を喚起する文書であります。

 財務報告の信頼性を担保するためには、監査人、公認会計士、監査法人の監査がこれを担っているわけであります。

 この監査につきまして少し深掘りをしていきたいというふうに思いますが、期待ギャップというものがあります。社会から要請される期待、それから、実際に監査人が行われているそういう監査の水準、この間にはギャップがあるというふうに言われています。

 ギャップの一つは、監査が有する固有の限界、これがあるというふうに思いますが、監査契約という契約の特殊性、それから監査資源の限界、こうしたことも踏まえてお答えをいただきたいと思います。

中島政府参考人 お答えいたします。

 一般的に、監査の固有の限界とは、財務報告の性質、監査手続の性質、監査を合理的な期間内に合理的なコストで実施する必要性に鑑み、監査は、法令違反の疑いについて公式な捜査を行うものではなく、そのために必要となる法的権限を有していないなどの理由から、監査人は、財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないという絶対的な保証を得ることができないということを指すものと承知しております。

 また、監査は内部統制に依拠しておりますことから、会社において内部統制自体を無効化するような事態が生じている場合には、監査は十分に機能することができないという限界もあるものと考えております。

武村分科員 ありがとうございました。

 監査には固有の限界があって、全ての虚偽記載を見つけるものではない。今御答弁では、絶対的な保証を目的とするものではないということがあります。それからまた、内部統制が有効に機能している、これを前提として監査をしますので、仮に、経営者自身が内部統制を無効化する行為があったり、担当者同士が共謀して、例えば証憑を改ざんするといったような行為がある場合には、これは、監査人はこうした不正を見抜くことができないことになるわけであります。

 財務諸表の報告の信頼性を担保するためには、この監査人という存在が必須でありますが、社会から要請をされる水準と、実際に監査を実施したときの水準、これにギャップがあった場合には、このギャップを解消していかなければ、投資に対する信頼性、こうしたものが揺るぎかねないことになるわけです。

 そういう意味では、監査の有する固有の限界というものをしっかりと投資家に認識していただくことも大事だというふうに思っています。そういう意味では、今の監査が有する固有の限界、こうしたものをぜひとも投資家の皆様にも御理解をしていただく、そういった努力も必要だというふうに思います。

 一方で、不適切会計をめぐる経緯といたしまして、この二十年の間、日本公認会計士協会は、監査人ができる限り不正を発見していくんだ、そういう姿勢を強化をしてきました。そういう中で、不正リスクを十分に考慮した監査の実施に取り組んできたところです。また、近年のIT技術の進歩によって、不正を発見する監査の手法も随分と向上しています。こうした監査環境をめぐる現状について、金融庁の御見解をお伺いいたします。

宮下副大臣 お答えいたします。

 これまでの不正会計問題などを受けまして、金融庁は、日本公認会計士協会などと連携して、会計監査の充実に向けてさまざまな取組を講じてまいりました。近年は、企業活動の国際化、また複雑化が進展する中で、取引等をより網羅的にチェックして問題をより効果的に抽出していくために、不正を検知するための新たな監査手法が開発されつつございます。

 具体的には、AIやビッグデータを活用した新たな監査手法でございます。例えば、これまではサンプリングで行っていた仕訳データの評価を、IT技術を活用することによって全件のデータを評価する、こういったことが可能になるなどが挙げられます。こうしたIT技術の活用によりまして、更に高品質な監査が提供されるようになることを期待しております。

武村分科員 ありがとうございました。

 資料の三枚目をおめくりください。

 一九九〇年代以降、後半から、監査制度の整備ということで書いてあります。平成十四年には、不正発見の姿勢の強化を柱とする監査基準の改定がなされて以来、この不正の発見に対する監査人の姿勢を強化していく、こうしたことが金融庁、それから公認会計士協会の中で取り組まれてまいりました。

 期待ギャップというものを埋めていくためには、一つは、監査が有する固有の限界をしっかりと知らせていく。その一方で、監査人自身がこうした不正をできるだけ発見していく。そのために、みずからの研さんをしていくことも重要であります。この二つがあって初めて、市場から安心して投資をしてもらう環境が整っていくものだというふうに思います。

 監査の固有の限界を認識していただくこと、そしてまた、不正を発見するために不断の努力を続けていくこと、この二つが重要だということを指摘しておきたいというふうに思います。

 次の質問に移ります。

 会社が行う不適切会計を監査人が見過ごした場合、経営者、それから会社法上の機関、それぞれの機関が負う責任はどのようになっているのか、いわゆる二重責任の原則も含めてお答えをください。

中島政府参考人 お答えいたします。

 財務諸表に対する会社法上の機関が負う責任として、経営者には、財務諸表の作成責任、財務諸表に重要な、虚偽の表示がないように内部統制を整備及び運用する責任、また、取締役会には、経営者を監督する責任、内部統制を整備及び運用する責任、さらに、監査役等には、財務報告プロセスを監視する責任があるとされております。

 また、監査基準においては、財務諸表に対する経営者及び監査人の責任について、経営者の財務諸表を作成する責任と、監査人の当該財務諸表の適正表示に関して意見を表明する責任の区別を、いわゆる二重責任の原則として明示しております。

 したがいまして、会社が行った不適切会計を監査人が見過ごした場合には、こうした経営者の責任と監査人の責任を区別して考える必要があると認識しております。

武村分科員 ありがとうございました。

 この二重責任の原則というものがあります。まず経営者の責任があって、そしてそれをチェックする監査人の責任、これを明確に分けて考えなさいということであります。そういった中で、一義的には、正しい財務報告をする責任は経営者自身にある、このことをまず強調しておきたいというふうに思います。

 それから、監査人が負う責任であります。これはガバナンス全体の中で考えていくべき問題であって、会社法上の機関、例えば取締役会自身にも、不正をチェックし、そしてまた未然に防止をしていく、そういう責任がありますし、監査役、これは監査委員会等にも同様のことが言えますが、これをチェックしていく、そういう責任があるということです。それぞれのガバナンスの果たす責任の中で、会計監査人、監査人の有する責任があるということも一つ強調しておきたいというふうに思います。

 先ほど、監査固有の限界というお話をさせていただきましたが、内部統制を前提に監査を行いますので、内部統制を無効化する行為、担当者同士の共謀であったり、それから内部統制を構築する責任がある経営者自身の不正については、内部統制では未然に発見、防止をできないということであります。

 そうすることになりますと、監査の前提が崩れるわけで、監査人が不正を発見するという、こうしたことができなくなるわけであります。そういう意味では、私は、経営者自身の罰則を強化していくことが必要だというふうに思っています。

 我が国は、終身雇用の慣行の中で、生え抜きの経営者が多く、会社は株主のものであるという意識が極めて薄く、あたかも会社は社員のものである、そういった錯覚に陥ることもあるんだろうというふうに思います。

 こうした状況の中で、経営者不正を未然に防止するためには、ガバナンスを強化することはもちろんでありますが、厳しい制裁が必要だというふうに思います。金融商品取引法上、粉飾などの不適切会計を行った企業及び経営者に対する制裁としては現状どのようなものがあるか、お答えをください。

中島政府参考人 お答えいたします。

 金融商品取引法上、粉飾などの不適切会計における制裁は、刑事上、行政上、民事上の責任に基づくものがあります。

 具体的には、まず、刑事上の責任として、虚偽記載のある有価証券報告書等を提出した者への罰則があり、個人に対する刑事罰として、十年以下の懲役若しくは一千万円以下の罰金、又はこれらの併科、法人に対する刑事罰として、七億円以下の罰金が科されることとされております。

 次に、行政罰として、有価証券報告書の虚偽記載があったとされた場合の課徴金があり、法人に対して、六百万円又は有価証券の市場価額の総額の十万分の六に相当する金額のいずれか高い額が課されることとされております。

 さらに、民事上の責任として、経営者が投資家に対して損害賠償責任を負っており、その際、経営者の故意、過失に係る挙証責任は、投資家から当該経営者に立証責任が転換されております。

武村分科員 ありがとうございました。

 金融商品取引法上、有価証券報告書に虚偽記載があった場合どういう制裁があるか、お答えをいただきました。課徴金という制度があります。それから、個人に対する刑事罰、法人に対する刑事罰、それぞれが定められているところであります。

 そういった中で、今お伺いしましたのは、有価証券報告書の中に結果として虚偽記載があった場合どういった制裁があるかということでありますが、監査を行う過程でうその資料を監査人に提示された場合は、内部統制上、担当者の共謀があったときと同じように、これは不正を見抜くことができなくなるわけです。特に、証憑を改ざんされている場合、これは虚偽記載を見抜くことが非常に困難になるわけでありまして、監査プロセスの中で、監査人に対してうそを言ったり、重要な事実を隠したりするような場合にも、これは制裁を行っていくことがなければなかなか実効的な監査ができないというふうに私は思います。こうした制裁について、ぜひともこれからも検討を続けていただきたいと思います。

 それから、角度を変えまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 企業のグローバルな展開に伴いまして、特に大手監査法人では、グローバルネットワークのメンバーファームに所属をする中で監査が行われているところです。グローバルネットワークに属するということは、監査の品質を維持しながら企業の国際展開に対応できるというメリットがある一方で、こうした体制が監査法人のガバナンスに大きな影響を与えている、こうした懸念も考えられます。

 特に、監査法人の経営戦略、それから重要な意思決定が、監査法人の外、組織の外で実質的に決定されているという懸念、それから、役員賞与、退職給与を通じてグローバルネットワークと監査法人の間に実質的に支配関係が存在しているという懸念、さらには、監査ツールを独自に開発できないような契約がなされている、そういったケースがあろうかと思いますが、こうしたことが将来的に監査法人自身の競争力を低下させていくという懸念があります。こうした点について、金融庁の御見解をお伺いいたします。

中島政府参考人 お答えいたします。

 ただいま議員御指摘のとおり、一部の監査法人においては、海外進出を進める被監査会社の監査の円滑な実施等のため、いわゆるグローバルネットワークとメンバーファーム契約等を締結しております。こうした場合も含め、監査法人においては、例えば、収益獲得のプレッシャーなどから適正な監査がおろそかになるようなことが許されないということは、当然であると考えております。

 グローバルネットワークに所属している監査法人についても、我が国の資本市場における公益的な役割を認識し、監査品質の持続的な向上に向けて適切な組織、ガバナンス体制を構築していくことが重要であるというふうに考えております。

武村分科員 ありがとうございました。

 ぜひ、このグローバルなネットワークとの関係、その実態につきましてこれからも留意をしながら監督を行っていただきたいというふうに思います。

 各監査法人は、ガバナンスコードに従ってみずからのガバナンスの状況を開示しているところでありますが、このガバナンスコードの中にグローバルなネットワークとの関係について記載はありません。したがいまして、こうしたグローバルネットワークとの関係について、これからも、特に金融庁におかれましては留意をしていく必要があるというふうに思います。これは、私からの意見ということで言わせていただきたいと思います。

 今、不適切会計が増加をしているということを指摘させていただきましたが、そういった中で、ファームローテーションを導入すべきという議論が、これは随分長い間からこうした議論がなされています。こうした議論の論点を明らかにするとともに、金融庁の御見解をお伺いいたします。

宮下副大臣 監査法人のローテーション制度につきましては、二〇一六年三月に取りまとめました会計監査の在り方に関する懇談会の提言を踏まえまして、金融庁が欧州における同制度の導入状況について調査を行いまして、第一次報告書、第二次報告書を公表いたしました。

 これまでの調査におきましては、監査法人のローテーション制度の導入を検討する上では、大規模監査法人の数が限られていること、また、パートナーローテーションが過去の不正会計事案において結果として期待された効果を発揮しなかったこと、また、パートナー以外の立場で長期間にわたり同一企業の監査に携わるなどの事例が見られ、監査チームの構成等に関し新たな視点での会計監査という制度趣旨を踏まえた適切な運用を行う必要があること、これらが論点として挙げられているところであります。

 こうした点も踏まえまして、パートナー以外の監査チームメンバーについても、本年四月以降開始する事業年度からローテーションを求めることを日本公認会計士協会が公表する方向で検討していると承知しております。

 こうした対応が適切に実施されていけば、新たな視点での会計監査という観点から一定の効果が期待できると考えておりまして、今後、適切な運用が行われることを期待したいと考えております。

武村分科員 ありがとうございました。

 このファームローテーション、例えば、十年で監査法人を、監査人を交代させる、こうした制度を導入すべきだという議論がありますが、これはやはり独立性や監査に新しい視点を入れていかなければならないのではないか、そうした視点から検討をすべきだという意見があります。

 一方で、監査対象である会社に対して深い知見を有していなければ、深い監査をすることはできません。その点では、監査の期間は長ければ長いほどその会社に対する知見が深まるということでありまして、こうした相反する二つの目的を達成するには、私は、現状の制度でも、それからファームローテーションという、定期的に監査人を交代させるこうした制度を導入しても、一方の目的が達成できない、こうした状況になると思います。

 そうしたことから、今回、日本公認会計士協会が、チームメンバーローテーションという制度を導入しようとしています。この点につきまして、今のお答えにも一部ありましたけれども、金融庁の評価についてお伺いをいたします。

中島政府参考人 先ほど副大臣から御説明したとおり、日本公認会計士協会が、パートナー以外の監査チームメンバーについても、ローテーション制度を本年四月以降開始する事業年度から適用することを求める方向で検討しているという状況にございます。

 チームメンバーローテーション制度については、新たな視点での会計監査という観点から一定の効果が期待できるということを考えておりまして、今後、適切な運用が行われることを期待したいと考えております。

武村分科員 ありがとうございました。

 日本公認会計士協会は、チームメンバーローテーションということで、国際的に倫理規則に規定される以上のこうしたチームメンバーローテーション、これを原則として、できる限り導入しようとしています。

 私は、この制度が機能した場合には、新たな視点、独立性という観点と、それから、被監査会社に対する知見をチームに蓄積をしていくことができる、こうした二つの目的を同時に達成することができる、これは、日本型ローテーションとして世界のお手本になるすばらしい制度だというふうに考えています。ぜひとも、日本公認会計士協会が進めるこうした取組について、金融庁もこれから見守っていただきたいというふうに思います。

 それでは、最後の質問に移ります。

 近年、IPOを目指す企業から、監査法人となかなか契約ができない、その結果、上場することが難しいとの声があります。スタートアップのIPO監査の担い手が不足をしていて、金融庁は、株式新規上場に係る監査事務所の選任に関する連絡会議を設置し、IPO監査の担い手が不足する現状について議論をされているということを聞いています。これまで二回の議論が行われたというふうに聞いていますが、金融庁の見解をお伺いをいたします。

葉梨主査 宮下副大臣、簡潔にお願いします。

宮下副大臣 近年、株式新規上場を目指す企業から、監査法人となかなか契約できず上場することが難しいとの声があるというふうに認識しております。背景には、足元の好況により、潜在的にはIPOを目指す企業がふえている一方で、近年の監査手続の厳格化が進む中で、働き方改革などにより大手監査法人において人手不足が生じていることがあると見ております。

 これを受けまして、監査法人や証券会社、ベンチャー企業などの関係者と課題認識を共有するため、昨年十二月以降、これら関係者をメンバーとする連絡協議会を金融庁において開催し、議論を行っております。

 これまでのところ、大手、準大手監査法人以外の担い手を育成するために、例えば、公認会計士協会がIPO監査に関心のある中小監査法人のリストを公表するとともに、当該監査法人の会計士などに一定の研修を行うことや、中小監査法人と証券会社等による対話の場を設けて、主幹事を務める証券会社に対して中小監査法人の活用を促していくことなどの案について議論が交わされております。

 この春の取りまとめに向けまして、検討を進めてまいりたいと思っております。

武村分科員 ありがとうございました。ぜひとも迅速な検討をお願いをいたします。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

葉梨主査 これにて武村展英君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

葉梨主査 次に、内閣所管について審査を進めます。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。安藤裕君。

安藤(裕)分科員 自民党の安藤裕でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。西村大臣、どうぞよろしくお願いをいたします。

 早速質問に入らせていただきますけれども、二月の十七日に、十月から十二月のGDP速報が発表されました。消費税増税後の十から十二のGDP速報ということで、私も大変心配をしておりました。やはり、厳しい数字が出ていると言わざるを得ないと思います。

 実質で、年率換算でマイナス六・三ということで、かなり下振れしてしまったというふうに思いますし、それぞれの項目を見ていっても、民間最終消費支出は年率でマイナス一一・〇、民間住宅もマイナス一〇・四、それから民間企業設備もマイナス一四・一と、これはもう相当設備投資も落ち込んでいるということになります。

 ちょっとプラスなのが、政府の最終消費支出、これは微増、〇・九、そして公的固定資本形成がプラスの四・六ということでございました。

 それと、もう一つ注目すべきは、財貨・サービスの輸入、これがマイナス一〇・一ということです。輸入というのはプラス、マイナス逆に働きますから、マイナス一〇・一ということは、計算上はプラスに働いているということになりますけれども、しかし、輸入がマイナスということは、まさにこれは日本経済が輸入をする力が落ち込んでいるというふうなことを言うべきではないかというふうに思います。

 こういう厳しい状況を受けて、現在の内閣における経済の現状認識についてお答えいただきたいと思います。

西村国務大臣 お答えを申し上げます。

 安藤委員御指摘のように、先週公表されました昨年の十―十二月期のGDPの減少、これは想定していたよりも大きなものとなりました。私も、想定した以上のものになったということであります。

 内容をよく見ますと、消費税率の引上げの影響、これは当然、前回ほどにはないという判断をしておりますけれども、駆け込み需要があり、その反動減もございました。消費者マインドにも当然マイナスの影響もあったかと思います。それに加えて、台風や暖冬の影響もございまして、こうした大きな数字になったものというふうに認識をしております。

 この一時的な要因を除いた基調を見ると、消費は持ち直しの動き、これは、消費を取り巻く雇用、所得の環境も改善が続いてきておりますので、冬のボーナスも、連合調査、経団連調査ともに高いものがございましたので、そういう判断をいたしております。

 また、御指摘のあった設備投資も、マイナス三・七という減少になっておりますけれども、月々で見ると、機械投資、構築物投資、いずれも十二月にかけて増加傾向にもありましたし、それからソフトウエア投資、これは、新しい時代を迎えているということで、IT関係の投資が前年比で増加が続いているなど、全体として緩やかな増加傾向はまだ続いております。

 企業収益も依然として高い水準にあるというところで、全体を丁寧に分析し、判断をいたしまして、二月の月例報告では、「景気は、輸出が弱含むなかで、製造業を中心に弱さが一段と増した状態が続いているものの、緩やかに回復している。」というふうにしたところでございます。

 一月上旬ぐらいまで、一月が日並びもよかったものですから、四日、五日が土日でしたので、この間の旅行、交通機関の利用も非常に高いものがありましたし、百貨店なども回復基調、プラスになったところもございました。ようやく戻りつつあるのかなという期待を、消費税率引上げの影響も薄らいできたのかなという期待感を持ってきたところに、今回の新型コロナウイルスが発生をし、先行き懸念をしているという状況でございます。

安藤(裕)分科員 ありがとうございます。

 今はそういう見解なんでしょうけれども、例えば、厚労省が出している毎月勤労統計調査の数字を見ると、現金給与総額が、令和元年は、確報値はマイナスになっているんですね、マイナス〇・三です。それから、実質賃金指数も、平成三十一年から令和元年にかけては毎月マイナス。一月だけプラスだったのは九月ですけれども、ほかはずっとマイナスなんですね。結局、令和元年もマイナスということでありました。

 そして、私、いつも思うんですけれども、よく、賃金の話をすると、連合の調査とか経団連の調査ということを言われますけれども、今、連合の組織率は非常に低いですよね。一五%ぐらいしかないと言われています。大半の中小企業の労働者の賃金は連合の調査には入っていないと言っていいと思うんですね。

 したがって、そういうところを指標に判断をすると、結果的に、実際の日本経済の数字を反映していないことになるのではないかというふうに思いますし、やはり、賃金の上昇ということ、中小企業の賃金の上昇がなければ個人消費が上がるということはあり得ないわけですから、やはりこれをもっと私は注目をするべきではないかというふうに思います。

 そして、消費増税の影響をちょっと改めて聞いていきたいと思いますけれども、個人消費に対する影響、そしてまた中小企業に対する影響、さらには地方経済に対する影響、今どのように認識をしておられるかをお答えいただきたいと思います。

西村国務大臣 個人消費について、まずお答えを申し上げます。

 消費は、七―九月期に前期比プラス〇・五、増加をして、その後、消費税率の引上げがございました。先ほど申し上げましたとおり、台風や暖冬の影響も加わって、マイナス二・九%ということで、〇・五上がって二・九落ちた、十―十二月期ですね、そういう状況になっております。

 前回の消費税率引上げの前後を見ますと、前回は、二〇一四年の一―三月期ですけれども、二・〇上がって、税率引上げ後の四―六期が四・八落ちていますので、それに比べると、〇・五と二・九の落ち込みということで、税率の引上げも三%と二%でありますし、今回、軽減税率や幼児教育、保育の無償化を始め、ポイント還元などさまざまな対策を打ちましたので、そうした下支えもあって、駆け込み需要と反動は前回ほどではないという見方をしております。

 ただ、御指摘のように、消費者マインドはまだ低い水準でありますので、消費全体にやはり消費税率引上げというのは一定の影響を与えているものというふうに思っております。

 それが、繰り返しになりますけれども、一月に入って、ようやく薄らぎつつあるのかなというところで、今回のコロナウイルスの感染症の問題が出てきたわけであります。

 地域経済について見ますと、景気ウオッチャー調査において、三カ月前と現在の景況感の変化を示す現状判断DI、これは北海道を除く地域で上昇をしておりまして、消費税や増税についてのコメントをしたウオッチャーの方々の景況感も改善をしつつあります。

 ですから、全体としては消費税率引上げの消費行動に与える影響は和らいできたのかなというふうに思っておりますが、ただし、地域によって、暖冬の影響で雪不足でリゾート地に人が来ないというお話や、あるいは、新型コロナウイルスの影響がもう生じ始めておりますので、現に、一月以降は、イベントや外出自粛の動き、あるいは、百貨店の売上げ、前年比マイナス幅が再び拡大をしてきております。こうした消費や地域経済に与える影響を十分に注視をしていく必要があるというふうに考えております。

 それで、先ほど、賃金のお話もございました。

 御指摘のように、連合の調査が全てをカバーしているわけではございません。ただ、経団連の大企業に比べると、中小企業も含めて二千組合以上の調査でありますので、経団連の水準よりかは低い水準、ボーナスのレベルも低い水準になっていますけれども、伸びは一定程度あります。

 あわせて、賃金の指標を見るときに、一人当たりの平均をとりますと、パートタイムなり非正規の方の比率が上がっているものですから、その方々のが水準が低いものですから、平均をとるとどうしても低く出るということになってしまいます。そのウエートが高まりますので、加重平均すると、どうしても一人当たりはマイナスになります。

 ただ、いわゆる総雇用者所得、全員の所得がどうなっているかを見ますと、これはプラスで推移をしてきておりますので、そういう意味で、一人一人の平均をとるとどうしても統計上マイナスになってしまいますけれども、全体の所得はふえてきていたというところでありますので、こうした所得、雇用の環境の改善が経済の下支えを、消費を支えてしっかり経済を支えてきてくれたものというふうに考えているところであります。

安藤(裕)分科員 ありがとうございます。

 消費税増税後、山形県で百貨店が突然倒産をしたりいたしまして、地方経済にも大きな影響があったのではないかというふうに思っています。

 そして、今、大臣の御答弁でもあったとおり、やはりマイナスの影響は、これはもう認識をしておられるということですし、これがどうやって回復をしていくかということは、やはりこれからしっかり見ていただかなきゃいけないと思いますけれども、そこにまさに新型コロナウイルスの感染症の問題が出てまいりました。

 私も、自分自身の後援会の総会を二月の二十三日に企画をしておりましたけれども、これも延期をいたしましたし、昨日も、京都市内を車で行くことがありまして、行ったら、車が本当に走っていないし、がらがらで、お正月のみんなが休んでいるときみたいな空気感でございました。これが恐らく日本全国で起きてくるんだろうというふうに思います。

 自民党の党大会も延期になりましたし、あれは結局ホテルにとっては売上げが激減するということになるでしょうから、思った以上に大きな影響が出てくると思いますけれども、いろいろお触れいただいておりますが、今の大臣のコロナに対する認識、どのような影響が出てくるか、認識をお伺いしたいと思います。

西村国務大臣 御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響が、経済にも影響を与えてきております。

 一つには、御指摘のように、外国人観光客がまず減りまして、私も京都を視察させていただきましたけれども、清水寺の前の商店街も、本当に、商店会の会長さんにもお伺いしましたけれども、全く減ってしまったということで、おっしゃっておられたとおり、まず、インバウンドの減少が地域経済も含めて影響を与えてきているんだと思います。

 それから、中国向けを始めとする輸出の減少、それから、今度は、中国で部品をつくった場合に、その部品の供給が滞るというサプライチェーンを通じた影響、さらには、中国経済が減速したことによって世界経済全体が減速をして、それによって日本の経済が影響を受けるというその影響、それから、御指摘のようなイベント、外出自粛による影響等々、経済を下押しすることが考えられますし、現にその影響も出始めているということだと思います。

 いずれにしても、これがどのぐらい続くのかということも含めて、どれだけ影響があるのか、しっかりと注視をし、分析をしていきたいというふうに考えております。

 日本人の国内観光客の旅行、宿泊のキャンセル、鉄道客数の減少、それから、今申し上げた、工場の生産にも影響が出てきているという報道もございますし、百貨店の売上げも二月に入って減少しているというデータも公表されているところであります。

 いずれにしても、こうしたことを、どの程度影響を与えるのか、しっかり見きわめてまいりたいと思いますし、現時点においては、緊急対策を取りまとめて、まさに中小企業庁、観光庁で相談窓口を用意しておりますし、そこで資金繰りの相談にも丁寧に応じているところでございます。融資枠それから保証枠五千億円を用意しておりますし、補正予算で手当てをした中小企業対策、こうしたものもぜひ迅速に着実に実行して対応していきたいと思いますし、万が一、事業縮小を余儀なくされて休業する場合に、雇用調整助成金で、中小企業の場合には三分の二の補助も出ますし、要件の緩和も行っておりますので、こうしたものを活用していただきながら、何とか踏ん張っていただきたいというふうに思っております。

 いずれにしても、補正予算を着実に実行し、また、当初予算の中にもさまざまな経済対策の内容が盛り込まれておりますので、この当初予算の早期成立を目指して頑張っていきたいと思いますし、引き続き経済運営に万全を期していきたいというふうに考えております。

安藤(裕)分科員 ありがとうございます。

 本当に、今、現在進行形の新型コロナウイルスの影響ですから、これ以上拡大しないことを祈りますけれども、やはり今既に影響は出てきています。

 そして、これは令和二年の当初予算を編成するときには想定しなかった事態でありますから、やはりこれに対して、今、緊急の対策はしているというものの、この十から十二月のGDPのマイナス幅、それからコロナというものの影響、これを考えていくと、今からでも令和二年の大型の補正予算を考えていくべきではないかというふうに思います。

 そして、以前にも内閣委員会で大臣に質問をいたしましたけれども、やはり、デフレからの脱却、これが今まだなし遂げられていません。デフレではない状況をつくったとはいうものの、デフレ脱却宣言が今できていない。私は、やはりこのことはもっと深刻に受けとめなくてはいけないと思いますし、これだけの事象が起きてきて、そして、デフレから抜け切れない一番大きな要因というのは、やはりプライマリーバランスの黒字化目標が非常に足かせになっているというふうに思います。

 したがって、デフレ完全脱却までは、前も内閣委員会でも質問させていただきましたけれども、デフレ完全脱却するまでは、プライマリーバランスの黒字化目標、これは二〇二五年ということになっていますけれども、これは当面凍結して、これがある限りは、どうしてもそれを目指して財政出動というものの幅が小さくなりますから、当面はこれを凍結して、財政規律は債務対GDP比に重きを置く。

 債務対GDP比を改善するためにPBを黒字化するとよく説明されますけれども、PBを黒字化したからって債務対GDP比がよくなるとは限らない。これは本当に分数の話ですから。分子を小さくしたからって、分母の定義がないのに、分母が小さくなったら債務対GDP比は悪くなるということもあり得るわけですから、このPB黒字化目標は当面凍結していただいて、この後の大型の補正予算をぜひ組むべきだと思いますけれども、大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。

西村国務大臣 安藤委員御指摘のように、デフレから脱却しなきゃいけないということ、これを安倍政権、アベノミクスの第一の大きな目標としてこれまで経済運営をやってきたところであります。

 その中で、御案内のとおり、三本の矢ということで、金融政策、大胆に金融緩和を続けてくれております。そして、機動的な財政政策、それと成長戦略という、この三本の矢であります。まさに、金融政策をこれだけ長く続けてくれている中で、世界的に、今こそ財政の出番だという、大きなそうした共通の認識もあるんだというふうに思います。

 そうしたことも踏まえて、昨年秋に、事業規模二十六兆円ということで経済対策をまとめて、それを具体化していくということで、今回の補正予算が成立をいたしました。それから、当初予算に盛り込んでいるところであります。

 そういう意味で、財政で機動的にやりながらしっかりと経済を下支えして、しかも、その中身は、災害復旧ももちろんありますし、公共事業もしっかりと安心、安全のためにやっていくということですけれども、デジタルニューディールと呼んでおりますけれども、将来に生きるような、子供たちの学校ICT化であったり、あるいは中小企業のICT化、新しい技術を実装していくといったことも今回盛り込んでおりますので、そういう意味で、財政政策と成長戦略を組み合わせたような経済対策になっているわけであります。

 しっかりと財政政策で下支えをしながら、やはり経済再生なくして財政再建なしということでありますので、御指摘のように、経済成長して税収が上がってこないと財政再建はできませんので、PB黒字化が何より絶対だと、やろうと思えば、歳出削減をがんとやればそれはできないことはないわけですけれども、そんなことをしたら生き物である経済が死んでしまいますので、何より経済再生を第一に考え、税収をふやしていくということを頭に置いて進めていかなきゃいけないというふうに考えております。

 そうした考え方のもとで、日本経済、まさに七年にわたるアベノミクスによって、GDPは名目、実質ともに過去最大規模になっておりますし、税収も三十兆円以上増加をし、また、新規国債発行額も八年連続減少、約十二兆円減少しているということであります。PBも約十四兆円改善をしてきておりますので、やはり経済再生なくして財政健全化なしというのが何より大事なことだというふうに思っております。

 御指摘のように、そうした全体のマクロ経済政策を進めながら、やはり賃金が上がっていくことが大事でありますので、中小企業にもしっかり目配りをして、中小企業が賃上げできる環境、これは、今回補正予算の中に入っております、ITを使った生産性の向上ということもそうですし、それから、経済対策の中には、中小企業との取引の適正化、しっかりと人件費なり材料費が上がった分は転嫁をできる、大企業はそれをしっかりと受けとめるという取引適正化についても更に一段と力を入れて取り組んでいきたい。

 経済対策にも盛り込まれておりますので、そうしたことを通じて、デフレ脱却をし、そして税収がふえることによって財政の健全化を目指していくということでありますけれども、御指摘のように、債務残高対GDP比を引き下げていくこと、これは重要であると我々も考えております。

 一方で、負担を次の代へと先送りすることがないよう、財政健全化の通過点としてのプライマリーバランスの黒字化、これは必要であるというふうに考えているところであります。

 ただ、先ほど申し上げたように、絶対、第一主義、原理主義的に考えて、やろうと思えば、歳出をばさっとカットすればいいんですけれども、そういうことはせずに、しっかりと経済を再生させていきながら税収をふやしていく中でこれをぜひ実現していきたいというふうに考えているところであります。

安藤(裕)分科員 ありがとうございます。

 今、大臣の答弁の中でも出てきましたとおり、やはり新規国債の発行額は減っているということですけれども、逆に言えば、これを減らしているということは、国内需要を減らしているということにつながってきますので、結局、それを目的にしている限り、デフレ脱却できずにもがいている状態なのではないかというふうに私は思うんですね。

 やはり経済再生なくして財政再建なしですから、経済の再生をまず第一に、真っ先に考えて、二十年に及ぶ、デフレから抜けられないこの状況、デフレというのはまさに資本主義の病気ですから、この病気を治さないと、幾ら先に進もうと思っても先に進めないというのが、もう重々大臣は御存じだと思いますけれども、そこはぜひ、PBというものがいかにこれの足かせになっているかということを認識していただきたいというふうに思います。

 前に大臣のところにお持ちした提言にも、我々の、若手の勉強会では、消費税は減税してくれというようなことも書きましたけれども、これはきょうは答弁は求めませんけれども、やはり大胆な政策を今こそとるべきではないかというふうに思います。

 次の話題に移りますけれども、次は少子化対策について少しお伺いをしたいと思います。

 昨年の出生数は、衝撃の八十六万四千人ということでございました。九十万人を大きく割り込んでしまったわけですけれども、この数字について、今政府としてどのように受けとめておられるか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

嶋田(裕)政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、二〇一九年の出生数につきましては、前年より五万四千人減少いたしまして、統計開始から初めて九十万人を割り込むなど、我が国の少子化の進行は深刻さを増しているというふうに認識しておるところでございます。

 こうした少子化社会でございますけれども、その中では、個人にとっては、結婚や出産を希望しても実現が困難な社会となっており、あるいは地域、企業、国家にとりましても、地域社会の担い手の減少でありますとか現役世代の負担の増加、あるいは経済や市場の規模の縮小や経済成長率の低下など、個人、地域、企業、国家に至るまで多大な影響を及ぼすものというふうに考えておりまして、その対策にはやはり真剣に取り組んでいく必要があるものと認識しておるところでございます。

安藤(裕)分科員 ありがとうございます。

 少子化対策も、子育て支援とか政府はいろいろやっているわけですけれども、しかし、国立社会保障・人口問題研究所の資料によりますと、結婚している御夫婦は、やはり子供を二人ぐらいはつくっているというデータがございます。したがって、結婚さえしていただければ、子供は二人は欲しいと思っておられると思うんですけれども、問題は、婚姻が減っているということ。したがって、少子化対策には、結婚をしてもらえるような環境を整えるということが私は一番大事なのではないかというふうに思います。

 内閣府の方で取りまとめている少子化の白書にも、このことは問題意識として持っておられると思いますけれども、そもそも、今、若い世代が結婚できないと考えている理由は何か、どのようにお考えか、お答えいただきたいと思います。

嶋田(裕)政府参考人 お答えいたします。

 出生率の低下の主な要因といたしましては、未婚化、晩婚化の進行と、それから夫婦の持つ子供の数の減少がありますけれども、特に未婚化、晩婚化の影響が大きいというふうに言われておるところでございます。

 結婚の希望がかなわないという理由についてでございますけれども、若い世代の結婚をめぐる状況を見ますと、男女ともに多くの人が、いずれ結婚することを希望しながら、適当な相手にめぐり会えないとか資金が足りないなどの理由でその希望をかなえられないという状態にあるというふうに認識しております。

 したがいまして、若い世代の結婚の希望が希望する年齢でかなうような環境を整備するということが重要でございまして、昨年末にいただいた少子化対策大綱の策定に向けた有識者検討会の提言がございますけれども、その中におきましても、雇用の安定など若い世代の経済的基盤の安定を図ることとか、あるいは地方公共団体が行う結婚の希望をかなえる取組も支援していくなどについて御指摘をいただいたところでございまして、結婚は個人の自由な意思決定に基づくものであるということは、十分留意は必要でありますけれども、今後とも、結婚を希望する方々がその希望をかなえられるような環境整備に取り組んでまいりたいと思います。

 以上でございます。

安藤(裕)分科員 ありがとうございます。

 やはり経済的な理由というのは大きな要因であると思いますけれども、そして、現在、就職氷河期世代を、きちんと雇用を安定化させてやっていかなきゃいけないということで、今、政府でも対策を始めています。

 早速中央の公務員で採用を始められたということですけれども、現在、募集した公務員の年収が幾らぐらいになるのか、どういう条件で募集しているのか、それからまた、何人求人をして、それに対して何人応募があったのか、その実績をお答えいただきたいと思います。

田中政府参考人 お答えをいたします。

 厚生労働省の募集について御説明いたします。

 厚生労働省におきましては、まず先行的に就職氷河期の方々の中途採用を実施するということで、主な要件としましては、この四月一日現在で三十五歳以上、五十歳までの方々について募集対象としています。かつ、二〇一九年、令和元年十二月二十五日以前一年間に正規雇用労働者として雇用されていないということと、かつ、二〇一九年、令和元年十二月二十五日以前五年間に正規雇用労働者としての雇用期間が通算一年以下の者ということで、雇用状態が不安定だった方に焦点を当てて募集をさせていただいておるところでございます。

 十名の募集をさせていただきましたところ、千九百三十四名の方から応募をいただいておりまして、現在、選考作業を行っているところでございます。

安藤(裕)分科員 済みません。給与はどの程度で募集しているかをお答えいただけますか。

田中政府参考人 失礼いたしました。

 御指摘の給与水準ですが、例えば、高校卒業が最終学歴の方で、高校卒業後、今回四十歳で採用された場合を考えますと、その方の職務経験に応じてですけれども、月額十八・二万円から二十七・四万円の基本給に、四・五カ月分の期末・勤勉手当や諸手当が加算されることとなります。本省勤務を前提としますと、年収に換算しておおむね三百八十万円から五百六十万円の水準となることが想定されております。

安藤(裕)分科員 ありがとうございます。

 ちょっと大臣に、今の数字を聞いて、御感想を伺いたいと思うんですけれども、年収が四百万前後ということで、それに対しての倍率が百九十倍ということになります。十人の募集に対して千九百人の要望があるということですから、相当これは殺到している状況だと思うんですね。これがこの世代の人たちの現状だと思うんですが、大臣の今のこの数字を聞いての御感想をお聞かせいただきたいと思います。

西村国務大臣 今、厚労省から御説明がありましたけれども、内閣府でも同様に募集を行っております。これは先行的に今年度行っているところでありますけれども、令和二年度から四年度にかけては人事院による統一的な試験実施、これに向けた調整を進めております。ぜひ、これで各府省で採用の取組を広げていただければなという思いであります。

 所得の方は、公務員として一定のルールのもとでやっておりますので、これはそのルールに基づくものだと思いますけれども、応募の倍率が高いということで、不採用となる方が多数出てくると、これはもう非常にじくじたる思いもございます。

 そうしたことも踏まえて、氷河期世代の皆さん方に安定的な就職への希望をかなえてあげたい、何とかしたいという気持ちのもとで、国家公務員だけではなくて、地方公務員、あるいは民間にも力強く働きかけをしておりますし、総務省も協力的に今やってくれております。もう既に三十を超える地方自治体から百数十名を超える中途採用に向けた動きがあるということで、広がりつつあるというふうに思います。

 あわせて経済界にも強く働きかけをしておりまして、例えば安藤議員の御地元でもあります関西経済団体連合会、ここも、来月十一日には就職セミナーを関経連と協力のもと大阪労働局が開くことにしておりまして、五月には合同の面接会も実施する予定にしております。

 こうした動きが経済界にもぜひ広がってきて、国家公務員、地方公務員、そして民間ということで、何とかこの集中期間である三年間で三十万人はふやすという、そうした目標に向けてもぜひ努力をしていきたいというふうに思っております。

 いずれにしても、機運を盛り上げていくことが大事ですので、各県において会議体、プラットフォームを立ち上げていただくことをお願いしておりますが、徐々にこの動きも広がってきておりますので、ぜひこうした動きを更に加速してやっていければというふうに思っております。

安藤(裕)分科員 ありがとうございます。

 今は就職氷河期世代ということで対策していただいておりますけれども、やはりこれは少子化問題にも直結をしてくると思います。やはり若い世代の雇用の安定化と所得の増、それからまた、地方自治体も含めて、公務員の数が、非常時があったときにはもうそれに対応できないような役所の体制になっていると思います。非正規公務員がふえたことによる官製ワーキングプアと言われる人たちも物すごくふえていますから、こういった人たちを救済することによって、少子化も解決に向かうでしょうし、何といっても雇用の拡大と安定感、そして安心した将来の見通し、これをぜひ……

葉梨主査 まとめてください。

安藤(裕)分科員 はい。

 若い人たちが希望を持てるような、そういう社会づくりをぜひお願いしたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

葉梨主査 これにて安藤裕君の質疑は終了いたしました。

 次に、石川昭政君。

石川(昭)分科員 自由民主党の石川です。

 きょうは質問の機会をありがとうございます。

 西村大臣には、各種経済対策等、大変御指導いただいていることをまずもって感謝申し上げます。

 安藤委員とはなぜか問題意識が非常に共通しているところがございまして、質問内容も視点もやはり似ているなと後ろで聞きながら思っていたところでございます。

 やはり、先ほど質問もございましたけれども、内閣府が発表しました月例経済報告、十―十二月期の速報値がマイナス一・六、年率換算マイナス六・三というのを私も聞いて、非常に、想像を超えて悪かったなというふうに衝撃を受けております。

 それから、けさほどは世界同時株安というような様相になっておりまして、ニューヨーク・ダウ平均はマイナスの一千ドル、そして日経平均株価も千円以上の値下げということで、これは、新型コロナウイルスの感染拡大、それが企業生産活動に影響が出ているということであろうと思っております。

 また、先ほどの月例経済報告の中身にもちょっと戻りますけれども、国内の民間投資の先行指数であります機械受注統計も前月比マイナスの一二・五%、それから消費税一〇%の増税の影響で国内消費が前期比マイナス二・九、非常に悪い数字が並んでおります。

 西村大臣、先ほどの御答弁の中で、確かにいい数字もあるかもしれないけれども、我々、地方の経済を見ている者としては、これは本格的に対策しないと景気の後退局面に入ってしまうのではないかという危機感を持っております。

 それに加えまして、やはり機動的な財政運営というものが必要だと私自身は考えております。このままいけば、政府が掲げておりますPBの黒字化目標と物価目標の二%達成というのも極めて難しい状況になってしまうのではないかと思っております。

 今、日銀で金融緩和をやっておりますけれども、もうそれだけでは限界が来ている、ぜひ追加の経済対策をこれから考えていきたいというふうに考えております。

 大臣にお伺いいたしますけれども、やはりPBの黒字化目標というのは柔軟性に欠ける、そして機動性に欠けるのではないか、このPB黒字化目標がデフレ脱却を阻んでいるのではないか、私自身そのように考えておりますけれども、西村大臣の御見解をお伺いいたします。

西村国務大臣 石川議員におかれましては、先ほどの安藤議員とともに、党内で有志で勉強会もされていて、経済の動向あるいは経済政策について勉強を重ねておられること、改めて敬意を表したいというふうに思います。

 今回のGDPの落ち込みについては、先ほど来申し上げていますとおり、やはり消費税率引上げの影響、前回ほどではないにしろ、駆け込み需要と反動がございますし、消費者マインドにもやはりマイナスの影響を与えるということだと思います。

 もちろん、対策としては、しっかりと軽減税率やあるいは幼児教育、保育の無償化をやり、さらにはポイント還元など対策を打っておりますので、一定の消費の下支えの効果はあったものと思いますけれども、落ち込みがあったことは、これは事実でございます。それに加えて、暖冬や台風の影響などもあって、想定した以上の落ち込みになったということでございます。

 設備投資についても、足元の数字だけ見ると悪い数字ではなく、それから、企業収益も引き続き高いものがございます。雇用、所得の環境も改善が続いてきているものというふうに思いますけれども、しかし、足元の新型コロナウイルスの影響、これは各地で、地域経済始め影響を与えておりますので、しっかりとその中身を分析しながら、よく注視をしていきたいというふうに考えております。

 御指摘のように、三本の矢でやってきた中で、やはり財政の重要性については、これは世界でもそうした認識が共通認識に、広がってきていると思いますし、今回のG20の財務大臣・中央銀行総裁会合、代表会合でも、まさにあらゆる政策を動員してこれに備えていくんだという趣旨の声明がまとめられたというふうに承知をいたしております。

 我が国としても、昨年、まさに海外発のリスクに備えようということで、二十六兆円事業規模の経済対策をまとめて、補正予算も成立いたしましたので、まずはこの補正予算を着実に、そして迅速に実行していく。この中には中小企業対策や地域経済対策が入っておりますので、これをまずは着実に実行していきたいというふうに考えております。

 足元は、中小企業庁、観光庁でも相談窓口を設けておりますし、融資枠、保証枠も設けております。五千億を確保しておりますし、それから雇用調整助成金もありますので、影響を受けている皆様方におかれては何とかこうしたことで踏ん張っていただきながら、我々としては、補正予算を着実に実行して、そして当初予算も早期に成立を目指して努力をしているという中で、経済運営には万全を期していきたいというふうに考えているところであります。

 その上で、PB黒字化については、まさに我々、経済再生なくして財政健全化なしということでありますので、やはり経済再生して税収がふえないことには財政健全化はできませんので、PB黒字化、私どもは通過点として必要なものというふうに考えておりますけれども、これを何よりの至上主義、第一にこれをやらなきゃいけないということでもし考えれば、歳出をプライマリーバランスゼロになるように大胆にカットすれば、それはできないことはないわけですけれども、そうすると、まさに生き物である経済が、社会保障費が削られたり、公共事業費が削られたりして地域経済や我々の生活に大きな影響を与えますので、そうした考え方ではなくて、経済再生しながら財政健全化していく、そのもとでの、通過点としてのプライマリーバランスだというふうに我々は考えておりますので、ぜひ御理解をいただければというふうに思います。

石川(昭)分科員 大臣がおっしゃるように、あすからでも黒字化、大胆に歳出カットをすれば可能なわけですけれども、そうもいかない。

 そんな中で、一定の指標として、何か使うべき指標があるかといえば、やはり債務対GDP比の比率に重きを置いて対策するということが機動的かつ柔軟な経済財政運営につながるのではないか、私自身そのように考えております。

 平成を振り返りまして、どういう経済だったかというと、やはり、政府は財政再建と構造改革というものを主軸に置いて優先することで、景気回復を完全に果たせぬまま、失われた三十年というものをつくってしまったのではないかなと思っております。

 加えまして、円高とそれからグローバル経済の中で、特に地方で雇用を生んでいた工場の海外シフトが進んでしまった、それによって国内雇用を失っていくことになりました。特に深刻なのは、地方における女性の仕事がなくなってしまったことだと思います。それが一極集中を招いて、地方の人口減少に大きく影を落としているというふうに思っております。就職氷河期世代というのは、まさにその時代の中の一つの犠牲者ではないかなというふうに思います。

 令和新時代において、特に地方の雇用を創出するために政府はどのように今後取り組んでいくのか、取組をお伺いしたいと思います。

藤原大臣政務官 お答えをいたします。

 今委員御指摘のとおり、地方における企業の雇用そして女性の雇用ということは、人口減少の観点からも非常に大事な課題であると認識しております。

 まず、企業の件について申し上げますと、現行の制度の中では、雇用創出という観点から地方拠点強化税制制度を措置しているところでありまして、実際に、本税制を活用いたしまして東京二十三区から地方に、例えば茨城県においても、事務所や研究所を移転した、そういうような事例も見られているところであります。

 現在、令和二年度の税制改正においては、雇用増加に対してのインセンティブを強化するなど、本税制の見直しを行うことで利用拡大に積極的に取り組んでいくところであります。

 また、女性についての件でございますけれども、これについては、女性活躍推進法に基づいて、企業における職場環境の整備に向けた行動計画の策定の推進、あるいは、えるぼし認定制度を通じた企業による女性活躍推進の支援、そして、地方創生推進交付金等によりまして、職についていない女性の掘り起こし、そして受入れ企業の環境づくり、マッチングを一体的に実施する都道府県への支援などを行っております。

 政府としては、引き続きこれらの取組を行っていくと同時に、必要があれば、それを拡大して取組を進めていくということであります。

石川(昭)分科員 ありがとうございます。

 そもそも地方創生がスタートしたのはなぜかというと、地方における適齢期の女性の人口が激減するんだ、そういう推計データをもとにはじき出し、地方創生というものが必要なんだということで、やはり原点に返って、一極集中をいかに逆の流れへ、分散させていくかということも、ぜひそういう観点で、地方創生、先ほどいろいろな施策、地方移転推進の税制優遇をやっていただいているのはもう重々承知でありますけれども、更にもう一段私は力を入れてやっていただきたいというふうに、これは要望させていただきます。

 次に、就職氷河期世代支援に関する行動計画二〇一九についてお伺いいたします。

 私自身も就職氷河期世代ですが、希望する就職に失敗をし、不本意ながら非正規雇用で働いている、そのまま年齢を重ねてまいりました。まさに、大切な人生の中で、社会人として能力を存分に発揮することができなかったロスジェネ世代とも言われております。ちまたでは、結婚適齢期を考慮すると、この施策があと十年早かったらという声も上がっているところでございます。

 欧米では、若年層の失業問題というのが世界的に問題になっておりまして、これが政治の不安定化を招いている。もう今や、就職氷河期世代は、子育てと親の介護とダブルケアがのしかかってきておりまして、まさに安定した職業につくということは喫緊の課題であります。

 政府がこれまでこうした就職氷河期世代に対して集中的に支援の手を差し伸べることがなかった、その理由はどこにあるのか、そして今回、本格的にこうした世代に集中的に支援に乗り出した、その狙いと理由をお伺いいたします。

西村国務大臣 大変大事な、重要な御指摘をいただいたというふうに思っております。

 政府としては、これまでも、第一次安倍内閣におきまして、再チャレンジ支援を始めとして就職氷河期世代の支援に資する施策を実施してきたところではありますけれども、厚労省を始めとして各省庁が部局ごとに施策を実施してきた、その結果、施策の全体観とかあるいは周知の面を含めて、必ずしも効果が万全にならなかったということも考えられます。御指摘のとおり、この世代に特化した集中的な施策に取り組んでこなかったという面もあるんだと思います。

 結果、依然として、希望する就職ができず、不本意ながら不安定な仕事についている方、あるいは無業状態などさまざまな課題を抱えておられる方が百万人程度はおられるというふうに思います。

 こうした方々は、学卒時に不安定な就労、無業に移行したこと、あるいは、就職できても、本来の希望職種あるいは希望企業以外での就職を余儀なくされたことによる早期離転職等によって、継続しての能力開発の機会が得られなかったこと、あるいは、年齢を重ねるにつれて、新卒一括採用や年功序列といった企業側の人事採用慣行等もあり、安定した職につく機会が制約されやすいという面もございます。また、不安定な就労状態にあるため、収入が低く、将来を含めた生活基盤への不安、あるいは年金や医療などのセーフティーネットへの不安、こうしたものもあるわけであります。

 こうした課題を抱えておられると考えられる中で、更にこの方々が年齢を重ねていく中で、それぞれの人生設計において大変重要な局面を迎えておられるということだと思いますし、また、いわゆる八〇五〇問題等の複合的な課題も含めて、こうした課題に取り組む重要性が増してきているというふうに認識をしているところであります。

 また、雇用情勢が着実に改善している現状は、この就職氷河期世代の方々にとっても、活躍の場を更に広げるための絶好の機会、チャンスでもあるというのも事実であります。

 こうした背景を踏まえて、昨年六月に骨太の方針において就職氷河期世代支援プログラムを取りまとめ、三年間の集中的な支援に取り組む方針を打ち出したところでありますし、厚労省に加え、関係省庁、文科省など連携のもと、政府一丸となって政策を実施する体制を内閣官房に整備をしたところでございます。

 御指摘の行動計画に基づいて、お一人お一人の事情に寄り添いながら、さらなる活躍に向けて、まずはこの三年間、集中的に政府を挙げて取り組んでいきたいというふうに考えております。

石川(昭)分科員 ありがとうございます。

 自民党青年局で活動していたときに、日本には若者省みたいなものがないと。海外ではあるところがあって、若者にフォーカスした省庁があるということで、私はこれが、先ほど大臣がおっしゃっていただいたんですけれども、各省庁ではやっているんです、サポートステーションとかいろいろやっているんですけれども、それが響いていかなかったのが理由の一つかなというふうに思います。

 また、非正規雇用制度の短期労働者の皆さんは、多様な働き方をしていくというよりも、むしろ、今現在、雇用者側の単なる雇用の調整弁になっているんじゃないかというふうに私は危惧しているんですけれども、今の現状認識をお伺いします。

本多政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、近年、非正規雇用労働者は増加傾向にございまして、令和元年平均で二千百六十五万人と、雇用者全体の約四割を占めておりますが、その増加の背景には女性や高齢者の就労参加が進んでいることが考えられます。

 派遣労働者数につきましては、制度改正だけでなく、景気や雇用失業情勢のほか、多様な働き方を希望する労働者の方の意向など、さまざまな要因に影響を受けているものでございますが、近年はおおむね百三十万人程度で推移をしております。

 一方、派遣労働者を含めた非正規雇用労働者につきましては、御指摘のとおり、雇用が不安定、待遇が低いなどの課題がありまして、正規雇用を希望しながら不本意に非正規雇用で働く方が一定おられることも事実でございます。

 こうした不本意非正規雇用労働者の方の割合は一〇・九%と、二十四四半期連続で前年から低下している状況でございますけれども、引き続き、希望する方が正社員として就業できるよう、キャリアアップ助成金の活用等によりまして正社員転換を推進するとともに、同一労働同一賃金の実現等により非正規雇用で働く方の待遇改善を推進してまいりたいと考えております。

石川(昭)分科員 ありがとうございます。

 政府もそういった方々の待遇改善に、処遇改善にさまざま取り組んでいることは私は承知をしておりますし、評価をしております。

 そんな中で、改正労働者派遣法の三年ルールと労働契約法の五年ルールによって正規雇用への転換措置が図られているところであります。このルールに基づいてやっていきますと、直前で雇いどめが発生しているのではないかというふうに言われておりますが、これらの施策の政策効果は果たして出ているのか、お伺いいたします。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の労働者派遣法における雇用安定措置、それから労働契約法における無期転換ルールは、いずれも非正規雇用で働く方の雇用の安定を目的としたものでございます。

 まず、労働者派遣法でございますが、労働者派遣法における雇用安定措置の履行状況につきまして、平成二十九年度の労働者派遣事業報告では、派遣先の直接雇用を依頼した方のうち、約二万人が実際に派遣先で雇用されております。また、派遣元事業主において派遣労働者以外の労働者として約一万人が無期雇用されているといったことが数字として出ておりまして、一定程度、この仕組みは雇用の安定につながっているものと考えているところでございます。

 なお、御指摘の雇用安定措置の適用を免れる目的で雇いどめを行っているというような場合には、そういった事案を把握した場合には、都道府県労働局において必要な指導を行うなど適切に対応してまいりたいと思っております。

 それから、労働契約法の無期転換ルールでございますが、これについては、施行から五年が経過した一昨年、平成三十年の四月から多くの労働者の方に申込権が発生をしております。

 引き続き、制度の実施状況の把握に努めますとともに、無期転換ルールの適用、これを意図的に避ける目的で雇いどめを行うといった事案を把握した場合には、都道府県労働局において啓発指導を行うなど、今後とも適正に対応してまいりたいと考えております。

石川(昭)分科員 ありがとうございます。

 これらの施策によって非正規から正規雇用に転換していくわけですけれども、これらが今回の就職氷河期三十万人目標に果たしてカウントされるのかどうか、そのあたりの見解をお伺いします。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のとおり、私ども、三十万人の正規雇用をふやすということを目指しております。

 他方で、今御議論のありました労働法制の改正を始めといたしまして、広く非正規雇用者の雇用の安定ですとかあるいは処遇の改善に資する施策というもの、これらにつきましては行動計画の中には位置づけてはいないところでございます。

 ただ、これらの施策、就職氷河期世代の方々にとりましては、結果として、正規雇用の増加などプラスの政策効果を生むと考えているところでございます。加えまして、先ほど大臣からもお話ございましたけれども、民間企業の方々が積極的な採用を行った場合にも、当然のことながら、プラスの効果を生むものと考えております。

 私ども政府といたしましては、行動計画を定めましたので、行動計画に定められたものをしっかりと実行していくことで目標の達成を目指すこととしておりますけれども、それ以外の施策について、その効果を排除するものではないと考えているところでございます。

石川(昭)分科員 なかなかこれは明確に線引きできないところは確かにあるかと思いますが、三十万人という大きな目標の中で、達成できないような目標ではないと思いますので、ぜひ政府全体で取り組んでいただきたいと思います。

 また、現在、高齢者が七十歳まで働けるように、企業に定年延長の努力義務を求める高年齢者雇用安定法を改正する方針を打ち出しております。その一方で、企業の新陳代謝という意味では、会社のポストがあかなければ、なかなか中途採用も進まないわけですね。その中で、この就職氷河期世代の中途採用と定年延長は相矛盾している政策に見えるんですけれども、このあたりの整合性について見解をお伺いします。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 まず、就職氷河期世代の方々への支援につきましては、その意欲、経験、能力を生かせるチャンスを広げるため、伴走型の就職相談体制の確立、即効性のあるリカレント教育の確立など、三年間の集中プログラムに基づいてあらゆる支援策を講じることで、正規雇用者の三十万人増加などに着実に取り組んでまいりたいと考えております。

 一方、先生御指摘のとおり、七十歳までの就業機会の確保を企業の努力義務とする高年齢者雇用安定法の改正案を先日閣議決定をしまして、国会に提出させていただきました。

 今般の改正案は、少子高齢化が急速に進展し人口が減少する中で、経済社会の活力を維持するために、働く意欲がある高齢者の方がその能力を十分に発揮していただきたいということで、六十五歳まで現在雇用確保の義務を課しているところでございますが、この上に、更に七十歳までの就業を確保することを企業の努力義務とするという内容で御提案させていただいているところでございます。

 今後、高齢者雇用の将来を考えますと、二〇三〇年代半ばに、いわゆる団塊二世と言われる方々が六十歳代半ばに到達してまいります。そういった時間軸も見据えながら、この七十歳までの就業機会の確保の政策については、事業主の理解も得ながら進めてまいりたいと考えております。

 こういった形で、就職氷河期世代の方の安定就職、また高齢者の方の能力発揮、いずれも重要な政策課題でございますので、それぞれの政策が目的達成できるよう適切に進めてまいりたいと考えております。

石川(昭)分科員 ありがとうございます。

 つまり、これから再就職あるいは中途採用された今の若い人たちが更に七十歳まで働けるということは、年金、介護、医療、こういった社会保障財源にも一定の効果が出てくるというふうに理解をしたところです。

 今回の支援プログラムの対象になっている世代というのが、最初は三十五から四十五歳程度をレンジとして置いていたんですけれども、やはりその中には一浪した人もいるし、就職浪人した人もいるし、高卒の方もいらっしゃいますので、そのあたりの一定の年齢の線引きが果たして妥当なのか、もっと柔軟にすべきだというふうに私は考えております。それについての見解が一点。

 それと、時間の関係で、先ほど申し上げた年金の積立期限との整合性とかあるいは待遇、こういった問題について整合性をいかにとっていくか、就職氷河期の人に不利に働かないような制度にすべきだというふうに考えていますけれども、政府の見解を、この二点、お伺いいたします。

多田政府参考人 一点目の御質問について、私の方からお答え申し上げたいと思います。

 先生御指摘のとおりなんですが、就職氷河期世代、これを厳密に定義しているわけではございません。私ども、一般的には、バブル経済が崩壊し、多くの企業で新規採用を大幅に抑制するなど、雇用環境が厳しくなった時期に就職活動を行わざるを得なかった世代の方々ということで、おおむね、平成五年、一九九三年から平成十六年、二〇〇四年に学校の卒業期を迎えた世代と認識をしております。

 ただ、一口に学校といいましても、先生もお話がありましたように、大学あるいは高校さらには大学院、さまざま事情が異なりますし、さらには、浪人でありますとか留年、あるいは留学を経験されたりする、こういった形でお一人お一人によってさまざまな事情がございますので、現在の年齢、幅を持って見る必要があることは御指摘のとおりかと思っております。

 したがいまして、私ども、就職氷河期世代支援の実施に当たりましては、こうしたお一人お一人のさまざまな事情を踏まえて柔軟な対応を行うことが重要だ、このように考えておりまして、関係府省とも認識を一つにして取組を進めてまいりたいと思っております。

日原政府参考人 二点目の点についてお答えさせていただきます。

 いわゆる就職氷河期世代の方々が現在既に三十代半ばから四十代半ばでおられるということを踏まえますと、パート、非正規雇用で働く方々に対しまして、被用者保険の適用拡大を通じて将来の年金給付の充実を図ることは喫緊の課題であるというふうに考えてございます。

 今国会に提出を目指しております年金制度改正法案におきましては、中小企業の負担に配慮しつつ、労働者の保障をできる限り充実させるために、二〇二二年の十月に従業員数が百人超の企業まで、さらに、二〇二四年の十月に五十人超の企業まで被用者保険の適用拡大を進めることとしておりまして、このスケジュールに沿いまして適用拡大を進めていくことが就職氷河期世代の方々の年金給付の充実のためにも重要であるというふうに考えてございます。

 また、国民年金につきましても、経済的に保険料の納付が困難な方には免除や納付猶予の勧奨を行っておりますほか、過去に保険料の免除や猶予をされていた方に対しましては追納をお勧めするお知らせをお送りするといった取組を行っておりまして、今後とも、就職氷河期世代の方々を含め、将来の年金が適切に確保されるように取り組んでまいりたいと考えております。

石川(昭)分科員 ぜひ不利に働かないような制度を実現していただきたいと思います。

 それでは、時間の関係で、予定していた質問を後日に回すことにいたしまして、障害者の方が使っている高速道路料金の割引制度についてお伺いします。

 現行制度では、自家用車を事前に登録して、そのナンバーの車で利用した場合には割引をする、そういう制度設計になっております。

 しかしながら、営業車、緑ナンバーはこの制度を利用することができないということになっています。それは、悪用を防止するという観点から、一定の厳格な制度運用の必要性というのは理解いたしますけれども、自家用車を持っていない方に対する柔軟な制度運用が必要ではないかという現場の声もあるんですけれども、それに対する政府の対応はいかがになっているか、お伺いいたします。

葉梨主査 国交省長橋道路局次長、簡潔にお願いします。

長橋政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、有料道路における障害者の割引制度は、割引自体が減収を伴うものですので、利用者全体の負担でカバーするということを考えますと、利用者全体の広く理解を得られるということでこれまでも実施してきております。

 御指摘のような障害者割引についても、通勤、通学、通院など、自家用車を日常生活の中で利用する必要がある障害者の方の自立支援ということで、今御指摘あったように、自家用車について、障害者一人について一台の登録ということで、今割引を実施させていただいているということでございます。

 御指摘のような営業車両を利用するケースもあろうかと思いますが、営業車両を障害者割引の対象にしようと思いますと、その車両の登録自体は、多分、営業車両で登録というのはなかなかできないと思いますので、そうしたことによって、例えば、料金所によって障害者の乗車を確認する行為とか、そういったことで応対時間が増加するとかいろいろな、料金所の渋滞が懸念されるようなこともありますので、現状ではちょっと導入は難しいと考えておりますけれども、国土交通省としては、高速道路会社とともに、このような課題の解消に向けまして、引き続きこれは検討はしていきたいと考えてございます。

 なお、委員は御存じかもしれませんが、重度障害者の方が自分の家族や親族以外から介護を受けているケースについては、所有者でなくても、介護者の所有ということで登録することは平成六年から可能ということで、制度はやらせていただいてございます。

 また引き続き検討してまいりたいと思います。

石川(昭)分科員 ありがとうございました。

 以上で終わります。

葉梨主査 これにて石川昭政君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

葉梨主査 次に、国会所管について審査を進めます。

 質疑の申出がありますので、これを許します。佐藤英道君。

佐藤(英)分科員 公明党の佐藤英道でございます。

 本日は、国会所管について質問を随時させていただきたいと思います。

 私は、一昨年の十月から一年半近く議院運営委員会理事を務めておりまして、国会運営全般にかかわらせていただいております。その中で、事務総長を始め、衆議院事務局や法制局の幹部の皆様方とかかわりを持ってまいりました。

 それまでは、委員部や調査室等の職員の方々と個別のおつき合いはあったわけでありますけれども、議運の理事になりまして、議運で国会の予算について決定することもあり、衆議院の事務局や法制局の組織全般について関心を持つようになってまいりました。

 一度、事務局や法制局の各部署を自分の目で見てみたいと思いまして、先日も、二時間ほどかけまして、駆け足でありましたけれども、主要な部署を見せてもらいながら、簡単に業務の説明も頂戴をさせていただいたところでございます。

 実際に、各部署を見て回りますと、多くの職員の方々が地道に働いて、非常にいい仕事をされていることがわかり、大変に有意義な視察となりました。特に、調査局におきましては、多くの有益な資料集を出されていることを拝見し、感銘も受けました。他方、部署によっては、職場環境の改善をしてあげた方がいいのではないかと感じるところも多々あったのも事実でございます。

 本日は、事務局や法制局の皆さんがより一層やりがいを持って働けるようになり、それによって国会全体の機能強化が図られるということを願いまして、事務局、法制局の職場環境、労働環境の改善に関する事項、また、それ以外の国会全体にかかわる事項について幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 まず、総論的なことから伺ってまいります。

 憲法上、国会は国権の最高機関であり、唯一の立法機関とされておりますけれども、我々国会議員が充実した議員活動を行い、国会の立法機能や行政監視機能を十分に発揮していくためには、それを裏で支えてくれる事務局や法制局といった立法補佐機構の充実強化が重要であると考えております。

 そこで、まず最初に、事務総長に、衆議院事務局のあるべき姿はどのようなものと考えておられ、また、今後事務局が機能を強化していくには何が重要と考え、どのような取組を進めていこうとされているのかについて御所見を伺いたいと思います。

岡田事務総長 佐藤先生には、日ごろから御指導をいただいておりますが、今般、事務局、法制局の各部署を御視察賜りまして、職員の職場環境の改善に御配慮をきょうの御質問でいただきますことに感謝を申し上げたいと思います。

 まず、衆議院事務局のあるべき姿についてでございますが、先生御指摘のとおり、本院の立法機能や行政監視機能が十分に発揮されるよう、衆議院事務局として、正副議長、委員長を始め、先生方のさまざまな活動、当然のことでございますが、本会議、委員会の活動を公正不偏かつ誠実に補佐することによりまして、諸般の業務を国権の最高機関を支えるという誇りを持って適時適切に行い、もって議会制民主主義の発展に貢献することが事務局の役割であるというふうに心得てございます。

 次に、何を重要と考え、どのような取組を今後進めていくかということでございますが、事務局の各職員が議員や国民に対し、常にお客様ファーストの精神を持ちまして、自分たちには何ができるか、定型的な業務以外にも仕事をつくり出して積極果敢に挑戦をしていく、こういったことを常に肝に銘じながら、衆議院事務局を先生方や国民の皆様から確固たる信頼を得られる組織にする、このことが重要と考えてございます。

 そのためには、私も含めまして幹部職員が率先して職員のさらなる意識改革を図りまして、例えば、さまざまな研修や対外情報発信等の新しい取組も通じまして職員の説明能力を向上させ、さらに、関係部局が十分な連携を強化していくということで、衆議院事務局全体の底上げを図ってまいりたいと存じますので、どうぞ引き続き御指導、御鞭撻を賜りますようお願いいたします。

佐藤(英)分科員 今、総長から、お客様ファースト、また、仕事をつくっていくんだ、そういうみなぎる決意もございましたので、御期待を申し上げたいと思います。

 次に、新型コロナウイルスに関する国会の対応について伺います。

 今、喫緊の課題となっております新型コロナウイルスの感染拡大に関し、国会としてどう対応すべきかについて伺いたいと思います。

 現在、日本国内においても感染者が拡大しつつあり、今後、国会において、議員や国会職員、政府職員等において感染者が発生した場合にどのような対応をすべきかを考えておく段階に来ているのではないかと私は思います。

 厚生労働省では不要不急の集まりを控えてほしい旨呼びかけておりますけれども、本会議や委員会は当然ながら不要不急なものではなく、集まらざるを得ないわけで、感染の危険性は否定できないのではないかと考えます。

 新型コロナウイルスに関して国会としてどう対応すべきか、最終的には議運で決めることになろうかと思いますけれども、現段階において事務局で検討している内容があればお伺いしたいと思います。

岡田事務総長 新型コロナウイルスに関する対応でございますが、現状の措置といたしましては、感染の拡大を防止するという見地から、本館、議員会館等の出入り口等への手指消毒液の設置、手洗い、せきエチケットの励行ポスターの掲示、あるいは必要箇所の消毒等、これは参観、傍聴も含めてでございますが、適宜行っておるところでございます。

 今後は、状況の推移、これは日々刻々変化してございますので、そういったものも十分に注意しつつ、こうした対応の拡大も図ってまいりたいと思います。

 いずれにいたしましても、国会の参観や傍聴、建物への入館、それから情報共有や連絡体制のあり方、また、先生お話がございました本会議や委員会等の対応、こういったものにつきましてもし一部自粛や一部制限あるいは中止といったことに及ぶようなフェーズになりましたら、そのことにつきましては、まさに議院運営委員会理事会で御協議をいただき、御決定をいただくことになろうかと思いますので、そういったことも含めまして、今、鋭意事務方で検討を進めているところでございます。

 なお、本件は、国会全体として対応が求められていく、そのことを承知してございまして、参議院とも十分に情報の共有、あるいは統一的な対応となるように十分にしっかりと連携をとって進めてまいりたい、以上のように存じております。

佐藤(英)分科員 ぜひ、最悪の事態ということも想定しながら、御検討をお願いしたいと思います。

 また、次に、委員室の増加及び委員部の執務環境等について、私も、先日の視察を踏まえながら、感想を踏まえながら提言をさせていただきたいと思います。

 まず、委員会に関する件で、まず委員室についてですが、現在、衆議院の委員室は、本館に五部屋、分館に八部屋の合計十三あり、それを十七の常任委員会、九つの特別委員会、憲法審査会が使用することになっておりますが、時には、多くの委員会が同じ日に開かれると委員室のやりくりに苦労することがあると伺っております。

 将来的には、分館を増設するなどして、少なくとも各常任委員会は専用の委員室を持てるようにすることが私は理想ではないかと考えます。本来議運で議論すべき問題だと思いますけれども、事務総長の知見をお伺いしたいと思います。

 次に、今回、事務局、法制局の各部署を拝見しまして、委員部の職員がいる第一別館という議員面会所や郵便局のある建物でありますけれども、これは昭和三十三年六月の竣工で、院内の建物の中では、昭和十一年十一月竣工の議事堂の本館に次いで古い建物であると伺いました。そうした理由もありますけれども、執務環境は必ずしもよいとは言えないように私は感じました。

 将来的には、分館の増設とあわせて、委員室のすぐ横に委員部の執務室を置くといった抜本的な見直しも考えてはいかがかとも思います。事務局の所見も伺いたいと思います。

 また、委員部の職員の方々は委員会前日には夜遅くまで残る方が多く、特に予算の担当者などは、連日夜遅くまで仕事をした上で翌日は朝早く出勤していることもあると伺っております。

 これについては、質問通告が遅いとか政府参考人の登録が遅いというような問題もあるようで、議運においても何らかの抜本的な改善を図る必要があるところではあると思いますけれども、現在の夜遅くなる状況への対応策として、タクシー券の利用のほかに、事務局において宿泊所も確保しているようではありますけれども、可能であれば、より一層の充実を図ってはいかがでしょうか。あわせて御所見を伺ってまいりたいと思います。

岡田事務総長 先生御指摘のとおり、会期末に一斉に閉会中審査手続の委員会が開かれる場合ですとか、委員数が同じ規模の委員会が一度に多く開かれる場合には、現実、委員室が不足して、各委員会間で開会時刻を調整したりしてやりくりをしている、そういった面はございます。

 なかなか、現状におきましては、分館の増改築、これは容易ではないというふうに思われますが、先生御提案のとおり、各常任委員会に専用の委員室がございますれば、常任委員会は少なくとも委員室の確保という制約がなくなりますので、機動的な開会も含めまして、委員会審議のより一層の充実に資するという点で望ましいことだというふうには存じます。

 ただ、我が国の財政状況が厳しい中で、直ちに新たな建物の建設を計画することはなかなかに難しいというふうに存じますが、委員室のございます分館と、それから委員部の執務室がございます第一別館、この両方を全体的に見まして、委員室の利便性、事務方の執務環境等につきましては、諸室の配置の工夫など、既存の施設を最大限活用することで改善を図っていくことができないか、そういった観点からも鋭意検討をしてまいりたいと存じます。

 それから、宿泊場所についても御配慮を賜りました。

 現在、深夜勤務の際に衆議院事務局職員が宿泊可能な場所といたしましては、一つには第二別館に男女別畳敷きの仮眠室がございますが、いずれにしましても、先生の御指摘も踏まえまして、例えば、設備のメンテナンスの充実を図る、あるいは清掃回数の増加、そういった環境整備にも努めてまいりたいと存じます。

佐藤(英)分科員 また、細かい話になりますけれども、第一別館は個別の冷暖房がなくて、一定の時間になると切られてしまいまして、真夏や真冬は厳しい状況になるようでありまして、必要に応じて冷暖房の入る時間も延長できるようでありますけれども、真夜中まで全館の冷暖房を入れるのは効率的ではないと思いますので、忙しい部署には個別の冷暖房を入れてはどうかと思います。いかがでしょうか。

 また、あわせて議事堂本館についても、衆議院では各控室に個別の冷暖房がつけておられないわけでありますので、大変に不便なこともあります。ここもぜひとも検討をしていただければと思いますが、いかがでしょうか。御答弁を伺います。

岡田事務総長 空調の運転時間につきましては、省エネルギーの観点から、原則として午前八時から午後七時までということで運用をしてございますが、当然のことでございますが、気温、一律に室温ということだけではなくて、湿度も加味した不快指数といったことも考えながら、あるいは各部屋の利用の状況なども踏まえながら弾力的な運用には努めているところでございます。

 他方、今、個別空調の必要性についても御意見をいただきまして、そういった声もまた聞いてございますが、いずれにいたしましても、クールビズの申合せを毎年行っていること、あるいは、昨今の猛暑、酷暑という気温の上昇傾向なども踏まえまして、快適な執務環境の確保に向けて、今後も一層、柔軟な運用に努めてまいりたいと存じます。

佐藤(英)分科員 ぜひ前向きに御検討いただくようにお願いをしたいと思います。

 次に、ICTの活用でありますけれども、本年度の衆議院の予算におきまして、ICT活用に関する検討調査費が七百万円認められまして、それを使って事務局の事務次長を座長とするプロジェクトチームにおいて検討が進められ、昨年十二月に報告書が議運の理事会に提出されました。海外の事例や地方議会の事例の調査や論点整理を行ってもらったもので、大変に立派な報告書になっておりました。改めて、取りまとめに当たった事務局の皆様方には敬意と感謝をしたいと思います。

 今後は、私から議運の理事会において、各委員会での質疑者や政府のタブレット端末等の利用を認める試行を提案し、鋭意検討を進めていきたいと考えておりますが、職員の皆様方からも、業務の効率化のためにさまざまなデジタル化の推進の要望があるようですので、事務当局におきましても適宜御検討をお願いしたいと思いますが、所見を伺います。

岡田事務総長 本院におきましては、平成九年以降、ICTの発展に対応いたしまして、衆議院LANの構築を計画的に整備、推進をしてございます。事務局及び法制局の職員につきましても、同年にパソコンを整備したことを手始めに、順次、必要なシステムの整備や機能の強化を実施しているところでございます。

 先生御指摘のように、ICTの進展は目まぐるしく、そういったものを活用することによって一層の業務効率化が実現できる部分もあると考えてございますが、一方で、サイバー攻撃も日々高度化、深刻化しており、サイバーセキュリティー対策もしっかりと講じていく必要がございます。そのあたりのバランスも考慮いたしまして、費用対効果も検証した上で、適宜、必要なデジタル化の推進を図ってまいりたいと存じます。

佐藤(英)分科員 次に、院内のバリアフリー化の推進についてお伺いしていきたいと思います。

 衆議院においても、障害を持つ議員や傍聴者、参観者、職員等のためにどのようなバリアフリー化が進められてきているのか、また、職員の障害者雇用をどのように進めてきているのかについて、現状及び今後の予定をお聞かせいただければと思います。

岡田事務総長 衆議院のバリアフリー化につきまして、設備面では、今年度は、議員会館の多目的トイレへの点字シールの設置、第二別館に多目的トイレの増設を行いましたほか、本館・分館連絡通路昇降機の大型車椅子対応への更新を進めてございます。来年度につきましては、本館三階及び分館二階の多目的トイレの改修を予定してございます。今後も、ニーズに応じて機動的な対応を図ってまいりたいと存じます。

 ソフト面では、大型車椅子を使用される参議院議員の衆議院内における活動の際には、通行経路、議場スペースの確保及び職員によるサポート体制を整えてございまして、傍聴、参観等の来訪者に対しても、障害者差別解消法の趣旨を踏まえ、衆議院事務局における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領等に基づき、日ごろから可能な限り配慮の提供に努めているところでございます。

 障害者の雇用につきましては、令和二年一月一日現在の障害者雇用促進法に基づく衆議院事務局の障害者雇用者数は四十二・五人でございまして、同法の基準日における法定雇用数は三十六人でございますから、同法の定める目標は達してございます。

 現在は、同法により本年四月一日までに定めることとされている障害者活躍推進計画の策定に取り組んでおりまして、障害を持つ職員への定期的なフォローアップや、非常勤である職員の常勤職員への転換、働きやすい職場環境の整備等を積極的に行いまして、職場への定着を図るとともに、障害者の雇用の拡大にも努力をしてまいりたいと存じます。

佐藤(英)分科員 よろしくお願いします。

 次に、衆議院事務局の定員管理のあり方について伺ってまいりたいと思います。

 我が国の財政は厳しい状況にありまして、各省庁においては、歳出の不断の見直しと構成、人員の厳しい査定が毎年行われています。国会の各機関や国会図書館においても、政府の取組に準じた取組を行ってきていると聞いております。

 政府においては、平成十八年度からの五年間で五%の純減が行われ、衆議院事務局においても同様の取組がなされたと聞いておりますが、政府の場合、平成十七年と二十七年の行政職俸給表(一)の在職者総数を比べると、地方機関で定員合理化のしわ寄せがなされた一方で、本府省の職員数は増加しており、その間同様の取組を行った衆議院事務局では職員の総数が減少するという現象が生じたのではないでしょうか。さらには、採用抑制を中心に対応を行ったため、年齢構成にも影響が生じたと伺っております。

 今後、例えば一般職の国家公務員の定年延長にあわせて国会職員の定年延長を行った場合、同様の問題が生じるのではないかと私は大変に危惧をしております。また、懸念をしております。地方機関を持たない国会事務局の独自性に配慮し、長期的に安定した定員管理を行うことが必要ではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。見解を伺います。

岡田事務総長 御質問をいただき、ありがとうございます。

 先生から御指摘いただいたとおり、長期的に安定した定員管理を行うことは、衆議院事務局がその使命を果たしてまいる上で重要なことと認識をしております。

 今般、一般職国家公務員の定年についてさまざま御議論が進んでいるというふうに承知してございます。仮に、国会職員の定年についても同様の措置となった場合には、衆議院事務局では、段階的な定年引上げの期間中、ある年の定年退職者がゼロになり、そのため採用を抑制せざるを得ないなどの影響が及ぶ可能性があると存じます。

 そうした影響を最小限にとどめるため、毎年度の概算要求におきまして、先生から御指摘いただきましたとおり、地方機関のない国会事務局の独自性に配慮をしつつ、また、先生方とも御相談を申し上げながら、財政当局に対して必要な定員の確保を求めていくなど、引き続き定員管理について適切な措置を講じてまいりたいと存じます。

佐藤(英)分科員 次に、職員の働き方改革について伺います。

 日本は、今、少子高齢化に伴う生産労働人口の減少に直面しておりまして、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を実現するための働き方改革が重要なテーマになっております。衆議院事務局、法制局においても、特に閉会中を念頭に、フレックスタイム制、時差出勤制度、在宅勤務、いわゆるテレワーク等の推進や検討を進めてはいかがでしょうか。また、本日は具体的に触れることはできませんでしたけれども、さまざまな部署でいろいろな御要望があると思います。

 今後の職員の働き方改革について、事務総長の御決意を伺いたいと思います。

岡田事務総長 職員の働き方改革につきましては、衆議院事務局においても、特定事業主行動計画を策定し、各種の取組を行っているところでございます。

 この取組の一つといたしまして、平成二十八年度には一般職の職員と同様のフレックスタイム制を導入いたしまして、この制度を用いることにより職員は時差出勤をすることが可能となってございます。今後は、こうした時差出勤制度の拡充を図るとともに、ICTを活用した在宅勤務、いわゆるテレワーク制度の導入についても、その可能性につきまして検討を進めてまいりたいと存じます。

 いずれにいたしましても、職員の働き方改革を推進することは、ワーク・ライフ・バランスの実現につながり、ひいては職員の作業能率の向上をもたらすと認識してございます。そのためには、職員の個々の意識改革も必要でございまして、我々管理職が率先して実現に取り組むべき課題であると考えております。

 今後も職員の皆様方のニーズを十分にお伺いしながら、また協力をいただきながら、働き方改革をサポートする諸制度の充実と活用を推進し、働きやすい職場環境の実現を目指してまいりたいと存じます。

佐藤(英)分科員 よろしくお願いしたいと思います。

 次に、法制局のことについても触れさせていただきたいと思います。

 私たちも法制局長始め法制局の皆さんにはいろいろとお世話になっていることが多いのでありますけれども、法制局の職員の方々は法案の提出前や委員会での質疑対応の前日は徹夜で仕事をする場合もあると私は伺っております。そうした場合に、第二別館二階の男子浴室、女子浴室、四階の仮眠室などを使用することがあるそうでありますけれども、それらの環境整備を図ってはいかがでしょうか。

 また、第二別館三階には事務局や法制局の職員の方々が使っている職員食堂があり、私も実際にそこの食堂でお昼を食べさせていただきました。大変においしいものでありました。職員の方々の間ではいろいろと改善の要望もあるようでありますけれども、職員食堂の運営は入札業者が行うことであり、難しい問題もあろうかなと思いますけれども、事務局のお考えをお聞かせいただければと思います。

岡田事務総長 先生から、今、第二別館の浴室、仮眠室の環境整備のお話がございました。

 先ほども御答弁申し上げましたが、今後は、設備、メンテナンスの充実を図るとともに、例えば定期的な清掃を追加的に実施するといったようなことも含めまして、環境の整備に十分に努めてまいりたいと存じます。

 職員食堂につきましても御指摘を頂戴いたしました。

 職員食堂につきましては、衆議院共済組合の事業として、職員の福利厚生のために設置しているところでございます。

 従来から、食堂にアンケートボックスを設置いたしまして利用者の意見をいただき、食堂を委託している業者にも伝え、サービスの向上に努めているところでございますが、引き続き、そうしたニーズも踏まえ、委託業者と緊密に連携をとりながら、可能な範囲でサービスの向上が図れるよう、私どもとしても検討し、考えてまいりたいと存じます。

佐藤(英)分科員 ぜひ御検討をいただければと思います。

 また、先ほど院内のバリアフリー化の推進についてもお伺いをさせていただきました。公明党におきましては、障害者の方々も含め、誰もが生きがいを持てる社会を築いていくことが重要であると考えております。

 参議院では、重度の障害を持つ議員が当選したことでさまざまな対応をなされてきておりますし、衆議院においても、今後、重度の障害を持つ議員への対応も必要になるのではないかなと思っております。

 また、私が種々お話をさせていただいたことは、事務局や法制局の皆さんがより一層やりがいを持って働けるようになることが国会全体の機能強化が図られる、また、事務局、法制局の職場環境、労働環境の改善に資することが国会全体にかかわる向上にもつながっていくという思いで質問させていただいているところでございます。

 最後になりますけれども、最近の事務局職員の試験の倍率は非常に高く、毎年優秀な人が入ってきていると私は伺っておりますし、接している職員の方々とお話をするときも、そのように実感することが多々あります。

 私が議員になってから、特に初当選した折に農林水産委員会の調査室の方々に大変にお世話になったこともありましたけれども、議員の立場に寄り添って説明していただいたことを思い出します。農水調査室の方々が議員の側に立っていろいろとやはりお話をしてくださったことを今でも忘れることができません。

 今は議運の理事でありますけれども、委員部の議運の担当の方々からは丁寧に御連絡いただいておりまして、私は非常に感謝をしているところであります。

 今後とも、引き続き、事務総長並びに法制局長の御指導のもと、衆議院事務局、法制局の皆様が中立公正な立場に立ちつつ、やりがいを持って仕事に取り組まれ、我々議員や国民に対するサービスを更に充実させ、国会が国民の負託により一層応えられる存在になることを願いまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。終わります。

葉梨主査 これにて佐藤英道君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

葉梨主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 内閣府所管について審査を進めます。

 内閣府本府について質疑の申出がありますので、順次これを許します。黒岩宇洋君。

黒岩分科員 きょうは、公文書管理について、北村大臣を原則として、あと内閣府、内閣官房にも確認をしたいと思います。

 昨年の十一月二十二日に参議院の予算委員会の理事懇談会に招待者名簿、推薦名簿、これを出したけれども白塗りの部分があった、この問題に関してなんですけれども、これは最初に内閣官房の方に聞きます。

 このもともと、白塗りで隠されていたところが、内閣官房内閣総務官室総理大臣官邸事務所からの推薦名簿ということになっていますけれども、これは当然、官邸事務所からの推薦名簿といえども、保存期間は、総務官室全体の一年未満という理解でよろしいですね。

大西政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣官房内閣総務官室官邸事務所におきましても、当該書類につきましては一年未満の保存ということでございました。

黒岩分科員 では、次に、北村大臣にお聞きします。

 これは北村大臣も会見で何度もおっしゃっているんですが、この白塗り文書というのは新たな公文書だと。白く塗って新たな公文書を作成したということですから、では、白塗りされていない推薦名簿というのはそのままの公文書として保存されているということでよろしいですね。

北村国務大臣 お答えいたします。

 一般論ではございますけれども、公文書の改ざんというのは、人事院の……(発言する者あり)

葉梨主査 大臣、ちょっと。

 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

葉梨主査 速記を起こしてください。

北村国務大臣 失礼いたしました。

 行政文書としての要件を満たすことから公文書と考えられ、そのまま保存されているところであります。

黒岩分科員 では、大臣、お伺いしますけれども、一年未満文書というのは速やかに廃棄しているんですよ。何でこの一年未満文書は、今現在、保存されているんですか。

大西政府参考人 先生から大臣へのお問いかけではございますが、官邸事務所からお願いをした文書に関するお問いかけでございますので、まず私から御答弁を申し上げたいと思います。

 先ほど申し上げました官邸事務所からの、一名でございましたけれどもお願いにつきましては、内閣府人事課の方に相談をいたしまして、内閣府人事課として推薦をするということになって、お取り計らいをいただいたものでございまして、その時点で、官邸事務所の文言は残っておりますけれども、内閣府人事課さんの文書になっているということだと思います。

 それで、保存期間につきまして、官邸事務所におきましてはもともとのその文書につきましてはもう一年未満保存で残っておりませんけれども、内閣府人事課さんにおきましては内閣府人事課さんのお取扱いに則して残るものは残っていたということだと理解をしております。

黒岩分科員 では、大西審議官でもいいんですけれども、これは、白塗りでなくそのまま残っているということは、文書としてはあくまでも、文書としては変わらず、部局名は総務官室官邸事務所、推薦部局は総務官室官邸事務所とそのまま残っているということでしょう。

大西政府参考人 恐れ入ります。御答弁を申し上げたいと思います。

 先ほどとちょっと繰り返しになるかもしれませんけれども、官邸事務所としてまずペーパーは最初つくったということですけれども、それをどのように推薦に載せていくかということにつきましては、内閣府人事課と直接御相談を差し上げて、じゃ、人事課として、もう人事課のものとして推薦をいたしましょうということになり、そのようにお取り計らいをいただいたというものと理解をしております。

黒岩分科員 プロセスを聞いているんじゃないんです。白塗りで新しくなったわけだから、それまでの、白塗りじゃない、そのままの部局名と最終的な推薦部局名という形で、このままの形で当然残っているわけですよね。

大塚政府参考人 お答えいたします。

 内閣府推薦のものでございますので、私がお答えさせていただきます。

 今お話がありましたとおり、白塗りする前の形のもので、いわば内閣府において保存をされてございます。

黒岩分科員 そんなことを聞いているんじゃなくて、大塚さん。

 だから、文書は白塗りじゃないわけだから、部局名は当然そのまま、総務官室のまま残っているんでしょう。

大塚政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のとおりでございます。

黒岩分科員 これは大問題じゃないですか。いいですか。文書としては何にも、修正も変更もされていないということでしょう。文書としては、どう見たって内閣総務官室からの推薦名簿ですよ。

 二点お聞きしますけれども、本来なら一年未満文書までは捨てていたと言っているけれども、残っている。しかも、文書としては、これはどこからどう見たって、縦から見たって斜めから見たって、これはもう一〇〇%内閣総務官室の推薦名簿ですよ。それが何で人事課に残っているんですか、内閣府の。

大塚政府参考人 まず、一年未満ではないかという御指摘でございますが、これは、一内閣府としての推薦する名簿につきましては一年保存でございますので、まずその点を申し上げたいと思います。

 その上で、二点目のお尋ねでございますけれども、あくまでも最初に出すときにその形で推薦をしたということでございますので、それはその形として保存をしているということでございます。

黒岩分科員 大塚官房長、それは苦しい言いわけですよね。

 では、大塚官房長の言うところの、人事課が推薦したというところの名簿はどこにあるんですか。

大塚政府参考人 まさしく内閣府から推薦したものとして、内閣府の人事課で保存し、保管をされているということでございます。

黒岩分科員 だから、内閣府の部局名がある、内閣府の推薦名簿としてというものがあるんですか。

大塚政府参考人 繰り返しで恐縮でありますが、あくまでも内閣府から推薦をしたというものの中に今御指摘の文書も入っているものでございまして、来年四月一日以降には、これはガイドラインに沿いまして、またきちんとファイルとして編綴いたしますが、その中にも含まれるということでございます。

黒岩分科員 四月一日以降のことは何も聞いていないですし、内閣府の文書に含まれるかどうかを聞いているんじゃなくて、内閣府が推薦したと文書に書いてあるこの名簿はあるんですか。

大塚政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますが、内閣府として推薦をした文書の一つとして保存、保管がされているということでございます。

黒岩分科員 官房長の言うところのその文書には、一切、内閣府推薦と書いてないんでしょう。

大塚政府参考人 御指摘のとおり、最初の官邸事務所なりの記載が残ったままでございますが、ただ、あくまでも内閣府として保管している文書の中に保管をされているということでございます。内閣府として推薦をしてございます。

黒岩分科員 今、答弁の当初にも認めましたけれども、結局、内閣府として推薦したと書いてある文書、全くないわけですよ。あるのは、総務官室が推薦した文書と、そしてそこを白塗りにしちゃった文書という、この二つしか残っていないんですよ。

 北村大臣、きょうはそんなにやじがないので聞き取れるんじゃないかと思うんですけれども。

 それで、今言ったように、内閣総務官室が推薦したという文書と白塗りの文書しかないんですよ、今、世の中に。それでいながら、大臣は、内閣府が推薦した文書だと国会で答弁されているんですよ。これは何を根拠におっしゃっているんですか。

葉梨主査 大塚官房長、もっとわかりやすく。

大塚政府参考人 その参議院の方の予算の理事懇にお出しした資料も、あくまでも、今御指摘の部分につきましては、内閣府推薦の一つとしてお出しをし、なおかつ内閣府の数字の中にもカウントをされているものでございますので、あくまでも我々としては内閣府推薦としてお出しをしたものということでございます。

黒岩分科員 これは、時間もないのでそれ以上きょうは詰めませんけれども、またこの後、衆議院でもまた参議院でも、非常に重要なところなので。

 ですから、改ざんするしないが今まで議論になってきましたけれども、実際に、要は、内閣総務官室というのは総理の推薦名簿も含まれている。総務官室は、全て一年未満で捨てているとずっと言ってきた。でも、現実に、内閣総務官室、これは形式的には明らかに、推薦した名簿が残っちゃっていたわけですよ。

 だから、何に慌てたかといったら、内閣府にしたって、特に内閣官房にしたって、今まで捨ててきたと言っていたこの国会答弁とまるっきりそごを生じる現象があらわれちゃったものだから、慌てて白塗りにしたんですよ。何か内容がわかりづらいからなんと言っていますけれども、これはこの後、徹底して我々も追及していきますけれども、我々は、総理の推薦名簿だって残っていると思っているわけだ。これは私はその証左の一つだと思いますよ。何らかの形でたまたま出しちゃった。だものだから、慌てて白塗りで、まさに証拠隠滅を図ろうとしたということ。これは根本的な問題で、その次に改ざんかどうかはまた議論をしてもらいましょう。

 そして次に、大臣、資料を三枚出しております。これは、所管がということじゃなくて、大変短い文章なので、この文章の日本語としての理解を大臣に求めますけれども、これは、済みません、もう一ページ目は忘れてください。一ページ目はもうめくってください。それをめくってください。二ページ目が出てきましたか。

 これは何かというと、重要な、内閣府人事課が一万五千四百人の桜を見る会の招待者名簿、内閣府人事課が一万五千四百人分、桜を見る会に招待したとするその名簿、この名簿の取扱いについて書かれているんですね。大臣、お聞きくださいね。このことだけが書かれているんですよ。

 二ページ目は、二年前、四月一日に改正されまして、これは黒枠で塗ってありますね、黒塗りで。今言った一万五千四百人の招待者名簿がこの分類に入りますよ、こういう説明でした。ここを見ておいてくださいね。

 これはわかりやすく次のページ、三ページ目からいった方がわかりやすいので、三ページ目。

 これは、去年の十月二十八日に改正された、そして現在もこの条文が残っています。去年の十月二十八日に、この一文だけ条文が変わったんですよ。

 内閣府の説明によると、桜を見る会の招待者名簿は、これは黒く塗っていますね、さっきの二ページ目とは違う中身ですよ、よく見てくださいね、この黒塗りの中のこういう解釈で、桜を見る会は、これは保存期間とありますね、右から三つ目の括弧のところに、一年未満なんですよと。ですから、すぐに捨てていいんですよという根拠が、この保存期間表のこの規定なんですよ。

 よく見てください。この具体例として丸ポツがありますね。招待者名簿というのはこういう規定の中に入るんですよという文章をここに書いています。これを読みますよ。「関係行政機関等に協力して行う」。

 これは、内閣府からすれば、例えば国交省だとか文科省とか、そういったところに協力して、各省庁から推薦したものを集めるわけですよ。そういった協力して行う行事等の案内の発送等。これは、日本語で私も理解しても、ここは、各省庁から集めてきたそういう推薦名簿から内閣府がチェックをして、一万五千四百人、案内の発送をする名簿ですねという説明を聞いて、ああ、そうですねと私もわかりました。こういう規定に入っているから、一年未満で捨てていいですよというのが今現在の規定なんですよ。

 たった去年の十月二十八日、この議論の最中に、これは大事なんだけれども、我々にも誰も知らされずに、内閣府の中で、多分、何百、ともすれば何千もある規定の中で、唯一こっそりこの規定だけが去年の十月二十八日に改正されていたんですね。

 じゃ、戻りますよ。

 現在は、私らもこの、一年未満で捨てていいかどうかの議論はともかく、今の保存期間表では確かに、これを日本語で読む限りは、桜を見る会の招待者名簿は一年未満のこの類型、具体例に入っていますねと。

 さあ、二ページ目に戻してください。

 十月二十八日に改正する以前ですよ。まさにビフォー・アフターで、去年の十月二十八日以前、正確に言うと二十七日以前ですけれども、じゃ、桜を見る会はと。あるんですが、ここ、具体例のところに、見てくださいね。「他の行事等の推薦」とだけ入っていますよね。推薦等と書いていないですよ。等と入っていると、これは便利な言葉で、いろいろなものを、例えば、推薦だけじゃなくて、案内とかいろいろなものが……(北村国務大臣「行事」と呼ぶ)まあ、行事等はどうでもいいんですわ。

 大臣、大事なことをこれから聞きますよ。

 この「他の行事等の推薦」、あっ、その前にもうちょっとかみ砕いて申し上げますと、我々はよく名簿と言いますけれども、これは、他の省庁から内閣府が推薦をしてもらう推薦名簿と、その推薦名簿をもとに内閣府が案内状を出す招待名簿と、二種類あるんですよ。だから、推薦名簿と招待名簿、これは違うんです。ですから、私が今議論しているのは、内閣府から招待を出すための招待名簿、これが今言ったどこの保存期間表に入るのかという話をしているんですね。

 大臣、今の二枚目の、ここを見てください。「他の行事等の推薦」、これは推薦なんですよ。この日本語から、これからわかりますよ。内閣府自体も内閣府に推薦名簿を出しますから、内閣府が内閣府に出す推薦名簿、ちょっと複雑なんですけれども、それはここから、ああ、推薦名簿ですねとわかるんですけれども、今言ったように、内閣府が一万五千四百人に出す、案内をする、この名簿は、この具体例の規定の中に日本語として含まれていますか。

葉梨主査 大塚官房長。(黒岩分科員「ちょっと待ってよ、ここまで丁寧にやった意味がないじゃない」と呼ぶ)

 いやいや、これは、人事課長の上司は官房長ですから。(黒岩分科員「大臣、手を挙げているじゃない」と呼ぶ)

 いやいや、まず所管の話から。大臣は、それを聞いた上で感想を述べてください。

大塚政府参考人 この平成三十年四月一日改正の表におきます、いわば取りまとめとしての推薦名簿の保存期間につきましては、委員の資料の二枚目でございますが、黒枠でくくっていただいた「他の行事等の推薦」「一年未満」、ここで、いわば取りまとめとしての全体の招待者名簿を読んでいたということでございます。

北村国務大臣 お答えいたします。

 どのような文書が合理的な跡づけ、検証に必要となるかということは、個々の所管業務について知見を有し責任を負う立場にある各行政機関の各部局が判断すべきことと考えております。

 その上で、あえて申し上げれば、招待者名簿等については、ガイドラインのルールにのっとって一年未満文書として位置づけたものと私は聞いております。

黒岩分科員 大臣、重要なところですよ。大臣が今おっしゃった招待者名簿等ではないんですよ。今現在は、これは三ページ目、三ページ目は、「案内の発送等」。だから、ここには今言った招待者名簿は入ると我々も思います。ただ、二ページを見てください。これは推薦と言っているだけで、等も何も入っていない。推薦なんですよ。

 今言ったように、桜を見る会については、推薦者名簿と発送者名簿というものが全く違う、百八十度別方向で存在するわけですね。他省庁から推薦してもらう推薦名簿と、それをもとに内閣府が招待する招待者名簿。だから、これは、推薦と言い切っていたら、もらう推薦は入るけれども、出す、案内をする名簿、招待をする名簿、これは入っていないんじゃないですか、大臣。入っていないと思いますが、イエスかノーかでお答えください。

大塚政府参考人 先ほどお答えいたしましたが、あくまでも、この取りまとめの名簿につきましては、この「他の行事等の推薦」というところで読んでございましたが、ただ、委員御指摘のとおり、確かに、この推薦という言葉で、読み方として的確なのか、ちょうどその上にも「行事等の推薦」という言葉がありまして、非常に紛らわしい、わかりにくいといったようなこともございまして、改めて十月二十八日の時点で必要な修正を行ったものでございますが、その保存期間につきましては、既にこの三十年四月一日の時点で一年未満としたところでございます。

黒岩分科員 大臣、わかりにくいかどうかを聞いているんじゃないんです。明確に、推薦なのか、案内を出す招待者名簿なのか、どっちかなんですよ。

 これは今言ったように、推薦するという、受ける側の、こっち側ですよ、受ける側の推薦。この推薦と言い切ったものに、逆の、等がついていないんですよ、日本語ですよ、推薦を受けた、これが推薦ですよ、それをもとに案内を出すという、この推薦という日本語に案内、招待まで含まれていますか。私は含まれていないと思います。

 含まれていないと思うんだったらイエスと答えていただきたいし、含まれるんだったらノーとお答えください。

北村国務大臣 推薦があったものに基づいて案内をするというリストをつくるという作業になるだろうと私は思いますから、そういう技術的なことについては彼らの方がよほど詳しいから、一生懸命説明しておるんですから、わかっていただけないかなと思うんですけれども。

黒岩分科員 これは分科会なので与党の議員も少ないと思いますが、きょう、先生方、この議論、わかると思いますよ。どう考えたって十月二十八日にこっそり改正する必要があったんですよ。

 なぜならば、これは後で一ページ目も見てください。要するに、二年前の四月一日より前、三月三十一日までは、この規定で読み込ませて一年保存だったんですよ。だから、招待者名簿は、二年前の三月三十一日までは保存期間表で読めたんです。それがいきなり二年前の四月一日から、どの規定を見ても招待者名簿は読めない状況になっていた。入らなくなっちゃった。入らなくなったら、これは入らなければ、基本的に一年以上保存なんですよ。慌てた内閣府は、これじゃまずいということで、去年の十月二十八日に、我々がこの議論をがんがんやって、野党ヒアリングも来ていて、だけれども、こっそりこっそり黙っていた。

 だから、我々、実際に捨てたんですか、捨てていないんですか、シュレッダーはどうですか、ログはどうですかとやっているけれども、実はそれ以前に、保存期間表上、法令上もう宙に浮いている。最低限、一年未満で捨てていいとは書いていないものを運用上、運用とは言わないな、運用というのは確固たる規定があって運用するんだから、確固たる規定もなくて勝手に捨てちゃったということなんですよ。まあ、北村大臣、もうこれは答弁は求めないですよ。

 これは、分科会までちょっとこの質疑ができなかったのが残念なんですけれども、大変重要な、これは行政としての瑕疵を含んだ最悪の事例だと私は思っていますよ。これはもう答弁を求めずやるけれども、じゃ、いいです。どうぞどうぞ。

北村国務大臣 せっかくのお尋ねでございますし、熱心な調査に基づいておっしゃられること、検討に基づいておっしゃられることですから、私も誠実にお答えせにゃいかぬだろうと思いますから、述べさせてください。

 保存期間表につきましては、所管業務に知見を有し責任を負う立場にある個々の文書管理者がこれを定めるということになっておる。

 いずれにせよ、桜を見る会の運営等につきましては全般的な見直しを行っていくこと、その中で、文書の保存期間などにつきましても今後検討していくということであるので、その検討の動向を私としてはしっかり注視してまいりたい、そのような考えでおります。

黒岩分科員 これから見直すとかいう、そういう問題じゃないんです。一年半、一年未満とか、何の規定もない。

 だから、内閣府というのは、私、悪いけれども、事務方、これはあえて注意を申し上げます。日本語として何でこんな、だって、二年前の三月三十一日までは招待者名簿を読める規定があったのに、四月一日の時点ですっぽり落としちゃっている。慌てて、失敗したと思って去年の十月二十八日にこっそり改正している。こんな大失態。それで今、大臣にもこれだけの苦労をかけているわけですよ、御労苦を。そうですよ、あなたたち、一回目の北村大臣の答弁のときだってろくにペーパーすら出せない。こんな根本的な、ていたらくをやっているから、その場でリカバリーできないんでしょう。反省してくださいよ。

 では、中途半端だから、一問だけ聞きますね。

 大臣、前回の私の質問に対して、これは大臣所管の公文書管理課が、推薦名簿、三年以上の保存期間だというときに、こうおっしゃったんですよ。重複して推薦することを避けるんだ、これが目的だと。これは、渡邉審議官もそう答えていたんですけれども。

 だとすれば、これはどの課にも当てはまるんですけれども、内閣府だけでも十二部局が一年未満で捨てているんです、その場で。だったら、重複は避けられないじゃないですか。大臣の、今言った、公文書管理担当大臣として、私は、重複を避けるために一年以上の保存というのは真っ当な答弁だと思いますが、内閣府自体で七部局は即日廃棄しているんですよ。これじゃ重複は避けられないと思いませんか。いかがですか。

大塚政府参考人 まさしく、これは内閣府に限らず、恐らく全省庁で見ても、それぞれ、推薦規模ですとか推薦のやり方によっても、どの程度の期間保存しておくかというのはそれぞれの考え方があろうかと思っております。

 内閣府につきましても、まさしく文書管理者が、それぞれの推薦のこれまでの経緯も踏まえながら、それぞれの期間を定めているものと考えております。

黒岩分科員 北村大臣、だから、公文書管理担当大臣として、重複を避けるって重要でしょう、桜を見る会の名簿については。これはどの省庁だろうが通底する話なんですよ、同じ話なんですよ。それがまちまちで、まちまちなのも問題だけれども、大問題は、一年未満で捨てちゃって、重複を避けようがないんですよ。このことについて、大臣、問題だと思いませんか。

葉梨主査 では、最後に簡潔に、もう時間を過ぎておりますので。

北村国務大臣 ただいま官房長が御答弁したとおりであります。

葉梨主査 黒岩君、時間です。

黒岩分科員 これはすごく重要なことですし、この議論がかみ合わないと、先ほど大臣がおっしゃった公文書管理の見直しは、これから、民主主義にとっても我が国の行政にとっても大事なんですよ。

 事務方も、これは本当に肝に銘じて。今の内閣府の人事課の保存期間表でさえこんな大失態をやっているようだったら大変心もとない。そこを大臣がこの議論もかみ合うようにして指導していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 質問を終わります。

葉梨主査 以上で黒岩宇洋君の質疑は終了いたしました。

 次に、川内博史君。

川内分科員 川内です。

 引き続いて、公文書管理の問題について質問をさせていただきたいと思います。北村大臣、よろしくお願いします。

 まず、原子力規制庁に来ていただいておりますので、教えてください。

 二月九日の毎日新聞一面で掲載をされておりました記事に関連してお尋ねいたします。

 平成三十年十二月六日の午前十一時から十二時まで、原子力規制委員長室で、原子力規制委員長を始め、原子力規制庁長官、原子力規制庁次長など、幹部の皆さん、お歴々がお集まりになられた。合計十一名が参加した打合せ会合が行われたというふうに聞いておりますが、何のための会合だったのかということを教えてください。

片山政府参考人 お答え申し上げます。

 平成三十年十一月二十一日の原子力規制委員会におきまして、大山火山の火山灰の降灰分布が新しい知見として委員会において認定をされました。その際、規制委員会の方から原子力規制庁に対しまして、本件についての規制上の対応を検討するように指示があったところでございます。

 原子力規制庁といたしましては、委員会で再度お諮りをするための原案を作成する過程におきまして、担当課が委員会資料を作成する過程で、十二月六日に、更田委員長、石渡委員及び規制庁の幹部、担当者が集まりまして、論点や感想を自由に述べ合うという趣旨の打合せを行ったというものでございます。

川内分科員 この会合の記録は作成をしていらっしゃらないということでございますけれども、なぜ作成をしなかったのかということについて教えてください。

片山政府参考人 お答えをいたします。

 原子力規制委員会におきます意思決定というものは、全て原子力規制委員会の会議の場で委員の議決によりまして行われるということになっております。したがいまして、委員会の会議の場以外で原子力規制委員会としての意思決定が行われることはございません。

 十二月六日の会議は、先ほど申し上げましたように、集まった者が論点や感想を自由に述べ合う、いわゆるブレーンストーミングということで行っており、この場で意思決定が行われるという性格のものではないことから、議事録は作成していないところでございます。

川内分科員 原案を作成する過程の中で論点や感想を自由に述べ合う場であったと。

 この会合の後、六日後の十二月十二日に関西電力に対して命令文が発出をされているわけでございますけれども、この十二月六日の会合で、案文、あるいは案文の案文、ドラフトについての文言の検討などが行われた、規制委員会にかけるために、こうしようねとか、ああしようねとか、こういうふうなのがいいんじゃないか、そういうふうなブレーンストーミングが行われたということでよろしいんでしょうか。

片山政府参考人 お答え申し上げます。

 十二月六日の委員長レクに出席した十一名全員に確認を行いましたが、委員御指摘の命令案に係る文書が配付されたことを記憶している者はおりませんでした。したがって、我々としては、その場に命令案に関する文書が配付をされ、それについて検討、議論が行われたということはなかったというふうに認識をしております。

 なお、毎日新聞が報道した文書でございますが、この文書には、既に廃止された法令手続が記載されているなど、事務的に見ても明らかな誤りというものがございます。恐らく、十二月十二日に開催された委員会資料を作成する途中段階の文書ではないかと思われるところでございますが、委員長レクにおいてこのような文書を規制庁自体が説明することは想定されないのではないかというふうに考えているところでございます。

川内分科員 片山次長は、福島原発事故のときにエネ庁の企画調整課長でいらっしゃって、それ以来、原子力規制行政一筋に歩まれていらっしゃって、大変にその造詣、見識というものは深いものがあるというふうに思います。

 他方で、情報の公開という意味において、あらゆることをきちんと情報公開をしていくということは論をまたないわけでございまして、ただ原子力規制委員会の議論並びにそこに提出されている資料だけを公表すれば足りるのだとするのは、私は、ちょっと情報公開の基本的な哲学として違っているのではないかということを指摘せざるを得ないわけですね。

 原案を作成する過程の中で論点や感想あるいは考え方を述べ合ったブレーンストーミングであるというふうにおっしゃっていらっしゃったんですが、行政文書の管理に関するガイドラインのQアンドAによれば、当該行政機関内部で幹部レク等、政策立案や事務及び事業の実施の方針等についての説明、意見交換等を行う打合せというものは、なるべく文書を残してね、文書を作成してくださいねということを述べていらっしゃる。

 ブレーンストーミングで、文書を残さなくてもいいよというのは、やはりQAに、課内、係内におけるブレーンストーミングは、そこまで残す必要はないねということがQAに書いてあります。

 規制委員会の委員長や規制庁の長官、それこそ次長、さらには担当課の何人かの課長や担当者、全員が集まって、関西電力に対してどう処分をしていくのかという基本的な方針を打合せをした場の記録がないというのは、私は公文書管理法四条に違反するというふうに考えますが、いかがですか。

片山政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども御答弁申し上げましたが、原子力規制委員会における意思決定というのは、原子力規制委員会の会議の場で委員が議決により行うということになってございます。

 その前段階で、委員会の資料を説明するプロセスというのは、単に事実関係を事務方が委員に説明をするプロセスだというふうに考えてございまして、ガイドラインに言うところの、何といいますか、重要な意思決定の、それについて議論をする場というよりは、意思決定をしていただくに当たって準備をしていただくための説明をしているにすぎないというのが我々の認識でございます。

川内分科員 この件は今後も議論させていただこうと思いますが、北村大臣、公文書管理法上とか、あるいは公文書管理担当の大臣として、役所が文書を残さないようになってしまっている、これはゆゆしき事態なんですよ。

 原子力規制委員長が御自身の意思形成、意思決定に資するためにさまざまに事務方に質問する、これはどうなっているの、あれはどうなっているのということを、どんなことを委員長がお聞きになられたのか、あるいはほかの委員がお聞きになられたのかということが全く検証できないというのは、国民に対する説明責任が全うされているとはとても私には思えなくて、この問題は今後もいろいろお尋ねをさせていただこうというふうに思います。

 次に、総務省に質問いたします。

 先週、二月二十日の予算委員会で、総務省の行政管理局長は、情報公開法上の開示文書の白塗りは適切ではないという答弁をされました。

 そもそも情報公開法での開示請求権というのはいかなるものかということを教えていただきたいと思います。

吉開政府参考人 情報公開法上の開示請求権についてのお尋ねがございました。

 情報公開法第三条では、「何人も、この法律の定めるところにより、行政機関の長に対し、当該行政機関の保有する行政文書の開示を請求することができる。」とされております。

 同条に規定する開示請求権は、あるがままの形で行政文書を開示することを求める権利でありまして、行政機関は、不開示情報が記録されている部分を除くなどの場合を除きまして、新たに行政文書を作成又は加工する義務はないというところでございます。

川内分科員 あるがままの形で行政文書を開示することを求める権利、あるがままの形ですよ。

 白塗りは適切ではないということについて、情報公開事務処理の手引にはどのように記載をされておりますか。

吉開政府参考人 情報公開事務処理の手引についてお尋ねがございました。

 事務処理の手引におきましては、不開示情報の被覆については、白塗りではなく、被覆をされたことがわかるように行う必要がある、開示請求者にとって、当該被覆部分に情報が存在するか否かが不明になり、不服の判断等に支障を与える可能性もあるからであるというふうに記載がございます。

川内分科員 内閣府大臣官房人事課が作成をした白塗り推薦名簿は、情報公開法上は違法なんですよね、白塗りはだめなんですから。情報公開法上は違法ですよ。

 この白塗り資料をめぐる問題については、北村大臣は、私の質問に対して、国会への提出資料について修正を行った旨を説明しなかったことが不適切だと。説明しなかったことが不適切だとおっしゃっているんですが、一月三十一日に衆議院予算委員会で、安倍総理大臣は、記載の一部を消去する不適切な対応があったと。記載の一部を消去することが不適切だと言っているんですからね。

 今回の白塗り資料国会提出問題は、議院内閣制そのものの問題であると私は思います。国会の行政監視機能を毀損するという意味において、国会に対する冒涜にほかなりません。イギリスの議会であれば、議会侮辱罪に当たります。

 本日は衆議院法制局に来ていただいております。

 国政調査権について、憲法や国会法のどこに規定があるのかということについて教えていただきたいと思います。

長谷田法制局参事 お答え申し上げます。

 お尋ねの国政調査権でございますけれども、まず、憲法六十二条に、「両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。」と規定されております。

 そして、この憲法の規定を受けまして国会法ですとか議院証言法などにいろいろ規定があるわけでございますけれども、資料の要求についてということであれば、国会法百四条一項に、「各議院又は各議院の委員会から審査又は調査のため、内閣、官公署その他に対し、必要な報告又は記録の提出を求めたときは、その求めに応じなければならない。」と規定されております。

川内分科員 北村大臣、憲法そして国会法に違反するんですよ、国政調査権に。

 これは、参議院の予算委員会が資料を要求し、そして、その求めに応じて、内閣府大臣官房人事課、内閣府として提出した資料。安倍総理大臣も、資料の修正が不適切であったということを予算委員会でお述べになられている。憲法六十二条、それから国会法百四条に、国政調査権に違反するんです。違反しているんですよ、白塗り資料は。

 平成二十年の四月四日に閣議決定された、政府の、国政調査権、議員の資料要求でさえ、国政調査権を背景にしているんだから、ちゃんと対応するよということを閣議決定していらっしゃるわけですね。

 北村大臣、この白塗り資料というのは国会法百四条、憲法六十二条に違反して内閣府によって提出をされた資料であるということを大臣としてお認めになられなければならない。議会人でもありますからね、大臣は。

 大臣、御自身がそういうことをされたらと考えてみたらいいですよ。大臣がみずから資料要求して、事務方が、本当のことではなくて、修正した資料を持ってきて、ばれてから、いやあ、済みません、本当はこうだったんですよと説明されても、大臣は怒るでしょう。それは違うんじゃないのと言うんじゃないですか。そういうことですよ。

 いやいや、首を振っているけれども、大臣は、では、役所が改ざんした資料を持ってきても、それでいいと言っているわけですね。そういうことですか、大臣。ちょっと感想を述べてください。

北村国務大臣 お答えいたします。

 白塗りにした資料を説明なく国会に提出した件については、公文書管理法上問題とはならないと考えており、公文書管理担当の立場としては、お答えすることは差し控えたいと思います。

 いずれにせよ、国会との関係を踏まえれば、国会に提出する資料について、特定の記載を消去して、その旨を説明もしなかった、このことが極めて不適切であったと考えており、再発防止を徹底することが重要であると考えておるということをたびたびお答えさせていただいたとおりであります。

川内分科員 北村大臣、大臣は、国会議員として、安倍総理大臣から任命されて大臣におなりになられて、公文書管理を担当する大臣におなりになられているんですね。役所の不適切な行動については、それを指示あるいは指導して改めさせなければならないんですね。

 今後ちゃんとしていくよというのは、それはちゃんとされればいいが、今後ちゃんとするに当たって、何が問題であったのかということについては、大臣御自身の認識が間違っておられるので、我々はこれだけ一生懸命言っているわけです。

 安倍総理大臣も、修正をしたことは不適切だと言っているんですよ。修正をしたことが不適切なんですよ。白塗りが不適切なんです。情報公開法上は違法なんです。違反なんです。

 公文書って何ですか、大臣。公文書の定義を言ってください。

北村国務大臣 お答えいたします。

 公文書管理法第一条において、公文書は国の諸活動や歴史的事実の記録であるとなされ、同法第二条において、行政機関が扱う行政文書、独立行政法人が扱う法人文書、国立公文書館が保有する特定歴史公文書等の三種類が規定されておると認識しております。

川内分科員 最初におっしゃられた記録という言葉ですが、その記録というのは修正された記録も含むという理解なんですか、大臣の場合は。

北村国務大臣 修正された記録は修正された記録と述べるべきであって、私は記録と申し上げたわけですから、純然たる記録であって、そのようないかがわしいものは入っていない。

川内分科員 大臣、さすが。修正されたものはいかがわしいものであるとお述べになられた。(北村国務大臣「あなたの言い方ではね」と呼ぶ)いやいや、あなたの言い方じゃない。それはお互いの共通の認識です。

 大臣は、今、めちゃめちゃ正しいことを言ったんですよ。公文書管理委員会が最終報告で報告書にまとめているのは、記録は正確な記録でなければならないと言っているんです。これが公文書の定義なんですよ。正確な記録でなければならない。

 官房長、修正された記録は正確な記録じゃないでしょう。それを認めなさい。

大塚政府参考人 お答えをいたします。

 参議院の予算の理事懇に当初の推薦名簿とは異なるものを出したのは事実でございます。

 それは、総理御自身も、委員が御指摘されたものとは別の場所で、国会に提出するに当たり、最終的な推薦者と異なる表記があれば誤解を招くとの懸念から、文書の趣旨を正しく伝えるべく、その記載を消去したものと承知しておりますということも総理も答弁されていらっしゃいますので、まさしく……(川内分科員「その後を読んでよ。その後を読め」と呼ぶ)はい。

 国会に提出する資料についてこのような対応を行ったことは極めて不適切であり、担当課長を厳正に処分するとともに、官房長官は内閣府に対し、このような行為を二度と起こさないよう徹底したところと承知をしております、これが一月二十二日の本会議での答弁でございまして、私どももこの趣旨を踏まえてきちんとこれから対応してまいりたいと考えておりますが、あくまでも、総理も述べておられますように、このまま出したのでは誤解を招く、事実と異なるということから修正を施した、その白塗りと言われる行為を行ったということでございます。

川内分科員 自分たちに都合のいいところの安倍総理大臣の答弁だけを読み上げて、その後、安倍総理大臣が、修正をしたことが不適切であるというふうな趣旨の御答弁をされたことを彼は読もうとしなかったわけですよ。そういうふうにして、大臣、だまされるんですよ。

 役所は一生懸命、いや、僕も官房長は一生懸命仕事をされていると思いますよ。一生懸命な余り、自分たちがやったことのミスとか間違いを認めないというのは、これはだめなんです。一生懸命頑張っているね、それは敬意を表する。ただし、動機のよしあしは関係ないんです、この場合。修正をしたこと自体が間違いなんですよ。

 それは、公文書管理委員会が最終報告でまとめた、記録というのは正確な記録でなければならない。しかも、国政調査権に対する提出資料として提出するものについて、情報公開法は、一般の国民の皆さんが情報開示請求をして、それに対しても、白塗りとかしちゃだめよということを言っているわけですよ。国会に対してはいいんですか、白塗りして、正確な記録じゃなくて。大臣が図らずもおっしゃった、正確な記録でなければならない、修正されたものはいかがわしいものだ、もうそれだけでいいんですよ。

 もう一つ聞きますよ。公文書管理という言葉に文書の作成という概念が含まれるかということをお答えください。

渡邉政府参考人 公文書管理法第四条で「文書の作成」というのがございますので、文書主義ということでこの法律の中に盛り込まれているところでございます。

川内分科員 だから、大臣、文書の作成というのも公文書管理の範疇なんですよ。作成の段階でいかがわしいことをしてしまったんですよ。それはだめよ、だから、もう今後そういうことをしないようにしましょうねという対応につながるわけですね。公文書管理上、問題があるんですよ、作成の段階で、してはならないことをしたわけですから。結果として、国会に対して誤った説明をすることになってしまったわけですから。

 だから、官房長も後ろの秘書官たちも、公文書管理上の問題があったんだということは大臣にちゃんと政府見解として言ってもらわないと、これは安倍総理大臣の答弁を否定することになりますからね。安倍総理大臣の答弁を否定するんですか、皆さん。修正したことは不適切だと言っているんですから。これは公文書管理上の問題なんですよ。

 大臣、自信を持って、問題だ、それは問題があったということをここで言ってくださいよ。

葉梨主査 まず、渡邉審議官、事務的にどうぞ。

渡邉政府参考人 御指名でしたので、失礼いたします。(発言する者あり)

葉梨主査 お静かに。

渡邉政府参考人 今回の措置につきましては、二つの別な資料を別々に作成、そしてそれを現在も正しく保管管理しておりますので、公文書管理法上の問題が生じていないということを申し上げたいと思います。

北村国務大臣 私の川内委員にお答えしたことで誤解があってはいけないから、丁寧にお話をさせてください。時間もあれです、簡潔に述べなきゃいかぬと認識しながら述べます。

 別に新たに作成したものは、これはまた公文書であるという場合がございます。特に、白塗りの話をなされるときにはこの点は極めて大事だろうと思いますから、あえて述べさせていただきます。

 その上で、公文書管理法第一条の目的において、現在及び将来の国民に説明する責務を全うするという内容が記載されておりますけれども、これは、その前に規定される「公文書等の管理に関する基本的事項を定めること」、これを受けて達成されるということでありますから、この公文書等の管理に関する基本事項である行政文書の作成や整理等の適正な管理や歴史公文書等の保存、利用等に係る一連のプロセスを定めたものであり、それらは同法第二条以降の規定を指すものであります。

 すなわち、公文書管理法の法体系の中では、第二条以降の具体の条項を満たすか否かが、第一条の現在及び将来の国民に説明する責務を全うするかどうかについて重要であると考えられるものであります。

 その観点から今回の事案を吟味したところ、今回は、二つの別の資料として作成、取得された上で、整理、保存、管理されることになることなどから、公文書管理法上の具体の条項に違反するわけではなく、したがって、法の趣旨から外れたものではないと考えるということを述べてきたところであります。

 以上です。

川内分科員 公文書管理法の問題を私は言っていないですね。公文書管理の問題として申し上げているわけですね。大臣、公文書管理の問題なんです。

 公文書管理は作成を含むんです。白塗り提出資料は、情報公開法上も問題がある、国政調査権の行使に対する資料提出としても問題がある。これは国政調査権ですからね、参議院の予算委員会の資料要求というのは。

 それに、安倍総理大臣も不適切だと言っているわけです、修正は。安倍総理大臣の見解を否定するんですか。まず、そこからやりましょう。安倍総理大臣の見解を否定するのかということを、大臣、言ってください。

北村国務大臣 総理の見解を否定するものではありません。私は……(川内分科員「はいはい、もういいです。否定しないと言ったんでしょう。もういいです、否定しないなら」と呼ぶ)もちろん。

 もちろん、総理は、この桜を見る会の一連の事柄については……

葉梨主査 手短にお話しください。

北村国務大臣 徹底的に見直しをするというふうにおっしゃっておられますから、そういう事柄、全ての関連する事柄について見直しが行われる、そう認識しています。

川内分科員 何でそんなわからないふりをするの。安倍総理大臣の見解というのは、修正したことが不適切だと言っているんですよ、大臣。修正したことが不適切なんですよ。その見解を否定するんですかと聞いているんですよ。

 否定しないんでしょう。否定しないんだったら、作成という概念は公文書の管理に含まれるんだから、修正したことが不適切なんだったら、公文書管理上不適切だと、あなた、言わなきゃいけないんですよ、論理上。

 まあ、どうぞ。いや、どうせ答えないでしょう。

北村国務大臣 あくまでも、別に新たに作成した文書でありますから、これが公文書だと……(発言する者あり)

川内分科員 いや、主査、総理大臣が、修正したことを不適切だと予算委員会の議事録で言っているんですよ。それを、総理が言ったことはそのとおりだとおっしゃりながら、文書管理というのは文書の作成という概念を含んでいるわけですから、それを文書管理上不適切だと言えないというのは、私は、もう早くやめなさいよ。公文書管理って民主主義の原点ですから、何よりも大事なんだ。何よりも大事なことをちゃんとわからないような大臣は、いちゃだめなんですよ。やめますと言ってください、ここで。

葉梨主査 川内委員に申し上げます。

 ちょっとこの場での発言としてはふさわしくないんじゃないかと思います。

川内分科員 いやいや、僕は一生懸命だから、いや、大臣のことは尊敬していますよ。

葉梨主査 質疑時間が終了していますから、まとめてください。

川内分科員 人柄はいいなと思いますよ、お人柄は。だけれども、公文書管理というのはめちゃめちゃ大事なんですよ。何よりも大事なんです。役所の思いどおりにしていたら、民主主義は崩壊するんですよ。

 そのことを申し上げて、終わります。

葉梨主査 これにて川内博史君の質疑は終了いたしました。

 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)分科員 大臣、もう少しこの話を続けましょう。非常に大事な話ですね。

 もし役所が勝手に作成途上だといって文書をどんどん変えて、まだ途中経過だといって新しい公文書を乱発したらどうなるか。真実がわからなくなるんですね。こんなことを大臣が本当に言い続けていいのかと思います。大変なことですよ、これは。

 まず、人事院に伺いたいと思いますが、人事院はこういう、この間、森友問題で、「懲戒処分の指針について」というのを改めて「公文書の不適正な取扱い」というものを定めました。決裁文書を改ざんした職員は、一発アウトで、免職又は停職とする。そして、決裁文書じゃなくても、公文書を改ざんし、紛失し、又は誤って破棄し、その他不適切に取り扱ったことにより、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、停職、減給又は戒告とする。違法につき処分する、懲戒処分する、こういうのを定めているわけですよ。

 過去の例、先ほどまた総務省の話もありましたよね。白塗りについては、これは情報公開請求ですけれども、開示請求者には当該部分に情報が存するかも不明となって、不服の判断に支障を与える、違法だ。情報公開請求の方も違法だ、こう言っているわけです。

 過去の例を見ても、懲戒処分の事例があります。ネットで引いただけでも、ちょっと古いんですが、厚労省の東北厚生局が、二〇〇七年、情報公開法に基づく開示請求のあった文書の一部を削除したり、原本とは異なる文書に差しかえたりしたということで、これが一カ月の減給処分に処した。これはネットで引いても出てきますね。

 それから、森友の文書改ざん、これは、本質は削除ですよ。余計なところ、不都合なところを全部削除して出しているということなんですね。

 そこで、改めて伺いますけれども、文書を白塗りにする、削除して情報公開請求を開示したら、これは懲戒事由になりますよね。今私が申し上げた以外に、森友それから二〇〇七年の厚労省の例以外に、懲戒処分として皆さんが把握している事例があったら言ってください。

合田政府参考人 お答えいたします。

 公文書の一部を削除して懲戒処分を受けたケースがあるかというお尋ねでございまして、先ほど先生が御指摘されましたように、平成三十年、財務省におきます森友事案の処分の中で、決裁文書について一部を抜き取る等の削除行為をした処分はあるというふうに承知しておるところでございます。

 このほかは、ちょっと私どもが確認する範囲で、文書を書きかえたとかということで処分されたケースはございますけれども、一部を削除したというケースは把握しておらないところでございます。

 それから、今回の事案についてどういうふうになるかということでございますけれども、懲戒処分につきましては、御案内のように、所属職員の服務を統督するとともに……(奥野(総)分科員「そこまで聞いていない」と呼ぶ)はい。

奥野(総)分科員 今回の事例について懲戒処分に当たるかどうかという話は、それはそれぞれ個別の事例なので、そこまで今は聞いていないんですが、先ほどの厚労省東北厚生局の案件は、これは二〇一八年の質問主意書でも出てきますし、要するに、白塗りをして開示した場合は懲戒たり得る、こういう事例も出ているわけですよ。

 同じ話なんですね。国民が知る権利を行使すれば、情報開示になるわけですね。開示請求をしていく。我々国会議員、国民の代表をしている、請託を受けて国会に来ている我々が情報開示を請求するのは、国政調査権に基づく情報開示ということになるわけですよ。同じぐらいの重みがあるはずなんですね。一方は、明らかに違法だ、情報公開法の世界では違法だ、懲戒処分の事例もあるわけです。

 では、大臣に改めて伺いますけれども、今回の件は、白塗りは、公文書管理法の趣旨に反するものではない、こうおっしゃっているんですが、この公文書管理法の趣旨とは一体何なんですか。(発言する者あり)

葉梨主査 じゃ、速記をとめて。

    〔速記中止〕

葉梨主査 速記を起こして。

 北村大臣。

北村国務大臣 公文書管理に関する法律の第一条にその目的が書いてあります。この第一条に沿って、「国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであることにかんがみ、国民主権の理念にのっとり、公文書等の管理に関する基本的事項を定めること等により、行政文書等の適正な管理、歴史公文書等の適切な保存及び利用等を図り、もって行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすること」であります。

奥野(総)分科員 確かに一条に書いてあって、今それを読み上げられたんですけれども、ポイントは、これは独法も入っていますから、「国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにする」ために、公文書等の管理に関する基本的な事項を定め、行政文書の適正な管理をしている、こういうことですよね。

 ところで、大臣、これは所管が違うかもしれませんが、行政機関の保有する情報の公開に関する法律、今私が例を挙げて、情報公開法だと、白塗りだと出すとアウト、懲戒事例、違法だ、こういう事例もあるわけですよ。

 では、この、いわゆる情報公開法、行政機関の保有する情報公開法というのに何と書かれているか御存じですか。

 通告していないからわからないですね。では、読みます。何と書いてあるかというと、同じように、「政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにする」、国民主権の理念にのっとり説明責任を果たすんだと書いてあるんですね。

 どこが違うかというと、公文書管理法は、現在及び将来の国民、将来の国民にも説明しなきゃいかぬ。こちらの行政機関の情報開示、公開法は、将来とは言っていない。今の、今々の国民に対してと。

 要するに、同じことを求めているわけですよ、同じこと、説明しなさいと。わかりますか。同じことを求めていて、一方は違法です、一方は違法じゃありませんと。これはどういうことですかね。

 もう一回言いますけれども、情報公開法は国民が知る権利を行使するための手段なんですね。公文書管理法は、そのインフラですよ。きちんと保存されていなければ、情報公開法に従って開示もできないんですね。だから、改ざんされちゃいけない。我々が要求しても同じように出してこなきゃいけないということだと思うんです。

 大臣、これでも、趣旨に沿って、違法じゃないと、白塗りの文書を出してきたことは、一方で違法だと言われているものを、国会議員、我々に出すことが違法じゃないとまだおっしゃいますか。

北村国務大臣 まことに恐縮でありますけれども、情報公開法の担当ということでもございませんから、情報公開法に基づく開示請求についての総務省の御説明は、情報公開法という個別の法制度に基づく対応のあり方について述べたものであり、今るる委員が申されておる事柄とは事情の異なるものであると私は認識するところであります。

奥野(総)分科員 認識を問われると思うんですが、車の両輪なんですよね。きちんと管理されていなければ情報公開請求しても文書が出てこないんですよ。

 公文書管理法があるからこそ、情報公開法が使えるわけですよ。もとの文書がちゃんと保存されていなければ請求しても出てこないわけですから。文書ファイルがあるからこそ、開示請求ができるわけですね。文書管理ファイル簿を見て、皆さん、文書を特定して、開示請求してくるんですよ。

 同じことなんですよ。こっちがもとなんですね。公文書管理がしっかりしていないと情報開示請求は成り立たないんですよ。だから、全く別というのは、大臣……(北村国務大臣「所管外ですよ」と呼ぶ)いやいや、所管じゃないって、公文書管理を所管しているわけでしょう。公文書管理を所管しておられる大臣の言葉とは思えませんよ。

 きちんと管理されていないと公開請求できないわけだから、この二つは車の両輪なんですけれども、全く違うとおっしゃるんですか。

北村国務大臣 私が大臣として仕事をさせていただくよって立つ法律が、よりどころとする法律が、情報公開法の担当ではない、所管しておるものではないということを申し上げたまでであります。

 情報公開法は総務省で所管するというふうにおっしゃられたのと違いますか。

奥野(総)分科員 情報公開と公文書管理は全く関係ないんですかと聞いているんですけれども。

北村国務大臣 それは、我が国の法律体系の中で、委員もおっしゃるように、整然とした体系を構成しているわけですから、関係がない法律ということではないというふうに思いますが、担務という言葉を先ほどからおっしゃられていますが、私が、地方創生、また十七の担務を有する国務大臣として、所管しなさいと仰せつかっておる法律をカウントしてみたときに、情報公開法が私の担当する担務のうちに入っておるとは私は認識しておりません。

 もし間違っておればおわびしますけれども、私の認識はそういうところであります。

奥野(総)分科員 大臣の論法でいうとどういうことになるかというと、どんなに文書を書きかえても、新しい公文書だというわけですよね。もしそれが許されるとしたら、都合よくどんどん書きかえられるじゃないですか。

 公文書管理法の趣旨、情報公開法の趣旨というのは、この文書を持ってきてください、この文書を開示してくださいと言ったら、過不足なくその文書が出てくることが情報公開法の趣旨であり、その大もとの公文書管理法の趣旨じゃないんですか。うなずいておられますね。文書管理簿を見て、こういう文書があるはずだから、これを公開してくださいといって、それを開示するというのが一連の流れでしょう。そこも、うなずいておられますね。だから、これは一体なんですよ。

 大臣のおっしゃるように、どんどん書きかえて、それを新しい公文書だということをもし認めれば、行政が都合のいいように、あるいは都合の悪いことを隠しながら、これが新しい文書だといってどんどん開示して、書きかえることが可能になっていくじゃないですか。真実がわからなくなるんじゃないですか。だから、懲戒処分になるわけですよね。きょとんとされていますけれども。

 もう一回言いますけれども、文書を新しい文書に書きかえて、この文書を出してくださいと言っているのに、それと違う文書を書きかえて出したら、それは適法なんですか。

渡邉政府参考人 先ほどから先生がおっしゃるとおり、両法が車の両輪というのは確かにそのとおりかと思います。

 その上で、今回の内閣府における事案は、情報公開法に基づく開示請求への対応ではございませんので、なかなか同列に論じることは難しいところではございます。

 また、公文書管理という観点では、新しい文書を、別々の文書を作成し、それを適正に管理し、翌年度四月一日からの行政文書ファイルに登載することにより、それがファイル管理簿にも載って、国民の皆様の目にも触れるということになりますので、公文書管理上は問題はないという答弁をさせていただいております。

 ただ、国会に提出した資料につきましては、先ほど来大臣が申し上げているとおり、不適切な対応であったというふうに認識をしているところでございます。

奥野(総)分科員 今の答弁は違うんじゃないんですか。

 この文書を出してくださいと言って、特定して出せと言っているわけですよね。その特定されたものを書きかえて出してきたら、明らかに違法じゃないんですか。だから、懲戒処分になってくるわけでしょう。

 今回も同じなんですよ。我々、先ほど黒岩委員が言ったんですけれども、内閣官房、総理室の名簿が残っていませんかということを知りたかったわけですよ。ずっと要求してきた。それが出てきましたと。

 だったら、書きかえちゃいけないんじゃないですか。我々が求めていたものは、総理室の名簿があるかどうかというのを求めていたわけです。だからこそ、原本を出してください、こう言っているわけですよね。それをあたかも、なきがごとく白塗りの資料を出していますけれども、お配りしていますけれども、あたかも、なきがごとく白塗りにして出してくるというのは違法なんじゃないですか。公文書管理法の趣旨に反するんじゃないですか。国民の知る権利に奉仕する、それから、国政調査権、その任務を負っている我々に対する侮辱じゃないんですか。大臣、どう思いますか。

大塚政府参考人 一点、済みません。具体的に、ちょっと事実関係を申し上げます。

 今委員、何か総理室からの名簿が云々というお話がございましたが、これは、あくまでも参議院の予算委員会の理事懇におきまして、各府省のそれぞれのその推薦分の名簿を取りまとめて提出をせよという御指示があり、私ども内閣府として、一府省としてお出しをしたものはこれでございますということでお出しをした中に、今るる御議論になっている部分が含まれていたものでございます。

 あくまでも最終的な推薦者が内閣府の人事課でございますので、それと異なる記載は誤解を招くのではないかと懸念して消したということでございます。

 ただ、いずれにいたしましても、そういったことを説明もしなかった、これは不適切でございました。

奥野(総)分科員 いや、今の答弁、けしからぬのでね。誤解するかどうかというのは僕らが決めることですよ。勝手に書きかえて、むしろ誤解を与えようとしてやっているんじゃないですか。誰も気がつかなかったら、これはそのまま総理室の名簿がなかったということになるじゃないですか。

 我々に誤解を与えるように、ミスリードさせるように、改ざんしたんじゃないんですか。おかしいじゃないですか。大臣、そんなの認めるんですか。

大塚政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますが、総理室からの名簿というのは、これは事実としてございません。官邸事務所という記載はございましたが、最終的には内閣府人事課として、内閣府として推薦をしたものでございますので、あくまでも事実はそれが正しい。ですので、それと異なる記載が誤解を招くというふうに考えたということでございます。

奥野(総)分科員 これは水かけ論になりますけれども、誤解するかどうかという判断は我々がするんですよ。だからこそ、原本を出さなきゃいけないんです。改ざんじゃないですか。これだけ森友で、人事院が懲戒指針まで出してやっているのに、まだやるんですか、皆さんは。

 大臣、どうですか。こんなことを許していいんですか。どうぞ。

北村国務大臣 お答えをさせていただきます。

 修正した資料の提出をいただくに当たって、修正した旨の説明がないと、利用する側として支障が生じることは当然でございます。これは国会への対応という行政の基本的なあり方に関する問題として、公文書管理のあり方以前の資料の説明責任に関する不適切な事案であったと認識しています。この件について、説明責任の観点ではなく、公文書管理のあり方の観点から不適切であると論じることは、むしろ問題の本質をずらしてしまうことになると私は懸念するものであります。

 国会への説明責任の観点から、国会提出資料については丁寧かつ正確な説明をすること、さらに、公文書管理の観点から、補正前と修正の後の二つの資料がそれぞれ適切に保管、管理されることを求めてまいりたいと存じますし、少なくとも後者の公文書管理の観点につきましては、二つの資料がそれぞれ別のものとして適切に管理、保管されることになると聞いております。

奥野(総)分科員 今、この問題の本質がぼやけるんじゃないかみたいな答弁をしていましたけれども、この問題の本質は何ですか。

北村国務大臣 お尋ねでありますから申し上げますけれども、説明責任の観点ではなくて、公文書管理のあり方の観点から不適切であるというふうに論ずることがむしろ問題の本質をずらしてしまうということを懸念しておるということを述べたものです。

奥野(総)分科員 もう次に行きたいのであれしますけれども、大臣、これは本当にひどいことになりますよ、文書を書きかえていいんだから。開示請求した文書を、開示請求があった瞬間、書きかえていいということになるんですよ、これは。新しい文書、これが請求された文書だといって改ざんして出せることになるんですよ、きょとんとされていますけれども。本当にこれは大変なことになると思います。大臣、もうちょっと理解してください、事の本質を。

 もう少し、次の話に行きますけれども、先ほど黒岩委員の話なんですけれども、基本的に公文書管理法というのは文書を廃棄するということは原則としていないわけですよ。原則は、全ての文書を一年以上保存するというのが原則なんですね。それに外れる部分、保存期間一年未満の文書についてはガイドラインに落として後づけでつくっているということになります。

 桜を見る会の名簿がなぜ残っていないかということですけれども、これは内閣府の人事課に伺いますけれども、人事課の保存期間表を見ると、一年未満ということで残っています。その根拠というのが、ガイドラインの「保存期間表において、保存期間を一年未満と設定することが適当なものとして、業務単位で具体的に定められた文書」となっているんです。

 改めて伺いますが、桜を見る会の全体の名簿がなぜ保存期間を一年未満とすることが適当なものと判断したんでしょうか。

大塚政府参考人 お答えをいたします。

 まず前提といたしまして、二十九年十二月にこのガイドラインの改正があり、そこで、その保存期間を一年未満とできる行政文書の具体的な類型が掲げられたということがございます。

 これを受けまして、内閣府人事課におきまして、その招待者名簿につきましては、その会の終了をもって使用目的を終えること、それから膨大な個人情報を含む文書の管理上の負担などから、その保存期間を一年未満とすることといたしまして、三十年の四月にその保存期間表を改正し、内閣府のホームページで公表した、こういう次第でございます。

奥野(総)分科員 これは、省庁によっては、十年ないしは五年、要するに、栄典及び表彰ということで、公文書管理法の施行令にのっとって長期間保存している省庁がたくさんありますけれども、改めて問いますが、なぜ人事課としてはこれについて一年未満としたのか。個人情報の問題というのは、他省庁も抱えているはずでありますし、今データとして残しておけばかさばるわけもないんですから、なぜこれは一年未満としたんですか。他省庁との並びをどう考えますか。

大塚政府参考人 今申しました一年未満文書、これは、内閣府としては、全体の取りまとめの立場と、それから一府省として推薦する立場もございますが、今申しましたのは、全体の招待者名簿の保存期間の一年未満ということを申しました。

 それと、確かに、どんな名簿でありましても、個人情報である以上、同じような、質的には共通性があるのではないかという御指摘だと理解いたしましたが、やはりそこは、膨大なという数の問題もございますし、かさばるといいますよりは、むしろ、特に電子媒体の場合には、もちろん内閣府もそれなりのシステムを使ってございますが、情報漏えいのリスクといったようなものがどうしても潜在的に想定されるということで、そうしたことも加味した上でのこうした一年未満としたということでございます。

奥野(総)分科員 これは、情報漏えいのリスクとおっしゃいましたけれども、恥ずかしいものなんですか。漏えいがいいとは言いませんけれども、公表することが恥ずかしいようなものなんですかね。個人情報と言っていますが、例えば園遊会とかは公表されるわけですよ。

 大臣に伺いたいんですが、桜を見る会の名簿って、何で歴史公文書じゃないんですか。みんな、名誉なことじゃないですか、地域での実績や、その道での実績を評価を受けて招待されるわけですよ。これはなぜ歴史的公文書じゃないんですか。

北村国務大臣 お答えいたします。

 保存期間は、ルールに基づいて、知見と責任を有する各府省の担当部局が設定するものであり、その判断については、私からのお答えは差し控えさせていただきたい。

奥野(総)分科員 大臣としての、政治家としての見識を今伺ったんですけれども。大臣というのはそういう見識を持って私は判断すべきだと思うんですよ。

 一方で、園遊会とかは歴史的に残そうという話になっています。桜を見る会、総理が堂々とやればいいじゃないですか、堂々と招待したらいいじゃないですか。なぜ隠すんですか。招待された方は、みんな、名誉だといって喜んでいるわけですよ。これは歴史文書として、現に、小泉内閣のときには物が残っているわけですよ。ある時点までは、歴史文書として残っているわけですよ。ある日突然、ある日突然というか、正確に言うと安倍内閣になってからですけれども、総理決裁もなくなって、隠すようになったわけですね。隠すというか、一年未満で廃棄するようになったんですけれども、これでいいと思いますか。

北村国務大臣 お答えいたします。

 桜を見る会に関しましては、総理から、これまでの運用を大いに反省いたし、今後、総理自身の責任において全般的な見直しを行ってまいりますとの発言がありました。

 その中で、内閣府としては、文書の保存期間などについても今後検討していくことと聞いており、動向を注視しつつ、必要な対応を行っていかなければいかぬと考えております。

奥野(総)分科員 もう一問、後で聞きますけれども、私の問題は、文書は基本的に、この公文書管理法自体は、一年未満の文書なんて想定していないんですよ。政令に落ちる過程で、勝手にこういう一年未満のカテゴリーがつくられて、ある意味役所に都合のいいように、残すと都合の悪い文書はどんどん廃棄できるような仕組みになっているわけです。

 今、総理も反省しているとおっしゃいましたから、大臣、これは、保存期間一年未満の文書というのは極力なくすべきじゃないですか。基本的に、こうした名簿の類いを含めて、歴史公文書として全部残すべきだと思いますけれども、今後、見直しについては大臣がリーダーシップをとると思うんですが、基本的に、文書は全部一年以上として残していく、こういった名簿も含めて残していくということでよろしいですか。

北村国務大臣 先ほど答弁したとおりでありまして、総理が、今後しっかり見直していくということで、やり直しを図るということをおっしゃっていますから、私も、先ほど申したように、注視いたしつつ、その線に沿って、担務を、責任を果たしていくという姿勢でおります。

奥野(総)分科員 もう一問聞きたいのでもう一回最後に振りますけれども。

 この間、毎日新聞の記事があって、このお配りしている七項目め、「保存期間を一年未満と設定することが適当なものとして、業務単位で具体的に定められた文書」、今、この項目があるので、この桜を見る会も一年未満と。要するに、担当課が一年未満と設定することが適当だと定めてしまえば、何でも一年未満にできるという規定なんですよ、これは。役人的にいうと、その他保存期間表においてと書いてあれば前のものが例示になるんだけれども、なっていないから、これは単独で書かれているので、何でも保存期間一年未満にできるんです、定めてしまえば。

 その前の段階、お配りしていますが、二枚目の資料ですけれども、議論の過程で、平成二十九年九月二十日の公文書管理委員会の資料では、これは毎日新聞でも同様のことが書かれていますが、「定型的・日常的な業務に関する以下のような文書で、」と限定がかかっているんですよ。定型的、日常的な業務に関する文書であって、原課が一年未満ということが適当だとすれば定められるということになっているんですけれども、これが検討の過程で落ちてしまっているんですよ。

 これは随分私は悪質だと思っていて、こういう規定をつくってしまったからこそ、何でも尻抜けでできるようになったんじゃないかと思います。

 これは、大臣、もう一回言いますけれども、二問、なぜこういう結果になったのか、どういう過程で定型的、日常的な業務という言葉が落ちたのかという話と、もう一度、さっきの話ですが、総理がやるんじゃなくて、公文書管理は大臣の所管ですから、大臣の判断で、御自分の判断で、何を一年以上とするか、何を歴史文書とするかというのを見直すべきなんですよ。

 もう一度、今二問ありますが、一つは、なぜこういう定型的な業務という言葉が落ちたのかという経緯と、大臣は、こういう尻抜けにしちゃいけないと思いますから、全ての文書については基本一年以上保存、桜を見る会についても一年以上保存すべきだと、リーダーシップをとってください。それについて、答弁を。

渡邉政府参考人 経緯について申し上げます。

 この文書につきましては、公文書管理委員会の平成二十九年九月二十日に出されたものでございまして、検討の一時点の資料でございます。これは、事務方からたたき台として御提示をいたしました。

 その二十九年九月二十日の委員会の中でもさまざまな御議論がありまして、合理的な跡づけ、検証に必要な文書については一年以上とするという原則をつくる関係で、この一年未満の類型をどういうふうにしていったらいいかというのを更に考える必要があるですとか、さまざまな御議論をいただきました。

 そうした議論も踏まえまして、事務局におきまして、行政運営の実態も踏まえて改めて検討をし直しまして、合理的な跡づけ、検証に必要な行政文書は一年以上という新しい原則のもとで、全ての一年未満類型を整理した今日のガイドラインに近い姿を十一月の委員会にお示しをいたしました。

 その上で御議論いただいて、パブリックコメントも経て、最終的な改正案になりました。

 そういう経緯でございます。

北村国務大臣 お答えさせていただきます。

 保存期間一年未満の第七類型は、各府省の事務及び事業の性質、内容がさまざまでございますから、政府全体のガイドラインの中で全てを網羅できる類型を規定することは困難であることから設けられたと……(奥野(総)分科員「答えが違う、そこは聞いていないんだけれども」と呼ぶ)まあ、しゃべらせてくださいよ。

 具体的には、第七類型に含まれる文書は、一年以上の保存期間が求められる歴史公文書や合理的な跡づけ、検証に必要な行政文書には該当しないと判断される行政文書であって、個々の業務内容に即して、各府省の文書管理者が保存期間を一年未満とするものとして、保存期間表において業務単位で具体的に定めたものでございます。

 また、第七類型に位置づけた場合でも、総括文書管理者への報告や保存期間表の公表によりまして外部からのチェックが働くこととなりますから、このため、現在の体系を運用していくことが適当ではないかと私は考えます。

 この体系の適切な運用のため、私は、今後とも、研修の充実強化などを通じて、適切な保存期間の設定がなされるよう取組を進めていかなければならぬと考えておるところであります。

奥野(総)分科員 時間が来たんですが、最後に一言だけ。

 総理の動向を注視しながら検討するとおっしゃいましたけれども、今大臣がおっしゃったことは、役所の言うとおり、役所が決めたら一年未満で破棄できるという今の制度を一切変えるつもりはないと答弁されたということですよね。(北村国務大臣「役所と私は言っていないです」と呼ぶ)いや、あなた言ったよ。

 以上です。

葉梨主査 これにて奥野総一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、小林史明君。

小林(史)分科員 自由民主党の小林史明です。

 きょうは質問の機会をいただきまして、関係者の皆さんに感謝を申し上げたいと思います。

 きょうは、規制改革、特にデジタル規制改革について取り上げたいと考えております。

 昨年の十一月に自民党の行政改革推進本部規制改革チームからの提言を受けて、現在、政府の規制改革会議でもデジタル規制改革というのをトップに掲げて議論を進めていただいているというふうに認識をしています。これは技術の進展に伴って、さまざまな新たなデジタル技術を活用した、例えば保守点検であったりとか文書の手続等ができるようになってきているわけです。

 一方で、日本の法律を見ると、書面でなければいけないとか、対面、目視、目で見て確認しなきゃいけない、こういうふうに具体的に手法が書いてあることによって、新しいデジタル技術が実は活用できないという現状はあるというふうに認識をしています。

 これは全省庁、かなり細かいところにわたってあるものですから、きちっと、まさに規制改革会議が全省庁を横断的に、省庁に指示をして全てを洗い出していかないと、やはり日本においてイノベーションは起こらないですし、大臣のもう一つの担当である地方創生、ここも、地方にとってなるべく無駄をなくして、本来人が取り組むべきところに取り組む、こういったこともできないのではないかという問題意識で我々から提言をさせていただき、今議論をしていただいているところです。

 きょうは、そのうちの四つを具体的に取り上げて議論を進めたいというふうに思っております。

 一つ目は、障害者に関係するところで、障害者手帳についてです。

 障害者として認定をされると手帳というのが交付されるんですが、実は交付主体は自治体になっています。つまり、千七百十八自治体であったりとか場合によっては県が交付をするということなんですけれども、実際に調べてみると、何と障害者手帳のフォーマットは三百種類以上ある。ですから、自治体をまたいで障害のある方が手続に行くと、隣の自治体の方はその書類が正しいのかどうか判断がつかない。民間企業で何か割引をされるというふうになると、それが本当に、偽造されたものかどうか、これも確認するのは非常に大変だということで、煩雑になってしまっています。

 これに対して、実は障害者自身が立ち上げたスタートアップ企業で、障害者手帳をデジタル化するというサービスを提供している企業があります。非常にすばらしい技術で、すばらしいサービスなものですから、民間企業もデジタル化された障害者手帳を認定して、割引サービスを提供したりしています。これは大変いいことだと思うんですね。

 実際に障害者団体の方からヒアリングをすると、毎回毎回障害者手帳を持ち歩くというのは非常に負担があるということとともに、実は窓口で毎回障害者手帳を提示するというのは個人情報を全て出すことになりますから、これも非常に負担がある。

 一方で、事業者さんからすると、フォーマットが一つに統一をされているので確認がしやすいというメリットがあると言われています。

 ただ、これだけ民間が認めている一方で、実は自治体や行政が提供しているサービスの窓口に行くと、これはやはり紙でなきゃだめだということになってしまうわけです。

 これは確かに、自治体が所管をしているから国としては何ともしようがないということなのかもしれませんが、これはこのままほっておいていては、こういう分野はいつまでたっても効率化されないということになります。そういう意味で、ぜひ、フォーマットの統一であったりとか手続の統一化というのは国が主導して標準化をしていくという方が、自治体にとっても楽になりますし、障害者自身にとっても楽になるのではないかというふうに思います。

 そういった検討をぜひ進めていただきたいという御提案と、一方で、通達という形でこういうデジタル化を認めていいんじゃないかというのを、実は国交省が先んじてやっています。例えばJR、こういったところに障害者手帳のデジタル化を認めて、しかも窓口に行かなくてもいいように手続できるようにしようということを、国交省が通達を出して、JR等がそれに対応したというのがあります。

 そこで、内閣官房に提案とともに質問ですけれども、内閣官房のIT室というのはデジタル手続法のもとにこういった手続をデジタル化するというのを推進している役割であります。ぜひ全省庁に、例えば所管する民間企業であったり所管する自治体の業務に対して、デジタル化を認めてはどうか、こういう通達を促してはどうかと思いますが、いかがでしょうか。

冨安政府参考人 IT室でございます。

 IT室といたしましては、まさにデジタルガバメントの実現を目指しているところでございます。そのデジタルガバメントにおいては、やはり行政のあり方、社会全体をデジタル化を前提としたものにつくりかえ、全ての人が必要なサービスを、時間と場所を問わず、それぞれのニーズに応じて最適な形で受けられる社会を目指しているところでございます。

 委員御指摘になりましたまさに障害者手帳をデジタルで代替できるサービスを活用できる範囲が広がっていくことは、社会のデジタル化が進展する中で、利用者の視点からも大変重要なことと認識いたしております。

 また、先生今御指摘になりました国交省における取組などもよく勉強をさせていただきまして、障害者割引などにつきましてどのようなサービスが提供されているのかというのも確認させていただきまして、そういった業界を所管している関係府省と連携いたしまして、内閣官房のIT室が中心となりまして、各業界へのアプローチなどを検討し、適切に対応してまいりたいと考えております。

小林(史)分科員 適切に対応してまいりたいという前向きな答弁をいただきまして、ありがとうございます。多くの方が助かる取組であると思いますので、ぜひ御協力をよろしくお願いします。

 次に、障害者の関係でも、補装具の制度についても質問をさせていただきます。

 補装具というのは、例えば車椅子であったりとか補聴器というのもありますし、今回取り上げるのは、全く体が動かせない方でも視線でコンピューターを操作するということが最近できるようになっています。参議院にもこういった方が登壇をされておられますけれども、これは重度障害者用意思伝達装置というものになります。

 この補装具の補助制度なんですが、これも昔の考え方で整理をされているものですから、基本的には意思表示以外には使ってはいけないというふうになっています。

 なので、視線を使って文字入力ができるので、それで仕事をしようと思えば仕事もできますし、勉強もできるんですね。なんですけれども、当時、文字を入力することしか想定をされていない、いわゆるワープロ的なものしか想定をされていないので、それで別のことをするということが想定をされないルールになっています。

 結果、別の機能を、購入するときにはその機材が備えていてはいけないというふうになっているんです。結果、多機能なパソコンを購入するんですけれども、機能は意思表示だけに絞られたものを買わなきゃいけない。

 その後、この意思表示の装置が機能的に能力が上がっていくとすると、これはソフトウエアでインターネット上からアップデートされるわけですが、これも想定をされていないので、禁止をされているというふうになっています。

 今、さまざまな世界で障害のある方が社会に参画できた方がいいよねということで、いろいろな技術を使って仕事をされたり、社会に参画が進んでいます。障害者補装具の支給制度の概要の目的を見ても、障害者が日常生活を送る上で必要な移動等の確保や、就労場面における能率の向上を図ること、障害児が将来、社会人として独立、自活するための素地を育成、助長することというふうに書いています。そういう意味では、こういった新しい技術を認めていくというのはまたこの目的に反しないものだというふうに思いますが、実際には制度の運用上認められていないというふうになっています。

 ぜひこれを認めるべきではないかということ、多様化をさせるというのをぜひ認めるべきではないかということ。

 もう一つは、実質的には、これは文字が読み書きできなきゃいけないということによって、未就学児、つまり小学校に通っていない子供たちはこれは買えないということになっています。

 でも、今、二歳の子供でもiPadを使ってゲームをしたり学びをするということができるようになっているわけですから、そういった未就学児の障害児にもこういったものを認めてあげることで学びがより進むという実証事例が出てきていますので、こういった部分も、これは自治体や県が認定をするところになっていると思いますが、自治体によってばらばらだというお話もいただいています。

 ぜひ国からは、こういった部分にも認めていこうという通知を出していただくことはできないか。ぜひ御検討をよろしくお願いします。

橋本政府参考人 今お話しいただきました補装具費支給制度におきましては、新障害者総合支援法に基づき、障害により損なわれた身体機能を補完、代替する用具、すなわち補装具を給付の対象としておるわけでございます。

 その中で、御指摘いただきました重度障害者用意思伝達装置でございますが、こちらは、ALSなどの重度の身体障害児・者が意思伝達などを行うための専用機を対象といたしております。パソコンを活用して構成する場合には、その機能の安定的な動作を担保するため、当該パソコン上にはほかのソフトウエアの機能を持たせずに、専ら意思伝達装置の機能のみに特化したものというふうに扱ってきたところでございます。

 一方、情報技術の進歩によりまして、機能制限を行わないパソコンを活用し重度障害者用意思伝達装置を構成することも可能であるというふうなお声も聞いておりますので、御指摘を踏まえて、技術的な問題がないかどうかということも含めて検討してまいりたいと思います。

 また、子供についての問題も承りましたので、それも含めて検討させていただきたいと思います。

小林(史)分科員 ありがとうございます。

 実際にこの補装具制度に認めるかどうかというのは検討会を経なければいけないと聞いていますので、ぜひ検討会の論点に加えていただいて、研究を進めていただきたいと思います。

 三つ目も厚労省についてなんですが、厚労省のガイドラインについてちょっと問いたいというふうに思います。

 今、医師の働き方改革ということがうたわれていまして、さまざまな医療行為を効率化していこうという流れがあります。その中で、処方箋についても電子的にやりとりができるようにしようという動きがありまして、実際に実験をしてみたということなんですが、ほぼ使われなかったというふうに聞いています。

 その要因は何だったかというと、結局、処方箋を医師が書くに当たって、一度ファイルをダウンロードして、そこに書き込んで、電子署名をつけて、またインターネット上に上げて、これをまた薬剤師さんに送って、こういうことをやらなきゃいけないので、結局、紙でやっていることと同じじゃないかということで、非常に手間がかかる。

 さらには、HPKIカードということで、医師版のマイナンバーカードを使わなきゃいけないということで、これが全く、全くと言ってはいけないんですけれども、数万枚しか普及をしていない。薬剤師さんにとっては全く普及していないと言っていいぐらいなので、これを前提にしていると非常に難しいということが要因だったというふうに確認をしています。

 実際に、電子カルテにおいては、一々ダウンロードせずに、インターネット上で情報を書き加えて、それが情報共有されるというふうに運用されているわけです。

 これはどういうことかというと、誰がログインをして、誰が書きかえたのか、書きかえた結果がちゃんと電子的に残っているということで、本人が特定できて、資格があるかないかがわかって、履歴が残っていればいいんじゃないのという考え方で、いわゆる電子認証的な方式として使われています。

 一方で、この処方箋のやりとりに関しては、いつまでたっても、電子署名じゃなきゃだめだというように書いてある。電子署名というのは、基本は、紙に対して印鑑を押すものをデジタル化したというだけですから、実際の業務改善にはつながっていないわけですね。

 ですから、根本からデジタル対応して業務のやり方を見直すということであれば、先ほどの紙を前提にした電子署名ではない、電子認証的な柔軟な方式も検討していくべきだと思いますが、これはガイドラインでしっかり書いてあるものですから、そこを書きかえないとこれは使えないわけです。この検討はいかがでしょうか。

椿政府参考人 お答えいたします。

 医師が患者に対して処方箋を交付する場合は、記名押印又は署名しなければならないこととされておりまして、医師の成り済まし防止等の観点から、電子的交付の場合には電子署名が必要となっております。

 さらに、電子処方箋の電子署名の方法については、委員御指摘のとおり、電子処方せんの運用ガイドラインに基づいて、署名が本人であることの証明に加えて、医師の国家資格を確認できるHPKIを採用するとともに、HPKIの普及に努めてまいりました。

 厚生労働省としては、引き続きHPKIの普及に努めるとともに、規制改革実施計画に基づきまして、医療情報システムの安全管理ガイドラインの改定等について現在議論を行っているところでありまして、適切な電子署名のあり方について議論を行ってまいりたいと考えております。

小林(史)分科員 病院に所属をして、どなたが医師資格を持っているかというのは、これは病院自体は本来は認識をしているわけですから、一人一人がカードで申請する必要はなく、病院自体が認定をするということもあるでしょうから、さまざまな手法を柔軟にぜひ検討いただいて、使いやすい仕組みをつくっていただきたいと思います。

 続いて、住民票の申請のオンライン化について質問します。

 地域の過疎化が進んでいきますと、なかなか住民票をとりに行くというのも役所が遠いということがあって、これについてオンラインで申請できたらというのがあり、マイナンバーカードによってコンビニ等で交付ができるようになっています。それに加えて、郵便でも取り寄せることができるようになっているわけですね。なんですけれども、実際に行くというのは結構面倒ですから、できればスマホやPCから申請ができたらいいよなということがあるわけです。

 実際にそのようなニーズがあることから、幾つかの自治体がスマートフォンからSNSのメッセンジャーサービスを使って住民票を申請する取組というのを実験されています。実際には千葉の市川市、あと四條畷市というところがやっていらっしゃって、ぜひ実証実験でうまくいったのでやりたいというふうに自治省に聞いたら、それは認められないんじゃないかという懸念を示されているということで、足がとまってしまっています。

 コンビニ発行に関しては、確かに、マイナンバーカードでやるものですから、これは本人確認もきちっとされているわけです。なんですけれども、郵便でやっている部分に関しては、郵便に自分の免許証等のコピーと自分で署名を書いて申請をする、これは郵送ですね。送る先は、本人確認書類に書いてある住所に必ず返信をするというふうになっているということです。

 これ、SNS等のメッセージサービスでもやっているのは何をやっているかというと、本人の証明書を写真で撮って、申請書をスマホで打って、デジタルで送る。それに対して返信されるのは、その証明書に書いてある住所に送られる。これはほぼやっていることは同じですね。さらに今、サービス上、自治体としては、その住所を送るとき、申請をするときですね、自分の写真も自撮りして送ってもいい、こういうこともやれると言っているわけです。

 そうすると、郵便でやるよりも実は本人確認性は高いのに、デジタルだからだめだと言っていると、日本のデジタル化は全く進まないんじゃないかと思います。そういう意味で、こういった部分も認めていいのではないかと思いますが、自治省、いかがですか。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 住民票の写しは、成り済ましなどの不当な手段による交付請求を防ぐために、住民基本台帳法第十二条第三項の規定によりまして、市町村長に対し、個人番号カードを提示する方法その他の総務省令で定める方法により、当該請求の任に当たっている者が本人であることを明らかにしなければならないとされておるところでございます。

 これに基づきまして、市町村の窓口では、請求者本人が自署又は押印した請求書の提出にあわせまして、マイナンバーカードなどの本人確認書類の提示を求め、厳格な本人確認をした上で住民票を交付するというふうにされておるところでございます。

 また、窓口以外の請求方法として、住民基本台帳法第十二条七項の規定などによりまして、郵送での請求する方法を認められておりますが、この場合には、本人確認書類の写しとともに、請求者の自署又は押印があるということで、法律、これは民事訴訟法上でございますけれども、真正に成立したことが推定されるという規定の取扱いとなっておるところでございます。

 さらに、デジタル行政推進法第六条の規定によりましてオンラインでの住民票の写しの交付請求も可能となっておりますが、この場合にも、成り済ましやデータの改ざんがないことなどを厳格に確認する必要があることから、同条第一項の規定に基づき定められた総務省令におきましては、マイナンバーカードに記録された電子証明書等による電子署名を活用する方法により行うというふうにされておるところでございます。

 このような電子署名が行われている情報については、先ほどと同様でございますけれども、電子署名及び認証業務に関する法律上、真正に成立したことが推定される、このような規定が置かれているところでございます。

 お尋ねのような、特定の例えば通信アプリによりまして、オンライン上で電子署名を付すことなく請求情報を入力し、本人確認書類の画像を添付して請求する方法につきましては、ただいま御説明申し上げたような、真正に成立したものと推定するというような法的根拠が設けられていないということ、それからまた、請求したアカウントの保持者と画像で示された本人確認書類の本人が同一人物であることの確認方法、あるいはデータの改ざんがないかなどの確認方法、あるいは仮に誤交付があった場合の責任関係などの点で問題があるのではないかというふうに現時点では考えているところでございます。

 総務省としては、住民票の写しのオンライン請求につきまして、マイナンバーカードによる電子証明書を活用した方法が現時点では最も適切な本人確認の方法であるというふうに考えておりまして、市町村や事業者にも理解いただくとともに、普及に努めてまいりたいと考えておりますので、何とぞ御理解いただければと存じます。

小林(史)分科員 森さんが選挙部時代に、在外邦人のネット投票についても道筋をつけていただきました。

 今回の議論も、結局、郵便でやっているよりも、本来的には本人確認はデジタルの方が強くできるんですよ。なんですけれども、デジタルでやったらだめだと言っているのがやはりこの国のルールであります。

 そういったものを全部見直そうよということを、今、規制改革会議でやっていただいているので、きちっと全省庁に言っていただいて、普通の官僚の皆さんは省庁に書いてあるルールどおり執行するのが仕事ですから、それはしようがないんだと思います。一方で、この統一したコンセプトで見直そうときちっと指示がおりれば皆さん見直していく、こういう組織だというふうに思っていますので、こういった部分をしっかり大臣から進めていただくことが重要かなというふうに思っております。

 そういう意味で、これまで議論も聞いていただいていたと思いますが、このデジタルの観点での規制改革、地方創生にも大変重要でありますし、行政の効率化、そして国民の利便性向上の上でも大変重要だと思いますが、最後に大臣の意気込みを伺って終わりたいと思います。よろしくお願いします。

北村国務大臣 規制改革は安倍内閣の成長戦略の中核であり、いわば一丁目一番地。私が大臣の任をいただいた際、総理から規制改革をしっかり頼むと強い思いを託されたものであります。その思いにお応えしなければならぬと覚悟いたしております。

 現在、デジタル化の進展など経済社会が急速に変化をいたし、こうした中で、規制改革を絶え間なくスピード感を持って進めていくことが、委員も今るる具体的に御指摘のとおり、求められておると認識します。

 規制改革推進会議におきましても、デジタル社会に対応する規制のあり方や課題について御議論をいただいておるところであります。今後、規制改革推進会議が答申取りまとめを予定しております本年夏ごろに向けて、どのような切り口でデジタル分野の規制、制度を見直していくか、方向性を整理いたし、実効性のある具体的な計画策定につなげていかなければならないと考えております。

 これからが正念場になってくると考えておりますから、私も、微力ではありますが、担当大臣として、国会の許す限りこの会議に参加をいたし、ともに議論を行いつつ、事務局としてもしっかりサポートしてまいりたいと考えておるところでございますから、どうぞよろしくお願い申し上げます。

小林(史)分科員 大変心強い、前向きな答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 本当に地方への思いの強い大臣だというふうに思っておりますので、ぜひリーダーシップを強く発揮していただいて、規制改革を進めていただけることをお願いしまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

葉梨主査 これにて小林史明君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

葉梨主査 次に、防衛省所管について審査を進めます。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。鈴木憲和君。

鈴木(憲)分科員 自民党山形二区の鈴木憲和です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。また、河野大臣には、大変お忙しいところ、御対応いただき、また役所の皆さんも本当にありがとうございます。

 まず初めに、昨年の数々の台風の災害復旧、また今回の新型コロナウイルスへの対応など、防衛省・自衛隊の皆さんにおかれましては、気が休まる暇がなく活動されていることに心から敬意を表したいと思いますし、ただ、またその一方で、本来の自衛隊の任務である日本の平和と安全を確保するために、中東を始め、世界じゅうで緊張感を持って活動していただいていることにも本当に敬意を表したいというふうに思います。

 私から、ちょっとこれは質問通告はしておりませんが、いざというときの備えとしての自衛隊でありますので、今回の、例えば新型コロナウイルス、こういった事態において、隊員の皆さんの健康管理、これについては通常の民間人以上にやはり気を使っていただきたいというふうに思いますが、これについて、ちょっと大臣のお考え、いただければというふうに思います。

河野国務大臣 本日、ダイヤモンド・プリンセス号、あるいはチャーター便で帰ってこられた方々の生活支援など、業務が終わって、今、隔離、停留に入っている者を合わせると、自衛隊員、全部で七百三十九名、このコロナウイルス関連で任務に当たっているところでございます。

 ダイヤモンド・プリンセス号のように、感染している可能性のある方と向き合って、PCR検査の検体を採取する、そういう業務に当たっている者もおりましたので、そうした感染の可能性がある場所で勤務している者につきましては、全て、業務終了後に、PCR検査を行った上、十四日間の停留をする、そこで何事もなければ勤務に戻る、そういうことを徹底をしているところでございます。

 自衛隊はあくまでも助ける側にいなければなりませんので、感染して助けられる側になってしまっては、自衛隊としてそれはいかがなものかと思います。

 感染者が出ないように、しっかり当たってまいりたいと思います。

鈴木(憲)分科員 済みません、通告なしで質問させていただいたにもかかわらず、御丁寧な答弁、ありがとうございました。

 ぜひこれは、ダイヤモンド・プリンセス号への対応に当たっていただいた方だけではなくて、ふだん全国各地で訓練に当たっている隊員の皆さんについても、緊張感を持って臨んでいただきたいというふうに思います。

 昨年一年間、外務大臣政務官として、河野大臣のもとで仕事をさせていただきました。私の所管、アジア大洋州でしたけれども、各国、二十カ国ぐらい訪れることができましたが、どこに行っても感じますのは、世界のパワーバランス、これはすごい変化をしてきているなということであります。特に、その中で感じるのは、中国が力をつけてきていまして、世界がどんどん、これは中国だけではありませんが、パワーバランスが変わっていることによって、不安定化をしているなということもつくづく感じます。

 外交努力でできること、まだまだたくさんあるというふうに思う一方で、やはり、海外の軍当局との意見交換、そして情報共有、これをますます進めることも一方では大切ではないかなということも、外務省の立場で各国へ行かせていただいて感じたところでありました。

 私が今回、一個目、質問をさせていただくのは、自由で開かれたアジア太平洋、その実現と、そしてやはりテロなどへの対応を考えたときに、事前の情報活動というのは極めて重要だというふうに思っています。

 防衛駐在官の数を今以上にふやしていくべきではないかなというふうに思いますが、このことについての現状と、そして今後、河野大臣のもとでどのようにしていくおつもりであるのかということをお伺いをいたしたいと思います。

河野国務大臣 各国との防衛協力を進めていくというのは、これは非常に重要なことだと思いますし、そういう中で、防衛駐在官が果たしていかなければいけない役割というのは大きいと思います。

 今、世界各国の在外公館に防衛駐在官を七十名配置しておりまして、これは、二〇一四年から一八年の五年間に二十一名増員をするということで、そこで一つの山がございました。今年度も、ブルネイとEUの代表部、これは兼轄でございますが、送ったところでございます。

 人員のリソースというのも自衛隊は今限られているところでございますから、なかなか、大使並みにふやすというわけにはいきませんが、それでも、少し、このリソースと相談しながら、必要と思われるところにはきちんと送り込んでいきたいと思っておりますし、今、兼轄をしているところでも、独立した防衛駐在官が必要なところについては、少しずつ、検討して広げていきたいというふうに思っているところでございます。

鈴木(憲)分科員 前向きな御答弁であったというふうに受けとめさせていただきたいというふうに思います。

 ぜひその観点で私からお願いをしたいのは、やはり語学の問題とか、さまざま当然あるんだというふうに思いますので、そういう視点で、やはり自衛官も若いころから教育をより強化をしていくべきだということをちょっと申し上げさせていただきたいと思います。

 次に、さまざまな災害対応で出動回数が明らかに最近ふえて、休む暇もないぐらいふえているというふうに認識をしておりますが、また同時に、国際協力活動など、世界の厳しい環境の中で隊員の皆さんの活動がふえている中で、私がちょっと感じますのは、隊員が身につけている被服について、これが、国内生産をできるだけ、できるだけというか、確実に国内で製造されていくということが前提の体制であるべきではないかというふうに思います。

 というのも、当然、制服も作業服も、まずは偽造されないということが大切だというふうに思いますし、そして、いざというときに、どんな作業をするにしても、どんな任務につくにしても、やはり我が国のものを身につけているかどうかというのは、私はこれは士気にかかわってくる問題ではないかなというふうに感じるところでありますので、ぜひ、隊員の皆さんが身につける被服については、国内製造、国内生産が可能なものについては、全て日本国内で生産されたものであるべきだというふうに考えますが、河野大臣の所見をお伺いいたします。

河野国務大臣 政府調達にはWTOのルールが適用されることになりますが、自衛隊の制服のようなものは、安全保障上の理由から適用除外ということにもなります。

 そういう意味で、これは海外でつくりますと、同じようなものがテロリストに横流しされると区別がつかないというようなことがございますので、悪用されるのを防ぐためにも、必要だと思われるものは、仕様書の中に国内で生産ということを明記をしております。

 ただ、靴下とか靴とか、そういう露出がどちらかというと少ないものについては国内生産という規定を設けておりません。設けていなくても国内生産のものを調達をしているものもございます。

 そこは、安全上必要なものについては、今後も国内生産をしっかり維持してまいりたいと思いますし、WTOのルールにのっとってやっているものについても、国内メーカーに頑張っていただいて、ぜひ受注していっていただきたいというふうに思っております。

鈴木(憲)分科員 今の議論は、そういう答弁なんだろうというふうに思いますが、私はやはり、例えば、作業をする際に履く半長靴若しくはネクタイ、これも日本国内で製造することが不可能ではないものでありますから、現状国産を使っているというふうには認識をしておりますけれども、やはりここも、防衛省の物品はできる限り国内で製造するんだということで、私は仕様書にしっかりと書き込むべきではないかなというふうに思います。

 ただ、これはもちろん議論もあると思いますし、さまざまな理由で今の仕様書になっているんだと思いますが、ぜひこれは、これからも問題提起をし続けていきたいというふうに思っています。

 そしてもう一つは、次の質問に移りますが、日本国内でも、今回、例えば繊維産業ということでありますが、ベンチャー企業の中に新しい繊維を開発できた企業というのがあります。

 私の地元山形県の鶴岡市というところにスパイバーという企業、ベンチャーでありますけれども、これがあるわけですが、何を開発したかというと、米軍若しくはNASAがずっと開発しようしようと思ってなかなかうまくいかなかった、人工的につくられたクモの糸ですね。人工クモの糸というのを開発、世界で初めて生産に成功したという企業があります。

 現在、その企業はどうしているかといいますと、洋服メーカーと提携をして新商品の開発ということをやっているわけですが、本来、これらの新しい技術が生み出された際に、国内産業と防衛省がしっかりと連携をして、例えば新しい技術はどういった装備品に活用が可能であるのかどうかといった、連携をした装備品の共同での研究開発をもっともっと進めるべきではないかというふうに思いますが、御答弁をお願いいたします。

武田政府参考人 お答えいたします。

 近年、科学技術の著しい発展を背景といたしまして、防衛技術と民生技術のボーダーレス化が進展をしております。

 防衛省といたしましては、防衛にも応用可能な先進的民生技術を積極的に取り込むことが大変重要であると考えております。

 このため、私どもといたしましては、高い技術力を有する、先生御指摘のようないわゆるベンチャーと言われる企業を含めて、民間企業との連携を推進する取組を実施しているところでございます。

 具体的に三つ申し上げます。

 一つ目は、平成二十七年度から、新規性、独創性又は革新性を有する基礎研究を育成する安全保障技術研究推進制度を実施しております。

 令和二年度予算案までで約四百十六億円を計上しているところでございます。

 二つ目でございますが、平成二十九年度からは、進展の早い先進的民生技術の有効性を速やかに実証し、短期間で実用化を目指す新技術短期実証事業を実施しております。

 令和二年度予算までで約三十一億円を計上しているところでございます。

 三つ目でございますが、これは令和二年度からでございますが、基礎研究の中から有望な先進技術を早期に発掘、育成し、新技術成熟度を上げることで実用化へ近づける先進技術の橋渡し研究事業の実施を予定しておるところでございます。

 令和二年度予算案におきましては約六億円を計上しておるところでございます。

 防衛省といたしましては、すぐれた先進的な民生技術を積極的に取り込みながら、部隊が求める装備品等を効率的、効果的に研究開発することができますよう、必要な取組を引き続き行ってまいりたいと考えております。

鈴木(憲)分科員 さまざまな予算があって、共同でいろんな研究をされている、若しくは新製品をということはよくわかるんですけれども、新しい、これはベンチャー企業でありますから、今も海外からもたくさん視察に来ているわけです。その技術がどういった用途に今後使われるかということは、正直言うと、どんな可能性があるかというのは全然わからないわけですし、逆に言うと、可能性は無限であるということです。

 特に、今回私が提案をしたかったのは、米軍や、NASAは宇宙のことでありますからあれですけども、米軍が開発をしようとしていてできなかったものが日本国内でベンチャーでできたということですから、そういったことにはぜひしっかりアンテナを張っていただいて、御支援というか、共同で何ができるのかという可能性を、若しくは可能性がないのか、さまざまな観点から探っていただいた方が、日本国の安全保障上、私は必ずプラスになるんじゃないかなというふうに思いますので、きょう挙げた企業、個別にどうこうということではもちろんありませんが、そういった可能性のある企業はたくさんあるというふうに思いますので、ぜひしっかりとよろしくお願いします。

 次に、これは細かい話になるわけですけれども、自衛隊の被服の発注について、私がすごい問題意識を持っていますのは、国内製造をしようと思っても、今後、今までどおりずっと国内製造し続けられるかというと、現実としては国内の繊維産業の事業者数というのが九〇年代には五万を超えていたのに対して、現在ではもう既に一万ぐらいに激減をしてきております。

 繊維というのは、ほとんどが今輸入品に代替をされている中で、今後も国内製造をしっかりと続けていくためには、縫製工場が持続可能な形で次の世代に引き継がれていくということが大切であるというふうに思います。

 地元に自衛隊の被服を製造する縫製工場が一社あります。私も何度も何度も見に行かせていただいて、また、私の地元には陸上自衛隊の第六師団がありますから、師団長もその工場に見に来てくださっているわけですが、大体、そこの企業は今、仕事のうち五、六割が防衛省からの発注で縫製をやっているということになります。

 他社も、いろいろ調べましたら、八割よりも多い部分を防衛省のものをやって工場が稼働しているという企業も多々あります。

 これが百社も二百社もあれば、入札で厳しくやって価格をということはできますけれども、数がかなり絞られてきている中で、いつの季節も行くとよくわかるのは、忙しい時期と暇な時期というのがもう明確に分かれます。

 これは何でなんだろうということをよくよく現場の工場長さんなんかに聞きますと、例えばですけれども、今まで、予算が通った後に、四月に発注をかけますから、発注をしますと、大体、被服の場合、生地の生産にまず四カ月から五カ月かかります。それが終わった後に初めて縫製の段階に入ることができるので、実際に縫うことができるのは九月以降となります。それで三月まで納めてくれというのが普通の予算の仕組みでありますから、そうすると、納期は年度末で限られていて、結局、四月からの大体半年間ぐらいというのはそんなに忙しくなくて、ほかの民間需要なんかで対応して、そこから後半に仕事が集中をして、残業なんかも後半にどんどんどんどんやるということになっています。

 しかも、企業の経営上、これがコスト増につながるなというふうに思いますのは、平準化されていないものですから、倉庫をたくさん持たなきゃいけないんです。一気に三月末に納品をしなきゃいけないということで、決まった期間にどんとまず材料が来て、縫製をして、それを保管をしておいて三月に納めるということで、それもコスト増に結局つながるわけです。

 今、国の方で働き方改革とかさまざまなことを言っていますが、ぜひ、発注のあり方というのを平準化して、工場で、縫製の現場で働く皆さんの働き方改革に資するように、今後とも発注のあり方を工夫をすべきだというふうに私は思いますが、現状の取組などをお伺いをしたいというふうに思います。

武田政府参考人 お答えいたします。

 防衛省におきましては、先生御指摘のように、国内において被服を安定的に調達する基盤をいかに維持していくのかということが課題になっておるところでございます。

 一方、企業におきましても、業務量が年度末に集中するなど、年間を通じて平準化されていないことから、技能を有する従業員を安定的に雇用することが困難であるといった、先生がこれも御指摘いただいたような課題があるものと承知をいたしております。

 防衛省におきましては、こうした状況を踏まえまして、調達を年度始めに行うことで製造期間を可能な限り確保するよう努め、企業において業務量を平準化させやすいような調達に平成二十六年度から取り組んでいるところでございます。

 それ以前、平成二十五年度までは、例えばでございますけれども、第二・四半期、具体的には七月以降から本格的に調達を開始していたところが、既に元年度におきましては、もう四月、五月、六月、第二・四半期、第三・四半期ということで、年間を通じて調達をするように、そのようなやり方をとってきておるところでございます。

 加えて、令和元年度予算からは、企業における製造期間を更に確保できますよう、被服調達に係る予算の一部を二カ年度の国庫債務負担行為として計上しておるところでございます。単年度から、二カ年度の期間で調達をするというようなやり方も講じてきておるところでございます。

 私ども防衛省といたしましては、引き続き、国内の産業基盤に配慮をしつつ、必要な装備品を適切に調達してまいりたいと考えております。

鈴木(憲)分科員 さまざまこれまで努力をいただいているということを評価をいたしたいと思います。

 今、長官から二カ年でというふうな話がありましたが、実際、装備品の更新というのは二カ年でできるものではなくて、かなりの年月をかけて、隊員数が多いですから、やるというふうに思いますので、せめてそうした、長期で見たときに、平準化がしっかりとできるような取組をこれからもお願いをいたしたいというふうに思いますし、予算の関係で難しいこと、重々、難しいことに今チャレンジをしているというふうに思いますが、やはり現場で働く皆さんにとって、一番働き方改革に資するように取り組んでいただきたいというふうに思います。

 河野大臣、よければ一言お願いします。

河野国務大臣 自衛隊の調達は、大企業、それと中小企業にかなりくっきり二極化しておりまして、大きいところは、売上げの中で数%しかないものですから、経営者が、自衛隊の調達の話をしても、トップはよく御存じない、部門長ぐらいと話をすると、ようやく、ああ、ああ、ああということになる。もう一つは、中小企業の方は、自衛隊に依存する部分が非常に大きいんですけれども、なかなか、利益が少なくて、設備の更新ができず、生産性が上がらないということがございます。

 しかし、そういうところがやめますというと、調達ができなくなってしまうというものも結構あるものですから、入札その他というルールはあるんですけれども、やはり調達の基盤をしっかり強くするということも我々同時に考えていかなければいかぬというふうに思っておりますので、そういう目で、これからの調達、しっかり見ていきたいというふうに思います。

鈴木(憲)分科員 ありがとうございました。

 あとはもう防衛省には質問しませんので、もしあれでしたら。

 次に、時間もあれですので、財務省に一点、税関にちょっと質問をさせていただきます。

 私の問題意識、これは、自衛官の被服と同様に、税関の職員の制服なども、当然、国内製造であるべきではないかなというふうに思います。

 というのも、私も政務官時代、何度も成田空港、羽田空港、通るわけですけれども、これは果たして、制服、万が一これを偽造されて悪いように使われたら、すり抜けられてしまうという可能性だってゼロじゃないなというふうに私は感じましたので、そういうことについて仕様書に書けないものだろうかということなんです。

 多分、WTO上のルールがあってなかなか難しいということだというふうに思いますが、その点についても何らかこれから工夫する余地があるんじゃないかなということを、御答弁は難しいでしょうかね、ぜひちょっとお伺いをしたいというふうに思います。

山名政府参考人 お答え申し上げます。

 税関職員の制服の調達についてのお尋ねですが、税関の制服の調達には、今ほど先生からも御指摘ありましたし、先ほど河野大臣から御答弁ございましたように、自衛官の制服の調達の場合と異なり、WTO政府調達に関する協定が適用され、国内製造と海外製造に差別を設けることができないこととなっております。

 このため、仕様書におきましても国内製造に限定する旨の記載はしていないところでございまして、この点については御理解いただきたいと考えております。

 なお、WTO協定にのっとって調達した結果、これまでも、また現在におきましても、使用している税関の制服は、ジャケット、スラックス、ネクタイ、ベルトなど、全て国内製造品となっております。

鈴木(憲)分科員 ありがとうございます。

 そういう答弁なんだというふうに思いますが、ちょっと私もまだこれは調べ切れておりませんので、ほかの国は、果たして、本当にどうしているのかということも含めて、日本はWTO協定を真面目に守る国でありますから、真面目に守っちゃうわけですけれども、いろいろな解釈の仕方があるのではないかなということも感じますので、ぜひ、これからも議論をさせていただければというふうに思います。

 最後に、地方創生についてお尋ねをいたします。

 第二期の総合戦略が定められているところでありますが、東京圏への一極集中をいかに是正していくかということが課題だというふうに思います。ただ、そのときに、一番肝心なのは、国がさまざまな制度若しくは予算を用意をしても、それを実際に地域で使える人材がいるのかいないのか、これがいる地域はチャレンジができますし、いない地域は、ただ何となく見ているしかないということなんだというふうに思います。

 国の今ある二つの制度について、少し御提案をさせていただきたいと思います。

 まず一点目は、地域おこし協力隊です。

 地域おこし協力隊は、現在、都市部に在住の人が、特に若い世代の人が地方に行って就任ができるということの制度でありますが、現実は、若い世代、どんどんどんどん人の数が減っている中で、地方の首長さんたちとお話をすると、今後、どういうふうに地域おこし協力隊を使いたいですかということを求めれば、皆さんおっしゃるのは、これからはやはり海外のインバウンドに対してプラスに働くような人材が、できたら欲しいと思っているという首長さんが結構います。

 そうすると、外国語ができなきゃいけませんし、できれば海外の人の感覚で仕事ができるような人がいいんだということになると、実際は外国の方でもありがたいという話が多々あるわけです。

 その中で、やはり私は今後検討した方がいいんじゃないかなと思うのは、これから、直接、海外の方であっても地域おこし協力隊として自治体が採用ができるということも考えられてもいいのではないかなというふうに思いますが、その点についての御見解をお伺いをいたします。

佐藤政府参考人 地域おこし協力隊、平成三十年度で全国で五千五百人を超える隊員、千以上の自治体で活躍をしております。

 今、委員から御指摘ありましたように、外国籍の隊員、これも大変受入れの希望がふえておりまして、同じく平成三十年度で五十四名、受入れ団体四十八団体となってございまして、インバウンド誘客の対応でありますとか、あるいは国内外への地域の情報発信、こうした活動を行って、大変御活躍をいただいていると思っております。

 この地域おこし協力隊ですけれども、そもそもの制度の趣旨が都市から地方への人の流れをつくるということでございますので、住所地については、原則として国内の都市地域に住民票を有する方が条件不利地域などへ移動するということを要件といたしておりまして、外国籍の方についても同じような取扱いとさせていただいているところでございます。

 なお、令和元年度から、JETプログラム、これを終了した外国人の方については要件を緩和しまして、同じ市町村内でなければ、次の条件不利地域等に行きまして隊員として活躍できる、そのような環境も整えているところでございます。

 隊員数について、令和六年度に全国で八千人にふやすという目標を掲げておりまして、制度や活動事例の一層のPRに努めているところでございます。

 今後とも、今、首長さんからの御要望等もあるというお話がございましたけれども、自治体からの意見等も広くお伺いをしながら、地域おこし協力隊制度のさらなる充実に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

鈴木(憲)分科員 御答弁ありがとうございました。

 ぜひ自治体の皆さんにとって使いやすいように取り組んでいただければと思いますし、また、これからもぜひ相談をさせていただければというふうに思っています。

 最後に、もう時間もありませんので、一点だけ。

 地方創生の人材支援制度があります。官民挙げて、大体霞が関から役人の皆さんが副町長とか企画官とかいって自治体に派遣をされて、さまざまな地方創生に資する政策をやるわけですが、私がちょっと問題だと思うのは、自治体の皆さんから見ると、霞が関の人材は欲しいんだけれども、民間の人材は、余りよくわからないからなかなか手が挙がらないということがあるんだというふうに思っています。

 民間の人材の中には、民間でしかできないことを今までやってきたわけですから、ブランド戦略であったり、霞が関にできないこともやれる人材が多々いると思いますが、今後、民間人材の活用、どのように進めていって地方創生にプラスにしていくのかということをお伺いをして、終わりたいというふうに思います。

葉梨主査 質疑時間が終了しておりますから、簡潔に一言でお願いします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 地方公共団体への民間人材の派遣につきましては、地方創生人材支援制度において取り組んできたところでございます。他方で、御指摘のとおり、地方公共団体が新たなプロジェクトに取り組む際には、情報通信技術であるとか観光などの専門的な知識が求められることが多く、そうしたニーズに合致する民間の専門人材を派遣する新たな仕組みの構築が求められていると承知してございます。

 これを踏まえまして、まず、技術革新のスピードが速い、人材ニーズも高いデジタルの分野につきまして、デジタル専門人材派遣制度を創設いたしました。これは、あらかじめ市町村への派遣意向のある企業を募って、派遣可能企業のリストを作成いたしまして、これを地方公共団体に提示いたしますとともに、そのリストに掲載された企業からの派遣者の受入れを希望する、そういう市町村を募りまして、両者の派遣にかかわる調整を行っているものでございます。現在は、令和二年度からの派遣に向けて調整を行っているところでございます。

 そうしたデジタル専門人材派遣制度などの情報などを踏まえながら、デジタル以外の分野にも対象を広げるといったことなども検討いたしまして、民間人材の派遣拡大に向けた取組を進めるよう検討してまいりたいと考えてございます。

鈴木(憲)分科員 ありがとうございました。

葉梨主査 これにて鈴木憲和君の質疑は終了いたしました。

 次に、浦野靖人君。

浦野分科員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いいたします。

 午前中から御苦労さまでございます。あと少しですので、頑張っていただけたらと思います。

 きょうは、まず最初、一問目は新型コロナウイルスの対応について、今現在、自衛隊が果たしている役割というものをまずお聞かせいただきたいと思います。

菅原政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルスに係る災害派遣については、本日もダイヤモンド・プリンセス号において、各国のチャーター機による帰国のための下船者の輸送等を実施しております。また、帰国邦人等の宿泊支援として、宿泊施設において支援物資の配布や食事の配膳などの宿泊支援や健康状態の確認などの健康管理支援を行っておるところでございます。

 防衛省・自衛隊としては、今後とも、生活支援や輸送支援等のニーズに全力で対応するとともに、自衛隊の中から感染者を出さないように、隊員の健康管理と感染防御に万全を期して各種支援をしっかりと実施してまいります。

 以上でございます。

浦野分科員 ありがとうございます。

 もちろん、今回の新型コロナウイルス対応について、自衛隊もかなりの人員、時間も割いてやっていただいていると。テレビのニュースなどにも災害派遣のテントなどが映ったりとかしていますので、自衛隊の皆さんが御協力いただいているということはわかっているんですけれども。

 一つ気になっているのは、例えば、今回とは別ですけれども、今回の新型コロナウイルスじゃなくて、何かの感染症が起きた場合、例えば自衛隊、特に海上自衛隊は艦船で世界じゅうを移動するわけですけれども、その艦船内でこういう流行性の疾病が起きた場合の対策というのはもちろん定められていると思うんですけれども、それを少しお聞かせいただけないでしょうか。

椎葉政府参考人 お答えをさせていただきます。

 閉鎖された狭隘な空間におきまして多くの隊員が勤務する艦船につきましては、一般的に感染症が蔓延しやすい環境にあることから、的確に感染防御を行うことが求められているところでございます。

 このため、平素から手洗い、また、せきエチケットといった標準的な感染予防策を徹底するとともに、委員御指摘の遠洋航海出航時におきましては、派遣前に臨時健康診断を行うことで、感染症に罹患した隊員であるとか、感染症に罹患しやすい基礎疾患がある隊員等が乗艦することを防止しているところでございます。

 また、艦船内におきまして、隊員が感染症へ罹患した場合におきましては、乗艦する衛生員によります指導のもと、医務室等に隔離することで、他の隊員へ感染することのないよう対応することとしているところでございます。さらに、必要に応じて、陸上にある医療施設への搬送も実施いたします。

 防衛省・自衛隊といたしましては、隊員の健康管理に努め、適切な感染防御を行うことで、艦船内における感染症の蔓延の防止に努めてまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

浦野分科員 当然、今お答えいただいたように、自衛隊ではそういった対策も事前にとられているでしょうし、万が一、艦内で感染者が出た場合も隔離をするなどの、そういう手続というか手順というか、そういったものはしっかりと決められていると思うんですね。

 今回のクルーズ船の艦内感染、今回、恐らく潜伏期間がかなり長いという理由ももちろん無視はできませんけれども、こうして結果的にはクルーズ船内で感染が広がってしまったということになりました。

 私は、例えば自衛隊等でこういった艦船内での感染症の蔓延を防ぐためにしっかりと知見というか、そういうことを持っている自衛隊もいながら、なぜここまで結果的には後手後手に回ってしまった、もう少し自衛隊の知見を生かすことができなかったのかなというふうに考えております。もちろん、自衛隊としても何か指示がなければなかなか動けないというのはあるかもしれませんけれども、こういった今回のコロナウイルスに対応する医療体制について、やはりもう少し自衛隊の果たす役割というものがあったんじゃないかなというふうに考えているんですけれども、その点はいかがでしょうか。

椎葉政府参考人 お答えさせていただきます。

 委員御指摘のダイヤモンド・プリンセス号の中でのさまざまな支援でございますけれども、自衛隊は、検体の採取でありますとか、さまざまな医療支援、それから薬剤の配付、それとあと、艦船内の消毒などを担当しておりまして、総合的な支援を行ってきたところでございます。

 私どもとしては、対策本部の指示を受けまして、いろいろな知見を出しながら、その中でできるだけ適切なことをやってきたところでございまして、委員御指摘のとおり、今回のいろいろな対応を含めまして、さまざまな検証を経て、さらなる対策につきましてもいろいろと勉強していきたいと思います。

浦野分科員 今回まだ終息されているわけではないので、まずは今現在の対応をしっかりと皆さんで頑張っていただきたいと思いますけれども。

 これは、今後同じようなことが起こらないように、しっかりと自衛隊も含めて、艦船内で感染が拡大していくというのは非常にやはり恐ろしいことですし、先ほど答弁いただいたように、出港前はきちっと検査してやるということですけれども、やはりあちらこちらに寄港して、その中には、そういうまだ発症していない感染症がもしかしたら静かに広まっているところとかに寄港して、その後また出港していくということもあり得るわけですから、どういうふうな防疫体制を整えるのかというのは結構考えないといけないんじゃないかなと思っていますので、ぜひいろいろと落ちついたら検証もしていただけたらと思っております。

 続いて、防衛大学の卒業者の任官辞退者の問題についてお聞きをしたいと思います。

 これは毎年、卒業のシーズンになると、ニュース等でも、帽子をばっと投げてやる防衛大の卒業のニュースになりますけれども、防衛医科大学というのがありますよね。防衛医科大学の場合は、任官を辞退した場合は一定額の手当を返納しなければならないというふうになっていると思います。これに対して、防衛大学はそういったところまでは措置をとっていませんけれども、その点について聞かせていただきたいと思います。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘がございましたけれども、防衛医科大学校の卒業生につきましては償還金制度が設けられておりまして、これは、医師の国家試験であるとか、あるいは看護師の国家試験であるとか、その受験資格を国費によって取得した者が早期に離職することは好ましくないという考え方から、国費による受益の公平を図るために設けられた制度でございます。

 一方で、防衛大学校につきましては、この学生については、特別職国家公務員たる自衛隊員の職務として厳しい教育訓練に従事するなど、他の一般大学の学生とは大きく異なる点があります。

 それから、募集環境が今非常に厳しい中で、償還金制度ということになりますと、受験生に対しても心理的負担を与えて、受験生の減少を招きかねないということが考えられます。

 また、ほかのいわゆる省庁大学校、これは海上保安大学校であるとか気象大学校であるとかといったものがございますけれども、そういったところとの均衡が図れなくなるのではないかということ。

 そして、先ほど冒頭申し上げました防衛医科大学校との関係で申し上げますと、防衛大学校卒業によって医師国家試験の受験資格といったような特別な資格を得るものではないというようなことがございまして、現時点におきまして、防衛大学校の任官辞退者に対して償還金制度の導入を積極的に推進するといったような状況にはないのではないかというのが今の考え方でございます。

浦野分科員 ありがとうございます。

 この十年間の任官辞退者の数というのも、一緒に聞くことになって済みません、聞かせていただいてよろしいですか、過去十年間の辞退者の数を。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 任官辞退者の数でございますけれども、これにつきましては、一九九〇年が九十四人というピークの時期がございましたが、これまでの過去十年間の数字ということで、二〇〇九年度から二〇一八年度まで順に申し上げますと、十七人、十二人、四人、七人、十人、二十五人、四十七人、三十二人、三十八人、四十九人というふうになっているところでございます。

 防衛省といたしましては、こうした数字を少しでも減らすように、さまざまな取組を進めてまいりたいと考えているところでございます。

浦野分科員 過去十年間の数字も言っていただきましたけれども、二十三年、二十四年などは一桁、四名とか七名とかいう時代もありました。これは臆測ですけれども、これは、たしか民主党政権時代とかぶると思うんですけれども、民主党政権時代は、辞退者に返納してもらうという法案が出ていた時代があって、もちろん今廃案になっていますので通っていませんけれども、そういう議論がなされていた時代に四名とか七名とか、そういう数が少なくなっているわけですけれども、今現在は、この数年は約一割ぐらいの方が辞退者となっているわけですね。

 辞退者が多いというのは、これは賛否両論があって、自衛官になってからやめられるよりは、その前に、そういう気がない人たちはもう辞退をしてもらった方がいいんじゃないかという人たちもいてますし、いやいや、やはり国費で学んでいるんだからそれは一定返してもらわないといけないという両論があるわけですけれども、私は、確かに、任官されてからやめるというのもどうかと思いますので、もし本当に自衛隊に入る気がないんだったら辞退をされた方がいいんじゃないかなというふうに個人的には私も思います。

 ただ、辞退をした皆さんが卒業式に一緒に出れないということがありますけれども、こういった点について、過去どのようになっているのかというのをちょっとお聞かせいただけますか。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、現在どうなっているかということで申し上げますと、防衛大学校におきましては、幹部自衛官となるべき者の教育訓練をつかさどるという設置目的に鑑みて、自衛官への任官の意思のない者を卒業式典に参加させることは適当ではないという考え方から、任官辞退者については卒業式典に参加させておらず、別の場で学校長が卒業証書を授与しているところでございます。

 この点につきましては、過去さまざまな経緯がございます。そのときのいろいろな考え方に基づいておりますが、現時点においてはこういう考え方でございまして、この方針を変えるといったことを現時点では考えているわけではないというところでございます。

浦野分科員 ありがとうございます。

 私も少しお話を聞かせていただくと、その当時当時の学校長によっては、自衛官にならないとしても、日本国国民として社会に貢献をする役割というのは果たすわけだから、それは卒業式を一緒にしてあげるべきだということで、一緒に卒業式をしていた時代も、校長判断で時代によってはあったということもおっしゃっておりました。その時々の校長の判断でそういう扱いが変わるというのは、なかなかちょっと私はどうかなとは思っています。

 ただ、テレビ等で、わあっと帽子を投げてみんな喜びを表現しているわけですけれども、あれは、これから自衛官になるぞ、万歳という帽子投げじゃなくて、厳しい厳しい防衛大学のこの四年間の生活を終えて、晴れて社会に出るんだという喜びの帽子投げだと僕は思うんですよね。そうであるなら、やはり、ともに四年間、在学中苦楽をともにした仲間全員でそれをしてあげたらいいんじゃないかなと私は個人的には思っています。

 先ほどの答弁で、今は分けてやりますというお考えを変更するつもりはないということでしたけれども、ぜひ、おっしゃることも理解はできますけれども、やはりともに学んだ仲間が卒業する晴れの舞台で、一緒に帽子投げをさせてあげられたらなと思っておりますので、またこの点についていろいろと、校長が変われば考え方も変わるかもしれませんし、これからの防衛大学のあり方は、もちろん、入学者数が減っているという、それをなかなかふやしていくのも難しい話ですし、やはり防衛大学というのは日本の守りの根幹をなす幹部候補生の養成大学ですので、きっちりと生徒に学んでいただく環境を整えていただけたらと思っておりますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 続いて、大臣、きょうはずっと御苦労さまです、座っていただきまして。ずっとこうやって大臣が座らないといけないというこの仕組みもどうかとは思うんですけれども、どちらにせよ、大臣は座っておられるということですので、質問を。

 ツイッター、大臣のツイッターは、恐らく今、現役の閣僚ではもちろん断トツですし、発信力が。今回のコロナウイルスに関する情報発信も、恐らく閣僚というか政府の中で、厚労省のツイッターよりも的確に情報を発信していただいていたかなというふうに思うんです。

 河野大臣自身は、このツイッターの、もちろん防衛省もツイッターを持っていますけれども、大臣、もともと個人のこれはアカウントですよね。それを、今は防衛大臣だからということで防衛大臣の河野太郎として情報を上げている。その前は外務大臣河野太郎としていろいろと情報を発信して、その中でたまに個人的な小ネタも挟みながらいろいろな情報発信をされてきているわけですけれども、政府の内部にいてる人間として、ツイッターでの情報発信という位置づけというのを大臣はどういうふうにお考えになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。

河野国務大臣 今、防衛省・自衛隊、全部で百二十二個のアカウントを持っております。これは、防衛省・自衛隊というアカウント、あるいは防衛省・自衛隊の災害派遣、それから各部隊、駐屯地、基地、さまざまなところがアカウントを持って情報発信をしてくれておりますけれども、やはり、自衛隊の日ごろの活動ですとかあるいは安全保障にかかわる政策を発信する上で、このツイッターというのは非常に便利な、影響力のあるツールだというふうに思っております。

 日ごろから自衛隊がこういうことをやっていますよということを出すということは、人材の確保、リクルートにも非常に大きな意味を持つというふうに思っておりますし、災害派遣のときなどは、例えば入浴支援、給水支援、どこで何時からこういうことをやりますという情報を伝達する上でも、このツイートというのは非常に役に立っているというふうに思っております。

 私が防衛大臣として着任してから、積極的に自衛隊としてツイッターでも発信をしようということで、アカウントが恐らく二十幾つふえたんだろうと思いますが、もちろんホームページ、ウエブというのも大事ではありますけれども、もう少し手軽に、いろいろな意味で発信できるツイッターというのを重要視してこれからもやっていきたいというふうに思っております。

 また、今回のコロナウイルスの対応のようなときに、政府がやはり正確な情報を的確に出すということで、情報を求めている人が、ここへ行けばその情報にアクセスできるということになると、情報を求めている人のアクセス数というのがふえてまいります。そういうときに、フェイクニュースが流れたときに、それは違いますよというのを流す意味でもかなり強力な武器になると思いますし、方針をこういうふうにするぞという発表をするときも、日ごろからアクセス数を集めておければ一気に拡散をすることができる。そういう意味で、戦略的にも使えるのではないかというふうに思っております。

浦野分科員 河野大臣のツイッターのエゴサーチ力が一時期非常に話題になりました。河野を探せという、何かそんなのが、一時、今もはやっているのかもしれないですけれども、本当に、そういうのをちゃんと大臣が探して、それをまたリツイートされたりとかしていて、あれで大分盛り上がってツイッターのアカウントもかなりふえていましたし、今回、このような時期、このような事態でも、しっかりと情報提供をされている。

 私は、予算委員会でも、厚生労働省のツイッターはもう少しコロナウイルスに関して的確な情報発信をするべきじゃないかと。今もそうですけれども、本当かどうかわからない情報がかなり発信をされている状況にもありましたので、そこはやはり、加藤厚生労働大臣にも、的確で正確な情報をしっかりと流さないとだめなんじゃないですかということで、大臣も当然、対応に苦慮されていて、しっかりとやりたいということを答弁されていましたけれども。

 やはり、事が起こってからでは遅くて、今、河野大臣がおっしゃったように、日ごろからしっかりとフォロワーがちゃんといないと、そういう情報発信というのはなかなかできない。

 ツイッターは特にそういうこちら側からの情報発信というのは非常に早いんです。一番すぐれているツールだと思いますので、今、例えば、加藤厚生労働大臣も、加藤大臣はツイッターを持っているんですかね、持っていますかね。それなら活用をほとんど余りされていない印象ですね、そうだったら、全然目に触れないということだから。本来は、河野大臣と同じぐらいの情報量を加藤大臣も発信をするべきだと思うんです。ただ、担当大臣として、恐らくかなりの時間その対応に苦慮されていると思いますので、今すぐにそういったことを求めるというのは非常に酷だと思いますけれども、ぜひ、内閣で、そういった情報発信は特に。

 忙しいからなかなかツイッターできないんですよという人もたくさんいらっしゃいます。でも、実は逆で、忙しい人ほどこのツイッターというのを活用することによって自分の発信したいものを手軽に発信できるというツールだと思っていますので、本当に忙しい人ができないんだったら、トランプ大統領なんかはツイッターなんかやっていられませんし、多分世界で一番忙しい人の一人だとは思いますし、我々の、今離れておりますけれども、橋下徹も、当初、ツイッターはもう忙しくてできないということで固辞をしておりました。ただ、期間限定でやるということになって、やり始めた途端、皆さん御存じのとおり、もうツイッターの申し子みたいなことになりましたけれども、本当に、忙しいからこそツイッターという情報発信にすぐれているものを使っていただけたらと思っております。

 一つ、今また気になっているのは、アカウントが違うんですけれども、同じ内容で、今、きょうもちょっとニュースになっていましたけれども、クルーズ船を除いた日本国内の感染者数というのは、確かに、例えば韓国や中国に比べれば、大きな話題になっている割には、実は日本国内の感染者というのはそんなに爆発的にはまだふえていません。そういったことを、ツイッターで同じ文面で、しかも、何か前の投稿まで一緒で、ツイッターでそういうのを流しているというのが今ニュースになっているんですね。

 これは、だから逆に、変な勘ぐり方をすれば、政府側の、政府の人がやっているとは言いません、とは思えないですけれども、政府側に立っている、与党を応援しておられる方々がよかれと思ってそういった情報を複数のアカウントを使ってわざと、情報操作ではないですけれども、流している。そういったこともツイッターではできるわけですよね。

 そういった、正しい情報、正しくない情報、そして正確な情報、それもひっくるめて、ツイッターという情報発信のツールは、今もう日本国内でも影響を非常に及ぼすんだということを改めて今回のコロナウイルスの対策、対応で感じたわけですけれども、河野大臣のツイッターは今閣僚では一番フォロワー数が断トツで多いですよね。恐らく小泉さんよりも多かったかな。非常に多かったと思いますので、防衛省、防衛大臣としてだけではなくて、これからもそういった正確な情報発信をしっかりとしていただきたいと思います。

 最後、何か一言あれば。

河野国務大臣 委員おっしゃったように、ツイッターというのは、手軽に発信できるからこそフェイクニュースも当然流れてくるわけで、やはり使う人にはネットリテラシーというのが求められるんだろうというふうに思います。それは、そういう中でツイッターのいろいろな文化みたいなものが育まれてきたということだと思いますので、便利な道具であるからこそ、注意深く便利なものをしっかり正確に使っていく、そういうことが大事なのではないかなというふうに思います。

浦野分科員 少し時間がありますけれども、これで終了します。

 ありがとうございました。

葉梨主査 これにて浦野靖人君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺分科員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 名護市辺野古の米軍新基地建設について質問をいたします。

 政府は、昨年十二月、地盤改良工事に伴う新たな工期と費用の見積りを明らかにいたしました。工期は、当初の五年から九年三カ月、米軍への提供手続などを含めた全体では十二年に延長をいたしました。費用も、これまでの三千五百億円から九千三百億円に引き上げております。

 まず、費用の問題から伺いますが、九千三百億円の内訳と増額になった要因、これを説明していただけますか。

鈴木政府参考人 昨年十二月、地盤改良工事の追加に伴いまして、護岸や埋立て等の設計、施工、維持管理がより合理的なものとなるよう、有識者の提言、助言を踏まえながら検討を進めてきたところでございます。

 具体的な施工計画を検討し、これをもとにした全体工程を提示させていただきました。この工程に基づき、現時点での経費の見積りの見直しを行いまして、今御指摘もございましたように、約九千三百億円との見積りをお示ししましたところでございます。

 その内訳といたしましては、環境保全措置等に要する経費が七百億円、仮設工事に要する経費が二千億円、護岸工事に要する経費が約一千五百億円、埋立工事に要する経費が約三千六百億円、附帯工事に要する経費が約百二十五億円、飛行場施設整備に要する経費が約六百二十五億円、キャンプ・シュワブ再編成工事に要する経費が約七百五十億円となってございます。

 そして、その主な増額理由といたしましては、環境の保全措置の追加、これが約六百億円の増でございます。それから、環境を、安全かつ円滑に進めるために必要な安全対策費の追加、これが約一千七百億円の増でございます。地盤改良工事の追加、約一千億円の増、それから、人件費や資材価格の上昇等によりまして約二千五百億円の増というふうになってございます。

 その上で、今後、事業を進めるに当たりましては、各年度の予算要求の段階におきまして所要額を精査し、また、その後の現場の状況に応じた効率的な施工等を追求するなどして適切な予算執行に努め、辺野古移設に要する全体経費の抑制に努めてまいるというふうに考えてございます。

 以上です。

赤嶺分科員 増額の要因の一つに、当初の見積りにはなかった警備費用千七百億円が追加されたことがあります。一口に千七百億円と言っても、那覇空港の滑走路増設事業が二千億円です。それに匹敵するような額を警備費用のためだけに投入するというのは、いかにこの事業が無謀な事業かということを示していると思います。

 なぜこれほど巨額の警備費用が必要なのか。その積算根拠、これを示していただけますか。

鈴木政府参考人 警備費用につきまして、キャンプ・シュワブの陸上及び海上周辺の警備をすることを目的といたしまして、二〇一五年度から二〇一八年度までに契約を完了した業務の支出済み額といたしましては、約百六十六億円となってございます。これらのキャンプ・シュワブでの警備に加えまして、二〇一八年からは、埋立工事を開始したことを踏まえまして、埋立材の積出し港として使用している本部港や安和の民間桟橋においても、作業を安全かつ円滑に進めるために、所要の警備が必要となったというところでございます。

 今般、こうした警備費用といたしまして約千七百億円を見積もるに当たりましては、こうした状況に加え、工事を安全かつ円滑に進めるために必要となる経費を適切に見積もっているということが背景でございます。

赤嶺分科員 防衛省の資料、今の説明にもあったんですが、キャンプ・シュワブの陸上と海上周辺で警備体制をとっていた二〇一五年度から二〇一八年度の間の警備費用は百六十六億円、これを支出したという説明でありました。一年当たり四十二億円です。ところが、今後十二年間で残りの千五百三十四億円を支出するとした場合、一年当たり百二十八億円になります。現在の三倍です。

 なぜこれだけの費用が必要なんですか。キャンプ・シュワブ以外に何カ所で警備体制をとる想定をしているんですか。

鈴木政府参考人 今御説明申し上げたとおり、二〇一五年から一八年まではキャンプ・シュワブの陸上及び海上周辺の警備ということでございます。それから、それに加えまして、二〇一八年からは埋立工事が開始されました。そして、その積出し港として使用している本部港、安和港の民間桟橋、これについても所要の警備が必要になったというところでございます。

 今回の千七百億円の見積りに当たりましては、こうした状況に加えまして、工事を安全かつ円滑に進める必要な経費を適切に見積もったということでございます。

 申し上げれば、今般検討した具体的な施工計画を踏まえまして、工事を安全かつ円滑に進めるために必要となる警備規模を想定いたしまして経費を見積もってございますが、その内容を明らかにすることにより今後の警備に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。

赤嶺分科員 幾ら何でも、今度からの警備体制はこれまでの三倍、そういうことについて何も説明しないというわけにはいかないと思いますよ。やはり、三倍もの費用が必要とする具体的な根拠、これを国会に示すべきだ、このように主張しているわけです。それを示さなければ、国会での検証のしようがありません。

 なぜそれだけの費用が必要なのか。警備箇所がふえるのかどうか、そういう根拠、これを説明すべきであります。いかがですか。

鈴木政府参考人 今般検討いたしました具体的な施工計画、これを踏まえて、今後、工事を安全かつ円滑に進めるために必要な警備規模、こうしたものを経費として見積もっているということでございますけれども、繰り返しになって恐縮でございますが、その警備の内容ということを明らかにすることにより今後の警備に支障を及ぼすおそれがあるということから、現時点でお答えすることは困難であることを御理解願いたいというふうに考えてございます。

赤嶺分科員 全く理解できない説明であります。

 防衛大臣、伺いますが、これだけの警備費用を要する事業というのは、常識で考えても、異常としか言いようがありません。県民の民意に反する事業であることを象徴していると思います。

 一年前に行われた県民投票で、七割を超える県民が辺野古の埋立てに反対の意思を示しました。しかも、県民はもちろん、全国の世論調査でも辺野古反対が多数を占めております。そういうもとで、このような税金投入、これは妥当だという認識を大臣はお持ちなんですか。

河野国務大臣 普天間飛行場代替施設建設事業を進めていくに当たっては、作業の安全に十分留意しながら、所要の措置を講じた上で、適切に工事を進めてきているところであります。

 具体的には、キャンプ・シュワブの陸上部においては、工事車両が安全かつ円滑に基地を出入りするために必要な警備を実施するなどしているほか、海上部においては、海上作業を安全かつ円滑に行うために必要な警備を実施しております。さらに、二〇一八年からは、埋立工事を開始したことを踏まえ、埋立材の積出し港においても、埋立材の運搬、積出し作業を安全かつ円滑に行うために必要な警備を実施してきているところでございます。

 今般、約千七百億円とお示しした警備費用については、今申し上げたような、これまで必要とした警備の実績や今後の工事計画を踏まえ見積もっており、工事を安全かつ円滑に進めていく上で不可欠な経費と考えております。

 事業を進めていくに当たっては、引き続き、全体経費の抑制に努めるとともに、作業の安全に十分留意した上で、辺野古移設に向けた工事を着実に進めてまいります。

赤嶺分科員 大臣が、警備費用が千七百億円にもなると。那覇空港の滑走路建設が二千億円、これに比べても、何で異常な警備体制が必要になってきているのか。それは、政府が進めている辺野古新基地建設がいかにも民意に反したもの。小野寺防衛大臣もいらっしゃいますが、岩屋前防衛大臣もいらっしゃいますけれども、それぞれ、苦労なさったのかどうかわかりませんが、民意に反する工事を強行するからこれだけの警備費用が必要になってくる、しかも、警備体制が更に強化される、こういうことは絶対に許されない。やはり、普天間の基地を閉鎖するのに辺野古をつくることは間違っていたなということを、大臣であれば受けとめるべきだと思います。

 費用の問題でもう一点ただしたいのは、軟弱地盤に基地を建設するために、供用開始後も巨額の補修費用が必要になるということです。

 年末の技術検討会で示された資料によると、滑走路の舗装の設計供用期間である二十年の間に、北側滑走路は二回、南側滑走路は四回も不同沈下に伴うメンテナンスが必要になる、このようにしています。

 なぜこれほど頻繁にメンテナンスが必要なんですか。説明していただけますか。

鈴木政府参考人 御指摘の点につきまして、まず申し上げておきますのは、滑走路の供用後の補修工法等につきましては、今後、使用者でありますところの米軍とも調整をしながら検討していくものでございまして、補修の回数について、現時点で、確定した、こうしたものはございません。

 その上で、昨年の十二月の第三回技術検討会におきましては、舗装の設計供用期間である二十年間で、不同沈下に対する許容値といたしまして設定した不同沈下量が四十五メートルで三十ミリメートルを超えないことを踏まえましたメンテナンスの回数として、北側滑走路については二回、南側滑走路については四回との見込みをお示ししたというものでございます。

赤嶺分科員 今示している九千三百億円という予算は、供用開始後の滑走路の補修の分は全く含まれていないわけですね、今の説明ですと。一兆円を超えていくかもしれない、そういう工事で。

 大体、供用開始後の補修にどれだけの費用が必要かも含めて、トータルで費用の全体像を示さなければ、このまま工事を進めていくのが妥当なのかどうかの判断ができないということになります。補修費用の見積りもあわせて示すべきだ、そうでなければその工事の妥当性は検証できないと思いますが、いかがですか。

鈴木政府参考人 先般公表いたしました経費の概略、トータル約九千三百億円でございますが、これにつきましては、辺野古移設の工事を進めていくに当たって必要となる経費をお示ししているものでございまして、事業が完了した後の維持管理段階の経費というものは含めてございません。この考え方につきましては、平成二十一年度に、少なくとも三千五百億円程度というふうに見積りを示した際も、同様の考え方で示しているというところでございます。

 その上で申し上げますと、滑走路の供用後の補修工法につきましては、先ほども申し上げましたとおり、今後、使用者であるところの米側とも調整しながら決めていくものでございますので、そうした意味におきまして、必要な経費も含めまして米軍ともよく調整をしながら進めていく、検討していくというものでございまして、現時点で確定したものはございませんというものでございます。

赤嶺分科員 それじゃ、いつ示すんでしょうか、これは。

鈴木政府参考人 そこにつきましては、申し上げましたとおり、まず、滑走路の供用後の補修工法、これにつきまして米側ともよく相談をしていくということでございます。それが前提になりまして、その中での必要な経費というもの、こうしたものについても見積もってあるというものでございます。

 ただ、いずれにいたしましても、申し上げますが、それ自身は辺野古移設のいわゆる建設に係る費用というものではございませんで、これはでき上がった後の維持管理段階での費用ということでございますので、それにつきましては、九千三百億円の内数にも入ってございませんし、繰り返しになりますが、平成二十一年度にお示ししました少なくとも約三千五百億円程度という見積りの中にも入っていないというものでございます。それは、あくまでも建設までに必要な経費というものをお示ししているというものでございます。

赤嶺分科員 建設後もなお幾らの費用がかかるのか全くわからない、そういう説明であります。

 技術検討会では、滑走路のジャッキアップなど、メンテナンスの案も複数記載されていますが、一回の補修に必要な期間はそれぞれどれだけなのか、その間、滑走路は閉鎖するのか、この点はいかがですか。

鈴木政府参考人 繰り返しになりますが、滑走路の補修等の維持管理につきましては、今後、使用者であるところの米軍ともよく調整を行いながら、個々の施設の詳細な設計等を行う段階で検討されるものでございまして、一回の補修に要する期間ですとか、その間の滑走路の閉鎖の有無について、現時点で確たることは申し上げることは困難でございます。

 ただ、その上で申し上げれば、補修による飛行場の運用停止期間ということを極力減らすということは当然重要だというふうに認識しておりますので、他の空港においても、例えば運用に支障を来さないような夜間に補修を行っている例というものもございますので、こうしたものを参考にしながら、補修による飛行場の運用停止期間を極力減らすという方向で検討してまいりたいというふうに考えてございます。

赤嶺分科員 極力減らすと言いますけれども、普天間飛行場の滑走路の補修とか嘉手納基地の滑走路の補修とか、半年以上も補修にかかっているわけですよ。

 辺野古の場合に、北側で二回、南側で四回、合計六回を半年ほど閉鎖するとなると、二十年のうち三年くらいは一本の滑走路で運用する計算ということになります。二本の滑走路を使い分けることで住宅地上空の飛行を避けるという政府の説明が成り立たなくなるわけですね。そういう点からいっても、いや、夜間にやるんだとか、全く曖昧な話じゃなくて、補修事業の手法それから費用、こういう点をきちんと示すべきだと思うんですよね。

 二本の滑走路を使うということを前提に住宅地上空を飛ばないという説明が全く成り立たなくなるような、そういうことについてもきちんとした説明ができないわけです。運用する米軍と相談してと言っているわけです。それじゃ、基本の考え方が違ってくるんじゃないか。大臣、いかがですか。

河野国務大臣 特に違っているとは思いません。

赤嶺分科員 二本の滑走路が同時に使えるというのが、住宅地上空を飛ばないという説明でありました。滑走路の補修となると、それは一本の滑走路で運用するのかどうか、これは使う米軍と相談してみなきゃわからないということになると、基本の考え方が維持されるかどうかわからないじゃないですか。基本の考え方が維持されるのかどうかわからないのに、特に違っているとは思わないというのはおかしな答弁じゃないですか。いかがですか。

鈴木政府参考人 普天間飛行場代替施設の完成後における飛行経路につきましては、二〇一一年十二月二十八日に防衛省が公表いたしました普天間飛行場の代替施設における有視界飛行経路についてにおいて示しているとおりでございます。離陸、着陸のいずれも周辺の集落の上空を通過するのではなく、基本的に海上とすることで日米間で合意しております。

 こうした考え方のもと、先ほど御指摘にありました滑走路の補修等の維持管理については、米軍とも調整を行いながら、個々の施設の詳細な設計を行う段階で検討されるものでございますけれども、先ほど申し上げたように、補修による飛行場の運用停止期間を極力減らすということは重要であるということは認識してございます。

 ほかの空港においても、運用に支障を来さないよう夜間に補修を行っている例もあるということでございますし、繰り返しにもなりますけれども、昨年十二月の第三回の技術検討会におきまして、滑走路の沈下対策といたしまして、補修による飛行場の運用停止期間を極力減らすという観点で、短期間で対応可能な工法、こうしたことを提示させていただいているということでございますので、引き続き、この補修の工法についてもしっかりと検討してまいりたいというふうに考えてございます。

赤嶺分科員 短期間で補修する方法そのものは、使う米軍と相談してみなきゃわからないというのが今の答弁じゃないですか。短期間、短期間と言うのは、説明を曖昧にしている点だと思います。

 次に、工期の問題について質問をいたします。

 地盤改良工事では、軟弱地盤に砂ぐいを打ち込むサンド・コンパクション船を使います。昨年三月二十八日の安保委員会で、二〇一七年の現有作業船一覧に基づいて、国内に十五隻しかないサンド・コンパクション船のうち、十一隻を辺野古の工事に確保することが可能なのかを質問いたしました。十分に検討を重ねた結果、施工は可能であるというのが防衛省の答弁でありました。

 ところが、今回示された計画によると、十五隻としていたサンド・コンパクション船の現有隻数が八隻に減っています。なぜ減ったんですか。

河野国務大臣 昨年三月の国会審議においては、当時の最新の現有作業船一覧二〇一七年版に掲載されている十九隻から重複する同一船舶を除外し、国内に在籍するサンド・コンパクション船が十五隻あるとお答えをいたしました。

 一方、昨年十二月の第三回技術検討会の資料においては、現在の最新の現有作業船一覧二〇一九年版に掲載されている十五隻について、現有作業船一覧の記載及び業者ヒアリングにより、重複する同一船舶を除外し、サンド・コンパクション船が十隻あることをお示ししたところでございます。

 このうち、今般計画している地盤改良の施工を合理的に行うべく検討した結果、打ち込み深度五十メーター以上に対応可能な船舶を対象とし、打ち込み深度五十メーター以上七十メーター未満に対応可能なものが五隻、打ち込み深度七十メーター以上に対応可能なものが三隻の計八隻としたところであります。

 このことから、隻数の違いは、二〇一九年版現有作業船一覧の掲載隻数が二〇一七年版から減っていること、業者へのヒアリングにより隻数の確認をしたことに加え、合理的な施工を追求した結果によるものでございます。

赤嶺分科員 じゃ、あのときの答弁というのは、合理的な施工を追求していない。

 大体、十五隻が八隻になるというのは、今、重複して数えていたといいますけれども、こんな数え方ってないんじゃないですか。十五隻あるから絶対大丈夫だ、十一隻の確保ができる、そういうことを言っていたわけですよね。

 結局、防衛省の説明というのは、肝心なところは説明しない。そして、作業船についても、大きく見せようとして、重複して数えて、重複して数えたかどうか自分たちでチェックもできない。一年間で七隻も減ってしまうというのでは、一体あの説明は何だったのかという疑問を持たざるを得ません。

 さっき、八隻じゃなくて、大臣、十隻とおっしゃいましたか。十隻で間違いないですか。

河野国務大臣 昨年十二月の第三回技術検討会の資料においては、現在の最新の現有作業船一覧二〇一九年版に掲載されている十五隻について、現有作業船一覧の記載及び業者ヒアリングにより、重複する同一船舶を除外し、サンド・コンパクション船が十隻あることをお示ししたところです。

 このうち、今般計画している地盤改良の施工を合理的に行うべく検討した結果、打ち込み深度五十メーター以上に対応可能な船舶を対象とし、打ち込み深度五十メーター以上七十メーター未満に対応可能なものが五隻、打ち込み深度七十メーター以上に対応可能なものが三隻の計八隻としたところでございます。

赤嶺分科員 ちょっと数字に疑問があります。引き続き検証していきたいと思います。

 今回、防衛省は、二〇一九年版の現有作業船一覧と業者へのヒアリング、これに基づいた新たな計画としているわけですが、私たちは、先月から、そのもとになったヒアリングの資料の提出を求めていますが、いまだ提出されておりません。

 年末の技術検討会に示された概略の資料によると、先ほど大臣もありましたが、ただ、海面から七十メートルの深さまで施工できるサンド・コンパクション船は国内に三隻しかありませんが、その全てを同時に使用する計画になっています。五十メートルから七十メートル未満のサンド・コンパクション船も五隻のうち三隻、埋立土砂の投入に使用するリクレーマ船も七隻のうち五隻を使用する計画になっています。

 今後、辺野古以外の需要もあり得るもとで、国内にある作業船のほとんどを集中させることが一体可能なのかどうか。船舶を所有するそれぞれの事業者から、辺野古の事業に提供できるという確約を得ているんでしょうか。いかがですか。

葉梨主査 鈴木整備計画局長、申合せの時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。

鈴木政府参考人 今御指摘ございましたが、地盤改良に用いるサンド・コンパクション船、その他の船につきまして、今の計画におきまして最大使用隻数、これ以上の船舶が国内にあるということを確認しておりまして、実際に工事を行う際には、作業船の稼働状況を踏まえつつ、必要な船舶をしっかりと確保してまいりたいというふうに考えてございます。

赤嶺分科員 この工事は、玉城デニー知事への設計変更申請もこれから出さなければなりません。いつ工事が始まるかわからないのに、民間業者が作業船は提供できる、工事の際には提供できるというのも、やはり去年の答弁のような曖昧さを感じるものであります。

 作業の面からいっても辺野古の新基地建設は不可能だということを申し上げて、質問を終わります。

葉梨主査 これにて赤嶺政賢君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

葉梨主査 次に、内閣府所管について審査を進めます。

 内閣府本府について質疑の申出がありますので、これを許します。中曽根康隆君。

中曽根分科員 自由民主党の中曽根康隆でございます。

 きょうは、貴重な質疑の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 本日は、少子化について重点的に御質問をさせていただきたいと思います。

 衛藤大臣におかれましては、この少子化において非常に強烈なリーダーシップを発揮していただいていることに、心からまず敬意を表する次第でございます。

 総理は、少子化を国難と呼んでおります。人口減少社会、すなわち人が減るということは、国力が落ちていくということにある意味直結することであるというふうに思います。そういったときだからこそ、人口が減ってもしっかりと持続可能な社会を維持できる、そういった仕組みを今つくっておくことが急務であるというふうに考えておりますし、そのためには、これまでと同じことをやっていたのではだめだというふうに考えます。

 明治維新のとき、人口は三千三百三十万人で、そこから百年ちょっとで一気に九千万人人がふえて、一億二千万人を超えた。人口も右肩上がり、GDPも右肩上がり、こういったときがあったわけで、ただ、これからは逆に、百年間で九千万人人口が減るかもしれないと言われている、真逆の方向性に進んでいく。

 そういった中で、人口減少をやはり諦めてはだめであって、今だからこそ抜本的な少子化対策というものをしっかりと実行していく必要があるというふうに私は思っております。

 政府は、二〇一五年三月に閣議決定をいたしました少子化社会対策大綱、ここで、本年度末までの五年間を少子化対策の集中取組期間と位置づけております。この中で、七十七の項目の数値目標を掲げておりますけれども、こちらの現在の進捗を教えていただきたいと思います。

    〔主査退席、小野寺主査代理着席〕

衛藤国務大臣 二〇一五年三月に閣議決定いたしました少子化社会対策大綱は、本年度末までの五年間を少子化対策の集中取組期間と位置づけまして、七十七項目の数値目標を掲げましたけれども、その進捗状況について御報告させていただきます。

 現時点で目標を達成しているものは二二%、それから、進捗しているが現時点で目標を達成していないものが六六%、そして、進捗しておらず現時点で目標を達成していない、若しくは進捗状況をはかれないというものが一一・七%でございます。

 以上でございます。

中曽根分科員 今の御回答をいただいて、果たしてその数値目標に意味はあったのかと厳しい言葉を言わざるを得ないような状況だというふうに思っております。

 完全に達成したものが二割ぐらいしかない。そして、今、目標達成に向けて頑張っているけれども達成していないものが六六%、そして進捗がはかれないものが一一・七%。これは、集中期間と位置づけているにもかかわらず、こういった数字になってしまった。これはさまざまな理由があるとは思いますけれども、かなり反省をしなくてはいけない点が正直あるというふうに思います。

 この反省や、又はこれまでの期間の教訓、なぜうまくいったのか、なぜうまくいかなかったのか、こういったものを踏まえて、来月までに政府は今度は第四次大綱を閣議決定するというふうに認識をしております。その中で、この次の大綱、これは一体どういうものになっていくのか。

 あわせて、やはり少子化は、出生率、これが大事でありまして、現在一・四二でありますけれども、二〇二五年度末までに政府としてはこれを一・八まで引き上げるという非常に高い目標を持たれております。この目標に向けての具体的な戦略、そして、この一・八という数字が一体どこから出てきたのか、教えていただければと思います。

衛藤国務大臣 少子高齢化社会における問題点は、まさに昭和の終わりから平成にかけてこれが議論されたところでございます。昭和の終わりぐらいに言われたのが、よく、これから少子高齢化社会に入って大変だとか、あるいは情報化社会に入るというようなことが言われてまいりました。

 今委員からお話もございましたように、私どもも、結果から見ますと、少子高齢化社会の中で持続可能な体制にするということで、平成の時代は相当思い切って高齢者対策にお金をつぎ込んできた、例えば年金制度改革とか、あるいは医療制度改革とか、あるいは介護保険制度の導入とか、そういうところに極めて大きなお金をつぎ込んできたというふうに思います。それはやはり、持続可能な制度をつくろうということで頑張ってきたんだと思います。

 そんな中で、少子化対策もスタートしました。平成六年にスタートした政策は、保育の充実ということと、育児休業保障制度を充実させるということと、それから、子育てで非常に困られている方は多いので相談のできる拠点をつくろうという、この三つが大きな柱でございました。

 第三次の中で、今お話ございましたように、この達成率が、二二%達成しておりますね。それから、途中にあるのが六六%という中で、内閣は、この数字の中でやはりもっと大きく一歩を踏み出さなければいけないということで、これでスタートして考えたのは、昨年スタートしたのが幼児保育や教育の無償化。それから、高等部、中等教育についての、高校についての無償化。それから、大学に行く方の、全員の無償化ということの声もありましたけれども、それはなかなか資金的にも大変だということで、いわゆる経済的状況によって差別なく何とか行ける制度の充実ということで、いわば与えきりの給付金というか制度、貸付けの奨学金から、いわゆる給付できる奨学金に大きくかじを切って変えてきた。そういう意味では、この政権でやはり大きな二歩目を踏み出したのが昨年であると思います。

 そういう全体の反省を踏まえて、今度は、今年度中までにできれば第四次の少子化大綱をつくり上げていきたい。そういう中で、希望出生率を何としてもかなえることが先決だということでございます。

 結婚している方あるいは結婚を希望している方の希望出生率は二・一とか二・〇一とか、あるいは、希望の方たちとなると二・二ぐらいまであります。しかし、御承知のとおり、今、全体の中で、結婚を希望されない、あるいは子供も欲しくないという方も実は一割ぐらいにこの十年の間でふえてまいりました。そうしますと、国民全体で平均化した場合、希望出生率が一・八ですから、その希望を何としてもかなえたい。

 その中で、現実の出生率は、一時は一・四五まで、一・二六まで落ちたものが一・四五まで上げることができましたが、この間また停滞ぎみで、一・四二ということになりますと、一・八と一・四二の差が、現実にやはり希望が達成できていないという数字ですから、これを何としてでも政治は、国において埋めなければいけないというぐあいに考えて、私は、担当としましては、これを何としても達成できる最後のときになっている。総理も国難だと言っています。まさに国民共通の困難にみんなで立ち向かうという覚悟をしなければならないんじゃないのかというぐあいに考えています。

中曽根分科員 ありがとうございます。

 今大臣からのお言葉もありましたけれども、少子化というのは昭和の終わりぐらいからもう言われている。そういう意味では、この平成の三十年は一体何をやっていたんだと。

 もちろん、今おっしゃったとおりで、やはり高齢者に対する政策というものを重点的に、持続可能な社会のためにやっていたということではありますけれども、今お言葉をいただいたとおり、反省を踏まえた大綱をしっかりとつくっていく。そして、つくっていった上に、それを実際達成していくということに重点を置いて、ぜひとも頑張っていただきたいというふうに思います。

 出生率とあわせて出生数も、もう八十六・四万人と過去最低をたたき出している。この出生数が減った理由を、厚労省の方はその理由について、元号が令和にかわることに合わせて去年五月に結婚が集中し、二〇一八年から二〇一九年前半にかけての結婚数が減ったことが要因、何かこういったコメントが出ているんですけれども、こんなのは極めて表面的な話でありまして、もっと根深い構造的な原因があります。これについてはちょっと後ほどまた質問させていただきたいと思います。

 ちょっと話は移りますけれども、よく少子高齢化という言葉が使われます。少子化はもちろん、これは今お話ししているように極めて重大な問題である。ただ、高齢というのは、必ずしも悪いものではなくて、これは先進国のある意味あかしなんじゃないかというふうに思っております。

 明治のころは四十、五十で亡くなっていた方が、今では八十、九十まで生きられる。これは何かといえば、当然、医学、医療の進歩でありまして、いろいろな薬ができてきた。又は、食べるものにしても、昔はなかなか栄養がとれなかった中で、世界じゅうのものを何でも食べられるようになった。こういった意味で、物心両面で豊かな先進国になった。すなわち、長寿というのは、ある意味誇りだというふうに私は思っております。なので、少子高齢化というとネガティブなイメージがありますけれども、これは切り分けて考えるべきだと思っております。

 ただ、この高齢化にも一つ問題があって、健康寿命が追いついていっていないという問題があると思います。

 私ごとで恐縮ですけれども、私の祖父、中曽根康弘が昨年十一月に百一歳で旅立ちましたけれども、そばで見ておりまして、やはり、百歳を超えても、週に何回かは事務所に行って、会議に出て発言をしている。自分で食べて飲んで、そして人とコミュニケーションをとっている。亡くなる二日前に病院に行ったときも、新聞をずっと読みながら自分で線を引いている。とにかく健康でいる、その上で年齢を重ねていくということの重要性といいますか、いかにそれが幸せなことかというのを身近で見てまいりました。

 そういったことを考えて、今、平均寿命と健康寿命の差というものが、男性で平均八歳ぐらい、そして女性で十二歳ぐらいある、やはりこの差をいかに埋めていくかというのは非常に大事なことだと思うんですけれども、それに対する政府の御見解を教えていただきたいと思います。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 高齢化が進展し、今後、現役世代の人口の急減といった状況を迎える中で、国民誰もがより長く元気に活躍できるよう、健康寿命延伸に向けた取組は重要であると認識しております。

 厚生労働省では、第二次健康日本21におきまして平均寿命の増加分を上回る健康寿命の延伸を目標に掲げまして、その具体的施策として、企業、団体、自治体と協力、連携し、適度な運動、適切な食生活、禁煙、健診の受診等を通じて健康づくりを進めるスマート・ライフ・プロジェクトを展開するなどの取組を進めてまいりました。

 この結果、平成三十年に行われました第二次健康日本21の中間評価におきましては、男女ともに平均寿命の増加分を上回る健康寿命の延伸を達成したところでございます。

 こうした取組に加えまして、昨年五月には健康寿命延伸プランを策定し、二〇四〇年までに健康寿命を男女ともに三年以上延伸し、七十五歳以上とすることを目指し、健康無関心層も含めた予防、健康づくりなどを推進しているところでございます。

 幅広い関係者とも連携しつつ、このような取組を着実に進めることで健康寿命の延伸に努めてまいりたいと思っております。

中曽根分科員 ありがとうございます。

 年を忘れて長寿を謳歌できる、そういった社会をぜひともつくっていかなくてはいけないというふうに思っております。結果的にこれは、社会保障費の歳出の削減にもつながりますし、又は労働力不足の解消にもつながるというふうに思っております。この健康寿命の延伸は極めて大事でありますので、しっかりとその効果測定をしながら、これからも推し進めていただきたいというふうに思います。

 それでは、また少子化に戻らせていただきますけれども、我が国の年間の歳出、百二兆円ぐらいある中で、社会保障関連費が大体三十五、六兆円である。そのうち、医療、介護、年金、いわゆるシルバー世代に使われているお金が二十七兆円程度。一方で、少子化対策、この社会保障費の中での少子化対策という意味では三兆円ぐらい、非常に少ない額になっている。この額だけ見ると、決して少子化対策に本気だとは言えないというふうに思います。

 確認したいんですけれども、現在、全体の歳出の中で、この三兆円以外にも少子化に対して計上されている予算、かけているお金、それはどれぐらいになるか、教えてください。

衛藤国務大臣 今委員御指摘のとおり、平成の間は、とにかくやはり、主に重点的にやってきたのは確かに高齢社会対策ですね。

 ですから、例えば、介護保険の導入ということをしましたけれども、これだけで国費の増加分は、今十一・七兆ですから、四分の一強ですから、負担率が、そうすると三・三兆とかですね。それから、年金もそこで、いわゆる少子高齢化ですから、年金が途中で、昔の設定が七十二、三歳しか設定していませんでしたから、それがちょうどこのころ、見直しのころ、もう既に八十歳を超していましたから、そこまでちゃんとするためということで思い切った年金改革を入れて、それから国の負担も、基礎年金部分の三分の一負担から二分の一ということですから、今この年金の負担だけでも二十四兆の、十二、三兆ということで、医療費もそういうぐあいにして、全部極めて大きなスピードで伸ばしてきたというように思います。

 そういう中で、障害福祉も伸ばしてきました。それも入れて、子供の方もやはり現実は伸ばしてきました。それが今、御指摘のとおり三兆でございますけれども、関連費を入れますと、関連費は別途いろいろな省庁の中に入っておりますけれども、令和元年で五・一兆ということになっております。

中曽根分科員 ありがとうございます。

 五・一兆ということで、まあ三兆よりはあるということですけれども、国難を突破するための予算という意味では、やはりこれから、もちろんシルバー世代も大事ですけれども、こちらの少子化の方にももっともっと予算をつけていく。お金があればいいというものではないですけれども、やはりこれは省庁横断的にオール・ジャパンでこの国難に向かっていくという姿勢が大事だというふうに思います。

 先ほどちょっと大臣の御答弁にもありましたけれども、今までは結構、少子化対策というと子育てのところに重点が置かれてきたような気がいたします。幼保の無償化とか、保育所の充実とか、そういったものもその例であると思います。

 私は、この少子化対策というのは大きく分けて二つに分かれると思っていまして、一つは出生の支援、そしてもう一つが子育ての支援。これは、それぞれのステージに分かれると思っていまして、また、それぞれにおいて政策も、やり方も異なってくるというふうに思っております。

 この出生支援には、もちろん結婚支援も含まれているというふうに考えております。つまり、子供が生まれる前と後をしっかりと分けた上で対策を打っていく。特に、出生率を上げるということに関しては、やはり生まれる前、すなわち、どうしたら結婚するか、どうしたら出産するか、そういったところを考えていかなきゃいけない。

 昨今、晩婚化により未婚者の増加は著しいですし、また、婚姻者数も七年連続で減っている。こういったときに、先ほど申し上げた第一ステージ、結婚支援も含めた出生支援、ここに対する政府の対策というものはどういうものなのか、教えてください。

    〔小野寺主査代理退席、主査着席〕

衛藤国務大臣 今御指摘のとおり、二つのステージに分けられているというぐあいに思います。特に、やはり今御指摘いただきましたように、未婚化、晩婚化は極めて大きな影響を与えているというのは、これに成功したフランスやスウェーデンの例等を見ましても明白であります。

 そういう意味で、若い世代をめぐる結婚については、多くの人が、いずれ結婚するとか言われるんですけれども、そのときに、どうして遅くなっているの、なかなかされないのと言うと、適当な相手にめぐり会わないとか、資金が足りないというようなことが一番大きな理由になっております。

 ですから、当然そのために、若い世代の結婚の希望が希望した年齢でかなうような環境を整備しなければならないと思います。

 そういう意味では、やはり若い時代からの雇用の安定や、給与、経済的な基盤の安定を図るということを考えなければいけないと思います。日本の場合は、どちらかというと、初任給が安くて後から給料が上がっていくということですが、やはりちょっとこの傾斜を、初任給を上げていくというようなこと、それから正規化をちゃんと図っていく、正規雇用の方向を図っていくとか、そういうことをやっていかなければいけないと思います。

 それからまた、適当な相手にめぐり会わないということですが、今、地方公共団体が、結婚の希望をかなえる取組を支援してくださっています。これを更にもう一回洗い直して、検討しかえて、もっともっとバックアップしていける、思い切った対策を打てるまで頑張っていかなければいけないと思っています。

 そしてまた、そうなったときに、妊娠中からのバックアップももっとしていく必要がある。あとは、生まれた後の子育てについては、またこれは考えていかなければいけないというふうに思っております。

 そのような形で、私ども、やはり公共団体が取り組んでいる出会いの場づくりや、あるいは結婚資金や住宅に対する支援も本気で考えていかなきゃいけないと思うんですね。今は、例えば公営住宅にも、障害者や高齢者のために優先的な入居がありますけれども、結婚のための、例えば優先入居するとか、そういう意味で、本当にやはり結婚に対する支援の体制をみんなで整えていくということが必要であると思います。

 これは、先ほどから申し上げましたように、地方公共団体とも十分な連携をとりながらやっていかなければいけないものだと思っております。

中曽根分科員 今大臣がおっしゃっていただいた具体的な政策をしっかりと実行していただいた上で、やはり、未婚、晩婚、そして子供が欲しいけれどもかなわない人たち、そして結婚をためらっている若者たち、そこに対する力強い支援をぜひともお願いしたいと思います。

 結婚した後の既婚カップルに聞くと、八割の人が理想の子供数は二人以上であると答えているにもかかわらず、そのうちの七五%は、それにためらっている。そこの大きな原因というのは、やはり経済的理由というのがある。いわゆる第二子の壁というものがあります。

 先ほど大臣から、フランスはいい例があったというお話がありました。子供がふえるほど手厚くなる家族給付とか、そういったことをフランスはやっていますけれども、この第二子の壁に対する政府の取組、教えていただきたいと思います。

衛藤国務大臣 第二子の前の第一子に対する問題は、やはり女性の働き方の問題が非常に多いということです。

 今の世論調査によりますと、専業主婦希望の方々は一八・五%ぐらいいらっしゃいます。それから、結婚されて子供さんが生まれて再就職派という方が今、約三五%ぐらいですね。それから、いえいえ、キャリアをずっと続けたいよという方が三五%ぐらいです。

 そのときに、最初の子供さんが生まれるというのは、やはりこの働き方との関係が一番多いということですね。我々は、二十五年ぐらい前に育児休業保障制度を導入しましたけれども、これをやはりもっともっと充実をしていかなければいけない。

 そういう中で、二人目の壁というのは、一子目の子育てが極めて順調にいったかどうかということが二子目を考える一番大きな問題であるというぐあいに思っておりますから、一子目を育てるときに、やはり育てやすいように全面的なバックアップをするシステムを考えなければいけないというぐあいに思っています。

 だから、第二子、第三子ということになるにつれて、子育てや教育にお金がかかるとか、仕事に差し支えるというような形で言われています。ですから、育児の負担に耐えられないという方は、二子目に進まない最も大きな理由ではなかろうかというように思っていますから、それを、かつての大家族時代の時代というのは、やはり、おじいさん、おばあさんというか、両親もいる、おじさん、おばさんも近所にいる、それから、おじさん、おばさんの数も、手伝ってくれる方々も近所にいて多い、それからまた御近所の方もみんなバックアップしてくれるというようなものがありましたから、そういうものにかわるものを私どもは社会の中でつくり上げていくということをしないと、二子目の壁は恐らく破れないんだろうというぐあいに思っております。

中曽根分科員 二子目の壁の前にまず第一子、そしてその一子の子育てがうまくいっているかどうかというところが大事というお話がありました。

 やはり、女性の就業率と出生率が反比例するというようなことを言われることをもうやめないといけないと思いますし、育児休暇がとりやすい環境、産休がとりやすい環境、そして仕事復帰したときにちゃんとキャリアが担保されている、そういった企業風土、社会風土というのを、政府の後押し、これも非常に大事になってくると思います。

 ちょっと時間がなくなってきましたので最後の質問になりますけれども、ちょっと角度を変えると、この東京又は都市部一極集中と少子化にも相関があるというふうに考えております。

 大企業が本社機能を地方に移転すると、それに伴って社員も地方に移る。コマツという会社がありますけれども、コマツさんでは石川県に本社機能を移した。そうすると、東京オフィスの社員、この結婚率が五〇%であるのに対し、石川県に移った社員は八〇%。子供の数も、東京オフィスの平均子供の数〇・九人に対し、石川県のオフィスの女性社員の子供の数は一・九人と、大分やはり開きがある。

 地方に本社機能が移ることというのは、一つ、都市部の一極集中是正のみならず、少子化にも有効であるというふうに考えておりますけれども、こちらに対する政府の政策、後押しに対する考えを教えてください。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 本社機能の地方移転に対する支援策についてでございます。

 地方で雇用を創出する観点から、企業が本社機能を地方に移転する場合や地方で拠点を強化する場合における特別償却など、税の優遇措置として地方拠点強化税制を講じているところでございます。

 この税制が少子化の動向に与える影響自体につきましては確たることは申し上げられませんけれども、本税制につきましては、企業や自治体のニーズを踏まえまして、令和二年度税制改正では、本社機能を東京から地方に移転した場合におきます雇用の増加に対するインセンティブの強化などの見直しを行うこととさせていただいております。

 改正後の地方拠点強化税制をより多くの企業の皆様に御活用いただけますよう、引き続き地方自治体と連携し、経済団体を始めといたします関係者への積極的な周知、広報に努めてまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

中曽根分科員 ありがとうございます。

 東京は生活コストも高いですし、やはり待機児童の問題もあるし、労働時間も何だかんだ長い、そういったことを考えると、やはり地方は、物価も安かったり、待機児童の問題も少なかったり、また自然豊かで過ごしやすい、そういったこともあると思いますので、今御答弁いただいたとおり、税制優遇もそうですし、また各地方が積極的に誘致するような、そういった政府としての後押し、そういったこともぜひともやっていただきたいというふうに思います。

 もう時間になりましたので最後に一言だけ申し上げますけれども、やはりこの少子化対策というのは、コストではなくて、未来への投資そのものだというふうに思っております。国の財政がもちろん逼迫しているのはわかっておりますし、お金がないのはわかっていますけれども、ただ、お金がないからやるべき少子化対策ができない、これは、今を生きる我々は非常に無責任な話だと思っておりますので、是が非でもしっかりと必要な予算は確保した上で、大事なところにメスを入れて資本を投下していく、こういったことが大事だと思います。

 先ほど申し上げたとおり、やはり出生支援、そして子育て支援、ここのめり張りをしっかりつけて、それぞれのステージにおける最善の政策を政府としてしっかりとやっていただくことを心からお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

葉梨主査 これにて中曽根康隆君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

葉梨主査 次に、警察庁について質疑の申出がありますので、順次これを許します。杉田水脈君。

杉田分科員 自由民主党の杉田水脈です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 本年は、いよいよ東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。世界各地の政治的、宗教的紛争や経済摩擦を超えた健全でフェアなスポーツの祭典において、日本が国際協力と国際親善にさらなるリーダーシップを発揮するために、安全面においてもきめ細やかな施策が求められます。

 オリパラだけではなく、過去には、ボストン・マラソンやフランスのサッカー国際親善試合などのスポーツの国際大会においてテロ事件が発生した事例がございます。

 また、オリパラ反対勢力は国内外に存在をしておりまして、中核派の機関紙「前進」におきましては、二〇二〇年東京オリンピック粉砕をかち取ろう、それから、革命的労働者協会主流派の機関紙「解放」では、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向けた戒厳令的政治弾圧の強化を粉砕しようなどと言及しており、国内の一部過激派に対し、一層の警戒や対策が求められます。

 近年はハクティビストらによるサイバー攻撃も展開されており、直近の平昌の冬季オリンピックですね、開会式の当日に、サイバー攻撃によるシステムのふぐあいによってチケットの印刷ができなくなるなどの被害がございました。

 安心、安全、円滑な東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けて、これらの脅威とどのように闘っていくのか、日本政府の取組をお聞かせください。

武田国務大臣 御指摘ございましたとおり、中核派を始めとする極左暴力集団がこの東京オリンピックに対して批判的な主張を繰り広げているということについては、我々も承知をいたしております。

 こうした集団が違法行為を犯す前、そしてまた、国際テロが発生することを未然に防ぐためにも、やはり一層、情報収集、分析の強化というものに我々は努めていかなくちゃならぬ、このように思っておるところであります。

 また、サイバー攻撃が発生したことを想定して、これも対策を打っていかないかぬのですけれども、官民の連携強化等を通じて諸政策の推進にも努めていきたいと思います。

 先生御指摘のように、オリンピックというのは、大変大きなイベントでもありますし、各国の要人、そして選手団、また全世界から観客の皆さん方もこの日本にお越しいただきます。そうしたビッグイベントであるがゆえに、警察に課せられた警備体制の使命感というのは高まってきているわけでありますけれども、いよいよ聖火リレーも始まるところでもありますし、大会組織委員会との連携をなお一層緊密にして、この東京大会というものが円滑かつ安全に運営されるように、開催されるように、我々としても総力を挙げて万全を期してまいりたい、このように考えております。

杉田分科員 ありがとうございます。

 こういった件につきましては、なかなか手のうちを明かすということができない中で、非常に難しい問題でございますが、国家公安委員長みずから御答弁いただきましたこと、非常に感謝を申し上げます。

 武田委員長は、質問は以上でございますので、どうぞ御退席ください。どうもありがとうございました。

葉梨主査 武田大臣にあっては、御退席ください。

杉田分科員 続いて、いわゆる一連の関西生コン事件についてお尋ねをいたします。

 私が本日この件についてお尋ねいたしますのは、事件の規模や内容、被害金額の大きさに比べて、余りにも報道や情報が少なく、まるで都市伝説のように臆測や虚実不明瞭な情報が飛び交っていることで、さまざまな影響が生じているのではないかと懸念しているからでございます。

 平成三十年に、全日本建設運輸連帯労働組合、略称、連帯ユニオン、関西地区生コン支部、武建一執行委員長が、恐喝未遂容疑で逮捕、起訴されました。また、その後も、同組合幹部などの複数の関係者が複数回にわたって逮捕されましたが、新聞やテレビのニュースなどはほぼ報道がなされていないと言っても過言ではありません。

 そのため、インターネットを中心に一部の国民の関心は高まる一方、関西生コンという言葉がひとり歩きをし、事件や同組合とは一切関係のない生コン産業やコンクリート業者、また、本件とは本当に関係のない、労働者の権利と利益を守るために真面目に活動しておられる労働組合までもがよくないイメージを持たれるなどの悪影響が生じていると聞いております。

 私は、本日の質疑の中では、以降、当該組合のことを連帯ユニオンという呼称で統一させていただきたいと思いますし、国民の皆様にも、連帯ユニオンが業界や他の労働組合とは異なる特異な存在であるということを御理解いただきたいと思います。

 捜査中の事件ですので、お答えいただけないことも多いかと存じますが、関心を寄せている国民の方々の疑問や、本件には一切関係のない方々への風評被害を払拭する意味でも、あえてお尋ねをさせていただきます。

 まず、この一連の、連帯ユニオンなんですけれども、連帯ユニオン関西地区生コン支部関係者のこれまでの逮捕人数、それから罪名を教えてください。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 滋賀県警察、京都府警察、大阪府警察及び和歌山県警察において、平成三十年七月から現在までに、威力業務妨害罪、恐喝罪などの罪名で、全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部の組合役員、組合員など、延べ八十九名を逮捕しているものと承知しております。

杉田分科員 ありがとうございます。

 事前にレクのときに、警察庁の方から、一体どういった罪名で何人が逮捕されているかという一覧表をいただきまして、私もびっくりいたしました。先ほどの答弁にあったとおり、延べ八十九人もが逮捕されているということでございます。

 このように逮捕者がこれだけたくさん出ている以上、これらの行為によって不当に得た利益が発生している疑いもあるのではないかと思いますし、犯罪行為が伴っているのであれば、被害額は被害者に返還されるべきではないかと考えます。

 脅迫など不当な行為によって得た利益はどういう形になっているのかというのを、これをまず、皆さんお知りになりたいかと思います。私も知りたいです。一部の関係者がそれを着服しているのか、あるいは団体の収入として計上されているのかなど、連帯ユニオン関西地区生コン支部の収入及び支出等の決算関係はどのような会計処理がなされているのか、それをどのように把握しているのか、まずは警察庁にお尋ねしたいと思います。

野村政府参考人 お尋ねの事件は、威力業務妨害罪、恐喝罪などの罪名でそれぞれ被疑者を逮捕し、捜査を行っているものでございまして、組合の収入、支出などの会計処理の解明自体を目的として行っているわけではございませんけれども、いずれにいたしましても、個別の事件の捜査におきまして、どのような事項を把握しているかにつきまして申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。

杉田分科員 では、同様の質問を税務調査の立場から国税庁にもお尋ねいたします。お願いいたします。

重藤政府参考人 お答えいたします。

 まず、個別の法人等の申告状況あるいは税務調査に係る事柄につきましては、守秘義務との関係上、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 なお、一般論として申し上げますと、国税当局としては、納税者の適正、公平な課税を実現するという観点から、あらゆる機会を通じ、課税上有効な資料情報の収集に努め、課税上問題があると認められる場合には税務調査を行うなどして、適正、公平な課税の実現に努めているところでございます。

杉田分科員 先ほどから何度も申し上げておりますけれども、逮捕者がいるということは被害者がいるわけであります。そして、執行委員長始め、組合の幹部が短い期間に複数回にわたり同じ罪で逮捕されているということを鑑みても、ぜひとも被害者が救済されるような、再犯によって同じ被害者を出さないような捜査や税務調査を進めていただきたいと思います。

 また、多くの国民が関心を寄せているのは、被害者の恐怖や苦痛、涙や無念と引きかえに集められたお金が一体何に使われているのかという点にあるかと思います。

 例えば、和歌山県では、街宣車を使って誹謗中傷の演説を繰り返したとして威力業務妨害で複数人の逮捕者が出ておりますが、そもそもなぜ労働組合が街宣車を持っているのか、疑問であります。

 それから、二〇一七年三月十二日の沖縄タイムスによると、二〇一三年の参議院議員通常選挙比例区に社民党から立候補した沖縄平和運動センターの山城博治議長の保釈などを求めて、関西生コン産業政策協議会提供のミキサー車二百五十台が、辺野古新基地ノーを掲げて大阪市内でパレードを行ったといいます。

 また、二〇一六年二月には、辺野古基地まで連帯ユニオン近畿本部からミキサー車がやってきて、運転手は、ミキサー車一台を関西から沖縄まで運ぶのに五十万円かかるが、台数をふやしてまたやってくるとゲート前に座り込んでいる人たちに発言したといいます。

 また、連帯ユニオンのホームページによりますと、昨年一月九日、韓国の建設労組五万人、五万人ですよ、五万人が、連帯ユニオン関西地区生コン支部に対する異常な権力弾圧の即時中止を求める抗議書簡を手渡すためにソウルの日本大使館を訪れたと書かれています。韓国の建設労組と連帯ユニオンとは十七年越しの兄弟的連帯関係にあり、連帯労組は、二〇〇二年の労使紛争時、韓国のこの建設労組に闘争カンパ三千万ウォンを送ったと紹介されています。

 二〇一七年には、大阪・日朝友好代表団なにわの翼二〇一七に参加し、北朝鮮を訪問したことも記載されています。

 誤解のないように申し上げておきますが、私は、沖縄の基地反対運動や、韓国や北朝鮮との交流そのものについて異論を述べているわけではありません。これらの連帯ユニオンの政治活動ともおぼしき活動報告を聞いて、活動の資金源は一体何なんだろうと疑問に思う国民も少なくない中で、そこに事件との関連性や違法性がなかったかを検証すべきであるという立場で申し上げておりますことをお伝えしておきたいと思います。

 それでは、次の質問に移ります。

 労働組合法第一条二項には、「刑法第三十五条(法令又は正当な業務による行為は、罰しない。)の規定は、労働組合の団体交渉その他の行為であつて前項に掲げる目的を達成するためにした正当なものについて適用があるものとする。但し、いかなる場合においても、暴力の行使は、労働組合の正当な行為と解釈されてはならない。」と書かれています。

 これを、暴力以外の行為であれば、脅迫しようが、恐喝しようが、中傷目的の演説を行おうが、中傷のビラをまこうが、嫌がらせを中止することを条件に金銭を要求しようが、労働組合の団体交渉のための正当な行為であると主張する限り罰されることはないとゆがめて解釈してしまう人もいるのではないかと感じます。

 警察が、これらの、一般的に脅迫や恐喝、威力業務妨害罪に該当するような行為の訴えを被害者から受けた際に、加害者側から労働組合の団体交渉としての行為であると主張されたら、捜査に影響は生じるのでしょうか。

直江政府参考人 お答えいたします。

 労働運動であるとしても、刑罰法令に触れる行為であると認める場合には、捜査等の所要の措置をとることは治安維持を任務とする警察の当然の責務でございます。

杉田分科員 ありがとうございます。

 法務省にもお尋ねをいたします。

 さきに述べたような、一般的に脅迫や恐喝、威力業務妨害罪に該当するような行為は、仮に組合活動の範囲内であったとしても、同様に刑事罰の対象になり得るという認識で間違いありませんね。

保坂政府参考人 刑事罰の対象になるかというお尋ねでございますが、犯罪の成否につきましては、捜査機関により収集された証拠に基づいて個別に判断されるべき事柄ですので、一概に申し上げるということは困難でございますが、一般論として申し上げますと、刑法三十五条におきましては、「法令又は正当な業務による行為は、罰しない。」と規定されております。

 今委員も読み上げられましたけれども、労働組合法一条二項におきましては、刑法三十五条の規定は、労働組合の団体交渉その他の行為であって、前項、これは労働組合法一条一項でございますが、に掲げる行為を達成するためにした正当なものについて適用があるものとする、ただし、いかなる場合においても、暴力の行使は、労働組合の正当な行為と解釈されてはならないと規定されております。

 このただし書きの趣旨につきましては、労働組合の正当な行為と解釈されないことの明らかな暴力の行使について、特に念のために規定したものにすぎず、暴力の行使に該当しない全てが正当な行為と見られるものというわけではなく、暴力の行使に該当しない行為であっても不当な行為と判断されるものがあるのは当然であるというふうに注釈書等に書かれていると承知をいたしております。

杉田分科員 ありがとうございます。

 時間の関係もありますので詳細は割愛いたしますが、過去の判例を見れば、暴力とは有形的な不法行使だけではなくて、脅迫的言語を手段とする無形的な場合でも人の身体の自由を束縛するもので、逮捕と同性質のものであることから、暴力の一種と解されるべきとの事例がございます。いかなる場合であっても、被害者に苦痛を与えることなどで要求をのませるような行為が労働組合の正当な行為であると解釈されてはならないと考えます。

 さて、冒頭にも申し上げましたとおり、これまで、本件に関する新聞やテレビのニュースなどでの報道は皆無に等しいほどなされておりません。一つの組織から八十九名の逮捕者が出るという近年に例のない事件の規模を鑑みれば、大きく報じられてしかるべきだと思いますし、国民もその点に違和感を覚えているのではないかと思うのですが、これは警察庁の方で報道規制などを行っているのでしょうか。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの事件につきまして、警察庁が関係府県警察に対しまして広報を控えるよう求めたことはございません。

杉田分科員 警察庁からの報道規制はないという御答弁でございました。

 報道の自由は尊重いたしますが、報道規制がなされていないのであれば、せめて概要ぐらいは報じた方が国民のためにも関係者のためにもなるのではないかと考えます。

 武容疑者は、実は二〇〇五年にも強要未遂、威力業務妨害などで大阪府警に逮捕されており、一部関西ローカル局のニュースや週刊誌には、当時の捜査関係者の話として、組合への家宅捜索の際に大量の現金が発見され、百億円くらいは集めていたのではないかとうわさされたと報じられましたが、その後の報道がないゆえに、真偽はわからないままです。

 わからないからこそ、悪い方向に想像力が働いてしまうこともあるかと思います。新聞やニュースで報じられていないと、インターネットを中心に、関心の高い人たちはいろいろなことを勘ぐってしまいます。

 先ほど紹介したような資金の使途もそうですし、一部の政治家などに献金をしていたのではないか、大阪のお父ちゃんと呼ぶほど親しい仲なのではないか、韓国の中央日報のインタビューに応じて、このような状況では東京オリンピックは絶対にできない、日本政府が対応を変えるよう韓国など国際社会が強く要望してほしいと答えたダイヤモンド・プリンセスの乗客は連帯ユニオンの関係者ではないかなど、インターネット上にはさまざまな臆測が飛び交っております。

 通常の事件と同様に、その規模や重要性などに準じて報じられていれば、報じられない裏事情があるのではないかなどと思われることもありませんし、事実関係をできる限り公表することによって、無関係の方々が風評被害に巻き込まれることもなくなるのではないかと思います。

 昨今、反社会的勢力という言葉を耳にする機会がふえました。この用語が初めて公的に用いられたのは、平成十九年六月十九日、政府の犯罪対策閣僚会議の申合せとして策定された、企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針であると認識をしております。

 この指針では、反社会的勢力を、暴力、威力、詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人と注釈されておりますが、報道がされず、事件の全容がわからないままでは、連帯ユニオン関西地区生コン支部は、本日御答弁いただいたような容疑によって、経済的利益を追求する団体なのではないか、まさに反社会勢力なのではないかと感じてしまう方も少なくないのではないでしょうか。

 これでは、連帯ユニオン結成の趣旨にうたわれている、働く仲間が信頼できる組織として、他人の痛みをおのれの痛みとし、一人の仲間の悩みや苦しみを全国の仲間で分かち合い、解決する力を持った頼もしい組織であろうと仲間のために、労働者のために真面目に頑張っておられる組合員の方々の努力が水の泡になってしまいます。

 ところで、連帯ユニオンのホームページには、武容疑者も出席をしている連帯ユニオン近畿地方本部・四支部合同二〇一七年新春旗開きに、当時民進党や社民党の先生方が来賓として御挨拶をされている写真が掲載されています。

 また、昨年来、参議院議員会館内で、関西生コンを支援する会主催の関西生コン事件院内報告集会が開かれており、複数名の国会議員が出席しております。また、言うまでもなく、議員会館内の会議室の予約は国会議員の事務所が行います。

 国会では、過去に反社会的勢力と思われる人物と一緒に写真に写った、会合に同席した、招待したなどを強く追及する声があります。政治家は皆同様かと思いますが、私も、会合や講演などに行くと、一緒に写真を撮ってくださいと言われることが少なくありません。しかし、そのような会合や講演に来られている方々がどのような方々なのか知りようもありません。私を含め、襟を正して気をつけてまいりたいと思いますが、新型コロナウイルスへの喫緊の対応が求められている中での追及につきましては疑義を呈したいと思います。

 私ごときの発言に自分を抑えられず憤慨する野党さんでは、危機対応は大丈夫なのかなと心配になってしまいますので、先輩方の胸をかりるつもりで申し上げます。

 先日の予算委員会ではタイは頭から腐るというお言葉が紹介されましたが、ロシアのことわざをもじって御紹介される、さすがに世界を船で回られた方の御見識は違うなと。一般的には魚は内臓のあるおなかから腐るものだと知らされておりますが、御自身の御経験に何か思い当たる節がおありなのかなと思いながら拝聴しておりました。

 一度は間違いを犯しても、罪を償って再チャレンジができる、それこそが日本の民主主義、国会です。

 私は、ロシアのことわざは存じ上げませんが、日本には同じ魚に関することわざに轍鮒の急というものがございます。開かれた民主的な国会の場において、与野党問わずワンチームで轍鮒の急に対応していきたい、国民のためにも優先順位を間違えないようにしていきたいと心から望んでおります。

 それでは、最後になりました。もう一問、お尋ねをさせていただきたいと思います。

 性被害に遭われた方への対応について質問をいたします。

 これまでも自民党の部会等で再三申し上げてきましたが、性犯罪の被害に遭われた方々が、敷居が高いとか怖いなどの理由で警察には行かず、民間の相談窓口のようなところで話を聞いてもらい、そこで終わりというケースが多いと聞き及んでおります。もちろん、民間の相談員の方々がプロフェッショナルで話しやすいということは、これはすばらしいことです。しかし、最終的には、警察に被害を届けて、加害者を逮捕することが一番大事だと思っております。

 性犯罪は、被害者側が気をつけるとか気が晴れましたなどという問題ではなくて、加害者が逮捕されることで再犯を防ぐことにつなげていかなければならないと思っております。被害に遭われた方々が警察に被害届を出しやすいような取組はなされているのでしょうか。

太刀川政府参考人 性犯罪は被害者の心身に極めて大きな被害を与えるものであり、警察においては、これに対し厳正に対処することとしておりますが、被害が潜在化しやすいとも指摘をされており、被害に遭われた方が届出をしやすい環境を整備した上で、そうした被害者の心情に十分配意して対応することが何にも増して重要であると認識をしております。

 このため、警察におきましては、被害者の希望する性別の警察官によって対応できるよう、警察本部や警察署の性犯罪捜査を担当する係への女性警察官の配置、性犯罪被害相談のための全国共通ダイヤル、シャープ八一〇三(ハートさん)の二十四時間運用と国民への周知、性犯罪の被害者の心理等について職員の理解を深めるための教育などの取組を推進しているところでございます。

 警察としては、引き続き、こうした取組を推進し、ワンストップ支援センター等と緊密に連携をしつつ、性犯罪被害者が届出をしやすい環境の整備に努めてまいります。

杉田分科員 ありがとうございます。

 大切なことは、こういった被害が二度と出ないように食いとめる、これに尽きると思います。

 平成三十一年三月にも、継続通達として、迅速、確実な被害の届出の受理についてという通達が出されております。

 これは、被害の届出の受理については、犯罪捜査規範第六十一条において、被害の届出をする者があったときは、その届出に係る事件が管轄区域の事件であるかどうかを問わず、これを受理しなければならないと規定されている。

 しかし、業務の多忙を理由に被害届の受理を先送りしたり、複数の都道府県警察に関係する事案に係る被害申告への対応が不十分なため重大な結果を招いた事案が発生するなど、被害の届出の受理をめぐり不適切な対応が見られるところであるというもので、「被害の届出に対しては、被害者・国民の立場に立って対応し、その内容が明白な虚偽又は著しく合理性を欠くものである場合を除き、即時受理すること。」という受理の原則もうたわれています。

 しかし、警察に被害を訴えても被害届を受理してもらえないという被害者の声もまだまだ多く聞かれます。しっかりとこの点を各地域の警察に周知していただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

葉梨主査 これにて杉田水脈君の質疑は終了いたしました。

 次に、井出庸生君。

井出分科員 自由民主党、信州長野の井出庸生です。

 杉田さんが、最後、いい流れをつくってくださいまして、私も変わらず性犯罪の件をやってまいりたいと思います。また、委員長席に葉梨さんがいてくださるのも、この審議をずっと見守ってきてくださった何かの御縁かなと思ってやってまいりたいと思います。

 性犯罪事件は、言うまでもなく、事件数を減らしていきたい、それから、今、警察庁から答弁が杉田先生に対してありましたが、潜在化しやすいものである。私は、その潜在化、暗数をふやさない、そのことが、性犯罪の事件を減らすことと同様に、同じぐらい大変重要ではないかと思っております。

 そこで、まず、基本的なところから入ってまいりたいんですが、犯罪の発生件数と警察白書に使われる刑法犯認知件数の違いですね。私の理解であると、犯罪の発生件数というのはなかなか捉え切れない、数え切れないだけのものがある。その中で、警察、捜査機関が認知、確認をできたものが刑法犯認知件数であって、要は、犯罪発生件数のごく一部と言ったらちょっと言い方が悪いかもしれないですが、犯罪件数の方が刑法犯認知件数より多いんだ、そのことはまず最初に確認したいと思いますが、端的にお願いします。

太刀川政府参考人 警察庁が集計する刑法犯の認知件数につきましては、犯罪について、被害の届出若しくは告訴、告発を受理し、事件の移送を受け、又はその他の端緒によりその発生を確認したものの数を計上しております。一方、犯罪が発生していても、警察においてそれを確認していない場合には、犯罪の発生件数は認知件数を上回るものと認識しておりますので、議員御指摘のとおりでございます。

井出分科員 今、答弁で御紹介いただいたのは、昭和四十六年の警察庁の犯罪統計細則、ここを読んでいただいたと思うんですが、その中で、認知という言葉について、「犯罪について、被害の届出」、被害届ですね、「若しくは告訴・告発を受理し、」「事件の移送を受け、又はその他の端緒によりその発生を確認することをいう。」と。認知というものは、「被害の届出若しくは告訴・告発を受理し、」ここを少しポイントとして挙げておきたいと思います。

 次に、これもまた初歩的なところですが、刑法犯認知件数と、その先、犯人が捕まるとか有罪になる。一般的に、事件が発生する、事件が解決するというと、やはり犯人が捕まって、そして有罪になって、それで初めて事件解決だろう。ただ、実際は、刑法犯で認知しても、犯人が捕まらなかったり、捕まったとしても不起訴になったり、被害者が処罰はもう望みませんとなったり、それから、起訴になって有罪になるものもあれば、件数は少ないですけれども、起訴になって裁判になっても無罪になるものもございます。

 ここで確認しておきたいのは、刑法犯認知件数が即、一般的な事件解決、犯人が捕まって裁判で有罪になる、その数とは一致せず、刑法犯認知の中のごく一部が、そうやって犯人が捕まって有罪まで至るいわゆる事件解決である、そのことを確認したいと思いますが、端的にお願いします。

太刀川政府参考人 まず、検察官が起訴、不起訴の判断をされるということと、それから、裁判所における有罪、無罪、この判定については、お答えをする立場にはないのですけれども、議員の御質問というのが、認知件数と、それから警察における検挙件数ということであろうかと存じますので、その両者は異なるものでございます。御指摘のとおりでございます。

井出分科員 役所の違いはあれ、裁判のことも一般的に言っていただいてもよかったかなと思いますが。

 先ほど御紹介した昭和四十六年の犯罪統計細則、先ほど二条の四項というところで認知というものを紹介したんですが、その細則の二条の六に解決という項目がございまして、認知した事件、刑法犯認知件数の事件ですね、当該認知に係る犯罪が成立をしない、訴訟条件を欠く又は処罰条件を欠くことが明らかになること、これを解決というとこの統計細則は定義をしているんです。

 これは、認知をして調べてみたけれども犯罪には当たらない、処罰の条件が足りないとかそういうことがあろうかと思って、被害者にとって、まあ、それはしようがない、それでよかったよかったというものも、もしかしたらあるかもしれませんが、この字面だけ見ていると、被害者からすると何か迷宮入りといいますか、被害届を受理してもらって認知をしてもらったんだけれども、なかなか事件には至らなかったと。

 統計細則の中にこの解決というものを盛り込んでいるということは、私が先ほどお尋ねをした、要は、認知件数の中に認知したものと事件にならないものがあるよ、それを、統計細則上、あらかじめというか、それは当たり前のことだから明記しているのかなと思います。

 そうしますと、私の問題意識としては、刑法犯認知件数、被害届を受理する、事件の移送その他の端緒でつかむ、その刑法犯認知件数というものは、必ずしも、犯人をとっ捕まえて事件を解決するという要件ではない。むしろ、認知件数というものは、事件の可能性がある、事件の疑いがある、そういうものを警察として確認をして捜査をしていく。

 ですから、刑法犯認知というものは、一〇〇%事件性を満たしていなくても、事件の疑いがあれば広く受理することが可能である、そういうものではないかと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。

太刀川政府参考人 犯罪の認知というのは、同じくこの統計細則に、議員からも御紹介がございましたけれども、犯罪について、被害の届出若しくは告訴、告発を受理し、それから、犯捜規範における事件の移送を受け、又はその他の端緒によりその発生を確認するということでございますので、犯罪の疑いということと同じかどうかということについてはわかりませんけれども、あくまでも、その発生を確認することをいうということでございます。

井出分科員 犯罪の発生を確認すると。

 ですが、捜査の結果、犯罪が成立をしない、処罰条件を欠くといったことで迷宮入り、細則上、解決というものになることもあるかと思うんです。

 もう少し、じゃ、私の問題意識でわかりやすく聞くので、お答えいただきたいんです。

 犯罪認知、犯罪の発生を確認するというのは、一〇〇%事件性がなければ認知、確認がされないのか、それとも、フィフティー・フィフティーだったら確認してくれるのか。もっと言えば、いや、たとえ一%でも犯罪の可能性があるというのであれば、犯罪発生として確認をしてもらえるのか。そのあたりの感覚をちょっと答弁いただきたいと思います。

太刀川政府参考人 議員から今事件性ということのお尋ねがございましたけれども、それが、例えば有罪が確実である、確定しているというような、そういう意味であるとすれば、当然、そこに至るものに限るものではないというふうに考えております。

 ただ、認知というのは、あくまでも、先ほど来申し上げておりますとおり、被害の届出、告訴、告発、移送、その他の端緒によりその発生を確認することということにしております。

井出分科員 事件性に限るものではない、そういう答弁をいただけたのでよかったのかなと思います。

 では、少し性犯罪の件について議論していきたいと思います。

 強制性交等罪ですとか、準強制性交等罪、それから、三年前に新設された監護者性交等罪等ありますが、刑法犯認知というものは、先ほど細則で申し上げたように、被害の届出若しくは告訴、告発を受理し、また、事件の移送、それから、その他端緒によりその発生を確認するとあります。

 その事件の被害の届出ですね。性犯罪というものは、被害者であったり、被害者の御家族、友人であったり、被害者が学校に通っていて学校の先生が気づいた、職場の方に相談したということがあろうかと思いますけれども、いろいろな裁判例を読んでおりますと、直接的な証拠が少なくて、被害者と被告人の証言がどっちが信じられるかみたいな、そういう事件が多いのかなと理解しているんです。

 そういう事件であるからこそ、性犯罪というものは、その端緒、発生を確認する上に当たって、被害者側の方、被害者に限りませんけれども、による警察への申告、相談、被害届を出すということが端緒を得る上で極めて重要な事件ではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。

太刀川政府参考人 性犯罪は目撃者となり得る第三者が周囲にいない状況で行われるということも多く、被害者自身の申出というのは、警察がそれを認知し、捜査をする上で大変重要であるというふうに考えております。

 ただ、その一方で、性犯罪の被害者は、強い恐怖心に襲われていたり、戦慄によって平常心ではいられなかったりといった精神状態にあるということもございますので、こうした被害者の心情を十分に理解した上で丁寧に話を聞いていくということが捜査上重要であるというふうに考えております。

井出分科員 重要であるというお話はいただきましたが、性犯罪の発生を、まあ、端緒、発生を確認するに当たって、被害者側からの申告、相談、被害届というものの全体に占める割合というものは、何か感覚的にわかるものはございますでしょうか。

太刀川政府参考人 警察庁の統計において、わかる範囲でお答えいたしますが、認知の端緒には、告訴、被害者、被害関係者の届出といったものがございまして、お尋ねの罪種に関しまして、全体の認知件数に占めるこれらが認知の端緒となっているものの割合について、令和元年の数値を申し上げますと、強制性交等罪約八九%、準強制性交等罪約七九%、監護者性交等罪約五九%となっております。

井出分科員 強制性交等罪については、かなり私が想像していたような数字かなと思います。ただ、この評価はなかなか難しいだろう。ほかの事件とは、事件の質というか、目撃者ですとか証拠なども異なると思いますので、数字をいただくにとどめておきたいと思います。

 そこで、強制性交等罪の端緒の八九%となっている被害届、それから告訴、特に被害届のことについて伺っていきたいと思います。

 被害届は、昭和三十二年の犯罪捜査規範、先ほど杉田先生からも御紹介あったかと思いますが、六十一条で、届出があったときはそれを受理しなければいけない、それから、平成二十四年警察庁の通達で、被害の届出に対しては、被害者、国民の立場に立って対応し、その内容が明白な虚偽又は著しく合理性を欠くものである場合を除き、即時受理をする。

 この即時受理の即時というのは、例えば、もう何か一時間以内に受理をしなければいけないのか、いや、そんなことを言ったっていろいろ聞かなければいけないから一週間でいいのか、はたまた、いや、もう少し落ちついて出てきたいと、被害者の方は一旦帰ってまたいらっしゃるかもしれないから一年でもいいのか。そこはなかなかお答えは難しいところではあろうかと思いますけれども、即時受理としているその意図するところをちょっと具体的に教えてください。

太刀川政府参考人 お尋ねの通達にもございます被害の届出の即時受理とは、例えば警ら中や現場臨場時に被害の届出があった場合に、その場で必ず受理することまで求めるものではないとされておりまして、性犯罪捜査において、例えば被害者の治療が優先される場合などにまでその場で必ず受理することを求めるものではないものと認識をしております。

 ただ、そのようなケースを除きますと、警察としては、被害の届出があり、その内容が明白な虚偽又は著しく合理性を欠くものである場合を除いては、間を置かずにすぐ被害届を受理しているものでございます。

井出分科員 もう一つお尋ねしたいんですが、犯罪捜査規範で、被害の届出があったら受理をしなければいけない、通達の中で、即時受理をする、明確な虚偽とかそういうものは除くんですけれども。この二つの文書を見ていると、これは私の感覚ですよ、違うかどうかお答えいただきたいんですけれども、千件ぐらい被害届が出てきたら、九百九十九件ぐらいは穏便に受理をいただけるのかなと。

 それは逆から見れば、私の感覚だと、その明白な虚偽とか明らかに合理性を欠くみたいなのは、もう百分の一とか千分の一とかそういう感覚なんですけれども、それは合っていますか。全然違うんだったら全然違うと言っていただいて結構ですけれども。

太刀川政府参考人 大変恐縮でございますが、何分の一というような数字についてはこの限りではございませんが、先ほど申し上げましたとおり、警察としては、被害の届出があり、その内容が明白な虚偽又は著しく合理性を欠くものである場合を除いては、すぐに受理をするという運用にしております。

井出分科員 では、少し配付資料に沿って具体的に話を進めていきたいんですが、お配りした配付資料の一ページは、一八年の十月に性暴力救援センター全国連絡会、これは都道府県の性暴力被害者のワンストップ支援センターの全国連絡会が、上川陽子当時法務大臣宛てに要望書を出した。

 下から二行目を少し見ていただけると、刑法改正の必要性を検証するために、全国のワンストップセンター登録団体から、刑事裁判を断念せざるを得なかった性暴力の事例を収集した。二ページ目にかかりますが、その中で公表を御了解いただいた被害者から八事例について紹介して、当時の法務大臣宛てへの要望としたいと。

 三ページ目に事例の八というものを持ってきたんですが、二〇一六年犯行時期の罪名は強姦だと。被害者はデリヘルの仕事についていて、入ってすぐに、本番なしのはずが、首を絞められ、手で顔を押さえられて行為をされた。もう少し下っていくと、警察へ相談の上、ワンストップセンターへ来所して、警察官が同行して来所、診察と体液を採取した。

 更に下に行っていただいて、被害者は被害届の提出を希望されて、警察へ予約の上で同行支援を行った。この同行支援というのは、ワンストップセンターの支援員が被害者と一緒に警察に行く。そのとき既に警察は防犯カメラの映像を入手して、デリヘルの代表者からも情報収集をしていた。少し下に行って、とても立件できるとは思えない、被害届を出すとすれば、その後何度も現場の確認、被害状況の再現があって、頑張っても報われないと思うという意見を言われて、被害届を受理されないまま時間だけが経過して十七時を過ぎ、再度本人の意思を確認するも、被害届は提出したいという意向は変わらず、その段階で、翌日改めて警察へ来ることになったんですけれども、以後、被害者と連絡がとれなくなった、そういう事例でございます。

 最初に確認をしておきたいんですが、これは法務省の保坂さんであればもう言わずもがなだと思いますが、被害者の職業は、強姦罪、今の強制性交等罪の何か構成要件になるということは絶対ないですよね。

保坂政府参考人 お尋ねの強制性交等罪におきまして、職業が犯罪構成要件になっているというものはございません。

井出分科員 そのことは、資料の五枚目で、そういうことはあってはならないという提言がワンストップセンターから出されている。

 六枚目、七枚目の資料は、ワンストップセンターのSARC東京さんが昨年の十一月に院内集会を行った際に出された資料で、一枚めくっていただいて、七ページ。

 二〇一八年度の一年間の相談実績として、今、実例を御紹介した、支援員が被害者と一緒に警察に行った同行支援を二十八人にやっている。その中で、被害届が不受理となった者が九人いる。それは、支援センターとして不受理だと判断をされたので、その後の経過というものもあろうかと思いますし、それを少し警察庁の方にお調べをいただいたこともあるんですが、実際、捜査が続いていたり、被害者と合意の上に被害届を受けないというような結論になったというような話を聞いているんです。

 先ほどの事例八、被害届をその日のうちに警察の方で受けていていただければ、もしかしたら被害者が警察やワンストップセンターと連絡を絶つということはなかったのかもしれないし、それから、SARC東京が二〇一八年度の一年間で同行支援した二十八人のうち九人が不受理、そう解せざるを得ないというのがSARCさんの率直な思いだと思うんです。

 性暴力支援ワンストップセンターに来て、事例八については、警察も、防犯カメラを見ていただいている、それから証拠の採取も優先的にやっていただいている、デリヘルの関係者から話も聞いていただいている。ここまでやっていただけるのであれば、犯罪の発生を確認する被害届というものを受理するというところまで行っていただいてもいいんじゃないかなと。

 先ほどの答弁の中で、事件性ですね、事件性の有無に限るものではない、刑法犯認知というものは。刑法犯認知というものは被害届を受理するわけですからね。事件性の有無に限るものではないと言うのであれば、若干、今御紹介したような事例というものは、被害届の即受理原則と照らしてどうなのかなというところが率直な思いなんですが、それについてちょっと答弁をお願いします。

太刀川政府参考人 まず、先ほどの御説明、やや足りないところがあったかもしれないので、補足して御説明申し上げたいと思いますが、事件性の意味内容について、私、必ずしも理解をしておりませんでしたので、それが仮に裁判所で有罪判決を得るようなものという意味でおっしゃっているのだとすれば、そこまでを求めるものではないというふうに申し上げたつもりでございます。認知というのは、あくまでも犯罪の発生を確認ということでございますので、それ以上でも以下のものでもないというふうに考えております。

 それから、お尋ねの、資料にも掲載をいただきました事例と、それから不受理が九件というような内容でございますが、警察庁においては、必ずしも事例あるいは不受理の件数として支援センターの方から寄せられた内容について確認ができておりませんので、個々の事例ですとか支援センターがおっしゃっていることについてコメントをするのは差し控えさせていただきたいというふうに存じます。

 ただ、犯罪の構成要件、これは特に、七ページの方の資料に幾つか不受理の理由というふうに記載がされておりますけれども、こういった犯罪の構成要件に該当するか否かといったことについては、これは捜査を尽くさなければ判明しないということでございますので、警察では、申告の段階でこれに当たらないことが明らかである場合などを除いては被害届を受理することにしております。

 また、被害者に被害届を出す意向があるのであれば、先ほど来申し上げていますとおり、即時受理するよう指導をしているところでございます。

 なお、現場において法律関係やあるいは今後の手続を説明する際には、被害届を被害者の方が断念するように説得しているといったような誤解を生むことがないようにすることも含めて、引き続き適切な対応を指導してまいりたいと思います。

井出分科員 もう一回、三十秒ぐらいで答弁をいただきたいんですが、御紹介した事例を全て検証してくれという話は、もう全くするつもりはないんです。ただ、こうした指摘が被害者支援をやっている団体から出てきている、そのことと皆さんの掲げてきた被害届の即受理原則と照らして、そのことをどう受けとめているのかというところだけ、もう一回、端的にお願いいたします。

太刀川政府参考人 繰り返しこの事例を離れて申し上げさせていただきますけれども、議員御指摘のとおり、警察庁においては、各都道府県に設置された性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター等の支援員の方々から、被害届の受理に関するものも含めて、警察の対応に関し被害者から寄せられた意見があればそれを伺い、必要に応じて都道府県警察の指導を行うなどしているところでございます。

井出分科員 御紹介した事例は、資料の今度は八ページ目を見ていただきたいんですが、これは私がつくった図なんですけれども、例えば事例の八であれば、被害者が警察に相談に来る、そこで、防犯カメラ、証拠の採取、デリヘルの店長さんに話を聞く、簡単な捜査をやる。どうもなかなか難しそうだよと。下の、赤い字で「事件にならなそう」と書いてありますけれども、そのことを含め、今後の手続を含めて被害者に説明をしたら、被害者と連絡がとれなくなった。

 被害届が結果として受理されないということは刑法犯として認知をされないということだと思いますので、犯罪発生の確認にすら至らず終わってしまう。

 事件になりそうなものであれば、上に書いたように、捜査を続行して、その裁判結果とか捜査の結果というものはさまざまあろうかと思います。

 本来であれば、資料の最後の九ページ目のように、被害届の即受理原則というものは、間のどの段階に捜査を挟んでも私はいいかなと思うんです。ただ、捜査をした以上は、犯罪の疑い、可能性があると思って防犯カメラを見てみたりされると思うので、認知件数、被害届はやはり受理をしていただきたいなと。

 これはなかなか難しい事件ですよ、いろいろな手続がありますよ、そういう話を真摯に現実を伝えて、被害者の方はわかりましたということはあろうかと思いますけれども、それはそれとして、実務でやっていただくことは変えていただかなくても結構なんですけれども、結果的に事件の認知件数を減らしてしまうということは、性犯罪で一番問題である、潜在化しやすい、暗数をふやすということにもなりかねないので、やはり被害届を受け取るということを最優先に考えていただきたいと思います。

 それが現状難しいというのであれば、法改正を考えざるを得ない、警察が窓口を広げられるような刑法の改正をせざるを得ないと思いますが、その点について、最後、コメントをいただきたいと思います。

葉梨主査 時間が過ぎていますので、太刀川官房審議官、一言で簡潔に。

太刀川政府参考人 事件になりそうかどうかということは捜査をしてみないとわからないことでございますので、申告の段階で当たらないということが明らかである場合などを除いて被害届を即時受理することとしておりますし、今後もそのように指導していきたいと考えております。

井出分科員 今後もというか、少し見直していただいて、一層その姿勢を守っていただきたいとお願いをして、終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

葉梨主査 これにて井出庸生君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

葉梨主査 次に、内閣府本府について質疑の申出がありますので、これを許します。大河原雅子君。

大河原分科員 立国社の大河原雅子でございます。

 本日は、二月の四日に安倍総理に伺いました選択的夫婦別姓問題について、少々時間が足りずにいろいろなことが整理されておりませんので、いま一度、今度は男女共同参画担当大臣でいらっしゃる橋本大臣に伺っていきたいと思っております。

 日本だけが、結婚をすると、法律婚をすると、男女どちらかの姓に強制的に統一をしなければならない。それによって不都合が起きるということでは、古くからの悩み事でもございましたし、実際に、昨年の選挙でも、選択的夫婦別姓を実現すべきということで自民党以外の党は公約に掲げておりました、そのことも引き続いて問うていたわけですけれども。

 選択的夫婦別姓導入については、第四次男女共同参画基本計画の中に明記されておりまして、これは、第九分野の一、「男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し」というところで、実際には、大変、これまでも基本計画の中に入れられて、一次から二次、三次とこの検討が入っていたわけです。そして、四次に至っては、選択的夫婦別姓制度の導入、女性の再婚禁止期間の見直し等、民法の改正に関して、司法の判断も踏まえた検討を進めるべきであるというふうに記載されておりましたので、多くの方々が期待をし、そして、これから先、第五次計画に向けても、当然ながら、これが実現をするという方向に私はあるべきだというふうに思っております。

 きょうは、改めて、男女共同参画担当大臣である橋本大臣に、この選択的夫婦別姓制度の必要性についてどのようにお考えになっているのか、まず伺っていきたいと思います。

    〔主査退席、小野寺主査代理着席〕

橋本国務大臣 お答え申し上げます。

 委員には、昨年もこの件に関して質問をしていただきました。私自身も、男女共同参画担当大臣という立場で、しっかりとこの問題に向き合っていかなければいけないということを、改めて、昨年、議員からの御指摘のもとで、考えている日々であります。

 夫婦別氏制度の導入の問題というのは、我が国の家族のあり方に深くかかわるものであり、国民の間にもさまざまな意見があることから、平成二十七年の十二月の最高裁における指摘や国民的な議論の動向等を踏まえながら、法務省において検討が続けられている状況と承知をしております。

 一方で、社会における活動や個人の生き方が多様化する中で、女性が不便さを感じないように、女性活躍の視点に立った制度等を整備することは重要であるというふうに思っております。こうした問題意識のもとで、政府においては、旧姓使用の拡大に取り組んでまいりました。

 具体的には、委員にはもう何度もお話をさせていただいていると思いますので、住民票、マイナンバーですとか運転免許証等への旧姓併記が可能になったこと、パスポートあるいは各種国家試験、免許等の旧姓使用の拡大、旧姓による銀行口座等の開設等に向けた金融機関への働きかけ等々がありまして、この取組を関係省庁と連携をしながら進めているところであります。

 五次計画に向けて、昨年十一月の十二日の男女共同参画会議において安倍総理から諮問が行われ、それを踏まえて第五次基本計画策定専門調査会において次期計画に向けた議論をいただいております。

 まだ一定の方向性をお示しする段階には至っておりませんけれども、国民の皆さんの声というものが第五次の男女共同参画基本計画にやはり盛り込まれていくことは重要であるということは承知をしておりますし、一方で、この問題については法務省でしっかりと検討が続けられている状況というものでありますので、それを注視しながら、男女共同参画において、女性が不便さを感じない中で生活を、あるいは仕事をしっかりと送っていけるような状況にするということ、これを男女共同参画として進めていける努力はしていきたいというふうに思っております。

    〔小野寺主査代理退席、主査着席〕

大河原分科員 大臣、ちょっとがっかりなんですよ、今の御答弁。これまでと全く同じ。

 それで、これは聞かざるを得ないんですけれども、以前、橋本大臣は、選択的夫婦別姓、この制度については否定的であられた。反対していらした。選挙の折に、参議院選挙の折にいろいろなアンケートが来ます。以前は反対をされていた、今はどちらとも言えないと。昨年の、一九年の選挙では、どちらとも言えないというふうに思っていらっしゃると回答があったと聞いております。

 そして、今、私が伺っているのは、この問題について、制度導入は確かに法務省も大きくかかわるわけです。だけれども、男女共同参画担当のまさに旗振り役である大臣が、今、日本のこれまでの家族のあり方とかそういうことで御答弁をなさることというのは、はるかに多くの方々の失望を買うかなと思いますが、以前は反対だったんですか。

橋本国務大臣 党においての立場でもありましたので、さまざまなそういった国民の皆さんの御意見、あるいは支援をしていただいている方々の御意見を聞く中で、それぞれの生き方というものを踏まえて、私自身としての意見は持っておりました。

 今回も、担当大臣という立場でありますので、女性がやはり働きながら、あるいは子供を産み育てながら活躍をしていただかなければいけないわけでありますので、そういった中で不都合を感じない状況にしていくということは、これはもう絶対に必要であるというふうに思っておりますし、その中で、時代とともに変えていくべきもの、変えてはいけないものというものがあるというふうに思いますけれども、時代の流れとともに、求められている状況の中でしっかりと議論を進めていくことにしていくべきだろうということは、私自身は思っております。

大河原分科員 安倍総理の答弁でも何度も出てきたのが、日本の、我が国の家族のあり方ということだったんですけれども、家族のあり方ってそんなに違うものとお考えなんでしょうか。世界の国々で、強制的な夫婦同姓、同氏制度というのは日本だけなんですね。

 橋本大臣は、本当にすばらしいオリンピアンとして世界各国で連戦されたと思います。そういう意味の、世界を知っている方としても、家族のあり方って違うものでしょうか。

橋本国務大臣 選択的夫婦別氏制度を導入した、しないにかかわらず、私としては、家族のあり方というのは変わらないというふうに思います。

大河原分科員 安倍総理は、もう何度もこれは繰り返されているんですけれども、実は、選択的夫婦別姓を導入すると、つまり家族が同氏ではないと、家族が解体すると。あらゆるところでそうおっしゃっているんです。十年ぐらい前のいろいろな雑誌を見ていただくとわかりますけれども、こういうお考えのもとに、何か特別な家族像がおありなんじゃないかというふうに伺いたいところだったんですが、先日は時間がありませんでした。

 なので、橋本大臣は、選択的夫婦別姓によって家族が解体するとか家族が壊れるとかお思いですか。

橋本国務大臣 私といたしましては、夫婦別氏、あるいはそうでないにしましても、家族のあり方が変わるということですとか、あるいは、そのことによって、夫婦別氏を導入しなければ変わらないかということになると、それは違うのではないかというふうに思います。同姓であったとしても。家族が崩壊するということにはつながらないというふうに私は思います。

大河原分科員 そのとおりの御答弁だと思うんですよ。

 世界で日本だけなんです、この強制的な同氏制度が。でも、ほかの国では家族は壊れていないんですよ。いろいろな形態、いろいろな形になっていますけれども、先ほど大臣がおっしゃったように、家族のありようというのは本当に個々多様でございますし、それは国々によって偏りがあるかもしれないけれども、でも、ほとんど、家族というものに対する思い、家族になりたいという思い、だから結婚をするということがあります。

 でも、日本の場合は、法律婚がかなり優遇されておりますし、現状、強制的に選ばされていますが、九六%、女性が姓を変えるというふうになっているわけです。

 この「男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し」というところでは、実は、見えないけれども結果的に偏りができる、それを中立的なものに変えていく、これが眼目ですね。

 基本的な考え方として、男女共同参画の視点から見た場合、明示的に性別による区別を設けていない場合でも、つまりは選べるけれども、でも、片っ方を当然なことのように選んでしまう、あるいは、そのことによって大きな不都合が起こっている人たちがいるにもかかわらず、その人たちを置き去りにしている、これが現状です。

 旧姓使用を拡大することによって、この不平等感のある不都合をなくしていくというふうにおっしゃったんですが、二月の四日に私が示させていただいたパスポート、このことについてもう少し質疑していきたいと思います。

 私は、パスポートにおける旧姓併用の不都合について質疑をしたんですが、お手元に配付資料がございますので、ごらんください。これは、昨年の四月二十四日に、男女共同参画重点方針を議論する会議に提出されました外務省の資料でございます。

 旧姓使用は、外務省はもう六十年前から実は特別な方たちに実施をしております。これは、国外において活動するために必要な方たち、学者とか通訳さんとか、それから、さまざまなことがありますが、自分自身でこの赤字のところ、旧姓が括弧書きされていますが、そのことをしっかりと説明できる必要があるんです。

 だから、二枚目の資料にありますように、あなたのパスポートには別名が併記されています、括弧書きによる別名の併記は日本独自のものです、別名はICチップには記録されておりませんということでございますけれども、先日の外務大臣の答弁では、この旧姓併用の拡大によって解決を図ると前向きな御答弁をされたんですけれども、この下の、機械が読み取る赤い部分、ここの機械読み取り領域、ここには上の赤字の部分は入っておりませんので、今のところ。この機械読み取り領域、ここに、実はオプショナルでつけられるということもあるんですが、もちろんお金もかかります。それから、日本以外の全ての国の理解がなければなりませんし、その時々によって、受けるその受取手によって、こんなものは認められないというトラブルのもとにもなるんです。

 現状の括弧書きが何を説明しているか、説明がないためにそれが起こっているというふうに言っておりますけれども、この重点方針の中で、外務省の方の説明は、非常に現実的に困った様子がありありとわかるわけなんですね。

 ここでは、外務省が示した懸念というのは、これまでの旧姓の別名併記、厳しい基準を設定してきたけれども、外国において旧姓で活動する、そういう方には認めてきた。でも、入国審査や、町中で警察官からとめられたり、それぞれほかの方々に尋ねられても、ある程度その国の言葉ができて、説明できない限り、それは大きなトラブルになります。うまく説明できずに大使館に駆け込むというようなことで、要件緩和をしただけでは基本的な問題解決にならない、そういうことがあるんですけれども、この会議の中でも、委員の方々から、複数、これはもう旧姓併記をしても限界があるんだというふうに意見が出ています。

 このことについて、大臣は御存じでしたか。

橋本国務大臣 旧姓が使えないことによる不便を軽減する観点から、旧姓使用の拡大に向けた取組を進めているところでありますけれども、その中の一つが、今先生御指摘いただいたパスポートの旧姓併記ということになるんだというふうに思いますけれども、やはり、この制度は、旧姓使用、旧姓を併記することができたとしても、今御指摘されたような、実際に問題が起きているということが現状にある。

 これは当然認識をしておりますので、このことについて、やはり外務省の取組をしっかりと注視しながら、不便さを感じないような状況にしていくということは必要であるというふうに思いますので、しっかりと働きかけをしていきたいというふうに思います。

大河原分科員 どうしても外務省とか別の省のことをおっしゃるんですけれども、大臣は旗振り役なんですね。

 それで、自民党、政府でお決めになったこの旧姓使用、併記をして、拡大をする、このことでは片づかない問題があるという御認識がおありなんですよね。それを確認させてください。

橋本国務大臣 はい、あります。

大河原分科員 どうしても戸籍名でなければならない部分があるわけです。

 そこを超えていくために、わざわざトラブルが起きるようなことを例えばパスポートでやってしまうとか。そうではなくて、世界の水準に並んで、選択的夫婦別氏、つまり、同じ姓を選びたい人、当然ながら、いいわけですよ。そして、別々にしたい、そういう人たちも可能です。そして、戸籍は一緒にしたけれども通称使用でいきたい、こういう三タイプの方たちに分かれるんだと思うんですね。その結果どういうふうになるかは、またこれから、今後出てくると思いますけれども、このことが求められているわけで、これを、ぜひ旗振り役として、私は、橋本大臣こそ、旧姓使用の拡大。

 大臣、旧姓使用をずっとしていらっしゃいますよね、スポーツ選手としても、それから大臣としても。そしてまた、こうした本来の姓を失うということについての逡巡や苦しみといったもの、負担といったものも多分御理解なさると思うんですけれども、今こそ、この片づかない問題で、旧姓併記を拡大する。そして、これは、実はプライバシーの問題にもなるわけですね。結婚によって名字が変わった、別に言わなくてもいいことなんですよね、知らされなくてもいいこと。

 こういったことがありながら、この選択的夫婦別姓の導入に、第四次計画まで掲げられてきて、そしてまさに、いろいろな意見があるといいながらも、実は、自民党支持の皆さんの三割以上もこの別姓には賛成、選択的だから、多様性を含めて、選択肢をふやすんだから、そういうことで賛成をしているという方たちが多くなってきているんです。

 もし、皆さん、国民の声を聞くというならば、そちらの方向に大きくかじを切る。そして、私は、橋本大臣こそその旗振り役に、大きくかじを切る旗振り役に、男女共同参画の面で、日本のジェンダーギャップももっと引き上げられるような、そうしたリーダーとして、決断して、決意をしていただきたいわけです。

 御決意はいかがでしょうか。

橋本国務大臣 私自身も、旧姓使用をずっと続けている一人であります。さまざまな状況の中で、子供の成長とともに不便さを感じることも、事実、やはりあります。その中で、今後どのようにそういった問題を解決していくかということで、第一歩として旧姓併記を、拡大していくために、御理解をいただくために、推進していく、これが今の一つであるというふうに思います。

 そしてもう一つは、やはり、夫婦別氏制度について、所管省庁である法務省あるいは外務省といったところがしっかりとやっていただかなければいけませんので、このことについて、現状をどのように、国民の皆さんが何を不便に感じ、何を改正していただきたいかという声を、やはり引き続き第五次計画の中でも盛り込みながら、それぞれの省庁に働きかけをする、あるいは、そういった動きを注視していくというのが今の男女共同参画の担当であるというふうに思いますので、国民の皆さんの声が多ければ多いほど、その部分に関してはしっかりとした対応を国がしていくべきだというふうには思いますので、男女共同参画、そして女性活躍という場がもっともっとしっかりと広がっていけるような取組を各省庁に働きかけをしたい、こういうふうに思います。

大河原分科員 男女共同参画と、もちろん女性活躍、これに一番効果があるんですよ。そして、予算はかからないんですよ。旧姓併記をしていくときには、システムを変えなきゃならない。そして、あらゆるところで不安が起こります。トラブルが起こります。こんなにいい政策はないんですよ。

 そして、やはりここで問われるんです、日本がなぜ何周もおくれてジェンダー平等に後手後手に回っているのか。慌ただしく旧姓使用を拡大しても、何の役にも立たない。申しわけないけれども、根本解決しないということは、外務省の惑いといいますか悩みの中からも出てまいりますし、国民の多くの方たちが容認している、これはしっかりと胸におさめていただきたいし、できるならばこの旗振り役は橋本大臣のうちにやるのが、私は、世界に向けても、日本も変わったなと思っていただけるんじゃないかと思います。

 次に、DV等被害者のための民間シェルター支援について伺います。

 昨年の十月、大臣が就任されたときに伺ったのが、女性への暴力を根絶するということでございました。私は、片山前大臣のときにも所信質疑で、そして、橋本大臣のときにも、DV被害者の支援、そのための民間シェルター、これをお尋ねいたしました。

 昨年、検討会ができて、中間のまとめが出て、そして、ことし、民間シェルターへの支援、予算がついたわけです。このことを評価いたしますし、DV被害者支援には更に力を入れていただきたいと思っています。

 そこで伺いたいんですが、男女間における暴力についての調査、政府は三年ごとにしているんですけれども、対象年齢が二十歳以上の男女なんです。そうすると、この調査では、今被害を受けている者の実態が把握できません。過去の出来事としてアンケートに答えることしかできないわけです。

 近年、若年者の被害は増大しておりますし、人権侵害の低年齢化が進んでいるということです。こうした実態を政府としてどのように把握をしておられるんでしょうか。

橋本国務大臣 今、女性の十三人に一人が無理やりに性交等をされたという被害経験があります。そして、約七人に一人の女性が配偶者からの暴力を複数回経験しているという調査結果もあります。

 その中で、端的に申し上げますと、昨年の十二月の十日から二十四日間にわたりまして、若年女性の性暴力被害者支援のためのSNSを活用した相談事業を試行実施しまして、中学生あるいは高校生も含む若年層の方から、十五日間で二百五十件を超える相談がありました。

 やはり若年層は、プライバシーの問題もありますので、当然、親にも友達にも言いたくても言えないという状況で悩んでいるというのが実態だというふうに思います。そういう中で、声を聞くためには、身近なツールであるSNSによって、どのような悩みを抱え、どう解決していきたいかということを個別に意見を聞けるように、こういった取組をしてきました。

 若年層を被害者から守るために、教育や啓発も進める必要があるというふうに思いますので、引き続き、しっかりと根絶に向けてやっていきたいというふうに思っております。

 済みません。十二月十日から二十四日までの十五日間でありました。失礼しました。

大河原分科員 そのキャンペーンは、取組は私も存じております。そして、駅頭でお話をするときにも、若い女性たち、学生、そういう人たちに向けて、何かあったらそこに連絡をするようにと。二百五十件あったということですから、その効果もおいおい、しっかり検証しなければならないと思います。

 それで、民間のシェルターというのは、長年、公的なところでできなかった、本当に、寄り添い型の支援をしてきたと思いますけれども、貴重な、重要な社会資源ではありますけれども、財政的に非常に厳しい状況にある、さまざまな課題を抱えております。そこで、地域間格差もあって、シェルターがないところの方が多い、まだらに偏在している、そういうこともあるわけです。

 支援団体の育成を所管する都道府県の認識が非常に重要だということです。自分のところでは余りそういうことはないんじゃないかと余りつくらないとか、意欲のない自治体もありますけれども、それをしっかりと、児童虐待とかDVとか暴力とか、ジェンダーの視点で対応できる、そういう団体は不可欠だというふうに思うわけですけれども、支援の薄い地域で公的支援に加えて民間シェルターを増設するに当たって、シェルターで運営をしてノウハウを蓄積している、そういう人材を活用すること、これは非常に有効ではないかというふうに思いますので、それを一点お聞かせいただきたい。

 それから、時間がもうなくなってきましたけれども、今回、二億五千万をつけて、三年間のパイロット事業、これが行われます。非常に期待をしておりますけれども、パイロット事業の検証というのは、三年間ですけれども、毎年毎年、丁寧に検証して、そして、より充実した支援をふやしていく、このことが効果が上がります。

 当事者を含めた検証、特に、前回の検討会のメンバーも含め、また、現場、職場で支援に当たっている、そうした当事者も含めた検証が必要だと思いますが、効果的だと思いますが、今の二点、済みません、お答えをいただければと思います。

葉梨主査 橋本大臣、申合せの時間が経過しましたので、簡潔にお答えください。

橋本国務大臣 委員おっしゃるように、民間シェルター、これは重要な社会資源であるというふうに思います。

 私も視察をさせていただきまして、しっかりとした、寄り添う形で、そしてまた、経験をした方でなければわからない状況にもあるというふうに思いますので、そのことをしっかり、新規にパイロット事業を実施して、やっていきたいというふうに思います。

 また、継続のお話ですけれども、単年度で終わることなく、やはりこれは継続をしていくべきものだというふうに思いますので、このこともしっかりと進めていきたいというふうに思います。

 あと、もう一点なんですけれども、民間シェルター、これは必要に応じてしっかりと設置をするということは当然必要だというふうには思うんですが、その前に、防げることをどのように防いでいくかという教育、これが同時に必要であるということを実感しておりますので、その取組も全力でやっていきたいと思います。

大河原分科員 パイロット事業が始まりますけれども、これまで長年、地域で被害者を支えてこられた方たちが、財政的にももたなくなってきているということが大きくて、シェルターを閉じるという件が相次いでおります。

 ですから、二億五千万、パイロット事業、そして十九億八千万、総合的なものがありますけれども、私は、ことし、やはりこの予算、少な過ぎると思うんです。橋本大臣だからこそ、片山大臣が道筋をつけてきた、二億五千万のパイロット事業じゃなく、そしてまた、総合的な予算ももっとふやしていただきたい。お願いを申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

葉梨主査 これにて大河原雅子君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

葉梨主査 次に、皇室費について審査を進めます。

 質疑の申出がありますので、これを許します。末松義規君。

末松分科員 立憲民主党の末松義規でございます。久々に第一委員会室で質問に立たせていただきます。

 私の方は、皇位継承の安定的な確保ということも含めた議論をさせていただきたいと思います。

 ことしの二月十六日の読売新聞に、「政府は、皇位継承のあり方をめぐる議論で女性・女系天皇を対象としない方針を固めた。」さらに、「女性・女系天皇を実現するための法整備は見送ることにした。公の場で議論を行うための有識者懇談会も設けない方向だ。」こういうことを読売新聞が報じていて、これを二月十九日の予算委員会で、山尾志桜里議員がこの記事は誤りではないかということで、菅官房長官がこれは誤りだということを言われたんですけれども、それに間違いはないですか。

菅国務大臣 今御指摘をいただきました報道について、そのようなことを決定されていることは全くありません。

 政府としては、国会決議、これは極めて大事だというふうに認識をしておりまして、天皇陛下の御即位に伴う行事などがつつがなく行われるよう全力を尽くし、その上で、衆参両院の委員会で可決された附帯決議の趣旨を尊重して対応してまいりたい、この気持ちには全く変わりありません。

末松分科員 読売新聞というのは非常に政府に近い新聞として有名なんですけれども、そうすると、現在の男系の継承優位規定を固定させるための布石ではないかというふうに見る方が多いんですが、それに対して、今お立場は述べられましたけれども、改めてちょっとそこの長官の御意見を賜りたいと思います。

菅国務大臣 私自身、この責任者でありますから、その責任者の私が全く承知していない記事であります。このことを明確に申し上げておきます。

末松分科員 提出予定の報告書についてお伺いしたいんですが、昔、女性・女系天皇の容認を盛り込んだ小泉内閣時の報告書とか、あるいは野田内閣時にまとめられた女性宮家創設の必要性の論点整理、こういった報告書の取扱いというのはどういう形になりますでしょうか。特に、有識者の会合というか、そこでの取扱いになるかと思いますけれども、お答えください。

菅国務大臣 小泉政権当時には、皇室典範に関する有識者会議報告書、これを取りまとめております。政府内では、こうした報告書を含め、これまでのさまざまな議論の経緯、それを十分に検証するとともに、最近の議論の動向などを踏まえて論点や課題の整理、その検討を行っているところです。

 いずれにしろ、衆参両院の委員会で可決をされた附帯決議の趣旨を尊重してしっかりと対応していきたい、このように思っています。

 また、野田政権当時におきましても、政府が平成二十四年十月に取りまとめた皇室典範に関する有識者ヒアリングを踏まえた論点整理、ここについても、女性皇族の婚姻後の身分について婚姻後も皇族の身分を保持することを可能とする案だとか、あるいは皇籍離脱後も皇室の御活動を支援していく、このことを可能にする案について考え方を整理したものである、こうしたことは私どももしっかり承知しています。

末松分科員 そうしますと、菅官房長官として、これから国会議論のための論点整理とか資料整理を今行っておられるという話でございますから、今後の話を。今、予備的なそういった資料整理等を、特定の有識者等に話を聞いている段階だということですね。

菅国務大臣 そうした方たちからお話を伺う中で、論点を整理、事務方でありますけれどもしているところでありまして、そうしたものについて、天皇陛下の御即位にかかわる皇室の行事が終了した時点から本格的な形で、政府としては、そうした論点整理をもとに検討を開始しようということであります。

末松分科員 そうすると、今、立皇嗣の礼が終わられてから、しかるべき時期に有識者会議を開かれるということになるかと思いますけれども、この有識者会議というのは具体的にいつごろを考えておられますでしょうか。

菅国務大臣 有識者会議をどのような形で開いていくのか、そうしたことも含めて、現時点においてはまだ何も決めていないところであります。

 ただ、政府としては、衆参両院の国会の附帯決議、そこは重く受けとめておりますので、そうした中で、しっかりとしたものを議論をして国会に報告できればというふうに思っています。

末松分科員 今言われた、しっかりしたものということ、これは、国民の御批判にもたえられるような、あらゆる角度からもきちんと議論されるとなると、性急に結論を出すというような状況ではなくて、じっくりと時間をかけた、そういったかなりの期間が必要なのかな、こう思いますけれども、今、具体的には何も決めていないという話ではありましたけれども、イメージとして、やはりかなりの期間がかかるのかなという話に当然なるわけですけれども、その辺はいかがでしょうか。

菅国務大臣 委員御承知のとおり、まさに、皇位の継承を維持することは、国家の基本にかかわる極めて重要な問題だというふうに思っています。そして、男系継承が古来例外なく維持されてきたことの重みを踏まえながら、まず慎重かつ丁寧に検討を行う必要がある、そう思っていますし、もう一つにつきまして、女性皇族の婚姻等については、皇族数の減少等については、皇族方の御年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題であると認識をしており、この課題への対応等について、さまざまな考え方、また意見があり、国民の皆さんのコンセンサスを得るには、やはり十分な分析、検討、そして慎重な手続、このことが必要だというふうに思っております。

 そうしたことも含めて、国権の最高機関であります国会の意思の附帯決議でありますから、そうしたことにたえられるものをしっかり考えてつくっていきたい、こういうふうに思います。

末松分科員 あらゆる要素を考えられて、慎重かつ丁寧に議論されるというお話は非常に望ましいことだなと思っていますが。

 そうすると、では、国会に報告書を提出するというと、ちょっと、何も決めておらないという話だから余り特定もできませんけれども、この一年以内にすぐにできるとか、そういう感じではないですね。

菅国務大臣 正直言って、まだ何も決めていませんけれども、余り長くすることも、やはり国会の附帯決議の意向とは違うのではないかなというふうにも思っておりますので、慎重に検討させていただきますけれども、そういう中で考えていきたいと思っています。

末松分科員 とりあえず、本当に国を、ある意味では国体の基本中の基本というところでもございますので、そこは本当に、慎重にも慎重の上、あらゆる議論にたえられる、そういった報告書を心から期待しております。

 あと、ちょっと手続についてお聞きしたいんですけれども、この生前御退位の特例法のときの附帯決議、先ほどから申し上げている、その附帯決議で、国会の総意をあらわした文書というのができることになっているわけですけれども、この総意をあらわした文書が政府に示された場合は、政府はどのようにこれを取り扱われることになるんでしょうか。

菅国務大臣 まず、皇室典範特例法、この立案に当たっては、衆参正副議長による議論の取りまとめ、こうしたものを厳粛に受けとめて、その内容を忠実に反映させて、政府において法案を立案したところであります。このプロセスというのは先例にもなり得るものであると、国会の中で答弁をさせていただいています。

 いずれにしろ、こうした最高機関たる国会の意思が示された場合、政府として厳粛に受けとめる、このことは当然のことだと思っています。

末松分科員 確認ですけれども、必要に応じて法案をつくってやっていくということも、当然視野に入れるべきだということですね。

菅国務大臣 現時点ではまだ政府は決めていないということを申し上げていますけれども、基本的には、この国会決議というのを重く受けとめて、しっかりとしたものをつくり上げていきたい、このように思っています。

末松分科員 ちょっとしつこいようですけれども、法案の立案というか、それは皇室典範の改正を含めた、議論によってはそういう形になるということですね。

菅国務大臣 現時点においてそこまで踏み込んで私がこの場で答弁することは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、国会の意思というのは極めて厳粛に受けとめて、しっかりと対応していきたいというふうに思います。

末松分科員 では、本当にそのように、確かにこの附帯決議の方で「速やかに」という言葉もございますけれども、かといって、この国の根本的な問題なんで、あと、国会の総意という話であれば、それは本当に、あらゆる方からのいろいろな御意見にたえられる、しっかりしたものをぜひそこはおつくりいただきたい、本当に十分に十分を重ねて審議をしていただきたい。そのことを申し上げて、この件に対しては、私の質問を終わらせていただきます。

 どうぞ、御退室して結構です。

葉梨主査 菅官房長官、どうぞ御退室ください。

末松分科員 会計検査院の方に聞きたいと思います。

 桜の会で、これは有名な話になりましたけれども、当初予算額と実際の予算執行額の違い、これがどうも野放しになっていたということ、これについては、幾つかの国会の委員会で、安倍総理も、望ましいことではなかったというふうに弁を述べられておられますけれども、会計検査院として、大体六年間ぐらいですかね、このあしき慣行というんですか、予算額が千数百万円で、実際の執行額が三千万から五千万円以上とか、そういう、予算額を超えた執行額が何年も続いていた。これはあしき慣行だと私は思っていますけれども、この慣行は知っていたんでしょうか。

三田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 桜を見る会に係る支出額が予算積算上の見積額を上回って内閣本府共通費から支出されていることについては、承知をしております。

末松分科員 今の答弁、ちょっとわからないんだけれども、もう一回言ってくれますか。

 私が問題にしているのは、予算額よりも予算執行額が大幅にふえていた、このことが問題視されていたのかされていないのか、会計検査院としてどう把握していたんですかというのが私の質問なんです。答えてください。

三田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 ただいま御質問のありました個別具体的な事案に係る検査状況につきましては、検査過程における情報に当たりますことから、御回答するのは困難でございますが、委員お尋ねの件につきましては、国会での御議論等を通じて留意しているところでございます。

末松分科員 留意しているということは、内部でこれを調べたんですか、調べていないんですか。そこをちょっとはっきりしてくれませんか。

 留意しているというのは、何かは知らないけれども、ああ、報道で知っているよ、これも留意ですよね。そうじゃなくて、会計検査院として主体的に、えっ、そんなことがあったのかと。それは、いろいろな新聞等でもうわさになった、テレビでもいろいろと報道されている、これについて問題意識を持って、そして、その問題意識の中で、そこは会計検査院として何らかの調査なりを行ったのかどうかということを私は聞いているんですよ。

 留意ということだけだったら、会計検査院は何を、留意の程度がどのレベルなんだ、それを答えてください。

三田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 会計検査院は、会計検査院法第二十条に基づき、内閣府を含む国の会計経理について常時検査を行っており、毎年内閣府に対する会計実地検査を実施しているところでございます。

 桜を見る会に係る経費につきましても、国会での御議論を踏まえ、引き続き適切に検査を実施してまいりたいと考えております。

末松分科員 今の答弁なんですけれども、引き続き調査してまいりたいと思うと言っているということは、要するに、調査をしたということなんですね。そこをちょっと明らかにしてくださいよ。

 引き続きというと、いかにも何かずっとやっていて、ということは、知っていてそれを調査したのか、それともそれをしていないのか。何か、みんなわあっと一般的にやっていますよ、この桜を見る会については答えませんよというだけにしか聞こえないんだけれども、そこはどうなんですか。

三田会計検査院当局者 先生、お答え申し上げますが、繰り返しになりますが、個別具体的な事案につきまして、検査の内容について申し上げることは困難であることを何とぞ御容赦いただきたいと思います。

末松分科員 内容については私は聞いていないじゃない。私は、調べたのか調べていないのか、それだけを私は聞いているんですよ。内容については聞いていない。答えてください。

 では、もうちょっと言わせていただければ、六年間で予算額をどれだけ上回ったかというと、一億六千三百六十二万円予算を上回っているんですよ、これは。ずっと毎年毎年こういったていたらくで、野放しな予算執行状況になっていて、また、財務省はそこで少ない予算額を見積もって予算にして、執行はそれを大きく超える。これが累計で一億六千万円以上、超えているんですよ。

 これは、会計検査院として調べて当然じゃないですか。

三田会計検査院当局者 繰り返しになりますが、個別具体的な事案に係る検査状況につきましては、検査過程における情報に当たりますことから、御回答することは困難でありますことを何とぞ御理解いただければと存じます。

 桜を見る会に係る経費につきましては、国会での御議論を踏まえまして、先ほど答弁申し上げましたとおり、引き続き適切に検査してまいりたいと考えております。

末松分科員 だから、したかしないかを答えないというのは、会計検査院って本当に楽な仕事ですよね。一切、世間で物すごく関心になって、関心事になっていることに対して答えない。おかしいんじゃないですか、それは。何かいかにも独立性ということを、何かその上にあぐらをかいているような、国会で議論したって我々は関係ないよ、こんな顔をしているんですよ。そういうふうに見えるわけです、国民から。あなた方、何をやっているんですか、そしたら。個別具体的な案件に、一言でも、調査したかしないかも答えられなくて、国会の議論にどうやってあなた方、国会よりもあなた方が上だと思っているんですか。

三田会計検査院当局者 個別具体的な事案につきましては、検査の結果に基づかずにその評価や見解を申し上げることは困難でありますことを何とぞ御理解いただきたいと思います。

末松分科員 だから、調査した結果に基づかない、つまり、調査したけれども結果は出していないのか、あるいは調査もしていないのか、そこをクリアにしてください。

葉梨主査 三田局長、答えられますか、調査をするしないということについて。それも含めて答えられないのか、どっちなのか、言ってください。

三田会計検査院当局者 検査の可否につきましても、検査の内容にかかわることでございますので、お答えすることは控えさせていただきたいと思います。

末松分科員 いや、これは参ったね。本当に何か、国会をちょっと下に見ているんじゃないの。これだけ報道とかでやっているのに、全く自分たちは何も、検査しているかしないかも言わない。これはおかしいですよ。

 では、ちなみに、調査したとしたら報告はいつごろになるんですか。答えてくださいよ。

三田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 桜を見る会に係る経費につきましては、国会での議論等を踏まえ、引き続き適切に検査を実施してまいりたいと考えております。

 そして、検査結果として報告すべき事態があった場合、その報告時期につきましては、検査及びその結果の取りまとめに一定の期間を必要とすることを御理解いただきたいと存じます。

末松分科員 事案が起こったのは昨年の十一月ですよ。通常だったら、適切に報告するといったら、これは、会計検査院法第三十条の二に基づいて、随時報告をする、随時報告に当たる話じゃないんですか。あなたのでいけば、一般的に報告するんだと、ことしの十一月になりますよ。定例報告は一年に一回でしょう。これは十一月に報告するんですか。

三田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 先ほども御答弁申し上げましたとおり、桜を見る会に係る経費につきましては、国会での御議論等も踏まえ、引き続き適切に検査を実施してまいりたいと考えております。

 そして、検査結果として報告すべき事態があった場合、その報告の仕方につきましては、検査の結果を踏まえ適切に検討してまいりたいと存じます。

 なお、検査結果として報告すべき事項があった場合には、検査報告として掲記したり、会計検査院法三十四条又は三十六条に基づく改善の処置要求等を随時、国会及び内閣に報告したりすることとなります。

末松分科員 仕組みを聞いているんじゃないんですよ。仕組みはもちろん調べているわけですよ。あなた、専門家のような、まあ専門家なんだけれども、それは引き続き検査をしていきたいみたいな、こんなので通ると思ってんの、ちなみに、この国会で。我々もそんなに甘くないですよ。

 それで、では、ちょっと財務省に聞いてみましょう。

 財務省は、会計検査院から、桜を見る会、この件で何か指摘を受けたことがありますか。

井上大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 これまで財務省として、桜を見る会の当初予算、執行額の違いについて会計検査院から指摘を受けたことはございません。

末松分科員 これは、当然財務省にも何か聞くべき話ですよね、調べるとしたら、あるいは調べているとしたら。

 今、財務省の方からは、指摘もされていなければ、どうも何か、何ら接触がないような言い方をされたんですけれども、結局調べていないということじゃないですか。違いますか。

 もう一度答えてください。

三田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 委員お尋ねの、今回の桜を見る会のように、予算積算上の見積額を上回って同一の目内において支出している事態について、財務省について検査報告に掲記している事項はございません。

 会計検査院では、過年度の会計経理でありましても、引き続き検査を実施し、その結果を検査報告に掲記することはございます。桜を見る会に係る経費につきましては、国会での御議論等も踏まえ、引き続き適切に検査を実施してまいります。

末松分科員 適切の中身が適切じゃないと言っているんですよ。通常だったら、臨時国会で起こったことは臨時国会の前ぐらいまでに三十条二項の随時報告をすべきなんですよ。それができないんだったら、十一月ですよ、十一月、十二月、一月、二月と四カ月間かかっているんですよ。だったら、少なくともことしの予算審議中に随時報告をすべきじゃないですか。

 もう一回、ちょっと答弁してください。また同じような答弁を繰り返すのかもしれませんけれども、またその答弁を聞きたいですよ。

三田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 会計検査院は、日本国憲法や会計検査院法に基づき、その職責を果たすよう努めているところでございます。

 桜を見る会に係る経費につきましても、会計検査院の職責を果たすべく、引き続き適切に検査を実施してまいります。

末松分科員 そんな何も答えないんだったら、会計検査院の存在意味がないですよ、正直言うと。

 これはきちんと、ほかの国なんかも、アメリカのGAOとか、私も調べてきましたよ。行政監視院法案、十年近く前に、つくるときにみんなそこはしっかりとそれは調べていっていますよ。イギリスだって、独立した機関が国会にきちんと附置されていて、そんな報告をきちんとやっていますよ。日本の会計検査院だけじゃないですか。まさしく、いかにも何か自分たちが、独善的で、全ての、国会よりも上のような立場で、あぐらをかいているんじゃないですか。

 私は、そこは本当におかしいということを改めて申し上げて、会計検査院のその三十条二項に基づく随時報告、これをどうして発動しないのか、そこを本当に疑問に思いつつ、その姿勢をきちんと改めてもらうべきだということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

葉梨主査 これにて末松義規君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

葉梨主査 次に、内閣所管について審査を進めます。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。柚木道義君。

柚木分科員 立国社会派の柚木道義でございます。

 きょうは、官房長官、本当にコロナ対策も含めてお忙しいところ、御答弁いただき、ありがとうございます。また、それぞれの関係省庁の皆さんもありがとうございます。

 まず冒頭、新型コロナ対策の方の質問項目、若干前後するのでそれを事前に説明しておきますので、準備をお願いできればと思います。

 日々刻々と情勢が変わっている中で、まず最初に聞こうと思っておりますのは、クルーズ船を未検査で下船をした二十三人の方への対応について、これは事前に追加の質問で要請をしておりますのでお聞きをした上で、その後、国内の民間の検査会社の活用をした検査体制の強化拡充をお尋ねをし、その後、政府関係者、冒頭に挙げておりますが、厚労副大臣あるいは政務官、あるいはさらなる政府幹部の皆さん等、それから厚生労働省の職員、九十人中四十一人の検査、それ以外の方を検査しない問題、あるいは入船されているDMATの方々等への対応、そういった順番でお聞きをしていく中で、当然、医療提供体制の整備とか情報提供、発信の改善についても触れたいんですが、もう一つ必ずお聞きしようと思っているのは、公的行事への対応、延期や中止、あるいは入試対応等もきょうも報じられていますが、そういった点を前半お聞きをした上で、大項目二番の黒川検事長の定年延長の問題について進んでいきたいと思いますので、その流れで御準備をいただければと思います。

 まず、早速伺いますが、きょうの報道、速報の中で、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号に乗客として乗られていた九百七十名の方々の中で、下船をした二十八人の方が発熱をされているという報道が出ております。そのうち、七名の方々は、今後検査をするあるいはする予定ということでございますが、残りの二十一名の方々については、私が確認した限りでは、一人は今回まさに陽性になられている栃木県の六十代の女性だと思われますが、残り三人は陰性ということであれば、十七人、残りの方々が今後どういう対応を、毎日、健康観察の電話等をされているという状況だと思うんですが、残り十七人、あるいは残り二十一人でもいいんですが、どういう対応を政府あるいは厚生労働省として考えているのかを御答弁をお願いします。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 フォローアップにつきましては、直ちに新型コロナウイルス感染症が疑われる状況でなくても、せき、倦怠感、咽頭痛などの要件を満たして、一つでも該当するものであれば、症状ありという整理をしております。

 御指摘の十七人の方々でございますが、この方々の状況を毎日電話で聞き取りながら報告していただく、そして、場合によっては適切な受診を促すということで対応を進めていきたいというふうに考えております。

柚木分科員 今、浅沼審議官の方から、最後、場合によっては受診を、検査ですか、という御答弁だと理解しますが、私、報道で見たところ、加藤厚生労働大臣はそれぞれの判断だというふうに、報道で見ているんですが、それぞれの判断だという御発言なり御答弁があったのは事実ですか。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 済みません。手持ちに記録がないものですので、私の方ではわかりかねております。

柚木分科員 私も報道で見ているものなので、これはぜひ確認もいただきたいですし、もし、それぞれの判断だということを委員会答弁やあるいは会見等で、報道されているということは何らかの場所でおっしゃっているわけですが、おっしゃられたということであれば、これは私は、とんでもない、無責任な発言ではないかと思うんですよ。

 やはり、下船をされた、しかも未検査で、その中から発熱、陽性の方も出て、そういう流れがある中で、残りの二十一人の方はそれぞれの判断だというのは、余りにも、今の御答弁とも乖離があると思いますので、これがもし本当であるならば、ちゃんと撤回なり、いや、そうじゃなくて、今審議官が答えたように、必要があればちゃんと毎日の健康観察の電話連絡等の中で検査、受診を求める、あるいは促す、こういうことでよろしいですね。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 柚木議員、少し丁寧に説明させていただくと、検査を受けていないという方々は、二月五日以前に検体をとって検査はしていたんですけれども、それ以降の検査、PCR検査を受けていなかった方々が二十三名いたというところでございまして、その方々に追加の検査を今お願いしているという状況でございます。

 その方々のうち、十九名の方が陰性だというふうに現時点でわかっております。あと、残り四名の方々のうち、一名の方は、もう既に検体をとられて、あした以降検査結果が出るということです。

 残った三名の方々、私ども厚生労働省並びにその方々が住まわれている、フォローアップをしている自治体の方々、今検査を受けていただくよう促してはいるんですけれども、残念ながら、検査を受けていただくというお答えをいただいていない方々でございます。その方々につきましては、粘り強く説明をさせていただきたいというふうに考えて、まだ取り組んでまいりたいと思っています。

 また、二十八人の話でございます。

 これはもっと大きな話でございまして、下船された方々、全ての方々が、毎日毎日私どもの方から健康フォローアップをさせていただいているものでございます。その方々で有症だという方々がいらっしゃいまして、そのうち七人の方々が帰国者・接触者外来を受診したというふうに承っておるところでございます。

 残りの方々につきましても、私どもの方から健康フォローアップという意味で毎日電話等で聞き取りをし、報告をいただくことで、適切な受診、相談を促すということで取り組んでいるところでございます。

柚木分科員 では、厚労大臣が、残り二十一人の方はそれぞれの判断でと言われたことは、これは事実上違う、今のように丁寧にやるということでよろしいですね。それだけ確認です。

浅沼政府参考人 大臣の発言は確認しておりませんが、下船者のフォローアップにつきましては、そういったことで、丁寧に我々の方から健康状態の確認はさせていただいているというのが実情でございます。

柚木分科員 ぜひよろしくお願いいたします。

 それで、もう一つ、追加の質問項目をさせていただいておりますが、これは、非常に今、検査体制の強化というものを、きょうの新型コロナウイルス感染症対策の基本指針の中にも、もちろん、重症化予防とか軽症の方が医療機関に殺到するようなことを、これは両立をしなければいけませんので書かれておりますが、そうはいっても、余りにも、例えばお隣の韓国と比べても、あるいは米国CDCの取組と比しても、非常に検査の体制がおくれている、かつ実際に検査を受けられている方々が非常に少ない状況にあると思います。

 そういった中で、この一週間の実際に検査を受けられた方々は何人なのか。この三日間で、報道では、三日というのは十八から二十日の数字で、九名、六十一名、九十名、つまり百六十名ということになるんでしょうか、そういうのもきょう報道等でも目にしましたし、六百とか七百というような数もお聞きする中で、この直近の一週間で一体何人の方がPCR検査、受診をされたのか。御答弁をお願いします。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルス肺炎の疑いがありましてPCR検査を実施した件数につきましては、陰性の場合には対象機関からの報告がなされない場合があるため、総数を把握することは大変困難な状況でございます。

 ただ、しかしながら、例えば地衛研につきましては、二月以降で少なくとも二千四百件以上の検査を実施しており、特に、直近の二月二十日に厚生労働省に報告があった五十四施設につきましては、合計六百九件の検査を実施していたと承知しております。

柚木分科員 ということは、きょうも一日報道がさまざまされていますけれども、厚生労働省のホームページに、今私が例示で挙げたのは、今月十八、十九、二十日の検査人数、九、六十一、九十。百六十。しかし、他方で、自治体が公表している数字と全然合わないんですね。

 これは、間違い、あるいは更新が間に合っていない、そういう理解でよろしいですか。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 データにつきましては、陰性が上がってこないということもございまして、数値の方は、我々が確認したものが掲載されているということでございます。

柚木分科員 そこら辺をぜひわかりやすく発信をしないと、この後、これは官房長官にも場合によっては御答弁を、政府としての今後の取組で伺うんですが、まさに検査体制自体が非常におくれているだけじゃなくて、場合によっては意図的に検査を、もちろん、重症化予防とか医療機関がちゃんと回るということは私もよく承知していますが、しかし、他方で、検査を受ける人がふえれば感染者がふえてしまうと。

 オリンピックもあるし、そういうG20でのいろいろな世界で状況を注視するという流れもある中で、なるべく検査を受けてもらう人を抑制することで、つまりは、検査を受けてもらいづらいような状況があるんじゃないかとこれは思われているわけですよ、既に。それは実態としても、非常に、連日の報道の中でも、それこそもう肺炎までいっちゃっても検査を受けていないとかね、お子さんでですよ。いっぱい出てきている、そういう事例が。情報発信の仕方自体も本当によく考えないと、国内からも国外からも、非常に日本の検査体制、脆弱かつ意図的に何かそういうことをしているんじゃないかと今思われている現状をぜひ改善いただきたいと思うんですね。

 それで、ぜひ政府を挙げてお願いをしたいのが、例えば、アメリカのCDC、この間、CDCだけでやっていては非常に検査がもう回らないということで、百社の民間の機関を、これまでだったらFDAでは未承認だった検査キットまで使って、日本で言う厚生労働大臣が緊急事態宣言を出して、そして、そういったものを使ってどんどん検査をして、そして、まさに重症化予防等、取り組んでいる。

 あるいは、お隣、韓国では、これも直近で、そういった医療機関、まあ、クリニックだったり病院、つまり、お医者さんの判断が、文字どおり検査に反映をさせる、日本では間に保健所が入ったり都道府県が入ったりしていることでそれがうまくいっていない。

 したがって、これは午前の委員会でもそういうやりとりがあったと承知しておりますが、ぜひ、医療現場、医療機関、そこからダイレクトに、もちろん、民間の検査会社あるいはそれぞれの検査機関、ちゃんとしたところが体制があるという前提でそれが拡充されると思いますが、そこともダイレクトにやっていただくことも含めて、検査を全ての人が受けろとは言いません、私も。しかし、重症化のおそれがある人も含めて、無症候感染者も含めて、本当の意味での重症化予防を考えたら、そういう人が、受けたい人が受けられることが大事だと思うんですね。

 ぜひそういう、検査を受ける、直接、医療機関、病院、クリニックから、検査機関、検査会社とのやりとりが可能になるように、運用を改善していただきたいと思いますし、厚生労働大臣がぜひ検討したいと午前で答弁しているのを私も見ておりますから、ぜひ前向きな答弁をお願いできませんか。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 これまで、国立感染症研究所あるいは私どもの検疫所だけではなく、地方衛生研究所、民間の検査会社、大学など、協力を得られながら、一日三千件を上回る検査能力は、維持、獲得してきたところでございます。

 しかしながら、大事なことは、議員御指摘のとおり、検査を必要とする患者様が確実に検査を受けられるようにすることでありまして、この考え方に基づきまして、今後も必要な検査体制の確保に全力で取り組んでまいりたいと思います。

 また、PCRの検査の条件の中で、今までは三十七・五度の発熱を持ち、呼吸器症状を持ち、肺炎をというようなことでやってまいりましたけれども、医師が総合的に判断することで、先ほど議員から御指摘のような患者様が受検ができないようなことがないよう、幅広く検査が必要な方には受検をしていただけるような情報発信もさせていただきたいと思います。

 以上でございます。

柚木分科員 これはぜひ官房長官にも政府を挙げて取組をお願いしたくて、午前の質疑で、私が今申し上げている、医療機関、クリニックや病院と検査機関、検査会社がダイレクトにやりとりするようなことを可能にする、検討したいという答弁だったんですよ。これはもちろん厚生労働省所管ではありますが、この対策の基本方針、まさに政府を挙げてやっていくという意味においては、ぜひそういった運用が可能になるように、政府全体としてのお取組をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 現在、ワンクッションを置いて取り組んでいます。

 私自身も、実は、何でだと極めて素朴な質問をしたんですけれども、かつて、インフルエンザ、インフルが蔓延したときに、一カ所のそうした病院の窓口に患者さんが殺到して、結果的に真に必要な方が受けられなかったという、そうした反省の上に立って今回このような対応策をとったということであります。

 ただ、実際、受けたい方もたくさんいらっしゃいますし、厚生労働省からは医師に柔軟に判断をしてという、そうした指示もしているということも、私、報告を受けています。

 いずれにしろ、今委員からの御意見もありました、そうしたことを踏まえて、まさに政府全体で取り組んでいきたい。全体とすれば一日に三千件の体制は整えている、そういう報告も受けていますので、とにかく、これ以上蔓延することがないように、政府を挙げて取り組んでまいりたい、このように思います。

柚木分科員 ぜひ、その三千件、三千八百三十件の受入れ体制が、数百件しか受け入れていないという現実を直視いただきまして、受けていただくためには、先ほどのような医療機関から検査機関、検査会社にダイレクトでやりとりいただくことも含めて、今の御答弁を生かしていただきたいということを強くお願い申し上げて、次の質問に行きます。

 ちなみに、加藤大臣は、検査体制の強化の中で、その三千八百三十件の中で、民間の検査所五カ所で九百件と。私、調べてみたら、三百九十二カ所いろいろ全部見てみました、全国のそういう検査ができそうな機関を。残り三百八十五ぐらいはまだ活用できるということだと思いますので、ぜひそういった活用をお願いしたいと思います。

 次に、この検査体制という意味においては、国や政府あるいは国会の危機管理にも当たることとして、まさにクルーズ号に乗船されて尽力をされておられると思うんですが、この間もぜひ検査をいただくべきだと。これは御自身のためにも、あるいは政府、国の、国会としての危機管理上も、橋本厚労副大臣と自見厚労政務官、そして、その後聞きますけれども厚労省の職員の方々、乗船をされていた四十一人以外の方々や、あるいはDMATの方々。

 これはちょっとそれぞれ分けて聞きますけれども、これは厚生労働省の方がいいんだと思いますが、午前の質疑も聞いておりましたけれども、厚労分科会の。橋本副大臣と自見厚労政務官は下船時に検査を受けるという答弁をされていたと思うんですが、いつ検査を受けられる予定なんでしょうか。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 橋本副大臣及び自見政務官におかれましては、まだ現場で、大黒埠頭の方でこのクルーズ船の対応をされているというふうに承知しておりますので、下船日がきちっと決まらないと、その後ではないと検査ができないということで、現時点ではその日程は決まっていないということでございます。

 しかしながら、下船後に検査を行うということでは、大臣の答弁のとおりでございます。

柚木分科員 これはぜひ、官房長官、政府全体の、あるいは場合によっては我々国会の危機管理上も、繰り返しますけれども、御本人のためはもとより、検査を受けていただきたい。

 ちなみに、今の御答弁だと、この木、金、衆議院本会議が行われるときは、下船していないわけですから、検査せずに来られるということになっちゃいますよ。木、金、本会議があったときには検査せずに来るということですか。ちょっと事実関係だけ教えてください。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 現時点、私が知っている限りということでございますけれども、もちろん、検査の結果が出る前に、例えば国会の方に副大臣、政務官が来られるということは考えにくいというふうに思います。

柚木分科員 では、確認しますけれども、下船をいつするのかどうなのか、私は承知していませんから、本会議に出席されるときには、例えばこの木、金、来られるときには、検査を受けて出席されるという理解でよろしいですね。いいんですね。

浅沼政府参考人 下船が水曜日までで行われれば、水曜日に検査をして、議員御存じのとおり、急いでやれば数時間、六時間ぐらいでわかりますから、そのときは結果がわかると思います。

 ただ、下船日が木曜日以降になれば、もちろん、そこからはいわゆる離れられないということで考えられてよろしいのではないかと思います。

柚木分科員 これはちょっと官房長官、ぜひお願いします。政府はもとより国会の危機管理を問われています。万が一、まあ、もちろん私も陰性であることは祈りますよ、全ての方を。でも、陽性だったり、そうした場合に、じゃ、加藤厚生労働大臣はどうなんだ、対策本部で同席されている官房長官や安倍総理大臣はどうなんだという話になっていきますよ。

 これは本当に一刻も早く検査して、そして、それを踏まえた対応をとらないと、もう下手をしたら、日本の政府の中枢、みんな感染されていたなんということになれば、オリンピックどころじゃないです。任せられない国と本当になっちゃいますよ。これは政府として、きょうにでも検査を受けていただくように促していただけませんか。官房長官、いかがですか。

菅国務大臣 この点については、加藤厚生労働大臣に全て任せております。大臣が、そうした危機管理をみずからの省庁において、また政府全体について、今委員から御指摘がありました副大臣、政務官等については、まさに大臣が御判断をされる、そう思っています。

柚木分科員 私は、すご腕の官房長官でいらっしゃいますので、もちろん対策本部長とかいろいろな立場はあるにしても、政府全体の危機管理として、これは安倍総理まで含めてのやはり検査の必要性が出てくる話ですから、そこはぜひ、ちょっともう答弁は求めませんが、本当に迅速な、きょうにでもという対応を加藤大臣ともやりとりいただきたいとお願いを申し上げておきます。

 次に、厚生労働省、二十日に感染した人と一緒に仕事をしていた人、これは仕事にそのまま復帰していていいんですかと私も野党合同ヒアリングでも懸念を申し上げましたら、案の定感染した。そういう方も含めて、九十何人のうちの四十一人以外の、四十九人ですか、そういう方、感染者が出てきている。そして、検疫官や看護師は専門知識があるから検査しない。そういう方からも感染者が出ている。残りの方々も検査を受けてもらわないと、厚生労働省自体が場合によっては感染源になってしまいかねませんよ。

 ぜひ、九十人、四十一人以外の方々も、あるいはDMATの方々も、下船していじめられているじゃないですか、家族も含めて。検査を受けて問題なければ、そんなことないじゃないですか、あるいは十四日間の観察期間を経れば。ぜひ、四十一人以外の方々あるいはDMATの方々、クルーズ船に乗った方は検査をいただきたい。御答弁をお願いします。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 今般の政府関係者の感染事例などを踏まえまして、感染予防技術に習熟しており、乗船等の事務を行う際にも感染予防を十分に行っていた職員、すなわち医療関係者と検疫に当たっている職員を除きまして、PCR検査を実施していくということで対応を考えているところでございます。

柚木分科員 ぜひ、ちょっと危機感のレベルを、各国、我が国に対する評価も含めて、上がってきている中で、上げていただきたいですよ。全員受ける。

 そして、そうじゃなければ、これは国会議員もそうです。毎週末地元に帰って多くの方と接する。国会や省庁が感染源になってしまいますよ。ぜひその対応を強くお願いし、お隣の韓国では、国会を閉鎖して消毒をしたり、議員会館も消毒をしたりしていますよね。夜間でもできるじゃないですか。そういう対応も含めた検討をお願いしたいと思います。

 ちょっと時間がありません。もう一問だけこの大項目で、行事の対応について、ぜひ、これは政府として今回示されていますが、官房長官、ちょっと事前の通告ができていないので答えられる範囲で結構ですが、二つ聞きたいんです。

 一つは大学入試。

 これは、私、新型インフルエンザのときの対応を調べました。やはりそれぞれの大学が、追試だったり振りかえ受験だったり、もちろんセンター試験のを加味してとかいろいろな対応をされている。当時の文科省はそういう対応を求めている。ぜひ、今回についてもまちまちなんですね、これは。やはり対応については、受験生や御家族の方が納得いただけるような御配慮をいただきたいと思います。まず、この点をお願いします。

菅国務大臣 受験生が不利益をこうむるようなことは、これは当然避けるべき。そしてまた、全員に公平公正な判断ができるような、そうしたことは、政府として行うのは当然だと思います。

柚木分科員 ということは、まさに今、新型インフルエンザのときの対応も例示で紹介しましたが、今回、大学によって対応がちょっと分かれていますが、政府としては、まさに新型インフルのときの対応も踏まえてそういった受験機会の確保を求めていくという考えでよろしいですか。確認です。

菅国務大臣 今回のコロナウイルスについては、新型インフルエンザの当時のことを参考にして対応の仕方なども行っております。ですから、受験においてもそうしたことを参考にさせていただくことは間違いありません。

柚木分科員 本当はもうちょっと踏み込んだ答弁をいただきたいんですが、きょう以降、その踏まえたという部分が踏まえていない対応になる大学もありますから、そこをぜひお願いをして、もう一つだけ。

 学校において、その当該校に感染者が出なくても、近隣であっても休校というような話が出ています。私もそういう対応は必要だと思うんですね。

 その中で、実は今週末から卒業式が非常にふえるんですよね。休校とかするということは、当然、卒業式も延期なり休止をされるという理解でよろしいでしょうか。わかればお願いいたします。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 先週、二十一日の金曜日以降ですけれども、北海道あるいは千葉県を始めとして、児童生徒や教職員の感染例が出てきております。保護者の皆様を始め学校関係者の方々の中にも不安を感じておられる方も多いのではないかというふうに思います。

 感染者が出た学校における臨時休業等の判断に関しましては文部科学省から考え方を示しておりまして、これを踏まえて、各地方公共団体におきまして適切に御判断いただきたいというふうに思います。

 以上でございます。

柚木分科員 それだと現場が非常に対応を求められるので、国としての方針をちゃんと示してほしいというのが現場の声なので、ぜひお願いをします。

 もう時間がないので、官房長官にだけお伺いをさせていただいて、せっかく法務省と人事院、来てくれているんですけれども、ちょっとまたの機会にさせてください。

 今回、黒川検事長の定年延長に関しては、きょうも含めてさまざまな議論があって、やはり、閣議決定前に法解釈を変更したことを裏づける日付入りの文書がないままに閣議決定をされて、そして今般の延長が事実上今行われているということであれば、これは事実上、違法状態で黒川東京高検検事長が延長して職務に当たっているということになりかねないんです。

 ですから、私、ぜひ官房長官にお願いは、そういったものが出てこないのであれば、延長自体がもう違法であり無効だと思いますので、一旦これは見直す、撤回をする。まさに連日質疑をしていることを踏まえて、ぜひ官房長官、ここは一旦、黒川検事長の定年延長を白紙撤回をする。その上で、これは国民の理解も得られていません。過半数がこの人事は問題がある、内閣不支持層七四%がこれはおかしいと思っていますので……

葉梨主査 質疑時間が終了していますから、簡潔に御質問をお願いします。

柚木分科員 一旦、白紙撤回をする、そういう御答弁をいただけませんでしょうか。立ちどまって考え直すと。

葉梨主査 菅官房長官、時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。

菅国務大臣 黒川検事長につきましては、申し上げていますように、検察庁の業務遂行上の必要性に基づき、検察庁を所管する法務大臣からの閣議請議により閣議決定され、引き続き勤務させることとしたものであります。

 そういう意味で、閣議決定を取り消す必要はない、こういうふうに思います。

柚木分科員 終わりますけれども、それでは、まさにカジノやあるいは河井大臣夫妻や桜を見る会等の官邸の守護神として任用されているのではないかという疑念を払拭できないと思いますので、引き続きこの点については質疑をさせていただきます。

 ほかの方、済みません、来ていただきましたけれども。

 ありがとうございました。

葉梨主査 これにて柚木道義君の質疑は終了いたしました。

 次に、本多平直君。

本多分科員 立憲民主党の本多平直です。

 共同会派の一員として質問をさせていただきます。

 和泉総理補佐官、七年にわたってお仕事をされてきて、菅官房長官とも大変近い関係で、支えていらっしゃる方だとお聞きをしております。その和泉総理補佐官、いいお仕事もされてきたんでしょうが、この七年という長い任期の中で、公私混同をしているんじゃないかという疑惑が今報道をされています。そして、公私混同しただけじゃなく、おつき合いをされている女性の、相当いろいろなところに影響力を及ぼして、政策をゆがめているのではないかという疑惑があります。このことについて質問をしたいと思います。

 このゆがめている政策が、特に、私にとっては、難病の皆さん、ずっと私も気にかけている難病の皆さんが、難病が治るためには、iPS細胞、ノーベル賞をもらわれた山中教授などが研究をされて、実用化に向けて頑張っている、こういうものにしっかりと予算をつけて、何とか難病が治る唯一の方法としてのこういうところにしっかり予算をつけてほしいというのを、いろいろな事情があるんでしょうが、特定の一部の官僚、和泉補佐官に近い、大坪さんのことですが、この大坪さんという女性が、公私混同もあり、かつ政策をゆがめているんじゃないかという問題です。ですから、ちょっと細かいことに立ち入りますけれども、お答えをいただければと思います。

 少し時系列でいきたいんですが、このお二人が親しくなられるきっかけでもあると言われていますし、二〇一八年の四回の海外出張、全て続き部屋というかコネクティングルームだったということ、これは外務省が認めている事実であります。

 その言いわけとして、厚労省の大坪審議官はこう述べられています。その出張のしばらく前に、和泉補佐官におかれましては、大変体調を崩されまして、官邸の中で倒れられたことがございます、救急搬送されました、入院加療を受けていたことがございます。

 これは、いつ倒れられて、入院はいつからいつまでされて、どういう御病気だったのか、お答えをいただければと思います。

今井大臣政務官 お答えをいたします。

 和泉補佐官は、平成三十年六月に体調を崩して、数日入院したものと承知しております。

 なお、病名などの詳細については、本人のプライバシーにかかわるため、お答えを差し控えさせていただきます。

本多分科員 きょうも実は和泉補佐官を呼んでいるんですが、自由民主党など与党の反対で、お越しをいただいていません。本人に聞かなきゃわからない。

 六月というお答えはいただきました。そして、数日入院をされた。

 しかし、ミャンマーで一緒に部屋をとったのが七月、インドでコネクティングルームに泊まられたのが九月、北京も九月、そしてフィリピンまで、十一月まで、六月に倒れられて、これは官房長官にお聞きしましょうか、四回、海外にも行っている。つまり、元気になられたと私は判断していますよ。海外出張されているわけです。

 しかし、医療的な必要があるからコネクティングルームに泊まったというこの大坪審議官の言いわけ、十一月のフィリピンまで、倒れられてから五カ月たっています。これは成り立つでしょうか。

菅国務大臣 和泉補佐官から、いずれの出張も、公務として、必要な手続をとった上で適切に対応しているものであり、公私は分けているということであります。

 また、大坪次長でありますけれども、公務として、ヘルスケア分野の議論に参加するために出張に行った、このようなことであります。

本多分科員 その事実は私も認識をしています。

 そうではなくて、今問題になっているのは、こっそり、こそこそ夜会うんだったら、どうぞという感じなんですけれども、これは私の同僚もここで怒っていました、わざわざ外務省に指示をして、コネクティングルームにしてくれと言った。その理由を、大坪次長は、医療的に、倒れたばかりだからと、インドの例で言っているわけです。

 しかし、ミャンマーも北京もフィリピンも、五カ月後までコネクティングルームを、これは官房長官の配下の外務省が認めている事実です。既に海外出張も行っているぐらい元気なわけです。説明になっていないんじゃないかということをお聞きしています。

菅国務大臣 いずれにしろ、先ほど申し上げましたように、和泉補佐官においては、公務として適切な手続をとった上に適切に対応し、公私とも、そこは分けているというふうに私は報告を受けております。

本多分科員 上司として、どう思われますか。

 こういう説明で、一応、こんなこと、総理大臣や官房長官の許可をとっていない、勝手にやっているわけですよ。こんな部屋割りを外務省に指示をして、直後だったら、一カ月後でも、私たち、常識的に、けしからぬと思っているわけですが、五カ月後のフィリピンまでそんなことしている。これは、上司として、おかしいと思われませんか。

菅国務大臣 私からは、公務員は、みずからの行動が公務の信用に影響を与えることを常に認識をして、国民から疑念を持たれないように行動する必要がある、その考え方を和泉補佐官に私は伝えました。

本多分科員 今後注意しろよと。疑念を持っている我々がおかしいということですね。本多とかに疑念を持たれないように、そういうふうにしろよと。

 今後を言ったんですけれども、公私混同でしたら、過去のことをきちんと注意して処分をしなきゃいけないと私は思うんですよ、きちんと。私は、一番緩くても、こっそり異動させるとか。補佐官の場合、異動ってさせられないんじゃ、解任しかないんでしょうけれども、公務員の一般職じゃないわけですから。しかし、何らかのことをしないと公務員全体に示しがつかないと私は思うんですけれども、いかがですか。

菅国務大臣 先日、総理及び健康・医療戦略担当の竹本大臣から、国民から疑念を持たれないように行動するよう注意を行った、このように承知をしています。

本多分科員 注意でこれが済むのかということ。しかし、このこと自体が注意でいいのかどうか。外務省も、大変な、嫌な思いをしながらこんな仕事をさせられているわけで、私は全く注意じゃ済まないと思いますが、少し先に行きたいと思うんですね。私は、さすがに五カ月先までこんな理由は成り立たないと思います。一カ月後でも不自然なんですよ、こんな話は。医者を連れていけばいいわけであって、自分の金でですよ、もちろん。こんなふざけた話はあり得ないと思っているんですけれども、少し先に行きます。

 外務副大臣、大変お忙しい中来ていただいて、申しわけありません。

 私は、ミャンマー出張が一番怪しいと思っています。なぜかというと、健康系、ヘルス系の会議があるわけではない。アウン・サン・スー・チーさん、国家顧問ですね、それから大統領という首脳と会っている会議に、報道によれば、国土交通省系の、鉄道の案件などが議題になったというのは出ているのに、国土交通省の官僚は連れていかずに、大坪審議官だけが行っている。非常に不自然なんですよね。ここの場でも、委員会でも質疑をしました。そのときに、竹本大臣も、知らないと。きょう、今井政務官に来ていただいていますけれども。そして、外務省に聞いてくれと言われているんです。

 それで、議事録を、そのとき、当然メモをとっていらっしゃいますね。全て、もちろん、首脳とのやりとり、メモをとって、言えとは言いませんが、健康の話、健康政策の話は、ミャンマーの大統領であるとかアウン・サン・スー・チー国家顧問との面会では議題になっているでしょうか。話題に出ているんでしょうか。

若宮副大臣 お答えさせていただきます。

 今委員が御指摘になりましたミャンマーとの、政府要人との一連の会談でございますけれども、ヘルスケアに関する二国間の協力についてもやりとりがあったというふうに聞いております。

 その中で、アウン・サン・スー・チー国家最高顧問との会談では、日本側からヘルスケアの分野を含みます二国間の経済協力の現状を報告した上で、意見の交換を行ったというふうに聞いております。

 アウン・サン・スー・チー国家顧問との会談におきましては、先方からはヘルスケアについての直接の言及というのはなかったということでございますが、他方、ソー・ウィン計画財務大臣、あるいはミン・アウン・フライン国軍司令官との会談では、先方からヘルスケアに関する言及があったというふうに報告を受けたところでございます。

本多分科員 和泉補佐官がヘルスケアの言及をするのは当たり前なんですね。この人を連れていくわけですから、その理由に一応一言言っておくというのは、頭のいい和泉さんだったらしていると思います。

 しかし、アウン・サン・スー・チーさんとの会合では、向こうからは、当然ですけれども、ヘルスケア、そんな細かい話するわけないです、首脳と総理補佐官の面談ですから。そういうやりとりだったということを御報告いただいて、大変参考になりました。

 残り二人のところで出ていたということは、当然、詳細な議事録までは見せていただけないでしょうから。向こうから言ったと。

 副大臣、当然ですけれども、そのミャンマーの大臣からは、鉄道とか、そういう話も出ているんですよね。横並びで、健康の話だけが出ているわけではなくて、いろいろな、ミャンマーとしては日本から助けてほしい案件がある、その中の一つとして言われただけであって、鉄道とか交通システムとか、このときミャンマーにとって大事な話題になっていることも出ているんですよね。それは議事録を見ていただいていると思うので、いかがですか。

若宮副大臣 委員が今御指摘になりましたように、もちろん、ヘルスケアのみならず、それぞれの閣僚の方とはさまざまな分野にわたって、会談の内容では個別具体の話になっているのはおっしゃるとおりでございます。

 ただ、担当の大臣だからその分野だけというわけではなく、やはりこれは、例えば、ミャンマーという国は、委員よく御存じのとおり、民主化した二〇一一年、それ以降も、憲法に従って、国軍がやはり圧倒的な連邦議会での議席を持っているのは事実でございます。内政一般に関しましても引き続き大きな影響力を持っているのも事実でございますので、例えば軍人の方と会ったからといって軍の話だけをしているかというとそういうわけでもなく、さまざまな、二国間の経済協力ですとか、その経済協力の中にはヘルスケアの分野も入るということも御理解いただければと思っております。

本多分科員 非常にいい答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 一般的に、いろいろなものと横並びでヘルスケアの話も出てきたけれども、当然、いろいろな案件がある、そのことが話題になったということだと思います。

 そうしますと、やはり私の予想どおり、おかしな出張だと思います。

 つまり、相手側から何を言われるかということを想定すれば、農業系の官僚も連れていかなきゃいけない、交通系の官僚も連れていかなきゃいけない、都市計画の官僚も連れていかなければいけない。誰か、大坪さんだけ連れていったことを説明していただけるのは、これは菅さんのところなんでしょうか。菅官房長官のところ、今井さんのところですか。なぜ彼女はついていっているんですか。

今井大臣政務官 健康・医療戦略室としてお答えする立場ではないと思いますが、一般論として、出張同行者については、各省庁の要望や、また、それぞれの判断も踏まえて決定されているものと理解しております。

本多分科員 この場合は、どこが要望して大坪さんはミャンマーに同行しているんでしょうか。

今井大臣政務官 大坪次長に関しては、健康・医療戦略室として要望したと承知しております。

本多分科員 健康・医療政策室の室長は和泉補佐官ですよね。和泉補佐官が要望したということでよろしいんですね。

今井大臣政務官 健康・医療戦略室として要望したと承知しております。

本多分科員 和泉補佐官が要望したということになりますよね。だから、本当に、事実上、公私混同なんですよ、官房長官、ミャンマー出張は。

 よくわからないんですけれども、和泉補佐官の出張というのは、当時、竹本さんの前任の方が、大臣が行けと言ったら行けるのか、総理大臣補佐官ですから、総理が行けと言われないと行けないのか、どちらなんですか、これ。ちょっと曖昧で、私は役所の説明を聞いてもわからなかったので。

 これはどっちでも、総理の命で行くこともあるし、竹本さんや竹本さんの前任の命で行くこともある、これはどちらもあり得るということでよろしいんですか。片方だけの指示で行けるんですか。

菅国務大臣 まず、外国に行く場合、旅行命令権者は、和泉補佐官と大坪次長、いずれも私であります。

 そして、一方で、出張についてでありますけれども、個別の出張については、その必要性についてあらかじめ各担当大臣のもとで判断をして、その上で決裁が私のところに回ってきて私の秘書官が行っている、それが現実です。

本多分科員 ということは、このミャンマー出張は、竹本さんの前任である平井さんか松山さん、時期、ちょっとどっちかわからないんですが、その科学技術担当大臣の命で和泉補佐官は行っているという理解でよろしいですか。

今井大臣政務官 個別の出張については、その要否や、また、出張者、出張先での用務内容などについては各担当大臣のもとで検討していると承知しております。

本多分科員 わかりました。大臣にはしっかり、じゃ、あなたに聞きますけれども、この判断、なぜ科学技術担当大臣は、どんな質問が出るかわからないのに、この人だけ出張に連れていこうとしたんですか、大坪次長を。答えてくださいよ。

今井大臣政務官 大坪参事官については、二国間経済協力におけるヘルスケア分野の協力にも議論が及ぶことを想定して出張を決定したものであります。

本多分科員 ミャンマーで求められているものは、農業もあるし、国土交通もあるし、交通もあるし、都市計画もあるのに、それだけを想定した理由は何なんですか。

今井大臣政務官 先ほども述べさせていただきましたが、ヘルスケア分野においては、ヘルスケア分野の協力にも議論が及ぶことを想定して出張を決定したものだと承知しております。

本多分科員 ちょっと、そもそも、どうでもいいんですけれども、本当にこれでいいんですか。アウン・サン・スー・チーさんと会うのに、健康政策担当の大臣が、科学技術担当の大臣が出張の許可を出して和泉補佐官を送り出しているという。

 これは、総理大臣補佐官として大統領とか国家顧問のアウン・サン・スー・チーさんと会っているんじゃないんですか。科学技術担当大臣のもとの、この健康局長としての出張なんですか、これ。それがアウン・サン・スー・チーさんと会っているんですか。意味不明なんですけれども。

葉梨主査 政務官、大坪さんのことで答弁されたんじゃないんですか。私はそう聞いたんですが。

今井大臣政務官 健康・医療室としては、大坪氏がなぜこの会議に出席したかという理由を先ほど述べさせていただきましたが、二国間経済協力における分野の、ヘルスケア分野の協力にも議論を、及ぶことを想定して、健康・医療戦略室として出張を決定したものであります。

本多分科員 その想定をそこの部署がするのはいいですけれども、和泉補佐官ですよ、大坪じゃなくて。和泉補佐官がこの出張に行くのを決定したのは竹本大臣の前任の平井大臣か松山大臣なんですかということを、もう一回確認なんですよ。

 どういう判断でアウン・サン・スー・チーさんと会う出張を科学技術担当大臣が決裁しているんですか。僕、総理大臣補佐官として、総理の命で行っているんだとばかり思っていたんですけれども、違うんですか。

今井大臣政務官 どういう判断でという御質問なんですけれども、先ほど述べさせていただいておりますように、ヘルスケア分野の協力にも議論が及ぶことを想定し、出張を決定しました。

 なお、実際に、和泉総理補佐官とアウン・サン・スー・チー国家最高顧問との会談では、日本側からヘルスケア分野を含む二国間の経済協力の現状を報告した上で、意見交換を行ったと伺っております。

本多分科員 それは和泉補佐官が言うのはいいんですけれども、和泉補佐官の出張を和泉補佐官から上げてきて、科学技術担当が許可をしていいんですか、これ。

 官房長官、本当にそれでいいんですか。こういう仕組みなんですか、このミャンマー出張は。

菅国務大臣 私、先ほど来申し上げていますけれども、個別の出張の必要性については、それぞれの、これは担当大臣がいますから、そこの大臣のもとで判断をする、まず、そこであります。

 そういう中で、今回もそのような判断をされたんだろうというふうに思っています。

本多分科員 じゃ、二〇一八年七月のミャンマー出張は、担当大臣っていろいろあると思いますけれども、科学技術担当大臣の判断なんですか。総理大臣じゃないんですか。総理大臣の判断で行って、国家首脳お二人、アウン・サン・スー・チーさんと大統領とお会いしているんじゃなくて、科学技術担当大臣の命を受けた出張でミャンマーは行っているということでいいんですか。

菅国務大臣 最終的に旅行命令権者は私でありますけれども、私のところに来る前に、それぞれの担当大臣が個別の出張についてはその必要性というものを判断した上で上がってきますので、そこの当時の大臣が判断をしたということだというふうに思いますし、和泉室長は、総理大臣補佐官であり、そしてまた、健康・医療戦略の室長でもあるわけであります。

本多分科員 旅行命令権者、これは形式的には菅官房長官なんですが、どっちの大臣かわからない。要するに、好き勝手に動いているとしか思えないんですよ。総理大臣が一々判断をしているとも思えないですし、科学技術担当大臣の出張で国家首脳と会うというのは全く筋がおかしい話なので。

 どっちにしても、このミャンマー出張は極めて公私混同のため、一応ヘルスケアという言葉をアウン・サン・スー・チーさんとの会談で和泉補佐官が言ったら、自分のお気に入りのヘルスケア担当の官僚だけは連れていける。ほかの官僚は全く連れていかない。とんでもない、でたらめな出張をやっているということだと私は判断をさせていただきたいと思います。

 この出張を見ると、公用車についてもいろいろ書いているんですが、出張旅費のところに公用車についての記述もあるんですが、我が党が昨年末に質問書を出しました。いろいろ報じられて、あちこち車で行っているんだけれども、このハイヤー代、ちゃんと出しているのかということに関して、ハイヤー代は、和泉補佐官は、こういう大坪審議官なんかを乗っけているハイヤー代はちゃんと自費で払っていると答えていると承知しているというふざけた回答が来ているんですが、例で二つを挙げます。

 昨年の八月三十一日、銀座にお二人で行かれたもの、それから、十二月七日に丸の内のランチに行かれたもの、これ、例えば公費のハイヤー代や、まさか公用車などで移動されていないでしょうねということをお聞きしたいと思います。

今井大臣政務官 令和元年八月九日及び十二月七日のいずれについても、健康・医療戦略室の大坪次長がハイヤーや公用車を使用した実績はないと承知しております。

本多分科員 官房長官も大丈夫ですか、それで。

菅国務大臣 和泉補佐官のハイヤーの使用等についてでありますけれども、本人が全て私費で払っていると聞いており、公費で使用した実績はないというふうに承知をしています。

本多分科員 そう信じたいと思いますけれども、またちょっと時間ができたら、きちんと資料をいろいろ出していただきたいと思います。

 さて、もう時間がなくなったので、政策への介入の話ができなくなっているんですけれども、幾つか事実だけ確認させてください。

 二〇一八年十二月十九日、和泉補佐官が、AMED、日本医療研究開発機構の関連する局長級の、文科省とか厚労省だと思いますけれども、局長級を集めて、大坪をスルーしてAMEDの理事長に、AMED、機構ですね、機構の理事長に会うな、こういうことを言ったというふうに報道されていますが、まず、面会の事実はありますか。集めた事実はありますか。

今井大臣政務官 和泉補佐官からは、報道に関しての、発言の詳細やもろもろの、記憶にはないですが、その時期にAMEDの幹部と打合せを行い、AMEDの事業の方向性について議論をしたことはあった、その際、圧力をかけたり行政をゆがめるようなことはしていないとのことでありました。

本多分科員 言っていないことまで答えなくて大丈夫なんですけれども。

 このとき、関係省庁に、文科省や厚労省に、大坪を通さずに機構の理事長と会うな、会わないで、必ず大坪さんを通してくださいねということを和泉補佐官が言った事実はありますか。

今井大臣政務官 繰り返して恐縮ですが、和泉補佐官からは、発言の詳細については記憶にないが、その時期にAMEDの幹部と打合せを行い、AMEDの事業の方向性について議論をしたことはあった、その際、圧力をかけて行政をゆがめるようなことをしていないということであります。

本多分科員 記憶はないのに、圧力をかけてゆがめた事実はないって、お得意のパターンですよね。そんな答えを信じて、だから、政務官を責めたってしようがないんですよ。ひきょうなんですよ、和泉補佐官が出てこないこと、本当に。私は、出てきて、説明を伺いたいと思いますよ。

 これを受けて、とんでもないことに、大坪が、あえて呼び捨てにさせてもらいますけれども、けさの補佐官からの各省局長への指示について内容を補佐官から伺いましたので共有しますと、つまり、今後は私を通せという紙を出しているそうなんですけれども、こういう紙をあなたの配下の健康何とか戦略室から出した記憶はありますか。事実はありますか。

今井大臣政務官 そのような事実は確認されていないと事務方から聞いております。

本多分科員 この紙が出てくると、また大変なことになるんですけれども。

 今井政務官、今いろいろ見ていてわかる、桜とか森友とか、そういう何げない答弁が後で大変なことになるんですけれども、後ろを向いてもう一回確認した方がいいんじゃないですか。本当にそんなことを言っていいんですか。この紙、ないんですか。本当にないんですね。大丈夫ですね。

 では、廃棄した事実は、廃棄したことはないですか、この書類を、過去あったものを。

今井大臣政務官 そのような紙が、資料があったということは承知しておりません。

本多分科員 いや、探してくださいと私はお願いしているんですが、どうなんですか。探していただけますか。

 政務官、大事なんですよ。別に、これは圧力かどうかわからないですよ、私を通せというだけなんですから。事実かどうか、隠さないで言った方がいいと思うんですよ。だから、紙を探していただけますか。

今井大臣政務官 どのようなものかわかりませんので。

 健康・医療室としては、今、把握はしていないということでございます。

葉梨主査 本多君、質疑時間が終了しておりますので、まとめてください。

本多分科員 政務官、いいですか、ちょっと見てください、私のこと。

 いいんです、今、ないのは。僕も通告、間際でばたばたしたのは申しわけなかったんですけれども、この直後に、この面会の直後ですから、一八年の十二月の直後にこういう紙を大坪さんから各局長に出しているんだから、いずれ出てきちゃいますよ。探した方がいいと思いますよ。探すとだけ言ってくださいよ、ぜひ。探してください。お願いします。

葉梨主査 質疑時間が終了しておりますので、重ねてでも構わないですから、どうぞ一言。

今井大臣政務官 事務方に確認させていただきたいと思います。

本多分科員 以上で終わります。

葉梨主査 これにて本多平直君の質疑は終了いたしました。

 次に、山田賢司君。

山田(賢)分科員 自由民主党の山田賢司でございます。

 菅官房長官におかれましては、新型ウイルス対応で大変お忙しい中御出席をいただきまして、ありがとうございます。政府を挙げて対応に当たっていただいていることに敬意を申し上げたいと思います。

 現在、いろいろな方がいろいろなことをおっしゃるとは思いますが、今何より大事なことは、現在の危機にしっかりと対処することであり、これが最優先であると考えます。

 本日、対策本部におかれましても、新型コロナウイルス感染症対策基本方針も発表されたところでございます。これを機に、感染症に伴う非常事態に対して、単なる医療的観点のみならず、国の危機管理として、いま一度関係法令を見直し、整備するとともに、政府全体を統括して、迅速に対応できる組織体制を構築していただくように、お願いを申し上げたいと思います。

 まず、とりわけ、今回は新型ウイルスのため未知の部分が多く、ウイルスそのものの危険性もさることながら、情報が少ないことから不安が高まり、デマや臆測等、根拠の薄弱な情報に乗せられやすいという脆弱性も明らかになりました。風評、デマに一々反応しないという考え方もありますが、一方で、無視できない影響力となっております。

 そこで、虚偽情報への対応について。

 情報統制をするという方向ではなく、正しい情報をタイムリーに、積極的に発信することが大切だと考えます。一般的な国民の疑問、不安を解消するよう、わかりやすく正確な情報を迅速に発信していただきたいと思いますが、厚労省より御所見をお伺いしたいと思います。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症に関しまして、誤った情報の拡大を防ぎ、国民の皆様に迅速で正確な情報を提供することは大変重要と認識しております。

 厚生労働省におきましては、誤った情報が拡散することのないよう、SNSへの主な投稿を確認、分析し、ウイルスや感染予防策など誤った情報が広がっていれば、正しい情報をSNSで積極的に発信しているところでございます。

 さらに、SNS業者から新型コロナウイルス感染症に関する正確な情報を発信したいという御要望がございまして、二月七日に公式アカウントが開設されました。厚生労働省から情報を提供し、適宜発信をしていただいているところでございます。

 引き続き、厚生労働省といたしましては、積極的にSNS等で発信される情報を確認し、これからも迅速かつ正確な情報を国民の皆様に提供するよう努めてまいります。

山田(賢)分科員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。

 続きまして、水際対策でございます。

 空港や港湾等における入国管理の強化、これは当然でございますが、こうした正規のルートではなく、日本海側ではこれまで北朝鮮の漁民や工作員が上陸したり漂着するという事態が頻繁に発生しております。その気になれば感染者を送り込むことも可能と考えられます。

 無警戒な海岸線からの上陸をどのように防ぐのか、海上保安庁の方にお伺いしたいと思います。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 海上保安庁では、水際における不審事象に対応するため、巡視船艇、航空機による巡視警戒、地元の自治体や関係機関との情報共有及び迅速な連絡体制の確保を徹底するとともに、漁船や地元住民からの不審事象の通報に関する働きかけを推進しているところです。

 さらに、関係閣僚会議で決定した海上保安体制強化に関する方針に基づき、大型巡視船や高性能監視レーダーを搭載した新型ジェット機を整備するなど、海洋監視体制の強化に努め、国民の安全、安心の確保に万全を期してまいります。

山田(賢)分科員 ありがとうございます。長い海岸線を持つ日本でございますから、大変だと思いますが、ぜひよろしくお願いいたします。

 続きまして、邦人の退避についてお伺いをしたいと思います。

 今回の新型コロナウイルスの件では、中国・武漢からチャーター機により在留邦人の退避が迅速に行われたことに、全ての関係者に感謝を申し上げたいと思っております。一方で、半島有事を始めとする緊張状態における在外邦人の退避について、課題を考えたいと思います。

 安全であれば民間のチャーター機での退避も可能でありますが、民間機が飛べなくなった場合には、政府専用機、自衛隊機を使うしかないと考えます。しかしながら、自衛隊法八十四条の四で在外邦人の輸送ができるのは、当該輸送を安全に実施すると認められるときとされております。

 安全が確保できないときこそ自衛隊機での輸送が必要となると思います。安全が確保できていなくても在外邦人の輸送が行えるようにすべきではないでしょうか。防衛省にお伺いしたいと思います。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、自衛隊法第八十四条の四に規定する在外邦人等の輸送については、国際法上、派遣先国の同意が必要となることに加えまして、防衛大臣が輸送を安全に実施することができると認める場合に実施することが可能となっているところでございます。

 この輸送の安全の要件につきましては、空港等の安全が確保されない場合に危険を冒して輸送を行えば、在外邦人の安全確保という本来の目的を果たせない可能性があるためということでございまして、民間機での輸送が可能な程度に安全な場合にしか自衛隊機を派遣できないという趣旨ではございません。

 なお、この要件に関しましては、平成二十五年、与党PT、在外邦人の安全確保に関するPTの報告を踏まえまして、予想される危険を回避する方策をとることで安全に輸送できると認められる場合である旨の規定に変更しまして、その趣旨を条文上も明確にしているところでございます。

 その上で、在外邦人の退避に関しましては、情報提供、連絡体制の確保、邦人の退避が必要となるおそれが生じた場合の早期退避勧奨、必要に応じてチャーター便又は友好国の協力を通じた退避活動などを通じまして、邦人が危険な状態で取り残されるといった状況に陥ることのないよう対応することが重要と考えているところでございます。

山田(賢)分科員 ありがとうございます。

 続きまして、拉致問題について質問させていただきたいと思います。

 安倍政権の最重要課題である、北朝鮮による日本人拉致問題について。

 国民の生命、自由、幸福追求に関する権利というのは、国政の上でも最も尊重されなければならないはずの権利でありますが、長年にわたり侵害され続けております。

 折しも、拉致被害者の一人、有本恵子さんのお母様、嘉代子様が今月三日に御逝去されました。お元気なうちにお嬢様との再会を実現させることができなかったことに、私自身も大変申しわけなく思います。

 一刻も早くと肉親との再会を待ち望む御家族が高齢化する中、どのようにして早期に帰国を実現させるのか、具体的方策はあるのか、菅官房長官にお尋ねしたいと思います。

菅国務大臣 有本恵子さんのお母さんが、まさに御帰国を待ちながら御逝去されましたことに、心よりお悔やみを申し上げ、また御冥福をお祈り申し上げる次第でございます。

 二〇〇二年に五人の拉致被害者の方々が帰国されて以来、一人の拉致被害者の方の帰国も実現していない、このことは極めて痛恨のきわみであります。御家族の皆さんも御高齢になる中にあって、もはや一刻の猶予もない、その思いであります。

 拉致問題の解決に向けては、米国を始めとする関係国と緊密に連携を進めていくと同時に、我が国自身が主体的に取り組んでいく、このことも極めて重要であります。安倍総理は累次の機会にわたって、条件をつけずに金委員長と直接向き合う、その決意を表明されております。

 政府としては、一日も早い全ての拉致被害者の帰国を実現すべく、あらゆるチャンスを逃すことなく、全力で行動してまいりたいというふうに思います。

山田(賢)分科員 ありがとうございます。我が国の国民でございますから、我が国自身が取り組む、このことは当然のことだと思っております。

 そして、先ほど官房長官もおっしゃられましたように、安倍総理は、常々、安倍総理自身が金正恩委員長と直接向き合うとおっしゃっておられますが、金正恩委員長と対話の余地があるのか、見通しについてお伺いをしたいと思います。

菅国務大臣 総理自身、条件をつけずに金委員長と向き合う決意を述べられてきており、これまで、外交上、あらゆる手だてを尽くしております。北朝鮮に対してもさまざま働きかけを行ってきております。詳細を明らかにすることは、今後の交渉に影響を及ぼすおそれがありますので、御理解を賜りたいと思います。

 日朝首脳会談については、残念ながら、現時点で決まっておりませんが、御家族の皆さんも御高齢の中で、拉致問題の一日も早い解決に向け、引き続き、米国などと緊密に連携しながら、あらゆるチャンスを逃すことなく全力で取り組んでまいりたいというふうに思います。

山田(賢)分科員 ありがとうございます。相手のある話でございますから、機微な話であって、全てを明らかにできないことは承知しております。

 その上で、全ての拉致被害者の全員一括帰国と言われておりますが、この意味についてお伺いしたいと思っております。北朝鮮の言説が信用できない中で、何をもって全員の帰国とするのか、政府のお考えをお伺いしたいと思います。

菅国務大臣 政府としては、拉致被害者として認定をされた十七名以外にも、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない方が存在しているとの認識のもとに、平素から情報収集に取り組んでおります。

 いずれにしろ、拉致被害者として、認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の安全確保及び即時帰国のために全力を尽くしてまいりたい、そのように思って行動いたしています。

山田(賢)分科員 ありがとうございます。

 続きまして、北朝鮮に対する制裁についてお伺いしたいと思っております。

 国連制裁に加え、我が国として独自の制裁も科しております。これらの制裁に全く効果がないとは申しませんが、被害者の帰国実現に至っていないことは事実であります。国連安保理も動かない中、国連制裁の強化は期待できないと思います。より効果のある方策を考えなければなりません。

 そこで、国際刑事裁判所に人道に対する罪として提訴すべきではないかと考えますが、外務省の考えをお聞かせください。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 国際刑事裁判所、ICCローマ規程のもとでは、国連安全保障理事会が国連憲章第七章の規定に基づいてローマ規約の締約国ではない北朝鮮の事態をICCに付託する場合には、ICCは管轄権を行使するということができると書いてございます。

 我が国といたしましては、関係国とも緊密に連携しながら対応していく考えでございます。

山田(賢)分科員 ありがとうございます。

 今おっしゃられましたローマ規程には、人道に対する罪として、人の強制失踪、この中に、拉致する行為、その自由を剥奪していることを認めず、またその消息若しくは所在に関する情報の提供を拒否することということが明記されております。明らかに人道に対する罪だというふうに思っております。

 他方、このICCへの金正恩委員長の提訴は、金正恩委員長が嫌がるという話も聞いております。しかし、嫌がるからこそ意味があるんだと思っております。経済制裁で進展がなく、武力制裁の選択肢というものが我が国にない中で、金正恩委員長が嫌がることを考えて揺さぶりをかける必要があるのではないかと考えますが、外務省、お考えを聞かせてください。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 日本が北朝鮮の事態を単独でICCに付託したとしても、安全保障理事会が国連憲章第七章の規定に基づきICCに付託しない限り、ICCの締約国ではない北朝鮮の事態に対しICCが管轄権を行使する事態は、基本的に想定されない状況にございます。

 いずれにしましても、政府としましては、現時点でICCへの付託を具体的に検討しているわけではございませんが、今後の取組につきましては、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決するため何が最も効果的かという観点から、不断に検討していく所存でございます。

 また、いずれにしましても、拉致問題の一刻も早い解決に向けて、あらゆるチャンスを逃すことなく、果敢に行動していく所存でございます。

山田(賢)分科員 よろしくお願いいたします。

 続きまして、他国に侵入して当該国の国民を連れ去るということは、主権侵害であります。侵略行為、武力行為にも該当し得る行為ではないかと考えますが、いかがでしょうか。

御巫政府参考人 お答え申し上げます。

 いかなる行為が主権侵害や国連憲章二条四項が禁ずる武力の行使に当たるのかにつきましては、個別具体的な状況に即して判断する必要がございますが、政府機関の要員が領域国の同意を得ずに他国の領域から当該国の国民を強制的に連れ去るということは、少なくとも、当該国の主権侵害には当たると考えております。

山田(賢)分科員 ありがとうございます。主権侵害に当たるけれども武力行使に必ずしも当たらないということでございます。

 もしこれが武力行使に当たらないということであれば、逆に、我が国も、北朝鮮に侵入し被害者を奪還しても、武力行使に当たらない場合があるという考えが成り立つのではないかと考えます。

 そこで、実力での奪還について考えたいと思います。

 まず、実力で取り返すと大きなことを言おうとも、情報がなければ何もできません。拉致被害者がどこにどういう状態でいるのか、情報はとれているのかとお伺いしても、恐らく、答えられないという答弁になろうかと思いますので、お答えは結構でございます。情報もとれていないとすると、北朝鮮の言いなりになるしかありません。

 海外の主要国は、他国の領域内においても組織的に情報収集を行っております。我が国においても、海外の情報収集を組織的に行う体制が必要ではないかと考えますが、官房長官、お答えいただけますでしょうか。

菅国務大臣 我が国をめぐる安全保障環境が厳しさを増す中にあって、国家の安全保障や国民の安全に直接かかわる情報の収集は、極めて重要であるというふうに認識をしております。

 今御指摘をいただきました情報収集活動に必要な組織のあり方については、さまざまな御議論があると承知しておりますけれども、政府としては、引き続き、必要な情報収集活動に取り組み、その充実強化にしっかり取り組んでいきたいというふうに思っています。

山田(賢)分科員 ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、法的側面を考えたいと思いますが、これは、国際法上可能なのかということと国内法上可能かということを分けて考える必要があると思っております。

 まず、国際法の観点から、在外自国民保護に当たっては、領域国の同意を有するというのが原則であると考えておりますが、過去に、領域国の同意がなくとも軍隊を派遣して自国民保護を行った例があるかどうか、外務省、お答えいただけますでしょうか。

有馬政府参考人 お答え申し上げます。

 外国政府による第三国での行動について、政府として説明する立場にはございませんが、領域国の同意なく軍隊を派遣して自国民保護を試みた例として、米国の在イラン米国大使館において人質となった米国人の救出を試みた例があると承知しております。また、ほかの事例として、イスラエルが、ハイジャックされた航空機の人質となっていたイスラエル人乗客をウガンダのエンテベ空港に軍隊を派遣して救出した例があると承知しております。

山田(賢)分科員 ありがとうございます。

 そうなんですね。国際社会でどう評価されるかということは大変重要で、無視はできないんですが、大事なことは、自国の意思ということだと思っております。国際社会から批判をされるかもしれないけれども、自国民を何が何でも守る、この決意が大事ではないかと考えております。

 次に、国内法として、我が国の憲法上、拉致された日本国民を実力で取り返すことは禁じられているのか、法制局にお伺いしたいと思います。

北川政府参考人 お答えいたします。

 御質問は、一般論として、武力を行使して拉致被害者を救出することは可能かという問題と理解いたしますが、政府といたしましては、憲法第九条のもとで武力の行使が認められるのは、いわゆる武力の行使の三要件を満たす場合に限られると解してきております。

 したがいまして、武力の行使の三要件を満たしていない状態において、武力を行使することはできないと解しているところでございます。

山田(賢)分科員 ありがとうございます。武力行使の三要件というのは、政府の解釈であって、明文の規定ではないというふうに理解しております。

 その上で、日本国民が強制的に連れ去られ、現在も拘束され続けているにもかかわらず、新たな武力攻撃がない限り日本国民を実力で取り返すことができないというふうに解釈をしているんでしょうか。自国民を自国政府が助けられなくて、誰が助けるというんでしょうか。それが本当に我が日本国憲法が求めているところなのでしょうか。

 過去に、敵基地攻撃の答弁の中にも、座して死を待つというのが憲法の趣旨とは考えられないという答弁があったと承知しております。座して、拉致被害者が高齢化して亡くなられること、これを黙って待っているのか、そのときに我々としてすべきことは何なのかということの上で、憲法の解釈を変える、若しくは、憲法解釈では無理だということであれば、憲法を変えてでも日本国民を取り返す、このことが必要ではないかと考えます。

 続きまして、日本政府も積極的に推進しております持続可能な開発目標、SDGsのスローガンは、誰一人取り残さないです。日本国民の多くが豊かで平和な暮らしを享受している一方で、四十年以上もの間ずっと取り残されている日本国民が何人もいます。本来は必死になって取り返さないといけない問題なのに、毎日、この件の進捗が報じられることもありません。

 安倍政権、そして日本国にとっての最重要課題であれば、毎日、きょうの拉致として進捗を発表し、国民に周知啓発を行ってもらえないでしょうか。何も進捗がなくても毎日発表し続ける。きょうも進捗がありません、きょうもまた進んでおりません、そうすることで、どれだけ恥ずかしいことなのか、どれだけ異常なのか、これを日本国民全員に実感してほしいと思いますが、拉致対策本部の方から回答いただけますでしょうか。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、拉致問題は政府の最重要、最優先の課題であり、また御家族も御高齢となり、先日、委員もおっしゃられましたように、有本嘉代子様がお嬢様との再会を果たす前に御逝去されるなど、本当に申しわけなく思っておりますが、こういった、もはや一刻の猶予も許されない中、政府としては、一日も早い解決に向け、総理、官房長官のもと全力で取り組んでおります。

 そして、日本人の拉致問題の解決には、米国を始めとする国際社会とも連携しつつ、何よりも我が国自身が主体的に行動することが重要であり、また、拉致問題の解決に向けさまざまな取組を行っているところであります。

 しかしながら、そのような日々の具体的な進捗状況を明らかにしますことは、先ほども長官から御答弁申し上げたとおり、事柄の性質上、今後の活動に支障を来すおそれがあることから、差し控えさせていただかざるを得ないことを御理解いただきたいと思いますが、他方で、拉致問題解決のためには、日本国民が心を一つにして、全ての拉致被害者の一日も早い帰国に向けた強い意思をお示しいただくことが重要であり、政府においては、拉致問題の啓発にも力を入れて取り組んでおります。そのような啓発活動を行う中で、拉致問題への取組状況につきましても、可能な限り丁寧に国民の皆様にお示ししてまいりたいと思います。

山田(賢)分科員 ありがとうございます。

 なぜ、毎日やってくれと言ったかといいますと、誘拐犯が立てこもっているときというのは、毎日でもニュースになるんですね。四十年以上もあるからもう当たり前のようになってしまっていて、進まないのが当たり前になっている、これがどれだけ異常なことかということを日本国民全員で共有していただきたいと思いますが、その趣旨を踏まえて広報啓発に当たっていただきたいと思っております。

 その広報啓発の一つといたしまして、先日、一月二十一日に領土・主権展示館というのが虎ノ門のオフィス街の第一等地に移転し、展示内容を拡充してリオープンされました。大変よいことで、ぜひ、多くの国民、そして外国人の方にも見ていただきたいと思っております。

 その上で、拉致問題というのは、重大な主権侵害の例であります。領土に関する啓発と同時に、同展示館において、拉致問題に関する展示も行っていただきたいと思っております。

 横浜の赤レンガ倉庫にある海上保安庁の工作船資料館には北朝鮮の工作船が展示され、領海侵犯、主権侵害のリアルな証拠を非常にインパクトのある形で展示されております。そこにも海上保安庁の方で拉致問題についての啓発をしていただいておるところでございます。

 ぜひ、領土・主権展示館においても、拉致問題についての広報を行っていただきたいと思いますが、お考えをお聞かせください。

岡本政府参考人 お答えいたします。

 拉致問題は、我が国の主権及び国民の生命と安全にかかわる重大な問題であり、国民にしっかりと啓発していくことが重要であるという委員の御指摘は、全くそのとおりであると考えております。

 ただいま委員から御紹介いただきましたけれども、既に、海上保安庁と連携して海上保安資料館横浜館に拉致問題に関するパネルを設置し、さらに、拉致問題解決を求める署名に関するタペストリーなどを展示するなど、拉致問題に対する国民の皆様の理解促進に努めているところであります。

 今後とも、拉致問題に関する理解と支援を得るために、いかなる方策が効果的か等の観点から、不断の検討を行いつつ、関係省庁とも連携しながら、拉致問題に関する啓発活動に積極的に取り組んでまいりたいと思います。

山田(賢)分科員 ぜひよろしくお願いいたします。

 この問題は、単に被害者、そして御家族だけの問題ではなく、日本国民全員の問題、そして、日本国の主権にかかわる問題でございます。問題意識を共有するとともに、何より、一刻も早く被害者の帰国実現をさせていただきたいと思っております。

 以上申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

葉梨主査 これにて山田賢司君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶申し上げます。

 分科員各位の御協力を得まして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後八時二十七分散会


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